衆議院

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第2号 平成29年12月1日(金曜日)

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平成二十九年十二月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小里 泰弘君

   理事 あべ 俊子君 理事 井林 辰憲君

   理事 津島  淳君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 義家 弘介君 理事 海江田万里君

   理事 岸本 周平君 理事 斉藤 鉄夫君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      岡下 昌平君    勝俣 孝明君

      神田 憲次君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    柴山 昌彦君

      田畑  毅君    武井 俊輔君

      中曽根康隆君    中山 展宏君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      御法川信英君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      川内 博史君    末松 義規君

      高木錬太郎君    青山 大人君

      近藤 和也君    前原 誠司君

      緑川 貴士君    遠山 清彦君

      野田 佳彦君    宮本  徹君

      杉本 和巳君    青山 雅幸君

      鷲尾英一郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  池田 唯一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    遠藤 俊英君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           可部 哲生君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   茶谷 栄治君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 和田 浩一君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   参考人

   (日本銀行理事)     桑原 茂裕君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月一日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     岡下 昌平君

  前原 誠司君     緑川 貴士君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     中曽根康隆君

  緑川 貴士君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     小泉 龍司君

    ―――――――――――――

十二月一日

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(畑野君枝君紹介)(第一五八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二七〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二七二号)

 同(藤野保史君紹介)(第二七三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二七四号)

 同(宮本徹君紹介)(第二七五号)

 同(本村伸子君紹介)(第二七六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

小里委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事雨宮正佳君、理事桑原茂裕君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一君、金融庁総務企画局長池田唯一君、監督局長遠藤俊英君、財務省大臣官房総括審議官可部哲生君、主計局次長茶谷栄治君、主税局長星野次彦君、理財局長太田充君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君、国土交通省航空局次長和田浩一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。義家弘介君。

義家委員 おはようございます。自由民主党、義家弘介でございます。

 先日、地元を回っておりましたら、コンビニエンスストアの告知でポスターが張ってありまして、本日、十二月一日発売の限定のお弁当の告知が目にとまりました。

 新弁当の名は「忖度御膳」。不思議な御膳だなと思いましてホームページを眺めてみますと、そんたくの成功を祈って、キンメダイやノドグロなど高級食材を使用し、お弁当のラインナップで最高額となる税込み七百九十八円の高級弁当を仕立てました。職場、友人同士、家族でのコミュニケーションツールとして、ぜひ御賞味ください。

 お弁当の中身、具材を題材にしたそんたくメッセージをお品書きとして添付。この案件、うまくいくとめでたいです。金を目当てにするほど腹黒くはありませんが、まめにお会いして、たくさんお話をいただきたいです。最後に、この思いを香の物に込めました。

 これはそれぞれに料理名が入っているらしいんですけれども、案件はあんかけ、うまくいくのうまが野菜のうま煮、めでたいのたいがキンメダイ、あるいは、腹黒くはノドグロ、まめは枝豆、そして、香の物はそんたくあんというふうに書いてありました。

 そもそも、このそんたくという言葉は歴史が大変古うございまして、日本では十世紀から用いられている記録がございます。本来、この言葉は、人の気持ちを推しはかる、日本独特の、日本文化の特徴とも言える形で用いられてきた言葉で、相手の気持ちを推しはかる、おもんぱかる、察するといった、日本文化の象徴のような言葉でもありました。

 しかし、マスコミ報道の影響は絶大でございまして、今、このお弁当にもあるように、この言葉は、どちらかといえばネガティブな言葉、あるいはバラエティーワード、キャラクターワード、そんなふうに使われていることが大変私は残念でなりません。

 本日は、あらゆるバイアスを排して、冷静に森友問題、そして国有地払い下げについての質問をさせていただきたいと思っております。

 十一月二十二日、会計検査院より、学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果が公表されました。

 この報告は、三月六日、参議院からの要請を受け、会計検査院が八カ月の延べ百十四人日に上る人と時間をかけ、百十七ページに及ぶ会計検査結果を公表したものであります。

 私も丁寧に目を通させていただきましたが、抽象的な表現も含め、少なくとも、私にとっては極めて難易度の高い報告書でございまして、理解には相当の時間を要しました。まだ意味が理解できていない表現もございます。

 報告書が出された直後から多数の報道がなされましたが、おおよその報道内容は、検査報告では、大阪航空局が行った地下埋設物、すなわち、新たに発見された地中ごみに関して、処分が必要となる量について十分な根拠が確認できなかったことから、会計検査院みずからが五種類の試算を行い、試算は国の見積もりの三二%から九八%となった、契約に至るまでの資料の一部が破棄されているため、価格決定の詳しい経緯は確認できなかった、おおむねこのような指摘が報道されました。また、ある新聞では、国の財産処分が適切に行われたかが検証できない状況で、適正と繰り返してきた政府の姿勢が厳しく問われることとなると報じました。

 ほとんどの国民は、百十七ページに及ぶ会計検査報告を直接読まれることは恐らくないでありましょう。結果的に、国民が知り得るのは、国会質疑や報道によって、その内容の一部を知ることになるわけでございます。会計検査院の検査及び報告は極めて重いものです。ですから、質疑や報道には、より正確さが問われます。

 そこで、まず会計検査院にお尋ねいたします。

 今回の会計検査院の検査結果において、財務省や国土交通省が行った国有地の売却について、他の報告書等では問題があった場合にははっきりと記される違法、不当などの指摘事項がございましたか。端的に御説明をください。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院が憲法第九十条の規定に基づきまして作成し、毎年度内閣へ送付しております決算検査報告におきましては、検査の結果、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項をいわゆる不当事項として掲記いたしております。

 今回の報告書は、国会法第百五条の規定による会計検査の要請を受けて検査した事項につきまして、会計検査院法第三十条の三の規定により国会に報告するものでございまして、決算検査報告とは異なる報告書でありまして、いわゆる不当事項が掲記されるものではございません。

 今回の報告書におきましては、必ずしも適切とは認められない事態、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態などについて記述をしてございますが、これまで決算検査報告において不当事項として掲記したものと比べますと、国損額を明確に算定することができないなどの点で、これらを不当事項として決算検査報告に掲記することは難しいと考えているところでございます。

義家委員 野党の質疑では職員の処分などについても言及がございましたが、今回の検査報告では多くの課題が明らかにされておりますけれども、不当事項というものはなかったということは確認しておきたいと思います。

 続いて、国民の関心、疑念が非常に大きく、報道も集中している、大阪航空局が行った新たなごみの撤去費用の見積もり約八・二億円についてお伺いいたします。

 検査報告では、国の見積もりの三二%から九八%まで幾つかの試算を行ったが、ごみの深度、混入率について十分な根拠は確認できないと所見で述べる一方で、仮定の仕方によって処分量の推計値は大きく変動する状況にあり、算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと指摘されております。

 そこで、質問します。

 会計検査院の検査報告は、大阪航空局が行った処分、撤去費用の算定額約八・二億円は誤りであると指摘しているのか。それとも、そうでないのか。端的にお答えください。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 大阪航空局が算定した本件土地における地下埋設物撤去、処分概算額八億千九百七十四万余円につきまして、今回の報告書では、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できないものとなっていたり、本件処分費の単価の詳細な内容を確認することができなかったりなどしており、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができず、また仮定の仕方によっては、処分量の推計値は大きく変動する状況にあることなどを踏まえますと、大阪航空局において、地下埋設物撤去、処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められると記述しているところでございます。

義家委員 さまざまな指摘はよくわかるんですが、つまり、誤りだったと指摘していないと理解してよろしいんでしょうか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 報告書におきまして、誤りであったとは記述してございません。

義家委員 ありがとうございます。

 こういうところを丁寧にやっていかないと、臆測に基づいて、全てがレッテル張りだとか決定事項のように理解されていくことを大変私は憂慮しておりますので、今、誤りであったという記述がないということも確認させていただきました。

 十一月十六日の某新聞の夕刊の報道によれば、施工を担当した会社の見積もりは九億六千百二十万円だったとされております。額に幅はありますが、いずれにしても、多額の撤去費用が必要だったということは確認しておきたいと思います。

 関連して、森友学園小学校予定地周辺の土地事情について具体的にお伺いをいたします。

 森友学園の周辺の場所で、地元豊中市が給食センター用地として新関空会社から買い受けた土地についてでございます。

 売買成立後に地下埋設物が発見され、売却額の二倍もの撤去費用を豊中市が請求しているという事案がございます。国土交通省より、売却の経緯、埋設物の状況、撤去費用に係る新関空会社と豊中市の協議の状況などについて、事実関係を説明してください。

和田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのありました豊中市給食センター用地につきましては、もともとは森友学園の土地と同様に、伊丹空港の騒音対策用地として大阪航空局が昭和四十九年より民地を買い入れたものでございます。その後、土地の所有権は大阪航空局から新関西国際空港株式会社に受け継がれまして、豊中市に対して無償貸し付けをしておりました。

 こうした中、豊中市から、本件土地に給食センターを整備するので譲渡してほしいという申し出がございまして、新関空会社は、平成二十七年六月に本件土地を約七・七億円で売却いたしました。

 しかしながら、豊中市に売却した後、豊中市側が建物を建築するためのボーリング調査等を行ったところ、本件土地約七千二百十平方メートルから、コンクリート殻や石綿を含む建材等の地下埋設物が存在すると判明し、豊中市は撤去費用として、売却価格約七・七億円の二倍程度である約十四・三億円を見込んだところでございます。

 本件土地の売買契約には瑕疵担保責任に係る規定がないため、民法の一般原則に従い、隠れた瑕疵があったときは、買い主たる豊中市がその事実を知ったときから一年以内に損害賠償を請求できることとなります。

 こうしたことから、現在、地下埋設物の撤去費用の負担について、買い主たる豊中市と売り主たる新関空会社との間で協議が行われていると承知をしてございます。

義家委員 ありがとうございます。

 森友学園に売却した土地よりも狭い、売却価格七・七億円の土地の埋設物撤去費用が二倍の十四・三億円かかる。こうしたリスクが極めて高い土地事情であったということも改めて確認をしておきます。

 八・二億の値引きが適正だったか、適正じゃなかったか。少なくとも、周辺では、七・七億の土地に撤去費用が十四・三億円かかるという形で現在協議が行われているという旨も確認しておきたいと思います。

 さて、会計検査院の報告書の中では、「限られた期間で見積りを行わなければならないという当時の制約された状況」、これは報告書本体百十ページ、要旨の二十四ページに書いてありますが、これはまさにそのとおりでありまして、二十九年四月の開校が迫っている中で、埋設物が出てきて、さあ、これからどうしようという、単線型の価格交渉ではなくて、小学校開校とその土地、そして本体工事等々が複雑に絡み合った中での状況だったわけでございます。

 改めて会計検査院にお伺いします。

 さきの豊中市の給食センター建設予定地の事例に見られるように、土地を売却した後になって新たなごみが発見されれば、さらなる追加費用が必要となり、また、ごみの撤去には、費用だけではなくて時間もかかり、さらに開校がおくれ、損害賠償のリスクは高まるということになってまいります。

 そうした状況の中、これ以上のごみが出てきたとしても、国は一切の責任を負わないという瑕疵担保免除特約の付与を前提として、大阪航空局が当時利用できたあらゆる材料を用いてごみの撤去費用を見積もった対応について、検査院はどのように考えておるでしょうか。報告書には、この特約を付しながら想定される撤去費用を差し引いて契約することが売り主に不利とは言えないといった記述もございますが、端的にお答えください。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 「売買契約に国の瑕疵担保責任を免除する特約条項が付されるかどうかにかかわらず、」「対象面積、深度、混入率等の算定については、十分な根拠が確認できないものとなっていることなどから、試掘やボーリング調査等で得られた状況を慎重に検討することなどにより、精緻に地下埋設物の存在範囲を設定する必要があったと思料される。」と記述しているところでございます。

 なお、「一切の瑕疵について売主の瑕疵担保責任を免除するなどとした特約条項を付す一方で、瑕疵がないものとして不動産鑑定評価が行われた正常価格から、存在が見込まれる瑕疵の撤去費用を控除した価格で契約することが売主にとって」必ずしも不利な結果になるとは一般に言いがたいと考えられると記述をしているところでございます。

義家委員 私がなかなか理解できなかった、売り主にとって不利になる状況とは一般に言いがたいというのはどういう意味ですか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 実際にごみ等が出てきて、コストがかかる状況も想定されることが一概には否定できないということでございます。

義家委員 それは当たり前です。先ほど、周辺の地域の給食センターの豊中市の事案をお話ししましたから、こういう事案が出てきているわけですけれども、その不利になるとは一般に言いがたいということの、日本語の理解が私は足りないのかどうかわからないんですけれども、もう一回聞きたい。

 瑕疵担保免除特約の付与を前提としてごみの撤去費用を見積もった対応等々、この対応について、一般に不利となるとは言いがたいというのはどういうことか。もう一回丁寧に教えてください。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 状況によっては瑕疵担保条項を付した契約が国にとって有利な場合もあり得る可能性があるということでございます。

義家委員 ありがとうございます。

 つまり、そういうことなわけでございまして、瑕疵のないものとして不動産鑑定評価が行われた正常価格から、存在が見込まれる瑕疵の撤去費用を控除した価格で契約することは、国にとって有利になる場合もあるということでありまして、不利な結果になるとは一般的には言いがたいと考えられるというよりは、このような状況、事情のあるような土地については、そういった判断も含めて考えなければならないということを改めて指摘しておきます。

 さて、それでは、続いて売買契約に関連して、財務省にお伺いしたいと思います。

 これまでの国会審議では、森友学園との契約について行われた売り払いを前提とした新規貸し付け、延納特約、価格の非公表といった特例が、公共の目的での随意契約では例がほとんどないことから、森友学園には特別のそんたくを働かせていたのではないかという指摘が野党やメディアから多数なされています。

 しかしながら、そもそも公共随契の相手方のほとんどは地方公共団体でありまして、予算や財源、計画のある地方公共団体でありまして、この場合は前述の特例はそもそも必要がありません。この辺の事情や、地方自治体以外の例についてもございましたら、丁寧な説明をお願いいたします。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員から御指摘のありました公共随契につきまして、先般の予算委員会でも御答弁を申し上げたんですが、平成二十四年から二十八年度までの五年間に財務省所管の一般会計所属普通財産を公共随契で売り払った事案というのは千百九十四件ございます。そのうち、委員御指摘のあった、相手方が地方公共団体というものは千五十三件、約九割ぐらい、次いで社会福祉法人で四十九件という格好になってございます。

 今ほど申し上げました公共随契による売り払いの約九割を占める地方公共団体は、もちろん市町村、財政力に格差はあるわけですが、基本的には地方税を徴収することができ、また交付税等も来て、さらには地方債を発行する権限も有しているということでございますので、延納という仕組みをとらないといけない必要性は極めて薄いということになります。

 それから、二番目に出てきました社会福祉法人については、別途、定期借地権による貸し付けという仕組みを認めております。そういうことで、延納ということを使わないといけないという必要性も基本的に極めて低いという状況になっております。

 それから、延納という仕組みそのものは、今ほど申し上げたのは公共随契なんですが、公共随契の相手方以外にもその仕組みは適用ができるようになっております。既に有償貸し付けを行っている個人、法人にも認められておりまして、資力のない個人の方に御利用いただいているということもあるということでございます。

義家委員 つまり、これは森友学園の契約のみだけの特別のそんたくではなくて、さまざまなケースがここには存在しているという客観的なものも、しっかりと指摘しておきたいと思います。

 今回の国有地売却、これはそもそも大阪府が新たな私立小学校の開設について認可適当の判断を出したことからスタートしております。土地の売買ではなくて、この認可適当の判断からスタートしておりまして、元来大阪府では、幼稚園のみを設置する学校法人については、借入金による小学校の設置は認められておりませんでした。

 それに対して平成二十三年七月二十六日、森友学園が審査基準の要望を提出、翌平成二十四年四月に府の審査基準が改定され、森友学園の小学校設置への道がここで開かれることとなりました。

 認可適当という判断に至るまでは、審議会の委員の皆様から多くの懸念も示されたとお聞きしております。しかし、最終的には、平成二十七年一月二十七日付で認可適当の判断が出されました。その際、小学校建設に係る工事請負契約の締結状況、寄附金の受け入れ状況、詳細なカリキュラム及び入学志願者の出願状況など多数の重要事項について、随時審議会に報告する旨を付しての認可適当という異例のものでもございました。

 これに伴い、森友学園は、平成二十七年五月、国と買い受け特約つきの貸付契約を結び、建設工事を着工、その際、もともと判明していた土壌汚染や地下埋設物の撤去を行うために開学を一年延期、平成二十九年四月開学に延期し、その後、くい打ち工事をしていた平成二十八年三月に新たなごみが見つかり、開学まで一年と迫る中で、先ほどの会計検査院の検査報告にもあるように、かなり制約された状況の中での交渉であったというわけでございます。

 その後は、これはもう皆さん御存じのとおり、本年二月九日にこの土地売却問題の報道がなされ、三月十日に認可取り下げ申請、四月の二十一日には森友学園が民事再生法の適用申請、さらに、籠池夫妻が国と大阪府から補助金詐取容疑で逮捕、現在も国有地の上に建設業者への代金未払いの校舎が建ったままというふうになっております。

 まさにこの十カ月間は、類いまれなる、この籠池氏という人物の発言やあるいは動きに国会も報道も振り回され続けてきたとも言える話でございましょう。私はこれらの議論を見ながら、国権の最高機関はもうちょっとしっかりと、その権威でもって運営しなければならないと思えてなりませんでした。

 国会議員が現地に行って、テレビカメラの見守る中、逮捕された籠池氏の家に行って話を聞いたり、もちろん話を聞くことはいいですけれども、それが事実であるのかないのか、しっかりと背景を分析した上で行うべき話でありまして、テレビに映るからそんな行動を行う、あるいは、籠池氏も常にテレビカメラを連れながらさまざまなパフォーマンス、私にしてみればパフォーマンスとしか思えないことも繰り返してまいりました。

 お金を返しに来たといって、お札の中身は白紙というようなお金でカメラの前でパフォーマンスをしたり、しかし、そのような言動を、報道はあたかも問題であるかのように、そのような人物の報道を続け、そしてまた野党も、そのような人物がおっしゃっている言葉を根拠として、さまざまな質問や疑念をこの国会の中でも展開していったわけでございます。私は大変残念に思っておりました。

 しかし、そのような喧騒が続く中にあっても、責任ある会計検査を実施した会計検査院の皆様には本当に心から感謝を申し上げたいと思っております。御苦労さまでございました。

 さて、最後に、関連して、財務省にどうしてもこれはお伺いしなければなりません。

 本年五月九日報道の朝日新聞は、籠池前理事長のインタビューをもとに、森友学園が近畿財務局に提出した設置趣意書には、開学予定の小学校名、安倍晋三記念小学校と記されていたと報じ、その報道に基づき国会でも紛糾いたしました。多くの時間がその内容に割かれました。

 財務省が開示した設置趣意書の校名は何小学校と記載されていましたか、お答えください。

太田政府参考人 委員のお話の設置趣意書は、二十五年九月に森友学園から取得要望書とともに近畿財務局に提出されたものでございますが、十月二十三日に管財人の策定した民事再生計画が裁判所から了承されたということを受けて、公表することについて管財人に意見照会を行って、十一月十四日付で同意が得られたことから、マスキングを外して提出をさせていただきました。

 御質問の学校名は、開成小学校というふうに記載をされてございます。

義家委員 重ねて財務省にお伺いしますが、もう一度、議事録にもしっかりと残しておきたいので。

 この設置趣意書は近畿財務局に提出されているわけで、本来財務省は知り得る内容であったんですけれども、今までそのような小学校名は記載されていないということが言えずにいたわけでございますが、なぜ今まで公表できずにいたんですか。もう一度お願いします。

太田政府参考人 設置趣意書は、小学校設立に係る目的、背景、動機、学校運営方針、学校運営上の特色など、幅広い事項について設立主体が記載をしているというものでございます。

 こうした設置趣意書の性格上、経営主体の経営上のノウハウ、学校運営上のオリジナリティーを含む内容となっており、公にすることにより、その事業遂行に支障を及ぼす等、学校法人の正当な利益を害するおそれがあるということから、当該情報は不開示情報に該当するということで、不開示とさせていただいたということでございます。

義家委員 ただ、森友学園は三月十日に認可取り下げの申請をしているわけで、この時点で、五月九日の朝日新聞でこの記事が出たわけですけれども、これはなぜ抗議しなかったんですか。

太田政府参考人 相手方の同意が必要という状況になっておったときに、確かに委員御指摘のとおり、森友学園は小学校の開設というのを一定時点であきらめました。

 ただ、その後、民事再生の手続に移って、管財人の同意を取りつけなければいけないという状況になりました。結果的に、現時点までこういうふうになったんですが、その時点において、国にきちんと土地の所有権が戻ってくるかどうか。それからまた、ある意味でのきちんとした再生計画をつくっていただけるかどうかということがありましたので、そこまで見きわめた上で、その上で管財人の方に了承を取りつけに行ったということでございます。

義家委員 丁寧な答弁、ありがとうございます。

 つまり、しっかりと野党の質問に対して答えたかったけれども、答えられない事情があって、このような小学校名は、それは違うんだと言えない状況の中で、延々と安倍晋三記念小学校としてやったんだろう、やったんだろうとずっと質問が来て、それに対応せざるを得なかったという当時の財務省の立場も改めて代弁しておきたいというふうに思っております。

 まさに、レッテル張りによって国会審議を空転させたと言っても過言ではない。実際とは違う、決めつけによってずっと議論が行われていて、あたかも安倍総理あるいは昭恵夫人を含めたそんたくが働いたおかげでこうなっているんだという国会審議が行われた。

 法廷や国会における議論は、ミスリードやあるいは根拠のない結論ありきではなく、ファクトに基づく正確な情報に基づいて行われなければなりません。その責任と重要性を改めて指摘しておきたいと思います。

 最後に、財務大臣が五年間一貫してその職責を全うする、これは今の日本の立て直しにおいて極めて私は重要なことであろうと思いますし、その極めて重要な責任を五年間にわたり担い続けている麻生財務大臣に心から敬意と感謝を申し上げて、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、石崎徹君。

石崎委員 質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 前回の国会では一回だけ御質問させていただけたんですけれども、今回、早速、我々若手議員に質問の機会をいただきましたことに、皆様方に本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

 本日は、ローカルな課題とグローバルな課題、それぞれの課題につきまして、余り国会等で議論されていない点につきまして御質問させていただきたいと思います。

 まずは、今、地銀再編と統合の動きが非常にいろいろ出てきているところでございまして、私の地元でも、第四銀行、北越銀行の統合の動きが出てきているわけでございます。

 ことしの春に、私はこの委員会で質問させていただきましたけれども、長崎の銀行統合につきましては、金融庁が現場に行って地元の経済界等に説明会を開いていたという話を聞きまして、ぜひ新潟でも説明会を開いてほしいと要望させていただきましたところ、十月三十一日に、金融庁の西田審議官が新潟に来ていただきまして、個別事案という扱いだけれども、二十年先、将来を見据えた地銀統合の環境整備につきましていろいろと説明をしていただいて、金融庁としては、表向きには言えないかもしれませんけれども、こうした地銀の再編については、結構環境整備について努力をしていただいているというふうに理解をしているわけでございます。

 しかし、この第四銀行、北越銀行が、本来ですと来年の四月に統合をしたいというふうに発表していたわけでございますが、半年間延期をするという発表をされたわけでございます。

 これにつきまして、地元では、なぜ延期をするのか、これは両行がうまくいっていないんじゃないかですとか、いろいろな臆測を生んでしまうわけでございまして、地域経済にとっては、大きな不安ですとか影響が出てくるというふうに理解をしているところでございます。

 そういった意味で、なぜ統合がおくれてしまうのか。

 第四銀行、北越銀行のプレスリリースを見ますと、公正取引委員会との緊密なコミュニケーションをとる中、積極的にデータを提供するなどして協力をしているけれども、両行が想定していたよりも時間を要している。公取の審査がかなり時間がかかっているという理由で延期をするというプレスリリースを出しているわけでございまして、このあたり、金融庁の姿勢と公取の姿勢に少しそごがあるのかなというふうなところでございます。

 伺いましたら、公取の担当課、企業結合課というところがこの審査を担当しているようでございますが、人員は四十名ということでございまして、国内案件だけではなくて、海外企業が日本企業を買収する等の案件についても、この四十名で頑張って審査をしているということでもございます。

 質問といたしましては、半年間延期をしてしまう状況においての公取の問題意識と、今後、人員拡充などを含めて、本当に地域経済に影響のある銀行の統合延期という課題に対しまして、どういうふうにこの問題の解消措置を行っていくのか、まずはお聞きしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 本件経営統合につきましては、詳細な審査を行う必要があると認められましたので、本年七月に、報告等の要請を行いまして、第二次審査を開始したところでございます。

 独占禁止法上問題があるかどうかの判断につきましては、公正取引委員会は、当事会社から全ての報告等を受理した日から九十日以内に行うことというふうになっておりますが、本件については、まだ全ての報告等を受理していない状況にございます。

 個別具体的な案件でございますので、これ以上のお答えは差し控えたいと存じますが、第二次審査に進んだ案件につきましては、競争事業者、また需要者に対してヒアリングやアンケート調査などを行いつつ、この企業結合によりまして、当事会社の取引先や需要者にとりまして十分な選択肢が確保できなくなるような状況になるかどうかといった、競争の与える影響について慎重に審査を進めているところでございます。

