衆議院

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第8号 平成30年3月20日(火曜日)

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平成三十年三月二十日(火曜日)

    午後三時十九分開議

 出席委員

   委員長 小里 泰弘君

   理事 あべ 俊子君 理事 井林 辰憲君

   理事 津島  淳君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 義家 弘介君 理事 海江田万里君

   理事 岸本 周平君 理事 斉藤 鉄夫君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      大岡 敏孝君    勝俣 孝明君

      神田 憲次君    小泉 龍司君

      高村 正大君    國場幸之助君

      佐藤 明男君    斎藤 洋明君

      柴山 昌彦君    鈴木 隼人君

      田畑  毅君    中山 展宏君

      百武 公親君    藤井比早之君

      藤丸  敏君    藤原  崇君

      細田 健一君    本田 太郎君

      牧島かれん君    三浦  靖君

      御法川信英君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      山田 美樹君    川内 博史君

      末松 義規君    高木錬太郎君

      青山 大人君    今井 雅人君

      大西 健介君    近藤 和也君

      前原 誠司君    遠山 清彦君

      野田 佳彦君    宮本  徹君

      杉本 和巳君    青山 雅幸君

      鷲尾英一郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   外務副大臣        中根 一幸君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   経済産業副大臣      西銘恒三郎君

   国土交通副大臣      あきもと司君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   会計検査院事務総局次長  岡村  肇君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  望月 明雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鑓水  洋君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    遠藤 俊英君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 雅彦君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    飯塚  厚君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松尾 剛彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         岡西 康博君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 和田 浩一君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     大岡 敏孝君

  鈴木 隼人君     百武 公親君

  武井 俊輔君     細田 健一君

  中山 展宏君     宮路 拓馬君

  牧島かれん君     高村 正大君

  青山 大人君     大西 健介君

  前原 誠司君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     國場幸之助君

  高村 正大君     牧島かれん君

  百武 公親君     三浦  靖君

  細田 健一君     佐藤 明男君

  宮路 拓馬君     藤井比早之君

  今井 雅人君     前原 誠司君

  大西 健介君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     藤原  崇君

  藤井比早之君     中山 展宏君

  三浦  靖君     鈴木 隼人君

同日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

小里委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鑓水洋君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、大臣官房審議官佐々木聖子君、財務省関税局長飯塚厚君、理財局長太田充君、厚生労働省大臣官房審議官森和彦君、経済産業省大臣官房審議官松尾剛彦君、大臣官房審議官上田洋二君、国土交通省航空局次長和田浩一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 末松義規でございます。

 きょうは法案審議でございますので、まず、関税定率法関係について一問だけ御質問させていただきます。

 金の密輸入に対応するため罰則を引き上げたということなんですけれども、金の密輸入の実態を簡単に御説明してください。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 金の密輸入を取り巻く情勢は深刻さを増しておりまして、全国の税関が摘発しました金の密輸入事件について見ますと、平成二十九年は摘発件数が千三百四十七件、押収量が約六・二トンと、二十八年よりも急増している状況でございます。

 こうした状況を踏まえまして、今ほども先生おっしゃいましたように、関税法上の無許可輸出入等の罪の罰金上限額を引き上げることとしまして、本日御審議いただいております関税改正法案に盛り込んでいるところでございます。

末松委員 実は、世間を今揺るがしておりまして、財務省の存立にもかかわるのが、森友問題の文書改ざん問題でございます。

 以下、この森友問題について、私、初めて森友問題について質問をいたしますけれども、まず、この問題を一つ一つ質問させていただきます。

 昨日の参議院の予算委員会で、太田理財局長に対して、与党議員の方から、いわれのない、心ない攻撃質問がなされたようですけれども、私も野田総理時代に総理補佐官をしていまして、この太田さんの仕事ぶりを見ていて、一党一派に偏しない、本当に日本国に忠誠を尽くす、そういう極めて優秀で、しかもしっかりとした仕事ぶりに感銘したこと、こういう経験をたくさん持っているわけです。太田さんの名誉のためにも言っておかなければいけないと思いまして、まずは申し上げたいと思います。

 ただ、その太田さんにこれから質問しなくてはいけないのは極めて残念なことなんですね。

 まず、公務員というものは、全て法律にのっとって仕事をしています。ですから、このたびの改ざん問題が表沙汰になってから、財務省として、今、平謝りに謝っているわけなんですけれども、この法律関係ですね。特にまた、大阪地検の捜査が財務省にも入っているということですけれども、公務員としてどんな法律に抵触する可能性があるのか。

 法的に、例えば刑法百五十六条の虚偽文書作成罪とか、この改ざん問題について。また、削除だけであれば公用文書毀棄罪とか、いろいろとあるんですけれども、どういう法律を念頭にあるいは謝罪しておられるのか。それについて、まず、理財局長にお聞きしたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 本件は基本的には告発をされていまして、その告発の罪名としては、背任、証拠隠滅、証拠隠滅教唆、公用文書等毀棄ということで告発をされているというふうには承知をしています。

 ただ、委員の御質問はそういうことではないと思っていまして、私どもというか、私が今の責任者なのでそういう御答弁を申し上げていますが、今回の公用文書の書きかえ、決裁文書の書きかえということは本当にあってはならないことであり、大変申しわけないし、深くおわびをしなければいけないということでございます。

 その上で、今委員がおっしゃったような、どういう法律に違反してということは当然わかっていないといけないと思いますが、この法律のこれに当たるとか、そういうことを考えて、もちろん念頭にはなきゃいかぬと思っていますが、基本的には、法律の罪名に当たる当たらないの前に、基本的にはモラルの問題として、その上で、法律のどの罪名に当たるかということは必ずしもわからないんですが、いずれにせよ、程度の問題はあるかもしれませんが、法律に触れるということはあるということなんだろうと思っていますので、そういう意味で、モラルとして、あるいは法律の問題として許しがたいことだということであって、おわびをしなければいけない。

 おわびをしたからといって、本当に簡単に許してもらえるような話だとは全く思っていませんので、その上で、これから先、我々がやることによって、少しはお許しいただけるようになるかということがポイントだろうというふうに思っております。

末松委員 内容を考えれば、背任罪という本当に八億円をダンピングしたということが一番大きな内容なんですけれども、我々にとって、国会において虚偽の答弁をしてきた、これが一番問題なんです。

 今席上にお配りしている私の資料で、今、太田理財局長が言われたように、公務員のモラルの問題というのが国家公務員法に書かれてあるんですね。ですから、そこのモラルを守らなきゃいけないということなんですけれども、ただ、私の方で、国会法も衆議院の法制局を含めていろいろと調べてみました。そうしたら、国会法において、国会で官僚が虚偽答弁を行っても何ら罰則規定というものがないんですね。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、ここは意地悪な質問ととられるかもしれませんけれども、佐川前局長はこういう前提も踏まえて大胆な組織的な虚偽答弁を行ってきたということなんですかね。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員からお示しをいただいたので、正直に言って初めて知ったんですけれども、虚偽答弁を行って法律的には問われないというのは、そんなことを考えたことがないからかもしれませんが、正直に言って、そういう知識は私は持ち合わせておりませんでした。

 その上で、今ほど佐川前局長のお話をいただきましたが、佐川前局長は虚偽答弁を行ったということではないというふうに、私は後輩としてそういうふうに思っております。

 ただ、いろいろな意味で答弁が雑なところがあって、それを踏まえてというところなんですが、その先で決裁文書を書きかえた、佐川局長の責任云々の話のところはまだ調査をしているところですので確定的なことが言えるわけではありませんけれども、いずれにせよ、その先で決裁文書を書きかえたということは、先ほど来申し上げているような、あってはならないことだというふうに思っておるという次第でございます。

末松委員 今の雑な答弁ということだけで終わらせられる話じゃないんですよ。

 まず、この改ざん文書の中で、我々国会議員がずっとこの一年間審議をしてきた。ここにいる国会議員みんなが、ある意味じゃこけにされたわけですよね。そこは信頼性がないと、私たち国会議員は行政のチェックをできないという問題が、一番私は深刻な問題だと思うんですね。

 一年間ですよ。ずうっと国会の審議が全く、ある意味では実質的な審議ができなかったということですから、そこに対してやはり一番反省をしてもらわなきゃいけないんですね。

 これは、私たち国会議員を通じて国民もばかにされたということですから、だまされたということになるわけですから、そこは絶対に看過できないことなんですね。

 これは委員長に提案なんですけれども、国会法において、まあ役所なんかが一番中心になるんでしょうけれども、役所に限らず、意図的な虚偽答弁をもし行った場合には国会法でも罰則規定を設けるべきだと思うんですけれども、委員長のお考え、いかがでしょうか。あるいは、委員長へ御提案をさせていただきますので、この有権解釈権は議運委員会にあると思いますので、お伝えいただければありがたいと思いますが、いかがですか。

小里委員長 これは、国会法、ひいては参議院も含めた国会全体にかかわる御指摘でもありますので、委員長としてしっかり承っておきます。

末松委員 私も森友問題は初めてなんですけれども、この森友問題を俯瞰すると、多数の報道に出ていますけれども、もとをたどれば、森友学園にそれまで冷たい対応だった近畿財務局が、二〇一五年の七月、安倍総理と同郷の山口県出身の迫田元理財局長が就任すると、一気に流れが加速しているように思われるんですね。その流れを見て、籠池さんが、神風が吹いたと驚いたほどだと言われています。この取引が非常に積極的になっている。

 特に、迫田元局長は、二〇一五年の七月三十一日、八月七日、九月三日と、異例なほど立て続けに安倍総理と会談しておられます。そして、九月五日に、昭恵夫人が森友幼稚園で講演し、小学校の名誉校長に就任している。その後、ごみ問題等で価格の八億円ダンピングということになって、翌年の二〇一六年の六月十四日には森友学園へ国有地を極めて安く売買するということが決裁されています。その三日後の六月十七日に迫田元局長は国税庁長官に栄転されておられるわけです。

 こういったことを見ますと、どうも総理官邸と迫田元局長を含めたごく少数の方でこの問題が、近畿財務局は当然、ほかの省庁も含めて、決められている、そういうふうに私なんかは感じるんですね。麻生財務大臣は、この一連の売買契約の動きというのは、これは承知はしておられましたでしょうか。

麻生国務大臣 迫田の話、ちょっと今、あの当時は理財局長、迫田は理財局長のときの話ですか、今の話は。

 その話は、あのころの連日会っておられるのは何月という話でしたけれども、あのころはたしか郵便局の上場の話が一番連日詰まっていた話だったと記憶しますので、その関係じゃなかったかなと。ちょっと調べたわけじゃありませんけれども、まず想像的には、連日会っておられるとするならば、あのときは上場の話が詰まっていましたので、幾らで出して何とかというのを全部あのとき決めていましたので、その関係ではなかったかなと思っております。

 それから、私自身がこの森友学園の話を知りましたのは、これは平成二十九年の二月の九日に報道があっておりますので、この段階で初めて知って、たしかあれは、アメリカに行くことになっておりますので、その週末、そのままアメリカに行って、帰ってきた月曜日の日に後の話を聞いたのが、森友の話を最初に知ったと記憶しています。

末松委員 そうすると、財務大臣はそのころはほとんどこの問題について関与されていないというお話でございました。

 そのときに、迫田さんが参議院の参考人招致で、森友問題については一切報告を受けたこともなければ政治家等から問合せは一切なかったというふうに答弁しているんですね。やはりどうもこの辺でぱたぱたぱたっと森友問題のダンピングという話が出てきて決まったことを見ると、ここは迫田元理財局長が実質的にこの案件を決めた方として、もし、ここは、この委員会とか、参考人で呼ばれないのであれば、やはりうそをつけない証人喚問をすべきじゃないかと思うんですが、委員長、いかがでしょうか。

小里委員長 理事会にて協議いたします。

末松委員 なぜこういうふうに私が言うかというと、この決めたことに対して、後、佐川前局長も、今の太田理財局長も含めて、みんなそのつじつま合わせと尻拭いをしているように私にはちょっと見えるんですね。ですから、まず、決めた方がどういうふうな形で決めたのかということを明らかにしてもらうことが、森友問題を解決する上で一番重要なことだと思います。

 さて、次の視点に行きますと、改ざん文書の前と後を私もチェックをしたんですけれども、安倍昭恵さんが、名前が出てくるんですけれども、そのときにこういう記述が削除されているんですね。打合せの際、本年四月二十五日、これは二〇一五年の四月だと思いますけれども、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは、いい土地ですから前に進めてくださいとのお言葉をいただいたとの発言ありと。これは、括弧して、森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示、こういうふうに書かれてあるわけです。その後、この文書が改ざんされて削除されている。

 このような籠池さんの伝聞証拠で、近畿財務局のペーパーなんですけれども、近畿財務局が仕事を進めていくというのは通常あり得なくて、役所というのは、そういう伝聞証拠だけでなくて、裏をとりながらきちんとした手続の中で仕事を進めていくというのが通常だと思うんですけれども、昭恵夫人に直接に聞いたとか、そういうふうな手続を財務省は行ったんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員が御指摘のところの、総理夫人がこういうふうにおっしゃっているというふうに籠池理事長がおっしゃっているという部分ですが、そういうことについて、近畿財務局の方が、あるいは本省を通してでも、総理夫人あるいはその近くに確認をするというようなことは一切していないということでございます。

末松委員 これは、本省の方でも、そういった伝聞証拠をそのまま受けとめて、進めさせていくという指示はしたんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 決裁文書の経過部分に、確かに、書きかえ前にそういうことは書いてございました。ただ、いずれにせよ、本件土地の、この時点は貸付けということに向けてという状況でございますが、本件土地の貸付けについてこの発言なりこの行動によって事が変わるわけではございませんので、このときに、その前後をお読みいただければあれですけれども、基本的には森友学園が学校法人として認められるかどうか。認められるのであれば、国とすれば、基本的には遊休の土地があれば、まずは公用、公共用として使う。ということは、地方公共団体あるいは学校法人あるいは社会福祉法人として使うのであれば、それが優先だと。そういう優先に使うところがなければ、金に換算する。要するに、一般競争入札で売却すると。

 そういうことでございますから、そういう意味で、この申出の出た森友学園が学校法人として認められて学校法人に対して貸付けあるいは売却という方向に向かうのか、認められないので一般競争入札で売却に向かうのかというところがポイントですから、学校法人として認められるかということに向けてのところが一番基本の部分だというふうに思っております。

末松委員 学校法人として認められるか認められないか、それにプラス、やはりそこは太田局長もこの前の参議院の答弁でも言われているように、やはりそんたくがあったんでしょうという話に当然なるわけなんですね。

 ですけれども、やはりきちんとそこのところをはっきりさせないと、単に学校法人として認められるか認められないかの問題なんだ、あとは関係ないんだという形でこの問題を歪曲化していくと、ますます何が何かわからなくなってきますので、これはまた委員長にお願いしたいんですが、昭恵夫人と、それからその秘書官だった谷秘書官を、ぜひそこは証人喚問をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小里委員長 理事会で協議いたします。

末松委員 私たち立憲民主党としても非常にこの点を注視をしていまして、もし、この迫田元局長と昭恵夫人、そして谷元秘書官、これは我々としても非常に重視をしているんですけれども、こういう方々を呼んで財務省がヒアリングをするということは全く考えられないですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほどおっしゃられたのは三名の方でございますが、総理夫人あるいは谷夫人付というのを財務省が呼んでヒアリングするというのは、ちょっと想定にも及びません。

 その上で、迫田、私の前々任でございますが、これはもちろんできますけれども、基本的にそのとき彼がどういう関与をしていたかということは私どもは承知しておりますし、私は当時迫田が理財局長のときに総括審議官をしておりましたので、先ほど委員が御指摘のありました、総理官邸に行って総理に会ったというときに何をしていたかというのは私は職務上承知をしておりますので。

 それは、先ほど大臣から御答弁がありましたように、日本郵政の株を初めて上場するというので、それをやるのかどうか、あるいはいつどういうふうにやるのかということが大きい一つだったことと。

 それからもう一つは、社会福祉法人、特に介護施設が特に都会の方でなかなか進まない、要すればなかなか数がふえていかないので、高齢者の方に大変御迷惑をかけている、あるいは高齢者を介護していらっしゃる方に御迷惑をかけているという状況で、国有地を定期借地、借地を進めることによって介護施設をできるだけつくっていただくようにするということをそのとき始めようとしたということですので、その件について相談に行っているということを私はよく承知していますので。

 そういう意味で、迫田がそういうことに関知していないのはよく承知しているので、そういう意味では必要ないというふうには思ってございます。

末松委員 逆に、ちょっとお聞きしたいんですけれども、では、この森友学園の問題はそのときには全く話題に出なかったということは言えるんですか。

太田政府参考人 かつてこの話が話題になったころに、私は迫田と一年違いなので、迫田と話をしたときに、いや、本当に聞いていないし、全然知らないと言っていましたし、多分、それはどう考えても、これもたしか朝日新聞に、ああ、毎日新聞でしたか、取り上げられて国会の議論が始まってから基本的に承知をしておる話なので、迫田は知らなかったのは、本当に知らなかったというふうに思っています。

末松委員 にわかにはちょっと私は信じられないところもありますけれども、時間がないので次のテーマに行きます。

 この改ざん問題で、昨日、近畿財務局のペーパーが一枚抜き取られたということで、これは、大阪航空局が主導して、ごみ撤去費用を計上することで土地の価格をダンピングする、安くするという提案をすると書いてあるわけなんですけれども、財務省側から価格の提示を行ったことがないという佐川答弁と矛盾するのじゃないかと思うんですが、まずちょっと国交省、それはそういう形で主導したことは事実でしょうか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 今回新たに報告があった、売払い決議書から削除されていた文書につきましては、財務省の方で作成、公開をされたものということでございます。それで、私どもとしては、私どもでつくった文書ではないものですから、この場でお答えをするのはちょっと差し控えさせていただこうと思います。

末松委員 ただ、合い議というか協議にはあずかっていますよね、大阪航空局、また国土交通省。どうですか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 当時、近畿財務局と協議はしていたんじゃないかというふうに思っております。

末松委員 きょうは何か、そこは明らかにできなそうですね。

 では、近畿財務局の方はどうなんですか。これは事実ですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員が御質問をいただいているのは、私どもの至らなさでおくれて提出をさせていただいた決裁の参考メモということに書いてあることについての御質問でございますので、この紙自体は近畿財務局が作成したものでございますので、近畿財務局として、当然、事実のことを書いているということだと承知をしております。

末松委員 私が聞いているのは、だから、この佐川答弁にあるように、価格交渉等は国が主導してやったものじゃないということ、これと矛盾するじゃないかと聞いているんですが、そこについてはいかがですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘は、この文書の中にある、一番最後のあたりに出てくる、五月末を目途に土地の評価額から廃棄物処理費用を減額した価格提示を行い売却を行う方針で作業を進めると書いてある部分の価格提示ということだと思います。

 これは、五月末には不動産鑑定士から不動産鑑定評価額を頂戴をして、そこから、それ以前に大阪航空局で積算、試算をした地下埋設物の除去費用、それが八・二億円ということになるんですが、それを差っ引いた額、一億三千四百万ということになるんですが、それが予定価格といって、国側が決める、その予定価格を提示するということでございますので、前局長も私も、価格を提示する云々というのは、価格を提示するのは予定価格、今申し上げたような予定価格を提示する、その提示をした上で、相手方がのんでいただければ契約が成立し、のんでいただけなければ契約が成立しないということを申し上げていますので、ここで言う価格提示はその予定価格の提示ということでございますので、今まで申し上げてきたことの、そのまさに予定価格の提示のところをこの文書は書いているということでございます。

末松委員 これはまた後で詰めさせていただきます。ちょっと時間がないので。

 財務大臣にお聞きしますけれども、財務大臣はこの改ざんについて三月十一日に初めて知ったということですけれども、それまでは全く知らなかったということですか。

麻生国務大臣 私ども、最終の調査の結果につきましては、三月の十一日の日に報告を受けたと記憶をしております。

末松委員 これまで全く財務大臣が知らなかったということもちょっとなかなかにわかには信じがたいところでありますけれども、もしそれが本当に知らなかったということであれば、本当に、役所の事務方から大臣自身がなめられていた、こういうふうに世間の一般の人が思うのは多分当然のことだろうなと思うんですね。

 これはちょっと、監督責任というか、実際に省庁の監督責任という観点からいけば、これはちょっと大きな問題になるんじゃないですか、大臣。

麻生国務大臣 私の方から、三月の二日に、いわゆるこの新聞記事等々に基づいて指示をしたのが三月の二日の金曜日だったと思いますが、それ以後、財務省としては、財務省の職員への聞き取りをやらせていただいたり、文書の確認とか、また、捜査当局へ協力の依頼をしませんと、これは今捜査を受けている立場ですから、我々としては、聞き取りといったって簡単にできるわけではありません。口裏合わせとかいろいろ言われますので、なかなかできないというので。

 それでも、私どもとして、一次報告としていろいろ上がってきた情報というのを突き合わせて、突合して、全体像の確認をさせていただいているというのが役所の立場だというのは当然のことなのであって、その途中経過を一々全部俺に直接口上しろというようなことを私がトップとして言うことはありません。少なくとも、それは、担当責任者がきちんとした最後のものをまとめて持ってくるまでじっと待たにゃいかぬというところだと、私どもはそういう考え方を持っております。

 したがって、事務方が必死になって約一週間ぐらいかけていろいろ作業をさせていただいたんだと思いますが、いろいろ御批判はあるかと思います。三月の十二日の日に、我々としては、それなりに、これだけの膨大な資料を合わせて、少なくとも、近畿のいわゆる大阪地検まで行って資料を全部突合させる等々のことをやらせていただくということができたので、三月十二日にお示しできたのは、我々としては、それなりに早い、それなりの結果を出したものだと思っております。

末松委員 手続が財務省として大変だったよねということを、それを財務大臣はおっしゃっていますけれども、ポイントは、大臣がずっと知らない状況がずっとこの一年間近く続いていたということが問題なので、それが監督責任じゃないですか。そこはちょっと、大臣のポイントを外した答弁というのを、私にとってもやや、いらいらするわけなんですけれども。

 大臣の答弁を見ていますと、もう悪いのは佐川局長なんだというふうにインタビューで言われていましたけれども、最後の質問なんですけれども、今、総理の呼び声も高い若手の代表として、自民党の筆頭副幹事長の小泉進次郎議員が、自民党というのは官僚だけに責任を押しつける政党ではない、その姿を見せる必要があるのではないか、こういうふうに彼は言って、そこは国民の方も、非常にそれはそうだというふうに言っているということがあるんですけれども、大臣、その小泉さんのコメントについてどういう認識を持たれておりますでしょうか。

小里委員長 時間が来ております。簡潔に答弁願います。

麻生国務大臣 小泉さんの御意見だと拝聴させていただきます。

末松委員 またこの問題について引き続き質疑させていただきます。ありがとうございました。

小里委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 本題に入ります前に、森友学園問題について、一言私からも申し上げます。

 平成も、残すところあと一年と少々になりました。この平成の政治史に、平成というよりも戦後の、昭和、平成を通じての一大スキャンダルと言ってもいい今回の森友、加計学園問題、この平成の政治史の最終コーナーをこういう形で迎えていることを大変残念に思っています。

 今回の、特に公文書等に関して、森友学園についてですけれども、該当する可能性のある罪として挙げられているのは、公務員職権濫用罪、背任罪、偽計業務妨害罪、虚偽公文書作成罪、公文書偽造罪、公文書変造罪、公用文書毀棄罪、証拠隠滅罪、さまざまなものが専門家によって指摘をされています。とんでもない事態です。道交法でいえば、無免許で、お酒を飲んで、シートベルトもしないで、携帯電話をかけながら、スピード違反で赤信号を無視していく、こういうようなとんでもないような事態が今行われているということを、私たちは、成熟したはずの民主主義国家でこういうことが行われているということを認識して、原因究明に当たっていかなくてはいけません。

 麻生大臣も連日お疲れさまです。本当に大変なことだと思います。リーダーの役割は、最大の役割は、責任をとることですから、さすがにもう身の引きどころは探っておられるかとは思います。きょうは、関税定率法の議論では、直接に私からお話は伺いませんので、心穏やかに座っていただければと思います。

 そして、太田理財局長は、今、席を外されていますが、本当に大変な今、職務に当たられているというふうに思っています。きのうの与党の国会議員による侮辱発言というのは、私も本当に、一人の人間として許せないと思っています。組織として、政治から言われてやらされたのか、みずからやったのかはわかりませんが、財務省の方々は本当に、きのう布団に入る前に枕を涙でぬらした方もいらっしゃるのではないかと思います。針のむしろではありますが、原因究明へ向けて、財務省の皆さんもみずからの役割をしっかりと果たしていただきたいと思います。

 そして、もちろん、佐川前国税庁長官、さらには安倍昭恵総理夫人からの、事の真相をはっきりさせるためには、証人喚問が絶対的に必要です。正常な政治に一日も早く戻すために、与野党を超えてこの問題解決に取り組んでいくことを心から願います。

 それでは、きょうの本題に入ります。

 先日は、国際観光旅客税についての議論がございました。私は、この法案については反対をいたしましたが、この前の議論でも申し上げましたとおり、外国人の観光客をふやしていくことは、成長戦略、地域振興、税収をふやすという観点から、大変望ましいことだと考えています。

 その一方で、たくさんの方に来ていただくことにより、出入国に当たって空港や港で長時間お待たせをしてしまったり、麻薬や金の密輸入がふえたり、また、手続や取締りをされる方々の業務量が大変なものになってきているということも発生をしてきています。

 きょうは、その一連の流れの中での議論、関税といえば入りの部分が中心となりますが、ここをしっかりと議論していけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、その上で、最終的な入りの段階、海の港、空の港、そして海岸線、さらには海の上、そしてさらに海の上の先のところからお話をさせていただけたらと思います。

 まずは、海岸線についてです。日本海側の話をさせていただきます。

 現在、日本海側においては、北朝鮮からのものと考えられる漂流、漂着木造船等が大量に流れ着いています。昨年は百四件、これは統計がとられてから過去最高です。本年に入っても、これは先日の十六日のデータで、もう既に四十一件です。三日に二件の割合で流れ着いてきています。昨年を上回る、過去最高を更新するのではないかとも推察されます。

 その上で、北朝鮮から来た船の乗組員が窃盗を働き、逮捕された事件もあったばかりです。遺体も流れ着く、さらには麻薬や武器などの密輸入も付随しているかもしれません。漂着船が流れ着くたびに、自治体関係者、地元の方々含め、海上保安庁、警察、そして税関の皆様には、この長い日本の海岸線を奔走をされています。

 私の選挙区は能登半島ということで、毎年ですが、能登半島をぐるりと三日間かけて自転車で回るというイベントがあります。私も毎年出ているんですが、三日間で四百十キロあります。起伏も本当に激しいですし、砂浜のところであったり岸壁の岩であったり、この高低差や面の豊富さというものは、本当に体感をして、身をもって自覚をしているという思いがあります。

 その上で、能登半島だけだと四百キロ少々ですけれども、日本海側だけでいきますと一万キロ近くあるのではないでしょうか。日本全体でいけば三万四千キロぐらいだったと思いますが。この広い海岸線の本当の意味での水際対策というのには、おのずと限界というものがあると思います。漂着物に関しては、地元の方が第一発見者であることがほとんどではないでしょうか。

 招きたいお客さんがいます。一方で、招かざるお客をどうするか。これが今の日本の姿の一面であろうかと思いますが、この招かざる客、さらには物、物理的に制御できない、結果として、漂着物、侵入ということに関しては入り放題に近い現状、これをどうしていくか、本当に真剣に考えていかなくてはいけません。

 そしてまた、入るだけではなくて、逆に、出る、連れていかれる、すなわち拉致の再生産という可能性さえも今指摘されているところでございます。

 現状においても、拉致問題は解決をしていません。この上で、水際対策だけでは限界がありますね、この長い海岸線。その上で、さらに水際ではなくて水の上、水上対策という言葉があるかわかりませんが、現状は、この前段階に打って出るということも大変重要だと思っています。

 しかしながら、この水の上での対策、現状においては、残念な事態が現在進行しています。その一例が、一昨年から話題になっています大和堆、能登半島沖、大体三百キロから四百キロ沖に大和堆という漁場があります。こちらについて、日本の排他的経済水域ですが、北朝鮮船籍が違法操業しているという大変ゆゆしき事態が発生しています。私の地元でも、能登町小木という日本屈指のイカ漁の拠点がございますが、この地域の方々が、漁獲高が減るわ、そして、場合によっては、もう場合によってはではないですね、この北朝鮮船籍との衝突、また事故、故障等を避けるために遠い漁場まで、燃料はかかるわ時間はかかるわ体力は使ってしまうわということで、大変な事態になっているわけです。

 そして、この点については、水産庁、海上保安庁の皆様には努力をしていただいています。ここ数回の予算で巡視船などもふやすということも手をつけていただいていますが、広い広い海の上において、一隻や二隻、また飛行機も一機、二機ふやしたところで、劇的に解決に当たれる、問題がなくなってしまうというふうにはとても言えません。臨検、そして拿捕をする、厳しい取締りをしてほしいという強い要望もあります。

 そして、その上であえて申し上げますけれども、それでもまだ、臨検、拿捕ということにおいてでさえも、いわば来たものをどうするかという受け身の問題ですね、受け身になります。ですから、受け身で、来たものをどうするかということではなくて、さらにその前で、私は、外交上の問題として、やはり北朝鮮に対していかがなものかということを、前段階においてしっかりと手を打つことが大事だと思っております。

 この点につきまして、外務省に伺います。

 この漂着物、さらに侵入の問題、さらには日本海側の排他的経済水域における北朝鮮船籍の違法操業についてはどのように捉え、動かれているのかを教えてください。

中根副大臣 ありがとうございます。

 まず、違法漁業は、海洋生物資源の保存、そして持続可能な利用に対する大きな脅威であります。我が国の漁業秩序の維持のためにも、違法漁業対策が大変重要だということを認識しております。

 日本海側における朝鮮半島からと見られる船舶の漂着、漂流事案につきましては、外務省として、関係省庁と緊密に連携しながら対応してきているところでございます。例えば、北京の大使館ルートを通じて、こうした事案の再発防止を北朝鮮に対して強く申し入れているところでございます。

 先生がお話がありました大和堆のお話でございますが、大和堆を含む日本海の我が国の排他的経済水域におきまして、北朝鮮の漁船と見られる船舶が多数違法な操業を行っていることが確認されていることを承知しております。

