衆議院

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第8号 令和7年3月18日(火曜日)

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令和七年三月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君

   理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君

   理事 岡島 一正君 理事 吉川  元君

   理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君

      東  国幹君    石橋林太郎君

      上野賢一郎君    大西 洋平君

      加藤 竜祥君    川崎ひでと君

      岸 信千世君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    佐藤  勉君

      島田 智明君    田所 嘉徳君

      中野 英幸君    西野 太亮君

      福原 淳嗣君    古川 直季君

      向山  淳君    山口 俊一君

      山本 大地君    若山 慎司君

      おおたけりえ君    岡本あき子君

      奥野総一郎君    杉村 慎治君

      高松 智之君    武正 公一君

      西川 厚志君    福田 昭夫君

      松尾 明弘君    三角 創太君

      道下 大樹君    山花 郁夫君

      藤巻 健太君    守島  正君

      福田  玄君    中川 康洋君

      山川  仁君    辰巳孝太郎君

    …………………………………

   総務大臣         村上誠一郎君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   総務副大臣        阿達 雅志君

   総務大臣政務官      川崎ひでと君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        望月 明雄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            豊嶋 基暢君

   参考人

   (日本放送協会会長)   稲葉 延雄君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 小池 英夫君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 竹村 範之君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 山名 啓雄君

   参考人

   (日本放送協会理事)   安保 華子君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           寺田 健二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   黒崎めぐみ君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     西野 太亮君

  大西 洋平君     山本 大地君

  小森 卓郎君     岸 信千世君

  高市 早苗君     上野賢一郎君

  若山 慎司君     島田 智明君

  杉村 慎治君     三角 創太君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     高市 早苗君

  岸 信千世君     小森 卓郎君

  島田 智明君     若山 慎司君

  西野 太亮君     向山  淳君

  山本 大地君     大西 洋平君

  三角 創太君     杉村 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  向山  淳君     東  国幹君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     石橋林太郎君

    ―――――――――――――

三月十七日

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

 地方自治及び地方税財政に関する件

 地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官望月明雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、各党間の協議の結果、上野賢一郎君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。上野賢一郎君。

上野委員 提出者を代表いたしまして、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について申し上げます。

 特定地域づくり事業協同組合制度は、人口急減地域におきまして、地域の仕事を組み合わせて年間を通じた仕事を創出し、職員を組合で無期雇用した上で、組合員である事業者に派遣するというものであります。地域社会の維持及び地域経済の活性化に資することを目的とした制度であり、令和二年六月の制度開始以降、着実に全国での活用が進んでおります。

 人口急減地域におきましては、市町村は人手不足に陥る一方、組合は農閑期等の閑散期の派遣先の確保に苦慮しているという状況にあります。しかし、市町村への派遣には中小企業等協同組合法上の制約があり、市町村は組合員になることができず、加えて、市町村を含む組合員以外の者の利用は組合員の利用の二〇%までと制限されております。この市町村への派遣についての利用割合の制限を緩和する要望が、地方公共団体と組合の双方から寄せられているところです。

 また、現行法における内閣府の所掌事務の特例の期限は令和七年三月三十一日までとなっておりますが、今後も組合数の増加が見込まれることから、弾力的な予算対応を行うために引き続き内閣府に事務を行わせることとする必要があります。

 次に、本起草案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、特定地域づくり事業協同組合が関係市町村等に労働者派遣事業を利用させる場合の組合員以外の者の利用割合の制限を緩和し、組合員の利用の五〇%を超えてはならないこと等としております。

 第二に、内閣府の所掌事務の特例の期限を五年延長し、令和十二年三月三十一日までとしております。

 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

    ―――――――――――――

 地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。山川仁君。

山川委員 れいわ新選組の山川仁です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は、法改正ということですので、その前段であります法全体に対しての確認の意味を込めて、質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、れいわ新選組は、派遣労働が労働者にとって不安定な立場を生む原因であるとして、派遣労働には批判的な立場でございます。そこで、提案者に伺います。法案の文面に労働者派遣事業について記載がありますが、これはいわゆる一般的な派遣事業とどのような違いがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

塩崎委員 山川委員の御質問にお答えします。

 一般的な派遣事業との違い、大きく二点あるというふうに考えております。一般的な労働者派遣事業の場合には厚労大臣の許可が必要であるのに対しまして、この特定地域づくり事業協同組合では、無期雇用する職員に限って届出でこれを行うことができるとされております。また、もう一つは、特定地域づくり事業協同組合では区域外派遣が禁止されておりますので、組合の地区を含む市町村で限定して派遣を行うということ、この二点において異なるというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 次に、労働者派遣法二十五条についてですが、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則としますとうたわれております。この法律では安定的な雇用環境を実現するとありますが、派遣法の考え方と矛盾していないのかということで、少し見解を伺いたいと思います。

塩崎委員 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、派遣労働については、派遣先との関係において、派遣先の常用労働者の雇用を奪ったりとか代替が生じないように、労働者派遣法二十五条で、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する、こういう規定がございます。

 一方、特定地域づくり事業協同組合においては、これは人口急減地域に特定した形での制度、特例という形で位置づけられております。そのため、本制度に基づく労働者派遣事業は派遣元である組合との関係において無期雇用に限定されているということで、派遣先も限定されている。元々、人口急減地域でございますので、派遣先の常用労働者の雇用以上にそもそも人手不足が生じているような地域についての手当てを行う、そういう趣旨の法律でございます。

山川委員 ありがとうございます。

 無期限雇用という表現でしたけれども、法案レクの際にいただいた資料の中に、無期雇用は安定的な雇用環境というふうに記述がございました。無期雇用と言われても、最低賃金で働かざるを得ないパートタイマーの皆さん方もいると思います。そこで、伺いたいんですけれども、法の施行から五年たつ中で、制度の利用者の給与水準がどうなっているのか。今私が伝えた最低賃金で働かざるを得ないというような状況で、労働者にとっては不安定な立場になっていないのかというところで見解を伺いたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 組合から提出されました令和六年度交付申請書類によりますと、派遣職員の賃金は月二十万円台としている組合が百八組合中二十三組合と最も多くなっております。続いて、月十八万円台が二十二組合、月十九万円台が十六組合となっておりまして、これらを合わせまして全体の五六%程度を占めているというふうな状況でございます。なお、月二十一万円以上の組合は二十五組合でございまして、全体の二三%程度を占めるという状況になっております。

 こういった中で、全体の単純平均でございますが、月十九・七万円というふうな形になります。

 また、組合ごとにばらつきはございますものの、全ての組合におきまして最低賃金を上回る水準となっている状況でございます。

山川委員 ありがとうございます。

 予算規模が今回は五億円だというふうに記載されておりましたが、国家予算から見ると当然かなり低い予算となっております。この予算規模で執行する意味というもので、地域振興のためにもう少し予算はしっかりと確保していただいて、地域のために裾野を広げていくという観点から、政府参考人若しくは提案者の方から見解をお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、特定地域づくり事業協同組合の安定的な運営を確保するために、特定地域づくり事業推進交付金によりまして、組合の派遣職員人件費及び事務局運営費の支援を行っております。

 これによりまして、人口急減地域における担い手の確保と安定的な雇用の創出につながっているものと認識をしております。

 制度創設の令和二年度以降、組合数は着実に増加しておりまして、百組合で予算額約五億円となっておるわけですけれども、組合数は引き続き増加が見込まれるところでございます。

 また、地方公共団体等を始めとしまして各種団体から、人口急減地域における働く場と人材の確保のためにこの制度は有効というふうな声もいただいておりまして、特定地域づくり事業協同組合制度を推進していくための支援の拡充等について要望が寄せられているところでございます。

 総務省といたしましては、今後とも特定地域づくり事業が円滑に実施されるよう、関係府省庁とも連携いたしまして所要の財政措置を行ってまいりたいと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 時間もあれですけれども、提出者にも同様のことを伺いたいと思いますが、今申し上げたとおり、もっと予算を大きくして制度の裾野を広げ、地域経済の活性化を図るべきだと思いますが、その考え方についてお聞かせください。

塩崎委員 お答えいたします。

 今政府参考人からもありましたように、コロナの時期にはなかなか、組合数、制度の理解ということも含めて当初は苦労した時期があったというふうに聞いておりますが、制度開始から五年がたちまして、最近は組合数も順調に増えてまいりましたので、今後も更に交付金の仕組みを生かしながら、例えば委員の御地元の沖縄とかでも私の地元の愛媛でもいろいろ人口急減地域がありますので、もっともっとこの制度を知っていただいて活用していただけるように、我々も提案者としても期待をしておりますし、また委員からのエールもありがたく受け止めたいと思います。ありがとうございます。

山川委員 済みません、最後の質問になりますが、今おっしゃったように、私の地元の沖縄の方でもこの制度の趣旨である人口急減地域に当てはまるケースが幾つか当然あります。その中で、本年一月現在の組合数は、道府県自治体数にかなりばらつきがある。特に島根、福島、鹿児島というふうに割合を占めていると資料では伺っておりますが、その中で、道府県にばらつきなく制度の活用をしっかりと目指していくべきものだと考えております。先ほど来言ったように予算もしっかりつけて幅広くやっていただきたいと思いますが、参考人の御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

望月政府参考人 委員御指摘のとおり、組合の設立状況は都道府県によってばらつきがございます。過疎団体、過疎関係市町村の中では例えばまだ一割というふうな状況でございまして、今後とも設立が望まれるところだというふうに考えております。

 総務省といたしましては、これまで、全国市長会とか全国町村会などと連携した首長さんへの直接の働きかけ等を行ってきておりますけれども、本年度は、都道府県を問わず活用されるよう、沖縄県を始めといたします実務を担う都道府県また市町村の担当者に対する説明会を全国八ブロックで実施しております。

 こういった市町村また都道府県に対する働きかけを強めながら、今後とも、人口の急減に直面しております地域において本制度がしっかりと活用されるように取組を行っていきたいと考えております。

山川委員 制度がしっかり広がっていくように期待をしていきたいと思います。

 質疑を終わりたいと思います。以上です。

竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 この間、今法案が提案をされてきた背景には、島根県の海士町が行政として、観光協会を中心に地元の事業者と協働した地域づくり、仕事おこしにより移住者等の就労環境の整備を行ってきた取組があると思います。人口減少地域に限定をした労働者派遣法の規制緩和であって、真に地域で安心して働き続けられる仕組みにはなっていないとして、我が党は反対をしてまいりました。

 今回の法改正の内容を提案者に改めて確認したいんですけれども、なぜ、組合員になれない市町村に限って事業協同組合を構成する組合への派遣の五〇%まで拡大するということになっているんでしょうか。

加藤(竜)委員 お答え申し上げます。

 特定地域づくり事業協同組合は、中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合として、一つは、市町村は組合員になることができない、二つ目は、組合員以外の者による員外利用は組合員による員内利用の二〇%までという法的な制約がございます。

 員外利用規制の緩和について政府が組合と市町村へのアンケート調査を行ったところ、運営する施設やイベント時期などの人手不足に対応したい市町村と、冬の農閑期などの組合員による利用が少ない時期に派遣先を確保することで雇用を増やしたい組合のニーズが一致していることが判明いたしました。

 そこで、員外利用規制について特例を設け、当該組合の地区の市町村に対して組合の職員を派遣する場合については、員外利用を員内利用の五〇%まで緩和することとしております。これにより、豪雪地帯においても農閑期である十二月から三月までの四か月の派遣先を確保することが容易になるなど、組合による雇用の充実強化、ひいては地域社会の維持及び地域経済の活性化に更に資することが期待をされております。

 以上でございます。

辰巳委員 要は、事業協同組合をつくったんだけれども、農閑期や観光のオフシーズンなどには派遣できる仕事がないので派遣先を確保したいということだと思うんですね。人口急減地域では確かに賃金収入を得る仕事が少ない、そういうところでの事業協同組合では苦労されているというのはよく分かるんですが、ただ、仕事がないから仕事のありそうなところに派遣先を求めていくということだと、これはやはり単なる労働者派遣事業であって、細切れの就労とかになってしまう懸念があると思います。組合で働いている就労者のやりがいをそぐことになる懸念があるんじゃないかというふうに思います。

 事業協同組合の運営は、事業費のうち四分の一が国費、八分の一の特別交付税措置を含む総額二分の一、つまり半分は市町村、自治体で助成をしているということであります。現行法の審議の際は提案者から、組合が雇用する派遣労働者は無期雇用型に限定をされ、事業費への公的補助がつくことから一般的な派遣労働者よりも身分は安定するという説明がありました。そこで、確認したいんですけれども、現在、組合に就労している方の賃金は平均でどれぐらいか、お示しいただけますでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 派遣職員の賃金につきましては、地区内の他の事業者の給与水準等の地域の実情を踏まえて各組合において判断されているところでございますけれども、組合から提出されました令和六年度交付申請書類によりますと、派遣職員の賃金は全百八組合の単純平均で月十九・七万円となっているところでございます。

辰巳委員 やはり一般的な労働者の平均賃金よりもかなり安いということだと思うんですね。

 もう一点確認したいんですけれども、これまで事業協同組合で働いてきた方は何人で、その後の動向について教えていただけますか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度の制度開始以降、派遣職員として採用された方は、昨年の十月一日時点となりますが、六百五十三人となっております。このうちで、同時点で雇用されている方は四百十五人、六四%でございまして、退職された方は二百三十八人、三六%となっております。

 また、この二百三十八人の内訳になりますけれども、退職後の動向ということで、組合員の企業に直接雇用された方が六十五人、組合が所在する市町村内で組合員以外の企業に就職や起業等をされている方が五十四人となっておりまして、合計では百十九人、約五〇%の割合になります。その他、組合が所在する市町村の外に転居された方が九十名、また、組合が所在を把握できていない方が二十九名といった状況になっております。

辰巳委員 二十九名が所在不明ということなんですけれども、総務省として、働いている人の要望とか、あるいは退職者の状況とか、なぜ退職したのかという理由はつかんでいますかということに対しては、つかんでいないということでありました。

 それで、職員の大体六割が十代、二十代、三十代ということなんですけれども、単なる人手不足の解消、そのための派遣先の確保ではやはり続かないと私は思うんですね。

 現場でこの事業のことを研究されている識者からお話も伺いました。若者のライフステージを生かすことができるように運営している、あるいは働く人の個人のニーズをつかみながら行っているところはうまくいっているんだ、一方で、仕事を生み出すことなく雇用の確保、派遣先の確保ということなら単なる労働者派遣事業、普通の派遣になってしまうということを指摘されていました。今回の法改正、農閑期や観光のオフシーズンだから働き場所がないんだ、だから市町村の仕事にも派遣できるように緩和するというのは、まさにこういう学者の皆さんの指摘にも当てはまるのではないかというふうに思っております。

 確認しますけれども、現状ですね、現在の事業協同組合の組合数、これまでの市町村への派遣の実績を教えてください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 特定地域づくり事業協同組合の組合数でございますが、現在、全国の三十六道府県で百八組合が活動しております。

 市町村に派遣を行った組合の実績でございますけれども、令和四年度に二組合、令和五年度に三組合が派遣を行ったものというふうに承知しております。内容でございますが、公民館の事業管理の補助、また子育て支援業務などに従事したというふうに伺っているところでございます。

辰巳委員 続けてお伺いしたいんですけれども、五〇%まで規制緩和が必要だという要望はどれぐらいあったんでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一番最初でございますが、令和五年の地方分権改革の提案募集で、組合が安定した通年雇用を実現できるよう、中小企業等協同組合法の員外利用規制の緩和の要望がございました。まずこの段階で緩和の要望でございます。

 また、令和六年八月には、全国四十二道府県で構成されます特定地域づくり事業推進全国協議会から、組合員以外への派遣が可能な利用量割合の拡大を求める要望があったところでございます。

 これを受けまして、令和六年十一月に組合を対象に実施したアンケート調査の結果によりますと、員外利用規制の緩和を必要と考える組合は、回答のあった八十八組合中二十九組合に上ったという状況でございます。そのうち員外利用の具体的な期間を示した要望が十八組合からございまして、うち五〇%までの緩和ということで七組合、これが最も多かったというふうな状況でございます。

 また、回答の中、具体的に、豪雪地帯である本町におきまして組合では特に冬期間の派遣先の確保に苦慮している、せめて十二月から翌三月までの四か月間をカバーできるよう上限を緩和していただければ等の要望があったところでございます。

辰巳委員 時間が来ましたので最後にしますけれども、大多数の要望にはなっていない、むしろ少数かなというふうに思っております。であるならば、自治体自身が直接雇用して、人口減少地域をどう地域おこしをしていくのかという対策そのものが求められるということを述べて、質問といたします。

 以上です。

竹内委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、上野賢一郎君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。奥野総一郎君。

奥野委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する件(案)

  政府及び地方公共団体は、「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律の一部を改正する法律」の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 都道府県知事が特定地域づくり事業協同組合を認定するに当たっては、「地域社会の維持が著しく困難となるおそれが生じる程度にまで人口が急激に減少した状況」にあり、かつ「地域づくり人材の確保について特に支援を行うことが必要であると認められる地区」との要件を十分に踏まえ、真に地域づくり人材の不足している地区においてのみ認定・設立されることとなるよう、過疎地域の基準その他の定量的な基準を参考にすることを含め、必要な措置を講ずること。また、都道府県知事が特定地域づくり事業協同組合の認定の有効期間を更新するに当たっては、認定の有効期間における地域社会の維持及び地域経済の活性化に資する取組の状況を勘案した上で、この要件を十分に踏まえ、真に地域づくり人材の不足している地区においてのみ認定が更新されることとなるよう必要な措置を講ずること。

 二 特定地域づくり事業協同組合の職員の労働条件及び労働環境を改善するとともに、地区外、特に他都道府県からの人材の移住や定住の実績及び効果について検証・評価するため、国及び地方公共団体は、事業協同組合から必要な情報の提供・報告を受けるとともに、特定地域づくり事業協同組合の労働者派遣事業の運営の状況、職員の処遇、退職後の動向や退職理由、及び就職前後の居住状況その他事業の実施状況及び本法に基づくガイドラインの遵守の実態について、毎年調査を行い、その結果を分析の上、公表すること。また、政府及び地方公共団体の特定地域づくり事業協同組合に対する財政的な支援については、この調査結果を踏まえ、特定地域づくり事業の推進等を通じて地域社会の維持及び地域経済の活性化に資する取組が着実に行われているかどうかを検証した上で、適切なものとなるよう、その在り方について必要な検討を行うこと。

 三 改正法により市町村への派遣に係る員外利用規制が大幅に緩和されることに鑑み、特定地域づくり事業協同組合が職員を市町村へ派遣する場合には、当該市町村において雇用されている常勤職員や会計年度任用職員等の職員の代替としないことを原則に、当該市町村の職員や市町村から委嘱を受けて活動する地域おこし協力隊の隊員との間で、業務又は事務の内容に応じて処遇の均等・均衡が確保されるよう、適切に指導、助言その他必要な措置を講ずること。

 四 特定地域づくり事業協同組合がその職員となる無期雇用派遣労働者を募集・採用するに当たっては、できる限り当該人口急減地区外、特に他都道府県からの人材の移住や定住が促進されるよう、必要な各種施策を講ずること。また、組合員である事業主が、既に雇用している従業員を安易に解雇・雇い止めし、又は自社との兼業の形で事業協同組合の職員として就労させることのないよう指導すること。

