衆議院

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第4号 令和6年6月3日(月曜日)

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令和六年六月三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小川 淳也君

   理事 小林 史明君 理事 田中 英之君

   理事 中西 健治君 理事 山下 貴司君

   理事 井坂 信彦君 理事 中谷 一馬君

   理事 杉本 和巳君 理事 福重 隆浩君

      江崎 鐵磨君    遠藤 利明君

      小倉 將信君    大串 正樹君

      下村 博文君    高木  毅君

      中川 貴元君    中谷 真一君

      西野 太亮君    西村 康稔君

      野田 聖子君    萩生田光一君

      福田 達夫君    松島みどり君

      松野 博一君    三反園 訓君

      村上誠一郎君    森  英介君

      山本ともひろ君    青柳陽一郎君

      大河原まさこ君    城井  崇君

      櫻井  周君    手塚 仁雄君

      谷田川 元君    遠藤 良太君

      空本 誠喜君    佐藤 茂樹君

      庄子 賢一君    櫛渕 万里君

      たがや 亮君

    …………………………………

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         伊藤信太郎君

   国務大臣

   (行政改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   内閣府大臣政務官     土田  慎君

   会計検査院事務総局第五局長            片桐  聡君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  須藤 明夫君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      柴田 智樹君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官)  吉田 宏平君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  油布 志行君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     石原  大君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            松本 恭典君

   参考人

   (日本銀行理事)     加藤  毅君

   決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     大串 正樹君

  棚橋 泰文君     中川 貴元君

  中谷 真一君     西野 太亮君

  吉野 正芳君     松島みどり君

  櫻井  周君     城井  崇君

  浦野 靖人君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     遠藤 利明君

  中川 貴元君     棚橋 泰文君

  西野 太亮君     中谷 真一君

  松島みどり君     吉野 正芳君

  城井  崇君     櫻井  周君

  空本 誠喜君     浦野 靖人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 令和二年度一般会計歳入歳出決算

 令和二年度特別会計歳入歳出決算

 令和二年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和二年度政府関係機関決算書

 令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和三年度一般会計歳入歳出決算

 令和三年度特別会計歳入歳出決算

 令和三年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和三年度政府関係機関決算書

 令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書

 令和四年度一般会計歳入歳出決算

 令和四年度特別会計歳入歳出決算

 令和四年度国税収納金整理資金受払計算書

 令和四年度政府関係機関決算書

 令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

小川委員長 これより会議を開きます。

 令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件を議題といたします。

 これより全般的審査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として日本銀行理事加藤毅君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官須藤明夫君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長柴田智樹君、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官吉田宏平君、内閣府大臣官房長原宏彰君、内閣府政策統括官高橋謙司君、金融庁総合政策局長油布志行君、消費者庁審議官植田広信君、デジタル庁統括官楠正憲君、財務省主税局長青木孝徳君、文部科学省初等中等教育局長矢野和彦君、文部科学省研究開発局長千原由幸君、厚生労働省医政局長浅沼一成君、厚生労働省健康・生活衛生局長大坪寛子君、厚生労働省老健局長間隆一郎君、厚生労働省政策統括官鹿沼均君、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行君、経済産業省大臣官房審議官西村秀隆君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、国土交通省大臣官房公共交通政策審議官石原大君、国土交通省国土政策局長黒田昌義君、国土交通省住宅局長石坂聡君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君及び防衛装備庁技術戦略部長松本恭典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西野太亮君。

西野委員 皆様、おはようございます。

 熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。

 今日、決算行政委員会での初めての質問となります。メンバーでないにもかかわらず、質問させていただいたことを感謝申し上げたいと思いますし、準備に御協力いただいた皆さん方にも感謝申し上げたいと思います。

 初めて質問させていただきますので、衆議院規則において決算行政監視委員会というものがどういったものを所管しているのかということをまず確認させていただきました。もちろん、決算、国庫債務負担行為、さらには国有財産に関すること、そしてまた、会計検査院の検査結果に関することということが入っておりましたけれども、それに加えて、総務省の政策評価に関することということも加わっておりました。

 ですので、私の理解では、予算、決算が、適切に使われているのか、国の財産、フロー、ストックも含めて、こういったものが適切に使われているのかということのみならず、それに加えて、国の制度、さらには規制、政策そのもの、こういったものが適切なのかどうかということについても議論できる場だというふうに理解しております。

 今日もそうですけれども、今後もしこの場で議論させていただく機会があれば、そうした観点から質問させていただきたいというふうに思います。

 しかし、やはりこういった分野は、本来であれば各論が非常に面白いんだと思いますし、各論を議論するからこそ、行政を一歩でも二歩でも前に進めていく、その原動力になるんだというふうに思いますけれども、今日は初めての質問でございますので、各論ではなくて総論的な立場、オーバービューといいますか、国の取組全体を俯瞰する観点から質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、国の財産、さらには制度、規制が適切なものであるかということを確認する意味では、会計検査院、さらには総務省の行政評価という組織があるんだと思いますが、そういった部署の指摘を踏まえた上で、さらには、それ以外の観点も含めて、適切に行政改革を進めていくという組織として、従来は規制改革推進会議、さらには行政改革推進会議というものがあったというふうに認識しておりますけれども、昨年の九月に、岸田総理、そしてまた河野大臣のイニシアチブの下で、デジタル行財政改革会議というのが立ち上がったというふうに承知しております。

 今般、デジタルという言葉が加わったその意義、背景について、まず政府の方から御説明いただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 デジタル行政改革会議に関しましては、急激な人口減少社会に対応するため、利用者起点で我が国の行財政の在り方を見直して、デジタルを最大限に活用して公共サービス等の維持強化、それから地域の経済活性化を図り、社会変革の実現を目指すというもので発足したものでございます。

 以上でございます。

西野委員 ありがとうございます。

 この会議のことを初めて聞いたときに、デジタルという切り口で行財政改革を進めていくということは大変すばらしいことだというふうに思いました。

 一方で、デジタルという言葉が入ってしまったがゆえに、従来進めてきた行財政改革、デジタルとは関係が薄い行財政改革についてはちょっと後退するのではないか、後ろ向きになるのではないかというふうに思いましたけれども、実際はそうではなくて、行財政改革についても排除しない、行財政改革は進めた上で、同時にデジタルという切り口でも行財政改革を進めていくという組織だというふうに理解しておりますけれども、その理解でよろしいでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 デジタル行財政改革の基本的な考え方は、先ほど申し上げた地域を支える公共サービスに関して、システムの統一、共通化などによって現場負担を軽減すること、それから、デジタルの力も活用したサービスの質の向上、さらには、規制、制度の見直し、また、EBPMの手法も活用した予算事業の不断の見直し、こういったものを基本的な考え方として掲げているものでございます。

 委員御指摘のとおり、デジタルと結びつかない行財政改革を排除するという趣旨ではありませんで、これまでの取組について、デジタルの力も活用して、より一層進めていくというものでございます。

 以上でございます。

西野委員 ありがとうございます。

 そして、今もおっしゃっていただいたように、デジタル行財政改革の基本方針、柱が幾つかありますけれども、その一つがデジタル基盤の統一化、共通化というものだというふうに思いますが、当然ながら、デジタル行財政改革を進めるには、国においても、そして自治体においても、デジタル基盤というものを整備していく必要があると思います。

 しかし、その整備に当たって無駄な予算が発生するということがあっては本末転倒だと思います。つまり、行財政改革、無駄を排除するためにデジタル基盤を整備するにもかかわらず、その基盤整備に当たって更に無駄が発生するということは絶対避けなければいけない。国民の皆様方にも申し訳ないことになってしまいますので、避けなくちゃいけないということだと思います。

 例えば、ベンダーロックイン、最初にシステムを発注するときには、いろいろな会社が手を挙げるから、低価格で発注することができる。しかし、更新するとき、どんどん新たなシステムを追加していく場合には、最初に受注した、発注した会社しかそのシステムを更新できない、つくることができないということで、どんどんどんどん値が上がってしまうベンダーロックインの問題も指摘されております。

 さらには、国と自治体間のシステム、自治体と自治体の間のシステムを接続する場合に、それぞれのシステムの仕様が違うがゆえに膨大な予算がかかってしまう、そういった指摘もございます。

 こういったことが発生しないように政府としてどのようなことに取り組んでいるのかということも、まずは御説明いただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今まさに御指摘いただいた点を進めていくために、システムは共通化、そして政策は地方公共団体の創意工夫という最適化された行政を目指す、それと同時に、即時的なデータ取得を可能にして、例えば有事の際に状況把握の支援などを迅速に行うこと、また、コストの可視化等や調達の共同化を通じた負担軽減によって、国、地方を通じたトータルコストが最小化された行政、こういったものを目指す姿に掲げておりまして、このために、共通化すべき業務、システムの基準を定めた上で、地方公共団体と協議の上、基準に合致したシステムの共通化を進めていくものとしてございます。

 以上でございます。

西野委員 ありがとうございます。

 今、政府の方で、様々な自治体の皆さん方と意見交換をしながら、こうした取組についての基本方針を定めているというふうに伺っております。是非とも、適切な基本方針を定められるようにお願いしたいと思います。

 それから、もう一つの柱が、デジタルを活用して、低コストで効率的に社会課題を解決しよう、そして、その際、デジタルの活用を阻害している規制、さらには制度があれば、併せて見直しを進めようというものが一つ大きな柱として掲げられているというふうに承知しております。

 イメージとしては漠然と我々もつかむことができるわけでございますけれども、やはり具体的にイメージができないという方もいらっしゃると思いますので、これまでの取組、成功事例、いろいろ教えていただければと思います。

 例えば、今、ライドシェア、交通の分野もそうですし、教育の分野、介護の分野、いろいろな分野でそういった取組が進んでいるというふうに承知しておりますので、具体例を幾つか教えていただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 個別の分野の検討に関しましては、現場の方々が直面する現実の課題に向き合って解決していくこと、こういったことを進めるために、これまで合計八回、課題発掘対話と銘打ちまして、御指摘の教育、交通、介護、子育てなどの分野ごとに、現場の方々との議論の中で解決すべき課題を把握した上で、関係省庁と連携して改革の取組を進めてございます。

 具体的には、例えば教育では、学校の先生の負担を軽減して、児童生徒に寄り添った指導ができるように、いわゆるGIGA端末、そして校務のDXに向けたシステムの都道府県など広域での共同調達に向けた検討などを進めてございます。

 また、御指摘ございました交通分野におきましては、地域における移動の足の確保のため、地域の自家用車、ドライバーの活用や自動運転の事業化の加速などに取り組んでいるところでございます。

 また、介護に関しては、今後更に深刻化が予想される介護人材の不足に対応して、介護の生産性を向上するために、介護の現場におけるロボットやICTの導入を進めるための介護報酬改定等の取組を進めているところでございます。

 さらに、子育て分野におきましては、様々な支援制度、それから手続が煩雑で分かりにくく、子育て世帯の負担になっている、そういった御指摘もありますことから、プッシュ型の子育て支援の実現に向けた取組ですとか、里帰り出産などにおける情報連携の仕組みの構築など、母子保健DXを実現するための取組を進めているところでございます。

西野委員 ありがとうございました。

 各論については、各委員会、さらには、また今後、この委員会で質問する機会があれば、更に深く議論をさせていただければというふうに思います。

 そして、もう一つの柱、三つの柱のうちの最後の柱になると思いますけれども、従来の行政事業レビューについて、EBPMの考え方、さらにはデジタルを活用した見える化によって、バージョンアップしたものを進めているというふうに伺っております。

 まず、従来の行政事業レビュー、この意義について御説明いただきたいと思いますし、それに加えて、今般の新たなデジタル行財政改革によってバージョンアップした部分、これを教えていただければというふうに思います。

柴田政府参考人 お答えいたします。

 行政事業レビューは、政府の全ての予算事業を対象として、事業の内容や効果をチェックして、その結果を予算や施策の改善などに反映させる取組でございます。

 行政事業レビューにつきましては、令和五年度から取組を抜本的に見直しまして、限られた資源を有効活用し、時代の変化に機動的、柔軟に対応できる行政を実現するため、レビューシートにいわゆるEBPMの考え方を導入いたしまして、例えば短期、中期、長期のアウトカムをしっかり整理して書いていただくといったことなどを通じまして、予算編成過程でもしっかり活用するということにしております。

 また、今年度からレビューシートシステムを導入いたしまして、この九月には一般に公開を開始すべく、今準備を進めているところでございます。この中で、個々の事業の概要、KPI、支出先などのシート上の情報を全てデータベース化いたしまして、検索や分析を容易にするといったことなどを通じまして、デジタルを活用した見える化に取り組んでいるところでもございます。

 引き続き、EBPMの考え方をしっかり定着させていくという点に留意しながら取り組んでまいりたいと考えております。

西野委員 ありがとうございます。

 この行政事業レビュー、約五千の事業が対象になっておりまして、その五千の事業の中には、当然、基金も入るんだと思います。私も役所で予算の査定をさせていただいておりましたときに、基金については、大変悩み、苦労が多かったわけでございます。単年度主義の原則に反するという批判もある一方で、やはり、柔軟な予算執行をするという上では有用な面もあると思います。

 一方で、ただ使われないまま資金が積み上がっている場合、当初見込んだ政策効果が十分とは言えない場合、さらには、執行管理が適正ではない基金については、少なくとも一般論としては、しっかり見直していく必要があるというふうに考えておりますけれども、近年の基金に対する行政の考え方について教えていただければと思います。

柴田政府参考人 御指摘の基金でございますけれども、基金につきましては、昨年の十二月に行政改革推進会議で取りまとめました基金の点検、見直しの横断的な方針、これにのっとりまして、基金全体について点検、見直しを行いまして、その結果を四月のデジタル行財政改革会議に報告いたしたところでございます。

 今委員御指摘ございました、事業費の支出の状況がどうなっているか、あるいは、政策効果が十分に上がっているのか、適正な執行管理がなされているかどうか、こういった点も含めまして、今般の点検、見直しにおきましては作業を進めたところでございます。

 その結果、例えばですけれども、支出が管理費のみとなっている事業のうち事業が終了している事業、これにつきましては全て令和六年度までに廃止すること、また、全ての基金について定量的な成果目標を設定するとともに、原則として十年以内の期限を設定いたしまして、成果の検証をするサイクルを確立したこと、こういったことに取り組みました。また、さらに、事業見込みの精査等を踏まえまして、所要の金額の国庫納付を求める、こうしたこともやったところでございます。

 基金につきましては、社会経済情勢の変化や執行状況などを踏まえまして、その必要性や成果の達成状況、執行見込み等について不断に点検、見直しを行うことが必要であると考えておりまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

西野委員 ありがとうございました。

 デジタル行財政改革について、今、総論的な話をさせていただきました。

 少し毛色が違いますけれども、内閣官房、さらには内閣府の役割分担について質疑を予定しておりました。

 ホームページを見たところ、やはり組織図として、かなり複雑な組織図、内閣府も内閣官房もそうでございます。必要性は十分理解できますけれども、こういったところの組織の見直しについても、今後また議論を深めていくことができればありがたいというふうに思います。今日は割愛をさせていただきます。

 最後になりますけれども、これまでの議論を踏まえて、デジタル行財政改革の加速化に向けて、私の当選同期であります土田慎政務官から意気込みを伺えればと思います。

土田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 急激な人口減少社会に対応するために、利用者起点で我が国の行財政の在り方を見直し、そして、デジタルを最大限に活用して公共サービス等の維持強化と地域経済の活性化を図り、社会の変革を実現していくことが必要だと考えております。

 デジタル行財政改革会議が改革の司令塔としての役割をしっかりと果たして、国、地方を通じて一体的かつ強力に改革を推進することで、一人一人の可能性を引き出し、新たな価値と多様な選択肢が生まれる豊かな社会、デジタルの恩恵がどこまでも実現できる社会を目指していきたいと思います。

西野委員 ありがとうございました。

 同期ですので、いろいろ議論をさせていただきますけれども、意外とやれることは多いんですよといって、やる気満々でございましたので、引き続き取組を進めていただければと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

小川委員長 これにて西野君の質疑は終了いたしました。

 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子でございます。

 今日は全般的質疑ということで、私は、今日は、元日に発生をいたしました能登半島の地震を振り返りつつ、今後の半島防災、この教訓、知見をどう生かしていくかということを中心に、幾つか議論させていただきたいと思います。

 今朝も奥能登を震源地として大きな地震がありました。御地元の皆さんにとっては本当に不安な日々が続いていらっしゃると思います。改めてお見舞いを申し上げたいと思っておりますし、また、政府としても、全面的にお支えをしていく、そういう強いメッセージを是非発信をし続けていただきたい、そんなふうに思います。

 まず最初は、半島振興法についてお尋ねをさせていただきます。

 一九八五年に十年間の時限立法ということで半島振興法が制定されまして、以来、三回、期限の延長をして、来年の三月末で十年間の時限が切れる、こういう時期に今来ております。

