衆議院

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第2号 平成30年11月20日(火曜日)

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平成三十年十一月二十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 坂井  学君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 田畑  毅君 理事 寺田  稔君

   理事 藤丸  敏君 理事 川内 博史君

   理事 前原 誠司君 理事 竹内  譲君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井上 貴博君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    神田 憲次君

      小泉 龍司君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    津島  淳君

      土井  亨君    中山 展宏君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      三ッ林裕巳君    三ッ矢憲生君

      宗清 皇一君    山田 美樹君

      義家 弘介君    今井 雅人君

      末松 義規君    高木錬太郎君

      古本伸一郎君    緑川 貴士君

      伊佐 進一君    野田 佳彦君

      宮本  徹君    杉本 和巳君

      青山 雅幸君    佐藤 公治君

      鷲尾英一郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   経済産業副大臣      関  芳弘君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   財務大臣政務官      伊佐 進一君

   会計検査院事務総局次長  腰山 謙介君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       宮川 尚博君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         遠山 義和君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 英司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           嶋田 裕光君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 林  幸宏君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  佐々木清隆君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      森田 宗男君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   神田 眞人君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    可部 哲生君

   政府参考人

   (国税庁次長)      並木  稔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           田畑 一雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 岩崎 俊一君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     三ッ林裕巳君

  鈴木 隼人君     安藤 高夫君

  丸山 穂高君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     鈴木 隼人君

  三ッ林裕巳君     穴見 陽一君

  杉本 和巳君     丸山 穂高君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

坂井委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局次長遠山義和君、事務総局人材局長鈴木英司君、内閣府大臣官房総括審議官嶋田裕光君、大臣官房審議官林幸宏君、金融庁総合政策局長佐々木清隆君、監督局長栗田照久君、証券取引等監視委員会事務局長森田宗男君、財務省大臣官房長矢野康治君、主計局次長神田眞人君、主税局長星野次彦君、理財局長可部哲生君、国税庁次長並木稔君、厚生労働省大臣官房審議官田畑一雄君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、中小企業庁経営支援部長奈須野太君、国土交通省航空局次長岩崎俊一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、会計検査院事務総局次長腰山謙介君、事務総長官房審議官宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤丸敏君。

藤丸委員 おはようございます。藤丸でございます。

 先日、麻生大臣の所信をお聞きいたしました。本日は、その質疑となっております。麻生大臣には、個人的には秘書時代から今に至るまで大変お世話になっております。ありがとうございます。

 さて、与党からは副大臣を中心にお話を聞かせていただければ幸いと存じます。

 その前に、一言、経済分析について述べさせていただきます。

 ちょっと気恥ずかしいんですが、うちの事務所がこうやってつくるものですから、毎回。一ページ、表紙をあけてもらいますと、日本のマネタリーベース、マネーストック、名目GDPの推移があります。これは何でつくったかというと、GDP、マネーストック、マネタリーベースというふうに並べた図表というのは見たことがなかったものですから、それを比べるためにつくりました。

 青い棒グラフは、上からアメリカ、ヨーロッパ、日本。それから、真ん中のオレンジ色の折れ線グラフがマネーストックであります。マネーストックというのは、ゆうちょができた二〇〇七、八年ぐらいから、マネーサプライという言葉からマネーストックという言葉を使い出したのであります。それから、下の赤い折れ線グラフがマネタリーベースであります。太い線、これが日本でありまして、太いドット、これがアメリカであります。細いちっちゃなドットがヨーロッパであります。

 よく見ると、マネタリーベースとマネーストックというのは非常に似通った推移をしております。そして、マネーストックとGDPも意外と似ております。そういうことで細かく見ていくと、非常に分析ができます。

 これは九五年から今までの経済推移でございますけれども、この前は日本は、以前麻生先生からも聞いたんですが、戦後、経産省が傾斜生産をやって、高度成長に向かって、中成長で、バブルではじけるというのがその前の経済であります。

 そして、この九五年のマネーストックのところを見ると、オレンジ色の日本の太線、これは非常に高いところにあります。これはなぜ高いところにあるかというと、バブルでマネーストック、マネーサプライが相当にふえていたということで、このマネーストックがGDPよりも上にある、供給量が多いということをあらわしております。

 そして、この図をよく見ると、リーマン・ショック前とリーマン・ショック後では経済の様相が変わっております。

 二〇〇八年のリーマン・ショック前というのは、マネタリーベースが動きが余りないのにもかかわらず、マネーストックは伸びていって、GDPも伸びていっているというのがヨーロッパであります。

 このとき何がアメリカやヨーロッパで起こっていたかというと、実は、次をめくってもらうと、後ろに、それの右側の下の図表があるんですが、これの時価総額の部分があります。この時価総額の部分では、米国、ユーロ圏、これは一九九五年から二〇〇五年の十年間を見ると、時価総額が相当に伸びていっている、米国、ユーロは。相当伸びていっているという経過がありますから、ここで金融が相当伸びた、アメリカやヨーロッパは。そのおかげでマネーストック、GDPがヨーロッパ、アメリカでは相当伸びたということが言えます。

 本来、経済は、金融はサポートでございますので、生産が活性化して、それから資金需要が起きて、オレンジの、その当時はマネーサプライと言っておりましたが、マネーサプライが盛んになってくる。そして、言えば、マネタリーベースを調整していく、出していくというのが流れであります。

 片や、今度は、リーマン・ショック後になりますと、これは金融政策で経済を持っていっているわけであります。

 リーマン・ショック後は、アメリカはその直後からマネタリーベースをふやして、そしてマネーストックをふやして、GDPを上げていくという政策をとっております。

 ヨーロッパを見ると、余りそう見えないようでありますけれども、その以前からマネタリーベースをふやしていって、リーマン・ショックに対応していっている。そこでマネーストックもふえていっているということであります。

 一番問題なところは日本であります。日本は、バブルの時代もあったせいか、それともう一つは間接金融というのもありますので、マネーストックが高どまりをしています。GDPよりも多いというのであります。それで、マネタリーベースをふやしていったんですけれども、オレンジ色のマネーストックは余りぐっとはふえない。

 ここがちょっと問題点でありますけれども、ここは当座預金等に行っているというのはありますけれども、海外に資金が相当に行っているということも、この後ろのページに為替のデーリーの表をつけております。海外にも相当お金が行っておりますので、マネーストックがもうちょっと本来は上がると思います。

 本来は、第三の矢、それからゼロ金利政策を行っておりますので、このマネーストックがぎゅっと上がるような方向に持っていかなければなりませんが、徐々に上がっていくものと、今、指標を見ると上がってきていますので、もう少したてば、如実にマネーストックも上がってくるというふうに見ているところでございます。

 言いたかったことは、日本も間接金融から直接金融を育てるというのがありますので、今税制で議論しているNISA等を金融教育ということでやって、企業とすれば、返さなくていいとは言いませんが、厳しいお金を調達できる、個人にとっては給料以外のボーナスも期待できるという豊かな生活を目指すということで、NISAも検討をお願いいたします。

 それでは、本題に戻らせていただきます。

 ここ数年、災害がふえておりまして、災害復旧などの対応のために、平成三十年度補正予算を成立いたしました。災害に対し機動的な対応を行うためには、財政健全化を進めて、財政的な対応力を常に確保しておく必要があります。また、人生百年時代を見据え、国民の皆様が安心できる持続可能な社会保障制度を構築するためにも、財政健全化をしっかり進めていく必要があります。

 新経済・財政再生計画で定められました二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランス目標の達成に向けて、うえの副大臣からお話をお聞きいたします。

うえの副大臣 お答えいたします。

 委員今御指摘がありましたとおり、災害等に対する財政的な対応力を確保していく、あるいは持続可能な社会保障制度を構築していくためにも、財政の健全化、これをしっかり着実に進めていく必要がございます。

 ことしの六月に決定をいたしました骨太の方針の二〇一八におきましても、二〇二五年度までにプライマリーバランスの黒字化を達成し、財政健全化の道筋を確かなものとする新経済・財政再生計画を策定したところであります。

 後がないという危機感のもと、新たな計画に沿った歳出改革等に真摯に取り組むことで、財政健全化目標の達成を確かなものにしてまいりたいと考えています。

藤丸委員 次に、日銀の金融政策、それと、人口減少を背景に、金融機関、特に地域金融機関の収益が大きく悪化しているという御指摘もあります。

 地域金融機関はどうあるべきかというお考えを田中副大臣にお尋ねいたします。

田中副大臣 お答えいたします。

 地域銀行は、二〇一八年の三月期決算におきまして、過半数の五十四行が、本業利益、貸出しですとか手数料ビジネスの上においては赤字となっている今状況にあります。

 地域の金融機関は、外部環境の変化に対応して、やはり、安定した収益、将来にわたる健全性、これを確保した上で、金融の仲介機能の発揮を通じて地域経済に貢献していくということが必要であります。そのためには、経営陣による的確な現状分析に基づく経営戦略の策定、実行、あるいは取締役会等によるところのガバナンス、これが発揮されることが重要であります。

 このような問題意識のもとに、地域金融機関に対しましては、経営やガバナンスについて、深度あるモニタリング、これを行いながら、将来にわたる健全性の確保ですとか金融仲介機能の発揮、これを促してまいりたい、そのように考えております。

藤丸委員 ありがとうございます。

 やはり、地域創生のかなめは地方信用金庫、信用組合だと思いますので、私は、地方創生の資金等も、農協とか信用金庫、信用組合をまぜてお金を出させたりかかわらせたりして、そっちの方にも創生のために生かしていくということが大事じゃないかと思っているところでございます。

 それともう一点、しつこいようですけれども、この資料の、あけてもらって、後ろから三番目の、BISの、デーリーの、一日の為替の量の、日本はどれだけ海外にお金が行っているのか、デーリーでですね、一日の。それを見てみますと、大体これはドルで書いてありますけれども、百十円で円換算すると、アメリカは大体四百八十兆円ぐらい一日に動いています、一日、デーリーですね。日本はというと、百二十兆円ぐらいでしょう、大ざっぱに言えば。一日、デーリーの為替の動きが百二十兆円ぐらい動いておりまして、ヨーロッパは、これを見ると百八十兆円ぐらい、一日、為替が動いている。GDPの割合からすれば、日本は多くお金が動いている、為替が動いているということが言えます。

 その貿易等の比較をいろいろ考えて、今、いろいろ試行錯誤で研究しているところでございますので、今そこのところまでよく見ているんですが、為替と貿易の、まあ、デリバティブの話もありますので、店頭デリバティブだけで五京円ぐらい動いておりまして、実際はその百分の一ぐらいだと思いますけれども、五万兆円というぐらい動いておりますので、その関係をまた御教授いただける方がいればお願いをいたします。

 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

坂井委員長 次に、本田太郎君。

本田委員 おはようございます。自由民主党の本田太郎でございます。

 質問の機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。私からは、二点について質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目は、軽減税率についてであります。

 法律で定められましたとおり、来年十月には消費税が一〇%に上げられる予定であります。消費税増税は、主に、増税前の駆け込み需要、また消費増税後の反動減、そして消費増税後の実質所得の減少を通じた消費の下押しという三つの要因によって実体経済に影響を及ぼすというふうに言われております。

 実際、前回の二〇一四年四月の消費増税時には、増税後に実体経済が想定よりも大きく下振れすることとなり、その結果としまして、当初二〇一五年の十月に予定されておりました消費増税、八%から一〇%でありますけれども、これが二度延期されまして、二〇一九年の十月まで四年おくれるという事態になりました。

 しかし、二〇一九年の十月に予定されています消費増税では、前回に比べて需要の急変動は控えられると見込まれます。

 その理由が三点ほどございます。一つ目は、消費税率の引上げ幅が、前回の三%に比べると今回は二%と幅が小さいこと。二つ目は、軽減税率が同時に導入されるということ。三つ目には、使途として幼児教育の無償化が同時に導入されるということであります。

 この中でも、税率の引上げに伴う低所得者への配慮として予定されています軽減税率制度については、国民の皆様の日常生活に、特に買物における痛税感が大きく軽減されることが期待をされています。他方で、軽減税率制度においては、現場の混乱などによって国民生活に大きな影響を与える可能性も指摘をされております。

 例えばですけれども、ピザやそば屋さんなど出前をとるときは、店内では食べないので、軽減税率が適用になります。また、総菜などのテークアウトできる加工食品も適用がされます。しかし、ケータリングや出張料理は対象外となります。更に複雑でありますのは、コンビニやケーキ屋にある、イートインスペースに設けてあるお店でございます。商品によって消費税率と軽減税率が適用されたりされなかったりするのはもちろんのことでありますけれども、同じ商品であっても提供の態様などによって税率が異なることから、事業者側の事務処理が複雑になったりまた間違いも起こりやすくなって、負担が大きくなるのは避けられません。

 また、事業者が使用する税率や税額を記載するいわゆるインボイスの導入が平成三十五年から予定されているなど、負担が大きいのも事実であります。

 このような軽減税率制度の実施に際しては、大きな混乱を避けて、国民生活に悪影響を与えないよう、着実に準備を進めることが重要だと考えております。

 そこでお尋ねをいたしますが、軽減税率制度の実施に向けた現在の準備状況や今後の取組についてお尋ねをしたいと思います。

うえの副大臣 お答えいたします。

 軽減税率制度の円滑な実施に向けて、事業者の準備を促すため、周知、広報等にしっかりと取り組むことが重要だと考えています。

 これまでも、軽減税率の適用対象となる具体的な事例も含めたQアンドAの公表であったり、税務署、商工会等による事業者向けの説明会等の開催、これはこれまで約三万二千回実施をし、延べ九十一万人の参加者を得ているところでございますが、その開催であったり、あるいは税務署等による個別相談の実施など、さまざまな周知、広報等の取組を丁寧に行ってきたところであります。

 また、今般、消費税の軽減税率制度の円滑な実施に向けた取組のために、内閣官房が中心となって、法律の規定に基づき、事業者の準備の状況や直面する課題等について実態の把握等が行われたところであります。先週の消費税軽減税率制度導入関係府省庁会議においてまとめられました結果によりますと、約三七%の事業者が準備を始めている、約五二%の事業者が具体的な準備を検討しているとされたところであります。

 また、会議では、更に事業者が準備を進めていけるように、レジ補助金の対象拡大、専門的な相談等に対応する窓口の設置など、事業者からの要望も踏まえたさらなる取組についてもしっかりと進めていく、その必要性について確認をされたと承知をしています。

 消費税の軽減税率制度の円滑な実施は、委員御指摘のとおり大変重要であると考えておりますので、現場での対応が更に進みますように、商工会や商工会議所を通じた業種横断的な働きかけ、あるいは地方公共団体や地域の金融機関と協力をした働きかけなど、さきの関係府省庁会議において確認されました方針に基づいてしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

本田委員 答弁ありがとうございました。

 着々と消費増税に向けまして軽減税率制度の取組も進んでいるということでありますので、これをしっかりとやっていただきまして、大きな混乱のないように進めていただきますようお願いを申し上げます。

 二点目の質問に入らせていただきます。

 二点目は、仮想通貨についてであります。いわゆる仮想通貨の取引は年々一般的なものとなってきておりますが、それと同時に、仮想通貨業者に対する行政処分の案件も多発してきております。

 本年の一月には、仮想通貨取引所大手のコインチェック社がハッキングを受けまして、仮想通貨NEMが不正流出をし、その被害額は五百八十億円に上りました。コインチェック社に対して金融庁は業務改善命令を発出されました。

 その後も、みなし業者と登録業者を合わせまして、三月に七社、四月に六社、六月に七社に対しまして処分が発出をされております。さらに、最近では、仮想通貨取引所のZaifがハッキングを受けまして、約七十億円相当の仮想通貨が流出をいたしました。そして、Zaifの運営元であるテックビューロ社に対しまして、金融庁は、本年の九月、三度目の業務改善命令を出されました。

 コインチェック社、テックビューロ社のいずれの事案においても指摘をされましたとおり、インターネットに接続した状態で仮想通貨を管理する、いわゆるホットウオレットの取扱いが大きな問題となっているようであります。

 取引所のシステムはハッキングを前提に設計する必要があると思いますし、そうであるならば、ハッキングの被害を利用者に補償しなければならない、そういう事態も必ず起きてくるんじゃないかなと考えております。その対策といたしましては、例えば、取引所を運営する企業は、ホットウオレットで運用するその額に応じて補償の原資を事前に確保しておくなど、そういった形の規制も考え得ると思います。

 金融庁は、これまで多くの仮想通貨業者に対しまして先ほど述べましたように行政処分を行ってこられましたけれども、仮想通貨の健全な発展に向けましては、今後いろいろな形で工夫をして規制、監督をしていく必要があると思います。同時に、所管の大臣の答弁にもございましたけれども、規制、監督のみならず、業界を育てていく金融庁というスタンスも大事になってまいります。

 こういった中、仮想通貨に関しましては、現在、規制の部分が非常に注目をされておるわけでありますけれども、今後、具体的にどのように規制や監督をしていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。

田中副大臣 今、委員が御指摘ありましたコインチェック社でありますが、金融庁では、コインチェック社における仮想通貨の不正流出事案、これを踏まえまして、仮想通貨の交換業者に対しまして順次立入検査を実施し、そして、取引の拡大に見合う内部管理体制を構築していないなど、こうした問題が認められた業者に対して行政処分、これを実施してきたところであります。

 こうした中において、金融庁といたしましては、やはり、利用者保護の着実な確保に向けまして、仮想通貨交換業者の適正化を図っていかなくてはならない、これが重要な課題だと考えているところであります。

 具体的には、これまで把握しました問題点等も踏まえまして、事業者において実効的な内部管理体制が整備されるように厳正にモニタリングを実施する、そして、本年十月に認定した金融決済法上の自主規制機関、これと緊密に連携をとっていく、またそれ以外にも、本年三月に設置いたしました仮想通貨交換業等に関する研究会におきまして、仮想通貨交換業等をめぐる諸問題についても、必要な制度的対応、これを検討していきたいと考えております。

本田委員 御答弁ありがとうございました。

 規制、監督という部分に関しましては、モニタリングやまた自主規制機関との連携、また研究会や制度的研究ということを行っておられるということであります。

 規制をすることはもちろん大事でございますし、これ以上ハッキングによる仮想通貨の流通等が生じないように万全を期していただきたいと思います。と同時に、やはり、業界の健全な発展に向けまして、この点にも目が向けられるように、規制を充実していただきまして、その次には発展に向けた取組も視野に入れてやっていただければなお一層ありがたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 そして、仮想通貨に関しましては、税制の部分でもいろいろと、どの段階で税をかけていくのか等々、複雑な問題も今後出てまいると思います。この点に関しましても、財務省、金融庁におかれましては、仮想通貨がいい意味で発展できるような、そういう税制の部分についても研究を重ねていただければありがたいと存じますので、どうぞ、この点につきましてもよろしくお願いを申し上げます。

 以上、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

坂井委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。川内でございます。

 麻生大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、福岡で大臣が、人の税金で大学に行った、こう北橋北九州市長さんを批判されたというふうに報道されております。人の税金で大学に行ったって、みんな人の税金で大学に行っているんですけれども、これはどういう御趣旨で御発言をされたのかという、その真意をちょっと御説明をいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 御指摘の発言は、過日、日曜日に行われました福岡の市長選挙の前の日の、十六日ですか十七日ですか、あの日の市長選挙における現職候補の応援において、現職候補というのは福岡市なんですけれども。

 今の話は、北九州市と福岡は同じ県内にあって、政令都市が私どもの県は二つありますので、両方とも百万都市でスタートしたんですが、片っ方は百五十八万、今日、片っ方は九十四万まで激減しておる、同じような状況にありながら何でこんな違ったんだということが最大の問題なんじゃないんですかという話が、これは全県民の多分同じ思いなんだと思いますが。

 そういった中で、私どもは、少なくとも、首長というものの経験をした場合に、こっちの方は大分県人で、大分の舞鶴高校出身じゃないか、片っ方は、向こうは東京大学じゃないか、両方とも福岡県人ではありません、出身は。そういったことではないんですけれども、出身がといってよく比較をされていましたので、要は、出身県とかいうものも関係ないし、また、片っ方は東京大学、片っ方は舞鶴高校から東京は独協大学だったかな、どこかの大学、ちょっと正確に覚えていないんですが、独協大学を出ていますので、東大だからいいとかいう話ではないんですよと。

 要は、出身大学なんて関係ないんだ、その人のやった経験の、片っ方は十二年、片っ方は八年やって実績の差がこんなになりましたので、実績に差がこれだけついていますので、私どもから見て、東大だからいいということではないでしょうがという例としてその話を引いたところの一環として、御存じのように、東大とあれでは税の投入率が全く違いますから、そういった意味では、少なくとも公人として自分が受けている教育費というのをちょっと考えたらどうという話で。

 私は、この選挙にかけてはあっちこっちでこの話はしていると思いますので、そういったような話をさせていただいたので、いわゆる幼児教育がどうたらとか大学経費の運営費がどうたらというのとは全く関係ない話でさせていただいたと記憶をしております。

川内委員 いろいろ御説明いただいたんですけれども、結局、どういう御趣旨で御発言されたのかがよく、私も、財務省がいろいろなことがあるので、何か大臣も自暴自棄になっていらっしゃるんじゃないかとちょっと心配になったんですけれども。この話については後でまた今井先生の方から何か御発言があるかもしれませんし、ほかに聞きたいことはたくさんあるので、次に行きたいと思いますが。

 あと、先日の麻生大臣の御挨拶の中で、やはり、文書改ざんに対する財務省の認識とか、あるいは財務事務次官が問題を起こして辞職をされたこととか、財務省をめぐるさまざまな国民の信頼を失うようなことについて財務省としてどう考えるのかということについての言及が全くなかったわけでございまして、これは一体いかなることなんだろうか。もう、別にいいんだ、終わったことなのだという認識でいらっしゃるのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 この財政金融委員会における私の冒頭挨拶というものは、審議をお願いするに当たりまして、日本経済の現状とか、また財政政策、金融行政に関する私の考えの一端を申し述べさせていただきました上で、お力添えを得て、政策運営に最善を尽くしていくという決意を示させていただいたものであります。

 なお、森友学園の国有地売却等に係る決裁文書の改ざん等の問題につきましては、検察当局による捜査というのは御存じのように不起訴となっておりますし、財務省におきましては、六月四日においてこの問題に関するいわゆる経緯等に関する調査結果を公表し、関与した職員に対しましては厳正な処分というものを行わさせていただいております。

 また、福田前次官のセクハラ問題につきましても、これは被害者の尊厳や人権を侵害する行為であり、決して許されるものではありませんので、報道が事実ならばセクハラに該当するという意味でアウトであるという基本的な姿勢のもとで調査を進めて、四月の二十七日に処分を行わさせていただいたというのは御存じのとおりです。

 したがいまして、財務省の再生に向けては、一連の問題行為の発生を許した組織風土というのを見直さないかぬということで、時代にふさわしい仕事のやり方ができるように組織の改革に取り組んでいかねばならないのではないかと考えておりますので、いずれにいたしましても、国会等で御質問があれば丁寧に御説明させていただければと思っております。

川内委員 麻生大臣、不起訴ということは再三大臣はおっしゃるんですけれども、大阪地検特捜部の会見では嫌疑不十分と、嫌疑はあるんだということをわざわざ記者会見で特捜部長がお述べになられている、文書偽造についても背任についても嫌疑はあるということを会見していらっしゃる。報告書を出したとおっしゃるけれども、事実、誰が指示したのか、誰がどういうことをしたのかということについては、いまだ解明をされていない。大臣自身が記者会見で、それがわかれば苦労せぬのだよという会見での御発言もおありになられるというふうに聞いております。だから、大島議長も、そういう意味で、議長談話の中で、事実を解明することが大事だよということを談話としておっしゃっていらっしゃるわけですけれども。

 そういう意味で、まだ私は終わっていないというふうに思うんです。にもかかわらず、麻生大臣にこの発言要旨を本委員会でお読みいただくために、財務省として起案した起案課というのはあるわけですけれども、起案した人は誰ですか、事務方の人に答えていただきたいと思いますが。

可部政府参考人 お答えいたします。

 大臣官房でございます。

川内委員 結局、大臣官房を始めとしてさまざまな各局の人たち、各局の責任者がその文章を、麻生大臣にこういう発言をしていただこうねということを回覧した上で麻生大臣が発言をされることだというふうに思うんですけれども。

