衆議院

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第15号 平成29年4月25日(火曜日)

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平成二十九年四月二十五日(火曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 井上 信治君 理事 土井  亨君

   理事 藤丸  敏君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 賢司君 理事 木内 孝胤君

   理事 伴野  豊君 理事 上田  勇君

      青山 周平君    石崎  徹君

      大岡 敏孝君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    大見  正君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      神田 憲次君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    助田 重義君

      鈴木 隼人君    竹本 直一君

      津島  淳君    中山 展宏君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      山田 美樹君    今井 雅人君

      古川 元久君    古本伸一郎君

      前原 誠司君    鷲尾英一郎君

      伊藤  渉君    大口 善徳君

      角田 秀穂君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   財務副大臣        大塚  拓君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  池田 唯一君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    三井 秀範君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    遠藤 俊英君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂口  卓君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     和田 浩一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 土本 英樹君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     中川 俊直君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     神山 佐市君

  鈴木 隼人君     大西 宏幸君

  福田 達夫君     青山 周平君

  伊藤  渉君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     福田 達夫君

  大西 宏幸君     鈴木 隼人君

  神山 佐市君     助田 重義君

  角田 秀穂君     伊藤  渉君

    ―――――――――――――

四月二十四日

 銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

同月二十一日

 消費税増税を中止して五%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第八四四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九七二号)

 同(池内さおり君紹介)(第九七三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第九七四号)

 同(大平喜信君紹介)(第九七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第九七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九七七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第九七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第九七九号)

 同(清水忠史君紹介)(第九八〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九八一号)

 同(島津幸広君紹介)(第九八二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九八四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九八五号)

 同(畠山和也君紹介)(第九八六号)

 同(藤野保史君紹介)(第九八七号)

 同(堀内照文君紹介)(第九八八号)

 同(真島省三君紹介)(第九八九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九九〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第九九一号)

 同(本村伸子君紹介)(第九九二号)

 消費税増税の中止に関する請願(畑野君枝君紹介)(第八八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局長池田唯一君、検査局長三井秀範君、監督局長遠藤俊英君、財務省主税局長星野次彦君、理財局長佐川宣寿君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官伊原和人君、大臣官房審議官吉本明子君、大臣官房審議官坂口卓君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長和田浩一君、防衛省大臣官房審議官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 きょうは、一般質疑ということで、地域金融を中心にお伺いしていきたいと思います。

 「銀行は貸出金利が下がり、人口が減少する中、貸出量を増やすことにより、収益を上げることが難しくなっている。信用力の高い企業や担保、保証がある企業に融資が集中しているが、このような競争はやがて限界に達する。担保がない企業には、急に貸し手がいなくなるとの指摘もある」これは本年一月三十一日、読売新聞に掲載をされた森長官のコメントでございます。

 私自身もここ数年、自分の体験を言えば、例えば、私の地元は愛知県名古屋市南区という下町ですけれども、そこを、まさに地域金融の皆様が一軒一軒訪問をしながら営業をしておられました。その営業の内容は何かというと、住宅ローンの借りかえを営業する。私は生まれてこの方、長年、その町に、その場所に住み続けておりますけれども、そういう金融機関の営業を受けたのは初めてでございます。そういう意味では、本当にお金を貸していく先に随分御苦労をしているんだろうなという印象も持ちました。

 また、今、我々政府・与党で進める賃金の上昇を含めた景気の好循環を生み出すためにも、地方に行けば行くほど、金融機関、そして公務員、あるいはエネルギー系の企業の賃金が上がっていくということはとても重要なんだろう、こういうふうに思っております。

 そこで、まず麻生金融担当大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、この幾重にも重要な地域金融機関の今後の将来像、また展望について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、人口が減少する、そして高齢化が進むということは、お金を預ける人の方が多くて借りる人の方が少なくなってきつつあるというのが全体的な流れなんですが、加えて、今、少なくとも、さきの戦争が終わってこの方、金が余っている。金が足りない時代じゃなくて金が余っている時代。したがって、みんな借金は返していますので、銀行は金貸しが商売ですから、金を借りる人がいなくなって預金がふえれば当然のこととして金利はつけられない、払えないということになってくるというのでありますので、今までの横並びのような感じでのビジネスモデルでは、多分地域の銀行、中小零細地方銀行等々はなかなか生き残れなくなってきているというのが今の取り巻いている現状なんだと思うんですね。

 したがって、こういった中小の銀行に対して、やはりみずからのビジネスモデルを探さぬとどうにもなりませんよ、銀行といえば、黙ってみんなお金を借りに来てくれるものというんじゃないんですよという話をよく申し上げているんですが、ぜひ、いろいろな話で、私どもも、そういった話で、地域の金融機関にとって、おたくの地元で持続可能なビジネスモデルというのを考えないと、ほかのところと一緒にとは、そうはいかないので、その地域特有のものがあるんでしょうからという話をさせていただいて、従来のように、担保があるとか、土地があるとか、保証があるとかなんとかという話でモデルを考えているんじゃなくて、少なくとも、そのやろうとしている企業のプランがいいとか、やっている経営者がいいとかいったような、事業の計画性に対してちゃんと目ききがいて、これはいけると。

 また、おたくで製造しているこの物は何のためにやれるのかといったら、こっちの方に使えるんじゃないですかといって、今まで納めているお客さんとは違うところを、銀行ですから、あっちこっち行っているわけなので、そういった意味で、この商品はこっちに売られたらどうですかと紹介してやるとか、いろいろな形で顧客との関係というものをきちんとつくり上げていかないと収益は上がらず、今のように手数料だけで生きていこうといったって、それはなかなか生きていけぬということになるんだと思っているんですね。

 したがって、金融庁としては、こういった点を踏まえながら、地域の金融機関に対しては、従来のようなやり方でじっとしていたら金を借りに来るんじゃなくて、今、伊藤先生が言われたように、住宅金融の借りかえなんて大した話じゃないんですけれども、それでも今までは全くやっておらぬのですから、そういった意味では間違いなくいいことなんだと思いますので、ぜひ情報というのをもっと、地場であればあるほど、転勤が少ないので地場にずっといますから、そういった意味では、ぜひビジネスモデルというものを自分たちでつくり上げていかれる努力をされていくように、私ども金融庁としても、そういう方向ですよということをいろいろな機会を通じて申し上げているところであります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさにお金を単純に貸すというだけではなくて、貸す先をコンサルティングもしながらそこにお金を投資していくというか、そういう機能がますます金融機関に必要になってくる、こう思います。

 今週の週末は愛知県の大府というところにしばらくいていろいろなお話をしていたんですが、ここはブドウが有名で、ブドウ園がたくさんあるんですけれども、地域の人がやはり心配していたことの一つは、ブドウ園を廃業する事業者さんが最近ふえていて、この先のことを考えると心配だ、こういうお話を聞きました。

 これは思うところがありまして、もう出たと思いますけれども、中小企業白書の中で、今回、いわゆる中小企業の生産性のことを取り上げておりまして、生産性向上の要因を分析していました。

 一番私が印象深かったのは、本来、経済の理屈からいえば、生産性が高いところが生き残って、低いところが廃業する、あるいは残念ながらマーケットから退出をいただいて、全体の生産性は上がっていくものだと思っていました。しかし、今回の中小企業白書をごらんいただくとわかるんですけれども、実に生産性を引き下げる要因に廃業がきいていまして、それはなぜかというと、生産性が高い会社が廃業して全体の生産性を押し下げているという分析結果が出ていました。

 これは極めて論理的には驚くべきことで、ただ、そのことを考えたときに、長らく懸案でもあり、改善をしているものの、まだうまくワークしていないのではないかと思われるものの一つが事業承継です。これはどんどんどんどん経営者の年齢が上がっていますので、それも喫緊の課題として、我々政府・与党でこの解決にまたさらに力を入れていかなきゃいけないと思うんです。

 話を金融機関に戻しますけれども、金融機関も近年、先ほど大臣がおっしゃっていただいたことを、いわゆる借り手の事業性を評価してそこにお金を貸していくんだ、投資をしていくんだ、こういうことを一貫して取り組んでいるわけですけれども、どちらかというと、ここ二十年、そういうことに余り力を入れてこなかったし、そういうことをする人は多分人事上も余り評価をされなかった。今思えば、バブル崩壊後、特に崩壊から約十年の間銀行に勤めた同期なんかと話すと、今銀行がやっていることは別に誰でもできる、おもしろくないといったことを言っている同期、同僚がいたのを今さら思い出します。

 そうすると、やはり、ずっとそういうことをやろうと思って銀行、金融機関に入ってきた人たちが十分生かされずに、そして、ここに来てもう一回事業性を評価してお金を貸していくんだ、こう大方針を出しているわけですけれども、まさに人材の不足、そして人材の育成ということに全力を傾注していかなきゃいけないと思うわけでございます。

 そこで、金融行政の監督官庁である金融庁に、人材の育成についての取り組みをお伺いしたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいました、企業の事業内容あるいは成長可能性といったものを評価する、いわゆる事業性をきっちり評価して、そしてファイナンスやコンサルティング、アドバイスが提供できるような、こういう人材を金融機関としてしっかり育成されていく、そのために銀行の職員の能力を向上していくということが私どもも大変大事だと思っておりまして、そういった取り組みを組織的、継続的に金融機関組織全体として進めておられるかということは、金融機関に対する金融庁のモニタリングの一つの着眼でもあるかと存じます。

 こうした観点から、金融仲介機能のいわゆるベンチマークといった、これは金融機関が金融仲介機能をどのように果たしているかを、金融機関自身が自分を客観的な指標なども使われて評価して取り組んでいかれるための指標、こういったものの中に人材育成に関するものも例として掲げさせていただいて、そうしたことも参照しながら金融機関と深度のある対話を進めていったりとか、あるいは、地域経済活性化支援機構、いわゆるREVICにおきまして、特定専門家派遣機能という機能をお持ちでございますが、こうした機能を使いまして、金融機関における取引先企業に対する支援能力の向上のサポートを金融機関としても活用していただくとか、こういったさまざまな施策に取り組んでいるところでございますし、引き続き進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

伊藤(渉)委員 ぜひともお願いをしたいと思います。

 今局長からベンチマークのことにも触れていただきました。私も見させていただきましたけれども、プロの人たちが見ればよくわかるんだろうと思いますけれども、もともと金融等はやっていない自分なんかがベンチマークの一覧を見ると、これをどうやって使いこなせばいいのか、非常に難しいものだなという印象も持ちますので、しっかりその使い方まで含めて、金融機関の人にとっては私の言っていることは失礼なのかもしれませんけれども、十分そういったものが生かされるように、監督指導をお願いしたいなと思います。

 最後、一問だけ、これは現場で耳にした声で、大体私の年代の同期は現場の支店長とかをやっていまして、ある一人の人間が言っていたことをお伺いして、きょうは質問を終わります。

 検査、この検査も随分これから見直しをしていくということも聞いておりますけれども、現場の金融機関からすると、いわゆる金融庁検査、これはテレビドラマでもよく出てきましたから、皆さん御存じだと思います。あわせて、日銀による検査というのも行われているんですね。

 現場で検査を受ける側からすると、金融庁が検査に来て、日銀が検査に来て、いずれにしても準備に時間がかかって大変なので、一緒にやってくれないかということを言う人がいました。

 もちろん、金融庁と日銀では見る内容は違うと思いますけれども、私はふと思うのは、いろいろなことをこれから学んでいかなきゃいけないし、すごく、横串を刺して、各行政庁も視野を広げていかなきゃいけないことを考えると、金融庁と日銀が一緒に検査をして、それぞれが言っていることを聞いて、それはそれで勉強になるんじゃないかなと極めて単純にそう思いましたので、これを最後にお聞きしますけれども、金融庁として、日銀と、すぐにそんなことをできると思っていませんけれども、同時に検査をするということもあるんじゃないかなと思いますので、そのことについて御答弁を求めて、私の質問を終わります。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁の検査と日本銀行の考査を同時に、一緒にやってはどうか、こういうふうな現場のお声というふうにお聞きいたしました。

 先生御指摘のとおり、今金融庁では検査監督のあり方を変えておりまして、従来ですと、数年に一回定期的に検査をする、そこでの検査というのはフルスペックの全体を見るという検査をさせていただきまして、他方、日本銀行も考査という形でそういう考査をされておられたということでございますけれども、金融を取り巻く課題が大きく変わってきたこともありまして、過去の資産査定というよりは、むしろ将来に向けて金融機関の健全性等を見ていくという観点から、オンサイト、いわゆる立入検査と、オフサイト、監督をシームレスに機動的に組み合わせて運用していく、オン、オフ一体のモニタリングに移行しております。

 こうした観点から、もともと、日銀の考査と金融庁の検査で、法令上私どもに課せられている目的や性格などが異なりますので、なかなか一緒にやることは難しいということで、できるだけ、例えば分担するとか時期を変えるとか調整をして、連携して金融機関の負担を過重なものにならないように気をつけてきたところでございますけれども、正しいモニタリングに移行するということで、さらにどのような連携ができるのか、これは、金融機関の事務負担の観点をしっかり踏まえて、より適切な連携のあり方というのを私どもも考えていきたいと思っている次第でございます。

伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 民進党の古川元久です。

 大臣、アメリカ東海岸に出張、お疲れさまでございました。東に行って帰ってくると時差も大きいのでお疲れかと思いますけれども、ぜひ、大事な話を聞きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣、先週、ニューヨークの、私の母校でもありますコロンビア大学に行かれて、御講演をされたというふうに伺っておりますけれども、その講演のときの質疑での発言について、こんな報道がされておりました。

 二〇一九年の十月に予定されている消費税率の一〇%引き上げについて、上げやすい経済環境になりつつあることは確かだ、そのように大臣は言われたというように報道されているんですけれども、消費税を上げやすい景気環境というのは具体的にどういう景気環境を指していらっしゃるんでしょうか。

麻生国務大臣 コロンビアというのは、各大学がみんなジャパンデスクをどんどんどんどん閉めていった中に、コロンビアだけが、一校、日本学部を残した、少なくともアイビーの中ではあれぐらいなものですから、私ども、コロンビアは大事にしている学校なんですけれども。それでちょっと講演の依頼を受けましたものですから、伺ったときの話なんだと思いますが。

 消費税率の一〇%の引き上げというのは、日本の少子高齢化社会にとっては、間違いなく、いわゆる社会保障と税の一体改革とかそういったことを考えた上で、社会保障の充実、安定、いわゆる財政健全化の観点から、これは不可欠なものなんだと思っておりますが、少なくとも我々としては二〇一九年に、いわゆる税率引き上げが可能な環境というのをつくらないかぬということで、経済財政運営に、今いろいろやっているところなんだという話を申し上げて。先日のニューヨークで、私は、これまでの政府の取り組みによって、日本の経済というのは、少なくとも、引き上げを決めたあの前後に比べればよくなってきておる、私どもはそう思っております。

 具体的にというお話だったので、状況が具体的にどう違うかといえば、それは少なくともあのころに比べて、名目GDPは大きく、政権が交代したときに比べて四十七、八兆円ふえておりますし、足元で過去最高水準となっておりますが、直近の四四半期の数字を見ましても連続プラスで出てきていますし、企業収益なんていうのも、間違いなく、政権が交代したときは五十兆なかったと思うんですが、今は七十兆円を超えるほどの企業収益になってきていますし……(発言する者あり)質問ですか、やじですか。どちらですか。今ここに直ちに数字があるわけではありませんので、古川さんの質問にお答えして、こちらの方は無視してやらせていただきたいと思います。耳ざわりだからね、前原さん。失礼は昔からですけれども。

