衆議院

メインへスキップ



第16号 令和6年4月23日(火曜日)

会議録本文へ
令和六年四月二十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君

   理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君

   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      井原  巧君    石田 真敏君

      尾身 朝子君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      坂井  学君    田畑 裕明君

      寺田  稔君    中川 貴元君

      中曽根康隆君    西田 昭二君

      西野 太亮君    根本 幸典君

      葉梨 康弘君    長谷川淳二君

      古川 直季君    山口  晋君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      奥野総一郎君    田嶋  要君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    阿部  司君

      中嶋 秀樹君    吉田とも代君

      平林  晃君    宮本 岳志君

      西岡 秀子君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        渡辺 孝一君

   総務大臣政務官      西田 昭二君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   文部科学大臣政務官    安江 伸夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 瀧澤  謙君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           海老原 諭君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           藤野  克君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           湯本 博信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  菅原  希君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            今川 拓郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松原 英憲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     中曽根康隆君

  保岡 宏武君     山口  晋君

  道下 大樹君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     鳩山 二郎君

  山口  晋君     保岡 宏武君

  田嶋  要君     道下 大樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官畠山貴晃さん、内閣府大臣官房審議官瀧澤謙さん、こども家庭庁長官官房審議官高橋宏治さん、総務省大臣官房総括審議官海老原諭さん、大臣官房総括審議官藤野克さん、大臣官房総括審議官湯本博信さん、大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、行政評価局長菅原希さん、自治行政局長山野謙さん、自治行政局公務員部長小池信之さん、自治行政局選挙部長笠置隆範さん、自治財政局長大沢博さん、自治税務局長池田達雄さん、情報流通行政局長小笠原陽一さん、情報流通行政局郵政行政部長玉田康人さん、総合通信基盤局長今川拓郎さん、文部科学省大臣官房審議官淵上孝さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官木原晋一さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝さん、国土交通省大臣官房審議官松原英憲さん及び環境省大臣官房審議官前田光哉さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田嶋要さん。

田嶋委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。

 今日は、差し替えで質疑させていただきます。松本大臣、よろしくお願いいたします。また、委員長を始め理事各位、そして委員、全ての皆様に御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 私が今日こちらで取り上げたいテーマは、ふだん経済産業委員会などでやっておりますエネルギー問題が中心でございます。あと少し、関連して被災地の関係もやりたいと思っておるんですが、ふだん余り総務委員会では取り上げられていないと思います。配付資料も十番までお配りしましたので、たまにはというか今日は、ちょっと違うテーマかもしれませんが、委員の先生方も御覧いただきたいと思います。

 私の問題意識の一番は、日本の自然エネルギー、再生可能エネルギーの広がり方が非常に遅くなってしまっているということの強い強い危機感でございます。同時に、昨今言われておりますが、地域と共生できないようなソーラーパネルの問題、これは恐らく私どもだけじゃなくて与党の先生方も御地元でいろいろ直面をされていると思います。こういった本当に頭の痛い問題ですね、うまくいっていないわけでございますが、一言で言えば、私の表現で言えば悪貨が良貨を駆逐するような状況に今なっておりまして、そうすると再生エネルギーが全部悪者になってきているということで、これはゆゆしき状況であるし、日本あるいは国際社会、世界のためにならない、そんな問題意識から松本大臣を中心に質問させていただきたいと思います。

 閣議決定をされました第六次エネルギー基本計画が今ありまして、これから来年は第七次になっていくわけでございますが、最初の質問ですが、六次エネルギー基本計画で二〇三〇年の数値目標というものが政府として掲げられております。そしてまた、現在地は日本はどういうところにあるかということを大臣に御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 令和三年十月に閣議決定されました第六次エネルギー基本計画におきましては、再生可能エネルギー全般について二〇三〇年度の電源構成比を三六から三八%とすることが目標とされており、令和四年四月一日から令和五年三月三十一日の発電電力量を基にした電源構成は二一・七%であったと承知しております。

 再生可能エネルギーのうち、太陽光発電につきましては公共部門で率先して実行することとされております。二〇三〇年度の導入目標は六百万キロワットとされ、国、自治体の保有施設については環境省による二〇二三年度調査では、国では八百六十七キロワット、自治体では百二十九、失礼、十二万九千七十五キロワットの導入状況であったものと承知をしております。

 関係省庁と連携しながら、目標達成の実現に向けて取り組むことが重要と考えております。

田嶋委員 大臣が一桁間違えるぐらい少ないんですね。

 今おっしゃっていただきました環境省が発表したのは公共部門におけるどのぐらい広がっているかということでございますが、新聞記事の情報によりますと、政府の建物等の関係では一・数%、そして自治体で二・五%ぐらいというふうに発表があったと思うんですが、数字的に見ると圧倒的に再エネポテンシャルは地域に多いということは先生方も御想像いただけると思います。

 そういう意味では、私は今日は総務委員会で是非、地方自治体にどれだけこれから本気になって頑張っていただくか、今も頑張っていただいていると思うんですが、総務省の役割というのは大きい、ハブ、スポークでいえばハブの機能を是非総務省に果たしていただきたい、私の言葉で言えば扇の要というような感じがするわけでございますので、是非お願いをしたいと思います。

 そこで、資料の一を御覧いただきたいと思うんですが、これが現在の風景でございます。

 先生方も御案内のとおり、太陽光は相当全国で広がったということで、今、中国、アメリカに次いで面積的には発電量として世界三位ということでございますが、一方、世界の国々で唯一頭打ちになってきておりまして、それが左下のグラフでございますが、毎年毎年減ってきている、要するに広がっていないということで、多くのいわゆる事業をやろうという人たちが、あるいは事業ではなくても屋根上にソーラーをつけるということも含めて減ってきてしまっております。将来のマーケット、右上でございますが、ドイツにも抜かれて、非常に我が国の目標設定も低い状況にございます。そして、右下、コストの面でも残念ながら日本は世界から非常に遅れて、高コストな状況にあるということでございます。

 次の資料の二もついでに御覧いただきたいと思うんですが、ではコストが高いといってやっても無意味なのかというと、東京都が今年の四月一日、ついこの間ですね、スタートいたしました、いわゆる新築の住宅には義務化をするということで、リフォーム会社に義務づけをしてソーラーがスタートしておるわけです。これを見ていただくと、東京都の場合には財政が豊かなので四十万円の補助金が出るというのは、真ん中のグラフで経済メリットが大きく出ているわけでございますが、一番上の部分、つまり補助金がなくても経済合理的にかなっているということで、各家庭にソーラーを置くということをペロブスカイトのこれからの技術も含めて今東京で始めているわけでございます。そうした意味では広げない理由がない、経済合理的にも広げない理由がない、そういうことをまず確認させていただきたいというふうに思っております。

 今大臣からは、日本全体のマーケットの話、そして二〇%ちょっとぐらいしか達成できていないのに対して三六から三八という政府の三〇年目標がございまして、今のままでいけば大変厳しい、同時に、先ほど申し上げた公共の部分でも目標六ギガに対して今非常に低い実績しかないという状況でございます。

 そこで、次の質問に入らせていただきますが、公営電気事業というものが総務省の所管にございますが、これは一体どういうもので、目的や財源、そして収入は誰に帰属するのか、このことをお尋ねしたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 公営電気事業は、自治体が自ら事業者となって発電、売電を行う事業でありまして、原則として、特別会計を設け、独立採算で経営されるものでございます。

 明治二十四年に水力発電を行ったことに始まりまして、現在では、水力、風力、太陽光発電など再生可能エネルギーの発電をしております。

 この事業の目的は各自治体によって様々でございますけれども、一般的には、地域の実情に応じた地球温暖化対策、エネルギー開発を進めることなどを目的に設置されているものと承知しております。

 財源でございますが、内部資金のほか、多くの自治体が公営企業債であります電気事業債を借り入れまして財源としておるところでございます。

 また、売電収入は、当該公営電気事業に帰属をいたしまして、建設の際に借り入れた電気事業債の償還等に充てているものと承知をしております。

田嶋委員 事業として回るのは、昔からやっている水力のみならず、資料の六を御覧いただきたいと思いますが、多くの自治体ですね、ちょっと印字が薄くて申し訳ございませんが、私も意外だったんですけれども、水力発電だけかなと思ったら、意外とそうでもないんですね。水力発電以外にも、太陽光、風力、今日は主に太陽光ですが、大変多くの自治体。都道府県も全国の半数ぐらい、自治体と合わせると、一番右下ですが、九十六団体が実は発電事業をやっている。

 かつては十電力体制なんてなかったですから、地域それぞれの自然を使いながら発電していたという、ある意味ではこれからの時代はテクノロジーを活用しながら、そういう可能性がまた広がってきているということなんだろうというふうに思います。特に、四角囲みをしておりますが、群馬県が一番盛んにやっていただいているということですね。

 総務大臣、私はここを総務省にもう少し活用していただきたいなというふうに今日は提案させていただくわけでございますが、そこで、自治体が太陽光などの再エネ発電を推進することの意義、そしてそれに関する総務省の役割というところをどういうふうに御認識されているか、御答弁をお願いします。

松本国務大臣 お話がありましたように、GX、地域脱炭素化の推進は大変重要な政策テーマであると認識をしておりまして、令和三年六月九日に策定された地域脱炭素ロードマップを踏まえまして、地方自治体においては、脱炭素先行地域の取組を始め、太陽光発電、住宅・建築物の省エネ等の重点対策など、地域主導の脱炭素の取組が進められているものと承知をいたしております。

 GXについては、温室効果ガスの排出量の削減、経済成長の実現といった意義がありますが、特に地方自治体が再生可能エネルギーの導入を推進することの意義については、地域資源を活用した地域における経済循環の創出、拡大、災害に強い地域づくりなどがあるものと認識をしております。

 総務省としては、地域資源を活用した分散型エネルギーのマスタープランの策定、GXアドバイザーの派遣、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化の施設改修等を計画的に実施するための脱炭素化推進事業債などの施策を講じているところでございます。

 おっしゃった太陽光発電につきましても、地方税制上の対応として再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の特例措置を講じておりまして、今年度からペロブスカイト太陽電池を使用した一定の発電設備を対象に追加いたしました。

 関係省庁と連携して、地域主導の脱炭素の取組を後押ししてまいりたいと思います。

田嶋委員 もちろん、いろいろとこれまでもやっていただきました。今大臣がおっしゃられたとおり、環境省からも資料がまとめられておりますが、こうした自然エネルギーを地域で増やしていくということは、主に四つ、私は大事なポイントがあると。

 一つは、災害時のレジリエンスということ、これはもう多くを言わなくてもいいかと思います。それから二点目が、地域経済への貢献ということで、今大臣もおっしゃっていただきました循環、資金を循環させるということですね。一言で言えば、中東などに油代を払う代わりに地域の工務店さんやいろいろなところにお金が落ちるということで、まさにこれは、設置法の中を見ても総務省の役割として自立的な地域社会の形成ということが書いてございますので、そうした目的にもかなうようなことができるということです。三点目ですが、エネルギー価格変動リスクへの対応ということでございまして、言うまでもなく、燃料がない発電なわけでございますから非常にそういう意味では安定しているという、化石燃料に振り回されない、昨今非常に重要だと思います。そして、四点目が申すまでもなく世界的課題である温室効果ガスのことですね。この四つに加えて、先ほどの東京都の資料であるように、経済合理的なんだから、やらない理由が見つからないんですね。

 そういう意味で、大臣、今までいろいろやっていただいていることには感謝を申しながら、しかし、更に踏み込んでいろいろやっていただけるんじゃないかということを御提案させていただきたい。その一つが今申し上げている公営電気事業でございますが、公営電気事業の最大出力というのは総数で今どのぐらいのキロワットになっているのか。そして、営農型の発電を、営農型の話をさせていただきますが、下が一次産業、農業、お米を作ったり野菜を作ったり、その上にソーラーパネルというようなやり方がございますが、その自治体は幾つございますか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 全国で稼働中の公営電気事業の施設数が令和四年度末時点で四百九十四か所ございます。内訳として、水力発電三百四十四か所、太陽光発電百十九か所、風力発電二十三か所、その他バイオマス発電等八か所となっておりまして、これらを合わせました最大出力の合計は約二百六十三万キロワットでございます。

 また、現在、営農型の太陽光発電を行っている自治体はございません。

田嶋委員 ソーラーはいろいろやっていただいていますが、営農型発電はまだどこもやっていない、認知されていない。私は、そこに大きな可能性を感じております。

 資料の三を御覧いただきたいと思います。農地のポテンシャルということで、ソーラーがどのぐらいできるか。これも恐らく先生方の中には地域で頭の痛いケースが、委員会でも時々取り上げられております。いつも悪貨が良貨を駆逐するような事態を私たちは避けなきゃいけない、いい事例を広げていきたい、そのためには自治体の役割が大きいと思うんです、信用がありますから。そういう意味で、私は、ソーラーシェアリングを是非総務省にも本気になってお手伝い、引っ張っていっていただきたい。

 質問させていただきます。総務省の評価局が発表されました、全国の都道府県の四割で様々なトラブルが起きているという報道が最近ございました。そこで、お尋ねしますが、公営企業債を発行して自治体がやっているソーラーや風力や水力でそうしたトラブルというのは起きているんでしょうか。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 御質問のございました調査では、書面調査により把握した太陽光発電設備に係る未解決のトラブルや条例の制定状況などを踏まえ、百二十一市町村を選定し、ヒアリング調査を行ったところでございます。

 この調査で私どもが把握したトラブル事例の中に、御指摘の、自治体が発電事業者となっている事例はございませんでした。

田嶋委員 悉皆調査ではないということで、正確さは落ちるかもしれませんが、しかし、今の数字を聞いていただいても、全国の四割でトラブルを抱えている割には自治体が絡んでいるものはゼロだという話ですね。私は意を強くしますよ。

