第11号 令和7年4月8日(火曜日)
令和七年四月八日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 竹内 譲君
理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君
理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君
理事 岡島 一正君 理事 吉川 元君
理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君
石橋林太郎君 井野 俊郎君
大西 洋平君 加藤 竜祥君
金子 容三君 川崎ひでと君
小寺 裕雄君 小森 卓郎君
佐藤 勉君 田所 嘉徳君
中野 英幸君 西野 太亮君
福原 淳嗣君 古川 直季君
松本 尚君 山口 俊一君
若山 慎司君 おおたけりえ君
岡本あき子君 奥野総一郎君
杉村 慎治君 高松 智之君
武正 公一君 西川 厚志君
福田 昭夫君 松尾 明弘君
道下 大樹君 山花 郁夫君
藤巻 健太君 守島 正君
福田 玄君 中川 康洋君
山口 良治君 山川 仁君
辰巳孝太郎君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
内閣府副大臣 辻 清人君
総務副大臣 阿達 雅志君
総務大臣政務官 川崎ひでと君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 門前 浩司君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 原 典久君
政府参考人
(内閣府経済社会総合研究所次長) 松多 秀一君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 水田 功君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長) 伊澤 知法君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 寺崎 秀俊君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(総務省情報流通行政局郵政行政部長) 牛山 智弘君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局長) 湯本 博信君
政府参考人
(消防庁次長) 田辺 康彦君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山本 文土君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 内野洋次郎君
政府参考人
(財務省大臣官房参事官) 渡邉 和紀君
政府参考人
(財務省主計局次長) 吉野維一郎君
政府参考人
(財務省理財局次長) 辻 貴博君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大隈 俊弥君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 宿本 尚吾君
政府参考人
(国土交通省航空局航空ネットワーク部長) 秋田 未樹君
参考人
(日本放送協会会長) 稲葉 延雄君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
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委員の異動
四月八日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 井野 俊郎君
小森 卓郎君 金子 容三君
中川 康洋君 山口 良治君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 大西 洋平君
金子 容三君 西野 太亮君
山口 良治君 中川 康洋君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 松本 尚君
同日
辞任 補欠選任
松本 尚君 小森 卓郎君
―――――――――――――
四月七日
電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件
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○竹内委員長 これより会議を開きます。
行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会会長稲葉延雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官門前浩司君外二十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。おおたけりえ君。
○おおたけ委員 立憲民主党、おおたけりえでございます。
今日は、五テーマについて質問させていただきたいと思います。
まず一つ目、フジテレビ問題を伺いたいと思います。フジテレビの今回の事件にまつわる第三者委員会の調査報告書が三月三十一日に公表をされました。私は、これを読んで大変やりきれない思いがいたしました。これまでも、旧ジャニーズ事務所での性加害問題や、出演者が視聴者の誹謗中傷を受けた後に亡くなったリアリティー番組「テラスハウス」での問題がございました。これらの経験がなぜ教訓とならなかったのか、大変疑問に感じるところです。この報告書を受けて、先日、四月三日に総務省は株式会社フジテレビジョンに対する措置を発表されました。まず、今回の行政指導の法的根拠は何か、伺います。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきました行政指導は、放送法第一条の趣旨に照らし、総務省設置法に基づき実施したものでございます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。設置法に基づきということだと思います。直接的な条文ではなくて、一般的な条文でということでした。
今回の指導により、四月中に具体策を明らかにすることを求めたとのことです。行政指導ということで、法的には事業者への強制力がない措置であると思いますが、フジテレビにどのように取り組んでほしいとお考えか、村上大臣に伺います。
○村上国務大臣 おおたけ委員の御質問にお答えします。
まず最初に、おおたけ委員御指摘のように、今回のことは誠に言語道断でありまして、これからの放送行政に対しても真剣に考えなきゃいけないなという気がしております。
今回の事態は、フジテレビ及びフジ・メディア・ホールディングスが、放送事業者及び認定放送持ち株会社として本来有すべき公共性に対する自覚を欠き、社会的使命を十分に果たすことなく、広告によって成り立つ民間放送事業の存立基盤を失いかねないばかりか、放送に対する国民の信頼を失墜させたものだ、そういうふうに考えております。
また、今回の事態は、放送事業者による自主自律を基本とする放送法の枠組みを揺るがすものでありまして、放送法の目的に照らし極めて遺憾である、そのように考えております。
そのため、四月三日に両社に対して私名の文書により厳重注意を行いまして、その中で、同社の人権、コンプライアンスに関する対応の強化策の具体化については四月中に、国民・視聴者及びスポンサー等の関係者に対してその内容を明らかにするとともに、総務省に報告することを求めたところであります。
両社におきまして、今回の事態を厳粛に受け止め、放送法の基本理念に立ち返り、経営陣の意識改革を進め、国民・視聴者及びスポンサー等の関係者の信頼回復に社を挙げて全力で取り組んでいただきたいと考えておりますが、あえてつけ加えますと、私の名前で送った文書の最後には、「なお、再発防止に向けた取組が十分でないと認められる場合には、貴社が真摯に取り組むよう必要な措置を求めることがあることを申し添える。」そこまで実は言及しております。
○おおたけ委員 大臣の思いが本当に伝わってくる御答弁、ありがとうございます。
これはまだまだ氷山の一角ではないかという疑念もございます。また、社内アンケートにより取引先からのハラスメントも顕在化をいたしました。放送業界全体のコンプライアンスレベルを上げるため総務省としてどのように取り組まれるか、村上大臣に伺います。
○村上国務大臣 委員御指摘のように、今回の事態は、フジテレビのみならず、ネットワーク協定を締結している系列地方局の経営にも影響を及ぼしかねないばかりか、放送に対する国民の信頼を失墜させたものだと考えております。御指摘のコンプライアンスの確保については、これまでの一連の人権問題も踏まえ、放送業界全体として取り組むべきものと考えております。
そのため、日本民間放送連盟及び日本放送協会、NHKに対しても、人権尊重、コンプライアンスやガバナンスに関する施策の実効性を確保するよう取り組むことを要請したところであります。
同様の事態が再び生じることのないよう放送業界全体を挙げて取り組んで進めていただきたい、そのように考えております。
以上であります。
○おおたけ委員 社会全体に与える影響も大変大きい業界であると思っております。これからも是非取組をお願いします。
次に伺います。二つ目、SNSや動画投稿等に関する公職選挙法について伺います。
SNSや動画による情報発信が優位になってまいりまして、既存マスメディアに対する信頼度が年々低下傾向にある中で、先日、三月十五日に放送されたTBSの「報道特集」による、選挙で誹謗中傷が拡散する背景を追った特集は、濃密な取材に裏打ちされた、ファクトチェックをして真実を伝えるというまさにマスメディアの本来の役割を果たしてくださった報道だと感じました。
特集の中では、兵庫県知事選挙や東京都知事選挙における選挙運動の一環として、動画をネットで拡散するというやり方に焦点を当ててみえました。その動画の作成に報酬を支払うという広告がクラウドワークスというサイト上に掲載されて取引されており、動画編集をした大学生が、収入のために仕事としてやっている、極端なコンテンツほどたくさん見られると証言をされておりました。選挙の投票先を選ぶ際に間違った誘導がされてしまうと民主主義の根幹が揺るぎかねないと感じております。番組では、さらに、日本大学法学部の安野修右専任講師が、作成された動画の内容が清き一票を対象者に与えるような効力を持つときには公職選挙法の二百二十一条に定めがある買収等の罪に当たると見解を述べられました。
そこで、選挙中のSNSや動画作成等を業者にお金を払って委託することや、クラウドワークス等の仕事仲介サイトで選挙中の動画編集や切り抜き動画作成などについて賃金を払って依頼したような事例は公職選挙法違反と言えるかどうか、総務省としての認識を伺います。
○笠置政府参考人 個別の事案につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、選挙に際し、業者などに有償で動画作成を依頼することについて、業者などが主体的、裁量的に選挙運動の企画立案を行い、選挙運動の主体と認められる場合には、当該業者などに対しその対価として報酬を支払うことは公職選挙法上の買収罪に該当するおそれがございます。
個別の事案がこの規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実に即して判断されるべきことでございます。
○おおたけ委員 主体的、裁量的に行った場合は買収であると思っております。
選挙に初めて立候補する新人候補には、公職選挙法は非常に分かりにくいように感じております。初めて選挙に携わる人にも何がよくて何が駄目か分かりやすい説明をしておくことが、違反を防ぐことにつながります。SNSや動画配信を委託する際に公職選挙法違反となる場合を分かりやすく例示して、候補者説明会の資料に記載し、説明会でしっかり説明することや、総務省のホームページだけでなく、各都道府県や市町村の選挙管理委員会のホームページに総務省のページのリンクでもよいので掲載していただくなど、更に周知を充実すべきだと思いますが、お考えを伺います。
○笠置政府参考人 インターネット選挙運動、これは平成二十五年に解禁をされたわけでございますが、その際に、各党協議会におきまして改正内容や一般的な考え方を整理したガイドラインが作成されております。その中に、先ほど申し上げました、インターネット選挙運動を業者に委託なり依頼する場合の買収罪との関係といったものもございます。そのガイドラインにつきましては、既に総務省ホームページに掲載し周知をしているところでございまして、各選挙管理委員会におきましても、ホームページにガイドラインそのものを掲載したりとか、あるいは総務省ホームページへのリンクを掲載するなど、周知を図っているものと承知してございます。
また、インターネット選挙運動を含めまして、公職選挙法上の選挙運動に係る規制については従前より各選挙管理委員会において周知が行われていると承知をしておりますが、今後も機会を捉えて各選挙管理委員会等と連携を図りながら周知に努めてまいりたいと考えてございます。
○おおたけ委員 周知に努めてくださるということ、理解をいたしました。是非ともこれをきっかけにしっかりと、新人候補でも分かるようにお願いしたいと思っております。
また、選挙のインターネット広告について、業者からやってはどうかという案内が幾つか届くようになってまいりました。これではお金がかかる選挙にどんどん拍車がかかってしまうと危惧をしております。現在、ガイドラインで、選挙中でも党の広告で党の支部長という形なら本人のPRが許される解釈となっているとのことですが、これも新人候補にはどこまでがよくてどこからが違反なのか大変分かりにくいと思っております。この点についても、法解釈の説明が不足していることによる違反例が出てこないように、新人候補にも分かりやすいような形で、立候補届出のときにもらえる書類に記載するなど、説明の充実を図ってほしいと思いますが、どのような対応ができるのか、伺います。
○笠置政府参考人 平成二十五年にインターネット選挙運動が解禁をされましたが、その際、選挙運動に関連する広告を選挙運動期間中に有料で掲載することまで認めるということになりますと、そのような広告の利用が過熱をし、選挙に要する費用が増嵩することにより、結果として金のかかる選挙につながるおそれがあるということから、有料インターネット広告の規制に係る公職選挙法百四十二条の六の規定が設けられたところでございます。
これによりまして、候補者につきましては、一項から三項の規定によりまして、選挙運動期間中は有料インターネット広告を掲載することが禁止されることになります。
一方、お話がございましたけれども、政党等につきましては、百四十二条の六の第四項におきまして、選挙運動期間中、当該政党の選挙運動用ウェブサイト等に直接リンクした有料広告を掲載することは認められているということでございます。
これは、政党等につきましては法改正前におきましても、その有するホームページ、ウェブサイト等に直接リンクした政治活動としての有料広告を掲載することが可能であったということに鑑みまして、改正後も引き続き同じような態様で掲載することができるように、例外として存置というか設けられたということでございます。
また、併せてこの際に百五十二条という規定も改正をされてございまして、公職の候補者等あるいは後援団体が挨拶を目的とする有料インターネット広告をすることは禁止されたということでございます。したがいまして、挨拶を目的とする有料広告でございますので、純然たる政策広告など主として挨拶を目的としたものとは認められない有料広告を掲載するということは引き続き、直ちに禁止されていないということになってございます。
選挙運動に関するインターネット有料広告の規制につきましては、お話のございましたガイドラインにおきまして一般的な考え方が示されているところでございまして、先ほど申し上げましたけれども、そのガイドラインにつきましては、総務省のホームページでありますとか、各選挙管理委員会におきましても自らのホームページにそのまま掲載する、あるいは総務省のページとのリンクを張るといった形で周知を図っていただいておりますので、引き続きその周知に努めていきたいという考えでございます。
○おおたけ委員 お金のかからない選挙ということで、規制をしたけれどもなかなかまだ抜け道といいますか部分的にできるところがあるということで、これだけインターネット広告が広がってきてしまうと、私は、私見ですが、もう一歩規制が必要ではないかなというように感じております。