 有効求人倍率というのを見ていただいても、これは間違いなく非常に大きく上がって、昔は百人出ても八十人とか九十人ぐらいの就職だったものが、今は百四十何人まで就職率がふえてきておりますし、賃上げ率を見ましても、間違いなく安倍内閣になってからずっと、少なくともベースアップなんて言葉が戻ってくるほど出てきておりますので、そういった意味では、雇用とか所得の環境が大幅に改善をしているということは事実だと思っておりますので、経済のファンダメンタルズとか言われるようなものは確かな状態になりつつあるんだ、私どもはそう理解しております。

古川(元)委員 大臣、今、何か我々の政権のころと比べてよくなったと言っているんですけれども、今の政権になって、予定されていた一〇%の引き上げを二度も延期しているんですよ。

 だから、私が聞いているのは、上げやすい景気状況にはなりつつある、つまり去年の、去年、たしかまだ今ごろはちゃんと上げると言っていましたよね、ことしの四月に。それを突然、五月になって、リーマン・ショック前夜の状況にあるとか言って、引き上げを延期したわけですよね。だから、つまり昨年の五月の末ごろのときには、とてもことしの四月に上げられる状況じゃないというふうに見ていたということですよね。

 ここが、上げやすい景気状況になった、確かだと言うんですけれども、私から見ると、去年の今ごろ、そのリーマン・ショック前夜だと言うときと今と、そんなに大きく変化しているとはとても思えないんですけれどもね。今ちょっと、古本さんから、むしろ悪くなっているという言葉もありましたけれども。むしろ、先行き非常に不透明感も漂っているんじゃないかなと思うんですが。

 だから、ここまで上げやすい景気状況になっているというのは確かだと言うのは、そんな、安倍政権ができる前の、まだ八%に上げる前のときと比べてよくなっているんじゃなくて、去年、二回目の引き上げ延期を決断したときと比べて今が上げやすい状況になっていると思ったからこういう発言をしたんじゃないんですか。大臣が発言したときは、そんな前のところと比べて、今上げやすい状況だと思って発言されているんですか。どうなんですか。

麻生国務大臣 昨年の五月、六月と比べて、少なくとも、賃金とか企業収益というのを比べてみても、個人消費が、あのときはまだ個人消費に力強さは欠いている状況にあったのではないか、今と比べましてね。しかし、私どもから見まして、少なくとも、需要とかというものを見たり、成長の減速リスク等とかというような話があのころは随分よく言われたころでもありましたので、判断をさせていただいて、二年半の延期を判断したところですが、今でも私どもは、確かに景気は緩やかに回復しつつありまして、先ほど申し上げたような資料は間違いないところだと思いますが、では、中国の経済はどうなるの、北朝鮮、きょう何かしたらどうなるのとかいろいろなリスクがあることは確かなんだと私ども思っておりますけれども、少なくとも、アメリカのことに関して言わせていただければ、これはトランプ・リスクとか言われたようなものが、結構確実なものが見えるようになってきたというような形に少しずつなりつつあるように思いますので、昨年の六月に比べて、私ども、今の方が引き上げる可能性ができ上がりつつある、去年に比べればという点は、間違いなくそうだと私もそう思います。

古川(元)委員 この間違いなくというところなんですけれども、例えば、個人消費だって非常に弱いですよね。もう大臣御存じのように、先々週あたり、大手の量販店とかスーパーとかがかなりの品目の値下げをするぐらい。あるスーパーの社長は、デフレ脱却というのは幻想だった、そういうことさえも記者会見で言っているぐらいですよ。

 そういう状況で見ると、大臣が間違いなくよくなっていると言うのであれば、それはやはり具体的な数字で示してもらわないと、どうもそれは何か感覚的なことだけじゃないかなと。しかも、その感覚が、どうも一般の持っている感覚とはかなりずれてしまっているんじゃないかなと思うんですが、そこのところはどうですか、大臣。今、実際に世の中で起きていることですよ。むしろ、価格が低下しているものがふえてきたりとか、そういうことで、個人消費が弱いのに対応しようという動きの方が今強くなっているんじゃないですか。どうですか、大臣。

麻生国務大臣 いろいろな面で、ミクロでいえばいろいろなことが出てくることは確かだと思いますが、二〇一四年、一五年、一六年と、GDPを見ましても、二〇一五年の四―六のときには〇・〇だったものがプラスの〇・二になり、〇・五になり、〇・五になり、〇・三、〇・三と、だんだんだんだん、少なくともプラスに出てきているというのがGDPなんだと思っておりますので、そういった意味では、大きな流れとしては、プラスになってきているという大きな流れは間違いないと私どもそう思っております。

 個人消費がまだ弱いとか、設備投資が大分出てきたけれどもまだとか、個別のところには幾つもあるとは思いますけれども、全体としては、昨年の五月に比べれば、数字としては確実なものが出てきているんだと私どもはそう感じております。

古川(元)委員 大臣、報道によりますと、こうも述べたというふうに報道されているんですよね。今までとは状況が全然違う、少しずつ消費が伸びており、ことしの後半にはそうした姿が出てくると思う、そんなふうに言われたというふうに報道されているんですけれども。今のお話は、今までと状況が全然違うというほど目に見えたものですか。確かに、緩やかに回復しているというのは、それはある種、ずっとここのところ続いている話じゃないですか。何か今までとは、目に見えた形で、報道を聞いたら、この発言をされているんだったら、何かすごくこれまでとは違った、数字的なことも起きているというふうに捉えないと、どこが今までと状況が全然違うというのが、さっきの大臣の答弁を聞いても、それは徐々によくなっているというぐらいで、今までと状況が全然違うというレベルには全然達していないと思うんですけれども、どうですか、そこは。

麻生国務大臣 状況面で今までと一番大きく違ったというのは、やはり、昨年の十一月のトランプ政権ができてこの方、我々のフィーリング、感覚として、日米関係の間に、いろいろなことを言われるであろう摩擦等々の問題は、少なくとも今のところない。そういった話を見て、今までとは違って、摩擦に基づく日米交渉ではなくて、協力に基づく日米交渉をやろうという話になってみたり、いろいろな形で、状況としては、大きな問題だと言われた問題が、少なくとも今のところは、トランプ政権との関係は極めて友好な関係に動きつつあるように思っておりますし、振り込まれてくる企業の話やら何やらの話も、間違いなく前とは違って、日本に期待したい、日本に投資をというような形でかなり変わってきているということは確かだと思っております。

古川(元)委員 ということは、大臣、今までと違うというのは、要は、トランプ政権ができて、トランプ政権の、特に貿易政策なんかで相当日本に言われるんじゃないか、そういう不安が今解消してきているようなそういう状況、そこが一番違うという。今までとは状況が全然違うというのは、アメリカとの関係、日米関係の経済の関係のところでの不安定要素が、今の大臣の答弁で、今のところない、そういうレベルでの状況が全然違うということですか。

麻生国務大臣 我々のところで見ていましても、企業が国内でする設備投資については意欲的な話が、随分、新聞あたりを見ましても出るようになってきましたし、そういったところでは、日米関係がということも大きな理由の一つだと思いますけれども、少なくとも企業の設備投資等々に変化が見られるということも確かだと思っていますので、そういった意味では、今までというところは、そういったところは日米関係の変化が非常に大きな影響を与えたということは確かだと思っております。

古川(元)委員 でも、大臣がこの前やられました最初の日米経済対話、ある種、お互いがお互いの考え方を言い合っただけで、具体的な何かが進んだわけでもありませんよね。しかも、大臣とペンス副大統領の記者会見を見ていれば、両方、言っていることがかなり違うんですよね。認識の違いがかなりあるんじゃないかということが明らかになった。ですから、そういった意味では、今後、これが具体的に進んでいく中では、当初言われていたような懸念がまたもたげてくる可能性だって十分あると思うんですね。

 大臣は、今までとは状況が全然違って、ことし後半にはそうした姿が出てくるというふうに言われますけれども、さっき御自分でも言われましたけれども、例えば今の北朝鮮の状況とか、あるいはヨーロッパがどうなるかということも含めて考えると、むしろ、ここから先は不安定要因の方が大きいんじゃないかなと私なんかは考えるんですね。

 そういう中では、大臣は、設備投資は積極的だという話かもしれませんけれども、私なんかが経営者の方々に聞いたりしていると、ちょっと、なかなかこういう先が見えにくい状況の中で、思い切った新しい投資とかそういうことはむしろやりにくい状況にも入ってきていると。

 ですから、何か大臣の発言を聞いていると極めて楽観的なんですけれども、そんな楽観できるような具体的な根拠はあるのかな、むしろ、近い将来を見ても不安定要因の方が多いんじゃないかなと思っているんですけれども、大臣はそこの認識は違いますか。楽観的なんですか、やはり。

麻生国務大臣 経営者は常に楽観的じゃないとやっていけないものですから。そういう意味では、私は、石炭の閉山に追い込まれたときもありましたけれども、楽観的にやってこないとやれぬものなんだと思ってはいるんですけれども。

 今私どもが抱えております状況というのは、心配事を挙げれば幾つでもありますし、きょう、あす何か起こりそうだといっていろいろテレビであおったりしている話も幾つか聞いたりすることも事実ですけれども、私どもは、今、日本の中において、最も政権が安定した中において、政権が安定した結果、経済政策に継続性を持たせることができた、それも確かだと思いますが、そういったおかげさまをもって、少なくとも四年前とは違った形になってきているという事実を踏まえ、私どもとしては、その中で一番懸念と言われていたのが、何といっても、日米関係がどうなるという話は結構大きな要素だったと記憶をします。

 その中にあって、少なくとも昨年からことしにかけてそこの状況が大きく払拭されて、首脳会談以降も、いろいろな、向こうから来る方々の話と確かに個別で意見が違うのは当然ですけれども、私ども今から、詰めていかないかぬと言いますけれども、詰めていこうにも、相手がまだスタッフができ上がっていませんから、残念ながら細かいことまで詰められる状況にない、それは私どもの事情じゃなくて向こう側がないんですけれども。そういったものができ上がれば、少なくとも、次官とか審議官とか局長クラスのところでの話がだんだんだんだん詰め上がっていけることになってまいりますので、そういった状況になってくれば、私どもとしては、やるべきことはこういうことと、きちんとした話ができ上がる、極めて建設的な話になっていけると思っておりますので。

 いろいろな、心配事、中国の経済が崩壊したらどうなるとかなんとか、いろいろな話をあおって、いろいろなことに書いてあるのは確かですけれども、同時に、我々は、きちんとした日米関係という、少なくとも世界第一と第二の経済力、そういったようなものが手を組んでやっていこうという姿勢というのが極めて大事なことなのであって、そういったものが日本というものの経済を、また一人一人の経営者の気持ちを、少なくとも前向きに変えていってくれる大きな要素になり得る、私どもはそう思っておりますので。

 悲観的なことばかり考えているわけではない、かといって、では超楽観的かねと言われれば、私はそう楽観主義者とも思いませんけれども、ほかの人に比べれば楽観主義なのかもしれません。

古川(元)委員 悲観的というよりも、やはり現実をちゃんと正しく直視するということが大事じゃないかと思うんです。ですから、私は、大臣のこの発言、現実をちゃんと正しく把握した上で言っていらっしゃるのかどうか、そこのところが大きな疑問なんですね。

 先ほどからおっしゃっていますけれども、そういうことを言われるのであれば、昨年、消費税の引き上げを二度目延期する前、直前も、そして一回目の延期をした前も、ちょっと前までは大臣は、ちゃんと上げられる、大丈夫だと言っていたんですよね。それが突然、去年なんかも、それこそ五月の月例経済報告では、政府として閣議で決めるものについては、何らそんな表現も何もなかったのに、その同じ週に突然、サミットに出るところの資料で、今の世界経済はリーマン・ショック前夜だという話になって、そして消費税の引き上げを再延期するという話になったわけですよね。

 これは明らかに、もしそれが本当に正しいんだったら、やはりそこのその前の認識がちゃんと現実を見ていなかったんじゃないですか。あるいは、そうじゃないんだったら、まあ、そもそも私は、リーマン・ショック前夜だと言っていたところは一体どこに飛んでしまったのかなと思いますけれども、その後の経過を考えますと。そうやって言っていて、翌月の月例経済には、そういう発言を受けての記述も何にもなかったですよ。

 だから、そういうことを考えると、経済に対する見方が、思いは別に楽観的でもいいですよ、しかし、現実を客観的に直視するという意味で見ると、余りにそこは現実をちゃんと直視してないんじゃないかなと。直視していてこういうことを言っているんだったら、ちゃんとその根拠を示してくださいということなんですけれども。

 大臣、では、それだったら、ちょっとお伺いしますけれども、去年の、突然、リーマン・ショック前夜だといって、それで消費税の引き上げをまた再延期したわけですけれども、今から考えれば、あの見方は間違っていたと思いますか。どうですか、それは。

麻生国務大臣 リーマン・ショックという状況というのは、市場からいわゆるキャッシュがなくなったというのがリーマン・ショックの一番大きな現状だったと思いますけれども、あのような状況にならなかったことは確かなので、その意味では判断は違っていたんだというのはもうはっきりしていますので。事実、キャッシュは間違いなくなくなりませんでしたから、そういった意味では違っていたんだということは確かだと思いますが。

 片方、いわゆる景気というものは、私どもが考えているほど、確実に伸びてきていましたけれども、もっと急に行くようなものにはならずというような状況で、八%の後、尾を引いたというのが、我々の想像よりは長く響いているという判断というのは、それなりの、別の方の御意見はそういう意見もありましたので、そちらの方の御意見によれば、間違いなくもっと伸びるはずではなかったのか等々で、意見の分かれたところではあります。

 私どもは、上げるべきだということを申し上げた財務省と、そうじゃない方と意見が分かれたんですけれども、最終的には上げないという方向で決めさせていただきましたけれども、私どもとしては、あれがリーマン・ショックの前夜のごとき、いわゆる極めて危険な状況だったというほどのものではなかったと、現実そうなりませんでしたから、今でもそう思ってはおりますけれども、ただ、形として、今、少なくとも景気というものは、財政的には問題はありますけれども、景気の面からいった場合は、上げなかったがゆえに、今の状況、上がってきている状況というのは、間違いなく〇・三、〇・四と上がってきていることは確かだと思っていますので、そういった意味では効果があったかなと思っております。

古川(元)委員 でも、今、大臣、上げなかったからこの状況だと言いましたけれども、上げるのは四月の予定でしたからね。御存じのように、上げると言えば、その前には駆け込み需要もありますから、もっとよかったはずなんですよ。

 だから、今の状況が、大臣さっき言われたように、今までとは状況が全然違って、いい状況だと言うんだったら、今から考えてみると、これはやはりそもそも予定どおり上げるべきだったというふうに思いませんか。大臣、どうですか。

麻生国務大臣 これは、私の状況判断とか私の個人的な感情を言っても始まりませんのであれですけれども、少なくとも私どもは、上げないなら上げないなりの結果、それなりの結果はいい意味合いの結果も出ているという面も確かだと思っております。

古川(元)委員 でも、結局、引き上げを先送りしたことによって、予定していたことができないとか、あるいは二〇二〇年のPB黒字化の目標も極めて難しくなっているとか、やはりそういう問題も起きているわけじゃないですか。

 そういった意味では、これはやはり、今から振り返ってみると、突然、何かリーマン・ショック前夜という声が出てきて、実際にそれは起きなくて、今大臣がおっしゃっているような形で、今がもう消費税が十分上げられるような、そういう状況が整ってきているというんだったら、やはりこれは、今から振り返ってみれば、予定どおりやっておくべきだったというふうに思うのが普通じゃないかと思いますが、どうですか、大臣。

麻生国務大臣 予定どおり上げておけば、逆に言ったら、今のような景気が、少なくとも、駆け込み需要の反動によって、その分だけ、ついた後、しばらくマイナスが出ますので、そういった面を私どもはちゃんと計算しておかなきゃいかぬところだと思いますので、その意味では、今の面は確かに、上げておけば、上げなかったが、結果がという、両方意見が出てきて当然なんだと思いますけれども、少なくとも今の状況で、私どもとしては、上げずに来たがゆえに、少なくとも安定した経済というものの成長がこれまできちんとできてきているという面も確かだと思います。