 また、これまで過去十年間に地方銀行の統合案件は十六件ございますが、これらのうち十四件については、第一次審査の段階で問題ないと判断されております。

 公正取引委員会としましては、引き続き、御指摘のとおり、迅速かつ的確に企業結合審査を進めるため、体制の拡充の検討も含めまして、必要な対応に努めていきたいと考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 伺いましたら、新潟県内の七千社の企業に今アンケート調査等を行っているということでございまして、この課の人員ではかなり業務量が発生しているんだろうというふうに理解をしているところでもございますので、このあたり、迅速に行っていただきたいというふうに思っております。

 そして、大臣の御地元でもいろいろと地銀の統合の動き等があるというふうに伺っております。

 今の公取の説明でも、過去十数件、銀行の統合が行われたということでございまして、金融担当大臣として、これまでの銀行の経営統合による地域へのいろいろな影響、効果、こういったものをどういうふうにお考えになられているのか。これは今後の銀行の再編にも参考になるのではないかというふうに思っておりますので、大臣の御所感をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 一般に地域銀行の経営統合というのは、経営統合それ自体が目的じゃないので、おたくの新潟の場合も、あなたの指摘されているのは長崎の話なんですけれども、長崎の銀行を福岡の銀行がという形になっているんですけれども、長崎の場合は、経営の問題もさることながら、人口が減少していますので、貸出先なんかは随分減っておられる。

 そういったような、経営環境が厳しくなっていますので、将来にわたってこれをずっと継続していかれると、いわゆる金融という機能の健全性がシステムとして維持されるというのはなかなか難しいんじゃないかということが非常に大きく懸念されているので、金融機関の、いわゆる企業間における仲介機能というものがうまくいかないということは、これは経済活動に非常に大きな支障を来しますので、いろいろなことを考えにゃいかぬということがまず第一前提なんです。

 加えて、それを利用しておられる企業とか顧客がおられますので、そういった方々の利便性とかいうものをさらに考えにゃいかぬところなんですけれども、そういったことを考えますと、地域の活性化がこれによって落ちていくのは非常に困るということなので、例えば統合する銀行、福岡の場合であれば十八銀行と、あれは親和銀行だったかな、何とかの合併の話なんですけれども、それぞれの取引先というのを紹介し合って、もう顧客の販路、いわゆるお客の販路開拓を支援する例とか、また銀行の店舗が、支店がありますので、その店舗が重複している、同じ市内に重複している、同じ町内に重複しているという場合は、それを一緒にすることによって一店舗にして、人員も場所も余りますので、そういった人たちをいわゆる取引先の経営支援という部門に回す、そういったような重点配備するというような例が幾つもありますので。

 今、石崎先生言われたように、地域経済とか、そこにおられる顧客の方々への貢献につながっていくということを私どもは考えてこれは推進すべきなんだということなんですが、今、公取のお話がありましたように、その地域において、そこらの銀行のシェアがぼんとなって、全く独占になっちゃうんじゃないかということを懸念しておられるという問題点が多分あって、僕はちょっと新潟の場合はそんなに詳しく知らないんですが、福岡と長崎の例でいけば、福岡銀行が十八銀行と親和銀行というのをそれぞれという形でなっているんですが、それでいくと、それはもう全く福岡銀行の系列だけで何割、七割、六割行きますというのが問題なのではないかという御指摘なんだと思っています、まだ話は継続しておりますけれども。

 いずれにしても、こういった地域経済のことを考えないとなかなか難しいなと思って、今後、どういった対応がいいのか、いろいろまだ検討中のところもありますので、今この場でこういうふうになりますということをお答え申し上げる段階ではありません。

石崎委員 大臣、ありがとうございます。

 公取に聞きましたら、独占禁止法違反になるかどうかの基準みたいなものは特にないようでございまして、個別案件だということであります。

 長崎の場合は七割ということで、新潟の場合は信金、信組が強いところもございまして、五割程度だというふうに伺っているわけでございますが、今大臣から、このあたりの検討をしているというような状況でもございますので、統合のある程度の要件とか基準みたいなものがわかれば、このように延期をしてしまうみたいな、このようなプレスリリースを各地域銀行が発表するような事態にはならないのかなというふうに思っておりますので、このあたり、引き続き注視をしていただければというふうに思っております。

 きょう、資料を配らせていただきました。ビットコインの資料がございます。

 ほぼ毎日、この仮想通貨に係るニュースというのは日々出てきているというところでございまして、バブルなんじゃないかとか、いろいろな報道がなされております。きのうも九千ドルに割り込んだということでいろいろなニュースが出ておりますが、このあたり、国としてどういうふうな見方というかリスク管理等をしているのかについて少しお伺いしたいんです。

 ことしの四月一日に、資金決済法によって、金融庁が仮想通貨交換業者を登録して、監督をしているというような話を伺っているところでございます。金融庁としての取り組みは非常に大事なことなんだというふうに思っているんですけれども、調べましたら、財務省としても外為法上の報告義務を課しているということを伺うことができました。

 ただ、これは外為法の報告義務があるんだということを一般のビットコインを取引している方々がどこまで知っているかというと、余り知られていないんじゃないかというふうに思っております。

 仮想通貨を海外の売り手に対して売った場合に、しかも、それが三千万円相当額を超える部分につきましての報告義務があるというふうに伺っているわけでございますけれども、今の一ビットコインが一万ドルを超えるとか、そこまで大きな取引をしなくても、外為法上の規制にひっかかってしまうというような市場関係者が出てきてしまうことも出てくるんじゃないかというふうに思っておりますので、このあたり、金融庁の取り組みとあわせて、財務省としてどういうふうに適切に対応していくのか、お伺いしたいと思います。

うえの副大臣 御指摘のとおり、仮想通貨によるものも含め、日本の居住者が非居住者との間で一定額以上、三千万円の支払い等を行った場合には、外為法第五十五条第一項に基づき、財務大臣に報告する義務があります。

 このような報告義務があることにつきましては、まずは日本銀行や財務省のホームページにおいて広く周知を行っておりますが、それぞれの業者の皆さんあるいは業界団体の皆さんに対しても、財務省といたしまして直接周知をしているところであります。

 ただ、今御指摘のあったような状況もありますので、委員からの御指摘もありますから、さらにそうした周知が徹底できるよう、努めていきたいというふうに思います。

石崎委員 うえの副大臣、ありがとうございます。

 このあたり、さらにこの時価総額、時価が上昇していく可能性というのは十分ありますので、ぜひ適切な対応をお願いしたいと思います。

 そして、世界各国、いろいろなソブリン・ウエルス・ファンドというのがございまして、日本でいえばGPIF、百五十兆円の資金でいろいろと運用しているということで、伺いましたら、このうち、〇・一%はオルタナティブ投資に今充てている、不動産等ですね。これでも、〇・一%でも約一千五百億ほどの運用をしているということでございます。

 これは市場関係者の方ともちょっとお話をして、GPIFが仮想通貨に対して、今後どういうようなスタンスで臨んでいくのか。今の法的には、もちろん不動産投資と有価証券がメーンなんだというふうに思っているんですけれども、このあたり、参考までに厚労省に、GPIFが仮想通貨に対してどういう考えを持っているのか、少しお伺いをさせていただきたいと思います。

諏訪園政府参考人 委員の御質問についてでございますが、GPIFの年金積立金の運用につきましては、法令に基づきまして、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこととされているところでございます。

 GPIFが、みずから仮想通貨へ投資を行うことについては法令上認められておらず、また、運用機関を通じて仮想通貨に投資することも想定していないところでございます。

石崎委員 ありがとうございます。

 世界各国、さまざまなソブリン・ウエルス・ファンドがありますので、このあたり、各国のいわゆる政府関係、政府に関連しているようないろいろなファンド等の動きも見ていただきまして、ぜひ適切な運用をしていただければというふうに思っております。

 そして、最後になりますけれども、日本の通貨政策につきまして質問をさせていただきたいと思っております。

 私も、もともと財務省の職員を務めさせていただきまして、このあたり、通貨政策、非常に大事なことなんだけれども、なかなか国会等でも余り光を浴びない、大事な分野なんだというふうに思っておりますが、財務大臣、麻生大臣は、本当にこの五年間の間、さまざまな、G7、G20、いろいろな形で通貨外交に取り組まれておられたんだというふうに思っております。

 今、安倍総理を筆頭に、地球儀外交ということで、いろいろな国で、総理、大臣、いろいろな方が、日本のプレゼンスを高める外交というのをやっていただいていると思いますが、通貨外交につきまして、黒田総裁も、きょうはちょっと残念ながらお越しいただけないんですが、円の国際化ということで、国力をあらわす、通貨にも国力が端的にあらわれるということでございまして、日本が経済大国になるにつれて、もう少し円を世界で、プレゼンスを高めていくというような円の国際化政策というのをかねてからやってこられたということであります。

 私が財務省職員のときには、極めて細々と円の国際化政策をやっていたという状況であるんですけれども、最近、この円の国際化政策はどうなっているのかなというところが非常に問題意識でございます。

 今せっかく、こうした地球儀外交ですとか、さまざまな通貨外交をやっているわけでございまして、このあたり、財務省として、円の国際化、これは日本がまた世界でもう一度中心で輝くという、今の政府の大きな政策に私は非常に合致している政策なんだというふうに思うんですけれども、円の国際化を含めた、円に対しての大臣のこれからの対応につきまして、ぜひお伺いをさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 初めて財務大臣としてG7の財務大臣・中央銀行総裁会議に出たのが五年前の二月なんですけれども、そのときは、毎年財務大臣がかわっていますので、まずほとんど対象外、話題の対象になることもありませんでした、また新しいのが来たのか、これもあと一年でかわるんだろうなという程度の話だったので、事実、その前は六年間連続、こっちは総理大臣を含めて閣僚が、内閣がかわっていますので、無理もない話なんですが。

 いきなり行って、私どもがやり始めたのは、日本銀行との上で金融政策の緩和というのをやらせていただきましたので、円が当時七十九円九十で幾らとあったものが、いきなり九十円になり百円になってくるときだったので、円の独歩安というのが当然やられる話の対象という時代だったのが五年前だったと思いますが。

 それから、次第に、こっちも開き直って、冗談言ってくれるな、今の俺たちが百十何円と言っているが、二〇〇八年のリーマン・ブラザーズの破綻が起きたときに幾らだったんだ。あのころは百二十円だったじゃないか。それから、俺たちはずっとあのときの約束を守って、うちは通貨政策はきっちりやってきた結果、百円を切って、九十円を切って、八十円とかいう話になった。その間、おたくらは介入をしたわけじゃないけれども、通貨の供給量をわんわん一方的にふやして、結果として自国通貨を下げるという、まあ裏口入学みたいなことをやっていたわけですよ、簡単に言えばね。事実、そう言いましたから。それに比べて、うちは真面目にやったおかげでこうなっているんだけれども、これは、どう考えても、うちだけが極端な円高という形になって極めて日本の経済をゆがめているというのに、俺たちはずっと辛抱していることはできない。したがって、私はこれをやめさせてもらう。通貨は、我々としては必要な、円安を目的とするのではなくて、通貨の供給量という絶対量をふやすんだということを申し上げさせていただいて、結果として、今、百十一円、二円というところまで来たんだと思います。

 円、ドル、ユーロ、いろいろありますけれども、日本の場合は、少なくとも国債を多額に発行して、いろいろ心配をしなきゃならぬところでありますが、この国債は、外国人の買っている日本の国債は今約一割前後だと思いますけれども、それも全て円で買っておられますので、外貨建てによる国債というのは一円も発行されているわけではありません。そういった国というのは、日本とアメリカと、あとはスイスとデンマークぐらいだと記憶しますけれども。

 そういった形なので、今、ドルにかわって円で即やってくれという話も極めて多い話なので、最近、フィリピンとの間に円建てのスワップというのを正式に、この間、ドゥテルテ大統領のときに調印をさせていただいておりますけれども、いろいろな意味で、危機のときに当たって円での引き出しが可能というのはアジアの通貨国にとりましては非常に大きな力になるんだと思っておりますので、少しずつではありますけれども、円の通貨としての価値というものは少しずつ上がりつつある、信用も上がりつつあるということで、我々もこれを国際通貨にしてくれ、SDRに何とかといったような、中国が今しゃにむにやってSDRの引き出しをやった途端にいきなり外貨持ち出し禁止なんという、あんなみっともないことにならないようにしておかないとおかしなことになりますので、私どもとしては、そういったようなことにならないように、きちんと、ゆっくり、確実に円の信用というのを広めていくという方向に進めていきたいものだと考えております。

石崎委員 大臣、ありがとうございます。

 個人的には円の基軸化ぐらいの大きな方向性でもって頑張っていくべきだというふうに思っております。引き続き、通貨政策につきまして、問題意識を持って御質問させていただきたいと思っております。

 本日は、まことにありがとうございました。

小里委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 立憲民主党の海江田万里でございます。

 本日は、先月の二十九日に麻生大臣の所信的挨拶が行われました、それに対する質疑ということでありまして、私も久しぶりに麻生大臣の挨拶を身近なところで聞かせていただきました。

 簡にして要、簡というのは簡潔ですね、要というのは要点をついていると言いたかったんですが、簡は簡でありましたけれども、要が若干欠けるのではないだろうかというふうに思いました。

 それは、先ほど本委員会の冒頭でも委員から質問がありました森友問題ですね。これは、会計検査院が十一月の二十二日に報告書を出しまして、大臣の挨拶がありましたのは二十九日ですから、一週間ですね。この一週間、新聞やテレビ、あるいは人のうわさもそうでありますけれども、財務省は何をやっているんだ、何をやっていたんだという声がやはり満ち満ちていたわけですよ。だから、やはり私はこの所信的挨拶の中で大臣の口から直接この問題に対するコメントがあると思っていたんですが、残念ながらありませんでした。

 これはどうしてなかったんですかね。役所が書いてきた原稿になかったからなかったのか、あるいは、これは言うに足らない話題であるというふうにお思いになったのか、あるいは、もっと深遠なお考えがあるのかもしれませんが。

 大臣、挨拶を行いまして、欠けているねという意識、あるいは、まあいいかと、どうお思いになったか、率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘をいただきましたけれども、財務金融委員会、この委員会におきます私の冒頭挨拶というものは、これは委員会での審議に当たって、いろいろ法案を審議していただく前の前提として、例えば日本経済の現状とか、また財政政策とか金融行政等々に関する私の考えの一端を申し述べるというのが所信表明だと思っておりますので。したがいまして、皆様のお力添えをいただきまして政策運営に最善を尽くしていくという決意というものが、簡にしてと言われましたけれども、短くしてそういうことを申し上げさせていただいたものだと思っております。

 また、森友学園の国有地の売却の話につきましては、これは、会計検査院の先ほどの報告にもあり、義家先生とのやりとりもありましたけれども、昨日まで、衆議院で二日、参議院で二日、予算委員会におきましても審議が行われてきたところでありますので、今後とも、この問題に関して国会で質問があれば、丁寧に答弁はさせていただきたいと思っております。

海江田委員 きょうも冒頭、大臣の所信的挨拶に対する冒頭から、与党側から質問が出たわけですから、これは当然、やはり本委員会でも話題になるわけでありますから、そのときはやはり大臣が最初に、基本的にはこう考えるんだということをおっしゃっていただいた方が私はよかったのではないだろうかと。そうでありませんと、やはりお尋ねをすることにどうしてもなってしまいます。

 あと、きょうここへ来まして議論を聞いておりますと、そんたくという言葉、まあ、いろいろ、私たちもよく使いますし、何度も出ました。

 ただ、これはちょっと皆さん間違って使っているんですね。日本文化の特質だというようなお話もありましたが、もちろんこれは漢語ですから、漢和辞典を最初に調べればいいんですよ。

 そうすると、大体、出典が、いつ最初に使われたかというのが出ていまして、詩経といいまして、易経というのは、元号なんかをやるとき、天平らかに地成るで平成だとか、いろいろ、これからもまた元号の話も出ます、これは易経から選ばれることが多いんです。詩経といって、春秋戦国時代ですので紀元前ですね、中国の全土でいろいろな民間の歌が歌われていた、それを集めた詩経という中の小雅編、これの巧言という節にあるんですよ。

 最初の例が、他人心あり、他の人心あり、予これをそんたくすというのが最初に出てくるんですよ。ほかの人、他人に心がある、自分はこれをそんたくするというんですけれども、ちょっと長い詩なんですけれども、前の方を見ると、実は、他人心ありのその心というのは、よこしまな心なんですよ。だから、ほかの人が、よこしまな心を持っている者がいれば、私は、このよこしまな心を、これは邪曲、邪曲を正す、他人がよこしまな心を持っていれば、私はそれを正すことにちっともためらいはないんだ、こういう言葉で使っているんですよ。

 だから、本来でしたら、誰とは言いませんけれども、恐らくこれはやはり籠池さんでしょうね、よこしまな心を持っていたことは確かなんですよ。だから、そのよこしまな心を持っていたら、これをそんたくするというのであれば、そんなよこしまな心を持っちゃだめだよ、もっとしっかりしなきゃだめだよというのが本来のそんたくであって、このそんたくをやった人が財務省の中に一人でもいますか。いないですね。

 ただ、一つだけ私は麻生大臣に申し上げたいのは、麻生大臣、鴻池もとの官房副長官、よかったですね、あの人はやはりそんたくしたんですよ。れんがだかコンニャクだかわからないけれども、持ってきたでしょう、籠池夫妻が。こんなもの受け取れるかと返しましたよね。それによって、麻生大臣のところに累が及ぶのが防げたんですよ、その時点では。そうでしょう。そうでなかったら、麻生大臣もターゲットになっていたんですよ、これははっきり申し上げて。それはちゃんと、彼らはそういうことを考えているんだから。道理が通らないことを政治の力で押し曲げようとしていたんじゃないですか。よくこれは物事の本質を見なきゃいけないんですよ。

 彼は、申しわけないけれども、よこしまな心を持っていました。そして、いろいろなところに働きかけをやった。麻生大臣も当然、その標的といいますか、ターゲットにされていたわけですよ。安倍総理も腹心の友と言っていますけれども、あれは腹心の部下と言った方がいいんですけれども、麻生大臣が総理のときに官房副長官に鴻池さんを据えましたね。やはり、官房副長官というのは、皆さん御承知のように、一番やはり、腹心の友であるか、刎頸の友であるか、その人を据えるんですよ。麻生さんは鴻池さんを据えた。そして、麻生さんと鴻池さんの関係は、政界の人はみんなわかっている、あるいは政界に通じた人は知っている。だから鴻池さんに行ったわけですよ。それを鴻池さんはきっぱり断ったから、だから累が及ぶのを、その時点においては免れることができた。

 しかし、これからの対応によっては、麻生大臣もその名前に傷がつくおそれがあるんですよ。だから私は、麻生財務大臣には、やはりこの問題に対しては毅然として立ち向かっていただかなければいけない、こう思っているのが私の本当のところですから、どうぞ、今の私の話を聞いて感想があれば、お聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 森友学園の話につきましては、先ほどの義家先生との話が一番最近の話で、簡にして要というのであれば、あの話が一番私どもとして、うん、なるほどなという感じを一番受けた会計検査院との話というか、受けたところなんですけれども。

 私どもは、少なくとも、今回の会計検査院という、参議院の要請を受けた、独立した行政機関ですから、この行政機関の会計検査院が出した結論というものに関しましては、間違いなく、これがどこに問題があるという点は、いわゆる話がいろいろ、たくさんの例が引かれていて、そういった中でもよく考えないかぬという点が書いてあるんだと思っておりますので。

 この内容につきまして、私ども、それを重く受けとめないかぬことは確かなので、いわゆるこういった点に関しましては、後々資料が残るようにせないかぬとか、こういった話については国有財産の、いわゆる管理、処分についてもきちんとせないかぬというような点が御指摘されておりますので。

 特に公共性が高い随意契約等々については、これはきっちりやらないといかぬのだということの、手続というものを非常に明確にしろということが書いてある等々、私どもにとりましては大変、きちんと今後対応していかねばならぬことだと思って、年間何百とある話なので。そういった話をきちんと、今後こういったことのないように対応していくというのを、こうせねばならぬというふうに、今度の会計検査院の報告を見て、私どもとしてはそう思ったところであって。

 やはり第三者からのいろいろな御意見というのは、大変、耳にきちんと入れておかないといかぬものなんだというのを、改めてそう思ったところであります。

海江田委員 この問題はやはり、これは財務省の皆さんもよく言うんだけれども、そこだけ切り取らないでくださいとか、木を見て森を見ないのはだめですよ。やはり大きく森を見るんですよ。どういう、あえて事件と言いますけれども、どういう事案だったのかな、どういう事件だったのかなということをやはりまず考えてみるんですよ。そして、そこに登場する人物がどういう人物かということも大変大切な要素ですよ。

 これはやはり、籠池さんというのはよこしまな心を持っているんですよ。そのよこしまな心を持った人が、何とか国有地を安く手に入れられないだろうかと。ところが、普通のルートでいけば、なかなかそれは安く手に入らないなということで、ではどうすればいいかということを考えて、やはりここは政治家に話を持っていくのがいいだろう、よく言われますね、官僚と政治家、あるいは財界というトライアングルがありますけれども、ここはやはり、官僚に対して圧力をかけるのは政治家に話をするのがいいだろうということで、そして、先ほども話しましたけれども、麻生財務大臣、ちょうど五年にわたって、長きにわたって職責を務めておりますから、当然ターゲットになったわけですよ。

 だけれども、どうもここはだめそうだな、門番がいて、門番という表現は悪いですけれども、番頭さんがいて、これが拒絶されてしまったから、麻生さんに話はなかなかつながらないなというところで、では、誰がいいだろうということでいろいろ考えて、麻生さんよりもっとその意味では力を持った人、そして、しかも愛国に名をかりた、ならず者ですよ、愛国で訴えて、それに共鳴をしてくれる人たちがいるから、そこのところから攻めていこうといって、安倍総理とそれから昭恵夫人につながっていったわけですよ。

 だから、私は正直言って、財務省の皆さん方は困ったと思うんですよ、はっきり言って。財務省の皆さん方は、私は、何が正しくて何がおかしいか、こんなことはやっちゃいけないということは十分にもう承知していたと思うんですよ。わかっていたと思うんですよ。だけれども、やはり、間違った意味でのそんたくが働いて、そして物をねじ曲げてしまった。だから、恐らく内心じくじたるものがあると私は思うんです。

 そして、この問題が近畿財務局に行ったときの近畿財務局のろうばいぶりでありますとか、あるいは森友の籠池さんが上京してきたときの財務省の困惑ぶり、私は、見えるんですよ、わかるんですよ、手にとるように。だけれども、そこで、少しねじ曲げをすると、よく反社会勢力がそうでしょう、そこにつけ込んで、次から次へと要求を高めてくる、そこに最後までつき合っちゃったんじゃないですか。そうでしょう。

 最初はまず、先ほどもお話ありました、本来だったら土地を買い取りをするものだけれども、まず定期借地権にしてくださいと。まあいろいろな話がありましたよ、公共事業はそうだからと。だけれども、定期借地権、極めて異常です。異常ですよ、民間の場合は。初めての経験だと。ここで一つ突破されてしまった。

 そうしたら、今度は、定期借地権、当然借り入れでやりたいという話だけれども、次は、今度は買いたいという話になったわけですよ。しかも、その間に、定期借地の間に、定期借地だから賃料を払わなきゃいけないけれども、二回も払わないで延ばしているんですよ、延滞しているんですよ。これもちゃんと報告の中にありますけれども。

 何で延滞したのか。そうすれば、これは有益費といって、ごみがあった、三メートルだと私は思いますけれども、そこのごみがあったけれども、そのごみを撤去するのにかかる費用、有益費と呼ばれていますけれども、有益費をできるだけ高くするために、わざわざ賃貸料を二回も滞納して、延滞をして、困らせているんですよ。これもよく反社会勢力がやるやり方ですよ。

 そういうやり方をやって困らせておいて、そして二十八年の三月になって、貸してくださいと言ったけれども、やはり買いたいんです。財務省は困ったでしょうね。やっと、無理をして定期借地にしたのに、うなずいておられるけれども、無理を曲げて定期借地にしたんだけれども、今度は買いたいと言い出してきた。しかも、その買い値が、最初言った値段よりもさらに安くして、しかも、期間十年で延納の申し出ですよ。これも初めてのことですよ。

 定期借地、買いたい、しかも、それを十年の延納。国有財産というのは国民の財産ですから、国税庁のものでもなければ、財務省のものでもない。もちろん安倍さんのものでもない。それを、こんなやり方をやって本当に反省はないんですかと私は申し上げたい。

 ぜひそれは財務省のどなたか、そして、その責任を一番とらなければいけない財務大臣、これはやはり間違ったやり方だった、だからこれからはもう二度とやりませんということがセットにならなければ、またいつやるかわからないじゃないですか。いかがですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員からさまざま御指摘を頂戴いたしました。

 基本的に、今回の最終的な売却に至る過程において、これまでの委員会でも御答弁申し上げておりますけれども、最終的な一つの大きい判断要素は、先方から相当、損害賠償請求が出てくる、そういうおそれを感じておったことは事実でございます。

 委員のおっしゃるとおり、国有財産は国民の皆様のものですから、それをできるだけ高く売らないといけない。さらに、その売却の過程で損害賠償請求を受けて、それで裁判に負けて多額の損害賠償金を払うわけにはいかないという中で、ぎりぎりの選択と申しておりますが、こういう選択をしてしまったということでございます。(発言する者あり)

