衆議院

メインへスキップ



第6号 令和2年2月28日(金曜日)

会議録本文へ
令和二年二月二十八日(金曜日)

    午後零時五十五分開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      勝俣 孝明君    門山 宏哲君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      武井 俊輔君    辻  清人君

      古川 禎久君    本田 太郎君

      牧島かれん君    宮澤 博行君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      山田 美樹君    海江田万里君

      岸本 周平君    櫻井  周君

      階   猛君    野田 佳彦君

      日吉 雄太君    森田 俊和君

      石井 啓一君    清水 忠史君

      青山 雅幸君    串田 誠一君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増島  稔君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局監督調査部長)      堀  誠司君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   茶谷 栄治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房公文書監理官)          上羅  豪君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    矢野 康治君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田島 淳志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

二月二十八日

 消費税率五%への引下げに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三号)

 同(志位和夫君紹介)(第四号)

 同(清水忠史君紹介)(第五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一二号)

 同(白石洋一君紹介)(第七五号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(小沢一郎君紹介)(第二二号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(白石洋一君紹介)(第七三号)

 同(矢上雅義君紹介)(第七四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官増島稔君、金融庁企画市場局長中島淳一君、監督局長栗田照久君、カジノ管理委員会事務局監督調査部長堀誠司君、財務省大臣官房長茶谷栄治君、大臣官房公文書監理官上羅豪君、主税局長矢野康治君、国税庁次長田島淳志君、文部科学省大臣官房審議官玉上晃君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、大臣官房審議官本多則惠君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。

海江田委員 立憲民主・国民・社保、そして無所属フォーラムの海江田万里です。

 時間が十五分と限られておりますが、やはり、きのうからきょうにかけて、新型コロナウイルスの問題、新たな局面を迎えておりますので、最初にそれだけ一つ質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどの予算委員会で、これは麻生大臣もお出になっていて、私ども野党から出されました組み替えの動議、これが否決をされたところであります。これは国会が決めたことでありますから、そのとおりだろうと思いますが、そうなりますと、やはりこの緊急の新型コロナウイルスの対策について、特に、きのうの夕刻には全国の小中高校の春休みまでの休業、休校ということの要請を総理がされました。それによっていろいろなやはり混乱も起きているかと思います。

 特に、小中高、小さな小学校の一年生や二年生が学校に行けないということになると、当然これは、今、共働きあるいは一人親の世帯もいるわけでありますから、これはやはり学童保育ということが必要になってくるわけで、学童保育はそのまま継続をするということですが、その場合、やはり、学童保育をお願いをするという子供たちの数が圧倒的にふえると思うわけですね。

 そうなりましたときの経済的な支援でありますとか、こういうことに対する支援が、特に今、経済の面からだけお話をしましても、先日来、これも先日の委員会で麻生大臣にお尋ねをしましたけれども、とりあえず予算の予備費を使って、これが百五十三億円という規模、そして、その後は、きょうの記者会見でもおっしゃっていたようでありますが、情勢を見ながら必要に応じて措置を講ずるということであります。

 やはり、もうそろそろこの情勢に応じた措置の中身というもの、あるいは規模感といったものを発表していただかなければ困ると思います。それから、いつまでにこういうことをやるんだということもあわせて発表していただかなければいけないと思いますので、ぜひそのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、今言われましたように、いわゆる低学年、一、二、三年生、この辺は学童保育という形になっていますので、ここのところは、私の周りでも、おばあさんと一緒に住んでいるところ、うちは預かりますから関係ないという話になっているところだったり、人の子供をそこで預かってくれたり、いろいろ、人のうちなんですけれども。問題は共働きの核家族、ここのところが一番大きな騒ぎになり得るところだと思いますので。

 いわゆる学童保育等々は低学年ということになっていますが、その上の世代も含めて学童保育等々、これを柔軟にやってもらわないかぬということで、来週の月曜日からいわゆる春休みということになりますので結構長い時間になると思いますので。これは、臨時休業を行うよう要請をしたということです。

 御存じのように、小中学校は、その命令する権限はこっちになくて地方自治体にありますので、そういった意味では、私どもとしては、これを要請した以上、当然、それに伴って発生するであろう経費というのは考えておかないかぬと思っておりますので、それは私どもとしてはきちんと対応するということにいたしております。

 それで、どういった問題が出てくるかというのは、ちょっと、今一斉に急になっておりますので、その分だけ、卒業式どうするという話で、教室ごとに別にやりますとかいろいろな話が今出ておりますけれども、いずれにいたしましても、これは、私どものところにはいろいろな役所から対応策という形で上がってくると思いますので、その上できちっと対応させていただきたいと思っております。

海江田委員 今、新たな学童保育のお話だけをいたしましたけれども、新型コロナウイルスの問題は、ちょうど中国の春節のときからですから、ことしは一月二十何日でしたから、もうかれこれ一月は経過をしているわけです。それによる観光業などの中小企業の大きなダメージというのをもうわかっていて、そして、それは決して仮定の話じゃなくて現実の話だということを何度も申し上げているわけですから、やはりそろそろ、もうパッケージで、これだけぐらいは用意しているんだと。

 今明らかになっているのは、百五十三億という数字と、マスクを増産するでありますとか、あるいは研究開発の、治療薬の、薬の開発を後押しをするでありますとか、この百五十三億とかいう金額と、それから、あとは五千億という数字も出ていますね。これは中小企業の貸付けの枠ですから、枠としてそれくらいは準備するつもりがあるよということでありますけれども、やはり、世界のいろいろな国々はいろいろな金額も出していますので、これくらいの金額でいつごろまでに出すということ。

 そうしませんと、予算が通るのは、実はこれは、仮に衆議院できょう通ったとしても、三十日、自動成立までにかかります、それからもちろん参議院での議論もありますから、三月いっぱいというのだと、やはりこのまま進んでしまうんじゃないだろうか。それから、補正には残念ながらこの新型コロナウイルスの問題は含まれていませんから、すると、今のままずっと三月まで終わってしまって、そして三月の末になってから、さあどうしようかという話では、これは本当に遅きに失するわけですから、そんなに待たせないんだということも含めて、いつごろまでにこれくらいの規模でやるんだということをおっしゃっていただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、いろいろ経済の話が出てくる。今枝先生のところの蒲郡のホテルがどうたらという話がありましたでしょう、あれは中国の観光客だけに絞っていたホテルだったんですけれども、そういうのがあるとかいう話が出てきたり、具体的な話が今幾つか聞かれるところですけれども、私どもとして、今出てきておりますのは少なくともキャンセルになっている部分であって、泊まった人が払ってくれないという話とは全然違いますので、これは影響がかなり、その分だけ下回る、おわかりのとおりだと思いますけれども。

 いずれにしても、私どもは、二月の十三日に緊急対応策というのをさせていただいておりますので、これは令和元年度の既定経費の中で、予備費は今二千七百四十億ぐらいまだ残っていると思いますので、そういったものできちんと対応させていただけると思っておるところでもあるんですけれども、いずれにしても、下振れリスクというのを考えておかないかぬということで、経済の意味でいきますと、私どもとしては、過日十三兆二千億かのものを組ませていただいておりますので、いわゆる総合経済対策ということでこれをさせていただくことにいたしております。

 いずれにしても、今、前回のウイルスのときにやらせていただきましたけれども、あのときも途中で金を食いましたけれども、あのときは薬があったんだ。今回は薬がありませんから。薬というのはぼんと上がるんですけれども、この薬が今出ていませんから、その意味では、ちょっとこの種のものに対して今すぐどうのというわけではないというのが現実だと思っておりますけれども。

 いずれにいたしましても、緊急対策とかこれまでやらせていただいた総合経済対策、加えて予備費等々で当面これに対応させていただけるというので、今直ちにそれが足りなくなってきているという状況にはない、そう思っておりますので、私どもとしては、まずはこの予算案をやらせていただく、その上で、今言われましたように、もし要ることになるのであれば、その時点で対応させていただきたいと思っております。

海江田委員 この種の危機管理の要諦というのは、アメリカのFEMAですか、あれがあって、ゴー・アーリーですね、とにかく早くやれ。それからゴー・ファスト、素早くやれ。それからゴー・ビッグなんですね、これは。

 ゴー・アーリーもゴー・ファストも、ゴー・レートでありゴー・スローであるという批判もあります。それから、やはりゴー・ビッグというところでいうと、本当に余りにもゴー・リトル過ぎますよ。これは麻生大臣の信条にも大きくたがえるんじゃないだろうかと思いますから、やはりそこは前広に、大きく、これだけの枠があるんだ、これだけ予算で手当てをするんだということでやはりおっしゃっていただくもう時期ではないだろうかというふうに思っております。

 それから、私、今回のこの一連の、今国会、麻生大臣の所信に始まりまして、いつになく質問を多くやらせていただきまして、三回やりまして、きょうが四回目ということでありますが、その中で改めてやはり私はぜひ麻生大臣にお伝えをしておきたいのは、今回のこの税制改正というのは本当に小粒であるということはもう皆さんわかっておられることでありますが、やはりこれからの話ですね。

 残っている課題としては、一つはやはり金融所得の課税について指摘をさせていただいて、麻生大臣も、金融所得の問題、何とかしなければいけないなという認識はお持ちだということは答弁からも伺っております。

 それからもう一つは、この間たまった企業の剰余の特に現金、預金の部分、これもやはり何とかしなければいけないなというお考えを麻生大臣は持っておられると思います。

 改めて、次の税制改正に向けて、やはりここの二つの点は、自分自身が本当に政治的な責任もかけて、そしてこれをしっかりやり抜いていくという決意のほどを御表明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 金融所得課税の話ですけれども、これは御存じのように、平成二十五年、六年に改正させていただいて、一〇%から二〇%まで引き上げさせていただいたところなんですが、これによって高所得者の所得税の負担率が上昇する傾向が見られて、よく言われます所得配分機能というものの回復に一定の効果があったんだと思っております。

 この間からよく言われますように、やはり金利がつかないものですから、金をたらたら持っていても、よく言いますけれども、一万円金利所得を得ようと思ったら、普通預金でやったら分離課税がかかるから十二億円預金しなきゃ一万円稼げませんからね。計算するとそうなりますので。十二億円持っている人って、ちょっとここにはいらっしゃらないような感じがしますけれども、なかなかおられぬものですよ。そんな、十二億ですよ、それでも一万円ですから。それはもう全然昔とは違うので。

 そういった意味では、この現金というものを持っておられるだけではということになると、持っておられる方は、その分でいわゆる株とかいろいろな形に、債券とかいうことになりまして、そこから得られる金融所得というものの率がどんどんどんどん大きくなって結果的にあの差が出てくるという形になっているというのは、一億円の差をよく使われておられましたけれども、それは事実だと思っております。

 したがいまして、この金融所得課税というものの見直しというのは、いわゆる所得分配機能というものの改善というものをあわせてこれはちょっと考えないかぬというところまで来ているんだと、私もそう思っておりますので。

 ただ一方、私どもとしては、何といっても一千八百六十兆円と言われる薄気味悪いほど大きな個人金融財産というもののうち九百八十兆円ぐらいが現預金ということになっているのは、これはちょっとどう考えても普通じゃないなと思っておりますので、貯蓄から投資ということを、いわゆる家計というこの資産を形成する意味でぜひということを申し上げてきておりますので、これをやらせていただくという意味では、ちょっと何となく、今言っておいて、傍ら、言った途端にはいというのはちょいとなかなか難しかったんだとは思いますけれども。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、来年度の税制改正というものが控えておりますので、その段階でちょっとこの点は検討させていただくということをやらせていただきたいと思っております。

 内部留保課税の話もしておられましたけれども、これはもう昔から言うておる話なので、ちょっと今さら私が申し上げることもないとは思いますけれども、少なくともこの内部留保課税というのは、この税制の中で、どうして企業の経営者というのはこの程度の意識に成り下がったんだかよく知りませんけれども、少なくともこの二十数年間の間に、全くこういった金というものを設備投資とか給与とかいうものに回す意欲がなくなってきて。

 労働分配率。労働分配率は余りこの業界では使わない言葉ですけれども、我々経営者の世界でよく使う言葉で労働分配率という言葉があったんですけれども、それがもうどんどんどんどん下がって、今六〇%台の前半ぐらいまで落っこちちゃっているんじゃないの、これ。何でですかね、これ。と思うぐらいは下がって、どなたも、組合が品がいいからか何か知りませんけれども、最近、この種の話で賃上げ闘争なんて聞いたことがありませんから。