 ただし、その分だけ財政の面はきついではないか、二〇二〇年のプライマリーバランスの話はどうだというような点も、我々としては、財政を預かる者としては考えないかぬところなので、そういった点は、プラス、マイナス両方あろうかと存じます。

古川(元)委員 やはり、私は、今のままいくと、そんな、大臣、今の時点で、二〇一九年十月、上げやすい状況が出ているんじゃないかと言いますが、二度あることは三度ある、直前までは大丈夫、上げられると言っていて、またやはり上げないということになるんじゃないか、そういう危惧を大変抱いております。ですから、やはりそういった意味では、きちんと、正しい、楽観的なというんじゃなくて、ちゃんと数字とかに基づく現状把握をしていただいて、その上で判断をしていくということが大事だということを申し述べて、次の質問に行きたいと思います。

 次に、自民党内でちょっとささやかれております、というか提案されている、子供保険についてちょっとお伺いしたいと思います。

 先日、自民党内で、保育や教育に係る費用を賄う財源として、子供保険の導入が提案されました。私は、教育無償化の財源として教育国債を発行するという、子供に係る費用を子供たちにツケ回しする、そういう提案よりはよっぽどましだというふうに思いますけれども、しかし、この負担を社会保険という形で求めるというのは、ちょっと違うんじゃないかなというふうに思っています。

 そもそも、大臣は、税と社会保険との違いというのをどのように認識しておられますか。

麻生国務大臣 基本的に、税といえば、国とか地方自治体が行う給付やサービスの財源を賄うために、担税力というものをある程度踏まえた上で、国民とか県民とか住民から徴収するというもので、基本的に、税を財源とした場合は、特定の給付とかサービスとかというものの直接のいわゆる対価性というのはありませんで、負担する人と受益者が必ずしも一致しないというのが税かなと思っております。

 傍ら、保険の方は、一般的に、誰しもが出っくわすであろういろいろなリスクというものをある程度考えて、それに備えて、必要となる給付とかサービスとかいうものを行うべき、その財源として保険料というものを行う仕組みなので、結果として、給付やサービスには当然のことながら対価性がありますので、負担している人と受益する人とが基本的に一致するというところが、税と保険の一番の違いかというような感じがしますけれども。

古川(元)委員 私はその認識を共有するんですけれども、きょう、ちょっと資料をお配りさせていただいておりますけれども、国民負担率の推移を見ていきますと、国民負担率は高齢化とかに伴ってずっと上がってきているんですけれども、これを見ていただくと、租税負担率というのは、国民負担率が上がっていく中で、そんなに、昔から比べると、ぐっとふえているわけじゃないんですね。一方で、社会保障負担率というのは、基本的に右肩上がりでふえている。この多くは、やはり社会保険料の負担なんですね。

 ほかの資料なんかを見てみますと、年金とか医療保険などの社会保険料負担というのは、ずっと一貫して、やはり負担はふえてきているんですね。例えば厚生年金の保険料は、平成十六年以降は毎年ずっと上がっていますし、また医療保険の組合健保なんかの保険料も、平成二十年以降は毎年上がっているんです。ほかの、国保だとか国民年金なんかの保険料も、基本的に右肩上がりで上がっているというところであります。

 では、社会保険、さっき大臣言われたように、社会保険というのは負担と給付が対応していると言うんですけれども、しかし、では年金は全て保険料でやっているかといったら、税負担の部分もある。医療だって税も入っている。そこの税による負担部分は余りふえなくて、まあ年金については、これは我々も七転八倒の苦しみをして、三分の一を二分の一に引き上げる、その財源としての消費税の引き上げをお願いするという決断をしました。しかし、そういうことをやったことはやったんですけれども、社会保険というのも、完全に社会保険料だけで賄えるかというと、税とのマッチングとされているのが実態であります。

 そういう中で見ていくと、社会保険料の負担だけはどんどんふえているんですが、一方で、税の負担というのは、財政上の理由もあってそれほど伸びていないというのがこの数字から見ると見えるんじゃないかなと思うんですね。

 私は、やはりこういう姿を見ていくと、ちょっと余りにも、この間、税ではなくて社会保険というものに国民の負担をお願いし過ぎてきたんじゃないかなというふうに思うんですが、大臣はこの点についてはどのように考えていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 これは非常にわかりやすい資料ですね。よくできていると思いますが。

 古川先生の御指摘のとおり、負担率だけ見ますと、これは間違いなく、近年の租税負担に比して社会保険料の負担の方が増加してきた、これは間違いない事実なんだと思っております。

 税負担は、やはり税制のあり方だけじゃなくて経済状況によっても大きく変わります一方で、社会保険料の負担というのは、必要な給付というのを社会保険で賄うという保険の原理原則みたいなものに基づいておりますので、そういった意味で査定されていることから、高齢化が進展してきますので、それに伴って社会保障給付費というものが増加する、上昇しているということなのであって、社会保険料に過度に依存しているというようなことではないのではないかと思っております。

 その上で申し上げれば、税負担については、現行の社会保障制度は、給付に見合う負担を今、おっしゃったように、確保できていませんので、税で賄ってきているという部分もありますので、多額の負担をツケ回しているということも事実であろうと存じますので、このような現状を考えれば、やはり政府としては、民進党にも合意をいただいた社会保障と税の一体改革というものを推進して、社会保障の安定化、また、ひいては財政の健全化に努めているところですけれども、引き続き、社会保障の持続性というもの、持続の可能性というものの確保というものは、これは極めて大事なところだと思って、この点についてはきちんと努めてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 さっきも申し上げましたけれども、私は、これはやはりちょっと、もう少し、社会保険制度を維持していくためにも、税による支える部分もないと、特に社会保険料負担というのは、働いている人だけじゃなくて事業主の負担もあるんですね。

 特に、中小企業の人たちにとってみますと、この労使折半というものの負担がどんどんどんどん重くなっているというのが、それこそ非正規雇用をふやしたりとか、そういうことにもつながっているわけであって、過度に社会保険というのに頼っていくというのは、むしろ、今の雇用環境とかの状況を考えて、一人でも多くの人がちゃんと正規雇用の中で働いてもらうようにするという意味では、これ以上社会保険料負担をどんどんふやすというよりも、そこのところは、社会保険料だけでこういう年金とか医療とかいう社会保障制度も賄われているわけじゃないですから、やはりそこは税による負担の部分を手厚くするということを考えるのが、私はあるべき姿じゃないかと思っています。

 そういう中で、今自民党の中で提案されている子供保険ですけれども、これは、子供が必要な保育、教育等を受けられないリスクを社会全体で支えるものというたてつけなんですけれども、私は、子供が必要な保育、教育等を受けられない、これをリスクというふうに見るのはかなり無理があるんじゃないのかなと。

 大臣、こういう保育とか教育に係る費用というものは、もちろん、受けられないと子供たちにとっては、将来がありますから、そういう意味ではリスクかもしれませんが、しかし、ここはやはり国としてきちんとそういうものはサポートしていくというやり方があって、何かこれを、いわゆる年をとるリスクをカバーする年金だとか、病気になったときのためのリスクをカバーする医療保険とか、そういうものと同じような横並びでリスクとして見るのは相当無理があるんじゃないかと思うんですが、大臣自身は、こういう保育とか教育等に係る費用の財源調達の方法としては、本来、税と社会保険、どちらが適当だというふうに考えていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 これは古川先生、今の現状を税で対応できればいいんですけれども、残念ながら、今、税で対応できない分は、国債という名前の借金で賄っていますので、これを仮に、子供保険じゃなくて、子供国債、子供債券というようなことを言っていた人も一時期おられましたけれども、それこそ将来にツケ回していることになりますので、そういうような形よりは子供保険の方が、少なくとも子供国債に比べればいいんじゃないかという感じは率直な実感ですけれども。いずれにしても、これは今、自民党が何か出したという話なので、その内容を詳しく承知していないので、お答えは差し控えさせていただきますけれども。

 いずれにしても、将来世代に負担を先送りしないで、社会全体で子供を育てるという仕組みづくりというものをやはり目指すということを考えないかぬのだと思って、その趣旨を考えて、自由民主党の政調の中でいろいろ考えたという話だけしか聞いておりませんので、ちょっと今、それ以上のことは申し上げられませんけれども。

 少なくとも、今申し上げましたように、子供を育てるというのを社会全体でやっていくということを考えないと、この国の将来というものを考えていった場合においては、やはり安易に、今の借金でぽいというのではない方がいいのではないかというのは率直な実感です。

古川(元)委員 私が聞いているのは、そういう子供国債とか教育国債という形でツケの先送りはしないという前提で、ちゃんと財源としては賄う、今の世代でちゃんと確保する、そういう前提のもとで、では、それを賄う手段として税がいいか、社会保険がいいかというところでどう考えているかということなんですね。

 この提言をまとめた中心の小泉議員なんかがインタビューで、筋論としては消費税だと思うけれども現実的な解としてはない、政治の世界は筋論だけ言って通る世界ではないという話で、ですから、筋でいえば消費税だということを言っているのかなと思いますけれども。私は別に消費税に限らずに、所得税でも、法人税でも、あるいは資産税でも、いろいろと財源としての税目は考えた方がいいと思うんですが、これまでを見ると、さっきから議論しているように、図らずも小泉議員が言っているように、やはり政治的に、社会保険料を上げる方が受け入れやすい、やりやすかったというのは事実だと思うんですね。そういうことが、租税負担率の上がり方に比べて、社会保険、社会保障の負担率が上がっているというやはり大きな要因だと思いますが。

 やはりここは、そういう安易な形に、取りやすいところから取るというような形にするのではなくて、本質に立ち戻って、子供たちをちゃんと育てていくのは今を生きる世代として大事なことであって、そういうものに係る費用はちゃんと税という形で負担をしていく、では、どの税がいいかについてはこれは議論していきましょう、そういうやり方が本来のやり方だと思いますが、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 これはおっしゃるように、子育てとか教育の財源の調達方法として税がいいか、保険がいいかという話で、税は借金じゃないぞ、今取れるものからだという話で、いずれが適当かというのは、その制度設計というもの自体に依存することから、一概にちょっと申し上げることはできないんだと思いますが、形としては、基本的には、将来に借金を残すのではなくて、今の状況の中できちんとしたやり方ということが基本だと思いますので、そういった意味で、ちょっと一概に、どちらがと言われると、申し上げることは極めて難しいんだと思いますが。

 このあれを見ましても、負担率から見ますと、パーセントの桁が大分、倍とは言わぬけれども、二五と四五じゃかなり負担率に差がありますので、そういった意味では、私どもとしては、こういったものを十分に参考にしながら制度設計を考えないかぬところだと思っております。

古川(元)委員 我々の党も、教育の無償化を、幼児教育も含めて目指していきたいと思っています。その中の、財源については、やはりこれは、安易に次の世代にツケ送りするような形でない形、ちゃんと確保する形、私も党の税調会長でもありますので、しっかりそこは党内でも議論していきたいと思います。

 ぜひ、これは、政府や与党の方においても、やはりそこは筋論の、これなら取れるからということじゃなくて、やはり、まずちゃんと筋論でどうあるべきかということをしっかり議論していただきたい、そうした建設的な議論をまた交わさせていただきたいということをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民進党の古本伸一郎でございます。どうぞよろしくお願いします。

 大臣におかれましては、日米経済対話、まさに国益を背負い、ペンス副大統領と向き合っていただいたわけでありまして、御尽力に敬意を表する次第であります。

 きょうは二つの気になる与党の大きな動きといいますか議論について、なかなかハウスの立場からは手が届かないわけでありますけれども、大体、与党の部会で議論が煮詰まれば、閣法として出てくるわけでありまして、きょうはいい機会でありますので、その二つについて扱いたいと思います。

 一つは、巷間話題になっております、三月三十日付で自由民主党政務調査会国防部会が出されておられます、敵基地攻撃能力の問題であります。

 朝も、ワイドショーはもうこればかりであります。きょうは防衛省にお越しいただいていますが、いわゆるICBM、弾道ミサイル、短距離、中距離それぞれあると思いますが、北は日本をピンポイントで狙って攻撃するだけの能力を既に有しているという理解かどうか。

土本政府参考人 今委員御指摘の北朝鮮の弾道ミサイルの関係でございますが、確かに、総理の方からも述べられているように、今、北朝鮮というのは、新たな段階の脅威ということで、非常に各種の能力を身につけているところでございます。

古本委員 いや、もうワイドショーの方が詳しいですよ。そんなことを言っていちゃだめだと思いますよ。

 あるに決まっていますよ。だから、与党をして、いや、かりそめにも与党の国防部会で、巡航ミサイルを初め、我が国としての敵基地攻撃能力を保有すべく政府において直ちに検討すべしと提言しているんですから、これは検討に入るんですよ。

 いわゆるブースト段階で落とすというのはなかなか難しいと承知していますけれども、大気圏外に飛び出した弾道ミサイルをどうやって落とすかなんですけれども、恐らく、第一迎撃はイージス艦なんだと思いますが、現在我が国の就役しているイージス艦、艦数、並びに一隻当たりのSM3の装填状況を答えてください。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの、まず最初の御質問の関係でございますが、北朝鮮による弾道ミサイルの開発や運用能力の向上に関して、先ほど、若干答弁が不十分だったもので、補足させていただきたいと思います。

 まず一点目でございますが、昨年二月に人工衛星と称する長距離弾道ミサイルを発射したほか、グアムが射程に入ると言われる中距離ミサイル、ムスダンを発射するなど、弾道ミサイルの長射程化を図っているというのが一点目でございます。

 二点目といたしましては、本年三月六日には四発の弾道ミサイルを同時に発射いたしましたが、昨年九月にも三発の弾道ミサイルを同時に発射し、三発とも我が国EEZ内、ほぼ同じ地点に撃ち込むなど、実戦配備済みの弾道ミサイルの技術的信頼性を向上させているものと見られる点が二点目でございます。

 三点目といたしまして、任意の地点から発射が可能な発射台つきの車両、いわゆるTELからの発射や潜水艦からの弾道ミサイル、SLBMの発射を繰り返すなど、打撃能力の多様化と残存性の向上を追求しているという点が見られるということでございます。

 さらに四点目といたしまして、弾道ミサイルの固体燃料化を進めている可能性があります。一般的に、固体燃料のミサイルは、液体燃料に比べまして即時の発射が可能であり、発射の兆候が事前に察知されにくいなど、奇襲的な攻撃能力の向上も図っていると見られております。

 このような北朝鮮による核、弾道ミサイルの開発や運用能力の向上が、昨年来、我が国を含む地域及び国際社会に対する新たな段階の脅威になっていると認識しているところでございます。

 あと、委員御質問の第二点目の、イージス艦に何基のSM3ミサイルを搭載しているかという点につきましては、これは我が方の手のうちになるということで、大変恐縮でございますが、答弁は差し控えさせていただきたいところでございます。

    〔委員長退席、土井委員長代理着席〕

古本委員 イージス艦は六隻でしょう、就役しているのは。一隻当たりは、恐らくSM3は、ランチャーは八基ですよ。さまざまな情報を分析すると、多分八基。

 では、一発当たりのスカッドミサイルを落とす打率は何割なんですか、迎撃率は。

土本政府参考人 迎撃率につきましても、こちらの運用の細部にわたるということで、大変恐縮でございますが、答弁を差し控えさせていただきたいところでございます。

古本委員 大臣、ちなみに、朝のワイドショーでは、SM3のイージス艦からの迎撃率は九五%だとワイドショーで言っておりましたよ。この後にお尋ねするPAC3は九〇%だと言っていました。

