衆議院

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第10号 平成29年3月22日(水曜日)

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平成二十九年三月二十二日(水曜日)

    午後三時九分開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 井上 信治君 理事 土井  亨君

   理事 藤丸  敏君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 賢司君 理事 木内 孝胤君

   理事 伴野  豊君 理事 上田  勇君

      石崎  徹君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    神田 憲次君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      助田 重義君    鈴木 隼人君

      高木 宏壽君    竹本 直一君

      津島  淳君    中山 展宏君

      福田 達夫君    福山  守君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      山田 美樹君    今井 雅人君

      重徳 和彦君    古川 元久君

      古本伸一郎君    前原 誠司君

      鷲尾英一郎君    伊藤  渉君

      浜地 雅一君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   外務副大臣        岸  信夫君

   財務副大臣        木原  稔君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    梶川 幹夫君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    武内 良樹君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           大野 高志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土田 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 平垣内久隆君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     高木 宏壽君

  大見  正君     八木 哲也君

  村井 英樹君     福山  守君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     石崎  徹君

  福山  守君     村井 英樹君

  八木 哲也君     大見  正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として法務省大臣官房審議官加藤俊治君、財務省関税局長梶川幹夫君、理財局長佐川宣寿君、国際局長武内良樹君、農林水産省生産局畜産部長大野高志君、経済産業省大臣官房審議官土田浩史君、国土交通省航空局次長平垣内久隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 民進党の今井雅人でございます。

 前回の財務金融委員会で一つ宿題がありまして、平成二十七年九月四日、近畿財務局で会議が行われたかどうかについて確認をしていただきたいということで、理事会の協議もしていただいたと思うんですけれども、きのう、私は、質問取りまで朝十時に終わって、もう準備万端というところでおりましたら、財務省の方がちょっと説明をしたいということで総務課長さんが来られました。それで、持ってこられたペーパーがこの一枚です、皆さんのお手元にもあると思いますが。

 確認しますが、私は、その会議があったかどうか、有無を確認していただきたいということをお願いしました。それに対する回答はこれですね。

  近畿財務局から財務本省には、必要な報告は適切になされている。また、必要に応じて、財務本省と近畿財務局は情報共有を行っている。

  その上で、国会でのご審議等に当たっては、財務本省において責任を持ってお答えさせて頂いているところであり、引き続き、丁寧な説明に努めてまいりたい。

  なお、平成二十七年七月から十二月にかけて、契約上、国が有益費で支払うこととなっていた浅い埋設物及び土壌汚染の除去工事が行われていたところ。

  新たな埋設物は平成二十八年三月に発見されており、二十七年九月の時点で新たな埋設物の撤去費用を含めた土地の価格について議論されることはない。

これは、国会答弁で繰り返しおっしゃっていることをそのまま書いてあります。

 それで、いらっしゃった方に、池田統括官等にこの会議の有無を確認していただけましたかということをお伺いしましたが、していませんということでありましたけれども、財務省さん、これは確認はしていないんですか。なぜ確認をしていないんですか。

佐川政府参考人 お答えさせていただきます。

 今委員がお読みになっていただいた文書、これは出典、財務省と書いてございますが、私が国会で御答弁させていただいておりますように、この時期、二十七年七月から十二月にかけましては、これはもう契約上、国が有益費で支払うこととなっておりました浅い埋設物や土壌汚染の除去工事が行われていたところでございますので、この間、この工事期間中におきましては、随時、その関係で、近畿財務局、大阪航空局、事業者間で工事の内容や費用等につきまして打ち合わせが行われていたというふうに考えてございます。

 ここにも書いてございますように、通例、財務局からは、本省に対しまして必要な情報は適切に上がってきておりまして、また、必要に応じて、本省と財務局で情報共有を行ってございます。

 したがいまして、その工事期間中、個別の会議につきまして、私どもから改めて確認するということを控えさせていただきたいというふうに答弁しているところでございます。

今井委員 今、稲田大臣のところで大変大きな問題になっているのは、稲田大臣が、陸自には日報は残っていないということをずっと国会で答弁されていたら、現場の方で残っていたということをメディアが報じて、今、大問題になっていますね。現場を確認しないとそれはわからないから、これから特別監察が入ります。現在、そういうことが起きているんですよ、この国会全体では。

 ですから、私は現場に聞いていただきたいということをお願いしているんです、こういう会議があったかどうかということを。

 前もおっしゃいましたけれども、今、この池田統括官はまだいらっしゃるんですから、こういう会議があったかどうかぐらい、聞く立場にあるじゃないですか。今だって、その職におられるんですから。皆さんは、いつも、もう今はその職を離れて違うことをしているので答弁できないとか、いろいろおっしゃいますけれども、今いらっしゃるんです。だから、聞けるじゃないですか。どうしてこれを聞いていただけないんですか。こういうことを答えていただけないから、この問題は延々とやらなきゃいけないんです。一つ一つ解明しましょうよ、これを。もう一回確認してください。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、この七月から十二月にかけましては、随時、確かに会議をやっていたというふうに考えてございます。

 それで、私ども、本当に全国で毎年数千件に及ぶ国有地の処分をしてございます。そういう中で、それぞれの現場において、さまざまな日常業務をしてございますが、繰り返して恐縮でございますが、そうした中で、現場からは本省に対して必要な情報は適切に上がってきてございますし、必要に応じて、情報共有もしているところでございます。

 したがいまして、それぞれの処分におきます個別の会議につきまして、改めて私どもから確認するということを控えさせていただきたいというふうに御答弁申し上げました。

今井委員 この問題は通常の案件と違うのは御存じでしょう。とうとうあしたは証人喚問まで行われるんです。五年ぶりです、証人喚問は。ここまでの事態になっているわけです。

 そして、籠池理事長一人が証人喚問に出てこられる。それ以外の関係者の皆さんは、予算委員会の方で要求しましたけれども、認めていただけなかったんですが、今いらっしゃるんですから、池田さんは。普通の案件と違うのはおわかりですよね。証人喚問まで行われるんですよ。そうしたら、一つ一つ解明していきましょうよ、何が正しいか。だから、こういう会議があったかどうか。

 私は、一つの仮説を持っています。これは、全然確証はありません。

 最初に、平成二十八年の三月十一日にごみが見つかったといって、そこから十四日に検査に行って、それから十日後に買うとなって、それからすぐ、あっという間に見積もりができてしまったという、こんな、一カ月でできるはずがないので、何の力が働いていたのかなとずっと最初は思っていたんですけれども、ひょっとしたら違うんじゃないかな、これは既に前から決まっていたんじゃないだろうか、だからこんなにすっと一カ月間で物事が決まってしまったんじゃないだろうかというふうに途中から考えるようになりました。まだわかりません。真実はわかりません。ですから、いろいろ確認していきたいんです。

 ちょうど、この八月二十七日、一週間前に視察に行っていますね。調査に行っています。その一週間後にこういう会議が行われたんじゃないかということを今私は確認しておきたいんです。

 ですから、記録がないとおっしゃっているんだから、記録がないとおっしゃっているなら、記憶を呼び出しましょうよ、記憶を持っている人がいるんですから。そこを本当に、財務省さん、これを明らかにしてくださいよ。

 そうしないと、あした、籠池理事長がどういうことをおっしゃるかわかりませんけれども、一方の話だけじゃだめだから、では、相手方の話も聞かなきゃと当然なりますよ、お答えにならなければ。では、国会に来てもらって、皆さん、話をしてもらおうという話になりますから。そうじゃなくて、御自分でそういうことを確認して、ここで答弁していただきたい、そういうことをお願いしているんです。ぜひお願いします。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 八月二十七日の現地調査の話につきましては、そのときに、私ども近畿財務局、あるいは大阪航空局、現場関係者と、その工事に関し、現地確認を行ったということは承知してございます。

 それは、先ほども申し上げましたように、七月から十二月まで工事をやってございますので、その間、七、八、九、十、十一、十二と、随時、関係者間で協議を行っていたというふうには考えられますというふうに先ほどから御答弁申し上げてございます。

 したがいまして、八月二十七日の現地確認があって、九月にも会議をしていたかもしれませんし、十、十一、十二とその間ずっと会議をしていたということも、当然、工事の内容や費用の協議でございますから、その結果として、翌年の四月にこの有益費の支払いを、一・三億円、エビデンスを見ながら大阪航空局の方で支払いをしているわけでございます。