 五 特定地域づくり事業協同組合の職員が地域づくり人材として特定地域づくり事業に従事しつつ適切に将来のキャリア形成を図ることの重要性に鑑み、特定地域づくり事業協同組合において、職員本人の希望に適合する就業の機会の確保のための配慮、特定の事業に継続的・専門的に従事する期間の確保、資格取得等のために必要な教育訓練・キャリアコンサルティングの実施等の取組が行われるよう、所要の措置を講ずること。

 六 特定地域づくり事業協同組合の認定に当たっては、労働者派遣事業の運営に関して十分な専門性及び人的体制が確保されていることを確認するとともに、そのために必要な措置及び支援策を講ずること。

 七 特定地域づくり事業協同組合が、教育訓練・キャリアコンサルティングの実施その他の労働者派遣法において義務付けられている業務の一部を第三者に委託する場合には、本来、当該組合が責任を持って同法上の義務を果たすべきものであることに鑑み、これらの委託した業務が職員の能力向上及びキャリア形成に資するよう適切に管理・運用されるよう必要な措置を講ずること。

 八 政府及び地方公共団体は、特定地域づくり事業協同組合に対し、労働条件の適切な設定と明示、時間外・休日労働の制限、年次有給休暇の取得促進、派遣労働者の直接雇用の推進、教育訓練の実施その他の労働者の保護に関する法制度について、十分な情報提供を行うこと。

 九 特定地域づくり事業協同組合がその職員を派遣するに当たっては、組合の事業計画の内容、組合員の行う事業に係る業務又は事務の内容、想定される派遣先の業務又は事務の内容、それらに応じた適正な水準の給与及び手当を始めとする待遇等について、その者に対し十分な事前説明が行われるよう適切に指導すること。

 十 特定地域づくり事業協同組合がその組合員として新たな事業者を加入させようとする場合には、事前に職員の意見を聴取すること等の職員の理解を得るための措置が講じられるよう、適切に対処すること。

 十一 特定地域づくり事業協同組合が雇用する職員の雇用の継続、従事する業務の内容、労働条件等に重大な影響を及ぼす程度に事業内容を変更しようとする場合には、職員に対し、事前に十分な説明を行い、理解と同意を得るよう指導すること。この場合において、都道府県知事は、新たな事業計画を受理する際には、特定地域づくり事業協同組合がその職員に対し事前に十分な説明を行うべきことを指導すること。

 十二 特定地域づくり事業協同組合の職員が従事する特定地域づくり事業は、地区によってはその内容が多種多業にわたる可能性があることから、特定地域づくり事業協同組合が職員の労働安全衛生の確保に特に注意を払い、事前の労働安全衛生教育の実施など組合員とも連携して十分な安全対策がなされるよう必要な措置を講ずること。

 十三 人口急減地域において特定地域づくり事業協同組合の職員が安心して働き、扶養する家族を含めて安心して生活を営むことができるようにするため、国及び地方公共団体による財政上の措置その他の措置が講じられていることも踏まえ、当該地域における適正な水準の給与及び手当等の確保その他の適切な労働・生活環境が確保されるよう、事業協同組合の職員からの意見聴取を踏まえつつ、毎年の調査その他必要な措置を講ずること。また、その内容を公表し、都道府県による適切な指導につなげること。

 十四 特定地域づくり事業協同組合が、その職員を派遣する場合、安定的かつ継続的に就業先の提供を行うことができるよう、関係事業者団体との間の情報の共有の促進その他必要な措置を講ずること。また、事業協同組合が新たな就業機会を提供できない場合であっても、職員の雇用及び賃金の支払の維持を図るための措置、休業手当の支払等の労働関係法令に基づく雇用者責任を適切に果たすことができるための知識の普及その他必要な措置を講ずること。

 十五 特定地域づくり事業協同組合において、新たな就業機会を提供できないことのみを理由としてその職員を解雇した場合、その職員の就業条件に十分に配慮していない場合など、不適切な行為が認められた場合には、業務改善命令その他所要の措置を講ずること。また、特定地域づくり事業協同組合において、労働者派遣法その他の労働関係法令違反が認められた場合には、労働者派遣法に基づいて事業廃止命令その他所要の措置を講ずるとともに、事業廃止命令を受けた特定地域づくり事業協同組合については速やかにその認定を取り消すなど適切に対処すること。

 十六 本事業の目的は、組合職員の雇用の安定と生活の安心を確保し、特定地域づくり事業にやり甲斐をもって参加して地域への定着・定住を促進するものであることに鑑み、組合は月給制を基本とするなど組合職員の処遇が安定的なものとなるよう努めること。また、時間外割増賃金の支払いや各種手当、賞与、退職金、昇給・昇格制度など適切な処遇の確保が図られるとともに、労働者の希望に応じた有給休暇、出産・育児・介護休業等の取得が保障されるよう、国及び地方公共団体が責任を持って事業協同組合への指導・監督を行うこと。

 十七 特定地域づくり事業協同組合の事業費において、事務局運営費の比率が過大となっている事例が散見されることに鑑み、事業の効率化及び適正化に努め、派遣職員人件費の比率を可能な限り高めるよう必要な措置を講ずること。

 十八 本法に基づく労働者派遣事業は、労働者派遣法の特例として人口急減地域に限定的に認められていることを踏まえ、労働者派遣法の根幹に関わる新たな特例の検討を原則行わないこと。

 十九 地方公共団体の任命権者は、その職員である一般職の地方公務員が公務外で特定地域づくり事業に従事する場合においては、当該職員の自主性を損なうことのないよう配慮しなければならないこと。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

竹内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村上総務大臣。

村上国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと思っております。

竹内委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査中、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官平井康夫君、総務省大臣官房総括審議官玉田康人君及び情報流通行政局長豊嶋基暢君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。村上総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

村上国務大臣 日本放送協会の令和七年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要の御説明を申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付すとともに、中期経営計画を添えて国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要の御説明を申し上げます。

 事業収支につきましては、事業収入が六千三十四億円、事業支出が六千四百三十四億円となっており、事業収支差金四百億円の赤字につきましては還元目的積立金をもって充てることとしております。

 事業計画につきましては、放送及びインターネットによる正確で信頼できる社会の基本的な情報の発信、コンテンツの質と量の確保、受信料の公平負担の徹底、ガバナンスの強化等に取り組むことになっております。

 総務大臣としては、受信料収入と事業規模との均衡を早期に確保していくこと、放送という手段に加えインターネットを通じて放送番組を国民・視聴者に提供すること、事業構造改革に不断に取り組むこと、健全な民主主義の発達に資するため正確で信頼できる社会の基本的な情報を提供すること等を求めております。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長稲葉延雄君。

稲葉参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の令和七年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明を申し上げます。

 令和七年度は、経営計画に基づいた事業運営を着実に実施いたします。令和七年十月から放送番組等の配信に係る業務を必須業務として行い、放送でもインターネットでも正確で信頼できる社会の基本的な情報を発信し、健全な民主主義の発達に資するという協会の使命を果たしてまいります。

 事業運営に当たりましては、適切な資源管理と最新テクノロジー活用などの業務改革を進め、コンテンツの質と量を確保します。命と暮らしを守る報道の深化に取り組むとともに、多様で質の高いコンテンツで公共的価値を創造いたします。国際発信は、質的充実を図るほか、リスク管理、ガバナンス強化に取り組みます。全国ネットワークを活用して地域の課題や魅力を伝えるとともに、人に優しい放送・サービスの提供の充実にも取り組みます。

 令和七年九月までのインターネット活用業務及び十月以降の任意的配信業務につきましては、実施基準に示した費用の範囲内でコンテンツを効果的に提供いたします。

 受信料の公平負担の徹底を図るため、時代に即した新たな営業アプローチを一層推進し、受信料収入を確保するとともに、副次収入、財務収入の増加など、財源の多様化を図ります。

 NHKグループ全体でガバナンスの強化を図り、アカウンタブルな経営を徹底するなど、視聴者・国民から信頼される組織運営に努めます。

 次に、建設計画につきましては、緊急報道設備や番組制作設備の整備を進めるとともに、いかなる災害時等にも安定的に放送・サービスを継続するための設備整備等を実施します。東京・渋谷の放送センターの建て替えにつきましては、第一期の放送設備整備を進めます。

 以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千三十四億円、国内放送費などの支出六千四百三十四億円を計上してございます。事業収支における不足四百億円につきましては、還元目的積立金の一部をもって充てることとしております。

 また、資本収支は、収入として、減価償却資金など総額九百三億円を計上し、支出には建設費など九百三億円を計上しております。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、令和七年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その概要を申し述べました。役職員一丸となって、事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、公共放送として視聴者の皆様の期待に応えてまいりたいと存じます。

 委員各位の御理解と御支援をお願いいたします。あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。塩崎彰久君。

塩崎委員 愛媛一区の塩崎彰久でございます。

 今日は、NHK予算ということで、放送法の改正が今年の十月から施行されますので、その関連で幾つか質問を伺ってまいりたいと思います。

 まず、村上大臣、私はNHKというとやはり大河ドラマが大好きなんですが、村上大臣一推しの大河ドラマを一つ挙げるとしたら何になりますでしょうか。

村上国務大臣 百ぐらいある中で一つ選べというのはなかなか難しいんですが、私の記憶では多分一九七三年だったと思うんですが、「国盗り物語」が非常に印象に残っております。

 ついでに、朝ドラは前回の「虎に翼」が大変勉強になりまして、秀逸の出来だったと思っております。

 以上であります。

塩崎委員 ありがとうございます。

 「虎に翼」は弁護士の物語でございまして、私も大変興味深く見ましたし、また、大河ドラマじゃありませんけれども我々の地元愛媛の「坂の上の雲」、これはやはりスケールにしても、秋山兄弟、正岡子規、NHKならではの非常にクオリティーの高いドラマだったんじゃないかなと思います。

 最近でいうと、昨年の「光る君へ」とか、今年の「べらぼう」なんかも私は大変興味深く毎週見ているんですが、残念なのが、報道を見ていると、視聴率が低い、こういうことがよく出ているんですね。昨年の「光る君へ」の初回視聴率が一二・七%、史上最低じゃないか。そうしたら、今年の「べらぼう」は一二・六%、更に史上最低を更新じゃないか。あれっ、こんなに私は楽しく見ているのに何でこんなに人気がないのかなと残念に思っていたんですが。

 よく考えてみると、これは必ずしもドラマの出来、不出来だけという話ではなくて、もっと大きな、テレビ視聴の習慣の変化もあるのではないかと思っております。お手元に資料をお配りしておりますけれども、テレビ視聴全体が、日本国民の皆さんはテレビを見る時間も減っていますし、平均利用時間も大きく減っている、こうした中で様々な番組を、昔と同じようにクオリティーの高いものを作ったとしてもどうしても視聴率が下がってくるのは、この時代のやむを得ない現象になっているのではないかと思っております。

 一方で、今年の十月からは放送法の改正によってNHKにおいてインターネット配信が必須業務になってくるわけでございます。NHKの大河ドラマも最近はインターネットで見る人が増えているのではないかと思いますが、NHKさん、昨年、今年、この辺りの大河ドラマのNHKのインターネットでの視聴の傾向そして視聴習慣の変化についてお答えください。

山名参考人 お答えいたします。

 昨年の大河ドラマ「光る君へ」の初回のNHKプラスでの視聴数は、四十九・八万UBと、一年前の時点では、配信した全ドラマの中で最多視聴数でありました。更にそれを大きく上回ったのが今年の「べらぼう」の初回で、視聴数は七十二・八万UBまで増加しました。視聴スタイルの内訳を見ますと、同時視聴ではなく、九割以上の方が放送当日から七日間の間で視聴された見逃し視聴となっており、スマートフォンでの視聴が大半となっております。

 大河ドラマを日曜の夜にテレビで見るというスタイルから、それぞれが好きな時間に好きなデバイスで視聴するという新たな視聴習慣が生まれてきているということだと思います。こうした新しい視聴ニーズをしっかり受け止め、今後もサービスの向上に努めていきたいと考えております。

塩崎委員 ありがとうございました。

 大河ドラマの内容がちょっと大人向きなんじゃないかなんという記事が出ることもありますけれども、今のお話を伺うと、大河ドラマといえども、家族みんなで大画面の前で見るという世帯視聴から、それぞれのデバイスで見る個人視聴に大きく視聴習慣が変わってきているのかなというふうに感じるところでございます。

 一方で、同じインターネットでも、NHKにはオンデマンド業務というのがあります。オンデマンド、これは必須業務とは違う有料での任意業務だと理解しておりますが、NHKのオンデマンドの登録者、令和五年度末には三百四十二万人。増えてはいるんですけれども、微増にとどまっているところがある。NHKプラスとすみ分けが分かりにくいような印象もありますが、NHKのオンデマンド業務、これについての今後の展望について教えてください。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKプラスは、受信契約のある世帯の方が、総合、Eテレの番組を同時配信や一週間の見逃し配信で、追加負担なしで御覧いただくことができるサービスであります。

 これに対しまして、NHKオンデマンドは有料の動画配信サービスでありまして、アーカイブス作品から新作まで、現在、一万七千本以上の番組を配信しております。貴重な映像資産の中から、ドラマ、エンターテインメントだけでなく、公共メディアならではのドキュメンタリー、教育番組の配信にも力を入れておりまして、事業収入も伸びておりまして、二〇二三年度末には繰越欠損金が解消いたしました。今年度からは、4K番組、スポーツやアニメなど、より多様なジャンルにサービスを順次広げているところでございます。

 こうした映像資産をより多くの方に御覧いただくための社会還元事業としまして、NHKオンデマンドでは、引き続き、配信番組の充実やシステムの改修など、サービスの拡充に取り組み、更なる利用者の拡大を図っていきたいと考えております。

塩崎委員 ありがとうございます。

 確かに、NHKの過去の非常に高品質な番組というのはある意味我々国民の共有の公共財のようなものでもありますので、こういったオンデマンドのようなサービスを通じて、それが広く次の世代にも引き継がれていくということは好ましいことではないかと思っております。

 また、ちょっと話が変わりますけれども、テキスト配信業務、これもNHKの大切な業務の一つでございまして、現在はテキスト配信については放送の理解増進情報として行われている任意業務でございますけれども、十月の法改正以降は番組関連情報ということで、基本的には放映された番組に関連するものに限定されるという形になります。放送と同一内容、同一価値の内容を配信するということになるわけですが。

 ここで一つちょっと心配になるのが、例えば大地震が起きたとき又は紛争が起きたとき、こういう緊急事態のときに公共放送としてテレビで流せる映像にはどうしても量的な限りがあります。そのときに、映像で流していないからテキスト配信も限定しなくちゃいけないということになると、国民の生命、安全に大きな制約となってしまうのではないかというふうに思いますが、番組関連情報の範囲についてはNHKの業務規程の中でどのように規定されていて、災害時や緊急時にしっかりと配信ができるのか、教えてください。

小池参考人 お答えいたします。

 視聴者・国民の皆様の命と暮らしを守る正確な情報をお届けすることはNHKの重要な役割だと考えております。自然災害の頻発化、激甚化が進む中で緊急報道の重要性はこれまで以上に増しておりまして、経営計画に掲げます、デジタルと放送が連携して災害時になくてはならない命綱としての役割をしっかり果たしていきたいと考えております。

 災害情報などにつきまして、業務規程では地域ごとにきめ細かく情報を掲載、配信することを明記しております。具体的には、情報を直接届けることができるインターネットの特性を生かして、地域ごとに整理した詳細な情報、さらには地図、データ、テキストなどを提供していきたいと考えております。

 いかなる事態が起きても確かな情報をいち早く伝えられるよう、放送で培ってきた公共的な価値を、放送はもちろん、ネットの世界でも十分に提供してまいりたいと考えております。

塩崎委員 やはり公共放送でございますので、災害時や緊急時には、映像で流れているか流れていないかとか、過度に番組関連情報の定義で萎縮することなく、しっかりと必要な情報を国民の皆様に、インターネットそして映像を駆使していただいて、届けていただければと思います。

 また、この関連で伺いますけれども、NHKは昨年の四月に、政治マガジンとか、六つのテキスト配信のサイトを終了いたしました。今年の法改正以降はネットでのオリジナルコンテンツは配信しないということになっているわけなんですけれども、例えば何か緊急な予定の変更とかで当初ニュースを予定していたものが放送できなくなったときに、そのために取材した情報とかニュースとか、こういったものは放送も配信もされないでお蔵入りしてしまうのではないかということは懸念しております。

 今、これだけインターネットが普及して、ソーシャルメディアが影響力を持つようになって、フェイクニュースも氾濫している、そしてアルゴリズムが仮に偏向していたとしても野放し状態、こういうことになっているときに、むしろ公共放送、また伝統的な放送法上のライセンスを持っているメディアの皆さんの確かな情報を届けていただく責任というのはますます大きくなっているのではないかと感じております。この辺り、是非、萎縮しないでしっかりとその責任を果たしていただきたいと思いますが。

 これは稲葉会長に是非お伺いしたいところです。インターネット視聴が急増するこの時代における公共放送の役割と責任について、どのようにお考えになりますか。

稲葉参考人 今ほど御説明させていただきましたように、ネットの必須業務化というのは、これまでよりも高い水準のサービスを提供するということをNHKに義務づけているものでございます。これまでの任意業務でウェブサイトなどから配信していました政治マガジン等と比べましても、その内容は、ネットの特性を生かしながら情報コンテンツを質、量共に充実する、そういうものにしていきたいというふうに考えてございます。

 例えば、どのようなニュース項目を取り扱うか、これは放送、配信に共通するNHKの編集判断として決めることになるんですけれども、例えばお話しのようにニュース番組でその日の動きによって取り扱う項目を変更して仮に放送、配信できなかったものがあったとしても、大変重要なものであればその後再び放送する、配信する、そういうようなことがあってもいいというふうに考えてございます。

 NHKは、受信料という独立した財政基盤を持っておりまして、情報空間の健全性確保に向けた取組に一層力を入れていきたいというふうに思ってございます。何より、視聴者・国民の皆様が知りたいと思っていることに真っ正面から向き合いまして、正確で信頼できる情報を放送と同様にネットにおいてもどんどん提供することで、放送で培ってきた公共的な価値を、放送はもちろん、ネットの世界でも十分に発揮して、健全な民主主義の発達に資するという役割をしっかり果たしてまいりたいというふうに思っております。

塩崎委員 稲葉会長、明確な御答弁と決意、どうもありがとうございました。

 最後の質問になりますけれども、今は実は、先ほどソーシャルメディアのお話をさせていただきましたが、放送法の中でのメディアの皆さんは、不偏不党な情報発信をしましょうとか、ちゃんと正しく責任を持ってもらいましょうとか、外資規制が入っていたりとか、様々な真実を届けるルールがあるわけでございますが、放送法の全く枠外のソーシャルメディアがどんどん影響力を持っている、これについて総務省としてどう考えているのか。

 川崎政務官にお伺いしたいんですが、例えばアルゴリズムが国益に反することになっていないかとか、フェイクニュースが放置されていないかとか、人権侵害が起きていないか、こういったことについて総務省としても、具体的に規制を考えたり、検討を開始すべき時期に来ているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

川崎大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、フェイクニュース、すなわちSNS上における偽・誤情報は、短時間で広範囲に流通、拡散し、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な課題であると認識しております。

 そのため、総務省では、SNSを健全に利用できる環境の確保に向けて、制度的な対応、対策技術の研究開発、幅広い世代のリテラシー向上等の総合的な対策を進めております。

 まず初めに、昨年成立した情報流通プラットフォーム対処法は、大規模プラットフォーム事業者に対しネット上の偽・誤情報を含む権利侵害情報の削除対応の迅速化を促すことなどを内容としており、今年の四月一日の施行に向けて現在準備を進めております。

