衆議院

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第6号 平成30年3月2日(金曜日)

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平成三十年三月二日(金曜日)

    午後二時一分開議

 出席委員

   委員長 小里 泰弘君

   理事 あべ 俊子君 理事 井林 辰憲君

   理事 津島  淳君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 義家 弘介君 理事 海江田万里君

   理事 岸本 周平君 理事 斉藤 鉄夫君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      勝俣 孝明君    金子 俊平君

      神田 憲次君    神田  裕君

      小泉 龍司君    斎藤 洋明君

      柴山 昌彦君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    田畑  毅君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      中山 展宏君    藤丸  敏君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      御法川信英君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      川内 博史君    末松 義規君

      高木錬太郎君    山川百合子君

      青山 大人君    近藤 和也君

      西岡 秀子君    前原 誠司君

      遠山 清彦君    野田 佳彦君

      宮本  徹君    杉本 和巳君

      青山 雅幸君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平垣内久隆君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 牛尾  滋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   大鹿 行宏君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (国税庁次長)      藤井 健志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         岡西 康博君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 和田 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   政府参考人

   (観光庁次長)      水嶋  智君

   参考人

   (一橋大学大学院商学研究科教授)         山内 弘隆君

   参考人

   (サービス・ツーリズム産業労働組合連合会会長)  後藤 常康君

   参考人

   (株式会社スターフライヤーCS推進部長)     内田 晶夫君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     高木  啓君

  本田 太郎君     神田  裕君

  末松 義規君     山川百合子君

  前原 誠司君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     本田 太郎君

  高木  啓君     金子 俊平君

  山川百合子君     末松 義規君

  西岡 秀子君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     國場幸之助君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際観光旅客税法案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

小里委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国際観光旅客税法案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、一橋大学大学院商学研究科教授山内弘隆君、サービス・ツーリズム産業労働組合連合会会長後藤常康君、株式会社スターフライヤーCS推進部長内田晶夫君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず山内参考人にお願いいたします。

山内参考人 一橋大学の山内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、このような機会をいただきまして観光の税制に関する陳述を行わせていただくことができまして、これについて深く感謝を申し上げる次第であります。

 私は、昨年秋に観光庁に設けられました次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会、この座長を拝命いたしました。そこで本制度の制度設計にかかわったということでございますので、その立場から、きょうは御意見を申し上げたいというふうに思います。

 まず、観光に関する基本認識でございますけれども、御承知のとおり、我が国の経済に対して観光がもたらす影響は非常に大きい。

 観光関連産業というのは、宿泊、飲食、輸送等のサービスということでございますけれども、それだけではなくて、小売、製造、農林水産業などを含めた多様な業態に複合的に波及効果を及ぼすということでございまして、非常に裾野の広い産業だというふうに思っております。これは、国内の産出額の面でもそうですし、生産の波及効果の面でもそうだというふうに思っております。他のサービス業と比較しても、この観光業の我が国に与える影響というのは非常に大きいというふうに考えております。その点で、今後とも、日本の経済にとって、観光を主軸としていく、この必要性を感じる次第であります。

 御承知のように、昨年の観光の日本の訪日旅客の消費額、訪日旅行消費額というふうにいいますけれども、四・四兆円というふうに発表されております。重要なことは、その前の年は三・七兆円であったわけでありまして、一年の間に一八%ぐらいふえているということであります。

 この四・四兆円という額自体が、ほかの産業、例えば自動車産業とか化学製品とかそういった輸出額の大きい産業と比べても、非常に、匹敵するような額になるということと同時に、ほんの一年の間で二〇%近くふえたという、この事実が非常に重要であるというふうに思います。要するに、観光産業というのは、非常に大きく変動している、成長している、こういう産業であるということであります。

 特に、日本の国の現状というのは、少子高齢化とか人口減少と言われておりますけれども、経済がなかなか伸びない中で、この観光産業の重要性は非常に大きい。そこにもありますように、日本全体の成長のエンジンだというふうに考えておりますし、さらに、重要なことは、これは地域の経済に非常に大きな影響を及ぼすということであります。

 私は、よくこれを、いながら輸出というふうに表現しておりますけれども、外に製品を持っていかなくてもわざわざ製品を買いに来てくれる、こういうことでありまして、そこにいながら輸出ができるということであります。

 特に、地域の場合には、インバウンドの外国人の方も、それから訪日旅客だけではなくて日本人のお客さんも同じように支出してくれるわけでありまして、地域の産業構造を変えていくという面で、とても重要な役割を及ぼすというふうに思っております。

 次に、観光財源の必要性ということであります。

 今申し上げたように、観光は非常に伸びている。訪日外国人旅客が昨年度は二千八百六十九万人ということで、対前年比一九%、先ほど申しましたように消費額が一八%増、こういうことでありまして、これで政府の方も、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人の目標を立てられているということで、恐らくは二〇二〇年の四千万人は何とかなるんではないかというふうに思っておりますし、それに向けた対策が重要だということから、この観光財源の必要性というのが出てきているわけであります。

 二〇二〇年といってもすぐでございまして、再来年。この間、平昌が終わりましたので、二年後の日本の東京のオリンピック・パラリンピックはすぐということでありますし、来年はラグビーのワールドカップが行われるということで、本当に極めて短い間に急に成長していく、こういうことでありますので、これに対する受入れ体制の充実というために、今回、この国際観光旅客税によって早急に財源を確保することが必要である、こういうふうに考える次第であります。

 我々の検討会でありますけれども、昨年の秋に立ち上がりました。これは、今申し上げたように、例えば観光ビジョン等で、観光の財源が必要である、こういうことを受けて、どういう形でこの観光財源が望ましいのかということを具体的に議論する場として設けられたというふうに理解しております。この我々の議論が、今ここで議論されている国際観光旅客税法案という形でまとまっているというふうに理解をしている次第であります。

 我々の検討会はどういう議論をしたかということでありますけれども、まずは、もちろん、必要性についての議論というのはあったわけであります。これは、我々の議論の前から、先ほどの観光ビジョンもそうですし、それから、政府のいろいろなところで観光の財源の必要性が言われておりましたので、それを再度確認をしたということが一つございます。

 それから、これをどういうふうなことに生かしていくかということで、使途とかあるいは使い方の目的あるいは範囲というものもいろいろ議論をしたところであります。

 これは、最終的には何か特定の財源という形をとらないことが望ましいということになったわけでありますけれども、それにしても、新しく国民の皆様、外国人の皆さんに御負担をお願いするということであるから、どういう形でそれを使っていくのか、これが非常に重要な問題ということだと思います。要するに、受益と負担の関係、こういったことを考えたということであります。

 それから三つ目は、そのやり方としてどういうものがいいのかということであります。

 最終的にこの税法案という形で、税という形でまとまったわけでありますけれども、そのほかにも手数料、負担金といういろいろなやり方があるわけでありまして、それぞれについて、これは最初に予見といいますか予断といいますか、そういうものをなしにして、どういうものが望ましいのかということを議論させていただいたということであります。

 今回の法案に一番関連するところは、これが税金として取るのが望ましいかどうかということかと思いますので、その点について一言申し上げたいというふうに思います。

 確かに、いろいろなやり方があります。税金で取るやり方もありますし、それから負担金、手数料というのがあります。御承知のアメリカの場合には、手数料という形で、ESTA制度ということで、ビザをとるために御負担いただいて、それで収入を得る、こういうことをしている。一方で、そのほかにもいろいろやり方があって、税金とかがある。

 我々の結論としては、やはり、先ほど申しましたように、どういう形で使っていくかとかどういう受益と負担を考えていくかというときに、やはり税が望ましいだろうということに至ったわけであります。

 その結論に至った理由は基本的には二つでありまして、一つは、今申し上げたように、負担と受益の関係をある程度一致させるということによって御負担いただく方の理解を得る、こういう必要があるということが一つ。もう一つは、とはいうものの、ある特定の目的だけに限定してしまうということは、これは財政上非常に大きな足かせということになりますし、機動的な政策にはできないということでありますので、機動的にそれを使えるようにするには、毎年の予算の中で決めていくという形、こういう形をとるとすれば税方式が望ましいのではないか、こういうふうに考えた次第であります。

 先ほどから言っていますように、二〇二〇年の四千万人、あるいはオリ・パラの開催が迫る中で、何を目的としてこれを使っていくのかという議論、これについて一言触れたいと思います。

 基本的には、観光の資源の魅力を高めるということと、それを地方の創生の柱にしていくことというのが一番大きなポイントかというふうに思っています。オリンピック・パラリンピックまでは、何だかんだいう形で観光が伸びていくというふうに思いますけれども、それ以降どうするのか。そのためには、真に観光の魅力を高めるということと、それを地域に行き渡らせる、こういう必要があるということが一つであります。

 それからもう一つは、今回の税金は日本の国民の方々も御負担していただくことでございますので、やはりそういう方にも受益を考えると、全体として全ての旅行者がストレスがなく快適に観光あるいは移動というものを実現できる環境をつくる、こういうことが必要かというふうに思っております。

 そういう形で、観光施策の実行が急務ということで、財源の具体化を提言したところであります。

 そこで、これについて、議論の過程では、一番大きな実務的な御負担になるのは航空会社になると思うんですけれども、航空会社の皆様とか、あるいは地方自治体の方々、あるいは旅行業界の方々、いろいろ御意見を伺いましたけれども、今申し上げたような形で、受益と負担のあり方とか、あるいは訪日旅行を始めとする旅行需要への影響とかいう点についても考えましたけれども、御提案申し上げているような形が最も望ましいのではないかという結論に至ったわけであります。

 それで、今回のこの税金でありますけれども、海外でも広く一般的に行われているというふうに我々は認識をしております。

 資料にありますように、韓国や豪州ではこういった税金を使いながら観光財源に充てている。明確な形をとっているわけです。韓国の場合には千円弱ということになりますし、オーストラリアの場合には五千円以上ということで、非常に大きな負担になっているということであります。また、台湾とか中国とか香港のようなアジアの国においてもこういった形の税がございまして、これは全部ではないですけれども一部を観光財源として充てているというふうに聞いております。そういった意味では、世界的な目から見ても、今回の税金は極めて妥当なものであるというふうに考える次第であります。

 最後に、早期の財源確保、制度設計の必要性ということであります。

 我々の会議は去年の秋に始まりまして、比較的短期間のうちに回数を重ねて結論、提言に至った、こういうことでございます。これについては、非常に時間的に早過ぎるのではないかという御議論があったようにも伺っておりますけれども、私の思うところ、先ほどから何度も申し上げていますように、来年のラグビーのワールドカップ、それから二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック、こういった喫緊に迫った大イベントに対して、まさに出入国をスムーズにする、こういった施策を集中的に打つということであれば、この財源は安定的に早期の確保が必要である、こういうふうに考える次第であります。

 それから、実務的に見ても、こういった税金を課すということで、今回の場合には、オンチケットの、チケットに含まれる形で税金を徴収するという形でありますので、この場合には、当然、主に航空会社が、船会社もそうですけれども、そういったチケットに入れるようなシステムの改修というのが必要になるということだと思います。

 余計なことですが、韓国では、今はオンチケットになっていますけれども、昔は、別途、ウォンで出国税を集めていました。御経験あられる方もいらっしゃると思いますけれども、韓国を出るときに、最後にウォンをその分用意しておかなきゃいけない、そんなことがあったわけです。

 そういう意味では、利便性の面からもオンチケットが望ましいと思いますけれども、もしそうだとすると、そのためのシステムの改修というのがまず必要になると思います。特に航空の場合には、国際的なインターラインとかあるいは共同運航、こういうことがあるわけで、そういった面でのシステム改修の影響といいますか作業といいますか、こういったものが非常に大きいということであります。

 それから、航空の場合には、IATA、国際航空運送協会を中心に、直接、間接に乗り入れていることになっておりまして、このIATAの方で決済システムの登録をして、そのシステムを改修していただかなきゃいけない。こういうのにも時間がかかるということであります。

 さらには、非課税範囲とかあるいはシステム改修とか、こういったことでいろいろな複雑なことがあることを考えると、非常に時間がかかる。そのためには、導入を急ぐべきだというふうに考えております。

 さらに、もう一言申し上げたいのは、やはりこれは、利用者の方々の理解というのが第一でございます。

 報道の世論調査によると、比較的御賛同いただくような方も多いというふうに聞いておりますけれども、そうであっても、周知徹底、情報の公開というのが必要でございまして、そのためにも、早期にこういった形を法律的にも確かなものにして、皆様に広報する必要があるのではないかというふうに思っております。その意味で、早期の財源確保、創設の必要性を訴えるところであります。

 以上、雑駁でございますけれども、今回この制度設計にかかわった立場から、今回の税制について意見を申し上げた次第であります。

 どうもありがとうございました。(拍手)

小里委員長 ありがとうございました。

 次に、後藤参考人にお願いいたします。

後藤参考人 サービス連合の後藤と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。

 このような私どものサービス連合に対しまして、国際観光旅客税法案に対する意見を述べさせていただける機会を設けていただきましたことに、まずは心より御礼申し上げる次第でございます。

 簡単に私どもの組織について御説明をし、私どもの意見を述べていきたいというふうに考えております。

 私ども、サービス・ツーリズム産業労働組合連合会、略称サービス連合というふうに申しますが、私どもは、旅行業、宿泊業、国際航空貨物業の労働組合の集まりでございます。今、組織人員とすると四万五千二百七十八ということになっております。

 これまで、私どもサービス連合は、働く者の立場から、観光立国の実現、また、労働環境の向上や労働者の地位の向上、働きがいのある職場づくり、魅力ある産業の実現に向けて、政策提言を働く者の立場からしているところでございます。そういった立場から、今回の国際観光旅客税法案に対して、私どもの意見について述べさせていただきます。

 今申し上げましたように、私ども、働く者の立場から、観光立国実現に向けて提言をさまざまいたしております。その提言の中には、財政面での支援が必要なものも幾つもございます。そういった立場から、今回の新たな財源の確保を行うということにつきましては、理解をしているところでございます。

 また、適用の時期につきましても、今国会での成立について一定の理解はするものでございますけれども、今、我が国の財政状況は厳しく、消費税の使途変更などもいろいろ議論をされるというようにお伺いをしておりますが、本法案に対しましても十分な議論をなされることを求めているところでございます。また、導入により、さまざま各種のシステムの改修が必要であろうという事業者に対しましても、時間的な余裕が必要だというふうに認識をしておりますし、費用面につきましても、補助などの配慮を求めているところでございます。

 また、国民の皆さんに、また利用者の皆さんに周知するということについても十分な時間が必要だというふうに思っていますし、この問題につきましては事業者に任せるということなく、ぜひ政府が十分に対応されることを望むものでございます。

 さらに、財源の使途についてでございますけれども、使途を明確にした上に透明性を確保し、予算執行に当たっては、執行結果の公表もした方がよいというふうに考えております。

 法案の概要につきましても、納税義務者であったり、非課税等ということにつきましては、理解をするところでございます。

 税率についてでございますが、法案の趣旨に照らして理解はしますけれども、納税義務者の負担に見合う使途の適正性というのは求めたいというふうに考えております。

 また、将来、一定の観光基盤の拡充強化の後につきましては、税率に関しては、軽減も含め、事業者のみならず、国民を広く巻き込んだ議論を求めているところでございます。

 適用の時期についてでございますが、先ほども申し上げましたように、今国会での成立に一定の理解はしておりますけれども、やはり十分な議論というのが必要だというふうに認識をしております。

 加えて、先ほども申し上げましたけれども、その十分な議論の中には、事業者に対する時間的な余裕であったり、費用の補助についても十分な配慮を求めているところでございます。

 私どもから、今回の国際観光旅客税法案に対する意見について、最後、四点ほどに絞って、取りまとめて申し上げたいと思いますのは、まずは使途のバランスについてでございます。

 今回は、訪日外国人のみならず、日本人の方にも、出国者からも徴収するということでございますので、納税者の方の納得性が得られる観点からも、インバウンドの方のみならず、双方向の国際交流であったり、国内文化の発展に向けた使途を求めているところでございます。

 重ねてになりますけれども、今後の予算化に当たっては十分に議論をされるということが必要だというふうに認識しておりますが、加えて、予算編成の前には、ぜひ有識者の方の意見も聞いていただければというふうに考えているところですし、今回は観光立国実現のためのものだというふうに私どもは認識しております。その目的に絞った使途を、ぜひ堅持していただけたらというふうに考えているところでございます。

 もう一点、透明性の確保についてでございます。地方創生ということでも、先ほど参考人の方からもございました。その重要性については十分理解はしておりますけれども、やみくもな配分は、使途の透明性の確保という観点からも慎重な対応を求めたいというふうに考えているところでございます。

 加えて、結果の公表ということになりますけれども、使途に当たっては、今、決算委員会での省庁別審査であったり、会計検査院の検査を始め、執行状況のチェック、公表ということに加えて、事前に、予算を決める上で有識者の方の意見を聞いていただきたいと先ほど述べました。

 そういうことであれば、使った後につきましても、ぜひ、どうだったのかということを、有識者の方も交えながら手前で検証していただくようなことで、使途の透明性の確保であったりということを担保いただけないだろうかというふうに考えているところです。

 最後は、働く現場の声として聞いていただければと思いますけれども、ぜひ事前な周知を国民の皆さんにお願いしたいというふうに思います。

 先ほど、システムの変更のこと等を申しましたけれども、私ども旅行会社で働く者がおります。その者が、これからは新たに千円ということで説明をするということがございます。しっかりと、この航空運賃の中には、航空利用代金、燃油サーチャージ、また各飛行場での使用料、そして税金ということで説明をする必要性も出てまいります。そういったことに対しても十分な時間が必要かというふうに思います。

 例で申し上げますと、燃油サーチャージのときは、なぜだというようなお話をお客様からクレームという形で承ったという過去の経験もございますので、ぜひ、そういう混乱がないように、スムーズな対応をできるような形をとっていただくことを最後にお願いを申し上げ、私どもからの意見とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

小里委員長 ありがとうございました。

 次に、内田参考人にお願いいたします。

内田参考人 御紹介いただきました内田と申します。

 まず、このような、航空産業のみならず、観光問題に非常に大きな影響を与えるであろう新税に対して意見陳述の場をいただいたということについて、感謝を申し上げたいと思います。

 今からの意見陳述に際しまして、まず私のバックグラウンドを少しだけ御説明させていただきたいと思います。それは、どういうスタンスで意見を述べるのかということについて御理解をいただきたいということです。

 まず一点目は、私、特定の企業であるとか団体を代表してこの場に立っているということではないというふうに考えております。

 ただし、私の今までのキャリアでいいますと、八〇年代に全日空に入社をいたしまして各部門を経験してまいりましたので、航空会社の実務全般についてはほぼ理解をしているというふうに考えております。

 あと、九〇年代になりまして、当時、航空会社大手三社の共通の問題が幾つかありまして、そういった共通の問題をどう解決していくのかということで、今は定期航空協会と言っておりますけれども、そういった業界の団体を設立しようではないかということになりまして、それを設立をしたというようなメンバーで仕事をしてまいりました。

 そういう意味では、当時、航空業界の課題であった、例えば規制緩和であるとか、税制のあり方であるとか、空港のあり方であるとか、そういったことについては、研究をした上で、監督官庁の運輸省の方々への説明であるとか、当時自民党の航空部会の方であるとか、あと、細川連立政権にかわりましたので、各政党のそういった関係の方への御説明をしてきたという経験がございます。

 あと、二〇〇〇年代になりましてからは、シンクタンクがやはり要るのではないかということでANA総合研究所をつくりまして、特に首都圏の空港のあり方であるとか羽田の国際化であるとか、そういったテーマについての研究をやってきた。今回は、そういった経験をもとにした自分の意見を述べていきたいというふうに思います。

 あと、あわせて、山内先生のようなアカデミックな話ではなくて実務が中心になるとは思いますけれども、一部、研究をしたということで申し上げますと、九〇年代にハーバードのケネディ・スクールというところで、八〇年代に起こったアメリカの規制緩和と航空会社のあり方というものを研究しておりましたので、そういったものを後ほど踏まえて意見を述べさせていただきたいというふうに思います。

 では、早速ですけれども、先ほど山内先生の方から、検討会の内容、スキームについての御説明がありました。私は、それを踏まえて、個別のテーマについてどう考えるのかということを幾つかのポイントで御説明したいと思います。

 一点目は、税率についてです。今のところ、千円という案になっているというふうに伺っております。これを決めるに当たっては、三つのポイントがあるということで御検討いただいたと。

 一点目が、必要となる財政規模、財政需要、そこがどれぐらいあるのかということで決めていくんだろう。二点目が、近隣の、アジアの諸外国の空港との競争力、こういったことかなというふうに伺っております。三点目が、これも重要だと思いますけれども、そういった千円を徴収することが、航空需要、インバウンドの需要、日本から出ていく需要にどのような影響を与えるのかというところが大きな論点。その三つだというふうに伺っております。

 その中で、とりわけ、私は、二〇〇〇年の二月に航空法が変わりまして、いわゆる運賃の自由化のときに運賃政策をやっておりましたので、そのときの経験を踏まえて申し上げますと、千円は国際の運賃全体の総額に与える影響としては極めて限定的、ほぼ影響はないのではないかというふうに考えております。

 今回の検討の中でも、近隣の、韓国は九百円台ということで千円近い形というふうになっておりますけれども、ほかのアジア、例えば台湾であるとか中国であるとか香港というのは千円台でも後半、二千円弱というふうになっておりますし、性格が違うものの、現在の成田空港の旅客施設利用料と保安施設利用料を合算しますと、第一、第二ターミナルでは二千六百十円、LCCが利用します第三では千五百四十円になっておりますけれども、いずれにしろ千円よりは大幅に大きな金額になっておりますので、千円でなければ需要に影響を与えるかということについては、もう少し高い金額でも問題は大きくならないのではないかというふうに考えます。

 ただ、これは、最初小さく産んで、後に大きくしていくのか、そういうような考え方等についてはあり得るかなというふうに思います。

 あと、もう一点は、千円を一律に徴収をするのか、特定の需要に対してはまた別の金額を徴収するのかということもあり得るのではないかなというふうに考えています。

 そもそも、航空の全体のスキームでいいますと、例えばファーストクラスがあり、ビジネスクラスがあり、エコノミークラスがある。一九九〇年代の後半から始めました国内でのマイル制度というのがありますけれども、これは御存じだと思いますけれども、ヒエラルキーをつくりまして、上の方のダイヤモンド会員であるとか次の会員層であるとかというのが受けるメリットというのは、また桁違いなものがあります。

 そういう意味でいうと、モノクラス、単一の料金体系、サービスではなくて、三段階というのは、それは航空需要のいろいろなスキームの中では普通にありますので、そういった料金設定もあり得るのではないかなというふうに考えます。

 諸外国の事例はいろいろあると思いますけれども、例えば一番わかりやすい例でいいますと、ロンドンのヒースロー空港に行きますと、やはりファストレーンと言われる、スピード感を持って入れるレーンがあります。例えば、混雑期の比較なんかでいいますと、一般のレーンに行きますと二、三時間、手続にかかってしまうものが、そういった特定のレーンに行きますと五分、十分でできる。

 これは、特定の人間だけを理由もなく優遇するというわけにはいかないと思いますけれども、例えば、そういったものにふさわしい料金の負担をしている方たちとか、先ほど申し上げたような、例えばファーストクラスの欧米ロングでいいますと二百数十万円というような水準ですので、運賃自体も大きな負担をしていただいている、ビジネスクラスでも数十万から百万ということですので、そういった運賃の負担額をより積む中で、特定のサービスを受ける権利としてファストレーンをつくっていく、こういうような考え方はあるのではないかな。

 これは、今回のテーマの中でも取り上げられている、使途として、やった上で利用者満足度をどう向上させるかといったときの、利用者を先ほど申し上げたような幾つかに分類するという考えが持てるのであれば、時間的な価値を非常に重視するビジネスマンの方であるとか特定の方に対してそういったレーンを用意する、そのためにはもっと増額をした料金設定をしていくということはあり得るのではないのかな。これはイギリスの例なんかでも示していることかなというふうに思います。そこが、税率に関する私が考えるところであります。

 次に、受益と負担のあり方というところで、いろいろな今までの国会での質疑であるとかの議事録、また、検討会の資料を拝見した中で、ちょっと誤解というんですか、わかりにくくなっているかなと思いますのが、やはりネーミングとして国際旅客税ということになって、国際観光旅客というその観光がついているために、ビジネス需要の受益とは何だというところが、一部はみ出すというんですか、どうカバーするのか。ネーミングではちょっとカバーできないものをどうカバーするのかというところが一つの論点になっているのかなというふうに思います。

 結論的には、私は、日本人、外国人にかかわらず、また、渡航の目的にかかわらず、全員から取ることが適切ではないのかなというふうに考えます。そこは、次の段階で、より大きな財源をつくることで、次のサービスモデルがより充実したものになっていくだろうというふうに考えることが一つです。

 渡航に際しての充実すべきテーマは、一点目は、何といっても出入国の手続の簡素化であるとか、特に外国人の方が来られて、いろいろな空港で、長蛇の列で入国までの時間を非常に使っているというところは、航空会社がいろいろ取り組んでいる。IT技術も使いながら、空港に来るまでの時間をすごく短縮しているんですね。だから、空港に来るのは出発までの非常に短い時間でいい、この方が利便性が高いということでいろいろなスキームをつくっているんですけれども、ないしは、到着した後、そんなに時間があると、そこで幾ら短縮をしたとしても、トータルの満足度というのはやはり非常に下がってしまう、それが、ひいては、日本に行くと何か不便だなということでリピーター需要に歯どめがかかってしまう、こういったことにもなりかねないと思いますので。

 そういう意味では、いろいろな空港との比較の中で、本当に世界で一番便利な入出国の手続だなと言われるような水準をつくっていただきたいと思いますし、そのためには一定の財源が必要だというふうに思いますので、そういった工夫が要るのではないかというふうに思います。

 あとは、サービスモデルは、先ほど申し上げたように、一律のサービスにするのか、特定の階層をつくっていくのかというところは大きなテーマだということだと思いますので、その論点も御検討いただければありがたいなというふうに思います。

 続いて、今申し上げたようなサービス水準で、どういったレベルを目標にしていくのか。これは、使途としてどういうものに使っていくのか、そういった使い道というものと同時に、そのレベル感をどういうふうにしていくのかというところは非常に重要だと思います。

 今申し上げたように、アジアで一番便利だというレベル感を求めるのであれば、やはり財源としても大きなものが必要になるだろうというふうに思いますし、その財源を膨らますには、先ほど申し上げたような、一人当たりの単価を、本当に千円でいくのか、段階的で、もっと高いものをつくっていくのかというところは、すごく重要になると思います。

 もう一個は、財源を拡大するためには、一人当たりの単価掛ける人数をどうふやすか。先ほどから、四千万人、六千万人という数値目標、数値のお話もありましたけれども、六千万となったときのボトルネックになるのは、やはり航空輸送力のあり方だというふうに私は思います。

 先ほど、一九八〇年代のアメリカの規制緩和後の航空業界を研究したというお話をしましたけれども、例えば、今アメリカに、ジェットブルーという、昔からいうと大手ではない会社があります。そこは、今、おおむね二百機程度を使って、毎日運航しているロードファクター、利用率が八五%を超えるような高水準を維持している。それだけ需要を獲得している、利用者を確保している、こういう事業になっています。

 翻って、日本の場合、特にLCCと呼ばれ始めたのはここ数年ですけれども、以前は新規航空会社というカテゴリーで、例えば発着枠を配分されるときにも、大手と別枠で、新規と呼ばれる航空会社にどういうふうな発着枠を配分していくのかというのが行政上のテーマでやっていた。そのときに、新規と呼ばれるのはやはり十数機という規模というのが定義ということでありまして、今申し上げたような二百機であるとか百機とかいう単位とは全く違う事業規模。現時点で見ましても、そういったカテゴリーに属する日本の会社は非常に小規模だということになっていると思います。