 したがいまして、その間、会議があったというのは、あっただろうということはもう先ほどから何度も答弁させていただいているところでございますけれども、そういうことでございますので、その個別の会議についてということにつきましては、先ほど来申し上げていますように、個別に確認は控えさせていただきたいというふうに申し上げている次第でございます。

御法川委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

御法川委員長 速記を起こしてください。

 今井雅人君。

今井委員 今、ちょっとお話がありましたので確認したいんですけれども、ちょっとこの場では対応できないので、委員長の方で一度引き取らせていただきたいということでお話を伺いましたが、それでよろしいですか。

御法川委員長 はい、結構です。後刻、理事会にて、再度協議をさせていただきます。

今井委員 繰り返し申し上げていますが、私たちは何が本当だったのかをとにかく知りたいということでありまして、それなのに、記録がないからわからないとずっと言われ、当事者がいるにもかかわらず、当事者にも聞いてもらえない、こういう態度は本当に私は不遜だと思いますよ。

 繰り返しになりますけれども、今回防衛省で起きている問題と、本質的には、対応としては一緒なんです。稲田大臣がずっとそこで答弁されていたら、全然違うことが内部から出てくるという報道があって、それをこれからその当事者たちに調べるとおっしゃっているんでしょう。それは、調べるという対応はいいと思いますよ。ですから、同じじゃないですか。

 私たちは、そこに、現場にいらっしゃる方に、ぜひ聞いていただきたい、こういう話がありますから。こういう情報が来ましたから、聞いてください、ヒアリングしていただきたいと言っているだけです。それで、本当じゃなければ本当じゃないとおっしゃればいいだけの話で、聞く必要がないというのはあんまりじゃないですか。これはちょっとひど過ぎますよ。

 委員長に今引き取っていただきましたので、またぜひ協議していただきたいですけれども、与党の皆さんだって、さすがにこれは何とかならぬのかと思っていらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、ゼロ回答ですから、本当によく考えていただきたい。

 これだけ答えないとなると、逆にここに何かがあるとやはりみんな思ってしまうわけです。答えない、ここまでかたくなにガードしている、今までいろいろな森友問題のことをやっていますが、一番かたいんですよ、ここが。私もいろいろなところで質疑していますけれども、ほかはまだ多少なりとも答えるんですが、ここだけ何にも答えない、岩盤のように。だから、ここが疑わしいと余計思っちゃうんです。

 ということですので、ぜひもう一度考え直していただいて、しっかり聞き取り調査をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 それと、きのうきょうで、大阪府の松井知事がいろいろなことをおっしゃっておられるので、このことも確認しなきゃいけないんです。

 松井知事の方では、学校の認可をおろすときに、つまり土地を購入するということが前提になっていて、それをもとにやったつもりなんだけれども、財務省さんの方から、いや、これは土地を買う前提だというようなことを伺ったので我々はオーケーと言ったんだというふうにおっしゃっています。

 きのうのぶら下がりというか記者会見では、二〇一五年一月に答申を出す前、財務省近畿財務局から口頭で森友学園に売却するという見通しが担当課に伝えられた、国から売却の見通しを得ていたため、所有権が移るとみなしていたというふうにおっしゃっています。

 きょうも先ほど会見されまして、二〇一三年九月に財務局の職員二人が府庁を訪れ、学園から土地購入の要請があることを告げ、認可したと文書でもらえるのはいつかと質問があった、国有地を売るときは文書の通達のみなのに、わざわざ来た、誰が聞いても売却する方向であるというふうに捉えるであろうというふうにおっしゃっておられますけれども、財務省さんはこうやって府庁を訪れて、森友学園にこの土地を売却するという意向をお伝えになられたんでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、冒頭申し上げさせていただきたいと思いますが、私どもは、公的な用途で国有地を処分する場合には、まずは事業の許認可主体の判断が示されることが前提でございまして、それを受けて国有財産の地方審議会におきまして処分の相手方や処分方法について審議を行ってございますので、我々は、二十七年の二月に国有の地方審議会をやる前に、この土地について何らかの処分をしますとか、約束をしますというふうなことはございません。

 それで、今委員の御指摘の松井知事のお話は、私はちょっと詳細は存じませんが、その九月の十二日にお越しになりというお話がございましたが、私どもは二十五年の六月から九月まで公的取得要望を受け付けておりまして、その結果として、大阪府からも豊中市からも要望がなく、この森友学園からのみ要望が出されたわけでございます。

 私どもは、通常、全国の財務局におきまして、学校法人あるいは社会福祉法人、いろいろな公的用途での国有地の取得要望があった場合につきましては、まず、財務局が事業の許認可主体である地元の自治体に足を運びまして、自治体の意向を伺います。そういう一環として、その十一月でございますが、私どもは通達に、まず公文書で、相手方の地方公共団体、いわゆる許認可団体に対して、地域の整備計画との整合性等に関する意見の照会を出すというふうにルールを決めておりまして、そういうものも公式に我々は文書を出してございます。

 いずれにしても、本件は、私立の小学校を新たに設置するということでございまして、近畿財務局は、近年、こういう私立の小学校の新たな設置という事例もありませんでしたので、九月の初めに公的取得要望を学園側から受け取りまして、まずは、その私立小学校の設置認可主体でございます大阪府に足を運びまして、事業の内容、関連する法令、大阪府における基準、手続等、全般についての内容の確認を行わせていただきました。

 いずれにしても、私立小学校の設置は認可主体である地方公共団体の判断が前提でございますので、当然、その認可に関する手続とか標準的なスケジュール等についても話を伺ったものと考えられますが、いずれにしても、私どもから、地方審議会で国有地の処分が確実に行えるとか、国有地の売却を早く進めるために私学審で何か答申を出してほしいとか、そういった要請をするということはございません。

今井委員 では、もう一度確認しますが、承知をしていないと言いながら、私は九月としか言っていませんけれども、そちらは九月十二日とおっしゃっていたので、そちらの方がよく詳しいんじゃないかなと思いますけれども、その場で、審議会で買う予定になっているとかそういうことはおっしゃらない、今それは確認しましたけれども、森友学園がこの土地を購入する、そういう話はしたんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 二十五年九月の最初に、森友学園側から、そもそも初めから貸し付けでこの土地を処分していただきたいという御希望が先方からございましたので、そういう意味では、いずれにしても、この土地を、府も市もない、唯一この学校法人からの要望でございましたので、これにつきましては、先ほど申しましたが、通例私どもは、そういう要望が来ますれば、事業の許認可主体に足を運んで自治体の意向を伺ってございます。そういう意味では、別に財務局が地方公共団体に足を運ぶというのは通例でございまして、何か珍しいことでも特別なことでもございません。

 そういう意味では、取得要望が来ましたので、十一月にきちんと通達上の措置をするために照会を出しますが、その前に先方に足を運んで、初めてというか、近年事例のない、初めてとは申しませんが、ちょっと調べてございませんが、近年事例がなかった私立小学校の新たな設置ということにつきまして、大阪府に確認に行ったということでございます。

今井委員 通常の手続で行かれたということは、それは理解しています。問題はそこで何をおっしゃったかということなんです。

 それで、今、当初から貸し付けという話だったとおっしゃっていますが、同じ話の流れの中で、取得要望があったとおっしゃっていますね、今。貸し付けがあったのと取得要望があったのというのは違うんじゃないですか。取得ということは購入したいということじゃないんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 取得要望ですが、最初は貸し付けをして、そういう収支計画の中でも、要するに、お金がたまって買い受けに移るということについての御希望を向こうがしておったということでございます。

今井委員 私は松井知事じゃないので、それは後で松井知事とやっていただければ結構ですが、事実関係を確認したいだけなので。

 松井知事は、財務省さんは、森友学園はこの土地を購入するという話だと受け取ったので認可を出したというふうにおっしゃっておられる、そういう趣旨だと思うんですね。

 ですから、取得要望があります、これは貸し付けですということをちゃんと説明したんですか。それとも、取得要望があるということだけお話をすれば、当然買うんだろうなというふうには普通相手は受け取りますよね。そこはどういうふうに説明されたんですか。貸し付けでやるんですということまで説明されたんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、先ほどから同じ単語を使っておりますのは、国有地を処分するに当たりまして、公的取得要望、公的取得要望と申してございますが、それは地公体とか、そういう公的な、社会福祉法人とか学校法人とかそういうところに国有地を処分することについての要望を受け付けるものを、私どもは公的取得要望というふうに総称して呼んでございます。