 私も財務省に再生してほしいと思っていますよ。なぜなら、これだけ国の借金を抱えて、財務省がしっかりしないと、本当に出口の見えないところに我が国は迷い込んでしまうわけですから、財務省にしっかりしていただかなきゃいかぬ。だけれども、財務省はしっかりしますよ、信頼回復に向けて頑張るよということの決意を示すものだと財務大臣はおっしゃられたんですけれども、この発言を、その決意がどこにもないというのは大変に不安だなということを申し上げておきたいというふうに思います。

 財務省で今、財務省再生プロジェクトというのを立ち上げられて、この前、この進捗報告を発表されているんですけれども、これはボストンコンサルティンググループにお手伝いいただいているというふうに聞いておりますけれども、そして参与の秋池玲子さんに手伝っていただいているというふうに聞いておりますけれども、このボストンコンサルティンググループとの契約金額、お手伝いいただく契約金額、それから秋池玲子さん、参与として手伝っていただいているということですけれども、報酬を教えていただけますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省の再生プロジェクトにつきまして、今御指摘のとおり、ボストンコンサルティンググループにアンケート調査を委託いたしました。これにつきましては、無償でお引受けをいただいております。また、秋池大臣参与に対しましては、御本人様の方から報酬を辞退するとのお申出をいただきましたため、同参与に対する報酬はお支払いをさせていただいていないところでございます。

川内委員 この秋池玲子さんというのはボストンコンサルティンググループの方なわけですけれども、そのアンケート調査をお手伝いいただくのに業務委託契約を結んでいるわけですよね。そこをちょっと確認させてください。業務委託契約を結んでいる、その上でゼロ円の契約をしているということでよろしいですか。

矢野政府参考人 委員御指摘のとおり、業務委託契約を結んでおります。

川内委員 ほかにゼロ円の業務委託契約って、財務省はあるんですか。

矢野政府参考人 御通告をいただいておりましたので、お調べをいたしましたところ、現在はございませんが、過去に一件ございました。みずほ信託銀行株式会社と契約をした財政融資資金貸付金債権マスター信託契約というのが、過去のものですけれども、ございました。

川内委員 ゼロ円の業務委託契約って、将来的にすごい、何か取り返されるんじゃないか、適正な対価を支払った方がよろしいのではないかというふうに思うんですけれども、このボストンコンサルティンググループにアンケート調査を委託するに当たっての予定価格はお幾らですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 会計法規上の予定価格はゼロ円でございます。

川内委員 予定価格がゼロ円。

 予決令では適正な価格を定めるというふうに書いてあると思うんですけれども、適正な価格がゼロ円だというふうに見積もったということですね。その見積りの書類を、じゃ、後で私に下さい。よろしいですね。

矢野政府参考人 予定価格を決めるに当たりましては、予決令の手続にのっとって私どもちゃんとやっております。

 これは見積価格というものではございませんで、まず、知見を有するボストンコンサルティング、企業再生の実績などがあるボストンコンサルティングにお願いをするかどうかというところで、当たりをつけました。これは、ほかの予定価格を決める場合にも当たりをつけるということはあるわけですけれども、その当たりをつけた最初のボストンコンサルティングさんが、もうやりますよ、ただでやりますということをおっしゃられたので、その時点で予定価格はゼロ円になったということでございます。書類はございません。

川内委員 ちょっと不思議な気がするんですけれども、こればかりやってもしようがないので。

 この財務省再生プロジェクトの中身を見ると、大臣、僕は一番の問題だと思うのは、いろいろ書いてあるんです、いいこといっぱい書いてあります、だけれども、一番の問題は、昨今の法務省の言いかえの問題もそうだし、財務省の文書改ざんもそうだし、役所の中にある情報の開示というものに対する意識をしっかりしていただくことが欠けているのではないか。

 文書管理という言葉はあるんですね。文書管理という言葉はあるんだけれども、情報開示を積極的にしていこうね、そして、外からの批判的な目をきちんといただいて財務省として前進していこうねという意識が、この財務省再生プロジェクトの進捗報告の中にはほとんど言葉として出ていない。だから、結局、情報管理ですから、都合の悪い情報はなるべく出さないようにしましょうねということにしかなっていかないのではないか。そうなると、ますます財務省が内向きになる、霞が関が内向きになって、本来果たすべき役割を果たし得なくなってしまうのではないかということを危惧するということを、これは指摘をしておきたいというふうに思います。

 そこで、財務省が今取り組むべき一番の課題であると思われる消費税のことについてお尋ねをさせていただくわけでございますけれども、きのうカルロス・ゴーンさんが逮捕されて、みんなびっくりしたと思うんですね。うわあと思ったと思うんですけれども。大臣は単純に、ゴーンさんの逮捕という報道を受けて、感想としてはどのような感想をお持ちになられましたか。

麻生国務大臣 これはもうはっきりしています。個別の案件ですし、私どもの金商法を取り扱っております担当大臣の部署の話でもありますので、ちょっと、個別の案件につきましてのコメントは差し控えさせていただきます。

川内委員 いろいろ御発言になられる大臣とは思えない慎重な発言で、ちょっとびっくりしたぐらい、俺もおまえと同じようにびっくりしたぜぐらい言ってくれるのかと思ったら、何にもおっしゃらないのでこっちがびっくりしていますけれども。

 ゴーンさんの話をしたのは、それこそ、所得金額が本当は二十億円だったのに、十億円というふうに役員報酬を過少に申告していたよということが報道で出ているわけです。報酬が年間二十億とか、十億でもびっくりするわけですけれども、二十億とか言われたら更にびっくりするわけですけれども。

 最近はそういう方たちがふえているということで、財務省さんに数字を調べていただいたんですけれども、所得一億円超の方々の人数、平成二十四年と二十八年を比べてみようということで、人数をそれぞれ調べていただきました。

 所得一億円超の方々の人数、これをちょっと教えていただけますか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 所得金額が一億円を超える方につきましては、二〇一二年分で約一万四千人、二〇一六年分で約二万一千人となっております。

川内委員 七千人ばかりふえているわけですね、五年間で。

 では、所得五億円超、この五億円超の中には実はゴーンさんは含まれないわけですけれどもね、日本で所得税を申告しているわけじゃないから。ゴーンさんは含まれない、除くゴーンさんで、所得五億円超の方たちの、二〇一二年、平成二十四年と、二〇一六年、平成二十八年の人数を教えていただけますか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 先ほどのお答えでも同様でございますけれども、国税庁が公表しております申告所得税の統計によりますと、所得税の申告等をされた方のうち所得金額が五億円を超える方は、二〇一二年分で七百九十一人、二〇一六年分で千五百二十五人となっております。

川内委員 所得五億円超の方は倍増しているわけですね。倍増しているんですよ。外国人の経営者の方は恐らくこの中に入らない。要するに、高額所得者がすごい勢いでふえている、格差が拡大しているのではないかということの一端なわけですけれども。

 安倍内閣は、有効求人倍率が一を超えている、四十七都道府県どこでも超えているんだ、すごいんだ、人手不足だ、だから外国人を入れるんだという論理を展開されるわけですけれども。

 厚生労働省に調べていただいたんですけれども、求職賃金別の有効求人倍率、月給が毎月三十万円以上欲しいよ、そのくらいないと家族が養えないんだよという方たちの有効求人倍率、四十万円以上の方々の有効求人倍率、まあ、日本人のOECDにおける実質平均賃金が大体年間、三十五、六万円ですから、平均賃金ぐらいは欲しいよという方たちの有効求人倍率がどうなっているんでしょうねということを、厚生労働省に大変な作業をお願いして調べていただきました。

 月給五十万円以上欲しいよと言っている人たちに対する有効求人倍率、月給四十万円以上の有効求人倍率、月給三十万円以上ぐらいは欲しいねと言っている人たちの有効求人倍率、この三つの数字を厚生労働省に教えていただきたいと思います。

田畑政府参考人 お尋ねの点につきまして、厚生労働省の職業安定業務統計により、常用、フルタイムの求人賃金、求職者の希望賃金の下限の階級ごとに、二〇一七年度の新規求人求職者の合計人数を見ますと、まず求人賃金でございますが、五十万円以上が約四千人、四十万円以上五十万円未満が約一万九千人、三十万円以上四十万円未満が約十七万人となっております。

 また、求職者の希望賃金については、五十万円以上が約二万五千人、四十万円以上五十万円未満が約四万一千人、三十万円以上四十万円未満が約二十三万七千人となっております。

 この求人と求職の比率につきましては、求職者の希望賃金はあくまで下限しか示されず、上限が設定される求人倍率とは性質が異なることなどに留意が必要でございますが、機械的に算出いたしますと、五十万円以上では〇・一七倍、四十万円以上五十万円未満では〇・四五倍、三十万円以上四十万円未満では〇・七二倍となっております。

川内委員 月額三十万円ぐらいは給料が欲しいねという人たちの有効求人倍率は〇・七二と一を切っているということで、結局ここでも、なかなかに生活がしづらい、求める仕事がなかなかないよという現実というか実態がこういう数字の中にあらわれている。そういう中で、消費税を来年十月に引き上げるということが法律で決まっている。

 十月十五日に総理発言というものが閣議であったというふうに聞いておりますけれども、この総理発言、麻生大臣、財務省は事前に、こういう発言をするからねということで、協議を受けていたんでしょうか。

麻生国務大臣 総理からそういう発言があるということを事前に聞いていたかという御質問ですか。(川内委員「はい」と呼ぶ)事務方の方から事前に報告を受けておりました。(川内委員「受けていた」と呼ぶ)受けておりました。

川内委員 事務方とは。

麻生国務大臣 私どもの方は内閣官房において作成されたのだと思っておりますので、内閣官房レベルにおいてこの種の話があるであろうということを、内閣官房と財務省の事務方との間でその話を事前に打ち合わせていたというように理解しておりますが。

川内委員 事務方の方に教えていただきたいんですけれども、それは誰が聞いていたんですか、事務方は。

矢野政府参考人 内閣官房からお聞きしましたのは、大臣官房と主計局でございます。

川内委員 大臣官房と主計局が聞いていたと。でも、主計局の、消費税の担当課は総理発言を知らないと言っていましたよ。幹部だけ聞いて、下の人に言っていなかったということですね。総理がこういう発言をするよということは、担当課には財務省は伝えなかった、幹部は伝えていないということですね。いいですね。

矢野政府参考人 知らなかった職員がいるということはあり得ないことではございませんけれども、基本的には、大臣官房、主計局がお聞きしていたということでございます。

川内委員 いやいやいや、消費税を担当する主税二課長か、野党合同ヒアリングで、我々は聞いていませんとはっきり言っていますよ。野党合同ヒアリングの議事録は出ていますからね。それを、職員が聞いていないとかじゃなくて、責任者が聞いていないということを私は申し上げているわけで、何でそういうことをごまかすのかよくわからないんですけれども。

 もう一回、官房長、御答弁いただけますか。

矢野政府参考人 国会質疑の外でございますけれども、野党の先生方から主税局の管理職の一人が知っていたのかと問われて、自分は存じませんでしたとお答えしたという経緯があって今御質問になっているかと存じますけれども、その時点で主税局の管理職の一人は知らなかったかもしれませんけれども、経緯といたしましては、内閣官房から大臣官房及び主計局が聞いて上に上げていたということでございます。

川内委員 やはり財務省は組織として、私は今の答弁は、現場の責任者の課長が本当にかわいそうですね。何人かそのとき財務省の方が来ていましたけれども、私は聞いていましたという人は少なくとも一人もいませんでしたけれどもね。にもかかわらず、聞いていました、聞いていましたと。組織として聞いていないということを言えないので、恥ずかしいから聞いていましたと言い張るのは、ちょっと私、どうかなという気がしますよ。

 さらに、この総理発言の中で、防災、減災、国土強靱化のための緊急対策を講じるというふうに総理が発言しています。

 この発言の意味を、では、麻生大臣は、どういう意味なのかということについて、総理発言の以前にどういう意味かを聞いていらっしゃったか、この意味はどういう意味なのかということを御解説いただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 十月の十五日の臨時閣議における発言というのは、これは少なくとも、消費増税というものに伴って行いますいわゆる対応、取組というものを総動員して、経済に影響を及ぼさないように全力で対応しろという点が第一点、一番最初に言われたんだと思いますが。

 その際に、国民の関心が非常に高いと言われる、今言われた防災、減災等々、国土強靱化のための緊急対策を更にしっかり講じるようにという点と、それから、来年度の消費税の二%の上げに伴っていろいろな意味で反動減等々を考えておかないかぬということで、臨時の措置を講じておくということなどを言われたので、二次補正等々の御指示をされたものではありませんし、そういった意味におきましては、私どもとしては、けさの閣議において二次補正の指示があったところなんですが。

 いずれにしても、十月十五日の時点で私どもとしては全体の話を言われて、特に今回の二次補正等々言われたわけでもありませんし、そういった意味では全体としてきちんとこの問題に関しては対応していかないかぬな、景気対策、反動減、そういったものに対する、前回のことを考えますとそこのところを一番大きく考えておられるというように理解しました。私ども、そのように思っております。

川内委員 防災、減災、国土強靱化のための緊急対策という発言なんですけれども、これは二次補正を指示したものではない、現段階においても違うと。

 では、けさ二次補正を指示されたが、その二次補正の中には、防災、減災、国土強靱化のための緊急対策は入らないということなんですかね。これはちょっと御解説をいただきたいというふうに思いますが。

麻生国務大臣 前の段階で補正を指示されたわけではありませんので、二次補正に関しての指示はきょうというように理解しておりますが。

川内委員 いや、だから、事前に協議を受けてこの発言については財務省としては知っていた、協議を受けていたんだと。幹部職員の中で聞いていないやつはいたかもしれぬが、協議は受けていたんだと。

 では、協議を受けていたのなら、この言葉の意味について、この十月十五日の時点での意味について財務省としてどういうふうに説明するのかということはきちんと説明できなきゃいかぬというふうに思うんですね。

 そういう意味でも、財務省としてもうちょっと、事務方の官房長を始めとして主計局長さんもいらっしゃるわけですから、しっかりとした御説明がいただけるようにしていただきたいなというふうに思います。

 先ほど、三十万円以上の月給を求める、給料を求める人たちの有効求人倍率は〇・七二だ、月給四十万円以上は〇・四五だ、五十万円以上だともう〇・一七だ、有効求人倍率が。

 普通に家族を持って生活しようと思ったら、月給三十万とか四十万は必要ですよ。だけれども、その仕事はなかなかない。他方で、所得五億円超の人はこの五年間で倍増している。という中で消費税を上げるわけですけれども、私はもうちょっと、それこそ大企業や富裕層にも、ただ減税しろ減税しろと言うだけじゃなくて、あなたたちも社会に参加しているんだから、もうちょっと社会への参加、貢献というものをしてちょうだいよというふうに思ったりするんですけれども。

 利子や配当金などの金融所得というのが二〇%の分離課税になっているわけですけれども、これらを総合課税にした場合、税収は幾らぐらいふえるのかなというふうに、いろいろな前提を置いてのことになると思うんですけれども、試算をしてくださいということでお願いしているんですけれども、どうでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの試算についてでございますけれども、例えば源泉分離課税となります利子所得につきましては、源泉徴収で課税関係が終了することから、利子等の支払い者に支払い調書の提出義務が課されておりません。したがいまして、税務当局は利子の受取人に関する情報を把握しておりません。

 また、個人が受け取る株式の譲渡所得などの金額と他の給与所得等の所得の金額を結びつけた統計データが現時点で存在をしておりません。

 こういったことから、総合課税とした場合の合計所得金額及び適用税率が確定できませんので、増減収額を見込むのは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

川内委員 困難であると。不可能だということはおっしゃらなかったので、今後ちょっとまたいろいろ議論する中で、困難を克服してこそ財政の再建もあるのではないかというふうに思うので、引き続き議論をしていきたいと思うんですが。

 大臣、前回の消費税八%への引上げ時に、政府として出されている論文で、やはり低所得者層が消費を抑制しているという論文があるんですね、低所得者層が消費を抑制していると。いろいろな対策を講じても低所得者層は消費を抑制するという論文なんですけれども。

 今回の総理発言で、クレジットカードによるポイント還元とか、大型耐久消費財の税制措置とか、プレミアム商品券とか、いろいろな対策を講じても、結局、低所得者層は消費を抑制し、これらの対策の恩恵を受けるのはある一定の所得のある人たちだということになると、また格差が拡大するんですよね。

 対策を打った結果として格差が拡大してしまうということになるのではないかというふうに思うんですけれども、大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 消費税の引上げに当たっては、もうずっと言われておるところですけれども、低所得者と言われる方々に対する影響というものが大きい、いわゆる所得の中に占めます消費税率の部分というのは所得税等々と比べまして高いというのは現実でありますので、そういったことから、消費税の引上げの影響を受けやすいのは低所得者、これは昔から言われているはずで、逆進性とか言われるのはこの話です。

 したがいまして、今回の導入に当たっては、まずは軽減税率というものの導入を決めております。また、低所得者への介護保険料というものにつきましても、これは軽減をしておりますのは御存じのとおりです。また、低年金の高齢者というものに対しましては、最大月額五千円、年間六万円の福祉給付金の支給というものもその中に入っております。また、ゼロ歳から二歳児までの幼児教育というものにつきまして、いわゆる保育園等々ですが、住民税非課税世帯を対象としてこれは無償というものを行うこととさせておりますので、今の御指摘についてはこれらの是正につながるというように考えております。

 同時に、消費税の引上げに当たっては、低所得者を含みます国民全体への影響というものを緩和するという観点から、引上げ前後の消費というものに関しては、消費の平準化、いわゆる反動減等々に対応して平準化させることが重要ということから、我々としては、ポイント還元の話とか、また、住宅とか自動車とかいろいろに対する対応について目下検討しているというところであります。

川内委員 政策を打つ場合に、前回打った政策の反省点を生かすというのは、私などが申し上げるまでもなく、政府の皆さん方はそんなことはやっているよということであろうというふうに思うんですけれども。

 ただし、前回の消費税率引上げ時に低所得者層が消費を抑制しているという結果が出ているということを基礎に考えるならば、消費税増税のインパクトを少しでも弱めるために経済に対する影響を緩和する、経済に対する影響を考慮するというふうに総理発言の中に書いてあるんですけれども、私は、やはり政治というのは、弱い立場の人々に目配りをすることこそが政治の役目であるということからすれば、経済への影響を考慮するのでは、もちろん最終的に経済への影響を考慮することにつながるわけですけれども、低所得者層への配慮をしっかりすることにより経済への影響を和らげていくという考え方をとる必要があるのではないか、総理発言に所得者層への配慮という言葉を入れる必要がそれこそあったのではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。

 もちろん、我々そもそも引上げに、現段階では、格差が拡大しているので反対だということを前提として申し上げておきます、最後に。

 最後に、森友の問題について、近畿財務局のOBの方々にヒアリングをさせていただいて、財務省の報告書あるいは会計検査院の報告書でも、売払いのときの評価調書をつくっていないということについて、失念をしたというふうに言っているんですけれども、近畿財務局OBの方々の話では、評価調書は国有財産鑑定官が作成するものであって、管理部門とは別だ、管理処分部門とは別なんだ、鑑定部門はその評価調書をつくることに命をかけるんだとおっしゃっていらっしゃったので、評価調書をつくることを失念するなんということはあり得ないというふうにおっしゃっていらっしゃるのでございます。

 そこで、財務省さんに教えていただいたんですけれども、財務省の組織規則の二百四十七条に、国有財産鑑定官が何をするのか、何が権限なのかということについては、それぞれの財務局で財務局長が決めるよというふうに書いてあるということでございます。近畿財務局の国有財産鑑定官は権限としては何を持っているのかということをお調べください、そして御答弁くださいということをお願いしてございます。御答弁を最後にいただきたいと思います。

可部政府参考人 お答えいたします。

 財務省の組織規則におきましては、財務局の統括官部門の事務の一つとして国有財産の管理及び処分の実施に関することが掲げられておりまして、統括官部門は、管理処分手続の一環である評価調書の作成も行うことが可能となっております。

 その上で、今委員からお尋ねがありました、鑑定官は何を行うことができるのかということでございますけれども、近畿財務局における評価事務につきましては、近畿財務局国有財産評価事務処理規則が定められております。その中で、局の鑑定官は、財務局の直轄区域内に所在する国有財産等に係る国有財産の評価及び測量に関する事務を処理するとされております。あわせまして、財務局長等は、局鑑定官の事務の一部を一般職員に行わせることが適当であると認めるときは、これを一般職員に行わせることができるとされております。

 今回お尋ねのありました事案につきましては、近畿財務局における実務上の取扱いといたしまして、鑑定評価に係る事務について、通常は、定期的にまとめて複数の物件を売却する等の場合、鑑定官部門がまとめて不動産鑑定評価士に鑑定評価を依頼し、その後、鑑定官部門において評価調書を作成するというプロセスがとられていることとあわせて、このスケジュールに間に合わずに、個別に不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する場合には、鑑定官部門ではなく、統括官部門が評価調書の作成を行うという取扱いをしており、この後者が行われていたということでございます。

川内委員 ちょっと時間が過ぎていますけれども、余りにも不誠実なので。

 近畿財務局長が国有財産鑑定官の事務をどう定めていますかということを聞いたんですよ。それを、だらだらだらだら、時間も過ぎているのに。言いわけの答弁を求めたわけじゃないですよ。どう書いてありますかということだけを聞いているんですよ、私は。

 その紙を下さい。近畿財務局長はこう定めていますという紙を、今、そこの裏で下さいね。あなた方はやはり反省を全くしていない。ちょっとひどいです。

 終わります。

坂井委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党・市民クラブの今井雅人でございます。

 きょうは、済みません、お忙しいところを日銀の黒田総裁にお越しいただいておりますので、先に御質問させていただきたいと思います。忙しいところ、どうもありがとうございます。

 この二、三カ月にちょっといろいろなことがございましたので、一つずつちょっと伺っていきたいというふうに思っているんですけれども。

 まず一つ目は、今月の十一月の五日、名古屋での経済界代表との懇談における挨拶の場で、最近の金融経済情勢と金融政策運営ということで御講演をなさっておられますけれども、全部読ませていただきましたが、ちょっと刺激的というか、驚くような発言がここにございましたので、まず、この真意をお伺いしたいと思うんですね。

 かつてのように、デフレ克服のため、大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済、物価情勢ではなくなっていますという御発言をされておられます。

 これは、このまま字面だけを見ると、現在は大規模な金融緩和をすることが必ずしも適切な環境ではなくなってきたというふうに聞こえるんですけれども、この御発言のまず意味を教えていただきたいと思います。

黒田参考人 御案内のとおり、二〇一三年に量的・質的金融緩和の導入を決定した際は、景気は回復しておらず、デフレ克服も見通せない状況にありました。そうした状況のもとでは、マネタリーベースの大幅な拡大など、それまでとは大きく異なる大胆な政策を思い切って実施する必要があり、日本銀行がとるべき政策とその考え方はある意味でシンプルで明確だったというふうに思います。

 これに対し、最近では、我が国の経済、物価情勢ははっきりと改善をいたしておりまして、ただ、同時に、物価安定の目標の実現には時間を要する状況になっているということであります。

 こうしたやや複雑な経済、物価の展開のもとでは、物価安定の目標の実現に向けてまずは現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくということが必要である。今、更に追加的な措置をとるという必要はないだろう。今の金融緩和措置を粘り強く続けていくということが必要である。そのために政策の効果と副作用をバランスよく考慮して緩和の持続性を強化することが重要だというふうに考えておりまして、名古屋の懇談会では、こうした現在の政策運営の考え方について御説明した次第でございます。

今井委員 では、改めて確認いたしますけれども、資料につけておりますが、第二次安倍内閣発足以降の金融政策運営というところで、二〇一三年の一月二十二日に物価安定目標の導入をして以来、さまざまな金融緩和をどんどんどんどん拡大してこられたわけで、その間、逆方向の政策はとっておられませんから、この数年間で、マックスというか、一番大きな大規模な金融緩和政策を今実施しておられるということだと思うんですけれども、この今の政策自体は今後また物価を上昇させるには必要で、これ以上のものを今のところやる必要がなく、現状のままでいけば物価目標二%というのは達成をできる、こういうお考えでよろしいんですか。

黒田参考人 最近公表いたしました展望レポートで物価の見通しを示しておりますけれども、二〇一九年度と二〇二〇年度について従来の見通しとほとんど変わっておりませんが、見通し期間の最終の二〇二〇年度には一%台半ばとなる見通しであります。