 半島というのは、高齢化が進み、過疎化が進行し、条件不利地域ですから、こうした半島振興法のようなルールで、半島での暮らし、なりわい、社会経済活動、これを支えていく必要があるというふうに思っておりますが、次にもし延長するとすれば、今回の能登半島地震で露見をしております半島地域の脆弱性ということについてしっかり補完をするという仕組みを入れながら是非延長していただきたい、そんなふうに考えておりますが、政府の所見を伺いたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 能登半島を含みます半島地域、これにつきましては、三方を海に囲まれまして平地に恵まれないなど、地理的条件に不利性を抱えておりまして、特に、委員御指摘のとおり、災害時には交通や情報の途絶の危険性が高く、風水害や大規模地震に伴います津波の被害、これも懸念されるところでございます。

 今回の地震におきましては、地震の揺れや津波による被害に加えまして、山がちな半島の先という特性からきますインフラの大規模な損壊、代替ルートの少なさ、これによりますライフラインの寸断、途絶など、甚大な被害が生じているところでございます。

 改めて、半島地域におきます安全、安心な暮らしを実現するため、防災機能を強化するための交通基盤整備、生活環境の整備に加えまして、半島地域の強みを生かした産業振興、これについての必要性を認識しているところでございます。

 御指摘の半島振興法につきましては、令和七年三月三十一日に法期限を迎えますけれども、これまでの制定、改正につきましては、議員立法により措置されてきていると認識をしております。

 国土交通省といたしましても、現在、国土審議会におきまして議論を重ねているところでございます。今般の能登半島地震の被害状況を踏まえまして、半島地域の住民が安心して暮らし続けられるように、引き続き検討をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

庄子委員 是非検討いただきたいと思います。

 累次、これまでの延長の中で補完的な事業を増やしてきていただいておりますが、地元の市町村からは、例えば半島振興道路事業債のような起債が打てるけれども、市町村の負担も大きくて、なかなかこれを使い切れていないという声もいただいておりますので、是非、中身のある見直しをお願いをしたいと思っています。

 もう一点は、今回の能登半島地震だけではなくて、過去の大きな災害時もそうなんですけれども、被災された皆様がどこに避難をしていらっしゃるか、その所在がつかめないというのが今も課題でございます。

 石川県も今、LINEの登録など、独自に工夫をしながら、被災された皆様の掌握に努めていただいてはおりますけれども、これから復興まちづくりをやるにしても、いわゆる被災者の方々の意向調査ができない、あるいは行政の情報が届かない、こういう不具合が出ておりまして、これは早急に是正をしていかなければいけない課題だというふうに思っておりますが、現時点で、能登半島地震で被災された方と連絡がつかないでいる、そうした被災者の数、人数というのはどのぐらいになるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 今般の能登半島地震では、多くの方々が広域的に避難をされたこと等から、石川県が被災者データベースを構築し、避難先や被害の状況等について一元的に集約するなど、効率的な被災者支援に取り組んでいると承知をしております。

 具体的には、各避難所の避難者名簿や個別訪問で把握した情報に加え、LINEやコールセンターによる情報登録窓口に登録された情報等も活用し、被災者の方々の状況把握が進められているところでございます。

 被災者データベース上では、五月二十日時点で十万一千八百一人が登録されており、六市町人口の約八一・六%に当たる数が登録されているというような状況でございます。

庄子委員 ということは、一九%程度は登録をしていないというのは、つまり所在がつかめていないという理解をさせていただきましたが、今後、今申し上げた復興まちづくりを進めるに当たっては、住民の皆様の意向調査が必要です。これは、誰一人取り残すことがないように復興を遂げていくために、今後、まだ未掌握の部分についてどのように取り組んでいくか、伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 被災者の一層の状況把握を進めるため、石川県では、LINEやコールセンターを活用した被災者からの情報登録を県のホームページや公式LINEアカウントで引き続き広報をいたしますほか、全国の地方公共団体に対しまして広域避難者の支援に係る情報連携を依頼されたり、また、六市町全住民を対象に支給される県の義援金の申請手続情報を活用するなど、工夫して状況把握に取り組んでいるところでございます。

 また、内閣府といたしましても、広域避難等により被災市町村以外の市町村が被災者を受け入れている場合には、受入れ側の市町村等が支援情報を記録し、被災市町村と情報連携をすることが重要であることを全国の自治体に通知するなど、石川県の取組を支援してきているところでございます。

 引き続き、石川県とも連携し、状況把握を含め、被災者の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

庄子委員 国だけではできません。県、市町村と連携をしながらです。しかし、二万人前後の方とまだ連携が取れていない、こういう状況ですので、少しでも早く、工夫をし、研究をし、全員の皆様の所在の確認に努めていただきたいというふうに思います。

 それから、半島振興法で指定を受けている半島地域の市町村数というのは百九十四の市町村になるんですけれども、この百九十四の自治体の皆様から異口同音に強く要望としていただいているのは、足の確保という課題でございます。

 移動手段の条件不利地域ですので、コミュニティーバス、自家用有償旅客運送、福祉輸送、スクールバス、こうしたものを複合的に推進することが重要だというふうに要望をいただいておりまして、リ・デザイン会議の議論にも注目をしてまいりたいと思っておりますが、こうした自治体からの要望の多い事業についての政府の支援の考え方について伺います。

石原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、バスなどの公共交通サービスが十分に提供されていない半島地域等では、福祉輸送車両やスクールバスなど、地域にある輸送資源を最大限活用し、住民の日常生活に欠かせない移動手段を確保していく必要があります。

 こうした取組を進めていくためには、地域の様々な関係者の連携と協働が不可欠であり、国土交通省では、共創・MaaS実証プロジェクト事業を設けて支援しており、今年度は、一次公募で、半島地域を含む百六十地域の取組を採択したところでございます。

 さらに、今委員から御紹介ありました地域の公共交通リ・デザイン実現会議、この取りまとめを踏まえまして、こうした取組を各地域で本格化させるため、地方公共団体の部局間連携や、大幅に制度改正された自家用有償旅客運送の活用を促進するべく、政府共通指針や分野別指針を策定、周知することとしております。

 引き続き、地域関係者の連携、協働の取組を促し、半島地域の移動手段の確保、利便性向上に努めてまいります。

庄子委員 ありがとうございます。

 移動手段の確保と同様に非常にニーズというか必要性が高いのは、住まいの支援ということになろうかと思います。

 先般、金沢大学の青木准教授と意見交換をする機会がございました。元々高齢化が進んでいた奥能登のような地域、半島部はもうどこもそうだと思いますけれども、震災の影響で一層空洞化が進む、高齢化が進展するという中で、いわゆる災害公営住宅のつくり方について、例えば、最初から、サービスを外づけではなくて、住宅の中にサービスをつけておく、例えばサ高住、サービスつき高齢者住宅のような復興公営住宅、こうしたものが有用になってくるのではないか、そうした御指摘を頂戴をしておりまして、こうした住まいの支援の形態というのは今後の検討課題に十分なるのではないかなというふうに思っておりまして、政府の所感を伺っておきたいと思います。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 能登半島地震の被災者の住まいを確保するため、災害公営住宅の整備を進めるに当たりましては、能登半島地震において、被災地域は高齢化率が高く、災害公営住宅に入居される方も高齢の方が多くなる可能性があることを踏まえた検討を行うことが極めて重要であると考えているところでございます。

 過去の災害におきましては、災害公営住宅の整備に当たり、併設施設に生活援助員が常駐し見守りなどを行う事例、住宅内に共同の食堂を整備し、一緒に昼食を取ることを通じて入居者相互の見守りを行う事例など、福祉的な視点も踏まえて整備された事例もあると承知しております。先ほど御指摘ございましたサービスつき高齢者住宅のような機能も、災害公営住宅で確保できるものと考えているところでございます。

 国土交通省におきましては、入居者の見守りや交流のための共同施設部分も含めて、災害公営住宅の整備に対する財政支援を行うこととしており、被災した市町に対して先行的な事例を紹介するなど、入居者のニーズを踏まえた整備が進むよう自治体をしっかり支援してまいります。

庄子委員 ありがとうございます。被災者支援と高齢者支援がシームレスにつながっていくように、是非市町村を支援いただきたいと思います。

 次は、文科省にお尋ねをいたします。

 地震調査研究推進本部では、海域活断層の位置、形状、そして発生する地震の規模、発生確率等の長期評価を実施をしてまいりました。九州地域北方沖、中国地域北方沖の海域活断層の評価結果によれば、三十七の断層帯のいずれかで今後三十年以内にマグニチュード七・〇以上の地震発生確率、これが八%から一三%であるということが令和四年に公表されております。

 今後、こうした地震調査研究推進本部の評価が県や自治体の被害想定の見直しにどのように生かされていくべきだということを期待していらっしゃるか、伺いたいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 地震調査研究推進本部では、地震防災対策の強化、特に、地震による被害の軽減に資するための取組の一つとして、地震の規模や一定期間内に地震が発生する確率を予測する長期評価を随時公表してまいりました。

 日本海側の海域活断層の長期評価につきましては、先生御指摘のとおり、令和四年に九州、中国地方沖の評価結果を公表しており、さらに、現在は、能登地方沖を含む海域についての評価を進めておるところでございます。

 この長期評価は、これまでも地域の防災計画や耐震対策の計画などの基礎資料として活用されてきたところであり、今後とも、防災対策に活用されるよう、長期評価の結果の公表時等に自治体に対し詳細な説明を行うなど、丁寧な情報提供に努めてまいります。

庄子委員 ありがとうございます。

 最後の質問です。

 今おっしゃったように、近畿地域沖、北陸地域沖の評価が進んでいた矢先の元旦の能登半島の地震でございまして、非常に残念な思いをいたしております。今後、新潟から東北地域、北海道地域へと断続的に長期評価が実施されていくものと思っておりますけれども、地元の都道府県や自治体の対策強化のためにも、より迅速化した調査結果の公表を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 海域活断層の長期評価につきましては、平成二十九年度から日本海側で段階的に実施してきておりましたが、本年一月一日の令和六年能登半島地震の発生を受けまして、地震本部といたしましては、海域活断層の長期評価について、速やかに防災対策にも利活用できるよう、公表可能な結果から早期に公表していくことといたしました。

 具体的には、検討に時間を要する地震の発生確率の評価結果を持たず、まず、能登半島沖を含む海域の活断層の位置、形状や、そこで発生する地震の規模の評価を行い、その結果を今年夏頃までに公表する予定でございます。

 できるだけ速やかに地域の防災対策に利活用できるよう、順次、評価を進め、公表可能な結果から早期に発表すべく努めてまいります。

庄子委員 終わります。

 ありがとうございました。

小川委員長 これにて庄子君の質疑は終了いたしました。

 次に、大河原まさこ君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原まさこです。

 本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今日は、国としての対策が非常に遅れている化学物質過敏症の問題を取り上げたいと思います。

 私が化学物質過敏症について初めて知ったのは、都議会議員時代にいただいた、筆圧も弱々しい鉛筆書きの一枚のおはがきでした。その方は化学物質過敏症で、ボールペンやサインペンも使うことができず、出かけることも、電話もかけられないとのことでした。それ以降、私は、生活空間にあふれる化学物質とその影響に対して注目し、この問題に取り組んでまいりました。東京都に対しても、有害化学物質子供ガイドラインにこれらの提案を結実させております。

 それでは、当初予定しておりました質問を一部割愛し、また、一部はまとめて質問をさせていただきますので、御承知おきください。

 まず、香害については、随分社会的にも知られるようになりましたが、国の基本方針がはっきり定まっておりません。患者の皆様から様々なお声を聞かせていただき、私はこれまでも度々この香害について質問してきました。また、香害をなくす連絡会の皆さんとは、各省庁の御担当の方たちとの意見交換の場を何度か持たせていただきました。そうした場の御意見も踏まえて、本日は質問してまいります。

 まずは、三年前に私が衆議院予算委員会分科会で質問したことを、もう一度文部科学省に確認、お尋ねいたします。

 そのときの質問は、学校での化学物質の測定の際、学校環境衛生基準では、生徒がいない教室での測定となっておりました。それでは実態とは合わない、不十分であるとの指摘をいたしまして、その後の改定に期待をしたわけですが、文部科学省は、その後、測定方法を変更になられたでしょうか、まずお答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 学校において、香料等に起因して健康不良を訴える児童生徒がいるということは承知しておりますけれども、その原因等についてはまだ十分明らかになっておらず、関係すると考えられる揮発性有機化合物についても特定されていないことから、現時点において、その物質を測定することは困難であるというふうに考えております。

 他方、各学校において、児童生徒がいる教室等に不快な刺激や臭気がないよう日常的に換気を行い、香料等に起因して健康不良を訴える児童生徒等に対しては、個々の実情に応じて個別の配慮を行うことにより学習機会を確保することが重要であると考えております。

 文部科学省としては、こうした取組が適切に行われるよう、教育委員会の担当者が集まる場において、教職員の香害に対する理解促進をお願いしているところであり、引き続き周知に努めてまいります。

大河原委員 引き続き、文科省に伺います。

 文科省が作成した「健康的な学習環境を維持管理するために 学校における化学物質による健康障害に関する参考資料」には、柔軟仕上げ剤や消臭除菌スプレーなどの香害を含めるよう改定を求めましたが、それについての変更はどうだったんでしょうか、お答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のございました資料は、シックハウス症候群やいわゆる化学物質過敏症といった空気中の化学物質などによる健康障害が課題となったことから、学校で適切な対応を実施するために国として参考となる考え方を示すことを目的として作成したものでございます。

 本資料の中でも、原因物質と考えられるものとして、消臭剤や芳香剤等の取扱いについて配慮するよう記載しているところではございますけれども、更に詳細に記載することについては、原因等についてまだ十分に明らかになっていない現時点においては困難であるというふうに考えておりまして、今後、新たな知見等が得られた場合には、改定についても検討してまいりたいと考えております。

大河原委員 結局、何も変わっていないということですよね。本当にがっかりいたしました。当時の萩生田文科大臣は、香りによって実際に体に変調を来して、まして学校に来られなくなるというようなことだとすれば、これは極めて重い課題だとおっしゃっておりました。その後、こうした子供たちのためにすぐに動くと期待される文科省が全く動いていない、その事実に驚愕いたします。

 さて、次に、大変な問題になっておりますマイクロカプセルについてお尋ねいたします。

 配付した資料を御覧ください。資料の一は髪の毛についたマイクロカプセルです。資料の二は、鼻腔、鼻の中の写真です。香りを長もちさせるマイクロカプセルが環境中に大量に飛散している、そのような現状をこれらの写真は如実に表しております。

 さらに、人体にも取り込まれているわけですから、政府はこのような現実をどのように受け止めておられるのでしょうか、御答弁ください。

土居政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、二〇二一年度から二〇二三年度までの三か年、環境研究総合推進費によりまして、研究者からの提案がありました大気中マイクロプラスチックの実態解明と健康影響評価という研究課題を採択いたしまして、研究を進めていただきました。この研究は、いわゆる香害を対象にしたものではございませんが、また、マイクロカプセルに主眼を置いたものではございませんが、一般大気環境中のマイクロプラスチックの存在状況等を把握するための研究を行ったものでございます。

 具体的に申し上げますと、大気環境中のマイクロプラスチックの分析方法に関する研究や、大気環境中におけるマイクロプラスチックの動態についてモデル解析を行ったものでございます。

 さらに、これまでの研究課題の後継研究といたしまして、同じく総合推進費の下で、大気中マイクロプラスチック、ナノプラスチックの海洋、陸域相互作用と劣化機構という研究課題を採択したところでございまして、今年度から三か年かけまして、マイクロプラスチックの発生源解析などにも取り組む予定でございます。

 環境省といたしましては、こうした研究の進捗状況を把握しつつ、大気中のマイクロプラスチックに関する知見を収集して、各省とも連携していきたいというふうに考えております。

大河原委員 プラスチック条約制定に向けた国際会議が開催されているわけです。日本は、条約制定に向けて、生産規制と消費抑制、資金や技術支援などで高い目標を掲げて存在感を示すべきだと考えます。

 そこで、質問いたします。

 プラスチックの削減対象に、最初からマイクロサイズで作られているプラスチックも対象とすべきだと思いますが、プラスチック条約でのマイクロプラスチックカプセルは交渉の中ではどのように扱われているのでしょうか、お答えください。

 それから、日本は各国の事情を鑑みると主張したそうですが、それでは余りに御都合主義のように思えます。翻って、我が国の事情とは一体何を示しているのか、御答弁ください。

土居政府参考人 まず、プラスチックによる環境汚染が国際的にも関心を集めておりますので、二〇二二年に開催されました国連環境総会におきまして、プラスチック汚染対策に関する条約の策定に向けた政府間交渉委員会の設置が決議されたことを受けまして、二〇二四年末までの条約策定を目標として、現在、委員御指摘のように、作業が進められております。

 このときの決議の中には、プラスチック汚染はマイクロプラスチックを含むとの一文が含まれておりまして、政府間交渉委員会において現在交渉中の条文案では、最初から小さなサイズのマイクロプラスチック、いわゆる意図的に添加されたマイクロプラスチックについても言及がなされております。

