衆議院

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第15号 令和2年5月12日(火曜日)

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令和二年五月十二日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      勝俣 孝明君    門山 宏哲君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    武井 俊輔君

      辻  清人君    古川 禎久君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      山田 美樹君    海江田万里君

      川内 博史君    岸本 周平君

      櫻井  周君    階   猛君

      野田 佳彦君    日吉 雄太君

      森田 俊和君    石井 啓一君

      清水 忠史君    青山 雅幸君

      美延 映夫君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         菅原  希君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   茶谷 栄治君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    可部 哲生君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田島 淳志君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行理事)     衛藤 公洋君

   参考人

   (日本銀行理事)     吉岡 伸泰君

   参考人

   (日本銀行理事)     内田 眞一君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         里見  晋君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     務台 俊介君

  櫻井  周君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     石崎  徹君

  川内 博史君     櫻井  周君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、理事衛藤公洋君、理事吉岡伸泰君、理事内田眞一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁監督局長栗田照久君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官覺道崇文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 去る令和元年十二月十七日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁黒田東彦君。

黒田参考人 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。

 まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。

 世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行の影響により、急速に落ち込んでいます。各国・地域で、外出・出入国制限などの感染拡大防止策がとられている結果、グローバルに経済活動が大きく制約されています。IMFの最新の世界経済見通しでは、二〇二〇年の世界経済成長率はマイナス三・〇%と、リーマン・ショック時を超える大幅なマイナス成長が予想されています。

 我が国の景気も、内外における感染症拡大の影響から厳しさを増しており、先行きも、当面、厳しい状態が続くと見られます。物価も、当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むと見られます。その後、内外で感染症拡大の影響が和らいでいけば、ペントアップ需要の顕在化や挽回生産が予想されることに加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、我が国経済は改善していくものと考えられます。物価も、徐々に上昇率を高めていくと見られます。もっとも、先行きの経済、物価の見通しは、感染症の拡大が収束する時期や内外経済に与える影響の大きさによって変わり得るため、不透明感が極めて強く、下振れリスクの方が大きいと考えています。

 この間、内外金融資本市場では、二月下旬以降、投資家のリスクセンチメントが悪化し、急速に不安定化しました。各国の政府、中央銀行が迅速かつ積極的な対応をとった結果、金融市場はひところの緊張が幾分緩和していますが、流動性は低下しており、引き続き神経質な状況にあります。また、我が国の金融システムは全体として安定性を維持しているものの、金融環境を見ると、企業の資金繰りが悪化するなど、企業金融面で緩和度合いが低下しています。

 次に、金融政策運営について御説明申し上げます。

 日本銀行では、こうした経済金融情勢のもとでは、企業等の資金調達の円滑確保と金融市場の安定維持が、まず大事なことと考えています。こうした観点から、三月及び四月に、金融緩和を強化しました。具体的には、資金調達の円滑を確保する措置として、CP、社債等の買入れの増額や、金融機関の貸出しを促すための新たな資金供給手段である新型コロナ対応金融支援特別オペの新設、拡充などを決定しました。また、金融市場の安定維持の面では、第一に、ドルオペの拡充、第二に、ETF、J―REITの買入れの積極化、第三に、国債のさらなる積極的な買入れの三つの対応を行っています。

 これらの措置は、既に大規模に実施しており、一定の効果を発揮していると考えています。引き続き、これらの措置をしっかりと実施していくことで、資金調達の円滑確保と金融市場の安定維持に貢献していく方針です。また、緊急事態宣言が発出されたもとで、日本銀行は、感染症の拡大防止のために業務の一部を縮退しつつも、指定公共機関として、金融機能の維持と資金決済の円滑確保といった、中央銀行として必要な業務を継続して行う体制を整備しています。今後も、国民生活に不可欠な中央銀行業務をしっかりと遂行していく考えです。

 日本銀行による強力な金融緩和措置は、感染症拡大への政府の各種対策や各国の政府、中央銀行によるさまざまな対応と相まって、金融経済活動の下支えに貢献するものと考えています。

 その上で、日本銀行としては、当面、感染症の影響を注視し、必要があれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる考えです。

 ありがとうございました。

田中委員長 これにて概要の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 おはようございます。自民党の武井俊輔でございます。

 では、早速質問させていただきますが、今総裁よりも御説明があったわけですけれども、今、本当に全てが、このコロナの対策をどういうふうにしていくか、それはそれぞれのお立場で、与党、野党、専門分野、それぞれある中で臨んでいくわけでありますけれども、きょうもテレビなどを見ておりますと、少し何か、ピークは越えたんじゃないかとか、少しまた動き始めるんじゃないか、もちろん外形的にそういう部分というのはあるわけですけれども、やはり、今まで痛んでいること、そしてこれからどうなるかということも改めて考えるわけでありまして、ちょっと、ある言葉を思い出すわけであります。

 私は、歴史が好きなものですから、いろいろ幕末なども非常に大好きなんですが、坂本竜馬とか西郷隆盛とかいろいろな人がいるんですけれども、小栗上野介という人を大変尊敬しております。幕府の最後の家臣だったんですが、最後、徳川慶喜にいろいろな献策をするんですけれども、入れられずに幕府をやめて、最後、新政府に殺されてしまうんですけれども、小栗上野介の言葉で、一言で国を滅ぼすのはどうにかなろうの一言だ、幕府が滅亡したのはこの一言だというようなことを最後に言ったというふうに言われています。本当にどうにもならないんだ、どうにかなると思っているとこれは絶対国が潰れてしまう、まさに今、そういう状況にあるんだろうなということを考えるわけであります。

 今のそういう状況を踏まえて、きょうは御質問を進めていきたいというふうに思います。

 早速ですけれども、先ほどのお話も踏まえまして御質問いたしますが、四月の二十七日の金融政策決定会合におきまして、先ほど総裁からもお話がございましたけれども、中小企業を含めた民間部門の資金繰りがより行いやすくなるように、新型コロナ対応金融支援特別オペレーションということで、一層の拡充を図っていただいているわけであります。

 その中で、主にちょっと注目したのは、系統の金融機関を含めていくというお話がありました。具体的には信用組合とか農協等が対象になるわけでありますが、特に農業について、私は宮崎県なんですけれども、大変な農業県でありまして、非常に、影響は物すごく大きいんですけれども、どうしても家賃とかに比べて、なかなか取り上げられにくいところというのはあるんです。

 今、ちょうどマンゴーの季節だったりもするんですけれども、ちょうど十年前は、口蹄疫という牛の病気が私ども宮崎県は蔓延をしておりまして、当時は東国原知事でございまして、私は県会議員をしておったんですが、さまざまな対応をしておりました。

 もう過去のことですから、いろいろと蒸し返してということは申しませんが、当時、鳩山総理が宮崎にお越しになって、全力で対応しますということをおっしゃって、そうか、時の総理が来て全力で対応すると言えば何とかなるかなと大変期待をしたら、翌日に辞任をされるという大変なことがございまして、私がこれは国政に行って何とかせないかぬと思ったのはまさにそのときであったわけですが。

 ただ、宮崎の人たちに聞くと、このときよりもやはり今回は厳しいと。あのときも全く町が死んでしまっていたわけですが、我々今帰ることができませんので、やはりあれ以上の状況なのかということを改めて厳しく思い返しているわけであります。そういう意味でも、農業の支援というものをこれからどういうふうにしていくかということは非常に重要だと、畜産を含めてですけれども、思うわけです。

 そういう中で、この新しい特別オペで、そういった農協等の拡充をしていくということの話があったわけでありますけれども、まず、具体的に、これは日銀から農中に行って最終的には単協に流れていくということになるんですけれども、じゃ、農中から実際にどういうオペレーションでお金が回っていくといったようなフローになっているのか、確認をしたいと思います。

内田参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、日本銀行では、四月の金融政策決定会合におきまして、農協など日本銀行の非取引先であります系統会員金融機関につきましても、各系統の中央機関を通じまして、新型コロナ対応金融支援特別オペを利用できる仕組みを導入いたしました。

 具体的に申し上げますと、この枠組みでは、例えば、まず農協の場合ですと、農協の系統中央機関であります農林中央金庫がまず日本銀行から資金を借り入れます。その資金を使いまして、農林中央金庫が制度を利用する農協に対して日銀からの資金と同じ条件で貸付けを行うという仕組みになっております。

武井委員 ありがとうございます。

 やはり大事なことは、これが、農協の取引先、具体的には個別の農家でありますとか農業従事者でありますけれども、そういう人たちの資金繰りもきちんと楽になっていくといったようなことになっていかないといけないわけでありまして、しっかりとそのお金が流れていくということが必要なわけでありまして、そういう意味でも、この取組が個々の農業者にとって安心につながる必要があるというふうに考えるわけです。

 そういったようなメッセージ、その安心感をどういうふうに醸成をしていくのか、そしてまた、これはいつから具体的にワークして利用可能になっていくのか、お伺いしたいというふうに思います。

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、新型コロナ対応金融支援特別オペというものは、金融機関がその取引先に対し必要な支援を行うことを促すために、日本銀行から金融機関に対して有利な条件で資金提供を行うものであります。

 このため、制度を利用する農協の取引先の資金調達の円滑確保にも当然資するものと考えておりまして、それが農協の取引先の農家あるいは農業従事者の資金繰りを助けるということになるというふうに考えております。

 この仕組みは、系統中央機関及びその会員の金融機関における所要の準備が整い次第速やかに実施するということになっております。

 日本銀行といたしまして、この制度自体既にできているわけでございますので、できるだけ早期に、農林中金から系統の金融機関である農協、そして農協から実際の農業従事者、農家に資金繰り支援が行くということを強く期待しております。

武井委員 ありがとうございます。

 これはやはり農中の役割も非常に重要であるわけですね。ですから、できるだけきちんとそこがコミュニケーションをとって、日銀からも、そういったようなオペレーションを極力スムーズにするようにということは、よくお願いといいますか、強くそういったような形で要望していただきたいというふうに思います。

 やはり、非常にさまざまな経営の不安はひとしくあるわけで、こういったようなことが農業者の皆さんの営農意欲の回復また継続につながることを期待したいというふうに思います。

 続きまして、日銀は、今もお話もございましたが、この緊急経済対策で貸出しを促進をするために、金融機関への新たな資金供給の手段ということを検討されているということでございますけれども、これもいつごろまでに導入をされると理解したらよろしいか、お伺いします。

黒田参考人 これは、基本的に、こういったことをやろうということをさきの金融政策決定会合で方針を決めたわけでございますが、新たな資金供給手段に関する制度の詳細、これは政府が、緊急経済対策によって、そのもとで貸出しを促進する制度をつくって、政府関係金融機関であれ、地方であれ、保証協会であれ、さまざまなところを活用して、緊急経済対策の一環として資金繰り支援を中小企業等に対して行おうということでありますので、その詳細を踏まえて、日本銀行として、成案が得られ次第金融政策決定会合で決定していくということになりますので、次回六月の決定会合を待たずに制度を決定、実施していくことを視野に入れて、今鋭意検討を進めておりまして、そう時間がかからずに決定できるのではないかというふうに期待をしております。

武井委員 大変心強いお言葉をいただいたわけでありますが、本当に、非常に時間が限られている、まさにもう何とかならない状況が今あるわけですので、ぜひ早目に、またリーダーシップをとって、より一層発揮していただいて、お願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、金融庁等に何問か質問してまいりますので、総裁にはまた後ほど、最後に総括的にまた御意見を伺いたいというふうに思います。

 きょうは金融庁にも来ていただいておりますが、金融庁は、中小企業も含めた民間部門の今の資金繰りについてどういうふうに認識をしているのか。特に、民間企業への金融機関の融資への姿勢ですね。非常に努力はされているということは理解しておりますけれども、やはり現場のキャパシティーの問題等も含めて非常に課題があるわけですけれども、現在、こういったような取組をどのように認識をして対策を講じてきたのか。そしてまた、今、先ほど総裁よりもお話がございましたが、この日銀の取組をどういうふうに評価して、これがどういう効果につながっていくというふうに考えているか、お伺いをしたいと思います。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、事業者の方から資金繰りに関する不安の声が非常に多く寄せられているということを踏まえまして、金融機関に対しましては、事業者の業況や当面の資金繰り等についてきめ細かく実態を把握すること、既往債務の返済猶予等の条件変更について迅速かつ柔軟に対応すること、新規融資につきましても、事業者のニーズに迅速かつ適切に対応することなど、事業者の資金繰り支援についての要請を繰り返し行っているところでございます。

 こうした要請を踏まえまして、金融機関の取組を確認したところ、中小企業に対する条件変更等の実行率は、三月におきまして九九・七%となっております。また、中小企業への資金供給のため、三営業日以内で融資判断をするとか、一年間の元金据置き、期限延長を実施するといった好事例もあらわれてきております。

 こういうふうに、事業者に対する資金繰り支援については、金融機関でいろいろ工夫をしていただいているものと承知しております。

 さらに、日本銀行におきまして、民間金融機関による実質無利子無担保融資も踏まえた資金供給手段について公表されておりますけれども、こうした取組は、政府として強力に推し進めております事業者の資金繰り支援を更に後押ししていただくものであるというふうに理解しておりまして、こうした取組などを踏まえまして、金融機関が事業者の資金繰り支援に万全を期すことを期待していきたいというふうに考えております。

武井委員 ありがとうございます。

 もちろん、マイナス一%の金利とか、いろいろな政策の中で努力していただいていることはわかっていますが、話を聞きますと、結構メガバンクは時間がかかるけれども、信金はちゃんとしてくれるとか、いろいろ銀行によっての事例もさまざまにあるようですから、ぜひ、そういった好事例みたいなものをきちんと、業界の中といいますか、横展開できるようなことも金融庁としてイニシアチブをとってやっていただきたいというふうに思うんですが。

 最近、結構夜中にメールが来たりとかして、なかなか経営が厳しいんだということを切々とお話しをいただく方がいらっしゃいます。特に、私はもともと観光業出身であったものですから、観光とか旅館、ホテル、あとバスとか、本当にそういうところが厳しい状況だということで、夜中にいろいろなお話をしたりすることもあるわけですが、特に、頑張ってきているけれども与信の枠がだんだん厳しくなってきているということ、そしてまた、やはり非常に彼らが怖がるのは債務者区分が下げられるということに対する怖さ、恐怖というのは非常に持っているわけですね。これはやはり事業継続のモチベーションに非常に大きくかかわる。これをやられたらもう次借りれませんよみたいな話に実質なるじゃないかと。

 これは、もちろん金融庁は、お話をすると、いや、これは民間の金融機関の判断することだからということなんですけれども、少なくとも今回のこれがなければ健全だったところが、これによって借入れを起こすことによって債務者区分が下げられるということは、基本的にはここは見直していかないと、もう借りないんですよね。やはりこういったようなことについては、きちんとメッセージを出していく必要があるというふうに考えますが、見解を求めます。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、金融機関に対しまして事業者の資金繰りを積極的に支援するよう繰り返し要請しているわけでございますが、その中で、金融機関における債務者区分あるいは与信判断につきましては、事業者の実情を踏まえた金融機関の判断を尊重することを要請文において明示しておりますし、金融検査におきましてその判断の適切性を否定しないという方針を明確にしております。

