第5号 令和6年6月17日(月曜日)
令和六年六月十七日(月曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 小川 淳也君
理事 小林 史明君 理事 田中 英之君
理事 中西 健治君 理事 山下 貴司君
理事 井坂 信彦君 理事 中谷 一馬君
理事 杉本 和巳君 理事 福重 隆浩君
井出 庸生君 井上 貴博君
井原 巧君 石原 正敬君
江崎 鐵磨君 遠藤 利明君
小倉 將信君 小田原 潔君
金子 俊平君 木村 次郎君
小島 敏文君 下村 博文君
杉田 水脈君 高木 毅君
棚橋 泰文君 中谷 真一君
野田 聖子君 萩生田光一君
福田 達夫君 藤丸 敏君
松野 博一君 三反園 訓君
三ッ林裕巳君 武藤 容治君
村上誠一郎君 森 英介君
森 由起子君 山口 晋君
山本 左近君 山本ともひろ君
青柳陽一郎君 おおつき紅葉君
大河原まさこ君 小宮山泰子君
神津たけし君 櫻井 周君
手塚 仁雄君 野田 佳彦君
馬場 雄基君 藤岡 隆雄君
谷田川 元君 山田 勝彦君
渡辺 創君 浦野 靖人君
遠藤 良太君 林 佑美君
藤田 文武君 佐藤 茂樹君
吉田久美子君 櫛渕 万里君
たがや 亮君
…………………………………
内閣総理大臣 岸田 文雄君
総務大臣 松本 剛明君
法務大臣 小泉 龍司君
外務大臣 上川 陽子君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 鈴木 俊一君
文部科学大臣 盛山 正仁君
厚生労働大臣 武見 敬三君
農林水産大臣 坂本 哲志君
経済産業大臣 齋藤 健君
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
環境大臣 伊藤信太郎君
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(防災担当) 松村 祥史君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 加藤 鮎子君
財務副大臣 赤澤 亮正君
文部科学大臣政務官 安江 伸夫君
会計検査院長 田中 弥生君
政府参考人
(内閣官房国土強靱化推進室次長) 岡村 次郎君
政府参考人
(内閣官房行政改革推進本部事務局次長) 柴田 智樹君
政府参考人
(内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官) 小川 康則君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 茂呂 賢吾君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 福田 毅君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 中澤 信吾君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(内閣府大臣官房公益法人行政担当室長) 北川 修君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 片桐 一幸君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君
政府参考人
(外務省大臣官房政策立案参事官) 金子万里子君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 林 誠君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 望月 禎君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 朝川 知昭君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 伊原 和人君
政府参考人
(厚生労働省人材開発統括官) 岸本 武史君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
参考人
(日本銀行総裁) 植田 和男君
決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君
―――――――――――――
委員の異動
六月十七日
辞任 補欠選任
遠藤 利明君 金子 俊平君
棚橋 泰文君 山本 左近君
西村 康稔君 山口 晋君
萩生田光一君 杉田 水脈君
森 英介君 井出 庸生君
吉野 正芳君 小島 敏文君
大河原まさこ君 神津たけし君
櫻井 周君 馬場 雄基君
手塚 仁雄君 野田 佳彦君
谷田川 元君 渡辺 創君
浦野 靖人君 藤田 文武君
遠藤 良太君 林 佑美君
庄子 賢一君 吉田久美子君
同日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 武藤 容治君
金子 俊平君 遠藤 利明君
小島 敏文君 三ッ林裕巳君
杉田 水脈君 萩生田光一君
山口 晋君 小田原 潔君
山本 左近君 森 由起子君
神津たけし君 大河原まさこ君
野田 佳彦君 手塚 仁雄君
馬場 雄基君 山田 勝彦君
渡辺 創君 谷田川 元君
林 佑美君 遠藤 良太君
藤田 文武君 浦野 靖人君
吉田久美子君 庄子 賢一君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 石原 正敬君
三ッ林裕巳君 井原 巧君
武藤 容治君 井上 貴博君
森 由起子君 棚橋 泰文君
山田 勝彦君 藤岡 隆雄君
同日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 森 英介君
井原 巧君 木村 次郎君
石原 正敬君 藤丸 敏君
藤岡 隆雄君 おおつき紅葉君
同日
辞任 補欠選任
木村 次郎君 吉野 正芳君
藤丸 敏君 西村 康稔君
おおつき紅葉君 小宮山泰子君
同日
辞任 補欠選任
小宮山泰子君 櫻井 周君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
令和二年度一般会計歳入歳出決算
令和二年度特別会計歳入歳出決算
令和二年度国税収納金整理資金受払計算書
令和二年度政府関係機関決算書
令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書
令和三年度一般会計歳入歳出決算
令和三年度特別会計歳入歳出決算
令和三年度国税収納金整理資金受払計算書
令和三年度政府関係機関決算書
令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書
令和四年度一般会計歳入歳出決算
令和四年度特別会計歳入歳出決算
令和四年度国税収納金整理資金受払計算書
令和四年度政府関係機関決算書
令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書
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○小川委員長 これより会議を開きます。
令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件を議題といたします。
本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。
この際、お諮りいたします。
各件審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房国土強靱化推進室次長岡村次郎君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長柴田智樹君、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官小川康則君、内閣府大臣官房審議官茂呂賢吾君、内閣府大臣官房審議官福田毅君、内閣府大臣官房審議官中澤信吾君、内閣府政策統括官林伴子君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府大臣官房公益法人行政担当室長北川修君、内閣府地方創生推進事務局審議官岩間浩君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長片桐一幸君、法務省民事局長竹内努君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、外務省大臣官房政策立案参事官金子万里子君、外務省大臣官房参事官林誠君、外務省中東アフリカ局長安藤俊英君、文部科学省総合教育政策局長望月禎君、厚生労働省社会・援護局長朝川知昭君、厚生労働省保険局長伊原和人君、厚生労働省人材開発統括官岸本武史君及び国土交通省大臣官房上下水道審議官松原誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
―――――――――――――
○小川委員長 質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申合せの時間を厳守されるようお願いいたします。
また、政府におかれましても、各質疑者の質疑時間は限られておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林史明君。
○小林(史)委員 自由民主党の小林史明です。
今日は、質問の機会をいただきまして、関係者の皆さん、ありがとうございます。
本日は、人口減少時代における国家運営の在り方を大きなテーマとしまして、その中でも、今日は、NHKやそしてインターネットの中継を見ながら聞いていただいている国民の皆さん、我々にとって身近な水道事業をその具体例として取り上げながら議論を進めていきたいと思っております。
岸田政権が発足して約二年半がたちました。この間、長年続いてきたデフレからの脱却、そして、さらには、長年の難しい課題であった少子化対策ということで、根本的な問題に今取り組んでいるところであります。
実際に、私の同年代や後輩と話をしていますと、いろいろな、例えば出産をどうしようかとか、会社を選ぶときに転職をどうしようか。企業の方々と話をすると、国内の設備投資をどうしようか。様々な前向きな意思決定をするときにずっと横たわっているのが、やはりこの国って、将来、人口減少するんだよねと。それって、将来は暗いということじゃないか、将来は社会保障費の負担も上がるんじゃないか、設備投資してもその分の利益は回収できないので、設備投資はしない方がいいんじゃないか、そんな声が蔓延しているなというのを実感します。
その点で考えますと、今政策として政府で一生懸命取り組むことも重要ですが、多くの国民の皆さんに、やはり人口減少に対する不安を払拭し、むしろ希望を提示することこそが、社会の今の様子を変えることにつながるのではないかと考えています。
そう考えたときに、じゃ、我々はどんなときに不安になるのか。旅で考えますと、まず、現在地が分からないというのはやはり不安であります。そして、行き先も分からないというのもとても不安です。ですから、現状を共有し、そして行き先を共有することがまず不安の解消につながるんだと考えまして、改めて、現状をちょっと確認したいと思います。
今の人口は約一億二千万人ですが、約二十五年後、二〇五〇年には一億人を切って約九千九百万人になる、そして、二〇六〇年には八千六百万人程度になるということですので、現在四十一歳の私が八十歳になる頃まで人口減少が続き、八千万人台には確実になるということであります。
今現在、少子化対策、強化をするとやっていますが、これは、二〇六〇年以降、その先が八千万人で踏みとどまれるかどうか、それを勝負しているということですから、もちろんそこに力を注ぐということも重要ですが、これからの四十年、人口が減少したとしても豊かになれる、そして成長できる、この社会像を共有することが重要ですし、それに向けた戦略を作っていくことが重要だと考えています。
この数字までは結構世の中で言われるんですけれども、もう少し具体的に、自分たちの生活に落とし込むとどうかということで、生活維持サービス七職種の供給不足というのを資料で提示させていただきます。
建設分野、物流、販売、介護、飲食、医療、どれも大体二〇%程度人手不足になるということであります。これは、朝日新聞が特集を組んで、八掛け社会というキーワードを作られました。これは非常に分かりやすいなと思います。
つまり、我々はこれから何に臨もうとしているかというと、この八掛け社会を豊かに暮らせる社会システムをつくりにいくということを私たちは今やっているんだということだと思います。そして、それは決してマイナスをゼロにすることではなくて、むしろプラスも生まれるんだということを共有していく必要があると思います。
それはどういうことかというと、今十人でやっている仕事を八人で回せるようにしよう、これが八掛け社会ですけれども、そうすると、結果としては、企業としては利益は増え、個人としては一人当たりの価値は上がり、給料は上がる、そういう社会を我々は目指していくわけです。
そのために今まで無策だったかというと、決してそうではありません。岸田政権はしっかり手を打ってきたと私は考えています。
例えば、規制改革であります。
私たちも現場をよく回りますけれども、単純に十人の仕事を八人でといったって、そうはいかないよねというのが実社会です。ただ、様々な新しいテクノロジー、ロボット、AI、そういったものを使っていけば、実際にそれは可能になっている現場がたくさんあります。そして、それを阻んでいるものを一気に政府として変えようということでやってきたのが、デジタル臨時行政調査会でやってきたアナログ規制改革だと私は考えています。
ここに書いてある七項目ですね、目視、目で見て点検するとか、対面、顔を合わせなければいけない、書面掲示や往訪閲覧、ちゃんと訪問しなければいけないとか、常駐、専任、資格者がその現場にいなきゃいけない、こういったアナログな手段を限定してテクノロジーの導入を阻んでいる規制が、この国の四万のルールの中に約一万条項発見をされました。そして、これをこの夏までに、約二年間で全て見直しをすることが政府として決定をされています。
これは、実際現場で何が起こるかということですが、私たちの身近な地域にある、川が流れているとすると、その川の堤防、土手とも言われるかもしれません。ここは今、軽トラックが走って、全国十二万キロの堤防を目視点検しています。これをドローンで点検できるようになる。新たなドローン点検産業が生まれ、そのデータを活用して、より効率的な土木作業もできるはずです。
常駐、専任規制。皆さんが使っている介護や福祉のサービス、それ以外にも、薬局、それぞれ、どんなに小さな拠点であっても、国家資格を持った人がその現地にいなければいけないという規制があります。でも、これを見直すことができれば、一人の資格者が十拠点、二十拠点を見ることができる。まさに、十人が八人ではない、一人が八倍、十倍の仕事ができる、これができるようになるのがこのアナログ規制改革の効果だと思います。
こういった形で、政府として本当にやっているということをやはり共有することは重要だと思うんですね。しかも、これは一万条項です。
もう一つ重要なのは、これまで毎年やってきた規制改革会議、どんなに頑張っても年間五十から百件の規制改革でした。でも今回は、二年間で一万件です。二桁違う。桁違いの規制改革を岸田政権はやることになっています。時代の変化に合わせてこれまでの政策のやり方すら変える、こういった取組が、この人口減社会において大きく構造を変える上では重要だと考えています。
そして、何より、八掛け社会、みんなで頑張ろうというときに、政府自体がそれを率先してやっている姿を見せていくことが本気度を伝えることになりますし、やり方を共有することにもなると考えています。
その点で、この一万条項の規制改革というのは、政府そのものが変わる姿勢を示す大事な事例でありますし、それを通じて国民の皆さんに、自分たちも変わることができる、この国はちゃんとよくなっていくということを共有する機会にもできたらと思っています。
ということで、自ら政府がこの八掛け社会に対応していくということで示すに当たって、今日は、具体的な事例として、水道事業の問題点と将来展望について共有をしていきたいと思います。
能登半島地震への復旧復興においても、やはり、いかに水道が大事かということが共有されていますが、今、全国の水道事業というのは、基本的には自治体の仕事ということになっています。
ただ、その中でも、少しずつ、広域化、みんなで一緒にやろうという取組が増えてきている中で、千七百四十一市区町村がちょっと協力して、今、千三百事業者で運営をしています。それでも千三百ですね。さらに、簡易水道というのは二千四百事業者あって、ほかも含めると、トータル、大体、水道だけで三千八百事業者が運営をしているんですけれども、それだけ数があって、これだけの人口減少時代においてはやはり問題が起きてくるわけです。
このパネルに提示しているように、職員数が少ない、施設が老朽化している、料金の収入が減少する、災害リスクは上がっているということで、維持管理のコストや、様々、新しく造っていく上でも大変だという状況になってきています。
なんですが、これは今、今年、我々に大きなチャンスがやってきていると思っています。それはどういうチャンスかというと、これまで、水道事業というのは厚生労働省が所管をしてやっていましたけれども、この春から、国交省が上水道と下水道を一体で見ることになりました。ですから、この機会に大きくやり方を変えていくチャンスがあるのではないかと思って、今日質疑をしたいと思います。
そこで、一問目です。
次のページをめくっていただくと、配付資料ですね、全国の上水道で、四十年間という耐用年数を超えたものの水道管が二〇%を超えているわけです。最新の更新率、年間〇・六四%で更新できていますということなので、このままのペースでいくと、これは全く間に合わないということが目に見えている数字だと思っています。
これは、現状の問題意識と、これから大きな対策を根本的に考える必要があると思いますが、国交省、いかがですか。
○松原政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、全国の水道事業において法定耐用年数を超えた管路の割合は、令和三年度時点で二二・一%と年々上昇しております。その一方で、管路の更新率は〇・六四%にまで低下しております。
このため、水道事業を持続可能なものとするため、水道管路の計画的な更新を行っていくことが重要でございます。
具体的には、平成三十年の水道法改正で、水道事業者が水道施設を良好な状態に保つため、長期的な観点に立って水道施設の計画的な更新に努めることなど、適切な資産管理を推進するための規定を創設し、これを具体的に進める手引を策定するなど、技術的支援を行ってまいりました。
また、改正法では、将来にわたって水道水を持続的に供給するために、施設の更新費用を含む長期的な収支の見通しを作成することについて努力義務を規定するとともに、施行規則において、必要な水道料金を適切に設定、見直しすることについても規定いたしました。
さらに、より効率的、効果的に管路更新を進めることができるよう、AI等を用いた管路の劣化診断や更新計画の策定など、デジタル技術の活用を積極的に推進するとともに、新たな官民連携方式である、維持管理と更新を一体的にマネジメントする方式を含むウォーターPPPについても、導入促進に取り組んでいるところです。
国土交通省といたしましては、水道管路の更新ペースを引き上げていけるよう、これらの施策を着実に進めてまいります。
○小林(史)委員 ありがとうございます。
どれぐらいコストがかかるかというのもちゃんと見定めながらやっていく必要があると思っています。
これは、あるとき、厚生労働省が試算をすると、このままの事業体、運営のやり方でいくと、二〇六〇年頃には水道料金を二倍にしないともたない、こういう試算が出ているわけですね。決してそんなことにするわけにはいかないと思いますし、むしろ、より効率的にやる必要があると思っています。
その点でいくと、先ほどデジタル、テクノロジーの活用という話がありました。水道情報活用システムというのを、当時、厚労省と経産省、そしてIPAが一緒に開発をして、運営、維持管理の仕組みを、みんなで同じシステムを使っていこうじゃないかということでコストを抑えるという取組がスタートをしているということですが、これが全体に普及すると、何と年間、運営費が一千百億円程度削減できる。大変大きなお金です。
これは早く普及させた方がいいと思うんですが、普及率は今どうなっているか、教えてください。普及率だけ、端的に教えてください。
○松原政府参考人 お答えいたします。
水道情報活用システムを利用している団体は、現在、約七十団体と承知しております。
○小林(史)委員 七十団体ということであります。先ほど申し上げたように、自治体がメインでやっているやつが千三百事業体で、七十団体なんですね。これはすごくいい仕組みなんですけれども、なかなか広がらないということなんです。
これは、一生懸命、一緒に広域化したら、つまり、一団体じゃなくて、四団体が一緒になって一団体で運営したら交付金が増えるよとか補助金が出るよみたいな仕組みはこれまでもやってきているので、それで千七百が千三百になっているんですけれども、このままのペースでは絶対間に合わないですね。
同じような議論を、私、当選直後、十二年前にやったことがあります。それは何だったかというと、自治体のシステムの共通化の質問をやりました。自治体が、千七百四十一自治体ばらばらにシステムを調達をしている、それがコストが高くなる要因だし、国民へのサービスもばらばらになる。その問題点が明らかになったのは、コロナ禍のときの十万円の給付で大きな問題になったわけです。
その結果、私たちは何をやったか。デジタル庁を創設して、全国の自治体のシステムを共通化するということにしました。ある種、自治体の仕事のうちの一部分をもう国が一緒にやると切り出したわけですね。これは同じ構造になっています。なので、このまま千七百四十一自治体に水道事業を効率化しましょうと言ってもなかなか進まないということですので、もっと根本的な対応を提案をしたいと思います。
例えばですけれども、今さっき申し上げた千三百の事業体、これは、電力の大手事業者というのは、全国十事業者にまとめられて、十ブロックで運営をされています。地理的特性も考えてやるとすると、水道事業体を十ブロックに再編したらどうか。
そのときに、勝手に国がもちろん決めるのではなくて、国と地方が話合いをしながらやっていく。かつ、そのときに、いきなり会社を一つにするというのは相当難しいと思いますので、まずは、例えばシステムを一緒にする。その後は、経理とか、会計とか、人事、総務、こういった共通部門を一緒にしていくとか、こういった形で部分的にでも共通化しながら、段階的に、十年、十五年ぐらいで、やはり十事業体、場合によってはもっと少なくてもいいのかもしれない。こういった議論を私はやるべきだと思うんですね。
しかも、先ほど、上水道だけで千三百、簡易水道で約二千と申し上げました。これは、下水道も同じぐらいの数があるんですね。国交省で上下水道一体になったわけですから、同じように計画を作って再編をしていくということができれば、単純計算すると、四つの事業体が一つになったときの費用対効果を千三百に割り戻すと、大体、千三百を一つに持っていくと約六百八十億円ぐらいの費用削減が年間あると出ています。なんですが、これは多分、単純計算ですから、もっと大きな効果が出るはずだと思うんですね。こういう大きな根本的な改革をやるために、デジタル行財政改革会議というのが立ち上がったと認識をしています。
ここで総理に問いたいと思います。このデジタル行財政改革会議でこそ、国と地方で今まであった、人口が増える時代の役割分担、自治体の仕事と国の仕事というのを一回取り払って再編をする、そのワンテーマとしては、こういう上下水道の改革をやるべきだと思いますが、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、質問の冒頭で委員が示された問題意識、要は、我が国が人口減少が進む中にあっても、国民が豊かな生活を維持できる、こうした見通しや予見可能性を示すことが大事だという指摘、全く思いを共有いたします。明日の日本は今日よりよくなると信じられるような姿を政治が示さなければいけないということで、新しい資本主義ですとか、あるいはエネルギー改革ですとか、さらには子供、子育て政策、こうしたものに取り組んできました。
そして、その中で、水道事業について御指摘がありました。水道事業については、先ほど来議論の中にも出ておりましたように、上下水道事業が持続可能なものである、こういった観点から、水道法改正によって広域的な連携推進の努力義務を課すなど、広域化あるいは共同化、これを推進してきたところですが、しかしながら、今後も急激に人口減少が進む、こういった状況に対処するためには、これまでの延長線上で、行政コストの削減、こういった発想の中で取組を進めるというだけではなく、事業の革新を図る、こういったことが不可欠であるという問題意識を示されました。
こういった問題意識の下に、政府においても、上下水道の一体的な取組と併せて、コンセッション等のウォーターPPPを促す仕組み、また、官民連携によるDXや新技術導入を促進するための取組、こういった取組を進めている、こういったことであります。
そして、デジタル行財政改革の取組の中で今申し上げたような取組を進めているわけですが、委員の方からは、全国を十のセクションに分けて取組をするなど、もっと思い切った取組を進めるべきである、こういった御指摘がありました。基本的な方向性は同意をいたします。具体的な取組として、全国を十に分けるのかどうか、こういった点も含めて、具体的な議論を続けていくことは政府としても大事だと思いますし、是非こうした方向性を一にして議論を進めていきたいと考えております。
○小林(史)委員 ありがとうございます。
今、成果が出始めています。賃金も上がり始めた。年末には実質賃金もプラスに転じるんじゃないか、こういう話になってきています。
最後にしますけれども、総理、最初の所信表明演説で、「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」、こういう言葉を使われました。我々も、みんなで、国民一丸となって、新しい人口減少社会が豊かな社会になるよう一緒に進んでいきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
今日は、ありがとうございました。
○小川委員長 この際、田中英之君から関連質疑の申出があります。小林君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田中英之君。
○田中(英)委員 自民党の田中英之でございます。
小林史明議員の時間を分けさせていただいて、二十分という時間であります、本当に限られた時間でありますので、質問させていただきたいと思います。
まず、完全なるデフレ脱却、この言葉は、総理は本当に度々使ってこられました。昨年来、その言葉を使いながら、総合経済対策として、物価、エネルギーの高騰に対して、住民税非課税世帯の皆さんには十万円の給付という形のものであったり、春闘を越えて、去年に引き続いて賃上げというもの、さらには、この六月、住民税や所得税というところに関しては定額減税、そして、お子さんのおられる所得の低い方々には五万円の子供加算ということ、そういったことに取り組んでいただいて、いよいよ、ちょっと効果も見えてきそうなところだというふうに思います。
総理が就任以来おっしゃっていたのは、新しい資本主義というキーワード。我々が生活する中で、安かろう、よかろうという、こんな時期が続いたのも事実で、コストカット型の経済、ここにしっかり区切りをつけるという決意をされたところでもあろうかと思います。
そして、昨年来、本当に、賃上げや、また、設備投資、研究開発、こういったところにしっかりと力を入れていただきたいと経済界にも働きかけていただいて、そして成長と分配の好循環、すなわち、給料が増えて、消費する力をそれぞれが持って、それに伴って物価も上がれば会社は売上げも上がって、会社も新たなチャレンジをしていこうという、そんな思いもつくれ、そしてそれがうまくいくとやはり成長し、さらにこれは賃金につながってくるという、そういう新たな第一歩を踏み出した、そう言ってもいいと思います。