 なお、この交渉におきましては、条約が対象とするべき範囲や条約に位置づけるべき対策の内容につきまして、様々な選択肢が今議論の俎上に上っている状況でございまして、マイクロプラスチックに関する条文が最終的にどのような内容になるのかということにつきましては、現時点では予断を持ってお答えすることができない状況でございます。

 二つ目のお尋ねでございますが、我が国が各国の事情を、考慮を求めているということに関しましてですが、例えばですが、下水道などのインフラの整備状況が国によって異なっておりますので、プラスチック汚染やプラスチックへの暴露の度合い、対策が異なってくるということを考慮すべきだという趣旨でございます。

 我が国といたしましては、一層の資源循環の促進や、関係者との連携を含めまして、マイクロプラスチックの流出防止に向けまして国全体で取り組んでいくということとともに、プラスチックの大量消費国また排出国を含む、できるだけ多くの国が参加する実効的かつ進歩的な条約の策定を目指して、引き続き積極的に交渉をリードしてまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 プラスチックの規制に向けたプラスチック条約の策定に向け、プラスチックを大量消費、大量排出している我が国は、リーダーシップを発揮すべきであることは言うまでもありません。

 しかし、例えば、EUでは二〇二八年十月からマイクロプラスチック入り洗剤の販売禁止をするなど、先進各国は競って対策を講じています。生産規制、消費抑制など、自国のやるべきことをしっかりと考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 さて、香害は、こうしたマイクロプラスチックの拡散によって被害者が増えているわけです。ある香害の被害者の方からは、具合が悪いのに医療機関にすら行けないとの話がありました。例えば、病院内のトイレの芳香剤で具合が悪くなった、医者に精神的なものだと言われてしまった、更年期障害だとも言われたりもします。配慮が必要だと言うと、別の医療機関に行ってくれとさえ言われてしまうわけなんです。医療従事者が身に着けているものからも健康被害が起きています。

 こうした香害の被害者がケアを受けるのは当然の権利ですが、そのための配慮が必要です。香害の被害者が医療機関に行けないなどということがあってはなりません。政府は医療現場でのこうした配慮についてどうお考えなのでしょうか。厚生労働省からお答えください。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのいわゆる香害につきましては、柔軟剤等に含まれる香料によって頭痛、吐き気などの種々の症状が生じるとの声があることは承知しております。一方、香害につきましては、現時点では病因や病態、発症機序等が明らかになっているとは言えないものと承知しております。

 こうした中で、医療現場におきましては、何らかの規制を課すことなどは困難であると考えておりますが、香りへの配慮につきましては、啓発ポスターを作成しており、引き続き、その周知に努めるとともに、関連する研究等の状況について注視してまいりたいと考えております。

大河原委員 医療機関からだけでなく、訪問ヘルプサービスでも同様なんです。介護認定時に化学物質過敏症があるかどうかを認定項目に入れるべきだとの意見さえあります。

 そこで、お尋ねいたします。

 ヘルパー派遣をする場合、介護事業所側が化学物質過敏症の利用者に配慮するよう国が丁寧に指導すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 介護事業所、ホームヘルプサービスの際の配慮ということのお尋ねでございますけれども、介護事業所につきましても、先ほど医政局長の答弁の中でも触れられました啓発ポスターにつきまして、これは委員の御指摘も踏まえて昨年七月に改定したわけでございますが、これは都道府県等を通じて介護事業者等に対して周知をお願いしているところでございます。

 まず、介護サービス事業者に対しては、こうした周知等を通じて香りつき製品の使用に関する理解が深まるように努めていきたい、このように考えております。

大河原委員 実際に化学物質過敏症の利用者のお宅にヘルパーが訪問する場合には、それまでそのヘルパーさんが使っていた柔軟剤や合成洗剤の使用をやめて、石けんへの切替えが必要です。こうした場合の切替え費用の負担は誰がすべきだとお考えでしょうか。これも厚労省から御答弁ください。

間政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げれば、訪問介護事業者がサービス提供に必要な備品等は、基本的には事業所が用意すべきものと考えてございます。

大河原委員 介護事業者側に何もかも負担させるというのはなかなか困難だと承知しています。介護保険における加算措置など、何らかの支援措置ができないかと考えております。

 そこで、関連五省庁の大臣にそれぞれお伺いしたいと思います。

 そもそも香害ということをどのようにお考えなのか、そして、どのような対策を取るべきとお考えか、伺います。

 本日は、御担当の関連大臣にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。どうぞ真摯な御答弁をお願いいたします。

盛山国務大臣 文部科学省でございますが、お尋ねの香害につきましては、その原因等について現段階で十分には明らかになっていないということを、先ほど来、御答弁を各担当の方からしているところでございます。

 他方で、香料等に起因して健康不良を訴える児童生徒等については、症状が多様で、訴え方にも個人差があること等から、周囲の理解や協力が得られず、学習に困難を来すケースもあることを認識しております。

 このため、文部科学省といたしましては、学校や教育委員会、保護者等が連携を図り、各学校において個々の児童生徒等の実情に応じた個別の配慮を行い、学習機会を確保することが重要であると考えており、先ほど政府参考人が申し上げたような参考資料等を活用しつつ、教職員等の理解を図り、適切な取組が実施されるよう取り組んでおります。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。

齋藤(健)国務大臣 お尋ねの香害につきまして、香りによって頭痛などの様々な症状を訴える方がおられるということは承知をいたしております。しかしながら、そのメカニズムについて未解明な部分が多いと認識しておりまして、関係省庁において科学的知見等の情報収集が今進められているところであります。

 一方、現実に香りに関する消費者の声があることを踏まえまして、経済産業省としては、関係省庁と連携して、啓発ポスターを通じた情報提供を行っています。

 事業者としても、香料成分表示などの情報提供を行っておりまして、業界団体としてもそのような取組を促していると認識しています。

 引き続き、関係省庁や業界と連携しながら、香りによる健康への影響などを注視をして対応してまいりたいと考えています。

武見国務大臣 いわゆる香害については必ずしも明確な定義があるものではないということを承知しておりますけれども、柔軟剤等の香料として使用される微量な化学物質に接することによって頭痛や目まいなどの多様な症状を訴える方々がいらっしゃるということは、しっかりと認識をしております。

 香害などの化学物質過敏症については、病態であるとかあるいは機序には不明確な部分が多くて診断基準や治療法も確立していないために、厚生労働省では、厚生労働科学研究費において、二〇一七年度から化学物質過敏症に関わる研究を行ってきており、引き続き、この病態の解明に向けた研究を行っております。

 他方で、香りでお困りの方がいらっしゃることは事実でありますから、国では、令和三年から、厚生労働省を含む五省庁連名で、香りによって困っておられる方々がいることへの理解や、香りの感じ方には個人差があることなどを周知するポスターを作成し、自治体等に配布して周知をお願いをしております。

 厚生労働省としては、病態の解明に向けた研究を行うとともに、香りへの配慮について、自治体とも協力しながら周知をしていきたい、こう考えております。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 いわゆる香害については、その病態やメカニズムについて未解明な部分が多いというふうに認識してございます。

 一方で、柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気がするという相談があることは承知してございまして、そういった方々への配慮が必要であることについて、今、関係省庁と連携して周知広報活動を進めているところでございます。

 環境省としても、引き続き、香りに関する周囲への配慮について周知してまいりたいと考えてございます。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 いわゆる香害については、病態やメカニズムに未解明な部分が多く、調査研究が続いていると認識をしてございます。

 一方、消費生活相談や消費者団体との意見交換等を通じまして、柔軟仕上げ剤等の香料によって頭痛や吐き気などの症状を訴えておられる方々がいらっしゃることはよく承知しているところであります。

 消費者庁では、関係省庁と連名でポスターを作成して啓発を行っておりまして、被害を訴えておられる方々の声も踏まえまして、「その香り 困っている人もいます」と、表現の見直しなども行ったところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、啓発にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

大河原委員 関連する五省庁のポスターには、同僚議員からもたくさんの質疑がございました。

 配慮をすることを求める啓発ポスターということなんですけれども、私は、大臣から直接、本日、関連五省庁、それぞれ御答弁をいただいておりますことは、メカニズムが分からないとか、物質が特定できないとか、そういうことでまだ放置されているこの化学物質過敏症ということで、原因が分からない、また症状も様々だというならば、政府として、しっかりと実態を調査し、そして予防原則を持って臨んでほしいということを強く主張したいと思います。

 大臣におかれては、少なくとも、無香料の洗剤を使う、柔軟仕上げ剤などは使わないように、無香料ポリシーというものをしっかりと自らお示しいただき、関連省庁職員の皆さんにもこのことを実践していただけるような、そういう行動変容を期待しております。

 本日、それぞれの大臣がお答えいただいたことにつきましては、患者の皆様にしっかりとお伝えいたします。

 そこで、改めて厚生労働大臣にお伺いいたします。

 香害の健康被害は明らかです。化学物質過敏症は、一度発症すれば、やはり微量で体調変化が起こりますので、是非、綿密な対策と、そして患者の皆さんへの支援を強化していただきたいと思いますので、健康被害を起こす原因であるということは認めるべきなのではないでしょうか。もう配慮とか、そういった啓発をしている場合ではありません。アクションを起こすべきときなんです。

 ここまでお話ししてまいりましたように、香害によって重大な健康被害を受けている人たちは少なからずおられます。配慮をするとかしないとかではなく、政府がやるべきことははっきりしているんです。啓発を超えて、しっかりと対策をする。

 そのためには、市民団体、香害をなくす連絡会が、二〇一九年から二〇二〇年に香りの被害に関する大規模アンケート調査をされております。九千人からの回答を得たものです。北海道の厚岸町教育委員会は、香害及び化学物質過敏症に関する実態調査を既に行っており、昨年十一月には報告書も出ています。また、今年九月には、新潟県立看護大学の永吉雅人先生を中心に、子供の香害及び環境過敏症に関する実態調査を行う予定と聞いております。これは、香害をなくす議員の会のメンバーがそれぞれの自治体の教育委員会に調査協力を呼びかけるそうです。

 このように、国に先んじて行われている調査を活用しつつ、国が香害被害の実態をきちんと把握すべきだと思いますが、いかがでしょうか。厚生労働省と環境省、それぞれのお立場から御答弁ください。

武見国務大臣 厚生労働省としても、こうした香害に関わる因果関係の研究調査というのは極めて重要であると認識をして、それを一貫して行ってきております。

 化学物質過敏症患者を含む四千九百九十二人の患者を対象とした横断研究も厚生労働科学研究費で行っておりますけれども、化学物質に対する反応の強さと中枢神経感作症状との関連性というのはありますが、因果関係とは言えないというのが今の実態、現状における化学分析の結論になってきております。

 しかし、これに関わる研究調査は継続してやらなければならないということで、平成二十九年度から令和一年度までは、種々の症状を呈する難治性疾患における中枢神経感作の役割の解明とそれによる患者ケアの向上というものに関わる研究、それから、令和二年度から令和四年度には、種々の症状を呈する難治性疾患における中枢神経感作の役割の解明と患者ケアの向上を目指した複数疾患領域統合多施設共同疫学研究というものも行っておりますし、令和五年から令和七年度にかけましては、種々の症状を呈する難治性疾患における中枢神経感作の役割解明とQOL向上、社会啓発を目指した領域統合多施設共同疫学研究、こういったような研究を継続して行って、こうした先生御指摘の科学的な因果関係の解明というものについては、一貫して取り組んでいるところでございます。

 その結果を踏まえて、実際にどこまでその健康被害というものが生じているのか、それをしっかりと解明していくことがまず第一だと考えているところであります。

小川委員長 環境省神ノ田大臣官房環境保健部長、時間が経過していますので簡潔に。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 香害につきましては、その病態やメカニズムが十分知見が得られていないというのが実情でございますし、また、香害が及ぶ範囲につきましては、個人の衣類等から生じる香りが広がる範囲に限定されると一般的には考えられております。

 そういう状況ではありますけれども、環境省としては、必要に応じて、化学物質の環境中の残留調査等によって状況の把握に努めてまいります。

大河原委員 香害について、化学物質過敏症について伺ってまいりましたが、やはり、残念ながら、国の対策は余りにも遅い、遅れているとしか言いようがございません。

 啓発を行う段階ではない、対策を、アクションを起こす段階だということを強く申し上げて、予防原則の徹底、実際に被害を受けている方々の支援、是非とも強力に進めていただくことを強く願いまして、今日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小川委員長 これにて大河原君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 今回、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。河野大臣、よろしくお願いいたします。

 さて、本年四月二十二日、政府による基金の点検、見直し結果が公表をされました。この間、私たち立憲民主党から、累次にわたり国会質疑などで政府基金の問題点を指摘、改善の提言も申し上げてきました。この度の政府の取組により一定の改善が図られたことは率直に評価したいと思いますが、もう一押し改善いただきたい点もあります。

 この点検、見直しについて、行政改革担当大臣に、以下、質問をいたします。

 まず、令和五年度基金シート、点検前後の資料の混同について伺います。

 政府基金の点検、見直しを受けて、各省庁において令和五年度基金シートをアップデートしたとの政府からの説明でしたが、資料そのものを比較すると、点検前と点検後の区別がつかない現状です。

 資料を御覧ください。

 実際に、衆議院調査局でも混同する事例もありました。分かりやすく点検前と点検後の資料を区別できるように、全ての資料を御修正いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 各省庁で、基金シート、点検前と点検後、しっかり項立てをしてリンクを張っていただいていますから、混同することはないと思います。

城井委員 それを打ち出して印刷した後に混同する事例があったということで、御指摘を申し上げています。

 ただでさえ、二百もある基金事業であります。分かりやすい資料は、政府基金の透明化、見える化を図る入口となると考えます。是非、リンクを張っているからということではなくて、資料実物の混同も防いでいただきたいということ、分かりやすい資料作成と発信をお願いしたいと思います。

 次に、定量的な目標の検証について伺います。

 定量的な目標を全ての基金事業で記載するようにしたことは一歩前進だと評価をいたします。一方、書かれた内容が目標として適切か、第三者からのチェックや検証が必要と考えます。

 定量的な目標は、誰がどのようにその適正性をチェックしますか。定量的な目標に問題があった場合にはどのように対応するか、大臣からお答えください。

河野国務大臣 令和六年度から、基金も、シートではなく基金システムに入力をしてもらって、今年の九月には公表ができるようになると思います。

 まずは各省庁でしっかり基金の見直しをしていただいて、九月をめどに公表したものを、今度は行革でしっかり見ていくことになると思います。

 また公表いたしますので、臨時国会があれば、臨時国会で皆様からしっかり突っ込んで各省庁に質問をしていただくということもできるわけでございますので、そこは各省庁が責任を持って、九月の公表までに必要な見直しをしてくれるものと思っております。足らなければ、是非、皆様の方からしっかりと突っ込んでいただきたいと思います。

城井委員 まずは各省庁、そして九月には行革の部局で、国会にもお願いしたい、こういう話かと思います。

 ポイントは、各省庁の自己満足にしかならないようなお手盛りの目標ということにならないように、しっかりと当事者の自覚をいただきたいですし、また、当事者と異なる立場からのチェックも、是非、大臣におかれてもお願いしたいというふうに思います。

 次に、残高が国の基準を超える基金事業について伺います。

 令和五年度基金シートで基金残高が国の基準を超える、つまり、保有割合が一を超えている基金事業のうち、今回の見直しで基金返納をしない基金事業は幾つあり、保有割合が一を超えた部分の総額は幾らになりますか。

 保有割合が一を超えていても、超えた部分を国庫返納しない基金事業は令和五年度末でも残り、令和六年度終了時でも残るとの事前の政府からの説明でした。情勢の変化で必要なものとの判断との説明もそのときに政府からあったわけでありますが、これですと、これまでの国の基準が無意味になってしまいます。なぜ国の基準に違反しているのに放置するのか、大臣からお答えください。

河野国務大臣 点検後、一を上回っている基金事業の数、機械的に集計すると二十九、二千五百九十七億円となります。そのうち、十九基金事業で一千百十一億円が、令和六年度、国庫に返納される予定になっております。残りの十の事業につきましても引き続き精査を行って、使用見込みがないものは国庫に返納されるものというふうに御理解をいただけたらと思います。

城井委員 今ほどの残り十の基金事業の精査はいつまでに行いますか。

河野国務大臣 随時やってもらうということになるかと思います。

 九月には基金システムを公表しますので、そこまでにしっかり対応ができないものは、臨時国会、行革会議、あるいは秋のレビューで恐らく議論されることになるだろうと思います。

城井委員 この点、抜かりないように行っていただきたいと思います。やはり、国庫返納しない場合、そして、しない場合に必要な基金事業が幾らかという点も含めて、しない場合にもきちんと説明をいただくということが政府の説明責任だと思いますので、この点、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、基金残高の更なる国庫返納について伺います。

 政府基金の点検、見直しでは、新規造成の基金は三年分の予算、既存の基金は十年分の予算を積んでおくという整理をされたとのことでした。そうであるならば、既存の基金についても基金残高に残すのを三年分の予算にして、当該年度で予算執行したら、次年度予算において一年分ずつ単年度予算で計上していく形を取れるのではないかと考えます。

