衆議院

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第2号 平成31年2月19日(火曜日)

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平成三十一年二月十九日(火曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 坂井  学君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 武部  新君 理事 寺田  稔君

   理事 藤丸  敏君 理事 川内 博史君

   理事 緑川 貴士君 理事 竹内  譲君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井上 貴博君    今枝宗一郎君

      鬼木  誠君    神田 憲次君

      小泉 龍司君    小林 鷹之君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      斎藤 洋明君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      津島  淳君    土井  亨君

      中山 展宏君    百武 公親君

      福山  守君    本田 太郎君

      牧島かれん君    三ッ林裕巳君

      三ッ矢憲生君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    義家 弘介君

      今井 雅人君    末松 義規君

      高木錬太郎君    福田 昭夫君

      古本伸一郎君    前原 誠司君

      伊佐 進一君    宮本  徹君

      丸山 穂高君    野田 佳彦君

      青山 雅幸君    佐藤 公治君

      鷲尾英一郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   財務大臣政務官      伊佐 進一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山根英一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 川又 竹男君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 林  幸宏君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  佐々木清隆君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  三井 秀範君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   神田 眞人君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   阪田  渉君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           丸山 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     武部  新君

同月十九日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     福山  守君

  武井 俊輔君     鬼木  誠君

  津島  淳君     百武 公親君

  高木錬太郎君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     三ッ林裕巳君

  百武 公親君     津島  淳君

  福山  守君     小林 鷹之君

  福田 昭夫君     高木錬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     安藤 高夫君

  三ッ林裕巳君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     石崎  徹君

同日

 理事田畑毅君同月十八日委員辞任につき、その補欠として武部新君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

坂井委員長 これより会議を開きます。

 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、武部新君を理事に指名いたします。

     ――――◇―――――

坂井委員長 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官山根英一郎君、内閣府大臣官房審議官川又竹男君、大臣官房審議官林幸宏君、金融庁総合政策局長佐々木清隆君、企画市場局長三井秀範君、監督局長栗田照久君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、大臣官房審議官横山均君、財務省大臣官房長矢野康治君、主計局次長神田眞人君、主計局次長阪田渉君、主税局長星野次彦君、文部科学省大臣官房審議官丸山洋司君、厚生労働省大臣官房審議官田中誠二君、大臣官房審議官八神敦雄君、子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、政策統括官藤澤勝博君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。穴見陽一君。

穴見委員 自民党の穴見陽一でございます。この財務金融委員会で初めて質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 冒頭、先ほど理事の先生から、質問に際してはタブレットは使ってはいけませんよというふうに御指導をいただいたところでございますけれども、今回の予算でも、スマホ決済を含むキャッシュレスの推進をしていくための施策も盛り込まれておるわけでございまして、私はこれまで、質問は、ほかの委員会ではタブレットのみならずスマホを使って質問をさせていただいたりしておりましたけれども、ただの電話ではなく情報端末として普及しているスマートフォン若しくはタブレット等を、ぜひ、ペーパーレスの観点からも、こういった質問で使わせていただければありがたいなと思っておるところでございます。

 それでは、十五分しかございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 三十一年度予算は、当初予算としては初めて百兆円を超えることになったということでございます。公債費も随分とそれに伴って膨らんできている。もちろん財政再建は、スケジュールは後ろ倒しになりつつも着実に進歩しているという意味では、私は本当にすばらしいことだなというふうに思っているところでございますけれども。

 国が借金をするということそのものは、決して否定されるべきものではないと思います。私も経営者でもあるわけですけれども、よく、無借金経営ということが立派だねというふうにもてはやされる風潮があるようでありますけれども、私は決してそういうふうに思わず、むしろこれは恥ずべき経営だなというふうに思っているわけであります。

 といいますのも、やはり、借金をしてそれを運用するだけの、ビジネスプランを持っていないということの逆に言えば裏返しでありまして、そういう意味では、とりわけ日本のような民主主義国家において、財政の能力がそれだけ余力があるのに国民にサービスをしないというのはどういうことなんだということにもなるわけでしょうし、やはり政治は選挙がありますから、経済がよくないと、当然国民の評価も下がってくるということもありまして。

 やはり経済活動というのは、総資本全体、すなわち自己資本プラス他人資本、つまり借金があって、そしてそれが経済全体の総体でありますから、当然、歳出の中に公債費も含めてそれだけ大きな経済規模というものがあって、これが縮んでいく、仮に借金返済ということであったとしても、これが縮んでいけば経済全体は縮小していくということであって、景気はやはり緊縮方面に進んでいくということでありますから、しっかりと国民経済全体の規模感というものに対応した、それだけの予算というものを組んでいかなければならないんだというふうに思います。

 ただ、この四十年間ほどの日本の財政のあり方を見ておりますと、通常の政府の運営予算というのは正直そんなにふえていない、一・二倍程度しかふえていないにもかかわらず、やはり社会保障費が圧倒的に増大していること、これを通じて、地方交付税であるとか、又はこれに対応する増税ができなかったということでもって、公債費、国債費が非常に増大してきている。これが日本の財政全体を膨らませてきたし、また、公債が拡大してきた一番大きな要因であります。

 そういう意味では、この社会保障関係費をどのように、今後ますます高齢化が進んでいく中で拡大していくものをコントロールしていくのかということが、どうしても、財政健全化の観点から考えても非常に重要なテーマだというふうに思いますが、この社会保障関係費の増大のコントロールについてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

うえの副大臣 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、持続可能な社会保障制度を構築していくためには、制度の重点化、効率化が必要であり、社会保障関係費の増加を抑制をしていくことも必要だと考えます。重要なのは、必要な給付やサービスの質を維持をしながらいかに効率化を図っていくかという点でありまして、一つ一つの改革を積み上げていくことが大切だと考えています。

 このため、これまで改革工程表に沿って改革を行い、例えば、社会保障関係費が伸びる中で高齢化による伸びの範囲を抑えており、引き続き、社会保障関係費の実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめるという新経済・財政再生計画における方針、これを着実に達成をしていきたいと考えています。

穴見委員 副大臣、ありがとうございます。

 それで、余り社会保障関係の制度論に議論が立ち入りますと、これは厚生労働委員会ではありませんので余り深入りはするつもりはありませんけれども、国民年金に関して言えば、年金制度は全体として、マクロ経済スライドという形を通じて、将来にわたって、日本全体の経済規模の伸び縮みによって社会保障給付が、つまり年金給付がコントロールされるようになっているわけですけれども、やはり心配なのは、健康保険であるとか介護保険というものがどうコントロールされ得るのかなということが非常に心配なわけであります。

 会社も、借金はすれども、それも際限なくしていいというわけでは決してありませんで、やはり、返済がどの程度できるんだろうか、そういう与信の範囲内で借りればいいということであろうと思うんですけれども、そういう意味では、やはり日本の場合は、日本というか国家財政の場合では、当然ここは、会社で言う売上高というのは国で言う税収ということになるんでしょうし、経費、支出というのは歳費、歳出ということになろうかと思うんですけれども、このときに当然、歳出の削減のために社会保障費を中心としてコントロールしていくのと同時に、歳入を拡大していくためには税を上げていかなければいけない。そこを、税を削り取っていく対象というのはGDPということであろうと思います。

 そういう意味では、まだ日本は消費税率が八%、今度一〇%になろうとしておりますけれども、それに関しては、まだまだGDPの余地、そこから税収を上げることができる余地が相当あるのではないかということで、世界の金融機関も、ある程度は日本の財政に関しては楽観視されているのではないか。その証拠が、なかなか、世界が不況というか不安定な要因がふえてくると円高に振れるということは、それだけ円の信認が高いからということなんだろうというふうに思いますけれども、とはいえ、やはり一定程度の公債費がふえてくると、これの返済というものが見えてこなくなる。公債費が非常に大きくなってしまって、自転車操業的になってしまう可能性も出てくるわけであります。

 そういう意味においては、GDPに対してどの程度の借入れ、公債費の余地があり得るんだろうか、若しくは、そういう意味でいうと、GDPに対してある程度、社会保障費もこれぐらいがもう限界ですよというようなキャップをかけて、このキャップの範囲内でやらないと日本のそういった財政ももたないし、ということは、社会保障の関係の財布も破綻してしまうということになると、制度自体が維持できなくなりますよということなんだろうと思います。

 そのあたりの警報装置として、財務省として何らかの指針を出していく必要があるのではないかなと思うんですけれども、このあたりをお聞かせください。

うえの副大臣 お答えします。

 債務残高が対GDP比どこまで許容されるかにつきましては、マクロ経済の状況であったり、市場の動向、将来の財政に対する信認等によるため、一概に申し上げるということはなかなか難しいことではありますが、ただ、債務残高の対GDP比が発散しないということが重要であるということは言うまでもありません。また同時に、高水準の債務残高は金利変動リスクにさらされている、そういったことにも留意することが必要だと思います。

 現在、これまで、経済再生と財政健全化に政権として取り組んでまいりました。アベノミクスによって名目GDPをふやし、税収増や歳出改革により新規国債発行額を抑制をしてきたところでありますが、債務残高対GDP比についても、その増加のペースを鈍化をさせてきたところであります。

 今後とも、歳出と歳入両面の改革を続け、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化を実現をし、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指していきたいと考えています。

穴見委員 副大臣、ありがとうございます。

 ぜひしっかりコントロールしていただきたいと思いますのと、また逆に、それだけまだ借入れ余地、返済能力はありますよというようなことを言えば財政規律が緩んでしまうということになるでしょうから、そういう意味でも、なかなか示すことはできないということもあろうと思います。

 とはいえ、今回、消費税が一〇%に上がっていくということでありますけれども、これが返済のために全て国庫に入るというようなことになりますと、当然、その分の経済が削り取られて、国庫という動かない金庫の中に入ってしまいますと、世の中で回っているお金の総量が減ってしまうということですから、経済は萎縮する。

 増税するに当たっても、やはりそれの使い方をどうするのか。これが、経済の成長であるとか、若しくは社会保障の財政の問題に対応する、若しくは日本の将来課題に対応するというような使われ方でさまざまな法案が出てきているわけでありますけれども、今回、二%増税するということに当たって、軽減税率のことはありますけれども、やはり制度上の断層というのが出てくる部分があって、この断層をいかに小さくしていくかということが非常に大切なんだろうと思います。

 経済にとって一番しんどいのはやはり激変ということでありまして、私も経営者として、これまで数度の消費税の増税、若しくは税表示の内税化とか外税化とか、そういうタイミングで随分と苦労して、どのタイミングでどの程度の値上げをしていけばいいのか、若しくは、逆に、逆打ちで値下げをした方がいいのかとか、さまざまなことを悩んできたわけでありますけれども、やはりこの二%というインパクトをできるだけ小さくしていくということが非常に重要なんだろうと思いますが、今回の経済対策で十分そのあたりは対応ができるとお考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。

うえの副大臣 今回の消費税の二%引上げ、前回、二〇一四年に引上げをした際に、さまざまな面で消費が落ち込みました。今回はそうしたことがないように、あらゆる政策を動員してそれを乗り越えていきたいというふうに思っております。

 具体的には、御案内のとおりでありますが、ポイント還元であったり、プレミアム商品券、あるいは自動車や住宅の税制を引き下げる、そうしたことをやらせていただいたところでありまして、消費税の増税分を超えるものをお返しをすることによって、今回の消費税の引上げの経済へのインパクトというのをできるだけ抑制をしていきたい、そんなような思いで取り組んでいきたいと思います。

穴見委員 副大臣、ありがとうございました。

 私が申し上げたいのは、今回増税しても、それが財政健全化ということに余り寄り過ぎて、国庫に入っていく量が多くなり過ぎると、経済全体を萎縮させることにつながってまいりますので、やはり経済全体の大きさの変動をよく鑑みていただきながら、国庫の方に戻す量というものをコントロールすることで、しっかりと経済運営の方にも心を砕いていただければという思いでございます。

 時間が参りましたようでございますので、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、今枝宗一郎君。

今枝委員 おはようございます。自民党、今枝宗一郎であります。

 大臣所信の質疑に立たせていただけることを感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、早速、時間もございませんので、質問に入らせていただきたいと思います。

 自民党政権ができ、アベノミクス政策により、名目GDPは五十六兆円増加し、雇用でもいわゆる就業者数三百八十万人増、また、雇用者総報酬も三十三兆円ふえ、賃金も上がっております。税収も、この間、国、地方合わせて二十六兆円ふえて、これら成長の果実を幼児教育無償化など若い世代に再分配をする、所得再分配に配慮をした新年度予算を作成されました。経済成長を国民の皆様に実感をいただけるように御尽力をいただいていること、皆様に敬意を表したいと思います。

 しかし、これら真っ当な政策を進めても、国民の皆様には政治、行政に対する不信感が存在をしているというのも事実であります。このような問題意識から、まずは質問に入らせていただきます。

 昨年の文書改ざん問題につきましては、私も、強いショックと、国民の皆様に本当に申しわけない思いであります。再発防止の方策や組織改革の思いが強くあります。

 六月四日に調査報告書が取りまとめられ、次いで十月に進捗報告もありましたが、その最後には、このような問題を二度と起こさないような、コンプライアンス、内部統制の総合的な体制の整備を進め、財務省の仕事のやり方、また価値観の持ち方という組織風土そのものの改革を進めるとなっております。そして、昨年、外部の、しかも民間の企業の組織改革をされてきた秋池玲子さんを財務省の参与として迎えて、組織改革を今進めておられると思います。私は、これは大変大きな決断をされたと思っております。

 この改革については六月に次の報告がなされるというふうなことを聞いておりますので、現在は道半ばであり、途中報告をするのは難しいかもしれませんが、今後の決意につきましてお聞かせをいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 財務省の事務方が引き起こしました不祥事からの再生に向けましては、昨年の十月に進捗報告と称する中間的な報告を公表させていただいて以降、秋池玲子参与を中心に、幅広い職員の参画を得ながら、一つ一つ具体策を実施しているところであります。

 具体的には、この進捗報告に沿いまして、幹部に対しましてマネジメント研修その他もろもろの研修を実施するなど、コンプライアンスの確保に向けた取組を進めますとともに、人事面では、いわゆる三百六十度評価に当たります多面観察の導入や、事務面では、業務の効率化に向け、職員からの働き方、業務の改善提案を募集するなど、部下職員の声を上司が、幹部がきちんと能動的に受けとめるような風通しのよい職場を、組織を目指して、さまざまな取組を実施しているところであります。

 今後も、時代にふさわしい仕事のやり方ができる組織へと改革するために、こういった取組を不断に継続的に行いながら、着実に進めてまいりたいと存じております。

今枝委員 ありがとうございます。

 再発防止はもちろんでありますけれども、国民の皆様から真に信頼をされる、そんな抜本改革を今後も引き続きお願いを申し上げたいというふうに思います。

 さて、続きまして、外国資本による安全保障上重要な土地、企業、技術の買収問題に関して質問をさせていただきます。

 例えば、北海道では水源地が、平成二十七年、ちょっと古いですけれども、この時点で東京ドーム四百個分買われてしまっている。しかも、その後たった一年間で、更に東京ドーム四十三個分買われてしまっている。さらに、国境の離島や、また山林、農地も今どんどん買収をされておる状況であります。このままでは、安全保障のみならず、水資源や食物など、国民生活に直結をした身近な問題がとんでもないことになってしまいます。これは絶対に放置はできません。

 政府も、法改正をする中で、新たな森林の土地取得の届出義務を定めたり、自衛隊施設周辺の調査は既に終え、国境離島の調査も今行っておられるというふうに思います。しかし、具体的な規制は残念ながら変わっておりません。

 また、外国資本による企業買収によって、安全保障上重要な技術が奪われるということもございます。例えばドイツにおきましては、二〇一六年にロボット関連企業が中国企業に買収をされました。これはインダストリー四・〇の、世界で四大企業と言われているような企業でありまして、それが中国のものになったということであります。

 それを受けて、二〇一七年には外為法も一部改正をされましたけれども、残念ながらまだまだ不十分だというふうに思います。日本にとって、特に技術というものはやはり生命線であります。欧米でも、現在、新たな規制をする法改正や制度変更が進んでおります。特にアメリカにおいては、昨年八月に新法が成立をいたしまして、来年にはもうそれが発効される、こういうところまで来ております。

 日本を守る、これは政治の基本であります。今こそ新たな規制を具体的につくる、そんな時期に来ているというふうに強く思います。議員立法の案も既に与党が作成されております。

 これまでは、いわゆるGATS等の貿易協定による内国民待遇の問題、また、内外格差の留保を行ってこなかったということを、いわゆる具体的な規制や法整備ができないという理由とされてきましたけれども、国際社会の状況が大きく変化をしている状況でありますし、また、安全保障を理由とすれば可能となるものも幾つかあるというふうに確信をしております。

 我が国でも、外為法の規制を強化をして、規制を具体的に今進めるべきだというふうに思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

うえの副大臣 お答えをいたします。

 この問題につきましては、今枝委員も政務官時代に大変熱心にお取組をいただきまして、ありがとうございました。

 御指摘をいただきましたとおり、近年、機微技術や重要インフラを有する企業に対する外国企業による投資や買収などに関しまして、諸外国におきましては、国の安全上の観点から、法改正等により投資審査制度を見直す動きがあると承知をしています。

 例えば米国では、昨年夏にいわゆるFIRRMA法が成立をいたしまして、審査対象取引の拡充や一部の取引に対する事前申告の義務づけ等の改正が行われたところであります。また、欧州におきましても、ドイツやフランスが審査対象の拡充を行ったと承知をしています。

 我が国におきましても、委員から御指摘のありました、二〇一七年に外為法を改正をいたしまして、安全保障に関する機微技術の流出の防止のために、外国投資家が非上場株式会社の株式を他の外国投資家から取得する場合で、国の安全にかかわるものについて事前届出義務を課すなどの改正を行ったところであります。

 今後とも、直接投資をめぐる状況につきましては十分注視をしながら、諸外国における投資審査制度の見直しの動向も参考にしつつ、委員の御指摘も十分踏まえながら、外為法上の投資審査制度について、引き続き関係省庁とも連携をして検討を進めてまいりたいと思います。

今枝委員 ありがとうございます。前向きな御答弁をいただきました。

 一刻も早く、アメリカのように、二〇二〇年を目指して頑張っていただきたいと思いますし、さらに、この外為法の投資規制では限界がある部分もございます。他省庁とも連携して、それぞれ対応していく必要があると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 では、続きまして、フィンテックについて質問をいたします。

 AIやIoTの進展で金融分野は新たな時代を迎えております。新サービスが大きく拡大をし、取引のビッグデータの利活用やブロックチェーンなどの新技術の社会実装は、日本の新たな成長力の源泉となってまいります。

 そこで、本日は、今まさに議論が進んでいる資金移動業の規制につきまして質問をいたします。

 まずは、送金金額の上限規制についてであります。現在は百万円が上限になっておりますけれども、それでは、中小企業の海外送金ですとか、また、リテールのモバイル決済で問題が起きてしまいます。資金移動業がよりユーザーの利便性の高いサービスとなって、イノベーションを生みやすい、そんな状態となる必要があると思います。リスクに応じた規制はもちろんかける必要はありますけれども、上限額のもっと高い類型を検討すべきと考えます。

 ただ、この類型も、現在の資金移動業の要件に加えて余りに重い規制要件を課してしまうと、参入障壁を高めて、結果として使われない制度となってしまう可能性もあります。

 もちろん、利用者保護の観点は重要であります。ゆえに、例えばイギリスのように、利用者資金滞留を必要最低限とすることによってリスクを軽減して、財務や資金保全のハードルを下げる、こういったやり方など、さまざまあり方が考えられると思います。

 千差万別な企業、サービスのあり方に対応できるような類型は幾つかあると考えます。今後の制度改正に対する決意とあわせて、どのように検討されていくのか、お答えください。

麻生国務大臣 お金を送金、又は資金の移転をするに当たって、銀行以外にもいろいろな金融機関というものがあるのは御存じのとおりですが、この資金移動業の送金するに当たっての一回の上限は百万円ということになっているのが今現状でして、それを引き上げてほしいという御要望は、資金移動業の方々からあることは十分に承知をいたしております。

 しかし、これを引き上げます場合は、資金移動者が取り扱っておられる、いわゆるお金の、少額なものの決済のみじゃなく、より高額な決済となった結果、これは企業間の決済もより多く取り扱われる、個人だけではなくてということになるんだと考えられますが、したがって、この場合は、決済の確実な履行、いわゆる保険、保証というものが重要だということになるんだと思っております。

 したがいまして、こうした観点から、海外では、今イギリスのお話が出ていましたけれども、英国では送金するサービス提供業者の送金額に上限はないんですけれども、ただ、日本の資金移動者の規制とは異なって、許可制、いわゆる認可制とした上で、リスクベースというのは、リスクの高い、リスクの大きい業者を重点的に監督する、そういったやり方をリスクベースというんですけれども、リスクベースできめ細かな監督が行われたりするほか、利用者の資金が、必要以上に業者に滞留させる、送ってくれと言った金は即送れ、そこがずっと滞留させていない、そういったような規制をしておられるというように承知をしております。

 したがいまして、決済の横断的な法令につきまして、これは諸外国の制度も参考にしつつ、現行の資金移動業と銀行の間に新たな類型を設けるということも含めて、これは法制の検討をスピード感を持って行って、ちょっと今国会というわけにはいかぬでしょうけれども、なるべく早く、この問題につきましてはスピード感を持って行ってまいりたいと考えております。

今枝委員 大臣、大変ありがとうございます。非常に前向きなお話をいただきました。

 ただ、一つ確認をさせていただきたいんですけれども、百万円以下の資金移動業者はこれまで特段支障なく事業を進めてきましたので、これに新たな規制をかける必要はないというふうに考えております。

 金融庁として支障があるというふうに考えておられることがあれば教えていただきたいですし、そうでないなら新たな規制をかけるという議論になってはいけないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の資金移動業につきましての規制のあり方につきまして、とりわけ送金上限の金額の規制のあり方におきましては、金融審議会におきまして、以上申し上げるような幾つかの論点があるかという議論をしてございます。

 一つは、実際に資金移動業者がどのぐらいの金額の決済をしておられるかどうか、あるいは、決済にどのぐらいの金額、利用者の資金が滞留しておられるだろうか、あるいは、ビジネス上のニーズとして、百万円を超えるようなどんな具体的な送金ニーズがあるか、あるいは、仮に送金の高額化をするという場合の利用者保護のリスクについてどのように対応するか、こういった点でございます。

 ということで、高額の決済につきましては、決済の確実な履行を確保するということから、追加的な規制であるとか、あるいはきめ細かな監督が必要であるかというふうに思われますけれども、他方におきまして、数千円あるいは数万円といった、こういった日常的な少額の送金が多数行われております現在の資金移動の状況を考えますと、こうした送金の実態におきますリスクは比較的限定されているのではないかというふうに考えるとともに、現在のような軽い規制がフィンテックなどのイノベーションを促進させているのではないか、こういった点にも配慮が必要なのではないかというふうに考える次第でございます。

 こうしたことを踏まえますと、現行の資金移動業と銀行の間に新たな類型を設けるといった、今大臣からの御答弁も含めまして、リスクに応じた規制の柔構造化というのをベースに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

今枝委員 ありがとうございました。

 時間が来てしまいましたので、もう一問、ペイロールカードについてお聞きをしたかったんですけれども、それはぜひとも、これについても過度な規制をかけ過ぎないで、いろいろ今後御検討いただきたいということだけ申し添えまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、麻生大臣の所信に対しまして質問をさせていただきます。

 結論から先に申し上げますと、ことし十月の消費税一〇%への引上げは凍結すべきだということを申し上げるために議論をさせていただきます。

 まず、大臣が述べた、日本経済の現況等と財政政策等の基本的な考え方について、お伺いいたします。

 一つ目として、日本経済の現状に対する基本的な認識についてお伺いをいたします。

 今回の景気回復期間が本年一月時点で戦後最長になったと見られるということでありますけれども、今後の見通しはどんなふうにお考えになられているのか、お伺いをしたいと思います。

うえの副大臣 お答えいたします。

 日本経済の現状に対する認識についての御質問をいただきました。

 政権交代以降、アベノミクスの取組によりまして、GDPや企業収益は過去最高水準となっております。有効求人倍率は、二年にわたり全都道府県で一倍を超え、失業率も約二十五年ぶりの低水準となっています。また、連合の調査によりますと、二%程度の高い水準の賃金アップが五年連続で実現をしています。

 雇用者数の伸びも加味をいたしました総雇用者所得につきましては、雇用が大幅に増加をする中で、二〇一八年に入ってからも名目でも実質でも増加が続いているところでありまして、雇用・所得環境の改善を背景にして経済の好循環が着実に回り始めている、そのように認識をしています。

福田(昭)委員 きっと副大臣も読んでいるんだと思いますが、日銀が一月二十四日に発表しました経済・物価情勢の展望、これを読みますと、日銀はこのように言っているんですね。「経済の見通しについては、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。」。どちらも大きいとしているんですね。

 本当に大丈夫ですか。

うえの副大臣 委員御指摘がありましたとおり、世界経済の状況についてもさまざまなリスク要因があるというのは事実だろうというふうに思いますし、物価の動向についてもより注視をしていかなければいけない状況だと思いますが、これまでの経済政策の成果等によりまして、現在、経済の状況は、先ほど申しましたように、着実によい方向に進んでいるというふうに考えておりますので、当然、政策を運営していく際には、そういったリスク要因にも十分意を用いながらも、しっかりと対応していくことが必要だと考えています。

福田(昭)委員 きょうは残念ながら日銀は呼んでいないものですからお答えはしていただけませんけれども。

 この日銀の金融政策運営のところにはこんなふうに書いてあるんですね。「二%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に二%を超えるまで、拡大方針を継続する。」と書いてあるんですよ。

 しかし、一体どうでしょうか。今の日銀、マネタリーベースは拡大しているでしょうか。御存じですか。

麻生国務大臣 これは日本銀行に聞いていただいた方が正しいんだと思いますけれども。呼ばれていないようなので、私の方から申し上げるのはいかがなものかと思いますけれども。

 マネーサプライはふえていませんけれども、マネタリーベースはかなり着実なペースでふえてきているというのが今の実態だと思っております。マネタリーベースに比べて、比較してみますと絶対量としてはサプライの方が少ないというのは事実でありますけれども、これは資金需要の絶対量が不足しているというのが背景にありますので、ある程度やむを得ぬのが実態だと思っております。

福田(昭)委員 日銀は、アメリカと中国の貿易戦争が始まって以来、多分いろいろ金融政策で株高だとか円安を維持するために頑張ってお金を出してきたんですよ。しかし、やはり五百兆円超えたら、それから、どうしても下回る努力を何回もやっているんですよ、実は。毎日毎日のマネタリーベースを見ておりますと、あれ、五百兆円超えたなと思ったら、いや、努力して、マネタリーベース、五百兆円切る努力をしているんですよ。たまたま、十四日のマネタリーベースは四百八十六兆九千七百億と、五百兆円切って、ここまで切ってきた。しかし、国債の買入れだけは相変わらずやっている、そういう状況ですよ。

 これは何を意味しているのか聞きたいところですが、日銀をきょう呼んでおりませんから聞きませんけれども。日銀はやはり、一日に出すマネタリーベースは五百兆円が限度だなと思っているんじゃないんでしょうかね。これは何回もやっていますよ、昨年の米中貿易戦争が始まって以来。そんなことを、指摘だけさせていただきたいと思っております。

 それで、二つ目でありますが、経済再生と財政健全化の鍵となる少子高齢化対策の対応についてであります。

 経済再生と財政健全化の鍵は少子高齢化の対応で、その大きな柱が全世代型社会保障制度の確立とその持続可能性の確保だ、これが極めて重要だ、こういうことでありますけれども、持続可能な全世代型社会保障制度をどう確立していこうと考えているのか、お伺いをいたします。

うえの副大臣 お答えをいたします。

 少子高齢化は、経済面で成長の制約要因であるとともに、財政面におきましては、社会保障の支え手の減少や高齢者の医療・介護費等の歳出増加圧力を通じて、財政健全化の足かせとなるところであります。

 このため、少子高齢化に対応する観点から、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと、大きく転換をしていくこととしております。

 その一環として、今般、消費税率の引上げ分の使い道を見直し、消費税増収分を活用いたしまして、幼児教育の無償化や待機児童の解消に向けた受皿整備等、真に支援が必要な子供たちへの高等教育の無償化、介護離職ゼロに向けた介護人材の処遇の改善、年金生活者支援給付金の支給などの措置を講じることとしております。

 こうした取組を通じて、少子高齢化という国難にも正面から取り組んでいきたいと考えています。

福田(昭)委員 去年の五月二十一日付で、内閣官房、内閣府、財務省、厚生労働省の四官房省庁というんですかね、四官府省というんですかね、まとめた「二〇四〇年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」の概要となっておりますけれども、これを見て私が大変心配しておるのは、やはりGDPです。

 GDPが、ベースラインケースでは、二〇一八年が五百六十四・三兆円、二〇二五年で六百四十五・六兆円、二〇四〇年が七百九十・六兆円でありますが、成長実現ケースでは、二〇二五年が何と七百七・三兆円、六十一・七兆円ふえております。それから、二〇四〇年が九百三十一・六兆円で、百四十一兆円もふえております。今の経済財政政策で、このように本当にGDPが二〇二五年、二〇四〇年、伸びていくんでしょうか。とてもとても、ちょっと信じられない数字であります。

 こんなことを考えると、本当にこれは大丈夫なのかなと。確かに社会保障費がそれぞれふえていくことはよくわかりますけれども、しかし、GDPが本当にこんなにふえていって対応可能になるのかどうか。どんな議論がなされているのか非常に関心があるんですが、もしわかっていればお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは福田先生御指摘のように、急速な高齢化というものを背景として、社会保障関係の給付費が大きく増加をして、今後も更に増加する傾向というのはもうはっきりいたしております。

 したがいまして、この中で、問題は支え手の減少が見込まれているところが一番問題なんですが、今後、持続可能な給付制度というものを維持していくためには、給付と負担というものの見直しを始め、さらなる制度改革というのは不可欠だと思っております。

 いわゆる団塊の世代と言われる世代が後期高齢者入りするのが二〇二一、二二年ということになりますけれども、それまでに改革の方向性というのをきっちり実現しておく必要があろうと考えております。

 具体的には、改革工程表というのがありますので、それに定められた歳出改革を確実に実行していくということなんですが、さらには、二〇二〇年度には負担と給付のあり方を含めた社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策というのを取りまとめて、いわゆる政策については、基盤強化期間、二〇二一年度までには実行に移していくということだろうと思っております。

 GDP等々の問題につきまして、今あります数字をそのままただ単純に計算すれば、いわゆる社会保障給付費が二〇一八年の一・六倍ぐらいになりますので、百八十兆、九十兆ぐらいまでに増加するという見通しが内閣官房から出されておりますのは十分承知はした上で、私どもはそれにいかに対応するかを検討させていただいているという状況であります。

