衆議院

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第19号 令和6年5月14日(火曜日)

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令和六年五月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君

   理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君

   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      井原  巧君    石田 真敏君

      尾身 朝子君    金子 恭之君

      金子 容三君    川崎ひでと君

      小寺 裕雄君    坂井  学君

      田畑 裕明君    寺田  稔君

      中川 貴元君    中曽根康隆君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      根本 幸典君    葉梨 康弘君

      長谷川淳二君    鳩山 二郎君

      古川 直季君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    山口  晋君

      山本 左近君    吉田 真次君

      おおつき紅葉君    奥野総一郎君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    渡辺  創君

      阿部  司君    中嶋 秀樹君

      吉田とも代君    平林  晃君

      宮本 岳志君    西岡 秀子君

      吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        馬場 成志君

   総務大臣政務官      西田 昭二君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     吉田 真次君

  国光あやの君     山口  晋君

  鳩山 二郎君     山本 左近君

  岡本あき子君     渡辺  創君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     小寺 裕雄君

  山本 左近君     中曽根康隆君

  吉田 真次君     尾身 朝子君

  渡辺  創君     岡本あき子君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     柳本  顕君

  中曽根康隆君     鳩山 二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  柳本  顕君     金子 容三君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 容三君     国光あやの君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長山野謙さん及び自治税務局長池田達雄さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古川直季さん。

古川(直)委員 おはようございます。自由民主党の古川直季でございます。

 今日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速でありますけれども、本会議の先日の質疑では、本法案に対しまして、地方分権に逆行し、国と地方の関係を上下、主従に戻すことになるのではないか、また、国の判断が適切とは限らず、かえって住民の安全を損なうのではないかといった批判がございました。

 地方分権はこれまでもこれからも当然推進していくべきであると思いますが、大規模な災害や感染症の蔓延など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に限っては、国がリーダーシップを発揮することこそが大変重要なことであるというふうに思っております。新型コロナを踏まえた国と地方との関係などの課題にはしっかりと取り組まなければならないと思います。

 さきの新型コロナウイルス対応は、まさに想定外と申しますか、未曽有の事態でありました。患者の受入れ体制が十分にできていない中で受入先の調整に混乱を来したこと、首都圏において都県がばらばらに休業要請や外出自粛を行い国民に大きな不安を抱かせたことを忘れてはならないと思います。

 今、あの混乱を振り返りますと、感染症法で保健所設置団体の責任で対応すること、あるいは新型インフル特措法で都道府県の責任で対応することになっていた点に対しても、広域的、統一的に国がしっかりと責任を果たすべきという声が、与野党を問わず、多くのメディアからも上がっておりました。

 当時、私の地元の横浜港に入港したダイヤモンド・プリンセス号において最終的に七百名以上の患者が発生したのは感染初期であり、国内の受入れ体制が十分に整っていませんでした。患者の受入れ調整は法律上は保健所を持つ横浜市の責任でありましたが、実際にはとても横浜市だけでは対応できず、厚労省が神奈川県や他の都道府県と患者の受入れ調整に当たりました。これは、横浜市が対応が不十分だったとか判断が不適切だったということではないと思います。三千七百十一名の乗員乗客を乗せたクルーズ船の中で感染症が広がり、横浜港に接岸するという全く想定外のことでありました。私も市会議員でありましたので、当時のことをよく覚えております。

 しかしながら、当時は感染症法にはこのような国の役割の想定はなく、法律上の根拠はありませんでした。どうしても迅速な対応が必要なため、国が乗り出したのでありました。あの規模になってしまうと、当然に国の責任において対応すべき事態であったというふうに思います。今回の改正で大変重要なのは、このような重大で想定外の事態においては最終的な責任が国にあることを明確にすることではないかと思っております。この点について、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 今委員からもお話をしましたとおり、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態におきましては、国民の生命等を保護するため、国と地方が連携し、総力を挙げて取り組む必要があり、国は果たすべき役割を責任を持って果たす必要があります。

 個別法が想定していない場面では、国の責任において指示すべきもの、特にそれが必要な場合にも助言として行わざるを得ないことになります。この結果、法律上は、自治体の責任において実施せざるを得ないことになり、国の責任の所在が不明確になります。

 このため、補充的な指示については、国の責任において指示すべきものを、地方との情報共有、コミュニケーションを確保し、限定的な要件、適正な手続を経て指示として行われるようにするものであるなど、本改正は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国の地方への働きかけについて法律上のルールを整備するものであり、国が果たすべき責任を明確化する意義があるものと考えております。

古川(直)委員 大臣、答弁ありがとうございます。明確に、今、国の責任があるということをおっしゃっていただきました。

 今回いただいている御指摘はいろいろあるんですけれども、補充的な指示が行使される場面が不明確ではないかとか、具体的に事態の類型を明確化すべきであり、想定される事態を例示できないならば立法事実がないという批判があります。

 しかし、ここでも、せっかく用意されていた新型インフル特措法が新型コロナウイルスを対象にすらしていなかったことを忘れてはなりません。蔓延下の三年間、課題が生じるたびに感染症法、新型インフル特措法などの後追いの法改正が繰り返されてきました。しっかり備えを怠ってはなりませんが、事前にあらゆることを用意しておくことはできないということを我々は学んだのではないでしょうか。

 これまでに起きたことは今後も起き得るのであります。同じような事態が起きた際に、個別法の改正が行われるまでの間は国の役割が法律上不明確な状態が生じてしまいます。更に言えば、その時点で重大な立法事実が生じていても、個別法の改正が行われるまでの間はどうしても現場対応に遅れを来してしまいます。そのような事態が起きたときでも、個別法が改正されるまでの間、国民の生命を危険にさらすことを避けることこそが国の責務ではないかと思います。見解をお伺いしたいと思います。

馬場副大臣 ありがとうございます。

 第三十三次地方制度調査会の答申が指摘しているように、過去の災害や感染症の対応を踏まえ個別法の見直しが重ねられておりますけれども、これまでの経験を踏まえると、今後も個別法において想定されていない事態は生じ得るものであります。そうした場合に備えておく必要があると考えております。

 委員御指摘のとおり、このような事態においては、個別法改正により対応が行われるとしても、それまでの間は法律上の根拠がない中で事態に対処する必要があり、結果として国、地方間の責任の所在が不明確となります。

 個別法で想定されていない事態においても、国民の生命等の保護のため、国と地方が連携し、総力を挙げて取り組む必要があり、国が果たすべき役割を責任を持って果たすことを明確にするため、本改正案を立案しているものであります。

古川(直)委員 ありがとうございます。

 質問の冒頭に申し上げた本会議での御批判の一つに、大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において国民の生命等の保護のために国が責任を果たすことが、地方分権に逆行し、国と地方の関係を上下、主従に戻すことになるという御指摘がありました。しかし、これは到底考えられないのではないでしょうか。むしろ、法律の根拠なく国が地方に事実上の要請を繰り返すことこそが国の暴走を許す余地となり、分権に反するのではないでしょうか。この点は、新型コロナ対応の最前線で汗をかいてきた自治体の皆さんもよく分かっているものと思います。

 今回の改正案については、地方六団体も参画する地方制度調査会で議論が行われ、そこで取りまとめられた答申に基づくものだと承知しております。調査会では地方の意見も聞きながら議論が行われたのではないかと思いますが、答申取りまとめに至るまでにどのように地方の声が聞かれ、反映されたのかを伺います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 今般の答申につきましては、委員である地方六団体はもとより、指定都市市長会等からも意見を聴取した上で御議論いただき、取りまとめられたものでございます。

 その中で、例えば、補充的指示について、国と地方の関係、それぞれの役割について明確に整理することは重要ではないか、個別法では対応できない場合に備えてあらかじめ国と地方の関係に一定のルールを定めておくことは合理性があるのではないか、あくまで補充的なものとして行い、その範囲も限定すべきものではないか、指示権の発動に当たっては都道府県経由ではなく国が指定都市と直接やり取りする仕組みを設けるべきではないかといった御意見をいただいたところでございます。

 本改正案は、こうした地方からの御意見も踏まえ、現行の国と地方の関係を規定する章とは別に新たな章を設け、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を規定することとした上で、補充的指示については、限定的な要件を定め、必要な指示ができるものとし、また、閣議決定や事前の地方公共団体に対する資料、意見提出の求め等の手続を設けています。

 さらに、指示の対象につきましては、地方公共団体に対して行うことができることとしておりまして、国が指定都市等に対して直接行うことができるものとしております。

 本改正案は、地方制度調査会の中で示された地方の意見を適切に反映した上で立案したものでございます。

古川(直)委員 地方の声もしっかりと聞いていただいていることを確認させていただきました。

 本会議においても、今回の法案にある補充的な指示が個別法の立法に取り組むべき国会の立法権をも侵害することになるのではないかという質疑がありました。この御指摘も全く当たらないと思います。個別法で可能な限り規定を整備することは当然で、そのために不断の努力をすべきだと思います。

 一方で、想定外の事態にも備えておくことが必要です。仮に補充的な指示が行使されるような事態があれば、その後、個別法にどのような課題があったのかを検証して、必要な個別法の改正を行うのは当然で、むしろ適切な議論を通じてしっかりとした個別法を整えることになると思います。この点について、政府の見解をお伺いします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 個別法につきましては、これまでも、災害、感染症等の事態、その対応に当たり生じた課題等を踏まえ、必要な改正が行われてきているものと認識しております。

 補充的指示につきましては、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置に関し必要な指示をすることができる場合を除きという要件が設けられておりますので、これが行使された場合には、国が責任を持って対応すべき事態であるにもかかわらず個別法による対応ができなかったということになります。

 この点、今般の答申にも、個別法の規定では想定されていない事態において補充的な指示が行使された場合には、各府省において、どのような事態においてどのような国の役割が必要とされたのか地方公共団体を始めとする関係者の意見を聞いた上で適切に検証される必要があり、こうした検証が個別法の規定の在り方についての議論の契機とされることが期待されると指摘されておるところでございます。

 御指摘のとおり、補充的な指示が行使されるような場面では、そもそも個別法では想定されていない事態が生じたことを踏まえて、各府省において適切に検証が行われ、また、個別法の在り方についての議論が行われた上で、その結果に基づき必要な措置が講じられるべきものと考えております。

古川(直)委員 さて、今回の改正は、本日議論させていただきましたように、地方の権限を国に吸い上げるものではなく、大規模な災害や感染症の蔓延など不測の事態が起きても国民の生命、安全を守るため、国がリーダーシップを発揮しながら、むしろ国と地方が一体となって危機に対処していこうとするものです。

 その中でも、特に大都市圏における対応が大きな課題であると思います。例えば、全国の指定都市二十市には国民の二割が、東京圏には三割が、東京、大阪、名古屋を含む三大都市圏には全国民の半数が居住しております。感染症の蔓延など、都道府県の範囲を超えた広域的な対応に国がしっかり役割を果たしていく必要があると思います。

 このような人口が集中する大都市圏では、国家的な危機の対処に当たり、通常の国、都道府県、市町村という平時の枠組みにとらわれずに、例えば国が都道府県を超えた調整を行ったり、国が指定都市など基礎自治体と直結して対応をするなど、柔軟かつ迅速な対応も必要になってくるのではないかと思いますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。

松本国務大臣 御指摘のとおり、大都市圏については、今般の答申では、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応に当たり、各都道府県がそれぞれ対応するのではなく、圏域として一体的な対応を行うことが求められる場合があるとされております。

 このような事態におきましては、本改正案において、資料や意見の提出の要求について国が直接に指定都市等に対して行うことや、また、補充的な指示について国が直接に指定都市等に対して行うことが可能になっております。

 都道府県の事務処理と規模等に応じて市町村が処理する事務の処理との調整の規定を設けておりますが、答申では、人口や都市機能が高度に集中する大都市等の事務を含めて全国的な視点に立った調整が必要である場合には、国が自ら事務処理の調整のために措置を講じるなどの対応が考えられるとされております。

 御指摘のとおり、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態におきましては、迅速、的確な対応を確保する上で国が直接指定都市等とコミュニケーションを取ることは重要だと考えており、本法案はそのような考え方に立って立案されたものでございます。

古川(直)委員 どうもありがとうございました。

 時間となりましたので、終わらせていただきます。

古屋委員長 次に、中川康洋さん。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 本日は、地方自治法の一部を改正する法律案ということで、先ほどの自民党の古川委員と内容が重なる部分もありますけれども、今回は重要な案件でございますので、私も重ねて質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、国の補充的な指示の創設について伺います。

 今回の改正案の柱の一つである国の地方公共団体に対する補充的な指示の創設は、仮に個別の法律に規定がなくても、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態であれば、地方自治法に新たに規定される特例を根拠に、国民の生命保護や安全確保に必要な事務処理などを国が閣議決定の手続を経て地方公共団体に指示できるというものであり、私は、これまでの新型コロナへの対応の教訓等からも必要な措置である、このように考えております。

 一方で、この補充的な指示の創設は、国の強制につながったり、地方分権の後退につながるのではないかとの意見があるのも事実でございます。しかし、地方分権はあくまでも平時の議論であり、非常時及び緊急時の議論とは次元が異なる問題です。むしろ、私は、今回、この国の補充的な指示を地方自治法の特例として法律で規定し枠にはめることにより、非常時の混乱の中で法律に基づかない超法規的な措置が取られる事態を防ぐのとともに、一方的な強制につながる根拠なき不適切な指示や、その指示の乱発も避けることができるのではないか、このように考える次第でございます。

 ゆえに、今回の国の地方公共団体に対する補充的な指示の創設は、非常時、平時両面において地方自治体の権限を守ることにつながるのとともに、今回のコロナ禍においても見られた従来の法制では想定されていなかった事態に対する対応という法の穴を塞ぐことにもなると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御見解を伺います。

松本国務大臣 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態におきましては、国民の生命等を保護するため、国と地方が連携し、総力を挙げて取り組む必要があり、国は果たすべき役割を責任を持って果たす必要がございます。

 第三十三次地方制度調査会では、審議の過程におきまして、重要なのは取りこぼしを防ぐという観点を持つかではないかといった御意見もございまして、答申が指摘しているように、過去の災害や感染症の対応を踏まえ個別法の見直しが重ねられていますが、これまでの経験を踏まえると、今後も個別法において想定されていない事態は生じ得るものであり、そうした場合に備えておく必要があると考えているところでございます。

 個別法で想定されていない事態におきましては、国、地方間の責任の所在が不明確となるところ、補充的な指示については、国の責任において指示すべきものを、国は地方公共団体と情報共有、コミュニケーションを確保し、限定的な要件、適正な手続を経て指示として行われるようにするものであるなど、本改正は国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国の地方への働きかけについて法律上のルールを整備するもので、国が果たすべき責任を明確化する意義がございます。このような事態に限って特例として規定することで、このような事態以外における現行の国と地方の関係を尊重することにもなるものと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。非常時の中で法律に基づかない超法規的な措置を地方自治体の職員にさせることがあっていいのかというのは大きな問題だと思います。その法の穴をしっかりと塞ぐという意味においては今回の法改正は必要じゃないか、私も地方議会に長くおりましたので、そういったことを認識しながら今回の質問をさせていただきました。

 次に、国と地方公共団体との事前協議について少しお伺いをいたします。

 この国の補充的な指示について、地方六団体の一つであります全国知事会は、今後も起こり得る想定外の事態に万全を期す観点から、その必要性は理解するものの、憲法で保障された地方自治の本旨や地方分権改革により実現した国と地方の対等な関係が損なわれるおそれもあるため、事前に地方公共団体と十分な協議、調整を行うことや、目的達成のために必要最小限度の範囲とすることなどを法案に明記するよう政府に要請してきたところでございます。