 具体的には、令和五年度基金シートにある基金事業において、基金事業に必要な額や支出実績に照らして、三年分の予算措置に当たる金額を残して、残りの金額を国庫返納することを提案します。

 立憲民主党において、基金事業に必要な額、あるいは支出実績に照らして、政府の新ルールである予算措置三年ルール、つまり、三年分の予算措置に当たる金額を基金に残した上で、それでも残る基金残高を国庫返納する場合、幾ら国庫へ返納できるかを試算してみました。

 資料を御覧ください。

 令和三年度造成の基金について、三年分の予算措置、基金事業に必要な額を用いた場合の国庫返納額は九兆二千二百四十七億円との試算結果でした。基金に残す三年分の予算措置について、支出実績を参考に試算をすると、十兆二千九百六十億円との試算結果です。

 ただ、これは一回限りのワンショットの金額であること、また、基金事業によっては継続的な支出もあり、検証が必要なことなど、一定の注意は必要だというふうにも考えますが、これを踏まえても、相当額の国庫返納が可能と考えます。

 以上の試算を踏まえまして、まずは、令和五年度基金シートに記載がある既存の基金事業について、三年分の予算措置に当たる金額を残して、残りの金額を国庫返納しませんか、大臣。見解をお聞かせください。

河野国務大臣 今回、三年分以上の予算措置はしないということをルールとして定めましたが、三年分以上のものが残っているから、これを直ちに機械的に返納しろということにはしておりません。既に三年分を超えていれば、基金に予算措置をする必要はございませんし、常に必要な基金になっているのかどうかというのは見直しをしてまいります。

 三年分を超えているから返せといって返して、またその次に金が必要になったときには、今度は新たに国債を発行してお金を入れなきゃいけないという中で、金利の上昇局面で、金利が安いものは返させて、金利が上がっているときに国債を発行してそれを投入するというのはいかがなものかというふうに思いますので、これは将来にわたって本当に不要だったら返却をさせなきゃいけませんが、そうでなければ、機械的にやるというよりは、きちんと基金の必要性あるいは事業の正当性を常に見ていくということが大事なんだというふうに思っております。

城井委員 新たに予算づけをする場合には国債発行がという答弁でした。

 ただ、大臣、十年分でないと駄目だという理由というのは今のお話ではなかなか腹に落ちないわけですが、十年分を残さなくても、複数年度にわたる事業執行がきちんと見積もれるならば、基金自体が存在することで、事業に関わる方々も、事業の予見性、会社でしたら経営の予見性も確保できるんじゃないかというふうに考えるわけです。十年分とした合理的な理由があるならば御説明いただきたいんですが、お願いできますか。

河野国務大臣 済みません、ちょっとその十年分という意味がよく分からないんですけれども、最大限三年分が基金に積まれているときには予算措置をしないというのが今度のルールでございます。

城井委員 私が今伺ったのは、既存の基金に積んである残高を十年分に絞るんじゃないんですか。そこは絞らないんですか。新規のものだけが対象なんですか。

河野国務大臣 ちょっと意味がよく分からなくて申し訳ないんですけれども。

 積んである基金で、既に三年分以上の基金が積んであればもう新たな予算措置はしませんよということが今度のルールになっていますから、それは新しい基金だけじゃなく、現存するものについても同様でございます。

城井委員 今の私からの質問の趣旨は、国の借金も一千兆を超える状況でもありますし、これまで、特に、例えばTPPの基金もそうでしたし、グリーンイノベーションもそういう向きがあったと思うんですが、大きな金額を積んで、そして見せ金にして政策実行を担保したみたいなことを言ってきた現状があったものですから、そこは、そういう文化はやめにすべきじゃないか、本当に必要な支出に絞っていくべきだという点で私からは申し上げました。

 今ほどの、今積んであるものがあるところについては新たな支出はしないということを担保いただけるんでしたら、それは一定前進するというふうに思いますので、そこは賛同したいというふうに思います。

 いずれにしても、複数年度の支出が念頭の基金にあっても、必要な支出に絞っていくということはしっかり徹底をいただきたいということはお願いしたいと思います。

 続いて、設置が古い基金の扱いについて確認をさせてください。

 かなり昔に設置された基金事業について、いざというときに備えるものとの従来の政府からの説明でありました。ただ、これを終了時期を明示するなどということになりますと、従来の説明に照らすと不適切なものもあるのではないかというふうに考えます。

 資料を御覧ください。

 例えば、昭和四十年代に造成された六基金についてはどのように扱うか。これは政府に聞きましたところ、性格を分けた切り分けは難しいとの説明だったんですが、終了時期を明記し、実現するという認識でよいのか、大臣の見解を確認したいと思います。

河野国務大臣 いただいた資料、昭和四十年代の基金が六個ございます。これは、どちらかというと、何か事が起きたときに、それにきちんと対応するためにお金を積んでいる、いわば保険のような性格を持っているものでございます。

 今回、そういうものは恐らく今後も必要になるだろうとは思っておりますけれども、一応、こういうものについても十年ごとに見直して、必要ならばしっかり延ばしていきますし、不要になったなということであれば、そこはそれをもって終期とするということにしたいというふうに思っております。

城井委員 その内容、性格によってということで、十年ごとの見直しにはかかるがということで確認をさせていただきました。

 次に、終了時期の記載がない基金について伺います。

 点検、見直し後も終了時期の記載がない基金事業が十一ございました。

 資料を御覧ください。

 これらをどのように扱う考えでしょうか。例外として終了時期を記載しないのであれば、大臣からそれぞれ理由を明かしていただきたいと思いますが、お願いできますか。

河野国務大臣 資料でいただいている、例えば科研費というのは、科研費をやめるということはおよそ考えられないということで、これは終期を定めておりません。

 それから、農水省分のところにつきましては、これはTPPの関連でございますので、TPPがどのような影響を及ぼすかというものを見ながら、これが必要な間はやる、TPPの影響が解消されて要らなくなったときにやめるということにしてございます。

 それから、その次の経産省の二つ、これはALPS処理水を海洋放出する際に、様々、風評被害などがあってはいかぬということで、漁業者をしっかり支援していこうということでございますので、ALPS処理水の状況を見ながら、必要な場合には続けるけれども、必要がなくなればやめるという性質のものでございます。

 環境省の石綿の健康被害の救済基金、これはまだ、石綿の回収というんでしょうか、工事現場などで石綿を除去しなければいけないということが続いておりますので、これも、およそ石綿が全て除去されて、もう必要がなくなればやめるということです。

 ここに出ているものについては当面必要であるということが分かっておりますので、それらについては、必要な状況をきっちり見極めながら、必要がなくなればそのときにやめる。必要な間は、これは金額はもちろんしっかり見ますし、事業の内容は見ていかなきゃいかぬというふうに思っておりますが、その間は今申し上げたような事情で続けていくということにしたものでございます。

城井委員 事業精査は前提でということで、それぞれに御説明いただきました。

 続きまして、民間の拠出金を含む基金の扱いについても確認したいと思います。

 民間からの拠出金を中心に構成している基金事業についての取扱いをどのようにする考えでしょうか。政府からは、区別していない、国費の適切な活用の観点で取り扱う、こういった旨の説明でございましたが、仮に基金を終了する場合に、民間拠出金の取扱いを具体的にどうするか、大臣から見解を示していただけますか。

河野国務大臣 基金の中には、委員御指摘のように、民間から出捐していただいているものが幾つかございます。これは、民間のお金と政府のお金をどのように使うかという取決めが事前に行われておりますので、必要がなくなった場合には、それぞれの管理法人と出資していただいている民間との間の取決めに従ってその分を返却する、そういうことになると思います。

城井委員 きちんと切り分けて対応するということで、確認をさせていただきました。

 続きまして、単年度国費で運営可能な基金事業について伺います。

 基金残高がなくても、単年度の国費による予算措置で運営可能な基金事業について、見直しを行いましたか。単年度国費で運営可能な事業については、基金ではなく、そもそも単年度予算で予算措置すべきだと考えますが、大臣の見解を聞かせてください。

河野国務大臣 単年度で運営できるものについては、これは基金というよりは、単年度予算の中でしっかり計上されるべきものだというふうに思います。

 先ほど申しました幾つかの、例えば石綿とか、単年度で大体これぐらい出るよねというのが分かっているかもしれないけれども、増えたり減ったりする場合もありますから、そういうものについては基金として残して、それでやってもらうという方が安心感も出るだろうというふうに思いますが、そうでないものについては、単年度でこれぐらい必要なんだというものがはっきりしている場合には、これはもう単年度予算で計上してやっていただくのが筋だと思います。

城井委員 今の点は、九月の基金システムへの入力、そして、行革のチェックでもきちんと見ていただけますか。

河野国務大臣 行革もありますし、秋のレビューでもそういうものがもし出てくれば取り上げますし、それは国会でも御審議をいただければというふうに思います。

城井委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、補正予算での基金造成について伺います。

 補正予算での基金造成について、どのように扱うか。複数年度での事業を念頭に置いている時点で、補正予算での事業に求められる緊要性の要件を満たさないものがほとんどであり、当初予算での造成検討とすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 財務省によりますと、この度の見直しにおいては、議論すらなかったとのことでした。

 複数年度にまたがる事業を基金で行う場合、補正予算でスタートする場合は、当該年度に必要な最小限の金額だけ予算計上し、次年度当初予算案において、この度の基金見直しで示された方針にのっとるならば、三年分をめどに予算計上するのが財政民主主義の観点からも適切であると考えます。

 補正予算での基金造成の見直しについて、大臣の見解を示してください。

河野国務大臣 本来、財務大臣が御答弁申し上げるべきだと思いますが、財政法が補正予算に求めている緊要性、これに合致するというものは補正予算でも当然措置されるべきでありますし、そうでないものは措置の必要がないということになろうかと思いますので、補正予算の中でそのようなものが、そう思われるようなものが仮にあるとすれば、それは臨時国会、補正予算の審議の中で活発に御審議をいただくべきものだと思います。

城井委員 我々国会からも指摘をするわけですが、その前に政府でチェックをいただきたいというのが今の趣旨であります。

 今、大臣からも言及いただきましたが、補正予算で基金を造成する場合に気をつけなきゃいけない点が三つあるというふうに、私ども立憲民主党としては思っています。

 一つは、財政法二十九条にある緊要性であります。これが示せない、複数年度にわたる支出が可能な基金の造成や積み増しは認めないということは重要だと考えます。

 二つ目には、財政民主主義。基金への予算措置の内容が把握可能な形で示されているかどうか。目標や終了時期、管理費、今日はこの点を一つ一つ大臣にも問うているわけでありますが、これが必ずしもはっきりしなかった例がこれまでもありました。ここをしっかり、はっきりさせたいこと。

 三つ目には、財政規律。必要な基金残高を超える過剰な基金の造成や積み増しになっていないものは基金造成や積み増しを認めてもいいですが、保有割合が一を超えるものは、まず余剰分は返しましょう、こうしたことをきちんとやるべきだ。補正予算の性質に鑑みて、認め難いものについては当初予算できちんと議論するということを、是非、大臣からも徹底いただきたいということをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、基金シートに記載されていなかった事業変更について伺います。

 ワクチン生産体制緊急整備基金、これは厚生労働省ですが、事業執行は既に終了したのではと私どもから指摘をいたしましたところ、事業を一年間延長したとの政府説明でした。しかし、説明いただいた際に、基金シートには記載がありませんでした。こうした基金事業の変更があっても、基金シートに記載がなければ、国民も国会もチェックすることができません。ワクチン生産体制緊急整備基金については、我々立憲民主党からの指摘の後に、事業変更の内容が基金シートに記載されたようであります。

 終了予定時期を延長している基金事業がほかにもあるか、基金シートへの記載変更の有無についても調べましたが、終了予定時期を延長していた事業が六事業ありました。

 このうち、燃料油価格激変緩和基金では、燃料油価格激変緩和対策事業、これは経済産業省の事業ですが、終了予定時期が令和六年三月だったのが令和七年三月に変更されたにもかかわらず、基金シートへの記載変更はありませんでした。こちらも当然、基金シートへの記載変更をすべきであります。

 事業変更後の基金シートへの反映の徹底について、大臣の見解を確認させてください。

河野国務大臣 今の燃料油の事業も、元々六年三月だったものが六年度末に、これは記載の変更をされていると思います。

 今後、シートではなくシステムに入力をしていただくことになりますので、恐らくシステムで検索がそういうものもかけやすくなるというふうに思いますので、委員おっしゃるように、事業の期間が変更されれば、それはなるべく速やかに反映されなければならぬというふうに思います。そこは各省庁が各省庁の責任で徹底をしていただかなければならぬと思いますし、行革会議の方でも、そういうものが散見されれば、そこはきちっと指摘をしていかなければいかぬというふうに思っております。

城井委員 今回の質問に当たって、細心の注意を払って最新の資料を確認した結果の質問ということでございます。政策変更の説明責任を果たす意味で、基金シートへの反映を徹底いただくことを改めてお願いしたいと思います。

 続きまして、事業費見込みと実績の乖離額が大きい、乖離率が大きい基金について伺います。

 事業費見込みと実績の乖離額が大きい基金や乖離率が大きい基金について、今回の点検、見直しでどのような議論をして、どのように扱うこととされたんでしょうか。

 資料を御覧ください。

 例えばということで、乖離が特に大きい乖離額上位十基金と乖離率上位二十基金について、具体的に今後の扱いをどのようにされるか、大臣からお答えいただけますか。

河野国務大臣 今回の基金の点検、見直しで事業のこれからの合理的な見込みの精査をした結果、五年度分で四千三百四十二億、六年度分で一千百二十四億を国庫へ返納するということになりました。

 物によっては、保険的なもの、これは何か起きたときに支出が増える、そうでなければ支出がそんなにないわけですから、乖離が大きい、割合が大きいから、額が大きいからというだけで問題視をするべきものではありませんが、そうではない、定常的に事業が行われているようなもので見込みと現実が著しく違うというのは、今度の九月の公表までにそれぞれの省庁でしっかり精査をしていただいて、是正をしていただくことになっております。

 九月に恐らく公表できると思いますので、我々もそれをしっかり見ますが、立法府の方でもきちんとそこは見ていただきたいというふうに思います。

城井委員 適正な形で事業執行がされているか、差があった場合でも、状況によっては必要な部分もあるということでございましたので、九月の基金システムへの入力結果も私どもは待ちたいというふうに思いますが、是非、それまでの間も対応を徹底いただきたいということをお願いしたいと思います。

 続きまして、支出が管理費のみの基金事業について伺います。

 資料を御覧ください。

 事業終了した十一事業については、令和六年度末までに廃止方針との政府説明でした。令和四年度末で管理費率が一〇〇%の基金事業は二十九あり、十八の事業が廃止対象に入っていません。これらの十八事業についても見直しが必要だと考えますが、大臣の見解をお聞かせください。

河野国務大臣 二十九のうち、二つは四年度に廃止されているはずでございます。一つは五年度に廃止をされ、十一が今回廃止ということになります。

 残されている十五につきましては、先ほどから申し上げているいわば保険的な性格を持っているものと、今回新たにスタートをするものでございますので、これはまだスタートしていないわけですから、事業費支出がありませんから管理費だけということですので、この十五については、当面、しっかり見極めていくということなんだろうというふうに思っております。

城井委員 しっかり見極めていくということでした。

 もう一点、見極めていただきたい点を提起したいと思います。

 支出が管理費のみではないものの、管理費の割合が大きいもの、管理費率が五〇%以上一〇〇%未満の基金事業が、令和四年度末現在で九つございました。これらの基金事業についても見直しが必要だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 その九つも、いわば保険的なもので支出が少なかったもの、それから、事業を開始したばかりということでございますので、今、その数字だけを見て直ちにやめるということは考えておりません。

 もちろん、これも基金事業ですから、ほかの基金と同様にしっかり見ていかなきゃいかぬというのは御指摘のとおりでございます。

小川委員長 城井君、時間が経過しています。

城井委員 国民の貴重な税金を用いる政府の基金事業であります。大臣からも今日は何度も御言及いただきましたが、不断の見直しを是非お願いしたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小川委員長 これにて城井君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、前半はロボットの問題、そして後半は消費税の問題を議論したいと思います。既に時間が押しておりますので、答弁原稿の一枚目の経緯は読み上げを省略していただいて、二枚目以降の結論のみお答えをいただければ幸いです。

 少子化による人口減少で、日本の人口は二一〇〇年に六千三百万人と半減する予想です。農業や林業の担い手も足りなくなり、過疎化が進むので、日本人は住む場所を限定して、スマートシュリンク、賢く縮む準備をしなければならないという意見も耳にします。

 しかし、真面目に将来を見通せば、二一〇〇年には町中にも田んぼにもロボットがたくさんいる社会が想像できます。工場に固定されて決まった作業を延々繰り返す工業ロボットではなくて、自分で判断して移動しながら仕事をする自律移動ロボットが七十五年後に普及していないと考える方が無理があります。

 その際に必要なのが、自律移動ロボットを前提とした国土計画であります。ロボットが移動するためにビルや町をどうするのか、自動運転のために道路をどうするのか、ロボット農林業のために農地や山林など国土をどうするのかという計画であります。

