第9号 令和7年3月19日(水曜日)
令和七年三月十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 竹内 譲君
理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君
理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君
理事 岡島 一正君 理事 吉川 元君
理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君
石橋林太郎君 大西 洋平君
加藤 竜祥君 川崎ひでと君
小寺 裕雄君 小森 卓郎君
佐藤 勉君 田所 嘉徳君
中野 英幸君 福原 淳嗣君
古川 直季君 三谷 英弘君
山口 俊一君 若山 慎司君
阿久津幸彦君 おおたけりえ君
奥野総一郎君 川原田英世君
杉村 慎治君 高松 智之君
武正 公一君 西川 厚志君
福田 昭夫君 松尾 明弘君
道下 大樹君 山花 郁夫君
藤巻 健太君 守島 正君
福田 玄君 中川 康洋君
山川 仁君 辰巳孝太郎君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
総務副大臣 阿達 雅志君
総務大臣政務官 川崎ひでと君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(総務省情報流通行政局郵政行政部長) 牛山 智弘君
参考人
(日本放送協会経営委員会委員長) 古賀 信行君
参考人
(日本放送協会会長) 稲葉 延雄君
参考人
(日本放送協会専務理事) 小池 英夫君
参考人
(日本放送協会専務理事) 竹村 範之君
参考人
(日本放送協会専務理事) 山名 啓雄君
参考人
(日本放送協会理事) 中嶋 太一君
参考人
(日本放送協会理事) 安保 華子君
参考人
(日本放送協会理事・技師長) 寺田 健二君
参考人
(日本放送協会理事) 黒崎めぐみ君
参考人
(日本郵政株式会社代表執行役副社長) 加藤 進康君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
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委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
高市 早苗君 三谷 英弘君
岡本あき子君 阿久津幸彦君
奥野総一郎君 川原田英世君
同日
辞任 補欠選任
三谷 英弘君 高市 早苗君
阿久津幸彦君 岡本あき子君
川原田英世君 奥野総一郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
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○竹内委員長 これより会議を開きます。
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本件審査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社代表執行役副社長加藤進康君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
本件審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、情報流通行政局長豊嶋基暢君及び情報流通行政局郵政行政部長牛山智弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。向山好一君。
○向山(好)委員 おはようございます。国民民主党の向山好一でございます。
まず、NHK幹部の皆さん、お忙しいところを朝早くからお越しいただきまして、ありがとうございます。
私は、テレビをつけますと、まずチャンネルを一に合わせるんですね。NHKさんはいろいろためになる番組をたくさん持っていらっしゃるので、今日はどんな番組をやっているかなと思ってスイッチをつけるんですけれども、その中でもバタフライエフェクトあるいはプロジェクトXは本当に示唆に富んだ、私たちの活動にも参考になるような番組ですし、一方、チコちゃん、あれも本当に楽しく学べてね。NHKにしかできないような番組というのはいっぱいありまして、そういう意味では、NHKさんが公共放送として更に魅力的な放送局になるように、そういう思いを持って質問させていただきたいと思います。
まず指摘しなきゃいけないのは、ラジオ国際放送局で起こった尖閣問題に対する発言です。これはやはり看過できないので、質問させていただきたいと思います。昨日、杉村委員からもありましたけれども、もう一度私からも、八月十九日に起こった外部アナウンサーの発言を紹介します。釣魚島、これは日本語では魚釣島ですけれども。
釣魚島と附属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議します。南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。七三一部隊を忘れるな。
公共放送で言うような言葉でしょうか。恐ろしくなります。そのとき私は国会議員ではありませんでしたけれども、この発言に驚愕し、公共放送を担うNHKに怒りさえ覚えました。あってはならない、そういうような放送が行われたわけです。
そこで、まず稲葉会長に伺います。会長は、事件直後から記者会見等で謝罪を述べられ、あるいは報告書、再発防止策というのを出されておりますけれども、あれから七か月たちました。改めて、国民の皆さんへのメッセージとして今の心境をお答えください。
○稲葉参考人 国際放送の件でございます。
今回の事案は、自ら定めましたNHKの国際番組基準に抵触するというようなこと、NHKが放送法で定められた担うべき責務を果たせなかったという極めて深刻な事態だというふうに重く受け止めてございます。
NHKでは、昨年九月に公表いたしました調査報告書に基づきまして再発防止策の着実な実行に取り組んでおりまして、チェック体制の見直しあるいはガバナンスの強化に当たってまいりました。
私としては、国際社会は現在、分断が一層深刻化してございます。平和を希求する日本の視座に立って国際放送番組を発信し、国際世論の健全な形成に貢献することで、世界の民主主義の発達に貢献していきたいというふうに強く感じてございます。今後も、AIなど最新テクノロジーを活用し、コンテンツの質的充実を図るとともに、リスク管理の徹底、ガバナンスの強化を更に進めながら国際発信を再強化していきたいというふうに考えてございます。
○向山(好)委員 今やれることというのは、再発防止というのが一番重要だというふうに思うんですけれども、報告書の中にもラジオ放送の事前収録というのが書いてあります。実際にやっていらっしゃるとは思うんですけれども、現在の事前収録の実施状況と、これを今後どう扱っていく予定なのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○山名参考人 お答えいたします。
ラジオ国際放送では、去年八月十九日の事案発生後、英語を除く十六の外国語全てで生放送ではなく事前収録をして放送するという形に変更いたしました。このうち、中国語ニュースに関しましては、新年度の放送が始まる今月、三月三十一日からAI音声による読み上げを本格的に導入し、事前収録をして放送するという予定でございます。
○向山(好)委員 事前収録を続けていらっしゃって、最初、会長からもAIという話がございまして、NHKはAIを結構導入しているんですけれども。だけれども、尖閣のものも、AIが暴走したら、字幕に釣魚島というふうに出た事例もございまして。要するに、AIのソフトがどこの国の開発かによってまた全然違ってきますので、それだけでは再発防止にならないということも指摘しておきたいと思います。
それと併せて、人の口に戸は立てられないという言葉があるとおり、どんな発言が出てくるか分からないんですよね。予測不可能ということになるんですけれども、それを抑止する方法は何ぼでもあるというふうに思っているんですね。そこで、その仕組みについてお伺いしますけれども、この発言による損害は計り知れないものがあり、当然、賠償というのを支払ってもらう義務があります。昨日も質疑でありましたけれども、NHKはこの個人に損害賠償を請求されておられます。その額は一千百万円。NHKと国民が被った被害に対して余りにも低い額との印象を受けておりますけれども、この額の根拠、そして損害賠償は現在どうなっているのかをお伺いします。
○安保参考人 お答えいたします。
当該スタッフを被告とする損害賠償請求訴訟を、去年九月、東京地方裁判所に提起いたしました。訴状にはNHKが把握していた日本での住所地を記載し、裁判所に受理されています。NHKとして既に出国したことは確認していますが、現在の所在地は把握できておらず、本人にどのように訴状を送達するか、裁判所が検討しています。今後も、司法手続に従って適正に民事訴訟を進めてまいります。
○向山(好)委員 額のことについては言及がなかったんですけれども。不法行為そのものというのはいろいろな評価はあると思いますけれども、国益を損なうような発言というのは、結構、億を超えるぐらいの額じゃないかと思います。民法百十条の限界なのかもしれませんけれども。
僕は、個人がこういうふうに契約しているからそういうことにもなっていくんじゃないかと思っていまして、例えば、外国人スタッフは結局、逃げ得になっていく可能性が非常に高いんです。ですから、そういったことを防止するためにも、外国人スタッフ個人と委託契約を結んでいらっしゃるということなんですけれども、そうじゃなくて法人や団体を絡ませて、個人の逃げ得があった場合に法人にも影響を及ぼす、そういった委託契約というのをやっていくのがしかるべきだというふうに思いますが、その辺はどうでしょう。
○山名参考人 お答えいたします。
今回の事案につきまして、NHKや関連団体と外部スタッフとの間に別の法人などを介在させて、事後的にその法人などに損害賠償を請求したとしましても、そのことによって今回のスタッフのような、同じような行動を完全に防ぐことは難しいんじゃないかというふうに考えております。こうした同じような行動を防ぐためには、NHK本体が外部スタッフと直接契約を結んで、日頃の言動などを適切に把握することが重要でありまして、翻訳内容の品質管理、リスク管理に万全を期していきたいというふうに考えております。
現在、中国語ニュースなどの外部スタッフと、新年度後期の方から直接契約を結ぶための準備を進めているところでございます。
国際放送におきましては、より伝わりやすい放送を追求するために、ニュース原稿の翻訳作業は引き続き各言語を母語とするネイティブスピーカーに行ってもらう必要があるというふうに考えております。最終的に各言語が分かる職員などが複数でチェックをすることで、翻訳の正確性といったものを担保できるというふうに考えております。
○向山(好)委員 今の御答弁で、NHK本体が個人の言動というのをチェックするという話がありました。
それでしたら、お伺いいたしますけれども、NHKの報告書にこう書いてあるんですね。この外部スタッフは事件が起こる前にNHK職員に、尖閣諸島の翻訳業務を拒否することはできるのかというふうに質問しました。つまり、中国当局の反応への不安や懸念を事件が起こる前から抱いています。ということは、逆に、事前の兆候があったということですね。報告書も認めていますから。