 金融機関におきましては、こうした点を踏まえまして、事業者の経営実態、将来見通しを幅広く勘案して与信判断を行っていただきたいというふうに考えております。

 また、こうした要請の趣旨が確実に浸透するよう、金融庁といたしましては、金融機関の対応状況につきまして、銀行法上の報告徴求ですとか特別ヒアリングなどを実施して実態を把握するとともに、現場の実情を踏まえ、必要に応じ繰り返し要請を行っていきたいというふうに考えてございます。

武井委員 通達が出ていることは十分承知をしているんですが、ただ、実態として、この債務者区分が下げられてしまうということがどれだけ事業者にとって恐怖なのか、どれだけそれがつらいことなのかというようなことはやはりよく認識をして、原則的には、これがなければ、このコロナがなければ下がらなかったといったようなところについては、原則維持をするぐらいのメッセージを出さないと、それが現場として伝わっていないからこういう話に今なっているわけですから、そこはよく、重く受けとめていただきたいというふうに思います。

 続きまして、政府等の緊急経済対策における信用保証つきの融資の件ですけれども、金融機関や実際利用している企業からはどういうふうにこれについて要望を聞いているのか、そしてまた、利用のしやすさの向上ということが必要なんですけれども、これについての対応、これについてもいろいろな声があるものですから、どういった対応であるとか、また今後の工夫、改善、こういったようなことについてどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 民間金融機関によります信用保証つき融資などの融資に関しましては、事業者の方からは手続の簡素化ですとか迅速な融資実行などの要望が多く聞かれてございます。

 こうした事業者の声も踏まえまして、民間金融機関による実質無利子無担保融資が始まります前の四月二十七日に、金融庁と中小企業庁との連名で民間金融機関に対しまして要請を行っております。

 その内容といたしましては、実質無利子無担保の融資制度に基づく迅速かつ適切な資金供給を実施すること、その際、各種手続を一元化すべく金融機関ワンストップ手続を推進すること、さらに、ゴールデンウイーク中も必要な店舗を開いて融資相談に応じることなどを要請したところでございます。

 こうした中で、金融機関が事業者にかわって必要書類の事前確認ですとか、市区町村、信用保証協会への代理申請などを行うなど、認定、申込手続の一本化、迅速化に向けた取組が進んできているものと認識しております。

 金融庁といたしましては、今後も引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら、このワンストップ手続の推進なども含めまして事業者へ迅速に融資が行われるように取組をしていきたいというふうに考えてございます。

武井委員 ありがとうございます。

 この無利子無担保融資、評価というか、非常に喜んでいただいているわけですけれども、先ほどもちょっとお話し申し上げたように、やはり金融機関とか、また、もっと言えば支店とかでも物すごく差があるんですね。ほぼ同じような事業内容のところでも、つまり事業者でも担当者によって違う、そういうのがありますから、ぜひ、そういった意味で、好事例みたいな、取組のいい点というのを、よく改善をしていただいて、少しでも早くなるような取組というものを引き続きお願いをしたいというふうに思います。

 それから、続きまして、きょうはちょっと総務省に来ていただいたんですけれども、今、大体五月は、皆様もそうかと思いますが、自動車税とか軽自動車税の納付期限を迎えているわけであります。生活が厳しい方、特に我々地方の人間からすれば、もう一家に一台どころか一人一台、みんな持っているわけでして、やはり今、十万円の定額給付金の話がありますと、まず、地方に行くと、何に使うかというと、大体、車の税金に使うという声が非常に多いんですね。生活が苦しくても、例えば車が家に二台あったらそれだけでもう十万円使ってしまうじゃないかみたいなような話も非常にあるわけであります。

 自動車税なんですけれども、ことしの五月の七日に、総務省の自動車税制企画室から各都道府県及び市町村の税務担当者に、徴税の猶予とか分納とか、そういったようなことについての文書が出ているわけでして、やはり自動車税というのは、一番の問題は、要するに自動車税を払っていないと車検が受けられない、車検が通らないということなわけですけれども、分納している場合は分納中ということが対応できれば車検を通すというような内容もあるわけなんです。実際、やはりこれだけ事業者の皆さんも経営が厳しい状況の中ですので、こういったようなことというのはもっとしっかりと周知をされないといけないと思うんです。

 自動車税というのは都道府県税、軽自動車税は市町村税ですけれども、全部をもちろん見たわけじゃありませんけれども、私の宮崎県も含めてですけれども、実際にホームページとかを見ても、何か、もう早く納めなさいみたいなことばかりしか書いていなくて、実際に経営が厳しい方の分納の仕組みであるとか猶予の仕組みであるとか、そういったようなことは本当に大分下の方まで行かないと見えなくて、これはあえてわからないようなところに書いているんじゃないかみたいなぐらいの感じがあるわけです。

 固定費の削減ということで家賃等もこれだけ大きな課題になっているわけで、特に地方においてのこの自動車税というのは非常にやはり厳しいわけでありますから、きちんとこういったような仕組みがあるということは、少なくとも、今まさに徴収の時期であるわけですから、最終的に判断されるのはもちろん払う方ですけれども、こういう選択があるんだということは、ほとんどの人は、聞いても知らないわけですよね。しっかりと周知をさせるということが必要ではないかというふうに考えますが、見解を求めます。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般創設されました、自動車税種別割を含む新型コロナウイルス感染症等に係る地方税の徴収猶予の特例につきましては、これまで地方団体に対し、納税者への周知、広報をお願いをしてきたところでございます。

 御指摘の五月七日付で発出した通知は、この徴収猶予の特例が自動車税種別割について幅広く活用されることが見込まれる中で、徴収期間中に車検の手続を進める場合、徴収猶予を受けている旨の証明書等の提示が必要となるため、各地方団体に対してこの証明書等の適切な交付を依頼したものでございます。

 この通知におきましても納税者向けの周知も依頼しておりますが、五月七日に通知発出したばかりであるため、この点、周知、広報が行き届いていない面があるかもしれません。今後、各地方団体において適切に周知等がなされていくものと考えており、また、総務省としては、引き続き、適切な対応がなされるよう助言等を行ってまいりたいと考えております。

武井委員 ぜひお願いしたいと思います。

 その関係でもう一点なんですが、先ほどもお話ししましたが、旅館とかホテルが非常に厳しい状況にあるんですけれども、固定資産税の減免をしていただいたわけですけれども、これが、基本的に建物と償却資産ということになっているわけです。御案内のとおり、旅館とかホテルというのは非常に、特に田舎の方、地方に行くと広い土地の中にあって、山全体がホテルみたいなところもあったりもするんですが、つまり広大な土地を持っている場合というのが多いんですが、やはり土地も対象にしていただきたいという強い声が上がっているわけであります。

 国として、こういった中小企業者向けの固定資産税の減免、土地の部分というのを含めることができないのかお伺いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の固定資産税の措置でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営環境にある中小事業者などの事業継続を支援するため、稼働率が著しく落ちている事業用資産に対する固定資産税を軽減するというものでございます。

 一方で、固定資産税は地方の行政サービスを支える基幹税でありまして、その安定的確保は重要であることから、対象資産は必要な範囲に限定すべきものと考えております。

 このため、事業用資産としてその減価償却費が法人税や所得税において損金や経費に算入される償却資産及び事業用家屋を対象とするということとしたものでございます。

 したがって、土地については対象となっておりませんが、御理解を賜りたいと考えております。

武井委員 もちろん、地方の基幹税でありますから、やみくもにということができないということは十分承知をしているんですけれども、やはり、本当に事業継続が今できるかどうかの瀬戸際にあるわけですので、ぜひ、これから我々もまたいろいろ努力していきますけれども、国としてもこの状況をよく理解をしていただきたいというふうに思います。

 続いて、経産省、来ていただいておりますが、電気料金についてお伺いをしたいと思います。

 家賃については非常にいろいろな議論が今あるわけですけれども、電力料金も固定費の中では非常に大きいんですね。もちろんこれは事業だけじゃなく、例えば農業でも、私ども宮崎なんかは施設園芸も大変盛んでして、農事用電力なんというのも非常に大きな負担に今なっているわけです。

 特に、電力料金というのは、大体去年の使用料というのに基づいて計算をするんですけれども、例えば先ほどの旅館の例でいえば一カ月休業しています。一カ月休業しているといっても、大体去年のもので基本料金が定められる。大体、いろいろとヒアリングをしますと、全館一カ月休業しても、電気代七割ぐらいは取られる、半分は全然いかないといったような話があるわけでして、もちろんその休んでいる間も最低限のものは動かさなければいけませんし、定期的にメンテナンスで使っている分というのはもちろんあるんですけれども、やはりこのあたりが固定費として、総務省に先日NHKの受信料等の減免等はしていただいたところなんですけれども、電気料の負担というのが非常に苦しいというところがございます。

 もちろん民間会社であるわけですけれども、この電気代についてもう一度弾力的な対応を電力会社に求めていただくことをぜひお願いしたいと思うんですが、対応願いたいと思います。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、中小事業者を始めとする多くの事業者の方々が影響を受けている深刻な状況を踏まえまして、政府としましても、電気事業者に対しまして、料金支払いに困難な事情がある方について、その置かれた状況に配慮し、未払いによる供給停止の猶予など、支払いの猶予について柔軟な対応を行っていただくよう要請を行っているところでございます。

 こうした要請を受けまして、各電気事業者におきまして、需要家の置かれた状況等に配慮しつつ、支払いの猶予などの柔軟な対応を行っている、このように認識をしてございます。

 さらに、料金の減免などについては、電気事業は、自治体等の実施する公営事業とは異なり、御指摘ございましたけれども、民間企業によるビジネスとして実施されていること、したがって、特定の方の料金を減免した場合には、ほかの需要家の方々の負担が増加することになること、また、小売事業者の八割が中小事業者であるなど、多くの電気事業者も中小事業者であることなどに留意が必要である、このように考えてございます。

 こうしたことを踏まえますと、まずは、現在要請させていただいております料金支払いに困難な事情がある方に対する支払いの猶予などの取組について、政府としてもパンフレットやホームページを通じて情報発信をし、一人でも多くの方々に知っていただくことにより、料金の支払いが困難な方々の負担軽減につなげていきたい、このように考えてございます。

 また、政府としては、実質無利子無担保かつ最大五年間元本返済据置きの融資等の強力な資金繰り支援や、売上げが大きく減少した事業者に対する最大二百万円の現金給付といった支援策も用意しているところでございまして、こうした支援策を活用しつつ、御指摘のような厳しい経営状況にあるような中小事業者の方々のニーズに応えるべく、最大限支援していくこととしたい、このように考えてございます。

武井委員 もちろん民間事業者ではありますけれども、例えば家賃の支援、私ども与党、野党、いろんな考え方がありますけれども、民間のビルオーナーの方にもしかるべき対応というのを当然していくわけでありますから、ましてや、民間企業とはいいながら、非常に公益性の高い企業でもあります。そういう意味では、やはり今どういったようなことができるか、民間だからということだけではない、一歩踏み込んだ対応というものは必要であるというふうに考えております。ぜひまた不断の検討をお願いしたいというふうに思います。

 今、総裁、いろいろとお話をしてまいりました。こういった具体的なところでお話をしていくと何時間あっても足りないわけでありますけれども、ちょっと時間も来ておりますので、最後にいたしたいと存じます。

 さまざまな経営者の皆さんと話していると、本当に、まさに、どうにかならないかという、もうこのままでは本当に立ち行かないという悲鳴というか、阿鼻叫喚と言ってもいいような状況があるわけです。本当に、この二、三カ月の売上げを取り戻していくだけでも何年かかるかわからない、それならもう今でもやめた方がいいんじゃないかといったような、きのうもそういったような話もいただいたところです。

 本当にこれは、モチベーションを、気持ちをどう保てるか、まさに今瀬戸際にあるというふうに思いますが、今回、日銀としてもさまざまな取組をいただくわけですけれども、こういった、あえぎ苦しむ事業者の皆さんに総裁から何かメッセージをいただいて、終わりにしたいと思います。お願いします。

黒田参考人 私ども日本銀行といたしましても、内外における新型コロナウイルス感染症の拡大が我が国の企業、特に中小企業あるいは小規模事業者に深刻な影響を与えているということは十分に認識しております。

 この危機を乗り越えるため、我が国にとって当面の最優先の課題は感染拡大を防止し早期に収束させることでありまして、経済政策面では、それまでの間、雇用、事業、国民の生活を守るということが何よりも大切であるというふうに考えております。その際、金融面からは、資金調達の円滑を確保し、金融市場の安定を維持することが最も大事であると考えております。

 日本銀行といたしまして、こうした観点から、政府ともしっかり連携しながら、中央銀行としてできることを何でもやる覚悟でございます。

武井委員 ありがとうございます。御期待します。

 終わります。

田中委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日も質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速ではございますが、日本銀行の報告に対する質疑をさせていただきます。

 本日は、本来でありますと、この通貨及び金融の調節に関する報告書、こちらが議題なわけでございますが、これはもう去年の十二月の報告書でして、この時点と、去年の十二月と今とではもう全く状況は異なっております。

 したがいまして、同じく日本銀行が出している経済・物価情勢の展望、これは四月二十八日解禁ということで公表されているものです、こちらに基づいて質問をさせていただきます。

 本日は、不動産について質問させていただきます。

 何で日本銀行に不動産の質問なのかということなんですが、不動産と金融、それから物価、デフレ、こうしたものは密接に関連しているということ。さらに、日本銀行は、不動産投資信託、J―REITを大量に購入している、日本最大級の不動産信託の投資家であるとも言えると思います。不動産市況には当然お詳しいということで、質問させていただきます。

 この展望リポートの三十一ページに、地価について記載されております。この中では、「地価は、全体として緩やかに上昇している。」「商業地・住宅地ともに、プラス幅を拡大している。」「以上」。このように記載をされております。

 ほかのページには、コロナ、コロナ、コロナ、感染症、感染症、感染症とたくさん書いてあるわけですが、この三十一ページには、こうした、コロナのコの字も、感染症のカの字も出てきません。

 四月二十八日の公表時点では、緊急事態宣言が出されて、新型コロナウイルス感染症の悪影響、非常に広がっている状況だったというふうに認識をしております。

 私は、不動産の市況についても大変憂慮しているわけなんですが、しかし、日本銀行は、緩やかに上昇、こういう分析をしておられます。現状、こういう認識なんでしょうか。

黒田参考人 確かに、我が国の地価についてはこのところ全体として緩やかに上昇を続けてきたということは事実なんですが、御指摘のとおり、足元の新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、人の移動あるいは経済活動が大きく制約されております。

 したがいまして、こうした状況が長引けば、当然のことながら、不動産の需給や価格の下押し要因として働く可能性があるというふうに認識しております。

櫻井委員 ですから、この報告書でも、一月一日の地価公示のデータに基づいて書かれているんだと思いますけれども、拡大しているみたいな現在進行形で書くのはやはりまずかったんじゃないのか。拡大していた、しかしながらということで、感染症の影響も十分注視していかなければいけない、もう一言ないしはさらなる分析が必要だったのではないのかというふうに思います。

 その上でお尋ねをいたします。

 不動産市況と金融、デフレの相互関係でございますが、融資において、不動産というのは担保として非常によく使われます。不動産の担保価値が低下すると融資枠もその分減ってしまう、融資枠が減ると金融機関も信用創造の機能というのがやはり低下をしてしまわざるを得ない、そうするとマネーサプライも抑制されて、そうすると物価の下落の要因になる、デフレの原因になるというふうに考えるわけでございます。