 資料の一番を御覧ください。これは、経産省が今年三月にまとめたデジタルライフライン全国総合整備計画、デジタル全総であります。

 右下、今後、十か年計画で自動化社会のためのインフラを整備するとありますが、中身は、右上にあるアーリーハーベストプロジェクトとして、ドローンと自動運転とインフラ管理のことばかりが書いてあります。

 一方で、資料の二枚目を御覧ください。同じ経産省が、自律移動ロボットアーキテクチャ設計報告書を出しています。自律移動ロボットがこれだけ多くの業務で活躍し、二〇三〇年に何%導入されて、費用対効果が何百億円という試算まで、この水色の各業務ごとに細かく出しています。

 経産大臣に伺います。デジタルライフライン全総の十か年計画では、アーリーハーベストプロジェクトだけでなく、この自律移動ロボットアーキテクチャ設計報告書の水色の全てのユースケースについて、自律移動ロボットの社会実装を計画的に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、御指摘の自律移動ロボットアーキテクチャ設計報告書は、輸送、点検、災害対応といった様々なユースケースにおけるドローン等の自律移動ロボット活用の実現に向けて必要となる具体的な取組を、これは独立行政法人情報処理推進機構のデジタルアーキテクチャ・デザインセンターが中心になって取りまとめたものであります。

 本報告書の内容をより具体化して、自律移動ロボット等の早期の社会実装につなげるため、経済産業省は、関係省庁と連携し、本年三月に、先生の一枚目のやつですね、デジタルライフライン全国総合整備計画案を取りまとめたわけであります。

 この計画案におきましては、まずは、自動運転やドローンといった特定の領域について、アーリーハーベストプロジェクトとして、二〇二四年度から先行地域において国の集中的な支援による取組を開始することを皮切りに、長期の継続支援を行い、様々なユースケースにおける社会実装を進めていくとされています。

 これらのプロジェクトにおきましては、まずは、物流、人流、点検といった事業経済性が確保可能と考えられるユースケースの社会実装に向けた集中的な取組を行っていく所存です。その上で、整備するインフラについては拡張性を持たせて、多目的、多用途で利用することを前提とした設計、これを行っていく予定であります。

 デジタル分野の激烈なる国際競争に打ちかつためには、本計画案に基づき、これらの取組をスピード感を持って進めていくことが重要であります。今後、ユースケースの更なる拡大、早期社会実装に向けた検討を進めてまいりたいと考えています。

井坂委員 今、大臣も少し御答弁いただきましたが、自律移動ロボットの普及ということを真面目に考えると、ロボットは誰のものかという議論が重要になってまいります。

 資料の三番を御覧ください。これも先ほどのロボットアーキテクチャ設計報告書の別のページでありますが、私は、自律移動ロボット、当初は国が主に所有して、国民の共有財産として整備、配置すべきだというふうに考えています。

 理由は三つありまして、一つ目は、さっきおっしゃったように、自律移動ロボット、ここに書いてあるように、複数の業務ができることであります。一つの会社で働くのではなくて、移動して複数の会社で働いたり、昼と夜で違う会社で働くことになるわけであります。その場合、一つの会社がロボットを所有して、自社が使わない時間帯にほかの会社に使ってもらう、こういう権利調整は非常に効率が悪いというふうに考えております。

 二つ目が、やはりロボットと周辺のインフラを国が同時に整備しなければいけないということであります。国がきちんとロボットを所有して、データやトラブル事例を蓄積しながら、インフラも併せて当初は改善をしていく必要があります。

 三つ目が、ロボット資本を早い段階で蓄積をする必要があると考えています。人口減少による人的資本のマイナスを上回るペースでロボット資本を蓄積できるかどうかが日本の労働力問題を左右します。ここは民間企業任せだと、初期の段階で質、量共に十分なロボットを作り出せない可能性があると考えています。

 国民が共有資産にするのか企業が保有するのか、ちょっとお聞きをしようと思っていたのですが、このペースだと最後の厚生労働大臣まで行かなそうですので、これは申し上げるにとどめて、次に行きたいというふうに思います。

 三つ目が、国土のデジタル化を踏まえた首都機能移転について伺います。

 私は以前から、スマートシティーや都市OSの議論の中で、首都機能OSをつくって既存の地方都市に首都機能を実装し、そして、次は関西、その次は九州というように、十年ごとに持ち回りで首都機能移転をすべきと提案してまいりました。首都機能が来るのに合わせて各地方が五十年、百年単位の戦略を練り、また、首都経験のあるスマートシティーが複数できることによって、日本の強靱性や持続可能性が飛躍的に高まると考えています。

 資料の四番を御覧いただきたいんですが、これは国土交通大臣に伺います。昨年七月に閣議決定された第三次の国土形成計画であります。

 この中段、水色の部分に「国土構造の基本構想」と書いてあり、その右側に赤い字で「デジタルの徹底活用による場所や時間の制約を克服した国土構造への転換」、また「東京一極集中の是正」と明記をされております。

 今や議員レクも部会ヒアリングもリモートで行われる時代であります。場所の制約を克服した首都機能の発揮は可能だと考えます。また、自律移動ロボットで首都機能に必要な労働力も柔軟に確保できる。

 大臣に伺いますが、国土形成計画にここまで書いていただいた以上、デジタルの活用による首都機能移転を検討ぐらいすべきではないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、昨年の国土形成計画です。これは、東京一極集中の弊害、例えば地方の活力喪失、巨大災害リスクといった、こういう東京一極集中の弊害に鑑み、人口減少下における地域の持続性を高めるため、目指す国土の姿として、シームレスな拠点連結型国土を掲げております。

 その上で鍵となるのは、先ほど井坂委員おっしゃった、場所や時間の制約を克服するデジタルの徹底活用です。

 この国土形成計画では、こうした観点に基づきまして、デジタルを徹底的に活用しつつ、例えば、中枢中核都市などを核とした広域圏の自立的発展、日本海側、太平洋側の両面を活用するなどの広域圏内、広域圏間の、質の高い交通やデジタルのネットワークによる連結強化を図る全国的な回廊ネットワークの形成、地方の中心都市を核とした、官民連携やデジタルの徹底活用による新たな発想からの地域生活圏の形成、地方への人の流れの創出、拡大に向けた、テレワークの活用などによる転職なき移住と二地域居住等の促進などでございます。

 首都移転については直接国土交通省として言及することは避けさせていただきますけれども、こういう形で、しっかりとした連結型国土を形成してまいりたいと思っております。

井坂委員 私は、経産省の計画も国交省の計画も大変よいと思っております。是非、これが単なる理念やお題目にならないように、社会実装を実現をお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、後半は消費税と格差是正の問題について伺います。

 財務省の「もっと知りたい税のこと」というパンフレットの一番最初に、税の役割が三つ書いてあります。一つが公共サービスのための財源調達機能、二つ目が格差や貧困をなくす再分配機能、三つ目が景気変動を小さくする経済安定化機能であります。

 ところが、日本の税制は、この二つ目の再分配機能が非常に弱いです。

 資料の五番目を御覧いただきたいと思います。これは昨年三月に出された国会図書館の論文であります。

 上の折れ線グラフは、ジニ係数の改善度、すなわち再分配機能の推移であります。税による再分配機能は、一九八一年の五%、このグレーのところですね、五%から、二〇一七年の四・八%、最新の二〇二一年は四・七%と、ずっと低迷をしております。

 一方、下の棒グラフは、再分配機能の国際比較です。日本は、社会保障の再分配機能は十分にある一方で、税の再分配機能は極めて弱く、先進国では最下位となっております。

 財務大臣に伺いますが、税によるジニ係数の改善度、すなわち税の再分配機能をせめて先進国平均まで引き上げるべきではないでしょうか。

鈴木国務大臣 我が国のジニ係数について申し上げますと、OECDの統計上、取得可能な最新データ、これは二〇一八年のものでありますが、それによりますと、井坂先生御指摘のとおり、税による改善効果、これはOECD平均を下回っておりますが、これまた御指摘のとおり、社会保障による改善効果、そして税と社会保障による効果を合計した全体の改善効果、これはいずれもOECD平均を上回っております。

 令和五年度税制改正におきまして、極めて高い所得について最低限の負担を求める措置を導入したように、政府といたしましても税による再分配機能は重要と考えておりますが、国によって税や社会保障制度が異なる中にあっては、どのような手段で再分配を実現していくかについては国によって様々であると考えられます。税による改善度あるいは社会保障による改善度をそれぞれ単体として取り出して、その高い低いを論ずるのは、必ずしも適当ではないのではないか、そのように考えます。

 令和五年六月に取りまとめられました政府税制調査会の中期答申におきましても、近年の格差をめぐる様々な状況の変化を踏まえると格差の固定化を防止するための税や社会保障を通じた再分配が重要であるとされておりまして、政府といたしましては、今後とも、税制、社会保障制度の双方を通じて適切な再分配がなされるよう、関係省庁と連携してしっかりと対応していきたいと考えております。

井坂委員 社会保障を合わせれば再分配できているからいいんだみたいな御答弁は、これは財務大臣としてはいかがなものかというふうに思います。

 なぜ日本は社会保障の再分配機能ばかり高まって税の再分配機能が弱いのかということで、次、資料の六枚目を御覧いただきたいと思います。これは日本の国民負担率と所得に占める税や社会保険料の割合の推移、財務省の資料であります。

 日本人の国民負担率は、まず、どんどん増えています。ただ、その内訳は、社会保険料それから消費税が増えているのであって、所得税は減っているわけであります。

 次に、資料七枚目、御覧いただきたい。これは大変重要な資料なんですが、上のグラフ、これは年収別の負担率の内訳を示した、分析した日本総研の論文であります。

 年収五百万未満の人は、所得税三・六%、消費税五・九%、社会保険料一一・五%です。一方、年収二千万円以上の人は、所得税一八・六%、消費税は二・八%、社会保険料八・三%です。これを見て一目瞭然なのは、所得税には再分配効果がしっかりあるが、消費税は収入が増えると負担率が半分以下という逆再分配効果を発揮しているわけであります。

 社会保険料も、給付には再分配効果がありますが、保険料にはちょっとした逆再分配効果があります。その結果が下の折れ線グラフです。年収五百万未満の人は、一九九四年から二〇一九年にかけて負担率が大きく上昇しています。一方で、年収一千万、一千五百万、二千万円、それ以上の人は、負担率が余り増えておりません。

 税と社会保険料、お金を集める方の再分配効果は、この三十年間で劣化をしています。財務省、参考人に伺いますが、日本では低所得者ほど国民負担率に占める消費税と社会保険料の割合が高い。特に消費税を増やし過ぎたことが税による再分配効果の低迷の原因になっているのではないでしょうか。

青木政府参考人 お答えします。

 消費税につきましては、負担のみを見ますと、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高いということでございますが、軽減税率制度を実施することによりまして、いわゆる逆進性の緩和が図られているところでございます。また、消費税財源が充当されます社会保障給付の受益はむしろ低所得者に相対的に手厚くなっていることに鑑みますと、そうした受益の面と合わせて評価すべきものと考えております。

 その上で、税による再分配につきましては、所得税、相続税の累進構造などを含めまして、税制全体としてそれを実現することが重要であると考えております。経済社会の構造変化などを踏まえながら、それらを適切に組み合わせていくことが大切だと思っております。

井坂委員 社会保障給付でもちろん再分配はきちんとできていると思うんですよ。ただ、やはり今日は、税の、しかも税収、課税による再分配効果の議論に絞っておりますので、それは、皆さんもパンフレットの一枚目に大事だと書いてある割には、大事なんだけれども別にそれ単体でやらなくていいんだみたいな答弁は、これはやはりおかしいというふうに思います。

 先ほどの年収別の負担率のグラフ、当初は財務省がそのような年収別のデータはないと答えておられたので、私は日本総研の資料を探してまいりました。後になって、やはりありましたと持ってきていただいたんですが、財務省の資料は年収四百万から一千二百万までの中所得の人のデータばかりで、やはりこれでは再分配効果の傾向は分からないわけであります。

 また、先ほどの資料五の上のグラフ、税によるジニ係数の改善度のグラフには、実は消費税の効果は含まれておりません。もし消費税も合わせて再分配効果を測ったら、税による再分配効果は低迷、横ばいどころか、減り続けて、私はマイナスになっている可能性もあるというふうに考えます。

 ちょっと時間がないので端的にお答えいただけたらと思うんですが、こういう幅広い所得階層別の負担率とか税目の内訳、また消費税も含めたジニ係数の改善度など、再分配効果の高い税制をデザインするための基礎的なデータを財務省は把握すべきではないでしょうか。

青木政府参考人 お答えします。

 質問のレクのときにお話をいただいて、お渡しした資料のことをおっしゃっているんだと思います。

 その資料の中では収入階級を五つに分けまして、各階級別に、実収入、消費支出、それから消費税始め間接税、それから所得税始め直接税、それぞれについて負担割合を、一定の仮定も置いております。一番上の分位、第五分位が、実収入でいいますと平均的には一千万ということで、その点をおっしゃっているんだと思います。

 私ども、税制の在り方を考えていく上で、負担能力を通じた分配機能の向上でございますとか、格差の固定化防止、こういったものは大変大事なことだと思っております。あるべき税制の具体化に向けて、包括的な検討を進めていくこととしております。

 これまでも、所得税の最高税率の引上げでございますとか、相続税についても同じような見直しをやっておりますが、今後も引き続き、様々なデータを集めて、しっかり勉強して、中身を考えてまいりたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 日本は消費税を上げ過ぎたのが税の再分配機能を失った原因ではないかという議論をしております。

 ただ、ヨーロッパは消費税率が高いのに何で税の再分配機能が高いのかという疑問が湧いてまいります。

 例えば、イギリスは、消費税の標準税率は二〇%、でも、軽減税率は五%と〇%で、実際に国民が払っている消費税の実効税率は僅か九・五%であります。フランスも、標準税率は二〇%ですが、軽減税率は一〇%と五・五%と二・一%というのがあって、消費税の実効税率は九・七%です。ドイツは、軽減税率は七%とやや高いんですが、それでも消費税の実効税率は一〇・二%であります。

 対する日本は、標準税率は一〇%、そして軽減税率は八%と高く、消費税の実効税率は九・六%であります。

 ヨーロッパの消費税率は二〇%だから日本ももっと消費税を上げていいんだという議論は私は大間違いだと思っていて、既に日本の実効税率はヨーロッパに並んでおります。

 加えて、ヨーロッパの消費税の軽減税率は対象品目が非常に幅広いんですね。日本は食品と新聞だけが軽減税率の対象ですが、ヨーロッパは、水道料金、雑誌、書籍、交通費、医薬品、医療機器、太陽光パネル、さらに、宿泊、外食サービス、映画、スポーツ観戦まで軽減税率の対象となっていて、所得の低い人は普通に暮らしている限り軽減税率しか払う必要がありません。だから、消費税だけでも再分配機能が十分に発揮をされているんだというふうに思います。

 財務大臣に伺いますが、消費税の軽減税率の対象品目を増やして、更に税率を下げるなど、消費税の再分配効果を高めるべきではないでしょうか。

鈴木国務大臣 消費税の再分配効果について御指摘をいただきました。

 再分配の改善に向けた政策対応につきましては、消費税を含む税制のみならず、社会保障制度も合わせた全体の中で議論される必要があるというのが政府の立場でございます。

 特に消費税については、その税収が格差改善効果の大きい社会保障給付の財源とされていることと合わせて評価をしていただく必要があると考えます。

 その上で、軽減税率の対象品目についてでありますが、これは平成二十八年度税制改正時における軽減税率の導入の際の議論におきまして、日々の生活の中での消費、利活用の状況、消費税の逆進性の緩和、合理的かつ明確な線引きの必要性、社会保障財源である消費税収への影響などの諸点を勘案した上で、基本的には飲食料品に限るとされているところです。

 政府としては、現状、こうした当時の判断を変更すべき事情があるとは認識をしていないところでありまして、軽減税率の対象品目の拡大については慎重に検討するべきである、そのように考えております。

井坂委員 大臣のそのお考えだと、さっきグラフで見ていただいたように、消費税の逆再分配効果、これはひどいですからね、これは全く解消されないわけであります。

 大臣に再度お伺いしますが、やはり財務省がパンフレットに自ら書かれたように、財務省の仕事は税収を確保するだけではありません、税による再分配機能を発揮し、さらに経済の安定も導かなければいけないわけであります。この三つを真面目に考えたら、それこそインボイスで零細事業者から消費税をむしり取っている場合ではないと思うんですね。

 私は、別に税収を減らせとは思わないので、税収を確保するためにも、例えば、前回の委員会で提案したように、大富豪と大企業に普通の税率をかけるとか、その代わりに消費税は減税をする、あるいは、軽減税率をヨーロッパのように生活経費全般にかけて、しかも本則税率の半分以下の五%とか三%とか、品目によってはイギリスのように〇%にすべきだ。こういう税の、ちゃんと再分配効果が発揮できる税のグランドデザインを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 先ほども申し上げたとおり、政府としても、税の再分配機能の重要性というものは認識をしているところであります。