 だから、良貨を広げて悪貨を駆逐する手段として自治体が踏み込んだ取組をしていただくと相当風景は変わる。特にソーラーシェアリングは農家さん相手ですから、地主さん相手。信用できない、訳の分からないやつらが入ってきて畑を荒らすという問題がすごく広がっているんですよ。それから、私が今戦っている鴨川のメガソーラーは全国最大規模の、山を全部削って土砂で埋めて平らな土地を造って日本最大のソーラーを造る、とんでもない話ですよ。そういうのと戦っていきながら、しかし同時にいい事例を広げる努力をもっとやっていくということが私は大事だと思います。

 この資料三を御覧いただくと、日本の総発電量が大体一兆キロワット、今は一兆キロから少し少ないんですが、それをはるかに上回るだけのポテンシャルが農地にはあるんですね。農地がいいのは平らだからです。農地がいいのは木とかが生えていないから、基本。だから、そこは一次産業も応援しながら。そこがポイントですね。

 次の資料を御覧ください。これは、うれしいことに、農業新聞さん、毎日事務所に届いていますけれども、農業新聞さんが去年書いていただきました営農型発電の普及。これは一次産業の敵なんかじゃないんですよ、厳しい経営状況のコストがかかる一次産業の味方として経営と環境の両立ができるということなんですね。CO2を出さない発電を地域主導で増やしながら、なおかつ農業にとってもプラスになる。どうプラスになるかといったら、太陽光発電は売電収入も入りますから。そういった形で、全国で、少しずつは広がっておるんですが、ここを是非、大臣を始め総務委員会の先生方に力をかしていただきたいと思います。

 資料の五を御覧ください。では全国の自治体が今それぞれ、自然エネルギー、太陽光、風力、水力、どのぐらい自立できているか、そういう指標を研究している千葉大学の倉阪先生でございまして、これを御覧ください。これは非常に興味深いですよ。

 全国で一番高い総自給率は秋田県なんです。なぜでしょうか、風力発電で有名ですね。第二位は一番下の方の大分県です。なぜでしょうか、地熱発電で有名ですね。これはどちらも有名。ところが、第三位は、今日は群馬県の先生もいらっしゃいますけれども、群馬県なんですよ。意外な感じがしませんか、首都圏の群馬県が自然エネルギー第三位ですよ。何が原因か、すぐ右を見ていただくと、太陽光を全国で一番やってくれているのが、これは屋根上ソーラーもメガソーラーも全部入ってですよ、群馬県だと。意外な感じが私はしました。

 しかし、ちょっと待てよと。さっき私は何か言いませんでしたか。公営電気事業で一番頑張っていただいているのを群馬県だと私は申し上げましたよね。これはもうちょっと精査しないとそこがどうつながっているか分かりませんが、少なくとも行政も相当、群馬県も引っ張っていただいていますが、高崎以下自治体も、六つぐらいの自治体で既にやっていただいている、そういうことで、官も民も合わせてこういう全国一位の結果を今つくっていただいているということでございます。

 そういう意味では是非大臣に、営農型の発電、公営企業という形では営農型の事例は一つもないということでございます。松本大臣も多分、農村集落地域もたくさんある選挙区で、イメージをしていただけると思います。私はこの間農水委員会で申しました、ビニールハウスがありますね、あれも構造物ですけれども、ビニールハウスと同じぐらいの面積、あれが四百万ヘクタールの約一%なんですよ、あれと同じだけのソーラーシェアをやると日本全体の必要発電量の三・七%を作れる。結構なものなんですよ。

 だから、今、公営企業で、先ほど役所の方からいただいた数字だと、原発でいうと大体二基から三基分の発電をしているんですね。それに加えること、今申し上げたたったの、たったのというか、点々としているビニールハウスの面積と同じぐらい全国のそれぞれの農地で自治体も頑張っていただいてソーラー発電をすると、一次産業を支えながら、地域経済を応援しながら自然エネルギーの発電が三・七%って、これ、でかいですよ。でかいですよね、そのことを是非大臣に御理解いただいて、力をかしていただきたいと思うんですね。

 大臣、もう一回申し上げますが、怪しい業者が入ってきて地域の資源をぐちゃぐちゃにしているという事例で全国が頭を痛めているんですよ、全国の自治体の四割が。それを止めるためにも良貨を広げていただきたい、そのことを大臣に理解していただいて、すぐにですね。まあエネルギーのことはよく分からないということで、環境省や経産省それから国土交通省が中心にやっている感じはするんですが、私はやはりハブは総務省だと思うんです。

 所掌事務というところを見ても、地域の振興に関するものの企画、立案、推進と書いてあるんですよ。地方自治に影響を及ぼす国の施策の企画、そして財政資金の調達に関すること。後ほど私もやりますけれども、この公営企業債というのも調達ですよね。それから法定外普通税、後ほどやりますが。道具は持っているんですよ、特に財源に関して。ところが、具体的なエネルギーのことの知見が足りない、他方で縦割りの農水省や経産省や国土交通省は特定の分野だけは頑張っていただいている、しかし、もうちょっと全体でチームを組んで、先ほど申しました国よりもはるかにポテンシャルのある自治体ベースの自然エネルギーを広げていっていただきたい。

 ちょっと話が長くなりましたが、大臣、理解を深めていただいたと思うんですが、これをちょっと旗を振っていただきたいんですよ。いかがですか。

松本国務大臣 自治体が地域の再生可能エネルギーの導入を進める際、自治体自ら公営電気事業として取り組むかは、地域の実情に応じた自治体の判断と自治の側面から申し上げることになるかと思いますが、有力な選択肢の一つであることも申し上げられるかと思います。

 総務省では、こうした公営電気事業の取組を後押しすべく、公営企業における脱炭素化の取組を含む優良事例集を作成、公表し、先進優良事例の横展開を支援しているところでございます。

 令和六年度からは、地域の再生可能エネルギーの地産地消を一層推進するため、脱炭素化推進事業債の対象事業も拡大いたしました。地域内消費を主目的として公営企業などが導入する再生可能エネルギー設備などに対しても支援することとしたところでございます。

 地域の実情を伺いながら、そして、関係省庁としっかり連携しなければいけないというお話であったかというふうに思いますが、これを進めて、公営電気事業による地域の脱炭素の取組を支援したいと思います。

田嶋委員 公営電気事業だけではございません。これから御説明いたしますが、いろいろな道具立ては用意されていても、他省と連携が不十分だと思います。それから、やはり総務省が本気になって自治体を応援していただきたい。もちろん、おっしゃるとおり、やるかどうかの判断は地域ごとですからね、そこまでは押しつけはできませんけれども、その手前まででやれることは私はたくさんあると思います。

 私は、群馬県に大変期待しておりますので、これが終わったら、今度は群馬県に直接会いに行って、どういう現状になっているか、どうしてそこまで盛んに公営企業で発電をやれてきているのか、そんなことも現地調査をしながら、成功モデルをたくさん増やしていってほしい、私の地元の千葉もソーラーシェアリングの発祥ですから、そういうところで成功モデルを広げていくことで、ほかの自治体も、だったら俺たちもやろうというふうに持っていきたいというふうに考えております。

 それでは、次の質問でございますが、法定外税というのがございまして、資料を御覧いただきたいと思います。資料の七でございますが、これは宮城県がこの四月一日からスタートされました、新聞に大きく載りましたので私も注目したんですが、先ほどから申し上げているトラブル事例が全国の四割の自治体であるということに対して、対策ですね、法定外税ということでスタートして、何かというと、ちょっと赤線を引かせていただきましたが、一定の規模以上のメガソーラーを、望ましくないところ、具体的には環境省が法律で決めました促進区域の外でやることに対して二割の課税をするんです、利益の二割の。かなりなものですよね。だけれども、これは税収目的じゃないというのは明らかでございまして、それによって、そういうところではやらないでねということで促進区域に誘導する、インセンティブというか、そういう形を条例で作られたということでございます。

 そこで、お尋ねをしますけれども、自治体ごとにちまちまと言ったら恐縮ですが、一か所一か所やるのは余りにも時間がかかり過ぎる、そしてもう一つは、これは後悔でございますが、既にメガソーラーで私が静岡県の伊東とかいろいろなところから相談を受けました、条例を作ったがもはや手遅れというところがたくさんあるんですね。時間との戦いなんですよ、今の制度に穴があるから。だから、自治体で慌ててやっても手遅れだということが多い。そこで、総務省にお尋ねしますけれども、法定外税という地方の独自の税がいわゆる地方税法による、国の法律に格上げというか、そうなったケースというのは過去にあるんでしょうか。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 昭和二十五年に現行の地方税法が制定されて以降、委員御指摘のように法定外税から法定税になった税目としては自動車取得税がございます。

 ただし、この自動車取得税につきましては、元々法定税である自動車税の一部であったものがシャウプ勧告を受けた地方税制改革で一旦除外されまして、除外された後、一部の都道府県が自動車の取得について法定外普通税を創設して課税していた、それが昭和四十三年に今度は法定税として自動車取得税が策定された、そういう経緯でございます。

 これ以降、近年において法定外税から法定税になった税目はございません。

田嶋委員 おとといレクを受けたときは、ございませんという話でしたけれども、昨日、電話がかかってきまして、ありましたという話でございまして、それぐらいレアなのは間違いないわけでございますが、私は、少し検討していただけないかなと思っておるんですね。

 自治体ごとにやっていると間に合わなくて、自然破壊が進むような事例が止まらないんじゃないかという危惧をしております。私のところの鴨川も同じでございます。だから、これは是非、自治体で苦労されておりますけれども、国全体として網をかけて、そして、望ましいエリア、促進区域ではいいよという形に誘導していくような法律の立法の在り方というものを私は考えるべきではないかと。

 要は宮城県が御苦労されて作った条例の立法版ですね、そうしたことを考えるべきではないかなというふうに思います。これも九回も地方財政審議会を開催して時間をかけてやっていただいたので、もう中身は同じですから。これを自治体ごとでやると手遅れになる。先生方の選挙区で手遅れになるところがたくさん出てくるんですよ、工事が始まったら対象外と書いていますから、開発行為に着手したら対象外ですから、これを止めるために私は法律を考えた方がいいかというふうに思うんですが、大臣、コメントをいただきたいと思います。

松本国務大臣 委員御指摘の宮城県の再生可能エネルギー地域共生促進税、この導入に当たっての手続が進められたのはちょうど私が前回の総務大臣を務めさせていただいているときでございましたので、お話はいろいろ伺ってまいりまして、脱炭素社会の実現に向けて再エネの最大限導入を目指す一方で、再エネ発電設備を設置する際に土砂災害や景観、環境への影響などを懸念する声や反対の要望が県民の方々から寄せられていたことなどの地域事情を背景として、宮城県における検討の結果、規制の強化等と合わせて、森林を開発して再エネ発電設備を設置した事業者に経済的な負担を課すことで、再エネ事業と地域との共生を目指すために導入されたものと承知しております。委員からもお話がございましたように、一定の評価を受けているのではないかというふうに考えてもよいかというふうに思っております。

 その上で、再生可能エネルギーを促進する、規制する、これに関する施策に関しては、それぞれの地域の実情等が様々であることから、様々な方法が取り入れられていると考えられておりまして、各地域において、住民等の意見を踏まえつつ、規制の強化など税以外の手法も含めて幅広く検討していただくことになるのではないかというふうに認識をしているところでございます。

 今後も、各地における動向を注視するとともに、関連する法定外税の創設等について相談があった場合には丁寧に助言等を行ってまいりたいと思います。

 なお、一般論で申し上げれば、各地域において、地域の実情に合わせた施策の中で全国的に意義があるものがあるのではないかというお話であったかというふうに思います。これまでも、各地域がいわば住民の皆さんと地域と最前線で直面する中で考えられた施策が全国的に広がったものは一般的にもないわけではないかと思いますが、特に税につきましては、やはり極めて大きな負担を国民にお願いするものでもあるだけに、これまでもしっかりと手続を踏んで検討されてきたのではないかと理解しております。

田嶋委員 いきなりですから、そのぐらいの答弁になるかもしれませんが、国民負担じゃないですよ。国民負担を排除する、要するにとんでもない事例が全国で広がっていて、総務省が報告した四割の自治体が困っているんですよ。そういうものを未然に防止するための手段として、正しいところで良貨を広げてください、悪貨にするな、こういうことを言っているわけで、国民負担はないですから。事業者がまともな事業者だったら問題は起きないはずだからね。だから、そういう意味でこれを是非考えていただきたい。

 環境省が昨年か何かに作った法律で、ポジティブゾーンというのをつくって、こういうところで再エネを広げましょうとつくって、それに上乗せする形の仕掛けなんですよ。税収をもうけることが目的じゃないと宮城県も言っていますからね。国民負担じゃないんです。是非そこを御理解いただいて、じっくりやっていただきたい。

 時間切れになっちゃうといけないんですよね、これは本当に。私、アセスで非常に残念で、法アセスができたときに、それより前から始まっているのは対象外になっちゃうんですよね。同じような話で、やはり立法が遅れると泣きを見てしまう自治体がたくさん出るということを私は非常に懸念しておりますので、引き続き私も取組を続けていきたいと思います。

 そして、資料の八を御覧いただきたいと思います。

 今の話も、横展開、宮城県がいいことをやった、では全国に同じ話を広げよう。そして群馬県のことも申しました。今度は鳥取県でございます、八番。予算委員会で私はかつて、前の内閣のときに取り上げさせていただいています。これは断熱ですね、再エネとはちょっと違うんですが、全国の住宅断熱の水準が先進国と肩を並べているのは実は鳥取県だけなんです。あとは北海道だ。ちょっと愕然としますよね。今の日本、これはちょっとデータは古いですけれども、そんなに外れていない。

 要するに、欧米先進国と言われている国々の人が住んでいる住宅と我が国の住宅は相当に断熱性能には違いがあって、それは何を意味するかというと、エネルギーコストがむちゃくちゃ日本はかかる家だということなんですよ。これは言わずと知れた有名な話なんですが、それを、しかし、おかしいと頑張っていただいているのが鳥取県の平井知事ですね、総務省出身ですよ。私はそのことを指摘申し上げて、水平展開するのが総務省にできる大きな仕事で、それが先ほど言った扇の要ということだと私は思うんですね。