その背景は何だというふうに思われますか。それは、中国には国防動員法あるいは国家情報法という法律がありまして、外国におる中国人も国家に尽くさなきゃいけないということが規定されているんです。特に国家情報法、これによって、中国当局の主張に反することを中国人が発言すると自らと家族が危険にさらされる可能性が十分ある。こういうことをこの外部スタッフは知っていたから、こういった発言につながっていったんじゃないかと思われるんですね。つまり、中国人が放送を担当する限りこのリスクはなくならない、そういうことじゃないかと思います。それを排除するためには、できる限り日本人スタッフが担当するしかないというふうに思うんですけれども。
そこで、伺いますけれども、事件後も放送を担当する中国人スタッフは現在何人いるんでしょうか。また、それを日本人スタッフに置き換えるということは考えていらっしゃるんでしょうか。その辺りをお伺いします。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKと関連団体は特定の国籍のみを条件とした採用や契約締結を行っておりませんけれども、契約時に在留資格の確認を行う際に国籍を把握しておりまして、その時点で中国籍のスタッフは存在しております。国籍を積極的に明らかにしていないというスタッフもいる中で、個人の特定やプライバシーの侵害につながるおそれがあることから、国籍や人数を明らかにすることは差し控えたいというふうに思っております。
今回の事案を受けまして、先ほども申し上げましたけれども、ネイティブスピーカーを含め外部スタッフにはNHKの国際放送業務を担う上でのルール、方針を徹底する説明会などを行って、ガバナンス強化に取り組んでいるところであります。
国際放送においてより伝わりやすい放送を追求するために、ニュース原稿の翻訳作業、これはやはり各言語を母語とするネイティブスピーカーに行ってもらう必要があるというふうに考えております。とはいえ、最終的には各言語が分かる職員などがしっかり複数でチェックすることで翻訳の正確性を担保できるというふうに考えております。
○向山(好)委員 公にはなかなか言いにくいこともあるのでこれ以上申しませんけれども、せっかく放送が始まって百年という記念すべきNHKの歴史、そこに大きな汚点が残らないように、再発防止のための最善策というのはしっかり会長も先頭に立って構築していただきたい、このことを要望して、次の質問に移ります。
経営計画のことについてですけれども、特に削減計画、このことについてお伺いします。
二〇二七年度に向けて、二〇二三年度より一千億円、相当な額の支出の削減というのを、今、NHKは目指していらっしゃいます。そのプランとして、二〇二五年度、来年度ですね、予算ベースで前年度より百五十七億円、二〇二六年度は百三十九億円、そして最終年度が、予算ベースの話なんですけれども、五百二十五億円というような数値が明記してあります。実質四百二十五億円であったとしても、最終年度に大きな崖が存在しているんですね。あの表を見たら、なだらかに右にはなっていますけれども、こんなようなカーブなんですね。
昨日も質疑がありました。問題を先送りしているのではないか、あるいは一千億円という数字に無理やり合わせている数字じゃないのかとか、そういった懸念というのが職場から出ているんですよね、いろいろ、各方面から。昨日の質問でも徐々にステップアップしていくというような答弁がございましたけれども、それだけでは現場の混乱は収まらないと思うんですね。具体的に中身を積み重ねた数字なのかどうか。職員の処遇を含めて全体の大きな、重要な問題ですので、混乱がないように、しっかりともう一度中身をお聞かせいただきたいと思います。
○小池参考人 お答えいたします。
中期経営計画で掲げました二〇二七年度までの事業支出削減は、過去に経験のない規模でありまして、大きなチャレンジだと認識しております。放送波の削減、設備投資の大幅な縮減を行うほか、既存業務の大胆な見直しを行い、番組経費や営業経費への切り込み、また既存のデジタルコンテンツの見直しなどの構造改革を計画しています。一方、業務の効率化や生産性向上につながる先行投資を行い、必要な構造改革をしっかり進めていきます。各年度の改革の成果を取り込みながら着実にステップを踏んで事業支出を縮減していくため、収支均衡を目指す二〇二七年度の削減額が大きくなっております。御指摘のとおり、職員、スタッフや外注先などにしわ寄せが生じないように、現場と丁寧にコミュニケーションを取りつつ、不安の声を払拭、解消しながら計画的、段階的に改革を進めることが欠かせないと考えております。
いずれの計画も容易ではありませんが、公共放送としての役割を果たしつつ、増収の確保と支出の削減を両立する構造改革を進めるため、可能な限りの方策を講じたいと考えております。
○向山(好)委員 是非とも今おっしゃったようなことが全体に浸透するように、しっかりと丁寧な説明責任というのを果たしてください。よろしくお願いします。
今の御答弁にも構造改革という話がございましたけれども、その構造改革に関連して、管理職と外注、そういった辺りの質問をさせていただきます。
事前にNHKさんに問合せをした数字ですけれども、NHKの職員さんが約一万人、それに対して管理職は四千五百六十人いらっしゃるということです。その比率は何と四五%、要するに一般職の方と管理職の方の数がほぼ一緒ということになっているんですね。
厚生労働省の調査によりますと、企業での管理職の割合というのは大体平均で一一・五%という数字が出ています。そうなると、NHKさんは一般の企業の平均の四倍ほどの管理職の方がいらっしゃるということになります。現場の職員さんにもお聞きすると、この管理職の肥大化によって意思決定の遅延や業務効率の低下につながっているのではないかというような指摘があります。
やはり組織というのは、ちゃんとしたヒエラルキーがあって、それで初めていろいろな業務命令とその遂行ができて、意思決定というのも迅速にできるというふうに思うんですけれども、管理職と一般職の比率が半々というのは余りにもいびつな構造になっているんじゃないかと思いますけれども、その辺りはどういうふうに考えていらっしゃって、どんな問題意識を持っていらっしゃるんでしょうか。
○竹村参考人 お答えを申し上げます。
NHKの人事制度では、職員を基幹職と業務職というように区分をしております。そのうち、基幹職につきましては、いわゆるマネジメントを担うマネジメント職群と、それから高度な専門能力と組織力を有するシニアプロフェッショナル職群、この二つに区分をいたしております。
いわゆるマネジメント職群のみで比率を見ますと、これが全体の二七・二%でございまして、先生御指摘の管理職の割合が四四・八%といいますのは、マネジメント職群とシニアプロフェッショナル職群を合わせた数の比率が四四・八%というのが現在の状況でございます。
どうしてこういう制度になっているかといいますと、マネジメントというのは当然のことながらどこの企業でも重要な管理機能でございますが、それに併せてNHKにおいては、高度な専門性を有する職員たちが多様な専門性を集めて協働してコンテンツを作っていくという仕組みでございます。その中で、確かに今は要員構成でいいますと、四十代以上の職員、いわゆる中堅、ベテラン層というのが全体の六〇%近くございます。これは、ある意味では非常にそれぞれ高い専門性を持つ職員がたくさん集結いたしておりましてコンテンツの制作に当たっているということでございます。
御指摘のような意思決定の遅延あるいは組織の硬直化、こういうことはあってはならないわけでございまして、基幹職、とりわけマネジメント職群の配置に当たりましては、責任と権限を明確にして、職責の範囲も明らかにして、しっかりと業務実態を踏まえながら、いわゆる補佐ポストの見直しあるいは削減等を始め、適切な配置に今取り組んでいるところでございます。今後も御指摘のような懸念がないように、私どもはそのように思っておりまして、組織が十分に機能するように人事異動、体制整備を行ってまいります。
以上です。
○向山(好)委員 時間がないので、今の御答弁、これから人事改革をやっていくということでございますけれども、逆三角形みたいになっちゃう可能性もありますからね。長いこと時間がかかりますから、しっかりやっていただきたいと思いますし。
もう一つ、関連するんですけれども、出向者数なんですね。出向者数もNHKさんは今五百人ということで五%程度なんですけれども、これもちょっと雇用動向調査等と比較しても多いんですね。これが身内への発注につながっていたり、本体の人件費の見かけ上の削減とか、そういったこともあって高コスト構造になっているんじゃないかというような指摘もあるんですけれども、出向者に対して、そこへ発注していくというようなことについての指摘、その辺についてのお答えをいただきたいと思います。
○中嶋参考人 お答え申し上げます。
NHKの関連団体は、公共放送にふさわしい番組制作、あるいは長年築いてきました技術力による安定的な放送の送出などを効率的に行うために設けているものであります。このため、NHKの番組制作などのノウハウあるいはスキルを持った出向者を一定程度配置しております。
その上で、より効率的に業務を行うため、関連団体の独自採用の社員を増やしまして、ノウハウあるいはスキルの移転を進めてまいりました。これに伴いまして、NHKからの出向者は二〇一一年度末では八百九人、当時のNHK職員の約八%でありましたけれども、二〇二四年度末では四百三十人程度、四%台になる見込みでして、段階的により効率化するように取り組んでいるところであります。
現在、NHKは事業支出の大幅な削減を進めておりまして、関連団体への委託を見直す中で、先生御指摘のとおり、出向者が適切に配置されているかどうか、今後も不断の見直しを行いまして、NHKの様々な業務を効率的に行う体制というものを取っていきたいというふうに考えております。
○向山(好)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、NHKさんというのは国民の皆さんの受信料というので事業が成り立っているわけですから、国民の皆さんが納得できるような説明責任、これをこれからも続けていただきますことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、福田玄君。
○福田(玄)委員 国民民主党の福田玄でございます。
早速質問に入らせていただきます。まずは、中長期のウェブへの対応ということでお伺いをしたいと思います。
今般、インターネット業務が必須業務化されたということでございます。これ自体は時代の要請ということであると思います。昨日来、放送百年という話が出ておりますが、私も父に、一九五〇年代にはテレビを見ていると一億総白痴化なんという言葉が昔はあったというような状況から百年たって。時代の要請ですよね、インターネット、社会のインフラとしてテレビが定着したというような状況でございます。しかし、義務化されることと、ウェブの世界で勝っていけるのかどうか。まさに今までは民放との競争であったと思います、視聴率競争をしていたと思いますが、これからはSNSやインターネットメディアと、世界中と戦わなければいけない、そういった状況にあると思っております。
その意味では、NHKさんも、ウェブの世界で勝っていけるコンテンツや視聴スタイルなどは今までとは異なると考えられると思います。どのようなコンテンツにするか、そして方向性など、議論をされているのかというのが一つ。
もう一つお聞きしたいのは、昨日も質問の中にございましたが、今、視聴者の皆さんそして国民の皆さんが享受をされている「NEWS WEB」等のインターネットのサービスがございます。これはお金を払っていてもいなくても享受されているものがあると思うんですけれども、昨日の説明を聞くと、ちょっと分かりづらいなと思っています。どの辺までがウェブが必須化されたときに見られるのか見られないのか、その辺りをもう少し分かりやすく教えていただきたい。そして、まだ議論中ということであれば、いつ頃までにスケジュール感で出されていくのかということをお教えいただきたいと思います。