 また、生成AIが日進月歩で進化している中、生成AIによる偽・誤情報の流通、拡散に技術的に対応することも重要です。このため、総務省では、例えばネット上の画像や映像が生成AIにより生成されたものなのかどうかを判断するための技術開発等を行っているところ、引き続き開発、実証を進めてまいります。

 そして、偽・誤情報対策には国民一人一人のリテラシー向上が必要です。このため、総務省では、官民の幅広い関係者による取組を推進するため、今年一月にデジタルポジティブアクションという官民連携プロジェクトを立ち上げたところです。幅広い世代の利用者、国民のリテラシー向上に向けて、官民連携で社会の機運醸成を進めてまいります。

 このように、総務省では、インターネット上の偽・誤情報について、国際的な動向も踏まえつつ、表現の自由に十分配慮しながら、引き続き、制度的な対応も含め、積極的に総合的な対策を進めてまいります。

塩崎委員 どうもありがとうございました。総務省としても様々な取組を今進めていただいているということがよく分かりました。

 一方で、例えばインターネット上の書き込みによって誹謗中傷が起きて人権侵害を受けた、これであれば削除要求又は損害賠償をする、今の法的な仕組みの中ではできるわけですけれども、そういう人権侵害とか誹謗中傷に当たらないような誤情報で世論操作をされる、こういったことについては、今、法的なガバナンスの仕組みがないのが実情であります。選挙の期間になれば、公職選挙法の中で偽情報、間違った情報を流すことについて規制があります。しかし、選挙期間の手前の政治活動の時期であれば、これを規制するガバナンスの仕組みが今は法的にはないのが実情でございます。

 これだけ大きな影響力を持つソーシャルメディア、そしてある意味ブラックボックス化されているアルゴリズムの開示、この辺りについてもやはりしっかり政府として、もちろん表現の自由には留意をしながら、国民に正しい情報に触れていただくためのガバナンスの仕組みを考えるべき時期に来ているのではないかというふうに思っております。

 私の問題意識をお伝えしまして、本日の質問を締めくくらせていただきます。どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、稲葉会長、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 まず、私からは放送百年について伺いたいと思います。

 NHKが初めて、当時はラジオ第一放送でございました、放送を開始してから三月二十二日で百周年を迎えるに当たり、先日、NHKホールで第百回放送記念日記念式典が開催され、私も参加させていただきましたし、立憲民主党からは武正議員と山花議員も出席されました。竹内委員長も出席され、御挨拶をされました。

 ラジオが日本でなぜ始まったのかということは、一九二〇年にアメリカ・ペンシルベニア州のピッツバーグでラジオが初めて世界で始まったのが始まりとされておりますが、日本でもラジオの開局の期待が高まった中で、一九二三年、関東大震災が発生し、そこで横浜港に泊まっていた船が無線通信を使ってこの現状を内務大臣や海軍などにも連絡し成功したということで、関東においてラジオ開局に向けた機運が高まった、そしてもう一つ、関東大震災においては人々が、ラジオさえあれば流言飛語による人心の動揺を防げたであろうという話が出まして、その一年半後に東京放送局、今で言うラジオ第一放送が始まったとなっております。

 何かそういう状況は今の現代でも変わらないのかな、この百年の間で、太平洋戦争、そして終戦、高度経済成長、オリンピック、パラリンピック、様々な震災、北海道でいうと胆振東部地震、阪神・淡路大震災、東日本大震災、昨年の能登半島地震などなど、そうしたところでもやはり確かな情報が重要であるという認識、多くの人々に瞬時に正確な情報を伝達するということが大変重要であるというふうに多くの皆様が認識してきたこの百年ではないかなというふうに思っています。

 そこで、伺いますけれども、これまでNHKが重要視してきた理念や事業について、それから次の百年に向けてNHKはどうあるべきとお考えなのか、稲葉会長に伺いたいと思います。

稲葉参考人 委員それから委員長にも御出席いただいた先週開催の記念式典でも御挨拶で申し上げましたけれども、NHKが視聴者・国民の皆様に確かなよりどころとなるような情報を提供する役割、すなわち情報空間の参照点としての役割を確実に果たすということによって、情報空間の健全性を確保し、ひいては究極の使命である健全な民主主義の発達に貢献していく、そういう必要があると考え、私どもは日々業務に当たっております。

 NHKに課せられているこうした役割あるいは使命は、次の百年においても変わることのない普遍的なものだというふうに考えてございます。ラジオやテレビに加えてインターネットが情報の伝送路として加わった今日でもそうであります。その先、仮にインターネットに代わる新しい伝送路ができたとしても、NHKの役割は全く変わらないのではないかというふうに思っております。

 次の百年も、公正公平で確かな情報や、豊かでよい番組、コンテンツを間断なく提供することによって、視聴者・国民の皆様のお役に立ち、ひいては日本や世界の民主主義の発達に貢献してまいりたいという決意でございます。

道下委員 その言葉、多くの視聴者・国民そしてNHKの職員の方々が聞かれたと思いますので、その思いはしっかりと堅持されて、これからも取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そこで、先ほど塩崎議員も質問し、会長も答弁されましたけれども、インターネットにおける情報についてちょっと伺いたいと思います。もう我々はインターネットを普通に使って、スマホでも瞬時に情報を入手しておりますけれども、そうした中で、一部にはやはり不確かな情報、偽・誤情報、フェイクニュースなどがどんどんどんどん増えつつあると私は思いますし、一部の権力者による世論誘導、また日本国内の選挙でも影響を持つようになってきました。情報空間において健全な民主主義の発達に資するというNHKが持つ使命をどのように果たそうと考えておられるのか、これも稲葉会長に伺いたいと思います。

稲葉参考人 委員御指摘のとおり、インターネットの情報空間は人々の注目を集めることが最優先される仕組みでございます。いわゆるアテンションエコノミーに支配されているということでございます。このため、偏りあるいはゆがみが生じやすく、その結果、様々な悪影響が生じているというふうに感じてございます。

 NHKは、受信料という独立した財政基盤を持っているため、このアテンションエコノミーの仕組みを殊更気にかける必要はございません。したがって、今年十月からのインターネット業務の必須業務化に当たっても、情報空間の健全性確保に向けた取組に一層力を入れていきたいというふうに思っております。

 視聴者・国民の皆様が知りたいと思っていることに真っ正面から向き合って、正確で信頼できる情報をネットでどんどん供給する、そういうことで放送で培ってきた公共的価値を、放送はもちろん、ネットの世界でも十分発揮して、健全な民主主義の発達に資するという役割をしっかり果たしてまいりたいというふうに思っております。

道下委員 稲葉会長からは決意のような回答をいただきまして、ありがとうございます。

 そこで、そうした理念や使命をNHKとして果たすためには私は確固たるというかしっかりとした財政基盤がなければならないというふうに思いますし、その基盤においてしっかりと事業を展開することが必要であるということで、事業収入、事業支出について伺いたいと思います。

 NHKは、事業支出について二〇二三年度から二〇二七年度までで約一千億円削減する計画の途中でございます。二〇二四年度から三か年のNHK経営計画がこの二〇二五年一月に一部修正され、二〇二五年度と二六年度の事業収入額並びに事業支出額をそれぞれ百億円増額しました。その理由を伺うとともに、それにより二六年度から二七年度の事業支出の削減額が当初想定より百億円多い五百二十五億円となりました。つまり、この一年の間で五百二十五億円事業支出を落とさなきゃいけないんです。これは実現可能なのでしょうか、それとも二〇二七年度の事業支出額を変更する可能性があるということなのでしょうか。これもNHK会長に伺いたいと思います。

稲葉参考人 今回の経営計画の修正でございますけれども、幸いなことに事業収入は、最近の収納率の改善などによりまして、受信料の増収影響というものが明らかになってきましたので、これを反映させました。一方で、事業支出については、後発事象であります価格転嫁あるいはインフレなどによる支出増の影響、あるいはインターネットの必須業務化ということによる支出増というものも反映させてございますので、二〇二五年度と二〇二六年度共に百億円ずつ加算したという形になります。

 計画の期間内の支出、収入を上方修正したために、二〇二七年度の支出削減額は大きくなったように見えますけれども、実は二七年度は計画の期間外でございまして、収入の前提を変えてございません。そのため拡大したように見えてございますが、二〇二七年度については別途、事業収入それから事業支出をしっかり次期中期経営計画の中で精査して定めるべきであろうというふうに思っております。

 いずれにしても、目指すのは二〇二七年度の収支均衡の実現でございまして、そのために業務全般の大胆な見直しによる支出削減それから業務の効率化や生産性向上につながる先行投資を行い、改革の成果を取り込みながら着実にステップを踏んで必要な構造改革をしてまいりたいと思います。

 こうした計画はいずれも容易ではございませんけれども、公共放送としての役割を果たし続けつつ、増収確保と支出削減を両立する構造改革を進めるため可能な限りの方策を講じていけば可能である、十分対応できるというふうに考えてございます。

道下委員 今の御答弁では、二〇二七年度も今までの計画の事業支出額というのが変更があり得る、収入が増えればそれに基づいて支出も増やすということで、そのような答弁だったというふうに受け止めます。とにかく収支均衡になればいいということだったというふうに受け止めていますので、これについては、今取り組まれておられる受信料収入の維持、増加を目的とした新たな営業アプローチについて、これに更に力を入れていくのかなというふうに思います。これについては後で時間があれば伺いたいと思います。

 そうした中で、この三か年で私が注目しているのが地域放送番組費と地域放送の時間でございます。

 地域放送番組費が二〇二三年度の百六十五・八億円から二五年度予算案では百五十二・二億円と、二年間で額にして十三・六億円、率にして八・二%も減少し、一日当たりの地域向け放送時間については総合テレビでは二年前の三時間程度から一時間四十五分程度に減少することが示されております。

 私も北海道で暮らしておりますけれども、地方で暮らす視聴者としては地元の情報を知りたいと思っているのではないでしょうか。特に民間の地方の放送局は、朝だったり夕方だったり、自前の番組を結構作成して、視聴率を高めて、スポンサーからのスポンサー収入を高めようと非常に努力されています。私は、NHKが放送番組費や時間を減少させていくことは非常に寂しいというか、今後も地域放送を縮小させてしまうことが心配というか。本来はもっと、全国また世界のニュースをNHKは全国にあまねく放送しなければならないという使命もありますが、地域の情報を地域の放送局の職員さんが頑張って取材して、それを映像や音声にして地元にも放送する、それを全国でも流すということが必要なのではないかと思います。NHKの参考人の方に伺いたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 二〇二五年度は、全体の支出削減によって地域放送向けの制作費も縮減する中で、地域放送局が地域向けに制作、放送する番組の枠を部分的に縮小することとしております。

 一方で、経営計画で掲げております、厳しい財政状況の中でも価値の源泉である取材、制作の基盤的資源への投資、地域放送局は災害対応と地域取材を基軸に、一律化することなく、それぞれの地域に合った形態で多様なサービスを展開していくという方針はいささかも揺るぎがなく、これまで同様に堅持してまいります。

 そのため、地域の課題や魅力を取り上げた全国放送番組を増やすことに加えまして、全国放送番組を地域向けに再編集した番組も拡充するなど、地域放送局と本部が連携して地域の活性化に貢献する多彩な番組を制作、編成してまいります。

 こうした一連の取組を通じまして、支出削減に伴い番組費を削減する中でも、地域向けの放送サービスは質、量共に維持し、視聴者の期待に応えてまいりたいと考えております。

道下委員 私は、この十月からインターネット放送が必須化されることによって、地域の情報を地域で流す時間を増やすなど、もうちょっと柔軟な考え方を持っていただきたいなというふうに思っております。

 今回のような回答は、実質的には地域での取材や放送も減っていないよという回答かもしれませんが、私は、地域の放送局で働く職員の方々のモチベーションはしっかりと保たれているのだろうかと。僕は下がっているのではないかと。

 もう一つは、都市部の放送局から地方の放送局に勤務異動を望まない、そんな職員が増えてしまうのではないかというふうに私は危惧をしております。地域放送局の魅力を向上して、地域と東京、大阪との間の人事交流を促進したり、職員のライフスタイルによって地方異動をためらうことにならないように、地方勤務の環境整備や、地域でも自分がやりたい取材と放送ができるという環境整備が重要ではないかというふうに私は思うんですが、その点について御回答をお願いします。

竹村参考人 お答えをいたします。

 NHKの使命達成のためには、地域放送局の役割というのは極めて重要でございます。今、山名専務の方から申し上げましたとおり、現経営計画においても、地域放送あるいは地域サービスの充実というのはしっかりと明記をしているところでございます。この考え方、この方針については、職員の皆さんもよく理解をしてくれているというように受け止めております。また、もう一つ、人材育成という意味においても、地域放送局での経験というのは極めて重要であるというように認識をいたしております。

 こうしたことでありますが、今御指摘がございましたように、具体的な異動となりますと、生活基盤が変わる、変更するということになりますので、例えば、昨今は非常に、夫婦共に職業を持って働いていらっしゃるとか、子育てあるいは親の介護といったような、様々な、ある意味でストレスであったり経済的な負担、こういうものが重なってくるという面がございます。こうした点については十分に承知をしておりまして、そうしたことを踏まえて、異動に当たっての環境整備ということについては今取組を進めているところでございます。

 従来からの施策に加えまして、既に行っているものといたしましては、地域に根差した働き方をしたい、活躍をしたいという人材については地域職員制度というものを導入いたしております。それから、配偶者の異動あるいは育児や介護など個人のライフステージに沿った柔軟な異動を行う、あるいは、生活の基盤の変更に伴ってそれに十分な準備ができるように、内示から発令までの、赴任期間までの期間をこれまで以上に確保するでありますとか、住宅借り上げに対する補助等々についても見直しをしていくというようなことを既に進めてきております。

 しかし、これだけで十分かと申しますと、これだけで本当にいいのか、更に進める必要があるのではないかという観点から、現在は地方勤務の実情でありますとか問題意識、職員がどのようなことを認識して、あるいは受け止めているかというようなこともしっかりと把握して、それを施策に反映させていきたいと考えてございまして、昨年から労使でそうしたことについても議論を行う労使合同委員会というのを新たに立ち上げをいたしました。更に職員の実情に合った効果的な環境整備を進めていきたいということで取り組んでいるところでございます。

道下委員 しっかりとその点を視聴者そして職員の皆様に伝えていただいて、それを実行していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、昨年六月に衛星放送、旧BSプレミアムを終了し、そして実はこの二〇二六年度にはラジオ第二放送を停波する予定となっております。

 私の自宅では、毎朝、NHKラジオで家族が目を覚ましております。音声波の削減により、外国語や芸術文化など生涯学習や多文化共生の番組が少なくなったり後退しないか。音声放送全体の費用が二〇二五年度予算で約三十四億円にとどまる中、あえて音声波を削減する必要があるのか、伺いたいと思います。また、ラジオ第二放送の終了後も現在と同等以上の災害等への堅牢性を確保することができるのか、伺いたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 限られた経営資源をNHKならではと思っていただける高品質なコンテンツの取材、制作に集中させるため、音声波につきましては、二〇二六年度の番組改定の時期に合わせて、二〇二六年三月末に現在のラジオ三波をAM、FMの二波に再編することとしています。二波に再編後は、語学番組や高校講座など教育番組は原則、新NHKFMで放送することを検討しております。再編後のコンテンツの在り方につきましては、インターネットの活用をより進め、引き続き幅広いリスナーに充実したコンテンツをお届けするとともに、利便性をなるべく損なわない形とするよう検討を進めてまいります。

 音声波再編に伴う削減効果といたしましては、番組の制作費に加えまして、老朽化したラジオ送信所設備の更新経費が不要となりまして、今後、百億円規模の設備投資を抑制できるというふうに試算しております。また、全国のラジオ送信所設備の補修費、回線費、電気代など、設備維持の経費として年間八億円程度の経費削減を見込んでおります。

 災害時、停電してもラジオは正確、迅速できめ細かい情報を伝えることができる利点がありまして、命と暮らしを守るため、ラジオが果たす役割は極めて大きいと考えております。新NHKAMでは、全国を広くカバーする特性を生かしまして、ラジオの災害報道の基幹波としてニュースやライフライン情報を放送してまいります。さらに、地域の状況に応じまして、新NHKFMでも帰宅困難者向け情報やライフライン情報などを伝えてまいります。公共放送として視聴者・国民の皆様の安全、安心、命と暮らしを守るということは重要な役割だと認識しておりまして、音声波の再編に当たっては、こうした点にも十分留意しながら丁寧に進めてまいります。

道下委員 NHKFMの方に移すということであれば、今度は、FMの音声波に即したきれいな音楽、クラシックとか、そういうのが減ってしまうんじゃないか、私はそれは心配をしております。

 時間が来ましたので、質問はしないで要望にとどめたいと思いますが、私もいろいろとNHKの番組を見て、一週間以内だったら見逃してもNHKプラスで見られるんですが、それを超してしまったら見られないんですね。NHKオンデマンドに契約したら見られるんですけれども、見放題で九百九十円なんですね。受信契約していても、していなくても同じですよね、そうなんですよ。私は、受信料をちゃんと払っている人だったら九百九十円じゃなくて割引していただきたいなと。その方がもしかしたらちょっと、地上波を受信契約していてプラスオンデマンドということで、私はオンデマンドの契約者も増えるんじゃないかと。安くなったら私は契約したいというふうに思います。

 これからもNHKの更なる活躍をお祈りして、質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭、今朝五時頃、地震速報が流れました。熊本で震度四の地震ということでした。また、暗い中での地震速報でしたので、不安も大きかったと思います。被害がないことを願います。

 また、当委員会、総務の委員会でございます。消防や地方自治体を所管しておりますので、大臣を始め必要な対応がありましたら優先してくださいますよう、お伝えをさせていただきます。

 さて、私からは、拉致被害者問題の解決に向けた取組の一つ、北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」の経費負担増について伺いたいと思います。

 「しおかぜ」は、北朝鮮から帰ることができずにいる拉致被害者に届けるため、NHKがKDDIの所有する八俣送信所から借りている時間枠、NHKの総括で契約している時間枠の中の一部を使って、特定失踪者問題調査会が被害者の名前を呼びかけたり家族や友人のメッセージを送り続けています。送信に利用している百キロワットの送信設備の老朽化に伴い三百キロワットの送信機への移設が提示され、工事期間中は一波になり、電波妨害などでラジオ放送が届かない可能性もあるということを昨年この委員会で私は質問させていただきました。

 NHK、KDDI、そして調査会、三者でお互い知恵を出し、御努力をいただいていることには敬意を表したいと思います。

 さて、工事が始まって以降、三百キロワット、二波の送信体制となりますが、従来の百キロワット、二波の送信に比べて電気代を含めて莫大な負担増の経費がかかるという状況です。資料一を御覧いただきたいと思います。

 調査会から提供している番組は何一つ変わっておりません。百キロワットで送信を昨年十二月まではしておりますけれども、月額二百六十八万円余という契約でした。三百キロワットに変わり、工事が理由で一波になってしまう時間帯があるから、別な時間に六十分の時間帯を設けるなど、工夫はしてくださっているんですが。黄色のマーカーをつけております、二百六十八万円余だったのが最終的には月額約四百五十万になるという提案がなされ、調査会の皆さんは非常に困惑をしております。調査会、NHK、KDDI、三者で協議を行っていると思いますが、先ほど申し上げましたとおり、調査会からは、番組の内容も変わらない、送信を届けていただきたいと。北朝鮮をカバーしていただく送信力も、調査会からすると変わらない。調査会から出している条件は何一つ変わらないのですが、送信設備の関係で、毎月二百六十八万が約四百五十万、一年間でいくと三千二百万ぐらいが五千万に上がってしまうものでございます。