 欧米、アジアの例を見ましても、大体LCCのシェアというのが三割程度というのが一般的だというふうに思いますので、三割程度に膨らますことによってそこに輸送力が確保されて、利用者としましても、大体、これは経験値の、実感だけの、統計的な裏づけがある数値じゃありませんけれども、おおむね価格を重視する利用者の方というのが三割ぐらいいらっしゃると思っています。そういう意味でいうと、安い方がいいよねと求める方の三割の利用者を、そういった安い価格が提供できる事業者、航空会社が担っていくということが、六千万人規模の輸送を確保するためにはどうしても必要になってくる政策ではないのか。

 そのときに、先ほど申し上げているような百機、二百機規模の、そういった事業会社を日本でどうつくっていくのかというところは、規制緩和であるとか、事業をどうバックアップするであるとか、そういうところで考えていくべきテーマかな。今回の税制とは直接は関係ありませんけれども、そういった財源の規模を大きくしていくためには、そういった事業者の成長を促すというところは必要な政策ではないかなというふうに考えております。

 最後になりますけれども、全般の需要を膨らますためには、やはりリピーターをどうふやすのかということと、新規、日本に行ってみようかなという方たちをどうふやすか。

 そのためには、実際、日本に来られた方が、日本に来てよかったなという満足度を得て、それがリピーター化をするし、よかったなと思えばSNSの世界で口コミが広がるような、推奨というふうに言いますけれども、周りへの伝播がいい評判として上がっていく。この二つがリピーターと新規需要には欠かせないということで、ぜひとも、そういった満足度が上がるような使途等々を考えていただければというふうに考えます。

 私は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

小里委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧島かれん君。

牧島委員 自民党の牧島かれんです。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 また、参考人のお三方には、大変お忙しい中、このようにお時間をつくっていただいたことを心から感謝を申し上げたいと思います。

 観光財源のあり方検討会の座長を、山内参考人、お務めになられましたので、中心にお話を伺ってまいりたいと思います。

 今のお話の中で、大変重要な論点の御説明は既にいただいていると思っています。特に、なぜ税なのかという点については、受益と負担という観点ですとか、また、予算の中での施策としての使い道をしっかりと決めていかなければならないという御議論もいただきました。

 さらに、なぜ日本人にも御負担いただくのか、これも多くの国民からの質問が出てくる部分ではございます。それに対しても、成長エンジンとして地域経済の活性化にも資するものであるという御説明がありました。

 そこでお伺いしたいのは、なぜ出国時に千円一律なのかという点の妥当性についての御意見をお伺いしたいと思います。

山内参考人 お答えさせていただきます。

 これは我々のところでもいろいろな議論があったわけでございますけれども、最初に千円と決めていたわけではなくて、どういう形にするかということと、どの程度の水準にするかということを議論したわけでありますけれども、一つは、税金で取るというような方向でいくと、税金で各種の税率を変えるということの難しさ、どういう基準で変えるか、どういう人たちから多く取るのか、こういう問題もございますし、やはり一律の平等性というのが必要であろうかというふうに思ったところであります。

 それから、例えば、議論としては、特に航空ですと、先ほどもありましたように、いろいろクラスがありますので、例えばファーストクラスから多く取った方がいいんじゃないか、こういうこともあったわけでありますけれども、今申し上げたような税金の公平性ということからしますと、一律、それから、特に内外無差別という原則がございますので、それも加味した上でこういう形になったということでございます。

牧島委員 ありがとうございます。

 続きまして、財源の使途についての御質問でございます。

 山内参考人、きょうのお話の中にも、ストレスなく快適な旅ができるような使途というようなお話がありました。そうすると、具体的によく取り上げられるのが、WiFiの整備とかトイレの洋式化又は多言語案内ができるようにといったことがよく出てくるかと思います。

 私、地元に神奈川県湯河原町という温泉地がございます。そこで、おかみの会が今ユニークな取組を始めました。それは、乳がんの患者さんが温泉につかれるようにするという旅行のメニューであります。乳がんの手術をされた方、何が一番つらかったですかというようなアンケート調査をすると、温泉に入ることができなくなってしまったというお声が数多く寄せられました。そこで、湯河原町では、首から胸を隠すことができるような、エプロンのような入浴着をお貸しして、乳がんの手術をされた方も温泉に入れるようにとか、もちろん貸切りのお風呂を御案内できるようにするといったような工夫をしています。

 ストレスなく快適な旅というのは、国内外にもいろいろな考え方が恐らくあって、地方創生、そして観光立町、観光立市、観光立村というものを目指す中で、創意工夫、そしてさまざまなアイデアを実現していきたい、この財源を活用していきたい、いろんな思いがこれから私たちのところにも聞こえてくるようになるんだと思います。

 そこで、この使途をどのような基本的な考え方で運用していくべきなのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

山内参考人 我々の報告書の中で、最後のところにも、どういう方向でということで、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備というのを一番目に挙げております。そのほか、情報の発信であるとか、魅力を向上させるとかあるんですけれども、やはり、皆さん、日本人も含めて多くの方から取るという意味では、ストレスフリーで快適にできる環境をつくるというのは一番重要かというふうに思っております。

 今委員から御質問のあったような、具体的に、地域地域、地方地方でいろいろな工夫をしていく、それをどういうふうに支援していくかというのは、我々のところでは余りそこのところまで議論しなかったわけでありますけれども、これこそ、こういった国会の場で、皆さんのお考えの中で使途を決めていくことかなというふうに思っております。

 我々のところで議論したのは、やはり、日本人の方からも取るということでいうと、例えば先ほどもお話ありましたけれども、空港でのストレスをなくすとか、あるいはそれを高度化するイノベーションを起こしていく、こんなことを想定をしておったわけでありますけれども、今委員の出された例なども参考になるのではないかなというふうに思っております。

牧島委員 この質問は、三人それぞれの参考人の方から御意見をいただきたいと思います。

 透明化というものがありました。使途が、しっかりとした使われ方をしているかどうかを私たちがチェックしていかなければならないという意見がそれぞれから示されているように感じておりますが、その中で、データをオープンデータ化していくとか、官民データで、それぞれの観光施策をしっかりと効果検証していくというようなトレンドも今出てきているように思います。

 この透明性を確保するために必要だと思われることや、また、効果的だと考えていらっしゃる施策があれば御示唆をいただきたいと思います。それぞれにお願い申し上げます。

山内参考人 ありがとうございます。

 今回の税金について言うと、まず、使途がちゃんとしているかどうか、こういうことと、それを今おっしゃったように効果を検証していくという問題があるというふうに思います。

 その意味では、これは国会の議論の中で予算として決めていくわけですから、それ自体かなり透明だというふうに信じておりますけれども、それ以上にということであれば、例えば第三者的な検証とか、そういったものを含むということはあり得るのかなというふうに思っております。

 更に言うと、観光全体の施策に対する効果というものをどういうふうにはかっていくか、それをどういうふうに検証していくか、これも議論すべき余地はたくさんあるなというふうに思っております。

 以上でございます。

後藤参考人 私どもとすると、先ほども出口のところで申し上げましたけれども、有識者の皆さんに集まっていただいて検証すればということを申し上げました。

 また、今回は観光ということで使途も限定されておりますので、観光庁の中に、しっかりとしたそういう第三者機関といいますか委員会を設置されて、使途についても、また予算の手前と先ほど申しましたけれども、そういったところでやっていただいた方が、更に透明性ということでは確保できるのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

内田参考人 私は、マーケットに聞けということだと思います。つまり、利用者が望んでいるものに使うのであれば、それは恣意的な使途にはならないというふうに思いますので、利用者が何に使ってほしいのかというのを的確に捉える。それはアンケートなのかどうかわかりませんけれども、そういったものをとった上で、そこの優先順位の高いものからやれば、恣意的な使途にはならないというふうに考えます。

牧島委員 三人の参考人から、それぞれ大変貴重な御意見、御示唆をいただいたというふうに思っております。

 御指摘ありましたとおり、二〇一九年にはラグビーワールドカップ、そして二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック、さらには、今後、日本は大きなビッグイベント、国際的な事業、多くのお客様を国内外、そしてインバウンドを含めてお迎えする体制、いち早く整えていかなければならない。これが、消費額八兆円という数字も目標で出されているとおり、全国各地、そして観光に取り組むそれぞれの事業者、地域にとっての大切な財源になるだろうというふうに思っております。

 本日いただきましたたくさんの御意見をしっかりと踏まえて、今後も進めてまいりたいというふうに思います。

 本日はまことにありがとうございました。

小里委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 まず、私からも、三人の参考人の先生方から大変貴重な御意見を賜りましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。

 持ち時間は十分でございますので、簡潔にお伺いをしたいと思います。

 まず、山内参考人にお伺いをしたいと思います。

 私、九州・沖縄比例ブロックの選出の衆議院議員でございまして、事務所を沖縄の那覇と福岡に構えております。

 山内参考人よく御存じのとおり、今、クルーズ船のお客さんが急増しております。先ほどちょっと調べたんですが、二〇一五年、クルーズ船で訪日をされた旅客の数は百十一・六万人。二〇一六年、これが百九十九万人ということで七十数%ふえた。さらに、昨年、二〇一七年は、最近発表になりましたが、二百五十三・三万人ということで、近い将来、三百万人を超える方々がクルーズ船で日本を訪れるということになってこようかと思います。

 そこで、今回のこの国際観光旅客税、出国税の形式であるわけでございますが、船舶で出る方にも一応かかるわけですけれども、もちろん一般原則として、入国後二十四時間以内に出国の場合は非課税ということなんですね。ただ、参考人御承知のとおり、クルーズ船の場合、例えば沖縄に来て入国をした後に、今度は九州の港も回って中国に、アモイあたりが多いんです、アモイ、上海あたりに帰る、こういう場合になるので、通算すると二十四時間以上、事実上日本に滞在をされているんですね。クルーズ船で来るし、泊まりは船なんだけれども、二十四時間以上日本に滞在するお客さんが、クルーズ船のお客さんでもいるんじゃないかと想定をされます。ここの課税をどうするかということがあります。

 それに加えまして、これは政府の資料にも出ていたかと思いますが、船舶の場合は、航空と違って、徴収に関する統一的な仕組みが国際的に整備されていないという根本問題もあるんですね。

 そこで、これは本来は政府に聞くべき質問かもしれませんけれども、座長として取りまとめになられた専門家の山内先生に、この問題をどう考えていくべきか、お伺いをしたいと思います。

山内参考人 どうもありがとうございます。

 クルーズ船が、クルーズ旅客が急増しているというお話を伺っておりますし、私自身も、余談でございますけれども、クルーズの拠点形成のお仕事をさせていただきまして、特に沖縄については那覇とそれから平良港に拠点をつくりましたけれども、そのときに伺って、私、見せていただいたんですけれども、例えば平良港の場合も、かなりお客さんがふえていらっしゃって、その方が、確かにクルーズ船にお泊まりになるんですけれども、上陸されていろいろ観光される。あの場合も、例えば観光バスがもう足りなくなるほどたくさんの方がいらっしゃって、町にも、これはある意味ではうれしい悲鳴、ある意味での負荷がかかるということでございます。

 そういった観点からすると、クルーズの方についても、我々の意図とすれば、やはりそれなりの御負担をいただいて、そういった今申し上げたような課題についての対応策をとらせていただくというのが普通かというふうに思っておりますし、それから、先ほど申し上げた税の公平性という面から見ても、やはり、日本に入国されて出国の手続をされるわけですから、形式的にもそういった方に御負担いただくのは当然かなというふうに思っております。

 ただ、おっしゃった、航空と違って、課税のシステム、そういったものが明確でないというのは承知をしてはおりますけれども、何らかの形でそれを、クルーズも幾つかの船社に限られておりますので、そういったところとうまく、制度をつくるということはあり得るのではないかというふうに思っております。

遠山委員 ありがとうございます。

 これは政府の方においてこれから責任を持って考えていただきたいと思いますが、クルーズ船の旅行を企画している会社等と緊密な連携をとって、二十四時間以上滞在をするのであればきちんと課税をしないと、税ですから、公正性が求められますので。また、その徴収のシステムについても、航空のときよりも一層の工夫が必要ではないか、こう考えているところでございます。

 続いて、内田参考人にお伺いをしたいと思います。

 国際的な御経験も豊富なお話で、大変参考になりました。

 私が一番印象に残ったのは、リピーターをどうふやすかというお話を一番最後の方でされたかと思います。私もこれは非常に重要だと思っておりまして、私、毎年、中国に政治家としていろいろ訪問しておりますけれども、去年も四回行かせていただきました。最近は毎回、中国本土へ行くときにあわせて香港も行っているんですが、私、びっくりしたのは、香港の方は住民の七人に一人が日本に一度以上来たことがあって、しかもリピーター率が相当高いということを伺ってきました。

 そこで、お伺いをしたいのは、リピーターをふやすためには満足度をふやさなきゃいけないというお話だったんですが、いろいろな国から日本に訪れるお客さんがどれだけ満足したのかしていないのかということを把握していく方法について、内田参考人としてどのような方策を有効とお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

内田参考人 ありがとうございます。

 私が考えますリピーター化の満足度の把握方法、これは、例えば日本にあるホテルとかもそうですし、航空会社もやっているんですが、利用後に必ずメールが来ます。利用してどういう点がよかったのか悪かったのか、利用した御本人にそういったものを、今ネットの世の中ですので、即座にアンケートをとるという方法があります。そういう意味でいいますと、当然サンプリングにはなると思いますけれども、そういった登録されている方のアドレスに対してネット上で即座にそういうアンケートをとって、反映していくということが重要かなというふうに思います。

 恐らくリピーター化というのは二種類あって、同じところに、気に入ったからずっと九州、沖縄に行くよという方もいれば、最初は東京、大阪に行きました、ちょっとよかったから今度は沖縄、九州に行ってみようかな、北海道に行ってみようかなという方がいますので、そこを、地域ごとの連携をして、次の魅力度、こういうところがあるけれどもどうなんだというようなところを、地域連携の中でそういった情報提供をしていくということも重要ではないかなというふうに思います。

遠山委員 ありがとうございます。

 最後の質問に、時間の関係でなりますが、再び山内参考人にお伺いをしたいと思います。

 今、観光客、インバウンドがふえているわけですが、その三分の一以上が中国本土からという現状でございます。

 私はこの半年で韓国に三回行ってまいったのですが、御承知のとおり、韓国は、以前は一千万人以上、韓国に中国から来ていたのが、今は半分以下に、いろいろな政治的な理由等ありまして、がくんと落ちた。

 日本も、インバウンドがふえているといっても、三分の一以上が中国の方で、消費額の四・四兆のうち三兆も中国人だと報道されている中で、仮に、物すごい短期間に中国本土から来るお客さんが激減してしまうと、打撃も非常に大きい。そういう意味では、来るお客さんを多様化しなきゃいけないという面もあるのかなと思いますが、この点について御見解を、簡単で結構ですので、いただければと思います。

山内参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでありまして、何事もポートフォリオでございまして、やはりリスクを分散させるということが何よりでございます。

 その意味では、確かに、日本の観光立国の後のビジット・ジャパンの方針でふえました。だけれども、中国に偏っているところはあって、これを何とか、多様な国々、多様な地域から来ていただくような政策をとるということは必要であるというふうに思っておりますし、また、観光ビジョン等でもそういった方向での議論があるというふうに思っております。

 特に、欧米とか、そういった負担力の大きい地域とか、そういったところから来ていただくことが望ましいのではないかというふうに思っております。

遠山委員 持ち時間が終わってまいりましたので終わりたいと思いますが、私は、今回の税でこういう観光財源をふやすことは非常に重要だと思っております。

 私の地元の沖縄で在沖米国商工会の幹部と懇談を数年前にしたときに、一番大きかったクレームは、我々、アメリカのお客さんが沖縄に来たときに行きたいお店は、ガイドブックに載っているお店ではなくて、地元の人がおいしいと言って行く店だ、ところが、そういう店はほとんど英語の情報がない、メニューも英語じゃないと。ということで、そういう地元の人が評価しているお店に訪日客が行けるように、日本政府もお金を出して、英語のメニューをつくるといったらそこに補助金が出るとか、そういうことをやってほしいというのが最大の要望でございました。

 今回、こういう新たな財源でそういった新たな施策をできるようにしていくべく、我々国会議員も努力していかなきゃいけないということを申し述べて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、高木錬太郎君。

高木(錬)委員 参考人の皆様、私の方からも、重ねて、本日の御出席、御意見、御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 最初に、後藤参考人にお伺いしたいと思います。

 サービス連合さんは、ホテル、旅館業、旅行代理店の現場の皆さんが加盟されている労働組合と伺っておりますが、現場で訪日外国人の皆さんと接する中で感じていらっしゃること、ニーズなどを感じていらっしゃると思うんですけれども、先ほど、リピーターをふやさなければいけないという話もありましたけれども、使い道ですが、リピーターということを考えたときも含めて、どうせ使うんだったらこういう分野、こういうことに使ったらリピーターもふえるし、訪日外国人、インバウンドの皆さんも満足して帰られて、また行ってみようと思うという、どこら辺に使えばいいですかね。アイデアはありますでしょうか。

後藤参考人 アイデアと申しますか、今実際に、本当に、先ほど来もありましたように、WiFiの環境とか出入国に関するストレスフリーの状況をつくるとかということについても必要だという認識は持ってはおります。

 ただ、今回のこと、リピーターということで限定でしたので申し上げれば、やはり、日本国内の中でも、伝統文化とか文化財とか、そういった埋もれたものがあるというふうに思いますし、さらに、維持管理をしなければならなくなっているものもあろうかというふうに思っています。そういったところに今回の財源を使うことによって、海外からの方も、また日本人の方も新たに日本の文化に接していただいて、更にリピーターということになるのではないか。一つの例ですけれども、申し上げさせていただきます。

 以上でございます。

高木(錬)委員 ありがとうございます。

 では次に、来年のラグビーワールドカップ、そして、再来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会ということで、できるだけ早くというお話も先ほどありましたけれども、後藤参考人と内田参考人にお伺いしたいと思いますが、施行は来年の一月七日からということでありまして、それまでの時間的余裕と申しますか、いろいろなシステムを整備する中で、時間的余裕、費用の面、周知徹底、そういった面で、果たして一月七日はどうなのか、お二人の御見解を伺いたいと思います。

後藤参考人 御質問の方にお答えをいたします。

 来年の一月七日の期日ということでございましたが、正直申し上げれば、本国会の中で成立をしていただければ、時間的な余裕はあるというふうに認識はしています。

 ただ、周知をしていただくということは、やはり国民の皆さんの理解が必要だというふうに、重ねてになりますけれども、思いますので、そういった努力も、努めていただければというふうに思います。

 以上でございます。

内田参考人 私が考えますのは、別の例、先ほども出ましたけれども、以前、サーチャージを航空会社が取ったことがございまして、今回、国民の皆様がどう理解するかという点でいいますと、サーチャージとは違うのではないのかなというふうに考えております。

 サーチャージといいますのは、燃油が急激に上がったときに航空会社の費用負担というものが非常に大きくなるために、そこをカバーすべくつくった制度ですので、言ってみれば、航空会社の利益のためというところに目的が限定をされていた上で利用者が負担をするので、非常に大きな負担感があったんだというふうに思いますけれども、今回は、国民全体であるとか訪日外国人全体であるとか、そういった特定の事業者ではなくて利用者サイドが受けるメリットのための徴収額だということですので、国民の理解は一定程度早く得られるのではないかなというところで、一月七日までにそういったことも理解は得やすいのではないかなというふうに考えます。

 もう一点は、事業者サイドがそういった仕組みをつくれるのか。

 私は航空会社サイドの仕組みしかわかりませんけれども、そういった過去のいろいろな、チケットオンする仕組みがありますので、対応は可能なのかなというふうに考えます。

 以上です。

高木(錬)委員 ありがとうございました。

 再度、後藤参考人に伺いたいんですが、インバウンドの皆さんと接していらっしゃって、今後のその方々の姿ですね。今までは、大量に、何百人、ひょっとしたら何千人という単位で日本に来られて観光地を回るみたいなことがあったんだと思うんですけれども、今後もそういう姿が続きますでしょうかね。それとも、そういう形態というのは、今、変化しつつある、将来、変化しそうだみたいなところの感触というのはありますでしょうかね。

後藤参考人 もう既に個人の旅行の方にも少しずつシフトしているというふうに認識をしておりますし、やはり質の高いリピーターの方に来ていただけるような施策に今回の税が、使途を限定して使われることを私どもとしては望んでいるというところでございます。

 以上でございます。

高木(錬)委員 ありがとうございました。

 最後になりますが、山内参考人に御所見をお伺いしたいと思うんですけれども、重ねて、ちょっと使途についてでございますが、昨年の十二月二十二日の観光立国推進閣僚会議で、使途に関する基本方針三分野というのが決められて、そのうちの一つに、観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上というのがあります。

 その中に、例えば、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法、それの中にある特定複合観光施設、もちろんこれは設置は民間事業者だと思うんですけれども、それの整備とか建設費とかの補助金も、今回のこの出国税を財源として当てはめることができる、充当できるのか、含まれるのか。今申し上げた特定複合観光施設整備回りも基本方針の範囲内であるとお考えなのか。そこら辺のお考えとか、もしおありでしたら教えていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

山内参考人 これは政府の方でお決めになったことですので、私、詳細を存じ上げてはいないのでございますけれども、今、御質問の中でいえば、IR関係の、言われるところのカジノ的なものですね、こういったものに対してこういった税金から上がった税収が使われるというのは、私自身は想定をしておりませんし、その地域を含めた振興ということであればまた話は別かもしれませんけれども、IR施設そのものということについては、この税金からということではないのかなというふうに私は思っております。

 以上でございます。

高木(錬)委員 ありがとうございました。

 重ねて参考人の皆様には御礼申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 希望の党の岸本周平でございます。

 私からも、三名の参考人の皆さんには、貴重なお時間を賜りましたこと、改めて御礼を申し上げたいと思います。

 その上で、まず山内参考人に御所見をお伺いしたいと思うんですけれども、この間、次世代の観光立国の実現に向けた観光財源のあり方検討会での御議論、あるいは、この委員会での審議における観光庁の皆さんの御議論を聞いておりますと、率直に申し上げまして、税制に対する総合的な御審議をいただいていないのではないかという感想を持たせていただきました。

 あるいは、航空券にオンチケットで課税するということになりますと、これまで、例えば国際連帯税というような議論がございまして、世界的にもそういう議論があります。国際連帯税といいますのは、地球環境の保護ですとか、あるいはポバティーの撲滅でありますとか、そういう全地球的な課題に対して薄く広くみんなで負担しましょうよという議論であります。その際、観光庁もそうですし、関係の業界の皆さんは、それこそノット・イン・マイ・バックヤード・シンドロームでございまして、反対をなさる、しかし、自分たちの業界にお金が来るのであれば賛成をなさる、こういうふうになっております。

 そもそも論を申し上げて恐縮なのでありますけれども、観光は大事です、観光振興は大事だと思います。しかし、それと同じように、各省庁はそれぞれに大事な政策を持っておられます。ITも大事です。子育ても大事です。待機児童の解消も大事です。そういう中で、国としては、財政当局がそれぞれの資源配分を予算という形でやっていく、政策の優先順位を予算という形でやるというのが、これが財政規律ということでございます。

 そういう中で、観光庁の御説明ですと、観光ビジョン関係の経費が七百億円だ、だから四百三十億円ぐらい要るのよね、ちょうどいいじゃん、一人千円ずつ一回ずつもらうとちょうど合うのよね、こういうふうにどうしても聞こえてしまうのであります。

 さらには、特定財源という問題がございます。これも、特定財源自体が悪いということでもないんですけれども、こういう出国税でいいますと、応能負担で考えるのか応益負担で考えるのか、これで全然違うんですね、設計が。

 例えば英国は、恐らくこれは担税力に着目した応能負担でかなり巨額ですし、これは一般会計で使うようになっています。ほかの国は、比較的小さい額で、受益者負担という応益負担の考え方だろうと思うんですけれども、大変問題なのは、特定財源化しますと、ある意味財政規律を緩めるものですから、大変無駄遣いにつながる可能性もあるし、これまでもそういうことがございます。ある時期まで有効であった道路特定財源が、お金が余ることでどんどんと無駄遣いをされていたという経緯もあるわけです。

 済みません、山内先生、財政学者じゃありませんけれども、アカデミシャンとして、今私が申し上げました税の総合的な観点についてどのような御所見をお持ちか、お伺いできますでしょうか。

山内参考人 ありがとうございます。

 委員おっしゃるように、税金については、全体を御議論する中でやるべきだというふうなことだというふうに思っております。

 ただ、今回の場合は、先ほどから議論がありますように極めて緊急性が高いような財源であるということで、いわゆる出国税的なものを我々として議論させていただいたということでありまして、手続からいうと、我々はその内容について議論したわけでありまして、手続的なことは議論していませんので、我々の委員会でそこまで何か結論を出したというわけではないというふうに思っています。

 ただ、今御指摘の点について私なりの所見を言わせていただきますと、まず、今回の議論は、特定財源にするというものではないということです。

 それは、先ほど申し上げましたように、これは基本的には一般財源であって、ただ、これを御理解していただく上で、委員おっしゃったような応益的な考え方をとりましたので、応益的で、益を受ける、受益を受ける方々に対しての支出をするという面で御理解いただくような、そういう性格のものだというふうに考えております。

 その意味で、特定財源ということになりますとやはり支出が限定されて財政の硬直化を招くというのは、これは財政の基本的な理論でありまして、そのとおりだと思いますし、今回の税も、先ほど申し上げましたように、特定の目的の方向性を決めながら、その歳出については機動的に、予算という形で決めていただくということだというふうに思っておりますので、その意味では特定財源とは一線を画すものだというふうに思っておりますし、その透明性あるいはその効果についても第三者的な検証が必要であるというのも議論をしたところであります。

 その意味では、今回の税金は、おっしゃるような形でいうと、応益的であり、また特定財源的なものではなく、一つの方向を向いたものだというふうに我々は理解しているところであります。

 ただ、この税金が将来的にどうなっていくのかというのは、これは予算の問題でありますので、特定の省庁の特定の部局のという話ではないというふうに思っておりますし、こういった税金がよりこういうところに必要だとか、あるいは、一般的な予算の中のどういう形であるべきだという議論は、これから国会で詰めていただくのかなというふうに思っております。

 以上でございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 特定財源についての御陳述はわかっているんですけれども、それについて反論はございますけれども、あえてそういうことは差し控えさせていただきますけれども、別途、特定財源のための法律が国土交通委員会に提出されるということもありますので、三つの要件で歳出に充てるというこの三つの要件も、読めば読むほど何にでも使えるような使途になっていますから、そういう意味では特定財源じゃないのかもしれませんけれども、それはまた別の機会にさせていただきます。

 後藤参考人と内田参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、今回、出国一回につき千円という形になっております。これも先ほどの御議論にもありましたけれども、これは一律千円なわけであります、定額制であります。

 さっき言いました英国は、応能負担的な考え方をしていますから、日本円で換算して千九百五十円から六万五千六百円ぐらいの幅があって、距離とか、まさにファーストクラスとかエコノミーで違ってくるというわけであります。

 例えば、我が同僚の稲富委員が先日ここで審議しましたが、福岡―釜山間の片道の費用は一万四千円、欧米のファーストクラスは片道で百万円を超えるということでありますが、定額というのは、消費課税としますと、所得の低い方に対して大変不公平な税制であるというのが講学上言われているわけであります。ファーストクラスに乗る人とLCCで行く方のことを考えたときに、定額負担は非常に不公平である、こういうことについてお二人の御所見をお伺いしたいと思います。

後藤参考人 定額千円ということの負担感、不公平感ということでの御質問だというふうに理解をさせていただきました。

 使途が、これからの観光立国実現に向けて、先ほども申し上げましたけれども、日本人のみならず海外の方、海外のみならず日本人の方がよりよく日本の中を利用できる、また海外に行けるという環境をつくるということであれば、千円ということについては一定の理解を示しているというのが私どもの考えでございます。

 以上でございます。

内田参考人 先ほど御説明させていただきました二つの例でいいますと、例えば成田の施設利用料については、一律。燃油サーチャージについては、ロングのところが当然高くなって、ショートレンジのところは安くなる、こういった実際の費用であるとかそういったものに応じてやっていく。この二種類が混在をしているというのを見ても、そのどちらがあるべき姿なのかについては、見解がかなり分かれるところかなというふうに思います。