福田(昭)委員 三点目の質問でありますが、消費税率一〇%への引上げの実質GDPの変化率の試算結果についてですが、これは質問を省略して、意見だけ申し上げておきます。

 これは国会図書館がまとめた資料の中に出てくるんですが、二〇一八年、去年の四月三日に、これは第一総研の方ですかね、永浜利広さんが、戦後最長の景気回復に疑義、消費税増税後は景気後退だ、こういうような論文をエコノミストに書いているんですね。

 それはどういうことかというと、消費税率引上げ後の実質GDPは二四半期連続して前期比マイナスとなった、にもかかわらず、内閣府の景気動向指数研究会はそれらの時期を景気後退局面として認定していない。その一方、内閣府が景気後退局面として認定しなかった平成二十六年四月から二十八年二月にかけて、CI一致指数の落ち込み方は、景気後退局面として認定された昭和六十年六月から昭和六十一年十一月までのそれよりも大きいことを踏まえて、内閣府の判定は一般的な景気実感とは乖離があると指摘する向きも見られる。このような指摘もあります。

 さらに、今、毎月勤労統計調査でGDPのかさ上げをしたのではないかというような議論が国会で盛んに行われておりますが、統計を総括する総務省に聞きますと、「アベノミクスによろしく」と書いた明石順平弁護士が、どうもGDPはかさ上げされている、中でもその他の経費が非常にアベノミクスが始まって以来大きくなっている、こういうことであります。しかし、そうした中身を、その他の経費をしっかりとオーソライズするために、総務省の統計委員会では、今、生産面を中心に見直したGDP統計の見直しをやっております。その見直しの整備スケジュールを見ますと、二〇二五年にやっとその仕組みができ上がって、いよいよ新しいGDPの計算をスタートするというんですね。

 ですから、そうすると、その総務省の統計委員会でやっている計算の方法が、実はアベノミクスの成果に間に合わない、もしかすると、毎月勤労統計調査をいじって、GDPがふえているよというふうにしているのかなという疑いも出てくるということだけ指摘しておきたいと思います。

 それでは、次に、平成三十一年度予算における消費税率等引上げによる影響と対応についてを質問させていただきます。

 一つ目は、消費税率等の引上げの影響についてであります。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。

 今回は、消費税が国、地方合わせて五・七兆円程度、プラス昨年度実施したたばこ税や所得税の見直しなどで〇・六兆円程度、合わせて六・三兆円の負担増であります。複数税率で一・一兆円程度の負担減で、国民の負担増は差引き五・二兆円程度だとしておりますけれども、幼児教育や社会保障の充実による支援、三・二兆円程度の受益増、及び臨時特別の措置で二・三兆円程度で、経済への影響を十二分に超える対策を行うので心配ない、こういう話でありますが、本当に大丈夫でしょうか。

麻生国務大臣 経済財政諮問会議における議論の内容を確認しておられるようなので、これは内閣府にお尋ねいただいた方がよろしいんだと思いますけれども、平成三十年十二月二十日に消費税率引上げによる経済への影響を議論したということ以外には、定量的な議論は行っていないと記憶をいたしております。

福田(昭)委員 何か、今回は定量的な議論を行っていないというんですが、非常に、そうなりますと、ますます心配になってまいります。

 消費税五%を上げたときの内閣府やあるいは民間シンクタンクの経済の成長への変化率、そういうものを見ますと、全てマイナスでした。一番低かったのがもちろん内閣府でありましたけれども。本当に、そういったことを考えると、やはり消費税を八%に上げて大きな影響があったということは、むしろ正確な試算をしていたのではないかなというふうに思っておりますので、ぜひその点についてはしっかり考え直していただければありがたいなと思っております。

 二つ目の、幼児教育の無償化、社会保障の充実による支援についてであります。

 幼児教育等の無償化や社会保障の充実については特別異論はありませんけれども、二〇二〇年度までの三十二万人分の受皿整備こそ、本来なら前倒しをして行うべきじゃないでしょうかね。それこそ、国土強靱化よりも、こちらの方を前倒しして行う必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今、これは社会保障と税の一体改革として、社会保障の持続可能性の確保というものと財政健全化というものの同時達成というものを我々は目的としておりますので、これまで、消費税の引上げによる増収分というものを、社会保障の充実及び安定化に進めてきたところなんですが。

 今お話のありましたことを含めまして、少子高齢化というこの大きな社会現象というものを克服した上で、全世代型の社会保障制度というものに転換していくためには、これはいろいろな形で私どもとしてはやり方を考えないかぬということで、私どもは、増収分の使途を見直して、いわゆる少子高齢化とかいろいろな形で進展する中で、社会保障の充実を図る等々、いわゆる三党合意の哲学というものをきちんと維持した中でやっていきたいということで、今も言われましたような御意見も一つの意見としてあったことは事実でありますけれども、私どもとしては今やらせていただいているような形のものをとらせていただいたというふうに御理解いただければと存じます。

福田(昭)委員 なかなか議論がかみ合いませんけれども。

 それでは、消費税率引上げに対応した新たな対策についてであります。

 これにつきましては、臨時特別の予算措置につきましては、何か、ポイント還元、プレミアムつき商品券、すまい給付金、次世代住宅ポイント制度、防災・減災、国土強靱化等で国費二兆円程度というのは、やはり制度が未熟で、当初予算でよいものもあったり、いわゆるばらまき予算というふうに考えられます。

 このような対策で駆け込み需要と反動減を平準化できるのか、反動減の時期が東京オリンピック・パラリンピック後にずれているだけではないのか、そんなふうにも考えられますし、特にポイント還元制度については、使い切れなかったポイントがどうも事業者に残ってしまうような話もあって、あるいは事業者同士もポイント還元制度が受けられるというような可能性もあるということで、非常に未熟な制度になっております。

 本当に、そういった意味では、平準化がずれるだけのような気がいたしておりますが、そのことについては何も考えておりませんか。

麻生国務大臣 今回予定をいたしております一〇%への引上げに伴いまして、私どもは、前回の、八%に消費税を三%上げさせていただいたあの際の経験を踏まえまして、少なくとも、駆け込み需要とか反動減とかいったような形の、需要の平準化というものを図る観点から実施するものであろうと考えております。

 基本的に、前回、いわゆる二十六年の四月のときには、耐久消費財を含みますいわゆる個人消費等々が大きな変動を示しておりますので、結果として景気の回復力は弱まることになったということでありまして、今回は、そういった問題を考えて、低所得者また子育て世代の消費への影響を緩和するいわゆるプレミアムつき商品券、また、税率引上げの影響を受けます中小・小規模事業者等々を支援するポイント還元、また、住宅などの耐久消費財の需要変動をいわゆる平準化するためのすまい給付金、また、公共投資等々に係りますマクロの需要を創出して経済変動をいわゆる抑制する国土強靱化など、それぞれ目的ごとに、需要変動の平準化に必要となるものに対しましていろいろ取組を行ったものであります。

 したがいまして、今、私どもとしては、そういったものでしっかりと平準化することでやらせていただきたいと思っておりますが、今御指摘のありましたパラリンピック、オリンピック等々の話が出ておりましたけれども、これは、私どもは、政策目的において実施期間を設定しておいて、終了の時期は一定ではないというのは御存じのとおりであって、来年のオリンピックが終わったらぱたっととまるというようなルールになっていないのは、終わる時期がそれぞれずれておりますから、そういった点に関しましては、私どもとしては、オリンピック、パラリンピックが終わったときの経済状況は、今、どのようなことになっているであろうかということを予断を持って申し上げるということは困難ですけれども、私どもは、時々の状況を踏まえてそれらに対応していかねばならぬと思っております。

 いずれにいたしましても、消費税率引上げから半年間とか何カ月間、九カ月間とか一年三カ月間と、いろいろそれぞれずらさせていただいておりますので、そういった意味で、平準化対策のものが一斉に切れるというような、いわゆる財政の崖みたいな形にならないような形で配慮させていただいていると思っております。

福田(昭)委員 それは承知しておりますが、しかし、そううまくいかないのが経済だと思っています。

 四つ目ですけれども、八%から一〇%に二%上げるだけでこれだけの平準化対策をやるということになりますと、国の財政を健全化するためには消費税一〇%では足りない、一五%に上げるべきだという考え、意見がそっちこっちから出ておりますけれども、これで一五%に上げるときには何をやったらいいんでしょうか。

 私はなかなか大変じゃないかなと思っておりまして、そういう意味では、消費税は消費税率案もそろそろ限度だなというふうに考えておりますが、消費税をこれから日本の国の財政を健全化するために一五とか二〇に上げていくんですか。そういう考えはあるんですか。

麻生国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、いわゆる経済活動というものの結果、いろいろなものが起きてくるのでありまして、消費税率の引上げというものだけが経済活動に直接影響するものではないと思っておりますので。消費税率というものを引き上げれば消費税収は必ず増加をしてきているというのは御存じのとおりでありまして、個人消費を始めとして経済とかその他の税収への影響を考慮しましても、景気動向が安定的であれば税収全体も増加ということになっておりますのは御存じのとおりであります。

 例えば、平成二十六年の消費税率の引上げ、五%から八%においては、平成二十六年度の税収は前年度の税収に比べ、消費税が五兆二千億円増加しておりますし、法人税は〇・五兆円、所得税も一・三兆円増加し、税収全体では七兆円増加をしております。つまり、消費税率を上げた場合の経済的影響を考慮しましても、税収は着実に増加をしているということは御紹介をしておきたいと思っております。

 その上で、私どもとしては、財政健全化とか、またいろいろなことを考えねばなりませんので、私どもは、少なくとも、税収というものは、今後、景気とか人口構成とかそういったものに左右されにくく安定いたしております消費税とか、また、働く世代など特定の層に負担が集中するということがなく、経済的に中立だとかいうようなことから、消費税の役割というのは極めて重要だと思っておりますので、私どもとしては、社会保障の安定的な財源として、財政健全化につながるという意味からも、消費税というのは非常に大きな要素を持っているものだと思っております。

福田(昭)委員 消費税が、じゃ、どういうふうにふえていくのか、それから還付金が、消費税には多額の還付金があります、それがどんなふうにふえていくのかというのを、資料の二をごらんいただきたいと思います。

 平成二十三年、二十四、二十五年度は、消費税五%です。二十六年度から八%ですね。これを見ていただきますとよくわかりますように、国、地方を合わせた消費税、何と、収納済み額、税務署分が二十二兆二千三百三十八億円、そして税関分が六兆一千九百七十二億円、還付金の支払い額が六兆一千九百四億円。消費税は、税率を上げれば上げるほど、税収もふえていきますけれども還付金もふえていく、大変おかしな税金なんです。どんどんどんどんふえていくんですね。

 それで、質問をしておきたいのは、税関分の収納と還付金がほぼ同額となっていますけれども、これは、OECDが作成している国際的な付加価値税、物品・サービス税に係るガイドラインにより仕向け地主義が採用されているからほぼ同額になっているのかどうか、ちょっと確認をさせていただきます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が配付されました資料二の計数でございます、これは、国税庁の方が、国税収納金に係る収納済み額と還付金の支払い額を計算して出しているというものでございますけれども、今御指摘がございました還付金の支払い決定済み額というのは、例えば輸出免税でございますとか投資が……(福田(昭)委員「だから、同額かどうなのか」と呼ぶ)これは、税関分につきましては、通関をする輸入品についてかかっている消費税、これが収納されたという金額でございまして、還付金の金額とは全く関係がございません。

福田(昭)委員 主税局長、これはイコールにはならない。ただ、OECDの国際的な付加価値税、物品・サービス税に係るガイドラインを読んでみると、こんなふうに書いてあるんですよね。

 付加価値税のシステムは公正で公平なやり方で適用されるよう設計されているが、それは、国際貿易を歪曲し消費者の選択を制限することになる不公正な競争上の利益を国内企業及び外国企業のいずれに対しても与えないようにするためである。これは仕向け地主義の適用により実現している。仕向け地主義のもとでは、輸出は付加価値税を免れ、輸入は国内供給と同基準かつ同率で課税される。仕向け地主義により、輸入に係る純租税負担は国内市場での同一物品の供給に係る純租税負担と等しくなることが確保される。加えて、輸出の際の税還付若しくは税額控除は、課せられてきた税額と同額となることが確保される。

 財務省からもらった資料にこう書いてある、基本的に。

 問題は、したがって、これを読むといかにも消費者を守っているように書いてあるけれども、しかし、これは消費者を守っていないよね。守っているのは、事業者を守っている。なぜかというと、これからの議論に入るんですけれども、皆さんのお手元にお渡しした資料がありますから、後で議論をしたいと思っております。

 では、次の質問の方をやっておきたいと思いますが、消費税率一〇%が平年度ベースとなったときの総額と還付税額について、まず教えてください。

星野政府参考人 今後、消費税、ことしの十月から一〇%に引き上がりますけれども、三十一年度の予算ベースで申し上げますと、これは満年度入ってまいりませんので、現時点の予算ベースですと一・三兆円、国税の部分については消費税の増収になるというふうに見込んでおります。

 平年度化したときの計数につきましては、その時点で経済規模がどうなるのかといったような前提を置く必要がございますけれども、基本的に、三十一年度のベースで申し上げますと、国の消費税の税収自体は約四・六兆円程度ふえるということでございます。ですから、一・三兆円と比べると、三・三兆円ふえていくということでございます。

 還付については、いろいろまじっておりますので、金額については出てまいりません。

福田(昭)委員 事前にこれはちゃんと言っておいたんだけれども。ちゃんと積算しておいてくれないと困りますけれども。

 例えば、平成三十二年度には平年度ベースになるんですよね。三十一年度は半期分です。三十二年度は通年度ベースになるわけですが、それを私が試算してみますと、国、地方合わせた消費税ですけれども、二十九年度は二十二兆でありましたけれども、これが二十七兆円にふえる。そして、税関分と大体同等になりますけれども、還付額は七兆七千億を超える。

 これが、もし消費税一五%に、いつになるかわかりませんが、麻生大臣が言うように、財政健全化するために消費税にまた頼っていくんだということになって、もし一五%にすると、何と消費税が四十一兆七千億、還付金が十一兆六千億、こうなるんですよ。

 四十一兆円いただくために十一兆円も還付するという税金というのは、これは本当に適切な税金ですか。しかも、これは二〇%にするともっとすごくなるんですよ。こんな税金、これ以上ふやしちゃだめですよ。それだけ申し上げて、次の議論に行きたいと思います。

 次に、消費税の根本的な問題点についてであります。

 今回これだけのいろいろな大騒ぎをしておりますから、消費税というのは一体何なんだということを改めて議論しておく必要があるんじゃないかなと思っております。

 一つ目は、消費税を負担する最終消費者とは誰を指すのか。

 資料の三をごらんいただきたいと思いますが、これも財務省がつくった資料でありますけれども、「消費税の実質的な負担者は消費者であるが、納税義務者は事業者」ということは、最終消費者は誰を指すのか。この絵では人間、自然人になっておりますけれども、自然人のほかに消費税を納める最終消費者は誰なんですか。具体的に答えてください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、消費税でございますけれども、これは、国内において事業者が行った資産の譲渡等にかかる税金でございます。いわば、売上げを課税標準としているわけでございます。売上げにかかる税額から仕入れにかかる税額を控除して納税額を計算するわけでございます。

 したがって、例えば、売上げのない者、一般の消費者、これは、購入したものに含まれる消費税について価格に転嫁することはないわけでございますので、事実上、最終的な負担を求められるという仕組みになるということでございます。

福田(昭)委員 私の質問に答えないね。

 そうしたら、誰なんだ、自然人のほかに。例えば、法人、企業だとか、さまざまな、財団法人だとか公益法人だとか、あるいは国や自治体だとか、こういうことを何で言わないの。

 先ほど麻生大臣が、消費税は非常に安定した財源だと言っていたけれども、なぜ安定しているの。これは、国や自治体も納めるから安定しているんですよ。まさか、国や自治体が税金を納めないわけにいかないでしょう。国や自治体も消費税を納めるから安定しているんですよ。タコが自分の足を食っているようなものですよ。税金で税金を納めるんですよ、これは。こんな悪税、ないじゃないですか。どうなんですか。

 ですから、誰が納めるんだ、消費税は。国や自治体まで納める。一般人、自然人だけじゃない。法人はもちろん納める。これが消費税だということを、ちゃんと広く国民に知らせなくちゃだめじゃないですか。

 二つ目ですけれども、二つ目は、消費税率を上げれば上げるほど、国民の皆さんの財布のひもがかたくなって、個人消費が落ち込む。特に低所得者に対しては重い税金だということは、今までのいろいろな議論ではっきりしてきている。消費税は、全く所得のない赤ちゃんのミルクもあるいはおしめも、それから所得の低い人も高い人も、自然人であれば誰でも納める。まさに、そういった意味では、消費税というのは無差別なんですね。もう誰でも、消費した人から全部取る。それこそ、投網をかけて魚を全部根こそぎとっちゃうみたいな、そういう税金がこの消費税なんですね。

 ですから、そういう意味では、やはり、日本の経済を成長させるんだと一生懸命安倍内閣は言っていますけれども、個人消費が伸びなかったら経済は伸びないじゃないですか。個人消費が落ち込むようなことをやっておいて、経済がよくなる話はないと思っております。

 次に、三つ目が、今度は、消費税率を上げれば上げるほど、先ほど見ていただいたように、還付金もふえるんですよ。還付金が二割。計算してみると、全体に入ってくる消費税から還付金を割ってみますと、大体二割強、返すことになるんですね。それに複数税率、軽減税率が入ると、更に、今回二%分で一兆一千億分入ってこなくなる、基本的に。

 ですから、そうなると相当の、せっかく税率を上げても還付金がどんどんふえていく、また、取れない税金もふえてくる、こういう状況になっているんですね。

 ですから、これは主税局長にお聞きしておきたいんですけれども、軽減税率、複数税率が、これは八から一〇で一兆一千億なんですけれども、もしこれが一五%になったら幾らになるんですか。あるいは、平年度ベースで一兆一千億なんですか、国民の負担減は。わからないの。どっちだか確かめてくれればいい。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税の引上げに伴います平年度ベースの負担増のお尋ねでございます。

 先ほどちょっと答弁を申し上げましたけれども、平年度ベースで四・六兆円と申し上げました。これは、国、地方を含めた数字でございまして、国と地方に分けますと、国としては三・四五兆円、地方としては一・一九兆円ということになるわけでございます。

福田(昭)委員 それで、先ほどお話ししましたけれども、要するに、OECDのガイドラインは、これはいかにも消費者を守っているようだけれども、本来、やはりこれは事業者を守っているんですね。

 それはどういうことかというと、これからの議論ですけれども、これから見ていただきたいと思いますが、資料の四と五です。輸出業者はなぜ免税されるのか。消費税法第七条に書いてあるから免税されるんですけれども、そうすると、輸出業者は消費税法第七条で仕入れ等に係る消費税等が免税となっておりますが、還付となる場合と納税となる場合があります。それが資料の四と五であります。仕入れ等に係る消費税と売上げに係る消費税等の差額がプラスかマイナスかで、還付になるか、あるいは納付になるかと決まります。資料四が還付となる場合、それから資料の五が納付になる場合であります。

 これはあくまでも輸出業者の話ですが、では、輸入業者はどうなるんでしょうか。輸入業者は、税関にまず国内消費税分を支払いますが、しかし、最終的には、国内消費者が輸入業者から輸入品を買うことによって支払うことになります。輸出業者だけは、仕向け地にもし付加価値税、消費税がなければ、その分、得をするという形になります。そういう意味では、まさに事業者が事業者を守っているような制度にOECDの制度がなっているということであります。

 そこで、五つ目の質問でありますが、OECD二〇一七のガイドラインによると、輸出品については仕向け地主義が採用されておりますが、付加価値税のない国の輸出品、例えばアメリカの輸出品についても還付しているのかどうか、お伺いをします。

    〔委員長退席、越智委員長代理着席〕

星野政府参考人 輸出還付仕向け地主義について、先生からるる御説明がございました。

 先生が先ほどOECDの御紹介をされましたけれども、仕向け地主義をとっておりますのは、輸出品について、ある意味、仕向け地国及び他の国々の製品と全く同じ条件で競争し得る、そのために消費税、付加価値税の負担を国境でなくするということで輸出品については免税になっているということでございまして、これは国際競争上、中立的な制度にする、そういう趣旨でございまして、基本的に国際的なルールになっているというものでございます。

 アメリカの場合は、最終的な小売売上げに対してかかっている税でございますので、小売の国内の売上げにかかるということでございまして、輸出品にはかかっておりません。

福田(昭)委員 非常に不公平な制度だなというふうに思います。

 それでは、六つ目、平成元年度から平成二十九年度までの消費税収累計三百四十九兆円、法人三税累計二百八十兆円の減収額の推移についてであります。

 資料の六をごらんいただきたいと思いますが、これは、消費税廃止各界連絡会が財務省や総務省の公表データをもとにつくった資料でございます。

 これを見ますと、消費税収の約八割が法人三税の減収で消えてしまっております。これでは消費税をつくった意味がないのではないですか。これまで消費税をつくって企業の法人税を大幅に減税しているように、これでは見えるのではないですか。そういうことで、こういうことに対しては何の心の痛みもないんですか。いかがですか。

麻生国務大臣 まず、法人所得税につきましては、これは、最近の改革においては、課税ベースの拡大によりまして財源を確保しながら行ってきておりますけれども、少なくとも企業の活力と国際競争力というのを維持する、強化するというために、制度の改正というものの影響に加えまして、時々の景気の要因の影響もありますので、その税収の累計が減少したというように考えております。

 一方で、消費税につきましては、これまでの税率の引上げに伴って税収の規模が拡大いたしておりますとともに、景気変動の影響というものを大きく受けることなく、いわゆる安定的な形で推移をしていると思っております。

 したがいまして、同じ時期に生じた変化としては、急速な高齢化を背景にして、年金、医療、介護等々の社会保障給付費が大きく増大をしておりますので、今般の消費税率引上げに伴います増収分は、全額、社会保障の充実及び安定化に充てられておりまして、消費税率引上げは法人税率引上げの穴埋めにつながって財政再建につながっていないのではないかという御懸念はおありになるとは思いますけれども、その御指摘は当たらないと思っております。

福田(昭)委員 それは違うと思います。

 七つ目ですけれども、その反論になりますけれども、平成元年度から平成二十九年までの財務省がつくっております法人企業統計、金融、保険業を除く利益剰余金、要はいわゆる内部留保資金ですけれども、それと労働分配率の推移についてであります。

 財務省の発表では、この法人企業統計によると、全産業のいわゆる内部留保資金は、二十九年間に三・八四倍になって四百四十六兆円となりました。製造業が二・四八倍、非製造業が五・三七倍、資本金一億円から十億円の企業が四・三七倍で一番多い、十億円以上が四・〇七倍、一千万から一億円が三・四四倍となっております。

 一方、いわゆる労働分配率については一・三二倍で、平成二十九年度六六・二%と、何と二番目の低さになっております。アベノミクスを始めてから五年間、労働分配率は下がりっ放しであります。

 これでも、法人税が優遇され過ぎていると言わないのかどうか。ちゃんと、これだけ内部留保資金もため込んできているということを指摘をしたいと思いますが、どう思われますか。

うえの副大臣 お答えいたします。

 今委員から御指摘がございましたが、法人企業統計による数値につきましては、今委員からお話のあったとおりでございます。

 内部留保についての御質問だと思いますが、法人企業統計調査によれば、人件費につきましては、高水準の企業収益を背景にして前年度比で増加をするなど、よい方向に動きつつあります。

 一方で、労働分配率につきましては、近年、低下傾向ということでございますが、これは景気が回復する中で、分子と分母がありますが、分子については人件費も緩やかに増加をしておりますが、分母である人件費や営業利益等を足し上げた付加価値額の伸びが分子である人件費の伸びを上回っているためでございます。その結果として、企業の利益剰余金は増加をして、あるいは現預金の積み上がりというものも見られるというふうに認識をしています。

 今後とも、経済の好循環を拡大、深化していくためには、やはり経済界の皆様には、好調な企業収益を賃金の引上げあるいは投資の拡大に活用していただくことが必要だというふうに考えておりますので、一層の取組を求めてまいりたいと思います。

福田(昭)委員 副大臣、大企業の社員の給料だけ上げてもだめなんですよ。全雇用者の四割は非正規雇用になっちゃっている。この人たちをやはりしっかり正規雇用にしていく、正規雇用にしてまともな給料を払っていくということをやらないと、実は労働分配率は上がらないんですよ、基本的に。

 そして、そういうふうに、非正規雇用をなくしてまともな給料を払っていけば、当然、個人消費も伸びていくんですよ。だって、全雇用労働者の大企業の労働者は、たった五%ですよ、五%。

 早稲田大学の橋本健二先生が最近すごい本を書いています。日本は経済的に新階級社会になってしまったと。非正規雇用の皆さんは年収二百万円前後、二百万以下の人たちは今アンダークラスと言われているそうです。普通のサラリーマン、正規雇用のサラリーマンより更に一段下のクラス、アンダークラスだ、こう言われている、そういう分析をしております。見事な分析であります。

 しかも、皆さんも御存じのとおり、今、この豊かな日本で、六人に一人、あるいは七人に一人の子供は、三度の食事も食べられない、そういう状況にあるわけですよ。まさに、経済的には、日本は残念ながら格差社会どころか階級社会になっちゃった、こう言われている、そういう指摘もある。ですから、そこを根本的に変えなかったら、日本の経済もよくならないんですよ。

 元国税庁に勤めていたある人が本を出して、そこにこんなことを書いていましたよ。日本は、二十年間、先進国で唯一給料が下がり続けてきた国だ、だからデフレなんだ、こう言っていますよ。今、これから申し上げる藤井先生は、消費増税がデフレをつくった、こう書いてありますけれども、この元国税庁の役人だった人は、給料を上げなかったからだ、こう言っています。ですから、そこをやはり総合的にやらないとだめだというふうに思うんですけれどもね。

 そこで、次に、八つ目ですけれども、国と地方を合わせた税収の構成でありますが、平成二十九年度で見ると、消費税がもう断トツの三三・〇%、個人所得課税が三〇・八%、法人所得課税が二二・一%、参考までに申し上げますと資産課税等が一四・一%と、著しくバランスを欠いております。特に、消費税、個人所得課税、法人所得課税などはバランスよくお願いするというのが基本だと思っております。

 したがって、法人企業統計を見ると、法人税を減税しても、ふえるのは株主配当と内部留保資金、これが増加します。しかし、労働分配率と国の税収は、どっちかというと減る一方です。減る一方です。法人税は下げ過ぎました。かつては四〇%台でありましたけれども、今では二三・二%であります。しかも、地方の外形標準課税は赤字法人からも税金を取る。こういう異常な税体系になっております。

 ですから、本当にそういう意味では、しっかり、税はやはり担税力のある人、担税力のある法人企業に応分の負担をしていただくのが原則だと思います。しかも、所得税と法人税と消費税のバランスをしっかりとってお願いしていくというのが政府のとるべき道だと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 最近、法人所得課税と比較して、税収に占める消費税の割合が高まっている、これは確かです。間違いなくそういう傾向になっております。

 これは少なくとも、昔から、直間比率の見直しに伴って、いわゆる直間比率、八対二を今は七対三ぐらいまで移動させてきた、長い時間をかけてここまで来たと思っておりますが。各税目の税収全体に占める割合は、かつての、いわゆる直間比率の見直し等々、社会経済の変化に応じて行われてきた税制改革の結果でありまして、その時々の経済状況の影響を受けながらも変化してきたものであろうと思っています。

    〔越智委員長代理退席、委員長着席〕

 したがいまして、現在の割合が、かつての八対二から七対三になったということをもって、バランスが悪くなった、バランスを欠いているというように考えているわけではありません。

 その上で、消費税につきましては……(福田(昭)委員「もういいですよ、時間がありませんから」と呼ぶ)時間って、答えが中途半端になると、私の立場もぐあいが悪いので。(福田(昭)委員「直間比率を見直したからそうなったというんでしょう」と呼ぶ)見直した結果がこうなったということを申し上げているので。(発言する者あり)

坂井委員長 答弁を続けてください。

麻生国務大臣 ありがとうございました。筆頭理事に感謝申し上げます。

 消費税収につきましては、これは税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定しているとか、働く世代など特定の層に負担が集中するということなく経済活動に中立的といったような特徴を持つことから、いわゆるこれから進んでまいります少子高齢化と言われる社会の中において、国の財源調達においてその役割が極めて安定しているという意味から、一層重要になってくると思っております。

 いずれにしても、今後、経済社会の変化に対応しながら、所得税、法人税、消費税と、いわゆる基幹三税というものを適切に組み合わせて必要な税収というものを確保していくことが必要だと、私どもは考えております。

福田(昭)委員 直間比率を見直して、バランスが悪過ぎたということでしょう。悪くなり過ぎたということであって、これは、見直して間接税がふえたというのを自慢するのは間違っていると思いますよ。

 それでは、そろそろ時間が来ましたので、あと何分あるんだ、五分もあるのか、最後の質問に行きたいと思います。

 次に、消費税率一〇%が日本経済を破壊する、藤井聡京都大学大学院教授の提案でございます。この本を藤井教授が書いたときは、まだ安倍内閣の内閣官房参与でありました。しかし、何があったかわかりませんが、今は内閣官房参与をやめているそうであります。これだけの本を書いては、それはやめざるを得ないんだとは思いますけれども、やめているそうであります。

 一つ目でありますが、一九九七年、平成九年の、消費税率を三%から五%へ上げた、その消費増税が日本を衰退途上国に転落させた、こう藤井教授は言っております。

 それは、資料に基づいて話をしているわけでありますが、第二章の中で、日本はもはや経済大国ではない、一九九五年と二〇一五年、二十年間の世界のGDPに占める割合を比べてみると、一九九五年は世界のGDPの二一・八%あったが二〇一五年は五・九%に減ってしまった、かつての三分の一のシェアにまで凋落している。日本は世界唯一の衰退途上国である、一九九五年から二〇一五年までの二十年間、唯一成長していないのが日本である、日本だけがマイナス成長であった。一九九七年から日本は衰退し始めた、消費税を三%から五%へ増税したときから名目GDPが縮小局面に入った。日本が衰退し始めたのは日本がデフレになったからである。日本が衰退したせいで世帯収入が一千五百万円減った。日本が衰退したせいで、政府も貧困化し財政が悪化した、一九九七年からわずか六年で総税収がマイナス十兆円以上、十兆円以上税収が減って、赤字国債がどんどんふえた。消費増税が招いたデフレ不況で一九九七年から物価が下がり、企業業績が悪化していった。消費増税が導いたデフレ状況で人々が自殺をしていった、一万人以上自殺者がふえた。バブル崩壊の傷が癒えない状況下での消費増税が日本に災いした。