 こうした状況を受けまして、北京の大使館ルートを通じて、先ほどもお話ししました、北朝鮮に対して、我が国のEEZにおける違法操業の停止、また退去するよう強く申入れをしてきているところでございます。

 いずれにしましても、政府全体として、我が国のEEZにおける北朝鮮の船舶と見られる船舶による違法操業に関しまして、厳正に対処してまいります。

近藤(和)委員 厳正に対処、また、北京の大使館ルートを通じてということを伺いました。

 恐らく、されることはある程度動かれてきているとは思いますが、ただ、依然として状況は改善をしていないということは認識をしていただければと思います。

 特に、漁師の皆様にとってみれば、一つ一つの漁の時期を逃すということは、まさしく自分の生活にかかわることでもございます。お子さんが進学するかどうかというときに収入がほぼなくなってしまうというときに、お子さんの人生にまでかかわる問題であります。五年後、十年後の解決ということではなくて、一時期一時期にしっかりと自覚を持ってここは動いていただければと思います。

 六月からこのイカ釣り漁は再開をいたします。六月、七月、八月のときに国会の場で同じような議論がないように、答弁がないようにぜひとも心がけていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、済みません、政務官、ありがとうございました。お帰りいただいて結構です。ありがとうございました。

 それでは、次の質問に参ります。

 今回の改正法では、暫定税率の適用期限の延長、個別品目の基本税率の見直し、特恵関税制度の見直しに伴う基本税率の無税化、金の密輸入に対応するための罰則の引上げがあります。

 その上で、今回の法改正によって、物流の増減はどの程度と考えているでしょうか。よろしくお願いします。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成三十年度の関税改正におきまして、関税率の関係でございますけれども、今おっしゃいました三百九十二品目に関する暫定税率の適用期限の延長、それから、昨年度関税改正における特恵関税制度の見直しを踏まえまして、我が国産業の国際競争力維持の観点から、ジスプロシウム鉄合金等六品目に係る基本税率の無税化、こういった措置を講じているところでございます。

 御指摘の三十年度関税改正による貿易量、輸出入量に対する影響でございますけれども、先ほど申し上げました暫定税率につきましては、これが設定されている物品についてその適用期限を延長するわけでございますので、これら品目の実行税率に変化はないということになります。

 また、昨年度関税改正における特恵関税制度の見直しによって本年四月から特恵税率が適用除外となる一部品目等について、その基本税率を三十年度改正で無税化するということでございますので、その結果、これら品目についても従来の実行税率が維持されるということでございます。

 以上、三十年度関税改正の関税率に関する内容について概観して申し上げますと、基本的には現行の実行税率が維持される内容となっております。

 したがいまして、我が国の貿易の輸出入量の動向につきましては、全体としては、国際経済情勢や為替動向等にもよることから一概には申し上げにくいと思いますが、今回の関税改正自体そのものによる輸出入量への影響は軽微なものではないかと考えておるところでございます。

近藤(和)委員 増減ということではほぼ変わりがないという答えでした。その点で、関税収入は上がるということは伺っています。

 そして、さらには、別の質問に参りますが、今月の八日にTPP11が署名をされました。このTPP11の意義、効果、物流に与える影響などをどう考えているか、経産省、よろしくお願いいたします。

鑓水政府参考人 お答え申し上げます。

 TPP11協定の経済効果につきましては、GTAPモデルによるマクロ分析結果を昨年末に公表しております。

 それによりますと、我が国のGDPの押し上げ効果が約一・五%、金額換算で七・八兆円、また約四十六万人の雇用増という分析結果となっております。

 そうした効果が生じる前提といたしまして、TPP11協定による関税の撤廃、削減による輸出入の増加に加えまして、非関税措置である貿易円滑化等の規定により貿易・投資のコストが下がり、それにより貿易・投資が更に促進されることが見込まれているところであります。

 ただいま申し上げた分析はマクロ効果分析でございますので、物流への影響のみを取り上げて算出してはおりませんが、TPP11協定の発効によりまして、我が国の貿易・投資が増加し、それによる物流の活性化が期待されるところでございます。

近藤(和)委員 全体的には、物流ということだけに特化しては数字は積み上げていないということでした。

 その上で、間違いなく、このTPP11が締結されることによって物流がふえるということですが、通関処理体制はこのことを受けてどのような対応をされていますでしょうか。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど内閣官房からも説明がございましたように、TPP11協定の発効によって我が国の物流が活性化することが予想されますので、当然、税関の方でもそれに伴って業務量の増加が予想されるわけでございます。

 例えばということで申し上げますと、関税分野におきましては、輸入される貨物が特恵税率の適用対象である原産品であるかどうかを決定するためのいわゆる原産地規則につきまして、これはEPAごとに異なる制度となっております。したがいまして、今後、TPP11協定が発効すれば、税関において、輸入貨物がTPP11上の原産品であるかどうかの確認作業等を実施する必要があるということで、税関の業務量は今後増加することが見込まれるわけでございます。

 これに対しまして、税関では、日本が締結するEPAが増加する中で、原産地規則に精通した職員を適切に配置し、EPAが適正かつ円滑に利用されるように所要の定員の確保を行うなどの体制整備を進めているところでございます。

 今後とも、行政需要に適切に対応できるように、税関の体制整備に努めてまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 適切な人の配置ということで対応をされている、そしてこれからも考えていかれるということを伺いました。

 実際には、国際観光旅客税のときにも議論になりましたが、機械化すれば、はい、それで終わり、人に取ってかわるというものではなくて、やはり適正な人の配置というところは大変重要ではないかというふうに思っています。

 観光のお客様をふやしていこうという今の方針は大賛成ですし、そして、これからは諸外国との経済連携を通じて物の出入りがふえていきますよという、この人と物の対応というところをしっかりと当たっていただければと思います。

 そして、改めて、今回は、金に関しての罰則強化ということが今回の法案の中にございますが、きのうも逮捕者が出たという報道がありました金密輸に関しての現状、また、どのような形で密輸されているのか、対処されているのかということを教えてください。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、金密輸の現状でございますが、先ほども少し御答弁させていただきましたけれども、全国の税関が摘発した金の密輸入事件について数字を申し上げますと、平成二十八年、摘発件数が八百十一件、押収量が約二・八トンであったのに対しまして、平成二十九年は、摘発件数が千三百四十七件、押収量は約六・二トンと急増をしております。

 この金の密輸が増加している理由でございますけれども、確たることは申し上げにくいわけでございますが、以下のような理由が考えられるのではないかと考えております。

 一つは、金が小型で、隠匿が容易な高価な物品であること。また、密輸を企てる者にとって、密輸に対する罰則が軽いと見られていること。また、国内の金買取り業者における換金が比較的容易であること。また、金の国際価格が存在することから、価格の予見性があるとともに、近年その価格が高どまりしていること。以上のような理由が考えられるところでございます。

 密輸形態というお尋ねでございますけれども、飛行機の旅客が持ち込んでくるもの、それから、クルーズ船の旅客が持ち込んでくるもの、貨物に入っているもの、それから、洋上で、いわゆる瀬取りと呼んでおりますけれども、漁船に積みかえるもの等、手口はさまざまでございます。それから、航空機の旅客が持ってくる形でもいろいろな形で持ってくるということで、手口は巧妙化しているところでございます。

 それに対する対策についてのお尋ねもございましたが、こういった状況を踏まえまして、これまでにない広範で厳格な密輸取締りが必要であると考えまして、昨年十一月に、緊急かつ抜本的な対策を早急に実施するために、ストップ金密輸緊急対策と呼ぶ対策を策定、発表し、実施しているところでございます。

 内容的には、三つの柱ということで、門型金属探知機の配備やX線検査装置の拡充等の検査の強化、それから罰則の大幅な引上げ等の処罰の強化、それから国内外の関係機関との情報共有、連携強化等の情報収集及び分析の充実、こういったことに取り組むこととしておりますし、また、その他、広報の充実、体制の強化などを行うことにしております。

 先ほども御答弁申し上げましたが、そのうちの一つの柱でございます処罰の強化につきましては、罰則の強化を今御審議いただいている法案にも盛り込んでおるところでございます。

 いずれにしましても、この対策に基づいて、財務省・税関では、関係省庁と連携しながら、金密輸に対する一層厳格な取締りを着実に実施していきたいと考えております。

近藤(和)委員 今回の金に関しての罰則強化というのは、かなり、ある意味、勇気のある、飛び抜けた形での、一歩踏み込んだものだというふうに私は評価をしているところでございます。ただ、その上で、本当にこれが効果があるのかどうかということは、数年、一年、二年、三年たってみないとわからないと思いますし、その上で、新たな巧妙化というところも進んでくると思いますので、機械であったり、また人の配置というところもしっかりと心がけて、この水際対策に努めていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 そして、最後の質問に入ります。

 今、人もたくさん入ってくる、そして物もたくさん入ってくる。その上で、先日は国際観光旅客税の議論がございました。この国際観光旅客税の議論の中で気になったことがございます。

 それで、麻生大臣もたびたび、お話として、博多港でたくさんお客さんに来ていただいて、六時間以上も待たせてしまって、そういったことで、この状況を改善していかなくてはいけないということも何度か答弁されておられたと思います。

 そして、末松委員も、うえの副大臣、またさらには水嶋参考人とのやりとりの中で、国家公務員の人件費には充てるのか充てないのかというところが、かなりあやふやなままで時間が来て終わったのかなというふうに思います。

 もう少し簡潔化して、この先日の議論を踏まえてということで簡潔に申し上げたいと思います。今回の旅客税の使い道として、国家公務員という広い表現ではなくて、税関職員の増員などに使えるのかどうか、教えてください。

うえの副大臣 お答えいたします。

 税関など出入国の現場職員の人件費の充当という点についての御質問だと思いますが、御紹介のありました先般三月二日の衆議院の当委員会におきまして私から御答弁を申し上げましたけれども、その業務が受益と負担の関係に照らして、国際観光旅客税の使途とすることが適当であるかということを確認をする必要があり、一概に排除するものではないと考えております。

 平成三十年度予算におきましては、使途に関する基本方針に基づき、特に新規性、緊急性の高い施策や事業として、税関分野におきましては、税関検査場の電子化ゲートの整備などに充てることとしておりますが、現場職員の人件費には充当していないところであります。

 平成三十一年度以降の税収を充当する具体の施策や事業につきましては、先ほどの基本方針に基づきまして、受益と負担の関係、先進性、費用対効果等の観点から十分に検討してまいりたいと考えています。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 今の御答弁の中では、受益と負担の関係の上で、以前であればストレスフリーという言葉が何度も出てきましたけれども、ストレスフリーに資するのであれば、そして払われている方の利益に供するのであれば、税関職員の部分に充当はされ得る可能性があるという認識でよろしいでしょうか。確認だけお願いいたします。

うえの副大臣 受益と負担の関係というのは非常に大事でありますので、そのところをしっかりと確認をするということが大前提でありますが、排除するものではない、すなわち可能性はあるということであります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 国土交通省にも同じことを伺いたいと思います。

 今回は、国土交通委員会で、いわゆる出にかかわる、正式名称は、外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案、長い名前になりますが、この部分で、同じように、税関の職員の方々の部分に、可能性として考えているのか、もともとそうするつもりだよということなのか、いやいや違うということなのか、国土交通省の見解をお願いいたします。

あきもと副大臣 ただいま財務省から御答弁のあった内容につきまして、国土交通省としても同一の認識であります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 今回の関税、そして国際観光も、私たちは海に囲まれた国ですから、港であり、そして水際であり、そして水の上であり、そして外に対しての、よその大陸への働きかけであったりということで、さまざまな対策をそれぞれの場面で関係省庁が手を携えて頑張っていかなくてはいけないんだろうなというふうに思います。

 私も、一国会議員の立場として、各地域、日本全体での利益ということ、そして安全ということ、そしてそれぞれの地元における、瞬発的に問題が発生ということは、今この瞬間、船が流れ着いている可能性もあります。好まない侵入者が来ている可能性もありますし、人が連れ去られてしまっている瞬間も今あるかもしれません。

 こういったことに関しては、しっかりと、その都度その都度、国会の場で取り上げて問題解決を図っていきたいと思いますし、未然に防ぐということが最大の私は防御だというふうにも思いますので、こういった点をまた皆様と手を携えて頑張っていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

小里委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 無所属の会の野田佳彦でございます。

 関税定率法の一部改正、中身はいろいろありますけれども、私も、金の密輸の実態と、そのための対策としての罰則の強化について関税局長にお尋ねをしていきたいと思いますが、せっかくの機会でありますし、大臣もいらっしゃいますので、まず、法案審議の前に、一つ二つ、大臣の御見解をお尋ねをしたいというふうに思います。それは、G20についてであります。

 ブエノスアイレスで昨晩から大事な会議がスタートしていますけれども、このアルゼンチンの会議についてお話をいただく前に、まず、一般論としてのG20の存在意義といいますか、我が国の経済外交戦略を考えた上での位置づけについてお尋ねをしたいんですね。

 というのは、財務大臣として財務大臣・中央銀行総裁会議には何回も出ていらっしゃると思います。そして首脳会議にも出ていらっしゃいますね。このG20のほかに、G7もあるし、APECもあります。さまざまな国際会議がありますが、例えばG7だと、一種の先進国クラブのようで、金融危機みたいなときがあると、機敏な対応をする上ではこの規模とこのメンバーは有効だと思うんですが、グローバルな課題について、新興国も含めて意見交換をし、時間はかかるけれども、方向性を見出していくという意味においては、G20の存在感は、私はますます増してきているというふうに思うんです。

 ただ、厄介なのは、G20というと、二十の国、地域が入っているということでありますけれども、何かオブザーバーみたいな国がいつもいますよね。スペインとかオランダとか、何かいつもいるんですよ。二十以上なんですよね、参加主体が。国際機関はIMFなどありますよね。そうすると、特に財務大臣・中央銀行総裁会議というと、しゃべる機会のある人が五十人以上いるんです。一人五分しゃべっていったら、えらい時間がかかりますよね。もう本当に大変な会議でありますが。その場で日本の主張をしっかりとするということは大変重要だと思うんです。

 このG20について、我が国の経済外交戦略上どのような位置づけをされているのか、まず、大臣の基本的な見解をお尋ねをしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 二〇〇八年のリーマン・ブラザーズの破綻が起きましたときに、ブッシュ、時の大統領から電話がかかってきて、G8と言うので、ナンセンスだ、今こんなときにG8なんかやっても意味がないと。今、中国と韓国と日本と足したGDPが、イギリス、ドイツ、フランスを足したGDPより大きいということを知っているかと言ったら、ノーと言うからイエスだという話をして、どうすればいいと言うので、アジアから中国、韓国、インド等々の国を入れてもう少し広いものにして考えないと今の金融に対する危機対応はできないという返事をして、それが結果的にG20につながって、翌年、G20をやらせていただいております。

 いずれにしても、ああいう時代というのは、まあ特殊な環境だったとは思いますけれども、それが定着して、かれこれ五、六年たっていると思いますが、今、野田先生言われましたように、これに、いわゆる世銀だ、IMFだ、OECDだというのも全部これに入ってきていますし、加えてEUなんというのも出てきていますので、いろいろな意味で、かなりの数になってきておりますので。

 言われたように、そこでどう発言するかというのは、みんな聞いてはいますけれども、誰がどう発言するかというのは、これはプレゼンテーションも含めて問題だとは思いますが、五年間の間に大きく変わって、今は間違いなく、日本が無視されるなんてことは全くなくなりましたね、今は。少なくとも、最初にジャパンといって、下手したら最初に振られる可能性が一番ありますので、そういった時代になっておりますので、日本としての存在というのは、私が財務大臣に赴任した五年前とは全く違った形になるほど、経済がよくなってきているんだと思いますが。

 そういった意味では、日本としては、このG20というものの中を大いに使うべきものなんだと思っておりますので、残念ながら今回は参加できませんでしたけれども、そういったようなものは、日本の、国際金融とか、そういった世界の中での地位の向上に合わせて、日本としてきちんとした発言をし続けていくべきだと考えております。

野田(佳)委員 御認識よくわかりました。

 大事な会議なんですよね。しかも、G20のそれぞれの国、地域のGDPを合計すると、世界全体の九割です。貿易総額でいうと全体の八割です。それぐらいの大変影響力のある国がそろっているところで方向性を出すということの意義は大事でありますし、そこで日本が主導的な役割を果たすべきであります。

 この五年間でだんだん発言権が増してきたと今大臣はおっしゃいましたけれども、それは大臣が五年やっているからですよ、古株だからですよ。これは次々と入れかわっちゃだめなんです、本来。ある種のコミュニティーの中で、いつもの顔がしっかり発言をするというところに意味があるんですね。そこまで御認識は一緒なんですけれども、問題は、今回欠席をせざるを得なかったことが、どれだけ国益を損ねるかというところです。

 というのは、今回の場合は、仮想通貨の規制についての議論が一つの重要な議題でしたね。日本は独特のスタンスで今まで来ていますよね。この間の一月の事案を踏まえて、金融庁の監督を強化する方針が出てきました。登録制を設けるなどもやってきました。一種、業界を管理しながらも育てようというのが日本の方針ですね。違う国はいっぱいあるじゃないですか。日本は何をやっているかということをきちっとお話をして、そして世界の流れをつくっていくという役割があったと思います、一つ。

 それからもう一つは、やはりアメリカが、トランプが、鉄鋼とアルミニウムについて、急に関税を引き上げるという方針を示しました。それに対してEU等は報復措置をとろうとしている。貿易戦争の前夜じゃありませんか。開戦前夜です。アメリカは同盟国であるけれども、自由貿易よりもラストベルトを重視するのかということぐらいは、親しい関係である日本が言わなければいけないんですね。

 まさに、そういう大事な局面の大事な会議で、しかも、来年は日本が議長国じゃありませんか。その日本が、発言の機会はありますよ、副大臣が出ているし、日本銀行の総裁も出ていますけれども、古株になりつつある大臣が出なかったことの、これは私は国益を損ねるマイナスは極めて大きいというふうに思いますが、この点についての所感をどのようにお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 国会でも同じで、当選回数の大きいやつはでかい面をしているんですよ、やはり。みんな偉そうな方が大体こちらにいて、高木さんなんかは今悲哀を味わっているところかと思いますけれども。それはそうなるんですよ、どうしたって。当選回数の多い古手の方がだんだんだんだん、それは当たり前の話なので。

 今、G20の中央銀行総裁会議では、一番古手だったのはドイツのショイブレだったと思いますけれども、この人が引退しましたので、ついに私が一番古手になることになろうと思いますけれども。

 いずれにしても、ああいったところにおいて、今、野田先生がおっしゃったように、そこで秩序ができますので、流れもつくられてしまいますので、そういった意味ではこれはすごく大事だと思います。

 今、アメリカのお話が出ていましたけれども、これは、アメリカにとりましてはやはり貿易赤字というのが極めて大きいので、今、少なくともアメリカの貿易赤字の五二%ぐらいが中国一国で赤だと思いますし、今、日本、ドイツ、メキシコで各八%、九%前後だというのがアメリカの貿易赤字の日本の占める比率だと思いますが、かつて、四七、八%の赤字を日本だけでという時代とはもう全く今は変わっておりますので。

 そういった実態というものをきちんとアピールして、数字で示して、グラフで示して、プレゼンテーションをやって、俺のところはこうなっているということの実態を、やはり少なくとも、政権を担っている、例えば財務、外務、大統領、副大統領あたりにびしゃっとそういった数字をわかりやすく説明するという努力は、これは政治家のやらねばならぬ最も大きな仕事の一つだろうと思いますので、そういったものを、ぱらっと、別に会談する必要なんか全くない、その紙を一枚、はい、これが実態と言ったら、おおっという話ができるようになるところが一番大事なんだと思いますが。

 そういった機会を今回ちょっと外しましたので、私どもとしては、こういったもので、ちょっと対応はおくれるとは思いますけれども、木原副大臣をしてその役をやってもらわねばならぬところだと思いますが、いずれにしても、人間関係がぴしゃっとでき上がるには、どこでもそうですけれども、少々時間を要しますし、人間関係が確立されるまでの間はたらたら努力をずっと積み重ねていく、そのためにはやはりしょっちゅう会い続けるというのはすごく大事なことだと思っております。

野田(佳)委員 大事な会議、重要な会議だったんですよ。副大臣が出られています。木原副大臣は優秀な方だと思いますし、日本を背負って頑張っていらっしゃると思いますけれども。

 私は、実は財務副大臣としてG20の財務大臣・中央銀行総裁会議に出たことがあります。やはり違いますよ、大臣と。いきなり世界のそういうある種のコミュニティーのメンバーに、ハウ・ドゥー・ユー・ドゥーから始めなきゃいけないんです。彼らは、その後ろにいる日本銀行総裁や財務官とはフレンドリーに会話へ入ります。その後ろにいる通訳とはいつもかかわっているからもっとフレンドリーにしゃべりますよね。という悲哀を感じたことがあります。財務大臣なり総理大臣になってようやくなじんできて、バイの会談も含めて突っ込んだ議論ができるので、やはり、いきなりこの重要な会議で副大臣がその責任を負うというのは重過ぎるんですよ。

 問題は、そうなってしまった理由が、公文書の書きかえという、改ざんという、とんでもない理由じゃないですか。私は、それだけ、こういうことにおいても、経済外交上においても、大きく国益を損ねたことに対する責任をもっと感じてもらって、猛省する言葉が欲しかったんですよね。残念ながら、余りちょっとそこが感じられなかったのが残念でありますが、私の持ち時間二十分しかないのにまだ法案の中身に入っていませんから、法案の中身に行きます。項目を六つぐらい挙げているんですが、多分たどり着かないかもしれませんが、なるべく、よろしくお願いいたします。

 まず、先ほど数字が上がっておりました金の密輸件数、前年比六六%増、千三百四十七件。これは過去最多でありますよね。そして、これは押収量でいくと六千二百三十六キロということでございますが、この分量の金の金額は幾らに相当しますか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 委員おっしゃいましたように、二〇一七年の金密輸に係る押収量六千二百三十六キロでございますが、この押収した金の中には、金地金に加えて、一部加工された金製品なども含んでおります。これが仮に全て金地金であったと仮定をいたしまして、二〇一七年の押収量でございますので同年の金地金の平均価格一グラム当たり四千五百十九円というものを用いて機械的に計算いたしますと、この価格は約二百八十二億円となるということでございます。

野田(佳)委員 二百八十億円に相当する金をいわゆる押収したということですが、これに係る消費税額だとどれぐらいになりますか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました約二百八十二億円というものに対しまして消費税率八%を掛けますと、この消費税額は約二十三億円と計算できるところでございます。

野田(佳)委員 ということは、税関の御努力によって、二十三億円分の消費税に当たるものについては摘発できているということだと思うんですよね。

 こういうお尋ねの仕方をしましたのは、この金の密輸がふえている背景には、いろいろな理由を先ほど別の方の答弁の中で局長はお答えになっていましたけれども、消費税が非課税の地域などから買った金を税関で申告しないで、そして日本に持ち込んで、日本国内で売って、消費税分の利益を得るというような手法が横行してきているというのが一つの大きな要因だというふうに思いますし、現実に、消費税率が五%から八%に上がった、二〇一四年だったですか、あれ以降、急増しているんですよね。

 ということで、消費税に絡めてお尋ねをいたしますけれども、今、二十三億円分、消費税分取り返しているということは、これは一つの努力だと思いますが、まだこれは氷山の一角ですよね、金密輸の。税関は頑張っているけれども、氷山の一角ですね。その氷山がどれぐらい大きいのか、これはなかなか推計するのは難しいと思うんです、難しい。正確に把握することは難しいんですが、ちょっと私の推論の計算で尋ねていきたいと思うんですね。

 一つは、貴金属流通統計、これは全部把握していないようですね。貴金属の統計って全体を把握していないので、一角の中の一角かもしれませんけれども、二〇一六年における金地金の国内生産量九十六トン、国内消費量五十八トンとなっていますので、その差、余剰分三十八トンは、これは輸出されていると理解してよろしいでしょうか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 今の委員がおっしゃいました統計、これは経産省のエネルギー庁が公表しているものでございますけれども、この統計の中には、委員がおっしゃいました生産や消費のほかに、流通、私的保有、輸出入、在庫の増減などさまざまな取引形態がありますので、結論として申し上げれば、確たることは申し上げにくいわけでございますが、ただ、委員がおっしゃいました国内生産量九十六トンとそれから国内消費量五十八トンの差の三十八トン、これは国内における供給超過分でございますので、これが二〇一六年の輸出量百九十七トンの一部になっているということは言えようかなと思います。

野田(佳)委員 一方で、もう一つ、貿易統計というのがありますよね。これは通関を通ったものでありますが、貿易統計だと、金地金の二〇一六年の輸出量百九十七トン、輸入量五トンですね。輸出量はどんどんふえています。そして、輸入量はどんどん減っています。輸出超過分は百九十二トンとなっていますけれども、この百九十二トンから、さっきの、ちょっと統計上、全部網羅していないという貴金属流通統計の三十八トンを引くと、百五十トンぐらいの差が、大半が密輸によるものではないのかなと粗っぽく推察をしますけれども、どうですか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、貿易統計におきますと、二〇一六年の輸出量と輸入量の差は百九十二トンでございます。ただ、先ほど申し上げましたが、例えば家計における私的保有ですとか在庫の増減などがありますので、今おっしゃいました百九十二トンから、先ほどの統計上の三十八トンを引いた百五十四トンの大半が密輸による余剰分と申し上げるには若干難しい面がございますが、ただ、委員がおっしゃいます計算も一つの推計であるというふうに考えております。

 いずれにしましても、私どもとして、相当程度の密輸があると考えておりますし、先生がおっしゃいますように、私ども税関が摘発している金の密輸は氷山の一角と言わざるを得ないというふうに考えております。

野田(佳)委員 さっきは輸出量がどんどんふえて輸入量がどんどん減っているというお話をしましたけれども、傾向として、やはりこの背景には、密輸が大きく影響しているように思います。

 さっきの、ちょっと、百五十トン程度というのは粗っぽい話ですが、もし百五十トンが本当に密輸だったらこれは消費税額としてはどれぐらいになりますか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 金の密輸の確たる全体規模が明らかではありませんので、これに係る消費税の脱漏分が幾らかということを確定的には申し上げにくいわけでございますが、仮にということで今、先ほど申し上げました国際相場をもとに、仮に今、金の一キログラム当たりの価格は五百万円といたしまして、一トンの金を密輸すると仮定いたしますと、密輸される金の価格は五十億円で、それに係る消費税の脱税額は四億円というふうになります。

 これに、先ほどおっしゃいました百五十四トンという数字を掛けますと、機械的な計算にはなりますけれども、密輸された金の価格は七千七百億円、密輸入による消費税脱税額は六百十六億円というふうに計算できるわけでございます。

野田(佳)委員 極めて粗っぽい話でありましたけれども、二十三億円分の消費税は摘発している。でも、もしかすると、何百億単位の消費税の課税漏れがある。まさに氷山の一角ですよね。

 というところまでで、ちょっともう時間が来ちゃいまして、その対策をどうするかというところまで届きませんでしたけれども、まだ氷山の一角でありますので、今回の罰則引上げも含めて、全力で対策を講じていただきますように要請をして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 関税定率法改正案について説明いたします。

 金の密輸が急増している、そういうもとで、密輸に対しての罰則の強化というのが今度の法案に入っております。

 私も通告しておりました一問目が、ちょうど先ほど野田さんがやられたものと全く同じだったわけですけれども、密輸で失われた消費税収の見積り、密輸されている金の量の推計、密輸の摘発率というのは、今、野田さん流の試算については出たわけですが、関税局としてはどう出しているんでしょうか。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、全国の税関が摘発している金の密輸入事件でございますけれども、平成二十八年、摘発件数が八百十一件、押収量が約二・八トンでございましたが、二十九年はこれが千三百四十七件、約六・二トンと急増しているところでございます。私ども当局といたしまして、金の密輸入が実際にどの程度行われているかということは、先ほどもお答えしましたように、確たる数字は把握できないところでございます。

 貿易統計によります金の輸出入量に着目いたしますと、輸出量、これは二年前の二十七年が百三十七トンに対しまして、昨年二十九年が二百十五トンと急増しております。一方、輸入量は、一昨年二十七年が九トンでございましたが、昨年二十九年が五トンと減少しておりまして、輸出量と輸入量の差である輸出超過量は、二十七年が百二十八トンに対しまして、二十九年が二百十トンというふうに急速に拡大しております。

 先ほども申し上げましたように、例えば家計による私的保有などもございますし、そもそも日本は一部金を生産して輸出しているという部分もございますので、今申し上げた輸出超過分全部が密輸であると言うことは難しいわけでございますけれども、いずれにしても、相当程度の密輸がある、残念ながら、我々が摘発している量は氷山の一角であると言わざるを得ないというところでございます。

 この密輸によって失われた消費税収というものは、やはり金の密輸の全体像が明らかではございませんので、確たることを申し上げることが難しいわけでございまして、仮定ということで先ほどと同じ御答弁をさせていただきますが、仮に国際相場をもとに金の価格を一キログラム当たり五百万円といたしまして、一トンの金を密輸すると仮定いたしますと、密輸される金の価格は五十億円となるということで、また、密輸入に伴う脱税額は四億円となるということでございます。したがって、仮に密輸入が百トンといたしますと、今申し上げた数字の百倍ということになるわけでございます。

宮本(徹)委員 確たる数字は把握できていないということですけれども、間違いなく数百億円という単位で消費税収が失われているというのは言えるというふうに思います。

 そして、今回の金密輸事件の増加は、やはり、日本が消費税を引き上げたというのもあるわけですけれども、世界的に見れば、金地金に対して、消費税の課税国と免税国、この両方の存在があって初めて成立する犯罪ということだというふうに思います。

 日本以外の国で、こうした消費税あるいは付加価値税の還付制度を悪用した金密輸事件というのは増加している国はあるのか、ないのか。それとも日本特有の問題なのか。もしあるのであれば、日本以外ではどのような対策で金密輸の防止を行っているのか。教えていただけるでしょうか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 金の密輸に関する国際的な動向についてのお尋ねでございますけれども、各国税関との情報交換や報道により情報収集をしておりますが、日本のみならず、金に対して付加価値税等が課税されております韓国や中国、インドなど、他国においても見られる現象だというふうに承知をしております。あくまでも日本周辺国ということでお答えさせていただきましたが、以上申し上げたような国でも見られる現象でございます。