 実際、展望リポートの六ページを見ますと、二〇一九年から二二年の政策委員の大勢見通しということが書かれておりまして、二〇二二年度は黒田総裁の任期、二期十年の最後の年に当たるわけですが、このときでも消費者物価指数、プラスの〇・四からプラスの一・〇ということで、二%の物価目標に届かない。総裁が就任して二年で二%達成すると言っていたのが、二期十年でも達成できないということを日本銀行が公に認めたという状況なわけでございます。

 不動産市況の悪化、それから金融と物価に波及する、こういうことを考えますと、やはり不動産に対しても、日本銀行として、なかなかとり得る手段というのは難しいわけですけれども、ただ、どのような対策を考えておられるか、お話をお聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、銀行が不動産を担保に融資を行うということがかなり行われてきたわけでありまして、その際にはもちろん担保価値に一定の掛け目を掛けて貸出しを行っておりまして、足元の不動産価格全体として大幅な下落が見られているというわけではないと思っております。

 また、他方、我が国の金融機関は基本的に充実した資本基盤を備えているほか、政府、日銀によるさまざまな企業金融支援策が講じられておりまして、著しい信用収縮が懸念されるような状況にあるとは思っておりませんが、御指摘のとおり、今後、感染拡大が、収束がおくれるとか、あるいは、一部の専門家が指摘しておられるように、ワクチンができないと第二波が来るかもしれないというようなことがありますので、感染拡大の動向というのはまだ不確実性が大きいということもありますので、日本銀行としては、今後とも、不動産市況を含めて、我が国の経済、金融システムに対する影響は予断なく点検してまいりたい。そういう意味で、御指摘のような不動産市況についての注視というのは今後更に必要になってくる可能性があるというふうに思っております。

 ただ、不動産市況自体を何か直接的に云々ということは難しいと思いますけれども、金融緩和策の一環としての、例えばJ―REITの買入れとか、金融全体を緩和し、また特に企業の資金繰りを支援するということ、さらに金融市場の安定を維持するということ、そういうことを幅広く行うことによって不動産市況の影響が深刻に出てくるということは防げると思っておりますけれども、ただ、御指摘の点は、かつての経験からいっても非常に重要なポイントであると思っておりまして、十分、不動産市況の動向については注視していきたいというふうに思っております。

櫻井委員 今御答弁いただきましたとおり、不動産についても非常に重要だということで注視もしていくということでございます。

 ただ、今御答弁の中で一つ、J―REIT等の投資でという話もございました。これは供給サイド、不動産の供給サイドに対するてこ入れという側面が強いと思うんですね。ただ、今回は需要サイドの問題。つまり、テナントで入っている方々が家賃を払えないというので、払えないから追い出される、ないしはもう事業をやめてしまわざるを得ない、先ほどの武井委員の質問の中にもありましたけれども、それぐらい、やめてしまおうかと思ってしまうぐらい、今厳しい状況にあるわけですね。需要サイドの問題ですから、これはJ―REIT云々、金融のところというのはなかなか直接的な支援になっていないというふうにも思います。そういう意味で、日本銀行がてこ入れするというのはやはり難しい分野だと思いますし、そこを直接やるというのは日本銀行の仕事でもなかなかないのかなというふうに思います。

 そこで、本日は財務省の大臣政務官にもお越しいただきました。ちょっと具体的な事業について、やはりこれは政府の方でやらなきゃいけない仕事ではないのかというふうにも考えるので、質問させていただきます。

 昨日の予算委員会におきまして、自民党会派の後藤議員、後藤茂之議員と、それから我が会派の後藤議員、後藤祐一議員がそろって家賃の支援について取り上げました。後藤祐一議員からは、与党の中小事業者の家賃の支援の問題点を幾つか指摘をさせていただいているところでございます。

 ただ、この家賃の問題というのが重要なのは、人件費と家賃、これは非常に大きな問題です。これは固定費として金額が大きいというだけでなく、人件費というのはまさに雇用を守るその原資になるわけですから、これは必要不可欠だ。雇用が損なわれてしまったら、感染症が終わった後のV字回復をしようにもできなくなっちゃうわけですよね。ですから、これは何をおいても必要だということになると思います。

 あと、家賃についても、これは三カ月払わないと追い出されるということになりかねないわけです。追い出されてしまったら、これはもう事業を継続できないわけですから、そうすると、これもまた、感染症が終わった後、これからV字回復しようと思ってもできないわけです。ですから、事業継続に不可欠、場所を確保するという意味においても家賃の支援というのが重要だということで、これは政策の上位に置いて支援をしていこうということなんだと思います。

 人件費については、雇用調整助成金等の制度、これはほかの委員会でしっかり議論されていることと思います。

 家賃の方については、我々、先月、既に中小事業者の家賃の支援法案を衆議院に提出しております。与党案も先週の金曜日に出てきたというふうに承知をしております。

 与党案の第一の問題はやはりスピード感。これは、三月からもう状況は悪化しているわけですから、三、四、五でもう三カ月分の家賃ですね、五月で家賃が払えなかったら追い出されてしまうかもしれない。だから、五月中に何とかして支援を決めて実施していかなきゃいけないんですけれども、現時点で報道されているところですと、助成金の給付は六月になるとか、そんな話も出てきております。これでは間に合わない、いかにも遅過ぎるというふうに思います。

 第二の問題は、一旦、無利子無担保融資、融資をするという話になっております。ただ、もう現時点でも、先ほどの武井委員からの御指摘もありました、熱く語っておられました、それだけ資金繰りが厳しいわけですよ。その中から更に家賃を出すというのはなかなか難しい。融資枠があるといっても上限があるわけですから、この中で資金繰りを、やりくりしなきゃいけない、この心配も尽きないわけです。さらに、家賃に支払おうと思って持っていたお金が差し押さえられてしまうというようなことになっては元も子もないわけです。ですから、家賃の支払いを確実に行うためには家主に直接支払う、これが必要になると思います。

 こうしたことは既に生活保護の世界では行われております、代理納付という形で。これはわざわざ法改正をして、三十七条の二という、法律をつくって直接支払いというのを可能にしているわけなんです。

 我々の法改正のポイントは代位弁済、家主に家賃を直接支払う、確実に支払う、それでテナントの方も、それからオーナーの方にも安心をしてもらうということ、これを狙っているわけでございます。何よりも、早くそして確実にやるということが重要だというふうに思っております。

 昨日の予算委員会では、我が会派の後藤祐一議員の質問に対して安倍総理は、後藤議員の提案を踏まえて、野党の提案を踏まえて、追加的な対策を早急に具体化していきたい、このように答弁をいただいているところでございます。

 そこで、政務官にお尋ねをいたします。

 与党案の問題点をるる指摘をさせていただきましたが、しかし、ともかく、やらないよりは絶対やった方がいいわけなんです。大至急、家賃支援をやっていただきたいというふうにお願いするところです。

 その上で、どうせやるなら効果が上がる方法でやっていただく、そして、事業者の皆さんに安心を届けられる、そうした方法でやるべきだというふうに考えますが、政務官として、きのうの総理答弁、追加的な対策を早急に具体化、これをどのように進めていかれるのか、お考えをお聞かせください。

井上大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えさせていただきたいと思います。

 まず、議員立法として、与野党ともにテナント料の支払い支援に対する法案を考えられて、提出されていることというのを承知しております。

 また、四月の八日の日に緊急事態宣言が出されまして、家賃補助の件はちょうど私が住んでいる福岡市がいち早く地方自治体として取り上げていただいたということもありまして、福岡市が家賃補助を行った経緯も少し話したいというふうに思います。

 それが、ちょうど今お話がありましたとおり、持続化給付金。それから、今お話がありました、雇用調整助成金で給与を守っていく。それから、持続化給付金を、四月の三十日に今回の補正予算を決めていただいて、これから執行していくわけですけれども、それで、実際それが徐々におりてきてもおります。その中で家賃補助も出せるだろうと。その間のタイムラグというのがどうしても出てくるので、福岡市なんかというのは、地方自治体がいち早く家賃補助をやっておきたい、そのことによってタイムラグを埋めたいというような気持ちを持って地方自治体も考えて、御協力をいただいたところでもあります。

 そういう中で、できるだけ、今お話がありましたとおり、家主の方々にも、それからテナントの方々にも事業をそれぞれ継続をしていただいて、潰れることなく継続をしていただけるような環境をつくることというのは、与野党問わず、また政府側としても同じ考えだというふうに思っております。その手法として与党が出されている提案と野党が出されている提案、それぞれ一長一短あろうかというふうに感じているところではございます。

 政府の答弁として、麻生大臣からも昨日の後藤先生に対する答弁として言われたものと重複する形になろうかというふうに思いますけれども、確かに、野党から御提示がありました提案は、確実に家賃は入るし、確実に家賃は支払われるというメリットがございます。

 ですけれども、一方で、賃貸業者とテナントと日本政策金融公庫の三者にまたぐ契約になるということもあって複雑化し、権利の関係の複雑化に伴って迅速な対応が難しくなるのではないかというおそれがある点が一点と、それと、今行っている政策と相矛盾しないような状況下の中で継続してやっていかなければいけないという点も考慮しなければいけない点もあります。それから、不動産業者に対しての支払いの保証、優遇するものとなっておりまして、困窮するテナントの支援に本当になるのかということというのの弱点はあるというふうにも感じております。

 そういう面からしても、議員立法でございますので我々政府側がどうこうという問題ではございませんが、総理の会見も踏まえて、困難に直面する事業者の事業継続のために下支えできるように適切に検討したいというふうに思っております。

 以上です。

櫻井委員 もう時間になりましたのでこれで終わりにいたしますが、何においても早くそして確実に行う、総理も具体化するというふうに言っていますので、ぜひお願いいたします。

 終わります。

田中委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立国社共同会派の森田俊和でございます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 私も、この連休中を含めて、地元の企業さんに、電話連絡を中心にずっと連絡をとらせていただきました。もちろん、たまには内容がいい企業さんもあるんですけれども、いろんな企業さんが痛んでいらっしゃるということはひしひしと感じております。

 業種、業態にもよるんでしょうけれども、大体、この二、三カ月ぐらいのところは何とか手元の資金でしのげる、だけれども、その後はもうわからないという感じの話を聞いております。

 いろいろ、政府系の金融機関ですとか、あるいは一般の金融機関も、無利子無担保のことを始め、融資の取組をどんどん進めていただいておりますけれども、いろいろ聞いておりますと、やはりこの三カ月ぐらいの運転資金を用意するというあたりがどうも一つの判断基準になっていそうな感じがしておりまして、ということは、これもいろんな業種、業態によるんでしょうけれども、例えば二月、三月あたりから影響が出始めてということになると、それを決済するとなると、四、五、六とか、このあたりが一つの基準になってくるのかなということで、非常にこれからまた厳しい局面を迎えることになるんだろうなというような肌感覚を持っております。

 いろいろ、業種で聞いておりますと、まず最初に痛みが来るのが、飲食だとか、あるいは宿泊、観光バスとか、こういう部分。その次あたりに製造関係でしょうかね、部品が入ってこなかったりだとか、あるいは感染症対策で一部ラインをとめたりなんなりとかということもあるだとか、もちろんこれは需要が減っているのでとめるというところもあると思いますけれども、こういうあたりが影響が出てくるかなと。その次あたりに出てくるのが建設関係かなというような感じを持っております。

 今、本当だったら商談を進めているような話がとまっているとか、あるいは、建設計画を進めていたところに今回のショックがあって、途中でその計画をとめざるを得ないような状況になってしまった、こういうような話も、不動産の関係の業者さんですとか建設業者さんなんかに聞いてみますと、こういうことを話す方が多いなという、そんな感触を持っております。

 ですから、この五月の末の決済のところから、六月、七月あたりのところが非常に大きな山になってきているなというふうに思っております。

 そういった意味では、総裁のお話の中にもいろんなお話が出ておりまして、やはり今は平時ではない非常事態だと。これは宣言も出ておりますけれども、まさに金融的にも経済情勢的にもそういう状況なのではないかなというふうに思っております。

 先日の四月二十七日の金融政策決定会合の後の会見で、何でもやる、中央銀行としてできることは何でもやるという発言をしていただいております。これは、今までのいろんなことを一旦おいておいて、こういう非常事態だから、とにかく、企業、暮らし、雇用、こういうものを守るんだという姿勢を総裁からも示していただいているということで、非常に好感を持って企業さんも受けとめていらっしゃる方が多かったという印象を持っております。

 これは既に報道にもあったように、国債の買入れの上限を撤廃するとか、あるいは、社債とかCPの買入れを、三倍、二十兆までふやすとか、こういうことを言っていただいていますけれども、この何でもやるという言葉を聞いた感じからすると、やはり、今までやっていなかったことをやるだろうなというふうに普通に聞いていると判断をするかなと思うんですけれども、そのあたりを含めて、この何でもやるということが、具体的に総裁の中でどういうイメージを持っておられるのか、教えていただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘のとおり、現在、金融政策面から必要なことは、企業や事業者などが資金調達面から困難に陥るのを防ぐということと同時に、金融市場の安定を確保するということだと思います。

 こうした観点から、日本銀行は、三月、四月と二回連続で金融緩和を強化したわけであります。その中で、先ほど来申し上げているとおり、新型コロナ感染対策特別オペという形で、企業、事業者などの資金調達面からの困難を防ぐというものを実施、更に拡充したわけですけれども、これはかなり異例のことではあるんですけれども、金利ゼロで貸し出す、そしてさらに、その金融機関の日銀における当座預金に対して、その相当する額の部分についてプラス〇・一%の付利をするということをしたわけでございます。

 さらに、四月の決定会合で、政府の無担保無利子、五年据置き等のさまざまな企業の資金繰りを助ける特別の措置に対応して、そういうことをする金融機関については、これも同様に金利ゼロでお出しすると同時に、それに対応する日銀当座預金に〇・一%の付利をする、こちらの方から金利を払うということもしたわけでございまして、そういう意味では、こうした、御指摘のように、緊急事態、異常事態に対して最大限の努力をしているわけでありますが、もちろん、今後も新型コロナウイルス感染の影響を注視して、必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる方針であります。

 その場合の具体的な手段というのは、量の拡大とか、オペ手段の拡充とか、あるいは金利の引下げとか、いろいろあり得ると思いますけれども、それは、その時点でまさに必要にして十分な措置をとるということになろうと思います。

森田委員 ありがとうございました。

 本当に、先ほど総裁からのお言葉にもあったとおり、生活、雇用、こういったものを守っていただくためには、まず企業をちゃんと救っていただくということが、冬眠期間のちゃんと栄養分を補給するということをぜひ心がけて、頭を切りかえてやっていただきたいと思っております。

 ただ、心配なのは、やはり今までも既に市中にはじゃぶじゃぶと資金が行っている中での話で、なかなか、追加的に資金供給といっても、それ以上の何か、もう器があふれてしまっているというような、こういう懸念も一方ではあるんじゃないかなと思っておりまして。そういった意味では、それでもやはり困っている先にどうやって届けるかというのはいろんなアイデアが必要だと思うんですが、ぜひ、企業を守っていただくという意味から、機動的な、あるいはアイデアをいろんな形で総動員をしていただいた対応をお願いをさせていただきたいと思っております。

 それから、日銀の各地域の支店をお持ちだと思います。今までは、どっちかというと東京だとかの大都市圏が強いというような形で、あるいは都会と田舎という意味では地方がどうしても弱含みだというような、そういう説明がされることが多かったと思うんですが、今回は、宣言が延長されそうなのはどっちかというと都市部であって、今まで強いとされていた、あるいはインバウンドを取り込めていい状況だねと言われたようなところが、逆に今度は縛りを受けるために弱含みになっているというようなことがあると思います。