○稲葉参考人 ネット業務に関するお尋ねでございますが、インターネット上では真偽の不確かな情報やあるいはフェイクニュースといったものが氾濫しております。情報空間の健全性が損なわれているという状況だと思っています。こうした中で、情報空間の参照点となる正確で信頼できる情報を提供する、そういうことがNHKの役割だというふうに考えてございます。
必須業務化は、これまでよりもより高い水準のサービスを提供する、そういうことをNHKに課してございまして、任意業務よりもネットの特性を生かしながら、情報やコンテンツの質、量を共に充実させていく、そういうことになっていくと思っております。
十月からのサービス開始に向けて、具体的な内容の検討を今進めているところでございます。必須業務では、放送番組に加えまして、ネットの特性に合わせたコンテンツ、そして報道、防災、教育、医療、健康、福祉などに関する番組関連情報を提供いたします。
委員お尋ねの、例の文字情報のニュースにつきましても、これは番組関連情報として引き続き提供してまいります。もちろん、既に受信契約を締結されている方は追加の御負担なく御覧いただけます。一方で、受信契約を締結されていない方については新たに契約のお願いをしていくということになります。ただ、大規模災害などの際には受信契約の有無にかかわらず御覧いただけるようにするということも想定してございます。
まだサービスの詳細をお示しすることができない状況にございまして、いろいろ御心配あるいは御懸念の声があるということは十分承知してございます。まずは、この夏にも具体的なサービスイメージを是非お示しできるようにしたいというふうに考えてございます。そして、視聴者・国民の皆様に実際のサービスを利用していただきながら、直すべきところは直すなりして評価のいただけるような状況にしていく、そういう準備をしっかり進めていきたいというふうに思っております。
○福田(玄)委員 御答弁をいただき、夏頃を一つのめどということでございましたが。
よくあるんです、インターネット検索しているとニュースが出ていて読もうかなと思ったら、ここから先は有料みたいなこともございますし、そういった部分で、今まで享受できていたものがどの辺りまでできるのかというのはしっかりと視聴者の皆さんに分かりやすくしていただきたいと思います。
もう一点、やはりネットです。これから人口減少ですから、日本は。必然的に世帯数も人口も減っていきますので、NHKさんが持たれているコンテンツというのはすごく強いものがあると思います。過去のコンテンツも含めてですね。そういった部分でいうと、昨年のアメリカ・エミー賞というのが、民間のテレビを表彰する制度ですが、「SHOGUN」というコンテンツがエミー賞を受賞しましたけれども、売っていけるものがあるのであれば、日本だけにとどまらず是非世界に売っていけるようなこともしっかりと考えていただいて、経営基盤を確立していただきたいというふうに思いますので、お願いをいたします。
次に、災害対応についてお伺いしたいと思います。南海トラフ地震の今後三十年での発生確率が八〇%に引き上げられました。このような大規模災害の発生の際の準備をどのようにされているかということをお聞きしたいと思います。
南海トラフ地震など広範で甚大な災害発生の際に、渋谷の放送センターの話はずっとありましたが、地方の放送会館などは問題なく稼働するのか。設備の問題、人の配置や訓練を含めて報道、放送が可能なのか。南海トラフとなると相当広範な被害がある状況が生まれると思っていますので、現状の準備状況をお伺いしたいと思います。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKは、東日本大震災などを教訓にしまして、南海トラフ巨大地震など、広域大規模災害の発生に備えまして、より迅速で的確な緊急報道を行うため、設備、機材や体制の強化を進めているところでございます。
老朽化している放送会館につきましては計画的に建て替えを行っていく必要がありますけれども、建て替え前でも命と暮らしを守る放送機能が維持できなくなるというようなことがあってはいけませんので、取材、制作などの代替拠点の整備あるいは必要な補完措置、こういったものを取っているところであります。
例えば、南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定されている高知、徳島、高松など四つの放送局では、放送会館が津波などで被害を受けても放送を維持することができるよう、代替拠点を整備しております。また、体制面では、南海トラフ巨大地震などを想定しました全国規模の広域応援方針を作成しまして、取材方法の事前検討、職員の訓練、こういったものを継続して実施しております。
自然災害の頻発化、激甚化が進む中で、視聴者・国民の皆様の命と暮らしを守る緊急報道の重要性はこれまで以上に増しておりまして、いかなる災害時にも迅速に対応できるよう、設備、機材や体制の強化を一層進めてまいります。
○福田(玄)委員 今御答弁の中で、四国は代替を考えているということでございましたけれども、相当広範な可能性があると思っていますので、しっかりその部分で準備をしていただきたい。
その意味では、現在、財政安定の繰越金が少なくなってきているのではないかと思います。災害時に約五百億円の余裕が必要であるとの試算もあるようですが、建設費などの不足に取り崩した後は繰越金が二百億円以下になってしまうのではないか、この状態で南海トラフ地震など大きな災害が起こったときに資金的には問題がないのかということが気になります。
近い将来の可能性の高いリスクでありますから、現在の財政安定のための繰越金、これを建設のための積立資産とは別に、災害対応積立金のような枠を設けて資金を確保していくということも重要ではないかと思うんですが、その辺りのお考えはいかがでしょうか。
○小池参考人 お答えいたします。
財政安定のための繰越金については、二〇二五年度、放送センター建て替えで必要となる放送設備への投資などの財源に充てるため、年度末の残高は百七十七億円規模を想定しております。一時的に減少することになりますが、南海トラフ巨大地震などの予見し難い事象への対応が必要になった場合には、まず既存計画の見直しなどにより予算の中で生み出される原資、それから予備費の三十億円を使用して対応することにしております。その影響が次の年度以降を含めて中長期的に及ぶ場合には、財政安定のための繰越金の使用なども検討し、対応していくことになります。
委員御指摘のとおり、不測の事態に対応するための内部留保を一定規模保有することは重要でありまして、今後、更なる経営努力によってまずは財政安定のための繰越金の確保に努めたいと考えております。
御提案いただきました災害に特化した目的の積立金の創設を含め、災害等の不測の事態に対応するための内部留保をやはり一定規模保有することは重要であると考えております。現行制度では、財政安定のための繰越金については翌年度予算の事業支出の八%までしか保有できないことになっております。今後、新たに災害リスクや経済状況の急激な変化が顕在化した場合には、改めて規模や仕組みの見直しが必要だと考えております。
○福田(玄)委員 今御答弁で予見し難いというお言葉もございましたが、発生確率八〇%ということですので、もう迫っているという危機感を持って準備していただきたいと思いますが、その辺りの総務省の御見解はいかがでしょうか。
○川崎大臣政務官 お答えいたします。
昨年八月、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されるなど、近い将来、南海トラフ地震を始めとする広域大規模災害の発生が懸念されており、それに向けた対策が急務であると総務省としても認識をしております。
南海トラフ地震に対するNHKの取組については、先ほど御説明があったところではございますけれども、大規模災害時に備え、中継伝送機能や津波対策の強化を進めていただいているものと承知しており、これらは国民の安心、安全を支える放送を災害時に途切れさせないための非常に重要な取組であると考えております。
ただし、被害が甚大となることが想定される南海トラフ地震に備えるためには、NHKには、これにとどまることなく、不断に取組を強化することが必要であると考えております。
そのため、現在御審議いただいておりますNHK令和七年度予算に付しております総務大臣の意見におきましても、将来の災害への備え、広域大規模災害を見据えた体制整備、大規模災害に備えた公共放送機能の強靱化などをNHKに求めているところです。
また、総務省においては今年の二月に、有識者、自治体、NHKを含めた放送関係団体で構成される検討の場を立ち上げました。今後の広域大規模災害を想定した放送サービスの維持、確保方策の充実強化について集中的に議論していただいております。NHKにおいては、この議論を踏まえ、放送サービスの維持、確保に向けて取り組んでいただきたいと考えております。
○福田(玄)委員 ありがとうございます。
しっかり備えていただいて、広範な災害で、どこから援助を受けて助け合うかということではなくて、みんなが被災するような、そんな大規模な状況も想定されますので、しっかり準備していただきたいと思います。
時間がなくなってまいりましたので、手短にお聞きしたいと思います。政見放送についてお伺いしたいと思っております。
近年、選挙に関して、政見放送が本来の趣旨から外れ、無法地帯のような、隠し芸大会のような状況になっているというふうに見えるところがございます。今の政見放送の在り方に対し無批判に続けていることは望ましくないと考えますが、放送を実施しているNHKにはあのような状況に苦情が入っているのかどうか、入っているとすればどのような苦情があるのか、お答えください。
○山名参考人 お答えいたします。
今年度、二〇二四年度、NHKに寄せられました政見放送への苦情や批判的な意見としましては、余りにも良識に外れた内容が増加している、法律違反ではないのかもしれないがなぜNHKで放送するのかといった意見をいただいております。
政見放送は、公職選挙法で候補者の政見をそのまま放送しなければならないというふうに定められておりまして、NHKが放送法に基づいて自主的に制作する番組とは明確に異なっています。
政見放送は選挙運動の在り方に関わるものでありまして、まずは国会において議論されるべきものと考えております。
○福田(玄)委員 私も政見放送を見ていて、例えば手話通訳の方にどなったりとか、本当にひどいような状況が散見されています。公職選挙法で決まっているという中で、国会でしっかりと審議をして、選挙の在り方そのものを考えていかなければいけないということだと思いますが。
この十月からインターネットの必須業務化ということでございますが、衆議院選挙に例えを出しますと、全国一律の放送ではありますが、それぞれの地方局での放送というものが選挙のときにあると思います。この部分が、十月からということになりましたら、インターネット、地上波で放送したものをネットで放送しなければいけないということではあるんですけれども、これが全国的に間に合うのかどうかということが一つあると思います。
同時に、政見放送自体も、衆議院と参議院はある一定の要件を満たせば持込みの動画で放送することができるんですが、これだけ動画等の撮影が簡単になっている時代でもありますので、もう少し条件を緩和したらいいかと思うんですが、その辺りを総務省はどのようにお考えでしょうか。