 その中で、先方は、学校法人森友学園のみの取得要望が出てきた中で、当初は借地で、その後は購入でということの御希望でありましたので、その九月の時点で大阪府に行ったときに、私ども財務局の職員が詳細をどこまで言ったかは現在承知してございませんが、少なくとも要望書の中にはそう書いてございますので、森友学園の要望書の中にはそういうふうに書いてございますので、そういう取得要望をしたい、その中で、最初は借り受けて、それから買いたいということを先方は申しておりますので、そういうことを大阪府に申し上げても、それは別に不思議はないということだというふうに考えられますが、詳細、どこまで説明したかについては今承知してございません。

今井委員 今詳細を承知していないということですから、これも当時の方にちゃんと確認していただけますか。その申請書をちゃんと見せて、これを貸し付けでやるんですということを説明されたのか、取得要望がありますということだけでお話をされたか。

 ここも単なる行き違いなのかもしれませんし、こういうことを一つ一つはっきりした方がいいと思いますから、それもちょっと確認していただけますか。

佐川政府参考人 公的取得要望の中身について、我々は、貸し付けといって、それから買い受けるという要望の中身を知っておりましたので、大阪府に伝えたと思いますが、その点については近畿財務局に確認したいと思います。

今井委員 では、それはまた返答をお待ちしております。

 それともう一点。

 財務省さんはこの問題が発覚してからも森友学園側ともいろいろやりとりをしていらっしゃるというふうに御答弁をされていると思いますが、これは籠池理事長御本人とずっとやりとりをされておられますか。やりとりが今でもあるということは伺っているんですけれども、それは籠池理事長御本人ですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 何度も申し上げておりますが、まず、二十八年六月の売買契約の締結に至るまでの面会等の記録につきましては、これはもう保存期間の関係で残っておりませんということは何度も答弁をさせていただいてございます。

 それで、先日、参議院の予算委員会の視察でございましたけれども、そのときに、近畿財務局に先生方はお見えになられまして、そのときに近畿財務局の担当者から、ことしの二月以降、報道があって以降ということでございましょうが、本年二月以降に森友学園と近畿財務局がやりとりを行う中で、必要な記録については残しているものもあるという旨を説明したということでございまして、近畿財務局と森友学園での接触は、当然、二月以降ありました。

 ただ、その中で、先方が代理人でいらっしゃった方なのか、理事長本人なのかということについては、現在承知してございません。

今井委員 それも確認していただけますか。御本人なのか、代理人、例えば弁護士の方なのか、そこはぜひ確認したいんですけれども、確認していただけますか。

佐川政府参考人 近畿財務局におきまして、そのときの説明では、必要な面会の記録については作成しているというふうに聞いてございますので、どういう記録なのかについては聞いてみたいと思います。

今井委員 面会記録は、どなたが会ったかぐらい、それは書いてあると思いますから、森友学園としか書いていないということはあり得ないと思うので、どなたが来られたかということをちゃんと確認してください。それをまた御回答いただきたいと思いますが、よろしいですか、その回答をいただくということで。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 必要な記録は残っている、必要な面会の記録は二月の報道以降残っているというふうには聞いてございますが、どういう書類が残っていて、それが開示、不開示との関係でどういう関係になっているかについてはちょっと精査をさせていただきたいというふうに思います。

今井委員 だから、精査をした上で御報告いただけますか。

佐川政府参考人 情報公開法上の観点から開示、不開示について精査をした上で、その件については、また調べさせていただきたいと思います。

今井委員 何か慎重ですね。ぜひそれは教えていただきたいと思います。

 今、近畿財務局のことをおっしゃっていましたけれども、森友学園さんは、あれ以降、本省の方とは何かコンタクトはあるんですか。それは一切ありませんか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 処分の、売買契約の相手方でございますので、基本的にはずっと近畿財務局がその協議を行ってまいりましたが、二月の報道以降、さまざまな報道がございましたので、場合によって、私どもの本省の職員から先方の代理人であった方に事務的な連絡があったということは聞いてございます。

今井委員 ちょっと最後が聞き取れなかった。そういう事実はあったということでよろしいですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 先方の代理であった方に事務的な連絡をすることはあったというふうに聞いてございます。

今井委員 今、やりとりはあったというふうに伺っていますけれども、これも、あした籠池理事長がこのことをおっしゃるかどうかわかりませんけれども、財務省さんの方から十日間ほど身を隠してくれと言われたと話があって、具体的に名前まで出てきています、嶋田氏という方で。これは本省の課長補佐の方だと思いますけれども、私もお会いしていますが、この方も含めて、こういうことを言ったかどうかはきょうは聞きません。

 コンタクトはあったということですね。十日間隠れてと言ったんですかということは聞いていませんから、コンタクトはあったということですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員がそういうふうに言及されますとやはり誤解を招きますので、あえて申し上げますが、先方の代理人の方が、雲隠れといったような発言につきましては、財務省のほかの方からもそのようなことは言われたことはありませんというふうに報道各社に公表しているということは承知してございます。

 その上で申し上げますが、私どもの課長補佐が先方の代理人であった方と連絡をとったことはございます。

今井委員 では、連絡をとったことがあるということは確認しました。

 最後に一問、簡単にお答えいただきたいんですけれども、これは今とにかく返還を求めていますが、更地にして返してくれということをおっしゃっていますが、仮に、これをほかのところがこの土地ごと買いたい、建物ごと買いたいということで、そういう申し出があった場合には、建物を更地にしないで、スルーですね、ほかの方にこうやって売却する、こういうことはあり得るんでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、私どもは、森友学園との売買契約に基づいて先方に先日通知をしたところでございますので、どういうことが起きるか、まだよくわかりませんので、仮定の話についてはお答えできません。

今井委員 もうちょっと詳しく聞きたかったんですけれども、時間が来ましたので、本日は、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、関税定率法等の一部改正案についてですが、せっかく、関税関係ということにちょっとひっかけまして、関税法ときのう閣議決定されたばかりの組織的犯罪処罰法案との関係を少し問いたいと思います。

 まず初めに、関税法の規定による脱税、これはテロ等準備罪の法案の対象の犯罪になりますか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの、偽りにより関税を免れる行為等、すなわち関税法第百十条第一項または第二項の罪は、今国会に提出しております法律案によります改正後の組織的犯罪処罰法では、テロ等準備罪の対象犯罪を定める別表第四の一号、別表第三の三十四号に掲げられることになりますので、テロ等準備罪の対象犯罪となるものでございます。

重徳委員 皆様方のお手元に資料を配付しておりますけれども、このテロ等準備罪の定義規定なるものが第六条の二に定められております。組織的犯罪集団の定義として、今回、文言として初めて、ほかに例のないこういう文言なんですけれども、「その結合関係の基礎としての共同の目的が」云々ということなんですね。

 この今の脱税というものが結合関係の基礎としての共同の目的かどうかというところが問われるわけなんですけれども、一例を挙げます。輸入を業とする普通の会社、一般の会社が、あるときから組織的に脱税を計画するということになった場合、これは組織的犯罪集団に当たることがあるんですか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 テロ等準備罪におけます組織的犯罪集団と申しますのは、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、御指摘のとおり、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大犯罪等を実行することにあるものをいい、これに該当し得るものとしては、本法案に例示しておりますテロリズム集団のほか、例えば、暴力団、薬物密売組織等の違法行為を目的としている団体に限られます。ここまでが前提でございます。

 その上で、犯罪の成否は捜査機関が収集した証拠に基づいて個別具体的に判断されるものでございますので、仮定の事案に基づいて、ある団体が組織的犯罪集団に当たるかどうかをお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げますと、正当な営業活動を行っている一般の会社について、通常は犯罪を実行することを目的とするものとは認められませんので、組織的犯罪集団には当たらないものと考えられます。

重徳委員 通常という言葉がついておりますので、通常は当たらないと思うんですけれども、これまでさんざん議論がされていたように、組織の目的が一変した場合なんてよく言われておりましたが、ここで言う結合関係の基礎としての共同の目的に当たる状態になったら、この組織的犯罪集団に当たることになろう、これは個別具体のケースを見なきゃわからぬという話でしょうけれども、可能性がゼロではないという、理屈上ですよ、ゼロではないという御答弁だと思うんですよ。

