衆議院

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第5号 平成30年2月28日(水曜日)

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平成三十年二月二十八日(水曜日)

    午後零時五十四分開議

 出席委員

   委員長 小里 泰弘君

   理事 あべ 俊子君 理事 井林 辰憲君

   理事 津島  淳君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 義家 弘介君 理事 海江田万里君

   理事 岸本 周平君 理事 斉藤 鉄夫君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    勝俣 孝明君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      国光あやの君    熊田 裕通君

      小泉 龍司君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    柴山 昌彦君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      田所 嘉徳君    田畑  毅君

      武井 俊輔君    中山 展宏君

      西田 昭二君    藤丸  敏君

      古田 圭一君    本田 太郎君

      牧島かれん君    御法川信英君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      川内 博史君    末松 義規君

      高木錬太郎君    青山 大人君

      稲富 修二君    近藤 和也君

      前原 誠司君    遠山 清彦君

      野田 佳彦君    宮本  徹君

      杉本 和巳君    青山 雅幸君

      鷲尾英一郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   防衛大臣政務官      大野敬太郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  澤井  俊君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      宇野 雅夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   大鹿 行宏君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (国税庁次長)      藤井 健志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           馬場崎 靖君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 和田 浩一君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   政府参考人

   (観光庁次長)      水嶋  智君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長)           北村 隆志君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     田所 嘉徳君

  柴山 昌彦君     熊田 裕通君

  武井 俊輔君     杉田 水脈君

  本田 太郎君     上杉謙太郎君

  御法川信英君     宮路 拓馬君

  山田 賢司君     古田 圭一君

  青山 大人君     稲富 修二君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     本田 太郎君

  熊田 裕通君     西田 昭二君

  杉田 水脈君     金子 俊平君

  田所 嘉徳君     国光あやの君

  古田 圭一君     山田 賢司君

  宮路 拓馬君     御法川信英君

  稲富 修二君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     武井 俊輔君

  国光あやの君     石崎  徹君

  西田 昭二君     柴山 昌彦君

    ―――――――――――――

二月二十七日

 消費税増税の中止、税の集め方の抜本的見直しに関する請願(宮本岳志君紹介)(第二一〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第二一一号)

 消費税増税を中止して五%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(小沢一郎君紹介)(第二一二号)

 同(矢上雅義君紹介)(第二六六号)

 消費税増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二四五号)

 同(藤野保史君紹介)(第二四六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四七号)

 同(宮本徹君紹介)(第二四八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二四九号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(笠井亮君紹介)(第二九六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 国際観光旅客税法案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

小里委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。

海江田委員 まず、本日、当委員会に先立って、予算委員会で質疑の打切り、そして採決という事態に至りました。これは野党の同意なしの採決でございますから、厳重に、私ども、議会の一員として抗議をしておきたいと思います。

 その上で、当委員会では、粛々と、この二月の末日に税法の審議をするということで、関係各位の御協力に対して感謝を申し上げます。

 それでは質疑に入らせていただきますが、まず、安倍総理、お久しぶりでございます、どうも。きょうは時間も限られております。安倍総理は、これまで連日予算委員会に出席をされておりましたが、予算委員会は、もちろん歳出の内容を決めます重要な委員会でございますが、当委員会も歳入を決めます大変重要な委員会でございます。内閣総理大臣は、言うまでもございませんが国政全般を取りまとめる大事な立場でございますので、ぜひ、この歳入委員会の議論にも積極的に耳を傾けていただきまして、そして、お考えなども披瀝いただけますと幸いでございます。

 そして、私は、当委員会の理事としまして、当委員会での議論はつぶさに聞いてまいりました。時には発言もいたしましたけれども。ですから、私は、きょうは与党からの質問がないということでありますので、この財務金融委員会でこれまで議論を積み重ねました、その中で出た論点と申しますか、こういう問題が、やはり今回の歳入法の中には問題がありますよということを指摘をして、それに対する総理のお考えをお聞きしたいと思います。

 まず最初は、やはり税法、税制ですね。税制が所得再分配の機能があるということでございますが、税法における所得再分配の機能というものを総理はどうお考えになっているのかということをお尋ねしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 税における所得の再分配機能について御下問があったと思いますが、格差が固定しない、あるいは許容し得ない格差が生じない社会を構築していくことは重要な課題だ、こう考えております。

 これまで安倍内閣においては、税制について、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率引上げ、給与所得控除の見直し、金融所得課税の見直し、そして相続税の見直し等を講じ、随時実施をしてきたところであります。

 例えば、平成三十年度税制改正においては、基礎控除について、所得二千四百万円超えから逓減し、所得二千五百万円超えから消失する仕組みに見直すこととしており、所得再分配機能の回復に資するものと考えているところであります。

 いずれにせよ、再分配機能のあり方については、経済社会の構造変化も踏まえながら、税制を含めて引き続きよく考えてまいりたいと思っております。

海江田委員 今、税制の持つ所得再分配機能を強化したい、方向性としては強化したいというお話がございましたけれども、当委員会でこれまで議論された中身では、特に今回のこの税制改正では、その所得再分配の機能が十分強化されていないんではないだろうかという意見が多く出ていることは事実であります。その一つが、やはり金融所得に対する課税が全く手をつけられなかったということであります。

 言うまでもありませんが、金融所得、もちろん預貯金の利子もございます、株式の配当もございます、それから株の譲渡益もございます。こうしたものが今、いっときは軽減で一〇%になりましたが、それが二〇%に戻ったということは事実でありますが、それは数年前のことでありまして、しかもその一〇%にしたときは、やはり株価が低迷をしたときでありますから、緊急避難的に一〇%にして、それを本則の二〇%に戻したということで、これからこの二〇%を更に高めていくということはやはり一つ考えられるのではないだろうか。

 その考え方としまして、高めていくんだったらどういうやり方でやるのか。他の所得と一緒に総合課税にするのか、あるいは分離課税はそのままで残して、分離課税の二〇%を例えば三五%にするとか、こういうやり方もあるわけでありますが、まず、今回、金融所得課税について一切手を触れなかったということについてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。できたら総理の方がいいんですが。

麻生国務大臣 この問題につきましては、今御指摘のありましたように、平成二十六年度から、いわゆる分離課税としていわゆる軽減税率とさせていただいて、あれは本則の二〇から一〇に引き下げておったものを、平成二十六年度から一〇%上げて、二〇%の本則税率に戻したというのがそのもとであります。

 したがって、これが今、イギリスなんかも大体二〇ぐらいだと記憶しますけれども、他国に比べて特にぬきんでて低いわけではありませんし、やたら高いわけでもありませんので、いろいろな評価の出てくるところだとは思っております。

 ただ、今、私どもとしてもう一点考えておかねばならぬのは、日本の場合、一千八百四十五兆円という個人金融所得のうち約九百五十兆円前後がいわゆる現預金ということになっておりますので、この預金を投資等々に振り向けていってもらわないとということで、私どもとしては、NISAとか、いろいろな形でそういったものに、預金より投資、貯金より投資ということに向けさせていきたいという、私どもとしての、金の流れとしてそういう考え方がありますので、今申し上げましたように一〇から二〇に上げてまだ間もないところでもありますので、この流れを少々見させていただく時間をいただかねばいかぬと思っておりまして、平成三十年度の与党の税制改正大綱におきましても、そういったものに対して総合的に検討する必要があるということを考えております。

海江田委員 麻生財務大臣のお話は何度も承っておりますので、なるべく安倍総理にお願いをしたいと思いますが。

 今、麻生大臣からもお話がございました。金融所得の中で預貯金が多いというのは、これはそのとおりであります。ただ、この金融所得の中で預貯金が多いというのは、国民性などもありますが、あと、比較的所得の小さい人も、やはり一生懸命になって、老後が不安ですから、貯蓄をしているわけであります。

 私が金融所得の課税を申し上げていますのは、あくまでも格差の是正、あるいは税の持つ所得の再分配機能の点から申し上げているわけですから、例えば、そういう意味でいうと、所得が一億円以上の人がやはり株をたくさん持っているというデータはあるわけです。そして、その配当がまさに二〇%の課税、あるいは売却益もそうですけれども、それが二〇%の課税になりますと、片一方で三五%とかいう税率と比べて低いんじゃないか、結果的に金融所得を持つことによってその人の納める税金の税率が下がってしまうんじゃないだろうか。ここをどう考えるかということを申し上げているわけであります。

 いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これはもう、私どもは、いろいろな御意見がありましたので、この点は平成三十年度の与党税制改正大綱の中において、きちんと申し上げますけれども、家計の安定的な資産形成を支援するという点と税負担の垂直的な公平性を確保するという観点から、関連するいわゆる各種制度のあり方を含め、諸外国の制度、またマーケットへの影響等々も踏まえつつ、総合的に検討するということを平成三十年度の与党税制改正大綱の中でやっておりますので、私どもはこれに沿いまして丁寧に検討する必要があろうと思っておりますので、次上げていきなり、二〇に上げてすぐですから、やっと株が上がってきたからといってまたぞろ上げるという、ちょっとタイミングの点もあろうかと思いますが、これが引き続き上がり続けていくか、これがちょっと何となくよくわからぬところなので、一日で千円も上がったり下がったりするような、ボラティリティーが高い時代なので、ちょっと何となく、今、そういったところもよく見きわめないかぬところかなという感じはしております。

海江田委員 上げて上げてとおっしゃいますけれども、先ほど来お話をしているように、緊急避難的にやはり下げたんですよね。それが常態に戻ってきた。あるいは、その中には、実は日銀のETFによる買い支えでありますとか、あるいは年金の資金による買い支えだとか、こういう市場をゆがめるようなものもあるわけでありますけれども、やはり本則は二〇%であったということ、これは忘れてはいけないことだと思います。

 それから、市場に対する配慮というのも、実は私どもも一番気にしていたのが、一〇パーから二〇%に戻したときに市場がどうなるのかということに注目をしておりましたけれども、ただ、市場はそれほど大きな影響を受けなかったということがデータ的にはっきりしておりますから、ぜひこれは来年度の予算で、野党の意見もよく聞いていただいて、そして本委員会での議論もよく踏まえていただいた方向で改正をしていただきたいと思います。

 それからもう一つ、これは先ほど安倍総理からもお話がございましたけれども、給与所得控除の問題でありますね。給与所得控除につきましては、今回、年収八百五十万円のサラリーマンから、これまでの階段が緩やかになっていったということが大きな一つの柱になっているわけですね。

 私は、よもや総理も、八百五十万の方たちがいわゆる高所得者だとは考えていないと思うんですね。特に都市部におきましては、八百五十万円というのはいわゆる中間層でありますよ。この中間層の旺盛な消費意欲、こういうものに水を差すことになりはしないだろうかということで、やはりこれはかなり当委員会の中で議論がありました。ですから、残念なことでありますけれども、給与所得控除、確かに天井はつくりました。

 天井はつくりましたけれども、これは従来からあった話でありまして、今度新たに設けた、八百五十万円以上の人たちの給与所得控除の額を減らすということ、このことは、格差是正どころか、むしろ、やはり一番の中堅層から負担を多くして、そしてこの人たちの消費の意欲をそぐことになる、こう思っておりますので、その点についてはいかがでしょうか。これはぜひ総理に。

麻生国務大臣 この八百五十万円超にした理由というところなんでしょう……(海江田委員「いや、そんなことは聞いていません。まあ、いいですよ、どうぞ、要らないですが」と呼ぶ)ちょっと、質問に答えていないと意味がないので、ちょっといいですか。(海江田委員「もう一回言いましょうか」と呼ぶ)もう一回言ってくれる。八百五十万超にした理由なんじゃないの。

海江田委員 その理由はあるんですよ。それはありますよ、八百五十万円にした理由というのは。一千万のところから来てという話もありますけれども、そうじゃなくて、結果的にそういうことになると、これは、やはり中間層は大切なんですよ、消費の意欲も一番旺盛ですから。そういうところに実質的な増税につながっていきますから、これは。それ以下の人たちは、給与所得を十万円減らして基礎控除が十万ですから、イーブンですよ。だけれども、八百五十万からの人たちは、これはやはり増税になる。

 それから、先ほど申し上げなかったけれども、例えばこの世帯の人たちにいろいろな給付があるわけですよ、社会保障の制度から、不妊の治療だとか。そういうものも援助がなくなるとか、かなりこの層がその意味では実質的な手取りの収入が減ってしまうことになりますから、そのことが、これはやはり消費の拡大につながらなくて、むしろ消費を控えてしまうことによって、それこそ、おっしゃっている景気の好循環というものにつながらないんじゃないですかということを指摘しているわけです。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、この給与所得の控除ということで、私どももその八百五十万円が高所得者と思っているわけではありません。それは、我々のところよりはるかに高い、世の中、上には八百五十万円より高い方、いっぱいいらっしゃいますので、そういった意味では、私どもとしては、主要国の概算の控除額と比べて過大となっているのではないか等々踏まえて、控除が頭打ちとなる給与収入というのを八百五十万に引き下げることにさせていただいたんですが。

 ただ、言われたように、例えば子育て家庭とかいわゆる身体障害者等々の介護を抱えておられる方々に配慮するというようなことをやらせていただいておりますので、結果として、税制の頭打ちのところを改定することによっても、大体、給与所得者の方々のほぼ九六%ぐらいの方々にはいわゆる負担増にならないという見込みなんだ、私どもはそう思っております。

 また、いわゆる限界消費性向という難しい言葉がありますけれども、所得が高いほど低くなる傾向にあるのも確かなんだと思いますので、したがって、消費というものを含めましたいわゆる生活というものへの影響は極めて限定的なんだ、今回のことに関しましてはそういうぐあいに考えて、この八百五十万円という額は、そういった消費をばっと減退させるというようなことにはならない、そういうふうに思っております。

海江田委員 所得が高いほど限界消費性向が低くなるというのは、これは八百五十万とか一千万の話じゃありませんで、一億だとか二億だとか、そういう人ですよ。こういう人はもう買うものもないわけですから。だから、その説明は当たらないと思いますが、ただ、それをやり出しますとまた時間が過ぎてしまいますので。この中で出た議論を御紹介してお話をしているわけですから、特に安倍総理に聞いていただきたいという思いで質問しているわけですが。

 あともう一つ、やはりこれも安倍総理の肝いりと申しますか、所得拡大促進税制ですね。賃金を上げなければいけないということで、特に所得拡大促進税制、従来もありましたけれども、それを拡大をした。まさに所得拡大の促進税制のメリットを更に大きくしたということになるわけであります。

 雇用継続の雇用者の給与等支給額が対前年度増加額三%以上であれば、給与等支給総額の対前年度増加額の一五%の税額控除ということですね。これは税額控除ですから、大きいわけですよね。ただ、これは、安倍総理、よくお聞きいただきたいんですが、今私があえて読みましたけれども、継続雇用者給与等と。この給与等の等が問題なんですよ。

 それはどういうことかというと、給与というと、一般の賃金、それから歳費だとか、いろいろございます。この制度は前からあった制度でありまして、俸給、給料、賃金、歳費、それから最後に、及び賞与というものがついているんですよ、この給与等の中に。

 しかも、これは三年の時限立法でしかないんですよ。未来永劫これが続くわけじゃなくて、たった三年間、三年間給与等を対前年度比三%以上増加をさせたら、今言いましたけれども、税額で一五%するよ、こういうことですから、この制度を利用しようと思ったら、私が経営者ならばどうするかというと、わかった、では三年間、賞与をふやしましょう、本給の方には手をつけずに、給与の本体に手をつけずに、賞与を増額しましょう、これで一五%の税額控除が受けられるわけですから。

 そういうふうになってしまうのではないだろうかというふうに思っておりますが、この給与を、給与等だけれども賞与は除くとか、本給を上げさせたい、しかも継続的に上げさせたいと思うのなら、それから時限の三年をもっと延ばすでありますとか、そういうことはやられて当然だと思いますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは、経営者の立場とすれば、海江田先生、なかなか難しいところでして、賞与なら上げるけれども、基本給の、いわゆる本体を上げていくというのは、一回上げたら下げられないということになりますと、なかなかそこのところは踏み込めなかったのがこの二十年間の経営者の姿勢なんだと思うんですね。しかも、デフレが続いていましたから。

 幸いにして、この五年間、流れが随分変わってきましたので、今でも、上がった上がったと言いながら、いわゆる基本的なところよりは、賞与と足して二%ぐらいの形のところで上がってきていますから、そういった意味では、なかなか一回上げたものはまた下げられないという前提に立ったときに、ベースを上げるというのは、かなりみんな腰が引けてくるというのが多分経営者側の感じだと思いますが。

 それでも、賞与と足して上がれば、給与としてはそれなりに上がる形になりますので、私どもとしては、やはり賞与を含めてこういったものを上げていただくというためには、これまでに、平成二十四年度からの比較ではなくて前年度からという形にさせていただいたのも、そういったことを考えておりますので、少なくとも、形としては上げやすいという形になっているし、それは、もらう方の、いわゆる所得者、給与を受け取る側の方にとりましても、全然上がらないに比べれば、少なくとも三%というものは、トータルで上がれば、それはそれなりのメリットもあろうと思いますし。

 給与ではなくて賞与で上がってくると、それだけ使うというのに関しましては、これはボーナスで入ってくるのと給与で入ってくるのは何となく気分も違いますので、そういった意味では、消費につながりやすいという点も含めて考えておかないかぬところだと思って、給与が上がっても、女房が持っていくだけで、大体自分の手元には入らぬのだと言ったあるサラリーマンの方がおられたのが非常に印象的だったんですが、賞与で入ってくるとまだだけれどもなと言われたのが、私もそうだろうなという感じはわかります。

海江田委員 それは、麻生財務大臣と私の認識は全然違います。

 それから、いろいろなデータもありますけれども、やはり、基本給が上がって、それで健全な消費に結びつく。まさにおっしゃった、賞与だからいつどうなるかわからないということであれば、これは財布のひもは緩まないんです。

 それから、あともう一つ。

 これは、税額控除といっても、税金を納めていなきゃ税額控除はありませんから、やはり中小企業の問題ですよ。赤字法人がやはり六割を超えて七割幾つというデータもありますけれども、やはり赤字法人にはこれは全然効かないということで、特に中小企業の賃金を上げてもらいたい、それが景気の好循環が成功するかどうかのメルクマールだということであれば、やはりもっと特段の中小企業に対する配慮をしなければいけない。

 税金を払っていない人ですから、払っていない企業ですから、それは、税制の、税額控除でやるのではなしに、これは委員の中からも提案が出ましたけれども、給付つきの税額控除、むしろ支払いをする。

 あるいは、今中小企業の経営者たちが一番困っておりますのは、社会保険料の半分の負担なんですよ。その社会保険料の負担を軽減されるような措置を講じるとか、やはりそういう施策もセットでなければ、これはなかなか中小企業の賃金というものは上がっていかないと思うんですけれども、いかがでしょうか。そろそろ総理の出番ではないのと思いますが。

麻生国務大臣 いえいえ、まだまだそれは。

 今言われましたように、海江田先生御存じのとおり、これはもう政策税制であります税額控除というのは、これは赤字法人には効果が及ばないというところははっきりしておりますが、見直しを行う前の税制、税額控除制度であります所得拡大促進税制におきまして、平成二十八年度にこの適用件数が約十万件ということになっています。正確には九万五千何件だったかな。そういった意味で、相当数の企業に利用されておるというのがまず現実です。

 また、大企業、中小企業ともに、利益計上というんですけれども、この割合は増加傾向にありますので、そういった意味では、税額控除制度の恩恵を受けられる企業数というのは確実に増加してきている、これはもうはっきりしていると思っています。

 その上で、平成三十年度の今回の見直しについては、これは、先ほども言われましたように、二十四年度に比べて幾ら上がったというような要件にかえて、前年度に比べて賃金を三%上げることにしておりますし、また、設備投資を行うというようなこともあわせて書いてありますので、税額控除を受けられるということになる条件というのは、前のころに比べてはかなり緩和されているのが一点。

 もう一点は、中小企業は三%ではなくて一・五ですから、そういったところも、きちんとそういったものに対応しているということも御存じの上で聞いておられるんだと思いますけれども、その点も確かだと思っておりますので、随分とそこのところは配慮をさせていただいたと思っております。

海江田委員 そろそろ総理に御答弁をお願いしたいと思いますが、有効求人倍率ですね。

 総理は、それこそ本当に全国津々浦々で一を上回ったということをお話しされております。確かにそうなっております。しかし、私は、これは本当に手放しで喜ぶことではないと思っているわけであります。それは、その裏に人手不足があるからでありますけれども。

 総理は、この有効求人倍率が上がったということと人手不足との関係、私は、やはりトレンドとして、有効求人倍率が上がるということは人手不足がこれからますます深刻化するということで、大変深刻な危機意識を持っているわけですけれども、総理はどういう認識をお持ちでしょうか。

安倍内閣総理大臣 人手不足になっていることについては、我々、特に中小企業の皆さんの人手不足感は非常に高まっておりますから、キャリアアップ助成金等の活用等々も踏まえて、しっかりと支援をしていきたいと考えております。

 他方、いわば有効求人倍率がよくなっているということが人手不足だという考え方は必ずしもとらないわけでございまして、実際に、実数として、我々、職の、有効求人の増加が今回の有効求人倍率の改善においては大きく寄与しているのはそのとおりだ、こう思っているわけであります。

 人口が減少していくことによって、例えば、バス会社においては乗降客が減ってまいりますから、いわばバス会社自体がこの状況に対して対応するためには、路線を大幅に減らして人員も減らしていくということになりますので、いわば人口が減少すれば職も基本的にはなくなっていくということに直面をしていくわけでありますし、当然、消費者が減っていけばいわば商売が成り立たなくなるところがたくさん出てくるわけでありますから、それにかかわっている人たちの職がなくなるというのも事実であろうと思います。

 ですから、私たちが述べている有効求人倍率の改善におきましては、有効求人そのものが、今、景気回復に伴う仕事の数の増加、すなわち、有効求人の増加が大きく寄与している、こう思っておりまして、これはアベノミクスの効果であると思います。

 もちろん、今申し上げましたように、分母である有効求職者数も減少しておりますが、これについては、生産年齢人口の減少の影響というよりも、近年の雇用情勢の改善により、事業所都合等で離職する者が減少するとともに、求職者が仕事につきやすくなることで就業者数が増加していることが背景にあるものと考えているところであります。

 いずれにいたしましても、今申し上げましたように、我々、中小企業等の人手不足に対しましてはキャリアアップ助成金の活用、あるいはまた、人手不足に対応するために生産性を上げていくためへの投資については、赤字法人が中小企業には多いわけでありますから、固定資産税を三年間、これは市町村が自主的に決めていくものでありますが、三年間ゼロにするという税制も、我々、メニューとしてつくっているところでございます。

海江田委員 アベノミクスの効果で求職数がふえているといいますが、ふえているのは実は医療だとか福祉のところなんですよ、一番多くふえているのは。これはやはり高齢化の影響ですから、私は、アベノミクスの効果だというのはちょっと過大評価だというふうに思っています。

 もう本当に時間が残り少なくなりました。これは安倍総理にしか聞くことができない質問でございます。

 やはり、先ほどの予算委員会でも、森友学園に対する安倍総理あるいは昭恵夫人の方の関与についていろいろ議論がありましたけれども、この問題で、私、ちょっと最近、本当かいなというような話を聞いたんですね。それは、安倍総理の昭恵夫人が、籠池今被告人ですか、被告人と一緒に森友学園の寄附集めに回っていたということを聞いたんですよ。

 話はいろいろ細かい話があるんですが、ただ、実際にその人から、安倍昭恵夫人と籠池さんが一緒に私のところへ来たよという話は聞いていない。それを又聞きの人から聞いていますから、どれほど信憑性があるかわかりませんけれども。

