第3号 令和6年5月20日(月曜日)
令和六年五月十日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。第一分科会〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、デジタル庁及び復興庁所管並びに他の分科会所管以外の国の会計〕
主査 中西 健治君
小林 史明君 中谷 真一君
西村 康稔君 森 英介君
青柳陽一郎君 櫻井 周君
浦野 靖人君 庄子 賢一君
櫛渕 万里君
第二分科会(総務省、財務省、文部科学省及び防衛省所管)
主査 福重 隆浩君
江崎 鐵磨君 遠藤 利明君
野田 聖子君 萩生田光一君
山本ともひろ君 小川 淳也君
手塚 仁雄君 杉本 和巳君
秋本 真利君
第三分科会(厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び環境省所管)
主査 井坂 信彦君
小倉 將信君 下村 博文君
福田 達夫君 松野 博一君
山下 貴司君 吉野 正芳君
谷田川 元君 たがや 亮君
第四分科会(法務省、外務省及び国土交通省所管)
主査 田中 英之君
高木 毅君 棚橋 泰文君
三反園 訓君 村上誠一郎君
大河原まさこ君 中谷 一馬君
遠藤 良太君 佐藤 茂樹君
池田 佳隆君
令和六年五月二十日(月曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 小川 淳也君
理事 小林 史明君 理事 田中 英之君
理事 中西 健治君 理事 山下 貴司君
理事 井坂 信彦君 理事 中谷 一馬君
理事 杉本 和巳君 理事 福重 隆浩君
青山 周平君 畦元 将吾君
井野 俊郎君 江崎 鐵磨君
小倉 將信君 大串 正樹君
下村 博文君 田中 和徳君
高木 啓君 橘 慶一郎君
棚橋 泰文君 中谷 真一君
野田 聖子君 福田 達夫君
古川 直季君 本田 太郎君
松野 博一君 三反園 訓君
宮下 一郎君 村上誠一郎君
森 英介君 青柳陽一郎君
大河原まさこ君 櫻井 周君
手塚 仁雄君 谷田川 元君
赤木 正幸君 遠藤 良太君
住吉 寛紀君 早坂 敦君
佐藤 茂樹君 中川 宏昌君
櫛渕 万里君 たがや 亮君
…………………………………
総務大臣 松本 剛明君
外務大臣 上川 陽子君
財務大臣 鈴木 俊一君
文部科学大臣 盛山 正仁君
厚生労働大臣 武見 敬三君
経済産業大臣 齋藤 健君
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
防衛大臣 木原 稔君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 加藤 鮎子君
国務大臣
(経済財政政策担当) 新藤 義孝君
国務大臣
(地方創生担当) 自見はなこ君
総務副大臣 馬場 成志君
財務副大臣 赤澤 亮正君
最高裁判所事務総局人事局長 徳岡 治君
政府参考人
(内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官) 吉田 宏平君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進室長) 恩田 馨君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 山野 謙君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 池田 達雄君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 矢野 和彦君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 山田 雅彦君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 朝川 知昭君
政府参考人
(厚生労働省人材開発統括官) 岸本 武史君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 鹿沼 均君
政府参考人
(林野庁長官) 青山 豊久君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 定光 裕樹君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 村田 茂樹君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 海谷 厚志君
政府参考人
(観光庁次長) 加藤 進君
決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君
―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
遠藤 利明君 小田原 潔君
棚橋 泰文君 山本 左近君
西村 康稔君 中川 貴元君
吉野 正芳君 井原 巧君
手塚 仁雄君 白石 洋一君
谷田川 元君 逢坂 誠二君
佐藤 茂樹君 稲津 久君
たがや 亮君 大石あきこ君
小田原 潔君 本田 太郎君
大河原まさこ君 山崎 誠君
櫻井 周君 山井 和則君
白石 洋一君 神津たけし君
逢坂 誠二君 西村智奈美君
山井 和則君 大西 健介君
浦野 靖人君 金村 龍那君
遠藤 良太君 林 佑美君
中川 貴元君 鷲尾英一郎君
中谷 真一君 坂井 学君
神津たけし君 城井 崇君
井原 巧君 柴山 昌彦君
松野 博一君 金子 容三君
山崎 誠君 馬淵 澄夫君
金村 龍那君 沢田 良君
沢田 良君 住吉 寛紀君
林 佑美君 藤巻 健太君
柴山 昌彦君 三ッ林裕巳君
本田 太郎君 宮内 秀樹君
三反園 訓君 勝目 康君
鷲尾英一郎君 吉田 真次君
城井 崇君 福田 昭夫君
庄子 賢一君 佐藤 英道君
宮内 秀樹君 三谷 英弘君
山本 左近君 柳本 顕君
青柳陽一郎君 大島 敦君
西村智奈美君 阿部 知子君
住吉 寛紀君 早坂 敦君
三ッ林裕巳君 高木 啓君
大西 健介君 櫻井 周君
福田 昭夫君 屋良 朝博君
馬淵 澄夫君 長妻 昭君
藤巻 健太君 斎藤アレックス君
斎藤アレックス君 吉田とも代君
早坂 敦君 浅川 義治君
山本ともひろ君 岸 信千世君
吉田 真次君 大岡 敏孝君
浅川 義治君 漆間 譲司君
吉田とも代君 堀場 幸子君
漆間 譲司君 阿部 司君
佐藤 英道君 山崎 正恭君
大岡 敏孝君 中根 一幸君
福田 達夫君 杉田 水脈君
阿部 知子君 野間 健君
山崎 正恭君 庄子 賢一君
大島 敦君 階 猛君
勝目 康君 三反園 訓君
金子 容三君 松野 博一君
岸 信千世君 山本ともひろ君
坂井 学君 中谷 真一君
杉田 水脈君 福田 達夫君
高木 啓君 吉野 正芳君
中根 一幸君 西村 康稔君
三谷 英弘君 遠藤 利明君
柳本 顕君 棚橋 泰文君
階 猛君 青柳陽一郎君
長妻 昭君 大河原まさこ君
野間 健君 谷田川 元君
屋良 朝博君 手塚 仁雄君
阿部 司君 浦野 靖人君
堀場 幸子君 遠藤 良太君
稲津 久君 佐藤 茂樹君
大石あきこ君 たがや 亮君
同月二十日
辞任 補欠選任
遠藤 利明君 田中 和徳君
高木 毅君 井野 俊郎君
西村 康稔君 畦元 将吾君
萩生田光一君 高木 啓君
山本ともひろ君 橘 慶一郎君
吉野 正芳君 宮下 一郎君
浦野 靖人君 早坂 敦君
遠藤 良太君 住吉 寛紀君
庄子 賢一君 中川 宏昌君
同日
辞任 補欠選任
畦元 将吾君 本田 太郎君
井野 俊郎君 高木 毅君
田中 和徳君 遠藤 利明君
高木 啓君 萩生田光一君
橘 慶一郎君 古川 直季君
宮下 一郎君 青山 周平君
住吉 寛紀君 遠藤 良太君
早坂 敦君 赤木 正幸君
中川 宏昌君 庄子 賢一君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 吉野 正芳君
古川 直季君 山本ともひろ君
本田 太郎君 大串 正樹君
赤木 正幸君 浦野 靖人君
同日
辞任 補欠選任
大串 正樹君 西村 康稔君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和二年度一般会計歳入歳出決算
令和二年度特別会計歳入歳出決算
令和二年度国税収納金整理資金受払計算書
令和二年度政府関係機関決算書
令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書
令和三年度一般会計歳入歳出決算
令和三年度特別会計歳入歳出決算
令和三年度国税収納金整理資金受払計算書
令和三年度政府関係機関決算書
令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書
令和四年度一般会計歳入歳出決算
令和四年度特別会計歳入歳出決算
令和四年度国税収納金整理資金受払計算書
令和四年度政府関係機関決算書
令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書
主査からの報告聴取
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○小川委員長 これより会議を開きます。
令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件を議題といたします。
第一分科会ないし第四分科会の各分科会は、去る十三日審査を行いました。
この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
第一分科会主査中西健治君。
○中西委員 第一分科会の審査について御報告申し上げます。
本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府本府、警察庁、金融庁、消費者庁、デジタル庁及び復興庁所管並びに他の分科会所管以外の国の会計について審査を行いました。
主な質疑事項は、宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応の必要性、障害児とその家族への支援の在り方、令和六年能登半島地震に関連して、二次避難による人口流出への懸念及びNPO等による被災者支援の重要性、国会のデジタル化、ペーパーレス化の進捗状況、ギャンブル依存症対策を強化する必要性、大阪・関西万博で実施されるテーマウィークプロジェクトの効果、マイナンバーカードの健康保険証利用の課題、スタートアップ支援、起業家教育の強化、実質賃金上昇に向けた施策の必要性、東日本大震災からの復興状況及び被災者支援の継続等であります。
なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
以上、御報告申し上げます。
○小川委員長 次に、第二分科会主査福重隆浩君。
○福重委員 第二分科会の審査について御報告申し上げます。
本分科会は、総務省、財務省、文部科学省及び防衛省の所管について審査を行いました。
主な質疑事項は、条件不利地域の住民に対する支援制度を拡充する必要性、情報公開法上の不開示情報と国会議員からの情報提供等の要求に対する各省庁の協力との関係、AIと著作権等に関する考え方がクリエーターに与える影響、国立大学法人に対するサイバーセキュリティー支援の必要性、火星探査より深海探査により多額の予算措置を講じる必要性、小規模事業者等へのインボイス制度導入の妥当性、在日米軍が排出するPCB廃棄物に係る経費を日本政府が負担することについての妥当性、停泊中の艦船等へのドローン攻撃に対抗するための人材育成の必要性、学校のICT環境の地域間格差是正に向けた支援策の必要性、保護者や子供を対象にした不登校調査の結果を今後の取組につなげていく必要性等であります。
なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
以上、御報告申し上げます。
○小川委員長 次に、第三分科会主査井坂信彦君。
○井坂委員 第三分科会の審査について御報告申し上げます。
本分科会は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び環境省の所管について審査を行いました。
主な質疑事項は、子供食堂に対する政府の支援状況と更なる関与の必要性、食料自給率の政府目標を達成する方策、農業の担い手不足の現状認識及び支援策、石炭火力発電所の休廃止による雇用問題及び地域経済への影響、再生可能エネルギー導入の現状認識及び電気料金高騰への対応、病院船の現状と令和六年能登半島地震を踏まえた在り方、新型コロナワクチン接種後の健康被害に関する情報収集の在り方、孤独死、孤立死の実態把握の必要性、医療的ケアを必要とする親子に向けた民間の取組を支援する必要性、介護現場における人材確保及び処遇改善の必要性、水俣病被害者救済特別措置法の対象者基準を見直す必要性等であります。
なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
以上、御報告申し上げます。
○小川委員長 次に、第四分科会主査田中英之君。
○田中(英)委員 第四分科会の審査について御報告申し上げます。
本分科会は、法務省、外務省及び国土交通省の所管について審査を行いました。
主な質疑事項は、公共交通機関のバリアフリー化における課題、令和二年七月豪雨による球磨川流域における氾濫の検証、中部国際空港の第二滑走路を早期に実現する必要性、公共施設の長寿命化行動計画と予防保全の在り方、道路事業評価の形骸化への対応、オーバーツーリズム対策の今後の取組方針、所有者不明土地対策の効果と課題、北陸新幹線の延伸ルート、スケジュールについての見通し、外国人材の受入れ、定着に向けた支援の必要性、地域紛争解決に対する我が国の役割等であります。
なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
以上、御報告申し上げます。
○小川委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。
―――――――――――――
○小川委員長 これより、各件に関し、国の財政等の概況及び行財政の適正・効率化について重点事項審査を行います。
この際、お諮りいたします。
各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官吉田宏平君、内閣府地方分権改革推進室長恩田馨君、内閣府地方創生推進事務局審議官岩間浩君、デジタル庁統括官楠正憲君、総務省自治行政局長山野謙君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、総務省自治財政局長大沢博君、総務省自治税務局長池田達雄君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、文部科学省初等中等教育局長矢野和彦君、厚生労働省職業安定局長山田雅彦君、厚生労働省社会・援護局長朝川知昭君、厚生労働省人材開発統括官岸本武史君、厚生労働省政策統括官鹿沼均君、林野庁長官青山豊久君、経済産業省大臣官房審議官井上誠一郎君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、国土交通省鉄道局長村田茂樹君、国土交通省海事局長海谷厚志君及び観光庁次長加藤進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
―――――――――――――
○小川委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局人事局長徳岡治君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
―――――――――――――
○小川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。棚橋泰文君。
○棚橋委員 ただいま御指名いただきました棚橋泰文でございます。
本日、決算行政監視委員会の開催に当たり、委員、理事の皆様方、そして、何よりもそれを支えていらっしゃる衆議院の事務方、調査部の方も含めて、さらに、本日、鈴木大臣始め政府から、大変お忙しい中、閣僚、政務三役並びに日々の行政を支えている皆様方に御出席いただき、また、皆様方がそうしていただいていることによってこの国が継続的に安定していることに、改めて敬意を表させていただきます。
さて、私は、特に、行財政改革の観点もそうですが、令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件、令和四年度決算外二件、これらを改めてもう一度見直させていただいた中で、当然、決算は、予算と影響してまいります。そして、予算は単年度主義でございますが、我が国の政策的な課題、少子化問題、あるいは高齢者の方々、労働人口が減っていく、そもそも人口が減っていく、こういった問題にどう対応するかという問題が大きな課題としてあるわけでございます。
十五分という限られた時間ですので、私は、その中でも、いわゆる失われた三十年と言われる中での経済が成長しない日本から、改めて、成長する日本にきちんとギアアップをして、そして、そのことによって、二十年、三十年後の子供たちの世代がこの国で豊かに暮らせる、少なくとも今の生活水準よりも低い水準にならないために、政治は、立法府は何をすべきかという観点から少し御質問をさせていただければと思います。
失われた二十年と株価等にも関連しておっしゃる方もいらっしゃいますが、私は失われた三十年だと思いまして、その本質は、やはりGDPで見ていくと、御承知のように、GDPの伸びが止まり、世界第二位のGDP国家だった日本が、中国に抜かれ、そしてこの間はドイツに抜かれ、もちろん、ドルベースのGDPが全てではございませんし、今、異常な円安になっていることも事実ではございますが、ここのところ成長しない経済になっていたことも私は事実だと思っています。
しかし一方で、失業率が他国に比べて異常に高いという状況ではなくて、むしろ失業率は日本においては比較的低いままでございまして、それにもかかわらず、成長しない。
そして、今、これまた御承知のように、ロシアがウクライナに侵攻するその前の年の秋に、アメリカの消費者物価等がアフターコロナの影響等もあって異常に上がったときに、大変申し訳ございませんが、パウエルFRB議長が一過的なものだと言ったものがいまだに響いておりまして、アメリカ経済のインフレが止まらないことが円安・ドル高の主要因であることも認識はしております。
しかし、そういった、短期的なと言ってはなんですが、一年一年先のことも大事ですが、そして、予算は単年度主義でございますが、私どもは、やはり私も六十一になりまして、子供たちや、まだ孫はおりませんが、孫たちの世代に、最低限でも今の生活水準、その時代に合わせた豊かな日本を残していくためには、どういう政策が必要なのか。先ほど申し上げた、これはもう今語る時間はございませんので、少子化対策、人口減対策等はございますけれども、やはり経済が成長しないと、当然のことながら、日本は豊かにならない。
企業は、特に、象徴的に言うならば、大幅な内部留保を抱えている。場合によっては、内部留保に税金をかけろというような声まで出ておりますが、私はちょっとそこには賛成できませんで、企業はお金をもうけることが当然の仕事。膨大な内部留保を持っているということは、リスクとリターンを考えたときに、投資するよりも内部留保で持っていた方が経営政策として安全だから、あるいは投資するリスクを冒すだけの価値がないから、そういうことになっている。
逆に言うと、国外への投資も必要でございますが、というのは、労働人口がどうしても減ってまいりますので、国内への投資をより促進し、なおかつ一人当たりの賃金が上がるような、そういった投資を誘導していく方策が、単年度ではなくて、長い目で見たときに必要だと考えております。
そして、経済安全保障は、ある意味では経済安全保障ではございますが、経済にとって非常に大事な製造拠点等を国内に誘致するという観点からはその方向でございますが、それらも含めて、政府は、外もそうですが、特に国内に、製造拠点となる、あるいは働きながら大きな付加価値を一人当たりの労働者が得ることができる、そういう投資を促すために、どのような政策をこれまで取り、また今後取っていくか、この点、御答弁をお願いいたします。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国の持続的な経済成長のためには、企業は、特に国内において積極的な投資を拡大していくことが重要というふうに考えております。