 NHKの会長に伺いたいんですけれども、三者で協議を尽くして納得がいく結論になるよう促していただきたいと思うんですが、会長、いかがでしょうか。

小池参考人 お答えいたします。

 特定失踪者問題調査会が送信します「しおかぜ」に対して、NHKは、人道上の見地から、業務に支障がないことなどを条件に、「しおかぜ」の円滑な送信環境の維持、確保に向け、可能な限り協力しております。

 NHKが短波による国際放送の発信に使っているKDDI八俣送信所の送信機の一部を、調査会、KDDI、NHKの三者による覚書に基づいて、調査会がKDDIに費用を支払って、KDDIが「しおかぜ」を送信しております。

 「しおかぜ」の送信費用は、設備を所有し運用しますKDDIが特定失踪者問題調査会に算出、請求するものであります。

 一方、三者による協議は、三者間で覚書を締結する上で欠くことのできないものでありまして、NHKとしても、協議にしっかり対応してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 NHKは放送法とかいろいろな制約があるので、直接金額に口を出すとか、そういうことができないということは重々分かります。

 ただ、一・七倍に価格が上がるんです。元々、KDDIとNHKが総括で送信所をお借りする契約、これが前提になっているんですね。例えば、NHKもKDDIから借りるに当たって、百キロワットは使っていないにしても一・五倍とか五割増しとか全体が上がっていて、調査会の番組もこの金額が妥当だというのであればまたそれは中身を御提示いただければと思いますけれども、調査会からすると番組の構成は何一つ変わっていません。流してほしい時間も、要望としては従前と何一つ変わっていないんです。ただ、物価高だ、設備が上がった、あるいは工事の都合で一波になってしまうから別枠で流さざるを得ないというので、その金額が丸々調査会に請求が行くというのは、私からすると余りに理不尽ではないかと思っております。

 是非、三者でしっかり協議を、協議の場ということでNHKが仲介に入る。具体的な金額とかは口出しできないというのは重々分かりますが、NHKが総括で借りている契約の前提というところも含めて御努力をいただきたいと思います。

 もう一つ、内閣官房にも伺いたいと思います。

 妥当な金額がどこに落ち着くのかにもよりますけれども、そもそも、拉致被害者有本恵子さんのお父様が先月御逝去なされるなど、拉致問題の解決は待ったなしの状況です。家族会を支援されている方々も救う会の方々も年齢が上がってきて、体力的にも厳しいという声も聞いております。このような状況の中、この問題において重要な役割を担っている特定失踪者問題調査会が運営する北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」が、予算不足がありましたとか、予算が折り合いませんでしたというためにラジオ放送が途切れるなどということは絶対にあってはならないと思っています。

 改めて、拉致問題の対策として、被害者に必要な情報を途切れなく、妨害にも負けず届けるんだという意思を示していただきたいと思います。そのため、政府として「しおかぜ」の安定的な運用に向けしっかり対応するべきじゃないでしょうか。内閣官房、お答えください。

辻副大臣 委員の質問にお答えします。

 北朝鮮内への情報伝達手段が限られている中、委員御指摘のように、北朝鮮向けのラジオ放送は極めて効果的であり、御指摘のとおり、安定的に運用されるべきものだと考えています。

 政府としては、北朝鮮向けラジオ放送「ふるさとの風」及び「日本の風」を運営するとともに、特定失踪者問題調査会との業務委託契約を通じて、調査会が運営する「しおかぜ」の放送枠の中でも「ふるさとの風」の放送を行う等、調査会と連携してきました。

 この委託契約については、委員先ほど御指摘のように、今般「しおかぜ」で使用する送信機が百キロワットから三百キロワットに変更されることに伴って送信費も増額されるため契約額を見直す予定でありますが、引き続き、調査会、NHK、KDDIの三者間における協議の状況を注視しつつ、「しおかぜ」の担う重要な役割を踏まえて、拉致被害者を始めとする北朝鮮内への情報発信に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいと考えています。

岡本(あ)委員 支障を来さないようにという力強いお言葉もいただきました。三者の協議の場、そして内閣官房、政府を挙げて拉致被害者の問題についてはしっかり解決に結びつけていくんだという決意を改めて確認させていただければと思います。

 さて、放送百年ということで、NHKの果たしてきた役割あるいは今後の使命については、先ほど道下議員に対する答弁でも伺いました。私も全く同様でございます。そして、加えて言わせていただきますと、先ほど会長が御説明いただいた中にもありました命と暮らしを守る報道の深化に取り組む、この決意はやはり公共放送でなければならない部分があると思います。

 私、先週の三月十一日、実は今年もNHK仙台放送局の定禅寺メディアステーションに伺いました。昨年も御紹介しましたが、震災のときの情報を展示しております。三月になってリニューアルされまして、是非、委員の皆さん、そして総務省、NHKの皆さんも仙台放送局に行っていただければと思うんですが、カメラマンの方のアイデアで、震災の直後から定点でずっと、何年置きごとに定点で風景をカメラに収めているんです。百か所ぐらいあるようなんですけれども、それが選べて、時間をたどっていくと、震災の直後は瓦れきの山だった、ずっとしばらく放置されていた、片づけられた、トラックが往来している、そこがだんだん復興していく、そういうものが見られるコーナーがありまして、子供たちの社会科見学でも大変人気な場所になっております。

 災害への備え、災害が発災したとき、その後の復興の状況、これは能登も熊本も阪神も同じでございます、風化させない、教訓を生かす取組、改めて公共放送の使命として是非引き続き担っていただきたいと思います。この点もお答えいただければと思います。

稲葉参考人 東日本大震災の発生から先週の十一日で十四年が経過しました。今年もNHKは、ニュースやNHKスペシャル、ドラマを通じて、被災地の状況や震災の教訓あるいは復興の課題などを多角的にお伝えしてまいりました。今後も、震災を風化させない取組を続けるとともに、地域に応じた防災、減災にしっかり貢献していきたいと思います。

 さらに、被災地の復旧復興やあるいは災害伝承に寄与する情報を伝え続けることで、視聴者・国民の皆様の信頼や期待に応え、公共放送としての役割を果たしてまいりたいと思います。

 考えてみますと、日本の先人たちは、度重なる被災にもめげず、一つ一つ復旧復興を成し遂げて、今日を実現してきてございます。私たちも、こうした先人の偉業を引き継いで、今被災地で復旧復興に努力されている人たちをしっかり応援していく、そのことの重要性をNHKとしても情報として発信していきたいと思っております。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。視聴率とか聴取率は必ずしも高くないかもしれないですけれども、しかし、しっかり年月を重ねて残していく、後で見たときに先人の知恵ですとかあるいは教訓というのが生かされる、これがやはり公共放送の使命だと思いますので、是非これからもその点は期待をしたいと思います。

 さて、NHKが御努力いただいている中で、私、是非皆さんに御紹介したいものがあります。

 昨年は、フィフティー・フィフティー・ジ・イクオリティー・プロジェクト、番組の中で出演者の男女比を半々にするという取組、NHKが日本の中の放送界では唯一御努力いただいていることを評価させていただきました。

 今回は、NHKの企画イベントで私がとても評価しているのが高専ロボコンというイベントです。全国高等専門学校ロボットコンテストで、一九八八年から三十七回、ずっと続けてくださっております。高等専門学校生が与えられたテーマとルールでロボットを制作して、当然プログラミングの勉強をして、全国大会で皆さんの成果を披露しながら、お互いの物づくりそれからプログラミングの腕を競うというものです。NHKの一ディレクターの発案から始まったと聞いております。そのとき関わってくださった東京科学大学の森政弘名誉教授は、残念ながら今年お亡くなりになりましたけれども、価値を超えろという名言を残してくださっております。

 高専への求人倍率も高くなり、一躍高等専門学校という存在の知名度を上げたと私は思っています。大学やアジア大会まで広がり、物づくりそれからプログラミングの技術、技術者育成、人材を育てるということに寄与する企画だと思っています。是非、NHKとして今後、技術、物づくり、人材育成の取組への貢献、引き続き行っていただきたいと思います。この点の今後の姿勢をお聞かせください。

山名参考人 お答えいたします。

 全国高等専門学校ロボットコンテストは、今年、二〇二五年の大会で三十八回を数えまして、毎年、全国の高等専門学校が参加していただいております。

 大会運営には卒業生の方々も積極的に関わっておりまして、まさに次世代を担う人材を育てるというよい循環が生まれているというふうに受け止めております。

 毎年の競技課題につきましては、NHKと高専の教員が協力して、最先端の技術を取り入れる内容を考案しておりまして、近年ではAI、人工知能の活用も可能な競技課題の設定も行っております。

 NHKは、全ての地区大会を放送するとともに、NHKプラスで御覧いただけるようにしております。今後も、放送などを通じて若い世代が物づくりなどへの関心を高めることに寄与していきたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 是非今後も続けていただきたいですし、大学や小学生にも広がっているとは思いますが、高等専門学校というところは是非今後も残していただきたいなと思います。

 さて、放送法が改正になり、NHKが提供するネット放送有料化について伺いますが、放送法の関係ですので、総務省に伺うことになると思います。私は、有料の除外となる情報もNHKがネットで提供する余地を残すべきなんじゃないかと思っています。

 例えば、今、ニュース・防災アプリがあります。ニュースと防災がセットになっているんですが、私は防災の部分はやはり皆さんが見られる状況にしていただきたいと思います。発災した後は解禁しますという説明を総務省からいただいたんですけれども。日頃の備えが大事なんだ、先ほども教訓を生かすという話をさせていただきました、命を守るためには日頃の防災意識の啓発がまさに大事なんですけれども、アプリ、ネットですと契約しないと、お金を払わないと情報提供しませんよというこの姿勢は私はいかがかと思っています。加えて、選挙関連情報、これも先ほど道下議員、塩崎議員からもございました、偽・誤情報が氾濫する中で、スマホやタブレットで入手する同じ情報で、NHKが提供する選挙情報だけは契約しないと情報を入手させませんよという姿勢は私はいかがかと思っています。

 先ほど会長から、健全な民主主義の発達に資する、これが協会の使命だとおっしゃっている中では、防災それから選挙に関する情報というのはあらゆる国民が入手できる状態であるべきだと思います。これは放送法の関係なので、総務省に是非お答えいただきたいと思います。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 昨年成立しました改正放送法の規定によりまして、本年十月からは、放送番組等の配信がNHKの必須業務として位置づけられるとともに、テレビ等を設置していない方々がスマートフォン等の通信端末においてNHKの放送番組等の配信の受信を開始すれば、放送と同様に受信契約を結んでいただくことになります。

 これは、受信料制度の根幹でありますNHKの放送を受信することのできる環境にある者に広く公平に負担を求めるとの考え方を、必須業務化に当たり、放送番組等の配信についても適用したものでございます。

 他方、受信料制度に基づく公共放送は、例えば災害が発生した緊急時などにおいて広く国民・視聴者に必要な情報を提供するという役割を有しているというふうにも考えております。これは、放送であっても放送番組の配信であっても同様であるというふうに考えております。

 NHKにおきましては、このような受信料制度の考え方や公共放送の役割を踏まえつつ、必要な情報が国民・視聴者に行き届くよう、具体的な配信サービスの設計、運用に努めていただきたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 選挙に関しても今お答えいただきましたか。

豊嶋政府参考人 個別の運用につきましては、必要な配信サービスの設計、運用について進めていただくという形になりますけれども、公共放送で、先ほど災害の話を申し上げましたけれども、それ以外の放送番組の配信の具体的な設計あるいは運用につきましては、NHKにおきまして具体的な設計、運用に努めていただきたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 私は、放送法でちょっと、放送法に抵触をする部分があるのかもしれないので、法律上の改正が必要かどうかというのは私たち国会の中でも議論したいと思いますが、選挙は、偽・誤情報がこれだけ飛び交っている中で、ちゃんと根拠もあって、取材に基づいて、エビデンスのある情報を公共放送が提供してくださっているにもかかわらず、この情報はインターネットでは、契約しないと情報が入手できない。ほかのSNSは、何なら広告収入も含めて、ばんばん幾らでも見てくださいとなっている。公平公正さというところで見ると、やはり議論の余地はあるのではないかと思っています。重ねてになりますが、災害が発生したら無料で解禁しますではなくて、日頃からの防災があって初めてアプリがタブレットの上に乗るんだと思いますので、是非この点も今後は国会でも議論していきたいと思います。

 最後に、道下議員が聞かれましたが、資料三を御覧ください。NHKの資料では、赤線を引いていますが、千三百億円規模の経費削減を行うと明言して、上に赤で毎年どのぐらい削減するんですかというのを私が加筆しております。先ほど、最後の年は五百二十五億円を一か年で削減するんじゃないかという、NHKが公表している資料ではこういう状況で、不安が起きております。特に、総事業費の一割を一か年で削減するという言葉だけが飛び交うと、リストラが起きるんじゃないか、処遇が改悪するんじゃないかとモチベーションが下がる理由になります。地方の情報を更に縮小していくんじゃないか、地方がどんどん公共放送の中から消えていくんじゃないか、そんな不安が非常に大きくなっています。

 この点、是非、稲葉会長、削減の部分についてはこういうことはしないということもお答えいただければと思います。

小池参考人 お答えいたします。

 経営計画で掲げた二〇二七年度までの事業支出削減は、過去に経験のない大きなチャレンジだと認識しております。放送波の削減、設備投資の大幅な縮減を行うほか、既存業務の大胆な見直しを行い、番組経費や営業経費への切り込み、また既存のデジタルコンテンツの見直しなどの構造改革を計画しております。一方、業務の効率化や生産性向上につながる先行投資を行い、必要な構造改革をしっかり進めていっております。各年度の改革の成果を取り込みながら、着実にステップを踏んで事業支出を削減していきたいと考えております。

 御指摘のとおり、現場の実態を踏まえて計画的に見直しを行うことは重要であり、職員のモチベーションが下がらないように十分留意しながら進めていきたいと考えております。いずれも容易ではありませんが、今後も公共放送としての役割を果たし続けていくために必要であり、可能な限りの方策を講じながら構造改革に取り組んでまいりたいと考えております。予算の削減が人件費の削減やあるいは地方切捨てにつながらないように努めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 以上で終わりますが、数字だけが独り歩きしないことを願っております。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 それでは、早速始めたいと思います。視聴者の皆さんに分かりやすくと思ったんですが、ネットでテレビと同じ番組が見られるということなんですが、受信料です。要するに、テレビジョンの受信機を持たないで端末だけで放送を見る方というのは受信料はお幾らなんでしょうか。それから、従来の契約者の方はネットを見るのは追加の負担は要るんでしょうか。

    〔委員長退席、あかま委員長代理着席〕

小池参考人 お答えいたします。

 インターネットのサービスは、その特性に応じて放送と同一の情報内容と価値を提供していくものであります。そのため、テレビを持たずにNHKのインターネット配信のみを利用される方の受信契約は地上契約として扱い、料額は月額一千百円となります。

 なお、既にテレビを設置して地上契約や衛星契約を締結していただいている方は、インターネット配信の受信を開始しても追加の負担をお願いすることはありません。

奥野委員 今、月千百円でしたっけ、地上契約はね。地上契約と同じ千百円ということなんですが。

 通告していなかったんですが、BSはネットでは同時には見られないということですかね。その理由を教えてください。

小池参考人 お答えいたします。

 BSについては、コンテンツの性格、ネットで配信するときの配信権の問題などもありまして、ネットでの配信にできるような環境整備がまだ整っていないという状況でございます。

奥野委員 著作権とかの処理だと思うんですが、これからどんどんネットに移行していくことを考えれば一刻も早くやっていただきたい。要望ですけれども、お願いしたいと思います。

 というわけで、千百円で地上波と同じものが見られるということなんですが。では、受信料を払わない方、ネットだから誰でもアクセスできると思うんですが、受信料を払わない方はサイトにアクセスできるんでしょうか。そして、した場合には自由に見られてしまうんでしょうかね。払っている方と払っていない方の公平性の問題があるんですが、フリーライドをどうやって防止するか教えてください。

小池参考人 お答えいたします。

 必須業務化により、放送番組の同時配信、見逃し配信、番組関連情報は受信契約の締結の対象となります。このため、誤って受信を開始しないような措置を分かりやすい画面で設計することを計画しております。具体的には、初めて利用したときなどに、サービスの利用意思と受信契約が必要である旨を確認するメッセージが表示されます。既に受信契約を締結されている方、若しくはこれから締結される方は、確認していただいた上に同時見逃し配信や番組関連情報の受信を開始していただく想定となっております。

 フリーライドを防止するためには、画面にアカウント登録や受信契約の確認を促すメッセージなどを表示いたします。メッセージの内容や表示方法、頻度などにつきましては利用者の状況に応じて随時、調整、改善していくことで、必要な手続を行っていただけるよう努めてまいりたいと考えております。

奥野委員 たしかNHKプラスが始まったときもそうやってやっていた、同じように、今はBSをケーブルテレビなんかで見ると契約してくださいと出ると思うんですが、そういったような形で最初のエントリーのときにそういう画面が出て、レスポンスして視聴契約していることを証明すればその表示が取れる、こういうことなんですね。それをやらない限りはずっとその画面が残り続けてかなり見づらくなる、こういうことと理解しています。それはそうなんですが、では、先ほど来出ていますが、災害のときはどうしますか。災害情報ですね。

 今も、無料のニュースサイトがありますが、災害時なんかは無料でNHKの動画が流れております。誰でも見られるんですね。災害情報については、今も一定そういう措置が取られているんです。必須業務化したときに、今のようなフリーライド防止措置があるんですが、災害情報などについてはこういう防止措置を、誤受信防止措置と言っているようですが、なかなか舌をかみそうなんですが、これは多分、性善説で、誤って見てしまうんだ、わざわざただで見ようとしなくて誤って見てしまうんだろう、こういう性善説に立った用語だと思うんですが、分かりにくいんですが、誤受信防止措置を災害情報などの際も取るんでしょうか。

    〔あかま委員長代理退席、委員長着席〕

小池参考人 お答えいたします。

 平常時は、国内テレビ放送の同時配信と見逃し配信、それに番組関連情報のサービスにつきましては、誤受信防止措置で受信契約が必要であることを御確認いただいた上で御利用いただくことになります。

 ただし、公衆の生命又は身体の安全の確保のために必要な情報についてはそういった手続を踏まず、受信契約の必要もない形でお届けできると法令で規定されております。このため、大規模災害などの緊急時には受信契約の有無にかかわらず緊急報道をお届けできるようにすることを想定しております。

奥野委員 従来どおり、必須業務化しても大規模災害なんかのときは誰でも放送にアクセスできる、こういうことでありますね。そこは確認をします。

 さらに、先ほど来会長から、ネットの世界でも健全な民主主義の発達に資するように情報を提供していきたい、こうおっしゃっています。

 フェイクニュース、偽情報、誤情報に対して、オールドメディアとやゆされていますが、既存のメディアの生命線というのは正確な情報をきちんと皆さんに提供することだと思うんですね。そういう意味で、例として言えば選挙報道ですね、民主主義の基盤たる選挙報道なども私は誤受信防止措置の対象外とすべきだと思います。何でもというと、多分、ニュースが全てなってしまうんですが。ここは通告していませんが、例えば政権放送などは誤受信防止措置の対象外にしてもいいと思いますし、一定程度、選挙報道、特集、どこまでやるというのはありますけれども、誰でも見られるようにすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