 日本銀行といたしましては、先行き、マクロ的な需給ギャップがプラスの状況を続けるもとで、これまでの物価の上昇をおくらせてきた幾つかの要因の多くは次第に解消していって、中長期的な予想物価上昇率も徐々に高まると見ております。このため、見通し期間を超えることにはなりますけれども、我が国の消費者物価の前年比は二%に向けて徐々に上昇率を高めていくことが展望できると考えておりまして、そういう意味で、現状、委員の御指摘のとおり、これだけ大幅な金融緩和を持続していくということによって、二%に徐々に近づいていく、二%を達成できるというふうに考えております。

    〔委員長退席、越智委員長代理着席〕

今井委員 わかりました。

 それで、それに関連してちょっと一つお伺いしたいんですけれども、先日、日銀の金融研究所の小枝さんがレポートを出されておられます。マクロエコノミック・エフェクト・オブ・クオンティテイティブ・アンド・クオリタティブ・マネタリー・イージング・メジャーズですね。だから、質的・量的金融緩和のマクロ経済への影響ということになると思うんですが、この中に難しい数式もいろいろあって、結構苦労したんですけれども。

 コンクルージョンというところに三つの提案が書いてあります。いろいろあるんですけれども、一つは、この三つ目のところなんですけれども、ELB、いわゆる政策金利を上げていくということは、エクスパンショナリーということですから、多分そういうふうに上げていくということができる、拡大していけるというような結論をされています。

 つまり、マイナス金利をもう少し引き上げることが現状では可能だということをこの論文の中では主張しておられるんだと思うんですけれども、このことについて総裁自体はどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

黒田参考人 ただいま委員御指摘の論文は、日本銀行の公式見解を示すものではありませんので、具体的にその内容についてコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、日本銀行の政策についてさまざまな議論があり、また、いろいろな分析が行われているということ自体は、私は歓迎すべきことだと思っておりまして、この分析もその一つであるというふうに思いますが。

 そう申し上げた上で、二〇一三年の量的・質的金融緩和の導入以降、我が国の景気は大幅に改善して、物価が持続的に下落するという意味のデフレではなくなるということで、この間の金融政策は我が国の経済、物価を大きく改善させる効果があったと考えております。

 その意味で、日本銀行としては、今後とも、物価安定の目標の実現に向けて、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適当と判断をしております。

 なお、今御指摘のマイナス金利云々の話については、実は、我が国のみならず、欧州の中央銀行はほとんど、我が国の倍以上に大幅なマイナス金利を続けておりまして、最近も、ECBのメンバーであるフランスの中央銀行総裁が日本に来られてECBの金融政策を説明しておられましたが、年内に大幅な資産買入れプログラムは恐らく終了し、ただ、バランスシートは維持します、その上でマイナス金利を含めた低金利は当面続けていきますというふうに言っておられました。

 御指摘の論文云々ではなくて、そもそもマイナス金利についてさまざまな議論があることも私も承知しておりますけれども、現時点では、やはり大幅な金融緩和の一環として必要なものであるというふうに考えております。

今井委員 名古屋の御講演の中で、総裁、こうもおっしゃっているんですけれども。金融緩和の継続が、金融機関の経営体力に累積的な影響を及ぼし、金融システムの安定性や金融仲介機能に影響を与える可能性があることは日銀も十分認識していると。

 つまり、大胆な金融緩和をとった、あるいはマイナス金利政策をとった、このことが金融機関にとっての経営圧迫になっている可能性があるということなんじゃないかと思うんですね。ですから、僕、このマイナス金利を正常化するというのは一つの方法なんじゃないだろうかということもあるんですけれども。

 後で大臣にもちょっとお伺いしようとは思っておりましたが、最近スルガ銀行の問題がありました。もちろん、貸出し以外にいろんな収益源を模索するということ自体は悪いことだとは思いませんけれども、やはり、ここ数年間、特に地方の金融機関の運用難によって経営が大分悪化してきている。そのことによって、やはり新しい収益をつくらなきゃいけないんじゃないかということで、結果的には改ざんをしたり不正融資になっていましたけれども、そういうちょっと無理をした経営ということにつながってしまったんじゃないかということを私は少し懸念をしているんですけれども、そのあたりのお考えはいかがですか。

黒田参考人 御指摘のとおり、特に地域金融機関におきまして、低金利環境の長期化ということ、それに加えまして、実は人口や企業数の減少といった構造要因もありまして、確かに基礎的収益力が低下傾向にあるわけでございます。もっとも、これは、ごく最近、あるいはこの五年ということではなくて、ずっと十数年にわたってそういう傾向が続いているわけですが。

 ただ、そうしたもとでも、この五年間は、実は、地域金融機関も比較的良好な収益状況を示しておりましたけれども、基礎的な収益が低下する中で、有価証券の売却益であるとか、あるいは信用コストの減少ということでカバーされてきたわけで、これはいつまでも続くものではありません。そういう意味では、長期的に見ると、この構造要因を加えた地域金融機関の基礎的収益力の傾向というものは十分注視していかなければならないと思っております。

 そうした中で、地域金融機関自体もさまざまな努力を払っておりまして、ミドルリスク企業へ向けた貸出しの積極化、あるいは有価証券運用の多様化といった取組を行っておられます。

 ただ、当然ながら、こうした取組は法令などに従って適正に行う必要がありますので、金融機関では、適切なリスク管理、それからコンプライアンス体制というものを整備することが重要であるというふうに思っております。スルガ銀行のケースは、金融庁の業務改善命令において、これらの点に不備があったとの指摘を受けておりまして、大変遺憾に思っております。

 ただ、委員御指摘のとおり、こういった地域金融機関をめぐる厳しい経営環境というもの自体については十分注意していく必要があるというふうに考えております。

今井委員 問題意識を共有していただきまして、ありがとうございます。

 最後にもう一問ちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほどもお触れになられましたが、直近の展望レポートで、物価の見通しを小幅ではありますけれども下方修正されておられます。

 特に、やはり問題なのは二〇一九年度と二〇二〇年度なんですけれども、二〇一九年度は、従来は一・五%だったと思いますが、それを一・四、それから、二〇二〇年度は、一・六%だったと思いますが、一・五になっております。

 これは、順番に物価が上昇していくと考えれば、二〇一九年度の平均が一・四ということは、二〇一九年度の終わりのところは、当然一・四より上、一・五とか一・六かわかりませんけれども、上にあるわけですよね。翌年の二〇二〇年度の平均が一・五ということであれば、スタートが一・五以上なわけでありますから、二〇二〇年度中には二・〇%というのは達成できない、こういうことになると思うんですけれども、これでよろしいですか。

    〔越智委員長代理退席、委員長着席〕

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、二〇一九年度と二〇二〇年度については、七月の見通しから〇・一ほど下がっていますけれども、誤差の範囲とは言えませんけれども、ほとんど変わっていないという状況だと思いますが、それにしましても、基本的には、この二〇一八年度の見通しがかなり下がった、それは、前半において円高の傾向があって、それが輸入物価さらには消費者物価にも影響したというものがあって、二〇一八年度の見通しが大分下がった、それの影響が若干尾を引いているということだと思います。

 そうした上で、御指摘の点については、この見通しというのは、九人の委員がそれぞれ示したものの中央値でございますけれども、半期とか四半期の見通しを示しておりませんので、一年の間の動きというものは、それぞれの委員が、心の中にはあると思いますけれども、予測として示しておりませんので、何とも申し上げられませんけれども、年度全体で一・五ということは、なかなか年度末で二%に達しているという可能性は薄いのではないかと。ですから、二〇二〇年度という見通し期間内に二%に達する可能性は少ないというふうに見るべきだろうと思いますが、ただ、さっき申し上げたように、それぞれの委員の方の頭の中にある年度内の動きというのは、これからははっきりわからないということでございます。

今井委員 今、非常に重要なことをおっしゃっていただきましたけれども、二〇二〇年度では二・〇%達成は、普通に考えれば非常に困難であるということですね。

 であるとするならば、現状の金融政策で二%は達成していけるんですか。だって、今の現状の政策によって二%は達成できないわけですよね。更に申し上げれば、最近、原油価格もまた下がっていますし、そういう要因も考えれば、二%の物価目標の達成というのは、これはもはやもう不可能に近いと思うんですけれどもね。これだけ下方修正を繰り返し、達成時期を延ばし延ばし延ばしてきて、二〇二〇年度末でも無理そうだ、現状の金融政策は維持だ、これでどうして二%というのが到達できるんでしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、現在、日本経済は順調に成長しておりまして、GDPギャップもプラスの領域に入っています。GDPギャップがプラス、そして失業率が二・三%とほぼ完全雇用、こういう状況が続いていけば、いずれ賃金、物価が現在以上に上がっていくということは十分予想できることであります。

 そうしたもとで、御指摘のようないろいろな要因があることは事実ですが、例えば石油価格については、具体的に見通しの中には入れておりませんが、石油価格の先行きの、先物価格の動向も十分見ております。つまり、先物価格がずっと下がっていくというのがもともとある見通しでありまして、そういうことも踏まえてこういった見通しを出しているわけですが、先ほど申し上げたように、中長期的に、GDPギャップがプラスなのになかなか物価が上がっていかないという状況には、いろいろな要素はあったと思いますが、一つは、やはり労働生産性がずっと上がってきている。

 G7の中でも恐らく最もこのところ労働生産性が上がっている国なんですけれども、そのために省力化投資とかIT投資とかを企業は相当やってきたということもあると思いますが、そういったことが長期的には非常に好ましい物価にも影響を与えるんですが、当面は物価の上昇を抑えるということになる。

 ただ、これも無限にずっと抑えられるということではありませんので、先ほど来申し上げたように、さまざまな要因があるけれども、それらのうち物価上昇を抑制してきた要因は次第に剥げ落ちていって、GDPギャッププラスということの物価押し上げ要因がはっきりときいてくる。そうなってくると、更に予想物価上昇率も、日本の場合はいわゆる適合的期待ということが多いものですから、実際の物価上昇率が上がっていくと予想物価上昇率も上がっていくということで、二%に向けて徐々に物価上昇率は上がっていくというのが現在の政策委員会メンバーの見通しであります。

今井委員 これだけ雇用環境がタイトなのに、賃金上昇率がなぜこんなに緩慢なのかという問題もありますし、さまざま、いろいろ分析しなきゃいけないことはたくさんあると思うんですね。かつ、まさに総裁おっしゃいましたけれども、環境が非常に複雑になってきていますから、これからの金融政策をどうとっていくかというのは、非常にこれは難しいかじ取りを迫られると思います。更に申し上げれば、日銀も認識しておられますが、金融緩和のプラスの面と副作用と両方あって、その副作用の面が今顕在化しようとしているんじゃないだろうかという懸念もあります。

 ですから、ちょっときょうは時間がありませんので、委員長、また理事会の方で、金融の方の集中の審議をしていただけるというようなお話をしていただけると伺っておりますが、ぜひそういう機会をまたいただきたいと思いますけれども、よろしくお願いします。

坂井委員長 理事会で協議いたします。

今井委員 では、済みません、お忙しいところをありがとうございました。総裁、これで御退室していただいて結構でございます。

坂井委員長 総裁は、どうぞ御退室ください。

今井委員 あと十五分ぐらいなんですけれども、麻生大臣にちょっとお伺いしたいんですが。

 川内さんの質問で終わるつもりだったんですが、ちょっと先ほどのがよくわからなかったんですけれども、人の税金で大学に行くことというのは悪いことなんですか。どうなんでしょう。

麻生国務大臣 どういうように趣旨をとられるかは私もちょっと、現場でどういうようにとられたんだかわかりませんが、先ほど申し上げたのは、もう経緯は先ほど川内さんに御説明申し上げたとおりです。税金をどれだけで行っているかといえば、それは、私も私立大学に行きましたけれども、ここも税金は入っていると思いますね。国立大学と比較すれば国立の方がはるかに多いですよ、授業料もかなり違いますから。昔はもっと違いましたけれどもね、今は大分修正していますけれども。だから、税金が入っているから悪いなんて言ったことはありません。

今井委員 これは、税金を使って学校に行ったというような批判をしたような報道を受けていますが、そういうことではないということですね。

麻生国務大臣 税金を受けているって、みんな受けているんですよ、失礼ですけれども。あなたも受けておられるんだと思いますよ、日本の学校に行っておられるんだったら。

 したがいまして、これを受けているのはみんな同じなんだと思いますので、その点に関して、どういうようにとられたか知りませんけれども、少なくとも、公人であるなら、税金を使って学校で教育を受けて、それで、皆さんひとしく、皆それなりの、まあ格差はいろいろあるんだとは思いますけれども、受けておられる公立、私立、それは違うんだとは思いますが、ひとしく受けておられますので、その自覚を持って、仮にも公人ですから、そういった意味では、税金を受けて学校教育を受けておられるんですから、そういった自覚を持ってやっていただかないといかぬというのが一点。

 そして、結果というものは、いわゆる首長さんやら何やらをやるに当たっては、少なくとも、私立、公立関係なく結果責任を問われるんであって、少なくとも、私立の大学を出た人の方の経過の方が、福岡市、北九州市と比較した場合には明らかなんじゃないのかという例として申し上げております。

今井委員 ちょっとなかなか理解できないんですけれども、こんなところに時間を使いたくありませんので、次に行きたいと思います。

 消費税の問題やスルガ銀行の問題ですとか財政再建の問題ですとか、いろいろ伺いたいことはたくさんあるんですけれども、その前に、森友学園の問題をちょっとやはりはっきりさせておかなきゃいけないと思いますので。

 まず、これは予算委員会でもお話が出ました、先ほど川内さんの方でも出ましたけれども、この事案によってお亡くなりになられた方の御遺族のお話、あるいは財務局のOBの皆さんのお話をいろいろ伺っていて、OBの皆さんもいろいろなことに憤りを感じておられましたが、そのうちの一つは人事です。無理やりやらされた人間が命を落とすところまでいって、そうじゃない周りの人たちが昇進をしていくんだ、こういうことで本当にいいのかというふうに憤っておられました。

 当時の官房長も事務次官になられています。それから、財務局の、まあ個別の名前は言いませんが、統括官だった方も課長に出世しておられます。皆さん関係しておられる方です。大臣御自身も責任をとっておやめになることはありません。

 こういうことは本当に公平な処遇なんでしょうか。

麻生国務大臣 一連の文書改ざん等の問題行為につきましては、これは去る六月の四日に結果を公表させていただいておりますが、関与した職員に関しては処分を行っております。七月に行いました財務省のいわゆる幹部人事におきまして、特に財務省の再生に取り組むというのが一点、それからG20の福岡の会合をきちんとやり上げる、十月の消費税引上げ等々に着実に取り組む、この三点を重視してやらせていただいたんだと思っておりますが。

 これに関連して、今、岡本の名前が挙がっておりましたけれども、これは六月に公表した調査報告書では、岡本次官は関与した者ではないが、岡本次官は当時の官房長であり、一定の責任は免れないことから、文書厳重注意というものを行っております。

 したがいまして、七月末に行った財務省幹部人事におきましては、いわゆるこれまでの官房長、秘書課長など組織運営を担った岡本を次官に登用させたということに関しましては、これはいわゆる減給とかそういったものとは全然違いますので、そういった意味では、我々としては、きちんとした法律にのっとってやらせていただいたと思っております。

 中村等々の話も出ていましたけれども、これは昇格ではありませんで、規則を読まれていただくとわかると思いますが、名前はそうなっておりますが、横滑りというのが正確な表現だと存じますが。

今井委員 それは承知しておりますので。私は中村という名前は出しておりませんので。

 私が申し上げたのは、先ほど、財務局で統括官をやっておられた方が、この方は、我々が最初にヒアリングに行ったときは出てこられていろいろ説明されたのに、二回目からは雲隠れをされた方で、ずっと現場の話を聞きたいというのに出てこられなかった方です。そういう方が昇格しているんですよ、近畿財務局で。個別の名前は申し上げませんが。

 一番最初に我々がヒアリングに行ったときは、そこに席に来られました。でも、事案が大きくなったら、二度目からは出てこられなくなった方です。そういう方が昇格しておられるんですよ。それは私は適当だと思えないんですけれども、大臣、いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の近畿財務局の元職員につきましては、一言で申しますと、昇格はいたしておりません。

 野党の行われましたヒアリングに対する姿勢云々について御叱責があることは深くおわび申し上げますけれども、人事につきましては、先ほど大臣も申しましたけれども、人事院の規則がございまして、一定の処分をされますと一定期間以上は昇格ができないという厳格なルールがございまして、その中での異動になっておりますので、御指摘の職員につきましても昇格はいたしておりません。

今井委員 この方は口頭厳重注意ですよね。当時の官房長は文書厳重注意ですよね。これはどちらの方が重いんですか。文書の方が重いんですか、口頭が重いんですか。(発言する者あり)文書の方が重いんですよね。

 では、口頭で厳重注意を受けた方は昇格しないで、文書で厳重注意を受けた方は昇格した、そういうことですか。

矢野政府参考人 文書か口頭かで、文書の方が少し厳しいのでございますけれども、いずれもいわゆる法律に基づく処分ではございませんので、その場合には人事院規則で昇格の制約を課されないもので、昇格の制約が課されますのは、停職、減給、戒告、この三つ。今回のケースについて言えば、その三つのものにつきましては昇格ができない、そのとおりにさせていただいております。

今井委員 大臣に何度お伺いしても同じ答えになると思いますが、ここはやはり政治家がきちっと責任をとるということをしなかったということが私は将来に禍根を残すと思いますので、その点だけ御指摘をしておきたいと思います。

 もう一点ですけれども、この一年、私は、財務金融委員会、国交委員会、いろんなところでごみの積算の問題をずっと取り上げてきて、何度も業者から出てきた写真が不明確であるということをずっと申し上げてきました。

 それで、ことしの九月十四日に、参議院の方にやっとこの回答が出てきたんですね、一年ぐらいかけて。しかし、この出てきたものが、これがひどいんですね。既に四メートルまで試掘していたにもかかわらず、深さ三メートルと誤ってボードに書いたのか、はっきりとはわかりませんと言っている。一年間かけてお願いしてきたことが一年も全然出てこないで、最後にこれですか。間違いだったかもしれませんが、わかりませんと。

 国交省さんはいらっしゃっていますか。こんな報告は報告になってないんじゃないでしょうか。四メートルは掘ったけれども、三メートルとボードに書いたのは間違いかもしれないし、わかりませんと。

 じゃ、お伺いしますけれども、今回、四メートルまでちゃんと試掘をしたということの新たな証拠の写真とか、そういうのは出てきましたか。

岩崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 先般、参議院予算委員会から設計業者に対しまして、説明を求める旨、問い合わせていた件につきまして、九月十八日に文書にて回答が提出されたものというふうに承知をしてございます。

 今般の回答書は、一義的には参議院予算委員会の要請に応じて回答がなされたものであると承知しておりますが、その上で申し上げますれば、新たに提出のありました回答書によりますと、三メートルの記載については、恐らく、試掘の最中に記載されたものと思われますが、まだ経験の浅い従業員が記載したものであり、誤って書いてしまったのかもしれません、A工区ナンバー1の深さは、グラウンドレベルマイナス四千というのが正しい記載です、いずれにしても、A工区ナンバー1はマイナス四千まで試掘しているということですなどと明確に記載され、試掘穴ナンバー1については、試掘報告書の説明書きのとおり、四メートル掘削されていることが示されているものというふうに認識をしてございます。

今井委員 いや、最初に御提出なさったやつには四つの写真がありましたよね。四つとも、やはり四メートルまで掘っているというのは、これは確認できませんねということでここで議論させていただいて、おまけに三メートルというプレートがあるじゃないですかという話でしたよね。

 今答えていただけなかったんですけれども、本当に四メートル、これは明確に掘ったという、そういうことがわかる新たな写真というのは今回提出されたんですか。

岩崎政府参考人 新しい写真ということで申し上げますれば、それはないということでございますけれども、私どもといたしましては、三メートルの深度におけるごみにつきましては、平成二十八年四月五日の現地確認とその後に入手いたしました試掘報告書、過去に大阪航空局が実施をいたしました調査結果などを勘案し、当時検証可能なあらゆる材料を用いて設定したものということで御説明をさせていただいてきたところでございます。

今井委員 そういうことなんですよね。

 あの写真が明確でないということをしっかりと反証できない上に、今回、新しい写真はないと今おっしゃいました。おまけに、この三メートルというのは書き間違いかもしれない、わからないけれども。これでは説明になってないですよ。

 私はこの資料と写真も全部読ませていただきましたけれども、これでは、この国会、一年間議論してきたこと、これは全く説明になっていません。もう一度、明確にわかるような、そういう説明を提出してもらえるようにお願いしていただけないでしょうか。

岩崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 試掘穴のナンバー1につきましては、試掘を行いました工事事業者自身の見解といたしまして、試掘報告書の説明書きのとおり、四メートル掘削されていることが明確に示されているものというふうに認識をしてございます。

今井委員 いやいや、前回のあの写真のところで、これは四メートルまで掘っているというのは確認できませんよねということに対して、国交省さんは明確に国会で答弁できてないんですよ。できてないじゃないですか。それでそういうふうにおっしゃるのは、ちょっと私は、幾ら何でも不親切だと思いますよ。

 もう一回ちゃんとその業者さんに、はっきりわかるような資料を出してもらうようにお願いしていただけないでしょうか。

岩崎政府参考人 今般、参議院予算委員会に対しまして工事事業者から新たに提出のございました回答書によりますと、試掘穴のナンバー1については、試掘を行った工事事業者自身の見解として、試掘報告書の説明書きのとおり、四メートル掘削されていることが明確に示されているものと認識しております。

 また、今回提出されました回答におきましても、ごみが深度三・八メートルで確認されている工事写真については、誤りがあるとはされていないものというふうに承知をしてございます。

今井委員 質問の時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、今のお答えは全く納得できません。それではこの問題が終わったとは言えませんよ。

 今、川内さんもおっしゃいましたが、報告書の中の写真もいいかげんなのがいっぱいありますし、このことをはっきりさせてもらえなければこの問題は終わったとは言えないですから、国交省はそのことをちょっとよく肝に銘じて、次、どういうふうに答えられるか、よく考えておいていただきたいというふうに思います。

 済みません、時間が来ましたので、きょうは内閣府さんと経産省さんもいらしていただきましたけれども、時間の都合できょうは質問ができませんでした。済みませんでした。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。質問のお時間をいただきましてありがとうございます。

 来年控えている北九州市長選をめぐって、その一環の中で、北橋市長、現職の市長に対して、人の税金を使って学校に行ったと発言されたことについて、ほかの委員の皆様からも御質疑がありましたけれども、私からも一点伺わせていただきます。

 学びの場をこれから無償化していこうと考えているこの政府の中枢にいらっしゃる方とは考えられないお言葉だというふうに、大変残念ですが、全国の国公立大学を始め私立大学、そして高専に通われている方々、そして今まさに通っている学生、社会人の方々、人の税金を使っております。こんな人聞きの悪い言葉を使われて、多くの方が不快に思われているというふうに思いますが、どうですか、大臣、これは失礼な御発言だとは思いませんか。

麻生国務大臣 御指摘の発言というのは、先ほども川内さんだったかの質問にお答えをしたんだと思いますが、これは、いわゆる現職市長の応援演説へ行って、私ども福岡県は北九州と福岡市と二つ政令都市がありますので、それに当たりまして、きちんと両者の候補を比較して、来年はすぐまた次に、民主党におられた方々がおられますので、その方々がもともとは抱えておられた候補者は北橋健治という人なんですが、こっちは東京大学で、こちら側の方は独協大学に行っておられたというまず大前提があります。

 その上で、私どもは少なくとも選挙を、今、北九州と福岡と両方をほぼ二、三カ月以内でずれてやりますので、そういった意味においては、比較する際の例として発言させていただいたんですが、少なくとも自治体の長とかいうものは学歴に関係ないですよと。学歴に関係なく、少なくともその経験、実績等々で評価されてしかるべきものなんじゃないのかというのが一番大事で、いや、東大だったからとかそういう例ではなくて、自治体の長というのはそういう責任ある立場なので、そういった意味では、きちんとしてやらねばならぬと。これは私、この会合以外のところでもいろいろしゃべっていますから、聞いていただければわかると思いますが。

 ただ、公の人ですから、公人というものでは、少なくとも教育というものは公費によって賄われております、義務教育もしかり、もちろん、その他高等教育、私立、公立、高校、別に関係なく。そして、その負担する額というものはきちんとしておりますけれども、東京大学と私立大学では少なくとも国庫負担の比率は物すごく違いますから、授業料も最近は昔と違って随分接近してきましたけれども、かなり違いますので。