これまでの日本経済を振り返りますと、長引くデフレの中で、企業は生み出した収益を主に海外投資に使うことで収益性を高めるという一方で、国内への還流は限定的でありまして、日本国内における設備や人への投資は諸外国に比べて大きく後れを取った、こういうふうに考えております。政府としても、市場環境整備策を中心としておりまして、結果として国内において新たな付加価値創出の取組が不十分であった、こういうふうに考えております。
こうした認識の下で、経済産業省では、二〇二一年より、GXやDXなど社会課題解決分野を成長の源泉と捉えまして産業政策を強化する、経済産業政策の新機軸に継続的に取り組んでいるところでございます。賃金や成長の源泉となる社会課題解決への国内投資を後押しするべく、あらゆる政策を総動員し、民間企業の予見可能性を高め、投資を引き出すことを主眼としております。
例えば、GXの分野でございますけれども、国として二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行いまして、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資を官民協調で実現していくという方向で取り組んでいるところでございます。
引き続き、積極的な産業政策を通じて、国内から世界の市場に打って出ていけるよい製品、サービスを生み出しまして、稼いだ富が国内に還流し、次の技術革新が生み出されるという好循環を実現すべく取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○棚橋委員 ありがとうございました。
まさに今おっしゃったような好循環を生み出せるよう、民間の協力、官民挙げて、さらには政治家と官僚が連携しながら進めていきたいと私も思っております。
その中で、もう一点、私は、日本人のよさというのは、いいものを安く売る、これが日本のサービスだと思っておりましたが、また、そのことに対して、個人的にはそうあってほしいという気持ちがないわけではないんですが、付加価値をつけるというのは、要はいいものは高く売るということでございまして、いいものを安く売るということは、逆に言うと、安売りをして、結局経済が成長しない。やはりいいものは高く売ろう。
そして、失礼な言い方ですが、かつて、昭和の時代ですが、お客様は神様ですとおっしゃった方がいらっしゃったかもしれませんが、お客様は対等な相手であり、この値段で買うのが嫌だったら、どうぞ、お買いにならなくて結構ですと。生活必需品、生きていくためにどうしても必要なものは別にして、やはり売る側が一方的に買う側に奉仕するというような発想、俺は客だぞといってどなるような、大体私と同世代の背広姿の男性が多いんですが、こういう文化は変えていかなきゃいけないと思っております。
その上で、とはいえ、労働人口が減り、そして従属人口が増え、年金、医療、介護のための予算も必要なわけでございますので、そういったものをきちんと確保するためには、労働人口が減っても、一人当たりの付加価値を上げていかなければならない。一人当たりの付加価値というのは何ぞやと聞かれれば、一言で言うと売れる値段ですが、結論だけ言わずに過程を言うならば、やはりスキルだと思っております。
我が国は、伝統的に、戦後、まず高校や大学等を出て、もちろん中学を出て頑張っていらっしゃる方もいらっしゃいますが、そして、企業でOJTで、企業がどちらかといえば実務、仕事に対する教育をして、そして、その企業でスキルを上げて上り詰める、こういうスタイルでしたが、今、御承知のように、二十代を中心に、転職市場が活発化しているという表現を使わせていただきます。
これは無理もないことでございまして、要は、我が国が先ほど申し上げたようなシステムを取れたのは、高度経済成長期には、人が足りなくなるので、とにかく優秀な人材を若いうちに会社の方にできるだけ呼び寄せる。そして、二十代、三十代で一生懸命働いてもらう代わりに、四十代、五十代になれば、多少付加価値が下がってもそれなりの高給を保障する。法律上、契約上にはそのようなことは書かれておりませんが、暗黙の前提があるがゆえに、日本株式会社ということで戦後成長してきた。
このビジネスモデルが、高度経済成長期でもなければ、当然のことながら無理になっておりまして、そこで、若い方々の中で特に優秀な方は、大学を出て、まず、どこかの企業で、キャリアという名前のどこどこ勤務というのをつけ、そして、海外に留学し、また戻ってきて、何とかコンサルタントとして、それを三十前後までに、遅くとも三十五までにやるというのが高い賃金をもらっている方の一つのモデルケースになっております。
しかし、私は、そういう方々はそれでいいでしょうが、ある意味では成長というのは競争ですので、相反するところがあり、矛盾するところがあるんですが、必ずしも両立しないのですが、やはり日本のよさというのは、貧富の差が少ない。その結果、比較的同質的な価値観の中で、典型例は、最近、残念なことに体感治安は悪くなっておりますけれども、とはいえ、実質的に、これだけの人口がありながら、世界で一番治安のいい国と言ってもいい日本人の共通的な価値観。
こういったものを守っていきたいと思う反面、やはり多様な価値観を容認しながら、そして、失礼ですが、その中で特出した技術や能力がある方も大事だけれども、日本においては、やはり真面目に一生懸命頑張っている中間層が今日までを引き上げてきたわけで、そういう方々のスキルアップのために企業、国は何ができるのか。そういう観点から、政府の取組を教えていただければと思います。
なお、これに関する御答弁は要りませんが、例えば、私、先ほども六十一になったと申し上げましたが、この世界にいると、六十一だと年齢的に中堅かなと思うんですけれども、普通の世界では、例えば役所の同期はほぼ退職しておりますし、弁護士もやっておりますので、司法修習所の同期も、ぽつぽつと弁護士業を廃業したり、裁判官を定年になったりしておりますので。
そういった中で、これに関しては厚生労働省の御答弁は要りません、ただ、感じているのは、例えば健康、体育というような知識というのは、実は義務教育課程よりも、六十、七十になったときの方が大事なのではないか。
ここら辺は意識が非常に分かれます、高い方とそうでない方。しかし、健康状態を害したまま長生きすることが果たしてその方にとってベストかというと、当然、健康なまま長生きする方がいいわけですし、そして、意識の違いがあるならば、こういったところにも何らかの形で、そういった、義務教育とは言わないけれども、体育のようなものができないかと個人的には考えてもございます。
ただ、これは例示を挙げただけで、御答弁は不要ですが、先ほど申し上げたように、より積極的な意識改革を持つ中で、スキルアップをするために政府はどのように考えているか。お願い申し上げます。
○小川委員長 厚生労働省岸本人材開発統括官、時間が経過していますので、簡潔に。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
デジタル化の進展など、企業や労働者を取り巻く環境は急速に変化をしております。また、労働者の職業人生の長期化も進んでおります。こうした中で、労働者、働く方が自らの意思でキャリアを築き上げる、こういった重要性が高まっているものと認識をしております。
厚生労働省におきましても、労働者が自ら生涯のキャリアプランを描き、それを実現していくための支援を行うキャリア形成・リスキリング支援センターという各地でキャリアコンサルティングを無料で受けられる拠点の整備、また、労働者が自らこういう教育訓練を受けたいというふうに選択をして受講した場合に、その費用の一部を支給する教育訓練給付による支援、こういったものを通じまして、労働者自らの主体的なキャリア形成や能力開発の支援に努めてまいりたいと考えております。
○棚橋委員 どうもありがとうございました。
○小川委員長 これにて棚橋君の質疑は終了いたしました。
次に、福重隆浩君。
○福重委員 公明党の福重隆浩です。
早速ですが、質問に入らせていただきます。
単身高齢者はこの二十年の間に倍増し、二〇二〇年の時点で約六百七十万人となり、二〇四〇年には約九百万人に達すると見込まれております。頼れる家族がいない場合、亡くなった後、遺体を引き取る人がいなければ無縁遺骨になってしまうため、本人の尊厳を守る終活支援に取り組む先進自治体も増えていると伺っております。
また、警察庁の集計によると、今年一月から三月に自宅で死亡した独り暮らしの人が、暫定値になりますが、全国で二万一千七百十六人確認され、うち六十五歳以上の高齢者が一万七千三十四人と、八割近くを占めたことが分かりました。政府は孤独死、孤立死の実態把握を進めており、同庁が初めて集計し、年間約六万八千人の高齢者が独居状態で死亡していると推定されております。
厚労省は、二〇二四年度、いざというときに頼れる人がいない、身寄りのいない高齢者の相談への対応や、日常生活支援、身元保証の代わりとなる支援等、市町村を支援するモデル事業を始めると公表いたしました。
これに先駆け、二〇二一年五月、当時の菅首相に対して、公明党社会的孤立防止対策本部は、身寄りのいない人への対応に関するガイドラインの策定を提言いたしました。外からの情報が届きにくい単身者に適切なサービスを届け、判断能力があるうちに将来に対する備えをするための目的であります。
これまでの政府の取組を踏まえ、どのようなモデル事業に取り組まれているのか、御答弁をお願いいたします。
○朝川政府参考人 お答えいたします。
独居高齢者の増加などが見込まれる中で、既存施策も踏まえながら、身寄りのない高齢者等が抱える入院、入所、日常生活支援や死後の事務対応などの生活上の課題に対応し、安心して年を重ねることができる社会をつくっていくことは重要と考えています。
昨年開催されました認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議におきまして、こうした独居高齢者を含む高齢者の方々の身元保証、意思決定支援等の生活上の課題について御議論いただき、昨年末に取りまとめが行われました。
この取りまとめも踏まえまして、政府全体で取り組んでいくことが必要であり、厚労省を始め関係省庁が連携し、高齢者等終身サポート事業者を利用者が適切に選択できるよう、契約手続や事業者が開示すべき事項などを定めるガイドラインの策定などを進めるなど、総合的に取り組んでいます。
また、今年度から、課題の検証等を行うためのモデル事業を実施することとし、その中で、一つとして、身寄りのない高齢者等の相談を受け止め、地域で利用可能な社会資源につなげるコーディネーターを配置した窓口の整備を行う取組や、二つ目として、十分な資力がないこと等を理由として民間事業者による支援を受けられない方を対象に、意思決定支援を行いながら、日常生活の支援などをパッケージで提供する取組を実施することとしています。
これらの取組を通じて課題の整理等を行った上で、資力がなく身寄りのない高齢者等への必要な支援の在り方について検討を進めてまいります。
○福重委員 重要な問題でございますので、しっかりとした御推進をお願いしたいと思います。
次の質問に入ります。
観光庁の資料によりますと、昨年の訪日外国人観光客による消費額が五兆三千六十五億円となり、過去最高を更新し、政府が掲げる五兆円の目標を初めて突破し、訪日客数は約二千五百七万人で、二〇一九年の約八割まで回復し、円安による割安感も追い風となり、より多くのお金が使われております。
訪日客による消費拡大の流れを加速させる上で重要な指標となるのが、一人当たりの宿泊日数で、二〇一九年の八・八泊から十・一泊に延びたことで、消費額の底上げにつながっております。
宿泊数が増加した背景には、爆買いといった一時的な消費型の観光ではなく、長期滞在を促す体験型観光の広がりがあると分析しています。
愛媛県大洲市では、一部が国の重要文化財に指定された大洲城に宿泊できるキャッスルステイなどを通じ、訪日客を拡大し、北海道の知床国立公園では、雄大な自然に触れる特別ツアーなどを開き、長期滞在の訪日客を増やしております。
一方で、訪日客の訪問先は東京、大阪、名古屋などの三大都市圏に偏っている現状があり、全国各地に魅力ある体験型の観光地を創出し、長期滞在につなげていかなければなりません。
政府、観光庁は、各地で行われる訪日客向け体験型観光の取組などを後押しするため、最大八千万円を支援する事業等を展開しておりますが、訪日客の消費拡大には、地域に埋もれている歴史や自然など、観光資源に磨きをかける観光地の高付加価値化が欠かせません。
是非、地方における主要産業である観光業の活性化を目指し、官民挙げて体験型観光の拡充に取り組むべきと考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
現在、国内外の観光需要は急速に回復し、多くの観光地がにぎわいを取り戻しておりますが、一方で、インバウンドの宿泊先は三大都市圏に全体の七割が集中するなど、都市部を中心とした一部地域への偏在傾向が見られるため、地方への誘客をより一層強力に推進することが重要です。また、コロナ禍により極めて大きな影響を受けた観光地、観光産業は稼ぐ力を回復、強化する必要があり、そのためには、観光地、観光産業の高付加価値化を強力に推進することが重要です。
このため、観光庁といたしましては、各地域における特別なコンテンツの創出による地方の観光地の魅力向上などに取り組んでいるところです。特に体験型コンテンツは、インバウンドの方々からも非常に高い関心が寄せられており、観光庁では、全国各地に存在する魅力的な自然、文化などの観光資源を生かした体験型コンテンツの創出、高付加価値化を支援しているところです。
例えば、国立公園や国定公園において、専門ガイドによる非公開エリアでの限定ツアーの開催、あるいは、国宝や重要文化財をユニークベニューとして活用し、地域の食材などを使った有名シェフによる特別な食体験の提供などについて支援をしているところです。
体験型コンテンツを始め、各地域ならではの魅力ある観光コンテンツの創出、さらには高付加価値化を通じて、観光地、観光産業の回復、強化を図り、収益力を高めるとともに、地方への誘客を促進することで、持続可能な観光の実現に向けてしっかり取り組んでまいります。
○福重委員 ありがとうございます。
地方にとりましては大きな期待を寄せられておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
二〇二〇年十月、政府は二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、二〇三〇年度の温室効果ガス排出削減目標を、二〇一三年度と比較し四六%減とし、これまでの目標を大きく上回る目標値を表明したことは、国内外にその意欲を示したものとして、高く評価されております。
これは、二〇二〇年九月の自公連立政権の合意の中に、脱炭素社会の構築という文言が入れられるべきと我が党が強く申し上げ、宣言に組み込まれたものと自負をしております。
ただし、二〇五〇年までの時間は限られており、質の高い脱炭素社会の実現をするためには、速やかな行動と大胆かつ継続的な投資が必要であると感じております。
脱炭素社会の構築において、森林資源の循環活用と森林の健全な育成は大変に重要と考えております。私の地元群馬県は関東一の森林県であり、森林面積は四十二万五千ヘクタールを擁します。群馬県に限らず、この有効な森林資源を継続して守っていくために、以下二点について、政府の御所見をお伺いいたします。
まず一点目ですが、ICTを活用し作業の効率化を図るスマート林業の更なる推進と、林業の担い手の確保や育成への支援を更に強化していただきたいと思います。二点目として、炭素貯蔵効果とともに、製造時のエネルギー消費が比較的少なく、輸入木材と比べて輸送時に二酸化炭素排出抑制効果が期待できる国産木材の活用、未利用間伐材のバイオマス発電、熱利用への活用など、森林資源の継続的な利用を一層推進していただきたいと思います。
以上二点について、御答弁をお願いいたします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
一点目についてでございます。
林業の持続性を確保していく観点から、省力化を図るスマート林業の展開と担い手の育成、確保は重要と考えております。このため、林業機械の自動化、遠隔操作化などスマート林業に不可欠な技術の開発、実証等によりまして、林業の生産性、安全性、収益性の向上を図るとともに、就業希望者へのトライアル雇用や、新規就業者が林業の知識、技能を習得するための体系的な研修の支援を行っているところでございます。
二点目についてでございます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に貢献していく観点から、成長過程で炭素を貯蔵し、利用過程では鉄などと比べて部材製造時の二酸化炭素排出量が少ない森林資源の持続的な利用を進めていくことが重要と考えております。
このため、住宅の横架材等に対する国産材の利用拡大を図るとともに、中高層や住宅以外の建築物への利用を促進すべく、国交省等とも連携しながら、強度や耐火性に優れた部材の技術の開発、普及、公共木造建築物の建築支援等に取り組んでいるところです。さらに、木質バイオマスエネルギーやマテリアル利用の推進、製材などより付加価値の高い木材製品の輸出促進など、様々な取組を行っているところでございます。
今後とも、こうした取組を通じまして、スマート林業の推進と林業の担い手の育成、確保、さらに、森林資源の利用の推進に努めてまいりたいと考えております。
○福重委員 ありがとうございました。
私の好きな言葉に、森は海の恋人であるという言葉があります。森の豊かさが海の豊かさを増していく、そういうような意味で、こうやって森林を整備していくことが日本の海を守ることにつながっていくことになるという思いだと思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。
時間の関係上、一つちょっと飛ばさせていただきまして、高校生の修学旅行についてお聞きをいたします。ちょっと抜粋して質問させていただきます。
昨年の十二月、党生活困窮者支援プロジェクトチームの会合で、私は、群馬県の県会議員時代に取り組んだ、県内の県立高校における、経済的な理由、生活困窮世帯で修学旅行に行けなかった生徒さんの話をさせていただきました。若干古いデータではありますが、平成二十五年当時、県立高校で修学旅行に参加できなかった生徒さんが三十二名いることが判明し、県議であった私がその対応策を県に求め、翌年ゼロになったと報告を受けました。
ちょっと飛ばさせていただきます。
私は、高校時代の大切な思い出となる修学旅行に対して、経済的な理由により参加できなかったということは絶対にあってはならないと思います。その上で、具体的な支援策についてお伺いするとともに、支援策が当事者に行き届かないと何の効果もございませんので、その実態についてお伺いをしたいと思います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、全ての意志ある高校生等が安心して教育を受けられるよう、授業料以外の教育費負担を軽減するため、高校生等奨学給付金による支援を行っているところでございます。
同給付金は、生活保護受給世帯に対しては、生活保護費で支給されない修学旅行費を想定いたしまして、子供の学習費調査の結果を踏まえまして、国公立学校の生徒には三万二千三百円、私立学校の生徒には五万二千六百円が支給されているところでございます。
この高校生等奨学給付金により、令和四年度には、生活保護世帯の生徒約三万人に対する支援を行っております。また、給付金が修学旅行費などの教育費に確実に活用されるよう、文部科学省から事業を実施する都道府県に対しては、学校による代理受領の制度化を求めてきたところでございます。
引き続き、授業料以外の教育費に充てるという高校生等奨学給付金の趣旨の周知も含め、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図るため、高校生に対する必要な支援を行ってまいります。
○福重委員 ありがとうございました。
今でも、ネット等を見ますと、経済的な理由で修学旅行に行けなかった、そして十年後、二十年後、同窓会に行っても、修学旅行の話題が出ると悲しくなるので、もう同窓会にも行けなくなってしまったという切実な声がたくさん残っております。
