衆議院

メインへスキップ



第21号 令和6年5月23日(木曜日)

会議録本文へ
令和六年五月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君

   理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君

   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      井原  巧君    上田 英俊君

      尾身 朝子君    金子 俊平君

      金子 恭之君    金子 容三君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      坂井  学君    田畑 裕明君

      寺田  稔君    中川 貴元君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      根本 幸典君    葉梨 康弘君

      長谷川淳二君    古川 直季君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      山口  晋君    山本 左近君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      奥野総一郎君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    道下 大樹君

      阿部  司君    中嶋 秀樹君

      吉田とも代君    平林  晃君

      宮本 岳志君    西岡 秀子君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        馬場 成志君

   総務大臣政務官      西田 昭二君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  孝之君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   佐々木昌弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         西村  拓君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 大沼 俊之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 米山 栄一君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     金子 容三君

  西野 太亮君     山口  晋君

  鳩山 二郎君     柳本  顕君

  古川 直季君     上田 英俊君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     古川 直季君

  金子 容三君     金子 俊平君

  柳本  顕君     山本 左近君

  山口  晋君     西野 太亮君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     石田 真敏君

  山本 左近君     鳩山 二郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官室田幸靖さん、デジタル庁審議官阿部知明さん、総務省大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、自治行政局長山野謙さん、自治行政局公務員部長小池信之さん、自治税務局長池田達雄さん、文部科学省大臣官房審議官森孝之さん、厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長佐々木昌弘さん、国土交通省大臣官房技術参事官西村拓さん、国土交通省航空局次長大沼俊之さん及び防衛省大臣官房審議官米山栄一さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田昭夫さん。

福田(昭)委員 おはようございます。立憲民主党の福田昭夫でございます。

 今日は、地方分権に逆行するような地方自治法の改正について政府の考えをただしてまいりますので、是非、松本大臣を始め答弁者は簡潔にお答えください。

 まず一つ目は、評価してもいいんじゃないかというような問題から始めたいと思います。一番目の、地域の多様な主体の連携及び協働の推進についてであります。

 一つ目は、市町村と地域の多様な主体の協力に関する規定の創設についてであります。市町村は、国に言われなくても、地域の多様な主体、自治会や町内会、企業、NPO法人等と常に連携、協働して実は地域活動を既にやっております。そんな中で、第三十三次地方制度調査会で議論されたものではないのに今回法律に規定して創設する理由は何なのかということ。二つ目の指定地域共同活動団体制度についての第一点ですね、指定地域共同活動団体制度の創設をする。各市町村において既に条例を定めて独自の取組をしているところもありますけれども、指定地域共同活動団体の制度を創設することについて、併せてその理由を是非お答えください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 人口減少、少子高齢化等に伴い、地域社会が様々な資源制約に直面するなど、ますます厳しい状況となる中においても、人手不足や複雑化する地域課題に対応し、より一層快適で安心な暮らしを営むことができるようにすることが必要でございます。

 こうした観点から、三十三次の地方制度調査会の答申では、コミュニティー組織やNPO等の地域の多様な主体が緊密に連携、協働を図りつつそれぞれの強みを生かした活動を行っていく環境を整備していくことにより、新たな時代に即した住民本位の地方自治の姿を目指していかなければならないと提言されているところでございます。こうした提言を踏まえまして、市町村は事務処理に当たって地域の多様な主体と協力して住民の福祉の増進を効率的かつ効果的に図る趣旨を明確化する理念規定、これは改正法案の第二百六十条の四十九でございますけれども、これを置くこととしておるところでございます。

 その上で、今般新たに創設する指定地域共同活動団体制度につきましては、地域の多様な主体が連携、協働し、地域における生活サービスの提供や課題解決の担い手としてより一層活躍できる環境を整備するため、市町村による支援や調整に加えて、一定の場合に庁舎の貸付け、市町村の関連事務委託を行いやすくする特例を設けることとしておるところでございます。

 地域の実情に応じて本制度を活用することにより、住民がより一層快適で安心な暮らしを営むために必要な環境の整備に資するよう努めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 確かに、今どんどん人口が減っていく中で、学校は統廃合されたり、それから子供の数もどんどん減っていくというようなことで、地域に住んでいる人たちが少なくなっていきますから、自治会などが幾つか連携してやる、そういう環境はできてきているのかなと思っております。

 第二点、指定地域共同活動団体制度の要件、どんな要件があればしっかり指定されるのかということ、それから第三点目の、市町村による指定地域共同団体への支援等はどんなことが考えられるのか。この二点、併せてお答えください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 まず、指定地域共同活動団体の指定の要件でございます。

 制度上、指定の対象は、地域的な共同活動を行う団体のうち、区域の住民等を主たる構成員とする団体である必要がございます。

 その上で、指定の要件としては、まず、良好な地域社会の維持及び形成とともに住民が日常生活を営むために必要な環境の持続的な確保に資する活動として条例で定める特定地域共同活動を、地域の多様な主体との連携等により効率的、効果的に行うと認められること、これが一点目でございます。二点目としましては、民主的で透明性の高い適正な運営を確保するために必要なものとして条例で定める要件を備えること、三点目としまして、目的、名称、主として活動を行う区域等総務省令で定める事項を内容とする定款等を定めていること、四つ目として、このほか条例で定める要件を備えること、これが必要になってまいります。

 次に、指定地域共同活動団体への支援や調整の内容でございます。

 指定を受けた効果としまして、市町村と団体が協力して効率的、効果的に活動を行えるよう、市町村が支援や調整を行うこととしております。

 具体的な市町村からの支援としましては、活動資金の助成、情報提供、研修、他団体との交流機会の提供などが想定されるところでございます。

 また、市町村による調整でございますが、指定地域共同活動団体が他の地域的な共同活動を行う団体と連携することで効率的、効果的に活動を行うことが期待できるような場合、市町村が、他の団体との間の連携や連絡、協力をし合うことなど必要な調整を行うことが想定されます。

 地域の実情に応じまして、市町村の創意工夫によりまして指定地域共同活動団体の取組を支援しまして必要な調整を行うことで、地域課題の解決に資する取組がより一層活発化する環境の整備に資するものと考えているところでございます。

福田(昭)委員 是非そうあってほしいと思っておりますけれども。

 そんな中で、特例で随意契約による事務委託あるいは行政財産の貸付けが行われるというようなことになりますが、しかし、現行法でも行政財産の貸付けができるようなことになっております。これを特例で規定する意味ですね。

 それから、私は、先ほどもちょっと申し上げましたが、市町村合併でそれぞれの庁舎の跡が残っていたり、あるいは学校が廃校になって残っていたり、特に学校などは財産価値の高いものが非常に多いと思っているんですが、これも学校として廃校になってしまえば普通財産になってしまいます。したがって、行政財産だけではなくて普通財産も貸し付けるような特例をつくった方がいいんじゃないかなというふうに思っております。それが駄目だという場合には市の条例で決めなくちゃなりませんので、市の条例で例えばその地域の学区内のコミュニティーセンターみたいな形で行政財産としてもらって、それを地域活性化の拠点にしていくということも一つ考えられるんじゃないかなと思っております。

 この辺、普通財産が抜けているのはどうしてなのかお答えいただければと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 二点お尋ねがございました。

 まず、特例を設ける趣旨でございます。

 地方公共団体の随意契約、これは現行法上一般競争入札の例外でございまして、政令で定める一定の場合に限って認められております。

 また、行政財産の貸付けでございますが、現行では、その用途や目的を妨げない範囲で一定の場合に限り可能となってございます。

 しかしながら、今般の指定地域共同活動団体制度においては、地域住民の生活サービスの提供に資する活動を行う団体を条例で具体的な要件を定めた上で市町村が指定し、市町村の事務処理と当該団体の活動を一体的に行うことにより効率的、効果的に地域のサービス提供を行えるようにするというものでございます。

 この趣旨を踏まえまして、市町村と当該団体の活動との相乗効果によりまして効率的、効果的に住民福祉の増進を図る環境の整備に資する場合には、随契による事務委託ですとか行政財産の貸付けを可能とする特例を設けることとしておるところでございます。

 二点目の普通財産の利活用ということでございます。廃止後の施設について、コミュニティーセンターにしてはどうかというような御指摘もございましたが。

 廃校後の学校施設のように行政の用に供していない普通財産でございますが、地方自治法では行政財産のように貸付け等に制限が設けられていないことから、各自治体の条例に基づき地域の実情に応じて貸付けを行うことは可能でございまして、今回の制度改正においてもその取扱いは変わらないものと考えております。

 いずれにしましても、今回の制度改正によりまして、地域の多様な主体による活動が一層活性化されて、住民が日常生活を営むために必要な環境の整備に資するものと考えているところでございます。

福田(昭)委員 では、ちょっと確認ですけれども、もし普通財産を市町村が条例で決めて指定地域共同活動団体に貸し付けるということになったときには支援等が受けられると考えてもいいんでしょうか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、普通財産については貸付け等に制限が設けられていないことから、指定地域共同活動団体もそうですし、その他の団体もそうでございますけれども、条例の定めによって貸付けを行うことは可能であるというふうに考えております。

福田(昭)委員 済みません、局長、支援が受けられるのかどうかという話なので、その辺を簡単に、受けられるか、受けられないかぐらいの、それだけ答えてください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 市町村の条例で定めて支援するということであれば、支援を受けられるということになると思います。

福田(昭)委員 分かりました。ありがとうございました。

 次に、二番目の、DXの進展を踏まえた対応についてお聞きいたします。一つ目は、地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化の進捗状況と、コストカット三割の実現性について。これも簡潔にお答えください。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体情報システム標準化基本方針では、標準準拠システムへの移行期限につきまして原則二〇二五年度とした上で、移行の困難度が極めて高いと考えられるシステムについては、状況を十分把握した上で適切な移行期限を設定することとしてございます。

 三月に公表いたしました、移行困難システムに該当する見込みのシステムを有する自治体は百七十一自治体、一〇%、システム数では七百二システム、全体の二%でございまして、これらのシステムの移行期限については自治体の状況を十分把握した上で設定したいと考えてございます。

 なお、その後も事業者から、制度改正に対応するための現行システムの開発作業等に当初の想定よりもリソースを割く必要があり、標準準拠システムの開発、移行作業に影響を及ぼしかねないという懸念の声もいただいてございます。自治体や事業者の状況につきまして、引き続き丁寧かつ具体的に確認を行いたいと考えてございます。

 また、経費についてお尋ねがございました。

 自治体の情報システムをガバメントクラウドへ移行した後の運用経費等の削減効果につきましては、自治体の規模でございますとか現行システムの運用形態の違いによって様々であると想定してございます。例えば複数団体でクラウド上のシステムを共同利用するなど既にコスト削減を進めている場合は、単に標準化対応のみを行ってガバメントクラウドへ移行するだけではコスト削減効果を見込みにくい場合も考えられると思ってございます。

 デジタル庁としましては、クラウド利用料の大口割引や長期継続割引の提供、システムのクラウド最適化支援、要請があった団体への見積り精査支援などの取組を通じまして、ガバメントクラウド移行後の情報システムの運用経費等の削減ができるよう、最大限支援を行ってまいります。

福田(昭)委員 私も市長、知事として行政のデジタル化というのを進めてきましたけれども、しかしそれで一つも経費は削減されなかった、逆に増えてきたというのが私の実際の経験でありまして、ですから、今回の統一、標準化システムではコストカットというのをうたい文句にいたしましたけれども、ちょっと実現は不可能だと思います。その代わりにサービスは多分向上するんだと思いますが。ですから、そこのことをやはりしっかり説明する必要があるんじゃないかなと思っています。

 二つ目ですけれども、地方税共同機構の役割と地方自治体での活用状況について。これも簡潔にちょっと教えてください。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方税共同機構でございますが、eLTAX、これは地方税務手続のデジタル化の基盤として整備されまして、全ての地方団体が接続しているものでございますが、このeLTAXの管理運営などを担う地方共同法人であります。

 活用状況でございますけれども、eLTAXを通じた地方税の電子申告、電子納付は年々利用が増加してきておりまして、電子申告については、例えば法人二税におけるeLTAXの利用率は八割を超えているような状況でございますし、また電子納付につきましては、令和五年度のeLTAXの利用件数は地方税統一QRコードを用いた仕組みの導入によりまして約八千二百万件と、前年度の六・七倍となっております。

福田(昭)委員 三つ目でありますが、地方公共団体の公金の収納事務のデジタル化についてであります。第一点と第二点、併せてお答えいただきたいと思っています。

 地方自治体の二十の基幹業務のうち、共通の取扱いとする公金の対象はどれなのか。資料の一を御覧いただいて、ここに二十の基幹業務が載っておりますから、これで、どれとどれとどれだというふうにお答えいただきたいと思っています。