 そういった意味では、私どもとしては、そういった税金をよりたくさんいただいて勉強しておられるので、例えばお役人等々、少なくとも、そういった東京大学等々の国立大学を出た人は多いんですけれども、そういった人たちは今、国家公務員としていろいろな形で頑張ってきていただいているんだと思いますよ、安い給料で。そういった意味では、私は、こういった意識というものは極めて大事なんだということで、公務で還元しようとする姿というのは極めて正しいんだ、そう思っております。

 少なくとも、今の御質問でいきますと、いかにも大学の運営経費の話とか、また、いわゆる義務教育の財源のあり方とか、そういう話とは全く関係ない。少なくとも私どもが申し上げているのは、公人として受けたいろいろな税金の額というものを自覚しておいていかないといかぬという点で、より多く受けておられることは間違いありませんから、公立大学の方が、したがって、そういった意識というものを十分に持って公人としてやっていただかないかぬのではないですかと。

 結果責任ですよ、首長さんなんという選挙というものはというので、この八年間、十二年間を比較して、片一方は人口が確実に毎年一万五千人ふやしたところ、片一方は毎年三千五百人減らしていったところ、この結果は随分明確なんじゃないんですかという点で私どもはその例を引かせていただいたという点の一端として、今申し上げたような話を使わせていただいたということでありまして、義務教育とか大学運営経費とか、そういった話をしているわけでは全くありません。

緑川委員 人の税金というキーワードが出てしまう時点で、やはり受け取る方は、費用の面で公的な負担をしてもらっているというような話と受け取られかねないと思いますよ。

 恵まれない家庭に生まれた方も学生の中にはいらっしゃいますよ。不安定な生活環境の中で必死に努力して社会に出ていこうとしている方がいる中で、人の税金という言葉はやはり看過できません。行政のトップが、子供の最善の利益である学びの機会を保障していく、そのことに対する苦言をするということはあってはならないというふうに思います。

 国の繁栄を今後支える、そして税負担の強化という形で国に役立つ、国自身も恩恵を受ける、そういう子供たちに対して、やはり人の税金で仕事をしている、私もそうです、麻生大臣もそうです、そういう方の一人として、経済的な重荷、負担であることを世の中に感じさせてしまうような世知辛い遺憾なお言葉であったということも付しておきたいというふうに思います。

 日本の国、そこで私たちは生まれて暮らしているという意味は、やはりこの財政、公共の経済と呼ばれているように、私たちが必要としているものを満たすために国家があります。そして、教育もサービスを受けます。こういうお金という形で国の経済活動が進められております。この必要なサービスを満たすためには、それに足る税金が求められますが、戦後の長い日本の歴史の中でも、純粋な増税をしながら生活が支えられる、つまり、サービスが増税でもってそのサービスの改善を感じることができるという経験は、これまで日本にはなかったというふうに思います。

 というのは、一九八九年に消費税が導入されたときには、所得税と法人税の引下げがセットで、全体としては減税となりました。そして、一九九七年の消費増税も、一九九四年から行われてきた所得減税の穴埋めのために行われてきた。また、一九八〇年代を振り返っても、八四年に大規模な法人増税が行われましたが、このときも、所得減税とセットでの増税であります。七四年の法人増税も大規模な所得減税と組み合わせて行われてきました。増税と減税が基本的にはセットで進められてきた税制であります。

 オイルショック以降は高い経済成長率を維持できなくなって、所得税、法人税、消費税といったいわゆる基幹税を減税を組み合わせないで純粋に増税できたときは、結局、一九八一年の法人税の増税、そして二〇一四年の消費税の八%への増税だけであるというふうに認識しております。

 つまり、二〇一四年までの三十三年もの間、純粋な増税が行われなかったことで、増税によって改善されるであろうサービスを感じ取ることができない。それどころか、痛税感、税の痛みだけが残って、政府の借金が膨らんできた大きな要因の一つであるというふうに考えておりますが、減税と増税をセットにしてきた日本の税制についてどのような認識でいらっしゃるでしょうか。できれば大臣に。

麻生国務大臣 よく勉強して調べてありますのは大したもんです。正しいですよ、おっしゃることは。そのとおり、減税、増税、うまくバランスさせてきたとかいうのは間違いありません。

 前回の消費増税三%のときは、その点は増税の方にかなり加担だったんではないかという御指摘のあったところは、そのとおりだと思います。その反省に立って、今回いろいろ、二%に当たっての対応を今考えているというように御理解いただければと思います。

 細目は星野の方から答弁させます。

星野政府参考人 先生から、過去を振り返って御指摘があったところでございます。

 税収の確保に関しましては、先生御指摘のとおり、昭和五十六年度の税制改正ですとか、あと、社会保障・税の一体改革によります平成二十六年の消費税率引上げなどにおきまして、法人税や消費税などの増収を図っているということでございます。御指摘のとおりでございます。

 他方で、例えば特例公債の発行から脱却することができました平成二年度からこれまでの間を見てみますと、社会保障関係費が大幅にふえております。一方で、税収は平成二年度の水準を超えられずに来ているということでございます。

 税収につきましては、バブル経済の時期に膨張した土地や株式の譲渡益や利子等に係る税収が剥落した要因もございますけれども、これまでの間、景気の悪化、また所得税や法人税の制度減税を重ねてきた要因も大きいと認識をしております。

 歳出と税収が乖離した結果、我が国の財政状況は、債務残高のGDP比も二倍に膨らみ、なおもさらなる累増が見込まれるなど、非常に厳しい状況にございまして、また、少子高齢化が急速に進むなど、経済社会も大きく変化しております。

 こういう中にありまして税制を考えていかないといけないということでございますけれども、今大臣からも御指摘がございましたとおり、こういった厳しい状況を踏まえれば、来年十月に予定されている消費税率の引上げは少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要であり、準備に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

緑川委員 質問の順番を変えて、まず軽減税率の方に行きたいと思っておりますが、これに関連して、何が言いたいのかといえば、まず増税と減税をセットにしてきた税制があり、そして反省がございます。おっしゃったような課題が残りました。その上で、これまでの増税、減税の変遷を踏まえれば、消費増税と据置税としての軽減税率のセットというのは、結局のところ、やはり施策の意味合いを薄れさせる、いや、むしろ曖昧にするのではないかというふうに思ってしまいます。

 痛税感のお話も委員の皆様からありました。低所得者の痛税感、和らげるという表現は不自然なんですね。景気対策として、負担を和らげる十分なものとはなり得ないというふうに思います。

 当然、増税分の負担が減らなければ低所得者は得をしません。高額消費が可能な高所得者ほど減税額が大きくなる、また受発注のシステムの改修、レジの入れかえの事務負担、そして商品分類の線引きの複雑さも問題ですけれども、私が考えるのは、販売価格の決め方にもこれは落とし穴があるのではないかというふうに思います。

 というのは、痛税感が和らいで得をした気分になっているだけでは実際に得をしていない可能性がある。それは、価格の決定権が販売者側にあるわけですね。軽減税率対象品目の値段を上げる可能性が高いからです。

 例えば、税で、今までどおり八%に見せかけて千八十円の商品があるとすれば、消費税は八十円だと思って、お買物する人は、消費税八%で、二十円得をしたという気分になりますが、実は税抜きではその商品は九百八十二円が適正の価格であり、十八円こっそり値上げをしたというケースが幾らでも考えられます。数字のマジックでお得感を出すこともできるわけです。消費税八%の商品が便乗値上げされても、消費者は気づきにくいと思います。

 食料品などを販売しているスーパーは、毎日金額が変わってきますから、内税方式を採用しているところも多い。店側としてもシステム、レジの変更を強いられるわけで、おのずとその負担分を商品価格に上乗せすることもあるわけです。

 だから、この痛税感を和らげるというのは、実はある意味正直な言葉であるというふうに思ってしまうんですけれども、消費者の税の負担感を軽減するのであって、税の負担を軽減するものとは狙いどおりにはいかないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率制度につきましては、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことによりまして消費税負担が直接軽減をされる、それによりまして買物の都度、痛税感の緩和を実感できるということとともに、低所得者ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性を緩和できるという利点があり、これは低所得者に配慮する観点から実施することとしたものでございます。

 軽減税率制度の実施によりまして、消費にも一定のプラスの影響が期待できるのではないかと考えておりますので、その点につきましては、全く景気対策にならないということではないかと思います。

 また、先生から御指摘がございましたとおり、事業者の価格をどうつけるかということにつきましては、これは、消費税を含んだ上で、まさに消費者との関係で事業者がどのような価格づけをするか、そこは全く自由になっているということだと思います。

緑川委員 全く景気対策にはならない、ゼロ、一〇〇の話でないと思います。十分なやはり負担を軽減するものにはならない、そして、その事務負担とか、高額消費者ほど有利になるというこの軽減税率は、やはりデメリット、メリットを考えたときに、低所得者のためにはならないというようなことだというふうに私は理解をしております。

 景気対策としては、逆進性をやはり解消できない、混乱も多いこの軽減税率ではなくて、消費増税の一部について、例えば今回、増税分の一部について、生活の不安を抱えている方々のさまざまなニーズに応えられるような生活保障だったり、あるいは、これから技術革新が急速にまだまだ進んでいく、ニーズが求められる研究開発、学び直し、こうした人材への投資に充てることこそ景気対策としてやるべきことであるというふうに私は考えておりますが、大臣、御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 この軽減税率制度につきましては、緑川先生、この逆進性というものを緩和して、いわゆる痛税感の緩和を実感できるというのが特に重要であるという判断から実施をすることが決定されたものだ、私はそう理解をいたしております。

 この実施に加えて、消費税率の引上げに当たっては、いわゆる痛税感を特に覚える低所得者層というものに関しましては、おおむね増収分の半分を国民に還元するという話の中から、幼児教育の無償化とか、給付型奨学金とか、授業料の減免措置の大幅拡充とか、いわゆる低所得者の生活支援、生活給付金、月額五千円、年六万円でしたかのような部分、こういったような分野に大胆に充てるということにさせていただいておりますので。

 いろいろな形で御指摘もあろうかと思いますが、そういったものも踏まえて、先ほど御指摘のありましたように、三%上げたときと今回と、三と二と違いはあるとはいえ、軽減税率等々、そのほかいろいろ今対策を考えて、反動減等々の景気対策にマイナスになるようなことにつながらないように、また、現役世代が抱えておりますいろいろな不安、将来不安という中に子育てとかいろいろありますので、そういったものの不安を解消するということで、私どもとしては、消費の喚起にもつながり得るものだと思っております。

緑川委員 これからの政府方針とあわせて、一層の人材への投資、そして個々への給付ということはやはり私は外せない、これからの時代が求めるニーズであることは間違いないというふうに思っております。

 あわせて、財政再建についてもちょっと触れたいんですが、少し時間が押している関係もございます。今の、昔の財政再建の手法についても、また改めてこの是非についても議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと過去をまた振り返らせていただくと、元来、日本は小さな政府であると呼ばれていますが、それを支えてきたのはやはり家庭。働きながら、家計でもって支えて、自助努力を重ねながら、高度成長期をまず始めとして、所得向上への期待を背景としながら、ため込まれてきた貯蓄を家計のエンジンにして、子供を学校や塾に通わせたり、就学前でも習い事に通わせながら生計を立て、マイホームを建て、そして老後や急な病気にも備えられるように、まさに、ほぼ昭和期は、自己完結型で生活保障も賄えるように努めてきた家庭のあり方がありました。

 だからこの国は小さな政府でいられた、少ない負担で福祉国家たり得たというわけですけれども、こうしたかつての成長モデルはやはり破綻していると言わざるを得ません。

 このころから、バブル崩壊以降、正社員の数が減り、非正規雇用もふえ、そして四割近くが非正規雇用になりました。中間層の地盤沈下が今まさに進んでいるところであります。人件費の総額は九〇年代半ばで頭打ちになって、個々での人件費が削られたために、貯蓄もかつてのようにできなくなってしまっています。

 現役世代が働いても貯蓄できないような状況になってしまって、一方で、高齢世帯、貯蓄はしているけれども、九十歳や百歳、何歳まで生きるかわからない、そして子供も、定年を迎えて、やはり老後に備えて貯蓄をしていかなければならない、こういう将来不安が拭えない中で、なかなかお金を使えない、これが今の日本社会の閉塞感のまさに最たるものであるというふうに思います。

 そういう中で、経済成長について伺いたいと思いますが、高度成長期、九・三%平均で成長していた日本経済が、今、バブル崩壊後、平均でおよそ一%です。OECDのここ十年の平均値をとっても二%成長できるかできないかという状況の中で、中国、インド、BRICS含めた、新興国も含めた世界平均でもっても成長率はもういよいよ横ばいとなっています。

 成長自体は大切であるということは私も共有をしたいと思いますが、こうした傾向が世界的に続いている、そうした中での経済成長の意味について伺いたいと思います。

麻生国務大臣 経済成長というものに関しましては、どれだけ所得配分を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すということができないと、経済全体のパイというものも個人の所得というものも減っていくということを言っておられるんだと思うんですね。

 これは間違いないのであって、富を生み出せば、その果実というものが貧困の解消とか、また社会的弱者への救済とか支援とか、教育の充実を始めいろいろなものが次世代のものにできるんだと思いますので、新たな技術の開発もその中にも入るんだと思いますが、なかなか難しい問題でありますが、経済成長をしていく意味での非常に大きな意義はそこにあるんだ、私どもはそう思っております。したがって、経済成長が大きくないと、少なくとも、その国の中におけます個人の生活水準等々は高いものではないというのは、例外もありますよ、例外もありますけれども、そういったものになるんだと思います。

 少なくとも、今の現政権下になってから約六年ぐらいですけれども、GDPは間違いなく伸びるはずがないと言われて、人口減の中で、人口減というものが、先ほど言われたこのピラミッドというものを崩している最大の理由ですから、そういった意味では、長期的には最大の問題は、人口減というのが日本にとっての最大の問題だと思っていますけれども、少なくともこの現政権下では、人口減の中にあってもGDPは約一割、五十六兆ぐらい伸びております。また、企業収益を見ましても、これは過去最高ということになっておりますし、雇用・所得環境というものは間違いなく以前に比べてよくなっておりますので、成長と分配というものの循環というのは確実に回り始めているんだと思っております。

 その中で、給料の話がいろいろされておりましたけれども、労働分配率という言葉を御存じだと思いますが、この労働分配率というのは、企業を見ていただいたらわかりますが、少なくとも、私が経営者をやっているころは七〇%、七七、八%ありましたよ。今は幾つですか。七〇を切っているんじゃないですか、今。六〇%、六六か七くらいか、そんなぐらいまで下がっていると思いますね。

 どうしてそんなに下がったんですか。どうしてそんなに下がったんでしょう。私は、これだけよくなって何で労働分配率がふえないのかということに関して、何回もいろいろなところで申し上げてきておりますけれども、少なくとも、間違いなくこの数年間、これだけ企業収益がふえ、いろいろな形になってきていますけれども、労働分配率が下がっておるという実態は、企業の中に手を突っ込んでどうしてやらないんだと言うほど、これは社会主義をやっているんじゃありませんので、私どもは、そういった意味では、言うのに限度はあろうかと思います。

 そういった状況を見ますと、いろいろな形で、長いことデフレ経済の間に経営者の意識とか国民の意識というのが縮まっているのかなというのが大きな背景かなと思わぬでもありませんけれども、企業収益の伸びに比べて設備投資とか人件費の伸びというのがかなり低いものになっているというのが最近の傾向かなと思っておりますが。

緑川委員 民主党政権後、アベノミクスが発動され、更に直近でオリンピック景気があり、更にアメリカの百カ月を超えるような好況状況、この長期の好況を享受しながらも、私たちの経済のこの五年間の実質成長を調べると、平均で一・三%しか成長できておりません。これ以上ない、本当に好環境にもかかわらずです。

 円安が進んで、六・二兆ドルあったGDPも四・九兆ドルになりました。一人当たりGDPも、OECDで五年前十一位だったものが十八位に転落をしております。

 指標の上では成長しているというのは見えますけれども、やはりこの日本社会を覆う閉塞感を踏まえたときに、経済成長では、安心して生活を送ることができるという状況をつくることは、やはり事実上破綻をしているというふうに考えてしまいます。

 時間もなくなってきたんですけれども、やはり、痛税感もそうなんですが、日本人が元来抱いてきた税への抵抗、租税への抵抗、こうしたものが根強い中で、国を信頼できない、税の共感が持てなかったり、ふえることへの、やはりふえたことの痛み自体もそうなんですが、この感覚が強いことで増税が難しい状況の中で、財政赤字そして政府の借金を減らすために、どこかの支出を削らなければなりません。

 どの支出から削るかが問題なんですが、私が再三申し上げているように、子育てや教育のための支出は抑えられるべきではありません。所得は目に見えて落ち込んでしまっている、多くの方々が負担に苦しんでいる、結婚、子供を持つことさえ難しくなっているような状況の中で、一方で、お年寄りだって楽をしているわけではありません。生活保護受給世帯の半分がお年寄りであります。老老介護の問題は秋田県でも深刻でありますし、介護での虐待は一万五千件を毎年超えている。ひとり暮らしのお年寄りが毎年三万人ほど孤独死でお亡くなりになっている。

 こういう将来の不安というのは誰もが抱えていることであります。これは内政の危機的な状況というふうに言うべきだというふうに思います。そういう内政の危機に目を向けること、その一方で、ある支出を削ること自体が目的になって、被災地の復興あるいは地方の成長、また生活者の将来の不安の解消を先送りにされている面があります。

 そういう中ですんなりと通ってしまうものが、やはり防衛関係費の来年度の概算要求およそ五兆三千億円。そして、五年連続過去最大の予算も、打てば響くがごとく、やはりたやすく成立してしまっている感が否めません。

 日本の防衛は国民全ての利益になります。理解をしております。国民の命や暮らし、国土を守る現場の隊員の皆様には深く敬意を払っておりますし、有事への備えを否定するものではありませんが、当初よりも相当に費用がかさんでいるものがあるのも事実です。

 その一つが、やはり秋田そして山口で配備が決まろうとしている地上配備型ミサイル迎撃システムのイージス・アショア。そこも含めて、これは相当な議論が私は必要なものであるというふうに思います。

 前任の山本副大臣は、アメリカから言われて買うのではないというふうにおっしゃいましたけれども、それでは、なぜ、去年十二月の閣議決定の直前にトランプさんが来日して、日本の首相は防衛装備品を大量に購入することになるなどという発言が出るんでしょうか。ああいう言葉が出ること自体、日米関係の発展的な関係に私は支障があることだと思いますが、いかがでしょうか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 まず、自衛官に対して御理解をいただいておりますこと、御礼を申し上げます。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、我が国の防衛力については、質及び量を必要かつ十分に確保することが不可欠でございます。

 こうした観点から、米国装備品を含め、高い性能を有する最新鋭の装備品を導入することは、我が国の防衛力を強化するために非常に重要でございます。

 新たな装備品の導入につきましては、我が国の防衛に必要な能力を有するものであることを確認するとともに、費用対効果等を踏まえ決定しているところでございます。

 トランプ大統領の発言一つ一つに防衛省としてコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、その上で申し上げますと、現行の防衛計画の大綱において「我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図る。」こととされておりまして、また、現中期防においては「弾道ミサイル防衛用の新たな装備品も含め、将来の弾道ミサイル防衛システムの全体の在り方について検討を行う。」とされているところでございまして、それを踏まえて、防衛省においては、平成二十六年度から、イージス・アショア等の新たな装備品を含め、我が国に必要となる防衛体制につき種々の分析を行ってきました。

 その後、北朝鮮情勢が緊迫化する中、国民の生命財産を二十四時間三百六十五日守り続ける能力を抜本的に向上させることが必要であることから、昨年八月、小野寺前防衛大臣より、イージス・アショアを中心に新規アセットの導入を行うことの方針が示されたものでございまして、平成三十年度概算要求において、金額を明示せず事業の項目のみを要求する、いわゆる事項要求を行いました。

 このように、イージス・アショアにつきましては、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を踏まえ、御指摘の昨年十一月のトランプ大統領の発言よりも前から、検討作業の結果、我が国自身の判断として導入をするものとしたものでございまして、トランプ大統領からの求めに応じて購入をしたものではございません。

緑川委員 これで終わりにさせていただきたいと思いますが、アメリカから言われていないのであればなおのこと、費用がどんどん膨らんでいることについてやはり逐次国民に説明する責務があるというふうに思います。

 そして、配備先についても、秋田、山口、依然として今のような御答弁で、通り一遍の御説明では地元は納得をいたしません。

 立ちどまるべきところは立ちどまって、軌道修正をかけるところはしっかりとかけていく、丁寧に説明をしていく必要があるということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 前原です。

 午前中の質問の最後でございますので、よろしくお願いいたします。

 麻生大臣、私も、福岡で発言をされたことについてお伺いいたします。

 三人伺われましたので、大体理解をしてきました。要は、麻生大臣がおっしゃりたかったのは、福岡市の市長そして北九州市の市長を比較をされて、そして、福岡よりも北九州は人が減っているし税収も落ちている、そして、北九州の市長は東大を出ている、より税金を使って大学を出ている、それなのに結果が出ていないじゃないか、そういうことですね。

麻生国務大臣 ちょっと正確に。

 十二年前に選挙があったんですよ。十二年前、今の北橋の前の選挙。相手は慶応だったの、慶応。あれは私立じゃないか、うちは国立だと言ったのは何党ですかと言いたいですな、私は、正直なところ。そのとき、学歴なんかは関係ないよ、私ら自民党はそう言ったんですけれども、負けました。

 そのときのすごい印象が残っていたので、その話をちょっと知っておいていただかないと、あのときの北九州なら誰でも知っていて、何で東大に負けるんだとか官立がいいんだとかいって結構話題になったんですけれども、結果は結果ですから。

前原委員 私自身も小学校から大学までずっと国公立なんです。税金を使わせてもらって学ばせていただいているという感謝は持っておりますけれども。

 北九州それから福岡、税収とか人口とかそういうものは出てきますけれども、比較する対象が果たして全て正しいかどうかという、均等かどうかというのはわかりませんよね。今、麻生大臣から十二年前の話を伺って、そういうこともあったんだなというふうには理解をいたしましたけれども。

 私は、人はみんな学ぶ権利があるし、どこの大学に行きたいかということも権利がある。もっと言えば、私は、全ての人間が大学に行くべきだと思わないんですよ。中学、高校を出て、あるいは専門学校を出て立派に手に職をつけてそして活躍されている方はいっぱいおられますし、また、そういう方々がおられないと社会というのは成り立ちませんよね。では、大学に行っている人たちばかりが構成する社会というのは本当にいいのかどうなのかという話もあります。

 私が申し上げたいのは、誰もが大学に行くチャンスが与えられる社会にするということと同時に、私学だ、いや公立だ、だから、どちらかがより結果を残さなきゃいけないということを十二年前に我々が言ったのだとすれば、それについては我々も反省をしなきゃいけないことがあるかもしれませんけれども、やはりどこの大学を出ているからとかいうことじゃなくて、首長さんは民主主義によって客観的に評価をされるということの中で議論されるべきだというふうに私は思いますし、これからぜひ、お互いそういうふうにしようじゃないかということでありますので、大臣、もう一言あれば、どうぞ。

麻生国務大臣 選挙の最中ですから、少々アジったりあおったりしますから、少々言葉が足らなかったという御指摘なんだと思いますので、それは率直にそうなのかもしれませんけれども、私どもの申し上げているのは、私、娘が東大に行きましたので、それで、ちょっと待て、おまえ、役人でもやるのか、役人をやるつもりがないならそんなもの受けるな、やるなとかいって大分言った記憶があります。私も、高校から大学を受けるときに親に同じようなことを言ったら、おやじが、おまえ、役人をやるのかと言うから、親の跡を継ぐんじゃないのと言ったら、それならあんな学校なんかに行くな、あれは役人をつくるための学校だと言って、えらい勢いでばっさり切られて、私は当時、そのまま学習院大学に進んだというちょっと思い出もありますので、同じようなことに娘がなりましたものですから、言った記憶もあるんです。

 いずれにしても、前原先生がおっしゃるとおりなのであって、基本的に、よく私の友達が言うんですけれども、それは早稲田の理工学部を出て一級建築士になったんですが、大学出ばかりつくって、一級建築士百人集めたって、家は建たないと。大工と左官と棟梁がいれば、屋根瓦の職人がいれば家は建つんだ、一級建築士なんか要らないんだよ、一級建築士が百人やったって家は建たないといって、そいつが俺にぼろかすに、大学のことに関してそいつが私のことをえらい勢いで言ったのがすごく今でも印象に残っているんですけれども。