また、こういった今の給付金の話もございますけれども、本当にそれが当事者に届かなければ、何の支援策にもなりません。そういった意味では、しっかりとそういったところに配慮をしていただくことと、また、実態調査、今、本当にこういったことで、経済的困窮で修学旅行に行けないお子さんがいるのかどうか、そういったことも実態調査として一回行っていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○小川委員長 これにて福重君の質疑は終了いたしました。
次に、井坂信彦君。
○井坂委員 おはようございます。立憲民主党の井坂信彦です。
本日は、前半は賃上げと格差是正の問題、後半は再生可能エネルギーについて質問いたします。
今年の予算委員会では、賃上げについて、中小企業の価格転嫁や介護、福祉、保育の給料アップなどを提案いたしましたが、本日はまた別の切り口で議論したいと思います。
配付資料の一番を御覧ください。日本と欧米各国の労働生産性と実質賃金の推移です。
日本経済が低迷してきたのは労働生産性が伸びていないからだと言われてきましたが、青色のグラフ、一九九五年から日本の労働生産性は四〇%近く伸びております。さすがにアメリカには追いつきませんが、イギリスと同程度、フランスやドイツやイタリアよりも日本の方が労働生産性が伸びているわけであります。一方で、オレンジのグラフ、一時間当たりの実質賃金は日本だけが全く増えておりません。
参考人に伺いますが、ほかの先進国はみんな、労働生産性、すなわち一時間当たりに生み出す価値が増えれば、一時間にもらえる賃金も増えていますが、先進国で日本のみ労働生産性が上がっても実質賃金が増えていないのは何が原因だと考えていますか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
労働生産性の伸びほど賃金が伸びなかった理由につきましては、様々な要因が考えられると思っておりますが、令和五年版労働経済の分析、いわゆる労働経済白書というものでございますが、そちらにおきましては、企業の成長の見通し等が低いなど、先行きの不透明感から企業は賃上げに踏み込めなかった可能性、こういったことが指摘されております。
あわせまして、産業構成の変化や高齢者等の就労が進む中で、パートタイム労働者を中心に、相対的に賃金水準の低い非正規雇用労働者が増加したことが賃金の平均値を押し下げた可能性ですとか、労働組合組織率の低下等の労使間の交渉力の変化が賃金を下押しした可能性、こういったことについてもお示ししているところでございます。
○井坂委員 この基となっている厚労省の年金財政検証の基礎資料でも、最後の方では詳細な要因分析がされております。また、経産省でも、経産委員会でたしか同じようなやり取りがあって、経産省の答えは、交易条件の悪化、つまり、輸入する原料の値段が上がって、一方で、輸出する、売る値段が全然上がっていないのが一番大きい、そういうことが言われているわけであります。
いずれにしても、労働者のせいではなくて、経営上の問題であったり、あるいは、いつまでも海外の燃料に依存している日本政府、政治の問題が大きいと考えております。
輸入物価が上がったからといって、じゃ、賃上げできないのかというと、そうではありません。
配付資料の二番を御覧ください。
利益の何%を人件費に使っているかという労働分配率が、日本ではこの二十年間下がり続けています。中小企業は七割のまま横ばいですが、余裕があるはずの大企業が労働分配率、四割まで下がっております。
では、人件費に使われなかった利益はどこに行ったのかということで、配付資料の三番を御覧ください。
この二十年間で、左のグラフで、毎年の内部留保と配当金が増え続け、右のグラフで、累積五百五十五兆円の内部留保がたまっております。これは全部政府の資料であります。
財務大臣に伺いますが、余裕のある大企業は労働分配率を四割まで下げ、内部留保を増やし続けているが、賃上げのために内部留保課税などで労働分配率を引き上げるべきではないでしょうか。
○鈴木国務大臣 労働分配率を引き上げるための大企業への課税強化について、井坂先生から御指摘をいただきました。
政府といたしましても、持続的な賃上げを実現するためには、企業がこれまで内部留保などに回してきた資金を賃上げに積極的に活用していく行動変容を促すことが不可欠であると認識をいたしております。
そのためには、労働分配率の引上げに資する賃上げ促進税制など、これまでの改正が効果を十分に発揮してきたかを見極めるとともに、国際的な動向等も踏まえながら、今後の法人税の在り方について、その税率の引上げも含めまして、検討していく必要があると考えております。
したがいまして、御指摘の大企業の課税強化の是非については、現時点で明確にお答えすることはできませんけれども、問題意識については受け止めさせていただきたいと思っております。
企業の内部留保への課税についても御指摘がございました。
内部留保への課税につきましては、税引き後の利益に対して再度課税することになるのではないかという意味において、二重課税に当たるとの指摘があることから、慎重な検討が必要であると考えているところです。
○井坂委員 財務大臣にも問題意識は受け止めていただいたと思うんですが、しかし、次の配付資料四番を御覧いただきたいと思います。
結局、日本では、一番もうかっている巨大企業が一番税金を払っていないわけであります。資本金五億円の中堅企業が一番高い実際の税率になっていて、それより大きな企業は実際の税率がどんどん下がり、資本金百億円以上の超巨大企業は何と資本金一千万円以下の零細企業より実際の負担している税率が低いということであります。
また、これはちょっと古いデータですけれども、最新の財務省の数字に基づいて立憲民主党の江田憲司議員が予算委員会でパネル掲示した資料では、法人税の実際の負担率は、資本金一千万円以下の企業が一六・一%、資本金一から十億円の企業が二一・八%と高くなって、資本金百億円以上の巨大企業は一四・一%とまた一番低くなっているわけであります。
財務大臣、これは明らかに不公平であり、売上げ一千万円以下の零細企業やフリーランスからインボイスで消費税を取る前に、私はこの大企業の低過ぎる税率を是正すべきだと考えておりますが、なぜしないのか、伺います。
○鈴木国務大臣 中小企業に比べまして大企業の法人税負担率が低いという御指摘でございますが、政府といたしましては、租税特別措置において、中小企業向けに軽減税率でありますとか特別措置を設定しているほか、賃上げ促進税制などにおいて、大企業を上回る控除率を設けるなど、中小企業には十分な配慮や政策的な後押しを行っているところでございます。
その上で、数字をお示しいただいたところでございますが、その試算のように、実際に格差が生じているとの指摘につきましては、その試算方法の詳細について承知しているわけではありませんけれども、例えば、海外展開やグループ経営を行う大企業につきましては、外国子会社から受け取る配当等の益金不算入制度というものがありましたり、また、受取配当等の益金不算入制度などの適用が多いと考えられておりますが、仮にこれらの措置も勘案した上で税負担を試算していた場合、これらの措置は、国際的にも一般的な二重課税を避けるためのものであることから、その影響をもって大企業の税負担が軽減されているかのように理解することは必ずしも適当ではないのではないかと考えております。
いずれにいたしましても、井坂先生の御指摘の点、先生からは大企業と中小企業の格差ということについての指摘があったわけでありますが、その点も含めまして、今後の法人税の在り方につきましては、その実態把握によく努めた上で、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済情勢の変化や国際的な動向等も踏まえて検討していく必要があると考えております。
○井坂委員 賃上げ税制とか軽減税率とか、中小企業向けにいろいろ優遇の政策はあるんですけれども、ただ、結果として、実際、租税特別措置、やはり研究開発税制も賃上げ税制も大企業ばかり使っているのではないかということが指摘をされているわけであります。
財務省の担当の方とも何往復か議論したんですけれども、やはり、いろいろな税理士さんとか、あとうちの江田憲司議員とか、いろいろ試算して、みんなこういうカーブになっているんです。
財務省がそれが違うとおっしゃるのであれば、財務省が正しいと思う方法でちゃんと試算をして、どの規模の企業が実際どれだけの税率で払っているのかというのは、やはり出していただく必要が私はあるというふうに思います。
同じように、租特も、結局、大企業ばかり使っているんじゃないかということがありますので、じゃ、制度は別として、実際に使っているのはどこなのか、大企業ばかりが優遇税制を受けて税金が安く済んでいるんじゃないのかということを、これはやはり確認をしていただく必要があると思うんですね。
制度のラインナップはそろっていますだけでは駄目で、実際にどれだけ税金を負担しているのかということを問題にしておりますので、そういう実態把握、財務省なりに正しいと思うやり方でしていただけますか。
○鈴木国務大臣 いずれにいたしましても、今後の法人税の在り方については、その実態把握によく努めた上で、経済情勢それから国際的な動向、そういうのを踏まえて検討していく必要があると考えておりまして、その実態把握に努めるという中で、十分な分析をしてまいりたいと思います。
○井坂委員 ありがとうございます。
是非、やはり公平な税制をつくるための基礎的なデータだと思いますので、必ず実態把握をしていただきたいというふうに思います。
続きまして、今度、大企業の法人税だけでなくて、個人の所得税でもいわゆる金持ち優遇が行われていると思います。
配付資料の五番は、これはいわゆる一億円の壁と言われるグラフであります。個人の所得が一億円を超えると、税率の低い金融所得が増えてくるため、税負担率がどんどん下がっていくというグラフです。
政府も、来年から、年収三十億円以上の、三百人だけですけれども、大富豪には最低税率二二・五%を課税するということです。
ただ、これは読売新聞のグラフですけれども、割と政府に好意的な読売新聞ですら、三十億円、ここに線を引いて、これじゃさすがに足りないんじゃないかという線を引いているわけであります。
これは、図にあるように、このルールだと、じゃ、年収十億、二十億の人は、結局、横並びで見たら、年収二、三千万の人と同じ税率になっている、そのままだということであります。
財務大臣に伺いますが、一億円の壁をなくすために、来年からやるいわゆる富裕層ミニマム税の対象拡大、三百人だけでなく、もう少し、本当は私は一億円以上からこういうことをやっていいのではないかと思いますけれども、対象拡大と、それから税率アップ、これも、なぜ二二・五%なのか、一億円の壁の頂点の二六・五%ぐらいを最低にするのがいいのではないか、こういう対象拡大と税率アップを行って、更に、富裕層に限ってでいいと思いますけれども、金融所得課税を強化すべきではないかと考えますが、大臣の御見解を伺います。
○鈴木国務大臣 いわゆる一億円の壁についての対応でありますが、所得税の負担率につきましては、御指摘のとおり、所得が一億円を超える層の負担率が低下をしていることに加えまして、かなりの程度の高所得者層では負担率の低下が著しくなっております。
こういった現状があることから、令和五年度改正におきまして、極めて高い水準の所得を対象とした追加的な負担措置を導入したところです。
このような所得税における措置は、税の公平性を高めることによって、社会に対する国民の信頼を高めるために必要なものであると認識をしております。
一方で、初めて導入する仕組みであることから、納税者の負担状況の変化、経済への影響、こういったものを見極めながら、慎重に進めていくことも重要であると考えております。
こうしたことから、令和五年度改正においては、著しく負担率が低下している状況などを勘案して、まずは、おおむね平均的な水準として約三十億円を超える所得のある納税者を対象として実施することといたしましたが、今後、その政策効果についてしっかりと見極めて、その先どうするか、そういうものを考えていきたいと思います。
○井坂委員 是非、巨大企業とか大富豪の税金が安過ぎる、不公平税制を放置して、消費税とかインボイスとか少子化支援金とか、庶民とか中小企業、フリーランスばかり増税するような政治は即刻改めるべきだと強く申し上げたいと思います。
次に、二つ目のテーマで、労働生産性が上がったのに実質賃金が上がらない主な理由とされた燃料の輸入、これを減らすために、再生可能エネルギーについて質問いたします。
昨年行われたCOP28では、二〇三〇年までに再生可能エネルギーの発電容量を三倍にするという文書が採択されました。日本が今後、特に力を入れるべきなのは、海の上に風車を置く洋上風力発電だと思います。
配付資料の六番を御覧ください。これは、世界の今後の洋上風力の目標値です。
日本は、二〇三〇年の導入目標、五・七ギガワット、二〇四〇年の、これは導入じゃなくて、案件形成の目標が三十から四十五ギガワット。一方、米国は二〇三〇年にもう既に三十ギガワット、イギリスは五十ギガワット、ドイツが三十ギガワットで、オランダが二十一ギガワット、韓国も十二ギガワットと、まさに日本より桁違いに二〇三〇年の時点で多いわけであります。
経済産業大臣に伺いますが、洋上風力の導入目標をやはりいま一度引き上げるべきではないか、中でも浮体式洋上風力の目標数値を高く設定すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーを最大限導入していくということにしているわけですが、その中でも、洋上風力発電は再エネの切り札であると位置づけています。
こうした考えの下で、現状、御指摘のように、洋上風力については、二〇四〇年に三十から四十五ギガワットの案件形成、これを、目標を設定しています。
政府が導入目標を設定し、提示することで、洋上風力関連産業における国内投資が促進されると考えているわけでありますが、加えて、今国会に、洋上風力の実施海域について、現行制度が対象とする領海から、我が国が広大な面積を有する排他的経済水域にまで拡大をするということを可能とする再エネ海域利用法改正法案を提出しています。
現在、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会や関係の審議会におきまして、エネルギー基本計画の改定に向けた議論を開始をしたところでありまして、洋上風力発電につきましては、EEZにおける制度的な環境整備等も踏まえまして、新たな導入目標を示していくこととなると思います。その際には、世界的に導入の加速が見込まれ、水深の深い海域が多い日本のEEZにおいても導入が期待される浮体式洋上風力に特化した導入目標についても検討し、公表していきたいと考えています。
関係省庁とも緊密に連携しつつ、地域や漁業と共生する洋上風力発電の最大限の導入に向けて、引き続き取り組んでまいります。
○井坂委員 是非、先週から始まった七次エネルギー基本計画の中で、もう一段高い目標を掲げていただきたいと思います。特に、海に浮かんだ土台に風車を載せる浮体式洋上風力、これは日本が今からでも産業化できるチャンスのある再生可能エネルギーだと考えています。
しかし、今やっているようなグリーンイノベーション基金で数十メガワット規模の実証実験をやる程度では、企業は参入をしてきません。まさに大臣がおっしゃったとおりで、政府がここまで大規模にやるんだと掲げて初めてそこに民間企業が投資、参入してくるわけであります。
大臣に伺いますが、ファストトラックとでも名づけて、二〇三〇年度に商業運転開始できる五百メガから一ギガワット規模の浮体式洋上風力事業をまず形成をして、そこに一気に民間の参入、入札を集めて、許認可やインフラ整備、合意形成など、政府として全力で後押しをすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 先ほど申し上げましたように、再エネの切り札だというふうに考えています。特に、浮体式洋上風力を早期に導入していくことが重要ということは、私は、委員と全く同じ思いであります。
現在、再エネ海域利用法に基づきまして、浮体式の洋上風力を前提とした準備区域が複数ございます。今後、こうした区域の案件形成が進むように、自治体と連携しつつ、地域との共生を図りながら、まずは取り組んでいきたいと考えています。
その際、洋上風力発電は長期にわたって実施されることになりますので、地域や漁業者といった関係者からの理解を得ずに進められるものではありませんので、このため、理解醸成のため、自治体と連携し、地元漁業者を始めとする関係者の話をじかに伺いながら、合意形成に向けた取組を丁寧に進めているところであります。
同時に、浮体式洋上風力は、低コストに量産できる技術の確立、これは極めて重要な課題であります。このため、御指摘ありましたが、グリーンイノベーション基金を活用して、先行する欧州でもいまだ運転実績のない一基十メガワットを超える大型風車を用いた浮体式洋上風力の研究開発、実証も進めているところであります。
また、先ほども答弁いたしましたが、浮体式洋上風力の導入拡大に向けて、内閣府、国交省、環境省とともに、洋上風力を実施する海域について、我が国の排他的経済水域まで拡大する法案を今国会に提出しています。
このように、関係省庁とも緊密に連携し、地域との共生を図りつつ、浮体式洋上風力を早期に導入できるように全力で取り組んでいきたいと考えています。
○井坂委員 ありがとうございます。
次に、再生可能エネルギーの優先利用について伺います。
いよいよ世界は再生可能エネルギーを主力電源とする方向になってきました。ところが、日本では、電気が余るので再生可能エネルギーの発電を止める、あるいは止めてもらうという出力制御が時々行われています。特に、九州電力は出力制御が多くて、このままでは、今、九州沖に洋上風力を造っても十分に発電させてもらえない可能性があるわけです。政府も昨年末に出力制御をしないような対策のパッケージをまとめましたが、まだ不十分だと思います。
参考人に伺いますが、再エネの出力制御を回避するために、既存も含めた火力発電の最低出力を三〇%よりも更に引き下げて、そして、地域間連系線を増強して、他地域の火力を出力低下させる調整を広域で対応すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
再エネの出力制御についてお尋ねいただきましたけれども、これは、電力の安定供給を維持しつつ、再エネの最大限の導入を進めるために必要な措置でございます。ただ、これによって再エネ導入の妨げになってはならないというふうに考えておりまして、今御紹介いただきましたけれども、経産省では昨年末、出力制御対策パッケージを取りまとめまして、需要と供給両面での対策などを進めてきております。
供給面の対策といたしましては、新設火力の最低出力について現行の五〇%から三〇%まで引き下げるとともに、既設火力についても同等の引下げを求めております。なお、既設火力につきましては、一般送配電事業者と発電事業者の民間事業者間の契約を超えた対応も必要になるなど、各社の協力に基づくものとなりますが、技術的な制約等も踏まえながら対応を進めているところでございます。
こうした中、火力発電の更なる引下げに向けて、資源エネルギー庁の審議会で状況のフォローアップを行うとともに、出力制御実施時に稼働している火力電源等を公表するといった対応を行っております。
さらに、現在でも、出力制御時には他のエリアの火力電源の出力も引下げ、再エネで発電された電気が広域的に使われるように対応しております。これに加えて、地域間連系線の増強等を通じた電力の広域的取引を更に進めることで、再エネの出力制御の最大限の抑制につなげてまいります。
○井坂委員 五〇%から三〇%に下げたというのは、これは一歩前進だと思うんですけれども、逆に、火力を出力三〇%までは常に使ってよいというような、こういう権利的な発想ではなく、ほかの地域も含めて、再エネの電気が、とにかく、余って出力制御ということにならないように、火力は可能な限り柔軟に出力を下げる、そういう真の再エネ優先に切り替えていただきたいというふうに思います。
続きまして、ちょっと八番、一つ飛ばしまして、九番を質問いたします。
火力による調整だけではやはり限界があるので、蓄電池による時間調整も必要だというふうに考えています。
アメリカのハワイ州では、太陽光発電に蓄電池をセットで設置をして、電気は夜しか買い取らずに、昼の電気は各家庭で蓄電池にためるスマート逆潮流という仕組みが始まっています。