 ただ、いろいろなことを勘案してみますと、しかも、行った先が下関だとか何かそのあたりのことを言っているんですが、籠池さんというのは大阪では有名な人ですけれども、総理の選挙区あたりに来れば、これはそんなに、無名の人ですから、そういうときに昭恵夫人が口添えをする、一番丁寧なのは、一緒に行けば寄附金も集まるでしょうから、そんなことはないと思いますけれども、これはやはり昭恵夫人に聞いてみるしかわからないわけですから。これは、安倍総理、そんな話をこれまで聞いたことがあるのか。なければ、改めて聞いてみますかということをお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ここではっきりと申し上げておきたいと思いますが、寄附そのものには全くかかわっていないと聞いておりますので、その話は全く事実ではない、このように思います。

海江田委員 ありがとうございました。

 まだいろいろお話ししたいことはありますけれども、きょうは、時間が限られておりますので、このぐらいにいたします。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 まず、総理に伺います。

 総理は、平成三十年度の予算審議の中で、再三、歳出改革とあわせて経済成長をさせなければ財政再建はできないと言われてきました。もちろん、経済成長と歳出改革というのはともに必要だと考えますけれども、経済成長と歳出改革で財政再建はできるとお考えですか。

安倍内閣総理大臣 経済を成長させることなくして財政の健全化はない。

 PBで見て、その年のPBを黒字化するということは、もちろん歳出を大幅に削減するだけでこれは可能でありますが、いわば、私たち、累積債務の対GDP比を、これを減少させていくということで取り組んでいるわけでございまして、当然そのためには、経済を成長させる、デフレから脱却をして経済を成長させることによって税収はふえていく、そして同時に、歳出を削減していくことによって財政を健全化していきたい、このように考えております。

前原委員 確かにこの五年間で税収はふえました。そして、新規発行国債の額は減りました。しかし、平成三十年度の予算を見ておりますと、一般会計の歳出歳入の規模は九十七・七兆円ですね。そして、歳出の国債費は約二十三兆円、四分の一ですよね。そして、この二十三兆円のうち、十四兆円が元本の返済、そして利息の返済が約九兆円ですね。そして、九十七兆円の中で、税収見込みが六十兆円弱ということですから、税外収入等を除いたもので新規発行の国債をしなくてはいけないのは三十四兆円ですね。

 つまりは、この五年間で、総理の言われるように、経済は成長させた、税収は上がった、そして新規発行国債の額は減った。しかし、現状の足元において、まだ、差引き二十兆円、新たに国債を累積させるような予算しか組めないわけですよ。

 私が聞いているのは、経済成長とそして歳出改革だけで本当に財政再建ができますかということを聞いているんです。総理の答弁についてだから、総理にお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、委員長から御指名をいただきましたので。

 少なくとも、できるかということですけれども、まずこれはやらねばならぬ一番大事なところなんだと思っておりますので、アベノミクスの取組によって、少なくともGDPが五十六兆円か、増加しておりますし、企業収益は間違いなく増加しております。加えて、雇用とか所得環境というような、いわゆる国民総生産のうちで占める消費の中の大きな部分なんですが、そういったものも確実に出てきておりますので、経済を好循環にさせていくという方向では間違いなく来ているんだと思いますので。

 これだけで全てができるかといえば、なかなかそんな簡単な話ではありませんので、私どもとしては、今、この九十七兆円のうち約三割が社会保障関係ということになり、それが、少子高齢化が顕著に進んでいく状況の中にありましては、その比率が年間で約一兆円ずつぐらい伸びていくような試算もありましたので、こういったものはきちんと一定の限度におさめるということで、三年間で一兆五千億ということで、年間約五千億ということでやらせていただいて、その目安というものに関しましてはきちんと三年間で達成をさせていただいておりますし、国債の新規の発行額も約十一兆減らしてきておりますので。

 そういった意味では、健全財政化の話も遅々として進んでいないというように見られるかもしれませんけれども、以前に比べて間違いなく、この数年間、そういった方向は確実にしっかりとした道筋をつけてきたと思っておりますので、そういった意味では、今回の予算編成に当たりましても、その方向に沿って引き続ききちんとやらせていただきたいということに思っておりますので。

 プライマリーバランス等々いろいろな問題を抱えておりますのは御存じのとおりですけれども、私どもとしては、そういったものを含めて、この夏までに、きちんとしたプライマリーバランスの目標というものをきちんと立て直して、私どもとしては骨太方針の中でお示しをさせていただきたいと考えております。

安倍内閣総理大臣 簡単に申し上げますと、いわばこの収入、入るをはかるということにおいては、いわば税収をふやしていくということについては、経済成長、それとまた歳入改革もあるんだろうと思います。我々、消費税については安倍政権において三%既に上げておりますし、あと二%引き上げていく予定でございます。それと歳出改革を行っていく。

 ですから、基本的には税収をふやしていくということと歳出の改革を行っていくということでありますが、大きく見れば、この税収をふやしていくということにおいては、税収、経済ということプラス歳入改革の中においては、税等ということについても当然考えることであろうと思っています。

前原委員 委員長、これは総理を招いての総括ですから、財務大臣は今までずっと聞いているんですよ。総理に当ててください。そうしないととめますよ、質問を。そのための総理出席でしょう。委員長、それをしっかり踏まえて、答弁者はお答えください。

 今総理が言われたように、私が聞きたかったのはそこなんです。歳入改革も必要なんですよ。経済成長も歳出改革も必要だけれども、しかしながら、経済さえ成長させればそれで全てが済むようなことにはならないんですね。

 この五年間で、一の資料をごらんください、これは主要OECD加盟国のGDP、済みません、GPDになっていますがGDPです、訂正をいただきたいと思いますが。赤が実質、そして黒が名目でありますけれども、確かにこの五年間、日本も成長している。しかし、一番下の世界全体を見ていただくと、この五年間というのは世界経済はよかったんですね。

 そして、ほかの先進国、OECD加盟国を見ると、日本が必ずしも飛び抜けていいというわけでもないし、むしろほかの国でいいところはもっとあるということを考えれば、私は、異次元の金融緩和と世界経済の好調さというものが、言ってみれば日本のある程度の成長を支えてきたということだというふうに思います。

 さて、その上で、先ほど麻生財務大臣が言及されましたので、その話に入っていきたいというふうに思いますけれども、内閣府は、ことしの一月二十三日に、中期の経済財政に関する試算を経済財政諮問会議に出されましたね。去年一月に出されたものと比べると、去年は経済再生ケースと言われていたものが成長実現ケースというものに変わっていますね。

 二の資料をごらんください。上の表の上が今回出された成長実現ケース、その下にあるのが経済再生ケースでありますけれども、単純に、実質、名目、両方とものGDP成長率を見ていただくと、下方修正しているわけですね。

 つまりは、これも総理にお答えいただきたいわけでありますが、今まで政府、内閣府が出していたいわゆる経済再生ケースというものは、楽観的過ぎた、過大な経済成長を前提にしていたということでよろしいですか、総理。

安倍内閣総理大臣 今御指摘をいただいた点については、これは、本年一月の中長期の経済財政に関する試算は、過去の実績や足元の経済状況を組み込んだ現実的な試算にすべきとの経済財政諮問会議の議論を踏まえて作成をしたものであります。

 例えば、TFP、全要素生産性でありますが、上昇率について、前回の試算の経済再生ケースでは二〇二〇年代初頭にかけて二・二%まで上昇する想定で試算をしていたところでありますが、今回の試算の成長実現ケースでは、日本経済がデフレ状況に入る前に実際に経験した上昇幅とペースで上昇するとして、五年間で足元の〇・七%から一・五%まで上昇する想定で試算をしているところであります。

前原委員 直接お答えになられませんでしたけれども、要は、下方修正していることを認められたことになるわけですね。

 じゃ、成長実現ケースとは何かということですが、この内閣府の出しているものでいいますと、アベノミクスで掲げたデフレ脱却、経済再生という目標に向けて、政策効果が過去の実績も踏まえたより現実的なペースで発現する形、こういうことですね。後でTFPの話は議論いたしますけれども、まず、これ自身も現実的かというところを伺いたいと思います。

 直近の二〇一七年、これは、内閣府副大臣、イエスかノーかでお答えください。二〇一七年は、内閣府の発表した実質GDP成長率は一・六、名目GDP成長率は一・四ではないですか。

越智副大臣 そのとおりでございます。

前原委員 じゃ、二をごらんください。

 この上、二〇一七年、より現実的なペースで発現する形と書かれている成長実現ケースで、実質が一・九、名目は二・〇になっているじゃないですか。もう足元からおかしな数字を出しているんじゃないですか。

 今、裁量労働の問題ででたらめなデータということが問題になっていますけれども、新たなプライマリーバランスを議論する、そして、私が根本的な問題としてお訴えをしている、経済成長だけで財政再建はできないという話をしていく中で、そのベースとなる資料において、もう足元からこれは改ざんされているじゃないですか。

 一・六が実質で、一・四が名目でしょう。これは、成長実現ケースじゃなくて、ベースラインケースも同じ数値ですよ、申し上げておきますけれども。ベースラインケースでも同じ数字ですから。何でこんなでたらめな資料を出しているんですか、内閣府副大臣。

越智副大臣 お答えいたします。

 一月の二十三日に提出をいたしました中長期試算、この中長期試算というのは、経済財政諮問会議の審議のために、参考として内閣府が作成して提出するものでございます。

 この試算は、経済、財政、社会保障を一体的にモデル化した内閣府の計量モデルを基礎としております。したがいまして、成長率、物価及び金利などはモデルから試算されるものでありまして、あらかじめ設定したものではございません。

 そういう意味で、試算の内容につきましては、種々の不確実性を伴うため相当な幅を持って理解される必要がある、そういったものでございます。

前原委員 それは説明になっていないでしょう。だって、二〇一七年、実績の話ですよ。今、もう二〇一八年の二月の終わりですよ、きょうは。そして、一月二十三日に出されたものということは、大体もう、二〇一七年度じゃないんですよ、これは。二〇一七年ですよ。一七年のものを、そして、これからの中長期の経済試算で出すということになって、違いがあったら、これは是正するのが当たり前じゃないですか。こんなでたらめな議論で、これからプライマリーバランスの議論をするんですか。(発言する者あり)これは年度じゃないですよ。年度じゃない。年度じゃない。年ですよ。

 そういう意味においては……あっ、いいですよ、どうぞ答えてください。

越智副大臣 改めて申し上げます。

 今申し上げました中長期試算につきましては、各年度の数値をお示ししているものだということをお含みおきいただきたいと思います。

前原委員 今私が申し上げたこの一・六、一・四というのは、二〇一七年です。年度ではありません。年度ですね、これは。中長期試算は年度ですね。

 そうしたら、これは年度で、これにぴったしくるんですね。ベースラインもこれにきているんですよ。(発言する者あり)いやいや、これはえらい違いよ。発射台がこれだけ違って、前提が変わってくるとなると、長期試算なんて成り立ちませんよ。こんないいかげんなものを出しているということ自体が大きな問題じゃないですか。

 もう一つ申し上げましょう。

 先ほど総理が言われたTFP、これは一・五というのはどういう数字ですか、一・五。デフレ前に実際経験した上昇幅とペース、五年間で〇・八%程度、それが足元の〇・七%とこの〇・八%を足して、先ほど二・二から一・五に引き下げられたとおっしゃったけれども、では、この〇・八というのは何ですか。どういう数字ですか。

越智副大臣 TFPの計算根拠、前提についてお答えいたします。

 一九八二年度から八七年度までの五年間で〇・八%程度の上昇をしている、その実績をもとにしまして、このペースで足元から上昇する、そういう計算でございます。

前原委員 そのとおりなんですよ。

 繰り返し申し上げますよ。今回は、いわゆる経済再生ケースから、より現実的なものに変えるということで、成長実現ケースとしたわけですね。

 そして、〇・八というのは、今、越智副大臣がおっしゃったように、統計上データがとれる八〇年代以降で、そこは答えられなかったけれども、はしょられたけれども、最もTFP上昇率が高かったのが一九八二年から八七年の五年間なんですよ。つまりは、これはバブルのころですよ、バブルのころ。そして、日本全体の経済成長率をいうと、オイルショック以降から九〇年までが年率平均は四・三%の成長率、それ以降は一・〇しかないんですよ。

 だんだんだんだん成長率が鈍化をしている中で、これからの成長が、人口も減り、そして少子高齢化で社会保障でたくさんのお世話にかかる人たちがふえて、バブルのころの一番最も高い五年間の〇・八を採用するというのはどういうことですか。必ず実現できるということですか。これは、TFPが変われば数字は全然変わってきますよ。何でこの〇・八を採用しているんですか。

越智副大臣 今回のTFPの試算の前提につきまして、二つ申し上げます。

 一つ目は、前回までは二・二%程度まで上昇するという水準の話でございましたが、今回はペースの話でございまして、年率で〇・一六%ずつ上昇して、そして五年間で〇・八ということでございます。

 今御質問の、なぜ八二年から八七年なのかということでございますが、このTFPの実績がとれるようになりましたのが、一九八〇年代に入りましてからこういった統計数字がとれるようになったということでございます。また一方で、デフレの状態に入ったその前の時期ということで、この五年間を選んで試算の根拠にしたということでございます。

前原委員 答弁になっていないじゃないですか。一番経済成長率がデフレ前に高かったところを持ってきて、これから実現できますという答えになっていないじゃないですか。

 総理、二〇一七年の数字は、度だから、あともう一カ月すればわかるわけですよ、大体。二カ月かな。四月、五月ぐらいになれば、第四・四半期の数字が出ますよね。そのときに、年と年度では違いましたといって、大きな違いがなかったら、責任をとりますか。とれないと思うよ。

 それから、TFP、一・五ということで、経済成長がデフレ前で一番高かったバブルのときの、一番高いところの五年間をとって、それは実現できますという前提でプライマリーバランスの議論をこれからやり直すんですか。こんなでたらめな統計で本当に日本の財政に責任を持てますか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 今、TFPについて、一・五にしたということについては越智副大臣から答弁をさせていただいたところでございます。

 しかし、過去のTFPについてどこを見るべきかということについては、いろいろな議論があるとは思いますが、いわばTFPをとり始めて以降において、デフレ期をやはり除く、我々はもうデフレではないという状況になっているわけでございますから、デフレ期を除くというのは当然のことのように思うわけでございますし、これは、我々が特別に高くしている、TFPを高くしているということではなくて、例えば、我々の前の政権のときから大体TFPはこれぐらいにおいて試算をしていた、皆さんが政権をとっていたころから、大体この辺で試算をしていたのではないかというふうに記憶をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、ある程度の仮定を置かなければ将来の経済の見通しはできないわけでございまして、その仮定を置いた中においての、これは我々、見通しをお示しをしている。そうなるように、我々もさまざまな政策を総動員して結果を出していきたい、こう考えているところでございます。

前原委員 夏に正式なPB黒字化の前提条件、そして試算を出されると聞いています。

 もしこういう、もう一度いいかげんな、だって、〇・八って、本当にこれは、話を聞いておられる方、一九八二年から八七年のバブルの時期の、そしてまだ日本が人口がふえているときのそのものと、これからの、人口が減って少子高齢化が進んでいく、特に、多くの経済学者が、あるいはエコノミストが、オリンピックが終わった後の経済を心配している、こんな状況の中で、その数値を持ち出して、それだけ上がるんだという前提で、将来のいわゆる基礎的財政収支の議論が本当に真面目にまかり通るとは私は到底思えませんね。

 したがって、これからその問題点を指摘しておきますから、同じような議論をするんだったら徹底的に厳しくやるということ、そして、これは同じような、資料の改ざんのような話だと私は思いますよ。(発言する者あり)いや、改ざんでしょう。二〇一七年、違うんだから。(発言する者あり)いや、では、そうしたら、今やじを飛ばした人も、年度のときに変わっていなかったら責任を持てるかという話ですよ。

 そういう話を今しているわけで、しっかりとした、まあ、議論をするときは、そういう本当にみんなが納得できるベースで議論しましょうよ。そして、将来に対する、財政に対する責任を持った議論をしましょうよ。それをしっかりやってもらうことをまず要望しておきたいと思います。

 日銀総裁、来られていますね。

 さて、もう一度二ページをごらんいただきたいんですが、成長実現ケースというものをずっと見ていくと、二〇二六年に名目成長率と名目長期金利が逆転をします。この指摘は私は以前にもさせていただきました。

 つまりは、この成長率、仮にこれがうまくいくとして、成長してうまくいくという前提でいった場合に、そうすると長期金利がどんどんどんどん高くなっていく、そうすると、一千兆円を超える国の長期債務というものの利払いがどんどん膨れ上がっていきますね、金利が上がれば。

 今、これだけ財政に対して非常に緩い状況が続いているというのは、日銀の責任でもあるんですよ。なぜなら、異次元の金融緩和ということで、この五年間、金利を低くして、経済を活性化させるという目的がそれはあるでしょう。あるけれども、このことが結果的には財政健全化というものを緩くしている大きな要因になっているわけですね。まあ、黒田総裁はそのつもりは全くないとおっしゃると思います。

 さて、そこで黒田総裁に明確にお答えいただきたいと思いますが、将来的には、この対名目GDP比も、下がり続けるんじゃなくて、名目金利と名目成長率が逆転をする状況が続けばまた発散に行くわけですよ。そのときに金利を低くするという圧力が出てきた場合、しかし、この場合は、もう完全に二%の物価の安定目標というのは、達成していますよね。財政が、利払いが膨れ上がるという理由の中で、日銀に対して金利を下げるという圧力が起きた場合、その場合、黒田総裁はどうされますか。

黒田参考人 日本銀行が現在行っております長短金利操作つき量的・質的金融緩和というものは、あくまでも二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために行っているわけでございます。したがいまして、物価安定目標が達成され、経済も順調に成長している中で、現在のような大幅な金融緩和、強力な金融緩和政策がそのまま続くということは考えられないということだと思います。

 ただ、米国の例を見てもおわかりいただけますように、やはり、中央銀行としては経済に何かショックがあるようなことは避けなければなりませんので、仮に二%が達成されて金融政策が正常化されていくという過程におきましても、かなり緩やかに、また経済金融情勢を十分勘案しながら、正常化が進められていくということになるとは思います。

前原委員 私の質問にダイレクトにお答えいただけますか。

 この財政というものを、言ってみれば、また拡大、発散基調になる、それを防ぐために政治的に金融政策というものを求められた場合に、安定的に二%を超えているわけですよ、こういう場合は。名目金利が成長率を上回っているということは。その場合に、いわゆる金融政策、つまりは金利を下げる政策を行えますかという質問をしているわけです。

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、日本銀行の使命というのは、日本銀行法に二つ書いてございまして、一つが物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということ、もう一つは、金融システム、金融の円滑な運営が行われるようにいわゆる金融の安定を図るという、この二つでございます。したがいまして、その二つの使命、目的に従って行うということでありまして、何か財政ファイナンスのようなことをするというようなことは、日本銀行法に定めております日本銀行の目的、使命には入っていないということでございます。

前原委員 時間がわずかになってきましたので、最後に総理にお伺いしたいと思います。

 三の表を見ていただけますか。国民負担率。

 これは去年も予算委員会で、総理とこの同じ表、数字はアップデートしますので、数字は変わってはいるわけでありますけれども、日本は相変わらず、国民負担率というのは四二・五で変わらないわけですね。

 総理も恐らく同じ思いだと思いますけれども、教育に力を入れていかなきゃいけない。特にAI、人工知能というものが、これからこれを制する国が言ってみれば世界を制する、経済のみならず軍事でも同じだと思います。

 これについて、この間私、ある方からショッキングな、財界の方から話を聞きました。AIエンジニアと言われる人たちの数、日本は四、五万人だそうです。アメリカはその十倍ぐらい。中国は百二十万人。インドは二百万人ぐらいいるそうです。圧倒的にこの分野での人材育成におくれをとっていると言われています。

 今回、AIが大事だということで、過去最大の、前年度比三割増しの予算がAI関係でとられていますけれども、七百七十億円。しかし、アメリカは五千億円、中国は四千五百億円。これは民生を入れていませんから政府だけでありますけれども。全然桁が違う話なんですね。

 先ほどの教育の話もしかり、そしてこのAIの話もしかり、さまざまな問題もしかり。歳出改革でやらなきゃいけないところはあるけれども、しかし、本当にこれからの日本の真の成長、あるいは日本のこれからの競争力強化というものを考えた場合に、こういった分野にこそもっとお金をかけなきゃいけないということになれば、租税負担率というものをそもそも見直す中で、新たな財源というものを国民の皆さん方にお願いをし、そして堂々と予算をつけていき、日本の国力を強化するという視点をしっかりと捉えないと。

 きょう野田前総理がおられますけれども、社会保障・税の一体改革というのはそういう意味合いがあったわけです。これを更に推し進めていく中で、国民負担率の見直しをし、しかし必要なところについては予算をとる、そういった私は方向性が必要だと思いますが、総理、どうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 あるべき国民負担率ということをあらかじめ決めておくことは難しいんだろうと思うわけでありますが、国民の負担を適正で負担可能な範囲にとどめ、同時に、今後とも国民の活力を損なわないことに留意をしつつ、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など、歳出削減に取り組んでいきたい、こう考えております。

 そこで、昨年の選挙においては、消費税を我々は基本的には引き上げますよということをお約束し、しかしその中身について変えさせていただく、それは、教育へ投資をしていく、子育て世代に投資をしていきますということを訴えまして、選挙に臨んだところでございます。

 今、前原委員がおっしゃったように、これから何が必要かということについては、国民としっかりとコミュニケーションをとりながら、あるべき負担のあり方ということは考えていく必要があるんだろう、こう考えております。

前原委員 終わります。

小里委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 無所属の会の野田佳彦でございます。

 安倍総理と一問一答形式で質疑を行うのは、おととしの二月の衆議院の予算委員会以来でございます。そのときは、二〇一二年の十一月の党首討論でお約束をした衆議院の議員定数削減をめぐる質疑を行わさせていただきました。それ以来ということでございます。

 きょうは、私の持ち時間、二十分と限られておりますので、割と私の質問の内容というのは余り細かい内容ではございませんので、ぜひ総理にお答えをいただければと思いますし、財務大臣とはもうこの間しょっちゅう議論をさせていただいていますし、この後の別の法案の審議でも議論をしますので、限られた二十分、なるべく総理にお答えをいただければというふうに思います。

 まず、今、先ほどの前原委員からも一番最後に触れていただきましたけれども、社会保障と税の一体改革、これは、二〇一二年の六月に、旧民主党と御党と公明党と三党で合意をいたしました。社会保障の充実、安定と財政健全化を同時に達成をするということを目的とし、この大きなテーマについて与野党が責任を持ち合うということで、いろいろ苦労がありましたけれども、合意をすることができました。

 この社会保障と税の一体改革の精神というものが今も生きているとお考えなのかどうか、まずは総理の御認識をお伺いをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 本日は、この財金委員会で、海江田議員、そして前原議員、野田議員と久々に中身の濃い議論をさせていただき、大変充実した議論となっているのではないか、こう思うところでございます。

 野田委員からの御質問でございますが、社会保障と税の一体改革は、三党合意を経て成立をした各般の法律の枠組みに沿って、社会保障の充実、安定化と同時に重点化、効率化を進めるなど、着実に実施をしてきております。

 その上で、今般、少子高齢化を克服するために、消費税率引上げ分の使い道を見直しをし、子育て世代、子供たちに大胆に投資をするとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当し、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度への転換を図ることとしたものであります。

 これは、少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成することを目的とする社会保障と税の一体改革の延長と位置づけられると我々は考えております。三党合意において与野党間で共有された大きな考え方と共通するものである、このように考えております。

野田(佳)委員 今総理から御指摘があったとおり、海江田さん、前原さん、そして私と、くしくも歴代の民主党の代表経験者でございますが、私は今、会派の代表でも何でもございません。平の委員としてお尋ねしていますが、でも、党首討論のつもりで私は今やらせていただいております。

 今の御答弁は、直接の答弁じゃないんですよね。三党合意の意義について触れていただきました。その精神が生きているかどうかを私はお尋ねをしたんですね。

 私は、残念ながら、三党合意で合意をした社会保障の充実と安定に向けた社会保障改革も、そして先ほど来議論になっている財政健全化も、残念ながら、その歩みは遅いというふうに思っています。