 おっしゃるとおり、昔、文部の政務次官をしているときにも、宮大工の棟梁、あれは三重県でしたな、あの棟梁、歌舞伎の亡くなられたあの人、とにかく、義務教育は中学はやめてもらいたい、小学校まででいい、あとは芸を徹底してやらせてくれ、それが宮大工の技術が上がることなんだ、あの義務教育のときが、あのときに手が覚えつかないからだめなんだといって切実に言われた記憶も私の残るところなので、同じように、大学出が全部集まって世の中がよくなるかというと、関係ないと思います。

 ぜひとも、そういった意味では、バランスというものが極めて大事だと思いますので、今言われましたように、そういったところに行くのも、かなり税というのはそこに入っておりますので、国費はそういう形で投入されておりますので、その言い方に関しましては、もうちょっと丁寧な言い方が必要なのではないかという御指摘だと思いますので、賛成いたします。

前原委員 それでは、私も消費税の話をさせていただきたいというふうに思いますが、まず、この間の所信を伺って、同僚議員の古本議員も同じように感じたということをおっしゃっていたんですけれども、この所信の中で、大臣はこうおっしゃっているんですね。消費税率については、法律に定められたとおり、来年十月から一〇%となる予定ですと。何か人ごとのように聞こえたんです。

 二回延期されていて、この間の選挙は消費税の使い道を変える、こういう選挙でありました。私は、大臣が当事者だと思うわけですね。一番の責任者、当事者だと思うわけです。

 ということになると、一〇%となる予定ですではなくて、一〇%に上げますと言うのが所信表明演説じゃないかというふうに思うんですが、しっかりと今度こそは上げるんだという思いを持っておられる、もう二度と、まあ三度目ですね、引き延ばしというか、それが延期ということはないんだということを、いま一度、この場でおっしゃっていただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありましたように、先日、十六日の所信の挨拶をさせていただいたときに、消費税につきましては、法律で定められたとおり、来年十月から一〇%となる予定ですと、間違いなく今言われたようなことは申し上げておるんですが、これは、法律によってもう決まっておりますから、そういった意味で、あらかじめ定められているということを申し上げただけで、他意はないんですが。

 いずれにいたしましても、過去二度、引上げされたときの、財務大臣もしておりましたので、そのときに、正直、私の思いとはかなり違っておりましたから、そういった意味もありますので、いろんな意味で、今回はあのときとはかなり経済情勢も違ってきておりますし、いろんな形できちんとした対応ができるものが、今、間違いなくいろんな形をさせていただきつつもあるところでもあろうと思っておりますから、私どもとしては、今回、一〇%というものに関しまして、二%の引上げはやらせていただきます。

前原委員 やはり、こういうことを明確にこれから発信を続けていただかないと、先ほど同僚議員の質問の中で、うえの副大臣が答弁された、まだ三七%しか事業者の中で準備をしていない、こういう話がありましたね。五二%は具体的に準備をしているということもあわせておっしゃいましたけれども、やはり、もう来年の秋に上がる、一年を切っているにもかかわらず、具体的な準備をしている企業が三七%にとどまっているというのは、疑心暗鬼があると思うんですよ、いまだに。

 したがって、しっかりとやはり、責任者、当事者である麻生大臣におかれましては、今まで二回、先送りをされたことにはじくじたる思いがあるということをぜひ秘めていただいて、そういう発信と、それから、それがいわゆる事業者の方々の準備を促すということにつながってまいりますので、そういった発言をしていただきたいと思います。

 その上で、きょう、ここに野田前総理おられますし、私は、そのときの政調会長として社会保障・税の一体改革を進めた者の一人でございます。したがって、消費税を上げて、そしてその中身を、言ってみれば還元して受益をふやすという考え方、社会保障・税の一体改革というものは必要だと思っておりますし、これからもそれは拡大をしていかなきゃいけないだろうという考え方に立っての質問なんです。

 どうしても、軽減税率だけは私は納得ができないんです。先ほどから何人かの質問がありましたけれども、軽減税率のメリットって、もう一度、国民に納得しやすいようにお話しいただけませんか。何がメリットなんですか。

麻生国務大臣 いろいろ御意見がありますのはもう御存じのとおりなんですが、軽減税率につきましては、これは、ほぼ全ての方々が日々購入をしておられる飲料、食料等々の税率を、二%上げないで、そのまま据え置く。これをもっと五%に下げろとかいう御意見があったことも事実です。

 しかし、買物の都度に、二%安くなっているという痛税感を実感できるというのが一点と、それから、低所得者と言われる方々の方に占めます消費税の負担の比率、割合が高いということで、難しい言葉でよく言われます、消費税の逆進性とかいう点もこれあり、少なくともある程度緩和はできるといったようなところが低所得者に対する配慮というところから、我々としては実施するということなんだと思っておりますが。

 いわゆる軽減税率の対象品目については、いろいろ問題があるんじゃないのかという御意見もよく伺っておるところですが、いわゆる消費支出の割合が高い、酒とか外食とかいうものを除いた食料品ということにさせていただいておりますので、そういった意味では、収入に対する消費税の割合で、低所得者の方が高所得者より大きく引き下げるということが比率としてできるということで、そういった意味では逆進性の緩和にもつながるのではないかといったところが大きなメリットかなというように考えております。

前原委員 二つの点をおっしゃったと思います。痛税感の緩和と逆進性の緩和、こういうことでございますが、二つ、その議論をしていきたいと思いますけれども、資料でお配りをしている二ページをごらんいただけますでしょうか。

 右下の図でございますけれども、軽減税率で、消費税が占める割合を示したものであります。青が税率一〇%、八が軽減税率八%でありますけれども、ほとんど、所得に占める割合というものは、一〇%にしても八%軽減税率を導入しても変わらないんですね。つまりは、少なくとも二つ目におっしゃった逆進性対策にはほとんどなっていないというのが実態じゃないでしょうか。つまり、逆進性対策になっていないんですよ。

 しかも、その左の図をごらんください。これは、年間一世帯当たり軽減税率による負担軽減額。この横軸は、右に行けば行くほど所得の多い方々、そして縦軸は金額です。つまりは、この軽減税率というのは、所得の低い人ほど言ってみれば絶対額としては恩恵が少なくて、そして、所得が多い方々ほど言ってみれば税負担軽減額が大きくなっている、こういうことなんですね。

 それは、よりお金持ちの方が、いいお米も買うでしょう、標準米じゃなくてブランド米をお買いかもしれない、肉だって、いい肉を買うかもしれない、あるいは発泡酒じゃなくてビールを買うかもしれない、こういうようなことがあるわけですね。

 おっしゃるように、やはり、所得がなかなか上がらない、きょうはその議論はいたしませんが、先ほど緑川議員の話で、労働分配率が下がっていっているという最大の理由は、これは簡単ですよ、企業の利益が上がっているけれども名目賃金はほとんど上がっていない、内部留保がどんどんどんどん積み上がっている、だから労働分配率が下がっている。

 しかも、物価を上げる政策ですから、実質賃金はむしろ下がり続けているということの中で、資産のある人はいいですよ、資産のある人はいいけれども、資産のない人の実質賃金は下がり続けているというのがこの六年間の結果でありますから。

 だったら、スーパーの安売り、この時間が来たら少しでも安いものを買おう、あるいは、自転車に乗って少しでも安いスーパーに行こうといって、主婦の方々があるいは年金生活者の方々が工夫を凝らされる。

 その意味では、それは、一〇より八の方がいいかもしれない。しかし、この逆進性という部分においても、この消費税率というのは、全然対策になっていないし、そして、よりお金持ちの方々の方が言ってみれば負担軽減額が大きい。そして、後で質問しますけれども、一兆円穴があくわけですね、一兆円。それはまたどっかで税金取るわけですよ。だって、一兆円穴あくんですから、どっかで税金取る。ということになったら、行って来いの部分もあるわけですね。

 であれば、痛税感というところについては、ニュアンスとしては理解をするにしても、より低所得者の人に対して負担軽減をするためには、まさに社会保障・税の一体改革で決めたときのように、給付つき税額控除のような形の給付措置で、一定の所得以下の方々に対しては戻すということの方が、よりこの痛税感、逆進性というものに対するダイレクトな答えになっているんではないですか。

 一兆円という、言ってみれば減額されたものの穴埋めをほかの税でやらなきゃいけない、こういうことよりは、この方がより有効だと思われませんか。大臣に。

麻生国務大臣 今言われた点に関しましては、まず、検討させていただいた中で、給付つき税額控除というのは、間違いなく、所得の低い方々に的を絞ったという点でいろんな意味で利点があるという点は正しいと思うんですが、問題は、消費税そのものの負担が直接軽減されるものではなくて、消費者にとっての痛税感の緩和の実感にはつながらないのが一点。

 それから、所得というものが低いんですけれども資産はある等々の話で、いわゆるその把握、どれくらい資産があって、所得はないけれども資産はあるところの把握が難しいといった大きな問題があるというのは、これは前々から言われているところではあります。

 給付つき税額制度というものに関しましては、これは、今回のいわゆる軽減税率といろいろ比較対照させていただいて、その線引きが難しい等々から、今回このようにさせていただいたという背景です。

 また、今言われましたように、おっしゃるような数字というもの、これは連合の出された資料なんだというようにここに書いてあるんですけれども、私どもは、実質的な所得減が生じるということはこれはあり得るんだと思いますけれども、実際に社会保障の安定財源を確保するという点からいきますと、これは社会保障サービスという受益を一体として考えるということが適当なんだ、そういうように思っております。

 したがいまして、引上げの対応については、特に低所得者と言われる方々に対しての影響が受けやすい、そういったところへの配慮というものを十分に勘案してこの制度というものは、いわゆる社会保障サービス、いろんなものがありますけれども、学校とかいろんな含めまして、そういったものを含めましてやらせていただくという形で、今言われたような御指摘というものは、全面否定するつもりは全くありませんけれども、そういった面を少なくとも軽減させられるようにできればと思っております。

前原委員 一般の方々は一円でも安い方がいい、したがって、二%は、必ずしも私は、そんな少ない数字で痛税感ということを言うべきではないとは申しません。しかしながら、私は、財務大臣が痛税感、痛税感ということを余り声高におっしゃるべきではないと思いますよ。それがひとり歩きするんですね。

 つまりは、後で時間があれば質問いたしますけれども、将来的にもやはり消費税は一〇よりも上に上げていかなきゃいけないというのはみんな薄々わかっているわけですよ。これだけ借金があって、人口が減っていって、働く人が少なくなっていって、医療、年金、介護のお世話になる人たちがどんどんふえていくわけですよね。成り立つわけがないとみんな思っているわけです。だけれども、自分の今の生活を考えれば少しでも税負担が少ない方がいいというのは、それはわかります。

 しかし、そういったものを、ポピュリズムに流され過ぎずに、将来の責任も含めてしっかりと、今はこれだけ借金もあるし、そして人口動態、先ほど大臣は今の日本の最大の問題というのは人口減少だということをおっしゃいました。全く同じです、認識は。ということを考えると、やはり将来的にはその一〇を超えたところも国民はみんな薄々わかっているわけですよ、そこは。

 そのときに、余り痛税感、痛税感と財務大臣そのものがおっしゃるということになると、その言葉に私は財務大臣そのものが縛られるということになる可能性があるというふうに思いますので、余りこれは使われない方がいいと思います。

 それと同時に、先ほどおっしゃったことの中で、我々、マイナンバー制度というのをあわせて導入したんですね。これは、まさに大臣がおっしゃったように、資産を捕捉する、つまりは、フローだけじゃなくてストックも補足して、その上でどれだけいわゆる負担ができるかということをそれぞれに対してしっかりと把握していこうということがマイナンバー制度の大きな背景だったんですね。

 今は低所得者の方に対して資産のことを言われましたけれども、例えば医療費について言えば、七十五歳以上は、後期高齢者、窓口負担は一割ですね。しかし、現役並みのいわゆる所得がある人、つまりは、ストックとフローでいえばフローがある人たちは七十五歳以上でも三割負担なわけですね。だけれども、フローはないけれどもストックのある人っていっぱいおられると思うんですよ、高齢者の中には。

 そういうものをしっかり把握した上で、どれだけ応分負担をしていただくかという意味において、マイナンバー制度というのは極めて有効な制度だと思いますので、これはしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 その上ででありますけれども、給付つき税額控除というものが、では、マイナンバー制度がちゃんと機能してくれば、今おっしゃったような資産も把握できるということであれば、マイナスの方が大き過ぎると思うんですよ、デメリットが。とにかく事業者に対しては煩雑ですよ。極めて煩雑。イートイン、テークアウトの話もあるし、相当さまざまな問題が私はあると思いますので、これは本当に将来に禍根を残す、極めてたちの悪い制度だと私は申し上げます、軽減税率については。

 先ほどおっしゃった給付つき税額控除というものを、資産を把握するということであれば、少しこのことについては、軽減税率ではなくて、マイナンバー制度を早く導入するという中で、二の右下の図にあるような形で、実際にまさに逆進性を緩和するという形にした方がいいというふうに思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 マイナンバー制度というものがどれだけというのは、これはもう御記憶のとおりですけれども、これはもともと竹下内閣のときのグリーンカードですからね、この話は。あのとき全部で否定していたんだから。御記憶のとおりでありますが。そのときはまだ当選しておられませんからあれですけれども、私らはそのときいましたから、えらい目に遭ったという記憶があるんですけれども。そういった意味で、あのときから、グリーンカードになり、何とか税になって、竹下さんのときに三%ということになったんだと思う。

 先ほどおっしゃったように、あのとき、私は今でも覚えているんですが、週刊誌が百円だったんですよ。上がった翌日に羽田に行ったら百五円取られたので、おまえ、二円お釣りと言った。百三円なんだから二円お釣りと言ったら、二円お釣りなんと言うのは麻生さんだけですよと言われて二円取られたの。早い話が内税になっていて、本屋さんの方がよくて、百三円じゃなくて百五円にして、値上げと消費税と一緒にして百五円にされた。あのすごい記憶があるんですけれども。そういった意味では、便乗値上げじゃないかとか、いろいろな当時批判が出るかと思ったら、全然出ないで何となく百五円で通っていった。今に至るも内税ですから。

 そういった形で、いろいろな意味で、痛税感の話も言われましたように、確かにおっしゃるとおり、この痛税感というのは非常に感じるところでもあるんですけれども、ビールなんというのは外税にしたら誰も飲むやつはいなくなりますよ。あれはほとんど、半分以上が税金じゃないですかという話を僕はよくしていたんです。

 いずれにしても、前原先生おっしゃるとおり、その点は、今後のことを考えたら発言は注意しろという御指摘も大変参考にさせていただきますし、また、言われましたように、マイナンバーカードというものがより定着していくと、先ほど言われたようなところについても随分捕捉ができるということも、事実そういうことになっていくんだと思いますが、なかなか普及しないし、なかなかその利用についても、プライバシーの何とかかんとかと言われて、いろいろ、なかなか先に進行していないのも事実なんですけれども、少しずつそういったものも定着してくるかなという感じはいたしますけれども。

 いずれにしても、この税というものに関してはどのような形でやっていくかということを考えないと、人口形態がこういうピラミッドのときからこういうぐあいになってくると、なかなかそこらのところは、今までとは別の発想でいかないとこういったものが対応できなくなるというような感じが、私ども率直にそう思っております。

前原委員 簡単に伺いますけれども、先ほど麻生大臣も、日本の最大の問題点は人口減少であると。やはり人口減少対策というのはしっかりやらなきゃいけないと思うんですね。

 兵庫県に明石というところがありまして、明石の市長というのは我々の同僚だった泉房穂さんという方なんですけれども、この人は子供に特化して政策をやって、今二期目、今、八年目なんですね。来年が改選期なんですけれども。

 第二子以上は保育料はただ、そして中学生まで小児医療は無料、全て所得制限なしでやっているわけですね。やっていて、実際、先ほどの福岡と北九州の話じゃありませんが、若いカップルの転入人口がふえただけじゃなくて、出生率も上がっているんですよ。一・五〇から一・六八に上がったんです、この七年間で。

 つまり、若い施策に対して徹底的にてこ入れすると、ほかからとってくるだけじゃなくて自然増もふえてくるということで、こういったものにお金をかけなきゃいけないというふうに思うんですね。

 そして、お年寄りもふえてくるということになると今のやりくりではなかなかやっていけないだろうということになると、私は、先ほど申し上げたように、消費税一〇パーを超えた世界というものを想定しなきゃいけないと思うんですけれども、やはり消費税というのは一〇%でおさまらないという意識をお持ちですか。

麻生国務大臣 まず最初に、二つ御質問の話なので、明石の話ですけれども。

 世界の先進国では、総じて皆、少子高齢化という大問題になっているんですが、その中で例外はフランスです。

 フランスはどうなっているか、詳しく最近のあれを調べたわけではないんですが、少子高齢化が大問題になると言ったのはドゴールという人です。だから、さきの戦争が終わってすぐ後に大統領になっていますので、あの直後から、大量のフランス人兵士が亡くなったということもあったんだと思いますが、とにかくこの人は、そのときから少子高齢化対策をうたって、今言われたように、第三子を産むと途端に税金は所得税が三割減かな、四人産んだら四割減というような、もちろん、医療費等々全部、大量のことをやって、この国だけは今二・〇を超えているんですよね、先進国の中で。

 おまえのところもやればいいじゃないかと。一挙に金がかかりますから、なかなかそんな簡単にいける話じゃないので、徐々にやっていけば徐々にしかということになるんだと思いますが。少なくとも、そういう対応に関しましては、日本の場合の福祉はかなり高齢者に偏って、若者に対しての配慮がかなり配分としてはいかがなものか、もうちょっとバランスをとってしかるべきではないかという御意見は、私どもも同じようにそう思います。

 それから、消費税というのは将来どうだと言われれば、まだ今、一〇%、来年十月にやらせていただく段階でまだ右往左往している段階なので、それから先というものに関しましては、将来としては、働く人の絶対量が少子高齢化で減ってきて、高齢者という受益する人がふえてくるのであれば、その方々にいわゆる消費税という形で賄っていただくということにしていかないと、なかなかバランスとしては難しいという、構造としてはそうなっていると思っております。

前原委員 フランスだけではなくてイギリスも、フランスは、第一子よりは第二子も生まれた人にお金を出して、第三子が生まれたらよりお金を出すということで、私が調べた限りでは、三人子供がいれば、二十年間で四千万円ぐらい給付が受けられるという仕組みになっているんですね。イギリスは、働く女性を徹底的に支援するというやり方をしていて、イギリスもかなり出生率が伸びているということで。

 少子化に対する徹底した取組をやっているのは、私が知っている限り、先進国ではフランスとイギリスかなと思いますが、どちらも、やり方は違ってもお金がかかるということでありまして、そこはこれから考えていかなくてはいけない話だというふうに思っております。

 我々は、やはりそういう、今も大事、しかし、中長期の日本をどう持続可能なものにしていくかということの中でのやはり取組というものをやっていこうということを思ったら、今の制度設計が将来にもしっかりと合うようなものでなければいけないということの中で、先ほど、軽減税率というのは極めてたちの悪い制度ではないかということを私は申し上げたわけであります。

 時間になりましたので終わりますが、経産副大臣それから星野主税局長には、事業承継税制を聞けなくて申しわけありませんでした。また次回にさせていただきたいと思います。

 終わります。

坂井委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時二十七分開議

坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。野田佳彦君。

野田(佳)委員 まず、大臣所信の部分からお尋ねしたいと思うんですけれども、せんだって、国際的なさまざまな変化、情勢についてどういう御発言をされるのかなというふうに思っていたんですけれども、多少触れているんですけれども、薄いんですよ。この今の世界経済の動向、大変厳しい状況になってきましたけれども、この点からお話をさせていただきたいと思います。

 先般の所信の中で触れている部分は、最初、日本の財政や経済に触れて、次に金融に触れて、一番最後のところに出てくるんですけれども、「このほか」から始まるんですね、「このほか」。いわゆるその他の中で一つ出てくるんですが、このほか、国際的な議論については、今後も、国内外共通の新たな課題について、各国と知見を共有しつつ、解決に向けて貢献してまいりますという、何だかよくわからない、抽象的な表現で二行書いてあるだけなんですね。

 でも、こういう状況とは、どう言ったらいいんでしょうかね。緊迫してきますよね。先般のAPECの首脳会議も、首脳宣言がまとめられなかったという。一九九三年にAPECがスタートして以来四半世紀、これまでさまざまな会議が開かれてまいりましたけれども、初めてのことじゃないですか。それだけ米中間の対立が大変厳しくなっているということの象徴的なあらわれだというふうに思うんです。

 加えて、間もなくG20がブエノスアイレスで開かれます。そこに大臣も御出席ですね。首脳会議と財務大臣会議、両方に出られるという予定ですね。

 というこの時期において、もう少し明確に、世界経済の動向であるとか、日本の立場はどうあるべきかみたいな所信があってしかるべきではなかったのか。しかも、来年はG20の日本は議長国じゃありませんか。そういうことも含めて、決意の一端があらわれる何らかの表現があってしかるべきだったというふうに私は思うんです。

 私がきょうここでつけてきているネクタイはカンヌでG20が開かれたときにラガルドさんからいただいたものなんですけれども、当時も、リーマン・ショックが終わった後に、国際金融モデルを含めて厳しい激しい議論が行われていました。あのころも厳しかったんですが、今はまた別の意味で大変厳しい情勢になってきているというふうに思います。そういう御認識も含めて、私は所信で一端触れてほしかったと思うんですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、野田先生のようなお考えもあるということは私どもも伺っておきますけれども、私の所信表明というのは、この委員会の審議に当たりまして、日本経済の現状とか財政の政策とか金融とか、そういったものに関する私の考え方の一端を申し延べさせていただいたものだと思っておりますので、政策運営に支障なきようきちっとやっていきたいという決意を示させていただいたものだと思っております。

 今言われましたように、G20の話につきましては、これは、このところ、来年、G7はフランスが議長なんですけれども、フランス等々、この間も来て、綿密に打合わせをさせていただいたり、いろいろさせていただいておりますし、また、いろいろ、各国から日本に訪れられる外国人の金融関係、経済関係、財政関係の方、昔と比べてすごく多くなってきているので、財務大臣室にいて、外務大臣のときと同じぐらい、今、外国人の来られる方が多いんじゃないかと思っているんですけれども。

 いずれもそういったような認識で、我々も世界から、政権が安定しているおかげでこれだけ経済政策もうまくやらせていただいているところも大きいんだと思いますけれども、いずれにしても、今、世界から、金融が安定している、金利も安定している、為替も等々いずれも、そういったものから、多くの問題で我々は非常に頼りにされているということはわかりますので、そういったものを踏まえながらきちんと対応していかねばならぬということに関しましては、総理ともよく話をさせていただいているところでもありますので。

 いずれにいたしましても、こういった多くの関心が寄せられているのはいいことだと思いますし、それに対応していくに当たって、私どもとしてもきちんとそういった状況を踏まえながらやっていかねばならぬと思っておりますので、今、野田先生の御指摘を踏まえてきちんと対応してまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 先ほど、イントロのところでAPECの話をしましたけれども、今回のパプアニューギニアのAPECの首脳会議に、アメリカは、トランプ大統領にかわってペンス副大統領が出席をされました。そのペンスさんは、APECに行かれる前に日本を訪問されて、安倍総理には表敬訪問をされていますよね。

 私は、このときに、久しぶりに日米経済対話が行われるのではないかと思っていたんです。

 というのも、日米経済対話、これは去年の秋だったんです、たしか。もう一年以上たってきました。一年以上たってきて、しかも、これからまさに日米の通商をめぐる大事な協議も開かれますし、世界経済においてもいろんな激変が今生まれつつあるという中で、私は、やはりペンス副大統領と日本の副総理、兼ねて財務大臣である麻生大臣との対話というのは私は重要だというふうに思うんです。

 しかも、アメリカの政権の場合は、あのマティスすらかわるかもしれないと言われているように、しょっちゅう閣僚が交代をするし、政府高官もかわりますよね。本来ならば重層的に対話を積み上げていかなければいけない二国間だと思うんですが、なかなかそうならないときに、副大統領の存在はやはり大きいと思うんです。

 その副大統領と日本の副総理が対話を積み重ねるということは私は大事だと思いますし、たっぷり時間がなくても、やはり一定の時間をとってコミュニケーションを図るということは極めて大事だと思うんですけれども、なぜペンス副大統領との日米経済対話がなかなか実現できないのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、USTRという組織がありますけれども、この組織はホワイトハウスに直結しているわけではありません。