 しかしながら、例えば日本よりも金にかかる消費税率が高い韓国におきましては、我々の情報では金の密輸は日本ほど深刻な状況にはなっていないような感じがしております。その理由でございますが、一つは、韓国では金の密輸に対し非常に厳しい罰則が設けられている、こういうことが言われているところでございます。

 一方、日本における認識でございますけれども、先ほど来数字をお答えしておりますけれども、非常に深刻な状況だというふうに考えておりまして、これまでにない広範で厳格な密輸取締りが必要であると考えまして、緊急かつ抜本的な対策を早急に実施するために、昨年十一月にストップ金密輸緊急対策を策定、公表したところでございます。内容は先ほどと重複いたしますので省略いたします。

宮本(徹)委員 韓国では非常に厳しい罰則があるというお話でしたが、ヨーロッパでは、EU指令で、金の延べ棒や、あるいは平板状の投資用の地金については免税の特例というのが規定されておりますが、当然、欧州ではこういう金密輸問題というのは発生していないということでよろしいんですか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 欧州について確たる情報を持っておりませんので、確たるお答えはしにくいところでございますけれども、例えば、委員がおっしゃいましたように、投資用の金については課税はしない、一方で装飾品等の金は課税されているということで、やはり、日本のような問題ではないと思いますけれども、装飾品と投資用の金の間の境といいますか、その辺のことを利用して、やはりこの金の密輸というものはどこにでもあるような現象のような感じがしております。

宮本(徹)委員 それが日本のように激しく急増しているかどうかというのがあると思うんですけれども、差引きどっちが税収にとってプラスなのかという問題もあるわけですけれども、日本でも仮に投資用地金を消費税免税というふうにすれば、消費税の還付を利用した密輸事件というのは大分減っていくということになるんじゃないかと思いますが、その点はどうなんでしょう。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、装飾品なのに投資用なんだということで課税逃れをするとか、いろいろなことが起きてくるんだと思います。

 もう一つは、先ほど申し上げましたように、日本よりも金に対する消費税率が高い韓国におきまして、日本ほどの密輸の状況ではないということでございます。

 あと、金密輸の原因につきましては、先ほどから申し上げましたように、価格が非常に高い小さい物品であるとか、そういう問題もございますし、罰則が特に軽いというようなことも言われておりますので、今回、関税法審議の中で罰則の引上げを提案させていただいているということでございます。

宮本(徹)委員 罰則の引上げそのものに私たちも反対はしません。必要なことだと考えております。

 ただ、関税局が出しているいろいろな手口だとかというのを見ますと、かなり一般の人もアルバイト感覚だとかで運び屋に加担してしまっているというようなこともあるみたいなんですよね。

 今度、罰則の改正で大変重い罰が科されることになるわけですが、やはり一般の人が密輸に加担しないようにするという対策は、罰則を引き上げるのと並行で、これは思い切って強める必要があるんじゃないかと思うんですね。周知徹底が大事だと思いますが、その辺の対策はどうなるんでしょうか。

うえの副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、罰則のみでなく、広報や周知についてはしっかりとやっていくべきだというのは、まさにおっしゃるとおりだと思います。

 昨年十一月の七日に発表いたしましたストップ金密輸緊急対策におきまして、広報の充実についても盛り込んでおります。税関では、金密輸に係る啓発のため、さまざまなツールを用いて積極的な広報活動に努めさせていただいています。

 具体的には、税関ホームページやソーシャルメディアを通じた広報、ポスターの作成、掲示、講演会や関係業界への業務説明会における周知等を実施をしており、各メディアにおきましても、金密輸についてそれぞれ取り上げていただいているところでございます。

 また、金の、いわゆる今委員おっしゃった運び屋ですが、これは、国内居住者のみならず海外の居住者も含め、多様な旅客が加担する事案というものが数多く発生をしております。

 そのようなことから、ストップ金密輸緊急対策や金の密輸防止啓発ポスター等につきましても、英語、中国語、韓国語等の多言語で作成をし、活用しているところでもあります。

 引き続き、国内あるいは海外居住者を問わず、一般の方が安易にいわゆる運び屋とならないよう、積極的な広報活動に努めてまいりたいと考えています。

宮本(徹)委員 周知徹底をよろしくお願いしたいと思います。

 それから、税関職員、この間ふえているわけですけれども、業務量はそれを大きく上回っているわけです。さらに、金の密輸対策ということを考えたら、思い切った増員が必要になるということだと思いますが、これを根本的に対策を強化していこうと思ったら、税関の人的体制はどれぐらい強化する必要があるというふうに考えているのか。大臣、お願いします。

麻生国務大臣 これは、宮本先生、金だけやるわけじゃありませんからね。金以外、麻薬やら何やらみんな一緒に税関やりますんで、そういった意味では、関税局とか税関において取締りをやるに当たって、人を集めたらすぐできるという職業じゃありませんから、職種じゃありませんから。少なくとも、かなりの経験も見ないと、大体顔を見て、ああ、これは怪しいなと一発でわかるというような、訓練でできるようになるわけですから。

 それプラス、いわゆる、今、機械の検査というのが出ましたんで、そういったものも昔と違ってすごい進化しておる機械なので、随分と、人じゃなくて、それで、そこを通るだけできちんとできてくるものも随分ふえたので、そういったものの予算等々をやらせていただこうと思っているんですけれども。

 いずれにしても、来年度には純増、いわゆるふえたり減ったりするんじゃなくて、純増で二百九人ということをやらせていただくので、これまでに比べますと、かなりな額、人数をふやすことにしておるんですけれども。

 いずれにしても、ちょっと今、クルーズ船というものの客が一挙に入ってくるというので、飛行機だと二、三百人、クルーズ船だと二、三千人ということになりますので、対応できる港、福岡、長崎、那覇、これは今一番多い港ですけれども、そういったところに税関職員の、若しくは、税関に限りませんけれども、法務省、厚生省、いずれもCIQの人数をふやさないかぬということになっておりまして、私どもとしては、その対応に結構いろいろ、人の絶対量が足りない、プラス、機械というものやら何やら、従来とちょっと、羽田とか成田とかいう話はなくなってきていますので、そういった意味では、対応をいろいろ検討させていただいておるというのが現状であります。

宮本(徹)委員 羽田や成田も物すごい入ってくる人がふえてきておりますので、クルーズ船だけじゃないです。抜け穴のない体制をつくるため、努力をお願いしたいと思います。

 それから、あともう一点お伺いしたいのが、日欧EPA妥結が革靴産業に与える影響についてです。

 昨年も当委員会で、日欧EPA交渉における輸入革靴と皮革部品の関税率の扱いについて、東京の地場産業である革靴製造業界の現状認識などについてお伺いさせていただきました。そのときは、革靴製造業界が置かれている現状について、経産省は、中小零細企業が大半であり、国内出荷額等大変厳しい状況にある、守るべきものは守ると答弁されました。

 経済省、きょう来ていただきましたけれども、この現状認識は今でも持っているのか、そもそも革靴産業を守る必要性についてどう認識しているのか、お尋ねしたいと思います。

西銘副大臣 お答えいたします。

 先生御指摘のように、革製の履物製造業は、ピーク時の一九九一年から二〇一五年までの間に、国内出荷額は四分の一以下になっております。事業所の数が二千五十八事業所から七百三十一事業所と約三分の一にそれぞれ減少しておりまして、大変厳しい状況であると認識をしております。

 経済産業省としましては、革製履物を含む皮革関連産業の競争力の強化を図るために、平成三十年度の予算案に三・九億円の予算を計上しております。また、平成二十七年度の補正予算において百三十三億三千万円の基金を造成しておりまして、これから二十年ぐらいかけてこの基金を使う予定にしております。

 このような基金等を通じて、皮革関連団体及び皮革関連産業事業者グループが実施する海外を含む販路の開拓、あるいは、東京、大阪、兵庫など地方公共団体が実施をする技術者の研修等の取組を支援するなど、必要な措置を講じてきているところであります。

 今後とも、皮革関連産業が置かれている大変厳しい状況を踏まえ、製品の高付加価値化や海外を含む販路開拓の取組を支援すること等を通じて、革製履物を含む関連産業の競争力の強化に努めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 業界を支援するというお話をされる一方で、日欧EPAで皮革関連製品の税率の扱いはどうなったか。おおむね発効時に二次税率を一次税率に全部下げる、そしてそれも、一次税率も十一年目に撤廃、あるいは十六年目で撤廃となったわけですよね。守るべきものは守るということを答弁しておきながら、なぜ十一年目ないし十六年目に撤廃となってしまったのかということなんですよ。

 経産省としては、現在の皮革関連品目の関税割当て制度だとか、あるいは関税率は不要だ、こういう認識なんですか。

西銘副大臣 関税の撤廃等につきましては、皮革関連産業が中小零細企業が大部分を占めているということで、大変厳しい状況であると認識をしております。

 日・EUのEPA交渉に先立つTPPの交渉においては、粘り強く交渉を行った結果、TPPの側では革靴等は発効後十一年目という先生御指摘のとおりの撤廃期間を確保しております。

 この結果、これに対して、十一年目という長期の関税撤廃期間は、EU側からは即時撤廃を求められている中で、業界団体とも意見交換をしながら、粘りに粘って、日・EUの交渉でもTPPと同じように十一年目の長期間の関税撤廃期間を確保したところであります。

 業界団体からは、交渉の結果に理解を示しつつも、大変厳しい状況にあることで、補正で確保した基金等を通じて引き続きしっかり支援をしてもらいたいという声等もいただいております。経済産業省としても、これらの基金等を活用して、革靴業界の各社が行う設備投資や新しい商品の開発あるいは販路開拓等に力を入れてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 いや、粘りに粘ったといって威張るような話じゃないですよ。TPPなんかよりも日欧EPAの方が革靴産業にとっては重大なわけですよ、ヨーロッパからの革靴が入ってくるというのは。

 時間が来ましたのでこれで質問を終わりにさせていただきますけれども、交渉は妥結しましたということで関税撤廃だけを押しつけていく、あとは何とか基金を積んで支援するから頑張ってくれ、これでは本当の支援じゃないですよ。やはりこの分野を守らなきゃいけないということを皆さん自身が言ってきた分野なんですから、恐らくこれからも東京の靴工組合の皆さんだとかからも反対の声が届くかと思いますので、よく考え直していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

小里委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳であります。

 関税定率法の最後の質問者ということで、またおつき合いいただきたいと思います。

 まず、今も、中小・小規模事業者のためには、個別の事象として今、宮本委員が革靴について質問をされました。

 大臣にお伺いをまず、ちょっと順序が変わるんですけれども、したいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

 では、その前に、関税局長、通告していないんですけれども、先ほど韓国の罰則が大変厳しいというお話があられたと思うんですが、これは具体的にどのぐらい厳しくて、日本が今回厳しくしてどのぐらい追いつくのか、あるいは通り越すのか、このあたり、もし御答弁をいただければ教えていただきたいと思います。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもが把握しておりますところでは、韓国の罰則は没収規定がございます。したがって、金の密輸を摘発した場合には没収ができるということでございます。

 片方、日本でございますけれども、没収規定がございません。今回、検討をいろいろ内部でいたしましたけれども、やはり、今まだ金の取引自体が禁止されていないという状況を踏まえますと、ほかの禁止されているような麻薬とか覚醒剤、拳銃というものと比べて、いきなり没収ということは難しかろうというふうに、これは法制局等とも相談いたしましたけれども、なりました。

 したがって、今回提案させていただいておりますのは、没収に相当するような罰金を科すということで罰則を大幅に引き上げる、こういう提案をさせていただいているところでございます。

杉本委員 突然質問しましたけれども、明快なお答え、ありがとうございます。

 それでは、大臣に、ちょっと全体観というか、関税の日本にとってのあるべき姿というか、先ほども、G20の発祥は、日本から実はお話が始まったみたいなことを伺いました。ウルグアイ・ラウンドがあり、またドーハ・ラウンドが交渉が長期化している現状の中で、今も個別の話で革靴の話がありました。

 個別のことはやはり勘案していくべきだとは私も思っておりますけれども、一方で、やはり世界の貿易なりをリードするのがむしろ日本ではないか、もはやアメリカではなくて日本ではないかと私は感じていますけれども、日本の関税についての方向感、あるべき姿みたいなところを御答弁いただければと思います。

麻生国務大臣 やはり、さきの戦争で負けて七十数年たちますけれども、この間で世界の中で間違いなく経済大国として急激にのし上がった国というのは、何たって日本とドイツだと思いますね。両方とも敗戦国、世界大戦で負けた方ですから。その負けた方の国がこれだけ短期間でのし上がれた最大の理由というのは、もちろん、その国の中において、いろいろ勤勉に働くとか、いろいろなそういった常識的な話は別にして、ワールド・トレード・オーガナイゼーションと称するWTO、この話とかいうものが間違いなくこの七十年間うまく作動したんだと思いますね、我々にとっては都合よく。

 それにかなり全面的に協力してきたのがアメリカなんだと思いますけれども、そのアメリカは結果としてどうなったかといえば、間違いなく赤字になったんですよ。その間、黒字を稼ぎ出したのは日本とドイツが圧倒的ですから、そういった意味では自由貿易という制度は日本にとっては極めて都合よく作動した。また、我々はそれに合わせて努力しましたから。

 そういった意味では、税関とか関税とかいうのに甘えることなく結構努力をしてきたんだと思いますので、そういったもので、早いところ、戦後の関税障壁で守られるということが失っていった産業、日本でいえば、そういった産業ほど国際競争力が強いというのもはっきりしておりますので、そういう意味では、それに応えられるだけの能力なり努力というのをしている国だと思いますけれども。

 流れとしては、国際貿易という中にあって、自由貿易市場の成熟というのは、我々にとっては極めて、我々に利する、国益に資するという制度だと思って、それが急に壊れないように、どこか、当然努力しない国はこうなっていきますので、そうするとそれが脱退するというようなことになると、なかなかそこのところに、いろいろ、まあまあまあまあと言いながら、なだめながら、全体的なものをきちんと維持するというのが、日本として今後やっていかないかぬ大事なところなのではないか。

 その中の一つで、まあまあと言わなきゃいかぬ相手が、アメリカなんかが出てくるものだから、今までとはちょっと考え方を変えないと、何となく、アメリカもかつてのアメリカじゃないですよという自覚がないですから、みんな。何となく、そういった意味で、私どもとしては、間違いなく、自動車産業等々は言うに及ばず、間違いなくかつてとは全く違いますから、そういったようなことを考えながら対応していかなきゃいかぬと思っております。

杉本委員 自由貿易の大切さ、またアメリカのちょっとスタンスの変化、あるいは日本とドイツが非常にメリットを受けてきたというお話をいただきました。

 逆に、ドイツを例にとっていただいちゃうと、ドイツの財政赤字はどうなんだ、日本の財政赤字は厳しいということはやはり我々は肝に銘じて、そこの部分ではまだドイツに大きく後塵を拝しているということは、済みません、お話を伺いながら私はちょっと感じました。

 あとはちょっと個別のことを細かく聞いていかせていただきたいと思いますが、今、野田前総理も聞かれた金の関係、輸出超過傾向が顕著ということを承りましたけれども、特に数量ベースで見た場合ということですが、気になるのは、我が国、さきの何か質疑でも大臣から言っていただいたかもしれないですが、お金持ちが余り相続税をきつくしていなくなっても困るんだというお話をいただきましたけれども、たしか、五千万円以上の資産の移動か何か、あるいは海外投資みたいなやつについては報告義務みたいな形が今課せられているような気がいたしますけれども、我が国の富裕層が資産を移しているんじゃないかという懸念を私はちょっと持っております。

 ごく一部の、かなり高額な所得者の方々、あるいはたくさんの資産をお持ちの方々に限られる話かもしれませんけれども、今後、我が国のあり方によってはまたそういう方々がふえてくる懸念も十分考えられると思いますけれども、そういった現状の認識、懸念などはどんな感じでお考えか、お聞かせください。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員おっしゃいましたように、金の輸出量がふえる、それで輸入量が余りふえない中でその差額がふえていく、こういう状況があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、いわばボーダーで取り締まる立場でございますので、やはりここに金の密輸が絡んでいるんだろうという見方をしております。

 少しこのからくりを申し上げますと、金の密輸入は、輸入時は密輸でございますので、当然、貿易統計には上がってこないということでございます。この密輸された金が国内に入った後でございますけれども、金取扱店等を経由して正規の市場流通経路に乗るということで、最終的には輸出時に、商社あたりから国際金融市場に出ていくということがございますので、輸出時には貿易統計に計上される、こういうことで、輸出には出てくるけれども輸入には出てこないという現象があるんだと見ております。

 先ほど、私ども税関における金密輸の摘発についてもふえているという数字を申し上げましたが、こういったことを踏まえれば、今申し上げた貿易統計上の金の輸出超過傾向の背景には、委員がおっしゃいましたような富裕層が資産を海外に移転しているということも含まれるのかもしれませんが、私どもの見方は、相当程度やはりその背景に金の密輸ということがあるんじゃないかなというふうに見ておるところでございます。

杉本委員 ちょっと焦点がうまく定まっていなかったのかなと質問について反省をしていますけれども、いずれにしろ、我が国が魅力的な国でないと、やはりふるさとがいいと思っていただいて、生まれて育って死ぬのは日本と思っていただくような国づくりをしていかないとならないということで、我々は今、足元を見詰めてたくさん反省することがあるということは申し上げたいと思います。

 次に、法務省さんにお運びいただいているかと思いますが、我が国への不法滞在者の状況、いかなる状況になっているか、それをいかに取り締まっているか。そして、取り締まったことによって本国へ送還をしたり国外退去を命じることになっていますが、これでどのぐらいのコストがかかってしまっているか。また、もし内訳でわかればですが、外国人技能実習制度の仕組みにのっとって、日本に不法に残っちゃっている方々というような方々がいれば、こういったところの具体を教えていただければと思います。

佐々木政府参考人 我が国におけます不法残留者数は、平成二十七年以降三年連続で増加をしておりまして、平成二十九年一月一日現在で六万五千二百七十人存在しております。このうち、今お尋ねの直近の在留資格が技能実習であった外国人は六千五百十八人と、不法残留者全体のほぼ一割を占めております。

 これら不法滞在者につきましては、入国管理局において情報の収集、分析を実施することによりその把握に努めるとともに、警察を始めとする関係機関とも協力の上、積極的な取締りを実施しておりまして、平成二十八年に入国管理局が退去強制手続をとった外国人は一万三千三百六十一人で、このうち直近の在留資格が技能実習であった外国人は三千三百四十三人と、全体のほぼ四分の一を占めております。

 不法滞在者の大半は我が国での就労を目的としていることから、その環境を断つために、関係機関との連携を強化し、悪質な雇用主やブローカーに対する積極的な取締りを実施しております。

 また、失踪した技能実習生や除籍、退学した留学生などによる偽装滞在事案へ適切に対応するため、在留資格の取消し制度も的確に運用するなどして総合的な不法滞在者対策に努めております。

 そこで、お尋ねの送還に係る経費の実績額でございますけれども、これは、実績額ということになりますと全国の各地方局ごとに集計する必要がありますため、即座にお答えすることができませんが、過去三カ年の予算額につきましては、送還のための護送官及び被収容者に係る旅費の予算といたしまして、平成二十七年度が約四千九百万円、平成二十八年度が約六千百万円、平成二十九年度が約七千六百万円を計上しておりまして、年々増加しているところでございます。

杉本委員 やはり年々増加しているというお言葉がありましたけれども、この不法滞在者と金の密輸入もちょっとかかわっているのではないか。私は、例えば親戚がいるとか、日本にかかわりを持つ人がやはりこういったことに手をつけるのではないかなと、うがった見方かもしれませんが、そんな懸念も持っておりますので、こういった部分の取締りを引き続き強めていただければと思っております。

 次に、関税の二十九年度の予算額が九千五百三十億、実績見込みが一兆百三十億という数字になっていますが、この金額の差異の主な理由をお教えいただければと思います。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 二十九年度の当初予算における関税収入額でございますが、その当時の足元の課税実績や輸入見込み等を勘案して九千五百三十億円と見積もっていたものでございます。これに対しまして、二十九年度の実績見込み額でございますけれども、その後の実際の課税実績等を反映させた結果、一兆百三十億円と見込んでいるところでございます。

 このように、二十九年度の実績見込み額は当初予算のときの額と比べて約六百億円ふえているわけでございますけれども、これらの差異の要因でございますけれども、我が国の関税収入額の約半分を占める食料品につきまして、牛肉等の肉類を中心に輸入が伸びたこと等から、課税実績が上振れしたのではないかと考えております。

杉本委員 それに加えて、三十年度の概算額が一兆二百二十億という数字がございますけれども、この増収の見通しの論拠はいかがでしょうか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 三十年度予算におきます関税収入額でございますけれども、先ほどの二十九年度の当初と同様、最近の課税実績や輸入見込み等を勘案して見積もっているものでございまして、おっしゃいますように、二十九年度の当初予算に比較すれば約六百九十億円の増加となっているというところでございます。

 この要因でございますけれども、同じような要因でございまして、牛肉等の肉類を中心に食料品の輸入が伸びたこと等、足元の輸入動向を見積りに反映させたことと、それから、三十年度におきまして、昨年度改正しました特恵税率の見直し、この効果が、三十年、ことしの四月から発現するということもございまして、昨年度関税改正の効果などを反映して三十年度において約百五十億円の増収を見込んでいること、こういったことが要因ではないかと考えております。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 次に、肉類にかかわる、特に豚肉なんでしょうか、納付不足額及びその不足額全体に占める割合で、平成二十八事務年度は額と比率ともに急激な増加になっているように感じますけれども、悪質な大口の事例など、紹介いただければと思います。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八事務年度の一年間に行いました輸入事後調査におきまして把握しました肉類の納付不足税額五十億円弱、それで不足税額全体に占める割合が二七・二%ということで、いずれも二十七事務年度と比べて大幅な増加となっておりますが、これは、要因としましては、今委員がおっしゃいましたように、二十八事務年度の方に悪質な大口事例一件があったことが挙げられると思います。

 具体的に申し上げますと、台湾から冷凍豚肉を輸入するに当たりまして、本来申告すべき価格よりも高い価格を偽って申告することによって四十九億七千五百六十万円の関税が不足した事例が一件ございます。この事例では、その悪質性に鑑みて、十七億四千二十八万円の重加算税を賦課しているところでございます。

杉本委員 厚労省さんにせっかく来ていただいているんですが、質問したいと思います。

 不正薬物の取締りにおいて、PNR、パッセンジャーネームレコードの活用状況、その効果、国際連携の状況等を教えていただければと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのPNR、パッセンジャーネームレコード、乗客予約記録でございますが、これは航空会社が保有する旅客の予約情報のことで、関税法等に基づき航空会社から財務省・税関等宛てに報告されるものであると承知しております。

 厚生労働省の地方厚生局麻薬取締部におきましては、薬物密輸入事案等につき財務省・税関と合同捜査を実施する際等に、財務省・税関から情報を提供していただき、捜査に活用しております。

 厚生労働省としましては、引き続き、財務省・税関を始めとした国内外関係機関との連携を密にしまして、不正薬物の取締りをしっかりと行ってまいりたいと考えてございます。

杉本委員 幾つか質問を残しましたけれども、以上で質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小里委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、津島淳君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び日本維新の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。末松義規君。

末松委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和のとれた対外経済関係の強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。

 一 最近におけるグローバル化の進展等に伴い、税関業務が増大し、複雑化する中で、適正かつ迅速な税関業務の実現を図り、また、覚醒剤等の不正薬物、銃器、金地金等の密輸を阻止し、水際において国民の安心・安全等を確保するため、高度な専門性を要する職務に従事する税関職員の定員の確保、処遇改善、機構の充実及び職場環境の整備等に特段の努力を払うこと。特に近年の国際的な情勢を踏まえ、水際におけるテロ・治安維持対策の遂行に当たっては、税関における定員の確保及び取締検査機器等を含む業務処理体制の整備に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

小里委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

小里委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

小里委員長 次に、財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣参事官望月明雄君、金融庁監督局長遠藤俊英君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、財務省大臣官房長矢野康治君、大臣官房審議官古谷雅彦君、理財局長太田充君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、国土交通省大臣官房総括審議官岡西康博君、航空局次長和田浩一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、会計検査院事務総局次長岡村肇君、第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。

海江田委員 立憲民主党、そして無所属クラブの海江田万里であります。

 本委員会で、森友問題、とりわけ財務省の文書改ざん問題について、累次にわたって議論をしたところであります。

 最初は、三月の二日に新聞報道がありまして、それを受けて、小里委員長が財務省に対して、これは調査の状況の報告をしろということ、発言がありまして、そして三月六日に最初の報告がございました。ただ、この報告の中身は本当にゼロ回答というものでありまして、やっと三月の十二日になって、財務省から、実は書きかえが行われていたということで、かなり大部の資料が出てきたところであります。

 ところが、その後、三月の十四日になりまして、再び財務省から、十二日に出しました文書のうち、一部、これは削除されているものがあるということで、またその削除された文書が出てきたところであります。

 そして、これで終わりかと思いましたら、またさらに、十九日になって、これは新たに、一枚のメモでございますね、決裁参考メモ、これが出てきたところでございますが、正直申し上げまして、仏の顔も三度までという言葉もございますが、たび重なるこうした文書の改ざんあるいは文書の削除、こういったものに対して、私は本当に限りない憤りを覚えるわけでございます。

 最初の、十二日に出しました書きかえ文書、この書きかえの時期は昨年の二月下旬から四月にかけてだということ、お話がございました。それから、十四日に出されました、これは削除されていた文書、これは「平成二十七年六月に削除されていることを確認した。」とあります。そして、一番最後に出ましたこの決裁参考メモでありますが、これは、書きかえ前には含まれていましたけれども、「書き換え後には削除されていることに、週末に気付き、」とございますが、これが削除されたのは一体いつなんでしょうか、お尋ねをします。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員から、たび重なるということで、厳しい御指摘をいただきました。委員の御指摘はおっしゃるとおりでございますので、本当に心からおわびを申し上げなければならないというふうに感じております。

 その上で、一枚、一番最後といいますか、この週末に、この土日に気がついてと申しましたものを一枚追加をさせていただきました。これも、基本的には、二月下旬から四月にかけてと申し上げているその範疇でございます。

 他委員会でもこういう種類の御質問を頂戴しておりますが、基本的に、現時点において、この文書はいつ書きかえたものかというのが明確にお答えができるものは、本省の特例決裁というもの、これは本省の電子決裁でございましたので、それは日付が確定できているんですけれども、ほかのところはまだそういう状態には至っていない、まだですし、なかなか確定が難しいというふうに思っております。

 確定できているものだけ御報告申し上げれば、本省の特例決裁は二十九年の四月の四日に書きかえをしているということが判明をしておりますので、御報告を申し上げさせていただきます。

海江田委員 いずれにしましても、特に、平成二十七年の六月に削除されたという、この三月十四日付で出しました文書を見ましても、今度のこの森友問題が初めてではなしに、やはり削除は、たび重なるといいますか、複数回行われていたということは確かでありまして、その点では、やはり財務省の、とりわけ理財局の文書管理の甘さといいますか、公文書に対する認識の浅さと申しますか、こういうものがあるということは申し添えておかなければいけないと思います。

 最後に出されたこの一枚のメモでございますが、大変、私たちにとりましては、これはやはり経緯がよくわかるメモ、簡潔なメモでございますから、本当はやはりこういうものをきちっと十二日に一緒にまとめて出していただきたいとつくづく思うわけであります。そうすると、やはり質疑も充実したものになるわけでありますから。

 いずれにしましても、私も、特に改ざん前と後の文書を読み比べてみますと、まず、やはり幾つかの共通点と申しますか、何で、どういうところを改ざんしたのかなということを調べてみますと、大きく分けまして大体三つか四つですね。

 一つは、これは安倍昭恵夫人並びに政治家、これは秘書の方も含みますけれども、この働きかけに関する記述であります、これは。

 それから二つ目が、価格交渉にかかわる記述であります。

 三つ目が、売却価格の減額、いわゆる値引きですね、この値引きに関する記述であります。これは、例えば地盤の問題でありますとか、あるいは地下の埋設物の問題でありますとか。

 それからもう一つが、森友学園に対して便宜を図った記述であります。サービスをしたということでございますが。

 特に、書きかえの前と後との文書で比べてみますと、例えばでございますけれども、平成二十七年五月二十七日の貸付決議書の2、ここで、事案の経緯というのがございまして、最初は、平成二十五年の六月二十八日、森友学園理事長が近畿財務局へ来所、これは書きかえ後もそのまま残っております。

 ところが、その次にあります、平成二十五年の七月二日、森友学園代理人に本地の土地履歴調査報告書、地下埋設物調査報告書、土地汚染調査報告書を貸与と書いているんですね、書きかえ前には。ところが、書きかえ後には、この一項目が、平成二十五年七月二日の事実が抹消されている、消されているということでありますが。

 これは例えば、国有地を買受けをしたい、あるいは、この時点ではまだ借受けかもしれませんが、借受けしたい、買受けしたいという方に対して、誠心誠意サービスをするということはこれまでもあることですよというふうに答弁があったと思うんです。

 そうであるのなら、一体何で、この事案に限って、公務員が本当に国民のために奉仕をするということでサービスをしたことまで削除したんですか。理由をお聞かせください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今の委員の御指摘は、おっしゃっていることはよくわかりますし、御疑問もよくわかります。

 その上でですけれども、要すれば、書きかえをしたということはまことに申しわけないことであって、何でそうしたんだというのは、大変恥ずかしいことを御説明せないかぬということであるわけですが、ある意味で、委員のおっしゃるとおり、これは通常でも、基本的に、公用あるいは公共用という要望があれば、それが実現するように努力をするというのが仕事なんですが、二月から三月にかけての国会審議で厳しく追及があって、その中で、要するに、森友学園にまさに便宜を図ろうとしたのではないかというような趣旨の問いがあり、それに対してはそうではありませんということを答え、それはそうではないのでそういうことを答えないといけないんですが、また、こういう記述があればやはりそうだったじゃないかというような議論が起きることを、正直に言えば、恐れて、こういうことを、書きかえるということをやってしまったというふうに私どもとしては現在認識をしております。