 今度のこのウイルスの話だって、これを賃下げに使われたらたまらんと思わぬのはおかしいでしょうが。僕はそう思いますよ。僕が組合だったら絶対だね。これをネタにされますから。だから、それはだめよということを言うのが組合の仕事なんじゃないのと。俺から言われているのはおかしいでしょうがと、ちょっとある偉い方に申し上げましたけれども。

 そういったような形になってきていると思いますので、少しこの点は、内部留保が、わんわんいって二十五、二十五とずっと上がっていたのが四十まで上がって、いいかげんにしてくださいといって十七まで下がっていますけれども、それでもトータル四百何十兆ということになっていますので、ちょっとたまって、国家予算の四倍、企業は持っているという話ですから、それはちょっとでか過ぎるんじゃないんですかね。

 私自身は、内部留保という形でたまっているのに関しては、ただ、うかつに、これは二重課税とかいろいろな問題が発しますので、どうしてその金をこう使っていただく気になるかというところが、私どもとして、経営者の意識の問題ですから、なかなかここのところは頭を痛めているところではありますけれども、何らかの形でこれを刺激することを考えないかぬという形には思っております。

海江田委員 もう時間が来ましたのでこれ以上申し上げませんけれども、やはりこの二つ、特に内部留保のところは、今までは間接的で、そういう形で誘導する形でしたけれども、私はそろそろ直接的な課税の問題も考えるときではないだろうかということを考えておりますので。

 それから、くれぐれも、新型コロナウイルスの対策を早目に、規模の大きなものをしっかり、国民が安心できるような手だてを経済的に打っていただきたいということをお願いします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 質問の機会をくださいまして、ありがとうございます。

 新型コロナウイルスにつきましては後ほど安倍総理にお伺いしたいと思いますので、まずは、こちらでは財務省のガバナンスについてまたお伺いしたいと思います。

 最初に金融庁にお伺いいたします。

 上場企業には内部統制報告制度というものがございます。経営者が内部統制を構築する責任があるということを報告書上明記する、このようになっております。その内部統制報告書制度の責任の所在を明らかにするこの趣旨について、まず教えてください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 資本市場がその機能を十全に発揮していくためには、投資家に対して企業情報が適正に開示されることが不可欠であり、このため、金融商品取引法におきましては、財務報告に係る上場会社の内部統制を強化し、企業開示の適正を確保する観点から、内部統制報告制度が設けられております。

日吉委員 適正な開示の観点から内部統制報告制度が設けられているということですが、そこで経営者の責任というのを明記しているわけです、内部統制を構築するのは経営者に責任があると。

 今回、公文書の改ざんがありました財務省におきましては、やはり麻生大臣が先頭に立ってガバナンスをしっかりと構築していくというふうにおっしゃられております。

 この上場企業の報告書制度を踏まえまして、麻生大臣に、その責任の所在を明記することについて、御見解をいま一度お願いしたいと思います。

麻生国務大臣 日吉先生が言っておられるその明文化というような意味するところがちょっと定かではありませんけれども、これは御存じのように、日本においては、議院内閣制というものにおきましては、いわゆるコンプライアンスとか内部統制というものにおきましては、この強化を含めまして、財務省に関する行政の最終的な責任の所在ということになりますと、これはもう当然大臣にあるということになろうと思っております。

 そういった意味では、責任を持ってしっかりとこういったものをやっていくということが大臣としての大事なところで、大臣以外の人はずっとそこにいる人ですけれども、大臣だけぽろぽろ変わりますので、そこのところはなかなか難しいところであろうとは存じますけれども、この職責をいろいろな形で果たしていかないかぬ。やり方はいろいろあろうかと思いますけれども、そういう一番責任のところだけはきちっとしておかないかぬと思っております。

日吉委員 今、大臣、責任の所在は大臣にあると明言していただきました。そこを明記していただきたいんですけれども、責任があるということはしっかりと言っていただいて、今後、明記することも御検討ください。

 続きまして、今度、企業の取引におきまして、帳簿に取引の内容を記載するしないの判断をどのようにしているのかについて、国税庁の方にお伺いをしたいと思います。

 仮に、企業がパーティーを開きました。そのパーティーで企業にお金が入って、そのお金もパーティーを開いたホテルに支払うといったときに、これは企業において記帳するものなのか、それともしなくてもいいのかというような判断を、国税庁さんがもしそういった、帳簿に載っていないというようなことに対してこれは載せた方がいいよとか、載っているものについてこれは載せなくてもいいとか、こういった判断をどのようにされているのか教えてください。

田島政府参考人 お答えいたします。

 個別の事柄のお答えは差し控えさせていただきますが、その上で、執行機関として申告内容が正しいかどうかをチェックする立場から、あくまで一般論でお答えさせていただきますと、ただいま御指摘のように、税法上、法人には帳簿書類の保存義務がございます。帳簿に記録して保存しなければならないとされてございますが、帳簿に記録すべき法人の取引について、税法上、特段の定めはございません。

 が、一般的には、法人の取引に当たるかどうかといったもの、取引に関しては多種多様、さまざまなものがございますので、一概には申し上げることは困難でございますが、例えばチェックする場合であれば、書類上の名義といった形式的な事実関係、そしてそれに加え、取引の実態について、相手先や金銭の実質的な負担が誰であるかといったような、具体的な個々の事実関係を踏まえて、総合的に判断することになります。

 なお、付言して申し上げますと、帳簿の保存義務、帳簿をつけたり保存するという義務は普通法人には課されてございますが、公益法人ですとか人格なき社団の場合は取扱いが変わっておりまして、税法に定める収益事業に当たる場合はそういった法人も法人税を課されますけれども、それ以外の事業につきましては法人税は課されませんので、帳簿の記載、また、帳簿の保存というものについては、収益事業以外の事業につきましては保存義務、また、もちろん記載の義務もないという取扱いになっているものと承知してございます。

日吉委員 後半部分の帳簿の保存義務というのは税法上という話でありまして、ほかの法律で保存義務があったりすると思うんですけれども。

 その前の御答弁の中で、実態に即して判断するというお話がございました。さまざまなことを検討して総合的に判断するということでございますので、それを踏まえまして、後ほど総理に桜を見る会の前夜祭のあり方についてちょっとお伺いしたいと思います。

 続きまして、今度、消費税の増税、これが企業の業績に与える影響についてお伺いしたいと思います。財務省と、あと麻生大臣にお伺いしたいと思います。

 前にも少しお話をさせていただいたことがあるんですけれども、消費税というのは、売上げに係る消費税、受け取った消費税と、仕入れに係る消費税、支払った消費税、この差額を納付するというような形になっております。

 これというのは、この差額は何かといいますと、法人の利益の一部ではないかというような見方もできる。もちろん、消費税の負担は消費者にあって、法人はそれを預かってかわりに納付をしているだけだ、こういう見方、こういう考え方であるということは承知しているんですけれども、企業の物の販売の価格というのはやはり市場の中で決まっていくものであるとすると、消費税というのはある意味、企業の中で販売価格の何%は売上げに係る消費税だというふうに決められてしまうような、こういった内容、だから、法人税の一部的な考え方もできるのかなというふうに考えます。

 そんな中で、当然、法人税が上がればその部分というのは企業の販売価格が上がるという方向にも行きますし、消費税が上がるといえば販売価格が上がるということになりますので、それはひいては消費者の負担が重くなっていくということにつながっていくわけですけれども、その一方で、企業でも、消費税というのが実際に上がることによって企業の業績への影響というのもかなりあるのではないかな、こういうふうに考えます。

 ちなみに、消費税というのは滞納が物すごく多い税だというふうにも言われております。また、消費税につきましては、人件費について支払う消費税というのがない、かかりませんので、むしろ、法人税を上げるよりも消費税を上げる方が企業の業績へのインパクトというのは大きくなるのではないか、このようにも考えております。

 こういった、今申し上げたことを踏まえまして、消費税の増税、これが企業の業績にどのような影響を与えるのか、御見解をお願いいたします。

麻生国務大臣 消費税というものがどれくらい企業収益というものに与えるかというのが、最初、二つ大きく言っておられるんですけれども、これは今、海外経済等々いろんな形で減速はしているとはいえ、少なくとも、この政権になってから、倒産件数で見ますと八千件台、大体、そんなものだと思うんですね。その前の内閣のときはやはり一万いっていましたから、一万ぐらいいっていたと記憶していますので、そういった意味では、その部分では三割ぐらい少なくなっているかなという感じはします。これが消費税のおかげか、企業、景気、そういったもので全部複合的に考えられますので、そこのところだけ一概には言えませんけれども、実数からいきますと一万から八千台まで下がっているというのが実態です。

 それから、消費税というのは、もうこれは公認会計士をしておられましたので御存じのとおりなので、これはもう基本的には、最終的には、いわゆる価格への転嫁を含めまして、これは消費者自身に負担していただくというように設定されている税でありますから、事業者は、いわゆる価格を消費税にきちんと転嫁するということに限って、消費税を負担するということはないんですな、価格を。それは向こうですから。

 それで、このことが、費用全体に占める間接仕入れというものの割合が高くても低くても、これは売り値に乗っかるから同じことなんだと思いますが、委員御指摘の人件費が占める割合が高いという企業に多くの負担をかけるというのは、これは恐らく、消費税分を価格に適正に転嫁できないというような場合のことを指しておられるのではないかとちょっと想像しますけれども。

 事業者の方々が消費税を適正に価格に転嫁できると言うかできないと言うか、これは極めて重要なところなので、我々としても、転嫁対策特別措置法というのをつくらせていただいて、事業者間取引、事業者間、消費者直接じゃなくて、事業者間取引での買いたたき等に対応して、公正取引委員会等々が指導したり勧告を適切に実施する等々のさまざまな取組をこれまでも行わせてきていただいておりますので、これは引き続き、事業者方に対する、BツーBのところは一番きちんと目を配らせておかなければいかぬところだと思っております。

日吉委員 今、お話をいただきました、もちろん消費税は消費者が最終的に負担しているというその仕組みはわかっているんですけれども、その一方で、消費税の増税が企業の業績に大きなインパクトを、法人税の増税よりも消費税の増税の方が与えているんじゃないかというような問題意識もあった中でちょっとお伺いをさせていただいたところでございます。

 結論といいますか、私の考えとしましては、やはり、法人税、消費税一体となって企業に与える影響、これを考えた上で検討していかなければいけないのではないのかなというような思いを持っております。また機会がありましたら議論させてください。

 時間も少なくなってまいりましたが、もう一つ、一年未満保存文書というのが文書取扱規則に定まっていると思うんですけれども、この一年未満保存文書というのは、いざ取引を検証しようとしたときに処分されているということが多々あるんですけれども、この一年未満保存文書という取扱い、やめることを財務省として検討してみることはありませんか。

上羅政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の、全ての行政文書につきまして廃棄しないで保有し続けることにつきましては、行政文書の体系的管理や効率的な行政運営、すなわち廃棄文書を保存し続けることによる人的、経済的な行政コスト、これらの観点から、慎重に検討する必要があるものと考えております。

 以上でございます。

日吉委員 少なくとも、慎重に検討していただくというのは必要なんですけれども、実際に、見たいものがないというようなことがあるということは、それは本当に一年未満でいいのかということにもなってしまいますし、一年未満保存文書というのが、逆に必要なものを処分してしまう理由にもなっているというような現状もありますので、そういったことも踏まえて、この文書取扱いの規則、これについて御検討いただく必要があるのではないかなということを申し上げて、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 カジノを含むIRについては、私も予算委員会で反対の立場からいろいろと質問させていただいておりますが、さまざまな弊害を予算委員会でも指摘したわけです。

 きょうは、これまで触れていなかった、もしカジノを導入した場合、カジノの収益に対してきちんと課税ができるんだろうかということについてお尋ねしたいと思います。

 まず、カジノに適正、公平に課税するためには、GGR、法律上はカジノ行為粗収益というふうに書かれていますけれども、これを適正かつ確実に把握する必要があると思っています。IR整備法でも、カジノ管理委員会でカジノ行為粗収益を適正かつ確実に集計する方法を定めなくてはいけないというふうにあるんですが、そのやり方として、私は、カジノ事業者が顧客ごとに受け取ったチップの換金額、そしてカジノ事業者が顧客に払い戻したチップの換金額、この差額をそれぞれ計算して、それを、全体を合計すれば、カジノ行為粗収益の大半は正確に把握できると考えておりますが、この点、管理委員会の見解を伺います。