でも、言っても、約三十数年間、デフレというような状況が続いてきたことでありますから、一年で全てが解消できるなんということは多くの皆さんが思っていない部分もあるんだと思います。この賃上げで、よく地元に帰って我々言われてきたのは、大きい会社は可能やな、でも、個人事業主や小規模事業者の方々はやはり価格転嫁等がないとなかなか難しい、これは物すごく言われてまいりました。なので、全てが、賃金が上がった、そしてそれが物価の上がり方に追いついたというような状況ではないというのも、これも事実なんだというふうに思います。
でも、総理がおっしゃったデフレ脱却、この道というものは、これは前進させる、それしかないというふうに私たちは思っております。
ですから、一世帯当たりの十万円の緊急的な生活支援対策の給付金も、また、賃上げ税制や価格転嫁強化によって中小企業を応援しようとするものであったり、そして、前年を上回る賃上げが実際はこの四月以降あるわけでありますから、可処分所得というものは当然ながら伸ばしてくることができましたし、そして、物価の伸びを超えるためにも、さらには、もう一方のところで減税というものを、四万円の定額減税、こういったものでいろいろと策を講じてきていただいたわけであります。やはりよくなったと実感できる、そんな期待が世の中にはあるというふうに思っています。
そこで、総理に、完全なるデフレ脱却、ここに向けての、後戻りできない、そしてぶり返すことはさせないというその強い決意をお伺いしたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 まず、足下の日本経済ですが、賃上げですとか、あるいは投資ですとか、様々な場面で前向きな兆しが出てきている、こうした指摘がなされています。
しかし、現状を考えますと、賃上げにつきましても、これは物価上昇にまだ追いついていない、結果として消費の力強さを欠いている、こういったことが指摘をされています。
まさに、御指摘のデフレ脱却に向けては、今が正念場であると考えています。こうした中で、三十三年ぶりの、今年の春季労使交渉からの力強い賃上げの流れに加えて、今月から所得税、住民税、定額減税を実施し、物価上昇を上回る所得、これを確実に実現したいと考えています。
それに加えて、これも委員から御指摘があったように、こうした流れを中小企業あるいは地方に広げていかなければならない。そして、何よりも、こういった動きを持続させなければならない。これが大きなポイントであると考えています。
こういったことから、中小企業の省力化支援ですとか、あるいは生産性の向上、賃上げ税制、さらには価格転嫁など、あらゆる政策を総動員してこうした賃上げの流れ等を後押ししていき、そして来年以降、物価上昇を上回る賃上げを定着させていく、ここにつなげていかなければならないと考えています。
社会課題解決をエンジンとした経済成長に向けて、官民が連携して投資を推進するとともに、三位一体の労働市場改革等を推進し、資源を成長分野に集中投入する、このことによって、持続的に所得とそして生産性、これを向上させていきたいと考えております。
○田中(英)委員 総理、最後にもおっしゃっていただきましたけれども、やはり、生産性を向上させて持続的にというところだと思います。一年で全てが全てうまくいくなんということはなかなか本当に難しいと思いますので、やはり積み重ねということでありますので、この一年を特に大切にしていただきたいなという思いがございます。
そこで、次に、完全なるデフレ脱却に向けて、やはり、国民の皆さんが敏感なところというのは、生活支援の部分だというふうに思います。状況によっては継続することもこれは必要だなというふうに私自身は思っております。
給付金や定額減税に関しても、効果がなかなか見えなかったり、さらには、効果が薄れてきたな、デフレ感が出てきているな、こんなときは来年もといった声は、党内でもいろいろな議論があったと思います。
また、給付金や減税とは違いますけれども、生活上の、敏感に感じられるエネルギーの問題も、電気やガスに関しては、この五月分、要するに六月の支払い分までは補助金のあれはありますけれども、以降は、エネルギーを作るためにかかってきたコスト高の部分が一定解消されるということや、カーボンニュートラルのことも含めて考えると、一定、説明を聞いて理解をしているところであります。
でも、何かこの間の報道を見ていると、当初は、実は、こういった補助をいつまでやるんだという声もある一方、最近は、エネルギー代、特に電気代が何か上がってしまうような報道があると、やはり、国民の皆さんからすると、少し、上がってしまうのというような不安な思いが出てくるのは仕方がない部分なんだと思います。
でも、実際、補助金がなくなるから電気料金がちょっと上がってしまう、その補助金分、これはもう事実だと思いますが、でも、ようやく、総理が進めてきていただいたデフレからの完全脱却、これに向けての取組の中で、右肩上がりに向かおうとみんながしているときであります。その気持ちを仮に抑え込むようなものがあったり、また、それによってこれまで取り組んできていただいたことが生きてこないようなことがあっては、これはもったいない話でありますので。
そういった意味では、先ほど申し上げたとおり、一年間では本当に簡単にはよくなりませんから、給付金も、使い切れば効果もひょっとしたら薄れてくるかも分かりませんし、電気も、冬の方がたくさん使いますので高くなりますけれども、夏も、今年はまた暑いと思うと、電気代もかさんでしまうなんという思いを持たれる国民の皆さんも多いと思います。
ですから、そういう意味では、給付金とか定額減税、さらに、電気やガス等の緩和措置、生活にやはり直接打撃を与えてしまうような事態が予測されるのであれば、どうでしょうか、こんなときは、完全なるデフレ脱却のために、臨機応変にその辺りは検討していただき、対応することも必要ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 まず、先ほども申し上げたように、今まさにデフレ脱却に向けた正念場であると考えています。後戻りすること、これは何としても避けなければならない、このように認識をしています。
そのために、御指摘の定額減税につきましても、手取り額の増加の効果、これを国民の皆さんにしっかり実感していただくことで消費マインドを喚起し、そして消費が拡大することが次の投資や次の賃上げにつながっていくという経済の好循環、これを国民の皆さんにも理解していただき、そしてそれを実現していかなければならないと思っています。こうした経済の好循環、来年以降に物価上昇を上回る賃上げを定着させていくことを視野に入れれば、手を緩めるということ、これはあってはならないと思っています。
賃上げ促進、価格転嫁対策、先ほど申し上げましたが、それ以外にも、人手不足対策、そして委員御指摘の、物価高騰の現状に対して的確な支援、これも用意するなど、あらゆる政策を総合的に、多面的に用意しなければならない。こうした対策、今後とも全力で講じていきたいと考えています。
○田中(英)委員 絶対後退させていただきたくないという思いでありますので、そういった思いで政策を進めていただければというふうに思います。
また、完全なるデフレ脱却に向けての財源についてでありますけれども、党内では今、骨太の方針が、激しく、活発に議論をしているところであります。総理にも様々な提言が届いているものだと思います。
そういう意味では、災害とか、また震災、こういった復旧、こういったものに総理は力を入れて取り組んでいきたい、さらには、子供、子育てのことも、この国会でもいろいろな議論がございましたし、かつておっしゃっていた異次元の少子化対策、こういう重要政策、重点政策、こういったものを総理が進めていこうと思うと、やはりこれは財源も必要なんだというふうに思います。
先行投資という意味では、国債をも発行することも含めて、今まで以上、この財源をどうやって確保するかということ。そして、党内では、やはりいろいろな声がある中で、積極的な財政運営に大きな期待を寄せる、そんな声もございます。
今の経済や景気の状況で、総理がおっしゃっているデフレからの完全脱却を実現させて、総理の重要な政策を実行するには、今はとにもかくにも積極的な財政運営をしないと、私は抜け切ることが難しいのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 政策とその財源に関する御質問ですが、私の経済財政政策の基本、これは、従来から申し上げておるように、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政健全化に取り組んでいく、こういったものであります。
そのために、生産性向上とともに、官民連携での投資の推進等によって成長力の強化に取り組む、それとともに、毎年度の予算編成で取り組んできた歳出改革努力や歳出構造の平時化、これを継続していきたいと考えております。
そして、その中で、金融環境、これが今変化しつつあります。この中にあっても、財政に対する市場の信認、これを確保することが重要である、こうした議論が特に注目を集めています。
必要な政策対応と財政健全化に取り組むこと、これは決して矛盾するものではないと考え、先ほど申し上げました取組を続けていきたいと思っておりますが、先般、七日の日にも、自民党の財政政策検討本部と、そして財政健全化推進本部、それぞれから御提言をいただきました。しかし、今申し上げた点においては立場の違いはなく、両本部の提案を踏まえた上で、政府として骨太原案を示させていただいているところであります。
現在、骨太の取りまとめに向けて、活発な議論がまだ引き続き続いていると思いますが、議論を尽くしていただき、そして、経済再生と財政健全化、この歩み、これを前進させる骨太の方針として取りまとめていきたいと考えています。
○田中(英)委員 総理、そこで、やはりここを脱却するためには、どうしても財源が要ると思います。いろいろと議論をしていく中で、我が党の中もいろいろあると思いますけれども、やはりここを、しっかりとデフレから抜け切るためには、我々、国が財源をしっかりと確保して、いろいろなところで事業ができて、そんな状況をつくることこそが必要だと思いますので、そういったことも念頭に置いていただきながら取組を進めていただきたいし、また、取りまとめられたものを推進していただければというふうに思っております。
最後、一点、二問あるわけですけれども、時間の関係上、国土強靱化に関して少しお伺いしたいと思います。
能登半島の地震から五か月半が過ぎました。本当に一日も早い復旧復興を願うものであります。
そういった状況を見れば、今後の対応にも、やはり国土強靱化の取組というのは非常に重要だと思います。激甚化、頻発化する自然災害、本当にどこで起こってもおかしくない、そんな状況でもあります。
実は、私の地元の京都でも、国直轄国道の九号線なんというのは、台風、大雨、大雪、これによって通行止めになって、助けることも、実は逃げることもできないような状況は度々起こってまいりました。京都市と亀岡市を結ぶ、老ノ坂という、山を越えるようなところとか、南丹市と京丹波町、これも山を越えていくような観音峠、ここは本当に度々そういった状況が起こります。
私は、均衡ある発展というものをよく申し上げてきまして、本当に安心して暮らしていけるふるさとであるためには、防災・減災、国土強靱化というものに本当に大きな期待をする一人でもありますし、多くの皆さんもそのように思っていただけているものだと思います。
現在、災害が起こる前に復旧復興を、防災・減災、国土強靱化五か年計画という中で進めていただいております。この国土強靱化にやはりブレーキがかかるようなことがあってはならないと思います。全国各地で事業が継続されていくことをやはり多く望まれております。災害なんて本当は起こってしもうたら困るんですけれども、万が一起こったときには最小限度にこれを抑えることができれば、これは投資効果抜群のものだというふうに思います。
そこで、防災・減災、国土強靱化の五か年計画、これは最終年を迎えます。切れ目なく国土強靱化を進めていくためにも、まずはこの中期計画を早期に策定するべきだということ。
そして一方で、二つ続けますけれども、やはり、資材不足等々で資材の価格もかなり上がってきております。国土交通省からお聞きした建設工事費のデフレーターを見ていると、三年間で一六%ぐらいこれは上昇しているということであります。そう考えますと、この五か年計画の四年目の予算でも、資材価格高騰を踏まえて三千億、緊急対応枠として措置がされてきました。
そこで、あわせてでございますけれども、資源価格や、また労務単価、人件費の上昇などを考えると、この中期計画において、やはり今の予算規模では事業数は減ってしまうんじゃないかなというふうに思ったりもします。さらには、頻繁に起こる自然災害を考えたときに、同規模の事業数ができるように、これは最低でも維持する必要があるのではないかと思います。必要な予算規模とか事業規模、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○小川委員長 岸田総理大臣、時間が経過していますので、簡潔に。
○岸田内閣総理大臣 御指摘のように、防災・減災、国土強靱化への取組は極めて重要であります。
昨年の通常国会で、改正国土強靱化基本法によって、令和七年度までの五か年加速化対策後も中長期的な施策と事業規模の見通しを持って進めていく法的な枠組みが創設されたところでもあり、こうした枠組みも活用しながら、施策の実施状況の評価など、実施中期計画の策定に向けた取組、これをしっかり進めてまいります。
そして、御質問の後半の部分、要は、コストが高まる中にあって、事業をしっかり確保するべきであるという御指摘、これもそのとおりであります。これまでも、様々なコスト高騰の中で、様々な工夫を凝らすことによって、五か年加速化対策において想定した事業量を確保してまいりました。
これからも、具体的な数字は今実施状況の評価の段階ですので申し上げることは難しいですが、必要な事業量の着実な確保、これに向けては、政府として万全を期してまいりたいと考えております。
○田中(英)委員 時間ですので、終わります。
ありがとうございました。
○小川委員長 これにて小林君、田中君の質疑は終了いたしました。
次に、福重隆浩君。
○福重委員 公明党の福重隆浩です。
本日は、岸田総理を始め閣僚の皆様、大変に御苦労さまでございます。時間も二十分と短いため、早速質問に入らせていただきます。
まず、地方創生移住支援事業についてお伺いをいたします。
政府は、六月の十日、地方創生を掲げた国と地方の取組について成果や課題を整理した報告をまとめ、公表いたしました。報告では、地方創生の取組の成果を示している一方、東京圏への一極集中は変わっておらず、地方が厳しい状況にあることを重く受け止める必要があると課題も提起されました。
私は、十八年間、群馬県で県会議員をさせていただいておりましたが、東京一極集中の具体的な要因の一つには、地方の高校を卒業した若者が大学進学を契機に東京に転居し、その大半が地元に戻ることなく、そのまま東京で就職することが地方人口の社会減の大きな要因であると考えております。
今、少子高齢化、人口減少が進む中、東京一極集中の是正が喫緊の課題であります。地方創生十年を迎え、このような状況下、今後の取組が大変重要になってまいります。改めて、岸田総理の、地方の活性化や若年層支援への思いをお伺いいたします。
○岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、長きにわたり、地方創生の取組、進められてきましたが、東京圏への転入超過、これは今なお続いております。そして、とりわけ就職や進学を契機として、若年層、特に女性の流入が続いている、このように認識をしています。女性を含め、若い世代が地方の魅力を感じられるような働き場や学びの場を創出する、これはもちろん重要でありますが、あわせて、今の環境を考えますと、子育てしやすい環境をつくっていく、こういった視点も重要であると認識をしています。
このため、新しい資本主義、そしてデジタル田園都市国家構想の下、国内投資を通じた地域の良質な雇用の創出、地方大学、高校の魅力の向上、結婚、出産、子育てしやすい環境の整備、そしてテレワークや移住の推進など、これらを総合的に進めることで、全国どこでも、誰もが便利で快適に暮らせる社会を実現してまいりたいと考えております。
一例を挙げれば、令和六年度予算において、新たに若年層を対象とした移住支援策として、進学を機に地方から東京圏に流入した若者たちについて、地方への就職活動に係る交通費を支援する。さらには、実際の就職に際して、移転費を支援する。このような二段階での支援強化、こうした取組をすることを決定しております。
地方創生と東京圏への過度な一極集中の是正に向けて、私自身、先頭に立って取り組んでまいりたいと考えております。
○福重委員 総理、大変ありがとうございました。様々な施策を講じていただけるということでございます。
今御答弁のございました就職活動時の交通費支援に関しましては、私が昨年の党の部会において提案をさせていただき、当局がこれを重く受け止め、短期間のうちにスキームをつくり上げ、令和六年度の予算化を図っていただいたことに心から感謝申し上げます。
この御答弁に当たり、今回の支援については、交通費だけではなく、本年度、交通費の支援を受けた学生さんが実際に地方へ移住、就職する際の移転費の支援についても令和七年度に予定されるということを、地元の群馬県内の就職支援事業やふるさと回帰支援センターに従事されている方にお話をしたところ、学生の皆さんから就職活動時の交通費の捻出が苦しいという声が多かった、さらに、移転費の支援も受けられるということは、地方移住への大きなインセンティブになると喜びの声をいただきました。
ただ、この支援制度を利用するためには、本部が都内にあり、大学の東京圏にあるキャンパスに原則四年以上在学した卒業年度の学部生が対象で、移住先の自治体が地方公共団体による奨学金返還支援を実施していることが要件となっております。
現状、政府は、地方自治体や大学に対し、この制度に関してどのような周知、広報を行っているのでしょうか。また、どれくらいの地方自治体がこの支援制度を申請、活用されているのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府といたしましては、地方創生移住支援事業を拡充しまして、今御指摘ございました交通費支援ですとか、それから移転支援ということで対応してまいります。
この事業の周知、広報の状況でございますが、現在、東京都内に本部を置く大学ですとか、受入れ側の地方公共団体に対して、文部科学省と連携した広報活動に力を入れているということでございます。
具体的には、漫画の周知用ポスター約二千五百枚に加えまして、制度説明のチラシ、これを電子ファイルと紙媒体の両方で作成しまして、都道府県、市町村、それから東京都内に本部を置く百三十五の大学に掲示、発信を依頼しております。
また、文部科学省からは、これらの大学の学生支援担当部局に対しまして、本事業の周知ですとか、それから相談窓口での学生への助言も含めた協力依頼事務連絡の発出、それから、イベントということでいえば、自治体総合フェアですとか認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが実施するイベント、それからマスコミ、自治体の広報を通じたPR活動ということで行っておるということでございます。
それから、新たな支援に取り組む予定の自治体数につきましては、本年四月一日の令和六年度第一回の申請時点という早い段階でありますが、五百四十市町村となってございます。現在、第二回申請の審査、取りまとめを行っておるところでありまして、更なる上積みを見込んでございます。
御指摘いただきましたように、丁寧な周知活動に努め、できるだけ多くの若者が地方移住を志すものとなるよう、制度の活用を促してまいります。
○福重委員 ありがとうございました。
今の御答弁から、五百四十の市町村で申請がなされているということでございます。
初めての事業でございますので、スタート段階としては頑張っていただいているというふうに思いますけれども、ただ、このままですと、仮に同じ大学に通う同じ県の出身の学生さんであっても、市町村が事業を実施するかしないかによって、支援が受けられる学生と受けられない学生が生じてしまうことになります。
是非、全ての対象となり得る自治体においてこの支援制度が活用されるよう、政府の対応に期待をしたいと思います。公明党としても、ネットワーク政党の強みを生かし、制度の実施を推進してまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
時間の都合によりまして、次の地方の若者の支援についての質問はちょっと割愛をさせていただきたいなというふうに思います。
次の質問に入ります。
能登半島地震の発生から五か月が経過をいたしました。公明党は、政府とともに、復旧復興へ全力を注いでまいります。
今回の能登半島地震では、福祉避難所が計画どおりに開設できなかったことが課題の一つに挙げられています。今後起こり得る災害への備えとして、福祉避難所が確実に開設できる仕組みを整備しなければなりません。
その上で、今回の能登半島地震でも活躍したのが、各都道府県で組織されている福祉専門職のグループである災害派遣福祉チーム、DWATであります。能登町では、DWATが中心となり、自治体と協議し、福祉避難所を開設しました。今回の能登半島地震でも、累計で千三百人が派遣されたと聞いております。私は、このDWATのような専門家の派遣体制を強化する必要があると感じております。
ただ、先日、DWATも課題を抱えているとの報道があり、一つは、やはり人材の確保で、特に調整役の育成が課題であると話されておりました。また、ある都道府県から、毎年、大規模な災害の発生に対して、平時から災害に備えた取組が求められる中、そうした取組を進める人件費の国庫補助が不十分であるとの声もありました。
人材の確保、育成も費用がかかることでありますが、現状のDWATに対する補助金はどの程度の予算を組んでおられるのでしょうか。また、今後、補助金の増額について是非御検討いただきたいと思いますが、政府の御所見をお伺いいたします。
○朝川政府参考人 お答えいたします。
能登半島地震への対応におきましては、全ての都道府県から多くのDWATが被災地に派遣されまして、避難所における生活の困り事に関する相談支援などの福祉的な支援を通じて、被災者の生活を支えていただいたものと認識しております。
今般の災害でもそうでしたが、多様な災害ニーズに対して臨機応変に対応できるよう、平時からDWATの対応力の向上を図っていくことが重要と考えております。
このため、厚生労働省といたしましては、DWATの養成に係る研修や訓練、大規模災害を想定した保健医療活動チームとの合同研修の実施、あるいはDWATで中心的な役割を担う方向けの研修等を行うなど、人材育成に取り組むとともに、災害福祉支援ネットワークの更なる深化、推進などのための経費を補助しております。このための予算として、令和六年度には、前年度より約一億円増となる二億円を確保しております。
厚生労働省といたしましては、高齢者や障害者等の要配慮者に対して、災害時に福祉的な支援を継続的に支援することができるよう、今後の災害対応に向けて、今般の地震の教訓を踏まえつつ、必要な予算の確保を含め、福祉的な支援の強化のための具体的な対応について検討を進めてまいります。
○福重委員 ありがとうございました。
予算を倍増していただいたと言われておりますけれども、今後検証をして、必要な予算の確保ということでございましたので、しっかりとこういう福祉避難所が運営できるように、災害関連死を起こさないためにも、是非、しっかりと行っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次に、防災教育について質問させていただきます。
東日本大震災では、釜石の奇跡と呼ばれた児童生徒の避難行動が大きく取り上げられました。釜石市鵜住居地区では、約十メートルを超える大津波が押し寄せましたが、地元の小中学校の児童生徒約五百七十名は大津波から避難することができました。これは、防災教育を学んだ子供たちが当たり前に実践した結果が起こしたものだと言われております。
この釜石の奇跡を導いたのは、片田敏孝東京大学特任教授であり、釜石の小中学校で八年間にわたり防災教育訓練を指導されました。昨年、私が釜石市での災害シンポジウムに参加した折も、片田先生が指導した子供に逃げなきゃ駄目だと言われ、逃げることができた、先生に救われたと話す御夫妻にも出会いました。教授は、子供に防災教育をすれば、家族に伝わり、住民の意識改革にもつながると考えましたと述べられ、防災教育に本気で取り組んでいくことの重要性を痛感いたしました。
そこで、震災の教訓を風化させず、今後の災害に生かしていくことが極めて大切であります。全国各地域により違いはあると思いますが、小中学校の防災教育の現在の状況について、御答弁をお願いいたします。
○安江大臣政務官 お答えを申し上げます。
令和四年三月に閣議決定をされた第三次学校安全の推進に関する計画では、東日本大震災の記憶を風化させることなく、今後発生が懸念される大規模災害に備えた実践的な防災教育を全国的に進めていく必要があると指摘をしておりまして、文部科学省としても、委員が今御指摘をいただきましたとおり、震災の教訓を踏まえた防災教育を継続的に推進していくことが大変重要であるというふうに考えております。
各学校では、学習指導要領に基づき、社会科や理科等の各教科や特別活動等において、各学校や地域の状況に応じた防災教育が行われておりますけれども、その取組内容や意識に差があるといった課題も承知をしております。
このため、文部科学省としては、毎年度、教職員を対象とした防災に関するセミナーを開催しているほか、教師用の実践的指導参考資料を作成し、その中で震災の教訓を生かした被災地における実践などを紹介するとともに、震災当時に小中高生であった方々が被災経験等を語る動画教材の作成、公開等も行っているところです。
全国の学校におきまして、過去の災害の教訓等を踏まえ、これを風化させることがないように、実践的な防災教育が実施されるよう、引き続き、これらの取組を通じ、各教育委員会や学校の取組を促してまいります。
○福重委員 安江政務官、本当に力強い御答弁、ありがとうございました。
私自身、この四十七都道府県を見ていると、地域によっての差が非常に大きい。やはり災害が多いところの首長さんは、しっかりと、そういったところの認識を含めて、日頃からの対応を取っておられるんですけれども、意外と地震だとか水害が少ない県の首長さんは、そういったところが少し甘くなっているのではないかなというふうに思います。
ただ、災害はいつ、どこで起こるか分かりません。そういった意味で、しっかりとした、文科省がグリップをして、防災教育、釜石の奇跡、こういうようなことがしっかりできるようにやっていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次に、災害時における民間団体との連携、予算措置について質問をさせていただきます。
四月三日、台湾東部の花蓮市では、震度六の揺れが観測され、大きな被害が発生をいたしました。一方、地震発生から数時間で避難所の体制が整うなど、初動の迅速な対応が日本でも大きく注目をされました。短時間で避難所の体制を整えることができたのは、行政と連携した民間団体や企業が担ったことが大きな要因と言われております。
日本と同様、台湾も、災害時、対応する行政職員は決して多くありません。日本においては、内閣府が二〇二三年八月、避難生活の環境変化に対応した支援の実施に関する検討会を設置し、論点の中間整理を公表しています。この中で、平時からの取組の課題が挙げられており、災害時の支援の実施に当たっては、防災計画への位置づけや民間団体との協定の締結、人材育成など、平時からの準備が不可欠であると指摘しております。
その上で、災害が発生したときに民間団体が提供するサービスに対する対価も、しっかり予算を組まなければならないと思います。
この有識者の論点の中間整理について、また、民間団体への財政支援を含め、政府としてどのような見解をお持ちなのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
内閣府では、専門性を持つNPOや企業等の多様な主体が被災者支援の担い手としてその能力を有効に発揮できるよう、官民連携体制の整備を進めているところでございます。