次に伺います。選挙運動の切り抜き動画等を作り、閲覧、再生数が多いほど収益が増える、このような選挙ビジネスとなってしまっている現状があり、閲覧、再生数を上げるため過度に先鋭化してしまう傾向があることが課題となっております。これをアテンションエコノミーというとのことです。事実をゆがめた情報で選挙が行われることを防ぐため、選挙関係の情報で収益を上げることを抑制すべきだと考えます。現法体系でできることは何か、また規制についてどのようにお考えか、認識を伺います。
○笠置政府参考人 現行の公職選挙法上、選挙に関する動画配信などを投稿することにより広告収入などの収益を得ること自体を制限する規定はございません。
選挙に関する投稿によって収益を得ることを規制するということにつきましては、どのような発信者を対象にするのか、あるいはどのような投稿を対象にするのかなど、様々な論点があるものと考えてございます。
いずれにいたしましても、表現の自由あるいは政治活動、選挙運動の自由に関わる重要な問題であるため、各党各会派において御議論いただくべき事柄であると考えてございまして、現在、選挙運動に関する各党協議会が設置をされていまして、その中におきましてSNS利用による収益関係といったものが論点として議論されているということを承知いたしてございます。
○おおたけ委員 大変重要な課題であると思っておりますので、今後も皆さんと議論していきたいと思っております。
先ほど取り上げましたTBSの「報道特集」で、選挙違反や選挙をゆがめる仲介をしている旨の指摘を受けて、この仕事を仲介したクラウドワークスは選挙運動や政治活動に関する依頼を禁止するとガイドラインを改定されました。業者側がこのような姿勢を示していただいたことは一歩前進であると考えます。
先日、衆議院調査局に依頼してほかの会社も調べていただきました。ココナラさんは、ココナラヘルプの禁止行為一覧の迷惑行為と判断される行為の中で、具体的な禁止行為として選挙活動に当たる行為を明記されております。ランサーズさんは、仕事依頼ガイドライン細則の犯罪に関わる依頼、法律、法令、条例を遵守していない依頼の一つとして、選挙活動に関わる内容が含まれる仕事依頼を明記されております。Shinobiライティングさんは、利用規約第三条第九項、投稿してはならない記事に関する規定の中に公職選挙運動と明記をされております。主要十五社ほどを調べていただいたところ、この三社が選挙活動についてクラウドワークスさん以外にも記載をされておりました。
他の類似業者にもこのような対応をしていただくことが依頼できないものなのか。また、違反してから取り締まるのではなくて、先に注意喚起をすることが重要であると考えます。このような仲介業者に対してどういう場合に選挙違反となるのかという説明を掲載していただくよう依頼できないものなのか、伺います。
○笠置政府参考人 先ほど申し上げましたが、選挙に際しまして業者などに有償で動画作成を依頼することについての一般的な考え方といたしまして、業者などが主体的、裁量的に選挙運動の企画立案を行い、選挙運動の主体と認められる場合には、当該業者などに対しましてその対価として報酬を支払うことは公職選挙法上の買収罪に該当するおそれがあるということでございます。
御指摘のお話につきましては業者の自主的な取組であると承知をしておりまして、あくまでも各事業者の判断においてそのような取組が行われていると考えてございます。
総務省といたしましては、職業紹介事業者でありますとか業務委託に係る仲介業者といったものを所管しておらず、お尋ねの対応を依頼、要請するという立場にはございませんけれども、周知という観点でインターネット選挙運動に関し引き続き今後も機会を捉えて、先ほどのガイドラインでございますが、ガイドライン等の周知に努めてまいりたいと考えてございます。
○おおたけ委員 今後の課題として大事なところだと感じております。
十二月三日の参議院本会議にて辻元議員の質問への答弁で、偽・誤情報の拡散や誹謗中傷について村上総務大臣が虚偽事項公表罪に当たると御答弁をされました。偽・誤情報の問題はどんどん深刻化しており、今後の大きな課題であると思っております。
報道によりますと、インターネット上の偽・誤情報などへの対応について、村上総務大臣は閣議の後の記者会見で、憲法で保障されている表現の自由との関係に配慮しつつ必要に応じて法規制も含む制度的対応を検討していくとの考えを示されたとのことです。村上大臣に、偽・誤情報や誹謗中傷への対応について更なる法規制も含めどのように取り組まれるお考えか、伺います。
○村上国務大臣 委員の御指摘は非常に重要だと考えております。特に夏の参議院選挙までに何とか間に合わせたいというつもりで一生懸命やっているんですが、なかなか、表現の自由とか選挙の自由との兼ね合いもありまして、非常に難儀しているところであります。
そういうことを前提にしまして、インターネット上の偽・誤情報を含む権利侵害情報は、短時間で広範に流通、拡散し、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な課題であると認識しております。
選挙におきましても、インターネットの特徴である伝播性や速報性の高さから、候補者等に対する悪質な誹謗中傷等が行われるおそれが指摘されているところであります。
そういう中で、選挙におけるSNS規制につきましては、今申し上げたように、表現の自由や選挙運動、政治活動の自由に関わる重要な問題であることから、各党各会派で御議論いただくべき事柄だというふうに考えております。
その上で、総務省では、選挙期間中かどうかを問わず、SNSを健全に利用できる環境の確保に向けて、一つ、制度的な対応、それから二番目、偽・誤情報対策技術の開発、三番目は幅広い世代のリテラシーの向上等の総合的な対策を進めていきたいと考えております。
また、今月一日に施行しました情報流通プラットフォーム対処法は、大規模なプラットフォーム事業者に対しインターネット上の偽・誤情報を含む権利侵害情報の削除対応の迅速化等を求めるものでありまして、一定の効果が期待できると考えております。
総務省としましては、インターネット上の偽・誤情報を含む権利侵害情報への対応につきましては、表現の自由にも十分配慮しながら引き続き総合的な対策を積極的に進めたい、そのように考えております。
○おおたけ委員 ありがとうございます。今後も尽きない本当に大事な課題であると考えておりますので、是非ともよろしくお願いいたします。
次に、三つ目のテーマを伺います。収支報告書の個人情報のネット掲載について。
政治資金収支報告書の住所が法律によりインターネット公開をされております。国会議員は自宅以外に事務所を構えることがほとんどですので問題にはなりませんが、地方議員は事務所が自宅である場合が多いのが現状です。女性議員で独り暮らしの場合などもございます。夜自宅に見知らぬ人が押しかけてきたり、贈物を一方的に送られてきたり、ストーカーの被害に遭った自治体議員も実際にいることから、公開され続けていることには疑問を感じます。
私自身も、二十代の市議時代にピンポンダッシュされたり、県議時代には空き巣に入られたこともございます。私の例はインターネット公開されていたからと確定的に言えるかまでは分かりませんが、住んでいる自治体は議員側の申出により、そのような事件が起こらないよう配慮してネット公表を住んでいる町名までにとどめてくださっていたため、当時オンライン上に上がっていたのはこの収支報告書に記載された住所の情報のみでありました。
今後、地域をよくしようと立候補し活動してくれる若い女性の地方議員の方々がよからぬ被害を受けないように、住所の全部をインターネットで公開しなくて済むようにすべきと思いますが、現在の法律の範囲内でどこまでできるのか、また法改正する場合はどのような形で行うべきか、総務省の認識を伺います。
○笠置政府参考人 政治資金規正法上、政治団体は、当該政治団体の目的、名称、主たる事務所の所在地等を届け出ることとなってございまして、主たる事務所の所在地を含むこれらの届出事項につきましては官報等で公表することとなってございます。
届出事項を官報等で公表することの趣旨でございますけれども、寄附の規制の対象となる政治団体について、その名称、代表者、主たる事務所の所在地等を広く国民の前に明らかにするとともに、政治団体を識別あるいは特定するためのものと承知いたしてございます。
なお、住所という点だけで申し上げますと、昨年の通常国会におきまして、個人寄附者等のプライバシー、個人情報を保護する観点から、収支報告書がオンライン提出された場合などに限りまして、収支報告書に記載された個人寄附者の住所に係る部分をインターネットで公表する場合には、都道府県、郡及び市区町村の名称に係る部分に限って公表を行うものとするといった法改正が議員立法でなされたところでございます。
今回は寄附者の住所というよりも政治団体の主たる事務所の所在地ということでございますが、そうした主たる事務所の所在地を含む政治団体の情報につきましては、現行法上、先ほど申し上げました趣旨、寄附の規制の対象を明らかにする、あるいは政治団体を特定、識別するといった趣旨により公表されているものと理解しております。お話しの点につきましてはそうした政治団体の情報の公表範囲を狭めるということとなるわけでございますが、政治団体の情報をどこまで公表するのかといった公開の在り方につきましては、政治団体の政治活動の自由と関連をしておりますことから、各党各会派において御議論いただく必要もあるのかなというふうに思ってございます。
○おおたけ委員 公開の在り方と、女性議員などを守っていく、そういった立場での各党協議会の御議論、是非ともやっていきたいと私個人としては思っております。
次に、四つ目のテーマを伺います。消防団の女性加入促進に向けた支援について伺います。
地域では、消防団として活躍してくださる方の人材募集に大変苦労しております。一方で、女性で消防団をやってくださる方は令和六年四月一日現在全国で三・八%でありますが、年々増えてきております。しかし、消防団の詰所に女性トイレが設置してある箇所はまだまだ少ないのが現状です。設置する自治体に対する財政的支援なども重要であります。女性が消防団に入りやすくするためどのように取り組まれるのか、伺います。
○田辺政府参考人 大規模災害になればなるほど地域に密着した消防団の力が重要とされる中、消防団員数は年々減少傾向にありますが、委員御指摘のとおり女性の消防団員数は近年増加傾向となっており、消防団の更なる充実強化を図るためには、女性の更なる入団促進や女性の消防団員が活動しやすい環境を整えていくことが重要と考えております。
そのため、消防庁では、女性の入団促進に向け、女性や若者をターゲットに置いた広報、機能別団員制度の活用促進、女性の目線を生かした消防団運営について助言できる消防団等充実強化アドバイザーの派遣など、様々な対策を講じているところです。
また、委員御指摘の消防団拠点施設における女性用更衣室やトイレ等の整備については、充当率一〇〇%、交付税算入率七〇%の緊急防災・減災事業債を活用できることとしております。
さらに、女性の活躍促進に向け、消防団の力向上モデル事業によるパーティションの設置など女性団員が活動しやすい環境づくりに向けた自治体が行う取組への重点的な支援や、補助率三分の一、残りの地方負担分に特別交付税が〇・八の割合で措置される消防団設備整備費補助金において、女性を含め全ての団員が比較的容易に取り扱える小型、軽量化された救助用資機材等の整備を推進しております。
このほか、本年一月に作成した消防団員の確保に向けたマニュアルにおいても、女性消防団員が入団しやすく活動しやすい環境づくりに向けたノウハウについて、各地域の参考となる取組を取り上げつつ自治体にお示ししているところであり、引き続き、こうした施策を通じて女性の更なる入団促進を図るとともに、女性の活躍促進に向けて取り組んでまいります。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
次に、消防団の処遇改善について。物価高に伴い、公務員の人件費なども引上げがされております。人手不足でなかなか引受手の少ない中にあり、頑張って地域に貢献してくださる消防団員の皆様に感謝を込めて、報酬等を引き上げる考えについて伺います。
○田辺政府参考人 消防団員の処遇改善については、消防団員の確保に向け、令和三年四月に消防団の報酬等の基準を定め、この基準に沿った処遇改善が実施されるよう市町村に働きかけてきた結果、令和六年四月時点で団員階級の年額報酬について基準を満たす市町村が約九割となるなど、着実に改善が図られているところです。
また、処遇改善や実態を踏まえ、消防団員への報酬に対する地方財政措置を令和四年度及び令和六年度に拡充してきたところです。
さらに、シニア層の消防団員の活躍促進を図るため、令和七年度から、長年勤務された消防団員の労苦に報いる退職報償金の勤務年数区分に、新たに三十五年以上区分を追加したところです。
こうした見直しにより消防団員の処遇改善を図っているところですが、今後とも、消防団員の方々の労苦に応えられるよう、消防団員の処遇改善に努めてまいります。
○おおたけ委員 ありがとうございました。是非とも処遇改善をお願いしたいと思っております。
五つ目に感震ブレーカーの質問を用意しておりましたが、時間となりましたので、次回に回したいと思います。御協力いただいて準備してくださった方々、大変申し訳ございませんでした。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、福田昭夫君。
○福田(昭)委員 おはようございます。立憲民主党の福田昭夫です。
本日は一般質疑なので、現下の我が国が抱える重要課題について政府の考えをただしてまいりますので、大臣始め答弁者は簡潔にお答えください。
まず、我が国の政府は財政破綻するのかということであります。一つ目は、政府が公表した国民経済計算年次推計、ストック編の、二〇二三年、令和五年度の貸借対照表では四千百五十八・四兆円の資産超過となっているが、それは本当かどうか教えてください。
○松多政府参考人 本年一月に公表いたしました国民経済計算年次推計、ストック編では、一国全体の二〇二三年、令和五年末の正味資産を四千百五十八・四兆円と推計いたしております。
○福田(昭)委員 今内閣府から答弁がありましたけれども、何とこれは二〇二二年度末に比べると百六十一・九兆円、四・一%増加をして、八年連続で増えて、比較可能な一九九四年以降で最高となったということなんですね。その原因は、地価が上昇し、株高で金融資産の評価額が上がったということなども影響していると内閣府は発表いたしております。何と、国富は住宅とか工場とか土地などに金融資産を加えた資産から負債を差し引いた総額だそうでありまして、国全体で蓄積されている富の総額を示すそうであります。政府などの各部門も合算する、国内総生産、GDP統計の一部として内閣府が公表しているものだそうであります。
こんなことを考えますと、とてもとても財政破綻するような状況にはないんじゃないかと思っておりますが、実は、日銀が今年の三月二十一日に資金循環統計を発表いたしましたけれども、こちらの方も、国内に持っている全金融資産は何と四千八百兆円を超えています。とてもとても財務省が言うような財政危機には全くないというふうに私は認識をいたしております。
そこで二つ目でありますが、二つ目が、我が国の国と地方を合わせた長期債務は二〇二五年、令和七年度末、千三百三十兆円と見込んでおりますが、我が国の国債への信用度を表すCDSは財政破綻を心配するような数字なのか、是非教えてください。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のCDS、クレジット・デフォルト・スワップはデリバティブ取引の一種でございまして、買手が売手に対して保証料を支払う代わりに債券の発行体がデフォルトしたときに損失の保証を受けるものでございますが、日本国債を対象にしました期間五年のCDS取引における保証料率、これは四月七日時点で二一・二八ベーシスポイントとなっておりまして、これはG7各国の中でドイツに次いで二番目に低い水準と承知をしております。
我が国のCDSスプレッドが低い水準で推移しておりますのは、委員からも御指摘のありました潤沢な家計金融資産とか経常収支の黒字等を背景に国債が国内で安定的に消化されるという状況の下で市場からの信認を維持してきたことなどがあると考えております。
ただ、我が国のCDSの分析に当たりましては、取引量が非常に少ないとか、取引主体が限定されている、こういった点にも留意する必要があるかなと考えているところでございます。
○福田(昭)委員 いろいろ心配の種は尽きないんだと思いますけれども、しかしながら、世界のこうした保険機関などが我が国のCDSをG7の中でもドイツに次いで二番目に低い水準であると評価しているということは、やはり我が国の国債発行力はまだあるというふうに考えていいのかな、こういうふうに思っております。