堀政府参考人 お答えいたします。

 IR整備法におきましては、先ほど御指摘ございましたとおり、カジノ行為粗収益が国庫納付金の額などの正確な算定の前提となるということでございます。したがいまして、先ほど委員御指摘のとおり、適正、確実に集計することができるものとして、カジノ管理委員会規則で定める方法によりこれを集計することとされております。

 加えまして、その際、集計に関する業務の手順、体制の手続を定め、これについてもカジノ管理委員会の認可を受けることとなっております。加えまして、この集計の状況につきまして、特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査を定期的に受けなければならないということとされております。

 以上のように、このIR整備法におきましては、カジノ行為粗収益の的確な集計の確保のために必要かつ十分な措置が講じられているものと考えております。

 なお、カジノ行為粗収益の集計方法でございますが、これにつきましては、諸外国の例も参考としつつ、カジノ管理委員会において検討してまいります。

階委員 技術的には、お客さんごとに今言ったような勝った金額と負けた金額を把握して、その引き算によってカジノ行為粗収益なるものを計算することは可能なはずなんですね。

 先日の予算委員会で議論した結果、個々の顧客の利用上限額は定めないという武田大臣の答弁があったわけですよ。上限額が定められない中で、どのように顧客がお金をすってしまっているのか、これは最低限把握する必要があると思うんですね。

 逆に、これを把握しないでギャンブル依存症対策というのが実効性を持ち得るんだろうか。いろいろなことをギャンブル依存症対策でやりますと総理も言われているんだけれども、肝心な、個々のお客がどれぐらい負けているのかということを把握せずに、ギャンブル依存症対策というのはあり得ないと思いますよ。

 ギャンブル依存症対策をきちんとやるという観点からも、先ほど私が申し上げましたようなGGRの集計の方法をやるべきだと思いますが、いかがですか。

堀政府参考人 お答えいたします。

 依存防止対策につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、このIR整備法におきましてさまざまな対策が講じられております。

 例えば、IR区域数の……(階委員「いいです、それはいいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。失礼いたしました。

 この集計方法の定め方ということでございますが、これは繰り返しになって恐縮でございますが、諸外国の例なども参考としつつ、この方法につきましてカジノ管理委員会において検討してまいります。

 以上でございます。

階委員 ですから、こちらから提案しているわけですよ。ギャンブル依存症対策を本気でやるというんだったら、それはまずGGRをきちんと把握する、そのためには顧客ごとの勝ちと負けを把握するというのが絶対必要だということを申し上げたいのと、きょうは税の議論ですから、財務大臣にお尋ねしたいんです。

 顧客のギャンブルで勝った所得というのは税法上は一時所得に当たるんじゃないかということで、過去に税務当局から国会答弁がありました。

 その前提で伺いますけれども、一時所得の計算というのは、ギャンブルで勝ったお金から、そのお金を得るために使ったお金、これを控除して計算するということになっています。さっき言ったような私のGGRの集計方法をとることによって、一時所得を適切に捕捉して、適正な課税にも資するのではないかと思いますけれども、財務大臣の見解を伺います。

麻生国務大臣 今言われたのは、得た利益から、それにかけた金、すった金等々を引いて、差し引いた金という話を、まあ、普通の話をしておられるんだと思うんですけれども。

 これは、カジノに関する制度設計が明らかになっておりませんので、現時点で確たることは申し上げられませんけれども、令和二年度の与党大綱において、今、階先生御指摘の、カジノから生じる所得に係る適正な申告の確保という点は指摘をされているところであります。

 具体的には、カジノから生じる所得に係る適正な申告に向けた納税環境の整備というものにつきましては、これは、いわゆる国内外のギャンブル課税の状況、ほかの国でやっておるところがありますのでそれの状況とか、今後制定をされるであろうカジノ管理委員会規則等において、詳細な規則の具体化等々の状況を踏まえまして、事業者の業務負担などを踏まえまして検討をするということになるんだと思っております。

 いずれにしても、こういった点や、カジノの具体的ないわゆる制度設計というものを踏まえて検討していくということになろうと存じます。

階委員 これは税収という面でも大きな話でして、国会の議論の中では、GGRは七、八千億、国内三カ所IRをつくると七、八千億になるんじゃないかと馬淵委員から質問の中で指摘があり、そして、赤羽国交大臣からもそれほど外れた数字ではない旨の答弁があったという経緯もあります。そういう中で、このGGRを適切に把握しないと、顧客への適正な課税だけではなくて、事業者への適正な課税という観点からも問題があるのではないかと思います。

 したがって、顧客それぞれの勝ちと負けの差額を正確に把握し、それを足し上げてGGRを把握する、そして事業者の方も適正な課税を実行していく、これをぜひやっていただきたいんですが、最後に財務大臣に伺います。

麻生国務大臣 これはちょっと、この業界のことに詳しくありませんので。

 カジノから出ます、生ずる所得というのを含めまして、所得が発生する場合には適正に課税するということは、これは極めて基本中の基本なんだと思うんですけれども、それにしても、これは逆に赤字の場合もありますから、多分。ばくち場は潰れているところもありますので……(階委員「事業者の話なんです」と呼ぶ)そうです。だから、事業者の中で潰れているところもありますので。

 具体的には、その対応について、今後定められるであろうカジノの具体的な制度設計というのを踏まえてこれは検討させていただくことになるんだと思いますけれども。

 これはいろいろな意味で、競輪、競馬等々、あれは稼いだ人は税金を払わないかぬことになっておるんですわな、たしか。払っている人、競馬でもうけて税金を払ったなんて人を俺は聞いたことがないのであれですけれども。そういった意味では、この設計のやり方というのはなかなか難しいところだろうなという感じはします。

階委員 質問は終わりますけれども、IR整備法の目的規定、第一条の最後に、「財政の改善に資することを目的とする。」とあるわけで、このGGRの把握をきちっとするかどうかはっきりしない時点で、もうIR整備を推進していくんだということはあり得ないと思いますし、予算委員会でも指摘されたとおり、カジノ管理委員会関連の予算というものは必要がないということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 所得税法等の一部を改定する法律案について質問いたします。

 何分限られた時間でございますので、政府参考人におかれましては簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 非婚、離婚、死別の区別なくひとり親控除が受けられることになったのは前進ですが、収入がそもそも低くて、新設の控除を利用できない世帯がいると思うんです。

 今回の改正で、控除を利用できる非婚の一人親世帯数、また、所得が少な過ぎて活用できない非婚の一人親世帯数、それぞれ教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに控除の対象となる世帯数が約六万、新たな制度で適用にならない世帯が四万ないし五万程度と考えております。

清水委員 つまり、四万人から五万人が課税最低限以下のためにこの制度を受けられない。例えば、十七歳と十二歳の子を持つ母親の課税最低限は給与収入二百三十四万五千四百五十五円であります。

 配付資料の一をごらんください。

 総務省が実施した二〇一四年全国消費実態調査でこれは明らかになったんですが、母子世帯の平均実収入と支出の図でございます。

 この図の勤め先収入を見ますと、先ほどの子供二人の家族構成でいいますと、これは課税最低限以下となります。つまり、創設されるひとり親控除が適用されない、活用できないという世帯収入であります。支出は実収入よりも多いんですね。可処分所得は十八万九千五百二十円で、消費支出は十九万四百六十四円、つまり赤字になっているわけです。生活にゆとりがなくて、貯蓄など全くできません。これは消費税率が八%のときの数字なんです。今、一〇%です。

 一般論として財務省にお伺いするんですが、可処分所得がふえない世帯では、消費税が増税された分、消費を抑え込まなければ更に赤字が拡大していくということで間違いありませんか。

矢野政府参考人 消費税がどう家計に影響するかということになりますと、消費税だけを捉まえれば今委員が御指摘したようなことになってくるかと存じますけれども、社会保障と税の一体改革という形で五%から八%、一〇%という形をとりましたので、消費税自体は負担としてのしかかってくる部分があることは否定できませんけれども、一方で、給付面あるいは軽減税率等々で恩典が及ぶ部分ということもございますので、あわせて考えていく必要があると存じます。

 特に、消費税は低所得者向けあるいは子育て世帯向けの社会保障に主として充てられるということになっておりますので、そのあたりを総合的に勘案していただく必要があると存じます。

清水委員 いろいろ言われましたけれども、それを講じてなお赤字なんですよ。赤字なんですね。

 いろいろ子育て施策をやってきたと言いますけれども、幼稚園だとか保育園の無償化と言いますけれども、もともと住民税非課税世帯でいうと、新たに給食費の負担がふえて、むしろ困っているんです。

 配付資料の二をごらんください。

 これは、同じ調査から、母子家庭の収入及び支出の推移をあらわしたものであります。

 消費税導入時から三十年間の推移を見れば、母子家庭の驚くべき実態がわかります。母子家庭の実収入の増加額は三十年で九千八百九十一円と、一万円に達しません。その間に消費税は税率が今矢野さん言われたように五パー、八パー、一〇パーと上がって、今や消費税負担が九千二百四十二円ふえてしまっているわけであります。つまり、三十年間でふえた収入分が丸々消費税の負担に消えたというのが実態だと思うんですね。

 負担能力を超えて課税する消費税が低所得者には非常に重くのしかかっている、この実態を財務省は認識していますか。

矢野政府参考人 母子家庭については、かつて母子加算を見直すといったようなこともございましたし、それについて厳し過ぎるじゃないかという御議論があって、それを見直すというような経緯もございました。もう十数年来にわたって、母子家庭がいかに厳しい状況に置かれているかという議論はさんざんやってまいりましたので、計数も含めまして認識をしているつもりでございます。

 今回の改正におきまして、未婚の一人親のこともございますけれども、予算面で、児童扶養手当について、第二子以降を倍額にするといったようなこともさせていただいております。

 今委員も御指摘になりましたけれども、幼児教育の無償化ですとか高等教育の無償化、それから国民健康保険料の保険料軽減の拡充といったこともあわせてやらせていただいておりますので、そのあたりも総合的に見ていただきたいと存じます。

清水委員 先日も指摘したんですけれども、矢野康治主税局長が書かれた著書にはこのようにあるんですね。負担を超えた受益をむさぼり続ければ、やがて思わぬ不利益がもたらされることもまた万古不易の事実です、かつて栄華をきわめたあのローマ帝国も、ローマ市民への行き過ぎた大盤振る舞いによって財政破綻を来し、外敵の手によってではなく、みずからの失政によって自滅しましたと書かれています。

 生活が困窮する母子家庭では、消費税が増税された分、生活費を切り詰め、二人から三人の子育てをするためにダブルワークをしているんです。受益をむさぼり続ければやがて思わぬ不利益がもたらされると、必死で生きている母子家庭に、矢野さん、今でもあなたは言えますか。

矢野政府参考人 私が書かせていただいた内容は、母子家庭のことを書いたわけではなくて、日本全体のことを書かせていただきました。

 日本全体につきましては、それは本は十五年前のものですけれども、今もなおそうですけれども、受益している社会保障その他行政サービスに対して、その対価たる保険料と税、特に税の世界は足らず前が生じております。そういう意味では、受益と負担がアンバランスな状態。なお、しかも、今、経済的にはいろいろございますけれども、完全雇用が実質的に満たされているような、そんな状況でありながら足らず前があるという構造的な財政赤字、財政というとあれですけれども、受益と負担のアンバランスがございます。

 そこは直していかないと、先々、結局それは誰かが、天から降ってくるわけではなくて、結局将来世代が負担することになるので、その部分は真剣に考えなければいけませんということを申し上げた。どこかの家庭に払わせろということは書いておりません。

清水委員 受益と負担のことを考えるんだったら、大もうけしている大企業にちゃんと税負担してもらうということをしなければならないんです。あなたの本を読みましたけれども、法人税を適正に課税するなんということはどこにも書いてないんですよ。

 最後に、麻生大臣に質問します。

 近年の税制改正で安倍政権は成長志向の法人税改革というものを進めてまいりましたが、大企業の利益はどんどんどんどん膨れ上がっても、税負担はふえない法人税体系になっている。これはこの間議論してきました。一方で、今私が紹介した母子家庭のように、収入はふえていないのに消費税の増税によって税負担がどんどんふえているという貧困層がいるわけですよ。今、不公平な税制構造となっているんじゃないか。