これは経産大臣に伺いますが、再エネの電気を蓄電して需要の多い夜間に売電することで蓄電池の初期投資がちゃんとそこで回収ができる、そういう経済的にも成り立つ仕組みを考えて、再エネとそれから蓄電池をセットで普及させていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 ピークシフト対策は、本当に様々なことをやらなくちゃいけないというふうに考えています。
御指摘のように、太陽光発電事業におきまして、蓄電池を活用して、一般的に電気の価格が低い昼間から価格の高い夕方等に電力供給の時間帯をずらす、このピークシフトは、発電事業者の収入を高めると同時に、電力市場の需給バランスの確保にも貢献する重要な取組であります。
こうした取組を促進するため、発電する時間帯にかかわらず常に一定の価格で電気の買取りを行ういわゆる固定価格買取り制度ではなくて、発電事業者の売電収入を時間帯ごとの電力市場価格に連動させるいわゆるFIP制度を二〇二二年四月に開始をいたしました。このFIP制度の活用を促進して、電力市場の価格機能を通じて再エネ発電のピークシフトを促していきたいというふうに考えて、実行に移しているところです。
現在、制度開始から二年間で、このFIP認定を受けた太陽光発電事業が約千件になっていますので、まずは、この更なる拡大に向けて、再エネ特措法での二百五十キロワット以上の太陽光発電の新規認定はFIP制度による支援のみとするということとともに、FIP事業者が蓄電池を併設する場合、補助金による蓄電池の導入支援を行うとか、それからまた、AIを活用した天気予測、蓄電池の有効活用の事例を始め、ベストプラクティスを関係審議会等で示し、好事例の横展開などにも取り組んでいます。こうした取組を通じて再エネ発電のピークシフトを促してまいりたいと考えています。
御指摘のハワイのFIT制度では、時間帯ごとに買取価格がかちっと設定をされているというふうに承知していますが、私どもは、電力市場価格に連動して柔軟に対応できるFIP制度の方が、需給状況に応じたピークシフトがより効果的に促せる仕組みではないかなというふうに考えています。まあ、ハワイの場合は天候が一定しているということもあろうかと思いますが。
○井坂委員 ありがとうございます。
最後におっしゃったFIP制度かFIT制度かというのは、これは一長一短あると思っていまして、FIPだと、やはり結局、幾ら収入が入るのかの見通しが立たないんですよね。だから、投資の回収という意味では、予見性がいま一つ不十分だと思っています。
ですから、ハワイがやっているみたいに、昼は買い取らない、夜だけ買い取る、でも固定価格で買い取る夜間限定FITみたいなことも是非検討していただいて、このセットで買って夜間限定FITで入れれば必ず十年で回収できる、そこまでいけば本当に普及すると思いますので、是非御検討いただきたいというふうに思います。
最後、ちょっと短く。
同じように、地域で蓄電池を所有して、各家庭の昼間の太陽光をまとめて蓄電するコミュニティーシェア型の蓄電池、これも推進をしていただきたいのですが、参考人、いかがでしょうか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
日本国内におきましても、御指摘のような取組は大変重要だと考えておりまして、例えば、さいたま市におきましては、住宅エリアに設置された大型蓄電池と複数の住宅の屋根に設置された太陽光発電を活用しまして、この住宅エリアにおける電力を再生可能エネルギーで賄っている事例もございます。
こうした取組をしっかり後押ししていきたいと考えております。
○井坂委員 終わります。ありがとうございました。
○小川委員長 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。
次に、櫻井周君。
○櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私からは、今日は二点、大きく分けて質問させていただきます。
一点目は、司法分野における男女共同参画の進捗状況について、二点目は、先ほど井坂委員からも質問のありました賃上げについてでございます。
まず、一点目について進めさせていただきます。
今シーズンのNHKの連続テレビ小説、朝ドラ、「虎に翼」では、司法分野での女性の可能性を切り開いた模様が描かれております。
また、先週、実は二月に御逝去された赤松良子元文部大臣をしのぶ会が開催されまして、赤松良子さんが取り組んでこられた男女共同参画を更に進めるべきだという思いを改めて胸に誓ったところでございます。
そこで、今日は最高裁判所にも来ていただいておりますので、まず資料一を御覧いただければと思います。
これは最高裁判所にお願いして作っていただいた資料でございますが、裁判所における男女共同参画の推進状況でございます。
二問まとめてお尋ねいたします。
裁判所における男女共同参画の進捗状況をどのように評価されていますでしょうかということと、男女共同参画の実現に向けて最高裁判所は独自の計画を作成されていますでしょうか。この二点、お願いいたします。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
裁判官の採用という点について申し上げますと、近年、判事補に採用された者に占める女性の割合、これは三割から四割程度となっております。直近の令和五年度には、判事補に任官した八十一人のうち四二%に当たる三十四人が女性となっておりまして、裁判官に占める女性割合は着実に増加しているところでございます。今後とも、裁判官としてふさわしい資質、能力を備えた者には、男女を問わず任官してもらえるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
もう一つ、男女共同参画の実現に向けて最高裁判所として独自の計画を作成しているかどうかという点でございますが、裁判所は、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとりまして制定されましたいわゆる女性活躍推進法に基づきまして、裁判官を含む全職員について独自の特定事業主行動計画を策定し、育児や介護を担う男女を含む組織全員の力を最大限発揮することができるように取り組んでいるところでございます。
○櫻井委員 ちょっと次の質問に移ります。
資料二と資料三を御覧いただきたいと思います。
資料二は、これは政府の方で作っているものですが、第五次男女共同参画基本計画についての二十五ページです。ここには、検察官とか裁判官、弁護士ということで、司法分野における男女共同参画の取組が書いてございますが、資料三を御覧いただきたいと思います。
こちら、パネルにも用意しているところですが、こちらには、国会も取組が随分遅れているわけなんですが、国会、それから検察、国家公務員等はあるんですけれども、裁判官については数値目標は書いてないんですね。取組は進めているはずなんですが、数値目標を設けていない。これは、何で数値目標を設定していないんでしょうか。男女共同基本計画については内閣府が担当しているかと思いますので、加藤大臣、お願いいたします。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
第五次男女共同参画基本計画で、なぜ裁判官に占める女性割合についての成果目標を設けなかったのかという御質問でありますが、裁判官を含めまして、社会のあらゆる分野において指導的地位に就く女性が増えることは、様々な視点を確保するために極めて重要だと考えております。
司法分野におきましても、多様な国民の生活や人生に関わる重要な判断を行うことから、女性の裁判官が増えることは大変重要だと考えております。
一方で、御指摘の第五次男女共同参画基本計画におきましては、男女共同参画会議での議論等を経て、行政府から司法府に対して数値目標の達成を義務づけるということは適当ではないということから、裁判官の成果目標は設定されなかったものでございます。
一方で、第五次計画において、女性裁判官につきましては、就業継続への配慮、成長やキャリア形成の支援等に関する自主的取組などの女性裁判官の一層の活躍に向けた取組を行うことを内閣府から裁判所等への関係機関へ適切に要請することとしてございます。
内閣府といたしましても、引き続き、司法分野においても男女共同参画が促進されるよう、関係省庁とも連携をしながら取組を進めてまいります。
○櫻井委員 今大臣からは、裁判所、最高裁に対しても自主的な取組を要請しているとのことでしたけれども、それでは、裁判所の方では数値目標を設けているんですか。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
女性割合の数値目標というものは、設けてございません。
○櫻井委員 今、第五次の基本計画の目標年度は二〇二五年になっておりますが、これから多分、第六次の計画を作成されるんだと思います。
第六次のときには、是非、裁判所の方の数値目標もきちっと掲げるべきだと思うんですけれども、盛り込んでいただけますか。いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
男女共同参画基本計画、これにつきましては、男女共同参画の様々な課題について、現行計画の進捗状況等も踏まえつつ関係機関と調整をするとともに、有識者にも御議論いただきながら、男女共同参画会議の意見を聞きつつ、閣議決定をすることとなります。
現時点では一定の方向性等をお示しできる段階にはございませんけれども、委員の御指摘の点もしっかり踏まえまして、今後検討してまいりたいと考えております。
○櫻井委員 今大臣からは、踏まえて検討する、前向きの検討と。
是非盛り込んでいただきたいと思うんですが、最高裁の方でも自分で数値目標をちゃんと作るんでしょうか。いかがでしょうか。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
最高裁としては、裁判官としてふさわしい資質、能力を備えた者につきましては、男女を問わず、できる限り任官して、活躍してもらいたいと考えておるところでございます。
判事及び判事補に占める女性割合は、着実に増加してきているところでございます。
今後とも、裁判官としてふさわしい資質、能力を備えた者には、男女を問わず、任官してもらえるよう努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○櫻井委員 ちょっと、質問に答えていない。数値目標を作るのかと聞いているんですから、作る、作らない、どっちなんですか。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
現時点で、作るのかどうなのかということについて、なかなかお答えしにくいところでございます。
先ほど申し上げたとおり、裁判官には、それにふさわしい資質、能力……(櫻井委員「委員長」と呼ぶ)
○小川委員長 櫻井君。
○櫻井委員 現時点で決まっていないんだったら、じゃ、六次計画をこれから作るわけですから、それに対応するものとして是非作ってください。いかがですか。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
今委員の御指摘がございました。
いずれにいたしましても、最高裁としては、現時点では、先ほど申し上げたとおり、どうするかというのは決まっていないところでございますけれども、今後とも、裁判官としてふさわしい資質、能力を備えた者については、男女を問わず、任官してもらえるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○櫻井委員 男女を問わず、能力のある人に任官してもらいたいとおっしゃいますけれども、それでずっとやってきて今のこの現状なわけなんですよ。だから、男女を問わず、能力のある人というのは、何かある種言い訳になっていて、何かあたかも、この結果を見ると、女性が能力はないかのような言い方になっちゃうんですよね。結局、この朝ドラを見ていても、この主人公は司法試験に合格したけれども裁判官にはなれないというのが当時だったわけですよ。そこから出発していて、そこからなかなか、裁判官も、採用の面では今努力はされているということですけれども、上の方になってくると全然進み方が遅いということになってしまっているわけなんです。
最高裁判所判事、十五名いらっしゃいますよね。今、女性判事三名ということで全体の二割ということで、全体としては非常に少ないレベルになっています。三名になったのも最近の話で、その前は二名体制がしばらく続いていたわけなんです。これはやはり、最高裁判事、小法廷が最高裁判所の中に三つあるわけですから、五名、五名、五名ですよね。今、現状は、小法廷に一人ずつ女性が配置できる状況になっていますけれども、一人と言わず、せめて二人、男性は少なくとも二人、女性も少なくとも二人という体制にするべきだと思うんですね。
先ほど大臣は、裁判官については司法の独立があるから行政で目標を定めるのは適当でない、こういうふうに答弁されましたけれども、最高裁判所は、内閣が任命するんですよね。憲法の七十九条一項で内閣が任命するとあるんですから、内閣でちゃんと目標を設定しないと、だって、最高裁は、目標を設定しようにも、自分たちで任命できるわけじゃないんだから、これはやはり内閣でちゃんと目標を設定するべきじゃないんですか。
長官については、天皇陛下が任命することになっていますけれども、指名するのは内閣ですから、そういう意味では、これはやはりちゃんと内閣で、男女共同参画の基本計画の中で定めていかないと、これは裁判所の方ではどうしようもないと思うんですよ。
第六次計画ではちゃんと、最高裁、小法廷に少なくとも二名以上、複数名というふうに目標を掲げるというのはいかがでしょうか。大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 今、現時点で、第三次男女共同参画基本計画以降は、裁判官に占めます女性の割合を参考指標として掲載をし、その推移を定期的にフォローアップはしているところでございますが、先生の今の御指摘もしっかり踏まえまして、今後検討してまいりたいと考えております。
○櫻井委員 是非よろしくお願いいたします。
正直申し上げて、下級審は、先ほどお話があったように、採用して、そこからキャリアを積んでというところがあるから、なかなか高裁の判事を一遍に増やすとかというのはちょっと難しいかもしれませんけれども、ただ、最高裁は十五名しかいないわけですよね。女性は少なくとも、先ほど申し上げた、小法廷に二人以上ということになったら六名。あと三名、優秀な女性の司法分野の方を探してくればいいわけですよ。ですから、それぐらいだったらできるでしょうということが一つ。
あともう一つ、私が最高裁はひどいなと思うのは、今三名いらっしゃると言ったけれども、三名のうち二人は弁護士出身の方なんですよね。最高裁十五名のうち、大体出身分野で、例えば裁判官出身が六名とか、検察出身が二名、それで、これは全部男性ですよ。行政分野出身の方が二名いて、そのうち一人が女性。それから、弁護士出身の方は四名いて、そのうち二名が女性ということで、これは裁判所、検察、ここの部分が八人全員男性なんですよ。すごく遅れていると思うんですよね。
しかも、裁判所の枠、六名いて、女性は一人もいない、これはどういうことなんでしょうか。せっかくですから、最高裁、御答弁をお願いいたします。
○徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
最高裁判事につきましては、憲法上、内閣が任命することになっておりますので、その点についてはお答えをすることは差し控えたいと存じます。
○櫻井委員 ということは、もう内閣で決めてくださいと。裁判所出身で、それこそ能力のある女性裁判官はいないというんだったら、別の分野からどんどん登用してもらう、今六名の枠ですけれども、これをどんどん減らしていってもいい、こういうことなわけですから、是非、大臣、よろしくお願いいたします。
続きまして、次のテーマに移らせていただきます。賃上げについてでございます。
これは先ほど井坂委員からも質問がありまして、非常に内容的には重なるんですけれども、資料四を見ていただきますと、これは毎月勤労統計、厚生労働省が出しているものです。
五月九日に最新のものが発表されておりますけれども、これの真ん中辺に実質賃金というのがあって、平成二十八年から令和五年まで数字が出ていますけれども、特に、令和五年、マイナス二・五、令和四年、マイナス一・〇、令和三年はプラスの〇・六でしたけれども、令和二年はマイナス一・二、令和元年はマイナス一・〇ということで、この五年間ほぼマイナス、実質賃金はどんどん下がっていってしまっている、こういう状況でございます。
資料五を見ていただきますと、実質賃金上昇率の推移の国際比較でございます。
ちょっとパネルにも用意いたしましたけれども、先ほど井坂委員からも指摘がありましたけれども、日本だけが低迷しちゃっている状況です。ほかの国はそれなりに上がっているのに、日本だけ低迷してしまっている。
大臣にお尋ねをいたしますけれども、二十一世紀に入ってから、他の先進国の実質賃金は上昇しているのに、なぜ日本だけ実質賃金が上がらないんでしょうか。お答えをお願いいたします。
○新藤国務大臣 御指摘のとおり、我が国の一人当たりの賃金は、名目、実質共に、長期にわたって、そのグラフにあるように、他の国に比べて伸び悩んでいるということだと思います。
三十年間の名目の賃金水準の伸びを見ますと、欧米では大体二倍から三倍なんですね。それに対して日本は一・一倍です、名目で。そして、実質の賃金によりますと、欧米が大体一・五%前後なんですけれども、我が国は一・〇五倍ということでございます。
結局、なぜそうなるかというと、それは、物価上昇が、この三十年間で、欧米で約二倍、それに対して日本は一・一倍でございます。名目GDPも、アメリカが三・八倍、ドイツでも二・三倍ですけれども、日本は一・二倍なんです。
ですから、元の経済がなかなか伸びない、物価も上がらない、その中で、結局、賃金を抑えながら企業は維持をする、そういう状態が長く続いてしまっているということだと私は考えております。
○櫻井委員 物価と賃金の関係については、また後でさせていただきます。
次、資料六に移りまして、今大臣は御答弁されませんでしたけれども、よく言われることとして、労働生産性が上がらないと給料も上げられませんよという話があるんです。
ただ、この資料六にも示しておりますとおり、日本では、先ほど井坂委員から指摘のありましたとおり、労働生産性は上がっているけれども、実質賃金は、上がらないどころか、少し下がってしまっているというのが我が国の状況です。
労働生産性が上がったら、その分、賃金が上がってもよさそうなのに、何で上がらないんでしょうか。
○新藤国務大臣 まず、今、実質賃金の話で、欧米では一・五倍と申し上げたつもりですが、パーセントと言ったかもしれませんので、それは、倍だと思ってください。
それから、今の御質問ですけれども、確かに、労働生産性は、日本は伸びております。伸びておりますが、この約二十年間の労働生産性の伸びは、日本が八・三%ですが、アメリカは三一%です。それからイギリスは一六・九%で、更に伸びているんですね。そういう中で、日本の実質賃金はプラス一・二%に対して、アメリカが二五%、イギリスも一五%伸びている。ですから、労働生産性も伸びていますけれども、それ以上に、他国は、生産性を伸ばしているし、その中で賃金も伸びている、こういうことが言えるのではないか。
先ほどのように、長い間、物価も上がらない、それから賃金も上がらない、そしてGDPが伸びない。その中で、やはり、その現状を何とか維持していくために、結局、コストカットなり縮み志向の中で我々は頑張ってこざるを得なかった、こういう状況が見て取れるわけです。
特に、実は労働生産性は、日本とドイツが、この二十年間、ちょうど同じなんです。なんですが、賃金は、うちが一・二%のプラスに対して、ドイツは一四%のプラス。
ですから、今回、賃金を、構造的賃上げをしなきゃいけない、私たちは是非それを目指そうというのは、やはり、まずは賃金を上げること、それに加えて、安定的な物価上昇の下で賃金を、それを上回る水準をつくっていく、ここがまず出発点だというふうに考えているわけであります。
○櫻井委員 資料七に移らせていただきます。