残念ながら亡くなってしまいましたけれども、それこそ一生懸命「ザイム真理教」などを書いておりました森永卓郎先生、卓郎先生は、今、日本の国は積極財政でやらなきゃ駄目だ、こう言っておりますが、しかし、その森永卓郎先生が、幸いですよ、幸い財務省が均衡財政、緊縮財政でやってきたから毎年新規国債を百兆円出しても十分余力がある、こんなことまで言って、書き残して、残念なら亡くなっていきました。そんなことを考えると、今はトランプの大変な関税戦争も始まって、ここはしっかり支える力があるんじゃないかなと私は思っているところでございます。
それでは、三つ目ですけれども、国際収支、経常収支は、一九八一年、昭和五十六年度から四十三年間黒字となっておりますが、二〇二四年、令和六年度の上半期の黒字は幾らになるのか、また、下期はどの程度になるのか、これを教えてください。
○渡邉政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二四年、令和六年度上期、昨年四月から九月まででございますが、その経常収支は十五・八兆円の黒字となりました。
一方、下期についてでございますが、本年五月に公表の予定をしておりまして、まだ数字はございません。しかしながら、今朝、二月分を公表しました。これに伴いまして、昨年十月から五か月間の経常収支につきましては十・九兆円の黒字となってございます。
○福田(昭)委員 今お聞きのように、上期だけで十五兆八千億円。順当なら下期を加えると三十兆円を楽に超えるということでありますが、下期がどうだったかということについてはこれから確定してくるんだろうと思いますけれども、私の予測というか推測では多分三十兆円前後、三十兆円を超えてしまうんじゃないかと私は見込んでおりますが、これがどうなるかは後で確定してくる話だと思っています。
そんなことを前提に、四つ目でありますけれども、国際収支、経常収支が黒字で、発行している国債が全て自国の通貨建てで発行している国で財政破綻した国は歴史上ない、こう言われておりますが、いかがでしょうか。また、ギリシャやアルゼンチンはなぜ財政破綻したのか、その理由が分かっていたら教えてください。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
ギリシャとアルゼンチンの事例からまずお答えいたしますけれども、内外の経済状況など様々な背景があったと承知しております。
ギリシャは、ユーロ建てで国債を発行しており、財政危機以前の経常収支は赤字傾向にありましたけれども、国債市場が安定していた時期に税収等の歳入と歳出の乖離を放置していた中、リーマン・ショックが発生したことや財政統計の不正発覚が契機となりまして、二〇〇九年に財政危機に陥ったと承知しております。
アルゼンチンにつきましては、自国通貨建て、ペソ建ての国債を発行しておりました。財政危機以前の経常収支は赤字傾向にありましたが、IMFによれば、硬直的な為替レート制度、不利な外的ショック、ブラジル通貨危機でございます、十分に早い段階で対外公的債務の削減に向けて必要な財政改善措置を講じなかった結果、政府の財政運営に対する信認が損なわれ、金利上昇、利払い費増加による債務負担の増大の悪循環に陥ったということが原因となり、二〇〇一年、デフォルトを宣言したと承知しております。
なお、各国において内外経済状況は様々でございますので一概に申し上げられませんが、ロシアにつきましては、自国通貨建て、ルーブル建てで国債を発行しており、財政危機以前の経常収支は黒字傾向にありましたけれども、一九九八年に自国通貨建ての国債のデフォルトが発生していると承知しております。
○福田(昭)委員 それでは、今、ギリシャとアルゼンチンの例、そしてロシアの例を言っていただきましたが、そうすると、自国の通貨建てでも財政破綻することがある、こういうことなんですか。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
今お答えした内容の繰り返しになりますけれども、ギリシャはユーロ建て、アルゼンチンは自国通貨建て、ペソ建てでございますので、少なくともアルゼンチンについては自国通貨建ての国債を発行しておりましても財政危機に陥った、デフォルトを宣言したという事実がございます。
○福田(昭)委員 そうすると、ロシアはルーブル建てで発行していて、そっちは駄目になったけれども財政破綻はしないんですか。
○吉野政府参考人 ロシアにつきましても、自国通貨建て、ルーブル建てで国債を発行しておりまして、財政危機以前、経常収支は黒字傾向にございましたが、一九九八年に自国通貨建ての国債のデフォルトが発生していると承知しております。
○福田(昭)委員 そうすると、ロシアはその後、国債は何で発行しているんですか。
○吉野政府参考人 現在ロシアは自国通貨建てで国債を発行しております。
○福田(昭)委員 現在は自国通貨建てで発行している。どうやって回復しちゃったんですかね。それは分からないですよね。
多分、そういう意味では、基本的にいろいろな条件があるんだと思いますが、日本のようにしっかりとした、いわゆるそれを支えるような金融資産がなかったということだとか、あるいは諸外国との経常収支がずっと黒字が続いていなかったとか、そういうことがあるんじゃないでしょうか。日本の場合は何と四十三年間も黒字で、二〇二四年も黒字だと四十四年間黒字が続いている、こういうことで、先ほどからの、金融資産が非常にたまっているということなんですよね。ですから、それと比べるとアルゼンチンやロシアはきっと全然問題にならないような状況なんじゃないでしょうかね。そこだけは指摘しておきたいと思います。
そこで、今回の米国の追加関税措置による世界貿易戦争はなぜ起きたと考えておりますか。非関税障壁をつくっている付加価値税、消費税が原因をつくっているのではないですか。政府の認識をお伺いいたします。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましては、米側の追加関税措置の根拠や、あるいはその税率の根拠について申し上げる立場にはございませんが、米国通商代表部はホームページ上で、計算上の仮定を置いた上で、米国から見ての貿易赤字額と輸入額を用い、二国間の貿易収支がバランスするように算出されたのが今回の相互関税率である、こういった趣旨の説明がなされておるものと承知しております。
そうした説明に基づきますと、日本の消費税輸出還付金が今回の相互関税率の直接的な算出の要因になったとは考えておりません。
○福田(昭)委員 そうですかね。私はこう思っております。付加価値税、消費税には巨額の輸出免税還付金があります。それだけ安く輸出することができます。付加価値税や消費税を持っている国は、輸出品をそれだけ安くできるんですよ。巨額の輸出免税還付金、その還付金、我が国も、実はEUもOECDも公表していないんです、発表していないんです。
私は先日、党の指示を受けて、パリで行われたOECDのグローバル議員ネットワーク会合へ行ってまいりました。そのときに、私はOECDの税の専門官とバイで議論してきました。そこで、何と彼は、OECD諸国を全部調べたけれども輸出免税還付金を公表している国はありませんと答えました。ですから、私が、おかしいですね、何で公表しないんですかと聞いたら、何と言ったと思いますか。国民から開示請求がないからですと言いました。ええっ、そんなことあるのと言ったんだけれども、彼は会談が終わって帰るときに笑いながら、あれは冗談ですと言って帰りました。そんな冗談があるんですかね。とても信じられません。
輸出免税還付金は隠れ輸出促進補助金になっているんですね、基本的には。ガット・ウルグアイ・ラウンドの大原則でありました、輸出量を増やす補助金は駄目よ、減税も駄目よという大原則があったわけですが、附属書で例外をつくったのがWTOで、それぞれの国の付加価値税率、消費税率の範囲内なら還付してもいいよとそれを定義づけしたのが実はOECDなんですよね。ですから、そういう意味では、まさに還付金を出す付加価値税や消費税は自由貿易の精神にも反しているのではないかと私は思っております。
ですから、我が国は自由貿易を推進しているWTOとOECDに、世界的な自由貿易の在り方を見直すべきだ、そういう要求をするべきだと思っています。そうでないと、トランプ大統領による関税による世界貿易戦争は、しっかりと落ち着くところを見つけるまでに相当時間がかかりそうな気がいたします。自由貿易は関税一本でやった方がいいのか、それとも隠れ輸出促進補助金たる付加価値税、消費税を続けるのか、この辺をよく議論して、より自由貿易にふさわしいのはどういうやり方がいいかというのをやはりしっかりと考え直す必要があると思っております。
それでは、時間もありますので、次の質問に移ります。
次に、子供、子育て政策の強化、加速化プラン三・六兆円のうち二・一兆円の財源の見直しについて、政府の考えをお伺いいたします。
まず、資料の一、皆さんのお手元に差し上げましたが、これが例の子供、子育て政策、加速化プランの財源の基本骨格、イメージであります。下の方を見ていただきますと、加速化プランの財源として歳出改革の徹底等。右の方ですね、歳出改革の徹底等でまず一・一兆円、公費節減の効果として一・一兆円を出す。さらに、社会保険負担軽減の効果として一兆円を出す。こういう話なんですね。この話で、私は、まず一つ目は、医療保険に上乗せして徴収する子ども・子育て支援金一兆円を廃止したらいいんじゃないかなと思っております。
なぜかというと、昨年度の岸田政権時にこれはできたものでありますけれども、しかし、岸田さんは一方では四兆円、所得税と住民税の定額減税をやりました。今年度はそれがまた元に戻っちゃったんですね。ということは所得税だけで三兆円減税したものがあるんですけれども、ですから支援金一兆円分ぐらいはこれで簡単に出てきちゃうんですね、実は。今、日本の国の税金は増えています、どんどん。増えていますから楽に出てきちゃうんですよね。
ですから、わざわざこんな難しい、さすがに官僚の皆さんは優秀だからこんな面倒くさい計算をして出しましたよ。でも、国民の皆さんにとっては納付書が届くまで分かりません。自分のうちの家庭はどれだけ支援金を払うのか分かりません。しかも、役所の人たちも大変。特に市町村の役場の職員は大変ですよ、国民健康保険などを計算するのは。こんな難しいことはやめて、元に戻った所得税から一兆円なんて簡単に充てられますからやめたらいかがかなと思いますが、いかがですか。
○伊澤政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘いただきました今回の加速化プランの三・六兆円につきましては、委員からも御指摘いただきましたとおり、増税や国債という手法を取らず、既定予算の最大限の活用等と徹底した歳出改革による公費節減により二・六兆円を確保した上で、残る一兆円については、歳出改革等によって生じる保険料負担の軽減効果の範囲内で子ども・子育て支援金制度を構築するということにしてございます。
少子化対策において重要なことは、これから結婚、出産を考える若い世代が将来に展望を持てるようにすることでございまして、そのためには安定的な財源をしっかり確保することが政府の責任だと考えてございます。
この子ども・子育て支援金制度につきましては、令和八年度の施行に向けて現在準備を進めておりますけれども、こうした制度の趣旨について丁寧に私どもとして説明を尽くしてまいりたいと考えております。
○福田(昭)委員 何で医療保険に上乗せするんですか。今それぞれの健康保険組合はありますよ。こちらだって相当負担が重くて困っている。ここのところは少し和らいできた感じもありますけれども。医療保険にわざわざ上乗せをするという考え方そのものが分かりません。保険料を納めれば反対給付もあるというのが保険の基本ですけれども、これも逸脱しちゃってやっているわけですよ。ですから、こんなでたらめはやめた方がいい。しかも、岸田総理がどうも、うわさで聞こえてくる話では、増税眼鏡と言われてやゆされて駄目だということで、どうやら難しい支援金制度を考案した、こんな話を伺っておりますが、しかし、そんなことでこんな重要な政策、子育ての予算が決まったのではとんでもない、私はこういうふうに思っております。
二つ目ですけれども、二つ目は、社会保障歳出改革の徹底等の一・一兆円には、今年度予算の中で二度修正をしてそれこそ凍結になった高額療養費、質問の項目は千六百億円と書いてありますが百六十億円でしたかね、百六十億円削減のほか、どのような経費を削減しようとしているのか、教えてください。
○水田政府参考人 お答え申し上げます。
加速化プランに充てられる財源を確保する歳出改革につきましては、こども未来戦略において、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、いわゆる改革工程でございますが、ここにおける医療、介護制度等の改革を実現することを中心に取り組み、これまでの実績も踏まえ令和十年度までに公費節減効果について一・一兆円程度の確保を図るとしているところでございます。
これは、国の社会保障関係費につきまして実質的な伸びを高齢化による増加分に収める、そういった歳出改革の方針を定め、毎年度の予算編成において制度改革、効率化等によりこの方針を達成しながら、その中で予算を重点化することで子供、子育て予算を国、地方で年平均〇・一八兆円増加させてきた、こういった実績を踏まえて、そうした歳出改革努力を令和十年度まで継続することとしているものでございます。
子供、子育て予算の充実、つまり加速化プランの財源と歳出改革の具体的項目とを直接結びつけて整理することができるものではございませんけれども、引き続き、改革工程における医療、介護制度等の改革を実現することを中心に取り組みまして公費節減の効果を積み上げていくものと承知しているところでございます。
○福田(昭)委員 全く分からない説明ですね。だって、高額療養費を百六十億円削減するとまず出してきたんでしょう。それ以外の項目もあるはずでしょう。それ以外の項目もあって、積み上げていったら一・一兆円になるんでしょう。違うんですか。
○水田政府参考人 お答え申し上げます。
歳出改革の取組につきましては、全世代型社会保障の構築などを目的に実施されまして、それによって結果的に生じた財源が加速化プランにも充られているというものでございまして、加速化プランの財源確保のために行われているというものではございませんで、それら歳出改革の具体的項目と加速化プランを直接結びつけて整理することができるものではございません。
その上で申し上げますと、改革工程に記載されています主な改革項目としましては、例えば、医療DXによる効率化・質の向上、医療提供体制改革の推進、薬剤保険給付の在り方の見直し、介護保険制度改革、医療・介護保険における金融所得の勘案や金融資産等の取扱い、そういったものがございまして、これらを含めた幅広い項目の中から全世代型社会保障の構築に向けて取組が行われていると承知しているところでございます。
○福田(昭)委員 全く分からないけれども。だって、歳出削減するとしたら、項目ごとに歳出削減していくんじゃないですか。結果として出てくる話じゃないんじゃないですか。例えばですけれども、社会保障費を財務省は予算査定の中で毎年五千五百億減らすんだとか二千億減らすんだとか、そういうことをずっとやってきたわけですよ。過去には毎年、小泉政権の頃は二千億ずつ減らしていったら、救急車がたらい回しになったなんという大騒動が起きたわけですよ。今回も、もしかするとそんなことがありますよ。
実は、この高額療養費百六十億円の公費節減、これでいろいろな病院は大変だ大変だと言っていますよ。病院のお医者さん方も大変だ大変だと。これで手術を控える人がいっぱい出てくる、そうしたら病院の経営はますます成り立たなくなる、こんなことも指摘していますよ。そんなことも踏まえてやるべきじゃないでしょうかね。今まさに高齢化がだんだんだんだん頂点に達する二〇四〇年に向けて、団塊世代の子供たちが六十五歳以上になって、社会保障のお金がますます増えてくる。
そうしたら、社会保障費の削減から一・一兆円も出すなんという考え方は間違っています、間違っています。予算を作るときに、私は、財務省が言っているペイ・アズ・ユー・ゴー、自分の省庁で新しい事業を起こすときは自分のところの予算を削れ、こういう方針は間違っていると思います。やはり国全体の予算で考える。だって、経済社会の構造が変わってくるんだから。だから、経済社会の構造が変わったように必要なところへ、行政需要が出てきたところへ予算を振り向けるというのが行政、政府ですよ。それができないようだと駄目だと思いますよ、予算の作り方として。それだけは指摘しておきます。
では、三番目、次に、NHKの経営計画二〇二四―二〇二六、二〇二五年一月修正の見直しについてお尋ねをいたします。