 それから、第二点、地方税共同機構が地方公共団体の公金も取り扱うということになると地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化と重なる部分が出てくると考えられますが、二つのシステムをどのように調整するのか。これも簡潔にお答えください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 まず、標準化の対象について、公金の対象はどれなのかということでございますけれども、eLTAXを活用しました公金納付でございますけれども、普通会計に属する全ての公金……(福田(昭)委員「ここに二十の基幹業務が書いてあるから、その中からどれとどれとどれと言ってくれればいいです」と呼ぶ)はい。

 標準化法に基づく標準化対象事務に係る公金で、全国的に共通の取扱いとしている公金でございますけれども、まず国民健康保険料、介護保険料、それから後期高齢者医療保険料でございます。

 それから、二点目の、重なる部分があって調整が必要ではないかというところでございますけれども、今申しました三つ、国民健康保険料、介護保険料、それから後期高齢者医療保険料については、標準化の取組の中でeLTAXの活用についても適切に位置づけることが有効であるというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 簡潔に答えてくれればそれでオーケーです。

 将来これがどうなるか、私は公金の取扱いをもっと増やしてもいいと思っているんですけれどもね、実際は。ここに児童手当とか児童扶養手当だとかいろいろありますけれども、これを全部eLTAXにしちゃってもいいんじゃないかな、そういう思いがあります。これからよく検討してみてください。

 それでは、いよいよ、一番大きな問題であります国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応についてであります。一つ目は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態はいかなる事態かということで、是非総務大臣の考えをお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 御指摘の、地方自治法の改正案に盛り込ませていただいています補充的な指示の行使は、災害対策基本法や新型インフル特措法などを参考に、国が事態の規模、態様等を勘案して特に必要があると認めるときに、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために講ずべき措置に関し、個別法に基づく指示ができない場合に限ってのものでありまして、これは目的達成のために必要最小限の範囲で行使されるものとしております。

 どのような事態が該当するのかは、特定の事態の類型を念頭に置いているものではなく、実際に生じた事態の規模や態様等に照らしその該当性が判断されるものですが、災害対策基本法、新型インフル特措法などにおいて国が役割を果たすこととされている事態に比肩する程度の被害が生じる事態を想定しております。

 法案が成立した際には、その施行に当たって、災害対策基本法や新型インフル特措法と同等の必要性等が求められるものであるという解釈について、各府省への周知を徹底してまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 総務大臣としてはそういう答えしかできないんだと思いますけれども、私は、事態対処法に規定される武力攻撃事態や武力攻撃予測事態あるいは存立危機事態以外に考えられないのではないかというふうに想像しております。

 二つ目の、資料及び意見の提出の要求は法律で規定しなければできないことなのか、これは省略いたしますが、別に法律で決めなくても、全ての地方自治体は、大規模災害やパンデミックなどがあればそれこそ一致団結してみんなで頑張るというのが地方自治体の皆さんの考えだと思いますよ。ですから、法律で決めなくても、資料及び意見の提出なんて要求しなくても、ちゃんと出してくれると思います。

 三つ目、国の地方公共団体に対する補充的な指示として、地方制度調査会ではダイヤモンド・プリンセス号対応が議論されたとのことでありますが、パンデミックの対応については、内閣感染症危機管理統括庁が進めている新型インフルエンザ等対策行動計画を今改定中でありますが、改定する中で国と地方公共団体の役割分担と連携が決められることになっているので、別に地方自治法で決める必要は全くないのではないかと思っております。

 資料の二を御覧ください。こちらの方に、しっかり検討されていることがよく分かるようになっております。特に、横断的な五つの視点ということで、五つありますけれども、二つ目に、国と地方公共団体との連携ということで、しっかり連携をして、ダイヤモンド・プリンセス号のようなことがないようにしっかり考えているということであります。したがって、これも答えは要らないですけれども、こういうことでありますので、全く総務省が心配する話ではありません。

 四つ目、大規模災害も感染症対策も個別法があるのに、生命等の保護の措置に関する指示をあえて地方自治法に規定する理由は何かということであります。同時に、二〇〇〇年の地方分権の趣旨に反するのではないかということですね。これについての総務大臣のお答えをいただきたいと思います。

松本国務大臣 地制調の答申でも指摘されているところでございますが、過去の災害や感染症の対応を踏まえ、個別法の見直しが重ねられております。

 今委員がお取り上げいただいたダイヤモンド・プリンセス号対応も、このときには、国と地方の関係も含めて様々な課題があるということで、この事態について検証するなどを行って個別法の改正も行われましたし、また、今、対応についての行動計画も改定されようとしておりますので、同じ事態が発生した場合についてはしっかりと対応できるように進めていると思っております。

 他方で、ダイヤモンド・プリンセスなどコロナ対応の経験を踏まえると、これからも、個別法において想定されていない事態が生じ得ることに備えていく必要があると考えているところであります。

 補充的な指示は、現時点で想定し難い、国民の生命等を守るために必要な措置であって、かつ、個別法に規定がない場合に限って、限定的な要件、適正な手続の下、自治体と情報共有、コミュニケーションを図った上で慎重に発動されるものであります。地方分権一括法で構築された関与の法定主義、関与の基本原則等の国と地方の関係の基本原則の下で特例を規定するもので、地方分権一括法の趣旨に即したものと考えております。

 個別法が想定していない場面では、本来国の責任において指示すべきものも助言等として行わざるを得ず、この結果、法律上は自治体の責任において実施せざるを得ないこととなり、国、地方間の責任の所在が不明確になります。

 本改正は、国民の生命等の保護を的確、迅速に行うため、国の地方への働きかけについての法律上のルールを整備するものでございます。国が果たすべき責任を明確化する意義があるものと考えております。

福田(昭)委員 大臣、国民の生命等の保護をする役割というのを果たすのは第一義的にはどこですか、地方自治体ですか、国ですか。基本的に、国民、市民の生命等を保護する役割を果たすのは第一義的には地方自治体ですか、国ですか、どちらですか。

松本国務大臣 国と地方はそれぞれ役割が与えられておりまして、いずれも国民の生命等を保護するための役割を、それぞれの役割に従って対応しなければなりませんが、あわせて、委員に申し上げるまでもありませんが、国と地方との連携が大切な場面というのも多々出てくる中で、先ほども申しましたように、国が果たすべき役割がある場合において、国が責任を持って対応するために国の責任を明確化する意義があると考えて法案を御提案申し上げているような次第でございます。

福田(昭)委員 確かに、おっしゃるとおり、地方自治体と国が連携して国民の生命等の保護を図るわけでありますが、しかし、何も国が指示をしなくたって地方自治体の首長たち、議会は頑張りますよ。ですから、そういう意味で、生命等の保護の措置に関する指示をあえて地方自治法に規定する理由がないんじゃないでしょうか。それこそ先ほど一番目の質問で申し上げたように、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態はいかなる事態か総務大臣は想定していないんでしょう、今のところ。そういうことは、全く立法事実がない、こういう話でありまして。

 今、地方分権も、資料の三を御覧いただきたいと思いますが、日本弁護士連合会が地方自治法改正案に反対する会長声明だとかを出したときに対する整理をしてくれた一覧表であります。これを御覧になるとよく分かりますように、今まで国の事務を機関委任事務として地方自治体に頼んでいた仕事を、分権一括法で自治事務と法定受託事務に区分したわけですね。このとき、経済界の代表でありましたけれども、諸井虔先生がそれこそ苦労しながらやっとでき上がった自治事務、法定受託事務の区分けなんですね。

 この区分けの中で、自治事務については、ここにも書いてありますように、関与の基本原則というのがちゃんとあるじゃないですか。ここに、是正の勧告だとか、資料の提出の要求だとか、協議だとか。その中で、米印がありますように、その他個別法に基づく関与については同意、許可、認可、承認、指示、代執行、その他の関与については一定の場合に限定、できる限り設けない。法定受託事務についても関与の基本類型があって、それこそ法令等に違反すれば指示、是正の指示ができることになっておりますが、しかし、下の米印にあるように、その他個別法に基づく関与はできる限り設けない、こう書いてあります。さらに、下の米印のところに、下線部は地方自治法に一般的な根拠規定が置かれている関与だ、このように説明があります。

 これを見ればよく分かるように、わざわざ国が、想定する事態がないのに想定外のことに備えてということで、指示する権限を持つということは、まさに地方分権の流れに逆行する話で、日本をまた中央集権国家にするのか、こういうことにもつながりかねない話だと思っております。

 時間の関係でその先に行きますけれども、五つ目ですね。五つ目は、政府は二〇二二年末に策定した国家安全保障戦略で有事に備えて空港や港湾を整備する方針を決めましたが、今回指定した十六の空港、港湾をいつまでに整備するのかという話でございます。お答えをいただきたいと思います。

室田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、国家安全保障戦略に基づきまして、総合的な防衛体制の強化の一環といたしまして公共インフラのスキームを整備してまいっております。

 本年の四月一日付をもちまして、初めて五つの空港及び十一の港湾を特定利用空港、港湾というふうに指定させていただきました。これらの空港、港湾につきましては、引き続き、民生利用というものを主といたしまして、それに加えまして自衛隊、海上保安庁の円滑な利用に資するような形で必要な整備あるいは既存事業の促進を図っていく、こういうものでございます。

 今、期限につきましての御質問をいただきましたけれども、こういうような事情でございますので、それぞれの整備あるいは既存事業の促進というのは、それぞれの空港、港湾の事情に基づいて個別に行われております。したがって、この取組全体として統一的な期限というのが設けられているところではございません。

福田(昭)委員 平時は自衛隊や海保が利用するんでしょうけれども、しかし、いざというときには、有事があったときにはこれを自衛隊や海保が十分使えるようにするための整備をしているんじゃないですか。

 今、期限は決められていませんということでありましたが、しかし、皆さんからいただいた資料を見ると、資料の中に実は令和六年度、今年度の予算が書いてあります。令和六年度の総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備についてということで空港と港湾が書いてありますけれども、しかし、これを見ると、ほぼ計画どおり予算がついています。ですから、これは多分今年度中に、この十六か所については今年度中に整備が終わるんじゃないですか。

 あと、まだもう少し指定したい場所があるようです、沖縄とかですね。それについてはこの計画に入っておりませんから、これからということになるんだと思いますけれども。

 しかも、さらに、これについては防衛力整備計画四十三兆円の外枠だというんですね。外枠で公共事業として整備するのがこの十六の空港、港湾だということでありますから、まさに、平時はもちろん自衛隊や海保が使えるようにということなんでしょうけれども、いざというときには、これをしっかり有事のときには使うんだという意思の下に整備を進めているということなんじゃないでしょうか。

 次に行きますけれども、六つ目ですけれども、集団的自衛権行使の容認、敵基地攻撃能力の保有、特定空港、港湾の整備、地方公共団体に対する国民の生命等の保護を的確かつ迅速に実施するため講ずべき措置に関する指示も全て閣議決定で実施できるんですよね。国会の事前承認も事後承認も必要ない、しかも法律の規定もないということになると、全て閣議決定で実施できるわけでありますから、いつでも戦争できる体制ができ上がると私は考えております。したがって、これまで大臣は今回の地方自治法改正案の質疑に対し、特定の事態の類型を念頭に置いているものではないということの趣旨で答弁を続けておりますが、実質的に憲法九条を改正したと同じことになるのではないですか。そういうふうに私は受け止めておりますけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 実質的な九条の改正という御質問の御趣旨をどのように受け止めるかということでございますが、事態対処法の関係で申し上げますと、事態対処法等で定められている武力攻撃事態等への対応については、法律で必要な規定が設けられておりまして、本改正案に基づく関与を行使することは想定されていないものと承知しております。

 補充的な指示は、国民の生命等を守るため、限定的な要件、適正な手続の下で、自治体と情報共有、コミュニケーションを図った上で慎重に発動されるものであり、地方分権一括法で構築された国と地方の関係等の基本原則の下で必要な特例を定めるものでございまして、私どもはもちろん、現行の憲法の範囲内で法制度を整えているものというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 もしそういう考えであるならば、何もこの指示について閣議決定でやっちゃう必要はないんじゃないでしょうか。

 それこそ大臣も御存じのとおり、国と地方の協議の場というのもあるんですよね。しかし、最近は形式的でほとんど実質的な審議はなされていないという話でありますが、幾らでもその時間はあると思いますし、ましてや今それこそデジタル化を進めているじゃないですか、ウェブ会議だってできちゃうじゃないですか、緊急的に。ですから、何もこんなことを、別に指示権がなくても、国との協議の場でしっかり事前協議をして判断するということも今の時代は幾らでもできると思いますよ。いかがですか。