 このことについて、麻生財務大臣の見識を伺います。

麻生国務大臣 今、まず最初の母子家庭の話は、これはもう給付と負担の話であって、消費税が上がって、その上がった分の過半の部分が低所得者層向けの、いわゆる母子家庭等々、低所得者等に与えられる給付、例えば、学校は無償化するとか、保育を無償化するとか、あるいは保険がとかいった話になる。いわゆる負担の話と給付の話。負担の話だけされてもそれは議論としてはなかなか話が合わなくなってくるんだと思っております。

 それから、二つ目の、今、企業の話ですけれども、これは私どもとしては、企業というのは国際競争をしておりますので、そういった意味では、いろいろな意味で私どもは国際競争の面も考えなきゃいけませんので、少なくとも先進国の中で最も高かった法人税ですから、それはよくおわかりのところだと思いますけれどもね。法人税が一番高かったんですよ。

 そういった意味では、企業がどんどん本社を海外に移していくという時代になったりしていましたので、私どもといたしましては、対応ということを考えさせていただいて、少なくとも財源というものをしっかりさせていただきながら、少なくともネット減税にはなっておらぬ。

 ふえているじゃないかというふえているかなりの部分は、海外で稼いでいる金の配当課税。海外で払った税金、払い済みの利益を日本に送金した場合は、日本ではネットで利益になっても、それは課税の対象外。二重課税というものはやらない、これはもう世界の共通ルールになっておりますので、その部分が極めて大きいという時代だというのが一番大きな理由なのではないか。

 これはちょっと時間がない、もうちょっと分析すればもう延々としゃべれますけれども。そんなわけで、それほど期待されてもいないだろうから。

清水委員 私も時間があれば議論したいところですよ。外国子会社からの配当益金等不算入については、この間も議論しましたけれども、現地の国の法人税が日本の税率より低い場合、その分課税されないんですから、やはりそれは優遇なんですよ。

 それから、受益と負担の話で言われましたけれども、それだったら、もうかっている大企業にちゃんと税金を納めてもらう税の仕組みをつくるべきです。

 最後に言います。

 アベノミクスの失敗によって、貧困と格差はどんどん広がっていると思います。苦しい思いをしているのは一人親世帯です。

 不公平税制を正し、消費税率は五%に減税することを求めて、私の質問を終わります。

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日も、貴重な時間、質疑させていただきまして、ありがとうございます。

 まず、前回に引き続きまして感染症対策についてお伺いをさせていただきます。

 過去を振り返りますと、SARS、新型インフルエンザ、そしてMERS、この十年、十五年くらいの間にやはり同様の新しい感染症が発生しまして、日本でも大変な心配がなされたところでございます。

 私、非常によく記憶しておりますのが、新型インフルエンザのときに、やはり非常に、メキシコで当時致死率が高いとかいうようなお話もございましたし、感染者が日本にも出たということで、大変な騒ぎになったことをよく覚えております。その際にはインフルエンザワクチンが緊急に輸入されたりもしたわけですけれども、結局、それは使われないまま、たしか九百億円程度だったと思いますけれども、大変な無駄が生じた。

 今回も、本当に皆さん必死になって御努力されている。それは本当に、私、敬意を持って拝見させていただいておりますけれども、万全が期されているかというと、必ずしもそうではない部分がどうしても見受けられる。その背景にあるのは、やはり日本に感染症対策の専門的な組織がないからではないかというふうに思っております。

 したがいまして、今回の問題もそうですけれども、今後、同様に感染率が高くそして致死率がもっと高い、例えばスペイン風邪、全世界で、一九一八年ごろだったと思いますけれども、五千万から一億人が死亡したと言われております。当時、十八億人の人口のときですから、大変な死者が出たわけですね。そういったことで、やはりそれに備えることを一刻も早く始めた方がいいのではないかという観点から、きょうも引き続き質問させていただきます。

 まず、政府にお伺いしますけれども、マスクであるとか手指の消毒液、こういったものの国家的備蓄が医療向けあるいは一般家庭向けで何かなされておるんでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、マスクあるいは手指の消毒液等につきましての国あるいは自治体等の行政機関あるいは家庭用の備蓄量につきましては、厚生労働省としては把握しておらないところでございます。

 しかしながら、先ほど委員御指摘のございました新型インフルエンザ対策の一環でございまして、医療用のマスクを含む医療用資器材につきましては、新型インフルエンザ対策行動計画に基づきまして、都道府県等はあらかじめ備蓄、整備することとされております。蔓延期に備えまして体制整備が行われているものと承知しておりまして、その一環の中でマスクあるいは個人防護服の備蓄がされていると承知しておるところでございます。

青山(雅)委員 今のお答えですと、特に一般家庭向けのものはされていないようです。

 例えば、イタリアでも各州で閉鎖的な措置がとられているようです。そういったときに、閉鎖はしたはいいけれども、そういった消毒であるとかマスクがないということになると、これは大変な混乱が生じると思います。ぜひ国家的備蓄について、一般用についても御検討をしていただくようお願いを申し上げます。

 次に、前回も申し上げたんですけれども、日本版CDC。特に、こういった緊急時に派遣される感染症の知識を持った専門的なチーム、こういったものをつくるべきではないかと考えているんですが、現にそういった専門的チーム、新型感染症のようなものが発生したときに緊急派遣される医療チームというのは現存しているんでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のCDCの緊急時派遣チームというのは、エピデミック・インテリジェンス・サービス、EISというものでございまして、米国CDCにおいて、感染症のアウトブレーク、大流行などが発生した際に派遣される実地疫学専門家の養成コースであると認識しているところでございます。

 我が国におきましては、国立感染症研究所におきまして、感染症のアウトブレーク等が発生した際に速やかに派遣、対応が可能な実地疫学専門家を養成しております。これはフィールド・エピデミオロジー・トレーニング・プログラム、通称FETPと申しまして、これを国立感染症研究所で平成十一年から設置しているところでございます。

 感染症のアウトブレークなどが発生した際には、これらで養成した専門家を含む国立感染症研究所の感染症情報センターの疫学専門家を派遣することとしているところでございます。

青山(雅)委員 そういったチーム、専門家の組織をぜひ拡充していただいて、行く行くは日本版CDCのような、そういった組織をきちんと整備していただきたい。国民の安心、安全、そしてナショナルセキュリティーにつながることは言うまでもないと思っております。

 これも要望でございますけれども、やはり、そういった組織のトップが文官ですと、どうしても知識が足りなくて、緊急時に判断を誤る可能性もございます。ぜひCDCのような、独立した、そして専門的知識を持つ技官がトップの組織を整備していただければというふうに思っております。

 最後に、それに関連して麻生財務大臣にお伺いしたいんですけれども、トランプ大統領は声明で、日本円で二千七百億円程度、今回、この新型コロナウイルス対策に割く用意があるというようなことも発表されております。今申し上げたような日本版CDCの端緒となるような機関のスタート、あるいは国家的備蓄、そういったものも含めて、積極的な予備費の活用、あるいは来年度予算になろうかと思いますけれども、予算あるいは補正予算での検討を進めていただきたいと思っておるわけですけれども、これについて御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 CDC、センター・フォー・ディジーズ・ディフェンス・アンド・プリベンションか、CDCPというあの組織の話、これは、行かれたことあるかどうかわかりませんが、巨大な組織です。やはりメキシコに国境が接しているというためにこういうことになったと昔言っておられましたし、ワシントンというのは昔は瘴癘地、暑いところ寒いところ、瘴癘地手当が出るようなところでしたので、そういったところからこういうものができたんだそうですけれども。

 少なくとも、今そういったような形のものがあるのはよく知っておりますけれども、日本の場合は幸いにしてそういったパンデミックになるような巨大な話というのはこれまでございませんで、今、スペイン風邪の話をされましたけれども、あのとき世界じゅうで約五千万という方たちが亡くなった。あのとき日本はたしか五十一万人亡くなったんだというような記録が残っていたと思いますけれども、かなりの方が亡くなって、第一次欧州大戦が終結に向かったのはスペイン風邪のおかげという説があそこであるぐらいこれの影響は大きかったということで、それが非常に大きな影響を与えて、アメリカの送った兵隊さん全員と言っていいぐらいそれに感染して、それぐらい大きな被害が出たというのが、これができたもとなんだそうですけれども。

 今、そういったことが、日本の場合、幸いにして今までのところないものですから、私どもとしては、そういったような話で、何千万人なんという話はなかなかされるまでにいっていないんだと思いますけれども。

 いずれにしても、今回、この感染症対策本部の下に専門会議というのを置かさせていただいて、今対応をやらさせていただいておりますけれども、やはりどういったものが今後起きてくるかという、昔と違って人の行き来、往来が、とてもじゃないけれども何百倍にふえておりますので、接触伝染する可能性というのは極めて高いという状況になっておりますので、私どもとしては、こういったものも将来考えて、このコロナウイルス対策本部というものの中でできます専門家会議というのを、どのような形で今後きちんとした対応をさせていくような組織につくるのか、やっていくかというのは、ちょっと別の検討課題だと思っております。

青山(雅)委員 ぜひ前向きな検討をよろしくお願いしたいと思います。

 質問時間が終わりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日、初めて安倍総理に質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 せっかくの機会ですので、まず、アベノミクスについてお尋ねをしたいと思います。

 今般の通常国会冒頭、施政方針演説では、総理の演説の中でアベノミクスと言わなかったということでございますが、これはやはり、このアベノミクス、余りうまくいっていないなということを総理自身が認識されているのではないのか、このようにも受けとめさせていただきました。

 では、なぜアベノミクスがうまくいかないのか。その原因の一つは、お金は天下の回りものといいますけれども、なかなか回っていないところがあるからではないのか、目詰まりしているからではないのか、だから、金融緩和を幾らやっても世の中にお金が十分回らないということではないのか、このように考えるわけです。

 そこで、お配りしております資料でございますが、これはもうよく見るグラフでございます。平成の初めと終わりを見比べますと、消費税は上がっているけれども、法人税は下がっていっている、こういう状況でございます。また、法人税率を見ましても、これも下がっていっている、第二次安倍内閣以降更に下がっている、こういう状況でございます。

 さらに、資本金の規模別で見ますと、大きな資本金を持っている会社ほど実効税率が低い、こういうグラフになっております。そして、その結果を見ますと、資料四でございますが、この企業の内部留保、これがどんどんふえていっているという状況でございます。

 先ほどの安倍総理がいらっしゃらないときの質疑で、海江田委員からもこの内部留保の問題を取り上げ、そして、麻生大臣からも、内部留保はたまり過ぎているというのは問題だという認識の御発言もいただきました。

 改めて安倍総理にもお伺いをいたしますが、やはり、この内部留保の積み上がり、そして一方で、積み上がってばかりで実質賃金が上がらない、賃金に向かない、それから投資にも余り向いていない、こうしたことはやはり大きな問題だというふうに思うわけです。

 今般の租税特別措置法の改正において、こうしたインセンティブについて設けたわけですが、これでは、これまで積み上がった内部留保の上がり方を見てもまだまだ不十分ではないか、このようにも考えるんですが、総理の見解をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 企業の内部留保が増加する中で、経済の好循環を確実なものとしていくためには、企業に対して未来への投資を一層促していく必要があります。これまでもそうした動きを後押しする政策対応を行ってまいりました。成長と分配の好循環を回していく上においても、企業がそうした投資をしていくことが必要であります。

 例えば、税制面では、賃上げ等に積極的な企業の税負担を引き下げる一方で、収益が拡大しているにもかかわらず賃上げや投資に消極的な企業にはさまざまな優遇税制の適用を停止するなど、めり張り、いわば、あめだけではなくてむちに相当する対応もしております。令和二年度税制改正においてもこうした流れを更に推し進めていくため、これらの税制の要件を厳格化する見直しを行うこととしています。

 アベノミクス三本の矢の取組を進める中、こうした税制も一つのきっかけとして、企業の設備投資は十六兆円増加し、就業者数は四百四十万人増加しております。また、六年連続で今世紀最高水準の賃上げが続くなど、経済の好循環は確実に生まれてきている、こう考えております。その上においても、しっかりとした投資が行われるように、我々も、さらなる、投資によって経済の好循環が回っていくようにすべく努力をしていきたい、このように考えております。

櫻井委員 済みません、きのう、私も財務省の方々に対して通告をした後に新型コロナウイルスについて新たな対策があったということで、ちょっと、申しわけないです、通告はしていないんですけれども、ただ、細かい話ではなくて大きな話をお伺いしますので、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