 つまり、事実をきちっと国民に説明した上で、もし迎撃率が低いならばイージス艦をふやすしかないじゃないですか。一隻幾らですか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 イージス艦の価格につきましては、為替変動や物価状況等の影響もあり一概に申し上げることはできませんが、平成二十八年度に建造を開始したイージス艦一隻の予算は千六百九十七億円、平成二十七年度に建造を開始したイージス艦一隻の予算は千七百十六億円となっております。

古本委員 「こんごう」型と「あたご」型、さらに次世代イージスのことを言われているんだと思うんですけれども、要すれば、一隻当たり大体千五百億前後の新造費がかかるんです。

 与党の御提言によれば、少なくとも弾道ミサイルでの敵基地攻撃能力は、なかなか射程に入っていない書きぶりになっています。防衛省から頂戴した事前の資料でも、弾道ミサイルについては検討の外のような気がします。

 他方、今度F35タイプAの導入を承知していますけれども、では、F35で空爆するのか、あるいは既存のF15でいくのかといっても、相当なネットワークで防御システム、敵基地のレーダー網のジャミングなどなど装備をしなければ、平壌上空までたどり着くことなんて夢のまた夢です。それに搭乗するパイロットがいるならば、相当な覚悟と命と引きかえにということに恐らくなると思いますね。

 そうすると、航空機によるアタックというのは相当難しい。それが現実的には、明示的に書いている。これは与党の国防部会長の名において出されている資料ですよ、巡航ミサイルと書いているんですね。

 では、トマホークは、日本のイージス艦に配備、ランチャーに入りますか、あのカセットに。

土本政府参考人 イージス艦は、委員御案内のとおり、護衛隊群全体の艦隊防空の任務や弾道ミサイル防衛の任務を担うこととしておりまして、米国のイージス艦と同様に、対空ミサイルSM2や弾道ミサイル防衛のためのミサイルSM3を発射するための垂直発射装置VLSを装備しております。

 他方、我が国のイージス艦は、対地攻撃性能は保持していないため、当該発射機でトマホークを発射することはできません。

古本委員 つまり、同じイージスシステムを載せている米海軍の艦船と我が海上自衛隊の護衛艦、自衛艦、イージス艦と比較したならば、いわゆる艦対空あるいは艦対艦はありますけれども、艦対地はないんですよ。それは当然です。さまざまな議論の中で、地上を攻撃する前提のトマホークは想定していない、だから検討しなきゃならないんだと与党の国防部会が提言されていますね。

 でも、これはイージス艦をまた一からつくり直すのかという話か、あるいは大改修が必要になるわけですよね。私は事実を、打撃率、迎撃率は国家機密ですと朝のワイドショーで言っているんですから。しかも、元海上自衛隊の司令官であった海将が御発言されているんですよ。

 私は、国民の皆様に、今こそこういうことをお伝えした上で、イージス艦を一隻改修するにはこれぐらいかかる、費用対効果はこうだけれども、それでもやらなきゃいけないことがあるというのは言うべきですよ。やはりそういうことを言わずして、なぜか不安だけあおる。一〇〇%迎撃していただけるというのなら、安心この上ないですよね。

 次に、PAC3に行きますよ。

 PAC3高射群は、今、日本に幾つありますか。六高射群ですよ。三沢、首都圏防空、岐阜、九州、沖縄、これは全く中国、四国地方は空白じゃないですか。中国、四国の選挙区の先生方は我慢しろと言うんですか。PAC3の高射群をふやすのに、一高射群幾らするんですか。

土本政府参考人 今、委員の方からPAC3の配備先についてお話がございましたので、まず基本的な考え方の方から、ちょっと述べさせていただきたいと思います。

 我が国の弾道ミサイル防衛システムにつきましては、弾道ミサイル対処能力を有するイージス艦による上層での迎撃と、ペトリオットPAC3による下層での迎撃を組み合わせた多層防衛により実施しているところでございます。このうち、PAC3は、今委員御指摘のように、北海道、東北、関東、東海、近畿、九州及び沖縄に現在十七個の高射隊分が配備されておりまして、状況に応じて、日本全国の適切な地域に機動的に移動、展開し、拠点防護に使用することとしております。

 事態対処時におきましては、このPAC3を適切な場所に配備すること及びSM3搭載イージス艦と組み合わせて活用することにより、我が国全域を防護することが可能と考えております。

 今、最後の御質問の、高射群を一個ふやすための経費という観点でございますが、まず一個高射群は四つの高射隊から編成されておりまして、弾道ミサイルの対処に当たりましては、各高射隊に配備されております二基の弾道ミサイル対処能力を有する発射機から発射する弾道ミサイルによりまして対処することとなります。

 そのための経費につきましては、現在、航空自衛隊が保有しておりますペトリオットシステムは、取得後、数回改修をすることによりBMD能力を付加しているものであることから、同じものを取得した場合の経費につきまして確たることを申し上げることは非常に困難でございますが、これまでの取得及び改修経費を単純に加えて計算するとすれば、高射群を一個ふやすという先生の御質問に対しまして幾らかかるかという点につきましては、約二千億程度必要になるのではないかと考えております。

古本委員 そうなんですね。一高射群編成するには、多分二千億というのは周知の事実でありますよ。ただ、その高射群を一つふやしたところで、肝心かなめの迎撃率は、これは国家機密だと言って答えないですね。

 私は、いよいよ財務省が、きょうは副大臣に、政務にお越しいただいていますけれども、社会保障に財源を使いたいと、非常に国民の皆様の御理解も高まっていますね。もとより、社会保障財源というのは高齢者がメーンでした。年金、介護、医療だけだった。高齢者医療だけだったんです。そこに子ども・子育ての分野も入れようじゃないかと言ったのが、先ほどの古川先生来、出ておられる、社会保障と税の一体改革の本旨であったわけでございますね。

 したがって、子ども・子育て分野に世の中の皆様のお金の使い方として理解がふえてきたというのは、今、千載一遇のチャンスだと思いますね、社会保障の充実ということで。

 他方で、北朝鮮の核の脅威が新たな段階の脅威に入っているという与党の言葉をかりれば、そういう段階に入っている中で、ともにお金を使わなきゃならない状況になっているわけですね。

 少し、当財務金融委員会として、簡単に数字をおさらいしたいと思うんですが、きょうは厚労省に来てもらっています。

 さて、諸先生方のお地元でも、特別養護老人ホーム、平均すれば、一年や二年は入所待ちじゃないですか。圧倒的にベッドが足りませんね。今年度の予算で、特養のベッドをふやすための予算、一床当たりをふやす単価、今年度、ついている予算はどのくらいですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 特別養護老人ホームに限定したものではございませんけれども、平成二十九年度の介護基盤整備に係ります予算についてでございますが、介護分の地域医療介護総合確保基金といたしまして、国費ベースで四百二十三億円を計上しております。二十七年度、二十八年度も同額でございます。

 申し添えさせていただきますと、平成二十七年度の補正予算におきまして、二〇二〇年代初頭までに在宅・施設サービスの前倒し、上乗せ整備を行うこととし、国費ベースで九百二十一億円を計上しております。

古本委員 次に、将来世代、子育てを一生懸命頑張ってくださっている世代の切なる願いとして、女の人が仕事に出たい、働きに出るためには、子供を預かっていただけるところが欲しいということで、幼稚園、保育園、認可保育、無認可保育などなどあるんでしょうけれども、子育て中の親御さんが仕事に出るために預けるという場合と、幼稚園の場合、文科省の方の話と厚労の話に分かれると思いますけれども、それぞれ今年度の予算を答えてください。そういう子育て、お母さん、お父さん方の安心のために、ことし、幾ら使ってくれるんですか。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 保育園の整備に係る予算をお答えさせていただきたいと思いますが、市町村が策定いたします整備計画に基づきまして、保育園等の施設整備に充てるための保育所等整備交付金、平成二十九年度予算額で五百六十四億円でございます。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきまして、幼児教育の無償化を段階的に進めてきておるわけでございますけれども、二十九年度の幼稚園就園奨励費、これは約三百九億円でございます。こういったことを活用しながら、文部科学省として、幼児教育の無償化について取り組んできているところでございます。

古本委員 特に、保育士の先生方をふやすという問題。保育士の先生方に聞いて驚きましたけれども、免許を持っておられる方は、何と百三十万人。他方で、就業されている方は五十万人。八十万人の有資格者が何らかの事情で職場を離れておられる。保育園、現場を離れておられる。離れておられる人の理由の専らは、五割の方が、給料が安過ぎると答えているんですね。

 ここの支援に幾ら使うんですか。

吉本政府参考人 厚生労働省といたしましては、保育所の整備とあわせまして、保育を担う人材、保育士の確保に努めているところでございますが、残念ながら、潜在保育士と言われている方が約八十万人おられまして、就業を希望しない理由としましては、賃金が希望に合わないというのが最も多くて、四七・五%ということになっております。

 こうした方々に再就職をしていただくためにはさまざまな施策をとる必要があるかと思いますが、その一つは処遇改善というふうに考えておりまして、平成二十九年度予算におきましては、全職員一律二%の処遇改善を実施いたしますとともに、キャリアアップの仕組みを構築いたしまして、経験年数がおおむね三年以上の職員に対しましては月額五千円、また経験年数がおおむね七年以上の中堅職員に対しましては月額四万円を上乗せする処遇改善を行うということにしておりまして、こうした処遇改善に係ります予算額でございますが、公費で約千百億でございます。

    〔土井委員長代理退席、委員長着席〕

古本委員 ありがとうございました。実に明快にお答えいただきました。

 つまり、ハードの整備に、幼稚園と保育園を合わせて、厚労省所管、文科所管を合わせて約千億ですよね。それから、保育士の先生方の待遇改善ということで千億ですよ。そして、さっきの特養の、恐らく一ベッド当たり千二百万ぐらいかかるというふうに理解していますけれども、できるだけ前倒しして、いわゆるお年寄りの皆様が安心して、その施設型、もちろん在宅型と併用でありますけれども、御家庭の事情でどうしても施設だという方は施設に入りたい、それを前倒してやる整備費に九百億強。ちょうどわかりやすい、千、千、千なんですね。

 これは、イージス艦が一隻、最新型で千五百億オーダーですけれども、過去の「こんごう」型だったら本当に千二百億ですね。これはしびれる選択ですよ。消費税を一〇%に上げるだけでも、もう二回先送っているんですよ。財源がないのに、これだけ財政需要はあるわけですよね。

 きょうは、国防の元部会長でもいらっしゃる副大臣にお尋ねしますけれども、千億しかなかったら、どっちに使いますか。

大塚副大臣 財務副大臣という立場で立っておりますけれども、御指摘のように、社会保障あるいは安全保障、これはどちらも重要でありまして、どちらも国民の命と生活を守るための国家が果たすべき最重要課題の二つだと思っております。

 特に社会保障については、これは社会に内在する問題にどういうふうに応えていくか、そういうリスクから国民を守っていく、安全保障については外的な脅威から国民を守っていく、こういうことになりますので、そもそも、どちらもサービスに需要があるわけですけれども、需要の出てくるもとが違うということがございます。

 したがって、どっちかを対応すれば、どっちかを切り捨てていいというようなものでもないというふうに私自身は思っておりまして、ただ、実際にどれぐらいお金が出ていくかということを考えますと、財政状況が非常に厳しいというこの制約があることもまた事実でございますけれども、その中で、社会保障の関係費は二十九年度で約三十二・五兆円、一方で防衛費、安全保障は防衛だけじゃありませんけれども、防衛費で見ますと、SACO除きで四・九兆円という形になっております。

 さらに、今、財政健全化を図っていくという観点から、経済・財政再生計画という枠組みのもとで三年間で一般歳出の伸びを一・六兆円程度に抑えていこう、こういう目安のもとに予算を組んできているわけですけれども、このもとで二十九年度予算も全体で五千三百億円ほど伸びておりますけれども、その中のうち五千億円が社会保障関係費で伸びている。五千億円、社会保障で伸びているということは、これは防衛費の一割を、単年度で社会保障で伸ばして食っている、こういう状況にもなっているわけでございます。

 それから、先ほど先生がいろいろ御指摘されました子ども・子育て関係の費用、これは我が国にとっても喫緊の課題、非常に重要なところなわけですけれども、金額としては数百億とか、足し上げて一千億というオーダーで古本先生はおっしゃっておられましたけれども、年金、医療というようなところがやはりボリュームとしては非常に大きいところがございまして、年金で見ると二十九年度予算で十一兆六千億、医療でいうと十一兆七千から八千億円、こういうオーダーになっているところでございまして、ここから目を背けて、社会保障の新しいニーズ、子育てニーズにも対応はできないだろうと思いますし、あるいは安全保障のニーズに応えていくこともできないというふうに思っているところでございます。

 いずれにしろ、この厳しい財政の中で国民の命を守るという非常に重要な、国家にとって最大限重要な仕事であると思っておりますので、それをしっかり支えるべく、財政当局としても全力で頑張っていきたい、こういうふうに思っているところでございます。

古本委員 ありがとうございます。

 大変しびれる判断が必要な場面にいよいよ入ってきたと思いますね。財源を確保しようと思って消費税をお願いしたら、なかなか上げられる環境にないと政府は御判断をされ、そして他方で、社会保障関連、とりわけ子育て分野に、自民党の皆さんも、今ごろになってという感はありますけれども、非常に開眼されているような感じがいたしますよ。歓迎ですよ。かつて、高等学校の無償化を無駄遣いだと大変やゆしていただいた皆様が、今や大変な理解者じゃないかなというふうに思いますよ。

 ともに財政需要がある中で、例えば、これはさっき紹介しましたけれども、既存のイージス艦にクルージングミサイルが積めるかどうかというと、積めない。積めない設計だったのか、将来、積める可能性のある設計をしていたのか、これは大きく原価低減、原価改善ができる可能性はあったわけですよね。やはりそういう議論から逃げちゃだめだと思いますね。

 他方、陸上自衛隊は本当に地上戦をやるのかという話ですよ。今やもう恐らくミサイルでやり合うか、あるいはジャミングするか、さまざま、中身には、きょうは防衛委員会でもないので入りませんけれども、そうすると、防衛省全体でも節約しなきゃいけないところは山ほどあると思いますよ。

 そういう議論を、財務省は嫌われて何ぼの財務省だと思うので、五月の連休も終われば、もう三十年度の予算に入っていくと思いますので、強く提言をしておきたいなというふうに思います。

 国民は、千億あったら、子育ても介護も、そして安全保障もともにと言いますよ。こんな魔法のような話はない。そこで、政治は、誰に負担していただいて、それをどなたに使うのか、何に使うのかということから決して逃げてはいけない、そう思います。

 きょうは、主税局に来ていただいていますが、三十年度税制改正の議論がもう間もなく始まるんだろうと思いますが、とりわけ所得税に絞って、とりわけ控除に絞って、何か、今、方向感を持っているのであれば、披瀝していただけますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 所得税の控除に関する御質問でございます。

 二十九年度の税制改正におきましては、就業調整をめぐる喫緊の課題に対応する観点から、配偶者控除等の見直しを行ったところでございますけれども、その上で、今後、数年をかけて、個人所得課税改革に取り組んでいくこととしております。

 具体的には、平成二十九年度の与党税制改正大綱におきまして、所得再分配機能の回復の観点から、基礎控除などの人的控除等における控除方式の見直し、多様な働き方を踏まえた、所得の種類に応じた控除と人的控除のあり方の見直しなどの改革の方向性が示されているところでございます。

 与党での御議論も踏まえながら、個人所得課税改革につきまして、引き続き丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。

古本委員 恐らくこの各種控除が、一度整理しなければ、ただでさえ先細っている所得税収がますます先細る、こういう全体の危機感を財務省が持っている、政府も持っているんだと思うんですが、これは、私たちは絶対に忘れてはならない事実を一つここでおさらいしたいと思いますね。