松本国務大臣 平素から国において地方公共団体との連絡調整役を担う総務省としてはしっかりその役割を果たしていきたいと思いますし、委員がおっしゃったように、様々なツールが更に整備されてきた中での活用も大変重要だというふうに思っております。

 先ほど法案の趣旨等を各府省に周知すると御答弁でも申し上げてきておりますように、補充的な指示は個別法で想定されていない事態が生じ得ることに備えて用意をされたものでありまして、各府省における判断とも関わるものですから、政府としてしっかりと対応するということで、閣議による決定を置いたものというふうに理解いたしております。

福田(昭)委員 非常に残念ですけれどもね。

 元総理、麻生太郎さんが、憲法改正はナチスのように国民の分からないようにやればいいんだといった、とんでもない発言がありますけれども、まさに一連の閣議決定でやってしまうというのはそのとおりじゃないかなということを私は考えております。大変なことですけれども、私は絶対に戦争はやっては駄目だと思っております。太平洋戦争に負けて戦争の悲惨さはよく知っているし、どんどん忘れている人も新しく生まれてきた人もおりますけれども、やはり駄目だと思っています。

 なぜなら、世界広しといえども、世界平和に貢献できるのはこの国、多神教の国日本しかないんです。なぜなら、多神教の国で日本ほどの経済力を持っている国はありません。経済力ですね。今は残念ながら、余りにもアベノミクスの異次元の金融緩和がでか過ぎて、日本のGDPは世界四番目になっちゃいましたけれども。

 しかし、過度な円安政策を是正すればまだまだ日本の実力はしっかりできてくると思いますし、そういう意味では世界平和をちゃんと維持しようということを考えて、戦争は起こさない、そのために、やはり外交戦略しかありませんので、誠意と知恵を持って平和を貫く、そういうことを国としてしっかり決めるべきだということを提案して、私の質問を終わります。

 以上です。

古屋委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。

 今ほどの福田委員のやり取りを伺っておりまして、私からも同じような視点でお話をさせていただきます。構成上、先に指定地域共同活動団体と公金収納のデジタル化のところを質問させてください。

 福田委員からもありましたとおり、指定地域共同活動団体、既に各自治体では独自に協力関係を持ちながらというところを行っております。昨今問題になっているのが、地縁団体あるいはNPOが市町村にとって使い勝手のいい下請にさせられているんじゃないか、そういう課題が見受けられます。改めて、今回、法律に明記をする以上、行政の下請化を助長することとか自主性、自立性が阻害されることはあってはなりません。また、団体にとって、活動団体に指定をされることによって過度な事務負担や手続が煩雑にならない制度設計にするべきだと思います。是非、今回の法律によってちゃんと対等なパートナーなんだという位置づけをしていただきたいと思います。

 そして、書類の関係とかを含めてこれによって、先ほど定款という答弁があったのでちょっとびっくりしているんですが、地縁団体では定款はなくて会則、規則ぐらいしかないものだと思いますので煩雑にならないように、この点を確認させていただければと思います。総務省、お答えください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 本改正は、生活サービスの提供に資する活動を地域の多様な主体と連携して行う団体を指定地域共同活動団体として指定し、その活動を支援する制度ということでございます。制度の運用に当たっては、御指摘のように、指定される団体の自主性を最大限尊重するということが中心になっていくというふうに考えておるところでございます。また制度設計も、そのように考えて制度設計をさせていただいたところでございます。

 具体的に申しますと、まず、制度の導入は市町村の判断によるものでございます。団体の指定要件ですとかあるいは活動内容につきましても地域の実情に応じて市町村の条例で定めることとしておりますし、指定はあくまで団体からの申請に基づき行うものということとしておるところでございます。

 一方で、指定地域共同活動団体は、市町村による支援や調整を受けることや随意契約等の特例が適用されますことから、団体の適正な運営が求められるところでございます。この場合でありましても、市町村の関与につきましては、団体の活動状況ですとか団体に対する支援の状況の公表、あるいは市町村による報告徴収、措置命令の規定などを設けておりますけれども、必要最小限のものにするということにしておるところでございます。

 こうした自主性、自立性を担保する仕組みにより下請化されることを防ぐということと当該団体の過度な負担にならないように制度上は配慮しておりますが、運用においてもその点を留意する必要があるというふうに考えておるところでございます。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 是非総務大臣にも、お答えは求めませんけれども、法律で位置づけるということは、NPOですとかあるいは地縁団体は自治体の町づくりを一緒に行っていただいている貴重なパートナーなんだ、対等なんだ、こういう認識を持って法律上も明記されるんだ、そういう思いで取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、三番目の公金収納事務のデジタル化について伺いたいと思います。

 先ほどもeLTAXの活用のお話がありました。今回、地方税や税金のほかにいわゆる公金も含まれるということが明記されております。この公金にいわゆる学校で保護者が負担している学校給食費も含まれる可能性がありということで、ある意味学校の職員の負担を軽減していく、そういう意味で期待をしたいと思っていますが、そもそも給食費公会計化は文科省で進めていると思っています、これの進捗状況はどうなっていますか。お答えください。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校給食費の徴収、管理を公会計で取り扱っている自治体は、令和四年度時点の調査によりますと七百十四自治体、全体の四七・八%という状況になってございます。

岡本(あ)委員 もう一点、文科省にお聞きをしたいと思います。

 まだ四七・八、これからやるよという意思表示をしているところも含めての四七・八だと思います。公会計にした場合は徴収は市町村が、学校を経由している場合もありますけれども、市町村が責任を持って行う位置づけになっています。一方で、公会計にのっていない扱いですといまだに保護者の方からの徴収が学校の職員に負担を強いている、そういう事例もまだまだ見受けられます。

 同じ給食費の徴収なのに自治体によって不公平感があるということもやはり問題だと思いますので、公会計化の進捗を更に進めていく、その覚悟を伺いたいですし、私はそもそも学校給食を無償化するようにと求めています。無償化が実現すれば徴収する負担もございません。六月には調査結果が出るというのが過去にずっと答弁がなされていますので、今いつ出ますかと言ってもなかなか日にちは出ないと思いますが、来月、更に注視をしていきたいと思います。

 まず、文科省には、公会計化を更に促進して、自治体間で給食費の負担の取扱いにばらつきがある、これは早期に是正をしていただきたいと思います。もう一度お答えください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食費の徴収、管理の公会計化につきましては、ただいま御指摘がございました職員負担の軽減また透明性の確保という観点からも公会計により取り扱うべきものであるというふうに考えてございます。

 この点に関しまして、令和五年八月に学校給食費の徴収、管理に係る公会計化を促す通知を発出いたしまして、都道府県に公会計化について改めて依頼をしているところでございまして、文科省といたしましては引き続き学校給食費の公会計化を推進してまいりたい、このように考えているところでございます。

岡本(あ)委員 是非取組を進めていただきたいと思います。

 今回、デジタル化に伴って、QRコードを活用した公金の収納というところが進められることになります。実際、公金に限らず、QRコードを利用したコード決済が急速に普及しております。自動車部品メーカーの株式会社デンソーが発明した、世界に通用する本当に画期的な技術だと思っています。今や、目にしない日はないくらい生活になじんだこのQRコード。

 ただ、簡易で使い勝手がよいがために不正サイトに誘導され詐欺に遭うなど、トラブルも増加をしております。金融機関等を通さないため、自己責任になってしまうリスクもあります。是非、公金収納でQRコードを促進していく上では、不正利用を徹底して防ぐ手だて、これも一緒に取り組んでいただきたいと思います。総務省、お答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方税統一QRコードの偽造防止についてでございますけれども、このQRコードは、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が定めておりますコード決済に関する統一技術仕様ガイドラインに基づいて作成をしております。その際、納付金額、納付先の地方団体を特定する番号など、納付に直接必要となるデータと併せまして、当該データの正当性を検証するための検査数字、専門的な用語でチェックデジットと呼ばれるものですけれども、これをQRコード内に格納することでQRコードの偽造を防ぐ仕組みとなっております。

 また、フィッシング詐欺の防止でございますけれども、地方税共同機構においては、eL―QRの読み取りを通じて納付を行うことができる地方税お支払サイト、こういうサイトがあるわけですけれども、その運用に当たりまして、URLでありますとかドメインのモニタリングを行う、成り済ましサイトの監視を行っているところでございます。

岡本(あ)委員 私も、デジタル化の促進は進めるべきだと思っています。ただ、巻き込まれるトラブルはとにかく少なくして信頼を高めていく、これが特に行政サービスにとっては必須だと思いますので、是非この取組はしっかり進めて、不正につながるようなことに対する防止対策を徹底していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、通告の最初に戻りまして、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係等の特例に関する件について伺わせていただきたいと思います。

 先ほどの福田委員の質疑を伺っていても、あるいは先日の参考人の御意見を伺っていても、私は、国の補充的な指示について、地方自治法に位置づけること自体が地方自治法の本旨からするとなじまないのではないかと思います。前回参考人からの御意見で指摘がありましたように、限定された場合とはいえ権力的関与を地方自治法に記載して認めるということは、基本的な考え方を変更することになると思います。この間、国と地方自治体は対等、協力関係と分権を進めてきた趣旨からしても、やはり地方自治法の本旨に対して大きく変更することになってしまうのではないかと思います。この点、総務大臣、お答えいただきたいと思います。

松本国務大臣 補充的な指示につきましては、個別法で想定していない事態が生じることはあり得るということで、これに備える必要があるとの考えから改正案を提案しているわけでありますが、地方分権一括法で構築された国と地方の関係の基本原則にのっとって規定をするものでございまして、地方自治法の基本的な考え方を変えるものではないと申し上げたいと思います。

 地方自治法は、地方自治の本旨に基づいて国と自治体間の基本的関係を確立することを目的とする法律であり、関与の法定主義、関与の基本原則のほか一定のものについて、関与の一般的な根拠規定を設けております。

 本改正案は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方の関係の特例として、このような事態における関与の一般的な根拠規定を設けるものでございまして、このため地方自治法に規定することが適当であると考えているところでございます。

岡本(あ)委員 残念ながらここは全く食い違っていると私からは指摘をさせていただきます。

 地方自治法の原則として、これまで地方分権を進めてきたという意味でいきますと、対等、協力という関係がまず大前提になければいけない、それが地方自治法にもちゃんと明記をされるべきことであって、そこを、例外とはいえ権力的な関係を記載するということに対しては、地方自治法の本旨からすると、のっとっていないと私は指摘をさせていただきたいと思います。

 さて、重大な影響を及ぼす事態として、これまで感染症、災害、武力攻撃等の場面があることは地制調でもいろいろと議論がなされていました。コロナ禍の対応の反省、これを立法事実の一つとして指摘されていると思います。資料一を御覧ください。左側、コロナ禍でこういう困難がありました、右側、だから地方自治法を改正してこういうことが可能になりますよという資料になっております。

 未知のウイルスへの対応ということで、コロナで混乱したことは事実です。私は、国と地方自治体の役割分担を的確にして、連携協力をもっとうまくやるべきだった、こういう反省はあると思います。個別法を改正する立法事実としては、感染症で、コロナで大混乱があった、反省があった、これは事実として認めます、だからこそ個別法をどんどん改正しています。ただ、国の補充的な指示がなければ動けなかったのかというと、立法事実にはならないんじゃないかと思います。

 今資料を出しましたけれども、左側の困難があった、だから地方自治法を改正しろじゃなくて、このちょうど矢印のところに、個別法をどんどん改正して対応できたのではないかと思います。一足飛びに地方自治法を改正するところにまで至るという立法事実にはならないのではないかと思います。改めて、総務大臣、お答えください。

松本国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、コロナ対応も含めてそれぞれの事態で、個別法で対応できなかった課題につきまして必要な法改正等はこれまでも積み重ねられてきたところでございますが、コロナ対応等で、大規模災害においてでもありますが、国が果たすべき役割があるところ、個別法上想定されていない場合は、これまでも申し上げてまいりましたように、国が助言等で対応することになると国と地方との責任関係、責任の所在について課題が残るということであろうかと思います。

 新型コロナの対応に当たっては、困難な状況の中、国も地方も住民の命を守る懸命の努力がなされたと認識しておりますが、今お取り上げいただいた点でも、例えば感染症法に基づき対応すべき保健所設置団体では十分な対応を講じることが困難であって、国による都道府県の区域を超えた患者移送等の調整が必要な事態などが生じておりまして、個別法の改正は行われたところでありますけれども、これまでの経験を踏まえて、繰り返しになりますが、今後も個別法において想定されていない事態は生じ得るものであり、そうした場合に備えていく必要があると考え、本改正案を提案させていただいているところでございます。