 この組織はアメリカ議会に直結しておりますので、少なくとも、今、この種の話は、ライトハイザーというUSTR代表と、日本の茂木大臣がこれを担当することになって、二人でやらせていただいておるんですが、そのUSTRに海外との経済交渉をやっていいという許可は、アメリカがおろしたのはついこの間です。九十日間の時間がありますので、少なくとも、ことしいっぱい、来年の一月まで、交渉権限を与えられていないライトハイザーとこそこそやらないかぬ。

 当然のこととして、向こうとしても、ホワイトハウスにいる、代表するような立場でもありますので、私どもとしては、ペンス、麻生というのは、残念ながら、その種の話をできる権限を与えられていないというのがペンスの立場でありますので、この話は前にも何回かしたことがありますので、こそこそやるのもぐあいが悪いんじゃないのと。だから、別にこそこそやる話でもないけれども、すると、その話はできないということになりますので。

 そういった意味では、今回も、その点に関しましては、お互いに表敬をしてべちゃべちゃしゃべって、十五分ぐらい官邸で話をしましたし、その後の安倍・ペンス会談にも立ち会いましたけれども、それ以外の話で、別にこれは権限ができてから来年改めて話をしようというので、次の日程の打合せ等々はさせていただきつつあるというのが今の現状であります。

野田(佳)委員 形式論的には、今の御説明、そのとおりだと思うんです。

 次の日程協議には、じゃ、速やかに入ってきているということで理解してよろしいんですね。

 だったらいいんですよ。一回、二回と去年の春と秋やって、こういう大事な局面で、もちろん日米の協議の問題はありますよ。それはお互いに、茂木大臣とカウンターパートとがしっかりやることは当然でありますけれども、ただ、これは格からいったら格下なんですよ、それぞれ実力者かもしれないけれども。本来は副大統領と副総理が、この大事な日米通商協議だけではなくて、対話はきちっとやっていった方が私はいいと思うんです。

 その日程協議は水面下では行われつつあるという理解でよろしいですね。

麻生国務大臣 トランプ大統領と安倍総理との間で、一番最初から、この話は麻生副総理と副大統領ペンスの間でやるという話を二人で、首脳会談の席で見ている目の前で合意をして、そこで握手をして、以後、金融、為替等々の話がありますから、その話はどうするのと言ったら、わからぬ、麻生とわかる者同士でやってもらおうと。これはトランプさんの話ですよ。済みません。今、ペンスの話じゃなくて。

 それで、少なくとも、安倍、トランプの間で、わかるプロ同士に話をさせよう、うちの方は麻生、そっちはと言ったら、スティーブン、スティーブンというのはムニューシン。ムニューシンとの間で話をしてもらうという話になって、その他の経済の話全体については、いわゆる貿易等とは全部分けて、その最後の経済の話はペンスと麻生でやってもらうという話をそのときされて、以来二回きちんと会いましたけれども、今、財政の話はしょっちゅうムニューシン財務長官とやらせていただいておりますけれども、そういった形で、二人との間で関係として連絡が生きているかというと、結構つながっていることはつながっておりますし、そこの間に意思の疎通がそごになっているという関係にはないということだけ申し上げられると存じます。

野田(佳)委員 その点が確認できればいいんです。

 ちょっと心配していましたのは、きょう、午前中に、北九州の市長選挙をめぐる大臣の御発言が、随分何人もの委員が取り上げましたけれども、ペンスさんとの関係がなかなか会えない状況に至っているのは、かつて大臣が派閥の研修会か何かで、要はヒトラーの発言をされたことがあったじゃないですか。政治は結果であって、何百万人も殺したことが、動機は別としてやはり正しくなかったという言い方をされたというのがありましたですね。その種の発言というのが影響しているのではないかという臆測を持つ人もいるんです。

 考えてみると、今、トランプ政権というのは、エルサレムを首都と認定してアメリカの大使館をエルサレムに移すように、ユダヤ人社会をすごく気にしているというか、アメリカユダヤ協会と親密ですよ。ペンスさんも、これはキリスト教右派の何かどこかの系列に入っている人なんですね。これもユダヤ協会と親密なんです。だとすると、あの種の発言があって、残念ながら疎遠にならざるを得なくなっているのではないかという臆測もあるんです。

 そういう揣摩臆測をなくすためにも、具体的に日程を決めて、そして、さっき申し上げたように、やはり副大統領と副総理がちゃんと会っていくという構図はつくっていった方が私はいいというふうに思いますので、何か御意見があればよろしくお願いします。

麻生国務大臣 ヒトラーの話等々、アメリカン・ジューイッシュ・ソサエティーという、いわゆるAJCというような組織のあるところから、その種の話に関して誤解は全くないと我々はいただいておりますし、そういった意味で、その点に関する問題はないと思っております。

 今、野田先生が言ったのは、たしか朝日新聞の二階堂でしたか、書いた記事でしたね、あれは。そんな記憶があるんですけれども、その種のことでペンス副大統領との間に意思疎通がどうか、滞っているというようなことはございません。

野田(佳)委員 ないということを具体的に証明するには、やはり直接お会いをする機会をつくることだというふうに思います。

 その上で、次に、大臣所信の中で、プライマリーバランスに触れている部分がございました。二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランス黒字化目標の達成に向けて云々と。

 この二〇二五年度云々を言う前に、なぜ二〇二〇年度という達成時期をクリアできなかったのかということの、私はやはり改めて厳しい総括が必要だというふうに思います。

 なぜ五年先延ばしになったのかということを、これは今までも聞いたことがありましたけれども、改めてお伺いをしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは全く正しい御指摘だと思いますけれども、いわゆるプライマリーバランスの、国、地方合わせての基礎的財政収支をバランスさせるという話につきましては、これは世界経済の成長が去年特に下がったということもあろうかと思いますけれども、いわゆる全体として税収の伸びが残念ながら落ちたということもありましたし、また、消費増税というものを前提にして考えておりましたけれども、それを延ばすというような経済判断をされたこともありますので、そういった意味では、全体として税収の伸びがそれだけ伸びないということだったと思っておりますので、残念ながら二〇二〇年の達成は困難ということで、私どもとしては、税収の伸びが全体として伸びていないという点の御指摘だとしたら、私どもが思っているほど伸びなかったけれども、少なくとも経済全体のファンダメンタルズとしては決して悪くないと思っております。

 ただ、思ったほど伸びなかったという点は事実だと思っておりますし、また、消費増税というものの増税を延期したという点もありますので、残念ながらその点が二〇二〇年までに達成できなかった。その前までの三年間は少なくともきちっとした形で半分にしますというのが、マイナス六・三を半分の三というところまで来たところまでは事実だと思っておりますので、そういった意味ではそれなりの方向として進んでおりますし。

 今後とも、このプライマリーバランスというものを大事にきちんとつくり上げるということは、マーケットの中にある国債市場等々を考えたときにおいてもこの点は大事なところだと思っておりますので、引き続きこれはきちんと維持して、プライマリーバランスの方向をきちんと維持していくという方向を財政として持ち続けるということが非常に大事なことだと思っております。

 二〇二五年と言っているのは、何といっても団塊の世代がいわゆる後期高齢者というところになってこられますので、そういった意味では、この段階までにきちんとやっておく必要があるのではないかというのが率直な実感でして、それまでにぜひともやり上げたいということを思っておるというのが今の実態であります。

野田(佳)委員 今までよりは私は前進だと思うんですね。

 今までは、例えば去年あたりは、消費税の使途変更によりというお話だったんです。総理もそういう言い方だったんですよね、プライマリーバランスのまさに黒字化の達成時期がおくれた理由を。それは何度も私も指摘してきましたとおり、使途変更というのはマイナス一・七兆なんですね。実際、二〇二〇年度にはマイナス八・九兆になる予定じゃないですか、赤字が。全然、だからそれを理由にするというのはおかしいということをこれまで何回か言ってきました。

 きょうは少しいろいろお話を膨らませましたけれども、もう少し精緻な分析が私は必要だと思っていまして、使途変更の一・七兆よりももっと大きな比重を占めているのは、世界経済の落ち込みという表現をされましたが、それも一つの影響はあると思います。それから、消費税二度の延期もありますよね。もう一つは累次の補正予算なんです。累次の補正予算を、第二次安倍政権になってから過去九回組んで、三十兆ぐらいつくっていますよね。こういうことも影響してきていると私は思います。それは消費税の使途変更などよりも要因としては大きいんですが、きょうも第二次補正予算の指示を安倍総理が出されたということでございました。これは十分気をつけなければいけないと私は思います。その点についてはいかがですか。

 これは、もちろん緊急性があった場合の補正というのは、それは必要ですよ。それはよくあった、これまでも。だけれども、景気の回復過程にあるとずっと言い続けて、経済対策を中心にこれまで補正予算をいっぱいやってきている。まだそれが足りないのかという疑問を持たざるを得ないし、私は、これは放漫財政になりかねないという懸念を持ちますので、十分御注意を、これから予算編成だと思いますけれども、いただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 補正が非常に影響したんではないかという御意見というのは、私どももそれなりに拝聴せねばいかぬところだと思っておりますが。

 ただ、これはSNAベースというので計算をいたしますから、補正も本予算も突っ込んだところで出しますので、その点に関してはきちんと、それが補正だけで組んでおけば後々計算しなくていいんじゃないかというルールになっているわけではありませんので、きちんと補正も入れた上でのいわゆる予算ということになりますので、その点は私どもとしては十分理解をした上でやらせていただいていると思っております。

 今言われた中で、補正というのは確かに大きなマイナスになった要素ではないのかという御指摘に関しましては、それを否定するつもりもありませんけれども、私どもとしては、少なくとも、ことしの場合は特に、今から計算がもっと出てくるんだと思いますけれども、いわゆる災害というものが多くて、とにかく地震だ、船がとか、関西空港がどうたらとか、とてつもないのが幾つか出たおかげでもありましたし。

 そういった意味では、災害関係のものは、今まだ、取り急ぎ激甚災害を指定して、一挙にざあっと早目にさせていただいておりますけれども、これはまだ終わりが出ておりませんので、普通はそれが出てから予算ということなんですけれども、そんなことではなくて、先にやれることはさっさとやるということで、いろんな形で、水だ何だかんだとさっさとやろうということで、今やらせていただいた部分の残りの部分が今から出てくるところだと思いますので、これがどれくらい出てくるかわかりませんけれども、それでもこれはやらざるを得ぬというところはありますけれども。

 いずれにしても、補正予算というものがノーズロになるんじゃないか、緩いものになり得るんじゃないかという御指摘は、我々としても、十分に踏まえて対応していかねばならぬと思っております。

野田(佳)委員 茂木大臣も、だってこれは認めていらっしゃいますね、補正の影響は。今回の赤字の要因の中の、マイナスの〇・四%、二・五兆円分は累次の補正によるものと言っているわけですから、それは消費税の使途変更への影響は大きかったということですよね。ということを私は御指摘をしたわけでございますので、その点を踏まえて、よく御対応いただきたいというふうに思います。

 そして、今ちょっと補正に入っちゃいましたけれども、その前の、来年度の予算編成というのも、これは本当は正念場だと私思います。きちっと財政健全化の道筋をたどっていくスタートとなるのか、そうではない放漫財政に陥るのかという、まさに正念場に私はなると思うんですけれども。

 ただし、これは歳出拡大の要因というか、圧力が今回いっぱいありますよね。

 例えば安保情勢を考えると、やはり防衛費、これは六年間ふやしてきましたけれども、恐らくそういう今予算要求の流れだというふうに思います。何度も自然災害、大きな被害が出ていますから、防災、減災のこの対策も、これはやらなければいけない。これも歳出を拡大をする大きな要因になってくると思いますし、なお一番大きいのは、やはり社会保障費ですよね。この社会保障費についても、二〇一六から二〇一八年というのは、一応目安があったじゃないですか、自然増を一兆五千億円で抑える、年で数えると五千億と。今回、目安もないですよね。

 という歳出拡大圧力がたくさんある中で、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化に向けての動きを確かに歩んでいくというのは、物すごい大変なことだと思います。

 加えて、この後時間があれば議論したいと思いますが、消費税引上げにかかわる対策として、私は、ばらまきになるんじゃないかという物すごい心配をしているんですけれども、それは、駆け込み需要とそしてその後の反動減というのはつきものでありますが、その平準化については精査をしていかないと、各省から上がってくるものをどんどんどんどんうのみにしていくと、これも歳出を膨張させていく圧力になるというふうに思います。

 そのほかに、予算の立て方はちょっとよくわかりませんが、今回の消費税の使途変更にかかわる新しい政策がありますね、幼児教育の無償化など。これは従来と別枠でまたつくっていくという話も聞きます。などすると、もう間違いなく史上最高の百兆円台の当初予算になることは明らかだというふうに思います。

 それで本当に二〇二五年度のPBの黒字化なんということが現実的に考えられるかどうか。非常に難しい私は予算編成だと思いますけれども、御決意をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、野田先生もおっしゃるとおり、取り巻く環境というのは言われたとおりになっておると思うんですが、骨太の方針二〇一八の中におきまして、二〇一九年度、二〇二〇年度、二一年度までの三年間ということで、いわゆる社会保障関係費につきましては、前回は三年間で一兆五千三百という話をさせていただいたんですが、今回の社会保障関係費につきましては、実質的な増加というものを高齢化による増加分に相当する伸び内におさめるということにさせていただいております。

 また、非社会保障関係費についても、これまでの歳出改革のいわゆる取組というのを継続させていただくということにしておりますし、また、地方の歳出につきましては、一般財源の総額につきましては、二〇一八年と実質的に同水準を確保するといったような形での歳出方針というのをこの骨太方針二〇一八で示させていただいておりますので。

 おっしゃいますように、来年度の予算編成に当たって、この初年度に当たるので、我々といたしましては、これは非常に大事なところで、プライマリーバランス、基礎的財政収支の黒字化達成というものを、きちんとした方向に行っているということを示す意味でも、今申し上げたような基本的なラインをきちんと守って、その上で、防衛費等々いろいろな多くの問題を私ども抱えておりますので、そういったものを含めまして、私どもとしてはきちんと、歳出が緩んだ結果とおかしなことにならないように、最大の努力をしてまいりたいと思っております。

野田(佳)委員 歳出と歳入が一番近づいた瞬間というのは一九九〇年じゃないですか。まさにバブルの時代。税収が六十兆、出る方七十兆。その後、税収は落ち込みましたけれども、私が担当したころは四十兆でしたからえらい大変だったんですけれども、また六十兆に戻ってきていますよね。ただ、歳出はふえ続けて、今度百兆になっちゃったら、せっかく税収が戻ってきたのに歳出がどんどん伸び続けるんだったら、やはりこれは厳しいんですよ。まさにこれからは歳出拡大圧力とどう戦うかという予算編成になってくるんじゃないですか。

 だとすると、骨太の方針をおっしゃっておられていましたけれども、この二〇一八の骨太の方針というのは、本会議でも言いましたけれども、これはちょっと骨がないんですよ。だって、数値目標もない歳出改革じゃないですか。これでどうやって歳出に切り込んでいくことができるんでしょうか。私、本当にそこを物すごい心配をしているということ。事情はよくわかっていらっしゃると思いますけれども、その数値目標がない中でこれをうまく精査をしていくというのは、本当に財務省は頑張らなきゃ私はいけないというふうに思います。ぜひ頑張ってほしいというエールを込めて、これはお願いをしたいというふうに思います。

 その中で、歳出圧力にかかわるものはいろいろなものがあるんですが、一つは、外国の方が随分この国に入ってくるという状況の中で、水際におけるさまざまな増員対策というものがあちこちで必要になってきています。これも大変だと思うんですね。

 実際に、今回の予算要求で法務省が、もう入管法の改正は、これはどうなるか私まだわからないと思うし、丁寧な議論をすべきだと思うんですけれども、職員を三百十九人の増員、関連費用三十億円を概算要求で盛り込んでいる。

 これに対して、この財務金融委員会の皆さんはこれは多分問題意識を共有できると思いますが、金の密輸が急増したり、あるいは不正な薬物が入ってきたりするために、税関の職員も増員しなければいけないという状況ですよね。ましてや、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを見込んでいくと、税関も今、人手不足で悲鳴を上げているという状況です。

 税関の方は二百六十三人増、関連費用五十九億要望していますけれども、それぞれが水際で人手が足りない足りないといった中で、私は今ちょっと法務省のこれで税関の方にしわ寄せが来るんじゃないかという心配をしていますけれども、そういう心配はないという御答弁をいただければありがたいと思います。

麻生国務大臣 既にしわ寄せが行っておるんですよ、この四年間で。それははっきりしております。

 私は福岡におりますからよくわかりますけれども、クルーズ船というのは、昔は三十隻台、去年は三百隻台ですから。飛行機が一機着陸すると約三百人、クルーズ船で三千人ですから、とてもじゃない、それだけの人数がいきなり福岡に来て。今、クルーズ船の到着件数というのは、昔は神戸とか横浜。今全然違います。今、福岡が一番、二番が長崎ということになっておりまして、税関の数というのはえらいことになります。十倍ですから、簡単に言えば。

 そういった意味では、かつての八百万が二千八百万とか九百万とかいうことになってきておりますので、そういった意味では、もう既に多大なしわ寄せが寄ってきておりますので、そういった意味で、緩んでいるんじゃないかということになり得る。

 また、金の話が出ていましたけれども、去年のあれを見ましても、金の押収量というのが一挙にふえて、これまでが二千八百キロだったものがいきなり六千キロとかいうようなことにぼんとふえていますので、そういった意味ではかなりの問題になってきていることは確かだと思っております。

 したがって、これは人数をふやさないかぬ、物理的なことを考えないかぬということで、我々としても、その点に関しましては、税関の定員では四年連続で三桁の純増というようにさせていただいて、大幅な増員となっておりますけれども、三十年度におけます増員で、純増で約二百九人ぐらい増員させていただきます。そういった形で、前年度の要求水準と同水準の四百名というような形で増員要求を行っておるんですけれども。

 いずれにいたしましても、検査の機械等々の整備も要りますので、そういったものに関しましても、ことしは四百五億円の申請を今出しておりますけれども、そういったものを含めて、税関、また技術的な機械の検査の部分、また人の部分等々につきましても対応していかないと、いわゆる外国人の急激な増加に伴います対応ができないだけでなくて、一部しわ寄せが寄るという形になってゆがんだ形にならないように、最大限の努力をしていかねばいかぬと思っております。

野田(佳)委員 軽減税率についていろいろ聞こうと思ったんですが、時間がなくなってきましたので、軽減税率、特に財源の話を含めて質問しようと思いましたが、これはカットします。

 ただ、これは質問じゃなくて、私は伊佐政務官に一言だけ警告をしておきたいというふうに思いますけれども、十一月二日にツイートしているんですね。軽減税率でなく、給付つき税額控除にこだわる野党の方が多いですが、民主党政権下の答弁で既に決着がついています、給付つき税額控除は、欠陥がなかなか是正できない、問題点があります、執行面で課題がございますという、いろいろ答弁をくくっているんです。軽減税率はわかりやすい制度、これをくくって、以上ですと。議事録が書いてあるんです、何か参考資料で、黄色いマーカーか何かを引いて。これは都合のいい切取りもいいところですよ。ひど過ぎますね。

 あの当時の答弁は、それぞれの、まさに給付つき税額控除も軽減税率も、メリット、デメリット、マイナス、プラスを公平に語っているんです、それぞれの担当大臣が。これは二つ並列していましたから。その中の課題のところを質問して、課題に答えているところをこうやって切り取るというのはフェアじゃありません。責任ある立場ですから御注意ください。若いですから、そういうやはりフェアプレーは守っていただきたいということだけ注意しておきたいというふうに思います。

 質問に戻りますけれども、軽減税率もやるんですけれども、加えて、そのほかにもいろいろなまた今度対策を講じようとしていますね、さっき言った平準化の問題で。これは、もう時間がなくなってきちゃったから一つ一つ取り上げませんけれども、例えばキャッシュレス決済でのポイント還元策。

 これは私、大臣がいいことを言っていると思うんですよ。田舎の魚屋で買物したことがあるのか知らぬけれども、大体クレジットカードなんかやっている人はいないからねと。そうじゃないですか。そうじゃないですか。高齢者とか子供に還元されないでしょう。などなど、これは言ったら課題がいっぱいあるんです。その感覚で私は精査してほしいというふうに思いますね。

 加えて、プレミアム商品券。これはまた出てきましたけれども、効果はあったんでしょうか。二〇一四年のときは予算計上二千五百億円しました。消費喚起効果は千十九億円ですよ。効果はなかったんじゃないですか。こういう、私は平準化は必要だと思います、でも、よく精査をしていただいて、この大臣所信の中では「引上げ前後の消費を平準化するための十分な支援策を講じる」というふうに書いてありますけれども、十分じゃなくて、必要な支援策を講じるようにしていただきたいというふうに思います。そうじゃなかったら、これは選挙対策目当てのばらまきにしか見えなくなりますよ。これは間違っちゃいけないと思うし、財政を逆に圧迫することになるというふうに思います。

 私は、財務省が今回、安易に認めようとしているような気がしてなりません。一〇%に引き上げる既成事実をつくるためにこういう悪い癖をつくっちゃ絶対いけないと強く私は申し上げたいと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 今いろいろな話が新聞にばんばん飛び交っておるのは知らないわけではありませんよ。いろいろな方がいろいろなことを言っておられるし、それを知らないわけではありませんし、経産省関係の方が特に多いというような話は私どものところの耳にも入ってきますから、よく話を聞いておるところですし、今言われましたように、私どもが指摘したような話も事実だとは思いますが、現実問題として、そういったようなものに関しては金をかけないで、四年間そのものに関してはそういった対象にはなりませんからというので、いわゆる売上げの絶対額の少ないところというところはそういったところにさせていただく。

 また、それを現実問題としてきちんとしたものに変えていこうと言われる小さな業者の方もいられるのかもしれませんけれども、それも別に焦ってやることはありませんよ。きちんとやってみられた結果、いろいろな不都合のところを詰めていけばよろしいので、六年かけて、それでトータル十年ぐらいかけてきちんとした、中小零細企業の方々もできるような形にさせていただいておりますので。

 こういったものがきちんと浸透していくのに少々時間がかかるかとは思いますけれども、軽減税率ということに関しましては、いわゆるヨーロッパ等々でも既に行われておりますので、そういったものを日本でも導入した段階においては、ヨーロッパでもいろいろごちゃごちゃしたんだという話は聞かされましたけれども、我々としてそれに対応していくという形にしていかねばならぬのだと思っております。

 いずれにしても、今言われましたように、こういったものが何となく、いずれこういったようなものが、対策として数年間だけやって、あとは全部普通のものへ戻っていくという時限的なものもあるでしょうし、また、そういったものを余り緩めるとばらまきということになるぞ、それが財政というものを更に圧迫する、皆いずれも正しいと思っておりますので、私どもとしてはこういったものを、必要最小限と言われましたか、必要に応じてやっていかねばならぬところなのであって。

 私どもとしては、前回、三%のときの税の総額は約六兆円ぐらいだったと思うんですけれども、今回、単純計算して二兆円ぐらいな形になるので、それだけで三分の一、その他軽減税率等々いろいろつきますので、いろいろな形で反動減等々がかなり平準化されるという思いでやっておりますけれども、今いろいろな方々がいろいろなことを言って来ておられるのは事実だと思いますので、一つ一つ丁寧に対応してまいりたいと思っております。

野田(佳)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

坂井委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 初めに、午前からずっと議論になっておりますが、人の税金で大学に行ってという発言が麻生さんから選挙のさなかにありました。率直に言って、大学に通う全ての人に対して失礼な発言だと言わなきゃいけないと思いますし、教育を受ける権利を保障するというのは政府の責任ですから、財務大臣の発言としては大変不適切だったと言わなければいけないと思います。私は撤回すべきだと思いますよ。そのことを初めに申し上げて、質問に入りたいと思います。

 きょうは、まず、障害者雇用の水増しについてお伺いします。何十年にもわたり障害者の働く機会を奪い、尊厳を傷つけた許されない問題です。

 ところが、検証委員会の調査に対して、どの省庁も、雇用率を引き上げるために意図的に行った事例は把握していないと答えているんですね。信じられない調査になっているわけですね。

 中でも国税庁は、障害者雇用の水増しの数が断トツに多かったわけですね。一千百三名。調査報告では、他省庁に比べて大変特異なのは、うつ状態、不安障害、適応障害一歩手前などを、何と身体障害者、内部障害として算定した。これはでたらめ過ぎますよ。

 かかわってきた方は、こういうでたらめなことをやっているということは、みんな自分のやっていることはでたらめだな、数も捏造をやっているなというのをわかっていたんじゃないですか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 今般、国税庁において、障害者雇用率制度の対象となります障害者の計上が不適切であったことが判明し、法定雇用率を達成していないことが明らかになったことは、民間に率先して障害者雇用に取り組むべき立場としてあってはならないことであると深く反省することでありまして、心からおわび申し上げます。