 加えて、あえて三党合意の精神という言葉を使わせていただきましたけれども、その中身、コンテンツよりも、消費税を政争の具にしないというのが、これが最大の私は三党合意の精神だったと思います。しかし、二〇一四年の総選挙の際には消費税の先送りが突然争点になり、そして今、先ほど来ずっと御説明があった消費税の使途変更、これは去年の十月、突然争点になりました。

 私は、ネクストエレクションよりもネクストジェネレーションを考えたならば、消費税については、国会審議は政党間の協議を通じてまず合意形成を図っていくというのが三党合意の精神でありますが、それをなくして政争の具にし始めているということは、私は、その精神というのは、残念ながら、もはや風前のともしびから、ともしびが消えるような状況になっていると大変残念に思っています。

 それは、旧我が党の仲間で、落選をしたり勇退した人もいます。御党においても、例えば谷垣先生は御勇退されました。実務にかかわった町村先生は天上の人となりましたけれども、この三党合意の精神をよくわかっている方がだんだん減ってきていますが、今の御答弁を聞いている限り、私は、総理は本当に御理解いただいていないように思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 私は、消費税を政争の具としたことはございませんが、選挙の争点にはいたしました。

 それはなぜかといえば、税こそ民主主義でございますから、その中において、消費税の延期をするという大きな判断をする、これは党内でも相当の議論がある中においては、国民の声を聞いて決めるということであったんだろう、こう思います。そして、先般の選挙におきましては、いわば使い道を変更する以上、その使い道についても当然争点にすべきだ、こう考えたところでありまして、その結果、それぞれ選挙において勝利を得たところでございます。

 まさに民主主義というのは、選挙において国民の皆様の御判断を仰ぎ、そして国民の皆様に決めていただく、そして、そこでお約束したことを実行していくということこそが、むしろ、三党合意はもちろん大切ですよ。しかし、まず私たちは、選挙において私たちが約束したことを実行していく、このことに対して私たちは責任を負っている、こう考えております。

野田(佳)委員 選挙こそ、政党間における最大の政争じゃありませんか。それを、先延ばしをするとか、あるいは人への投資に一部使うとか、聞こえのいいことを言って戦うというのは、まさに私は政争の具だと思います。認識が全く違いますね。

 この種の、消費税を扱うことでポピュリズムに陥っているのではないかということが多過ぎるんですが、その代表的な事例が軽減税率であります。

 消費税の欠点は逆進性があるということです。逆進性対策は考えなければなりませんが、あの政府で決められた軽減税率というのは、逆進性対策として私は効果がないと思います。八七・五%、逆進性対策として講じた軽減税率で恩恵を受ける八七・五%は低所得者以外であります。中小企業を始めとした事業者の事務負担は相当煩雑になります。メリットがないですね。有効ではないですね。

 この軽減税率を導入することが原因で、結局、国は約一兆円の減収じゃありませんか。その減収の財源として、総合合算制度という大切な制度が見送りになり、四千億円の多分財源捻出になったんだろうと思いますね。まだ六千億円ほど足りません。その六千億円足りない分を、今回の平成三十年度の税制改正で取りやすいところから取る。年収八百五十万円以上のサラリーマン、出国をする人、あるいは喫煙者、取りやすいところから取るというような税制の改悪をもって増収を図る。元凶となっている諸悪の根源は、私は軽減税率だと思います。軽減税率の再考を……(発言する者あり)入っています。でも、給付つき税額控除も入っています。その十分な、慎重な検討が行われておりません。まあ、やじには答えませんが。

 この軽減税率の天下の愚策は、私は再考すべきだと思いますが、いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 今まさに野田委員も御紹介をいただいたように、この軽減税率等々の中から、給付つき税額控除等の中から選んでいくということを三党で合意をしたわけでありまして、まさにその中において、我々与党である私たちが、自民党、公明党がこの軽減税率を選んだということでございまして、軽減税率制度は、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税負担を直接軽減することにより、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実現できるとの利点があります。この点が特に重要と判断し、消費税率一〇%への引上げに伴う低所得者への配慮として、酒類、外食を除く飲食料品等を対象に実施することとしたところでありまして、着実に準備を進めてまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 私は、再考すべきという立場であることを重ねて申し上げたいと思いますけれども、そのことが原因であると同時に、もう一つは、所得の再分配機能を回復するという美名のもとに、今回の税制改正、所得税のさまざまな改正が行われようとしているんですね。給与所得控除のお話などは先ほど海江田委員が触れられましたけれども、この方式について少しお尋ねしたいと思うんです。

 これは、この委員会でも私指摘させていただきましたけれども、現行の所得控除方式というこの方式のメリットは簡便さにあります。簡単であり便利であるということ。その簡便さというメリットをどんどん失わせて複雑化させていくことによって、所得再分配機能を強化したり回復しようとするのが今の動きなんですね。

 これはおかしいんですよ。本当に所得再分配機能を回復したり、格差是正を本当に図っていこうとするならば、この所得税の所得控除方式を改めて、税額控除方式に転換をしていくことの方が私は正しい改革の方向だというふうに思いますし、その税額控除方式の行き着く先は、先ほど消費税の逆進性対策でも触れましたけれども、給付つき税額控除につながっていくというふうに思います。

 これは、私の税制改正のあるべき姿、描いているものでありますが、総理の御認識を問いたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 平成三十年度税制改正においては、所得税の基礎控除については、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいのではないかとの指摘を踏まえつつ、現行の所得控除方式から税額控除方式に変更した場合、負担の変動が急激なものとなりかねないこと等を考慮して、逓減・消失型の所得控除方式を採用することとしたところであります、これはもう御承知のとおりでありますが。

 給付つき税額控除を導入すべきとの御提案でございますが、低所得者対策全体の議論の中で、生活保護制度など同様の政策目的を持つ制度との関係を十分に整理することがまず必要であると考えます。さらに、所得や資産の把握が難しいといった問題や、過誤、不正受給といった支給の適正性の確保など多岐にわたる課題があり、慎重な検討が必要と考えております。

野田(佳)委員 税額控除方式では変動が大き過ぎるということでございましたけれども、変動が大きいから抜本的な転換でありますね。どこかで私は、決断しなければいけないことであって、その間に泥縄で今の所得控除方式をいじっていくことの方が弊害が大きいと指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、これもるる議論ございましたけれども、財政健全化についてでございます。

 二〇二〇年度にプライマリーバランス、基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化目標の達成が困難になった理由は何なのかということを端的にお答えをいただければというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 二〇一九年十月に予定されている消費税率引上げ分の使い道の見直しによって、プライマリーバランス黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度プライマリーバランスの黒字化は困難となる、こう判断をいたしました。

野田(佳)委員 今のは誠実な答弁ではありません。というか、プライマリーバランスの黒字化を先送りをするという真の総括ができていないと受けとめました。

 これは財務大臣も同じようなお答えをされたんですね。消費税の使途の一部変更があったから、だから二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化ができなくなった、先送りをするというお答えですが、この消費税の使途の一部変更による影響というのは一・七兆程度ですね。先ほど、私は資料を出していませんけれども、政府の見通しだと、二〇二〇年には約八・三兆円の赤字が出るということになっているじゃないですか。一・七兆と八・三兆、全然違いますよ。

 消費税の一部変更だけをこのPBの先送りの原因とするということは、全く間違った認識だと思います。だから財政再建の一里塚にも立てないのではないですか。どうですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 確かに、昨年七月に公表した中長期試算の経済再生ケースで、二〇二〇年度のプライマリーバランスの赤字が八・二兆円程度残っていたことは事実でありますが、これは二〇一九年度以降の歳出改革努力を織り込んでいないものでございまして、この意味で、プライマリーバランス黒字化の目標年次に直結するものではないと考えております。

野田(佳)委員 八・二兆円の赤字が出そうだというのを、二〇一九年でどういう努力をして解消しようというんですか。そういう明快な道筋もない中に、消費税の一部変更だけを理由に挙げるというのは、私はフェアな議論じゃないと思いますね。それじゃPBの黒字化なんかできませんよ、そんな認識じゃ。もともと、プライマリーバランスの黒字化を本気でやろうというお気持ちがないんじゃないですか。

 私は、去年の十月二十二日、総選挙の投開票日、これは目立たない配信記事でしたけれども、記者とのやりとりの中で総理がお答えになっているある記事を見たんですね。アルゼンチンについてお話しされているんです。アルゼンチンはプライマリーバランスの黒字化を目指して債務不履行に陥ったというような表現をされているんですね。全く事実認識は違うと思いましたよね。

 アルゼンチンがデフォルトに陥ったのは、通貨危機に陥って対応を間違ったから財政がひどい目に遭った、だから、慌ててプライマリーバランスの黒字化というある種のお題目を掲げて改革しようとしたのであって、事実認識が違うんですよ。プライマリーバランスの黒字化を目指したからアルゼンチンはデフォルトに陥ったんじゃありません。何でこんなことを言うのかと思ったんです。プライマリーバランスの黒字化なんというのはその程度だと総理は思っているのかなと私は思ったんですね。

 PBの黒字化、これからもこれは一里塚として、財政再建の旗をおろさないとおっしゃっておりますが、これは本当に本気で取り組んでいくおつもりなんですか。改めてお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私が申し上げたのは、PBの黒字化というのは、PBの黒字化自体が目的ではなくて、いわば財政を健全化させるという中において、過程において通過しなければいけない地点だというふうに考えているわけでありまして、それを申し上げた、長い文脈ではそれを私は説明をしてきているわけでございます。

 いわば、これは例えば、思い切って歳出を削減すれば来年度だってPBは黒字化できるわけでありますが、これは経済が圧倒的な打撃を受けるわけでございまして、それによって、マイナス成長に陥り、そしていわば人々の職が失われ、新しい新卒の皆さんが就職できなければまさに就職氷河期となって、その方々がずっと今後、いわばなかなか就業の機会がないということになり、これは社会にとっても大きな負担にもなっていくわけであります。

 ですから、大切なことは、経済を成長させつつ、しかし、その中において財政健全化を行っていく、できる限り冗費を省いていく中において、しっかりと目標としてPBを、目標というかその通過点として掲げていく。その意味においては、当然、PBを黒字化するというのは財政を健全化していくことにおいては必要だと思っておりますが、PBを黒字化すれば全てバラ色になるという、そういうものではない、こう考えております。

 いわば累積債務のGDP比を、これを改善をしていく中においてはPBの黒字化は必要だ、こう考えておりますが、今後、これまでの経済財政一体改革の取組を精査した上で、この夏までに、PB黒字化の達成時期と、裏づけとなる具体的かつ実効性のある計画をお示ししてまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 私が総理になる直前に、エコノミストという経済誌で日本化する欧米という特集記事があったんですね。日本化する欧米なんですよ。何のことだろうと思ったら、イラストを見たら、オバマとメルケルが和服姿でイラストで出ているんです。後ろに富士山があるんですね。中身は何なのかというと、先送りをすることを日本化と書いてある。私は、財政再建目標の先送りというのは、国際社会にも大きな影響、厳しい目で見られることになると思いますね。

 ということと、もう一つは、ポスト安倍が大変ですよ。実際に黒字化するのは、これはポスト安倍さんじゃないですか、どう見ても。いつを目標に置くかわかりませんけれども、どう見たってそうでしょう。その分、やはり責任を感じてもらわなければなりません。

 残念ながら、今、責任を強く感じていらっしゃるような答弁ではなかったことは極めて残念であることを指摘をさせていただきまして、時間が来ましたので、質問を終わります。

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 本会議での私の質問に対する総理の答弁にかかわって、きょうは二点質問したいと思います。一点目は空母の保有の検討について、もう一点は法人税引下げ競争の問題ということです。

 まず一点目ですが、防衛省が、昨年四月から、護衛艦「いずも」、ここで、新種航空機の運用についての調査研究を「いずも」を建造したジャパンマリンユナイテッド社に委託して行っていることが明らかになっております。予算委員会で小野寺大臣は、この研究について、私に報告があるような案件ではないと思います、こう答えておりました。

 総理にも聞きたいんですけれども、総理は、この護衛艦「いずも」での新種航空機の運用についての調査研究を行っていることをいつお知りになりましたか。

安倍内閣総理大臣 今後の防衛力のあり方については、さまざまな検討を不断に行っています。

 護衛艦「いずも」の将来の活用方策に関する基礎的な調査研究や情報収集についても、防衛省において、その判断のもと、かねてより行ってきているものと承知をしています。

 さまざまな検討状況については、必要に応じ適宜報告を受けているところであります。

 委員御指摘の研究とは、DDHの航空機運用能力向上に係る調査研究のことと思われますが、本件については、防衛省より、いまだ調査研究の途上であるとの報告を受けており、具体的な研究成果についての報告は受けておりません。

 具体的な研究調査の内容等々が必要であれば、政務官から答弁させたい、このように思います。

宮本(徹)委員 いや、報告、結果が出ていないのは私も知っているわけですけれども、新種航空機を運用している研究をやっている、まだ報告が出ていないけれども、そういう研究をやっているということについて、総理は先ほど適宜報告を受けているということをおっしゃっていましたけれども、その適宜報告を受けている中に、新種航空機の運用を「いずも」でやるための研究をやっていると聞いていたわけですね。

安倍内閣総理大臣 今答弁申し上げましたように、かねてよりこの調査研究、情報収集は防衛省の方において行っているわけでありますが、さまざまな検討状況について、必要に応じて適宜報告を受けているところでございます。

宮本(徹)委員 ですから、その必要に応じて適宜受けている中に、新種航空機の運用の研究をしているという報告もあったということでいいわけですね。

大野大臣政務官 恐れ入ります。

 ただいま御質問いただきました件でございますけれども、まず明確に申し上げておきたいのは、総理の指示を受けて調査研究を始めたというものではございません。その中において、先ほどもお話がありましたとおり、適宜、総理には報告をさせていただいている、こういう状況でございます。

 まず、念のため、この調査について一度整理してお答えをさせていただきたいと思っておりますけれども……(宮本(徹)委員「聞いていないのに答えないでくださいよ、時間がないんだから」と呼ぶ)では、後ほど。

宮本(徹)委員 はっきりさせたいんですけれども、総理の指示で始めたわけじゃないけれども、適宜報告していると。総理は、新種の航空機の運用の研究を「いずも」でやっているということについて報告は受けていたわけですね。

安倍内閣総理大臣 適宜、いろいろな場において報告を受けております。

宮本(徹)委員 ですから、それは新種航空機の運用についても入っているということでいいわけですね。

安倍内閣総理大臣 今、一般的に、どういう報告を受けているかということについては、適宜、さまざまな調査研究についての報告を受けているということでございます。

宮本(徹)委員 聞いたことに答えていないですよ。

 さまざまな報告を受けている間に、新種航空機はF35Bじゃないかということを言われているわけですよ。空母化の検討を今まで行っていないというのは、総理の答弁ですよ。この新種航空機がF35Bだったら、今までの総理の説明は全くの大うそとなるわけですよ。

 ですから、新種航空機の運用を「いずも」でやるための調査研究をやっているということを、そこも適宜報告された中には入っていたということでいいわけですね。

安倍内閣総理大臣 委員御指摘のこの研究でございますね、ヘリ搭載護衛艦の航空機運用能力向上に係る研究調査のことだと思いますが、本件については、防衛省より、いまだ調査研究の途上であるとの報告は受けておりまして、いわば、まだこれは調査研究の途上であるという報告は受けております。

 さまざまなことを研究しているということでありますが、しかし、それは、調査研究の途上であるという報告は受けておりますが、具体的な研究成果についてはまだ報告は受けていないということであります。

宮本(徹)委員 それは、研究成果がまだ出ていないですから、成果についての報告を受けていないのは当然なわけですけれども、問題は、一月の段階で、本会議で、空母の保有の検討は行っていないと、総理は、私どもの志位委員長の代表質問に対して答弁されたわけですよ。しかし、その後、予算委員会で、私は、防衛省はこういう研究をしているじゃないか、新種航空機の運用の研究をやっているじゃないかということを言ったわけですよ。

 ですから、いつ知ったのかということですよ、これを。私が予算委員会で質問して、その後、本会議でもこの問題をお伺いしました。その時点でこういう研究をやっているということをお知りになったのか、その前から知っていたのか、どちらですか。

安倍内閣総理大臣 今御紹介いただいたんですが、私の答弁でございますが、これまで政府として護衛艦「いずも」の空母化に向けた具体的な検討を行ってきたとの事実がないことは、累次答弁しているとおりでございます。

 他方で、今後の防衛力のあり方については、さまざまな検討を不断に行っているところであり、この点も政府として累次申し上げているところでございます。

 護衛艦「いずも」の将来の活用方策に関する基礎的な調査研究や情報収集などは、防衛省においてかねてより行ってきているものと承知をしております。

宮本(徹)委員 ですから、その研究をしている中に新種航空機の運用の研究をやっているということは、予算委員会でこういう研究をやっているじゃないかと私たちが質問する前は総理は知っていたのか、報告を受けていたのか、そこを聞いているわけですよ。

安倍内閣総理大臣 研究を行っているという報告を受けております。この研究の中身については、これは一々報告を受けていないということであります。

 いずれにいたしましても、今申し上げましたように、空母化ですね、護衛艦「いずも」の空母化に向けた具体的な検討を行っていたとの事実がないのも答弁で申し上げているとおりであります。

 政府として、現在保有している装備について今後の拡張性に関する客観的なデータを把握したり、現在保有していない装備について我が国での運用可能性を調査するなど、基礎的な調査研究を行うことは当然であろう、こう考えております。

宮本(徹)委員 先ほど、知っていたというお話ですけれども、重大ですよ。将来の拡張性だとか運用可能性とか言って、今まで憲法上、空母は保有できないと言ってきたんですよ。それを拡張性だとか何だとかと言って、F35Bも含めて運用する方法を研究していると言ったら、これまでの政府の憲法解釈からいっても大問題じゃないですか。

 では、念のため確認しますけれども、この新種の航空機とは何なのかというのは、総理御自身は、報告はまだ、報告書は見ていないということですけれども、新種の航空機は何なのかということについての報告は受けているんですか。

安倍内閣総理大臣 ただいま答弁をいたしましたように、例えば「いずも」の活用に関する基礎的な調査研究、情報収集などは、防衛省において行っているということについては承知をしておりますが、今御質問のあった具体的な研究については、私は承知をしていないということであります。

宮本(徹)委員 ですから、具体的な研究は知らないと。さっきは知っているようなことを言って、今度は具体的な研究は知らないという話を言いますけれども、では、新種航空機とは何なのかということについて、私はF35Bだったら問題だという質問を本会議でさせていただきましたけれども、その後、この新種航空機とは何なのかという確認は総理はされたんですか。

安倍内閣総理大臣 新種航空機がF35Bということで今具体的におっしゃっておられますが、いわばF35Bについての調査報告を行い、そしてその結果が出ているという報告は受けていないということであります。

宮本(徹)委員 ですから、新種航空機が何なのかということについての報告は受けていない、確認もしていないということでいいわけですね。

安倍内閣総理大臣 それは、そういうことであります。

宮本(徹)委員 なぜ確認しないんですか。

 F35Bだったら、これは文字どおり空母化ということになるわけですよ。総理は、空母の保有の検討を行っていないということを、この間、繰り返し答弁されてきたわけですけれども、この新種航空機がF35Bだったら、文字どおり空母化じゃないですか。憲法違反の研究ということになるわけですよ。

 それから、基礎的な研究ということをおっしゃいますけれども、結構踏み込んだ研究をやっていますよ。私は、このDDHの航空機運用能力向上に係る調査研究を委託する際の、契約のときの仕様書を防衛省からいただきました。

 こう書いていますよ。「役務の内容」として、「ひゅうが型及びいずも型護衛艦について、航空機の長期間、多数機、多機種による連続運用に係る官の指定する能力向上に必要となる装備品を検討する。」空母として、実戦での運用に向けた検討ですよね。

 しかも、もう一点、こう書いていますね。「前号で適合と導出された検討結果について、ひゅうが型及びいずも型護衛艦に適用する場合の費用、工期、課題及びその他必要事項を分析し、評価する。」具体的な改修に向けて、費用や工期まで検討しているんですよ。

 これは、基礎的な調査と言いながら、この新種航空機がF35Bだとしたら、空母化に向けてどれだけ改修費用がかかるのか、どれだけ改修の期間がかかるのか、こんなところまでもう着々と研究を進めているということじゃないですか。

 これは空母の保有に向けた具体的な検討そのものじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 護衛艦「いずも」に関して平素から行っている調査研究は、結論を予断するものではなく、あくまでも客観的な基礎情報を収集するものであります。政府として、F35Bの導入や、護衛艦「いずも」への搭載を決めた事実はありません。

 いずれにせよ、政府としては、性能上専ら他国の、専ら他国の国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる兵器、例えば、大陸間弾道弾ミサイルICBM、長距離戦略爆撃機、あるいは攻撃型空母については保持することが許されないと考えており、今後ともこの見解には変更はございません。

宮本(徹)委員 その見解に変更がないと言いながら、実際、空母化に向けた検討を行っているじゃないですか。

 この新種航空機がF35Bだとしたら、改修まで含めた検討を、もう実際に、「いずも」を建造した会社ですよ、今この研究を請け負ってやっているのは。そこに委託してやっているわけでしょう。これは憲法上大問題だと言わなきゃいけないですし、憲法上、空母は保有を許されない、これからも保有しないんだ、見解を変えないんだと言いながら、着々とやっているじゃないですか。

 大体、空母については、先ほども答弁があったとおり、攻撃型空母の保有は憲法上許されないという答弁を重ねてきました。この攻撃型空母について、一九七八年の答弁では、この攻撃型空母というのは、攻撃機を主力とする空母を攻撃型空母といいますというふうに政府は答弁されております。攻撃機を主力とする空母。

 F35は、AであれBであれ、これは攻撃機ですよね、総理。総理はF35の能力をよく御存じですよね。かつて国会でも答弁されていますが、F35は攻撃機である、間違いないですね。

安倍内閣総理大臣 防衛計画の大綱の見直しに当たっては、従来の延長線上ではなく、新たな課題や対応策について幅広く検討していく考えでありますが、専守防衛は検討に当たっての当然の大前提であるということは申し上げておきたいと思います。

 いかなる場合であっても、性能上専ら、専ら他国の国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる兵器を導入することはないということでございます。

宮本(徹)委員 いや、攻撃型空母の保有は許されないというのが国会で重ねられてきた答弁なんですね。

 だから、確認します。F35Bは攻撃機ですよね。敵基地攻撃能力がありますよね、総理。これは御存じですよね。F35は、AもBもCであっても、対地攻撃能力、敵基地攻撃能力を持っていると。

大野大臣政務官 恐れ入ります。

 基本的には、例えば、今、F35Bの話を中心にお話をされておりますけれども、先ほど申しかけましたけれども、まず、35Bを前提として何か運用を想定して、計画をしてやろうといった事実があるわけでも全くございません。その部分については、まず御理解を賜れればと思います。

 そして、今お尋ねの35Bでありますけれども、基本的に、対地攻撃能力という意味では、35Aも35Bも持ち得る機体で、マルチロール機と言われているものでありますけれども、対地攻撃能力という意味ではAの方がすぐれている、一般的にはこのように言われているところでありますけれども、いずれにせよ、35を「いずも」に載せて運用しようという具体的な計画があるわけでは全くございません。

宮本(徹)委員 対地攻撃能力はあるんですよ。AとBだったらAの方がある。それは、艦載機だから、中に積める爆弾の量はBの方が若干少ないです。二割ぐらい少ないと言われていますけれども、しかし、相当なミサイルが積める。防衛省の資料でも出ているとおりであります。敵基地攻撃能力はある。対地攻撃能力はある。

 総理は、かつて国会でこう言っていますよ。「敵基地攻撃について言えば、私の問題意識としては、それをずっとアメリカに頼り続けていいのだろうかということなんだろうと思います。ですから、F35を導入するのであれば、F35の能力もあります、そういうものも生かしていくことができるかどうかということについての検討はしなければならない。」二〇一三年、国会でこう言われているわけですよね。