例えば、避難所運営につきまして、避難生活支援を担う地域のボランティア人材を養成する避難生活支援リーダー、サポーター研修を、NPO団体職員を講師として招聘するなどして実施しているところでございます。
また、NPO等による被災者支援につきましては、今回の災害対応におきましても、例えば、災害ボランティアセンターの運営経費の一部であるとか、また、NPO等による炊き出しの食材費等の一部経費につきまして、災害救助法に基づく国庫補助の対象とするなどの支援を行ってきたところでございます。
一方で、こうしたNPO等が行う自主的な取組に対する支援につきましては、そもそもボランティア活動は個人の選好や自主性に基づく活動であること、様々な支援があり得る中で、国費による支援という手段が適当かなど、様々な論点があると承知をしており、慎重な検討が必要と考えております。
いずれにいたしましても、官民連携や民間団体への支援の在り方については、今回の能登半島地震の教訓も踏まえて検討する必要があると考えており、引き続き、行政、ボランティア、NPO等の多様な主体による連携、協働が進むよう努めてまいりたいと考えております。
○福重委員 次の災害中間支援組織の質問につきまして、ちょっと時間もないので、はしょって質問させていただきます。
政府の中央防災会議は、令和五年五月三十日に防災基本計画を修正し、支援に当たる行政やボランティア団体、住民との調整役となる災害中間支援組織の育成、強化を打ち出し、都道府県に対して、災害中間支援組織の育成、機能強化に努めるよう求めています。内閣府によると、四月の時点で、全国における災害中間支援組織と連携し、活動している組織があるのは二十一都道府県であり、また、全国で約四割強しか設置をされておりません。
私は、早期に災害中間支援組織の設置を求めていくと同時に、国による財政面の支援も検討すべきだと思っております。政府の御見解をお伺いいたします。
○小川委員長 高橋政策統括官、時間が経過していますので、簡潔に。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のように、災害中間支援組織の役割は大変重要だと考えております。
今回の能登半島地震におきましても、全国域の災害中間支援組織であるJVOADがいち早く石川県庁に入り、国、県、市町や全国から駆けつけたNPO、専門ボランティア団体等の活動支援や活動調整を行ったところでございます。
内閣府でも、今、モデル事業を実施するなど、こうした取組が更に浸透するようにということで取り組んでおりますけれども、今回の能登半島地震における経験も踏まえまして、引き続き、災害中間支援組織の育成、強化に努め、被災者支援に当たる様々な主体間の連携の促進に努めてまいりたいと考えております。
○福重委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○小川委員長 これにて福重君の質疑は終了いたしました。
次に、野田佳彦君。
○野田(佳)委員 立憲民主党の野田佳彦でございます。
サミット帰りのお疲れのところ恐縮でございますけれども、今年に入って総理とは四回目の質疑になると思います。もう顔を見るのも嫌かもしれませんけれども、三十五分間、おつき合いをいただければと思います。
私は、本来は財務金融委員会に所属をしていまして、ふだんは鈴木大臣と議論をさせていただいております。今回、国対委員長から、是非、政治と金の問題で決算委員会でも質疑をするようにという御指示がありました。理由は、政治改革特別委員会に志願して入ったんですけれども、出番が回ってこなかったんです。その分、この場でと思うんですが、抜てきされて、この場に来てよかったなと思いました。
政治と金の問題、ふさわしいかどうか心配だったんですけれども、自民党の委員の顔ぶれを見ると、下村さん、高木さん、西村さん、萩生田さん、松野さん、かつて岸田内閣を政府、党の中枢として支えたけれども、裏金の問題に関わった安倍派の幹部の皆さんがこぞっていらっしゃいます。加えて、その他の安倍派のメンバーを加えると、大体、自民党の委員の三分の一が裏金に関わった議員なんですね。
元自民党という人たちも委員に入っているんです、無所属で。それは、池田佳隆さん、四千八百二十六万の最も高い額のキックバックを受けた人で、起訴されました。さらには、裏金だけではなくて、洋上風力の業界との受託収賄罪で起訴された秋本真利さんもこの委員会のメンバーなんですね。まさにこれは政治と金の問題の総決算をする舞台として格好の場ではないかと思います。
まずお尋ねをしたいのは、政治改革の議論、約半年間続けてまいりましたけれども、極めて残念なのは、政治にお金がかかり過ぎる、かかるという前提に立ち過ぎた議論なんです。
確かにお金はかかるんですけれども、かけ過ぎているというのが今の弊害だと私は思っていまして、例えば東京十五区、あの大事な選挙の時期に陣中見舞いをやっていた。陣中見舞いという風習がまだ東京であるのかと私は思いました。その前には、何ですか、メロンとかカニを配ったというような事案もありましたよね、かつて。ありましたね。かけ過ぎているという問題も、もうちょっと深く反省をしなければいけないんじゃないかと私は思うんです。
かつて、三十数年前のリクルート事件の後に、自民党の中ではユートピア政治研究会といういわゆる下級武士軍団が立ち上がって、いろいろ政治改革の提案をしたり、自分たちがどうやってお金を集めてどうやってお金を使っているかということを公表して、議論の俎上にのせたじゃないですか。そういう動きが今回全くなかったことは残念なんですね。
私も、今日、朝三時間、朝六時から九時まで、JRの駅前で街頭に立ってきました。これは三十八年続けています。私にとっては、政治を、一番お金をかけない運動というのは、体力の限りを尽くして街頭に立つことです。小川委員長は、屋外の青空集会でしょう。みんな工夫しながら、お金をかけない運動もやっているんですよね。
そういうそもそも論をやる時間がなかった、時間をかけて議論できなかった、これは物すごく残念に思うんですが、その辺は総理はどうお考えですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、今回問題になった事案の再発防止という観点からも、政治資金規正法の改正を今国会で実現すること、これはまず大変重要なことだと思いますが、委員御指摘のように、国会において、そもそも論、骨太の議論をするということは大変重要である、私も同感であります。
そして、国会での議論を振り返りますときに、御指摘の金のかからない政治ということについて、たしか維新の委員の方から具体的な質問を受けて、私も真摯に対応させていただいた、こういったやり取りがあったことは記憶をしております。
いずれにせよ、国民の負託に応える政治を行うためにも、建設的な、そして実のある、おっしゃるような骨太の議論、これを行うことは重要であると思います。私も、国会の場等を通じて、こうした議論に真摯に向き合って、貢献していきたいと考えております。
○野田(佳)委員 骨太の議論、本質的な議論ができなかった理由は、せっかく政治改革特別委員会を、四月十一日に委員会を設置しても、自民党の案がなかなか出てこなかった、審議がなかなかできなかったということが最大の問題であって、ぐずぐずし過ぎたことが私は審議が十分できなかった最大の理由だと思うんです。
このぐずぐずというのがキーワードでして、あの山口那津男公明党代表が、六月九日、沖縄の街頭で、自民が具体案を出さずぐずぐずし、補選、知事選を負け続けた、国民の政治不信の強さを表していると、あのジェントルマンの山口さんが珍しく厳しい言葉で批判をされていましたけれども、これは選挙の結果についてぐずぐずなんですよね。
私のぐずぐず感というのは、ぐずぐずしていたから法律的な議論ができなかったこと。これが一番つらいし、加えて、お尻が決まっていて、会期末を意識すると、いろいろな意見が出てきたとしても、例えば、野党の一部の意見は附則に書き込んだけれども、検討事項じゃないですか。だから、これは消化不良なんですよ。
個人献金を奨励できるように税制の優遇措置を取ることとか、何か、規正法に違反した議員がいた場合には政党交付金を減らすとか、パーティーは、外国人が買うことを規制するとか、全部附則に書いているけれども、こんなものは、検討事項じゃなくて、きちっと詰めて本則に入れられるようにするためには時間が必要だったんだけれども、自民党案が遅過ぎたからこうした議論もできなかったと私は思うんですが、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、自民党の案、提出が遅いという御指摘でありますが、今回の御指摘を受けている事案に向けて、我が党としては、まず一月の段階で、法改正を伴わずとも自民党自身で変えることができる、こういったことについて、党則の改定等の議論を行って、まずはやるべきことを自ら実行してきました。
その上で法改正の議論を進めたわけでありますが、一連の事案の当事者であるからこそ、これは理念等に終わってはならないということで、こうした事案につきまして、外部の弁護士も交えた聞き取り調査を行う、そして、具体的な制度課題を明らかにした上で、責任を持って、実効的な再発防止、改革案を示してきたと考えています。
その上で、一月から国会の議論が続く中にあって、各党から様々な具体的な御指摘をいただきました。今回の事案に直接関わらない、政治資金をめぐる様々な課題について御指摘をいただいてきた、こういった中で、各党の様々な御意見をできるだけ反映させよう、こういった姿勢を持って最終的な取りまとめに至ったということであります。
そういった過程を経て、御指摘のタイミングで法案の提出ということになった次第であり、こうした積み重ねが国会の議論に貢献できるように、この法改正の議論に自民党も引き続きしっかりと貢献をしていきたいと思っています。
いずれにせよ、法改正を今国会で実現するために、自民党としても全力で取り組んでまいります。
○野田(佳)委員 ツーレートだったから、私は、国会審議を妨げたという認識を持っています。全くそれは、私は認識は違います。ツーレートの上にツーリトルだったと思うんです。出てきた案は余りにも小粒過ぎました。それは、私は、事態を矮小化させようとする総理の思いがあったからではないかと思うんです。
なぜならば、ワーキンググループに総理が指示を出されていますよね。どんな指示かというと、政治家の責任強化と外部監査の強化、デジタル化の推進、この三つを中心に議論しろと総理が指示しているんです。この枠内でワーキンググループの人はやはりよく検討されたと思いますよ、抜け穴もいろいろあったけれども。だけれども、大玉が抜けているんです、元々。企業・団体献金の廃止とか、政活費、政策活動費であるとか、あるいは政治資金パーティーなどの大玉が抜けた指示を最初にしている。だから小粒になったと思います。
問題を矮小化しようとする言動というのは、常にいつも総理にあるんです。例えば、自民党の党大会での発言です。一部の派閥の政治資金に関わる問題によって、国民から多くの疑念を招き、深刻な政治不信を引き出す結果になった、一部のという。
私は、常に矮小化して乗り切ろうとする、そういう意思を感じますけれども、だから小粒になったんじゃないですか。いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 事態を矮小化しようとしているのではないかという御指摘、これは当たらないと思っています。
今回の事案について、事案の当事者であるからこそ、具体的にこうした再発防止策、改善策を取りまとめなければならない。そういった意味で、実効性をしっかりと高める必要があるという認識に立って、委員の御指摘があった三点については、是非しっかり取りまとめてもらいたい、政治家の責任、外部監査、そしてデジタル等を通じた透明性の確保、この三点は再発防止のためにどうしても必要な課題であるということで、指示を出したということであります。
そして、それに加えて、一月から国会で議論する中で、政策活動費を始めとする政治資金について幅広い議論が行われました。こうした政治資金に関わる課題についてもどうあるべきなのか、自民党としても検討を行ったところであります。
こうした政治資金については、政党の成り立ちですとか、あるいは支援の広がりによって、立場は様々であります。具体的な制度をつくるということになりますと、難しい調整が必要であった、これが現実であったと今振り返っています。しかし、その中にあっても、調整を行い、できるだけ幅広く各党の意見を伺った上で、意見を反映させるべく努力を行った、こうしたことであったと思います。
こうした議論の経緯を振り返りますときに、決して、小粒な議論であったとか議論を矮小化しようとしたという御指摘は当たらないと考えています。
○野田(佳)委員 私は、再発防止という観点は、それは一つあると思いますよ。だけれども、裏金事件が一番の大きな関心ではあったけれども、先ほど洋上風力をめぐる受託収賄の話なんかもちょっと言いましたけれども、あるいは高級なカニを配ったりとかなんとかといういろいろな話をしましたけれども、政治と金にまつわる不祥事がずっと続いていることに対する怒りが国民にはあるんです。その不正の温床となってきたのが企業・団体献金ではないかとか、あるいは、一番使途不明なお金の塊が政策活動費だったりとか……(発言する者あり)労働組合が何とかとかいろいろ言っている方が反省がないんですよ、真摯な議論をしているときに。
そのほかに、いわゆる政治資金パーティーの問題は、これも大きなテーマ。それをきちっと議論の俎上にのせようとリーダーシップを発揮しなかったから、私は、問題を矮小化したんじゃないかと指摘をしたんです。
そこで申し上げたいんですけれども、この政治資金規正法、これはよく読むと、政治家の資産づくりに悪用しようと思えばどんどんなっちゃう法律なんです。政治活動の自由とよく総理はおっしゃいます。政治活動の自由が保障され過ぎて、特権になってしまうような法律なんですよね。
例えば、企業・団体献金は、今、個人では受け取れないけれども、政党本部、支部では受け取れるようにする。見直し規定があったけれども、ずっと見直しをしないまま今日に来ていて、支部がどんどん増えて、企業献金はそちらが受皿になっていますよね。これがどんどんと増えていく。
それから、政治家自身が自分の政治団体等に寄附することによって税制の優遇措置を取ることができる、こういう案件もありましたね。
それから、特に支出についてはほぼ規制がないんです。だから、私的流用とか不正蓄財が起こりやすいことになっている。
親族の企業も優遇することが可能になっているとか、あるいは、たまりにたまった政治資金は、世襲議員は相続税を払わないで受け取ることができる、相続することができるなどなど、やはり政治資金規正法というのは抜本的に見直さなければいけない法律だと思います。
それに対して、国民は一円たりとも税逃れができないという体制で、今回、若干の定額減税みたいなものがあるかもしれないけれども、それに比べれば、やはり政治家というのは特権があり過ぎじゃないか、そういう思いで怒りを持って見ている目に対しての答えになっていないというところに、私は大きな問題を感じるんです。
改めて、この政治資金規正法、抜本改正を今後目指すというお考えはございませんか。
○岸田内閣総理大臣 今委員の方から、様々な点について御指摘がありました。
国会での議論、今日までの議論を振り返りますときに、委員御指摘のように、政治活動の自由と、一方で、国民の政治資金に対する信頼、私的流用なんてことは決してないだろう、あってはならない、こういった国民の信頼の問題、このバランスの中で議論が行われてきたと思っています。そして、その中で今御指摘になった各論点について議論が展開された、こうしたことであったと思っています。
政治資金規正法を抜本的に改正するべきではないか、こういった御指摘であります。委員の指摘された論点は、この国会の中でも重要な論点だということで、度々やり取りが行われた論点であったと思っています。それについて、一つ一つ、法律という形でどうあるべきなのか、これを議論してきたのが政治資金規正法の議論であったと思います。
そして、これを全て、これでもって完璧だという法律、これは現実的に、一度に示すということは不可能であるという中にあって、一つ一つ、現実の変化の中にも対応しながら、政治家として結論を出していくことが重要であると考えています。今回、様々な論点の中で、特に重要な点から、そして再発防止の観点から、結論を得た部分について法改正を行っているということであります。
法改正が実現した後にあっても、引き続き、政治資金について、あるいは政治活動について、政治改革について、我々は議論を続けていかなければならない、こういった立場にあると考えています。
○野田(佳)委員 では、一つ一つの議論の中で、政治資金パーティーに絞って議論させていただきたいと思います。
対価を徴収する催物ということでございますけれども、野党もやっていますけれども、ほとんどが利益率が九〇%を超えるという、ある種、政治家の特権なんですね、これは間違いなく。
今度、改正案で、再修正案の中で、パーティー券購入者の公開基準を二十万円超から五万円超に引き下げることということになりました。これは公明党との合意の下でそういうことになりましたよね。これで本当に透明度が増すのかどうかなんです。
例えば、総理は二〇二二年、広島で三回パーティーをやっています、四月、九月、十二月と。このとき、収入は平均して千五百万ぐらいです。対価を支払った者は五百です、どれもこれはほぼ五百。二十万円超というのは一社なんですね、二十万円超。三回とも一社です、同じ会社でした。
東京では三回パーティーをやっています、四月、八月、十二月。収入は平均して大体三千五百万、それを一回やるたびに。そして、支払った者は千です、平均して千です。二十万円超で公開をされているのは二社二団体ですね、二社二団体。これは三回のパーティー、全部同じです、二社二団体なんです。
五万円超になると、広島の一社とか、東京の二社二団体、もっと透明で、出てくるわけですか。どうなると思いますか、実感として。こんなにたくさんパーティーをやっているのでイメージが湧くと思いますけれども、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 実際やった結果、今、予断を持って申し上げるのは難しい部分もありますが、間違いなく現状より透明度は高まっていくものであると認識をしております。
○野田(佳)委員 抽象的に表現されましたけれども、私は、二十万円を五万円にしたって、回数をいっぱいやれば、やはり匿名の者になっちゃうわけですよ。公開されないでという方法があるじゃないですか。多分そういうことになるんじゃないですか。
例えば、五万円超は公表されちゃう、二万円を二枚買ってもらうんだったらいいけれども、今まで買っていた人たち、もっと買っていた人たちには、やはり回数を、たくさんパーティーをやることによって従来の額を払ってもらうようにするとか、場合によっては二万五千円を二枚売るようにするとか、いろいろなことをしながら匿名性を確保しようとして、透明度は私は増さないんじゃないかと思うんですね。だから、これは何のための改革なのかと私は思います。
透明性を欠くことをなぜ続けるのか。そこには、うがった見方になるかもしれないけれども、外国人の方もまだいっぱい入っているんじゃないかとか、あるいは、国から公共事業を受注している企業がいっぱい入っているんじゃないか、国から補助金をもらっている企業がいっぱい入っているから、だから秘密性を確保したい。
だからこそ、こういうところこそ改革のメスを私は入れなきゃいけないと思っているんです。いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 まず、公開基準を幾らに置くかという議論において、パーティーの回数を増やせば透明度を高めることができないのではないか、こういった御指摘は、これは現状の政治資金規正法においても同等の問題点をはらんでいます。
しかしながら、パーティーの回数を増やすということについて、一回のパーティーのコストですとか、それから参加者の予定の確保ですとか、こうした現実を考える場合に、大幅に回数を増やすということは現実的ではないと考えています。結果として、今御指摘があった公開基準を下げることによって、透明度は高まっていくことになると考えています。
パーティーにおいて、パーティー収入等を通じて政治活動を応援するという側の自由と、そして国民の知る権利のバランスの中で、今回の五万円という基準について法改正の中に盛り込んだと認識をしております。
○野田(佳)委員 パーティーの関係では、特に、一般的な政治資金パーティーだけではなくて、私は予算委員会でも政倫審でも、総理御自身の、総理大臣としての政治資金パーティーについて何回も質問をさせていただきました。
そのやり取りの中で、政倫審だったと思いますけれども、総理は在任中はもうパーティーはやらないと明言をされました。その後を受けて、五月二十日の予算委員会で、それは去年の予定していたパーティー、延期したものは本当に中止するのかどうかなども加えて質問しました。
何で私がこんなに執拗に総理大臣、岸田総理のパーティーを問題視して質問で取り上げるのか、その理由は分かりますか。
○岸田内閣総理大臣 委員の問題意識、委員の心の中までは十分把握はできませんが、恐らく、先ほど来の質疑を振り返りますときに、一つは、政治家の高い利益率の政治パーティーに対する問題意識、そしてもう一つは、まさにおっしゃるように、総理大臣という立場においてのパーティーの開催のありようということについての問題意識、この辺りがこれを取り上げる理由ではないかと想像をいたします。
○野田(佳)委員 政倫審のやり取りのときにこういうことになったんですけれども、その政倫審の総理の冒頭の陳述のところで、非常に印象的な言葉を総理はおっしゃっているんです。それは、政治は特別なものとの特権的な意識があったとすれば、そうした特権意識を是正しというお話をされているんですね。
私は、そのとおりなんだと思っているんです。この特権意識を最も持っていらっしゃって、時の最高権力者にもかかわらず、その特権にあぐらをかいているのが私は総理大臣の政治資金パーティーだと思ったからなんです。
というのは、時の最高権力者がパーティー券を買ってくださいと言ったら、断れない人ばかりですよ。ばかりでしょう。だから、東京で三千五百万も一回やれば売上げができるんです。それを年七回もやるとかというのは、これは特権にあぐらをかいているのはあなた自身だと思ったから、その人が火の玉になって政治改革の先頭に立てると思わなかったから、総理大臣のパーティーをしつこく言及したんですということは、是非御理解をいただきたいというふうに思います。
なお、いわゆる収支報告書を提出しなければならない政治資金パーティーはやらないと明言をしたんですね、在任中は。
でも、もしかすると、二〇二二年六月の内閣総理大臣就任を祝う会、会費一万円、集まった人は千百人、任意団体によるパーティーだったんですよね。その任意団体から、総理が代表を務める政治団体に三百二十万円の寄附があったというような、脱法パーティーです、これは一種の。
この種のことは、これもやらないと明言していただけますか。
○岸田内閣総理大臣 委員の御指摘は、私が内閣総理大臣に就任した際に地元の政財界が祝う会として開いた会合についての御指摘かと思いますが、これについては、再三説明させていただいておりますように、地元の政財界の皆さんが開いた純粋な祝賀会であり、要は、政治団体ではない任意団体が開催した、実質的にも形式的にも政治資金パーティーではないと説明をさせていただいています。
そして、しかし、その中にあって、その手伝いを私の事務所の関係者がしたということを指摘されて、これは脱法ではないかという御指摘がありました。
そもそも、私は、それ以外の政治資金パーティーについては、全て政治資金規正法に基づいて届出を行っておりますし、法律に基づいて、全て透明化を図っております。
今の御指摘の会についても、任意団体の開催であり、政治資金パーティーではないということを説明させていただいているわけですが、脱法であるとか、そういったお金集めの会であるとしたならば、その会だけ私がどうして届出をしない必要があったのかということについても再三御説明をさせていただいております。
いずれにせよ、こうした御指摘を受けたことは重く受け止めます。今後、任意団体、地元の関係者が開く会であっても、こういった疑念を生じさせることは決してあってはならない、疑義を持たれるような会合は開かないよう、私の事務所や関係者もしっかりと気をつけていかなければならないと考えております。
○野田(佳)委員 あえてこれを聞いたのは、総理大臣の祝う会だけではなくて、外務大臣のときも、あるいは内閣府の担当大臣になったときも祝う会をやっていただいて、任意団体がやって、そこからやはり寄附をもらっているんですよ、ずっと。岸田式なんです、これは。だから、これは抜け道じゃなくて迂回路です、明らかに。迂回路をみんなやるようになったら、どんな規制をやったって意味がないのでね。今、気をつけるというお話があったので、しっかりと気をつけていただきたいと思います。
最後、私はこの議論のプロセスについて申し上げたいんですね。
公明党と党首会談をやって、後半にようやく採決の見通しが立って、そして取引可能な野党と議論をして巻き込んで、そして採決でしょう。私は、これは違うと思うんです、邪道だと思いますよ。何で立憲民主党の党首と党首会談をやらないんですか。
九四年の政治改革関連法のときには、細川さんと河野さんで六時間協議していますよ、六時間。にっちもさっちもいかなくて膠着状態になったときに、党首同士で六時間協議して、そして成案を得たんです。
私も政治改革を担当したことがあります、何とか還元水の頃です。あのときは六党協議をやって、やはり自民党と当時の民主党がぐりぐりやりながら、それで五党が賛成する政治資金規正法改正案にしたんですよね。
何が言いたいかというと、政治資金規正法とか公職選挙法というのは、当面のライバル、野党第一党と向き合って、そこで一致点を見出して進めるのが政治改革じゃないですか。与党だけとか、一部の野党を巻き込んで、ほかの法案はそれでいいかもしれない。でも、お互いの日常活動とかお金集めとか使い方とか選挙活動のルールというのは、それはライバルと向き合って議論しなきゃいけないんですよ。それを何でやらないんですか。
○岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、今回の議論においては、事案の再発防止という観点も重要でありますが、あわせて、政策活動費を始めとする政治資金について議論を行う、こうしたことが重要であるという国会の議論が続いてきました。
そして、政治資金ということになりますと、政党の成り立ちですとか支援の在り方ですとか、政党によって立場が様々でありますので、同じ政治資金の項目について議論をしてもなかなか調整が難しい、こういった現実がありました。だからこそ、各党の意見を実務者レベルでしっかりとすり合わせを行わせていただいた、こういったことでありました。
そして、国会の場でも各党と議論を行ったわけでありますが、我が党の考え方について、いただいた質問等については真摯にお答えしながら、議論を深めてまいりました。
そして、なぜ御党の党首と党首会談に至らなかったのかということでありますが、御党からも様々な御質問をいただきました。様々な厳しい御批判もいただきました。しかし、残念ながら、建設的な意見交換をするということには至らなかった。そういったことから、合意に至るような調整に至らなかったことから党首会談に至らなかった、こういった経緯であったと認識をしております。
しかし、いずれにせよ、今後とも、御党を含めて、各党とも、政治改革については真摯な議論を続けていきたいと考えております。
○野田(佳)委員 四月二十八日の補選、そして静岡の知事選、いろいろな争点があったかもしれないけれども、政治と金の問題、裏金をめぐる自民党に対する批判票は立憲民主党に来ました。だから、有頂天になっちゃいけません。有頂天になっちゃいけないと思いますよ。
でも、国民が批判をする、その視点というものに向き合うには、立憲民主党と向き合って党首会談をやって一致点を見出す、苦しくてもそれをやるというのが私は政治改革だと思います。最初からスルーしているというのは、私は邪道だと思いますよ。
こんな前例をつくっちゃ駄目ですよ。与党だけとか、一部の野党を巻き込んだだけで、政治資金規正法とか公職選挙法を勝手に決めていくなんということを前例にしちゃ絶対いけないと私は思いますよ。
お気持ち、変わりませんか。