 平成元年、竹下登先生が消費税を導入されたときには、所得税も法人税も同時に減税を入れていますから、一人一人で見れば、国民全体でならせば、これは負担増になってないはずですよ、ほぼ。

 そして、平成九年、橋本龍太郎さんが、橋本先生が五%引き上げをやった際も、同じく所得税の定率減税などを導入し、法人税も減税を入れ、ほぼレベニュー・ニュートラルだったはずです。

 私どもが与党のときに社保・税一体改革、自公の皆様とも一緒になって実現させていただきましたけれども、あのときは史上初ですよ、単なる負担増、減税を入れませんでしたから、さらには復興増税もお願いしましたから。

 数少ない、負担を軽減する。言うならば、担税力が弱い地方都市、これは、平均所得が都市部の方が高いですね、地方の方が低い。この担税力の弱い地方都市に住む方ほど、実は負担の重い税がある。これはなぞなぞでも何でもないです。

 前回、総理入りのときでしたので、冷静な、静かな議論が短い時間でできませんでしたけれども、改めておさらいしますと、都道府県庁所在市別世帯当たり自動車関係コストを見ますと、税金でしょう、それから高速代金、ガソリン代、もちろん駐車場代とかもありますけれども、任意保険代、全部入れますと、東京都区部、大阪都市部が世帯平均で十万円です。これは何と、山形とか富山とか山口とか地方都市に行くと二十五万円以上、二十八万、三十万です、三倍です。その多くを占めているのが自動車関係諸税であったりするんですけれども。

 きょうは、大変無理を言って、委員会をかけ持ちで、今駆けつけていただきました。自動車の任意保険を担当されております越智副大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、地方に住む皆さんにとって大変負担の重い生活経費になっているなという御実感は持っていただけないでしょうか。

越智副大臣 今、地方に住む方の自動車保険料、これが高いという実感はあるのかというお話でございましたけれども、前に、地方にというか、若い方の保険料はどうかということを調べたことがございます。

 例えば、千ccクラスのエントリーカーで二十の方が初めて保険を契約したときには、いろいろと会社によっても異なりますけれども、一般の補償内容で月額大体三万円ぐらいということを調べたことがございまして、そういう意味では、その金額だということは認識しているところでございます。

古本委員 副大臣、もうちょっとサービスで踏み込んでいただきたいと思うんですけれども、だって、三万円ということは、年間で三十何万円払うということですよ。十八歳で免許を取って、アルバイト代をこつこつためたお金で買った車ですよ。自賠責で走ればいいじゃないかと。でも、万が一事故を起こしたら、やはり任意保険に入っておかなきゃ心配ですよ。親御さんも入ったらどうかとアドバイスするでしょう。

 そのことからいったら、東京、大阪、京都あたりと比べて、山形だ、山口だというのは三十万ですよ、三倍、世帯負担が。それで世帯収入は絶対東京の方が高いんですから、平均したら、もう一々言いませんけれども。やはり地方都市ほど、もちろん委員長の御地元も入っていますから、高いですよ。

 そうすると、やはりこれは金融庁としても、何か考えていただくということは難しいにしても、負担だなという認識だけは持っているかどうか、ここが大事なんです。いかがですか。

越智副大臣 先ほど三万円と申し上げましたが、年間にしますと四十万近くということでございますので、それなりの金額だなというふうには思っております。

 一方で、保険料の設定に関しては、業法の五条において、リスクに応じて保険数理に基づいて合理的な妥当なものであることですとか、あるいは保険契約者間の公平が保たれているということの要件を満たすことが求められているということもございます。こういうことで、任意保険の保険料については、損保会社が運転者の属性等リスク実態を踏まえて保険数理で算出しているものだ、これは前提でございます。

 その上で、先ほど都市部と地方の間の金額の差というお話がございましたが、私もその事実関係は確認しておりませんが、一つには、世帯の保有する自動車の台数等の関係もあると思います。そういう中で、多くの保険会社では、地方に多い、若者も含めた家族で複数の自動車を所有する場合などに、保険を一括して契約すれば事務経費の軽減に応じて保険料を割り引く制度を導入するなど、保険契約者の負担軽減に向けた創意工夫に取り組んでいるということも聞いておりますし、また、テレマティクス保険といいますが、安全運転を心がけるドライバーに、より低廉な保険を提供する観点から、自動車に搭載されましたデバイスなどを用いて運転挙動等をきめ細かく把握して保険料に反映するといった取り扱いを始めている保険会社もあるというふうに考えているところでございまして、金融庁としましては、今後も、保険会社において顧客属性やニーズに応じた商品開発がなされるように、その取り組み状況をしっかりと見ていきたいというふうに思っているところでございます。

古本委員 負担だというのは、今数字も言っていただいたので、そこはかとなく認識はしていただいていると思うんですけれども、ちょっと大臣が今外されているので、一緒に聞いてもらいたかったですけれども。

 主税局長、控除の改革を今後していく中に、カセットとしてはめ込んでほしいとは思いませんけれども、私は一つのアイデアとして、例えば確定拠出年金とかあるいは共済年金とか、いわゆる積み上げ部分については所得控除できますよね。生命保険だって、地震保険だって、控除できる。そういう意味では、実はこの自動車の任意保険の所得控除の可能性というのは税の理屈としてあり得るかどうかということについて、少しコメントいただけますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車、特に地方において生活必需品であるために、所得税の課税対象となる所得から自動車保険料を控除してはどうかというような御趣旨の御質問だと思います。

 この問題をまず考えていく上で、個人が生活していく上で必要な支出、これは自動車以外にも、例えば光熱水料ですとか家賃、携帯電話等の通信料など多岐にわたりますので、こうした中で自動車保険料を取り出して所得控除の対象とすることがどうか。また、低所得者の中には自動車を有していない方も多いと考えられることから、こうした控除を設けることは所得再分配の観点から適切なのかといった問題点があろうかと思います。

 この問題について、所得税の控除でございますので、所得税、稼得した所得の大きさに応じて負担を求めるということが、ある意味、税の根幹にあるわけでございますけれども、こうした考え方に基づきますと、一般論として、所得控除を設けるか否かということは、担税力の減殺の調整の必要性ですとか特定の政策目的を推進する必要性があるかどうかといった点を考える必要がある一方で、課税ベースを小さくし、稼得した所得の大きさに応じて負担を求めるという所得税の根幹を損ないかねない面がある、こういう点をどう考えるか、慎重な検討が必要だと考えております。

 これまでも政府税制調査会の答申で、こうした新たな控除を設けることにつきましては、制度がいたずらに複雑になりかねないとか、稼得した所得の大きさに応じて負担を求める所得税の根幹を損ないかねないことから、基本的に適当でない旨が指摘されているところでございまして、こうした点を踏まえながら、御提案について、慎重な検討が必要ではないかと現時点では考えております。

古本委員 慎重な検討は必要というお言葉がありましたので、これはゼロ回答ではなかったというふうに受けとめますよ。

 なぜならば、あまたの控除の中に、少なくとも保険料という概念は既に存在していますからね。もし車検代も控除していただけるというのなら、控除してもらったら大歓迎ですよ。だって、これは法定車検ですから。法定経費として払っているんですから。片や、他の確定年金やら何やらは任意ですからね。

 やはり地方都市ほど、実は担税力がないのに重く負担してしまっている税は何かといったら、これは自動車関係諸税なんです。自動車関係諸税を減税してほしいと言ったら、与党の先生方は道路をつくるのが先だとおっしゃるんです。かつての道路特定財源であったのは事実ですから、今はもう廃止していますけれども。

 その議論からいえば、並行して、私は、実は任意保険を初め、車にかかわる諸経費を経費として控除認定するというのは、他方で消費税をしっかり上げていく上でのセットとしてあっていいんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 大臣に戻ってきていただいたので、最後に。

 先ほどの古川委員の話にも出ていたんですけれども、私も実は、二つの大きな動きの一つが子供保険だったんです、かぶるのではしょりましたけれども。

 やはり、自民党の皆さんの人生百年時代の制度設計特命委員会、これは小泉進次郎さんという将来の政治家が取り扱っているということについて、僕は、政策は何をやるかよりも誰が言うかということの方がより大事だと思っているので、みんなで子育てを頑張ろうよというのを、子育てが終わった世代が言うより、これから結婚して子育てをしようじゃないかという若い政治家の皆さんが、有望な方が言っておられるということにエールを送りたいと思います、誰がということに関して。

 ところが、何をに関して言えば、これは子供国債とか教育国債とか、結局、ツケを送る話の代替としては一つの考え方だと思いますけれども、あまねく皆様に漏れなく負担していただく公平な税という意味では、私は消費税にまさるものはないと思いますよ。

 きょうは厚労に来ていただいていたんですけれども、ちょっと申しわけなかったです。既に大臣がコメントを出されていますが、保険の徴収とか未納問題とか、どうしてもこういう問題が伴う保険より、コンビニで消費税を払いたくないともめ出したら警察が来ますよ。そういう意味では、私は消費税ほど公平な税はないと思いますね。

 大臣、一つの考えだとおっしゃいましたけれども、本当は消費税の方がいいと思っておられるんじゃないですか。お願いします。

麻生国務大臣 古本先生、間違いなく消費税が最も公平な税制、その点に関しては、私は全く賛成します。

 金持ちが最も嫌がるのが消費税、世界じゅう、あまねく、みんな同じことを言われますので、それが一番いいんだと思いますけれども。これはなかなか、別の御意見もありますので、意見の分かれるところかとは思いますけれども。

 やはり、消費税というのは消費に比例してかかってくるわけですから、消費税というのは、ヨーロッパの場合なんかを見ましても大体二〇%前後まで行っておるわけで、そういった意味では、消費税というのは非常に公平な税制なんだと、私もそう思いますけれども、不思議なことに、日本では、まじめなんですかな、一〇からずっと、一五から二〇ぐらいに上がっていくときにその国に住んでいたことがあるんですけれども、勝手に上げていくんですよね、みんな。だって、値上がりと同じなんだ。日本だけ、まじめに四月一日からせえのでやるわけです。せえのでやっているのは日本だけです。ほかの国は勝手にみんな値上げというか、内税ですから、外税じゃありませんから。そういったやり方が、はあ、国民性の違いなんだなと思って、当時、住んでいたときにそういう記憶があるんですけれども。

 子供保険とかなんとか、いろいろな意見が今出ているのは知らないわけではありませんけれども、私どもとしては、消費税というのが税としては最も公平性を確保できる税だ、そう思っております。

古本委員 ありがとうございました。

 終わります。

御法川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 財政法第九条は、「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」とありまして、国有地の売却、貸し付けに適正な対価を求めております。

 当然、国民の財産を売り払うわけですから、公正公平な手続で行わなければならない。当然だと思いますけれども、財務省はこのような姿勢で国有地売却に当たっているのかどうか、まず冒頭に確認をしたいと思います。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員おっしゃいました財政法九条、「国の財産は、法律に基く場合を除く外、」「又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」ということでございまして、私ども、この財政法に基づきましてやっておるところでございます。

宮本(岳)委員 先週、二十一日金曜日の衆議院国土交通委員会の私の質疑で、佐川理財局長は、近畿財務局の職員が「今後の手続きについて(説明資料)」という文書を作成し、私学審で検討される前に森友学園に渡したことを認められました。配付資料一がその文書であります。しかも、大阪府私学審議会で初めて審査される直前の二〇一四年十二月十七日に、近畿財務局内で担当職員から森友学園側に手渡され、説明を受けたとされております。

 文書は、大阪府私学審が認可適当とし、国有財産近畿地方審議会が認可することを前提に、そのスケジュールを十四の手続ごとに説明しております。森友学園が提出すべき書類について、その時点で明確な内容を書き込んだひな形を六種類、別添資料として財務省が用意するなど、普通、財務省の対応としてあり得ないぐらい懇切丁寧な説明をしているとの印象を持ちました。

 佐川理財局長は、事務手続が円満に進むように、先方に対して参考となるものを渡している、何ら不自然なことはないと答弁しておられましたけれども、とても、そのようなことをふだんからしているとは思えません。

 確認いたしますが、国有財産近畿地方審議会の二カ月も前に、その後の手続を文書にして購入希望者に説明するようなことを、理財局は国有地売却の手順として通常行っているのかどうか、お答えいただけますか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御提出の「今後の手続きについて」という説明資料でございます。

 国有地の処分の手続につきましての説明資料につきましてですが、私どもは、国有地の処分に当たりましては、その国有地を要望する者が、国有地の取引の経験に乏しく、必要となる事務手続を承知していない場合、あるいは、要望者が想定するスケジュールが、国側が必要とする期間を考慮していない場合などには、要望者が国有地を取得した後に円滑な事業の進捗等に影響が生じるため、必要となる手続、スケジュール等につきまして、相手方が理解をした上で事務を進めることは不可欠でございます。

 したがいまして、財務局の方から要望者に対しまして、処分方針の決定前におきまして、処理方針が確定していないということを明らかにした上で、国有財産の処分に係る制度、必要となる事務手続、想定されるスケジュール等を説明することは、各財務局において一般的に行われているところでございます。

 それで、今の委員の御質問のことでございますけれども、そういう国有地を処分する際に、相手方に対する説明でございますが、各財務局の現場におきましては、相手方にもよります、それから土地の状況等にもよると思います、そういうものを考慮しながら、例えばですけれども、参考となる法令などを参照しながら、もちろん口頭で説明を行うケースもあろうかと思いますし、今のように、手続あるいはスケジュールをわかりやすく資料にまとめた文書を手交して説明を行うなど、各事案ごとに、現場でさまざまな工夫を行いつつ対応が行われているというふうに承知してございます。

宮本(岳)委員 森友学園のこのケースでは、別添資料として、国有財産有償貸付合意書や売買予約契約書などに、金額や名前などを除き、確定できるものは全て書き込んでおります。半年後に締結する実際の契約書とほぼ同じものであります。常識的に考えて、認可の是非を検討する審議会の前に契約書のひな形を購入希望者に示すことは通常の手順とは到底思えません。

 配付資料二を見ていただきたい。別添資料二の確認要望書というものであります。

 森友学園が提出すべき近畿財務局長への要望書でありますけれども、その理由までが書き込まれております。財務局の職員が森友学園の事情をまさにそんたくし、「今回の計画は小学校新設であるため、校舎建設等に多額の初期投資を必要とすること等から、当初の費用負担を極力抑えたいと考えております。」と、森友学園の要望を書いております。

 ここまで準備をすれば、ひな形の説明というよりも、むしろ代筆ではありませんか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最初の御質問の方でございますけれども、森友学園の方は、この手続書を先方に渡したのが二十六年の十二月ということでありますが、二十五年、一年以上前の九月に取得等要望書が出てございますので、その間、近畿財務局との間でさまざまなやりとりをしているところでございます。

 そういう中で、そういうやりとりを踏まえて、先方は、最初は買い受けをできないので貸し付けで、その後に買い受けということでございましたので、そういう意味では、売買予約つきの定期借地契約というような少し難しい契約でもございますし、そもそも、国有地の取引になれておらないということもございましたし、それから、その土地の状況が地下埋設物あるいは土壌汚染があるといったようなことで、通常の国有地の処分ということに比べますとかなり複雑なものでございますので、そういう意味では、二十五年、前年の九月に取得要望が出されてからの先方とのやりとりも踏まえまして、そうした内容を、通達上に、私ども、貸付契約の標準的な様式がありますので、そこに織り込んで、それを先方に対して説明をしたというところでございます。

 それから、二番目の御質問の、今の要望書のお話でございます。この要望書につきましては、私どもは、まず、今申しましたように、前年の九月に取得等要望書を受け付けておりますけれども、その後に、さらに定期借地契約の締結についての要望書も受け付けているところでございます。