 そういう中で、今回の場合、先ほど来出ております、例えば延納の話、あるいは売却額の設定の話、いろいろなことが、要するに時間が限られている中でこういうことをやったということは、要するに、最終的に裁判に至ったときに、こちら側にこれしかやりようがないという明確な制度なりルールなりがあれば、それは立証できるということだと思いますが、例外的な規定もあって、そうでないやり方もあるということであれば、それぞれの立証責任を負わないといけないということになりますので。

 そういうことがないようにということで、これから財政制度審議会の国有財産分科会にかけてきちんと最終的に決めようと思っておりますけれども、例えば、買い受け前提の貸し付け、先ほどおっしゃられた話とか、あるいは延納という分割払いについて、それを極めて限定的にするために適用基準を明確化してということは、今回の場合であればこういう適用基準なのでこれは適用できませんということが明確にできるかどうか。

 それから、国土交通省にお願いしたのも、ある意味で時間の制約があったからということですが、これも、売却価格の客観性を確保するために、必ず第三者が算定をするということを明確にルールとして決めて、そういうことであればそういうルールなのでそれ以外にやりようがありませんということができると思いますので。

 今ほど委員御指摘のあったような、そういう今回のことのいろいろな意味での反省も踏まえて、今後のことをできるような仕組みをつくっていこうというふうに思っております。

海江田委員 まだまだ不十分といいますか、やはり中でしっかり話をして、もうこういうことが二度とあってはいけないから、やはりきちっとルールは厳格に守ろうねと。ルールを別に変えることじゃなくて、ルールはあるんですよ、はっきり言って。これまでもあるんですよ、長い国有財産の売却の歴史があるわけですから。だから、そのルールがあるので、それを運用する人の心ですよ。やはりもっと財務省は本当にしっかりしてもらわなければいけませんし。

 それから、今お話がありましたけれども、裁判に負けるかもしれないといって、裁判を起こすとかいうのは、これもまたそういう人たちの常套手段なんですよ。それから、さっき川内委員からもあったけれども、負けるはずがないんですよ。道理はこっちにあるんだから、ルールはこっちにあるんだから。それから、万々が一負けたところで、ではそこで事情をちゃんと国民に説明する。裁判は公開ですから、公開を通じて。そのときと、今のようにだんまりを決め込んでしまって、忘れた、書類はありません、どれだけ税務行政の信頼を損なっているか、わかりますか。

 これから年が明けたら、確定申告の時期に入ります。だけれども、これも残念なことだけれども、国税庁長官が就任して以来一言も発していないじゃないですか。

 ちまたではあふれていますよ。私もいろいろな人と話をしますけれども、税務職員に説明を求められたとき、忘れたで通るんですか。あなたのところの長官がそう言っているじゃないですか、資料はありません。確かに、法定の期限があります、これは公文書の管理とは違いますけれども、それで通るんですか。

 裁判を訴えられるかもしれないということと、国民の間に納税の意識をしっかりと持ってもらう、そのために失ってしまうものと、どちらが大きいかといえば、当然、国民の納税に対する信頼感を失うことの方がはるかに大きいんですよ。

 あるいは財務省が、国民の財産である国有財産を、本当にいとも簡単にこれまでの前例を、あるいはルールを曲げてこういう売り方をするのかということ、その方がはるかに大きいんですよ。その点を十分考えていただきたいと私は思っています。

 それから、あともう一つ、これはちょっと実務的な話になりますけれども、先ほども話が出ましたけれども、寄附金集めというのは、安倍晋三小学校でずっとやっていたんですよ。それで、寄附金が集まりました、実はこの寄附金の集め方にもいろいろ問題があるんですが、それは追って後日やりますけれども、当然、寄附金をした人は寄附金控除をしているはずだと思うんです、特定寄附になりますから。

 ところが、学校が開校されないという場合、寄附金控除というのは受けられるんですか。あるいは、一回寄附金控除してしまったものには、それを戻してもらうんですか、どうなんですか。ちょっとそこのところ、事前の通告はありませんでしたけれども、おわかりになると思いますけれども、どうですか。

麻生国務大臣 これはとても私のわかる話じゃないんだけれども。だけれども、海江田先生、これは基本的には、下手すれば詐欺ということになりますからね。できるつもりもないのに、学校ができるという前提で集めているかもしれないし。(海江田委員「違う違う。それでは、もう一回。いや、そうじゃない」と呼ぶ)だから、寄附金を集めちゃったわけでしょう。(発言する者あり)こっちで何かわかったようなことを言うからさ。

 だから、そういった意味で、我々としては、寄附金は学校だというとちょっと別な扱いになりますので、それができないでやめちゃったということになると、取った金は返さないかぬというのが当然のことなんだと思いますけれどもね。

海江田委員 森友学園が開校するに当たって、安倍晋三記念小学校だということで寄附を募りました。昭恵夫人が払ったの払わないの、寄附をしたのしないのという話がありましたでしょう。学校なんかを開校したり、その準備のために、あるいは歴史のある大学が百周年記念とか、私も寄附したこともありますよ。

 そうすると、これはちゃんと、特定寄附だから、税制上の恩恵が得られますよと。いわゆる寄附金控除ですね。だから、これが、思うところ私は、安倍晋三小学校の寄附金についてもそういう恩恵があったのではないだろうかと考えているんですよ。

 それが違ったらいけませんよ。それは、寄附金をして、ちゃんと指定されますから、指定されれば、寄附金をしたら、これは所得控除ですけれども、その何割かが税金から安くなるわけですよね。

 そういう制度があるから、そういう制度を利用した人が、もし森友学園が、学校を開校するという前提で寄附金を集めているわけですけれども、今、開校するという前提がもう崩れちゃいましたから。そうすると、本来、そうやって寄附金をした、今、恐らく管財人のもとにあると思いますけれども、返してくれと言うのか。あるいは、だけれども、税制上そこで控除を受けてしまった扱いというのはどうなるんですかと。

 それは当然、もう一回調べればすぐわかることですから、税務署の方が、あなたは寄附金控除で控除を受けましたけれども、申しわけないけれども、間違いですから返してくださいということにするのかどうなのかということです。

うえの副大臣 非常に重要な御指摘だと思いますが、大変恐縮ですが、事前の通告がなかったので、きちんと精査をさせていただきまして、追って御報告なり御説明させていただきたいと思います。

海江田委員 この程度はわかると思ったから、別に通告もしなかったわけですが。

 一般的には、そういう開校だとか特別の、単なる、例えば、これは今はもうありませんけれども、昔、これまたよこしまな気持ちで、ここに寄附をすれば受かるんじゃないだろうかとか、こんなのはだめなんですよ、だけれども、学校が新たに開校するとか学部を新設するとか、これは届けを出さなきゃいけませんけれども、出せば大抵寄附金控除を受けられるんですよ。

 だから、それがあったんじゃないですかというふうにお尋ねをしたんですが、その場合の扱いはどうなるんですかということをお尋ねしたんですが、全くわからないですか。

星野政府参考人 済みません、持ち合わせの資料がございませんのであれですけれども、寄附金控除に関しましては、今海江田先生御指摘のとおり、そういう制度があり、学校法人がそういう学校の目的に即して寄附金を募った場合に寄附金控除が受けられる、制度上はそうなっているというのは、先生が御指摘のとおりでございます。

 ただ、個別具体の事案に関して、寄附を募った後に起こったその事案に関して、具体的な個々の課税についてどのようなことになるのかというのは、ちょっと今の時点でなかなか申し上げられない。それは、個々の、どういう目的で募り、どういうことになったのかということによっても、それぞれの課税実務においての判断があると思いますので。

 制度については先生の御指摘のとおりだということで、個別の事案についてはまた、そこは国税庁の話になりますので、そこはそれで、また状況がわかれば御報告を申し上げたいと思います。

海江田委員 これはやはり本当に大事なことですからね。

 それから、そういう例がないと、先ほど麻生大臣はかなり先走って言ったわけですけれども、そういうことを詐欺に利用しようとするやからもいないでもないわけでありますから、これは大事な問題でありますので、しっかりと精査をしていただいて、そして報告をいただきたいと思います。

 ちょうど税金の話が出たところで、税金の話に移ります。

 麻生財務大臣、再来年の十月一日、消費税率を八%から一〇%に上げるということはもう確認済みだろうと思います。もちろん私どもは、選挙の際に、再来年の消費税の増税というのはだめだよ、凍結だということを明らかにしましたので、その方針をしっかりと守っていきたいと思いますが。

 ついこの間、私のところにドイツの連邦議会の議員、もう長老で、実はこの間引退したのでその報告に来てくれたんですけれども、事が税金の話に及びますと、これは何もドイツの連邦議員じゃなくたって、みんな外国の方は、少し物のわかった方はおっしゃるわけですけれども、日本は八%ですね、だけれども何でこんなに消費税に対する世間の風当たりは厳しいのか、批判は大きいのか、私たちには理解できないということを異口同音に言うんですよ。

 麻生財務大臣もそういう声は聞いたことありましょう、そのことを国会での答弁でお話をしていることもありますが、どうしてだとお思いになりますか。

麻生国務大臣 これは一回目が竹下内閣、二回目が橋本内閣だったと記憶するんですけれども。

 やはり先生、あれは外税にするか内税にするかで最初はえらいもめたんですよね。私はあのとき内税説を述べて、例えばビールなんて外税でやってみろ、誰がビール飲むよ、ビールの五一%はおまえ税金じゃないか、こんなものを外税なんかでやったら誰もビールなんか飲まないよ、だから内税にすべきなんじゃないんですかと、当時、チンピラだったけれども、そういったことを税調で申し述べた記憶があるんですが。

 ヨーロッパは、住んでいたから言うわけじゃありませんけれども、あの辺は、四月から上がりますといったって、内税ですから、物価の値上げと同じで、二月、三月からどんどんどんどん物は上がっていくんですよ、みんな。五%ずつぐらい上がったって別に誰も文句言わない。だって、これは値上げですからと言えばいいだけの話なんで。

 そういったのに対して、やはり日本人は四月の一日からきちっとという話で、みんな一斉に本を値上げされたんですが、最初、週刊誌はあのとき百円だった。三%上がった。週刊新潮が百三円じゃなくて百五円で売ったから、二円おつりくれと言って。僕は百十円払って、あと七円おつりくれと言ったら五円しかくれなかった。あと二円、おまえかすめているだろうが、出せと言ったら、いや、これは内税で百五円ですからと。ああ、本屋の方が頭いいんだなと僕はそのときすごい思った記憶が、僕の印象なんで。

 それぐらいみんな厳しいんですよ、外税に関して。日本人の場合は、おつりを全然間違えない国ですから、そこらのところは物すごくしっかりしているんだなと思ったのが、僕は竹下内閣のときのすごい記憶なんですけれども。

 ぜひそういった意味で、やはり、外に見えるから僕はこれは税金としては非常に公平だし、なかなか、お金を持った方々はといったって、消費税というのは、間接税として、直接税と違いますから、こういったようなものの方が間違いなく税収に漏れがなくていいんだなと私自身はそう思っていますよ。

 ヨーロッパの場合、今二〇とか二二とかになっていますけれども、そういった形になっているんですが、考え方が大分違うんだと思いますので、日本人の場合、すごく厳しいのがこれまでの例だと思います。

 私どもとしては、何で厳しいかと言われれば、多分国民性もかなり大きな要素を占めていやしないかなという感じはします。

海江田委員 麻生大臣の答弁はなかなかユニークなんで、私ももっと長く聞いていたいんですが。

 外税、内税だけの問題ではないんですよ。と申しますのは、やはり一般の納税者というのは、自分が払っている税金が外税なのか内税なのかということをまだ認識をしていないということがありますから。

 私がいろいろなところで話を聞きますのは、これが実は軽減税率にもつながっているんですが、最近やはりかなり一般の人が、逆進性といいますか、そういう言葉を使ったり、あるいは、富裕層も同じだけの税金だ、自分たち低所得者も同じ税金だ、これはやはり税の再分配の機能からいえばおかしいんじゃないのと。つまり、今の消費税の持つ単一税率に対する問題が一つ、確かにこれはあります。

 それから、いろいろありますけれども、これは国民性というよりもむしろ政治の責任ですけれども、やはり自分たちが納めた税金の使い道が正しく使われているんだろうか、どうなんだろうか、あるいは、そこに税金の無駄遣いがまだまだたくさんあるんじゃないだろうか。

 先ほど来申し上げている森友学園の問題だって、結局は、正しくちゃんと国有財産を売れば国税へ収入が入ってきたわけだけれどもそれが欠損してしまったとか、そういうことも含めて、やはりどうも税に対する信頼感、これがないということもあります。

 それから、あと、大きく四つぐらいあるんですよね。

 それから、もちろん、イギリスなんかと比べて課税対象が広いですよね、日本の場合。税率は低いけれども課税対象が広いとかいうことがあって、やはりそれは外国にはない例でありますから、日本では消費税に対する拒否感が強い、こういうことになるだろうと私は思っているんですよ。

 それから、あともう一つ、これは私がずっと前から思っていたことなんですけれども、やはり日本の場合、本来だったら税額というのは自分で一番わかっているわけですから、ちゃんと高い納税意識があって、そして自分がことし一年どれだけ稼いだか、それから経費はどれだけかかったのか、これは所得税の話ですけれども、それを差っ引いて、では、これだけ課税所得がありますから幾ら幾らの納税ですよという、まあ自主申告ですね。まさに納税者が主人公である、そして、その主人公が実は納税を通じて政府をコントロールするという意味も持っているわけですよ。

 だから、そういう意識を本来持ってなきゃいけないわけですけれども、納税者の中で一番多いといいますか、いわゆる勤労者の源泉徴収の制度がありますから、これは戦費調達でやったことはもう紛れもない事実なわけですよ。そうすると、関心を持ちたくても、この所得税の部分が、一番の基幹である所得税の部分は、その意味では関心を持ったってしようがない、だからどうしても関心が薄くなる。そして消費税の方は、自分が払うからそういう意識を持つということもあるのではないだろうかというふうに思うんですけれども、これはいかがですか。

麻生国務大臣 源泉所得というのがこれだけ徹底している国はそうありませんので、そういった意味では、源泉所得というのは納税コストというのを考えました場合には、国全体としての歳出としては源泉所得の方が極めて低コストで徴収できるというのは事実だと思っております。

 ただし、その分が、今言われたように納税意識を下げさせるのではないかというのは、これは間違いないでしょうね、やはりその額しか見ませんから。税引き後に入ってきたのを、昔だったら現金ですけれども、今は銀行振り込みということでさらにその意識は下がっていますので。

 そういった意味では、税金を払うというのは、主に言えば消費税以外にはないので。本当は競馬でもうけた分もちゃんとあれは金を払わないかぬことになっているんですが、競馬でもうかったからといって税金を納めたという人を聞いたことがないので。脱税じゃないですかと言おうものなら何となくみんなきょとんとした顔しますから。そういった意味では、意識としてはかなり意識が違っているとは思います。

 言われたように、やはり源泉所得というものの制度が、サラリーマンが圧倒的にこれだけ多い時代の中においては、納税意識というものをかなり薄めさせているという現実は否めない事実だ、私どももそう思います。

海江田委員 ありがとうございます。

 競馬でもうけて税金を払っている人もいることにはいます。今、五十万か百万かになると、全部、住所、氏名を書かないと換金してくれませんから。

 それで、今、麻生大臣は、やはり今の源泉徴収の制度が納税意識を低めているんじゃないだろうかということについては同意をいただきました。私はやはり、ぜひそういう考え方を持っていただきたいし、私どもはやはりそこが税金の議論をする出発点じゃないだろうかと。

 コストが安くて集めやすいという話で思い出しましたけれども、一九六二年ですかね、池田勇人総理大臣が、トランジスタのセールスマンと言われましたけれども、ヨーロッパ、あのときはまだOECDですかね、ずっと回ったんです。たまたま私の父親がそのとき新聞記者で一緒についていったのでよく記憶にあるんですが。当時、フランスがちょうど、いわゆる付加価値税、日本は当時は大型間接税という表現でしたね、ずっと大型間接税だったんですよね、途中になって消費税に名前が変わったわけですが、大型間接税という話で、シャルル・ドゴールと税の話をしたというんですよ。

 そのとき、ちょうどヨーロッパで付加価値税を導入したばかりで、これを皆さんに理解してもらってちゃんと納税してもらうのはなかなか大変だ、いろいろな、税逃れの人たちもたくさんいてという話があったとき、池田勇人さんは、いやいや、我が国には源泉徴収といういい制度がありますよと。この制度をやったらとは言わなかった。この制度のおかげで日本は、その意味では、税金はそんなに苦労しなくても集まってくるんですよ、こういうふうにおっしゃったというふうに私は聞いておるんですよ。

 だけれども、では、そのとき、ドゴールさんはどう言ったのかというと、ああ、それはいい制度だなといって飛びつかなかったわけですよ。やはりそれは、今、麻生大臣もおっしゃいましたけれども、国民の納税意識、税金を自分たちはこれだけ納めているんだ、あるいは納めなければいけないんだ、よって、政治に対してもこれだけの発言分はあるよという意識を、フランス、あのときは第五共和制ですかね、第五共和制になったばかりですけれども、やはりそういう意識がちゃんとあったわけですよ。

 私は、これから、すぐにというわけにはいかないと思いますけれども、やはりコストという面でもいろいろな話があったけれども、コストでいっても、今はe―Taxというのがありますから、そんなにかからないようになっているんですよ。手間暇かからないんですよ。だから、なるべく申告納税の方に道を開いて、そして、そのことを通じて国民に納税意識をしっかり持ってもらって、そして、ちゃんと消費税を議論すればいいんですよ、さっき私が言った逆進性の問題だとか、こういう問題が現にあるわけですから。そういうことを議論する前提としても、やはりその方向をぜひ、これから麻生財務大臣の中で、しっかりと心の中に入れておいていただきたいということ。

 それからもう一つ、今、逆進性の話で、軽減税率、軽減税率と言いません、言いませんね、財務省の人たちは、複数税率という言い方をしていますけれども、だけれども、この複数税率をやることによって本当に、その目的としております、担税力の少ない低所得の人が助かるかというとそうではない。むしろ、この一番の恩恵を受けるのは高額所得者、必ずしも高額所得者だけだとは限りません、もちろん低所得の人たちもあれですけれども。

 具体的に、一番わかりやすく言えば、例えば牛肉を買うにしたって、なかなか、低所得の人はグラム二千円や三千円するような牛肉は買えませんよ。グラムと言ったって一グラムではなくて、百グラム二千円、三千円。合いびきを買ったり、いろいろなものを買っているけれども、例えばグラム二千円、三千円するのを買えば、やはり基礎的な食料品ですから、これが軽減税率になれば一番大きいわけですよ。それは本当に、爪に火をともして、グラム何百円のものを買う人より一挙に税金の、その意味では負担が小さくなってしまうということで、決して、複数税率、しかも、軽減税率ですね、結果的には、軽減税率というものは低所得者のための救済につながらないというふうに考えますが、これはいかがですか。

麻生国務大臣 この話は軽減税率というものが話題になった最初から結構大きなものになっているんですが、逆進性の緩和に有効ではないということで、例えば家計調査で、酒類とか、酒ですとか外食を除きます飲食料の消費支出に占める割合というのがよく引かれる例ですけれども、年収一千五百万円以上だと大体一五%ぐらいになるんですが、年収が二百万円ぐらいになるとそれが三〇%ぐらいになるという数字がありますので。したがって、いわゆるこういった収入に対する消費税負担の割合というのは、低所得者の方が高所得者より高いじゃないかという話になるわけですよね、逆進性の話でいくと。

 したがって、軽減税率というものが実施されると、いわゆる消費税負担の軽減の、まあ度合いはいろいろありますけれども、そういった意味で、低所得者の方がその分に関してはより多くなりますので、そういった意味では、消費税の逆進性の緩和にはつながるというのは、我々が軽減税率というものを、なかなか手間暇かかって大変やなと思いながらも、この点に関しましては、私どももその点は否定し得ない事実なのかなという感じに思っています。

 この線引き等々、なかなか難しいところだとは思っていますけれども、私どもとしては、そういったことを勘案して逆進性の低減ということを考えて、いわゆる軽減税率というのをやらせていただくということを決断させていただいた背景です。

海江田委員 複数税率を導入すると小売店なんかが非常に手間暇かかるということはそのとおりですし、やはりそれに対する措置は当然講ずるだろうということは、きのうですか、何か話が予算委員会でもあったと思うんですけれども。

 もう一つ、複数税率になると、例えば医療関係に、わかりやすくいえばお医者さんなんか、あれは医療費というのは課税されていませんから、そうすると、最終的な患者さんに乗せるところでは当然消費税は取れない、だけれども、仕入れのところでは当然入ってくるわけですよね、消費税がかかってくる、しかも、今度一〇%になる。この仕入れの控除というものはできないんですよ。診療報酬の改定のところで、ほんのわずかですよ。

 だけれども、そのときの理屈は、複数税率じゃないから、単一税率の方がずっとはるかに簡便なんだからと、簡便というか、我が国の消費税は単一税率でやっていますよと。だから、それこそゼロ税率なんて話もあります。このゼロ税率というのも、何のことはない、複数税率になるわけですよね。

 そうすると、診療報酬のところで少し面倒を見るからと言ったけれども、実際、診療報酬の改定を見たら自分たちの仕入れにかかわる消費税額と比べると全く少なかったということです。そういう声も当然出てくるんですよ。

 複数税率になったらいろいろなところから、自分のところも何とかしろ、こうしろという議論が必ず出てきますから、これは単に軽減税率ということだけじゃなくて、複数税率を導入するということになるわけですから、やはりその得失といいますか、これはよくお考えになった方がいいのではないだろうか。

 複数税率になったらゼロ税率ということも考えられるんじゃないですか。それは税務当局でいいですから、お答えください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税軽減税率の適用対象品目について、医療なども含めていろいろと議論が出てくるという御指摘が今先生からございましたけれども、消費税率の引き上げに伴う低所得者への配慮という趣旨を踏まえまして、日々の生活の中での消費、利活用の状況ですとか、逆進性の緩和の度合い、あと合理的かつ明確な線引き、あと社会保障財源であります消費税収への影響などの諸点を総合勘案いたしまして、現在、法定されております酒類、外食を除く飲食料品、あと一定の新聞の定期購読料としたところでありまして、この線引き自体は明確なものだというふうに考えておりまして、これを直ちに見直したり、その範囲についてどうだというような議論については、今の制度が合理的だというふうに考えております。

 なお、医療関係者につきまして、今先生が御指摘になられたようなそういった御主張があることも承知しておりますけれども、この点に関しては、例えばヨーロッパ諸国を見ましても、医療の診療行為そのものは付加価値税において非課税の扱いにどこの国もしているということを踏まえまして、制度当初からこれについては非課税の扱いになっていて、その関係と、診療報酬の中でどのような値づけを行うのかという、そういう制度の中で行われていることでございまして、消費税制が不合理であるとか、軽減税率の範囲に伴って医療をどうするかという議論には今のところはなっておらないのではないかというふうに考えております。

海江田委員 今はなっていないわけでありますけれども、やはり将来、複数税率に開きますと、当然、今度は、例えば五%に据え置くというのが、いや、これを三%にしろとか、それからゼロ税率はどうなんだとか、いろいろな議論が出てくることは確かなんですよ。

 では、低所得者を全くほっておいていいという話じゃないんですよ。だから、私どもがずっと昔から言っているのは、日本の国というのは統計制度がしっかりしているわけですから、単身者世帯は大体基礎的食料品は年間どのくらい消費するね、それに消費税率を掛けて、そしてそれを据え置いた場合は、ではこれだけ負担がふえているからそれを戻しましょうと。

 一年間一回で、まあカナダ型ですよね、あるいは、一年間一回では困るからそれを二で割って半年に一回とか、あるいは三カ月に一回とか。本当に必要な人のところに還付という形で、これは簡易な措置ででいいんですよ、簡便な措置でいいから戻しをした方が、実ははるかに合理的。

 プリペイドカードにして、そのプリペイドカードの中に現金を入れて、そしてそれを配って、そういう人たちがプリペイドカードを持っていってそれで買い物をするとかいうような案もありますし。

 これをやらないと、どうしてもやはり、それこそ、税率を上げた得べかりし税額が当然欠けるわけですよ。今度も、一兆円欠けるとか、何かいろいろな説がありますよね。その分どうするかというと、それこそ社会保障に回すんだったら社会保障の財源が不足をするか、あるいは場合によっては標準税率を上げるということに必ずなるんですよ。

 だから、そういうことを考えたら、やはり必要な人には、確かにこの消費税の持つ逆進性をできるだけ緩和するための方策は必要だ、しかし、それは今検討されている軽減税率だけではないよということ、このことはやはりぜひ御理解を、私が御理解をいただきたいというのもおかしい話でありますけれども、やはりそういう認識を持っていただきたい。

 この問題というのは、実は税理士会がずっと言っているんですよ。私たちは、もっとそれより、言う前から、旧民主党の時代の、二〇〇〇年の初めのころから、実はカナダに視察に行ったりもしたんですよ。そういう歴史があるんですけれども。

 税理士会も主張をしていて、税理士会は、税理士法の第四十九条の十一、建議等という、税理士法の中で、税理士は、つまり税の専門家として、税制改正について、あるいは税のあり方もろもろについて建議をすることができるという、これは別に弁護士会にもなければほかの団体にはない、そういう権利を持っているんです。