 総理は、よくF35の能力も御存じなわけですよ。敵基地攻撃もできる、そのことを認識した上で、そして、空母化に向けた検討をやるなんというのはもってのほかというふうに言わなければならないというふうに思いますが、総理、この新種の航空機がF35Bを含んでいるかどうか直ちに確認していただきたい。そして、F35Bが入っているんだったら、これこそ空母化を目指すものですから、今までの総理の答弁とも違うんですから、直ちにこの調査研究はストップすべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で、米国の打撃力に依存しており、今後とも日米の基本的な役割分担を変更することは考えていないということはまず申し上げておきたいと思います。

 そして、先ほど大野政務官から既に答弁をさせていただきましたが、F35AとBを比べれば、BよりもAの方が対地攻撃はすぐれているわけでありますが、いずれにせよ、これは、憲法の範囲内で我々はそうした実力を行使をしていくところでございます。

 いずれにいたしましても、最初に申し上げましたように、そもそも、今後の防衛力のあり方については、さまざまな検討を不断に行っていくことは当然だろう、こう考えております。

宮本(徹)委員 時間が来ましたので、二点目のところまでたどり着けなかったのが大変残念ですが、またの機会に質問をしたいと思いますが、空母化に向けた検討などは断じて許されない、憲法違反だということを強く指摘して、質問を終わります。

小里委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 ちょっと冒頭に幾つかお話をさせていただき、答弁はその後いただければと思っております。

 まず、私は、補正予算の締め総で最後の質問者とさせていただきました。その際に、総理に、先憂後楽であるとか、四文字熟語で恐縮ですが、率先垂範、有言実行、こういったことについて、抽象的ですけれども、お言葉をいただきました。

 きょうは予算委員会の締め総がありまして、そんな中で、総理がいわゆる裁量労働制のデータについて、きっちり実態把握をしない限り、政府全体として前に進めないという気持ちだ、どのような実態把握をするかは厚労大臣を中心に検討させていただきたいというようなことを言われて、私は、真摯に向き合っていただいて、そして、今後、きちっとしたデータに基づいて、法案が出される、出されないはあると思いますけれども、当たっていただいていることに敬意を申し上げたく存じます。また一方で、野党の山井さん始め、命にかかわることだということを言われることも非常に私もよくわかります。

 そんな意味で、政治は権力闘争であって、また、選挙は結果であって、しかし一方で、少数派の意見も大事にしていただくという民主主義であるという観点から、僣越ですけれども、もう一つだけ四文字熟語を申し上げさせていただければ、脚下照顧、自分の足元をよくよく見るということで。

 我々、一昨日の二十六日、深夜零時を超えるというような事態になりました。その関係で、国会関係の職員の皆さんあるいは官僚の方々が残業を強いられ、居残りになり、あるいはいわゆる質問通告を待つような形があったりしたということで、我々、今国会は働き方改革の国会と総理は言われ、生産性革命と言われている状況の中で、もう一度我々は足元を見直す必要があるということで、僣越ですけれども、脚下照顧という言葉を申し上げさせていただきたく存じます。

 次に、一方的にまたいつも言って申しわけないんですが、FRB議長ジェローム・パウエルさんが初めてFRB議長として米国で議会証言をされました。米国経済は堅調であるということでありました。また、ECBは、この夏ぐらいをめどに、ひょっとすると緩和を縮小するという方向があるやに聞いています。

 この財務金融委員会でも、委員から、出口戦略はどうなんだという質疑もあったかと思いますけれども、まずは、麻生副総理、財務大臣が所管されているデフレ脱却が先ではないかということを私は感じますので、そういった意味で、まずはデフレ脱却、そして財政再建。質疑が前原先生、野田前総理とありましたけれども、そういった順番がやはり必要で、我が国の場合は周回おくれで緩和をしているということの中でありますので、時間的な余裕は私はまだあるというふうに思っていますので、そういった意見を開陳させていただきます。

 あと、ちょっと細かい話になりますが、いわゆる観光成長戦略、こういった点で、ちょっとだけ提言をさせていただければと思っております。

 いわゆる訪日外国人の消費税の還付についてなんですけれども、日本の場合は少額でも還付ができるということになっているようでございます。しかし、一方で、手間がかかるというかややこしいというか、そういうことの中で、外国人の還付請求というのがきちっとできているのかなということを懸念しています。

 きょう、三メガバンクがQRコードを決済に使って、スマートフォンで手軽に支払いができるQRコード決済というのが経済の新聞に載っていたかと思いますけれども、これと類似することで、御当局も一部研究を進めていらっしゃるようなんですけれども、いわゆる消費税の還付について、スマホで簡便にできるような仕組みというのをつくると。二〇二〇年の四千万人、二〇三〇年の六千万人というのも決して難しい数字ではないというふうに思いますので、こういった点も御検討をいただきたいなということをちょっと申し上げさせていただきたく存じます。

 それともう一点、旅なれた方は感じられるかもしれないんですが、海外を旅すると、今、お値打ちの航空券が手に入って、それで、航空会社が違っても目的地まで何度か乗り継ぎをしながらたどり着けるような形で、一括して各社からチケットをまとめて購入するeチケットが主流になっております。

 これと比べてなんですけれども、日本の観光というような意味からいくと、特に鉄道の点について、私の地元の、関係する、よく大変乗らせていただいている新幹線を中心に、JR東海さんがひとつちょっとネックになって、個名を言って申しわけありませんけれども、外国の方々が日本を旅するに当たって、チケットを東海道新幹線については別途買わないといけないというようなことで、九州とか四国とかあるいはJR西、この連携はどうやらできているようなんですけれども、一方で、真ん中に、富士山を見れるJRの東海が、残念ながら一括してチケットが航空券のように手配できないというような問題があって、こういった部分も日本の観光政策、成長戦略といった点では工夫の余地があると思いますので、ちょっと付言をさせていただきました。

 それで、質問に入らせていただきたいんですけれども、二〇一九年、来年の六月下旬から七月上旬にかけて、G20を大阪で決定いただきました。日本維新の本部があります関係もあって、大変ありがたく存じますけれども、財務相・中央銀行総裁会議は福岡で決まったというところまでは確認をさせていただいています。

 しかし、その先の、どういった分野の関係閣僚会合になるかはまだ決まっていないようですけれども、日本全体の観光、あるいは地域未来投資促進税制なんというのもあるわけですから、そういった点で、バランスよく、戦略的に、しかし総合的に関係閣僚会合の開催地を決めていく必要があると思います。

 昨年は、G7で三重の賢島を、東海エリアを選んでいただいたということはありがたく存じますけれども、また東海が選ばれるように私は願っておりますけれども、どういった選考基準でいらっしゃるか、教えていただければと思います。

安倍内閣総理大臣 G20サミットの関係閣僚会合については、どの閣僚会合をどこで開催するかについて、会場、宿舎、警備など、さまざまな観点から今後検討を進め、しかるべき時期に政府として決定、公表する予定であります。

 関係閣僚会合の開催地の選考に当たっては、それぞれ、すばらしい地方の特色を持った立候補地の中から、地方創生の観点も踏まえて総合的に判断をしてまいります。

 いずれにせよ、世界各国から数多くの代表団やジャーナリストが訪日するこの機会に、日本のおもてなしの精神と、各開催地ならではの、あふれる魅力やその特色を世界に向けて発信する機会としたいと思います。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 いろいろな関係とかバランスとかあるとは拝察いたしますけれども、ぜひ、均衡ある国土の発展と最近言わなくなったかもしれませんが、地方創生の観点から、いい御選択をいただければとお願いを申し上げます。

 次に、前原元外相、そして野田前総理からも質疑がありましたけれども、財政再建にかかわるところで確認をさせていただきたく存じます。

 これは麻生財務大臣とは一度質疑しているかもしれないんですけれども、いわゆる財務省が置いている財政健全化に向けた取組の中で、基礎的財政収支という言葉があり、また、二〇二〇年度までに黒字化という言葉がある中で、今回は、もう一回見直しをして、この夏ごろをめどに、骨太の方針にかかわるような形で、プライマリーバランスの黒字化目標の再設定ということが行われると存じ上げております。

 そんな中で、財務省のホームページを見ると、財政健全化目標に用いられる指標ということのフロー指標2財政収支というところの中で、フローの指標に、日本はプライマリーバランス均衡を用いていますが、諸外国はより厳しい財政収支均衡等を用いています、こういう書き方がなされています。

 要すれば、プライマリーバランス黒字化は、いわゆる財政健全化の必要条件かもしれないんですが、十分条件に私は至っていないという感がしてなりません。いわゆる黒字額が利払い費までたどり着かないと、本当の財政健全化に向けた道筋の一つの指標にはならないのではないかというふうに思っていますけれども、このPB黒字化目標の見直し、タイミングに合わせて、やはりいつかは健全化していかなきゃいけない、借金はなくなることはなかなか厳しいと思いますけれども、うまく運営していくことは大切でございます。

 そんな中で、やはり、目標は最終的には利払い分を含めたものでなければならないということで、財政収支均衡といったところでなくてはならないと思うんですけれども、改めて、先ほど、その本気度がどうだというような感じの質疑が党首討論のような形の質疑の中であられたことは、今、横で拝見させていただいたんですが、改めて総理の御認識を伺いたく存じます。

安倍内閣総理大臣 今般、人づくり革命を力強く推進していくために、消費税率引上げ分の使い道を見直しをして、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしました。この結果、PBの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。ただし、財政健全化の旗は決しておろさず、PBの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持をします。

 この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、PBの黒字化の達成時期、そして、その裏づけとなる具体的かつ実効性のある計画をお示ししてまいりたいと思います。

 そして、利払い費を含む財政収支の動向にも注意しつつ、PBの黒字化に向けて、歳出と歳入それぞれの面から改革を着実に続けていくことで、日本への国際的な信認を確保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たしていきたい、こう思っております。

 そして、財政収支の均衡の目標を設定するかどうかということでございますが、繰り返しになりますが、この夏までに、PBの黒字化の達成時期、そして、その裏づけとなる具体的かつ実効性のある計画をお示ししたいと考えております。

 なお、当然、利払い費を含む財政収支の動向にも注意をしていくということでございます。

杉本委員 利払い費を含むというお言葉をいただきました。

 やはり、最終的には、本当の意味での借金返済にたどり着くまでの、まず均衡といったところをよく御認識をいただき、与野党問わず力を合わせて努力をしていくということを私どもも考えていきたいと思っております。

 次に、先ほど斉藤先生から確認で、ちょっと御指導賜ったんですけれども、野田総理とのやりとりでも、給付つき税額控除ですね、そういった御提言がございました。そんな中で、消費税の一〇%上げの予定というのはほぼ視野に入っているという質疑になっているかと思います。

 そんな中で、これは財務大臣に御答弁いただくことになるかと思いますけれども、いわゆる軽減税率の導入は賛否、我が党もいろいろあります。しかし、現実論として考えると、一兆円という言葉が躍り、六千億の財源不足とかいろいろ言われる中で、軽減税率の対象、これは既に、外食及び酒を除く飲食料品全て、週二回以上発行の定期刊行物ということを斉藤先生から今改めて御指導いただきましたけれども、決まっているという状況にあるやに拝察しますけれども、この六千億円の財源不足というのを本当に考えると、もう少し軽減税率の対象品目というのは現実的には絞り込みをかけた方が私は望ましい答えが出てきやすいのではないかと拝察するんですけれども、こういった点について、なかなか、三党合意だとかいろいろ御意見がある中で難しいと思いますけれども、今後の可能性を含めて御答弁をいただければと存じます。

麻生国務大臣 この軽減税率の話につきましては、これは消費税を一〇%に引き上げさせていただいた段階でということで、今、私どもとしては、軽減税率をやはり低所得者への配慮としてやらせていただこうと思っております。

 その段階において、酒とか外食とかいうものを除く飲食料品などというものを対象にすることにいたしておりますけれども、この品目を減らして税収をふやすべきではないかという御意見のように承りましたけれども、今の段階で対象品目について、ふやすという考え方は持っておりません。

 いずれにしても、これにつきましては、二〇一八年度末までに歳入及び歳出におけますいわゆる法制上の措置を講ずることによって、きちっとした安定財源を得た上で恒久的な財源を確保していかねばならぬと思っておりますので、今から年度末までに当たりまして、この問題につきましてはきちんと検討させていただきたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 対象品目を絞り込んで、少なくして、痛税感という言葉があったかと思いますけれども、やはり、税収減があるというのはこの財務金融委員会としては望ましくないという点もあると思いますので、絞り込みといったこともまた改めて検討いただければと思っております。

 次に、幾つも質問して恐縮なんですけれども、これも、環境大臣から答弁をいただきました。それ以外には観光庁の次長、内閣府の次長からも御答弁いただいたんですけれども、ちょっと北海道の話で恐縮ですけれども、知床の中ほどに羅臼岳があって、羅臼岳山頂に登りますと国後島が見えてというような景色の知床半島がございます。国後島、色丹島の方を含めて、何度か鈴木宗男先生とともに北方領土に入らせていただいていますけれども。

 そういった我が国の固有の領土も観光資源として大切だと思いますけれども、その目と鼻の先というか、我が国の北海道の中での、本当に、世界自然遺産になっている知床というところについて、地元の意見も聞きながらいろいろ検討してまいりたいというような答弁を大体いただくことが多いんですけれども、なかなか総理のリーダーシップを発揮すると、いろいろなまた誤解があったりとかすることがあってはいけないと思いますけれども。そんな中で、電気自動車化というのを知床半島に入れてはどうかなということを。

 総理、旅をされたことはあるかと思うんですが、スイスのマッターホルンの麓にツェルマットという都市がありまして、そこは完全に電気自動車化を、一部の住民の例外を除いて導入されておられます。

 観光立国、そして訪日外国人の数値目標とある中で、総理のリーダーシップ、あるいは、私は、安倍・麻生アドミニストレーションズという僣越なことを申し上げていますが、レーガン・ブッシュ・アドミニストレーションになぞらえて申し上げていますけれども、お二人の御判断、御決断によって、いわゆる電気自動車化を知床に図っていく。ほかの地域も、五島列島とかもあるかもしれませんけれども、そういった可能性、リーダーシップの発揮について、ちょっと御意見、方向感をいただければありがたく存じます。

安倍内閣総理大臣 御指摘のツェルマットは、ケーブルカーを利用した山岳観光の拠点であり、麓の比較的狭いエリアを中心に電気自動車化を実施していると承知をしております。

 他方、知床は、半島の大半を占める国立公園内に数十キロに及ぶ道路が存在をしており、ツェルマットと一概に比較することはできないと考えています。

 その上で申し上げれば、国立公園の美しい環境を守っていくのは当然なことと思います。同時に、観光資源として活用しながら次世代に引き渡していくために、地元の観光関係者などの理解を得ながら二人三脚で取り組むことも重要であります。

 知床国立公園においては、一部のエリアにおいて、二十年近く前から混雑期のマイカー規制を実施をし、ハイブリッドバスを導入するなどの取組を進めてまいりました。しかし、最長で年間七十日であったマイカー規制期間は、観光客減少への地元の懸念などから順次縮小されまして、現在では二十五日間となっているのが残念ながら現状でございまして、こうした状況のもとで、一気に電気自動車化を進めることに地元関係者の理解を得ることは難しいと考えております。

 その上で、引き続き、知床国立公園の魅力をより高めるという観点から、環境保全と環境資源の強化に向けて、さまざまな検討を地元の皆さんとも行ってまいりたいと思います。

杉本委員 総理のリーダーシップで、逆に、宣伝効果が出るということによって、私は効果が出ると思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 もう一点だけ、ちょっと一つだけ、もう時間ですけれども、申し上げますが……

小里委員長 時間が参っておりますが。

杉本委員 なっていますか。

 土日の税務署の開庁というのが、意外と、与党の理事さんなんかとも意見交換していますけれども、きちっとできていなくて、働き方改革の中で、ぜひとも土日の税務署のこの時期の開署について前向きにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小里委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。高木錬太郎君。

高木(錬)委員 立憲民主党・市民クラブの高木錬太郎です。

 私は、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。

 個人消費が伸び悩み、格差の拡大が懸念される我が国の現状にあって、税による所得の再分配機能を更に強化しなければいけない中、今回の税制改正は、その本質的な議論を避けている小手先のびほう策にすぎないと指摘せざるを得ません。

 今回の控除見直しで増税となる給与所得者の年収基準は八百五十万円となりまして、約二百三十万人の方々が対象となります。この年収八百五十万円の皆さんは、都市部ではいわゆる中間層に位置する層であり、個人消費を支える中核の購買層に当たる皆さんでもあります。それにもかかわらず、家計分析に基づく精緻な議論を経て決定した基準とは言いがたく、取りやすいところから取るというこそくなやり方である印象が強く残ります。

 次に、金融所得課税についても指摘しなければなりません。

 格差を縮小するためにも、非常に重要な課題であるこの金融所得課税の見直し。税による所得の再分配機能という意味では真っ先に着手すべき税制であるにもかかわらず、二〇一四年、軽減税率を廃止して本則税率に戻すという改正以降、総合的に検討するというばかりで、実際には一向に見直しが進んでおりません。

 次に、所得拡大促進税制の見直しについて申し上げます。

 平成二十五年度税制改正においてこの所得拡大促進税制が創設され、数次にわたって制度の見直しが行われてきました。政府が民間企業に対し賃上げを直接的に要求するというのは本来あるべき姿であるとは思えませんが、税制を通じて、企業に対しさらなる賃上げを促すということ自体は理解できます。

 ですが、そもそも、なぜ毎年のように見直さなければならないのでしょうか。定量的な検証はどうなっているのでしょうか。具体的にどれだけ賃上げが進んだのか、政策効果はどうなっているのでしょうか。つまりは、この租税特別措置という制度自体、一度立ちどまって、果たしてこの制度は効果的なのか、根本的に考え直した方がいいのではないかと思っております。

 以上、大きく三点を指摘しまして、私の本法案に対する反対の討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

小里委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 私は、石川県能登半島の近藤和也です。

 希望の党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論いたします。

 今回の所得税法改正案では、給与収入八百五十万円超のサラリーマンの給与所得控除額の上限引下げによる増税が行われます。これらの改正で税負担が重くなる世帯は、個人所得を支える中核の購買層です。消費への影響も懸念されます。仮に格差是正や所得再分配のために増税をするのであれば、あわせて金融課税、資産課税等、真に担税力のある富裕層への課税もセットで示すべきではないでしょうか。

 そうした担税力ある富裕層への課税策は示さずに、給与所得控除を引き下げることでサラリーマンを狙い撃ちにするような改正は、税負担の公平性の観点からも疑問があります。

 さらには、今回の質疑を通じて、今後は給与収入八百五十万円より更にその上限を引き下げる可能性や、不妊治療を受けられる方にも影響が出てしまうということも判明いたしました。

 個人事業主の捕捉率の問題や雇用的自営業者の実情も放置したままです。個人所得課税改革の全体像を示さず、働き方の選択をゆがめるような継ぎはぎの改正では、納税者の理解は到底得られません。軽減税率を導入するために総合合算制度を諦め、びほう策として、さきの衆議院議員選挙では公約にも入っていないさまざまな増税。税制改悪の悪循環。所得税増税も、たばこ税増税も、取りやすいところから取る理念なきでこぼこ税制と言わざるを得ません。

 私たちは、このような理念なき場当たり的な税制改正では、到底賛成できません。

 所得控除から税額控除へ、税額控除から給付つき税額控除へ。所得税などのあり方を根本的に見直し、所得再分配機能を強化しつつ、時代の変化に合わせ、ライフスタイルに中立的な税制を実現する。理念ある、心ある税制を目指していくことをお約束申し上げ、私の反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

小里委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 無所属の会の野田佳彦でございます。

 私は、民進党と無所属の衆議院議員十四名から成る会派、無所属の会を代表して、政府提出の所得税法等一部改正案に反対の立場から討論を行います。

 今回の見直しは、所得税制をいたずらに複雑化し、公平、中立、簡素という租税の大原則からかけ離れた姿にするものです。

 また、年収八百五十万円超のサラリーマン、約二百三十万人もの方が増税となります。個人消費を支える中核への増税により、景気への悪影響は必至です。

 一方で、自営業者やフリーランスの方は多少減税されます。その根拠は、取ってつけたように働き方改革というだけで、およそ租税理論に基づいたものとは言えません。

 これまで、サラリーマンの収入がガラス張りである一方、自営業者の収入は捕捉率が低い、いわゆるクロヨン問題の解消が課題とされ続けてきました。それがいつ、サラリーマンの税負担が軽いとなったのでしょうか。経費の概算控除の観点から給与所得控除が議論になったことはありますが、自営業者の経費との比較ではありません。そもそも、両者は経費の認められる範囲が全く異なっています。このような筋悪の改正は、サラリーマン層の不公平感を一層助長するだけであります。

 諸悪の根源は消費税の軽減税率です。逆進性を緩和する効果がないにもかかわらず、痛税感の緩和という情緒的な言葉を根拠に、政府・与党は軽減税率導入を決めました。

 しかし、約一兆円もの巨額に及ぶ財源がない。だから、その穴埋めをするため、サラリーマンや喫煙者など取りやすいところから取る個人増税路線になったのであります。この天下の愚策を再考しない限り、びほう策で取り繕おうとする悪循環を断ち切れません。

 賃上げ及び投資の促進に係る税制改正については、政策効果は限定的と言わざるを得ません。中小企業の六割から七割は赤字企業であり、そもそも法人税の負担が生じていません。減税の恩恵を受けられるのは大企業中心になります。

 以上のように、今回の税制改正は、働き方改革、賃上げなど、看板だけは立派ですが、内実はびほう策にすぎません。国民生活を重視し、所得控除から税額控除へ、税額控除から給付つき税額控除へと所得税制の抜本改革を行うよう強く求め、私の討論を終わります。(拍手)

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 所得税法等改正案に反対する討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案が大企業優遇税制を一層拡大するからです。安倍政権が拡大した研究開発減税に加え、本法案の賃上げ促進減税、投資連携減税を最大限活用すれば、法人課税の実質負担率は一一%にまで引き下がることが委員会の審議で明らかになりました。既にトヨタの実質税負担率は一七%です。庶民には消費税増税を重ねながら、さらなる大企業優遇税制を拡大することは税の公平性に著しく反します。

 経済産業省の委託調査では、所得拡大推進税制を利用した上場企業の大半が、この税制とかかわりなく賃上げを行っております。そして、減税されたキャッシュの利用先のトップは内部留保と答えています。これでは血税の無駄遣いです。大企業に減税する財源があるのなら、赤字法人も含め、中小企業の支援にこそ回すべきです。

 安倍政権のもとで、法人税率引下げ、租税特別措置の拡大が進む中、大企業は史上最高の利益の更新を続けていますが、法人税収はリーマン・ショック前より大きなマイナスとなっています。本法案は、一層の法人税収の空洞化につながる危険があります。

 反対理由の第二は、超富裕層への優遇税制を放置したまま、給与所得控除を縮小し、中間層に増税を行うものだからです。

 財務省の作成した法案の説明資料では、増税となる年収八百五十万円以上は高所得者層だと記されておりました。かつて政府は、年収七百万円、八百万円以上は中堅所得者層だとし、勤労世代のやる気と活力を十分発揮してもらうために極めて重要であると減税を行いました。年収八百五十万は、一体いつから高所得者層になったのか。これまでの説明と全くつじつまが合わない御都合主義です。

 税負担の垂直的公平のためにやるべきは、株の譲渡益や配当で巨額の収入を得ている超富裕層への課税強化です。証券優遇税制を廃止し税率を一〇%から二〇%に戻した際、株価の変化は見られなかったと政府は答弁しました。金融所得課税の税率引上げにちゅうちょする理由はありません。早急に取り組むことを強く求めます。

 本法案には、中小企業家の負担軽減となる事業承継税制の拡充など必要な改正もありますが、以上の理由から法案に反対いたします。

 以上です。(拍手)