 その結果、本改正案では、国の補充的な指示について、国と地方公共団体との関係の特例と位置づけ、必要な限度において行使することや、あらかじめ適切な状況把握や講ずべき措置の検討のために地方公共団体に意見を求めるなど適切な措置を講ずるよう努めなければならない、このようなことが規定をされました。

 そこで、改めて大臣に伺いますが、この国の補充的な指示における国と地方公共団体の事前協議については、その指示が現場の実情を適切に踏まえた措置となるよう、国と地方双方にとって適切な協議、調整を行う運用となること、更に申し上げれば、本来国と地方は対等、協力の関係が前提であるために、地方公共団体が一方的な指示を受けるだけではなくて、国に対しても十分に意見を述べられる仕組みが盛り込まれることが重要、このように認識をしますが、大臣の御見解を伺います。

松本国務大臣 全国知事会からは、御指摘のように、法制化に当たりまして、補充的な指示について、事前に自治体との間で十分な協議、調整を行うことにより安易に行使されることのないようにすることについて提言をいただいたところでございます。

 この全国知事会の提言も踏まえまして、本改正案では、補充的な指示を行う際には、あらかじめ自治体に対して資料、意見提出の求め等の適切な措置を講ずるように努めなければならないこととしております。

 これに対して全国知事会からは、配慮がなされたことは評価したいなど、一定の御理解をいただいているものと考えておるところでございます。

 なお、全国知事会からは、当該規定の設置を評価いただいた上で、当該規定の下で補充的な指示の行使について運用の明確化をとの要望もいただいているところでございまして、引き続き丁寧に対応してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。今回、協議、調整を行うということが入ったということは私は非常に意味があるというふうに思っております。現場の実情を適切に踏まえた措置となることが大事でございますので、私はこの協議、調整の中では調整というのが非常に大事だと思っています。協議をしただけだよ、協議しましたよだけではなくてやはり調整が図られる、納得の下でこういったことが行われるということが大事だと思いますので、この点も確認をさせていただきました。

 次に、国の補充的な指示行使後における個別法の策定についてお伺いします。ここは古川委員も少し触れられたところではありますが、重ねての御質問になります。

 今回の第三十三次地方制度調査会での答申では、国の補充的な指示が行使された場合の事後的な検証の必要性に言及するのとともに、その適切な事後検証が個別法の規定の在り方についての議論の契機とされることが期待されるというふうに明記をされ、国の補充的な指示が行使された後の個別法の見直しや新たな策定を行うことの必要性が求められております。

 私も、この国の補充的な指示が行使された後の検証と対策は非常に重要な課題であると捉えており、仮にいまだ想定し得ない初めて直面する非常時に国の補充的な指示を行使したとしても、次回、同じような事態に遭ったときには、再び国の補充的な指示を行使するのではなくて、その後新たに整備ないしは見直しを行った個別法で対応できるよう検証と対策を遅滞なく行い措置しておくことが非常に重要であるというふうに考えますが、総務省の見解を伺います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 個別法につきましては、これまでも、災害、感染症等の事態やその対応に当たり生じた課題等を踏まえ、必要な改正が行われてきているものと認識しております。

 補充的な指示につきましては、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置に関し必要な指示をすることができる場合を除きという要件が設けられておりますので、これが行使された場合には、国が責任を持って対応すべき事態であるにもかかわらず個別法による対応ができなかったということになります。

 この点、今般の答申にも、個別法の規定では想定されていない事態において補充的な指示が行使された場合には、各府省において、どのような事態においてどのような国の役割が必要とされたのか、地方公共団体を始めとする関係者の意見を聞いた上で適切に検証される必要があり、こうした検証が個別法の規定の在り方についての議論の契機とされることが期待されると指摘されているところでございます。

 委員御指摘のとおり、補充的な指示が行使されるような場面では、そもそも個別法では想定されていない事態が生じたことを踏まえて、各府省において適切に検証が行われ、また、個別法の在り方についての議論が行われた上で、その結果に基づき必要な措置が講じられるべきものと考えているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 想定し得ない状況が起きたときに今回のこの国の補充的な指示を使うという、これは大事な部分だと思います。やはり法の穴を塞いでいく、さらには超法規的な措置で職員等が動くということがないようにするということは大事です。しかし、それが一定程度落ち着いたときに事後検証をしっかりとして対策を取っていく、それによって個別法に、そこをしっかりと改正していくとか、新たな法律を整備していくこと、これは大事だと思うんです。

 そういったことをせずに、同じような問題が起きたときにまた国の補充的な指示を使うというのは私はやはりあるべき姿ではないと思いますので、これは関係府省がそういった取組をしていくことになるかと思うんですが、今回こういった答申もされているわけですので、総務省がリーダーシップを取って、そういった事態が生じたときにその後の検証と対策を遅滞なく行うことは非常に国の責務としても大事になってきますので、そのことの指摘をさせていただきました。よろしくお願いをいたします。

 そうしましたら、最後に、地域の多様な主体に対する連携、協働の推進について、具体的には指定地域共同活動団体制度についてお伺いをします。

 本改正案では、市町村長は、本改正案第二百六十条の四十九第一項に示された趣旨を達成するために必要があると認めるときは、地域的な共同活動を行う団体のうち、地縁による団体その他の団体又は当該団体を主たる構成員とする団体であって、具体的には四点あるわけですけれども、良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動であって、地域において住民が日常生活を営むために必要な環境の持続的な確保に資するものとして条例で定めるものを、地域の多様な主体との連携その他の方法により効率的かつ効果的に行うと認められること、また、二つ目に、民主的で透明性の高い運営その他適正な運営を確保するために必要なものとして条例で定める要件を備えること、さらには、三点目に、目的、名称、主としてその活動を行う区域その他の総務省令で定める事項を内容とする定款、規約その他これらに準ずるものを定めていること等を要件として備える団体を、その申請により指定地域共同活動団体として指定することができるというふうにされております。

 しかし、私は、この長々と今紹介をした備えるべき要件の内容はいかにもお役所的表現で、これから活動に取り組もうとする主体及び団体、さらには指定する側の市町村にも実に分かりにくいのではないかと感じざるを得ません。

 そこで、総務省に伺いますが、今回新たに創設されるこの指定地域共同活動団体制度によって指定される団体は、具体的にどのような団体が対象となり得るのか。現場に分かりやすくお答えをいただきたいと思います。また、この指定地域共同活動団体には、一昨年の十月に法施行され、新たな地域活動のツールとして現在全国で九十二の法人が設立されている労働者協同組合も対象となるのか。ここの部分もお答えをいただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 御質問の、市町村が指定します指定地域共同活動団体でありますが、制度上、指定の対象は、地域的な共同活動を行う団体のうち、区域の住民等を主たる構成員とする団体である必要があります。

 また、地域的な共同活動を地域の多様な主体との連携等により効率的、効果的に行い、民主的で透明性の高い適正な運営が確保されていることなどが必要であり、これらの具体的な要件は市町村が条例で定めることとしております。

 これらを満たす団体としては、地域運営組織や自治会、婦人会、NPO等が連携して地域的な共同活動を行っている場合などが指定され得ると考えておるところでございます。

 委員お尋ねの労働者協同組合でございますが、非営利性が徹底されているか、区域の住民等が主たる構成員であるか、地域の多様な主体との連携等により効果的、効率的な活動が行われているか等、様々なケースがあり得るものと承知しておりまして、指定地域共同活動団体に該当するかについては個別の状況に応じて判断されるものと考えております。

 いずれにしましても、総務省としては、新たに創設する制度が地域の実情に応じてそれぞれの創意工夫の下で全国的に活用され円滑に運用されるよう、施行通知等を通じて制度の分かりやすい周知に努めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これからどんどん職員も減っていく、そういった中で、町づくりとか地域づくりとか福祉とか介護、こういった問題が出てくる、そういった意味においては多様な主体にお願いをしていくというこの流れは私はあると思います。地域共生社会をどうつくっていくかという部分ですので、その観点はあると思いますので、これが本当に分かりやすい内容になって多くの主体、団体が出てくることを願うものでございます。

 私の前には古川先生が御質問されて、私は中川でございます、次は吉川先生ということで、今日は川が三人続きますので、今後も川が流れるような議論をお願い申し上げて、質問を終わります。大変にありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉川元さん。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 今日から自治法の改正についての具体的な質疑がスタートするわけですけれども、我々としてはそもそも今回の質疑に入るに当たって、立法事実を示してほしい、そしてまた、どういう場合にこの指示が行われるのか具体的な例示をしてほしいと再三にわたって総務省、政府に対して求めてまいりました。しかし、結局、実のある回答というのは全くございませんでした。その上で今日質疑に入るということでありますので、そうした立法事実や、どういう場合に具体的に指示が出されるのかという点について、今日は是非これを明らかにしていただきたいというふうに考えております。

 まず、今回の改正案なんですが、昨年十二月二十一日に第三十三次地制調の答申が行われました。そして、この三月の一日に閣議決定が行われております。その期間、僅か七十日ちょっと、二か月ちょっとで、非常に短期間の間に法案化が進められました。過去の自治法の改正と比較しても大変この時間が短いというふうに思います。例えば、一四年の改正の際には地制調の答申から閣議決定まで二百六十日、それから一七年の改正は地制調の答申から閣議決定まで約一年、非常に慎重に省内で検討して閣議決定に至っている。ところが、今回は僅か二月ということであります。

 そして、今回の改正はこれまでの国の関与の在り方を大きく変える内容を含んだ大変問題のある改正ですし、私自身は慎重に審議しなければいけない改正だというふうに思いますが、さらに、答申にも登場していない、地制調で十分議論したとも思えない指定地域共同活動団体という新たな団体に対する規定も盛り込まれた法案であります。

 もっと慎重な取扱いが必要だったというふうに考えますが、これほど短期間に閣議決定をした理由というのは何なんでしょうか。

松本国務大臣 答申から答申を踏まえた改正案が国会に提出されるまでの期間につきましては、検討される改正の内容であるとか、答申が行われた時期と国会の開催のタイミングとの関係など様々な事情によるものでございますが、委員からお話がありましたとおり、地制調が昨年十二月二十一日に答申を取りまとめ、本法案については、その後、地方六団体等の意見も伺いながら法制上の検討を行って、準備が整った本年三月一日に本法案を国会に提出いたしました。

 昨年の地方自治法改正につきましても、今回と同様に十二月に答申をいただき、その翌年である昨年三月に改正案を国会に提出いたしたところでございます。

吉川(元)委員 今回の法案は、この後質問していきますけれども、大変重要な問題、これまでの地方分権の流れとは違うものが含まれていると私自身は思っております。

 通告しておりませんが、非常に単純な質問なので大臣に伺いますけれども、今回の法改正、新たな補充的な指示の創設ということですが、これというのは集権なのか分権なのか、どちらだというふうにお考えですか。

松本国務大臣 これまで本会議でも御答弁申し上げましたが、地方分権は大変大切な原則でありまして、これまでも原則にのっとった上で、これも繰り返し申し上げてまいりましたけれども、国民の生命等を守るために必要な措置を講ずる必要がある、先ほども御審議の中でも申し上げましたが、地制調の御審議でも重要なのは取りこぼしを防ぐという観点を持つかどうかだという御意見もありまして、そういった観点から答申を取りまとめられたところを踏まえまして今回法案を提出させていただいたものでありまして、地方分権の原則にのっとったものと理解をしております。

吉川(元)委員 いや、私が聞いているのは、今回の補充的指示というものを新たに創設する、これ自体が分権なのか集権なのか、この点について尋ねているんです。

松本国務大臣 分権と集権というものをどのように具体的に申し上げていいのかはあれですが、先ほどこれも御審議の中で御答弁申し上げましたように、これまでも個別の法で想定しておりませんでした事態が発生した中で国民の生命等を守るために国から地方の皆様へ働きかけをさせていただいたことがあるわけでありますが、これにつきまして、国が果たすべき役割を責任を持って行うためには国の責任を明確化する意義がある、このように考えて今回の法制度を御提案申し上げていると御理解いただきたいと思います。

吉川(元)委員 何で単純な質問に答えられないんですかね。

 結局、立法事実もそうですけれども、こうした問題を総務省の中で十分に、あるいは地制調の中で十分に煮詰めた上で出てきているものではないと私は思います。余りにも拙速で生煮えで、そしてこれまでの地方分権の原則をある意味では変えてしまうような中身であるにもかかわらず、十分にその辺りが検討されないまま出てきているのではないかというふうに私は思います。

 分権か集権かというのは云々というお話がありましたけれども、少なくともいわゆる拘束力のある指示を新たに設けるということは、これは私は集権の方向に向かっていると。あるいは、別の言い方をすれば、自己決定の度合いということでいうとこれが小さくなる、つまり、そこを見れば明らかに集権に向かっていると私は言わざるを得ないというふうに思います。それだけ重大な中身を含んでいるにもかかわらずこうした拙速な法案の提出に至ったということについては猛省を促したいというふうに思いますし、やはり拙速だったと私自身は指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 二〇〇〇年の地方分権一括法で国と地方の関係がそれまでの上下、主従の関係から対等、協力へと転換し、分権への大きな一歩を踏み出しました。現行法では、二百四十五条の二で国の関与について法定主義が定められ、同じく二百四十五条の三では関与の基本原則、国は、都道府県の自治体への関与は必要最小限度にとどめ、自主性、自立性に配慮することを義務づけました。

 詳細は後で質問しますけれども、今回の改正による補充的な指示は対象や要件が余りにも抽象的で、今ほど申し上げました法定主義、関与の基本原則を逸脱していると考えます。補充的な指示は現行法の国の関与の在り方と整合性を保っているのか、それともその原則の例外なのか、この点についてはいかがですか。

松本国務大臣 今お話がありましたように、地方自治法におきまして、関与の法定主義、関与の基本原則、係争処理制度などが定められているところでございますが、本改正案は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に対して国と地方を通じた的確な対応が可能となるよう、現行の国と地方の関係を規定する章とは別に新たな章を設けた上で、新たに設ける補充的な指示についても、地方分権一括法で構築された国と地方の関係の基本原則の下で、国が果たすべき役割を踏まえた限定的な要件と適正な手続を定めておりまして、関与の基本原則等との整合性は担保されているものと考えております。

吉川(元)委員 全く私は、今、宮本さんから話がありましたけれども、担保されているというふうに思えないんですよね。

 日本の地方自治の歴史を見ますと、戦後、今の地方自治法、憲法も含めて今の地方自治の基ができ上がったわけですが、二〇〇〇年までは機関委任事務という形で、いわゆる監督官庁が通達一本で地方自治に対して介入をするということが頻発しておりました。それを変えたのが二〇〇〇年の分権改革だったというふうに考えております。

 戦前も機関委任事務と同じような国政委任事務というものがありまして、これは明治二十一年にたしかできたのだというふうに記憶しておりますけれども、その際にも監督官庁からの命令が可能だったものが、大正デモクラシーの中で、法律やあるいは勅令、当時は勅令ですね、勅令に基づかなければ関与できないというふうに改正をされました。ところが、昭和十八年、戦争の真っ最中に再び監督官庁の命令ができるようにした。

 そういう流れ、過去の歴史を見ますと、今回の法改正というのはやはりこれまでの分権の大きな流れを逆転させてしまう、それこそ穴が空く、そういう法案だというふうに私自身は思います。

 先ほど答弁もございましたし、先般の本会議質疑でも改正案の補充的な指示というのは現行の国の関与の基本原則の下にあると答弁されておられますが、私はどうしてもそうは思えませんので続けて質問させていただきます。

 現行法でも、自治事務に対して是正の要求、法定受託事務に対しては是正の指示が行える条文が存在しております。この条文に従って行われた是正の要求やあるいは是正の指示、それぞれの件数、主な内容について簡潔にお答えください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 自治法上の是正の要求、是正の指示ということでございますが、まず是正の要求でございます。