海江田委員 それはかえって疑惑を増すことになるんですよ。当たり前のことなら正々堂々と書けばいいわけでありまして、これをわざわざ削除をしたということは、これはやはり、取引全体が、この事案全体がやましいことがあったからだというふうに理解をするのが普通でありまして、そういうのが至るところにやはりあるんですね。

 それから、あと、地盤の問題にしろ埋設物の問題にしろ、これはやはり、地盤の問題と埋設物の問題は価格に関して出てくることでありますから、今までは文書の改ざん、もちろんこれも大きな、これは刑法に抵触する問題でありますが、やはり、この本来値引きするはずでなかったのを、おおよそ八億二千万ですね、八億一千何百万かでありますけれども、それが地下埋設物あるいは地盤の問題によって値引きをしたということ、これはやはり、国民の財産を毀損させることで、まさにこれは背任罪、こういうことにつながってくるわけでありますから、この点、きょうは検査院にお越しをいただいていますけれども、再検査するということはお約束いただきましたが、いつまでに、それから、この値引きのところ、ここについてやはりしっかりとした検査を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 本件につきましては、決裁文書に関する問題が明らかになりましたことから、国会での御議論も踏まえて、決裁文書の書きかえに至る経緯及びその内容を確認した上で、報告すべき事項については、適切な時期に、適切な方法で報告したいというふうに考えてございます。

海江田委員 それじゃ答えになっていませんね。

 適切な時期というのは、できるだけ早く、可及的速やかにということですから、十分速やかにしていただきたいと思います。

 それから、前回国会に出しました報告書では、大阪航空局が算定した地下埋設物撤去処分費用を踏まえた時価で土地を売却したから、実際の撤去状況、費用の確認、事後的な精算を行う必要はないと、これは近畿財務局が答えているという指摘がございます。

 だけれども、もろもろの事象が明らかになって、本当にこのままの、前回報告書に書いたような中身でいいのかどうなのかということ、当然この部分ももう一回再検査する必要があろうかと思いますが、その点、いかがでしょうか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 本院の報告書の後、いろいろ御議論や新たな事実が出てまいりましたので、それらを十分踏まえた上で調査をしていきたいというふうに考えてございます。

海江田委員 私が申し上げたのは、この実際の撤去費用、撤去状況、本当にごみを撤去したのか、当然、その分安くしたわけですから。あるいは、その費用が幾らぐらいかかったのかという状況については、これはやはり検査院として調べるべきではないだろうかということで、前回の報告書では、それは近畿財務局が、いや、もう売渡しをしてしまったんだから、そしてその金額が、まさにさっきお話をした八億およそ二千万でありますけれども、これについてはもう検査しないでいいんだよということを、その近畿財務局の答弁をそのままうのみにして報告をしているわけですよ。本当にそれでいいんですか、実際に八億二千万円かかったんですか、どうなんですかということ、それから、実際に工事が行われているんですか、上には学校が建つわけですから、これは。その点を確認をしているわけです。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 国会での御議論も踏まえまして、まずは決裁文書の書きかえに至る経緯やその内容を確認した上で、その他の新たに判明しました事情も考慮した上で調査を進めていきたいというふうに考えております。

海江田委員 ぜひそこはしっかりやっていただきたいと思います。

 やはりこの値引きが本当に適切な、妥当な金額であったのかどうなのかということ、これは大変大きな問題でありますので、この問題もやはりしっかりと、国会でも議論しますが、検査院もしっかり検査をしていただきたいと思います。

 それで、麻生財務大臣、これまで自分の責任のとり方というのは、今まず、進行中の財務省の中の調査をしっかりやることだというお話がありましたけれども、やはりそこから先のこともお聞かせをいただきたいと思うんですね。

 今、調査が進行しています。ただ、この調査に関しましても、本当は、やはりそれは、麻生財務大臣はまさに五年間ずっと財務大臣をやっていたわけですから、その財務大臣の在任中に起きたことでありますから、やはりその責任があるわけで、当然のことながら。ですから、本当に調査をやろうと思えば、これはやはり御自分が身を引かれて、新しい人が、それこそ本当に新しい気概で、その間の問題に全く瑕疵のない人が財務大臣になって、そしてしっかり調査を進めるという考え方が私はあろうかと思いますが、その点はいかがですか。

麻生国務大臣 これはたびたび予算委員会等々で御答弁をさせていただきましたところですけれども、少なくとも、決裁が出された公文書を書きかえるなどという話はこれはゆゆしき話なんであって、私どもとしては、これはまことに遺憾のきわみということで、おわびを申し上げなければならないとたびたび申し上げてきたところではあります。

 したがいまして、これは一番肝心なところは原因究明というんで、なぜこの種の書きかえが行われたかということに関しまして、いろいろ私ども、今想像で物をしゃべったり、いろいろいたしておりますけれども、これをきちんと解明した上で、こういったものが二度と起きないようにということをきちんと私どもとして対応するということが、私どもとして一番正しい、やらねばならぬことなんであって、私どもとしては、それをきちんとさせることをもって、責任というものをとらせていただきたいと考えております。

海江田委員 原因も本当はもうわかっているんですよね。さっき私が、書きかえをした分類をお話をしましたけれども、やはり安倍昭恵夫人が何らかの形で関与をしていたということ、それから価格交渉もやっていたということ、それから売却価格の減額が不適正なものであったことという、この三つですよ、原因は。

 つまり、総じて言えば、この取引がそれこそ本当に本来あってはいけない取引であったこと、国有財産の売却が本来あってはいけない売却であったことという、これが原因なんですよ。それを糊塗するために、まさに文書の書きかえがあったわけでございますが。

 ただ、これからそう遠くない将来、いつのことかわかりませんけれども、やはり刑事事件になる可能性も大変大きいと私は思います。それから、会計検査院もしかるべきときに報告をしてくれるということでありますから、麻生財務大臣もこれから身の引きどきを考えるのに、二つやはりチャンスがあると思うんですね、これは。

 一つは、やはり、刑事事件になったとき。これは、先日、当委員会でお話をしましたけれども、前の三塚財務大臣が、まさに二人の当時の大蔵官僚が逮捕されたときに、二日後におやめになっています。ですから、もしこれから、大いに可能性がある、可能性が低いことをお話をしているんじゃないんですよ、可能性が高いですから、そうしたときにどういう身の処し方をするのか。

 それから、会計検査院からの報告が出てきて、そしてその報告が、実は、例えば今言った減額の問題、値引きの問題についても大いに疑義があるというような報告が出たとき。

 やはりこの二つが、当面、麻生さんが、麻生財務大臣が身を引かれるタイミングではないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御意見として伺っておきます。

海江田委員 時間が参りましたので、後の委員、川内委員、そして高木委員に引き継ぎます。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。きょうもよろしくお願いを申し上げます。

 会計検査院さんに来ていただいております。きょうも、森友学園への国有地の貸付け、売却の問題について聞かせていただくわけでございますけれども、会計検査院法二十六条で提出要求をした検査院さんが必要とする資料で、検査院史上、改ざんされた決裁文書が提出された事例というものが本件以外にあったのかということを教えていただきたいと思います。

岡村会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 過去二十年の検査報告に掲記されたものについて、現時点で調べた限りではございますが、国の機関が会計検査院法第二十六条の規定に基づき提出を求められた決裁文書を書きかえた上で会計検査院に提出していたというものは見受けられなかったところでございます。

川内委員 更に検査院さんに教えていただきたいんですけれども、昨年四月に国土交通省から提出をされた決裁文書、真の決裁文書ですね。これは三月五日の日に国土交通省から官邸やらあるいは財務省にも提出をされたようでありますけれども、昨年四月の段階で国交省から受け取った真の決裁文書と、今般やっと私ども国会議員に明らかにされた、財務省から提出された決裁文書、真の決裁文書というのは全く同一のものだったでしょうか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院が検査の過程で財務省から提出を受けた売払い決議書につきましては、基本的には財務省から国会に提出された売払い決議書とおおむね同様のものであると認識しております。

 ただし、売払い決議書に添付されている書類のうち、経緯については、本院に提出されたものには、平成二十八年三月十一日、学校法人森友学園より新たな地下埋設物が発見された旨連絡という記述がある点が、財務省から国会に提出されたものとは異なっております。

川内委員 売払い決議書の何ページですかね。済みません。財務省さんが出してきたものでいうとどこに当たるということをちょっと教えていただけますか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 二十七ページになります。二十七ページの経緯と書いてあるところでございます。

川内委員 二十七ページの、書きかえ後のものが三月十一日というのが入っているというんですか。国交省から提出を受けたのは真の決裁文書でしょう、昨年四月に国交省に提出されているのは。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院が国土交通省から提出を受けましたのは貸付決議書のみでございます。

川内委員 ちょっと、よく、何をおっしゃっているかわからないです。

 最初、売払い決議書が違っているとおっしゃって、今は貸付決議書とおっしゃったんですか。何をおっしゃっているか、ちょっとよく説明していただけますか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院が国土交通省から提出を受けておりますのは貸付決議書のみでございます。

 委員お尋ねの売払い決議書につきましては、本院は国土交通省から提出を受けておりません。

 それで、国会に提出されたものと私ども会計検査院が受け取ったものを比較しますと、その一行が私どもの方に入っていたということでございます。

川内委員 ごめんなさい。私、なかなか、一々聞いて十を知らないといけないものですから理解できませんでしたが、やっとわかりました。

 結局、会計検査院さんが受け取っていたものと我々国会議員がそもそも受け取っていた改ざん後のものも、何か違いがあるということのようでございますけれども。

 そもそも、果たして本当に、太田理財局長には大変申しわけないんですけれども、私どもが全ての改ざん前の決裁文書を受け取っているのかということについても、まだ私たちは疑問に思っているし、国民の多くの皆さんも、もしかしたら疑問に思っているかもしれない。

 今受け取っているこの十四の決裁文書で、改ざん前と改ざん後で意味内容が変わっているんだ、変わるねというふうに理財局あるいは財務省として判断されるものは幾つあるんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 書きかえ前、書きかえ後で、いろいろな意味で、大きく削除をされていたり、そういう意味で大変申しわけないということは、もう何度も申し上げてもお許しがいただけないんですが、そういうことを申し上げさせていただいた上ででございますが、基本的に大筋と申しますかそういうところが変わっているというふうに思っているものは、私どもとしてはありません。

 ただ、ごらんをいただければ、もちろんいろいろな、私たちの見立てが正しいなんと申し上げるつもりはなくて、いろいろな見立てというか、ごらんの仕方があると思いますが、このところずっと国会で御論議もいただいていて、私なりに一番変わっているという印象、少なくともそういうふうに見られても仕方がない、仕方がないと言うと言い方が悪いんですが、そう思う部分があって、それは、きょう別の委員会で、ある委員からも御指摘があって同じようなことをおっしゃられたので、非常にそうだなと思った部分は、基本的に軟弱地盤のところの取扱いについて、もともと書いてある文章と今の部分が非常に内容も、内容もと言うとあれですけれども、違っているような印象を非常に受ける部分があるということは、私も、これはちょっと私の個人の認識かもしれませんが、そういう認識を持っております。

川内委員 軟弱地盤のところは、地質調査会社に確認をしたら軟弱地盤かどうかわからないという記述のところが、書きかえ後は地質調査会社を抜いて何だかよくわからない記述になっているというのは、確かに意味内容が変わる、変わっているというふうに、理財局長もそのように御評価をされるんでしょうが、財務省として、私は、この十四文書全体では、この十四文書が別に改ざんされていなければ、そもそも最初の改ざん書の決裁文書のとおりであれば、きちんとこの取引のことが国民に伝わる。しかし、これを全部、十四文書を改ざんし、そして削除し、そして隠蔽したということによって、この取引自体の持っている意味合いというものが大きく変わったというふうに私は思います。

 大筋変わらないんだみたいな御発言をされたわけですが、おいおい聞いていきたいと思いますけれども、そもそもこの十四文書が、いや、もともとの決裁文書です、改ざん前のものです、書きかえ前のものですと言って理財局さんが出してきたこの文書自体も、私たちはまだ本当かなと思っているわけで、それは、真の決裁文書であればチェックをした方のチェックマークがつくわけですよね。ぽちぽちと、文書の末尾にぽちぽちがついている、あるいはレ点がついている、何らかのチェックがついているわけですけれども、この十四文書で、書きかえ前と称して出されてきている十四の文書で、チェックマークがついている文書とついていない文書があります。それぞれ文書の数をお答えいただきたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもなりに今委員からの御指摘についてチェックというか、確認をさせていただいた限りで申し上げますと、十四のうち、チェックマークと今委員はおっしゃられたのでその言葉を使わせていただきますが、それが六つ、六文書だというふうに考えて、考えてというか、そういうふうに数えさせていただきました。

川内委員 十四のうち残りの八文書はチェックマークがついていないということになるわけで、チェックマークのついた書きかえ前の真の決裁文書を、改ざん前の真の決裁文書の御提出を求めたいというふうに思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 基本的に、十四のうちの一つの本省決裁の電子決裁の分を除いたものは全て、ある意味でもともとかがみがついていて、その後ろにあった調書を書きかえて差しかえている、そういう状況なわけです。

 それで、今回どうやってこれが特定できているかというのは、基本的には各職員にいろいろ聞いて、その上でこういうものがあるはずだということをやって確認しているんですが、他の委員会で御質問がありましたけれども、本当にそれを、大変言い方があれなんですが、隠そうとするならそれを全部処分しているはずだ、残っている方がおかしいという質問をされた方がいらっしゃいました。

 そういう状況のもとでどうやって物が残っているかといえば、手控えとして、紙の状態で手控えを持っていたものがあるのと、それから、一部、個人のパソコンに残したものがあるということですから、それをもとにして、最終的には地検に御協力をいただいて、地検に伺って、そこでコピーをさせていただいてということなので、紙の状態で残っているものはチェックマークがついている可能性は高い、パソコンの状態のものはついていない可能性の方が高いということだと思います。

 それと、委員盛んに、チェックマークがついているものは真実だというふうにおっしゃられるんですが、およそ、決裁をするときに全てのものにチェックマークがついているかといえば、私なりに三十五年この生活をやらせていただいた経験で申し上げれば、チェックマークをつけたりそういうことをやる種類の人間もいますし、そういうことをやらない種類の人間もいますので、いずれにせよ、チェックマークがついていれば真実で、チェックマークがついていなければオリジナルではないというのは、それは、別に委員がおっしゃっていることを否定しようと思って申し上げているわけではないんですが、そういうことだというふうに思っております。

川内委員 いずれにせよ、今、横の岸本さんから、ずぼらなやつはしないこともあるんだと教えてもらったんですけれども、私が今まで見た中で、公務員の皆さんは皆さん非常にきちんとしていらっしゃって、ずぼらな人はいなくて、ちゃんと検証していらっしゃる、チェックしていらっしゃるという書類を私は多く見ておりますので、なるべく捜していただいて出していただければというふうに思います。

 たびたび議論になっているわけですけれども、この真の決裁文書とされる調書なり、あるいは調書の中の経緯なりに谷査恵子さんと田村審理室長とのやりとりについて全く出てこないというのは不思議だね、何らか記述があってもよいのではないかという疑問が呈されるわけですけれども、財務省としては、総理夫人付という谷さんの肩書ですね、総理夫人付という谷さんの肩書での問合せというのは、これは、総理の夫人である、谷さん、秘書から連絡が来たというのは、総理夫人から連絡が来た、あくまでも総理夫人の代理としての谷さんからの問合せであるという受けとめで対応されたのかということを教えていただきたいと思います。

太田政府参考人 申しわけありません。今委員の御質問の趣旨が私にはどうしても理解できないんですが、それは、総理夫人付から問合せが来たということはそうですので、総理夫人付から問合せが来た、それなんですが、それをどういうふうにお答えすれば委員の御質問にお答えができるのか、私には、ちょっと済みません、申しわけありません。

川内委員 だから、総理夫人付の秘書さんである谷さんから問合せが来るというのは、安倍昭恵さんの代理として谷さんが連絡してきたんだねというふうに財務省として、理財局として受けとめるかということを聞いているんですけれども。

太田政府参考人 代理かどうかというのを、それで答えろと言われても、わかりません。夫人付から問合せが来た、それをそのまま、本当に夫人付から来ているんですから、夫人付から来たということだと思うんですが。

川内委員 じゃ、済みません、きょう官房からも来ていただいているので、谷さんから理財局に対する問合せあるいは要請というのは、どのような経緯、経過をたどったのかということをちょっと復習のために教えていただけますか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねにつきましては、今委員からも御指摘がございましたが、これまで国会でも何回か御答弁を申し上げているところでございますけれども、再度ということでございますので、答弁申し上げます。

 平成二十七年の十月の二十六日付の消印が入りました書面が籠池氏側から、総理夫人に対してではなくて、夫人付職員に対して送られてまいりました。この職員個人に照会のあったものにつきまして当該職員が財務省に電話で問合せを行いまして、その結果について、みずからの判断でファクスを作成しまして、ファクスを送ったというふうな経緯であるというふうに承知をしてございます。

川内委員 理財局、太田さんにもう一回教えていただきたいんですけれども、谷さん、あるいは総理夫人付からの、この本件に関する、森友学園に関する貸付けあるいは売払い等の本件事案についての問合せあるいは要請は、今官房から御説明のあったその一回だけだったんでしょうか。それとも、ほかにもあったのではないか、総理夫人付から理財局への問合せ、要請、あったのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 対象になっていますというか、谷夫人付から問合せを受けた当時の室長にも確認をいたしましたけれども、我々の知る限り、夫人付から接触があったのはこの一回でございます。

川内委員 それじゃ、谷さんは総理夫人付なわけですけれども、総理秘書官等ですね、総理秘書官等から、本件森友事案について、理財局に対する、あるいは財務省に対する問合せ、要請というのはなかったのでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもとして、なかったというふうに認識をしております。

川内委員 なかったというふうに認識しているというのはどういうことですか。

太田政府参考人 申しわけありません。どう言えばいいんでしょうか。なかったと言えばいいのか、なかったと承知していると言えばいいのか。なかったということでございますけれども。

川内委員 それは本当ですか。太田さん、それは本当ですか。私が聞いていることと違いますけれどもね。

太田政府参考人 申しわけありません。私は、川内委員を相手に、そんな本当でないことを申し上げているつもりは全くありませんけれども。

川内委員 確認していただけますか、今この場で。時間回していいですから。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 確認していただけますかということで確認するのは、私にとっては役所に確認するしかないんですが、それは、確認しても、これまでも何度かというか、あった話でございますので、今確認して違う答えが返ってくるとは到底私には考えられないのでございますけれども。

川内委員 いや、確認してください。待っていますから。時計回していいんです。待っていますから。本省に確認してください、業務課に。

 待っている間、時間がもったいないので違うことを聞かせていただきますが、有益費の算定、検証についてなんですけれども、航空局に来ていただいておるわけですが、平成二十七年の森友学園の小学校用地の土壌汚染対策工事と同時期に行われた地中埋設物撤去工事において、深さ三メートル、さらに深さ一メートルで掘削工事を行っているわけですが、対象面積、三メートルの対象面積、一メートルの対象面積、それぞれ何平米か教えていただけますか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 今先生お尋ねの有益費の対象工事についてでございますけれども、工事対象面積につきましては、深さ一メートルまで掘削する面積が四千九百二十九平方メートル、三メーターまで掘削する面積が三千八百四十二平方メートルでございます。

川内委員 その面積で掘削される土砂の量というのは何トンになるんでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 掘削土量につきましては、ただいま申し上げました面積にそれぞれ深さを掛け合わせるなどして、合計で一万六千八十五立米となっております。

川内委員 立米をトンに換算すると何トンになりますか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 二万五千六百トンになります。

川内委員 そのトン数、二万五千六百トンの土砂の中には、さまざまな廃棄物混合土を含めて、生活ごみ等も入っているわけですが、混入率を掛けると、その二万五千六百トンの中の生活ごみは何トンになりますか。

和田政府参考人 あくまで試算でございますけれども、地下構造物状況調査の結果を用いて機械的に計算をすれば、地下埋設物量は約三千三百立米、重さにしますと約五千三百トン程度になると考えられます。

川内委員 その五千三百トンの生活ごみが出ているはずなんですね、この有益費の対策工事で。ところが、豊中市に提出された産廃マニフェストによれば、この工事で場外、敷地外に搬出された生活ごみ等は九トンというふうに会計検査院の検査でマニフェストが確認されているわけですけれども、五千三百トンごみが出ているはずが、九トンしか場外に搬出されていない。

 他方で、平成二十七年の十一月二十四日の近畿財務局と大阪航空局の合同現地確認の調査では、目視できる範囲に廃棄物は確認されなかったという記述がございます。目視できる範囲に廃棄物はなかったと。五千三百トン廃棄物が出ているはずなんだけれども、しかも九トンしか外に出していないんだけれども、目視できる範囲には何もありませんでしたというふうに現地確認で報告されています。

 その五千トンを超える廃棄物はどこへ行ったというふうに航空局あるいは理財局、近畿財務局は考えたんでしょうか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げた五千三百トンにつきましては、機械的に試算をした量であり、ごみが実際にどの程度含まれていたかにつきましては、有益費の検証に当たって用いた工事報告書等の資料には記載がございません。

 その上で、適切な金額の有益費を支払う立場から、工事の内容等について確認を行った国土交通省といたしましては、撤去されたごみの量が九・三トンである事実は確認しておりますけれども、それを超えて、なぜ処分されたごみの量が九・三トンであるかまでは承知をしてございません。

川内委員 いや、そんなことでは済まないでしょう。だって、いろいろな資料を確認して、地中埋設物撤去工事の工法は、主として掘削埋め戻し工法であるということを確認されていますよね、航空局は。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 地下埋設物の撤去については、地面を掘削をして、地下埋設物を取り出して整地をするというものと、それを運搬、処分するというものと、その他の関連のものと、大きく三つに分けられると思いますけれども、御指摘の掘削埋め戻し工、これは、三つの内容のうち、地下埋設物の撤去に当たると考えております。

川内委員 だから、その掘削埋め戻し工法で、まず、土砂を掘って、ふるいにかけて、ごみと土砂を分けて、ごみを外に出すわけですよね。次長、いいですか、わかりますよね、私が言っていること。そうすると、ごみは残るわけですよ。五千トン以上の残ったごみは一体どこへ行ったのかということを、現地確認をする人たちは不思議に思わなきゃいけないんですよ、九トンしか外に出ていないわけですから。そこに何にもなかったなんてことはあり得ないんです。あり得ないんです。

 そこに、また、今度は三月に、新たなごみと、新たなごみが積み上がっていたという記述が今度は出てくるわけですね。新たな地下埋設物の定義を、理財局長、教えてください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 新たな地下埋設物の定義という話は、川内委員からずっと御宿題をいただいていてという課題だと思っております。

 委員よく御案内のことだと思いますので、委員にはと思いますが、合意書の五条に該当するもの、非常にざくっと言えば、一番契約的に申し上げれば、恐らく合意書の五条にある、貸付けのときの合意書の五条にあるものの範囲内は、基本的には既存の、既知の埋設物ということだと思いますので、それを超える部分というのは新たな埋設物ということだろうと思っております。

川内委員 いや、だから、これは私の仮説なんですけれども、五千トンを超えるごみは場外に搬出されていない、恐らく場内に残されていたであろうと、十一月、十二月の時点ですね。翌年の三月の時点で新たなごみが見つかったとして、そのときの記述では、廃棄物が山積みにされていたということも書かれているわけですけれども、結局、有益費対策工事で出たごみをそのままにして、そして三月の時点で新たなごみが出たということにしたということではないか、そこに大きな虚偽があるのではないかというふうに私は思います。

 決裁文書を書きかえていたという事実が明るみに出て、こういう事態になっているわけですから、近畿財務局にしっかり確認をして、あるいは航空局もそうですけれども、新たな地下埋設物撤去費用を売却価格から差し引くことは航空局から提案したときのう出た文書に書いてありますよね。それはよろしいですか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 大阪航空局は、土地所有者として、契約を担当する近畿財務局とともに、本件土地の処分について事務を進めていたところでございます。

 御指摘があった部分は、具体的には大阪航空局から値引きの提案をしたというところでありますけれども……(川内委員「もういいです。提案したんでしょう」と呼ぶ)いえ、そこは、大阪航空局が主導して、くい掘削工事でごみが出たことへの対応として、売却価格からごみの撤去費用を控除することで事案の収束を図るといったことまで提案するとはちょっと考えにくいというふうに考えてございます。

川内委員 では、記事が違っているということなわけですけれども。

 それでは、森友学園側の工事業者に見積りをさせた、地下埋設物撤去費用について森友学園側の業者に見積りをさせたというのは事実ですか。

和田政府参考人 お尋ねは、きょうの東京新聞の記事のことだと思います。

 大阪航空局は、見積りに当たりまして、校舎の設計の概略図や森友学園側が行った試掘の報告書など、見積りに必要となる資料は森友学園側の工事関係者から入手をしております。しかしながら、大阪航空局の職員にも確認をいたしましたが、報道にあるような森友学園側の工事関係者から見積りそのものを入手して大阪航空局の見積りとしたといった事実はないというふうに聞いてございます。

 これまでも御説明してきましたとおり、大阪航空局は、当時、検証可能なあらゆる材料を用いて、みずから見積りを行っていると承知しております。

川内委員 それでは、廃棄物混合土の処分単価二万二千五百円は、工事業者から聞き取った数値ではありませんか。森友側の工事業者から聞き取った数値として、廃棄物混合土の処分単価二万二千五百円というのを設定したのではないですか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、見積りに必要となる資料は工事関係者から入手をしておりまして、先生おっしゃられました処分費単価についても、工事関係者からヒアリングを行って聴取をしてございます。

川内委員 だから、今申し上げたように、二万二千五百円は工事業者から聞きました、それを使って計算しましたということになっているわけでございまして、それが、ほぼ工事業者に見積りをさせたのと同じこと、効果としては同じことではないかと。そういうことをやって、理財局長、土地の値段を引き下げているわけですよね。

 だから、この有益費工事、そこで出たごみがどこに行っちゃったかわからない、しかし三月には何かごみが山積みになっていましたと。物すごい値引きにつながります。この間の経緯は非常に私は怪しいというふうに思います。

 この間の経緯については、この決裁文書の中にも余りつまびらかに書かれていない。近畿財務局に確認をしていただく必要がある。本当のことを国民にお知らせすべきであるというふうに思います。五千トンのごみがどこへ行ったんだ。確認していただけますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員には常日ごろ御指導いただいていて、今の議論についても随分御指導いただいていて、あるいはその議論は委員、先生以外からもいろいろな御質問をいただいていて、その都度近畿財務局には確認をした上で私どもとしては答弁をしておるつもりです。

 それで、なおここを確認をせよということであれば、今の委員の御質問からすると、要すれば、有益費のときに全部は取り除いていないのではないか、残っている部分があるのではないかということを確認をせよということだと思いますので、近畿財務局として、有益費工事のときに全てを取り除いたのか、それとも一定部分残っている分があると認識をしているのかという問いとして確認をさせていただきたいというふうに思いますが、よろしゅうございましょうか。

川内委員 いや、そうじゃなくて、有益費工事から地下埋設物撤去費用の算出に当たっての一連の経過の中で、言葉は悪いかもしれないけれども、ずるがあっただろう、おかしなことをしたのではないかという指摘です。そこを聞いていただきたいということを申し上げておりますし、あと、もう時間がないので、先ほどの総理秘書官等総理の周辺の方から、総理秘書官等の等には、官邸の中のさまざまな役職の人が入りますよ。総理秘書官等から理財局に対して本件についての問合せがあったのかなかったのか、今確認をしていただいた結果が来ていると思いますので、教えていただきたいと思います。

太田政府参考人 お答えをいたします。

 前段部分は、一般的な要するに流れの中で何か問題はなかったか、これまで明かしていないことはないのかということだと思って、それで承ります。ただ、これまでもずっといろいろなところでお尋ねをいただいていますので、それで新たなものが出てくるとは、正直に言えば、非常に難しいだろうとは思います。

 二点目、今ほど川内委員からお尋ねあった件について、国有財産業務課、常日ごろ御指導いただいている課長に確認をいたしました。やはり、確認をいたしましたが、この一回きりだというふうなことが私どもの認識でございます。

 その上で、委員が確認をせよという御指示でございますが、そうであれば、委員は何らかの証拠を持っていらっしゃって、そういう御発言をされていると思いますので、総理秘書官等ということではなくて、等は、官邸の職員はたくさんございますので、何らかの証拠を持ってお話しであれば、その等も含めて特定をいただかないと、それは、確認をせよと言われても、そこは非常に難しいというふうに私としては思いますが。

川内委員 いや、めっちゃ簡単なことですね。きのう確認したら、ありましたと答えたんですよ、理財局の方が。ありましたと答えた。いやいや違いますとそこで手を振られても、それはありましたとおっしゃられたので、きょう聞いているんです。

 私に、そんな官邸の中のことなんか、わかるわけないじゃないですか。我々は、ただ教えてくださいという立場なわけですから。我々は質問する立場なので、質問する前に役所の方にいろいろなことを事前に教えていただいた上でこの場で質問するわけで、きのう確認をしたらば、総理秘書官等、等は、官房副長官とか官房副長官補とかさまざまな方たちがいらっしゃいますけれども、総理周りの方たちから問合せあるいは要請等が本件に関してありましたかと聞いたら、それはありましたというふうにお答えになられたので、きょう、改めて正式な場で確認しようと思って聞いているんです。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 いつも御指導いただいている課長に確認しましたが、そうではないんですが、今委員から、きのうは電話でレクをいただいていると思いますので、その電話を誰がしたかということで、その電話をした本人に確認をさせていただきます。

川内委員 質疑の時間が来てしまったんですけれども、ここは非常に重要なところだと思いますので、よろしくお願いをして、終わりたいというふうに思います。

小里委員長 次に、高木錬太郎君。

高木(錬)委員 立憲民主党、高木錬太郎です。

 先ほど、川内委員の質問で、改ざん、削除によって、十四文書、意味合いが大きく異なるものはありますかという質問に対して、太田理財局長は、大筋変わったものはないという認識を述べられ、強いて言うならば、個人的な感想として、軟弱地盤云々という話がありましたけれども、そもそも、公文書管理法の法律が改正されて、意思決定だけではなくて、その間の過程、経緯、これが非常に重要であるから、後々検証できるようにきちんと書きましょうということが義務づけられたという認識でいますし、そういうことだと思います。非常にそこの経緯が重要であるということになったんだと思います。