 したがいまして、さきにも極めて高い所得のある方々の所得税の見直し等をさせていただきました。これはまだ始まっておりませんけれども、始まってから、その効果というものも十分見ていきたい、そのように考えているところであります。

 税における再分配機能、これはOECDの平均に比べると低いわけでありますが、それでも一定の機能は果たしていると認識をしております。

 税による再分配機能の重要性というもの、これはしっかりと認識をしながら、これからの税制の在り方、考えてまいりたいと思います。

井坂委員 一定の再分配機能は果たしているとおっしゃいましたけれども、あれは消費税を抜いた効果ですからね。消費税を入れたら、私はマイナスになっている可能性があると思いますので。そこまでおっしゃるんだったら、ちゃんと数字を出していただきたいというふうに思います、消費税込みの再分配効果ですね。

 最後、お待たせいたしました、厚労大臣に伺います。

 なぜ日本で消費税をここまで上げることになったかというと、所得税は現役世代ばかりが負担するので、全世代が負担する消費税を増やした方がいいんだ、こういう議論だったというふうに思います。

 しかし、私は、世代間の公平を考えるなら、亡くなった後の死後世代にも負担をいただく検討をすべきだと考えます。フランスでは、税財源で給付したお金が死後に余っていたら、一定額を控除して財源を回収する、死後回収の制度があります。税金で給付したのは、その方の老後生活を支えるためであって、遺産を増やすためではないという考え方です。

 厚労大臣に伺いますが、日本でも、基礎年金の税財源部分など、社会保障給付の死後回収を検討すべきではないでしょうか。

武見国務大臣 フランスなどでのケース、またその趣旨は理解をしておりますけれども、我が国では公費で実施しております今の全世代型社会保障の中で給付と負担という問題を考えているところであります。

 死後の財産から回収するということを検討すべきだというお話でありますけれども、やはり、今、既に財務大臣とも御議論されているように、各国との間での税及び保険の給付の在り方についての制度の違いというものが確実にございますので、そうしたことをやはりきちんと踏まえながら、死後における一定の財産を回収するべきか否かという議論もしなければならないんだろうというふうに思います。

 現時点においては、やはり、こうした国民の理解を得られるかどうかなど、支給時点での資産の確認の在り方の問題もございますので、多岐にわたる論点がありますので、これは丁寧に十分に考えていく必要があるかな、こう思います。

井坂委員 終わります。ありがとうございました。

小川委員長 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、空本誠喜でございます。

 本日は、決算行政監視委員会、質問の機会をいただきまして、皆様に感謝を申し上げます。

 本日は、半導体に関する予算につき質問をさせていただきたいと思います。

 配付資料があるんですが、配られている最中でございますので、先に質問をさせていただきます。

 財務省、そして会計検査院、防衛省、金融庁、デジタル庁、最後に経産大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、財務省に対して。

 財務省の諮問機関であります財政制度審議会、四月九日に分科会が行われております。そこで、我が国の半導体、戦略物資と位置づけながら、国内の生産強化へ巨額の費用を投じている、このことに関して、経済効果の厳密な検証が必要であるというような委員からの指摘がございます。この経済効果の検証、どのように今後行っていくのか。そして、これは巨額でございます。しっかりとした検証を行う必要があると考えますが、財務省、いかがでしょうか。

赤澤副大臣 半導体支援については、経済安全保障などの観点から先端半導体の製造基盤整備などに取り組んでおり、令和三年度以降、約三・九兆円の予算を措置してきております。

 こうした半導体支援の状況について、委員御指摘のとおり、財政制度等審議会の建議では、出資、融資等も含め、民間資金を積極的に動員することが必要であるということに加えて、個別の企業に代わり、政府、すなわち国民全体が取っているリスクの実態を明らかにするべく、継続的に投資対効果のモニタリングを行い、効果の上がらない分野への支援は見直しを行うべしといった提言をいただいたところです。

 財務省としても、半導体支援を含め、これまでの産業政策の効果などについて適切に評価、検証した上で選択と集中を図っていくことが重要と考えており、今後とも、経済産業省と議論を重ねながら、こうした建議の内容を今後の予算編成に適切に反映してまいりたいと考えております。

空本委員 配付資料の一番最後、裏側を見ていただきたいんですが、令和三年度の補正予算で七千七百四十億、令和四年で一兆三千億。これからまだまだ十兆円近いお金が半導体に投資される。私は技術者でございますので、これは行き過ぎているかなと。民間投資を入れると今副大臣はおっしゃっていただきましたけれども、民間投資がないんですね。

 後で述べますが、ラピダスに関して言えば、資本金というのが幾らか、皆さんは御存じでしょうか。七十三億です。約八社の大手企業、そして十二人の民間の個人投資家、個人の方が投資して、七十三億。資本金が七十三億の会社に対して、これから十兆円近いお金が投じられる。

 実は、萩生田先生が経産大臣のときに、予算委員会の分科会の方で令和四年の二月十七日に質問させていただきまして、萩生田大臣にしっかりと対応していただいて、本当に私はうれしく感じています。自民党の方でもラピダス議連をつくってやっていらっしゃいまして、半導体を育成しようということは、すごく私は賛成でございます。

 ただし、出し方の問題がある。ここですね、一番は。そこをもう少し、令和四年一月三十一日の予算委員会の集中審議でも、総理大臣、また経済産業大臣に対してこの辺を質問をするということでやったんですが、やはり、かなり動いてはいるんだけれども、額が巨額過ぎるということでございます。

 そして、この巨額な額に対して、会計検査院の方はこれからどのように会計検査、妥当性評価、費用対効果の検証をされるんでしょうか。いかがでしょうか。

片桐会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、委員お尋ねの半導体産業に対する支援も含めた、国等が民間企業に対して財政援助を行う各事業につきまして、財政援助を受けた民間企業にも赴いて、財務諸表等の検査上必要な資料の提供を受けるなどして検査を実施してきております。

 そして、一般論で申し上げれば、各事業について、事業が補助金等の交付の趣旨に沿って適切に実施されているか、事業がより少ない費用で実施できないか、事業の実施に際して同じ費用でより大きな成果が得られないか、事業の遂行が検査対象機関において設定された目的を達成しているかなど、様々な着眼点により検査を実施しております。

 会計検査院といたしましては、委員の御指摘も念頭に置きながら、引き続き適切に検査を行ってまいりたい、このように考えております。

空本委員 会計検査院としてはそういう立場だと思いますので、しっかりその検証をいただきたいと思うんです。

 ここで、やはり今の半導体産業は、例えば、ラピダスであれば線幅二ナノの半導体を作っていこう、TSMCであれば量産型で頑張っていこう、こういうこともいいんですが、その受け口となるものが考えづらいといいますか、どういうところに販路を求めていくのか。マーケティングというのがすごく弱い、この国の半導体産業は。

 私は東芝におりましたので、東芝の研究開発センター、RDCにおって、原子力関係の研究もさせていただきましたが、半導体の部隊の人間と、いろいろ研究を一緒に、いろいろな議論をさせていただいた経験もあります。

 そういった意味で、いろいろな技術開発、その中で、半導体をどう使っていくか、ここが一番大事であって、国内では、東芝の場合は、パソコンに使ったり、コンピューター、電気製品、いろいろなものに使っていくというので、国内でうまく回していける。

 半導体は、なかなか黒字が出ないビジネスであります。半導体単体であれば、黒字は出ません。特に、量産化すると出ない。ここをどうやってマーケティングしながら支えていくか。ならば、そこに、やはり販路といいますか、半導体をどういうふうに、どこに供給するか、そういうマーケティングが大事だと考えます。そのときに一番考えるべきは、防衛産業じゃないかなと。

 米国の場合、今、インテルに対して国防省が、RAMP―Cというプログラムがございまして、こちらに対してかなりの額の投資、また受託を行っていくというように言われています。

 我が国の防衛産業といいますか、防衛省さんの今の動き方を見ると、すごく弱いんですよね。やはり、そういうところに対して半導体をこれからどう使っていくか、そういったこともしっかり考えていただかなきゃいけないと思うんですが、こういう米国の半導体産業へのコミットメント、こういったものについて、日本でも行っていくべきじゃないかなと。

 今回、巨額の補助金を出すわけですから、それに対しての何らかのフルーツ、果実を得るために、防衛産業とか様々な産業に対して踏み出すべきではないかと思うんですが、まず、防衛産業にとってどうか、防衛省からお答えください。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、防衛装備品も多機能化、高性能化しておりまして、車両や艦艇、航空機といったあらゆる装備品において半導体が搭載されておるというところでございまして、高性能な装備品を実現する上で極めて重要な技術であると考えております。

 そのため、供給の安定性や信頼性の確保といった観点からも、先進的な半導体技術を国内で保持していくということは極めて意義があると考えております。

 防衛省としましても、これまでも、安全保障技術研究推進制度といったものを活用して、基礎的な半導体の技術に対して研究開発の投資をしてきておるところでございまして、引き続き、あらゆる装備品で信頼性の高い半導体の活用を積極的に進めていくとともに、先進的な研究開発についても、防衛省としてもしっかりコミットしていきたいと考えております。

空本委員 米国の国防省におきましては、重要なシステムに対しては、半導体チップ、インテル、こういったもの、また、インテルもIBMとかと組んで、連携しながら、開発しながら、そこに組み込んでいく。半導体産業を、向こうは国防産業だと思いますが、防衛産業としてやっていく、こういった考え方が全くこの国には抜けている。半導体の受け口といいますか、どこに売っていくか、自分たちがどうやって使っていくかということを全く考えていないと私は考えます。

 そういった意味で、防衛省、防衛装備庁、もう一度、全体、組織も改めながら考えていただきたいと思います、今の組織の在り方も含めてですね。そういったところに全くフォーカスを今回しておりませんでした。しっかりと、組織改造といいますか改編、こういったことも考えながらお願いしたいと思います。

 そして、今後、ビッグデータとかAIとかいろいろ言われておりまして、また、データセンター、こういったところで新たな半導体が使われていくということなんですが、これから使われる一番の肝となるものは何かというと、やはり生体認証、金融ビジネス、こういったところで使われていって、一番重要な人の認証、こういったものが大事じゃないかなと思うんです。

 そういった面で、金融庁さん、またデジタル庁さんとして、こういった半導体、これは技術面でございますので、デジタル庁、金融庁はこういったことになかなかコミットはできないかと思うんですが、そういったところについてもフォーカスをしていただきたいんですが、いかがでしょうか。金融庁、デジタル庁からお答えください。

油布政府参考人 私ども金融庁では、いわゆる監督指針等におきまして、非対面の取引を行う場合には、生体認証によるものを含め、固定式のID、パスワードのみに頼らない認証方式によってセキュリティーを確保すべきであるとしております。

 また、民間部門で広く使われておりますFISCの安全対策基準におきまして、例えば、生体認証の認証の精度、正確性に関する留意事項など、生体認証を活用する際に留意すべき事項が規定されておりまして、こうした留意点の明確化によりまして、金融機関にとっては生体認証技術を使いやすくなる、そういう効果があると考えております。

 金融庁といたしましては、引き続き、金融機関における生体認証技術の活用などによるセキュリティーの確保に取り組んでまいりたいと思っております。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました生体認証につきまして、デジタル庁としましては、例えば、スマホ用電子証明書を搭載したアンドロイド端末を利用してマイナポータルにログインする際等の指紋認証等において活用しているところでございます。

 また、行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン、これは、行政機関だけではなく、民間も含めて広く参照いただけるものでございますけれども、こういった中でも、認証手段の一つとして生体認証を挙げているところでございます。

 引き続き、生体認証に関する技術や精度の動向も注視しつつ、行政手続において適切な利用がなされるよう、環境を整えてまいりたいというふうに考えております。

空本委員 やはり、半導体をどうやって使っていくか、システムに組み込んでいくか、ここら辺はしっかり産業政策として経産省さんの方も考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、実は、今回、半導体はすごく盛り上がっておりますが、私は、ちょっと時期遅し、十数年遅かったなと思います。

 今お配りしている資料の一枚目を御覧いただきたいと思います。

 これは、ちょうど十二年前、平成二十四年三月六日、当時の日本商工会議所会頭の岡村正さんに私が直接お会いして、また、直接お話をさせていただいた。岡村正さんは東芝の元社長であり、社長当時、東芝のDRAMをマイクロンに売却した当時の社長であります。そして、会長も行いながら日本商工会議所の会頭をされていた。

 そのときに、ちょうど二〇一二年に何があったかといいますと、エルピーダメモリというDRAMの会社が会社更生法の手続を申請した。まさに、我が国から半導体産業が崩れていくという時期でございます。

 そのときに、まだまだ東芝は力があった。三・一一、ちょうど震災がございましたが、原発事故はありましたが、まだ力はあった。そのときに、東芝が、元々DRAMを持ちながら、また、システムを持っています。さらには、フラッシュメモリーというものを持っている。そういった形で、この危機を乗り越えるには、ポイントとなるのは東芝が一番かなと。

 次のページの資料を御覧ください。

 そのときに、経済産業省、担当の吉本豊課長にも直接お会いしてお願いした、情報通信機器課長。さらには、様々な方々に、関連する東芝の、当時の佐々木則夫社長は私の直属の上司でもございましたので、直接東芝に行って、東芝の半導体担当の役員としっかりお話をして、東芝がそのときに、DRAM、フラッシュメモリー、またロジック、こういった半導体も含めて、大再編を行いながら、例えばルネサスとか、そういったものも全部統合しながら、ファウンドリー、ファブレスという今ある構造ですね、今、TSMCがファウンドリーとなっていますが、ファウンドリー、ファブレスを今こそつくらないと、日本の半導体産業は終わりますと伝えました。

 ですから、吉本豊課長、そして、その後ちょうど荒井勝喜課長が、この間まで総理大臣の秘書官もやられていらっしゃいましたけれども、この方々、そして今総理秘書官の嶋田さん、こういった方々がトップで、実際にこういう半導体産業の育成をこの当時にやっていたならば、今みたいなことはなかった。もう遅いんですよね。

 私からお願いすることは何かといいますと、実は、半導体が崩れてきたというのは、一九八六年、九六年、半導体の日米の協定、日米半導体協定、これのときに、通産省が負けた、弱かった、妥協した。ここで半導体産業がまず崩れたんですよ。その後に、エルピーダメモリ、最後の日の丸半導体、DRAMメーカーとして立ち上げたけれども、これも、リーマン・ショック、こういったものを受けて崩れていった。

 そして、そのときに政府は動かなかった。動いていただければ、産業革新機構を中心としながら大再編を行って、メモリー、ロジック、こういったものを再編していれば、間違いなく、今は日本の半導体産業はよみがえっていたはずなんですよ。本当に私は悔しくてしようがないんですよ。当時の吉本さん、荒井さん、担当の課長だった方々が動かなかった、ここがポイントですよ。

 そこをもう一度反省しながら、じゃ、今回、ラピダス、さらにはTSMC、そして、エルピーダメモリはマイクロンという会社に、マイクロンジャパンになっていますが、マイクロンは私の自宅から車で五分のところに大工場がございます。そして、私自身、もう亡くなったマイクロンの坂本社長にもお会いして、何とか、東芝、ホワイトナイトになって立て直せないかなということを当時お話ししたこともございます。

 そういうことで考えるならば、まず、TSMCに対しては四千億も拠出していますので、これも実は足下を見られ過ぎた。半分でよかったと思います。二千億ぐらいでよかったと思う。足下を完全に見られた。プラス、先ほど赤澤副大臣の方からありましたが、民間の資金投資、なかった、少ない。国だけが出している。

 ですから、財務省さん、会計検査院さん、先ほど言いました、民間の投資をしっかりとと言うならば、そこを確実に検証していただきたいんですが、副大臣、いかがでしょうか。

赤澤副大臣 先ほどの御質問の基本的には繰り返しということだろうと思いますが、お話ししたとおり、まず、半導体支援について、経済安全保障等の観点から非常に重要だということは間違いがない。国全体あるいは国民全体にとって大いに重要な分野であり、先端半導体の製造基盤整備等に取り組まなければならないということであります。

 そういう意味で、一定の予算を当然割くことになるわけですが、先生の御指摘を踏まえて、私がちょっと思うところを申し上げれば、やはり、国民全体でどうやってリスクを取るのか。それは、税金投入、政府がやるということもあれば、民間も負担するということがあって、その中で、呼び水という言い方がいいのか、最初、なかなか民間だけでリスクを負い切れないときに、どこまで公的にリスクを分担をして進めるかというのは、国際競争の観点から、例えば、外国政府が、米国も含めて、どれぐらいの予算を割き、そして、それがGDPに占める割合はどれぐらいかといったような点も踏まえてよく検証をし、加えて、実際、おっしゃっていたように、成果が上がらない、なかなか販路開拓がうまくいかずに、いろいろ開発したんだけれども、いつまでたってもなかなか市場ができてこないというようなことであれば、その辺は当然検証していかなきゃいけないと思います。