岡本(あ)委員 私はやはり、今御答弁で、個別法でまず改正をするんだ、それを超えてというところの御答弁だったかと思います。少なくともコロナウイルスを立法事実の一つとするのであれば、個別法でかなり対応を強化してきた、これは厚労省の実績を評価したいと思います。実際、ダイヤモンド・プリンセス号の対応、この法改正があれば逆に何ができることになるのか。患者の移送、入院調整など、当時は指示がなければできなかったのかというと、そういうことではないと思います。国との協議、調整をしっかり行えば、地方自治法を改正しなくてもできるのではないかと思います。

 もう一つ、併せてお答えいただきたいと思います。その反省を生かして、新型インフルエンザ特措法あるいは新感染症法、個別法をしっかり充実を行ってきています。未知のウイルス、新感染症も含めて法律を厚労省を中心に作ってくださっています。個別法で対応できない感染症というのはこれ以上あり得るんでしょうか。この点もお答えください。

佐々木政府参考人 簡潔に二点お答えいたします。

 まず一点目が、国の指示権限があれば当時のダイヤモンド・プリンセス号、そのときはできなかったけれども、あればできたことがあるのかという点でございますが、当時、二〇二〇年、令和二年の二月で、横浜港にダイヤモンド・プリンセス号が入港いたしました。広域的な、都道府県を超える対応が様々必要になりました。当時は、あのような事態でございましたので、私ども厚生労働省として、関係する自治体や医療機関、医療団体、専門家等と連携して調整を始めとした対応を行いました。

 その時点でこの規定があればという仮定の問いにお答えすることはなかなか難しいとは思いますけれども、まず少なくとも当時はそのような対応を行ったというところでございます。ただ、当然ながら、今回のような規定があればそれに基づいて対応することになろうかと思います。

 二点目の、ではそのような個別法では対応できない感染症が起こるのか、あるのかという点でございますけれども、この点につきましては、少なくとも令和四年、それに先立つ令和三年と厚生労働省では感染症法を、具体的には新型インフルエンザ等感染症、これは新型コロナウイルス感染症も含みますが、それが発生したときの厚生労働大臣による総合調整権限や、都道府県知事による保健所設置市また特別区の区長への指示権限の創設、総合調整権限ということを行いました。

 ただ、当然ながらこれも、想定を超える感染症というものが起こり得るということは、想定を超えるというのはどの時代にも起こり得ることですので、そのような場合については今般の地方自治法改正による指示権限の発動も選択肢の一つになるものと考えております。

岡本(あ)委員 ダイヤモンド・プリンセスそれから新型コロナの対応の反省を生かして、個別法もかなり充実をしてくださっております。今後は未知のウイルスにも対応するということも個別法で書かれております。それを超えてというところというのが果たして本当に必要なのか。未知のウイルスが発生した際も調整機能とか個別法の中で対応できるものをかなり盛り込んでおりますので、私とすると、それを超える感染症というのも想定して法改正をしてきたんじゃないかと。その点は高く評価をしていますので、それを超える事態が起き得るということを前提にするよりは、それを超える場合でも個別法で対応できる中身が入っているんじゃないかと思います。

 逆に、私、非常に指示ということがあると怖いんじゃないかと思っている点があります。先日、参考人も、知事会の会長、宮城県知事ですけれども、拡大解釈されて濫用されることを恐れている、こういうようなやり取りがありました。

 新型コロナで二つ紹介します。

 一つは、当時、検査を受けるための条件として、三十七・五度以上の発熱が四日以上続いていないと検査すら受けさせてもらえませんでした。これは指示ではなく目安ですけれども、指示ではないんですが、でも多くの県、自治体はやはりこれに従って、少なくともコールセンターに電話をすると、発熱が二日目だったらあと二日耐えてください、自宅にいてください、医療機関にはつなげませんという状況でした。本当に肺炎を起こしているような、救急車を呼ばなきゃいけない事態のところは特例でしたけれども、多くの方々がそれに対して大きく混乱し、残念ながら在宅で命を落とす方もいました。

 これはあくまでも目安なんですが、目安ですら全国の自治体がこれにほぼほぼ従順に従ったんです。もし国が指示を出すとすると一律の基準になりがちで、かえって混乱を引き起こすことになるんじゃないでしょうか。厚労省、お答えください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点は、これは基準ではなくて、令和二年二月に、つまり新型コロナ流行初期の頃に発熱外来等に相談、受診する目安としてお示ししたものでございました。ただ、同じ令和二年の五月、委員からも厚生労働委員会で当時の加藤勝信大臣に御指摘いただいたように、目安ということについての周知ということの御指摘もいただきました。

 あれから四年たち、今振り返りましても、当時、新たな感染症の特性についても不明な点も多い中で国が一律の目安を示すことについては必要性があったと考えておりますが、この目安を守らなければ検査できないといった誤解が生じたこともあった、これは承知しておりますし、感染症危機の発生初期には科学的な知見が限られている中で分かりやすく誤解のない情報発信を行うことが重要であると認識しております。

 新型コロナへの対応の経験を踏まえ、改めて自治体や国民の皆様への正しく分かりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 ずっと目安と当時の答弁でもおっしゃっておりました加藤厚労大臣でした。

 ただ、文書が出されると、各地方自治体は不安もあって、目安であっても従うんですね。しかも、従順に従うんです。結果として、マニュアルが届いておりますので、コールセンターのスタッフが自分で判断というのはほとんどしません。マニュアルどおりの返事しかしません。四日たたないと駄目です、肺炎とかを起こしているんだったら別ですが、具合が悪くてもまだ二日目ですよね、耐えてくださいといったのが当時の状況です。

 目安ですらこんなに従順に地方自治体が従うとすると、指示を出されたら絶対逆らえません。しかも、国が出すとすると、一律で出す可能性があります。地域事情の考慮というのはやはり地域、現場でなければ分からないというところを踏まえると、指示ということが入るというところのリスク、拡大解釈されて想定外という言葉が入れば幾らでも可能性があるということは非常に怖いことだと指摘をします。

 もう一点、学校の一斉休校の要請をかけました。地制調の牧原委員が、安倍元総理が法的根拠も現場への配慮もなく休校の要請を実行した、二度としてはいけないという問題意識があると報道で述べております。学校は休校するが、保育所や学童保育はむしろ開所しろという矛盾も生じておりました。これの検証はどうだったんでしょうか。そして、やらなかった自治体への評価はいかがだったんでしょうか。文科省、お答えください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年二月に実施をいたしました全国一斉の臨時休業の要請でございますけれども、新型コロナウイルスの性質がよく分からない中で、感染の拡大を防ぎ、児童生徒の安全を最大限確保するという観点から行ったものでございまして、その趣旨はおおむね達成されたというふうに考えてございます。

 臨時休業の影響につきましては、例えば令和四年四月に実施した全国学力・学習状況調査の結果を分析いたしますと、学校現場における懸命な努力の結果、学校の臨時休業の期間の長さと学力との間において全国的な相関関係は見られなかったところでございます。

 他方で、感染症への対応が長期に及ぶ中で学校での効果的な対策のノウハウが蓄積をされてまいりましたし、令和三年一月には中央教育審議会答申におきまして、学校が学習機会と学力の保障のみならず全人的な発達を支える役割を持ち、また子供たちの居場所、セーフティーネットとして身体的、精神的な健康を支える福祉的な役割も担うということ、そして学校の休業が保護者等に与える影響は極めて大きいといったことも示されておりまして、文部科学省といたしましては、感染症への対応としての全国一斉の臨時休業の要請は慎重に検討すべきものであるというふうに考えてございます。

 やらなかった自治体への評価ということでございますけれども、令和二年の全国一斉臨時休業の要請でございますが、これはいわゆる地方教育行政法を根拠とする指導助言として行われておりまして、臨時休業の期間、形態等については地域や学校の実情を踏まえ各学校の設置者において判断いただくことを妨げるものではない旨を、令和二年二月に発出いたしました通知にも記載してございます。御指摘の事例についても地域等の実情を踏まえて判断されたものというふうに認識してございます。

岡本(あ)委員 これは指示ではなく要請ということで、当時は指示という根拠もありませんので従わなかった自治体もあります。それは地方の現場を一番よく知っている責任者がその判断をされたんだと思います。

 この二つを取っても、国が閣議決定だけで決めて、あるいは大臣の決定で、目安だろうが要請だろうが、出すと大きな影響がありますし、大方が従う、これが日本の今の国と地方自治体の構図なんだと思います。これに指示ということがあったら万が一現場の事情が分かったとしても逆らえない、こういうことが起こり得るということを考えると、私はやはり補充的な指示ということを地方自治法に盛り込むということは賛同しかねますし、個別法で可能な限り対応できる、その制度を増強していくことを求めたいと思います。

 改めて総務大臣に伺いたいと思います。村井宮城県知事も参考人のところで多く懸念を示しました。解釈で指示権を濫用されるのではないか、想定外という言葉さえ使えば閣議決定でできてしまう、このリスク、非常に問題だと思います。総務大臣、改めて御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 補充的な指示につきましては、これまでも申し上げてきましたとおり、災害対策基本法や新型インフル特措法などを参考にしまして、国が事態の規模、態様等を勘案して特に必要があると認めるときに、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために講ずべき措置に関して、個別法に基づく指示ができない場合に限って、申しましたような国民の生命等の保護を的確、迅速に実施する目的の達成のために必要最小限の範囲で行使されるものでありまして、また、手続に当たっては、自治体との情報共有、コミュニケーションを図ることは実効的な対応のために大切なことでありまして、規定としてあらかじめ自治体に対して資料、意見提出の求め等の適切な措置を講ずるように努めなければならないこととしておりまして、各大臣においては閣議決定を経ることとしております。

 補充的な指示は、限定的な要件、適正な手続の下、地方自治法の関与の基本原則にのっとって目的達成のための必要最小限の範囲で行使されるものでありまして、濫用されることにはならないというふうに考えているところでございます。

 村井知事からもこれまでも御意見をいただいてきて、規定を作成するに当たっても、村井知事が会長を務める知事会の御意見なども踏まえて地方自治体との関係の規定を定めたところでありまして、知事会からは一定の御評価もいただいているというふうに思っているところでございます。

岡本(あ)委員 感染症のところでは、今まで個別法で拡充をしてきた、この努力をしっかり評価するべきだと私は思います。

 続いて、災害の対応です。資料二を御覧ください。まさに参考人でいらっしゃった宮城県知事です。マーカーをつけておりますけれども、国が大きな権限と財源を持っているために機敏な対応ができない、最後に、国内でも地方分権を進め、国は被災地に力を振り向けられるようにするべきだとおっしゃっています。

 私も東日本大震災を経験した身としては、やはり現場の方がよく分かっています。当時、福島県と宮城県で起きた中身も全く異なります。沿岸部で起きたことと内陸部で起きた災害も全く異なっております。現場の方がよく分かっております。指示が期待されるのではなくて、地方自治体と国の情報共有、コミュニケーションの在り方、人的、財政的支援の強化が必要だったのではないでしょうか。この点、総務大臣、お答えください。

松本国務大臣 今般の法改正は地方制度調査会の答申を踏まえてのものでございますが、答申でも指摘をされておられますように、国と地方との間で十分な情報共有、コミュニケーションを図ることは実効的な対応のための前提であります。こうした過程を通じて把握した人材や財源等の課題については、必要に応じて丁寧に解決していくことも必要であると考えております。

 補充的な指示については、現時点で想定し難い、国民の生命等に関わる問題、かつ、個別法に規定がない場合に限り、限定的な要件、適正な手続の下で慎重に発動されるものでございますが、その行使に当たっては国と地方との間で十分な情報共有、コミュニケーションを図ることが重要であると考えております。

 お取り上げいただいた新型コロナの対応におきましても、個別法の改正が必要になる事態が生じたことがございまして、個別法で想定された事態、用意された措置があるわけでありますけれども、想定されていない事態が生じ得るのではないかということを踏まえて備えるべく御提案させていただいておることを是非御理解いただきたいと思います。

岡本(あ)委員 時間が来ましたので終わります。

 感染症、災害では個別法でしっかり拡大していくべきだと私は思います。ここには想定外があるんですが、事態対処法には、先ほど福田委員への答弁で、想定の中で事態対処法でできるかのような答弁だったので、ここも矛盾があるということは指摘します。

 最後に、閣議決定はあるけれども国会の関与がないというのはやはり問題だということを指摘して、終わりたいと思います。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、阿部司さん。

阿部(司)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部司でございます。

 今般の地方自治法の改正におきまして、地方公共団体は、サイバーセキュリティーの確保の方針を定め、必要な措置を講じることが義務化されるとされております。それで、本日はサイバー関連の質問をしてまいりたいんです。