 こんなにいい、これは実はドイツでは省エネルギーの中でもナンバーワンの政策として何十年もやっているんです。私もデンマークで見てきましたが、壁の厚さが三十センチありますからね、普通の家で、デンマーク。寒いからということもありますけれども、北海道だけはそういう状況という話も聞きますが、是非、鳥取のモデルを横展開する。

 それから、もう一個御紹介するのは資料の九でございます。これは私の千葉市でございます。先々週、私、文部科学大臣にもエネルギーの問題を出張して取り上げさせていただきました。千葉市は小学校、中学校の屋根上ソーラーは全部終わったんです。そういう学校は少ないんですよ、全国で。それは何でかというと、台風十五号と十九号で苦しんだから。そういう経験があったから一気に進んだんですが、そのとき導入したのがPPAという話なんですね。細かくは行きません。

 しかし、総務省には先ほどの公営電気事業債、公営電気事業という武器も道具もあります。そして、民間を活用したこうしたPPAも千葉市が成功させている、今申し上げた鳥取県の事例もある。私は、総務省設置法の任務と所掌事務に余りはっきりとは書いてないですけれども、横展開する要に総務省がもっと、一肌も二肌も脱いでほしいと思いますよ、できることはたくさんあると思います。どうですか。

松本国務大臣 所管ではございませんが、議員としては住宅の断熱性については私も取り組んできたことがございまして、エネルギー効率だけではなくて健康面でもメリットがあるというふうに承知をいたしているところでございますが、今委員からの御要請は、エネルギーに関連して好事例を是非各自治体にお示ししていくことで横展開を促進する、そのために必要な財政的な措置を含めてどのようにするかというお話であったかと思います。

 個々の財政措置等については先ほどの御答弁でも幾つか申し上げましたのでもう繰り返しませんが、再生可能エネルギーの拡充、脱炭素化の推進は大変重要な政策テーマであると同時に、自治体が大きく主役になれるという委員からのお話であったかというふうに思います。

 私どもとしても、これまで進めてきた横展開、好事例のお示しなどを含めて、引き続き、さらに、これも御指摘がございました関係省庁との連携もしっかりと進めていくようにしてまいりたいと思います。

田嶋委員 成功モデルのパンフレットを作って配るだけじゃ駄目だと思うんですよ、それは。やはり人、物、金、いろいろな形で、最後の判断は自治体であっても、そこの手前まで連れていくという努力を総務省にもお願いしたい。

 例えば農水委員会で質問したときに、農水省、農水大臣は、公営企業債ということを初めて聞いたと言われるんですよ。つまり、農水省がソーラーシェアをやるときの、その財源を生み出す仕組み、仕掛け、それは所管が総務省ですよね、そこがつながっていないから、いいものをそれぞれ持っていても、両方が組み合わされないと地域に提案できないんです、例えば。だから私は非常に不十分だと思うんですね。

 冒頭申し上げた日本の再エネの普及率はG7最下位です。先進国三十数か国の中でもほとんどどべです。それで目標だけは掲げたけれども、三〇年に実現可能性は極めて低いですよ、今のままだったら。総務大臣もエネルギー基本計画閣議決定の一員でございますから、是非ここは強い危機感を持って、そして同時に、それだけじゃないんですよ、先ほど言ったように四つの理由の中で地域にすごくプラスなんだから、頑張れば頑張るほど財源が生まれる、頑張れば頑張るほど地域に雇用が生まれる、頑張れば頑張るほど自然災害のときに安心だということで、いいことずくめだということをもう少し認識を強めていただいて、是非旗を振っていただきたい、そのことをお願い申し上げます。

 では、大臣、先ほど申しました災害のところも一つ二つ入らせていただきたいと思うんですが、能登半島が元日に起きてということでございますけれども、三・一一があって十数年、今回は能登半島。大臣にお尋ねします。発災時に直後の国の最大の責務というのは何ですか、何だと心得ておりますか。自然災害を止めることはできない、ふだんからの防災・減災が大事、しかしそれでも起きてしまう、元旦だって構いやしない、起きちゃう。そのときの国としての最大の責務は大臣は何だと思いますか。

松本国務大臣 発災直後ということであれば国民の命を守ることが大変重要であるということで、私自身も発災直後から消防庁とともに救命救助などの消防活動に応じたところでございますが、活動を進めるに当たっても、被災者や関係機関が必要な情報を取得し発信できるようにするための通信の確保も大変重要な役割だというふうに考えております。

田嶋委員 本当におっしゃるとおりですね。最初の七十二時間が勝負だとよく言われます。今回も二百名以上の方がお亡くなりになられました。その半数以上が圧死だというふうに伺っております。神戸と似ていますね。そして、これから起き得る首都直下型でも、恐らく大都市、私の千葉市なども圧死される方が一番亡くなる方では多いのではないかと私は心配をして、そのことに対して対策を打つべきと。設置法の中にも六十三番に非常事態における重要通信の確保ということがちゃんと書かれておりますので、その関係でお尋ねしたいと思います。

 水が大事だ、食料が大事だというんですけれども、私はもっと大事なものがあると思うんですよ。皆さん、どう思いますか。どこの道路が走れないとか寸断されたとかどうとかこうとか、全てにわたってまず情報だと思うんですよ。どこに人が埋もれている、どこで人が下敷きになっている、全てにわたって情報。そこで、私はある同僚に、岡本先生ですけれども言われて、ああ、なるほどと思ったんですけれども、三・一一のときと今とでは情報をめぐる環境が実はがらっと変わっているということを知りました。

 お尋ねします。スマートフォンの二〇一一年三月頃、あの三・一一の頃と現在、それぞれの時点での個人の保有率、世帯保有率はどのように変わりましたか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が毎年実施している通信利用動向調査によりますと、スマートフォンの世帯保有率は、二〇一一年の時点で二九・三%、二〇二二年で九〇・一%となっているところでございます。

 また、個人のスマートフォン保有率につきましては、二〇一一年は一四・六%、二〇二二年には七七・三%となっております。

田嶋委員 忘れてしまったわけでございますけれども、三・一一の頃は例えば地下鉄の中でほとんどの人がスマホとにらめっこしているような風景はなかったということなんですよね。今はもう事実上みんなが持っていますね、スマホ。私は、これは少なくとも命を救うという意味では強力な武器が個人ベースで手に入ったというふうに考えるべきだと思うんです。大臣も御理解いただけると思います。

 しかし、そこで私がお尋ねしたいのは、今回の能登半島のときにスマホが使えなかったという話がたくさん流れました。何で無線なのに線が切れるんですか。水道が切れる、道路が寸断される、物理的に線があるから切れるのは分かるんですよ。何でスマホは無線なのに線が切れるのか、多くの国民は悔しい思いをした、恐らくは即死でなければスマホを持っていればSOSを出すことができた方、命が助かった方がかなりいたんじゃないかなと私は思うんですね。これからのことを考えるとここが非常に大事だと私は思うんですが、何で無線なのに線が切れるんですか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話のネットワークは、スマートフォンなどの端末から通信相手の端末まで全て電波でつながっているわけではございませんで、端末から近くの携帯電話基地局のアンテナとの間は電波すなわち無線を介して通信を行いまして、基地局と基地局の間については光ファイバーなどの有線により通信を行うという構造になってございます。

 委員御質問の今回の能登半島地震におきまして携帯電話サービスが利用できなくなった主な要因といたしましては、まず先ほど申し上げた基地局が停電により電力が枯渇したこと、それから基地局間の光ファイバーが断絶したこと、さらに基地局の倒壊、損傷などによる設備故障が生じたこと、この三つがあると承知をしているところでございます。

 これらの要因によりまして、能登半島北部六市町におきまして被災前のサービスエリアと比較して最大でその約七割から八割のエリアで携帯電話の支障が発生いたしましたが、官民連携により電源の確保などの対応が進みまして、一月中旬には応急復旧がおおむね終了し、支障エリアが五%未満まで減少しているところでございます。

田嶋委員 いろいろ御苦労いただきまして、本当にありがとうございます。

 しかし、大臣もおっしゃった命を救うという意味では、最初の七十二時間でスマホが使えなかったら厳しいんですね。しかし、最初の七十二時間、道具を手にした時代に入りましたから、その道具さえ生きていれば命を救うことが格段にできるというふうに私は期待したいと思っているんです。

 それで、今三つの理由がありました、なぜ無線なのにつながらなくなるかの三つの理由。一番大きいのは通電が止まっているということですよ、基地局などの。それから、線のところがあって、無線じゃないところ、そこが切れてしまうということですね。どちらも冗長性、二重化をしていくということが私は何より大事だというふうに思うんですが、当然これは金のかかる話ですので、一番経済合理的なところ。

 そして、申し上げたいのは、首都直下と南海トラフがこれから三十年で七割、八割と言われて、どっちかが起きる確率は九割を超えていますから、このことを考えたときにやはり地域で差をつける必要もあると思いますよ。地元の小学校の耐震化が、全小学校一斉に耐震化ができるなんてないんだから。やはり差がついちゃいますよ。

 だけれども、そのときに、国が発表している震災のリスクが相当高まっているということを考えたときに、特に首都直下で家が潰れて、家で下敷きになって、しかしスマホを持っている人たちの命を救うことができる、あるいは道路の寸断状況をちゃんと共有する、今回の能登半島が非常に復旧が遅れたのはそういうことが情報が不足していたということもあったと思いますよ、そうしたことのためにも是非、無線のネットワークということが水や食料のためにも最重要インフラに、実は三・一一のときではない状況が今始まっているということを是非御認識いただいて、そして私は最後の質問をさせていただきたい。

 資料の十を御覧ください。

 新しいものに対してどんどん応援するということも結構なことでございまして、5Gの導入に政府は前例のない高い比率の税額控除というのをやりました。私も少しびっくりしました。令和四年には条件不利地域ですけれども一五%の税額控除、それが今、三年目に入って、令和六年は三%の税額控除になっている状況でございます。新しいものを応援することで次世代ネットワークが進むということも非常に大事ですが、しかし、足下で、命を救うインフラに既になっているスマートフォン、ネットワークの冗長性、特に電源が絶対に切れないネットワークにしていく。

 お金が一番安上がりな方がいいですけれども、電源が切れないネットワークにしていくということを特に私は申し上げたいと思うんですが、こうしたところにもちょっと大きな税額控除をもう一度検討していただいて、これから三年間を集中期間として、能登半島のような、通信がしばらくの間途絶えて多くの命が失われた、こういうことがこれから首都圏を含めそうしたいろいろな予想がされている地域で再発しないように、大臣に命を守るという観点でこの税額控除をもう一度大きくしていただきたいということを検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

松本国務大臣 基地局の対災害性を高めるという意味で冗長化、強靱化は大変重要だというふうに考えておりますし、これまでも、災害対応などの拠点となる都道府県庁や市町村役場をカバーする基地局にまずバッテリーの長時間化、伝送路の多重化をお願いしているところでございますが、今回の能登半島地震での教訓を生かすべく、総務省と事業者が連携して振り返りを行っております。大容量化した蓄電池やソーラーパネル、衛星回線用アンテナ等を備えた携帯電話基地局の整備に向けた支援の在り方、また、非常時に他の事業者のネットワークを利用できるようにする事業者間ローミングの実現に向けて議論を進めているところでございます。

 冗長化、強靱化はそういう意味では進めていきたいと思いますし、これまでも既に各携帯事業者さんにおかれて非常用電源などを確保していただいているということで、発災、地震直後であっても通信が可能であった電源、基地局も停電になったにもかかわらず幾つかあったというふうに承知をしておりますので、今申しましたように振り返りということで、最もよい対応をこれから広げていけるようにということで進めていきたいと思います。

 その上で、税制につきましては、これは与党税制調査会などでの御議論も踏まえてということになってくるかと思いますので、現段階で私から申し上げられることは限られてくるかと思いますけれども、繰り返しになりますが、携帯電話基地局の冗長化、強靱化への支援策については議論を深めてまいりたいと思います。

田嶋委員 ありがとうございます。

 ポイントは、民間も一生懸命頑張っているとは思うんですが、命を守ることで必須のインフラですよね、だからそこはやはり国主導でスピードアップすることが大事だと思います。これから三十年で七割とかと言われている中で、南海トラフ、首都直下、九〇%以上どっちかが起きますよ。そういう中で、これから三年間を命を守る集中期間ということでライフラインとなっている情報端末が途絶えないようにしていただきたい、そのことを最後にお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、湯原俊二さん。

湯原委員 立憲民主党の湯原俊二でございます。

 会派内で質問時間は調整させていただきますので、御了承いただきたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 先般、私、一般質疑をさせていただきましたけれども、そのときに時間の関係で最後の三問目で簡易水道の問題について積み残しがありまして、まずそれからさせていただきたいと思います。

 先ほど田嶋さんから、地震で被災した地域の件等、お話があったわけでありますけれども、今回の能登半島地震を見ておりましても、道路の復旧とか水道、電気の復旧が、被災後にその地域に住み続けるかどうか、お仕事とか教育のこともありますけれども、このライフラインがどうなっているかということがその後も住み続けるかどうかの大きな判断材料になる、こう言っても過言ではないと思っています。

 簡易水道でありますけれども、御案内のように特に中山間地域を始めとした過疎地域の水源になっているということでありまして、私はライフラインの一つとして非常に重要であるというふうに思っております。ところが、簡易水道を使っている自治体は財政規模がちっちゃいですね、それから人口減少がどんどん過疎地域で進んでいっている、つまりは水源から給水されている人口がどんどんちっちゃくなっていって、ライフラインで非常に重要でありながら維持が大変困難な状況に陥っている、私はそう思っております。

 全国簡易水道協議会、全国の首長さんが入っておりまして、毎年のように要望されております。松本大臣のところも、あるいは皆さん方のところも要望を受けていらっしゃると思います。私も、九年ぶりに復帰しましたけれども、毎年のように要望を受けておりまして、幾つかの点をこの点について質問させていただきたいと思います。