小里委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳です。

 私は、我が党を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。

 まず、所得税についてです。

 昨年度の税制改正における議論では、配偶者控除、配偶者特別控除の見直しが行われ、今年度も、多様な働き方に対応した税制改正が行われました。

 今回、個人所得税改正に焦点が当てられ、給与所得控除、公的年金控除や基礎控除等の一体的な見直しが行われることになります。給与所得者控除、年金控除制度が見直され、基礎控除を増すことは、フリーランスの勤労者や起業家に対する所得控除を公平に近づけるために一定の効果があると評価します。

 ただし、今回の税制改革において、八百五十万円以上の給与所得者が増税対象となることについては疑問が残ります。高所得者狙い撃ちの今回の改正は、我が国の経済や産業、テクノロジーを支える層の労働意欲や消費の減退が懸念されます。

 また、給与所得者と個人事業主等との所得把握の不均衡は改善されることはなく、所得を把握しやすい給与所得者に対する増税になる点や、依然として現役世代よりも年金受給者に対して手厚い制度である年金等控除に対する抜本的な見直しについて、引き続き、政府に対して見直しを要求してまいりたいと考えています。

 次に、事業承継税制についてです。

 中小企業経営者の高齢化が進み、二〇二〇年までに三十万以上の経営者が七十歳以上になるにもかかわらず、後継者不足が深刻な課題になっています。

 経済産業省の推計によれば、後継者問題等の廃業が急増することで、二〇二五年までの十年間で約六百五十万人の雇用、約二十二兆円のGDPが失われる可能性が示唆されています。今回、こうした状況を踏まえ、事業承継に関する優遇措置の対象が拡充された点については、我が党が税制に関する当面の考え方としてまとめた提案内容も反映されており、その内容について評価しております。

 今回の税制改革によって民間の活力が最大限発揮できるよう、指摘した事項について政府における真摯な対応を今後求めつつ、我が党は、以上のような観点を総合して、本法案に賛成いたします。

 以上です。(拍手)

小里委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより採決に入ります。

 所得税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、津島淳君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び日本維新の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。岸本周平君。

岸本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 高水準で推移する申告件数及び滞納税額、経済取引の国際化・広域化・高度情報化による調査・徴収事務等の複雑・困難化に加え、税制改正、社会保障・税一体改革への対応などによる事務量の増大に鑑み、適正かつ公平な課税及び徴収の実現を図り、国の財政基盤である税の歳入を確保するため、国税職員の定員確保、職務の困難性・特殊性を適正に評価した給与水準の確保など処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を払うこと。

   特に、社会的関心の高い国際的な租税回避行為、富裕層への対応を強化し、更には納税者全体への税務コンプライアンス向上を図るため、定員の拡充及び職員の育成等、従来にも増した税務執行体制の強化に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

小里委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

小里委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

小里委員長 次に、内閣提出、国際観光旅客税法案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る三月二日金曜日午後一時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長北村隆志君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官澤井俊君、日本経済再生総合事務局次長宇野雅夫君、外務省大臣官房参事官船越健裕君、財務省主計局次長大鹿行宏君、主税局長星野次彦君、理財局長太田充君、国税庁次長藤井健志君、国土交通省大臣官房審議官馬場崎靖君、鉄道局長藤井直樹君、航空局次長和田浩一君、観光庁長官田村明比古君、次長水嶋智君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いいたします。

 四半世紀ぶりの新税ということが議題になりまして、毎年四千万人の方々から千円ずついただくという大変な新税であるわけでございますが、しっかりと議論をしなければならないというふうに思います。

 そこでまずお尋ねをするわけでございますけれども、先生方のお手元にも配付資料を配らせていただきましたが、資料一ページ目にございますように、この国際観光旅客税は、平成二十八年、二〇一六年の三月三十日、安倍総理が議長である明日の日本を支える観光ビジョン構想会議で決定をされた明日の日本を支える観光ビジョンの中で、「国の追加的な財源の確保策」として「他の観光先進国の取組も参考にしつつ、観光立国の受益者の負担による方法により、観光施策に充てる追加的財源を確保することを目指す」という、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議決定が出発点となったということでよろしいでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 観光は、政府の成長戦略の柱、地方創生の切り札と位置づけられておりまして、ビザの戦略的緩和や消費税免税店制度の拡充を始めとする諸施策を政府一丸となって取り組んでいるところでございます。

 この結果、昨年の訪日外国人旅行者数は、対前年一九%増の二千八百六十九万人、訪日外国人旅行消費額は、対前年比一八%増の四兆四千百六十一億円といずれも過去最高となっておりまして、この五年間で、旅行者数は約三・五倍、消費額は約四倍に拡大しております。

 政府の訪日外国人旅行者数の目標は、当時の目標は、平成三十二年、二〇二〇年に向けて二千万人の高みを目指すとされていたところでございますけれども、平成二十六年以降、順調に数が伸びまして、二〇一五年、平成二十七年には千九百七十四万人と前倒しての目標達成が視野に入ってきたことから、次の時代の新たな目標の達成とそのために必要な対応の検討を行う必要がございました。

 このため、平成二十八年、二〇一六年三月に、明日の日本を支える観光ビジョンを策定いたしまして、二〇二〇年訪日外国人旅行者数四千万人等の目標とその実現のための施策が取りまとめられたところでございます。

 委員御指摘の観光財源につきましては、この観光ビジョンにおいて、観光施策を実施するための国の追加的財源を確保するため、観光先進国を参考に、受益者負担による財源を検討すると記載されたところでございます。

川内委員 そのとおりでございますと一言答弁していただければすぐ終わるんですけれども、えらいしゃべりましたね。

 この観光ビジョン構想会議、安倍総理大臣が議長ですけれども、その構想会議のもとに、官房長官を座長とするワーキンググループが組織をされ、平成二十七年の十二月一日から平成二十八年三月七日まで九回、多いときには週二回のハイペースで議論が行われておるようでございます。

 この観光新税の創設は、平成二十八年一月二十六日の第六回ワーキンググループの配付資料、事務局ヒアリングにおける有識者の主な指摘ポイントという資料で示された、三十人の有識者の中のお一人である増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授の「観光の中で、自然も文化財も伝統芸能も農業も使っていく。」「観光客にも金銭的に負担してもらい保存の財源に。」という発言が新税創設のきっかけとなったと、昨日、観光庁の御担当者から説明をいただいておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

田村政府参考人 今御質問の観光ビジョンでございますけれども、そのワーキンググループにおきまして、九回にわたりまして、内外の有識者からのヒアリングなどを実施して取りまとめられたものでございます。

 そして、観光財源に関する具体的な議論といたしましては、まず、平成二十七年十二月の第二回ワーキンググループにおきまして、田川博己日本旅行業協会会長から、アジア各国が観光誘致、観光投資の競合国であるという認識のもと、交流大国として日本の立ち位置をつくるためにも、アジアの競合国並みの安定的な観光予算を確保し、具体的な施策を中長期的にやり切る覚悟は必要である、こういう御意見がございましたほか、今先生御指摘いただきましたように、事務局が行った有識者ヒアリングにおきましても、増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授からは、自然や文化財、伝統芸能、農業なども観光資源として活用していくことが重要であり、これらの資源の保存と観光資源としての活用の双方がより強く、よりよくなる関係を築くためにも、そのための財源を確保することは必要であるといった御意見があったところでございます。また、国として出入国時の手数料徴収等を行っている事例や、自治体において宿泊者や宿泊施設等に課税している事例につきましても、観光庁として調査を行ったところでございます。

 これらを踏まえて、最終的に取りまとめました観光ビジョンにおいて、次世代の観光立国実現のための財源の検討という項目が盛り込まれたものと承知をいたしております。

川内委員 旅行業協会の会長さんは、空港使用料を安くしろとか、新たな税をつくるという趣旨の発言ではなかったというふうに思いますね。

 それを議論してもしようがないので次へ行きますけれども、この増田寛也先生の、観光の中で自然も文化財も伝統芸能も農業も使っていく、観光客にも金銭的に負担してもらいましょうというこの御発言が、先ほど御説明した、観光立国の受益者の負担による方法により観光施策に充てる追加的財源を確保するという非常に官僚的な文章になっていくわけですけれども、この発言、第六回のこの発言を取り上げて、その後、第何回のワーキンググループでこのような文言に固まったのでしょうか。

田村政府参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、事務局が行った有識者ヒアリングにおいて、増田寛也教授から、自然や文化財、伝統芸能や農業なども観光資源として活用していくことが重要であり、これらの資源の保存と観光資源としての活用の双方がより強く、よりよくなる関係を築くためにも、観光客にも金銭的に負担をしてもらうなど、そのための財源を確保することが必要であるといった御意見があったところでございます。

 これに加えて、我が国の観光予算がアジアの競合国と比べて少なく、我が国がアジア各国との競争に打ちかつために観光予算を大幅に拡充する必要があり、そのための安定的な財源を確保するということは、従来から観光関係者の間で長期にわたっての懸案の一つでございました。この背景もありまして、第二回のワーキンググループで田川博己会長からもそういった趣旨の御意見があったところでございます。

 これらを踏まえて論点整理を行った上で、観光庁が原案を作成し、関係省庁との調整を経た上で、明日の日本を支える観光ビジョンの記述が取りまとめられたものと承知をいたしております。

川内委員 私の質問は、その観光庁が取りまとめられた原案が第何回のワーキンググループに提示をされましたかということを聞いているんですけれども。

田村政府参考人 このワーキンググループにおきまして、内外の有識者からヒアリングを行うとともに、論点整理を行った上で、観光庁において原案を作成し、関係省庁との調整を経た上で、第二回明日の日本を支える観光ビジョン構想会議、これが二〇一六年の三月三十日に開かれたわけでございますけれども、ここで国土交通省から説明を行い、民間有識者等との意見交換も経た上で、明日の日本を支える観光ビジョンとして取りまとめられているところでございます。

川内委員 だから、ワーキンググループの中ではこの案文はいつ提示されたんですかということを聞いているんですけれども、ワーキンググループの中で。第二回の構想会議では当然、これはもうここで、第二回の構想会議で決定するわけですから、提示しているに決まっているじゃないですか。

田村政府参考人 この文言そのものは、ワーキンググループに提出されたということではなくて、関係省庁との調整を経て、第二回の会議でかけられたものでございます。

川内委員 いきなり増田寛也さんの、何か、私はこれが新税の創設につながる言葉だとはなかなか思えないけれども、それが第二回の構想会議に提示をされて決定をされた。

 このワーキンググループの開催状況は首相官邸のホームページに掲載されているわけですけれども、第一回から第五回までは議事要旨が掲載されていますが、第六回から、六、七、八、九と議事要旨が掲載されておりません。

 構想会議決定に至るワーキンググループの議論というのは非常に重要だというふうに考えますが、なぜ議事要旨を掲載していないのか御説明をいただきたいと思います。

澤井政府参考人 お答え申し上げます。

 議事要旨の取扱いにつきましては、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議決定におきまして、ワーキンググループの庶務につきましては、国土交通省の協力を得て、内閣官房において処理するというふうになってございます。

 今回の議事の取扱いも含めまして、会議の運営につきましては、国土交通省、観光庁が実質的に行っている、こういうことでございます。

川内委員 これは観光庁が、じゃ、サボっているということですか。議事要旨はなぜ掲載されていないんですか。

田村政府参考人 今、内閣官房から答弁がございましたように、このワーキンググループの庶務は、国土交通省の協力を得て、内閣官房において処理することとされておりますけれども、議事要旨の公表、非公表といった事務的な判断につきましては、実質的には観光庁において行っていたところでございます。

 具体的には、議事要旨の公表、非公表の扱いにつきましては、毎回の会議の議事運営の中で事務局よりお諮りをした上で決定しているところでございますけれども、その上で、第六回から第九回までのワーキンググループにおきましては、第一回から第五回までの有識者からのヒアリング等を踏まえまして論点整理を行うとともに、テーマごとに省庁間で意見交換を行って、実務的な検討、協議を行ったところでございまして、議論の途中段階であるこれらの回の議事要旨につきましては非公表とさせていただいたところでございます。

川内委員 四半世紀ぶりの新税創設のきっかけとなる、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議ワーキンググループの議論というものがいかなるものであったのかということが、今、現段階において検証することができない、どんな議論をしたのかがさっぱりわからないということでは、私たち、審議することができないですよね。そう思いませんか、観光庁長官。

田村政府参考人 観光財源の確保につきましては、もちろん今先生が御指摘の観光ビジョン、それから昨年六月の未来投資戦略に明記をして、政府内で検討を進めてきたものでございます。

 そして、昨年の秋に、観光庁の有識者検討会におきまして、いろいろな選択肢について、航空会社などの関係事業者や地方自治体を交えた形で精力的に議論を行った結果、出国旅客による税負担方式によって、必要となる財政需要の規模も勘案しつつ検討するという提言が取りまとめられたところでございまして、これに基づきまして、与党税制調査会における御議論なども経て、税制改正の大綱に国際観光旅客税の創設が盛り込まれたということでございまして、そうした全体の議論に基づいて今回の法案というものを出させていただいているということでございます。

川内委員 いや、全体の議論の経過がよく見えないんですよ。

 配付資料一の、構想会議決定の後の、未来投資戦略二〇一七にも同様の文言が出ているわけですね。「他の観光先進国の取組も参考にしつつ、観光立国の受益者の負担による方法により、観光施策に充てる財源を確保することを目指す。」という、未来投資戦略二〇一七、平成二十九年六月九日閣議決定。

 構想会議決定が未来投資戦略決定に結びついていくわけですけれども、じゃ、未来投資戦略二〇一七を議論した未来投資会議で、この未来投資戦略二〇一七は何回議論されていますか。

宇野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、未来投資戦略二〇一七では、財源の確保策について記述がございます。

 この経緯といたしましては、まず、先ほどの観光庁長官の答弁にもございましたとおり、二十八年三月に決定されました明日の日本を支える観光ビジョンにおいて打ち出されまして、そして、同じ趣旨が、二十九年三月の観光立国推進基本計画として閣議決定されております。こうしたことを踏まえまして、二十九年六月に出ました未来投資戦略においても位置づけているという経緯でございます。

 なお、未来投資会議における御議論において、本件に係る具体的な提案、要望等はなかったものと承知しております。

 以上でございます。

川内委員 だから、未来投資会議では具体的には何も議論していないわけですよね。しかし、平成二十九年の八月に、観光庁は観光財源について税制改正要望を提出しているわけです。

 この未来投資戦略二〇一七には、新税を創設するとか全く書いていないですよね。新税創設の検討をするとは書いていないんだけれども、観光庁は、八月の時点で既に税制改正要望を提出している。財源はゼロベースで議論し、新税とするということは十一月に、その後十一月に決まっているのに、八月に税制改正要望をするというのは、私はちょっと勇み足ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の税制改正要望、昨年の八月に観光庁から提出させていただいている要望でございますけれども、観光財源の確保策につきまして、諸外国では出入国や航空旅行の際に外国人旅行者や出発・出国旅客から租税、手数料などを徴収している例が見られることなどを参考にしつつ、税に限らず、手数料を含めて、財源確保策を広く検討する観点から、次世代の観光立国実現のための財源の検討として、税制改正要望をさせていただいたところでございます。

川内委員 手数料か税になるかわからないけれども、とりあえず出しておけみたいなことだということなのかもしれないですけれども。

 新税創設をするということが、どこで激しい議論が行われたのかがちょっとよくわからないんですけれども、この観光新税について政府税制調査会では議論されたのでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、観光庁からの三十年度改正に係る要求に関してでございますけれども、ただいま観光庁長官からもるる経緯が御説明ございましたとおり、一昨年三月の観光ビジョンにおいて観光財源の確保について明記され、昨年六月の未来投資戦略二〇一七において、「今後さらに増加する観光需要に対して高次元で観光施策を実行するために必要となる国の財源の確保策について検討を行う。」「検討に当たっては、他の観光先進国の取組も参考にしつつ、観光立国の受益者の負担による方法により、観光施策に充てる財源を確保することを目指す。」とされたところで、これを受けまして、税制改正要望ということで観光庁からなされておりますけれども、これは、諸外国では出入国や航空旅行の際に外国人旅行者や出発・出国旅客から租税、手数料を徴収している例が見られることも参考にしつつ、税に限らず、手数料も含めて、財源確保策を広く検討する観点から提出されておりまして、そういう意味では、税も含めての御要望だと。

 これを受ける形で、主税局としては、観光庁からもいろいろとお話をお伺いしたわけでございますけれども、先生お尋ねの政府税調の議論に関しましては、政府税調自体は、総理の諮問のもとで、中長期的観点から、あるべき税制のあり方について審議を行う機関でございまして、毎年度の税制改正の審議を直接行うということが必ずしも求められているものではございません。

 そういう意味では、今回のこの財源に係る議論は、政府税制調査会においては審議は行われておりません。

 新税の創設に当たりまして政府税調で議論をしないのかという、そこが先生のお尋ねの件だと思いますけれども、例えば、直近の新税ですと、平成二十六年度改正で創設された地方法人税という税がございますけれども、これもその創設を議題とした審議は政府税調では行っておりません。当時、総務省の有識者検討会を中心に議論が進められた上で、これは、与党の税制調査会の議論を経て創設が決定されているということでございまして、必ずしも政府税調で議論が行われていないということでございます。

川内委員 いや、私が知りたいのは、今、主税局長さんから、政府税調で必ずしも求められていないよ、事実としても議論していないよという御報告だったわけですけれども、出国される方々から一律千円いただきますというこの税金、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議で出発点が案文決定されて、そこからどういうふうな議論の経過を経て、税なのか、手数料なのか、どっちにしても千円いただくことになるわけで、税としていただきましょうということが決まっていく、あるいは、それが手数料でもいいじゃないかという議論がもしかしたらあったのかもしれないし、どこでどういう議論があったのかということについて知りたいわけですけれども、そのワーキンググループの開催状況は、第六回から第九回までは議事要旨を公表しません、見せないもんということに、冷たく言われているわけですけれども。

 じゃ、お聞きしますが、このワーキンググループの中で、増田寛也さんの発言を受けて、税にしようか、それとも手数料にしようか、どっちがいいんだろうね、だけれども案文はどうなるかわからないからこういう形にしようねというような形で、増田寛也さんの発言を受けて議論そのものがワーキンググループの中で行われたのかということについては、教えていただけますか。

田村政府参考人 ワーキンググループの中で、それまでの有識者のヒアリングの結果を受けて論点整理をさせていただいておりまして、その中で、増田先生、あるいは先ほど申し上げました田川旅行業協会会長の発言の一つの論点整理として、観光財源のあり方について検討するという御説明をさせていただいたというふうに記憶をしております。

川内委員 それは、観光庁長官がメンバーに説明したということですか。

田村政府参考人 私及びその事務方ということだろうというふうに思います。

川内委員 いや、委員長、議事要旨を、六、七、八、九と、一番肝心なところが検証できないというのは、新税の創設を議論するに当たってやはり問題だと私は思います。

 したがって、六、七、八、九の議事要旨を本委員会に、観光庁、おつくりにはなっていらっしゃるでしょうから、提出をいただけるよう御指示いただきたいというふうに思います。

小里委員長 理事会にて協議いたします。

川内委員 ちょっと、今、うちの筆頭の海江田先生から、もう一回、出せない理由を聞けということですから、出せない理由をもう一回言ってください。

田村政府参考人 第六回から第九回までのワーキンググループにおきましては、第一回から第五回までの有識者からのヒアリング等を踏まえまして論点整理を行うとともに、テーマごとに省庁間で意見交換を行いまして、実務的な検討、協議を行ったところでありまして、議論の途中段階であるこれらの会の議事要旨につきましては非公開とさせていただいたところでございます。

川内委員 それは、審議会等の議事録の公開については原則公開だと思うんですけれども、公表できないという法的根拠は何ですか。

田村政府参考人 法的根拠と申しますか、一応、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の第五条第五項におきまして、国の機関等の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報でありまして、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ等々があるものにつきましては開示をしなくてもいいという規定はございます。

 ただ、当時の判断としては、まだ審議の途中であるので非公開とさせていただいたということでございます。

川内委員 今の、全然理由になっていないでしょう。

 もう終わって、これは国民に税をかける議論をするわけですよ。それが、中身は見せられませんというのは、全く今、委員長、理由になっていなかったですよね。どういうことなんですか。それじゃとても議論できないですよ。

 議論の途中経過だから議事要旨は伏せていましたと今おっしゃったんですよ。もう議論も終わって、いよいよ法律の議論をこれからするわけですよね。この観光新税のもととなる会議体がどのような議論をしたのかということについては、この観光新税の創設を国民の皆さんが判断するに当たってとても大事な重要な資料ですよ。それを、見せられませんと。

 いや、ワーキンググループで全く議論してませんわ、自分たちが、事務局で勝手に案文入れたんですわと言うんだったら別ですよ。今、議論していましたと言ったんですからね、このワーキンググループの中で。だったら、ワーキンググループのどんな議論があったのかを見ないとわかりませんねと。

 私が言っていること、おかしいですか。

小里委員長 川内委員から資料請求について御意見をいただいたわけであります。

 これは、本来的には理事会で協議する事項であります。そのようにさせていただきたいと思います。

 もう一回質問をお願いします。

川内委員 いや、理事会で協議しますとさっき委員長は引き取ったんですけれども、これは理事会で協議するようなことじゃなくて、委員長が今ここで、すぐ出しなさいということを御指示いただきたいんですよ。そうじゃないと、だって、また議論できないですよ。

小里委員長 ただいまの要求に対しては、どうですか、田村長官。

田村政府参考人 御指示に基づきまして、お時間をいただきましたら、御提出をさせていただけるというふうに思います。

小里委員長 指示をすれば出せるんですね。

田村政府参考人 いろいろと有識者、御意見をいただいておりますから、その公表についても一応御了解を得た上で、お時間をいただきましたら出せます。

小里委員長 では、出せる範囲で、ぜひ出していただきたいと思いますが。

田村政府参考人 お時間と申しますのは、物すごい時間がかかるということではなくて、きょう、今すぐ出せと言われるとなかなか難しいということを申し上げているわけでございますけれども、しかるべきタイミングに出させていただくと。それは、ちょっと、一両日中に出させていただくということはあり得ると思います。

小里委員長 では、御案内のような状況であります。出さないと言っているわけではありませんので、可及的速やかに出していただきたいと思います。

 質疑を、審議を続けてください。(発言する者あり)

 二日までに出せますか、田村長官。

田村政府参考人 御指示に従って出させていただきます。

小里委員長 では、そのようにお願いします。

 では、質疑を続けてください。川内博史君。

川内委員 二日というのは、二日の朝ですよね。

田村政府参考人 二日の朝までに出させていただきます。

川内委員 法律の中身について聞かせていただきたいと思いますが、なぜ米軍関係者は免税となるのかということについて御説明をいただきたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日米地位協定第十二条の三は、合衆国軍隊等が公用のために調達する物品役務等に関し、一定の条件のもとに、将来の租税等を、免税又は税の軽減を認める手続について合意する旨規定しております。

 同規定によりまして、今回の国際観光旅客税についても、合衆国軍隊の構成員等が公務で出国する場合に、免税を認めるようにするものでございます。

川内委員 公務で出国するというのは、誰が公務だということを証明するんですか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、そういった点についても詰めてまいりますが、基本的には米軍が公務をいかなる形で証明できるかということだと承知しております。

川内委員 その人が公務だと言えば公務になってしまうことのないようにしていただきたいと思いますが、そもそも、米軍基地から出国される、まあ、米軍基地は米国ですから、の中と考えてもいいのかもしれないですけれども、米軍基地から外に出ていく方々の人数というのは、外務省は把握されていらっしゃるんでしょうか。

船越政府参考人 日米地位協定第九条に関する合意議事録におきまして、日本国政府は、両国間で合意される手続に従って、入国者及び出国者の数及び種別につき定期的に通報を受けると規定しておるところでございます。

 日本政府は、かかる規定に基づきまして、米側から定期的に通報を受けているところでございます。ただ、その内容につきましては、公表につきまして日米間の両政府の間で合意がないことから、お答えは差し控えたいと思います。