○岸田内閣総理大臣 決して、ある政党をスルーしたとか、議論の対象としなかったというものではないと思います。実務者レベルで各党との調整を行いながら、法改正について議論を行いました。
批判もあり、立場の違いがある、これはそのとおりでありますが、その中でも具体的な一致点を調整できるかどうか、これをしっかりと確認した上で、党として最終的な党首会談をセットしたということであります。
いずれにせよ、各党の意見は今後とも丁寧に聞いていく、こういった姿勢はこれからも大事にしてまいります。
○野田(佳)委員 中身はざる法で、そしてプロセスは邪道、こんなものは認めることはできないと思います。
国民に信を問うべきだと申し上げて、質問を終わります。
○小川委員長 この際、青柳陽一郎君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳陽一郎君。
○青柳(陽)委員 立憲民主党の青柳陽一郎です。
二十分という時間ですけれども、総理、どうぞよろしくお願いいたします。
先週十三日、衆議院本会議でようやく、ガザ地区における停戦、人道状況改善決議を議決いたしましたが、遅きに失しました。決議の遅れは、日本が停戦や人道状況を軽視していると誤解を与えかねない事態で、協議を遅々として進めてこなかった自民党に苦言を呈したいと思います。
総理は、G7ではウクライナについての支援が目立って報道されていますが、これはもちろんとても重要なことですけれども、ガザでの停戦、人道状況改善に向けてどのような働きかけを行ったのか、お伺いしたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 先週のG7プーリア・サミットにおいて、ガザ地区の人道状況に関する議論でありますが、まず、五月三十一日に、アメリカ・バイデン大統領が、人質の解放、そして停戦等に関する新たな交渉案というものを発表しました。今、この交渉案をめぐって、各国とも調整が進められています。
私からは、バイデン大統領のこの交渉案を日本として支持する、これを改めて表明いたしました。その上で、人質の解放、人道状況の改善、そして停戦の実現に向けて国際社会全体の機運を高めることが重要であるということ、そして、御指摘のパレスチナ支援について、日本としても、今日まで総額一億ドル以上の人道支援、さらにはJICAを通じた支援物資の提供、こういったことを行っているわけでありますが、日本としてこれからも積極的に関与していく、こういった点について議論の中で発言をした、こうしたやり取りを行った次第であります。
○青柳(陽)委員 政治改革について伺います。
自民党の裏金問題、いまだ全貌が明らかになっていません。組織の不祥事や危機管理対応は、原因の徹底究明、第三者による調査と再発防止策の策定、そしてトップの責任です。この三つが必要ですけれども、自民党は一つもやっていないのではないかと思います。
真相解明に蓋をして、中途半端で抜け穴だらけの法案になっている。パーティー券購入者の透明化、連座制強化、政策活動費、公開中止、こうした問題を挙げれば切りがないほど、肝腎なところは今後検討、先送りのオンパレードですよ。これだけ問題を起こしているのに、政治と金の問題、この改革に後ろ向きにしか映りません。そして、これだけ抜け穴だらけの法改正に半年以上費やしている。
私の地元を回っていると、怒りを通り越してあきれている、そういう声も届きます。実際、身内であるはずの自民党議員や地方議会、連立パートナーの公明党からも、公然と退陣要求や批判が出ています。これは先ほど野田元総理が述べたとおりです。
公明党の山口代表も、ぐずぐずしているから選挙で負け続けたと言っています。自民党浜田国対委員長、トップの責任の取り方が試される、つかさつかさにいる人間が責任を取らずここまで来たのが一番問題。自民党神奈川県連、県連をなめている、完全に信頼を失墜した。これは、なめているのは県連じゃなくて、国民をなめているんだと私は思いますけれども。自民党横浜市連佐藤会長、総裁自ら身を引く決断をすべきだ。そして、この発言に菅前総理も理解を示したとされています。自民党麻生派議員、昨日パーティーをしたそうですけれども、退陣論、これを言っている。ほかにも挙げれば切りがないほど多数ある。
これはもう政権末期ではないですか。受け止めをお聞かせください。
○岸田内閣総理大臣 御指摘のような様々な声が党の内外からある、このことは謙虚に受け止めなければならないと思います。
そして、今後も政治改革車座対話を始め、地方に自ら出向いて様々な意見を伺っていきたいと思います。そうした声をしっかりと受け止めながら、自分自身としてどうあるべきなのか、どういった責任を果たしていくべきなのか、これをしっかりと考えていきたいと思います。
そして、こうした声を受けて、信頼回復に取り組んでいかなければならないわけでありますが、政治の信頼回復に向けて具体的な取組を進めていくこと、これはもちろん重要なことであります。しかし一方で、政治に課せられた様々な国民の期待、命や暮らしを守るために、経済を始め、様々な政治課題にしっかりと結果を出してもらいたいという声にも応えていかなければならないと思います。
政治の信頼回復と併せて、国民の命や暮らしを守るための政治の取組において具体的な結果を出していく、この両方を進めていくことによって、政治の本当の意味での信頼回復につなげていきたいと考えております。
○青柳(陽)委員 総理は最初、聞く力を売りにしていました。そして今、政治課題、結果を出すと言いました。であれば、この抜け穴だらけの政治改革法案の抜け穴を塞ぐのが一番最初にやるべきことなんじゃないでしょうか。
そして、自民党は組織的、継続的に裏金をつくっていた。自民党議員八十五名です。有罪が確定し辞職する、そういう議員も出ました。それでも、政治倫理審査会で弁明したのは、衆議院で総理を入れてたったの七名だけです。あとの方は、今日この会場にもたくさんいらっしゃいますけれども、弁明を拒否されている。収支報告書の訂正も、不明とだけして修正した。こういうことがたくさん発生しているわけです。
我々国会議員は、法律や社会のルールを作る立法府の一員で、税金の使い道を決める、納税者の代表でもあります。裏金議員が国会に出席し、予算、立法作業を行っている。私は、そんな資格はないと思いますよ。国会の品位や権威にも関わる、こういう事態だと思いますし、何より、こんなことを続けていたら、こんなことを許していたら、社会がねじ曲がるというふうに思います。
総理、いかが思いますか。
○岸田内閣総理大臣 まず、今回の事案につきまして、事実関係については、検察による厳正な捜査が行われ、そして当事者自身による会見が行われ、自民党としても、外部の弁護士等を交えた聞き取り調査を行い、こうしたことを通じて事実関係の整理を行ってきたところであります。
その中で、派閥、すなわち政策研究団体の政治資金規正法の規制がそもそも緩かったですとか、厳格な規制の対象となる国会議員関係政治団体についても、外部監査の対象は支出のみで、収入は監査対象外であったとか、不正の温床となる現金管理が許容されていたとか、あるいは国会議員の責任が不明瞭であったとか、具体的な制度課題、これが明らかになり、それを受けて、党の改革を行い、関係者の政治責任を明らかにし、そして今、法改正の議論に臨んでいる、こうしたことであります。
こうした取組を進めることによって、自民党自身も変わらなければならない、そして政治全体の信頼回復にも努めなければならない、こうした思いで取組を一歩一歩進めてきたところであります。
この議論の中にあって、御党を始め各党からも、様々な建設的な御意見もいただきました。それもしっかり踏まえて、今、政治資金規正法の改革の議論に臨んでいるわけであります。
この法改正、是非この国会で実現したいと考えておりますし、今後とも、この議論の中で引き続き議論しなければならないとされた項目については、各党各会派と議論を続けていき、そして、信頼回復の道、決して生易しいものではありませんが、自民党としても努力を続けていきたいと考えております。
○青柳(陽)委員 国民の信がなければ、政治は、政策は前に進められないと思いますけれども、今総理が述べられた今般の政治改革関連法案を成立できたとしても、世論調査で明らかなとおり、この抜け穴だらけの法案では何も変わらないと多くの国民が思っているし、最初に申し上げたとおり、何よりも、原因、実態解明は全く進んでいないんです。これでは、国民の信頼は幾らやっても取り戻せないというふうに思います。
政策と決算の話をさせていただきたいと思います。
岸田政権は、新しい資本主義、異次元の子育て、火の玉の政治改革、いろいろぶち上げていますけれども、どれも私から見たらかけ声倒れで、めがね違いでした。
一方、本当に異次元なものもあります。予備費と基金です。これは異次元ですよ。異次元の積み増しと使い道が常態化しています。
パネルを見ていただきたいと思います。
二〇二〇年から二〇二三年までで、予備費は三十兆円強積んで、二十三兆円強使い、そして七兆円弱不用額となっています。完全にたがが外れている。これまで、通常、予備費は一年間で五千億程度しか積んでいない。今はもう桁違いに積んでいるんです。
そして、閣議決定で予備費は原則会期中は使用しないことになっていますけれども、使用しまくっています。更に悪手は、一番まずいのは、年度末に使用決定して、会期中ですよ、年度末に使用決定して、翌年度払いをやっている。これは禁じ手中の禁じ手だというふうに思います。脱法という声もありました。
また、ウクライナ予備費、これは令和四年、五年と二年連続で一兆円、五千億円と積んで、全く使用していないんです。これは子ども・子育て支援金より多い額を積んでいるんですよ。全く使用していない。決算剰余金として、その後、防衛財源にこっそり充てているんじゃないかという指摘もあるんです。この異次元の積み増し、禁じ手、常態化していますよ。総理、これはおかしいというふうに思いませんか。
時間がないので、もう一つ一緒に聞きます。もう一つの異次元は基金です。
基金は、一旦積んでしまえば国会の監視がなくなる。行き届かなくなって、運用と評価がめちゃくちゃ緩みます。そして、各省こぞって基金を設立し、補正予算でどんどんどんどん積み増しているんです。結果、二〇二三年度末時点で基金数は二百にまで膨れ上がり、残高は十七・四兆。ここまで水膨れしているんです。
そして、我々立憲民主党と衆議院調査室で精査したところ、この基金の不用額は十・三兆円にもなっております。そして、全く事業を行っていない基金が二十一もありました。
財政赤字は厳しくて、国民負担が増加している。そして、格差と貧困、これが固定化されている時代に、我々立憲民主党は、もっと子育てとか教育とか介護とか住宅支援とか、ベーシックサービスを充実させるべきだということをこの国会でも何遍も言っていますけれども、こんな異次元の禁じ手、予備費、基金、これを常態化させている。これは財政民主主義の破壊につながるゆゆしき事態で、我々は看過することはできません。
特に予備費の問題、今日は会計検査院院長が来ていますけれども、会計検査院も問題を指摘していますよ、強い言葉で。そして、我々国会として、本日の議決文にも明記をさせていただきました。
総理、この基金、そして予備費の積み増し、禁じ手、もうやめるべきじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、予備費について三点御指摘がありました。
予備費の計上額が過大ではないかという御指摘でありますが、予備費、これは予見し難い予算の不足に充てるために設けられた制度であり、これまで、新型コロナの感染拡大、あるいは物価高騰といった予測困難な事態に対して万全の備えを講ずるため、一定規模を計上したものであり、国民の暮らしを守る観点から、予算措置の在り方として適切かつ必要な対応であったと考えています。
そして次に、国会会期中の予備費の使用、これを避けるべきではないかという指摘については、これまで、国会開会中の予備費を使用した諸施策は、閣議決定で定められたルールにおける、予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費に当たるものと考えており、その必要性や緊急性等に照らして問題はないものであると考えております。
そして最後に、年度末に使用決定した上で翌年度に繰り越して使用を行うのは不適切だという御指摘。これは、予備費の使用に当たっては、その緊急性等に鑑み、予備費で対応することが不可欠と判断し、使用決定したものでありますが、ただし、執行のための手続に不測の時間を要したために事業開始が遅れ、次年度に繰り越さざるを得なくなった事業もあったということ、これは事実であり、そうした経緯については、事業を実施する省庁において丁寧に説明責任を果たしていただき、政府全体として適切な対応を行ってまいりたいと考えています。
そして、基金の方でありますが、基金、これは、科学技術の振興や経済安全保障など中長期的な国家課題に対応するために、各年度の所要額があらかじめ見込み難いなどの法令上の要件を満たすことを確認した上で、事業の性質を踏まえつつ、真に必要なものに限って予算措置をしているところでありますが、基金については、デジタル行財政改革会議及び行政改革推進会議の下で、基金への新たな予算措置は三年程度にすること、また、足下の執行状況を踏まえた合理的な事業見込みを算定し、保有資金規模が適正なものとすることといった方針に従って、全ての事業について徹底的に点検、見直しを実施し、そして、五千四百億円を国庫返納予定額として発表したところであります。
○青柳(陽)委員 今の答弁、私は全く納得できないし、時間があれば、会計検査院の院長が来てくれているからコメントを求めたいところですけれども、時間がないので、次に行きます。
もう一つ残されている課題、今回メスが入らなかった自民党への多額の企業・団体献金です。
五月七日の東京新聞の報道で、業界団体や大手企業の献金の一例が示されました。自動車工業会七千八百万、電機工業会七千七百万。二千万円以上の企業・団体献金が三十以上あり、更に別途、これとは別にパーティー券の購入もある。
献金の見返りなのか、法人税実効税率は、平成元年の五一%から、現在、二九%まで引き下げられ、さらに、資本金百億円以上の超大企業の平均法人税率は一六・三%で、五億円以下の中堅企業の税率二七%よりも負担率は低くなっています。
一方、平成元年に導入された消費税、逆進性、つまり所得の低い人ほど重税感がある消費税、これは一〇%まで引き上げられて、今や税収トップの二十三・八兆円です。
これは、私は、自民党の権力と金の分かりやすい構造の一例じゃないかというふうに思っているんです。担税力のあるところに負担をお願いするというのが税の公平中立の原則。そこから外れた政策を打ってきた結果、我が国の税による再分配効果は六・四%で、これは先進国最下位ですよ。受けられるサービスが削られて、格差と貧困の固定化という、行政だけでは解決できない新しい不安に覆われてしまったのが今の日本の社会の形です。総理、これを直視していただきたいと思います。
他方、個人金融資産、企業の内部留保など、民間資金、外貨、国有財産、合わせれば一万二千兆円、一京円以上とも言われています。この一京円の資金の一%を活用するだけでも国家予算です。この資金を産学官、NPO挙げて有効に活用し、先送りできない社会課題を解決する仕組みを政治のリーダーシップでつくるべきではないかと思います。これがインパクト経済です。本日の議決にも盛り込みました。これこそ私は真の新しい資本主義だと思います。公平中立な税制の再構築とインパクト経済の推進、これに取り組んでいただきたいと思います。
答弁を求めたかったんですけれども、時間が参りましたので、残念ながら、これで終えたいと思います。
ありがとうございました。
○小川委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
この決算委員会では、三年分たまった決算を、今国会まとめて審議をしてまいりました。その中でも、私は、賃上げの問題、物価高の問題、消費税の問題など議論してまいりました。
しかし、本日、締めくくり質疑では、総理に政治と金の問題一本に絞って質問をしたいと思います。
まず、政策活動費について伺います。
自民党の幹事長に毎年十億円もの大金が政策活動費という名前で領収書の要らない裏金として支給をされてきました。年間十億円、五年で五十億円ものお金を受け取って、領収書もなしで税金も払っていなければ、これは巨額脱税で逮捕されてもおかしくない。
立憲民主党は、自民党の裏金事件が起こる前から、政策活動費は使わないと決めて、実際に支出をやめています。
ところが、自民党は、どうしても政策活動費という巨額の裏金を残したいと見えて、十年後に領収書を公開すればよいというルールで、政策活動費を合法化しようとしています。
パネルと資料の一番目を御覧ください。
政治資金収支報告書の保存期限は三年であります。領収書を十年も非公開にして、十年後に公開をしても、収支報告書と照らし合わせることはできません。政策活動費が十年前の収支報告書に書いてあったのか、今回の自民党のように不記載の裏金として脱税状態になっていなかったか、十年後では確認ができません。
総理に伺いますが、政策活動費の領収書をなぜ十年も非公開にするのか、お答えください。
○岸田内閣総理大臣 政策活動費の公開については、この一月から国会の中でも度々議論を行ってまいりました。
その際に、政策活動費の公開については、関わりのある個人のプライバシーですとか、企業、団体の営業秘密ですとか、そもそも政党の戦略的な運営方針が他の政治勢力や諸外国に明らかになったりする、こういったおそれに配慮する必要がある、こういった議論が行われました。一方で、国民の信頼確保の観点から、私的流用があるのではないかといった疑念がないような制度をつくる必要がある、こういった議論が行われた。この二つの議論の中で様々なやり取りが行われました。
そして、御質問は、何で非公開、十年なのかということですが、政策活動費については、まず一つは、政治資金の収支報告の中で、何の目的で、いつ、どれだけの金を使ったか、これは毎年報告するという改正案を盛り込んでいます。そして、それをより説得力のあるものにするために十年後公開をするという制度を設け、さらには、その実効性を高めるために第三者機関を設ける、こういった内容を盛り込んでいます。要は、この三つをしっかりと連携させることによって政治、政策活動費の透明性を高めていく、こういった内容となっています。
更に言うと、何で十年かということについてお答えするならば、先ほど申し上げました、政策活動費を明らかにするに当たっては、個人のプライバシーや政党の大きな方向性が外部に漏れる等のおそれがあるということを申し上げましたが、こういったおそれも、十年たてば時代の経過とともに、そうしたおそれ、弊害についても薄まっていくであろう、こういった観点から、十年の後の公開という制度を他党の意見も聞きながら決定をした、こういったことであったと思います。
いずれにせよ、毎年の報告と十年後の公開と第三者機関、この三つを組み合わせることによって、政策活動費の透明性を高めていくこと、これに取り組んでいきたいと考えております。
○井坂委員 毎年の公開などというのは項目ごとの丼勘定ですからね。大体、外国勢力とおっしゃいますけれども、特定秘密ですら原則五年で公開なのに、自民党の政策活動費というのは一体どんな使い方をしているのかということであります。
もう一度、パネルと資料の一番を御覧いただきたいんですけれども、脱税の時効は七年です。十年も領収書を非公開にしたら脱税を捕まえることが不可能になります。現状では政策活動費は、領収書がなければ国税が調査に入って脱税で逮捕することができます。しかし、十年後の公開だと、領収書が仮になかったとしても時効で国税は調査に入りません。
これではもう、政策活動費を使わずにポケットに入れて脱税をした議員が分からないように、領収書を十年間非公開にして時効で逃げ切れるようにする、脱税議員の保護法になっていないですか。お答えください。
○岸田内閣総理大臣 十年後の公開については、先ほど申し上げたように、毎年の政治資金規正法に基づく報告を事後的に検証できるために行うものであります。
そして、今、時効との関係、御指摘ありましたが、十年後公開されて、そして、そこで不都合が確認された場合、当然政治責任を問われることになります。政治責任を問われること、これが明らかであるにもかかわらず、不適正な政策活動費を使用するということ、これは想定し難いものであると思っています。
いずれにせよ、先ほど申し上げた三つの制度を組み合わせることによって政策活動費の信頼性を高めていく、こうした第一歩をこの法律においてしっかりと示していきたいと考えています。
○井坂委員 政治責任とおっしゃいますけれども、十年間非公開というルールがなければ、今、実際、二階幹事長なんかは、領収書を出せないから、一体何に使ったんだということで、政治責任、説明責任、既に問われているわけですよ。十年間非公開にしたら、いや、十年後に公開しますからといって、十年後は大体半分の議員はいなくなるわけですから、政治責任なんというのは果たしてどれほど役に立つのか。
総理、もう一度お伺いしたいですけれども、いろいろおっしゃいますが、要は、脱税の時効の七年をとにかく何が何でも超えて十年間非公開にする、そういうことなんですか。
○岸田内閣総理大臣 税の取扱いについては税務当局が判断することであると思いますが、今回、国会の議論の中で、政策活動費の透明性を高めていくことが重要であるという議論が行われ、そして、政策活動費の実態を考えた場合にどのような公開、報告をすることが適切であるか、こういった丁寧な議論を行ってきました。
その結果として、毎年の報告と十年後の公開と第三者機関の設置と、この三つを通じて政策活動費のありようについて国民の信頼をしっかり得ていく、こういった結論に至り、法律を用意した、こういったことであります。
これは、政治、政策活動費の信頼ということを考えた場合に大変大きな取組であると認識をしています。是非これを実現していくことが重要であると考えています。
○井坂委員 公開対象となる領収書にも問題があります。
パネルと資料の二番を御覧ください。
政党から幹事長への政策活動費は、誰に幾ら支払われたか、今も公開されています。幹事長が議員に政策活動費を渡した場合、誰に幾ら渡したのか、今回の法改正では十年後に公開をされるというのが自民党案であります。ところが、幹事長から政策活動費を受け取った個々の議員がそのお金を何に使ったのかというのは、今回の法改正では公開の対象になっていません。パネルの右下の赤い部分であります。
総理に伺いますが、政策活動費が幹事長に支払われて、幹事長が議員にお金を渡した場合、その議員のお金の使い道は領収書が公開されないんですか。お伺いします。
○岸田内閣総理大臣 まず、十年後の公開についてですが、領収書等の徴収のルールについては、今後、各党各会派において検討されるものであると承知をしています。
御指摘の、党の幹事長が党から支出を受けた政策活動費に相当する金銭を政治活動に関連して更に別の国会議員に支出した場合、自民党案では、当該幹事長などからの通知に基づき、当該支出の項目や金額や年月が収支報告書で明らかにされることとなります。十年後の領収書等の公開は、これらの記載内容を確認そして検証するためのものであると理解をしています。それに資するような形で領収書等が徴収されるものであると考えております。
○井坂委員 パネルと資料の三番を御覧いただきたいと思います。
今回、パーティー券裏金問題から政策活動費に議論が移ったきっかけは、裏金議員が口をそろえて、政策活動費だと思ったので領収書を保存せず収支報告書にも書かなかった、こういう言い訳をしたからであります。つまり、自民党では長年にわたって、政策活動費が領収書の要らない、収支報告書に書かなくてよい裏金として各議員に配られていたわけであります。裏金問題は、パーティー券だけでなくて政策活動費にも問題があることが分かって、年間十億円の使い道に議論が移ってまいりました。
もう一度、パネル、資料二番に戻りたいんですが、したがって、右下の赤い部分、幹事長から政策活動費をもらった各議員が領収書を公開しないということになれば、裏金問題は何も解決をしません。
改めて伺いますが、総理、今後の検討などということではなくて、各議員の領収書を公開しないという結論はあり得ない、各議員の領収書は必ず公開すると明確に答弁してください。
○岸田内閣総理大臣 まず、政策活動費については、各党も同様だと思いますが、自民党においても現状の法律に基づいて使用しているものであります。この法律に従っての使用が行われてきたと認識をしています。
その上で、国民の信頼、透明性の向上という観点から改正を議論しているわけでありますが、御指摘の領収書徴収のルールについては、先ほど答弁させていただきましたように、今後、各党各会派において検討をされる、毎年の収支報告書における報告を確認、検証するために資するような形で領収書が徴収される、こういったルールが議論されるものであると認識をしております。
○井坂委員 個別の議員の領収書を公開しない可能性があるということなんですか。あり得ないと思いますよ。
○岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、領収書の徴収のルールについては、今後、各党各派において検討されるものであると考えております。委員が御指摘のような具体的な点については、これから議論が行われるものであると考えております。
○井坂委員 各党各会派って、ほかの党はみんな公開ですよ。岸田総理はどうなんですか。
○岸田内閣総理大臣 法改正の議論を今行っています。そして、法改正を行った上で、先ほど申し上げました議論が行われるものと承知をしております。その議論に対して、今私から予断を持って申し上げることは控えます。
○井坂委員 驚きましたね。これは当たり前のことだと思いますよ。テレビを見ておられる方も、個別の議員の領収書をまさか公開しないなんというルールになったら、これまでと一緒の、領収書の要らないお金のままじゃないですか。何も変えないということですか。
○岸田内閣総理大臣 今回、政策活動費について国会で議論が行われた。国民の政治資金に対する信頼という観点から、より透明度を高めていこうという議論が行われ、その結果として法改正の案を提出させていただいています。
そして、毎年の政治資金収支報告書の中で、政策活動費について、内容、金額そして月日、こういったものを報告する、こういった制度をつくるとともに、十年後それを確認、検証するために公開制度も用意した、そして、その制度全体を監視する第三者機関もつくろうということも内容に盛り込んだ。この三つを適切に運用することによって国民の信頼を確保することが重要であると考えております。
○井坂委員 今、政策活動費の使い道の議論をしておりますが、実は、政策活動費が何に使われているのかというのは、本当はみんな分かっていると思います。要は、領収書の要らない選挙費用として各議員に配られてきたわけであります。
配付資料の四番を御覧ください。裏金事件の二年前に、自民党の元幹事長が新聞社のインタビューに正直に答えています。天下の自民党幹事長だから。全国の議員を選挙で当選させるのが一番の仕事だ。選挙が始まってから金を出しても意味がない。始まってから買収やるばかはいない。領収書は要らないと渡すことはあった。
続いて、配付資料の五番。これはお金を受け取った自民党候補者の証言です。「甘利氏「はい、これ」 封筒の中身は百万円 原資は政策活動費か」と新聞の見出しに堂々と書かれているわけであります。
総理、今回の法改正は、政策活動費の領収書の公開は令和八年の分からです。つまり、今年と来年は政策活動費を何に使っても一切公開をされません。衆議院は来年秋が任期満了ですから、今年か来年に必ず衆議院選挙があります。来年は参議院選挙もあります。
立憲民主党は既に政策活動費をやめています。
総理、伺いますが、自民党は今年も来年も億単位の政策活動費を領収書なしで選挙の裏金として支出し続けるんですか。
○岸田内閣総理大臣 選挙の裏金等御指摘がありましたが、先ほども申し上げたように、自民党においても政策活動費、これは法律に反するような形での使用を行っているというものはありません。これは法律に従って、法律に反しない、そういった形で活動費を使っているところであります。
今後も法律に従って政策活動費を適切に使用してまいります。
○井坂委員 二階幹事長の使い道を確認してくださいと言ったら、確認するまでもなく、適法に使われているという珍答弁が二月の予算委員会であったことを思い出しました。
領収書もなしで適正に使われているなんて言っても、誰もそんなことは信用できないんですよ。だから領収書公開の話が出ているわけじゃないですか。