 国から都道府県への是正の要求は、これまで例はございません。

 国から指示を受けた都道府県から市町村に対する是正の要求は、これまで、住民基本台帳法に基づく事務について、市町村が法令に違反し、執行していないため、法令に規定する事務を執行するよう要求した事例などが三件ございます。

 また、国から市町村に対する是正の要求は、これまで、市町村の教育委員会が義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の規定に違反していることについて、これを是正するため必要な措置を講じることを求めた事例が一件ございます。

 次に、是正の指示でございます。

 国から都道府県への是正の指示は、これまで、公有水面埋立法に基づく処分が同法の規定に違反するため、取り消すことを指示した事例など、四件ございます。

 また、国から指示を受けた都道府県から市町村に対する是正の指示は、これまで、現業員の数が社会福祉法に規定する標準数に対して不足しているため、市町村の福祉事務所の社会福祉法の規定に違反する体制の整備等を行うことを指示した事例が一件ございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 先ほどの市町村に対する是正の要求、これは実は私も当時、当時といいますか、文部科学委員会に所属しておりまして、質疑をさせていただきました。八重山地区の教科書採択で当時の、今は出ているのか分かりませんけれども、いわゆるつくる会系の教科書が採択されたことに対して竹富町が、だったらそれはやらないということで別の教科書を選定した。

 地教行法では、教科書の選定は市町村の教育委員会が行うことになっています。ですから、その点に関して言うと全く違法性はない状況です。ところが、第二次安倍政権になってこの問題を急遽取り上げて、是正の要求ということをやったわけです。あと、公有水面の話は、これはほかの委員の方も聞かれると思いますので、私の方からは余り深くは聞きませんけれども、いわゆる辺野古の埋立ての問題です。

 つまり、時々の政権が、自分たちのイデオロギーやあるいは政策を自治体に押しつけるために発動されてきた。それ以外のまともな、先ほどの、定数が満たされていないとかそういったところは、ごくごく少数ですけれども、そうした使われ方もされてきたという例があります。是正の要求については自治事務でありますし、拘束力はありませんけれども、今回、指示ということになってくればいわゆる拘束力が出てくる、そうした使われ方になるのではないかというのを私自身も危惧しているところであります。

 自治法以外に個別法で指示を規定しているものもございますけれども、それの件数と主な内容、これについても承知しているのであれば答弁をお願いします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 個別法ということでございますけれども、私ども、通告がございまして確認しました三法でございますけれども、新型インフルエンザ等特別措置法、感染症法、災害対策基本法の規定による指示について、内閣感染症危機管理統括庁、厚生労働省及び内閣府において把握している限りでは、これまで行使された事例はないと承知しております。

吉川(元)委員 私が聞いたところでは、二〇二一年の二月に、予防接種法に基づいて、新型コロナワクチン接種について厚労大臣から市区町村向けに発出された指示があったというふうに記憶をしているんですけれども、これはそうではなかったということなんですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点は、実際に指示がなされております。

吉川(元)委員 先ほどはないと言ったのに、一体どういうことですか。通告しているんですよ。何をやっているんですか。ちょっと、どういうことか教えてください。時間を止めて。

古屋委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

古屋委員長 速記を起こしてください。

 山野局長。

山野政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えしましたとおり、私ども、新型インフルエンザ特別措置法、感染症法、災害対策基本法について確認したということでございまして、ただいまの予防接種法については、先ほどは答弁してございませんが、それについては指示をしたということでございます。

吉川(元)委員 私が聞いたのは、別にその三つの法律に基づいて指示があったのかなかったのかを聞いたわけじゃなくて、個別法での指示があったのかなかったのかを聞いているんですよ。自分たちで限定してそこはなかったというような話をされたって、私の質問に対して答えたことにならないでしょう。非常に不誠実だというふうに思いますよ、その答弁の姿勢自体が。

 大臣、どうですか、今の答弁についてどのようにお感じになられますか。

松本国務大臣 私どもとしても、本法案策定に当たって災害対策基本法や新型インフルエンザ特措法、感染症法などに注目をしてまいりましたので、まずは確認をさせていただきましたが、お時間をいただいて補足的に御答弁申し上げることになりましたことは、私からも委員に対してはおわびを申し上げて、お受け止めをいただきたいと思っております。

吉川(元)委員 今回の法案というのは、個別法で対応できない場合がある、だから一般法の自治法の中に入れるんだという話でしょう。その個別法のことをきちんと調べていないじゃないですか、今の答弁だと。それでもって個別法で対応できないものがあるかもしれないから一般法の自治法に指示を入れる、全然おかしな話じゃないですか、どうですか、大臣。調べているんですか、ちゃんと。

松本国務大臣 それぞれ個別法において様々な国民の生命等を保護するのに必要な措置は講じられているところでございますけれども、個別法で想定されていない事態が起こり得るということをどのように考えるかということで、そういった事態が起こり得るということを、これまでの災害であるとか感染症において我々は学んだことの一つではないか。

 その上で、先ほども申しましたように、地制調におきましても、重要なのは取りこぼしを防ぐという観点を持つかどうか、こんな御意見もあって、議論を踏まえた結果、個別法で想定されていない事態があり得る、生じ得るということ、このことに対しての対応をどのようにするかということでございます。その上で、個別法で想定されていない国民の生命等に重大な影響を及ぼす事態において国には果たすべき役割があって、これに責任を持って対応していくために本法制度が必要である、このように考えて御提案申し上げているところでございます。

吉川(元)委員 大臣、個別法で対応できない場合に対応するという場合には、個別法で何に対応しているのか調べるのが、それが最初の仕事なんじゃないんですか。それをやっていないということですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 私ども、質問の要旨にございました、新型インフル特措法、感染症法、災害対策基本法からの指示の件数とその内容はということで調べて、それでお答えしたところでございます。

 当然のことながら、個別法ということでございましたら、これ以外のものについても指示はあり得るということだと思っております。

 当然のことながら、個別法で定めがあるもの以外について、我々は、それを除いた上での今回の法令ということで理解いただければと思っております。

吉川(元)委員 よくそれで法律を出してきましたね。個別法で何が指示できるのかということをきちんと調べもせずに、災対法、インフル特措法、感染症法、これを調べて、それでもって一般法に指示を入れるという話をしているんですか。調べていないんでしょう、ほかの法律については。

山野政府参考人 本法案につきましては、地方制度調査会で、様々な法律を前提として、その個別法で定めがないということで議論されておりまして、今申し上げました三法以外のものにつきましても検討した上でこの法案を、答申をいただいて改正したものでございます。

吉川(元)委員 だったら何で一発で答えられないんですか、先ほどの質問。調べていないからでしょう。結局分かっていなくて、多分法律には規定していないことがあるかもしれないから、何が個別法で規定されているのかを調べずに、それ以外に何かがあるはずだから一般法としての自治法で指示を入れる、そういう理屈にしか聞こえないんですけれども、それでいいんですか。

山野政府参考人 お答えします。

 冒頭答弁申し上げましたとおり、私ども、要旨について、コロナの特措法、感染症法、災害対策基本法による国からの指示の件数とその内容はということでいただいたわけでございます。私どもとしてはこの三点について確認をさせていただいたということでございます。

 当然、それ以外の法律についても、指示があるということであれば、これは御指摘のとおりだと思っています。

吉川(元)委員 再三にわたって質問要旨に基づいてと言いますが、ここに今、質問要旨がありますよ。他の個別法による国からの指示の件数とその内容は。これが質問要旨ですよ。持っているでしょう。そこのどこに書いてあるんですか、そんなことが。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、二〇二四年五月十四日の質問要旨として、十三日月曜日十五時三十分現在でいただいた通告について、新型コロナ特措法、感染症法、災害対策基本法による国からの指示の件数とその内容はという紙をいただいております。

吉川(元)委員 レクの際にもそういう話はしてありますよ。なおかつ、私が聞いているのは、結局、個別の法律で対応できない場合ということで出してくる以上、個別の法律で何が対応できるのかを事前にきちんとチェックしてやるのが普通なんじゃないんですかと聞いているんですよ。それをやっていないということですね。

山野政府参考人 お答えします。

 前提となる法律については、地方制度調査会におきましてもこの三法に限らず検討して、その上で改正法に結びついたということでございます。

 私どもも、法律の改正に当たりましてはこの三法に限らず検討の上、この改正案を出したということでございます。

吉川(元)委員 地制調というのは別に法律を作るところじゃないんですよ。法律を実際に閣法として出すのは、総務省で作っているんでしょう。そこできちんと検討したのかと聞いているんですよ。検討していれば、こんなものはすぐ回答できるでしょう。

山野政府参考人 お答えいたします。

 検討に当たりましては、私ども、ほかの法律についても検討の俎上に上げて調べております。

 先ほどは、三法についての要旨でございましたので、私は三法について答えましたけれども、御指摘のような予防接種法につきましても指示の例はございます。

吉川(元)委員 今答弁するときに、多分厚労省の方でしょう、聞いたら、あるのかと言ったらあると言われて、つまり知らなかったということですよね、この場では。調べたといったって証拠が残っていないわけで、調べたかどうかも分からないけれども、少なくとも今のやり取りを聞いていたら、どういう法律で個別に指示が出せるのか、あるいはそれが実際に行われたケースは何だったのかということについて調べていないのを如実に表したじゃないですか、今の答弁で。

 つまり、今回の指示権を一般法である自治法の方に入れるということ、これはきちんとした立法事実というのがないから私はこういうことになっているんだというふうに思いますよ。これも再三にわたって総務省に求めてきましたが、まだ満足のいくまともな回答がないんですけれども、補充的な指示の必要性、立法事実、これを今度こそきちんと教えてください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 今回の地制調の答申でございますけれども、新型コロナ対応や近年の自然災害への対応を踏まえ、大規模災害、感染症の蔓延等の事態に備える個別法の見直しが重ねられているが、これまでの経験を踏まえると今後も個別法において想定されていない事態が生じ得るものであり、このような事態においても国、地方が連携し総力を挙げて取り組む必要があったことを改めて認識させるものであったと指摘しているところでございます。

 具体的には、国の役割が明確化されていなかった事態として、例えば、新型コロナの発生時に感染症法に基づき対応すべき保健所設置団体では十分な対応を講じることが困難であったということで、国による都道府県の区域を超えた患者移送等の調整が必要な事態が生じた、あるいは災害対策基本法における非常災害の規模に至らない島嶼部や広域での災害について国による調整の下で対応することが必要になった事態が生じております。

 これを踏まえまして、答申では、まず個別法で備えるべき事態を適切に想定し必要な規定を設ける、その上で、地方自治法の規定について、分権一括法によって構築された一般ルールを尊重しつつ、個別法において想定されていなかった事態に対応するため、国、地方を通じ的確な迅速な対応に万全を期す観点から所要の見直しを行う必要があると提言しているところでございます。

 本法案は、答申で指摘された後者の点について必要な対応を行っているものでございます。

吉川(元)委員 コロナのダイヤモンド・プリンセス号の話とか災害の話というのは、確かに立法事実ではありますが、それは、個別感染症法やあるいは災害対策基本法の改正の立法事実です。実際、それに基づいて、例えば感染症法でいえば二一年、二二年にそれぞれ改正をされて対応できるようにしておりますし、それから、災害についても災対法で特定災害というものを新設して対応できるようにしております。

 ですから、今おっしゃった具体的な事例というのは個別法の改正の立法事実ではあるとは思いますけれども、今回の一般法たる自治法の改正の立法事実にはならないと思いますが、大臣、いかがですか。

松本国務大臣 まず、個別法についての検討の状況でありますが、私も今お取り上げになった三法以外の法律等についても省内で説明を受けまして、様々な個別法について検討の俎上にのせた上で今回の地方自治法について御提案申し上げていると御理解をいただきたいと思います。

 その上で、件数につきましては、私の手元に来ております要旨にも三つの法律が限定をされておりますものですから、具体的な数字の確認についてはペーパーの方で御答弁を申し上げたことになったかと思いますが、レクも含めて、また委員の御質問の趣旨も含めて、コミュニケーションを取った上で適切に御答弁するまでに時間がかかったことについておわびを申し上げたいと思います。

 そして、立法事実ということでございますが、先ほど局長からも御答弁申し上げましたようなケースにつきましての認識としまして、私自身も与党の立場で新型インフルエンザ特措法や感染症法の改正にも携わらせていただきましたけれども、法改正をする前に既に事態が発生しておりまして、事態としては、個別法で対応できていない事態が発生した、そしてその後、それに対応すべく法改正も行ったわけでありますけれども、これまでの積み重ねから個別の法では想定されていない事態も起こり得るということを我々は学んだことが、法改正のための課題の認識であるというふうに考えております。

吉川(元)委員 いや、何が起こるか分からないからと言い始めたら、何でもできちゃいますよ。そんなことを言い始めたら、何でもかんでも国がやればいい、自治体でなんかやらなくていい、全部国でやるからという話になっちゃいますよ。そんな、何が起こるか分からないから原則を踏み外すような関与の仕方をしてもいいんだなんという話になったら、法治国家としてどうなのかという話にすらなるんじゃないかというふうに、私はそういう危惧を持っております。

 次に、先ほどコロナの話が出ましたが、先ほど言ったとおり、コロナでいろいろなことがあったけれども、それはあくまで先ほど言ったとおり感染症法であるとかインフル特措法であるとかそうした個別法の改正の立法事実であって、私は一般法の立法事実にはならないというふうに申し上げました。

 答申の中でも取り上げられている有識者会議の報告、「次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」では、広域の入院調整の項目で、国と都道府県の役割分担、国の権限の明確化を求めたほか、初動期での国と都道府県が一体となった危機対応の仕組みづくりにも言及しています。ただし、私が読んだ限りでは、その中心というのは、二〇一〇年の新型インフル対策総括会議報告書の内容が現場レベルのオペレーションにまで至らなかったなど、平時における医療体制の整備の不備に力点が置かれており、国による地方への新たな指示権の創設を強く示唆するようなものとはとても思えません。

 また、昨年九月二十七日、先ほどから地方六団体を呼んで話を聞いたなんという話をしておりますけれども、その第十九回の専門小委員会で当時の全国知事会の平井会長は、国からの指示、上から下へのベクトルについて若干の違和感があると述べ、感染は霞が関や永田町で起こっているのではなく地域でミクロに起こっている、それが見えて初めて対策が分かるとして、地方公共団体の現場の方こそそうした政策を主導するようなやり方でないとうまくいかない、こういうふうに強調もされております。さらに、余り言いたくはないがという前置きをしながら、国の立場から見ることが効率的な政策立案や事業執行を妨げた面もあるのではないかと。要するに国の政策をやろうとして自治体の活動を妨げてきた事例がある、こういうふうに指摘をされております。

 そうした自覚は、大臣、おありですか。

松本国務大臣 まず、本改正でございますけれども、これは、御答弁を申し上げてまいりましたように、国の責任を明確にすることの意義があるものでありますが、そしてまた個別法で想定されていない事態において国には果たすべき役割があって、これを責任を持って果たす必要があるということでこのような規定、法制度を設けたところでございますが、地方公共団体との情報共有、コミュニケーションを確保し、限定的な要件、適正な手続を経て行われるものであるという点を是非御理解いただきたいと思います。

 その上で、今の御質問は新型コロナウイルス対策における国の対応に対するお話かというふうに思いますけれども、国の対応では、先ほど私も、感染症法等の改正にも携わったと思いますが、それぞれの立場で懸命に国民の命を守るべく国も自治体も対応を進めてきたというふうに考えているところでございますが、今お話がございましたが、私どもとしても地方自治体との情報共有、コミュニケーションの確保は大変重要だと考えており、これを確保するように努めなければならないという趣旨の規定も設けさせていただいたと是非御理解をいただきたいと思います。