 ただ、その上で申し上げますと、法務省の統計で、出入国から、出国した米軍の関係者の延べ人数は公表させていただいておりまして、平成二十八年、一年間の当該人数は約十六・七万人でございます。

川内委員 統計にあらわれる数字が十六・七万人で、実際の数字も外務省としては把握しているということでよろしいでしょうか。そしてそれは、家族も、米軍関係者の家族も含むという理解でよろしいでしょうか。

船越政府参考人 外務省が米側から通報を受けております数字は、地位協定の対象者でございますので、それは含んでおります。

 ただ、どういった形で具体的に通報を受けているかにつきましては、日米間で合意がないことから、お答えは差し控えておりまして、その上で、法務省の統計での出入国者について政府として公表させていただいているところでございます。

川内委員 米軍関係者だけが何で免税になるのかというのはちょっと、それは地位協定があるから仕方ないと言われてしまえばそれまでかもしれませんけれども、何となく、国民の皆さんがそれを知ったら、米軍の関係者は千円払わなくてもいいんだよと聞いたら、不公平だな、何でと思うんじゃないかなというふうに思います。

 さっき採決が行われたわけですけれども、所得税法等の一部を改正する法律案についても、若干、私の方から聞かせていただきたいこともあったので聞かせていただきます。

 大学関係者の方から、大学への寄附控除を年末調整の対象とすればすごく寄附しやすくなるんだけれどもと、学校法人に対してですね。今までは五千円とか一万円とか寄附しても、確定申告するのは面倒くさいからもうそのままになっているんだよということだったみたいで、自分の出身大学とかから寄附してねという手紙が来たりすると五千円とか一万円とか寄附する、それが年末調整の対象になるとすごく大学への寄附も進むのではないかというふうに考えるんですけれども、これは速やかに実現すべきと思いますが、財務省として、検討の状況並びに方針を教えていただけますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 寄附金控除を年末調整の対象とすることについてのお尋ねでございます。

 源泉徴収義務者にとりまして、仮に年末調整の対象にするということになりますと、従業員から申告された寄附金控除が要件を満たすものであるかどうか、具体的には、例えば、寄附先の法人が寄附金控除の対象となる法人であるかの確認など、新たな事務負担が生じることに留意する必要がございます。

 仮に、従業員から源泉徴収義務者に対して寄附金控除関係書類を提出して、それをチェックするというようなことを何らか行おうとした場合に、検算の事務負担ですとか、今申し上げたような法人についての確認を行う必要がどうしても出てまいります。

 こうした観点から、日本商工会議所からは、昨年の九月に、寄附金控除を年末調整の対象とすることについて反対といったような意見が示されているところでございます。

 したがいまして、寄附金控除を年末調整の対象とすることについては、やはり慎重な検討を要するものと考えております。

川内委員 商工会議所なども、電子化されれば事務負担が減るので考えてもいいよ的なことはおっしゃっていらっしゃるというふうにも聞いているので、ぜひまた慎重に検討をしていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、もう時間がどんどんどんどんたっていきますから進みますが、財務省史上過去に例のない空前の特例、破格優遇融資三兆円、リニア中央新幹線に対する三兆円の融資ですね。約三十年間の据置き、金利が平均で〇・八六%、約三十年後から十年間で元金均等返済。三兆円、〇・八%の固定で借りるというのは、これはもう大変な破格の優遇融資だなというふうに思うわけでございます。

 配付資料四ページ目の、財務大臣と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の財政融資資金長期資金借用証書の利率の記述、赤線のアンダーラインを引いてありますが、そこに、財務省と鉄運支援機構との間は、約定金利について、「約定利率は、金融情勢に応じて変更されても異存ないものとする。」こう書いてあるわけですけれども、この記述の意味はどういう意味でしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 基本的な発想は、財政融資の原資の調達期間と財政融資の貸付けの期間が大きく異なっているという場合には、急激な金利上昇等金融情勢に大きな変化が生じた際に、財政投融資の財務状況が極端に悪化する可能性もある、そういう考え方から設けられたというのが基本的な考え方であります。

 ただ、財務省と鉄運機構との間の借用証書、今委員がお示しをいただきましたとおり記載されているわけですが、この借用証書は、財政融資資金の管理及び運用の手続に関する規則に定める別紙様式に沿ったものでございまして、これはその他全ての借用証書に当該状況を記載しているというのが現実でございます。

川内委員 鉄道機構とJR東海との融資の契約書には、このようなただし書きの記載はあるのでしょうか。

北村参考人 お答え申し上げます。

 今財務省の方から御答弁ございましたように、財務大臣と鉄道・運輸機構との借用書では、先ほどの文言が、財政融資の借入れに当たって通例として盛り込まれている文章だということで、我々の方としては書かせていただいております。

 鉄道・運輸機構とJR東海との契約書でございますが、これは両者間で結ばれた貸付契約書でございますので、貸付契約書につきましては、金融取引における一般的な守秘義務があること、そして、我々、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第五条で、公にすることにより、当該法人又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものとして不開示情報に該当するということから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

川内委員 鉄道機構とJR東海さんとの融資の契約は、配付資料三ページ目にございます、五本融資があって、それぞれ〇・六、〇・八、〇・九、〇・九、一・〇というふうに利率が書いてございますけれども、この固定金利ということでよろしいですよね。これは国交省が公表している数字ですから。

北村参考人 今先生おっしゃいましたように、鉄道・運輸機構からJR東海への貸付けは、機構と財務省の貸付けと同様に、同じ固定金利で行っているところでございます。

川内委員 情報公開第五条に公表義務と書いてあって、本来は国にかかわる書類は全部公表するんだよ、でもめちゃめちゃ例外としてこういうことは公表しなくてもいいからねということが書いてあって。でも、何か最近、五条を利用してやたらと公表しませんとかいうことが横行しているような気がして、私は、書類を読むのが大変好きな書類マニアとしては、ちょっと不服ですね、不満ですね。

 もう一点、鉄運機構の理事長さんに来ていただいているので聞かせていただきたいんですけれども、財務大臣宛ての借用証書には、三兆円資金の用途、使い道としては、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法附則第十一条第一項第四号の業務に必要な資金、すなわちリニア中央新幹線の建設費用に充てる資金として使ってねということが書いてあるわけですが、しかし、三兆円、もう既にJR東海さんに全部融資しているわけですから、三兆円をいきなり全部使うこともできないし、JR東海さんが建設資金に回すまでの間、運用に充てることは許容されているのでしょうか。

北村参考人 この財投資金の貸付けでございますけれども、リニア中央新幹線の全線開業を早期に実現するために、品川―名古屋間の工事に必要な資金について、財政融資の長期、固定、低利の貸付けを活用することによって、JR東海における経営体力回復期間をなくし、全線開業の最大八年間の前倒しを図る、こういう目的のために行っているものでございまして、この貸付資金については運用に使われないような取扱いとしておるところでございます。

 さらに、具体的に申しますと、JR東海におきましては、借入資金の使途の明確化を行いますために専用の資金管理口座を開設しておりまして、その資金管理口座を開設の上、支出の管理を行うこととし、我々機構におきましては、この資金管理口座の残高と実際のリニア工事に係る支出を突合するということでその使用状況の確認を行うこととなっておりまして、貸し付けた資金が運用に使われていないことを確認する取扱いとしております。

川内委員 それでは、残り十分ぐらいでございますので、税の根幹にかかわる、国家の信頼性にかかわる、森友学園問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、財務省さんに教えていただきたいんですけれども、平成二十四年度から平成二十八年度までの五年間で、財務局から財務本省に対して、国有財産の処分、貸付けや売払いについての特例の承認を求めた事例は、年度ごとにそれぞれ何件ずつございますでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員の御指摘は、特例承認ということですが、それは、個別の国有財産の管理処分は、国有財産法に基づいて、基本的には各財務局長に分掌されております。

 ですが、国有財産の管理処分の具体的な手続等を通達で定めているわけですけれども、個別の事情に応じて通達の定めによりがたいというときには、各財務局から本省に対して承認を行う、それを特例承認というふうに称しております。

 二十四年度から二十八年度までで、特例承認は何件か、各年度ごとにということですが、平成二十四年度二件、平成二十五年度一件、平成二十六年度二件、平成二十七年度二件、平成二十八年度一件、合計しますと八件ということでございます。

川内委員 近畿財務局から本省に対して特例承認を求めた案件というのは、この二十四年度から二十八年度までの間でそれぞれ何件ございますか。

太田政府参考人 近畿財務局からの承認申請は、森友学園の事案を含めて、全部で五年間で三件でございます。

 年度で分けますと、平成二十四年度が一件、平成二十五年度が一件、平成二十七年度が一件ということになります。

川内委員 森友学園の案件は、平成二十七年度の案件であるということでよろしいでしょうか。

太田政府参考人 さようでございます。

川内委員 昨年の三月二十四日の参議院予算委員会の議論の中で、迫田元理財局長さんがこのように御答弁をされていらっしゃいます。

 「本省理財局に上がってくる案件のうちでいわゆる理財局長まで報告、相談がなされる案件は、私の一年間を振り返っても極めて限定的でございます。それは、私どもに、私のところに上がってこない案件につきましては、それぞれの担当部署が責任を持って対応するということになるわけでございまして、」というふうに御答弁をされていらっしゃいます。「本省理財局に上がってくる案件のうちでいわゆる理財局長まで報告、相談がなされる案件は、」「極めて限定的」だ、極めて限定的だけれどもある、こうおっしゃっていらっしゃるわけですね。

 そうすると、平成二十四年度が特例承認二件、二十五年度が一件、二十六年度が二件、二十七年度が二件、二十八年度は一件、本省に上がる件数がそもそもめちゃめちゃ少ない。本省に上がるものについては、大体理財局長さんは報告をお受けになられるのではないか。森友の案件のときは、二十七年は二件で、全省的に二件で、近畿財務局からは一件なわけですけれども。

 理財局長さんは本当に報告を受けないんですかね。限定的だけれども受けると言っているんですよね。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員は大変精通していらっしゃるので、御存じのことも多くて、の上で御質問だと思っていますが。

 基本的に、本省に上がってきているというのは、承認権限が本省にあって、この場合は理財局長ではなくて理財局の次長に権限が委任されているという状況でございます。そういう意味では、法令というか通達上の権限でいうと、局長まで上げなければいけないというふうになっているわけではないということではあります。

 ただ、実際の問題として、案件の性質により、それぞれの部署で判断をして、局長まで上げなければいけない、上げた方がいいと思ったものについては上げているというのが実情でございます。

 それで、恐らく、私なりに承知している限りは、非常に大きい案件というのは、そのときにおいて、非常に、何というか、政策としてある意味での判断をしなきゃいけないというような事案が生じているときといったもののときに上げているということだろうと思っております。

川内委員 いや、だから、迫田さんは、特例承認がもう判こが押されてから局長になっていらっしゃるので、当然、森友のことを案件が進んでいるときに聞いていらっしゃるわけではない。その前の中原さんという方が、中原局長さんがこの特例承認をしたときの局長さんでいらっしゃるわけですね。平成二十七年度二件のうち、近畿財務局案件、森友案件が一件ということで。

 理財局の文書決裁再委任基準という、理財局長さんの出されている、俺の権限を委譲するからねという文書によれば、大事なことはちゃんと報告しろよという趣旨でこういう文書というのは出されるんだろうというふうに思いますね。だって、理財局長さんの名前で承認するわけですから。理財局長さんの名前で承認するけれども信頼して任せるよと言っているわけですけれども、たった二件しか本省に上がっていません、その年度。そのうち一件が森友案件です。

 それは、局長、こういう案件でございますという報告ぐらいはすると思うんですけれども、本当に局長に報告しなかったんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員の御指摘の件は、ある意味で実態のようなお話だと思いますので、実態として、私なりに、半年ちょっと局長をやらせていただいていて、その実感として申し上げますけれども。

 理財局というのは、もともと、かつて二つあった局を一つにまとめている局です。要すれば、もともとの旧理財局というのと国有財産局というのがあって、それを一つにまとめている局であります。

 もともとの旧理財局というものも、今ほどリニアで御質問を頂戴いたしましたけれども、財政投融資というものが一つ大きい柱と、もう一つは、非常にざくっと言うと、国債を発行するというのが大変大きい仕事になります。

 財政投融資であれば、トータルとして何十兆あるいは何百兆というような額を融資して、その融資についていろいろ疑念があれば、今ほど委員から御指摘をいただいたような御指摘をいただいて対応しなければいけません。国債も、発行残高が相当ふえましたので、実は入札は、今、大体週平均で四・四回です。ということは、ほぼ毎日のように入札をしている。

 そこは非常に大きい状況なものですから、次長というのが二人と審議官というのが一人いて、今申し上げた財政投融資と国有財産と国債とそれぞれ張りついていますので、基本的にはその次長あるいは審議官が責任を持ってやるという感覚だというふうに思っております。

 迫田前々理財局長ですが、それを申し上げたのは、彼のときに、介護施設についてはなかなか介護施設の建設が進まないので、それを借地を使って介護施設が建設してもらえるように進めようということで非常にやっておったものですから、その関係で特例をやったときに、それが多分彼のときに、次長決裁だけれども局長まで上がった案件として上がってきていたので、多分彼はそれが記憶にあって、極めてまれだけれどもあるということを言ったんだと思います。それは非常に政策としてあったからということだと思っております。

川内委員 次に……

小里委員長 時間が来ておりますので、締めてください。

川内委員 はい。

 だけれども、さっきちょっと時間を無駄に使ったので、あと一問だけお願いしますよ、委員長。私の質問はとても大事なことが多いんですよ。

小里委員長 では、簡潔にお願いします。

川内委員 もちろんです。

 理財局にお尋ねいたしますが、前回の財務金融委員会で御指摘を申し上げた、森友学園との面談・交渉記録が開示する行政文書の名称のところに記載されている昨年五月二日の近畿財務局長名の行政文書開示決定通知書、これは、財務本省ではいつ誰がどのようにして、この面談・交渉記録を開示するよという昨年五月二日の開示決定通知書を知ったのか、そしてそれはどのように財務本省の中で取り扱われたのか、理財局長はそれを知ったのかということを、事実だけ教えてください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 既に森友学園をめぐる問題、国会でも随分御議論があってからということでございます。そういう状況の中でしたので、五月二日の開示につきましては、事前に本省の方の担当者が近畿財務局の方から報告を受けているということでございます。理財局長も、通常だとそこまで行っていないと思いますが、森友学園の問題で国会でも相当議論されておりましたので、理財局長にも報告があって承知をしていたということでございます。

小里委員長 では、締めてください。

川内委員 はい。

 委員長の御配慮に心から感謝を申し上げさせていただいて、終わらせていただきます。ありがとうございます。

小里委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 希望の党の稲富でございます。

 きょうは質問の機会を頂戴をいたしまして、ありがとうございます。国際観光旅客税について主に質問の機会を賜りました。それを中心にお話をさせていただく中で、時間が余ったら、今の国税の体制について等、質問をさせていただければと存じます。

 今回の国際観光旅客税でございますが、もともと、先ほど川内委員からもありましたけれども、明日の日本を支える観光ビジョンというところが出発点でございます。二〇二〇年に四千万人の訪日外国人旅行者を目標とするということでございますが、観光の先進国を目指すということについては、恐らく与野党かかわらず、この目的は共有できるのではないかと私は思います。その成長戦略の柱として観光を推し進めていくということ、これは私も共有できる部分でございます。

 きょうは、その上で、その推し進める基礎となる財源の確保という点で国際観光旅客税が果たしてふさわしいのか、その点から質問をさせていただきます。これまで各委員から質問があって、基本的なこともあるかと思いますが、ぜひおつき合い賜れればと思います。

 まず、これまでのこの新税の創設の経緯について、ちょっと順番を変えて質問をさせていただきます。

 明日の日本を支える観光ビジョン、平成二十八年三月三十日では、二〇二〇年、訪日外国人旅行者四千万人、訪日外国人旅行消費額八兆円等の新たな目標が掲げられました。観光施策を実施するための財源については、「受益者負担による財源確保を検討。」とされております。

 一般的な財源確保の手法としては、租税による方式と手数料方式が考えられるという中で、受益者負担という観点からすると、手数料の方がわかりやすいというのが率直な感想ですけれども、なぜ租税を選んだのか、どういう議論があったのか、その理由を伺います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生から、本税の創設に係る経緯の最初の部分についてお触れがございました。

 御指摘のとおり、一昨年三月の観光ビジョン、それから昨年六月の未来投資戦略二〇一七におきまして、受益者の負担による方法により観光施策に充てる財源の確保を目指すとされていることを踏まえまして、その後、観光庁において検討会を開催する等、政府内で検討を進め、その後、与党の税制調査会で御議論いただいた結果、今般の三十年度の税制改正に盛り込んだというところでございます。

 御指摘の財源確保の手法につきましては、観光庁の検討会におきまして、観光施策が今後も高度化すること等に鑑みれば、受益と負担の関係について負担者の納得が得られる範囲で、毎年度の予算編成を通じてニーズに合った柔軟な活用が可能な税方式が適当である、他方、手数料方式は、受益の程度を特定し、それに応じた負担額とする必要があるが、観光施策の特性に鑑みればなじまないのではないかといった議論があったと承知をしております。

 こうした検討も踏まえまして、税方式を採用したというところでございます。

稲富委員 今のお話では、手数料の場合は、手数料を支払った部分についての受益が非常に確定化されるというか、きっちりとしていくと。税の場合は、少し幅を持って恐らく対応ができるということも一つの理由かと思います。

 そこで、次に納税義務者についてなんですけれども、この観光関係の租税、公租公課については、OECDの調査報告書によれば、出入国、航空旅行、宿泊、いずれかの行為に着目して負担を求める事例が代表的であるとされております。

 観光財源に関するあり方検討会で、租税、負担のあり方を検討されたということでございますが、どの行為に着目するかといったときに、結果的には出国に対して税負担を求めるという結論になったということでございますが、その議論の経過、理由をお伝え願えますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の国際観光旅客税は、観光立国の受益者の負担による観光財源の確保を目指した検討を踏まえて創設されるものでございます。

 観光庁の検討会におきまして、出入国、それから航空旅行及び宿泊について検討が行われまして、出入国に負担を求めるとの結論に至ったというふうに理解をしております。これは、訪日外国人旅行者二〇二〇年に四千万人目標等の達成に向けて講じられる観光施策が、空港、港湾の出入国環境の円滑化、利便性向上等を含むとともに、国際航空・海運ネットワークの維持、拡大に資するということを勘案いたしまして、出入国という行為に着目し、広く薄く負担を求めることとされたものと理解をしております。

 出入国に着目して課税するに当たりまして、円滑な入国手続や確実な執行の観点に加えまして、韓国やオーストラリアなど諸外国においては出国時に課税することが一般的であることを踏まえまして、出国時に一度だけ課すことといたしております。

 なお、観光庁の検討会におきましては、国内線を含めた航空旅行、また宿泊につきましても検討されましたけれども、宿泊税等既存の負担との関係もあり、事業者から反対の声が大きかったということで採用されなかったというふうに理解しております。

稲富委員 ありがとうございます。

 その次、なぜ千円かということをちょっとお伺いします。

 中間取りまとめ、次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会ですね、平成二十九年十一月の中間取りまとめでは、「近隣アジア諸国との競争環境や訪日旅行需要への影響等を考慮すれば、一人一回の出国につき千円を超えない範囲とするのが妥当であると考えるが、必要となる財政需要の規模も勘案しつつ、今後具体的な負担額を設定すべきである。」というのが中間取りまとめでございます。

 この中で言われていることは、旅行需要への影響や必要となる財政需要について検討する、それを踏まえて幾らにするかということを決めるということになっておりますが、旅行需要への影響、必要となる財政需要についてはどのような検討をしたのか教えてください。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 このたび、新たな国民負担をお願いする以上、国際観光旅客税の必要について国民の皆様にしっかりと御説明する必要があるというふうに考えておる次第でございます。

 政府といたしましては、観光を成長戦略の柱、地方創生の切り札と位置づけて精力的に取り組んできておるところでございますけれども、二〇二〇年四千万人の目標や東京オリパラ大会開催に向けて、より高次元な観光施策を展開していくことが急務であるということで、こうした観光施策を展開するための財源確保の必要性について、観光ビジョン、あるいは未来投資戦略といった中で明記をされて、国民の皆様にお示しをしてきたということでございます。

 この千円の出入国者数への影響についてでございますけれども、千円の負担がもたらす影響について考えますと、例えば、我が国を訪問する外国人の日本滞在中の支出の平均は約十五万円となっております。また、日本人の海外旅行費用の平均は約二十五万円となっております。このような旅行者の支出額全体に当てはめて考えてみた場合、千円は円・ドルの為替レート一円の変動にも満たない水準となっているところでございます。

 また、既に出国旅客への課税を行っておりますドイツやオーストラリアの事例について調べてみたところ、税の導入や税額の値上げにより特段需要への影響は見られていないということでございます。

 このため、千円の課税による需要への影響はないものと考えておるところでございます。

稲富委員 もう一つの必要となる財政需要についてはどういう御検討だったでしょうか。

星野政府参考人 私から答弁させていただきます。

 税額千円とする理由も含めてでございますけれども、これは先ほど先生から御指摘ございましたとおり、観光庁の検討会におきまして、近隣アジア諸国との競争環境や訪日旅行需要への影響等を考慮し、一人一回の出国につき千円を超えない範囲で検討すること、この提言を受けて千円ということにしているわけでございますけれども、観光ビジョン関連施策につきましては、平成二十九年度当初予算ベースで、主として観光ビジョン関連施策に振り向けられているものだけでも七百億円程度の予算が計上されております。

 今後、訪日外国人旅行者数四千万人、また六千万人を目指して、先進性や費用対効果の高い観光施策を充実し、観光基盤を充実強化していく必要があることを踏まえますと、ただいま申し上げました財政需要、財政規模に比べまして、まずは税額千円という金額が適当であるということで見込んだところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 観光ビジョンのところで使う経費が約七百億であるということ、そして、さっき言った千円というのが、旅行者にとっていうと微々たるものであるという判断から千円ということと、そういう御説明だったかと思います。

 そういう中で、諸外国の恐らく出国時の旅客負担等も考えてのことかというふうには思うんですが、まず、定額というところなんですね。例えば、私は福岡ですけれども、福岡からLCCで釜山に行く、あるいは福岡から船で釜山に行くということも千円かかるという理解です。同時に、東京から例えば欧州にファーストクラスで行くのも、これも千円ということでございます。

 定額負担というのは恐らく税の世界では非常に少ないパターンでございます。これは、当然ながら低所得者ほど重くなる逆進的な税になるからでございます。これは、公平性の観点から不公平、公平性を欠いているのではないかという御指摘があるかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 この定額制でございますけれども、観光庁に設置いたしました有識者会議におきまして、事業者でございますとか、さまざまな方々の御意見を頂戴して議論を深めていただいたところでございますけれども、一つは、課税のわかりやすさを求める声が非常に多かったということでございます。

 また、運賃が比較的安価な旅客、例えば航空のLCCでございますとか、そういった場合について税額を低く抑えるべきではないのかといったような御議論もあろうかと思う次第でございますけれども、本税は、観光財源の確保に当たりまして、受益者負担の観点から検討されてきたということでございます。出入国円滑化などの観光施策に使うということを想定しておるわけでございますが、そういった受益は、航空、船舶の別でございますとか、あるいは運賃、あるいは日本までの距離、あるいは座席のクラスなどに応じて異なるというわけではございません。

 また、観光庁が行いました検討会におきましても、LCCやあるいは日韓の定期航路事業者を含む関係事業者からヒアリングをさせていただいたところでございますけれども、公平で円滑な徴収や、公平な競争条件の確保のためには一律定額が望ましいといった声が大半であったということも踏まえて、一律定額としたところでございます。

 念のため、繰り返しになりますが、需要への影響でございますけれども、例えば、福岡と釜山を結ぶ定期航路でございますとか、そういった路線のLCCの実勢運賃は比較的安価になっておるところではございますけれども、滞在費やその他の費用を含めた韓国からの、例えば訪日旅行の方の総旅行支出は平均十万円ぐらいになっておるということでございますので、千円はこの一%にすぎないということでございますので、大きな影響はないのではないかと考えておるところでございます。