 御指摘の点につきましては、今般の検証委員会による調査にきちんとお応えすべく、可能な限りさかのぼって過去の担当者への聞き取りや保存資料の精査を行ったところ、今般の不適切計上は、身体障害者手帳等を確認することなく、前年までに障害者として報告している者と同程度の障害を有する者を報告対象の障害者として計上する、そういった実務慣行を歴代の担当者が安易な前例踏襲により引き継いできたことに起因することが判明したものであります。

 ただ、こうした計上方法が誤りであるということを明確に認識しながら、あえて不適切な計上を行っていた例というものは確認できなかったところでございます。

 いずれにしましても、障害者の計上が不適切であったことは事実でございますので、国税庁といたしましては、検証委員会の報告書を改めて真摯に受けとめ、深く反省するとともに、公務部門における障害者雇用に関する基本方針、これに沿って、不適切計上の再発防止に取り組むことはもとより、組織全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底し、その取組を強化してまいりたいと考えておるところでございます。

宮本(徹)委員 明確な誤りだと認識していた人がいなかったなんて、本当にそんなことを思っているんですか。うつ状態や不安障害だとかが何で身体障害者になるんですか。まだ精神障害者にカウントしていたら、これは誤解だったというのが通用するかもわからないですけれども。しかも身体障害者の内部障害。内部障害といったら、心臓が悪いとかそういうやつですよね。

 一つの国税局からの報告だけじゃないですね。聞いたら、半分の国税局がそういうようなカウントをしていた。組織的にやっていたに決まっているじゃないですか。みんなでまた隠蔽していこうという話なんじゃないですか。

 私、本当に、恐らく今まで少なくない方が、こんなでたらめなことはやめた方がいいと言った方がいろいろなところでいたはずですよ。それを握り潰してきたんじゃないですか。違いますか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 うつ病等の精神障害を身体障害として計上してきたことにつきまして、今回、不適切計上問題が明らかになる以前におきましても、障害者の区分の範囲が緩いのではないかというふうな違和感を感じた担当者は確かにいたかもしれません。

 しかし、当時の歴代の担当者にしてみれば、こうした計上方法が長年運用され、かつ受け入れられてきた実務慣行でありまして、厚生労働省の方からも特に誤りであるとの指摘を受けなかったことから、それまでの運用を変更するという必要性を認識するまでには至らず、前例踏襲を続けてきた結果、不適切計上を是正する機会を失って、長年にわたってこれが継続することになったということではないかと考えているところでございます。

 まことに申しわけないと考えているところでございます。

宮本(徹)委員 違和感を感じた人がいたかもしれないなんということは絶対ないです。絶対、こんなのおかしいと言った人がいっぱいいると思うんですね。

 半分の国税局は多分直ったんだと思います、文句を言った人がいて。でも、半分の国税局はずっと同じようなやり方をしていたという話じゃないかなというふうに私は思いますけれども、いずれにしても、この実雇用率を厚労省に報告するというのは、捏造の数字だということを、確信犯的に、思っていない限りは、こんなことやれっこない話ですよ。

 きょう、ほかの省庁も含めた「実雇用率」の推移とかぎ括弧をつけていますけれども、出しておきましたけれども、グラフを見たらわかります。障害者雇用の水増しが多かった省庁を並べました。法定雇用率が上がれば、それに合わせて、見かけの障害者の実雇用率も上がるように捏造していっているわけですよね。

 検証委員会の調査報告を見たら、いろんなことをやっていますよ。防衛省、依頼のメールで、退職者がいる機関については、少なくとも退職者数と同数の掘り起こしを実施してください。農水省、人事担当者の周囲にいる者のうち、眼鏡、しぐさ等から視力が悪そうな者から裸眼視力を聴取し、計上していた。国交省、各部局から報告のあった障害者リストを取りまとめる際に、これは足りなかったからでしょうね、過去の全体リストに掲載されていたもう退職した人も含めて計上していた。法定雇用率をクリアするために、めちゃくちゃな数合わせを各省庁やってきているわけですよね。

 ところが、国税庁は、この黄色の折れ線を見たらわかるように、法定雇用率をちょうどクリアするような形で数の報告をやっているんですけれども、これはたまたまこうなったんだとしか答えていないんですね。私、意図的なごまかしをしない限り、こういうことにはなり得ないと思いますよ。

 大臣、これで曖昧で終わらすわけにいかないと思うんですね。徹底した調査、そして厳正な処分が必要じゃないんですか。

麻生国務大臣 今般の不適切な計上問題については、民間に率先してこういったものを、障害者雇用に取り組むべき立場の役所としてはあってはならないことであって、これは重く受けとめねばならぬところだと思っております。

 いわゆる検証委員会の調査に対して、財務省、国税庁としても、可能な限り、いわゆる過去の担当者、記録等々にさかのぼる調査を行ってきたところで、最大限の対応をしたと今考えておりますが。

 いずれにいたしましても、その結果として、法令やルールに反して許されないものであると認識しながらあえて計上するといった、意図的に行ったという例は確認できなかったと理解をいたしております。

 いずれにしても、障害者の計上というのは不適切だったということは確かでありますんで、そういった意味では、この事実に対して、今般の事態はこれは厳しく注意せないかぬということで、過日、矢野官房長を呼んで、十月末でしたか、この話をして、雇用率の速やかな達成に取り組んでいくようにということを指示をさせていただいたところです。

宮本(徹)委員 私、最大限の調査をやったというのはとても言えないと思いますよ。何も真実がまだ明らかになっていないじゃないですか。だって、大臣だって、こんなグラフを見て、こんな都合よくたまたま上がっていくような数字が出てきたとはならないでしょう。意図的に水増し、捏造をやってきたわけですよね。

 ですから、これで終わりにしない、さらなる調査というのをやるというふうに、大臣、お約束ください。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 先ほど国税庁の次長が御答弁させていただきましたように、本件につきましては、厚生労働省の指導のもとに、各省と並びまして、徹底した調査をさかのぼって行いました。その結果がこのようなことでございまして、その質的な中身も先ほど次長がお答えしたとおりでございますので、それが事実でございます。

宮本(徹)委員 この検証委員会のヒアリングだって見ましたけれども、三十三の機関に対して三十五時間ですよ。一機関に対して一時間しかやっていないんですよね。そんなので終わりというのは、はっきり言って、障害者の当事者の皆さんたちも全く納得できないと思いますよ、こんなことで終わりにしたら。本当の意味での反省と再発防止というんだったら、なぜこういうことが起きたのかというのを、過去の慣例にのっとったというんだったら、過去の慣例の出発点までさかのぼって調べる必要があるということを厳しく指摘しておきたいというふうに思います。

 その上で、今後の障害者の採用の取組についてもお伺いしますが、国税庁が厚労省に提出した取組の計画を見ると、常勤での採用を行うことを検討。偉いなと思って数を聞いたら、今年度五百五十のうち、常勤は五十、非常勤は五百。虚偽報告しているんじゃないかと思いましたよ。私は、合理的配慮をしながら、可能な限り常勤を基本にすべきだというふうに思います。

 それから、財務省の取組計画を見て驚きました。期間業務職員の契約更新は二回までとされているが、障害者に関しては更新回数の制約を撤廃するようお願いしたいと書いてありますね。私、毎年仕事があるんだったら常勤にすればいいじゃないかと。

 民間では非正規雇用も契約が五年を超せば無期雇用になる転換権が発生するという法律もできました。雇用の安定というんでしたら、常勤にする、少なくとも無期雇用への転換の仕組みを設けるべきだと思いますが、大臣、どうですか。

麻生国務大臣 この財務省の障害者雇用の推進に向けた取組計画を作成した際の話ですけれども、これは事務方が民間の実務家、いわゆる仕事でそういった担当をしておられる方々から聞いた話の中で、障害者の方々の中には、常勤職員としてフルタイムで働くということは難しい、非常勤での採用を望む方がおられるという実態があります。

 また、現行ルールのもとでは、一旦採用されても、三年後には契約が自動延長されなくなるといった条件があります。それを不安に思って応募をためらうという方も出てきておられるということも考えておいてもらわないかぬという話を聞かされて、それで事務方の方から、障害者の方から、非常勤の方で長期安定して勤務したいと望む場合に限って、それが可能となるようなルールの整備について意見を提出したというように聞いておりますので、私どもとしては、引き続き政府内の関係部署で検討されていくものだと考えております。

 いずれにいたしましても、望ましい状況というのがどういう状況なのかというのは、これはなかなか難しいところでして、私どもとしては常勤と思っても、御本人たちが常勤を希望しておられないという例もありますので、そういった点に関して丁寧な対応をしていかねばならぬところだと思っております。

宮本(徹)委員 私は先ほど、常勤になりたい人は常勤、そして仕事があるんですから無期雇用への転換権、これは民間ではあるわけですから、本人が望めば無期雇用になれる、それを設けるというのが基本的な考え方になるんじゃないですかということを大臣にお伺いしたんです。その点はどうですか。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 常勤雇用化を図っていくことが大切であるということは十分認識をしております。

 今回、いろいろと計数上の不始末があって、各省それぞれきちんとした雇用をしようとしているわけですけれども、その一環として、人事院が新しい統一的な試験を設けて常勤職員としての採用を始めるとか、あるいは非常勤で始まった雇用の方についても、ステップアップで常勤に移っていただくといったことをそれぞれがしようとしておりますし、財務省としても、あるいは国税庁を含めまして、そういうことをしていこうと思っておりますけれども。

 御指摘の、その提案をしてしまいましたことにつきましては、これは先ほど大臣からも答弁させていただきましたけれども、そういう希望をしている人がいるということがあって、これは実は、障害者でない方についても同じことがあるんですけれども、三年で打ち切られてしまうということに対する不安があって、非常勤でいいんだけれども続けたいというニーズがあって、そこに対しても機会を与えさせていただくという意味で提案をさせていただいたものでございます。

宮本(徹)委員 ですから、常勤でフルじゃなくて、何らかの非常勤みたいな形でも無期雇用に転換する、非常勤の無期雇用タイプみたいなものを考えればいいわけであって、一年更新の、いつ切られるかわからないというんだったら、不安定な状況がいつまでも続くということですから、それをなくそうというのが無期雇用への転換権、民間で始まっているわけですから、そのことこそ考えるべきだということを重ねて指摘しておきたいというふうに思います。

 それからあと、たくさんの人を採用していく過程で、今いる非常勤の人が雇いどめになるんじゃないかという不安も出ております。

 それから、定数がふえない中で仕事も大変な中で障害者の方が入ってきたときに、新しく雇用される障害者に重い重い仕事の負担がしわ寄せでいく、そのことからまた体調を崩すという悪循環の懸念というのもありますので、定員拡大も含めて思い切った予算措置を大臣にはとっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 二つ目に、森友文書改ざん問題についてお伺いします。

 理財局からの指示で改ざんを強いられた近畿財務局の職員がみずから命を絶つという事件が起きました。

 通常国会で矢野官房長は、パワハラがあったということであれば、調査の過程でその実態を把握していくこともあり得るとおっしゃっていました。

 人事院にきょう来ていただいていますが、パワハラの定義、ちょっと紹介してください。

遠山政府参考人 お答え申し上げます。

 パワーハラスメントの定義について、法律又は人事院規則で定めたものはございませんが、職員への周知啓発のため人事院が作成した「パワー・ハラスメント防止ハンドブック」では、「一般に「職務上の地位や権限又は職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、人格と尊厳を侵害する言動を行い、精神的・身体的苦痛を与え、あるいは職場環境を悪化させること」を指す」としてございます。

宮本(徹)委員 つまり、今の定義からいうと、理財局の幹部職員が近畿財務局の職員に改ざんを強いたというのは、まさにパワハラに当たるということが言えると思います。

 しかし、財務省の調査報告書を見ましたが、この職員へのパワハラについては、事実の解明、責任の所在、あるいは当該職員の処分については書かれていないんですね。

 これは、パワハラはなかったという認識なんですか。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 パワーハラスメントの定義につきましては、今、人事院から御答弁がありましたように、法律や人事院規則という表立ったルールの中にはそれがまだ今はございません。

 したがいまして、例えばセクハラですと、セクハラの処分ルールということまであるわけですけれども、パワーハラスメントという言葉は、ルールとしてもそもそもなくて、処分の考え方というものもない状態でございます。

 ただ、概念としてはありますので、それをどう捉えるかということだったわけですけれども、私どもが六月の四日に調査報告書で記載させていただきましたように、本省の理財局から近畿財務局に決裁文書の書換えを行うよう具体的な指示をした云々ということが認定されておりまして、これはまことに不適切なことを近畿財務局に強いたという事実はあるわけですけれども。

 他方、その同じ報告書の中で書かせていただいておりますように、近畿財務局の統括国有財産管理官の配下の職員は、そもそも改ざんを行うことには強い抵抗感があったこともあって、本省理財局からのたび重なる指示に強く反発して、管財部長、近畿財務局の幹部ですけれども、に相談をし、また、それを受けて、本省理財局の総務課長と近畿財務局の管財部長の間でも相談が行われて、結果として、その配下の職員たちに対しては、これ以上作業に関与させないというふうに、自浄作用と言っては口幅ったいですけれども、改めるという動きがございました。

 ある意味、先ほど人事院が申された三つの考え方に当たっているではないかという御批判、御指摘、あろうかと思いますけれども、それを外から言われる前に改めたという部分があるわけです。

 定義がはっきりしない中で、これに当たる、当たらないというところが言えないわけですけれども、報告書の中では、そういう不適切な行為が本省理財局の指示であった、それをもって処分を行ったということでございます。

宮本(徹)委員 いや、定義はないと言いますけれども、法律上の定義はないかもわからないけれども、人事院自体は、先ほど紹介があったハンドブックまでつくって、パワハラはこうだということまでやっているわけですよね。

 しかも、先ほど自浄作用が働いたかのようなことを言いましたけれども、それは途中からこれ以上関与させなくなった話であって、それまでは関与させていたわけですよ。そのことによって、この亡くなられた方は、常識が壊されたということを親族に漏らされていたわけですよね。まさに改ざんの強要で、精神的、身体的苦痛を与えたという話じゃないですか。

 財務省が今取り組んでいます財務省再生プロジェクトのアンケートを見ましたら、ハラスメントがあった場合には厳正に対処すべきと回答もありました。私は、このパワハラ問題も不問にしちゃいけないと思いますよ。やはり、改めて調査を行って厳正に対処すべきだということを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、消費税一〇%増税について伺います。

 消費税一〇%増税をめぐって、我が党の出しているしんぶん赤旗日曜版に珍しい方が登場してくれました。内閣官房参与の藤井聡さんが、一面に登場していただいて、こう言っています。

 「消費に対する罰金として機能する消費税を増税すれば、消費は低迷し、国民の貧困化がさらに加速するのは間違いありません。」「今なすべきは消費税増税ではなく、所得税の累進課税を強化し、法人税率を引き上げることです。企業は多くの内部留保を抱えています。法人税率を上げることで内部留保が実体経済に還流され、大きな経済効果が期待できます。」

 何かもう本当に、この方の言うことを皆さん聞いていただいたらいいなというふうに思いますが、麻生大臣、消費税増税したら、また個人消費が落ち込んで、経済に深刻な打撃を与えることになることは明らかじゃないですか。

麻生国務大臣 藤井さんの御意見というのは、そういう御意見もある。個人的に知っていますから、知らないわけではありません。

 その上で、我々、政権交代以降、個人消費というものに深刻な打撃を与えるのではないかという御指摘なんだと思いますが、少なくとも、今の現状を見て、この数年間の間、GDPとか企業収益とかいうのは、これは過去最高水準に達しております。また、有効求人倍率、よく言われる数字ですけれども、就職がよくなったということもこれははっきりしておりますし、また、失業率も二十五年ぶりで二・二%までとかいう形で低水準になっておりますし、賃金も、少なくとも、まだまだと思いながらも、二%程度の高い水準の賃金アップというようなものが約五年間継続しておりますので、雇用・所得環境は前に比べてよくなっていると思いますので。

 そういった意味では、我々としては、二〇一三年の水準というものを上回るという形になってきているのが、国全体の収支を捉えますGDPのベースで見ましてもそういう形になっておりますので、我々としては、今回の消費税率というものは三%ではなく二%ということでもありますし、前回の引上げのときにいろいろ起きました駆け込み需要とか反動減とか、いろいろ問題があるのは事実でありますので、そういった問題に対して万全をとりたいということで、いろいろな形で、消費税の引上げによる増収分の使い道というものに関しましても、いろいろ今対応させていただいているということであります。

 結果として、消費税の導入される直前の駆け込み需要とかその後の反動減、そういったものをなるべく平準化させていくということは極めて大事なところで、そのためには、低所得者層を中心としたそういった支援措置等々の対応を更に行っていくというようなことを考えてやっていかねばならぬところだと思っております。

宮本(徹)委員 いろいろの対策を打つといっても、実質所得を奪う以上、個人消費がその分冷え込むというのは、これはもうはっきりしていることだと思いますし、二〇一四年の増税での落ち込みがまだ戻っていないよというお店は町を歩いたらいっぱいありますよ。それは麻生大臣も聞かれていると思います。

 それから、景気、個人消費の落ち込み対策と言われる、キャッシュレスの場合二%ポイント還元についてもお話をお伺いしたいんですが。

 これは、私も地元の商店街を回りましたけれども、どこに行っても大変評判が悪いですね。批判の声が多いですよ。大体、カードは手数料が高いからやっていないという店もかなりたくさん、古くからやられているお店だとあります。それから、カード決済を導入しているお店でも、手数料が高いので、二千円以下の買物はお客さんには現金で支払ってくれとお願いしているんだというお話もお伺いしました。

 少ない利益の中から手数料をがばっと持っていかれるというのは、本当に小さなお店からいったら厳しい話だというふうに思います。かといって、こういうものを始めたら、現金商売を続けるとカード決済のある店にお客さんが移動しかねない、そうすると売上げが落ち込むということになります。

 ですから、今回出ているこのキャッシュレスポイント還元というのは、古くからやっているような中小零細業者を苦しめることになるのは明々白々じゃないですかね。

麻生国務大臣 お尋ねのキャッシュレスとかポイント還元の話というのは、これは所管は経産省ですからそちらに聞いていただいた方が正確なんだと思いますけれども、現在検討中なんだと承知をしておりますので、現時点で確かなことは申し上げられないのは事実であります。

 消費者に対してキャッシュレスの対応というのは、これは多様な選択肢を準備することになりますし、今言われましたように、カードの中でも、JCBとかいろいろなカードがあるのはありますけれども、そのほかにもいろいろな、交通機関が出しておりますカード等々もありますので、そういったようなものによって還元の率が、パーセントがえらい違っておりますから、そういったところの内容をどうしていくかというようなこともいろいろ検討を進められているものだと承知をしております。

宮本(徹)委員 私が聞いたのは、制度の検討内容を聞いたわけじゃなくて、中小零細業者が苦しむところがたくさん出るんじゃないですかということをお伺いしたんですよ。

麻生国務大臣 いろいろな対応が出てくるんだとは思いますけれども、少なくとも、今、先ほども御質問のあった中で、野田先生の御質問にお答えをしたと思いますけれども、少なくとも、こういったような話をするときに、移行期間はある程度考えないかぬということで、我々としては、当初四年間、更に六年間という形で、トータル十年間ぐらい、いろいろな対応をやれるような形にさせていただいているというように理解をしておりますので、手間がかかるという点は確かかもしれませんけれども、恩典もそれに伴って出てくるので、そういった意味によって、私どもとしては、マイナスばっかりでもないのではないかという感じがしております。

宮本(徹)委員 それはインボイスの話ですよ、先ほど大臣が今答弁されたのは。移行期間はないですよ、このキャッシュレスポイント還元の話は。消費税一〇%増税と同時にやろうという、もう一年もない話ですよね。

 どう考えても、今、現金商売中心でやられている中小零細業者、これは苦しむことになりますよ。そう思われませんか、大臣。

麻生国務大臣 何回も申し上げますように、このキャッシュレスの決済を利用して中小・小規模という話は、これは主に経産省のやっておられる話なので、いきなりこちらに言われても、これは全部細目詳しいわけではありません。そうお答えせざるを得ませんから、その上でお答えをさせていただくというところを、宮本先生、ちょっと理解しておいていただかないと、担当が全然違いますので。

 その点だけは頭に入れておいていただいた上で、キャッシュレスのさっきの話の、Suicaとかそういったものは、いわゆるインボイスと違って即やるという話になっているそうですので、そういった意味においても、今まで聞いている話でいくと、経産省の中でいろいろなものを検討しているという話以上、細目詳しいわけではありません。

宮本(徹)委員 国の全体の財政を統括している財務大臣ですから、しっかり、中小業者を苦しめるようなところにお金を使うなんという、こんなことをやらないといけないような話はやめろということですね。ちゃんとしっかり考えていっていただきたいというふうに思います。

 それから、複数税率の問題について伺います。

 きょう国税庁にも来ていただきました。改訂版のQアンドAを私は見ました。コンビニエンスストアの場合は、イートインコーナーを利用する場合はお申し出くださいと掲示があれば、申し出なければ軽減税率になると書いてありました。

 改めて確認しますけれども、初めはお弁当を持ち帰ろうと思ってレジでは申し出なかったけれども、例えばイートインで友人が食べているのを見て自分も食べていこうと思った、こう気が変わった場合は、追加で二%分をお店が求める必要はないということでいいわけですね。

並木政府参考人 お答えいたします。

 軽減税率制度における適用税率の判定につきましては、その販売時点で販売事業者が判断するものでございます。

 このため、飲食設備があるコンビニエンスストア等の小売店等においては、飲食料品を販売する際、顧客に対して店内で飲食するか持ち帰るかの意思を確認することなどによって適用税率を判定していただくこととなります。

 そういう観点から申し上げますと、ただいま御指摘のありましたような、イートインコーナーを利用する場合はお申し出くださいと表示をした上で特段の申出がない場合は軽減税率の適用ということになりまして、顧客が一旦持ち帰りとして購入した後、気が変わった場合についても、お店の側から二%分を追加で徴することまでを制度として求めるものではございません。

宮本(徹)委員 そうすると、申出がないと八%だと。では、客が意図的に店員をだまして税率八%で購入する、イートインを使う、この場合もお店は追加で二%分を求める必要はないということでよろしいですね。

並木政府参考人 お答え申し上げます。

 仕組みとしては、ただいま申し上げたとおりと全く同じでございますので、まさに適用税率の判定は、その販売時点で販売事業者が判断するものでございますので、そういう観点から申し上げますと、今申し上げた、客が意図的に申出を行わずにイートインで食べるということになった場合につきましても、販売事業者が顧客に対して二%分を追加で徴することまで求めているものではございません。制度として求めるつもりはございません。

宮本(徹)委員 つまり、意図的に申し出なくても八%です、二%追加を求める必要もないと。

 では、毎日毎日、まあ毎日イートインで食べる人がいるかどうかわからないですけれども、毎日毎日、店内で食べると言わずに八%で購入してイートインで食べる、こういう人がいてもお店は注意する必要はないということですね。

並木政府参考人 お答え申し上げます。

 お申し越しの点につきましては、先ほど申し上げている原理原則で申し上げますと、その販売時点で販売事業者が判断するということでございますので、基本的には特段お店側から求めるものではないというのが原則でございます。

宮本(徹)委員 つまり、毎日毎日、八%です、持ち帰りますという意思表示をしてお店で食べていてもお店は注意する必要がないというのが国税庁の今の見解です。

 総理は、二〇一六年三月十四日の予算委員会でこうおっしゃっています。テークアウトすると言ってそこでお子さんが食べていたら、周りにいる大人は、間違っていると注意するのが大人の義務だ。総理が予算委員会で国会の場で大人の義務だと言ったことも、やるな、やらなくていいよということに変わったということでいいわけですね。

並木政府参考人 お答えいたします。

 軽減税率制度につきましては、先ほど来申し上げているとおり、飲食料品を販売する際、営業実態に合わせて、お持ち帰りかどうか顧客の意思を確認することなどで適用税率を判定するということが最も現実的な方法であるというふうに考えていることでございまして、そういう意味では、顧客の営業実態との関係で、多くのお客さんが、イートインがメーンのファストフードにおいて、イートインコーナーを利用する場合はお申し出くださいという掲示のみで意思確認を行って、何ら申出もしないというような状況が長く続いているというような実態があるようなことがあれば、それは、その上で、営業の実態と申告内容が著しく乖離しているというような状態があることが確認できれば、必要に応じて、事業者に対して税務当局から指導等を行うことを通じて是正が適正に進んでいくというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 いや、今のは違う話がまた出てきたと思うんですけれども、だます人がたくさんいた場合の話ですよね、今のはね。だます人がたくさんいるわけじゃないです。同じ人がずっとだまして食べている場合は、いるかどうかは別ですけれども、それは見逃していいですよというのが国税庁の今の立場ということなんですよね。