 なぜ重要かというと、その意思決定の意味合い、まさに意味合いや意義や位置づけということが、その経緯や過程から判断できるからということだと思うんですね。

 という意味でいきますと、大筋意味合いが異なる、変わったという認識はないというのはいかがかと思いますが、太田局長、いかがでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員のおっしゃるとおり、決裁文書の調書を書きかえるということは、今委員のおっしゃったように、経緯も含めて、それが違う、書きかえられているということは、いろんな意味で大変大きな問題であって、それが、そういう意味で、それは大筋変わっていないということを言ったことは、それを否定しているつもりで私は申し上げておりません。

 川内委員は、内容のことを大変長らく御議論いただいていて、内容のことに物すごくお詳しくていらっしゃるので、そういう意味での内容のところで違い云々という御質問だと思ってお答えしただけで、今の高木委員のお話は、変えていることについて何とも思っていない、何とも思っていないは言い過ぎですが、そこに対する認識が甘いんじゃないかということだと思います。それはおっしゃるとおりで、書きかえられていることは物すごく重いことなので、それは全く委員と同じように思っております。

 その上で、今ほど委員もちょっと引用されましたので、気になっているのでちょっと御答弁をさせていただきますが、川内委員の質問の中で、感想めいた話として、印象めいた話として申し上げました軟弱地盤の話は、もともと、書きかえ前のときの方が、書きかえることは決していいことではありません、ですが、書きかえ前のときの方が、ある意味では、それまでの統括国有財産管理官がずっとやってきたことに、やや引きずられたような表現になっていたというふうに思います。

 これは、二十五件の法律相談文書を出して、そこが、ある意味で、こちらも気づくのが遅いので何とも申し上げようがないんですが、それをよく読んでみると、基本的には、軟弱地盤云々の話は、もともと書いている方のがやや無理があって、要すれば、それはコンビニのような、そういうものを定期借地十年だったので、コンビニのようなものを建てるということで不動産鑑定評価をやっていたのに引きずられていたということですが、実際は、定期借地の後に買い取って小学校を建設するということですから、もともとの不動産鑑定評価にやや無理があって、それをもとにやや書きかえ前はつくられているので、むしろ、書きかえ後の方がむしろわかりやすく書いている。書きかえたことは全く許せないことですが、そういうことだということをちょっと私は申し上げたくて、さっきそういう御答弁を申し上げた次第でございます。

高木(錬)委員 改ざん文書十四件のうちの、特に生々しく細かく書かれてある、二〇一五年五月に、学園と国有地定期借地契約を結ぶ直前に作成された、普通財産の貸付けに係る特例処理についてという文書なんですけれども、これがすぽっと削除されているということで、森友学園への貸付決定の意味合いや位置づけがゆがめられた、削除されることで意味合いが変わったという認識はおありですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 経緯なりが、今委員のおっしゃるとおり、ほとんど大部分削除されることによって、要すれば、どうしてこういうことがこういう結論になったかということがわからなくなっているという意味で、大変大きいものだというふうに認識をしております。

高木(錬)委員 もう一つ、先ほどのやりとりの中で、末松委員の質問で、二〇一五年七月三十一日、八月七日、九月三日と、当時の理財局長、迫田局長が安倍総理大臣と頻繁に会われている、これはいかがかという質問に対して、御答弁で二点挙げられていました。

 その局面では、重要な局面で、一つは郵政株の売却、もう一つが社福に国有地を借りやすくさせてあげる云々ということが御答弁であったかと思いますが、その二点、重要な局面という言葉もあったかと思うんですが、その結果、この二件に関してどんな処置がその後行われ、そこまで重要、総理と相談するぐらい重要であるならば、いろんな手だて、処置がされたと思うんですけれども、そこら辺について把握されていますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、日本郵政株については、初めて日本郵政株をマーケットに売却するという決断をし、その売却がなされたということがございます。

 それからもう一点、社会福祉施設については、定期借地みたいな仕組みをつくって、要するに、借地という仕組みを使うことによって、もともと国有地だったものを借りていただくことによって社会福祉施設が建設しやすくするようにする、そういう仕組みの改正を行って、その社会福祉施設の建設を進めることができるようになったということが進んだことでございます。

高木(錬)委員 仕組みが、法律、政令、何かで改正されて、実際にそう動いているんですか、現在。

太田政府参考人 通達改正を行うことによって仕組みが動いているということでございます。

高木(錬)委員 この改ざんに関して、内部調査を進めているという御答弁をいろんな場面でされていると思いますが、現在の進捗状況を教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 先週月曜日、三月十二日に、書きかえが当時の理財局の一部の職員によって行われたことを御報告いたしましたけれども、その上で、どの職員が、どの程度、何のために関与したのかという調査に今着手しておるところでございます。

 これは、職員の処分にもつながり得る調査でありますことから、官房長である私のもと、大臣官房の人事担当部局、具体的には、秘書課と同課の首席監察官室を中心に、職員からの聞き取りや書類の調べを進めているところでございます。

 調査を尽くす必要もありますので、これからしっかりとやってまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、三ッ矢委員長代理着席〕

高木(錬)委員 先ほど海江田委員からの質問の中で、三月十九日、決裁参考メモが出てきたが、これはいつ削除されたものですかという質問に対して、確定しづらいと太田局長は御答弁なさったと思いますが、今のその内部調査の進捗では、まだまだそこまで行き届いていないという理解でよろしいですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員のおっしゃるとおり、まだまだそこまで行き着いていないということでございます。

高木(錬)委員 内部調査、どのようなスケジュール感でこちらは待てばよろしいですかね。いつ、いついつ、何月何日とまでは求めませんが、どんなスケジュール感でしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 これも今まで何度か御答弁させていただいてまいりましたが、調査を尽くす必要がございまして、また、捜査当局による捜査への影響にも留意する必要がありますことから、確たることはどうしても申し上げることはできませんけれども、できる限り速やかにやってまいりたいと思っております。

高木(錬)委員 先ほど川内委員からもありましたけれども、あるいは海江田先生も触れられましたが、今や、もうこの期に及んでは、八億円の値引きというのが非常に根拠薄弱だと思わざるを得なくて、そもそもですが、この国有地を安く売るというミッションは財務省にとって何かメリットがあるんですか。国有地は高く売るべきですもんね。いかがですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国有地は適正な価格で売るという任務であり、まず第一義的には、値段ももちろん重要ですが、第一義的には、遊休の国有地をいかに有効に活用するかということで、まず第一は、公用あるいは公共用で有効に活用していただけないか、要すれば、地方公共団体なり、社会福祉法人なり、あるいは学校法人ということですが、そこで有効に活用していただけないかということが、これはもうずっと長らく課題としてやってこられた、あるいはやってきたということでございます。

 そういう活用が見込めないのであれば、次は、もう金銭に換算するということで、一般競争入札をもってできるだけ高い人に売るということでございます。

 もちろん、安い値段で売るということが、何というか、ミッションではありません。もちろん、高い値段の方がいいんですが、まず第一義的には、公用、公共用で有効活用していただくというのが、ずっと、長らく国有財産をめぐってやってきた仕事だというふうに思ってございます。

高木(錬)委員 先ほどの質問に戻りますが、迫田当時の理財局長が安倍首相と月に一回三カ月間会われた理由の中で、社福に国有地を借りやすくするという話でしたが、学校法人という議論は、つまり、先ほどから太田局長は、迫田先輩から当時の話をよく聞いているという話も先ほどありました、自信を持ってお答えになっているかと思いますが、社福に限らず、そこに学校法人も入っていたということはないんですかね。

    〔三ッ矢委員長代理退席、委員長着席〕

太田政府参考人 当時、非常に大きい課題として、介護をするために、中堅というか、そういう方が仕事が非常にしにくくなる、それが、そこを打開しないといけないというのが非常に大きい課題、これは今でもそうですけれども、ということで、まず、介護施設、社会福祉施設ということが当時最大の課題だということで、そういうことに取り組んでいたということでございます。

高木(錬)委員 介護施設が足りない云々というのは、とりわけ二〇一五年の七、八、九に大きな局面、重要な局面になっているとは、余り、一般的に理解しづらいんじゃないかなと思うんですけれども。

 いずれにしても、大きなリスクがある、背任の疑いも可能性が否定できないこの国有地の不当売却に、財務省が、私の印象ですよ、私の印象ですが、片棒を担がされて、その不当売却を取り繕うために、公文書の改ざんまでやらざるを得なくなって、そういう経緯の中にあるんだと私は思ってしまうんですね。

 そこで、なぜ改ざんしたかの問いに対しての答弁は、当時の理財局長、佐川理財局長の答弁に合わせた、文書の方を答弁に合わせたということを繰り返されていますが、答弁自体を修正するということは考えられなかったんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 それは、もちろん答弁を、仮に答弁が誤解を受ける、あるいは誤解を受けそうであるのであれば、答弁を修正するというのが当然のことであります。それはもう委員のおっしゃっているとおりです。そういうことであるんですが、それが、今回のこの件は、ある意味、間違った方向に行ってしまったということで申し上げているという次第であります。

 ただ、要すれば、これは二月下旬から四月にかけてと申し上げましたけれども、しかも、なぜというときに、二月から三月にかけてのそれまでの国会答弁が誤解を受けることのないようにというふうに整理をして申し上げておりますが、きょうも他の委員会で野党の先生からお話がございましたけれども、要すれば、当時、二月から三月にかけて、国会での論議は大変厳しい、大変激しい議論であったのでそういうことが起きたんだろうというお話を、野党の先生ですけれどもおっしゃっておられましたが、まさにそういう認識、だからこういうことをしていいということには全くなりませんが、そういう認識だったというふうに考えられるところではあると思います。

高木(錬)委員 今おっしゃられた、間違った方向に進んでしまったというのは、これまた答弁で繰り返されていますが、理財局の一部の職員が間違った方向に進ませてしまった、そういう理解ですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど申し上げたのは、二つ意味があると思っております。間違った方向にというのは、今委員が、決裁書を書きかえるんじゃなくて答弁を修正すべきではなかったかとおっしゃられるので、それは、答弁を修正すべきなのが決裁書の方向に、書きかえるという方向に行ったということを、間違ったというふうに申し上げました。

 その上で、今、一部の云々とおっしゃられましたが、本件について、それは誰がというところについては、本省理財局がと申し上げておって、それは、理財局の一部の職員においてなされたということを我々なりに現時点で把握をしておりますので、それを御報告申し上げているということでございます。

高木(錬)委員 その把握された一部の職員に対しては、細かな日時も含めて、改ざんの具体的な作業も含めて、いろいろな聞き取り調査は進めていらっしゃる、先ほどの内部調査の進捗の話にもつながりますけれども、進めているという認識でよろしいですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど官房長の方から御答弁申し上げましたように、これは、そういうことを進めて、行く行くは処分云々にもつながる話でございますので、官房を中心としてそういうことを、確認というか作業を進めているというところでございます。

高木(錬)委員 虚偽公文書作成等罪に該当する可能性もあるかもしれない、そういう大きなリスクもあるかもしれない、それを背負って、一部の職員がみずからの判断で、主体的に改ざん、削除をしたとは到底私は思えないし、理解はできませんし、想像もできないんですけれども。

 いずれ発覚するであろう改ざん前の文書をわざわざ残していた、それも破棄すればよかったでしょうに残していたというのは、その調査の中ではどういうふうに話があるんですか。しかも、その改ざん前の文書というのは、誤字があったり、余り質の高くないものだと思っておりますが、それこそ破棄すればよかったものを、何でそんなに大事に残していたのかなというのが不思議でならないんですが、そこら辺はいかがですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今の御質問の中に二つの部分が入っておったと思います。

 まず一点は、少し軽い、軽いというか、少なかった部分、今の質問の中では少なかった部分だと思いますが、要すれば、書きかえ前の文書の、調書のできがもう一つじゃないかという御指摘でございました。これは、本委員会でも他の委員からそういう御指摘をいただいたと私は承知しております。それは、私ども財務省あるいは財務局のできが悪いという御指摘だと思いますので、それはきちんと受けとめて、そういうことが言われることのないように努力をしなければいけないというふうに思っております。

 それから二点目は、では、何でそういうものが残っておったかということですが、まさにそれは今調査をしている最中のところでございまして、それは、ある意味では、やはりこういうことをしてはいけないと思ったから残していたのかもしれませんし、それも含めて今調査をしているというところでございます。

高木(錬)委員 後々、こんなのは異例な処理だ、おかしいと問題視されて指摘される可能性に備えて、あるいは、そのときにかかわった方がこんな筋の悪い案件は前例にしちゃいけないという発想もあったかもしれません、そのために、後々、これはこういうことだったんだと、あえてその証明のために、そして、財務省の一部の職員か理財局なのかよくわかりませんが、近畿財務局かわかりませんが、自分たちが主導したわけではないという証明を残すために、あえて経緯が書かれた詳細な記録を、改ざん前の文書ですね、残していたのではないかなと私は思わざるを得ない、そう思っています。

 この間、衆参の予算委員会含めて、答弁や、まさに矢面に立たされている太田局長には、今も誠実に御答弁いただきまして、まことにありがたく思っています。そして、大変連日お疲れさまです。きのうのような非情な質問もありましたし、その質問に対して耐えて、公務員として、仕えた方に一生懸命仕えるのが仕事とそのとき御答弁もされています。ある意味、組織を守るという意味での、組織人としての当たり前の行動をとっていらっしゃって、そのお役目を一生懸命果たされようと連日答弁に立たれているものだと思っています。

 ですが、やはり太田局長、仕えるべき相手は、組織や一部の政治家ではなくて、やはり主権者たる国民だと思うんですよ。公務員というのはそうあるべきだと思うんですよ。その国民のはずでありまして、その国民が、大多数が疑念を持っているわけです。その国民に得心していただくためには、私は、なかなかやはり財務省の中の方々の内部調査だけでは、構造的に、全容解明、真相究明は難しいんだと思うんです。不祥事を起こした組織による内部調査では、なかなか客観性や中立性も保てない。

 そういう意味で、ぜひ、私は、国会の中で調査を進めるべきだと思いますし、そういう意味でも、この財務金融委員会で、霧に覆われて見えなくなっているその真相を、霧を払って見えるようにする。そのためには、与野党一致して全容解明を図る。そのためには、しかるべき方々にやはりお出ましいただいて、正直に話していただかなければいけないと思います。

 先ほどから、同僚の先輩議員の皆さんからあった方々のお名前です。安倍昭恵総理夫人、佐川宣寿前理財局長、迫田英典元理財局長、中原広元理財局長、谷査恵子元総理夫人付政府職員、こういった方々にお出ましいただいてしっかりと正直にお話しいただかないとなかなか霧が晴れない、そう思わざるを得ません。

 そして、先ほど、内部調査の進捗はいかがですかに対して、官房長官がこんな感じでやっていますという話がありましたけれども、麻生大臣、全容解明すべしという世論は日に日に高まっていまして、大臣も敏感にそこは感じ取られていることだと思います。大臣のお考えとして、どこまで、どのように解明すれば、今疑念を持たれている国民の皆さんが納得をされ、ある意味、地に落ちた財務省、政府の信頼回復が図られるというふうにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これは今、先生も御存じのように、そもそも、決裁が行われた行政文書を書きかえるという極めてゆゆしき話が起きておりますので。御存じのように、大阪地検によって、いわゆる司直の手によって、これは今、捜査が行われている最中でもありますので。

 私どもとしては、当然、理財局の話ではありますけれども、少なくとも、これは、誰が、いつ、何を目的で、どうしたという話になりますと、これは財務省全体で取り組んでいかねばならぬ課題でもありますので、目下、官房長を中心にして、中心的な役割を果たすように申し伝えてあるんですが、今既に着手をされております調査等々によって、当時の理財局の職員により行われたものであるという、一部の職員により行われたところまではたどり着いたというところなんですけれども、一方、具体的に、どの職員が、どのような目的を持ってというようなことについては、更にしっかりとした調査をしなければなりません。

 これは、個人のいわゆる懲罰にひっかかってくる話でもありますので、捜査当局による捜査の影響も留意するということも当然なんですが、現時点で確たることは申し上げられるわけではありませんけれども、まずは捜査がちょっと終わらぬと、どうにもこっちも対応ができかねるところも一部ありますので、そういった面をまずは終えて、その上できちんと対応させて、少なくとも、こういった原因の究明というのはきちんとやった上で、かつ、再犯防止という点もきちんと踏まえてやらないとならぬところだ、私どももそう思っております。

高木(錬)委員 このまま財務省の中の方々による内部調査で、こうなりました、これが真相です、全容解明できましたということになりますと、私は、これだけ大きな事案ですし、改ざん事件、改ざん問題です。今、国会にいる者の一人として、将来の国民や議会人に顔向けできないと思うんですよね。この問題を国会として真正面から受けとめて、国会として全容解明に動き出すということがなければ、将来の議会人、国民に対して顔向けができない、私はそう思っています。

 そして、これは財務省の中の一部の職員の不始末であって、その方々が結果的に、意図していたかどうかわかりませんけれども、国民や国会を愚弄し、欺いたというストーリーになりつつあるように感じていますが、果たしてそれは本当に真実なのか、私は非常に疑問を拭えないんですね。

 繰り返しになりますが、国会として、真相究明、全容解明を図っていかなければいけない、そのように改めて申し上げさせていただいて、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 希望の党の今井雅人でございます。

 先週の金曜日の続きを行いたいと思いますけれども、その際に宿題もありましたので、その回答もいただきたいというふうに思っております。

 まず、文科省、いらっしゃっていますか。

 名古屋の市立学校の授業に関しての照会の件ですけれども、きょう午前中に閣議の後に林大臣が記者会見をしておられまして、詳細にこの件について御説明をされています。内容はよくわかりました。

 それで、それをちょっと見ていて、あれっと思ったんですけれども、ことしの二月十六日にこの授業が行われたわけですが、翌日の十七日に中日新聞が報じたんですけれども、これを愛知県の池田議員が見て赤池議員に伝えて、こんなのが出ていますと。それで、赤池議員から文科省の官房長にショートメールで、文科大臣の言い方を聞きますと、報道にあった前川氏の授業について内容を確認してみたらどうかということを赤池議員から官房長に伝えたということを大臣がおっしゃっています。

 実は、文科省から私はどういう説明を受けていたか、このヒアリングのときも、ここもそうですけれども、中日新聞を見て初めて知ったとおっしゃっていましたよね。中日新聞の記事を見て初めて知ったとおっしゃっていました。しかし、これは事実と違いますね。赤池議員から聞いて知ったんですよね。どうしてこんなうその答弁をしたんですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今、今井先生御指摘のとおり、二月十七日に、官房長に対しまして、報道にあった前川氏の授業について内容を確認してみてはどうかというコメントをいただいたというのは事実でございます。

 私どもが調査をするというふうに至ったのは、その後、中日新聞の記事を入手いたしまして、それを拝見した上で調査をする必要がある、このように考えたということでございます。

今井委員 それは違いますよ。ちょっとそれ、答弁を直した方がいい。

 僕らには、中日新聞を見て初めて知ったとおっしゃったじゃないですか。違いますよ。赤池議員からメールをもらって気づいたんでしょう。それは訂正してください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、二月十七日に、官房長に対して、報道にあった前川氏の授業について内容を確認してみてはどうかというのをコメントいただいたということが事実でございます。

今井委員 そういうことなんですよ。これは森友学園の問題ととてもよく似ているんですよ。最初に何か隠して答弁をして、後で何か違う事実が発覚して、ここで釈明をする。同じパターンじゃないですか。なぜ最初からその事実を言わなかったんですか。

 もう一回お答えください。

白間政府参考人 申しわけございませんでしたが、その時点で、二月十七日の時点まで確認を十分にできておりませんでした。申しわけございませんでした。(発言する者あり)二月十七日の時点で官房長に対してメールをいただいたということが事実でございます。

今井委員 よくわかりません。

 何ですか。私たちに答弁をしたときに、最初のときにこのことを知らなかったということですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 二月十七日に官房長にメールで赤池先生から情報が参りました。それから、官房長から十九日に初中局に情報が伝達され、それから、私どもの方で初中局から池田議員に中日新聞の記事を提供を依頼をし、そこから記事を入手して調査をしたというのが事実でございます。

今井委員 そうでしょう。私はその一カ月後の三月十六日にこの経緯を聞いたら、その事実を隠していたじゃないですか。皆さん御存じなのに、隠していたじゃないですか。どうしてそれを隠していたんですか。

白間政府参考人 申しわけございません。私ども隠しているつもりではございませんでしたけれども、ただいま申し上げたのが事実でございます。

今井委員 そうやって事実じゃないことをいろいろ言って、政治家が絡んでいることを言いたくないものだから、こんなにまた問題になるんですよ。何でそうやって皆さん毎回毎回隠すんですか。最初から全部本当のことを言ってください。

 文科省というのは何をつかさどっているところですか、教育でしょう。ちゃんと誠実に、正直に話すということ、それが教育の基本じゃないですか。私も教員一家ですけれども、そんな教育を受けたことはないですよ、適当にごまかせなんて。いいかげんにしてほしいです。

 それで、もう一個お伺いしますが、十九日の日に池田さんから新聞記事をもらいましたよね、こういう内容ですと。その新聞記事を見て、市の教育委員会に電話で確認しましたね。そのとき、どういう内容を確認したんですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 電話にて教育課程課から名古屋市教育委員会に確認をいたしました事実関係の内容ですが、この中学校における授業の全体計画、それから当該授業の概要、また年間のスケジュール、また保護者への案内、こういったことについて事実確認を行ったものでございます。

今井委員 二月十九日にそういう内容の電話をしていますね。向こうも答えています。その後、翌日の二十日に赤池議員に全部説明して、二十二日にも池田議員に説明しているというふうに聞きました。正しいですね。

 電話でヒアリングをして、今の内容でしたら、私は大体のことを聞いていると思うんですけれども、なぜその後、三月一日にメールをわざわざまた送ったんですか。電話で内容を聞いたら、それでもう十分だったんじゃないんですか。なぜその後、御丁寧にメールを送ったんですか。

白間政府参考人 ただいま申し上げた内容を踏まえた上で、更に詳細に確認をする必要があるというふうに考えたからでございます。

今井委員 電話で聞き取りをして、何が足らないと思ったからメールを打ったんですか。

小里委員長 答えられますか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小里委員長 速記を起こしてください。

白間政府参考人 大変失礼いたしました。

 今申し上げたことに加えて、この当該総合的な学習の時間は原則金曜日の五、六時間目に設定されているんですけれども、こういったことが今回各学年で実施をされている、また全学年で実施をされている、例えばそういった詳細について把握する必要があるということで確認をさせていただいたということでございます。

今井委員 この件は後で大西議員がやられるそうですけれども、今の点はもうこれで終わっておきますけれども、もう一点、私はお伺いをしたいんですね。

 林大臣の話によりますと、三月一日にメールを出す前、この十五の項目ですね、この項目を出す前に池田議員に見せて、いかがでしょうかというふうにお伺いを立てていますね。それで、二つのコメントをいただいておりますね。この二つのコメントに対してどういう対応をとられましたか。

白間政府参考人 お答えを申し上げます。

 この池田議員からいただいたコメントを参考にいたしまして質問内容を一部を修正したものでございますけれども、この修正はあくまでも文部科学省の主体的な判断で行ったものでございます。

今井委員 確認します。

 二カ所についてコメントをいただき、その二カ所とも修正をしたということでいいですか。

白間政府参考人 そのとおりでございます。

今井委員 言いなりですね、政治家の言いなりです。

 どこを修正したのかは、今調べていますね。きょう、それは伺いましたので、それは必ず答えてくださいね、どこを修正したか。

 しかし、言われたまんまですよ。言われた箇所、全部修正している。これは政治介入と言われても仕方ありませんよ。

 きょうは政務官、ありがとうございます。私はちょっとお伺いしたいんですね。政務官も教員出身ですよね。

 この今回の事案に対して、愛知県の大村知事はコメントを出しています。常識外れであいた口が塞がらない、問合せはしつこく、非常識な文面は圧力以外の何物でもない、文科省は事実確認を明らかとするとともに関係者の責任を問うべきだ、教育は不当な支配に服することなく公正に行わなければならず、学校活動の個別の内容に国が口を出すのは控えるべきだというのが戦後教育の基本ではなかったのか。強烈に批判しています。

 河村たかし市長、名古屋市の。議員が言わぬと文科省はわざわざそんなことはやらぬ、国会で当事者を参考人招致するなどして真相を明らかにしてほしい。

 首長さんたちは怒っていますよ。教育者としてどうですか。こういう行動は適切だったんですか。

 宮川政務官は、名古屋市から二度目の回答を得た七日の日に、そのまま説明を受けていますよね。そのとき、これは適切だと思われましたか。

宮川大臣政務官 七日の日に報告を受けましたときには、このような事実確認を行うに当たって、教育現場において誤解を生じないように十分留意すべきであるということは、私も日ごろから調査のときには大変注意をするようにというふうに伝えてありますけれども、やや誤解を招きかねない部分があったということは、その場で申し上げました。

 そして、あえて言うならば、どうして政務三役に相談がなかったのかということは大変強く注意をしたところでございます。

今井委員 そうなんですよ。

 政務三役の皆さんは、もともと政治家ですけれども、行政ですから、今は。しかし、与党の人たちは行政ではありませんから。立法府の人間であって、行政の人間じゃありません。その人たちに言われて、その人たちに全部相談をして、メールも内容まで変えて。だから政治介入と言われるんですよ。

 政務三役がやっているのなら、それは行政の人間ですから、わかります。でも、その人たちに相談もしないでやって、与党の議員の人たちと相談してやっているじゃないですか。おかしいと思いませんか。どうですか、審議官。適切じゃなかったと思いませんか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしましても、三役に早く御相談をした上で対応すべきだったと思っております。

今井委員 反省されているようですけれども、ちょっとこの後、大西さんに引き継ぎますけれども、本当に、何をそんたくしているのかよくわかりませんけれども、あるいは指示されたのか知りませんけれども、こんなことやっちゃいけませんよ。首長さんたちが怒るような、こんなことはやっちゃだめです。大いに反省してください。

 では、済みません、これで終わりますので、文科省さんは結構です。ありがとうございました。

 では次に、森友学園の問題についてお伺いをしていきたいと思います。

 まず、宿題を出しておりましたので、そのお答えをいただきたいと思うんですけれども、まず一つ目ですが、これは報道にありましたごみの地下の埋設物の量の計算について、工事業者が虚偽報告だったと報道がありました。その報道の中に、学校側や近畿財務局からのそういう依頼があったと。このことについて、近畿財務局にそういう事実があったかどうかを確認してくださいということをお願いしていたと思いますが、いかがですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先週金曜日の朝の毎日新聞の報道、それから夕刊の報道を踏まえてという御質問でこの間宿題をいただきました。私、そのときには朝刊しか知らずに十分お答えができなくて、まことに申しわけありませんでした。

 それで、委員からの御指示をいただいて確認をいたしましたので、御報告を申し上げます。

 御指摘の報道に関しまして、近畿財務局の職員に確認をいたしましたところ、正直に申し上げますが、捜査との関係もあり、どこまで話してよいかわからないです、わからないんですけれども、少なくとも、工事業者とのやりとりについてどのように解釈するのか、いろいろな考え方はあるかもしれません、ただし、当方としては、損害賠償も迫られる逼迫した状況のもとにおいて、瑕疵をきちんと見積もるために資料や情報を得るのに必死であったことは確かであります、が、工事業者に対して架空の資料や虚偽の報告書をつくるように依頼したつもりはございませんというのが答えでございます。

今井委員 それは、いろいろな話をして、いろいろな努力をして、工事業者ともいろいろ話をしたけれども、自分は虚偽の報告をつくってくれというふうに言ったつもりではなかった、そういうことですか。

太田政府参考人 先ほど御答弁を申し上げたとおりで、正直に申し上げますとと申し上げたように、捜査との関係もあって、どこまで話してよいか自分はわからないという中で、委員からの御指摘だということで、ぎりぎりどこまで、ではお話ができるんだということで聞き取ったものです。

 最後のところは、今委員がおっしゃったように、とにかく瑕疵をきちんと見積もるために資料や情報を得るのに必死であったことは確かであるが、工事業者に対して架空の資料や虚偽の報告書をつくるように依頼したつもりはない、そういうことでございました。

今井委員 確認はしていただきました。ありがとうございます。

 今の答弁は、そのまま答弁として受けとめます。その後、何か新しい事実が出てきて、それが違っていたとすれば、これはまた大問題ですので、そのことだけ申し添えておきたいと思います。

 きょうは事実関係だけをちょっと確認をしていきたいと思いますので、次に参りたいというふうに思います。

 もう一つの宿題がございました。国交省さん、いらっしゃっていますか。

 私がずっと申し上げていた三メートルというプレートに書いてある写真、これについて提供者に確認をしていただきたいということをお願いをしておりましたけれども、これは結果はどうだったでしょうか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 試掘の報告書の内容につきましては、これまでもさまざまな御指摘をいただいて事業者に確認をしてまいりましたけれども、金曜日に今井委員からも御指摘をいただきまして、昨日、改めて事業者に連絡をいたしましたけれども、昨日はあいにく不在ということでございました。本日も担当者に今連絡をさせているところでございますので、改めて状況については御報告をさせていただきたいと存じます。

今井委員 先週の木曜日も連絡して不在、月曜日も不在、きょうも答えていただけない、そういう状態だということですか。(発言する者あり)では、ちょっとその業者の方に、紙、文書で問合せしていただけないでしょうか。ここはとても大事な部分なんですよ。

和田政府参考人 検討させていただきます。

今井委員 いや、検討じゃ困るんですよ。とにかく、ここの問題は明らかにしてほしいんです。私、委員会でもう何回聞きましたかね。十回ぐらい聞いていますよ、こんな一つのプレートのことを。ずうっと答えていただけないじゃないですか。もうそろそろ解決してください。こんな同じ質問を何度も何度も委員会でするのは時間の無駄です。ここははっきりさせたいんですよ。やると言っていただけますか。

和田政府参考人 先生からの御指示でございますので、文書にて確認させていただきます。

今井委員 では、よろしくお願いします。

 次に、国土交通省さん、もう少しお伺いしたいと思うんですけれども、これも報道ですけれども、財務省の中で決裁文書の改ざんが行われたとき、同じような文書があるので、これは国交省の方にも頼まなきゃいけないということで、財務省の方から国交省の方に改ざんをしてもらえないかというような依頼があったという報道がありましたが、これについての真偽はいかがでしょうか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 報道は承知をしてございますけれども、御指摘のような依頼があったかについては、現時点では確認ができておりませんので、確認をすることとしております。