稲富委員 先ほど来御答弁がありましたけれども、事業者さんからいろいろなお話を聞いてこうしているんだ、あるいは、先ほどもありましたけれども、十万円あるいは十五万円、二十五万円というところからすると、千円というのは安価である、だから影響はないんだというお話でございます。

 私がちょっと議論をしたいのは、その千円というものが、公平性の観点から納税者にとっていいのかという点です。

 それは、これから必ず千円でいくかどうかというのはわかりません。ただ、例えば、海外でいくと、イギリスなんかは、距離、座席に応じて、これは額は違いますけれども、日本とはもちろん規模が違いますけれども、やはり担税力に着目してそれぞれ分けているわけでございます。中国であれば、国内、国際、分けている。ということは、それはやはり、担税力に着目し負担を分けていくということは一つのあり方だと思うからでございます。

 今おっしゃっていたのは、あくまで安いから、それは負担し得るから、影響が少ないからということでございます。税の公平性の観点からどうかいうことをもう一度御答弁いただけないでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘、それはそれで一つ理屈が通っているというふうにも考えます。

 今回、観光財源の確保に当たりまして、国際観光旅客税をお願いするに当たりまして、受益者の負担の観点もございますし、また、初めて導入される税でございますので、徴収面の手続、手間、またコストといったようなこともあわせて検討したわけでございますけれども、今般、航空、船舶の別ですとか、運賃、日本からの距離、座席クラス等に応じて出入国の円滑化等の観光施策による受益がどのぐらい異なるのかという意味からすると、それほど異なるとは一概に言えないこと。

 それからまた、観光庁の検討会が行った事業者ヒアリングにおきまして、むしろ、公平で円滑な徴収のためには一律定額が望ましいという声が非常に多かったということも踏まえて、今回は一律定額の負担をお願いしているということでございます。

稲富委員 財源確保のあり方検討会において、要するに税の議論というか公平性とか、そういうところから議論しているのかということを問いたかったわけでございます。

 そこで、ちょっと質問をかえます。

 定額課税というのは、恐らくそんなに税の世界では多くないと思いますが、国際観光旅客税は消費課税だということですが、その中で定額課税、要するに額が定額な課税、消費課税の中で、これ以外に何がございますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費課税におきましては、消費それぞれに着目いたしまして、その消費するものに対して、重量税で課税することもございますし、価格に課税することもございます。そういう意味では、重量に応じて課税しているようなものにつきましては、例えば、たばこ税、酒税等につきましては、その方がどれだけの所得を稼いでいるかどうかということには関係なく、ある商品については一律の価格ということで、一律の税を課しているということかと思います。

稲富委員 定額、額が同じものでございます、質問は。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、たばこは一本当たり定額で幾らということになっておりますので、そういう意味で今御説明をしたところでございます。

稲富委員 確かにそうだと思います。

 ただ、冒頭申し上げましたように、例えば福岡から、船でビートルというのがありまして、それで釜山に行くと、今、定額で一万四千円でワンウエーで行きます。先ほど申し上げましたように、東京からファーストクラスで欧州に行った場合は二百万、それは往復ですけれども二百万を超える額です。ワンウエーとしても百万ということになると、価格としては百倍ぐらい違うことになるということです。

 ワンショットの消費がそれだけ差があるのに、でも千円一律というのがどうかということを私は申し上げているわけです。それを、このあり方検討会の中で、先ほど来申し上げているように、課税原則から見てこれは正しいのか、あるいはかなっているのかということをやっているのかということが私の疑問です。

 先ほど来の話でいくと、簡素だからいい、千円という、わかりやすく影響がないから千円でいいんだということが結論かなというふうに思いましたので、そう受け取らせていただきたいと思います。

 そこで、次に行きます。

 納税義務者についてでございます。

 徴収、納付についてですけれども、納税義務者はどう定義をされているんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本税の徴収に当たりましては、国際観光旅客等の納税義務者、航空会社等の事業者、あと税務当局にとって効率的で円滑な、出入国を阻害しないものであるものが必要であることから、基本的には事業者が旅客から徴収し国に納付をする特別徴収方式をとっておりまして、そういう意味では事業者の方に徴収をお願いしているというものでございます。

稲富委員 特別徴収の実務に当たる国際運搬事業者ということですね。

 この中でいうと、納税者というのは誰になるんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 この場合は、まさに特別徴収を行うその事業者が納税者ということになります。

 もう少し申し上げますと、例えば航空券の場合ですと、いわゆるオンチケット方式によりまして、航空会社や旅行会社が旅客の航空券購入時に運賃と同時に税や空港使用料等を徴収する仕組みが国際的に整備されておりますので、この既存の仕組みを活用いたしまして、今回の千円につきましても、その運賃に上乗せをするという形で徴収、納付をしてもらうというものでございます。

稲富委員 運搬事業者が納税者であるということで、この事務をさまざまこれから、実質的には利用者から千円をいただいて、その事業者が納税をするという実務的な負担を負うわけでございますけれども、この事業者に対して何らかの支援をする予定、経済的な支援というか、そういうことはする予定はございますでしょうか。

星野政府参考人 通常、納税義務者に対しまして制度的に何か、納税を行うということで支援を行ったり財政的援助を行ったりというようなことは、税では行っておりません。今回もそのようなことはございません。

稲富委員 済みません。今、納税義務者とおっしゃいましたでしょうか。納税義務者は事業者ということですか。ちょっと、ごめんなさい、言葉が。もう一回お願いします。

星野政府参考人 申しわけございません。特別徴収義務者でございます。

稲富委員 そうなると、その事業者が、例えばエアラインが少しシステムの調整をしたり修正をしたりして恐らく千円を回収するということになると思うんですけれども、そのシステム改修等については国としての支援をするかしないのか、それはどうでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 納税の実務を担うそういった事業者に対する支援は考えておらないということでございますけれども、今般、そもそも、観光立国の進展に伴いまして、こういった事業者の皆様にとっての顧客となる方々はふえておるということでございます。航空事業者を始めとする皆様方はそういった面で観光立国の恩恵を受けているのではないかということもあろうかというふうに思いますし、また、今般この税をお認めいただくということになりましたら、その使途につきまして、より高次元の観光施策が実行されていくということでございます。

 具体的には、空港周り、CIQ、そういったところの出入国の事務が円滑化されるということでございまして、これは、国際観光旅客の皆様あるいはそれに関係する事業者の皆様にもそういった形で還元がされていくということではないかなと考えております。

稲富委員 ということは、直接的に、例えばシステムを変える、そういった事業者に対する何らかの補助なり支援というのはしないという理解でよろしいでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で、直接的な支援は考えておらないということでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 その次に税収の使途について御質問させていただきます。

 使途については、お配りしております一ページをごらんいただければと存じます。国際観光旅客税の使途に関する基本方針等についてというのが一枚目にございます。平成二十九年十二月二十二日です。

 その中で、一の(二)で「観光財源を充当する施策は、既存施策の財源の単なる穴埋めをするのではなく、以下の考え方を基本とする。」と。1で「受益と負担の関係から負担者の納得が得られること」ということで、イの一に「受益と負担の関係から負担者の納得が得られること」ということが書かれております。

 そこで、(一)で、どういうところに使うのかということが1から3。「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」「2我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化」「3地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上」というこの三分野ということでございます。

 それで、平成三十年度、今年度は六十億の歳入ということで、具体的に、この右の二の「具体的使途」というところで1から3までの具体的な使途がいろいろ書いてあります。

 そこで、ちょっとお伺いをします。

 この負担者は、日本人の割合、これはもう巷間言われていますけれども、改めて、日本人の割合は、何割日本人なんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 大まかに申し上げまして、いわゆるインバウンドで日本に入ってこられる方の人数が約二千八百万人ほど、日本から出国をする日本人の方が千七百万人程度でございまして、そういう意味では、その割合で日本人の方が負担をされるということでございます。

稲富委員 今回の出国税といいますか、この千円の負担をする全体としては、日本人の割合は何割なのでしょうか。

星野政府参考人 そういう意味では、今の概数で大体計算いたしますと、四割ぐらいが日本人ということでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 日本人が四割、外国人が六割ということでございまして、具体的使途を見たときに、その四割の日本人が、冒頭申し上げましたように、受益と負担の関係から負担者の納得がいく、要するに、四割の日本人が納得いく使い方かということからすると、これはもちろん個人差はございますが、私からすると、一番上のCIQの体制整備というところは、恐らく、海外あるいは旅行するときにここを整備することは、日本人にとっては、それは負担者の納得としては得られるもの、しかし、その他については、関係がないし、興味がないこと。私にとってはそうです。

 恐らく、多くの日本人、四割の方にとってみれば、来年、平成三十年度、六十億のうちのその他のところはほとんど関係ないことではないかと思います。そういう意味で、四割の負担者の日本人にこの六十億の使い方は納得は得られるんでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 この国際観光旅客税の導入に当たりましては、その税収の使途につきまして、御負担をお願いする日本人の出国者の方にも、目に見えてこの国の観光への取組が変わったというふうに感じていただけるような、納得感のある施策に充当していくことが必要であるというふうに考えておるところでございます。

 先ほど先生がお配りになっていただきました閣僚会議決定の中には、まさにそういうことを意識した内容が盛り込まれておるところでございまして、先生の御指摘にもございましたけれども、三つの分野のうちの一つの柱になっております「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」ということで、具体的には、スムーズな出入国手続、快適に旅行できる環境の整備ということをこの使途として考えておるということでございますが、これはまさに、受益と負担といった考え方からいたしましても、こういった空港、港湾における出入国環境の円滑化に資する施策は、日本人の出国者にとっても直接のメリットが感じられる施策ではないかなと考えておるところでございます。

 また、若干、施策の中身が細かくなりますけれども、平成三十年度予算におきまして、日本人の海外旅行者の方にも直接的に受益がある施策といたしまして、こういったCIQ体制の整備に二十億円を充てるといったことのほかにも、日本人旅行者の方が安心して海外旅行ができるように、旅行先の正確な安全、安心情報の提供などを行う情報プラットフォームの構築などにこの税制の使途を充てていくということを考えておるということでございます。

 さらに、税収が満年度化いたします平成三十一年度以降につきましては、この閣僚会議に定められておりますような基本的な考え方を十分に踏まえまして、民間有識者の方々の御意見も頂戴しながら、御負担をいただく日本人出国者の御理解も得られるよう、中身をしっかりと精査してまいりたいと考えているところでございます。

稲富委員 この税のそもそもの目的が、訪日外国人旅行者二〇二〇年四千万人達成ということにあって、そのための財源が必要であるということで観光旅客税を設置をし、この訪日外国人の四千万人へ向けて設置をする、そのための財源確保であるということだと思います。

 したがって、目的と今おっしゃっていただいた日本人の満足度を上げるということが、どうも、やはりどっちも向いていてどっちも中途半端な気が私はいたします。むしろ、負担と受益の関係と言えば言うほど、じゃ、日本人にどういうメリットがあるんだ、どういうことがあるんだということになって、本来これは、もともと日本人のためじゃなくて、もちろん間接的には日本人ですけれども、訪日外国人旅行者をふやすためにということではないかと思います。

 したがって、直接的にということを先ほどおっしゃっていただきましたけれども、どうしてもやはり間接的な受益しか日本人には感じられないのではないかと私は思います。

 これは、おいおいまた、フルで四百億になったときに更に議論になるかと思いますが、かなりこの使い道については、現時点でも、この六十億の中ですら、先ほど申し上げましたように、その他については日本人に関係ないところです、直接的に言うと。今ですらそうであるなら、四百億になったときはどうなるのか。四割の日本人にとって、それが果たして日本人にとって直接的な受益を感じられるのかどうかということは、私はしっかりとやはり見ていかなければいけないと思います。

 例えば、空港における保安検査とか出入国の円滑化などであれば、先ほどこれも御答弁いただきましたけれども、負担者が受益を負担できる、そういった使い方と言えるのではないかと思います。ただ、繰り返しになりますが、一から三で、四割の負担者である日本人がその負担の受益を感じられるかというと、それにしては曖昧であるし漠然であると指摘せざるを得ないと私は思います。

 次に、財源について、これは特定財源になります。

 そこでお伺いしたいんですが、一般論として、特定財源のメリット、いい点、悪い点、どういうことがあるでしょうか。

大鹿政府参考人 お答え申し上げます。

 本税は、御指摘のとおり、使途を法律で規定しておりますため、これは特定財源に当たります。

 この特定財源制度は、従来より、メリットとしましては、受益者に直接負担を求めることに合理性があり、その場合、受益と負担の関係の明確化を通じて、負担についての理解を得られやすいというメリットがある。一方で、当該財源の使途があらかじめ限定されることにより、不必要な支出を招きかねないといった点も指摘をされているところでございます。

稲富委員 観光財源のあり方検討会では、特定財源ということについてどのように議論をしたのか、あるいは議論をしていないのかということを教えてください。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 検討会の、昨年十一月に発表されました取りまとめの中では、「財源を充当する施策は、以下の考え方を基本とすること。」とされておりまして、その中で、「受益と負担の関係から、負担者の納得感が得られるようにすべきであること」といった記述が見られておるところでございます。

 また、このような考え方に基づきまして、昨年十二月の閣僚会議決定もなされておるということでございまして、特定財源という直接的な文言が用いられたわけではございませんけれども、考え方といたしましては、受益と負担の関係から、負担者の納得感が得られるようにすべきであるという議論がこの検討会においてもなされていたということでございます。

稲富委員 明示的には特定財源というふうに議論はしていないというお話でありましたし、先ほど千円の話が公平性がどうかという話も私はさせていただきましたけれども、このあり方検討会そのものが、要するに、繰り返しになって大変恐縮ですが、三原則あるいは特定財源という、基本的な、税が持つ機能なり役割ということを議論をしていないのではないかということを思わざるを得ないわけでございます。

 単に受益と負担があればいいではないかというのは、そうかもしれません。それは手数料の世界で言える話じゃないでしょうか。税として強制的に徴収する以上、基本的な三原則や、あるいは特定財源がいかにあるか、そのメリット、デメリットを勘案しつつ、特定財源にするしないということを議論すべきというのが、私は、観光財源のあり方検討会でやられていなければいけないというふうに思うんですが、もう一度御答弁いただけないでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回のこの検討会の検討に当たりましては、安定的な観光の財源を確保するために予断を持たずに御検討いただくということでございました。検討のメンバーの中には、税の専門家、観光の専門家、あるいは経済の専門家、さまざまな方々に御議論に参画をいただきまして、関係者の皆様から御意見を頂戴しつつ、意見を集約していったということでございます。

 一般的な財源確保の手法につきましては、先ほど来議論になっておりますけれども、租税による方式と手数料、負担金等による方式、両方あるということを前提にして、予断を持たずにこの検討会で議論が行われたところでございますけれども、観光施策の特性に鑑みた場合、受益と負担の関係が非常に特定がされ、受益の程度と負担の程度が対応することが相対的に厳格に求められる手数料方式に比べ、毎年度の予算編成で機動的に必要な措置を講ずることのできる税方式の方が適当であるという結論に至ったことでございまして、これはこの報告書にも書かれておる次第でございます。

 その上で、受益と負担の納得感ということを考えたときに、その使途について、「受益と負担の関係から、負担者の納得感が得られるようにすべきであること」といった結論を得たということでございます。

稲富委員 さらに幾つか指摘をさせていただきたいんですが、ちょっと次に移ります。

 特定財源は、何も私は特定財源だからいい悪いということを申し上げようとしているわけではありません。いい特定財源もあれば、悪い特定財源もある。目的税についても、全てが目的税あるいは特定財源が悪いからということを私は申し上げたいわけではございません。

 ただ、御存じのとおり、道路特定財源というものがございました。それは、かつては、道路整備において極めて有効な税源調達、受益と負担を明確にして、我が国の道路網を整備する基盤となった、自動車産業を基幹産業に押し上げる、そういった大きな役割を果たした。しかし、使途が徐々に拡大をされていく。大部分は道路建設整備に充てられていたものの、使途は徐々に徐々に多岐にわたり、必ずしも自動車関連のみに支出されるわけではなくなっていったという経緯がございます。そういう中で、日本の地下鉄、モノレール、あるいは路面電車、幹線道路沿いの光ファイバー等々、特定財源と言われながらも、違うところに使途が拡大していったという経験を我々はしております。

 したがって、特定財源を設ける際に、今後どうするのか。今は四百億であるということはそのとおりですけれども、今後観光需要がふえ、今後どうなるのかということを考えたときに、特定財源のあり方をどうするのか、あるいはどう制限を設けていくのかということを考えていかなければならないのではないかということを思っているわけです。

 当初、これが観光に使われるということ、それは何も最初から否定するものではもちろんございません、先ほど申し上げたとおりです。

 消費税もそうです。これは、与野党ともに、当時、五から八、八から一〇にするときに、使い方は目的税化をしている。それは、年金、医療、介護、そして子育てというふうに使い方を決めています。それは、何もそれだから悪いと言うつもりはございません。ただ、その後、やはり特定財源の長所、短所があるということだと思います。

 二枚目、資料をごらんいただけますでしょうか。

 簡単に特定財源の長所、短所をまとめさせていただきましたけれども、長所は、公平性、これは道路特定財源のときでしたけれども、道路利用者が便益に応じて負担、安定性がある、合理性がある、負担したものが全て道路財源に充当されるから。短所としては、やはり財政の硬直化、使途が特定されるため資源配分が効率を損なう、あるいは既得権益化する、そして議会による予算統制を妨げる。議会では審議されずそのままその財源が守られるという短所があるということでございます。

 麻生大臣、特定財源というやり方のいい点、悪い点があると思います。今回の観光旅客税、弊害があり得るかもしれないということで、これについてどういうお考えをお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 昔は道路に使われた揮発油税とかいろいろあるのは御存じのとおりなんですが、今回の税収の使途については、昨年の十二月の政府の基本方針で、福岡だったらよく御存じでしょうけれども、今、築港なんて五千人、八千人単位だもんね。飛行場の輸出入しかみんな知らないけれども、俺たちは船だから、あそこは。桁が違いますよ、全然。飛行場の対応でしか税関職員はいないから。三百人対応のところにいきなり三千人、四千人と来られて、それが毎日ですよ。

 今、福岡は、御存じかと思いますが、日本で貨客船、いわゆるクルーズ船の着岸というのは日本一が福岡ですから。もう横浜とか神戸は問題にならない。福岡が一番。二番が長崎、三番が那覇ですよ。そういったところでは税関職員がもうえらいことになっているというのが実態。しかも、大量に入ってきた人に普通の対応でやったら、それは、悪いけれども上陸するまでに五時間、六時間待ってもらわないととてもじゃないというのが実態なんですよ。それを何とかせないかぬというのが、あなたの地元でいえば福岡だからそっちの方がよほど深刻なんだと思うけれども、俺のところよりそっちの方がよほど深刻なことになっているだろう、あそこら辺。

 だから、そういった意味では、やはり、さっさと対応しないとこれはえらいことになるんだと思っているんだろうね。そこのところは実態をよくわかっておられるんだと思いますけれども。

 私どもとしては、そういったものをやはりきちんとやっていかないとこれはえらいことになるなというのが正直前からこの数年間思っていましたから、だから、私どもは、この話というのは、今、適宜にやるんだったら手っ取り早くこれをやらないと、とてもじゃないけれども予算を毎年ちょこちょこやっている段階ではないと思っていましたので。

 ただ、言われたように、それが全部対応ができて、いきなりその人が要らなくなった。いわゆる外国人旅行者が激減したとかね。そういうことになった途端にどうするとか、その金が余っちゃうじゃないかとかいろいろな話が、また別の話が出てきますから、これは道路特定財源というのも同じような話だったんですよ。

 これは揮発油税とか重量税とかいろいろあったんですけれども、二〇〇九年、麻生内閣のときにあれをやめたんですから。すごい騒ぎでしたよ、本当に。道路族と言われる方からえらい勢いでやられましたから、物すごい印象がありますよ。おまえセメント屋だろうがセメントかなんて言われて、もうえらい勢いでやられましたから、私は。

 そういった意味で、こういったのもすごい大変だとよくわかりますよ。しかし、時代に合わなくなってきたら、それはきちんとして、PDCAとよく言われるけれども、そういったものを使って、その目的税というものを別のものに変えていくか、更に拡大するか、いろいろな方法に変えていくというのは、そのときの政治家が真剣に考えないかぬということなんだと思っております。

稲富委員 大臣、ありがとうございます。

 福岡は、おっしゃるとおり、目の前でそういう対処しなきゃいけないことがたくさんあるということは、御指摘いただいたとおりでございます。

 ただ、今の特定財源の件は、例えば何らかの年限を設けるだとか税法の中に何かを埋め込まないと、さっき大臣はそのときの政治家が決断をするという言い方でございましたけれども、何かそういう仕組みを持っていないと肥大化をするという可能性が十分あり得るのかなということで、御指摘をさせていただきました。

 続きまして、施行日についての質問に移ります。

 来年一月七日からということでございますが、なぜ一月七日からなんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本税の施行日に関しましては、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの前にできるだけ財源を確保する観点や、事業者の準備期間を勘案しつつ、年末年始の繁忙期の混乱を避けるために、先生御指摘のとおり平成三十一年の一月七日以後の出国に適用することといたしております。

 事業者の準備期間につきましては、国交省が関係者からヒアリングを行っているわけですけれども、国際航空の分野におきましては、税法成立後、国際線を運航する航空会社の団体であります国際航空運送協会、IATAによる本税の内容の確認、またIATAが認証するシステム会社による国際的な共通発券システムの改修、国の内外における航空会社や旅行会社による自社システムの改修といったもろもろの対応が必要となりまして、円滑な導入のため九カ月程度の準備期間が必要との回答を得ているところでございます。こうしたことも踏まえまして、施行日を平成三十一年の一月七日にしているということでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 まず、そのさまざまな対応で九カ月かかるということでございました。

 ただ、本当にそうかということを率直に思うのと、あと、平成三十年度は六十億の予算が組んであって、より具体的な使い方があると。ただ、次年度、平成三十一年度については、フルの約四百億についてはこれからその使い道については議論をするということだと思うんですが、やはり新税で、新たにつくって、そして受益と負担が大事で、そして税をということであれば、本来、この四百億を決めてこの国会にかかっていないといけないのではないかという問題意識が私はございます。

 むしろ、一月のわずか六十億というところでとりあえずここで法案として成立をさせ、あとの四百億は後で考えるということは、新税、そして新たな納税者に対する説明をするという意味では、私はこれはどうか。であれば、四百億をどう使うかということをこの場で、やはり委員会において議論をすべきだと私は思うんですが、もう一回御答弁をお願いできますでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 この国際観光旅客税の税収の使途につきましては、受益と負担の関係から、納税者の方々に納得感のいく使い方をする必要があるというのは、先生御指摘のとおりでございます。

 このため、先ほど来申し上げております観光庁の検討会においても御議論いただいたところでございますし、十二月の閣僚会議決定においても、具体的な三分野にこの税収を充てていくということでございます。

 それは、第一に、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、第二に、我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、第三に、地域固有の文化、自然などを活用した……(発言する者あり)誠心誠意お答えさせていただきます。自然等を活用した観光資源の整備などによる地域での体験滞在の満足度向上の三つの分野に充当することとされたところでございます。

 また、これは既存施策の単なる穴埋めをするのではなく、受益と負担の関係から、負担者の納得が得られ、先進性や費用対効果が高い取組について充当していくということがこの閣僚会議で定められたところでございます。

 この税収を充てる施策につきましては、負担者の納得が得られるように、そのことを国際観光振興法の改正案という形で、国土交通省の方から現在国会に提出をさせていただいておるところということでございます。

 平成三十一年度以降、税収につきましては、基本方針に沿った施策、事業に充てるということでございますけれども、これは三十一年度予算の話になりますので、具体の施策、事業については、硬直的な予算とならないよう、民間有識者の皆様の意見も聞きながら、ちゃんとした検討をこれからしっかりと行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