続いて、企業・団体献金について議論したいと思います。
配付資料の六番。先週の参議院決算委員会で、立憲の徳永エリ議員の質問に総理はこう答弁しています。企業・団体献金については、禁止をするのではなく透明性を高めることによって政治の信頼を回復すると。ところが、自民党の改正案には企業献金のことは一言も書いていません。
今回の法改正で企業・団体献金の透明性はどう高まるんですか。
○岸田内閣総理大臣 企業・団体献金の透明性とは、国民による政治団体、政治家の政治活動の監視と批判を実効あらしめるため、当該政治団体等が企業・団体献金をいつ誰から幾ら得たのかについて正確に記録され、一般に公開されるなど検証可能な状態になる、こうしたことであると考えています。
そして、委員の御質問は今回の改正でどこが変わるのかということでありますが、今回の自民党の改正案では、いわゆる政策研究団体を国会議員関係政治団体に含めるとともに、国会議員関係政治団体の収支の入りと出、双方について外部監査を受けること、これを義務化しております。
また、当該監査が適切に行われるよう、政治資金の保管も預貯金によるものに限定し、不透明な現金管理、これを排除する、このようにしているところであります。
このほか、収支報告書等のオンライン提出や、収支報告書等のインターネット公表の義務化により、国民が政治資金を確認しやすい環境を整備する、このようにしています。
これと併せて、正確な収支報告書の作成を手続上も担保するために、代表者の会計責任者を監督する責務、これを規定して、確認書交付といった制度も用意をする、こういったことによって政治家の責任も強化しているところであります。
これらによって、正確な収支報告書の作成が担保されるとともに、一般人が検証しやすい環境が整備される。これをもって、企業・団体献金を含む政治資金の透明化が向上するものであると考えております。
○井坂委員 デジタル化で検証しやすくということでおっしゃっていますが、別に全員の報告書がデータベース化されるわけでもなくて、PDFでただネット上にずらっと並ぶわけであります。むしろ、デジタル化と引換えに収支報告書の要旨という寄附者の一覧表が廃止されるために、企業・団体献金の透明性に関しては悪化をしてしまいます。
伺いますが、総理は企業・団体献金、禁止じゃなくて透明性を高めるんだとおっしゃるのであれば、せめて収支報告書の要旨、寄附者の一覧表は義務化で公開し続けるべきじゃないですか。完全に悪化していますよ。
○岸田内閣総理大臣 要旨の公開がなくなる、後退ではないかということでありますが、先ほど申し上げましたように、収支報告書のオンライン化あるいはインターネット公表の義務、これによって、国民であれば誰でも内容を確認することができるわけでありますから、透明度の向上という点においては、これは前進であると認識をしております。
○井坂委員 完全に後退ですよ。企業・団体献金に関しては完全に後退をしているということを申し上げたいと思います。
パーティー券に関して、先ほど野田元総理からも議論がありましたが、これは、公開基準、一回五万円だと回数を重ねればこれまでと一緒ですから、企業献金と同じように年間五万円にすべきではないかということもお聞きをしようと思っておりました。時間がないので、これは今日は申し上げるだけにとどめたいというふうに思います。
今回、自民党の改正案は、一歩前進どころか前より悪くなる点が幾つもあるというふうに思います。脱税の時効より長い十年間の領収書非公開で、脱税議員が逃げ切れてしまう。そして、企業献金は一覧表の公開をなくして、透明性がダウンをする。また、パーティーは分けて開催すれば、これまでどおり匿名で企業からお金をもらえる。自民党は、実質賃金マイナスに加えて、実質改革もマイナスじゃないかというふうに思います。
野党第一党の立憲民主党ともう一度正面から協議をし直して、国民から見てまともな改正案をもう一度出し直すべきだと申し上げて、私の質疑を終わりたいというふうに思います。
どうもありがとうございました。
○小川委員長 この際、谷田川元君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。谷田川元君。
○谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。
岸田総理、よろしくお願いいたします。
私は、今日は地方創生と少子化問題について質問したいと思います。
地方創生という方針を安倍内閣のときに打ち出されました。それが二〇一四年の九月です。それからちょうど今年が十年なんですね。それで、地方創生の報告書がこのほど明らかになりました。
報告書はこのように述べられています。国全体で見たときに人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるに至っておらず、地方が厳しい状況にあることを重く受け止める必要がある。成果が上がっているケースも、多くは移住者の増加による社会増にとどまっており、地域間の人口の奪い合いになっている。
本当にうまくいっていないということを素直に認めておるんですよ。私は、本当に難しい問題だと思うんだけれども、なぜ、例えばいろいろな指標なんかも目的達成をしていない。いろいろな原因があると思うんですよね。地方創生を十年前に掲げたにもかかわらず、うまくいっていない、その分析ができていないと思うんですよ。これはもっと掘り下げて、これからどうあるべきかということをしっかりやるべきだと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 委員御指摘の報告書についてですが、地域によって人口増加や地方創生の取組の成果と言えるものが一定数あると評価できるものの、国全体で見たときに人口減少や東京圏への一極集中など大きな流れを変えるには至っておらず、地方が厳しい状況にあることを重く受け止める必要がある。このように報告書の中で評価されていると承知をしています。
そして、先ほども議論がありましたが、とりわけ、就職や進学を契機として、若年層、特に女性の流入が続いている、この点が大きなポイントであると認識をしています。女性を含め若い世代が地方に魅力を感じられるような働き場、そして学びの場、これを創出する。それと併せて、昨今の環境を考えますときに、子育てしやすい環境をつくる。これが重要なポイントではないかと考えており、総合的な取組を進めていきたいと考えています。
そして、委員の方から、最後、検証の話がありました。
報告書をまとめるに当たって様々な分析が行われたと承知をしておりますが、当初設定されたKPIの達成状況については、当初の第一期、二〇一五年度から二〇一九年度の第一期の検証については、二〇一九年に検証が行われ、そして、第二期、二〇二〇年度から二〇二四年度の検証については、二〇二三年度から二〇二七年度のデジタル田園都市国家構想総合戦略に引き継がれ、そして新たなKPIも追加したところですが、これの達成状況については、戦略の中間年であります二〇二五年度中に改めて検証を行う、このようにしております。
是非、こうした検証結果もしっかりと活用しながら、取組を進めていきたいと考えております。
○谷田川委員 総理、私の地元は千葉県北東部なんですよ、成田から銚子、五市四町あるんですが。この間、合計特殊出生率、東京都が〇・九九と、東京ショックという言葉が話題になりましたけれども、実はこの五年間で、私の選挙区で五市四町のうち二市三町が、この五年間の間に一・〇を割っているんですよね。非常に深刻な問題なんです。
特に、小中学校の統廃合が進んでいます。小中学校がなくなったところ、この地域のコミュニティーのきずなというのが弱まっているんですよ。このままいけば小学校がなくなったところは人が住まなくなって、地方創生が別の意味の地方ソウセイ、つまり草が生える草生になってしまうか、そういう危機感を持っている人がたくさんいるということを是非認識していただいて、先ほど福重議員の質問に対して、御自分が先頭に立つとおっしゃっていただいたので、是非それはお願いしたいと思っています。
そこで、地方創生に非常に関係が深い問題は、やはり少子化対策なんですよ。
去年の一月に岸田総理、年頭記者会見で、異次元の少子化対策を実施すると。そのときに私は注目した言葉があるんですよ。子供ファーストとおっしゃいましたよね。私ども、民主党政権、獲得するとき、二〇〇九年、チルドレンファーストという言葉を使いました。そのときの一番の目玉が子ども手当であり、そして高校授業料の無償化ですよ。
そのときの、私は、合計特殊出生率を調べてみたんですよ。何と民主党政権下、若干上がっているんですよ。二〇〇九年、一・三七、一〇年、一・三九、一一年、一・三九、二〇一二年、一・四一、一三年、一・四三と上がっているんですよ。恐らく国民の皆さんが、子育て支援に不安を感じている方が、これだったら、じゃ、子供を産んでも不安ないなという意識ができたんだと私は思っているんですね。
それで、総理、子育て支援金を創設する法案が今回通りました。総理、私、非常に不可解なのは、社会保険料に上乗せして国民から徴収するわけですよね。にもかかわらず、実質負担はゼロとおっしゃる。これは、国民の皆さん、私が幾ら説明しても、岸田総理の答弁、あるいは厚労省の答弁、こども家庭庁の答弁、議事録が、こう言っていますよと言うけれども、みんな、そんなのうそでしょう、そう言っていますよ。
私は、岸田総理、もうそろそろ、本当に日本を救うために少子化対策を何とかしなきゃいけないんだという思いがあるんであれば、できるだけ歳出改革を徹底して、子ども・子育て支援金の原資については、国民の負担を少なくしたい、応分の負担をお願いするかもしらぬ、そう言った方が素直な説明でいいんじゃないですか。そう思いませんか。
○岸田内閣総理大臣 まず、委員がまさにおっしゃったように、民主党政権の子ども手当の際にも、財源の問題というのが大きな議論になりました。
やはり、新しい政策を進めるに当たって、それを支える財源を考えていかなければならない。その際に、まずは国債、借金ですとか、あるいは増税、国民の皆さんに負担をお願いするというのではなくして、まずは歳出改革に努める、これが物の順番である。これは、政党、どの立場であっても共感していただける姿勢だと思います。
そして、歳出改革によって財源を捻出する。しかし、かけ声、精神論だけでは、これは国民は納得できないわけであります。だからこそ、今回、一つ具体的なメルクマールを用意しなければならないということで、社会保障負担率という数字、これを用意をして、歳出改革によって社会保障負担率の軽減効果を生じさせて、その範囲内で支援金の制度をつくる。そして、支援金を導入しても社会保障負担率は上がらないということを確認しながら政策を進めていく。このことによって、財源を歳出改革に求めるということを、より国民の皆さんにあかしとして示す、このことが大事だということで、今申し上げている制度を用意した次第であります。
なおかつ、支援金制度を導入することによって、子供、子育て世帯においては大きな給付の充実につながるわけです。児童手当、あるいは子供、子育て通園制度、あるいは高等教育の充実等を含めて、子供一人当たり平均百四十六万円の給付の充実、これが可能になると申し上げています。
先ほど申し上げました、歳出改革で財源を確保するというあかしとしての支援金の在り方、そして、なおかつ、給付として、この制度を導入することによってどれだけ充実するか。この二つをしっかり説明することによって、国民の皆さんの理解を得ていくことが重要であると考えています。
○谷田川委員 パネルを見ていただきたいんですが、岸田政権になってから実質賃金がずっと上がっていれば、国民の皆さんは、総理の説明を聞いて、ああ、そうなってほしいなと思うかもしらぬけれども、このパネルを見ていただくとおり、二〇二二年の四月から、何と、統計を取り出してから、過去最長二十五か月連続、実質賃金が低下しているわけですよ。そう考えますと、総理の説明を信用しろといったって、皆さん信用できませんよ。そう思いませんか、総理。
○岸田内閣総理大臣 実質賃金の御指摘でありますが、おっしゃるように、今、世界的なエネルギー危機や食料危機、こうしたものを背景として物価高騰が続いている、賃金が物価高騰に追いついていない、こういった状況が続いている、これは御指摘のとおりだと思います。
しかし、今年の年初の内閣府の見通しですとか、多くの民間のエコノミストの見通しを見ましても、物価高騰については今年度後半に向けて収束が予想される、こういった中であります。
一方で、今年の春の春闘において三十三年ぶりの賃上げの大きなうねりが示されている。これを今、地方に、そして中小企業に広げよう、こういった努力が行われている、こういったことであります。
そして、こうした物価と賃金との関係、来年に向けて物価に負けない賃上げを持続させるためにも、六月、定額減税等を用意し、なおかつ、賃上げ税制ですとか、価格転嫁ですとか、あるいは省力化支援ですとか、様々な政策を総動員することによって、物価に負けない所得、これを維持し、来年につなげていく、こういった取組を進めています。
今まさに正念場だと思います。三十年ぶりのデフレからの脱却を果たし、そして成長型の経済ステージに移行していくために、今、政策を総動員しています。実質賃金についても、今言った政策を進めることによって、実質賃金、プラスに転じられるよう努力をし、それを来年に向けて定着させていくよう努力をしてまいります。
○谷田川委員 今の説明を聞いて、国民の皆さんが納得するとは思いません。
ちょっと時間がないので、給食費の無償化について質問したいと思うんです。
我々は、給食費の無償化法案は、維新の皆さんと一緒に、去年の三月二十九日に提出しているんですよ。大体、学校給食費、公立小学校で年間四万九千二百四十七円、公立中学校は五万六千三百三十一円かかるんですが、少なくとも、この部分、標準的な額については無償にしようという内容なんですが。
度々、我が党の質問に対して、総理は、この六月までに実態調査をやって、それを踏まえて結論を出していきたいという答弁をされておりますけれども、その実態調査のペーパーを私も拝見しました。
あれを見て、総理、大体四割の自治体が何らかの形で学校給食費の無償化をやっているんですよね。そう考えますと、やはり、全国、住んでいる場所において給食費の無償化あるないは、これはやはり国民にとって納得いかないことだと思うので、やはり国が無償化をすべきだと私は思うんですが、総理、そう思いませんか。
○岸田内閣総理大臣 まず、学校給食の無償化については、六月十二日に学校給食に関する実態調査の結果、これを公表いたしました。今後、児童生徒間の公平性や、国と地方の役割分担、さらには政策効果、こういった面から、法制面も含めて課題を整理していくということになります。
そして、学校給食の無償化、これは教育における負担の軽減というテーマでありますが、まず、今、加速化プラン、子供、子育て政策としても三・六兆円の予算を用意して、経済的支援の強化を盛り込んでいるところでありますが、この子供、子育て政策としても、こうした学校給食のありようは考えなければならない。
一方で、日本の教育ということを考えますと、こうした教育の負担軽減と、一方で、教育の環境や質の問題、教師の処遇ですとか、あるいは働き方改革、質の高い教師の確保ですとか、高等教育の質やアクセスなど、質の問題と、このバランスもしっかり考えていかなければならない。
この課題の中で、学校給食についてどうあるべきなのか。当然、これについても、お約束しているように、この調査結果をしっかり踏まえて国と地方の関係をしっかり考えていく、これは政府として進めていきたいと思いますが、今言った学校給食の大きな政策課題の中での位置づけも考えながら、額ですとか優先順位等を考えていかなければならないと考えています。
○谷田川委員 総理、私は、この実態調査の概要説明書を読んだんですが、この調査をやるのに一年もかける必要があったのか、素朴に思いました。文科省は都道府県教育委員会を通じて市町村教育委員会の方に聴取するんだけれども、この内容を見ただけで、何でこんなものに一年もかける必要があるのかと私は率直に思いますよ。岸田総理は異次元の少子化対策とおっしゃるならば、やはりスピードも大切だと思うんですよ。
大体予算は五千億円と聞いていますよ。先ほど話題にした我が民主党政権下の高校無償化の予算は、大体四千億円ぐらいなんですよ。
当時は、民主党政権、リーマン・ショックの直後で、大体税収が四十兆円ぐらいだったんですよ。その中で、やはり、公約した以上は、国民との約束だから何とかしないといかぬと、民主党政権、みんな知恵を絞って、四千億円を捻出したんですよね。
今、二〇二二年の国の税収は、何と七十一・一兆円と過去最高ですよね。去年の分はこの秋に明らかになるそうですが、見込みとして、やはり一昨年よりも増収だという見込みですよ。
総理、去年の今頃、私は新聞を読んで、やはり総理の権限ってすごいなと思ったんですよ。当初、加速化プランの財源は三兆円ほどだったんですよね。ところが、総理が関係者に電話して、あと五千億円ぐらい上積みしろ、そう指示したそうですよね。
ですから、私は、総理の判断で給食費の無償化はすぐできると思うんですよ。検討、検討と言わないで、是非やるという決断をしていただけませんか。
○岸田内閣総理大臣 まず最初の、もっと短く調査できたんじゃないかという御指摘については、調査というのは、単にやっているかやっていないかとか、数字の足し上げだけで済むものではありません。学校給食を実施していない自治体や学校があります。それはどういう理由でやっていないのか、こういった実態ですとか、学校給食を実施している学校で給食の提供を受けていない児童生徒がいます。こういった状況もしっかり把握しなければならない。また、各自治体、各学校における食材費相当の給食費、この金額の問題、これの調査も行わなければいけない。これを全国で行うわけでありますから、一定の期間が必要とされる、これは当然のことではないかと思っています。これらをしっかり確認した上で、これから取組をしっかりと調整していくということであります。
その際に、先ほど答弁させていただきました、加速化プランをこれからも充実していく、これは大事なことであります。そして、教育ということを考えますと、負担軽減と、そして質や環境の整備、このバランスの中で優先順位や額を考えていく。こういった考え方もしっかりと念頭に置きながら、結論を出していきたいと思っています。
○谷田川委員 五千億円というと、文科省の予算が五兆円ですから、大体一割に相当するらしいですね。そうすると、文科省としては、学校給食よりも教員の給与の改善、そっちをやはり優先したいそうですよ。だから、総理が、文科省予算と別に、学校給食をやるんだ、そう結論を出せば実現できるはずですよ。
是非お願いしたいのは、来年度予算に向けて、完全実施は無理にしても、例えば、自治体では小学校六年生だけとか、あるいは中学校三年生だけとか、そういうところでやっている場合もありますよ。部分的にも実施する方向で検討していただけませんか。いかがでしょうか。
○小川委員長 総理大臣、時間が経過していますので、簡潔に。
○岸田内閣総理大臣 時間が限られているということですので基本的な考え方を申し上げるならば、調査をしっかりやりました、それを踏まえて検討を進めます。そして、教育という観点において負担軽減と、そして教師の質を始めとする環境や、教育の質の問題、これとのバランスの中で優先順位を考えていく、その中で結論を出してまいります。
○谷田川委員 じゃ、時間が来ましたので終わります。
ありがとうございました。
○小川委員長 この際、小宮山泰子君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小宮山泰子君。
○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。
総理、今回こうやって質問させていただくのは久しぶりでございます。外務大臣以来かと思いますが、よろしくお願いいたします。
「これまでの政治は、人を粗末にしすぎた。生まれた環境によって受けられる教育が左右されてしまい、結果として能力が発揮できない。賃金が上がらないことで、個人消費も伸びない。また、女性の幹部登用が少ないなど、同質集団による同調圧力によって創意工夫が失われている。」「立憲民主党は、」「徹底して「人」に寄り添うことで、誰もが自分の能力を十分に発揮することのできる、温もりのある環境をつくる。」この経済政策の理念から、「人からはじまる経済再生」を昨年まとめさせていただきました。
現在放送中の「虎に翼」がありますが、大変人気があると思います。この中でも、大日本帝国憲法の下で日本の家制度に翻弄される女性たちが描かれ、戦後は日本国憲法になり、男女平等が掲げられ、民法改正がされましたが、社会が変わり行く中で、変わらずに問題に立ち向かって奮闘する主人公の姿が描かれておりますし、またその時代、また日本の社会のいろいろな姿が映し出されていると思っています。
六月十日に、経団連の選択的夫婦別姓制度の導入を求める提言というのが十倉会長の会見で発表されております。会長は、女性の社会活躍を本当に願うのであれば、これから少子高齢化もあって、みんなで社会を支えていこうとなれば、いろいろなところから声を上げていくと述べた上で、姓、名字の問題は、個人の問題として片づけることのできない、企業にとってのビジネス上のリスクだと訴え、名字の変更による不便や不利益の負担が女性に偏っており、政府に対して、早期の選択的夫婦別姓制度の導入を求めております。
また、世界経済フォーラムも、六月十二日に、男女格差の現状を、百四十六か国、各国の統計とともに評価した、いわゆるジェンダーギャップ指数の二〇二四年版を発表されました。日本は、昨年の百二十五位から百十八位と上がってはおりますが、相変わらず先進七か国、G7では最下位であります。女性管理職の少なさ、男女間の賃金格差、政治分野での女性議員の少なさ、政治参画の遅れなど、ジェンダー平等への日本の取組が他国に大きく後れを取っていることが浮き彫りにされております。
政府は選択的夫婦別姓を導入しようとしていないけれども、現在のような夫婦同姓を求めていることで経済的損失、不利益が生じているということに対してどのような認識をしているのか、総理、お答えください。
○岸田内閣総理大臣 御指摘の経団連からの提言を見ましても、現行の夫婦同氏制度については、女性が氏を改めることによる職業生活上や日常生活上の不便、不利益があるとの意見、また、旧姓の通称使用によって生じるトラブルは、女性活躍の進展に伴い、企業にとってもビジネス上のリスクとなり得、企業経営の視点からも無視できない重大な課題であるという御意見、こういった御意見があると承知をしております。
これらについても真摯に受け止める必要があると認識をしております。
○小宮山委員 不利益があることは認識されているというふうに受け止めます。
実際には、女性の九六%が結婚時に改姓をし、そして、七〇・六%が選択的夫婦別姓に賛成をするというデータも出ております。本日出させていただいておりますのは、立憲民主党が選択的夫婦別姓の法案を提出したとき、この説明をしたところの資料を提示をさせていただいております。
一九九六年時点で法務大臣の諮問機関である法制審議会から、今回の提言をされましたのは、自民党の巨額、大口の献金を取りまとめている団体とも言えます経団連からも、選択的夫婦別姓制度の法制化を提言されているわけであります。
こうした状況の中、岸田総理はこれまで、様々な御意見があり、検討と繰り返されているようでありますが、改めて、検討されるのか、それとも進めるのか、お伺いします。
○岸田内閣総理大臣 先ほど申したように、経団連等から夫婦同氏制度について不利益やリスクがあるという御指摘、これは重く受け止めます。
ただ、この議論の際には、ビジネス上の様々なリスクと併せて、家族形態の変化ですとか国民意識の動向、家族の一体感、子供への影響、これは様々な視点が考慮される必要があると考えております。
そして、事実、選択的夫婦別氏制度の導入については、直近の令和三年の世論調査を見ても、国民の意見が分かれている、このことは度々紹介させていただいております。夫婦同姓維持が二七%、夫婦同姓維持プラス旧姓通称使用法制化が四二・二%、夫婦別氏導入が二八・九%、こうした世論調査の結果もあります。
家族の在り方の根幹に関わる問題であり、最高裁決定においても、国会で論じられ、判断されるべき事柄であるという指摘があります。そして、先ほど申し上げました様々な観点から議論をしなければならない、国会において議論を進めていかなければならないと思いますし、建設的な議論をしていくことが重要であると認識をしております。
○小宮山委員 検討ではなく議論と来ましたね。
今、法律婚できないことによる主な権利侵害・不利益の一覧というのを、こちらの方も立憲民主党の方のホームページで出させていただいておりますが、本当に様々な観点があります。
今、国会でやはり議論するべきだということをおっしゃっていただきましたが、立憲民主党は、既に衆議院に、選択的夫婦別姓制度を実現するため、民法改正案を提出しております。これに賛同していただければ、すぐにでも成立、実現するわけであります。野党の提出法案だから審議しないなどと悠長に先延ばしする案件ではもうございません。一九九六年からです。法務省においても、過去に二度ほど、法制化ということで準備をされたはずです。国会提出には至らなかったんですが、様々なところ、政府においても、そして国会においても、準備はもう整っています。
議論があるからといったならば、何で安全保障法制のときは二分をすることでも押し切ったんでしょうか。ここは、これに関して、今回のこれは選択ができるんです。ここが重要なんです。一人一人の意思というものを尊重ができるようになっています。
であるならば、是非、内閣総理大臣として、早急に法務大臣へ法制化の準備に入るように指示するべきではないでしょうか。御見解をお聞かせください。
○岸田内閣総理大臣 まず、選択的夫婦別氏制度の導入については、これは社会全体における家族の在り方にも関わる問題であるから、幅広い国民の理解を得る必要がある、このように申し上げております。そして、先ほども世論調査の紹介もさせていただきましたが、国民の間に様々な意見があることから、議論が必要とされる、より幅広い国民の理解を得る必要がある、このように考えております。
そして、法案を提出する準備という御指摘がありましたが、これは、国民各層の意見、国会における議論、動向を注視しながら総合的に検討する必要がある。法案提出ということになりますと、そうした検討が必要であると考えております。
○小宮山委員 いつまで検討するんでしょうか。法制審議会から提出されて今年で二十八年目です。本当にこの問題、朝の連ドラを見ていても、同様の、名前が変わるということに対してのいろいろな意見、あの場でも描かれておりました。まだ変わらないんだなと。
家制度の下において、帝国憲法の下でできた家長制度を引きずっている方々がいらっしゃるのは現実でしょう。そして、伝統的な価値観を壊すものと反対している方々もいらっしゃるのはよく分かります。
でも、現実に、経団連からも指摘を受けたように、ビジネス上のリスクや、そして、女性が活躍と御党も言っていたと思います。言っているにもかかわらず、学術的な継続性が失われたり、そういういろいろな、様々な不利益がついて回る。
日本でしか名字を同じにするということを言っていないのは、これは、二〇一八年、衆議院の、上川陽子元法務大臣、法務委員会で、旧姓の通称使用では氏の使い分けが必要、社会生活上の不利益が全て解消されるとは言い難いと言いつつも、政府はこれまで旧姓の通称使用の拡大を進めてきて、そして、今回の経団連の、経済的リスクがあるということ、ビジネス上のリスクがあるというところにつながっていることを考えれば、待ったなしの状態だと思います。
全員が同姓にする必要はないわけですから、しっかり個人個人で考え、選択をする、当たり前かもしれないけれども、それが選択的夫婦別姓制度じゃないですか。
もし政府の方でできないならば、二分するいろいろな課題があるならば、先ほどからありますけれども、国会でしっかりと審議をする場をつくるべきじゃないでしょうか。
唯一の立法府にいる国会議員一人一人が、家庭観や様々なことを併せ真剣に考え、結論を出すとともに、各党とも党議拘束を設けずに採決を行うなど、各議員、国会の判断に委ねるというのも一考だと思います。唯一の立法府の国会で決めると、自民党総裁として、また総理大臣としてお決めいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○岸田内閣総理大臣 まず、選択的夫婦別氏制度の議論、これは議論が始まってもう二十八年もたつではないか、こういった御指摘もありました。しかし、これは、議論の長さが問題ではありません。経済的なリスクのみならず、家族の一体感ですとか子供の利益にも関わる問題であるからして、国民の理解が重要だということを申し上げています。