 一つが、簡易水道の施設整備における補助率を上げてほしいという要望を受けております。現在までですけれども、補助率が四分の一又は三分の一であったのを、毎年のように要望を受けている中身は、二分の一までせめて上げていただきたいという要望を受けておりますけれども、この点についてのお考えを、上げるべきだと思いますけれども、御答弁願いたいと思います。

松原政府参考人 水道事業の経営に要する経費につきましては、水道料金により賄うことが原則となっており、長期的な観点から収支の見通しを作成し、水道施設の整備や計画的な更新を行うことが重要であると考えております。しかしながら、地形等の条件によりまして施設整備が割高になるなど、経営条件が厳しい水道事業者などを対象にしまして、施設整備に要する費用について財政支援を行っておるところでございます。

 簡易水道の施設整備費の補助率につきましては、自治体の財政力指数ですとか、あるいは、管路の総延長を計画給水人口で割った数字である単位管延長の長さといいますけれども、こういったものに応じまして、四分の一、あるいは三分の一、さらには十分の四、二分の一のいずれかが適用されるというような仕組みになっておりまして、財政的な基盤の弱い事業者さんなどに高い補助率が適用される仕組みになっておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、広域連携ですとか官民連携の推進を含めまして、簡易水道事業の持続的な経営を確保するための対応について、地方公共団体の御要望もよくお伺いしながら引き続き検討してまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。御答弁いただきましたけれども、水道料金の基本は、利用人口あるいは管の長さ等、いろいろな方程式があって、それに基づいてやっていると。最終的には、今の、持続的なという、つまりこれから先もライフラインの一つでありますねということでありましょうけれども。

 毎年のように自治体の首長が財政負担が大変厳しいんだということを、毎年上がっている声は是非聞き留めていただきたいと思いますし、先ほど申し上げたように給水人口が、そこでは高齢化も伴って、あるいは人口減少になっていって大変厳しくなっていっている、一般的な、簡易水道ではない普通の水道事業も人口減少はありますけれども、給水対象人口が多分数百人とかそれぐらいのロットの中で減っていく、そういう状況であるというので、是非切実な危機的状況だということもお含みいただきたいと思っています。

 同様に、二つ目で、今のは施設整備に対する補助でありましたけれども、要望を聞いておりますと、簡易水道というのはどこが水源かというのを探査する、調べなきゃいけないということですね。簡易水道は、天然の水ですから、取水量が減少したり水質の変化で、水源を何十年に一回とかの単位で変えていかなきゃいけない、その探査あるいは試掘が今では市町村で独自で自腹を切った支出になっているわけでありますけれども、この点についての補助を求めておられます。

 試掘して水源として不適格だったらそれも全部かぶらなきゃいけないということで、運よく当たればいいんですけれども、外れた場合には全部自腹ということでありまして、調査費用についても補助していただきたい、こういう声が上がっておりますけれども、この点についても御答弁願いたいと思います。

松原政府参考人 簡易水道の施設整備に係る調査費につきましては、今議員がおっしゃられたとおり、具体的な事業計画の決定前に実施する水源探査ですとか井戸の試掘に要する経費については、現状、補助の対象とはしておりません。そういった中で、一方、事業計画決定後に実施する施設や管路などの設計、それに必要な地形測量、地質調査、水質調査などに要する経費につきましては補助の対象というふうにしているところでございます。ここも委員よく御承知のとおり、水道事業をめぐりましては、人口減少に伴います経営の悪化ですとか職員の減少、さらに耐震化の必要性といった課題に直面しているところでございます。

 国土交通省といたしましても、これらの課題も踏まえながら、広域連携や官民連携を含めた簡易水道の持続的な経営を確保、これは重要でございますので、この対応について、地方公共団体の御要望もよくよくお伺いしながら検討してまいりたいと思っております。

湯原委員 今のは試掘の部分でありましたけれども、相変わらず今後とも皆さんの声を聞いてという答弁であったと思います。あわせて、声が上がっているのは、水質検査をしなきゃいけないんですけれども、これも検査回数とか検査項目。水は命でありますので、不適格な水を飲んでも駄目なんですけれども、この検査費用についても負担が非常に大きい、こういう声を聞いております。この点についての負担軽減策を改めてお伺いしたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 現在、水道法に基づく水質基準として大腸菌や水銀などの五十一項目が定められており、安心、安全、快適な水道水を常時供給するためには水質検査は必要であると認識しております。

 一方で、有識者の議論を経まして、水道法施行規則では、一部の項目につきましては過去の検査の結果等を踏まえて検査回数を減らしたり省略したりすることができる旨を規定しております。この規定を活用し、水道事業者等の判断で検査による負担の軽減が可能となっております。

 本件につきましては、都道府県等を通じまして水道事業者等に通知を発出しておりますほか、全国簡易水道協議会主催の会議などでも周知をしているところでございます。

 以上でございます。

湯原委員 過去の検査を踏まえ検査回数を少なくしてもいいですよという御答弁でありましたけれども、通知で周知しているということですけれども、実際にはこういう要望が上がってきておりますので、改めて周知をお願いしたいと思います。

 松本総務大臣、今、簡易水道の話で質問をさせていただいたわけですけれども、これから人口減少、過疎化が急速に進む中でこうした問題が、今まで右肩上がりの日本のときはそれほど問題にならなかった問題があちこちで出てくる、顕在化していくというふうに思っておりまして、総務行政の所管もあると思いますけれども、地域の自治体の抱える問題でありますので是非アンテナを高くしていただきたいと思いますけれども、この辺について御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 委員からお話がございましたように、本当に水道は大切なライフラインで、大変重要な役割を果たしていると認識しているところでございますが、近年、簡易水道事業につきましては、経営環境が厳しさを増してきておりまして、持続可能な経営の確保というのが大きな課題になってきているというふうに認識をしております。

 この状況を受けて、総務省においては、全国簡易水道協議会を始めとする各地方自治体からの要望をお伺いし、皆様からの要望も踏まえて、簡易水道事業については所要の地方債資金を確保いたしております。

 また、簡易水道事業における水道施設や管路の更新などの建設改良に要する経費について、その地方負担額に係る元利償還金の五五%を一般会計繰り出しとし、これに地方交付税措置を講じるとともに、経営基盤強化に向けた専門アドバイザーの派遣などの支援を行っております。

 所管する関係の省庁と連携して、引き続き、地域における水道事業の実情、関係地方自治体の要望をより丁寧に伺いながら、簡易水道を含む水道事業における持続的な経営の確保を支援いたしたいと考えているところでございます。

 これからも各自治体の状況を見ていく中で、これまで水道に限らず様々、交通なども利用者に御負担をいただく形で進めてきたものもございますけれども、需給状況が大きく変わる中でライフラインとしてどのように確保するのか、自治体の行財政を支える総務省として何ができるのか、しっかり考えていきたいと思います。

湯原委員 ありがとうございます。松本大臣が最後におっしゃった需給状況ですね、人口減少になって需給状況が変わる中での支援の在り方を特にライフラインについては是非お願いしたいと思います。

 次に、日本国籍を持たない子供の就学支援について若干お伺いしたいと思います。

 一九七九年に日本が批准した国際人権規約第十三条には、教育は全ての者の権利というふうに認めておりますが、全国で日本国籍を持たない就学年齢に達した子供で未就学の子供の人数ですね、この点について把握されていたら人数をお聞かせ願いたいと思います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省において実施をしております外国人の子供の就学状況等調査の令和四年度の調査結果では、教育委員会が把握しております学齢期の外国人の子供が十三万六千九百二十三人、このうち十一万六千二百八十八人は義務教育諸学校に就学しておりまして、外国人学校への就学が確認されている人数などを除きまして、不就学の可能性のある子供の数は八千百八十三人となっているところでございます。

湯原委員 八千百八十三人の子供が日本国籍を持たない子供で、就学年齢に達しているけれども学校に行っていないということで、八千百人という数字であったと思います。

 総務省として、外国の方への日本語教育に関する実態調査等々はされているのは承知しておりますけれども、私が特に大切と考えるのは、外国籍の方が自治体に転入時に住民登録の窓口で子供の就学についての働きかけを徹底していただきたいというふうに思っております。外国籍の子供の就学支援についても総務省としてこうした点について連携できるところはあるのではないかというふうに思いますけれども、御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 子供にとりまして就学機会の適切な確保は大変大切でありまして、外国人の子供の方が増えているということについては私どももしっかり認識して、できることはしていかなければいけないと思っております。

 総務省としましては、地方自治体にお示ししている地域における多文化共生推進プランにおいて、就学状況の把握、就学に関する多言語による情報提供を実施するよう促しております。

 また、外国人の住民の方に対して転入手続時に多言語の就学案内を配付するといった好事例がございますので、地方自治体に対して情報提供をいたしております。関係省庁と連携して、外国人の子供さんの就学機会の適切な確保に向けた地方自治体における取組を促してまいりたいと考えております。

湯原委員 大臣から、プランでいろいろやっていますよという御答弁だったと思いますけれども、先ほどあったように、だけれども現在把握しているのは八千百人の子供たちは学校に行っていない現状があるということでありますので、引き続きこの点は努力していただきたいと思いますけれども。

 あわせて、私、この点をいろいろ勉強させてもらうと、先ほどの就学案内、手続等、先進的なところは、岐阜県の可児市などは先進的に取り組んでいるというふうに承知しております。可児市の場合、ばら教室というのをつくってやっていらっしゃいます。先生のOB等が取り組んでいるところもあります。

 一方で、プランはあるにもかかわらず、日本国籍を持たず、就学年齢になっても学校に行かずに、先ほど八千百人という数字がありましたけれども、結果的に非行や犯罪に走ってしまって、少年院で初めて指導教官から先生らしき授業を受けるという、外国籍でありますので日本語もそんなに、もしかしたらしゃべれないという子供たちもいるわけであります。こういった事案も仄聞しておりまして、地域によって取組状況が様々だということでありまして、国として一定の方向性を示すべきではないかなというふうに思いますけれども、この点を御答弁願いたいと思います。

安江大臣政務官 お答えを申し上げます。

 我が国では、日本に居住する学齢期の外国人児童生徒の就学につきまして、その保護者に対する就学義務はないものの、国際人権規約等を踏まえ、日本人と同一の教育を受ける機会を保障することとしております。

 教育を受ける機会を実質的に保障する観点からは、就学機会の提供を全国的に推進することが必要であることから、文部科学省におきましては、令和元年六月に成立をした日本語教育の推進に関する法律等に基づいて、令和二年の六月に外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針を策定したところでございます。

 この指針の中では、地方公共団体が学齢簿を編製する際、外国人児童生徒の就学状況も一体的に管理、把握するとともに、就学案内の徹底等を求めているほか、学校への円滑な受入れのために講ずべき事項等についてもお示しをしているところでございまして、あわせて、そのほかにも地方公共団体が実施する外国人児童生徒の就学促進のための取組に対する補助等、様々取組を進め、周知、情報発信にも努めているところでございます。

 引き続き、外国人児童生徒に対して日本人と同一の教育を受ける機会を保障するべく、必要な支援を行ってまいります。

湯原委員 御答弁いただきましたけれども、ちょっと平行線なのは、令和二年に文科省が出した外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針で対応していますよという言葉であると思います。令和二年ですので、ですから今から四年ほど前だと思います。私は、まだまだ、見ておりますと、勉強させていただきますと、各自治体の予算不足、人員不足、日本語指導のプログラム作成や指導体制の構築、なかなか難しくてばらばらな状況が実態としてあるんじゃないか、文科省としては令和二年に指針を出したとおっしゃっておりますけれども、難しいんじゃないかなというふうに思っております。

 お手元に資料をおつけしておりますが、一枚目ですね、これは、外国人の集住都市会議というのがありまして、外国の方が多く住んでいる自治体、会議といっても任意でありますけれども、十一団体。例えば群馬県だと太田市、伊勢崎市、大泉町、静岡県の浜松等々、入っている十一団体の方々が、先ほど文科省は令和二年に指針を出されたとおっしゃっておりますけれども、これを見ると二〇二二年、ですから二年ほど前に、文科省は出しているんですけれども実際のところはまだまだじゃないかということで、逆に国にこれこれの提言を要望されている状況であります。

 外国人集住会議の自治体を見ると、例えば大泉町というんですかね、人口が四万一千人ぐらいのところに外国の方が八千二百人、割合として一九・七%、二割ぐらいが外国の方が住んでいらっしゃる。ほかの十自治体を見ると、大体五%ぐらいは外国の方。つまりはその家族、お子さんもおられるということで、ある意味で我々がこれから先こういう状況になっていくということも想定すると、外国人集住都市会議の点、令和二年に文科省が出された後に提言を出されている部分を是非改めて御検討いただきたいなということを指摘させていただきたいというふうに思っています。

 その上で、可児市の方の話を聞くと、義務教育年齢を超えた、十五歳までは今まで議論させていただいたところですけれども、その後ですね、日本でいういわゆる高校生の段階での支援がやはりまだまだ足りないんだ、行き着いていないということでありますけれども、特に日本語が難しい状況でありますので、この点についてどのような対応をされているかお伺いしたいと思います。

安江大臣政務官 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、義務教育段階のみならず、高等学校段階の外国人児童生徒への支援も重要であると考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、先ほども申し上げましたが、令和二年六月に策定した外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針におきましても、公立高等学校入学者選抜におきまして、外国人生徒を対象とした特別定員枠の設定や試験教科の軽減、また問題文の漢字へのルビ振り等の受験に際しての配慮等の取組を推進することなどを求めているところであります。

 また、高等学校段階においても、令和五年度より、日本語指導が必要な生徒に対する特別の教育課程を制度化するとともに、日本語指導補助者や母語支援員等の外部人材の設置、キャリア教員や進路指導など外国人生徒等に対する指導、支援体制の構築に取り組む自治体への支援などを行っているところでございまして、引き続き、学校段階を問わずして、外国人児童生徒等に対するきめ細やかな支援に取り組んでまいります。