 このサイバー攻撃、非常に量も増えておりますし、また巧妙化も進んでいる。地方自治体では多数の重要な情報を有しておりますし、その上、学校ですとか、あとは医療機関ですとか、様々な重要な社会インフラも担っておりまして、各自治体、地方公共団体における対策というものも急務であると考えております。今回の法改正で、地方公共団体のサイバー攻撃に対する対処能力、こちらが向上することを私自身期待をしておりますけれども、政府の今の現状認識ですとか今後の支援の在り方について、順次確認をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の法改正を行うに当たりまして、現状について確認をしてまいりたいと思います。

 地方自治体におけるサイバー攻撃の脅威認識について、どれぐらい今増えているのか。また、サイバー攻撃を受けた際、自治体また住民の皆さんにとってどのような被害、危機が想定されているのか。また、地方自治体のサイバー攻撃に対する現在の対処能力、こちらについて、政府としてどのような課題があると認識をしているのか。御見解を総務省、政府参考人からお伺いしたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、社会全体がデジタル化が進展しておるところでございまして、これに伴いまして、情報通信技術に係るインフラサービス、これも国民生活の基盤となっている状況でございます。こうした中でございますので、サイバー攻撃につきましては、これは地方公共団体に限らず、その頻度が日本全体で増加しておるところでございまして、かつ、攻撃側の手法も極めて高度化しているというふうに認識しておるところでございます。

 様々な情報を保有しております地方公共団体側としましても、こうしたサイバー攻撃等に対して的確に対応することが喫緊の課題だというふうに認識しているところでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。高度化している、そして多発もしている、しっかり対応していかなければならないといった御趣旨の答弁でした。

 例えば、令和四年の情報通信白書、二〇二一年のデータになりますけれども、こちらで観測されたサイバー攻撃関連の通信数、五千百八十億パケット、ちょっと途方もない数字ということで余り想像できないんですけれども、二〇二一年時点で三年前の二・四倍にも増えている。

 あとは、よくサイバー攻撃の被害に関する報道などもなされておりますが、この前の内閣委員会における、いわゆるセキュリティークリアランスの法案の質疑の際にも話題に上ったんですが、大阪の急性期・総合医療センター、こちらの電子カルテシステムがランサムウェア攻撃によって停止をした。これで、手術ですとか外来の診療の仕組みに影響が出まして、復旧まで六か月かかった。こういう命にも関わるような被害が出ているということで、かなり力を入れて対策をしていかないといけない。アメリカの地方自治体においてもランサムウェア攻撃が多発をしていて、被害総額もかなりの額に上っていると言われております。

 ですので、各自治体がもちろん自助努力でサイバーセキュリティー能力向上の努力をしていくこと、強化をしていくことというのは非常に重要なんですけれども、政府のバックアップもより手厚くしていく必要があるのではないかというのが私の問題意識であります。

 政府はこれまでも自治体に対して様々なサポートをしてきているということは承知しております。例えば、希望する地方自治体に対して脆弱性調査、こちらを実施していると聞いております。脆弱性調査、こちらは、OSですとかネットワーク環境、ウェブアプリケーション、クラウドなどにおいて弱点となる箇所を洗い出すものということですけれども、こちらの調査は昨年度何件行われて、どのような結果であったのか。こちらは総務省、政府参考人にお伺いいたします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 脆弱性評価でございますけれども、これは、地方公共団体情報システム機構、J―LISと独立行政法人の情報処理推進機構、IPAが協力しまして、御指摘のように、希望する地方公共団体に対してウェブサイト簡易チェックという名前で行っておりますが、昨年度は八十五団体、二百五十八サイトにおいて実施をしたところでございます。

 当該調査を実施した地方公共団体におきましては、負担なくウェブサイトの脆弱性診断を行うことができた、あるいは高度な脆弱性診断サービスを受検する際の参考となった、こういった効果があったものというふうに私ども承知しておりまして、地方公共団体の情報セキュリティーの向上に貢献しているものと認識しているところでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 ちょっと追加で質問させていただきたいんですが、こちらは、希望した自治体は全てこの調査を行っていただけるんでしょうか。

山野政府参考人 お答えします。

 希望しまして断られた団体があるかどうかについては、私ども把握していないところでございます。

阿部(司)委員 希望して断られた団体があるかどうか分からないということだったんですが、多分、予算にも限りがあって、恐らくは、やりたいと思っていてもできていない自治体というのは実際存在しているんじゃないかなと思っております。

 二〇二二年のNISCの重要インフラの安全基準等の浸透状況に関する調査、これはサイバーセキュリティーの安全基準がどれだけ達成できているかというものを調査したものだと聞いておりますけれども、やはり各自治体の対応というのは進んできていまして、セキュリティー能力は向上しているという調査結果だったそうですが、中でも、特に脆弱性診断の実施については相対的に弱いという調査結果だったそうです。

 サイバー攻撃がどんどん増えてきていて、巧妙化して高度化してきている中、自治体の皆さんも、今実施されているJ―LISとIPAのテストをやってほしいなと思う自治体さんは増えてくる可能性もあると思うんです。その際、是非、希望した自治体がしっかりその診断、調査を受けられるように御対応いただけないでしょうか。政府参考人、お願いします。

山野政府参考人 脆弱性評価について、できる限り自治体の要望に応えてということでございますが、私ども、サイバーセキュリティーも含め、情報システムのセキュリティー、これをしっかり確保していくということは重要なことだと思っております。

 当然のことながら、このウェブサイト簡易チェック、全体の枠ですとか、あるいは予算の問題もあるかもしれませんが、我々としては、自治体の状況を聞きながら、できる限り支援をしていきたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 できる限り支援していくという力強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。よろしくお願いします。

 順番を少し入れ替えて質問してまいりたいと思います。

 今し方、希望する自治体に対しては脆弱性調査を行っているという御答弁がありましたけれども、もう一歩踏み込んだ調査をするべきではないかという御提案をしたいと思います。

 サイバー攻撃の脅威が年々高まっている中、地方自治体のサイバーセキュリティー能力を高めていくために、抜き打ちによるペネトレーションテスト、こちらを行うべきだと思うんですけれども、このペネトレーションテスト、いわゆる侵入テストと言われまして、サイバー攻撃の侵入経路となり得る脆弱性のあるポイントから実際に侵入をするテストだと言われております。セキュリティーですとかサイバー攻撃の専門家が、攻撃者の視点で侵入までのシナリオを想定して、その後、不正アクセスなど攻撃者が目的とする行為が実施できてしまうかどうか、実際にテストをするものであります。

 しっかりこのように抜き打ちでこういう侵入テストを行って、冷徹に状況を把握して、その状況を踏まえて対応策を講じていくことこそ地方自治及び情報通信を所管する総務省の役割ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 各自治体が高度化するサイバー攻撃に対応していただくために、総務省におきましては、団体の規模を問わずに一定の対応ができる手法として、自治体情報セキュリティクラウドを都道府県ごとに構築し、小規模団体も含めた広域で高度なセキュリティー対策を実施する体制整備を推進しているところでございます。

 さらに、自治体が攻撃を受けたときに対策が講じられるよう、総務省は、情報セキュリティーインシデントに対処するための体制の整備の推進、J―LISや自治大学校等における研修の充実、情報通信研究機構における自治体に対する実践的な訓練の提供にも取り組んでおります。

 委員が御指摘されましたペネトレーションテストなどの手法によって情報システムの脆弱性を検証することも有用であるというふうには考えております。ペネトレーションテストは、抜き打ちでやることについては課題もあるようでございますけれども、これまでも幾つかの自治体で実施されている例もあると承知をしておりまして、今回の改正の趣旨を踏まえて、地方公共団体の情報セキュリティーの向上が更に図られるよう、今後の取組の拡充や自治体への支援について、自治体や関係機関とも協議をしながら、総務省の役割ということで今御指摘がございました、御答弁申し上げたような、総務省が関連する組織を通してできるサポートであるとか自治体への支援であるとかいうことにつきまして、しっかりと協議をして検討してまいりたいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 例えば、アメリカでも、ガスパイプラインですとか、あとは下水道ですとか、様々な重要インフラと言われるようなところに外国の手によるものと思われるような侵入があった。実際、日本でも、米軍のある地域の重要インフラに侵入があった、こういう痕跡もあったという報告があったというような報道もありましたけれども、結構、各自治体レベルで対処できるものと、やはり、より国からの強力なバックアップをした上で能力を高めていかなければならないところとあると思うんですよね。

 なので、その辺、ペネトレーションテストも含め、あとはまた、スレットハンティングなんという、もう既に侵入しているものに対してその脅威を見つけていくような、そういう手法もあるそうですけれども、是非、もう一歩踏み込んだ対策というものを地方公共団体としっかり相談をし合いながら策を講じていただきたい、このように思っております。

 今回の法改正で地方公共団体にサイバーセキュリティーのガイドライン策定、公表を義務づけるに当たりまして、各自治体のサイバーセキュリティーの対応状況について確認を行ったと思います。政令市、中核市、小規模町村等、自治体の規模とサイバーセキュリティーの対応の程度には関連性があったのかなかったのか。こちらは政府参考人にお伺いいたします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 総務省はこれまで、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインにより、セキュリティー対策を助言してまいったところでございます。今般の改正は、セキュリティーポリシーの基本方針に当たる部分について策定と実施を義務づけることで、いずれの地方公共団体でも一定以上の水準の情報セキュリティー対策を担保しようとするものでございます。

 地方公共団体の情報システムやネットワークの状況、これはやはり団体によって異なってございまして、一般的に申しますと、団体の規模が大きくなるに従い負担が大きくなる傾向がございます。

 総務省といたしましては、こうした点も踏まえまして、各自治体における検討状況や課題を丁寧に把握しまして、どの自治体におきましても情報セキュリティーが着実に進められるように取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 今、団体の規模が大きくなればなるほど負担も大きくなるという御答弁がありました。なので、政令市ですとか、こういう大きな団体と小規模団体としっかりめり張りをつけて、大変な、よりサイバーセキュリティーの投資を行っていかなければいけないようなところにはより強力にバックアップをしていくことが私は必要だと思うんですけれども、そうした検討は現在なされているんでしょうか。お伺いいたします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 各自治体に、情報セキュリティー対策、方針の策定ですとかあるいは措置を講じるということで、今、ガイドラインに基づいてやっていただいておるところでございます。

 今後も、こういった情報セキュリティーポリシーの策定ですとか必要に応じた改定ですとか、あるいは措置を講じていただくということになるかと思いますが、こうした自治体の情報セキュリティーに関する取組に係る経費については、従前より普通交付税により措置しているところでございます。

阿部(司)委員 措置を行っていく、そういう御答弁だったと理解しているんですけれども、大きな団体であれば当然重要情報も多くなってくるでしょうし、また、例えば公立の病院ですとか、命に関わる機関の規模も大きくなってくるわけで、その分、インシデントが発生した際の影響度というのは当然重大性が増してくるわけであります。是非その点を考慮した御支援をお願いします。

 ガバメントクラウドへの移行の話、先ほどほかの委員からも指摘がありましたけれども、当面負担増となるわけでありまして、地方自治体から負担軽減の要請がされていると承知をしております。サイバーセキュリティーの確保、こちらも、これから更にやっていかなくちゃいけないということで負担が大きくなってくるわけですから、しっかり軽減の措置を行っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、地方交付税の算定上の取扱いはどうなっているのか。お伺いいたします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 今般の地方自治法の改正案、この中でも、各自治体に情報セキュリティー対策の方針の策定を義務づけるということになります。先ほど申しましたように、これまでも、ポリシーの策定ですとか、あるいはこれに基づく対策に取り組んでいただいているところでございますが、当然のことながら、こういった情報セキュリティーに関する取組については、私ども、地方財政措置としまして、従前より普通交付税において措置しておりますし、今後ともこういった措置が必要だというふうに考えているところでございます。

阿部(司)委員 ちょっと最後、よく聞こえなかったんですが、今後も充実させていくということでいいんですよね。

山野政府参考人 今後とも、情報セキュリティーに関する取組について、普通交付税において措置するということをお答えしたところでございます。

阿部(司)委員 しっかり充実させていっていただきたいと思います。

 最後、大臣にお伺いしたいんですが、今回、こういった公表義務という、より自治体の負担が重くなるようなルールができるわけですから、しっかり人ですとか金の支援は万全を期していただきたいと思うんですが、その意気込みを是非お伺いできればと思います。

松本国務大臣 委員からもございましたように、やはり全ての団体におきまして一定以上の水準の情報セキュリティー対策を講じることは重要でありまして、今般の改正案はその水準の確保を図ろうとするものであります。

 各自治体におかれては、ますます高度化するサイバー攻撃に対して適切に対応していくことが求められていますが、専門人材の確保などが容易でない中で、人的、財政的な支援を講じることは重要でありまして、総務省としても、自治体の実態、御意見を踏まえながら、情報セキュリティーの確保に向け、支援に取り組んでまいりたいと思っております。