 その建議権に基づいて、ずっとここ何年か、特にこの消費税の問題、軽減税率の問題が出始めてから、消費税における単一税率、あともう一つ主張しているのは請求書等保存方式の維持ということで、請求書等保存方式の維持というのは、これは御承知のように、平成三十五年からですか、実際は平成三十五年という年はなくなりますけれども、十月一日に導入する予定の、例の区分経理のためのインボイス方式、これはいけないですよ、従来どおりの帳簿の方式を、請求書等保存方式を維持してください、こういう要求をずっとやっているんですよ。

 税務当局は税理士会の税理士法に基づく建議というものをどういうふうに扱っているのかということも含めて、御答弁いただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生が御指摘になられました税理士会からの建議の中身については当然承知をしておりますし、毎年出される建議の中身につきましては、税の専門家からの御意見だということで、税制、また納税の手続等々において、いろいろと参考にさせていただいているところでございます。

 その上で、今、御指摘になられました軽減税率制度と、例えば給付制度の関係で、単一の税率を維持すべきであって、軽減税率制度ではない方がいいのではないかという御指摘に関して申し上げますと、これも、これまで国会の場でさまざま御議論されてきたところでありますけれども、軽減税率自体は、実際の買い物のタイミングや購入の都度、消費税の逆進性を緩和しながら、痛税感の緩和、特に食料品について、買う都度痛税感を感じるということを、それを緩和を実感できるという意味で、軽減税率制度の意義が大変あるということを重んじて軽減税率制度の導入を決めたわけでございます。

 他方、マクロ的な例えば指標に基づいて給付を行うということについては、それはそれで一定の合理性があるとも思いますけれども、ただ、今申し上げた痛税感の緩和ということからすると、なかなか実感をしにくい。あと、所得ですとか資産など、基準となるさまざまな指標の把握が難しい。あとは、行政の執行の可能性やコスト、あと過誤、不正受給、そういったやはり執行上の問題等々もございまして、やはり軽減税率を導入する方がよいであろうという判断で軽減税率にしているところでございます。

海江田委員 もう一つ今の、本当はお答えの中で期待をしていたんですが、税理士会の税理士法による建議に基づいてここはこうしましたよというような何か事例はありますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 一つ一つの建議の中身について、今なかなかつまびらかではございませんけれども、例えば税理士会は、最近、税制を取り巻く環境の中で、例えば電子化も含めまして、納税環境の整備をきちんと行えというようなことについて提言をされております。

 今まさに、所得税ですとか納税環境整備の議論の中で、そういった税理士会の指摘を受けて議論をしているということもございますし、あと、昨年度行った例えば改正の中では、前広に、災害が起きた場合に税として対応することをもう少し事前にきちんと制度的な整備をしろという、これは税理士会から強い要望がございまして、そういったものについて税制の中で対応しているというふうなことも行っておりまして、そういう意味では、税理士会からの建議、提言につきましては税制の中でいろいろと考えて対応してきているということでございます。

海江田委員 実は、きょうはこのほかに日銀にもお越しいただきましたけれども、マイナス金利、これが、二〇一六年の一月二十九日ですか、だから、年が明けると丸二年になるということもありまして、ついせんだって金融機関と、地域型の金融機関ですけれども、話をしましたけれども、やはり二年マイナス金利が続くと非常に体力を損なわれる、いわゆる利ざやでどうしても稼ぐしかないわけですから。

 それから、利ざやで稼げないなら国債を買おうかとすると、五年物の長期国債なんかは今まさにマイナス金利ですね。わかりやすく言えば、お金を払って買わせていただくという状況が続くわけですから。これがやはり、これ以上続くのはもう耐えられないということを言っている金融機関があるんです。皆さん方のところにも、耳に届いていると思いますが。だから、このマイナス金利の問題。

 マイナス金利と、それから異次元の金融緩和、これはもう五年になりますか、ここはやはり違いますから、やはりこの金融の問題。せっかく副大臣も準備をしているようですが、もうそれを話すと終わっちゃうので、答弁すると。だから、もっともっと、改めて、野党が時間を欲しいなと思った次第でございますけれども。

 あと、麻生大臣、せっかくずっと座っていただいておりますから、一つ提言します。

 麻生さん、二〇二〇年にオリンピック、パラリンピックがありましょう。実は沖縄の海洋博で二千円札というのを出したんですよ。ただ、これは余り評判はよくなかった。それは、沖縄の海洋博は、世界からお客様も確かに来たかもしれないけれども、実はそんなにたくさん来なかった。国内でいうと、なかなか二千円札というのは、二千円札というのはよく聞かないとにせ札に聞き間違えることがあるんですよね、余り評判はよくないんだけれども、外国では二十ドルとかいろいろありまして、やはり記念の紙幣をつくってもいいんじゃないだろうかというふうに思っているんです。

 大体、紙幣の原価というのは、幾らだとは申し上げませんが、数十円ですよ。そんなに高くない。数十円で刷れるわけですよ。日銀の収入にもなるわけですから、一枚、お土産に買っていけば。造幣局はコインをつくるようでありますし、いろいろなところで記念の行事がありますけれども。

 この際、やはりそういう記念紙幣というんですかね、これを出すことも一考ではないだろうかというふうに思いますが、麻生大臣、いかがでしょう。突然の質問ですからあれですけれども、検討には値すると思いますよ。

麻生国務大臣 自動販売機が二千円札に対応できていない以上、二千円札ははやらぬのですよね。それが一番の結論だったと思いますね。二千円札がもっといくはずだ、当時、小渕内閣だった。それなら、二万円札を出す方がよっぽどいいので、二千円はおかしいでしょうと僕は当時言った記憶があるんですけれども。自動販売機は千円と一万円は対応できますけれども、二千円に対応する自動販売機はできませんでしたから、とてもはやるはずはないんだと私は基本的にそう思っておるんですが。

 今、お金をというお話ですけれども、日本の場合は、不思議と、一、五、十という形では入ってきますけれども、ほかの国は大体、二ドル札はありませんで、昔ありましたけれども、二十ドルとか、イギリスでも二十ポンドとか、ユーロも二十というのは出ますのですが、日本の場合は二というのはなかなか出てこないので、二万円札というのを言おうと思ったら、すぐ五万円札が出てくる話は伺いますけれども、現実的には二万円だし、物価が上がっているわけでもないしという感じがしますので。

 どういうものがいいのかわかりませんけれども、一つの記念でというのであれば、そういったものであれば、流通することまで考えれば、今の時代なら、二万円札の方が流通する可能性があるかなと思わないでもありませんけれども。

 いずれにしても、今の段階でそういったことを検討しているわけではありません。

海江田委員 そういうことを考えている人もいるということを記憶のどこかにとどめておいていただきたい。別に二千円にはこだわりませんけれども。

 まだまだ質問を準備してきたんですが、御準備いただいた方々には申しわけありませんが、私、持ち時間が来ましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

小里委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 近藤和也でございます。

 五年ぶりの国会の場での質疑に参加させていただくことになります。非常に懐かしく、そして、うれしく思います。以前は与党という立場でございましたので、そちら側におりましたけれども、今は野党という立場で、背中がすぐ出口だということで、いろいろな意味で違う緊張感を持って臨みたいなと思っています。

 そして、その上で、やはりこの五年間、浪人をしてきた中で、地域からさまざまな声を伺ってきています。今の経済金融政策、そして大都市、大企業向けの政策が多いのではないかといったことも含めて、いろいろ、今後、私から申し上げていきたいという思いがありますが、ただ、きょうは導入だというふうに思っています。

 大臣の所信的挨拶の中でも一部ございました、金融機関と深度のある対話を行ってまいりますという一文がありましたが、やはりマーケット、投資家、そして議員間同士も含めて、まずは対話、コミュニケーション、これが成り立たなければ、議論というものは進んでいかないなというふうにも思っています。

 きょうは、まずはコミュニケーションを最初は図っていきたいという思いで、これは通告をしていませんが、麻生大臣に先に質問したいというふうに思っています。

 まずは個人的にですが、小里委員長は私の会社の先輩ということでもありますので、非常にうれしく思っています。何となく田舎の顔立ちということは似ていると思いますし、済みません、失礼かもしれないのですが。そして、厳しい会社の釜の飯を食ってきたといったところで、勝手ながら、親しみを感じさせていただいています。今後、さまざまな御配慮をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、麻生大臣。麻生大臣は、私は青年会議所にもおりましたので、偉大な先輩だという思い、そして宏池会の流れをくまれている方ということも含めて、この部分は親しみを感じています、一方でかなりの御資産持ちであるといったところは違う世界の方かなという思いはございますが。

 ここ最近、国会に戻ってきて、勝手ながら親しみを感じさせていただいているところがあります。それは、落選経験があるということでございます。四十代の働き盛りのときに落選経験をされたということで、きょうは大臣から落選経験から得たものを、そして、さらにあやかりたいことは、国会に戻ってこられてからずっと連続当選をされてきています。恐らくは落選経験を得てから、何らかの、自分自身のここをこうやっていこうということで、教訓を得て今まで国会議員を続けてこられていると思いますが、ぜひとも後輩に対して、その部分に対しての思いを教えていただければと思います。

麻生国務大臣 お幾つか知らぬけれども、私、当選したのは三十八だったんですけれども、一回、二回当選して、二回目のときに、とにかく県会議員から、後援会からは、あんた、結婚してくれ、無派閥もだめだ、必ず派閥に入ってくれ、そうしないと俺たちは選挙を応援しないとかさんざん言われたんですよ。結婚したよ。派閥にも入ったよ。そうしたら、落ちた。だから、県会議員やら後援会の言う話は素直に聞いちゃだめだ。私の実感です。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 聞かなきゃいけない部分と、しっかりと御指導いただいたという思いでかみしめてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 いろいろ、成功する陰には失敗もありということだと思いますが、五年前、民主党が政権転落をした、それは、やはり政権をとったときのおごりの気持ちがあったと思います。中でばらばらだったといったことも、これは痛々しい反省だったというふうにも思いますし、地域事情を考えないで、青臭く、日本が、世界がと言い過ぎていた部分がよくなかったのかなという部分もありながら、しかし、国会議員ですから、世界の中での日本という立ち位置もしっかりさせていかなきゃいけないな、この両立をいかに図っていかなくてはいけないかなということも感じているところでございます。

 そこで、前の政権のときですけれども、私も一番最初に質問させていただいたのが、ちょうど八年前のこの財務金融委員会でした。当時は、政権与党の、特に新人議員は質問なんてするべきではないというような御指導があったやに聞いています。なかなか国会での質問時間をいただけなくて、現在、この特別国会で、特に二期生、三期生の方が質問時間を欲しい欲しいと言われている部分も、何となくわからないでもありません。よい意味で建設的な議論をしていければと思います。

 そのときに、八年前に議論させていただいて、成立をしたのが中小企業金融円滑化法でございます。この法律についての現時点における評価、そして、今はどのような姿に結果として移り変わってきているのかということの御所見をお願いいたします。

麻生国務大臣 この法案は、金融機関の多くが、いわゆる中小零細企業に対して、いわゆる金利の減免とか、また返済猶予等々の貸し付け条件というものの変更というものに柔軟に応じてくださいという話で、いわゆる経営改善というものに関しての時間的猶予とかいうのを与えたという点においては、これは一定の役割を果たした。あのときのことに関して言わせていただければ、そう思っております。

 一方で、この間、時間的猶予を与えられた企業に対して金融機関が経営改善等々の支援を行ったという点についても、これは必ずしも十分に行われたかと言われれば、その点に関しては、一概にはそうは言えないのではないかという感じはしないでもありません。

 したがって、金融機関を見てみた場合は、厳しい経営環境に直面している企業に対して、いわゆる経営課題、おたくの企業の場合は産業としていかがなものかとか、おたくの企業の内容としていかがなものかとか、いろいろなことがあるんですが、適切な経営改善のための支援等々を行っていくというのが極めて重要なのであって、今後とも、企業というものを、金融機関としてともに歩いていかないかぬわけですが、それが両方との信頼関係とかいろいろな関係をきちっとしたものにつくり上げておかないとなかなかうまくいかないんだと思いますので。

 そういった意味では、これは何も中小企業に限った話ではないのかもしれませんけれども、ぜひそういった関係をきちっとつくり上げていかないと、こういったものが法律としてあっても、なかなかそれがうまくいかないということになるんじゃないかなと。正直な実感です。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 一定の役割を果たしたと言われたことは私もうれしく思っています。当時は、野党の自民党さんは反対されていたということはあったと思いますが、私はそのことをとやかく言うつもりは全くありません。

 やはり政権に資する方々というのは、その時々によって判断を変えるということもあると思いますし、よいものはよい、悪いものは悪い、そして自分の判断が間違っていればそれを改めていくというのは、私は政権に資する方の矜持だというふうに思っています。

 少し小言になるかもしれないですが、委員会は違いますが、今、農家の戸別所得補償制度のことについては、やはりこれはかなり大きなお怒りの声もいただいています。来年から七千五百円の給付金がなくなるということで、かなり農家の方々も継続的な経営が厳しくなってきているということはあります。こういったことは、よいものはよいで悪いものは悪いということも含めて、本来であれば、少しこの金融円滑化法のような形での配慮というのが欲しかったということは改めて申し上げたいというふうに思います。

 そして、所信的挨拶のところに話を戻したいと思います。

 プライマリーバランス黒字化を達成するという目標自体はしっかりと堅持いたしてまいります、そして、その上で、具体的な計画を策定してまいりますというふうに述べられましたけれども、このことについては、先日、総理が参議院の本会議の場で、二〇二〇年度達成は困難だということを発言されたかというふうに思いますが、こちらについては、麻生大臣、どのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 基本的に、基礎的財政収支というものを黒字化しなくちゃいかぬ、少なくともチャラにしたいということで、まず最初に、当時マイナス六・三%ぐらいだったものを、我々としては、まずは半分ということでマイナスの三%まで、これは達成させていただくことができました。

 三年間できちんとやらせていただいたので、残りをということで、二〇二〇年度までに残りを今やらないかぬというところでいったときに、消費税の値上げということができない状況になりましたので、そこで一つ予定も狂いましたし、また、消費税を上げさせていただいた後でも、引き続き、その中の使い方に関して、借入金の返済、借金の返済、国債の返済等々の話に充てる部分を減らして、その分を今よく話題になります若い人への、いわゆる子育て支援等々のものに比率を高めるべきだということから、使用目的の変更ということになりましたので、当然、与党、三党の合意というのがその点では変更することになりますということで、これは総選挙でという形にならせていただいて、今回やらせていただいた部分がありますので、そういった意味では、二〇二〇年度までの達成というのがさらに難しくなってきたというのが率直な実感なんですけれども。

 しかし、私どもとしては、この借入金のプライマリーバランスというものをきちんとしておくということをしておかないと、今回、この五年間の間に、いわゆる国債の、新規国債発行額は約十兆円減らしておりますし、税収も地方税、国税合わせて二十二兆円ぐらいふえておりますので、流れとしては決して悪くない方向で確実にその方向に進んでいるというのが、国際社会の中でも、そういったようなものがきちんと評価はされておりますので、円が暴落してみたり、金利が暴騰してみたりということがないような状況で今までのところは来ておる、そう思っております。

 ただ、これが、二〇二〇年がだめだからといって、では、次は二〇三〇年かというと、そんな話ではなくて、私どもとしては、今のような歳出をきちんと抑えながら歳入を伸ばし、そのバランスをなるべく早目にということを考えておりますので、私どもとしては、少なくともそういったことをきちんとやって財政というものを健全化させておかないと、長期的な社会保障の問題とかいわゆる子ども手当等々を含めまして、そういった、いわゆる高度経済成長のときとは全然違った今の状況の中にあって、少なくとも少子高齢化等々の話に対応できるような財政にきちんとしておかないとならぬというのが我々の時代に与えられた責任なんだと思っておりますので、その点は、いろいろな点を考えて、きちっとそういった目標を再設定し直して対応していかねばならぬものだと思っております。

近藤(和)委員 目標を再設定しなければいけないということで、具体的にいつということはお答えいただかなかったかというふうに思っています。

 そして、その上でですけれども、教育無償化に総理が回すということを、衆議院選挙の前にそれを表明したということは、自民党さんの中でもやはりおかしいんじゃないかという議論があったかと思います。

 大臣にはあえて申し上げなくてもおわかりになられていると思いますが、別にそれを全て借金返済に回したとしても、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化は困難だというふうに私は思っています。そこはぜひとも謙虚に現実の数字と向き合っていただいた方が私はいいと思いますし、今はまだ二〇一七年ですが、二〇二〇年になってから、いや、やっぱり間に合いませんわ、さらに計画を設定し直しますわでは、これでは今のところは大丈夫だとしても、やはり今でも総理の発言を受けて格付機関が少しうごめいているということも仄聞をしているところでございます。

 ここはぜひとも緊張感を持っていただきたいと思いますので、一日でも早くこの具体的な再設計と、もう強がる必要がありません、もう国政選挙はあと一年半ないわけですし。私は、ぜひとも今のところは謙虚な気持ちでこの目標の修正というところは行っていただきたいんだというふうに思いますので、ここはまた、今後議論を進めていきたいと思います。

 そして、その上で、平成三十年度予算としての、経済・財政再生計画の集中改革期間の最終年度に当たるということで、今までできてきたこと、そしてできていない部分といったところと、来年度の予算に対しての方針、意気込みといったところを教えてください。

うえの副大臣 貴重な御指摘をありがとうございます。

 これまで歳出改革につきましては、例えば社会保障につきまして、負担能力に応じた公平な負担等の観点から、高額療養費、高額介護サービス費の見直し、あるいは介護納付金の総報酬割の導入等の医療介護制度改革を進めるなど、改革工程表に掲げられました八十の改革項目を着実に実施してまいりました。こうした歳出改革の取り組みにより、計画で定められた三年間の一般歳出の目安を二年連続で実現をしたところでもあります。

 今後は、まずは平成三十年度の予算編成におきまして、一般歳出の目安等の達成に向け、引き続き歳出改革にしっかり取り組んでいきたいと思います。

 また、御指摘のありました、今後のプライマリーバランス黒字化達成に向けた計画につきましても、そのような状況を踏まえ、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 社会保障のところは手をつけていかざるを得ないんだろうなというふうにも思いますが、やはり各個人、また団体のさまざまな思いも、そこはしっかりと配慮していく必要があるんだろうというふうに感じています。

 そして、その上でですけれども、やはり先ほど大臣の答弁の中にもありましたが、税収がふえているということ、さらには国債発行が減ってきているといったことは、プラス面として、これはよく私もテレビの向こう側で拝見していたことではございますが、やはり金融政策の上で、金利をどんどん低下させていく中で、金利負担、この部分が低下をしてきている、私はこれを金利低下ボーナスという言い方をしているんですが、これ以上、見込みの部分でプラスアルファは生まれていかないということは、これはもう事実として十分認識をされておられると思いますし、抑え込んでいった分、反発が起きたら、その倍する、何倍ものその負担分、極論を言えば、二〇二〇年にプライマリーバランスが黒字化したとしても、それをも吹き飛ばしかねない負担増があるということ、ここは、同じリスクがあるということは、ぜひとも私は皆様と共有していかなくてはいけないんだろうと思います。

 こちらについても、また次に質問させていただくところで詳しくしていければというふうに思います。

 そして、次の質問になりますけれども、最近、日がわりメニューのように、残念な企業の不祥事が出てきています。本当に残念でなりません。恐らくは、それぞれの会社に所属をされておられる方、そして取引先関係の方も、気が気ではないという方もたくさんおられると思います。

 きょうはあえて個別の企業名を申し上げませんけれども、このことについて、大臣の御所見をお願いいたします。

麻生国務大臣 これは極めてゆゆしき問題なのであって、日本の場合は、特に製造業というものに関しての信頼性が極めて高いという国だと思いますので、いわゆる製造物などに関するクオリティーが高い、納期がしっかりしている、そういう点に関しては、日本の商品が少々高くても、いわゆる信頼性が高いからというのが我々の持っている大きなイメージだったんだと思っておりますので、そういったものの根底の部分がちょっと崩れてくるというようなイメージになると、これは国全体としてのイメージにもかかわりますし、商品を使って物をつくっている部分その他に、基礎資材がそういうことになりますと、その他に波及する影響は、末端商品の消費、いわゆる製品まで影響が出てきますので、極めてゆゆしき問題だと思っております。

 これを一部の話ではなくて、いわゆる企業ぐるみでやっていたなんて話になってくると、これはますます信用問題で大きなイメージダウンになりますので、我々としては、これは大きな問題として、簡単な話じゃありませんよという意識を企業自身が持ってもらうと同時に、与える影響については真剣に憂慮しなきゃいかぬところだと思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 小里先輩と属した会社も、やはりトップ企業でございましたから、社会的影響が大きいんだという自覚で、当時、社員のときには、働いていました私たちが、不正、おかしなことを働けば、ほかの証券業界、金融業界に悪い影響を与える、そこはしっかりと自覚をしていかなければいけないと思って働いていましたけれども、ぜひとも、この不正を行った企業、また、胸のうちにおかしいと思われておられる企業があれば、今のうちにという言い方はいいかどうかわからないですけれども、やはり問題が発覚したときにすぐ対処をしていかなくてはいけないというふうに感じています。

 そして、その上で、企業統治、コーポレートガバナンスという観点で、これは戦後からになりますが、日本的な特徴として、株式の持ち合いがバブル期までどんどん進められていきました。株式の持ち合いについては、バブル崩壊以降、順次少なくなっていったわけですけれども、この歴史的な変遷、そして担当大臣としての御所見、思いをお願いいたします。

麻生国務大臣 これは近藤先生、御指摘の政策保有というんですか、こういった形での状況については、例えばスリーメガ、三つのメガバンクなんかを例に引かれれば、当面の削減目標というものを公表して売却を進める。売却しますと株価が下がりますので、そういった意味ではいろいろな影響が出てきますので、売却の方針を示したり、また実際にその方針どおりやるなり、いろいろなことをちょっと考えないかぬところなんです。

 例えば、パナソニックなんというのを例に引かせていただければ、これは銘柄を売却していきますということを銘柄まで指定して言っておりますから、そういった形で出ていますし、花王石鹸も、たしか七十銘柄だったかな、七十四、五銘柄だったか何かを出したというのをこの間言っておられましたので、そういった意味では、株式の保有比率というのは、前年度比で二割五分減らしたと言ったから、二四、五%減らしたんだと思いますが、そういった政策保有株式について、企業間の取引関係の維持のために必要であるという意見も、これは昔からあるんですよ。

 しかし同時に、一方で安定株主が存在することによって、市場から、マーケットから経営改善というものに対しての働きかけの効果が弱まるんだということに関して、いわゆる最近のはやりで言うコーポレートガバナンスの点からいくと問題があるという指摘があるというのも、これまた事実であります。

 そういった意味で、政策保有株式というものについては、これは中長期的に見て、いわゆる企業というものの価値、企業価値の向上を図るという観点から、保有に合理性が、保有の合理性というのがいい表現なのかちょっと、まあ保有が、それはいい評価なんだということについて、これはやはり投資家と企業の間でよくよく対話を行わないといかぬところなんであって、野村証券の一方的な思いなんかでやられちゃかないませんからね。

 だから、そういったところを、売り買いという点に関しては、きっちりそこらのところのあれをやっていかないといかぬところだと思っておりますので、そういった会話を促進するためのガイダンスみたいなものの策定を検討せないかぬのではないかということを昨今の金融庁の中においていろいろ今考えておるというのが実態です。

近藤(和)委員 対話、ガイダンスということで、基本的には保有割合を減らしていった方がよいのではないか、そういう理解でよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 これこそ企業によって差が随分あると思いますね。これがあるからその会社の信用がある、持っている部品の技術、製品、能力は極めて高いけれども、あの会社のいわゆる経理、財務、そういった点に関してはちょっと弱みがあるのではないかというのであれば、その会社の、持っている会社の親会社みたいな形になっているところのものがしっかりしていればその製品としては別に問題ないわけなのであって、そういったことを考えた場合は、それを売った途端にいきなりどんと信用が下がってというようなことになりかねませんから、これはよくよくそこのところは企業との間に、保有しておられる会社も、保有されている側も、両方でそこのところの話の詰めをしっかりしておかれないと、ただただ減らせばいいのかというと、そういう簡単な話だとは思いません。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 二〇〇〇年代初頭の金融危機のときには、自己資本比率の問題で金融機関が随分追い込まれていました。当時、金融機関が持っている株式をいかにして市場に出していくかといったところで国も動いていました、私もちょうどそのときには現場にいたんですけれども。

 今、株式保有の持ち合いのところを触れさせていただきましたのは、経営という観点、コーポレートガバナンスという点において、やはり安定し過ぎると株主に対しての緊張感を欠いて、そして事業として世間の信頼を失ってしまいかねない。先ほど大臣は、日本企業の品質そのものに、信用そのものにかかわるということを言われたのを本当に私も全く同感でございます。

 今、全体としては、株式の持ち合い割合が減ってきています。これは、本来のあるべき姿に私は進んできているんだろうなと。

 全部を売却しろと言うつもりは全くありませんけれども、今、一方で、安定株主として類するかのような存在感を高めてきているのがGPIF、年金機構であり、そして日本銀行ということでもございます。現状、きょうは詳しく話はできませんけれども、それぞれ合わせて、大体、マーケットの一割程度の株式を保有してきています。

 私が経営者であれば、そして、やましいというか、何かつつかれたくないなと思っていることがある経営者であれば、物を余り言わない株主がふえてきているということは、ある意味、ありがたい。しかし、それはコーポレートガバナンスの点についてはおかしなことであり、そして日本にとってもよくないことでもあると私は感じています。