稲富委員 受益と負担ということを何度もおっしゃっていて、これは、要するに使い道がどうなるのかということが極めて大事で、先ほど来、受益と負担、そして負担する方の納得がいくようにということの御答弁を何度もいただいていますけれども、先ほど申し上げたように、日本人の四割が本当に納得いくのかということを問題提起をさせていただきました。

 そういう中で、冒頭、なぜ千円なのかということを私申し上げましたけれども、これは、千円だからいいとか、千円だから許されるとか、千円は十五万からすると安いからいいとか、簡単だとは言えます。しかし、私の認識では、税は、安いからいいとか、負担が少ないからいいとかという議論ではなくて、その負担に見合った受益があるかどうかということで判断されるべきものです。

 だからこそ、その受益がどうなのか、四百億はどうなのか、振り返ってそれが千円に見合うのかという話をしないと、千円は十五万からするとレートでちょっと移動するぐらいで変わらないからいいのではないかという議論を始めると、では、千円ではいいのか、二千円ではいいのかという話になります。あくまで受益と負担の中で、その受益がどういうものであって、それに対して納税者が千円払う価値があるかどうかということを議論しないと、いつまでたってもこれは納得ができるものには私はならないと思います。

 そういう意味で、何度も繰り返しになりますが、四百億は一体どうなのかという中身をやはり議論しないと、この国際観光旅客税そのものがいいか悪いかという判断がつかないというふうに私は思います。

 時間が少なくなりましたので、最後に確認事項を幾つかさせていただきたいと思います。

 これはもう本当に確認ですけれども、海外へ飛行機で行った場合は消費税はかかる、かからない、どちらでしょうか。確認です。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 航空代、航空サービスに対して消費税が課税されるということになります。

 申しわけございません、国内運送と間違えて。国際運送に関しては消費税はかからないということになっております。

稲富委員 確認でございました。

 なので、運賃プラス、これからはプラス千円ということで、消費税はかからないということを確認をさせていただきました。

 あと、この千円というのは、消費税で言うところの内税なのか外税なのか、どういう表示をされるのか、教えてください。

星野政府参考人 今般の国際観光旅客税の税額の例えばチケット等への表示につきましては、今回の法律案において特段の規定は設けておりませんので、表示方法について、内税、外税ということについては、法律上は特に規定はございません。

稲富委員 消費税のときは、さんざん、どうするかということは議論をしました。これは大事な点だと私は個人的には思っています。特に船舶で、先ほど言いました、福岡から釜山は一万四千円、それで、千円を、一万五千円と載せるのか、一万四千円プラス旅客税というふうに載せるのかということは、納税者の意識としてはすごく大事な点だと思います。

 したがって、大臣、これは納税者にわかるような表記をする、ガイドラインでも何でも結構ですけれども、そういった取扱いを定めるなり、そういう対処が私は必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは少々、事務的な話なので、ちょっと検討させてみますけれども、内税がいいか外税がいいか、これはなかなか意見の分かれるところで、消費税を入れるとき、あのときは内税がいい内税がいいと、今になったら外税がいいとか、みんないろいろ言われますので、これは本当に、ちょっとやってみないとよくわからぬところがあると思いますので、ちょっとこれは、正直に、今初めて御指摘をいただきました。事務的な話であるとは思いますけれども、詰めさせていただきます。

稲富委員 その他の質問はできませんでした。ありがとうございました。

 まだ、少し税の議論としては生煮えのところがたくさんあると思います。ぜひ、もっとしっかりと議論をして詰めていただければと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小里委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 本日の委員会審議の最後の質問者になります。あと三十分、どうぞ一頑張り、御協力をお願いをしたいと思います。

 私も、無所属の会を代表しまして、ずっと議題となっております国際観光旅客税法案について議論をさせていただきたいというふうに思います。

 今、最後の、稲富さんの質問に対する対応も含めて、十分な議論が、慎重な検討が行われてきていなかったんだなということをつくづく感じますし、そもそも、このいわゆる出国税が、私にとっては唐突に浮上してきたように思えてなりません。

 普通ですと、いろいろな関門がありますよね、新しい税金を通すためには。いろいろな有識者会議の会をやったり、あるいは与党の税調や政府税調の議論が丁寧に行われた中で、場合によっては何年もかけて浮上してくるというのがこれまでのパターンだというふうに思うんですが、ちょっと今回は、あらゆる関門をするするするすると通り抜け過ぎてしまっている感があります。という、まず、いきさつのところから議論を始めたいと思うんですね。

 そもそも、国境をまたぐ人の動きとかお金の動きに課税をするというやり方は、考え方としてはありました。それは、国際連帯税であるとかあるいは国際航空券税など、そういう議論はありました。二〇〇九年ぐらいからこういう提案があって、旧民主党の時代では、これは税調の大きな議題として議論をし、そして税制改正大綱の中には検討項目としていつも入っていたというふうに思うんです。

 それが、残念ながら、平成二十五年の税制改正大綱からすっぽり抜け落ちて、六年連続抜け落ちていますね。抽象的な表現では、こういう国境を越えたものに対する課税のあり方についての必要性みたいな議論は書かれていると思うんですが、いわゆる国際連帯税みたいなものは、項目としては消えました。

 やはり、国境を越えた動きに対して課税をするというのは、最終的には、地球温暖化対策であるとか感染症対策とかそういうグローバルな課題で、国際協調の路線の中でやらなければいけない施策があったときに考える税目だと思うんですね。これは、私は、依然として議論としては必要だというふうに思っているんですが。

 そこで、まずお尋ねしたいんですけれども、この国境を越える地球規模の課題の解決に税収を充てるという国際連帯税、国際航空券税の議論は、現在、今どうなっているんですか。御説明をいただければと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の国際連帯税、一般的には、御指摘のとおり、感染症対策、また貧困問題、環境問題等々、地球規模の問題への対策のための財源確保を目的とした税ということで議論をされてきたと認識をしております。

 先ほど御指摘がございましたとおり、民主党時代の税制改正大綱に載っていたりとか、また、税制抜本改革法の第七条第七号におきまして、「国際連帯税について国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討する」とされておりまして、この導入に当たっては、課税の目的、また範囲、効果、執行可能性などの点にも留意しつつ検討していく必要があると考えております。

 これまで、毎年度の税制改正プロセスの中で、外務省から、国際連帯税に係る税制改正要望の提出を受けてきたところではございますけれども、具体的な制度設計の提案については提案をいただいていないという状況が続いておりました。

 本件については、まずは担当省でございます外務省におきまして、諸外国の事例等も参考にしつつ、具体的な制度設計の案を検討していただき、その上で財務省としても検討していくという手順を踏む必要があると考えております。

野田(佳)委員 外務省から具体的な制度設計の提案があれば検討するということですよね。

 外務省の努力も必要になるかもしれませんけれども、比較的、この国際連帯税については、はなから国交省とか航空業界は反対の意見が強かったと思います。いわゆる今回の出国税の形式と同じなんですよね。形式は同じなのに、いわゆる国際協調路線で何かやることについては業界の反対もある、国交省も反対をされる。今回の観光立国に向けての政策だと、同じ出国税なのに、何かするすると来ちゃう。非常に私は違和感を感じているということをまず申し上げたいというふうに思います。

 その上で、私は、観光立国、賛成です。大いに観光振興をしていただきたいと思いますし、成長戦略の中に位置づけることも、それは私は大事な視点だというふうに思います。後押しできることは何でもしたいというふうに思いますけれども、突然、よくわからない、十分な議論もされていない、税で対応するというやり方が本当にいいのかどうか。

 観光事業を進めるためには、まず、私は、ちょっと今これがはやりになっているから、各省も何度も要求があるから、どうしようもなくなってこういう税で充てているような感じがしますけれども、かつてもそうだったじゃないですか。ITもそうですよね、あるいは少子化もそうですよ。何か大義名分のある、そういう美名のもとに財政を拡大してきた、財政肥大化をさせてきたという歴史があるときに、観光も今そうなっていくのではないかなと。必要な観光施策は必要ですけれども、財政の肥大化につながりかねないというふうに思うんです。

 もし、観光施策を充実をさせるためにいろいろな事業があるならば、今回、いろいろな予算要求で、この出国税で六十億円ですか、法務省とか、観光庁とか、環境省とか、文化庁とか、いろいろなところがぶら下がっていますけれども、そんな必要な事業があるんだったら、まずそれぞれの省が自賄いを行う、政策の優先順位を決めて、本当に必要な事業があるならば予算を振りかえる、そういうことをやらせるのが私は財務省の主計局の役割だったと思いますけれども、そういう努力をされているんですか、お尋ねします。

麻生国務大臣 まことにごもっともな御指摘なんだと思いますけれども、少なくとも、今、この内閣において、今までのものから随分と、切るものは切ったりして、いろいろ移しかえてきている、いろいろな行政レビューとか、いろいろなものを通じてそういったものを随分やり直させていただいているんだと思っているんですが。

 少なくとも、そういったようなことは、時代に合ってそのときまでには必要だったものでも、今の時代には合わねえんじゃないかというようなものに関しては、そういったものをやめてその分だけというような話は、いろいろな話で、先ほどの道路特定財源の話もその一例なのかもしれませんけれども、そういったことは幾つかやらせてきていただいているんだと思っておりますので。

 今回の話では、やはり、急激にふえてきているというところが、急いで対応しなきゃならぬというのが非常に大きな要素だった、私にはそう見えておるんですが。少なくとも、四百万だった観光客が、いきなり二千四百万だ、八百万だということになってくると、なかなか急激には対応できないということになっておりまして、先ほど話が出ていましたが、福岡でも、とてもじゃないけれども、もう博多弁よりは韓国語と中国語の方が多いですもんね、今、正直言って。デパートの中なんか、とてもじゃないというぐらいのことになっていますので。船が着いたときはもうという。

 ああいったものに対応できるために、交通事情はくちゃくちゃになっていますし、いろいろなことになっていますが、やはり観光に対してこれだけの需要があるということを余り想像していなかったのに対応するのには、いろいろな意味で、急激に事を対応しなきゃいかぬというところも我々としては考えておかないかぬところかなと思っておりますが。

 いずれにしても、今はすごいけれども、ずっと続くという保証なんかないだろうというのはそのとおりなので、いろいろな意味で、今の需要、それから今後の需要、いろいろなことを考えてやらないかぬとは思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、目先、とにかく急いで事を対応しないと、少なくとも、税関、いわゆる厚生省、法務省、私どもの財務省、三省で入り口のところで所管しておりますけれども、こういった問題に対応がなかなかできないという問題も含めて、私どもとしては、こういったものに対するものを、どこかほかのところを切ってこれにというのは、ちょっとなかなか見つからないなというのが現状だと思っております。

野田(佳)委員 思った以上にインバウンドで訪日する外国の方がふえている、それはそうだと思いますね。それへの対応とか、まさに二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックへの対応なども含めて、急がなければいけないものも確かにあると思います。

 そのことも含めて、それでどれぐらいの財政需要があるかも含めてよく精査した上で、あらゆる努力をした中で、そして最後に出てくるのが、私は、国民に負担を求めるやり方だと思うんです。そのプロセスを丁寧にたどってきているかなというと、そう見えないというところに違和感を感じるということをさっき申し上げさせていただきました。

 加えて、それが、先ほど稲富委員が指摘した特定財源というやり方ですよね。稲富さんは優しいから、メリット、デメリットと言っていましたけれども、私は、特がつくやつ、スペシャルがつくやつは、大体今までおかしなことばかり起こってきたと思っているんです。さかのぼれば、特殊法人、特別会計、あるいは特別手当。最近は、特区というのも変なのが出てきましたね。

 最初のスタートはそれなりの理由があって制度をつくるんですけれども、それがどんどんどんどんと、違う目的も含めて肥大化をする。一つの、一つというか、一つどころじゃなくて、さっき道路特定財源の話が出ていましたけれども、過去の経験からすると、余りスペシャルというのはつくらない方がいいという経験をしてきたと私は思っているんですね。

 特定財源化というのはどうもいかがわしさを感じてしまうんです。どうしても無駄遣いの温床になりかねないという気持ちを非常に強く持っているんですけれども、その辺の懸念は、財務大臣、ございませんか。

麻生国務大臣 道路特定財源がなければ、やはり野田先生、これだけ高速道路は普及しなかったのも確かだと思うんですね。

 昭和三十年でしたかね、あれは、初めてトヨタという車が昭和三十八年に、私、学生のときに、サンフランシスコに二台、トヨタカローラというのは上陸したんですけれども、サンフランシスコの坂を上れなくて敗退した。十年したら輸出やり過ぎ、二十年したら自主制限、三十年したら輸入制限なんてやられて、あのときの三十年間というのは、トヨタカローラを、上れなくて惨めなものだなと思ったのから、あれをあそこまで伸ばしていった最大の理由は何かといえば、技術も確かにトヨタ始め頑張ったんだとは思いますけれども、やはり道路がよくなったというのが非常に大きな、日本の車の普及をさせたという最大の背景だったんだ、私にはそう思っております。

 ただ、今言われたように、二〇〇九年に道路特定財源をやめるということを自分のときにさせていただきましたけれども、やはり時代とともに随分とそれに対する、特のつく、特定と言われましたが、特定財源に関する需要の中身が変わりまして、あのとき随分と。だから、もういいんじゃねえのかというのと、何となく、あのころはたしか、コンクリートから人へとか言っておられた方もおられた、おられたというか、まだ死んでないでおられますけれども、おられましたので、そういったのもあって、ずっと振っていった時代だったんだとは思いますけれども。

 今やはり、時代に合ったもので、その時代に合わなくなったとなったらどこかで切らないかぬというのは、そのときの政治家が決断せないかぬというのがなかなか難しいので、つくった人が生きていると、俺がつくったとかいう話になるとなかなか難しいのも事実だというのが、私どものこれまで、この世界に三、四十年おりますので、いろいろないきさつでどういう法律ができたかというのは知らないわけじゃありませんが。

 そういった意味では、やはりどこかで、時代に合わなくなったということになればその段階で、その法律にかわるもの若しくはそれをやめる何かというようなものを考えないかぬというのは確かだと思います。

野田(佳)委員 特をつけた制度というのは、私はやはり慎重に検討するという中で、特に今回は特定財源ですから、どういう使い道に使うかというところは、これこそ本当に、一番議論の肝にかかわるところではないのかというふうに思います。

 これも、随分いろいろな、丁寧な質問があったからかぶってきますけれども、使い道のところで三つありましたね、さっき。人のふんどしで相撲をとるのは悪いんですが、稲富さんの資料を見ると、いわゆる使途のところで、「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」、そして「我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化」、「観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上」とあるんですよ。これは私は広がっていくと思いますね、この解釈の中で。非常に解釈として広がっていくと思いますね。

 ストレスフリーは、これは日本人の出国の、今千七百万人ですか、その人たちも受益を受けますね。これは、比較的理解度が深まるんじゃないですか。出入国のときに何回も航空券とかパスポートを出す場面があります。顔認証だけで済んでするするするする行ったら、混雑もしないし、ストレスはなくなりますよ。それは、外国の方も日本の方も、その恩恵を受けて便利だなと思いますよね。

 そういうことに限るんだったら、場合によっては特定財源、その種のものならばね、外国の方も日本の方も同じくこれは便利だな、よかったなと受益を感じるんだったら、その一定の負担のあり方として特別な財源を充ててやるということはあるかもしれない。だけれども、さっき言った我が国の多様な魅力に関する情報の入手の多様化、これは何ですか。いろいろできますよ、こんなの。しかも、日本人は恩恵を受けないですよね、多分。

 加えて、三番目が気になるんですね。「観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上」、この「満足度向上」という抽象的なところにいろいろなものが入ってくるような可能性を、物すごく危機感として私は感じます。

 特定財源は、スタートは、最初はいろいろなことを言う、だけれども、肥大化していく過去の歴史を見ると、この使途の扱い方、もう既に脇が甘いと私は思うんですね。それは、やはり、財政当局としてはしっかりとこういう議論をやってもらわないといけないと思うんですけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これはおっしゃるように、特定財源ではあっても目的税ではありませんから、いわゆるどういったものにという範疇に関しては、今、確かにおっしゃるように顔認識もありますし、新しい、NTTなんかが持っていますけれども、我々の携帯を使って日本語でしゃべると、ここから英語になったりフランス語になったり、一秒半ぐらいのおくれでばっとできる機械なんというのが、かなり高いものではありますけれども、もう出てきていますから。少なくとも、鹿児島弁を標準語に直せるぐらいのことはできるかというとなかなか難しいんですけれども、標準語でしゃべれば普通の英語になるところまでは来ているんですよ。

 ところが、なかなかそういったようなところのものが、置いてあればまた随分便利になるとか、そういったものは、ストレスフリーという点に関しては、僕は、効果があるし、顔認識以外にそういったものが、これは結構な金がかかりますので、そういったものがあるなと思いますけれども、これが普及した後、では、この金、引き続き、四百億入ってきた金を何に使うんだということになるだろうというお話なんだと思いますので。

 これはもうおっしゃるとおりなので、私どもとしてはこれは真剣に、きちんと毎年予算編成をしますので、これは目的税ではありませんから、きちんとした形で予算の編成のときに対応というものは、主計サイドとしてはきちんと対応するという覚悟なりきちんとした姿勢が必要だ、私もそう思います。

野田(佳)委員 確かに鹿児島弁はわかりにくいですよね、「西郷どん」でも感じますけれども。まあ、それはおいておいて。

 今、しっかりチェックするという御決意をお話しされたと思うんですが、初年度で六十億、平年度で四百三十億からになるお金なんでしょう。その四百三十億の枠を持っていると、私の言った懸念というのは相当いろいろなところから出てきそうな気がするんですよね。

 大体、この動きを推進した人たちの顔も浮かぶんです、誰とは言いませんけれども。加えて、この種の動きには大手の広告会社がかかわって、どんどんどんどんと耳当たりのいい事業とかを言ってきますよ。そんなのに乗っちゃいけないんですよ、この日本の財政を考えたときに。それは、まさに財務大臣や財務省の役割ですよ。しっかりとチェックしてもらわないと。

 ということを強く申し上げ、これ以上生臭いことは言いませんけれども、強く懸念を持っているということを指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 これは川内さんの資料だったですね、各国の観光関係の公租公課という、いいものを見せていただいて恐縮ですけれども。これを見ていると、観光関係の公租公課というと、出入国か航空旅行か、チェコだと宿泊になっているんですね。こういう形態に着目をして課税をするなり手数料をかけるなりしているわけです。

 特定財源の話、まず前段から入りましたけれども、何で出国税という形にしたのかの明確なわかりやすい説明が欲しいんです。なぜ出国税なのか。なぜ入国税じゃないのか、なぜ手数料じゃないのか、なぜ出国税にしたのか。これは、ぜひ、負担をされる人たちに説明をするという意味からも、丁寧なわかりやすい御説明をいただきたいというふうに思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 出入国、航空旅行、宿泊等々の中でなぜ出国かという点についてまず御説明をいたしますと、今回の国際観光旅客税、これは、観光立国の受益者の負担による観光財源の確保を目指した検討を踏まえて創設されるものでございます。

 観光庁の検討会におきまして、先ほどございました三つの類型、出入国、航空旅行及び宿泊につきまして検討が行われまして、出入国に負担を求めるとの結論に至ったということで理解をしておりますが、これは、訪日外国人旅行者、二〇二〇年に四千万人目標等の達成に向けて講じられる観光施策が、空港、港湾の出入国環境の円滑化、利便性向上等を含むとともに、国際航空・海運ネットワークの維持拡大に資するということを勘案いたしまして、出入国という行為に着目し、広く薄く負担を求めることとされたものと理解をしております。

 出入国に着目して課税をするに当たりまして、円滑な入国手続や確実な執行の観点に加えまして、韓国やオーストラリアなど諸外国においては出国時に課税することが一般的であることを踏まえまして、出国時に一度だけ課税するということにいたしたわけでございます。

 また、観光庁の検討会におきましては、国内線を含めた航空旅行また宿泊についても検討されましたけれども、宿泊税等既存の負担との関係もあり、事業者から反対の声が大きかったということで、この二つについては採用されなかったところでございます。

 また、手数料との関係でございますけれども、本日の質疑の中でも御説明をいたしましたけれども、財源確保の手法につきまして、同じく観光庁の検討会におきまして、観光施策が今後も高度化する等に鑑みれば、受益と負担の関係について負担者の納得が得られる範囲で、毎年度の予算編成を通じてニーズに合った柔軟な活用が可能な税方式が適当であり、他方、手数料方式は、受益の程度を特定しそれに応じた負担額とする必要があるが、観光施策の特性に鑑みればなじまないのではないかといった議論を踏まえまして、税方式を採用したということでございます。

野田(佳)委員 観光庁の関係の有識者会議では、宿泊税は反対が多かったというお話だったですよね。宿泊税って、でも、自治体では今取り入れて広がりつつあるような気がします。

 東京都が二〇〇二年に導入しました。その後、全然後を追随する動きはなかったけれども、このように観光がどんどん盛んになってきて、今度、大阪が取り入れますよね、京都市も入れるんでしょう。多分、これからどんどん自治体レベルで出てきますよね。何か、観光に着目していろいろな税金をかけようという動きが国だけじゃなくて地方まで出てくるんですが、よくこれは整理した方がいいと思いますね。

 宿泊税がだめという反対の意見が出たのは、一体、何なんですか。これは通告していないけれども。地方ではそういう動きがありますよね。国と地方との関係も含めて、よくこれは議論をした方がいいのではないかと思います。いかがですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 宿泊税につきましては、先生御指摘のとおり、まず、東京都が導入をされました。その後、十数年置いて大阪で導入をされました。また、京都市でも条例案を可決されたというふうに伺っております。今、またほかの自治体においても、宿泊税を自治体の税収として検討しておられる動きが幾つか見られておるところでございます。

 今般、観光庁の検討会におきましては、宿泊に課税するということになりますと、このような既存の税制との関係の問題が出てくるということが一つと、それと、宿泊税の場合は比率で見ますと日本人の方の方が多くなるということでございます。

 逆に、私ども、国際比較を行いました場合に、各諸外国は上手に外国から来るお客様からそのお受入れに関する費用をいわば出国税という形で徴収をされておる、我が国だけがそれに相当する制度がなかなかつくれておらなかったということでございますので、これは出国という行為に着目をして税金をいただく、そうすれば、結果的に外国の方からより効率的にある意味財源を確保させていただくことができるといったような議論もございまして、このような方式が検討会の結論になったというふうに承知をしておるところでございます。

野田(佳)委員 なぜ出国税がベストかということはもっとよく、これからも機会があったらお尋ねをしていきたいと思いますけれども、私がちょっと懸念するのは、国も地方も、国は今回出国税、地方では宿泊税の勢い、ちょっとインバウンドが盛り上がっているからといって調子に乗っていくとだんだん後退していきますよ。そこはよく整理していった方がいいというふうに思います。

 その上で、もう時間がありませんから、細かいのを幾つか用意していましたけれども、冒頭に、きょう、観光庁が有識者会議六回のやつの議事の要旨が出せるか出せないかもごもご言って、ようやく、委員の強い要請と理事が動いて、委員長が認めていただいて、資料が出てくるということになりましたね。私、この姿勢は許されませんね。

 四半世紀ぶりの新税導入でしょう。負担をされる皆さんの理解を求めて、国民の合意形成を図るために、出せる資料は率先して出さなきゃいかぬですよ。こういう姿勢で新税に臨むというのは許されないと私は思いますよ。

 そのことを厳しく指摘し、さっき、三月二日と言っていましたね。二日に出てきたら通告なんかできませんよ。採決をやるんですよね、二日には、順調にいけば。そんな資料を二日に出してきても意味がありません。あしたじゅうに出すように努力してくださいということを強く要請して、質問を終わります。

 委員長、念のために確認をお願いします。

小里委員長 御発言を踏まえて、しっかり理事会で協議し、対応いたします。

 次回は、来る三月二日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十九分散会


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