稲葉参考人 一般に、選挙報道といいますものは、法令で定めますところの公衆の生命又は身体の安全の確保のために必要な情報というものには当たらないというふうに認識しておりまして、したがって誤受信防止措置を講じることになるということになります。

 確かに、健全な民主主義の発達に資する報道、あるいはその判断のよりどころになる正確で信頼できる情報の提供、これはNHKにとって大変重要な役割だと認識してございますが、一方で、そうした質の高い報道を持続的に展開していくというためにはコストがかかるものでございまして、ネットのみの受信者の方にも公平に負担していただくのが原則ではないかというふうに考えてございます。視聴者・国民の皆様が知りたいと思っていることに真っ正面から向き合って正確で信頼できる情報をネットでもしっかり提供する、公共的価値に共感していただき、その上で納得して受信料をお支払いいただけるようこれからも努めてまいりたいというふうに思っているということでございます。

 その点で関連しまして、政見・経歴放送でございますが、NHKと民放は今、公職選挙法第百五十条に基づきましてテレビとラジオで放送することが義務づけられております。一方で、インターネットについては公職選挙法に規定がされていないというふうに理解してございます。

 政見・経歴放送の配信につきましては、やはり選挙運動の在り方に関わるものでございますので、まずはその実施について国会において御議論がなされるべきではないかというふうに考えているところでございます。

奥野委員 そこは確かに制度が追いついていないという面があると思いますので、国会の方でということになりますが。

 ちょっとごめんなさい、今のは確かに、公平性の観点から法律上に根拠がなければ安易に誤受信防止措置を外すということはできない、こういう趣旨だと思うんですが、NHKの判断で、裁量としてこういうものについて外すことはできないんですか。

稲葉参考人 お尋ねの内容が政見・経歴放送に関連するということでございますとそういうこと、今申し上げたとおりでございます。

奥野委員 全体的に何をということですけれどもね。例えば災害についてはどこまでという判断がある程度働くんでしょうし、政治は法的根拠がないとおっしゃっていますが、ない場合においてもNHKの独自の判断で誤受信防止措置を外すことはできますか、こういう問いです。

稲葉参考人 一般には、選挙報道的な情報提供であれ何であれ、重要な情報の提供の一環だということで、NHKとして番組を編成する中で考えていくということになると思います。

奥野委員 ということは、全体の判断の中でNHKとして判断して外そうと思えば外せるということなんでしょうか、誤受信防止措置を、ネットの。

小池参考人 お答えいたします。

 選挙報道は法令で定める公衆の生命又は身体の安全の確保のために必要な情報には当たらないということで、誤受信防止措置を講じることになります。法令に従って誤受信防止措置を講じるかどうかというものは定められているというふうに理解しております。

奥野委員 ということは、できないということですね。制度を改めなければできない。少なくとも政見放送については国会でそこを考えなきゃいけない、こういう話になると思うんですが。

 ちょっとそれで気になっているのは、NHKのニュースサイトがあって、今も僕はあれをよく見るんですよ。ニュースが全部文字で起こされていて、あれは誰でも見られるんですね。場合によっては動画も出てくるんですよ。これがこれから番組関連情報と位置づけられてしまうとこうしたものが無料で見られなくなるんじゃないかと思うんですが、そうすると、今あるニュースサイトというのは誰でも見られなくなるんですか。

小池参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、現在、インターネット活用業務の中でテキストや動画などの情報を理解増進情報として提供しておりますが、必須業務化後は、NHK番組関連情報配信業務規程にのっとり、番組関連情報として視聴者の皆様に提供していく予定でございます。

 番組関連情報は、ラジオや国際情報など一部を除いて受信契約の対象でありまして、そのことを御確認いただいた上で御覧いただくのが基本となります。その上で、御利用いただいている方に適宜契約のお願いをして、必要な手続を行っていただくように努めてまいりたいと考えております。

奥野委員 これからサイトの在り方が問題にもなるんですが、必須業務化されたときにNHKのサイトはどうなるんですかというのが気になるんです。ニュースサイトがあって、NHKプラスが別にあって、それからNHKオンデマンド、三つのアクセスの仕方が今はあるんですね。そう理解していますが、必須業務化したときにどうなるのか。今あるニュースサイトはクローズされて、必須業務化した要するに放送番組を流しているサイトに統合されて、関連情報として出てくるのか。その際に、今の話だと、文字情報は一応誰でも見ることはできるけれども、見る方は受信契約してくださいねと注意喚起がされる、こういうことなんでしょうか。

小池参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、番組関連情報はラジオや国際情報など一部を除きまして受信契約の対象となります。そのことを御確認いただいた上で御覧いただくのが基本でございます。御利用いただいている方には適宜契約のお願いをして、必要な手続を行っていただけるように努めてまいりたいと考えております。

奥野委員 テレビの方は分かるんですよ、出てきて見られなくするというのは、公平性の観点で。

 文字は今まで無料で、視聴者の側は制度を意識していませんから、無料で見られてきたものですよね。今のお話だと、しかし、まさか文字の上に透かしのようなものを入れて見られなくするんですかということなんですが、ちょっと常識に反するような気がするんですよね。

 もちろん有料のニュース情報もあるんだけれども、大抵の情報は今は無料で文字情報が見られるわけですよ、ニュースで。それは多分、既存メディアがそういうことをやることでフェイクニュースの防止につながったり、健全な民主主義の発達につながる面があると思うんですよ。NHKというのは公共放送ですから、一番そこを問われていると思うんですね。そこの情報について、テレビをネットに持ってきたときにみんなが受信料を払わなければいけないというのは分かるんですが、文字に起こした情報、一旦放送したものが後で出てくるわけですよね、文字に起こした情報まで有料化して見づらくするということは私はあってはいけないと思うんですが、改めて、いかがですか。

稲葉参考人 この辺のところは、これから十月にどういうウェブの、ネットの設計をするかということにかかってきまして、今はその真っ最中ではあるんですけれども、イメージとしては、これから見ていただくネットの中身としては、基本的には、映像の一部がもう一回見られたり、あるいはそれが文字化された文字情報が添付されているとか、ハイブリッドなメディアに多分なっていくんじゃないか。だから、今までのような文字情報はどうなるんだとかそういうことではなくて、媒体をいわばハイブリッドな形にして、より情報として高い情報を視聴者の方がエンジョイしていただける、そういう形に変わっていくものというふうに考えて今作業をしているところです。

奥野委員 ちょっと観点が違うと思うんですけれども。便利になるのはいいんだけれども、最低限の情報を無料で国民に共有してもらう必要があると思うんですよ。これまでそういうふうにやってきたわけですね、ネット情報は、ニュースサイトがあって。それをいきなり有料にして見られなくする、見られなくはならないのかもしれないけれども、お金を払ってくださいねといきなり言うのはどうかと私は思うんですが。いろいろな議論があったことは私も承知していますよ。NHKさんがそこをそもそも望んだわけじゃないというのも承知はしていますが、大臣、どう思いますか。

村上国務大臣 これは本当はNHKさんが答えた方がいいと思うんだけれども。

 先ほども局長さんの答弁にもありましたけれども、昨年成立した改正放送法の規定によりまして、本年十月からは、文字情報を含む番組関連情報の配信がNHKの必須業務として位置づけられるとともに、テレビ等を設置していない方々がスマートフォン等の通信端末において番組関連情報の配信の受信を開始すれば、放送と同様に受信契約を結んでいただくことになります。

 これは、受信料制度の根幹であるNHKの放送を受信することができる環境にある者に広く公平に負担を求めるという考え方を、必須業務化に当たり、番組関連情報の配信についても適用したものと考えております。

 その上で、NHKにおきましては、番組関連情報のうち例えば災害情報などについては、自ら定めた業務規程に基づいて、国民の生命、身体の安全の確保のために迅速かつ確実に提供するよう、その適切な配信サービスの提供に努めていただきたい、そういうふうに考えております。

 以上であります。

奥野委員 そうなんですが、時間がなくなってきましたけれども、そうすると今の話だと受信料の在り方にも関わってくると思うんですよね。今は千百円でパソコンなりスマホを持っている人が払う、あるいは受信機を持っている人が払う、こういうやり方になるんですが、これからネットがだんだん当たり前になってくると思うんですよ。もう時間がないのであれなんですけれども。

 ネットを見る人がだんだん増えていく中で、今の受信料体系というのは、テレビを持っている、ラジオを持っている、受信機を持っている人が中心であって、受信機を置いていれば契約しているから払ってください、その延長で端末を持っている人は払ってください、こういう設計なんです。ドイツなんかは世帯にかけていますね、イギリスもたしかそういうやり方をしているんですが、もっと広く薄く皆さんに負担を求めることで全体として受信料の水準も下がるでしょうし、公平性も保てると思うんですね。そうすると、今の文字情報の話も考えなくていいわけです。みんなが負担すれば、みんなが見ればいいわけですから。

 受信料制度の在り方全体について、大臣は今、御検討されていますか。見直す、いかがですか。

村上国務大臣 今委員が御指摘したように、ドイツの放送行政は連邦ではなく州の管轄で多くの州でやっているということで、州間の協定で全国民から取ることになっております。

 人口減少やデジタル化の進展等で我が国の社会経済が大きく変化する中で、NHKが公共放送としての社会的使命を果たしていくためには、必要な受信料財源を確保して健全な経営に取り組むことが重要だと考えております。

 先ほど来お話をしましたように、諸外国の受信料制度につきましては、各国の社会的状況等を踏まえ、様々な制度が採用されているというふうに認識しております。我が国におきましては、現在の受信料制度の下、まずはNHKから受信料制度の意義を丁寧に説明して、支払い率の向上を図ることが必要であると考えております。

 他方で、総務省としましては、NHKが公共放送としての社会的使命をこれからも果たしていくことができるよう、委員御指摘の諸外国の動向も注視しつつ、我が国の社会経済の変化を適切に捉え、受信料制度を含めた放送制度に関して継続的に検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

 以上であります。

奥野委員 ありがとうございます。視聴形態が変わってきていますから、そこは見直しが必要だと思います。

 通告してできなかった質問もあるんですが、一点だけ。受信料が見込みを上回って増えているんだったら、私は無理な歳出削減はする必要はないと思っていまして、番組制作費を増やす方向で次期中期経営計画を考えていただきたいと要望して、終わります。以上です。

竹内委員長 次に、高松智之君。

高松委員 立憲民主党の高松智之です。

 初めに、NHKの番組制作費用、とりわけEテレにおける幼児、児童向けの番組についてお伺いをしたいと思います。

 今回のNHKの経営計画においてコンテンツ戦略六つの柱が掲げられ、そのうちの一つとして、世界で輝く良質な教育・幼児子供コンテンツが挙げられております。子供から大人まで世代に合わせた学びに役立つ教育コンテンツを開発とのことでありますが、今回の経営計画で教育・幼児子供コンテンツを戦略的に取り上げたその狙いをお伺いいたします。

稲葉参考人 教育・幼児子供コンテンツを通じまして、子供から大人まで世代に合わせた学びに役立ててもらうということは、公共放送として重要な役割だというふうに思っております。このため、二〇二六年度までの経営計画では、委員御指摘のとおり、コンテンツ戦略六つの柱の一つに、世界で輝く良質な教育・幼児子供コンテンツというのを打ち出してございます。

 NHKは、これまでも多彩な教育・幼児子供コンテンツを多くの人々に届けてきましたけれども、今後も、これまで培ってきた制作のノウハウやテクノロジーの力を活用しまして、国内はもとより、世界も視野に展開を図れるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 十月からはインターネットを通じた番組配信が必須業務になりますので、放送だけではなくてネットでも高い水準のサービスを提供して、御家庭でも学校などでも視聴者一人一人の学びに役立ててもらえるよう努めていきたいというふうに考えております。

高松委員 稲葉会長自らの御答弁、ありがとうございます。

 今の御答弁にありましたとおり、NHKの幼児子供コンテンツは質が高く、これからの日本の未来を担う子供たちの教育に大きく資するものであると思います。

 私も、さきの衆議院選挙に当選するまで七年間浪人をしていまして、その間に五歳と三歳の子育てをしていました。浪人中で時間があるものですから、子供たちとNHK、とりわけEテレをよく見ておりました。親子に大人気の「おかあさんといっしょ」に始まり、Eテレには様々な幼児、子供向けの番組がございます。実際の子育ての当事者であるお父さん、お母さん世代からはEテレの番組に関してどのような声が寄せられているのか、代表的な意見を二、三、御紹介いただけますでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 視聴者の皆様からは、子供が生活習慣や様々なことを知るよいきっかけになっているといった意見のほか、子供と一緒に見ることで会話が弾むようになったなどといった、親子の触れ合いにつながっているという声も多くいただいております。

高松委員 子育てや子供の学びに資する番組が作られていることに、子育て中の親の一人として敬意を表したいと思います。

 さて、その中で私が気になるのは、Eテレの番組の出演者において、言い方が適切か分かりませんが、必要以上にいわゆる豪華なキャスティングをしている事例が多く見られています。もちろん番組制作上必要なキャスティングであるのかもしれませんが、声だけの出演などで有名な俳優さんなどが起用されている事例が目立ちます。あしたちょうどやるんですが、私も家にある「パンダ銭湯」という絵本を読む番組があるんですが、個名はちょっと挙げませんが、かなり有名な俳優さんなどが使われております。

 Eテレの各番組では有名な俳優、コメディアンさんなどがふんだんにキャスティングをされているわけでありまして、これが番組制作費用の高騰につながっているのではないかと私は考えました。実際にインターネット上でも、Eテレに有名な俳優さんが多く出演されていてびっくりしたという意見が多くございます。

 NHKさんとしてこうしたお声また私からの指摘にどのようにお考えなのか、御答弁をお願いいたします。

山名参考人 お答えいたします。

 出演者につきましては、番組の狙い、演出などを踏まえまして、各制作現場で適材適所の人選を行っているところです。キャスティングの魅力も、番組を知っていただき、見ていただく要素の一つだというふうに考えております。

 トップクリエーターや一流のアーティストの方々も多く御出演いただいておりますけれども、子供にこそ最高のものを与えたいというEテレの方針に共感していただいておりまして、NHKの基準にのっとった出演料で御出演いただいており、必ずしも番組制作費の高騰にはつながっていないというふうに考えております。

高松委員 もちろん高い質の番組を制作することが必要でありますが、コスト意識をしっかり持つこと、また若手や無名の方の発掘もNHKさんの使命だというふうに私は考えます。無理に著名な俳優を起用することもないと思いますが、番組制作に関してのコスト管理の在り方の中で、特に出演者へのいわゆる出演料についての考え方をお伺いしたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 番組出演者につきましては、タレント、俳優に限らず、オーディションで選出するということも多くありまして、新しい人材の発掘には積極的に取り組んでいるところでございます。繰り返しになりますけれども、番組の狙い、内容に応じてふさわしい人選を行い、出演料につきましても、NHKの基準料金にのっとってお支払いすることに変わりはありません。今後も、コスト意識をしっかり持って、良質な番組を制作していきたいと考えております。

高松委員 是非、今後、若手や新しい人材のキャスティングも強めていただいて、制作コストを適切に抑えながら質の高いコンテンツ開発に努めていただきたいと思います。

 そうした中、今回のコンテンツ戦略の中で、Eテレの今日的役割を明確化するというふうにありますが、Eテレの今日的役割とは具体的にどのようなものか、お伺いをしたいと思います。

稲葉参考人 あらゆる世代の学びを支える教育専門チャンネルでございますので、時代の変化や社会のニーズを踏まえて、視聴者の知りたい、学びたいという気持ちに応えて、人生をできるだけ豊かにするコンテンツを発信していきたいというふうに考えているわけですが、具体的に言うと、例えば高齢化社会をどう豊かに生きていくかとか、昨今様々な問題が出ていますが、メディアリテラシーをどうやって高めるかとか、環境保全をどうやって確保していくかというような問題など、現代の重要なテーマを伝える番組、あるいは日本の伝統文化や芸術を継承する番組、こんな形で、多様なコンテンツを通じて複雑な現代社会を生き抜く教養とかあるいは知識を発信して公共的な役割を果たしたいというふうに考えております。

高松委員 私も一人の子育て中の親でございまして、一層のEテレにおける番組編成の充実を期待して、この質問を終わりたいと思います。

 次に、NHKのインターネットサービスについてお伺いをいたします。

 本年十月から、放送法の改正によってNHKのインターネット番組配信が必須業務となります。フェイクニュースも含め様々な情報があふれているインターネット上においていかに正確で信頼できる情報発信ができるか、NHKの真価が問われるところだと思います。

 今回、国内放送番組等配信費として百四十・五億円、前年度増減率プラス一〇・九%、国際放送番組等配信費として二十九・五億円、前年増減率がこちらもプラス一〇・九%となっています。インターネットサービス関連経費としては前年度同様の百八十億円が計上されています。

 今回のインターネットサービスの必要的配信業務を進めるに当たり、どのような機能などを整備する必要があるのか、お伺いをしたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 インターネット必須業務化に当たりましては、必要的配信業務を実施するための機能整備などの初期費用としまして、配信費とは別に二十九・五億円を計上しております。具体的には、利用者を識別する認証機能や、配信の受信を許可する認可機能、受信契約との照合機能の整備が必要となっています。

 また、放送と同じ情報内容や価値をインターネットの特性を踏まえて視聴者の皆様に届けるために、NHKのコンテンツの価値を最大限生かした、誰にでも使いやすいウェブサービスやアプリの整備も必要というふうに考えております。

高松委員 認証関連などの対応が必要であるということでございまして、必須業務として対応に漏れがないよう、着実で的確な取組を要望したいと思います。

 ウェブアプリを開発されているということですが、言うまでもなくスマートフォンやタブレット端末に最適化した開発を進めていただくことをお願いするとともに、NHKさんは様々なコンテンツを持っていらっしゃるわけですが、それを横断的にワンストップで見られるような工夫に取り組んでいただきたいと思います。特に、スマートフォン、タブレットの利用率が高い若年層を意識した仕掛け、工夫などにも考慮をいただけるようお願いしたいと思います。

 現在、このウェブアプリの開発に当たり、どのような課題を意識して開発を進めておられるのかをお伺いしたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 御指摘をいただきました若年層を含めまして、幅広い利用者の皆様にNHKのサービスを便利に使っていただくため、現在、スマートフォン、タブレット向けアプリに加えまして、スマートテレビ向けアプリ、PCブラウザーのウェブサービスも併せて鋭意開発を進めているところでございます。

 御質問にもありましたとおり、特にウェブでは、様々なジャンルの放送番組、ニュース記事を含め横断的に御覧いただけるUI、いわゆるユーザーインターフェースを開発しております。これによりまして、利用者が検索機能などを活用して様々な番組や情報に触れやすくするといったことなど、NHKの総合的な編成の価値を提供してまいります。

 アプリは、スマートフォン、タブレットといったデバイスの特性を踏まえまして、放送番組の配信や報道、防災分野、教育分野など、利用目的に適したUIを開発しているところです。さらに、地域に密着した情報の提供、また若い世代も含めどなたでも利用しやすいサービスといったものになるよう、アクセシビリティーの確保も重要な課題だというふうに考えておりまして、今開発に取り組んでいるところでございます。