 それで、ちょっと確認なんですけれども、通常の貿易会社ですから、最初から脱税が目的ということはないと思うし、表向き脱税が目的ということもないと思うんですが、会社の立ち上げのときから、ここの犯罪、罪を実行することが目的である必要はないんですよね。一変した場合というのはそういうことですよね。最初から別表第三に掲げる罪を実行することが共同の目的である必要はないということを一つ確認したいのと、一変した場合なんてこれまでよく言われていましたけれども、今取り上げたケースだと脱税ですけれども、反復継続したような場合でなくてもいいんでしょうか。ちょっと今、通告しておりませんけれども、そんなに難しい問題ではないと思って質問しております。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、前提として、先ほどから申し上げておりますように、組織的犯罪集団の該当性について、その個別具体的な事実関係を離れて断定的に結論を申し上げることは困難でございますので、あくまで一般論となりますが、通常の営業活動を行っている一般の会社については、税を免れることそれ自体が目的であるということは想定しがたいのでありまして、生業のために結合していると認められるわけでございます。したがって、関税法違反に当たるような行為を繰り返しているというだけでは組織的犯罪集団には当たらないというのが通常であるというふうに申し上げているわけでございます。

 それから、組織的犯罪集団に当たるためには、団体の結成当初から犯罪を目的とするものでなければならないかという点についてのお尋ねでございます。

 これは犯罪の成否の要件でございますので、組織的犯罪集団であるかどうか、すなわち、その団体が犯罪の実行を目的として結合しているかどうかは、団体の結成当初ではなくて、当該事案の時点で判断されることとなります。その意味では、結成当初に正当な団体であったものが、その後、団体の性格を全く変えてしまって、全く異なった性格の団体となって組織的犯罪集団と認められるということもあり得ないことではないということになります。

 しかしながら、そのような性格を全く変えてしまうということというのは、例えば団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続するようになるなどのことがない限り、そのようには認められないということを申してまいりました。

 それで、反復継続がそれではその要件なのかという点につきましては、犯罪行為を反復継続するようになるというのは、団体が性格を全く変えてしまった、すっかり変えてしまったことの一つの考慮要素、重要な考慮要素ではありますが、一つの考慮要素でありまして、その場合に限るというふうに申し上げているわけではございません。

 以上でございます。

重徳委員 財務金融委員会なのでこれ以上はやりませんけれども、一般に言われているのは、一般の会社とか一般の団体がこの組織的犯罪処罰法案の対象になるかどうかということが大変懸念されているんだということが、これから法務委員会を中心に厳しく問われることになろうかと思いますので、ぜひ明快な答弁になりますようによろしくお願いします。

 それでは、財金のテーマに戻しますけれども、麻生大臣に質問申し上げます。

 先般のG20の財務大臣会合におきまして、さんざん報道されておりますのが、共同声明から反保護主義の文言が削除された、今までに何度も、近年は盛り込まれていた保護主義に対抗するという文言が削除されたということがありました。

 G20におきまして、麻生大臣は、保護主義に対抗すべきという点についてどのような主張をされたんでしょうか。

麻生国務大臣 これは世界経済のセッションの一のところだったと記憶しますけれども、少なくとも、自由貿易というものは、第二次世界大戦以降を見れば極めて明らかで、多くの国々が経済の繁栄というものを享受できた。特に、敗戦国、日本とドイツはそれが極めて顕著だったというのが一点。

 自由で公正な貿易というもののルールに基づかないと、貿易というものにかかるコストというものが上がるという可能性があるので、我々としては、自由貿易というものは極めて重要なんだという点を申し上げて、我々の経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいるという点に関して、これで一致をさせていただくことになって、いろいろ議論がありましたけれども、中国、アメリカは両方とも新しい財務大臣の登場でしたので、結構肩に力が入っていたような感じはしましたけれども、こういった会議の第一回目はよくある話だとは思いますけれども、いずれにしても、こういった自由貿易の重要性というものがG20の間で共有されているということは確かだと存じます。

重徳委員 今の大臣の答弁は、要するに、広い意味で反保護主義的な、つまり自由貿易の推進ということを訴えたということであろうかと思うんですけれども、文言としての反保護主義というのは、報道によりますと草案の段階で既に削られていたということなんですが、これは事実でしょうか。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 声明の草案の段階で保護主義に対抗の文言が落ちていたということについてのお問い合わせでございますけれども、そのような報道があったことは承知してございますけれども、声明の草案の内容につきましてはコメントを差し控えさせていただけたらと思っております。

重徳委員 草案は日本がつくったものではないということからそのようにおっしゃるのかもしれませんが、では、表舞台では大臣が御発言されるわけですが、事務方のレベルで、草案をつくる段階で日本からの主張というのはされなかったんですか、何かしら。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 草案段階でのやりとりにつきましては、これもコメントを差し控えさせていただけたらと思ってございます。

重徳委員 反保護主義、保護主義に対抗するということについて、事務方も含めて日本国政府としてそういった主張をするべき立場にあるという認識はあるんでしょうか。つまり、草案云々と言うといろいろと、それはコメントできないということなのかもしれませんが。いかがでしょうか。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 事務方といたしましては、今大臣が申し上げましたように、保護主義との関係については考えているところでございます。

重徳委員 では、もうちょっと大臣にお聞きしますが、結果として、保護主義に対抗するという文言は盛り込まれなかったわけなんですけれども、文面は文面として、日本はこれからも保護主義に対抗するという主張に変わりはないということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 そのとおりです。

重徳委員 わかりました。

 国によっては、これも報道ですけれども、フランスの財務大臣なんかは、満足できる結論に達することができず残念だというコメントも述べられているようですけれども、日本の麻生大臣はそういった趣旨のコメントは言われておりませんが、まず、今の保護主義に対抗するという主張に変わりはないということでございますので、引き続きお願いしたいと思います。

 関連して、けさのニュースでちょうどやっていましたけれども、安倍総理がイタリアのジェンティローニ首相との会談で、五月下旬のG7サミットで保護主義に対抗するメッセージを発表するという方針で一致をしたという報道がありました。

 これも踏まえて、この七月にはG20の首脳会議もあります。五月のG7、そして七月のG20に向けてきちんと議論をして、今度こそ、国際協調のもと首脳宣言、ちゃんともう一度、保護主義に対抗するという文言を復活させるべきだと思うんですけれども、今の大臣の御答弁を踏まえて、外務副大臣の方からお願いします。

岸副大臣 お答え申し上げます。

 今、財務大臣からも御答弁がございましたけれども、先般のG20の会合におきましては、我々の経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいくという点で一致をしたと承知をしております。貿易の促進に向けましたG20としての決意や、貿易が経済に果たす貢献の重要性への認識が示された、このように考えておるところでございます。

 今、重徳委員から安倍総理の訪欧の際のコメントがございましたけれども、メルケル首相との首脳会談においても率直な議論が行われたところであります。自由で開かれた国際秩序こそ平和と繁栄の礎であることで一致するとともに、日欧が米国とともに協力して自由貿易の旗を高く掲げていかなければならないということを訴えかけた、このように安倍総理からも発言がございました。

 今後、G20ハンブルク・サミットに向けて、日米欧がともに協力して国際社会の諸課題に取り組んでいくことがまさに重要でありまして、引き続き関係国との間で緊密に連携していきたいと考えておるところでございます。

重徳委員 次に、一方で、これはお手元の資料の二にもありますけれども、今回のバーデンバーデンのG20の声明の中には、この第一パラグラフの中に、「過度の世界的な不均衡を縮小し、」という文言が入っております。

 ムニューシン氏、アメリカの財務長官は、この文言を入れたんだということを会見でも述べられているようなんですが、このあたりの事実関係について御答弁願います。

麻生国務大臣 過度の世界的な不均衡縮小との文言は、これはこれまでのG20のコミュニケでも同じような文章が、過去、継続的に入っていたと記憶をしております。

 このムニューシンという新しい長官も、それからいわゆる米国自体がこの文章をどう受けとめたか、ちょっとそこはわかりかねますけれども、これは文字どおり世界的な不均衡というものを念頭に置いた表現であって、特定の国とか一定の国を指してやっているというわけではないんだというように理解をしております。

 また、このムニューシンという長官は、少なくとも、前の長官と違って、いわゆるGS、ゴールドマン・サックスの中におられましたので、商売とか金融とか経営とかいうのに少なからず経験がある人であるというふうに、話をしていてもわかりますので、そういった意味においては、こういった問題についてよく議論をしていくということに関しては、私どもと話をしていてもこの点に関してはしっかりした哲学というか、きちんとした考え方もお持ちというのははっきりしておったように理解をしております。