 消費増税がデフレ不況を導いたメカニズムということで、資料の七をごらんいただきたいと思います。

 この資料の七が、藤井先生がまとめた、消費増税がデフレを導くメカニズムであります。消費増税で消費が縮小し、物価の低迷、企業業績が悪化をする、そして世帯の所得が減少し国民が貧困化をし、企業は民間投資が低迷をし、そして自殺者がふえたり政府の税収が縮小したり悪化する。まさにデフレスパイラルが起きて、デフレの深刻化で、まさに衰退途上国に日本がなってしまったという、まとめた図であります。

 こうした図を見て、まさにどういう感想をお持ちか、どういうお考えか、お聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 藤井先生が指摘をしておられる内容について、全部承知しているわけではありません。ただ、現在の経済状況や見通しが、消費税率を五%に引き上げた一九九七年当時の経済状況と似ているという御指摘があるんだというふうにおっしゃっておられますけれども、それはちょっと違うんじゃないかと思っております。

 なぜなら、一九九七年当時の経済指標というのは、消費税率を五%に引き上げた後、個人消費は四―六で反動減により急落しておりますが、七―九月は回復をしております。先ほど数字が出されたとおりです。したがいまして、前年同期比でも増加をしております。

 しかしながら、この年の七月にいわゆるアジア通貨危機というのが起きたのを御記憶だと思いますが、十一月には、金融システムの不安定化等々によって輸出とか設備投資がどんと落ち込んだのが一九九七年。あのときは銀行も、北海道拓殖銀行、三洋証券、山一証券等々倒産したのもこの年だろうと思いますが。

 そういった意味で、いろいろな状況が違っておると思いますが、一方、本年の経済見通しというのは、景気というのは緩やかに回復しておりますし、九七年のような、設備や雇用が過剰となって資産デフレの中で企業や金融機関のバランスシートが悪くなって、いわゆる債務超過になって、こういうような形でその調整が極めて長引いたということで金融システムが不安が起きているというような状況にもありませんし、地方銀行は極めて厳しいといいながら、その資本の内容というものは四%あればいいところが八%等々、きちんと安定したものになっていると思っております。

 また、八%引上げ当時の前回の経験を踏まえて、私どもとしては、臨時特別の措置というのをやらせていただいたり軽減税率を実行するなど、いろいろな形で経済への影響の平準化を図るために万全の対策をとっておると、私どもとしては思っております。

 したがいまして、そういったものへの御指摘はいろいろあろうかと思いますけれども、きちんとした経済財政運営に努めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 時間がなくなりましたので簡潔に申し上げますが、資料の八をごらんいただきたいと思います。まさにこれは物価、デフレーターの変化率で、三つの消費税タイミングのときのデフレーターをあらわしております。

 デフレから脱却したかどうかというのは、やはり一番重要な指標はデフレーターだと私は思っています。デフレーターが二期連続上向かないと、プラスにならないと、本当にデフレから脱却したというふうに私は言えないんじゃないかなと思っておりますが、今回まさに、このデフレーターが二〇一五年から一六年、二〇一七年と下がりぎみだと。ここで増税をするわけですから、私は藤井先生の言う話の方が当たるんじゃないかと思っております。

 そして、何度も安倍総理にも昨年申し上げましたが、アメリカの大投資家のジム・ロジャーズも、ことしの消費税一〇%引上げはクレージーだ、私は日本の株を全部売っちゃったよ、そんなことまで言っているジム・ロジャーズであります。

 そういった意味では、政府の方針が、外れることは期待しませんが、当たらないんじゃないかと思って大変心配をしております。消費税増税はやはりしっかり断念すべきことを改めて提案して、私の質問を終わります。

 以上です。

坂井委員長 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 きょうは特別会計のことを中心にお話をさせていただきますけれども、その前に、先日、二月の八日でしたか、沖縄北方問題特別委員長として沖縄を訪問させていただきました。そこで、玉城デニー知事とか、あるいは、これから問題にする那覇空港の第二滑走路等を視察してきたわけでございます。現地の方がよくケアをしていただいて、そこは感謝をしているんですけれども。また同様に、沖縄の観光を促進させるという意味で、那覇空港の第二滑走路事業は重要だと思っているわけでございます。

 ただ、そのときに現地を見て、そして説明を聞いて疑問に思ったのが、資料の三枚目なんですけれども、ちょっとページ数が書いていなくて恐縮です。そこで、例えば今、那覇空港の発着回数の実績というのがございまして、二十九年度を見ていただくと、発着回数が十六・六万回なんですね。それが、第二滑走路ができて、そして供用開始後の回数というのが、今、安定的な運用という、政府が想定している回数でいくと、十八・五万回ということ。十八・五万回と十六・六万回を比較したら、一・一一、つまり一一%しかふえない。

 二つ目の滑走路をつくってたった一一%しか伸びない、これに二千億円ぐらいかけるというのは一体何なんだということをちょっと私は疑問に思って、現地では、理論値的な数字では四〇%ぐらいふえるんだと言っていましたけれども、安定的に運用する場合でいくと一一%しか伸びない。これはちょっと国費のかけ方としておかしいんじゃないか、そこを感じたわけでございますけれども、これに対して理由をちょっとお述べいただけますか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、議員におかれましては、先日御視察をいただきまして、まことにありがとうございます。

 那覇空港につきましては、沖縄県と国内外を結ぶ人流、物流の拠点として極めて重要な役割を果たしていると認識しておりまして、さらなる沖縄振興を図るために、平成二十五年度から滑走路増設事業を進めておるところでございます。

 那覇空港の発着回数につきましては、飛行経路や高さ制限等を勘案しまして、委員御指摘のように、遅滞等を生じることなく、年間を通じて安定的に運用可能な回数として、これまで滑走路一本で十三・五万回という数字を置いておるところでありまして、これが、滑走路を増設した後は、同様に、飛行経路そして高さ制限などを勘案して、遅滞を生じることなく、年間通じて安定的に運用可能な回数ということで、十八・五万回に増加するという設定をしておるところでございます。

 以上でございます。

末松委員 だから、今でさえ十六・六万回発着しているわけですよ。じゃ、十八・五万回だったら、それで一一%しか伸びない。二本目をつくってたったそれだけしか伸びないのか、これがおかしいじゃないかと言っているんですね。それに対して答えてください。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、平成二十九年度の発着回数の実績は年間十六・六万回に達しておるところでございます。このため、航空機の混雑そして遅延などを生じながら、滑走路一本の運用を行っている状況でございます。

 まずは、那覇空港の第二滑走路の供用開始に向けて事業を着実に推進することによりまして、こういった航空機の混雑そして遅延の解消に努めてまいりたいと考えておりますことに加えまして、近年の那覇空港の需要は大きく増加しておりますことから、今後のさらなる需要の増大に対応するための発着回数の拡大につきましてはどのようなことが可能か、検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。

末松委員 これを私はここで初めて言っているんじゃなくて、もう二年前から予算委員会とか沖縄北方問題特別委員会とかで議論されてきたわけですよ。何人もの方が、これはおかしいじゃないかということで言ってきているんですよ。ただ、あなたの今の答弁を聞いていると、いや、これからやっていきますという話だけでは、これはもたないですよ。

 ちょっと具体的な、もう少しそこを言ってくださいよ。これに二千億円かけているわけでしょう、第二滑走路は。それで一一%。少なくとも、二倍とは言わないまでも、それはもっと八割ふえるとか七割ふえるという答弁の中でやっていくべきじゃないですか。

 私、現地を見てちょっと感じたんですけれども、資料の四枚目を見てください。

 ここで、右下に今、ターミナルビルがあるわけなんですね。第二滑走路はこの真ん中にある滑走路で、立派な滑走路が今つくられていました。ただ、ターミナルビルがこの右下にあるがために、飛行機が離発着しても、これを、ずっとこう、第一ターミナルを横切っていかなきゃいけない、そのために第一ターミナルビルのスケジューリングが非常にまた大変になってくる、こういう状況になるわけですよ。

 そうしたら、もっと最初からターミナルビルの位置を、二年前に沖縄県のたしか石嶺商工会議所の連合会会長なんかが指摘されていましたけれども、例えばターミナルビルをこの空港の間につくって、そこで両滑走路がターミナルビルを利用できるようにするとかいろいろなアイデアがあって、できるだけ発着回数をふやすというようなことも、この二年の間にある程度そこは工夫できたんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがなんですか。

久保田政府参考人 先ほど申し上げました十八・五万回という数字は、安定的な運用ができるという目安でございます。したがいまして、運用上の工夫ということも講じることが可能となっておるというふうに思っております。

 それから、ターミナルの位置の関係につきまして申し上げますと、航空機の離発着の際には、後続機との間で一定の間隔をあける必要がございます。その間に滑走路を横断するということが可能でございますので、あらゆる検証をした結果、今地元で、真ん中をターミナルというお話が御要望として一部起こっているということは十分わかっておりますけれども、今の状態でトータルの発着回数に影響は少ないと考えておるところでございます。

 いずれにしましても、現在、需要が相当伸びておるという実態がございます。今後のさらなる需要の増大に対応するための発着回数の拡大につきましてどのようなことが可能か、検討してまいりたいと考えてございます。

末松委員 二月十五日、ことしですけれども、沖縄タイムスにこういう記事が載っているんですね。政府は、那覇空港の第二滑走路の完成に伴って、滑走路を安定的に離着陸できる回数を年間二十四万回以上と見込んでいるということが、十四日、複数の関係者への取材でわかったと。これは、二十四万回まで、そういう認識でいるんですか。

久保田政府参考人 具体的な回数をどういうことをするかということを含めまして、今後のさらなる需要の拡大に対応するための発着回数の拡大につきましてどのようなことが可能か、今真剣に検討してまいりたいと考えておるところでございます。

末松委員 これ以上きょうはやめますけれども、ただ、それだけの答弁じゃもたないですよ。しっかり、もうちょっと具体的な方向性なりともきちんとしてもらわないと、ただ検討しますと言うんじゃちょっとそこは心もとない答弁だなということを改めて指摘させていただきます。

 またこの問題について引き続きちょっと聞いていきますので、今度はもう少し満足できるような答弁をしてください。これは要請です。

 では、特別会計についてお話をさせていただきます。

 我が国の財政というのは、大まかに言うと、一般会計が百兆円と考えて、そして特別会計が歳出総額で約四百兆円、このうち、重複分を除くと純計が約二百兆円、そこから国債償還費とか社会保障給付費等を除くと六兆円前後になります。平成十七年度は、この金額は十七・二兆円だったわけでございます。また同様に、特別会計の積立金とか剰余金も、かつてはそれぞれ二百兆円とか五十兆円あったわけですけれども、現在は百四十兆円また十二兆円まで縮減をしているわけです。

 これらの多くは、かつて霞が関埋蔵金として指摘されておりました。それが、一連の特別会計の改革がなされてきて、それで特別会計にもメスが入っていって、そしてある程度の改革の進捗を見たと思うんですけれども、この霞が関の埋蔵金の存在、またその後の特別会計改革の進捗について、財務大臣の御認識を問いたいと思います。

麻生国務大臣 末松先生御指摘のとおり、特別会計につきましては、これは予算全体の仕組みがもうえらい複雑でわかりにくくなる、御存じのように百兆のほかにいろいろありますので、そういった話でわかりにくくなるとか。また、予算と違って、いわゆる監視の目が行き届かぬ、そういった意味では無駄な支出が行われやすいとか、また、剰余金が存在している、埋蔵金といういろいろな表現が最近ありますが、正確には剰余金です、剰余金というものが存在しているので、財政資金の効率化のためには、これをはかる方が当たり前じゃないかという御意見というのは、いろいろなされてきたのはもう御存じのとおりです。

 したがいまして、平成十七年度以降に特別会計の統廃合というのが、今、二十七年度、約十一年進んでいるんですが、企業会計の考え方による情報の開示、また、剰余金の一般会計への繰入れによる財政健全化への貢献等々含めまして、特別会計改革を進めてきておりますが、今、平成二十八年度末に、貿易再保険特別会計について、国がみずから業務を行う必要性を検証した結果、特殊会社、株式会社日本貿易保険に移管することとして、同特別会計は廃止をする等々のことをやらせていただいた結果、平成十八年度においては三十一特別会計というのがありましたが、平成三十年度はこれは十三まで減少してきております。

 引き続き、この特別会計改革の趣旨に沿って、不断の見直しというのを更に行ってまいりたいと考えております。

末松委員 かなり特別会計が問題になってから一連の改革がなされてきたということで、特別会計の三十一から十三まで縮小をさせたということで、これは重要なことだと思っています。

 ただ、総論で言っても何にもならないので、私の方でちょっと気づいた点についてお伺いをしたいと思います。

 例えば、自動車安全特別会計の中に空港整備勘定というのがあるんですね。これなんですけれども、最初に、自動車安全特別会計の中に空港整備勘定というのはちょっと違和感を感じるんですけれども、所管の国土交通省にお伺いしたいんですけれども、これはどうしてそんなカテゴライゼーションがなされているんですか。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 空港整備勘定は、その起源である空港整備特別会計のころから、国土交通大臣が一貫して単独で管理してきたところでございます。

 こうした中、平成二十五年の特別会計改革に際して、空港整備勘定が属していた社会資本整備事業特別会計が廃止されることになった際、空港整備勘定については、財政投融資特別会計等からの借入金があるなどの特殊性から、その債務を償還するまでの間存置されることとなりました。

 このため、残された勘定の中で唯一、国土交通大臣が単独で管理している自動車安全特別会計の下の勘定に移管することが適当と判断されたものでございます。

末松委員 ちょっと経緯を述べられているだけなので、何か非常にわかりにくいので、そこは何とか、名前なりとも変えていくような形をとっていただければと思っています。

 一方、平成十四年の国土交通省の交通政策審議会航空分科会の答申で、一般空港の整備については、事業実施中の空港を加えると、その配置的側面からの整備はおおむね完成したというふうになっております。

 それから十五年以上が経過し、今や空港は整備の時代から経営の時代に変化したのではないか、つまり、整備を行うという時代がほぼ終わって、経営を重視していく、こういう時代に変化してきたのではないか。ですから、地方空港の赤字問題とかを含めると、やはり経営というものがこれからしっかりなされていかなきゃいけない、お荷物になってはいけないということでもあります。

 そういう観点から、一般会計から空港整備勘定に資金が流れている、税金が流れているということ自体が、私にとっては、ちょっとやはりこれも違和感があるんですね。

 昨年秋の行政事業レビューにおきまして、これは資料の第一にあるかと思います、赤線で引いていますけれども、「空港整備勘定への一般財源からの繰り入れについては、必要最小限、合理性のある範囲に留めるべきである。」というところ、この行政レビューでも言われているわけですけれども、ここを今、内閣官房の行政改革推進本部の事務局の方から、これを入れた趣旨についてお伺いしたいと思います。

山根政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の空港整備事業につきましてでございますが、まさに先生からいただいた資料に尽きるところでございますが、現在、インバウンドの増加に伴いまして着陸料等の収入がふえている、その一方で、まさにその空港の整備計画が一段落しつつありまして、これも先生今おっしゃいましたけれども、整備から維持管理の経営に移りつつある状況に鑑みまして、空港整備勘定への一般財源からの繰入れにつきましては、「必要最小限、合理性のある範囲に留めるべき」との方向性が取りまとめられたものでございます。

末松委員 この認識は財務省の方でも共有していますか。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の行政レビューの認識、財務省としても共有しているところでございます。

末松委員 それで、そういうことが、特に問題意識も持ってやられたんだろうということで、見ていたら、資料の二枚目をごらんいただきたいと思うんですけれども、空港整備勘定の歳入歳出予算ということで、平成三十年度の予算で、純粋な一般財源が二百七十一億円入っていたわけなんですね。それが、三十一年度予算になると、今度は三百七十二億円、また入っているわけですね、一般会計から。

 大体百億円増額をしたということは、どういう理由で増額になったんでしょうか。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 空港整備勘定の歳入のうち、一般会計からの繰入れにつきましては、航空機燃料税収入と純粋一般財源からの繰入れで成り立っており、平成三十一年度予算における御指摘の純粋一般財源からの繰入れについては、三十年度当初予算に比べて百一億円増の三百七十二億円となっております。

 これは、重要インフラの緊急点検の結果明らかになった課題につきまして、臨時特別の措置を活用しまして、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策として、空港における護岸のかさ上げなどの対策を実施するための経費である百三十四億円を含んでおり、増額となったものでございます。

末松委員 この百三十四億円、新たにそういった国土強靱化というのが降って湧いてきたので、これを増額したと。

 この国土強靱化の財源というのは、これは借金ですか。

阪田政府参考人 これは、国土強靱化、今回の緊急点検、特にインフラでございますれば、建設国債ということになると思います。

末松委員 建設国債ということであれば、国の借金が、これは多分、三カ年か何かで七兆円ぐらいかかるという話もお伺いしたことがあるんですけれども、それは全て借金、つまり建設国債、借金で賄う、こういう位置づけなんですね。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃいました、三カ年でおよそ七兆円程度と申しますが、国、地方も含めて全体の事業規模、民間資金もございます、その国部分については国の建設国債というのが財源になるかと思います。(末松委員「事業、その一部でしょう」と呼ぶ)一部でございます。

末松委員 つまり、私が言いたいのは、国は一般会計でまた借金をするわけですよ。それで、この空港の整備に更に百三十四億円上乗せをしましたと。

 これは、考えると、空港整備勘定を見ていると、もともと多額の剰余金が過去発生しているんですね。それで、翌年度の歳入にそのまま繰り入れられているわけですよ。例えば、平成二十九年度決算では千百六十八億円の剰余金が発生していますし、平成三十年度では七百三十一億円の剰余金が発生していて、翌年度の歳入にそのまま繰り入れられているんです。

 ただ、これについて、事業も繰り延べたので、それでこの予算もそういう形で剰余金が発生しましたよということが言われるかもしれませんけれども、そういった延期された事業費にかかるコストを引いてやったとしても、前年度の剰余金の受入れ予算額というのが、二十九年度は二百六十六億円、三十年度は四百四億円、三十一年度は三百二億円、剰余金としてそこは繰り入れられているわけですね。

 ですから、考えてみたら、これだけ剰余金がたくさん発生しているのであれば、わざわざ一般会計から百億円余を持ってくる必要はないじゃないか、そう思うんですけれども、いかがですか。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 空港整備勘定におきましては、先生御指摘のとおり、前年度剰余金を活用させていただきながら空港整備を実施しているところでございます。

 三十一年度予算においては、三カ年緊急対策に必要な百三十四億円を除けば、四千百五十四億円ということで計上しておるわけでございますが、これによって、二〇二〇年のオリパラ大会に向けた羽田空港の機能強化等々、あるいは各地方空港の老朽化対策等々を実施するところとしていることでございます。

 今般、こうした空港整備に加え、昨年秋の台風被害を踏まえた空港の防災、減災緊急対策を実施する必要が生じたため、その財源については、臨時特別の措置として、純粋一般財源から手当てするとしたところでございます。

末松委員 いや、ちょっと私の質問に答えていないんだ。

 だから、剰余金が決算でもそれだけ、数百億円出ていますよ、だったら、わざわざ一般会計からそういう借金をしてやっている一部としてこれを活用するというのはおかしいじゃないか、できるだけその剰余金を活用していくような形にしないといけないんじゃないですかと。

 要は、なぜ言っているかというと、国の財政を預かっているのは財務省でしょう。だから、財務省の方はできるだけ一般会計をふやしていくという活動をしていかないと、誰も見ないじゃないですか。そこを剰余金として活用すべきじゃないかというのを、まあ私の質問に答えください。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 剰余金も、見込まれる剰余金を全て活用した上で、そもそも全体として四千億円超の事業をやってございますので、それをやっていただいた上で、さらに防災緊急対策というものが出てまいりましたので、そこは純粋一般財源を追加してという、今回の当初予算はそういう構成になっているということでございます。

末松委員 あなたの言っていることは、ずっとそこに七兆円ぐらいがのるから、そのうちの一環でやればいいじゃないかという話なんですけれども、特に財務省の方として、そういった一般会計、もし特会がある程度の剰余金があるんだったら、それを、召し上げるというのは語弊がありますけれども、そのうちの一部を一般会計に繰り入れて、一般会計を少し借金を減らしていくという発想が財務省にあるべきじゃないかと言っているわけですね。

 例えば、財務省の平成三十年版の特別会計ガイドブックの百七十九ページというのがあるんです。ちょっと資料にはここは出していませんけれども、その中で、いろいろな、各特別会計の剰余金の処理というのを見てみますと、剰余金というのを積立金として組み入れることもなしに、また一般会計に繰り入れることもなく、そのまま翌年度の歳入予算に計上して特別会計がなされているというのも多いんですね。だから、多額の不用額というのを計上している特別会計もたくさんあるわけですよ。

 例えば、特許会計が千五百十四億円とか、自動車安全会計の千九百二十三億円とか、エネルギー対策会計の四千四百九十四億円とか、こういうのをしっかりと精査していって、そのうちの一部でも一般会計に繰り入れていくような姿勢を持っていないと、本当にそういった、特別会計はこの国ではアンタッチャブルになっていて、そして一般会計だけ細っていく、それで借金になりますよという話だったら、この国の未来はどうなるんだと心配するのは私だけじゃないと思うんですね。

 そういった意味で、ちょっと大臣の方に、そういった一般会計に特別会計の剰余金を、もっとそこを入れ込むぐらいの気概を持ってやってほしいんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今、末松先生の御指摘のとおりですけれども、特別会計の歳入と歳出の差額によって出てくるいわゆる剰余金というものにつきましては、これは特別会計の制度というのも踏まえないけませんので。基本的には三つで、積立金への積立又は資金への組入れが一つ。それから、翌年度の特別会計歳入への繰入れが二つ。そして、今言われた一般会計への繰入れが三つということで、これを行っているところなんですが。一般会計に繰り入れた例として、平成三十一年度の予算において、ごらんになったとおりだと思いますが、外国為替特別会計というものの中から一兆八千億円を繰り入れるというようにしようと思っております。

 他方、年金特別会計とか労働保険特別会計、地震再保険特別会計といった、保険料というものを財源とするいわゆる特別会計の剰余金につきましては、これは、やはり将来の保険の支払いへの備えとして、積立金としてやはり積み立てておかねばいかぬと思っております。

 いずれにしても、一般会計の財政状況というのは極めて厳しい中にありますので、私どもとしては、活用が可能な剰余金については引き続き一般会計に対して財源として活用をさせていただきたいと考えております。

末松委員 そこをくれぐれもよろしくお願い申し上げまして、私の方からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内です。よろしくお願いします。

 まず、ちょっと統計のことを事実確認させていただきたいというふうに思います。

 なぜならば、麻生大臣の経済財政諮問会議の平成二十七年十月の発言が、今回の毎月勤労統計の不正の発覚、違法の発覚につながる遠因となっているからであります。

 きょう総務省に来ていただいているんですけれども、まず一枚紙の資料をごらんいただきたいんですけれども、「サンプル脱落によるバイアス」というタイトルがついている紙でございます。この紙は、昨年十二月十日、総務省統計委員会事務局担当者が、厚生労働省の雇用・賃金福祉統計室長、毎月勤労統計を担当する室長に対して、五百人規模以上の事業所の調査においては全数調査であれば生じるはずのない段差が生じているということについて文書で指摘をした、その指摘をしたというときの文書の一部であるということであります。

 先生方のお手元に配付した資料に赤い丸をつけてまいりましたけれども、左下の表ですが、二〇一八年一月、五百人規模以上の事業所のところで、生じるはずのない段差が生じていると。これはおかしいのではないかということを、統計委員会事務局担当者が室長に対して指摘をしたという文書です。

 この紙で指摘をしたんだということでよろしいですか。

横山政府参考人 お答えします。

 メールで指摘をしました。紙でと言っても差し支えありません。

川内委員 メールで指摘をしたということであればメールの、私、全部資料を下さいと言ったんですよ。そのメールに何て書いてあったかとか、非常にそういうところが重要なので。ところが、きのうこれしか持ってこなくて、これを持ってくるのにも四、五日かかっているんですけれども、この一枚に。

 そのときのメールを含めた、全部の資料の提供を求めます。

 この総務省統計委員会事務局の担当者の方が厚生労働省に対して指摘をしたのが十二月十日。そして、十二月十三日、統計委員長と大西前政策統括官との会合につながるわけですけれども、十二月十日に指摘をしているわけですから、実は、担当者としては、気づいたのはそれより前だったんじゃないか、それ以前に気づいているのではないかということで、その担当者の方にいつごろ気づいたのということを聞いてください、そして答弁してくださいということをお願いしてあったんですけれども、結果について教えてください。

横山政府参考人 お答えします。

 まず、事実関係でありますが、その場に大西政策統括官はおりませんでした。(川内委員「十三日に、統括官との会合につながるでしょうということを私は聞いたんです、ちゃんと聞いていてよ、まず」と呼ぶ)はい。

 それから、十二月、経緯を申し上げますと、担当した統計委員会の事務局の職員が問題意識を持ったのは、統計委員会委員長から資料の作成の指示を受けたということであります。毎月勤労統計調査の段差を縮小することができないだろうかということを検討するように、委員長からその事務局の職員に対して指示がありました。

 それで、その職員が原票などのデータを調べたのが、十二月七日から八日にかけてでございます。その資料を見たところ、その五百人以上の大規模事業所の段差に気づいたということでありまして、この段差について、厚生労働省に対して、これはどういうことなんでしょうかという確認を委員長にした、その上で、厚生労働省に対して照会をかけたということであります。

川内委員 審議官、よく聞いていてね。

 統計委員会委員長から担当者は資料の作成の指示を受けたと。その統計委員会委員長が指示を出したのは、何月何日ですか。

横山政府参考人 十二月六日と聞いております。

川内委員 結局、この不正が、一月の標本がえで、確報が出たのが四月で、その四月から十二月六日までの間、厚生労働省のこの毎月勤労統計を担当している人たち以外は誰も知らなかったと。十二月六日に資料作成の指示を受けて資料作成を始めて、七日から八日にかけて、あれ、おかしいじゃんと。十日に、どういうことなのと聞いたという事実経過であるということになったわけですが。

 麻生大臣、我々的に言えば、この毎月勤労統計の平成三十年一月のこっそり三倍補正というのは、賃金偽装ではないかと。要するに、違法にやられていた統計を適法に戻すために違法に補正するという、非常にわかりにくいことをしているわけですけれども、我々から言えば、賃金偽装なのではないか、アベノミクス偽装なのではないかという問題提起をしているわけですが。

 他方で、こういうことがばれちゃったのは、麻生大臣が経済財政諮問会議で発言をされたことも一つの遠因になっているということだと思うんですけれども。麻生大臣は経済財政諮問会議に、いろいろな大臣として、恐らく閣僚の中で誰よりも長くかかわっていらっしゃる政治家ですから、それまで、平成二十七年の十月までの間、統計の精度とか、あるいは統計が実態を適切にあらわすようにとか、そういう趣旨の御発言をされたことがありますか。

麻生国務大臣 財政諮問会議ができたのは小泉内閣のときでしたので。あのときには、最初のうちは政調会長、その後が総務大臣をしておりましたので、総務大臣のときからですから、あれは平成十七年、そんなになりますかね、平成十七年ぐらいまでさかのぼりますけれども、この財政諮問会議で御質問がありましたので。この統計というものに関しては、これはえらい、すごく大事なものなんだという話を、その当時、雑談でわんわんわんわんやっていたときだったので、それからテーマになっておりましたので。政府統計の構造改革というのがその当時のテーマだったんです、総務大臣のときですよ、そのときになったので、私どもが、サービス統計のあれは本当につかんでいるかという話を当時したという記憶があるので、調べたとおり、そうなっております。

 私の一番の発想は、いわゆる通販というものがこれだけ一般的になっているのに、通販は統計に入っていないんですから、これが消費に入っていないとおかしいじゃないかというのが最初に言ったので、それをやるとえらい手間がかかるんだとかいう話や何やらかにやらで、いや、手間がかかるとかなんとかいう話もあるかも、実態としてそうじゃないかと。

 次に何か言ったのは、たしか、建設の新築着工というものの数字しか出ていないけれども、きょうび、リフォームとか、そういったものが俺たちの地元を見ていると物すごく多いけれども、そういったリフォームなんていうものをきちんと乗せていない統計というのも、これは新築着工としておかしいんじゃないのなんていう話をしたのがもともとでありますので、この種の話を昔からしていたかといえば、最初にしたのは多分これ、調べた範囲ではそれということになろうかと存じます。

川内委員 ちょっと、大臣、済みません、よくわからなかったんですけれども、平成二十七年の十月以前は、経済財政諮問会議で統計の話などをされたことはない、この二十七年十月に初めてしたということでよろしいかと、事実確認だけ、済みません。

麻生国務大臣 前にしたのが、総務大臣のときにしたというお話をさせていただいたということで。(川内委員「総務大臣のときにはした」と呼ぶ)ときにした。

川内委員 この平成二十七年の十月の御発言というのは、麻生大臣がみずから、財務省事務方に資料作成を命じて、発言するよというふうにおっしゃったのか、それとも事務方の方から、大臣、こういう資料をつくったので諮問会議で御発言くださいというふうに、事務方からの進言があったのか、どちらでしょうか。

麻生国務大臣 いろいろ御質問があっておりますけれども、いかにも唐突のように見えるのかもということなので、多分、恣意的ではないかというお疑いがあるというのはわからぬことではありませんけれども。

 この会議に出る前に官邸での統計関係の会議に出ていたときに、今申し上げたような、通販と新規着工といろいろな話の中で、統計をちゃんとしてもらわないかぬという話を、その統計会議や何とかいう会議に出たときにした話をしておりましたので、そのすぐ後にこの諮問会議がありましたので、私どもとしてはその意見を、これに基づいて私が発言をいたしておりますので、役所から言われて言ったということではございません。

川内委員 官邸での統計関係の会議に出ておった、その後、諮問会議での発言をしたということでございますけれども、官邸での統計関係の会議というのは、具体的には何という名前の会議なんでしょうか。

麻生国務大臣 結構、統計関係の方、偉い方がざあっと座っておられる会議だったという、顔ぶれの記憶だったので。ばたばたと連れていかれて、私はメーンの閣僚じゃありませんので、どこか、一番末席の方から、何か、ちょっと待ってくださいといって、統計の範囲はおかしいんじゃないですか、最近のはといって申し上げたら、その方たちがいかにも賛成されたので、俺、いいこと言っているんだなと、そのときはそう思いました。