 午前中の予算委員会でも新型コロナウイルス対策について質問がたくさん出ております。やはりこれは、経済財政への影響は非常に大きい、この見通しがつかなければ財政についても議論することは難しいということからだというふうに理解をしております。

 特に昨晩、来週から全国一斉で臨時休校ということがアナウンスされました。この全国、小学校、中学校、高校の一斉休校ということは、これは大きな決断で、社会に対する影響も極めて大きいというふうに考えます。

 この理由として、安倍総理は、これから一、二週間が瀬戸際だ、こういうことでおっしゃられているわけですが、ただ、午前中の予算委員会での質疑でも、エビデンスは示されなかった。例えば感染者数が急増したとか、そういった話は示されなかったわけです。

 また、午前中の質疑でも、渡辺議員の地元静岡県では感染者、確認はされていないという状況だけれども、そこでもやはり休校なのかという話もありましたし、私の地元の兵庫県でも感染者はまだ確認されていない状況です。しかし、ここでも休校ということになっているので、現実とのバランスといいますか、与える影響と、それから感染予防というこのバランス、本当にとれているのかどうなのかよくわからないという状況でもあります。

 学校現場も、突然来週から休みと言われて、大変混乱をしている状況でございます。学童保育、それから放課後デイは、来週の月曜日は朝からやる、こういうふうにも言われておりますけれども、ただ、学童保育の指導員の先生方は、基本的には、ふだん学校があるときには午後から出勤をされるわけでして、午後の二時とか、それぐらいから出勤をされるわけでして、突然来週から朝から来いと言われても、そんなに急に対応できる方々ばかりではないというふうにも思います。

 あと、夏休みとかはそういうふうに対応しているじゃないとおっしゃいますけれども、ふだんのときには、子供たちは三時ぐらいに学校が終わって、そこから五時には親が帰ってくるというので、時間が短いからといって放課後児童クラブに行かないというお子さんも結構いたりするんですけれども、ただ、夏休みは朝から晩までだから、長いから、休みのときだけ通う、こういうお子さんもいるわけですよね。ですから、この長い休みのときには、やはりこの放課後児童クラブといいますか学童保育、大変混雑するというような状況もあります。

 そういったことを考えても、急に対応できるのかという問題もあるわけですし、あと、何よりも、働いている、共働きの御家庭からすると、急に来週から休みだと言われても、とりあえず、来週月曜日、家で休まないといけないのか、子供の面倒を見なきゃいけない。でも、会社は、急に休むといったって、そんな簡単な話じゃないんですよね。子供が病気をして突然休むという場合であっても、本当に会社の同僚に気を使いながら、済みません、済みませんと言いながら休みをとっているわけですよ。

 これは会社にとっても、病気だったら一人二人とかいうことかもしれないけれども、今度、お子さんがいらっしゃるところがみんな軒並みちょっと休みますということになると、会社だって回らなくなってくるわけですね。

 だから、これはもう少し早く言ってもらえなかったのかなと。少なくとも二月二十五日、対策本部で基本方針を決定したときに、そういった可能性もあり得るんだ、全国一斉休校もあり得る、このような話をしてもらっていれば、まだ何とか対応しようがあったんじゃないのか。きのうの夜言われたら、平日はきょうしかないわけですよ。きょう一日でどうやって対応しろと、こういうことになってくるんだと思います。

 共働きの家庭、非常に大変だということで、これはもう少し、一日でも二日でも早かったらもう少しはましだったんですけれども、こうしたことはできなかったのかについて、総理、御答弁をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 専門家の御意見を踏まえて、二十五日に政府の対策本部で決定した基本方針でお示しをしたとおり、感染の流行を早期に終息させるためには、患者クラスターが次のクラスターを生み出すことを防止することが極めて重要であり、徹底した対策を講じるべきと考えております。

 現在、北海道、千葉県市川市、あるいは大阪府、大阪市、堺市等の各地域において学校休業を行うなど、子供たちへの感染拡大を防止する努力がなされていますが、専門家の知見によれば、ここ一、二週間が極めて重要な時期であり、では、急増した地域がほかにも多々あるのかということでいえばそうではないわけでございますが、まさに、専門家の皆さんがおっしゃっているのは、この感染の拡大が急増しないように防止できるかどうか、抑止できるかどうかは、この一、二週間の対応が重要であり正念場である、瀬戸際であるという判断をされたわけでございます。

 今委員がおっしゃったように、さまざまな課題があるのは事実でありますし、この課題においてある程度詰めた議論も行いました。いろいろな議論があったわけでございますが、その結果、昨日、政府として、何よりも子供たちの健康、安全を第一に考え、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週三月の二日から春休みに入るまで臨時休業を行うよう要請することとしたわけでございます。

 いわば、二十五日と同時にできなかったのかということでございますが、ここはやはり、もう一両日、さまざまなことについて詰める必要があったわけでございまして、その中において、政府として、さまざまな課題についてしっかりと対応していくという判断をし、昨日発表させていただいたところでございます。

櫻井委員 前から検討はしていたという総理の御答弁でございますが、きのう、会派の文部科学の部門の議論をしたときに、文部科学省の担当者は、むしろ一斉休校というのは、それはちょっとないよなというような、そういった趣旨の発言をしておりました。文部科学省も知らなかったんじゃないですか。

 ですから、今さら言った言わないの話は、今検証してもしようがないので、それはもっと収束してからしますけれども、少なくとも関係省庁、特に文部科学省や厚生労働省、こういったところはもちろんのこと、地元の地方自治体の教育委員会や児童福祉を担当する部門、部署、学校現場、さらには学校現場を通じて保護者などのヒアリングといいますか、どういう課題があるのか、改めて吸い上げて、しっかりこの対策をとっていただくよう、大至急とっていただくようお願い申し上げます。

 あともう一点だけ質問させていただきます。

 この学校の一斉休校ということでは、例えばイタリアの北部の一部地域で行われております。ただ、これは、学校を休校にするような非常に差し迫った状況にあるときは、学校だけじゃなくて、公共施設も閉鎖をする、交通も制限をする、それから、そういった厳重な措置をとって、住民には自宅待機を呼びかける、これぐらいやっているわけですよ。

 ですから、日本において、もし、一斉休校しなきゃいけない、それぐらい差し迫った危機があるのであれば、学校だけを休校しても、ほかに大きなリスクがまだ残っているんじゃないのか、こういう心配もあるわけです。例えば満員電車で、そういったところで感染するのではないのか、こうしたこともよく専門家などで指摘をされております。

 こうした、ほかに残っているリスクに対してどのように対応されるのか、ぜひ本部長として、総理、御答弁をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 これは、ではリスクを全部なくせるかといえば、それはそんなことはできないわけでありまして、一斉に経済活動を全てとめれば、それはまた大きな問題に直面をするわけでございます。あしたからの食事をどうするかという問題に直面してしまうわけでございます。

 その中で、確率論として、リスクを減少させていかなければならないという観点から、今回、いわば小中高、特別支援学級の休業を我々は決定をしたところでございます。

 そして、先ほど、それに対するさまざまな課題もあるのは御指摘のように事実でございますが、今まで行われていた、学校が終わった後、子供を預かる仕組み等々については、そもそも、学校を休業するわけでございますので、放課後児童クラブ等々については、いわば先生たちにも御協力をいただくことも可能となるわけでございます、それは朝からですね。

 例えば、福岡市においては、八時から十七時か十八時くらいまで、留守家庭子ども会という仕組みがあって、そこで学校の先生方にも今度は参加をしていただき、多くの子供たちを預かる。そして、高学年の子供たちは必要がないわけでございまして、低学年の子供たちの中で必要な子供たちについて分散して対応しますので、子供の人口密度を相当減らすこともできるという対応をしていくということだそうでございます。

 こうした対応、それぞれの自治体が対応していただいているわけでございますが、その中で、我々もしっかりと自治体と協力をしながら対応していきたいと思いますし、そのためにいわば仕事を休まなければいけなくなったお父さん、お母さんの収入に対する対応をどうするのかということについても、政府としてしっかりと責任を持って、雇用調整助成金等も活用しながら対応していきたい、こう考えているところでございます。

 全体のリスク等については、まさにこれは、国民の命と健康を守るということを最優先に判断をしていきたい、できる限り感染の拡大を防止する上において、しっかりと防止するための措置をとっていきたい、このように考えております。

櫻井委員 いろいろ御答弁いただきましたけれども、結局のところ、実態がよくわからない、検査難民というようなことも発生しているという状況があるから、本当にリスクに合う措置なのかどうなのかということがわからないという状況になっていると思いますので、まずは現状把握、事実把握、これをしっかりやっていただいて、そしてそのことをしっかり公表していただくということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、新型コロナウイルス、これについて安倍総理にお伺いしたいと思います。

 お手元に資料をお配りさせていただいておりますが、今、この新型コロナウイルス、指定感染症とされておりますが、現在ある法律の中で新インフル特措法がございます。これによりますと、対応がパッケージ化されておりまして、物流から、いろいろなものに対応できるというような状況になっております。

 今までの対応が、五月雨式、また場当たり的ではないか、このような批判もある中で、新感染症に指定した上で、新インフル特措法への適用、これについて、安倍総理、今どのようにお考えになっているのか、お聞かせください。

安倍内閣総理大臣 昨日の政府対策本部において、私から、今後、新型コロナウイルス感染症の国内におけるさらなる感染拡大も懸念されるため、既存の各種対策の実効性を高めるとともに、感染拡大を抑制し、国民生活や経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、必要となる法案について早急に準備するように指示をしたところであります。法案の内容については、新型インフルエンザ等対策特別措置法を参考に、早急に検討することとしています。

日吉委員 今、参考にという答弁がありましたけれども、今までの対応、水際の対応が失敗しました。そして、あらゆるものが後手後手、後手になっている。こんな中で、これが蔓延してしまう、こういったことになったら、本当に取り返しのつかないことになります。

 非常に難しい判断ではあるかとは思いますけれども、この新インフル特措法、これ自体の適用を慎重に検討いただきたいと思いますので、もう一度答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 既に、法定の感染症に指定をしておりますので、今言われたような新感染症、新型インフルエンザ等対策特別措置法を適用するのは、これは難しいのではないか、こう判断をしておりますので、これを参考に、早急に検討することにしたい、このように考えているところでございます。

日吉委員 手おくれになることがないように、しっかりと判断をしていただき、そして、国民の皆様がしっかり予見できる、準備ができるような中で対応ができるような、そういった判断、対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、安倍総理の御地元の下関市立大学、これについてちょっとお伺いしたいと思います。

 下関市立大学で、昨年、新しい特別専攻科、これの設置が問題になっております。教授会の意見を聞かなかったり、教育研究審議会の審議を経ずにこの専攻科の設置を決定し、また、下関市長が推薦する教員を強引に採用してしまった、このような経緯がございます。

 九割以上の教授、全教授の九割以上が反対の署名をし、かつ、弁護士さん四名が、違法ではないか、こういった意見書を提出しているような状況になっております。

 こういった状況の中で、文科省さんは助言をしているというふうに言っていますけれども、意思決定に瑕疵があると言わざるを得ないと思いますので、安倍総理から、文科大臣に一度、しっかりと、この手続をやり直すように、文科大臣に総理の方から言っていただけないでしょうか。

玉上政府参考人 お答えいたします。

 まず、教授会の審議についてでございますが、学校教育法九十三条第二項では、学生の入学及び卒業、課程の修了、学位の授与、教育研究に関する重要な事項で学長が定めるものについて、学長が決定するに際して、あらかじめ教授会が意見を述べるものとしておりますが、この教育研究に関する重要事項として具体的にどのような事項について教授会の意見を聞くこととするかについては、各大学の実情等を踏まえて学長が判断することとされております。

 今般の下関市立大学におけます特別支援教育特別専攻科の設置や専攻科を担当する教員の採用が、同大学におけます教育研究に関する重要な事項で学長が定めるものに当たるかどうかについては、同大学におきまして判断されるものでございまして、その説明責任も同大学にあるというふうに考えております。

 それから、続きまして、お尋ねの教育研究審議会の審議についてでございますが、地方独立行政法人法第七十七条第三項におきましては、教育研究に関する重要事項を審議する機関を置くものとするとされておりますが、その構成員、組織、審議事項等については、できる限り設立団体の判断に委ねるべきであるという点を勘案いたしまして、各公立大学法人の定款において定めることとしております。