 そういう点も含めて、効果が上がらない分野への支援は見直しを行うべきといった提言、まさに財政制度等審議会の建議でもいただいておりますので、私どもは、そういう点も踏まえながら、適切に評価、検証した上で、選択と集中を図っていくということをしていきたいと思います。その際、経済産業省と議論をしっかり重ねながら、建議の内容を今後の予算編成に適切に反映していくこととしたいと思います。

空本委員 それはしっかりお願いしたいと思います。

 また、食料安全保障も大変重要なんですよ。だけれども、食料安全保障を支える農水予算は年間二兆円なんですよ。こっちは十兆円。数年かけて入れるかもしれませんが、十兆円。農業をどうするんですか、食料安全保障をどうされるんですか。そこも含め、財務省さんは考えていただきたいし、これから農水予算が減ると聞いています。それだったら、食料安全保障、もう誰も食べるものがなくなってしまいますよ。

 そういうことも考えながら、本当にあるべき補助の仕方、国からの支援の仕方を財務省には考えていただきたいし、プラス、会計検査院の方は、本当に農業予算、食料安全保障を支えるには足りるのかどうか、こういったことを含めて考えていただきたいと思います。

 時間が余りないので、杉本理事の方からちょっといただけるということだったので延ばしていきますが、ラピダスについては、次のマーケティング、さっきの市場開拓、こういったものがなされていないと私は考えていますし、プラス、そのときに、二ナノを今求めている。TSMCとかは、また、インテルなんかは、一ナノ、一・四ナノ、二〇三〇年には一ナノ、この辺をもう狙っています。

 今投資している九千二百億、これで二ナノを終わらせて、プラス数兆円入れるのかもしれませんが、一ナノを開発するんだったら、もう少し下げてもいいんじゃないかと思います。ですから、今の九千二百億、もう出したものについては一ナノまでやらせる、そのぐらいの覚悟はどうでしょうか、大臣。

齋藤(健)国務大臣 まず、委員の半導体に関する熱い思いを伺いながら、実は私も同じような思いを持っているということをまず表明をしたいと思います。

 日本の半導体が、かつて八〇年代に世界最強だったのがなぜこうなってしまったかという要因につきましては、様々あると思っています。私も、半導体協定、八六年の後の日米交渉のポストにも就いていました。おっしゃるように、確かに、あそこで妥協を強いられたのは事実であります。その後の展開において、巨額の投資が必要になったときに日本が対応できなかったとか、様々な要因があるわけでありますが、これを答弁させていただくと二十分ぐらい必要になりますので、御質問の点に限って答弁させていただきます。

 ラピダス社は、二〇二七年の量産を目指して、現在、二ナノ世代の半導体の製造技術開発に取り組んでおります。こうした次世代半導体は、生成AIや自動運転など、日本産業全体の競争力の鍵を握るキーテクノロジーでありますし、これから需要が激増する分野でもありますので、我が国産業の未来、将来の経済成長を左右する最重要技術であるというふうに我々は考えています。

 このため、経済産業省としては、技術開発の進捗を確認しながら、これまで累計、最大九千二百億円の支援を決定しています。政府の支援が巨額だという話がありましたけれども、アメリカもEUも中国も韓国も、巨額投資を政府がやって、この分野で勝負をしていこうという国際社会の現実があるということも一方であるわけであります。

 御指摘のとおり、半導体の歴史においては、微細化によって計算性能や省エネ性能の改善が継続してきているので、このため、ラピダス社においても、二ナノ世代だけではなくて、その先の世代まで開発及び製造していく方針を発表しているところであります。

 一方で、足下では、世界でいまだ誰も実現していない、極めてチャレンジングな二ナノ世代の量産に向けた研究開発に対して国としても一歩前に出た支援を行っているところであり、まずはその実現に向けてしっかり後押しをしていきたいと考えています。

 その上で、その先の世代の開発も含めた国からの支援につきましては、私は、予算ありきではないと考えています。プロジェクトの進捗に関する外部有識者の厳しい評価も踏まえつつ、既にこれも始まっておりますが、こういった評価を踏まえながら判断していきますが、量産開始に向けては、しかるべきタイミングで民間からの追加の資金調達も行っていくことも必要だと認識をしています。

 このため、こうした点を含めて、ラピダス社に対する今後の支援の在り方につきましては、五月末に開催した半導体・デジタル産業戦略検討会議においてお示しをしています。

 いずれにせよ、官民で力を合わせて、本プロジェクトの成功に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています。

空本委員 私からお願いがございます。

 やるべきことは、一ナノ、二ナノ、こういったものを開発するのもあるんですが、逆に、半導体の消費電力を十分の一、若しくは数十分の一にする。今、例えば磁気的な、究極の磁気メモリーのMRAMとか、そういったものの開発も要る。今、そういったものが完全に抜けているんですよね。

 そういったところに本当は投資すべきであって、投資すべきところが違っているんだと私は考えますし、プラス、例えば、先ほど、各国全ていろいろな巨額投資をしている、政府が支援するということなんですが、例えばベルギーのimecなんかだった場合は、二ナノの試作ラインで、四千二百億円ぐらいで済むわけですよ。ですから、九千二百だった場合は、やはり一ナノまでやり切るぐらいの覚悟でもってやっていただかなければならないのかなと。

 プラス、これだけお金を出すならば、例えばエルピーダメモリ、私の近くの会社であって、今マイクロンでありますが、雇用を長期的に守ってもらう、このぐらいの覚悟は絶対必要でございます。そこまでしっかりお願いをしたいと思いますが、最後、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 委員御指摘のように、このラピダスも、最終的に誰が買ってくれるかというところ、非常に大きいところでありますので、その点は今もかなり進めてきていますけれども、しっかり私も見ていきたいというふうに思っています。

 その上で、このラピダスプロジェクトに関しては、千歳周辺で新しい関連企業もどんどん集積が始まっていくと思いますし、雇用や地域経済に与える影響も大きいと思っていますので、全体としていい成果が出るように取り組んでいくことは、これは当然のこととして考えていきたいと思っています。

空本委員 食料安全保障、経済安全保障、両方を両立させながら、財務省もお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

小川委員長 これにて空本君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳でございます。教育無償化を実現する会と統一会派でございます。

 二月の質疑で、財務大臣に、最後、御答弁いただかないで、うなずいていただいたということがあったので、それを言葉として改めて。

 国民というか庶民というか、それぞれの皆様の立場を考えると、ちょうど一か月後に、今は六月三日の月曜日でございますけれども、七月三日の水曜日になりますけれども、新紙幣が発行されるということで、それで、渋沢栄一さんが一万円で、津田梅子さんが五千円、北里柴三郎さんが千円ということでありますけれども、国民の皆様の心配というのは、何か、デノミになっちゃったりとか、あるいは、古いお金がもう使えなくなっちゃって、詐欺とかいろいろ最近は多いんですけれども、なけなしの金を一生懸命預金や貯金をするなり、たんす預金をしていらっしゃる方も結構いらっしゃると思うんですよね。そういう方々の、庶民の心配というんですかね、そういったものは大丈夫なんだと。

 古いお金も、まあ、昭和に入って、戦後、いっとき使えないこともあったやに記憶しておりますけれども、直近、最近に当たってはそんな心配は御無用であって、いろいろな、ラーメン屋さんが今度新紙幣切替えの機械に替えるのが大変だとか、そういう御負担も私は申し訳なく感じておりますけれども、一方で、新紙幣ということで、また経済を動かしていくということも必要だと思っていますが、大臣から改めて、今日、この点だけ御答弁いただいたら、もう財務大臣は、お忙しかったら離席いただいて構いませんので。

 新紙幣になっても旧紙幣はずっと使えるんです、皆さん大丈夫です、こういうお言葉を是非確認させていただきたいんですが、鈴木財務大臣、是非お答えをお願いいたします。

鈴木国務大臣 杉本先生の御認識のとおりでありまして、現在流通しております日本銀行券は、新しい日本銀行券の発行後も、引き続き、期限なく使用することができます。

 財務省といたしましては、こうした点について、様々な機会を通じまして、国民の皆さんにきっちりと周知をしてまいりたいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。しっかりとお言葉としていただきましたので、七月三日以降も、旧紙幣も使えるし、新紙幣もしっかりみんなで使うということで、確認をさせていただいたということでございます。

 財務大臣、もし、お忙しければ。ありがとうございました。

 それで、鈴木財務大臣の義理のお兄様に当たられる麻生副総裁が財務大臣でいらっしゃったときの、ちょうど十年ぐらい前ですね、まさしくこの部屋で私は実は質疑をしたことがあって、結構、麻生当時の財務大臣に、まずは、安倍・麻生政権で、これはレーガン・ブッシュ・アドミニストレーションと一緒で、安倍さんを支えているのは麻生さんですねみたいな話をさせていただいた中で、麻生当時財務大臣はしかと聞いてくださったんです。

 私は国債の売買の仕事とか為替の仕事をしておりましたので、国債については、恐らく、金利というものについては、買い支えというか、一生懸命買っていけば金利の水準というのは抑えられると思いますということを申し上げました。しかし、為替については、これは日本だけでコントロール不可能なので、多分コントロール不可能になりますよと十年前に実は申し上げて、麻生さんもまさしくうなずいてくださっていたと記憶しているんですけれども、残念ながら、私の問題意識は、この円安、ここ十年たって、当時幾らだったかはもう忘れてしまいましたけれども、いっとき七十九円とかになって円高になったわけですが、今は百六十円をつけて、今、百五十七円のローというような水準にあるかという認識でございます。

 私は、この円安の原因というのを追及していかないと、庶民の物価というんですか、今、物価高でニュースが盛んになっていて、六百十四品目が値上げだとか、電気代が上がる、ガス代が上がる、医療費も上がるというようなことを盛んにマスコミがお昼のワイドショー番組等、午後の番組等で言っていますけれども、その物価高の原因というのは為替であって、そして、為替が、日米金利差とよく専門家が言われるんですけれども、それは表面的にはそうなんですけれども、この間、財務省の幹部ともちょっとお話しする機会が非公式にあったんですが、やはり国力がちょっと低下しているという指摘に対しては否定はされなかったという印象がございます。

 その国力の低下は、ある意味で、人口減少とか高齢化とか、致し方ない部分もあって、これを変えていこうというのが少子化対策であるという認識で、ある意味で岸田さんは私は頑張ってくださっているというふうに思っておりますけれども、そのまた奥にある問題というのは、私は、政府の財務当局と、あるいは金融当局である日本銀行の不健全さみたいなところが、やはり非常に大きな原因ではないかなというふうに思っています。

 申し上げたとおり、金利水準はある程度コントロールできても、為替はコントロール不能だと。これを変えていくにはどうしたらいいかというと、実際のところは、長い、十年かかってこれだけ円安になったんですけれども、また十年、あるいはもっとかけて、政府も健全化していかなきゃいけないし、あるいは日銀も健全化していかなきゃいけないという問題意識をかなり持っております。

 そんなところで、今日は、日銀総裁はお忙しいということで、加藤毅理事にお運びいただいて恐縮でございますが、日銀が、直近、ニュースでも拝見していますけれども、二〇二四年の三月末で、国債保有は六百兆弱、五百八十九兆円に及んでいるということで、これを正常化していくのに、少し国債の買入れ額を、マーケットからの話ですけれども、減らしていく方向感にあるのは分かっていますが、一方で、やはりETFの問題、今は含み益が出ていて、いいじゃないですか、何が問題あるんですかというような議論になるかもしれないんですけれども、時価で今七十四兆五千億が、三末ですね、含みが三十七兆三千億ぐらいあるというニュースが出ておりました。

 このETFが、今は含みが出ている状態ですけれども、そもそも、この十年で、ETFを買って、ポートフォリオとして、日本国債もめちゃくちゃ、メタボを通り過ぎたぐらい、もう立ち上がれないぐらいの日本国債の保有にもなっているし、一方で、ETFまで買ってしまった、ほかのセントラルバンクはやっていると思われないようなことをされて、今は含みが出ているからいいじゃないかと。これを徐々に健全化していく方向が私は必要なのではないかと思っていますけれども、日銀の財務の健全性についての御認識あたりとか、あるいはETF保有の影響といったものをちょっと教えていただきたいなと思います。

 さらに、ちょっと尾ひれをつけますと、私、岸田総理とか植田総裁には機会があったときに申し上げましたけれども、政府が持っている米国債と日銀が持っている日本国債を交換して、結局、実質的にアメリカからにらまれないように政府のものを外して、そして日銀の日本国債を減らすという形で健全化に向けてやったらどうかというような提案をいたしました。

 しかし、私のマーケットの仲間たちからは、いや、日銀さんに、ETFを持っているのに更に米国債まで持たせたら、杉本、大変なことになるぞ、おまえの認識は、そこはちょっと変えろというようなことを言われたんですけれども、もしこんな点についても、お答えを用意していないかもしれないですが、あったら、ETFの保有とか、あるいは仮に米国債を持つということについてちょっと、これは事前にお伝えしていなかったかもしれないんですけれども、お答えできる範囲で、日銀の財務健全性、資産の健全性、そういった点について、ETFのことを中心に、できましたら米国債などについても、懐の中身、あるいは、もしできたら、日本国債をたくさん持ち過ぎているということに対する御認識あたりも、お立場はあると思いますけれども、マーケットに影響がないような範囲で、いいお答えをいただければありがたく存じます。お願いします。

加藤参考人 お答えいたします。

 まず、ETFにつきましてですけれども、こちらは、今先生が御指摘いただきましたとおり、含み益が結構ありますので、こちらは株価が下落しても直ちに決算上の期間損益に影響が出るという状況ではございません。また、期末時点で時価総額が我々が持っている帳簿価格の総額を下回るようなことになった場合には、その差額に対して引当金を積むというような形で財務の健全性を図るということをこれまで行ってきているところでございます。

 また、財務の健全性という観点でいいますと、ETFということにとらわれず、準備金それからその他の引き当て等についても行うことによって、かなり自己資本の充実にも努めてきているというのが今の状況でございます。

 あともう一つ、米国債のお話もいただきました。こちらについても、これはやはり、私ども、外国為替の関係のもちろん資産は別途あるわけですけれども、これはこの間もかなり変動しますので、そういう意味では、先生のおっしゃった財務の健全性の確保というのは、我々、ずっと重要だというふうに考えてきていますので、この辺りについてはいろいろ慎重に考えなきゃいけないのかなというふうには思っております。

 それから、先行きの、ETFの処分につきましては、これは総裁が何度か答弁させていただいているところでございますけれども、今すぐに行うということは考えておりませんが、処分を含めた今後の取扱いについては、やはりある程度時間をかけて、ただ、それについてはしっかりと検討していきたいというふうに考えているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 ETFの取扱いについては、また機会がありましたら何かいい提案ができれば、いい提案が当たるか外れか分かりませんけれども、機会を見て申し上げたいと思います。

 日銀理事も、お忙しければ、これで質問は終わりますので、御退席いただいて構いません。ありがとうございました。

 委員長、引き続き、恐縮です。

 それで、今日、もう一つ、メインテーマは、骨太の方針御担当の新藤大臣、国会では初めて質疑させていただきますが、総務大臣をされていたときに、本当に朝早くから仕事を熱心にされているということを、私は、御配下の方を通じて、ああ、すごいなというふうにある意味感じておりましたので、次の骨太の方針についても、新藤大臣の本質的な、すばらしい政治家としての資質を存分に発揮いただいて、私は、国民に非常に分かりやすいものに、メッセージ性を持っていただきたいし、正直で正しいものを伝えていただきたいというのが一番今日は言いたいところなんですね。

 岸田総理が少子化対策をいろいろやってくださってというのは私は感謝していますけれども、一方で、負担率、負担額、負担は増えないと言っていて負担率が増えないということで、負担額は増えるみたいなことがあって、うまく表現したいというのは分かるんだけれども、何となくそこに見え隠れしてしまう正直さみたいな部分が、やはり政府の信頼という部分を少し損ねちゃっているのではないか。

 国民の将来不安というのは、やはり政府への信頼みたいなのが非常に大きいと思うんですね。少子化あるいは結婚しないとか、そういう問題についても、そういう部分の信頼ができれば、やはり日本に生まれて育って、年を取って、本当に幸せで心配ないんだみたいな気持ちになれれば、一種、少子化対策も私は健全化していくというか、いい方向に向かっていくと思っています。

 そんな意味で、ちょっと手厳しい表現が、もう御報告が行っていると思うんですけれども、ウェッジという雑誌があって、直近の、新幹線に乗りますと売っていますけれども、その中で矢野前財務事務次官が言われていることをちょっと改めて申し上げたいんです。

 矢野さんは、成長実現ケースはバブル期のデータを取り込んだ幻想的なモデルであり、絵に描いた餅であると指摘している。同じことを私、絵に描いた餅と、お帰りになられました財務大臣にも申し上げて、そうではない、目標を頑張って、頑張っていくんだぞというようなお答えをいただきましたけれども。