 森友に対する買い受けを前提とする貸し付けにつきましては、期間内に買い受けをできない場合には更地返還ということになってございまして、そういう定期借地契約を結ぶということになってございます。つまり、私どもは、買い受けの確実性を高めたいということで当時対応しておりました。

 したがいまして、そういう点について森友学園が承知していることを明確化するということと、早期の国有地の購入について森友学園側が認識をしてもらう必要があるということがありましたので、そういう早期購入を促す内容を近畿財務局側で記載しまして、森友側が内容を確認した上で、改めて要望書の提出を求めたというふうに聞いてございます。

宮本(岳)委員 何の説明にもなっていないですよ。そうしたら代筆するんですか。

 その続きの文面も驚きです。「国有地の処分は売払いが原則であることは伺っておりますが、このような事情を斟酌いただき、下記国有地について十年間の事業用定期借地契約と売買予約契約の締結をお願いいたします。」とあります。

 財務省の職員が財務省に対し、おもんぱかって、しんしゃくしてほしいなどといった文書を作成している。これは試験官が答案を代筆してやっているようなものでありまして、余りにも職務を逸脱しているんじゃありませんか。こんなものを近畿財務局の職員はふだんからつくっているんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今答弁をしたことと重複いたしますが、私どもは、本件国有地につきましてはなるべく買い受けをしていただきたいというふうに思っておりますが、学校法人ということで、最初は、資金の関係もあり、貸し付けから始まって、それで買い受けということでございました。

 したがいまして、定期借地契約とすることで、更地返還が必要となるということで、買い受けの確実性を高めていただくということでございましたので、そういう意味で、先方に、先ほど申しましたが、森友側もこれをきちんと明確化してもらいたい、それから、早期購入についてもきちんとしたいということで、要望書という形でございましたので、このような形でありますが、中身につきましては、いわゆる早期購入を促す内容ということでございます。

宮本(岳)委員 答弁になってないじゃないですか。要望書というのは、森友学園が近畿財務局に出すんですよ。何で近畿財務局が書くんですか、その中身まで。そんなことが普通にやられているわけがないんですよ。

 「予断を持って国有地売却等の是非について申し上げた事実はございません。」佐川理財局長は繰り返し答弁をしておりました。土地購入希望者に成りかわって、財務省に対してのお願いの文書まで作成してくれれば、誰だって、よもや財務省が、やはり国有地は売れませんと言い出すとは考えないでしょう。ここまで文書をそろえるとは、まさに不動産屋並みのサービスじゃありませんか。

 籠池氏に限らず、このような資料を審議会の二カ月前に提供してもらえば、財務省は積極的にこの国有財産の売却手続を進めていると理解するのは当たり前です。この事実こそが、暗黙の承認を与えてきたということを示しているんじゃないですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 この説明資料の冒頭に書いてございますように、この説明資料そのものは、先ほどから御説明しておるように、仮に全体の手続が終わって、ここにありますが、別添資料の各書式は現時点で確定したものではありません、定期借地契約は、大阪府私学審議会において本件計画が認可適当と答申され、国有財産近畿地方審議会で本件売り払いを前提とする貸し付けが適当と答申された後に締結されることになります、こういうふうになってございますので、私どもは、事務手続上、先方とのやりとりを踏まえた上での今後の手続について説明をしただけで、そういう意味で、どういうふうに今後処分するかという是非について、先方に申し上げるということはございません。

宮本(岳)委員 いやいや、こういうものをあらかじめつくって示してやれば、またそれを見せられれば、当然、この国有地は財務局によって売り払われるという予断を与えることは明瞭でありまして、私学審議会開催の直前にこういうものまで渡して、そして、財務省は大阪府と協力をして、私学審議会の認可適当を得るために、積極的にこの国有地売却を進める姿勢を示してきたことは、これはもう逃れられない事実だと私は指摘しなければなりません。

 では次に、埋設物撤去費用の算定基準となる深さ九・九メートルと三・八メートルについてお伺いしたいと思います。

 森友学園へのもう一つの優遇ぶりを示すのが、八・二億円という値引き問題なんですね。この間、何度質問いたしましても、地下埋設物撤去費用の算定基準となる深さ九・九メートルと三・八メートルについて、その根拠をまともに答えられないわけです。

 くい掘削工事で、深さ九・九メートルのところから廃材等のごみが出た後、工事関係者により八カ所の試掘がなされました。工事関係者と近畿財務局、大阪航空局が参加をして、二〇一六年三月三十日と四月五日に現地確認がなされました。くい打ち部分以外は深さ三・八メートルとすることが決まったわけであります。

 多くの議員から要請されている、その八カ所の試掘場所が示された資料と、メジャーで三・八メートルがはかられた写真というものを国会に提出してもらいたい、こういう要求について、航空局は、業者に確認をとると言って、提出を拒否しております。

 これは国土交通省に聞きますが、工事業者にはいつ要請をして、どのような返事を受け取っておりますか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 八カ所の試掘場所を図示した図面や御指摘の写真につきましては、本件土地の売却をめぐる一連の問題が本年二月に発覚して以降、随時、工事関係者に対して、国会への提出について了解を得るべく連絡をとっているところでございますが、現段階では了解を得られていないところでございます。

宮本(岳)委員 もう何日もたっているんですけれども、なぜ了解を得られないんですか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 工事関係者からは慎重に対応したいというお答えをいただいておりますけれども、本日、宮本委員からも御指摘をいただきましたので、改めて提出を要請させていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 直ちに提出していただきたいと思うんですね。

 配付資料三は、財務省が作成したものであります。財務省作成資料の試掘箇所七カ所について確認したいと思うんですね。

 この資料の三カ所は、校舎建設予定場所になっております。すなわち、くい打ち工事は既に終わっていたはずです。この場所をどのように試掘していたのか。くいの間を縫って試掘をしたんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 三月三十日の、財務局が確認をしたこの位置図でございますが、まず、この点について御説明をさせていただきます。

 まず、十一日に新たな埋設物が発見され、三月十四日に近畿財務局の職員と大阪航空局の職員で現地に赴いております。その後、三月三十日ですが、学園側において業者が試掘を行ったとの話を受けまして、近畿財務局の職員が現地の確認に参りました。そのときにつくった資料でございますが、これは、私どもの職員でございますので、現地に大量の廃棄物が存在していたことを記録に残すことを目的として作成されたものでございます。

 事実関係を申しますと、担当者がその場に行って、現地でそこを歩きながら写真の撮影をいたしまして、その後に執務室に戻りまして、本人の記憶に基づいて図面上に記したものでありますので、基本的にこの担当者の目的は、あくまで、業者の試掘の跡に大量の廃棄物があることを記録するためでございます。

 そういう意味では、その試掘の個数などにつきましては、精緻に記せていない可能性があるということについては御理解を賜りたいというふうに思いますが、ただ、確認の状況でございますが、現地に大量の廃棄物が存在していたことは確認してございます。それについては、現地で穴も掘られており、その周辺にカラーコーンが配置されているという状況も確認できたものというふうに承知してございます。

宮本(岳)委員 では、間を縫って穴が掘られているのを確認したんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 現地にその職員が赴いて、写真も以前に提出をさせていただいているところでございますけれども、そういう敷地の上に大量の埋設物が出ているところを写真を撮ったということでございまして、具体的に、先ほど申しましたように、試掘の場所がどこであるかということを精緻に確認するということを企図したものでもございませんので、そういう意味では、そこを歩きながら写真を撮り、埋設物があることを確認し、それを執務室に戻ってから、記憶に応じて番号を書いてみたり、試掘の場所じゃないかと思うところを書いてみたということでございますので、その点については御理解を賜りたいというふうに思います。

宮本(岳)委員 四月六日の参議院国土交通委員会で、試掘箇所の一カ所で三・八メートルを確認したと答弁されました。そのほかでは、深いところで二・七メートル、浅いところで一・二メートルであることが公表されております。

 校舎建築物内の三カ所の試掘箇所で、ごみが確認できた深さは、それぞれ何メートルでしたか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の答弁は、私ではなくて、多分、国土交通省の方の答弁かというふうに思われます。

 したがいまして、私どもは、三月三十日に、学園側において業者が試掘を行ったという話を受けまして、取り急ぎ現地の状況を確認してございます。

 先ほど申しましたように、現地に大量の廃棄物が存在していたことを確認しておりますが、ごみが確認された深さというものについて、その三月三十日の時点で、そこで何かはかったということでもございません。

宮本(岳)委員 近畿財務局と大阪航空局は、くいの掘削部分は九・九メートルまで廃材等のごみが埋まっていると判断をいたしました。これは試掘をする前のことであります。ならば、くいとくいの間の試掘では、なぜ九・九メートルまで行わなかったのか。三・八メートルより深いところのごみの確認をしなかったのはなぜですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、多分、宮本先生と国土交通省との間の答弁のやりとりの中での今の御質問かというふうに思われます。

 私どもは、先ほど申しましたように、三月三十日に行ったときには、現地に大量の廃棄物が存在しているということを確認したところでございまして、そういう意味では、その試掘の詳細で、どういうふうに業者が細かく確認しようとして試掘したかということにつきましては、私どもはちょっと承知してございません。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 私どもが把握しているのは、工事関係者による試掘は全八カ所でございます。それから、なぜ三・八メーターよりも深く掘らなかったのかという点ですけれども、この試掘は工事事業者によって行われておりまして、私ども、詳細は承知をしてございません。

 私どもは、八・二億の見積もりに当たりまして、検証可能な材料で積算をしたということでございます。

宮本(岳)委員 配付資料の四を見ていただきたい。これは国土交通省の提出資料であります。

 くい打ち部分は、建築物の下で均等に配置され、約四百本のくいが建築物の下に埋まっております。そのエリアの地下埋設物の分布は、くい掘削部分では九・九メートル、くいの部分以外では三・八メートルと、ごみが埋まっている深さは違うというのが、埋設物撤去費用の見積もりの条件なんですね。

 これは、廃材などのごみが均等に、しかも深さを変えて埋まっている、こういうことでいいんですね。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 くい掘削部分に関しましては、九・九メーターのくい掘削工事の過程でごみが出てきたということでございました。

 それから、くい掘削箇所以外のところにつきましては、工事関係者の試掘によりまして、三・八メーターまでごみがあるということが確認できたものですから、そういった材料を用いて見積もりを行ったということでございます。

宮本(岳)委員 結局、このような手順を見ると、今の答弁を聞いても、今回の見積もりでは、どれだけ廃材などのごみが地下に埋もれているかどうかはどうでもいいのではないか、こう思います。

 佐藤航空局長は、この見積もりの考え方についてこう答弁をいたしました。「売却時点のみならず将来見込まれる分も含めまして、将来地下埋設物が出てくるリスクを見込んでどれだけ価格を下げておくべきかということを地下埋設物の撤去処分費用という形で見積もった」、三月二十四日の参議院予算委員会、辰巳議員に対する答弁でそう述べました。

 つまり、ごみがどこまであるかどうかは重要ではなく、どれだけ価格を下げておくべきかが判断基準だったということですね。

和田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、平成二十九年三月二十四日の参議院予算委員会におきまして、私どもの航空局長が御指摘のとおりの答弁をさせていただいております。

宮本(岳)委員 お認めになりました。

 どれだけ価格を下げるかということについてでありますけれども、将来発生するごみのリスクについて、佐川理財局長は、三月十五日の衆議院財務金融委員会で、「ほかの部分についても、そういった土壌汚染がある可能性も否定はできない」と述べました。

 さらなる土壌汚染も撤去費用の見積もりの瑕疵担保に係る将来リスクとして考えているようでありますけれども、このリスクに対する国の責任を金額でどれだけ算定しているんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる隠れた瑕疵のお話でございまして、本件土地には既に土壌汚染の履歴があることはもう明らかになってございます。浅い部分についてあったわけでございますが、そういうことも踏まえますと、ほかの部分においても土壌汚染がある可能性は決して否定できないという点につきまして、私どもは答弁申し上げました。

 ただ、本件の土地の適正な価格を決めるに当たっては、当時、契約の相手方である森友は、学校建設が迫る中、大変急いでおったということで、国による責任で開校がおくれるとかできないとかということであれば、私どもは責めを問われるおそれがあったということは答弁申し上げておりますが、そういうことを念頭に、いまだ明らかとなっていないものも含め、本件土地に関する一切の国の責任を免除するとの特約条項を付すことを念頭に置きながら、近畿財務局から、私どもは知見と経験のある大阪航空局に撤去費用の見積もりを依頼しまして、両者の協議、調整を踏まえまして、更地価格から撤去費用を差し引いた時価によって土地を売却したということでございます。

宮本(岳)委員 佐川理財局長はまた、二〇一七年四月二十日、参議院の国交委員会において、木くずの腐食により、建設物の安全性に重大な影響を及ぼす、さらに、地下水の汚染や異臭、風評被害等を引き起こすおそれもあると例示をし、もう一切国として今後責任をとらないというふうに瑕疵について免除されるという特約をつけるべきだという必要性から、埋設物の撤去費用を見積もったと答弁しております。

 本当にこのようなリスクがあれば重大であります。将来的には、建物の建てかえまで想定されなくてはなりません。これを配慮して撤去費用を見積もるのであれば、大変な額に上る可能性が出てくると思うんですね。

 常識的に考えて、普通、顕在化されていない将来のリスク、いわゆる隠れ瑕疵については、年限を設けて売り主の瑕疵が免除される条文が契約書に盛り込まれるのが通常であります。いつまでたっても、永久に売り主の瑕疵担保責任が追及されるというのはあり得ない話であります。実際、森友学園との売買予約契約書の別紙の第七条にも、引き渡しの日から二年間の瑕疵担保特約を盛り込んでおります。

 しかし、今回の見積もりに当たっては、まさに将来にわたる過大な見積もりで八・二億円という額を差し引いた、こういうことではありませんか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 国有地を売却する場合、今委員がおっしゃいましたように、通常、売買契約の中に、引き渡しの日から二年間の瑕疵担保条項というのを盛り込んでいるところではございます。

 ただ、本件につきましては、まさに学校側が建設工事を進める中で新たな埋設物が発見されまして、私どもは、民法上、貸し主であります国として埋設物に対応しなければならない。先ほど申しましたように、万が一小学校開設に影響が出ればそれなりのリスクもあるという中で、私どもは、本件土地に小学校が建設されることを前提に、今後さらにどういう埋設物なり土壌汚染が出てくるかわからない中で、隠れた瑕疵も含めて一切の瑕疵について売り主である国の責任を免除するということを念頭に、大阪航空局におきまして、十分な知見に基づきまして適正に処分費用を見積もって、不動産鑑定士の評価した更地価格から控除して売却価格を算定したというところでございます。

宮本(岳)委員 まさにそういう値引きが過大な見積もりを生み、そして、いかに価格を引き下げるかということで、これは検討された、答弁にあったとおりであります。

 八億二千万円もの地下埋設物撤去費用が見積もられ、値引きされた要因の一つが、二〇一五年の秋の土壌改良工事のときに埋設物を全て撤去せず、そのまま放置されたことがあります。なぜ放置されたかを解く鍵となるのが、私が最初に明らかにした、二〇一五年九月四日の近畿財務局の会議室で行われたこの打ち合わせ記録であります。その時期に、地下埋設物の撤去に関して、近畿財務局、大阪航空局及び森友学園側との間で打ち合わせが持たれていることは佐川理財局長も認めております。