重徳委員 ちょっと大臣に確認したいんですが、今、過度の世界的な不均衡を縮小するという文言が特定の国を指す意図はないんじゃないかというふうにおっしゃったと思いますが、ムニューシン財務長官と直接接して、よく報じられているのは、中国と日本に対しては、果たして、アメリカから見ての貿易赤字を大変苦にしているという思いがメディア報道では感じられるんですけれども、大臣、直接お会いになって、いかがでしたか。

麻生国務大臣 アメリカの対外貿易の中に占めます赤字の比率は、中国が四七%ぐらい。早い話が、二分の一は中国一国でアメリカの全貿易赤字ということになろうかと存じます。二番目がドイツ、三番目が日本、四番目がメキシコの順番だと思いますので、特定のと言った場合に日本がその中に入っているかどうかと言われると、やはり半分の中国。日本は四分の一か六分の一か、そんなものだったと記憶しますので、そういった意味では、少なくとも、今の意識というものは違っている。

 それから、二月十日の日米首脳会談以降、その種の発言はアメリカから出ていないと記憶します。

重徳委員 多少楽観的にも聞こえるような御答弁だったんですけれども、もう一方で、通貨安誘導、為替に関する批判もこれまでアメリカから、特にトランプ大統領からはあったわけなんですね。

 今回のこの声明には、為替相場に関する文言は今までどおりだったということで、言葉を見ればこれは一安心という感覚もあるんですが、何分、文言が、先ほどの、反保護貿易は消えているというような状況の中で、来月の、特に麻生大臣が当事者として交渉に当たられる日米経済対話、二国間交渉におきましては、再びこれから為替の問題についても圧力がかかってくる懸念は依然として消えていないようにも、というか消え切ったと思わない方がいいと思うんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 重徳先生の御指摘というのは、米国がG20の声明に反する行動をやるという前提になるわけですよね、今の話は。だって、G20の声明の中には今の話と全く逆のことが書いてあるわけですから。それはちょっと、あのG20の声明が意味がないんじゃないかということが言われたいのかなというような感じがしますけれども。

 トランプ大統領が日本、中国の通貨安を批判したという報告がテレビやらでいろいろなされているのは知らないわけではありませんけれども、二月の十日以降、安倍総理とトランプ大統領との間の首脳会談以降、少なくとも、この種の話に関しては、我々ではなくて担当の財務省、財務官レベル等々で、コミュニケーションという言葉を使われていたと記憶しますが、緊密な議論をしていくということで合意をされておりますし、今回、その話の確認をムニューシン本人ともしておりますけれども、その点に関しても、両方とも意見がちゃんと伝わっておるということが確認をできていると思っております。

 また、為替政策につきましては、先ほども申し上げましたけれども、従来からG20の合意の中でこれはもうきちんと盛り込まれておりますし、今般の共同声明でも書かれておりますので、これは米国もコミットしておるということでもあろうと思いますので、御指摘のような懸念は当たらないと思います。

 ただ、この種の話は常に出てくる話ですから、為替というのは、市場、マーケットにかなり依存している部分が多いので、いろいろ上がったり下がったり、それはボラティリティーとかいろいろな表現をしますけれども、過剰な変化が、上下に動き過ぎますと、これは経済に与える影響も極めて大きいと存じますので、そういった意味に関しては、きちんと両国間で連絡をとり合って、為替というものが安定している状況に保つように努力するというのは、ずっと続けておかねばならぬところだと思っております。

重徳委員 最後にお尋ねしたいんですけれども、やはり、保護主義に対抗するという文言が一つ消えたとか、ある意味、少し外堀を埋めているという捉え方もできなくはないと思うんです。現に、ライトハイザー次期通商代表は、農業分野に関しては、次は日本が標的だという発言もあります。

 そこで、やはりTPPを通じて、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールといった国々は、日本とも協調して、アメリカはひっくり返してしまったかもしれませんけれども、TPPの枠組みというものにこだわっていこう、こういう思いを共通して持っている国々であります。日本単独の二国間の協議ももちろんやむを得ない面もあるかもしれませんが、今言ったようなTPP推進に力を合わせてきたこうした国々との連携を持って、より強い交渉態度で臨んでいくというやり方も大いにとっていくべきじゃないかと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 先週、チリでしたかで開かれておりますTPP閣僚会議において、TPPの持つ戦略的もしくは経済的な意義というものの再確認がこのチリでされておりますので、少なくとも、今後のTPPの進め方につきましては、各国が緊密に意思疎通を図った上で対応していくことが重要であるということが再確認をされておるところであろうと思います。

 いずれにいたしましても、今後、日本とアメリカが主導で、いわゆる自由で公正な市場というものをアジア太平洋地域に広げていこうという話を、これは日米共通の目標のもとで、ペンス副大統領との間でやることになるんだと思いますが、いずれにいたしましても、日本にとりまして最善の枠組みというものを頭に置きながら議論を進めていくというのが大事なことだと思いますし、そういった意味では、TPP、長い時間かけて合意をされたというものは極めて大事な財産だと思いますので、そういったものを含めて対応していきたいと考えております。

重徳委員 着実な積み重ねも必要なんですけれども、多くの日本国民が一方で心配もしていますので、ぜひ、これからも慎重に手がたく交渉を進めていただきたいと思います。

 以上です。

    〔委員長退席、土井委員長代理着席〕

土井委員長代理 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 G20では、共同声明から保護主義に対抗するという言葉がなくなりました。トランプ政権の米国第一の姿勢の反映だと指摘されているわけです。

 そういう中で、四月から日米経済対話が始まります。今、アメリカの日本に対する要求がいろいろ取り沙汰されております。今月十四日に米国上院の財政委員会で公聴会が行われました。会議録を読みますと、通商代表に指名されたライトハイザー氏は、農業はTPPの受益者だった、だから我々は行動を起こし、新しい協定を交渉する、農産物の市場開放でも日本がプライマリーターゲットになる、こう述べております。

 麻生大臣、米国議会の公聴会でのライトハイザー氏、こういう発言があったというのは御承知ですよね。

麻生国務大臣 御指摘のような発言をされているということは報道で承知しておりますけれども、今のところ、日米首脳会談における一連の会談を含めまして、米国からそのような要求があったということはございません。

宮本(徹)委員 承知されているということですが、ライトハイザー次期USTR代表の発言を受けて、全米肉牛生産者・牛肉協会、NCBA、全米豚肉生産者協議会、NPPC、それからUSAライス連合会などが相次いで声明を出すなどして、日本に対する一層の市場開放を求める二国間交渉を期待するという状況になっております。

 麻生大臣に伺いますが、トランプ政権の対日要求をめぐって、USTRと米国議会の要求が一層先鋭化する、そういう懸念は一切ないと言えますか。

麻生国務大臣 日米経済対話の具体的な構成や内容については現在調整を進めておるところですし、相手方はまだ下にスタッフがおりませんので、今の段階からUSTRのトップが言っても、その下が何を言っているか全然、相手がおりませんので私ら、詰めようがないというのが正直な実態です。

 その上で申し上げさせていただければ、日米関係というものをさらに大きく飛躍させていくというためには、これは日米両国が、アジア太平洋地域において、少なくとも開かれた地域の中において、経済対話を含めてきちんとしたルールをつくろうじゃないかという話を日本が持ちかけてこの話を立ち上げるようになったところでありますので、どちらかが一方的に物を言うとかいうような話にはならぬのだと思って、アメリカはアメリカの国益、日本は日本の国益というものをしっかり守りつつ、両方で話し合っていくというので、それが結果として、アジア太平洋地域を含めまして、発展する余地の極めて大きな、大西洋より太平洋側にあるように思われますので、そういった意味では、我々としては、力強い繁栄とかそういった経済成長とかいうものをこの地域でともになし得る、そういったルールづくりを目指してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 大臣がそういうルールづくりを目指されるということですが、一方では、農業団体、アメリカの側からはどんどん強い要求が出てきているわけですよね。そういう要求がさらに先鋭化するということを大臣も否定できないところに私は事態の深刻さがあるというふうに思っております。

 そして、米国のトランプ政権は、今月八日のWTOの対日貿易政策審査に合わせて意見書を出しております。この中でも、日本に対する貿易赤字は米国に深刻な懸念を残した、こう表明して、自動車の非関税障壁や農産物の高関税を批判して、市場開放を通じて貿易赤字削減に取り組むよう求めているということになっています。

 さらに、国家通商会議のナバロ委員長も八日、アメリカのマスコミに、米国の貿易赤字相手国は製品ごと、業界ごとに一定期間に赤字削減で米国に協力すべきだと主張して、この中でも日本を名指しするということになっております。