吉川(元)委員 私が聞いたのは、コロナ対応の際に国がいろいろ、今日は時間がないので、一つ一つ聞いていこうと思いましたけれども、次の機会に聞かせていただきますけれども、例えば第三波の際の緊急事態宣言が大変遅くなった。二〇年の十一月から翌年の三月が第三波ということですけれども、我々は十二月中には緊急事態宣言を発令すべしというふうに求めましたし、医療関係団体も医療緊急事態宣言、つまりこのままいくと医療が崩壊する、そういうことを十二月中に発表しておりましたが、実際に緊急事態宣言が発令されたのは年を越して一月八日です。それから、一斉休校やいわゆるアベノマスク、そしてワクチン接種一日百万回、こうしたことを次々と指示しましたけれども、結局残ったのは現場の混乱だけでした。そうした混乱を国が主導してつくり出してしまった自覚はあるのかというのを聞いているんです。あるのかないのかを答えてください。

松本国務大臣 私も、東日本大震災であるとか新型コロナウイルス感染症蔓延であるとか、これまで経験したことのないような事態に遭遇をし、またその対応を間近で見ることになってまいりましたが、それぞれ、申しましたように、国、自治体、責任を持って、皆様方はそのとき得られた情報、知見を持ってできる限りの対応をしてきたものというふうに考えております。ワクチン接種なども各自治体などには大変御負担をおかけしたところでございますけれども、ワクチン接種が進むことによる一定の効果もあったのではないかというふうに考えられるかというふうに思っております。

吉川(元)委員 いやいや、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。国がいろいろな通知を出して、それが自治体に混乱をもたらした、これは事実ですよ。そういう自覚があるのかないのかと聞いているんですよ。今聞いているとそういう自覚は全くない感じですし、それでもって一般法で指示ということで出されたら、大変なことが起こるというふうに思いますよ。

 もう時間が来ましたので終わりますけれども、最後に、先ほど言った個別法、三つの法律については云々とお話がありましたが、残りも全て、検討した資料の提出を求めます。理事会で御協議をお願いします。

古屋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

吉川(元)委員 以上で終わります。

古屋委員長 次に、藤岡隆雄さん。

藤岡委員 イチゴ王国の栃木県から参りました、立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 本日も、まず地元の皆様に心から感謝を申し上げ、そして質問の機会を与えていただきました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 先ほど来、吉川委員とのやり取りも聞かせていただいて、勉強させていただいておりましたが、やはりまだまだ本当に大きな課題、問題があるなというふうに感じました。今回、補充的指示権というものを規定したというのは、本当にある意味一線を超える大きな改正であるというふうに私は思います。ある意味本当の危機のときに優れたリーダーが間違った判断をしない、しっかりした判断をするというふうな前提があるんだったら、確かに国の権限がはっきりと明記されていた方がよいという面があるというのはそうだろうなというふうに私は思います。ところが、リーダーがもしも思い込みで暴走してしまいますと当然現場は混乱しますし、かえって被害を拡大させるという側面もあるのではないかなというふうに思います。

 例えば、指示権とはちょっと、似たような話ということでそのものではありませんけれども、例えば今は定額減税というふうな話で自治体の現場に非常に負担がかかっているというふうに私は聞きます。あれも総理が恐らく、増税○○○ということで、あえて私はそのやゆの仕方はしませんけれども、気にされて定額減税に踏み切ったと思いますけれども、減税と給付の組合せということで、大変な負担ということで、こういうある意味思い込みの御乱心につき合わされると、本当に自治体の皆さんも察するに余りあるなというふうに私は思います。

 こういうことも踏まえて今回の補充的指示権というのもどういうふうに評価していくのか。だからこそ、指示権発動の要件だとか手続あるいは行使の内容が適切でなければやはり地方分権改革の流れの中で逆走するものとも言えまして、ある意味上意下達の中央集権を強化するものと指摘されても仕方がないと思いますので、そうしたいろいろな疑問について今日はちょっと御質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、総務省にお伺いしたいんですけれども、改めて、これまで個別法のみで対応することとしてきたそもそもの理由について、政府の考え方についての御答弁をお願いしたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法は、国の関与は必要最小限のものとするとともに、地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならない等とする関与の基本原則を定めておりまして、この原則に従って、個別法において必要な関与の規定が設けられております。

 今般の答申で指摘されているように、これまで発生した災害、感染症の蔓延等の事態や、その対応に当たり生じた課題等を踏まえて、このような個別法上の関与が新たに設けられ、また、必要な見直しが行われてきたものと認識しております。

藤岡委員 なぜこれまでは個別法だけだったのかということに関して、対等、協力、そうしたことがやはり背景にはもちろんあったと思って、そこをすごくある意味慎重に考えていたということがあったんだと思いますけれども、ちょっと今の答弁だとそういう思いが余り感じられなかったなということが私は非常に残念に思います。

 そういう中で、先ほどの吉川委員からの質疑に関係することでありますけれども、大臣の本会議のおおつき紅葉委員の質疑に対する答弁に関してちょっとお聞きしたいんですけれども、既存の法律で対処できないケース、現行法で対応できないケースについては、具体的に想定できるものについては必要な個別法改正が行われるものであり、現時点で具体的に想定し得るものはありませんが、本改正は、今後想定ができない事態が生じ得るものであり、そうした場合に備えるものですと本会議で大臣は答弁されていると思います。

 そういう中で、先ほど来ありますように、具体的な想定だとかあるいはこれまでの指示の状況だとか、個別法でのこれまでの状況、そして具体的に想定し得るものがあるのかどうか、総務省を中心に国全体として各省にちゃんと話をして総点検というのをされたんでしょうか。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 地方制度調査会の答申にもございますが、個別法は、これまで発生した災害、感染症の蔓延等の事態や、その対応に当たって生じた課題等を踏まえて、備えるべき事態を適切に想定し、必要な規定を設け、また、その見直しも重ねられているところでございます。これまでに生じた課題等を踏まえて、具体的に想定できる事態については、その都度必要な個別法の改正が行われてきているものと認識しております。

 本改正は、これまでの経験を踏まえると今後も個別法において想定されていない事態は生じ得るものであるということ、そして、このような事態においても国民の生命等の保護のために必要な措置が的確かつ迅速に実施されることを確保するために、特定の事態の類型に限定することなく、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方の関係の特例を設けることとしたものでありまして、地方制度調査会における指摘を踏まえてさせていただきました。

 もちろん、これからも個別の課題が認識されて個別法の改正を妨げるものではないことも改めて申し上げておきたいと思います。

藤岡委員 大臣、一見御丁寧に御答弁いただいたようなんですが、要は答えられていないんですけれども、総点検はされたんでしょうか。イエスかノーでお答えいただければと思います。

松本国務大臣 私どもも含めて、個別法のそれぞれの所管の省庁におきまして、常に課題の認識については取組が行われ、課題が認識されれば必要な法改正について国会に御提案をさせていただくことになると理解しております。

藤岡委員 大変大きな改正であります。要するに、改めて今回、法律を作る前にきちっと各省に、想定し得るものがあるかどうか、個別法の指示の状況がどうかとかそういうものを、では総点検はされていないということですね、今の大臣の御答弁だと。大臣、いかがですか。

松本国務大臣 是非、政府におきましても各省の職員は懸命に仕事をしてくれておりまして、課題が認識されるものであれば、しっかりとこれに対する必要な法制度も含めて対応をしていただいている。ですので、今も申しましたように、これまでも必要な個別法の改正は行われてきているものと認識をしているところでございます。

藤岡委員 済みません、ちょっと今、御答弁されていないと思うんです。各省の職員が懸命にされているのは、それはそうだと思います。本当にそれについては敬意を表したいと思います。そんなことは全く聞いていませんで、今の御答弁は余りにも不適切だと私は思います。委員長、御答弁されていませんのできちっと答弁していただくように、お願いします。

松本国務大臣 個別法の対応についての総点検ということでございますが、課題があると認識すればそれについて必要な対応は行われるものと考えておりますので、今、私どもから見れば、考えられる課題についての対応は行われてきていると認識しているというふうに申し上げさせていただきました。

藤岡委員 速記を止めていただいてよろしいですか。

古屋委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

古屋委員長 速記を起こしてください。

 藤岡隆雄さん。

藤岡委員 大臣、総点検されたんでしょうか、改めて。

松本国務大臣 それぞれの個別法についての総点検というのは必要な改正、課題の認識についての御質問だと理解をいたしましたので、先ほどのように、各省において必要な課題は認識して必要な対応はしていただいている、このように考えていると御答弁をさせていただいたところでございます。

藤岡委員 されていないのなら、されていないとお答えいただければいいと思うんですね。委員長、答弁されていないのできちっと御答弁を、お願いします。

山野政府参考人 お答えをいたします。

 私ども、必要なものについて、どのようなものがあるかということを我々として検討させていただいているところでございます。

藤岡委員 同じように全くお答えいただいていないんですが。

 要するに、各省に文書なりを回して、ありますか、総点検されたんですかと。私はそんなに難しいことを聞いていないんですね。されていないのなら、されていないでお答えいただければと思うんですけれども。されたんですか、そこをイエスかノーでお願いします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 法令協議というような形でこういったことをやっているということではございません。

藤岡委員 最後の語尾がございませんですか。答弁をもう一回お願いします、今ちょっと聞こえなかったので。

山野政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣がお答えしましたとおり、それぞれの省庁がそれぞれの所管でやってございまして、やっていると認識しておりまして、私どもの方でやっているということではございません。

藤岡委員 要するに、やっていないということだと思います。法令協議の話は、私も役所にいましたけれども、法律を作ったら、その法案は合い議で回すわけですよね。全くそれも違うと思うので、さっきの答弁もはっきり言ってちょっと問題があるなということは申し上げておきたいなと思います。

 次に行きます。余りこの問題ばかりをやっていてもあれですから。

 やっていないということで、それは少なくとも、きちっとやって、それからですね。私も全てを否定しているわけではございません。最初に申し上げましたとおり、権限を行使してということを書いておいた方がいい側面もあるんじゃないかということを申し上げております。その面で、ただ、普通はきちっと個別法で、あるのかどうか、その状況についてはきちっと確認してやるべきだということは、強くこれは指摘をしておきたいと思います。

 その上で、例えばダイヤモンド・プリンセス号の患者の移送や、コロナ禍の病床確保、施設の使用制限、営業時間の短縮要請などにおいて、法律の根拠を有しない国の要請や働きかけなどに拒否をした自治体があったという理解なんでしょうか、あるいは、国から見てこうした要請や働きかけにおいて具体的な問題や支障があったという理解なんでしょうか。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 今回の地制調の答申を踏まえて私どもも法案を提出させていただいているところでございますが、答申におきましては、国と地方公共団体の間の役割分担に関して、当時の個別法の規定では想定されない事態に直面した例として、感染症法に基づき患者の入院等について対応すべき保健所設置団体では十分な対応を講じることが困難であり、国による都道府県の区域を超えた患者移送等の調整が必要となった事態が挙げられております。また、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく都道府県知事による施設使用制限の要請対象について国と都道府県等の間で調整が難航した事態が挙げられておりまして、このような課題を踏まえて、その後、感染症法等の個別法の改正が行われました。

 新型コロナ対応時には、困難な状況の中、国、地方双方において住民の命を守る懸命の努力がなされたと認識しておりますが、今般の答申では、こうした困難な事態を招いたという事実は、地方自治法を含め現行法制による国と地方公共団体の関係が、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に備える個別行政分野の関係法が想定していない事態に対し十分に対応していなかったことを示すものと評価しなければならないと指摘しているところでございます。

 委員がおっしゃったようなケースも様々な課題の認識の中に含まれるのではないかというふうに考えますが、今後もこのような個別法において想定されない事態は生じ得るものであり、そうした場合に備えておく必要があると考えて今提案させていただいていると是非御理解をいただきたいと思います。

藤岡委員 難航したというところについては、御答弁は、そこの点は理解いたしました。

 ただ、一方で、その後に個別法での改正ということにとどまらず一般法での対応ということの中で、補充的な指示の発動の要件がある意味曖昧だったり、そうするとまたこれは地方の上意下達だとかいろいろなことにも影響を与えたりとか、恣意的な運用になってしまったりとか、あるいは緊急的なが入っていないとか協議をしっかりやらないとかいろいろなことがあると安易な行使を、要するに指示の発動の要件が曖昧であって安易な行使を可能にしてしまうおそれというのも今の要件ですとあると思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 個別法が想定していない場面で国が果たすべき役割があると考え、これを責任を持って果たす必要があるのではないか、その場合に、国の責任において役割を果たすことが特に必要な場合に、助言等として行いますと自治体の責任において実施することになって国の責任の所在が不明確になってまいりますので、国の責任の所在を明確化するということに意義があるというふうに御答弁申し上げてきておるところでございますが、地方自治の原則にのっとって行うという意味で、地方との情報共有、コミュニケーションの確保であるとか限定的な要件、適正な手続を経ることを申し上げてきているところでございまして、地方の自主性、自立性をしっかりと確保した上でこのような法制度を御提案しているというふうに御理解いただきたいと思います。

藤岡委員 まず、責任を明記というのは、それは一つ考え方としてあると思います。

 だけれども、あえて、その責任に伴う、責任の裏側で当然権限を明記するということで、その権限を明記したときに、やはり対等、協力の関係、自治体にとっては萎縮してしまう、あるいは指示待ちになってしまうというふうないろいろな負の効果というのも当然あると思います。だから、そこを意識してこれまでは個別法の対応だった、ところが、ある意味今回こうして思い切ってどかんと規定されちゃう、そのときに、今大臣は限定的な要件とおっしゃったと思うんですけれども、私は限定性が足りないと思うんですね。やはり少なくとも、今回の補充的な指示の発動の要件で、緊急性の要件、これは私は明記した方がいいと思っているんですね。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 地方分権推進計画におきまして、自治事務に対する指示につきましては、国民の生命、健康、安全に直接関係する事務の処理に関する場合等特に必要と認められるときを除いて、自治体がその自治事務の処理について国等の指示に従わなければならないこととすることのないようにしなければならないとされております。

 これを踏まえて、地方自治法では、先ほど吉川委員との審議でも御言及がございましたが、関与の基本原則として、自治事務の処理に関する指示については、国民の生命、身体又は財産の保護のため緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合を除き設けてはならないと規定されております。

 この法文上の緊急にというのは特に必要と認められる場合に係るものであるかというふうに思いますけれども、災害対策基本法では、自治事務である災害応急対策について、災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときという要件の下指示を行うことができるとされておりまして、これも地方分権推進計画、地方自治法上の関与の基本原則にのっとったものと整理されているところでございます。

 今回の補充的な指示の要件につきましても、これまでの法文等を参考にしまして、国民の生命、身体又は財産の保護のための措置の的確かつ迅速な実施を確保するために特に必要があると認めるときに行うことができると規定したものでありまして、地方分権推進計画、地方自治法上の関与の基本原則における特に必要があると認められる場合という要件にのっとったものと考えております。

藤岡委員 今の御説明の理屈はちょっと私は足りないと思うんですね。ある意味今回は強烈な規定を置くわけですから、当然、緊急性というぐらいの限定というのは私は必要ではないかと。