まず一つ目ですね、二〇二六年度には視聴者の将来負担の軽減につながる先行支出等に六百六十億円支出想定とありますが、これはメディア産業全体の多元性確保に貢献する費用なので、私はNHKが三年間で千三百億規模の歳出削減をするのは大変無理だと前回申し上げたんですが、そんなことなので、これは公共放送の中の公的支出とも考えられるので政府が補助金を出してもよいのではないかと考えてもみたんです。NHK会長には今日は聞きません、答えづらいでしょうから。急ですけれども、総務大臣、いかがですか。
○村上国務大臣 福田先生の御質問にお答えします。
福田先生の惻隠の情と申しますか、優しいお気持ちはよく分かるんですが、NHKが公共放送としての使命を果たしていくためには健全な経営に取り組むことが大切であり、そのためには必要な受信料財源の確保が必要であります。
受信料制度につきましては、国家機関等から財政面での支配や影響がNHKに及ばないようにするため、国民・視聴者の皆様に広く公平に負担を求めている、そのように承知しております。
こうした受信料制度の本旨に鑑みて、補助金のような形でNHKが財政面で国に依存することとなるような支援を国が行うことは考えておりません。
以上であります。
○福田(昭)委員 民放放送に協力して、民放放送を助けたり、それから全体のことを考えてやるんですよ。だって、国際放送は国が補助金を出してやっているじゃないですか。ですから、そういうことで、その辺は型どおりの答弁で結構ですけれども。
二つ目ですね、それでは、二〇二三年度予算比で二〇二七年度までに千三百億円規模の経費削減はできるのかということでありますが、NHKの経営計画では、還元原資による補填は二〇二四年度が五百七十億円、二〇二五年度が四百億円かな、二〇二六年度が二百五十億円、計千二百二十億円となっておりますが、実際に三年間でどれだけ削減できるんですか。削減できるんですか、お答えください。
○稲葉参考人 お答え申し上げます。
経営計画で掲げました二〇二七年度までの事業支出削減、これについては今作業中でございますが、一千三百億円規模の経費削減ということになります。昨年度はおおむね計画どおりに実現しているという状況にあります。
今年度以降も、放送波の削減とかあるいは設備投資の大幅な縮減を行うほかに、既存業務の大胆な見直しあるいは番組経費、営業経費の切り込み、既存のデジタルコンテンツの見直しなどを計画してございます。
一方で、修正した経営計画でもお示ししていますが、最近の受信料の収納率の……(福田(昭)委員「実現できるかできないかでいいですよ」と呼ぶ)はい。
○福田(昭)委員 会長、そんな丁寧な説明は要りません。問題は、千三百億円程度本当に削減できるかできないかということであります。還元原資が千二百二十億円しかない中でですよ。それをお伺いしたわけであります。私は、国民のための公共放送であるNHKの皆さんが主張しているように、放送法第一条にあるように、究極の使命である健全な民主主義の発達に資するということに全力で取り組んでほしいと思って、そうした環境をつくるのが国会の役目だと思っていますので、指摘をさせていただきたいと思います。
以上です。
次に、公共施設等適正管理事業についてお伺いをいたします。まず一つ目は、集約化、複合化事業の条件はどんなものがあるのか教えてください。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
令和七年度におきまして、公共施設の集約化、複合化等に伴う施設の除却事業を対象に加えたところでございますが、この除却事業につきましては、公共施設等総合管理計画及び個別施設計画に基づき実施するものであること、統合後の施設の供用開始から五年以内又は除却予定の施設の供用廃止から五年以内に実施するものであること、施設の整備を伴う場合において統合後の施設について延べ床面積等が減少することなどが要件になっているところでございます。
○福田(昭)委員 それでは、要綱の中に実は、国庫補助事業として実施される事業が対象になる、こんなふうな説明がありますが、例えばですが、例の地方創生二・〇が今回強化されましたけれども、その中にハード事業があります。ハード事業がそれぞれ都道府県や市町村で枠が決まっていますが、その枠を導入して、例えば市民会館を造るときに、そちらの方の支出金を受けて、これを併用して使うということは可能かどうか、教えてください。
○大沢政府参考人 国庫補助事業を活用して、地方負担部分にこの事業を活用するということも可能でございます。
○福田(昭)委員 ありがとうございます。
そろそろ時間かな。あと一分。では最後、終わりに申し上げたいと思います。トランプ大統領によるまさに関税主導による世界貿易戦争は予測がなかなか不可能です。私は、日米関係を真に対等にする日も来るのかな、そんな希望も持っておりますが、この件については是非与野党共に力を合わせて頑張りましょうと言って、私の質問を終わります。
以上です。
○竹内委員長 次に、山川仁君。
○山川委員 れいわ新選組の山川仁です。どうぞよろしくお願いします。
二月二十日の総務委員会において質疑をさせていただいた、基地交付金や調整交付金についてのお話からスタートしたいと思います。
まず、基地負担を全国の七〇%も押しつけておきながら、基地交付金や調整交付金が固定資産税の代替的な財政補給金として、交付金では全国の十分の一程度しか交付をされていない事実が分かりました。この不平等な制度を見直すよう質疑をし、その中で、交付金の配分方法について不透明な部分の開示を求め、それに総務省は応じるという答弁をいただきましたが、その不透明な内容、基地交付金、調整交付金の算定根拠、計算式についての話であります。
その質疑の中で、時間の都合上、そのときは答弁は求めず資料提供をお願いしますということでしたが、あれから一か月以上が経過し、担当の方から届けられたのが、ホームページ上で入手できるような二、三枚程度の資料のみでした。なので、是非、納得できる計算方法、算出根拠の資料をいただければと思っておりますが、そこで質疑を行います。
総務省の自治税務局固定資産税課において、ホームページで誰もが取得できる資料以外に、算定根拠や算出方法などを聞いても、最終的な説明の中では、国防上また防衛上の機密の観点があり、その算定方法はお示しできないというようなお話でした。驚くべきことは、当然、総務省がそういった国防のお話を出してくること。
そこで、基地交付金の予算の総額、十分の七は対象国有財産の価格の按分、残りの予算総額の十分の三については、配分方法として、資産価格による按分を基本としつつ、建物等の種類、用途や財政状況等を考慮しながら一定のルールに基づき配分するとあります。
この一定のルールについて算定方法また根拠法令を示してほしいと言っているのですが、その中では、先ほどお話ししたとおり、国防上の観点でお示しできないという話でしたが、資産価格が防衛上の機密事項となっているのか、その部分をイエスかノーかでお答えください。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
二月二十日の総務委員会において私の方から、沖縄県の市町村の交付額等については、また別途御相談させていただきたいという御答弁を申し上げたものでございます。
その後、委員の方に、事務所の方でございますが、沖縄県の市町村に係る基地交付金の交付金の割合、ただいま御説明がございましたように、予算総額の十分の七に相当する額は対象資産の価格で按分することになっております。この対象資産の価格について、市町村ごとの価格を委員の方にお示しさせていただいたところでございます。残りの十分の三につきましては、当該資産の種類、用途、所在市町村の財政状況等を考慮して配分しておりますけれども、これらにつきましては、米軍から基地交付金の算定のみを目的として提供を受けている情報が含まれるほか、各基地における米軍及び自衛隊の配備、運用が明らかになるおそれがあるため公開することは困難であるというふうに御説明申し上げたところでございまして、対象資産の十分の七の部分につきましては既にお示しをさせていただいたところでございます。
○山川委員 それならば、法令遵守という意味で、基地交付金について昭和三十二年に公示された国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法令など、どの条文若しくはどの指示、誰の指示でそのような防衛上、国防上という表現を使ったのか、お答えください。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま申し上げましたとおり、十分の三に相当する額の配分方法につきましては、米軍から基地交付金の算定のみを目的として提供を受けている情報が含まれております。このため、総務省としての判断におきまして、今回、私どもとしては、十分の三に関する配分方法につきましては公開しないということを私どもとして判断したところでございます。
○山川委員 総務省の判断でということは、総務大臣の指示でということでよろしいですか、大臣。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
大臣といいますか、私ども総務省として、役所としての判断をさせていただいているところでございます。
○山川委員 条文を示してください。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
条文につきましては、先ほどから申し上げているとおり、基地交付金を配分するための法律、議員御指摘のとおりでございます。この中の十分の三につきましての配分方法につきましては、米軍から基地交付金の算定のみを目的として提供を受けている情報が含まれておりますので、公開することは困難であるということを御理解いただきたいと考えております。
○山川委員 時間がもったいないんですよ、局長、申し訳ないですけれども。
普通に考えて分かるように、十分の三の部分は総務大臣が配分した額で一定のルールで示すことができると言っていて。ただ、それで皆さん方は国防上の問題があるということで、わざわざ十分の三の法令根拠も示さずに総務省が決めたんだと。中身については分かるんですよ、十分の三の一定のルール。一定のルールの算定根拠がなぜ国防につながるのかという話をしているんです。そこを皆さん方は答えずに、ただ国防上、防衛上と言えば済むと思っているんですか。大臣、答えられますか。いや、大臣、大臣ですよ、これは。大臣、答えられますか。後ろのペーパーを読まないで自分で答えてくださいよ、大臣、こういうのは。
○村上国務大臣 今局長から御説明がありましたけれども、公開することで、米軍から基地交付金の算定のみを目的として提供されている情報や、各基地における米軍及び自衛隊の配備、運用が明らかになるおそれがあるため、防衛省、関係省庁とも相談の上、総務省が公開しないと判断したわけであります。
以上であります。
○山川委員 ありがとうございます。
次に移ります。先島諸島の避難計画について。
今朝報道された、防衛予算の裏金化で、川崎重工が四十億の申告漏れ、追徴課税十億という報道がありました。自民党、政府による金権腐敗政治はやめていただきたい。このような状況が、様々な裏金問題に端を発して、要らぬ議論に時間を費やすようなことになっていて、国民の大事な生活の議論ができていない状況ですよ。そういったことをしっかりと真摯に受け止めながら、政府は答弁に向き合っていただきたいと思います。
防衛予算については後日行うこととして、まず先島の避難計画についてです。
報道によれば、台湾有事を念頭に、先島の島民や観光客約十二万人を六日間かけて山口県や九州各地へ避難、受入れ場所が報道され、国民保護法の救助の実施概要にも記載されているのを読ませていただきました。
まず、この質問をするに当たって政府の皆さんへ。先島諸島の島民が不安とストレスを増幅させながら、なおでたらめな計画を策定し、国家運営がいかにずさんで危機管理能力が乏しいかが露呈したこと、国民、先島の島民の皆さん方がそれを知る機会には、今後も皆さん方は言葉を濁さずに、ごまかさずに、真摯に説明責任を果たしていただきたいと思っているところです。
さて、私の手元にある武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、国民保護法ですが、救援の実施、法七十五条の第一項に関する概要の話です。ページをめくればめくるほど突っ込みどころ満載。その中で、この時間で全てを確認することはできませんので、今後継続して皆さん方に質問していくことを念頭に、質疑に移りたいと思います。
まず、四月四日金曜日、安保委員会のRAA質疑について、中谷防衛大臣が立民の委員の方へこう答えました。いかなる安全保障も国民の納得と理解がなければいけないと答弁をしています。まさにそうなんですよ。そのような防衛トップの考えが先島諸島へどれだけ浸透しているのかというところでは、国民の納得も理解も得られない中、八十年前、敗戦後、沖縄県民の住まいや土地を銃剣とブルドーザーで強制接収されたときのように、先島諸島の土地や住むところを理解も納得もなく、避難訓練と称して同じことを繰り返そうとしているのではありませんか、皆さん方。
主権国家といいつつも、先ほど言ったように、米国の話で公表すらできない基地交付金の話。戦後八十年も従わされ、日本の海も空も地上でもルールが無視されて、事件、事故は止まらず、再発防止策に努めますと言葉だけがそのまま進んでいき、本当にスラム街ですよ、そういったことであれば。そういうことを、悲しい報道ばかりが、沖縄の異常事態を止め切れない、政府の堕落した結果。これまで、日米同盟、日米安保という名の下に沖縄県民は過重な基地負担や米軍属の事件、事故に悩まされ、悲しみ、令和の時代になっても、誠心誠意、南西シフトの配備も全く皆さん方は声を聞いてくれない。与那国島、八重山、宮古島といった先島諸島の島民は不安な日々を過ごしているのを皆さん方は感じませんか。
そういった政府におかれましては、沖縄における基地の負担軽減問題など、日本の真の民主主義、主権国家として本当の意味で変わるきっかけをつくることではないでしょうか。それが、これまで全くと言っていいほど結果を残せず、世界の大国に物も言えない。相手の理不尽な要求に膝を屈して、そのまま受け入れて、この先、戦後八十年、百年後も子や孫にこの不条理な状況を引き継ぐおつもりですか、皆さん方は。政府にはそういったことを強く肝に銘じていただき、初めにまず単純なことから時間の許す限り質問したいと思います。台湾有事を想定した武力攻撃予測事態等において国民の生命、身体及び財産の保護を図ることを目的としているのか、お答えください。
○門前政府参考人 お答えいたします。
今回、沖縄南西諸島の住民の避難計画についてということでございますけれども、特定の有事を想定したものではなく、台湾有事などを想定したものではございません。
○山川委員 それでは、武力攻撃が勃発した際、先島の島民、国民、民間人が乗った飛行機や船が攻撃されない保証が確実にあるんでしょうか、伺います。
○田辺政府参考人 今現在行っております国民保護に関する沖縄県における訓練につきましては、武力攻撃予測事態における避難を想定しており、空路、海路共に航空機、船舶の運用に当たっての安全確保を前提としております。
○山川委員 仮に飛行場や港湾が破壊された場合、どのような安全確保として避難させることができるのか、お答えください。
○門前政府参考人 お答えいたします。
住民避難につきましては、武力攻撃より十分に先立って住民等の広域避難を開始し完了することが、住民等の安全を確保する上で最も重要であると認識しております。
このため、政府といたしましては、住民避難が必要となる場合に努めて速やかに武力攻撃予測事態の認定を行うとともに、国民保護法を適用し、国民保護措置を実施することといたしております。
このため、現時点におきましては、武力攻撃予測事態下において住民避難を完了するための検討、訓練を行っているところでございます。
○山川委員 先ほど、台湾有事を想定したものではない、様々な有事と言われておりましたので、それなら与那国や八重山諸島の島民は沖縄本島より近い台湾へも避難が可能となるような友好関係を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。
○田辺政府参考人 先ほど政府の方から御答弁申し上げたとおり、台湾有事を想定してございませんが、本年一月三十日に国、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力し、武力攻撃予測事態を想定した、先島諸島から九州、山口各県等への住民避難について図上訓練を行ったところでございます。