 再度確認しますけれども、佐川局長は、この打ち合わせ記録に書かれている九月四日の近畿財務局で行われた打ち合わせの事実を近畿財務局及び理財局の職員から確認できなかったということですね。そしてあわせて、かつ、その打ち合わせ記録について、森友学園の関係者から説明を受けたり、もしくは提供されたとの報告を現時点で近畿財務局及び理財局の職員から受け取っていないということですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の九月四日の建設業者が作成したとされるメモということでございます。これにつきましては、過日、この財務金融委員会で御法川委員長から、事実関係の確認をするように御指示をいただきまして、私が当時の担当者の統括官に確認をいたしまして、途中は少し省略いたしますが、「二十七年九月当時」、「九月初旬に大阪航空局とともに関係業者と工事内容等について打ち合わせを行っていた記憶はある。」「ただし、業者に対して、産業廃棄物の場内処理を求めるような発言を行ったことはなかった。」ということでございます。

 それから、最後の方の御質問でございますが、この打ち合わせ記録についての提供を受けているかということについては、私どもは、財務局の方で持っているかどうかについては承知してございません。

宮本(岳)委員 二〇一五年のこの時期に実施していた土壌改良工事では、結果として、廃材などの地下埋設物は、有益費の対象であるにもかかわらず、取り除かれなかったわけです。有益費として財務省に請求もされておりません。

 打ち合わせ記録のポイントは、埋設物の撤去はせず、埋め戻すことを財務局により指示されたことが記録に残っているということであります。

 例えば、打ち合わせ記録によれば、建築に支障のある産廃及び汚染土は瑕疵に当たるため費用負担義務が生じるが、それ以外の産廃残土処分が通常の十倍では到底予算はつかないが、借り主との紛争も避けたいので、場内処分の方向で協力お願いしますと財務局の職員が述べております。これは、しかし、職員の側は認めていないということでありましたね。打ち合わせ記録において、キアラ設計は、小学校の開校も延びたので、設計段階で可能な限り場内処分計画を検討します、こう述べてもおります。

 埋設物の埋め戻しを財務局の職員が示唆したと言われるこの打ち合わせ記録について、三月二十三日の証人喚問で籠池氏は、二〇一六年三月のくい打ち工事中に新しいごみが発見され、十四日に現地で近畿財務局と大阪航空局との三者で確認したときまでにその打ち合わせ記録を見ていないと、葉梨議員の質問に答えております。暗に、三月十四日ごろに打ち合わせ記録の内容を知ったことをほのめかしております。

 翌三月十五日に、籠池夫妻は、東京の財務省理財局を訪れ、理財局の国有財産審理室長、いわゆる谷査恵子氏のファクスで回答した職員、田村室長と面談をいたしました。新しいごみが発見されてすぐに上京するぐらいですから、相当頭にきていたと思います。

 その直後、籠池氏が言う神風が吹いて、八億二千万円が値引きされる、このスキームに流れていくわけですね。三月十五日から、撤去費用を値引くスキームが決まる三月三十日の約二週間で、大きく事態は動いたということであります。

 この時期の出来事を見れば、三月十五日の理財局訪問の最大の目的は、三月十一日に発見された新たな廃材とごみの処分だけではなく、土壌改良工事のさなかの打ち合わせで財務省職員の示唆により廃材等ごみがその場に埋め戻されたことを知って、現場の近畿財務局ではなく、理財局側と直談判することで打開しようとしたと考えられます。

 確認するけれども、その理財局との面談において、九月四日の打ち合わせ記録が話題となり、財務省職員の埋め戻し発言について何か籠池氏側からクレームがあったのではありませんか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 二十八年の三月十一日に新たな埋設物が発見をされまして、その後、近畿財務局の方に籠池理事長が、新しいのが見つかったという話があって、その後、本省にアポの電話があって、私どもの審理室長が籠池理事長御夫妻と面会したということについては前にもここで御答弁したと思いますが、そのときに担当のその室長に聞いてございます。

 そのときの経緯につきまして聞いたところ、先方より、これまでの経緯についての説明があり、その後、新たな埋設物が発見されたので至急対応してもらいたいという要望があった、それで、当方からは、事実を踏まえて法令に従って対応する、引き続き、現地で近畿財務局が大阪航空局と連携して対応するというふうに対応したと聞いてございます。

 今委員の御質問の点でございますけれども、本人、室長に聞いておりますけれども、新たに発見された地下埋設物への早急な対応を求められ、現場で適切に対応すると応じておりますが、その以前にこれまでの経緯についての説明があったようでございますけれども、そうした経緯の中で今みたいな有益費の関係についても言及されたかもしれませんけれども、本人の記憶では、新たに発見された埋設物への早急な対応というのがそこでやりとりをしたという記憶でございまして、その他につきましては、具体的な内容等については記憶していないということでございます。

宮本(岳)委員 かもしれないという答弁でありましたね。

 例えば、理財局の面談で田村室長に対し籠池氏は、金曜日に現地で総合打合会があった、山のように土が埋もれている、全体、そこにはビニール、革靴、長靴があったと現地でごみを見たときの描写をして、理財局の職員がそのまま埋め戻してほしいと言ったことについて非難をしたというような事実はございませんか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 随分前から、この籠池理事長夫妻が審理室長に、訪問した話については御質問いただいてございますので、審理室長には聞いております。

 その中で、審理室長が言うには、まず、もちろん初対面でございましたので、要望書を出して以来のこれまでの経緯について御説明がるるあって、それから、今回新たに発見された埋設物への早急な対応というようなお話だったというふうに本人は記憶しておりますので、そういう意味で、これまでの経緯についての説明の中では、当然、有益費とかさまざまな、二十五年九月以来の経緯でございますので、そういうものについても言及をされたかもしれないけれども、具体的な内容については記憶をしていないというのが本人の説明でございます。

宮本(岳)委員 かもしれないとは述べられました。

 もう一つ聞きましょう。

 前年の秋に谷査恵子夫人付を介して行われたやりとりを思わせる話をして、紹介者に対して申しわけないとか、あの方自身が愚弄されていると思ったから僕来たんですと、自分の支持者には安倍総理や安倍昭恵夫人がいることを示唆し、交渉したのではありませんか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに発見された地下埋設物への早急の対応を求められたということについては強く覚えて、現場で適切に対応するということで、近財と大阪航空局で連携して対応するということはお答えしているようでございますけれども、それ以外の経緯等のお話につきましては、それ以外の具体的な内容については本人は記憶していないということでございました。

宮本(岳)委員 田村審理室長との面談は、八・二億円の埋設物撤去費用がどのような交渉の中で決まっていったのか、この日を境に神風なるものがどうして吹いたのか、その経緯を知る上で重要な面談であります。

 私は、三月十五日の面談内容について、根拠を持って佐川理財局長にただしたわけですけれども、全て否定をされております。

 二〇一五年九月四日の打ち合わせ記録が理財局との面談で籠池氏側から提示されているならば、あなた自身も、私が打ち合わせ記録を初めて取り上げた二月二十四日の予算委員会の答弁から、ずっと虚偽の答弁をしてきたことになります。

 この面談について、録音された音源があるとの情報があります。明らかにされれば、それは重大な証拠となります。

 とにかく、当委員会に当事者を参考人として出てきていただいて、事態の解明を進めることが必要だと考えます。当委員会にて、田村嘉啓国有財産審理室長と籠池前理事長の参考人招致を要求したいと思いますが、委員長、理事会での御協議をお願いいたします。

御法川委員長 後ほど、理事会で協議をいたします。

宮本(岳)委員 この問題は、決して幕引きなど許されるものではありません。引き続き、徹底的に追及することを申し上げて、本日の質問を終わります。

御法川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも、一般質疑三十分間、よろしくお願いします。

 先ほど、共産党の宮本委員の質疑を聞いておりまして、参考人招致のお願いをされていましたが、我が党からも常に、理事会のたびに申し上げておりますけれども、朝鮮学校、そして朝日新聞、読売新聞等マスコミのトップ、きちんと呼んで、同時にやってくださいということをお願い申し上げています。

 改めてお願い申し上げたいんですが、よろしくお願いします。

御法川委員長 これについても、理事会で引き続き協議をいたします。

丸山委員 きょうは、一般質疑ということで種々聞いていきたいんですが、まず最初に、多少記事に出ておりまして、今、非常に問題じゃないかと言われ始めている、いわゆるメルカリとかヤフーオークションといったオークションサイトに、普通はオークションサイトというと物が出品されるんですけれども、現金がオークションの商品として出品されていて、実はそれが、どういうことかというと、例えば十万円の現金を出品して、入札価格が十一万、十二万とか、十三万円とかで入札させるという、ある意味、手口と言ってもいいと思うんですけれども、こういったものなんです。

 では、何で十万円が十二万円や十三万円で売れるんだといいましたら、恐らく、現金がすぐ欲しい、お金に困っている、けれども、現金が手に入らない、通常の金融機関では借りられないような方々が、クレジットカードのショッピング枠を使って十万円を入札する、ショッピングの価格としては十二、三万円なわけですよ、でも現金がすぐ手に入るという、闇金のような状況がこのオークションサイトで起こっているということ。

 私も実際に見ました。実際に見たら、現金が本当に並んでいまして、現金の出品が並んでいるんですけれども、実は、この数日、報道が出ましたので、それによって、今挙げたようなメルカリ、そしてヤフーオークション、最大手のオークションサイトが、これはまずいと思われたのだと思うんですけれども、自主規制に入られて、現金の出品を削除していく対応をしているんです。

 まず、このオークションサイト、大手以外ももちろんまだまだありまして、また、見ていますと、メルカリなんかはさらに巧妙化して、現金じゃなくて、現金がだめだというのなら、次はSuicaで出品する。Suicaは、実は、上限二万円が入るので、そのSuicaの二万円を例えば五枚セットでやれば十万円分になるわけで、それをJRのキャッシングのところに、つまりビューカードの入金のところですね、そこに行ったら払い戻しで二万円が戻ってくるという、巧妙化しているんです。

 それは、後ほど金融庁にちゃんと聞きたいのですが、つまり、貸金業法、貸し金をしているのに、結局、抜け道で、貸金業法の抜け穴となっているんじゃないかというふうに思うんです。

 まず、こうしたオークションサイトの商品として、現金取引が貸金業法に当たるのかどうか、もう一つ、今挙げたようなSuica等換金性が通常のものよりもさらに高いもの、今挙げたような事例も含めて、法律上どのような位置づけになっているのか、お答えいただけますでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 メルカリ等のネットオークションサービスにおいて、出品者が現金を出品し、急ぎで現金を必要としている者等が割高な価格で落札し、その支払いをクレジットカードで行った上で、現金の交付を受けているという報道があったことは我々も承知しております。

 報道以上の詳細は承知しておりませんので確たることは申し上げられないんですけれども、貸金業法上は、金銭消費貸借の要件であります金銭の交付と返還の約束が行われていれば、資金業法で言う金銭の貸し付けに該当すると解されております。

 最終的には個別に判断される必要があるんですけれども、そういった意味で、現金をオークションに出すということに関しては、貸金業法の貸し付けとされるケースというのはあり得るのではないかなというふうに考えております。

 それからSuicaでございますけれども、恐らくSuicaは、貸金業法もさることながら、資金決済法上の問題というのも検討しなければいけないんじゃないかなというふうに、これもやはり個別の話でよく検討しなければならないのでございますけれども、資金決済法というのは、資金決済に関するサービスを適切に実施し、前払い式支払い手段を利用する利用者の保護が目的でございます。ということなので、資金決済法上、チャージ済みの交通系のICカード等の前払い式支払い手段を譲渡するということに関して、それを禁止するということにはなっておりませんし、譲渡を禁止するか否かというのは、前払い式支払い手段発行者に委ねられているという位置づけでございますので、資金決済法上の問題に直ちにはならないのかなというふうに考えております。

丸山委員 まず、後段のSuicaの方は驚きで、つまり、合法的に、貸金業に近いことができるのに、ほぼ貸金業ができるのに、貸金業法上の規制がかからない方法が出回っているわけですね。一応、業界としては、メルカリやヤフーオークション、大手、最大手はこれを今規制し始めたということですけれども。

 まず、確認からしたいんですけれども、そもそも、お金を貸すということを業とする場合には、貸金業法がありまして、もちろん、きちんと登録をしなきゃいけない。金利も上限があって、例えばさっき言ったような十万円を十三万とか十二万とかいうのは、明らかにその上限を超えていると思いますし、また罰則もあると思うんですけれども。

 このあたり、万が一、貸金業法に今申し上げたような現金取引がまず当たるんだというのなら、これに違反している可能性があれば、それはもちろん罰則を受ける、罰せられるものだという認識でいらっしゃるのかどうか。そして、政府として、この現状、まず現金の方ですけれども、どのように対応されていこうと考えているのか。ちょっと前向きな、現状を見ていただいたと思いますので、よろしくお願いします。

遠藤政府参考人 現金のオークションに関してお答えします。

 もちろん、事実をよく確認する必要があるのでございますけれども、本件の出品者の行為というのは貸金業に該当する可能性があると思います。これは、出品者が貸金業に当たる可能性があるということと、それから、ネットオークションの事業者は貸金業の媒介に該当する可能性がございます。この貸金業に該当する者、それから貸金業の媒介に該当する場合は、これは貸金業の登録を取る必要がございます。

 先生御指摘のように、貸金業の無登録営業を行った場合には、刑事罰がかかりまして、貸金業法上は、十年以下の懲役もしくは三千万円以下の罰金、またはこれを併科するという適用がございます。

 我々金融庁といたしましては、内容をよく確認した上で、貸金業法だけの話であれば我々金融庁でございますけれども、他の法律にも当たらないのかということで、関係省庁とも連携しつつ、個々の事案に応じて適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。まず確認からということでございますけれども、きのう来、何度かやりとりをして、誠実に御対応いただいていると思いますので、見ていただいて。

 今の御答弁だと、つまり、オークションの場を提供している者に対しても罰則が適用される可能性があるということですから、これはしっかり見ていただかなきゃいけない、法律違反の可能性が高いということですね。

 Suicaの件は、非常に抜け穴として、このまま放置していくのは危険だなというのが正直な、要は、つまり、今お話をされたような貸金業の規制がかからないので、また、一括でやってしまえば割賦販売法もかからないと思いますので、基本的には合法的に、貸金業の登録をせずに、一手間かければできてしまうような状況になってしまうと思うんですが、ここの点については、言及できる範囲で何か前向きな御答弁をいただきたいんですけれども。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 チャージ済みの交通系ICカードに関しても、事案を見ながら、さらに検討させていただきたいなというふうに考えているのでございますけれども、チャージ済み交通系のICカードは、Suicaの場合を例にとりますと、Suicaの所有権というのはJRにございまして、Suicaのカードを持っている方々に所有権はございません。そういうことでございますので、しかも、この譲渡は禁止されております。

 ただ、委員の御指摘は、Suicaの譲渡そのものではなくて、Suicaの中に化体されているお金の譲渡、金銭的価値の譲渡だということでございますので、Suicaのカードに化体されている金銭的な価値というものをオークションを使って譲渡された場合に、それが貸金業法上どういう位置づけになるのかというのはさらに検討させていただきたいなというふうに思っておりますし、そのほかの法律、例えば古物営業法とかそういうものとの関係でこれが法令違反ということに認定されるのかどうかということに関しても、関係省庁と協力して検討していきたいなというふうに考えております。

丸山委員 現時点でできる限りの前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。しっかりやっていただきたいと思います。

 最後に、クレジットカードのショッピング枠の現金化、今回、具体的な例示を挙げましたけれども、かつても、一時期問題になってというお話があったというふうに聞いておりますけれども、この全体の現金化のあり方。

 要は、何でこういうことになるかというと、結局、やはり、お金に困っている人の最後の最後の、お金を、現物を手に入れる手段になっていまして、でも、それが、では次に返せる当てがあるのかというと、そんなショッピング枠まで手を出さなきゃいけない状況なので、明らかに難しいわけです。つまり、そういった先の先の課題につながっていく、非常に金融業においても難しい問題だと思うんですけれども、ここについてどのように考えられているのか、見解と対応についてお伺いしたいと思います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるクレジットカードのショッピング枠の現金化と申しますのは、業者がカード会員にクレジットカードのショッピング枠を利用させて価値のない商品を購入させ、その代金の一部を払い戻す、あるいは、換金性の高い商品を購入させ、買い取るといった行為であるというふうに認識しております。