○笠置政府参考人 政見放送でございますが、これは、公職選挙法第百五十条の規定に基づきまして、衆議院小選挙区選挙においては候補者届出政党が行う場合、参議院選挙区選挙におきましては候補者が行う場合、衆議院、参議院の比例代表選挙におきましては名簿届出政党等が行う場合、知事選挙において候補者が行う場合にそれぞれ認められた選挙運動というふうになってございます。
今お話のございました持込みビデオということでございますが、平成六年に衆議院の小選挙区選挙の候補者届出政党について認められたわけでございますが、政策本位、政党本位の選挙の実現の見地から候補者届出政党にはできる限り自由に創意工夫を凝らしてその政策を訴えることができるようにすることが適当であること、一定の要件、これは政党要件でございますので国会議員五人以上又は直近の国政選挙二%以上ということでございますが、一定の要件を満たした候補者届出政党は政見放送の品位を損なうような政見ビデオを持ち込むことは考えにくいこと等の理由によるものと承知しております。
また、平成三十年、これは参議院選挙区選出議員の選挙において一定の要件を満たす候補者についても持込みビデオ方式が認められたということでございます。この法案の審議におきましては、提案者の方から、持込みビデオ方式はスタジオ録画方式と比べて自由度が高いこと等から品位を欠くビデオが持ち込まれる懸念があり、そのようなビデオを持ち込むことが考えにくい候補者届出政党と同様の要件を満たす政党の所属候補者、推薦候補者に限って認めることが適切であるというような説明をされております。
対象を更に拡大するというようなことにつきましては、まさに委員もおっしゃいましたが、選挙運動の在り方に関わる問題でございまして、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えてございます。
○福田(玄)委員 時間が参りましたのでこれで終わりとしますが、ビデオを持ち込むと品位がどうかという話ですが、もはや政見放送では既に品位のないものがこれだけ放送されているわけですから、やはりそこはしっかりと我々も政治家として考えていかなければいけないと思っております。
お時間をいただきまして、どうもありがとうございました。
○竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
まず最初に、NHK経営委員会委員長の基本姿勢を確認したいというふうに思っております。まず、古賀委員長、NHKと国民・視聴者との関係において最も大事だと考えておられるのは何でしょうか。
○古賀参考人 私は、NHKというのは公共放送でありますから、やはり全国あまねく、どんなときでもきちんとお届けするというのがまず一義でありまして、中身については、正確性がある情報、そして願わくば、私は、良質で国民が世界に向けても誇れるような番組を作っていっていただきたい、このように考えております。
○辰巳委員 私は、国民・視聴者との関係でやはり大事なのはそれぞれの信頼ではないかというふうに思います。番組の内容はもちろんのことなんですが、NHKの運営に関して公平あるいは公正に行われているのか、これが非常に大事ではないかというふうに思うんです。
今日は、その信頼を揺るがした、かんぽ生命の不正販売報道においてNHK経営委員会がNHK会長に圧力をかけたのではないかという問題を取り上げたいと思います。簡単に事件を振り返りたいと思います。
二〇一八年四月の二十四日に放映されたかんぽ生命の不正販売番組の報道後、七月の七日、七月十日には続編制作のための情報提供を呼びかける動画がSNSに投稿されました。直後の七月の十一日に日本郵政側が上田当時の会長に宛てて、犯罪的営業を組織でやっている印象を与えると申し入れて、ツイッターに投稿した動画の削除も求めました。
後日、番組関係者が日本郵政に説明をした際に、番組制作と経営は分離しているため会長は番組制作に関与しないと発言したことを郵政側は殊更問題視しまして、番組制作、編集の最終責任者は会長であることは放送法上明らかと改めてNHKに抗議をして、NHKのガバナンスの検証を求めました。番組は動画を削除しまして、計画をされていた続編の放送延期となりました。
九月の二十五日、日本郵政の鈴木康雄副社長がNHK経営委員会の森下俊三委員長代行と面会をいたしました。その場で森下氏は鈴木氏に、経営委員会に正式に申し入れるよう助言をしたとされています。
十月の五日に日本郵政グループ三社長がガバナンス検証を求める申入れを行いました。十月の二十三日、経営委員会は上田会長をガバナンス強化などを名目に厳重注意して、日本郵政に対しては会長に厳しく伝え注意したとする文書を送付しました。十一月六日には上田会長は事実上謝罪する文書を郵政側に届け、郵政側は十一月七日付で、経営委員会に対しそれを了とする文書を届けたということでございます。これが一連の経過でございます。
まず、総務大臣に確認をしたいと思います。放送法の三十二条、個別の放送番組の編集その他の協会の業務を執行することができない、あるいは第三条、放送番組は法律に定める権限に基づく場合でなければ何人からも干渉され又は規律されることがないという規定、これは何のためにあるんでしょうか。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
まず、放送法三条につきましては、これは、放送番組の編集は放送事業者の自主的な規律に委ねられるべきとの趣旨から設けられた規定であると承知しております。
また、放送法三十二条につきましては、一項において経営委員会の委員は協会の業務を執行することができない旨を定めており、第二項において経営委員会の委員が個別の放送番組の編集について干渉することができないことを明確化する旨を定めているものと承知しております。
○辰巳委員 NHK経営委員会は、会長の任命や予算、事業計画などの議決を行うNHKの最高意思決定機関であります。NHKの運営を国民の利益に沿うものにするために、公共の福祉に関し公正な判断を行うことができて広い経験と知識を持つ人を国会が同意して首相が任命するものであります。
古賀委員長に改めて確認をしたいと思うんですが、経営委員会はいかなる理由があっても番組内容に介入はできないということですね。
○古賀参考人 私、考えますに、経営委員会というのは、番組に介入どころか、私は余り論議すべきではないと思っています。番組を論議することが、いろいろな議論が出ますから、私は就任以来、委員会では論議することもやめようというふうに今訴えかけているところでございます。
○辰巳委員 はっきりした答弁をいただいたというふうに思います。
それでは、NHKの報道に猛抗議を行った郵政側に改めて確認したいと思うんですね。放送後、郵政側が、詐欺、押売などの犯罪的営業を組織ぐるみでやっているかの印象を与えるものであり、名誉を著しく毀損するとたんかを切ったわけですよね。郵政側に確認します。一連の経過からして、このNHKの番組の内容は結果的にはおおむね正しかったということでよろしいですね。
○加藤参考人 お答え申し上げます。
かんぽ生命保険商品の募集問題につきましては、二〇一九年の十二月に不適正募集として監督官庁の処分を受け、二〇二〇年の会見におきまして当社社長の増田も発言しているとおり、お客様の信頼を裏切り、御契約者の皆様に不利益を発生させた事案として位置づけておりますので、御指摘のNHKの番組内容はおおむね事実として、当社グループ全体できちんと対応すべきものであったと認識しております。
今後は、ステークホルダーの様々な御意見に真摯に耳を傾け、早期の問題把握と解決に取り組んでいく考えであります。
○辰巳委員 郵政が三度にわたって抗議し、あるいは書簡をNHK側に送りつけた。このときには、一番組制作者が番組制作と経営は分離しているため会長は番組制作に関与しないと発言したことを殊更問題視して、番組制作、編集の最終責任者は会長であることは放送法上明らかなんだ、こう抗議してガバナンスの検証を求めたわけですね。ただ、一番組制作者がやり取りで、その場で言った言葉を、鬼の首を取ったように日本郵政という大企業が大上段でガバナンスの検証を文書で求めるというのは、私は、言葉は悪いですけれども、子供じみた揚げ足取りの嫌がらせだというふうに言わなければならないと思うんですね。
改めて聞きたいと思うんですね。一連のやり取りの中で発せられたNHK側の発言を殊更問題視してNHKのガバナンスとして検証を求めること自体が適切ではなかったんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがですか。
○加藤参考人 お答え申し上げます。
二〇一八年当時、当社グループの三社長がNHKの経営委員会に対しましてガバナンス検証を求める申入れを行ったことは承知しておりますが、当時の三社長がどのような意図、目的でこの申入れを行ったかの詳細までは承知しておりません。
しかしながら、現時点におきましては、NHKのガバナンス体制に対して抗議を行ったことは当社グループから申し入れる内容としては適切なものではなかったのではないかと考えております。
○辰巳委員 重要な答弁が出たと思うんですよ。三回の抗議、そして書簡を送りつけたことは適切ではなかった。もちろん、その抗議の中にはガバナンスの検証も含まれているわけですから、ガバナンスの検証自体を求めたことも適切ではなかったと、郵政側から重要な答弁がされたというふうに思います。適切ではなかった、これは当然のことだと思うんですね。
ただ、ガバナンスを口実に、NHKの経営委員会よりNHKの当時の上田会長に厳重注意がされてしまったわけであります。しかし、実際はガバナンス問題そのものが存在をしてこなかったと私は思います。
抗議があった際に、監査委員会の事務局は編成局と上田会長へのヒアリングを実施しております。私は、そのときの監査委員会の事務局が作成した「郵政三社からの経営委員会宛て書状への対応について」という文書を入手しまして、今日、資料にもつけております。ここには、調査内容の詳細と、最後には調査結果が記されております。古賀委員長、調査結果を読み上げていただけますでしょうか。
○古賀参考人 調査の結果、本案件が危機管理対応の責任者である編成局計画管理部長、局長(大型企画開発センター長)、専務理事、会長にいち早く報告され、会長の了承を得ながら組織として対応したこと、局長が直接説明するという通常より手厚い対応を行い、さらに会長が直接当事者の社長に説明していることから、協会の対応についてガバナンス上の瑕疵があったとは認められないと記載されております。
○辰巳委員 ですから、監査委員会としても瑕疵はないと、ガバナンスについてはそういう結論が出されているわけですね。
しかし、今あったように、郵政の抗議というのはガバナンスに対する抗議ではなくて、郵政側の抗議というのはNHKが放映した報道の中身そのもの、ここが本丸だというのは、この間に公開をされてきた議事録で私は明らかだと思うんですね。
十月の二十三日の経営委員会の議事録を見てみますと、例えば、森下氏は、本当は彼らの気持ちは納得していないのは取材の内容、あるいは別の委員は、彼らの本来の不満は内容にあって、内容についてはつけないから、その手続論の小さな瑕疵のことで攻めてきている、こうあるわけですよね。
そして、この間の議事録が公開をされて明らかになったのは、経営委員会自身が番組の内容を議論して、番組の内容あるいは取材手法に対して介入とも取れるやり取りをしていたんじゃないかということだと思うんですよ。
十月二十三日の議事録を見ますと、森下代行はこう言っています。今回の番組の取材も含めて極めて稚拙といいますかね、さっき取材が正しいという話もあったけれども、取材はほとんどしていないんだ、実際、現場に行っていないと。そんなことはないと思うんですよ。全く詐欺行為だとか、自分たちに合うようなストーリーで言葉を取っている、それで郵政の連中が怒っちゃったんだと。こういうやり取りを十月二十三日の議事録の中でははっきりとしているわけですよね。