これもパネルで用意いたしましたけれども、先ほど新藤大臣が、物価が上がらないからとか、いろいろ御説明いただいているんですが、ちょっと私は根本的に分析が間違っているんじゃないかというふうにも思います。それがまさに、この二十年間ないしは三十年間、日本の賃金が上がってこなかった、正しい分析がないから賃金を上げるような政策は自民党内閣においてできなかったということではないのかなと思います。
このパネルに示しているとおり、また資料七に示しているとおり、企業は、この間、それなりにもうかっているわけなんですね。大企業を中心に収益が上がっている。収益が上がって、それがどこに行ったかというと、一番たくさん行っているのは配当金なんですよ。
この間、株主資本主義といいますか、株主優先の法体系、会社法がどんどんそういう方向にシフトしてしまっている。それがゆえに、配当金はどんどん増えている。それから内部留保も増えている。ところが、従業員の給料は全然増えていない。役員の給料は、役員報酬はちょびっと増えているということで、この配分の仕方に問題があるのではないのかというふうにも指摘をさせていただきます。
ちょっと質問を飛ばしまして、資料八の方に移らせていただいて、これはアメリカの財務省が昨年の八月に報告書を出していまして、「レーバー ユニオンズ アンド ザ ミドル クラス」という報告書を出していて、これの真ん中辺、十三ページに線を引いておりますけれども、労働組合があるかなしかで賃金の水準がどうなるかということの調査をしていて、賃金は中央値で二〇%のプラスの影響があるという報告書を出しています。「ザ メディアン ユニオン ワーカー アーンス アバウト トゥエンティーパーセント ハイアー ウェージス ザン ザ メディアン ノンユニオン ワーカー」というふうになっていて、二〇%ですよ、二〇%。
やはり労働組合の存在というのが賃金に与える影響、プラスの影響は非常に大きいと考えるんですけれども、これは日本ではどうなんでしょうか。今日は厚生労働大臣にも来ていただいておりますので、お答えをお願いいたします。
○武見国務大臣 昨年の厚生労働省の分析によりますと、労働組合がある企業の方が賃金の改定率が高い傾向にあること、労働組合加入率が高いほど一人当たり賃金が高くなる傾向があること、非正規雇用労働者のうち、労働組合加入者は非加入者よりも賃金、ボーナス、諸制度等で待遇がよい傾向にあることなど、企業に対する交渉力が高まることによる賃金に対するプラスの効果が確認されております。
○櫻井委員 労働経済白書に今大臣御答弁いただいたようなことが書いてあって、こちらですと、日本でも労働組合の存在が賃金にプラスの影響があるということなんですが、結局、裏返して言いますと、この二十年間、特に小泉構造改革以降、非正規雇用がどんどん増えて、それがゆえに労働組合の組織率も低下をしてしまってということで、労使の交渉力が下がってしまっている。それは、先ほど井坂委員の質問に対する答弁でも、そのようなことがあったわけです。
自民党内閣でどんどんどんどん労働組合の、労使交渉の、労働側の交渉力をそいでおいて、でも、一応表向きは賃上げ頑張りますと言っていても、その裏っ側は足をせっせと引っ張っちゃっているわけですね。これじゃ賃金は上がらないと思うんですけれどもどうなんでしょうかということなんです。
それから、先ほど新藤大臣から、物価と賃金の関係についてお話がありました。これについても、資料十をつけております。これは日本銀行のいわゆる展望レポートでございます。昨年の十月版でございます。これの一番後ろのページに、賃金と物価の相互関係についてということで分析が載っております。
これによりますと、物価が一%上昇すると賃金は〇・四%ぐらい上がりますよ、こういう分析になっているんですね。ですから、物価が上がれば賃金も上がると言っているんですけれども、物価が一%上がって賃金が〇・四%しか上がらなかったら、実質賃金はマイナス〇・六%。実質賃金の低下要因になっているわけなんですよ。
物価が上がれば賃金が上がるというのは、これは、確かに上がりますけれども、実質で見た場合、これはマイナスの要因になってしまっているんですね。ですから、物価を一生懸命上げれば実質賃金が上がるかというと、そうではないということなんです。
だから、物価に働きかけるんじゃなくて、やはり賃金に直接働きかけるような政策が必要なのではないのか、こういうふうに考えるんですけれども、この日銀の展望レポート等も踏まえて、物価に働きかけるという政策、特にアベノミクスでは盛んにそういうことが言われましたし、前の日本銀行の黒田総裁も、物価が上がれば賃金が上がるんですとずっと言っていて、今この現状ですよ。物価は上がったけれども、賃上げは全然追いつかない、こういう状況になって、昨年、二〇二三年はマイナス二・五%ですよ。これは、やはり政策が間違っていたというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 私たちは、物価上昇率を上回る賃金上昇をどうやって実現させるかということで、かつてないほど、労働組合の皆さん、それからいわゆる春闘に働きかけを行っております。私たちが直接何か権限があるわけでありませんが、是非、物価上昇を上回る賃金を実現させようではないかと。
それには、やはり価格転嫁、それから、賃金を上昇させるために大事なことは、企業の収益力を増やすことです。それには、やはり省人化投資、設備投資を増やして生産性を上げていく、そして、その中で、働く皆さんも、一律の給料に加えて、自分の能力に応じた報酬を得られるジョブ型の導入というもの、これも思い切って進めようということでやっております。
今、まさに、実質賃金が二十四か月連続でマイナスという状態になっていますが、一方では、名目賃金は二十七か月連続でプラスなんです。そして、今、どうやって物価を上回る実質賃金をプラスにするか、ここに最大限の注力をしている。
今の物価見通しというのは、春闘の結果が出る前の物価見通しなんです。かつてない、三十年ぶりの、春闘において大きな数字を出していただきました。これが反映されるのが来月以降で、大体、ほとんどの企業が実際に給料が反映されるのは八月から九月になります。しかも、組合に、春闘の交渉に参加しているのは、全体でいえば二割ぐらいです。
ですから、それを全国の中小企業や、それぞれの津々浦々のところまでいかにこの波を上げていくか、こういったことをやっているわけでありまして、生産性が上がっても実質賃金が上がらないんじゃなくて、生産性とともに実質賃金がプラスになる状態をつくるんだ。これは、私たちは、やればできる、この兆しが見えているし、また、民間のエコノミストの皆さんにおいても、賃金がいよいよプラスに回っていくのではないか、こういう予測が今出ているということで、ここが頑張りどころでございます。
○櫻井委員 多分、今のような話って去年も聞いた感じがするんですね、デジャビュといいますか。去年も三十一年ぶりの賃上げ、春闘の成果と言っていたので、それで、じゃ、実質賃金もようやくプラスに転化するかと思ったらマイナス二・五%ですよ。
今年は、三十三年ぶりか、更にもっと遡って、以来の最高水準の賃上げということなんですが、ただ、足下では今円安がどんどん進んでしまっておりますから、そうすると輸入物価が上がって、さらに、輸入物価上昇が消費者物価にも影響してくるのではないのか。結局、このまま円安が続いていくと、今、実質賃金はプラスになるというお話でしたけれども、その展望も夢のごとく消えてしまうのではないのか、こういう指摘もございます。
私は、やはり、賃金に直接働きかけていくような政策が必要なのではないかと。非正規雇用を減らしていく。派遣労働は廃止をする。廃止するというのは、昔の、専門職に限るとか。残業代の未払い、まだ横行しております。それから、介護とか福祉の分野の賃上げ、これは政府の決断で予算を措置すればできることです。最低賃金を引き上げる。こうしたことを実施していくことが大事だということを指摘申し上げて、時間になりましたので、これで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○小川委員長 これにて櫻井君の質疑は終了いたしました。
次に、谷田川元君。
○谷田川委員 立憲民主党の谷田川元です。どうぞよろしくお願いします。
あれ、松本総務大臣は。
○小川委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○小川委員長 速記を起こして。
○谷田川委員 松本総務大臣、前回質問したときに、地方自治法の改正案について、どうも私の質問に正面からお答えいただけなかった。何かはぐらかされたと私は思っているのでね。今日は分かりやすく質問しますので、是非正面から答えていただきたい。
ではまず、四年前の安倍総理の全国一斉休校の要請が、私の地元、成田市だとか、あるいは島根県が、総理から要請された日程で実施しなかったんですね。今国会でこの地方自治法改正案が成立した場合、政府が閣議決定を行って全国一斉休校の指示を出したとしますと、島根県、成田市のように指示に従わなかった自治体は法令違反になると私は理解していますが、それで間違いないですね。イエスかノーかで簡潔にお答えください。
○松本国務大臣 令和二年の全国一斉の臨時休業の要請につきましては、新型コロナの性質がまだよく分からない中で、感染の拡大を防いで、児童生徒の安全を最大限確保するという趣旨で行ったものと承知をしているところでございます。その後、対策のノウハウが積み重ねられてきたこと、学校の役割の重要性が多くの関係者から改めて示されていることから、今後については、これらを踏まえて検討すべきものとされていると理解をいたしております。
御指摘の地方自治法の現在御審議いただいている改正案につきましては、補充的な指示については、現時点で想定し難い国民の生命等に関わる問題かつ個別法に規定がない場合に限り、限定的な要件、適正な手続の下で、自治体とは情報共有、コミュニケーションを図った上で、慎重に発動されるものであります。
なお、指示を受けた地方公共団体には法的な義務が生じるところでございますが、これは国が責任を持って指示をするものでもございます。
なお、全国一斉休校の指示をすることについてという仮定の御質問への御答弁は控えさせていただきます。
○谷田川委員 逃げないでくださいよ。駄目ですよ、それは。
私は、まず大切なことは、皆さん、四年前の一斉休校を思い出してください。多くの議員が、自民党の方も含めて、安倍さん、やり過ぎだ、日本はいつから独裁国家になったんだと。ましてや、文科省の役人の方も、何で我々が積み上げてきたことを総理の一言で覆すんだ、そういう怒り心頭の方もいらっしゃったんですよ。だけれども、総理の要請ということでやったわけですよ。
じゃ、簡単に聞きます。指示したにもかかわらず従わなければ、違法ですよね、松本大臣。
○松本国務大臣 指示につきましては、今御審議いただいている法案でございますので、御説明させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。(谷田川委員「短くお願いします。違法かどうか聞いているんですから、簡潔に答えてくださいよ。逃げないでくださいよ」と呼ぶ)補充的な指示について御説明を申し上げた上で内容を御答弁しなければならないと思って、御答弁申し上げております。
補充的な指示につきましては、国民の生命等を保護するため、その時点その時点の情報や知見に基づいて、各大臣及び閣議で要件の該当性が判断されるものでございまして、その上で、先ほど申しましたように、限定的な要件、適正な手続の下、自治体とは情報共有、コミュニケーションを図りまして、慎重に発動されるものでございます。
その上で、指示を受けた自治体への法的義務ということでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、この補充的指示は国が責任を持って行うものでありまして、指示を受けた地方公共団体には法的な対応義務が生じます。
なお、助言などの形で国からお話をさせていただいたときに、これに沿った形で自治体が施策を行った場合には、法制度上の責任は自治体に帰することとなります。
○谷田川委員 ちょっと、時間稼ぎしないでくださいよ、もう時間がないのでね。
指示できると法律に規定されて、その指示できることに従わなければ違法でしょうよ。多くの国民はそう解釈していますよ。もう一回答えてください。
○松本国務大臣 改めての御説明を求められたものと理解をいたしまして、御説明をさせていただきたいと思います。
補充的な指示につきましては先ほど申しましたとおりでございまして、国が責任を持って指示をさせていただくものでございますので、指示をされた自治体には法的な義務が生じるところは申し上げたとおりでございます。これにつきましては、法制度上、国が責任を持ち、自治体には応じていただく法的な義務が生じるということを申し上げさせていただきました。
○谷田川委員 普通、法律で指示というのは、命令という意味なんですよ。そう言うのであれば、今回、私は、あえて指示という言葉を使う必要はないと思うんですよ。指導で十分ですよ。指導というのは、目的に向かって教え導くことが指導なんですよね。それでいいじゃないですか。あえてそういう言い方をされるなら、はっきり答えられないなら、指示じゃなくて指導にすべきですよ。
○松本国務大臣 これまでも国会における御審議で御答弁申し上げてまいりましたが、本法案の意義は、国の責任を明確化するということに意義がございまして、先ほどお話しいたしましたように、現在の法制度では、国から地方自治体に助言などを行うこともあるようになっておりますが、先ほどこれも御答弁申し上げましたように、助言などで国が示した施策に沿った形で自治体が施策を行った場合には、法制度上の責任は自治体に帰することとなります。
これまで、コロナの間、また、大災害が起こったような場合に、やはり国が責任を持って果たすべき役割が一定程度あるのではないか。また、もう一つ大きな学ぶべきこととしては、個別の法制度でそれぞれ様々な事態を想定して備えをしておりますが、コロナやかつてない大災害の経験からは、やはり法制度上想定されていない事態も起こり得るのではないかということそのものが学ぶべきことではないか。
このことに沿ってこの制度をつくらせていただき、やはりそのような事態においては国が一定の役割を責任を持って果たすべきである、その国の責任を明確化することに本改正案の意義があるということを御理解いただくようにお願いしているところでございます。
○谷田川委員 この間、質問する前に、盛山文科大臣と松本大臣に、例の民間のコロナ対策調査会が作った検証の文書、目を通していただくとお願いしたのは目を通していただけましたね、松本大臣。イエスかノーかで。いいです、手を挙げるのは、わざわざ、時間ないから。目を通していただくように頼んだんだけれども。盛山大臣は、今、目を通していただいたと。
私は、非常に問題だと思うのは、時の総理大臣が自分の一存で、特に専門家の意見も聞くことなく全国一斉休校をやってしまったんですよ。恐らく、コロナ対応で一番まずかった対応は、私は全国一斉休校だと思っているんです。盛山大臣も、この間、検証結果は、慎重に検討すべきだと。やってよかったと決して言わなかった。
ですから、文科省、じゃ、この地方自治法改正案が成立したら全国一斉休校はどうなるんだと言ったら、文科省は答えようとしないわけですよ。いろいろ聞いたら、文科省の担当者に聞きましたよ、この地方自治法改正案を今国会に提出しようと総務省から連絡を受けたのは二月だというんですよ。一か月足らずですよ。この間の、火曜日の総務委員会の議事録も全部私は拝見しましたけれども、各関係省庁と政策協議をやっていないということが明らかになったじゃないですか。だから、余りにもおかしいんですよ。
それで、じゃ、盛山大臣、質問したいんですが、私の地元、成田市の市長と教育長に、金曜日に電話をかけたんです。そうしたら、どう見ても、文書、法律を読んだら、我々がやったことは、同じようなことがあったら違法になりますね、これだったら我々は萎縮してしまいますと、非常に問題意識を持っているんですよ。文科大臣、こういった声に対してどう答えますか。
○盛山国務大臣 先月の谷田川先生からの御質問でも御答弁させていただいたとおりでございますが、文部科学省としては、感染症への対応としての全国一斉休業の要請は慎重に検討すべきものとお答えしたところでございます。
その上で、今般の地方自治法改正案による補充的な指示につきましては、あらかじめ国と地方公共団体との間で十分な情報共有、コミュニケーションを確保することが重要であり、そのための規定が設けられていると承知をしているところです。
○谷田川委員 確かに地方との協議はあるけれども、法律の中に、でも、努力義務なんですよ。しなければならないという義務規定じゃないんですよ。私は、非常にここが問題があると思っています。
それで、よく大臣は、この間の総務委員会の答弁でも、地方制度調査会がこういうことを言っていると。何か地方制度調査会の言ったことは錦の御旗で、金科玉条のごとくおっしゃるけれども、我が党にもお二人の議員がメンバーとしているんですよ、重徳議員と、それから岸参議院議員。重徳さんは、これはどう見てもやはり国会が関与すべきだと。私もそう思うんです。
憲法上、大臣の罷免権を総理大臣は持っていますよ。ですから、安倍さんは、時の萩生田文科大臣は、あの報告書を見ると、かなり抵抗して、総理に翻意を促していますよ、あれを見ると。だけれども、結果的に萩生田さんは、総理が、これは各省庁にまたがることだから、政府の責任でやるからと言って、しようがないなということになったんですよね。
あれを考えると、やはり時の総理大臣が、閣議決定は、はっきり言って、総理大臣は閣僚を首にもできるんだから。最近では小泉純一郎さんが、解散に反対する閣僚、最後は、反対する人は手を挙げてくれと言って、三人の方が手を挙げたそうですよ。麻生太郎さん、村上誠一郎さんは帰っちゃったかな、村上さん、それと、最後、島村宜伸さん。三人を小泉総理は個別に呼んで、お二人は翻意したけれども、島村さんだけ、じゃ、私は辞表を出しますといって辞めようとしたけれども、でも、小泉さんは、俺は罷免すると、罷免されたんですよ。
憲政史上、衆議院解散を反対して罷免されたのは島村さん一人だけれども、いずれにしても、総理大臣の権限は強過ぎるんですよ。安倍さんのような一斉休校を私はやっちゃいけないと思っている。
文科省も慎重に検討すべきだと言っているわけですよ。そうであるならば、少なくとも文科省と総務省の間でもうちょっと密にして、私の質問にまともに答えられないようだったら、やはり問題がありますよ。
本会議の我がおおつき紅葉議員の質問に対しても、指示に従わなくても直ちに違法とはならないような答弁をされている。こんなのおかしいですよ。指示という日本語を何か間違えているんじゃないかと私は思う。指示というのは、命令という意味ですよ。昔、約束をしたけれども約束を守ると言ったことはない、そんなことを言った人がいましたけれども、指示したけれども指示に従わなくていいなんて、そんなことを言っちゃ駄目じゃないですか。おかしいですよ。
もう時間がないので、次の問題に移ります。
横田空域について質問いたします。
この間、上川外務大臣に横田空域のことについて質問したんだけれども、初代の公文書担当大臣を経験された上川大臣ならもっと踏み込んだことを言ってくれるかなと思ったんだけれども、残念ながら、本当に私はがっかりしたんだけれども。
私は、質問主意書を出したんですよ。皆さん、資料を見ていただけますか。
これを見ていただくんですけれども、平成二十年の六月の国土交通委員会で、当時の冬柴国交大臣の下の鈴木航空局長は、全面返還に向けまして関係省庁と協力しながら努力してまいりたい、こう明快に答弁しているんですよ。
平成二十年の九月に八回目の横田空域の返還が行われました。しかし、残念ながら、それ以降の答弁というのは、ここに書いてあるように、平成三十年か三十一年の石井国交大臣あるいは河野外務大臣、それから茂木外務大臣、斉藤国交大臣、そしてこの間の上川大臣、関係省庁と協力しながら米軍と調整してまいりたい。後退しちゃっているんですよ、どう見ても。皆さん、そう思いますよね。全面返還に向けてと言っていたにもかかわらず、その後の答弁は、米軍と調整したい。
私は、質問主意書で、鈴木局長の答弁は現在の政府の方針と変わりないか、そう問うたんですが、主意書の答弁は、平成二十年当時と何ら変わりはない、そういう答弁だったんですね。