川内委員 後で、財務省の事務方の方に、そのときの会議の資料等をいただくように要請をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、麻生大臣、この問題はこのくらいにして、先日の所信表明で、少子高齢化への対応が大事だよ、その一環として、全世代型社会保障制度の確立、そしてその持続可能性が極めて重要だというふうに述べていらっしゃいます。私も全く同感でございます。

 そこで、ホチキスどめの資料を見ていただきたいんですけれども、安倍総理大臣は、子供の相対的貧困率が劇的に下がったんだということを最近いろいろなところで御発言になられます。

 そこで、お尋ねなんですけれども、相対的貧困率という言葉をOECDが定義しているわけですが、このOECDの定義によると、日本の子供の相対的貧困率は一三・九%であるということになっております。その前が一六・何%ですから、劇的に下がったと、この数字を捉えて、安倍総理大臣はこの数字をよくおっしゃるんですけれども。

 それじゃ、一三・九%に下がったとしても、このOECDの定義による相対的貧困の状態にある子供の人数というのは何人ぐらいになるのかというのを教えていただきたいというふうに思います。

藤澤政府参考人 事前の通告の際に、厚生労働省の国民生活基礎調査におけます子供の貧困率に総務省の十七歳以下の推計人口を機械的に掛け合わせると、貧困線を下回る子供の人数は何人になるのかというお尋ねをいただいておりますので、それにつきまして、議員のお求めの機械的な計算によりますと、二百六十六万人になります。

 ただし、一方で、厚生労働省といたしましては、貧困線を下回る子供の人数につきましては、そのような方法では推計はしてございません。

 今ほども委員から言及がございましたけれども、OECDの定義に基づきます相対的貧困率の考え方は、社会の中で中くらいの所得から一定程度離れている人の割合がどの程度いるかを指数化したものでございます。また、所得のみに着目をしており、資産や現物給付等が反映されていないものでございます。

 そもそも、相対的貧困率は、絶対的な貧困水準によって定義される絶対的貧困率とは異なりまして、購買力や生活水準よりも、国内の所得の分布や格差に注目する指標でございます。これは、豊かな先進国でも高い割合が示されることがあるといった課題がございます。

 このため、子供の貧困率の経年変化など、動向について注視するものと考えております一方で、単純にこれらの数字をもって貧困状態にある子供の数とは言えないと考えております。

 政府としては、このような数字は公表していないところでございます。

川内委員 大臣、聞きましたか、今。統計をごまかす厚生労働省の政策統括官が、自分たちの数字はごまかしているくせに、一三・九%が具体的に何人ぐらいになるんでしょうかねと聞くと、一応計算はしたけれども、そんな数字は自分たちは信用していない、貧困だと思っていないとおっしゃるわけですね。

 では、きょう、文部科学省に来ていただいていますけれども、文部科学省が施策として行っている、生活保護に準じる子供たちに対して支援をしている、就学援助を受けている子供たちの人数というのは全国で何人ぐらいになるのか、教えてください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 就学援助につきましては、経済的理由によりまして就学困難と認められる義務教育の学齢児童生徒の保護者に対しまして、市町村が学用品費などの援助を行うものでございます。

 平成二十七年度におきましては、生活保護受給対象である要保護児童生徒は約十四万人でございまして、市町村が要保護者に準ずる程度に困窮していると認めて援助を行う準要保護児童生徒は約百三十三万人というふうになっております。

川内委員 十四万人と百三十三万人、足すと百四十七万人ぐらいになるわけですけれども、高校生や〇歳から五歳の子供たちというのはこの数には入っていないということですから、高校生あるいは〇歳から五歳の大変厳しい状況に置かれている子供たちの数を想像すると、この相対的貧困の状態にある子供たちの数二百六十六万二千五百四十五という人数は、当たらずとも遠からずではないかというふうに思うんですね。

 では、現に生活保護を受けている子供たち、生活保護世帯の子供たちというのは相対的貧困に当たるのかということをお尋ねしたいと思います。

 生活保護を受けている世帯の子供たちは相対的貧困ラインよりも上なのか下なのかということを、厚生労働省から御答弁いただきたいと思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護の基準額と、相対的貧困の子供のいる世帯の所得を比べるということかと存じますが、生活保護基準額と相対的貧困率を算出する上での貧困線における可処分所得、これはまず性格が異なるものでございます。単純に比較するということは適切ではないのかなというふうにまず考えております。

 生活保護基準と申しますのは、最低限度の生活を保障するという観点から、一般低所得世帯の消費の実態との均衡、これを図って設定をすることとしてございます。保護の適用に当たっては、就労等の収入に加えて、預貯金等の資産ですとか稼働能力などを考慮するということにしてございます。

 一方、相対的貧困率におきます貧困線というのは、等価可処分所得の中央値の半分という額、そういう指標になっております。

 なお、仮に、今の世帯を機械的に比較をしてみるということでございますが、世帯構成によって生活保護の基準額はさまざまでございますので、一概にまず言えないという前提ではございますが、仮に、機械的に、三十代の親御さんの子供一人の世帯から子供三人の世帯、ここにおける生活保護の基準額というものと、相対的貧困率を算出する上での貧困線における可処分所得額というものを単純に比較をしてみるとした場合に、母子世帯におきましては、いずれのケースでも貧困線における可処分所得の方が低いということになります。

 ただ、夫婦世帯になりますと、地域などでさまざまなので、ちょっとこれは一概には言えないという面があろうかと考えております。

川内委員 大臣、結局、生活保護というのは、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度ですから、相対的貧困ラインより上なんです。上なんです。今いろいろごちゃごちゃごちゃごちゃ言ったけれども、上なんですね。

 相対的貧困の状態にある子供たちというのは更にその下にいるということで、この子供の貧困にどう施策を施していくのかということは、全世代型の社会保障を実現するという意味において非常に重要だと思うんです。

 しかし、では、きょう、子供の貧困を担当する内閣府の大臣官房審議官に来ていただいていますけれども、相対的貧困ラインと生活保護の世帯の子供たちを比べたときに、生活保護世帯の子供たちの方が上です、相対的貧困ラインより下の子供たちはそれより下なんですということを、内閣府の子供の貧困対策を担当する官房審議官、知っていましたか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 厚労省からの御答弁にもありましたとおり、生活保護基準と相対的貧困率を算出する基準、性格が異なるということでございますので、そのような認識でございます。(川内委員「知っていた、知らないの」と呼ぶ)

坂井委員長 どっちですか。

川又政府参考人 このような問題提起のもとに、私ども承知をしたところでございます。

坂井委員長 ちょっと、はっきり言ってください。

川又政府参考人 はい。私自身として必ずしも認識はしておりませんでしたが、先生のような御指摘も踏まえて、これまでのいろいろ、資料要求等の過程において承知をしたということでございます。

川内委員 厚生労働省藤原子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長はどうですか。

藤原政府参考人 子ども家庭局の審議官でございます。

 先ほど社会・援護局の審議官の方からお答えがありましたように、生活保護基準額と相対的な貧困率を算出する上での貧困線における可処分所得とは性格が異なるということで、単純に比較することは適当ではないというふうな答弁だったかと思いますけれども、その内容については承知をしております。先ほどの社会・援護局の答弁について、承知はしております。

川内委員 知っていたということですか。知らなかったでしょう。何を言っているんですか。

藤原政府参考人 申しわけありません。

 仮に計算をすればということで、先ほど、仮に計算をして単純に比較した場合に、保護世帯について貧困線における可処分所得の方が低いというふうな御答弁だったと思いますので、そのことを承知をしたというところでございます。

川内委員 もう、大臣、役所というのはこういうものなんですね。とにかく、今知ったこと、いや、私だって、こんな偉そうなことを言っているけれども、きのう知ったんですよ、レクを受けている最中に、どうなんですかと聞いている中で。

 今知ったと素直に言えばいいのに、何でそう言わないんですか。言ってくださいよ、今知りましたと。

藤原政府参考人 仮に、仮にということで、生活保護基準額と相対的貧困率の貧困線における可処分所得額を単純に比較した場合の詳細の数字については、先ほどの答弁で承知をいたしました。

川内委員 それで、大臣、もう私の時間がないので申し上げておきたいんですけれども、今回の幼保無償化の予算というのが、政府・与党的には頑張っているんだよということを累次にわたっておっしゃるわけですが、その幼児教育の無償化の予算の中で、子供の貧困対策にかかわる予算というのはごくごく少ないんですよ。何千億円のうちの何十億円なんですね。ごくごく少ない。

 だから、今、きょうこの場で、相対的貧困という状態にある子供たちの数というのはある一定数いるんだということは事実としてみんなで認識できたと思うし、その子たちというのは、実は、いろいろな前提はあって、いろいろな仮定はあるかもしれないけれども、生活保護の世帯の子供たちよりも厳しい状態にあるのかもしれない、そういうところにきちんと光を当てていくことは大事だねと。これは国益につながります。

坂井委員長 質疑時間が過ぎております。

川内委員 日本の将来につながります。だから、そういうことをきちんとみんなでやっていこうねということを合意するということは大事なことだというふうに、きょうの議論を通じて大臣にも感じていただけたのではないかと思うので、その決意だけ、最後、聞きたいと思います。

坂井委員長 いや、川内先生、もう時間が過ぎておりますので。(川内委員「いやいや、まだ一分しか過ぎていないですよ。最後に、ちゃんとやりますというぐらい言わせて。お願いしますよ。大臣、手を挙げたじゃない」と呼ぶ)

 では、麻生大臣。

麻生国務大臣 特別サービスというわけではありませんけれども、委員長の許可をいただいた上で発言させていただきます。仕切りは委員長であって、あなたじゃないからね。忘れぬでください。

 鹿児島とは違って、私、筑豊で育ちましたので、生活保護世帯率日本一だったんです、かつて。だから、あなたの言っている話は詳しいかもしれぬ、俺の方が。周りがそういうところで育ちましたから。育ちましたからって、今、選挙区がそういうところでしたし、石炭が閉山してからというものは人口が急激に減ったところでもありますし。そういったところで、悲惨なことになりましたので、政治家になるということを決めたのも、決めざるを得なくなったのはそういう背景がありましたのでね。

 したがいまして、今の話、決して、おまえ、金持ちだから知らなかったどうのこうのなんて勘違いしてもらっちゃ困るよ。そこのところだけははっきりしておかないと。大体、言いたそうな人がいっぱいいるからね。だから、そこのところだけは間違えないようにしてもらいたいという上で……

坂井委員長 大臣、簡潔にお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 せっかく許可をもらったので、余計なことをしゃべりましたけれども。

 この問題は至極大事なところなので、これは総理も同じような認識を持っておられますので、私どもとしてはきちんとした対応をさせていただければと思っております。

川内委員 終わります。

坂井委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 質疑のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速ですけれども、先月、安倍総理、施政方針演説の中で、負担を次の世代へと先送りすることのないように、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化に向けて財政再建を進めると。あれ、何か抜けているなと思ったら、やはり、そもそもの二〇二〇年度の黒字化達成の目標があたかもなかったかのような中身になっていたというのは、驚きとともに、大変残念であります。

 来年度の予算案の総額、七年連続で過去最大です。当然のように最高額が年々更新され、そして、新たな国債発行額はおよそ三十二兆六千億円。予算の三割以上を借金に頼る状況は相変わらずであります。社会保障費は前年より一兆円多い三十四兆円、防衛費が何といっても過去最大のおよそ五兆二千億円にも上っています。

 私の地元秋田は、配備を進めようとしているイージス・アショアの配備先候補として今進められておりますが、その整備を始め、日本の防衛力のあり方、そして整備目標の方針を定めた防衛計画の大綱、また中期防衛力整備計画にも定められていないようなものが次々に計上されていることもあわせて問題だというふうに考えております。

 国債と借入金などを合計した国の借金、昨年末の時点でもう一千百兆五千億円余りです。国民一人当たりにこれを直しますと、八百八十五万円の借金になります。零歳の赤ん坊もこれを背負っていることも考えれば、安倍総理のこの施政方針演説、次の世代へ既に負担を先送りしているんですよ。

 限りなく膨らみ続ける予算、そして、ことしの消費増税に伴っては、景気対策といいながら、結局は国民が負担することになる二兆円規模の景気対策、増税対策が行われることになります。三党合意の出発点であった、そもそもの、社会保障費を全員で分かち合う、そして財政の持続可能性を確保するという本来の道筋からはかけ離れていると言わざるを得ません。これでは何のための増税なのかもわかりません。

 こうした道筋を歩むことが二〇二五年度の黒字化をやはり遠ざけて、また、国の借金のうち、普通国債の発行残高については、今年度で八百八十兆円に至っています。第二次安倍政権発足後、百七十五兆円もふえている計算になります。

 財政再建から目に見えて遠ざかっている歳出改革への向き合い方、その姿勢がどうも無責任なものというふうに言わざるを得ませんが、麻生大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 緑川先生、一つだけ。

 国の借金という言葉じゃなくて、政府の借金と言いかえておかれないと、あなたも借金をしておられることになるんですが、債券を、国債を買っておられるのは、国民は債権者であって債務者じゃありませんから。それをよく混同されちゃうと困りますので。国の借金ではありません、政府の借金、これだけはきちんと整理をしておかれないといかぬのだと思います。

 その上で、平成三十一年度の予算においては、これは、私どもとしては、消費増税分というものを活用して社会保障の充実を行わさせていただく、全世代型と申し上げているのはその一環ですが、消費税率の引上げに伴いまして、経済への影響を平準化するという必要もあろうかと思いますので、臨時特別措置ということで時限的にそれを講じさせていただくなどなど、現下の重要な課題に対しましては、私どもとしては、的確に対応するための経費を積み上げた結果、先生御指摘のありましたとおり、予算規模が前年度を超えます百一兆五千億円となっておりますのは、今言われたとおりであります。

 他方、この三十一年度の予算の中におきましては、社会保障関係費というのは約三分の一ぐらいという形で高い伸びになっておりますが、高齢者がふえていく中にあって、少なくとも高齢者による増加分というものにおさめるというか、それ以上ということではないような形で歳出改革の取組を継続させていただくと同時に、景気回復というものを背景にいたしまして、私どもは、消費税の引上げも含めまして、過去最高の六十二兆五千億という税収をいただける。これは、バブルのときの最高は六十兆一千億だと記憶しますので、六十二兆五千億というのはかなり高いものだと思っておりますし、過去最高ということも言えると思います。

 他方、借金の話につきましては、こういった税収の増もありますので、私どもとしては、第二次安倍内閣が始まったときが平成二十四年度ですから、あの予算に比べまして一兆数千億減らさせていただいて、新規国債発行を約十二兆円縮減させていただくなど健全化の方向も進めておりますので、私どもは、予算の規模の大小もあろうかと思いますが、その内容につきましては、財政健全化ということも進めていっておるということであります。

 私どもは、経済再生を図りながら歳出歳入両面の改革を続けるということで、いわゆる御懸念のあります二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化というものを、きちんとそちらの方向に近づけていかねばならぬということだと思って取り組んでおるところであります。

緑川委員 平準化対策についてもまたおいおい、これは後ほどお話ししたいと思いますが、やはり、本当に安倍政権の中で誇るべき税収があった、しかし、高齢者の自然増を考えたときに、成長実現ケース、そしてベースラインケース両方とも、見通しを考えたときに、優に百兆を超えるような歳出が今後当たり前になってくる、そういう中での今後の財政再建化の道筋というのをしっかりと定めていく必要があるのかなというふうに考えております。

 資料二枚目をごらんください。

 中長期の経済財政に関する試算、これは内閣府の御提供、ごらんいただきたいんですが、二〇一九年度の実質成長率について、ちょっと小さくて申しわけないんですが、政府は一・三%と試算をしております。これは成長実現ケースでもベースラインケースでも同じです。実は、一・三%という数字は、民間予測の平均値の二倍近く高く見積もっている数字であります。

 この成長実現ケースの方を見た場合、二〇二〇年以降、中長期的な経済成長率が実質で一・五から二%、名目にしますとおおむね三%以上、物価上昇率が二%そこそこを想定していることになりますが、戦後最長と言われる景気回復期の中ですら、こうした高い成長はほぼありませんでした。

 消費増税の前後に需要を平準化するための景気対策についても、ポイント還元がありますけれども、キャッシュレス決済によって中小の店で買った客にポイントをつけるんですが、その還元額には、青天井です、上限がありません。購入金額が多い富裕層に有利に作用する点を考えれば、これは消費税の逆進性をむしろ高めるものであります。

 還元率は二%、五%、又は還元しないケース、三つの場合がありますが、例えば、食料品をカードで買ったときには、大手スーパーか、コンビニか、また中小企業か、そしてそれに加えて、お持ち帰りなのか店内飲食か、これは三掛ける二、六通りの税率を考えなければなりません。租税原則に反して極めてわかりにくく、消費者の混乱は避けられないと思います。

 また、購入金額以上の買物ができるプレミアムつき商品券がありますけれども、これはやはり消費喚起効果に乏しい、ばらまき感を否めません。

 これでは結局、麻生大臣、平準化とおっしゃられましたけれども、需要の先食いに終わってしまうんじゃないか。対策期間が終わった後の消費の反動減、その後に来る消費の低迷が長引くこともあり得ます。

 今後、中長期的に、プライマリーバランス黒字化達成に向けた六年間で、新再生計画の期間中に景気後退局面を迎えることも当然想定されます。そういう中では、実際の成長率が下振れすれば税収も減りますから、国債での穴埋めにも追い込まれかねない。この成長実現ケースは相当にハードルが高い、実現が厳しいものになるのではないかというふうに考えておりますが、大臣、お答えを求めます。

麻生国務大臣 お尋ねの資料等々の話は、これは内閣府が作成したり公表したりしております中長期試算の経済前提に関するものなのでして、その詳細ということでしたら、それは内閣府に聞かれた方がよろしいんだと思います。

 その上で、現政権の基本的な姿勢を申し上げさせていただければ、これはもう経済再生なくして財政再建はできない、そう思っております。したがいまして、これまでも、アベノミクス等々によりましてGDPをふやし、税収をふやし、歳出改革等々、いわゆる新規の国債発行額を抑制する等々やらせてきていただいたということであります。

 その上で、中長期試算はあくまでもモデル試算にすぎませんが、経済成長というものの実現に向けて、引き続き、経済再生というものを図っていきながら歳出面と歳入面の両方の改革というものを続けることで、いわゆる二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランスというものを確かなものにしていくということが極めて重要なんだと思っておりますので、方向としては、その方向で確実に進ませていただきたい。

 そのスピードをもっと速くとか、いろいろ御意見、御要望があるのは知らないわけではありませんけれども、私どもとしては、今申し上げたような形で、その方向に確実に足を進めようと思っております。

緑川委員 新再生計画のテーマでもある、やはり経済再生なくして財政再建なし、これはまさに言葉どおりなんですけれども。

 過去、過去というか、この見通しの上で、これまでを見ますと、今の日本経済、アベノミクスがあります、東京オリパラに向けた需要があります、そしてアメリカの百カ月を超えるような長い好況もまだ享受しながらも、この五年間の実質成長を見てみましたけれども、平均で一・二%から結局一・三%だったんです。これ以上ない好環境でも、一・二から一・三%の成長であったということであります。

 この資料の二枚目にまた戻ってもらいたいんですが、ベースラインケース、下にあります。

 つまり、これは足元の潜在成長率並みで将来にわたって推移する場合、成長実現ケースよりも成長が鈍る場合ということですけれども、経済成長率が中長期的に実質一%程度、名目だと一%台後半程度、消費者物価上昇率は一%そこそこで推移する。アベノミクスくらいという形だとこういうベースラインというものの上昇になりますが、試算期間内のプライマリーバランスの改善は緩やかなものにとどまるという結論なんですね、ベースライン。まず、これでいいのかという話です。

 そもそも、黒字化を達成するための試算のはずですね。団塊の世代が全員七十五歳以上になる二〇二五年までに、だから二〇二五年までに、社会保障給付の給付費の一層の増加に対応するために財政健全化の道筋を確かなものとする、これが本来の目的です。そのためのプライマリーバランス黒字化は、成長実現ベースがやはり勝負であると思います。それを決意する、その上での新再生計画であるはずです。

 景気予測が正確にいかないことはもちろんあります。でも、最初から下のベースラインという言葉で想定しておけばいいという話でもないと思うんですけれども、御見解を伺います。

林政府参考人 お答えいたします。

 中長期の経済財政に関する試算におきましては、経済、財政、社会保障を一体的にモデル化した経済財政モデルを使いまして、過去の実績や足元の経済の動向をもとに、今後のGDPや物価動向等の中長期のマクロ的な経済の姿と、歳出改革を織り込まない想定のもとで、経済の姿と整合的な財政の姿について、二つのケースで比較考量できるようにお示しをしております。

 そうした趣旨のもとで、アベノミクスで掲げたデフレ脱却、経済再生という目標に向けて、政策効果が過去の実績も踏まえたペースで発現する姿を試算した成長実現ケースに加えまして、それと比較考量できるように、経済が足元の潜在成長率並みで将来にわたって推移する姿を示したベースラインケースをお示ししているところでございます。

 安倍政権は、現在、経済再生、デフレ脱却を目指した経済政策に取り組んでおりまして、また、急速に進む第四次産業革命などの技術革新によって成長戦略を加速させる中で、成長実現ケースでは、こうした政策の効果が過去の実績も踏まえた現実的なペースで発現する姿を示していると考えております。

 今後とも、経済の基礎体力とも言える潜在成長率の向上に向けて、人づくり革命だとか生産性革命に最優先で取り組んで、六百兆円経済を実現し、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針のもとで、二〇二五年度のPB黒字化を目指していくこととしていると承知しております。

緑川委員 あくまで、デフレ脱却を目指すアベノミクスに沿った、比較対象としてのベースラインケースであるというお答えであったと思いますが。

 要は、経済再生なくして財政再建なし、細かく言えば、財政健全化の旗は決しておろさず、よく言われますが、不断の歳入歳出改革努力を徹底し、プライマリーバランスの黒字化を目指すという、目標自体はしっかり堅持するというふうによく決まり文句で言いますけれども、これで逃げ口上になっても困るんですね。

 この目標自体はしっかり堅持する、その目標が、ベースラインケースじゃなくて成長実現ケースであるということでこれはよろしいでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになってしまいますけれども、安倍政権としては、経済再生、デフレ脱却を目指した経済政策に取り組んでおりまして、また、急速に進んでおります第四次産業革命の技術革新などによって成長戦略を加速させる中で、成長実現ケースで、こうした政策の効果が過去の実績も踏まえた現実的なペースで発現する姿を示しておりまして、この実現に向けて取り組んでいるということでございます。

緑川委員 わかりました。

 これ以上先送りに先送りを重ねれば、さすがに外からの見方も変わってくると思いますよ。多くを公債に頼るような健全でない財政運営が、それこそ、安倍総理じゃないですけれども、将来世代にやはり負担を残しかねない。それが、日本の財政負担の懸念といった国の信用不安、さらに、金利の上昇を招く。無視できないような経済成長へのマイナスの影響だったり、また、財政の制約から、これからの肝心かなめの社会保障制度、こうした社会的なセーフティーネットの質の低下、機能の縮小をもたらしかねないと思います。

 この骨太方針二〇一八、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に向けた改善が当初の見込みからおくれた理由として、分析されていますが、消費増税の増収分の使途変更、補正予算の影響などを挙げていますが、仮に消費増税、増収分の使途が変更されなくても、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化は難しかったわけです。何より黒字化を阻んでいたもの、これはやはり、成長低下に伴う税収の伸びが当初想定よりも緩やかだった。麻生大臣、六十二兆というふうにおっしゃいましたけれども、やはり想定よりも緩やかだった。それは結局、見込んでいた税収ほどに経済成長ができなかったということであります。

 この六年三カ月、戦後最長の景気回復と言われながら、家計から見れば、その恩恵を受けている実感は乏しい状況です。この間、二〇一四年の消費増税に加え、食料品が値上がりし、社会保険料も引き上げられ、家計で使えるお金は目減りして消費は伸びない。そして、中小企業、多くのところでは賃金が上がらない。このアベノミクスが始まる前の二〇一二年水準に比べますと、実質賃金はマイナスからは抜け出せていません。

 ここで、皆さん、資料の三枚目をごらんをいただきたいんですが、二〇一四年、平成二十六年二月二十六日の財務金融委員会で、麻生大臣、実質賃金の重要性について触れて、こうおっしゃっております。自分の実質賃金がふえたことによって初めて景気がよくなってきたなというのを実感できるにはそこが大きな要素なんだと思いますので、黄色はそれ以上引っ張られていますが、こういうふうに答弁をされています。今もそのお考えに変わりはないでしょうか。

麻生国務大臣 サラリーマンをやったことがあるでしょうから、きっと記憶はあると思いますけれども、やはり、給料が上がったときは、やはり上がったなと思うんですよ。給料が下がって物価が下がったら、実質賃金は上がったことになっても、景気いいかなと思うかといったら、なかなか難しいと思いますね、私に言わせたら。やはり、給料が上がって消費者物価も上がっているときの方がまだ、下がっているときよりもまだ、実質が減っていてもそっちの方が気分がいいということは確かですよ。その上でこの発言をしていますからね。これは前提をちょっと、よくテレビ等が、テレビ会社らしくはしょって、前後の文章をはしょってここだけとっているけれども、そこだけちょっと前提とした上で。

 一人当たりの実質賃金については、これは名目賃金が緩やかに回復する一方で、今回の場合、ガソリン税とかそれから電気代とか、いろいろエネルギー価格が上がりましたので、そういった意味では、価格が高騰した、上がったということから、伸び悩んでいることは確かだと思いますので。

 私どもが申し上げましたように、従業員が、いわゆる自分の実質賃金がやはりふえたということによって初めて景気がよくなってきたなと実感できるというのは、よく言われるのは、主婦の方が実質賃金で、働いている方は名目賃金とよくこれは言われるところなんですけれども、少々時間がかかる。消費者を上回って、実質賃金と少し差が出てきてというのには少々時間がかかるので。私どもとしては、デフレからここまで来て、やっとデフレを脱して上がってきましたので、そういった形では、まだまだ給料の方の上げ方の方が足りないんだと思っておりますけれども。

 いずれにしても、企業の収益というものが、個人のいわゆる給料、そういったようなものに戻ってくるような形のものが、もう少し、企業の方の経営者のマインドがそういった方まで行かないともうしばらく時間がかかるかなと思って、私どもは今、よく経営者の方々とその点だけをいつも話をするんですけれども。

 ぜひとも、その点に関しましては、引き続き、名目賃金が上がっていくということを更にやっていかないと実質の増にもならないという点は、私ども十分に理解してやらせていただければと思っております。

緑川委員 確かに、下がった場合の懐の寂しさというのももちろんありますけれども、一方で、いずれにしても、自分が身近で買うものがやはり半額になっていたら、それは賃金がいっぱい使えるということですし、二倍になったとしても、喜んだやさきに、例えば、おにぎりを買おうとしたら百五十円が三百円になっていたら、これは結局、物価が二倍になっていたら実感としてはやはり薄いのかな、プラス、マイナス同じだなと結局は思うんですけれども。

 名目を消費者物価指数で割った数字が実質賃金であります。名目、つまり、現金で支給された給与がたとえ二倍になったとしてもというのは今お話をしました。物を買える価値は変わらない、生活は結局何も豊かにならないということだと思います。

 その点、消費の伸びにつながるような物やサービスを買う力、購買力が上がっているかどうかを見る上では、その人の一人当たりの実質賃金の変化率が何より重要な指標であるというふうに思います。麻生大臣もそのあたり納得されていただいているのでありがたいところですけれども、本来、描かれるべき賃金上昇のカーブというものがあると思います。

 名目賃金が物価上昇よりも先に伸びる、高度成長期のような、もしかしたらそういうパターンにはいかないかもしれませんが、まず物価上昇よりも先に伸びる、それで初めて物価が引き上がっていく、それによって実質賃金もプラスになる、本来の経済成長はこうした実質賃金の上昇であるべきというふうに考えておりますが、麻生大臣、御見解を伺います。

麻生国務大臣 これはもう御指摘のとおりでして、何といっても、今の日本の場合、私どもはデフレーションによる不況というのを、少なくとも昭和の初期以来ですから、かれこれ百年ぶりぐらいにやっているんだと思いますけれども、一九二九年のウォールストリートの株の大暴落、あれからですから、一九三〇年代にやっておりますから、かれこれ八十年、九十年ぶりぐらいのデフレによる不況というのが、今回、私どもにとって今までとは全く違った状況だったんだと思いますね。

 したがって、デフレによる不況だということを、我々はデフレを知りませんから、デフレの経験がないから、デフレ対策をやった人もいません。したがって、経験値で習えませんでしたので、少なくとも、我々は過去、この対策を間違えてきた。景気対策、不況対策をインフレ不況で対応していればデフレには全くということになったんだと思いますが、長引いた。全く効果がなかったとは言いませんが、不況がかなり長引く結果になったということになりましたので、今言われたように、デフレではないという状況をまずはつくり出さないかぬと。

 デフレでも、不況ばかりじゃなくて好況もありますから、そういった意味では、私どもとしては、インフレ不況、デフレ不況、いろいろやろうとは思いますけれども、少なくともそういった方向で私どもは失業率もGDPもいろいろな形で全部改善をさせていただいたんだと思って、少しずつ回りつつあるんだと思っております。

 まだ賃金の話については、これは緩やかに回復する一方、先ほど申し上げましたように、エネルギーとか食料品とか生鮮食品というものが上がっておる等々によって、私どもとしては、税制改正においても、賃金アップ等に積極的に参加してくれている企業に関しては税負担を軽減しますとかいろいろな形でやらせていただいておるんですけれども、そういった政策を総動員して、いわゆるデフレーションによります不況というものからの脱却とか、また、経済が好循環で回っていくようにするためのいろいろな方法というもので、結果として実質賃金が上がっていく形にしていかねばならぬという形だと考えております。

緑川委員 本来、景気がいいというふうに感じるのは、やはり個人の実感が何よりだというふうに思います。着地はやはり麻生大臣と私は同じだということで、大変共感をいたしています。

 ただ、このアベノミクスのもとでの賃金上昇カーブというのは、やはり、私が先ほど質疑した状況とは違う上昇の仕方をしているように思います。

 二〇一二年の水準に比べて、直近のデータでは、アベノミクス、二〇一七年で物価が五・三%上がっています。一方で、名目賃金はどのくらいかというと、二〇一二年からの水準で、この五年で一%しか伸びていない。つまり、物価上昇がはるかに上を行っている。こういう状況です。

 日銀の試算によれば、二〇一四年の消費増税分がありました。消費税の三%分の増税が物価を押し上げた効果が二%あり、それで物価の残り、上昇三・三%分が円安による効果と言われております。これで差し引いたとしても、やはり物価の方が高い、そうすると実質賃金が結局マイナスということになります。この円安による物価上昇に対してすら名目が追いつけていない、賃金の目減り状況がこれは続いているわけです。