湯原委員 是非、御答弁のとおり、引き続いて御尽力いただきたいと思っています。

 この問題について、最後に松本大臣の一言を求めたいと思います。今法務委員会で育成就労の話もしておりまして、先ほど二割の方が外国の方ということを申し上げましたが、これから日本において育成就労が進んでいくと永住される方も多くなってくる、家族の帯同も出てくる。そうなると、家族全員を含めての受入れ体制、子供も含めてこの点についてより一層ちゃんとしていかなければいけない、このことを考えるわけであります。国際化というか、受入れ体制のことについてコメントをいただけたらと思います。

松本国務大臣 いわば二割近くが外国人という、先進的というふうに考えるべきかどうかですが、そんな実例もお取り上げいただいたこと、我々も念頭に置いていかなければいけないと思いますが、総務省といたしましては、多文化共生社会の実現に向けて、家族帯同を含めた外国人住民の増加、多国籍化、多様性、包摂性のある社会実現の動きなど、社会経済情勢の変化への対応が求められるところでございまして、地方自治体におかれてはそれぞれの地域の実情に応じた多文化共生施策に取り組んでいただかなければならないかと考えております。

 先ほど申しましたように、地域における多文化共生推進プランを総務省では令和二年に改訂し、それぞれの自治体において計画的、総合的な多文化共生の取組を実施するようお願いしてきております。

 このプランの中でもお示しをしておりまして、地域における多文化共生の推進に当たっては、行政、生活情報の多言語化や日本語教育の推進などのコミュニケーション支援、外国人の子供の就学促進や災害時における被災者への円滑な情報提供などの生活支援などが重要であると考えております。ウクライナの事案が発生して、総務省の外郭である情報通信研究機構では、翻訳機能を持ったアプリも開発している中で急遽ウクライナ語についても充実していただくなどの対応もして、自治体にも御活用をいただくなどいたしました。

 外国人住民の方々との連携、協働による地域活性化の推進、地域住民等に対する多文化共生の意識啓発等にも取り組んでいく必要がございます。総務省では、外国人の地域おこし協力隊の増加などにも取り組んでおります。

 総務省としては、関係の府省とも連携をして、地方自治体に対して国の施策、自治体の好事例に係る情報提供を行い、また、必要な地方財政措置を充実するなどの取組を行ってきております。課題にしっかり自治体に対応していただけるように支えていきたいと思います。

湯原委員 時間となりましたので、後段の質問はまた次の機会にさせていただきます。御準備いただいた方にはおわびを申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中嶋秀樹さん。

中嶋(秀)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中嶋秀樹です。

 本日も質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。早速ですけれども、質問に入らせていただきます。

 質問が少し前後するんですけれども、先に地方公務員の給与制度について質問させていただきます。

 三月末に令和五年地方公務員給与実態調査結果が発表されてから、埼玉県の越谷市のラスパイレス指数が全国一位というニュースが流れ、私の地元京都では地域手当のことが話題になるなどしておりますことから、この機会に急ぎ確認させていただきたいと思います。

 地方公務員の給与は、地方公務員法二十四条により、国や他の地方公共団体、民間企業の給与と均衡することとされているところかと存じ上げます。

 総務省におかれましては、毎年、地方公務員給与実態調査の結果を公表し、各地方公共団体の基本給を比較するラスパイレス指数を取りまとめています。ラスパイレス指数は、職員を役職や学歴、勤務年数ごとに区分し、国家公務員の平均を一〇〇として比較した指標で、一〇〇を上回れば国よりも高給、下回れば薄給ということになります。令和五年四月一日現在の全国平均は九八・八%で、昭和四十九年に一一〇・六%だった頃と比べると、かなり均衡が図れているのかなとは思います。

 一方で、一〇〇を上回っている団体は二百十二団体と、全千七百八十八公共団体の一一%を占める状況となっております。ただし、一〇〇を上回っている自治体の中には、例えば優秀な若手を早期に管理職登用するなど、決して問題があるとは思えないような理由で一〇〇を超えている団体もあるかと思います。

 そこで、質問させていただきます。

 ラスパイレス指数が一〇〇を超えている地方公共団体についての御見解と総務省としての対応をお聞かせください。

小池政府参考人 ラスパイレス指数は、同種同等の地方公務員と国家公務員との間で給与水準を比較する際に用いられる指標の一つであり、地方公務員の給料について、給料表、昇給・昇格制度などが適正に運用されているか確認する上で有効なものと考えております。

 総務省としては、各地方公共団体において、給与制度又はその運用が不適正であることなどにより地域における国家公務員又は民間の給与水準を上回っている場合には、その適正化を図るため必要な措置を講じていただくよう助言を行っているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 実は一〇〇に近づけてほしいということだと思いますけれども、一方で、余り指数だけにとらわれることのない柔軟な対応が必要だと思います。

 さて、ラスパイレス指数は基本給のみの比較で、地方公務員の給与は何で差がつくかといいますと、地域手当であります。地域手当は、平成十八年の給与構造改革の一環として、地域の民間企業の賃金水準を反映するため、従来の調整手当に代えて創設されました。現在は、人口五万人以上の市について、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を基に支給率を国が決めて、基本給や扶養手当に上乗せして支給されていると承知しております。

 支給率は三%から二〇%の七段階があると承知していますけれども、元々、全国転勤がある国家公務員のために創設された制度で、地方公務員は国基準を原則とするよう総務省から助言していると思います。しかし、先ほど申し上げた地方公務員給与実態調査では、全国で六十二の地方公共団体が国の基準を上回る支給率で地域手当を支給しております。

 そこで、質問させていただきます。

 国基準以上の地域手当を支給している地方公共団体への見解と総務省としての対応をお聞かせください。

小池政府参考人 地方公務員の地域手当につきましては、国における地域手当の指定基準に基づき支給地域及び支給割合を定めることが原則である旨、各地方公共団体に対し総務省から助言を行っているところでございます。

 地域の民間賃金水準などに基づいて定められている国家公務員の地域手当の指定基準を超え独自に地域手当を支給している地方公共団体につきましては、超過支給額に応じた特別交付税の減額を行っているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 ここで、本日一番聞きたいところなんですけれども、国基準を上回って支給している自治体には、財政状況に余裕があるという理由で特別交付税を上乗せした額が減額されて交付されます。いわば上乗せへのペナルティーだと思います。

 他方で、京都府内の自治体の採用担当者にヒアリングしておりますと、人手不足が進み、売手市場の中、新規採用職員の確保の面で、支給率の低い自治体はかなりハンディを負っていることになります、また、市町村単位で支給率は定めておりますが、同じ生活圏、経済圏なのに隣の町の支給率は一〇%を超えているということはざらにあり、不公平感を生む一因になっているとのことであります。ただ、特別交付税の減額措置があるゆえに、支給率を独自に上乗せしたくてもできない自治体もあるということです。

 そこで、質問させていただきます。

 国基準以上の地域手当を支給した自治体への特別交付税の減額措置が導入された経緯及び過去五年間の減額対象となった自治体数と総額、さらに減額措置の妥当性についてお伺いいたします。

小池政府参考人 まず、過去五年間におきまして地域手当に係る特別交付税の減額措置の対象となった延べ団体数は三百五十一団体、減額の五年間の総額は約二百八十六億円でございます。

 国家公務員の地域手当の指定基準を超えて地域手当を支給している地方公共団体につきましては、国家公務員の基準を超えた地域手当を支給できるほどの財政的余裕があると考えられること、特別交付税の公平な配分のためにはそうした財政収入を考慮する必要があることから、超過支給額に応じて特別交付税の減額を行っているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 各地方公共団体の自主的かつ自立的な判断の下に定められるべき地方公務員給与の性格に鑑みて、地域手当の超過支給を理由に特別交付税を減額することは妥当ではないと思いますので、何とぞ御検討の方、よろしくお願い申し上げます。

 さて、そうした中で各地方公共団体が注目しているのが人事院の今年夏の勧告であります。昨年発表された国の給与制度のアップデートでは、市町村単位で細かく水準差が生じていることに対して不均衡であるといった意見を受けて支給率の区分設定を広域化するなど、大くくりな調整方法に見直すことにより、地域をまたぐ人事異動時の影響の緩和や給与事務負担の軽減を図ることとされております。詳細の公表はまだですけれども、国家公務員に準じて地域手当が適用されてきた地方公務員にも影響してくる話だと思います。

 そこで、質問させていただきます。

 令和五年夏の人事院勧告で国家公務員の地域手当の支給率が大くくり化される方針が示されておりますけれども、地方公務員の地域手当の支給率も同じように大くくり化されるのでしょうか。また、大くくり化された場合、現在支給率が高い自治体からは反発も想定されますけれども、その辺りはいかがでしょうか。

小池政府参考人 御指摘のとおり、人事院においては、本年夏の人事院勧告に向けて、地域をまたぐ人事異動時の影響の緩和等の観点から、国家公務員の地域手当の支給地域の大くくり化について検討が進められているものと承知をしております。

 地方公務員の地域手当につきましては、国と地方の違いもあることから、総務省において検討会を開催し、支給地域の在り方も含め、議論を進めているところでございます。

 総務省といたしましては、国の動向や検討会での議論を踏まえつつ、地域の実態に即した検討を行ってまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 地域手当は、地方公務員の給与だけでなく、自治体の財政状況にも影響いたします。是非、自治体の意見をよく聞いていただきながら制度設計を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、質問を最初に戻しまして、総務省では、地域公共交通について、輸送人員の減少などを背景として、地方の公共交通の確保維持が困難な状況であり、市町村の役割が拡大していることを踏まえて、地域公共交通の確保等に関する取組の実態を調査していると承知しております。

 実態を踏まえ、今ある地域公共交通のサービスの見直しや、地域に既にある移動手段を活用して他のサービスの代替手段にするといったことや、新たに地域公共交通サービスの導入を行うといったこと、また乗り合い環境や待合環境の見直し、そもそも既存の交通の利用促進を行い維持に努めるなどの事例も自治体に紹介したりしながらこれまでも維持確保に努めてこられたと思います。

 そこで、質問ですけれども、地域交通の維持について総務省として課題をどう捉え、どういう支援を行っておられますでしょうか。活性化再生法もございまして、国土交通省の管轄である面もございますけれども、財政面の支援など、総務省としての支援についてお尋ねいたしたいと思います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地域公共交通の維持につきましては、人口減少や高齢化に伴います買物、通学、通院などの日常生活における移動の問題の深刻化、また公共交通事業者の経営環境の悪化、担い手不足の深刻化などの課題があるものと認識をしております。

 現在、国土交通省が中心となりまして、昨年十月に全面施行されました改正地域交通法に基づき、地域の関係者の連携、協働を通じまして利便性、生産性、持続可能性が向上するよう、地域公共交通ネットワークを再構築する地域の公共交通のリデザインの取組が検討されております。

 この中で、事業者間の車両やシステムの共同運営、通院バス、スクールバスなどの路線バスへの統合、また自動運転技術を活用したデマンド交通への転換、MaaSの取組などが検討されているものと承知をしております。

 総務省としての支援につきましては、これまで、地域公共交通の維持確保のため地方自治体を支援する観点から、地方バス、デマンドタクシー等に対する地方財政措置を講じております。

 また、デマンド交通など、地域の移動手段の確保等を自ら行う地域運営組織の取組に対しましても支援に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、地域公共交通に関する地方自治体の役割や取組の実態を踏まえながら、関係省庁と連携をいたしまして自治体の取組を適切に支援してまいります。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 地域公共交通は、地域が持続可能となるために欠くべからざるインフラであり、自治体はその確保維持改善に主体的に取り組まなければならなくなっていることから、今後も総務省として支援、助言共にお願いするところでございます。

 本日は、自治体の財政と給与の在り方、そして公共交通、こういったことを質問させていただきました。

 本日は、これで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉田とも代さん。

吉田(と)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代と申します。本日もよろしくお願い申し上げます。

 情報空間の健全性の確保について、先日プロバイダー責任制限法改正案の委員会審議が終わったところですが、前回予告したこともございまして、その関係を引き続き質問させていただきます。

 とはいえ、多くの論点は既に諸先生方が質問されていますので、今回は視点を変えてお聞きします。

 過日の参考人質疑及び政府質疑において、専門家である委員の皆様にとっては当たり前の知識、前提となる知識があるために深く充実した審議になったと考えますが、一方で、国民の皆様にも広く知っておいていただきたい事柄でございます。インターネットに関しては、いろいろな用語が使われ、また独特のビジネスモデルが存在します。法律の専門家である弁護士が知っていればよい、事業者が知っていればよいというような内容ではなく、多くの国民の皆様にとって身近に感じていただく必要がある、こう思った次第です。ですので、委員の皆様にとっては知っているよというお話かもしれませんが、あえて取り上げさせていただきます。

 まず、一昨年の話に遡りますが、令和四年六月、電気通信事業法の一部を改正する法律が成立し、初めて外部送信規律が導入されました。

 外部送信規律、余り聞き慣れない言葉ではありますが、これは、インターネットのサイトを閲覧した際、閲覧したサイトの情報が外部に送信され、閲覧したサイトと類似の、つまり興味を持っていそうな内容の広告が表示される仕組みのことです。サイトの閲覧情報の送信について、規律導入前は本人が知らない間に送付されていました。それを本人に認知してもらうよう通知又は公表を義務づけた制度です。

 この規律は利用者のプライバシー保護と情報の適切な取扱いを促進するために導入されましたが、昨年六月以降、サイト閲覧の際には、一々了承を取る表示がなされる機会も増えました。この規律が施行され約十か月程度経過したところですが、制度の運用状況はどうなっているのでしょうか。また、この制度について利用者や事業者からどのような反応があったのか。把握されている範囲で教えていただきたいと思います。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、令和五年六月に外部送信規律が施行されておりまして、メッセージ通信、SNS、検索などの提供を行う通信事業者に対してこの規律が適用されております。

 その履行状況につきましては総務省においても把握に努めておるところでございますが、例えば、一部の事業者では、ウェブサイトやアプリにおいて専用のページを作成いたしまして、送信する情報の内容や送信先、利用目的などを利用者にとって非常に分かりやすい形で公表しているものもある一方で、外部送信に関する利用者への情報提供が不十分と考えられる事業者も見受けられるところでございます。