 下関市立大学から説明を聴取しましたところ、同大学の定款では、理事長は教員の人事や教育課程の編成にかかわる方針等に関する事項について決定しようとするときは、教育研究審議会の議を経るものとするとされております。

 教育研究審議会の招集を複数回試みましたものの、委員の審議拒否があり、定数等を充足せず、審議会は開催されなかったため、教育研究審議会の議を経たものとみなして理事長として決定したとのことでございました。

 このような場合に教育研究審議会の議を経たものとみなすかどうかについては、同大学において判断されるべきものでございまして、その説明責任も大学にあるというふうに考えております。

 文科省といたしましては、まずは大学において、大学執行部と教員組織との間で意思疎通を十分図りつつ、定款や学内規程などに基づく適正な手続がとられることが重要だと考えておりますが、大学からの説明を聴取しながら、引き続き、適切な大学運営がなされるよう必要な助言をしてまいりたいと考えております。

日吉委員 総理にお伺いしたんですけれども。

 今の話はちょっと事前に聞いているんですけれども、その教育研究審議会の審議を経ないというのは、反対しているからその審議に出ていないわけなんですね。定足数を満たさなくて流れているわけです。それを議があったということで承認されたというふうにみなして進めていくというのは、全くもってわからない、おかしな状況なんですね。

 そんな中で、この市長さんというのは、安倍総理のもともと秘書をやられていた方だというふうに伺っております。その市長は、理事長を任命することもできますし、監事さんも任命することができる。

 この監事さんは適法だと言っているんですけれども、外部の弁護士は違法だと言っているわけですね。市長、理事長、監事で一体となって強引に専攻科の新設を進めていき、教員も採用してしまったのではないかというようなことが疑われているわけです。

 総理、これはまさか、この案件にかかわっていないですよね。総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 正直申し上げて、今この御質問をいただいて、初めてそういうことが起こっているんだなということを承知をしたところでございますが、この前田市長がかつて私の秘書であったということにかかわらず、これは各大学の個別の意思決定でございますから、内閣総理大臣としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 関係者間で意思疎通を図りつつ、それぞれのルールに基づき、適正な手続を通じて行われることが重要であると考えております。

日吉委員 適切なルールにのっとってというふうにおっしゃりましたけれども、今申し上げたように、ルールにのっとっていないわけなんですね。だからこそ、一旦その決定をやめて、もう一度手順に従って進めてください、これを文科大臣にお願いしていただけませんか、総理。総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 これは、下関の市立大学でございますから、そういう御議論は市議会でも行われるべきかな、こう考えるところでございますが、いずれにいたしましても、総理大臣として文科大臣に指示するべきものではないんだろうと。またコメントを差し控えたいと思いますが、繰り返しになりますが、関係者間で意思疎通を図りつつ、それぞれのルールに基づき、適正な手続を通じて行われることが重要であると考えております。

日吉委員 市立大学といいましても、文科省の所管になっておりまして、実際に、文科省からは助言をしているんですね。違法の可能性があるというようなことで、助言をしているわけです。だからこそ、助言ではなくて、実際にこれをやめていただく、これを総理は文科大臣に言っていただくということは別に何もおかしいことではないと思いますので、しっかりとそれは対応していただきたいなと思います。

 続きまして、時間が余りなくなってまいりましたけれども、消費税の企業業績への影響についてお伺いしたいなと思います。

 先ほど麻生大臣にもお伺いしましたが、消費税を増税することによって、もちろん消費者が消費税は負担するということにはなっています。しかし、企業にも影響があるのではないか、ここのところをどのように、総理、考えられているのか、御答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 消費税については、我が国の企業収益は、一部に海外経済の減速による影響が見られるものの高い水準を維持しており、倒産件数についても、政権交代前より三割少ない、年間八千件台の低水準にある、こう考えております。

 いずれの指標についても、現時点において、消費税率引上げによる大きな影響は見られてはおりませんが、新型コロナウイルス感染症の影響も含めて、引き続きその動向を注視してまいりたいと思います。

日吉委員 余り影響がないというようなお話ではございましたけれども、もう一度、それについてもしっかり検証していきたいなというふうに思っております。

 あと、最後に、総理、せっかくなので、どうしてもお伺いしたかったことがあったので、聞かせていただこうと思うんですけれども。

 総理、よく任命責任は私にあるというふうにおっしゃられるんですけれども、責任というのは、その役職に当たってその役目を果たしていくという意味での責任というのがあると思うんですけれども、もう一つ、責任というのは、そのやった結果に対してペナルティーを受けるという、そういった、責任をとるという意味での責任があると思うんですね。

 総理は、前者の責任を果たしていくということはよくおっしゃられますけれども、責任をとるということについて言及されていないと思うんです。これまで、任命責任は私にあると言っていましたが、それをどういった形でとるのか、とらないのか、これ、どういうふうにお考えになっているのか、教えてください。

安倍内閣総理大臣 私も、総理であると同時に国会議員であり、そして、国会議員として、議員の中から選出をされ、行政府の長としての総理大臣を務めているところでございます。

 では、責任とは何かということについて言えば、我々は、国民の皆様に対して、選挙を通じて、こういう政策を行っていく、結果を出していくということをお約束をするわけでございます。その結果において、例えば次の選挙において、国民にとってちゃんとその責任を果たしていないとなれば、その責任を選挙においてとらされるということになるのではないか、こう思うわけでございます。

 国政に遅滞が生じることのないように行政を前に進めることが国民の皆様に対する責任だろう、私はこう考えているところでございまして、お約束した政策の実現に専念をし、一つ一つの課題に結果を出していくことにおいて、その結果、その責任をしっかりと果たしていきたい、このように考えております。

日吉委員 今、任命責任についてお伺いしたんですけれども、任命責任というのは、任命に当たって適切な手続が行われているのかということでありまして、その任命手続に瑕疵があったかどうか、こういったことが、検討して、まず御自身で判断するということが重要なのかなというふうに思います。

 そういったときに、例えば、前経産大臣の金品の供与というのは、こういうのは以前からわかっていたことで、それにもかかわらず任命していたというようなことがあったら、それに重要な瑕疵があったんじゃないかというようなことが疑われるわけですね。そういったことを踏まえまして、御自身で責任の有無、これを御判断いただきたいなというふうに思っております。

 質問時間が終わりましたので、終了させていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 立国社共同会派の階猛です。

 まず、総理に、きのうの全国の小中高の休校要請の件について伺いますけれども、私も、岩手の地元で教師をやっている友人らに、この件についてお話を聞きました。夜中でしたけれども、まさに寝耳に水という反応でして、驚いていたのは、二十五日に方針が示されたばかりでまた変更か、それから、全国一律でやる必要があるのか、それから、もう三月二日からだということなんですね。

 ちなみに、岩手でいいますと、三月六日に高校入試の試験が行われるということで、いきなり、高校入試まで学校で最後の追い込みの期間に、全く授業も受けないまま高校入試に臨むということに対して不安も広がっているわけです。

 きょうお配りしている、二十五日ときのうの内容の対比ができるようにお配りしたんですが、二十五日の段階では、臨時休業を行うことも考えられるという表現だったのに対して、きのうは、臨時休校を行うよう要請するという強い表現になっていて、あたかも現場の方には裁量がないかのようにも思われるわけです。ただし、この点については、先ほど予算委員会で、法的拘束力はないというふうに明言されていました、総理が。

 確認ですけれども、これは原則に戻って、法律上は設置者の権限で休校は判断するということですので、岩手のように、感染者もなくて、かつ高校入試も迫っているという中では、必ずしも休校に応じなくてもいいということで理解していいのかどうか。法的拘束力はないということであれば、そういうことだと理解しますけれども、よろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは萩生田文科大臣とも話し合ったわけでございますが、この要請は、当然のことながら、法的拘束力を有するものではなく、最終的な判断は、学校を設置する地方自治体や学校法人等において行われるものであります。

 こうした措置に伴って生じるさまざまな課題に対しては、政府としても責任を持って対応してまいりたい、このように思いますし、今委員がおっしゃったように、それぞれの地域、学校において事情が違うわけでございます。ですから、基本的な考え方として私はお示しをさせていただいた。

 いわば、ここ一、二週間がまさに正念場だという専門家の判断の上に、この三月の二日からというお話をさせていただいておりますが、これは基本的な要請でございまして、いわば、各学校等あるいは地域においてそれは柔軟に御判断をいただきたい、このように考えております。

階委員 基本的な考え方というのであれば、もうちょっと言い方をマイルドにしてもよかったのではないかと思いますし、逆に、本当にこういう全国一律で、しかも緊急にやる必要があるというのであれば、立法府である我々国会が、与野党共同して特別法をつくって、休校に関する定めなども盛り込んだ新たな立法をすべきではないかと思うんですが、行政権としては、いささか、今回の要請するというような言い方については、私は、ちょっと立法府との関係で問題があるのではないかと思っております。

 法案を出して、法律を国会で議論して成立させた方が現場の混乱も少ないと思われますし、実効性も高まると思います。改めて、休校の点も含めて法律で手当てするべきではないか、この点について見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 先ほども答弁をさせていただいたのでございますが、いわば、この感染が大きく拡大していくかどうかという、まさに正念場にある、瀬戸際にある、そういう判断を専門家の方々がされたということ、それが二十四日でございます。

 ですから、そういう判断をされたのが二十四日でございますから、ここ一、二週間ということであれば、我々、余り時間を、それは、今委員が言われた形でやっていくという方法もあるんだろうと思いますが、しかし、この一、二週間が瀬戸際であり山場、正念場だという中において、我々、判断をしたところでございました。

 そういう中におきまして、北海道や千葉県市川市や大阪府、大阪市及び堺市など各地域において、学校休業を行うなど、子供たちへの感染拡大を防止する努力がなされているという中においては、これは、その限られた期間の中で行う上においては、我々行政府において責任を持ちながら、もちろん都道府県ともよく実施面においては相談をしながら実施をしていきたい、こう判断をしたところでございます。

階委員 現場の柔軟な対応を許容するのであれば、私はもっとマイルドな表現にすべきだったと思いますし、逆に、緊急の必要性があるのであれば、国会では毎日コロナの議論をしていますし、今、実際、国会開会中なわけですから、こういう場合は、一日、二日でも立法ができる。選挙の延長の法案を東日本大震災のときに我々通しましたけれども、あのときは本当に短い期間で通していますよ。だから、急ぎでやるからといって行政府だけでやるというのは、国会は国権の最高機関で唯一の立法機関であるから、国会との関係でもっと配慮が欲しかったということを申し上げます。

 こういうともすれば国会を軽視する姿勢、安倍政権はこのところ顕著になっていると思いますよ。検察官の定年延長にしてもしかりですし、自衛隊の中東派遣もそうです。

 きょう、時間の関係でカジノの問題だけ取り上げますけれども、このカジノの問題について、先ほど財務大臣らと議論しました。脱税の温床にならないようにするためにGGRの計算方法などをきちんと定めるべきではないかということを提案しましたが、今のところまだ曖昧です。そうした脱税など、あるいは他の汚職事件など、検察がきちんと捜査できるのかということが、今、国民の間に疑念が広がっているわけであります。

 とりもなおさず、黒川検事長の定年延長、政権に近い人物を優遇したのではないかという中で、政治に対する捜査権、訴追権の行使が手を抜いてしまわれるのではないかという疑念が広がっているわけですけれども、こうした検察官の人事について、私は、見直すべきだ、これをやらなければやはりIRというようなことは認められないと思いますけれども、検察官の人事について、検察への信頼を取り戻すために見直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 黒川検事長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定をされたわけでございまして、引き続き勤務させることとしたものでございます。

階委員 繰り返しになりますが、立法府の尊重ということを総理にはぜひお願いしたいですし、今回のような方針変更、これは私は、緊急事態には方針が短期間で変わるということもあり得ることだと思っていますが、そうであるならば、IRについても、これだけさまざまな疑念があり、そして、国民の間からは、このままの状況ではIRを設けるべきではないという声が圧倒的、世論調査の多数の声ですから、これは凍結すべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 新型コロナウイルス対策について、安倍晋三総理大臣に質問をさせていただきます。

 二月二十五日に公表された対策本部の基本方針では、患者、感染者との接触機会を減らす観点から、企業に対して発熱等の風邪症状が見られる職員等への休暇の勧奨、テレワークや時差出勤の推進等を強力に呼びかけ、翌日、官邸は、大々的にイベントの自粛を求めました。京セラドームではEXILEのコンサートが中止になりましたし、東京ドームではPerfumeのコンサートが中止、あすからディズニーランドも臨時休園ということだそうです。