 景気が回復していると思えない、豊かさを感じられないというのは、私はやはりそこにあるというふうに思います。重要とわかっているから、麻生大臣御自身も、実質賃金が上がらなければならない、時間はかかるけれども覚悟をして待つというふうにお答えをされた、先ほど御紹介した二〇一四年の二月の御答弁でありました。

 そういう中で、済みません、時間がなくなりましたけれども、一つだけ。

 翌年の二〇一五年の九月に、安倍総理は記者会見で、新たなアベノミクスのステージで新三本の矢を発表しています。希望を生み出す強い経済をつくるとして、二〇二〇年、GDPを六百兆円にするという目標を掲げたわけですけれども、この翌月、すぐですけれども、麻生大臣が、こうした実質賃金の、やはりしびれを切らしている中で、二〇一五年十月、統計改善を経済財政諮問会議で提案されていらっしゃいます。

 ちょっと時間もないので、細かい文言は少し割愛しますが、毎月勤労統計については、企業サンプルの入れかえ時には変動があるということもよく指摘されている、ぜひ具体的な改善方策を早急に検討していただきたいというふうに御発言されておりますけれども、指摘したその統計が、麻生大臣のおっしゃる中身というのは、二〇一五年当時の消費の状況とか経済の実態を反映したものになっていないという指摘なんでしょうか。

麻生国務大臣 これはたびたび、予算委員会やら、先ほど川内先生にも同様な御質問をいただきましたのでお答えをさせていただいておりますけれども、私の財政諮問会議におけるこの発言に関しましては、あの当時、統計というのが確かかという話が結構いろいろあっていた時代でもあったので、私どもとしては、少なくとも、この統計の中に、これだけ通販が出てきているのに通販の話はのっかっていないとか、これだけリフォームが多いのに新規着工しか計算していないというか、入れていないとかいうのはちょっとおかしいんじゃないのという話が、当時の話題の中の一つとして毎月の話が出てきたんだと記憶をしますので。

 私どもとしては、特にこの話だけを、今言われたように、マイナスの物価とか実質賃金がというのを主に頭に入れておいたわけではなくて、統計の数字が少々信用できないものではないかという点で申し上げたと記憶をします。

緑川委員 時間になりましたので、終わります。また議論させていただきます。ありがとうございました。

坂井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前原誠司君。

前原委員 それでは、まず財務大臣にお伺いをしたいと思いますが、消費税の引上げについてでございます。

 まず、現行の事業者免税点制度つまりは免税業者について質問したいと思いますが、現在この免税事業者というのは大体数でいうとどのぐらいあると財務省は見ておられますか。

麻生国務大臣 平成二十九年度におきます消費税の課税事業者数は、個人事業者、法人合わせて三百十七万者と理解しております。

 消費税の免税事業者数については、消費税の申告を行わないため、財務省として数を把握はしておりませんけれども、総務省の平成二十七年国勢調査等をもとにして機械的に試算をいたしますと、四百八十八万者と推計をされる。あくまでも推計であります。

前原委員 四百八十八万者が推計されるということでございますが、どういう職種が多いか、大臣、お答えいただけますか。

麻生国務大臣 業種別の免税事業者数につきましても、これは同様に機械的な試算ですけれども、総数約四百八十八万者のうち、サービス業の関係者が三五%、農林水産業関係者が一八%、建設業関係が一三%、小売業関係が一〇%と試算をされております。

前原委員 一千万円以下の売上げであれば免税業者となる。これは二年前ですね、一年前ではなくて二年前でありますけれども、一千万以下ということは、その業者が一千万円を超えるかどうか。もちろん計算してやっている業者さんもあるかもしれませんが、一応消費税を取った上で、そして、一千万円以下であれば、消費税を取っていたとしてもそれについては納めなくてもいい、こういうことでありますが、益税というのか、消費税として取ったのに納めていない税金というのはどれぐらいあるというふうに財務省は見ておられますか。

麻生国務大臣 ちょっとそれに関しての推計、統計を持っているわけではありません。

前原委員 私も事務方から伺ったときには、わかりません、こういうことでありました。

 今後、消費税を引き上げるに当たって、一度財務省として、そんなにすぐにということではありませんが、一度ぜひ推計をしていただきたいというふうに思います。

 というのも、これから質問させていただくことにかかわるんですが、二〇二三年十月からインボイスというものが導入されるということであります。適格請求書制度が導入されるということでありまして、売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税率などを伝える手段ということで、現行の請求書などの記載事項のほか、税率ごとに合計した対価の額、軽減税率の対象品目である旨、消費税額など、適用税率、登録番号、こういうものが書いてあるのがインボイスということでありますが、この登録番号というものは、課税業者でなければ登録を受けることができないということになっておりますけれども、なぜ免税業者は登録を受けられないんでしょうか。

麻生国務大臣 免税業者が登録をされていない理由は何かというのは、多分、今まで税の対象になっていなかったから多分今までなかったんだと思いますけれども、少なくとも、今後それをやられるというのであれば、それなりの登録をしていただかないかぬ。

 ただ、これは前原先生、それこそ何十年ずっと同じ商売をしておられて、ええっ、うち、そんなにあったのという方もいらっしゃるでしょうし、いろいろなことになりますから、そういったものに関しては少々時間をいただかぬと、それは事業者の人にとってもとても迷惑でしょうし、失礼ですけれども、その辺の魚屋さんとか八百屋さんでかごの中にはいといってお釣りをばんばんやっているようなところに消費税とかインボイスとかなんとか言われても、とても対応できるような話にはならぬと思っていますので、それにするには少々時間をいただかないと業者の人も迷惑されると思っておりますので、かなりの時間を、いろいろなあれをやらせていただいて、四年たったり五年たったりいろいろ時間をかけてやらねばならぬところだと思っております。

前原委員 少しかいつまんで話をしますと、私が質問した意味は、免税業者、つまり、先ほど質問をした、今でしたら推計四百八十八万者については登録できないんですね。つまりは、課税業者でなければ登録できないという法律のたてつけになっているわけです。

 私が伺ったのは、なぜ免税業者は登録を受けることができないんですかと聞いているわけです。これは、また消費税については何度か質問をいたしますので、まだ消費税率、税法についての議論がありますので、そのときにお答えください。

 私の問題意識は、これは通告してあるのでぜひお答えをいただきたいんですけれども、例えばAという業者があって、Aという業者がBという業者から仕入れる。このBという業者が一千万円の売上げがない。二〇二三年十月以降、このBという業者はインボイスを発行できないわけですよ。つまりは、免税事業者は登録できない。ということはインボイスを発行できないですね。

 インボイスを発行できなかったら、Aという業者は、言ってみればその業者からインボイスを受け取れませんので、結局損をする形になるわけですので、結果的に、Bという業者を排除するか、Bという業者が課税業者にならないと、つまりは、Bという業者でなくて違うCという業者、つまりはインボイスを発行できる業者を仕入れ先に選ぶか、あるいは、Bという業者が取引を続けたければ、一千万円以下であっても課税業者になれば、課税すれば登録できるわけですよ。

 つまりは、これは本会議で共産党が質問をされていましたけれども、このままいくと、いわゆる免税業者が排除されることになるわけです。これはわかられますか、大臣。

 こういう、言ってみれば免税業者がインボイスを発行できない、なぜなら登録できないから。先ほど伺ったのは、なぜ登録できないんですかと伺ったわけです。それについては後日で結構ですが、仕入れ業者が排除されるわけですね、インボイスを発行できないから。そうすると、免税事業者は、言ってみれば仕入れ業者になれないということで仕事からはじかれる可能性がありますね。これをどうお考えになりますか。

麻生国務大臣 まず、御指摘の点ですけれども、この制度というものは、まずは、複数税率の制度のもとでは適正な課税を行うためにはこれはぜひ必要なものだったと考えておるんですが、今おっしゃったように、中小企業者にとりましても、税額を明確にするということから、価格転嫁も行いやすくなるといったメリットがあるんだと思っているんですが。

 他方、今言われましたように、この制度を導入すると、いわゆる免税事業者が取引から排除されるのではないかということを懸念することがあるんだということを承知をしておりますが、顧客が消費者である場合は、小売業者にインボイスの発行を求めることはまずありませんから。買う方が、小売業者から消費者が買うという、BツーBじゃなくてCの話なんですが、個々の面で事業者に影響が、これはさまざまなんだと思いますが、政府として、これは、従来の免税事業者というものが課税事業者への転換の要否を見きわめながらということで、四年間という準備期間を設けることに加えまして、更に六年間、免税事業者からの仕入れについては一定の仕入れ税額控除を認める、合計十年ということにさせていただいております。

 また、課税転換する事業者のいわゆる事務負担については、これは、いろいろ細かい計算が出てきて大変だというので、レジの補助金を拡充するとか、インボイスにも対応できる機能改修というものに対する支援も行うなどして、課税転換に対する事業者にしっかり支援をしてまいりたいと思っているんですが。

 インボイス制度の導入後において、引き続き事業者は簡易課税制度というものを選択するということが可能であります。加えて、簡易課税事業者は、仕入れに係るインボイスの保存というものを必要としませんので、簡易業者の場合は。したがいまして、簡易課税制度を利用すれば、いわゆる課税転換による事務負担というものは事業者を含めて大きく軽減されるのではないかと、いろんなことを考えているのが現状でありまして、まだまだもっといろんなところもあるのかもしれませんけれども、この十年間の間に私どもとしてはきちっとした対応をさせていただければと思っております。

前原委員 最後の質問にいたしますけれども、大臣に対しては。

 いわゆる事業者免税点、つまりは、免税業者についてはだんだんだんだん少なくしてきた経緯があるわけですね、これは御存じのとおり。三千万円から一千万円に引き下げたり、いろんな言ってみれば条件を付して、そして減らしてきた経緯があるということなんです。

 私が伺いたかったのは、いわゆるインボイスを導入するということになると、免税業者は登録ができませんと。だけれども、免税制度は残すわけですね。そして、先ほど大臣が答弁されたように、足かけ十年かけて、いわゆる経過措置を設けるわけですね。平成三十五年の十月一日から三年間は仕入れ税額相当の八〇%、それからその次の三年間は五〇%ということで、十年かけて言ってみればインボイスというものを導入するということになると、果たして免税業者を残すことの意味があるのかどうかということなんです。

 つまり、先ほど申し上げたように、一千万円以下の方々は、消費税を取っているのを払っていなかったわけですよ。払わなくてよかったわけですね。それはいかがなものなのかということがあるわけです。そして、それを目指したものであるかどうかは別として、要は、インボイス制度というものを導入するということになれば、結果的に仕入れから外される可能性がある。そうすると、一千万円以下でもいわゆる課税業者になる。そして、簡易課税ということをおっしゃいましたけれども、簡易課税ということは課税するということですから、要は課税業者に移行させようということですよね。

 もちろん、中小業者に対する配慮というものは十年かけてやるということなんでしょうけれども、方向性としてはどんどんどんどん、いわゆる免税事業者を縮小するという話だというふうに思いますので、私は、今度また伺いますけれども、免税業者をなぜ残したのか。つまり、これをやるのであれば、経過措置を設けてなくすという選択肢もあったはずなのに、免税業者は残して、しかし、また縮小していくという、私からすると極めて中途半端なものになっているということなんですね。

 もともともらった税を払っていない人たちです。そういうものを縮小していくという方向性については、もちろん、小規模事業者の現状に配慮をしながらやるということは大事でありますけれども、そういうものをなくしていくということについて、インボイスをやるのであれば、いいか悪いか、賛成するか反対するかどうかは別にして、理にかなっているわけですよ。ですから、私は、これは中途半端だというふうに思っているわけです。

 何か御答弁ありますか。

麻生国務大臣 これは、前原先生、なかなか意見の分かれるところだと思いますね。すぱっとやっちゃう、時間をかけてすぱっとやっちゃう、時間をかけて縮小してある程度残す。今三つ申し上げましたけれども、今、私どもはその三つ目の選択をさせていただいておるんですけれども、その結果、四百八十万者がいきなりぱっとどれくらい減るかというのをちょっと見た上で、何だたった五万しか残らなかったじゃないかとか言われるんだったら、その段階でまた別のことを考えないけませんでしょうし、その経過を見ながら、ちょっと考えさせていただかないかぬので、私が死んでからぐらいのことになるのかもしれませんけれども、そのころにちょっともう一回考えないかぬことになるのかもしれませんが、今、取り急ぎはそういった形でやらせていただこうと思っております。

前原委員 またこの議論はさせていただきたいと思います。

 黒田総裁に質問させていただきたいというふうに思いますが、イールドカーブ・コントロールというものを導入されて、それでも年間八十兆円という国債の対前年度比のネット増というものをやっていくということはおっしゃっているわけでありますが、かなり今、足元は減っておりますね。三十六・九兆円ぐらいだと思います。つまりは半分を割り込んでいる。短期も入れると二十兆円台に落ち込んでいるというふうに思います。それだけ買う量が減っていっているわけであります。

 それで、イールドカーブ・コントロールということで、プラスマイナス約二倍ということで、〇・二五のプラスマイナスを、長期金利、十年物の国債の金利をターゲットにゼロにするということで、プラスマイナス〇・二五ということだったというふうに思いますけれども、今また金利が下がっていますね。十年物についてはマイナス金利になっているというふうに思っております。

 さて、時間もきょうは限られていますので、端的に一つまずお伺いしたいのは、去年の十二月にそういった日本の状況のもとでFRBが方針を転向しましたね。言ってみれば利上げをやめる、こういう形になりました。そして、恐らく市場ではことしは利上げはないんではないかというふうに見られていますし、フェデラルファンドレート、FF金利先物ですね、これについては、今、アメリカの長期金利は二・六五%ぐらいだと思うんですが、FFですともう二から二・二五になっているということは、市場は、利下げするんじゃないか、つまりは、利上げなしから、ことしは利上げしないどころか、来年からは利下げをするんじゃないか、こういうふうに見ているということでありますが。

 まず、総裁の、このいわゆるアメリカの長期金利の動向、それからパウエル議長の言ってみれば方針転換、これをどのように見ておられるかを御答弁いただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘のFRBの金融政策につきましては、あくまでも米国の経済、物価動向などを見きわめながら金融政策を運営されているというふうに認識しておりまして、そうしたことは基本的には米国経済の持続的な成長に資するものであって、また、我が国を含めて米国以外の経済にとっても好ましいことであろうと考えております。

 ただ、各国の金融政策を含めた政策運営が国際金融市場あるいは世界経済に及ぼす具体的な影響というものは、やはりその時々の経済情勢あるいは市場環境によって異なり得るわけでして、現に、委員も御承知のとおり、昨年の末からことしの初めにかけて、国際的に金融資本市場が大きく変動したことがございました。

 したがいまして、FRBの金融政策に限らず、さまざまな各国の政策運営がマーケットというか金融資本市場に与える影響については、常に注意深く点検して、そのもとで、我々として最も適切な金融政策運営に努めてきておりますし、今後ともそういうふうにしてまいりたいと思いますが。

 御指摘のとおり、FRBは、特にことしに入って、バランスシートの調整についても、さらには短期金利の引上げの点についても、従来よりももう少し慎重な言い方をしておりまして。その背景には、まさに米国の物価が非常に落ちついている、それから、成長率は、去年三%ぐらいの成長だったわけですが、ことしは多分二%台半ばあるいは前半といったように若干減速しているといったような状況、さらには、中国、ヨーロッパの経済の減速ということなども踏まえてとられたことであろうと思って。それ自体は、米国にとって、経済や物価を、状況を踏まえて適切な判断をしておられると思うんですけれども、日本を含めた世界の経済、あるいは特に国際金融資本市場に与える影響については、やはり注意深く見ていく必要があると思っております。

前原委員 FFレートの先ほど数字を申し上げました。今の二・六五よりも低い金利で取引がされているということになると、いわゆる利下げの可能性があるわけですね。FRBというのはテーパリングを行ってきて、そして利上げを行ってきた、そして不景気に備えてのいわゆる金融政策の余地を残してきたということだと思います。ECBについては、いわゆる資産の買入れをやめた、利上げまでは行っていませんけれども。こういうことだと思います。

 しかし、世界経済がおおむねいい状況の中で、日本だけがずっと金融緩和を続けているわけですね。そのときに、後でその問題点について幾つか申し上げますけれども、アメリカが利下げをしてきた場合において、要は、日本は、今のままであると金利差が縮まる可能性がありますね。金利差が縮まると円高という形になる可能性が出てきますけれども、そういう場合においては追加緩和というものを行うという選択肢があるのかどうなのか。

 後で申し上げますけれども、ETFもたくさん買っている、金融機関もかなり毀損し始めている、そういう中にあって、果たして本当に追加緩和ということについて、やる政策余地があるのかどうなのか、その点について御答弁ください。

黒田参考人 御案内のとおり、主要国、日米欧の中央銀行は、あくまでも物価の安定という国内的な目標というものを目指して金融政策を運営しておりまして、為替レート、為替相場にリンクしたような形で金融政策の運営は行っておりません。

 ただ、為替の変動が経済や物価に与える影響というのは当然あり得るわけですので、そういうことも一つの要素として、市場の動向を見ながら金融政策を運営していくということが不可欠であると思っております。

 したがって、金利格差が縮んで円高になって、そして景気や物価に影響が出てという、そういう単線的なロジックを踏まえるわけにはいかないわけですけれども、経済、物価に対して何らかの形で影響が出てきて、物価安定の目標を達成するために必要ということになれば、やはり追加緩和というものも検討をしていくということになると思います。

 その場合には、従来から申し上げているとおり、長短金利操作つき量的・質的金融緩和を導入した際に公表したとおりでありますけれども、短期政策金利の引下げあるいは長期金利目標の引下げ、さらには資産買入れの拡大あるいはマネタリーベースの拡大ペースの加速など、さまざまな対応が考えられるとは思いますけれども、ただ、その際には、その効果とともに、金融仲介機能や市場機能に及ぼす影響などもやはりバランスよく考慮する必要があるというふうに思っております。

 したがいまして、日本銀行としては、政策のベネフィットとコストを比較考量しながら、その時々の状況に応じて最適な方法を検討していくということになると思います。

前原委員 お配りした資料、二ページをごらんいただきたいわけでありますが、「日銀の保有比率が高い銘柄」、これは、日銀はあくまでも投資信託という形で、直接的には持っていないということで公表されていないわけでありますが、こういう比率になっているということであります。

 だんだんだんだん上がっていっているわけですね。そして、今、株式市場、マーケットでは、大体六割が海外投資家でありますけれども、日銀のETF買いを嫌がっているわけですね。つまりは、市場をゆがめる、こういうことであります。市場をゆがめるし、そして何よりも、こういう高い比率の保有をするということについて、企業の経営をゆがめてしまう、そういう問題もあるわけです。何よりも、やはり官製相場ですよね。株価形成というものをゆがめてしまっている、こういうことであります。

 それから、三ページをごらんいただきまして、ETFを買い続けると当然ながら簿価がどんどんどんどん上がっていくわけですね。そして、株が下がった場合のいわゆる含み損というものを大きく抱える可能性というものがある。

 つまり、みずから買うことによって株価が上がるような状況というものをつくっていく。だけれども、日銀だけではどうにもならなくなった場合に、国債については自然に償還期限が来れば減っていきますけれども、株は減っていかないわけですね。そのときに大きな含み損を抱えるというリスクを抱えている、こういうことであります。

 四ページをごらんいただきますと、大体こういうことで、JPモルガン証券の直近の試算では、このぐらいの株価になれば日銀に言ってみれば含み損というものが生じてくる、赤字転落というものが出てくる、こういうことであります。

 また、時間がありませんので、五ページをごらんをいただきたいと思いますが、どんどんどんどん金融機関の経営が悪くなっているということでありまして、金利の低下によって金融機関の経営状況が悪くなっているわけであります。

 つまりは、追加緩和をします、しますということを言っているわけでありますけれども、ほかの国は、景気が悪くなったときにしっかりと、その余地を残しておくためにもテーパリングあるいは利上げというものを行ってきたにもかかわらず、ずっと日銀は金融緩和をやっていって、株価をゆがめる、マーケットをゆがめる、そしてみずからの含み損というリスクをどんどんどんどん積み上げていっている。そして、金融機関の経営は悪くなっているというところで、本当に、米中の貿易摩擦、新冷戦と言われるような状況というものが生まれてきたときに、日銀が政策的にやり得るかどうかというところが大きな私は問題だというふうに思います。

 そういうときに、このETFを買い続けることのメリット、デメリット、それはあると思いますけれども、まだ先にこれから六兆円を積み増すことにメリットがあると本当にお考えですか、プラスマイナスを考えたときに。

黒田参考人 このETFの買入れにつきましては、量的・質的金融緩和全体の枠組みの中で、特に資本市場におけるリスクプレミアムが過度に拡大するということを防ぐという観点からETFの買入れを行っているわけであります。

 その結果として株価に一定の影響が出るということは事実でありまして、特に昨年からことしにかけて株価が大きく変動した際には、ETFの買入れ自体も変動させまして、非常に増減が大きくあったわけですが、これが株価の変動に一定の歯どめをかけたことは事実だと思いますが、ETFの買入れ自体は、あくまでもリスクプレミアムの縮減ということを狙いとしておりますので、特定の株価を誘導しようというようなものではございません。

 また、ETFの買入れにつきましても、個別銘柄の株価に偏った影響ができるだけ出ないように配慮しておりますので、現時点でETF買入れをやめるとか大幅に見直すという考えは持っておりませんが、全体の経済、物価の動向、さらには市場動向、そして委員の御指摘になったような金融機関に対する影響といったものも十分考慮しながら、ETFの買入れについても継続していきたいと思っております。

前原委員 終わります。

坂井委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 昨年に続いて、スルガ銀行の問題等について質問をさせていただきます。

 今月五日に放送されましたテレビ東京の「ガイアの夜明け」で、デート商法で二百万円を投資させられた女性の事案が取り上げられておりました。

 この女性は、婚活サイトで知り合った会社経営者の男にAさんを紹介されました。Aさんは女性に投資話を持ちかけ、お金のない女性に投資をさせるために紹介したのがスルガ銀行の職員でした。

 この銀行員は、実際には百万円しかない女性の年収を四百二十万円と偽って、目的も介護費用とした個人向けローンの契約書を作成し、女性にはスルガ銀行から二百万円の融資がなされました。その後、女性は弁護士に相談し、スルガ銀行の側も審査のミスを認めたという話です。

 驚いたのは、この事案が起きた時期なんですね。昨年五月末という話でした。昨年五月半ばには、スルガ銀行は、シェアハウス投資をめぐる不正融資を認めて謝罪の会見もやっていたわけですよ。その後にこんなことが起きていたわけです。金融庁の立入検査ももちろん実施されている時期であります。

 まずお伺いしたいのは、金融庁はこの事案、つかんでいましたか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 スルガ銀行に対しましては、昨年検査を開始いたしまして、その検証結果等を踏まえて、十月に一部業務停止を含む業務改善命令を発出しております。その際、検査で検証した内容のうち、当該行政処分の理由となるものにつきましては、「処分の理由」として公表しているところでございます。

 したがいまして、当該処分の理由として公表しているもの以外の検査の詳細な内容につきましては、お答えは控えさせていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 じゃあ一般論としてお伺いしますが、このような事案が掌握された場合は、金融庁はどういう対応をされるんでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますと、当庁に寄せられました苦情相談につきましては、相談者の同意が得られたものには、原則、当該銀行に開示し、必要に応じヒアリングを行い、個別案件ごとに事実関係や当該銀行の認識について確認をしております。

 その上で、更に深度ある実態把握が必要な場合には、銀行法上の報告徴求あるいは立入検査を実施するということになるということでございます。

宮本(徹)委員 この問題で、どこまでどうやったのかというのはお答えいただけないみたいなんですけれども。

 銀行融資が絡むようなデート商法では、不動産投資に誘い込まれるというのが非常に多いそうです。現在、このような婚活サイトを使ったデート商法での集団訴訟というのが行われております。訴訟を支援している弁護士の話だと、二〇一四年二月ごろに金融庁にも情報提供していると聞きましたが、これは間違いないですね。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 当時、当該訴訟に関与されておる弁護士の方から、当庁に対しまして、訴訟を提起した旨の情報提供はございました。

宮本(徹)委員 訴訟を提起したと。その際、今訴訟は三次訴訟までやっているんですけれども、二〇一四年二月ごろは一次訴訟、原告十一名に対して行われた融資のうち、九件で融資をしているのはスルガ銀行だった、こういう話も当時情報提供として受けていますね。

栗田政府参考人 いただきました情報内容につきましては、現在訴訟が係属している事案でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

宮本(徹)委員 でも、間違いなく当事者から私は話を聞いているわけですから、大半がスルガ銀行が融資していたというのは金融庁に伝わっているはずです。

 当然、当時、金融庁はスルガ銀行に、先ほどの一般的な対応の話からいえば、照会をし事実確認をしヒアリングをし、必要と判断していればさまざまな立入検査ということになったはずだと思いますが、当時金融庁はどういう対応をされたんでしょうか。

栗田政府参考人 先ほどの繰り返しになりますけれども、個別案件の対応につきましては、コメントを差し控えさせていただきたいと存じます。

 一般論としては、先ほど申し上げたとおり、苦情相談につきましては、相談者の同意が得られたものについては当該銀行からヒアリングを行うということでございます。

宮本(徹)委員 ヒアリング程度は行ったのかわからないですけれども、その後、立入検査だとかはやっていないわけですよね。立入検査まではやっていないわけですよね。

栗田政府参考人 当該訴訟事案の調査を目的とした立入検査というのは行っていなかったと思います。

宮本(徹)委員 立入検査も行っていなかったわけですよね。

 この間、大問題になったシェアハウス投資以外にも、スルガ銀行は問題のある融資を過去からかなりかかわってやってきたという話だと思うんですよね。

 私は金融庁にもかなり前からいろいろな相談が相談室に寄せられていたんじゃないかと思いますが、前の国会ではシェアハウス投資についてはどういう苦情がいつごろから来ていたかというのをお伺いしましたけれども、シェアハウス以外の投資用不動産に関して、金融庁に対してどんな相談がどれだけ寄せられていたのか、年度ごとに教えていただけますか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 シェアハウス以外の投資用不動産融資に関しまして、当庁に苦情相談の記録が残っておりますのは平成二十三年度以降のものでございまして、中身を申し上げますと、平成二十三年度は四件で、内容は融資関係書類の改ざんに関するもの。平成二十四年度は二件で、これも融資関係書類の改ざんに関するもの。平成二十五年度は四件でございまして、内容といたしましては、二重契約、金融商品の抱き合わせ、不動産業者の悪質な行為に関するものでございます。それから、平成二十六年度は三件でございまして、内容は、融資関係書類の改ざん、金融商品の抱き合わせ、不動産業者の悪質な行為に関するものでございます。平成二十七年度は五件でございまして、内容は、物件価格の割増し、二重契約、不動産業者の悪質な行為、不動産業者の経営悪化に関するものでございます。二十八年度は八件でございまして、内容といたしましては、融資関係書類の改ざん、物件価格の割増し、不動産業者の悪質な行為に関するもの。平成二十九年度は十四件でございまして、内容といたしましては、融資関係書類の改ざん、物件価格の割増し、二重契約、金融商品の抱き合わせ、不動産業者の経営悪化に関するものでございます。

宮本(徹)委員 つまり、残っている資料でいえば、二〇一一年度には既に、スルガ銀行の投資用不動産融資に関連して、融資関係書類の改ざんについての苦情がこの年だけで四件寄せられていたと。シェアハウス投資の問題が表になるよりもずっと前からスルガ銀行は融資関係書類の改ざんをやって、本来、銀行内の基準では、この収入では貸せないような多額のお金を貸し付けているということをやっていたという話であります。

 顧客が返せなくなって大変なことになるかもわからないという融資はもう二〇一一年段階からやられていたという情報を金融庁はつかんでいたわけですよね。これだけ見過ごせないような苦情が重ねられていたのに、何でもっと早い段階でスルガ銀行に対して立入検査をやろうということを金融庁は判断されなかったんですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 当局といたしましては、個別の苦情相談案件について、相談者の同意の得られたものは原則として金融機関に伝達し、事実関係や金融機関の認識を確認するなど、情報収集のための一定のプロセスを踏みつつ対応してきたと考えておりますけれども、結果的に今回の問題を察知できなかったことは否めないと考えております。

 反省すべき点は反省し、今後、より効果的なモニタリングを行っていくために必要な改善を図ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 反省すべきことは反省しとおっしゃいますけれども、これだけたくさん、融資関係書類の改ざんというのはそうそうどこの銀行でもやっているような話じゃないと思うんですよね。こういう特異な話が毎年毎年毎年寄せられ続けていたにもかかわらず、なぜやらなかったのかなというのが本当に不思議でならないんですよね。

 もう一点、シェアハウス投資についてもお伺いしますけれども。

 昨年の国会では、遅くとも二〇一五年一月からは苦情があったという説明がありました。そのときに中身の説明も若干ありましたけれども、スマートライフの実質的経営者であるS氏は詐欺の経歴がある、家賃相場価格より倍以上の価格の設定で収益シミュレーションを行い、高額のシェアハウスを販売している、サブリースの支払いは現行家賃では回収できず、到底賄い切れない状態、既に業者に対する未払いも多数発生、こういうのが二〇一五年二月にスルガ銀行の方には情報が寄せられているわけですよね。そのことは第三者委員会の報告にも書いていますが、同じ情報がその時点で金融庁にも寄せられていたんじゃないですか。違いますか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 シェアハウス関連融資に関する苦情相談につきましては、平成二十七年度で四件寄せられておりまして、御指摘のような悪質な不動産業者に関するものも含まれていたというふうに認識しております。

宮本(徹)委員 御指摘のようなというので、それは私が言ったような中身がそのまま、ですから、スルガ銀行に寄せられていた情報と同じものが金融庁にも寄せられていたわけですよね。ですから、もう本当に問題の全貌がわかるような情報をシェアハウス投資の問題でも金融庁は手にしていたということじゃありませんか。

 私は、これだけの情報が重ねて重ねて重ねて金融庁に入っていながら、その先にもっと早い段階で進まなかったのかというのは不思議でならないんです。大臣も不思議だと思われませんかね。私は、なぜ、これだけの情報がありながら、当時の長官はスルガ銀行を持ち上げ続けた、そして立入検査も行政処分もやらなかったか、一体何でそんなことになってしまったのかということを、やはり金融庁自身の内部調査をしっかりやる必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、どう思われますか。

麻生国務大臣 今ほど参考人からも答弁をさせていただきましたとおりですが、これは、金融庁としては情報収集のための一定のプロセスというものを踏みつつ対応してきたんだと思いますが、結果的に今回の問題というものを、これほど大きな問題になるということを事前に察知できなかったということは否めないんだと思っております。