 ただ、高額であればそういった負担感は大きくなりますし、今、福岡と釜山、先ほどおっしゃったような金額ではないような、実態として数千円のようなチケットも出ていますので、数千円なのに千円なのかという負担感は、おっしゃるように、非常に大きなことが現実としては起こるかなというふうに思います。

 そういう意味で、ちょっと結論にはなっていないんですが、二通りの中で、適正な金額であれば一律もあり得るし、金額が大きいなということになれば、やはりそこは段階的にするという考えもあり得るのかなというのが実感であります。

岸本委員 時間が参りましたので、改めて三人の参考人にお礼を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 無所属の会の野田佳彦でございます。

 三人の参考人の皆さんには、急なお呼び立てになったと思いますけれども、きょうは、意見陳述をしていただいたことに感謝申し上げたいというふうに思います。

 私も、では、まず最初に山内参考人にお尋ねをします。

 岸本委員の御議論を聞いていて、私も全く同感だったんですけれども、やはり新税の導入でありますから、受益と負担の相関関係については、これは緻密な議論をしていかなければいけないと思うんですよね。そこに乖離があるとするならば、やはり国民の理解を得ることができなくなるというおそれを感じます。

 だとすると、この具体的な制度設計にかかわった次世代の観光立国の実現に向けた観光財源のあり方検討会、座長は山内参考人ということでございますが、山内先生は税の専門家ではなく、経済政策とか交通経済とかこういう御専門だと思いますよね。そのほかのメンバーの人たちですが、コンサルの方とか事業者の方とか学者の皆さんが入っていますけれども、税に精通した、そういう専門的な御意見を吐露される立場の方はどれぐらいいらっしゃったんですか。

山内参考人 委員につきましては、もう既にもちろん発表されているところでございますけれども、お一人は、国際協力銀行の林委員は財務省の御出身でいらっしゃって、税に精通しているというふうに理解しております。それから、私と同じ大学でありますけれども、一橋大学の吉村先生は税法の専門家でいらっしゃいます。そういうことでございます。

野田(佳)委員 私はやはり、構成の比率からしても、若干ちょっと、税の議論をする立場の方が相対的に少ないような。もちろん、観光政策を推し進めようという方向性は理解しますし、観光財源が必要だということはよくわかるんですが、だからこそ、その裏づけとなる制度設計については、かなり受益と負担のことを意識した専門的な議論が必要であったろうというふうに思うんです。それがないままに、割と与党の税調、政府税調をクリアしてこの国会に来たんですね。

 この国会に来てからの審議なんですけれども、これは与野党合意しながら進めていますから、かさぶたを剥がすようなことは言うつもりはありませんけれども、非常にタイトな日程でやっていかなければなりません。

 それは、後藤参考人が先ほど、おおむね法の趣旨については理解をされていましたですよね。されていたけれども、今国会中の成立についても理解はするけれども、要は十分な議論をしてほしいということがきょうの参考人の御意見の主たる内容じゃありませんか。我々も同感なんです。方向性としては否定するものではないけれども、やはり税の議論ですから、国民に御負担をお願いする以上、きちっと詰めた議論をしていきたいんです。

 そこで、施行日が来年の一月七日で、結局、この税法が予算関連で日切れだという扱いのもとで、こういうタイトな日程で厳しい議論をしなければいけない状況になってしまいました。先ほど、一月七日、これは、従来からの説明では、周知の期間も要るけれども、事業者のいろいろな、システムの改良などそういうものが九カ月ぐらいかかるからということだったんですが、そんなに要らないようにお話しされましたですね、さっき。

 確認をしたいんですけれども、十分な議論をして、別に一月七日にこだわらず、この国会中で成案を得て、そして来年の四月から施行するということの方が妥当だったのではないかと私は思うんですが、これは後藤参考人、いかがでしょう。

後藤参考人 国会での十分な議論について求めたということは間違いがございませんし、ぜひお願いしたいというふうには思っております。

 一月七日のときに、先ほど誤解を与えるような発言をしたのかもしれませんけれども、私ども事業者は、変わるということが、もし仮にこれでないもの、案件についてでもそうですね、その期間に合わせるように努力、努めます。

 ですので、そのような発言はいたしましたけれども、九カ月あれば九カ月間の中でしっかりとできますし、あしたやれと言われたら少し難しいかもしれませんけれども、私どもは、しっかりとした対応をできるようにしたいという思いは変わりませんし、そのためには時間が必要だというような趣旨で申し上げました。

 以上でございます。

野田(佳)委員 極めて本質的なところをえんきょくに表現をされていると思いますけれども、九カ月と言えば、時間があるからそれはそれでやる、あしたやれと言っても困るけれども、例えば半年でやりましょうと言ったら、できるわけでしょう。ということですよね。だから、この九カ月の縛りで妙にこの国会審議が窮屈になってしまったらちょっと私は残念に思います。これは参考人に言っても申しわけないんですけれども。

 最後に、内田参考人にお尋ねをしたいと思うんですけれども、内田参考人のきょうのお話の中で合点がいった話が私はありまして、それは法案の名称の話です。

 国際観光旅客税というと、自分たちが払うか払わないかわからない人が結構いますよね。ここから受益と負担の相関関係が崩れちゃうんですよ。崩れちゃうんですね。国際観光旅客、でも、ビジネスマンも入るんじゃないですか。海外から来るビジネスマンは全体の二割ぐらいいますよね、インバウンドのね。日本から海外に出る人も、これはビジネスもある、留学もある、いろいろいるんですよ。だとすると、名は体をあらわすとするならば、看板に偽りがあるように思われないためには、出国税にしちゃった方がいいんじゃないですかね。と思いましたけれども、いかがですか。

内田参考人 私は、正しく、この名称がどういうふうに出たのかをちょっと存じ上げないんですけれども、大きな目的として、観光立国に向けてのいろいろな仕組みが要るということがひもづいて、国際観光旅客という名称がそういうことにはわかりやすいというところは理解をしますけれども、受ける便益との関係でいいますと、先ほど申し上げたように、渡航目的と受ける便益とは無関係ですので、そういう意味でいうと、先ほど申し上げたような、観光旅客ではない立場の利用者からするとわかりにくくなっているのではないかな、そういう危惧があるというふうにはやはり考えます。

 ここもよくわからないのは、いわゆる出国税というようなサブタイトル的なものが説明の中に入っていまして、これは、仮称とはいえ、国際観光旅客税といわゆる出国税というわかりやすいものとの関係が、もう少し整理は要るのではないかなというふうにはやはり感じます。

 以上です。

野田(佳)委員 本当におっしゃるとおりで、負担をされる方がぴんとこない、自分は当てはまらないと思ってしまう、後からわかったら千円払うことになっていたというと、納税拒否まではされるかどうかはわかりませんけれども、やはり名称のところからもっと議論すべきだったのではないかなということを私も感じているという意味においては、参考人の御意見と全く同感でございます。

 これはこの後の法案審議でもぜひ政府の方に尋ねようと思いますので、意を強くさせていただいたことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、お忙しい中、三人の参考人の皆さん、本当に時間を割いていただいてありがとうございます。

 まず、三人の皆さんにお伺いいたしますが、今回の国際観光旅客税の創設というのは、国民からすれば大変唐突感があります。去年の秋に出てきて、与党の選挙公約にもありませんでした。そして、政府の税調での議論もなかったわけですね。二十六年ぶりの新税であります。ですから、やはり、新税の創設、使途だとかについては、国民的な議論、国民的な合意、こういうプロセスが不可欠だというふうに考えますが、今回の法案提出に至るプロセスについてどうお感じなのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

山内参考人 私は先ほどの検討会の座長をさせていただきましたけれども、検討会といたしましては、特に、政府がどういうスケジュールで審議をするかということについて、我々の議論の範囲外でございますので、そういった議論をしなかったわけであります。

 個人的に考えを述べさせていただくと、やはり観光が、先ほど申し上げましたように、かなり産業として成長していく中でいろいろな問題もあり、それから、更に将来的に安定的な産業の柱としていくために財源が必要である、こういう議論自体は観光政策の中でかなり行われてきたというふうに理解をしております。その中で今回の税の導入の議論が始まったということでありまして、必ずしも唐突に出てきたわけではないと私は理解しています。

 ただ、それが、委員おっしゃるように、国民の皆様がどういうふうに捉えるのかとか、あるいはそれに対する広報がどうだったのかとか、そういった問題はあろうかなというふうに思いますけれども、今申し上げたように、そういった大きな議論の中で出てきた検討課題であったというふうに理解しております。

後藤参考人 私ども、冒頭申し上げましたようにさまざまな提言をこれまでもしてまいっておりますし、そのためには財源も必要なものもあるというふうに冒頭申し上げたとおりで、委員の方から言われるように唐突感ということは、正直私ども、その中に、検討会の中とかはおりませんでしたけれども、そういった面では、ずっと前からいろいろ考えておったという立場からいうと、唐突感というのは残念ながら私どもは持っておりませんで、必要な議論がなされたというふうに理解をしております。

 先ほど、訪日外客の方が四兆四千億という消費額、昨年のことを言われましたが、日本人の方も二十一兆円ほど、国内旅行の方は消費されております。全体でいくと、速報値ですけれども、二十六・七兆円ですか、そういった数字も出ておりますし、これからも伸び行く産業だ、それに対する施策も必要だ、財政面も必要だという認識でおりましたので。

 以上、意見とさせていただきます。

内田参考人 今おっしゃったように、国民も、当然のことながら、理解をして合意をしていくということは必要だと思います。

 ただ、片一方で、私も実は今、北九州市で地方活性化のための一般財団法人を立ち上げて地域の活性化をやっている中で、地方にいて、東京に来ると本当に外国人の方がふえたなとも思うんですけれども、地方もかなりふえたなという実感があるんですね。

 そういう意味でいいますと、唐突感というよりも、いや、こんなに外国人の方がふえている今、チャンスがやってきていて、そこに対しては何らかのことをしていかなければいけないなという実感は、地方にはかなり大きく広がっているかなというふうには思うんですね。

 そうすると、それを何とか形にするためにどうしたらいいのかというのが今回の税と結びつくのであれば、それは地方にとっても非常にウエルカムな話になるのではないかな。

 唐突かどうかは別として、そういうニーズがあって、ニーズを形にするためには非常にいい方策なのかなというふうには実感としては感じております。

宮本(徹)委員 ありがとうございます。

 もう一点お伺いいたします。

 これもお三方にお伺いしますが、今回、先ほど山内先生がお話しされた話と少し違いまして、ここの委員会では、目的税ではないが特定財源だということで議論は委員会で進んでおります。

 ただ、委員会の議論の中で、特定財源としてつくるけれども、将来的にはこれはその使途も変え得るんだという答弁が麻生大臣からありました。道路特定財源もそうだった、自分のときに特定財源というのはやめたんだという話も、麻生大臣からお話がありました。

 観光目的の特定財源からこの目的を変えるんだ、将来そういうこともあり得るんだという大臣の意見についてはどうお考えでしょうか。

山内参考人 大変失礼いたしました。

 特定財源であるということで議論されていたということであれば、また先ほどの私のあれは少しつけ加える点があろうかと思いますけれども、ただ、我々としては、先ほど申し上げたように二つで、目的は方向性をつくることと機動的に運用する、こういうことでありますので、特定財源であっても、将来的にどうするのかということは議論の余地はあるんだろうなというふうに思っています。ただ、そのときには、この税金自体をどうするのかということも含めて、全体の議論をしていかなければいけないのかなというふうに思っております。

 また、特定財源と、それから今議論に出されましたけれども、道路整備の特定財源がありましたけれども、道路特会の場合は特別会計が伴っていたわけで、会計を別にしていたということがありますので、その辺の違いというんですか、そういったことも今回のものとは少し違うのかなというふうに思っております。

 以上でございます。

後藤参考人 私どもとすると、観光立国に資するものに使途が限定されているということで今回の税について理解をしているところでございまして、それが変わるということであれば、私どもとしてはそれは理解ができないということになろうかというふうに思いますし、未来永劫ずっとこの税率でということになるかと言われると、見直すということは、先ほど申し上げたとおり、してもいいのではないか。一定程度整備が進めば、更に下げるとかいうこともあってもよろしいのではないかというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

内田参考人 先ほどお話ししました、名称、名が体をあらわすのかどうかということとの関係でいいますと、私の理解は、非常に広義のといいますか、要は、日本と諸外国の間を行き来するというテーマに対してどういう税が課せられるのかという位置づけだというふうに広く理解をしますと、こういう使途であるとかこういう分野にも使える、それが特定の目的というふうに言えるのかどうかについては、そこの、広義の定義をちゃんとすれば、当てはまることもあるでしょうし、そうならないこともあるのかなというふうに考えております。

宮本(徹)委員 ありがとうございます。

 あと、これはわかれば教えていただきたいんですけれども、今回の法案も、今、二千数百万来て、四千万、六千万というお話になっているわけですけれども、世界でも旅行客がふえて、世界の観光地でもベネチアだとかバルセロナだとかで、住んでいる住民の方が、旅行客がふえ過ぎていろいろな迷惑をこうむっているということで反観光のデモをやったというニュースも去年流れていたりしました。こういう話なんですね。違法民泊が広がって、家賃をつり上げて今住んでいる人を追い出す、こういう例もあるということ、あるいは地価や家賃の高騰が起きているということで、住んでいる人が大変不満を高めているというお話もあります。

 ですから、観光客がふえていい面があると同時に、やはり前提は、そこに住んでいる人が住んでよしという状態が保たれなきゃいけないというふうに思うんですけれども、世界で観光客がふえる中でどういう問題が生じているかというのを、もし起きている事例だとか御存じでしたら御紹介いただければというふうに思います。

山内参考人 全て詳細に承知しているわけではございませんけれども、私、去年、オランダに学生を連れて研修に行ったんですけれども、オランダのこれは政府というよりも民間の方ですけれども、やはりオランダもかなり観光客がふえて、アムステルダムなどは混雑状況もあり、もうこれ以上来てほしくないというようなことを言っていた記憶がございます。

 観光は世界的に伸びておりますので、その意味では、そもそも観光客が多いところ、それがまた伸びるわけですから、委員がおっしゃるような形の弊害が起きているというのも事実かなというふうに思っておりますし、報道等によりますと、日本でも、京都で、一般の市民用のバスに観光客が乗って、なかなか一般客が乗れないというようなことも聞いておりますけれども、一方では、逆に、そういうことであるがゆえに、我々、その観光に対する環境整備をするという必要があるというふうに思っておりまして、今回、この税金といいますか、御負担をいただくようなこともそのためのものだというふうに私は理解しています。

 以上でございます。

小里委員長 時間が参りましたが、よろしいですか。

宮本(徹)委員 どうもありがとうございました。

小里委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳でございます。

 きょうは、山内参考人、後藤参考人、内田参考人、本当に、御出席いただき、ありがとうございます。大変参考になる御意見を賜ったと思っております。

 率直に私、感じるんですけれども、今、日本が、少子化、そして急速な高齢化、人口の急速な減少、こういうことの中で財政が大変厳しい、一方でデフレ脱却が私は七合目、八合目と申し上げているんですけれども、そういう状況で、明るい材料というのが実は少なくなってきていて、そして若い方々も、好んで海外に行ってちょっと武者修行してこようなんという思いを持つ子供たちも減ってきているような、そういう日本の状況を感じていまして、そんな中にあって、日本でまあ唯一と言ったら語弊があると思うんですが、数少ない中の一つの光というのがこの観光のビジネスというか、観光の成長力というか、そこに非常に大きなポイントがあると思っています。

 きょうは、税について専門家ということでお運びいただいているんですけれども、大事なことは、やはり、成長していく中で、目標はありますけれども、実際に具体でどうやってそのインバウンドをふやしていくのかということはとても大切なことだと私は感じているんです。お立場はあるとは思うんですけれども、あえて、具体で、こういうことをすればインバウンドはふえるから、もっと国会も、あるいは行政府もこういうことにもうちょっと力点を置いたらどうなんだという御意見をお三方それぞれからいただきたいと思いますが、差配は委員長にお願いいたしますけれども、御意見をいただければと思います。

山内参考人 なかなか難しい御質問であります。

 これまでもビジットキャンペーン以来かなりのことをやってきて、それが今回の成果に結びついているということだと思いますけれども、インバウンドを更にふやしていくということであると、やはり、オリンピック・パラリンピックの後に我々日本がどういった魅力を世界に発信し、世界の人を集めてこれるか、そういう極めて重要な位置にいるというふうに思っております。

 その意味では、長期的に安定的にお客様を魅了できるような魅力を発信し、また魅力を磨いていく、こういうことだというふうに思っております。そのための支出に充てるようにということで我々の検討会でも書いたわけでありますけれども。

 更に言うと、やはりこれからの情報の発信ということでいうと、今まではかなり通常の形のキャンペーンを張ってきたということですけれども、皆様御承知のとおり、今や情報の伝播というのは、SNSであるとかそういった新しい手段によっているということであると思います。

 これは悪い意味ではなくていい意味で、そういった新しいメディア、新しい情報媒体をうまく使っていく、こういうことが重要かというふうに思っておりまして、例えば、卑近な例で恐縮ですけれども、ハイボールというのがかなり日本で大流行した時期があったんですが、あのときあれをはやらせたサントリーという会社ですけれども、あの会社が、どこにどういうふうな形で情報を流すとどういうふうに反応してというのを、かなり綿密に計算されてキャンペーンを打ったというふうに聞いております。

 もしもそのようなことが、国家レベルといいますか、国レベルとして国を売り込んでいくときにできるというようなことであれば、やはりそういった点での高度化を図っていくのが一番重要ではないかなというふうに思っております。

 以上です。

後藤参考人 同じく、大変難しい課題だというふうには思っていますけれども、各委員の方からの御質問の中にもございましたように、今、アジアを中心に多くの方が日本に来ておられます。アメリカの方も少しおられますけれども、やはりヨーロッパの方がまだまだ来ておられないという現実がありますから、しっかりとキャンペーン、これまでもJNTOなり観光庁なりの皆さんがキャンペーンなりを張っておられますけれども、そういった、世界に向けて日本のよさを発信していく。また、きちんとマーケット分析をした上で、ピンポイントでもセールスをかけていく。そんなことを政府主導でも、民間もやっていますけれども、全体で進めるということが一つだろうというふうに思います。

 さらに、質を高めていくと先ほど申し上げましたけれども、やはり、よりよい方に来ていただくという施策も考えた方がよろしかろうというふうに思っています。

 先ほど、民泊の海外におけることも情報として披瀝がございましたけれども、やはりいい方に、質のいい観光客に来ていただくということでいくと、さらに、宿泊施設等についても日本としてはよりよいものを用意しておく。若しくは旅館なりの、今、日本にもちゃんと旅館さん、地域にたくさんございますから、そういった旅館さんにもスポットを当ててしっかりとした対応なりをされるということが、更にインバウンドをふやす、日本の魅力を高めるということになろうかというふうに思います。

 以上でございます。

内田参考人 御質問の、どうやったらインバウンドがふえるのかということについてですけれども、大きく言うと、私、二つだと思います。

 一つは、誰に対策、対応を打っていくのかといったときに、いらっしゃる外国人の方へどう対応するのかだけではなくて、受け入れる日本側、これは人も企業もそうですけれども、そういった受けとめる側、サービスを提供する側にどういう対応をとっていくのか。これは使途とも絡むと思いますけれども、そこをこの二者に対してどうバランスよく対応策をとっていくのかというのが一点のポイントだと思います。

 二点目は、先ほども申し上げましたけれども、満足度を上げるといった仕組みをやはり正しく理解した上でつくっていく、これが重要だと思います。

 これは日本生産性本部が苦労してつくられましたJCSIという満足度指標にもあるんですけれども、やはり、まず期待をつくらなきゃいけない。当然のことながら、知らなければ行ってみようなんて思いませんし、何か行ってみたいなという期待感をどうつくるのか。これは周知活動、広報活動を含めて、どういうふうな形で日本のよさを知っていただくのかというのがまず前段で必要だと思います。

 そこを知った上で、実際に来ました、そのときに受けたサービスの実感が、本当にレベルが高いのかどうか、こういう品質の実感をどうやって上げるのか、ここは、今申し上げた受けとめる側、サービスを提供する側が正しく理解していないと、いらっしゃった外国人の方に高いレベルでの実感を得ていただけないんじゃないかな、こういうふうに思います。

 最後のところは、やはりそれをいかに周辺に、来た方だけでは限界がありますので、その周りの方に、SNSを中心として、本当によかったんだよ、行ってみたらという情報発信をどう広げるか。

 最後は、輸送力はしっかりとつくっていく、こういうことだと思います。

 以上です。

杉本委員 大変参考になる御意見、ありがとうございます。

 CNNなんかを映像で見ていると、インドネシアが宣伝していたり、あるいは中東の国が宣伝していたりして、映像を見るんですけれども、日本はいつ宣伝しているんだろうなというのを実は私も率直に感じていますので、CNNがいい悪いは別としまして、SNSを使った形、あるいはキャンペーン、今御示唆いただいた受け入れる側の姿勢といったところを含めて、総合的に我々はやはりインバウンドに向けて、与野党を問わず、力を合わせて、目標は大きいですけれども、発着枠だとかそういった問題もあるやに伺いましたけれども、努力する必要があると思っています。

 最後に、内田参考人にだけお伺いして恐縮なんですが、時間がなくなってしまって。皆さんに伺いたかったんですけれども。

 税の担当をしている我々委員会としては、消費税というのがあって、この還付が、海外へ行くと、タックスリファンドというようなことで、空港でリファンドを受けることができますけれども、日本の場合は、リファンド方式というよりは免税店方式で、量販店でリファンドを受けるような形になっているという認識をしています。

 今回、税を出国する外国の旅行者にももらうわけですけれども、この日本の消費税のあり方、海外からの旅行者にとって、どういった形が、日本は本来、免税にするのか、還付をするのか、この辺でもし御示唆があればいただきたいんですけれども。

内田参考人 税の仕組みというよりも、実態としてどういうことが起こっているかをちょっとお話ししたいと思いますけれども、実際、インバウンドで例えば中国の団体の方が来られました。そうすると、日本に受け入れるのは、中国系の資本が入ったランドオペレーターという方が大体ツアーオペレーターをやって、わかりやすい例でいうと、特定の量販店であるとか電気製品を売っているところだとか、そういうところにバスとともに連れていって、そこのルートの中に、そういった免税の仕組みであるとかリファンドの仕組みというのをちゃんと組み込んでやっている。

 そういう仕組みにちゃんとオンルートで乗っていけば、メリットは間違いなく感じていただいていますし、それが、爆買いとは言いませんけれども、やはり日本では食と並んで買い物は魅力だと思いますので、買ったもので一部とはいえ戻ってくるということがリピーター化へのインセンティブにはつながっているんだろうな、こういうふうに思います。ですから、今申し上げた、ちゃんとしたルートに乗っているのは問題がないと思います。

 問題なのは、個人型の旅行で来られたときに、そういった大ぐくりの仕組みに乗らない方がどういうふうにすればそういうようなメリットであるとかを受けられるのかというところがちゃんとつながっていないところがありますので、それはちょっと、どちらの仕組みがいいのかは一旦おいたとして、そこのところが、団体型ではなくても、これからふえていくだろう個人型の旅行客にも同様に享受できるような、そういう仕組みづくりというのは必要ではないのかなというふうに考えます。

 以上です。

杉本委員 時間が来ました。終わります。

 ありがとうございました。

小里委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 この際、暫時休憩いたします。

    午後三時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時四十八分開議

小里委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、国際観光旅客税法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官平垣内久隆君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、外務省大臣官房審議官牛尾滋君、大臣官房参事官船越健裕君、財務省主計局次長大鹿行宏君、主税局長星野次彦君、理財局長太田充君、国土交通省大臣官房総括審議官岡西康博君、大臣官房審議官寺田吉道君、航空局次長和田浩一君、航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君、観光庁長官田村明比古君、次長水嶋智君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 末松でございます。

 まず、この開会が少しイレギュラーになった理由として、財務省が資料の書きかえをしたということで、また問題になると思います。この問題については、私からというよりも、後に続く川内委員の方から、またそこは深い質疑をしていただきたいと思います。

 私の方は、この国際観光旅客税法についてお話をさせていただきます。

 私は思うんですけれども、この税は衆議院選挙の前には一言も与党の方で触れていないし、そして新税ができたということ、これはちょっと遺憾に思っているわけでございますし、また、審議自体が、税源に関する審査会が二カ月ぐらいしか開かれていなくて、それがすぐに税法ということでこの提案になったということ、これも極めて短期間でイレギュラーだなというふうに感じます。

 そのために、各委員も指摘していますけれども、使途に対する明確なアイデアというか、それがなくて曖昧な形にさせられているということ、これも本当に問題だなと思うわけでございます。順次、私の方でただしていきたいと思います。

 まず第一に、国際観光旅客という税、これで国際観光という言葉が入っております。先ほど参考人の内田さんからも、これは本当にしっかりとした指摘がございました。私も、その内田さんのお話を聞いて、野田元総理と一緒に意を強くしたところでございます。

 ここで問題なのは、国際観光という人でないビジネスマンとか、あるいはそれ以外の方々の旅客、これが入っていないという形になるわけですけれども、これは観光庁の方にまず御質問します。今、この旅客のうち、観光目的というのと、あるいは非観光目的でビジネス、こういったものを中心にやっている方々の割合、これがどの程度なのかということ。これ、平成二十九年で外国人二千八百万人、そして日本人が千七百万人で、大体四千五百万人程度のうち、大体どのくらいで見積もっておられるのか、それを割合をお伺いしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 この出国旅客のうち、これは日本人の方と外国人の方と両方いらっしゃるということでございますけれども、日本人の出国者の渡航目的につきましては、これは平成十三年七月以降に出国記録の制度が廃止されたということでございまして、現在は確認することが残念ながらできなくなっておるということでございますけれども、確認できる最新の数値をお答え申し上げますと、平成十二年の日本人出国者の渡航目的のうち、観光等を目的とする割合というのは八一・八%というふうになっております。

 一方、訪日外国人旅行者の日本への訪問の目的でございますけれども、これは日本政府観光局、JNTOの方が調査をしております。訪日外国人旅行者のうち、短期滞在の入国者から商用客を引いた入国外国人という形で、厳密に申しますと親族、友人訪問を含むという形になるわけでございますが、それを観光客として公表しております。その数字が、平成二十八年におけるその割合でございますが、八七・六%というふうになっておるということでございます。

末松委員 きのうのレクチャーを受けたときと、かなり数字が違っているわけですけれども、いずれにしても、日本人でも約二割の人がビジネス目的だということでございますし、外国人は一割強という話でございます。

 そこで、ビジネスだけをいろいろと目的としてやっている方がどう思うかという話に今度はなるわけでございます。

 実は私も、大臣の選挙区と近いところで、福岡県の北九州市の八幡というところでございまして、福岡県で博多から釜山に行ったり来たりする人たちといろいろな話をしたこともあるんですけれども、彼らは、聞いてみますと、大体、行商に行って釜山と往復をする人たちとか、あるいは、韓国の釜山に店を持っていてそのために毎週訪れなきゃいけない、こういう人たちの話もよくお伺いをしたわけでございます。

 そこで、博多と釜山の往復の、今は高速船とか出ているんですけれども、その船の話を、運賃を見てみると、大体割安プランで一万円ぐらいで行けるということになっているわけです。それに、燃料油のサーチャージと、それからターミナルの使用料が合わせて千四百円ぐらいですか、更に千円税がかかる。しかも、それが毎週という話になると、四千円ぐらいになってしまう。

 彼らにしてみれば、観光ということは全く関係ないし、空港で、幾らいろいろなイミグレーションで便利な状況になったとしても、ほとんど関係ない。やはり彼らに対して、ビジネスという、本当になりわいのために頑張っているわけですから、そういう人たちを同等に扱っていいのかという気がするわけですけれども、そこはどういうふうに財務省の方は考えていますか。