今井委員 よろしいですか。これは当時担当だった方にお伺いすればわかると思うんですけれども、それにかかわっていたと思われる方というのは何人ぐらいいらっしゃいますか。大体でいいです。

和田政府参考人 お答えいたします。

 財務省とのやりとりに関してどのぐらいの人間がかかわっているのか、済みません、この場ではちょっとお答えしかねます。済みません。

今井委員 今のは通告していませんでしたので、人数が正確にはわからないと思いますけれども、一人一人、聞き取りをすればいいだけの話ですよね。それだけの話ですよね、事実確認ということは。そんなに時間かからないと思うんですけれども。

 もう既にその作業をしているのか、まだしていないのか、どちらですか。その調査はしていますか、もう。

和田政府参考人 お答えいたします。

 現在、大阪地検による捜査が進められている中、財務省において引き続き調査が進められているところでございますので、財務省で行われている調査の状況も見きわめながら確認を進める必要があると考えておりまして、今準備をしているところでございます。

今井委員 そういう答弁するから信用されないんですよ。何か都合が悪くなると、捜査、捜査、捜査に影響と言うじゃないですか。この立法府だって事実関係を確認する、そういう役目があるんです。そういう権限もあるし。

 司法は司法でやる、それはいいですよ。立法府は立法府でやるんですから、調べてくださいと。今お願いしているんです、委員会の場で、正式に。調べてください。それで報告してください。

和田政府参考人 先ほども御答弁申し上げたとおり、確認をしっかりさせていただきたいと思います。

今井委員 確認をした上で、報告をしていただけますね。この委員会に報告していただけますね、そうしたら。いかがですか。

和田政府参考人 確認が終了した段階で、どのような形で御報告するのがいいのか、御相談をさせていただきたいと思います。

今井委員 どのような形であろうと、ちゃんと我々に報告はしてくれますね。そこだけちょっと確約してください。

和田政府参考人 確認作業が終わった段階で、もちろんその結果については明らかにしたいと思います。

今井委員 では、よろしくお願いします。

 もう一点、お伺いします。

 これはもう前も議論していますけれども、ちょっと確認のためですが、大阪航空局が埋設物を計算したときの根拠ですね、根拠。これはどういう数字の根拠でやられたんでしたっけ。業者の皆さんからいろいろな提供してもらったもの、そういうものを見て判断をしたんでしたっけ。それとも、大阪航空局は自分で試掘をしたりして計算をしたんでしたっけ。どっちですか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 大阪航空局の方で地下構造物状況調査というのをやってございましたので、そこにあるデータ、それから工事関係者からさまざまな情報をいただいたもの、そういうものをあわせまして、総合的に数値を使いまして、見積りをさせていただいております。

今井委員 そうすると、業者の方から提供されたそういう証拠とかデータ、そういうものも計算の中に含まれているということですね。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、対象面積につきましては、地下構造物状況調査等によりましてごみが確認された部分や土地の履歴などに基づいて、総面積の約六〇%という数字を使わせていただいておりますし、ごみの深さにつきましては、工事写真、工事関係者が行った試掘の報告書、それから職員による現地確認等を踏まえて、くい掘削箇所は九・九メートル、その他の部分は三・八メートル、そして、ごみの混入率につきましては、平成二十二年の、先ほど申し上げた地下構造物状況調査の結果等に基づいて、四七・一%という数字を使わせていただいております。

今井委員 ちゃんと答えていただいていないんですけれども。

 三・八までごみがあるという根拠は、工事業者からいただいた写真が根拠になっていましたよね。そうですよね。ということは、このごみの量、地下埋設物の量を計算するに当たっては、イエスかノーかでいいですから、工事業者からの提供されたそういう証拠やデータも勘案されているということでよろしいですね。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 使わせていただいております。

今井委員 そうすると、仮にこのデータが間違っていたとすると、皆さんの計算根拠も間違っていたということになってしまうということでよろしいですね。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 間違っていたかどうかというのは、仮定のお話だと思いますので、この場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

今井委員 そう言うと思いましたけれども、否定はされないということですね。当然の帰結になりますので、もしここの部分が虚偽だったということが証明されると、全てが壊れてしまうということになるということだと思います。

 次に、これは理財局の方ですかね。また報道の事実確認ですけれども、先日お亡くなりになられた方の遺書あるいはメモというところで情報が出ているものの中で、交渉記録とかが捨ててあるはずはない、あるはずだというのが書いてあるというような報道がありました。その後、別の報道機関ですけれども、破棄したとされている文書は実は残っているという報道が出ておりますが、この事実関係はどうでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般、十四の文書の書きかえということが報道があり、国会での御指摘があって、調べた結果、そういうことを報告をしないといけない、そういうとんでもないことを生じさせてしまったという状況でございます。

 そういう状況の中で、今委員がおっしゃったような報道があってということでございますので、我々としても、基本的に、再度そういうことを全部調べ尽くして御報告をしなければいけないというふうに、そういう強い気持ちを持っております。

 ただ、今まずこの十四文書のところをきちんと確定させないといけない。先ほども海江田委員からも厳しい御批判をいただきましたけれども、ぎりぎり、相当、遅いという御批判はありましたが、我々は相当急いだつもりで十二日に出して、ところが、十二日に出した後、十四日にそれより二年近く前の話が一個わかり、さらに、十九日には出したものに一枚抜けがあるということが発見してしまったという状況でございますので、まずそこをきちんと確定をし、さらに、その責任の所在、要するにどういう目的でということをやらないといけない、それがまず最優先だと思っております。それに一段落、一段落って、ゆっくりやるつもりなんかありませんので、一段落つけば、今おっしゃったことも大至急でやらないといけないというふうには思っております。そういう気持ちで対応したいと思っております。

今井委員 大変な作業だということはよくわかっておりますので、優先順位をつけてやっていただければ結構ですけれども。

 今御答弁されたということは、つまり、破棄したとされている文書が残っているということに関して、それは残っていませんということは、今のところは断定できないということでよろしいですね。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の十四の文書というのを、結局、個人が手控えで持っていたり、あるいは個人のパソコンに残していたりというものがあったわけでございます。そういうことを我々としても現実に突きつけられて見てしまえば、それは、何といいますか、正式のといいますか、公式のといいますか、そういう中では、ないとしても、そういうことがあり得るというふうには、正直に申し上げて考えざるを得ないと思っております。

 もともとのルールからすれば、今報道されているようなものは基本的に交渉記録なり応接録ということで、再三御答弁を申し上げておりますように、ルールとすれば基本的には一年未満であって、事案終了後廃棄をするというルールでございます。

 私も、ルールだということは申し上げておりまして、その上で決裁文書に集約するということを申し上げておりますが、ただ、そのルールに従って全てがそうなっているかということも含めて疑念を持たれているということだと思いますので、ルールどおりにやっていればないということだと思いますが、そうでないという可能性を、こういうことが起きている時点で、絶対ないということを断言することはもうできないというふうには思ってございます。

今井委員 大変正直に言っていただきました。ありがとうございます。

 二月十七日に安倍総理が、全く関係をしていないと断言されましたよね。佐川さんも、実はこの問題について、最初の段階で、そういうものは一切残っていない、廃棄したと断言されたんです。最初に断言をするからこうやってややこしくなるんですよ。

 今、ひょっとしたらそういうものがあるかもしれないという状況になって、あのときの話がまたうそだったということになりかねない。そのことに僕はとても大きな問題があると思うんですけれども。

 今のをもう一度確認したいんですが、今回、この十四の決裁文書は、あるものは紙だった、あるものはPDFとかいう電子データだったということですね。

 そうすると、お伺いしますけれども、例えば一年未満の文書、これは紙があったとして、これはぱっと廃棄しますね。電子データというのは自動的に廃棄されるって何か一度佐川さんが答弁されて、後で修正をしておられたと私は理解していますけれども、電子データというのは自動的には消えませんよね。どうですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員から御指摘をいただいた件は、電子データのお話ですが、多分、前局長の佐川局長もそうだったと思うんですけれども、たまたまかもしれませんが、二人とも極端にそういうのに疎いような人間がこの席に立って答弁をしてしまっているものですから、そういう意味で、私も、今の意味に対して答えはこうですというふうに言い切ると同じようなことを起こしてしまうんじゃないかと思って、物すごく心配して正直に言えば答弁をしております。

 それで、私の知り得る限りで言うと、私は本当にそういうのに疎いので、使っているのが、本当にメールを使えるぐらいなので、そのメールは確かに六十日たつと消えてしまいます。残しておかないといけないのが消えてしまって、困ってどうしようということを起こしているというような人種でございますので、メールは基本的に六十日で消えているという世界でございます。

 今回のように、それが、いろいろ聞きましたけれども、個人のところにうまく、Dドライブというんだと教わりましたけれども、そこに入れると。私には実はそういう能力がないものですから、聞いたことをしゃべれるぐらいなので、そこはよく調べさせていただいてから御答弁させていただければと思います。

今井委員 私の理解もそういうことで、メールは六十日で自動的に消える。ただし、サーバーから消えるだけで、中には残っているはずですけれどもね。まあそれはいいとして、データも、自分でこうやって一つ一つ消していかなきゃ消えないはずなんですよ。

 ですから、そういうことも確認しないで、そういうものはもう破棄した、残っていないと言って断言していた佐川さんの答弁は私は非常に危ういと思っておりますので、この事実もしっかり調べていただきたいということをよろしくお願いしたいと思います。

 それと、佐川長官の、改ざんを知っていたという件ですけれども、前ここでお伺いしたところ、佐川長官御自身には伺っていないけれども、ほかの人たちから聞いたところ、佐川元長官は改ざんの事実は知っていた、こういうふうにお答えになりました。

 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、佐川元長官は、そういうことがあったということを知らされていたのか、あるいは、改ざんをするときにそのことを知ってそれを容認していたのか、どちらですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員がおっしゃったことは、まさに誰が命じて、誰の発案で、誰がどういう役割を果たしてということでございますので、今それが調べている調査の最も根幹の部分でございます。

 なおかつ、基本的には、誰がどういう役割を果たしてというのは、私は専門家ではないから大変失礼なんですが、恐らく捜査機関がやるときに一番難しいのは、今回の話は別として、どこかのテレビドラマで見るような話を申し上げて大変失礼ですが、誰がその主犯で、どういう役割を果たしたかというのは、みんな、自分はやっていない、やっているのはあいつだというようなことを言っている中で認定をする話だということだと思いますので、一番難しい部分だと思いますので、そういう意味で、捜査の状況もよく見きわめないと、多分、我々ではできない部分もあるんじゃないか、そういうことでやっているということでございます。

 あくまで、現時点で我々として御報告できることは、今委員が引用していただきましたように、我々なりに関係者から、関係者というのは今の職員たちということでございますが、聴取した結果として、基本的には一部の職員ということであり、その中には、関与の度合いが大きかったのではないか、佐川局長の。

 それは、基本的には、当時の理財局のトップであるということ、それから、今回こういうことをしてしまった理由が、二月下旬から四月にかけてこういうことをしてしまったわけでございますが、二月から三月までの、それまでの国会答弁が誤解を受けないようにということでございまして、そうした国会答弁を主としてやらざるを得なかった、やっていたのも佐川局長であることから、関与の度合いは大きかったのではないかと考えているという御報告を申し上げている、それが現時点で我々が申し上げられる全てということだと思ってございます。

今井委員 今の局長のおっしゃっていることは一定の理解をします。人それぞれ、やはり自分のサイドから話をしますから、そういうのを慎重に検討しないと何が真実かわからないというのは、ここは理解しますけれども、一点教えていただきたいんですが、佐川元長官は改ざんがあるということをいつごろ知ったというふうに思っていらっしゃいますか。

太田政府参考人 それはまさに先ほど申し上げた役割なりのところだということだと思います。

 要すれば、いつごろというのが一番頭であれば、一番最初にある意味で指示をした、スタートしたということになりますし、それから、それが後であれば、発案したのは違う者であって、それで、ある意味では、相談があってということかもしれませんし、最後であれば、全てをやっていて、その後で、これでいいですねと言われて、うんと言ったということになるわけですから。今、いつごろ知ったということを答えろということは、最初に私が一問前でお答えを申し上げたことを答えないといけないということで、それは現時点では私にはとてもできません。

今井委員 わかりました。そこは、来週、佐川元長官の証人喚問が行われる予定だそうですので、御本人にお伺いすればいいかなと思いますので、御本人にお伺いしたいと思います。

 大分時間がなくなってきましたので、次の質問をしたいと思うんですけれども、きょうは確認だけですから、いろいろ少しお伺いしたいんですけれども。

 この貸付けというのは買受け特約がついている貸付けですよね。その後、売却をしています。この売却の根拠というのは、前も国会で答弁があったと思うんですけれども、買受け特約がついていたので、それを根拠にして森友学園が買受けをした、そういう理解でよろしいですよね。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員のおっしゃるとおり、貸付けの時点で買受けをするという予約つきでございました。

 ただ、買い受けるときには当初予定していたような状況ではなかった、要すれば、基本的に、合意書の五条を超える状況であったという認識のもとでやっていますので、要するに、そのときの買受け予約を実行したわけではなくて、別途新たな売買契約を結んで売却が成立している、そういうことだというふうに考えております。

今井委員 手続上、そうなのはわかっていますが、かつて答弁で、結局、売却したのは、そもそも、買受け特約というのがついていて、売り払うようになっていたので、それを行使したんだという説明を去年の早い段階でしておられました。もう答弁を確認していますけれども。そういうふうに説明しておられましたよ。それは違うんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私も、今委員から言われれば、答弁を確認しないといけないと思いますが、そのときに、もし私が十分まだこなし切れていなくてそういう答弁をしていたとすれば、それはおわびを申し上げます。

 その上で、先ほど来の議論で、答弁に誤りがあれば謝って直した方がいいという御指摘でございましたので、そういう意味で御答弁申し上げますけれども、基本的には、先ほどの答弁で申し上げましたとおり、ついていた予約をそのまま行使するという状況ではなかったので、新たに売買契約を結ぶという形であったことは事実です。

 ただ、委員のおっしゃっていることを、少しかみ砕いてといいますか、考えていれば、もともと貸付けなんだけれども、いずれは買うというお話のもとでこの話が進んでいたということは事実なので、貸付けのもとで、ある意味で校舎の建設が進んでいた、そういう状況の中で売買につながったという意味では、広い意味ではといいますか、そういう意味ではそういうことかもしれません。

 ただ、予約権を行使したかといえば、そうではないということを御答弁申し上げているというふうに御理解をいただければありがたいと思います。

今井委員 ちょっとそこはちゃんと整理が必要ですね。

 例の出していただいた法律相談の中に、新しい契約を結び直した方がいいかということで、今のような説明が書いてあります。もともとはそういう買受け特約を行使するんだけれども、もう一個の、ちょっと状況がいろいろ変わっているので、新しく契約を結び直した方がいいというような回答があります。僕も読みました。

 ですけれども、ちょっときょうは全部チェックしてこれなかったんですけれども、佐川元長官はこの場で、その特約をもともと売ることが決まっていたので、それを行使して売ったんですという答弁をしておられます。実際に籠池さんたちもそういうことをおっしゃっていますね。

 一連の流れの中で、これはずっと借りるんだけれども、八年後に買うことになっているんだけれども、安くなったから、じゃ、今買いますよ、この特約を今行使しますよということで買った、こういう説明をずっとされてこられているんです。財務省の皆さんも、籠池さんも。ちょっと確認してください。ちょっとここで今やりとりしたものを。

 私が申し上げたいのは、であるとするならば、この貸付けと売却というのは一体なんですね。一体なんですよ。だから、貸付けのときだけ言って、売却のときには言っていないという理屈は成り立たないんです。一体だから。だから、総理の答弁を聞いていると、これが別物みたいにおっしゃっていますが、別物ではありません。一連の流れの中での取引ですから、どこかにかかわっていれば全体にかかわっているということになるんですよ。そのことを私は今ここに指摘をしておきたいと思います。

 それと、最後に、例の価格と金額の件ですね。僕、確認しました。三月十五日の初鹿さんとのやりとりですけれども、ちょっと読みますよ。

 初鹿さんはこう聞いています。買受けを受けるに当たって幾らなら買えるというような、森友学園側からの金額の提示のようなものはありましたか。それに対して、三月に新しい埋設物が発見されまして、深いものは国の瑕疵ということでございますが、それについて、今まで御答弁申し上げているとおりで、大阪航空局に建設物の撤去、処分費用を依頼しまして、それを見積もって、それを前提として、私どもは不動産鑑定にかけてございます、それを受けましたのが五月末でございますが、いずれにしましても、そういう価格につきまして、こちらから提示したことはございませんし、先方から幾らで買いたいといった希望もあったこともございません。こういう流れなんです。

 太田局長はいつも、予定価格と金額は違うんですとおっしゃっていますが、このやりとりを見ている限り、どう見ても予定価格の金額を提示しているということですよね。金額というのは何の金額かといったら、予定価格の金額なんですよ。つまり、予定価格を幾らにしてほしいということを、籠池さんは、ゼロに近い金額にしてほしいと言っているわけです。そのゼロに近い金額というのは予定価格のことなんですよ。(発言する者あり)そうですよ。だから、予定価格をゼロにしてほしいと言っているんですから、価格の交渉は、先方から価格の提示は少なくともあったんですよ。皆さんからそういう提示をしたかどうかはわかりませんが、少なくとも籠池さんからはゼロにしてほしいという、そういう提案はあったんです。このことを認めないから、またおかしくなるんですよ。それは訂正された方がいいです。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員からは、たしか昨年秋の予算委員会でもその御議論を頂戴いたしました。そのときに私が、今おっしゃったように、予定価格だということと、私なりには、ある意味で議論の混乱を避けるためにと思って金額という言葉を使ったんですが、じゃ価格と金額はどこが違うんだという、そういう話になって、その後、たしかことしになってからだったと思いますが、基本的に、価格と金額、一般的な名詞としての価格と金額というのは同じことじゃないかということなんですが、だけれども、申し上げているのは予定価格だというふうに申し上げました。それを踏まえて今委員は御質問いただいているというふうに思っております。

 委員のおっしゃっているようにというか、私どもあるいは佐川前局長も申し上げようと思っていたことは、基本的には、この間、先週の金曜日に、海江田委員それから川内委員、特に川内委員からお話があったことだと思っておりますけれども、基本的に、この売却のルール、仕組みというのは、当方が予定価格を決定して、それを先方に通知をして、向こうがのむかのまないかという、そういう仕組みだということを申し上げました。

 その上で、委員がおっしゃっていることの意味は、私なりにはよく理解しているつもりです。

 この話の、もう反省も含めて申し上げますが、不幸だったことは、不幸と言うと本当に失礼ですが、要するに、価格提示なかった、価格交渉あったなかったという、どうしても報道は字数も限られるし、テレビだって時間が限られる中で、そういうことが起きて、その部分が出て、もちろんこちらの答弁もややそれにこだわってしまったと思いますが、御質問いただくも、それがあったかないか、要するに、価格提示があったことを認めろ認めないみたいな、そういう議論になってしまって、こういうことになってしまったんじゃないかというふうに思っております。

 根本は、今委員もおっしゃっているとおり、この議論は、結局は、価格と言おうが金額と言おうがということで結構ですけれども、要すれば、そういう交渉というのか、やりとりというのかわかりませんが、そういうことがあったかどうかという議論で、要すれば、そういうやりとりの中で、価格も金額も使いにくければ値段と言いますが、値段が決まったんじゃないかということだろうと思います。そういうやりとりというか、そういうネゴの中でなっていたらおかしいじゃないかということだったろうと思います。

 こういうことが起きているのは、根本は、全て、不動産鑑定士が鑑定評価をしてという数字だけであればこういう多分疑念は起きなかったんですが、今回の場合、先に決めた撤去費用八億二千万が、近畿財務局が大阪航空局にお願いをしてやってもらったということで、要すれば、今度の一億三千四百万を決めるときの九億五千六百万は不動産鑑定士の鑑定評価なんですが、八億二千万の方が大阪航空局にやってもらった。近畿財務局からすれば、我々からすれば大阪航空局は第三者なんで、第三者にやってもらったという意識なんですが、国会での御議論も踏まえれば、それは同じ政府なんで身内じゃないかと。そういうことから基本的にこういう議論になったと思っています。

 そういう意味で、基本的には、今後やはり全て第三者にというふうに変えなきゃいかぬと。今回の反省を踏まえてやっているというのが率直な私の気持ちでございます。

今井委員 終わりますけれども、これは違いますよ。

 佐川さんが先方から価格の提示なんかなかったと答弁した後、テープが出てきちゃったんですよ。金額をゼロにしてくれないかなと言って交渉しているテープが出てきちゃって、答弁が崩れちゃったんです。それだけのことですから、変な言いわけをされない方がいいと思いますよ。

 では、時間が来ましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 希望の党の大西健介でございます。

 きょうは財務金融委員会に質問の時間をいただきまして、岸本理事を始め、関係の皆さんに御礼申し上げたいと思います。

 早速ですけれども、私も、森友学園に対する国有地の売却に関する決裁文書の改ざんに関してまずは質問をしていきたいと思うんですけれども、週末、地元でこの問題について皆さんとお話をしていると、一番多い声はやはり麻生大臣の責任を問う声であります。

 この間まで麻生大臣は、佐川国税庁長官については、極めて有能、きちんと仕事をしてきた、適材適所だと言っていたのに、改ざんを公表して以降は、佐川が佐川がとおっしゃって部下に責任を押しつける、そういう姿に国民の中から憤りの声が上がっているんだというふうに私は思います。

 自民党内からも、小泉進次郎筆頭副幹事長が、自民党は、トカゲの尻尾切りと言われるような、官僚だけに責任を押しつけるような政党ではないという姿を見せないといけないと発言をしております。また、経済界からも、経済同友会の小林代表幹事が、民間の社長の場合は自分が知っていようが知っていまいが不祥事を起こしたら普通はやめる、やめるかどうかは政治家の美学だが監督責任はある、こういう発言をされています。

 麻生大臣は政治家の美学を私は大切にされる方ではないかなというふうに思いますが、改めて、責任をとっておやめになるつもりがないかどうか、冒頭お聞きをしたいと思います。

麻生国務大臣 行政のあり方としてたびたび申し上げておりますけれども、決裁を得た行政文書について書きかえを行って、しかもそれを国会に提出したということは、これは極めてゆゆしきことであって、まことに遺憾のきわみと思っておりますので、私としても深くおわびを申し上げなければならない、そのようにたびたび申し上げてきております。

 その上で、私どもとしては、三月の十五日、この書きかえ等々の話が正式に出た後、事務次官以下の幹部を呼びまして、本件につきましては、これは理財局だけの話とは言えぬ、役所全体の信任がかかっておるということになるので、これは全省挙げて取り組むように指示をすると同時に、これは配下の職員に対してしかるべき対応をしておかないと心身ともにめいってきますので、そういったところも十分にやらねばならぬということを、気を配れということを訓示したところです。

 その上で、今、役所としては、我々被疑者の立場として捜査を受けている立場でもありますので、私どもとしては、調査というものはある程度歯どめが、歯どめがというか、行けるところもあれば行けなくなるところもあるんですが、引き続きさらなる調査を進めて、これはちゃんとした対応を行わなきゃいかぬというのは当然だということで、捜査が終わらぬとちょっと先に進めないところがありますので、質問しても、自分が罪になる方もしゃべりませんから、そういった意味では、ある程度きちんとしたものが出ないと我々としても捜査のしようがないというので、我々としては、こういったようなことがなぜ起きたかというのが一点、いわゆる真相究明。もう一点は、二度と起きないようにするという姿勢、体制というのをつくり上げるというのをもってその責任を果たしてまいりたいというように私は考えております。

大西(健)委員 今の御答弁の中にも、組織の中で気がめいるようなというような話がありましたけれども、私は、今の大臣が責任をとらない姿を見て、あるいは部下に責任を押しつける姿を見て、まさに官僚の皆さんはどう思っておられるんだろうかというふうに思います。

 四十四歳という史上最年少で大蔵大臣になった田中角栄元総理は、最初の訓示で、仕事を思い切ってやってもらいたい、責任はこの田中がとるとおっしゃったということですけれども、今、麻生大臣がやられていることは、私は、それとは逆のことではないかと。

 それから、捜査が一定の方向という話がありましたけれども、それではお聞きしたいと思いますけれども、では、捜査の結果、財務省で逮捕者が出たら、これはもう大臣はやめるということをこの委員会で言っていただけますか。どうでしょうか。

麻生国務大臣 逮捕者が出たらというような仮定の質問に対しての御答弁は差し控えさせていただきます。

大西(健)委員 先ほども、御自身は、今捜査をやっているから、それに区切りをつけるまでは責任を果たすんだとおっしゃっていましたから、捜査の結果、逮捕者が出たら私はやめるぐらい言えないのかなというふうに思いますけれども、そういう姿を見て、私は、本当に官僚の皆さんは今どういうふうに思っておられるんだろうかと。まさに先ほど大臣が言われたように、やる気をなくしておられるんじゃないかなというふうに思います。

 それと関連してなんですけれども、きのうの参議院の予算委員会で、自民党の和田政宗議員が、きょうも本委員会に出席をされておりますけれども野田元総理の秘書官を太田理財局長がかつて務められていたということを引き合いに出して、安倍政権をおとしめるつもりで意図的な答弁をしているのかと質問をしたところ、ふだんは、きょうもそうですけれども、淡々と誠実に答弁をされている太田理財局長が色をなして反論をされた。私は当然だというふうに思います。私は、公務員として、お仕えした方に一生懸命お仕えすることが仕事なので、それは幾ら何でも、幾ら何でも御容赦くださいと言われました。当然だというふうに思いますけれども。

 そこで、太田理財局長にお聞きをしますけれども、昨日の和田氏の質問に対してどう思われたか、改めて御感想をお聞きしたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 きのう、そういう御質問をいただいて、色をなしてというふうに言われましたけれども、もしそういう態度だったとすれば、それは本当に申しわけないことだと思っております。

 基本的に、そういうふうに御指摘をいただいたということ、私なりには、お仕えした方に一生懸命やるのが私の仕事なんですけれども、それがまだ十分でなかったのかなとも思っております。十分でないところは、今は、麻生大臣のもとで麻生大臣にきちんとお仕えするのが私の任務でございますので、それができるように、一生懸命やらないといけないというふうに思ってございます。

大西(健)委員 太田理財局長、本当に誠実に私は仕事をされていると思うんですけれども。

 先ほどと同じですけれども、麻生大臣、ある種、私は、部下が辱めを受けたことに対して、財務省のトップとして、今、理財局長は麻生大臣にお仕えをしているので、今お仕えしている方のために一生懸命働くとおっしゃっていますけれども、逆に、部下がこういう辱めを受けたことに対して、私は、麻生大臣は組織のトップとして抗議をすべきじゃないかと思いますけれども、この和田議員の質問に対して、大臣はどのように思われますでしょうか。

麻生国務大臣 少なくとも、その種のレベルの低い質問というのはいかがなものかというのは、軽蔑はしますな。

大西(健)委員 我々も、この質問というのはやはり言語道断というふうに思っておりますので、抗議をしたいと思いますし、今大臣からはレベルの低い質問というふうにお話があったと思います。私もそのとおりだと思います。個人攻撃をする質問であって、これは私は反省をしていただきたいというふうに思います。

 きのうの参議院の予算委員会で、もう一つ注目されたのが、共産党の小池晃議員が、国会議員でもない安倍昭恵さんの動向がなぜ決裁文書に記載をされているのかと質問をしたのに対して、太田理財局長は、これも非常に素直な答弁だったと思いますけれども、それは基本的に総理夫人だからということでございますと答弁をされました。一瞬、委員会室にどよめきが起こったんですけれども。

 私は、これと同様のことをちょっときょうはお聞きしたいと思いますけれども、この昭恵夫人にかかわる記述のあるのと同じ特例承認の決裁文書、これには日本会議についての記述もあります。これも、私も見て、何でこんなことをわざわざ決裁文書に書かなきゃいけないのかと。もう本当に、率直によくわからない。何でこんなことを決裁文書に書く必要があるのかと思うんですけれども、昭恵夫人の名前をなぜ書かなきゃいけなかったのかと同じで、日本会議について、何で決裁文書に書かなきゃいけなかったのか、太田理財局長にお聞きをしたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のものは、特例承認というもので、本省の決裁に係るものでございます。

 基本的には、地方支分部局、近畿財務局から見れば、本省は何の仕事をしているか。大きい仕事は国会対応だということでございます。そういう意味で、国会周りの情報を、知っているものは基本的に書いておかないといけないというふうに考えたということが基本だと思います。

 その上で、日本会議のお話がございました。どこかの御質疑でもあったんですが、基本的に、経緯の部分は近畿財務局がもともとつくったものに入ってございます。日本会議の書いてある、参考資料みたいにしてついている森友学園の概要という紙は、近畿財務局の決裁には、二月のだったと思いますが、そのときの決裁には入っていなくて、本省の決裁には入っています。

 それがどうして入ったかという御議論がございましたが、その決裁の後ろには、籠池理事長の名刺がコピーしてついております。これは本省では入手できないものなので、基本的に、近畿財務局にお願いをしたか、あるいは近畿財務局がそこは気を使ったかという格好で、いずれにせよ、国会周りのことは情報として入れないといけないと思って、近畿財務局が、ある意味ではいろいろな配慮をしてそういう資料をつくっていたということだというふうに私どもは思ってございます。

大西(健)委員 国会周りのことは入れなきゃいけないということは、国会で問題になるということですか。どういうことですか。いま一つよくわからなかったんですけれども。

太田政府参考人 国会で問題になるということだというふうには思ってございません。本省は国会対応するのが仕事なので、そういう意味で、参考になることがあるのかもしれない、そういう段階だというふうに思います。

大西(健)委員 そんな、なるのかもしれないみたいなものを、わざわざ決裁文書にこんな事細かく書くんでしょうか。それはちょっと、私も見て、何でこんなことをわざわざ決裁文書に書いているのかなと。国会議員の名前、照会があったみたいなものはわからぬでもありません。でも、日本会議について事細かに書いてあるというのは非常に異様な気がします。