 局長からも御答弁申し上げましたように地方財政措置、委員からもありましたが自治体の規模に応じて必要な面、他方でセキュリティーポリシーも、ほぼ全ての市町村で行われていますが、一部、比較的人口の少ない小規模団体で未策定などがありますので、小規模団体への配慮等も含めてしっかりと対応してまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 是非よろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉田とも代さん。

吉田(と)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど来の委員の皆様と質問がかぶる部分があるかもしれませんが、指定地域共同活動団体制度と地域運営組織について質問いたします。

 今回創設する指定地域共同活動団体制度は、地域住民の生活サービスの提供に資する活動を行う団体を市町村長が指定地域共同活動団体として指定するもので、市町村の指定団体への支援、関連する活動との調整、随意契約による事務委託の特例、行政財産の貸付けの特例等の規定を整備するものです。

 現在、地域住民の生活を支える活動を行っている団体にとっては、この指定を受ければ法律に基づく各種支援が受けられることになるわけですが、一方で、どのような団体が指定されるのか分かりにくいといった意見もあります。

 今回の法改正の契機となった地方制度調査会での議論を見てみますと、第十七回専門小委員会に提出された論点整理では、おおよそのイメージとして、地域運営組織のような団体を法律に位置づけたものが指定地域共同活動団体なのかなとも思うわけですが、第三十三次地方制度調査会の答申自体には地域運営組織という言葉は出てきません。地域運営組織は、地域によって、まちづくり協議会、地域づくり協議会など様々な名称で呼ばれているものですが、総務省は、その形成や運営の支援を行う市町村に対して交付税措置などの支援を行っております。

 この地域運営組織と指定地域共同活動団体はどのような関係にあるのでしょうか。答申では地域運営組織という名称を使われておりませんが、おおむね指定地域共同活動団体として指定されるのは地域運営組織であると理解してよろしいのでしょうか。総務省にお伺いします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 本改正案では、地域の多様な主体と連携して地域課題の解決に取り組む団体を、指定地域共同活動団体として、申請に基づき市町村が指定する制度を創設することとしております。

 制度上、指定の対象となる団体は、地域的な共同活動を行う団体のうち、区域の住民等を主たる構成員とする団体である必要がございます。

 また、地域的な共同活動を多様な主体との連携により効率的、効果的に行い、民主的な運営が確保されているということが必要になっているところでございます。

 これを満たす団体としては、お話ございました地域運営組織ですとか、あるいは自治会、婦人会、NPO等が連携して地域的な共同活動を行っている場合、こういったものが指定され得るというふうに考えているところでございます。

 御指摘ありました地方制度調査会の議論でございますけれども、地域における共同活動を行う団体は、様々な主体が想定されますので、地方制度調査会の答申では、地域運営組織といった特定の名称を用いずに、コミュニティー組織として記載されておるところでございます。

 いずれにいたしましても、地域の実情や課題に応じて、地域運営組織を含む様々な地域共同活動を行う団体が指定対象となり得るものでございますので、この制度を活用して、住民が快適で安心な暮らしを営むために必要な環境を整備してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 お互いにはっきりしないところがあるのかなとお聞きしても思うのですが、この地域運営組織についても、現状、どの自治体にある、存在する組織かでカウントされたりされなかったりする実態があるようです。定義はあるものの、基準が明確でないことで、自治体の判断に委ねられている。

 確かに、全国に相当数あると思われる地域運営組織を総務省が直接把握することは困難であるからこそ、自治体に判断を委ねるに当たって、今後、指定地域共同活動団体という新制度が運用される中で、ある程度早い段階で地域運営組織の基準の明確化と、そして正確な実態把握が望まれることを御指摘しておきたいと思います。

 少し質問を飛ばします。

 総務省の調査によれば、地域運営組織が継続的に活動していく上での課題として最も多いのが活動の担い手となる人材の不足であり、続いて団体の役員、スタッフの高齢化、次のリーダーとなる人材の不足となっております。つまり、人材面での課題が上位三つを占めているわけですが、この人材の不足、スタッフの高齢化という課題は、今後、地域コミュニティーにとどまらない話です。

 人口減少対策については、人口減少を緩和させるための施策と、人口減少に適応させるための施策があると考えます。人口減少が急速に進む中で、どのように地方自治体の機能を維持向上させ、住民に行政サービスを効率的、効果的に届けていくのかを考えることは重要であると思います。

 この点、総務省としては、行政のデジタル化や連携中枢都市圏等の広域連携を進めているところと思いますが、今後これらの施策をどのように推進していく方針なのか、松本大臣の御見解をお聞かせください。

松本国務大臣 御指摘がありましたとおり、各地域、各分野において人手不足が生じておりまして、自治体におきましては、特に専門人材の確保が課題となっているところであります。このような中で、行政サービスを持続可能な形で提供していくためには、指定地域共同活動団体制度の創設などによる組織の枠を超えた連携のほか、今委員も連携中枢都市制度についてお取り上げをいただきましたが、地域の枠を超えた広域連携の取組が重要であると考えております。

 あわせて、デジタル技術の活用が進みつつあり、その力を最大限に活用してサービスの維持強化や地域の活性化を図ることも重要になってきていると認識しております。

 総務省では、連携中枢都市圏などの広域連携施策を推進するとともに、連携協約などの制度を設け、市町村が広域連携の多様な手法の中から最適なものを自ら選択できる環境を整えてまいりました。また、小規模市町村を中心に配置が困難な専門人材を都道府県等が確保し派遣する取組など、連携による人材確保の取組を支援しているところでございます。

 デジタル技術の活用につきましては、いわゆるフロントヤード、自治体と住民との接点の改革の推進や、基幹業務システムの標準化に取り組んでおります。

 これからも一層デジタルの力を最大限に活用しながら、各市町村が地域の実情や行政課題に応じて、市町村間の広域連携や都道府県による支援など多様な手法を活用して、住民に必要な行政サービスを提供していけるように取り組んでまいりたいと思っております。

吉田(と)委員 松本大臣、ありがとうございます。

 人口減少に対して、今回、民の力をかりる指定地域共同活動団体を創設しようという話ですが、行政についても、DXの推進や連携中枢都市圏での広域連携をしていくことで、持続可能な自治体運営を目指していく方向になっていくと思います。

 今回、広域連携の取組についての質問はここまでとしたいと思いますが、その際、私は、いわゆる共管そして連携、これが何よりも肝だと思っております。

 朝日新聞の記事によりますと、マイナンバーシステムで児童手当や介護保険申請などの手続を簡素化する機能の活用状況について、会計検査院が、二〇二二年度、全国の自治体を対象に調査した結果、システムが機能する千二百五十八の機能のうち、半数以上の自治体が活用したのはたった三%、三十三機能のみで、四百八十五機能は全く使われておりませんでした。これは全機能の三九%に当たり、会計検査院の報告では、システムの活用低迷の背景は、自治体の体制不備や最新情報の反映の遅れ等の問題があるとし、実際に行政から紙での申請を求められたケースも紹介をしています。

 利用促進の取組を支援するとデジタル庁はコメントをしていますけれども、国が総力を挙げてデジタル化の推進、マイナンバーカードの普及を推し進めていたとしても、地方自治体、現場にその熱が伝わらなければ、彼らの協力を得られる体制が取れないと思います。

 今回、自治法の改正審議において、国の補充的な指示権といったことが論点になっておりますが、平時、非平時に限らず、国と地方自治体の密な連携、コミュニケーションが大切だと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 それでは、次の質問に移ります。

 DX関係、公金収納のデジタル化についてです。本年二月二十九日の本委員会における質疑で取り上げましたけれども、改めてこの内容についてお伺いいたします。

 まず、改正案では、地方自治体の公金事務のうち、eLTAXを用いて納付するものとして首長が指定する公金の収納事務を、地方自治体が地方税共同機構に行わせるための規定を整備するとされております。つまり、首長が指定した公金については、自治体共通の仕組みであるeLTAXを活用し、電子納付が可能となるものです。

 私が二月に本委員会で質問した際には、このeLTAXを通じて電子納付が可能となる公金の具体的な範囲を御回答いただきました。そのときの答弁を振り返りますと、国民健康保険料など、いずれの自治体においても相当量の取扱件数がある公金、あるいは道路占用料など、その性質上、区域外にも納付者が広く所在する公金、これらが対象となる主な公金であり、全国に共通の取扱いとなる地方自治体に重点的に要請を行っていくとの答弁をいただきました。

 これらの公金収納のデジタル化の実現に向けた国から地方自治体への要請について、地方自治体に対して実質的に対応を義務づけるものなのか、それとも各団体の判断に委ねるものなのか、具体的な性質をお伺いします。加えて、要請の内容は、いずれの自治体においても相当量の取扱件数がある公金と、区域外にも納付者が広く所在する公金で異なるのかといった点も踏まえて、御答弁をお願いいたします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 eLTAXを活用しました公金収納の取組でございますけれども、これは、住民や事業者の利便性の向上だけではなくて、地方公共団体にとって公金収納事務の効率化につながるという大きなメリットがございます。

 この点、地方税統一QRコードを活用した納付が既に始まっている地方税でございますが、これは義務づけではなく、情報提供や助言を通じて地方公共団体に準備を進めていただいた結果、令和五年四月の開始時にはほぼ全ての団体において対応していただいたものと承知しております。

 お尋ねいただきました、国民健康保険料など、いずれの地方団体におきましても相当量の取扱件数がある公金、それから、道路占用料など、性質上、区域外にも納付者が広く所在する公金、いずれの納付につきましても、私ども、地方公共団体における検討状況、課題を丁寧に把握しまして、必要な情報提供、助言を行うなど、きめ細やかに対応することで、全団体のeLTAXの対応の実現を図ってまいりたいというふうに考えております。

吉田(と)委員 公金の収納について、デジタル化の最終的な判断は各団体に委ねられるということですが、地方税に関して、eLTAXは、利用率を見ても、うまく浸透していると言えます。これは、特に指示しているわけではなく、国のやりたいことを地方がまさに共管、連携して実行できているからだと思います。対象が拡大される地方公金についても同じことを望んでいますし、また、今議論になっております国の地方への補充的指示権についても同じことが言えると思います。

 先ほどの繰り返しではございますが、地方との平時からの密なコミュニケーションを求めまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 五月十四日の総務委員会の質疑で、私が、大臣は本会議で事態対処法は想定されないと答弁されましたけれども、災害対策基本法でも新型インフルエンザ特措法でも、個別法があっても個別法の規定で対応できない場合に今回のこの規定を使うんですから、事態対処法でも対応し切れない想定外のことが起きた場合には、また、起こり得ると判断すれば、同じように特例の指示ができるはずだ、排除はされていないはずだと聞いたのに対して、個別法で対応できるところについては当然個別法で対応するなどと繰り返すばかりで、まともにお答えになりませんでした。

 こんな法案の大前提となる問題にさえ答えないというのでは、法案審議に入れません。

 まず自治行政局長に。これはもう本当に、この法案の守備範囲を確定しなければなりませんから、この法案の守備範囲から、事態対処法のうち想定を超えたもの、こういうものは排除されておりませんね。

山野政府参考人 お答えいたします。

 本改正案は、答申を踏まえまして、特定の事態の類型に限定することなく、その及ぼす被害の程度において大規模な災害、感染症の蔓延に類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けるものでございまして、特定の事態を除外しているものではございません。

 事態対処法等で定められている武力攻撃事態等への対応については、これは法律で必要な規定が設けられておりまして、本改正案に基づく関与を行使することは想定されていないものと承知しているところでございます。

宮本(岳)委員 今、二つのことをおっしゃったんですね。結論が想定されていないにまた戻ったんですけれども。いやいや、事態対処法に定められた、個別法で対応できるものは対応する、当たり前なんですよ。新型インフルでも災害でもそうなんですよ。それは、もしそれだったらこの法律は要らないんです、想定内のものばかりだったら。想定外だから作るというんでしょう。だったら、想定されている事態対処法制についてのものは事態対処法制でやるだろうけれども、それを超えるものが出てきたら、当然これは入りますねと。入りますね。

山野政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、この改正案、大規模な災害、感染症の蔓延に類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けるものでございます。特定の事態を除外したものではございませんが、お尋ねの事態対処法で定められている武力攻撃事態等への対応については、法律で必要な規定が設けられて、本改正案に基づく関与を行使することは想定されていないものと承知しているところでございます。

宮本(岳)委員 除外されない、これを答えてください。

山野政府参考人 ただいま申しましたように、事態対処法等で定められている武力攻撃事態への対応については、法律で必要な規定が設けられており、本改正案に基づく関与を行使することは想定されてございません。改正案自体については、何ら、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けるものでございまして、特定の事態を除外するものではございません。