 日本銀行さんが、一生懸命、今の経済金融政策の中であれやこれやされようということは私も理解はしています、評価はまた別ですけれども。理解はしていますけれども、その上で頑張ろうとしていることが、果たして本当に日本経済全体のためになるのかということをぜひともこれからの委員会で皆様と議論を深めていきたいなというふうにも私は思っています。

 そもそもが株式投資そのものを否定するつもりは全くありません。むしろ、全体として、投資をすることそのものは評価をしていきたいというふうにも私は思っていますし、マーケットの価値、外から見た日本のマーケット、そして企業の評価というものを高めていくことが、私たち日本に暮らしていく者の幸せにつながっていくというふうに思いますので、ぜひともこれからの財務金融委員会の中で、与党、野党を超えて、よい意味で建設的な議論を行っていけたらと思いますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 希望の党の青山大人です。

 先ほど麻生大臣も三十八歳で初当選というお話がございました。私も同じ、今、三十八歳でございまして、また、私も今も青年会議所の現役のメンバーでもございますので、とても光栄に思います。

 私も、学校を出てから永田町で代議士の秘書として勉強をさせていただきまして、きょうも当時の大先輩の秘書の方もおりますけれども、そういう中で、その後、地元の茨城に帰り県会議員を八年間やらせてもらって、前回、衆議院選に落選して約三年、都合十一年、地元に帰りまして、ようやく十一年ぶりにこの永田町に戻ってくることができました。

 その間、特に県会議員の八年間を含めて、いわゆるリーマン・ショック、当時、麻生大臣も総理のときに多大な御苦労があったというふうにも思います。その後、地元茨城も大きく被災したあの東日本大震災。ちょっと経済が上向くと、そういった大きな外的なマイナス要因によって地方経済が大きなダメージを受けてしまう。そんな中でも、やはり地方の経済、そして、特に雇用を支えている中小企業のこういった努力がすさまじいものがある、私はそのように思っております。

 特に、浪人時代の三年間、私もこれまで県議までは政治一本だったものでして、いわゆる経済的な基盤の確立も含めまして、当初、半年間は深夜の警備員のアルバイトですとか、土木の現場でアルバイトをさせてもらって、そういった中、半年間、きっちり事業計画を練って、本当に小さい企業ですけれども、私自身も小さい企業を立ち上げて、今、零細企業の経営もさせてもらっておりますが、そういった、私も自分が経営者としてなる中で、県議会のころも中小企業の支援とか言っていましたけれども、やはり自分が経験することによってまた違った側面も見えてきた、自分がいかに薄っぺらか、そういったことを実感した次第でございます。

 地場の中小企業を側面から支えていくような、そういった政策を打っていく、あと、やはり地域でお金が動く、そういった政策を打っていかなければいけないことは、これは別に与野党問わず共通の認識だ、私はそう思っております。

 そういう中で、いわゆるアベノミクス、先般、我が希望の党の代表質問でも玉木代表が、やはり、政府の方もアベノミクスの負の側面についても真摯に向き合うべき、そういった指摘もさせていただきました。私も、今現在も茨城から電車で国会まで毎日通っています。毎日地元の声を聞いていますが、東京から近い、通勤圏内の茨城ですら、きのうも言われました、やはり、青山さん、アベノミクス、地方までは恩恵が来ていないよ、そんなことを言われます。そういった地元の中小企業の悲痛な声が政府に本当に届いているのか、やはりそういった政府との認識のずれが大きいんじゃないか、私はそう思っています。

 改めて、この五年間を振り返って、アベノミクス、特に地方経済への波及についてどう捉えているのか、まずは大臣に御所見を伺います。

麻生国務大臣 少なくとも、私どもはマクロ経済の全体の話でやはりこれは青山先生、入ってきますので、政権交代して大体五年近くの年限がたつ、この十二月の二十六日で丸五年になるんだと思いますけれども、少なくとも、それまでのデフレーション、正確には資産のデフレーションによる不況というのが今回のいわゆる経営が厳しくなった最初だと思います。

 それがいつからかといえば、いろいろな人がいろいろなことを後づけで、学者やら何やらが偉そうなことを後で言うんでしょうけれども、多分、一九八九年の十二月の二十九日、株価の終わり値は三万八千九百十五円だったんですが、それ以来、三万八千円をつけたことは一回もありませんので。そういった意味では、それから株はずっと下がりっぱなし、一時期七千円まで下がったのが、今戻って、二万二千円とかいうところに来ているということなんだと思いますが。

 やはり、それからスタートして、土地がもうちょっと続いて上がっていましたので、土地が下がり始めたのは九二年から下がったんだと思いますが、土地も、大体坪百万が坪十五万円、茨城あたりでも六分の一から七分の一ぐらい下がったはずですよ、ゴルフ場の会員権なんてほとんど紙くずみたいになったろう。

    〔委員長退席、三ッ矢委員長代理着席〕

 だから、そういったような話になるほど、デフレーションというのの、やはり昭和二十年、さきの敗戦この方、初めてデフレーションによる不況というのを日本は経験したんだ。残念ながら、数々の不況をやりましたけれども、デフレによる不況というのはやった経験が日本はありませんでしたから、どうやってそれに対応していいか、デフレがありませんでしたから、対応した人も全くいないという状況で、何となく今までの不景気とはちょっと違うんじゃないかなということになったんですけれども。

 対応を間違えたのは、もうなくなられたからいいのかもしれない、ダイエーとかいろいろな会社は、今までの不況と同じつもりでやったから、資金繰りが追いつかなくなって、うまくいかなかった。すなわち、貸した金融機関からいえば、株という動産も土地という不動産も担保価値が下がっていますから、その分だけ増し担保、追い担保と言われた、それに対応できなかったところは軒並みぐあいが悪くなった。全く無借金だったトヨタは、その間世界一になりましたので。借金の多かった日産は、御存じのとおりです。

 そういったような形で、世の中というのが猛烈な勢いで変わっていったのにどうやって対応するかというのは、残念ながら、日本銀行も間違えた。財務省も間違えたんだと思いますね。そういった形が続いたから、やはり、デフレーションによる不況が極めて長引いたというのが実際のところだと思います。傍ら、金さえ持っていれば、じいっと持っておきさえすれば、物価が下がっていくんですから、金の値打ちは上がるという状況が長いこと続いていたというのが日本の置かれている状況だったんだと思います。

 したがって、やはり、アベノミクスということになりましたけれども、少なくとも日銀の金融政策は変えてもらう、それから、財務省のやっている財政政策も変えてもらうというのからがこの五年間のスタートだったんだと思いますが。やっとGDPが、マイナスがプラスになってきて、五百兆を超えてきたようなところまで戻りましたし、企業収益なんかを見ましても、史上空前となっていますし。

 一番わかりやすいのは就職でしょうけれども、就職も、百人の学生が出て、八十社、八十二社ぐらいからしか応募がなかった、いわゆる有効求人倍率が〇・八二という数字ですけれども、それが今、一・五二になった、五三になった、百五十社、百五十三社から来るようになったというのは、間違いなく、どこのところでも人手不足になってきているというのが言えることなんだと思いますので、賃金のアップにもつながりますし、いろいろな意味で影響が出てきているので、地方にと言われますけれども、地方でも、高知県で、高知新聞に求人広告が出たというのは、高知新聞が発刊して初めてだそうです。

 だから、そういった意味では、結構いろいろなところに影響が出てきているんだと思いますし、いわゆるDI、ディフュージョンインデックスのことですけれども、景気の数字を見ましても上がってきているんだと思っているんですが、いま一つ出てこないというのは、やはり青山先生の世代とかもう少し若い人の世代というのと、いわゆる五十代、六十代というのと、多分、五十代、六十代の人に会えば、まだ景気は悪いと絶対言いますよ。これは、自民党に関係ない、野党関係ない、その世代はみんな言うの。

 それは、みんな、あのバブルのときの記憶が頭に残っているんですよ。あのころは株は三万八千円だったんだぜという、今の若い人たちは七千円でスタートしているから、二万二千円に上がって景気がいいじゃないかと言うんですよ、若い人は。当たり前でしょうが、経験がないんだから。傍ら、三万八千円を知っているこういうすれたおじさんたちは、やはりあのイメージがあるんです。俺でもあるもの、それは。

 だから、あのころのことを思うとまだまだという気持ちはありますけれども、現実問題、今の若い人はそういうのも知らないから、今、就職率がよくなったとか、いわゆる氷河期じゃなくなったとかいうのでよくなったと言うのが実態で、どんどんその人たちが東京に来たり、集中が起きているんだと思いますが。

 まだまだ、そういった意味では、これからもう少し地方に出ていかないと、もう人は採れませんから、大きな会社は、今、地方で工場を建てようとして、九州なんかもいろいろ工場の進出が始まっていますけれども、これはみんな人がいるからですよ。人がいるところに企業が出てこないと。企業を呼び寄せるというのは、もう無理。そういった形になってきたのは、企業は結構その点は現実的に対応しつつあるんじゃないかなという感じが私の正直な実感です。

    〔三ッ矢委員長代理退席、委員長着席〕

青山(大)委員 まさに大臣おっしゃったように、お金をため込むんじゃなくて、いわゆる循環、回していく、私も本当にそこが全くの、やはりどんどん流していく。

 ただ、大臣、私も、同世代の若手経営者たちも、まだまだそういった、おっしゃったように、景気がいいと思う人もいるかもしれませんけれども、やはり私は、中小企業、特に十人未満の社員を抱えているそういった企業が厳しいのかな、そこはちょっと改めて伝えさせていただきます。

 同時に、お金を流すということで、いわゆる、俗に言うマイナス金利の政策ということで今行われていますけれども、やはりなかなか物価上昇率の実現も、目標二%、しないような中で、当初は、恐らくそういった中小企業の投資を促進するとか、また、そういった貸し出しをふやす、こういったこともやはり目的の一つだ、私はそういうふうに認識もしております。

 ただ、やはり、実際に資金調達を必要としている中小零細に、そういったところにきちんと回っているのか。私自身も、また自分の体験で本当に恐縮ですけれども、自分も、さっきおっしゃいましたように、落選して六カ月間、そういったアルバイトをしながら何とかつないで事業計画を立てた。地元の金融機関に、つき合いのある金融機関に、いわゆる起業をするのに、初期のいわゆる融資を申し込んだ。これは数百万円ですよ。数千万とか一億のじゃなくて、数百万。言ってみれば、支店長決裁でもできるような。それすらやはり断られるんですよ。

 私もそのとき、ああ、本当にこれが現実かなと。県会議員のときは、いろいろな金融機関が来るじゃないですか、向こうからいろいろ。いやあ、これが現実かなと思った。ただし、私のこの経験は、やはり周りに聞いても、いや、青山さん、それが現実だよと。確かに、マイナス金利というけれども、実際にそういった、本当に金融機関が本来のそういった経営審査とかを含めて、アドバイスを含めてやはりできていないんだよと。そういうのを私も自分の実感として感じました。

 簡潔に、実際マイナス金利を導入して二年近く、私はやはり中小企業に与えた影響について、そこはしっかり、その政策の効果をどう捉えているのか、マイナス金利の、二年近く経過して、政策の効果、そして特に中小企業に与えた影響についてどう考えているのか、御所見を伺います。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 私どものこの間の金融緩和のもとで、長短の市場金利は、あるいは貸出金利も、極めて低い水準となるなど、金融環境は大変緩和的な状態が実現しております。

 特に御質問ですので中小企業ということで、特にこの五年前との比較ということで申し上げると、例えば中小企業向けの貸出残高の伸びでございますけれども、これは、二〇一三年の私どもの量的・質的金融緩和の導入以前はマイナス、減少傾向だったわけでありますけれども、その後プラスに転じておりまして、最近では前年比プラス五%の伸びとなっております。

 また、私どもの短観で中小企業から見た金融機関の貸し出し態度がどうかということを聞いても、最近ではプラス二一、この数字は実はバブル期以来の水準まで改善しておりますし、全体としては中小企業の資金繰りも改善してきておりますので、全体として見れば、この五年間、この緩和的な金融環境は、中小企業も含め、企業や家計の経済活動を強力にサポートしているというふうに考えておりますが、こうした金融緩和の本当の効果がさらに、先ほど委員御指摘のように隅々まで、健全な企業全体に行き渡るように、引き続きこの強力な金融緩和を粘り強く進めていく必要があるというふうに考えてございます。

青山(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 ちょっと時間がないので、質問を次にかえさせてもらいます。

 税についてちょっと、幾つかお伺いさせていただきます。まさに今、税、今後の税制改正については今議論中であるということはもちろん承知の上で質問させていただきます。

 まずは、交際費課税の特例措置の損金算入措置の延長について質問させていただきます。

 御承知のように、取引先の接待や懇談に使う交際費の一部を経費として認めてもらう、税負担を減らす特例措置の適用期限が、来年三月、平成二十九年度末となっていますが、地場を支える中小企業にとって、交際費は販路拡大の手段ということで、取引先の関係維持について活用されている。ただ、どうしても、交際費というと飲食のイメージが強いんですけれども、実際は本当に地域では、そういった冠婚葬祭とか贈り物、お中元やお歳暮、そういった、ある意味、お互い中小企業、地元の企業同士で購入し合ったりとか、そういった意味でも地域社会を円滑にする手段とか、ひいては、地域のきずなではないですけれども、そういった、本当に地域の潤滑油としてとても必要だと私はそう思っております。

 恐らく適用期限の延長については今議論中のことと思いますけれども、ぜひ、適用期限の延長については当然やってほしいということと、さらに、例えば今、五千円以下は会議費となっていますけれども、本当に物価が上がっているのであれば、会議費の範疇も五千円から八千円、ちょっと私も上げてもいいと思いますし、たしか五千円の会議費の件は平成十八年度の改正なので、それからもう十年たっているので上げていくとか。また、一億円以下の中小企業は今八百万円までしか、控除限度額ですけれども、そういった限度額を上げたりとか、そういったことも必要なのかなと私は思います。

 そういったことを含めて、交際費課税の特例措置の損金算入措置の延長について、現在の議論の状況や政府の考えをお示しください。

うえの副大臣 交際費につきましては、消費拡大を通じた経済活性化を図る観点から、委員御指摘のありましたとおり、八百万円に引き上げたり、一定の損金算入を認める制度を平成二十五年度そして二十六年度と拡充をしてきています。

 また、交際費課税の特例につきましては、その適用期限の延長要望が関係省庁から出されているところでありますが、その取り扱いにつきましては、今後、本特例の消費拡大等への効果等も踏まえつつ、与党において、税制改正プロセスの中で御議論されていくものだと承知をしております。

 政府といたしましては、その結論を踏まえ、しっかりと対応していきたいと思います。

青山(大)委員 延長はもちろん、さらに、できたら、そういった特例措置を恒久措置化することなども今後ぜひ検討してほしいなというふうにも思っております。

 また、もう一個、ちょっとまた税制に絡んでくるので、今議論中のところ恐縮ですけれども、事業承継税制の抜本拡充について質問させていただきます。

 先般の我が党の代表質問でも触れさせてもらいましたけれども、御承知のとおり、中小企業者、経営者の高齢化と後継者難による廃業、この五年間で四十万人減少という中で、今後、さらにそういった団塊の世代と言われる経営者が引退する中で、事業承継の税制の抜本拡充はとても必要な課題であると私は認識をしております。

 現状では、納税猶予の制度だけで、実質的な、円滑に事業承継が行われていないのが実情だと私は認識をしております。やはり簡易に円滑な事業承継できるような抜本的な制度改革ということで、今の政府の基本的な考え方、そしてそういったことを含めて、政府の中小企業活性化に向けた決意をお聞かせ願えればというふうに思っております。

麻生国務大臣 これは結構深刻な話になっているのは、地元をどれくらい回っているか知らないけれども、回ると一番話を聞かされるのは多分この話のはずですよ、どういうバックグラウンドを持っておられるのか知らないけれども。地方で限りませんけれども、これは極めて大きい。例えばこれは、十年以内にほとんどの、いわゆる団塊の世代という方々が一斉に引退をされていくことになりますので、後を継ぐ人がいない最大の理由は、いわゆる相続税と事業承継です。

 ここで例えば、非上場の会社の株なんというのを、経営者をやっているんだからおわかりだろうけれども、これが、あなたの会社も当たれば、あなたの最初に持ってスタートしたいいかげんな株が化けるわけですよ。一株四千倍になったり八千倍になったりするわけよ、現実問題として。その株を、では、死んだらかみさんがとか息子がとかいって、その株を買ってくれるやつがいればいいよ。いなきゃどうするのよ。結果的に倒産ですよ。という形になるでしょうがというのが今起きている現実ですよ。

 したがって、そうすると、会社が倒産、プラス相続税というのが仮に取れたとしても、以後、法人税は入らなくなるからね。それから、そこに勤めている従業員の職はなくなるから。そういったことをプラスマイナス考えると、長期的には、企業の存続等々を考え、いわゆる失業問題等々を考えたら、この事業承継というのは極めて大きな問題なんだと私どももそう理解をしておりますので。

 この点に関しましては、この年末にかけて、党の税調やら何やらでもいろいろ考えておられるようなので、この点に関しましては、現実問題に即して対応していかなきゃいかぬだろうと。

 これは相続税の問題もかんできますし、いろいろな問題がかんでくるんですが、ほとんどの企業は皆黒字倒産するんですよ、これがどう考えても、我々から見ていてばからしいなという感じがしますので。そういった無駄なことにならないように、私どもとしてはきちんとした対応をやっていかないかぬ。これはいろいろなことを考えなきゃいけませんので、私どもとして少々時間をかけて考えさせていただかなければならぬところだと思っています。

青山(大)委員 ぜひしっかりと取り組みの方をお願いいたします。

 最後、税について、消費税についてお伺いさせていただきます。

 先ほど海江田委員の方から消費税についてもるる御質問がございましたけれども、我々希望の党は、さきの衆議院選挙、いわゆる消費税増税の凍結ということで選挙戦を戦ってきたわけでもございます。もちろん、これから、平成三十一年十月に引き上げるのかどうかという、本当に今後、そういった大きな決断をなされるかと思うんですけれども、やはり、私は、現在の経済状況を考えた場合、せっかく今、先ほど麻生大臣の方からはよくなってきているという御答弁もございました、そういった中で、やはりそこをしっかり、また折れないように、そういった意味でも、消費税の増税についてはもう一度きっちりと判断をしていかなければいけないのかな、そのように私は思っております。

 また、私も、未来永劫、消費税を絶対上げちゃだめだ、そこまではもちろん言うつもりはありません。きちっと景気が、しっかりとなってきて、その場合に、いつから、では、仮に一〇%に上げると。ただ、そういった場合においても、私は、軽減税率の導入については、これはやはりやってはいけないな、そう思っております。

 別に、大臣に言うまでもないですけれども、やはり税の簡素化、公平化。私自身も、中小企業を経営する中で、やはり税制度は複雑じゃないですか、そこにまた社会保険料もかかってきて、その制度の中で。やはり私は、税の簡素化という観点からも、軽減税率の導入に対しては慎重になるべきじゃないか、そう思っております。

 改めまして、消費税の引き上げについて、一応、再々延期するお考え、そういったものがある、仮にですよ。さらに、たしか前回も、一〇%の凍結について一年を切った段階で判断されたじゃないですか。やはり、企業によっては準備しているところもある。そういった中で、余り直前になってしまうと、また混乱も生まれてしまう。ですから、できたら、再々延期の前提で、私は、早いうちにそういう政治的な御判断も必要かな、そう思っていますけれども、大臣の御所見を伺います。

麻生国務大臣 この消費税を上げる上げないという話ですけれども、これは今、我々はやはり、直面している問題としては、現役世代として、子育てとか、それから介護、親の介護等々という問題を抱えている不安、そしてもう一つは、やはり財政というものがちゃんと持続していかないと社会保障等々の話が対応できなくなりますので、こういった大きな二つの不安というのは、物すごく大きなことではあるんだと思うんですが。

 そういうことを考えますと、やはり消費税というものをきちんとやっておかないといかぬと思って、私どもは二%を引き上げさせていただくと同時に、その財源については、今申し上げたように、子育てとか、また社会保障を充実していくというものへやる、バランスよくやっていかないかぬのだと、基本的にはそう思って、それが財政健全化につながっていくんだと思っております。

 また、軽減税率の話というのは、これはいろいろ説があって、インボイスの話を含めていろいろ問題があることはよく御存じのとおりなんですが、少なくとも、消費税が抱えております、先ほど海江田先生のお話にもあった逆進性というものの緩和というものを考えつつ、いろいろなことを考えて、買い物の都度いわゆる痛税感というのがあるじゃないか、御指摘のとおりなので、そういったものの緩和を実感できる等々の利点もありますので。

 そういった意味で、低所得者層への配慮として消費税率の中で軽減税率というものを進めてまいらないかぬと思って、二つ、二種類出るのはいかがなものか、間違いなくおっしゃるとおりです。そういったものがいっぱいあるのは確かなんですが、複雑であるという御指摘に対して、私どもとしては、いわゆる飲食等々、酒類とかそういったようなものの外食を除きますものに関して、食料品を全て含む等々、なるべく単純な形にしていきたいなとは思っておりますけれども。

 私どもとしては、そういったものの消費税を上げられるような景気にまずしておくというのが大事なことなのであって、今の経済状況をさらに上に伸ばしていくというものの結果、御納得いただけるような状況につくり上げていきたいものだと思っております。

青山(大)委員 丁寧な御答弁ありがとうございました。

 以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。

小里委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 麻生副総理兼財務大臣におかれましては、私は、十一年前、麻生外務大臣のころに政務官としてお仕えをさせていただいて以来、御指導を賜ってきておりますことに心から感謝をまず申し上げたいと思います。

 初めて財金の委員になりました。副総理兼財務大臣の御重責でございますので、御多忙な日々と推察をいたしますが、ぜひ健康に御留意されて、さらなる御活躍を御期待申し上げたいと思います。

 さて、十一年前、麻生外務大臣の時代に、日本の外交力強化のために、やはり在外公館をもっとふやさなきゃいけない、また、外務省の職員の数も他の先進諸国に比べて非常に少ない、これもふやさなきゃいけないねということで、当時、麻生外務大臣中心に政務三役で認識を共有させていただいたことを鮮明に私、覚えております。この点につきましては、民主党政権から今の第二次安倍政権になりまして約五年間、この推移を統計的に拝見いたしますと着実に改善がなされてきております。

 外務省の職員の数も、麻生外務大臣のころは五千五百人前後でありましたが、今六千人の大台に乗りました。ただ、大台に乗ったといっても、日本の人口の半分であるイギリスよりもまだ少ない。日本が今六千六十五人、イギリスが、英国が六千四百九十一人。イギリスは日本の人口の半分でございますから、外交官の数はやはり少ないと言わざるを得ないと思っております。

 それから、私、これは大変評価しているんですが、ことしも私、世界十三カ国を回らせていただいて、日本の外務省の職員、現場で頑張っている方々といろいろと活動を一緒にしてまいりましたけれども、在外公館の数は、平成二十四年に二百三ございましたが、これは今二百二十三、二十ふえました。この二十ふえた在外公館のうち、大使館は十六ということで、大宗を占めております。

 自民党さんは、この在外公館の数、今二百二十三ですが、これを将来的に、近いうちに二百五十にすべきというふうに党として掲げているとお聞きしておりますが、私も、公明党の今国際委員長をさせていただいておりますが、ぜひ二百五十を目指していくべきだ、こう思っております。

 ぜひ麻生、まあ、今財務大臣というお立場で、お金の面についてはちょっと厳しいことを言わなきゃいけないお立場だと思いますが、この日本の存在感、国際社会の中で高めていくためにも、やはり在外公館をふやしていく、それから、必要な、有能な人材をふやしていく、これが外交の世界で必要だと思いますが、御見解を改めて伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは遠山先生御指摘のありましたとおり、在外公館というものに関しましては、大都市、大都会に行くということもあるんですが、今、日本の企業が進出しておりますところは、例えば、ブラジルのベナンとか言われて、どこ、ベナンってと、知っている人はいませんけれども、まずブラジルに行っている人だったら誰でもこのベナンというのがどれくらい意味があるかというのがわかるんですが。そういったことに関する理解というのは、今、日本の企業も進出している先は大都会とはもう全然違ったものになってきておりますので、そういった意味では、極めて大きい意味を持つんだと思っております。

 トヨタの一番でかい工場がケンタッキーにあるとか、ケンタッキー州に行くと、州の省庁の局として、課の中にトヨタ課なんという課がちゃんとありまして、そういった対応をしてくれているというようなところもある中で、ではケンタッキーに領事館があるか、ないわけですから、そういったことを考えますと、いろいろなことでこれは意味があるんだ、まずそう思っております。

 加えて、人ですけれども、昔と比べて随分、言葉に不自由なくやれる人の数というのは、特殊才能だけを、外務省の通訳官みたいなのばかりじゃなくて、ちゃんと仕事ができて英語もできます、フランス語もできます、いろいろな用語を、その地域に合った、スワヒリ語もできますというような人たちを養成しようという形になりつつありますので、時代に合わせて人の養成の仕方も変わりつつあるのかなと思っておりますので。

 ポルトガル語の研修をやった初めてのポルトガル語のプロがブラジルの大使に五、六年前に初めてなりましたけれども、そういったような形で、少しずつ内容も変わってきておりますので、それに合わせて対応もきちんとしていかなきゃいけませんし、何となく員数合わせで、四人だけでいいじゃないかということをやって、縮小したところはもうほとんど機能しなくなっていますので、そういったところは最低でも人数は十人近く要るんだということも、やってみて、現実としてわかりましたので、そういったところも河野大臣のもとでいろいろ変えようとしておられるようですから、いい傾向になってきているとは思っておりますけれども。