 しかも、緊急性の要件をつけてもそんなに、本当の危機のときに緊急だから対応するというのは当然だろうということになると思いますし、さっきは災害の例を出されましたけれども、災害のときはそれだけで緊急なわけですよね、はっきり言って。災害のときというのはもう起きているわけですから、あるいは切迫しているとか、緊急性はあると思うんですよ。例えば、極端な例を言うと、北朝鮮で指導者が替わってすごく強烈な方が出たから、おそれがあるから、では指示権発動とかですね。緊急じゃないんだったら特に、いろいろなことも可能になってしまうと思うんですよね。また、緊急でなければ個別法をしっかりすぐにでも改正して対応するとか、個別法の原則というふうな、原則論にのっとった対応もしていくということがあると思うんですよ。

 改めて、災害のときは緊急だと思いますし、今、自治事務の話が出ましたけれども、例示として挙げられていると。しかしながら、一番強烈な規定を、国と地方の関係を逆走するような可能性のある、懸念のある規定になるということになりますので、そういう面ではやはり緊急性のところをきちっと私はやるべきだと思いますけれども、大臣は、ううん、違うと。大臣の御見解をもう一回お伺いしたいと思います。

松本国務大臣 繰り返しになりますけれども、地方自治法で、国民の生命、身体又は財産の保護のため緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合を除き、自治事務の処理に関する指示について設けてはならないと規定をされているというところでありますが、繰り返しになりますので申し上げませんが、今回御提案申し上げている規定は、地方分権推進計画や地方自治法上の関与の基本原則における特に必要があると認められる場合という要件にのっとっているということを是非御理解いただきたいと思います。

藤岡委員 ちょっと残念な答弁だなと、やはり抑制的な。危機のときは当然機能しなくちゃいけませんので、そういうことも配慮した上で緊急性というものをきちっとお考えいただかないといけないのではないかなということを私は感じます。

 その次に、いわゆる国の補充的な発動の要件として、全国知事会の皆さんからも御要望もあると思いますが、地方公共団体との協議、これを何らか規定すべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 答申におきましても、補充的な指示を行うに当たっては、自治体と十分な情報共有、コミュニケーションが確保されるようにし、状況に応じて十分な協議、調整も行われるべきであるというふうに指摘をしているところでありまして、答申の取りまとめに向けた議論におきまして、状況に応じてと書かれておりますとおり、事態は多様かつ複雑でありまして、協議の主体を含め、特定の手続を必ず取るようにということは難しいのではないかという議論を踏まえまして、法案を作成させていただいたところでございます。

 答申や議論の趣旨を踏まえ、本改正案では、あらかじめ自治体に対する資料、意見提出の求め等適切な措置を講ずるように努めなければならないこととしておりまして、地方六団体ともこの点につきましては丁寧な調整を行っております。これを踏まえて、配慮がされたことを評価したいなど、一定の御理解をいただいているものと考えているところでございます。なお、運用の明確化などの御要望をいただいておりまして、引き続き丁寧に対応をしてまいります。

藤岡委員 実際に、事前の協議、調整、意見聴取ということだと思いますけれども、これは努力義務なわけですよね。

 例えば、協議、調整につきましても、努力義務的、あるいは、規定する、しかしどうしてもやむを得ない場合は等、いろいろな書き方もあると思うんですよね。ただ聞くだけではなくて協議になれば、国としての考え方も自治体の方にも一定の説明が当然行われる、こういうことを考えている、そういうふうな双方のコミュニケーションが確保されるのは事前の協議であり調整ということだと思うんですね。どうしてもそれが、時間がなくてどうしようもなければやむを得ない場合というような書き方や、あるいは、元々努力義務なわけですから努力義務という書き方や、様々なこともあると思うんですよね。そういう意味で、この規定においてもまだまだ何かすごく上から目線的に上意下達的なものが残っているというふうに私は思います、はっきり言って。そういう書き方もできると思うんですよね。

 大臣は、できないということなんだと思いますけれども、今のお話だと。では運用の厳格化ということで、これからできるだけ少なくとも、答申にも書かれていますので、状況に応じて協議、調整を行うという理解でよろしいんですか。

松本国務大臣 規定については先ほど申しましたので繰り返しませんが、御答弁でも申し上げておりますように、地方と情報共有、コミュニケーションの確保を図ることは大変大切であるというふうに認識いたしております。

藤岡委員 先ほど、様々な関係主体というお話がいろいろありました。ただ、意見聴取をするときも、どこに意見聴取をするかということをきちっと、限定されて意見聴取をされると思うんですよね、ある程度。だから既に、どこと調整するかというのは意見聴取でも明らかになるわけなんですね。それが分からないからということは通用しない理屈だと私は思います。その意味で、今大臣がはっきりとおっしゃらなかったコミュニケーション、事前の協議、できるだけ調整、努めるということでよろしいんですか、そうじゃないんですか。

松本国務大臣 様々な状況に応じて対応するということを踏まえて、私どもとしては、意見そして資料の提出の求め等に努めることとする、このように規定させていただいたことを是非御理解いただきたいと思いますし、この規定の趣旨について一定評価をしたい、配慮されたものと評価をしたいというふうに地方六団体の御関係からもお声をいただいておりますように、御理解をいただいているものというふうに私どもは考えているところでございます。

藤岡委員 また堂々巡りになるんですけれども、一定の評価でも、引き続き要望が続いていますよね。だから、まだまだこれで納得がいかなくて、要するに、今の御答弁ですと、事前の調整、協議ということにはっきり、できるだけ、地制調答申にも書かれていますけれども、状況に応じてということすら今この場では言えないということなのかなというふうに私は理解をいたしました。大変残念だなということを思います。これは少しでもよくしていった方がいいと思うんですよね。

 次に、補充的な指示の行使に関して、国会への事前承認又は事後承認、事後報告。こうした規定というのはやはり事前なり、あるいはどうしてもなら事後承認、事後報告なり、こういう規定を整備するべきだと思うんですよね。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 これも、答申におきまして、補充的な指示が行使された場合、各府省において、どのような事態においてどのような国の役割が必要とされたのか適切に検証される必要がある、個別法の規定の在り方についての議論の契機とされることが期待されると指摘をいただいております。

 個別法の規定の在り方についての議論とは、国会等における議論が念頭に置かれているものと認識をしておりまして、その際には、検証の結果についても国会の求めに応じ適切に説明されるべきものと考えているところでございます。

 そうした中で、国会承認又は国会報告を法律で一律に義務づけることにつきましては、地方制度調査会の審議におきまして、既存の危機管理法制では個々の権限行使に際して義務づけることとはされていない、自治体への個別の権限行使の都度義務づけることは機動性に欠けるのではないかといった議論がなされておりまして、このことを踏まえて盛り込まれなかったというふうに承知しております。

 これを踏まえまして、本改正案においては国会承認、国会報告の規定は設けていないところでございます。

藤岡委員 はっきり言って、地方自治体に対しても少し軽視しているなというふうにも見えますし、国会も軽視しているというふうに私は思いますね。だって、この後、個別法で立法措置をする。実際、事後検証をして、その後、個別法で規定をするということを行って、検証していくのに、少なくとも事後報告なりそういうことは明記するべきじゃないですか。国会でまた立法措置をするわけですよね、それを事後報告もされないということは私は非常に問題が大きいと思います。

 これまでの危機管理法制は、国会で新たな立法措置だとか、事後検証で検証した後でもう一回立法とか、そういうことというよりも、そういう意味合いというのは、今回の法律とは、意味合いは多分薄いんだと思いますね。だから、今回のは、これで例えば権限行使をしたら、その後また個別法でどうするかという、立法措置の段階にもう一回いく可能性が高いのにもかかわらず国会に報告されない、これは幾ら何でも私は国会軽視だと思います。

 私はこれは法案修正をするべきだと思いますよ。いや、事前の報告だって事前の承認だって、やむを得ない場合とかいろいろな書き方があると思います。少なくとも事後報告も書いていないというのは極めて国会軽視だと私は言わざるを得ませんが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 重複は避けて御答弁申し上げたいというふうに思いますけれども、国会承認又は国会報告を一律に義務づけることにつきまして、地方制度調査会の審議において、申しましたように、既存の危機管理法制の状況や機動性の観点から御議論がなされて答申に盛り込まれておりませんで、これを踏まえて本改正案において国会承認、国会報告の規定を設けなかったところでございます。

 各地方の方々も御参加いただいており、国会や、もちろん有識者の先生方もおられている地方制度調査会の答申をしっかりと受け止めて、私どもとしては法案を提出させていただいたと御理解いただきたいと思います。

藤岡委員 地制調では別に、書かないでとまで言っているはずもありませんし、指示権を行使したら事後検証をして、今後は個別法という事後検証をするわけですから。

 国会は、ではそうしたらあれですね、そういうことをちゃんと忖度して、行政を忖度して、どういうふうな行使だったのかちゃんと聞き取っていって、そういうことになるということとしか私は言えないと思うんですね。これは少なくともきちっと検証して、立法府ですからね、立法府に対する報告はやっていただく必要があると思いますし、法案修正する必要があるということは強く申し上げておきたいなということを私は思います。

 その次に、補充的な指示権を行使したときに今申し上げたように事後検証を行い、原則、個別法に必要な規定を整備することを附則などに、これもやはり法定化をきちっとするべきじゃないですか。原則だって個別法の対応なわけですから、一般法でやったらその後は基本的には個別法ということでやるのが原則だと思いますので、当然、改正法の附則などにこうした規定を法定化するのが私は筋だと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 御答弁申し上げてきたところでもございますが、地方制度調査会の答申におきまして、補充的な指示が行使された場合には、各府省において、どのような事態においてどのような国の役割が必要とされたのか、地方公共団体を始めとする関係者の意見を聞いた上で適切に検証される必要があり、こうした検証が個別法の規定の在り方についての議論の契機とされることが期待されると指摘されております。

 行政評価を担当する省の責任者としても、一般論として、やはり政策の検証は大変大切であるというふうに考えているところでございます。

 そのような立場でございますが、補充的な指示が行使されるような場面では、そもそも個別法では想定されていない事態が生じたことを踏まえて、そのような事態に対してどのように対応していく必要があるのか、指示の必要性はもちろん、それ以外の点も含めて、対策の実効性の確保方策、国、地方その他の主体の役割分担など、事態対応全般についての検証が必要になってくると考えておりまして、このことを受けまして、補充的な指示の行使という点に着目し、事後の検証を義務づける規定は設けておりませんところでございます。法案が成立した際には、その施行に当たって、このような補充的な指示の性格、趣旨等について各省へ周知を図ってまいりたいと考えております。

藤岡委員 これも、必要に応じて検討し法制上の措置を講ずるとか、附則の書き方というのは幾らでも、釈迦に説法ですけれどもあると思いますので、本当はきちっと規定しておく必要があるということは指摘をさせていただきたいと私は思います。

 今日、質疑をさせていただきましたけれども、要件も非常に曖昧で濫用も可能で、しかも何か国会を軽視しているとしか思えないような法案だなと。本当の危機のときに、確かに国が責任を持って対応するという側面というか必要性というのも、当然そういう局面も本当のときはあるんだろうということもそれは分かりますよ。しかし、今の答弁をお聞きしておりますと、非常に問題が大きいなということを感じました。

 最後に大臣に、改めて、上意下達、主従、国と自治体の関係を逆戻りさせる懸念があると思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 御審議でも申し上げてまいりましたけれども、地方としっかりコミュニケーションを取り、限定的な要件、適正な手続を踏まえて補充的な指示を始め制度を動かしていくわけでありまして、法制度をつくるに当たり、悪用、濫用等がされることのないように私どもも組立てをさせていただいたところでございますし、国と地方との関係についても、これも答弁申し上げてまいりましたように、国と地方との対等な関係との理念に基づく地方分権推進計画の考え方、地方自治法の理念にのっとって特例を設けたという点も是非御理解いただきたいと思っているところでございます。

 もちろん、ただいま国会で御審議をお願い申し上げているわけでございまして、国会を軽視するといったような姿勢を持っていないことも是非御理解いただきたいと思いますが、感染症等の蔓延や大規模災害で個別法で想定されていない事態が起こり得る、それまでの対応について国が果たすべき役割があるとすれば、国が役割を果たすことが特に必要なときには国の責任を明確化することに意義がある、この点で提案させていただいたことを是非御理解を賜りたいと思っております。

藤岡委員 時間が来ましたので、その意義について全てを否定しているわけではありませんが、地方分権改革の流れの中で逆走する懸念、そして国会、立法府を軽視しているこの法律のたてつけについて警鐘を発しまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中嶋秀樹さん。

中嶋(秀)委員 おはようございます。

 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中嶋秀樹でございます。

 貴重な質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 本日は、地方自治法の改正に関しての質疑でございまして、国、広域自治体、基礎自治体の役割と責任の分担が曖昧なところが多かった我が国において、少しでもクリアになるのであればということを念頭に質問してまいります。

 早速ですけれども、今回創設される指定地域共同活動団体についてお尋ねいたします。

 私の地元の京都府南部におきましても、多くの地域団体が活動しております。ですけれども、担い手不足、資金不足が共通の課題となっており、今回の改正案は市町村と地域団体の連携を後押ししようとするものです。

 気になるのは、人口減少によって行政サービスの維持さえ困難になろうとしている小規模自治体には指定地域共同活動団体の指定対象となる団体自体がない、あるいは、今はあっても今後維持できないところもあるかということでございます。そうならないように今から地域団体を支えようとするのがまさに改正案の狙いだとは思いますけれども、改めて指定地域共同活動団体制度を創設する趣旨を御説明いただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 人口減少、少子高齢化等に伴いまして地域社会が様々な資源制約に直面するなど、ますます厳しい状況となる中においても、人手不足や複雑化する地域課題に対応し、より一層快適で安心な暮らしを営むことができるようにすることが必要でございます。

 こうした観点から、第三十三次地方制度調査会の答申では、コミュニティー組織やNPO等の地域の多様な主体が連携、協働を図りつつ、それぞれの強みを生かした活動を行っていく環境を整備していくことが重要と提言されているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、本制度では、市町村の判断により、地域で暮らす人々が自ら助け合い、地域課題の解決のために共同して活動を行う指定地域共同活動団体を申請に基づき指定し、支援を行っていく制度を創設するものでございます。

 地域の実情に応じて、本制度を活用することにより、地域の多様な主体が緊密に連携協力し、役割を分担し合って、住民が快適で安心な暮らしを営むために必要な環境を整備してまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 人口減少によって行政サービスの維持が困難になろうとしている小規模自治体では、指定地域共同活動団体の指定以前に、何といっても自治体への財政支援や人的支援が求められるのではないかと思っております。なぜならば、幾ら地域活動を後押しして公共を担ってもらったとしても、土台部分の行政サービスが縮小していたら、そこには人は住まないと思うからでございます。

 民間組織の人口戦略会議が、全国の七百四十四自治体で人口減少が深刻化し、将来的に消滅の可能性があるとの報告書を発表いたしました。もちろん現在も地方交付税という形で自治体間の財源の不均衡を調整し、一定水準の行政サービスを維持できるよう財源を保障していただいておりますけれども、改めて小規模自治体への財政支援、人的支援の今後の方向性について御説明いただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 人口減少、高齢化が進む中で、各地域、各分野において人手不足が生じており、自治体においてもとりわけ専門人材の確保が課題となっております。また、デジタル技術の活用が進みつつありますので、その力を最大限に活用することも重要でございます。

 そこで、総務省では、小規模市町村を中心に配置が困難な専門人材を都道府県等が確保し派遣する取組など、人的支援も含め、人材確保の取組を支援するとともに、デジタル技術を積極的に活用した業務改革、基幹業務システムの標準化に取り組んでいるところでございます。

 また、行政サービスを持続可能な形で提供していけるよう、連携中枢都市圏などの市町村間の広域連携や都道府県による支援など、広域連携に係る多様な手法の中から市町村が最適なものを自ら選択できる環境を整えてきたところでございます。