 これから先の展開を、いろんな地域の状況を見ながらどのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 四月に公表いたしましたさくらレポートでは、全ての地域で総括判断が下方修正になっておりまして、感染症拡大の影響は幅広い地域で見られております。支店長会議では、輸出、生産の減少、それから、インバウンド需要、個人消費の悪化に関する報告が多くの地域から聞かれました。

 ただ、御指摘のとおり、例えば、輸出あるいはインバウンド需要、そういったものの集中していた地域がかなり大きく影響を受けている。他方、そうでないところは影響の度合いが小さいということはあろうと思います。ただ、ほぼ全国的に下押しの圧力が来て、総括判断が下方修正になっているということであって、今後、これから感染症の拡大が収束していく、そして経済活動が復活していくという過程の中で、地域ごとにどういう違いが出てくるか、これはなかなか難しいところですけれども、御指摘のように、現時点で感染症が相当おさまってきている三十四県でしょうか、そういうところはかなり早く経済活動が復活してくる可能性がある一方、都市部とかそういうところではまだ経済活動の復活がおくれる可能性があるというふうに思っています。

 ただ、それと、産業構造との複雑な絡み合い、サプライチェーンの関係ということがありますので、なかなか一概に、都市部が経済活動の復活がおくれてしまって地方はどんどん復活していくというふうになるかどうかもまだわからない。ですから、そういう意味では、私どもの支店が全国に張りめぐらされておりますので、その地域の経済、金融情勢をやはりつぶさに検討して、そういったものに対する適切な対応を図っていく必要がある。

 ただ、金融政策自体は基本的にマクロ的な政策ですので、特別の地域に何か特別なことをするというのは、地震のときとか、そういうときに特別なオペをやったりしたことはありますけれども、基本的にはマクロ的に幅広く日本経済、金融全体に対して働きかけるということではあると思いますけれども、その上でも、地域ごとの違いというのはやはり十分注意していく必要があるというふうに思っております。

森田委員 ありがとうございました。

 また地域、地方の話なんですけれども、今回の特別措置法の中では、国と協議した中で都道府県の知事がいろんなことをやっていくということも結構な大きさで規定をされておりまして、例えば休業に対する補償なんかも、東京とか大阪とか、そういった大都市圏だとか、あるいは市町村レベルでそういうことを考えていらっしゃる、あるいは実行していらっしゃるところもあるということでございます。

 人が多かったり経済基盤が強かったりするようなところは、いわゆる不交付団体というような、今まで豊かな財政環境の中でやってきたということも多いんですけれども、これだけいろいろ縛りが多くなって経済環境も冷たくなってくると、そういうところこそ大きな手段で何か対策をやっていかなきゃいけないんじゃないかなということも出てくるだろうと思います。

 いろんな対策の中で、地方自治体を支援していくということも選択肢としてはあるんじゃないかなと思いますけれども、地方債なんかを日銀で引き受けるとかというようなお考えは今のところあるかどうか、これもお聞かせいただければと思います。

黒田参考人 御案内のとおり、我が国では、国が策定する地方財政計画に基づいて地方交付税など各自治体の財源保障がなされておりまして、また、地方債の発行に当たっては国との協議が必要とされております。

 その結果、我が国の地方債につきましては、流通利回りの対国債スプレッドが非常に安定しております。感染症拡大の影響が経済や金融市場に及んでおりますけれども、その中でも、地方債市場は総じて安定的に推移をしております。日本銀行の資金供給の面でも、国債買入れを始め十分な手段を有しているということでありまして、今の時点で日本銀行が地方債の買入れを行う必要性があるとは考えておりませんが、いずれにいたしましても、地方ごとの経済の動向、その違いと同質性というか、そういうものについては十分注視してまいりたいと思っております。

森田委員 以上で質問を終わらせていただきますけれども、ぜひ、お言葉にもあったとおり、できることは何でもやるという言葉に従ってやっていただくというふうに信じておりますので、ぜひとも地域の暮らし、企業を守っていただきたいとお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 立国社共同会派の階猛です。

 私、法務委員会の筆頭理事も務めておりまして、今、法務委員会も大変なことになっています。黒川検事長の勤務延長に端を発した検察庁法の改正が、なぜか法務委員会ではなくて内閣委員会で議論をされ、法務大臣は答弁に来ない。そして、しかも、コロナの陰に隠れて、火事場泥棒のように通されようとしているということで、これもこれで大変な問題なんですけれども、私、昨今の日銀の動きを見ますと、まさに、コロナの陰に隠れて、火事場泥棒のようにして、二年二%の物価目標やその達成手段の一つであるマイナス金利、この失敗を覆い隠そうとしているように見えるんですね。きょうは、その観点から黒田総裁に質問させていただきます。

 まず、きょうの説明の文書を見ますと、新型コロナ対応金融支援特別オペなどについて、一定の効果を発揮しているというふうに総括をされています。ならば、お尋ねしますけれども、金融支援特別オペによって中小企業向け貸出金は幾ら増加したんでしょうか。

黒田参考人 新型コロナ対応金融支援特別オペ、これは、金融機関が民間部門に対する金融仲介機能を発揮することを促すために、日本銀行から金融機関に対して有利な条件で資金供給を行う仕組みであります。

 このオペで既に四兆円を上回る資金供給を行っておりまして、大手行では、このオペを活用した資金繰り支援ファンドを組成して数千億円の貸出しを実行するなど、中小企業も含めた企業の資金需要に積極的に対応しております。

 また、企業から見た金融機関の貸出し態度について、三月短観では、中小企業を含め総じて緩和的な水準が維持されており、金融機関の貸出しスタンスも、四月のローンサーベイでは中小企業向けを中心に積極化させるとの回答が急増するなど、金融仲介機能は円滑に発揮されているというふうに思っております。

 もちろん、同オペの効果だけを取り出すことは難しいわけですが、政府が資金繰り支援策を講じていること、また、金融機関自身が積極的な対応をしていることとも相まって、円滑な金融仲介機能が維持されているというふうに考えております。

階委員 今、四兆円と数千億円という二つの数字が出ましたけれども、私の資料の一ページの右上の方に、金融支援特別オペの数字が書いてあります。左側の方に貸付予定総額、これは一回目、二回目、三回目、合計しますと四兆円ぐらいなので、多分この数字を総裁はおっしゃったんでしょう。

 ただ、大事なことは、この貸付予定総額というのは、金融機関が日銀に担保を入れて日銀からお金を調達したその総額です。このお金がそのまま中小企業に流れているわけではないんですよ。大事なことは、中小企業に実際幾らお金が貸し付けられたかということで、今数千億という数字が初めて出ましたけれども、もうちょっと具体的な数字を出せるはずですよ。

 日銀は、オフサイトモニタリングで金融機関から報告を求められるはずですから、担保を提供してもらった金融機関については全部把握するべきじゃないですか。お答えください。

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、この新型コロナ対応金融支援特別オペ、これは、日本銀行が有利な条件で金融機関に貸し出すことによって、その金融機関が中小企業を含めて資金繰り支援をするということを促進するというものでございます。

 したがいまして、先ほど来申し上げているように、さまざまな、ハードデータではありませんけれども、ソフトデータで、金融機関が積極的に中小企業を含めて貸出しをふやしているということはわかるんですけれども、御指摘のように中小企業に幾らふやしたかというデータを金融機関からとっているわけではありませんので、そういうハードデータはありません。

 今後、必要に応じて金融機関から情報を得て、より正確なデータをお示ししてまいりたいと思っております。

階委員 ぜひデータをとってください。金融庁は、モラトリアムをした、元本の返済猶予をした金融機関が毎月どれぐらい実績があるかというのをちゃんと調べていますよ。同じことをやってくれと言っているわけですよ。それをやれないということは、私は、日銀がやはりこのオペによって貸出しが余り伸びないということを知らしめたくないからだというふうに言わざるを得ないと思っています。

 実際、これが余り効果を発揮していないからかどうかわかりませんけれども、今回またこの金融支援特別オペを見直して、利用残高に相当する当座預金に〇・一%付利するということにしたわけですよ。これ、金融機関にしてみれば、日銀からお金を借りると〇・一%利息がつくわけですよ。まさに、本来の意味で、日銀からお金を借りるとマイナス金利でかえってお金が入ってくるという状況になって、むしろ今、これだけ先行き不透明で信用リスクが高くなっているような状況では、ただで〇・一%利息がもらえる、ノーリスクでもらえる、この当座預金にお金を預けっ放しにしていた方がよっぽど金融機関としては合理的な判断だし、むしろこんなことをやったら貸出しにお金が回らなくなるんじゃないですか。なぜこんなことをやるんですか。全く意味がわかりません。

 そもそも、今までやってきたことは何だったんでしょう。マイナス金利にしたのは、当座預金にお金がずっとたまりっ放しになっていて、それで、金融機関が貸出しにお金を回せるように、マイナス金利にすればお金を預けると損するから金融機関はお金を引き出して企業にお金を貸すということから、マイナス金利を始めたわけでしょう。それと逆行するようなことをやって、今度は貸出しが伸びるというふうに考えている。全く矛盾していると思いますよ。

 黒田さん、これは本当に正しい考え方なんですか。むしろ私は、これは中小企業への貸出しを伸ばすためじゃなくて、金融機関の経営を助けるためにやっているんじゃないかというふうに思わざるを得ません。

 実は、最近出した日銀の金融システムレポートにはこんなくだりがあります。八ページ。国内外の金融システムでは、今回の感染拡大が生じる以前から、低金利長期化のもとで利回り追求行動に起因するさまざまな脆弱性が蓄積されてきた、こういうくだりがあります。脆弱性を蓄積したのは、ほかでもない、日銀の金融政策ですよ。この金融政策の失敗を糊塗するために、こっそりと〇・一%金融機関にサービスしているんじゃないですか。

 本当にこんなやり方で貸出残高が伸びるのか。私はそうは思いませんけれども、貸出残高が伸びると考える根拠を教えてください。

黒田参考人 マイナス金利を導入した理由は、もとより短期金融市場における金利を引き下げ、イールドカーブ全体を下げるという観点から行ったものであります。

 今回の金融支援特別オペに際して、プラス〇・一%の付利をするということは、あくまでも、円滑な金融仲介機能は維持されていますけれども、特に企業の資金繰りに対する支援を促進してもらうというために行ったものでありまして、政府の資金繰り支援策あるいは金融機関自身の積極的な対応と相まって、現在の円滑な金融仲介機能が維持されていることになっているというふうに思っております。

 金融機関の貸出しの状況については、中小企業も含めて、毎月、全体としてのデータは把握しておりますので、新しいデータが出次第お示ししたいと思います。

階委員 時間が来ましたので終わりますけれども、二〇一六年一月にマイナス金利を導入したときはまだイールドカーブコントロールはやっていませんよ。マイナス金利を導入したときは、量的緩和をしても貸出しが伸びないからそれで導入したということだったと思いますから、いいかげんなことは言わないでください。

 それから、失敗は、私は素直に認めるべきだと思いますよ。こういう、コロナの陰で火事場泥棒のようなやり方で自分の失敗を糊塗するのはやめてください。

 以上で終わります。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 日本銀行の金融政策、ETF買入れについて伺います。

 現在、日本銀行は、新型コロナウイルス感染症対策として、ETF、上場投資信託、そしてJ―REIT、これは日本版の不動産投資信託、この買入れペースをそれぞれ、年間約十二兆円、年間約千八百億円に相当する残高増加ペースを上限に積極的な買入れをする方針に変更しました。一方で、原則的な買入れ方針としては、引き続き保有残高がそれぞれ年間約六兆円と年間約九百億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うとしています。

 日経平均が三月に急落しました。その後に今回の措置が決まったわけですが、新型コロナ対策としてこの買入れペースに引き上げたのは、そもそも株式市場の暴落を防ぐための措置だったのではありませんか。

内田参考人 お答え申し上げます。

 ETF買入れ上限を引き上げた趣旨ということでございますけれども、二月下旬以降、新型コロナの影響で世界経済全体の不透明性が高まる中で、内外の金融資本市場が急速に不安定化いたしまして、株式市場におきましてもリスクプレミアムが高まりました。

 このため、日本銀行といたしましては、金融市場の安定を維持し、企業や家計のコンフィデンス悪化を防止するという観点から、ETFの買入れについて、当面年間約十二兆円、先生の御指摘のとおりですが、に相当するペースを上限に積極的に行うということを決定したわけでございます。

 そのような趣旨で買入れの上限を引き上げたということでございます。

清水委員 そのように説明されるわけですが、株価が暴落しているときにこれは大規模に買入れするわけですから、一般的に見れば株価を支えるための株価対策じゃないかというふうに見られても仕方がないと思うんですね。

 そもそも、日本銀行は、現在の増加ペースによるETFの買入れをいつまで続けるのかということなんですよね。政府が既に新型コロナウイルス対策に対して出口戦略を今後どうするのかということを検討し公表すると言っている状況のもとで、このETFの買入れについて終わりのめども示さずに爆買いを続けていく、これはやはり問題じゃないのか。

 日本銀行として、何か収束させるめどというのは持っているのか、目安はあるのか、これについてお答えいただけますか。

内田参考人 お答え申し上げます。

 いつまで今の積極的な買入れを継続するかということでございますが、現時点で予断は持っておりません。金融市場の状況を踏まえて、必要と判断されるまでの間、積極的な買入れを継続するという方針でございます。

 今回のさまざまな措置ですけれども、三月、四月と、企業金融の円滑化、それから金融市場の安定の維持、このためにさまざまな金融緩和措置を決定いたしました。ETFの買入れの増額もその一環として導入したものでございます。

 したがいまして、新型コロナの影響は当面もちろん続くということでございますけれども、各国の政府の対応の効果等もあって、いずれはどこかで収束するというふうに考えられます。

 このため、今回の措置はいずれも時限的なものというふうに考えておりまして、そういう意味で、時限的であることをはっきりさせる観点から、年間六兆円という残高のペースは維持しておりますので、そのもとで今の十二兆円というものをやっているということでございます。

清水委員 今の御答弁は、要するに、いつまで増額した買入れを続けていくのかというのは市場次第だということだと思うんです。

 一部のエコノミストからは、日銀が今後、現在の増加ペースでETFを買い続ければ、年内にもGPIFを抜いて世界最大の日本株の保有者となる可能性もあるのではないか、こう指摘しているわけです。

 現時点で、日本銀行は幾らの日本の株式を保有しているのか、東証の市場規模から見てどの程度の占有率になっているのか、また、年内にもGPIFを抜いて世界最大の日本株の保有者となる可能性、これについてお答えいただけますか。

内田参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、GPIFの数字を今持ち合わせておりませんが、私どものお話をさせていただきますと、ETFを通じまして日本銀行が保有しております株式の割合、いわゆる間接的なものになりますが、保有割合ですが、株式市場全体から見まして五から六%程度というのが現状でございます。

清水委員 ついでに簿価についてもちょっとお答えいただけませんかね。今、三月末時点での株式保有の簿価、これ、わかりますか。おおよそで結構ですけれども。

内田参考人 お答え申し上げます。

 三月末の段階で約三十兆円でございます。

清水委員 今お答えいただきましたように、東証一部のいわゆる占有率ですね、これ、日本銀行、五パーから六%、そして三月末の簿価が三十兆という巨額の保有になるわけです。