当然、皆さん、質問主意書の答弁というのは閣議決定されます。非常に重みがあるんですよ。ですから、私は、まず外務大臣、全面返還に向けて努力すると是非言っていただきたいと思います。お願いします。
○上川国務大臣 御指摘の質問主意書に対する答弁書におきまして、議員御指摘の点については、平成二十年当時とその考えに何ら変わりはありませんと述べているとおりであり、外務省といたしましても、我が国の空域を一元的に管制する観点から、関係省庁と協力をし、米軍との調整を行うという方針に変わりはないということであります。
改めまして丁寧に御説明すれば、この横田空域でありますが、横田飛行場において米軍が進入管制業務を行っている空域をいうものであります。ただし、この空域は、米軍の排他的使用が認められるものとして米側に提供された空域ではございません。したがいまして、いわゆる横田空域の返還とは、当該空域におきます米軍による進入管制業務の日本側への移管でありまして、その全面返還とは、当該空域において我が国が一元的に管制できるようにするということを意味するものであります。
こうした認識の下、引き続き、横田飛行場等が、在日米軍や、また、我が国の安全保障上有する重要性を踏まえつつ、当該空域を一元的に管制できるよう、関係省庁と協力をし、米側との調整に努力してまいりたいと考えております。
○谷田川委員 何で全面返還と言っていただけないんですか。だって、閣議決定された私の主意書に対する答弁では、平成二十年の当時と何ら変わりないと言っているんですよ。鈴木局長は、全面返還に向けてとはっきり言っているんですよ。なぜ言えないんですか。おかしいですよ。これは閣議決定と、違反しているじゃないですか。
じゃ、斉藤大臣に今度はお願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣 先ほど外務大臣から答弁があったとおりでございます。
改めて丁寧に御説明申し上げますと、米軍がこの横田飛行場において進入管制業務を行っている空域のことでございまして、米軍の排他的使用が認められるものとして米側に提供された空域ではございません。したがって、横田空域の返還という意味は、より正確には、当該空域における米軍による進入管制業務の日本側への移管であり、その全面返還とは、当該空域において我が国が一元的に管制できるようにすることを意味します。
このような認識の下、引き続き、横田飛行場などが在日米軍や我が国の安全保障上有する重要性を踏まえつつ、当該空域を一元的に管制できるよう、関係省庁と協力し、米軍との調整に努力してまいります。
したがいまして、この平成二十年当時の答弁から全く後退しているということはございません。一元的管制を目指して、我々も頑張っているということでございます。
○谷田川委員 外務大臣の答弁よりは、全面返還ということをおっしゃっていただいたので、まだいいんだけれども。
じゃ、何ら変わらないと今おっしゃったけれども、大臣、何だかんだ言って、国交大臣におなりになられて二年半以上になりますよね。この間もアメリカに行かれたようですよ。何度かアメリカ政府高官ともお話しになっている。横田空域について話題にされたことはありますか。
○斉藤(鉄)国務大臣 アメリカにもこの間、一回行きました。そのときのテーマではございませんでしたので、この横田空域のことをアメリカに訪問したときに話題にしたことはございません。
○谷田川委員 でも、どうなんですかね、横田空域。
じゃ、今日、防衛大臣に来ていただいて、防衛大臣にも質問しますよ。
防衛省の文書にも、二〇〇八年九月の八回目の返還の前の文書に、これまで鋭意全面返還に向けて努力してきたとあるんですよ。少なくとも二〇〇八年の九月の返還前は、全面返還に向けてという言葉が政府の文書に載っているわけですよ。それをあえて全面返還と言えないというのはおかしいと私は思っているんです。
では、同じように、木原防衛大臣はまだ一年たたないけれども、この間、米政府高官とかとかなりお会いになっているけれども、何とか横田空域を返還するようお願いしたいと要請したことはありますか。
○木原国務大臣 今の谷田川委員の御質問については、直接これを議題として米側と私は話したことはありませんが、恐らく、全面返還というのは、確かに以前は使われていたというのは間違いないんですが、今は使わないのは、これは防衛省・自衛隊的にいうと、この横田空域というのは日本の領空なんですよね。領土、領海、領空を守るのが防衛省・自衛隊であって、領空なので、全面返還と言うと、あたかもこの空域は米側の領空のような、間違った、そういう誤解を招く可能性もあるなという、これは推測ですけれども、そういうこともあり、あくまでもこの横田空域は、米軍が進入管制業務を行っている空域であって、米軍の、米側の領空ではないわけですね。
ですから、我が国が一元的に管制できるように、日本側にその管制業務を移管するという、そういう趣旨で、今は全面返還という言葉は使わずに、今のような言葉。そして、引き続き関係省庁等が協力して我が国が一元的な管制をできるようにするということは、これは政府全体としての取組であります。
○谷田川委員 外務大臣の答弁よりも、お二人の答弁は分かりやすく聞こえましたよ。
資料の三なんですよね。
当時、長田管制保安部長が、日米合同委員会で折衝を終えた後、パラグラフの最後の方にありますよね、米軍や自衛隊の基地があり、現行の日米関係を前提とする以上、これ以上の削減は難しい、最大限米軍が譲歩した結果だ、こうおっしゃっている。それから、米軍側も、最も効率的でベストな結果を提供できたと考えていると。だから、この文書を読むと、もうこれ以上の横田空域の返還は求めないんだ、何かそういうニュアンスを感じるんですよ、この新聞記事を見ると。
それを考えると、何か日米合同委員会で、もうこれ以上の横田空域の返還、はっきり言って、斉藤大臣それから木原大臣、一元的管制をするのは当たり前なんですよ。日本は敗戦国ですからやむを得ない、そういうことを言う人がいるかもしらぬけれども、同じ敗戦国のドイツもイタリアも、自国の管制を自分たちでやっているわけですよ。米軍に任せてはいないわけですよ。異常事態なんですよ。
それで、この間の、二〇〇八年の九月の返還の前に、定期航空協会が、横田空域があることによって飛行機が遠回りしなきゃいかぬ、燃料代もかかるし、飛行時間も長くなると。これは経済効果がばかにならないんですよ。
だから、大臣、斉藤大臣にお聞きしましょう。是非、一元的管制を日本がやるべきなんですよ。米軍に任せるから、定期航空が飛べないんですよ。米軍に任せることによって、飛びたいと思っても、断られたらそれで終わりじゃないですか。だから、早くに一元的管制をやる。
東京都なんか、まだ全面返還という言葉を使っているんだから、そんな言葉の言い換えはしない方がいいですよ。全面返還でいいはずですよ。全面返還の方が言葉が強くていいじゃないですか。
少なくとも、民間と協力して、この横田空域が全部返還されて、そちらの言葉を使えば、一元的に日本が管制できれば、これだけの経済効果があるというのを分析して、それを国民世論に喚起すべきと思うんですが、斉藤大臣、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 飛行経路の設定に際しましては、航空交通の安全確保のための出発、到着経路の分離や経路下の騒音などの課題を総合的に勘案する必要があり、我が国が空域を一元的に管制できるようになった場合であっても、必ずしも横田空域を通過する現在より短い経路が設定できるわけではありません。
また、いわゆる横田空域につきましては、これまで八回にわたり段階的に削減を実施しており、現在の横田空域の形状においても、羽田空港の出発、到着に係る経路はおおむね効率化されております。このため、委員御指摘の飛行経路について、その経済効果を検証するということは非常に難しいということから、考えておりません。
いずれにいたしましても、いわゆる横田空域の返還につきましては、我が国の空域を一元的に管制できるよう、関係省庁と協力し、米軍との調整に努力してまいりたいと思っております。
○谷田川委員 先ほどから、米軍との調整という言葉を使うんですよ、調整。私は、これは気になるんです、すごく。何か、あたかも枠があって、その中で調整する。
一元的航空管制をさせてくれ、そういう要請とか、要求とか、あるいはお願いでもいい、そういう言葉を使わないんですか、外務大臣。いかがですか、上川さん。上川さんは英語が得意だから、アスクなのか、あるいはリクエストなのか、何でもいいですよ。何か、アメリカに対して要求するなり要請するなり、そういう言葉を使うべきだと思うんですよ。何で調整なんですか。
○上川国務大臣 先ほど私は答弁をさせていただきましたけれども、先ほど来の横田空域、そして全面返還、こういうことにつきましてより正確に御説明をするという観点から申し上げたものであったということで、そのような発言をさせていただきました。
その上で申し上げるところでありますが、我が国の空域を一元的に管制できるよう、これは目標でございます、これに向けまして関係省庁と協力をして米軍と調整していく、こうした方針であるということであります。目的は、一元的に管制できるよう、これが目的でありますので、その達成に向けて調整していくということでございます。(谷田川委員「何で調整なんですか」と呼ぶ)それはもう、それが目的でありますので、調整をしていくということであります。
○谷田川委員 非常に理解に苦しむんですよ。さっき資料を見ていただいたとおり、みんな、関係省庁と協力しながら米軍と調整してまいりますと。何かおかしいんですよ。
それで、私はちょっとこれは要求したいと思うんですけれども、委員長、私は質問主意書を提出したわけですよ。何ら変わりないと言って、横田空域の全面返還という言葉を平成二十年に当時の鈴木航空局長は使っているわけですよね。そのことと何ら変わりないと言っているんですよ、何ら変わりない。さっき木原大臣は全面返還という言葉を使わなくなったというのであれば、変わっていっているじゃないですか。何ら変わりないじゃないですよ。
閣議決定された私に対する答弁書は、やはり違いますよ。だから、皆さんが言っていることと閣議決定された内容は、矛盾が生じると思いますよ。是非、これは政府の統一見解をこの委員会に提出することを求めたいと思います。
○小川委員長 理事会で協議します。
○谷田川委員 じゃ、時間になりましたので、これで終わります。
ありがとうございました。
○小川委員長 これにて谷田川君の質疑は終了いたしました。
次に、赤木正幸君。
○赤木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。
会派を代表して質問させていただきます。貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、地方分権と、あとは人口減少化時代への対応策について質疑させていただきますので、よろしくお願いいたします。
地方分権に関し、実は私、大学の法学部のゼミが地方自治法という、今思えばちょっとマニアックなゼミで機関委任事務について非常に深く勉強させていただいたんですが、まさに、一九九三年に分権推進に関する決議があって、九六年、地方分権推進委員会がその枠組みを提示したところから始まると認識しております。
この地方分権推進の背景と理由というのが五点あるんですけれども、あえてちょっと読み上げさせていただきます。これはなぜかというと、三十年前なんですけれども、論点とは思えないような内容なんですね。まず一つが、中央集権型行政システムの制度疲労、次に、変動する国際社会への対応、三つ目が、東京一極集中の是正、四つ目が、個性豊かな地域社会の形成、五つ目が、高齢社会、少子化社会への対応という、今まさしく同じことが言われてもおかしくないような内容なので。
今の日本が直面している課題とこれは今日の委員の皆様にも共感していただけるのではないかと考えているんですが、ここで自見大臣への質問となります。
このように、東京一極集中、そして個性豊かな地域の形成、高齢化、少子化社会への対応のために三十年ぐらいかけて地方分権が推進されてきたと認識しているんですが、この背景について、これが解決されて、目指すべき分権社会が実現されたと評価されていますでしょうか。また、まだそこが道半ばであるとすれば、残された課題についてどのような対応方針で臨まれるのか、御見解をお願いいたします。
○自見国務大臣 お答えいたします。
東京一極集中の是正や少子高齢化の進行など、地方を取り巻く情勢変化への対応が引き続き求められていると認識してございまして、そのためには、持続可能な地域社会の実現に向けて、地方自治体の力をしっかりと生かしていくことが重要だと考えてございます。
こうした観点から、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図り、質の高い行政サービスを実現していくことが重要でございまして、そのことのために、基盤となる地方分権につきましては、地方の声に依拠した権限の移譲や規制緩和など、地方分権改革を着実に進めてきたところでございます。
これらの取組によりまして、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が担うことが基本となり、住民に身近な福祉や子育て等の分野におきましては、地域の実情に応じたきめ細やかな施策が実現されるなど、住民サービスの向上につながったものと考えてございます。
今後とも、地方の自主性、そして自立性をより高めるべく、地方の現場で実際に困っている具体的な支障や問題意識を丁寧に酌み取りながら、改革のための不断の取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
そうですね、地方分権はまだまだこれからやるべきことはあって、今大臣に御答弁いただいたみたいに、住民の身近なことは大分身近に決められるようになったのかなと私も考えておりますが、一方で、分権の推進と並行してというか、その後のフェーズになると思うんですけれども、平成の市町村合併について話題を移らせていただきます。
地方交付税に関わる話なんですけれども、平成十一年から始まった平成の大合併で、十年余りで、大体三千二百あった市町村の数が千七百にほぼ半減しております。いろいろ目的はあったと思うんですけれども、これも私、大学院時代の行政学の授業で、まさにこれは地方交付税の肥大化を防ぐという一つの目的があったのかなというふうに個人的には認識しているんですけれども、国の方は、合併を促すために特例措置で十年間増額した後、徐々に減額していくという形を取ったと記憶しております。
地方交付税なんですけれども、合併前は二十兆円以上あったものが、平成十九年には一旦十五・二兆円まで下がりましたが、ここ最近の地方交付税を見ると、平成の最後の年である平成三十年には十六兆円、徐々に増えて、今、令和六年には十八・七兆円と、増加傾向が続いていると認識しております。
ここで質問になりますが、地方交付税の増額傾向の理由と、地方交付税も含めた地方一般財源総額を今後どのようにしていくのか、方針についてお聞かせをお願いいたします。
○馬場副大臣 お答えします。
平成の合併以降の地方交付税総額は、その法定率分が、平成十七年度の十二兆円が令和六年度には十八・八兆円となるなど、原資となる国税収入が堅調に推移していること等によって増加傾向にあります。
また、地方交付税を含む一般財源総額については、令和六年度の地方財政計画において、子供、子育て政策の強化や人件費の増加などを踏まえ、交付団体ベースで前年度を上回る六十二・七兆円を確保しており、地方交付税についても前年度を上回る額を確保したところであります。
令和七年度以降についても、地方自治体が必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行っていけるよう、地方交付税を含む必要な一般財源総額の確保に力を尽くしてまいりたいと存じます。
○赤木委員 ありがとうございます。
実は、質問した意図ですけれども、過去の市町村合併をされていた職員の方から、地方交付税がまた膨らんでいくと、今度は令和の大合併みたいな話が出るのじゃないかなみたいなことを、ちょっと危惧されているというか、検討というか、考えなければいけないと考えられている方もいらっしゃいますので、またそういった方針が変わる兆しがあれば、是非教えていただければと考えております。
次に、今回もちょっとたくさんの配付資料、申し訳ありません、一ページ目と二ページ目を御参照いただけますでしょうか。これは、二〇一八年に報告された自治体戦略二〇四〇の概要の説明資料です。
一ページ目の左上の冒頭、これも、六年前とは思えない、今まさに直面していることなんですけれども、これから本格的と言った方がいいかもしれないですね、労働力の絶対量が不足して、人口縮減時代のパラダイム転換が必要ということで、スマート自治体への転換や、若しくは、右側ですね、公共私による暮らしの維持ということで、シェアリングエコノミーなんかも含めて、担い手の複線化というか、複合化が打ち出されております。
次の二ページ目の左側が実際問題にしたい内容なんですけれども、ここでまた、地方圏の圏域マネジメント、次に二層制の柔軟化ということで、いわゆる広域連携の重要性、また、県の役割、市の役割が再びこうやって打ち出されているんです。
ここは、先ほど話題にさせていただいた市町村合併のときが、たしか、市町村合併が推進された発端の一つとして、広域連携の限界若しくは都道府県の役割の縮小ということがあったと認識しているんですけれども、また再びこういった圏域マネジメント、二層制の柔軟化が取り上げられているというのは、少し個人的にはギャップがあるなというふうに考えております。
質問に入るんですけれども、これは、地方分権推進の進め方に何かしら転換があったということなんでしょうか。また、今後の地域の活性化を含めて、地方分権推進若しくは地方自治体の戦略をどのような方針で進められるのかについて、政府の見解をお願いいたします。
○馬場副大臣 お答えします。
平成の市町村合併は、人口減少、少子高齢化の進展を背景に、地方分権を推進する上で基礎自治体の規模や能力の充実などが必要との考えの下、平成十一年から自主的な市町村合併を積極的に推進したものであって、平成二十一年度をもって一区切りとされております。これによって合併は相当程度進捗し、多くの市町村で行財政基盤が強化されたものと認識をしております。
現在は、市町村の行財政基盤の維持強化を図る手法の一つとして自主的な合併を選択できるよう、引き続き財政措置などを講じ、合併の円滑化を図っております。
また、平成二十九年から三十年にかけて開催された自治体戦略二〇四〇構想研究会では、市町村が連携して行政サービスを維持することや、都道府県による市町村の補完、支援などについて議論がされたところでありますが、さらに、これらの議論等を踏まえ、第三十三次地方制度調査会の答申においては、地方公共団体が地域や組織の枠を超えて、様々な主体が緊密に連携協力し、役割を分担し合って、新たな時代に即した住民本位の地方自治の姿を目指していかなければならないと提言されたところであります。
総務省としては、こうした提言を踏まえ、市町村間の広域連携、都道府県による補完、支援、自主的な市町村合併など、多様な手法の中から各市町村が最も適したものを選択し、持続可能な行政サービスを提供できるように、今後も引き続き支援をしてまいりたいと存じます。
○自見国務大臣 お答えいたします。
地方分権改革につきましては、これまでも、住民に身近な行政はより身近な地方自治体が担うことができるよう、地方に対する権限移譲や規制緩和を進めてきたところでございます。
広域連携、市町村合併、自治体戦略二〇四〇構想などにつきましてはただいま総務省から御答弁されたとおりでございますが、引き続き、地方の声を十分に伺い、地方の悩みや課題に寄り添いながら、総務省を始めといたしました関係省庁と連携をいたしまして、地方の自主性、自立性を高め、地域の発展に資する取組を着実に進めてまいりたいと考えてございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
市町村合併もある意味一つのオプションとして、分権の中の、分権というか、これからの世の中の課題を解決するオプションとして、いろいろ選択できるという理解をさせていただきました。
次に、時間も余りないので次に進めさせていただきます。
資料の三ページ目を御参照いただけますでしょうか。これは、ゴールデンウィーク前に発表された、消滅可能性自治体に関する、人口戦略会議さんより出されたレポートです。