うえの副大臣 お答えいたします。

 本税につきましては、観光立国の受益者の負担による観光財源の確保を目指した検討を踏まえ、創設をされるものでございまして、委員の御指摘もございますけれども、例えば出入国の円滑化等の、そうした施策による受益につきましては、これは出国の目的であったり、あるいは旅行の頻度等に応じて異なるということは一概には申し上げられないのではないかなと考えております。

 また、観光庁の検討会が行いました事業者のヒアリングにおきましても、やはり、公平で円滑な徴収のためには一律で定額が望ましいという声が非常に多かったところでございますので、こうした視点を踏まえますと、ビジネス客について税を異なる扱いにするということはなかなか困難ではないかと考えております。

末松委員 その目的と頻度が、目的はビジネスということで頻度が非常に多いといった場合、今約二割の人が、観光以外の目的で日本人も出ておられる。ということは、大体約五百万人ぐらい、そういう方々がおられるわけですよ。

 彼ら、やはりここでしっかりと考えなきゃいけないのは、報告書に出ているように、受益と負担の関係を負担者が納得できるような、そういったことをしっかりとやっていくと書かれているわけですから、それは、ビジネスとかそういうものが主の目的でやっているのであれば、それは負担者の方もしっかりと考えてあげなきゃいけないんじゃないでしょうか。

うえの副大臣 御指摘は御指摘でございますが、先ほど来繰り返しになって大変恐縮なんですが、今回の法案の中においても、出入国の円滑化等ということが一つの大きな目的となっておるところでありますので、その意味で、受益については、旅行の目的に応じてそれが異なるということはなかなか申し上げにくいのではないかと考えています。

末松委員 それだけの説明じゃ納得できないんですよ。

 つまり、これが国際観光旅客税制という話なんですよ。だから、観光なんですよね、ここは。でも、そうじゃない人たちにも税を課しているわけですよ。日本人でも五百万人、外国人を合わせたら、それ以上にいるわけですよ。これに対して、税の減免とは言わないまでも、何らかの形の受益がないと、それはもうこの法律そのものを、国際旅客税だったらまだしもわかるけれども、そうじゃなくて観光という話になっているのであれば、観光目的で、ビジネス関連も全部ひっくるめて、そこで負担をさせるんだと。今、副大臣のお話だと、もう一律でわかりやすくそれをやるんだというのは、ちょっと粗っぽくありませんか。

水嶋政府参考人 私の方からお答えをさせていただきます。

 税の名称でございますけれども、これは課税の対象とするのが基本であるというふうに考えておるということでございまして、本税につきましては、課税の対象である納税義務者が主として国際観光旅客、これは八割以上が観光ということでございますので、主として国際観光旅客であることから、国際観光旅客税という名称が用いられておるということでございまして、実際に、出入国の理由を問わず税の負担をお願いするということだと思います。よろしゅうございますか。

 先生御指摘の今回の税収、こういったものを上げるに当たっては、出国者の方の目的を問わず、負担者の方の納得感を得られるようにするということが大変重要なことであるというふうに考えております。

 この点、先ほど来の答弁にはございますけれども、昨年十二月の閣僚会議決定では、この使途について、出入国の円滑化ということが掲げられておるということでございますし、実際、平成三十年度予算においては、最新技術を活用した顔認証ゲートでございますとか、税関検査場の電子化ゲートの整備にこういった税収を充てようという予算案になっておるということでございますけれども、こういった施策につきましては、非観光目的の出国者にもきっちりとメリットが感じられる、そういった施策に充当されているということが申し上げられるのではないかなと考えている次第でございます。

末松委員 今そこは副大臣が重ねて同じ答弁をされたわけですよ。それをあなたは敷衍しているだけなんですね。私が言っているのは、ビジネス目的、特に船とか、そういった高頻度の人たちというのは生活がかかっているわけですよ。毎月四千円負担するというのは、ちょっと冗談じゃないよという話になるわけですよ。それが顔認証だけで便益を得られましたという話じゃないでしょう。それは、もっとビジネスの方々に対しても、しっかりとそこはやっていくということを言わなければいけないんじゃないですか。もう一度ちょっとお願いしますよ。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもから、先ほど例示として空港における顔認証ゲートなどのお話をさせていただきましたが、飛行機であろうが、船舶、港湾であろうが、それを問わず出入国の円滑化を図っていく必要があるんだろうというふうに思います。

 ビジネス等の目的で、頻繁にそういった船で日韓の間を往来される方につきましても、さまざまな出入国関係の便益、そういう行政サービスを受けておられるということについては変わりはないということでございまして、港における出入国の円滑化等、そういった施策も今後進めていく必要があると思っておりますけれども、そういったところから得られる受益は、観光目的以外の旅客の方にとっても同様であるのではないかというふうに考えておるということでございます。

末松委員 先ほど水嶋さんが言われた、ちょっと今言われたのでひっかかったんですけれども、主として観光云々の話、これは法律に書いてあるんですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、先生の御質問の意図を必ずしも正確に理解されておらないのでございますけれども……(末松委員「いや、あなたが言ったんじゃない」と呼ぶ)はい。

 私が申し上げたのは、観光目的であろうが観光以外の目的であろうが、出入国の円滑化などによって、そういった施策によって受ける受益には変わりはないのではないだろうかということを、済みません、今の御答弁では申し上げさせていただいたところでございます。

末松委員 こんなことで私も質問時間を引っ張られるのは本意じゃないんだけれども、私の説得に当たって、主として観光目的の人だということを水嶋次長が言われたので、そのことはきちんと法律に書いているんですかと。それじゃなければ、私の質問に、ビジネスマンとかそういった方々、つまり、国際観光旅客という、観光という形に一くくりでくくっているものですから、そういったビジネスについても、そこはしっかりと配慮していくんだという話を言わないと私の答えにはならないと思うんですけれども、いかがですか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 出国の理由を問わず、そういった便益をしっかりと還元していくということは大変重要であるというふうに考えておるところでございます。

 なお、法律上の文言でございますけれども、この税法上は、「国際観光旅客等は、この法律により、国際観光旅客税を納める義務がある。」そういった規定ぶりになっておるということでございます。

末松委員 余り納得はしていませんけれども、次に進ませていただきます。

 あと、税額の決めでございますけれども、なぜ千円かという話でございます。

 これに対して、るる委員の方で御質問があって、やりとりがなされたわけですけれども、そこの決めた理由として二つあって、一つは、旅行の需要というものに対して影響がないようにしたいというようなことがございました。もう一点は、必要となる財政需要というものがどのくらい伸びていくのか減っていくのか、こういうことが言われたわけでございます。

 そうすると、千円というのは、当面千円なのか、また上げ下げがあるのかということは、当然、税を払う人から見たらこれは関心事になるわけでございますけれども、特に必要となる財政需要となると、今が海外からは二千八百万人、プラス日本人が千七百万人強、合わせて四千五百万近くになるわけですけれども、さらに二〇二〇年では四千万人が、あるいは二〇三〇年では六千万人がこの大きな需要を担う、目標として定められているんですけれども、そうすると、財政需要も非常にそこは拡大していかざるを得ないなということになるわけなんです。

 そこは、今後、例えば五年間程度は千円で大体据え置くというような感触をお持ちなのか、あるいは変えるようなことになるのか、あるいはやってみなきゃわからぬという話になるのか、その辺はいかがですか。

麻生国務大臣 この千円が上がるか下がるかという話ですか、将来にわたって。(末松委員「ええ」と呼ぶ)今の段階で、私どもの立場として、この千円という額について変える、短期的な税額に変えるということを今考えているわけではありません。

 それから、どれくらいふえるかという話ですけれども、八百万人が今日になるのに、四年間で二千八百になると予想した人は誰もいませんから、日本では。私どもとして、予想をはるかに上回ったスピードで来ましたので、正直申し上げて、こうやってくるとまた勝手に、人間というのは、すぐ六千万だ八千万だといくように考えたがるものですけれども、そんなにいきますかねというのも正直あります。

 しかし、傍ら、フランスなんかを見ますと、人口六千六百万ぐらいだと思います、もうちょいあるかな、あるかと思いますが、実際、観光客は八千二百万人ぐらいの観光客ですから、日本の人口比でいけば一億何千万来なくちゃおかしいという計算になりますんで、それは、フランスの場合はそういう例もありますんで、もっと来るかもしれない。しかし、あそこは陸続き、こっちは島国だから少し違うんじゃないかというようなことを、いろんなことを考えて今の数字は上がってきたんだ、そう思っておりますけれども。

 いずれにしても、私どもとしては、今の段階でどれぐらいのものになってくるかわかりませんけれども、これをきちんとした、いろんな出入国に当たって、今延々と、博多の港なんかいられたかどうか知りませんけれども、大体、上陸するのに六時間待ちなんですよね。六時間ですよ。だって、五千人来ちゃうんだから、一挙に。延々と上がれないんですよ。それが現実ですから。

 そういったものになってくると、それは、中に人を入れて、税関、夏なんか着かれたら延々とあのところで待たされる。それはもう全部、反日を醸成しているみたいな話になりますから、結論、船の中に入っていってやらざるを得ぬ、人が全く足りませんからというような事態というのを、これは早急に何とかせないかぬというんで、機械化できるという部分はかなりの部分がありますから、そういった意味では、かなりな、機械化するというのに、結構な最新の設備であるんですけれども、そういったものの機械を使わせていただくのに当たっては、そこに新しい先進的なものの需要が出ますんで、そういった意味では、十分に、一般のお客の方々も、それを使って出たり入ったりできるのは同じ扱いになりますんで、船で済州やら何やら行っておられる方の話をしておられるんだと思いますけれども、同じ状況になっていると思いますよ、帰ってきたときは。だから、そういった方々の面についても、これは結構、そういった設備等々は十分に対応できる、短期間でということになり得るものに資するという意味では、国際旅客の方々も十分に恩恵を得られるものだと、私どもはそう思っております。

末松委員 必要になる財政需要がたくさん出てくる、きますよねということを今お話をお伺いして、要するに、この千円がどうなるかはちょっと今では言えないという話は、それは確かにそうなんでしょうけれども、その財政需要を、今、税関も含めて六時間待ちというお話がありました。私のおいっ子も港に勤めているものですから、その話はよく聞いているんですけれども、ここで、こういったのは、税関職員とかそういったものには使えないですよね、四百億円強のこのお金は。それはまた別途出すということなんですか。これは四百億円の中から出るということになるんでしょうか。

水嶋政府参考人 私からお答えを申し上げます。

 まず、この税収の使途でございますけれども、これは、昨年十二月の観光立国推進閣僚会議で、その使途についての基本的な考え方を定めさせていただいているところでございまして、繰り返しで恐縮でございますけれども、三分野というのを定めておるということでございます。ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上ということでございます。

 さらに、この観光財源を充当する施策は、既存施策の単なる穴埋めをするのではなく、受益と負担の関係から負担者の納得を得られることなどを基本的な考え方として、こういった使途につきまして法律上規定するために、別途、国土交通省の方から、国際観光振興法改正案を今国会に提出させていただいたところでございます。

 御指摘の人件費でございますけれども、これは、閣僚会議で定められた基本方針におきましては、観光財源の使途の適正性を確保する観点から、受益と負担の関係が不明確な国家公務員の人件費には充てないことというふうにされておるということでございまして、具体的な予算のニーズに関しましては、こういった基本的な考え方に当てはめまして、今後の予算編成の過程の中で、民間有識者の方の意見なども伺いながら、中身がしっかりと精査されていくというふうに理解をしておるところでございます。

末松委員 一般論だけ述べて、私の質問に対してしっかり答えてくださいよ。税関職員とか、その辺のこれを、人数をふやしたり、そういったことには使えないんですよね。それを私は、さっき麻生大臣が税関の関係を言われたので、私は聞いたわけですよ。それをはっきり答えてください、一言で。別に長々とした一般論は言う必要はありませんから。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 申しわけございません。私の説明が不十分だったかもしれませんが、使えないと申し上げたわけではございませんでして、閣僚会議決定で定められております基本方針では、繰り返します、受益と負担の関係が不明確な国家公務員の人件費には充てないことと閣僚会議決定では書かれております。具体的にその受益と負担の関係が明確かどうか、そういった点については、今後の予算編成過程の中で議論されていくものであるということを申し上げたということでございます。

末松委員 私の理解では、税関職員というのは使えない、そういうことを私は理解していたんですけれども、この理解は間違っていますか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで申しわけございません。閣僚会議の基本方針をそのまま私は読ませていただいているわけでございますけれども、閣僚会議の基本方針の中では、観光財源の使途の適正性を確保する観点から、受益と負担の関係が不明確な国家公務員の人件費には充てないこととされておるわけですから、ここの明確性等について議論が行われていけば、人件費について充当される場合もあり得るということだと理解をしております。

末松委員 財務省の方、政府委員の方で結構なんですけれども、そこは明確に言っていただけますか。これは、税関の職員の人件費に全部使われたら、四百億円強なんていうのは、ほとんどすぐになくなっちゃうんじゃないかと思うんですけれども。

うえの副大臣 議員御指摘の人件費につきましては、繰り返しになって恐縮ではございますが、基本方針におきまして、観光財源の使途の適正性を確保する観点から、受益と負担の関係が不明確な国家公務員の人件費には充てないこととされております。

末松委員 いや、私の理解が間違っているのか正しいのか、これを言ってほしいんです。税関の職員の人件費に充てられるのか充てられないのか。これは、財務省、私も前にレクチャーで聞いたときに、使えないという形で聞いていたものですから。

うえの副大臣 入管や税関など出入国の現場職員の人件費であったとしても、その業務が受益と負担の関係に照らして、これが適当であるかどうかということを確認する必要があると考えておりますので、人件費につきまして、一概に排除されているということではございません。(発言する者あり)

末松委員 ちょっと、私が質問していますから。

 今、川内委員からも話がありましたけれども、税関職員で受益と負担の関係は、これは予測がつくわけですよ。これは受益があるか、負担がどうなっているか、そういうふうなのは今ここでわからない、法案を出している段階でわからないということはないだろうと。それはもうはっきり言ってくださいよ。

うえの副大臣 今年度予算につきましては、人件費には当然充当はされておりません。三十年度予算ですね。三十年度予算につきましては、充当はされておりません。

 その上で、三十一年度以降の税収を充当する具体の施策、事業につきましては、昨年十二月に定められました基本方針に基づいて、受益と負担の関係等の観点から、個々の中身についてしっかりと精査をしていきたいと考えています。

末松委員 ちょっと私の聞いた説明と違うので、そこははっきりした答えを出してください。三十年度だけはやりませんというのでは、これはもう話になりませんから。

 私、実は基本的立場は、観光立国として日本がこれをやるということ、観光を主な産業にしていくというのは、私は大賛成なんですよ。ただ、この法案の、結構抜けが大きいなということで私は批判的に質問しているわけでございまして、質問時間がなくなりましたか。

 では、これはもう終わりますけれども、ぜひそこははっきりと詰めた形でやっていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

    ―――――――――――――

小里委員長 この際、お諮りいたします。

 本日、政府参考人として国税庁次長藤井健志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いいたします。

 麻生大臣には、参議院の予算委員会が朝からで、こちらの衆議院でも委員会ということで、大変お疲れのところ恐縮に存じますが、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、国際観光旅客税について、一昨日の本委員会で私が資料要求をいたしました、平成二十八年、二〇一六年の、内閣総理大臣決裁で設置された明日の日本を支える観光ビジョン構想会議ワーキンググループの第六回から第九回までの議事要旨、これは現在でもホームページ上にアップをされておらないわけでございますが、第六回から第九回までの議事要旨と資料を、小里委員長の御指示、そしてまた海江田筆頭や野田元総理の後押しもいただいて、昨夜、資料をいただきました。

 昨夜の観光庁の担当者の方の説明では、これらの議事要旨は、そして資料は、本来は、平成二十八年三月三十日の構想会議において観光ビジョンが決定されれば公開されるべきものであったというふうに御説明をいただきました。

 観光庁長官は、当時も観光庁長官でいらっしゃったわけでありますが、なぜこれまで公表しなかったのか、そしてまた、先日の私とのやりとりでは、いや、公表しなくていいんだもん的な答弁を最初されておったわけでございますが、国民に対して、あるいは国会に対して、御説明を、そして、私は、サボっていました、済みませんと謝罪をすべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員長の御指示によりまして、昨日、第六回から第九回までのワーキンググループにおける議事要旨等を提出させていただきました。

 提出させていただいた議事要旨にありますように、第六回から第九回までのワーキンググループにおきましては、明日の日本を支える観光ビジョンの策定に向けて、個別のテーマごとに関係省庁から取組の報告を受けて、政府内部で意見交換を行ったところでございまして、議論の途中段階であるこれらの回の議事要旨につきましては、ワーキンググループの開催当時の判断として、これを非公表とすることとしていたものでございます。

 他方、今般、先ほど申し上げましたように委員長の御指示で提出させていただいたところでございますけれども、明日の日本を支える観光ビジョン策定の経緯を明らかにする観点からは、観光ビジョン策定後は議事要旨をホームページ上においても公表しておくべきであった、こういうふうに考えております。そういう意味で、この点については率直におわびを申し上げたいというふうに思います。

 なお、ちょっと遅きに失した感はございますけれども、本日、ホームページ上でも、この議事要旨につきましては公表をさせていただいたところでございます。

川内委員 公開された議事要旨を読みますと、関係各府省の観光施策の表明が並んでおります。受益者の負担による国の追加的財源の確保の議論というのは、議論は全くされていなくて、田村観光庁長官が、受益者の負担による国の追加的財源の確保策が必要ですということをお述べになっていらっしゃる。しかし、それに対しての議論は、恐らく全くないわけですね。

 ましてや、新税の議論は、翌年、平成二十九年六月九日の未来投資戦略二〇一七の閣議決定、そして、平成二十九年八月に観光庁が観光財源確保策として税制改正要望を提出するまで、新税の議論というのはどの会議でも全く行われていない。

 観光庁としての意見表明は行われていますよ。しかし、税金を、あるいは手数料を取ってやったらどうですか、それに対してこういう意見がありますよというようなやりとりは全く行われていないということでよろしいですね。

田村政府参考人 我が国がアジア各国との競争に打ちかつために、アジアの競合国と比べて少ない観光予算を大幅に拡充する必要があり、そのための安定的な財源を確保するということにつきましては、従来から関係者の間で懸案の一つでございました。こうしたことから、ワーキンググループにおいて、有識者の方々からもそれに関する御意見をいただいたものというふうに承知をしております。

 こうした御意見を踏まえて、第六回のワーキンググループにおきまして、観光庁より論点整理の資料を説明しておりまして、今後の検討課題の一つとして、観光施策に充てるための財源確保を行う必要があるということで、施策のイメージとして、次世代の観光立国実現のための財源の創設というのを提示したところでございます。

 その後、第九回のワーキンググループにおきまして、観光庁より、観光財源を確保している諸外国の参考事例も説明し、観光庁の取組として、今後の増加する観光需要に対し、高次元で観光施策を実行するための国の追加的財源を確保するため、他の観光先進国を参考に、受益者負担による財源確保を検討することについて説明を行ったところでございます。

 いずれのワーキンググループにおきましても、もちろん、今先生御指摘のように、これに対する特段の意見は出ておりません。ただ、一連のワーキンググループを通じて、観光財源の検討の必要性を含めた観光ビジョンに盛り込むべき施策については、出席者の間で一定の共通理解がつくられたものと考えております。

 ただ、もちろん、新税の創設というようなことをこの場で具体的に検討が深められたということではございません。それは御指摘のとおりでございます。

川内委員 時間が三十分しかないので、答弁は短目にお願い申し上げます。

 それで、観光が大事だね、観光振興しようねと言えば、そうだねというふうにみんな言います、それは。それについて、いや、違うと言う人は一人もいないわけですよね。

 そういう中で、四千万人から千円ずつ取るという四半世紀ぶりの新税について、どうなのかという議論をしなければならないわけで、内税になるのか外税になるのか、大変現場は混乱すると思いますよ。弱小業者は大変な目に遭うというふうに私は想定をいたします。そういう中で、消費税のことなどでも内税、外税で大変苦労されているであろう、まあ、ワーキンググループでは、関係各府省の局長が呼ばれて意見の開陳をして、みんなでそれを、ああそうですか、そうですかといって聞いているわけですね。誰もそれに対して意見を言う人はいないわけですよ。そういう中で、このワーキンググループ、構想ビジョン会議のワーキンググループで関係各府省の局長が呼ばれているけれども、財務省の主税局長だけは呼ばれていないんです。

 主税局長、呼ばれていないですよね。

星野政府参考人 呼ばれておりません。

 うちの役所からは、CIQ等の関係もございまして、関税局長が呼ばれていたというふうに理解しております。

川内委員 税の企画立案をするという意味においては、主税局が税の企画立案をされるわけですから、私は、何で主税局に出席を求めなかったのかというふうに思いますけれども。

 さらに、今回の国際観光旅客税法案の条文に、観光ビジョンや未来投資戦略二〇一七に明記されている受益者の負担という言葉が条文の文言の中にありますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の国際観光旅客税法、税法の中でございますけれども、条文を申し上げれば、その国際観光旅客税、税率ですとか納付等について規定しているのが税の法案でございまして、今先生御指摘の受益者負担の原則というようなことに関する記述、規定はございません。

川内委員 きょうは外務省にも来ていただいているんですけれども、せんだって、法務省の出入国管理統計によれば平成二十八年一年間の米軍関係者の出国は十六・七万人ということで、この人たちは免税になるわけですけれども、国際観光旅客税。日本の空港や港を経由せず、トランプ大統領みたいに直接米軍基地から出入国する米軍関係者の方々の人数というのは、三カ月に一度、日米合同委員会に報告をされますというふうに教えていただきました。

 そこで、日米合同委員会あるいは米国に対して、米国の同意があれば、米軍基地だけで出入国する米軍関係者の年間の人数を米軍の同意を得て教えることができますということだったので、米国に聞いてくださいということをお願いをしておりましたが、結果はいかがだったでしょうか。

船越政府参考人 昨日、川内先生からのお話を受けまして、外務省といたしまして、改めて米側と話をいたしました。その結果、米側としても、やはり公表することは適切ではないとの立場に変わりはないということでございました。

 なお、先ほど先生が御指摘いただきました手続につきましては、日米地位協定第九条に係る合意議事録におきまして、日本国政府は、両政府間で合意される手続に従って、入国者及び出国者の数及び種別について定期的に通報を受けるとなっておるところでございまして、それに基づいて通報は受けておりますが、その詳細につきましては、先ほど申し上げたことで、公表は差し控えさせていただいているところでございます。

川内委員 何か、日米はすごい仲よしなんだから人数ぐらいみんなに教えてもいいと思うんですけれども、何で教えてくれないんですかね。適切じゃないという言葉の意味がよくわからないんですけれども。

 とにかく、国税庁に対して、ちょっと教えていただきたいんですけれども、日米地位協定の実施に伴う所得税法の臨時特例法で、米軍関係者というのはさまざまな税目を免除されているというふうにお聞きしました。所得税、法人税、相続税、消費税、印紙税、まあ所得税が免税されるということはないと思うんですけれども、免税されているそれぞれの税目と免税額、そして、その総額が大体年間幾らぐらいになるのかというのを、この際、参考にちょっと教えていただければと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる日米地位協定所得税等臨時特例法におきまして米軍等に対する免税が規定されております税目は、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税その他の間接税でございます。

 所得税、相続税、消費税といった税目につきましては、免税規定の適用を受けるに当たり、税務署に対する申告、申請等の手続が必要とされておりませんので、国税当局としては、これらの税目の免税額は把握しておりません。

 揮発油税及び地方揮発油税、それから石油ガス税、石油石炭税については、米軍等が購入する物品を製造する事業者が免税の規定を受けるために税務署に申請する手続となっております。この申請書により、免税数量を把握することはできます。

 把握している免税数量を、直近の数字、平成二十八年度分を申し上げますと、揮発油税及び地方揮発油税については二万一千九百十三キロリットル、それから石油ガス税及び石油石炭税については実績なしであります。

 金額に直しますと、免税数量の実績がある揮発油税及び地方揮発油税の免税数量に対する税額については、沖縄県の製造場から移出される揮発油税についての税率の特例があるため、要するに沖縄と沖縄以外で税率が異なりまして、その割合がよくわかりませんので、仮定を置いて、全部に本則税率、これは一キロリットル当たり五万三千八百円になります、これを単純に乗じますと、推計額としては約十一億八千万円となります。

川内委員 消費税は。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税につきましても、免税規定の適用を受けるに当たって、税務署に申告、申請等の手続が必要とされておりませんので、私どもとしては把握してございません。

川内委員 米軍あるいは米軍関係者に対してどのぐらい免税しているのかということについて、揮発油税しかわかりません、その他はさっぱりわかりませんわ、調べていませんという御回答だったわけですけれども、国民の皆様にいろいろな税金をお願いするときに、何で米軍関係者だけ免税されているのということは、非常にやはり、財務省さんがおっしゃる公平、簡素、中立という哲学からいうと、ちょっと不思議だなと。

 前の人が、日米地位協定があるからですということなのかもしれないですけれども、それにしても、一度、各税目について、どのくらい免税しているのかということをお調べいただいて、国民の皆様に金額を、免税額を教えていただくということが私は必要ではないかというふうに思いますが、これは時間がかかると思いますけれども、いかがでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいますとおり、日米地位協定に基づきまして、合衆国軍隊の構成員等の同軍隊の雇用等に基づく所得に対する税ですとか、合衆国軍隊が公用のために調達する物資等に係る税等を免除することとされておりまして、先ほど国税庁から申し上げたとおり、その適用実態については、所得税や消費税等については税務署に対する申告、申請等の手続が必要とされていないことから、当局としては把握をしておりません。

 仮にこれらの税の免税額を把握しようと思いますと、関係者にその免税額を報告していただく必要があることになるわけですけれども、例えば、所得税等につきましては、免税の対象者に対しまして、課税所得金額、控除額等についてあえて我が国の税法に基づく計算をしてもらって、そして提出していただく必要がありますし、消費税等につきましては、事業者に取引の内容に応じて区分して申告していただくなどの負担を生じさせることになります。個々の関係者にこうした負担を負っていただくだけの必要性があるかどうか、これは慎重な検討が必要だと考えます。

川内委員 きょうは実はほかのことをお聞きしたいこともあるので、また引き続き議論をさせていただこうと思いますが、日米地位協定、もう長らく、締結をされて、行政協定から始まって、地位協定になって、一度も改定をされず、ずうっと今日に、米軍機の低空飛行もそうですけれども、ずうっと続いてきているわけですね。日本側から運用の改善について申し入れたことはあるが、地位協定本体についてもうちょっと見直してよと言ったことは一回もないという状況。これは、日本国政府として、国民の皆様に説明するに当たって、やはり一回実態をしっかり把握すべきことなのではないかというふうに私としては考えるので、諦めずにまた議論を続けさせていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 けさ、新聞を見て私は驚愕をしました。ショックを受けました。

 私は、立場は違いますけれども、財務省さんや麻生大臣とも立場は違うけれども、私どもなりに、いい国にしよう、政治や行政をきちんとしたものにしていきたいと思って、さまざまに資料をいただいて、そして議論をさせていただくわけですけれども、朝日新聞の一面に、売払い決議書、決裁文書が書きかえられていたのではないか、書きかえられていたということを確認したという記事が出ておりました。

 きのう観光庁長官からいただいたこのワーキンググループの資料も、つらつら眺めながら、これは本物なんだろうか、これがもしにせものだったらどうなるんだろうかと思いながら、今、この質疑の場に立たせていただいているわけでございます。

 この朝日新聞の一面の記事については、もう朝から麻生大臣も何回も答弁をされて、もう何回も答弁したよと多分おっしゃられるというふうに思います。ただ、訴訟がどうのこうのとか捜査がどうのこうのということではなく、やはり、国会というのは国民の代表がそろう場、これは与野党問わず、国会に対して最大限の協力を財務省はすべきであって、国会に対して本当のことをきちんとおっしゃっていただくという必要が私はあるというふうに思います。