宮本(岳)委員 入れ替えて、結論は除外するものではございませんになったわけですね。いや、これを確認するのに何でこんなにかかるんですか。特別な意図があるとしか思えないですよ。何でこんなことが言えないんですか。本当にひどいと言わなければなりません。

 そこで、資料一を見ていただきたい。地方制度調査会の、上は第十一回専門小委員会、下は第十二回専門小委員会で配付された資料であります。

 地制調では、感染症や自然災害と並んで、国民保護事案、事態対処法、国民保護法という三つの類型について、国がどのような関与を行うかを検討しております。

 この資料に基づいて、国民保護事案や武力攻撃事態についても地制調で検討したのは事実ですね、自治行政局長。

山野政府参考人 お答えいたします。

 三十三次の地方制度調査会における議論でございますけれども、これは、特定の事態の類型に限定することなく、大規模な災害、感染症の蔓延に類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けることについて議論をいただきましたところでございまして、御提出いただきました資料につきましては、これはまさに専門小委員会の資料ということで議論の俎上に上がっているものでございます。

宮本(岳)委員 この答弁も余り変わらぬような表現をするんですね。ただ、地制調の小委員会に出たものであると。検討したということですよね。

 この資料は、五月十四日の当委員会で、私や立憲民主党の吉川筆頭理事、国民民主党の西岡委員が求めて提出された資料のうち、去年の十二月十四日に大臣が説明を受けたという、地制調で個別法での関与の仕組みを検討した説明ペーパーの二ページ目と九ページ目なんですね。左下の四角で囲った赤い字がページ番号であります。松本大臣への説明ペーパーは全部で十枚でありますから、そのうちの二枚がこれなんですよ。

 大臣は、重々、国民保護事案や武力攻撃事態について検討されてきたことを知りながら、想定されないなどという答弁を繰り返してきたんですね、松本大臣。

松本国務大臣 国民の生命等を保護するために迅速、的確な対応が必要となるようなときにどのように備えるかというのは大変重要なことでありまして、今委員からおっしゃっていただいた十二月十四日、就任当日から私はこの件について説明を受けているところでございます。

 地方制度調査会の資料に関連してでありますけれども、個別法の規定につきましては、国から地方への指示が、どのような事態において、どのような要件や手続の下定められているかを確認するために、主な危機管理法制の規定の参考として取り上げていたものでありまして……(宮本(岳)委員「知っていたんでしょう」と呼ぶ)はい、ですから、このような説明を私は受けたわけでありますが、この説明の趣旨は、今申し上げましたように、主な危機管理法制の規定の参考として取り上げていたものとして私は説明を認識をいたしておりますと申し上げさせていただきました。

宮本(岳)委員 知っていてそういう答弁をしてきたわけですね。

 では、配付資料二を見ていただきたい。地制調の専門小委員会に、これも、総務省が配付した資料であります。二〇二二年九月三十日に開かれた第七回専門小委員会で配付された、資料三、審議項目一関係資料(つづき)という資料の十五ページ目なんですね。

 小委員会の議事録では、総務省の田中行政課長が、この資料を使って、国際紛争等で武力攻撃事態等への発生の備えという新たな課題も出てきている、近年は平時でも有事でもないグレーゾーン事態というのが長期的に続く傾向があり、これが重大な事態に発展するリスクもある、自治体は平時から具体的なシナリオを想定した訓練をしておくことも重要であるという指摘もされていると説明いたしました。

 総務省自身も、事態対処法でカバーし切れない部分があることについて検討してきたのは事実ですね、局長。

山野政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました資料、これは小委員会の資料でございまして、当日、今手元に議事録はございませんけれども、その一環の説明の中でそういった説明がされたものと承知しております。

宮本(岳)委員 議事録どおり読んだんですから間違いないんです。

 資料にも、平時でも有事でもないグレーゾーン事態と太字で書かれております。総務省も総務大臣も、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態にグレーゾーン事態が入ることを重々認識した上で議論を進め、法制化、法案化してきたわけですね。

 もう一つ。私は、本会議で、安保三文書に基づく公共インフラ整備の問題を聞きました。

 私が、国と自治体が確認書を交わし、国民の生命財産を守る上で緊急性が高い場合に、自衛隊、海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努めることを条件に、国が整備費用を負担するとしていることを指摘し、政府は、あくまで、自治体に自衛隊の優先使用を強制するものではないと説明するけれども、本法案によって、国が必要と判断すれば、優先使用を指示することが可能になるのではないかとただしたのに対して、これまた松本大臣は、この枠組みにおいて、自衛隊の優先利用のために補充的な指示を行使することは想定されていないなどと答弁をいたしました。

 資料三は、内閣官房提出の資料、総合的な防衛体制の強化に資する取組について(公共インフラ整備)の中にある文書であります。空港、港湾に関する公共インフラ整備の取組の基本的な考え方という表題がついておりますけれども、平素から必要な空港、港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設け、これらを特定利用空港、港湾と名づけております。

 資料四は、特定利用空港や港湾になる場合に国が自治体と取り結ぶ確認書のひな形であります。合理的な理由があると認められるときには、民生利用に配慮しつつ、緊密に連携しながら、自衛隊、海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるように努めるとまで書いてあります。まるで優先利用をさせてくれと言っているように見えるんですけれどもね。

 今日は防衛省に来ていただいております。確認いたしますけれども、この確認書を取り結び、一たび特定利用空港、港湾となれば、国が必要だと認める合理的理由さえあれば、自衛隊、海上保安庁が優先利用を強制できるということですか、防衛省。

米山政府参考人 お答えいたします。

 今般、インフラ管理者との間で確認するに至りました円滑な利用に関する枠組みでございますが、これはあくまで、空港法や港湾法等の現行の関連法令に基づきまして関係者間で連携し、円滑な施設の利用について調整するための枠組みでございます。

 したがいまして、今般のこの取組でございますが、これは自衛隊、海上保安庁の優先利用を目的としたものではございません。

宮本(岳)委員 それはそうなんです。おいそれと強制できるものでないことは当たり前なんです。これぞまさに住民自治と団体自治、つまり地方自治の本旨の内実なんです。

 そもそも、港湾や空港の軍事利用を円滑にできない背景には、地方議会が、空港や港湾は平和利用に限るとか、米軍の艦船に入港に際しては非核証明書の提出を求めるなどの決議を上げている場合があるからです。憲法九十三条が定める議事機関としての議会の決議は重いということは当然であります。

 資料五は、昨年八月二十五日に開催された、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議第一回の議事要旨であります。松本大臣もここに出席をしております。大臣は、港湾や空港など公共インフラについて、設置管理を行う地方公共団体との政府における連絡調整を担う立場で協力していくと発言しております。

 国民の安全に重大な影響が及ぶような想定外の事態となれば、今回の地方自治法第十四章、特例の指示を使えば、幾ら合意ベースといっても指示して合意させられるのではありませんか、大臣。

松本国務大臣 委員がおっしゃる補充的な指示は、事態の規模、態様等を勘案して特に必要があると認めるときに、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために講ずべき措置に関し、個別法に基づく指示ができない場合に限って、必要最小限度の範囲で必要な指示が行われるものでありますが、今委員がおっしゃった特定利用空港、港湾における円滑な利用に関する枠組みは、国民の生命財産を守る上で緊急性が高い場合を含め、平素における空港、港湾の柔軟かつ迅速な利用について、あくまで、空港法や港湾法などの既存の法令に基づき関係者間で連携し、調整するための枠組みを設けるものと承知をしております。

 この枠組みは、事前に既存の法律に基づいて関係者間で連携、調整するためのものであり、自衛隊、海上保安庁の優先利用のために個別法で想定されていない事態に備える補充的な指示を行使することは想定されていないものと認識しております。

宮本(岳)委員 また想定されていないとおっしゃるんですけれども、グレーゾーン事態についての検討をやったんですね。そして、私、ここに、ある県にあなた方が出した、防衛省と国土交通省と内閣官房が出した文書ですね、問合せに対する答えを持っておりますけれども、いわゆるグレーゾーン事態が含まれ得ると考えてよいのかというときに、おただしのとおり、相違ありませんと。これが国の答えなんですね。

 もちろん、更に進んで、公共インフラを国が直接指示して使えるという、例えば武力攻撃事態ということになればそれは次の、個別法の世界なんでしょうが、グレーゾーン事態というところを今検討もして、そのときにこの十四章というものが使えるということになるんだろうと思うんです。

 さて、今日の最後にですけれども、立法理由として例示されるダイヤモンド・プリンセス号対応について議論したいと思います。

 地制調では、患者の移送について広域的な対応を要する事態が生じ、国が役割を果たしたが、個別法、感染症法等上は想定されていなかったと議論されたと紹介されております。

 まず、事実関係を厚労省に確認したい。

 資料六は、厚生労働省のダイヤモンド・プリンセス号現地対策本部の報告書であります。ダイヤモンド・プリンセス号の乗客が新型コロナウイルスに感染していたことが香港で確認されたのは二〇二〇年二月一日のことで、二月二日に国際保健規則により通報を受けました。通報を受けた時点で、ダイヤモンド・プリンセス号は、二月一日に那覇港を出て横浜港に向かいつつある洋上でありました。三日午後には、那覇検疫所が仮検疫済証の失効を船長に通告しております。

 この件は、基本的に、県や市ではなく、国が責任を持って対応した事例だったのではありませんか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の部分で申し上げますと、まず、入港したその時点では、他国から国内に入るわけですから、その時点では検疫法の対応ということになります。

 ただ、入港された後になりますと、その時点での乗客、もちろん感染されていない方もいますから、そこから先の対応は、必要に応じて感染症法に基づいての諸調整を行う、又は要請等で対応をするという状況でございました。

宮本(岳)委員 ということになれば、国が対応するということでよろしいですね。

佐々木政府参考人 感染症法になりますと、基本的には、都道府県知事、保健所設置市においては市長さん、特別区は区長さんということになります。

 その上で、令和四年の法改正では、国の総合調整機能の法改正をした、そういうたてつけでございます。

宮本(岳)委員 那覇港から横浜港に向かう洋上にあるダイヤモンド・プリンセス号の、その感染対策はどこがやるんですか。

佐々木政府参考人 洋上の話でございますので、その時点においては、これは検疫法に基づいての国の対応ということになります。

宮本(岳)委員 国なんですよ。何で昨日と違うそういう説明をするのか。この法案の議論をやっていると、答弁が、何かの意図によって表現を変えているのかと思わざるを得ないような答弁が多いんですけれども。

 国が責任を持ち、現地対策本部を設置して対応したんです。最終的には、受入れ病院の選定や患者さんを救急搬送する必要がありますから、神奈川県や横浜市、また周辺の自治体の協力がなければ進みません。この事案が発生したときは、感染症法上の法律的根拠がなかったと聞いておりますけれども、自治体への協力要請に自治体はどのように対応いたしましたか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 その時点においては、関係する自治体また関係団体等については協力をいただいたという状況でございます。

宮本(岳)委員 協力したんですよ。横浜市も神奈川も、また周辺自治体も、みんな協力して、想定外の事態に対応していったのが事実なんです。国の指示権がなかったから対応できなかったというような事実はないんです。

 先日の参考人質疑では、参考人の先生方からも、事件は現場で起こる、つまり現場に近いところでこそ一番正しい判断ができるとの声が出されました。

 そして、ダイヤモンド・プリンセス号事案は、国と地方がスムーズに協力したからこそ乗り越えられた事案として認識されるべきものです。総務省は、法案が示す内容も、その必要性も全く説明できていないということを指摘して、今日の質問を終わります。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私も、引き続きまして国の補充的な指示権の行使を中心に質問をさせていただきます。

 まず、一問目と二問目を順番を入れ替えさせていただいて、二問目から質問させていただきます。

 国の補充的な指示につきましては、要件としては、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、また発生するおそれがある場合に、事態の規模及び態様、地域の状況等を勘案して、国民の生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するために特に必要があると認めるとき、かつ、ほかの法律の規定に基づき必要な指示をすることができる場合を除くことと規定されております。

 これまでの質疑の中で、想定できない事態であるので、これ以上の要件を具体的に示すことはできないという答弁があっているわけでございますけれども、やはり、この例示をされております自然災害と感染症以外にどういう想定できない事態が発生するのかということについて余りにも曖昧な状況で、どのような基準でその指示権を行使していくことを決定するのかという決定プロセスについても明確な状況ではないというふうに認識をいたしております。