高松委員 是非、NHKさんの魅力向上、利用拡大につながるウェブアプリの開発に努めていただくことをお願いします。

 次に、NHKをかたった偽メールへの対策についてお伺いしたいと思います。

 迷惑メール、偽メール、こうした電子メールを利用した詐欺行為は社会的に大きな問題となっています。様々な公共団体、企業を偽って偽の電子メールを送りつけることが起きているわけであります。今委員会の皆さんには資料でお配りをしましたが、先日、私の事務所の電子メールアドレスにNHKをかたった偽メールが届いております。これはよくできているんですよね。試しにアクセスをするとNHKさんみたいなまさにウェブページが出てきて、誘導されてカード番号を入力するといわゆるフィッシング詐欺に遭ってしまうというようなウェブサイトであるわけでありますが。

 まずお伺いをしたいのは、NHKさんにおいてこうした偽メールの存在を把握しているのか、そして、視聴者の皆さんや様々な方からどのような声が寄せられているか、また、今どのような対応を行っているのか、お伺いをしたいと思います。

黒崎参考人 お答えさせていただきます。

 NHKを名のる架空の発信元からのメールにつきましては、ふれあいセンターに寄せられる視聴者からの問合せなどを通じまして随時把握しております。こうした問合せは先月中旬から急増し、これまでに三千件を超える声が寄せられております。

 内容といたしましては、支払い情報の更新のお願いなど受信料に関するものですとか、今委員からも紹介されましたが、NHKプラスのアップグレードを促すメールが届いたなどの問合せが主でありました。また、一部の視聴者からは、フィッシングメールに対する注意喚起など対策を講じてほしいといった要望も寄せられております。

 これを受けまして、NHKでは、問合せが急増した先月中旬以降、全国放送をしている経営広報番組ですとかホームページなどを通じて、視聴者の皆様が悪質な詐欺行為に巻き込まれないよう注意喚起を繰り返し呼びかけているところです。

高松委員 この一、二か月直近で大きく増えているということでございましたが、NHKさんは言うまでもなく公共放送でありまして、視聴者さんからも受信料を集めているという背景があるので、視聴者の方も、思わず偽メールにひっかかってしまう方もおられると思うんですね。取締りや犯罪の検挙は警察庁さんにお願いをするわけでありますが、NHKさん自身としてもこうした詐欺行為に受信者さんが巻き込まれることをしっかりと防いでいかなくてはなりません。

 NHKとして偽メールの存在を把握し対処を進めていらっしゃるということでありますが、改めて番組を通じて告知、周知、徹底した広報を行うべきだと思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。

黒崎参考人 お答えいたします。

 NHKとしましても、視聴者の皆様が悪質な詐欺行為に巻き込まれないよう、放送やホームページなどを通じて注意喚起を繰り返し行うことが重要だと考えております。

 先月以降、NHKを名のる不審なメールが増えておりまして、注意を呼びかけるミニ番組ですとか一分間のスポット動画を制作し、放送しております。このうち、スポット動画は総合テレビで二十三回放送しております。さらに、NHKのホームページのトップページで注意を呼びかけるとともに、NHKのSNSのアカウントで個人情報の入力は絶対に行わないでほしいことなどを呼びかける投稿も行っております。

 注意喚起を行った結果、問合せは減少しているんですけれども、引き続き、放送やデジタルなど様々な方法を駆使して呼びかけを行ってまいりたいと思います。

高松委員 様々な取組を進めていただいているということですが、是非、番組の間とか、視聴率の高いニュース7の最後に周知するとか、詐欺被害の未然防止にしっかりと取り組んでいただくことを要望したいと思います。徹底的な取組をお願いして、この質問を終わらせていただきます。

 次に、NHKの職員の働き方についてお伺いをいたします。

 NHKさんも一組織であり、企業の宝である人、職員の働き方が大切であることは言うまでもありません。この委員会でも議論していますが、現在まさに、官民を挙げて賃上げを実現していこう、物価高を超える賃上げという流れが進んでいる中で、NHKさんにおいて賃上げは今どのように進んでいるのか、お伺いをしたいと思います。

稲葉参考人 賃上げ、ベアでございますけれども、二〇二四年度、令和六年度におきましては、経営計画達成に不可欠な質と生産性の向上への取組に先行的に報いるという観点から、二〇〇一年、平成十三年以来の業務職の処遇改善を行いました。ベアを行ったということでございます。実施に際しては、初任層、若年層に重点を置いた内容といたしました。

 昨今、民間企業等の動向を見ますと、物価高騰あるいは人材確保に向けた対応として様々な動きが出てございます。引き続きNHKとしても財政状況等を踏まえて慎重に検討していきたいというふうに考えております。

高松委員 昨年はベースアップされたということですが、今年の春闘においても、NHKさん本体また関連団体全体で賃上げが進んでいくことを期待したいと思います。

 次に、NHK社内における労災、ハラスメントの有無に関して伺います。

 まず、労災について、これまでの事案と改善の取組について簡潔にお願いをしたいと思います。

竹村参考人 お答えをいたします。

 まず、これまで、長時間労働によります労災認定された事案というのは三件あるというように把握をいたしております。今後、二度とこのようなことがあってはならないわけでございますが。この事案につきましては、一つは、二〇一三年七月に首都圏放送センターの記者が亡くなりました。続きまして、二〇一九年に首都圏放送センターの管理職の記者が亡くなってございます。それとは別に、二〇二四年三月、昨年でございますが、労災認定されたケースがございます。この件につきましては、幸いなことに職場に復帰をいたしております。把握しております長時間労働はこの三件でございます。

 今後の取組でございますが、まず、何といいましても、職員の生命、健康そして安全の確保は業務に当たっていただく上での大前提でございます。一方、NHKは、その業務の必要性から、災害、事件、事故への対応、二十四時間三百六十五日、たゆまぬ対応をしなくてはなりませんので、ややもすれば不規則労働あるいは長時間労働といったことに陥りやすい面があるということは否めません。

 したがいまして、現在は、例えば災害報道のような長時間であったり不規則勤務を求めるような際を始めとして、あるいは日常の業務においても適正な勤務管理を徹底するということに努めております。毎月、役員全員が、どういう状況にあるかということについては、その情報を共有いたしております。

 そういうことも踏まえまして、一方で働き方改革を推進しているという取組も進めてございます。全体としてどうするかということのほかに、一人一人の事情にもっと寄り添いながら進めるということで、取組を進めているところでございます。

高松委員 引き続き、労災防止に向けて力強い取組をお願いしたいと思います。

 最後に、各種ハラスメントの有無に関して伺いたいと思います。

 私は、さきの選挙において、あらゆるハラスメントを許さないという社会像を掲げて当選いたしました。日本社会は、まだやや古い体質が残っています。モラハラ、カスハラ、セクハラ、パワハラ、様々なハラスメントがあるわけでありますが、NHK社内において直近で、ハラスメント通報件数や、ハラスメント対策をどのように進めているか、最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

安保参考人 お答えいたします。

 ハラスメント相談や通報につきましては、一人の相談者が何回も相談、通報した場合などの集計の方法が窓口によって異なっているため件数のお答えはできませんが、相談者の保護、守秘義務を徹底して対応しております。相談や通報を受け付けるために職場窓口だけでなく外部の窓口も設けておりまして、NHKの業務に従事している方々を対象としており、退職して一年以内の方も相談や通報ができるようにしております。

 NHKは、NHK倫理・行動憲章、行動指針を定めまして、人権、人格を尊重し、誰もが十分に能力を発揮できる規律ある職場を目指すことや、不当な差別やハラスメントなどを行わないことを掲げまして、全役職員の行動の規範としております。そして、NHK倫理・行動憲章の徹底を図るために、毎年、全役職員を対象にeラーニングも実施しております。

 相談や通報があった場合には、必要に応じて調査を実施し、必要な措置や処分を行うなど、適切に対応しております。

高松委員 引き続きハラスメント対策にしっかり取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、杉村慎治君。

杉村委員 立憲民主党、杉村慎治でございます。

 まずは、本題に入る前に、私が放送業界に抱いている思いを述べさせていただきたいと思います。

 私は、政治の世界で今は亡き石井一議員の下で書生として靴磨きを始める前に、民放のテレビ業界で番組制作の仕事をしておりました。大学卒業と同時に、三十代前半までの約十年弱の間、テレビマンという仕事に誇りを持って生きてまいりました。お笑い番組のAD、いわゆるアシスタントディレクターを務め、ディレクター、プロデューサーと階段を上ってまいりました。大変過酷とも言われたAD時代は多忙を極める余り、一年間の大半は家に帰ることができませんでした。テレビ局の廊下で寝袋に入って眠っていた頃が、つらくはありましたが、やりがいを感じておりました。あの頃は、自分が作った番組で一億二千万人を感動させたい、そして皆を笑顔にしたいという思いで番組制作に燃えておりました。放送業界出身者だからこそこの業界をしっかりと支えて後押ししていきたいという気持ちで、本日の質疑に臨みたいと思っております。

 前置きが長くなりましたが、本日は、NHK令和七年度予算、特にNHK国際放送について質問をさせていただきます。

 まず、近年のNHK予算は、事業支出の増加に応じてNHK国際放送関係経費も増加しております。それに伴い、NHKのテレビ国際放送の視聴可能な国は二〇二四年度には約百六十か国にまで増えております。また、視聴可能世帯数については約四・二億世帯で二十四時間視聴することができます。

 このNHK国際放送については、十八年前の平成十九年十二月四日の衆議院総務委員会で、当時の増田寛也総務大臣がその制度的位置づけについて次のように答弁しております。NHK国際放送は、国際親善の増進や諸外国の我が国に対する理解の促進といった国益確保、増進の役割が大きく期待されております。この点を踏まえ、本日は二つのテーマについてお伺いいたします。

 一つ目のテーマは、昨年八月十九日、NHKラジオ国際放送の中国語放送の問題についてです。

 NHK国際放送は、放送法第八十一条五項に基づく、NHK自身が独自に定めた国際番組基準に合致する。つまり、NHK国際放送の内容は、海外の視聴者にまさに日本国の価値を正しく伝え、日本国の国益を守る、及び国益を増進するという国家的役割も担っている内容と言えます。

 それにもかかわらず、昨年八月十九日、全世界に向けて発信しているNHKラジオ国際放送で、尖閣諸島の領有権に関して、原稿には記載されていない日本政府の立場とは異なる発言を中国籍の外部スタッフが中国語で伝えました。内容に関しましては、釣魚島と附属の島は古来から中国の領土です、NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議しますという内容でした。それを聞いた世界中の人々、また中国政府や中国の人々は、尖閣諸島は古来から中国の領土という中国政府の立場、主張は正しいと信じてしまいます。NHK国際放送中国語版で放送されているので、日本も容認していると世界中の人が誤解しています。

 中国籍の元スタッフは、放送中に今度は英語で全世界に向けて、南京大虐殺を忘れるな、慰安婦を忘れるな、彼女らは戦時の性奴隷だった、七三一部隊を忘れるなと発信しました。

 これらの発言は、日本の国益を大きく損なう行為だと思います。NHKはこのような重大な問題についてどんな対応を取ったのか、お答えください。

山名参考人 お答えいたします。

 今回の事案が起きた直後は、複数の職員らが、外部スタッフから事情を聞こうということで職場にとどまるよう強く求めましたけれども、この外部スタッフは制止を振り切って職場を離れたということでございます。

 今回の事案は、当該外部スタッフが故意にNHK国際番組基準に抵触する発言を行ったというものであり、発生当日に業務委託先のNHKグローバルメディアサービスと協議して、直ちに契約を解除するということを決めまして、本人に通知いたしました。

 また、当日、短波ラジオの次の放送枠で中国語でお断りとおわびのコメントを伝えるとともに、中国語のサイトにも同様の内容の文面を掲載したほか、国内に向けましても、基幹ニュース番組のニュースウオッチ9で同様の内容をお伝えいたしました。

杉村委員 ただいま回答をいただきましたが、この問題は、NHK内部の問題にとどまらないように、しっかりと認識していただきたいと思います。

 引き続きまして、NHKは、中国籍の元スタッフに対して民事訴訟で損害賠償請求を起こしたものの、既に出国してしまっていて居場所がつかめていないと聞いております。NHKが被った損失や同じようなことを繰り返さないための抑止を考えると、初期対応として、その場で身柄を拘束したり、警察に被害届を出したりするなどの対応を取るべきだったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 当日、当該スタッフには、繰り返しになりますけれども、放送が終わった直後から現場の上司などが繰り返し話合いを求めましたけれども、本人は応じませんでした。

 今回の事案を犯罪行為というふうに判断して、その場で強制的に身柄を確保したり、警察に通報したりというようなことは困難だったというふうに考えております。

杉村委員 困難だったということなのですが、今後何かしら真実を追求していくために、現在、中国籍の本人の居場所は把握できているのでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 当該スタッフにつきましては、NHKとして、既に出国したということは確認しているほか、日本で居住していた賃貸住宅を引き払っていることは確認しております。また、来日する前に住んでいた中国の住所は分かりましたが、現在の所在地については確認ができておらず、引き続き様々な手段で連絡を取る努力を続けていくところであります。

杉村委員 NHK並びに日本が被った被害を考えると、私は、やはり初期対応として警察に被害届を出す、そして、例えば偽計業務妨害罪、刑法二百三十三条に基づき、その者の身柄を確保するなどの対応を取るべきだったのではないでしょうか。お答えください。

山名参考人 お答えいたします。

 刑事告訴につきましては、警視庁に相談した内容なども踏まえて、今、様々な観点から慎重に検討を進めているところでございます。

杉村委員 今はもう出国しており、なかなか足取りがつかめないということですので、私としては大変悔しい思いでいっぱいです。

 次に、この問題を受け、NHKは、稲葉会長を含む役員報酬の一部を自主返納、また担当理事の辞任、関係職員の懲戒処分等を行ったことが公表されております。しかし、昨年十月の稲葉会長の会見で、この問題で責任を取って辞任した担当理事が一週間後に再雇用されていたという発言がありました。このことは事実なのでしょうか。また、この対応は適切だったと考えているのでしょうか。稲葉会長、お答えください。

稲葉参考人 当該の傍田前理事ですけれども、ラジオ国際放送問題の責任を取って辞任の申出がございましたので、九月十日付で辞任いたしました。その後、九月十七日付でNHK本体の有期雇用の契約職員として再雇用してございます。契約職員の再雇用につきましては、本人の能力や適性を踏まえ判断しているということですが、傍田前理事については、メディア総局エグゼクティブプロデューサーとして海外特派員としての豊富な経験や知見を生かして、海外総支局の業務の見直しなどに取り組んでもらっているというところでございます。

 役員の責任の取り方でございますが、今回の場合、限定的な業務範囲における失態の責任を取るということになったということでございますので、本人の特性を踏まえて、協会側から再雇用を提示したものでございます。責任を取ることと本人の能力を生かすことを分けて判断したという次第でございます。

杉村委員 今、稲葉会長の最後の言葉で、責任を取ることと本人の能力を生かすということを分けて判断したということでしたが、今回、私は、この放送により国益を大きく損ねた問題に関して引責辞任した担当理事のたった一週間での現場への復帰は見送るべきだったと考えております。この件からも、NHKの経営陣の認識の甘さだと言わざるを得ないと思っております。私は大変遺憾に感じております。

 今回のことを踏まえ、NHKの国際放送に従事する外国籍の翻訳、通訳の採用基準についてお聞かせください。また、今回の問題を受けて特に採用に関してどのような再発防止策を取ったのか、お答えください。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKは、多様な人材による貢献が公共放送の使命達成に必要だという観点から人物本位の採用を行っておりまして、外国籍の職員やスタッフが在籍しております。労働関係法令に基づきます外国人の雇用や管理などに関する指針などで国籍を理由とした差別的取扱いが適切ではないというふうにされておりまして、その趣旨を踏まえ、職員やスタッフの募集時におきましては国籍は不問としております。

 国際放送における外国人スタッフとの契約に当たりましては、放送ガイドラインや国際番組基準などを遵守するということを確認した上で、NHKの国際放送の業務に従事する適性があるかどうかということを判断しております。

 今回の問題が起きたことを重く受け止めまして、新年度の契約更新の前に対象となる外国人スタッフ全員に対して業務を担う上でのルールそして方針を改めて徹底いたしました。さらに、新年度後期からはNHK本体が中国語ニュースなどの外部スタッフと直接契約を結ぶことで、翻訳内容の品質管理やリスク管理に万全を期したいというふうに考えております。

杉村委員 ただいま回答をいただきました。

 私は、NHK国際放送については、日本政府の立場と異なる立場で教育を受けた方々の同時通訳への採用は改めて慎重であるべきだと考えます。それが日本の国益を守ることにつながります。

 それでは、二つ目のテーマ、NHK国際放送へのAI、最新テクノロジーの活用についてお伺いしたいと思います。

 先ほどの問題の続きですが、そもそも尖閣諸島の領有権に関して我が国の立場とは明確に異なる立場を取る政府の下で教育を受けた者にとって、また、現在もその国の国籍を有する者、つまり本国に帰る可能性がある者にとって、NHKの原稿が日本国の立場を明確に示していたとしても、本国の立場と明らかに異なる日本国の立場を中国語で通訳することは、自分自身の立場だけではなく、家族の身を危険にさらすことにもなりかねません。

 そこで、今回の再発防止のため、AIを活用した読み上げを利用することは効果があると考えております。国際放送におけるAI活用の進捗状況、現状についてお伺いします。NHK参考人、お願いします。

山名参考人 お答えいたします。

 御指摘のAI音声による読み上げにつきましては、ラジオ国際放送の中国語ニュースで、新年度の放送がスタートする三月三十一日から本格的に導入する予定であります。また、中国語に続きまして、朝鮮語につきましてもAI音声による読み上げを新年度に始める予定で進めております。

 AI活用に当たりましては、ネイティブのスタッフや職員など複数の担当者が翻訳内容や音声読み上げの内容を事前にチェックするなど、リスク管理を徹底しながら推進してまいります。

杉村委員 ただいま状況を聞かせていただきました。

 私は、AIを使うに当たっては、NHKさん自身におけるAI開発、活用が必要だと思いますが、最新の状況を教えてください。

寺田参考人 お答えします。

 NHKの放送技術研究所では、これまでに、過去の白黒映像をカラー化する技術や、音声合成を活用してニュースや気象情報を読み上げる技術、音声認識を活用して生放送に字幕を表示する技術など、AIを活用する技術の開発を行ってきました。現在は、映像解析により映像の内容を説明するテキストデータを自動生成する技術や、ニュースを手話に翻訳してCGアニメーションを作成する技術など、番組制作を支援したり、ユニバーサルサービスにつながる研究開発を進めております。

 AIの自動翻訳についても、日英、英日翻訳を、NHKが所有するテキストデータを学習させまして、翻訳精度を向上させるための研究開発を進めているところでありますが、今後、その他の言語についても研究開発を進めていきたいと考えております。

杉村委員 ただいま回答をいただきました。

 それでは、これらのことを踏まえまして、今後の国際放送の強化に向けた意気込みをNHKの稲葉会長よりお願いいたします。

稲葉参考人 国際放送に関しましては、今ほどお話がありましたように、AIなど最新テクノロジーを活用しコンテンツの質的充実を図るとともに、リスク管理の徹底、さらにはガバナンスの強化も進めながら、国際放送におけるNHKの使命を果たしていくことが重要だというふうに考えております。