 二種類の売払い決議書があるのかないのか。まず、きょう会計検査院さんにも来ていただいておりますので、会計検査院さんとしては、その二種類の決議書を把握をしていたのか、いるのかということを教えていただきたいと思います。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、今回の検査の実施に当たりまして、近畿財務局等から本件土地に係る貸付契約、売買契約に関する決裁文書の提出を受けまして、その内容を確認してございます。

 なお、会計検査院が確認した内容につきましては、会計検査の具体的な内容や手法を明らかにすることとなり、現在及び将来の検査に支障を生ずるおそれがございますので、会計検査院からお答えすることができないことを御理解いただければと存じます。

川内委員 国土交通省航空局は、二種類の売払い決議書があるということを確認されていますか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 森友学園への国有地の貸付け、売却につきましては、現在、大阪地検において捜査が行われているところでありまして、捜査に対してどのような影響を及ぼすか予見ができないため、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

川内委員 捜査に対してどのような影響を及ぼすか予見ができないと。

 捜査は捜査で地検がおやりになられることで、私ども国会とは何ら関係がないです。私たち国会は、政治、行政のあり方として、政府や与党としては適切にやったのだという立場をおとりになっていらっしゃるわけです。

 ああいう記事に書いてあること、売払い決議書は一通しかないんだ、一冊しかないんだと、ないならないと言えばいいんですよ。ないんですよね。私は、ないと信じたいですよ。

 理財局長、ないと言ってくださいよ。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員の御質問は、けさの朝日新聞の報道に絡むお話でございます。それは重々承知をしておりますし、委員のおっしゃっていることも重々承知をした上で御答弁を申し上げます。

 御指摘の報道は、現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書等毀棄についての告発を受けて捜査が行われている状況でございます。財務省とすれば、この捜査にまず全面的に協力する、そういう段階でございまして、お答えすることが捜査にどのような影響を与えるか予見しがたいため、答弁は差し控えさせていただきたいということでございます。

川内委員 委員長に動議を提出いたします。

 本委員会で採決をとっていただいて、今の理財局長の答弁、ある、ないをはっきりとこの場で御答弁いただくように、委員会としての指示をしていただきたく存じます。

小里委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小里委員長 速記を起こしてください。

 川内博史君、動議を提出してください。

川内委員 委員会として、本日問題になっている森友学園に対する売払い決議書、貸付決議書、いずれも二通ある、書きかえられたもの、それ以前のもの、それらが二冊ずつあるということについて、理財局の、財務省の答弁を求めるための委員会としての採決をしていただきたく求めます。

小里委員長 ただいまの動議に対して賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 賛成少数。よって、この動議は否決されました。

 川内博史君。

川内委員 与党の先生方も、与党の先生方のところに来る資料が果たして本物なのかどうか、正しいものであるのかどうかということは、与野党問わず非常に重要な、与党であればこそ、私ども野党よりももっと重要なことではないかというふうに思います。

 参議院の予算委員会では、理財局長は、調査したいということを答弁されておるやに聞いております。

 最後、麻生大臣に御答弁をいただきたいのでございますけれども、調査し、そしてきちんと報告するということを御答弁いただきたいと存じます。

麻生国務大臣 今、川内先生の方からのお話を伺いまして、私ども、先ほど太田理財局長の方から答えておりますとおりに、私どもは、捜査に対する影響というものを十分に配慮しつつ調査をしてまいりたいというように考えておりますので、その上で、捜査の最終的な影響ということも十分に見きわめながら、その上で、私どもとしては、国政調査権ということも重々踏まえて適切に対応させていただきたいというふうに考えております。

川内委員 来週の火曜日までに報告するということでよろしいですね。

太田政府参考人 今ほど大臣から御答弁がございましたように、捜査に対する影響というのを十分配慮しつつ調査をしてまいりたいと考えております。その上で、大臣からも申し上げさせていただきましたように、捜査への最終的な影響ということも十分見きわめながら、適切に対応させていただきたいということを申し上げております。(発言する者あり)

小里委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小里委員長 速記を起こしてください。

 先ほど理事会で協議した事項でもありますが、理財局長答弁のとおり、捜査に影響のないように調査を進める、その調査の調査状況、これは報告をしていただけますか。

 理財局長。

太田政府参考人 委員長の御指示でございます。捜査への影響を十分配慮しつつ調査をし、その状況を御報告させていただきます。(発言する者あり)火曜日。はい。承知をいたしました。(川内委員「いやいや、ちゃんと自分で言わないと。来週の火曜日と」と呼ぶ)はい。来週の火曜日までに、できる限りの努力をして、調査の状況を報告をさせていただきます。

小里委員長 では、そのように期限を踏まえて報告をお願いします。

川内委員 もう私の時間がちょうど終わるわけでございますけれども、この国際観光旅客税についても、私は、まだまだ議論が不十分ではないかと。なぜなら、政府の部内で十分な議論が行われていない、税でいいのかということが議論されていない。そしてまた、この森友学園の問題についても、政治や行政への信頼そのものにかかわる問題だということで、財務金融委員会として、ここは委員長に、あるいは与野党の理事の先生方に、委員会をしっかり持っていただいて議論をお続けいただきたいということを改めて強く求めて、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小里委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 今、川内委員の方から、学校法人森友学園についての質問がございました。私も、初当選させていただきまして、この財務金融委員会、四回目の質問になりますが、私は、あえてこの森友問題については質問をしてこなかったんです。というのも、昨年来、私の茨城の地元の先輩でございます福島伸享議員が国会の方でさまざまな追及をされて、そういった答弁なんかも私、聞いてきました。しかし、今回、私も、このけさの新聞報道を見て、とてもびっくりしました。まさにこの森友問題が発覚した昨年二月以降にこの国会に対して提出された文書が当初の文書と違った、そういった報道でございます。

 その調査について、今、川内委員の方から提案がございまして、来週の火曜日までにしっかり調査して出すというような答弁がございました。これはもう、しっかり守ってもらうということの認識でよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 太田が呼ばれておりませんので、太田のかわりに私が言うのもいかがなものかとは思いますけれども、先ほど太田が申し上げたとおりです。

青山(大)委員 では、しっかり守ってほしいというふうに思います。

 さて、それでは、今回の税についての議論に入っていきます。

 これまで、さまざまな委員が質問しましたし、午前中も参考人の皆様からいろんな御意見を頂戴いたしました。二十七年ぶりの新しい税ということでございます。しっかりとやはり議論をしていかなければいけないな、そう実感したところでございます。観光立国、私ももちろん賛成でございますが、やはり、新しい税の導入に対して、もっとしっかりと議論をしていかなければいけない、私、そう思った次第でございます。

 ちょうど私も県議会時代に、もう十年以上前ですけれども、茨城県で森林湖沼環境税という新しい税を導入するかどうかの議論がございました。これは、本当にもう議会でも長い間議論をかけてその導入が決まったわけでございます。

 当初は、茨城県は森林湖沼じゃなくて森林税、いわゆる間伐ですとか、そういった森林を中心にその目的税の使い道を決めたわけでございますが、議論の過程の中で、いや、茨城県は南北に長い県であって、南部の方は、森林湖沼環境税のいわゆる税負担に対する受益者に対する恩恵がない、そういったことで、議論の過程によって、では、県南、日本で第二位の湖を誇る霞ケ浦、そういった水質浄化に充てよう、そういったことで、途中から使い道を、森林から更に河川の浄化まで変わった、そういった経緯もございました。

 森林湖沼環境税、県民の皆様から一律千円取るという税の中で、そういった千円の税負担の額についてもさまざまな議論がありましたし、また、年間十六億円の税収でございますが、その使い道について、もちろん使い道をしっかり公表して、五年ごとにその森林湖沼環境税の使い道を検証して、その後も森林湖沼環境税を続けるのか、それとも五年間だけで終わりにするのか、そういったことを議会等でも議論していたわけでございます。現在は四年ごとの見直しが行われているのが茨城県の森林湖沼環境税でございます。

 そういったことを私も議論をした経緯を踏まえまして、今回、やはり、この今回の出国税に関しては、私は、まだまだ議論の余地があるのかな、そういうふうに思っております。

 せんだってのこの財務金融委員会の中で、たしか、財政需要約七百億円、平成二十九年度当初予算ベースで観光ビジョン関連に約七百億円程度、そういった需要があるという答弁がございました。具体的にその七百億円の内訳とはどういったものなのでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 観光ビジョン関連施策ということで、平成二十九年度当初予算ベースとして、何らかの施策の内数として整理されているものを除いても、約七百億程度の予算が計上されておるということでございます。これは、各省庁、いろんな施策にまたがっておるわけでございますけれども、正式には公表をされております。明日の日本を支える観光ビジョンの実現に向けた取組についてという形で、ホームページ等について公表がされておるところでございます。

 幾つかの例を申し上げますと、例えば、文化財の観光資源としての開花ということで、文部科学省の方で、文化財の総合活用・観光振興戦略プランといった予算でございますとか、あるいは、環境省の方で、国立公園のナショナルパークとしてのブランド化といったことで、国立公園満喫プロジェクト等推進事業といったような各省庁の事業が掲載をされておるということでございます。

 七百億がどんなものかということは、ホームページ等において公表されておるところでございます。

青山(大)委員 今現在もそういった各省庁の方で観光立国に力を入れておって、それで約七百億円程度そういったものに振りかえられている。さらに、二〇二〇年までに四千万人ですか、そして二〇三〇年までに六千万人ということで、加速するためにということで税の導入ということでございますが、私はやはり、もう少ししっかりと財政需要を見積もった上で、しっかりと税の導入について議論をしていかなければいけないのかなと思いますし、二〇二〇年四千万といいますと、このタイミングで急いで新税を導入したところで、もう来年一月からということで、平成三十年度が約六十億円、平成三十一年度が年間約四百億円ふえる。

 逆に言うと、この四百六十億円で二〇二〇年までに四千万人ということは可能なんでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、近年の訪日外国人旅行者数の伸びの状況をちょっと見てみたいのでございますけれども、昨年は二千八百六十九万人ということでございまして、これは対前年度比で一九%増というふうになっておるところでございます。

 また、一千万人を達成してから二千万人まで、倍増のためにどれぐらいの時間を要したかということを見てみますと、これは三年間で一千万人から二千万人に倍増ということを達成したという形で、これまでのところ順調に増加をしてきておるということでございます。

 先生御指摘の二〇二〇年四千万人という目標との関係でございますけれども、仮に、訪日外国人旅行者数の増加ペースが今後年平均で一二%ずつ伸びていきますと、二〇二〇年四千万人という目標を達成することができるということでございます。

 この目標達成のため、政府を挙げて更に高い次元の観光施策への取組を加速させていく必要があるというふうに考えておる次第でございまして、今般の税をお認めいただけました場合には、そういったより高い次元の観光施策への取組に充当してまいりたいと考えておるところでございます。

青山(大)委員 ですから、私、思うのが、恐らくその伸び率、もちろん、今、一二%の伸び率ということでございますけれども、これはずっとそのまま伸びていくわけではない、それはもう当然じゃないですか。例えば飛行場の数だって限られていますし、六千万を超えて、じゃ、一億とか三億とか、ずっと青天井で私は伸びていくとは思えないんですね。

 もちろん、今は本当に、まさに今伸びていますし、特に二〇二〇年東京オリンピックということで、もうどんどんどんどん私も訪日の外国人数をふやすべきだと思うんですけれども、これがずっと三十年、四十年とこの一二%の伸びでいくとは私は思わないんですよね。

 ですから、今回仮に税を導入するのであれば、例えば五年間とかそういった限られた期間の中で私はいいのかなと思うんですけれども、そういった点についてはどうでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、訪日外国人の今後の伸びの見込みでございますけれども、これは今までのところ大変力強い伸びを見せておるということでございます。周辺国の経済情勢などを見ましても、周辺国の経済成長など、まだまだ各国からのアウトバウンドが伸びていく余地がある、そういった外的要因はあるのかなと思っておるわけでございますけれども、先生、三十年後、四十年後という御指摘がございました。三十年後、四十年後となりますと、どういった世界経済情勢になっておるか、その他不透明な部分があるかとは思いますけれども、当面のところは各国からのアウトバウンドは力強い伸びを見せていくものではないかなというふうに私どもとしては思っておるところでございます。

 今回の税でございますけれども、私どもの二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人といった目標を達成するため、高次元の観光施策を導入していく必要があるということから、今回の税をお願いするということでございます。制度の安定性、そういったことに関しまして考えますと、直ちに、この税を導入した途端に何かしらの変更を加えるといったことは、一般的には考えにくいのかなと思っておる次第でございますけれども、いずれにいたしましても、今回、この税収をお認めいただきました場合には、私どもが掲げております二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人といった目標に向けて、高次元の観光施策のために有効に活用させていただきたいと思っておるところでございます。

青山(大)委員 済みません、確認ですけれども、この新税を導入したら、これはずうっともう恒久的にもちろんやっていく税ということで、当然それでよろしいんですよね。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 観光は成長戦略の柱、地方創生の切り札でありまして、今後も増加が見込まれます訪日外国人旅客に対して十分に対応ができるように、観光施策を抜本的、継続的に強化していく必要がございます。このため、受益と負担の関係に着目し、国際観光旅客税を恒久税として創設しているわけでございまして、これによりまして安定的な財源の確保を図ることとしているわけでございます。

青山(大)委員 先ほども観光庁さんの方からも答弁がありましたように、やはり先というのは見通せないじゃないですか。確かに、本当に、何度も言いますけれども、私ももちろん、観光立国、どんどんどんどん推進すべきと思いますし、当然、観光産業によって、裾野が広いことも重々承知でございますけれども、まさに本当に先まで見通せない中で、確かに今は、本当にどんどんどんどんインフラ整備、具体的な使途についても、大体六十億円の使い道、明示されていますし、もちろんこれは当然必要なものだと私も思っておりますが、じゃ、満額、四百億円の税収が安定的に入ってくる、オリンピックも終える、そうなる中で、本当に毎年毎年入ってくる四百億円の財源が、これはどうでしょう、本当にインフラ整備とかだったら、ある程度、一回例えばそういった設備を導入すれば、もうそれで何十年と使えるわけじゃないですか。

 もちろん毎年毎年必要なソフトの経費も当然ございますけれども、ある程度のインフラ整備は、やはり一度やったらもうそれで済むわけですから、本当に毎年、未来永劫四百億円ここで取る必要があるのか、私はそういった疑問を持っているわけでございます。まさにこれによって財政規律が余計ゆがんでいくんじゃないか、そういった不安を持っているわけでございます。

 私は、本当だったら、例えば五年ごとに、いわゆる国際観光旅客税をこれからも継続するのか、それとも、例えば税額も、じゃ、そのまま千円にするのか、いや、もうある程度整備が済んだから税額を五百円にするとか、そういった私は議論があって当然だというふうに思っているんですけれども、それについてはどうでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のおっしゃっておられることは理解するところでございますけれども、やや繰り返しになりますけれども、現時点におきまして、成長戦略の柱として観光は極めてやはり重要な施策だと考えております。この観光施策を抜本的、継続的に強化していく必要があるというふうに考えておりまして、そのために、今回、国際観光旅客税を恒久税として創設するわけでございます。

 将来の税額について、現段階で確定的になかなか申し上げることは困難ではございますけれども、観光財源を安定的に確保するという本税の考え方に鑑みれば、今後、その時々、例えば旅行の需要の変動等々、起こる可能性もあるとは思いますけれども、こういうことに応じて何か税額を変えていくというようなことは現時点では想定しておらない、そういうもとで、今回、恒久税でお願いしているということでございます。

青山(大)委員 国民の皆様から広く税負担を求めるわけでございますし、やはり、本当にこういったものが必要だからとか、先ほど御答弁もありましたように、本当に先のことは見通せない、私もそのように思います。だったら、今回焦ってこの国際観光旅客税、仮に導入したとしても、ある程度期限を区切って、三年とか五年とかで期限を区切って、その都度、では、この税をこれからも続けていくのか、そのときは、こういったものに使うためにこういった財源が必要だという議論をしっかりやっていかなければならない、私はそのように思います。

 また、同時に、今、税という前提で話しましたけれども、やはり、先般もこの委員会の方で、受益者負担には税以外にも、手数料で取るとか、そういった議論もあったというふうにも答弁でもありました。

 済みません、改めまして、なぜ今回、手数料ではなくて租税によって行うこととしたのか、私、ちょっとまだまだ納得いかない部分があるので、手数料ではなく租税にしたメリットとデメリット、さらに、やはり受益者負担を新税で求めるわけですから、そういった理由について、改めて御答弁の方をお願いいたします。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの質疑でも、本法案の提出に係る経緯につきましては、例えば、一昨年三月の観光ビジョンですとか、昨年六月の未来投資戦略二〇一七におきまして、受益者の負担による方法により、観光施策に充てる財源の確保を目指すとされていたわけでございまして、これを踏まえまして、観光庁において検討会を開催するなど、政府内で検討を進め、成案を得ているわけでございます。

 先生ただいま御指摘の財源確保の手法、税なのか手数料なのかという点につきましては、観光庁の検討会におきまして、観光施策が今後も高度化すること等に鑑みれば、受益と負担の関係について負担者の納得が得られる範囲で、毎年度の予算編成を通じてニーズに合った柔軟な活用が可能な税方式が適当であるということとされまして、他方、手数料方式は、受益の程度を特定し、それに応じた負担額とする必要があるが、観光施策の特性に鑑みれば、なじまないのではないかといった議論があったと承知をしております。

 こういった検討を踏まえまして、税方式としたところでございます。

青山(大)委員 何度も言いますけれども、観光立国推進、本当に私も賛成の立場ですけれども、やはり今回のこの国際観光旅客税、導入していくと、本当に財政規律がゆがんでしまって、もう何でも使いたい放題みたいな、そういうふうになっていく危険性が非常にあるな、私はそのように本当に危惧しているんですよ。

 そして、やはり新しい税ですよ。この前も所得税法の改正がございまして、いわゆる八百五十万円以上のサラリーマンの皆様たちが増税になってしまう。また、今議論されています、国の方でも森林環境税の導入、そういった議論もなされております。先ほど言ったように、茨城県ではもう十年前から独自の森林湖沼環境税というのを取っていて、さらに国の方でも森林税を取るような算段。さらに、来年には消費税の増税も控えている中で、何かすごい増税ラッシュじゃないですか。そして、そういった中で、本当に受益者の理解が得られるのか。私は、税じゃなくて、やはり手数料の方がいいのかな、そのように思います。

 続きまして、税収の使い道について質問をさせていただきます。

 まず、税の使い道について、今後、しっかりと透明性を確保して、目に見えるような形で報告もしていく、そういった答弁もあったと思うんですけれども、改めまして、具体的に、その使い道について、どのように使途を明確化していくのでしょうか。お願いいたします。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 この国際観光旅客税の税収の使途につきましては、御負担をお願いする方々に対しまして、目に見えてこの国の観光に対する取組が変わったというふうに、納得感を持って感じていただけるような施策に充当していくことが必要であるというふうに考えておるところでございます。

 このため、税収の使途につきましては、観光庁に設置されました検討会においても議論されてきたところでございますけれども、昨年十二月の観光立国推進閣僚会議におきましても、国際観光旅客税を充当する施策といたしまして、スムーズな出入国手続を始め快適に旅行できる環境の整備など三つの分野にこの税収の使途を充てていこうということが定められておりますほか、受益と負担の関係から負担者の納得が得られることとするといったような基本的な考え方が決定されておるということでございます。

 この使途につきましては、こういった基本的な考え方を法律上も明確化するということで、現在、国土交通省の方で国際観光振興法の一部改正法というものを国会の方に提出させていただいておりまして、その法律の中においてこの使途についても明記をさせていただくという準備をさせていただいておるということでございます。

 具体的な予算の当てはめでございますけれども、平成三十年度予算におきましては、これは旅行者の方々の受益ということを考えまして、最新技術を活用した顔認証ゲートや税関検査場電子化ゲートの整備などによりますCIQ体制の整備に二十億を充てるといったような、そういった予算の内容になっておるということでございます。

 また、三十一年度以降、税収が満年度化していくということでございますけれども、これは、閣僚会議決定にございます基本的な考え方を十分に踏まえまして、民間有識者の方々の御意見も頂戴しながら、御負担をいただく方々の御理解も得られるよう、中身をしっかりと精査してまいりたいと考えておるところでございます。

青山(大)委員 例えば、今回仮に導入された場合、平成三十年度ということでは大体総額六十億円の中で、今そういった細かい使い道を、使途の方ですね、明記していただきました。

 確かに、こういった内容は納得するものでございますけれども、今後、では例えば、その次、四百億円入った場合、さすがに遠い将来のことはわかりませんけれども、ある程度、三十一年度はこういうことに使おうとか、そういったものはもう事前にちゃんと想定をされているのでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 三十一年度の具体的な事業の中身につきましては、これは三十一年度の予算編成過程の中で議論が詰められていくということだろうと思っておりますけれども、この十二月の閣僚会議におきましては、三本の柱、繰り返しで恐縮でございますが、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、二つ目は我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、三つ目は観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上ということに充てていくことが基本的な考え方とされておるところでございます。

 具体的には、やはり空港や港湾の出入国を円滑化していくということは、これは国際旅客の皆様から非常にニーズが高いということでございまして、こういった分野を充実していくといったことでございますとか、あるいは、外国人の方がストレスフリーで移動していただくためには、ICTなどを活用いたしました多言語対応、そういったものも充実させていく必要があるんじゃないかといった議論がよく指摘されるところでございます。

 さまざまな行政施策に対するニーズがございますので、この閣僚会議の基本的な考え方に基づきまして、三十一年度以降の具体的な使途について議論を深めてまいりたいと思っておるところでございます。

青山(大)委員 この委員会でも何度もそういったストレスフリーの話をいただきまして、私もそれは本当に必要だと思うんですけれども、ざっと、こういったゲートの整備ですとか出入国のそういった手続の簡素化について、これは大体、整備するのに総額でどのぐらいかかってくるのでしょうか。本当にこの二十億円で済むのか。それとも、いや、全然二十億円じゃ済まなくて、実はもっとすごい額の費用がかかるのか。その辺というのは、イメージ的にはどういった、どのぐらいの規模なんでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 恐縮でございますが、必ずしも御通告をいただいておらなかったので、十分な御答弁ができない場合はお許しをいただきたいのでございますけれども、例えば三十年度のこの出入国の円滑化ということで申し上げますと、これは出入国審査の関係で顔認証ゲート、こちらの方は三十年度で十二億円の予算を充てるということを考えておりまして、一方で、税関の方では八億円の予算をお使いいただくということを三十年度、想定をしておるところでございます。

 これは、どの水準で出入国の円滑化を図っていくか。例えば現在、羽田空港では顔認証ゲートが三つ備えられておるわけでございますけれども、こういったものをより高次元に整備していくということになりますと、当然、財政需要、それに対する資金的な需要というのはふえていくといったことになりますので、実際にその整備を行う計画につきましてしっかりと議論を詰めた上で予算要求を関係省庁から行って、具体的な三十一年度予算の内容を詰めてまいる、そういったことになろうかと思っておるところでございます。

青山(大)委員 私が何でこんなに使い道にどうこう言っているかといいますと、ちょうど私もきょう質問するので、事前にある程度私の思いとかを伝えた中で、やはりそういった財政需要、ざっと七百億円という想定の中で、ただ、その具体的な内訳、そういったものがきちんと明示をしていただけなかった。そういった資料がないというのを聞いて、私は、それはちょっと、やはりこれぐらい今、観光施策、こういうことに使っているから、だからまだまだお金が必要だと。そういった中で、国民の皆様たちにいわゆる税の負担をお願いするんだ、そういった具体的な、いわゆる細かいことが把握されていない中で、とりあえず取りやすいところから取るとか、私は、そういったやはり印象を拭えなかったわけでございます。

 また、もちろんお金に色はついていないわけでございますから、例えば、これによって年間四百億円、新たな収入が入った場合、当然、これまでやってきた各省庁の合算の七百億円のうち、もちろん、当然ほかのものに割り当てられていくわけでございます。何か、観光立国の推進とかいう名目のもとで、取りやすいところから増税する、そういった印象が拭えないわけでございます。

 いずれにしましても、本当に国民の皆様に広く負担をしてもらう税になるわけでございますから、使い道についてはしっかりと議論していただくことと、やはり私は、数年ごとに見直しをすべきだと思います。そういったことを提案し、質問を終わらせていただきます。

小里委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 本題に入らせていただく前に確認ですが、観光庁の次長さん、先ほど青山議員の質問に対して、三十年度の使い道はこれからというようなことを言われていたような気がしたんですけれども、そうではないですよね。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 私の答弁ぶりがクリアでなかったとすれば、大変申しわけございませんでした。私が申し上げましたのは、三十一年度以降の予算の内訳ということでございます。

 三十年度の予算の当該税収を充てる使い道に関しましては、総額六十億の歳入があるということでございまして、この内訳につきましては、昨年十二月の閣僚会議決定の中にも盛り込まれておりますし、実際の予算の中にも組み込まれておるところでございますけれども、観光庁、法務省、財務省、文化庁、環境省、そういったところの予算、それぞれどういった使途で、どこに計上されるかという内訳は決まってございまして、お時間の関係もございますでしょうから省略をさせていただきますけれども、六十億の内訳は決まっておるというところでございます。

 説明が不明瞭で大変失礼をいたしました。

近藤(和)委員 次長、失礼いたしました。次長の説明の仕方、また、言い方が悪かったのではなくて、私の耳が悪かったんだというふうに思います。

 ここ数日間は、大臣、副大臣始め、お役人の皆様を始め、相当長い議論の中でお疲れなのではないかなというふうに思います。正直、嫌な雰囲気の中でこの観光の話はしたくないと私は思っています。観光の観は、光を見る、地域のよいものを見る、そして感じる、観光の観は喜びの歓という意味もあると思いますし、また、さまざまなものを感じるといったこともあると思います。できるだけいい雰囲気でしていきたいなと。税を取る取らないというところは嫌な部分はありますけれども、観光について否定する人は誰もいないと思います。そういった意味で、私は、真摯な議論、真面目な議論をしていけたらなと思っています。

 そして、その上でなんですが、けさの朝日新聞の記事が出まして、このことは聞きませんけれども、やはりお役人の人も大変だなと感じます。さまざまなところで取り繕わなければいけないというところで、場合によっては誰か犯罪者になってしまいかねないというところがあってはいけないなと思っています。さまざまな形でそんたくして動かれているなというふうに感じるんです。

 実はといいますと、ちょうどきのうも、私もレクで来ていただきました。ありがとうございます、丁寧に説明していただきまして。その上で、希望の党として、事前段階で、今回の税に対しての使い道の法律ですね、外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案、この説明を党としていただきました。そのときの党の説明を受けたときには、私、正直かちんときたんですね。かちんとという言い方はちょっとわからないかもしれないですが、少し怒りを覚えた。

 何かといいますと、二〇一二年からの表なんですね。二〇一二年はこうで、二〇一七年はこうで、二〇二〇年はこういうふうに観光客がふえていきますよ、また、消費額がふえていきますよという、今の政権になってからすぐ、前政権からの比較ということで、そりゃないよな、以前からの経緯もあるのになと思いながら最初は党の説明を聞いていました。そして、私の部屋にレクに来ていただいたときには、ちょうど二〇一二年のところだけ省いていただいていたんですね、きれいに。気持ちよくそんたくしていただいたのかなというふうには思いますが。

 実際には、本当にデータというものは神聖なものでもありますし、気を使う使わないというところも含めて、ありのままをしっかりと出していただいて、その上で議論をしていくというのが、私は、建設的な議論をしていく上で大変重要ではないかなというふうには思います。これからも、そのデータを、こちらも都合のいいように、野党も都合のいいように切り張りということは私はしてはいけないなというふうにも思っていますので、こういう思いで議論をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 私の選挙区は能登半島でございます。観光なくしてはと、言い過ぎかもしれませんですが、大変重要な観光産業であります。私のところでは、一昨年まで三十六年間連続で、関係者が選ぶ旅館日本一位の旅館がございます。麻生大臣もその関係者の方と非常に仲がいいということで、私もそういったお話も伺っていますが、観光で、消費であったり、また仕事が生まれる。農林水産も含めて、裾野が非常に広いということで、この観光産業にかかわる方、実際には、今回の税金の議論の中で、応益負担、応能負担、裨益者は誰なのかということも含めて、さまざまな議論がされてきています。