○山川委員 皆さん方、ちゃんと聞いてくれませんか。台湾有事を想定していない、様々な有事であれば台湾もその避難先となるべきじゃないでしょうかと言っているんですよ。山口、九州の話は分かります。それはさっきも聞いています。また、報道もされています。台湾有事じゃないんですよね。では、台湾も避難先としてあるべきじゃないですか。九州に行く距離と、普通に考えたらその方がいいんじゃないですか、普通は。もういいですよ、皆さん方はどうせ答えられないので。
あと、先島は島外避難、世界一危険な普天間飛行場、嘉手納基地がある沖縄本島は屋内避難となっています。沖縄本島の百四十万県民、どう避難させるんですか、本島のこういったのを。全く書かれていませんよ。屋内といっても、地下もなければ、砲弾が飛んできて建物が崩壊したら意味もない。嘉手納や普天間の機能を止めようとして無数の砲弾が飛んできて狙われた際に、県民の誰一人血を流さない確率が一〇〇%ありますか、今の話で。
そういったことが、武力攻撃予測事態への備えといいますか、攻撃されるような事態を起こさないよう、国民を巻き込むことがないように、国民の生命財産を第一に考える外交こそが、主権国家であり、先ほど福田委員もお話をされていましたが、トランプの関税も含め、アメリカは本当にいざというときに守ってくれると皆さん方は思っているんですか。
冒頭で言い忘れておりましたけれども、れいわ新選組は、徹底した平和外交、同盟国である米国とも対等な立場で、日本のルールに従ってもらい、アジアの近隣諸国とも友好的に、アジアのダイナミズムを取り入れて経済交流の関係をしっかりと構築していく、その考えです。そういった中で、政府の計画は国民を真に保護しようとするような内容になっていないため、国民に信頼がない計画は逆に損害しか生まれません。
台湾有事と言ったことは一度もないと言っておりますが、なぜマスコミへの訂正の謝罪記事を申し出ないのか。それも、一般常識ではそれもありだからと県民は捉えてしまうんですよ。そういったことを踏まえてでたらめ、ごまかしはやめていただきたいと言ったのは、その話です。
日本として、八十年前に唯一の地上戦があった沖縄を再び捨て石にして、抑止力と国防という表現でアメリカ様の言いなりで、有事の先頭に沖縄県民を立たせるような防衛強化をどう理解しろと言っているんですか、皆さん方。武力には武力を、軍事には軍事を増強すれば反社やテロを想像させるようなことにしかならず、それは抑止力ではありませんよ、皆さん。核の傘、虎の威をかるキツネでしかなく、本来の外交や防衛から大きく外れ、次の世代に禍根を残すだけしかありません。平和の緩衝地帯、信頼醸成、コンフィデンスビルディングを構築する徹底した平和外交で積極的に皆さん方には対応していただきたいと思います。
もう時間がありませんので、避難住民等の救援に関する措置、これに対して、後で私のSNSとかでも公表しますけれども、全くでたらめな状況、国民を保護するような話の金額の設定ではありません。そういったこともお伝えしていきながら、あと二分ぐらいしかありませんので、その中で、皆さん方は与那国や八重山、宮古の有事を回避する際に政府が一番やらなければいけないことは何だと思っておりますか。
○田辺政府参考人 政府といたしましては、武力攻撃の発生が回避されるよう、外交を中心とした様々な努力を重ねていくことは当然というふうに考えてございます。
○山川委員 ありがとうございます。
そうなんですよ。過度な自衛隊配備を解除していただいて、島民と約束もしていない弾薬庫を撤去して、防災上の観点で自衛隊員は島民を守る使命、職責を認識させていただく、そして、自衛隊員も誰一人、国民の一人として血を流さない、命を落とさない、そういった、政府は徹底した平和外交で、アメリカの言いなりになることなく、有事で先頭に立つことがないように、国民の命を守っていただきたいと思います。
冒頭で申し上げたとおり、先島諸島の島民の皆さん方、有事が起こらない徹底した平和外交、各省庁が横断的に意識を持っていただければと思います。内閣府そして沖縄総合事務局の在り方を脅かすような防衛省の頭ごなしの各自治体への予算配分も、今後、機会を見て質疑させていただきたいと思います。
また、今日は時間も終わりましたので、これで質疑を終わりたいと思いますが、是非とも真摯に沖縄の問題に対しては向き合っていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○竹内委員長 次に、守島正君。
○守島委員 日本維新の会、守島です。
今日は、予備選挙についてお伺いします。
予備選挙に関して、過去、私は質問主意書を提出させていただいた上で、昨年の予算委の分科会でも質問させていただきましたが、参議院選挙が近づく中、改めて確認します。
もちろん、予備選は政党の候補者を民意に近い形で選ぶ手段として有効だと考えるとともに、与野党という構図においては、政党間で候補者を選択する公平な手段になり得ると考えています。私の主意書の内容は、政党間を超える予備選挙が選挙の事前運動や人気投票の公表禁止という公選法違反に抵触するかどうかというのが主な問いだったんですが、回答を簡潔に言うと、具体の態様によるということでした。改めて、具体的にどういう態様が公選法違反になるのか、簡潔に教えてください。
○笠置政府参考人 今お話がございました、事前運動あるいは人気投票の公表の禁止という規定がございます。
まず、事前運動の禁止でございますけれども、公職選挙法第百二十九条におきまして、選挙運動は公職の候補者の届出があった日から当該選挙の期日の前日まででなければすることができないと規定をされています。御案内のとおりかと思います。
また、百三十八条の三におきまして、何人も、選挙に関し、公職に就くべき者を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならないという規定がされております。
その上で、御指摘の予備選挙でございますが、予備選挙に際して行われる具体的な行為の態様によって、その行為が立候補の届出前に選挙運動が行われたと認められる場合や、公職に就くべき者を予想する人気投票の経過又は結果の公表が行われたものと認められる場合にはこれらの法の規定に該当するおそれがあるということでございまして、個別の事案につきましては、御案内のとおりかと思いますが、具体の事実関係に即して判断をされるということでございます。
○守島委員 今おっしゃるように、個別事案ということで、行為自体がどうかということで、予備選自体が妨げられるということではないので、以下、具体に質問したいと思います。
一番新しい改訂版の「わかりやすい公職選挙法」を読むと、政党が党推薦候補者を決定するに当たり、白紙の状態から総会に諮り、単に決定の方法として予備投票が行われる限り差し支えないとされていて、候補者及びその支持者のグループ内での立候補準備行為であれば事前運動に当たらないとされています。では、例えば政党といったグループの枠を超えた準備行為は事前運動に該当し得るのか、教えてください。
○笠置政府参考人 公職選挙法におきまして選挙運動というのは定義はございませんけれども、一般的に、特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為をいうとされております。
お尋ねの立候補準備行為のお話でございますけれども、立候補準備行為につきましては、候補者及びその支持者のグループ内での内部行為及び選挙運動着手前の手続的な行為と見るべきものでございまして、そうしたものでございますと、特定の候補者の当選を得るために選挙人に働きかける行為ではないということで、立候補準備行為につきましては一般的に禁止をされております事前運動には該当しないとされてございます。例えばでございますが、政党その他の政治団体等におきまして、先ほど委員からもお話がございましたけれども、白紙の状態から推薦候補者を決定することは立候補準備行為と認められるものでございますけれども、予備選挙において具体の、推薦候補予定者というか立っている人への投票を依頼するような行為の態様でありますとか、その結果を外部に発表、宣伝する態様によっては選挙運動と認められるおそれがあるということでございます。
個別の行為につきましては具体の事実関係に即して判断をされるということでございます。
○守島委員 ありがとうございます。
個別の行為次第ということなんですが、今確認したのは、政党内の準備行為は大丈夫というのは理解しました。複数政党が例えば相乗りして首長を公募で世調を使って選ぼうというときとかはどうなるのかというと、例えば準備委員会みたいなものをつくったら、そのグループの内部行為になるのかどうか。若しくは、枠組みとか形式にとらわれず、政党間とか政党を超えたということにとらわれず、内部行為としての準備行為であれば事前運動に該当しない、あくまで投票依頼とか直接の選挙運動にかからなければ準備行為とみなされるのかどうか、教えてください。
○笠置政府参考人 政党等におきまして白紙の状態から推薦候補者を決定することは立候補準備行為として一般的には禁止される事前運動には該当しないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
お尋ねの予備選挙の実際の中身とか第三者機関とかいったようなものがどのようなものか承知をしておりませんけれども、いずれにしましても、一般論として申し上げますと、そういった行為が政党などにおける内部行為で立候補準備行為と認められる場合には禁止される事前運動には該当しませんが、行われる行為の態様、時期、方法、内容、対象等によっては選挙運動と認められるおそれは出てこようかと思います。
○守島委員 なので、内部行為ということであれば、政党内か、政党を超えて政党間ということは余り関係なくて、実際の選挙運動にかかるかどうかというのが問題というのが今の回答から得たことかなというふうに思っています。
次に、人気投票の公表禁止に関して、先ほどおっしゃられたように公選法第百三十八条で何人も人気投票の経過又は結果を公表してはならないとあるんですけれども、その上で確認です。
世論調査の手法を使うことに関して、選挙関係実例判例集によると、一、ランダムに作成した電話番号にオペレーターが架電し意見を聞けば人気投票には該当せず、二、自動音声で架電すれば人気投票に該当するとあったのですが、これは何ででしょうか。人が聞けば人気投票じゃなくて、自動音声で聞けば人気投票になる理由を教えてほしいのと、ということはネットによる世論調査を使っても人気投票に当たるのかどうか、教えてください。
○笠置政府参考人 公職選挙法第百三十八条の三に規定をされてございます人気投票の投票につきましては、通常ははがきですとか紙片等に調査事項を記載する方法によるものでございますけれども、必ずしもそれらに限られませんで、その形式が投票の方法と結果的に見て同じである場合には該当するものと解されてございます。したがいまして、電話やインターネット上で回答を選択させるような方法につきましては投票の方法に該当するということでございます。
一方、オペレーターが電話をかけて口頭で回答を聞き取るといった方法につきましては投票の方法に該当しないということにされておりまして、そうしたことから口頭で回答を得る方法については人気投票の禁止の対象外ということでございます。
○守島委員 分かりましたか。世調とか電話をかけて番号を選択してぽちっと押す行為が投票になるので、みんなが聞いた声を集めることは別に投票ではないんです。選択する作業が投票ということで総務省は理解しているということを御認識ください。
そうなれば論点が幾つか出てきまして、私は三つにまとめさせていただきました。世調も人気投票に該当するとした上では、一つ目は、そもそも予備選挙というものが公選法上の特定の選挙にかかる選挙としてみなされるのか否か。二つ目は、予備選挙が公選法上の特定の選挙にかかるものとみなされたとしても、それは立候補準備行為とみなせるか否か、また、準備行為とみなされた場合に世論調査での選定結果を公表してもいいのか。三つ目は、予備選挙が準備行為とみなされた場合でも、世調の公表は駄目だけれども、取扱いとか見せ方次第で公表とみなすか否かが変わるのか。こうした論点が出てくると思っています。
この論点整理のために聞きますが、過去において、二〇二一年の富山市長選挙で自民党が内部候補の予備選挙を行いました。このときは、党員の投票だけでなく世調の結果もポイント化し、かつそれを公表したのですが、これは何ら違法となっていません。先ほどの論点を踏まえて質問します。まず、自民党の予備選挙は特定の選挙にかかっていないので世論調査を公表してもよかったのか。まとめて質問させていただきます。また、この予備選挙は特定の選挙の準備行為なので世調の結果を公表しても問題なかったのか、教えてください。済みません、二問まとめて。
○笠置政府参考人 今、富山市長選挙ということでございまして、総務省としては、個別の事案につきましては実質的な調査権を有してございませんで、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
一般論としてということでございますけれども、事前運動の禁止について申し上げますと、特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得るために直接又は間接に必要かつ有利な行為、すなわちこれが選挙運動でございます。この選挙運動を立候補の届出前に行う、こういったことは禁止をされているわけでございます。一方で、そうした選挙運動と認められないというものでございました場合には公職選挙法上事前運動として制限されるものではないということが一つございます。
また、人気投票……(守島委員「準備行為であったら世調を公表してもよいか」と呼ぶ)立候補準備行為かどうかということでございますけれども、これも一般論ということでございますが、政党等において白紙の状態から推薦候補者を決定するといったことが立候補準備行為として一般的には禁止される事前運動に該当しないということにされておりますが、実際に予備選挙において個々の関係者が具体的に行う行為の態様によっては、その行為が選挙運動と認められるおそれはあるということでございます。
個別の事案が公選法の規定に該当するかどうかというのは、委員御案内のとおり、具体の事実関係に即して判断されるということでございます。
○守島委員 富山の例を出したんですけれども、それもちょっと答えられないということで、一般論で言ったけれども、一般論でもなかなか明確な答えはなかったんですが。富山の場合は例えば結果の公表の仕方がポイント化されてほかの評価と複合的に評価されていたので、だから公表しても問題はなかったのかということが気になるんですけれども。
一般論としてでいいです。準備行為として認められても、世論調査の公表をしてもいいのかどうかが分からないけれども、世論調査の取扱いの仕方次第では公表とみなされないこともあるのかどうかという点で、見解をお聞かせください。
○笠置政府参考人 百三十八条の三で禁止されておりますのは、公職に就くべき者を予想する人気投票の経過及び結果を公表することでございまして、ここで公表といったものは不特定又は多数人の知り得る状態に置くことをいうということで、その手段、方法というのは問わないということでございます。
また、人気投票といった、先ほど実例の紹介がございましたけれども、そちらにつきましては、仮に人気投票に当たるものを行ったとしても、その経過や結果を公表するのではなくて、他の取材でありますとか他の調査、人気投票に当たらないような調査、そういったものなどにより得た情報も勘案、加味して情勢等を明らかにするというものであれば、直ちに百三十八条の三に抵触するというものではないということでございます。
○守島委員 るる質問しましたが、結局、具体の事実関係に即して判断されるというもので、予備選挙自体が特定の選挙にかかるのか、若しくは立候補準備行為としてみなされるのか、また立候補準備行為における人気投票の公表の取扱いはどうなっているのかというのは判然としないということは分かりました。
話を総合すると、予備選挙が特定の選挙に該当したとしても、政党やグループを超えても、統一の候補者を選ぶ内部行為とみなされれば立候補準備行為として事前運動には当たらないという理解だと思います。人気投票を行った際の取扱いに関しては留意しないといけないというのが今日聞いたところでのポイントかなというふうに思っています。
質問しようと思ったんですが、時間がないので、予備選挙における公選法違反の事例を確認しようと思ったんですけれども、過去の質問では知る限りはないということで、予備選挙という定義が分からないので明確には回答できないけれども総務省が知る範囲ではないということだったんですね。
ちなみに、維新の会では、内部候補を選ぶ際に、近年では大阪市長選挙、衆議院選挙、参議院選挙ということで予備選挙を活用しています。それは手続やコストも含めた総合判断で公選法を意識して党内の特別党員、一般党員の投票により選ぶ方法を取っており、結果は票数も含めて公表しています。いわゆる内部行為として準備を行ったプロセスを公表しているわけです。