 今回のスルガ銀行の問題を踏まえた改善の方向性について、外部有識者の意見も踏まえつつ検討していったところなんですが、具体的には、情報を分析する際に、個別の内容にとどまらず、類似の情報とあわせた傾向を考える、また、事業の急速な拡大、変化などを察知して情報収集、リスク分析を行う体制を整備すること、また、調査の周期が長い先を相対的にリスクが高いというものだと捉えて検査の実施を優先的に検討するといった点についてはさらなる改善の可能性というものを考えていかぬといかぬのだと思いますけれども。

 いずれにしても、こういった問題を一応銀行に問い合わせた場合は、うちは問題ありません、多分、そう答えられると、それに強制立入りするというのはよほどのことでないとなかなか入りにくいというのが実態なんだとは思いますけれども。

宮本(徹)委員 銀行に問い合わせて、問題ありませんというのが戻り続けてきたと思うんですね、スルガ銀行の場合は。私も、スルガ銀行が書いたんじゃないかという返事のペーパーを内部資料で手に入れていますけれども。だけれども、問題ない問題ない問題ないと言いながらも、これだけ融資書類の改ざんだとかというのを毎年毎年毎年毎年重なっていたわけですよ。

 報道を見ていましたら、金融庁の中にも、スルガ銀行の経営実態は危ないんじゃないかと危ぶんで、立入検査の実施を進言した幹部もいたと書いてあるんですよね。報道が正しいかどうかわからないですけれども。ただ、当時の長官は聞く耳を持たなかった、こういう報道もあるわけですよね。

 一体全体、何でここまで見逃され続けたのかというのは、先ほど大臣からは改善策の話はありましたけれども、当然、改善策は打っていかなきゃいけないと思いますけれども、なぜ見逃され続けたのかという点については、いま一度ちゃんとした調査が必要じゃないかと思いますが、大臣、どうですか。

麻生国務大臣 これは、金融庁としては、継続的な検査とか監督のあり方につきましては、継続的に事後点検とか必要な改善を行っているところなんですけれども、今回のスルガ銀行の問題を含めた改善策につきましても、これは外部の有識者の方々の意見を踏まえて検討を行ってきたところなんですが、これらを踏まえて得られた話で、先ほど申し上げた改善の方向性は、昨年十月に公表させていただきましたコンプライアンス・リスク管理基本方針に既に盛り込んでおりまして、今後の検査監督に活用していく所存であります。

 いずれにしても、まずはこれらの改善点を着実に実践して、その上で、さらなる課題が認められた場合には、その都度必要な改善というものを行っていかねばならぬのだと思っております。

宮本(徹)委員 ですから、先ほどから改善策についてはおっしゃられるわけですけれども、なぜこれだけの情報を見逃してしまったのかという点については、それこそ外部の有識者の皆さんの目で、金融庁自身がどうだったのかというのをちゃんと見ていただく必要もあるんじゃないかというふうに思います。

 それから、あともう一点お伺いしたいのは、これは十二月にも質問させていただいた点ですけれども、被害者の皆さんの救済の問題です。

 きょうも午前中に、多くの方が、金融庁の前や、あるいはスルガ銀行の東京支店の前に集まってデモ、アピールをされているという話を伺っておりますが、今、債務者の皆さんがスルガ銀行とADRで交渉していますが、交渉は暗礁に乗り上げているという話を伺っております。

 一つの問題は、スルガ銀行が、元本減額に応じた場合に発生する損失を会計上の損金扱いにできないと言っている。無税償却できなければ株主からスルガ銀行が訴えられる危険もあり、できない、こういうふうにスルガ銀行側が言っていると。現在、スルガ銀行は税務署と相談しているようですが、結論がまだ出ていないとのことです。

 それから、もう一つの問題は、これは昨年私ここで言いましたけれども、例えば被害者が八千万円の債務免除をしてもらっても、債務免除益として所得税、地方税含め約二千万円課税される。この税金の問題が大きくて、もし債務免除益ということで課税されればとても納税できないということで、和解に至らないという話を聞いております。

 前回、大臣からは、顧客の理解と納得を得て解決してもらうようしっかりモニタリングして、必要に応じて対応させていかなきゃいけないという答弁をいただきました。

 この間、どういう努力をされてきたのか。金融庁として、もっと率先して解決する姿勢が必要じゃないかと思いますが、お聞かせいただけるでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十月の業務改善命令におきまして、金利引下げ、返済条件見直し、金融ADR等を活用した元本の一部カットなど、個々の債務者に対して適切な対応を行うための体制の確立を求めたところでございます。

 現在、スルガ銀行におきましては、シェアハウス等顧客対応室、これは六十名ぐらいの体制でございますが、を設置いたしまして、条件変更などの対応を一元的に検討しているところでございます。現在、外部の方とも相談しながら、元本カットを行う際の統一的な基準というものを策定しております。その過程におきましては、先般来御指摘をいただいております税務の問題も含めて、税務当局とも御相談をさせていただきながら、方針を今鋭意検討しているところだというふうに承知してございます。

宮本(徹)委員 つまり、税務当局と相談しながらということは、これは債務免除益として課税しないということもあり得るんじゃないかということを相談しているということでよろしいわけですね。

栗田政府参考人 対応策の具体的内容については、現在検討中でございますので、お答えを差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、顧客の方々が納得をいただけるような形で解決していただくようにというふうに考えておるところでございます。

宮本(徹)委員 ですから、顧客の方々が納得するためには、先ほど私言いましたけれども、今の時点では二つの大きな妨げになっている問題がありますから、そこをやはりしっかり金融庁がイニシアチブを発揮して解決していくということで対応していただきたいと思いますし、もし税務当局と相談がうまくいかないという話があるんでしたら、これは、前回も提起させていただきましたけれども、必要ならば法整備も視野に入れて、被害者をしっかり救済するという手だてを考えていただきたいと思いますが、この点、大臣、何かございますか。

麻生国務大臣 これは、個々の債務者に対する具体的な解決策についてコメントするというのはちょっと差し控えたいところなんですが、いずれにしても、金融庁としては、スルガ銀行が個々の債務者に対して、これは税務関係の問題も含みますけれども、可能な限り顧客の理解と納得を得て解決するということを目指しているかなど、適切な対応をしっかり行っているか等々について、これは我々としてはしっかりモニタリングをして、必要に応じて指導してまいらねばいかぬところだと思っております。

宮本(徹)委員 しっかり、本当に被害者の皆さんの生活を守る立場で頑張っていただきたいと思います。

 さらに、次、伺っていきたいと思いますが、スルガ銀行以外の銀行はどうなのかという問題があります。

 この間、メディアでもいろいろなことが報道されているわけですが、投資用不動産関連投資にかかわって、融資関係書類の改ざんというのは、スルガ銀行以外についても金融庁の相談室に寄せられてきた例というのはあるんでしょうか。

栗田政府参考人 スルガ銀行以外で、投資用不動産融資に関して、苦情相談につきましては、現在詳細に内容を掌握できているわけではございませんけれども、ほかの金融機関についても苦情相談が一定数見受けられるということでございます。

宮本(徹)委員 一定数見受けられるということですから、何行ぐらいですかね。

栗田政府参考人 その点につきましては、現在鋭意精査をしているところでございますので、数を正確に申し上げることは、この場では差し控えさせていただきたいと存じます。

宮本(徹)委員 メディアなんかでは、幾つか銀行の名前も具体的に流れております。

 金融庁は、昨年十月二十三日に、銀行、信金を対象に投資用不動産向け融資に関するアンケート調査というのを実施しております。私もアンケートの用紙をいただきましたけれども、四十二項目、詳細に聞き取る中身です。持込み不動産業者上位二十社のリストだとか、そういうことも含めて聞くものになっていますが、このアンケートの目的というのは何でしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、金融庁といたしましては、主要行、地域銀行、信用金庫、信用組合を始めとする幅広い金融機関に対しまして、投資用不動産向け融資に関するアンケート調査を実施しております。

 スルガ銀行によります投資用不動産向け融資につきましては、顧客がその収入や財産状況に比して過大な債務を負うといった顧客保護上の問題、また、顧客が返済不能になるという信用リスク管理上の問題が生じているところでございまして、金融庁といたしましては、今般のアンケート調査を通じまして、こうした問題が他の金融機関においても生じていないかを検証することとしております。

宮本(徹)委員 他の金融機関にもスルガと同じような問題がないのかという話だと思うんですが、問題のある融資姿勢だとかあるいは不正融資というのは発見されたんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、アンケート調査への回答の精査、分析、また、一部の金融機関に対しましてはそれを踏まえたさらなる実態把握を進めているところでございまして、現時点においてお答えすることは差し控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、アンケート調査の回答等を踏まえつつ、深度あるモニタリングを行っていく所存でございます。

宮本(徹)委員 さらなる実態把握の対象になっている金融機関は幾つぐらいあるんですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 詳細は控えさせていただきますけれども、提出されましたアンケートの内容から、さらなる実態把握、これを個別に進めているところでございます。

宮本(徹)委員 数も教えていただけないみたいですけれども、一定数あったのかなというふうに思います。

 私、これは速やかに調査結果を公表をぜひしていただきたいと思うんですよね。必要に応じて、今、さらなる実態把握ということをおっしゃいましたけれども、立入検査だとか行政処分という手だてをとっていただきたいというふうに思います。

 とりわけ、今回、持込み不動産業者上位二十社のリストの提供だとか、求めているわけですよね。そういうのが、問題だというのがわかれば、それを公表することは次の被害を食いとめるということにもなっていくというふうに思いますので、さらなる被害を防止するという観点で、速やかに社会に提供すべき結果については公表していただきたいと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 これは、今ほど参考人の方からも答弁をさせていただきましたが、金融庁といたしまして、いわゆる投資用の不動産向けの融資に関する問題の有無というものを検証せないかぬということで、幅広い金融機関に向けたアンケート調査を、目下、実施をさせていただいております。

 結果につきましては、回答の全般的な傾向とか、金融機関におけるリスク管理の向上に役立つと考えられているものを中心に取りまとめて公表する予定にいたしております。また、一部の金融機関に対して、アンケート調査への回答等を踏まえて実態把握を進めているところでありまして、今後とも必要な行政的対応というものを機動的に講じてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 実態把握だとか全体の傾向の発表というのもあるんですけれども、これ以上被害を出さないという観点からも、つかんだ情報の公表もぜひ検討していただきたいと思いますが、その点はいかがですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねのとおり、このアンケートの結果を踏まえまして、金融機関、あるいは投資家、利用者に参考になる有益な情報、これを整理した上で公表させていただきたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 ぜひ積極的な公表をお願いしたいというふうに思います。

 時間がもうあとわずかしかございませんが、最後に一問だけお伺いします。

 先ほど来議論がありますけれども、日銀のマイナス金利の影響もありまして、地方銀行三行が赤字に転落する、そして地域金融機関も、顧客の利益を脇に置いて、アパートローンやカードローンあるいは投資信託の手数料ビジネスの拡大というのにこの間走ってきました。

 こういう顧客の利益を無視した地域金融機関のさまざまなこの間起きてきている問題というのは、やはりマイナス金利、異次元の金融緩和に大きな原因があったというふうに思いますが、その点の大臣の認識だけ最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

坂井委員長 質疑時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

麻生国務大臣 超低金利というものの継続などを背景にして地域銀行の経営環境が厳しいというのは、別に宮本さんに言われるまでもなく、私どもの地域にも同じような問題を抱えております、ありますので、知らないわけではありませんけれども。

 しかし、例えばスルガ銀行で確認されたような不正行為というのが他の地域銀行にもあたかもあるように考えているわけではありません。きちんとした対応をやっておいていただかないかぬという大前提で考えなきゃいかぬのだと思っておりますので、こういったものは、あくまでも経営管理とか業務運営形態、そこが問題なんだと思っておりますので、少なくとも顧客保護とか法令等を遵守するというのは当然なんだと思っておりますので。

 私どもとしては、厳しい状況であっても持続可能なビジネスモデルというものをみずから構築する、そういう経営姿勢というものが一番根本になければならぬのだと思っておりますので、適切なモニタリングを通して、地域銀行の自主的な経営というものを今後とも期待してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 終わります。

坂井委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私は、税の関連、ふるさと納税について、三十分、伺っていきたいというふうに思います。

 今回、いわゆるふるさと納税、特例控除対象寄附金ですかね、新しい制度という形で変えます。特に、総務省の方が指定した自治体でなければこの控除を受けられないということですが、法文を見ていますと、非常にこの指定の部分が曖昧にしか書かれていない、提出されているこの閣法の部分がわかりにくいので、しっかり、採決に持っていくに当たって、審議するに当たって細かいところを確認していきたいと思います。

 まず最初に、今回の改正で、ふるさと納税の返礼品の割合を三割に限定されています。ぱっと見ると、どうして三割なのと、当然皆さん思うと思います。なぜ三割で、条文を見ますと、総務大臣が定めるところにより算定すると書かれているんですけれども、どうやってこの三割の算定をするんですかね。このあたりも含めて詳しい部分をお伺いしたいんですけれども、お願いします。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案におきまして、地方団体が返礼品を提供する場合に適合することが必要な基準として、いわゆる返礼割合を三割以下とすることとしております。

 返礼割合につきましては、平成二十九年四月の総務大臣通知を発出する際に検討したものでございまして、ふるさと納税の募集に際して、過度な返礼品を送付せず平均的な取組を行っていると考えられる地方団体における返礼割合がおおむね三割であったこと、有識者からのヒアリングにおいて、社会通念上、三割程度が上限ではないかとの指摘があったことなどを踏まえ、その通知において、少なくとも三割以下、こういう基準を設定したところでございます。

 また、それに加えまして、地域を応援したいという納税者の思いに応えるためには、寄附金のうち少なくとも半分以上が寄附先の地域の活性化のために活用されるべきと考えておりまして、返礼品の調達以外の送付料ですとか広告料等の費用が二割弱であることを踏まえれば、返礼割合が少なくとも三割以下という基準は妥当なものであると考えているところでございます。

 それから、返礼割合三割の算定方法でございますけれども、分母には受領した寄附金の額ということになりますが、分子に当たる返礼品の調達費用について、改正法案におきましては、寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額としているところでございます。

丸山委員 調達ということは、その自治体がそれを手に入れるのにかかった費用ということですね。

 つまり、今のふるさと納税を見ていますと、例えば、一万円の寄附をしました、そのときに、牛肉を二・一キログラム、返礼品として差し上げますよというものがあるとする、それの肉の原価なのか、仕入れ値なのか、小売価格なのか、非常にわかりにくいなと思ったんです。これは、じゃ、自治体がそれを手に入れた価格だ、それが三割以下であれば大丈夫だということでよろしいんですね。

稲岡政府参考人 この調達に要する費用の額とは、基本的に、地方団体が支出した額となるというふうに考えております。

丸山委員 どんどん確認していきたいと思います。

 次は、地場産品の定義ですね。

 返礼品を、今回、地場産品に限っておられます、法文でも明確に書いていまして。どういう書き方をしているかというと、都道府県等が、これは市町村も含みますが、提供する返礼品等が当該都道府県等の区域内において生産された物品、そしてもう一つはまた、提供される役務その他これらに類するものであって、総務大臣が定める基準に適合するものであることということですね。

 非常に、言葉としては広くとられる、どうとでもとれる可能性があるなと。このあたりについて、総務省としてこの法をつくるに当たってどう考えて、これをどう我々が解釈していいか、お聞きしていきたいんです。

 まず、この生産された物品というのはどういったものなんですかね。

 全てのものが同じ場所で生産されるということはほぼないと思うんですよね。例えば、初期生産が、海外、中国産とか東南アジア産、どこでもいいんですけれども、ほかの国でつくられたもの、また他府県であっても、一部加工とか包装をすれば、それは地場産品になるんですかね。全てが同じ場所で生産されるなんてほぼないと思いますけれども、一部でもよいのか。例えば、シールをぺろっと張るだけでもいいのか。保管や輸送をしているだけでもいいんですか。その辺の細かい部分、非常に、自治体としては、明確になっていないとわかりにくいと思うんですけれども、これをどう考えるべきか。

 特に水産品なんて、今、農水産品は、表示、どこどこ産とされていますけれども、この農水産品に関しては、今の農水省とのすみ分けというか、表示に関しても、同じような、その産品の表示の部分でいいのか、このあたりも含めて細かく、どう総務省は定義しているのか、お答えいただけますか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案では、地場産品として、当該団体の区域内において生産された物品をまず規定しております。この区域内において生産された物品として、例えば、区域内で生産された一次産品、区域内の漁港で水揚げされた海産物、区域内で生産された一次産品を区域内の工場で加工した食品加工品、区域内の醸造所で醸造された酒、これらが該当すると考えられます。

 しかしながら、地場産品につきましては、地域の実情に応じてさまざまな形態がありますことから、委員御指摘のとおり、改正法案では、その他これらに類するものであって、総務大臣が定める基準に適合するものについても地場産品に含まれるものといたしております。

 この類するものの範囲等について、総務大臣が基準を定める必要があるわけでございますが、その基準を定めるに当たっては、地方団体の意見を参考とする必要があると考えておりまして、昨年末に、全国全ての地方団体に対して、地場産品と考えられる類型を示しつつ、意見照会を行ったところでございます。

 現在、照会に対して寄せられた地方団体からの回答を参考としつつ、その地域において相応の付加価値が生じているかどうか、あるいは当該地域経済の活性化につながっているかどうかといった観点も踏まえながら、基準案について検討を進めている最中でございます。引き続き、地域の実情や地方団体の考えもお聞きしながら、丁寧に検討してまいりたいと考えております。

 なお、お尋ねの、シールのみを張る行為あるいはその保管、こういった物品につきましては、その地域において相応の付加価値が生じているとは言えず、当該地域経済の活性化につながっているとも言えないと考えられることから、地場産品には該当しないのではないかと考えております。

 それから、最後に、食品表示法の関係でのお尋ねがございましたけれども、食品表示法では、農産物の場合は名称とか原産地を表示することとされておりますが、この原産地については、原則として都道府県名を記載するというふうに伺っております。

 一方、ふるさと納税における見直し後の地場産品の考え方としては、市町村につきましては、市町村の区域というものを基本としておりますので、その枠組みをそのまま活用するというのは、これはなかなか難しいのではないかと考えているところでございます。

丸山委員 区域というのは、つまり、今の最後のお答えだと、ある市町村のふるさと納税に関して、隣の市町村で何かしら生産されたものというのは、じゃ、入らないということですよね。つまり、完全にその区域内で何かしらの付加価値がなければいけないということでよろしいんですか。もう一度、そこだけ。

稲岡政府参考人 先ほども申し上げましたが、基本的には区域内において生産された物品と考えておりますけれども、その他これらに類するものであって、総務大臣が定める基準に適合するものについても地場産品に含まれるものとしておりまして、その範囲について、現在、地方団体の意見を伺いつつ検討を進めているところでございます。

丸山委員 細かく引き続き聞いていきたいんですが、提供される役務というのも、サービスについても今回は地場産品の中に含まれています。

 例えば、うちの地元、泉佐野市なんですが、総務省さんに名指しで指摘されている自治体です。この泉佐野市には関西国際空港があります。関西国際空港に、実はピーチ・アビエーションというLCCの会社が本部を置いています。その企業、ピーチ・アビエーションがあって、実際に飛行機も泉佐野市にある関西国際空港から飛んでいます。ということは、この関西国際空港から就航しているようなピーチ・アビエーションのポイント、しかも金銭には換金できません、ポイントですから。これは、総務省さんの定義であれば、こういったものも含まれる、大丈夫だ、地場産品だということでよろしいんですよね。

 もし、換金できないものであるけれどもポイントが基準を満たさないというのなら、同様に、地域通貨みたいなポイントや商品券、同時に、恐らく考えていらっしゃる自治体もあるかもしれません、こうした部分もだめだというのか。こうした部分について、総務省はどういう定義をしていますか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案では、地場産品といたしまして、当該団体の区域内において提供される役務を規定しております。

 この区域内において提供される役務としては、例えば、区域内の美術館等の観光施設を利用していただくこと、あるいはその区域内の宿泊施設を利用していただくこと等が該当するものと考えられるところでございます。

 お尋ねのピーチポイントでございますけれども、関西国際空港と関係のない、例えば日本出発の国際線等、他の路線でも使用可能なものと承知しており、地場産品には該当しないものと考えられます。

 先ほど委員、換金性というお話がございましたが、今回の改正法案では、地場産品に該当するかどうかというところが基準であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

丸山委員 二つお聞きしたいんですけれども、まず、換金性という部分は問わないという最後の答え、つまり、それは法文上に今回書かれていないんですが、それでよいということか。もう一つは、今回は、区域内で完結するサービスしか適用されないということですね。ほかの自治体、隣に一歩でも出たら、その瞬間に適用されないということでいいのか。この二つ、重ねてお伺いします。

稲岡政府参考人 先ほど来お答え申し上げておりますとおり、区域内において生産された物品あるいは提供される役務、これが基本でございますが、その他これらに類するものであって、総務大臣が定める基準に適合するものについても地場産品に含まれるものとしておりまして、その内容につきましては、地方団体の意見も踏まえつつ、現在検討しているということでございます。

丸山委員 もう一つ伺った換金性のところをお願いします。

稲岡政府参考人 私どもとしては、金銭類似性の高いもの、資産性の高いものについては、引き続き、送付しないようにすることをお願いしておりますけれども、改正法案について、直接的には規定をされていないということでございます。

丸山委員 これは何のことかといいますと、総務省さんの通知では、金銭類似性の高いものや資産性の高いものというのはやめてくださいねという通知をしていたんですが、今回、法文では、地場産品や三割というのは、同じく通知にあったのが書かれているんですけれども、この金銭類似性の高いもの、資産性が高いものについては全く書かれていない。

 税は、きちんと法律に書かれて、それに基づいて徴税される、それが当然の国家としてのルールだと思うんですけれども、明文化されていないということは、金銭類似性が高いものや資産性が高いものであっても、現行の、今定義された部分に当てはまれば問題ないということでよろしいんですね。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、金銭類似性の高いもの、資産性の高いものについては、引き続き、送付しないようにすることをお願いしておりますが、現時点におきまして、寄附金の募集の適正な実施に係る基準の内容として、金銭類似性の高いものあるいは資産性の高いものを送付しないようにすることを含めることは予定していないということでございます。

丸山委員 事実上、総務省としては、お願いするけれども拒否はできない、否定はできないということだと思いますが、先ほどからお伺いしていると、類似性の高い部分だとか、総務省が定める部分が広過ぎて、予見性が非常に狭いと思うんですよね。すごく予見がしづらい税になっていくと思うんです。

 特にお聞きしたいのは、これは今回、六月までは現行制度で、この法が改正されれば六月から新しい制度、そして、この六月以降に、総務省がもしかして、指定されていた自治体を取り外す可能性が出てくると思います。この取り外されるかどうかというのは非常に、寄附される方からしたら、いきなりこれが取り消されてもびっくりしてしまいますし、自治体だって、こんな曖昧な状況の中で手探りでやっていくんだと思うんですけれども、総務省にいきなり、あなたのところはもう取消しねと言われてしまったら、予見可能性の点からも税の安定性からも非常に危惧があるんですが、このあたりの手続を聞きたいんです。

 自治体に報告を求めることができるという形になっています。これはできる規定で、やらなくてもいいわけですよ。義務ではないんですね。ただ、審議会にはかけなきゃいけないというふうには書いてあるんですが。一方で、最後、告示をされるということですね。この告示で、取消しですよというのはされるんですが、いきなり、何の連絡もなく指定取消しの告示がされることはあり得るんでしょうか。必ず事前に発表、その前に、そもそも自治体には、これはだめですよ、言っていたのと違うんじゃないですかというような注意が行くのか。意見を聴取する場をこの取消しに関しても設けるのか。こうした部分はどのように設定されているのか、お伺いできますか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 指定の取消し関係につきましては、改正法案の三十七条の二に規定がされておりますが、まず、地方六団体による推薦者を含めて構成される地方財政審議会の意見を聞かなければならないこととしております。また、指定を取り消したときは、直ちにその旨を告示しなければならないという手続が規定されております。

 また、仮に個別の地方団体の指定を取り消す際には、当該地方団体の実態について丁寧に伺っていく必要があるというふうに考えているところでございます。

丸山委員 しっかりそれはやっていただきたいというふうに思います。

 これは六月からということで、この以前の問題、要は六月以前のものはどうなのと、よく多くの方に聞かれるんです。このあたりをちょっと聞いていきたいんですけれども、まず、法改正された場合に、現時点も含んでこの六月までの対応がその後の総務省の地方自治体の指定、要は、六月に総務省の方で、あなたのところは指定しますよ、しませんよとできるわけですけれども、この六月までの自治体の行為、これがその指定に影響を与えるんでしょうか。

 憲法上、八十四条に租税法律主義が書かれていますけれども、非常に、もしこれが事前の関係ないところに影響を与えるなら、この辺が危惧されるものだと思いますけれども、この点も含めて、この六月以前に対する扱い、これをお伺いしたいんです。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税の対象となる地方団体の指定につきましては、法律の規定に基づき、募集の適正な実施に係る基準に適合する地方団体として認められるかどうかを、できる限り客観的な情報をもとに判断した上で行う必要があるものと考えております。

 これまでも申し上げておりますとおり、指定基準の具体的内容につきましては現在検討中でございますけれども、他の既存の寄附金控除の仕組みにおいては、過去の実績を勘案して対象となる団体を指定する仕組みが採用されているものもあり、こうした他の仕組みも参考としつつ検討してまいりたいと考えております。

 それから、租税法律主義の関係でのお尋ねがございましたが、今回の改正法案による新たな指定制度が施行される六月一日より前に寄附者が行った寄附について、特例控除が適用されなくなるということはございません。したがって、寄附者の納税義務の内容を遡及的に変更するものではないので、租税法律主義の趣旨に反するものではないと考えておるところでございます。

丸山委員 分けて考えたいんですが、納税者の方と自治体の方です。

 まず、自治体の方についてお伺いした六月以前の対応がというのは、ほかの制度でそういったものがある、なので、そういったものも参考にしながらということは、つまり、六月以前の行為が総務省のこの指定に影響を与え得るということでしょうか。

 同時に、三十七条の二の三項では、申出書を出させるということですが、ここにおいては、六月以前の取組について書かせるんですか。こうした部分、お答えいただけますか。

稲岡政府参考人 前段につきましては、先ほど私が申し上げたことで御理解を賜りたいと思います。

 後段の申出書の関係でございますけれども、改正法案におきましては、指定を受けようとする地方団体は、ふるさと納税の募集の適正な実施に関する事項を記載した申出書に、基準に適合していることを証する書類を添えて総務大臣に提出しなければならないとされているところでございます。

 この申出書あるいは添付書類の具体的内容につきましても今後の検討ということでございますが、総務大臣による指定の客観的な判断材料とするため、これらの中で、六月以前の取組状況についても提出を求めることはあり得るものと考えているところでございます。

丸山委員 大体見えてきましたが、一方で、六月までのルール内でやっていたこと、そして、六月以降、新ルールでやっていくこと、切りかえてくる自治体も十分考えられると思うんですね。そのときに、きちんと総務省の方で見ていただいて、客観的に見て、その指定の取消しはおかしいだろうという話であれば、それはまたチェックしていかなきゃいけないなと思います。ただ、今はまだ制度を最終設計されているところだと思いますので、こうした手続のところについてもきっちりやっていただきたいというふうに思います。

 最後、納税者の関係でいろいろお伺いしていきたいんです。

 まず、今お話のあった、六月以前の今の制度、つまり五月までの制度で寄附された個人については、もちろん、必ず税額控除が適用で、取消しは関係ないと。つまり、例えば、ある自治体に五月までに寄附しました、それが、六月以降にその自治体の取消しがあったとしても、以前にやったものに対しては控除を受けられるというお話がありました。一方で、六月以降の新制度で、どのタイミングで納税者が寄附したときに取り消されていることになるのか、それともちゃんと寄附金控除の対象になるのか。非常にこれは大事なポイントだと思うんですけれども、これはどのように考えればいいんでしょうか。お答えいただけますか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 特例控除の対象となるか否かは、寄附者が寄附金を支出したときに寄附先の地方団体が総務大臣から指定されているかどうかによることとされておりまして、これは、改正法案第三十七条の二第九項に規定されているということでございます。

 仮定の話ですが、指定の取消しをしたときは告示をするということとされておりますが、取消し告示の施行日より前に、取り消された地方団体に対して行った寄附については、特例控除の対象となる。その告示の施行日以後に行われた寄附については、特例控除の対象とならない。こういうことでございます。

丸山委員 つまり、総務省としては、必ず事前に告示という形で、官報にしろホームページにしろ、オープンになる。そこには、その日付じゃなくて、施行日が必ずあって、この日から取り消されますよという日がある。その日以前であれば、六月以降であっても、指定されている部分には問題ない。要は、取り消される前に寄附をした場合には、どう考えても、それは控除の対象になる。取り消された日の施行日があるので、その日以降であればだめですよという整理だと思うんですけれども、この日というのは、日付で切るのかどうかだけ確認しておきたいんです。

 というのは、今、ふるさと納税を見ていますと、クレジットカードでの決済だとか、あとはコンビニでの支払いとかあるわけですよ。そのときに、クレジットカードだと、何時何分単位で決済されるわけですね。こうした決済のタイミングというのの判断基準を一応確認しておきたいんです。

 法文上は、納税義務者が第一号寄附金を支出したときという書きぶりしかされていないんですけれども、この判断基準。例えば、さっき申し上げたようなクレジットカード決済のタイミング、コンビニでの支払いの場合、これは、施行日の日付ということは、ゼロ時ゼロゼロ分、ここで切りかわるということでいいんでしょうか。これはどういう判断になるんでしょうか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案における支出したときとは、寄附先の地方団体に寄附金が収納されたときと同じ時点ということでございます。

 この収納されたときとは、地方自治法や地方自治法施行令におきましてそれぞれ支出の方法ごとに定められておりますが、例えばクレジットカード決済につきましては、寄附者側で決済手続が完了した時点で寄附金が支出され、地方団体に納付されたものと判断されるということでございます。また、コンビニでの支払いにつきましては、寄附者がコンビニの店頭での支払いを行ったときに寄附金が支出され、地方団体に納付されたものと判断されるということでございます。

丸山委員 つまり、決済のタイミングが非常に大事で、例えばクレジットカードであれば、前日の二十三時五十九分までに決済していれば大丈夫、ただ、一分超えてゼロゼロ分になったらだめだという理解でいいのか。同時に、例えば決済でずれそうなのは銀行の振り込み。例えば日付指定ができると思うんですけれども、この振り込みの予約をした段階では指定の取消し前だったが、振り込まれた場合には、これが指定取消しの後だった場合にはこれはだめだ、多分、さっきの決済のタイミングだということでだめだということだと思うんですけれども、その理解でいいのか、お答えください。