 その上でなんですが、昨晩、私、きのう地元に帰りました。そして、たまたま、観光にかかわる協会のかなり上の方と数分だけ話をしていただく機会がありまして、今回の税金のことをどう思いますか、国際観光旅客税のことをどう思いますかというふうに聞きましたら、いや、よく知らぬというふうに言われたんですね。このことは、果たして大丈夫なのかなというふうに思います。

 それで、この経緯、関係者が知っていないのではないかということに対しての、応じる、払う方、利益を受ける方とはまた別の関係者の意見を聞いていないのではないかということに対しては、観光庁さん、どう考えられますでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 この国際観光旅客税、議論の経緯につきましては、こちらの委員会の方でこれまでから御議論なされておりますけれども、一昨年の観光ビジョンに盛り込まれ、また成長戦略の中で記載をされ、そして、本格的には、昨年九月の観光庁に設けられました検討会の中で議論が深められてきたということでございます。

 そのプロセスにおきましては、観光関係の団体の方々から御意見をいただくといったようなことも当然ございましたし、観光関係の方々の中での、やはり財政、しっかりとした財源の確保が必要だよねといったような議論は、観光関係者の中では比較的広く浸透していったんじゃないかなというふうには思っておるところでございますけれども、そういった周知については、更に努力をしていく必要があるのかなとは思っておるところでございます。

 私自身も、さまざまな業界の皆様との関係で、接点がございます。そういった場合には、私の方から積極的に、この政府で行われております新税の議論について御説明をさせていただくとともに、御理解を賜るように鋭意努力をしてきたところでございます。

 こういった観光に関する負担を求める場合に、これもこの委員会で何度か議論が出ておりますけれども、宿泊に着目するのか、あるいは出入国に着目するのかといった類型ということがございました。

 観光関係の皆さんは非常に幅が広うございまして、例えば宿泊関係の方、宿泊に対する課税ということであれば非常に敏感に、当然でございますけれども、反応されるといったようなことがあろうかと思いますし、今回は国際旅客ということで負担をお願いするといったことでございますので、ひょっとすると、そういったところからちょっと遠いところにおられる観光関係者の方には、まだまだ情報が浸透していないのかもしれません。

 いずれにいたしましても、この委員会でも議論が出ておりますように、ちゃんと周知をしていくというのは大変必要なことだというふうに思っておりますので、徹底的な周知に努めてまいりたいというふうに思う次第でございます。

近藤(和)委員 外国人の方が日本に観光に来られたら、日帰りという方の方が圧倒的に少ないと思います。どこかの資料の中にも、大体四泊か五泊というデータもあったと思いますので、この旅館業、ホテル業にかかわる方はまさしく当事者ですから、今の答弁はちょっと残念だなというふうに思います。

 そして、さらに、周知をしていくということに関しても、決まってから周知なのか、議論のときに周知なのかというところでは全く意味が違います。

 先日、この資料もいただきました。次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会の資料もいただきましたが、開催状況ということで、確かに、平成二十九年十月五日に第三回検討会ということで、関係事業者等からヒアリングを受けています。知事会、旅行業界ですね、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟等々の協会からお話は伺っている、ヒアリングはあったということは資料にも出ていますが。

 第一回検討会のときからわずか二十日ぐらいで、この協会の全体組織、日本の全体の組織の上に位置する方々は、ある程度、話を理解した上でこの場に来られているのかもしれないですが、全体にそれを吸い上げた上でこの場に臨んでいるのかといえば、相当無理があるんじゃないかなと。この一回こっきりだと思うんですね、資料によれば。一回こっきりだけで、本当にしっかりと聞いたのかなというふうには私は思っています。ここはちょっと、質問はいたしませんが。

 そして、先ほど青山議員も言っていましたが、今回、さまざまな増税が行われます。取りやすいところから取る。そして、所得税法に関しては、わずか二百三十万人、四%だということで、いや、わずか四%、確かに一桁%とはいっても二百三十万人だ。日本全体の人口から比べれば少ないかもしれないですが、石川県の人口の倍以上の方々が対象になるわけです。

 今回の国際観光旅客税に関しては、やはり当事者と感じている人が少ないから、いや、増税だ、おかしいんじゃないかということに対しての、世の中の反発というところは確かに少ないかもしれませんが、当事者と思われている方が少ないというところが一つ今回ポイントなのかなと。逆に、今のうちにやってしまえというような雰囲気があるのかなというふうに感じています。

 たばこ税に関して言えば、今たばこを吸われる方はわずか二千万人、大体二〇%前後です。以前は五〇%ぐらいで、当事者が五千万人もいたら、それは、たばこの増税をするといったら世の中大騒ぎになると思いますが、今はその半分以下に減ってきているということで、たばこ税増税に対しても、世の中の反発というのがそんなにないままで決まってしまう可能性があると。

 今回の観光旅客税に関しては、観光ということは誰もおかしいと言わないわけですから、しかも何となく自分に関係ないよねというふうなことであれば、この税に対しての関心も高まらないですし、反発、是非、またさらには、その使い道ということに対しても、国民の関心というものは高まらないまま過ぎ去っていくのかなというふうに感じています。その点で、この税金の名前ですけれども、やはり私は考えた方がいいのかなと思っています。

 実は、この国際観光旅客税に関しては、所得税法等と一緒になるかもしれないということで、私、本会議でこれを言うのかなということで、国際観光旅客というところを言い間違えないように、何度も実は部屋で練習をしていたんですが、旅客という言葉そのものが言いにくいなということと、対象者ではない部分はありますよね。

 観光に関係ない方、先ほどからもお話がありましたが、出入国に関して、日本人、外国人の方に関しても、二割の方が関係がないといったこともあります。そして、そもそもが海外に行かないよという方についても、いずれは、いつか行かれるかもしれないですが、今当事者じゃないのであれば、関係ないというふうに見られるんじゃないかなと思います。

 今回、少なくとも国際観光旅客税というこの税の名前が、本当の意味で納税者、負担者に対して、納得感のいく名前なのかどうかということについての思いをちょっと伺いたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、税の名称、国際観光旅客税ということにいたしたわけですけれども、税の名称は、通常、課税の対象とするのが基本でございます。

 本税につきましては、課税の対象でございます納税義務者が、先生からも御指摘ございましたけれども、八割を超える方が主として国際観光旅客であることから、国際観光旅客税という名称にしているわけでございます。

 今回、税法上は、その課税客体になる方というのは、例えば航空とか船舶によりまして本邦からの出国を課税の対象としているわけでございますけれども、そういう意味では、出国税というような名称もあり得るのかもしれません。

 ただ、今回、概念上、課税の対象は、出入国両方を、ある意味、法制上その課税対象として考えていくということもございましたし、それから、あと、所得税で、平成二十七年の七月に施行されております、国外に転出、出国したときに譲渡所得課税の特例という制度を設けておりまして、これも当時、税の関係者の間では出国税というふうに呼ばれているということもあって、そういった紛れをなくすというようなこともございまして、結果的には国際観光旅客税という名称にしたということでございます。

近藤(和)委員 先ほど観光庁の次長さんが言われていました出入国円滑化法の方が私は適当なんじゃないかなというふうに感じています。

 それでは、改めて、観光を進めていこうということに対しては私も大賛成でございますから、その観点で少し議論をしていきたいと思います。

 これから日本の観光をふやしていこう、特にインバウンドの部分も含めて、これからの二〇二〇年、二〇三〇年の目標へ向けて、四千万、六千万という目標があるわけですが、ここへ向けていろいろな整備をしていかなきゃいけませんねということでの今回の税の意図だと思うんですが、では、現在に至る今までの経緯、外国人の観光客をふやしていこうかといったところを私は見詰めた上で、どういったところにお金をかけなきゃいけないのかという議論は建設的なんじゃないかなと思います。

 今までの観光戦略の歩み、大まかなところでお願いいたします。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまでの観光政策あるいは訪日外国人客の歩みを、せっかくの機会でございますので、改めて振り返らせていただきたいということでございます。

 政府は、二〇〇三年に、まずビジット・ジャパン・キャンペーンというものを開始いたしまして、観光立国に向けた取組を本格化させたということでございます。当時の訪日外国人旅行者は約五百万人規模でございました。それで、開始から十年たった二〇一三年に初めて一千万人を突破いたしました。

 その間、基本的には訪日外国人旅行者数は右肩上がりに増加してきたところなんでございますけれども、二つ例外がございまして、一つは二〇〇八年のリーマン・ショックの影響、もう一つは二〇一一年の東日本大震災の影響ということでございまして、二〇〇九年及び二〇一一年は、訪日外国人の数は対前年比でマイナスになったということでございます。

 一千万人を突破した二〇一三年からの伸び方でございますけれども、これはその後の三年間で訪日外国人旅行者数が約二・三倍に増加をいたしまして、二〇一六年には二千万人を突破して、昨年二〇一七年には二千八百六十九万人になったということでございます。

 どういった取組が有効であったかというふうな検証も踏まえて、これからこういった財源を使っていくべきじゃないかという御指摘かというふうに思いますけれども、これまでの政策を振り返ってまいりますと、政府といたしましては、ビザの規制緩和でございますとか、あるいは消費税免税制度の拡充、あるいはCIQ体制の充実、あるいは航空、鉄道、港湾などといった交通ネットワークの整備といった取組を関係省庁が力を合わせて実施してきたということのほか、日本政府観光局、JNTOと呼ばれておりますけれども、こちらを中心といたしました海外へのプロモーションの強化、あるいは多言語表記などの受入れ環境整備といったことも進めてまいったということでございまして、そういったものが成果としてあらわれてきたのではないかなと考えておる次第でございます。

 こうした政策的な取組に加えまして、外的な要因もあったかということでございまして、諸外国の経済成長に伴う各国からのアウトバウンドの増大といった外的な要因も、このインバウンドの伸びに影響しているということかなと思っております。

 こういった施策のうち、どういった施策が効果的であったかということについては、さまざまな分析があり得るというふうに考えておりますけれども、過去の統計を分析いたしますと、例えばビザの緩和を行いますと、その相手国から訪日外国人旅行者が増加するということについては、一定の傾向、因果関係が見られるということがあるのかなというふうに考えておりまして、例えばこういったビザの緩和といった施策は、非常に効果的な施策であったのではないかなというふうに考えておるところでございます。

 いずれにしろ、国費で政策を実行するに当たりましては、効果的かつ効率的に施策を実施する必要があるということでございますので、これまでも、行政事業レビューでございますとかPDCAをしっかりと行って、施策の内容をより効率的なものにしていくような不断の見直しを行ってきたところでございます。

 今後も、二〇二〇年四千万人などの目標達成に向けて、PDCAのサイクルをしっかりと行いつつ、より高次元の観光政策を展開して、観光先進国を実現してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

近藤(和)委員 ビザの緩和に関しては、これは前政権のときに、前原大臣、もうきょうは交代されておられますけれども、このときに団体のお客様から個人のお客さんへ拡大をしたとか、また、特に中国ですね、ビザを出す場所を三カ所から七カ所にふやしたとか、こういったことも大きかったのではないかなと。恐らく、この部分に対しては、そんなにお金はかかっていないと思うんですよね。

 そして、過去を振り返れば、二〇〇三年の小泉総理のときの観光立国宣言、そして二〇〇七年には観光立国推進法、こちらが施行されたということであって、また、さらには、観光庁さんができたのは、くしくも麻生大臣が総理であられたときにできたということで、ことしで十周年を迎えるということで、本当にすばらしい、ここまで奮闘されてこられた方々に敬意を表したいなと思います。

 ちなみに、予算も調べますと、その前の年の平成二十年度でいくと、大体三十億から四十億ぐらいなんですよね、全体の予算が。そして、前原大臣になったときに一気に九十四億までふやして、そして、そこからどんどん、特に去年、おととしという形でジャンプアップしてきたというふうに思いますが、やるべきところ、お金をかけてきたところにさらに強化をしていくということ、さらには、それに対して、利益を受けられた方々の反応、評価というところも私は必要だというふうに思っています。

 ちなみに、前原さんのときに、先ほど横にいらっしゃったのでお話を伺っていますと、羽田空港の国際化をどんどん進めていったり、また、成田空港発着枠を拡大させて、そしてまたオープンスカイ協定も、これも以前は全くゼロだったのが、二〇一〇年から一気にふやしていった。今は三十三ですけれども、前の政権のときに二十三カ国までふやしていった。

 また、今の外国人の方の出入りのことを考えれば、JALの再生というのも非常に大きかったなと。これがなかりせば、一本足打法での外国人観光客の出入りということにもなりかねなかったというふうには思いますので、そこは、どこにお金をかけていくべきかというところは、今回の増税があるなしとはかかわらず考慮していく必要があると思っています。

 そして、先日からの議論の中で麻生大臣も何回もお話しされておられますが、クルーズ船です。

 クルーズ船、この拠点港湾を進めていこうということで、実は、私の選挙区でいけば七尾港というところがありまして、金沢港の隣ということになりますが、名を捨て実をとるということで、結果としてはこの思い、名前はとられてしまいましたけれども、別の点の投資は進めていただきました。

 一方で、金沢港でいけば、それまでは一桁しかクルーズ船が来なかったのが、去年は五十隻以上来たということで、新幹線でお客様もふえるわ、そしてクルーズ船でもふえるわ、飛行機でもふえるわということで、こういった点では、私はこの観光施策を応援していきたいという立場でございます。

 そして、その上で、では今回の増税がなぜあるのかということ、どういったところに使っていくのかということに対しての、今までの観光でうまくいってきた部分に対して、まだ使うべきところは、投資していかなきゃいけない部分はあるんじゃないのということと、観光のお客様が圧倒的にふえてきたというところで、税収も相当ふえてきていると思うんですよね。

 例えば、資料でいただきましたように、余り使いたくないですが、二〇一二年でいけば訪日外国人旅行消費額一・一兆円、二〇一七年でいけば四・四兆円ということで、この部分でも相当税収はふえていると思うんです。こちらについてはどの程度、裾野は非常に広いですけれども、税収という点でいけばどれだけの効果があったのか、財務省さん、お願いいたします。

星野政府参考人 日本に観光客が訪れることによりまして、日本において宿泊等をされたり消費をされるというようなことに伴って、消費税を中心に税収がふえるという面はあろうかと思います。ただ、一部免税にしておるところもございまして、課税されている部分についてどれだけかということに論理的にはなるわけでございますけれども、統計上、そこは区別してとっているわけではございませんので、具体的にどれだけの税収がふえたか、そういう統計はございませんけれども、インバウンドの需要によってさまざまな消費が拡大することによって、税収にも一部貢献していただけるものと期待をしているところでございます。

近藤(和)委員 しっかりとした数字的なものはないということだと思います。

 ただ、私は、これから観光立国としての日本、特に地方はそうだと思いますが、ここをしっかりと生かしていくためには、どれだけの税効果があるのかということを含めた上で税金を投入していくという考え方は必要なのではないかなと思いますし、少なくとも、旅行業も含めて、また地場の農林水産業も含めて、潤ってきているわけです。そして、そういった方々からの税収も、全体でふえているわけです。

 ですから、今回の増税という手段をとらなくても、私は、観光庁さん、国土交通省さんがもっともっと自分たちにお金をくれと、四百億どころじゃなくて、五百でも六百でも七百億でも、しかも、これから観光客を倍増、更に倍増以上にしていきたいということでしょうから、私は、堂々とここは予算の組み替えの中でも十分主張していく権利といいますか、義務とまでは言わないですが、そこは堂々と主張していただければなというふうに思います。

 質問したいことがたくさんありましたが、時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

小里委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 無所属の会の野田佳彦でございます。

 基本的には通告に基づいて質問をしていきたいと思いますけれども、私も、どうしても、きょうの森友の決裁文書にかかわる朝日の記事については一言触れなければならないと思っています。

 太田局長を呼んでいるわけではありませんし、大臣に通告をしているわけでもありませんが、私もかつて財務大臣を経験した立場として、一言感想を申し上げなければいけないと考えています。

 私は驚きました、本当に。びっくりしましたけれども、恐らくこれは、朝日新聞が社運をかけて、まさに渾身の思いで掲げた一面の記事だというふうに思います。それに対して、まさに省庁の中の省庁、官僚機構の中でも最もプライドの高い財務省の皆さんが一蹴するのかと私は思っていました、ガセネタだと。ところが、残念ながら、もやもやした答弁が続いていることに大変残念な思いをしています。

 平素から財務省の職員の皆さんは、予算編成やあるいは税制改正等々、繁忙期には体重が見る見る減るぐらい、ふらふらになるまで国民のために働いていますよね。私は敬意を表しています。そういう職員がたくさんいるんだけれども、もし書かれていることが本当ならば、これは公文書の書きかえであり、そして改ざんになります。罪ですよね。厚労省の不正データの問題も筋が悪いと思うけれども、公文書の改ざんだったら、筋が悪いんじゃなくて、たちが悪い行為であります。

 民間でもいろいろ不祥事はありますよね。東芝などの不適切な会計の問題、最近は検査データの不正で神戸製鋼とか三菱マテリアルとか東レとか、いろいろな企業が不祥事を起こしている。残念に思いますが、どの企業も、信頼を回復するために関係者を特定し、厳正な処分を行い、責任をとる人は責任をとる、そういう態度に終始をしているというふうに思います。

 今回は省庁の中の省庁である財務省に対する疑念であります。その疑念を晴らすことができないならば、まさに日本の行政そのもののアイデンティティークライシスになると思いますね。それぐらいの大変大きな深刻な事態だと思います。というのが私のきょう新聞を見た感想です。

 通告をしていませんから、私の感想に対してもし感想があればお答えをいただければというふうに思います。

麻生国務大臣 御感想として伺っておりますが、基本的に、改ざんという話が真実か否か、私には理解がまだできておりませんので、真実であるとするならば、極めてゆゆしき事態だと思います。

野田(佳)委員 これ以降は来週の集中審議に委ねたいというふうに思います。危機感は伝わってきました。

 その上で、法案の審議に入りますけれども、国際観光旅客税、これは私も参考人質疑のときにも申し上げたし、もう既にこの法案審議の中でも何人かの委員が指摘していますけれども、国際観光旅客税という名称は、やはり看板に偽りがある。八割の方は観光旅客だけれども、日本から出ていく人も海外から日本に来る人も、二割はビジネス。主として観光旅客と言っているけれども、主としてじゃだめですよ。みんなが自分たちが負担をするかもしれないということを、まさに税の名称をもって体をあらわさなければいけないと私は思います。受益と負担の相関関係が名称からわかるようにしなければいけないんじゃないんですか。

 私は意見として申し上げたいと思いますけれども、この審議をやってきて、ようやく、私、自分なりにこの名称がわかりました。基本的には出国税です。でも、星野局長の話だと、ほかにも何か似たような名称があるから云々と言っていましたね。だったら、正確にこの新税の名称をつくるとしたら、観光促進出国税じゃないですか。どうですか。感想を求めます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 観光促進出国税という名称ではどうかという御指摘でございましたけれども、税の名称自体はやはり課税の対象とするのが基本でございます。例えば法人税ですと、法人に課する税ということで法人というのを冠しておりますし、課税対象ということであれば、所得税もそうでございます。そういう意味では、課税の対象である納税義務者の概念を捉まえて名称をつけるというのが一番オーソドックスな考え方かなと思っております。

 そういう意味では、もちろん一部の方はビジネスマンであるかもしれませんけれども、納税義務者として、国際観光旅客、これが主たる客体であるということで、今回、国際観光旅客税ということにしたわけでございます。

 出国税にしなかったというのは、先ほどの答弁でも申し上げたところでございますけれども、概念整理として、出国ということを法制上捉まえて今回の法律ができ上がっておりますので、出国あるいはやはり国際観光旅客のいずれかの概念で整理をするのが、ある意味、税の名称としては、なじむ名称かなというふうに考えているということでございます。

野田(佳)委員 今までの答弁の繰り返しで、せっかく自分なりに概念整理をしたつもりですが、何かうまく捉まえていただかなくて残念でありますが。今さら法案の名称を変えられないでしょうけれども、でも、よく練った議論をしていくとなると、私は、コンセプトも含めて、納税者の理解を求めるんだったらば、やはりそういうところから丁寧な議論を積み重ねていくのが筋だったと思いますよ。もうこれ以上はやりませんよ。

 次は、これは私、近隣アジアとの競争環境がどうなるかというのがちょっと心配なんですよ。

 例えば、国内の成田とか羽田とか関空といった国際線を持っている空港がございますね。ここでは、旅客サービス施設使用料、さらには旅客保安サービス料を取っている。いわゆる空港使用料がありますよね。成田の第一、第二ターミナルでは、これが二千六百十円です。プラス出国税で千円になるわけだから、三千六百十円になるんですね。羽田が二千五百七十円、プラス千円だと三千五百七十円。関空が三千四十円、プラス千円だから四千四十円。だから、日本の主要な空港の国際線は、三千数百円から四千円を超えるというような事態です。

 これは、中国とか韓国とか台湾に比べると相当高額になるのではないですか。その辺の数字があれば教えてください。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の空港を利用する際の空港使用料などを合算した場合に、諸外国、特に近隣諸国の空港とその負担額を比較してどうなんだろうかという御質問かと理解をいたしました。

 我が国の空港の空港使用料などを合算した旅客一人当たりの負担額につきましては、先生御指摘の中国、韓国、台湾などの近隣諸国に比べて、若干高額となっているのは事実でございます。

 例えば、空港に関するコストは、航空旅客の方が直接払われる場合と航空会社が払う場合と両方あるわけでございますけれども、こういった航空会社が空港の設置管理者に支払っているような、例えば空港使用料なども含めまして、旅客一人当たりの負担額として一定の前提を置いて比較しようという計算をした場合、上海の例えば浦東空港では約三千四百円ぐらい、ソウルの仁川では約二千九百円ぐらい、台北では約二千四百円ぐらいということのようでございますので、先生御指摘のように、こういった空港の使用コストの方が日本の空港よりは安目になっております。

 一方で、例えばヨーロッパの方でございますけれども、パリのシャルル・ドゴール空港における旅客一人当たりの負担額を同じように計算いたしますと、これが約八千三百円ぐらい、ニューヨークのJFK空港における旅客一人当たりの負担額は約七千六百円ぐらいということでございます。

 アジアとの関係で、先生、国際競争力上マイナスじゃないかという御指摘かと思いますけれども、これは、我が国を訪問される外国人のトータルなコストを考えますと、外国人の日本滞在中の支出の平均は約十五万円でございますし、逆に、日本人が海外に行くときの平均支出額が二十五万円でございますので、その中に対して、千円という今回の税の導入が与える影響というのは大きくはないのではないか。そういった観点から、国際競争力への影響は大きくないものというふうに考えておるということでございます。

野田(佳)委員 私は、アジアとの、競争関係というのはやはりアジアですから、近隣ですから、そこで聞きました。

 今、上海か何か、中国と言いましたけれども、ほかにもっと安いところはいっぱいありますよね。韓国や台湾については二千円台ということを認めましたね。やはりそれぐらい差があるんです、事実として。そこは素直に認めてください。その数字だけ聞いているわけですからね。

 こういう事態があって、例えばイギリスとかドイツとか、航空旅客税、これは別に、一般財源に使っていますよ。観光目的じゃないんだけれども、競争を阻害しているんじゃないかということで、航空旅客税を廃止したり下げたりするべきじゃないかという国民の声も出ているんですね。欧米ではそういう動きがあるということはよく押さえておいてください。

 そういう今の意見についてはどうですか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 例えば、イギリスにおきまして、一部の航空会社から、導入されております航空旅客税について、御指摘のような声があるということは承知をしております。

 このイギリスにおける航空旅客税でございますけれども、これは国内の航空旅客も含めて一人当たり約二千円から六万五千円程度を課税するということでございますとか、その税収総額は約四千六百五十億円ということでございますとか、さらに、この税収は一般財源として活用されておるということのようでございまして、課税対象、税収の規模、使途に鑑みると、現在私どもが創設を御提案している国際観光旅客税とは異なる点が多いのではないかなと思っております。

 そういう意味では、イギリスにおきましては、財政運営全体の文脈などとの関係もあって、そういった御指摘のような御議論が出てきている可能性もあるのかなと思っておるところでございます。

野田(佳)委員 ドイツは触れませんでしたけれども、旅客が減る可能性があるということで国内でそういう議論があるという、その動きは掌握しているということですね。

 あるんですよ、やはり。ということは、よくその辺の国際的な動きなども含めて、千円なら千円とか、課税していいのかとかという議論をすべきだったと思います。その意味でも、私は丁寧さが欠けているというふうに思います。

 もう一つは、これ、一番影響があるのはLCCの利用者じゃありませんか。LCCの利用者は今全体でどれぐらいの比率なのか、まず教えてください。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人、日本人含めまして、我が国に到着する、そして我が国から出発する国際線を利用された旅客数は、二〇一六年の実績で約八千万人でございまして、このうち、LCCを利用された方は延べ千五百十万人、約一九%、全体の一九%となっておるところでございます。

 以上でございます。

野田(佳)委員 その十数%の人たちへの影響が、やはり相対的に一番大きいですね。それはやはり、定額千円ですから。それは、東京―パリをファーストクラスで往復する、二百五十万とか二百何十万とか、そのうちの千円というのは、値上げは〇・〇何%ですよ。だけれども、八千円とか一万円で、近くの、近隣のアジアに行こうという若者たちがいたとするならば、千円上がるということは、一割上がるとかもっと上がるということになるじゃないですか。ですよね。その影響というのは、私、よく考えなければいけないというふうに思いますね。損をする人たちがいるんですよ、相対的には。

 こういう問題があるというふうに思いますけれども、その辺はどう思いますか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、運賃が比較的安価なLCCを御利用のお客様にとりましては、千円の徴収というのは、確かに相対的には負担感が大きいということだと思います。

 一方で、例えば、比較的LCC利用客が多い、韓国から日本に来られているお客様の総旅行支出を見ますと、これも、全体では平均約十万円ぐらいは旅行に関してお支払いになっていらっしゃるということでございます。

 こういった全体の支出からしますと、千円というのは一%程度ということでございますので、LCC御利用の方であったとしても、全体の旅行支出の中での占める割合は低いのかなということでございますので、旅客需要への影響は大きくないのではないかというふうに考えておるところでございます。

野田(佳)委員 LCCの利用者、若者が結構いると思いますけれども、その若者の海外離れに対して、観光庁はさまざまな政策、取組を行っていますよね。

 具体的にどんなことをやっていらっしゃるか、教えてください。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、日本人の若者の海外離れというお話がございました。私ども、観光庁でございますので、出国者数という観点から若者の海外離れということを分析してまいりますと、日本人出国者数全体で見れば、ほぼ横ばいの状況がこの二十年ぐらい続いておるわけでございますけれども、一方で、二十代の若者の出国者につきましては、減少傾向が見られておるということが読み取れるということでございまして、私どももこの点については問題意識を持っておるところでございます。

 私どもは今、観光先進国実現ということを一生懸命やっておるわけでございますけれども、各国との双方向の人的交流を拡大、深化させるということが非常に重要であると思っておりますので、インバウンドのみならずアウトバウンドの振興も必要であることは十分に認識をしております。

 特に、次代を担う若者のアウトバウンド振興は、国際感覚の涵養でございますとか国際相互理解の増進など、日本のグローバル化にも資するということもございますし、また、観光産業を担う人材育成の観点からも非常に重要であると考えております。

 現在、観光庁といたしましては、若者のアウトバウンド活性化に向け検討することを目的といたしまして、民間有識者及び関係省庁の皆さんによりまして構成された若者のアウトバウンド活性化に関する検討会というものを設置しておりまして、まさに検討を開始したところでございます。

 実は、本日もこの検討会を実施しているところでございまして、今後、各委員からの御指摘も踏まえまして、今後の若者のアウトバウンド活性化方策について今年度を目途に中身を取りまとめて、それも踏まえまして、若者の海外旅行促進に向けて必要な対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