しかし、実際に我々の予備選挙も含めて過去に違反事例がないことを踏まえると、予備選挙は特定の選挙における候補者の当選を目的とした行為ではないとしても、候補者を選ぶ準備行為なので事前運動には当たらない。また、準備行為として活用した結果を発表しても違反という事例はありませんでした。もちろん、実施する上では実際に公選法違反とならないよう、内部の準備行為とみなされる手続であったり発表の仕方などを意識してルールを設定することが重要なんですが、そうした点に留意すれば世調を用いた予備選は妨げられるものではないという理解をします。
ちなみに、今日の質問は、今維新と立憲さんが予備選を検討しているからだけではなく、これからの時代、よりオープンな形で候補者を政党間とかで選んでいく必要があるということを踏まえるとこうした公選法の考えを整理しておくのが大事という認識の下、るる確認させていただきました。
今回の質疑がより公正な候補者選定につながるよう期待いたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、藤巻健太君。
○藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速質問の方に入らせていただきます。
先週月曜日、フジテレビの問題について第三者委員会の調査報告書が公表されました。調査報告書ではフジテレビについて、人権意識が低く、セクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質であると断罪しております。先ほども大臣は言語道断と申しておりましたが、国民の財産たる電波を使用して、極めて公共性の高いフジテレビがこのような指摘を受けるのはゆゆしき事態だと考えております。
放送免許の更新は五年に一回で、前回は二〇二三年の十月にフジテレビにも放送免許が再び交付されております。中居氏による業務の延長線上における性暴力が行われたのは二〇二三年の六月ですから、僅かその四か月後でございます。人権意識が低く、セクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質であるフジテレビに放送免許を交付したのはなぜなんでしょうか。人権意識が低くても放送免許は交付されるということでよろしいのでしょうか。
○豊嶋政府参考人 放送に関する免許につきましては、放送法及び電波法に基づきまして審査した上で免許をしているものでございます。
しかし、今委員から御指摘がありましたフジテレビの事案につきましては、誠に遺憾ということでございまして、四月三日付で総務大臣名により必要な行政指導を取ったところでございます。
○藤巻委員 国連ビジネスと人権作業部会が二〇二四年に国連人権理事会に提出した報告書の中で、日本のメディア、エンターテインメント業界について、放送局などの主要企業は人権尊重責任を果たしていないとしています。第三者委員会の報告の中でも、メディア、エンターテインメント業界においてセクハラが行われてもここは芸能界だからという加害者の甘えがまかり通ると述べられています。放送業界、芸能界、明らかにおかしいと私は思います。ほかの業界と比べて感覚が明らかに乖離しているというふうに考えております。芸能界、放送界、闇が深過ぎるんじゃないかと私は思うんですけれども、大臣、お考えをお聞かせください。
○村上国務大臣 まさに藤巻委員のおっしゃるとおりでして、昨今こういう不祥事が相次いで起こってとどまるところがない。そういうことで、御指摘の放送業界であれ、芸能界であれ、企業等の事業活動を行う主体には、その業種に関係なく人権を尊重する責任があると考えております。
その上で、総務省が所掌している放送業についてお答えしますと、放送法は、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図るという目的の下、放送事業者による自主自律を基本とする枠組みとなっています。
今回のフジテレビの事案はこうした放送法の自主自律の枠組みを揺るがすものであり、放送法の目的に照らして極めて遺憾であると考えています。
放送事業者におきましては、放送の公共性や言論報道機関としての社会的責任を有するがゆえに他業種に与える影響の大きさも踏まえまして、社会的、道義的責任を自覚して、人権尊重、コンプライアンス、ガバナンスに関する施策の実効性を確保するように取り組んでいただきたいと考えています。
先ほども申し上げましたけれども、今回、私は両社に対しまして「なお、再発防止に向けた取組が十分でないと認められる場合には、貴社が真摯に取り組むよう必要な措置を求めることがあることを申し添える。」と述べております。つまり、今までのように同じようなことが繰り返されたときはそういう簡単な話ではないということを御理解いただきたいと思います。
○藤巻委員 例えば、反社会的勢力との関わりについても、放送業界、芸能界は緩過ぎるんじゃないかというふうに考えております。例えば、金融業界に目を向ければ、銀行の取引約定書では、役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有していないことを確認することが必須化しています。銀行の大口重要取引先が反社会的勢力と密接な関係にあったら、金融庁も黙っていないと思います。
では、放送業界、芸能界はどうでしょうか。二〇一九年に吉本興業による闇営業問題が発覚しました。これは、吉本興業に所属する多くの芸人が反社会的勢力の会合に参加し、金銭を受領していたというものです。吉本興業は、言うまでもなく放送局の大口重要取引先です。放送局の大口重要取引先に反社会的勢力と密接なつき合いがあったわけです。放送局の監督省庁である総務省はこのとき、反社会的勢力と密接な関係にある企業と取引をしてはいけないというような行政指導などを放送各局にしましたでしょうか。
○豊嶋政府参考人 御指摘の事案に関しまして、総務省から放送事業者に対する行政指導等は行っておりません。
○藤巻委員 では、フジテレビで放送していた「テラスハウス」という番組、この出演者が亡くなったことに対してBPOは、出演者の精神的な健康状態に対する配慮が欠けていた点で放送倫理上の問題があったと見解を出しております。このとき、監督省庁である総務省はフジテレビに対して何かしらの行政指導又は処分などをしましたでしょうか。
○豊嶋政府参考人 ただいま御指摘いただきました事案に関して、総務省から放送事業者に対し注意等の行政指導は行っておりません。
○藤巻委員 それでは、今度は、旧ジャニーズ事務所のときはどうだったでしょうか。旧ジャニーズ事務所の中では、社長であるジャニー喜多川氏により、所属する子供たちに対して性暴力が繰り返されていました。到底許せないことであります。
言うまでもなく、旧ジャニーズ事務所は放送局の重要大口取引先であります。放送局の重要大口取引先の社長が所属する子供のタレントに性暴力を繰り返していたわけですが、この事実が発覚したとき、放送局の監督省庁である総務省は、子供に性暴力を繰り返すような人物が経営している企業と取引をしてはならないというような、人権意識を高く保つような行政指導を放送各局にしましたでしょうか。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
今御指摘のあったような、総務省から放送事業者に注意する等の行政指導等は行っておりません。
○藤巻委員 「テラスハウス」の問題は高い人権意識があれば防げたかもしれませんし、吉本興業や旧ジャニーズ事務所の問題は、放送各局が取引先に対し取引停止も含めた毅然とした対応をしていれば防げたかもしれません。
ここでは詳細に触れませんけれども、二〇一四年にフジ・メディア・ホールディングスが外資規制違反をしたときも総務省は大臣に報告せず、当時は事実も公表しませんでした。外資規制違反をしても、精神的な健康状態に対する配慮が欠けており番組出演者が亡くなっても、重要大口取引先の社長が所属の子供のタレントに性暴力を繰り返していても、あるいは重要大口取引先が反社会的勢力と密接につき合っていても放送各局には行政指導も処分もなし。今まで地上波テレビ局においては放送免許の取消し、再免許が付与されなかったことがないことからも分かるように、放送免許は五年に一度、ほぼ自動的に交付されます。
そんな中、それで総務省は監督省庁としての任を果たしていると果たして言えるのでしょうか。放送業界の闇、芸能界の闇は総務省と放送局のなれ合いの緩い関係の延長線上に生み出されてしまったのではないでしょうか。大臣、違いますか。
○村上国務大臣 正直に申し上げて、私はその当時はこの任になかったので言及する立場にはなかったですが、まさに委員のおっしゃることは的を射ていると思います。
総務省は、総務省設置法に基づいて放送業の発達、改善及び調整に関することを所掌しております。
このため、総務省において放送事業者の何らかの問題を確認し、放送法の目的に照らし遺憾な点を認めたときなどは、個別具体的な状況に即して必要に応じ注意する等の行政指導を行ってまいりました。
今回のフジテレビ等の事案は、放送事業者及び認定放送持ち株会社として本来有すべき放送の公共性や言論報道機関としての社会的責任に対する自覚を欠き、広告によって成り立つ民間放送事業の存立基盤を失いかねないばかりか、放送に対する国民の信頼を失墜させたものであると考えております。これは放送事業者による自主自律を基本とする放送法の枠組みを揺るがすものであり、放送法の目的に照らし極めて遺憾であることから、厳重注意するに至ったものであります。委員お尋ねの過去の事案とは放送事業者等にとっての道義的、社会的責任がある程度異なると考えております。
今回の事案で総務省が行った行政指導においてフジテレビ及びフジ・メディア・ホールディングスに対して、再発防止策の具体化については四月中に、その実施状況については三か月以内にそれぞれ総務省に報告することを求めたところでありまして、総務省としては、両社の対応状況をしっかり確認して適切に対処してまいりたいと思いますし、私が在任中は、今までのような状態ではまずいと思うので、一生懸命監視していきたいと考えております。
○藤巻委員 是非監視等々をしっかりと強い気持ちを持ってやっていただければ、こういった問題をもう二度と起こさないようにしていただければと思っております。
今回の件の発端となるホテルのスイートルームでの飲み会の費用約三十八万円、これはホテル代や飲食費なんですけれども、これがロケ等施設使用料としてフジテレビの経費として計上されています。実際はロケなんて全くしていないわけでありますが、国民の財産たる電波を使い、得た収益の中から高級ホテルのスイートルーム代やシャンパン代を使って、更に納税すべき法人税を減らしているわけです。
これが税法上適切なものかは一義的には国税が判断するところでありますが、不正会計とも言えるものだと思います。状況から推察するに、この会計処理は今回の一度きりというわけではない可能性が高いことが予測されます。国民の財産たる電波を使った極めて公共性の高い企業がこのようなずさんな会計処理をしていいのでしょうか。このような会計処理をしている企業であっても総務省は放送免許を与えるということでよろしいのでしょうか。
○豊嶋政府参考人 まず、お尋ねの件につきましては、フジテレビの清水社長が三月三十一日の会見で、都内のホテルで開かれた会合の経費をフジテレビが支払っていたということで、極めて不適切な経費申請だったというふうに判断しておりますという発言をしているというふうに承知しております。
この点に関しまして、三月三十一日に同社が公表した「フジテレビの再生・改革に向けて」におきましては、経費処理に関する全社的ルールの明文化、不適切な経費処理を防止、検出しやすいシステムの導入、不適切な経費処理事案に対する処分の厳格化など、経費管理におけるチェック機能の見直しを進める旨が発表されたというふうに承知しております。これらの取組を着実に実施し、再発防止と信頼回復に努めていただきたいと考えております。
総務省としましては、先ほど大臣からも答弁がございましたが、四月三日付の行政指導におきまして、具体的な対策について四月中に報告をすること、並びにその実施状況について三か月以内に報告をするということを求めておりまして、これらの点も含めましてフジテレビにおける対応というものをしっかり注視してまいりたいと考えております。
○藤巻委員 最後に一問、日枝前会長です。先日、日枝氏のフジ・メディア・ホールディングス取締役相談役、フジテレビ取締役退任が発表されましたが、国民の財産たる電波を使った極めて公共性の高い企業にここまで大きな影響を及ぼし、今の企業体質をつくってしまった日枝氏に説明責任はないのでしょうか。公の場に出てきて説明責任を果たすべきというふうに考えますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
○村上国務大臣 第三者委員会の報告書におきまして、フジテレビの企業体質は日枝氏だけではなく同社の役職員全員の日々の言動から形成されたものと記載されていると承知しております。
いずれにしましても、説明責任の果たし方についてはフジテレビにおいて適切に判断し対応してもらいたい、そのように考えております。
○藤巻委員 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、向山好一君。
○向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。よろしくお願いいたします。
アメリカ・トランプ政権による相互関税発動以降、株価が大幅に下落するなど日本経済を直撃し、国民生活に今深刻な影響を与えております。そのような中、先週末、自民党、公明党、そして私たち国民民主党の三党幹事長間で、六月から来年の三月までガソリン価格を一定額引き下げることで合意いたしました。その額というのが若干、十円とか報道がありますけれども、それを含めてその方法なりスキームなりは今後検討ということでございます。
私は、この委員会で軽油価格の引下げにつながる当分の間税率の廃止を何度も訴えてきた関係から、この三党合意には軽油が含まれるのかどうかということも確認させていただきたいと思っているんです。当面は緊急対策として補助金での対応というのも十分考えられますけれども、そういう意味で経産省はこの三党合意に軽油価格というのも引き下げるということを同時に行おうとしているのか、その方向性について確認いたします。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、燃料費の激変緩和事業でございますけれども、あくまで一時的、緊急避難的な対応として実施をしているものでございます。昨年秋に閣議決定した経済対策におきまして、国際的な脱炭素の流れ等も踏まえ、出口に向けて段階的に対応するとしているところでございます。現在、ガソリンの小売価格につきましては、全国平均でリッター当たり百八十五円程度となるよう支援を継続してございます。軽油につきましても、足下でリッター当たり六円程度補助をしているところでございます。政府としては、今後については原油価格などの状況を丁寧に見定めながら適切に対応してまいります。
なお、先般の自由民主党、公明党、国民民主党の三党の幹事長会談におきまして、ガソリンの暫定税率について税制改正での実施は法改正が必要であるため速やかに実施することは難しい、補正予算ということではなくガソリン補助金を活用し定額で引き下げる方向で検討する、具体的な方策は引き続き検討するという話があったものと聞いてございます。具体的な検討は引き続き三党の協議の中で行われていくものと承知をしているところでございます。
○向山(好)委員 今後の話の中で、今まではおっしゃったように補助金もガソリンと軽油を同時にやっていらっしゃるので、今後の追加的な緊急の物価対策による補助金、これは是非とも軽油も含まれるということを前提にしていただかなければこれまでの制度と全く逆行する話なので、是非ともそれは入れていただきたい、それを経産省もしっかりと認識していただいて取り組んでいただきたいということをお願いして、次の質問をさせていただきます。
次は、郵便代についてお伺いいたします。
昨年十月に、通常はがきの郵便代が六十三円から八十五円、そして定形の封書で郵便代が八十四円から百十円、平均して三〇%値上げされました。これは皆さんも同じだと思うんですけれども、ちょうど去年の十月といったら私たちは総選挙の最中というか直前でございまして大変な思いをしたんです、値上げによって。ですから、九月末までにできるだけ郵送物を出しちゃえとか、本当にいろいろな対応をいたしました。正直言って、コストが本当にきつかったんですね。郵便代というのは、そのときに感じたのは、国民生活、特に法人営業に大きな影響を与えるということを痛切にそのときは感じました。