冒頭、郵政側からは、書簡を送りつけたこと、つまりガバナンスを含めて検証を求めたことそのものが不適切だったということを答弁されました。そして、監査委員会の中でもガバナンスの問題はないということも言われました。問題は、この中身について、経営委員会がごちゃごちゃと取材手法についてもやっている。
古賀委員長、先ほど古賀委員長は経営委員会というのは放送内容の中身について議論することも慎むべきなんだという趣旨のことをおっしゃったと思うんですよ。この間、何年もの間、この内容について介入があったのかどうなのか。ガバナンス云々、そして書簡のやり取りもした、厳重注意もやった、このことでNHK経営委員会はいろいろなところで、もちろん前代の委員長なども答弁されてきたと思うんですけれども、去年の十二月にこの議事録が出て、その中身を見てみると、やり取りを見てみると、当時の経営委員会のやり取りというのは、放送法違反と言われても仕方のないやり取りがあったんじゃないかと私は思うんです。率直に、古賀委員長、あの議事録を見てどう考えますか。
○古賀参考人 議事録は、和解のときに世の中に公開させていただきました。議事録はきちんと作って公開すべしという法の趣旨にのっとって、現経営委員長として、それは責任を持ってやるべきだと思いましたからやりました。
ただ、中身について、私も読みました、委員がおっしゃるような観点もあろうかと思いますが、私自身の感覚は感覚であります。ただ、中身が云々というよりは、私は、非常に反省すべきは、番組について言い方はともかくこういう議論がなされたこと自体が非常に疑惑を招き、いろいろな取り方を生む。
したがって、私としては今後にしか責任を持てませんが、今後については、先ほど申し上げましたように、経営委員会の場で番組については論議しない、議論しない、これを徹底してまいりたい、こういうことを胸に誓っている次第でございます。
○辰巳委員 これからの経営委員会がどういう立場で運営に対して臨んでいくのかという決意を語られたと思うんですが、ただ、事の経過、議事録を見てみますと、ガバナンス問題を口実に厳重注意もしているんです。だけれども、郵政側も、あるいは監査委員会にもあるように、ガバナンス問題というのはそもそも口実なんですよ。そういうことで厳重注意をしていいのかということがやはり問題にされてきたわけですよね。
私は、古賀委員長が今できるのは、NHK会長への厳重注意の撤回だと思うんですよ。撤回だと思うんですよ。そのまま撤回するべきやと私は思います。委員長、どうですか。
○古賀参考人 先ほど来申し上げておりますが、二〇一八年十月に当時の経営委員会が上田元会長に注意を申し入れたということは事実であります。ただ、注意に至る議論の中で、過去の番組に関する意見、感想、こういうものが出たことによって、委員がおっしゃるように、番組編集に介入したのではないか、こういう疑念を持たれているわけでございます。このことについては、当時の経営委員会自身もその後、深く反省しているという旨をホームページにも掲載してあります。
したがって、当時の経営委員会もそのことについては深く遺憾の意を表しているわけでございますから、私としては、先ほど来申し上げていますように、放送法三十二条の規定のとおり、経営委員が個別の番組の編集に関与できない、このことをもう一回きちっと認識を徹底させて運営してまいりたい、このように思っている次第でございます。
○辰巳委員 古賀委員長、当時の経営委員会は何を反省しているんですか。もうちょっと具体的に述べていただけませんか。
○古賀参考人 注意に至る議論の中で過去の番組に関する意見あるいは感想が出たことで番組編集に介入したのではないかという疑念が持たれたことについて当時の経営委員会が反省している、こういうことであります。
○辰巳委員 まさに疑念を惹起させるような議論をしているわけです。ガバナンスと言わなければできないよと。ガバナンスの問題というのはないのに、それを口実にやっているわけですよね。ですから、私は、古賀委員長は厳重注意そのものを撤回するべきだというふうに思います。
二〇一八年の四月のスクープがありまして、続編が一年以上遅れてしまった、これは非常に悲しむべきことだというふうに思っております。私は、今ここに至っては、四月に報道されたNHKの番組というのが間違いではなかった、しかし名誉回復が現場にされなければならないというふうに思っています。一つの番組には、作り手の膨大な労力、情熱が注がれています。今回でいえば大スクープですから、記者や現場にとっては血沸き肉躍る、全身全霊で番組に当たったと私は思うんですよね。かんぽ生命が不正の事実を認めておりますので、現場の名誉回復を私は改めて稲葉会長にしていただきたいというふうに思っております。
稲葉会長、現場の名誉回復を図るためにも、番組が間違っていなかったと、そして金輪際どこからの圧力も受けないということを明言していただけますか。
○稲葉参考人 この件は私が会長に就任する前の話でございまして、詳細な事実関係を承知しているわけではございませんけれども、当該番組に関しては放送の自主自律あるいは番組編集の自由が損なわれたという事実はなかったと聞いてございます。
ただ、その上で、一般論として申し上げますと、NHKの経営委員は放送法で個別の放送番組の編集に干渉することを固く禁じられているわけでございまして、今後もそれをしっかり遵守していただきたいと強く思ってございます。そうしたことを担保する意味でも、議論の内容について議事録をしっかり残して視聴者・国民の皆様に公開し、経営をアカウンタブルな状況にしておく、説明可能な状況にしておくということが非常に重要なことだというふうに考えてございます。執行部としても常にそのような考えの下でNHKの経営に当たってございます。
○辰巳委員 現場の奮闘を願って、質問を終わります。以上です。
○竹内委員長 次に、山川仁君。
○山川委員 れいわ新選組の山川仁です。どうぞよろしくお願いします。
今回はNHK予算になりますが、総務大臣意見について主に伺っていきたいと思います。
まず、女性職員の採用、そしてまた管理職への登用について。総務大臣意見の中では、女性職員の採用及び役員、管理職への登用を積極的に拡大することなどを求めておられます。それで、女性職員の採用について、また役員や管理職への登用について、NHKの方から見解をいただきたいと思います。
○黒崎参考人 お答え申し上げます。
二〇二四年度の女性比率ですが、定期採用に占める女性の割合は四九%、職員全体に占める女性の割合は二三・五%、管理職に占める女性の割合は一三・五%、役員に占める女性の割合は二九・二%となっています。女性活躍推進法に基づく行動計画では、女性管理職の割合を二〇二五年度に一五%、二〇三〇年度に二五%とすることを目標に掲げています。定期採用では、近年、男女ほぼ半々となっていますが、管理職への登用が増える四十歳以上の職員ですと、女性の割合が一三・九%にとどまっています。
ただ、集中異動期に向けた人事異動・体制整備方針においては女性の上位職登用の推進を明記して、主要ポストへの女性の積極的な登用を進めています。また、女性が個性と能力を最大限に発揮できる環境をつくるために、キャリアデザインを描く研修ですとか、女性を対象に経営人材を育成するためのメンター制度の実施などを通じて、NHKの方針決定に女性が幅広く参画できるようにしております。
○山川委員 ありがとうございます。是非引き続き積極的に広げていただければと思います。
総務大臣意見には記載はございませんが、障害者の雇用についても同様に伺いたいと思います。障害者の採用状況、また障害者の活躍に向けた取組についても御意見をいただきたいと思います。
○黒崎参考人 お答え申し上げます。
NHKでは、障害のある学生を対象にしたインターンシップを開催するなど、障害者雇用にも力を入れています。
障害者雇用率は、二〇二四年六月一日現在で二・五一%と法定雇用率を達成しております。業務内容については、障害の有無で違いは設けていませんが、最大限のパフォーマンスが発揮できるように、職場の設備や勤務地、通勤や勤務時間なども含めて個別に必要な配慮やサポートを実施しております。また、障害のある人への合理的配慮ハンドブックを作成して、職場への受入れの理解促進にも取り組んでおります。
こうした取組によって、技術研究や事務職場のほかに取材、制作現場でも障害がある職員が活躍しております。例えば、パリ・パラリンピックでは、聴覚に障害のあるアナウンサーが現地からリポートを担当しました。また、視覚障害のある記者は、選挙のバリアフリー化を目指すみんなの選挙プロジェクトを牽引していますし、ラジオニュースでもキャスターとして出演して、誰もが暮らしやすい社会をどうやってつくっていけるかということについて発信しております。
テクノロジーの活用なども進めながら、障害の有無にかかわらず多様な人材が活躍できる職場環境づくりに引き続き取り組んでまいります。
○山川委員 ありがとうございます。
女性活躍、また障害者雇用、昨今の時代ではLGBTQプラスと、様々な多様性の社会になってきておりますので、是非引き続きよろしくお願いしたいと思います。
総務大臣意見の方に御意見をまたいただきたいと思いますが、皆さん方にお配りした資料の一、赤線部分を御覧いただければと思います。その中で、放送センターの建て替え計画について総務大臣は十年近く前から毎年意見を述べてきております。その内容は、一言一句変更がない場合も含め、ほぼ全く同じ内容で国民への説明を求めているものです。そこで、お伺いしますが、NHKが説明責任を果たしていないから毎年総務大臣からの意見があるのかということで、大臣の見解を伺いたいと思います。
○村上国務大臣 山川委員の御質問にお答えします。
放送センターの建て替えについては、NHKが二〇一六年八月に放送センター建て替え基本計画を策定しまして、二〇三〇年代後半の竣工に向けた基本コンセプトやコスト、第一期と第二期に分けた工期等を公表しております。
その後、NHKからは第一期工事の基本設計が二〇一九年十一月に示され、昨年、二〇二四年には第一期工事の中核となる情報棟の完成が公表されているというふうに承知しております。
他方で、二〇二一年の一月に公表されたNHKの中期経営計画におきましては放送センターの建て替え計画の抜本的な見直しを行うことが示されましたが、その具体的な内容についてはいまだ明らかにされておりませんで、これまでの大臣意見で指摘してきたところでございます。
受信料により賄われる放送センターの建て替えは多額の投資を必要とするものでありますから、NHKにおきましては引き続き国民・視聴者の理解が得られるよう説明を尽くしていただきたい、そのように考えております。
以上であります。
○山川委員 ありがとうございます。
同じ資料一の二ページ目に黄色い線で示しているところがありますが、令和三年から五年の総務大臣意見では、放送センターの建て替え計画の抜本的な見直しについて、その具体的な内容を早期に明らかにすることを求めていますが、これもNHKが無視を続けているような状況だというふうに示されています。それについてNHKの方から見解を伺いたいと思います。
○竹村参考人 お答えをいたします。
総務大臣意見については真摯に受け止めてございます。NHKは視聴者の皆様からいただく受信料で成り立っておりますので、放送センターの建て替えにおいても皆様の御理解を得ることがとても重要なことであるというふうに考えております。
平成二十七年、二〇一五年に、現有地、現在NHKがありますところに新しい放送センターを建て替えることを決めまして、その翌年に基本計画を作りました。そのタイミング、タイミングで公表もし、説明もいたしているところでございます。