 こうした取組に対しては必要な財政措置を講じてきておりまして、今後とも、住民が安心して豊かな暮らしを営むことができるよう、それぞれの地域の課題に取り組む自治体をしっかりと支えてまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。小規模自治体への財政支援につきまして、一層の御配慮をお願い申し上げます。

 話を指定地域共同活動団体に戻させていただきます。

 都道府県や市町村では、既に独自の条例に基づき市町村が一定の要件を満たす団体を認定し、補助金を交付するなど、財政的な面から当該団体の活動を支援しているところも多いと思います。こうした各自治体の独自の認証制度を国としても後押しすればよいという考えもあると思いますけれども、指定地域共同活動団体という新たな認定制度をあえて今つくる意味について、改めて御説明いただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 人口減少、少子高齢化等におきまして地域社会が様々な資源制約に直面しておるわけでございますが、その中でも、住民の暮らしを支えていくためには、地域の多様な主体が連携、協働し、地域における生活サービスの提供を行うことが重要となっております。

 このため、一定の要件を満たした地域の多様な主体について、市町村が条例により指定し支援するなどの活動の活性化を促す先進的な事例があることを踏まえまして、第三十三次の地方制度調査会の答申では、法律上も市町村の判断でその位置づけを明確にすることができるようにする選択肢を用意して活動環境を整備していくことが考えられるとの提言がなされたところでございます。

 また、実際に先進的な取組を行っている市町村からは、国の制度によって市町村は仕組みを導入しやすくなるとともに、指定を受けた団体となることで活動が促進されることが期待されるとの声を伺っているところでございます。

 このような提言等を踏まえまして、本改正は、市町村の判断により、生活サービスの提供に資する活動を地域の多様な主体と連携して行う団体について、指定地域共同活動団体として指定し、その活動を支援する制度を創設するものでございます。これによりまして地域の多様な主体による活動がより一層活性化され、住民が日常生活を営むために必要な環境の整備に資するものと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。

 総務省では、業務、サービスの縮小が進む中、住民主体で地域を支えるのを目的に、地域運営組織という制度を設けております。二〇二三年度の総務省の調査では、全国に七千七百十団体があり、団体数は増加傾向にあります。主な財源は市町村からの補助金の団体が多く、活動資金をどう確保するか、他の地域団体と同様に大きな課題でございます。

 さて、指定地域共同活動団体に関しても市町村が指定後に当該団体に補助金を交付することも可能かと思いますけれども、そのためには当然財源が必要となります。市町村の財源確保のため国が市町村に地方交付税を上乗せするなど、財政支援を行う考えはありますでしょうか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお答えしましたように、指定地域共同活動団体制度は、市町村が、地域の多様な主体と連携して生活サービスの提供に資する活動を行う団体を指定し、その活動を支援する制度でございます。

 例えば、近年、地域の暮らしを支える重要な担い手となっております御指摘の地域運営組織、あるいは他の主体と連携して活動を行う単独のNPO法人、複数の自治会等を構成員とする団体など、こういった団体が指定される可能性があると考えております。

 指定地域共同活動団体に対する支援については、まずは本制度施行後の条例の制定状況や実態を調査した上で、指定対象として想定され得る地域運営組織に対する既存の地方財政措置も念頭に置きつつ、必要な財政措置を検討してまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。財政支援をよろしくお願い申し上げます。

 質問が重複するんですけれども、非平時における国の指示権拡大について質問させていただきます。

 改正案では、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に、国が特例として、一番、資料及び意見の提出の要求、二番、事務処理の調整の指示、三番、生命等の保護の措置に関する指示、四番、国による応援の要求及び指示ができるようになるというものです。

 どのような場合が指示権行使の対象になるかについて、松本大臣は先日の本会議で、現時点で具体的に想定し得るものはないと答弁されました。想定外のものは想定できない、そういうことだと思いますけれども、それが例示できるなら個別法を改正すべきという議論になるでしょうから例示することは難しいのだと思いますけれども、とはいえ、余りにも、特例の濫用を防ぐ観点から、誰がどのタイミングでどのような考え方で国民の安全に重大な影響を及ぼすことを判断するかを示していただく必要があると思います。判断のタイミング、判断基準を教えていただきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 本改正では、特定の事態の類型に限定することなく、大規模な災害、感染症の蔓延やその他その被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けることとしております。

 当該事態に該当するかの判断については、本改正案の各規定に基づき、それぞれの規定に基づく関与等を行う主体が、必要な手続を経て、関与等を行おうとする際に行うことになると考えております。

 具体的にどのような事態が該当するかの判断については実際に生じた事態の規模や態様等に照らし行われることになりますが、災害対策基本法、新型インフル特措法などにおいて国が役割を果たすこととされている事態に比肩する規模の事態を想定しているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。

 非平時において国と地方の権限と責任を明確にしてそれぞれが当該事象に当たることが肝要であると思いますけれども、この改正案でそれが実現されるのでしょうか。

 例えば、初期のコロナ感染症蔓延時の対応では、それまで経験のなかった事象で、緊急事態宣言一つを取っても、国か都道府県か、どちらが判断してどちらが決めるのか不明瞭な状態で始まりました。そういったことが解消されるのでなければ、この改正は意味がないと思います。大臣に、この改正に当たり、主眼について御説明をお願いいたします。

松本国務大臣 この度の地方制度調査会の議論でも、今委員がお取り上げいただいたような時期の課題、個別法の改正がなされるまでの間で、個別法で想定されていなかった事態で対応が様々困難を極めた状況等を踏まえて御議論いただいて答申をいただいたものと理解しておりまして、この法案はその答申を踏まえたものであることは御理解いただいているとおりでございます。

 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態においては、国民の生命等を保護するため、国と地方が連携し、総力を挙げて取り組む必要があり、国には果たすべき役割があり、これを責任を持って果たす必要があると考えているところであります。

 個別法では想定されていない事態においては国、地方間の責任の所在が不明確となるところでありまして、補充的な指示につきましては、特に必要なときに限定的な要件、適正な手続を経て国の責任において指示として行われるようにするものであるなど、本改正は先ほど申しましたような事態における国の地方への働きかけについて法律上のルールを整備するものでございまして、国と地方それぞれの権限と責任を明確化する意義があるものと考えております。

 今後、それぞれどのような事態で適用されてどのような対応が行われるかについては個別具体の事案に即して判断をされるものというふうに思いますが、今委員が御指摘をいただいたような状況を一つの課題と認識した答申を踏まえてこの法案が提案されているというふうに申し上げられるかと思っております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。

 中央集権的な体制による画一的な政策が非効率な行政を生み出し、あるいは地域の実情に合った問題解決につながらないといった問題が表面化している今、改めて、日本維新の会は、この状況に鑑み、中央省庁の持つ権限を大きく地方自治体に移譲し、我が国の統治機構の在り方を中央集権体制から、地域のことは地域で決められる地方分権体制に移行すべきであると考えております。各地の特性と課題に応じて主体的に政策決定を行い、自らの財源によって自立した自治体運営を行うことができるよう権限と責任と財源をセットで国から地方へ移譲することが、現代社会において最も民主的で、かつ最も効率的な地方自治の在り方だと考えております。

 今回の改正が地方自治の振興を逆行させず、非平時においてもあくまで権限と責任を整理しやすくするためであることをお願い申し上げ、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中司宏でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、補充的指示権と地方分権について、基本的なところを確認させていただきたいと思います。

 この間の新型コロナウイルスの蔓延によって、国と地方との役割分担、それからデジタル化の遅れ、また地域力の低下、地方自治においても様々な課題が露呈してきたわけでありまして、そこで、課題解決に向けて、第三十三次地方制度調査会の答申を踏まえて地方自治法が改正されるものでございます。

 改正案では、大規模な災害や感染症の蔓延その他これらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の発生に対して、個別法の規定では対応できない場合において、特例として地方自治体に対する国の補充的指示を可能としている、こんな状況でございます。

 現在、想定外の事態から国民を守るために憲法上の緊急事態条項について議論されているところでございまして、これを私たちは促進していかなければならないと考えているわけでありますが、同様に、不測の事態において地方分権の基本原則の中で国民を守るために国と地方との役割分担の在り方を検討する、このことについては統治機構改革において重要なテーマと受け止めております。

 しかしながら、従来の個別法における地方自治体への指示の要件と比べて、閣議決定を行う基準など、漠然として分かりにくい。地方自治の本旨を損なうことがないように、そうした点から国の関与を最小限にとどめていかなければなりません。

 自治事務に対して国が指示を行うということはこれまでの地方分権改革に逆行することになりかねない、こういう指摘がありまして、慎重かつ限定的に対処すべきでありますが、これについての見解をまずは伺います。

    〔委員長退席、中川(康)委員長代理着席〕

松本国務大臣 改めて大切な御質問をいただいたと認識して御答弁を申し上げたいと思うところでございますが、これまでの経験を踏まえまして、個別法において想定されていない事態が生じ得る、この事態において国民の生命等の保護のための対応に万全を期す観点から所要の見直しを行う必要がある、このように指摘をいただいたことを踏まえて法案を作成し、提案させていただいております。

 本改正案は、国と地方の関係の基本原則にのっとって、国民の生命等を保護するため、国と地方を通じた的確、迅速な対応を可能とするものでありまして、地方分権の流れに逆行するものではないという点も是非御理解をいただきたいと思っております。

 御審議でも申し上げてまいりましたように、基本原則について、地方自治法において規定をされているところでございますが、これらの関与の法定主義や関与の基本原則にのっとって法案の定めをさせていただいておるところでありまして、また、地域を元気にしていくという視点からも、自治体の自主性、自立性を高める地方分権改革は着実に進めていく必要があるというふうに考えていることも申し添えたいというふうに思います。

中司委員 ただいま、地方自治の基本原則にのっとって、これまで推進してきた努力を無にすることなく、地方分権に逆行しない、こういうことを確認していただいたわけでございます。

 自治体からの意見聴取というところで次に伺いますけれども、今回の改正では、緊急事態が発生した際に、補充的指示権を行使する前の事前手続として、自治体に対して資料又は意見の提出を求めるということがあります。努力義務とする規定が盛り込まれているわけですけれども。国が一方的に指示権を行使することは絶対に避けなければならないということは当然でありますが、事前の手続として地方自治体の意見を聞く、このことは大事ですけれども、自治体にとってかえってこれが負担になるということも考慮しなければなりません。具体的にどのような手続を取ることを想定しておられるのか、また、コミュニケーションをどう図っていくのかということについてお聞きいたします。

    〔中川(康)委員長代理退席、委員長着席〕

山野政府参考人 お答えいたします。

 地方制度調査会の答申では、補充的な指示を行うに当たっては、まず国と地方公共団体の間で迅速で柔軟な情報共有、コミュニケーションが確保されるようにし、状況に応じて十分な協議、調整も行われるべきである、こういうふうに指摘されておるところでございます。

 また、全国知事会からは、法制化に当たり、補充的な指示について、事前に地方公共団体との間で十分な協議、調整を行うことにより安易に行使することのないようにすることについて提言をいただいたところでございます。

 答申や全国知事会の提言を踏まえ、本改正案では、補充的な指示を行う際には、あらかじめ地方公共団体に対して資料、意見提出の求め等の適切な措置を講ずるように努めなければならないこととしておるところでございます。

中司委員 知事会の提言も踏まえて、非常時の自治体に負担をかけることなくコミュニケーションを図っていく、そういうことだと受け止めましたので、よろしくお願いいたします。

 次に、補充的指示における自治体への支援についてお聞きいたします。

 補充的指示権を行使する際ですが、指示に基づいてその事務が遂行できるように、国の責任において人材、財源などのリソースを確保するべきだと考えますが、どのように自治体に権限を持たせていくのか、あるいは人材、財源を支援していくのかお示しいただきたい。また、自治体がそれに従わない場合にどのようなペナルティーを科していくのか、このことも併せて伺います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 今般の答申で指摘されておりますように、事務の執行上の課題を含め、国と地方の間で十分な情報共有やコミュニケーションを図ることは、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応を実効的なものとする前提であります。こうした観点から、補充的な指示を行う際には、あらかじめ地方公共団体に対して意見提出の求め等の適切な措置を講ずるよう努めなければならないこととしておるところでございます。

 その上で、国や都道府県が地方公共団体間の応援や職員派遣のための調整の役割を担うことも含め、事務の執行上の人材や財源等の課題について丁寧に解決していく必要があると考えております。

 また、地方公共団体が補充的な指示に従わない場合、現行法の地方自治法に基づく関与と同様に罰則を設けることはしておらず、国は協議などを通じまして指示によって求めた措置を講ずることを促していくことになると考えております。

中司委員 人材、財源について丁寧に対応していくということと、ペナルティーを科すことはないということでございますので、その辺、しっかりと確認しておきたいと思います。

 次に、繰り返し質問されておりますけれども、個別法への反映について伺います。

 これまで、我が国の緊急事態への備えは分野ごとの個別法が中心でありました。したがって、国が緊急事態に際して補充的指示権を行使した場合、事態が収まった後に自治体等関係者の意見も聴取して、各省庁でどのような役割が必要であったかということを検証して、その上で個別法に反映するプロセスが大変重要であると考えるところでございます。これは、これまでから指摘されているとおりです。

 地方自治体の権限に一定制限を加える以上は、自治体の意見も踏まえた評価と検証の仕組みを確立すべきでありますが、そうした事後検証に関しての規定がなぜ条文化されていないのか、そのことについてお伺いいたします。

松本国務大臣 補充的な指示が行使された場合の検証につきまして、答申におきましても、各府省においてどのような事態においてどのような国の役割が必要とされたのか、地方公共団体を始めとする関係者の意見を聞いた上で適切に検証される必要があると指摘されております。また、こうした検証が個別法の規定の在り方についての議論の契機とされることが期待されるとも指摘をされているところでございます。

 補充的な指示が行使されるような場面では、個別法で想定されていない事態が生じたことを踏まえて、そのような事態に対してどのように対応していく必要があるのか、指示の必要性の点も含めて、対策の実効性の確保方策、国、地方その他の主体の役割分担など、事態対応全般についての検証が必要になると考えておりまして、補充的な指示の行使という点に着目し、事後の検証を義務づける規定は設けていないところでございます。法案が成立した際には、その施行に当たり、このような検証などの考え方について各府省へ周知を図ってまいりたいと考えております。

 これも先ほど申し上げてまいりましたが、一般論で申し上げれば、施策を展開した場合の検証というのは極めて大切であるということは重ねて申し上げたいと思います。

中司委員 私は本来でしたら法案にも盛り込むべきだと思うんですけれども、それがなじまないということで、全体で考えるということでございます。そのことは理解もしながら、自治体の意見も十分に踏まえて、検証の手法を確立していただきますようにお願いいたします。

 次に、国会の関与について伺います。

 補充的指示権の発動に関する手続については様々な意見があることは承知しております。その中で、閣議決定を必須としていますけれども、手続をより厳格にするためには、事前承認や事後報告なども含めて、何らかの形で国会の関与を規定すべきだと考えます。規定しなかった理由についてお伺いします。

松本国務大臣 国会報告等を法律で義務づけることにつきましては、地方制度調査会の審議においても御議論されておりまして、これまでも御答弁申し上げてまいりましたが、既存の危機管理法制では個々の権限行使に際して義務づけることとはされていない、地方公共団体への個別の権限行使の都度義務づけることは機動性に欠けるのではないかといった御議論が行われておりまして、これを踏まえまして答申に盛り込まれていなかったところと承知しておりまして、答申を踏まえて法案を御提案申し上げておりまして、本改正案におきましても国会報告等の規定は設けなかったところでございます。