 経営体力のある大企業だとかそういうところは、政府の休暇の勧奨について自主的に対応できるかもわかりませんが、多くの中小零細業者には、私、どだい無理な話だと思うんですね。やはり政府がきめ細かな対応をしなければ、労働者が休めないどころか、倒産、廃業の危険も迫ると思うんです。

 そこで、例えば、中小企業で働く非正規労働者、それからアルバイト、一人親家庭、こういう方々も安心して休める環境をつくることが大事だと思うんです。

 総理は、この一、二週間が極めて重要な時期だというふうに繰り返し述べられております。だったら、政府が休める環境を保障するということが大事だと思うんですよね。

 例えば、リーマン・ショックだとか東日本大震災のように、起こったことに対して対応する、支援するということではなくて、今度は、そういうことが起こらないようにという、事前にですね、自粛を求めるという対策という観点から、私は質の違う対応が今求められているというふうに思うんですね。

 そういう点では、今言いました、中小企業で働く方々あるいは非正規労働者、アルバイト、一人親の方々に行き届くような対策が必要だと思うんですが、安倍晋三総理大臣の御所見を伺います。

安倍内閣総理大臣 まさに委員がおっしゃったように、中小企業あるいは小規模事業者の方々、あるいはそういうところで働く方々等の、また派遣の方々とか、そしてまた一人親家庭の方々に対する対応は当然必要であり、政府として、そうした課題についてしっかりと責任を持って対応していきたいと考えておりますが、先般取りまとめた緊急対応策では、中小・小規模事業者の休業などに対応するため、資金繰り支援や雇用調整助成金を活用した雇用対策を盛り込むとともに、テレワークの実施に必要なIT導入に対する補助金も用意をしたところでありまして、第一弾として、当面緊急に措置すべき対応策を講じております。

 さらに、今後とも、必要に応じて適切な対策を講じることにより、中小・小規模事業者の皆さんも含めて国民が一丸となって感染拡大の防止に向けて取り組めるよう、環境整備に努めていく考えでございます。

清水委員 中小企業の資金繰りの話なんですけれども、先日の対策で、事業者の資金繰りを五千億円規模で徹底的に支援することを決められましたが、実はどれも通常の金利と変わらないんですよね。

 日本政策金融公庫のセーフティーネット貸付けだと、中小企業事業は一・一一%、それから国民生活事業、これは小規模零細ですが、一・九一%と、いずれも基準金利の適用なんです。

 今、深刻な業況悪化に見舞われている旅館業それから飲食業向けの衛生環境激変特別貸付ですか、これでも、基準金利は一・九一なんですよね、通常と変わらないんです。

 今、大企業はマイナス金利で資金調達する時代に、やはり金利が高いという声が上がっております。これでは、資金を借りてまで政府の自粛要請に対応したいという中小企業は、私、ちゅうちょすると思うんですよね。一、二週間が大事だと言っているときに、ちゅうちょしている暇ありますか。私はないと思います。

 そもそも、財政投融資から借り入れる際の今の調達金利、私、調べました。貸付期間十年以内で、何と〇・〇〇三%なんですよ。〇・〇〇三%。それを一・九一で貸すというわけでしょう。私、これが本当に適当なのかなと言わざるを得ません。

 このことを考えれば、今回の対応では、貸付金利を例えば〇・一%ぐらいに思い切って大胆に引き下げて、中小零細企業がちゅうちょすることなく政府の自粛要請に踏み切ることができる、そういう支援が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先般の緊急対応策では、当面の緊急的措置として五千億円規模の枠を確保し、そして新型コロナウイルス感染症の影響について、これまで自然災害時にも活用してきたセーフティーネット保証、そしてセーフティーネット貸付けの対象としたものであります。

 同時に、世界的に感染の広がりが見られ、インバウンドの減少やサプライチェーンを通じた影響も拡大していることなども踏まえ、今後とも、中小・小規模事業者の皆さんに対して、政府として事態の状況変化に応じた万全の支援を行ってまいります。

清水委員 やはりインセンティブがないと自粛要請になかなか応えることができないと思います。万全の体制というふうにおっしゃったので、ぜひ、金利の優遇、真剣に検討していただきたいと思います。

 労働者の雇用を守ることも大切です。

 現在の政府の支援策にも盛り込まれている雇用調整助成金の特例は、中国関係の売上高などが条件となっております。自粛を求めた各イベントを見ても明らかなように、必ずしも中国が関係している場合とは限りません。影響を受けている業種は中国関連の事業に限定されないわけなんです。そういう点では、この雇用調整助成金の特例については、中国関連との条件というのをやはり外すべきではないかと思うんですが、総理の御所見を聞かせてください。

安倍内閣総理大臣 雇用調整助成金については、先般決定した緊急対応策の一環として、影響を受ける事業主を対象に支給要件の緩和等の特例措置を講じたところでありますが、日々刻々と変わる情勢の先を見据えて、必要な見直しに適時適切に取り組んでまいります。

清水委員 ぜひお願いしたいと思います。

 今、感染ルートが明らかでありませんから、必ず中国が関連しているというような限定もされませんので、そうした要件緩和、ぜひ決断していただきたいと思います。

 それで、総理、今、雇用調整助成金の特例の問題なんですけれども、実は、雇用保険被保険者でない、例えばアルバイトの方、こういう方には適用されないんですよね。今回、全国の小中高、一斉休校を求めて、その中には特別支援学校もあります。特別支援学校のお子さんを持つ一人親というのはいるんですよね。こういう方々が安心して休業できるようにするためには、こうしたアルバイト、非正規の方々もいわゆるこの雇用調整助成金の特例の対象にすることも、私、検討することが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回、先ほど申し上げました雇用調整助成金を活用した雇用対策など、必要な対策を直ちに実行しているところでございますが、加えて、派遣労働者、パートタイム労働者など、多様な働き方で働く方も含めて、休業手当や有給休暇などを活用しつつ、安心して休暇を取得できる環境を整えていただくことが重要であります。

 二十六日には、厚生労働大臣、経済産業大臣、国土交通大臣から、日本経済団体連合会等のトップの方々に直接要請を行っているところでございますが、今言われたような方々に対しても、しっかりと政府として責任を持って対応していきたいと考えております。

清水委員 よろしくお願いします。

 最後の質問です。

 実は、このまま新型コロナウイルスの感染が終息しない場合、例えば六カ月かかるという場合、関西経済は何と三千五百六十四億円もの損失をこうむるという試算も出ております。

 また、中小零細業者でいいますと、国民健康保険の方がおられますから、こうした国民健康保険料が払えず滞納するというケースも今後生まれてくるかもわかりません。

 その上で、総理は、今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で、先ほども言いました、この一、二週間が極めて重要な時期、今が勝負だということだと思うんですね。そう言われるのであれば、やはり、きょうあすにでも、中小企業での休暇の取得を積極的に活用できる環境をつくるために、ぜひ判断していただきたい。

 そして、きのうの対策本部でも、きょうも答弁でいただきました、前向きな答弁も多かったと思います。政府がこうして要請しているわけですから、私がきょう述べていない、新たに出てくる、日々新たに出てくる課題についてもしっかりと対応していただく、そのことを、決意を語っていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本の経済を、あるいは地域を支えているのは中小企業そして中小・小規模事業者の皆さんだろう、こう思っております。

 まさに国民一丸となった協力を得ることが不可欠であり、こうした観点から、先般取りまとめた緊急対応策にも中小・小規模事業者の皆さんへの支援策を盛り込んだところでございますが、今おっしゃったように、日々さまざまな課題が出てくると思いますので、そうした課題に対しても、政府が責任を持ってしっかりと対応していきたいと考えております。

清水委員 消費税が一〇%に上がったということもあり、売上げも下がったということもある、そこにこの新型コロナですから、やはりダブルパンチ、トリプルパンチになっています。

 ぜひ、中小零細業者、総理も中小企業は日本経済の屋台骨だというふうにおっしゃっていただいておりますので、そういうところが一軒も潰れることがないように、万全の対策を求めて、私の質問を終わります。

田中委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会・無所属の会の串田誠一です。

 今、学校休校に関していろいろな質問がありましたが、私は賛成したいと思っています。やはり子供の危険というものを考えた場合には、ちゅうちょない政治判断というものが必要だろうと思います。確かに、唐突であるというような批判もあるかもしれませんが、やはり子供の生命身体の安全というものを第一に考えるというのは必要ではないかなと思うんです。

 そのことを前提とした上で、フォローアップというのも必要なのかなと思います。学校休校になることによって給食がなくなるという意味では、勢いやはり外食というようなことになっていくんだろうと思います。

 そこで、提案なんですが、先ほど予算委員会でも、我が党の議員から軽減税率の適用拡大というのがありましたけれども、この外食に関して、店外なのか店内なのかによる軽減税率の区別というものを一時的に撤廃して、全て八%にする。これは、外食をすることになった家庭への支援でもあるし、今、外食産業は大変厳しい状況でもある。

 そして、一つ大事なのは、店内なのか店外なのかをファストフードなどで質問をするというような、会話というものをなるべく減らしていく、感染の機会をなるべく減らすということにもなるのではないかと思うんですが、これについて御検討いただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 軽減税率制度は、消費税率一〇%への引上げに伴う低所得者への配慮として、酒類、外食を除く飲食料品等を対象に実施することとしたところでありますが、その上で、消費税は、軽減税率が適用される飲食料品に係る分も含め、社会保障の充実、安定のための財源とされておりまして、全ての世代が安心できる社会保障を構築していくためにどうしても必要なものと我々は考えております。

 引き続き、消費税率引上げによる影響について注視するとともに、今般の新型コロナウイルス感染症が景気全体に与える影響に対しては、先般、経済の下押しリスクに備えて策定をした総合経済対策を着実に実行することで、適切に対応していきたいと思います。

 その上で、第一弾として先般取りまとめた緊急対応策にとどまらず、必要な対策をちゅうちょなく実行し、飲食業も含めた国内企業等への影響に対しても順次必要な対応を実施していきます。

 ここで食べていかれますか、お持ち帰りですかというこの会話を減らすことについての、これは効果がどうかということなんだろうと思いますが、我々としては、この軽減税率制度については今の形を維持させていただきたい、このように考えております。

串田委員 正しい手の洗い方とかせきエチケットとかいうのは、かなり浸透されてきて、子供たちも実践しているんじゃないかなと思うんですけれども、給食がなくなることによって外食をする機会がふえるという中で、例えばレストランに行ったときに、たくさんの人が使い回すものを手にとる機会というのが一つあるんですね。これはメニューなんですよ。

 これは、店員が、ファミレスなんかもそうなんですが、お客さんのところに、つるつるの、一番コロナがつきやすいメニューを持ってくるわけですね。そのメニューを見ながら注文するわけですから、飛沫もくっつくわけですよ。そのくっついたメニューを店員がまた素手で持ち帰って、別のお客さんにそのメニューを渡すわけです。

 そして、次に、その飛沫のついているメニューを手にとって、唯一手で食べるものがあるんです。パンなんですね。メニューを手にとって、コロナが感染しているかどうかはともかくとして、それで、その手で、今度はパンをちぎって口に入れるわけですよ。

 私は、そういう意味で、メニューというのは大変危険なものではないかなと思っています。

 メニューを見た後に手を洗いに行くという機会を、私はやはり政府も広報していく必要があるんじゃないかなと。これは、今、予算委員会でも、接触したかどうかとか、そういうようなことがあります。エレベーターでくしゃみをしたとか、あるいは満員電車というのがありますけれども、まだ口に運ばないんですね。ただ、メニューだけは、一日じゅういろいろな人が手にとり飛沫がくっついている。その手でそのままパンをちぎって子供は食べるわけですよ。その機会が、今回、給食がなくなることによってふえる。これはやはりフォローアップはしていかないと、全国で毎日のように行われる、非常に感染が高いことではないかな。

 先ほどちょっと、なるべく会話を少なくするというのも含めて、今、一、二週間が正念場という意味で、休校するわけですから、給食がなくなって外食がふえるという部分の中で、こういったような危険な部分というものもちゃんと告知をしていくということが私は必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 専門家などによる知見によれば、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、せきやくしゃみ等がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされておりますが、御指摘の、店舗等による対応がこれに該当するかどうかということでございますが、今お話を伺っていると、該当するかもしれないと。私、しかし、素人でございますので、専門家の皆様の御判断もいただきたいと思いますが。