大変息の長い計画でございますので、当初計画をしていた後の様々な環境の変化あるいは物価高等々もございまして、二期工事については検討を詰めているところでございます。検討が終わりましたら、決定をいたしましたら速やかに公表したい、今後ともしっかりと説明を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○山川委員 ありがとうございます。
資料を御覧になっている方には分かりづらいと思いますので、読み上げます。放送センターの建て替えについては、令和三年一月に公表されたNHK経営計画、二〇二一から二〇二三年度において、抜本的な見直しをする旨が示されたところであるが、その具体的な内容について現在まで明らかになっておらず、協会の経営に対して多大な影響を与えるものであることから、建て替えの内容や工期等の見直しなどを早期に具体化することが必要である、その際、新放送センター及び各地の地域放送会館その他全般にわたり、建設費の抑制に徹底的に取り組み、その成果を国民・視聴者に還元することと言われておりますが、今のお話で国民が納得するのかということを指摘を申し上げたいと思います。
関連しまして、この見直しの内容について、昨年六月の稲葉会長の定例記者会見の中で、令和七年春にはその案を取りまとめるとしています。今まさに令和七年の春と思います。そして、今は大事なNHK予算の審議をする場、その中で全くその内容が示されていないという状況でございますが、この点についてどうなっているのか、お伺いします。
○稲葉参考人 ただいま御説明申し上げましたように、放送センターの建て替え計画は、第一期に当たる情報棟の建物が昨年秋に完成しまして、今は設備の据付けなどを行ってございます。残りのセンターの機能については、第二期として見直しを行っているということでございます。
新しい放送センターは、世界最高水準のコンテンツを制作する拠点にしたいというふうに考えてございますが、今日に至るまで大きな出来事が起こっておりまして、例えば受信料の大幅値下げあるいは放送波の整理、削減、そういったことがございます。また、近年、どこでもそうでございますが、建設資材が高騰している、人件費も高騰している、そういう中で新しく導入すべき技術も非常に速いスピードで進んでいる、制作指標の見直しの改革なども含めなければいけないということで、課題への対応が山積してございまして、その結果、計画の抜本的な見直しがどうしても遅れ気味になってございまして、大臣からの御意見をいただくという事態になっているというふうに理解してございます。
しかし、その検討についてもできるだけ速やかに行いまして、この春には公表したいというふうに思っております。四月、場合によっては五月になるかもしれませんが、決定の上公表したいというふうに考えております。
○山川委員 稲葉会長、ありがとうございました。十年間の総務大臣の意見もしっかりと受け止めながら、改善に努めていただきたいと思います。
次に、経営計画についてお話をさせていただきたいと思います。資料二ですね、皆さん方にお配りした資料二のところに、令和七年一月に修正をされたNHK経営計画の冊子のページから引用したものです。
これによりますと、三年後の令和九年度までに事業支出を令和五年度ベースから約一千億円削減するという記載になっています。グラフを見れば分かるとおり、令和六年から令和八年までの事業支出削減は三年間の合計で約四百二十五億円となっています。この三年間で年間百三十億から百六十億円の削減幅になっておりますが、残りの最終年度、一年の単年度では五百億円以上の削減をするという計画になっているわけです。
それは、一般企業の経営計画の観点から見ますと、一年ごとに百三十億から百六十億を削減していきますと言っているにもかかわらず、最終年度でがばっと五百億以上を削減しますということを経営計画の公表された冊子に記載するという状況。昨日、岡本委員からも独り歩きされたら困るんじゃないんですかというような御指摘もありましたけれども、経営計画ですから独り歩きするんですよ、当然。しっかりとそれを皆さん方は国民にお約束したわけですから、どうするのかという根拠、見解を伺いたいと思います。五百億をどのように皆さん方は削減するか、根拠を示していただきたいと思います。
○小池参考人 お答えいたします。
中期経営計画で掲げました二〇二七年度までの事業支出削減は、過去に経験のない大きなチャレンジだと認識しております。放送波の削減、設備投資の大幅な縮減を行うほか、既存業務の大胆な見直しを行い、番組経費や営業経費への切り込み、また既存のデジタルコンテンツの見直しなどの構造改革を計画しております。一方、業務の効率化や生産性向上につながる先行投資を行い、必要な構造改革をしっかり進めていきます。各年度の改革の成果を取り込みながら着実にステップを踏んで事業支出を削減していくため、収支均衡を目指す二〇二七年度の削減額が大きくなっております。御指摘のように支出削減ありきではなくて、コンテンツの質と量を確保しながらサービスレベルを落とさぬよう、収支均衡に向けて計画的、段階的に増収確保と支出削減を両立する構造改革に取り組んでいきたいと考えております。
重要なことは、コンテンツ戦略六つの柱を基準としました選択と集中を進めることでありまして、コンテンツの総量削減を図りつつ、適切な資源管理とテクノロジーの力でより質の高いコンテンツを充実させ、視聴者の期待に応えていくことであります。サービスが低下したといった御指摘が出ることのないように、創造性や生産性を一層発揮、向上させて、経営計画や予算、事業計画を着実に実行してまいりたいと考えております。
○山川委員 ありがとうございます。当然、この時間の中で五百億の話を、どのような根拠を示すのかというのは難しいと思いますが。
サービスの低下というお話が専務理事の方からありましたけれども、経営計画の中で、NHKの事業支出の削減に向けて、番組経費への切り込みはもちろん、放送波の削減も含めて業務全般の大胆な見直しを行いますというふうに記載されています。ここ何年かで、BS2若しくはBSプレミアム、ラジオ第二放送と、次々と、サービス低下のおそれ、支障があると懸念するようなコンテンツ削減がされた結果、視聴者・国民を切り捨てるような状況になっていませんかというのが一つの質問です。
その中で、先ほどおっしゃったように、年間百三十億から百六十億円ずつ削減していきます。国民サービスが低下して、維持すると言っているにもかかわらず最終年度で五百億もまた一気に削減しようとしている状況で、コンテンツをしっかりと確保するといいながらも、もう既にコンテンツがなくなっていっているんですよね、徐々に。国民が必要とするコンテンツがなくなってきています。その部分に関して皆さん方はどのような見解をお持ちなのか、国民を切り捨てたことになりませんかという質問で、見解を伺いたいと思います。
○小池参考人 お答えいたします。
繰り返しになって恐縮でございますが、支出削減ありきではなくて、コンテンツの質と量を確保しながらサービスレベルを落とさぬように、収支均衡に向けて計画的、段階的に増収の確保と支出削減を両立する構造改革に丁寧に取り組んでいく、着実に取り組んでいきたいと考えております。
○山川委員 ありがとうございます。
それでは、総務大臣、今のNHKの見解について、総務大臣としてどのようなお考えを持っているのかを是非聞かせてください。
○村上国務大臣 国民・視聴者の受信料によって支えられているNHKが公共放送としての社会的使命を果たしていくためには、必要な収入を確保し、健全な経営に取り組むことがやはり重要だと思います。それにつきましては、やはり経営者の判断になると思います。
今、若者のテレビ離れなど、放送を取り巻く環境が変化する中におきましては、受信料により賄われた収入を最大限有効に活用する観点から、コンテンツの質を確保しつつ、衛星波等の既存メディアの再編やインターネットの活用など事業構造改革に取り組んで、経営資源の選択と集中を図っていくことが求められているのではないかと考えております。
NHKにおきましては、今後も社会経済環境の変化を適切に捉え、国民・視聴者に寄り添いながら、あまねく日本全国において豊かでよい放送を行うなど、放送法に定められた公共放送としての役割をしっかりと果たしていただきたいというふうに考えております。
以上であります。
○山川委員 ありがとうございます。
大分無理のある経営計画を示したなというふうなものが私の心証です。昨日からNHKの予算審議が始まりましたけれども、視聴率を気にするとか気にしないとかいろいろな話がありましたけれども、そういったことをせずに、国民から直接負担を求める公共的性格を有する放送機関として、質の高い経営と財源の根拠を持った事業計画を総務省若しくはこの総務委員会で質疑する、そしてまた審議していくという責任を伴われると思います。その意味では、大胆な事業規模の削減も含めて、逆に職員の処遇改善に影響が出ないように、国民に更にしわ寄せが来ないように、しっかりとした国民を向いた放送機関であることを期待して、今回の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
今日は、NHK予算に対しての質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。
昨日、今日とNHKの予算に関しての審議が続いておりまして、私が最後のバッターでございますので、重複するところもあるかと思いますが、重要な視点というのが何点かあると思いますので、そこのところはお許しをいただきながら御質問させていただきたいと思います。
稲葉会長以下、NHKの皆さんも、昨日からお越しをいただきまして本当にありがとうございます。私も、稲葉会長を始め皆さんに是非とも、今日は放送もされているということで、NHKの今後の方向性といったものを御答弁いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
最初に、放送百年の節目としまして、公共放送のあるべき役割について。これは多くの方が御質問されておりますが、重要な節目でありますのでお聞かせ願いたいと思いますし、この件につきましては先般総務大臣の方にもお伺いさせていただきましたが、今日は改めて稲葉会長の方にも公共放送の役割というところをお伺いしたいと思います。
本年、二〇二五年は日本でラジオ放送が始まって百年という大きな節目を迎えますが、このラジオ放送が始まるきっかけとなったのがまさしく一九二三年の関東大震災、このように言われております。未曽有の大災害が起きる中、根拠のない流言飛語が広まり社会に不安が充満した反省を踏まえて、当時の人々が正確で信頼できる情報を誰もが入手できる手段が必要だと感じた結果、放送というメディアが生まれ、ラジオ放送が始まった、このようにも聞いております。
それから百年を経た今、私は、国民の本当のことを知りたいという気持ちはより一層強まっているのじゃないか、このようにも感じますし、さらにはSNS等で真偽の確かでない情報が氾濫する今、かえって本当のことや確かな情報を入手しにくい状況、こういった状況になってしまっているのではないかと思います。
また、公共放送であるNHKを始め我が国のメディアは、放送百年という歴史の節目に、健全な民主主義の発達に貢献するため、今こそ視聴者や国民が本当に知りたいと思っていることに真正面から向き合わなければならない、そういった時期に来ているんじゃないかと思っています。
そこで、まずNHKを統括する稲葉会長に伺いますが、この放送百年という意義ある節目の今、改めて公共放送のあるべき使命、役割について会長のお考えをお伺いしたいと思います。
○稲葉参考人 委員が先ほど御指摘された点につきましては、私もほぼ一〇〇%賛同したいというふうに思います。
とりわけ、インターネットの情報空間は人々の注目を集めることが最優先される、そういう仕組み、いわゆるアテンションエコノミーに支配されてございますので、偏りやゆがみを生じやすく、その結果、様々な悪影響が生じているというふうに感じてございます。