 麻生大臣にお伺いしますが、トランプ政権はなぜここまで日本に対して市場開放と米国製品の購入を求めるんでしょうか。

麻生国務大臣 なぜと言われても、これは相手に聞かれる方がいいのであって、私に聞くのは間違いで、自分でお聞きになった方がよろしいんだと思いますけれども。

 少なくとも、今、御存じかと思いますけれども、日本の自動車輸入に関しては、これは関税がかかっていないということをライトハイザーが知らないと。まあ、何十年か前、USTRにいましたから、その知識がそのままとまっていれば、ないですよ、多分。そのときのままだと思っていれば。あのときは高かったから。しかし、今はありませんから。関税がかかっているのはアメリカの方ですから。日本の関税二・五%がかかっているのは向こう。我々は全くかかっていませんから。これは事実です。

 だから、そういった話を含めて、いかなる差別的なものもないのははっきりしておりますし、私どもとしては、きちんと、農業分野の関税水準等についても、これはもう間違いなくWTO等の協定等々を整合的に実施しておりますので、我々はこういった会議の場できちんとそういった話を繰り返していくだけなのであって、時間等少々あれはかかろうかとは思いますけれども、日本で自動車を売りたければ、少なくとも右ハンドルぐらいの車をつくらないかぬでしょうね。

宮本(徹)委員 アメリカの側は、先ほどのWTOの意見書でも、自動車の関税があるというふうに日本に言っているわけじゃないんですね。自動車の非関税障壁を撤廃しろということを向こうは盛んに言ってきている状況があるわけですよね。

 昨年の国会でもTPPの問題は議論になりました。TPP交渉だとか日米並行交渉の場でも、アメリカは日本に対して、保険、金融、農林水産、畜産、医薬医療品、政府調達、知的財産などで非関税措置を緩和、撤廃するよう要求し続けていた。これがずっと議論されてきたわけですよね。

 麻生大臣にお伺いしますが、トランプ政権は日本の非関税措置の緩和、撤廃に引き続き問題意識を持っている、これはお認めになりますね。

麻生国務大臣 向こうがそう言っているんだからそうなんでしょう、多分。ただ、私は直接聞いたことは一回もありません。

 その上で申し上げさせていただきますけれども、日本の非関税障壁が対日貿易の赤字であるという話をしておられるんですけれども、これは、ライトハイザーなんかが一九九一年にやっていたときのアメリカの対日貿易赤字の占める比率は五八%ですから、今は九%ぐらいかな、今とは全然違っていると思っておりますので、そういった意味で米国の貿易赤字に占める対日の割合というものがそれだけ下がってきておりますので、先ほど、一位の中国とかと比べましても圧倒的に我々が低い上に、対米投資をえらく求めておられますけれども、対米投資に関しましては、アメリカに対する対米直接投資は一番がイギリス、二番が日本だと思いますので、そういった意味では、アメリカ国内に八十四万、五万の直接雇用というのを我々はやっておりますので、そういった意味では、日米両国の関係というのは一九九一年代の、あのころの話とは全くさま変わりしているというのが実態なんだと思っておりますので。

 いずれにしても、こういったようなことを両方、知識、現状認識というのをきちんと一致させた上で話をしていくというのが大事なことかなと思っております。

宮本(徹)委員 現状認識を一致させるのは大事なわけですけれども、とにかくTPP交渉の際は、同時並行で行われた日米交渉も、その交渉内容の詳細というのは、相手国があるからということで、国民には全部秘密だったわけですよね。交渉中は一切だんまりで、その後、決まりましたということでいろいろなことが出てくるということがあったわけですけれども、こういう、交渉中は一切国民には明らかにせずに、決まりましたということで国民にいろいろな負担や犠牲を押しつけるということが繰り返されては絶対にならないというふうに思いますし、真に平等な日米関係、これを貫いていかなきゃいけないということを申し上げまして、次に、関税にかかわって、輸入革靴の問題についてお聞きしたいと思っています。

 革靴産業は東京の地場産業でもあります。この間、日欧EPA協定等で革靴と皮革部品の関税率が低下しております。この影響で革靴の輸入が増加して、職人さんだとか零細事業主さんの生活を脅かしているという状況があります。一九八六年度から革靴輸入は関税割り当て、TQ制度に移行して外国製革靴の輸入がふえ、現在では、TQ枠に加えて関税特恵国からの輸入、さらにはスポーツ靴と称する革靴、こういうのも加えますと、輸入革靴は年間四千万足という事態です。外国製の革靴が国内産業を圧迫する事態となっております。

 履物協議会の二〇一五年のアンケートによりますと、長時間労働のもと、四十年以上の熟練労働者が半数を超えております。年収二百万円未満の方が二八・七%、三百万円以下まで入れますと八六・六%を占めている。雇用保険や退職金もない職人さんが大勢いるというのが現状です。

 きょうは経産省にも来ていただきましたが、革靴業界のこの実態をどういうふうにつかんでいるのか。皮革産業の実態に即した支援が必要じゃないかと思いますが、どうでしょう。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の革製履物製造業につきましては、中小零細企業が大半でございまして、ピーク時の一九九一年から二〇一四年までの間に、国内出荷額は四分の一以下に、事業所数は二分の一以下にそれぞれ減少するなど、大変厳しい状況であるというふうに認識しております。

 このため、経済産業省といたしましては、革製履物を含む皮革関連産業の競争力強化を図るため、皮革関連団体及び皮革関連事業者グループが実施する海外を含む販路開拓の支援、また地方公共団体が実施する技術者研修等の取り組みを支援するなど、必要な措置を講じてきているところでございます。

 今後とも、皮革関連産業の置かれている厳しい状況を踏まえ、製品の高付加価値化や海外を含む販路開拓等の取り組みを支援することを通じまして、革製履物を含む皮革関連産業の競争力強化に努めてまいりたいというふうに思っております。

    〔土井委員長代理退席、委員長着席〕

宮本(徹)委員 革靴産業は、先ほど言いましたけれども、代表的な東京の地場産業にもなっております。近年は、若い人たちに、皮革材料を扱う物づくりというものへの興味、関心も広がってきている面もあります。

 ただ、同時に、魅力ある賃金が保障されないということで、なかなか思い切って飛び込んでこられない状況もあります。ですから、そこは魅力ある賃金を保障できるような業界にしていくための支援を経産省には求めたいと思います。

 その上で、革靴業界の方から心配の声で聞かれるのは、日欧EPAの行方であります。

 ヨーロッパの側からは、革製品の関税を下げよという声があるわけですね。この上、革靴の産地であるヨーロッパから無税だとかあるいは低い税率で革靴が入ってきたら、国内産業はさらなる深刻な影響を受けるのは火を見るよりも明らかだというふうに思います。

 日欧EPAで革靴の関税率を下げるようなことだとかあるいは関税割り当て制度の割り当て数量を拡大するようなことがあってはならないと考えますが、経産省はどういう考えでしょうか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 日・EU・EPAにつきましては、可能な限り早期の大枠合意の実現に向けて、現在、交渉を継続しているところでございます。

 具体的な交渉の状況につきましては、交渉中ということもあり、差し控えたいというふうに思いますが、経済産業省といたしましては、日・EU・EPAを含め、経済連携交渉に当たっては、関係業界からそれぞれの産業実態等を丁寧に聞き取り、またニーズを酌み取りながら交渉を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、国益の観点から最善の結果を追求してまいりたいというふうに思っております。

宮本(徹)委員 守るべきは守るに革靴業界をちゃんと入れて、あらゆる点で貫いていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それから、麻生大臣にもお伺いします。

 昨年四月十四日に、革靴履物組合も含む二十三団体が、国民のための財務・金融行政を求める二〇一六共同行動実行委員会ということで、大臣宛ての要望書を出しておられます。その中で、革靴の関税割り当て制度は維持してほしい、関税率は従来の水準に引き上げ、今後引き下げは行わないことということが書かれております。

 私も関係者の皆さんからお話を伺うと、スポーツ靴と称した革靴の輸入の影響が深刻だ、こういう話もありました。麻生大臣宛ての要望書中でも、スポーツ靴や革靴、毛皮製の甲及び部品、パーツの輸入については厳正な税番適用と有効な規制措置をとること、さらに、国内産業の一層の空洞化を招くこととなる加工再輸入減税制度の対象品目から革製履物の甲を除外すること。かなり詳細な要望が大臣宛てに出されております。