この値上げの要因は郵便物の減少による赤字の解消ということですが、値上げによって二〇二五年度は黒字化する、しかし二〇二六年度は再び赤字に転じて、その額が四百億円、そして年を追うごとに赤字幅が広がるというふうに総務省は試算されております。この郵便代は、郵便法第三条の、郵便に関する料金は郵便事業の能率的な経営の下における適切な原価を償い、かつ適正な利潤を含むものでなければならないとの規定に沿って設定されております。となると二年後ぐらいには収支相償の関係から再度値上げしなくてはいけなくなるのではないかと思いますけれども、そういった解釈でよろしいんでしょうか。
○牛山政府参考人 お答えいたします。
郵便物数の減少や燃料費等の高騰の影響などにより郵便事業の収支が悪化したことを受けまして、二〇二四年十月に郵便料金の引上げが行われたところでございますが、その検討過程では、委員御指摘のとおり、今回の引上げを行った場合であっても二〇二六年度以降に郵便事業が再び赤字となるような試算を行ったところではございます。
現行の郵便法第三条におきましてはいわゆる郵便事業における収支相償を規定しておりまして、仮に郵便事業において継続的に赤字が発生し、現行の郵便料金では能率的な経営の下においても適切な原価を償い、かつ適正な利潤を含めることが困難となる場合には郵便料金の再度の引上げが求められることになると考えております。
○向山(好)委員 結局、私の解釈どおりのものになりそうな雰囲気が今あるんですけれども、ここで、先ほど申しましたように、郵便代というのを値上げすることは国民生活に相当な影響を与えるんですね。ですから、再度の値上げというのは是非とも避けてほしいと思いますし、避けなければいけないんじゃないかと思います。今、ペーパーレスとかあるいはSNS等の発達で郵便物が減少することは避けられない、こういった環境というのはよく理解します。しかし、そのことによって値上げがされて更に郵便物が減って、更に経営が悪化するという負のスパイラル、これは誰も得をしないんですよ。
現在、総務省で郵便料金政策委員会というのをつくられて郵便料金制度の見直しを議論されている最中ですけれども、料金の上昇を抑えるために郵便法第三条の収支相償制度を見直さざるを得ないということなのか、あるいは、これを変えないで、ほかの経営改善の工夫で抑えられるということを考えられておられるのか。この委員会での議論の方向性というのを伺います。
○牛山政府参考人 お答えいたします。
現在、情報通信審議会の下に設置されました郵便料金政策委員会におきまして、郵便事業における収支相償の在り方を含めた、郵便料金に係る制度の在り方などについて御議論をいただいているところでございます。
これまで、同委員会におきましては、郵便事業における収支相償の規定を見直し、料金改定の要否について日本郵便の判断の余地を拡大する方向で検討を行うことが望ましいといった御議論もいただいているところではございますが、最終的には本年夏頃を目途に答申を取りまとめていただく予定となってございます。
総務省としても、答申の内容を踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
○向山(好)委員 夏頃まで時間があるから、じっくり議論していきたいということでございます。しかし、今の現状の経営環境、賃上げはしっかりやっていかなければいけませんし、物価は更にまた上がっていくというような予想でございまして、郵便事業だけで収支を改善していくというのは誰が見ても限界があるんじゃないかというふうにも思います。
電気代、これも二〇一六年でしたかね、総括原価方式というのをしっかり見直して、自由化とともに料金制度というのを見直したという、ほかの公益事業もございます。そういったことをしっかりと議論していかなければいけないんじゃないか、郵便事業以外の収支も含めて支えることというのも視野に入れないといけない時代になってきているんじゃないかというふうに思っています。是非ともそういった御意見というのも参考にしていただきたいと思いますし。
それと関連することを一つお聞きしたいというふうに思います。他の物流企業との連携の話なんですけれども。
日本郵便も経営改善のためにJPビジョン二〇二五プラスを発表し、経営改善に着手をされておられます。その中でヤマトあるいは佐川といった他の物流企業との連携強化を挙げておられますけれども、年末に提携先のヤマトを日本郵便が提訴する出来事も起こっておりまして、先ほど申しましたようなことと真逆の方向に向かっているようにも映っておるんです。日本郵便の他企業との連携の失敗はこれまでも度々起こっております。見立てや戦略が甘いのではないかと感じておりますけれども、そういった辺りを総務省はどういうふうに感じていらっしゃるでしょうか。
○村上国務大臣 向山委員にお答えいたします。
日本郵便とヤマト運輸との訴訟については、係争中のため、コメントは差し控えさせていただきます。
その上で、日本郵政グループの中期経営計画、JPビジョン二〇二五プラスにおいては、他企業との連携などを通じて物流分野の収益拡大を図るとしておりまして、現在ヤマト運輸以外の様々な物流事業者とも連携を進めているものと承知しております。
総務省としましては、日本郵便の令和七事業年度事業計画の認可の際、具体的な収益改善策について、その進捗状況などを報告するように要請したところであります。日本郵便が他企業との連携などを通じて競争領域である物流分野での収益力強化を図っていくことを期待している次第であります。
以上であります。
○向山(好)委員 総務大臣の御期待感、それにちゃんと応えていけるかどうかというのをやはり総務省、大臣もしっかりフォローしていただきたい、このように思います。
先ほどからの他の物流企業との連携の実績、余りいいニュースを私も聞いていないんですよ。今のヤマト、佐川という話とは別に、日通のペリカン便とか豪州のトールという企業、あるいはトナミ運輸とか、いろいろと連携やらあるいはMアンドAをしかけておりますけれども、全て成功しているとは言えなくて、逆に失敗していることが多いんですよね。そういったことは一体どこから来ているのか、日本郵便の経営戦略とは一体何なのかということを疑わざるを得ないんですよ。ですから、そういった辺りをしっかりと、監督官庁の権限を持っていますから、指導もしていただきたいと思いますし。
もう一つ、今議論されているというふうにうわさを聞いていますけれども、日本郵政の株の配当金、年間六百五十億円あるというふうに聞いていますけれども、それを原資として郵便事業を財政支援していくというようなことも聞いています。だけれども、それは先ほど申しましたような経営改善をした上での話でなければ国民の理解が決して得られないというふうに思いますので、是非ともそういうふうに考えていらっしゃるんだったらまずそこから手をつけていただきたい、このようなことも申し添えたいというふうに思います。
それと関連して、日本郵政グループのガバナンス、このことについても質問させていただきます。
日本郵政グループは、ガバナンスの甘さを露呈する事件が最近相次いで起こっております。最近も、郵便局での顧客情報がかんぽ生命保険に不正流用されるなど、金融商品の営業のためにリスト化した顧客数は延べ一千万人分に拡大したとのことです。国の認可前に保険商品を販売、勧誘していた事例も発覚するなど、不祥事が相次いでおります。多少の無理をしてでも成績を上げることが過度に求められているのではないかとの指摘があり、この声は現場の方からも聞いております。上から言われたらやらざるを得ないし、パワハラまがいの発言もあるというふうに聞いております。そうせざるを得ない風土、これが非常に大きな問題だというふうに思います。
そこで、また大臣にお聞きしますけれども、郵政グループの管理監督権を持つ総務省として、ガバナンス機能の強化、内部統制や監査、リスク管理に関し一歩踏み込んだ対策や指導が今本当に必要じゃないかというふうに思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
○村上国務大臣 委員の御指摘の面が多々あると思います。
日本郵政グループでは、過去の不祥事を踏まえガバナンスの強化に取り組んできたにもかかわらず、依然として不祥事が相次いでおります。大変遺憾に思っております。
御指摘の郵便局における非公開金融情報などの不適切な利用については、日本郵政グループにおいて、数字での競争意識が強い組織風土であったことなどがその発生原因だと分析されております。また、再発防止策として、社員研修や社員の評価方法の見直しなどに取り組むこととしていることと承知しております。
組織風土の改革はなかなか、委員も御承知のように一朝一夕に実現できるものではありませんが、長期的な取組や経営層のリーダーシップが重要だと考えております。このため、総務省におきましては、日本郵政及び日本郵便の令和七年度の事業計画認可に際し、コンプライアンスの向上やガバナンスの強化について要請を行っております。
同様の事案が再び生ずることのないよう、日本郵政グループが一丸となって国民や利用者の信頼回復に向けた取組を進めることが求められていると思っております。総務省としましては、同グループの取組状況について確認を行いながらしっかりと監督していきたい、そのように考えています。
○向山(好)委員 是非ともお願いいたします。
今回の不祥事の責任の取り方というのが、日本郵政と傘下の三企業のトップの方々が減俸されるということなんですね。大体二〇から二五%を三か月ということで。それは本当に責任を取っていることなのかと疑わざるを得ないところがあるんですね。三か月たったら、また元のさやに戻っちゃうということですから。そういったことも含めて、是非とも、大臣、御指導をよろしくお願いいたします。
次に、海底ケーブル、このことについてお伺いいたします。私、委員会で前も偏在化の話をさせていただきましたけれども、今度は維持管理ですね、安全保障について質問いたします。
日本近海の海底ケーブルは、日本の国際通信の九九%を担う重要インフラであります。と同時に、アメリカとアジアの中間に位置するという島国としてのデータハブ、こういった重要な役割も担っております。しかし、最近、台湾周辺で海底ケーブルの切断事故が相次いで起こっており、中国当局の関与も疑われております。今総務省は海底ケーブルの安全保障として陸揚げ局の分散化を進めようとされておりますけれども、今後、意図的な切断も含めた法整備というのが十分なのかどうか、こういうことが懸念をされております。
現在、領海内では電気通信事業法や有線電気通信法で損壊行為は処罰の対象となっておりますが、問題は領海外、EEZあるいは公海での対応だというふうに思います。我が国には、海底電信線保護万国連合条約罰則、難しい名称ですけれどもそういう規定がありまして、この規定では、いわゆる旗国主義に基づいてEEZや公海で日本企業が所有するケーブルを切断した場合は処罰されるというふうにお聞きしておりますけれども、そのとおりでよろしいんでしょうか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘がございました海底電信線保護万国連合条約罰則におきましては、日本を含む海底電信線保護万国連合条約締結国にその一端が陸揚げされている海底ケーブルを損壊する行為等のうち、日本の領海外での日本船籍の船による損壊行為に対して適用されるものというふうに承知しているところでございます。
○向山(好)委員 ということは、他国籍の船舶、例えば中国の漁船であったり貨物船が日本所有の海底ケーブルを損壊した場合は何ら処罰の対象にもならないということだと思いますけれども、一方で、例えば中国の法律の中で、例えば日本船とか、中国船以外の船舶が海底ケーブルを損傷した場合は処罰の対象になるという法律が諸外国ではあるんでしょうかね。その辺を確認させていただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
国連海洋法条約では、いずれの国も自国を旗国とする船舶等が公海にある海底ケーブルを損壊した場合にこれを犯罪として処罰するための法令を制定することを規定しており、各国はこの規定に基づき必要な法整備を行うことが想定されているところでございます。
その上で、日本政府として現在諸外国の法整備の状況を網羅的に把握しているわけではございませんが、例えば豪州やニュージーランドは海底ケーブルの防護に関する国内法を整備していると承知しております。また、今委員御指摘のあった中国においては、海底ケーブル・パイプライン保護規定等の海底ケーブルに関する国内規定が存在するものと承知しております。
○向山(好)委員 最後の部分は聞き取りにくかったんですけれども、中国はそういった法律というのが整備されているということなんでしょうか。もう一遍お答えいただきたいのと、あわせて、日本国としてそういった議論というのをやる必要があるというふうに思っていらっしゃるのか、あるいはそういったことをやはり諸外国と、枠組みをちゃんとつくっていくような外交交渉というのをやっていらっしゃるんでしょうか。その辺りはどんなことになっているんでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
我が国としては、例えば本年三月の海洋安全保障及び繁栄に関するG7外相宣言において改めて海底ケーブルの強靱性向上の必要性を確認したことを始め、様々な形の意思疎通や共同声明の発出を通じて海底ケーブルの安全性や強靱性の確保に向けた取組を進めてきているところでございます。例えば、昨年九月の海底ケーブルに関するアメリカ主催有志国会合の機会に発出されたニューヨーク原則においては、冗長性を踏まえた海底ケーブル敷設や必要に応じた代替ルートの検討が推奨され、国際連携の重要性が確認されたところでございます。
政府としても、引き続き、関係省庁、産業界と協力しながら、G7を始めとする同志国とともに、強靱な海底ケーブル網の構築に向けた国際連携をより進めていく考えでございます。
○向山(好)委員 台湾有事の話が少し前に質問もありましたけれども、そういったことが起こった場合、まずターゲットになるのは通信網、これはもう世界の常識ですから。そこの中でやはり海底ケーブルというのが非常に重要なインフラになっているということがあるならば、ターゲットに最初になるということを想定した対応、そしてなおかつ法整備、こういうものが本当に必要になってくるというふうに思います。
今、民間の企業と合わせてという話で、特に日本国はNECが非常に重要な技術を持って実績もございます。そういったことをしっかりと保護するためにも今外務省がおっしゃったようなことをもっと強力に進めていただきたい、このように思っております。今のNECの話というのはこれからも非常に重要なので、今日は時間がございませんので次にまた議論をさせていただきたいと思いますけれども、しっかり日本の通信を守り、あるいは適正に経済活動ができるように、海底ケーブルの整備、しかも維持管理というのはこれからますます重要になってきておりますので、しっかり総務省さんも含めて各省庁で横断的にそのことについて取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、女性嫌悪と言われるミソジニーを背景にした暴力や脅迫、それらに対する政府の認識と対応などについてただしてまいります。
我が党の吉田紋華三重県議が津市役所のトイレに生理用品が設置されていなかったことに触れ、トイレットペーパーみたいに生理用ナプキンをどこにでも置いてほしいとXで投稿したところ、多くの共感が寄せられる一方で、誹謗中傷も多数書き込まれました。そして、三重県の議会事務局に「いい歳して非常用ナプキンを持ち歩かない吉田あやか議員を殺害します!」という文言のメールが同じアドレスから一分置きに八千件超が送信されました。今も断続的に続いているということであります。
日本共産党の三重県委員会にも送られてきている大量の脅迫メールの文言は、ここで紹介するにははばかられるほどひどいものであります。病院や法律事務所などのメールアドレスを乗っ取って成り済まして送りつけているということでありまして、卑劣でひきょうな犯罪行為と言わなければなりません。
村上大臣、地方の議員が公共施設に生理用ナプキンの設置を求めて殺害予告される、余りにも異常ではありませんか、いかがですか。
○村上国務大臣 御指摘の件は報道により承知しております。
一般論として申し上げれば、表現の自由の下、主張は自由に行われるべきものでありますが、主張の是非にかかわらず、人を傷つけるような誹謗中傷は許されないと考えています。