 一つ確認、イエスかノーかで結構なんですが、ETFの場合、株式を直接には日銀が保有しませんから、その議決権の行使、これは投資信託委託会社に委ねられていると思うんですよね。それで、日銀が所有する株式の議決権の行使はどうなっているのか、ここを確認したいと思うんです。また、日銀が直接議決権を行使しないとすれば、投資信託委託会社が巨額の日銀保有株式の議決権を行使しているということになっているんでしょうか。ちょっと端的にお答えいただけますか。

内田参考人 お答え申し上げます。

 議決権行使につきましては投資信託会社の方で実行するということでございますが、当然のことながら、スチュワードシップ・コード等々そういうものを守っていただくということで私どもから委任をしているということでございます。

清水委員 日本銀行が積極的に株主として議決権を行使すべきかどうかということについては議論があるところだと思うんですけれどもね。

 先ほども言いましたように、五パーから六%の占有率を持ち、三十兆円の簿価を保有しているその日本銀行が、株式市場最大の株主とも言えるわけですが、議決権を委ねているというのはそもそも本来は想定されないことであり、株式市場に与える影響も大きいのではないかというふうに思うんですよね。

 ここからは黒田総裁にもお伺いしたいんですが、先月、四月に、みずほファイナンシャルグループと三井住友ファイナンシャルグループは石炭火力発電事業への新規融資をとめる方針を表明しました。昨年公表した三菱UFJファイナンシャルグループもあわせ、不十分なんですけれども、三メガバンクは新規石炭火力発電事業への融資中止、環境重視のESG、これは環境、社会、ガバナンスの頭文字ですが、これにシフトしたということになるわけです。

 この背景にあるのは投資家の投資行動の変化なわけで、日経ヴェリタス二〇二〇年五月三日号によれば、コロナ危機の中でもESG投資のうねりはとまらない、このように報じておりまして、ESG格付などに基づき投資する株式上場投資信託への資金流入額が、先月の四月八日までに、昨年一年間の投資額を三割も上回る五百十億ドル、日本円で約五兆五千億円に及んでいるということなんですよね。

 私は、二月二十五日のこの衆院財務金融委員会において、このような環境重視の欧米の潮流を指摘し、黒田総裁の認識を問いました。

 既に日本においても、機関投資家を始め多くの投資家が、気候変動の問題で、日本の金融機関の企業行動、経済活動、大きな影響を今及ぼし始めているわけですね。このコロナ危機のさなかでも、このような状況の中でも、メガバンクのESG投資を配慮した姿勢への転換がやはり世界的にも始まっているわけなんです。

 このことについて、黒田総裁としてはどのように認識されておられるでしょうか。

黒田参考人 御指摘のとおり、本邦の金融機関がESGを重視した投融資方針を公表し、それに積極的に取り組んでいるというふうに認識しておりまして、これは正しいことであるというふうに考えております。

 なお、日本銀行が保有するETFの構成株式については、先ほど内田理事から答弁しましたように、スチュワードシップ・コードの受入れを表明した投資信託委託会社によって適切に議決権が行使される扱いとなっておりまして、こうした中、このスチュワードシップ・コードでは、機関投資家に、社会経済の中長期的な持続可能性も考慮しつつ企業価値の向上などを促すよう、議決権行使を含め、スチュワードシップ責任を果たすことを求めております。

 日本銀行といたしましては、投資信託委託会社がこの趣旨を踏まえて機関投資家の責務を適切に果たしていくことが重要であるというふうに考えております。

清水委員 スチュワードシップ・コードというふうにおっしゃられました。これは、リーマン・ショックのときの反省から、いわゆる投資家の行動指針ということでこの間注目されているわけなんですが、逆に言えば、これは当たり前のことであって、そういう、スチュワードシップ・コードを有さないような投資信託会社に委託するということはそもそも考えられないわけでして、やはり、先ほども言いましたように、日本最大の株主と言われているような日銀として、世界のトレンドの中にある環境重視の政策についてやはりしっかりと認識を広げるべきだと思うんですよね。

 黒田総裁に最後にお伺いしたいんですけれども、このコロナ危機の前から、EU、欧州連合は、代替エネルギー投資を成長戦略の柱とするグリーンニューディールを掲げ、十年間で官民合わせて一兆ユーロ、日本円で約百十兆円ですが、この構想を進めてきました。

 また、欧州銀行監督機構、EBA、これの行動計画によれば、二〇二二年から二〇二五年にかけて、欧州委員会などに幾つかの報告書が提出されるということになっています。その中でも、自己資本比率規制の第一の柱へのESG要素の組み込みの是非が検討されているというわけです。第一の柱に、これは環境重視だというふうに言われているわけですね。

 改めて、日本の金融システムの安定性を考える上でも、日本の金融機関の融資姿勢などが欧米の潮流を取り入れ変化していくという発想が今やはり必要なんじゃないかなと思うわけです。

 気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク、NGFS、これにも参加しているわけですよね、日本銀行として。その総裁として、日本銀行自身が、日本の株式市場最大の株主としてESG投資について何らかのメッセージぐらいはせめて出すべきじゃないかなというふうに私は思うんですが、そこはいかがでしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げましたスチュワードシップ・コードがサステーナビリティーの考慮を入れましたのは、ことしの四月になって改定したわけでございます。スチュワードシップ・コード自体は大分前からできているんですけれども、ESGの考慮を入れたのは二〇二〇年の四月であります。

 したがいまして、そういったことを十分踏まえて投資信託の委託会社が議決権を行使されるということを期待しておりますし、そういった面は十分徹底していきたいというふうに思っております。

清水委員 日本は気候変動対策にやる気がないと世界から思われている、こういうふうに発言したのは実はGPIFの水野理事兼最高投資責任者なわけですよね。

 黒田総裁自身も、昨年十一月にNGFSに参加をしたわけですし、そういう点では、今、やはり新型コロナウイルス禍のもとでも気候変動について、特に石炭火力発電事業について投資をしないという世界のトレンドがあるわけですから、そういう点では、議決権を持たない日本最大の株主と言われていますけれども、そうしたメッセージを今後、将来のためにも積極的に発信していくということはやはり必要だと思うんです。

 そのことをぜひ要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 早速ですけれども、質問させていただきます。

 きょうも質疑が行われていますけれども、政府が今回のコロナウイルスの大変な流行に対して、例外的な手段である赤字国債に一〇〇%依存して巨額の補正予算を組んだ、それを日銀が支えていく、これ自体はやむを得ないと思っております。

 なぜならば、あのドイツ、憲法上のルールで財政均衡が義務づけられているドイツでさえも、憲法上の特例として、政府のコントロールできない緊急事態が生じたということで同じような規模の予算を組んで対処している。世界じゅうがやっているわけですから、これは日本も当然やるべきことということになってくると思います。

 ただし、心配なのは、今回はこれでもちろんいいわけですけれども、これが例えば将来落ちついた後にも、いわゆるMMT、最近余りあれですけれどもMMT、あるいはこういったことを非常に声高に叫ぶポピュリズム的な、中南米的な政治勢力、こういったものに今回のことが前例としてあるいは使われるかもしれない、そういうおそれは十分にあると思っているんです。そういう観点できょうお伺いいたします。

 先日、四月二十七日に黒田総裁が記者会見をなされて、私どもの手元にもその議事録が配付されているわけですけれども、そこを見ますと、今までになかったことだと思いますけれども、財政ファイナンスではないのかという質問が三社からあるわけですね。これに対して黒田総裁は、日銀は主観的というか、目的としてはイールドカーブコントロールのためにやっている、だから問題はないんだというようなお答えをされているわけです。しかし、日銀の主観とは別に、客観的にはどう見ても財政ファイナンスへの道を更に踏み出した、こう見える、これはもう疑いようのない事実だと思うんです。

 世の中というのは、主観が問題とされるというよりは客観的にどう見られるのかということが重視される、これは往々にしてあることです。

 今までは日銀が、異次元緩和にしろ黒田バズーカと言われた量的緩和にしろ、主観としてどういう目的で行っているかという建前を各マスコミも尊重してきましたし、当委員会でも黒田総裁がおっしゃったデフレマインドの払拭ということを前提とした質疑が行われてきた、そういう流れもあったと思います。当然、中央銀行総裁として、財政ファイナンスをやっているなんて、そんなことは口が裂けても認められるわけはないわけであって、それはそれとして、そういうお立場であったことも理解しています。

 しかしながら、今回の記者会見の中で私非常に気になったのは、ある記者の方から、国債の買入れ額を無制限としたことで今後政府は金利上昇リスクを気にせずに財政出動しやすくなるかという質問が出されたのに対して、総裁が、あくまで財政規律にどういう影響があるかというのは財政政策を主体的に決める政府、国会の役割、こう答えられているわけです。

 これはもちろんそのとおりなんですけれども、しかし、加藤厚労相が先日、私もブログでたたかせていただいたんですけれども、受診の目安を示しただけで基準を言ったわけではない、あの非常に無責任な答弁とある意味重なって見えるわけですね。なぜならば、ドイツには先ほど言ったような財政上のルールがある、だからこれは異例の事態であるし、これが広がるおそれも余りないわけですね。だけれども、日本には事実上ないわけですよ。

 そんな中で例えば、御承知のとおり、きょうおいでになりませんけれども、政治的には、役割として財政規律に目配りした物を言われている麻生財務大臣がけちだ何だと総スカンの状況にあるわけですね。こういう中で日銀総裁がああいう物の言われ方をされると、さすがに日本の将来が心配になるというか、政治的にもたなくなってくるのではないかと思うんですよ。

 黒田総裁が異次元緩和を始められたころ、これが財政ファイナンスだと言っているのは海外メディア、たしかフィナンシャル・タイムズあたりが言っていたと思うんですけれども、それから七年たって、日本の記者でさえも正面から、どうもデスクから禁じられていたようですけれども、財政ファイナンスというような質問が出るようになった。次は市場、特に為替市場から私はその指摘を受ける番じゃないのかなということを非常に危惧しているわけです。

 そこでお伺いしたいんですが、今までの異次元緩和もそうですし、今回の措置も非常に例外的なものであって、日銀がこういう、国債を買い入れて、買い支えていくような、客観的に見るとですよ、そういう姿は例外的なものであって、いつまでも続けるものでないというメッセージを発するべき時期が来ているんじゃないかと思うんですけれども、その点について御見解をお伺いしたい。

黒田参考人 従来から申し上げておりますとおり、国債の買入れにつきましてはあくまでも金融政策の観点から行っているわけでございまして、四月の決定会合でさらなる積極的な国債買入れを行うというふうにしましたのは、債券市場の流動性が低下しているもとで、債券市場の安定を維持するとともに、現在の調節方針に定める長短金利操作を実現する観点から、イールドカーブ全体を低位で安定させることを目的とするものであります。

 公表文におきましても、いわゆるイールドカーブコントロールを含む長短金利操作つき量的・質的金融緩和については二%の物価安定目標にひもづけた形で示しておりまして、こういったイールドカーブコントロールというものを現時点で行うために必要なだけ国債を買い入れますということで、あくまでも日本銀行の行っている金融緩和措置、具体的には長短金利操作つき、いわゆるイールドカーブコントロールつきの量的・質的金融緩和というのは二%の物価安定の目標を実現するために行っているわけですから、当然そういったものが実現された暁に長短金利操作つき量的・質的金融緩和も修正されていきますし、国債を無制限に買い入れてインフレをもたらすということには絶対にならないふうにするということはお約束できます。

青山(雅)委員 今、最後におっしゃった点、国債を無制限に買い入れてインフレにならないようにする、それは絶対にする、その言葉は非常に大事なことだと思います。ぜひそのメッセージを今後も明確に発信をしてください。

 またお伺いすると思います。よろしくお願いいたします。

田中委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十六分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、独立行政法人都市再生機構理事里見晋君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史君、まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菅家秀人君、内閣府地方分権改革推進室次長菅原希君、財務省大臣官房長茶谷栄治君、主税局長矢野康治君、理財局長可部哲生君、国税庁次長田島淳志君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 共同会派の末松義規でございます。

 まず、改めて、コロナ関係でお亡くなりになった人に哀悼の誠をささげさせていただくと同時に、また、闘病中の方にお見舞いを申し上げ、そして、コロナと戦っている第一線の方々に敬意と感謝をささげさせていただきたいと思います。

 さて、きょうは、治療薬の問題そして家賃の問題を中心に質問させていただきます。

 私の方で、まず治療薬ということが極めて重要だということで、治療薬が普及すれば、コロナの不安というものが非常に和らいでいって、それが大きな転機となっていくということでございます。これがまさしく今回の危機管理の要諦だと思っているところでございます。

 私の方で、前回の質問でも、希望の星であるアビガンについていろいろと、早く治療薬としてやってくれということを言ってきましたけれども、この前回の質問のときは四月ですけれども、アビガンの承認が、四、五、六と三カ月、治験というものをやって、そしてその後、検討して決定をするような言い方をされていましたけれども、そんな悠長なことを言っていないで、何とか一刻も早くという思いで考えたところですけれども、アビガンも、三千件の投与を行って、よい結果も報告されていると聞いております。

 これらを背景に、四月二十七日には、日本医師会が高齢者へのアビガン適用を積極的に要請したということ、また、四月三十日には、福岡県方式といって、現場の医師にアビガンの使用を判断させるような動きも出てきております。

 日本の死亡事例でも、アビガンが早期に投与されていれば助かったケースも多数あったのではないかという医療関係者の話も聞いているわけでございます。

 一方、安倍政権も、五月末にアビガンに何とかめどをつけて承認をしたい、そういう前進が見られているところですけれども、いまだ承認とはなっておりません。

 一刻も早くこの承認をすべきではないかと考えておりますけれども、厚労省のお立場を改めてここでおっしゃってください。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 委員からは先日もアビガンにつきましてのお尋ねをいただきまして、答弁をいたしましたところでございます。

 その後の展開ということで、今委員からも御紹介いただいたとおりのことでございますし、また、先日は、レムデシビルという別の薬について、これは、米国での特例の使用許可が出たということをもちまして、我が国におきましても特例承認制度を適用して承認をしております。

 アビガンにつきましてですけれども、これは、今お話がありましたように、観察研究ということではありますが、三千例近い投与をしているということでございます。治験も現在やっておるわけでございまして、この治験に要する時間を可能な限り短縮するために、医療機関における手続の効率化、あるいは医療機関に対する治験等への協力依頼の周知などを行っているところでございます。

 まずは、企業の方から承認申請をしていただくということが必要でございますけれども、承認申請を受理した後、速やかに審査を行い、有効性が確認されれば五月中の承認を目指したい、このように考えて取り組んでいるところでございます。

末松委員 そこは本当に一刻も早く承認に向かうように、当然それはやらなきゃいけないことはやらなきゃいけませんけれども、かなりの投与例で治ったケースというのがあるというふうに聞いておりますので、ぜひそこはお願いしたいと思います。

 一方、今副大臣から出ましたレムデシビルなんですけれども、これは本当に、申請からたった三日間で特例承認、五月の四日に申請ですか、そして五月の七日には承認された。これは、特例承認という制度が、海外の承認事例というものを前提にやるということなんですけれども、トランプ政権だけが、今アメリカで承認をされておる。