その上で、党議拘束の在り方について、これは、政府ではなくして、各党が判断すべき事柄であると認識をしております。
選択的夫婦別氏制度については、今申し上げたように、国民の理解、国民の幅広い議論、こうしたものを大事にしなければならないと考えており、現時点で、我が党の党議拘束の在り方について何か申し上げることは控えたいと思います。
○小宮山委員 結論としては、岸田内閣若しくは自民党中心の政権がある限りは、これはずっと検討されるんだということかと思います。
いつまで検討するのか。そろそろ結論を出さなければならないでしょう。結論を出せとよく御党は言っていらっしゃいましたけれども、ここでは出さないんだなと。情けないというか、残念な気持ちでいっぱいでありますし、もしそうであるならば、私たちは、政権交代をし、そして、この問題、解決をし、多くの方々が世界でもしっかりと、ビジネスマン、女性も男性も活躍できる、その場をつくっていきたいと思います。
さて、次の質問に入らせていただきます。
コロナ禍で表面化した文化振興の日本での脆弱さに関してお伺いしていきたいと思います。
昨年、衝撃的だったのは、目標金額一億円で国立科学博物館がクラウドファンディングを募ったということがありました。運営費だそうです。新型コロナで確かに入場者も減ってきたというのは事実でしょうけれども、それにしても、国の運営の博物館がこれをしなければならないということは、非常に衝撃的でもありました。
また、コロナ禍で、日本の芸能、芸術関係のフリーランスなども収入が途絶えたり発表の場がなくなり継続が厳しいことや、不明瞭な商習慣、また不適切な商習慣などが蔓延していることも明らかになりました。
六月七日、新しい資本主義実現会議で、岸田総理は、第四に、コンテンツ産業活性化戦略をまとめました、海外展開を図るとともに、クリエーターやアーティストを対象に、労働慣行や取引慣行是正を図るため、音楽、放送、映画、アニメ分野の実態調査を行い、独禁法の指針の策定を行いますとあります。
現在、映画館などは、劇場なども、閉館が進み、減ってきているのもあります。非常に厳しいところでもあります。
済みません、ちょっと時間の関係で先に飛ばさせていただきますけれども、新型コロナで、フリーランスとして働く芸術、芸能関係者が多いことも表面化しておりますが、労働慣行や取引慣行の是正を図ること、公正で健全な環境をつくることがクリエーター、アーティストを支援することにもなります。
そのためにも、これまでの慣行、当事者とは別の第三者機関での支援策の策定が必要ではないかと考えております。公正取引委員会にお伺いします。
○片桐政府参考人 お答えいたします。
アーティストやクリエーター個人の創造性が最大限発揮される取引環境を整備するため、公正取引委員会は、クリエイター支援のための取引適正化に向けた実態調査を実施しています。
クリエーター支援のための取引適正化の中でも、まずは、音楽、放送番組等の分野における実演家と芸能事務所、プロダクションとの取引などの実態について調査を実施しています。さらに、年明け以降、映画やアニメなどの制作現場におけるクリエーターの取引環境に係る実態把握のための調査を実施する予定です。
音楽、放送番組等の分野を対象にした実態調査については、年内を目途に調査結果を取りまとめる予定です。
その調査結果を踏まえまして、クリエーター支援のための取引適正化に資する指針の策定に速やかに着手し、優越的地位の濫用防止等に関する独占禁止法上及び競争政策上の具体的な考え方を明確にすることで、クリエーターに関する取引慣行等の是正を図ってまいります。
○小宮山委員 令和五年度の文科省の文化芸術予算は一千六十一億円でした。令和六年度は一千六十二億円、一億円増えただけであります。日本の、伝統文化も含めまして、文化振興のための予算規模は、諸外国としても、非常に少ないことが分かると思います。これはいかが考えますか。もっと増やすべきだと思いませんか。
○岸田内閣総理大臣 文化予算のデータについてお示しがありましたが、これは令和三年度でよろしいでしょうか。
三年度の予算につきましては、補正が九百五億円ありますので、それが含まれていないという点を一つ指摘した上で、そもそも、文化予算というのは、国によって分類ですとか範囲の捉え方が変わっているということでありまして、日本の場合は、文化庁のほかにも、クールジャパンとかコンテンツ産業支援は経産省、それから国際文化交流やジャパン・ハウスの運営等は外務省、そして放送コンテンツの海外展開支援は総務省、そして歴史、文化を生かした町づくり、これは国交省と、文化関係の施策が分散している、こういった点も考慮しなければならないと思います。
しかし、いずれにせよ、文化庁を中心に、文化芸術立国の実現を目指して、我が国としても文化芸術の振興に取り組んでまいりたいと考えています。
○小宮山委員 ジャパン・ハウスはやはり五百億規模であります。そういう意味においては、伝統文化は厳しいかと思います。
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会から、国立劇場の長引く閉鎖は、日本文化の創造、継承に大きな影響があり、今、舞台芸術の危機が進行しているとの提言がありました。これにつきまして、国立劇場の早期の再開をするべきだと考えますが、大臣、いかがですか。
○小川委員長 盛山文部科学大臣、時間が経過していますので、簡潔に。
○盛山国務大臣 国立劇場について、昭和四十一年に建設された施設が老朽化しております。PFIでこれまで二度の入札を行いましたが、不調に終わりました。そういう状況を受けまして、現在、国立劇場の設置者であります独立行政法人日本芸術文化振興会とともに、PFI事業の内容等を始めとする再整備計画の見直しを鋭意進めております。
また、その間、国立劇場の閉場が伝統芸能活動に与える影響等を考慮し、実演家等の伝承者を養成する研修その他につきましても、他の施設において事業を継続しております。
いずれにせよ、一刻も早く国立劇場の再整備に関しまして次の計画をお示しできるよう、引き続き国が責任を持ってしっかり取り組んでまいります。
○小宮山委員 質問ができなかったんですけれども、マイナ保険証については、今、是非、延長する、併用できるようにすることを、私たち立憲民主党は既に法案も提出しております。それにのっとり、多くの方々に不安がないように、ミスリードがないようによろしくお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○小川委員長 これにて野田君、青柳君、井坂君、谷田川君、小宮山君の質疑は終了いたしました。
次に、藤田文武君。
○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。
今日は、総理、冒頭、政治改革について、その後いろいろテーマは用意しているんですが、政治改革で時間がかかってしまったら最後まで行けないかもしれませんが、よろしくお願いをいたします。
今日は、特に政治改革の中でも旧文通費の話、それから政策活動費についてお聞きしたいと思います。
まず、質問に入る前に事の経緯を説明した上で、総理の見解を問いたいと思います。
この政治改革の事の発端は自民党の派閥裏金問題でありました。この政治と金の問題を、我々も根本的に、そして網羅的に受け止めて改革していくという決意の下、維新の会、日本維新の会は取り組んできたわけであります。それは各政党、野党も含めて、同じことだと思います。
野田元総理が、今日もですけれども、以前から、自民党が事の発端であるのに一番遅いし、一番矮小化しているんじゃないか、こういう問題意識を提起されてきたわけでありますが、私もそのとおりだと思います。
我々は、昨年、党内に政治改革実行本部を立ち上げまして、そして、一月の二十九日に維新版政治改革大綱というのを発表いたしました。この射程範囲というのは、平成元年、自民党の政治改革大綱と同じように、問題点だけでなくて、政治改革、政治と金だけじゃなくて、国会改革や選挙においてもこの幅広い射程範囲を持って政治をきれいにしていこう、そういう思いの中で平成元年の政治改革大綱は打ち出されたと私は認識していて、それに倣うように、我々もその思いで、射程範囲をそこまで含めたものを提案させていただきました。
そして、提案したからには、実行する政党として、全議員そして全特別党員を対象に、我々、党内では、政治資金に係る行動指針、つまり内規を定めました。これは二月のことであります。
企業・団体献金の禁止。これは、今回定めるまでもなく、結党以来から続けております。
それから、文通費の公開。これは、二〇一四年にかなり話題になりまして、二〇一五年から、当時は維新の党という党でしたが、その後、おおさか維新の会、日本維新の会と分裂があって引き継がれておりますが、我々、その頃から全議員が公開をしております。
それから、パーティー券については、企業、団体への販売を禁止しよう、それから一人当たりの年間の販売上限額を設定しようということを提案しました。ですから、内規に定めて、それをできなくしております。
それから、連座制。この連座制は、政治家が秘書や事務方に罪をなすりつけて、自分たちは何もないんだというようなことがあってはならないという思いから、様々、技術論も含めて、法案の作成まで至るわけでありますけれども、それならば、我々も、提案するからには、先駆けて、政治家本人が会計責任者となりましょうということで、今現在、国会議員は、我々、私もそうですけれども、全議員が会計責任者に、代表であり会計責任者であるということをさせていただきました。
それから、親族による相続。これも問題になりました。ですから、これについては、親族の相続禁止、それから、親族による、三親等以内は国会議員の公設秘書も禁止しよう、こういうことを内規で定めてやってきたわけです。
これは、なぜならば、政治改革は政策論だけではない、政策論に加えて政治姿勢がやはり両輪で大切である、こういう思いから、我々は有言実行の政党としてやってきたわけであります。
そして、五月、政治改革特別委員会の実質審議がスタートいたしました。ここで、我々は、国対委員長間ですが、政治改革に関する十の要求項目ということで、この政治改革大綱の中から主に抜粋をして、争点になり得るものを十個挙げて、浜田国対委員長に渡しました。
その内容というのは、十個あるんですが、一番重たいのは三つであります。一つは、旧文通費の改革をやり遂げましょう、決着をつけましょう、そして二つ目が、政策活動費の改革をやりましょう、そして三つ目が、企業・団体献金の禁止、パーティー券の企業、団体への販売の禁止という、この三大項目を最も優先順位が高いとして自民党に投げさせていただいたわけであります。
その後、これらについてはなかなかのむのが難しいなということで、我々もこれは反対せざるを得ないという形になっていたわけでありますが、急転直下、これは総理の御指示だと聞いておりますが、旧文通費についても決着をつける、そして、政策活動費については、我々の十年後に公開する案をのむ、そして制度設計に入るということについて指示を受けたと私は承知していまして、そして、五月三十一日には、自民党の岸田総裁、そして日本維新の会の馬場代表の間で党首間の合意がなされた、このように承知をしているわけであります。
私は、この文通費改革と政策活動費の改革、政策活動費は、おおむね、この国会の状況を見ていると、また、自民案が出てきたときのこの骨抜き感を見ていると、正直無理だろうなという諦めを途中持っていましたが、総理がこれを踏み込んでやるということを言われたときは、率直に、正直うれしかったですね。それだけ一つ踏み込んでやろうという心意気を見せていただいたというのは、それに応えるべきだ、是々非々の姿勢として。
我々維新の会が自民党にすり寄っているような、そういう印象も受けるかもしれないというのは元々分かっていました。実際にそのようにも言われています。ただし、僕たちは、高い球を投げて、とにかく反対した方が楽だったかもしれないけれども、この文通費と、文通費は個人のブラックボックスですね、そして政策活動費は政党の巨額のブラックボックスですね、この二つを未来に向かって潰せるのであれば、そしてきれいにできるのであれば、それは、我々は批判を甘んじて受けながらも、とにかくこれを徹底してやろうという思いでやってきたわけであります。これこそが、結党以来大事にしてきた是々非々の姿勢だ、このように思っているわけであります。
なぜ我々がこの文通費の公開と政策活動費にこだわってきたかというと、両方に共通することは、使途が公開されない、誰のチェックも受けない、だからブラックボックスで、何に使っているかも分からないし、不正をしていてもその検証もしようがない。先ほど井坂議員から質疑がありました事例にもありますように、政策活動費は自民党内で領収書の要らないお金として配られていたかのような証言が複数にわたって出ており、これは現金配り政治が広がっていたんじゃないかということを示唆してきたわけであります。ですから、それの証拠をしっかりと整えましょう、そういう不正ができないようにしましょうと。そして、文通費は第二の給与とやゆされてきたわけであります。
そこで、政策活動費について総理に少し各論というか、今日は、各論の各論はもう特別委員会でもやっていただいておりますから、これについては大きな目線で総理に御決意とこの改革における思いを聞きたいというふうに思います。
先ほど申し上げましたように、政策活動費を透明化すべきだ。この政策活動費というのは、法令上はいわゆるですから、通称だったわけであります。これが、驚いたことに、私どもは最初、寄附の例外規定だと思っていたわけでありますけれども、これは総理答弁からも明らかになったように、党に代わって党勢拡大、政策立案、調査研究、これを行うための経費、つまり支出である、つまり、その先にはちゃんとした支出があるんだということだったんですが、これは法的な規制がなくて、いわゆるルールがないからやれているというものだったわけであります。
問題点としては、使途公開がない、領収書の保存も不要、事前も事後にも誰のチェックも受けない。多額の資金が数人の政治家の名前でブラックボックス化されて、選挙資金やまた心づけに使われていても分からない、こういう問題がある。これをなくそう、できなくしようということが、私たち維新の会と総理との合意の一番の私たちの思いだったわけであります。
そして、この合意の後に抜け穴がたくさんあるねという指摘をいただいてきました。ちょっとこれは、済みません、説明が長くなりますが、大事なところなので説明をもう少しさせてもらいます。
自民党の当初案は、政策活動費というものは定義がないから五十万円以上にしようという案だったんですね。五十万円以下は政策活動費ではなくて、これは除外すると。ですから、報告義務はないということが残る。つまり、五十万円ずつ小分けにしたら、何回か配れば、十回配れば五百万円、百回配れば五千万円ということができてしまう。これは、それでは駄目ですということで実務者協議の中で相当やり合いましたが、総理ももしかしたら背中を押していただいたかもしれませんが、金額全てにかかわらず報告するという、この大きな穴を塞いだわけであります。
それから、領収書の公開や保存義務は明記されていませんでした。通常で考えるとそれは義務はあるんでしょう。ただし、法律に明記がないということから領収書の保存義務というのを明記していただきました。これも最終、最後の攻防でした。
そして、もう一つは旅費交通費。渡し切りの渡し放題。これは、政策活動費という科目ではなくて、これも私も最初は話がかみ合わないなと思っていたんですが、自民党の収支報告を見て驚きました。遊説及び旅費交通費という名目でお金が渡されていて、確かに五万円ぐらいのものもたくさんありますが、一回の遊説で三百万円、百八十万円、九十万円と、渡し切りの経費で、恐らくそこから自分の旅費や随行者の旅費や、もしかしたら手土産、タクシー代をこうやってお配りする、そういったものを使って、残ったら多分、残ったものはもう問わない、超えたら自分で出してねという、こういう民間企業にあるまじき使い方をしていたんじゃないかと。だから、旅費交通費をもし除外していたとしたら、その名目で何千万と配れてしまうんじゃないでしょうかという、こういうやり取りをしました。それで、これはのんでいただきました、最終的には。だから、この渡し切りの旅費交通費例外はなくなったので、私どもは、これら、ほかにもあるんですが、大きな穴は塞いだと思います。
ただし、法律は穴があるものです。そして、他党の皆さんにもたくさん御指摘いただいて、より完成度の高いものにしようという、そういう思いからやっていただいている、又は批判いただいているというのは私はいいことだと思うし、もっとやってほしい、そして我々もやりたいと思うんですね。
だから、総理にお聞きをしたいと思います。
この政策活動費の制度設計はこれから始まるわけでありますが、先ほど言ったような抜け穴というのは塞いだ方がいいと思うんです。そして、自民党案から、僕たちが要望して、そして最終攻防があって何とか押し切れたこれらの旅費交通費問題や五十万円以下問題は塞げたわけでありますが、今日もいろいろ御指摘いただいているように、結構いろいろなことが指摘されています。これは、制度設計で、そして、今日の答弁や、今日だけじゃない、特別委員会での立案者の答弁なんかで、やはり制度を高める方に持っていかないといけないと思うんです。
総理、この詳細設計において、抜け穴だらけと言われないように、抜け穴を全て塞いでいくんだ、そういう制度を完成させるべきだというふうに思いますが、総理の思いを聞きたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 まず、今回の自民党の政治資金規正法改正案における政策活動費の規定ですが、これは現在の党本部の実情を踏まえて提案したものであると認識をしています。そして、その上で、当初の我が党原案に対して、今委員からも御紹介いただきましたように、御党、さらには公明党からの建設的な御意見を取り入れる中で、より実効性のある内容になったものであると理解をしています。
そして、いかなる制度改革においても、様々な場面を想定した緻密な制度づくり、これを不断に目指していくこと、これは当然のことだと思っています。現在の実情や新たな制度の運用状況なども踏まえつつ、委員御指摘の抜け穴という部分、制度の詳細について議論を深めていくこと、これは重要なことであると認識をいたします。
○藤田委員 前向きな答弁と受け止めたいと思います。
それからもう一つ、スケジュールのことですね。
これは、検討、検討と言われるんですが、やることは決まっています。法律に明記されています。検討というのは、制度設計を検討しよう、そして必ずやり遂げましょうと書いてあるわけであります。ここで、上限の額をどうするか、第三者機関をちゃんと設置する、そこにどういうふうな提出をするか、そして提出した後の公開の方法をどうするかというこの制度設計をやらないといけないわけであります。
これは、この法案の施行日は令和八年一月でありますから、一年半あるわけです。ここまでに合わせて制度設計を終わらせて、施行日に合わせて運用していくということが誰が考えても一番すっきりくる。公明党の山口代表もそうおっしゃられ、石井幹事長も私との「日曜討論」でも、NHKの生番組でそうおっしゃられました。私もそのように思います。
この上限設定、第三者機関の設置、公開方法という制度設計はそこまでに必ず完成させ、施行日とともにこれを運用していくという、そういうお考えかどうかを聞きたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 まず、我が党の案ですが、これは、本則に定めた政策活動費の毎年の報告のほか、附則で定めた政策活動費の使用状況の公開制度や第三者機関による監査の制度、これらが総合的に補完し合うことによって、政策活動費に関する国民の信頼を確保していく、こういったものであります。
そして、御党との合意の下で定めた政策活動費の使用状況の公開制度については、本則に定める政策活動費の毎年の報告を十年後の確認で担保するものであり、本則に定める政策活動費の毎年の報告の施行期日、すなわち令和八年一月一日に間に合うよう、制度の詳細について結論を得るべくしっかり検討、協議をしていく、このように考えております。
そして、第三者機関の設置については、これは、政策活動費の監査のほかにどのような役割を与えるかなどについても議論する必要があり、その状況いかんによって結論を得ることが可能な時期は変わる可能性はありますが、可能な限り早期に設置できるよう努力すべきこと、これは当然のことであり、自民党としてもしっかり議論に貢献してまいります。
○藤田委員 この政策活動費については、我々、ちょっと、参議院の方では態度はまだ保留しておりますが、今、二つ大きなコメントをいただきました。一つは、スケジュールについては令和八年までに制度設計をやろうということ、それから、抜け穴はない制度にしようという、その御決意は私は受け止めたいというふうに思います。
では、文通費の方に行きたいと思います。
先ほどるる御説明申し上げましたが、五月三十一日に党首間の合意をしました。文通費改革をやりましょうということであります。しかしながら、六月十一日、先週ですね、浜田国対委員長は、日程的に見ると厳しいと。そして、今いろいろ状況を聞いておりますと、参議院の方は特に、時間切れになるんじゃないか、こういうことになっておるわけでありますが、今の総理の率直な受け止めを聞きたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 旧文通費については、私と御党の馬場代表との間で、衆参議長の下に設置される議論の場で前向きに検討を行い、使途公開と残金返納を義務づける立法措置を講ずること、こうした内容で合意をしております。これは公党の党首間の合意であり、かつ、その内容を文書で確認しているものであり、大変重いものであると認識をしています。
具体的な検討は、現在、衆参の議院運営委員会において、衆参議長の御意見も伺いながら進められているものと承知をしておりますが、早期に結論を得たいという私の思い、国会でも繰り返し答弁させていただいているとおりであり、自民党としては、議院運営委員会の場での議論、あるいは衆参議長の御意見等も踏まえつつ、党としても誠心誠意対応していきたいと考えます。
○藤田委員 日程が間に合わないというような言い訳が結構いろいろなところで広がっているわけでありますが、総理は、仮に今国会中にこれが成立せずに先送りになってしまったとしても、それは致し方ないというふうにお考えですか。
○岸田内閣総理大臣 今も答弁させていただきましたように、公党の党首間の合意、これは大変重たいものであります。これは、文書に明記されているとおり、誠心誠意取り組まなければいけないと思っております。
その上で、今、衆参の議院運営委員会において、衆参の議長の意見も伺いながら取組が今進められている最中でありますので、この時点で私の立場から具体的な日程等について触れることは控えなければならないと思います。
いずれにせよ、自民党としても、こうした議論、誠心誠意対応していきたいと考えております。
○藤田委員 総理のお考えをちょっと聞きたいんですが、あの文書は、今国会中にという言葉は入れなかったわけでありますが、我々、最初に十の要求項目を渡した後に、これはもう無理だなということで一旦折衝は御破算になった後に、文通費は必ずやる、そして、政策活動費について、維新の会のアイデアをのみ込んだ上で制度設計をしたい、そういう思いの中で、一番スタート時点で、文通費がうやむやになり、できないようだったらテーブルには着けないという前提の下、始めたわけなんですね。つまり、この二つはセット、地続きだったわけであります。
総理は、これは今国会中にという思いは特になくだったわけですか。それか、今国会中にということだったわけですか。
なぜこれを聞いているかというと、岸田総裁名でのサインであります。岸田総裁が再任されるかもしれませんが、九月、総裁任期ですね。総裁任期前の国会は今回が最後です。その後、再任されたとしても、又は替わるかもしれませんが、再任されたとしても新体制ですね。
つまり、任期中のことの、一番最後のこの国会においてと想定するのは当たり前でありますし、これは本当にこの国会で決着ができるんですかということについては、四月の二十四日、合意文書よりも前に、うちの参議院議員、片山大介議員の質疑に対して、今国会で結論を出せるように各党と議論を行ってまいりますと、今国会ということを明言されています。
総理は、今国会でということであの合意文書をまいたんじゃないんですか。
○岸田内閣総理大臣 今回の党首間の合意について、合意に至るまでの経緯についてお話がありましたが、私としては、公党の党首間での合意、なおかつ文書をもって交わした、この重みは重く受け止めております。よって、あの文書の中身については誠心誠意取り組まなければならないと思っております。
そして、総裁が、党首が替わったらどうするのかと言われましたが、しかし、今現在、自民党の総裁としてこれにサインをしたわけであります。これは、自民党全体として重たい判断であると考えております。その上で、今後のこの問題に対する取扱いが進められていかなければならない、こういったものであると考えています。
○藤田委員 私はすごくシンプルなことを言っています。やると言ったらやってください、やれないんだったら言わないでくださいという至極シンプルなことを言っていて、今すごく気になったのは、文書の合意をした、それから文書の中身に基づいてやると。つまり、期日は書いていないんだから、いつか分からなくてもいいという言い訳を含んでいるように聞こえました。私は、そういう小役人みたいな話はもう要らないんですよ、政治家とやっていますから。担当も政治家、そして御決断されたのも政治家。政治家のやり取りとして、そういう担当者が責任を外すような話はどうでもいいんです。やると言ったからにはやってくださいという話なんですね。
日程の話でいうと、先ほど総理は答弁で、今国会でこの結論が出るように各党と議論を行ってまいりますと、確かに語尾を濁しているんですが、各党の動きでいうと、立憲民主党は、法案を一緒に出しています、賛成です。自主公開はしていませんが、賛成なんですよ。国民民主も、自主公開をしているし、賛成。公明党も前向き。共産党さんも賛成ですね。我々は、もちろん賛成だし、十年にわたって公開をしているわけであります。誰が止めているんですか。自民党以外に止める人はいないわけですよ。
日程が間に合わないのは誰のせいなんですか。誰が止めているんですか。自民党は、やると言ったらできるわけじゃないんですか。総理、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 今の御質問の主語は旧文通費の方でよろしいかと思いますが、それについては、まず、先ほど申し上げたように、党首としてあの文書を交わして確認をしている、この重さをしっかり受け止めて誠心誠意取り組む、これは何度も申し上げているとおりであります。
そして、これについて、文書に従って、議院運営委員会において、衆参議長の意見も聞きながら、今、取組、実際に動いている最中であると承知をしています。この動きに向けて自民党として誠心誠意取り組むということを申し上げております。それ以上のことについて、私の立場から具体的な日にち等を申し上げることは控えると申し上げている次第であります。
是非、この合意に基づいて今動きが進んでいるわけですから、各党とともにこの動きを前進させるため、自民党としても貢献したいと思っています。
○藤田委員 日程が間に合わない、間に合わないと言い出したのは先週で、もう一、二週間のところで日程、日程と言うわけなんですね。もう言い訳にしか私は聞こえなくて、総理又は自民党という会社の社長がやると判こを押したんですから、自民党の人全員で必ずこの国会までにやると頑張ってくださいよ。それが私は政治家同士の信用だと思います。
何か小さな文言の話じゃなくて、そういう、とにかくここで決着をつけるんだと総理が国会でもおっしゃっていただいて、そして、各党全部賛成しているんですから、自民党さえまとまればできるわけなんですね。
これは、もしこのまま成立しないまま終わってしまったら、総理はそのまま国会を閉じていいとお考えですか。日程の件は、もちろん権限はないのは分かっていますけれども、私は執念を持って約束を果たしてもらえるんだったら会期を延長してでもやるべきだというふうに思いますが、総理はどう思われますか。