 総務省といたしましては、制度の内容について一層の周知を行うなどの取組を通じまして、事業者における対応を促進するとともに、利用者の方が安心して利用できる通信サービスの確保に努めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 この外部送信規律という考え方について、実際、皆さんは認識されているのかなと疑問に思うところです。

 この法改正については、事業者サイドはまだしも、利用者サイドはなかなか内容的に、自分の情報がどういった形で外部に伝わっているのか、また、それがサイトに示されていても把握されていないという方もいらっしゃると思いますので、事業者サイドだけではなく利用者に対しても周知をお願いしたいと思います。インターネットについての問題点はここにあると思うのです。つまり、法律は作りました、そして事業者は知っています、ただ、利用者が知らない、そのために実効性が薄まっていくということを懸念しております。

 また、この外部送信というのはインターネット特有のビジネスモデルに起因するもので、効果的に広告を掲載し、購入などに結びつけるための仕組みです。このような広告が多く出稿されているために、多くのインターネットサービスは無料で利用できます。インターネットの世界では、外部送信のようにインターネット特有のビジネスモデルがあり、この仕組みを理解してインターネットを活用していく必要が大いにあると考えます。

 ブロードバンドの普及、スマートフォンの登場によりまして、日常的にインターネットを利用、活用するのが当たり前の時代となりました。インターネット上の情報流通の問題点、知らず知らずのうちに誘導されている怖さなどを知っていただく機会になればと思い、今回の法案審議で多用された用語について御説明をいただきたいと思います。

 先週のプロバイダー責任制限法の質疑では、アテンションエコノミーですとかフィルターバブルなどの言葉が当たり前のように使われておりました。アテンションエコノミーやフィルターバブルはインターネットの世界では当たり前の仕組みだと思いますが、宮本先生の質疑の中でも御確認がありましたが、二〇二三年三月の偽情報、誤情報の関連用語の認知度調査においては、言葉のみ聞いたことがある方は、アテンションエコノミーは一六・四%、エコーチェンバーは一八%、フィルターバブルは二一・七%であり、内容や意味まで知っている方は、アテンションエコノミーは二・四%、エコーチェンバーは三・三%、フィルターバブルは二・九%となっており、インターネット上の仕組みともいうべきことを理解されている方は実際には非常に少ないということです。

 私たちの日常に普通に組み込まれているインターネット、このインターネットの世界を理解していただくためにも、国民の皆様向けに、アテンションエコノミーが、フィルターバブルがどういったものであるか、また、アテンションエコノミーで問題となった事例や、どのような危険性があるか、教えていただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねのありましたフィルターバブルという用語につきましては、アルゴリズムによってインターネット上で利用者個人のクリック履歴に基づく情報が優先的に表示される結果、自身の考え方や価値観に近い情報ばかりに囲まれる、いわば泡の中に包まれるような状態を指すものとして用いられることがあるものと承知しているところでございます。

 また、アテンションエコノミーという用語につきましては、情報過多の社会におきまして、供給される情報量に比して人々が支払えるアテンションないし消費時間が希少となることから、それらが経済的価値を持って市場で流通するような経済モデルを指すものとして用いられることがあるものと承知しているところでございます。

 特に、アテンションエコノミーがもたらす課題といたしましては、利用者を刺激し、より多くの注目、関心を集めて金銭的な対価を得るために、インターネット上で過激なタイトル、内容や臆測だけで作成された事実に基づかない情報等を流通、拡散する者がいるといったようなケースもあるものと承知しているところでございます。

 具体的には、例えば先般の能登半島地震におきましても残念ながら多くの偽・誤情報が流通したと指摘されるところでございまして、アテンションエコノミーの下で多数の閲覧やフォロワーを集めたユーザーが収益を得られる仕組みがこのような偽・誤情報の流通、拡散に関連しているという意見もあることと承知しているところでございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 答弁にもございましたけれども、能登半島地震の際の偽情報やアテンションエコノミーが大きく影響していると考えますが、間違えた情報によっては巡り巡って生命の危機を及ぼしかねません。

 私たちが当たり前に利用しているインターネットですけれども、目を引く画像や表現によってアクセスが増え関心が高まることで収入が入るようになっています。また、知らず知らずのうちに偏った情報のみ閲覧しているということで、影響を受けやすく、気をつけなければなりません。こういった偽情報、誤情報を流通させる人々は、訂正しなければ、訂正しようという考え方をしません。

 また、訓練されたジャーナリストを多く抱える報道機関の役割は重要になってくると考えます。新聞社やテレビ局は、報道機関として、ファクトチェックを複数の方が時間をかけて行い、もし後で間違いが見つかれば、放置はせずに裏づけを取り直して正しい情報を伝えています。このような報道機関の役割は、インターネット時代において重要性が増していると思います。

 新聞社や放送局などが発信する情報について、信用できる情報であると一定のお墨つきを与えることを検討してはどうかという声もありますが、正確で信頼できる情報発信だという情報の真正性を保つための方策と併せて政府の御見解を伺います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネット上の偽・誤情報の流通、拡散といった問題への対応といたしまして、情報の受信者が受け取った情報やその発信者の信頼性等を容易に判別することを可能とするため、流通する情報の信頼性の確保、これは大変重要だと認識しているところでございます。

 その技術的な対応の一環といたしまして、総務省におきましては、令和五年度補正予算を活用して、例えば画像、動画等の情報コンテンツに対して来歴また発信者に関する情報を付与する技術など、情報コンテンツや発信者の信頼性等を確保する技術の開発、実証を行うなど、技術面からの対策を進めていきたいと考えているところでございます。

吉田(と)委員 確かに、政府が一つ一つの情報について真偽を明らかにする、決めていくということに抵抗もあります。一方で、偽情報であるかどうか、偽か真であるかどうかを絶えず追求する姿勢を持つ機関が今後信頼を得ていくと考えます。

 先日、四月六日の紅こうじに関する記事において、大手新聞社が、取材対象者が発言していない内容をその方が発言したものだとして掲載していたという問題が起きました。実際に取材に当たった記者は、発言とされている内容が事実と異なるものだと認識をしていたにもかかわらず、社会部が求めるトーンに合わせてそうしたのだろうと、修正や削除を求めずそのままにしたそうです。

 先ほどの御答弁でも、ある情報がある機関、組織、人からまさしく発信されたものだと認識をする技術ですけれども、その発信元が正しく信頼に値するかどうかということが今後問われていくと考えます。

 さて、法案審議は衆議院では終わりましたけれども、少しだけ確認をさせていただきます。

 参考人の山口先生のお話では、炎上案件について、特定の個人による大量の発信というケースが紹介をされました。一方で、一つの情報発信、いわゆる投稿をいろいろな人が引用して拡散するケースもあると思います。今回の法改正がなされますと、違法、有害情報について被害者から被害の訴えがあると、事業者ではその対応を決めるために侵害情報調査専門員が調査することになります。ただ、その投稿が別に引用されて、別の発信者から同じ内容が投稿されているということもよく起こる現象ではないでしょうか。

 調査の結果、元々の情報発信、投稿が権利侵害、誹謗中傷だとして削除された場合、引用投稿については同様の対応が自動的、自律的に取られるのかどうか、総務省にお伺いします。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 各事業者の対応にもよりますが、一般にある権利侵害投稿が拡散された場合、その権利侵害投稿そのものが削除されれば拡散された投稿も連動して削除される場合もあるという一方で、例えばスクリーンショットに撮ってそれを拡散させた場合、こういったような投稿につきましては連動して削除することは難しいものと承知をしております。

 拡散された投稿が連動して削除されない場合であって、元々の投稿が権利侵害を理由に削除された場合、拡散された投稿も申出なく削除されるかどうかは、個別の事情や文脈などに応じましてプラットフォーム事業者により判断されることとなります。

 一般論といたしまして、被害者救済という観点からは、一度削除対応となった投稿と同内容の投稿なのであれば、拡散を防ぐという観点から可能な限り同様の対応が取られることが望ましいと考えておりまして、SNSなどのプラットフォーム事業者による適切な対応を促してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 旧ツイッターでの旧リツイートなどが、引用元が削除されるとリツイートも一緒に削除されるという仕様のプラットフォームもありますけれども、例えばほかのプラットフォームでそういう違法、有害情報が発信された場合は同じ内容だということでほぼ調査もなく速やかに対応されるのか、あるいは被害者が当該プラットフォーマーに訴えない限りはそのまま放置されるのか、この辺りはどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。

西田大臣政務官 お答えをいたします。

 一般論で言えば、プラットフォーム事業者による投稿の削除に関しては、プライバシーや個人情報の取扱いに留意しつつ、プラットフォーム事業者間で取組状況の共有が行われ、共有された情報に基づき削除対応等の迅速化が図られることが被害者救済の観点から望ましいものと考えております。

 総務省の有識者会議による報告書においても、違法、有害情報の全体の流通状況やプラットフォーム事業者を始めとする各ステークホルダーにおける取組状況については引き続き継続的かつ専門的に把握、共有することが望ましいとの御提言をいただいたところでございます。

 今回のプロバイダー責任制限法の改正案が成立した暁には、その施行に当たって、プラットフォーム事業者やその関係団体とも連携して準備を進めていくことが想定されているところ、この官民の連携に当たっては御指摘の点についても留意してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 国としても管理に乗り出すというのは難しいとは思いますけれども、法律などの規定ではないにしても、自主的にプラットフォーマー同士が情報を共有できる形を促す必要もあると思います。今回の法改正でまず一歩進んだと考えていますけれども、今後の動きについても注視していただきたいです。そういった自主的な取組も進んで、インターネット空間が健全に発展していくよう、引き続き総務省に御対応をお願いいたします。

 それでは、次の質問に移ります。

 本年二月、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別推計人口で、二〇五〇年時点の十五歳から六十四歳の生産年齢人口を二〇年と比較したところ、六百九十九市町村が半数未満に減少することが分かりました。全国市区町村の四割に当たり、地方の小規模自治体の落ち込みが目立つ中、地域産業や福祉等人材、また自治体運営や交通、物流などの維持が課題となります。

 人口減少問題、東京一極集中の是正が叫ばれる中、ユニバーサルサービスの維持が法律によって義務づけられている日本郵便が新しい時代の流れに沿った地方創生に取り組もうとしています。全国約二万四千もの郵便局窓口、拠点がありますが、過疎地域においても郵便局のネットワークは維持され続けています。

 総務省では、令和四年十月、郵便局を活用した地方活性化方策検討プロジェクトチームを設置し、令和六年、郵便局を活用した地方活性化先進事例パッケージが公表されました。これまでの取組事例や成果について、御説明をお願いいたします。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 あまねく全国に拠点が存在します郵便局は、三事業一体でのユニバーサルサービスを確実に提供しつつ、公共的な存在として地域のニーズと信頼に応えていただくことが重要であると考えてございます。

 日本郵便におきましては、これまでも、住民票の交付などの証明書発行事務やマイナンバーカードの交付申請などの自治体窓口業務に加えまして、高齢者の見守りサービスや買物支援、空き家調査など、地域の実情やニーズに応じた取組を行っております。

 御指摘のございました郵便局を活用した地方活性化先進事例パッケージにつきましては、二十を超える事例を日本郵便や地方公共団体へ総務省より周知を行っております。

 この先進事例パッケージは、先ほど申しました事例のほかにも、令和元年度から総務省において行っております郵便局と自治体などとの連携による実証事業に係るものも含まれております。例えば、昨年度行いましたオンライン診療のほか、郵便局が保有する配達原簿に係る情報や転居に係る情報を大規模災害等における安否確認に活用するための実証なども行っております。なお、このような情報を活用し、本年一月の能登半島地震に際して安否不明者リストの精緻化に貢献することができたものと承知をしております。

 今後とも、各地域の特性に応じた取組が進むよう、日本郵政や日本郵便、地方公共団体としっかり連携をしてまいります。

吉田(と)委員 今るる御説明をいただきましたけれども、地方自治体とは郵便局の業務に支障のない範囲で地域に貢献する活動を行うことなどを定めた協定を締結しています。二〇二三年十二月末時点で、千七百四十一市区町村のうち八三%に当たる千四百五十九の市区町村と連携協定を結んでおります。

 また、地域における協力に関する協定や災害発生時における協定なども締結している状況ではございますが、実際に事務委託協定を結んでいるのは、本年一月末までで三百九十九自治体です。

 市区町村の規模によりそこに存在する郵便局が果たす役割も様々かと思いますけれども、連携協定は多数結ばれていますが、地方自治体からの委託がまだ進んでいないようにも感じますので、引き続き、また次回質問の機会をいただきましたら、質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今日も、まず西田政務官にお伺いをいたします。

 資料一は、今年四月二日の当委員会でも配付した国土交通省提出資料であります。西田政務官が二〇二一年の総選挙期間中に百万円、二百万円という献金を受け取り、その後返却したとされる西田政務官の地元の二つの建設業者、小倉建設と南建設の、令和三年、すなわち前回総選挙のあった二〇二一年度の北陸地方整備局発注工事の契約実績であります。

 私は、小倉建設の二〇二一年度の落札率が一件中一件で一〇〇%であることや、南建設は七件中六件で実に八五%を超える落札率であることを示して、それ以前の小倉建設の平均落札率約一七%、南建設の約二八%と比べて、二〇二一年は極めて高い落札率であることを指摘いたしました。

 そこで、西田政務官、落札率が高いという事実を確認していただきましたか。そして、落札率が高いということが事実であるならば、それがあなたへの献金と無関係だと断言するどのような根拠がございますか。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 御通告をいただきましたので、公表資料に基づき調べたところ、委員の御指摘の会社について、国の公共事業への二〇二一年度の入札件数に対する落札件数は、小倉建設が一件の入札に対して一件の落札、南建設が七件の入札に対して六件の落札であったことを確認させていただきました。