総務省におきましては、今年の四月一日に施行された情報流通プラットフォーム対処法の適切な運用に取り組み、引き続き、インターネット上の誹謗中傷等の違法、有害情報の対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○辰巳委員 続けて、男女共同参画を担当する副大臣、異常じゃないですか。
○辻副大臣 お答えします。
現在、警察においても捜査が進められているものと承知しております本件については、一般論で御容赦願えればと思うんですが、こうした卑劣な行為は、いかなる理由であれ、許されるものではありません。経済的な理由等で生理用品を購入できない女性がいるといういわゆる生理の貧困については、女性の健康や尊厳に関わる重要な課題と内閣府でも認識しております。
地方公共団体が相談支援の一環として行う生理用品の提供を地域女性活躍推進交付金により支援するとともに、地方公共団体における取組に関する情報提供を引き続き行ってまいります。
○辰巳委員 吉田議員の投稿は、自らの経験に引きつけながら、社会問題として今ありました生理の貧困というものを提起したものであります。SNSのコメントには、近くにコンビニがあるので行けばいいじゃないか、買えばいいじゃないかとか、なぜナプキン設置に税金を使わなければならないのかなど、的外れなものも多数あります。
毎日の記事によりますと、民間企業が二千四百二十八人を対象に行ったアンケート調査によりますと、七四%がナプキンが手元になくて困った経験があり、九五%が商業施設や学校などのトイレに無料ナプキンがあれば利用したいと答えたといいます。また、生理が予定日と関係なく突然始まってしまう、生理用品がかさばるなどの困り事も多く寄せられたとしております。
杉田水脈前衆議院議員がナプキンを持ち歩くことは女子のたしなみなどとして自己責任論に転嫁したのも、首をかしげざるを得ないと私は思います。
しかし、生理の貧困というのは国や自治体も取り組んでいく課題であります。政府も行政機関への生理用のナプキンの設置について調査をしております。拡大への支援も含めて紹介いただけますか。
○辻副大臣 内閣府では、地方公共団体が不安や困難を抱える女性に寄り添った相談支援の一環として行っている生理用品の提供を地域女性活躍推進交付金により補助しています。令和六年十月時点で生理の貧困に係る取組を実施している地方公共団体は九百二十六団体に上り、その中には独自の取組を進められている自治体も数多くあると承知しています。
引き続き、地方公共団体が地域の実情に応じて創意工夫を凝らした取組を進められるよう、内閣府としても、地域女性活躍推進交付金の一層の活用を促すとともに、地方公共団体における取組の横展開に向けた情報提供にも取り組んでまいりたいと考えています。
○辰巳委員 今ありましたように政府も推進している政策、これに言及してもバッシングをされたということであります。
国際機関であるIPUの調査によりますと、四十歳未満の女性、少数民族出身の女性、未婚女性など特定のグループが不釣合いに高い割合で暴力に直面をしている、また野党の女性議員は精神的暴力や性的暴力の発生率も高いと報告をしております。
内閣府の委託調査で女性の政治参画への障壁等に関する調査研究報告書というのが出されているんですけれども、ここでも、議員活動や選挙活動においてハラスメントを経験した地方女性議員の割合は五七・六%であり、男性三二・五%よりもかなり多いわけです。その際女性が受けた最も多かったハラスメントは性的若しくは暴力的な言葉(やじを含む)、こういう嫌がらせなんですが、二六・八%。つまり、四人に一人の女性議員が性的若しくは暴力的な言葉による嫌がらせを受けています。二番目は性別に基づく侮辱的な態度や発言、これが二三・九%です。
ちなみに、男性への性的若しくは暴力的な言葉(やじを含む)による嫌がらせは八・一%、男性への性別に基づく侮辱的な態度や発言は〇・七%ですので、ほとんどないと言ってもいいわけです。
しかし、それにしてもなぜ、生理用ナプキンをトイレへ設置するべきだ、これを掲げることぐらいで殺害予告をされなければならないのか。私は、背景にはミソジニーがあると言わなければならないと思います。日本政府の文書の中にこのミソジニーという言葉は見当たりません。しかし、ミソジニーという概念は、今や女性差別や女性への攻撃激化を考える上で避けては通れないと思います。ちなみに、ミソジニーというのは女性嫌悪などとも訳されております。
本年三月十日の第六十九回国連女性の地位委員会における国連事務総長のリマークで、ミソジニーという表現を使った部分というのを紹介していただけますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
今年三月にアメリカ・ニューヨークで開催された国連女性の地位委員会開会式におけるスピーチの中で、国連事務総長は二回、ミソジニーに言及しております。一つは、日本語で申し上げますが、人工知能を含む新しいテクノロジーは暴力と虐待のための新たなプラットフォームの存在を許す余地を生み、ミソジニーとオンラインリベンジを常態化させているという発言でございました。もう一つは、世界中でミソジニーの達人たちは力、自信、影響力を増しているという発言でございました。
○辰巳委員 先日、イギリス内務省は過激なミソジニーを過激主義の一形態として取り扱うと発表されたという報道もありました。このように、ミソジニーに着目した暴力、性暴力、差別の分析と対策の取組というのが各国では始まっているわけであります。
差別や暴力をつくり出しているもの、その背景にあるものを直視しない限り処方箋は出てこないと思います。ミソジニーによる脅し、暴力、差別の目的は、女性を男性の従属的な存在としておく家父長制に基づいた社会システムに疑義を唱え、声を上げて行動し、その規範を壊そうとする者を黙らせる、処罰するというものではないかと思います。ゆえに、女性差別感情とか女性制裁感情とミソジニーが訳されることもあるわけです。ですから、全ての女性が嫌悪の対象にはならずに、今申し上げたような、家父長制に基づいた社会システムに対して声を上げる、そういうものは女性嫌悪の対象になる、しかし、逆にそういう社会システムを温存させる言動は女性であっても称賛の対象になっていくということであります。
内閣府に提案したいと思います。日本政府自身もこのミソジニーに着目した研究、分析そして対策が必要になってきているんじゃないですか、いかがですか。
○辻副大臣 お答えします。
内閣府が昨年実施した男女共同参画社会に関する世論調査があるんですが、その結果では、社会全体における男女の平等感について、平等と回答した者の割合は一六・七%にすぎませんで、男女共同参画を推進する様々な取組がいまだ道半ばにあることが示されています。
委員御指摘のミソジニーに関しても、その背景には長年にわたり人々の間に抱かれている固定的な性別役割分担意識や無意識な思い込みなどがあると想定されまして、その対策に当たってはそうした思い込みへの対応が重要と考えています。
引き続き、固定的な性別役割分担意識等の解消に向けて粘り強く取り組むとともに、男女共同参画社会を実現する上では人々の意識に関わる問題が重要との問題意識の下、効果的な調査、分析、対策の在り方について、今後とも委員の御指摘も参考にさせていただきながら不断の検討を重ねてまいりたいと思っています。
○辰巳委員 今問われているのは、彼女を黙らせてきた家父長制であり、ここにいまだにしがみつこうとしている政治だと私は思います。そこに目を向けない限り本気の対策とはならないということも言っておきたいというふうに思います。
続いて、フジテレビの問題を取り上げます。フジテレビの元アナウンサーが中居正広氏から性暴力を受けた事案に関して、総務省は四月の三日、フジテレビに対して厳重に注意した上で、フジが公表した人権、コンプライアンスに関する対応の強化策について、実施状況を三か月以内に報告することを求める行政指導を行いました。大臣、行政指導に至ったのはどのような問題があると判断したからでしょうか。
○豊嶋政府参考人 お答えをいたします。
今御指摘がありました今回の事案につきましては、フジテレビ及びフジ・メディア・ホールディングスが、放送事業者及び認定放送持ち株会社として本来有すべき公共性に対する自覚を欠き、社会的使命を十分果たすことなく、広告によって成り立つ民間放送事業の存立基盤を失いかねないばかりか、放送に対する国民の信頼を失墜させたものと考えております。
また、今回の事案は、放送事業者による自主自律を基本とする放送法の枠組みを揺るがすものであり、放送法の目的に照らしても極めて遺憾であると考えております。
こうした背景から、四月三日付で委員の御指摘がありましたとおり両社に対して厳重注意を行い、その中で、同社の人権、コンプライアンスに関する対応の強化策の具体化については、四月中に国民・視聴者及びスポンサー等の関係者に対してその内容を明らかにするとともに、総務省に報告を求めることとしたものでございます。
○辰巳委員 この行政指導の法的根拠を示していただけますでしょうか。
○豊嶋政府参考人 今回行いました行政指導は、放送法第一条の趣旨に照らし、総務省設置法に規定されております放送業の発達、改善及び調整に関することに基づき実施したものでございます。
以上でございます。
○辰巳委員 放送法第四条ではないということなんですね。
女性を接待要員として扱う、そのあり得ない文化、性被害に遭った自らの社員の側に立たずに加害者の側に立つ卑劣さ、会社が守ってくれない、加害者が出世していく。本当に被害者はどんなにつらかったか。しかし、こういう実態はフジだけではないと思います。大臣、第三者委員会報告書にもあるとおり、メディア業界自らが、ハラスメント、性暴力は許さない、ジェンダーの視点で業界の在り方を見直していくべきだと考えますけれども、いかがですか。
○村上国務大臣 今回の事態は、委員が言われるように、フジテレビのみならず、ネットワーク協定を締結している系列地方局の経営にも影響を及ぼしかねないばかりか、放送に対する国民の信頼を失墜させたものでありまして、御指摘については、これまでの一連の人権問題も踏まえ、放送業界全体として取り組むべきものと考えております。
そのため、日本民間放送連盟及び日本放送協会、NHKに対しても、人権尊重、コンプライアンスやガバナンスに関する施策の実効性を確保するよう取り組むことを要請したところであります。
同様の事態が再び生ずることのないよう、放送業界全体を挙げて取組を進めてもらいたいと考えております。
以上であります。
○辰巳委員 この第三者報告書は、再発防止に向けた提言の中で、被害者の多くは、加害者や周囲から自分のことを詮索され、特定され、報復を受けること、SNS等で誹謗中傷されることにも強いおそれを抱いているとして、二次被害から被害者を守り抜くことを求めています。
実際、中居氏から性暴力を受けたとネット上で特定されている女性への誹謗中傷は目を覆いたくなるほど本当にひどいものであります。ここでも、その背景にはミソジニーがあると言わなければならないと私は思います。
同時に、そもそも、この間の政府のハラスメントに対する姿勢も問われていると思います。
ハラスメントや性犯罪は、人間の尊厳や人権を侵害する重大な犯罪であります。セクシュアルハラスメントに対する刑事罰、民事救済の規定を持つ、そういう法律がない国は、OECD加盟国の中で今や日本とチリの二か国とされているわけであります。
日本では、男女雇用機会均等法や労働施策総合推進法において企業のセクハラ防止の対策、あるいは労働施策総合推進法においてはパワハラの防止対策を企業にも義務づけてはおります。しかし、ハラスメントを禁止する規定がどの法律にもないということがこうした事態を繰り返してしまう要因になっているのじゃないか。
国連の女性に対する暴力撤廃宣言は、女性に対する暴力は女性を男性に比べて従属的な地位に追いやるための社会的な仕組みとして最も決定的なものの一つと指摘しております。ハラスメントや性暴力は個人間のトラブルではなく、ジェンダー不平等という社会の構造にこそ、その根があると言わなければなりません。政治の責任でハラスメントや性暴力の根絶に真剣に取り組む必要があります。
そこで、確認します。ILOは二〇一九年、労働の世界における暴力とハラスメント禁止条約を採択して、ハラスメント禁止規定を含む、職場でのハラスメント防止のために実効ある施策を含む法整備を求めています。一刻も早く日本はこの条約を批准すべきではないでしょうか、いかがですか。
○大隈政府参考人 お答えいたします。
御指摘のILO第百九十号条約につきまして、その趣旨はおおむね妥当であると考えておりまして、その締結に当たっては、国内法制との整合性を確保する観点からの検討を進めてきているところでございます。
今国会に提出しております労働施策総合推進法の改正法案では、職場におけるハラスメント対策の強化として、職場におけるハラスメントを行ってはならないことを法文上明確化し、規範意識を醸成するほか、カスタマーハラスメント対策の強化、就活等セクシュアルハラスメント対策の強化などの内容を盛り込んでおりまして、このILO第百九十号条約の締結に向けた環境整備に資するものと考えております。
その上で、この条約の締結に当たっては、条約で定められている内容と今回の改正法案を含めた国内法制全般との整合性につきまして更に詳細に検討していく必要がございます。
引き続き、関係省庁とも連携しながら締結に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
○辰巳委員 だったら批准して国内法の整備を急ぐべきだということを申し上げたいと思います。
家父長制を背景にしたミソジニーの根絶、性暴力の根絶を求めて、あるいは決意をして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○竹内委員長 次に、内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。村上総務大臣。
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電波法及び放送法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○村上国務大臣 電波法及び放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年、携帯電話を中心とする無線局の数や通信量の増加に伴い、低い周波数帯を中心に、電波はますます逼迫しています。また、我が国の人口が減少に転ずる中、持続的な経済成長や地方創生二・〇の実現にとって不可欠な資源である電波を有効に活用していくことが喫緊の課題となっています。
こうした背景の下、電波の有効利用を促進し、及び情報通信技術の進展等に対応した規制の合理化を図るため、特定高周波数無線局を開設することのできる者を価額競争により選定する制度の創設、無線局の免許状等及び基幹放送事業者の認定証のデジタル化、電波利用料制度の見直し等の措置を講ずる必要があります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、六ギガヘルツを超える周波数を使用する相当数の無線局を一定以上の広がりを持った区域において一体的に運用するために開設される特定高周波数無線局を開設することのできる者を価額競争により選定する新たな周波数割当て方式を導入することとしております。
第二に、無線局の免許状や登録状、基幹放送事業者の認定証について、書面による交付を廃止して、免許人等が免許等に係る事項を記録した免許記録等をインターネットで閲覧できる仕組みを導入することとしております。また、国の機関、独立行政法人及び包括免許人その他の相当数の無線局を開設している者に対し、免許の申請等の手続について、書面による手続を廃止して、インターネットによる手続を義務づけることとしております。
第三に、令和七年度から令和九年度までの電波利用共益費用等の見込みを勘案した電波利用料の料額の改定を行うこととしております。また、電波利用料の使途として、大規模な自然災害が発生した場合においても携帯電話の業務に著しい支障が生じないようにするための携帯電話基地局等の強靱化に係る補助金の交付を追加することとしております。また、特定周波数変更対策業務の対象に周波数を共同利用する場合を加えるほか、無線設備の機能を有線通信により代替する設備への変更工事に要する費用への給付金の支給等を可能とすることとしております。
第四に、特定地上基幹放送事業者等が中継地上基幹放送局を廃止する際には、その廃止する地域において放送番組を引き続き視聴できるようにするための措置を講ずるように努めること等を規定することとしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
以上であります。
○竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十七分散会