 だから、今、トランプ政権の状況も、このレムデシビルの承認について、バーニー・サンダース上院議員が、この決定に至るプロセスが非常に不明確だということをおっしゃったり、あるいは、レムデシビルをつくったギリアド社に七年間も独占販売の利権を持たせるというのはおかしいじゃないかと非常に厳しく批判をされているところなんですね。

 私自身は、別にレムデシビルに、これも治療薬として承認されたということであれば、これが効果があればいいなと思う方の一人なんですけれども、ただ、このレムデシビルでちょっと私は異常に思うのは、日本人の治験経験者も、たった七人しか行われていない。また、中国の使用事例もほとんど効果がなかったような酷評を受けている。また、アメリカのNIH、米国保健研究所ですか、これも、中間評価が行われたんですけれども、患者に改善効果を見込めるほどの内容ではなかったという厳しい評価がなされているし、もちろんこれは、日本での治験や観察研究というのは一切行われていないわけですよ。

 私も、アビガンが、承認に至るさまざまな、どちらかというと、私から言わせれば後ろ向きとも言えるようなアビガン承認への慎重姿勢と対比すると、このレムデシビルというのは、本当にたった三日間で特別承認するという今回の超特急の措置というのは、ちょっと異例ずくめで、ある意味じゃ私は非常に違和感を感じているわけですね。それほど異例ずくめなんだろうと。

 そういうことから考えると、これはいつもの、アメリカからの圧力というか、トランプ政権からの圧力がかかったときの日本のよくあるような召使対応、そんな感じにしかちょっと私には見えないというのと同時に、裏で利権のにおいがするんじゃないかと言う識者もいるくらいなんですね。

 特に、アメリカという国を考えてみたら、今、百三十八万人の感染者数がいて、八万千三百七十八人の死者数という世界最大の感染者数、死亡者数となっているわけです。特に、米国民第一主義のトランプ政権がレムデシビルの供与に当たって、日本に対して特別の配慮というものがあるのかというのもちょっと疑問になるし、ひょっとしたら、アメリカ人が先だろう、他人の火事より自分の火事を消した方がいいんだという話になってくるとこれはちょっとまずいなと思うんですけれども、私が感じている違和感というんですかね、ちょっとその疑問にお答えいただきたいと思います。

橋本副大臣 委員からは、先日、アビガンについてということでありますが、治療薬がきちんと確立されることが希望である、こういうような趣旨で御質問いただいたと認識をしております。

 もちろん、レムデシビルであれアビガンであれ、あるいはそのほかの薬であれ、今、さまざまな薬について治験等をしておりまして、その効果、安全性等を確認しているところでございますし、それが確認されれば一刻も早く使いたい、それは委員も恐らく同じ考えなのだろうと思っております。

 その中で、今回、レムデシビルについて米国において緊急時使用の許可がおりた。私ども、ほかの国の状況についてもチェックをしております。アメリカが一番早かった。それも踏まえて、特例承認という制度は、ほかの国での承認などなどが行われているということに基づいてやる制度でありますから、できるだけいろいろなものを短縮をして、特例承認制度を活用して五月七日に承認をしたのであって、それをあたかも利権か何かがあってやったかのような言われ方をするのは大変心外でありますというのが私の見解であります。

末松委員 大変心外であるというのは、それは強く言うのは結構ですよ。ただ、私の方が、安全の確保とかということで特例承認ということだけでやれるのか、そこについて私が違和感を感じているからそれを説明してくれと言っているわけですよ。

 あなたの今言ったのは、特例承認だけでやっているからそれでいいんだという話じゃないですか。だから、きちんとあなたが説明すべきことは、そこのときの、海外でもどんな事例でどのくらいやっていて、治験も、こういう効果があるから説明がつくんだよということを言わなきゃいけないじゃないですか。

橋本副大臣 済みません、大きな声になりましたことはおわびを申し上げます。

 その上で、レムデシビルにつきましてですけれども、治験は、まずアメリカの国立衛生研で新型コロナウイルス感染症を対象に百例の治験を行われております、これはまだ継続中。それから、企業におきまして、中等度のコロナウイルス感染症、重症の新型コロナウイルス感染症について、それぞれ、千六百例それから二千四百例ということで、これは参加者募集中という状況でございまして、こうしたものが今走っているところでございます。

 これまで、既存の治験ということで、中国からのレポートということで、これについては効果がなかった、これはお触れになりましたけれども、そうしたものもございました。一方で、企業が行った研究の方で、患者の軽快までの日数を縮めるような効果があったという報告もございます。

 そうしたことを踏まえて、アメリカでも緊急時の使用許可がおりた、そして我が国に対しても承認の申請があったということで、私どもとしては、製造、販売後に安全性データを集めることということで医療現場に情報をフィードバックを求めている、そうしたことで安全性も含めて確認をしながら使用していただきたい、こうしたことで特例承認を行ったことであります。

末松委員 今、橋本副大臣が言われたことを、私の方もちょっといろいろな方でチェックをさせていただきたいと思いますので、あくまで申し上げますけれども、別に私はレムデシビルに対して否定的な考えではなくて、承認の仕組みがアビガンに対する承認のあの慎重さと全く違うから、そこのところを私は非常に違和感を持っているということなんですね。そこはまた日を改めて、聞くときは聞かせていただきます。

 次に、五月八日の加藤厚労大臣の記者会見で、三十七度以上の発熱が四日間続く云々の、受診の基準とも受け取られるこういったものが変更されたわけなんですけれども、加藤大臣が、これは目安なんだ、基準のようにとられたことは本意ではなくて、自分たちから見れば国民の誤解だというような趣旨の発言をされて、私もそのときは、えっと思ったわけでございます。

 なぜかというと、実際に保健所とか病院等で実際的な基準としてそれが活用されてきたんですね。私の耳にも、いろいろな方から、病院に相談したら、まだ三十七度五分以上、四日間も続いていないじゃないかとか、いろいろなことで診察を拒否されたとか、あるいはたらい回しにされたとか、とにかく、こういうことでPCR検査の拡大の邪魔になってきたんじゃないかなというふうに私は感じているわけですね。そういった中で、手当てがおくれて亡くなった方々もおられたんじゃないかという危惧もしているところなんです。

 このような状況になったことに対して、そのときに、今さら、誤解でしたよという話、あたかも責任を転嫁するかのような言葉というのは、非常に私は国民の皆さんにとっても失礼だなという気がするし、そこは橋本副大臣の御認識を問いたいと思います。

橋本副大臣 加藤大臣が、相談・受診の目安ということでこれまでお示しをして、今も中身を直してお示しをしておりますが、私どもとしては、まさに相談・受診の目安としてお示しをしておりますし、その中でも、出した以降も、例えばそれに該当しない方であっても、その方の状況を踏まえて柔軟に判断をする等の対応を求めるような事務連絡などを出すということで、きっちりとしたまさに基準ではなくて、目安としてこれを使ってくださいということは申し上げてまいりました。

 ただ、委員御指摘のとおり、あるいは私どもも報道等でも伺っております。基準のような形で、それに達していないからまだ家にいてください、例えばそういうような御案内があったようなことも私どもも耳にしております。

 そういう意味で、私どもとしては、基準として使われることは本意ではなかったという意味で、誤解だったということを言われたのだろうというふうに私は思っております。

 その上で、ただ、必要な方がしっかりとPCR検査を受けられるようにしなければならなかった、そして、なかなかそれができていなかったかもしれない、そういうような中で、その理由がどこにあるのかということは、まさに、もしかしたら基準として使われてしまったことそのものが問題だったのか、あるいは、それ以外の、例えば、いろいろな保健所の体制が、忙しくて大変だったというようなことだとか、あるいは、その先のPCRセンターみたいなものが手が足りていなかったとか、いろいろな理由が考え得ると思います。あるいは、その先の入院先みたいなものがいっぱいだったからということなどがあって、例えばそれを、この目安を使って説明をされたようなこともあったのかもしれないなということは思っておりますので、実際に必要な方がきちんと検査を受け、必要な対応を受けられなかったことがあるかもしれないという視点に立って、今後、どこに目詰まりがあったのかということをしっかり見直していくことは必要だろう、このように思っているところであります。

末松委員 今、最後の方は、どこにPCR検査の目詰まりがあったかという形にどうもすりかえられたような気もするんですけれども。

 ただ、私が聞いているのは、加藤大臣の発言が、あれは保健所の皆さんがそれを聞いたらみんな基準にしますよ、国民にそう言いますよ。だから、その発言には、本当にそういった、単に目安なんだということは通らないということを、ぜひそこはきちんと反省していただいて、基準となっちゃうんだと、実質的に。そこはそういう形でこれからやっていただきたいということを強く申し入れさせていただきます。

 ちょっと時間がないので、次に行きますけれども。

 次、家賃の問題ですけれども、家賃で、企業の負っている家賃と個人の負っている家賃、二つありまして、企業が負っている家賃は、例えば、私ども、本当に今非常に深刻な状況で、家賃が払えない、そういう店舗なり会社なりが本当にごまんとおられるわけですけれども、私たち野党の方は、日本政策金融公庫を使って家賃支払いの猶予とかあるいは減額という救済策を、既に法案としてこの国会に提出しているところなんですね。

 政府としては、こういった企業の家賃問題について、今あるのは、持続化給付金以外には家賃苦境に対する支援策なるものが見えないんですけれども、副総理として、今後これはどういうふうな形で考えているのか。第二次補正という、そういう視点なんかも含めてどう考えておられるか、おっしゃっていただければと思います。

麻生国務大臣 今、これは、末松先生のところからの案と与党からの案と、二つあるんですかね、基本的には。

 これは内容を詳しく知っているわけじゃありませんけれども、この図を見た感じですけれども、これは、大家に貸すかたな子に貸すかという違いだね、簡単に言えば。与党案はそうなって、野党案は、大体、簡単に言えばそういうことでしょう、そちらの案は。

末松委員 我々の法案は、オーナーの場合と、それから今度はそれを借りているところ、両方の立場に立って、それの間に日本政策投資銀行が入って、とりあえずオーナーに払うという話であり、たな子さんについては、そこで猶予をしてもらう、そういう案なんですよね。まあ、私から余り説明しても。

麻生国務大臣 現場をやったことがないと、なかなか話は込み入ってくるんだと思うんだけれども。この辺、現場をやった人は余りいないか。その辺はやったことがある人だな。

 そういう商売をやった人が聞いているとわかると思いますけれども、これは両方あるんだと思うけれども、テナントに払った場合、そのテナントがちゃんと大家に払うかよという話ですよね。これはちょっと詰めないかぬところが出てくるんですよ。

 それから、オーナーの方に貸した場合は、これは、第三者が入ってきますので、第三者をまたぎますと代位弁済という話になるので、スピード感は結構こっちの方は落ちるだろうなというような感じはするとは思うんですけれども。

 いずれにしても、不動産に関する支払いの話というのは、これはちょっと取り急ぎ、我々としては、その問題に関して、いわゆる金融機関を私は統括しておりますので、金融機関に対して、取りっぱぐれとかそういったことがないんだから、逃げそうもないんだから、とにかく三カ月間だけ延ばしておいてくれ、三カ月間だけちゃんと面倒を見てくれよ、簡単に言えば、金がなきゃその分だけ貸せ、逃げないというんだったらというような形でやるのが一番早いのではないか、私どもは基本的にそう思っていましたので、少なくとも、金融業者に対しては、延滞する分の、月々十万なら十万を貸してやれ、三カ月間だけ三十万という話で後をいろいろやった方が早いのではないんですかという話はしておりますけれども。

 いずれにしても、まだよく読んでおりませんので、政府としてこれはいろいろ検討をされるんだと思いますので、いろいろ案を出し合って、最もいい案を考えればよろしいかなと思いましたけれども。

 これを見た感じで、何となく、第三者をかませるというのは、代位弁済とか結構込み入ってくるから、スピード感は落ちるかなという感じはしました。

末松委員 それは我々の案といい形でミックスすればいいと思っているんですよ。ただ、私の方が聞いたのは、財務大臣としてどういうふうなことを二次補正とかを含めて考えておられるかというのが私の質問だったんですけれども、まあいいですよ、答えなくて。ちょっと先を急ぎます。

 今度は個人の家賃の場合なんですけれども、これは厚労副大臣に聞きますけれども、今、私、地元の市役所の関係の職員から悲痛な悲鳴を聞いているわけですよ。

 どういうことかというと、今、住居確保給付金というのがあって、これは市町村が四分の一負担しなきゃいけない条件になっているんですね。そうすると、市町村は今いろんな支出でもうあっぷあっぷしているわけですよ。そういったときに、市町村が財政不足を理由にこれを抑え込むということをやらざるを得ないというような声が私の地元から聞こえてくるんです。

 ですから、私の方としては、この住居確保給付金については、法律上は四分の一というのがあるからそれは仕方がないかもしれないけれども、それが実質的に市町村の負担にならないように、これを実質的には国が全て負担をしてもらうという形でやってほしいと強くそこは願っているんですけれども、要望したいんですけれども、いかがですか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 住居確保給付金については、新型コロナウイルス感染症による影響等も踏まえまして、支給対象の拡大等を行っているところでございます。

 今お話がありましたとおり、この給付金は、生活困窮者自立支援法における必須事業として定められておりまして、国と自治体の役割分担のもと、生活保護と同様に、要する費用の四分の三を国が負担し、四分の一を自治体が負担をするということとされております。この四分の一分については、地方交付税措置等で一定の支援がなされているところでございます。

 この給付金そのものは、法律に基づく必須事業として義務的経費となっておりますから、申請した方が支給要件を満たせば支給されるものでございまして、今、私どもとしては、例えばその要件を満たしているのに支給されない、そんなことがあってはそれは問題だと思いますが、そのようなことは今のところ耳にはしていないところであります。

 ただ、またそれはそれとして、その交付事務をされる自治体の方で御負担になっているんだというような今委員のお話でございましたので、そうしたことがあるのかないのか、きちんとアンテナを高くして確認をさせていただきながら、また何か考えられることがあるか、見ていきたいと考えております。

末松委員 本当に、地方も財政が全然干上がってきているので、今おっしゃられたように、そこのところはぜひアンテナを高くして、必要であれば実質的に市町村が負担しないという形にしてほしいと改めてお願いします。

 それから、この住宅確保給付金で、今いろんな対象を拡大してもらって、夜学の学生なんかもやってもらっているということで、これは非常にいいことだと思うんですけれども、普通の学生さんであっても、頼るべき実家もコロナの経済的な悪影響で大変になっている、仕送りも滞っている、バイト先も断られた。そうすると、高校や専門学校や大学等をやめなきゃいけないような、ぎりぎりのところにある学生さんもいるわけですよ。

 こういう普通の学生さんに対しても要件を、学生だから、ちょっと対象を厳しくするというんじゃなくて、要件を緩和して、しっかりと住宅確保給付金の対象とすべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。

橋本副大臣 住居確保給付金につきましては、もともと、離職等により経済的に困窮し、住居を失うおそれがある方等に対し、就職活動等を要件として家賃等相当額を支給するものでございまして、学生の修学の継続が目的というものではなく、安定した住居の確保と就労による自立を図ることをそもそも目的としているものでございます。

 そうした、法律の中でも、「就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるものに対し支給する給付金」、こう明記されているものでございまして、そういう意味で、今お触れいただきましたけれども、専ら学費や生活費等をみずから賄っていた学生さんが、アルバイト等がなくなったということで住居を失うおそれが生じた場合などであれば、今の法律の趣旨にも合致するということで支給され得るということはQアンドAでお示しをしております。