消滅可能性自治体は七百四十四自治体、人口の増加分を他地域からの人口流入に依存しており、しかも当該地域の出生率が非常に低い、ブラックホール型自治体と勝手に呼んでいるみたいなんですが、これは二十五自治体と報告されています。
ここで自見大臣に質問となりますが、民間の報告とはいえ、こういった報告についてどのような所感を持たれ、どのような施策によって対策を取られていくかについて、お答えいただけますでしょうか。
○自見国務大臣 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、民間有志によります人口戦略会議が四月二十四日に公表したレポートにおきまして、全体の四三%に当たる七百四十四自治体において、二〇二〇年から二〇五〇年までの間に若年女性人口が五〇%以上減少することということも示されております。
また、今回の分析では人口減少傾向は改善する結果となっているものの、実態としては少子化基調が全く変わっていないことに留意する必要があり、楽観視できる状況にはないことといったことも併せて指摘をされておりまして、深刻な危機感が示されていると承知をして、認識をしてございます。
人口減少問題は、私といたしましては、日本社会の最大の戦略課題であると考えてございまして、少子化や人口減少の流れに歯止めをかけるべく、政府一丸となって取り組んでいく必要があると考えてございます。
地方創生におきましては、四つの柱を掲げてございます。地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、また、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力的な地域づくり、この四つの柱でございまして、さらに、幾つかの、地方への就職活動、あるいは、女性、若者、子育て世代、あるいは買物難民といった方々に対する追加の支援ということも新たに重要だということで取組をさせていただいているところでございます。
引き続き、地方の声を十分に伺いながら、悩みに寄り添い、こうした施策を政府一体となって総合的に推進することで、地域の活性化にしっかりとつなげてまいりたいと考えてございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
消滅するかしないかという、ある意味乱暴かつ結構無責任な報告で、これに一喜一憂するわけではなく、今おっしゃっていただいたような、地に足をつけた旗振りを引き続きよろしくお願いいたします。
次に、人口減少時代と外国人の労働者に関する質問に移らせていただきます。
四ページ目を御参照いただけますでしょうか。これも実は、同じ人口戦略会議さんより、今年のたしか一月に発表されたものです。ここでは、Bケースなんですけれども、人口定常化として目指すべきシナリオは、二一〇〇年に八千万人という報告がされています。
一方、資料の五ページ目になりますが、厚生労働省さんのホームページにおいては、二〇七〇年には九千万人を割り込む推計が発表されていますが、これについてどういった所感を持たれて、この人口減少、高齢化、出生率回復に向けてどのような対策を講じられる方針かについてお答えをお願いいたします。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
我が国の人口は二〇二二年に八十万人減少し、今後も百万人の大都市が毎年一つ消滅するようなスピードで人口減少が進む、こういったことが予測されております。急速な少子高齢化、人口減少局面に直面していると思っております。
こうした状況に歯止めをかけなければ、例えば社会保障制度におきましては、制度を支える側の若手世代が、若年世代が減少することのほかに、サービス提供の担い手確保の課題が生じるなど、我が国の経済社会システムの維持に様々な困難が生じる可能性があると考えています。また、人口減少が続けば、国全体の経済規模の拡大も難しくなり、国際社会における存在感を失うおそれもあると考えております。
その意味で、先ほど大臣の方からもお話がありましたが、人口減少問題は日本社会の最大の戦略課題であると考えており、この点について、民間有志による人口戦略会議の提言でも深刻な危機感が示されております。
このため、まずは、少子化、人口減少の流れに歯止めをかけるべく、昨年末に閣議決定されたこども未来戦略の加速化プランを着実に実施していくことが重要だというふうに考えています。
また、こうした局面において、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくためにも、昨年末に閣議決定された改革工程に基づき、人口減少ですとか少子高齢化、こういったことに対応していく観点も含め、医療、介護制度等の改革を進めていくことや、働き方改革の取組により、女性、高齢者、そして今先生からもございました外国人材、こういった方々の活躍を促進し、安定的な労働力を確保していくことなどが重要だと思っております。
厚労省としても、こうした方向でしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
○赤木委員 ありがとうございます。
今まさにおっしゃられた担い手不足の問題で、外国人を活用するとどうなるかみたいな報告が六ページ目になります。これは結構、私、初めて見たとき、数字に驚いたんですけれども。
これは、独立行政法人国際協力機構、いわゆるJICAさんより報告されたものなんですけれども、何かというと、二〇四〇年に目標GDPを達成するために、足りなくなった労働力をもし外国人労働者で補った場合、さあどうなるかというものなんです。
ベースライン、つまり、ここにある、自動化等への設備投資がこれまでのトレンドで推移した場合、二〇四〇年、今から十六年後に、二千百八十三万人の外国人労働者が要るという計算が出されています。たしか、今、二百万人ぐらいの外国人労働者だと記憶していますので、十五年ちょっとで十倍になる話なんですね。これは、自動化が促進されたとしても、一番下の推計ですが、六百七十四万人で、今から三倍以上の外国人労働者がいないと目標GDPが達成されないというものなんです。
七ページ目を見ていただくと、一方で、供給ポテンシャル、これは右側にあるんですが、六百三十二万人はポテンシャルがあるという、これも、どこからどうやって外国人を連れてくるのかなというちょっと疑問はあるんですが、これについて、政府としてどのような所感を持って、まさにこの労働者不足についてどのような対策を講じる予定か、方針か、御見解をお願いいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の報告書については、独立行政法人国際協力機構が独自に調査研究を行ったものであり、評価をすることは差し控えますが、同報告書の、二〇四〇年時点における目標GDP達成に必要な外国人労働者数については、自動化等への設備投資がこれまでのトレンドで推移するベースラインで二千百八十三万人、一方で、自動化等への設備投資が促進された場合には六百七十四万人と、複数の前提で推計を行っており、結果は幅を持って見る必要があることに留意すべきものと考えられます。
ただ、いずれにしても、生産年齢人口が減少する中で、労働力の確保を行い、人手不足に対して適切に対応することが重要であるとは認識しております。このため、働き方改革等により、多様で柔軟な働き方を選択でき、安心して働くことができる環境の整備を行うことで、女性、高齢者、外国人材などの活躍を促進しているところであります。
厚生労働省としては、三位一体の労働市場改革などの構造的な改革を推進し、生産性の向上や賃上げの実現に取り組んでまいりたいと思います。
○赤木委員 ありがとうございます。
まさにこの外国人労働者の活用に関して、私の選挙区の自治体の方なんかにも、御相談というか不安を話されたんですが、いろいろなコンビニ、お店で外国人がどんどん働かれているんですが、いよいよ地方公務員に関しても、やはり、外国人に、頼るという言葉がいいかどうか分からないんですけれども、外国人を採用する世界が増えてきているねという話を聞いております。実際にそういった自治体も耳にしております。
地方公務員の国籍条項を撤廃して外国人でも地方公務員になることができる自治体、あと、外国人国籍の地方公務員の配属先について、政府としてどのように把握されているか、お答えをお願いいたします。
○小池政府参考人 地方公共団体における外国籍職員の採用については、平成十七年最高裁判決において判示された、国民主権の原理に基づき、原則として日本の国籍を有する者が、地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするものに就任することが想定されていると見るべきであり、外国人がこれらの地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定することではないとの基本原則を踏まえつつ、地域の実情に応じ、自主的かつ適切に行われるべきものであると考えております。
地方公共団体の事例を申し上げれば、例えば、群馬県大泉町では、令和六年度実施の職員採用試験から一般事務職を含む全職種で国籍条項を廃止していますが、課長以上の職や、町税の徴収や滞納処分に関する職などには就くことができないとされております。
また、さいたま市では、平成十六年度の採用試験から消防及び救急救命士を除く全職員で国籍条項を撤廃していますが、市税等の賦課、滞納処分などの業務や課長以上の職等には就くことができないとされており、看護職等で採用実績があるものと承知をしております。
外国人の任用につきましては、各地方公共団体から具体的な相談があれば、引き続き必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
○小川委員長 赤木君、時間が経過していますので、簡潔に。
○赤木委員 ありがとうございます。
最後に、時間が経過していますが、これから、自治体の方たちからの問合せに答えられるだけではなくて、例えばホームページ等でそういった情報を是非出していただければと思いますので、それをお願いして、私の時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○小川委員長 これにて赤木君の質疑は終了いたしました。
次に、住吉寛紀君。
○住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会・教育無償化を実現する会の住吉寛紀でございます。
まず、鉄道、交通機関についてお尋ねしたいと思います。
JR西日本は、一昨年に、「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」として、輸送密度が二千人未満の十七路線三十線区の収支を公表しました。かなりショッキングな数字が提示されてありまして、いろいろ見方はありますが、これを機に不採算路線の在り方、これは撤退も含めて議論されるようになったことは御承知のとおりです。
私の地元も、区間は該当しないんですが、路線は姫新線や播但線も含まれており、地元でも関心の高いニュースとなっております。個人的には、不採算路線だからといって撤退するというのは少し乱暴な考え方かなと個人的には思っております。地元のニーズをしっかりと酌み、また丁寧に進めていかなければならない。とはいえ、民間企業の経営判断ともなるので、かなり難しい判断となるのは承知しております。
この根本的な原因として、人口減少、少子高齢化社会であったり、地域の過疎化の結果としてこういった路線が生じていますので、国としても大きなテーマで取り組んでいかなければならないというのは言うまでもございません。また、このテーマについては、これまで多くの議員からも質疑がなされており、その議事録も拝見して承知しているところでございます。
今回は少し各論的ですが、駅舎についてお伺いしたいと思います。
平成十八年に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、通称バリアフリー法が施行されました。改めてですが、この法律の概要であったり、制定された目的について確認させてください。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法でございますけれども、その基本理念といたしまして、第一条の二におきまして、「この法律に基づく措置は、高齢者、障害者等にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資すること及び全ての国民が年齢、障害の有無その他の事情によって分け隔てられることなく共生する社会の実現に資することを旨として、行われなければならない。」とされているところでございます。
○住吉委員 非常にすばらしい理念だと思っております。
その上で、次の質問をさせていただきたいんですが、私の地元姫路市にJR姫新線という線路が通っており、その中に太市駅という非常に小さい、これは三十年以上前に無人化されて、利用客も姫路市内でも最少のクラスの小さい駅です。地元自治会が、太市駅を中心に何とかしてにぎわいを取り戻したい、そういう少子高齢化を食い止めたいという思いもあって、市や自治会、JR、地元の民間企業と連携し、駅舎と社屋を一体的に整備して、一階にはレストランもあって、ランチタイムを中心に地元の方々で満席になっております。メディア等でもかなり取り上げられて、ひょっとしたら御存じの方もいるかもしれません。
一方で、JRは、利益の出ない設備を縮小していく方針であり、無人駅や改札の簡素化などを進めております。この太市駅も、そういった地元の方であったり、地元の企業の方、また市とかの尽力がなければ、本来はかなり簡素化な駅になってしまったかもしれません。
しかし、旧来の駅では設置されていたベンチであったり屋根が取り除かれてしまいました。資料の方もつけておりますが、入口があって、改札があって、向こうのホームに行くのには、少しぐるっと回って踏切を渡っていくというような形で、雨が降ると非常に大変で、特に高齢者の方とか障害者の方とか非常に苦労している。地元の方々と意見交換しても、ベンチや屋根はつけてほしいという意見もたくさんいただいております。
このような事例は太市駅だけでなく、JR西日本は、おおよそ全ての無人駅のベンチなどを撤去するという方針を聞いております。
この太市駅は小さい駅ですので、バリアフリー法自体のところからは、範囲からは離れるとは思うんですけれども、先ほど御答弁いただいた理念に照らし合わせると、法的な義務が課されていないので整備しないというのではなく、誰もが安全に安心して利用できる施設になるように、地元のニーズとすり合わせるように、是非国からもJRに働きかけをしていただきたいと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。
○斉藤(鉄)国務大臣 鉄道駅のバリアフリー化の推進は、全ての方が鉄道を安全、安心かつ円滑に利用するために大変重要だと考えております。
バリアフリー法に基づくバリアフリー基準では、旅客の円滑な移動に支障を及ぼすおそれのある場合を除き、ベンチを含む高齢者等の休憩用設備を一つ以上設けなければならないとされておりまして、事業者に努力義務がございます。
御指摘の姫新線太市駅のベンチにつきましては、今般、JR西日本に確認しましたところ、旅客が円滑に移動するための十分な通路幅が確保できないという安全上の理由などから撤去したとのことでございました。
国土交通省としては、太市駅構内へのベンチ設置の御要望があることも踏まえ、JR西日本に対し、太市駅へのベンチの設置について、駅の利用状況やホームの状況等を改めて精査した上で検討するよう指導してまいるとともに、その他の駅につきましても、利用者の方々が安全、安心に鉄道を御利用いただけるよう適切な対応を求めてまいりたいと思います。
○住吉委員 ありがとうございます。
太市駅というのは非常に小さい駅で、過疎化もどんどん進んでいるところなんですけれども、そこの駅を中心に盛り上げようとしている地元住民もおります。実際に駅のところへ行くと、ロータリーの真ん中に花壇とかもあって、それは地元の高校生たちがお世話をしていたり、地元の住民がお世話をしていたりということで、憩いの場ともなっております。
なかなかベンチがないと駅の利用を少しためらうとかいう意見もございましたので、そういった意味で、今御答弁いただいたように、地元の方々と意見を酌み交わしながら丁寧に進めていただけたらというふうに思います。ありがとうございます。
では、次の質問に行きたいと思います。
次は、電子商取引、Eコマース、私もよく利用しておりますが、これが増加することによって、地方法人課税の偏在是正についてお尋ねしたいと思っております。
法人関係税は、事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われる場所である事業所等が所在する都道府県しか課税できないことになっております。
しかし、現在ではインターネットを利用した取引やフランチャイズ形態での事業展開が増加し、事務所等の所在地と事業活動の場所が必ずしも一致しない場合が増えております。例えばアマゾンのような大規模なEC事業者であれば、本社は東京ですが、物流倉庫や配送業者は全国各地に存在し、活動しております。
そして、法形式上そのような倉庫や配送業者はアマゾンとは別会社になっていることが通例だと思いますが、このような場合、その倉庫が立地していたり配送業者が活動している自治体に、大規模EC事業者からの税収は配分されるのでしょうか。現行の分割基準について、政府の見解をお伺いいたします。
○池田政府参考人 お答えをいたします。
地方法人課税についてでございますが、御指摘のとおり、法人の事務所等が所在する地方団体が課税権を有することとした上で、従業者数等の分割基準により、地方団体の間の課税権を調整する仕組み、こういうふうになってございます。
実際の課税関係については個別具体的な実態に即して判断をする必要はございますけれども、本件について、御指摘の倉庫や配送拠点等が大規模なEC事業者の事務所等に該当せず、地方団体内に事務所等が所在しない、こういうことであれば、当該地方団体は、倉庫や配送拠点を設けている事業者に対しては課税権を有することが想定される一方、EC事業者に対しては課税権を有しないこととなります。
○住吉委員 EC事業者については課税権を有さない、税収は配分されないということだと思いますが。今、特にコロナ後だと、こういったインターネットでの取引というのは非常に増えていると思います。私も、自分自身、今までは、もちろん利用していましたけれども、コロナ後、本当に増えたなというふうな印象でございます。それは、私だけではなくて、これまで余り携帯、スマホとか使わなかった高齢者であったり、そういった方もかなりこういったサービスを利用するようになっておりますので、やはり考えていかなければならないのかなと思っております。
先ほどのアマゾンの例でいうと、法形式上別会社であるといっても、倉庫や配送業者によっては取扱貨物のほぼ一〇〇%がアマゾン関連というところも多く、それは実質的に見るとアマゾンの一部として、同一視できるのではないでしょうか。
また、地方の倉庫、配送業者の従業員が働き、地方の倉庫、車両や道路を使用するというように、負担は地方が負うのに、税収はその本社のある東京とかというのでは、応益性の原則に反すると思います。
そうであるならば、形式的な判断ではなく、事業活動の実質を見て、そのEC事業全体と、倉庫、配送事業者、自治体の行政サービスとの間に受益と負担の関係が観念されると考えて、税収が配分されるよう分割基準を見直すべきだと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
○池田政府参考人 近年、経済社会構造の変化に伴いまして、インターネット取引が増加するとともに、AIやICTを活用した無人の店舗や倉庫、工場等も事業活動における重要な拠点となっていることが指摘されております。
こうしたインターネット取引の拡大や大都市部への企業の本店等の集中などを背景といたしまして、大都市部では企業の事業活動の実態以上に税収が集中しているとの課題が、これは以前より指摘されておりました。
こうしたインターネット取引の増大でありますとか経済社会構造の変化への対応、これにつきましては、地方法人課税の課税権の在り方そのものに関わる課題でございまして、分割基準の見直しのみによって対応することが困難でありましたことから、令和元年度の税制改正におきまして特別法人事業税・譲与税制度を創設したところでございます。具体的には、法人事業税の一部を分離し特別法人事業税として、一旦国の特別会計にプールした上で人口を基準として各都道府県に譲与税として譲与するものでございます。