野田(佳)委員 問題意識を持って若者の海外離れ対策をさまざま講じようとして、きょうも会議があった、そういう御説明ですよね。それはやるべきだと思いますよ。もっとやはり日本の若者たちが海外に雄飛して、海外のいろいろなものも学んで、そして日本に帰ってきて、日本のために貢献をするというようなことをどんどんやってほしいですから、その取組はやってください。

 だけれども、若い人たちがLCCを活用して、もっとやってほしいと思いますね、近隣のアジアでもどこでも行ってほしい、そのときに、さっき言ったように、千円プラスということは、一万円から千円とか八千円から千円というのは、その今の若者の海外離れに対していろいろな政策を講じていることと矛盾しませんか。水を差すことになるんじゃないんですか。ということになりませんか。

 いや、まだ早いですよ。もうちょっと落ちついて聞いてください。

 だから、今回、適用除外というか非適用で二歳未満というのがあったじゃないですか。だから、非適用のところを、若者は海外にもっと行ってほしい、もっとパスポートも十八歳から持ってくれとか、いろいろなことをやろうとしているときに、これで千円プラスじゃ水を差すんですよ。逆行する、そう思いませんか。

 ここで答えてください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 内向き志向になっている日本の若者にもっと海外に興味を持ってほしいという御指摘、それはそのとおりだと思います。そういった配慮は必要でございます。

 若者の出国の目的はさまざまだと思いますけれども、個々の旅客の出国目的について個別に勘案することは実務上困難でありますし、また、本税は目的や国籍を問わず出国旅客に広く薄く御負担をお願いするというものでございますので、若い人について、ある出国の目的に着目してそれを免除するというのはなかなか困難ではないかと考えております。

 いずれにしても、日本の若者のアウトバウンドの活性化に向けては、海外への関心の持ち方を精査しつつ、各種の施策を組み合わせた有効な方策を検討していく必要があると考えております。

野田(佳)委員 決まっちゃっていることだからしようがないみたいな感じでお答えになりますけれども、さっきの法案の名称の話から、LCCの利用者の問題から、この若者対策との関係から非適用をどうするかとか、本当は、今私の話を聞いていて、議論の余地はいっぱいあるんだなと思わないですか、本当に。(発言する者あり)そうでしょう。思う人もいるんですよ。思う人もいる。

 だからこそ、この議論は、私はきのう、観光庁に御努力いただいて、議事要旨を出していただきました、六回目以降ですか。私も見ましたけれども、あれを見た限りでは、余り財源の話はないんですよね。見たけれども、参考にならなかった。努力は、出してくれたことは評価しますけれども、見たけれども余りない。

 要は、あのワーキンググループでいろいろな議論をしたけれども、具体的な財源論の話がないままに、するっと国交省が何か政府税調に要望を上げて、そこでするっと通っちゃって、与党税調を通っちゃって、この国会もするっと行っちゃうのか、そこに私は危機を感じるんですよ、新税というのにそれでいいのかと。

 だとすると、最後の関門はこの国会じゃないですか。この国会では、丁寧な議論を積み重ねて、それでみんなが合意できるんだったらいいと思うんですけれども、きょうは討論、採決まで与野党で合意しているから言いにくいんですけれども、本当はもっと時間をかけて議論するテーマはいっぱいありますよ。それを阻害をしているのは、これからお尋ねをする、施行を来年の一月七日としたことです。全てここにありますよ。

 何か準備の期間が九カ月かかるとか事業者が言っているとか言っていましたけれども、きょう参考人の意見を聞いたら、いや、それはやれと言ったら九カ月じゃなくてもできると言っていましたよ。そもそも、大体、九カ月でセットしたのがおかしい。

 星野さん、多分この後答弁すると思うんだけれども、事前に打ち消しておきますけれども、年末年始は繁忙期だからと答えるでしょう、多分。それは年末年始は繁忙期ですよ。だけれども、月単位で見ると、一月より二月の方が出国者は多いんですよ、日本人は。二月よりは三月の方が多いんですよ。四月以降落ちるんです。しばらくはなぎのようにいって、八月でふえるんですね。海外から来る人も、二月は中国が旧正月があるからどっと来ますよね。繁忙云々といったら、一より二、二より三の方が上。だとすると、四月から落ちついて入っていった方がいいんですよ。

 なのに、何で一月七日で、何で初年度六十億円を確保するためにこんなに急ぐんですか。さっき事業者も言ったように、九カ月じゃなくたってできると言っている、システムの改修とか。ここがおかしいんです。

 だから、日切れであるし、そして予算関連だというから、こんな窮屈な日程で審議をして採決せざるを得なくなっているわけ。これがおかしいんですよ、一月七日というのが。来年の四月からでいいんじゃないですか。もともとそうだったはずでしょう。それをわざわざ前倒ししたんじゃないんですか、一月七日に。

 なぜ一月七日というのかを、あなたの答弁の中身を含めてもう私は言っていますけれども、それを、しっかりと反論する答えを聞かせてください。

星野政府参考人 本税の施行日に関しましては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの前にできるだけ財源を確保する、前倒しで確保するという観点を踏まえます。また、事業者の準備期間を勘案をして決めたわけでございます。

 繁忙期について、確かに御説明をいたしました。これは、一月一日、お正月期間と比べて、一月七日からなぜ適用するかという御説明でございます。

 一月から、一月以降の出国に適用することといたしましたのは、これも御説明をいたしましたけれども、国際航空運送協会を中心とするシステム改修に九カ月程度の準備期間が必要だということについて、ヒアリング等々を行った上で、九カ月の準備期間をやはり設ける必要があるということで、一月という期間にしたわけでございます。(発言する者あり)

 きょうの参考人の質疑についても、私は聞かせていただいておりました。日本人の方が準備について頑張ってやれるということを御答弁されているというのは、それはそうだろうなと思いますけれども、片や、国際的な航空システム自体は、日本だけではございませんで、今申し上げましたIATAのもとにぶら下がっている各国の航空会社ですとか、ほかにももろもろの旅行会社のシステムですとか、相当大規模ないろいろなシステムがぶら下がっておりまして、こういうところも含めて、一応、オンチケットで取るようなシステムをつくるためにどれだけの期間が必要かという、そこをヒアリングをした結果、九カ月はやはり確保しておく必要があるだろう、そういう検討のもとに、一月ということを申し上げているわけでございます。

 これを四月以降にするかどうかということでございますけれども、三カ月間、今回三十年度予算で六十億というものを計上しておりますけれども、この財源が失われるということに加えまして、今回、三十年度予算に、喫緊の課題である、例えばCIQの整備などの予算を盛り込んでいるわけでございますけれども、四月以降にいたしますと、これが三十一年度からしか実施できないということになりまして、早期の予算執行という意味ではある意味一年おくれてしまうという面がございます。

 こういうことも含めて、やはり三十年度から予算計上できる一月ということで、今回施行日を決めたということでございます。

野田(佳)委員 ヒアリングをどれぐらいの人たちにやったのかどうかわかりませんが、国会に呼んだ参考人は、別に九カ月じゃなくても、あしたやれと言われたら困るけれどもと言っていましたよね。ということは、別に九に限らず、半年とか、あったかもしれません。だとすると、四月をまたいで審議して決めたって何の影響もなかったときょうの参考人質疑を受けて私は思っているということであります。

 六十億円と言いましたけれども、六十億円ぐらいは、観光予算、各省庁七百億ぐらいやっているんでしょう。そこで自賄いをやればいいじゃないですか、本当に必要だったら。それぐらい、新税を導入するというのはちゃんと議論をするということです、私が言いたいことは。わかりますか。それが施行日によってこういう制約を受けたということは、私は極めて残念であるというふうに思わざるを得ません。

 しかも、まあ、もう決めたことだからいいですよ、討論、採決に臨みますけれどもね。だって、これは、使途は、今度国交省で法律の審議をしますね、その法律の中に規定されているわけじゃないですか。まだつるしもおりていませんよ。いいですか、要は、契約書が固まっていないのに金を出すだけ決めるということですよ。おかしな審議だと思っているんです。何でせかすんだ、そんなことを、この新税を。ということを、これはいろいろ国会対策もあるから言いませんけれどもね。

 という状況なので、私は、本当はもっと丁寧な議論をやって、そして国民に理解を求めて合意形成を図るべきだったというところで大変残念に思っていますが、その残念に思っていることをまた大臣に、感想としてどう受けとめていただいているか、お聞きをしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 いろいろな御意見があるところだと思いますので。

 これは私は、今の新税の話より使い道の方がもっと問題だと、野田先生と同じ意見なんですけれどもね。これは特定財源ですけれども目的税じゃありませんから。そういった意味では、この使い道というのをよくよく考えるに当たっては、主計の仕事としてはそっちの方が、四百が更に、観光客がふえればもっとふえることになりますので、そういったときの金の使い方というのに関してはきちっとよほど対応していかないと、いろいろCIQなんか全部整備が終わった後、はい、何に使うんですかというときになったときに、我々はそのころはもう死んで、おらぬでしょうから、そのころになったらどうなっているかとちょっと考えておかないかぬと思って……(発言する者あり)ああ、あなたはまだ生きているかもしらぬけれども、ちょっとこっちはおらぬだろうからと思って、そこのところはきちんと対応せないかぬなという感じはしております。

野田(佳)委員 時間が来ました。終わります。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 私も、きょうは出国税の議論の用意をしてまいりましたが、朝の朝日新聞の報道を受けまして、冒頭、森友学園の問題について質問させていただきたいというふうに思います。

 問題発覚後に森友文書を書きかえた疑いということで流れております。先ほど大臣からも、事実であればゆゆしき問題だというお話もありました。

 先ほどの川内さんの質問の中で、委員長からの指示で太田理財局長は火曜日までに調査状況を報告することを約束されました。同じ時間に並行して、野党のヒアリングも行われていたと思います。その報告も受けられたというふうに思いますが、一体何をどう調べて火曜日に報告いただけるんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど本委員会の理事会、それから先ほどの川内委員の御質疑の中で、そういうお話でございましたので、それを承りました。先ほど御答弁申し上げましたとおり、来週の火曜日までにできる限りの努力をして、捜査への影響に十分配慮しつつ調査をし、その調査状況を報告しますと先ほど申し上げたつもりでございますが、それをやらせていただきたいと思います。

 今の宮本先生の御質問でございますが、先ほどそういう御指示をいただいて、その場でそういう決断を、決意を申し上げさせていただいたという状況でございますので、今委員の御質問につまびらかにお答えできるほど、私に用意はできておりません。

 とにかく、来週の火曜日までにということでございますので、これから必死になってその用意をさせていただきます。

宮本(徹)委員 これから必死になって調べるという答弁がございましたが、幾つか確認したいんですけれども、この国会議員宛てに出された決裁文書、これと違うものがあるということなんですが、報道でも、ここにあるものを見ても、判こが押されております。一番上司になるのは、これは近畿財務局の主管部長ということになると思います。そうすると、これを書きかえるという指示を出せる人は、近畿財務局の主管部長以上の方ということに必然的になるんじゃないかというふうに思いますが、近畿財務局の当時の主管部長あるいは局長、当然お調べになるということでいいですね。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 調べなければいけないものを調べるという方向で、当然努力をしなきゃいけないというふうに思ってございます。

宮本(徹)委員 それは入るということでいいわけですよね、当然。

 それからあと、報道では、やはり国会で問題になってからということになっていますが、そうすると、近畿財務局だけの指示で、判断で書きかえたのかと。余りそういう感じはしないんですよね。本省もかかわっているんじゃないですか。本省の中で書きかえの指示をした人がいるかどうかも含めてこれは調べて報告していただくということでよろしいですね。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど来の委員の御質問は、基本的に、けさの朝日新聞の報道が事実であることを全て前提とした御質問であるように承りました。私どもは、あくまで、そういう報道があったんですが、捜査の関係もあってというふうに申し上げております。

 いずれにせよ、どう調べるか、誰を調べるかということも含めて、何も決めているわけではございませんので、ただ、委員会、委員長からの御指示をもって、ありましたので、一生懸命やるべきことをやりたいということを現時点では申し上げることに尽きるというふうに考えてございます。

宮本(徹)委員 委員長にこれは指示を出していただければ調べるということですから、委員長、当然本省も含めて関係者に問いただしていただくとこれは御指示を出していただけるでしょうか。

小里委員長 一生懸命調べるということでありますから、そのとおりお願いしたいと思います。

宮本(徹)委員 委員長から、そのとおりお願いしたいということですから、一生懸命調べるということで、本省の中も含めて指示した人がいるかどうかというのも含め、調べて報告していただきたいというふうに思います。

 それから、ちょっと事実関係をお伺いしたいんですけれども、この私たち国会議員に出されたものは、きょうの朝日新聞の報道では、本省が持っているのは国会議員に出したものと同じものだというふうに中村理財局総務課長がコメントを寄せておられます。

 それで、お伺いしたいのは、本省は、この私たちが手にしているものと同じものというのはどのタイミングで入手されたんでしょうか。原本は近畿財務局にあるということなんでしょうけれども、近畿財務局からこれはいつ入手されたんでしょうか。

太田政府参考人 私どもが国会にお話しし、あるいは御提出をさせていただいているものは、近畿財務局管財部において把握をし、整理をし、保存をしておるものということで私ども承知をしておりますので、そういうものをこれまで御提出をさせていただいているということでございます。

宮本(徹)委員 いや、いつ本省はこれを手に入れたんですか。

 この問題、国会で審議が始まったのは一年前の二月の十何日かだったというふうに思いますが、その時点では既にもうあったのか、どうなんですか。いつごろ手に入れたんですか。

太田政府参考人 基本的に近畿財務局が把握して、整理して、保存しておるものということで私どもはそれを承知してやっておりますので、それがいつか云々というのは、私ども、明確に覚えているわけではございません。いずれにせよ、近畿財務局においてきちんと持っているものをあれするということであります。

 明確にいつだということであれば、それは事前に御通告をいただいて、何らかの形で調べてお答えできるかということはあれかもしれませんが。

宮本(徹)委員 調べて、それも火曜日の報告の際にぜひ入れていただきたいというふうに思いますが、それはよろしいですね。それは、きょうは確かに、新聞の報道ですから、そこまで局長が存じていないという場合もあり得るとは思っていますけれども、それは調べればわかる話ですから、いつこの文書を本省は入手したのか、それは火曜日に報告していただけるということでいいですね、火曜日までに。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 大変申しわけないのですが、先ほど申し上げましたとおり、きょうの委員会の前の理事会のお話として承って、委員長からの御指示を承っていますので、何が調査できて、どういうふうに調査するかということも決めてございませんので、これからということですから、委員のお話はよく承りました。それも含めて、踏まえて対応させていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 いや、これ、最後の私がした質問というのは、これがいつ手に入ったかという話ですから、そんな、捜査と全くかかわりがない話でしょう。これはすぐに調べて答えていただかなきゃ困るような話なんですけれども、そうじゃないですか。

太田政府参考人 委員のおっしゃっていることは十分踏まえて対応させていただこうと思っております。

 いずれにせよ、とにかく、先ほど承ったばかりですので、何ができるかということも含めてということでございますので、そこは、今の時点でああだこうだということを私が明確に申し上げる段階ではないということは御理解を賜りたいと存じます。

宮本(徹)委員 全力で調べるということですから……(発言する者あり)ああ、必死にですね、調べるということですから、必死に調べていただきたいというふうに思います。

 麻生大臣からも、ちょっと念のため、必死に調べるという姿勢を本委員会で示していただきたいと思いますが、必死で調べるよう指示を出すと。大臣からも指示を出していただけますか。

麻生国務大臣 今、太田が調べると言っているんだから、調べますよ。

宮本(徹)委員 大臣が保証していただきましたので、必死で調べていただくということで、引き続き、火曜日にこの問題を追及していきたいというふうに思います。

 それで、出国税の問題について質疑いたします。

 今回の国際観光旅客税は、訪日外国人旅行者を二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人、この目標達成に向けて追加の財源を確保しよう、こういう話になっているわけです。

 観光立国推進基本法の基本理念の第一は、住んでよし、訪れてよしなんですね。ですけれども、二千万人から更に四千万人、六千万人と目指す中で、私は、この間の安倍政権の政策というのは、この住んでよし、訪れてよしの住んでよしの部分が大変ないがしろにされているんじゃないかというふうに思います。

 例えば、この四千万人、六千万人の目標に向けて、東京では羽田便を四万便ふやそう、こういう話が出ています。そのために、歴史的に経過があって海上ルートで飛んでいる今の羽田便について、都心の上を通るルートに変更するということが提案されております。いろいろなところで住民の反対運動も起きています。町会ぐるみの運動なども起きております。

 飛行機が着陸するときに、車輪を出していくときに、氷の塊がおっこちてくるということもあるわけですね。こういうことを海の上じゃなくて都心の上空を飛んでやり始めると、大変な惨事になりかねないというふうに多くの人が懸念をしております。

 私は、とにかく目標、数字ありきで、住んでよしをないがしろにするやり方というのは観光立国推進基本法の理念に反するんじゃないかと思いますが、観光庁、どうお考えですか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 観光立国推進基本法の施策の基本理念につきましては、同法第十二条におきまして、地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続可能な発展を通じて国内外からの観光旅行を促進することが特に重要であるとされておりまして、今御指摘のように、住んでよし、訪れてよしの国づくりの認識の重要性が示されているところでございます。

 羽田空港につきましては、訪日外国人旅行者の受入れ、我が国の国際競争力の強化等の観点から、その機能強化は必要不可欠でございますけれども、この件も住民の方々の生活環境の確保とのバランスが非常に重要でございまして、そうした認識のもとで今担当局において対応しているというふうに承知しております。

 いずれにいたしましても、観光施策を進める上で、旅行者の利便性や快適な滞在環境の確保と住民の生活環境の確保とのバランスをとって、両方に目配りをして施策を進めていく必要があるというふうに考えております。

宮本(徹)委員 住民の生活環境を守る、そのためにバランスをとることが大事だというお話がありましたが、ことしの総理の施政方針で、初めて羽田の飛行経路の見直しというのが入っちゃったわけですよね。「地元の理解を得て、二〇二〇年までに八万回の発着枠拡大を実現します。」とありますが、地元の理解を得てと言っているわけですけれども、きょう、政務官に来ていただきましたけれども、地元の理解はまだ得られていないという認識でよろしいですね。

簗大臣政務官 お答えいたします。

 国土交通省といたしましては、急増する訪日外国人旅行者の受入れ、我が国の国際競争力の強化等の観点から、羽田空港の機能強化は必要不可欠であると考えております。飛行経路の見直しの実現のためには、住民や関係自治体の方などに丁寧な情報提供を行い、できる限り多くの方々に御理解をいただくことが重要であると認識をしております。

 このため、平成二十七年七月より、これまで四巡にわたり、延べ六十六の会場においてオープンハウス型の住民説明会を開催し、一万六千人を超える方々に御参加いただくなど、丁寧な情報提供に努めてまいりました。

 今後とも、説明会の開催などを通じ、できる限り多くの方々の御理解を得られるように取り組んでまいりたい、そのように考えております。

宮本(徹)委員 聞いたことに答えていないんですよ。地元の理解はまだ得られていないという認識でいいですねということを聞いたんです。答えてください。

簗大臣政務官 国土交通省といたしましては、訪日外国人旅行者の受入れや我が国の国際競争力の強化等の観点から羽田空港の機能強化が必要不可欠であると考えていることから、引き続き理解を得られるように取組を進めてまいりたい、そのように考えております。

宮本(徹)委員 ですから、引き続き理解を得たいというのは、まだ得られていないという認識でいいんですね。私は通告しているんだから、ちゃんと答えてくださいよ。

簗大臣政務官 先ほど申しましたように、平成二十七年の七月より、これまで四巡にわたり、延べ六十六の会場においてオープンハウス型の住民説明会を開催し、一万六千人を超える方々に御参加をいただきました。

 住民説明会では、機能強化の必要性、騒音や落下物などの対策について説明を行い、丁寧な情報提供に努めてまいりました。

 今後とも、より多くの方々から御理解をいただけるように取組を進めてまいりたい、そのように考えております。

宮本(徹)委員 地元の理解を得られていないという理解でいいわけですね。そこをはっきりさせてくださいよ。説明をやっていますという話ばかりじゃないですか。私はそのことを通告しているんですよ。今の国交省の認識として、地元の理解が得られていると考えているのか、まだ不十分だと考えているのか、どっちですか。

簗大臣政務官 お答えをいたします。

 これまでの累次にわたる住民の説明会によりまして、住民の理解を今得られるように取組を進めている、そのような認識でございます。

宮本(徹)委員 何回聞いても答えないですけれども、得られるように頑張っているということは、得られていないということでしょう。それをはっきり言えばいいんですよ。

 それで、確認しますけれども、地元の理解が得られるまでは飛行ルートの変更は行わない、こういうことでいいですね。

簗大臣政務官 先ほどと同じような答弁になるかと思いますけれども、国土交通省としましては、訪日外国人旅行者の受入れ、そして我が国の国際競争力の強化等の観点から羽田空港の機能強化が必要で不可欠であると考えていることから、理解を得られるよう、引き続き取組を進めてまいります。

宮本(徹)委員 いや、総理は、地元の理解を得て実現しますですからね。得てだからね。得られていなかったらやれないということじゃないですか。それが前提でしょう。地元の理解は得られていない。だって、町会ぐるみで反対運動をしていますよ。

 地元の理解が得られるまでは変更を行わない、はっきり言ってくださいよ。

簗大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど来申しておりますように、国土交通省としましては、羽田空港の機能強化が必要不可欠であると考えていることから、引き続き丁寧な説明を続け、住民の皆様、多くの方々の理解が得られるように引き続き努めてまいりたい、そのように考えております。

宮本(徹)委員 これ以上の質問をしても、同じことしか答えないですから、通告をしたのに……(発言する者あり)同じ質問をしているのは当たり前じゃないですか、答えないんだから。(発言する者あり)何を言っているんですか。通告したのは、地元の理解がまだ得られていないという認識ですかということと、地元の理解を得られるまで飛行ルートの変更を行わないということかという、ちゃんと私はメモでいつも通告しているのに、そのメモに対してもまともに答えない。とんでもない話ですよ。

 とにかく、必要不可欠だ、必要不可欠だ、そう言って、住民の安全もそっちのけで、住民の合意もなしに、とにかく四千万、六千万だと。そのためには、騒音対策だとかいろいろな問題があって羽田の飛行機は全部海を飛んできたわけですよ、それを都心の上空を飛ぶルートに変えていく。私は、はっきり言って、住んでよしという観光立国推進基本法の理念に反するやり方だということを言わなきゃいけないというふうに思います。

 それから、残された時間で次の問題に行きますけれども、税金の使い道の決め方についてもちょっと伺っておきたいと思います。

 閣議決定を見ますと、二〇一九年度以降の予算は、「観光戦略実行推進タスクフォースにおいて、民間有識者の意見も踏まえつつ検討を行い、予算を編成する。」というふうに書いてあります。

 このタスクフォースは、今年度、これまで何回会議が開かれ、毎回の会議には民間の有識者というのは平均何人ぐらい参加しているのか、そして、民間有識者で最も多く参加している人は今年度何回参加しているのか、二番目に多い人は何回参加しているのか、ちょっと教えていただけますか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 観光戦略実行推進タスクフォースは、明日の日本を支える観光ビジョンに係る取組について、関係行政機関相互の緊密な連携協力を確保し、総合的かつ効果的な推進を図るため開催されているものでありまして、二〇一六年、平成二十八年四月からこれまでに計十八回開催されております。

 今年度というお尋ねでお答えを申し上げますと、平成二十八年度中に八回でございますから、二十九年度はこれまでに十回ということになります。

 それで、タスクフォースでは、観光ビジョンに掲げた施策のフォローアップと、これに係る毎年の実行計画の策定に向けた議論を行っておりまして、実行計画をより効果的なものとするため、民間有識者の方々にも、必要に応じ、毎回四名程度御出席をいただいているところでございます。

 これまで御出席いただいた有識者を出席回数の多い順に申し上げますと、デービッド・アトキンソン小西美術工芸社代表取締役社長が計十回、それから、二番目は三人おりまして、大西雅之鶴雅グループ代表、金野幸雄一般社団法人ノオト代表理事、前田幸夫凸版印刷株式会社専務取締役、いずれも計三回となっているところでございます。

宮本(徹)委員 今数字を紹介してもらいましたけれども、このタスクフォースは今年度十回で、十回アトキンソンさんはずっと参加されて、あとは出たり入ったりで、二番目に多い人でも三回ということなんですよね。それで、毎回平均四人ぐらいの参加ということになっております。

 ここで、閣議決定の中身でいうと、これからの予算を決めていくという話なんですね、民間有識者の話を聞いて。私は、こういう今のタスクフォースの現状を見ると、民間有識者の意見を聞きながら決めるといっても、毎回出ている人は同じ一人だけなんですよ。こういうところで、予算の決め方というのは決めちゃっていいのかということを思うんですが、観光庁、どう考えていますか。

田村政府参考人 タスクフォースにおきましては、さまざまな分野で御活躍されている計二十六名、延べ四十一名の民間有識者にこれまで御出席をいただいておりまして、議論を深めてきたところでございます。

 そして、観光庁としては、観光財源の使途の適正化を確保するため、閣僚会議で決定されております三つの分野、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、それから、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上、これらの分野に適正に配分されるように、閣僚会議決定に盛り込まれた基本方針に基づきまして総合的に検討する場として、このタスクフォースで民間有識者の意見も聞きながら検討を深めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、その都度出席される有識者というものは、それぞれのテーマにふさわしい方を選定して出席をしていただいているということでございますので、そういうことも含めて、今後、選定がされていくというふうに思います。

 そして、最終的には、毎年度の予算編成過程において、この使途というものは決定されるものというふうに承知をしております。

宮本(徹)委員 アトキンソンさんがいろいろな提言を出されているのは、私も本を読んだりだとかしておりますが、ただ、この会議に毎回出ている民間有識者は一人しかいないという、こういう運営のやり方のところで予算編成の中身を決めてしまうというのは、私は、やり方として大変いびつだと指摘しなければいけないというふうに思います。それがいびつだと感じられない方がおかしいんじゃないかというふうに思います。

 それからあと、ちょっと、残された時間が少なくなってまいりましたが、前回からこの税制の必要性というのは議論させていただいておりますけれども、税収は平年度ベースで四百三十億円、きょうの麻生大臣のお話も聞いても、いろいろなものを、CIQというのを整理しちゃったら、その後、何に使うんだというお話もありました。十年で四千三百億円です、このままの規模でいっても。二十四年で一兆円。一体、具体的にどのような需要があるのかというのが、ここで議論していてもなかなか示されないということになっております。

 一昨日来の麻生大臣の答弁を聞いていると、私は、恒久税としてこの国際観光旅客税をつくる立法事実が果たしてあるのかということを感じております。

 今、たくさん外国観光客が来ているから、これに対応しなきゃいけないという話は大臣からもありました。しかし、大臣からこの間、出てきた発言は、必要な設備が普及して、使い道がどうなるか、その先はわからない、そのときの判断としては、特定財源でなくすという政治判断もあるんだというのが、この間、大臣としておっしゃった答弁だったというふうに思います。

 そうすると、今、たくさん観光客が来ているからこれは必要なんだ、それが終わったら、そのときの政治家が判断して、この使途は変えていくんだということですから、恒久税として今回の国際観光旅客税なるものをつくらなければならないという立法事実自体が、実際、ないんじゃないですか。どうですか、大臣。

麻生国務大臣 それはあるかもわかりませんよ。そこはやってみないとわからぬとはっきり申し上げておきますよ、それは。

 道路特定財源だってそうだったじゃないですか。(発言する者あり)わかっていない人がいるから、せめてわかるように言ってあげないかぬかなと思って、丁寧に言っているだけです。

宮本(徹)委員 余りにも乱暴な答弁だというふうに思いますが。

 果たして、では一体どういう財政需要があるのか、示してください。示せますか。平年度、毎年四百三十億円。これから毎年、毎年、毎年、毎年、こういう財政需要があるから、これに充てるんだと。

 これまで出てきた答弁は、今まで観光予算は七百億円だから、外国人がふえるから、それよりもっと欲しいという、それだけの話じゃないですか。何の財政需要も示していないですよ。だから、大臣は、道路特定財源のときの話を出してきて、これは変えることもあるんだという話になるんじゃないですか。