稲岡政府参考人 ATMやネットバンキングでの振り込みにつきましては、口座に入金されたときに寄附金を支出した時点として取り扱うものと考えております。

丸山委員 先ほどの私の例の理解でいいですか。クレジットカードだったら、日付をまたぐ直前まではいいけれども、日付をまたいでしまったらだめ、銀行振り込みであれば、その振り込み予約という形で取消し後の予約を指定してしまった場合には、決済されていませんのでだめだということでいいんでしょうか。端的にお答えください。

稲岡政府参考人 クレジットカードにつきましては、その日のうちに決済がされれば、地方団体に納付されたものと判断されますし、振り込みの場合には、予約だけですと入金がしていないということでございますので、委員の御指摘のとおりではないかと考えているところでございます。

丸山委員 そういった意味で、非常に、納税者の皆さんとしては、この情報を知らないことがないようにしないといけないと思うんですね。ホームページとかの掲示も、非常にタイムラグが生じる可能性があるなと見ていて思うんですけれども、この周知が非常に大事だと思います。この周知についてどのように考えているのか、総務省、お答えください。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 指定の取消しを行う場合には、これは告示をするということにされておりますので、それによって周知というのはなされるというふうに考えておりますけれども、先ほど来委員御指摘がございますが、寄附者である国民の皆様に混乱が生じないよう、告示をした日と、その告示が効力を発するというか施行日、この二つの間に必要な周知期間を置くことを考えておるということでございます。

丸山委員 時間が来たので終わりますけれども、今回の法案、非常に、総務省が定める基準という書き方が多くて、見えにくいんですよね。何より、自治体が一生懸命枠内で努力しているものに対して、やはり押し込めかねない、要は、金太郎あめみたいに同じような自治体ばかり出てくるんじゃないか危惧しています。やはり、今回成立した場合に、それぞれの努力をたたくことのないような、適正な運用をお願いしたいと思います。

 時間がなくなりましたのでこれで終わりますが、またお伺いしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 社会保障を立て直す国民会議の野田佳彦でございます。

 まず、大臣に、統計不正問題にかかわることについてお尋ねをしたいと思います。私は、細部にかかわることについて質問をするつもりではございません。大臣の危機感についてお尋ねをしたいんです。

 二〇一〇年のたしか一月だったと思いますが、私、ちょうど財務副大臣をやっていたときに、ちっちゃな記事で、欧州委員会がギリシャの統計に不備があるということを指摘し、それが報道されていたんですね。ちょうどそのころギリシャが政権交代が起こっていて、改めてその数字をチェックしたところ、財政が、公表していた数字以上に非常に深刻な状況であることが明らかになり、まさに債務危機に陥っていく、それが、イタリアやスペインやポルトガル、南欧に広がり、欧州全体に、たちまち欧州債務危機になっていったということを思い出すんです。

 まさに、統計に問題がある、信用できないということは、亡国の道につながりかねないという危機感を持っています。

 ついこの間まで、どこかの国の経済統計は当てにならないなんて笑い話でよく言っていたんですが、まさか足元で、我が国でこれだけの、基幹統計の四割が統計法違反の疑いがあったりとか不適切だったという状況が生まれてきました。私は、相当危機感を持ってその信頼回復に向けて努力をしなければいけないと思いますが、まずは大臣の危機感と決意をお聞かせください。

麻生国務大臣 野田先生の最初に言われましたギリシャの話、これは、総じてよくヨーロッパで、南ヨーロッパ、イタリア、スペイン、ギリシャ等々、よくこの話は言われて、北の方は、ドイツとかデンマークとかルーマニアとかその辺のところは、俺たちはしっかりしているのに、これはよくあの世界では、ヨーロッパの銀行の世界で言ったせりふではあるんですけれども。

 そういった傾向が、完璧無比というわけにはなかなかいかぬのだと思いますけれども、総じて、信頼できる統計というものをきちんと出している国、出していない国というのには、いろいろ、我々から見ていると、その数字は本当かという感じがあるのは事実でありますが、日本は、その中においては、間違いなく、大丈夫と言われている方に属していたということははっきりしていると思っております。

 今回のことは、その額において、多額のものを隠していたとか、そういったような感じのものとは少々違うような気がしないでもありませんけれども、いずれにしても、この種の話は、かなり長期間にわたって、そういったものをやっているということを知っていながらずっと継続していたというところが私は極めて問題。本人の自覚の問題もあったでしょう。前のやつがやっていたんだからしようがないやとかいうような安易な気持ちもあったかもしれない。しかし、それが発見できていませんから、十何年間。それが少々問題なんだと私どもも思っておりますので。

 いずれにしても、こういったようなものが積み重なりますと信頼性を欠くということになりますので、何だ日本もかということになりかねぬという意味においては、私どもは今回の話は極めて深刻に受けとめております。

野田(佳)委員 長く続いていたという意味では、毎月勤労統計も十五年続いてきたわけで、私の政権のときもそうでしたから、ぼうっとして生きてんじゃねえよと叱られそうな気がします。心してやっていかなければいけないと思いますけれども。

 今、政府全体のお話を聞きましたけれども、まずは、財務省の中でも、今回、調べたら出てきましたね、法人企業統計調査、法人企業調査。これは、私、いい調査だと思って、今まで講演に使ったこともあるし、若いころは質問にも使ったことがあるんです。その法人企業調査でも、残念ながら、不適切な調査が行われていたことがわかりました。

 なぜこんなことが起こったのか。どうやって改善していくのか。これは財務省の足元のことですから、特に数字では、私は、不正とか何とかじゃなくて、ミスも許されない役所だと思いますので、その点についてお尋ねをしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今、野田先生御指摘のありました法人企業統計調査については、これは点検の作業という一連のものが出ましたので。行った結果、調査方法や既に公表しているデータ自体には問題がないことは確認されていましたのですが、年次調査のデータの一部について掲載漏れがあるという報告を受けております。

 具体的には、調査対象業種の一部であります、いわゆる保険業、この損害保険業に関するデータのうち、平成二十年から二十九年度までの配当率、配当性向、内部留保率が掲載漏れとなっておったということであります。

 これは、同じ保険業に分類される生命保険業と損害保険業との間で公表ルールが異なっていたことが、今般、掲載漏れの一因となったと考えられるというように理解をしております。

 すっきりさせようとしてみれば、配当金とか、それから資本金とか、当期純利益なんというのもきちんと出ておるんですが、それを割って載せるという作業が抜けていたということだと思いますので、現在、統計委員会のもとで点検検証部会が設置をされて、再発防止等を目指して検証を行うこととされておりまして、総務省とも相談しつつ、この点につきましては、掲載漏れとはいえ、少なくとも、配当、割ればいいじゃないかという話で、隠したわけではない、載せていなかったというのが事実でありますから、記載漏れでもミスではないかという御指摘はまことに正しいと思いますので、きちんと対応させていただきたいと存じます。

野田(佳)委員 きちんと対応をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、きょうは大臣所信に対する質問でございますので、まさに大臣所信の、この間配っていただいた所信表明に即して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 素直に読もうと思って読んでいったんですけれども、あちこちでちょっとぶち当たりまして、本当は二枚目も金融行政とかあったんですけれども、そっちにたどり着く前に多分質問が終わっちゃうだろうと思ったので、この一枚目の紙だけで質問をさせていただきたいというふうに思います。

 最初、まず、これはちょっと違うんじゃないかと違和感を感じた文章は、日本経済につきましては、これは線が描いてありますが、資料でお配りしているとおり、1と書いていますけれども、企業部門の改善が家計部門に広がり、好循環が進展すると書いてあります。

 進展しているんでしょうか。そうじゃないんじゃないですかね。

 その後に、今回の景気回復期間は、本年一月時点で戦後最長と。

 確かにそのとおりで、イザナミ景気を超えたという最長期間になっていますけれども、最近、いろいろ世論調査が出ています。戦後最長の景気回復について、日本経済新聞、実感せず七八%、実感している一六%。大きな差ですね。NHK、実感していない六六%、どちらとも言えない二〇%、実感している八%。わずか八%です。朝日、実感はない七八%、実感がある一六%、その他六%。圧倒的多くの国民が、世論調査で、戦後最長の景気回復と言われているけれども実感していないと答えているんです。

 にもかかわらず、企業部門の改善が家計部門に広がり、好循環が進展すると言い切ってしまっているということは、私は、問題を認識していないのではないかというふうに思います。

 企業部門が改善していることはいろいろな数値で出てきていますし、内部留保も随分たまっていますが、家計部門にまで浸透していないという現実を踏まえてこれからどうするかというのが、私は大臣の役割だと思うんですね。まず、この点についてお尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 お尋ねの国民の実感というものにつきましては、これはさまざまな世論調査があるのだと存じます。

 平成三十年の内閣府の調査によれば、現在の生活に満足と答えられた割合というのは七四・七%、過去最高となっておりますので、多くの方々に景気の回復を少なくとも感じていただいているのではないかと考えております。

 これは、企業収益と今言われましたけれども、この企業収益は改善しておりますので、これは国民生活にとりまして大変身近な雇用環境というものが大きく改善したんだと存じます。

 したがいまして、二〇一二年から一八年までの六年間の就業者数が大幅に三百八十万ふえたり、就職というものが一番問題だったのは有効倍率〇・八二ぐらいでしたから、今、一・六、大幅にふえておりますので、そういった意味では、有効求人倍率は非常に大きくふえたとか、また、賃金の調査によれば、少なくとも、連合の調査を見ますと、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃金アップが実現ということになっておりますし、中小企業の賃金アップも過去二十年では最高というような数字が出ておりますし、よく言われる総雇用者所得でも、名目、実質ともにいわゆる増加が続いておりますので、そういった意味で、経済の好循環が少なくとも国民に実感をされつつあるんだと思っております。

 その上で、先ほど他の委員の方から名目賃金、実質賃金のお話が出ていましたけれども、そういった意味では、まだまだなかなか、給料が上がったものより物価の上昇率が高いがために、いわゆる実質賃金等々の話につきましては、これは個々いろいろあるんだと思いますので、そういったものを更に進めていくという必要はあろうかとは存じますけれども、総じて、六年前若しくはバブルがはじけた後のあの時代に比べまして、今の方々の方がそういったものを実感していただいているのではないかという感じがいたしております。

野田(佳)委員 景気実感の数字はさっき世論調査の結果で申し上げているので、もう如実にあらわれていると思うんです。ぜひ、家計部門に好循環が云々と書いてあるのは、そうありたいと思っているんですけれども、残念ながらトリクルダウンは起こっていないというのが現実で、それをどうするかというところからこれからの本当の正しい政策が生まれてくるはずなので、問題認識がちゃんとできていないと問題解決できないと思いますので、先ほどの世論調査はやはり厳しく受けとめてほしいんですよね。

 だから、好循環というのは、ファクトじゃなくて、私はこれは政府の願望だと思いますよ。先ほど日銀の総裁が来られていましたけれども、最近、日銀の展望レポートは願望レポートと言われているんですよ、もう誰も信用しなくなっているので。同じようなことを政府はやっちゃいけないと思いますので、その辺は厳しい認識をしてほしいというふうに思います。

 まだ、二番目にようやく入って、ちょっと時間がおくれていますけれども、次は、これはもう何度も私は指摘していますけれども、低所得者への配慮として軽減税率制度を実施しと書いてあるんですよね。軽減税率は低所得者対策にはならない、実効性がないと。

 もちろん、それは、低所得者も軽減減税の恩恵は受けるけれども、より所得の多い人の方が恩恵を受けるわけであって、これは、低所得者への配慮と書いてあるけれども、私は実効性ある対策ではないと言い続けてきましたし、再考を求めてきましたが、いつも、説得力のある、これは低所得者対策だという反論をきちっと聞いた記憶がないんですね。きょうは、ぜひそのお考えをお示しいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 この軽減税率が入るまでにはいろいろな案が、野田先生のときの時代から、いろいろな方法ということで給付つき税額控除等々いろいろお話があっておったのはよく存じておりますが、少なくとも、この軽減税率等々は、全ての方々が毎日購入をされておる、例えば飲食料品とかそういった税率を八%に据え置くということによって、いわゆる痛税感というものの緩和が実感できるのではないか。片っ方は一〇、片っ方は八ですから、明らかにそこのところは違うんだと思いますし、また、低所得者の方々ほど税負担というものの中で消費税の負担の割合が高いといういわゆる逆進性の話が緩和できるという利点もありますので、低所得者への配慮として実施をすることとさせていただいたものであります。

 いわゆる消費支出の割合が高い、酒類とか外食を除きます飲食料品というものにしておりますのは御存じのとおりですけれども、その割合というものが、低所得者の方々の方がいわゆる高所得者の方々より大きく引き下げることができるというので、消費税の逆進性の緩和につながるものだというのを基本的には考えております。いわゆる収入に対する消費の負担の割合ということなんですけれども。そういった意味で、私どもとしては、この方がいいのではないかという、いろいろ試行錯誤の結果、この結論に至ったところであります。

 一方、給付つき税額控除の話につきましては、これは所得が低いという方に焦点を絞っておりますので、その意味で支援ができるという利点はあります。これは間違いないと思いますが。ただし、消費税そのものの負担が直接軽減されるわけではありませんから、消費者にとっての痛税感の緩和を実感できるということにはつながらないというのが一点。

 それから、マイナンバーとかいろいろ今話題の話がありますけれども、所得とか資産というものの把握というものが、マイナンバー、マイカードが仮にすんなりできたとして、そういった問題を確実に把握ができるかということになりますと、その点についてはいろいろ問題があるんだというのを承知しておりますので、私どもとしては、消費税率の引上げに伴ういわゆる低所得者への配慮ということに関しましては軽減税率というものの方を選ばせていただいたという背景で、比較をさせていただくといろいろな意見が出てくるのは十分存じておりますけれども、その中の一つとして、最終的に軽減税率を選ばせていただいたというのがその背景であります。

野田(佳)委員 そのすぐ後に、需要変動を平準化するための十分な支援策と書いてあるんですね。

 要は、ポイント還元とか住宅ローン減税であるとかいろいろやりますね、国土強靱化とか。これは、十分という言葉じゃなくて、総理は十二分と言っていますよね、総理は。私は、正しい表現としては、今回、十二分だと思いますね、十二分。

 というのは、入ってくる税収は、平成三十一年、消費税を上げても二兆円弱じゃないですか。あれもこれも、今回は、消費税増税対策と称するもの、全部合わせると二兆円を超えるじゃないですか。十分というのは、まさに、条件を満たして不足がないことですよ。水がめにちょうど水がいっぱいたまったということ。今回は、たっぷんたっぷんで、あふれるんです。これはやはり、十二分という総理の表現の方が私は正しいと思います。表現はね。

 表現は正しいけれども、十二分というのは、やはりばらまきなんですよ。そこをちゃんと精査をするのが私は財務大臣のお仕事だったと思うし、去年の臨時国会の十一月に私はこの質問をしていまして、やはり大臣所信に十分という言葉が書いてあったので、十分な支援じゃなくて、必要な支援にした方がいいという趣旨のお話をして、よく精査をした方がいいというお話をしたんですよ。プレミアム何とかとか出てくるし、またポイント還元がいっぱい出てくる。そのとき大臣はどうお答えになったかというと、いろいろな人がいろいろなことを言っているようだ、特に経産省の関係みたいだとおっしゃった上で、しっかりと対応していくというお答えをされたんですよね。

 それは、あれもこれも認めるんじゃなくて、まさに、十分じゃなくて、必要な支援策。平準化は、私は必要だと思うんですよ。でも、本当に有効な施策に絞ってやるんだろうと思ったら、全部めちゃったんじゃないですか、あれもこれも言ったやつを。結局、十二分になっちゃったんじゃないですか。ばらまきになってしまっているように私は思いますけれども、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 いわゆる、一〇%への引上げによって経済への影響はいかがなものかというのが、前回、五から八に三%引き上げさせていただいたときに起きました反動減、またその前の駆け込み需要等々の耐久消費財を含めましたいろいろな反動減というような大きなゆがみが起きたというのを、私どもは、今回の二%の引上げに当たりましての最大の反省点として、これを踏まえた上でやらねばならぬということ。

 特に、先ほど川内先生からお話のありました低所得者の幼児等々、いわゆる生活保護以下等々いろいろな表現がありましたけれども、そういったような方々に対するもの等々、いろいろなものを考えないかぬということで、特に、これまでの福祉というのは総じて高齢者に偏り過ぎていなかったかという反省点が我々には非常にあるところでして、ぜひ、そういった意味では、子育て世代とか三歳以下とかいろいろな表現がありますけれども、幼児向けというものに対しての無償化とか、そういった形で、いわゆる痛みがということを非常に考えたので、軽減税率含めまして二兆円程度行うということとさせていただいたところであります。

 さらに、今回の中で、臨時特別の予算措置というのと一緒に、税制とあわせまして二・三兆円の対策を講じることとしておりますけれども、私どもとしては、今、影響というものを乗り越えられるのに十分以上に、十二分にやらねばならぬということを、やはり前回の反省点は非常に、私どもにとっては、五から八に上げたときのあの影響は余りにも大き過ぎたのではないかという気持ちが非常に強いのは確かですけれども、私どもといたしましては、こういった反動減とか駆け込み需要とかいうことになりますと、景気の回復が今こうなってきているのに、またこれをそぐということになりかねませんというので、消費税引上げによる経済への影響、景気への影響というものをきっちり抑えるということで、予算とか税制とかそういったものを総動員して対応せねばならぬということ。

 今、行き過ぎておる、十分過ぎておる、水がめがあふれておるほどになっておるという御指摘も、そういったことを言われる方もいらっしゃいますので、私どもとして理解できないわけではありませんし、財務省としてはそのお気持ちは十分に、私どもとしても感じないわけではありませんが、しかし、今回、この景気を腰折れさせることだけはできぬ、そういう思いが非常にありますので、こういった形にさせていただいたと御理解いただければと存じます。

野田(佳)委員 なかなか御理解はできないんですけれども。少なくともポイント還元は、この間、本会議でも申し上げましたけれども、あれは本当に愚策中の愚策だと思いますので、撤回すべきだと私は思うんですね。しかも、追加予算が必要になるかもしれないみたいな話も出ていますよね。これは一向に歯どめがきかなくなると私は懸念をしていることだけは申し上げたいというふうに思います。

 次に、4で、平成三十一年度予算にざくっと印を描いているんですけれども、これはトータルなんですけれども。

 これもこの間の本会議で申し上げましたけれども、財政審が去年の十一月に平成三十一年度の予算編成等に関する建議を財務大臣に提出をしましたけれども、そのときに、平成の総括をしている文章がございましたよね。平成における税財政運営というのは、受益の拡大と負担の軽減と先送りを求めるフリーライダーの圧力に抗し切れなかった時代という厳しい総括をした上で、平成の過ちを二度としてはいけないというふうに書いてありました。そういう反省、総括の上に、新しい予算については期待をしたい、新しい時代の幕あけにふさわしい新年度の予算をつくってほしいという期待をしたような、そういう建議だったじゃないですか。

 ところが、ふたをあけてみると、百一兆五千億という百兆円を超える大台の予算に膨らんでしまっている。これは、到底、私は、あの財政審の建議に応える、期待に応える内容ではないと思うんですけれども、大臣のお立場としてはどうなんでしょうか。胸を張って、あの財政審の建議に応えていると言えるんでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘になりました、平成三十一年度の予算につきましての御意見だと存じますけれども、私どもとしては、日本にとりまして中長期的には最大の問題になります少子高齢化という社会的現実というものを見回したときにおいては、何としても、全世代型の社会保障制度への転換というものに向けて、消費税の増収分を活用した社会保障というものを確実に実行するという上で、前回の消費増税のときの、いわゆる引上げ時のときの経験を踏まえて、いわゆる経済への影響というのを平準化させるということで、臨時特別の措置を時限的に講じるということなど、現下の重要課題に的確に対応するための経費を積み上げた結果、百一兆五千億となったということだと私どもは考えております。

 御指摘のありました財政審の建議におきましても、引上げ前後の消費を平準化する等、経済への影響を緩和するために万全を期すことの必要性を言及されているところでありまして、今回の臨時特別の措置というものは、経済への影響をしっかり平準化するために必要なものだと考えております。

 同時に、三十一年度予算では、歳出改革の取組はもちろん継続させていただきますと同時に、景気の回復を背景にして、税収が、過去最高の六十二兆五千億という税収を見込んでおりますので、新規国債発行額等々も、前年に比べて、当初予算と比較いたしまして、私どもとしては、十二兆円少なくする、トータルでですよ。財政の健全化も着実に進めているところでもあります。

 確かに、おっしゃるとおり、予算の額が百一兆というのは、三桁の大台に乗ったと多分言われる、前回は補正予算を含みますので前年度も百兆を超えておりますけれども、少なくとも当初予算で百兆の大台に乗ったということでありますけれども、私どもとしては、内容面においては、財政健全化を進めていくことで、引き続きまして経済再生を図りながら歳出歳入の改革を行っていくということで、今後、財政審の建議の趣旨に沿うというような形のものにしていかねばならぬと思っております。

野田(佳)委員 あと残り、5、6、7と番号を振ったやつがあるんですが、多分間に合わないと思いますので、まず懸念だけ伝えておきます。

 五番で、臨時特別の措置のところに線を引いてあるのは、どういう懸念があるかというと、これは臨時特別措置で終わらないんじゃないかという懸念を持っているということであります。

 我々の世界では、我々というかこの業界では、暫定だとか当分の間というと、長くなるんですよね、大体。この臨時特別も、いわゆる国土強靱化であるとか、あるいは、さっきのポイント還元も東京オリンピックまでと言っているけれども、本当にそれで終わるのかという私は懸念を持っていますということを申し上げたかったんですが、これは飛ばします。

 そして、6の、新経済・財政再生計画に沿って歳出改革の取組を継続しと書いてありますけれども、これは何か新たに取組をしっかりやっているのか、財政再建に向けて努力しているのかというと、でも、歳出の上限は六年連続決めなかったですね。目安がないところにやってしまったことについてのお話をちょっと聞こうと思いました。これも飛ばします。

 最後の、新規国債発行額を安倍内閣発足以来七年連続で縮減し、この一番最後のところだけ質問したいと思います。

 まず、安倍内閣以来七年連続という言い方、これはちょっと作為を感じますね。新規国債発行額の縮減は九年連続じゃないですか。二〇一一年、二〇一二年、私、財務大臣、総理大臣をやっていますけれども、新規国債の発行の減額はやっているんですよ。何で安倍政権だけ努力しているように見せるのか。それは、悪夢の政権だと言われるかもしれないけれども、継続して頑張っていることもあるわけなので、そこはうまくちゃんと書いてほしいなと思いますが。

 でも、安倍内閣発足以来といえば七年連続は間違いないのでいいんですけれども、その七年連続と言っている中でも、例えば昨年度、平成三十年度に当たっては、補正予算で追加で新規国債発行をしていますから、平成二十九年度よりは新規国債発行額がふえているんですよ。七年連続、順調に財政が健全化へ向けて進んでいるというのは、この数字、この書き方からは見えないけれども、まさにそこは事実関係として押さえておかなければいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 野田先生御指摘のとおり、当初予算におけます新規国債の発行額というものを政権交代前から見ましたら、二十三年から三十一年度まで九年連続縮減しております。これは事実であります。そのことを否定したことは一回もありません。

 その上で、今御指摘のありました平成三十年度の二次補正後の発行予算というのは三十五兆四千億でありますので、平成二十九年度の公債発行額の決算額は三十三兆六千億でありますので、一兆八千億上回っておるというのは事実であります。

 したがいまして、私どもとしては、今まで見ますと、この七年間の間に、六回のうち二回、決算でいきますと、補正後になりますと上回っておるという形になりますので、トータルで申し上げておりますけれども、私どもとしては、この間に関しては当初予算で、まあ予算のことでやりますので、当初予算ですと六年連続ということになりますが、決算、補正後のやつを見ますと、二回上回っております。したがいまして、それでいけば四勝二敗ということになろうかと思いますけれども、それが事実として、隠しているつもりもありませんので、私どもとしては、それはおっしゃることを否定するつもりはありません。

 私どもとしては、新規国債発行額を七年連続で縮減ということで、当初予算ベースで財政指標の推移を論じるということが大事だと思っておりますので。他方、財政健全化の進捗度合いにつきましては、これは、決算を反映いたしましたいわゆるSNAベース、国民経済計算ベースで検証していくということも極めて重要だと思っておりますので。

 こういった形で国債の発行というものをきちんと、これまでの金利はありますので、全体を即マイナスというわけではありませんけれども、私どもとしては、そういった新規の国債発行というものに関しましては、少なくともきちんとした形でやらねばならぬというので、いわゆるベースを平成二十五年度までにきちんとさせねばならぬという思いでやらせていただいておりますけれども……(発言する者あり)済みません、二〇二五年までにやらせていただきますということを申し上げておりますので。

 そういった目標を持って、今後とも、こういったものは緩めると途端に話が込み入りますので、そういった意味ではきちんとしたものでやらぬと。財務省といたしましては、ちょっと緩めたような話は、すぐいろいろなところからいろいろな話が舞い込んできますので、私どもとしては、必要以上に厳しいことを言うつもりもありませんけれども、はっきり申し上げて財政が緩いわけではありませんし、極めて厳しい情勢にあるというのを大前提にして、私どもとしては、今後、財政運営をやらせていただかねばならぬと思っております。

野田(佳)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

坂井委員長 以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

坂井委員長 次に、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 所得税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。

 政府は、消費税率の引上げに伴う対応、デフレ脱却と経済再生の実現、国際的な租税回避への効果的な対応等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、消費税率の引上げに伴う対応等の観点から、住宅ローン控除制度の拡充、環境性能にすぐれた自動車に対する自動車重量税の軽減措置の見直し並びに揮発油税及び地方揮発油税の税率の変更を行うことといたしております。

 第二に、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするため、研究開発税制の見直し及び個人事業者の事業承継税制の創設を行うことといたしております。

 第三に、国際的な租税回避についてより効果的に対応するため、国際課税制度の見直しを行うこととしております。

 このほか、土地の売買等に係る登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

坂井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁企画市場局長三井秀範君、財務省主税局長星野次彦君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中山展宏君。

中山(展)委員 自由民主党の中山展宏でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。トップバッターですので、網羅的に質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 私、地元が神奈川県の川崎市でございまして、平成三十一年度の個人市民税の納税者が約一万七千八百名増加いたしました。当初の想定では二千七百名の増加の見通しのようでしたので、予測の六倍、大変よい上振れの結果でございます。しかも、この間の川崎市への人口流入は約一万二千四百名、老若男女、現役世代の方以外も含めて一万二千四百名でございますので、それを五千名も上回る方が納税者となられたわけでございます。保育所の整備が進んで、女性の社会進出や雇用環境が好調なことが要因と考えられます。

 他方、ふるさと納税に関して申し上げると、住民税の流出は、川崎市は地方交付税の不交付団体でございますから、実質、流出は全国一位の約五十億円、高水準が続いております。これも、景気、経済、人口動態、政策、税制等々、市民の皆様のマインドの絡み合った結果だと思います。政策の効果の結果だと思います。そのことを申し上げた上で、まず、今次の統計にかかわる問題の影響について伺いたいと存じます。

 平成三十一年度の予算編成の基本方針で、歳出分野において、EBPM、証拠に基づく政策立案を推進し、質の向上と効果の検証に取り組むとされています。国民生活や経済活動にどのような影響や結果がもたらされたか、費用対効果分析に基づくことは欠かせないと思います。そのためには、EBPMの大前提となる統計調査の精度が高くなければなりません。

 歳入面における税制においても、特に、消費税率の変更や研究開発税制、減収額が大きい租税特別措置では、EBPMの観点からアプローチすることが大切だと考えます。

 今般の税制改正に当たり、統計問題をどのように捉えているか、御答弁をいただきたいと思います。

うえの副大臣 今般の税制改正と統計の問題という御指摘かというふうに思います。

 まず、今次の毎月勤労統計に関する問題についてでございますが、平成三十一年度予算の税収見積りには、政府経済見通しにおける経済指標の伸び率を用いるものもございますけれども、毎月勤労統計の結果を用いていないことを理由に、内閣府において、政府経済見通しの見直しは不要と判断されたと承知をしております。

 このため、政府経済見通しは昨年末の予算編成時点から変わっておらず、税収見積りに影響はないものと考えています。

 一方、税制改正に関してでございますが、消費税率の引上げにつきましては、前回の消費税率八%への引上げの際に、耐久財を中心に大きな駆け込み需要と反動減が生じ、その後の回復にもおくれが見られるなど、結果として見れば、需要変動に対する対策が必ずしも十分ではなかったのは現実だと思います。

 今回の消費税率の引上げに当たりましては、そうした経験も踏まえ、経済への影響に対して十二分な措置を講じることとしておりますが、租税特別措置等につきましては、特定の政策目的を実現するために有効な政策手法となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があることから、必要性や政策効果をよく見きわめることが重要だと考えております。

 したがいまして、そのプロセスにおきましても、租税特別措置の適用実態調査を行うこと、また、各府省におきましては租税特別措置の政策効果について評価を行い、総務省の点検を受けることとされておりまして、こうしたプロセスを踏まえ精査をしているところであり、具体的には、公害防止用設備の特別償却など五項目を廃止、特定都市再生建築物の割増し償却など二十項目について適正化を行うこととしているところであります。

中山(展)委員 急な問題の露呈でありましたけれども、きちんと本当に対応していただいていると拝察をいたしました。

 それでは、消費税の変更に伴う駆け込み需要と反動減の平準化について伺いたいと存じます。

 政府が説明されておられる、消費税増税による増収分を全て使い切るとはどのようなことか、また、その使い道の意図は何か、お教えください。

うえの副大臣 お答えいたします。

 消費税引上げの増収分を全て使い切る意図とは何かという御質問だと思いますが、具体的には、今回の八%から一〇%への消費税率引上げによる直接の負担増、これは軽減税率と差引きで五・二兆円となります。これに、幼児教育の無償化、社会保障の充実など既に決められている措置、これが約三・二兆円ございますが、それを講じることによりまして、差引きで経済への影響は二兆円程度に抑制されるものと考えております。

 これに対しまして、臨時特別の措置として、予算面では、ポイント還元、これが約二千八百億円、プレミアムつき商品券約千七百億円、防災・減災、国土強靱化一兆三千五百億円など、合計二兆円程度になります。税制面では、自動車に係る税負担の軽減、住宅ローン減税の拡充など〇・三兆円程度と見積もっておりまして、合わせて二・三兆円程度の措置を講じることとしております。

 こうしたことから、増収分を全て使い切るとの表現になろうかと思いますけれども、今後とも、そうした経済への影響を十二分に乗り越える対策としているところでありますので、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