 いずれにいたしましても、当時寄附をいただいた際には、委員御指摘の会社が国の公共事業を受注していたことは存じ上げませんでした。また、私が公共工事の受注に関して関与したということは一切ございません。

宮本(岳)委員 知らなかったということでは済まないんですね。

 いつも指摘するように、総務省は公職選挙法も政治資金規正法も所管する役所であります。その大臣政務官という立場であるからには、政治資金や選挙資金について一点の曇りもない透明性が求められます。国民への説明責任を果たすことなしにはその職務は続けられないということを改めて厳しく指摘しておきたいと思います。

 次に、被災地輪島市におけるケーブルテレビの復旧とケーブルテレビでNHKの難視聴対策を進めてきたことへの影響についてお伺いしたいと思います。

 去る三月二十一日のNHK予算審議で、NHKの根本拓也理事は私に、輪島市内でケーブル網の断線によってNHKの地上波を見ることのできない詳しい世帯数は承知していないが、三月末までの幹線ケーブルの復旧を目指して地元のケーブルテレビ会社は尽力していると承知していると答弁されました。しかし、三月末どころか、今なお幹線の復旧すら完全には終了しておりません。

 復旧できていない幹線がどれだけ残されていて、何世帯に影響が出ているのか。たとえ幹線の復旧ができても、引込線の復旧工事が終わらなければテレビは見られません。発災から四か月が過ぎようとしておりますけれども、どういう状況か、情報流通行政局長にお伺いしたい。

小笠原政府参考人 ケーブルテレビの復旧状況についてのお尋ねでございますので、まず、七尾市、穴水町、能登町については応急復旧が完了というふうにお聞きしております。次に、輪島それから珠洲市につきましては三月末で応急復旧がおおむね完了しているというふうにお聞きをしています。

 両市の一部地域におきましては応急復旧が完了していないというふうにあるところとお聞きしておりますが、これらの地域につきましても、事業者の方々が道路啓開の状況を踏まえまして対応に当たられているというふうに承知しているところでございます。

 こうした地域については、総務省としてケーブルテレビの復旧にかかる費用に対する補助率のかさ上げなど被災地の負担軽減に取り組み、ケーブルテレビの依存度が高い被災地における放送インフラの本格復旧を加速化しているところでございます。

宮本(岳)委員 発災から約四か月たって、今なおケーブルテレビの復旧が一部地域についてはめどさえ立たないという、まだそういう地域が残されているわけですね。だとすれば、先月延長したNHKのBSプレミアムを使っての放送を継続しなければなりません。今後ともBSプレミアムを使っての放送は続けられるのか、総務省はNHKとともに状況を把握して対応を検討しなければならないと思いますが、いかがですか。

小笠原政府参考人 御指摘の点でございますが、今回の能登半島地震の被害者にとりまして、日常生活を取り戻すために必要なより正確な情報を入手する手段として、放送が果たす役割は極めて重要であるというふうに考えております。

 委員御指摘のNHKの衛星放送を活用したNHK金沢放送局の番組の放送につきましては、能登半島地震発災後の一月九日から実施されてきたところですが、この衛星放送は、被災地の復旧状況等を踏まえまして、NHKからの申請を受け、三月二十九日に所要の認定を行い、現在も放送が継続されております。

 この放送につきまして、現時点ではNHKから終了に関する申請は行われておらず、四月末での終了は想定しておりません。

 現在ケーブルテレビの復旧に取り組んでいるところであり、可能な限り早急に復旧できるよう支援を行うとともに、NHKの衛星放送を活用した放送の今後につきましては、現地のケーブルテレビの復旧状況、これを確認しながらNHKさんとも相談してまいりたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 被災者の切捨てが起こらないように、状況をつかみ、一日も早い復旧を求めたいし、また、NHKの放送が届くようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、またまた発生したコンビニ交付サービスにおける証明書誤交付について聞きたいと思います。

 資料二を見ていただきたい。今年四月十六日に総務省自治行政局長名で富士通の社長宛てに発出した指導文書であります。富士通の子会社である富士通Japanが、昨年三月以降に複数の自治体のコンビニ交付サービスシステムにおいて別人の証明書を交付する事案を発生させたことを受け、富士通Japanのシステムを利用する地方公共団体百二十三団体を対象に総点検を行い、適用漏れがあった全ての地方公共団体には修正プログラムの適用を完了するとともに、品質管理体制の強化も含めた再発防止策を講じたとされておりました。ところが、今年四月十一日に何とまたその富士通から、四月四日に富士通Japan株式会社が香川県高松市に提供するコンビニ交付サービスシステムにおいて別人の住民票の写しが交付されたとの報告を受けたというものなんですね。

 まず、聞きますけれども、富士通Japanが昨年三月以降、横浜市等四団体十四件の証明書の誤交付発生の報告を受け、富士通Japanのシステムを利用する地方公共団体百二十三団体を対象に総点検を行ったというのは、一体いつからいつまでの期間にこの総点検を行ったんですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 富士通Japan株式会社は、昨年の誤交付事案を受けまして、昨年の五月中旬から六月十七日までの間に、自社のコンビニ交付サービスを利用する地方公共団体百二十三団体を対象に、昨年発生した事案と同種の不具合の有無に関する点検及び修正を実施したとの報告を受けております。

 その後、実は同年六月二十八日に宗像市におきまして新たに別人の誤交付事案が発生しましたが、これは、過去に不具合が発生し、それに対処するための修正プログラムが開発されたものの、同市においてこの修正プログラム適用が適切に行われなかったことによって発生したものというふうに報告を受けております。

宮本(岳)委員 正確に聞きたいんですけれども、五月中旬から六月の十七日までに百二十三地方公共団体の点検を全て終えたと。六月二十日の松本総務大臣の会見で、富士通Japanから百二十三団体全ての点検、改修が完了したとの報告がありましたのでお知らせしたいと思いますと会見で語っておられますよね。ですから、この時点で終わっていたんです、六月二十日には。

 ところが、六月の二十八日に、今のお話にあった宗像市で新たに誤交付が発生した。これは先ほど説明があったとおりまた性格の違うミスであったということなんですけれども、おっしゃるとおりです、これはもう既に平成三十一年一月に同市システムにおいて確認されていた不具合なんですよね。それが、なぜこの時点まで対策されずに残っていたんですか。つまり、四年半たっているんですが。

山野政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月にこの宗像市の事案が発生しておるわけでございますが、御指摘のように、平成三十一年における同種の不具合に係る修正プログラムの適用が漏れていた、これが原因でございます。

 このこともございましたので、私ども、改めて、百二十三団体を対象にしまして、過去のプログラム誤りを是正する修正プログラムの適用漏れがないかどうか、これを確認を求めまして、昨年の十月でございますけれども、修正プログラムの適用を完了したとの報告を受けていたところでございます。

宮本(岳)委員 ですから、四年半前のものが残っていたわけですね。その直前まで、六月の十七日までに百二十三地方公共団体の点検を全て終えたと胸を張って二十日の日に大臣がおっしゃったわけでありますが、それで見つけられていないわけですよね。改めて、二十八日に宗像市の事案があったので、もう一回、百二十三団体の点検がやられたわけですよ。

 では、この二十八日の宗像市事案というものを受けて、資料三というのをつけておりますけれども、個人情報保護委員会はこのときに報告を富士通Japanに求めております。この報告について十月三十一日を期限で出してくれということを求めているわけですけれども、それは総務省は御存じですね。

山野政府参考人 御指摘の件につきましては私どもも承知しております。

宮本(岳)委員 六月二十八日の後、個人情報保護委員会は、これらの件について十月三十一日までに改善策の実施状況について報告するように求めました。個情委が十月三十一日までに報告を求めた改善策について、その後、この資料につけましたけれども、二百六十三回個人情報保護委員会の配付資料の中に出てまいります。

 この報告を見ますと、改めて技術的安全管理措置というものを講じるのだと。これは十月三十一日期限で提出されたものですよ。個情委にも総務省にも出されていると思います。技術的安全管理措置というものを取るんだと。そのうちの一つが異常検出機能の開発だといって、自社システムの安全性向上のために、令和六年一月、今年の一月をめどに以下の異常検出機能を開発予定というふうに書いてありますね。これを見ますと、処理中の中間データに申請番号を付与し、取り違えを防止する機能を作るんだ、あるいは、証明書の要求から証明書の作成にかけて処理電文間で取り扱うデータを比較することにより正当性を保証する、エラー検知時は申請をリトライするよう促す機能をつけるんだ、こういうふうに開発するんだということが掲げられております。

 既に今年の一月は過ぎておりますけれども、今年一月までにこの開発は終わっているんですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 富士通株式会社及び富士通Japan株式会社からは、御指摘のように、今後新たな誤交付を起こさないための対策として、未知のプログラム誤りにも対応できるような機能を開発するとの報告を受けておりまして、総務省としては、そのプログラムの速やかな開発を行うことや、富士通Japan株式会社のシステムを利用している地方公共団体に早期に適用するよう対応を求めてきたところでございます。

 これまでの富士通株式会社からの報告によれば、既に機能開発は完了しており、本年三月に先行適用団体で検証を行ったということでございました。

 私どもとしましては、この早期適用を進めることが新たな誤交付を防ぐために極めて重要であると考えておりまして、先日行った行政指導におきましてもできる限り早期の適用を要請しているところでございます。

宮本(岳)委員 試験を行っている自治体は何団体ですか。今これが実際に使われている自治体が一つでもありますか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 私どもが報告を受けておりますのは、現在試験を行っていますのは一団体ということでございます。

宮本(岳)委員 一団体で試験を行っているだけであって、今年一月をめどと言うけれども、三か月を過ぎてただの一団体も実際こういう対策はされていないんですから、あきれ果てると言わなければなりません。

 そして、今年四月四日に誤交付が発生した香川県高松市は、昨年二回も点検した百二十三団体には含まれておりません。なぜなら、この香川県高松市は、今年新たにこのシステムを導入した自治体だからです。新規に導入した自治体には当然対策済みのシステムが導入されるものと普通は思うんですが、そうではなかったというのだから更に驚くわけですね。何でこんな初歩的なミスが繰り返されているんですか、局長。

山野政府参考人 お答えいたします。

 私ども、この件につきましては非常に残念に思っておりまして、四月の行政指導においてその件を厳しく富士通株式会社に指摘したところでございます。なぜこういうことが起きたのか、これを厳格にお答えするよう報告を求めたところでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、それは富士通Japanもけしからぬと思いますけれども、私は総務省がけしからぬと思うんですね。

 大臣は、前回、四月十八日の当委員会、プロバイダー責任制限法改正案の質疑でも、私が、ネット上のディープフェイク、先ほど少し紹介がありました、あるいは詐欺広告など有害情報の存在、アテンションエコノミーと呼ばれる現象について指摘したのに対して、いわば情報を御利用いただく人々にも是非ネット上の現在の情勢を知った上で情報を御利用いただきたいなどと、まるで国民のリテラシーに問題があるかのように語られました。

 しかし、大臣こそ、マイナンバーカードによる住民票のコンビニ交付について利便性の向上などのメリットだけを語り、情報漏えいなどのリスクは口を閉ざしてまいりました。しかし、実態は止まらぬ個人情報の漏えいであり、その原因を見てみたら、システムの不具合が確認されて四年半も修正されず放置されていたり、自らが報告した期日から三か月が過ぎてもただの一自治体にも対策されていないなど、実にずさん極まりないものでありました。

 総務大臣、自らが安全神話を振りまいてきた責任を自覚しておられますか。

松本国務大臣 今般の事案で、富士通株式会社、富士通Japan株式会社に対しましては厳重注意、原因究明、再発防止対策の徹底等を求めるべく行政指導を行ったことは今局長からも申し上げたとおりでございます。

 特に、コンビニ交付は多くの国民の皆さんにも御利用いただいているだけにニーズが高く、利便性も一定程度御評価いただいていると考えられるだけに、正確なコンビニ交付を行うことの重要性は極めて高い、そういった中で残念ながら誤交付が発生したことは私どもとしても極めて残念に受け止めております。

 その上で、今マイナンバーカードのお話がございましたが、コンビニ誤交付は富士通Japan株式会社のシステムにおいてのみ発生した同社のシステムの問題でございまして、マイナンバーカードの本人確認の仕組みの問題ではないことは申し上げられるかというふうに思っております。

宮本(岳)委員 大臣、あなた自身が全くリテラシーを欠いているんですよ。その姿勢こそが問われているということを指摘して、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、現在進められております自治体のシステム標準化の取組についてお伺いをさせていただきます。

 国は、これまで自治体ごとに異なる仕様で作られてきた二十にわたる基幹業務システムにつきまして、国の共通システムに標準化しガバメントクラウドに載せる取組を二〇二五年度までに完了するという期限を設定した上で取組を進めてこられました。

 去る三月五日に発表されましたデジタル庁の調査結果によりますと、昨年十月時点の数字でございますけれども、全国の約一割の自治体に相当する百七十一の自治体が、業務を担うベンダーが不足する等の理由から移行が進まずに移行期限に間に合わないという調査結果が出されております。特に、都市部に多く間に合わないということがアンケートで答えられているわけでございますけれども。現在、調査時点から数か月たっておりますので移行状況につきましては変化をしていることが両面考えられるというふうに思いますけれども、今後移行が間に合わない自治体がより増えるのではないかという可能性も指摘をされております。

 クラウドにつきましてはデジタル庁の所管ではありますけれども、総務省として、自治体によって遅れが生じている原因をどのように捉え分析しておられるのでしょうか、また、今後どのように移行に向けた支援をしていく方針であるのでしょうか。また、自治体が移行するための費用については現状の費用の額で十分であると考えておられるのかということにつきまして総務省にお尋ねをさせていただきます。

山野政府参考人 お答えいたします。

 自治体のシステム標準化につきまして幾つか御質問いただきました。

 地方公共団体の基幹業務システムにつきましては、令和七年度末までの標準準拠システムへの移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムについて、状況を十分に把握した上で適切な移行期限を設定することとされておるところでございます。