 NHKとしては、分断が一層深刻化する国際社会で、とにかく平和を希求するという日本の視座をしっかり発信することで、国際世論の健全な形成に貢献することで、世界の民主主義の発展に寄与していきたいというふうに考えております。

杉村委員 ただいま稲葉会長から、国際社会で平和を希求する日本の視座に立って発信するとの御意見をいただきました。

 それでは、最後ですが、日本の立場、視座を発信するNHKの国際放送に関して、大臣としてはNHKの国際放送に何を期待するのか、最後に御答弁をよろしくお願いいたします。

村上国務大臣 杉村委員にお答えします。

 NHKにおきましては、中期経営計画に基づきまして、デジタル技術の活用などによりまして国際発信を再強化して、日本の視座の発信に努めているものと承知しております。

 NHKの国際放送につきましては、我が国の文化、産業その他の事情を世界に紹介して我が国に対する正しい認識を培い、普及すること等によって国際親善の増進や外国との経済交流の発展に寄与する重要な役割を担っていると考えております。

 総務省としましても、AIを活用した多言語翻訳や映像制作など、新サービスの創出に貢献する研究開発を通じて国際放送の更なる充実を図っていただくことを期待しております。

 以上であります。

杉村委員 村上大臣より御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 最後に、やはり日本の国益を守るというところでNHKの国際放送は本当に大切な役割をしていると思います。そしてまた、AI開発を通じて日本の技術の高さ、魅力を世界に知らせる機会になると信じ、是非とも政府を挙げて支援いただけるよう強く求め、私の質問を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時四十一分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。黒田征樹君。

黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。

 朝からの委員会に続いて、昼から本会議、そして再び委員会再開ということで、皆さんお疲れだと思いますけれども、いましばらくおつき合いいただけたらと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 まず初めに、稲葉会長にお伺いをしますけれども、公共放送の使命、役割についてであります。

 一九二五年三月二十二日、当時の社団法人東京放送局、現在のNHK東京放送局から日本で初めてラジオ放送が発信され、今月の二十二日で開始からちょうど百周年を迎えます。放送開始から二十五年後の一九五〇年に放送法の制定、その三年後の一九五三年にはテレビ放送の開始、一九六〇年にカラーテレビ放送の開始、一九八九年には衛星放送の開始、二〇〇〇年にBSデジタル放送の開始、二〇〇三年が地上デジタル放送の開始、そして二〇一八年には4K、8K放送の開始と、歴史を刻みながら、国民の知る権利と民主主義の発達に寄与するという社会的な役割を担っていただいているところであります。

 しかし、昨今は、様々な情報コンテンツ、デバイス、そういったものも増え続けて、情報があふれ返っているという状況にあります。社会全体で急速に進展する技術革新、デジタル化に直面する中で、放送の役割、在り方について大きな岐路に立たされているというふうに感じております。また、人々のライフスタイル、価値観、こういったものも多様化する中で、放送を開始した百年前とは社会背景が大きく変化しております。そんな中で、公共放送を担うNHKが社会的な役割を果たすためには、様々な課題に対処をするだけではなくて、その先にある将来像をしっかりと国民に示す必要があると考えますが、これからの公共放送の使命、役割についてお聞かせいただきたいと思います。

稲葉参考人 お話がございましたように、百年前に放送というメディアが始まりましたのは、その一年半前に起きた関東大震災で根拠のない流言飛語が広がり、人々の間に確かな情報を届ける手段が是非必要だという思いが広がった結果だというふうに承知してございます。

 それから百年を経た今でございますが、SNSなどで真偽の定かでない情報が氾濫した結果、かえって本当のことあるいは確かな情報を入手しにくい状況となってしまっておるのではないか、本当のことを知りたいという人々の気持ちはより一層強まっているのではないかと感じてございます。そうした中で、公平公正で確かな情報や、豊かでよい番組、コンテンツを間断なく提供するというNHKの役割あるいは使命はこれまで以上に重要性を増しているというふうに認識してございます。

 百年前に先人たちが抱いていた高い志と情熱に思いを致しつつ、長い歴史の中で積み重ねてきた豊富な経験あるいは知見を十分生かして、健全な民主主義の発達に資するという役割をしっかり果たしてまいりたいというふうに考えております。

黒田委員 ありがとうございます。

 今会長がお答えいただいたように、NHKが公共放送として果たす使命が重要なのはまさにおっしゃるとおりだというふうに思います。

 ただ、テレビが始まった当初の文化を例えば醸成していくであるとか、テレビしかない場面で担っていた役割と、先ほども言いましたように様々なコンテンツが増えてデバイスも増えてとする社会背景の中でNHKが一体どういうふうな役割を果たしていくのか、我々はそこに踏み込んで、報道番組そして教育番組、福祉番組といった公が担うべきところと、それ以外の放送番組についてNHKが果たす役割、これをしっかりと見直していく必要があるんじゃないかな、そういう時期に入っているんじゃないかなということで法案を提出してきた経過もあります。

 そういった将来像を見据えた大きな改革、これもさることながら、個別事案で短期的に解決をしないといけない、そういう課題や取り組むべき案件もあろうかと思います。

 まず、課題としてですけれども、昨年の九月、ラジオ国際放送の中国語ニュースで、原稿を読んでいた中国籍の外部スタッフが尖閣諸島や歴史認識について日本の政府見解と異なる発言があったということで、NHKは謝罪、訂正放送を行ったほか、当該スタッフに抗議をするとともに、そのスタッフと関連団体の契約を解除されたということでありますけれども、事案発生の影響と対応、そして再発防止についてお聞かせいただきたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 国際情勢が大きく揺れ動く中、日本の姿や正確な情報を世界に向けて積極的に発信していくこと、また日本に対する正しい理解を促進していくことが公共放送に課せられた極めて重要な役割であります。

 今回の事案は、自ら定めましたNHK国際番組基準に抵触するなど、放送法で定められた担うべき責務を果たせなかったという、公共放送NHKの存在意義を揺るがす極めて深刻な事態だと捉えております。

 NHKは、この事案を重く受け止めまして、去年九月に調査報告書を公表し、再発防止に取り組んでまいりました。

 まず、ラジオ国際放送の英語を除く十六の外国語全てで、生放送ではなく事前収録して放送する形に変更いたしました。さらに、不測の事態に備え、緊急対応マニュアルを作成し、全てのスタジオに配備するとともに、ニュースの制作と収録には必ず職員が立ち会い、チェック体制を強化してまいりました。

 また、外部スタッフにNHKの国際放送業務を担う上でのルール、方針を徹底する説明会を行うなどのガバナンス強化に取り組んでまいりました。

 このほか、ラジオ中国語ニュースの放送にAI音声による読み上げを導入することを目指して準備を進めており、新年度の放送が始まります今月、三月三十一日から本格的に導入をする予定であります。

黒田委員 今おっしゃられたように、この問題はNHKの公共放送としての信頼を失墜させるというだけではなくて、国益にも非常に影響のあるゆゆしき事態だというふうに感じておりますので、こういった対応とか対策、再発防止については着実に行っていただきたいというふうに思います。

 ただ、スタッフについては、仄聞するところによると温厚な方で、そしてまた能力も高くてといったようなお話もありましたけれども、個人の暴走として捉えるんじゃなくて、やはりリスク管理の鉄則としては大きく構えて小さく収めるというところが必要かというふうに思います。そういった中で、少しの異変、そういったところも、長い期間、二十年ぐらいスタッフとして従事していたということでありますけれども、何かそういう感じるものがあれば迅速に対応する体制も必要かと思いますし、今後、人を見抜いていくというのは非常に難しいというのは自分も理解しておりますけれども、ただ、日本の国家に対して与える影響が非常に大きいというところは認識をしていただいて、対応策を考えていただきたいというふうに思います。

 続きまして、NHKの職場環境についてお聞きいたします。

 平成二十六年五月に渋谷労働基準監督署からNHKの記者が過重労働が原因でお亡くなりになったと認定されたことを受けて、NHKグループ働き方改革宣言というものを策定し、取組を進めてきたところではありますけれども、令和元年十月にも管理者がお亡くなりになり、これも労災認定をされました。さらに、令和六年三月には長時間労働による労災認定がされたという事案もあったということで、働き方改革を行っているにもかかわらず労災事案の発生を防ぐことができていない状況に対して非常に残念に思っております。そういった中で働き方改革をどのように進めていくのか、そして、社員、スタッフの心身ケアにもっと丁寧に取り組むべきだというふうに考えていますけれども、今後の取組についてお聞かせいただきたいと思います。

竹村参考人 お答えをいたします。

 今委員から御指摘がございましたように、これまでに長時間労働による労災認定が三件ございます。うち二件につきましては、二〇一三年と二〇一九年、これについては職員が亡くなっております。まさに痛恨の極みでございます。こうしたことが二度と起こらないようにということは当然のことでございますが、改めて、職員の生命あるいは健康、それから職場での安全、これが業務を行う上での大前提であるということを徹底して、そういうことを踏まえて様々取組を進めているところであります。

 まず一つは、どうしても長時間労働になりがちな業務であることは否めませんので、そういうことを踏まえて、より適切な勤務管理を徹底して、全体として労働時間の抑制を図るということで、これについては毎月、役員が勤務状況についての情報を共有いたしております。そして、必要があればワーニングを発したりというようなこともやっているところでございます。

 それから、何よりも実は大事なのが、一人一人の事情がそれぞれございますので、そういったものをしっかりと踏まえて、全体だけを見ていくのではなくて一人一人を見ていくという、一人一人に寄り添った取組が重要でございます。

 例えば、通常の健康診断ではなかなか見つからない、例えば無呼吸症候群というのは分かりません。しかし、我々の経験として、睡眠時無呼吸症候群がございますと一定のリスクが高まるということを承知しております。こうしたものについては、こういうことがいろいろリスクになるよということを職員にもしっかりと周知いたしまして、自らそういうことについては、もし自覚があるのであればそういうことは届出をしてほしい、それを共有して、それに向き合った勤務の対応をしようというようなことを、従来から一歩踏み込んで取り組んでおります。

 それから、先ほどメンタルヘルスのことを御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございまして、今、極めて重要な課題でございます。これにつきましても様々な対応の窓口でありますとか一定のマニュアルは当然作ってございますけれども、これもそれだけでは不十分で、一人一人の事情が違いますので、そうしたことを、まさに細かなことも小さな異変もしっかりと見極めるようにということを勤務管理者には徹底しようということで、その種の研修等も行っております。単に、マニュアルがあるからマニュアルどおりでいいということであってはならないということでやっております。さらに、職員の実情をもっと含めないといけませんので、労使合同委員会等を通じて新たな取組をしていこうと思っております。

 以上です。

黒田委員 非常に丁寧にお答えをいただきました。

 人の命ですから、管理者としてしっかりと対策をしていくというところは徹底していただきたいというふうに思いますし、ただ、一点気になるのは、今、NHKがまさに改革の真っ最中であります。一千億円、一千三百億円という金額を削減していこうという中で、やはりそういった削減の影響というのは必ず人にも出てきます。より丁寧に今後はやっていただきたいというふうに思います。

 委員長、済みません、藤巻議員にはちょっと突入するかもしらぬということを言っていますので、最後、一問だけさせていただきたいと思います。

 大阪・関西万博についてであります。いよいよ四月の十三日から開幕ということで、一か月を切りました。大阪の方では着々と準備が進んでいるというところでありますけれども、周辺自治体そして民間の企業、様々な企画も実施をしている最中でありまして、その経済波及効果を何とか呼び込んでいこう、最大化していこうというところで尽力しているところでありますけれども、公共放送としてNHKは万博をどのように位置づけて、どのような取組で盛り上げていくのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

稲葉参考人 四月に開幕します大阪・関西万博は、日本で二十年ぶりに開かれる国際博覧会でございます。「いのち輝く未来社会のデザイン」というのがテーマでございまして、百五十八の国と地域、国連などの国際機関が参加する、国際的にも重要なイベントだというふうに認識してございます。

 NHKは、これまでも、ニュース7などの全国ニュースやあるいは関西地方向けのニュース、番組などで、パビリオンの建設など開幕に向けた準備の状況とか、あるいはチケットの販売状況など運営をめぐる課題などについても伝えてまいりました。

 今後は、四月十二日に開かれます開会式の模様を生中継で伝えるほか、特集番組とか定時番組で万博の魅力や課題を多角的な視点から随時取り上げていきたいと思っております。

 また、会場内にはNHKのサテライトスタジオを設置してございまして、期間中はサテライトスタジオを拠点に、万博の最新情報を国内あるいは海外に向けて発信していきたいというふうに考えております。

黒田委員 ありがとうございます。

 大阪・関西万博、これを契機に地方の創生というものも目指して各地域で頑張っておられますので、まさに日本全国で一丸となって盛り上げていきたいというふうに考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきます。

 インターネット配信業務が必須業務化になるということで、NHKオンデマンドについてお伺いいたします。

 まず、仮にNHKオンデマンドにおいて相応の収益を恒常的に生み出すことができた場合、将来的に受信料の引下げにつなげることはできるのでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKオンデマンドを中心とする有料インターネット活用業務勘定は、二〇二三年度に繰越欠損金を解消したばかりということで、これまで進められなかった配信システム、ユーザーの使い勝手向上のためのインターフェースの改修など、サービス拡充への投資を今行っておりまして、持続可能で安定的な運用を目指しているというような段階でございます。

 NHKオンデマンドのサービスの目的は、国民共有の財産であります放送番組を視聴者・国民の皆様に還元するということでありまして、収入はサービスの充実に充てることを基本としています。赤字にならないようにしながら、より多彩なコンテンツを配信し、多くの方に御利用いただけるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

藤巻委員 はい、分かりました。ただ、大きな利益が出たならば、将来的には受信料の引下げというところにつなげていくべきだなというふうには思っておりますので、意見として述べさせていただきます。

 NHKオンデマンドの会員数は三百五十万人超とされているんですけれども、しかしこれは無料会員登録の人が恐らくかなりというところで、実際に料金を支払って視聴している人はこの中のかなり一部になるのかなというふうに考えているんですけれども、月額九百九十円を支払って見放題パックに加入している人は何人なんでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、NHKオンデマンドのNHKサイト経由の直接提供の登録会員数は、今、およそ三百五十五万人ということになっています。

 一方、NHKオンデマンドは、NHKのサイトで提供するだけではなくて、外部事業者のサービス経由でも提供しております。外部事業者との間の秘密情報に該当するため、合わせた形の会員登録数というのは公表していないということでございます。

藤巻委員 いずれにせよ有料会員数は三百五十万よりも大分落ちると思うんですけれども、一方で、動画配信サービスの最大手であるネットフリックスは有料会員数が昨年六月の時点で一千万人を超えているとの報道がありました。予想するに、NHKオンデマンドと比べるとかなりの差があるのかなというふうに思っているところなんですけれども。

 私、映画とかドラマとかスポーツとか、サッカーなんか大好きで、今、動画配信サービスに六個入っています。一番多い時期は九個とか入っていたわけですよ。そんな中でも、ちょっと申し訳ないんですけれども、NHKオンデマンドには入ったことがないというようなところなんですよ。

 厳しい言い方をすると、見たいと思える映画だったりドラマだったりスポーツをやっていなかったというところが正直なところで、ネットフリックスなんかは本当に、ああ、あの映画がもう配信されているんだとか、オリジナルドラマなんかもすごく話題になっていて、ネットフリックスと比べちゃうと、ううんというようなところも正直あるのかなというふうに思っていまして。ただ、ネットフリックスに負けないような良質なコンテンツを作っていかなければ厳しい競争に淘汰されて、そう遠くないうちに有料会員数がじり貧となってしまって、赤字事業となってしまうというようなことも予想されるわけです。

 NHKはふだん民間の厳しい競争とはある意味無縁のところにいるのかなというふうにも言えるんですけれども、事動画配信サービスにおいてはそういうわけにはいかない。NHKであろうが、ほかのところであろうが、視聴者は見たいと思う動画配信サービスのみにお金を払って見るというところで、私みたいに九個入っていてもNHKオンデマンドには入っていないというような人も世の中にはいっぱいいるんだろうというようなことも想像されてしまいますけれども。しのぎを削る動画配信サービスの競争の中でどのようにして生き延びていくのか、戦略的にはどのようにお考えになっているんでしょうか。

稲葉参考人 NHKのオンデマンドサービスは、貴重な映像資産の社会還元事業といたしまして、ドラマあるいはエンターテインメント、また、それだけではなく、公共メディアならではのドキュメンタリーあるいは教養番組、現在は一万七千本以上の番組を配信してございます。今年度からは、4K番組あるいはスポーツ、アニメなど、より多様なジャンルで高い内容のサービスを広げていく方針でございます。是非委員にも御覧いただきたいというふうに思っております。

 また、幅広い世代の皆様がNHKのアーカイブ映像を通じて多様な価値に触れるということで、健全なネット空間の構築あるいは多元性の確保に貢献する役割も担っているのではないかというふうに考えています。テレビを見ない若い世代がNHKの番組に触れていただく、いわばタッチポイントとしての役割もあると考えてございます。

 今後も、配信番組の充実を始めとするサービスの拡充に努めて、オンデマンドの魅力を高めていきたいというふうに考えております。

藤巻委員 今のお話を聞きまして、私も十個目の動画配信サービス、NHKオンデマンドに入ることを前向きに検討していきたいというふうに考えているところでございます。NHKならではの質の高いコンテンツ配信を期待しているところであります。

 質の高いコンテンツというところで、関連してNHKの番組制作についてお伺いいたします。NHKの番組制作費で年間に最も費用がかかっているのはどの番組なのでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKでは、視聴者の皆様からいただいている受信料をどのような形で番組の制作に充てているか、より理解を深めていただくということを目的としまして、毎年、収支予算と事業計画の説明資料、この中で、教育・次世代、ライフ・教養、ドラマといったジャンルごとに番組一本当たりの制作費の目安を公表しております。

 個別の番組の制作費につきましては編集権に深く関わるため公開しておりませんけれども、制作費が最も高いジャンルはドラマジャンルというふうになっておりまして、一本当たり千三百八十万円から七千九百九十万円というふうになっております。

藤巻委員 ドラマが高い制作費を投入されているというところで、予想するに、大河ドラマなんかはかなり高い制作費を投入されているのかなというのは予想がつくところではありますけれども。

 これはちょっとドラマファン的な質問ではあるんですけれども、一クール一年というのは少し長過ぎるんじゃないかなというふうに思っておりまして、というのは、結果としていいものが作れなかったとしても一年間それを流し続けなければいけない、リスクマネジメントという観点からするとちょっとどうなのかなというところも思っておりまして、撤退線を全く考えていない。民放だったら、例えば三か月が一クールで、どんなに長くても、自信作だったら六か月やっているというところはあるんですけれども、一年というのはなかなか聞いたことがないというところで、民放だったらいいものが作れなかったら早めに打ち切るということもありますし、逆に、いいものが作れれば改めて続編を作るというようなことをやっているわけです。

 大河は大きな番組制作費をかけているわけですから、リスクマネジメント、いざとなったら撤退できるという観点も大事かなというふうに思っていまして、そもそも一年は長過ぎる、あるいは一年間毎週見続けるのは非常に大変、一回見逃してしまったら流れに乗っていけないというような話もよく聞きますし、一方で一年間、だからこそ壮大なストーリーが作れるというのもよく分かるんですけれども、リスクマネジメントの観点からしても、見やすさという観点からしても、大河ドラマはワンクール一年よりも半年とかいう単位の方がいいのかなというふうにドラマファンとしては思うところです。お考えをお聞かせください。