 ですから、今回の複数税率では、社会のモラルを守るためにとるべき答えと、お店に過度な負担を求めずに、お店がトラブルに巻き込まれないようにするための答えというのが、違う答えが出てきちゃうわけですよ。両立しないんですね。ですから、今度の複数税率というのは、私は深刻な矛盾をはらんでいると思います。

 大臣、最後一問だけ聞かせていただきますけれども、正直者がばかを見るという税制をつくっていいんでしょうか。

麻生国務大臣 私どもの周りに余りあなたのような極端な方がおられませんものですから、ちょっとなかなか実態として、たびたび、毎回毎回、八%でごまかして一〇%の分でそこで食っちゃうという人が、私の周りには残念なことだか幸いなことだか知りませんがおりませんものですから、ちょっとそういったような例を引かれて、何か日本じゅう皆そんなような人たちばかりのような話を聞いていると、そんな感じがしてきますけれども、そんなことはないんじゃないかな、正直私はそう思いました、今の感じで。

 いずれにいたしましても、正直者がばかを見るというような感じの法律をつくろうとするつもりはありません。

宮本(徹)委員 正直者がばかを見る税制をつくる気がないんだったら、複数税率を伴う一〇%への引上げはやめるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

坂井委員長 この際、発言を求められておりますので、これを許します。麻生大臣。

麻生国務大臣 先ほど誤解を招くような答弁になったんだという指摘をいただきましたので、重ねて申し上げます。

 米国の憲法上で、通商交渉というのは議会ということになっております。ところが、現実問題として、アメリカの大統領が条約やら何やら結んで帰ってきた後、議会で否決というのがたびたび起きましたものですから、一九七四年にファストトラックという法律をつくりまして、それをやめて、そして大統領に権限を与えるというので、その交渉する組織としてUSTRをつくった。これは一九七四年につくっているんですが、そのUSTRが海外との交渉をしてもいいという権限を与えるのは、アメリカの議会の承認が終わってから九十日ということになっていますので、先ほどの野田先生の御質問でしたけれども、ペンス副大統領は、まだ九十日は、来年の一月の、十月十六日ですから一月の十四日から十五日までに、まだなっておりませんので、そういった意味では、ペンス副大統領はその権限をお持ちでないという立場なので、なかなか私と話が難しいということをお話しさせていただいたというふうに御理解いただければと思います。(発言する者あり)USTRは議会に直結しております、済みません。USTRは一九七四年に直轄の組織としてできあがっている、間違いございません。

坂井委員長 では、質疑に戻ります。

 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳です。

 あと三十分ほど、きょうは八時五十分理事会、九時委員会というような十一時間の長丁場で皆さんお疲れかと思いますが、おつき合いをお願い申し上げます。

 大臣の発言に対する質疑ということで、通常、丸山議員がこの臨時会からは財金のメンバーですけれども、きょうは私がかわりに質問させていただきます。

 まず、ゴーン会長の逮捕。有価証券報告書を出している、日本の株価を形成する大手の自動車メーカーがこのような事案を起こしたということは、有価証券報告書を出している現社長も含めて、大変大きな問題であるし、それこそ、よく言葉が出てくるゆゆしき事態であるということだけは付言させていただきたいと思います。

 そこで質問に入りますが、まず税関の職員の数の確保の問題で質問しようと思ったんですが、野田総理からちらっとありましたので、時間があれば後で質問をさせていただきたいと思います。

 また、いろいろ質問を挙げている中で、全部質問ができる時間がないかもしれないので、あらかじめですけれども、三十分という時間ということで、ちょっとおわびを先にさせていただきたいと思います。

 そこで、大臣の発言があって、一枚目の終わりのあたりから、人生百年時代を迎える中、国民の生活を通じた安定的な資産形成の推進に向けて、少額からの長期、積立て、分散投資を促すつみたてNISAの普及を図りという表現があられました。

 それで、昔同僚だった中西参議院議員あたりも、このつみたてNISA、頑張ってくださっているということは承知しておるんですけれども。

 きょうは、ちょっと大上段でお恥ずかしいんですけれども、私は、麻生副総理・財務大臣が実は内閣の中で一番経済がわかっていらっしゃるというふうに勝手ながら思わせていただいていますし、いつも申し上げますが、安倍・麻生アドミニストレーションと申し上げておりますけれども、実際、安倍長期政権の中でかわっていない閣僚というのは安倍総理と麻生副総理・財務大臣・金融担当大臣と菅官房長官のお三方だけということなので、本当にこの政権を支えていらっしゃるし、安定的な政治運営というのはある意味評価させていただきたいと思っています。

 いろいろ御議論はありますけれども、その上で、私は率直に、今、日本の信用力ってどこにあるんだろうということをちょっと皆さん考えていただきたいとも思うんですけれども、ちょっと一方的にお話しすることになるかもしれないですが。

 率直に言って、日銀がセカンダリーマーケット、流通マーケットで国債を買ってかなりの保有額を持っているというような状況があり、一方で、先ほども前総理と元総理の質疑があって、ワニの口のお話というか、そういったような類いの歳出歳入の状況についてお話があって、正直、私が今感じるのは、世界から見て日銀が信頼されているのか、あるいは、世界から見て、御無礼ながら、現政府が信頼されているのかという点は、若干、世界のマーケット関係者並びに政治関係者等いろいろあって、国と国との相対的な立ち位置みたいなところで、いろいろな経済のファンダメンタルズの評価とかあるとは思うんです。

 一方で、やはり我が国の債務が、国の借金が、国債の発行額が一千百兆というような額というのは、やはり突出した状況にあるということは否めない事実であるというふうに思っています。

 そんな中で、我が国の信用力というのは、それを形成しているのは、国民の金融資産と言われる千八百兆円のお金ではないかなというふうに実は思っています。

 今、大臣の所信的発言をあえて申し上げさせていただきました。その中で、分散投資を促すという表現をいただいているかと思うんですけれども、そして、この分散投資という考え方は、投資の年金運用なんかはもう、私、仕事をしていた関係で、企業側の立場で金融機関に分散投資ということで、株と債券と、それは国内ですね、それから、海外の株と債券という四つのクラスターに分けて、分散投資をしていただくというようなのが主流でございました。そういった意味での分散投資というものがあります。

 今ちょっと申し上げたように、内外ということで、国際的に、海外の株式であり海外の債券というものに投資をして、年金の運用などを、企業のサイドのファンドを運用するということを金融機関ないし投資顧問会社等が行っているというのが事実だと思うんですけれども、私は、この国際分散投資というのは極めて、分散投資は大事なんですけれども、そこであえて申し上げますが、国際分散投資が極めて有効ではないかなというふうに実は感じております。

 何となれば、実は、今信用というお話をさせていただきましたが、私どもの同僚の議員が、ちょっと適切な表現かどうかはわかりませんけれども、「日銀破綻」という表現の本を出版されました。

 そして、私は、今この政治の立場にいさせていただいて、政治家として、慎重に物言いはしなきゃいけないし、決して不安をあおってはいけないという立場にいさせていただいているとは思っておるんですけれども、一方で、よくハイパーインフレという言葉が使われたりいたします。そのハイパーインフレという表現が適切かどうかわからないですが、インフレのリスクというのがよく言われるんですけれども。

 それで、元財務省出身の高橋さんあたりとも議論をしたりして、国債市場というのを、私の経験から前もお話をさせていただいたかもしれないんですが、宮沢政権のときに、公定歩合というのが前にありまして、それを引き上げるという話が一瞬出たときにマーケットが成り立たなくなって、一時間ぐらいですか、全く値がつかないという国債市場の状況が、一九九二年だったかと思うんですけれども、ございました。

 そのときは、もう償還を迎えたと思うんですけれども、三・九国債と言われる、四%を割ってしまう二十年債が、人気がなくて買い手がいないというような銘柄であったんですけれども、今三・九というのはすごい数字なんですけれども、値つかずという状態が続きました。

 そんな意味で、国債の市場が暴落するリスクというのをちょっと考えたんですけれども、これは財務省出身の高橋さんあたりともお話をして、いざ、今、国内の九百九十九兆円、国債が全体として出ていますけれども、これは本年六月末の速報ベースですが、日銀の保有が四百四十五兆円、比率四四・六%、海外投資家保有が六十一兆円、六・一%の保有です。

 この部分で、海外投資家が売ったらどうなるんだという話をしますと、日銀がセカンダリーで買い支えをすれば、国債マーケットは何とかもつのではないかと。私も、冷静に考えると、国債の市場というのは、日銀が何とかこの六・一%の海外投資家の保有というものの売却圧力が出たときにもセカンダリーで買い支えれば、国債マーケット、JGBマーケットは私はもつと思っております。

 ただ、フォレックスの方のマーケットですね、外国為替の市場について、我が国の信用力が、残念ながら、今申し上げた、私の勝手な解釈ですけれども、政府への信認、日銀への信認、そして私は、とりでである国民の皆さんの本当に大切な富、この富が少子高齢化の中でだんだん将来的には減っていくリスクがあって、これが減っていくことによって日本の信用力が失われるという状況が出たときに、今申し上げた国債の売却が起きるリスクがあるのかなというふうに思っています。

 しかし、国債のマーケットは、何とかこれは日銀の買い支えで耐え得るかということを勝手に思っているんですけれども、しかし一方で、外国為替市場の方は介入で歯どめがきくかということをちょっと、私は頭の体操というかシミュレーションで考えておく必要があるのではないかということで今申し上げさせていただいています。

 当局は、いわゆる平衡操作、平衡介入と称する介入を行って市場の下落をとめるということがありますけれども、よく言われる単独介入では焼け石に水、各国との協調介入がこのフォレックスマーケットの安定という意味では絶対に必要なわけでありますけれども。

 しかしながら、例えば日本の、ずっと一人でお話しして恐縮ですけれども、信用力というものが、政府ないし日銀の信用力が若干危惧が出たときに、欧米などの国々がいつまでも国際金融秩序の維持という形で協力をしてくれるかどうかというのが、今は大丈夫ですよ、麻生さんが何かの講演で、これまで日本は借金がふえたけれどもずっともってきたじゃないか、もう十何年言われているけれども全然大丈夫だと。これはおっしゃるとおりです。

 しかし、この先、まだ十年大丈夫かもしれません、しかし、二〇二五年問題を超えて、二〇三〇年になって、二〇三五年になって、二〇四〇年になったときに、本当にこの国がもつのかどうかという点はちょっと議論をしておく必要があるということで思っておりまして、そんな意味から、為替マーケットは大変厳しくなるのではないかというような読みをしています。

 済みません、話が一方的になりましたけれども、ここでちょっと話を戻して恐縮なんですが、NISAに絡む分散投資を更に援用させていただいて、国際分散投資というものについて、経済が一番わかっていらっしゃる麻生財務大臣はどういう御認識をお持ちかどうか、教えていただければと思います。

麻生国務大臣 個人金融資産約一千八百七十兆、そのうち現預金の比率は、今九百三十兆ぐらいですかね、そのくらいになっていると思いますけれども、少なくとも、これだけの個人金融資産というものの半分以上が現預金というようなものは、ちょっと世界に類を見ませんな、それほど現金に偏っておられる。それほど株が信用されていないということなのかもしれませんけれども。

 そういった形になっているのが今の現状の個人金融資産の内容なんで、そういった意味で、我々としては、つみたてNISAというのの導入などによって、少なくとも、長期で積立てで分散投資というものを我々として促してきているのがこれまでなんで。

 国際分散投資ということにつきましても、投資のリスクというのを、日本だけでやっていると非常に偏ったことになりますんで、そういった意味では、いろんな形で分散投資をすることによって、今、日本では金利はほとんどただみたいなものですけれども、もっと高い国はいっぱいありますんで、そういったところのものをきちんとわかっているインターナショナルな金融機関というものは、そういったところにきちんと日本で金を集めてそこに投資して、そこの利息をきっちり取って、日本にちゃんと戻して自分で利益を取るとやっていますから、そういったようなことをやれるというのは、私どもとしては、分散投資というものはインターナショナルにやる方が極めて有効な手段の一つであるということは確かだと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 この国際分散投資、うがった見方と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、将来の日本の不安に対して、ハードランディングではなくてソフトランディングというか、あるいは激震をできるだけ弱めるとか、そういうことも思案しておく必要があるという思いの中から、国際分散投資を、フライ・ツー・クオリティーと言われて、国内が不安だから海外に資産を逃がすというような、そういう認識で日本の富を持っている、特にお金持ちな方々が海外に行ってしまうというのは、これは困った話でもあると思いますけれども、そうではなくて、健全な意味で、やはり海外の投資というものを進めていく必要があると思っています。

 殊に、ちょっと今、直近、ブレグジットで閣僚が二人やめられたという英国は揺れていますけれども、御案内のとおりかと思いますが、イギリスはインフレターゲットの目標を超えている数少ない国であるということでありますし、海外保有資産、これを見ても、歴史的に見て、大英帝国以来の旧宗主国として、従前から海外資産、このリターンといったものを持っているということです。

 また、現行、欧州主要国の中でも最大の、対GDP比六〇〇%に届かんとする対外資産を保有しているというのが英国でありますので、対外負債もちょっとイギリスはありますけれども、こういったことが一つのあり方みたいなところで、対外資産を積み増していくことによってイギリスの場合はポンド価値の防衛を私は裏づけていると思っておりますので、先ほど申し上げた為替の急激な変化に対するリスクとしても、海外に日本の富があって、いざ、円安傾向が、今ちょっと為替は戻っていますけれども、百十二円三十八銭とかそういう状況ですけれども、将来的に見て、日本の資産がドルベースなりユーロベースで見て目減りするということに対するアンチテーゼというか、アンチの資産の保全という意味からも、海外分散投資をぜひ私自身は考えるべきであるというふうに思います。

 株と債券というようなことだけではなくて、国内はFTAというのがありますけれども、やはり海外の不動産、こういったものにも金融機関が目を向けて投資を行っていくとか、あるいは、税関の問題で金の密輸の問題がありますけれども、金といったものも、私の相場的な感覚でいくと、ドルと金が対峙していて、どっちかというと、ドルと円という意味では、円と金はリンクして動くというような感覚を私は持っております。

 ただ、それでも、円と金というのも相場形成を当然するわけなので、円が非常に弱くなったときに金資産を持つというのも、またこれも我が国の、一千八百七十一兆と大臣はおっしゃいましたけれども、こういった国民の富、国民の皆さんの富を保全するという意味からは、NISAというものをまずは通じて、マーケットに対する理解を持っていただきたいですし、おっしゃっていただいた、現預金が非常に膨らみ過ぎている我が国の運用の資産形成の状況というところを鑑みれば、やはりNISAみたいなものを通じて、海外にもう少し国民の皆さんの富を分散投資しておくということが大切なことではないかなということで感じます。

 次に、ちょっと景況感について伺っておきたいんですけれども、大臣は、冒頭のお話で、景気回復が長期にわたり続いていることにより、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいます、こうおっしゃられました。それで、ちょっと景況感の認識を確認させていただきたいんです。

 株価がちょっと厳しい状況に、まあ貿易戦争じゃないですけれども、そういったところも含めて、ちょっとここのところ、GAFAを含めて、株価の一五%、GAFA銘柄が下落しているとかというのもありますし、あるいは、私も親しくさせていただいている半導体に詳しい方が、半導体のマーケットを見ていると先行指標的な動きをしていて、半導体は、実はもうこの二〇一八年のセカンドハーフからは後退局面に入ってしまっているというようなことを言われました。そういうことで、マーケット関連の株あるいは半導体などを見ていると、実はもう景気後退局面に入っているリスクがあるんではないかなという認識をしております。

 そんな中での消費税ということで、大変難しいかじ取りになると思いますし、私ども維新は、御案内のとおり、増税の前に行政改革を行うべきであり、その前に、まず議員みずからが身を正して、議員歳費等の削減を行うべきだということを申し上げさせていただいていますけれども、それはさておき、消費税も腰折れしてはいけない景気の状況という可能性も秘めてきていると思います。

 あと、もう一つだけ。きのう、おととい、地元でレストランをやっている方、自然食の関係のレストランみたいなのをやっている方なんですけれども、杉本さん、十二月末で店を閉めることになったと。御案内かどうかわからないけれども、私、一宮というところなんですけれども、南北に国道二十二号というバイパスが走っていまして、そのバイパスを境に、ちょっと地域的に景況感が違うというようなことを言われたりするんですが、そのバイパスの東側のお店のオーナーさんなんですけれども、店を閉じることになったと。

 それで、杉本さんは見ているかどうかわからないけれども、地元のグルメ雑誌にレストランの広告がほとんど出なくなった、これが今の実は状況だから、まあ、消費税の軽減税率の話とかいろいろあるだろうけれども、現場の方はちょっと冷えてきているというか、もう店を閉じるんだということを言われまして、私もショックを受けた状況です。

 そんな意味で、大臣の御認識は、まだ景気回復は長期にわたり続いているという御認識で承ったんですけれども、本当にそうなのかどうか。どんな御認識をお持ちかを確認させてください。

麻生国務大臣 これは地域、また業種によっていろいろ差がある、常にそういうものだとは思っておりますけれども。

 今、私ども、米中関係の、いわゆる貿易摩擦等に端を発していろんな状況になっているのは御存じのとおりなんだと思いますし、この間、ペンス副大統領のハドソン研究所でのあの演説を聞かれてどう思われたか知りませんけれども、ああいう内容を聞いても、これはトランプ一人が言っているんじゃありませんよ、イーストエスタブリッシュメントはみんなそう言っているんですよということをあれはコンファームしているわけですから、そういった意味では、明らかにきっちりとした形であの発言をしておられるんだと思いますので、これが、よほどのことがない限り、これ以上激しくなってくる可能性というのは高いと思って見ておかないかぬのは当然だと思っております。

 その上で、我々としてはいろんな形で、今、外食サービスが少し減少したとか、いろいろお話がありましたし、この間の七―九でいきますとマイナスになったとかいう面もありますのは事実ですけれども、少なくとも、あれは関西空港等々が一時閉鎖したとか、ああいったことによるマイナスも非常に大きなもので、数字としては大きくなりますし、自然災害も七―九はえらい多かったので、そういった意味でも、いろんな意味でマイナスになったという点は考えられるんだとは思っておりますけれども、全体としてのものを見ました場合は、少なくとも、企業業績やらGDPやら見ましても、そういったものはいずれもきちんとした対応でいけるようなものが、数字の上ではそうなってきていると思っております。

 個々細かい点はいろいろ出てくるというのはあろうかと思いますけれども、いい面も悪い面も両方あろうと思いますので、そういったときにはよく注意をして見ていかねばならぬところだと思っております。

杉本委員 慎重に見なきゃいけないというお言葉だったと思いますが、アメリカは来年の利上げの可能性が統計的には一・四回ぐらいじゃないかと言われていて、アメリカ経済の方はひとり勝ちみたいなところでいい流れになっているのかもしれないんですけれども、その他の国々という点では、我が国も含めて、本当に景気動向というのは注視していかなきゃいけないし、甘く見てはならないというふうに私は思っております。

 それで、ちょっと話は戻って、これは副大臣に御答弁いただくかもしれないんですが、先ほど、国際分散投資、するべきだというふうに申し上げたんですけれども、もう一つ、政府のお財布の中で外貨準備といったものも、一種、為替に対する抵抗力、円安に対する抵抗力みたいな意味では非常に大きな意味を持つのがこの外貨準備ではないかと思っているんです。

 ちょっと質問がきちっと丁寧に届いていないかもしれないんですが、ドルベースの、ドルの外貨準備もいいんですけれども、やはり世界は、地球は丸くて、日・EUのパートナーシップの質問もきょうさせていただいたような、EUというような、ユーロというような問題もありますので、外貨準備の現在の状況とそれから今後を含めた適正な水準感みたいなところを、ドルベース、それとユーロベース、その他通貨があればその他通貨というようなところで、もしお答えいただければありがたいですし、御準備いただいている範囲で御答弁いただければと思います。

うえの副大臣 外貨準備高の適正水準についての御質問だというふうに理解をしておりますが、我が国の外貨準備高につきましては、本年の十月末時点で一兆二千五百二十九億ドルとなっております。これは基本的には過去に為替介入を行ってきた結果でありまして、特定の規模を念頭に置いて保有額を増減させているというものではございません。

 外貨準備の適正水準について国際的に統一的な見方があるわけではありませんが、一般論といたしまして、市場に急激かつ過大な変動が生じた場合に自国通貨を買い支えるために、十分な額の外貨準備を保有しておくことは重要だというふうに考えております。

杉本委員 なかなか当局として適正な規模が何ぼだなんというのは言えないはずだと思いますので、それは、御答弁、理解させていただきますけれども、ひそかにやはり外貨準備を積み増しておいていただきたいなというのが私の勝手な思いですので、ちょっと聞いておいていただきたいということで質問はとどめさせていただきます。

 あと三分ぐらいなので、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 大臣の御発言のところで、引き続き、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革の三本柱の改革を加速、拡大することとしております、こういう御発言がありました。

 この中の歳出改革について、また私の勝手な意見というか、自民党さんの中では議論がされているやにも聞いているんですけれども、社会保障費の抑制策というのを、本当に党派を超えて、政権がかわった場合も含めて、選挙のための材料として裏切ることなく共通の政策目標を持って、この社会保障費の削減というのを与野党問わず共通で答えを出して、それを国民の皆様に御理解いただく努力を、もうさすがにしないとこの国はもたないという意味で思っております。

 それで、前も申し上げたかもしれないんですが、オーストラリアは、年金の支給開始年齢を七十歳にする、これも十数年後というような決め方をして、直近に年金がもらえるかなと思っていた人に対する不安というかをなくし、そして現役の世代の方々には覚悟を持っていただくというような法律を通したわけですけれども、我が国も、選挙が怖いからといって社会保障の年金支給開始年齢の問題をタブー視し続けていては、この国のお財布がもたないということだと私は思っています。

 そんな意味で、いわゆる支給開始の選択制導入みたいな議論は自民党さんの中でもされていると思うんですけれども、単純に、六十五、七十、七十五とかってあるんですけれども、実は私の思いとしては、できるだけ選択肢を多くすることによって、我慢すれば我慢するほどたくさん年金がもらえて、早くからもらう人はほんのちょっとしかもらえないんですよというようなインセンティブをつけることによって、やはり社会保障費の総額というのは抑えられるという可能性が極めて高いというふうに私は思っているんです。

 こういったことについて、当局、副大臣になられるかと思いますけれども、こういった選択制導入に対する削減試算みたいなことをされておられるかどうか、あるいは、する必要を感じておられないかどうか、確認させてください。

うえの副大臣 お答えいたします。

 現在、年金の受給開始時期は、個人が六十歳から七十歳までの間で選択をすることが可能となっております。

 お尋ねの趣旨でございますが、受給開始時期を更に弾力化をして、七十歳以降の受給開始も選択可能とすることに関するものであると理解をさせていただきました。

 まず、現行制度のもとでは、六十五歳より早く受給を開始した場合には、年金月額は減額をされます。六十五歳より後に受給を開始した場合には、年金月額は増額をされるとされております。

 減額や増額の率は、選択された時期にかかわらず、年金財政上、中立となるように設定をされておりますので、現行の受給開始年齢の選択制は、それ自体では社会保障費の削減につながるものではございません。

 なお、現在、受給開始時期の上限年齢を引き上げる方向で厚生労働省において検討が進められておりますが、七十歳以降に受給開始をおくらせた場合に受給額をどの程度増額させるかについては、来年の財政検証における前提であります平均余命などを踏まえまして今後検討されていくものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、こうした制度改正の財政への影響につきましては、現時点におきまして、議員御指摘のような試算は行われておりませんが、今後、私どもとしましても、厚生労働省との間でよく議論をしてまいりたいというふうに考えています。

杉本委員 時間となりました。

 ぜひ、党派を超えて、国民の皆様にも我慢をしていただくというようなことが必要だと思いますし、プーチン大統領は、六十歳支給というのを平均寿命が六十歳の国にして不評を買ったという話もありますけれども、国をもたせるという意味では、国民の皆様にも我慢をしていただく必要を私は訴えさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。

坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十五分散会


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