 これはもう地道な努力、これ以外に手がありませんので時間がかかります。それはそう思っております。

遠山委員 麻生大臣、すばらしい御答弁をありがとうございました。

 ぜひ、十分な予算を確保させていただいて、そういう人材と、また、在外公館の数を確保していくべきだと思います。

 麻生外務大臣時代の私の思い出は、日本の在外公館を使って日本企業が海外で活動するということがほとんどないということで、麻生当時の外務大臣が相当お怒りで、日本にあるアメリカ大使館はしょっちゅうアメリカの企業が大使館の施設を使ってプレゼンテーションとかセミナーとかをやっているということをたしか引用されて、麻生外務大臣の時代から、以前と比べると相当、邦人企業に対する外務省の支援というのは強まったというふうに記憶をしておりますので、この流れを着実にしていきたいと私も思っております。

 さて、森友学園の問題について、一言だけ申し上げたいと思っております。

 いろいろな質疑が当委員会でも予算委員会でも行われておりますが、私も、国民の間にこの売却の手続の過程で何か不適切な処理があったのではないかという疑念が生じて、それがなかなか明快に払拭できていないということは事実だと思っております。

 これからも、関係の閣僚の皆様には誠意を持った答弁をしていただきたいと思いますし、正確な事実関係を説明していただきたいということを御要望申し上げ、その上で、二度と今回のような疑念を生ずるような事案が出ないような再発防止策、これを策定していくことが何よりも重要だというふうに思っております。

 既にこの手続の見直し案が公表されておりまして、これから財政審で有識者の検討を経て確定をしていくと理解をしておりますが、その確定また再発防止へ向けて、私の要望としては、早期にこの有識者の検討を重ねた上で結論を出して、見直し案を確定して、世間に出していただきたい、またそれを実行していただきたいと思うわけでございますが、この再発防止へ向けた財務省の決意、局長から伺いたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員から御指摘がありましたことにつきまして、会計検査院の報告、また今ほどの委員の御指摘も含め、これまでの国会の議論ということを踏まえて、公共性の高い随意契約は売却価格を全て公表するなど、手続の明確化を図る、また、売却価格の客観性を確保するため、特殊な事案については第三者による算定、確認を行う、適切かつ十分な文書管理の徹底を図るという基本方針のもとで、国有財産管理、処分手続の見直しを行ってまいりたいと考えております。

 なお、以上申し上げたことの具体的内容は、財政制度等審議会国有財産分科会において、有識者の意見を踏まえて検討を行うことというふうになりますが、委員からの御要望も承りましたので、有識者の皆様に御協力をいただいて、できるだけ速やかに具体的見直し案を策定していきたいというふうに考えてございます。

遠山委員 これは私個人の希望にすぎませんが、できれば、やはりこの年度内に一定の結論を出して、来年度からの売却手続についてはこの新しいルールのもとにやるようにした方がいいのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、税関の課題について質問をさせていただきたいと思います。

 密輸を防ぐため、水際取り締まりを税関職員が担っているわけでございますが、報道にもありますとおり、昨今、覚醒剤を初めとする不正薬物また金地金の密輸が大きな問題になってまいりました。

 平成二十八年の不正薬物全体の押収量は千六百四十九キログラムと大幅に増加。これは前年の三・二倍。その中で、覚醒剤は過去最高の千五百一キログラム。これも前年比で三・六倍という量でございます。

 また、金、ゴールドですね、地金の密輸も大幅に増加をしておりまして、平成二十七年度の処分件数は二百九十四件。大臣、その前の年は百七十七件。その前の年、二年前、だから平成二十五年、八件なんです。だから、平成二十五年は、金の延べ棒を隠して持ってくる旅客者八件見つかって処分。それが、翌年百七十七、おととし二百九十四、急増しているんですね。この金地金の摘発されたケースの脱税額は六億一千万、前年は二億四千万ということで、過去最高を記録してきております。

 問題は、不正薬物密輸が見つかると刑事告発されるんですが、金地金はされないんですね。罰金だけです。罰金も、消費税法に基づいて、上限が一千万円という、ある意味軽い刑になっております。

 さらに、驚くべきことに、金地金の密輸処分件数二百九十四件のうち二百八十七件、九八%が航空旅客者、飛行機で来るということで、金地金が小型なので隠匿が容易だということで、私も税関の資料を見ましたけれども、いろいろ考えるんですね、空港に着いてからカートの横に隠すとか、あるいは足裏に隠して、背丈がちょっと高くなっていて、見たら金が両足に入っていたとか、いろいろな隠し方があるようでございまして。何が言いたいかというと、摘発されている数が大幅に増加しているんだけれども、これも氷山の一角じゃないかということが推測されるんです。

 私が一番心配しておりますのは、犯罪組織、組織的犯罪集団の資金源としてこういう金地金の密輸が、これから利用されるんじゃないかという指摘もあるし、数を見ると、既にもう一般の旅客者を装ってやっているんじゃないか、組織的に、計画的にという疑念が生じておりまして、ぜひ、財務省として、税当局として、金地金の密輸は犯罪ですよということを国民の間に周知徹底すべきだと思いますが、副大臣、いかがですか。

うえの副大臣 委員御指摘のとおり、不正薬物や金地金の密輸の状況は大変深刻化しております。

 私も、先般、税関を視察させていただきましたけれども、現場の職員はいろいろ工夫しながら大変努力をしておりますが、委員御指摘のように、まだまだ氷山の一角ではないかという懸念も当然あろうかと思います。

 これまで、さまざまなツールを用いて積極的な広報活動に努めてまいりました。具体的には、税関のホームページあるいはソーシャルメディアを通じた広報、ポスターの作成、掲示、あるいは関係業界への業務説明における周知等を行ってきたところでございます。

 とりわけ、金地金の密輸入につきましては、消費税の引き上げとの関係で大変深刻化しているわけでありますが、これまでにない広範で厳格な密輸取り締まりが必要である、そうした考えのもとで、緊急かつ抜本的な対策を早急に実施するため、十一月の七日に、ストップ金密輸緊急対策を策定し、発表したところでありまして、同時に、緊急の税関長会議を開催させていただきまして、広く周知徹底をさせていただいたところでもあります。

 本緊急対策におきましては、検査の強化、そして処罰の強化、そして情報収集及び分析の充実、この三つの柱とともに、御指摘の広報の充実にも取り組むこととしておりまして、今後とも、国民の皆様に広く知っていただくべく、積極的な広報活動に相当力を入れて取り組ませていただきたいと思います。

遠山委員 麻生大臣にお聞きをしたいと思いますが、時間の関係で最後の質問になるかもしれません。

 私の提案というか、財務省で検討されているようですが、やはり金地金の密輸がこれだけ、八、百七十七、二百九十四というふえ方ですから、それも摘発されているものだけの話ですので、そろそろ罰金の大幅な引き上げ等をやって、実際にそういう密輸をやろうというインセンティブを相当減じるような方向に来年度以降手を打っていかなきゃいけないんじゃないかと思っているんです。

 麻生先生よく覚えていらっしゃると思いますが、今から三年前に、小笠原諸島周辺海域に中国の漁船がアカサンゴを狙って大量に来たんですね。大問題になりまして、私ども公明党にも小笠原村長とか議長が来られて、これは大変なことですよということで、当然、海上保安庁を中心に取り締まりを強化して、船長を八人ぐらい、たしか当時逮捕したりしたんです。

 国会においては、我々公明党も大分主導させていただいたんですが、漁業主権法等の改正を行いまして、無許可操業及び禁止海域内操業の罰金を、四百万とか一千万だったのを三千万に上げたんですね。それから、立入検査忌避の罰金は、改正前が三十万だったのを三百万に上げました。さらに、違法に採捕されたサンゴに対する加算金をキログラム当たり六百万円、だから、十キロ違法にとったら六千万、こういう法改正をやりまして、今、大分というか、ほとんどなくなったということなんです。

 ですから、この金地金の密輸の件につきましても、急激にふえておりますので、やはり、まずは罰金を引き上げるという法改正等をすべきだと思いますが、御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 急激にふえてきた最大の背景というのは、多分、日本に入ってこられる観光客の激増してきたこの二年間とほとんど数が合っております。すなわち、税関の職員の絶対量が足りない。はっきりしています。

 博多というのがあるんですが、今日本で一番クルーズ船が着くところはどこかというと、みんな、神戸とか横浜とか、全然違います。もう桁が違います。福岡が一番、二番が長崎、三番が那覇です。そこで一番多い、今の話は、麻薬の話も。それはやはり、三千人一挙におりてこられたら、税関職員、とてもじゃないけれども足りませんわな、それは。しかも、それが三杯も四杯も並んでくるんだから。

 それはもうとてもじゃないというので、私ども財務省としても、税関、CIQという、カスタム・インスペクション・クアランティーンというのをふやすという対応で、これは法務省とも厚生省ともやっていますが、税関というのは急にはできませんから、職員というのは。だから、やめたOBをもう一回戻してそれに充てるとか、ありとあらゆることをやって今対応させていただいているんですが、そこの港に着くクルーズ船の多いところに多いんですよ、金の話も。

 ですから、そういった意味では、私どもとしては、これは、まずはそこのちゃんとやれる対応をしないと、手抜きになってきますから、どうしても三千人と来られたら、それはとてもじゃないので。そこで、ちょっと正直申し上げて、その人数をやる。そして、その次に、ちょっと今の言われたような法改正というのもあわせて考えないかぬかなと思っております。

遠山委員 ほぼ質疑時間が終わりましたので終わりますが。

 ぜひ、大臣、最後の方で、やはり人数が少ないとなかなか対応できないというお話がありました。財務省から伺ったところですと、訪日外国人旅行者が急増していることに対応するために新たに必要な税関職員の人数は、平成二十九年度、今年度から三十二年度までで九百七十人と試算されている。それに加えて、テロ対策などの水際取り締まり対応プラス経済連携支援などで必要な人数を入れると、大体、私の雑駁な計算だと千五百人ぐらいあとふやさないといけない、これから四年間かけてですね、ということでございますので、ぜひ、安心、安全な日本社会を守っていくために、この税関の職員の増員を着実に進めていただきたいということを御要望申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小里委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。野田佳彦君。

野田(佳)委員 午後のトップバッターを務めさせていただきます無所属の会の野田佳彦でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、この財務金融委員会で発言をするのは本当に久しぶりでございまして、二〇〇九年から二〇一一年にかけては答弁側におりました。質問をする側になるのは、もっとさかのぼりまして小泉内閣のとき、勇退をされましたけれども、谷垣先生が財務大臣のときに、委員としてかんかんがくがくの議論をさせていただいたことがありますが、それ以来でございますので、ちょっとしばらくの間はリハビリが必要かもしれませんが、おつき合いをいただければというふうに思います。

 ということで、久しぶりの質問に当たって、骨太の本質的なことをしっかりお聞きしようと思っていたんですけれども、どうしてもやはり触れざるを得なかったのは、先般の所信的挨拶というお話の中で、これはもう既に海江田さんが先ほど触れられましたけれども、森友学園の国有地売却の問題について一言も大臣が触れなかったというのは、さすがに私もちょっと奇異に感じました。

 これは、先ほど、詳細な御質問は与党からもございましたけれども、やはり国民にとっては本当にわかりにくい状況なんです。というのは、これから歳末にかけて、さまざまなところで大売り出しがあると思いますが、九割引きなんて普通ないですよね。ちまたでもないことを何で日本で一番けちな役所の財務省がやってしまったのかと誰だって思うわけですよね。それに対する丁寧な説明が今までなかったことに対して、会計検査院からも指摘が出ましたけれども、猛省を踏まえて、これからどうするかということは、それこそ簡にして要でもいいから、やはり財務省を率いる大臣のお言葉として一言あるべきだったんだと私は思うんです。

 これは一近畿財務局という出先機関の問題ではありません。理財局という一つの部局の問題ではなくて、私は財務省の信用にかかわる問題だと思うんですね。

 なぜならば、象徴的に覚えておりますのは、ことしの初めの通常国会で平成二十八年度の第三次補正予算の審議が行われました。補正が生じた理由というのは、税収見通しを見誤って、一・七兆円財源不足に陥って、年度の途中で赤字国債を発行せざるを得ないというのが最大の理由でしたよね。それは多少為替の変動もあったと思いますけれども、そんな見誤りというのは普通今まではなかったじゃないですか。

 それは何とかショックとかあれば、年度の途中で赤字国債発行というのは戦後何回かはありましたけれども、そんなこともないのに途中で誤るというのは、先ほど海江田さんのそんたくのお話を聞いていると使いにくいんですけれども、ちょっと学識経験者から怒られるかもしれませんが、一般の人は、やはり財務省は数字までそんたくし始めたんじゃないかというふうに思うぐらいに、たった一点のこの種の、国民に説明がつかないことを起こすことは、私は財務省全体の信用にかかわることだと思います。

 だからこそ、財務大臣は、一言、猛省を踏まえて新たなる決意を言うべきだったと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 その点に関しましては先ほど海江田先生からの御質問に対してもお答えをさせていただいたんですが、この財務金融委員会におきます冒頭の所信ということに関しましては、やはり日本経済全体とか財政政策とか金融とか、そういったことに関しまして私の考え方の一端を申し述べさせていただいたので、ぜひ政策運営に最善をというのが、簡単に申し上げたら、最初、物すごい短い時間でありましたので、そういうことを申し上げさせていただいたので、何も避けているとかそういった反省がないと言うつもりは全くありませんので。

 ぜひ、この売却につきまして会計検査院からの御指摘というのがあっておりますので、これはきのう、おとといと参議院、さきおととい、その前が衆議院と、予算委員会においても審議が行われましたときにも申し上げたとおりなので、今後、会計検査院からの御指摘を踏まえて、こういったことは二度とないようにきちんとやっていくという話を踏まえまして、今後とも、御質問があれば丁寧に御答弁をさせていただきますと同時に、私ども役所といたしましても、こういったことは起きないように、きちんと対応してまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 質問があれば答えていくということでございました。まさにそれはしていただきたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、今は決意でお話をされましたけれども、今お話しされたようなことを本来は一言力強く入れるべきだったなというふうに感想を持ったということだけは改めて指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、きょう私はどうしても大臣にお伺いしたかったことは、さかのぼりますけれども、二〇一二年の六月に、当時の民主党と自民党と公明党で社会保障と税の一体改革について三党の合意を行い、それを踏まえて法案を、我々がつくっていた案を修正しながら、関連法案を成立させました。

 この意味は、多くの国民が不安を持っている、その分野はほとんどが社会保障ではありませんか。老後の不安、子育ての不安、その不安を解消していくということは、これは大きな内政における政治課題であります。

 ただ、これはただではできないし、赤字国債に頼ったやり方をするならば、将来の世代が弱者になることは間違いありませんから、きちっと財源手当てをしていこうと。その財源についてはいろいろ議論はありましたけれども、オール・ジャパンで支えるという意味においては消費税がふさわしいということで実現をしたわけですよね。

 社会保障の充実、安定とともに、財政健全化の両立を図る。この精神を私はこれからも本当は守っていかなければいけないものだと思うんですが、その原点となる三党合意についての大臣の評価をぜひお伺いしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは多分、自公民、当時でいけば民自公ということになるのかもしれませんが、少なくとも与野党三党の合意で、この種の消費税を上げて、もって財政再建並びに社会保障等々との税との一体改革というのは、これは多分、今世紀という表現はいかがなものかと思いますが、後世、間違いなく、最も高く評価されてしかるべき合意だ、私はそう思っております。

野田(佳)委員 後世に高く評価されてしかるべきという高い御評価をいただいたということでございます。当事者の一人として大変心強いお言葉だというふうに思いますけれども。

 ただ、では、その三党合意が、今高い評価をいただきましたけれども、その精神が現時点において生きているかどうか、私はここをきょうは一番問いたいところなんですね。

 というのは、これは与党と野党で、この国の根幹にかかわるテーマを同じ土俵に上って一つの成案を得たわけです。だけれども、私は残念ながら、これは壊れてきていると思うんですね。

 中身で言うならば、先ほど軽減税率のお話が出ていました、午前中に。軽減税率は、一つの逆進性対策の方策としては、三党合意でまとめた法律の中にも検討項目で入っていますね。これを全部否定するつもりではありません。

 でも、一方で、給付つき税額控除というもう一つの有効な方法もありました。それに対する比較というものが本当に精緻に丁寧に行われたのかというと、残念ながら、議論は拙速に進んで決まってしまったし、その代償として、総合合算制度という、社会保障でも年金でも介護でも、あるいは児童福祉でも、これはばらばらですよね、縦割りの、そしてそれぞれ自己負担がある。一つの家族で自己負担、自己負担、全部合わせると相当な負担になってしまうということが、これは非常に大きな問題になっているので、キャップをはめて、国が後押しをするために総合合算制度をつくるなどというのは、私は三党合意の社会保障改革の中でも肝だったと思うんです。

 その肝の部分が簡単に断念されて、軽減税率が導入される。それは一〇%に上げた後のその先で軽減税率をどうするかという議論があっても私は一つの方向だとは思いますが、一〇%の段階で軽減税率を導入するのは私は早過ぎると思うし、方法として妥当ではないと思う。

 ということなどが丁寧な公党間の議論もないままに進んでいったことに、私はおかしいなと思ったんです。

 加えて、景気条項もありました。景気条項も外されました。

 いろいろな三党合意の根幹に係る部分が、十分な議論が、与党内の中ではあったのかもしれません、でも、野党を巻き込んでの議論は余りないままに進んでいったということは、もう三党合意の精神を逸脱していると思ったんですね。

 でも、それでも当事者だから、詳しいから、風前のともしびという言い方をずっとしてきました。風前のともしびが一番苦しいともしびになったのは、二〇一四年に消費税の引き上げの先送りを安倍総理が争点にしようとして解散・総選挙に臨んだことであります。

 三党合意の魂というのは、国民に御負担をお願いすることを政争の具にしないということだったはずなんです。それを、残念ながら、選挙の争点にしようとした。その後の参議院では、今度は野党の方から先に折れた。政争の具になってきちゃったんですね。

 今回も、解釈の仕方によりますけれども、消費税の引き上げ分の使途変更を選挙前に打ち出して争点化しましたよね。政争の具じゃありませんか。中身の大事な議論を、公党間で丁寧な議論をする、国会の中で議論をする、その作業をしないままに、どんどんいきなり国民に向ける。それでは、私はもう風前のともしびじゃなくて、ともしびが消えてしまったような気がして残念でならないんです。

 という意味で、現時点における大臣の三党合意、私は生かされていない残念な気持ちですが、いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今のお話ですけれども、これまで、やはり三党合意というのは極めて大きなものだった。これは谷垣前総裁のときに、野田総理等々で話が出されたというのが経緯なんですけれども、平成二十六年四月に消費税を八%に引き上げた上に、社会保障に関しては、三党合意を得て成立したそれぞれの法律の枠組みに従ってという話だったと思うんですが、消費税の増収分を活用した社会保障の充実と安定化というのと同時に、重点化と効率化を進めてきて、これはやはり三党合意というのが極めて大きなおもしで、私どものところには、これは必ずという話をよく、谷垣さんからも話がありましたし、総理からも話がありましたので、私どもとしては、この点に関しては、基本的に、三党合意というのは非常に大きなスタートでしたから、そういったものを大事にしなきゃならぬとまず思っておりますし、また、そう言われてもきております。

 それから、もう一点の話で、今回の中の話でしたけれども、消費税の話に関して、三党合意でやったものを、少なくとも税を変えるということになると、これはどう考えても、これまで約束したことがあるから、少なくとも税をちょっとでもさわるときには選挙に問わないとだめですよということで、引き延ばすという話をこの前の前のときにされたときにも、絶対これは選挙にしない限りは勝手なことをされてはだめですよということを申し上げたのも、三党合意に反しますから、ちゃんと選挙で問うてくださいと。

 それから、今回も、使い道のことを、また一方的に、財政健全化のために行くはずのものまで若年の子育て等々に充てる比率をどっとこっちに振るというのは、これは明らかに、私どもとしては、ちょっと待ってください、それは約束と話が違いますよ。少なくとも財務省の感じと全然違いましたから、ちょっと待ってくださいと。御自分でそれをなさるんだったら、ちゃんときちんと選挙に問われないとおかしいんじゃないですかということを申し上げた記憶がありますので。

 むしろ、三党合意というのは極めて重い意識がありましたので、選挙ということを常に、この三回、いずれも税金に係る話で選挙ということになったんです。あれは三党合意がなかったら別のあれだったんだと思いますけれども、やはり選挙をしないと税金の話はさわれないという意識がすごくありましたので、野田先生、やはりこの三党合意というのは一番強く生きている、私どもはそう思っておりますし、安倍総理もその意識があるから、これは選挙に問わないとやはりだめだろうかねという話をやったり、三党合意をちょっとでもさわろうと思ったらそういう話をされますので、意識としてはかなり強くある、私どもにはそう見えております。

野田(佳)委員 いや、そこは、私はやはり解釈が大きく違うんですよね。

 いきなり、例えば消費税は先送りしますよということを、その前の与野党間での議論もなく、唐突に解散でやってしまうと、では、逆に、例えば野党の側が強い地域の中で連合軍を組んだ自民党と公明党と戦うときに、何を言っているんですか、消費税を上げましょうなんていう、そういう争点化というのはできないんですよ、現実。だから、政争の具にはしないで、国民に御負担をお願いする際には、きちっとお互いに合意して、責任を持ち合っていこうというのが本来の趣旨じゃありませんか。

 それがやはり崩れたんですよ。その大事な部分、根幹を変えるから争点にするという、選挙で問うというのは、それは表面的な話であって、魂の部分は、誰だって国民に御負担をお願いすることは、選挙前は怖いじゃないですか。それを払拭するために、ネクストエレクションよりもネクストジェネレーションを考えたときには、お互いに責任を持ち合って議論をしていって、少なくとも政党が違うわけだから完全に一致することはないかもしれないけれども、問題意識は共有してこの問題は扱っていかなければいけないと私は思っているんですね。そこにちょっと見解の違いがあることは残念に私は思います。

 その上で、直近のテーマというと、これは大臣所信でも触れられていましたけれども、消費税の使途変更の問題ですね。人づくり革命ということで、そして、我々も人への投資は基本的には賛成でありますし、あるいは教育の無償化も個別の政策では訴えてきています。どうやっていくかについては丁寧な議論が必要だと思うんですけれども、これも、その辺の議論を十分に尽くさないでいきなり争点化をされたじゃないですか。

 だから、これは、私は、三党合意といったって、私どもの党は今はばらけちゃったから、そもそもちょっと言いにくいですよ。しかも、二〇一九年の十月に消費税引き上げ、賛成ですか、反対ですかという世論調査がありました、読売新聞か何かで。賛成ですと答えた野党の議員は私ぐらいしかいませんでしたから、いろいろな意味で壊れちゃいましたよ。壊れちゃったけれども、私は諦めないで、今申し上げたような精神というのはもう一回共有できるような努力をしていくために、この財務金融委員会で私は議論をしていきたいというふうに思います。

 その一環で、今申し上げた消費税の使途変更の問題です。

 これは、公明党の斉藤さんが解散の直前のNHKの討論番組でおっしゃっているんですね。消費税の使途変更は三党合意の基本的な考え方から大きくずれているわけではなく延長線上にある、三党合意の範囲だと思うとおっしゃっているんです。私は、今申し上げた文脈でいうと、そうした議論を突っ込んでやっていないことを選挙にすることは、延長線上にもないし、その精神は違うと思っているんですね。

 この点については、麻生大臣、延長線上にあるとお考えでございますか。

麻生国務大臣 斉藤先生の話をちょっとよく詳しく知らないのであれですけれども、消費税の使い道ということに関しましていろいろ御質問なんだと思いますが、仮にこれを変更したとすることに、変更するんですけれども、社会保障の充実と、それからいわゆる財政健全化を着実に進める、この二つという方向性は基本的には変わっておりませんので、そういった意味においては、三党合意というものから大きな方向性が変わったというふうには思っておらず、むしろ共通している点は、その二点だけははっきりしていると思っております。

 他方、総理の方は、人づくり革命を断行するという話をするためには、使い方を変えるので、今まで言ってきた話と変えるので、やはりこれは国民の信を得ないとぐあいが悪いので、消費税の使い道というものに関しては、少なくとも、比率を変えるとはいえ、半分は借金返済ということを変えるわけなので、その意味では新たな枠組みを構築したことになるということになるので、やはりこれは解散せなしゃあないのかなという結論になられたんだと理解をしているんですが。

 それまでのところに関して、やはり話し合いがなかったではないかという点を野田先生が言っておられるんだと思いますけれども、その点は、多分、三党合意したときのあの野田先生のところのまとめられたところと今のと大分事情が違っておるので、話が非常にしにくい状況にはなっているんだと思いますね。野田先生がそのままおられたら多分話は早かったろうし、谷垣先生がもしあの事故がなかったら、谷垣さんが今ごろ総裁だったろうから、時代は随分違っていたとは思いますよ。

 それは確かに、話はもう少し当事者同士が、斉藤さんもいますから、当事者同士が三人残って話がとは思いますけれども、何となくそこらのところの意思疎通は、あのころに比べて、谷垣、野田と斉藤の時代とは少し意思の疎通にちょっとそごがあるかなという感じは、正直なところ、私も同じように感じないわけではありません。