中山(展)委員 大変十二分な取組だと思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。

 続きまして、特に耐久消費財で金額の大きい住宅と車について伺いたいと思います。

 前回、二〇一四年八%時の個人消費、住宅投資の民間需要が低迷した経験を踏まえ、一〇%の際の影響を計量的にどのように捉え、住宅ローン控除の拡充、自動車税の恒久減税を講じているのか、御教示をいただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 副大臣から、駆け込み、反動減対策全般の御答弁はしていただきましたけれども、耐久消費財につきましては、住宅、自動車について、消費税率八%への引上げに当たりましては、住宅ローン減税の借入れ限度額の引上げ、例えば一般住宅の場合二千万円から四千万円、あと、自動車取得税の税率の引下げ、五%から三%の引下げ、あとはエコカー減税の拡充などを行ったわけですけれども、こうした耐久財を中心に駆け込み需要や反動減といった個人消費の大きな変動が生じたということは事実でございます。

 こうした経験を踏まえまして、今回の消費税率の引上げに当たりましては、需要変動の平準化の観点から、税率引上げ後の住宅、自動車の購入等にメリットが出るよう対策を講ずることといたしたわけでございます。

 具体的には、まず、住宅につきましては、住宅ローン減税の控除期間の延長ということで十年から十三年に延長する。それから、予算措置の方では、すまい給付金の拡充、また、次世代住宅ポイント制度の創設というように、税制、予算両面からの措置を税率引下げ当初から行うこととしております。

 また、自動車につきましては、十月以降に購入する自動車に係る自動車税を初めて恒久的に減税するとともに、平準化措置といたしまして、環境性能割の臨時的軽減として、一年間一%の軽減措置を行うことによりまして、自動車ユーザーの負担軽減を図ることとしております。

 このように、総合的な対策を講ずることにより、需要変動を平準化して、経済の回復基調を持続させてまいりたいと考えております。

中山(展)委員 大変十分な対策をとられていると思います。かえって二〇一九年十月以降に御購入された方が場合によってはいいと思うような、そこまでされていらっしゃるんだと思います。平準化対策としては十二分にやられていらっしゃると思いますので、ぜひ、しっかり目配りをしていただいて、また動向もウオッチしながら進めていただきたいと思います。

 ここで、キャッシュレス決済とポイント還元について、きょうは経済産業省からもお越しいただいておりますので、お尋ねしたいと思います。

 中小の小売店は、フィジカル空間であるリアルな世界では大規模店舗と競合し、他方、ネットを通じたサイバー空間からは、ポイント還元キャンペーンが頻繁に行われているアマゾンや楽天などと競争を強いられています。

 ポイント付与から得られる顧客の囲い込みやキャッシュレス決済で得られるデータはとても有用だと思いますが、導入に当たっての心理的負担も耳にいたします。

 まず、カードリーダー、決済端末の導入費用や決済手数料に対してどのような取組がされているのか、お伺いをしたいと思います。

島田政府参考人 委員御指摘の、小売店におきますクレジットカードあるいは電子マネーといったキャッシュレス決済を導入するに当たりましての、例えばカードリーダーの導入、これも導入経費が高いですとか、あるいは手数料の負担が重いといったような声があるということを承知しているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、今回、中小・小規模事業者がキャッシュレス決済を導入する際に、必要な端末などの導入費用の三分の一を決済事業者が負担をし、残り三分の二を国が補助をする、そういった形で、中小企業者の負担がゼロになるような形での導入支援を行うとともに、決済事業者に支払う加盟店手数料につきましても、競争が働くように三・二五%以下としたものを対象とし、その三分の一を補助するといった支援を実施することで、中小・小規模事業者の方々がキャッシュレスを導入しやすい環境を整えていきたいと考えているところでございます。

中山(展)委員 済みません、もう一度お願いしたいんです。

 三・二五%以上の手数料のところに関しては、ポイントは付与されないということでしょうか。

島田政府参考人 今回のポイント還元に伴います国からの補助は対象としないということでございます。

中山(展)委員 その分、手数料が下がっていくという、そこにインセンティブが働くということになろうかと思います。

 キャッシュレス決済には、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、プリペイドカード、QRコードを使ったスマートフォンアプリもございます。それぞれにさまざまなポイントがございますが、このポイント還元自体の仕組みはどのようになっているのか、お教えいただきたいと思います。

島田政府参考人 今回導入をしたいと考えております制度には、御認識のとおり、クレジットカードや電子マネー、あるいはQRコード、プリペイドカードなど、多様なキャッシュレス決済手段を選択肢として利用可能にしたいと考えているところでございます。

 今回の制度においては、ことし十月の消費税率引上げの後九カ月間において、消費者がこれらのキャッシュレス決済手段を用いて中小・小規模事業者の店舗で支払いを行った場合に、個別店舗については支払い額の五%、フランチャイズチェーンの本部傘下の中小・小規模事業者については二%をポイントという形などで消費者に還元をするというものでございます。

 従来から決済事業者が付与しております多様なポイント制度、これを補助対象としてまいりたいと考えているところでございます。

中山(展)委員 さまざまなポイントがあると思うのですが、例えば一円が一ポイントとなっているところもありますし、そうじゃないレートのところもあるんだと思いますが、このポイントは、五%相当額の金額に相当するポイントを付与するということでよろしいんでしょうか。

島田政府参考人 御指摘のとおりでございます。

中山(展)委員 ここで、そもそもポイントの定義をお尋ねしたいのですが、ポイントは財産的価値があるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。今、ポイント経済という言葉もございますが、ポイントは、ネット空間で法定通貨に固定されているというかペッグされた資産という、そういった認識でいいのでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 ポイントの定義でございますが、金融関連法令の中で、法律上ポイントを明確に定義しているわけではございません。

 一般的には、例えば企業が、おまけや景品として対価を得ないで発行していたものであって、商品とかあるいはサービスと交換が可能な場合に使われていることが多々あるというふうには承知しておりますが、これは法律上の定義ではございません。

 他方、ネット空間では、さまざまなものが財産的な価値があるものとしておりまして、ポイントも、今申し上げたように、対価がなくて、かつ、一定の範囲内では物やサービスにかえられるというものであっても、一定の財産的な価値はあるのではないかということが資金決済法を議論された金融審議会の場では議論されたことがございます。

 他方、支払い手段としてどのぐらい使えるかということになりますと、例えば、仮想通貨ですと法定通貨にペッグされていない、あるいは、一般的なプリペイドカードということですと法定通貨にペッグされているわけでございますが、こういったものを幅広く支払い手段として使えるという性格があるものということで、登録制などの、規制上いろんな義務を求めているわけですが、そこまで至らないものも、非常に多様なものがあり得るというふうに考えておりまして、そういう意味でも、なかなか一概にこういうものであるというふうに定義しがたいところがあるかと存じます。

中山(展)委員 大変悩ましいところだと思うんです。

 今般、仮想通貨、暗号資産という形で、通貨としてというか、物との交換がなかなかしづらいというような認識になりつつありますけれども、その点からいうと、ポイントの方は非常に日常でも使われやすいということで、これから少し議論を深めさせていただいた上で、また、ポイント経済が大きくなった場合にどのような対応をしていくかということもお願いをさせていただきたいと思います。

 ここで、日本でキャッシュレスが進まない、現金が偏重される理由についてお伺いしたいと思いますが、先日、日銀が発表した、二〇一八年末で一万円札の流通高が初めて百兆円を超えた、たんす預金も初の五十兆円超えだということだそうです。

 一般的には、にせ札、盗難のリスクが少ない、そして、金融機関の御努力だと思いますが、ATMが多数ある、現金を出し入れすることのストレスがない、そういった日本社会がその理由だと思われます。また、長寿高齢社会であり、かつ既存の現金によるシステムに信頼と安心感があって、不便を感じずに、決済環境をあえて変えなくてもよいと思う方が多いというのも否めません。

 他方、中国やアフリカでは、経済の、いわゆるリープフロッグ現象、カエル跳び現象とも言われる、技術発展の段階を一気に飛び越え、技術革新を社会実装する現象が見られ、先進国のみならず、キャッシュレスが世界の潮流となっています。

 消費税増税時にこのキャッシュレス決済を推進する意義も踏まえ、我が国で現金が偏重される理由について御所感を伺いたいと思います。

島田政府参考人 日本のキャッシュレス比率、近年増加傾向にはございますが、二〇%程度にとどまっており、諸外国と比較すると依然として低い水準にあるというふうに認識をしてございます。

 この要因といたしまして、一つには、委員御指摘のとおり、現金を落としても戻ってくることが多いという治安が非常によいということ、それから、カードリーダーといったようなさまざまな機器の導入にかかるコストが高いというふうな意識があるということ、さらには、利用者の方が、カードを持つと使い過ぎるのではないかといった不安感といったようなこともあり得るのかもしれないというふうに考えているところでございます。

 他方で、キャッシュレス決済を導入いただきますと、例えば、家計管理が非常に簡単になるといったような利用者の利便の向上、レジ待ちといったことも少なくなるかもしれない、さらには、事業者さんのサイドにいたしましても、レジ締めの時間といったようなものが短縮をされるといった事業者の方のコストの削減、さらには、インバウンドの外国人の方の消費を喚起できるのではないかといったようなメリットがあるというふうに考えてございます。

 こういったことを踏まえまして、引き続きキャッシュレス化の推進を進めてまいりたいと考えております。

中山(展)委員 キャッシュレス自体が、非常にデータを伴いながら私たちの生産性を上げていくことにつながるんだと思います。ぜひ進めていただきたいと思います。

 それでは、BEPSプロジェクトの関係で、デジタル課税についてお伺いをしたいと思います。

 米国勢プラットフォーマー、GAFAと、さらに、中国勢のBATJと言われるような、バイドゥ、アリババ、テンセント、ジンドンなど、ネットを通じたグローバルな経済活動に対して、データ覇権の視点でも、総理がダボス会議でお示しされた国際的なルール形成を急ぐ必要があると思います。

 デジタル企業に対する課税の動きでは、イギリスやフランスでは、デジタル企業の利益ではなく売上高に課税を行う制度を独自に導入すると発表しています。逆に、プラットフォーマーを抱える米国や中国は、自国企業の利益が他国に流れる課税案には反対の立場でございます。

 本年六月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議においては、日本は、議長国として各国の合意をまとめる役割を期待されていると思いますが、デジタル課税のルールづくりに向けた意気込みをお聞かせください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から、BEPSをめぐる各国の動きも含めました御説明がございました。

 多国籍企業による課税逃れに各国が協調して対応していくBEPSプロジェクトにつきましては、これまで我が国としてOECDやG20などの場で議論に積極的に関与してきておりまして、大きな成果を上げてきたところでございます。このBEPSプロジェクトの積み残された課題、まさに先生御指摘のとおり、経済の電子化に伴う課税の問題がございます。

 現在の国際課税制度では、外国企業の事業所得に課税するためには自国内に物理的拠点の存在が必要であり、物理的拠点なく事業を行っている外国企業の事業所得に課税できるようにするためには、国際課税原則の見直しが必要となるというところでございます。二〇二〇年までにグローバルな長期的解決策を取りまとめるべく、OECDを中心として、国際的に議論を進めているところでございまして、先日も、デジタル課税の国際ルールに向けた主な論点をOECDが公表しているところでございます。

 御指摘のとおり、日本としては、二〇二〇年までに合意できるよう、本年G20の議長国でございますので、この問題について引き続き国際的な議論を進めるべく貢献してまいりたいと考えております。

中山(展)委員 デジタル課税のルールは、データ流通のあり方にも影響を与えるものだと思います。ぜひ日本のリーダーシップを期待しております。よろしくお願いいたします。

 それでは、経済取引の多様化に伴う納税環境の整備について伺いたいと思います。

 今般、仮想通貨から暗号資産へ呼称変更されるとのことでございますが、一昨年、二〇一七年に、仮想通貨取引を含めた収入が一億円以上あったと申告されたいわゆる億り人の方は、三百三十一名と伺っています。

 他方、地中海のマルタ共和国のように、仮想通貨やブロックチェーン技術を国を挙げて推進し、実質法人税率五%で仮想通貨交換業者を積極的に受け入れる、そういった国もございます。

 仮想通貨取引等の納税環境の整備の必要性について、また、その仕組みについて、ぜひお教えいただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、仮想通貨取引が普及するなど、経済取引の多様化、国際化が急速に進展してきております。委員御指摘のとおり、こうした取引につきましては、その健全な発展を図る観点からも、適正な課税を確保することが重要と考えております。

 そのためには、まずは納税者が自主的に簡便、正確な申告等を行うことができるように、納税環境の整備を進める必要があると考えております。また、そのような実質的な適正申告を担保するためにも、高額、悪質な無申告者等については税務当局が的確に情報を把握する仕組みを整備する必要があると考えております。

 こうした観点から、今般の税制改正法案におきましては、まず、国税当局が事業者等に対して任意の協力を求めることができる旨、税法に根拠規定を設けるとともに、例えば過去の税務調査の実績から特定の取引に関する申告漏れの可能性が相当程度認められるなど、高額、悪質な無申告者等を特定するために特に必要な場合には、仮想通貨交換業者などの事業者等に対して必要な情報の照会ができる旨の規定を整備することといたしております。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 伝統的じゃない資産だからこそ、透明性をと申しますか、公正な環境整備をお願いしたいと思います。

 先ほど大臣がお答えしておられましたけれども、もう一度消費税の逆進性対策についてお尋ねしたいと思います。

 逆進性対策である軽減税率が、高所得者にとって、かえって軽減額が大きくなって、あたかも有利であるような、軽減税率自体を逆進的であるような、そういったことを言われる向きもございます。

 もう一度、軽減税率自体が逆進性の緩和のため、それから痛税感の緩和のためにあるということをおっしゃっていただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率制度につきましては、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことによって、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとともに、低所得者ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性を緩和できるという利点があり、低所得者に配慮する観点から実施することとしたものでございます。

 軽減税率の対象品目につきましては、低所得者ほど収入に対する消費支出の割合が高い、酒類、外食を除く飲食料品等としておりまして、収入に対する消費税負担の割合について、低所得者の方が高所得者よりも大きく引き下げることができ、消費税の逆進性の緩和につながるものと考えているところでございます。

中山(展)委員 急いで先をちょっと行かせていただきますが。

 中小企業の防災、減災の設備投資に特別償却制度の創設をされるということをお伺いしたいと思います。

 サプライチェーンを担う中小企業の災害対策は非常に重要であります。地域経済においても、被災後の経済の立ち上がりのスピードに大きく影響いたすものだと考えます。

 中小企業の防災・減災対策を促す本制度を早期に周知すべきだと思いますが、その内容も含めてお願いをしたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、中小企業の事業継続性に影響を与えるような自然災害が頻発しているところでございまして、災害に備え、あらかじめ対応力を強化するための取組を進めていく必要があると考えております。

 このため、中小企業に対して、事業活動に災害が与える影響を踏まえて、事前防災を促進する観点から、中小企業等経営強化法の改正を前提とする事業継続力強化計画に基づいて中小企業が行った防災・減災設備への投資を対象に、二〇%の特別償却ができる制度を創設することといたしております。

 こうした制度をしっかりと活用していただけるよう、関係省庁とも連携をとりながら、パンフレット等による広報、事業者団体等への説明会などを通じて、周知を十分図ってまいりたいと考えております。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 もう結びになりますけれども、いわゆる老老相続についてお願いをしたいと思います。

 相続のタイミングが、被相続人が長寿化、高齢になっていらっしゃるので、相続人自体も非常にお年を召した方になっていらっしゃいます。相続をされても、家計を逼迫をしていた時期はとっくに過ぎて、相続された金融資産がまた眠ってしまうというような現象が聞かれます。若年層や子育て世代へ金融資産を移転する生前贈与を一層促進すべきだと思いますが、その取組について、最後、お伺いをして、質問を終わらせていただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 金融資産の多くを高齢者が保有している中で、被相続人のみならず、相続人も高齢化してきていることから、若年世代への資産移転が進みづらい状況にございます。このため、高齢者の保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡大や経済活性化を図ることは重要な課題と考えております。

 このような課題に対応するため、平成十五年には、相続時に精算することを前提として、相続税を思い切って軽減、簡素化する、相続時精算課税制度が創設されたところでございます。

 また、諸外国の制度等におきましても、贈与、相続を中立的に捉えるといったような制度が導入されているところでございまして、平成二十七年の政府税制調査会におきましても、「資産移転の時期の選択により中立的な制度の構築について、相続税との関係も含め、さらに幅広く検討していく必要がある。」とされておりまして、今年度の政府税制調査会でも御議論をいただいているところでございます。

 こういった議論を含めまして、若年世代への資産移転の促進について引き続き検討してまいりたいと考えております。

中山(展)委員 ぜひよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、神田憲次君。

神田(憲)委員 自由民主党、神田憲次でございます。

 本日は、よろしくお願いを申し上げます。

 そして、お疲れの大臣、副大臣、きょうはありがとうございます。最後の質疑者となりますので、いましばらくおつき合いいただきますようお願いを申し上げます。

 所得税法の一部を改正する法律案ということでございますが、その前に、本年の一月末でしたか二月上旬でしたか、内閣府から発表されました日本経済二〇一八年から二〇一九年というリポートの中に、日本の現状と課題ということが書かれておりました。

 その中身は、二〇一二年に始まった今回の景気回復期が二〇一八年十二月で七十三カ月となった、二〇〇二年から二〇〇八年に記録した戦後最長記録に並んだ可能性がある。それから、今回の景気回復期間におけるGDPの項目別の動向を見ると、設備投資を中心に内需主導となる中、外需もプラスとなり、バランスのとれた成長となっている。三つ目に、今回の景気回復の背景として、雇用・所得環境の改善、企業収益の改善と旺盛な設備投資需要、それから世界経済の同時回復が挙げられる。ただし、通商問題や海外経済の動向には注視が必要であると。今回の景気回復期では、名目GDP成長率が、デフレではない状況となる中で二%に近い伸びとなり、就業者数の増加幅はバブル景気に迫る伸びとなっているというような報告がございます。

 私、地元愛知県、ちょうど、愛知五区という選挙区なんですが、名古屋駅でございまして、まさしくリニアの今工事が進んでおるところでございます。

 昨年秋の地元新聞の紙面に、本当に三十年ぶりに懐かしい言葉が二、三度登場したんです。それは、バブル期によくたたかれた言葉でございますが、地上げという言葉が並んだんですが、やはりリニアという状況の中で土地上昇が急転直下ここ三年ぐらいで進んでおる状況でございます。

 そんな中、本年十月一日から消費税が一〇%。政府といたしまして、この前後における需要増と反動減の、この反動減側の対策として、大臣の所信表明にもございました、さまざまな施策でもってその対策を講ずるということであろうかと思います。先ほど来質疑にございましたように、住宅ローンの控除の延長を始めとして幾つかの施策が並んでおるわけですが、本日は事業の承継税制を中心に何点か質疑をさせていただきたいと思っております。

 まずは車体課税なんですが、車体課税は、自動車ユーザーの負担軽減がこれまでも強く求められてきた一方で、地方の貴重な財源である車体課税の収益の確保も重要な観点であろうかと思います。この難しい問題を踏まえて、今般の平成三十一年度の税制改正において車体課税をどのように見直したのか、お伺いしたいと存じます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございましたとおり、自動車課税の見直しに当たりましては、自動車の果たしている役割、また、そこの負担軽減をどう考えていくかという話と、また、地方の貴重な財源である車体課税の税収をどのように確保するかという、この二つの非常に難しい課題を両方解決するという要請に直面しておりました。

 平成三十一年度税制改正案に盛り込んだ車体課税の見直しにおきましては、消費税率一〇%への引上げに伴う対応といたしまして、一つは、自動車税を初めて恒久的に減税をするということを行うとともに、環境性能割の臨時的軽減を行うということで平準化措置を行い、自動車ユーザーの負担軽減を図ることといたしております。

 もう一方、加えて、車体課税の多くは地方財源であり、地方財政に影響を与えないよう配慮する必要があることを踏まえまして、これも異例な措置ではございますけれども、国税である自動車重量税の税収を地方に譲与する割合を段階的に引き上げること、揮発油税から地方揮発油税への税源移譲を行うことによりまして、今般の自動車税の引下げに伴う地方の財源不足につきまして、国費でその全額を補填することといたしたところでございます。

 こうした措置によりまして、地方の税財源を確保しつつ、自動車ユーザーの負担を軽減するという措置をとったところでございます。

神田(憲)委員 近年、電気自動車などガソリンを必要としない車がふえてきているほか、ライドシェア等の使用形態の変化も出てきておりまして、自動車産業が大きな変革期を迎えていると思います。

 今後、こうした環境変化を踏まえまして、自動車関係諸税のあり方についても検討を進める必要があるのではないかと思っておりますが、いかがお考えでございましょうか。

 つまり、所有する人、利用者、ユーザーにとって、やはり目に見える減税であることが重要でありましょうし、また、経済面からは、減税効果が発揮されて、買いかえが促進されるというような形が望まれるべき状況かと思いますが、いかがお考えでありましょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の車の税に対するお尋ねでございます。

 自動車産業は日本の基幹産業でございますけれども、委員御指摘のとおり、現在、熾烈なグローバル競争のもとの中で、例えば、電動化、自動運転などの大きな変革期、いわゆるCASEと呼ばれている、そういった状況に直面しているところでございます。

 この議論につきましては、与党の税制調査会の中でもいろいろと議論されまして、三十一年度の税制改正大綱におきまして、検討事項として、以下のような文言が盛り込まれております。

 ちょっと読ませていただきますと、「自動車関係諸税については、技術革新や保有から利用への変化等の自動車を取り巻く環境変化の動向、環境負荷の低減に対する要請の高まり等を踏まえつつ、国・地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、その課税のあり方について、中長期的な視点に立って検討を行う。」ということとされたところでございます。

 政府といたしましても、与党税制改正大綱の趣旨も踏まえながら、今後検討を行ってまいりたいと考えております。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 次に、事業承継税制の方に移らせていただきます。

 今後十年のうちに、七十歳を超える中小企業及び小規模事業者の経営者が約二百四十五万人となりまして、うちその半数の百二十七万の経営者が後継者未定でありまして、事業承継問題というものが深刻であろうかと存じます。

 三十年度の税制改正では法人の事業承継税制を抜本的に拡充したところではありますが、これによって、どの程度事業承継税制の利用が増加したのか。拡充前と拡充後の利用実績について教えていただきたく存じます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度の税制改正におきまして中小法人の事業承継税制を抜本的に拡充したところでございます。その結果、中小企業庁によれば、本税制の適用の前提となる特例承認計画、これにつきましては、拡充前ですと、十一年間ございましたけれども、二千五百件の認定があったものが、拡充後、三十年度の改正、これを見越しまして確認の申請が開始された昨年四月以降、十カ月で既に二千件を超える提出があったと聞いております。

 提出準備が整うに伴いまして件数が増加してきておりまして、例えば、昨年十月以降四カ月で千五百件を超えるような状況になっているということでございます。

神田(憲)委員 やはりこういった中小事業者、決して十分な現預金ではなくて、逆に言うと資産はたくさん持っているという状況で、相続という局面に至ったときに納税について困難が生じるというようなこともありますので、世間の人たちがどれほど、この数値だけを見ましても、関心が高いかということがわかるかと存じます。

 このような中で、三十一年度には、個人事業者についても事業承継税制が創設されることとなりましたが、これによりまして個人事業者の事業承継をどのようにして支援していくのか、教えていただきたいと存じます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 個人事業者の事業承継に対する支援策でございますが、委員御指摘のとおり、平成三十一年度税制改正で、個人事業者につきましても事業の承継を支援するため、税制措置をとることといたしました。事業用の土地、建物及び一定の減価償却資産につきまして、課税価格の一〇〇%に対応する相続税の納税を猶予する制度を創設することとしたところでございます。

 こうした税制措置に加えまして、マッチング機能の強化、後継者支援の補助金などをあわせた切れ目ない支援を行うことによりまして、円滑な事業承継が後押しされるものと考えているところでございます。

神田(憲)委員 三十年が法人税の事業承継税制、それから三十一年度に向けて個人事業者の事業承継税制と、間断なく、個人の中小事業者及び個人の零細事業者にとっては、これから相続という問題を踏まえたときに、税が軽くなる措置というのは、やはり事業を継続していくことのインセンティブになろうかと思っておりますので、十分その辺をお考えいただきたいと思うんですが。

 そこで、平成三十年度の税制改正において、事業承継税制の特例措置が拡大され、なおかつ大幅な要件緩和と納税猶予制度等の拡大が行われたわけです。しかしながら、その一方で、既に従前の一般事業承継税制の適用を受けている者に対しては、特例措置への切りかえはできませんし、いまだに、承継時の株価をもとにした課税額の負担、それから雇用条件を満たさなかった場合には猶予が打ち切られる等の厳しい条件のもとに納税猶予を受けておるところがあります。

 そのため、従前の一般事業承継税制の適用を受けている者については、特例措置適用者との要件を合わせるために、認定申請書や、さらには年次報告書等を提出することによって特例措置への切りかえというものも考慮していただくことができないかということであります。

 原則として、この適用関係については、平成三十年一月一日以降に贈与又は相続若しくは遺贈により取得する非上場株式について適用されると承知しております。そこら辺の、新法と旧適用者の関係性、さらには、三十年度改正前に納税猶予の適用を受けていた者について、適用を受けられる例外規定や経過措置があるのか、この点についても御教示願いたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度の税制改正でとられました中小法人の事業承継税制でございますけれども、委員御指摘のとおり、適用関係といたしましては、平成三十年一月一日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得をする非上場株式等に係る相続税又は贈与税について適用するということでございまして、この適用関係は明確でございます。特に例外規定等々、特別な措置みたいなものはございません。

 この制度、申し上げましたとおり、中小企業における事業承継の円滑化を図るために措置されているものでございまして、これまで必ずしも制度の利用が進んでいなかったということで、中小企業の経営者の若返りを抜本的に図るために、平成三十年度税制改正において思い切った拡充策をとったということでございます。

 他方、既存の事業承継税制を利用した方につきましては、既に事業承継という政策目的、これは達成されているわけでございまして、仮に今般の特例の適用を認めても、さらなる事業承継の促進には残念ながらつながらないということでございまして、既適用者に対する例外規定、経過措置は講じておらないということは、今申し上げたところでございます。

 一般論として、例えば租税特別措置などの政策税制の要件につきましては、政策効果の発現を目的として要件が定まっております。これを見直す場合、例えば要件の緩和を行うこともありますし、要件の見直しで厳しくするといったようなこともございますけれども、それはその時々の政策的要請に応じて行われるものでございます。

 ある時点で税制の適用を受けたものが、改めて別の時点で改正後の税制の適用を受けるものではないということを御理解いただきたいと思います。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 それでは、三十一年度の今般の税制改正で個人の事業者の承継税制が創設されるんですが、この適用関係はどのようになっているのか、お伺いしたいと存じます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、三十一年度税制改正で設けられます個人事業者の事業承継税制の適用関係でございます。

 これは、基本的には、法人の税制とパラレルな制度をつくっているわけでございますけれども、今回の改正につきましては、平成三十一年一月一日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する事業用資産に係る相続税又は贈与税について適用するということにされているところでございます。

神田(憲)委員 個人事業者の事業承継税制において、その対象資産として宅地と建物が入っておりますが、それぞれ面積上限がありまして、四百平米が宅地、それから建物については八百平米の面積上限が設けられております。

 広大な敷地を有する個人事業者については、その一部しか税制の対象とはなっておりません。今般の個人事業者の承継税制でこれらについての面積上限の規定を設定しているのはなぜでしょうか。御教示願いたいと存じます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、新たに設けます納税猶予制度、個人事業者に対する事業の継続を支援するためということでございますけれども、制度の創設に当たりまして、バランスと申しますか公平性の観点にも留意する必要があろうかと考えております。

 具体的には、事業を営んでいない個人と公平性を保つ必要があるということで、こうした点を踏まえまして、宅地につきましては、三大都市圏における平均的な事業用宅地の面積をカバーする水準とされている現行の事業用小規模宅地特例の面積上限、これを踏まえまして四百平方メートルの面積上限を設けておりますし、建物につきましては、一般的に個人が事業を行っていると想定される用途地域の指定容積率の上限二〇〇%を踏まえまして、四百平米の場合、八百平方メートルの床面積上限を設定するということにいたしたところでございます。

神田(憲)委員 ありがとうございました。

 次に、中小企業税制です。

 日本経済の底上げを図るために、中小企業を手厚く支援することが重要であると考えます。中小企業における生産性の向上のためにどのような改正を行うのか、お答え願いたいと存じます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません。先ほどの答弁で、用途地域の指定容積率の上限と申し上げましたのは、下限二〇〇%を踏まえて八百平方メートルの床面積上限を設定するということでございます。訂正させていただきます。

 地域経済の中核を担う中小企業に対する生産性の向上の施策についてのお尋ねでございます。

 地域経済の中核を担う中小企業は深刻な人手不足に直面しておりまして、我が国の成長力を底上げするためには、こうした中小企業の生産性の向上、また、経営に対する支援を強化していく必要があると考えております。

 このため、今般、中小企業投資促進税制及び中小企業経営強化税制につきまして、適用期限を二年延長する、また、商業・サービス業・農林水産業活性化税制につきまして、収益力向上要件を追加の上、二年延長するということとしております。

 このほか、地域未来投資促進税制におきまして、特に高い付加価値を創出し、地域への大きな波及効果が期待される企業につきまして、特別償却率等を引き上げるなど、支援を強化した上で、二年延長することといたしております。

 こうした改正によりまして、地域経済を支える中小・中堅企業が前向きな投資に積極的に取り組み、地域経済を含めた経済の好循環に寄与することを期待しているところでございます。

神田(憲)委員 近年、自然災害が多発しているわけですが、中小企業においては、災害に対する準備が進んでいない例も見受けられるかと思います。中小企業における災害への対応力を強化するためにどのような方策を講じることとしておられるのか、御教示ください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、中小企業の事業継続性に影響を与えるような自然災害が頻発しているところでございまして、災害に備え、あらかじめ対応力を強化するための取組を進めていく必要があると考えております。

 きょう、当委員会の中山先生の質疑でも御説明を申し上げましたけれども、こうした問題点を踏まえまして、中小企業に対して、事業活動に災害が与える影響を踏まえて、事前防災を促進する観点から、中小企業等経営強化法の改正を前提とする事業継続力強化計画に基づきまして、中小企業が行った防災・減災設備への投資を対象に、二〇%の特別償却ができる制度を創設することといたしております。

 例えば、対象となる設備といたしましては、機械装置として、例えば自家発電機ですとか排水ポンプといったようなもの、それから器具、備品としては、例えばデータバックアップシステム、衛星電話などのそういった設備を含めて対象とするということにしておりまして、これらの制度を活用していただくことによりまして、中小企業の事業継続性を強化していただきたいと考えているところでございます。

神田(憲)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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