NHKは、受信料という独立した財政基盤を持っているため、このアテンションエコノミーの仕組みを殊更気にかける必要はございません。したがって、今年十月からのインターネット業務の必須業務化に当たっても、情報空間の健全性確保に向けた取組に一層力を入れていきたいというふうに思っております。
視聴者・国民の皆様が本当に知りたいと思っていることに真っ正面から向き合いまして、正確で信頼できる情報を放送と同様、ネットにもどんどん供給するということで、放送で培ってきた公共的な価値をネットの世界でも十分発揮して、健全な民主主義の発達に資するという使命、役割をしっかり果たしてまいりたいというふうに思っております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今回の質疑の中でこの点を多くの委員の方も指摘されたと思うんですが、正確な情報をどう伝えるのか、さらには信頼ある情報をどう伝えるのか、これはやはり大きな役割があると思いますし、健全な民主主義の発達に貢献をするというところ、百年の節目として、その意義をしっかりと我々も確認しながら今回のこの審議に参加させていただきたいというふうに思い、冒頭、質問をさせていただきました。
次に、正確な情報という意味で、近年、大きな自然災害が発生する中で、大規模災害時における情報提供の重要性と、ここでの災害時における公共放送の役割、この点についてNHKに確認をさせていただきたいと思います。
近年、大規模災害が多発をしておりまして、災害情報の迅速かつ確実な提供の重要性が高まっております。ゆえに、大規模災害時に、国内に在住する外国人も含む国民・視聴者に向けて、停電時のラジオも含め、あらゆる手段できめ細やかな情報提供を行うこと、これは大変に重要な取組であると思っております。
また、令和六年度の能登半島地震や、その後に発生した大規模自然災害等における経験も踏まえて、NHKとしては、政府や地方公共団体、さらには民間放送事業者等と連携しつつ、まずは放送が途絶することがないように停電対策も含めた放送設備の維持、普及に取り組むのとともに、避難所などにおける受信設備設置等の視聴環境の支援や様々な伝送路による情報の提供、さらには被災者に対する情報伝達手段の確保に努めること、これが大変に重要だと私は感じております。
そこで、NHKにお伺いしますが、これまでの大規模自然災害時の対応や能登半島地震などを教訓として、公共放送であるNHKとしては具体的にどのような情報提供や情報伝達手段の措置を講じてきたのか、また、今後、どのような措置を新たに講じようと検討されているのか、そのところ、見解をお伺いしたいと思います。
○寺田参考人 お答えします。
NHKでは、東日本大震災を教訓に、放送設備の機能強化を進めてまいっております。放送所の非常用発電機の燃料タンクの増量や、非常時に電波を送信するための緊急車両の整備などを行っておりまして、これらの設備は、昨年の能登半島地震において、多くの中継局の放送を継続させるのに効果を発揮しました。
一方で、能登半島地震では、停電が長期間継続した上、出向するための道路が寸断したため、発電機の燃料補給や仮設発電機の搬入が困難となった中継局もありました。この教訓を受けまして、災害時に燃料配送を行える業者を利用しまして、発電機の燃料などを陸路以外でも輸送できる体制の検討を改めて進めております。
また、避難所に避難されている被災者に向けて、受信環境の確保のために、放送を受信するための技術的な相談や、テレビ、アンテナの仮設などの支援も行っております。
引き続き、自治体等とも連携して、災害時の受信環境確保に支援していきたいと考えております。
今後も、公共放送の役割を果たしていくため、首都圏、首都の直下地震、南海トラフ巨大地震、日本海溝、千島海溝の巨大地震に備えまして、命と暮らしを守る報道を届けるため、送信、受信の両面から取り組んでいきたいと思っております。
以上です。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
昨年の能登半島地震というのは、正確な情報を災害時においてもいかに届けていくのかということの教訓を本当に得たと思いますし、阪神大震災、東日本大震災等においても、停電時においてもラジオから情報が伝達された、これによって心のゆとりが出てきた、さらには様々な正確な情報によってそれに適した動きができた、こういったお話があったわけでございます。
日本はやはり災害大国でございますし、これからも残念ながらと言っていいのか、自然災害は私は頻発すると思います。そこに向けての不断の取組、努力、このことをお願いしたいと思いまして、この点についての質疑をさせていただきました。
続きまして、NHKの経営改革の推進について二点ほどお伺いをいたします。これも重複したところがあるかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
一つには、子会社等との契約について伺います。
NHKと子会社との取引比率については増加傾向にありまして、平成二十一年度は五五・一%だったものが令和五年度には六八・五%に上昇しております。また、平成二十九年三月に参院議長に対して提出をされました会計検査院の報告書によりますと、平成二十七年度における関連団体との契約に占める随意契約の割合は、件数にして八三・二%、金額にして九二・七%に上っているのとともに、令和五年度の同随意契約の割合は、件数が九二・三%、金額にして九八・一%と、会計検査院の指摘以降も低下していない状況がございます。
この状況に対して、令和六年度の総務大臣意見、さらには令和七年度の意見では、子会社等との間で高止まりしている随意契約比率を下げることにより、より競争性の高い調達を実現することや、情報公開等による透明性の向上についても一層の取組を進めることという、実は全く同じ意見が出されているわけでございます。二年続けて表現が全く同じというのは捉えようによっては全く改革が進展していないというふうにも捉えることができるのではないか、こんなふうにも感じるわけでございますが。
ここで、NHKに伺いますけれども、子会社等との随意契約の比率の引下げについてNHKはこれまでどんな取組を講じてきたのか。あわせて、今後の取組、具体的には例えば目標値を設定するとか、こういった具体的な今後の取組についてNHKのお考えをお伺いしたいと思います。
○中嶋参考人 お答え申し上げます。
NHKの関連団体は、公共放送にふさわしい番組の制作、あるいは長年培った技術力による安定的な送出などを効率的に実現することが目的でありまして、独自のノウハウが必要なものなどにつきましては随意契約をしております。一方で、放送会館などの警備、受付などの管理業務、あるいは清掃業務などといったような一般の事業者でも可能な業務は競争契約に移行するなど見直しを行っております。
二〇二三年度も放送設備関連の幾つかの工事を関連団体が随意契約ではなくて競争入札で落札しておりまして、随意契約比率は前年度に比べて幾分改善はしております。ただ、まだ全体としましては随意契約比率は高い状態にあると認識しておりまして、今年度から、関連団体の随意契約比率の引下げなどを目的に、NHK全体の調達契約を改革する、見直すプロジェクトを立ち上げております。一つ一つの業務委託契約の見直しに着手をしておりまして、来年度以降、競争契約化できる契約を更に増やしまして、随意契約比率を引き下げていきたいというふうに考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
独自のノウハウを持つ子会社等もあるというのは確かなことかと思うんですが、しかし、NHKというのは国民の皆様の受信料で経営が成り立っているところでございますので、随意契約の比率を下げていく、これはやはり大事な視点かと思っております。
現在、その見直しのプロジェクトを行っておるというお話もいただきました。しっかりとそういった見直しをしていただきながら、ここは二年続けて、それ以前をちょっと私は見ていなくて恐縮なんですが、総務大臣意見も同じ内容が出ているということは、更にその改革をしっかりと進めていくことの必要性というような、その思いが大臣意見の中にあるというふうにも思いますので、ここで大臣にもそのことをお伺いしたいと思ったんですが、今は参議院の方に行っているということでおられませんので次に進みたいと思いますが、そういった改革を進めていただきたいと思います。
もう一点、経営改革についてお伺いをします。次は逆の視点なんですが、外部制作事業者との適正な価格交渉、価格転嫁の取組についてお伺いをします。
昨今、物価高、人手不足の影響により資材や人件費が高騰している状況があります。このような状況の中、中小企業庁では、受注側企業から発注元企業に価格交渉や価格転嫁が実現できているかどうかを調べる価格交渉促進月間フォローアップ調査を行っております。このうち、令和五年九月の調査によると、NHKは、外部制作事業者を始め委託先事業者への価格交渉、価格転嫁への対応は四段階中いずれも下から二番目の評価であることが明らかになりましたが、その後の令和六年三月の調査では改善の方向が示されております。
この件については、令和七年度総務大臣意見でも、外部制作事業者の活用に努めるのとともに、放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドラインに従って、特に価格交渉や価格転嫁について積極的に協議、相談に応じる等、適正な製作取引の確保に努めるとともに適正な製作環境の確保にも努めること、このように示されております。
そこで、NHKに伺いますが、物価高騰や人件費の上昇が続く中、外部制作事業者との更なる価格交渉、価格転嫁については継続的かつ更なる取組が必要だと考えますが、この点についてNHKの見解をお伺いしたいと思います。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKでは、二〇二三年秋の中小企業庁の価格交渉促進月間を受けましたフォローアップ調査、あるいは二〇二四年一月の企業リスト公表で放送コンテンツ業界やNHKへの厳しい評価があったということなどを踏まえまして、価格交渉、価格転嫁の促進にグループ全体として取り組んでおります。
具体的には、本部、地域放送局、関連団体の担当者に向けて説明会を複数回開催し、公正取引委員会の労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針に基づいた資料の周知、価格転嫁の状況に関する自主点検とフォローアップの実施などを指示しております。委託先事業者との協議で必要な価格転嫁も実際に行っておりまして、改善を図りました。また、NHK及びNHKグループは発注者としまして労務費の上昇分について取引価格への転嫁に対応するということや、労務費の転嫁を求められた場合には協議に応じ、求められたことを理由に不利益な取扱いはしないことなどをホームページでも表明しております。
番組制作会社は公共放送を共に支える大切なパートナーでありまして、二〇二五年度の契約締結に向けても、丁寧な価格交渉と適切な価格転嫁を行うようNHKグループ全体に改めて説明、周知しておりまして、今後も適正な取引を進めていきたいというふうに考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
外部制作事業者も、今おっしゃいましたようにNHKにとっては大切なパートナーだと思うんですね。そのところがしっかりとしたなりわいとして続けていける、さらにはそこでお仕事をされた方もおられるわけですので、そういった方々の人件費もこの物価高騰、人件費の高騰の中でしっかりと上がっていく、こういった方向性が大事だと思うんですね。これによってチームとしていいコンテンツを作っていただく、こういった流れがすごく大事だと思いますので、子会社等に対しては随契が多くて、外部制作事業者に対してはやはりなかなか価格転嫁がされていないという、そういったところが如実にならないように、全てが同じパートナーでありチームであるという思いの中でこれから様々な取組又は制作を行っていただきたいという思いで質問をさせていただきました。