 今御質問をいただき、直ちに一律に判断することは難しいところでございますが、政府としては、引き続き、感染拡大防止のために必要となる対応について、専門家の意見もお聞きをしながらお示しをしていきたい、このように考えております。

串田委員 ファミレスのメニューなどは本当につるつるした、コロナがつきやすいものをそのまま店員とお客さんが受け渡していくわけですよ。そして、サラダのドレッシングは何にしますかとか、コーヒーは後でとか、そのメニューを見ながらもう非常に近い状態で話すものですから、飛沫もいっぱいついているんだと思うんですね。その手でパンをちぎって食べて口に入れるということですから、私はこれは広報をしっかりとしていただきたいというふうに思っています。

 次に、今回、財務省が、一人親家庭の支援ということで法案が出されました。昨年の予算委員会でも安倍総理に質問させていただいた、共同養育、子どもの権利条約なんですが、恐らく、安倍総理が一番この問題についていつも心を痛めているのではないだろうか。昨年のG20では、マクロン大統領やコンテ首相からも、この共同養育と連れ去り問題についていろいろな話合いがなされていたと聞いております。

 子どもの権利条約というのは、一九九四年、連立内閣のときに批准し、そして連立内閣が三代続いて、非常にそういう意味で放置されてしまっている条約なんですね。非常にそういう意味では手につきにくい政権の中で、安倍総理が初めてこの件に関して本格的に取組を検討させるという話をしていただきました。

 この共同養育というのは、今、日本は世界でまれに見る単独親権なので、離婚のときには一人の親権者を強制的に、押しつけると言っていいと思うんですが、世界的に言うとそういう言い方になると思うんですが、一人親家庭を国がつくってしまっているのではないかという側面が私はあると思うんです。国が一人親家庭をつくってしまって、そしてそれを支援するのではなくて、一人親家庭をつくらないようなところに予算を費やしていくということが私は必要なんだと思います。

 ただ、条約を批准して二十六年間たちました。これを、なかなか、世界標準にしていくのは本当に大変だと思うんです。その中で、そこの難しいものに果敢に挑戦をしていただいている安倍総理に対して私は大変敬意を表したいと思っています。

 そういう意味で、今、世界からかなり批判されている。二月五日には、フランスの上院議員が、満場一致でこの国内の連れ去り問題について非難をして、日本国内でも大変そういう意味でつらい思いをしている方もいらっしゃるんです。

 今回の法案は、未婚の親もいる、死別もいる、そして虐待だとか暴力から逃げている一人親もいる、これについては本当に大事な法案だと思います。ただ、一方で、やはり世界的に非難されている、連れ去って一人親家庭になっているというものが混在した中でこの法案がつくられているという意味では、世界から非難されない誇れる国に私は安倍総理にしていただきたいというふうに思っておりますので、子どもの権利条約への取組、安倍総理にお伺いをして、終わりにしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この共同親権の問題について委員がずっと取り組んでおられることには敬意を表したいと思います。

 児童の権利条約は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために締約国が最善の努力を払うことを規定したものでありますが、我が国では、監護を行わない親が養育費の支払い義務を負っているなど、父母が共同の責任を有するという原則を確保するための措置はとられており、我が国の現状が児童の権利条約に違反しているものとは考えてはおりません。

 他方、父母の離婚後も父母の双方が適切な形で子の養育にかかわることは子供の利益の観点から非常に重要であると考えております。

 父母の離婚後の子供の養育のあり方については、現在、法務省等において検討をしていると承知をしております。

串田委員 大いに期待したいと思うんですが、諸外国は、共同親権もあるし単独親権もあるし、その過程において細かく丁寧に扱っている。日本は、唯一、単独親権だけしかないという意味で、そこら辺の部分、大変かとは思いますけれども、ぜひお願いをして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規です。

 立憲・国民・社保・無所属フォーラムの共同会派を代表し、政府提出の所得税法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 まず、新型コロナウイルスの流行によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、感染された方々に謹んでお見舞い申し上げます。

 また、医療従事者、厚労省等の関係省庁始め全国の関係各所で精力的に働いておられる皆様に心より感謝申し上げます。

 また、委員会の質疑で我々が求めていた、国税の確定申告について、四月十六日まで一カ月の延長が決まりました。国税庁職員の御協力にも感謝いたします。

 新型コロナウイルスの問題が発生した現在、税収の下振れ、経済への深刻な悪影響が懸念されます。その観点から、税制の機動性が求められる局面も想定されますので、速やかにかつ適切な政府の対応を要求します。

 税制は、古来より社会全体の根幹です。その資源配分は政治そのものです。未曽有の少子高齢化社会の真っただ中では、大胆で斬新な税制を通じ、現在の社会を再創造していかなければなりません。

 その観点からは、今年度の税制改正案は、消費税、所得税や金融税制で大胆な見直しもなく、近年にない小粒の税制改正となっています。

 さらに、消費税については、中小零細事業者や税務職員が軽減税率をめぐってその膨大な会計実務処理に困っている中、改善をするような消費税の改定にも何ら踏み込んでいません。

 法人税については、ベンチャー企業への投資額の一定割合を損金算入する制度が盛り込まれましたが、益金法人にしか響きません。

 また、膨大な大企業の内部留保をこのまま放置しておくことが日本経済や国民生活にとってよいのかどうかという課題に対しても、何らの方向性も出していません。

 また、金融課税については、国民の格差是正の観点から、売却益への課税強化を求める声が強くなっていますが、何らの改正も行われていません。

 NISA等の拡充は盛り込まれましたが、老後の資金が二千万円不足する問題や世代間格差の問題などは解決されていません。

 所得税については、未婚の一人親世帯も寡婦控除の対象となり一歩前進しましたが、子供の人数の差異に対する必要な対応や多様な家族のあり方を支える観点からは、原案は不適当と言わざるを得ません。

 最後になりますが、ことしこそ、日本人の格差是正や新時代の要請に応えるべく、税制による所得再配分機能や機動的な変革機能を強化して抜本的な見直しを行うべきであったのに、いまだにその議論を避け、その場しのぎの対応をとってきたのが今回の小粒の税制改正だったと言わざるを得ないということを申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 私は、日本共産党を代表して、所得税法等の一部を改定する法律案に反対の討論を行います。

 財務省自身が作成した資料により、資本金が多い企業ほど租税特別措置や配当益金不算入などの優遇税制の適用割合が大きくなることが判明しました。二三・二%の法人税率に対して、資本金百億円を超える大企業の実質負担割合は一三%にすぎないのであります。営業利益が伸びても税負担はふえない。余りにも不公平です。

 本改定案はこうした大企業に対し更に優遇措置を講ずるものであり、反対します。

 ベンチャー企業への投資を促進するオープンイノベーション減税が創設されました。しかし、企業は、利益になると判断すれば、減税制度がなくともみずから投資をするのです。十分な投資余力のある大企業にこれ以上の政策減税を行う必要は全くありません。

 5G導入促進税制は大手通信キャリアへの大きな減税策となりますが、各社とも既にほぼ寡占状態の携帯事業で巨額の利益を上げており、早期整備を促すためとはいえ、財政投融資を使った低利の貸付けに加え、更に減税まですることには反対です。

 今回、ソフトバンクグループが利用した租税回避手段について、防止する措置がとられました。しかし、これだけでは不十分です。大もとにある、外国子会社からの配当等益金不算入制度こそ廃止すべきです。政府は、二重課税を防止するために必要な措置だとしていますが、子会社の所在地国の税率が日本国内よりも低い場合、その差額は課税されず、合法的な税逃れの手段として利用されているのが実態です。

 研究開発減税や連結決算納税制度など、大企業優遇税制は正すべきです。

 企業版ふるさと納税の延長と拡充は、自治体に行った寄附について税の軽減効果を九割に引き上げるものであり、企業と自治体の癒着を生み出します。既に東京電力が原発立地自治体でこの制度を利用している実態を見ても明らかです。

 今回の見直しで、非婚、離婚、死別を区別しないひとり親控除が創設されたことは前進です。しかし、国会で最初に我が党の簑輪幸代議員が要望してから三十九年。余りにも遅過ぎたと言わなければなりません。また、寡婦控除については、男性や非婚の女性に適用されないケースが残存することとなり、全面的な解決が求められていることを指摘しておきます。

 以上、賛成できる内容はあるものの、全体として、大企業を優遇し、さらなる法人税の空洞化をもたらすものである本改定案には反対をいたします。

 今こそ、低迷する日本経済と国民生活を立て直すために、政府は直ちに消費税五%への減税を決断するよう強く申し上げて、討論といたします。(拍手)

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会の青山雅幸です。

 会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案の主要と思われる点について討論をいたします。

 まず、個人所得課税です。

 未婚の一人親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直しについては、性別にかかわらず子育てを応援していくものであり、時代の要請に応じていく改正として評価できるものでございます。

 ただし、世界的に間違いなく主流となっている共同親権制度を我が国にも導入してこそ、子供の貧困や虐待を防止することになるという指摘もなされているところであり、そういったそもそも論的な考えについて、次のステップの政治課題として与野党ともに意識し取り組んでいただくことも必要であることを強く申し添えさせていただきます。

 次に、NISA制度の期間延長を柱とする改正についてであります。

 この改正は地味に見えるものでありますけれども、実は極めて深い意義があるものと考えられるところです。

 欧米諸国と比べ、直近の十年間、日本人の金融資産は余り成長していません。アメリカはこの十年間で二・七倍、イギリスは二・三倍にふえているのに対して、日本は一・四倍と、厳然たる格差が生じています。その理由の大きなものが、運用リターンの低さです。アメリカのそれは実に二倍であるところ、日本は一・二倍にとどまっております。

 その原因の一つが、金融抑圧政策、マイナス金利政策下において、預金金利がほぼゼロとなっている昨今においても、金融資産の運用先が現預金に半分以上当てられている現状があります。日銀や政府の金融政策に関する努力にもかかわらず、GDPの伸び率が芳しくなく、実質賃金も伸び悩んでいる現状、並びに、二〇五〇年に向けて、六十五歳以上人口が今の三割から四割に増大し、十五歳から六十四歳の人口が逆に六割から五割に減少する未曽有の高齢化社会を迎えようとしている今、さきに示された年金に関する将来見通しのうち、予想される有力なシナリオは、現役世代の収入の四割程度の年金収入しか得られないという厳しい未来です。

 さきの国会で話題になった年金二千万円問題は、行政庁が国民に率直な現実を提示したものでありましたけれども、残念ながらこの問題は政争の具となり、政治的課題として正面から取り上げられませんでした。

 今回のNISA改正における期間延長は、将来への現実解の一つであります。もちろん、投資にはリスクもつきものですが、長期、分散投資は危険を分散し得るものであり、つみたてNISAは買い付け手数料がゼロの積立てに適した投資信託も用意されており、間接的ながらも国民の未来への選択肢を広げるものと言えます。

 法人課税に関する租税特別措置に関しては、将来への成長に直結し得るものに絞って行うべきであり、特に消費増税という国民の皆様に負担をお願いしたばかりの現在において、不公平感を払拭するためにも、必要かつ最小限のものにすべきであり、そういった観点からは、今回の改正はぎりぎり合格点というものであるでしょう。

 以上をもちまして、所得税法の一部を改正する法律案について賛成の討論とさせていただきます。(拍手)

田中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより採決に入ります。

 所得税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、津島淳君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 高水準で推移する申告件数及び滞納税額、経済取引の国際化・広域化・高度情報化による調査・徴収事務等の複雑・困難化、新たな経済活動の拡大に加え、軽減税率制度の実施をはじめとする税制改正、社会保障・税一体改革への対応などによる事務量の増大に鑑み、適正かつ公平な課税及び徴収の実現を図り、国の財政基盤である税の歳入を確保するため、国税職員の定員確保、職務の困難性・特殊性を適正に評価した給与水準の確保など処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を払うこと。

   特に、社会的関心の高い国際的な租税回避行為、富裕層への対応を強化し、更には納税者全体への税務コンプライアンス向上を図るため、定員の拡充及び職員の育成等、従来にも増した税務執行体制の強化に努めること。

 二 新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を踏まえ、確定申告等の税務事務における適切な対応、国税職員の健康管理の徹底等、感染拡大防止に万全を期すとともに、税収など経済への影響を注視し、必要に応じ迅速かつ適切な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨に沿って配意してまいります。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.