 革靴産業が発展していくためにも、こうした靴工組合の皆さんの要望を真摯に受けとめる必要があると思いますが、大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 この革靴産業をめぐる状況への対応というと、これは当然のこととして、この物資を所管しておられます、今答弁しておられました経産省において、国内の産業事情を踏まえて、国際的な環境や消費者に与える影響等々検討される事項があるんだと認識をしておりますが、要望書を、七項目だったか八項目だかいただいたと記憶しますけれども、財務省としても、そうした検討を踏まえまして、引き続き、物資所管官庁と協議を行って、すなわち通産省と協議を行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 東京の地場産業である革靴産業をしっかり守るために、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、残された時間で森友学園の問題についてお伺いしたいと思います。

 小学校の建設工事の費用について、金額の異なる三つの契約書が存在するということが今問題になっております。きょう、そのうち二通については資料で配付をさせていただいております。

 施工業者は、正しい金額はおよそ十五億で、七億五千万の契約書は森友学園側から私学助成の申請に必要だと言われてつくったと証言しております。それ以外に、二十三億の契約書もあるということですが。大阪府は、契約書が偽造された可能性もあるとして告発も検討しているということです。

 こうなると、国有財産審議会で森友学園から提出されていた収支計画書も、数字がもともと正しいものを出していたのかどうかという疑いが当然出てくると思うんですよね。

 麻生大臣にお伺いしたいと思いますが、国有財産審議会で森友学園から提出された収支計画について、偽りが含まれていた可能性はあるんじゃないですか。

麻生国務大臣 これは佐川にお聞きになった方がよろしいんだと思うんですが、わざわざ、呼ばれないので、私に話させたいという気持ちだと思いますが。ありがとうございます、機会を与えていただきまして。

 本件については、これは、森友学園の方から国有地の取得等の要望書とともに、約二カ年分の決算書類や収支計画書の資料の提出を受けて、二十七年の一月にその時点の収支計画書等の提出を受けております。

 これらの資料の内容については、近畿財務局において事務的に審査を行った上で、二十七年二月の地方審議会に、森友学園に対して、買い受け特約つき定期借地契約を締結し処理する方針を付議して了承を得たところであります。

 審査時の収支計画書は二十七年一月に提出されたものでありまして、小学校建設工事の契約締結前のもので、実際の工事期間より相当前に作成された見積もりの計数であることから、その時点で収支計画書に偽りがあったかどうかを判断することは困難だと存じます。

 その後、貸付契約、売買契約を締結しているが、仮に契約後に建築工事費が当初の見積もりより上回るとなった場合において、森友学園が貸付料や売買代金、分割納付の話ですけれども、この支払いの遅延や用途指定に違反する事態が生じていれば、契約上の義務違反として、延滞金や違約金の請求のほか、契約解除等の措置を講じることが可能であったと考えられます。

 いずれにいたしましても、森友学園は、先般、小学校設置の認可申請を取り下げておりますので、国としては、まずは土地の返還を求める権利、いわゆる契約解除、もしくは買い戻し権利の違約金の請求等々を行使するなど、法令、契約上の措置を適切に講じてまいらなければならぬものだろうと考えられます。

宮本(徹)委員 もともと、国有財産審議会は資金計画の確実性を審査する場だったわけですよね。ここでも議論になってまいりましたけれども、その審議会の場でも、森友学園の財政力というのは心配されていたわけですね。その際、建設費を小さくして財務面の心配を少なく見せかけていたという可能性は私は否定できないと思いますよ。

 それは、契約を結んだのはその後かもわからないです。しかし、あらあら、どれぐらい学校の建設費がかかるかというのはその時点でも出るわけですね。それを小さく見せることによって財務面の心配を少なく見せて、国有地を私たちは買うだけのお金があるんです、こういうふうにやっていた可能性はあるんじゃないですか。

 そういうところを、偽りが含まれていたかどうかということも含めて、今からでもしっかり審査をやるべきだということを私は申し上げまして、質問を終わります。

御法川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 本日は関税定率法の一部を改正する法律案に関する審議ということでございまして、先ほど来、森友とかあとは共謀罪の件でほぼ大半が、半分以上は消えていっているんですけれども、しっかりこの法律の内容を詳しく詰めていかなきゃいけないと思います。十五分でございますが、しっかりやっていきたいというふうに考えております。

 そういった意味で、関税というのは保護主義によく使われる話で、昨今の世界経済の状況を見ますと、特に米国の動きが関税においても非常に大きな話題、重要なファクターとなっていると思うんですけれども、G20に行かれた、米国の状況、会議の状況を麻生大臣にはきのうお聞きしましたので、日銀総裁、お忙しい中来ていただきましてありがとうございます。このG20におきましての状況をお聞きしたいんですが。

 総裁は、行かれる前にブリーフィングで、今回のG20もしくはIMFC等の国際会議では、この自由貿易を維持、促進することの必要性はコンセンサスになっている、しかし、こうしたコンセンサスが突然覆されることはないとは思うけれども、このG20で議論してみなければわからないという御発言をされている、特に米国の動向を指してだと思うんですけれども。実際、行かれてどのようにお感じになられたか、どうだったかどうか、お答えいただけますでしょうか。

黒田参考人 私からは、もちろん、日本銀行総裁として、日本経済の状況と日本の金融政策についてお話をいたしました。貿易その他さまざまなことが議論になりましたけれども、これは私どもの権限というか責任の範囲内ではありませんので、そこは避けたいと思いますが。

 まず、金融政策につきましては、我が国の経済は緩やかな回復基調を続けているわけですが、物価面ではなかなか、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されているものの、モメンタムがなかなか強くなっていかない。そういう中で、日本銀行としては、経済・物価情勢を踏まえて、今後とも、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、現在の長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとで強力な金融緩和をしっかりと推進していくということを御説明いたしました。

 G20では、従来から、金融政策については、中央銀行のマンデートと整合的な形で経済活動をサポートし、物価の安定を確保すべきであるという考え方が共有されておりまして、今回のコミュニケにもそう出ておりますけれども、日本銀行の金融政策はあくまでも二%の物価安定の目標を実現するために実施しているということについては従来から十分な理解が得られておりまして、参加者からそれに反するようなコメントは全くございませんでした。したがいまして、金融政策については特別な議論はなかったと思います。従来どおりだったと。

 それから、為替につきましても、御承知のように従来と同様のコミュニケになっております。

 貿易については、確かに従来のコミュニケと書き方が違っておりますけれども、私の見るところでは、別にそれによって自由貿易から保護主義にG20が移ったというようなものではない、むしろ、従来からの貿易によって成長を実現していくということははっきりとコミュニケでも書いてありますので、私自身は、個人的な感想ですけれども、保護主義に何かG20がそれていったというふうには感じませんでした。

丸山委員 金融政策をこの後少しお伺いしたいんですが、まず、この貿易の部分をお答えいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど来、特に、共同声明のところから保護主義に対抗するという文面が消えたことに対する懸念ということで御質問されているんですが、私も通商畑に短いですがいましたが、しかし、〇八年からずっと共同声明の文言がありますけれども、では、この共同声明の文言が果たして強力なパワーを持っていたかというとそんなことはないと思っていまして、例えば、〇八年、できてすぐにロシアなんかは自動車の関税を上げていたり、そういった意味で、この共同声明自体は余り意味がないと私は思っているんです。

 むしろ、それを言うなら、WTOだとかNAFTAとかのこういった規定の方が、米国との関係とかを含めて非常に大きいと思うんですが、しかし、この文言にあらわれることが、実は、今後の米国の動き、NAFTAなんかは見直しが必要だと大統領自体が述べられていますけれども、そういった意味で、これをあらわしているんじゃないかなというふうに感じたんですが、米国はやはりそっちの方向に行きそうだというふうに総裁はお感じになられたということですか。

黒田参考人 日本銀行の立場として云々ということではなく、会議に参加しておりましたことから得た個人的な感想を申し上げますと、まず第一に、二〇〇八年のリーマン・ショック以降、G20は毎回、保護主義に抵抗するという文言をコミュニケに入れておりました。これはこれで、特にリーマン・ショック後、保護主義に走りがちな状況のもとで、先進国も新興国も大規模な保護主義的な措置には走らなかったという意味では効果があったと思うんですね。

 ただ、IMF等が指摘しておりますとおり、やはり、保護関税が少しずつ上がったとか、世界的な金融問題の中で世界的に成長率が鈍化したという中で、若干ではありますけれども、保護主義的な傾向があったことも事実であります。ただ、懸念されたような大規模な保護主義的な動きというのは回避されてきた。