中司委員 今、機動性に欠けるからということをおっしゃったのかと思いますけれども、そうした理由であるにせよ、やはりこれは大事な問題でありますので、適正性を確保するという観点からも、この手段、何らかの対応をしていただきたいと思うんですけれども、そのことは指摘をさせていただいておきます。

 次に、地域コミュニティーの担い手について伺います。

 少子高齢化、人口減少が進む中で地域の関係性が希薄になるなど、地域社会における環境も大きく変わってきたと認識をしております。指定地域共同活動団体制度の創設につきましては、地域の応援団としての多様な団体の育成、連携や協働の仕組みづくりの推進が主眼であると受け止めております。地域社会の公共的課題を解決するために意義も大きいと受け止めているところでございます。

 しかしながら、地域のコミュニティーの中心である自治会とか町内会とか、そうした団体自体が地方も都市部も共に今、加入率の低下あるいは担い手不足が深刻化をしている現状でございます。自治会の加入率につきましては、平成二十二年度に七八%ありましたが、十年後の令和二年度は七一・七%へと十年間で六・三ポイントも低下をしている、こんな現状でございます。

 様々な原因があると思うのですけれども、自治会は、災害に強い地域づくりを進める上で、またコミュニティーの活動の基盤として日々の生活に非常に重要な役割を果たしているのは周知のとおりでございます。全国共通の課題として、自治会が組織できなくなってきている現状を打開するために、状況を分析して、そして抜本的な対策を行うことこそ今やらなければならない喫緊の課題だと思いますが、その認識と対策についてお伺いいたします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 自治会でございますが、地域における共助の担い手として極めて重要な役割を担っているものと認識しておるところでございますが、御指摘のように、一方で加入率の低下や担い手不足等の課題があると認識しております。

 このような課題に対応していくために、令和四年の地域コミュニティーに関する研究会報告書や第三十三次地方制度調査会の答申では、行政からの協力業務の見直し等自治会等の負担軽減を図ることや、持続可能な活動を支えるツールとして地域活動のデジタル化の積極的な活用を図ることが示されているところでございます。

 特に、地域活動のデジタル化は若年層を含む多世代が自治会活動に参加しやすくなるための有効なツールであると考えられることから、今後、電子回覧板等のデジタルツールの活用の手引を作成し、市町村による自治会活動支援の取組を後押ししていくこととしております。

 また、地方制度調査会の答申で御指摘がございました地域における多様な主体の連携、協働でございますが、これを受けまして指定地域共同活動団体制度を創設することとしておるところでございます。

 こうした取組を重ねることによりまして、今後とも自治会等が持続可能な形で活動を行うことができるように対応してまいりたいと考えております。

中司委員 対応されているのは分かっておりますし、今回の法改正もその一環ということも分かりますが、しかしながら、今いろいろと列挙されましたが、小手先の対応ではもはや歯止めが利かないんじゃないかという心配をしておるのでありまして、抜本的な対応ができますように、しっかりと対応していただきますように要望させていただきます。

 次に、指定地域共同活動団体制度、これは、指定する団体の要件を、地縁による団体、あるいは当該市町村内の一定の区域に住所を有する者を主たる構成員とする団体、こういう限定をされているわけでございますが、地域性とか構成員の属性に限定することなく、より幅広い団体と連携していった方が地域が抱える課題解決に向けてより可能性が広がるのではないかと思いますので、その点についてお伺いいたします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 指定地域共同活動団体制度につきましては、地域の実情に応じてその活動内容を市町村の条例で定めるなど、市町村の創意工夫を生かせる制度設計としております。

 この際、指定対象については、法律上、地域的な共同活動を行う団体のうち、地縁による団体、当該市町村内の一定の区域に住所を有する者を主たる構成員とするその他の団体などが前提となっておるところでございます。その上で、地域の多様な主体との連携などにより地域の共同活動を効率的、効果的に行うと認められることが要件となっております。

 一方で、指定地域共同活動団体と連携、協働する地域の多様な主体については、法律上、特に地縁などの要件等は定めておらず、他の地域から当該地域において課題解決のために指定地域共同活動団体と連携して活動を行う主体を特に排除するものではないと考えられます。

中司委員 十分対応していただけるとは思うんですけれども、地域の協働の意識を育てるということも大切ですし、自治体にとりましては、しかしながら、ややもすれば、本来自治体がなすべき様々な事業について安易な形で委託をするということに逆になれば、いわば行政の下請組織をつくることにつながったり、事業の責任の主体が曖昧になってしまってかえって住民自治を後退させることにもなりかねないところもはらんでいると思いますので、その辺をしっかりと対応していただきますように指摘させていただきます。

 時間が参りましたので、最後の質問をさせていただきますが、契約のルールについてですけれども、本改正案では、自治体との契約において随意契約とすることを可能としているわけですが、本来、契約のルールは自治法に基づいて自治体が定めているものでありますが、なぜこのような特例を設けるのか、また、本改正案に基づいて随意契約とするに当たって例えば金額の制限はあるのか、そうした点についてお伺いいたします。

古屋委員長 答弁は簡潔にお願いします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の契約方法は、現行法上、一般競争入札によることが原則とされまして、随意契約はこの例外として位置づけられておるところでございます。

 今般の指定地域共同活動団体制度におきましては、条例で具体的な要件を定めた上で、市町村長が指定し、市町村の事務処理と当該団体の活動を一体的に行うことによりまして、効率的、効果的に地域のサービス提供を行えるようにするものでございます。

 これによりまして、市町村と当該団体との相乗効果が発揮され、効率的、効果的に住民福祉の増進を図る環境の整備に資する、こういうことを目的としておるわけでございます。

 この特例によりまして、例えば、地域の美化清掃活動を行う団体に対して公園の維持管理業務を委託し、一体的に行うことを通じて、より効率的、効果的に地域全体の環境美化活動が促進されることなどが想定されるところでございます。

中司委員 地域の活性化は大きな課題ですので、しっかりと取り組んでいただきますようにお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず冒頭、先ほどの吉川元野党筆頭理事の質疑に関わって私も聞きたいと思います。

 先ほど大臣は、様々な個別法について検討の俎上にのせた上で今回の地方自治法について御提案申し上げていると答弁をされました。ならば、大臣にお伺いするんですが、吉川理事が要求された個別法全てを検討した結果の資料、必ず当委員会に提出すると約束していただけますね。

松本国務大臣 私が法案を作成する過程で担当する部局と議論する中で様々な個別の法令でどのような取扱いとなっておるかという説明を受けたわけでございますので、個別の法令の状況については既に法律として公開をされているものでございますけれども、委員会におけるお取扱いにおいて御議論をいただいたもので、私どもとしても提出できるものについては提出をしていきたいと思っておりますが、私自身が説明を受けた中では、各個別法の概要についてはしっかりと学ばせていただいたということで、先ほどそのように御答弁させていただいたところでございます。

宮本(岳)委員 あなたが説明を受けたものがあることは事実なんでしょうから、それは出していただかなきゃならないと思うんですね。委員会での対応が決まればそれに応えるということですから、委員長、私からも提出を求めておきたいと思います。

古屋委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

宮本(岳)委員 さて、先日の本会議質問でも指摘したように、本法案の最大の問題は、政府が国民の安全に重大な影響を及ぼす事態と判断すれば、国による自治体の自治事務にも及ぶ指示権を新たに導入することにあります。

 法案は第十四章で国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を定めようというものでありますけれども、大規模な災害や感染症の蔓延と並んで、その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合についても、最終的には国が自治体に指示できるとしております。

 一つ目の大規模災害や二つ目の感染症の蔓延はともかく、三つ目のその他というのはどのような事態なのか。これは立法事実に関わることでありますから、あらかじめそれをペーパーで提出せよ、そうでなければ審議に入れない、野党はそう要求いたしましたけれども、与党はそれは質問でただしてくれということでありました。

 改めて聞きますけれども、このその他にはどのような事態が該当するのか、大臣、お答えいただけますか。

松本国務大臣 その前に、先ほどの個別法のお話でございますが、各個別法につきましては、既に公表されている法案の内容の説明等の文書から、それぞれの法律がどのような規定になっているかということを私自身も学ばせていただいたということを申し上げたところでございます。

 その上で、御質問でございますが、大規模な災害、感染症の蔓延その他のその他につきましては、大規模な災害や感染症の蔓延以外のその及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態を指しているところでございます。

 大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす事態の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態につきましては、特定の事態の類型を念頭に置いているものではなく、具体的にどのような事態が該当するかにつきましては、実際に生じた事態の規模や態様等に照らし、その該当性が判断されるものでございます。

 そういった中で、地制調におきましても、個別法において想定されていない事態が生じ得るものであって、これらの事態においても国、地方を通じ的確かつ迅速な対応に万全を期す観点から国と地方の関係に関する地方自治法の規定について所要の見直しを行う必要があるという提言をいただいたところで、この答申に沿って法案を御提案させていただいております。

宮本(岳)委員 今日は、前提を欠くかどうか議論しているんですから、ちょっとすいすいと進むわけにいかないんですよ。

 私が説明を受けたものはこうだったということを今おっしゃったけれども、あなたが説明を受けたものはあるんですね。それは委員会、理事会が求めれば提出できるんですね。

松本国務大臣 国が指示をすることがある法律の内容について私が学んだときは、既にそれぞれ所管の省庁において公表されている法案の概要であり、条文等の資料に基づいて学ばせていただいたということを申し上げたところでございます。

宮本(岳)委員 きちっとそれを全部出してくれればいいんですよ。あなたは全てを一応俎上にのせた上でこれを提案していると言うんですから、全部を俎上にのせたかどうかを私たちは見てみる必要がありますから、出していただきたい。これはもちろん理事会で協議して要求するものですけれども、存在する、確かにその説明を受けたと言うんですから、出していただきたいと思うんですね。前提がちゃんと確認できるかどうかがまさに問われている。今日、野党は本来まだ入れないですよと言ったものを、この場で聞いてくださいと言って、聞いてそこが釈然とせぬのであれば、その先に進めないんですね。

 それは今のその他の類型についてもそうなんですよ。特定の類型に限定することなく、これは先日の本会議でも大臣はまさにそういう答弁を繰り返されました。どのような事態なのかと聞いているのに、特定の類型に限定しない、つまり何でもありということをおっしゃるわけですね。

 大臣、あなたの答弁だからあなたに聞くんですけれども、特例と言うけれども、そもそも特例になっていないと思うんですよ。国語辞典によると、特例の意味は、一つは特別に設けた例外、二つ目は特別の場合に適用される法令、規定とあります。でも、あなたが言う特定の類型に限定しないような特例というものは、どう理解したらいいんですか。

松本国務大臣 冒頭にお話がありました個別の法についても、私が担当の部局で学ばせていただいたのは、私自身の限られた時間の中で幾つかの法律についてということで申し上げたところでございますが、担当の部局において確認をしたものも含めて、また国会の御指示も含めて、私どもとしても真摯に誠実に対応させていただきたいと思います。

 その上で、今御質問をいただいた特例ということでございますが、私どもとしては、大規模な災害、感染症の蔓延その他その及ぼす事態の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態について規定させていただいたものでありまして、この事態についてはきちっと定義をさせていただいているというふうに考えております。

宮本(岳)委員 なかなか進めずに困るんですけれどもね。

 あなたは先ほど吉川理事に対する答弁で、様々な個別法について検討の俎上にのせた上で今回の地方自治法について御提案申し上げている、こうおっしゃったわけですね。だから、あなたが限られた時間でどれだけの法律についての説明を受けたかどうかはともかくとして、総務省は、ちゃんと全部の個別法についてチェックした上で、個別法では対処できないものがあるからといって出してきたはずなんですよ。だから、それが出ないのはおかしいじゃないかと吉川さんも言ったし、私も言っているわけですね。

 だから、今からでもちゃんとそれを全部出させて、そしてそういうものを提出していただきたい、国会の求めに応じてですよ。それは誠実に対応していただけますね。

松本国務大臣 今回の、国と地方の関係に関わる法案でありますので、国と地方との関係について規定した災害対策基本法や感染症法等については既に申し上げたとおりでありますけれども、それ以外の法律についても学ぶべきところについて私も学ばせていただいたわけでありますが、国と地方の関係に関する法律に関して、検討すべきものについては検討して法律を作ったものというふうに私は理解しておりますが、委員がおっしゃるところの全部ということも含めて、どのような形での資料をお求めいただいたか、国会での御指示も踏まえて誠実に対応いたしたいと思います。

宮本(岳)委員 押し問答をしていても始まりませんから、誠実に対応してくださいね。

 それで、その他の類型について、特定の類型に限定しないでは済まないんです。言葉遊びをしているんじゃないんです。日弁連も会長声明で、曖昧な要件の下に国の指示権を一般的に認めることは憲法の地方自治の本旨に照らし極めて問題があると指摘しております。事は、日本国憲法第八章地方自治、そして九十二条、地方自治の本旨をゆがめる大問題になりかねない。

 なぜこんな特定の類型すら明らかにできないようなその他というものを、大臣、入れたんですか。

松本国務大臣 先ほどもその他についてはお話をさせていただいたところでございますので、繰り返し、重複は避けてまいりたいと思いますが、地方制度調査会におきまして、答申の取りまとめに向けた審議の過程では、想定外の事態が起きた際に個別の仕組みで対応できない場合の受皿を用意するという議論になるのではないか、重要なのは取りこぼしを防ぐという観点を持つかではないかなどの御意見もございまして、最終的にお取りまとめをいただいたものと理解し、そのお取りまとめを踏まえてこのような形で提案させていただいているところでございます。

 その上で、地方自治の原則との関係につきましては、これも既にこれまでの御審議で御答弁申し上げてまいりましたように、地方自治法において地方自治の基本原則が定められていると理解をいたしているところでございますが、今回の改正案は、国と地方を通じた的確な対応が国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に対して可能となるように、現行の国と地方の関係を規定する章とは別に新たな章を設け、また、新たに設ける補充的な指示については、地方分権一括法で構築された国と地方の関係の基本原則の下で国が果たすべき役割を踏まえた限定的な要件と適正な手続を定めておりますもので、地方自治法に定める基本原則と整合性が取れたものというふうに考えております。

宮本(岳)委員 本会議でもそういう答弁をされましたけれども、我が党は分権一括法の際も、これは地方分権とは名ばかりの、新たな地方統制法ともいうべきものと批判して反対をいたしました。地方分権一括法は地方分権を掲げておりますけれども、機関委任事務を法定受託事務として事実上温存し、国の指示、代執行などの強力な関与を導入するとともに、自治事務に対しても是正の要求を導入してまいりました。現に、政府が沖縄で県民の民意も地方自治も無視して強権的に名護市辺野古への米軍新基地建設を強行している事実を見れば、地方分権が名ばかりであったことは明瞭だと思うんですね。

 その上で、地制調がそういうことを言っている、これは本会議の答弁でもそうでありました。一つ一つ厳密に議論したいんですね。では、第三十三次地制調の答申のどこに、特定の事態の類型に限定するべきではないと。つまり特定の事態の類型に限定せずに指示権を定めるべきだと、どこに書いてありますか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地方制度調査会の中で議論としてありましたのは、重要なのは取りこぼしを防ぐという観点を持つかであり、それを防ぐためには、類型化できない想像を超えるような非平時を考えるかどうかの問題であって、想定できる範囲で検討するとすればそれは地方制度一般に関することではなくなるのではないかというような意見、それから、個別の仕組みで対応できない場合の受皿を用意していくという議論になるのではないか、こういった御意見を踏まえて今の答申がまとめられているというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)委員 この最終答申を取りまとめた直前に開いた第四回総会というものの中身、議事録を私は今日は資料配付をしておきました。第四回総会で示したものの資料を今日は二つ目につけてあります。資料二で提出をしております。