 一方で、まさに勉学に励まれている学生さん、その親御さんからの例えば仕送り等々で生活をしておられた、もちろんバイトもしておられたと思いますけれども、そうした方については、基本的には、高等教育の無償化の枠組みの中で、入学金や授業料のみならず家賃支出も加味した学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金の支給を行う、あるいは、今般の感染拡大などの影響を受けて家計が急変した場合には、それを加味した所得見込みでの支援の判定を行うこととしておりまして、そうしたことで、しっかりとその生活を支えていっていただきたい。

 また、必要があれば、学生さんであっても緊急小口資金の特例貸付けの活用というのも可能でございますので、そうしたものも通じて、必要な方に迅速な支援を行ってまいりたいと考えております。

末松委員 とにかくそこは検討してください。

 せっかく呼んでいるので、URの方で、今いろいろな家賃支援がどうなっているかと私も事務的に聞きました。そうしたら、一応分割支払いということで、通常六カ月まで分割支払いを認めるということで、それがどうしようもないときには十カ月まで分割支払いを認めるというところまで頑張っておられるということなんですけれども、できたら、納税、支払いの猶予に横並び、これは一年ですけれども、最長一年間、十カ月を二カ月足して一年間ですね。特にコロナの第二波が来たらまたちょっといろいろな大変な状況になるので、URの住宅の方ができるだけコロナの影響を受けずに住めるように、そこをちょっと検討をお願いしたいと思いますが、URの方、お願いします。

里見参考人 お答えいたします。

 今委員から御紹介ありましたように、私どもは、家賃の支払いが困難となったお客様に対しまして分割支払い等を日ごろからやっておりますが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に合わせまして分割支払い期間を延ばしまして、六カ月、最大でも十カ月というふうにして、その場合には遅延利息の免除というところまで踏み込ませていただいております。

 ただ、分割の期間でございますけれども、私どもとしては、賃貸住宅事業を借入金で行っている関係で適切な債権管理をする必要がございますので、原則六カ月、そこで個別の御事情に応じて十カ月としているところでございまして、こういう制度を四月末に導入したところでございますので、まずはそこをきっちりと実施することで、お客様との御相談、あるいは居住の安定を図っていくのがまず先決かなというふうに考えているところでございます。

末松委員 ちょっと時間が来ましたので最後に一言だけ、住宅ローンのことですね。大臣にそこの救済で、今いろいろとやっていただいていますけれども、最後に、もっと銀行に対してインセンティブの措置をとっていただいて、更に支援が拡大するようにお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、金融機関に対して、住宅ローンの話ですけれども、これは顧客の状況等々を十分に勘案して、条件変更等々の話ですから、そういった話に対しては柔軟な対応に努めるよう要請をしてきたところなんですけれども、これが浸透するように、いわゆる金融機関の対応状況について、銀行法上に、報告とかいわゆる徴求とか、いろいろな形の特別ヒアリングを通して実態を把握するということで、必要に応じて検査を含めて実施することといたしておりますので、住宅ローンの返済猶予の求めに対して、まずは六カ月間元金を据え置いた上で、そのまま六カ月間、状況を踏まえた後対応を再検討するとか、そういった、条件変更手数料は無料にしてその上でやるなどの事例はもう既に見られておりますので、そういった意味では、こういった好事例等々がありますので、これはまとめて公表させていただいた上で、他の金融機関も参考にするように促しております。

末松委員 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内です。発言の時間をいただいて、心から感謝申し上げます。委員長、ありがとうございます。

 まず、新型コロナウイルス感染症対策のことをちょっとお聞きしたいというふうに思いますが、予算の中に繰越明許費というのがあるそうで、この繰越明許費とは、次年度の予算に繰り越すかもしれませんよということであらかじめ見込みを立てて国会で議決をされたものというふうに理解をしておりますけれども、令和二年度、今年度の本予算それから補正予算に計上されている繰越明許費の予算額それぞれとそれから合計額を教えていただきたいと思います。令和二年度。

麻生国務大臣 令和二年度の予算におきます繰越明許の予算総額ですけれども、まず当初予算十一兆六千六百九十億が、補正の追加が六兆四千五百六十七億ありましたので、したがいまして、補正後のものになりますと、これは足しますので、十八兆一千二百五十七億ということになります。

川内委員 令和二年度の予算で、合計で十八兆円次年度に繰り越されるかもしれない、特に、先月、四月末に成立した新型コロナウイルス対策予算、補正予算、これは緊急の予算なわけですけれども、その中にも六兆四千億余りの、次年度に繰り越されるかもしれないということで、あらかじめ予算が計上されている。中身を見ると、経産省のゴー・トゥー予算とか、あるいは文部科学省の一人一台パソコン予算とか、そういうものが繰越明許として計上されている。

 私は、麻生大臣、今本当に資金繰りに苦労されている、あるいはあすの生活にも苦労されている、心配されている方たちのための補正予算であるべきではなかったかというふうに思います。

 そこで、繰越明許に計上されている予算については、例えば、もうこれは与野党で一致しているわけですけれども、雇用調整助成金、雇用勘定で上限額を積み増すとすれば労使の協議が必要になってちょっと時間かかりますねということになる。ところが、一般財源で手当てをすれば上限額をすぐに引き上げることができるというようなことで、今、繰越明許に計上されているもの、例えば平成三十年は翌年に繰り越された繰越明許費が五兆円ぐらいあります。令和元年度も大体五兆円ぐらいになるのではないかというふうに言われております、五月末にはっきりするそうですけれども。

 この令和二年度の繰越明許に計上されているものについても、今すぐ手当てが必要なものについては費目を変えて今すぐ必要なものに充てていくという政府としての判断があるべきではないかというふうに考えておりますけれども、財務大臣としてのお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 予算というのは基本的には年度内の執行というのが前提なんですけれども、繰越明許費として予算計上した経費でありましても今年度に必要と認められる金額を計上しているというところでありまして、例えば防衛費の話にしても、何となく今でも尖閣列島あたりは結構いろいろ忙しいことになってきておるのは御存じのとおりなので、緊要性を欠いている、緊急性を欠いているという予算を計上しているというつもりはありません。

 その上で、まずは先般成立をさせていただきました補正予算というものを直ちに実行して、今現金を必要とされる方々の手元に届けていきたいと考えておるのでありまして、当初予算につきましても、私どもとしては、全世代型の社会保障制度というものに向けた、社会保障というのを充実していかないかぬとか、また総合経済対策というものを着実に実行していかないかぬということで、こういったもの、必要なものを考えて進めておりますので、不可欠の予算を計上しておる、私どもはそのように考えておりますので、着実に実行することが重要である、基本的にはそう思っております。今おっしゃっている意味がよくわからないわけじゃありませんけれども、そのことをよくよく考えてやらせていただいたと御理解いただければ幸いです。

川内委員 麻生財務大臣はすぐれた経営者でもいらっしゃるというふうに思うのですが、今、例えば、観光業、旅館、ホテル、きのうの予算委員会でも申し上げたわけですが、三月の客室稼働率が全国で約三割、前年は六割、四月は恐らく客室稼働率が数%と一桁になっているのではないか、ゴールデンウイークはほぼゼロに近い稼働率だったのではないか。旅館、ホテルなどは装置産業でございますので、大変に借入れも多額にかさんでいるお会社というのもたくさんある。

 そういう中で、きのうも若干議論の中に出ておりましたけれども、外国資本がここぞとばかりにそういう日本のリゾートあるいは温泉の旅館、ホテルを買いに入っているという、これはうわさです、私はその確証を持っているわけではありません、うわさも聞きます。

 そういう中で、ゴー・トゥー・トラベル予算が繰越明許に計上されている。この新型コロナウイルスが落ちついた後やっていこうねという予算が一兆六千億計上されています。でも、その一兆六千億を、今、そういう観光業の方たちのために使うというような判断をされることが政府としての判断であるべきではないか。これは私の個人的な意見として申し上げさせていただいておきたいというふうに思います。

 次に、この新型コロナウイルス感染症に関して、もう、さまざまな数字、あるいはさまざまなデータ、あるいはさまざまな立場の方々の発言というものが出てきて、そしてまた、数字が違ったり、あるいは受診の目安が変えられたりとか、一体何を信じればよいのだろうかというふうに国民は思うわけですけれども。

 政府と国民の間の信頼感という意味において、私は、この新型コロナウイルスの感染症が蔓延をする当初、近畿財務局でお亡くなりになられた赤木さんの手記が奥様の手によって明らかになったわけでありますけれども、こういう一つ一つの出来事をしっかりと政府として解決をしていくこと、それが行政に対する信頼につながるのではないかという観点で、この手記のことについて次に聞かせていただきたいというふうに思います。

 麻生大臣は、財務省の報告書と手記では大きなそごはないんだ、方向性は大体一緒だというふうにコメントをしていらっしゃるわけですが、その手記の詳細を読みますと、例えば、赤木さんは、会計検査院への対応について、応接記録を始め法律相談等の内部検討資料は一切示さないこと、検査院への説明は文書として保存していないと説明するよう事前に本省から指示がありましたと手記に書いてございます。

 理財局長あるいは官房長、教えていただきたいんですけれども、本省からそういう指示があったということは事実なのでしょうか。

可部政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の近畿財務局における平成二十九年春の一回目の会計検査院への対応につきましては、近畿財務局管財部では、保存期間を一年未満としていたことから法律相談文書を廃棄していた一方で、部門をまたがる一覧性のある文書のリストはないことから、統括法務監査官に保存されていることには気づかず、会計検査院からの要求に対して法律相談文書を提出できなかったものであり、その旨を、法律相談文書が確認されました平成二十九年秋以降、国会で御説明してきたところでございます。

 このことは、一連の問題行為が発覚した後に行われた平成三十年度の会計検査の検査院報告書の内容にも合致しており、また、これらの経緯につきましては、財務省が行いました調査報告書におきましても、平成二十九年秋の情報公開請求への対応のため、担当の管財部にとどまらず、他の部門も含めて文書の探索が行われた結果、統括法務監査官において法律相談文書が保存されていることが確認されたことを受け、会計検査院への連絡、情報公開請求に対する開示決定といった対応を速やかに行ったということを記載しているところでございます。

川内委員 今、長々と御説明をいただいたわけでございますけれども、私がお聞きしたのは、事前に本省から指示をしたのですかということを聞いたんですけれども、指示はしておらないという理解でよろしいですね。

可部政府参考人 お答えいたします。

 法律相談文書については、ただいま申し上げましたような経緯でございましたので、そのような指示は行っておりません。

 他方で、文書に関して一切指示をしていなかったのかということに関しましてはまた別の問題でございまして……(川内委員「いや、もうそれはいいです」と呼ぶ)はい。それは別の問題でございます。

川内委員 会計検査院の資料要求に対して、法律相談文書、法律に関する書類はないと答えなさいと指示したのか、それは指示していないということでございました。

 このことだけ取り上げても、赤木さんの手記と財務省の報告書では相違点があるのではないかというふうに考えます。

 理財局としては、あるいは財務省の官房長も、相違点はないというふうにおっしゃられるか、大きなそごはないけれどもそごはあるということでよろしいんでしょうか。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省の調査報告書は、文書改ざんなどの一連の問題について、財務省としても説明責任を果たす観点からできる限りの調査を尽くした結果を示したものでございまして、調査報告書においては、一連の問題行為は、佐川元局長が方向性を決定づけ、近畿財務局の職員の抵抗にもかかわらず、本省理財局の指示により行われたと結論づけており、手記と報告書の内容に若干の表現の違いはございますが、実質的な違いがあるとは考えておらないところでございます。

川内委員 なかなか私の思ったとおりの御答弁をいただけないわけでございますけれども、もう一点質問させていただくと、財務省の報告書の十七ページには、平成二十九年二月二十四日の衆議院予算委員会において理財局長の答弁があるまでに、本省理財局の総務課長及び国有財産審理室長は、森友学園案件関係の各種応接録が実際には残っていることを認識していたものと認められると。総務課長と審理室長は応接録が残っているということをわかっていたと。

 一方で、二十九年二月二十四日の衆議院予算委員会の宮本岳志衆議院議員の質問に対して、委員からの御依頼を受けて確認したところ、近畿財務局と森友学園関係者との交渉記録はなかったというふうに想定問答をつくっているわけですね。

 この想定問答をつくっている人は総務課長、国有財産審理室長で、残っているということを知りながら、廃棄しました、交渉記録はありませんでしたという想定問答をおつくりになられたのは、私は虚偽の公文書の作成に当たるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

可部政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員が御指摘になりましたように、当時、理財局の総務課長及び国有財産審理室長は、森友学園案件関係の各種応接録が実際には残っていることを認識していたというふうに調査報告書で認定をされております。あわせまして、他の幹部職員も国会審議が相当程度紛糾することを懸念して、保存期間終了後の応接録は廃棄している旨を説明するにとどめることを志向したとも認定されており、これについては、国会でも答弁申し上げているとおり、誤った対応であったというふうに考えております。

 実際の作成者についてもお尋ねがございましたが、今となっては誰が作成したのかは定かではございませんが、当時は総務課長は基本的に事前に確認をしていたものである旨、これまでも国会で御説明をさせていただいております。

 いずれにせよ、これまで国会でも答弁しておりますとおり、これは誤った対応であったというふうに考えております。

川内委員 誤った対応であったというのは、何に照らして誤った対応なんでしょうか。何法に照らして誤っているのでしょうか。

可部政府参考人 お答え申し上げます。

 本来であれば、国会でのお尋ねでございますので、その国会議員の先生からの確認を受けて、応接録の存否を確認した上で、残っている応接録があればお求めに応じて提出し、それに生じ得た一つ一つの質問に対して丁寧に答弁していくべきであったということで、国会との関係において誤った対応であったというふうに財務省の報告書の方では認定されております。

川内委員 麻生大臣、最後に御答弁いただきたいんですけれども、過去、国会議員からの資料要求について、政府としてどのように、内閣としてどのように対応すべきかということについて、質問主意書に対する答弁書というものが閣議決定をされておりまして、国会議員からの国会審議に必要な資料の要求は、議院の国政調査権を背景としたものであり、一私人としてのそれではなく、国会がその機能を発揮する上で重要なものであると認識しており、政府としてはこれに可能な限り協力すべきものと考えているというふうに閣議決定がございます。

 結局、今理財局長が、国会への対応として誤った対応であったというふうに御答弁されたのは、この閣議決定に沿っていなかった、反していたというふうに私としては理解をするわけですけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

可部政府参考人 ただいま委員が御指摘になられましたように、その閣議決定にももとるものであるというふうに考えます。

川内委員 財務大臣、確認の御答弁をお願いします。

麻生国務大臣 私、ただ、あのとおり説明、にももとるということですと申し上げようと思ったら先に立たれましたので、同じことを申し上げております。

川内委員 政府として公に表明している方針に反した対応であったということだろうというふうに思うんですが、この財務省の報告書の総務課長と審理室長の処分に対する評価のところでは、その辺が私いまいち処分事由として明らかになっていないのではないかということを感じておりまして、また引き続きこの問題をさせていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 先ほど来、新型コロナウイルス感染症の影響下における資金繰りを始めさまざまな支援策についての議論、こういったことが行われておりましたが、まず私は最初に、新型コロナウイルス感染がもたらす社会の変化についてお尋ねをしたいなというふうに考えております。