 示せますか、将来にわたってこの財政需要の根拠を。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 観光ビジョンの関連施策につきましては、平成二十九年度当初予算ベースで、主として観光ビジョン関連施策に振り分けられているだけでも、内数として整理されているものを除いても七百億円程度の予算が計上されているところでありまして、先進性や費用対効果の高い観光施策を充実し、観光基盤を拡充強化していく必要があることを踏まえると、必要な財政規模は更にふえていくというふうに考えております。

 二〇二〇年の訪日外国人旅行者数四千万人、それから二〇三〇年六千万人などの目標達成や、今後の東京オリンピック・パラリンピック、その後の我が国の観光の重要性、これにしっかりと対応するという観点からは、さまざまな、先ほど申し上げました三つの分野の施策を安定的に継続的に実行していくことが必要でございまして、そのためには、厳しい財政状況も踏まえると、安定的な財源の確保が急務であるというふうに考えております。

 ということで、今般、受益と負担の関係も踏まえまして、国際観光旅客税を創設し、出国旅客に負担を求めることによりまして、政府全体としてこうした観光施策の充実に必要な財源の確保を図ることとしたところでございます。

宮本(徹)委員 先ほどの答弁でも、財政需要の根拠というのは、観光客がふえる、それ以外のことは何も示されないわけですよね。

 大臣は、やってみなきゃわからないとおっしゃいましたけれども、やってみなきゃわからないというので法案を通してくれと言う方が私はどうかしているというふうに思いますよ。

 こういうことで、本当にこのままの法律、つくってしまっていいのかというのは根本から問われているということを指摘しまして、質問を終わります。

小里委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本です。

 最後の質問者ということで、おつき合いをいただきたいと思います。

 きょうも、前総理、元総理の質疑ということで、野田前総理からは、新税というのは非常に重たい、だから丁寧な審議が必要だ。おっしゃるとおりだと思います。また、麻生元総理は、やはり使い道といった点で意識を持っていただいているということで、重たい議論がある中でのこの委員会ということで、本当に、ある意味学ばせていただいていると思っています。

 そんな中で、私が金融機関出身という関係もあって、昔のMOFと言われた大蔵省さん、今は財務省でいらっしゃいますし、今は岸本さんもここにいらっしゃいますけれども、本当にベスト・アンド・ブライテストの、日本の組織の中のトップという組織であるこの財務省が、まことに残念ですけれども、森友関係の文書の書きかえの疑いということが出てしまって、前総理は省庁の中の省庁とも言われたと思いますけれども、私の方からは、大臣も言われましたけれども、事実の確認、真実の確認、これを大臣の指揮のもとにしっかり行っていただき、そしてこの問題に真摯に、真剣に向き合っていただきたいというお願いだけさせていただいておきたいと思います。

 次に、さきの質問で観光庁さんとか内閣府さんとかにお話ししたお話の中で、知床のお話をさせていただきましたけれども、ちょっとその補足で、ミシュランのグリーンガイドを確認しました。似たような、もうちょっと「地球の歩き方」みたいなやつで「ロンリープラネット」というのも出ておるようでございますけれども、ミシュランガイド・ジャパンの方では、ちなみに北海道の、星で見ますと、札幌は一つ星、函館一つ星、大雪二つ星、阿寒二つ星、知床三つ星であります。ということで、総理の御答弁もいただいて、ちょっと訪問の観光客が減っているということなんですけれども、やはりリーダーシップのもとに大きなことをしていけば可能性は十分あると思いますので、ちょっとこれを付言させていただきたいと思います。

 それと、きょう参考人質疑があった中で、千円が、内田参考人は少ないんじゃないかみたいなこともちょっと言われていましたし、その後ちょっと伺った話ですと、日本人から見ると、海外に出ていく立場でいくと千円というのは非常に払いやすいことなんですけれども、いわゆる航空機のオンチケットの形になると、他通貨ですから、中国の元であったり香港ドルであったりタイ・バーツであったりUSドルだったりユーロということなので、決して千円が払いやすいような単位では、海外から見るとないということは、これもまたつけ加えさせていただきたいと思っております。

 それと、もう一つだけ。

 四千万、六千万という大きな目標を掲げている中で、これも参考人が言われていたかと思いますけれども、キャパというか、ロジの大きさというか、という意味で、やはり航空機の発着枠だとかそういったところ。あと、先ほど野田前総理が言われていましたけれども、LCCの問題ですね。

 私が聞く限りは、例えば羽田の発着枠でどういう割り振り方をするかというと、大手二社にかなりのポーションを渡してしまって、LCCは非常にウエートが小さいというのが日本の実情で、LCCの需要、さっき二割、一九%という数字がありましたけれども、そこの部分もカバーされていないような、LCCと既存の大手二社との枠の分け方みたいなところが非常に硬直化してしまっている感じが否めないと思いますので、そういった部分の、先ほど若者のLCC利用みたいな話がありましたけれども、そういった意味でも、発着枠の柔軟な運用とか、あるいはキャリア、枠の拡大とか、あるいは地方空港を使うとか、いろいろ工夫をぜひ将来的にしていっていただかないと、この四千万、六千万の目標というのはなかなか達せないんじゃないかというふうな、物理的な障害もあると思いますので、ぜひその辺をお含みいただきたいと思います。

 それでは質問に入らせていただくんですが、今回、新税なんですけれども、外国のお客様にとって、やはり少しでも買物しやすい環境とか、そういったことによって訪日外国人客数というのはふえていくということになるかと思いますし、ちょっと、テーマとしては、できるだけ訪日外国人客数をふやしたいということで質疑させていただくんですが。

 先般もちょっと触れさせていただいたんですけれども、そもそも、消費税が日本に来た方々にはかかるということで、海外に行くと、バリュー・アデッド・タックスで、そのタックスリファンドだということで空港でいわゆる還付を受けられるんですけれども、日本の税制上は、消費税は還付の対象ではないというような大原則なのかもしれないんですが、ここの部分も確認したいですし、一方で、免税店があって、輸出物品販売場という資格を取れば免税の商品を提供できるお店になるということで。

 先ほどの参考人の質疑でも、いわゆるきちっとしたルートに乗って、量販店で最終的に、ウォシュレットじゃないか、何かわからないですけれども、炊飯器でも何でもいいし、電子レンジでもいいんですけれども、そういったものを受け取るのが空港だったらいいと思うんですけれども、一方で、世の中の流れとして、最近は、いわゆるコンビニエンスストアだとか、薬局系のところだとか、あるいは雑貨も扱うし何でも、家電まで扱うみたいなところの販売については、空港で渡すという形になっていなくて、現物をその場で、日本国内で渡してしまって、それを受け取った方で、善意の方ならいいですけれども、悪意というか、それをすぐ、手元に、日本国内にいる中で転売してしまって、八%分の消費税を免税されている中でそれを売却して何がしかのお金を取るというような動きもあるやに私は少し聞いていまして、そんな点はかなり問題ではないかなと思うんです。

 そもそも論で、ちょっと長くなったかもしれないですが、基本的に、訪日外国人からは消費税をどんどん取っていくというスタンスなのか、いや、そうではなくて、免税という形でできるだけたくさん来ていただきたいのかというような部分が、うえの副大臣にも聞いていただきたいんですけれども、そこの部分が非常に、日本の場合、スタンスが余りはっきり見えていないなというのは正直思うんです。消費税を取るのか、いや、免税してどんどん来てもらう、どっちの方向を向いているかちょっとわからないというのが私の問題意識です。

 今後もちょっとこの点については議論していきたいと思っているんですけれども、確認ですけれども、消費税的な、VATはまた消費税と意味が違うという議論もあるんですけれども、諸外国の消費税的なものの徴税状況、徴収状況、あるいはちょっと特徴的な国があれば御開示をいただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人旅行者向けの、日本でいいますと消費税の免税、外国でいいますとVATの免税でございますけれども、日本におきましても、外国人旅行者向けに消費税の免税制度を整備してございます。ただ、方式が違っておりまして、日本におきましては、販売時点において免税で販売する免税販売方式を採用しております。EUや韓国等の諸外国では、出国時に空港等で一定の手続を行うことにより消費税分を事後的に還付する事後還付方式を採用しております。

 事後還付方式を採用している国における還付の手続につきましては、各国ごと、また店舗によっても方式は異なりますけれども、例えば、イギリス、ドイツ、フランスなどの欧州諸国におきましては、外国人旅行者が、滞在中に免税販売を受け付ける店舗におきまして付加価値税額込みで一定金額以上の物品を購入した場合に、店舗で受け取った還付申請書等に必要事項を記入の上、出国時に、購入した未使用の物品などとともに空港等の所定の窓口に持参し、申請を行う、そうしますと、手数料を差し引いた上で、現金又は口座振り込み等の方法によって、支払った付加価値税の一部について還付を受けることができる、そういう制度になってございます。

 利便性の高い制度があるかといったようなお尋ねもございましたけれども、例えば、シンガポールなどでは、シンガポールの、支払った物品・サービス税、GSTにつきまして、ペーパーレスで還付を受けられるような仕組みが導入されていると承知をしております。

 日本は、これに比べまして、その場でもう免税になるということで、最初から免税で購入できる、そういうある意味すぐれた制度になっているわけでございます。

 ただ、先生もちょっとおっしゃっておられたように、この免税販売方式をとることによって免税品の横流し等の不正が起こる可能性もございまして、そういったことに対応いたしまして、購入した物品等の情報を記載した書類のパスポートへの張りつけ、割り印を義務づけをしておりまして、出国時に把握できる仕組みとしておりますし、また、消耗品につきましては、一日の限度額とか、それから、開封したことがわかるような方法により包装するといったような免税販売の要件を課しているということで、横流しを防ぐ手だてをとっているということでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 きょうの参考人で山内参考人が言われていたような気もするんですけれども、要は、観光によって、経済全体、経済、あるいは経済成長というか、あるいは各地の所得というか、地方創生というか、そういった観点からぜひともお考えをいただきたいのは、今、いわゆる免税ができるお店というのはかなり限られているというか、さっき申し上げた輸出物品販売場というのを、免許というか、その立場に立ってやっておられるところは、やはり、わかるというか、限られているという状況だと思います。そうではなくて、例えば、三ッ矢先生がお伊勢様のお近くでいらっしゃいますけれども、おかげ横丁というか、あのあたりで買物をしたお客様がいたとすると、そういったところでも、ちょっとここで買ってみようかなというものがその免税販売方式という対象になるようなこういう工夫があれば。

 本当に田舎を訪ねていく訪日外国人が今ふえていっている中で、地方が衰退していくというのを、逆に、ああ、こんなよろず屋さんみたいなお店でも免税を受けられると。それで、さっき言っていただいたシンガポールのGSTのペーパーレス還付の方式というような形をとれば、これはまさしくその地域の、本当に山の中、あるいは海辺、あるいは島、そういったところに、津々浦々に行っていただいた、山の中に行っていただいた訪日外国人の方に、日本はそうやって免税販売方式によってペーパーレスで還付を受けられるぞ、非常に便利だ、これはいいぞというようなこういう御理解を、先ほどのまた参考人質疑でありましたけれども、だんだん広がっていくような伝播方式が伝われば、SNSを通じたり。

 徴税したいという税当局の考え方も非常にわかるんですけれども、一方で、やはり、先ほども冒頭、参考人のときに申し上げましたけれども、日本で今期待が持てる数少ない成長分野というのは観光であるということなので、どっちをとるか。税金を取りたいというのもわかるんですけれども、一方で、やはり可能性ということでいくと、日本に限られた数少ない成長分野の一つが間違いなく観光だということをお考えいただいて、この免税販売方式をぜひとも更に進めていただきたいんです。

 ちょっとこれは御答弁はもうあったかもしれないんですが、確認ですが、シンガポールのペーパーレス還付方式のような形で、私は御当局は一部の方が研究を進めているやにも聞こえてきているんですけれども、今の即時還付方式みたいなものの調査研究状況あるいは実用化に向けた見通し等をお聞かせいただければと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、日本では免税販売方式を採用しております。先生御指摘のとおり、観光振興のためにインバウンドのこういった免税販売方式を広げていくということは、非常に重要な施策だと考えております。

 輸出物品販売場、輸販場でございますけれども、各地に認めるということでかなり拡大をしてきておりまして、直近、昨年末の数字で申し上げますと、四万店に既に輸販場の数がふえているということでございます。

 この方式は、最初から免税で購入できるということ、それから空港等で並ぶ必要がないといったようなことで外国人旅行者の利便性が極めて高い制度でございまして、観光庁の調査でも、訪日外国人旅行者から高い評価を得ているところでございます。

 諸外国で採用されているいわゆるリファンド方式、事後還付方式でございますけれども、これについては、今申し上げたように、相対的に外国人旅行者の利便性が低くなりますし、リファンド方式を導入した場合の費用は誰が、例えば負担をするのかとか、それから、全国の空港で物品確認とか還付事務を誰がどのような体制で行うかといったような課題がございまして、今のところは、日本で採用している免税販売方式の利便性をよくしていくということによるのが適当ではないかというふうに考えております。

 三十年度の今回の改正におきましても、この方式の手続を更に簡便化するために、先ほど申し上げた購入記録票のパスポートへの張りつけ、割り印にかえまして、事業者による電子データの提供を免税販売の要件とすることによりまして、電子的なパスポートに記録をする、購入記録票の税関長への提出にかえて、税関長への旅券の提示を免税品の購入旅客に対して義務づけるというようなことにいたしたいと思っておりまして、国税庁からの電子データの税関への送付などのシステムを整えることによりまして簡便な免税販売方式にしていく、そういう改正を盛り込んでいるところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 更に研究を進めて、日本は非常にやりやすいというか、訪問してよかったなという国にしていただきたいと思います。

 あと、言っていただいた物品の横流しには厳しく当たっていただきたいということをお願い申し上げます。

 次の質問に行きます。

 鉄道旅券の購入ということで、これはさきの総理にもちらっと一方的に申し上げた件なんですけれども、ジャパン・レール・パスというようなものがあって、昨年の場合は、外国にいるときに、海外にまだ、日本に渡ってくる前に、外国のお客様が引きかえ券のようなものを事前にネット上でゲットしていればチケットが手に入るやにあったようですけれども、でも、何か不便な点があって、ことしは試験的に指定されたみどりの窓口だけで、JR東海の問題をちょっと指摘しましたけれども、そういったものは乗り越えられるようになっているやに聞いているんです。

 そんな中でも、何か、ジャパン・レール・パスというのは「のぞみ」と「みずほ」は利用できないとかということで、外国から来たお客さんが、日本人は「のぞみ」だ「ひかり」だ「こだま」だというのはわかっていますけれども、外国から来て、さあ電車に乗ろうかな、新幹線に乗ろうかなと思ったら、これは「ひかり」なのか「のぞみ」なのかなんて、ちょっとわからないというのが現状じゃないかと思うんですけれども、そういうような御不便を今はまだおかけしているやに聞いているんです。

 こういった、ユーレールパスじゃありませんけれども、旅のしやすさという点では工夫の余地がまだまだあって、これは国交省さんの所管になると思うんですけれども、こういったことに対する問題意識、あるいはこれをどう、もうオリパラも近いわけですけれども、あるいは万博も近いわけですけれども、まだ決まっていないですけれども、ぜひとりたいと思いますが、こういった部分の問題解決、あるいは実用性のいいものに変えていく予定みたいなところを教えてください。

寺田政府参考人 お答えいたします。

 インバウンド向けサービスの向上につきましては、鉄道分野でも、御指摘のとおり、非常に重要な喫緊の課題であるとまず認識をいたしております。

 御指摘のジャパン・レール・パスもそうでございますが、鉄道チケットにつきまして、インターネットで予約、購入をする、こういった点につきましても、利用者の視点に立って利用者利便の向上を図っていくことが肝要であるというふうに認識をしております。

 先ほど、ジャパン・レール・パスの御指摘がございましたが、ほかの、例えばですが、新幹線のインターネット予約などにつきましても、現在、順次進んでいるところでございまして、北海道新幹線、東北新幹線、秋田、山形、上越、北陸各新幹線の予約が現在では可能となってきております。昨年十月からは、東海道新幹線でありますとか山陽新幹線につきましても、一部の国、地域に限られておりますけれども、海外から予約をして、チケットレス乗車サービス、こういったものが可能となるようなサービスが提供を始められたというところでございます。残る九州新幹線につきましても、海外からのインターネット予約が来年度中には可能になるという状況でございます。

 先生先ほど御指摘ございましたジャパン・レール・パスの「のぞみ」等の件でございますが、「のぞみ」につきましては、これまで毎年のように増便を重ねてもいまだに席がとりづらいという現実がある中で、どのような方策があり、また、どのようにしたら国内外の利用者の皆様から評価していただけるのかなど、鉄道会社とともにしっかり検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、こうしたインバウンド対応の鉄道チケットの販売、インターネットを通じましたチケットの予約、購入につきましては非常に重要な課題だというふうに考えてございますので、鉄道分野においてもインターネット予約環境が、一層充実が図られるように鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 私のイメージは、ユーレールパスの一級というか、上級、特級というかで、国をまたいだってぱっと行けちゃうわけですよね。だけれども、今何か答弁をいただいていると、JR北海道は、JR東日本は、JR東海もということで、ひょっとすると、今聞いている限りは、それぞれネットでとらなきゃいけないんじゃないかなというような気がしますし、今伺っていたら、国によってはとれますけれどもみたいなお話なので、何か周回おくれの答弁をいただいているような。申しわけないんですけれどもね。スピード感を持ってこの税の議論ももっと審議しなきゃいけないという議論の中で、きょう採決に向かっていくというふうに私は聞いておりますけれども、このスピード感に対して、残念ですけれども。そこの部分は責任を感じていただいて、もっとJR各社に、お尻をたたいて、自分の利益じゃなくてやはり日本全体の利益のために、訪日外国人のためになる協力をしていただくという、本当に国士としての官僚のお仕事をお願いしたいということを、ちょっと僣越ですけれども、申し上げさせていただきます。

 次に、ちょっと細かい点で、航空機の方はオンチケットで徴収するというイメージが非常に湧いているんですけれども、船舶の方は本当にちゃんと取れるのかなというような部分とか、あるいは、船舶に限った話じゃないですけれども、どのくらいの期間、何カ月というタームで、いただいた税金を国に納めてもらうのかという納付のタイミングというか期間、それから、ちょっと船舶の場合は何となく感じてしまうんですけれども、徴収漏れリスクみたいなのもあるかなと思うんですけれども、そういった部分がないようにする把握の方法とか、こういった部分についてお聞かせをいただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本税についての徴収方法についてのお尋ねでございます。

 本税の徴収に当たりましては、納税義務者であります国際観光旅客等、航空会社等の事業者及び納税当局にとって効率的で円滑な出入国を阻害しないものであるものが必要であることから、基本的には、事業者が旅客から徴収し、国に納付する特別徴収方式をとっているわけでございます。

 ただ、船舶につきましては、統一的な既存の徴収の仕組みがないことから、それぞれの事業者が、航空と同様に運賃と合わせてオンチケット方式で徴収するか、運賃とは別に徴収するかも含めまして、港湾における実務の実態も踏まえて選択できるようにしているところでございます。

 具体的には、定期航路の事業者については港湾における乗船窓口での徴収、クルーズ船の事業者についてはオンチケット方式による徴収又は船内での徴収のいずれかを検討していると聞いておりますけれども、いずれにせよ、個々の事業者の実情に応じて決定されるものと承知をしております。

 事業者による本税の徴収、納付について、旅客が出国のために飛行機等に搭乗等するときまでにオンチケット方式等により徴収をし、旅客が出国した月の翌々月末までに、例えば三月の出国に係る税は五月末までに国に納付するということになります。具体的な納付先は、国内に事業所を有する事業者はその所在地の税務署、国内に事務所のない事業者は出国する空港、港湾の税関となっておりますが、実際は、既存の税と同様、電子的な方法で納付されることになることを想定しております。

 ただ、プライベートジェット等事業者によらない出国におきましては、本法律案におきまして、先ほど申し上げたように、空港等の税関に直接納付するといったような方法もとっておりまして、実際には、出入国の手続を代行する業者、いわゆるハンドリング業者等が電子的に納付手続を行うことを想定しているというものでございます。

杉本委員 細かい点、幾つも質問を用意させていただいたんですが、ちょっと時間もなくなってきました。

 ちょっと大分飛ばしますけれども、いわゆる訪日外国人というのは、多様な価値観、多様な宗教観、多様な食文化というような背景の中で日本を訪ねられてくるということの中で、特に食文化のところで、いろいろ我々も準備しておかなきゃいけないというか、いろいろなニーズに応えなきゃいけないという意味では、例えばハラールの認証、これはどうなっているのか。あるいは、ビーガン、いわゆる菜食主義者というか、その徹底した方々に対する、お店をどう認証するのかというようなことになるのかもしれないですが、そういった認証であったり、店舗の実態把握、あるいはそういったことについてのガイドラインなのか指導なのかわからないんですが、余り介入し過ぎてもいけないと思いますけれども、こういった部分に対して実際どういう状況にあるのかということを確認させてください。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、ムスリム旅行者への、特に食事面への対応ということでございますけれども、先生御指摘のとおり、多様な食文化への対応は重要課題であるというふうに考えておるところでございまして、インドネシア、マレーシアなどイスラム圏からの訪日客が現在増加をしておるということでございまして、ムスリムの訪日客の皆様も増加をしているものというふうに推測をされております。この場合、豚肉やアルコールを使用していない食事、とりわけ、そういった意味では日本食でございますとか、あるいは礼拝を行われる場所へのニーズが高まっておるということでございます。

 こういう状況に対応しますために、観光庁の方では、ムスリムの旅行者の皆様の受入れに当たって必要な基礎知識をまとめたムスリムおもてなしガイドブックというものを平成二十七年に作成いたしまして、自治体でございますとか、飲食店、宿泊施設など、受入れの関係者の皆様に周知をして、受入れ環境の整備を図っておるということでございますとか、あと、ムスリム旅行者に配慮がされておるレストランとか礼拝場所などを紹介する冊子を作成いたしまして、あるいはJNTOのホームページでそういった内容を御紹介するとか、マレーシア、インドネシアに対して配慮を行うといったような形での情報発信をしておるということでございます。

 あと、次の御質問で、ハラール認証あるいはビーガンへの対応について実態把握しているのかということでございますが、ハラール認証は、これは認証機関の範囲がちょっと不明確でございまして、観光庁の方では、ハラール認証を受けた店舗数は把握できておらないということでございます。

 また、ビーガンでございますが、ビーガンはいわゆるベジタリアンの中でも最も厳格な形態を指しておるというふうに理解しておりますけれども、この店舗数も、恐縮でございますが、把握はできておらないということでございます。

 ただ、私ども、平成二十八年に観光庁が行いました調査では、訪日客の一四%の方が何らかの宗教や生活習慣上、食事の制限があるということでございまして、そのうち五〇%の方がムスリム、二七%の方がベジタリアンだというふうに把握をしておるということでございます。

杉本委員 訪日外国人に一人でも多く来ていただくように、皆さん、お力添えをお願いして、力を合わせて頑張りましょう。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小里委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。岸本周平君。

岸本委員 私は、希望の党を代表して、国際観光旅客税法案について、反対の立場で討論いたします。

 以下、反対の理由を申し述べます。

 第一に、国際観光旅客税は、昨年の衆議院総選挙における争点とされることもなく、対象の四割となる日本国民にとっては突然提案されたものであり、寝耳に水の増税であります。到底、国民の納得を得られるものではありません。

 第二に、政府は、観光基盤の拡充強化を図るための財源を確保する必要性を主張し、観光ビジョン関連の支出が約七百億円であることに鑑み、平年度四百三十億円の歳出を確保することが適当と説明しております。

 所管省庁がそれぞれに所管の分野の政策の重要性を主張することを前提に、限られた予算制約の中で資源配分の優先順位を決めることが予算編成の意義であり、そのことによって財政規律が守られるわけであります。

 四百三十億円の予算が必要であるならば、各省庁の既存の施策の中でスクラップ・アンド・ビルドの考え方で財源を捻出すべきであります。出国一回につき千円の税を課すという、いわば取りやすいところから取るという安易な方法で歳出を膨らませることは適切ではありません。

 第三に、別途、外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案が用意され、国際観光旅客税が特定財源とされることになり、財政の硬直化を招き、予算の効率性を阻害するおそれがあります。

 第四に、本税が千円の定額制であることにより、税の負担能力から考えたときに逆進性の高い制度となりますが、本法案の検討が行われた次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会では、そのような税制の本質論について十分な検討が加えられておりません。

 以上、二十六年ぶりの新税を提案するにしては、税制としての総合的な検討が行われていないこと、さらには、国会審議の過程においても、本来行われるべき国土交通委員会との連合審査が、政府・与党が日切れ法案扱いに拘泥する余り、割愛されるような拙速な審議であったことを指摘し、私の反対討論といたします。(拍手)

小里委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 無所属の会の野田佳彦でございます。

 政府提出、国際観光旅客税法案に反対の立場から討論を行います。

 国際観光旅客税は二十七年ぶりの新税です。新たな税を創設するに当たり、それ相応の根拠が示されることが当然と考えますが、政府からは最後まで合理的な説明がありませんでした。なぜ一人千円なのか、なぜ日本人出国者にも負担を求めるのか、なぜ人頭税かのごとく、担税力を無視し、航空券等の価格に関係なく一律に負担を求めるのかについても、政府からまともな説明はありませんでした。

 もちろん、観光立国実現に向けた財源確保自体を否定するものではありません。ただ、観光は観光インフラや観光資源によってのみ成り立っているのではありません。当該地域の治安や、鉄道、道路、通信施設などのインフラ、環境衛生といった種々の要素により複合的に成り立っています。その意味において、本来、観光促進のための財源も一般財源に求めるべきです。

 しかし、なぜ特定財源としてわざわざ新税を創設するのか、政府より納得のいく説明はありませんでした。しかも、特定財源といいながら、その使途は極めて曖昧です。かつての道路特定財源のように、結局は国土交通省の都合のよいポケットとなり、無駄遣いの温床となるのではないか、観光振興という大きな柱にシロアリが群がる構図になるのではないかという懸念を強く抱かざるを得ません。

 こうした疑問や懸念が払拭できない以上、新税創設には反対せざるを得ないことを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 国際観光旅客税に反対の討論を行います。

 新たに創設される国際観光旅客税は、訪日外国人旅客数二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人という観光施策の目標を実現するための特定財源と説明されますが、このままでは予算の無駄遣いの温床になりかねません。国際観光旅客税の創設が必要となる財政需要についても、政府からは明示されませんでした。さらに、観光財源の確保は必要ですが、現行予算のやりくりでなく、なぜ新税で財源を確保しなければならないのかも、国民に納得のいく説明はなされておりません。

 一旦財源の枠を決めてしまえば、政府の都合で使い道が広がっていく。これまでの特定財源で繰り返されました。消費税増税の使い道もまさにそうです。導入時からずっと、特定財源として全額社会保障に活用すると説明していましたが、今では、借金の返済に充てる消費税増税の一部を子育て支援の財源に回すといいます。朝令暮改も甚だしいのではありませんか。観光施策の財源を口実に特定財源として本制度を創設することは、財源ありきの増税であり、到底認めることができません。

 そもそも、国際観光旅客税の創設には、国民的合意はありません。与党の選挙公約にもなく、国民の信任も得られておりません。昨年秋以降、官邸の意向で、突然降って湧いた話です。政府税調の議論もありません。官邸の意向が働けば、ほんの数カ月で新税ができ上がる、こんな安易な新税の創設がまかり通っていいはずがありません。

 カジノを含むIRに活用することも、審議の中で否定されませんでした。カジノ推進に使うなどはもってのほかです。

 新税創設の根拠も説明できず、無駄遣いの温床になる危険があり、国民的議論も合意もない国際観光旅客税の創設には反対であることを表明し、私の討論といたします。(拍手)

小里委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより採決に入ります。

 国際観光旅客税法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小里委員長 次回は、来る六日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後九時三十四分散会


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