 これは、様々な議論を山本委員長が取りまとめたときのやり取りをここに書いているんですね。これを受けて最終答申が取りまとめられたということでありますけれども。先ほど来委員の先生方からいただいた言葉を使えばバランス、両立をどう取っていくかと。こういう言葉が出てきましてですね。そこには確かにジレンマがあり、また非常に微妙な問題である、こう述べておられます。

 このバランスとか両立というのは、これは地方自治の本旨と危機対応の両立、バランスのことですよね。山本委員長はそう述べた上で、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態は何か、さらに具体的に書けるかどうかが問題になりますけれども、なかなか難しいところがございますと言い、結論は、そのような悩みを持ってこのような要件を書きました、ということはこれは極めて限られた例外的な事態であると私たちは考えたと述べております。

 しかし、政府が提出した法案は、その他の範囲や内容を限定するどころか、事態の類型を限定せず、政府が事態の規模や態様等に照らして判断すれば何にでも使える、それはおろか、おそれがある場合でも何にでも指示権が使える、こういうものになっている。これは地制調の議論とも違うんじゃないですか、いかがですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地制調では、今御指摘のような御意見があった上で、その要件、手続等について、新型インフル特措法、災害対策基本法等の危機管理法制において国が指示を行う際の要件等を参考として、国の役割が適切に果たされるように設定する必要があるという御指摘がございました。その中では、要件について、その事態が全国規模である場合ですとか全国規模になるおそれがある場合、あるいは局所的であっても被害が甚大であるなどの事態の規模や態様、それから地域の状況その他の当該事態に対する状況を勘案して的確かつ迅速に実施することが必要であると認められるときとすべきであるというふうにしているわけでございます。

 私どもは、この地方制度調査会の答申の御指摘を踏まえまして改正案を作ったところでございます。

宮本(岳)委員 いや、踏まえていないというんですよ。私は、最終答申の直前にやった総会での山本委員長の議事録を御紹介しているんですよ。そんな、何でもオーケーですよなんて議論はやっていないと思うんですね。

 それで、事態対処法についても入るのかということも本会議では議論になりました。大臣は、事態対処法というのは、個別法で対応できるものは個別法ということで、想定されないという答弁をされているんですね。

 大臣にこれは改めて、もう時間が来たと思うので最後の問いになると思いますけれども、事態対処法、私たちはこの法律には断固反対の立場ですけれども、個別法に定めてあれば個別法で対応するなんということは当然のことなんです。しかし、災害対策基本法でも新型インフルエンザ特措法でも、個別法があっても個別法の規定で対応できない場合に今回のこの規定を使うというんですから、当然、事態対処法でも対応し切れない想定外のことが起きた場合には、また、起こり得ると判断すれば、同じように指示ができる、排除されない、これは事実ですね、大臣。

松本国務大臣 個別法で想定されていない事態で、国民の生命等を保護しなければいけないとき、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれのある場合に補充的な指示を出すことを可能としているものでありますけれども……(宮本(岳)委員「端的に」と呼ぶ)はい。対処法で想定される事態について、対処法で対応するものであるものについて、本法案による対応をすることは考えていないというふうに本会議で御答弁申し上げたかというふうに理解しております。

宮本(岳)委員 排除されるんですかと聞いているんです。それを一言答えてくださいよ。排除されるんですか。

松本国務大臣 個別法で対応できるところについては当然個別法で対応するということを申し上げたところでございます。

古屋委員長 申合せの時間が来ております。

宮本(岳)委員 前提を欠きます。全然答弁がまともに出ないじゃないですか。

 こんなまま審議を続けることはできないと申し上げて、今日のところは質問を終わります。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 質問に入らせていただきます。

 七日の日に、本会議におきましても松本大臣に質問させていただきました。引き続き委員会においても質問させていただきます。

 コロナ禍におきましては、デジタル化の遅れを含めて我が国がこれまで抱えてきた様々な課題が明確となったわけでございますけれども、特にその中でも、国と地方公共団体の関係、また役割分担の在り方、連携協力の在り方、そして都道府県と市町村の間など、地方自治体相互の連携等の在り方についても問われ続けたというふうに認識をいたしております。

 今回の改正は、先ほどからの質疑の中でもあっておりますように、第三十三次地方制度調査会の答申に基づくものでございまして、今日、私も、三つ目の柱となっております大規模災害、感染症の蔓延その他の及ぼす事態における国と地方公共団体の関係等の特例の創設、このことを中心に質問させていただきます。

 この法案につきましては、地方議会から慎重な審議を求める意見書が多数採択されております。十分な審議を国会でも行っていかなければいけない大変重要な法案だというふうに認識しておりまして、様々な懸念点について質問をさせていただきたいと思います。

 これからの質問については、本会議でも質問させていただいた内容でございますけれども、大変重要な内容でございますので、再度大臣に質問させていただきます。

 現行法においては、地方自治法で既に規定されております指示権につきましては、国が自治体に委ねる法定受託事務について、問題に対して是正を求める内容であります。その一方で、本改正に規定をされた指示権というのは、自治体の自由度が高い自治事務も対象となっておりまして、特例とはいえ既存ルールからの大きな変更を意味するものだというふうに認識いたしております。

 本会議において松本大臣は、本改正案は国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方の関係について二〇〇〇年の地方分権一括法で構築された国と地方の関係の基本原則にのっとって規定するものであり、地方分権の流れに逆行するものではないと答弁をされました。

 再度、地方分権に逆行するのではないかという懸念に対して、この委員会におきましても松本大臣から明確な御答弁をいただきたいと思います。

松本国務大臣 委員からも大切な御質問をいただいたかというふうに思いますが、本改正案は、今般の答申で、これまでの経験を踏まえると個別法において想定されていない事態が生じること、個別法で想定されていない事態において国民の生命等の保護のための対応に万全を期す観点から所要の見直しを行うことがあると指摘されているところでありまして、まさに国民の皆様を守るためのものであるということの御理解をお願いいたしていきたいと思っております。

 その上で、自治事務でございましても、地方自治法にも国民の生命や身体、財産の保護のために特に必要と認められる場合については指示を設けることもあり得ることが前提となっておりまして、これまでも既に個別法で対応されておりますけれども、災害の応急対応など自治事務であるものについても事態によっては国に果たすべき役割があり、国が責任を持ってその責任を果たすべきであるということで法制度が組み立てられてきている中、このような法案を提案させていただいたところでございます。

 本改正案におきましては、国と地方の関係の基本原則にのっとっておりまして、国民の生命等を保護するため、国と地方を通じた的確、迅速な対応を可能とするものでありまして、地方分権の流れに逆行するものではないということは是非御理解いただけるように私もまた御説明申し上げてまいりたいと思います。

 その上で、自治体の自主性、自立性を高める地方分権改革は着実に進めていく必要があるということもまた申し添えたいと思います。

西岡委員 今、松本大臣の方から、地方自治の基本原則を遵守するという明確な御答弁がありましたので、しっかりこのことは大前提として私も今の御答弁を認識させていただきました。

 続きまして、本改正案に盛り込まれております国の地方自治体への補充的な指示権について、その要件がオールマイティーな緊急事態条項に近い内容になるのではないかという懸念の声が多くございます。様々な国民の人権も含めた、国民の権利に制限をかけるような個別の中身についてはこの特例の対象外であり、制限をかけるものではないという理解でよろしいのかどうか。本改正案に書き込まれてはいないのですけれども、大変重要なことでありますので、明快な松本大臣の御答弁を求めたいと思います。

松本国務大臣 本改正案で御提案申し上げております補充的な指示につきましては、地方公共団体の事務の処理について国民の生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため講ずべき措置に関し必要な指示をすることができるとしておりまして、法文上は当該生命等のとなっていることでありますけれども、あくまで地方公共団体の事務の処理を対象とするものでございます。

 委員御指摘のとおり、国民の権利を制限し義務を課する場合には法律の根拠が必要となるものでございまして、補充的な指示によりまして、自治体に対し法律の根拠のない国民の権利の制限や義務の賦課を指示することはできません。

西岡委員 今大臣の方から、人権や国民の権利に制限をかけるものではないという明快な御答弁をいただきました。

 続きまして、現状では、国の自治体に対する指示権は個別法に規定されている場合にのみ指示することができるものというふうになっておりますけれども、本改正におきまして、個別法に規定されていない事態に対処するための今回の法改正であるということでございます。

 先ほどからの吉川委員の質疑を踏まえて、私も事前に総務省に個別に規定されている国の指示権についてお尋ねをしたところ、大変多くあるので答弁の中ではなかなか答弁するのが難しいこと、そういう御返答がありまして、どれぐらいの法案があるのかという問いにも明確な数字が、お答えがなかったということも踏まえて、また今日の質疑も踏まえて、しっかり一般の個別法についての検証が行われていないのではないかというふうに、私も今日の質疑を聞いておりまして、危機感と申しますか、そういう中でこの法案が出されているのではないかという大変懸念を持ったところでございます。

 私の方からも、明快な資料提出を委員会の方で是非御検討いただくようにお願い申し上げたいというふうに思っております。

 その上で、今回、自然災害、感染症の蔓延という明示をされておりますけれども、この規定がされている個別法につきまして、国の指示権がどのように盛り込まれているかということをお伺いさせていただきます。

山野政府参考人 お答えいたします。

 国による地方公共団体への指示について、災害関係でいいますと、例えば災害対策基本法において、国が同法に基づく災害対策本部を設置した場合に、災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において地方公共団体の長その他の執行機関に対し必要な指示をすることができることとされております。

 また、感染症関係では、例えば新型インフル特措法において、国が政府対策本部を設置した場合に、新型インフルエンザ等の蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、総合調整に基づく所要の措置が実施されない場合であって、新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において都道府県知事等に対し必要な指示をすることができることとされているところでございます。

西岡委員 今、大規模災害、感染症関連の法律についての国の指示権について御説明があったわけでございますけれども、今回の補充的な指示権につきましては個別法で規定されていない事態に対して適用されるものでございまして、例えば事態対処法に規定されております武力攻撃事態や武力攻撃予測事態、存立危機事態も含まれるのかどうか、このことについてお伺いをさせていただきます。

山野政府参考人 お答えいたします。

 補充的な指示は、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置に関し必要な指示をすることができる場合を除き行使できるものであり、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において先ほど答弁申し上げたような個別法による指示ができない場合に限って行使されるものでございます。

 お尋ねの事態対処法で定められている武力攻撃事態等への対応に関しては、想定される事態について法律で必要な規定が設けられており、本改正案に基づく関与を行使することは想定されていないものと承知しております。

西岡委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 閣議決定という手続はあるものの、私も本会議で質問させていただきましたけれども、国会の関与もなく、いわゆる国の判断によって指示権の行使が可能となることでございまして、特例の濫用ですとか恣意的な運用を防ぐこと、これが大変重要であるというふうに考えております。

 そのためには、具体的な指示権行使の要件をやはり明確に示すことが必要であるというふうに考えます。松本大臣からは、特定の事態の類型に限定することなく、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けるとの答弁がございましたけれども、やはりその要件についてはもっと具体性を持って示すべきではないかというふうに思います。このことについて、再度、大臣の見解をお伺いいたします。

松本国務大臣 本会議でも御答弁申し上げたところでございますが、今般の答申で、個別法で想定されていない事態において国民の生命等の保護のための対応に万全を期す観点から所要の見直しを行う必要があると指摘されておられまして、個別法で対応できない、予測できない事態に対してどう対応するのか、事態は多様、複雑であり具体化することは困難ではないかといった議論を重ねながら、限定的な事態に限って適用される特例として明確に区分することを前提に答申の合意に至ったものであるというふうに承知しておりまして、この取りまとめられた答申に沿いまして、本改正では、特定の事態の類型に限定することなく、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態におけるときに限った特例を設けたものというふうに理解いたしているところでございます。

 法文上申し上げれば、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態又はそのおそれがあるということになろうかというふうに思いますが、事態をそのように限定することで、他方で、地制調の議論におきましても、重要なのは取りこぼしを防ぐといった観点ではないかという御指摘も踏まえてこのように法案を提案させていただいたことでございまして、答申にも、個別法において備えるべき事態を適切に想定し、国が果たすべき役割、責任について規定を設けておくことが必要だというふうに御指摘をいただいているところでございますが、個別法では想定されていないけれども国が役割、責任を持って対応する必要がある事態は今後も生じ得ると考え、御提案をさせていただいております。

西岡委員 ただ、国の指示や判断が必ずしも正しくないということにつきましてはコロナ禍の学校の一斉休校等の例からも大変危惧されるところでございますし、現場とかけ離れた要請によって子供たちに大変大きな影響を及ぼしたことを含めて、また、地方の現場にも大変な混乱を生じさせたことも含めまして、今回の法案が国と地方の関係を変質しかねない可能性を持っているということについてもっとやはり謙虚であるべきだというふうに私は考えております。その意味でも、行使の要件というものを一定明確化することは必要だということを重ねて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、非常時に国民の生命、安全を守らなければならない事態になったときに、国が法に基づかない指示や要請を出すことは避けなければいけません。その意味でいうと、法的な根拠が必要であって、対応が可能となる法体系を整備することも私自身は一定理解をいたしております。ただ、その場合であっても、国の指示権による特例はあくまでも特例とされていることであるので、国による補充的な指示は必要最小限度にとどめ、安易に運用されることがないように、しっかりこの運用については歯止めを担保する必要があると考えます。

 これは全国知事会の提言にもある内容でございますけれども、やはり国が指示を決定する前に国と自治体が事前に協議を行う明確な仕組みが必要だと考えます。国と地方自治体の事前協議を法定化すべきであったというふうに思いますけれども、先ほどからの質疑でもあっておりますが、松本大臣の御見解をお伺いして、しっかり明確に法定化して、事前協議を明確にする仕組みが必要だということを重ねて申し上げて、質問をさせていただきます。

松本国務大臣 地方制度調査会の答申におきまして、補充的な指示を行うに当たっては、自治体と十分な情報共有、コミュニケーションが確保されるようにすることについて指摘をいただいておりまして、大変これは私どもとしても大切なことだと考えておりますが、情報共有、コミュニケーションの確保につきまして、状況に応じて十分な協議、調整が行われるべきである、このような御指摘もございました。

 状況に応じてと書かれておりますとおり、事態が多様かつ複雑でございますので、協議の主体を含め、特定の手続を必ず取るようにということは難しいのではないか、このような御議論もございましたので、これを踏まえて、本法案につきましてはこのような形で御提案をさせていただきました。

 また、答申や御議論、そして様々な御提案、御提言もいただいたことを踏まえまして、本改正案では、あらかじめ自治体に対する資料、意見提出の求め等適切な措置を講ずるように努めなければならないことといたしまして、この点については地方六団体とも丁寧に調整を行い、これを踏まえて、配慮がなされたことを評価したいなど、一定の御理解もいただいてきているところでございます。なお、運用の明確化などの御要望もいただいておりまして、引き続き対応はしっかりと丁寧にやっていきたいと思っているところで、是非御理解を頂戴したいと思います。

西岡委員 運用についての要望も寄せられているということでございますので、しっかりこの協議の仕組みというものを明確化するべきだということも含めて、また引き続き御議論をいただきたいというふうに思っております。

 これまで、様々な国と地方公共団体の情報共有、コミュニケーションは大変重要だということは、これは論をまたないところでございますけれども、コロナ禍におきましてもリエゾン派遣ですとか、あと、二〇二一年の七月から総務省として一対一で自治体としっかり連携する体制を取っていただいております。この一対一の連絡体制、これはしっかり引き続き、この体制は大変重要な体制だと思っておりますので、リエゾン派遣や一対一の体制についても引き続き、このことも明確に、法定化を含めて体制を確立していただくことをお願い申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十一日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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