 さらに、矢野氏は、それほど高い経済成長率が持続することは考えにくく、民間のシンクタンクからも嘲笑されていると。これはちょっと表現がきついんですけれども、その白昼夢を前提にプライマリーバランスを黒字化する目標年度を閣議決定しているのである、これでは、近々黒字化し、黒字幅が広がっていくのだから、少しぐらい予算を増やしてもいいのではないかという誘惑に駆られ、財務規律の弛緩を助長しかねないと。中略ですけれども、ベースラインでないものをベースにして、財政健全化目標を立てていること自体、語義矛盾、笑止だ。

 こういう言葉の表現で、申し上げたとおり、手厳しく言われています。

 冒頭申し上げたとおり、私は、新藤大臣は岸田さんを説得できる力をお持ちだ、本当に僭越ですけれども、そう認識しております。ただ、財務当局とか、いろいろ事務方はそうではないし、御配下の方々も、目標、言い回しは変えないでいきましょうというふうに言われると思うんですけれども。

 やはり、信頼回復の先駆けというか嚆矢として、総理は、施政方針演説で、言葉の使い方で、黒字化が視野に入るという表現をされて、実際上は、黒字化は視野に入るというのも、成長ケースでも黒字じゃなくて実際は赤字というようなことを、さっきの負担率の問題でもそうなんですけれども、そういう言葉遣いだったんですね。そうだとやはり、自民党の中の財務健全化の方々も、目標をしっかり持てと。私も同意見です。

 しかし、その一方で、信頼される表現で目標をしっかり持って我々は頑張っていくんだ、国全体で頑張っていくんだということを、与党も野党もなく、例えばですけれども、これは私の例えがいいかどうか分かりませんが、黒字化に近づく努力を続けますとか続けていくとか、そういった表現に改めていった方が、国民の皆様への信頼、将来不安の解消に、逆に、政府は信頼できると思っていただけるかと思うんですが、この点について、新藤大臣の、御当局からの答弁に加えて、何かいいお言葉があれば伺えればと思います。

新藤国務大臣 いろいろエールを送っていただいて、ありがとうございます。

 まず、この質問にお答えいたしますけれども、今年の一月に、中長期の経済財政に関する試算、これを出したわけでありますけれども、実質成長率が中長期的に二%程度に到達する、この成長実現ケースにおいて、これまでの歳出効率化努力の継続を行った場合に二〇二五年度のPB黒字化が視野に入る、このように我々はこの試算の中で触れているわけであります。

 これは簡単ではありません。簡単ではありませんが、ここは丁寧に国民の皆様にも説明していく必要があると思っているんですけれども、二〇二五年度の実質成長率については成長実現ケースが一・三%という試算になっているんです。直近の実績で申し上げますと、二〇二二年度は一・六%です。それから二〇二三年度が一・二%でございますが、この二〇二五年度の成長実現ケース一・三%というのは、それほど非現実的な姿ではないという、数字上のことでございますけれども、そういうのはございます。

 そして、その中で、今、日本経済は、先生御案内のように、三十三年ぶりの春闘の賃上げ、これは試算には入っていません。それから株価、これもそういった動向は想定のしようがありませんでした。投資は年率換算で百兆円を超えて、名目GDPも五百九十九兆まで来ました。こういう成長のフェーズに入っているんですけれども、それらは一昨年の秋深い段階で試算した時点では想定し得ないことでございましたから、そういったものがあって、これを本当に足腰の強い持続的なものとするためには、賃上げを定着させなければならないと。

 それは、中小企業や全国津々浦々にこの流れをどうやって反映させていくか。価格転嫁を実現させるとともに、一律の賃上げに加えて、それぞれの人々が自分で努力した結果、また、スキルを持っている方にふさわしい、そういう職務の給料を得られるジョブ型に移行していく。こういったことも含めて、労働を円滑化させながら、そして、企業の生産性を、思い切って投資しようと。投資意欲はまだまだございます。そういうものを総合的に入れながら経済成長を実現させていくんだ、しかも、素早く実現させる必要があると思います。

 その中からこのPBの黒字化というものが見えてくるわけでございまして、今後、予算、歳出のことについても、EBPMをベースにもっと合理的な予算編成ができるようにしよう、めり張りをつけながら全体の財政をきちんと維持していく。こういうものも、今回、EBPM手法を更に強化、取り入れるべきだということは、我々は今精いっぱい訴えていきたい、このように思っているわけであります。

 そういったことで、二〇二五年度のPB黒字化が視野に入ることを念頭に、努力を続けながら財政健全化を着実に進めていきたい、このように考えているわけであります。

小川委員長 杉本君、時間が経過しています。

杉本委員 もう時間ですので。

 視野に入るという言葉に、更に努力を続けるとか、そういった表現をして、正直な表現で、是非国民の信頼をかち得ていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

小川委員長 これにて杉本君の質疑は終了いたしました。

 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の潜望鏡、たがや亮です。

 今日は、消費税を軸に質問をしていきたいと思います。

 まずは、青木局長にお伺いします。今日いらっしゃっていますかね。

 四月八日の本委員会での私の質疑にて、なぜ日本は消費税減税を短期間で行えないのかという問いに対し、青木局長は、他国を例に挙げ、過去に税率を引き下げたドイツやイギリスにおいては、消費者への転嫁については、日本ほど厳格な取扱いをしていないのではないかというふうに考えておりますと答弁いたしました。

 その言いぶりだと、税率を引き下げた際のイギリスやドイツの対応が、事業者も国もいいかげんで適当だ、しかし、日本はそうじゃなく、財務省が優秀で、事業者にきちんと転嫁をさせているという主張になりますが、青木局長、この発言に問題ないでしょうか。

 そもそも、日本において消費税を下げたことがあるでしょうか。ないにもかかわらず、イギリスやドイツのようにならないと言える根拠を教えてください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツ、イギリスにおきまして過去に税率を下げた際の対応でございます。

 付加価値税率の変更の際、総額表示義務の下で、価格設定、それから価格変更のタイミングを事業者が比較的柔軟に判断しているというふうに承知しております。

 他方で、消費税の転嫁につきましては日本は厳格な対応をしているということで、これまでも、最終的な消費者に御負担をお願いする、転嫁するという考え方の下で、税率の引上げに当たっては、公共料金などを含めまして、広く適正に転嫁を行ってきたところでございます。

たがや委員 財務省答弁、四Kと私は言っていますけれども、巧妙に聞かれたことに答えず煙に巻く。相変わらずお見事です。

 そもそも、青木局長、前回の答弁冒頭で、諸外国の制度につきまして詳細に承知しているわけではございませんがと前置きしています。でたらめもいいところだと思います。

 大体、六月からの定額減税の際には給料明細に減税分を記載しろと義務づけ、従わなかったら労基法違反になるとまで官房長官が会見するほど高圧的に脅しをかけたが、現状、事業者からは様々な批判が上がっており、事業者が従うかは不明です。にもかかわらず、あたかも、財務省のつくったすばらしいシステムで、事業者が素直に従っているかのような言いぶりはどうかと思います。

 鈴木財務大臣、青木局長のこの答弁、イギリスやドイツに失礼じゃないでしょうか。答弁修正した方がよくないですか。

鈴木国務大臣 別に失礼とかいう話ではないんだと思います。

 局長が答えましたのは、日本においてはしっかりと、消費税率が決まればそれを必ず反映しなくちゃいけないということに法定上もなっているわけでありますが、他の国によっては、その辺は柔軟に対応できるということがある、これは事実でありますので、そのことを指摘しているんだと思います。

たがや委員 それは、財務省の言い分はそうなると思うんですけれども、実際に、日本で消費税を引き下げたことがないわけですから。

 では、そこまでおっしゃるなら、複数税率をやめて、一旦八%の減税に合わせたら、八%で、減税してみたらどうでしょう。試してみたらどうでしょうか。インボイスも、煩わしいものも要らなくなりますし、単一税率で。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税は全世代型社会保障の貴重な財源として位置づけられておりますので、その引下げについては適当ではないというふうに考えております。

たがや委員 毎回の答弁ですよね。

 要は、社会保障四経費に使うと毎回言われますけれども、お金に色はついていませんし、だったら消費税は特別会計にするべきじゃないでしょうか。

 時間もないですから、次に進みます。これは改めてまた質問していきたいと思います。

 あたかも諸外国は税制がいいかげんで適正ではない、友好国にそう取られかねない表現ですから、国際問題に発展しないよう、しっかり指導し、修正すべき点は、大臣、修正をしてください。

 次に、電気料金について伺います。

 資料一を御覧ください。

 国民が大増税や物価高によって悲鳴を上げている中で、生活の根幹を支える電気料金が六月分から大幅に値上げをされ、報道によると、関電四六・四%、東電二〇・九%、一番値上げ率の低い中国電力一四・四%。もはや個人の省エネ努力だけでは対応できないレベルではないでしょうか。激変緩和の補助金の延長をすべきだと思いますが、経産省にお伺いをいたします。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー価格の激変緩和措置は、国際情勢の緊迫化等を背景として、エネルギーの国際価格が急騰する中で、緊急対応として実施してまいりましたけれども、電気料金の激変緩和対策につきましては、LNGや石炭の輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下した状況等を踏まえまして、五月末まで講じることといたしました。

 激変緩和措置の終了に伴いまして、一キロワットアワー当たり一・八円の支援がなくなりますが、これは各社の規制料金のモデルケースで申し上げれば、平均で四百円程度に相当するというふうに承知しております。

 一方で、この規制料金は、自由化後の経過措置として残っているものでありまして、家庭向け電気料金は、実際には自由料金が六割以上を占めております。現在の燃料価格の下、これらを合わせて試算すると、これまでで最も高かった激変緩和措置の実施直前である二〇二二年十二月使用分の水準と比べて、一割程度低くなる見込みであります。

 今後、家計や経済活動への影響を抑えるためにも、エネルギーコストの上昇に強い経済構造への転換を進めるべく、徹底した省エネに加え、再エネや原子力など、エネルギー自給率の向上につながる脱炭素電源の活用を進めてまいります。

 その上で、予期せぬ国際情勢の変化等により価格急騰が生じ、国民生活への過大な影響を回避するための緊急対応が必要となった場合には、迅速かつ機動的に対応いたします。

たがや委員 ありがとうございます。

 レクでも経産省さんからいろいろ聞いて、納得できる部分もあるんですけれども、この表、資料一にもあるように、やはり二〇一九年、そこと比べると大体二、三割ぐらい高い状況で、電気料金は高止まりしていますので、是非、補助金の延長を検討いただければと思います。

 もし延長しないということであれば、幅広く国民が利用する電力について、付加価値税二〇%のイギリスでは五%の軽減税率です。我が国でも電気料金に係る消費税は見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、電気料金の一部、再生可能エネルギー発電促進賦課金にも消費税がかかっています。とりわけ、この部分は二重課税的な要素もありますので、非課税にすべきと思いますが、鈴木財務大臣、御検討をいただけないでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 電気料金、それから再エネ賦課金につきましては、認可制などの仕組みによりまして、電気利用者に過重な負担とならないよう既に手当てがされていることを踏まえまして、他の公共料金と同様、軽減税率の対象とはしていないところでございます。

 また、課税対象から除くべきという指摘もございますが、消費税は、広く薄く負担を求めるという御趣旨から、幅広い取引を課税対象としておりまして、電気料金、再エネ賦課金を課税対象から除くといった対応は考えてございません。

たがや委員 毎回これも同じですね。財務省答弁と私、呼んでいますけれども、財務省答弁、今度は新四K、困ったら苦し紛れに決まり文句を繰り返す。相変わらずお見事です。

 またこの議論は次回にしたいと思いますが、インボイスの議論をしたいと思います。

 昨年十月のインボイス導入以降、約八か月が経過をいたしました。

 資料二、三を御覧ください。

 「ストップ!インボイス」の今年の三月から四月にかけてのウェブアンケートでは、僅か二週間で七千件を超える回答が寄せられたとのことです。

 導入前から特に懸念事項だった価格転嫁ができるかの質問に対して、二四・三%が、値上げなどができなかったため、身を削って補填、売上げや貯蓄から捻出した。更にひどいことに、借入れをして補填した事業者が約三%。

 そして、ここが一番深刻なアンケート結果内容なのですが、インボイス未登録事業者については、重要な発注元、売上先との取引状況において、インボイス未登録を理由に値引きされたが二〇・四%、取引先から明言はないが、発注が減った、値引きされたなどの不利益があったが一九・一%、インボイス未登録を理由に取引排除に遭ったが五・四%、合わせると四四・九%、実に半数近くに不利益があったという結果内容です。

 そして、今後の事業の見通しについて、五三・八%の方々が事業、仕事の見通しが悪く、不安と回答しています。

 これで日本経済の先行きは本当に明るいと言えるのでしょうか。インボイス導入によって、かつての日本経済の原動力と言われ、物づくりジャパンの原動力とまで言わしめた中小零細企業の活力をそぐことになり、将来的には大幅な供給力と技術力と人材を失うことにならないでしょうか。政府は一体何を目指しているんでしょうか。

 このようなアンケート結果が様々出る中、財務省は現状をどう認識し、分析しているのでしょうか。インボイス制度をやはり一旦見直すべきではないでしょうか。鈴木財務大臣にお伺いをいたします。

鈴木国務大臣 インボイス制度につきましては、事務負担、税負担、取引関係等に関する指摘がある、様々なアンケートでもそういう指摘があるということは承知をいたしております。

 インボイスを廃止も含め見直すべきではないかという御指摘であると思いますが、インボイス制度は、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要な制度ですので、廃止をするのではなく、各省庁と連携しつつ、事業者の抱える課題等を把握して、きめ細かく対応していくことが重要であると考えておりまして、これが基本的な考えであります。

たがや委員 でも、それは財務省の言い分なんですよね。

 去年、総理に私は予算委員会か何かで質問したんですが、こういった懸念事項、様々考えられるけれども、総理として、政府としてどう対応するのかという問いに対して、総理は、きめ細かく注視しながらしっかりと対処していく、こういうことにならないように対処していくと言ったにもかかわらず、僅か八か月でこういうアンケート結果です。ということは、懸念事項がそのまま現実になってしまった、そう思います。

 小規模事業者、個人事業主、フリーランス、弱い立場で働く皆さんを苦しめる、苦しめ続けるインボイスの廃止、政府に強く求めたいと思います。

 続きまして、還付金についてちょっと質問いたします。

 資料四を御覧ください。輸出還付金の仕組み、お金の流れを示しています。

 ここでは、消費税込みで年間三百万円の売上げがあり、年間仕入れ額が税込みで二百万円の会社を例にします。時間がありませんので簡単に説明すると、取引先が国内なのか海外に輸出するかで、得られる粗利益が大きく変わってきます。

 上にある取引先が全て国内の場合は、百万円の粗利益に対し約九万円の消費税を納付するので、約九十一万円の粗利益になります。下にある海外に輸出する場合は、逆に約十八万円の消費税の還付を受けることができるので、粗利益は約百十八万円となります。粗利益の差は実に約二十七万円になり、およそ三割も違ってきます。

 各国も同じような輸出還付金の仕組みを持っているし、為替や関税のリスクもあるでしょうから、げたを履かせるのは分かります。そういった意味で、日本だけ輸出還付金を廃止しろとは、国際競争力を維持する面からもこの場では申し上げませんが、大手企業、大手輸出企業を中心に、今や内部留保が六百十八兆円を超えています。加えて、過度な円安による為替差益、海外の物価が日本の二倍、三倍と高いことによる、日本の大手輸出企業にとっては国内よりもはるかに付加価値をつけやすい環境と、いいことずくめですから、何らかの形で、日本の内需拡大のために貢献いただきたい。

 例えば、賃上げ、少子化、子育て対策費、税と社会保障費の国民負担率を下げるために、大手輸出企業には、世界の潮流である法人税の最低税率の引上げを筆頭に、租税特別措置の見直しなど、税の応能負担をもうそろそろ求めてもいいんじゃないでしょうか。鈴木財務大臣の御見解をお伺いします。最後、お願いします。手短で結構です。

青木政府参考人 詳細な資料をお示しいただきましたので、一点、その点についてコメントをさせていただきたいと思います。

 委員御指摘いただきましたこの資料でございますが、国内取引と輸出取引で売上げが変わらない、同じ三百万円ということが前提になっておりますが、輸出取引につきましては我が国の消費税が課されないことになりますので、いわゆる本体価格のみが取引相手に対して要求されるものとなるということでございます。

 したがいまして、輸出取引の場合の正しい試算としては、売上げは二百七十二万七千二百七十三円となりまして、仕入れ額を控除した利益の額が七十二万七千二百七十三円、これに還付される額を足しました額が九十万九千九十一円となりまして、同じ金額になるというふうに私どもは考えております。

 法人に対する賃上げとか投資とか、そういったところをしっかりというお話でございました。その点につきまして、今年度改正におきまして賃上げ税制の強化とかをさせていただいておりますので、しっかり対応してまいりたいというふうに思っております。

小川委員長 たがや君、時間が経過していますので。

たがや委員 もう終わりますけれども、今のは全く違いますからね。価格の一部ですから。三百万といったら三百万の価格ですから、日本だろうが海外だろうが、持っていけば三百万です。

 またこの議論は続けたいと思いますので、次回もよろしくお願いします。

 質問を終わります。

小川委員長 これにてたがや君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして全般的審査は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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