野田(佳)委員 私が別に当事者にならなくても、解散の後に我々の民進党は残念ながら幾つかに分かれた事情はありますけれども、その前は前原代表のもとでオール・フォー・オールという考え方で、まさに今与党・政府でお考えになってきたものと重なる部分もある議論をしていたんですよね。だから、そういう議論をちゃんとやってから、お互い納得ずくでこういうものは責任を持ち合うということがいいのではないかと私は改めて指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、この所信の中でも触れておられますけれども、今、人づくり革命についてはおっしゃいましたが、基本的にはプライマリーバランスは堅持をするというお話をされていますよね。プライマリーバランスの黒字化の問題などなど、基本的な財政の構えについてはお話をされているんですね。

 一方で、二〇二〇年度までにプライマリーバランスの黒字化を図るというこの財政健全化の目標は、これはもう困難ということで、きのう予算委員会の答弁で、茂木大臣は来年の六月に骨太の方針の中でその目標の時期であるとか具体的な方法を明示するというような答弁をされていました。ということは、二〇二〇年はもう完全にだめだということだというふうに思うんです。

 なぜそれが困難に陥ったのかを、ぜひきょうは大臣から総括的に御説明をいただきたいというのは、二〇一〇年の六月、菅内閣のときに財政運営戦略を閣議決定していますが、二〇二〇年までのプライマリーバランスの黒字化はこのとき閣議決定をしています。以来、政権交代はありましたけれども、安倍内閣でもこの目標は堅持をされてきてこれまで来ていると思うんです。その大半を、財務大臣を務められたのは麻生大臣でございますから、それが困難になったという理由をきちっとこれは総括していただかなければいけないのではないかと思います。

麻生国務大臣 これは、日本という国において最大の問題点というのはやはり少子高齢化なんだと思っておりますけれども、とにかく、こういった状況というのが極めてはっきりしてきた今の中において、やはりその人たちの次の世代というもの、我々の次の世代ということを考えたときに、社会保障というものがきちんとしているというのは極めて大事なのであって、そういった意味では、次の世代というもののことを考えたら、やはり次の世代への投資ということを考えて、その上で社会保障の安定といわゆる教育とかそういったものに関してのバランスというのを、充当するということを考えないかぬというのが結論なんですけれども。

 ただ、問題としては、そういった場合に、消費税を上げた分、まずは最初に消費税を上げるのを延ばした。飛んで一回ずれております。そして、今回上げた分が、今申し上げましたように、一部子育て等々の方に充当しますので、そのままでまた減りました。それから、いわゆる石油の値段が大幅に下がった、当時百何ドルだったものが五十ドルを切って四十ドルまで下がって、今、六十ドルぐらいまでまたあらがってきてはおりますけれども。

 いずれにしても、物価等々のものが非常に予定のものとはかなり大幅に違ってきましたものですから、そういったものもあって、我々として、思ったような形の税収やら何やらというのは得ながらも、そういった意味での問題はなかなか追いつかなかった。

 ただ、今、内閣府のあそこで計算しておりますものに比べまして、この五年間の間に、計算では八兆円ぐらいの赤字、インバランスになっておりますが、そのうちのかなりの部分、社会保障の値上げが大体一兆円ずつと計算してありますが、あれは大体五千億ぐらいでおさまっておりますので、発射台が全体下がってきておりますから、その点に関しましては、あの試算よりはかなり好転する、差が、八兆がかなり詰まる、どれぐらい詰められるかというのは何とも申し上げられませんけれども。それぐらい詰められるという気は私どもはありましたけれども、今回、さらにそこのところはおくれざるを得なくなってきたというのが、多分、今幾つか申し上げましたけれども。

 そういったものの総合でいきますと、二〇二〇年というのは、かなり景気がよくなってきたとしても、なかなか難しいなという感じが正直なところなので、これがどれぐらいまでかと言われるのは、今からちょっとよく計算をし直さないといかぬところでしょうし、よくなってきている部分と、さらに値上げの時期がずれてきた部分と、値上げの内容が変わってきた部分等々が重なりますので、試算がかなり違ってくるので、ちょっとどれぐらいか、アバウトわかりませんけれども。そんな五年も十年も延ばして達成するなんて話では、それは話になりませんので、そういったのじゃない、数年、数年という定義がまた難しいんでしょうけれども。

 私どもとしては、なるべく早い時期にこれを達成するということを考えてやっていかないと、これはまた財政が緩んでも全く意味がありませんので、そういったことを考えて、極めて建設的に考えて、茂木が来年の六月と言っておりますけれども、そういった予算の、この十二月にやります三十年度の予算編成の結果を見た上で試算を開始しなきゃいかぬかなという感じがしておりますけれども、少なくとも、何となく国際社会から見て、何だ、おまえ、全然話が違うじゃないかということになりますと、これは国債の信用にかかわりますし、また為替の信用にもかかわりますので、私どもとしては、きちんとしたものをつくり上げたいと思っております。

野田(佳)委員 時間が本当にいつの間にかなくなってしまったので、用意した質問は全部できませんので、ちょっと総括的に今のお話を踏まえて私の感想を申し上げますので、それに対して、最後、お答えいただければというふうに思うんですね。

 今、ちょっと気になりましたのは、来年度予算編成をした後に云々というお話がありました。でも、事実上、二〇二〇年度の黒字化が無理という、いわゆる財政再建の中期目標、道筋がなくなった中で予算編成をするリスク、これはとても大きいと思いますね。私は規律が緩んじゃうと思います。補正予算も予定をされている。そして、来年度の予算も、これをつくってから考えるというのは本当は逆であって、きちっとした財政再建の道筋の中で、補正を組むなり、来年度の予算編成を組むというのが私は筋だと本来は思います。それがないままというのは非常にリスクを感じているということでありますね。

 それから、事実上困難であることは今大臣もお認めになりましたけれども、それはもっと猛省してもらわなければいけないと思うんです。めぐり合わせですけれども、小泉内閣のときに、最初にプライマリーバランスの黒字化の目標を打ち立てましたよね。二〇〇二年ぐらい。できなかったのは、麻生総理のときですよね、断念したのは。それは金融危機があったから。私はあのときの説明はつくと思うんです。今回は、だって、戦後二番目に長い景気拡大の局面とかいって、あれだけアベノミクスを宣伝してきたじゃありませんか。にもかかわらず、できなかったということならば、日本の財政公約というのは、こんなうさん臭いものはないと国際社会が厳しく見るんじゃありませんか。

 しかも、二〇二〇年の後、大変ですよ。団塊の世代が後期高齢者になる。東京オリンピックの後には、オリンピックの崖があるかもしれない、反動不況があるかもしれない。この次の黒字化の目標達成はもっと困難です。それは、そのときは安倍総理のときじゃないですね、さすがに、わかりませんけれども。でも、任期は延長しましたよね。そうすると、最大限でも二〇二一年の九月までが安倍さんの任期ですよね。その任期の間には黒字化できないんです。次のリーダーが黒字化の目標を立てて、消費税を次に引き上げる話まで、次はやらなきゃいけない。こんなに後世に宿題を残すような政権運営は私は猛省すべきだと思います。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のあった点を踏まえました上で、少なくとも、私どもとして、予算編成をやらせていただくというのをやった上で、これが極めて厳しい予算編成になろうかと思いますが、今言われましたように、これが何となく緩ふんみたいな感じになるような予算編成をするつもりは全くありません。

 いろいろ御批判もいただいておるところですけれども、私どもとしては、きちんとそれに対応してまいりたいと思っております。

 その上で、いわゆる予算編成をやらせていただくので、どういった形になってくるかは、来年の三月できちんとした予算編成ができ上がれば、その辺を見た上でということになるんだと思いますが。

 いずれにしても、私どもとしては、今言われましたように、少子高齢化が先に進むんじゃないか、そのころはもう安倍政権ではなくなっている、いずれも正しいと思いますが、そういったのを踏まえました上で、なおかつ、やはりきちんとしたものを残しておかないと、何のために長くやっていたんだか意味がないじゃないかということになりますので、きちんとしたものをやっておかないと、私どもとしては、やはり、何だ、借金が残らないはずが逆にふえたじゃないかとかいうような結果になったのでは元も子もありませんので、そこのところを踏まえて、私どもはきっちり対応させていただきたいと思っております。

野田(佳)委員 ありがとうございました。

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 引き続き、財務金融委員となりました。

 まず、来年度の税制改正についてお伺いしたいと思います。

 報道を見ていますと、所得税は、基礎控除の拡大と給与所得控除等の縮小がセットで議論されております。

 しかし、例えば基礎控除の拡大は賛成ということを本委員会でも言ってまいりましたけれども、給与所得控除等を減額すると、他の社会保険料だとか住民税にも影響が出てきます。やり方によっては、低所得者にも負担増ということをもたらす危険もあると思っております。

 資料を配っておりますが、例えば国民健康保険料の課税基準額というのは、所得からマイナス三十三万円、引くわけですが、給与所得控除を縮小すると、当然、国民健康保険料は負担増になるわけですよね。

 この基礎控除に当たる三十三万円を給与所得控除等の減額分に合わせて、その分引き上げるということをやれば、国民健康保険は給与所得者だけじゃないですから、自営業者もたくさん入っていますから、保険料収入全体はマイナスになるわけですよね。そうすると、その保険料収入の少なくなった分を別の方法でカバーしなきゃいけないという必要が出てくるということになります。

 もし、その別の方法として所得割の税率を引き上げるということになったら、これまた、結局、低収入の給与所得者の国民健康保険料も上がっちゃう、こういう問題も出てくるわけです。

 それから、下の方には住民税の計算式を載せておきましたが、住民税、これは非課税世帯になるかどうかというのも、当然、給与所得控除の縮小は影響します。

 これが縮小すれば、当然、非課税となる基準額も変更しないと課税世帯となるわけですよね。住民税は、課税世帯か非課税世帯かでかなり制度的にほかの面でも違います。保育料の減額、高額療養費の減額、あるいは給付制奨学金の対象になるかどうかも、住民税非課税世帯かどうかということになるわけですね。

 ことしの政府税調の中間報告を見てみましたら、個人所得課税の見直しが社会保障制度に与える影響について留意する必要がある、こういう指摘はされております。

 麻生大臣、私は、今、税調で議論されているさなかだと思いますが、所得税の改正、とりわけ、この給与所得控除等の縮小が波及して、所得の少ない方、こういう方々の国民健康保険料が、絶対負担増になってはならないと思いますし、あるいは、住民税非課税世帯が課税世帯になるようなことも絶対にあってはならないというふうに考えております。ですから、こういうことをやるんだったら、本当に手を打たなきゃいけない問題だと思っています。

 私自身は、基礎控除を拡大しても、所得が少ない方については給与所得控除等は縮小しないということも検討すべきだというふうに思っていますが、どういう方法をとるのであっても、関係省庁ともしっかり協議を行って、社会保険料や住民税、さまざまな制度への影響もしっかり視野に入れて、今度の税制改正、この影響で低所得者や中間層が負担増にならない策をしっかりととるべきだと考えますが、その基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今の御指摘ですけれども、個人所得課税の見直しということにつきましては、これはもういわゆる所得税、個人住民税ともに与党税調で今審議の最中なので、具体的な内容は現時点で決まっているわけではありません。

 なお、御指摘のありました社会保障制度等々において、所得税とか、また、いわゆる個人住民税の所得金額に応じた負担とか、また給付水準等々が変化するというものが存在しているということは私どももよく認識をいたしておりますが、仮に今回の見直しによって所得税とか個人住民税の所得金額等が変わるということになる場合に関しては、これは関連する制度はほかにもありますので、そういったものを所管しておられる省庁、府省において、いわゆる見直しの趣旨を踏まえて適切な対応を検討していただく必要があるものだと考えておりますので、見直しの内容が決定次第、各府省に見直しの内容というものをきちんと説明した上で、対応を要求していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 絶対、低所得者や中間層が負担増にならない策をしっかりとっていただきたいと思います。

 年少扶養控除をなくしたときに、民主党政権のときでしたけれども、子ども手当をつくってというときに、時の政権は、自治体に対して、いろいろ手を打つように通知を出しました。保育料に波及しないようにだとか通知を出しました。しかし、例えば東京都内では、三つの自治体がその通知をある意味無視したわけですね。保育料が子供が多い世帯で一気に年間二十万円上がったりとか、そういうことも起きたということがありました。私もその相談に乗ったことがあります。

 ですから、この控除をいじるというのは、ほかの制度まで含めての波及というのは本当に大きいですから、絶対に庶民が負担増にならないという点をしっかり貫いていただきたいと強く求めておきたいと思います。

 それから、あともう一つ。

 報道では、この給与所得控除の縮小で年収八百万円ぐらいから増税という話が流れているわけですよね。年収八百万円というのは、私は高額所得者とは絶対言えないと思いますよ。中間層だというふうに思います。

 私は、所得税で最もメスを入れる必要があるのは、ここの委員会でも何度も言ってきましたけれども、やはり株のもうけに係る税率が低いために、所得が一億円を超えると、実際の税負担は所得が多い人ほど下がっていく、これは国税庁の資料でもはっきりしているわけですね。こういう状況を正すことこそ、所得税の見直しでも私は一番必要なことだと思っています。

 麻生大臣、やはりサラリーマン増税ではなくて、欧米に比べて低い金融所得課税の引き上げこそ検討すべきだというふうに思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 御指摘のありました金融所得課税は、主に株の配当とかそういうことなんですけれども、これは平成二十六年の上場株式の配当のときのいわゆる譲渡益について、たしかあのとき税率を倍にして、一〇から二〇だったかな、そんなものだと思いますが、倍にしたんだと記憶しますので、あの倍にしたのが二年前だと思っておりますので、高所得者ほど所得税の負担率は上昇するという傾向が見られておりますので、所得再配分機能の回復には一定の効果があったのではないか、私自身はそう考えております。

 いずれにしても、今後の税率の水準というのは、このような効果というのを見ていくと同時に、やはり景気情勢とか市場の動向とか、また財政状況もありましょうし、税制とか社会保障等々に関しまして、いわゆる所得再分配の状況とか金融の所得課税のあり方とか、そういったいろいろなものを勘案しつつ検討する必要があるというのは、私どももそう思っております。

宮本(徹)委員 検討する必要があるとはおっしゃいますけれども、先ほど言ったとおり、麻生大臣もおっしゃいましたけれども、一定の効果はあったわけですね、一〇パーを二〇パーに戻したことによって。さらに欧米並みに引き上げればもっと所得再配分には効果が出るということは間違いないわけですから、やはりサラリーマン増税を一方で言いながら、所得一億円を超える方々は実際の税負担、大金持ちほど低いという状況を放置しているというのは、これはとても国民の納得を得られるものではないということを強く申し上げておきたいと思います。

 その上で、次は森友学園の問題についてお伺いしたいと思います。

 会計検査院の指摘がありました。政府の国有地の値引きは根拠がないと指摘されました。私たち野党が指摘してきたとおりということです。

 そして、土地価格値下げのためのシナリオを財務省の側から提案している三月下旬の音声データについても、これも財務省は存在を先日認められました。私も三月下旬とされる音声データを聞いて一番不可解なのは、業者の側は、三メートルより下というのは語弊があるんだ、三メートルより下から出てきたかどうかわからない、九メートルというのはわからない、こう繰り返し言っているのに、国の側が九メートルまで出たことにしようということを、一生懸命、近畿財務局の方から言っていることなんですよね。

 まずお伺いしたいのは、この九メートルという数字は一体どこから出てきた数字なのかということなんです。三月十一日に新しいごみが出てきたという話ですけれども、それ以降、九メートルの深さまでのごみというのは、一体誰が、いつ言い出した数字なんですか。学園側ですか。工事事業者側ですか。それとも国ですか。

太田政府参考人 お尋ねの地下埋設物の深さということですが、地下埋設物については、平成二十八年、昨年の三月十一日に森友学園側から新たな地下埋設物が出たという連絡があり、近畿財務局と大阪航空局の職員が実際に現地に足を運び、工事関係者から直接ヒアリングを行い、深さ九・九メートルのくい掘削工事の過程において廃材等が発見されたという報告を受け、廃材等を多量に含む土が広範なエリアに積み上がっているということなどから、新たな地下埋設物と判断したものであります。

 その上で、国として、地下埋設物撤去費用の見積もりに当たっては、今申し上げた点などを含めて総合的に勘案して、くい掘削箇所の深さを地下九・九メートルと設定をして見積もりを行うということが合理的だというふうに判断をしたということでございます。

宮本(徹)委員 つまり、国として判断して九・九メートルというのを決めたということですよね。

 そうすると、確認しますけれども、先ほど工事業者からヒアリング等を行ったと言いましたけれども、工事事業者や学園側で九・九メートルまでごみがあったという話はそのときにあったんですか。

太田政府参考人 先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、現地に足を運んで工事関係者から直接ヒアリングを行い、深さ九・九メートルのくい掘削工事の過程において廃材等が発見されたという報告を受けたと申し上げております。

宮本(徹)委員 ですから、その掘削過程で出てきたという話は業者はしたかもわからないですけれども、九・九メートルのごみの存在を主張した工事業者や学園側の方はいたのかいなかったのか、ここを聞いているんですよ。

太田政府参考人 九・九メートルのくい掘削工事の過程において廃材等が発見されたということを報告を受けているわけです。

宮本(徹)委員 つまり、それは九・九メートルの深さにごみがあると言った業者や学園側の人はいなかったということでいいわけですね。そこを聞いているんですけれども、同じことを答えないでください、時間がないんだから。

太田政府参考人 今回の廃棄物混合土の量については、九・九メートル、三・八メートルという深さがあるんですが、その深さに平均して四七・一%という混入率ではかっています。ですから、九・九メートルのところまでのうちの四七・一%に廃棄物混合土があるという計算をすることが合理的だということをやっているわけです。

宮本(徹)委員 時間潰しみたいな答弁はやめていただけますか。

 工事業者も学園側も、これだけ聞いて、いたということを言えないということは、誰も言わなかったということですよね。それでいいですね。イエスかノーで答えてください、時間がないんだから。

太田政府参考人 何度も同じことを申し上げますが……

宮本(徹)委員 何度も同じことを申し上げなくていいですよ。

 おかしいですね。結局、国として判断して決めたということでいいわけですね。国が決めたということでいいわけですね。

太田政府参考人 九・九メートル、三・八メートルについて、その範囲内において混入率が四七・一%という数字も含めて、総合的に判断して、国として合理的に積算をしたということを申し上げているということです。

宮本(徹)委員 国として決めたと。初めはそのことをおっしゃいましたけれども、私が聞いている、学園側、工事業者からそういう話があったのかということになぜお答えにならないのか。いないから答えられないわけでしょう。結局、国が勝手に決めた数字なんですよ。国がつくり出した数字なわけですよ。

 音声データでは、国の判断でつくったごみの深さ九メートルという数字に対して業者は確認できないと言っていたにもかかわらず、一体なぜ、国側の職員は業者の言い分を聞かずに九メートルの深さというシナリオにこだわり続けたのか、本当に不思議なんですよね。

 私は三日前に財務省に本人への聞き取り調査をお願いしましたが、聞いていただけましたか。

太田政府参考人 今のお尋ねは、先般の衆議院の予算委員会でお答えを申し上げました三月下旬の音声データにかかわることだろうと思います。

 この件につきましては、やりとりの全体を通じてどういうやりとりがあったのかということを聞き取った結果を、先般、二十八日でしたかに衆議院予算委員会で全てお答えいたしました。それが全てでございます。

宮本(徹)委員 二十八日の答弁のペーパーをお配りしていますよ、私はそういうふうにおっしゃると思いまして。

 それで、それ以降、私は、このペーパーをいただいたから、全くおかしいじゃないかということで、もう一回本人に聞き取り調査をしてほしいというふうに言ったわけですよ。やられていないわけですね。

太田政府参考人 先般の予算委員会で御党の委員から御質問がありました。

 したがいまして、私どもとしては、慎重に丁寧に近畿財務局の職員から聞き取ったその結果を全てそこに集約しておるということでございます。

宮本(徹)委員 この答弁ペーパーの内容で国民が納得しているというふうに思っていたら大間違いですよ。

 大体、きょうは資料三枚目に学園側のメモもつけておきましたけれども、あの音声データと同じことがいろいろなメモにも書かれてくるわけですよね。これは、九メートルの深さまで何か出てくるという報告を財務局から学園サイドに言われていると。業者の側は、ない、ない、ないと音声データで言っていたわけですよね。それに対して、財務局から学園サイドに、九メートルの深さまで何か出てくるような資料を出せ、つくれと。でっち上げろと言っているような話じゃないですか。

 私は、三メートルより深いところにはそんなごみはないというのは、工事業者も設計業者もみんな共通認識だったと思いますよ。

 四月九日から十日にかけて交わされた設計業者と学園の弁護士とのメールのやりとりというのが報道されております。設計業者がこう言っています、ボーリングデータで産廃が三メートルより深いところではない、正論で負けてしまいそう。学園側弁護士、提出はやめましょうか。設計業者、資料は抹消しました。こういうやりとりが報道されています。私もこのやりとりは確認しました。

 ボーリングデータを国に提出するかどうかのやりとりで、ボーリングデータを出したら、不動産鑑定士に、三メートルより深いところにごみはないということをやられてしまうんじゃないか、正論でやられちゃう、こういう懸念をやりとりしているという話なんですよね。ですから、三メートルより深いところにはないというのは、業者も設計業者もみんな共通認識でやっていた話じゃないんですか。

 ところが、国の側は、業者がないと言っているものをあることにしようとしていったわけですよ。あの音声データの中では、ストーリーという言葉を財務省の職員は使っております。ストーリー、物語、作り話ということですよ。

 財務省は、先日、ストーリーという言葉を使ったのは不適切だった、こういう釈明はありましたけれども、国側の職員のまとめのせりふは、そんなところでつくりたいですから。つくりたいというのは、まさにごみの量を過大に見積もるための作り話だったということになるわけですね。

 私は、こういう作り話をやっているから、会計検査院から、ごみの処分、撤去費用というのは根拠がないんだということになったんだと思います。

 麻生大臣、会計検査院の指摘を重く受けとめると繰り返しおっしゃっていますが、重く受けとめるんだったら、どうしてこんな作り話がつくられたのか、これは調べるべきじゃないですか。音声データもあるんですよ。どうですか。

麻生国務大臣 森友学園への国有地の売却に関して、これは参議院からの要請に基づいて、いわゆる第三者機関であります会計検査院の立場で検査が行われたわけです。

 検査報告では、国有地の管理、処分手続についてさまざまな指摘がなされていて、財務省としてこれを重く受けとめなければならないと考えているとたびたび申し上げておりますが、その上で、指摘された事項について、その内容というものをきっかり検証して、今後、国有財産の管理、処分手続等々につきましては、必要な見直しを行っていくことに尽きるんだと考えております。基本的には、それが基本です。

宮本(徹)委員 ですから、重く受けとめたら、今後の話を、改善の手を打つのは当然の話ですけれども、なぜこういう事態が起きたのか。

 麻生大臣は、夏ですか、記者会見で、私は部下の話を信じているんだという話をされてメディアでも報道されていましたけれども、信じている部下がしゃべっている内容が今までの政府の説明と違うということが、音声データの存在でもう明らかになっているわけじゃないですか。そのもとで、あくまでも過去のことについて擁護し続けるというのは私は大変問題だと思いますよ。

 あと、もう一点お伺いしたいのは、九メートルまでごみがあることにして値下げをするというストーリー、これは、提案するというのは誰の責任で行ったのか。これは財務省の本省もかかわっているんですか、このストーリーづくりには。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほどの委員のお話の中で、ストーリーづくりというのは、私どもとして全くそういうことはございませんので、それは明確に否定をさせていただきます。

 その上で、本省がかかわっているかというお尋ねですが、財務本省から近畿財務局に地下埋設物の積算等について特段指示をした、関与したということはございません。

宮本(徹)委員 ストーリーづくりは明確に否定していたって、音声データは全てストーリーづくりを証明しているんですよ。根拠なくそんなことを言ったって、ますます、何でこんなことを否定するのかということで国民は不審に思うだけですよ。

 なぜ業者が確認できないと言っている九メートルもの深いところまでのごみを見積もったのか。鍵はその前の森友学園側と国側の協議にあるんじゃないかと思います。森友学園側が土地の買い取りの打診をしたのが三月二十四日、その際の協議のやりとりをNHKが報じております。この協議で、財務局側が学園側に対して、幾らまで支払えるのかなどと購入できる金額の上限を尋ね、学園側はおよそ一億六千万円と答えたということです。

 ちょっとお伺いしますけれども、この三月二十四日、森友学園側が土地の買収、買い取りの打診をした際に、国側はどの役所のどういう方が何人参加していたのか、明らかにしてもらえますか。

太田政府参考人 お尋ねは、三月二十四日に買い取りたいという話が先方からあったときに、当方、誰がいたかというようなことだと思ってよろしゅうございますか。

 三月二十四日に買いたいという要望を承ったのは、私どもの近畿財務局の職員と大阪航空局の職員がそれぞれ何人かいたということでございます。

宮本(徹)委員 それぞれ何人いたか。

 近畿財務局は池田統括官を含め複数いらっしゃったということですか、何人かということは。

太田政府参考人 何名参加したかということは、明確には記憶していないということでございます。

宮本(徹)委員 何名かわからないけれども、近畿財務局の職員と、そして大阪航空局の職員、両方いたということです。

 この森友学園側の購入限度額を聞いた場に大阪航空局の職員もいたということなんですね。大阪航空局は、その後、ごみの処分費用を見積もる側ですよね。つまり、大阪航空局は、森友学園側の購入限度額を頭に置いて、逆算でごみ処理費用を算出できる立場にこの時点からあったということになります。