山名参考人 お答えいたします。

 大河ドラマにつきましては、視聴者のニーズあるいは時代の動きなどを酌み取りまして、題材が一年間にわたって視聴者の興味を引きつけられるかといった観点ですとか、時代設定が偏っていないかといったようなことに配慮しながら、長期的な視点で企画を決定しているというところでございます。一年間を通しての放送が、御指摘がありましたけれども、ほかのドラマにはない大河ドラマの特色というところもございまして、視聴者の皆様に定着しているというふうに考えております。年間を通じて見応えのある内容を目指しているというところであります。

 また、NHKは公共放送としまして、視聴率のような量的評価だけを追い求めているというわけではございません。番組の評価は、視聴者にどれぐらい満足していただけたのかというような、いわば質的評価も重要なポイントと考えて制作に当たっているところでございます。

藤巻委員 番組制作において重要なのはキャスティングだと思います。また、芸能人の方にとっても、アナウンサーの方にとっても、キャスティング次第で職業人生が大きく変わってくるところではあるんですけれども。しかし、キャスティングというのはいずれにせよ不透明さがつきまとうのかなというところで、なぜ、どういう理由でこの人たちがキャスティングされているのか視聴者さんは分からないですし、あるいは、当事者たち以外、内部の人もなかなか見えづらいというところだと思うんですけれども、フジテレビの件もキャスティングの不透明さが問題の根源にあるというふうにも考えられるわけです。

 NHKではどのように番組のキャスティングを行っているのでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKでは、出演者につきましては、番組の狙いや演出などを踏まえまして、各制作現場で適材適所の人選を行っているということでございます。番組編成や放送番組そのものの多様性を確保するために、常に新しい出演者を探すという努力をするとともに、公共放送としての公平公正を保つために特定の人に偏ることのないように幅広い人選に努めております。

藤巻委員 キャスティングに、誰かの思惑だったり、不透明な力関係は働いていないでしょうか。NHKでは透明性の高い公平公正なキャスティングが行われているというふうに会長は断言できますでしょうか。

山名参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、公共放送としての公平公正を保つために特定の人に偏ることのないように幅広い人選に努めているというところでございます。

藤巻委員 分かりました。そこは本当に大事な部分だと思いますので、しっかりと守っていっていただければと思います。

 続いて、選挙報道の在り方についてお伺いいたします。

 近年、ネット上での政治活動、選挙活動が活発になっています。しかし、その一方で、特に選挙期間中はNHKを含めたテレビ、新聞は政治的公平性をうたう放送法に基づいてほとんど選挙関係報道をしなくなるというのが現実だと思います。そのため、有権者は真偽不確かな情報も含めてネット上にしか情報がないような状況になっているというふうに感じるところであります。政治的公平性を保つために報道しないという行為が、逆に政治的公平性を欠いてしまうような状況を生み出してしまっているというふうに感じるところです。

 テレビ、新聞、もちろんネットも含めてなんですけれども、多くの情報の中から有権者に審判を下していただくというのが選挙のあるべき姿だと私は思うんですけれども、もちろん政治的公平性はしっかりと担保した上で、特に選挙期間中、選挙関係報道を増やすということが必要というふうに個人的には考えるんですけれども、報道をリードすべき立場にあるNHKとしてのお考えをお聞かせいただければと思います。

稲葉参考人 お答えいたします。

 先般の兵庫県知事選挙などで、既存メディアは国民が求めている情報を十分に伝えていなかったのではないかとか、あるいはSNSなどのインターネットで発信された情報が選挙結果にも影響を与えたのではないかというような指摘が多々出ていること、これについては私は真摯に受け止めるべきことではないかと思っております。

 確かに、放送法あるいは公職選挙法の規定に基づいて正確かつ公平公正な情報を提供する必要がある、これは当然のことでございますが、そうした一定の制約がある中でも、視聴者・国民の皆様が本当に知りたいというふうに思うことに応えていく責務がやはりあるというふうに考えてございます。今年の参議院選挙なども見据えまして、選挙におけるSNSの影響などを分析するなどして、公共放送として果たすべき選挙報道の在り方について引き続き検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 メディアを取り巻く環境が大きく変化いたしておりますが、国民の知る権利に応え、情報空間の参照点となる情報を提供すること、これはこれまで以上に重要になっているというふうに思っております。NHKとしては、判断のよりどころとなる情報を放送でもインターネットでも提供し、健全な民主主義の発展に貢献していきたいというふうに考えております。

藤巻委員 具体的には、私は例えば国政選挙の期間中は党首討論だったり幹事長討論だったり政調会長討論などを様々な時間帯で多くやってほしいというふうに思うんですけれども、「日曜討論」とかの番組はあるんですけれども、週に一回ですので、選挙中の放送は一回になってしまったりとか、時間も日曜朝九時で、ゴールデンタイムではありません。討論会では政治的公平性を担保しやすく、有権者に党の考えを伝える上で有効な場かなというふうに思うんですけれども、視聴率をそこまで気にしなくていいNHKだからこそできるということもあると思います。

 民主主義の発展のために公共放送たるNHKは特に選挙期間中、党首討論などを高い頻度で放送するのもありなのかなというふうに、すべきかなというふうにも思っているんですけれども、見解をお聞かせください。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKは、今年夏の参議院選挙なども見据えまして、選挙におけるSNSの影響などを分析しながら、公共放送として果たすべき選挙報道の在り方について検討を進めているというところでございます。

 御指摘の「日曜討論」などの討論番組につきましても、そうした御指摘を踏まえながら、かつ公平公正、自主自律を確保しつつ、視聴者・国民の皆様の判断のよりどころとなる情報を提供できるよう、引き続き検討を進めていきたいというふうに考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 これで私の質問を終わらせていただきます。

竹内委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会、NHKオンデマンドそしてNHKこどもパークを利用している守島です。

 質問に入ります。よろしくお願いします。

 先日、私も日本放送協会第百回放送記念式典にも出席させていただきまして、その歴史の重みと協会の使命感を強く感じた次第です。なので、これからも事業を持続することで国民のニーズに応え続ける組織であることを期待して、まずは経営に関しての質問から行いたいと思います。

 来年度予算では今回も赤字補填のために還元目的積立金を四百億円取り崩しておりまして、収支均衡が達成できなければ、いずれこの積立金はなくなる状況にあります。大臣意見にも受信料収入と事業規模の均衡の早期確保が求められるとありますが、受信料の値上げなしに協会が目指す二〇二七年度までの収支均衡をどのように図っていくのか。簡潔に、会長、教えてください。

稲葉参考人 確かに、二〇二七年度の収支均衡を実現するということのために取り組む事業支出の削減、これは過去に経験のない大きな挑戦だというふうに認識してございます。実際、放送波の削減、設備投資の大幅縮減、あるいは既存業務の大胆な見直し、また既存のデジタルコンテンツの見直しなど、構造改革を断行して経費の削減を実行していくという方針でおりますが、その一方で、業務の効率化や生産性の向上につながるような先行投資、これはしっかり行い、必要な構造改革も着実に進める、こういう考えでやってございます。各年度の改革の成果を取り込みながら着実にステップを踏んで段階的に事業支出を削減する、二〇二七年度の収支均衡を目指すという計画にしてございます。

 いずれも容易ではございませんけれども、今後も公共放送としての役割を果たし続けながら、可能な限りの方策を講じつつ構造改革に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 構造改革は大事だということですが、先ほど来の質疑でも二〇二七年度に一気に負担がかかってくるというような御指摘もありますので、楽観視できない状況を注視していきたいというふうに思っています。

 続いて、財政安定のための繰越金四百七十六億円、そのうち三百二十八億円を取り崩して建設費の不足などに充てております。七年度末は百七十七億円になるとされている中で、これまで五百億円が適切という話があったんですが、今後、復元していく予定なんでしょうか。教えてください。

小池参考人 お答えいたします。

 財政安定のための繰越金は、大規模な災害などによる経済状況の急激な変化に対応するほか、設備投資の財源として減価償却資金などを当年度の自己資金では賄えない場合などに対応するものだと認識しております。

 大規模な自然災害や経済状況の急激な変化などが起きる中においても、視聴者の皆様に追加の負担を強いることなく公共放送として放送サービスを継続していくため、財政安定のための繰越金は少なくとも五百億円程度は確保したいと考えております。二〇二五年度は、放送センター建て替えなどで増加する設備投資の財源に充てるため、年度末に百七十七億円規模を想定しています。

 今後、更なる経営努力によって財政安定のための繰越金の確保に努めてまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 会長が、これから構造改革をして事業収支を合わせていく、それと同時に安定基金も復元させていくということで、厳しい方向性なのかなというふうに思っていて、今後、物価の影響なんかも踏まえると予断を許さなくなってくるんじゃないかと危惧しています。よって、総務大臣の意見にも、協会の在り方に関しては業務の見直しに聖域なく徹底的に取り組む等、事業改革に不断に取り組むことが求められるとあったと考えています。

 我々は、三年前にNHK改革法案というのを提出し、公と民間で担うものを分けて分割民営化するような案を提案しました。この意義は、NHKが公共放送であるから設備の設置者は受信契約締結義務を負うことになっているんですけれども、そもそも公共放送の定義として放送法第十五条を要約すると協会は公共の福祉のための国内基幹放送を行うとされていることから、公共の福祉に資するものだけを公共放送にすることで公的部分の縮小ができると考えたため、そういう法案を作りました。

 当時、NHKのジャンル別の編成比率を調べたところ、教育、報道、福祉、伝統芸能といった公共の福祉と言えそうなものは三割に満たず、多くはスポーツ、ライフ、趣味、ドラマ、エンターテインメント、アニメ・映画等で構成されていました。もちろんジャンルのみでは公か、そうじゃないかというのを割り切れるものじゃないんですけれども、公益性の高い放送以外の事業も含めたものを運営するために受信契約締結義務というものが国民に課されており、必要最小限以上の、公共の福祉にかかるコスト以上の受信料が設定されてきたと感じています。業務の見直しとか改革は大事なんですが、我々はやはり抜本的な経営形態の変更、改革を行うことが事業の持続性と更なる受信料値下げ、国民負担軽減につながると思っています。

 今回は、村上大臣に、抜本的な経営形態の見直しに関する見解や、その必要性を伺いたいと思います。

村上国務大臣 守島委員の御質問にお答えしたいと思います。

 NHKは、放送法において、あまねく日本全国において豊かでよい放送番組を受信できるように放送を行うとともに、放送全体の進歩発達等に貢献することが目的とされております。このような公共放送としての役割を担うため、広く受信料によって支えられているものというふうに承知しております。

 私が民放と違うと思うのは、NHKが広告主の意向や視聴率にとらわれることなく、報道や教養を始めとして、幅広く豊かでよい番組を放送することといった公共放送としての基本的役割を果たすために御指摘のようなNHKの経営形態の見直しを直ちに行う必要があるとは現時点では考えておりません。

 御指摘の総務大臣意見については、NHKが国民・視聴者の受信料によって支えられ、業務の合理化や効率化を不断に進めることが必要であるという観点から、その趣旨を述べたものであります。

 以上であります。

守島委員 確かに、あまねくところに豊かな番組を提供するというのを書いているんですけれども、その条文を遡ってみると、やはり公共の福祉にかかっているんですね。公共の福祉に資するかどうかという定義はやはりちゃんとしていかないといけないと思うので、そこに業務改革のヒントが我々はあると思っていますので、その点、総務省としてもNHKに提言していっていただければ幸いに思っています。

 次に、割増金について伺います。割増金制度の開始後、今に至るまでの状況を確認すると、これまで十八件の訴訟が提起され、うち二件が地裁で割増金の支払い及び受信契約を命じ、五件は進行中、残余が十一件と聞いているんですが、それぞれの状況、進捗を教えてください。

小池参考人 お答えいたします。

 未契約の世帯に対して受信契約と受信料及び割増金の支払いを求める民事訴訟については、二月末時点で十八件提起しているところでございます。このうち二件については、契約の締結及び割増金の支払いを命じる判決が出ており、現在請求中でございます。訴訟は五件が進行中で、残りの十一件については、受信料の契約に応諾をいただいたことなどにより、訴訟を取り下げたり、和解となっております。

守島委員 ありがとうございます。

 十八件の訴訟を提起しているんですが、どのように対象を決めているのかというのは多分、個別具体は答えられないという回答になると思っているんですが、既に大半が和解とか取下げということを踏まえると、比較的、契約する経済力がありそうなところを中心に訴訟を提起しているんじゃないかなという想像をします。

 そもそも、訴訟費用に比べて支払いが命じられてそれから得られる額が少ないと思うので、訴訟乱発ということはできない分、効果的な訴訟を行って能動的な受信契約を促すことが目的だと思うんですが、比較的取りやすいところを対象に起こしているという仮説があって、件数も少ないことを考えると、やはり余り罰則的な効果が感じられていなくて、契約を結ぶインセンティブにつながっていないんじゃないかというふうにも感じているんですが、今後、この制度をどのように有効活用していくのか。会長の考えをお聞かせください。

稲葉参考人 お尋ねの割増金の運用についてでございますけれども、国会の附帯決議におきましても、受信契約についての理解を得るため最大限努力しつつ、個別事情に配慮し、適切な対応を行うこととされてございます。NHKでは、割増金は事由に該当する場合に一律に請求するということではなくて、お客様の状況など個別の事情を総合的に勘案した上判断していくということにしてございます。

 先ほど御説明しましたとおり、割増金の支払いを求める民事訴訟はこれまで十八件提起しているわけでございますが、引き続きNHKの公共的役割や受信料制度の意義を丁寧に御説明して適切に運用してまいりたいというふうに考えております。

守島委員 会長、是非、総合的な判断の在り方というのは時点時点で見直してほしいと思うんです。それはなぜかということを今からお話しします。

 まず、支払い率全体のことに関して聞きます。

 大阪とか東京といった大都市は、単身者が多いことが理由で支払い率が六〇%台後半と低く、ほかも大都市圏が大体全国値を下回る傾向にあるんですけれども、そうした大都市において、昨年度末の数字はどの都市も若干の改善傾向が見られました。これまで、割増金の民事訴訟は今挙げた大都市の住民に対してがほとんどなので、この点の効果は一定あったかというふうに思っています。

 しかし、沖縄の支払い率は大都市よりも更に低い四八・四%から、更に今回は下がって四七・七%となっておりまして、これに関してNHKの設立時はアメリカの占領下で成り立ちが違うという理由はこれまでもお聞きしておりますが、ここまで来ると契約した方が損という動機が動いているんじゃないかと感じますし、割増金の訴訟も沖縄では一件もされていないんですね、支払い率が五〇%未満なのに。そうした罰則的な意味の牽制もされていない状況なんです。

 ちなみに、昨年度は、能登地震の影響を受けた石川県を除くと、一番支払い率が下がっているのが最下位の沖縄です。三年前の質問でもこの問題に言及しましたが、当時は支払い率の低下はコロナの影響で全県的だから沖縄特有の問題じゃないという話があったんですけれども、やはり直近の数字を見ると沖縄独自の支払い率低下というように見えるんですが、この要因分析はできていますか。

小池参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、沖縄県の受信料の世帯支払い率は、米国統治下から日本に復帰した一九七二年まで受信契約の必要がない期間が長くあったことなどで歴史的背景等が影響しておりまして、二〇二三年度末は四七・七%となっております。

 直近の国勢調査によりますと、世帯数の増加率が全国平均の四・四%に対して沖縄県は九・七%となっており、全国で最も高い水準となっております。こうした世帯の増加により支払い率の分母となる契約対象数が近年増加傾向にあることも、支払い率の低下の要因の一つだと考えております。

守島委員 その理由は分かるんですが、近年は大都市圏、特に人口流入が多い都市圏の支払い率が改善しているので、それだけで沖縄が低下しているというのを断定するのは違うのかなというふうに思ってしまいます。

 そもそも受信料額も、沖縄は本土と比べると地上契約、衛星契約共に百三十五円安いことで成り立ちに対する処遇は一定されていると思うんですが、ここにもっとメスを入れるべきじゃないでしょうか。

小池参考人 お答えいたします。

 沖縄県の支払い率の向上は重要な課題だと認識しております。先ほどお答えしたとおり、世帯数の増加率が全国で最も高いことから、新たな世帯に対する対策を強化していくことが必要だと考えております。また、大小様々な島が点在するなど地域的な特性もあるため、特別あて所配達郵便を他の地域局に先駆けて加重して実施するなど、新たな営業アプローチへの転換も推し進めているところでございます。

 放送サービスの充実に努めながら、デジタル、書面、対面など様々な施策を組み合わせることで、沖縄県の皆様にNHKの公共的価値に共感し納得して受信料をお支払いいただけるよう取り組んでまいります。

守島委員 この点、本当にずっと歴史的な課題なので、是非よろしくお願いします。

 ちなみに、私、両親が奄美群島出身で、沖縄より大分早い時期であるものの、NHKが設立された後にアメリカから日本復帰を果たした土地でして、個別の支払い率を確認したんですが出てこなかったんですけれども、奄美を含む鹿児島県は支払い率八三・四%と全国平均以上なんですね。

 ちなみに、世帯平均年収は、沖縄県の人が大体四百二十万で、奄美群島の人、奄美市の人は約三百七十万円で、五十万ぐらい低いんです。沖縄ほど受信料の契約も安くないということを考えると、やはりちゃんと理解して契約に結びつけるということの方が必然性は高い、そう思いますので、歴史問題は分かりますが、是非ここは注力していただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

 時間がそんなにないので、ちょっと一旦、NHKオンデマンドは藤巻委員も質問したので飛ばさせていただきまして、放送センターの建て替えに関して一問にまとめて聞きたいと思います。

 建て替えに関しては、事業計画の資料からはトータルコストが分かりにくいというか読み取れなくて、フローしか分からないので、一体、一期工事の予算が幾らだったのか。建物、設備それぞれのトータルコストが今後の放送設備の分も含めて幾らかかるのか教えてほしいというのと、加えて、まとめて答えられるのであれば、今後の建て替え計画二期を見据えて、建て替え計画の見直しはいつ頃、どのような方向性で出そうとしているのか。お答えください。

竹村参考人 お答えをいたします。

 まず、幾らかかったのかという第一期の工事についてでございますが、当初、二〇一六年に計画を立てたときには六百億円、これは建設費の計画額でございます。昨年十月に完成をいたしまして、そのコストは建設コストの高騰を受けまして六百五十七億円でございます。

 放送設備の費用につきましては、現在の設備の老朽更新ということを基本にしつつ新たな設備を整備するということで、あらかじめ全体としての計画は残念ながら持っておりません。現在、来期の設備費用として確定をいたしておりますのは、二〇二三年度の決算で百三億円、二四年度の予算と二〇二五年度の予算を合わせて八百億円を想定いたしてございます。

 二年前に委員から御指摘をいただきまして、なかなか分かりにくいではないかということで、決算の資料につきましては少し工夫して公表をいたしているところでございますが、なおどのようにしていくかということについては改めて検討いたします。

 二期工事以降の整備計画についてでございますけれども、これにつきましては、新しい技術革新の動向、こういうものをしっかりと踏まえたものにしたい。それから、NHKの事業内容がインターネットを含め変わってきておりますので、そういうことを含めて働き方改革なども積極的にやっていくということを前提にいたしまして、今、計画の修正に努めております。今春にも決定して発表したいということで、四月ないし遅くても五月には決定して公表したいと思っております。

 以上でございます。

守島委員 済みません、少し超過しました。以上で終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次回は、明十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十七分散会


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