今後とも、経済社会構造の変化等を踏まえつつ、税源の偏在性の小さい地方税体系の構築に向けて取り組んでまいります。
○住吉委員 いろいろ、るる対策はされていると認識はしております。
また、この課題というのは国際的にも問題になっております。
二〇二一年十月八日、OECDは、百四十のBEPS包摂的枠組みメンバーのうち百三十六の国と地域が二つの柱について合意し、同解決策はOECD及びG20の全加盟国から支持されることになりました。
この中の第一の柱は、最大規模の多国籍企業に関して、各国間の利益と課税権のより公平な配分を確保するものです。それにより、多国籍企業に対する課税権の一部を、その企業が本拠地を置いている国から、物理的拠点の有無にかかわらず多国籍企業が事業活動を行い利益を得ている市場に再配分しますというような、こんな内容になっております。
先ほどのアマゾンの例でいいますと、倉庫や配送業者の存在ではなく、企業が事業活動を行い利益を得ている市場、つまり、各地方自治体が課税権を行使できる、これは日本版に落とし込むとそういう理解もできるわけですが。
国際的なこうした動きに沿って地方法人課税の分割基準も見直すべきだと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。
○池田政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の国際課税における新たな動きにつきましては、これは、国際課税の原則である、国内に物理的な恒久施設、いわゆるPEがなければ課税されない、こういう原則は維持をされておりまして、その上で、市場国に物理的拠点を置かずにビジネスを行う多国籍企業グループのうち、売上高、利益率が一定規模、水準を超えるものに限って市場国に課税権を与える、こういう仕組みづくりが現在検討を進められているものと承知しております。
したがいまして、こうした国際課税の新たな動きが我が国の地方法人課税の課税権の在り方に直ちに結びつくものとは限りませんけれども、その動向については今後とも十分注視してまいります。
いずれにいたしましても、地方法人課税における分割基準でございますが、法人の事業規模などを的確に表すことが必要でありますことから、分割基準の在り方については、経済社会構造の変化を踏まえながら、法人の申告事務の負担等も考慮しながら、不断に検討してまいります。
○住吉委員 もちろんおっしゃることは分かります。国際課税をそのままするというわけではないんですが、考え方はそういったところでございます。
先ほど赤木委員からも、東京一極集中是正、そういった話がございました。別に、何も東京に住んでいる人を苦しめるというつもりではないんですけれども、やはり、経済活動が行われているところに対して、それに発生した税が正しく配分されるようなやり方をやっていかなければならないのではないかなというふうに思っております。
昨今、インターネットが発達して、Eコマースが、ECがほとんど、ほとんどと言うと語弊がありますけれども、かなり増えている中で、本当は地方で売買したものが全部東京に行くというのは少しやはり違和感があるのかなと。それが、額が小さければまだいいんですが、兵庫県なんかでも試算すると、三百億円ぐらいが出ていってしまっているというような試算もあって、地方からするとかなり無視できない額にもなってきていると思います。
そういった意味で、また東京一極集中是正の意味でも、この税の在り方、是正の在り方については考えていかないといけないなと思っておりますので、また引き続き議論していきたいと思います。
続きまして、ベイエリアの活性化に向けた海上交通の充実についてお尋ねしたいと思います。
私の地元兵庫県は、姫路港や神戸港といった港を有し、瀬戸内海の資源をいろいろと活用しておりますが、この海域はまだまだ活用の余地があります。例えば関西圏は、インバウンドの増大に加え、来年には大阪・関西万博の開催も控えております。いろいろ、るる御批判はありますが、更なる旅行客が今後見込まれるのではないかと期待しているところでございます。瀬戸内クルージングなども外国人観光客からすると魅力的ではないでしょうか。
そのような中、ネックとなっているのが、人の運送をする不定期航路事業における運航可能日数、これがネックとなっております。現在は、旅客定員十三名以上の旅客船で、航路に反復性、継続性がない航路不定のものに限り、原則年三日以内は届出により運航が可能となっております。特例として、インバウンド船旅振興制度で、これを三十日間まで延長できるというものでございます。
しかし、先ほど述べたとおり、大阪・関西万博が開催されると観光客の更なる増加が予想され、船旅の需要が非常に増える、これはある意味うれしい悲鳴だと思いますが、増えることが予想されます。
そこで、安全性の担保を十分に考慮した上で、この海上運送法の、人の運送をする不定期航路事業について、時限的な特例措置として、万博期間に対応した日数に延長をすることはいかがでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。
○海谷政府参考人 お答え申し上げます。
インバウンド旅客の個人旅行化の進展を踏まえまして、旅客船事業においても、新たな観光航路の開設、それから需要の変動に対応いたしました運航を柔軟に実行し、個人旅行需要を効果的に取り込む、そういう観点から、国土交通省では平成三十一年にインバウンド船旅振興制度を創設いたしました。
これはどういう制度かと申しますと、本制度は、海上運送法の規定に基づきまして、一定の航路に就航するということで、年間三日以内であれば許可を不要とし、届出による運航を許容している旅客船による運航につきまして、一定の要件を満たし、地方運輸局等の承認を得た場合であれば、年間三十日までの運航を届出によって可能とするというものでございます。
一方で、本制度の活用による運航可能日数の拡大、様々なところから御要望があるところでございますけれども、知床の遊覧船事故を受けまして、安全対策を強化するという観点から、昨年五月に海上運送法の改正がございました。これに基づきまして、公布後二年以内、つまり、来年の令和七年の春頃までに届出制度が廃止されるということになります。これで登録制度に移行される、こういう趣旨などを踏まえますと、慎重な対応を図るべきであると考えております。
その上で、登録制度の導入後におけますこの制度の在り方については現在検討を行っているところであります。旅客にとって魅力的な多様なサービスの提供を促す、こういった観点と、安全に旅客船を御利用いただく観点の双方に配意しながら、結論を得てまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、長期間に及ぶ運航は、安全をしっかりと担保する観点からも、許可を取得の上、事業を行っていただきたいというのが基本でございますが、御要望がいろいろ出るのは、許可の手続そのものにいろいろと不慣れな方等々の問題もあるかと思いますので、こういった許可の取得に向けた手続等が円滑に進むような適正な助言等を行ってまいりたいというふうに併せて考えてございます。
○小川委員長 住吉君、時間が経過していますので。
○住吉委員 もう時間ですので終わりますが、安全性の担保を十分にした上で、万博に対して新たなコンテンツということで、ちょっと御提案させていただきました。またいろいろ御相談させていただけたらと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○小川委員長 これにて住吉君の質疑は終了いたしました。
次に、櫛渕万里君。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
総理は、施政方針演説で、六月から、所得税、住民税減税によって可処分所得を下支えすると言いました。これを聞いたほとんどの人は、あと十日ほどで減税開始、現金が手に入る、そう思ったのではないでしょうか。当然です。
しかし、実際はそうではありませんよね。ほぼそのとおりになるのはサラリーマンだけです。年金を受け取っている方は、所得税は六月の支払い分から天引きですが、住民税はなぜか十月から。自営業者やフリーランスの人は、所得税で予定納税がある方は七月から、そうでない方は何と来年の確定申告のとき。住民税は六月からです。会社員でも、六月から入社の人は年末調整で処理、所得税はすぐには減税になりません。
つまり、人によって減税の始まりがまちまちであり、しかも、所得税と減税、この引かれる時期が違う場合もあるわけで、総理のいう六月からとは、とても言えないということになります。
これに加えて、減税額が少ない方には給付もある。財務大臣、国民から見て、いつどれだけ減税されるのか、給付があるのか分かりません。これではお金を使おうとは思えません。つまり、定額減税では消費は増やせないということになります。
複雑で分かりにくい上、今、自治体の職員や会社の経理担当の方に大きな負担がかかっています。通常でも忙しい時期に、今年度限りの手間のかかる事務が加わっているからですね。
我が党、れいわ新選組の地方議員や推薦議員から、それぞれの自治体の実態が届いています。
東京都渋谷区の議員からは、システム改修費、通知事業委託経費などが自治体の立替えで、その精算が来年というのは余りにひどい。豊島区の議員からは、資料二、定額減税、給付金経費として、区民への説明のためのコールセンターや広報としまの全戸配布、特別窓口などの準備のために経費が六億円以上かかる。神奈川県相模原市の議員からは、市職員の勤務実態として、土日出勤が続き、ゴールデンウィークも関係課はほぼ全員休日出勤、民間事業者も給付金にすべきだったとの意見が多数と、生々しい実態が届いており、大和市からは、この制度の最大の犠牲者は事業者、市内事業者の皆さんも説明が複雑過ぎて理解ができないといった様子で、説明会後、質問者が相次いでいたという声。福岡県春日市からは、システムも条例も今年一年だけ、変更と元に戻す手続、システムの改修など職員の負担が大き過ぎる。太宰府市からも、国の制度に振り回されて職員が疲弊しているとの嘆き。山形県の大石田町からは、差額の給付となる世帯は六月以降にならないと分からない、小さな自治体では職員も少ないと、全国の現場から悲鳴が相次いでいます。
なお、渋谷区議会の所属議員はこの事業の所管委員長でもあるんですが、自民党の議員から、定額減税の条例に賛成したけれども、制度が分からないから教えてくれという依頼まであったそうです。政権与党が進めた政策にもかかわらず、自分たちの議員でさえ理解できていないという実態なんですね。
我が党の関係議員からだけではありません。例えば全国市長会からも、これら負担について正式な文書が既に提出されていますよね。昨年十一月、その意見書にはこのように書かれています。「システム改修費や事務負担の増大に対し、適切な財政措置を講じること。」また、全国知事会からの要請書や全国町村会長が出したコメントにも同様の文言がありますから、地方自治体の総意だったわけです。
しかし、政府がその総意をきちんと受け止めなかった。だから、さっき申し上げたように現場は混乱、疲弊している、この実態が今生まれてしまっています。
苦しいのは自治体だけではありません。資料三、ある団体が税理士事務所に行った調査によると、定額減税の事務を無料で対応すると答えた事務所が四割に上ったそうです。仕事が増えるのに収入は増えない、そんな実態なんですね。ただでさえ税理士事務所は苦しいところが多く、帝国データバンクによれば、昨年の税理士事務所の廃業はおととしの二・五倍以上に上っているそうです。今年は、インボイスの押しつけに加えて、今回の事務負担が重なり、更に増えるのではないか懸念します。負担の大きさは会社の経理も同じでしょう。
大臣は、これまで国会でこうした事務負担について問われると、次のように答弁されています。今般の定額減税の実施に当たりましては、企業や自治体の皆さんに一定の事務負担をお願いすることになりますとおっしゃっているんですね。
大臣にお伺いいたします。この一定の事務負担について、具体的にどれぐらいの負担になるのか、試算、どのように出されていますか。通告しているので、数字のみでお答えください。
○鈴木国務大臣 定額減税を実施をするわけでございますが、事務負担ということについて申しますと、毎年の税制改正の対応につきましては、源泉徴収義務者を含めた納税者の皆さんに御対応をいただいております。今回の定額減税の実施に当たりましても、一定の事務負担をお願いさせていただくこととなっております。
この事務負担についてでありますが、例えば、定額減税の対象となる従業員の扶養親族の確認、月ごとの従業員別の減税額の管理などが想定されますが、事業者ごとに事務環境は様々でありますことから、金銭的負担や時間的コストなどについて定量的にお答えすることは、これは困難であるということを御理解をいただきたいと思います。したがって、数字では表せないということであります。
いずれにせよ、定額減税については、円滑な実施に向けて丁寧な対応を行ってまいります。
○櫛渕委員 事業者に対してという基準、今お答えになりましたけれども、じゃ、自治体はどうなんでしょうか。現場は休日出勤を重ねるほどの事務量に振り回され、経費が持ち出しになっているわけですから、きちんと試算を出して、数字を出すべきだと思いますよ。
総務副大臣にお伺いします。国の事業なんですから、経費は国が全額負担をする、自治体の持ち出しはないということでよろしいですね。明確にお答えください。
○馬場副大臣 定額減税に伴う自治体経費については、システム改修経費が主なものと考えられますが、これについては、毎年度の税制改正に伴うシステム改修経費について普通交付税措置を講じているほか、給付金の支給事務に関連する改修は重点支援地方交付金の活用も可能となっております。
そのうち地方交付税については、毎年度、四月、六月、九月及び十一月の四回に分けて交付され、重点支援地方交付金については、本年一月に制度を所管する内閣府に先行して実施計画の提出があった自治体に対しては、三月に、総務省に予算が移し替えられ、速やかに交付決定をしておるところであります。
今後も、制度を所管する内閣府と連携して、総務省に予算が移し替えられ次第、速やかに交付決定してまいります。
○櫛渕委員 職員の残業代や特別窓口の設置、そして通常業務や広報費の費用などを含めて、自治体の持ち出しはないということでいいのか聞いています。イエスかノーかで、一言でお答えください。どちらでしょう。
○馬場副大臣 お答えします。
定額減税に伴うシステム改修に係る負担については、自治体によってシステムが異なること、また、他の税制改正項目への対応策と一体となって改修が行われることなどから、定額減税に係る部分を取り出してどの程度負担が生じるのかを具体的に見込むことは困難でありますので、しっかりと、総務省としては、今回の定額減税の実施に当たっては、地方団体が円滑に事務を実施できるよう、政令指定都市、中核市、その他の市町村、それぞれの複数団体から意見を伺いながら、地方団体の事務負担に配慮した制度設計や執行上の工夫を行ってまいります。
○櫛渕委員 意見を伺いながらと言っていますけれども、既に意見は出ているんですよ。自治体の持ち出しはないと明言してくださいよ。なぜできないんですか。ただでさえ多くの自治体は財政が大変厳しい、そこに国の施策によって大量の事務負担が増え、支出も増えているという状況なんですよ。
所得税減税による交付金の減額についても、本来、国が全額持つべきです。事務経費も含めて国が全額を負担して当然です。この状況を放置すれば通常の住民サービスにも影響が出かねません。
一回限りの事業のために、これだけのシステム改修と事務量を自治体と企業に押しつける。これでは、減税効果よりも、むしろ無駄なコストが増え、前代未聞の愚策という批判も聞こえてきます。なぜ一律の現金給付にしなかったのか、全く理解ができません。
れいわ新選組は、昨年の秋、定額減税では効果が薄い、遅い、複雑で不公平、大きく四つの欠点があるとして、一番スピーディーでいいのは一律の現金給付であると提言をしてきました。富裕層には後から所得に課税して回収すればいいんです。
そもそも、この制度の事務負担について財務省は認識していたはずじゃありませんか。昭和五十二年の定額減税で、事業者と税務署の手間がかかり過ぎた反省があると財務省は文書でも述べていますし、この教訓が薄れた橋本内閣、二度の定額減税が行われたときも、定額減税を続けるのは愚の骨頂と、当時の総理は後に国会で答弁する羽目になりました。
それら教訓がありながら、今回なぜこんな愚策を強行したんでしょうか。単に岸田総理が支持率浮上のためにこれをやりたかっただけじゃないですか。猛省していただきたい。
そもそも、何のための制度なんでしょうか。総理は、デフレからの完全脱却のために減税すると昨年の予算委員会で述べています。しかし、現状はどうでしょう。
内閣府の最新のデータでは、実質GDP成長率は〇・五%の減少、年率でマイナス二%でした。特に個人消費は〇・七%のマイナス、四半期連続の減少ですが、これはリーマン・ショック以来ですから、いかに深刻かは分かります。個人消費が冷え込んでいるのは、物価上昇が続いて、実質賃金が二十四か月連続で下がっているからなんですね。
だったら、個人消費を増やすための特効薬は、消費税廃止あるいは最低でも消費税減税じゃないでしょうか。国民の六割は消費税減税、これを昨年から求めていますよ。
資料四を御覧ください。民間のシンクタンクでは、消費税減税のGDP押し上げ効果は定額減税の二倍という試算が出ています。今こそ消費税を最低でも減税をして、GDPを成長軌道に乗せることが重要だと考えます。
財務大臣、改めて、消費税減税、これを御決断いただけませんか。また、対象者を限定した一回限りの給付金ではなく、悪いインフレが収まるまで、季節ごとの一律現金給付、これを検討していただきたい。いかがですか。
○鈴木国務大臣 今、消費減税などにつきまして御提案がございましたが、日本経済を再生させて、そして国民生活を改善していくためには、単なる消費減税などによる財政出動ではなくて、長い間低迷を続けてきた賃金水準を引き上げることで、国民の消費を喚起し、ひいてはデフレ脱却につなげるという、根本的な改善策が必要であると政府としては考えております。
したがいまして、定額減税により思い切って可処分所得を引き上げることで、長年しみついたデフレマインドの払拭を図るとともに、賃上げに焦点を当てた政策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○櫛渕委員 消費税減税をしてくださいと求めているんですよ。裏金の見返りに法人税の減税、その原資になっているのが消費税の実態ではないですか。
しかも、今年度も過去最高の税収二十三・八兆円を記録しているのが消費税です。物価高やインボイスの影響がその押し上げ要因ですから、これは国民の苦境と悲鳴の裏返しの数字と言ってもいい。国民は消費税を取られ過ぎ、財務省は取り過ぎなんです。国民にお金を返してください。
最後に、少し細かいですが、大事なお願いをいたします。国民がこの制度についてよく分からないとき、コールセンターに電話をかけることになるんです。でも、その番号は〇五七〇で始まるナビダイヤルで、通話中はもちろん、保留中もお金を取られます。ちょっとひどくありませんか。
この点、以前、参議院の本会議で、軽減税率の相談窓口が有料なのはいかがなものかという質問があったとき、前任の麻生前財務大臣はすぐに無料にしてくれましたよ。
鈴木財務大臣、今からでも遅くありません、この定額減税のコールセンター、フリーダイヤルにしてください。役所の事情は分かりませんが、インボイスのコールセンターはフリーダイヤルなんです。定額減税もできますよね。まさか減税の問合せは有料、インボイスなど増税の質問には無料、そんなことはないですよね。財務大臣、定額減税のコールセンター、フリーダイヤルにする。いかがですか。
○小川委員長 財務大臣、時間が経過していますので、簡潔に。
○鈴木国務大臣 検討させていただきたいと思います。
○小川委員長 時間が経過しています。
○櫛渕委員 少なくとも、定額減税のコールセンター、フリーダイヤルにしてください。国民の救済、是非ともお願いをいたします。
○小川委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会