 もう一点お伺いしますが、幾らまで支払えるのかと購入できる金額の上限を尋ね、学園側はおよそ一億六千万円と答えた、こういうやりとりというのはあったんですか。

太田政府参考人 今のお尋ね、二つのお尋ねがあったと思っております。

 まず、こういうやりとりがあったかということでございますが、これは先般の衆議院の予算委員会でお答えをさせていただいております。そのときにお答え申し上げたことは、平成二十八年三月に新たな埋設物が発見された後、森友学園側とさまざまなやりとりを行っており、具体的な金額について記憶はないが、大阪府の認可との関係で借り入れの金額に限度があることから、買う場合の金額にも限度があるという話は森友学園からはあったということを申し上げております。

 それからもう一点、大阪航空局が廃棄物の撤去費用を積算するに際し、最終的な金額がわかってそうなるようにしたのではないかということですが、売却までの決定……(宮本(徹)委員「それは聞いていないですよ、今」と呼ぶ)よろしいですか。

宮本(徹)委員 それで、限度額があるという話を聞いたという話ですよね、今。具体的な金額は記憶はないけれども、それ以外の部分は詳細な記憶が担当者にはあるという話なんですよね。

 ちょっとお伺いしますけれども、購入する金額に限度があるという話があったということは、具体的な数字は覚えていないけれども、具体的な限度を示す金額のやりとりもあったということでいいですね。

太田政府参考人 大阪府の認可との関係から借り入れに限度があるという話は承ったということを言っております。

宮本(徹)委員 報道では、その金額は一億六千万と流れているわけですが、その一億六千万を覚えていないにしても、具体的な金額の話もあったんじゃないですかと聞いているんです。

太田政府参考人 先般の衆議院予算委員会の御答弁は、それなりに全て調べ尽くした上でのお答えでございますので、具体的な金額の記憶がないがと。ただ、考え方として限度があるというようなことを申し上げたつもりでございます。

宮本(徹)委員 報道では、一億六千万という数字が出ているんですね。

 記憶はないけれども、そんな数字はなかったというふうに否定もなかったということでいいですね。

太田政府参考人 記憶がない以上、一億六千万を肯定も否定もできないんだろうと思います。

宮本(徹)委員 肯定も否定もできない。都合が悪くなると、ほかのところは詳細に覚えていても、すぐに肝心なところは記憶がないで逃れる。複数出ていて、みんなそろって、都合が悪いところだけ記憶がなくなるなんというばかな話はないですよ。

 もう一つ、私の聞いた中で答えていないんですけれども、幾らまで支払えるのかというのを財務局の側から聞いたのか、この点は確認したんですか。

太田政府参考人 先般の予算委員会でお答えしたことは、先ほど申し上げましたとおり、いろいろなことを全て確認して、それを全て集約してお答えしておりますので、それ以上のことはお答えのしようがございません。

宮本(徹)委員 幾らまで支払えるのかといったことについても記憶がないということですか。肯定も否定もできないということでいいですね。

太田政府参考人 予算委員会でお答えしたことが全てでございます。

宮本(徹)委員 ですから、肯定も否定もできないのかと聞いているんですよ。

太田政府参考人 再三で恐縮ですが、ですからと言われれば、ですから、それが全てだと申し上げております。

宮本(徹)委員 ひどい答弁ですね。

 幾らまで支払えるのかというのを財務局の側から聞いたというのは大問題ですよ。これは繰り返し、繰り返し流れていて、しかも検察筋の情報としても流れているわけですよね。

 やはり、近畿財務局の当事者にこの場に来ていただいて、記憶を呼び覚ましていただくということが私はどうしても必要だと思いますよ。

 委員長、池田近畿財務局、当時の統括官を本委員会に証人として呼ぶことについて求めたいと思います。

小里委員長 理事会で協議いたします。

 締めてください。時間です。

宮本(徹)委員 率直に、これだけ音声データも出て、メディアでも報道されていることについて、そういう記憶がないということで全部済ませるというのは、加計学園の問題と一緒でして、これは国民の不信はますます深まるだけだということを厳しく指摘して、質問を終わります。

小里委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 私は、日本維新の会として質問させていただきますが、建設的に、提案型の質疑ということで、この国の政治、政策を前に進めるということで質疑をさせていただきたいと存じます。

 それで、三年、四年ぐらい前になるかもしれないんですが、麻生大臣、もう五年目ということでいらっしゃいますけれども、従前、私はこの委員会で、レーガン・ブッシュ・アドミニストレーションという言葉を使って麻生副総理に激励をさせていただいた記憶があります。

 現在の安倍政権も、やはり麻生副総理による、一緒の形での、レーガン・ブッシュに例えさせていただいた形での五年間の政権運営でいらっしゃるというふうに思っておりますので、久々に登板させていただくということで、お礼を申し上げつつ、また、建設的に話を進めさせていただきたいと思います。

 森友の問題がきょうは自民党の最初の質問者から出たり、今も共産党さんから出たりということで、森友学園の国有地売却の問題、これは私、一方的に意見を言わせていただきますけれども、昨日、我が党の片山共同代表が参議院の方の予算委員会の質疑で麻生大臣の答弁をいただきましたけれども、異例ずくめだという当方の指摘に対して、会計検査院の指摘事項を踏まえてきちっと対応をしていくというお言葉があったかと思います。先ほどの質問では、公明党さんの遠山委員が年度内に答えをひとつ出してはいかがかということもおっしゃられましたし、野田前総理は、財務省の全体の信用にかかわるというお話もありました。

 この点、全体を踏まえ、また罰則規定などの明確化もしっかりしていただいて、ぜひ、官庁の中の官庁と言われる財務省さんがよりよくなっていただくことを望み、前に政治を進めていただきたいとお願いを申し上げます。

 さて、私ども維新は、きのう夕方、新橋のいわゆるSL広場の前のところで、月に一回街頭活動をさせていただいていますけれども、その中で、私も久々に都会の真ん中で話をさせていただいたということですが、目の前に見えるところは喫煙コーナーなんですね。それで、その方々に向かって、たばこ三円とか、きょうの新聞は三円五十銭、三・五円で出たかと思いますけれども、たばこの値上げの話が直近も与党内で議論されているやに伺っております。増税ということになるわけであります。

 また、私は、この言葉はぜひ安倍総理あるいは麻生副総理に直接伝えたいということで選挙中も有権者の皆様とお話をさせていただきましたけれども、増税をする前に国会議員の給料を下げてはいかがかということで、八十五歳のおばあちゃまは、消費税について、消費税を上げる前に国会議員の給料を下げてと。そして、後期高齢者になりたての、まだ若く見える女性の、おばあちゃまと言ったらいいのか、お姉様と言った方がいいのかわかりませんけれども、七十五歳の方は、年金について触れられて、年金を下げる前に国会議員の給料を下げてということを言われました。

 一方で、人づくり革命の関係で二兆円規模の政策を打つ、そして、その財源は消費税一〇%への引き上げに伴う増収分の一部だということが所信的挨拶の中の発言でございました。

 我が党の話をして恐縮でございますけれども、我が党は、御案内かと思いますけれども、身を切る改革ということで、まずは、その身を切る改革、国会議員が給料を下げる、地方議員が給料を下げる、そこで先鞭をつけて、行財政改革を国も地方も行っていくということで考えておりますし、我が党は、国会の場合は、維新の国会議員に限りでありますけれども、衆参全議員が自主的に、最終的な毎月の給料から十八万円を、寄附という形ですけれども、被災地にまとめて持っていって、給料引き下げを実行している。

 また、大阪の議会では、府議会ですけれども、議員定数削減、給料削減、これを六年前に行って、それをきっかけに、増税をしないで同じ六年前に私立高校の授業料無料化を実現しています。

 私どものやればできるという政治家の姿勢とあわせて、冒頭申し上げたおばあちゃん方の声、これが本当に率直な庶民の声ではないかと思うんですけれども、こういった生の現場の声というところに、時の政権を担われている麻生副総理・財務大臣・金融大臣に御答弁、感想というか、どう受けとめられるかを聞かせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 身を切る改革の観点からは、これはもう御存じのように、財政事情というのは極めて厳しい状況にありますので、これは国家公務員の総人件費につきましては抑制を図ると同時に、いわゆる行政事業レビュー等々で予算への反映などを通じて歳出の効率化というものは、私どもとしては不断に取り組んできたところだと思っております。

 国会議員の歳費のあり方では、これは民主主義の根幹にかかわることなので、これは金がある人はいいかもしれませんけれども、金がない人は選挙に出られないということになりかねないんじゃないですかという話はよく言われている話なので、おまえみたいな金持ちにはわからぬよとよく言われますので、私の方からこれをやりますと言うと、おまえみたいな金持ちはできても俺たちはできねえよと共産党の方から昔言われたことがありますので、すごく記憶があるんです。その方は亡くなられましたのであれですけれども。

 私どもは、この話はすごく、国会議員というものより、民主主義の根幹にかかわるということになりかねませんから、これはよっぽど各党各会派でしっかり御議論いただくべきものだと考えておりますので、維新でいろいろやっておられるというのは、それはそれなりに、党としての見解として全然、御自分たちでなさっておられるのでよろしいかと思いますが、それを他党にも全部同じことをと要求されるのであれば、それは各党各会派の御了解を得られないと、なかなか事は前に進んでいかぬだろうなという感じはいたします。

杉本委員 関連するかもしれないんですけれども、今は国会議員のことについて言っていただきましたけれども、現場のおばあちゃんの声、生活するおばあちゃんの消費税に対する思いだとか、あるいは年金が減ることへの思いといったことも、ぜひこの機会に副総理にお届けさせていただきたいし、しかと聞いていただいたという解釈をさせていただきます。

 次に、ちょっと関連しますけれども、公務員人件費の引き上げに絡む、あるいは退職金は下がるようですけれども、そういったことについて質問をさせていただきます。

 この特別国会で、内閣委員会に提出されているようでございますけれども、一般職の職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案、内閣官房、特別職の職員についても同内閣官房、国家公務員退職金手当等一部を改正する法律案、これも内閣官房、裁判官の報酬に関する法律の一部を改正する法律案、法務省、検察官の俸給についても法務省、そして、防衛省の職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛省という法律案が提出されて、法改正が行われ、私の記憶では三年連続で公務員の人件費というのは引き上げられているかと思いますが、今度四年目に突入するということになるかと思います。

 この法改正で一体給料は幾ら、全体のプールとしてどれだけふえてしまうのか、逆に、年金は減らすという方向なんですけれども、どれだけ減るのか、この点を伺いたいと思いますけれども、この法改正によって惹起する地方公務員の人件費増は千六百七十億円の増加になるとも聞いておりますので、地方への影響も大きいということでございますけれども、具体的な歳出削減の方向づけの中でどういう感じで考えていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。

うえの副大臣 今回の国家公務員の給与改定を実施した場合の所要額は、約三百二十億円と試算しているところであります。一方、今回の退職手当の支給水準の引き下げによる影響額は、内閣人事局が試算したところによりますと、約百三十億円の減少が見込まれるとのことであります。

 これらから機械的にネットの増減を算出した場合には百九十億円の増となりますが、給与改定の所要額及び退職手当の支給水準引き下げによる影響額については、統一的な試算方法をとることができませんので、厳密な意味でのネットの増減をあらわしたものではないということは御理解をいただきたいと思います。

杉本委員 ネットの答えまで言っていただけないかと思っていたんですが、一応単純計算でという御回答だったかと思います。

 次に、安倍政権五年目という話がよく出ておりますけれども、国、地方合わせて人件費は一兆円ふえたということを聞くことがございますが、確かに、観光立国を目指している我が国にとって、もう席を外されましたけれども遠山委員は指摘されておりましたけれども、税関職員、密輸であるとか脱税といった問題に、あるいは観光客の増加ということに対して、税関職員の増員というのは確かに私も必要だと思っております。また、海上防衛等の関係でも、海洋国家日本としては海上保安庁職員の増員も必要かと拝察しています。

 一方で、AI活用の時代を迎えて、頭脳労働と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、そういった職域の方々がAIに代替されていくというような研究もなされているということで考えておりますけれども、こういった点、政府に限らず民間でもそういったAIへの人材の代替ということも懸念される状況にあります。

 やはり人件費は抑え目にしなきゃいけないですけれども、一方で、本省職員の方々、質問が遅いとかいろいろ、ないように私も努力したいと思いますけれども、そういったこともあったりして、あるいは予算編成であったりして、大変遅くまで仕事をされるということがある一方で、きのうも私ども維新の片山共同代表、参議院予算委員会で、たしか総務大臣に質問する形をとったかと思いますけれども、国の出先機関の人件費、ここは切り込めるのではないだろうかといった類いの質問を申し上げたかと思っています。

 この点も考慮していただきつつ、所信的挨拶の発言の中で、「平成三十年度予算は、経済・財政再生計画の集中改革期間の最終年度に当たる予算でもあります。一般歳出の水準等の目安を踏まえ、歳出全般にわたり、安倍内閣のこれまでの歳出改革の取り組みを強化しつつ、」こう述べられましたので、人件費の増加抑制といった点と大臣の御発言との整合性といった点で御答弁いただければと思います。

うえの副大臣 経済・財政計画におきましては、国家公務員総人件費を含む一般歳出の目安を設けておりますので、平成二十八年度予算、二十九年度予算においては、二年連続でこの目安を達成しているところであります。

 公務員の人件費につきましては、いわゆるアベノミクスによりまして民間給与が上昇する中、人事院勧告に基づき改定を行うことで公務員人件費がふえるという側面はございます。一方で、経済・財政再生計画を踏まえ、給与制度の総合的見直しの実施やあるいは定員合理化等によりまして人件費の抑制を図っているところでもあります。

 平成三十年度予算におきましても、国家公務員総人件費を含め、一般歳出の目安等の達成に向け、歳出改革を進めていきたいと思います。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 人件費全体のプールとして考えると、ふやすというよりは横ばいないし減らすということですが、やはり、成果主義というような意味で、民間に限らず最近は官公庁もそういう方向にあると思いますけれども、より成果主義という形で、よく働いていい成果を出した人は給料をたくさん出してあげるけれども、あなたはぼちぼちだったり余り働いていなかったりという方は抑え目にしていただいて、全体のパイとしてはふえないような努力をぜひともしていただきたいとお願いを申し上げます。

 それと絡むんですけれども、一九九〇年ごろに、たしかデビッド・オズボーンという人が書いた「行政革命」という本がありまして、御案内の方は余りいらっしゃらないかもしれませんが、私は亡くなられた鳩山邦夫先生にそれを読んでくださいとお渡ししたことがあった記憶がありますけれども、「行政革命」というすごい古い本で、アメリカのカリフォルニア州で予算を削った人に給料を厚くするよというのが非常に印象に残っている話なんです。

 そういった話とちょっと関連するかもしれないんですが、また、今から申し上げることは前に予算委員会で、麻生副総理・財務大臣、金融大臣を兼務されていたかどうか記憶にないんですけれども、質問をさせていただいた記憶がございますが、改めて大臣から御答弁いただきたいと思うのは、財政法六条で、各会計年度において歳入歳出の決算剰余金のうち二分の一を下らない金額、「他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。」こう財政法六条はうたっております。

 私は、従来より、というか今申し上げたようなことで、予算消化主義というようなことをとめて、この法律でうたわれているような予算剰余主義というようなものを、冒頭申し上げた「行政革命」にも書いてあったかと記憶していますけれども、そういった行政の方向転換をしていく時期に、本当に財政の危機のときに行っていくべきではないか。

 先ほど野田前総理は三党合意の話をされ、魂の話をされましたけれども、さらに踏み込んで、予算の使い方。もう昔から、年度末になると工事が多い、庶民の皆さんはそう言うし、我々もまた、そうですねなんという話を地元を回るとしなきゃいけないということではなくて、予算を余らせた人がボーナスをたくさんもらうとか給料が翌年度ふえるとか、そういう方向づけの政治に本当に変えていく必要があるのではないかと私は思っておりますけれども、この財政法六条の意義、あり方について、改めて麻生大臣の御答弁をいただければ幸いでございます。

麻生国務大臣 三月ごろになるとよく工事がふえるという話は、一宮に限らないでどこでもある話なんだと思っておりますけれども。

 決算の剰余金の扱いの話ですけれども、国債の償還に充てられるというのは間違いなく事実なんですけれども、剰余金を発生させるということを意図して予算編成とか予算を執行しようと思ったら、それはちょっと適切じゃないのであって、やはりきちんと合わせるというのが本来あるべき姿なんだと思っております。

 いずれにしても、無駄のない予算編成ということになるのが一番適切な執行の状況なので、余らせたらというと、これは全ての人が善意な第三者という保証は全くありませんから、そういったのを意図的にやられるということになりますと、その部分だけ不必要に予算の執行をわざとというようないろいろなことが考えられますので、ここのところはやはり、きちんと全部使い切らねばならぬというわけではありませんけれども、適切にきっちり年度末に終わらせるというような形にするというのがやはり大切なところなので、予算をあらかじめ緩めておいてやるというのはちょっといかがなものかという感じがいたします。

杉本委員 きちんと合わせる予算を組んでいくんだという御意向かと思います。

 例えとしてよくないかもしれませんが、私も銀行に二十数年おりまして、仲間たちは外資系に行ったり独立してコンサルタントをやったりという中で、結構、役所から、一億ぐらい予算を上げるからリサーチをやってくれないかというような話を受けて、杉本、何かいい話はないかと、民間にいたときの話ですね、そんな話を独立したコンサルタントの人間から聞いたことがあります。

 そういった無理に予算を使う姿勢というのが本当にないのかどうかという点は、今大臣から御答弁いただきましたけれども、きちんと合わせるという予算になるようにやはり厳しい査定をしていただかないと、あえて言いますが、環境関連のコンサルタントだったかと記憶しておりますけれども、世の中の流れがそっちの方向に行くとお金がそっちの方にいっぱい出ていくということがあってはならないと思いますので、大臣の御答弁を尊重して、適切な予算編成をぜひともお願いしたいと思っております。

 プライマリーバランスというか、むしろ、きのうの大臣のお話ですと、基礎的財政収支と言った方がいいというお言葉もありましたけれども、野田前総理からも御質疑がありましたので、ちょっとこれは飛ばさせていただいて、金融庁のあり方も、申しわけございません、時間がなくなったので、時間が残ればちょっと披露させていただきたいと思うんですが。

 今、一宮というふうに大臣から言っていただきましたけれども、つい数日前に、「高速道に財政融資一・五兆円 来年度、財務・国交省が調整」という見出しが躍りました。最近、新聞の信頼性というのが揺らいでいるやに、いろいろな発言があったりして、新聞報道があれば全部信じていいかという部分もありますけれども、今次報道がございまして、財政融資資金一兆五千億円、これを日本高速道路保有・債務返済機構に貸し付けるというような流れがあるやに聞いております。

 例えばですけれども、今、一宮と言っていただきましたけれども、私の地元愛知県の一宮、愛知県は、そもそも日本のへそであり、物づくりの大拠点、例えばの話ですけれども、愛知でいえばそういった大都市環状道路の整備あるいはそれに直結する周辺道路、こういったところは極めて大事だと思いますが、私どもの地元は、名神高速と東海北陸道が交差する一宮ジャンクションというのがあるんですけれども、特に平日大渋滞で、経済、物流の、生産性革命なんというお言葉が躍っていますけれども、生産性を低下せしめているというふうに私は理解しております。

 例えばの話ですけれども、こういった大都市環状道路の整備、こういったものを、低利のお金を使っていくことによって生産性向上に寄与するということも推察できると思いますけれども、効率的なお金の集め方、使い方、こういった点で、報道がありましたけれども、財務省としてどういうお考えなのか、御答弁いただければと思います。

うえの副大臣 大都市圏環状道路等につきましては、本日、国交省より、現下の低金利状況を生かし、整備を加速するため、高速道路機構に対する一・五兆円の財政融資の追加要求がありました。

 物流ネットワークの整備は生産性を向上させる極めて大きな要素であり、財務省としても、大都市圏環状道路等の重点投資の加速に向けて、検討を進めてまいりたいと思います。

 具体的な箇所につきましては、足元の事業の状況等を踏まえ、整備加速が見込まれる箇所を想定して議論していきたいと思いますが、お尋ねのバイパスにつきましては、現在まだ国交省の方で整備方針を検討中ということを聞いておりますので、今回の財投活用の対象とは想定をしておりません。

杉本委員 ありがとうございます。

 対象地域というのは限定されても、広く、またよく精査をしていただいて進めていただければと思っております。

 次に、最近入札があった超長期国債について質問させていただきたいんですが、数日前、先月二十八日に実施した四十年物国債の入札はやや不調だった。三十年債、四十年債などの超長期国債の調達は、私は非常に実は意義があると思っています。

 なぜかといえば、イールドカーブというか、低金利で長短金利差が大分なくなって、相当フラット化しているということなので、この超長期ゾーンの資金調達をすることによって、いわゆる返済の、当座の返済がどっと来るというのを防ぐというようなこともできますし、非常に安定的に低利で長期間のお金を借りるということができると思います。

 イギリスなんかですと五十年債というのがあったりとか、あるいは、学者等の研究者によると、百年債、永久債といった調達の仕方もあるやに聞いていますけれども、お金は返済するにこしたことはありませんけれども、安く調達するということ、安定的に調達するということも国として極めて意義があると思います。

 イールドカーブがフラット化している今こそ、超長期の低金利調達を考えていくべきかと思いますけれども、現在の財務省のお考えをお聞かせいただければと思います。

うえの副大臣 御指摘のとおり、超長期債の発行をふやせば、例えば短い年限の国債を出した場合に生じる当面の債務償還及びその借りかえの際の金利上昇リスクを回避することが可能となります。一方で、一般に、超長期債の調達金利は短い年限のものよりも高くなるため、利払い費が増加をするということになります。

 このように、超長期債の発行につきましては、リスクとコストがトレードオフの関係にあることに留意が必要だと思います。

 また、超長期債を含め国債の確実かつ円滑な発行と中長期的な調達コストの抑制を図るためには、市場のニーズ、これに即して発行するということが不可欠だと考えておりますが、この点、五十年債等の超々長期債につきましては、投資家の皆様の幅広いニーズというものが見込まれるわけではなく、その安定的な消化が困難になるおそれがあろうかと思います。

 したがいまして、あえてこれを発行しなくても既存の国債により必要な額を調達できていることから、発行は検討していない、そういう状況であります。

杉本委員 国債マーケット、日銀さんが大分国債を買っちゃって、もう干上がっちゃっているという状況かと思いますし、コストと言われましたけれども、かなりイールドカーブはフラットニングしているので、そういった意味では、市場ニーズがないという、政府のきのうの質問取りをいただいたときの担当者の答えを私聞いていましたけれども、本当に市場のニーズがないかというと、恐らく生保とかあたりは本当は買いたいというのが、三十年債、四十年債よりもっと長いゾーンであったりとかというふうに私は感じていますので、この点、市場ニーズというのをより的確に把握していただいて、コストもそんなに高くなく調達できるという点も考えて、改めてこの超長期ゾーンというものを捉えていただけないかなというふうにだけ加えさせていただきます。

 ちょっと若干だけ時間があるようなので、大臣が金融大臣としておっしゃられた、「いわゆる金融処分庁の印象から金融育成庁への転換」という表現をされました。

 私も、銀行で融資担当課長をさせていただいたとき、相当金融庁に御指導いただいて、本当に検査が終わったときにほっとして安堵したという記憶がなかなか消えないんですけれども、一方で、育成庁という意味では、一方的にちょっとお話ししますけれども、私、現在のみずほですが、当時日本興業銀行というところにいまして、人事部で採用とともに研修を担当しておりました。

 その研修の中で、為替ディーリング研修というのを、もう時効だと思うので申し上げますけれども、三十年ぐらい前に、チーフディーラーとかと相談して、人材発掘もニーズとしながら、本当に実践のディーリングを研修してみるというのをやりました。こっそりですけれども、当時のMOF、大蔵省、今の財務省さんの担当者、そして日銀の担当者をお呼びして、この研修に参加していただきました。そうしたら、本当に勉強になって、生の現場がわかったというお言葉をいただけたというのが実情でございました。

 官民交流とかそういう言葉はよくありますけれども、なかなか監督官庁が現場に行って研修するというのはできない話でもあると思いますけれども、何らかの工夫をして、やはり現場の状況を、反対サイドというんですかね、監督する側が監督される側の状況をよく知るというのは極めて意義があると思いますので、そんな研修を昔していたということで、その話を披露させていただきながら、金融育成庁への具体的な政策、これから何かあればちょっとお披露目いただけないかなと思っておりますが、いかがでしょうか。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 金融を取り巻く内外の環境が急激に変化する中で、多様化、複雑化する行政課題に的確に対応していくためには、御指摘のとおり、金融行政を支える職員一人一人が資質を向上させていくよう、組織として計画的に人材育成を進めていく必要があると考えております。

 そうした観点から、御指摘いただきましたけれども、既に民間金融機関や事業会社へ金融庁職員を派遣して民間の実務経験を積ませること等により、内部人材の能力向上のための取り組みを進めているほか、外部専門人材の積極的な登用を行うことを通じて最先端の知見を組織に取り入れるよう努めているところでございます。

 今後は、こうした取り組みをさらに積極的に進めていくとともに、人事評価を初めとする人事面での改革を通じた金融行政の質の向上に不断に取り組むことにより、金融育成庁への転換をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

杉本委員 時間となりました。御答弁ありがとうございました。

小里委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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