○岸田内閣総理大臣 今、議運において、衆参議長の意見を聞きながら、手続が進んでいると承知をしております。有識者の意見の聴取等の手続が進められている、こういったことでありますので、それについて、具体的な期日、あるいは、成立しなかったらどうするかなどということを今申し上げるべきではないと考えております。
○藤田委員 これは、このまま成立しないまま行くと、我々としては、総理と党首が、馬場代表が締結したこういう合意、とにかく、いろいろ書いてありますけれども、簡単に言うと、文通費の改革に決着をつける、それから政策活動費の闇をなくすというのが二つの一番大きな合意事項だったわけでありますが、これがもし先送りになるようなことがあれば、約束は履行されなかったというふうに思わざるを得ないし、これはもう大げんかですね。そのように思います。
今後、制度設計をしていく中で、さっきありましたが、こういうふうに、結局は、文言に入っていないとか、何か時期はいろいろあるんだとかいうふうにやっていくんだったら、一つ一つ、交渉が信用ベースでできなくなるので、詰めていかないといけないと思いますね。
例えば、黒塗りの話も出ています。黒塗り、いろいろ誤解されていますが、我々は十年後の公開に黒塗りは要らないと思っています。その中でも、寄附者のところは、市町村以降は、プライベートに関わる、例えば部屋番、番地、そういったものについて公開されないようにするというように、同じく個人事業主とか個人の自宅なんかは、そこは話は分かります。ただ、大枠を黒塗りにするということは想定していないわけでありますが、この辺についても抑制的に発言してきました。
それは、やはりガラス細工で、いろいろ制度設計を常に押し引きをしながらここまで様々な大きな穴を埋めるために我々も頑張ってきましたから、総理が割と濁した発言をされたのも分かっていますし、そういうのに合わせてきたというのがありますが、ここからはもう厳しくやらせていただきたいと思います。
一つ一つ、制度設計にも、元々我々の案とは少し違う、同意義である案に取り入れていただいたわけでありますから、それもある種、今後、この改革が、文通費改革、そして政策活動費改革によって、数年後、振り返ったら、こういう政界の闇と言われるようなお金がなくなったと言われるために、そのために我々は批判を甘んじて受けて、やろうと言ってやってきたわけでありますから、だからこそ、公党間の合意、これをうやむやにせずに、役所的な言い訳ではなくて、やると決めたらやるんだということをやってほしいわけであります。
担当者も総理も、その後ろに大組織があるのは分かっています。ただ、その大組織の論理は我々は知りません。我々の後ろをまとめるのは私の仕事、代表の仕事。総理の後ろにいるのをまとめるのは総理の仕事ですよ。ですから、約束を果たしてほしいという、それだけのシンプルな話であります。
総理の今日のお話では、まだ時間があるからもしかしたらできるかもしれないというニュアンスと捉えましたが、もう一度、今国会中にこの二つを、いや、二つ目はもう通りますからいいんですが、文通費の方は今国会中にやるんだという御意思をもう一度示していただけませんか。
○岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、これは答弁を繰り返さざるを得ません。
これは公党の党首間の合意であります。なおかつ、文書で取り交わしました。この重みをしっかり受け止めて、誠心誠意、自民党として実行をしてまいります。
その上で、具体的な期日等については、既に合意に基づいて議運での取扱い、そして衆参議長の意見を聞きながら、有識者の意見聴取等の取組も進んでいるわけであります。是非この状況を見守っていかなければなりません。
少なくとも自民党としては、誠心誠意、合意に基づいて取り組んでまいります。
○藤田委員 ちょっとやはり、これだけ最後に申し上げて、ほかの議題がいっぱいあったんですが、終わってしまうんですが、この合意文書に期日が入っていなかったというのは交渉者として甘いじゃないかと言われたら、まあ、そうなんですよ。でも、前提がそうだったから、とにかく信用関係で、あれは総理と合意文書をまく前日まで調整していました。ですから、そこはのもう、信用しようという話でのんだんですね。
だから、私は、まだ分かるなと思うのは、党内調整できませんでした、済みませんというふうに謝ってもらえるんやったらまだよかったなと思うんですが、いや、書いていないから時期は関係ないんだよというふうに開き直られたら、それは違うでしょうというのが、これが政治家と政治家の、何か小役人としゃべっているんじゃないとさっき申し上げましたが、そういう言い訳の話じゃなくて、とにかく決めたんだったら党内調整も含めてやるというのが、これは、議院内閣制であり、総理であり総裁である岸田総理とのお約束なんですよ。
そのことを再度申し上げて、この最終週、本当に旧文通費が成立する、又は今日、今週無理だったら延長してでも今国会中に結論を得ないと、総裁任期の手前の最後の国会ですよ、これは。だから、そこで約束したんですから、総理の最後の底力を出していただいて、自民党以外はさっき申し上げたように全部賛成なんですから。賛成ですよね。賛成ですか、井坂さん。ですよね。全員賛成なんですよ、こっち側は。自民党だけですよ。自民党が、やる、日程をはめると言ったら終わるんですよ。そういうことを是非……(発言する者あり)あっ、れいわさん、済みません。れいわさんも賛成でいいんですね。あっ、反対。れいわさんは反対らしいので。ごめんなさい。ですが、ほとんどの野党は賛成ということなので、是非、総理、やっていただきたいと思います。
ほかの質問を通告していましたが、申し訳ありませんでした。今日はこれで終わります。
○小川委員長 この際、杉本和巳君から関連質疑の申出があります。藤田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。杉本和巳君。
○杉本委員 日本維新の会と教育無償化を実現する会、統一会派の杉本和巳であります。
今、藤田幹事長からも総理にお願いをしていたかと思いますが、私の立場からは、僭越かもしれませんけれども、我が党の馬場代表、そして藤田幹事長、本当に誠実な、真面目な政治家だと思っていますし、私は岸田総理も誠実な総理であるという思いを過去のおつき合いから感じておりますので、是非、この文通費、成立に向けて精いっぱい頑張っていただきたいというお願いをしたいと思います。
それでまず、ちょっと私の方から、これは答弁は求めませんが、私ども日本維新の会が、今、藤田幹事長がざっと申し上げたんですけれども、ちょっとポイントだけ、これは、今実行していること、我々は有言実行であり、言行一致であり、そして率先垂範をする政治家の集まりが日本維新の会だということで、改めて国民の皆様にも御認識を深めていただきたいということで、この場をおかりして御説明いたします。
まず、この政治改革、維新の場合ということで、項目一、旧文通費、調査研究広報滞在費と今言われていますけれども、これについては、もう九年前から、政治活動に使って、領収書つきできちっと公開しているというのが維新の九年前からの姿勢であるということを皆さん知っておいていただきたいと思います。これは、年間千二百万円、非課税のお金ですね。このお金についてきちっとそういうことをしている政党があるということで、政治への信頼を失わないでいただきたいとお願いもしたいと思います。
項目二でございますけれども、これは、今議論になっている政治家の連座制の問題と幹事長は言いましたけれども、私ども維新は、この四月一日から、法律案を出すと同時に、自分たちは言行一致でやるんだということの中で、もう私も変えさせていただきましたけれども、代表者も、そして会計責任者も、どちらも維新は国会議員、衆参全員変更しておりますので、この点、是非とも率先垂範している政党があるということを皆さん知っていただきたいと思います。
そして、三つ目、身を切る改革と我々がよく言っているんですが、皆さん、何のこっちゃ、聞いたことはあるけれどもよく分からぬぞということで、改めて申し上げたいんですけれども、我々が今実行しているのは、給料、月給のカットですね。これこそ、七年前から、これは消費税が八%に上がった後数年間だけ、各党合意して給料カットをしていたんですけれども、また給料が戻っちゃったんです、国会議員の給料が。そんな中で維新は、歯を食いしばって、自分たちは給料カットを続けるということの中で、七年前から給料カットを行っているということです。
そして、下の方に書いてありますけれども、ボーナス三割カットというのは、これは、コロナが始まった四年前、二〇二〇年、ボーナスですから六月なんですけれども、このときからカットを始めて、コロナが終わっても我々はボーナスカットを続けているということです。
そして、この給料とボーナスのお金については、党本部を経由して義援金等として活用ということなので、具体的には、能登半島の地震など、過去に遡れば、東日本大震災、そして熊本の地震、広島の豪雨、岡山の豪雨といったところに支出をさせていただいている。
こういう政治もあるんだということで、是非国民の皆さんも御理解いただきたいし、今、政治資金規正法の議論をしておりますけれども、是非とも、私どもとしては、一歩でも二歩でも前進していくために、私どもは可能性を形にしていく政党だという言葉を新たに私は言いたいんですけれども、可能性を形にするという意味で、この規正法を何とか仕上げて、そして、この文通費の問題も、皆さん賛成なんだから、是非とも同じような形で実行に移していっていただくということを切にお願いして、ちょっと冒頭、長くなって恐縮なんですが、ここから本論の質疑に入らせていただきます。
次に、まさしく今日の議論は、植田日銀総裁にもお運びいただいて恐縮なんでございますけれども、お配りしているというか、パネルの方を見ていただくと、左側の数字は物価が上がってしまっている商品の比率、これが棒グラフですね。折れ線グラフは何かというと、これは為替レートを書いています。直近も、今、百五十七円台前半ぐらいかと思いますが、ぶれながらも、アメリカの指標で、消費者物価だとか雇用統計だとか、そういうのが発表される中で、あるいは日銀の会議が行われて動くというような状況にありますけれども、私の認識は、岸田総理、緊急事態なのではないかというぐらいの認識でこの物価高を感じております。
気候の問題でいろいろあって、キュウリの値段だとかキャベツの値段は少し落ち着きを示していますけれども、一方で、六百十四品目の値段が、帝国データバンクの資料では、上がっているということも言われますし、電気料金に至っては、これは来月からの請求分になりますけれども、いわゆる政府の補助金がなくなるというような関係で、関西電力で最大で四六・四%の値上がりを示すというような、物価の高騰という状況が起きているかというふうに認識をしております。
そこで、現下の物価の高騰、そして関係する円安。私が更に言いたいのは、その円安の背景には、政府の財政における健全化に対する姿勢における健全度とか、あるいは日銀の資産内容における健全度みたいなところも、実は、金利差だとかいうようなことを言われたり、人口減少とか、そういった大きな問題もありますけれども、目先の問題ではなくて、その本質的なところには日本国の信用力というものもあるような気がいたしますので、その点も、この後、提案も含めながら質問させていただきます。
まず、植田総裁に、今日はそれだけの質問になってしまうかもしれないんですが、現下の物価の状況を、私は、緊急事態であって、何らかの措置が本当に必要であると思います。背景に円安の問題がありますが、今までの政府の仕切りは、財務省が為替の問題を見て、そして物価の問題は日銀の担当だみたいなくくりがあって、それで、文書を作るに当たっても、共同声明とかを作るに当たっても、かなりきめ細かくその分担を、役割を、緻密に相談する中で共同声明ができたりして。共同声明の話もこの後質問しますけれども。
現下の状況を、日銀として、円安を背景とする物価高騰問題にどういう御認識を持っておられるか、植田総裁、教えてください。お願いします。
○植田参考人 物価高に関する私どもの認識についてお答えいたします。
消費者物価を、除く生鮮食品で見たといたしますと、輸入物価の上昇を起点とした価格転嫁の影響から、昨年初めにかけて食料品などの財を中心に大きく上昇したところです。ただ、その後、徐々に伸び率が鈍化していまして、足下では前年比で二%台前半となっております。
この背景でございますが、既往の輸入物価上昇の影響が徐々にですが弱まってきております。一方で、企業の賃金、価格設定行動が徐々に、次第に積極化する下で、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続いております。
先行きもこうした傾向は続くと見ておりますが、為替の円安や輸入物価の動向には注視していく必要があるというふうに考えております。
○杉本委員 今は日銀の立場での御答弁をいただきました。
財務大臣がいらっしゃいますけれども、せっかく総理に入っていただいているので、やはり現在の物価、私は、総理、是非スーパーを視察していただきたいと思うんですね。韓国の大統領みたいにちょっとずれたことを言ってしまってというようなことではなくて、本当に現場を見ていただいて、ちょっとキュウリは下がっているなとか、キャベツはまだ高いのかとか、大分下がっていますけれども、そういう意味での、視察も含めて、現在の物価高、そして背景となる円安の問題、これを総理はどういう御認識をお持ちか、確認させてください。
○岸田内閣総理大臣 私自身も、視察の中で、スーパー、視察に行きました。こうした国民の皆さんの、それぞれの生活の現場でどんなふうに感じておられるか、その場面を見ることは大変重要だと思います。
その上で、物価について、今回の物価上昇局面、一つは、国際的な原材料費の高騰、食料やエネルギー等の高騰、こういったものがあると思いますし、もう一つ、これも植田総裁から今ありましたように、円安を通じた輸入物価の上昇、これを起点としている、このように認識をしています。
その上で、現在の状況ということで申し上げるならば、この消費者物価、昨年一月に四・三%としてピークを迎えました。その後、昨年までの食料品の値上げが一服する中、足下では二%台で推移をしており、今年四月時点では二・五%、このようになっていると認識をしております。
○杉本委員 ありがとうございます。
それで、私の緊急事態意識とちょっと違うのかな、むしろ落ち着いているぞという御答弁だったかと思いますけれども、総理は、前の臨時国会、所信表明で、経済、経済、経済、私は何よりも経済に重点を置いていくと言われました。それで、賃金上昇とかいろいろな取組をされていることも十分認識しておりますけれども、やはりこの円安について、私は、もっと緊張感を持って、マーケットに対しての発信というんですかね、メッセージ性とか、そういった点をはっきりと示すのが政府と日銀の役割ではないかなというふうに感じています。
日銀の独立性というか自主性というのは常に尊重しなければならないと思いますけれども、一方で、協力してこの経済の難局に当たっていくということは私は大事だと思っています。
お手元にもお配りしているかと思うんですが、お手元はフルで書いてあるかもしれませんが、もう大分昔になりました、共同声明、これは二〇一三年ですよね。だから白川総裁と安倍総理の時代の共同声明なんですけれども、この共同声明が、三月十九日の、植田総裁と総理が会われたときに、その後の記者に対するコメントで、共同声明については見直さない考えを示されたというような記事がございました。
この共同声明を思い切って見直すというと、実は私自身も、この文言ができるまでの経緯を、相当難しかったということを理解していますし、いろいろなパワーバランスの中で文言を政府、財務省と日銀が入れ込んでいくというようなことだったと認識しております。
そして、総理は、三か月前のこの三月十九日に、共同声明については見直しはしないんだみたいなことを言われました。その後も定期的に植田総裁と会われているということで、五月七日にも会われている、ゴールデンウィーク明けにも会われているということだと思います。
私は、緊密にお二方がかなり連携しておられるという認識は持っているんですけれども、一方で、メッセージ性というんですかね、あるいは文言ではっきり出すとか、そういった意味からすると、この共同声明は、一番のところで言っていますけれども、政府及び日銀の政策連携を強化し、一体となって取り組むというふうにまずうたっていて、二番の項目は日銀の役割が書いてあって、植田総裁にも何度も伺っている物価の問題、黄色で囲ったところですけれども、物価の安定、持続可能な物価の安定、持続可能な物価の安定、その後に、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%とするという、インフレターゲットと俗に言われるようなことが書いてある共同声明なんですけれども、これを見直すかどうかは、まだデフレ脱却宣言ができていない中で道半ばだということで、私は、そこを求めるのはちょっと大変ハードルが高いなという認識は持っているんです。
そこで、総理に提案を申し上げたいのは、皆様のお手元にも配付したかと思うんですけれども、今、財務大臣、そこにお座りでいらっしゃいますけれども、過去二回、共同声明ではなくて、格が一つ下なのかもしれないですが、共同談話という形で発表がなされていて、これは平成二十八年の六月二十四日に、イギリスが、英国が国民投票を行い、EU離脱に対する賛成票が反対票を上回ったということの中で発出されていて、最初のところを略して読んでいきますけれども、「為替市場を含む金融市場の安定性は極めて重要である。為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得るものであり、望ましいものではない。」と。それで、財務省は云々というようなことが書いてあるんですけれども。まだ総理のお手元にないですかね。
二つあって、もう一つは、令和二年の五月二十二日に、これは、副総理兼財務大臣と日本銀行総裁共同談話という形で、新型コロナウイルス感染症への対応についてというテーマで、企業金融をしっかり確保していくというようなことの中で、この後議論ができればと思いますが、日銀のETFを積極的に買い入れる問題みたいなことも触れているんです。
私は、今回の為替の問題、各経済団体のトップクラスもいろいろ指摘していますけれども、庶民から見ると物価高、経済界から見ても円安の過度な行き過ぎ感、これに対して、政府は、介入とかそういうレベルではなくて、やはり日本国として断固としてこれには立ち向かっていくんだという共同談話を、総理と植田総裁の間でしっかり情報交換の上、文書を発出することが庶民の暮らしにもプラスに働くと思うんですけれども、いかがかと思うんですが、この点について、共同談話の発出について、総理、今御検討いただけないかどうか、今はちょっと難しいけれども少し考えてみるよということでも結構なんですが、御答弁いただければと思います。
○岸田内閣総理大臣 まず、三十三年ぶりの高水準の賃上げ、史上最高水準の設備投資など、明るい兆しが随所に見られていると認識をしておりますが、その一方で、先ほど来御指摘があるように、国際的な原材料費の高騰、円安等を通じた輸入物価の上昇を起点とする物価上昇局面にある、そして、その中で、賃金上昇が物価上昇に追いついておらず、消費が力強さを欠いていると認識をしています。
まず、日銀ともこうした認識は共有できていると考えています。政府と日銀は、共同声明の下、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて連携を続けていくことを明確にしているほか、私自身、国会や記者会見等の場で繰り返し日銀と密接に連携していく旨述べてまいりました。
今まさにデフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けた正念場だと申し上げているわけですが、引き続き、日銀と密接に連携を図りつつ、経済、物価、金融情勢に応じて機動的な政策運営を行っていく、こういった点について発信をしていくことは重要であると思います。
具体的にこれをどうアピールしていくか、これについては、今後の状況も見ながら適切に判断をいたします。
○杉本委員 ありがとうございます。
発信をしていくぞということで、談話を出すかどうかは今後判断するというお言葉だったかと思います。
もう党派を超えて、経済の緊急事態という私の認識でありますので、是非とも、植田総裁ともよく相談していただいて、私としては、談話を出していただくということも国民からの信任につながっていくんじゃないかなというふうに思います。
最後、数分なんですけれども、日銀さんの健康度というパネルを出していただきたいんですけれども。健全性とかと政治家用語とかで言いますけれども、健康かどうかというような意味から、健康度と書かせていただきました。
国債の残高を見てください。五百八十九兆円。六百兆円に近いですが、日本のGDPとほぼ一緒です。そして、私、前に総理に米国債のスワップの話をしましたけれども、御記憶にあるかどうか。それはちょっとまだ、日銀がリスクを負うということだったので、そこは引っ込めて、むしろリスク資産であるETF、この日銀の残高をやはり出口戦略的に私は減らしていく必要があると思っています。
簿価は三十七兆、その上に書いてある今の時価が七十四兆、これは三月末の数字ですけれども、含み益が簿価と同じ、倍になっちゃったというような、いや、もうかっていていいじゃないかETFという感じで日銀の中身を見る方もいるかもしれませんが、日銀さんの健康度、健康か不健康かを見ると、やはり超メタボになっていて、しかも心臓病があって、しかもニトログリセリンを持って歩かなきゃいけないという心臓病というのがこのETFなんじゃないかなと私は実は思っています。
そういう意味で、このETFを徐々に出口として外していく意味で、ちょっとまたこれは提案なんですけれども、GPIFさんという年金積立金管理運用独立行政法人がございます。ここに買ってもらうというのが私の提案なんですけれども、この運用について、株式が、いろいろなバランスの中で株式も運用の一つになっていますけれども、株価が下がったときに、買う力、買う余力がこのGPIFに出るんですね。リバランスの必要が出たときに、株が押したとき、値段が下がったときに買わなきゃいけない状況が生まれます。だから、日銀にとっては、この含み益三十七兆が少し減っていく話なんだけれども、危険な心臓病から脱却できるかもしれない状況にある。
一方で、年金のGPIFさん、運用の組織にとっては、やはりお値打ちで株を入れられるということなので、このことは、今もテレビを見ていらっしゃる、いや、給料が上がったというのは大企業の人たちばかりじゃないか、大手ばかりじゃないか、中堅、中小はどうなっている、我々年金生活者なんて増えないじゃないか、減っていくばかりじゃないかというような、そういうマイナスな思考に対しても、いや、きちっと年金運用をうまくやっていくから心配しないでいただきたいという意味でも、この日銀のETFの含みを持った残高、株価が押したタイミングで徐々に徐々にGPIFの方に移していく。
これは、十年かかるかもしれない、二十年かかるかもしれないけれども、これをきちっと打ち出すことによって、年金にも安心感、持続可能性が出てくるし、日銀も不健康な心臓病を脱却できるかもしれない、そういう思いがあります。
また唐突にいつも質問して総理に申し訳ないんですけれども、考えておくよ、参考にするよということで結構なんですけれども、日銀の残高は日銀の了解が要りますけれども、しかし、健康度を考えていくと、将来的には、GPIFさん、これは独立行政法人だけれども、まあ政府が管理監督しているわけなので、こっちにだんだん移していくというようなことを私は提案したいんですけれども、これは総理の御感想だけで結構ですから、お答えいただければと思います。
○岸田内閣総理大臣 日銀とETF、それからさらにはGPIFとの関係について、委員のお考えをお聞かせいただいたわけでありますが、これに対して、政府としての立場、まず、日銀が保有するETF、これは物価安定目標を実現するための金融政策の一環として日銀の判断で保有しているものであります。よって、その売却を含めた取扱いについて、これはまずは日銀において検討されるべき事項であると考えております。
そして、日銀の財務の在り方についても、日銀において検討されるべきものであり、日銀の独立性を尊重する観点から、政府としてコメントすることは控えなければならないと思っています。
そして一方、ETFとそれからGPIFの関係ですが、この年金積立金の運用、これは、厚生年金保険法等の規定に基づき、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から行うこととされており、制度上、他の政策目的や政策実現の手段として年金積立金の運用を行うこと、これはできない仕組みであると認識をしています。
よって、政府として、GPIFに対して日本銀行の保有するETFを購入するよう要請するとか指示をする、こういったことは考えておりません。
○杉本委員 時間となりました。
御答弁ありがとうございました。是非参考にしてください。終わります。
○小川委員長 これにて藤田君、杉本君の質疑は終了いたしました。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○小川委員長 速記を起こしてください。
先ほどの杉本君の発言の中で、事実と異なる内容が含まれているとの申出がありました。この件につきましては、速記録を精査の上、理事会で後刻協議いたしたいと思います。
質疑を続行します。櫛渕万里君。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
総理、持ち時間四分ですので、端的にお答えをお願いいたします。
総理、度々総理は、国民の可処分所得を下支えすると言っておりますが、全くそうなってはいませんよね。
パネル一を見てください。
左側、物価高で実質賃金は二十五か月連続で下がり、過去最長となりました。賃金が上がらないから年金も増えていません。家計に占める食費の割合は三割にも及び、四十五年ぶりという深刻な事態で、本当に国民生活は厳しくなっています。
日本商工会議所の報告書を見ますと、例えば、医療、介護、看護の分野、賃上げ率二・一九%で、大企業の半分以下なんです。とてもじゃありませんが、物価高を補えません。なのに、今年度から、何と総理は、訪問介護の基本報酬の引下げなど駄目押しをし、今年に入ってから過去最悪のペースで介護事業者の倒産が増えています。
介護だけではありません。パネルの右側です、企業の倒産は二十六か月連続で増えている。
しかし、政府の骨太方針の原案には、驚くことに倒産に一言も言及がない。代わりにあるのは企業の新陳代謝という表現。この言葉自体悪質ですが、足下の状況を見ますと、百年以上の老舗企業の倒産が三倍に増え、十年未満の企業も二十六か月連続で前年同月比を上回っています。
つまり、古い企業も新しい企業も、どんどん倒産に追い込まれているというのが実態です。総理、その理由は何かお分かりでしょうか。
コロナのゼロゼロ融資、その返済に加えて、パネル二を見てください、左側、税や社会保険料の滞納、これを要因とする倒産が去年の二・八倍という、年間で過去最多のペースなんです。
中でも、中小企業、そして個人事業主を苦しめているのは消費税なんですね。新規滞納に至っては、パネルの右側、消費税の割合は何と五〇%を超えていて、法人税の三・六倍にも上っています。
これにとどめを刺すのが、去年十月に強行されたインボイスによる増税です。何と、事業者の一割は借入れまでして消費税を納税しており、それもできない苦しい方が倒産や廃業に追い込まれている、こうした実態があります。実際に、私の地元墨田区でも直接そうした声を聞いている。これは事業者の皆さんにアンケートを取った結果ですが、インボイス見直し、中止を求める声が九割以上を超えているのが現実です。総理、これを放置するのは、幾ら何でも、余りにも鬼です。
今年度、消費税の税収見通しは二十三兆八千億円で、過去最高じゃないですか。税収の三分の一以上が消費税で、法人税の一・四倍です。要は、国民から消費税を取り過ぎなんですよ。
総理、国民を救済するためには、定額減税ではなく、消費税廃止、少なくとも消費税減税しかありません。さっさとやってください。いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 日本経済の現状については、先ほど来議論が行われていますが、三十三年ぶりの高い賃上げですとか、史上最高の国内投資ですとか、前向きな動きが出ている一方で、賃上げ上昇が物価上昇に追いついていない、消費が力強さを欠いている、こうした現状にあります。