 ただ、これを見ますと、この書きかえられていた部分には、日本会議国会議員懇談会の特別顧問に麻生大臣が、副会長に安倍総理が就任しているということが書かれていて、その下には、参考として、日本会議と関係の深い議員が森友学園を訪れた実績が書かれていて、最後の行には、平成二十六年四月に安倍昭恵総理夫人が講演、視察を行ったということが記されているんですね。つまりは、安倍総理や麻生大臣と関係の深い団体だからこういうふうに決裁文書に書いたんだということではないかというふうに思います。

 もっと言えば、これは、この特例承認が政治案件、特に総理案件、総理夫人案件だから、それゆえにこのような特例処理が行われたことが後でわかるように、ちゃんと決裁文書に書いておかないといけないというふうに官僚の皆さんが考えたというふうに考えるのが私は筋ではないかというふうに思います。

 では、昭恵夫人や日本会議に関する記述の書きかえを指示したのは誰なのか。その部分を削除させたのは誰なのか。

 この点、私は、きのうの参議院の予算委員会で、総理が、そもそも決裁文書の存在すら知らず、指示のしようがない、こういう答弁をされたんですけれども、私は、総理の答弁は、なるほどな、そのとおりだなというふうに思うんです。安倍総理だとか麻生総理が、決裁文書を事細かにこれを書きかえろとか、そういう指示は、するということはちょっと考えられないなと思うんですね。

 ただ一方で、総理夫人にかかわる案件について官邸に情報が上がっていないということは考えられないと思います。

 そういう中で、総理や総理夫人を守るために、さっき太田局長も、お仕えした方に一生懸命お仕えする、これが官僚のさがですから。ですから、まさに総理や総理夫人を守るために、例えば、財務省から出ている総理秘書官か、あるいは夫人付の職員の上司に当たるのは政務の秘書官の今井秘書官でありますけれども、こうした総理秘書官から私は指示があったんじゃないかというふうに疑っているわけです。

 そこで、確認しますが、総理秘書官から、森友学園への国有地売却に関するこの決裁文書について、財務省に対して、何らかの照会とか問合せ等々を含めて、連絡があったことがありますでしょうか。

太田政府参考人 今回、いろいろ調べてみましたけれども、そういったことはないというふうに承知をしております。

大西(健)委員 今はないということなんですけれども、私は、やはり誰か、何回も、地元でもそうですけれども、佐川長官とか理財局の中でこの書きかえを行ったということなんですけれども、わざわざそんな危ない橋を渡るのかなと。誰のために、何のためにやったのかという、ここがやはり見えないわけですよ。

 それで、もう一つ、ちょっと次の話に移っていきたいんですけれども、先ほどから問題にしている、昭恵夫人の名前だとか日本会議だとかが記されているものというのは、特例承認の決裁文書。十四の決裁文書に書きかえがあったということで財務省から公表がありましたけれども、このうち、唯一、近畿財務局ではなくて本省の決裁を受けているのがこの文書なんですね。

 ここには、これは電子決裁ですけれども、田村国有財産審理室長が決裁者の中に入っている。この田村さんというのは、皆さん御存じのように、二〇一五年の十一月に、総理夫人付だった谷査恵子氏から、森友学園籠池理事長からの要望について照会を受けた人物である、このことが一つ。

 それからまた、田村室長は、二〇一六年の三月十五日に本省で籠池氏と面談をしています。そのときの音声記録というのはいろいろなところで公開されていますけれども、そこには、報告を受けていますとか、貸付けするということが特例だったものですからといった田村室長の発言が残っています。

 さらに、このときに、すごく長い面談記録ですけれども、籠池氏は、棟上げ式に首相夫人が来られ、餅をまくことになっているから、こういう発言をしているんですね。

 棟上げ式に関する記述というのは、ほかのところにも出てきます。

 昨日、新たに削除されていたことが明らかになった決裁参考メモというのがあります。これは、二〇一六年四月四日の決裁参考メモ、森友学園事案に係る今後の対応方針についてというものですけれども、この中には、棟上げ式までの工程に与える影響を最小限にするため、棟上げ式が出てくるんですね、相手方経費で施工することとし、売却価格から控除を検討という記述があるんですよ。

 こう見ると、全て、まさに田村室長を起点に谷査恵子さん、安倍昭恵さん、あるいは、田村室長を起点に今度は籠池さん、そして籠池さんが棟上げ式の話に触れている。こういうふうに全て昭恵夫人につながっていくわけですけれども。

 太田理財局長、それでお聞きしたいのは、何で、棟上げ式なんて森友学園の、先方のことであって、財務省が気にする必要もないような棟上げ式のことを財務省が気にして、わざわざ対応方針にまで書かなきゃいけないのか。何でその必要があるのか。それは、昭恵夫人が餅をまくという話があったから、つまり総理夫人案件だから、工事に与える影響を最小限にするように本省の審理室が指示をしたということではないかと思いますけれども、なぜ棟上げ式のことをわざわざ対応方針に書かなきゃいけなかったんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 棟上げ式と今委員がおっしゃったところは、きのう、おくれてしまって大変申しわけなかった資料の中に出てくるわけですが、この対応方針というのは、今委員がお話しになったんですけれども、基本的にこれは近畿財務局の方でつくった紙でございますので、近畿財務局の対応方針ということでございます。

 その上で、棟上げ式というのは、委員からお話の中にありましたように、籠池理事長が棟上げ式ということを盛んにおっしゃっておられたのは、ある意味でいろいろなデータで割と有名になっていることでございますので、恐らく、相当棟上げ式ということをおっしゃっておられたんだろうと思います。だから、だからと申しますか、それもあってこういうふうに書いてあるんだろうというふうに思います。

 それで、委員、基本的に随分お話をいただきましたので、一点だけ申し上げさせていただければ、それが云々ということではございませんが、特例承認というお話で随分お話を頂戴いたしました。特例承認のあの決裁の時点は何を考えていたかというと、特例承認というのは、要するに、三年通常のものを十年の定期借地にする、十年にするから特例でございます。

 そこの意味は、特例で特別扱いという意味ではなくて、十年にすればそれで借地が切れる、三年だったら借地借家法で保護されて、いつまでも借りた状態になっちゃう。だから、その借りた状態を、期限をつくりたいということで定期借地にしたかったのはこちら側でございます。そういう意味のものだということだけは御理解を頂戴したいと思います。

大西(健)委員 今、この決裁参考メモというのは、これは近財がつくったものだとおっしゃったけれども、確かにそうなんだけれども、四のところには、本省審理室指示事項と書いてあって、その一つ目は、工事に与える影響を最小限にする方策を検討することと書いてあるんです。本省がこれを指示しているわけです。

 何で本省はそれを指示したかというと、対応方針のところで、まさに、棟上げ式までの工程に与える影響を最小限にするためと書いてあるんです。だから棟上げ式なんですよ。だから、棟上げ式に何でそこまで気を使うのかというと、昭恵さんが来て、餅をまくという話があるからじゃないですか。だから、そこは本省が、工事に与える影響を最小限にしろと指示しているんですよ。書いてあるじゃない、四番に、本省審理室指示事項と。

 何でそんな指示をしなきゃいけなかったかというと、その対応方針のところに書いてあるんだけれども、棟上げ式までの工程に与える影響を最小限にするためにそうしなきゃいけなかったんです。だから、やはりこれは総理夫人につながっている話だというふうに私は考えるのが筋が通るというふうに思うんですけれども。

 結局、安倍総理は、安倍昭恵という名前が印籠みたいに恐れ入りましたとなるはずがないと答弁しているけれども、やはり総理夫人案件であることが、さまざまな、重ねてのいろいろな特例的な取扱いにつながって、普通だとあり得ないようなことが起きているということなんだというふうに私は思います。

 次に、もう一つ。これはちょっと、先ほど今井委員の質問ともかかわる部分はありますけれども、けさの東京新聞には、ごみの撤去費用の算定に際して、国が買い手側の森友学園側の業者に見積り作業をさせていたというふうに報じていますけれども、これは事実でしょうか。済みません、きょう国交省にはちょっとこのことは通告していないので、理財局の方からお答えいただきたいと思います。

太田政府参考人 私どもに、答弁をする材料は持っておりません。

 先ほど国土交通省が答弁をしたことが、私も脇で聞いていて、それしか私にとっては答弁のしようがございません。

大西(健)委員 これは、記事を見ると、業者側の見積りがほぼそのまま認められたので驚いた、異常な状況だったとの関係者のコメントを載せています。これが事実だとすると、国土交通省大阪航空局に適切に算定してもらったと言っていたこれまでの政府の説明と私は矛盾するんじゃないかというふうに思いますので、この点は指摘をしておきたいところです。

 次に、森友学園だけの問題ではなくて、加計学園の問題でも文書の書きかえが行われたということが明らかになりました。

 今治市は、職員が内閣府で行われた獣医学部設置に関するヒアリングに出席した際の出張報告に当たる復命書、これは二〇一五年六月八日付のものですけれども、これを事実上書きかえたということを今治市は認めています。

 今治市は、内閣府からの確認作業に基づいて書きかえを行ったと言っているんですけれども、内閣府に事実関係を確認したいというふうに思います。

田中副大臣 お答えいたします。

 今委員御指摘の六月五日の例えばワーキンググループのみならず、他の出張に伴う復命書も含めまして、今治市の復命書について、内閣府から同市に指示を行ったことはございません。

 今治市長も、出張内容を市の内部で事後報告するための文書について、内閣府の支持を受けるようなものではない、このようにコメントされていると承知をしております。

大西(健)委員 指示は行っていないということですけれども、梶山大臣は記者会見で、確認を行うためコンタクトをとったと言っていますけれども、コンタクトはとったんですよね。

田中副大臣 内閣府は、詳細を記録いたしました議事要旨、これを作成、公表しようとする際には、通常どおり、提案者に対して、発言内容を確認していただけるように依頼を行っております。

 一方、今治市は、その確認を行うとともに、市がみずから作成していた復命書の会議の模様の部分、これを改めて検討した上で復命書を別途作成された、そのように聞いております。

 内閣府は今治市による復命書の検討ですとか作成に一切かかわるようなことはしておらず、また、ほかに何ら指示も行ってはおりません。

大西(健)委員 情報開示請求を繰り返しされた方が、最初に十六年十二月に開示されたバージョンでは、全四ページで、そしていわゆるヒアリングの出席や議事要旨の部分がノリ弁と呼ばれるような黒塗りの状態になっていたと。ところが、十七年の八月に開示をすると、その四ページあった部分が、黒塗りがなくなって二ページになっていると。あれ、これは違うじゃないかといって気づいたという話なんですけれども。

 そもそも、復命書というのは出張報告ですよ。地方の一自治体の出張報告に対して、内閣府が確認させてくれとか言うこと自体が、自治体にとっては圧力のように感じるんじゃないでしょうか。そんなことを普通するんですかね。復命書なんか、一々、内閣府であった会議に出ている自治体とかの復命書とか、全部それをチェックしているんですか。そんなの聞いたことないですよ。相手が圧力を感じるというふうに思いませんか。おかしいんじゃないですか。

田中副大臣 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたけれども、出張に伴う復命書は、内閣府から同市に指示を行ったということは、繰り返しますが一切ございません。あくまでも復命書は市の内部で事後報告するためだけの文書というものであります。ですから、それに関して、内閣府から市に対して指示を行うということは一切ございません。

大西(健)委員 さっきも言いましたけれども、梶山大臣は、記者会見で、確認を行うためにコンタクトはしたと言っているんですよ。だから、そのコンタクトをすること自体が、そんな、復命書に一々コンタクトをとってとやること自体が圧力を感じるし、実際、その結果、書きかえているんですよ、今治市は。

 これは、私は、結局、これと同じようなことが、さっき今井さんも取り上げた、名古屋市の教育委員会への照会、調査依頼、これも同じじゃないですか。市の教育委員会にわざわざ国の文科省が問合せをする、それだけで圧力を感じますよ。だって、復命書なんて単なる出張報告ですから。そんなものにわざわざ内閣府が、国が確認させてくれなんて言ってきたら、びっくりするじゃないですか。結果、書きかえているんですから。これは私は、同じことが文科省で起こったんだというふうに思っているんですね。

 先ほど今井議員も言いましたけれども、これは、二月の十七日に赤池議員が問合せをした結果、官房長にショートメールを送った結果、このことが調査をすることになったということなんですけれども、私たちは野党合同ヒアリングの中で、何度も、十七日というのは、皆さん、土曜日なんですよ、土曜日。だから、普通に外部からの照会があったと初めは言っていたけれども、これは政治家から照会があったんじゃないかと何度も聞いても、文科省は隠して言わないわけですよ。土曜日なので、だから、普通の一般の人が照会することは難しいんですよね。結局、やはり赤池議員が聞いたということが端緒になっているということでありますけれども、それをずっときょうまで隠してきた。

 先ほど白間審議官からも答弁がありましたけれども、丹羽副大臣、改めて、なぜ隠蔽したのか。これは、後ろめたかったから隠蔽したんじゃないんですか。いかがですか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 本件につきましては、外部から問合せがあったことは事実でございます。それは、赤池誠章参議院議員及び池田佳隆議員のお二人からの問合せでありましたが、今回の件につきまして、この調査の内容に伴う問合せとは我々は認識しておらず、我々文部科学省が主体的に確認を行ったということでございます。

大西(健)委員 何できょうまで隠していたのかということと、今、副大臣は、主体的に行ったと言うけれども、連絡がなかったら、そもそも、その後、池田さんに、中日新聞、私たちは中日新聞ばかり見ていますけれども、同じ愛知ですから。でも、東京の人は中日新聞は見ないですよ。赤池議員から官房長に連絡があったから、それで調査をしようということになったけれども、それに当たって、池田議員から中日新聞を取り寄せてということをやっているわけじゃないですか。

 ですから、まさにこのことがきっかけになっているんだというふうに思うんですけれども、それをまず何で隠していたのか、それから、まさに、独自の判断というか、これがなかったら調査なんかしなかったんじゃないですか。だって、全部、あらゆるいろんな講演とか事業とかやっているけれども、そんなのは調査していないでしょう。だから、やはり赤池議員からの照会があったから調査したということだし、それを何で今まで隠していたんですか。何で隠蔽していたんですか。後ろめたかったからですか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 特に隠したというわけではなく、委員おっしゃるように、土曜日にショートメールが入った中で、実際に中身を官房長の方も確認できたのが週明けでございます。週明けに確認できた時点で把握したと我々は認識をいたしております。

大西(健)委員 先ほどおっしゃった、我々が何回も審議官に言っても、これは答えなかったんですよ。だから、これは隠していたんですよ。後ろめたいから隠していたんですよ。

 それから、もう一つ言うと、先ほども今井議員からもありましたけれども、池田議員が二点コメントをして、コメントを受けて質問内容を一部修正しているんですね。そもそも、何で池田議員にその質問内容まで見せなきゃいけなかったのか。それから、影響を受けていないと言うけれども、実際、二点の指摘を受けて、それを全部取り入れて、修正までしているじゃないですか。影響を受けているし、それに、赤池議員の照会がなければこんな調査なんかやるはずないんですよ。文科省が私は進んでやっていると思いませんよ。結局、やらせたやつがいるんですよ。そいつが一番悪い。政治介入ですよ、まさに。

 だから、それがあったから、調査もしたし、そしてさらに、何で池田議員に見せることまで必要があったのか。さらに、見せた上に、池田議員がコメントしたことをそのまま受け入れて、書きかえまでした。影響を受けていないなんてことは全然違うじゃないですか。めちゃめちゃ影響を受けているじゃないですか。いかがですか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 赤池議員、池田議員から問合せがあったことは事実でございますけれども、それは、今回、文部科学省は事実確認を行う必要があると判断した上で行ったことでございまして、この問合せが影響を受けているものだということは我々は考えておりません。

 また、例えば、問合せがなかったら質問を調査をしたかどうかということは、仮定の話でございますのでどこまで答えられるかということもございますが、質問内容につきましても、池田議員から修正があったということがございますが、質問内容を一部修正しました。しかし、その修正は文部科学省主体の判断で行ったものでございまして、議員の指示でないものだというふうに認識いたしております。

大西(健)委員 まず一つは、さっきも言ったように、中日新聞なんか読んでいないんですよ。赤池さんからあって、初めて中日新聞を取り寄せて調査することになったんだから、これは調査の端緒になったんですよ。それからもう一つ、大臣も記者会見で言っているけれども、コメントも参考に質問内容を一部修正した。コメントを参考にして修正しているじゃないですか。これを影響を受けたと言わずして何と言うんですか。まさに影響を受けているんだと私は思います。

 それから、そのことに関連して言うと、前川前次官は、本件に関して、国の直接介入というのは異例であり、もともと文科省の事務方トップだった人ですよ、国の直接介入は異例であり、教育基本法が禁じている不当な支配に当たる可能性が高いとコメントを出していますけれども、文科省は、これまで調査そのものは正当だったというふうに説明してこられていますけれども、この考えに変わりありませんか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 今回の問合せにつきましては、文部科学省として、これは法令に基づいて適正に行った調査であります。教育基本法に規定する不当な支配に当たるものではないというふうに考えております。

大西(健)委員 今のは不当な支配に当たるものではないとただ言っているだけで、その理由が全然説得力がないわけですよ。

 先ほど来言っているように、調査をしたのは赤池さんから照会があったからであって、そしてさらに、影響を受けていないと言うけれども、実際に池田さんからコメントを受けて、それをそのとおりに直している、これを影響を受けていないと言えるんでしょうか。私は、これはまさに政治介入であって、これは不当な支配そのものにつながるおそれがあるんじゃないかと思います。

 それからもう一つ、さっき宮川政務官も、自分たちは報告は三月七日、宮川政務官は三月七日、丹羽副大臣は八日まで受けていなかったということなんですけれども、本当にそうなのか。たまたまかもしれないけれども、赤池文部科学部会長は山梨で宮川さんと一緒、池田部会長代理は丹羽さんと一緒で愛知。それで知らなかったと。本当にそうなのか。

 あるいは、この間、ずうっと報告があるまでの間、自民党の文部科学部会も開かれているんです。そこには丹羽副大臣とか宮川政務官が出席しているんですよね。だから当然、部会長、部会長代理もいる。これで、いやこんなことがあってこういうことを官房長に連絡したんだよみたいな話は当然あるんじゃないんですか。あるいは、それをこれまで知らなかった、あるいは、私は、これはずうっと局の判断でやっていると言うけれども、官房長に連絡しているんですよ、土曜日にわざわざ。土曜日に官房長に連絡があって、官房長が政務に全く知らせないなんということがあるんですかね。

 私は、だから、七日、八日まで政務官も副大臣も知らなかった、あるいは、大臣だって、大臣はさらにその四日後の十二日まで報告を受けていなかったと。これはとても信じられないんですけれども、いかがでしょうか。

小里委員長 丹羽副大臣、簡潔にお願いします。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 大西委員おっしゃるとおり、偶然の一致というのは、まさに本当かなというふうに思いましたけれども、おっしゃるとおり、三月の八日まで私は知りませんでした。

小里委員長 大西君、締めてください。

大西(健)委員 済みません。本当は受動喫煙の話とか日本年金機構の話をちょっと聞こうと思っていて、厚労省にお願いしていたんですけれども、時間がなくなりました。

 きょう取り上げた問題は、全て結論ありきで、不当な介入やそんたくによって行政がゆがめられるという点で、私、根っこは全て同じ問題だというふうに思っています。まさに長期政権のおごりと緩みに起因するものであって、これは安倍政権の私は体質そのものだというふうに思っていますので、今後もこうした問題をしっかり国会の中で追及をしていきたいと思います。

 終わります。

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 本日二度目の質問です。

 まず、一千人とも言われる大きな被害が出ておりますスマートデイズなどによるシェアハウス投資をめぐる事件について取り上げたいと思います。

 スマートデイズなどのサブリース会社は、三十年間一括借り上げで家賃収入を三十年間保証することを売りに、数年で業績を一気に拡大をしました。このスマートデイズは、昨年十月にオーナーに賃料を減額すると言い、ことし一月からは賃料は一円も払えないと説明し、現在、オーナーへは賃料が一切支払われていないという状況になっています。

 オーナーの大半は普通のサラリーマン。そして、このオーナーの一〇〇%近い人がスルガ銀行から融資を受けて、一棟当たり大体一・五億円ぐらいでシェアハウスを購入しております。賃料が一円も入らなくても、毎月七十万円ぐらい返済はせねばならないと。先日、被害者の皆さんのお話を聞きましたけれども、もう心中するか自己破産だ、こういう話も伺ってまいりました。

 ちなみに、このシェアハウスの入居率は今四割程度だということが言われていまして、およそビジネスとして成り立たない。実態は自転車操業で、初めから計画倒産を狙っていたのではないか、こういう指摘も出ております。

 配付資料、表面を見ていただきたいんですが、シェアハウス投資が確実に利益が出て、何億融資しても返済可能なビジネスモデルであると仮にスルガ銀行が判断していたら、上の図のように、スマートデイズ自体に直接融資を行って事業を支援すればいいわけですよね。しかし、現実には、間に個人の投資家をオーナーとして介在させ、事業のリスクをオーナーが負うビジネスモデルということになっております。

 麻生大臣にお伺いしたいと思いますが、金融庁自身は、アパートローンの拡大に警鐘を発してきておりました。一方、森金融長官は、スルガ銀行をこの間評価していたんですね。

 昨年五月の講演で、森長官は、地方銀行のビジネスモデルについてこう言っていたんですね。地域のサービス業へのコンサルティングや融資を通じ収益を確かなものにすることも一つのビジネスモデルだ、こう述べて、先駆けてニッチな分野を開拓し収益を上げている、こう言ってスルガ銀行を評価しておりました。

 お伺いしたいのは、金融庁は、このスルガ銀行の高い収益あるいは預貸率がこのシェアハウス投資のようなアパートローンから生まれている実態というのは把握されていたんじゃないですか。

麻生国務大臣 この報道というもの自体は承知しておりますけれども、御存じのようにこれは個別金融機関にかかわることですので、ちょっとコメントとしては差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論として申し上げさせていただきますけれども、これは金融機関において、いわゆる顧客の信頼を損ねるということがないように利用者保護とか法令などを遵守するというのは、これは当然のことなんだというように考えております。

宮本(徹)委員 金融庁がつかんでいなかったはずはないと思うんですよね。

 そして、裏面に、資料の二、配付資料を見ていただきたいんですが、スルガ銀行の融資の実態というのは本当に恐ろしいものです。

 これは通帳のコピーで、これも改ざんなんですね。公文書の改ざんはとんでもない話ですけれども、通帳のコピーが改ざんされています。実際の通帳は六百万円の預金なのに、銀行から被害者の皆さんが取り寄せた、調べたら、通帳のコピーは二千六百万円、二千万円ふえているということがありました。

 これは通帳だけじゃないんですね。きょう質問すると言ったら、被害者の方が急遽確定申告の控えも届けてくれましたけれども、これも、改ざん前、改ざん後、ちょっと黒塗りだからあれですけれども、六百九十万円の給与が一千九十万円に改ざんされているという話なんですよね。

 被害者の皆さんが銀行から融資の際の資料を取り寄せたら、こういう資産状況の改ざんというのがいっぱいあった。スルガ銀行が、このビジネスモデルでも普通のサラリーマンに億の単位の融資をするために、審査基準を満たすように改ざんをしたものを利用したということです。

 この通帳の方の記憶では、融資のときに仲介会社の担当者が同席していたと。通帳のコピーをとってきますと言って、三十分ぐらいたってコピーを銀行の担当者に渡したそうです。銀行の担当者自身は、直接通帳の原本は見なかった、確認しなかった。そして、このコピーだけ見て、このコピーをもとに融資の判断をしていったということなんですね。大体、普通、銀行が通帳の原本を確認しないというのは考えられない。ましてや、第三者がコピーをとってくる、その場で。これはもう本当におかしい話だと思います。

 更におかしいのは、オーナーの皆さんが購入したシェアハウスというのは市場価格に比べて数割割高なんですね。割高な建築コストを得た建築会社からのキックバックがスマートデイズの自転車操業の元手となった、こういうふうに言われております。ですから、追い詰められて今オーナーが建物を売っても、多くの負債が残るというのが今の状況です。

 そして、不思議なことに、スルガ銀行の側の担保の評価も、近隣の不動産売買価格を大きく上回ってこの物件に対してつけているというんですね。大体、融資のプロが、市場価格とかけ離れた売買で何も言わずに過大な担保価値を設定するというのは全く解せない、摩訶不思議な話ということになっています。

 さらに、これもひどい話なんですけれども、被害者の皆さんの話を聞いたら、お金を借りる際、利率七・五%という極めて高いフリーローン、一千万円、この融資を抱き合わせで契約させられているという話です。しかも、その一千万円をそのままスルガ銀行の定期預金にしてほしいと言われた方もいて、そのまま定期預金にした人もいます。そうすると、今、定期預金だってほとんど利子はつかないですからね。七・五%の金利をただで払っている、こういう状況があるわけですよね。本当にひどい話なんですよね。

 ちょっと金融庁に確認しますけれども、アパートローンのような融資の際にフリーローンをセットにして契約させるというのは、これは独禁法の優越的地位の濫用に当たる、はっきりしているんじゃないですか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の独占禁止法及び銀行法におきまして、取引上の優越的地位を不当に利用して、取引の条件又は実施について、顧客に対し不利益を与えてはならないというふうにされております。

 また、我々の監督指針におきましても、この優越的な地位の濫用など、正常な取引慣行に反する不適切な取引の発生をどのように防止しているかといった規定を置きまして、金融機関に対して適切な体制整備を求めているところでございます。

 一般論として、優越的地位の濫用に該当するかどうかという判断は、これは個別案件ごとの状況に応じて判断されるものだというふうに考えております。

 ちなみに、金融機関がこの優越的な地位にあると解釈される場合というのは、金融機関との取引継続が困難になることが取引先の事業経営上大きな支障を来すために、金融機関が著しく不利益な要請等を行っても受け入れざるを得ないというような状況にあることと一般的に解釈されております。そうした状況を総合的に勘案しながら、個別案件ごとに判断されることになると考えております。

 いずれにせよ、金融機関が顧客の信頼を損ねることがないように、利用者保護や法令等を遵守して業務運営を行うことが求められております。適切な内部管理体制を整備する必要があるというふうに考えております。

宮本(徹)委員 個別案件ごとに監督していかなきゃいけない、指導していかなきゃいけないということですから、これはしっかり指導していただかなきゃ困る話だというふうに思います。

 麻生大臣にもお伺いしたいと思いますが、スルガ銀行の融資の審査体制、やっている中身についても、私が被害者からお伺いした中身をお伝えしましたけれども、こういう優越的な地位の利用、過剰な融資、ずさんな、でたらめな審査体制、これは極めて問題だと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 繰り返しになりますけれども、スルガ銀行等々、個別の金融機関に関しての事項について、これはちょっとコメントを差し控えさせていただきますが。

 今、宮本先生がおっしゃられましたように、これは一般論として申し上げれば、今、遠藤の方から申し上げておりますけれども、金融機関の業務運営というのは、これは適切に確保するという観点から、いわゆる、先ほど公正取引とかいろいろ言っていましたけれども、必要な場合におきましては、銀行法上、報告徴求命令というものとか、それから立入検査とかいうものを活用して私どもとしては対応させていただきますが、仮に問題が認められた場合に対しましては、金融機関に対して必要な改善策というものを我々としては策定、実施を求めるということになります。

宮本(徹)委員 個別のことは言えないからあれなんですけれども、先週末の報道では、報告徴求を金融庁がスルガ銀行に対して、ここまで行ったというお話があります。早急に立入検査も行っていただいて、そして行政指導も行っていっていただきたいと思います。

 この問題で大事なのはスピードだと思っています。というのは、ほとんどのオーナーさんはサラリーマンです。私も、アパートローンの話は、私の地元なんかはやはり農家のおじさんたちのところに来てという話がありましたけれども、そういう別の食いぶちがある人とはまた別の話で、サラリーマンですから、収入は自分の月給しかないわけですよね。その方が多額の負債を背負って毎月七十万円返済しなきゃいけないということになったら、本当にそう続かないです。この間、被害者の皆さんの集まりでも、あと一カ月、二カ月で私たちはどんどん倒れていかなきゃいけない、自己破産に追い込まれていく、こういうお話がありました。

 今、スルガ銀行は返済の延期にも一部応じているという状況は生まれていますけれども、遅延損害金だとか、取らないということは言わないわけですよ。そうすると、今は返済延期に一部、一時的に応じたとしても、後で利息つきでどかっと求められるんじゃないかという不安も被害者の皆さんは持たれている。大変不安な状況ということになっております。

 大体、改ざんされた通帳コピーに基づいてでたらめな融資を行っている側が損害遅延金まで取っていく、私は、こういうことは絶対許されない、道義的にも許されないと思います。無理な返済を求めることも許されないというふうに思います。

 ぜひ、早急な立入検査、そして早急な行政指導、改善命令、お願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。

麻生国務大臣 きょうび金利が七%というのは、そんなふざけた話に乗りますかねというのが、正直、今聞いた話の実感ですね。金利七%で金借りぬでしょう、今は。私だったらそう思いますけれども、それでも借りている人がいるということですわな、今の話だと。多分そうなんだと思いますよ。そういうのにひっかからぬのが普通なのに、こんな高いものにひっかかりますかねと思いますけれども。

 いずれにいたしましても、状況というものは私ども、今の段階で、個別の案件ですので何ともお答えできませんけれども、調査をさせていただきます。

宮本(徹)委員 七%は本人たちが借りたくて借りたんじゃなくて、セットで、一・五億円のシェアハウス投資のためのお金を借りるんだったらこの高い七・五%のフリーローンもセットで借りてくれ、こうやられているわけですよね。ですから、本当にひどい話だということですので、ぜひ早急な対応をお願いしたいというふうに思います。

 そして、続きまして、残りの時間で森友学園の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 連日、日がわりのように、メディアの報道で新しい話が出てまいります。

 三月十六日の日は、先週の金曜日は、私も国会で取り上げましたけれども、ごみの深さについて虚偽の報告書の作成を国の側が業者に促していた、こういう報道がありました。

 そして、きのうは、交渉記録は破棄したと私たちには説明されてきたわけですが、実際には近畿財務局職員が保存し、本省にも報告していた、こういう報道がありました。

 さらに、きょうの報道では、これまではごみの撤去費用は国交省が見積もったと言ってきたのが、実際には学園側の業者にごみ撤去費用の見積りを依頼していた、こういう報道が出ております。