 総務省では、移行対象となります千七百八十八団体、三万四千五百九十二システムについてデジタル庁とともに調査を実施しまして、三月五日に、百七十一団体、これは団体数の一〇%、それから七百二システム、システム数の二%でございますけれども、が移行困難システムに該当する見込みという結果がデジタル庁から公表されたところでございます。

 移行困難システムに該当する主な要因でありますが、一つは、現行システムの開発等を行っているベンダーが標準準拠システムの開発等から撤退するということがございます。それから、二つ目として、技術者のリソース不足により開発工数増大への対応が取れないなど、これらは主としてベンダーの事情に起因するものと承知しておるところでございます。

 総務省は、今後もデジタル庁と協力いたしまして、移行困難システムを抱える団体に対し、移行作業の進捗管理や質疑応答を行うツールがございますので、このツールを活用して課題の早期発見に努めていきたいと思っております。また、移行困難システムの移行に資する手順書の改定、あるいは専門のアドバイザー派遣を行う、こういったことを通じまして、地方公共団体に寄り添いながら円滑かつ安全な移行に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 最後に質問させていただきました費用につきましての御答弁がなかったんですけれども、費用について十分であるとお考えになっているのかということも含めて、再度お尋ねをさせていただきます。

山野政府参考人 お答えいたします、大変失礼しました。

 移行経費でございますけれども、これはデジタル基盤改革支援補助金で支援しているところでございます。昨年来、全国から補助金の不足について要望等が多く寄せられたことを踏まえまして、令和五年度補正予算におきまして五千百六十三億円の所要額を計上し、総額で六千九百八十八億円としております。

 去る三月でございますけれども、この補正予算を踏まえた新たな配分の考え方を各団体に提示し、各団体における効率的な執行に向けて情報提供を行い、これに基づき各団体でも現在移行経費の精査をしていただいているところでございます。今後、引き続き地方公共団体の声を丁寧に聞きながら対応してまいりたいと考えております。

西岡委員 今御答弁にありましたように、必要経費について精査をしている途中であるという政令市等もございますので、やはり金額が不足をしていくということについては大変自治体も心配をしておられます。

 また、二〇二五年度までの期限というのは柔軟に容認するというか、期限延長については容認するということでございますけれども、期限が守られなかった自治体に対して資金面での優遇がないような、そういう状況は決して生まれてはならないというふうに思いますので、しっかり自治体の支援というものを、先ほど答弁でもありましたように現場の声をお聞きいただいて、資金面での支援もしっかりこれからも充実していただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、総務省が発表しました三月の消費者物価指数、これは、食料価格などの高止まりが続きまして、前年同月比二・六%上昇して、二年七か月連続上昇となっております。一方で、厚労省が発表しました二月の毎月勤労統計によりますと、実質賃金は前年同月比一・三%減少し、二十三か月連続のマイナスとなりました。依然として物価を上回る賃上げがまだ道半ばであるということが明確になった形です。

 一方、今年の春闘におきましても、これまでの集計によって、昨年に続き大手企業を中心に賃上げ率が平均五・二八%となり三十三年ぶりの高水準となりましたけれども、一方で我が国の企業の九九%は中小・小規模事業者であるということを踏まえまして、特に中小・小規模事業者がほとんどを占める地方におきましてはその賃上げの流れがなかなか十分波及していないというのが実情だと認識いたしております。やはり地方の中小企業にもしっかり波及をさせていくことが大変重要だと考えております。

 燃料油、ガソリン、エネルギー価格を含めた全ての物価高騰によりまして、地方の中小事業者においては賃上げの原資を確保することが大変難しいという現実もございます。その実現のための環境づくり、取組につきまして、岸田政権としては物価を上回る賃上げというものを最重要課題に掲げておられます。松本総務大臣の御見解、取組についてお伺いをさせていただきます。

松本国務大臣 物価を上回る所得の上昇が図られることというのは大変大切なことであると考えております。

 既に賃上げの動きは、大手企業について今も御指摘がございましたし、また、本年は中堅、中小の労働組合も検討している、日本労働組合総連合会さんのプレスリリースでも記載がありますように少しずつ流れは広がってきているかとは思いますけれども、引き続き取り組むべき課題であるという認識、特に地方の中堅・中小企業、小規模事業者の皆さんが賃上げできる環境を整えることは大変大切なことだというふうに考えております。

 その一つの課題は価格転嫁であるということで、労務費等の価格転嫁対策ということでは、御承知のとおり、価格交渉月間を設けたり、また、労務費の転嫁に係る価格交渉の指針を定めさせていただいて関係者の皆さんに共有していただくようにするなど取組を進めてきておりまして、総務省としては、一つは、所管します通信、放送、郵便等の所管事業分野の取組を要請させていただいておりますし、また、地方公共団体についても契約に係る対応について要請を行うとともに、令和六年度地方財政計画では、民間の賃上げなどを踏まえた職員の人件費の増加の適切な反映、人件費増や物価高騰の影響による施設管理等の委託費の増加を踏まえて一般行政経費に所要額を計上したところでございます。

 また、本質的には生産性の向上が図られなければならず、固定資産税において、中小事業者等が取得した生産性向上、賃上げにも資する償却資産に係る特例措置も講じました。結果として賃上げを図っていただいたところに対しましては、地方税制上の対応として、法人住民税、事業税において賃上げ促進税制を講じているところでございます。

 冒頭申し上げましたように引き続き課題であると認識をしているところでございますが、効果が出てきている施策もございますので、しっかり政府全体として更に前に進められるように、総務省としては取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 今大臣から御答弁がありましたように中小・中堅企業にも大分広がっているということでございますけれども、やはり様々な物価高騰を含めた環境が厳しいという中で、まだまだ取組がなかなか、その環境ができていない部分があるというふうに思っております。

 今大臣から御指摘があった労務費も含めた価格転嫁につきましても指針に基づいた一層の取組をお願いするとともに、総務省としても今お取組について御紹介がございましたが、引き続きしっかりお取り組みいただきますことをお願い申し上げたいというふうに思います。

 関連いたしまして、前回の一般質疑ではガソリン価格の値下げについて質問させていただきました。時間の関係で質問できませんでした電気代の値下げについて、関連して質問をさせていただきます。

 先ほど質問の中でも再生エネルギーについての御質疑がありましたけれども、再エネ賦課金につきましては、この再エネ賦課金とは、再エネ固定買取り制度によって電力会社が買取りに要した費用を電気の使用量に応じて電気料金の一部として電気を使用する世帯が負担する制度となっております。

 単価につきましては、毎年三月に経済産業大臣が発表されるわけでございますけれども、毎年五月から翌年の四月分の電気料金に上乗せされることとなっております。この再エネ賦課金につきましては、令和五年度は一キロワットアワー当たり一・四〇円であったものが、先般発表されました令和六年度につきましては三・四九円に引き上げられるとされております。前年比二・五倍に値上がりをすることが見込まれておりまして、五月から電気料金が確実に値上げが行われるという状況になっております。

 年間の家庭における負担額は、標準的な家庭で一か月の使用量四百キロワットの場合に負担額が年間一万六千七百五十円になる見込みであるということが発表されております。令和五年度が六千七百二十九円であったことから、約一万円の負担が増えるという計算になります。

 一方で、政府は電気・ガス価格激変緩和策を五月末で終了するとされておりまして、国民生活を守り、可処分所得を拡大し、物価を上回る賃上げを中小・小規模事業者や非正規で働く方にも波及するという政府の方針に逆行するのではないかというふうに考えておりますけれども、この激変緩和策終了に当たっての出口戦略も含めて、どのようにお考えになっているかということを経済産業省にお尋ねさせていただきます。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー価格の激変緩和措置は、国際情勢の緊迫化等を背景として、エネルギーの国際価格が急騰する中で緊急対応として実施してきたものでございます。

 足下ではLNGや石炭の輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下してきておりまして、その結果、再エネ特措法に基づき算定された再エネ賦課金の単価が昨年度に比べて上昇したことを考慮いたしましても、電気料金は激変緩和対策の開始前と同水準以下で推移してきております。こうした状況等を踏まえ、電気料金の激変緩和対策については、激変緩和の幅を縮小した上で本年五月末まで講じることとしております。

 家計や経済活動への影響を抑えるためにも、エネルギーコストの上昇に強い経済構造への転換を進めるべく、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などエネルギー自給率の向上につながる脱炭素電源の活用を進めてまいります。

 その上で、予期せぬ国際情勢の変化等により価格急騰が生じ、国民生活への過大な影響を回避するための緊急対応が必要となった場合には、迅速かつ機動的に対応してまいります。

西岡委員 今、迅速に対応していくということがあったんですけれども、この五月末までの激変緩和策を延長されるのか、その出口戦略も明確でない中で、再エネ賦課金が確実に値上がりをして、前年同月比二・五倍になるということは確実な状況がございます。

 国民生活の家計への負担も重くなるということも含めて、先ほどから議論させていただいております中小・小規模事業者の賃上げの原資にもなるものでございますので、国民民主党としては、前回の二〇二二年参議院選挙の公約として掲げて以来、再エネ賦課金の一時停止というものを公約に掲げて私たちは取組を続けておりまして、このことは三月二十八日にまた法案を再提出しているところでございます。

 私どもとしても、再生可能エネルギーの普及促進は極めて重要な政策であるということは大前提として、この再エネ賦課金の在り方については抜本的な見直しをする時期に来ているのではないかという認識も持っております。まさに賦課金が値上がりすることが明確となっている今、必要な政策であるというふうに考えておりますけれども、御見解をお伺いさせていただきます。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの実現に向けて、国民負担を抑制しつつ再エネの最大限の導入を図ることが政府の基本方針となっております。

 政府としては、再エネ特措法に基づき、再エネ電気の買取り等を通じてその普及拡大を図ってございます。必要な費用は、同法に基づいて再エネ賦課金として、そのメリットを受ける電気の利用者の皆様に広く御負担いただく仕組みとなっております。仮に再エネ賦課金を徴収停止したとしても、再エネの導入拡大に必要な費用は何らかの形で負担する必要がありまして、国民負担が発生する点に留意が必要でございます。

 FIT制度の導入後、電源構成に占める再エネの比率は、震災前の約一〇%から二〇二一年度には約二〇%まで倍増してございます。そして、さらに、二〇三〇年度に再エネ比率三六から三八%という目標の実現に向けて、引き続き再エネ特措法に基づく現行制度を着実に運用してまいりたいと考えております。

西岡委員 今の再エネ賦課金制度は、所得の低い方も含めて集めたお金をメガソーラーを設置する事業者に回すという側面もありまして、構造的な問題もあるというふうに認識をいたしております。引き続き国民民主党として政策実現のために取り組んでいきたいというふうに思っております。

 続きまして、国民民主党は、バブル崩壊後の日本が経済不況に陥ったことによりまして、一九九〇年代から二〇〇〇年代の前半、就職氷河期と呼ばれる大変深刻な就職難が起きたことを踏まえまして、この時期に大学、高校を卒業した方々につきましては、大変不本意な形で働くことを余儀なくされたり、今、職を持たない状況にあったりと、様々な困難に直面をしておられる状況がございます。

 政府としても、就職氷河期世代の支援というものにつきましては、省庁横断的にプログラムを作成した中でこれまで取組を続けてきていただいているというふうに認識をいたしております。

 総務省として、この支援プロジェクトにつきましては、地方公共団体における就職氷河期世代支援を目標とした職員採用試験の実施等のお取組をしていただいているというふうに思いますけれども、この採用実績と今後のお取組についてお伺いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

小池政府参考人 就職氷河期世代支援に関しましては、政府全体として、令和二年度から令和四年度までを集中取組期間、令和五年度からの二年間は第二ステージと位置づけ、公務員等での採用を推進することとしています。

 これを踏まえ、各地方公共団体においては、就職氷河期世代に限定した採用試験のほか、中途採用試験における受験資格の上限年齢の引上げなどを行っており、令和二年度から令和四年度までの集中取組期間において、合計一万五百十三人が同世代から地方公務員に採用されています。

 総務省としましては、これまでも、各団体の取組事例を情報提供するなど、各地方公共団体における積極的な取組を要請してきたところであり、第二ステージ最終年度である今年度においても各団体の取組を推進してまいりたいと考えております。

西岡委員 引き続き取組推進に御尽力いただきまして、残余の質問についてはできませんでしたので、次回に質問させていただくことをお許しいただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年、国民・視聴者の多くがインターネットを主な情報入手手段として利用しつつあるなど、放送をめぐる視聴環境は急速に変化しています。そうした中において、公共放送と民間放送との二元体制の下で、日本放送協会の放送番組をテレビ等の放送の受信設備を設置しない者に対しても継続的かつ安定的に提供するため、インターネットを通じて放送番組等の配信を行う業務を協会の必須業務とするとともに、放送全体の発展に貢献するプラットフォームとしての役割を果たす観点から、民間放送事業者が講じる難視聴解消措置に対する協会の協力義務を強化する等の措置を講ずる必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、原則として全ての日本放送協会の放送番組について、同時配信及び見逃し配信を協会の必須業務とすることとしております。また、協会の放送番組の内容がその視聴の環境に適した形態で配信されるよう、放送番組と密接な関連を有する情報であって放送番組の編集上必要な資料により構成される番組関連情報の配信についても協会の必須業務とすることとしております。

 第二に、番組関連情報の配信を行う業務を日本放送協会自らの判断と責任において適正に遂行するため、協会に対して業務規程の策定、公表等を義務づけるとともに、その実施状況を定期的に評価すること等を義務づけることとしております。

 第三に、日本放送協会の受信料の公平な負担を図るため、テレビ等の放送の受信設備を設置した者と同等の受信環境にある者として、通信端末機器の操作等を経て協会が必須業務として行う放送番組等の配信の受信を開始した者を受信契約の締結義務の対象とすることとしております。

 第四に、民間放送事業者が講じる難視聴解消措置について、民間放送事業者から日本放送協会が行う協力の具体的な内容に関する協議の求めがあったときは、協会に対し当該協議に応じることを義務づけることとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十五日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.