 二十一日の参考人質疑においても、礒崎参考人からは、立法事実がなく乱暴な議論である、また白藤参考人からは、個別の法律で想定できない事態に国の指示権を認めることは白紙委任に近い、国の指示権発動の範囲が無制限に広がるおそれがあるなど、立法事実自体についての懸念の声も示されたところでございます。

 行使の要件について、やはりもっと具体的な要件を示す必要があるというふうに思っておりますけれども、これについては議論は平行線になっているわけでございますけれども、例えば、規定をするときに、行使するということを決めるときに当たっての指針的なものを示すなど、指示権行使について濫用や恣意的な運用を防ぐという意味でも、やはり法律上に、例えば必要最低限ですとか安易に行使しない旨を明記するということも一つの方法ではないかというふうに思いますけれども、厳格な制度運用が必要であるという中で、このことについての御見解を総務省にお伺いしたいというふうに思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 補充的な指示の要件、手続ということでございますけれども、今御指摘ございましたように、補充的指示は、事態の規模、態様等を勘案して特に必要があると認める場合に、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために講ずべき措置に関しまして、個別法に基づく指示ができない場合に限って、最小限の範囲で行使されるというふうにしております。

 これは地制調の中の議論でもあったんですけれども、この場合、参照しましたのは、災害対策基本法や新型インフル特措法を参考にさせていただいたわけでございます。こちらの方は実際に運用がされているということでございまして、そうした要件が具体的にどうするのかという観点から議論がなされたところでございます。

 その手続については、あらかじめ資料、意見提出の求め等の適切な措置を講ずるよう努めなければならない、これは知事会等の要望を踏まえてこうした規定を入れたところでございますし、また、手続は慎重を期するところから、各大臣が閣議決定を経ることとしているところでございます。

 私どもとしては、こうした要件、手続の下で安易な行使がなされるということにはならないと考えておりますが、これは災害対策基本法や新型インフル特措法と同等の厳格な要件に従った運用が求められるものでございますので、そういった解釈も含めまして、法律の運用の考え方について各府省に対してしっかりと周知を徹底していきたいというふうに考えております。

西岡委員 なかなか要件について、平行線と申しますか、ずっと質問いたしておりますけれども、想定できない事態ということの中で、的確に判断をしていくというお話があっているわけでございますが、先ほども岡本委員の方から、一斉休校につきまして文部科学省の方に、その検証についての質問がございましたけれども、再度、この一斉休校のことを私も質疑の中で何度も出させていただいているんですけれども、国が補充的な指示を出すということについては極めて限定的で抑制的でなければいけない、その一番分かりやすい例として、やはりコロナ禍での学校の一斉休校というのがあったというふうに思っております。

 そもそも、この一斉休校について、要請であるものの、この要請をしたことにつきまして、政府としてどのように総括をされているのかということを改めて松本総務大臣にお伺いをさせていただきます。

松本国務大臣 全国一斉の臨時休業、令和二年二月に実施したこの要請は、新型コロナウイルスの性質がよく分からない中で、感染の拡大を防ぎ、児童生徒の安全を最大限確保するという観点から行ったものであり、その趣旨はおおむね達成されたものでありますが、その後、対策のノウハウが積み重ねられてきたこと、学校の役割の重要性が多くの関係者から改めて示されていることから、これからについては、これらを踏まえて検討すべきものとされているというふうに承知をいたしております。

西岡委員 それでは、今も検討されているという理解でよろしいわけでございますね。今後のことは検討する、しているということ。

松本国務大臣 申し上げましたように、令和二年二月時点で、新型コロナウイルスの性質がよく分からない中で、感染の拡大防止、児童生徒の安全の確保という観点から行われたというふうに理解をしているところでありますが、これを行って、その後、対策のノウハウが積み重ねられてきました。また、学校の役割の重要性が多くの関係者から改めて示されておりますので、今後につきましては、これらを踏まえて行うかどうかが検討されることになるという意味で、検討すべきものというふうに申し上げさせていただきました。

西岡委員 国の補充的な指示を今回法律に明記するわけでございますけれども、学校の一斉休校を含めて、様々、国が要請をしただけでもこれだけの影響があっている中で、指示権ということについてはより抑制的で必要最小限のものであるということをやはり担保する必要があるというふうに思います。

 続いての質問も関連いたしますけれども、国の補充的な指示権はあくまでも特例という位置づけであって、必要最低限、安易に運用されることが確実にないよう、運用について歯止めを担保することが必要であるということは、これまでも、全国知事会からの要望でもあっているところでございます。

 二十一日の参考人質疑においても、全国知事会の会長である村井参考人からも、最小限にとどめ、拡大解釈されてはならないという言及があったところでございますし、私が質問をさせていただく中で、しっかり事前に適切な協議、調整を行っていただく、我々の意見をしっかり聞いた上で判断をしていただきたいということ、また必要最小限の範囲としていただきたいということでございます、国会におきまして委員会質疑等であらゆる角度から質問をしていただきまして、しっかりとした前向きな、我々の意に沿うような答弁を引き出していただきたいというふうに思っておりますし、できれば附帯決議のようなもので、私たちの意を酌んだものをまとめていただければ大変ありがたいという村井参考人の御答弁もあるという中で、地方においては懸念を持っておられるというのが私は実態であるというふうに思っております。

 今、国と自治体が事前協議、調整を行うことが義務化はされていない、努力義務とするということの中で盛り込まれているわけでございますけれども、やはり事前に国と自治体が事前協議、調整を行うことを明確に義務化をするべきではないかというふうに思いますけれども、このことについて松本総務大臣の御見解をお伺いさせていただきます。

松本国務大臣 全国知事会の村井参考人からは、まず、今年一月に御提言をいただいておりまして、その御趣旨である地方自治体との情報共有、コミュニケーションにつきまして規定を設けさせていただいたところ、知事会の会長である村井知事からは、一昨日の参考人質疑におきましても、今年一月に行った提言を踏まえて改正案に盛り込まれたと思っており、こういった点は高く評価しているという御趣旨の発言がありました。さらに、補充的な指示を行うに当たっては、事前に十分な協議、調整を行うことや、目的の達成のために必要最小限の範囲とすることなどについて御発言があり、また、私どもには五月に重ねて御提言もいただいてきているところでございます。

 まず、運用に当たっては、法文上は、その必要な限度においてというふうに記載をされておりますが、補充的な指示は、適正な要件などの下で、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために講ずべき措置に関し、個別法に基づく指示ができない場合に限って、目的の達成のために必要最小限の範囲で行使されるものというふうに理解をしているところでございます。

 その手続につきまして、今、地方自治体との関係でお話がございましたが、答申でも、国と地方自治体との情報共有とコミュニケーションを重視しているとの認識が基本的な考え方として示されていると理解をしておりますし、全国知事会を始め、自治体の皆様のお声なども踏まえて、補充的な指示の前提となる自治体との情報共有、コミュニケーションの確保の必要性を含め、法律の運用の考え方について各府省にしっかり周知をしたいと考えております。

西岡委員 松本総務大臣の御見解として、この特例については最小限にとどめ、拡大解釈してはならないこと、また、容易にこれを行使するものではないということについては、それで間違いないということで大臣としてよろしいのかどうか、そのことについて御答弁いただけませんでしょうか。

松本国務大臣 繰り返しになりますので、要件その他について申し上げませんが、定められた要件の下で、また、地方自治の基本原則の考え方にのっとって行うという意味で、地方自治体との情報共有、コミュニケーションについては先ほど申しましたけれども、まさに個別法で想定されていない事態において、国民の生命等を保護するため迅速、的確な対応が必要な場合に限って行使されるものであって、その行使に当たっては慎重に行うことが必要であるということはおっしゃるとおりかというふうに思っております。

西岡委員 私自身も、例えば想定されない事態が起こったときに、法に基づかない様々な命令とか要請とか指示が行われるということの危険性も十分認識しておりますし、そのことについては、一定、私もそう思うんですけれども、余りにも、今回の法体系につきまして、決定をする要件を含めて、明確な歯止め、特に事前の地方自治体との協議、調整について明確に法的に担保されないというところに大変懸念を持っているという中で質問させていただいているわけでございますけれども、国の補充的指示権の行使をめぐっては、その行使については、指示権が行使された事後の検証が極めて重要だということは、二十一日の参考人質疑の中でも全ての参考人がこの検証は大変重要だということを陳述をされておりました。

 この事後の検証というものをどのような制度として考えていかれているのか、例えば第三者機関による検証も含めて検討されているのかどうか、このことについて松本総務大臣にお伺いをさせていただきます。

松本国務大臣 答申でも、補充的な指示が行使された場合には、各府省において、どのような事態においてどのような国の役割が必要とされたのか、自治体を始めとする関係者の意見を聞いた上で、適切に検証される必要があると指摘されておられます。

 補充的な指示が行使された場合には、国が責任を持って対応すべき事態であるにもかかわらず個別法による対応ができなかったということになろうかと思われますので、そのような事態に対してどのように対応していく必要があるのか、指示の必要性はもちろん、それ以外の点も含めて、対策の実効性の確保方策、国、地方その他の主体の役割分担など、事態対応全般についての検証が必要になると考えております。

 御指摘の第三者機関による検証も含めまして、実際に生じた事態を踏まえて、各府省において検証の在り方を検討いただく必要がありますが、法案が成立した際には、その施行に当たって、このような事後の検証を含めて、法律の運用の考え方について各府省へ周知を図ってまいりたいと考えております。

西岡委員 続きまして、一問、後に回させていただきまして、六番目を質問させていただきます。

 参考人質疑の中で、地制調のメンバーである山本参考人の方から御説明があった中で、今回の特例については、個別法の制定や改正を行うまで応急的に対応するための一般的な制度を考えたということであるという御説明がございました。まさに、個別法で規定された指示権では対応できない想定外の事態に備えてということだというふうに思うんですけれども、一時的な制度であるということで、そこから速やかに個別法に結びつけていくことが重要であるということも、そういう趣旨の御答弁もございました。

 指示権が行使された場合は速やかに個別法の改正に結びつけていくということが想定された特例だというふうに認識をいたしますけれども、再度同様の指示権が行使されることがないように、個別法の改正に結びつけていくためにどのような仕組み、方針で取り組んでいかれるのかということについて、松本総務大臣にお伺いをさせていただきます。

松本国務大臣 検証につきましては、答申でも、個別法の規定の在り方についての議論の契機とされることが期待されると指摘されておられます。

 検証を踏まえて、個別法の規定の在り方に関して、法制上必要な措置を講ずることを含めて検討する必要があると考えておりまして、法案が成立しましたら、その施行に当たって、このような個別法の規定の在り方の議論の必要性を含めて、法律の運用の考え方について各府省へ周知を図ってまいります。

西岡委員 度々これまでも松本総務大臣に御質問させていただいておりますけれども、やはり国会への関与について明確に規定されていないというところも大変問題だというふうに認識をいたしておりまして、例えば、事前承認等については機動性に欠けるという地制調での議論があったということでお伺いをいたしているわけでございますけれども、例えば、いとまがない場合には国会への通知ですとか事後の国会への報告等の、国会への関与のルールを明確に規定するべきだというふうに考えますけれども、改めて松本総務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 国会への事前承認等の仕組みに関しましては、国会報告が義務づけられているものとして、新型インフル特措法に基づく政府対策本部の設置などが挙げられるわけでございますが、この度の改正案で申し上げております補充的な指示は、国民の生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため講ずべき個々の措置に関して、個々の自治体に対して行われるものでありまして、先ほど申しました政府対策本部の設置など、権限の付与が包括的に行われるものとは異なるというふうに考えておるところでございます。

 国会の判断により求めに応じて適時適切に説明することは当然でございますが、今申し上げたようなことも考慮いたしまして、個々の自治体への指示の都度、国会承認や国会報告を義務づけることは機動性に欠けるのではないかという地方制度調査会の議論は理解できるものと考えておりまして、答申を踏まえまして、本改正案においては国会承認などの規定は設けていないところでございます。

 適切な検証が行われることについては、先ほど申し上げたとおりでございます。

西岡委員 時間となりましたので、残余の質問については、引き続き質問させていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 この際、本案に対し、斎藤洋明さん外二名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中司宏さん。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中司委員 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 今般の法改正では、各大臣が、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、個別法に基づく指示ができる場合を除き、閣議決定を経て、地方公共団体に対し必要な指示をすることができるとする規定を設けることとしております。このような規定は、本来的には個別法に定めることが望ましいところであり、緊急時における迅速な対応という観点から地方自治法に一般的な形で定めることが是認されるとしても、どのような場面でどのような指示があったのかを適切に検証し、個別法の制定や改正に関する議論につなげていく必要があります。

 そこで、本修正案では、各大臣が生命等の保護の措置に関する指示をした場合に、その旨及びその内容を国会に報告する規定を設けることとしております。

 以上であります。

 何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.