 これは、その代金の一部を払い戻すか、あるいは換金性の高い商品をその業者が買い取るかといった行為によって、貸金業法上の貸し付けに該当するかどうかということについて個別に判断していく必要がございます。ということで、一概には申し上げられません。

 まず、実態把握をした上で、貸金業法に該当するかどうか、それから、他の法律にもし該当するかどうかということについては、関係省庁とも連携しつつ、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 いつの時代も、悪知恵の働くと言うと語弊もあるかもしれませんが、まさしくそのとおりだと思いますけれども、法の抜け穴を見つけてきて使うというのは絶えないと思います。日本は法治国家ですから、法をしっかり当てはめていくことが必要ですし、しかし、現状は変わっていくわけで、その枠組みの中で、今までにない、現にインターネット対応、Suicaというものも今までなかったような話ですし、今までにない技術が出てきた中での対応を迫られることが多々あると思いますし、まさにこれがそういう状況だと思います。

 恐らく、そういった意味で社会的影響も大きいことですから、メルカリなんかは使っている方が若い、まあ、ネットオークション自体が若い方が多いんですね。そういった意味では、今かなり前向きな御答弁をいただいたと思いますので、今後しっかりとよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。お願い申し上げます。

 そうしましたら、総裁、申しわけございません、お待たせしました。お伺いしていきたいんですけれども、お忙しいところ来ていただきまして、ありがとうございます。

 あす、あさって、ちょうど政策決定会合で、展望レポートをまとめる会合をされると思うんですけれども、物価の動き、総裁の任期が残り一年を切った中で、非常に私は不安視しておりまして、そういった意味で、今の一・五%という一七年度の見通し、これを少し後退されるんじゃないかな、小幅ぐらいで引き下げになるんじゃないかみたいな報道もありますけれども、総裁、この物価の見通しについて、現状、どのようにお考えになっているか、お答えいただけますでしょうか。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行が二〇一三年四月に量的・質的金融緩和を導入して以降、我が国の経済、物価は大きく好転しておりまして、既に物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっていると思います。

 ただ、現在、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、既往の原油価格の下落の影響もありましてゼロ%程度となっております。もっとも、先行きにつきましては、経済全体の需給バランスがさらに改善して、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、二%に向けて上昇率を高めていくと考えております。

 なお、御指摘のとおり、日本銀行では、今週の金融政策決定会合において、新たな展望レポートを取りまとめて、最新の経済・物価見通しをこれまでの経済動向等を踏まえて公表することにしております。その内容については、展望レポートでお示しをしたいと思っております。

丸山委員 例えば、午前中の参議院の方の質疑で、岩田副総裁が来られていまして、御答弁されているんですけれども、出口戦略について、幾つかシミュレーションはしている、ただ、公表してしまうと市場の混乱を招くために控えているんだという話がありましたが、一方で、今、生鮮食品等のお話もありましたけれども、物価の展望は必ずしも芳しくないと私は思っておりまして、ただ、長期的に見れば、恐らく三十年度に達成するんだ、前後にというのは変えられないというのが今の認識なんだと思っているんですけれども、この辺、ちょっと甘くないですかと言うとストレート過ぎますけれども、大丈夫ですかね。つまり、数字が認識と若干またずれてきているんじゃないですか。

 この三十年になるのにも大分延期、何度もしていますけれども、その辺に関して、残り一年の任期ですけれども、どのようにお考えなのか。総裁、お答えいただけますか。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、足元では原油価格下落の影響もありましてゼロ%程度になっているわけですけれども、先行きにつきましては、経済全体の需給バランスは、これまでも改善してきていましたけれども、今後さらに改善して、そのもとで中長期的な予想物価上昇率も高まるということで、二%に向けて上昇率を高めていくと考えておりますけれども、具体的な経済・物価の最新の見通しにつきましては、やはり、今後、まさに今週の金融政策決定会合において、九人の政策委員会のメンバーが十分な議論をして、新たなレポートを取りまとめて公表するということにいたしたいというふうに思っております。

 これまでも、さまざまな状況によって二%に到達する時期の予測がずれてきたことは事実でありますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、先行きにつきましては、需給バランスの改善と中長期的な予想物価上昇率の上昇ということによって、二%に向けて上昇率を高めていくという考えには変わりはございません。

丸山委員 足元では低迷しているけれども、一方で、先行きを考えれば達成するんだというのが、実は、総裁の議事録を見ていますとずっと同じことをおっしゃっていて、これで四年間ということですので、非常に危惧を周りがしてしまうのは仕方ないかなと私も含めて思います。ただ、金融政策を一番引っ張っていらっしゃる総裁をまずは信じてお願いしていくしかありませんので、必ず実現するとおっしゃっているんですから、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 今、実は、不確定要素がこれまで以上にふえているなというのが正直な実感です。例えば北朝鮮情勢なんというのは、まさしく為替に大きく影響を与えるでしょう。また、トランプ政権になりましたから、トランプ政権が為替に与える影響というのは大きくて、ずっと総裁自身がおっしゃっているように、為替の状況というのは非常に物価に影響を与えているわけで、私、G20に行かれたのは非常に重要な局面だったなというふうに思うんですけれども、このG20自体、総裁は行かれてどのように感じられたのか。特に、米国の動向も含めて、所感をお伺いできますでしょうか。

黒田参考人 今回のG20のほかにもIMF関連の会合等がございましたけれども、そうした中で、各国の経済動向、そして、それぞれの国が金融政策、財政政策あるいは構造政策においてどのようなことをしており、その結果として経済がどのように進んでいくか、あるいは物価がどのように展開していくかということについて議論があったことは事実であります。

 その上で、今回はG20はコミュニケを出しませんでした。一月ほど前にバーデンバーデンでG20をやったばかりですので出さなかったわけですが、IMFCの方は、年に二回、春と秋に会議をするものですから、IMFCはコミュニケを出しております。

 そこで合意されたことは、実は、従来からG20でも議論され、今回も議論されたことも十分反映していると思いますけれども、その中で、金融政策につきましては、従来からの中央銀行のマンデートと整合的な形で経済活動をサポートして、物価の安定を確保すべきであるということがはっきりと示されております。日本銀行の金融政策についても、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために実施しているということについては十分な理解が得られているというふうに考えております。

 為替の問題につきましても、IMFCのコミュニケにも従来から言われていること、それからG20のバーデンバーデンのコミュニケにも書いてあったとおりのことが記されてございまして、全く、そういった面では特別な議論というか問題があったようには思いませんでした。

丸山委員 特別な問題があったように思えなかったということですけれども、トランプ大統領、特に米国の話なんですけれども、最近は、逆に、ドルが強くなり過ぎているみたいな御発言をされたりして、非常に為替の部分に関して発言が多いんですけれども、一方で、麻生大臣は、このトランプ氏の発言に対して、問題にならないみたいなことを記者会見後に話されているようなんですけれども、総裁も同様に、こういう発言は問題ない、問題にならないんだという認識でいらっしゃるのか、こういった部分、トランプ政権、米国の動向についてどのようにお感じになられたのか、お願いします。

黒田参考人 委員も御承知のとおり、為替政策につきましては、我が国では財務省が専管しておりますので、私から為替政策そのものについて何か申し上げるのは僣越だと思いますし、また、トランプ大統領の為替に関する発言につきまして、私から何か申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、先ほど来申し上げているとおり、G20あるいはIMFCで為替について従来から合意されてきたことが、今回もIMFCのコミュニケで全く同じ文言で、これはコミュニケですから会議に参加した全ての人が合意しない限りコミュニケは出せませんので、米国を含め、単にG7、G20だけではなくて、IMFCの場合は、いわばIMF加盟はたしか百八十九カ国だと思いますけれども、その全ての合意があって出されたコミュニケだと思いますけれども、そこでも従来からの合意事項が確認されているということはつけ加えたいと思います。

丸山委員 直接、当局じゃないということは承知しておりますし、そういうことだと思います。

 しかし、物価の安定もしくは物価上昇二%達成という点では、非常に為替の動きというのは日銀も注視しておられると思いますし、総裁も気にされているところだと思いますので、非常に重要なファクターだというふうに思います。今後も、いろいろなものを見ながら、しっかり達成していかれることだと思いますけれども、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 総裁にお聞きしたいんですけれども、大臣にもお聞きしておきたいので、また適宜来ていただく形でお聞きしたいと思いますが、きょうはここで、お時間をいただきましてありがとうございます。御退席いただいて構いません。ありがとうございます。

 大臣、先ほど来総裁とお話をさせていただいた、特に、G20、日米財務相会談もされていますけれども、こうした部分における米国の為替の、圧力と言うと言い過ぎかもしれません、しかし、圧力というふうに言う方もいますね、こうした部分、回避できたという認識でいらっしゃるのかどうか。ドル・円の為替水準、どういうふうに米国が思っているのかを含めて、G20、日米経済対話においての所感をお伺いできますでしょうか。

麻生国務大臣 為替の話につきましては、これはもう先ほど総裁も言われたとおりなんですが、私ども、日米副大統領・副総理との間の会話のところで、少なくとも、大統領・総理との首脳会談で為替等々については、これはプロの世界に任せるという話になっておるのを受けておりますので、ムニューシン財務長官との間で話をさせていただいておりますけれども。

 この方の場合は、基本的に、出身がゴールドマン・サックスというところで、前のジャック・ルーというような予算局上がりの人とは違いますので、現場をよくわかっておられる話なので、為替の話については、この種の話は市場で決まるという基本というものを失わないようにしていこうという話等々、極めて実務的な話が普通にできたというのが今までとは少し違うなという感じが率直な実感でした。

丸山委員 ということであれば、トランプ大統領はセンセーショナルな発言をされることが多かったと思いますけれども、極めて現実的なそういう話をされたんだろうということだと思います。個別具体の話は聞きませんし、聞くべきものではないと思いますが、そういう意味では、為替の圧力という意味では回避できたというふうに我々も考えていいということですかね。

麻生国務大臣 圧力というのを、もう少しドルを安くしろとか円を高くしろとか、いろいろな表現があるんだとは思いますけれども、その種の表現が大統領の口から出てみたりしているのは、今でも時々出ておられるのは知らないわけではありませんけれども、その日かその翌日にはムニューシンの方から別の発言が出て、大体、一円上がったり下がったりしたとか、すぐもとに戻るというような形になっているのは、この数日間の動きを見てもそうなっておりますので、極めてよく実態がわかっておられる方の対応だと思って見ております。それが一点。

 それからもう一つは、この方の場合は、トランプ大統領の大統領選挙のときから、いわゆるトランジションチームにずっといた人でもありますので、大統領と直接話ができるというところが前の長官とは全然違うというところで、それは大統領に伝えるとか、これはきちんとわかるように話をしておくからというような話は、前の長官から聞いたことがありませんけれども、この方の場合はそれが言えるというところが今までとは違うかなという感じが実感です。

丸山委員 今、直接、大臣からも御発言がありましたけれども、為替の乱高下が起きていますので、こういう政策責任者が、場当たり的と言ったら怒られるかもしれませんけれども、発言によって為替相場が上下するというのは相場の混乱になりますので、そういった意味で、現実的な会話をいただいたということなので、そこはアメリカに対しても日本の主張をしていかなきゃいけないところだと思います。

 もう一つ、為替と一つ気になるのは、やはり、前もお話をしたTPPの、自由貿易か保護貿易かという部分のところ、非常に我が国のこけんにとっても大事なところで、以前質疑させていただいたときより何度もお会いになっているのでさらに理解が進まれていると思うんですけれども、この自由貿易に対するアメリカの考え方、特にTPPに関連すると、恐らくTPPはもう望み薄だと考えているところなのか。そして、どちらかというと米国は二国間交渉についての話をされてきて、恐らくそういった二国間交渉というのも、記事で躍っていますので、そういった話をされたのかなというふうに思うんですけれども、この貿易体制において、日米のあり方、どのようなお話をされて、どういうふうになりそうなのか、今どう考えていらっしゃるんでしょうか。

麻生国務大臣 今のお話で、いわゆるTPPという、十二カ国で、甘利さんほか多くの方々が、約三年近くかかってこの話は結果的に妥結するところまで至った話なんですけれども、今回、それを、話を全然チャラにしてという話ですが、国際連盟をつくっておいて入らなかった国ですから、別に驚くことはないので、そういうことは時々ある国だとは思っておかないかぬところだとは思っていますけれども。

 少なくとも、私ども、この話をやって、今、残り十一カ国では、せっかくここまで来たんだからさらに進めていこうというオーストラリア等々の意見というのがありますので、私どもとしては、このTPPはTPPとして、十一カ国でやれるところがあるのであれば、これは日本の国益に沿うのであればそっちをやった方がいいに決まっていますから、そっちをやっていこうじゃないかという話に対して、我々との間のバイの、NAFTA、NAFTAというのは北米自由貿易協定のことですけれども、北米自由貿易協定の改定も同じように今大統領は発言をしておられますので、そちらの方の改定の方が焦眉の急だという発言はしておられますけれども。

 現実問題として、日本との間でバイでやろうという話はいろいろなところから聞こえてきましたし、直接お話もさせていただきましたけれども、あれは十二カ国だからあれだけのものがおたくらはとれたけれども、バイになった場合は、うちはそちらに譲ってもとるところがないのであれば、とてもじゃないけれども、あれと同じような話をさらに前に進めていこうといったら、うちは交渉に応じることはない、当たり前じゃないか、だって、二人でやっているんだから、譲れるところがないんだったら、では、そっちは何を出すんだという話にしかならぬから、それは無理ですよという話はしておりますので。

 本人もその点は十分理解を、本人というのは、交渉した副大統領やら財務長官等々のレベルではその話ができておると思っておりますので、今からまだ詰めていくことになろうと思いますけれども、丸山先生御存じのように、相手はまだ、副長官も審議官も財務官も誰もいませんので、そういった意味ではちょっと、二人でしゃべっていてもなかなか、隣の人を見ても、何か余りわかってない人が隣にいて意味がないので、こちらの方が一方的にしゃべることになりますので。もうちょっと人数がそろわないと、なかなか、本人も、この種の財務長官なんという、現場はよく知っていても、財務長官というような、組織を動かしたことをやった人ではありませんので、そういった意味では、今後、何回となく話をして、だんだんだんだん話を進めていかないかぬとは思っていますけれども。

 両方とも、基本的に、アメリカ・ファースト、それはみんな同じなので、その上で妥協していく話ですから、そういった意味では、私どもとしては、これから時間をかけて話をしていくというのに関して、その枠組みをどうやってつくるかという話をさせていただかないかぬところだと思っておりますので、最初はまずそこからと思っております。

丸山委員 時間が来ましたので終わりますが、アメリカはアメリカ・ファーストでしょうが、我々はジャパン・ファーストだ、日本第一だというふうに思いますので、その意味で、二国間の方も、アメリカを除くTPPイレブンの方も、しっかりやっていただきますようにお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 銀行法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました銀行法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 情報通信技術の進展等の我が国の金融サービスをめぐる環境変化に対応し、金融機関と金融関連IT企業等との適切な連携、協働を推進するとともに、利用者保護を確保することが喫緊の課題となっております。このような状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、電子決済等代行業者に登録制を導入し、利用者に関する情報の安全管理や、電子決済等代行業を営むに際しての金融機関との契約締結等を求めることといたしております。

 第二に、金融機関に対し、電子決済等代行業者との契約の締結に係る基準の作成、公表等を求めることとしております。

 その他、関連する規定の整備等を行うことといたしております。

 以上が、銀行法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十一分散会


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