 現時点では、もう世界的な不況という時点ではなくて、経済は回復してきているわけですけれども、リーマン・ショック前に比べると世界的にやはり成長率が少し低くなっているというもとで、やはり貿易を通じて成長率を引き上げていくということの重要性はみんな認識されていると思いますが、御指摘の米国について、具体的に、例えばNAFTAの再交渉をするとか、それから、具体的な形で中国等に対して、貿易赤字が大きいので何か対応策を要請するとか、そういった動きが出ていることは事実であります。

 ただ、先ほど来申し上げましたように、G20全体として、アメリカを含めてですけれども、大きく保護主義の方にスイッチを切った、方向性を変えたというようには私は感じませんでした。

丸山委員 感じられる部分もあったが、しかし、全体として保護主義の方に行ったというふうには、出られたお一人として感じられなかったというお話、出られている方が少ない中、非常に大事な、貴重な御発言だったと思います。

 重ねて、もう一つあった総裁の大事なミッション、少し述べていただきました、日本の金融政策にきちんと理解を得てもらえるかどうかというのは、非常に大事なお話だったと思うんです。

 先ほど、きちんと御説明したという御発言があったんですが、そういった意味で、理解を得られたというふうに思っていらっしゃるのかどうか、そこをお伺いできますでしょうか。

黒田参考人 この点につきましては、先ほど申し上げたとおり、G20で従来から共有されている考え方というのがはっきりございますし、また、それに沿って日本銀行が金融政策を運営しているということも、従来から申し上げていますし、十分な理解が得られていると思います。

 今回も、どこの国が何を言ったということは言わないことになっていますが、全ての国が、日本の金融政策について何か懸念するようなことは、全く発言がありませんでした。

丸山委員 最大の懸念は米国だと思います。特にトランプ大統領が、通貨安の誘導で、日本と中国を名指しして貿易不均衡がという御発言をされていますので、ここの理解を得ていくというのは総裁の非常に大事なお話だったと思うんですが、もちろん、では、全ての国からなかったということは、米国からも含めてなかったので、米国も含めて理解を得られているという認識でよろしいんでしょうか。

黒田参考人 そのとおりであります。

丸山委員 ありがとうございます。

 お忙しいところ、お時間をいただきまして、ありがとうございました。数分でございますが、すばらしい貴重な御発言をいただいて、わかりやすい御発言であったので、これでお聞きしたいことは終わりましたので、総裁は御退席いただいて構いません。ありがとうございました。

 今の国際環境の中で、そうした意味で、関税の重要性というのは非常に増していまして、その位置づけというのは、国において非常に大事な観点だと思います。

 今回の関税定率法の中身、我が党でも見てまいりまして、必要な法律だ、賛成できるものだというふうに考えておりますが、一方で、細かい部分について、一応聞いておかなければ、そして議事録に残しておきたいというものをお聞きしておきたいというふうに考えております。

 今回の法改正で、沖縄における関税制度上の特例措置が入っています。それが、特定免税制度は三年、選択課税制度は二年延長するということなんですが、従来は両方とも五年で延長しているんですけれども、今回、三年と二年に変わっているんですが、これを変えた理由について。そして、三年と二年でばらばらなんですが、どうしてちぐはぐな、ばらばらな三年と二年に変えられたのかどうか。御担当の方、お答えいただけますでしょうか。

梶川政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄関連の関税上の特例措置の延長期限につきましては、委員御指摘のとおり、これまで五年ごとというふうにされてきておりましたけれども、制度の利用状況や沖縄の経済状況等を踏まえた、よりきめ細かな検証を可能とするため、今般の法案では、これまでよりも短い延長期限をお願いしているところでございます。

 沖縄関連に二つ制度がございますが、委員御指摘のとおり、まず一つ目、特定免税店制度でございますけれども、こちらにつきましては、他の観光促進策の一つである航空機燃料税の軽減措置の延長期限に合わせて、三年というふうにさせていただいております。

 それから、もう一つでございます選択課税制度でございますけれども、こちらにつきましては、国際物流拠点産業集積地域に関する税制上の措置、これは内国税でございますが、こういった措置も他でございまして、その税制上の措置の一環であるということで、その延長期限に合わせて二年ということにさせていただいております。

丸山委員 ありがとうございます。

 これまで五年とした部分に関して、三年と二年の理由はわかったんですが、五年から下げた部分について、もう少し詳し目にお伺いできますでしょうか。

梶川政府参考人 少し繰り返しになりますけれども、もともと、沖縄関連の関税上の措置というのは、沖縄振興開発特別措置法に応じて措置しておったものでございまして、これは十年延長ということでございまして、ことしがちょうど五年目ということに当たりまして、今回、見直しの年としたわけでございます。

 この見直しに際しまして、制度の利用状況であるとか、あるいは沖縄の経済状況等を踏まえて、よりきめ細やかな検証をしたい、こういうことでございまして、今回、少し期限を短くさせていただいたということでございます。

丸山委員 どうしても繰り返しになってしまうと思うんです。きめ細やかな対応をというところの、そういう意味で短くしたという御答弁なので、ちょっと時間がないので、ここばかり詰めてもあれなので、このお話は理由をまずお聞きしたということでお聞きしておきます。

 もう一つ、気になるのが、不正薬物の密輸入の取り締まりの状況なんです。

 二年前のこの財金委の質疑で私も不正薬物の件でやらせていただいて、ポスターの話をして、私の事務所にずっとあのポスターが張ってありまして、入ると不正薬物ノーというのが出るので、この事務所は一体どんな事務所なんやと来客の方に聞かれるときがあるんですけれども、ポスターにしても、この不正薬物の件についてしっかりやっていかなきゃいけないんですけれども。

 聞くところによると、今、取り締まり、要は、取り締まった不正薬物の量というんですか、これは増加しているんじゃないかという話があるんですけれども、そもそも、ポスターも含めて、不正薬物の密輸入の取り締まりはちゃんとできているんでしょうか。ふえているということであれば、今後どういうふうに対応していくのか、お答えいただけますでしょうか。

梶川政府参考人 平成二十八年の不正薬物の摘発状況を見ますと、押収量が約千六百四十九キロ、平成十一年に次ぐ過去二番目と大幅に増加しております。この中でも、特に覚醒剤の押収量が千五百一キロ、これは昨年と比べて三・六倍ということで、過去最高を記録したところでございます。

 覚醒剤の押収量の大幅な増加というのは、一度の押収量として過去最高となる約六百キロの密輸入事件というのが昨年五月に摘発されましたけれども、こういったことを初めといたしまして、税関が大口事案を多数摘発したということも要因であるかというふうに思っております。

 今後の対応ということでございますけれども、このような事犯に対する水際取り締まりを一層強化するために、税関といたしましては、まず、乗客予約記録、これはPNRと申しますが、これでありますとか、あるいは国内外の関係機関との情報交換の促進等による有効な情報の活用、それから、エックス線検査装置、麻薬探知犬その他の取り締まり検査機器の有効活用、それから、警察、海上保安庁等関係機関との合同取り締まりの実施等の対策を講じており、今後とも不正薬物の密輸入防止に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 それから、御指摘いただきましたポスター等の広報啓発活動についても真剣に取り組んでいきたいというふうに考えております。

丸山委員 ポスターはいいんですけれども。

 時間も来たので終わるんですが、三・六倍に覚醒剤の取り締まりが去年ふえているわけですよ。これが、しっかり取り締まったからふえているのか、それとも、そもそも総体量がふえているのかもわかっていないという非常に危うい状況だと私は思っていて、もう時間が来たので終わりますけれども、やはり関税にしても、税関の取り締まりにしても、まだまだしっかりこの委員会で議論をしていかなきゃいけないというふうに思いますので、委員の皆様方も、きちんとテーマの範囲についての御議論をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、土井亨君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。木内孝胤君。

木内(孝)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和のとれた対外経済関係の強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。

 一 最近におけるグローバル化の進展等に伴い、税関業務が増大し、複雑化する中で、適正かつ迅速な税関業務の実現を図り、また、覚醒剤等不正薬物・銃器を始めとした社会悪物品等の国内持ち込みを阻止し、水際において国民の安心・安全を確保するため、高度な専門性を要する職務に従事する税関職員の定員の確保、処遇改善、機構の充実及び職場環境の整備等に特段の努力を払うこと。特に近年の国際的な情勢を踏まえ、水際におけるテロ・治安維持対策の遂行に当たっては、税関における定員の確保及び取締検査機器等を含む業務処理体制の整備に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十分散会


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