 本当に、次から次へと、この間国会で説明されてきたことを覆す証言が報道として出る状況になっております。この事態について、太田理財局長はどう受けとめていますか。

太田政府参考人 この事態についてというお問合せですが、要すれば、こういうふうに報道が次から次へと出ていることについてということだと思いますが、報道が出るのは、基本的に、報道機関の方が何らかの情報を得て報道されているということだと思いますので、私は報道機関ではございませんので、それは私の方ではわかりかねるということでございます。

宮本(徹)委員 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。政府が説明してきた内容を覆す、それに反する証言が次から次へと出ているわけですよ。これまでの政府の説明が本当に正しかったのか、全て私は洗いざらい総点検しなきゃいけないと思いますよ。私はそういうことが求められる事態だというふうに思います。

 それで、先ほど来議論になっていることについて、私も幾つか確認していきたいと思いますが、三月十六日の毎日新聞の報道であった、ごみの深さについて国の側が業者に虚偽の報告を促したということについて、近畿財務局の職員に確認された中身を先ほど太田理財局長から答弁がありました。

 この近畿財務局の職員というのは、この間国会で名前が挙がってきた池田さん、三好さんということなんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど今井委員の御質問にお答えしたことと同じ内容でございますが、お答えを申し上げます。

 御指摘の報道は、近畿財務局の職員に確認をいたしましたところ、捜査の関係もあり、どこまで話してよいかはわからないが、少なくとも、工事業者とのやりとりについてどのように解釈するのか、いろいろな考え方はあるかもしれません、ただし、当方としては、損害賠償も迫られる逼迫した状況のもとで、瑕疵をきちんと見積もるために資料や情報を得るのに必死であったことは確かでありますが、工事業者に対して架空の資料や虚偽の報告書をつくるよう依頼したつもりはないということでございましたということでございます。

 今ほど申し上げたことが全てでございまして、今、委員が、誰かというようなことは、今御報告を申し上げたことで御賢察を、御賢察をというか、申し上げられないということが御賢察をいただけるというふうに思います。

宮本(徹)委員 名前はおっしゃるわけにはいかないということのようですが、当時の担当者というのはもう国会でも名前が出ているわけですよね。そして、その方々というのは、この間、太田理財局長も確認された音声データの中で、業者の側が三メートルより深いところにはごみはないと言っているのに対して、深いところにごみがあることにしようと。その場に同席していた方々じゃないですか。

 私は、近畿財務局の職員に聞くだけじゃだめだと思いますよ。これは、先週金曜日の議論では業者に確認すべきだという話だったと思いますが、業者の側には確認されたんでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 工事業者は、国にとって契約当事者では、御案内のとおり、ございません。第三者でございます。

 また、この間、委員が引用された報道によれば、工事業者も捜査で聴取を受けてという報道で委員は質問されたと思います。仮にそうなりますれば、お互いに捜査を受けている身ということで、大阪地検に、そういう者同士が話をするというのは、それはある意味捜査妨害になることでございますから、我々は捜査に全面的に協力をしないといけない、そういうことで臨んでおりますので、そういう立場として、そのようなことはいたしかねるというふうに思っております。

宮本(徹)委員 お互い捜査されている同士でも、この間、国政調査権の発動だということで、改ざん文書については調査してきたわけじゃないですか。その説明は全く成り立たないですよ、今の説明は。私は、業者に対しても確認をすべきだということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、きのうの新聞にあった、交渉記録が実際はある、本省にも伝えていたということですが、これは調べるということなんですけれども、何か、きょうの話もきのうの答弁も、ずっと聞いていますと、何となく、改ざん問題の調査が終わってから、一段落してから調べるみたいな話になっているんですけれども、これはすぐに調べられる話じゃないんですか。交渉記録、あるのかないのか。近畿財務局にあるという証言も出ているわけですから。これは、なぜすぐ調べないんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどもお答えを申し上げましたが、今回の十四件の大変申しわけない書きかえのことについて、我々なりには一生懸命調べて、三月の十二日に報告をいたしました。それでも国会の先生方からは、遅い遅いと厳しい御批判をいただきました。そういう中で必死になって、ある意味で急いでやった結果とは申し上げませんが、その後、十四日には更に一枚、十九日には更に一枚という状況であります。

 そういう状況のもとで、まずこれだけ御議論をいただいています書きかえの問題をきちんと確認をし、さらに、御党も含めて一番御質問をいただいているのは、誰がどういう理由でどういうことでこういうことをやったのかということを解明せよということでございますので、まずそれを最優先でやらなければいけないと思っております。

 我々は、先ほども御答弁を申し上げましたが、こういう報道があったからというよりも、今回、こういう作業をしてみて、要すれば、我々の通常の、通常のというか、普通やっていて目に入らないところでこういうことが、ある意味で、今回、捜査機関の御協力も得て発見をするということが起きましたので、そういう意味で、絶対にないという断言をすることはできないという考え方のもとで調べようということを思っておりますので、まずは、御党も随分、その前のところの話について、他の委員会でも厳しく御指摘をいただいております。その厳しい御指摘を踏まえないで、それがきちんとできないでというわけにはいきませんので、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。

宮本(徹)委員 それは、並行してできる話だと思うんですね。なぜなら、誰の指示でやっているのかという調査を、今、理財局の手を離れて大臣官房を中心にやられているというのがこの間の説明じゃないですか。だったら、理財局がそこの中心に座っていないわけですから、近畿財務局も含めて、あるいは本省も含めて、なぜ、交渉記録、あるのかないのか、この調査が並行してできないのか全く理解できないんですけれども、その点はどうなんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 調べる側が、官房が中心だと申し上げました。調べられる側は、理財局が残念ながら中心でございます。そういう中で、今委員がおっしゃっていることを、簡単に並行してできるとおっしゃいますが、決して今そういう状況ではありません。しかも、毎日こうやって御審議をありがたいことに頂戴をいたしておりますので、そういう意味で、とてもではありませんが、平日は全く、全員作業ができません。週末しか作業はできません。このところ、週末、基本的に彼らは休んでおりません。

 そういう状況でございますので、およそ、できることには、人間ですので、二十四時間しかありませんので、限度がありますので、その中で一生懸命やるということを申し上げております。

宮本(徹)委員 人間に限度があるという点は理解しますが、並行して、できる限りのことをやっていただきたいと思います。

 それから、きょうの東京新聞の報道ですけれども、きょう航空局にも来ていただきました。ごみの撤去費用について、国が森友学園側の業者に見積りを依頼し、森友側が値引きを算定したことがわかったと報じられております。関係者は取材に、業者側の見積りがほぼそのまま認められたので驚いた、異常な状況だったと話しております。

 この報道にかかわって、業者に確認をとられましたか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 大阪航空局は、見積りに当たりまして、校舎の設計の概略図や森友学園側が行った試掘の報告書など、見積りに必要となるような資料は工事関係者から入手をしているところでございます。

 しかしながら、大阪航空局の職員にも確認をいたしましたが、報道にあるような、森友学園側の工事関係者から見積りそのものを入手して大阪航空局の見積りとしたといった事実はないというふうに聞いております。これまでも御説明してきましたとおり、大阪航空局は、当時、検証可能なあらゆる材料を用いて、みずから見積りを行ったというふうに聞いております。

宮本(徹)委員 さっきの太田理財局長も、近財の職員には確認されたと。先ほど航空局も、大阪航空局の職員には確認されるわけですが、出どころは業者なんですよね。

 この間、職員の側の発言が本当なのかどうなのかというのがずっと問われてきているわけですよね。業者の側から出ている情報、この間、いろいろなもので出てきた、音声データと照らし合わせたら、森友学園側の籠池さんが言っていることや業者の言っていることの方が、音声データに合致していることがたくさんあるわけです。

 そういう事実を前にすると、それは皆さんは職員を信頼したい、信じたい、その気持ちはわかりますけれども、職員だけじゃなくて業者の側にも私は聞く必要があると思いますが、航空局、どう思いますか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 我々としては、やはり、見積りを行ったのは職員の方でありますので、職員にまず事実を確認して、そうではないというふうに申しておりますので、事業者の方への確認は差し控えさせていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 だから、そうではないで今までとまっていたから、後から後から音声データが出てきて、言っていることと全然違ったじゃないかという話にこの間なっているわけじゃないですか。違いますか。そうでしょう。よく考えていただきたいというふうに思います。

 会計検査院にもお伺いしますけれども、ごみの撤去費の見積りの今回の報道にかかわって、会計検査院に対しては、業者が見積りに関与していた、こういう話は聞いていますか。あるいは、業者にこれから確認する考えはありますか。

戸田会計検査院当局者 お答えいたします。

 地下埋設物撤去処分費用の算定においてのお尋ねでございますが、報告書におきまして、「本件処分費の単価について、大阪航空局は、森友学園小学校新築工事の工事関係者からヒアリングを行うとともに、他の二者から徴した見積りとの比較検証を踏まえて、二万二千五百円/tと設定していた。」と記述しております。

宮本(徹)委員 それで、こういう報道があるわけですけれども、もし報道の方が事実だということになれば、これまたこの間の会計検査の前提が崩れているということになると思うんですが、再調査をすることを約束されているわけですけれども、この再調査の中で、ごみ撤去費用の見積りに業者がどうかかわったのか、この点についても調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

戸田会計検査院当局者 お答えいたします。

 今般、決裁文書に関する問題が明らかになりましたことなどから、決裁文書の書きかえに至る経緯及びその内容を確認するなどして、報告書の記述についても改めて検討してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 それは、業者にも聞いていただくということでいいわけですね。

 では、次に行きます。

 きのうの太田理財局長の答弁を聞いていて、あれと思ったことがあったので一点お伺いしたいんですが、決裁文書の書きかえの動機についてです。

 きのう、太田理財局長は答弁で、例えばということで、佐川さんの、書類がないのでお答えできないという答弁を気にしてそういうことをしたのだろうと考えられるという発言をされていました。この書類がないのでお答えできないというのは、交渉記録を破棄をしたという発言を指しているんですか、この佐川さんの。よくわからなかったんですけれども。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 きのうも一時間ずっと審議だったものですから、言葉の一つ一つが私にとってみても十分練れていなくて、ある意味では、誤解を招いたとすれば、それは申しわけありません。

 基本的には、当時の佐川前局長の答弁で、書類なりなんなりを破棄しているので、要するに、確認できないというような趣旨の答弁があったというふうには認識をしております。

 その上で、そういう状況のもとでございますので、経緯について詳しく出ているようなものについては、その答弁との関係ということを気にしたんではないかという趣旨で私は御答弁を申し上げたつもりでございます。

宮本(徹)委員 その太田理財局長の推察というのは、私は成り立たないんじゃないかと思うんですよね。

 交渉記録を破棄をしたというふうに佐川さんが答弁されたのは、二月二十四日なんですね。その日に、菅官房長官が記者会見を行われています。交渉記録は破棄したけれども、決裁文書については三十年間保存されているので、そこにほとんどの部分は書かれているのではないでしょうかと菅官房長官は述べられているんですね。

 ですから、決裁文書には全て書かれていますよという話を菅官房長官はされているわけですから、ほかの交渉記録を破棄しても大丈夫だというのが菅官房長官の発言ですから、その交渉記録を破棄したから決裁文書を書きかえたという推察というのは、佐川さんの発言と菅官房長官の発言を、同じ日にあったわけですから、成り立たないと思いますが、いかがですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私が自分で発言したので、自分の発言にこだわるつもりは全くありません。全くありませんが、今の御指摘で、官房長官との会見と結びつけて、それが違う云々という話は、官房長官の会見の話は全然別の話ではないかというふうに私は思うんですが、委員がなぜその官房長官の発言とそのことをそういうふうに結びつけられておられるのかは私にはちょっとよく理解できませんので、ということが私の今の時点の御答弁ということになります。

宮本(徹)委員 明快だと思いますよ。だって、交渉記録は破棄をした、だから書きかえましょうという話ですよね。だって、菅官房長官は、決裁文書には全部書かれていますよ、ほとんどの部分は書かれていますよという話をしているわけですから、別に、交渉記録は破棄したけれども、決裁文書はありますよ、はい、これが決裁文書ですというのが本来だったら財務省のとるべき立場だったというふうに思うんですが、そうならなかった。そうならなかったのには、何かやはり裏があるんじゃないかなというふうに思わざるを得ないわけですね。

 ちなみに、この二月二十四日の菅官房長官の記者会見、私も、決裁文書という話を突然されて、大変唐突感がありました。違和感がありました。きのうの集中審議では、総理は決裁文書は存在すら知らないと言っていましたけれども、菅官房長官はこの時点で決裁文書の存在を知っていた。しかも、こういうことも、私、記者会見を改めて聞きましたら言っているんですね。

 ここで御理解いただきたいが、財務省においては公文書管理法において制定されている財務省の行政文書管理規則に基づいて文書管理を行っている、この法則に基づいて契約書を含む国有財産の処分に関する決裁文書については三十年の保存期間が定められている、だから三十年間保存している、また一方で、面会記録等はその保存期間は一年未満とされていることで具体的な廃棄をするその時期については説明したとおりだと思っている、こういう大変詳細な記者会見をこの時点でされているんですよね。

 菅官房長官、ペーパーを読みながらこの記者会見をされていましたけれども、このペーパーは財務省も一緒になってつくったペーパーですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、前段の部分と申しますか、私が最初に申し上げたところで、委員は違うというふうにおっしゃられるので、それは私がもしかすると間違っているのかもしれないと思いながらお聞きをしていましたが、多分、多分というか、私が自分の頭で考えていることなので多分ではないはずなんですが、基本的に、そういうことを申し上げたのは、きのうの質疑の中で、要すれば、法律相談文書というのを二十五件、残念ながらおくれて提出をさせていただきました。法律相談文書が世の中に出ていったときに、今回の決裁文書の経緯とほぼ同じようなものが経緯としてついておりました。そのときに、私が国会で一番厳しく御批判、御質問いただいたのは、あれだけ交渉記録なり面会記録なりはないと言っていたじゃないか、だけれども、それがあったじゃないかという御質問が非常に多かったのが、私にとっては非常にこたえておりました。

 そういうことがあったものですから、基本的には、要するに、ないと言っていたものがあるというのは、記録だ、経緯だ、それがあったんじゃないかといって法律相談文書のときに随分御指摘をいただいたので、もしかするとというか、自分の頭の中でそれが結びついていて、経緯が落ちているということについては、それはそういうことなんじゃないかと思って私は答弁をし、お話をしていたということだと思っています。

 その上で、今、官房長官の会見のお話がございました。

 官房長官の会見は、基本的に、当然、官房長官のところでやるわけですが、それぞれ会見のときに官房長官秘書官は一生懸命仕事をするわけです。そのときに、その材料というか、情報というかは、それぞれ関係しそうな省庁に情報を求めるということはしますが、最終的には官房長官の秘書官がいろいろなことはやりますし、最終的には、会見をするのは長官でございますから、長官の判断で会見をされるということになるわけだと思っております。

宮本(徹)委員 つまり、関係省庁に求められて、この菅官房長官の二月二十四日の記者会見の、財務省の決裁文書についての詳しい話があったということになるわけですよね。ですから、財務省から、あの決裁文書の、三十年間ありますよ、全部書いてありますよという話は、この時点で菅官房長官にされていたと私は理解するのが普通だと思うんですが、違いますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 されていたというのは、物すごく詳しくちゃんと説明をしているという感覚だと思いますので、私なりに官邸にいたことのある経験から申し上げれば、そんなレベルには、官房長官の会見というのは、午前と午後と二回あって、ほとんど時間がないので、それは、そんなレベルのことは、とてもじゃないけれども、一日二回の会見はすごく忙して大変なので、そんなレベルの状況であるとは全く思っていません。

 ただ、ここから先は、ちょっと今の時点では推測のような話になりますが、恐らく、森友学園について議論が起きていて、それについて何かというようなことでそういう質問があって、そのときの用意が、そういう用意は何かされた、長官秘書官を通じてそういうことをしたということはあるのかもしれませんが、承知していたというほどのレベルというのは、ちょっとそういうレベルにはなっていないんじゃないかというふうに私は思います。

宮本(徹)委員 いや、どこまで菅官房長官が決裁文書の中身を知っていたか、それはわからないですけれども、少なくともここの、昨年の二月二十四日の段階で、財務省の決裁文書の話についてここまで詳しくお話しされるということから考えれば、財務省、官邸のところで、今後の決裁文書をどうしていくのかという何らかの方針がその時点であったんじゃないかと。

 だって、ちょうど書きかえの時期は二月下旬から始まったとおっしゃっているじゃないですか。その時期にあったのは、この記者会見なんですよ。決裁文書が出てくる唯一の記者会見だと思いますよ。それをぜひ調べていただきたいというふうに思います。

 次に行きます。

 特例承認の決裁文書になぜ安倍夫妻の名前があるのかということについて、先週金曜日も質問させていただきました。先週の太田理財局長の答弁では、特例承認の決裁文書で政治家あるいは総理夫人が記載されているものはこの森友案件だけだ、これ以外はないという話がございました。

 では、なぜ、この案件だけは安倍昭恵さんや総理、あるいは政治家の名前が記載される必要があったのか、ここが、私もできる限りの国会審議、今見たり議事録を読ませていただいていますけれども、全然わからない、納得のいく説明がなされていない点だというふうに思います。

 確認しますけれども、この二〇一五年二月四日の特例承認ですね、申請する側の近畿財務局が作成した決裁文書は、作成に当たって本省で相談に乗った方というのはいらっしゃるんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 その前に、調べなさいという御指示でございましたが、今の委員から調べなさいという御指示の部分は、委員なりの頭の整理というか、回路をめぐってそういうことだという仮説を述べられているだけだと思いますので、それを調べろというのは、それはさすがに承知いたしかねますということだけは申し上げさせていただきます。

 その上で、この特例承認の決裁について、特例承認の決裁をつくる前に本省に相談したということでございましたら、特例承認の決裁は最終的には、御案内のとおり、本省の決裁でございますので、その事前のところ……(宮本(徹)委員「二月四日の方です」と呼ぶ)二月四日。申しわけありません。

 二月四日の近畿財務局における決裁ということでございますが、その先に本省の特例承認ということにつながるわけですから、特例承認の決裁そのものというよりも、中身について相談をしていても全然おかしくないので、相談をしていたんだろうというふうに思います。

宮本(徹)委員 つまり、中身について相談していてもおかしくないだろうということですから、安倍昭恵さんの話や、政治家の名前が出てくるものも含めて、本省も含めて相談してつくられ始めたという話ですよね。

 そして、なぜ安倍昭恵さんの名前が記載されているのかということについて、昨日、太田理財局長は、総理夫人だからだというふうに答えられました。お伺いしますが、なぜ総理夫人を決裁文書に書く必要があったんですか。

太田政府参考人 今の最後のお尋ねの前に、もう一つ質問の中にあったと思いますので、二点お答えを申し上げます。

 まず一点目は、特例承認の決裁について、本省あるいは近畿財務局の間で相談をしていた、それは総理夫人が云々というふうにおっしゃられました。

 特例承認のときの最大のポイントは何であったかというと、それは、通常であれば賃貸借は三年であったわけです。何が特例かというと、通常の三年ではなくて、十年の定期借地にするということでございました。十年の定期借地にするというのはこのときの最大のポイントでございました。なぜかといえば、相手方、森友学園側が、まず、本当は買いたい、だけれども、金繰りもつかないので最初は借りたい、七、八年後には買いたいということでした。

 ところが、三年の賃貸借でいきますと、今、借地借家法で基本的には借り手が相当保護される状況になりますので、三年を次から次へと繰り返せば、いつまでたっても売買に至らなくて賃貸借のままになる、それを一番本省も近畿財務局も恐れたということでございます。七、八年とおっしゃっているのですが、基本的に、それが断ち切られるためには定期借地という手法をとるしかなくて、それが十年ということなんですが、その定期借地ができるかどうか。

 定期借地ができるということは、いつまでも借入れの状態ではなくて、必ず売買の状態に至る、それがだめであれば、その時点で話が切れるということでございますから、そういう意味で本省と相談をしていた、一番気にしていたことはそういうことでございます。

 だから、経緯の中に何が書いてあるかということではなくて、三年じゃなくて十年にする、それが最大のポイントで、それをやっていたということが最大のポイントだということでございます。

 それで、済みません、前のを一生懸命しゃべってしまったら、最後のところのお尋ねをついつい頭の中で忘れてしまって、申しわけありません、何でしたっけ。

宮本(徹)委員 大変、今の太田理財局長の答弁姿勢は問題です。私が聞いたことに答えずに、その前段の、私の言ったことに対する反論だけを述べて、質問は何でしたっけと。これは余りにも答弁姿勢として問題ですよ。問題じゃないですか。

太田政府参考人 本当に申しわけありません。まことに申しわけありません。

 なぜ総理夫人がそこの決裁の中に出てくるかということでございますが、それは、基本的に特例承認というのは本省決裁でございます。そういう意味で、国会周りというようなところについて情報を入れておいた方がいいということで、政治家なりあるいは総理夫人なり、特に総理夫人の場合は、籠池理事長が盛んに総理夫人の名前をおっしゃっておられるというのは、近畿財務局としてはそういう認識だったと思いますので、そういう意味もあってそういうことが書いてあるということだと思っております。

宮本(徹)委員 それはもう先週聞いた答弁をまた繰り返されているわけですけれども、なぜ、相手方がどういう方か関係なく処理しているのに、そういう方針なのに、総理夫人が書かれているのかというのが問題で、先週は、何回か聞いていったら、それは大変経緯を詳しく書いているんですという話だけされたわけですよ。おかしいじゃないですか。なぜ、特例承認をするのに総理夫人の話が必要なんですか。ほかの特例承認には一切書いていないわけですよ。それは、先週、太田理財局長自身が答弁されたとおりですよ。全く説明になっていないんですよね。

 もっと言えば、先週、大変経緯を詳しく書いてあると言いましたけれども、昭恵夫人がこの学園の方針に感涙したというのは経緯とも関係ないじゃないですか。なぜ総理夫人を書かなければいけなかったのか、国民がわかる説明はできないんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 基本的に、先ほど来申し上げているとおりで、本省決裁なので、本省は国会対応が重要な仕事なのでということで、国会議員あるいは総理夫人という、その国会周りということで書いていたというのをこの間も申し上げましたし、ということでございます。

 委員のおっしゃっておられることは、さっき、私の言いたいことをおっしゃっていただきましたけれども、基本的には、政治家なりだけではなくて、経緯を大変詳しく書いております。そういう意味で、詳しく丁寧にやろうとしたということだと思っております。

 それ以上の説明はなかなか難しいんですが、それで御理解がいただけないとなると、どういう説明をすればいいのかなと思いながらこの席に立っておるんですが、基本的に、私としてはというか、それを説明するのは、今申し上げた説明に尽きるというふうには思ってございます。

宮本(徹)委員 その説明しかできなかったら、説明はできないということじゃないですか。ほかの案件では一切書いていないわけですよ、総理夫人も政治家も。そして、誰とその案件の人がかかわりがあるかは関係なく処理をするんですというのが今までの国会答弁だったわけですよ。それなのに、本省自身が書いているわけですよ。先ほど、日本会議の議論もありましたけれども、安倍総理や麻生大臣の名前を、本省自身が起案した文書の中に書いているわけですよ。

 それで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、決裁文書のつくり方についてお伺いしたいと思いますが、四月三十日の本省が起案した決裁文書、業務課国有財産審理室の方が起案をしておられます。

 一般的に、財務省内で起案する特例承認の決裁文書というのは、どういう段取りでつくるんですかね。関係者で会議を行ってから起案者がつくるのか、いきなり担当者が起案するのか。恐らく、関係者が会議を行って方向性を決めてから起案するんじゃないかと思いますが、どうなんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 それは、事案によりけりだというふうに思います。基本的には、決裁文書をつくって、その決裁文書を決裁をしていく過程、要するに、上に上げていく過程において、本当に了解をとる、本当に了解と言うと表現が悪いですが、了解をとるというものもあれば、その前に、実質的なところがある意味で決まっていて、形式的にと言うと怒られますけれども、それで決裁をつくっていくという場合もあると思います。

 それは、物によると思いますが、いずれにせよ、前者であれ後者であれ、決裁文書全体、もちろん、決裁をしている者は決裁文書全体について責任を負うわけでございますが、この決裁文書もたくさんいろいろな資料をつけているわけで、結局、先ほど申し上げた、本件についてはと言って、ポイントだと申し上げましたが、そのポイントの部分が理解されれば、基本的にそれで関係者はそれぞれ、俗に言えば、判こをつくという状況になっているということだと思っております。

宮本(徹)委員 では、この四月三十日の決裁文書の起案は、関与した人は何人いらっしゃって、起案の責任者はどなたなんですか。室長ですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 人数は、もう委員御承知だと思いますけれども、十八名ということであります。それで……(宮本(徹)委員「それは、起案じゃなくて決裁ですよ。起案、案文」と呼ぶ)起案。基本的には、決裁した者が十八名。

 起案ということは、それは誰かが最初に起こすということですが、最終責任者という意味では、基本的には、最後に決裁をした一番上の者、あるいは、もう一つあるとすれば、実質的にやっている者のトップは、基本的にはその決裁を起こしたところの課長、あるいは、課じゃなければ、室であれば室長ということだと思います、実質的には。

宮本(徹)委員 実質的には、室長、田村室長か、当時の課長かというのが起案の責任者で、その範囲で起案をして、あと、どんどんどんどん、それ以外の方にも判こを押していただいたということなのかなと思います。

 古谷審議官に先週に引き続き来ていただきましたが、古谷審議官、課長時代、この国有地の森友の案件について、特例承認の決裁文書以外に何かかかわったことというのはあるんですか。

古谷政府参考人 お尋ねの用件につきまして、例えば私が加わった会議があるかとか、何か特例案件で、承認の決裁でかかわったことがあるかということでございますけれども、決裁以外はございません。

宮本(徹)委員 決裁以外にこの案件が話し合われた、課長を交えて話し合われたことはない、一切ないということでよろしいわけですね。

古谷政府参考人 もう一度、間違いないようにと思いますが。

 国有財産の案件につきまして、理財局は、国有のほかに財投とか国庫、国債とかございますけれども、国有財産に関する案件については、基本的に国有財産部門で検討をしております。総務課長は、局内の調整とか人事とか予算を担当しておりますので、国有の案件にかかわりますのは、主として決裁のときであります。

 先ほどのお尋ねは、総務課長としてかかわったかどうかということでございましたので、総務課長を交えた会議があったかどうかということでございますと、私の記憶する限りはございませんと申し上げたわけでございます。

宮本(徹)委員 総務課長以外の段階ではあるんですか。

古谷政府参考人 私も、先ほど、自分がかかわっていないということで申し上げたつもりですけれども、先ほど申し上げたように、国有の案件ですので、先ほど局長の方から申し上げたように、決裁によっては、先に決裁をつくって、決裁を上げながらする場合もございますし、あるいは、会議を先に開いて、そして決裁をしていく場合もございます。ですから、国有の案件については、基本的には国有がまず検討しているということを今申し上げた次第でございます。

宮本(徹)委員 どの段階で誰がどうかかわって、この安倍夫妻のかかわりを決裁文書に書こうと、そして、これを書くことでこの無理筋な特例を押し通していこうということになっていったのか、今のお話だけでは見えてこないんですけれども。

 少なくとも、当時の室長は、田村室長になるわけですよね、この決裁の起案の実質的な責任者であろうということが、先ほどの太田理財局長の答弁でもわかりますので、委員長、田村室長を、なぜ今回改ざんが行われたのか、その背景にある、なぜ特例承認決裁文書に安倍夫妻の名前が記されるようになったのか、この問題を解明する上に、本委員会で参考人として招致したいと思います。

小里委員長 理事会で協議いたします。(発言する者あり)

宮本(徹)委員 証人喚問の方がいいという話がありましたので、それはまた理事会で話し合います。

 あと、残された時間は少ないですが、もう少し聞きたいと思います。

 週末に、NHKで、三月三十日の事前協議の日の記述が全部決裁文書では削除されているという報道がありました。

 二〇一六年六月四日の、特別会計所属普通財産の処理方針の決定について、一番最後の決裁文書ですかね、この十四番の決裁文書ですね。ここには三月三十日の記述があります。当局、大阪航空局が森友学園に訪問し、今後の処理について国有地の売払いにより問題解決を図る方向で調整、また、指定期日延長に伴う貸付合意書の取り交わし等を完了、これが削除されております。

 この三月三十日は、我が党が明らかにした音声データの一つの記録もある日です。業者が三メートルより深いところにごみはないと言ったのに、国側が三メートルより深いところにあることにしようということです。

 NHKの報道では、この三月三十日に二回協議を行った、そして購入限度額を聞いたということが報道されております。

 昨年、太田理財局長からこういう答弁がありました。大阪府の認可との関係で借入れの金額に限度額があることから、買う場合の金額にも限度額があるという話は森友学園からはあったと。

 こういう話が森友学園からあったのは、三月三十日ということですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年の答弁だと思いますが、それを申し上げたのは、基本的には、先方が買い受けたいということを申し出てきた三月二十四日から最終段階に至るまでの間ということのつもりで申し上げております。三月三十日といった日にちが特定できるような話ではございません。

宮本(徹)委員 それは、確認はできないんですか。

太田政府参考人 当時、御答弁を申し上げる際に、確認できるだけ確認をして、そういう時期の話だということで御答弁を申し上げました。

宮本(徹)委員 かなり詳細な報道がNHKでなされております。

 この日、二回協議を行ったとあるんですけれども、二回協議を行ったんですか。

太田政府参考人 確認した限りで申し上げますと、協議というか打合せがあって、その後、現地確認に行ったというふうに私は聞いております。

宮本(徹)委員 その打合せがあって、現地確認をして、現地確認の後に、恐らくまた話合いがあったのではないかというのがNHKの報道の中身ということになります。

 時間が参りましたからこれで終わりますけれども、なぜ口裏合わせの音声データがあるこの日の記録が決裁文書から全て削除されてしまったのか、何を隠そうとしていたのかというのは、音声データを知っている現在では、ああ、これを隠したかったんだなということがよくわかる改ざんということになっていると思います。

 引き続き、この問題を追及することを申し上げまして、質問を終わります。長時間、どうもお疲れさまでした。

小里委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後九時二十八分散会


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