次に、少し視点を変えまして、重なるところもあったわけですが、女性活躍推進法に基づく取組についてお伺いをします。
現在、NHKでは、人事制度改革を進め、女性が仕事とライフイベントを両立しながら自律的にキャリアを形成するための施策や職場環境の整備を更に進めるため、二〇二一年度から五か年の計画で、日本放送協会女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を推進しております。具体的には、一つの目標として、二〇三〇年度の女性管理職割合二五%達成を目標とし、二〇二五年度の割合を一五%以上とすること、また、二つ目の目標として、年次有給休暇の取得率について七〇%以上とすることの二項目が掲げられております。
そこで、伺いますが、この計画が残り一年となる中、両目標の現在の進捗状況をお聞かせいただきたいと思うのと、また、来年度末の目標達成に向けてNHKとしてはどのように具体的な取組を進めていくのか、ここのところ、見解をお伺いします。
○黒崎参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の女性活躍推進法に基づく行動計画ですが、二〇二四年度の女性管理職の割合は一三・五%と、二〇二一年度の一一・五%から上昇はしているんですが、道半ばの状況となっております。一方、年次有給休暇の取得率ですが、昨年度、二〇二三年度は七五・八%と、二〇二一年度から連続して目標を達成しております。二〇二四年度も二月末現在で六六・七%でして、達成できる見込みです。先ほども少し申し上げましたが、定期採用では、近年、男女がほぼ半々となっていますが、管理職への登用が増える四十歳以上の職員では、女性の割合というのは一三・九%にとどまっております。
そこで、集中異動期に向けた人事異動・体制整備方針において女性の上位職登用の推進を明記して、主要ポストへの女性の積極的な登用を進めております。また、テクノロジーの活用による業務の効率化やシフト勤務の見直しなど様々な工夫によりまして長時間勤務に頼らないめり張りある働き方を推進することによって、女性も含めて多様な人材が活躍できる職場環境づくりに引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
この行動計画、残り一年ということで、特に女性の登用というのは是非目標を達成していただきたいと思いますし、年次有給休暇、ワーク・ライフ・バランス、ここは非常にいい方向に来ているので、是非その取組を継続していただきたい。さらには、行動計画は来年で終わるわけですけれども、更にまた次なる計画というのをお作りいただきたい、こういった思いも持ちながら質問をさせていただきました。
以上で公明党を代表しての質問を終わります。大変にありがとうございました。
○竹内委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。
午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十時五十分休憩
――――◇―――――
午後一時十分開議
○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま議題となっております放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について審査を進めます。
本件に対する質疑は、先ほど終局いたしております。
これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。山川仁君。
○山川委員 れいわ新選組の山川仁です。
まず、NHK予算の削減について何点か指摘をしたいと思います。
そもそも、予算削減についてのNHKの考え方については、経営的観点、そして公共放送であり国民目線で見たときの両方からかけ離れているのではないかと思っております。
三年間で四百億円の削減、その後たった一年で更に約五百億円も削減するという事業計画は実効性に乏しく、仮に実現できたとしても、そのあおりは視聴者たる国民に影響を及ぼすことは目に見えています。
現に、この数年間でBSチャンネルやラジオ局を削減し、逆に国民の大多数の人が見ることができないBS4Kや8Kチャンネルへ、現時点での予算投資は本当に国民のための公共放送と言えるのでしょうか。
予算削減により番組制作に必要なリソースが減少し、質の高い番組を作るための時間や人手の不足につながることになりませんか。
また、人手不足の観点から申し上げますと、予算削減に伴い職員の待遇はどうなるでしょうか。当然待遇に跳ね返り、悪くなったという声が現にNHK職員より私のところにも聞こえているところです。
今後、新採用や若年層といった働く立場を重点に考えたときに、仮に新年度も継続的に組合からベアに関する要求があった場合は前向きに行う意向はあるのかなど、経営と予算の両輪をこの事業計画と今回の質疑では十分な答弁はいただけませんでした。
そして、地域放送への影響についてです。NHK地方局は独自に地域に密着した情報提供をし、地域のニュース、文化、イベント、災害情報など地元に特化した内容を放送しておりますが、予算削減により地域の声や文化を削減することは視聴者・国民をないがしろにした行為ではないでしょうか。
次に、総務大臣意見についてです。この十年間、毎年同じ意見を受けているのにもかかわらず、視聴者や国民に対する説明責任をNHKは果たしておりません。
先ほど質疑を行いましたが、放送センター建て替えに関しても費用や必要性についての詳細な情報公開は全く不十分であり、そのことが視聴者・国民の信頼を損ねる要因となっているのではないでしょうか。
以上のことから、NHKには真の意味で国民に寄り添った公共放送局としての在り方をしっかりと頑張ってほしいという意味を込めて、議題となりましたNHK予算については反対といたします。よろしくお願いいたします。
以上です。
○竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○竹内委員長 これより採決に入ります。
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。
本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
―――――――――――――
○竹内委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、あかま二郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。吉川元君。
○吉川(元)委員 ただいま議題となりました附帯決議につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
一 協会は、正確で信頼できる、社会の基本的な情報を発信するとともに、近年深刻化している「偽情報・誤情報の流通」を防止する取組等を通じて、健全な民主主義の発達に資するという放送の社会的使命を果たすこと。
二 政府は、日本国憲法で保障された表現の自由、放送法に定める放送の自律性に鑑み、協会を含めた放送事業者の番組編集について、引き続き自主・自律性を尊重すること。
三 協会は、不断の経営改革により、できる限り早期に赤字予算を解消し、受信料収入と事業規模との均衡を確保するとともに、中期経営計画で掲げた事業支出の削減が、サービスやコンテンツの質の低下を招かないよう、また、協会の職員や関連団体に過度な負担を生じさせないよう配慮すること。
四 協会は、公共放送の存在意義及び受信料制度に対する国民・視聴者の理解の促進や信頼感の継続的な醸成を通じて、支払率の改善に努めること。また、放送を受信する視聴者の減少を見据え、受信料の在り方を含め、協会の運営を持続可能なものとするための基本的な考え方を早期に提示すること。
五 協会は、経営委員会及び理事会等における意思決定の内容やその過程を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、放送法その他の法令に基づく文書等を適切に作成・管理を行うとともに、原則として公表すること。
六 協会は、令和六年八月十九日のラジオ国際放送において、協会が自ら定めた番組基準に反する放送が行われた事案を踏まえ、協会が定めた再発防止策を着実に実施するなど、放送の適正性の確保に努めること。
七 協会は、経営改革の実行に当たっては、協会の職員の雇用の確保及び処遇の改善に十分配慮すること。なお、協会の職員の給与については、他の民間企業従業員の賃金や物価の上昇等を踏まえた適正な水準とすること。また、上記の趣旨を踏まえ、関連団体の従業員の勤務条件の向上に配慮すること。
八 協会は、協会の不十分な労務管理により職員の尊い生命が失われた事実を厳粛に受け止め、今後も協会の業務に携わる者の命と健康を最優先し、適正な業務運営と労働環境の改善に不断に取り組むとともに、障害者の雇用率の向上及び女性の採用・登用の拡大について目標を設定し、その目標の達成に努めること。
九 協会は、インターネットを活用した業務の実施に当たっては、民間の事業に及ぼす影響に留意しつつ、引き続き正確で信頼できる、社会の基本的な情報を発信するとともに、国民・視聴者のニーズや動向を踏まえたコンテンツの提供に努めること。なお、番組関連情報の提供に当たっては、番組関連情報が「偽情報・誤情報の流通」の防止に資するものとなるよう十分に留意すること。
十 協会は、音声波の削減については、ラジオ放送が災害時において情報提供手段として高い有用性があること、ラジオ第二放送が民間放送事業者の手掛けにくい教育・教養番組の放送を多面的に行っていること等を踏まえ、削減後の音声サービスを具体的にどのように改編し、提供してゆくのか、早期に国民・視聴者へ示すこと。
十一 協会は、放送センターの建設計画の抜本的な見直しの具体的な内容を早急に明らかにするとともに、国民・視聴者の理解が得られるよう説明を尽くすこと。
十二 協会は、災害によって放送が途絶した事実を踏まえ、耐災害性の強化に資する取組を更に促進すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○竹内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、村上総務大臣及び日本放送協会会長稲葉延雄君から発言を求められておりますので、順次これを許します。村上総務大臣。
○村上国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、日本放送協会会長稲葉延雄君。
○稲葉参考人 日本放送協会の令和七年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚く御礼申し上げます。
本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見の御趣旨を十分生かしてまいります。
また、ただいまの附帯決議は、十分に踏まえて協会の運営に当たり、業務執行に万全を期したいと考えております。
本日は、ありがとうございました。
―――――――――――――
○竹内委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十一分散会