ただ、例えば二〇二四年一―三月期、GDP成長率がマイナスになったわけでありますが、能登半島地震の影響ですとか、一部自動車メーカーの生産、出荷の停止など特殊要因、これは留意しなければならないと思っています。
ですから、先ほど御指摘があった定額減税ですとか、賃上げの動きを地方に広げていく、こういったことが大事だと思っております。
消費税については、社会保障給付費、これが大きく増加する中で、引き下げる、廃止等は考えていないということであります。
○櫛渕委員 今の実態、中小企業潰しになっていることに目を向けてください。必要なのは、企業の新陳代謝ではなく、政治の新陳代謝です。
自民党は即刻退陣、裏金議員は全員━━。是非、総理、このことこそ今の日本が本当に必要としている新陳代謝である、そのことを申し上げ、私の質問を終わります。
○小川委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。(発言する者あり)
申出の件については、後刻理事会で協議します。
これをもちまして締めくくり総括質疑は終了いたしました。
以上をもちまして令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
―――――――――――――
○小川委員長 令和二年度決算、令和三年度決算及び令和四年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
令和二年度、令和三年度及び令和四年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、各年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 予算への多額計上が常態化している予備費については、予備費使用額を財源とする予算の大半を翌年度に繰り越している事例や国会開会中、特に年度末に使用決定が行われていることに加え、多額の不用額を生じさせており、このような財政運営を改めるよう努めるべきである。
本院における決算の議決や審議内容が、次年度以降の予算編成に反映され効率的で適切な予算執行につながるよう迅速かつ適宜適切な決算審議の実現に向けた取組に一層協力すべきである。
公益事業については、国の財政歳入百兆円に加え、個人の金融資産を活用したインパクト投資や公益法人・NPOなどの新しい公共による課題解決を目指し、そのための寄附制度、税制や金融政策等の見直しを検討すべきである。
税と社会保障費の負担については、可処分所得の増加によって我が国の経済成長を加速させるため、適切な国民負担の在り方を検討すべきである。
2 被災者の避難先での支援については、避難先とのつながりが復興時の連携に果たす役割を考慮し、被災者に対する被災地、避難先の両地域での適切な支援が受けられるよう二地域居住対策を講じるべきである。
3 消防団員の確保については、処遇改善や企業の理解促進を図るとともに、消防団員に準中型免許制度の新設に伴う負担を軽減するなど、地域防災力強化のための連携した対策を講じるべきである。
4 外国人材受入れの課題については、今後外国人材を受入れて、定着を促そうとしている自治体に対し、多言語翻訳サービスの導入、日本語教育の充実や居住環境整備をはじめ、地域での共生社会に向けた取り組みを支援すべきである。
5 SDGsについては、目標達成への進捗が遅れている分野を中心に、具体的なアクションプランを策定するとともに、外交面において、我が国は途上国支援だけでなく、ポストSDGsに向けた国際的な議論に主導権を発揮すべきである。
6 厳しい教員不足の状況については、教師の処遇改善や選考時期等を工夫するとともに、情報リテラシーや生成AI、データ活用などの新しい教育分野に必要な教員の人材確保を図るべきである。
また、給料を含めた再任用教員の処遇改善に取り組むとともに、教員志望者を増やすために効果の出ている好事例を横展開するなど、適切な措置を講じるべきである。
7 緊急小口資金や総合支援資金については、その償還等が困難な者に対する継続した支援や相談など丁寧な対応を行うべきである。
被災地におけるリハビリテーション職種の活動支援については、自治体と保健医療専門職団体との平時からの連携強化を促し、被災地での介護・福祉人材の迅速な確保やロジスティクス業務への支援の在り方を検討すべきである。
8 総合食料自給率については、数値目標を政策評価の対象とした上で、食料安全保障の観点からその達成状況について検証する仕組み作りの検討を進めるべきである。
農業政策については、次世代の農業者を確保するための方策として、就農や経営に係る資金的支援、相談体制の整備及びロボットや水管理システム等を活用したスマート農業の推進を実施すべきである。
9 我が国のエネルギー政策については、今後の電力需要増加を見越した上で温室効果ガス削減目標の実現を図りながら、太陽光発電設備の諸問題や賦課金値上げへの対応を強化しつつ再生可能エネルギーの導入を促進すべきである。
中小企業、小規模事業者の脱炭素化については、既存の補助事業の対象外となっている事業についても支援や補助が受けられるようにするなどして、脱炭素に係る事業に安心して取り組める環境を整備すべきである。
10 財政支出の削減については、公共施設の長寿命化やかかりつけ医制度など、予防的な政策に積極的に取り組み、そのために必要な資金を調達する財政スキームを検討すべきである。また、治水対策についても、流域治水の考え方を取り入れ、地元住民の調査や意見を踏まえ適宜見直すべきである。
少子化対策下での国土形成については、出生率の低い自治体から高い自治体への移住を促進する施策や、地方移住者等を就農に結び付けるため、当初は身分保証をする農業公社のような施策を検討すべきである。
インバウンド振興については、訪日外国人旅行客の旅行消費の拡大を促進するのみならず、我が国の伝統工芸品や特産品等のプロモーションにつながる事業を推進すべきである。
11 在日米軍の施設区域にあるPCB廃棄物については、我が国が一部費用負担し処理しており、早急に全てを処理する必要があることから、処理方法を検討すべきである。
二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
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○小川委員長 これより令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党・無所属の中谷一馬でございます。
会派を代表して、令和二年度、三年度、四年度の決算に関する議決案並びに国有財産増減及び現在額総計算書に反対、国有財産無償貸付状況総計算書に賛成の立場から討論いたします。
冒頭、衆議院における決算審議の在り方について一言申し上げます。
決算の意義は、その審議を通じて、予算が適正かつ効率的に執行されたのかについて分析、評価し、その結果を次の予算の編成、執行に反映させることにあります。この観点からすれば、毎年直近の決算を審議することが望ましいことは論をまちませんが、衆議院における決算審議は複数年度をまとめて行うことが常態化してきました。
今回、関係各位の御尽力により、ようやく審議の積み残しが解消されたわけですから、決算審議の意義を十分に発揮するためにも、今後は積み残しなく、毎年直近の決算を審議すべきであるということを強く申し上げます。
また、衆議院における決算の議決の在り方についても一言申し上げます。
衆議院においては、政府の予算執行等の問題点を指摘した上で、それ以外の事項については異議がないとする形で議決が行われています。前段の問題点を指摘する部分については、決算審議を踏まえ、与野党合意の上で取りまとめているものですが、この異議がないとの一言があるために、我々は決算本体に反対する以上、議決にも反対せざるを得ません。これは全くもって不合理なことです。
参議院においては、決算本体と、予算執行等について政府に是正、改善を求める警告決議並びに措置要求決議は別に採決されています。現在の議決方式に固執する合理的な理由もない以上、この際、前例踏襲主義を改め、与野党合意の上で取りまとめた部分については野党も賛成できるよう、議決の在り方について見直しを図るべきです。
さて、令和二年度からの三年間は、コロナ禍や物価高などの影響で、過去に例を見ないほど予算が肥大化した時期でした。特に予備費や基金の運用については、財政民主主義を形骸化しかねない実態があり、看過し難いものがあります。それ以外にも、この間の審議で指摘してきたとおり、問題点は枚挙にいとまがありません。したがって、議決案並びに国有財産増減及び現在額総計算書には反対といたします。
なお、国有財産無償貸付状況総計算書については、住民生活に資する国有財産を地方公共団体等に無償で貸し付けるものであることから、賛成といたします。
年々予算が肥大化し、過去最大規模を次々と更新していく中にあって、決算審議の重要性はますます高まっています。国家財政のPDCAサイクルを確立し、より効率的、効果的な予算を実現するため、引き続き尽力していくことをお誓い申し上げて、私の討論とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○小川委員長 次に、遠藤良太君。
○遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太です。
教育無償化を実現する会との統一会派を代表して、令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件の是認に反対、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案に反対の立場で討論をいたします。
令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言から幕を開けました。経済の先行きが見通せない中、政府は憲政史上例のない多額の予備費を計上し、また、莫大な基金の造成を続けてきました。
予備費については、令和二年度予算で約十・二兆円、令和三年度予算では約五・五兆円、令和四年度予算では約十一・八兆円、令和五年度当初予算では約五・五兆円が計上されてきました。また、一般会計のうちの予備費の割合で見ると、令和四年度は八%を超えて過去最大となっています。これら尋常でない予備費の規模について、政府内部で検証はなされてきたのでしょうか。
結果として、財政規律が弛緩していることは誰の目にも明らかです。一例として、これら莫大な予備費は慣例化しつつあります。令和六年度当初予算で計上された合計二兆円の予備費は、コロナ禍前の五千億円と比べると四倍にもなります。
また、会計検査院によると、令和二年度予備費において、三月末に多額の予備費の使用決定を行い、大半を翌年度に繰り越した例が明らかになりました。不用となった予備費を翌年度に使用するための手段であるとの疑念が拭えません。
議決案に記載がない点を指摘すると、国の基金は急激に膨張を続け、乱脈経営とも言える状況にあります。国の基金への予算措置額は、令和元年度までは一兆円程度で推移していましたが、二年度は十一・五兆円、三年度は五・七兆円、四年度は十・六兆円と大きく増加し、四年度末の基金残高は十六・六兆円に上っています。政府は今般、基金の見直しを行いましたが、コロナ禍前の二兆円規模まではまだ距離があると言わざるを得ず、決して見逃すことはできません。
先日、政府は骨太の方針の原案を示しました。報道では令和七年度から十二年度を対象とした財政健全化の目標を盛り込むとされていますが、まずはコロナ禍で財政規律がどのように失われてきたか真摯に振り返るべきことを指摘し、討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○小川委員長 次に、櫛渕万里君。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
会派を代表して、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案に反対、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の国有財産増減及び現在額総計算書に反対、令和二年度、令和三年度及び令和四年度の国有財産無償貸付状況総計算書に賛成、以上の立場から討論いたします。
一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案については、各年度の決算について、歳出は、防衛費最高を連続更新、一方で歳入は、消費税を始めとする税収最高を連続更新するなど、防衛費の使い過ぎ、税金の取り過ぎであるため、議決案に反対するとともに、消費税の廃止、少なくとも消費税の減税を求めます。
国有財産増減及び現在額総計算書については、在日米軍基地に国有財産二兆円分を提供しているなどの点があるため、いずれの年度も反対いたします。
国有財産無償貸付状況総計算書については、その対象がほぼ地方自治体の公園であるなど公益に資するため、いずれの年度も賛成いたします。
以上が、政府の提出した決算等に対する態度の表明ですが、国会の審議の在り方についても一言申し添えます。
今国会での本委員会審議時間は、分科会を除くと十四時間。これに対して、議題となった各年度の一般会計支出済歳出額の合計は、約四百二十五兆円です。単純計算ではありますが、一分間で五千億円以上の審議では少な過ぎることは明らかであり、もっと充実した審議時間が必要です。
また、憲法第九十条には次のようにあります。決算は、会計検査院が検査し、内閣は、次の年度に国会に提出しなければならないとあるんですね。その後の手続は書かれていないとはいえ、今回の令和二年度決算のように、次の年度どころか、次の次の次の次の年度に審議を行うことは、憲法の精神に反すると思います。
この後、決算の指摘事項について内閣の各大臣から発言がありますが、それよりも前に、本委員会自らが審議の遅れを反省しなければなりません。
以上、決算の内容はもとより、審議の在り方についても指摘して、討論を終わります。
以上です。(拍手)
○小川委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○小川委員長 これより順次採決いたします。
まず、令和二年度一般会計歳入歳出決算、令和二年度特別会計歳入歳出決算、令和二年度国税収納金整理資金受払計算書及び令和二年度政府関係機関決算書、令和三年度一般会計歳入歳出決算、令和三年度特別会計歳入歳出決算、令和三年度国税収納金整理資金受払計算書及び令和三年度政府関係機関決算書並びに令和四年度一般会計歳入歳出決算、令和四年度特別会計歳入歳出決算、令和四年度国税収納金整理資金受払計算書及び令和四年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。
次に、令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書、令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書、令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書の各件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立多数。よって、各件は是認すべきものと決定いたしました。
次に、令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書、令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書、令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書の各件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立多数。よって、各件は是認すべきものと決定いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○小川委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。鈴木国務大臣。
○鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました予備費につきましては、憲法、財政法等の規定に基づき、引き続き適切に対応してまいります。
次に、迅速かつ適宜適切な決算審議の実現に向けた取組につきましては、決算の十分な審議とその結果を翌年度以降の予算等に反映させるため、引き続き、決算の早期提出に努めるとともに、国会における決算の審議に最大限協力してまいります。
次に、税と社会保障費の負担については、負担能力の基盤となる経済の活力を高め、あわせて、全世代型社会保障に係る改革工程に盛り込まれた取組を着実に進めていくことにより、国民負担率の上昇を抑制することを目指すとともに、国民に提供される行政サービスや社会保障給付等の受益面とのバランス等も考慮しながら、検討を進めてまいります。
次に、インパクト投資につきましては、金融庁において基本的な考え方を取りまとめた指針を策定するなど、促進に取り組んでおります。今後とも、官民の幅広い関係者が参画するコンソーシアムにおいて投資手法について議論を深めるなど、関係省庁と連携し、総合的に推進してまいります。
○小川委員長 次に、松本総務大臣。
○松本国務大臣 ただいま御決議のありました消防団員の確保につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、消防団の更なる充実に向けて、今後とも地方公共団体や企業への働きかけなどを行ってまいります。
○小川委員長 次に、小泉法務大臣。
○小泉国務大臣 ただいま御決議のありました、外国人材の定着を促そうとしている自治体への支援につきましては、政府としては、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ等に基づき、地方公共団体等と連携協力し、その実現に向けた取組を進めております。その中には、多言語翻訳技術の高度化や日本語教育環境の整備のほか、外国人受入環境整備交付金による地方公共団体への支援等、様々な施策が盛り込まれております。
政府としては、地方公共団体と連携協力し、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえながら、外国人との共生社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
○小川委員長 次に、上川外務大臣。
○上川国務大臣 ただいま御決議のありましたSDGsの取組につきまして、政府としては、昨年十二月にSDGs推進本部で改定されたSDGs実施指針に基づき、引き続き、二〇三〇年までのSDGsの達成を目指し、持続可能な経済社会システムの構築や誰一人取り残さない包摂社会の実現等を含め、具体的な取組を強化、加速していきます。
SDGsアクションプランについては、昨年十二月に改定したSDGs実施指針において、我が国におけるSDGsの広がりを踏まえ、より行動志向な指針とすべく、従来はアクションプランにおいて記載してきたSDGs実施に当たっての具体的な重点事項や取組についても、その主要な中身として重点的に記載していることも踏まえつつ、今後更に検討していきたいと考えています。
その上で、現行SDGsが二〇三〇年を目標年としていることを踏まえれば、今の段階からその先を見据えて、国際的な議論を主導していくことも極めて重要です。かかる観点から、本年四月には、私の下に国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会を立ち上げ、二〇三〇年以降も見据えながら、我が国自身の持続的成長と国際社会全体の持続可能性の確保に向け、我が国として国際社会をいかにリードしていくかについて検討を進めていくこととしております。
○小川委員長 次に、盛山文部科学大臣。
○盛山国務大臣 ただいま御決議のありました教員不足の状況につきましては、教職の魅力向上のため、再任用教師も含む教師の処遇改善を始め、学校における働き方改革の更なる加速化、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を進めるとともに、教員採用選考の早期化等の改善についても促してまいります。
情報リテラシーや生成AI、データ活用などの新しい教育分野に必要な教員の人材確保についても、昨今の技術の進展に対応した学習機会の提供や専門家の派遣等を通じて、教育現場への支援の充実に努めてまいります。
また、好事例の横展開についても、各教育委員会の教師人材確保の先導的な取組事例を周知しながら、各自治体の更なる取組を促してまいります。
○小川委員長 次に、武見厚生労働大臣。
○武見国務大臣 ただいま御決議のありました社会保障負担の在り方につきましては、負担能力の基礎となる経済の活力を高め、あわせて、徹底した歳出改革により社会保険料負担を全体として軽減していくことがまずは重要であることから、賃上げなどに取り組み、また、必要な保障が欠けることのないよう配慮しながら、改革工程に沿って歳出改革に取り組んでまいります。
緊急小口資金等の特別、特例貸付けの償還にお困りの方などにつきましては、引き続き、個々の状況に応じて償還猶予等の案内を行うとともに、生活再建に向けた就労支援や家計改善支援を行うなど、きめ細かなフォローアップ支援に努めてまいります。
被災地におけるリハビリテーション職種の活動支援につきましては、今回の能登半島地震の経験を踏まえながら、関係府省庁と連携して、その在り方を検討してまいります。
かかりつけ医の制度につきましては、国民が受ける医療サービスの向上を図ることを目的に、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うこととしており、有識者等の意見を伺いながら、施行に向けて着実に検討を進めてまいります。
以上です。
○小川委員長 次に、坂本農林水産大臣。
○坂本国務大臣 ただいま御決議のありました食料自給率については、その変化要因等について、国内生産と消費という異なる要素が正反対に作用しており、これらの結果としての数値のみで個々の取組を評価することは困難であり、食料自給率を政策評価の対象とすることはなじみませんが、今回の基本法改正法では、基本計画において、食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標を定め、目標の達成状況を少なくとも毎年一回調査し、その結果を公表するなど、目標の達成状況を踏まえてPDCAを回す新たな仕組みを導入することとしています。これにより、食料自給率目標を始め食料安全保障の確保に関する目標の達成状況の評価をよりしっかりと行えるものにしてまいりたいと考えております。
また、次世代の農業者を確保するため、就農前後の資金の交付、機械、施設の導入等に加え、就農相談員の設置、先輩農業者による技術指導等を支援するほか、スマート農業の推進については、今国会で成立した農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律に基づき、ロボットや水管理システム等のスマート農業技術の開発や、その効果を引き出すための新たな生産方式の導入に関する計画認定制度を設け、認定を受けた農業者や事業者に対して税制、金融等の支援措置を講じてまいります。
さらに、農業公社につきましては、農業は、自らの創意工夫で地域の特性に応じた作物を選択し、経営意欲を持って取り組んでいただくことが基本と考えていることから、一律に農業の担い手を育成する国立の農業公社のような施策はなじみません。
ただし、市町村から青年等就農計画の認定を受けた者に対し就農前後の資金等を支援することにより、引き続き、地方移住者等を含め、農業の担い手の育成、確保を図ってまいります。
○小川委員長 次に、齋藤経済産業大臣。
○齋藤(健)国務大臣 ただいま御決議のありましたエネルギー政策につきましては、御趣旨を踏まえ、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。
また、中小企業、小規模事業者の脱炭素化につきましては、御趣旨を踏まえ、中小企業や小規模事業者が安心して脱炭素事業に取り組める環境整備を進めてまいります。
最後に、インバウンド振興につきましては、日本の伝統的工芸品のプロモーションにつながるように取り組んでまいります。
○小川委員長 次に、斉藤国土交通大臣。
○斉藤(鉄)国務大臣 ただいま御決議のありました財政支出の削減につきましては、公共施設の長寿命化として、点検を踏まえ計画的に実施される修繕等の老朽化対策を集中的に支援する個別補助制度の創設など、様々な取組を行ってまいりました。財政支援策の不断の見直しも含め、予防保全への本格転換に向けて、引き続き積極的に取組を進めてまいります。
治水対策につきましては、引き続き流域治水の考え方で進めるとともに、計画策定、変更時の公聴会やパブリックコメント、事業実施時の地元説明会などを通じて、関係する住民の皆様などの御理解や御協力を得るように努め、治水安全度の向上を図ってまいります。
少子化対策下での国土形成につきましては、昨年策定した新たな国土形成計画を踏まえ、東京一極集中の是正、地方への人の流れの創出、拡大、二地域居住の促進等に取り組んでまいります。
インバウンド振興につきましては、持続可能な観光の推進に向けて、我が国の伝統工芸品や特産品等を活用する観点も踏まえて、観光コンテンツ造成の支援や、日本政府観光局を通じた海外への情報発信に引き続き取り組んでまいります。
○小川委員長 次に、伊藤環境大臣。
○伊藤国務大臣 在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物への対応については、米国との間で日米地位協定第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会等様々な場で、外務省、防衛省等関係省庁で連携して、引き続き様々な選択肢を検討しながら協議を行ってまいります。
○小川委員長 次に、林内閣官房長官。
○林国務大臣 ただいま御決議のありましたSDGsの取組につきましては、我が国においては、国連総会においてSDGsが採択されて以降、内閣総理大臣を本部長、官房長官及び外務大臣を副本部長とするSDGs推進本部が設置され、その下で、政府全体としてSDGs達成に向けた強力な取組が続けられています。
同時に、我が国におけるSDGsの取組について、様々な課題が指摘されていることも事実です。
政府としては、昨年十二月にSDGs推進本部で改定されたSDGs実施指針に基づき、引き続き二〇三〇年までのSDGsの達成を目指し、持続可能な経済社会システムの構築や、誰一人取り残さない包摂社会の実現等を含め、具体的な取組を強化、加速してまいります。
○小川委員長 次に、松村国務大臣。
○松村国務大臣 ただいま御決議のありました被災者の避難先での支援につきましては、その御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいります。
○小川委員長 次に、加藤国務大臣。
○加藤国務大臣 ただいま御決議のありました公益事業につきましては、公益法人やNPO法人などの民間が主体的に課題解決に取り組める社会を目指して、寄附を促進するための税制優遇措置を累次拡充し、公益法人制度改革を実施するなど、公益法人やNPO法人などの活動基盤の充実に取り組んできたところです。
引き続き、公益法人やNPO法人などの活動促進に向けた環境整備に努めてまいります。
○小川委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。
この際、一言御挨拶申し上げます。
本日をもちまして令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件の審査は全て終了いたしました。審査に当たりまして、委員各位の御協力に深く感謝申し上げます。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十三分散会