 前回の委員会でも麻生大臣にいろいろお伺いさせていただきましたけれども、さまざまな変化の兆しが今見えているかと思います。働き方改革、働き方改革と言っていても、結局、テレワークが強制的にある意味行われた中において改革が行われてきたというようなことがあります。教育についても、そもそも入学時期を変更しようという話も出てきたり、またインターネットを使いながら授業を行っていく、こういったことも進んでいくのではないか。また、医療においてもネットを使った受診、こういった非接触型の社会というのがこれから生まれていくのではないのかなというふうに考えております。

 この中で、やはり今までの価値観と違ったもの、こういったものが生まれてくるのではないか、このように考えております。

 世界を見渡すと、アメリカを始め、やはり自国のことが一番大事だというようなことも言われている中において、また移動が制限される中において、やはりグローバル化といったものが今後どのような方向に流れていくのか。人によっては、その限界、そして、将来それが、そういうものとは違う価値観が生まれてくるのではないか、こんなことも言われております。

 そんな中で、まず麻生大臣にお伺いしたいんですけれども、グローバル化の行方、そして世界の国々の間の関係、これが今後どのような方向に向かっていくのか。大臣の御見解、御認識を教えていただけますでしょうか。

麻生国務大臣 この稼業に入って四十年間で一番でかい範囲の質問なので、短時間で答えるのは難しいなと思いながらここに立っているんですけれども。

 グローバライゼーションというのは多分平成の時代にほぼ始まったと思われますけれども、簡単には、人、物、金が自由に動けるようにする、価値観は一緒というのがその基本だったと思いますね。私、こんなことになるわけがないとその当時言って、左翼の新聞からよくたたかれた記憶があるんですけれども。

 世の中、インターナショナライズされることはあってもグローバライズされることはない、私はそう今でも思っておるんですけれども、現実問題、人がまず動かなくなった。多分、それは、あのシリア難民のヨーロッパへの、難民の大移動というのがとめられたあのあたりから既に始まっていたと思いますし、金の話は、間違いなく、九七年のアジア通貨危機、二〇〇八年のリーマン・ブラザーズのバンクラプト、破産等々で金の動きがとまり、そして物が今回、いわゆるサプライチェーンというものが切断されたというようなことで、グローバライズされる世の中のもとの、人、物、金の動きが全部とまっておりますので。

 そういった意味では、グローバライゼーションの終えんの始まりというのははっきりしていると思います。

 その中で一番はっきりしているのは、多くのものは、世界の工場と称して、安いからというので中国に集中していた生産物が、多分この種の、今回のことを境に、各企業は、サプライ、サプライというのはいろいろ支援していく地方の下請工場を中国から外に移す、既にベトナムとかバングラデシュとかいろいろなところに移していますけれども、そういった形になりますので。

 多分、前回のリーマンのときには、中国は大量の国内融資を、投資等々をやって、あの、日本のやった十兆円とかいろいろなIMFに対する資金にかわって需要を中国国内でつくるということをやりましたけれども、今回はとてもそんなことをできるだけの金はありませんし、中国自体がしんどいことになっていますからそれができないということになると思いますので、基本的にはせえのでいろいろな形のものをつくり直さないかぬということになるというのは、これは日本がきついという話じゃなくて世界じゅうみんなきついことになりますので。

 そういった意味では、これまでの世界とは全然違った絵を描いて経営者は考えないけませんでしょうし、いろいろな意味で、人がどんどんどんどん移動する前提が、しばらくとまったことによって、先ほど御質問があっておりましたように、いわゆる航空会社、旅館等々そういったところ、また人の動きという意味では飲食等々含めてそういったものが全部一旦ばたっととまっておりますので。

 そういったものは幸いにして破壊されたとか津波で流されたとか地震で潰れたわけではありませんので、これはどこかの機会でもう一回、復興、リコンストラクションするためのものの基礎が潰れたわけではありませんので、そういったものに対して金融、財政両方からの支援というものがないとなかなか簡単には起き上がらぬというのは確かなので、今までとちょっと状況が大きく違ったものを前提にして考えないとこの復興はなかなか難しいかなという感じはしております。

日吉委員 ありがとうございます。

 今お話の中で、これまでと違ったことを考えていかなければならない、また、復興をさせるに当たってもいろいろお金をつぎ込んでいかなければいけないし、それでもとの状態に本当に戻るかといったら、また違った社会がやはりでき上がるのかなということだと思っておりまして、それがやはり、今回のコロナはそうなんですけれども、また違った形でのこういったことが、起きてほしくないですけれども、あるということも前提に考えていかなければならない。経営者はそういったことも見据えた上で、さまざまなリスクを考えた上でサプライチェーンの再構築をしていくのではないのかな、こんなことを考えていると思います。

 それぞれその構築というのは各企業が考えることだと思うんですけれども、もし、政府において、何かそれについて課題とか、何か支援をしていくもの、何か考えられていることがあったら教えていただけたらと思います。

麻生国務大臣 今例えばこのマスク、これは、アメリカ、この間ニューヨークのガバナーの人が一週間ぐらい前、今は毎日やっていますけれども、あれを見られたかと思いますが、今我々は、恥ずかしながら、このマスクですら中国に頼らざるを得ないということになったのは国家の恥だということを言っておるんですね。へえと思って聞いていましたけれども。

 日本の場合、これは日本製のものが大分あるんですけれども、いいけれども高い。今はもう、町を歩かれるとわかりますけれども、マスクはいっぱいありますよ、スーパーへ行かれたらわかると思いますけれども。スーパーにないないと言っている人もいますよ。いや、ありますから、実際スーパーに行ったら。ただし、そこに積んであるのは全部中国製、外国製ですな。日本製のエリエールのマスクなんか全くない。それが事実です。これは、今後の物の流れとしてすごく変わってきたなと正直思いました、私はそのとき。ここだけかなと思ったら、ほかのスーパーに寄ってみたけれども同じ現象でしたので、多分そうなんだと思いましたけれども。

 したがって、今後我々としては、やはりそういったものを日本でつくり始める、若しくは一国に傾斜することにしないようにする、又は、そういったものを日本でつくり始めた場合、安くつくるというのは、みんな安くするわけですよ、真面目に。そうすると、利益が出ないわけですな、商売しておられたらおわかりだと思いますけれども。薄利多売という発想を基本的に我々は変えていかないかぬな、そういったものは日本でつくって、かつ、利益が出るようにせないかぬなというようなことになると、生産性を上げる、加えて、商品価値は高くするというようなことをやらないと、薄利多売でやっていくと企業はもちませんから。

 だから、ちゃんと利益をつくって出さないかぬという経営指針に変えていかないといかぬのじゃないかなと、私が経営者だったら発想を変えないかぬなという感じになるんですね。そういった意味で、これまでの感じとはすごく違ったことになってきて、中国で安いからと思ったけれども、みんな多分中国から引き揚げてくるんですよ、これ全部。

 そういったような形になってくると、これは日本としていろいろな意味で大きく変えざるを得なくなってくるということになって、加えて、米中間で、きのうアメリカの死亡者が八万人を超えていましたから、八万一千人を超えたと思いますけれども、日本が七百人ぐらい、アメリカが八万人と。ちょっとそういったことになってくると、なかなか米中間の関係は更に難しくなってくることはもうはっきりしていますから。

 そういったような状況というのが、我々が今後短期間で見て予測できるのは、まずその辺まで予想できるところかなとは思っております。

日吉委員 今大臣の発言の中で、生産性を上げる、商品の価値を高めていく、こういったお話でありました。そういったところで考えていくと、やはり働き方というのも本当に変わっていくのかなというふうに思っております。

 非接触型、接触しないような形になったときに、テレワークもそうですけれども、今まで時間で働いていたものが、時間ではなくて成果で働くというようなことになっていくのではないのかなというふうに考えます。そうした場合に、働き方というのもさまざまあって、雇用が、それが個人事業主になっていくということもあり得るかと思いますし、その中で、一社だけではなくてさまざまな会社の業務を担っていくというようなこともあるかもしれません。

 そんな中で、今企業が休んでいるという、生産をストップしている、その人員を、ではほかのところで確保できないか、今必要としているところで確保できないかとか、雇用を失った、仕事を失った方々をほかのところで、必要とするところで雇うことはできないか、こういったマッチングをするようなことも企業の中で自主的に今行ってきていますけれども、そういった労働市場の流動性とか、さまざまな働き方とか、こういったこともいろいろ考えていかなければならないんだなと思うんですけれども、簡潔に、どういった働き方というか、労働市場のこれからのあり方とか、こういったものを、ちょっと大臣の感想、所見をいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 これは基本的には厚労省の所管の話なんだとは思いますけれども、今、例えば、財務省の国際室で、あの金魚鉢の中に入って国際為替をやっている人、一人でもひっかかったらあの箱の中は全部飛びますから、そこにいる人の出社は半分ということになって、人は二交代ということになって、今どうなっているかといえば、御存じのように、為替等々はほぼ百七円ぐらいばしゃっと、そして株価は二万円等々そこそこで維持していられるという状況は、やっている人数は今までの半分ですよ、簡単に、あの部屋だけでいいますとね。そこで回るという事態は、今まで倍いる必要はなかったんじゃないかとか、いろいろ考えるところ、各会社、皆同じようなものだと思いますよ。多分、テレワークなるものでできる、テレワークで全然できない部署もありますからね。だから、そういったところでいろいろあるんだと思いますけれども。

 いずれにしても、そういった意味で、企業の中で、少なくとも、これからこの種で、もう今まででなくて、要らなくなったという部門若しくは人というのが出てきたときに、それをいかに流動的にやるかというのが問題、全く私もそれはそう思いますけれども、中途採用とかいうような響きは何となくマイナーなイメージ、何となくマイナスイメージですけれどもね。中途採用とか、トヨタに途中から入社したやつは出世しないとか、よく言う話ですよ。途中入社でなかなか偉くならないとかいう話は、古い企業というのはみんなあるんですって。だけれども、そういった意味で、中途採用というような話がこれからはどんどん起きるんじゃないですかね。MアンドAという買収等々でやっていく。

 どういうわけだか知らないけれども、買収した会社で大きくなった会社、一番でかくなった会社はどこですといったら、それは何たって日本たばこだろう。日本たばこが世界で一番でかくなったんでしょうが。官営会社ですよ。それが一番MアンドAをうまくやったんじゃないの。トヨタが大きくなったって、あれは自前で工場をつくっているんだから。MアンドAじゃないから、トヨタの場合は。だから、それは全然違うんだと思いますけれども。

 民間でMアンドAで大きくなったという会社を僕は余り知らないんだけれども、ダンロップかファイアストンを買収したのか、あれぐらいかな。あれが成功したかどうかよくわかりませんけれども、とにかくああいうの。そういったようなものもありますが、ほとんどありませんけれども、これからそういうのがふえていきはしませんかね。そうすると、嫌でもこの種の話で、これができるやつってうちにはいないから、あそこだといってぱっと呼んでくるというような形になっていく、そういう方向に事は動いていくかなという感じはしますけれども、ちょっとまだ見えてこないので。

 これは、見えてくると、企業あたりは次のことを考えているでしょうから、今、ついこの間まで人手不足だったということを忘れるほど経営者は記憶力悪くありませんから。ついこの間まで、半年前まで人手不足だったんだからここで切るばかがどこにいるんだと。またすぐ人手不足になるんだと思っている人は絶対切らないんです。みんな持っていますもの。どこの会社も、三軒ぐらい聞きましたけれども、みんな同じことを言いますから。

 だから、そういうものだと思いますので、対応によって各社違うとは思いますが、基本は、今言われたように、途中採用とかそういったものは嫌でもすごく流動化してくるであろうという感じはします。

日吉委員 じゃ、もう一つ。働き方で、必ずしもオフィスに行く必要がなくなってくるということになった場合に、必ずしも東京、その近郊に住む必要はなくなる、地方に住むというような人がふえていくんじゃないかといったときに、やはり、地方も活性化させていくという意味で、人口の分散、こういったものが進んでいくのではないか。地方で普通に生活をし、今までは生活と仕事というのは場所が切り離されていましたけれども、生活の中に仕事があるというような、ある意味昔のような状況になっていく可能性もあるんじゃないか。

 こんな中で、やはり地方を活性化するにおいて、どのように考えられているのか。そしてそのためには、さまざまな権限を地方に移していったり、お金を地方に移していったり、こういったことをしていかなければいけなくなるんだろう、こういった大胆なことが必要になってくるんじゃないのかなというふうに、分散型社会というものができていくんじゃないのかなと思うんですけれども、このあたりの流れを、ちょっと時間が余りなくなってきたので、簡潔にお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 静岡だっけ。この辺は近いからな。

 地方、地方と簡単に言うけれども、地域によって違うんだと思うんですね、日本の場合。東北からずっと、北海道を入れてずっと。一月になったら鹿児島で桜が咲いているけれども、北海道では桜は六月でも咲いていないところがありますから、そういった意味では六カ月間ぐらい季節も違うしというような話を昔よく聞かされたので、みんな同じように考えない方がいいぞといって、青年会議所に入ったときよく言われたせりふを思い出しますけれども、やはり地方によって、うまく、わあっといくところといかないところというのは出てくるんだと思うんですけれども。

 やはり、九州ですと福岡とか、静岡でも、遠州とか駿州とか豆州とか、人種が違うほど人が違うとよく言われますけれども、これはなかなか地域によってというのに対して、5Gなんというものになってくるといよいよ時間差がゼロになってきますから。そういったものになるといわゆるテレビ会議というようなものが、今、閣議もやたらテレビ会議が多くなりましたし、G7だG20も今テレビ会議をやたら乱用していますけれども、そういったようなものが5Gになると更に便利になりますから、速くなってきたりするような部分で補える部分というのは確かにありますから、自宅にいて、東京、何もせせこましいところにいなくても仕事はできるよということになっていく、移動が速くなるから更にというようなことになって、地方が活性化してくる部分というのは僕は十分にあるんだと思っているんですけれども。

 ただ、何となく、日吉先生、私の感性ですけれども、日本人というのはひなびたところは嫌いなんですよ。俺はそう思うね。だから、昔にさかのぼって、みんな、みやびた京都を目指したわけよ。京都に行って何があるのって、何もないんだから。天皇の権威だけかりようと思ったわけでしょう、何だか知らないけれども。そして、行ったけれどもやはりよくないといって鎌倉にも行ったりいろいろみんなしたりして、それがまた終わった後は今度江戸に移したり、そこでみやびたものにしていくわけでしょう、あれ。だから、やはりひなびたところは余り好きじゃないんだと思うんだね。

 だから、適当にみやびたところをつくらないかぬわけだ。だから豊田よりは名古屋に行くわけだよ。だって、片っ方は三河で片っ方は尾張なんだから、何で三河から尾張なんか行くんだよといってもやはり名古屋に人が集まって、福岡もやはり博多に行くわけですよ。みやびたところに行きたがるんだよね。

 だから、そういったものがあって、じゃ、世界じゅう同じじゃないかと言った人がいて、いや、全然違いますよ。ロンドンに住んでいる貴族なんというのはほとんどいませんから。アメリカに住んでいる、ニューヨークに住んでいるのはみんな、あそこら辺に住んでいる人はほとんどいなくて、みんな、郊外にはいますけれども。

 だから、そういった発想がちょっと違いますから、そういった意味では、これは、みやびたところをつくらないと、夜八時以後に人通りのある町をつくらぬといかぬということなんだと思うんですね。だから、そこのところをどうするかというのはちょっと真剣に考えないかぬところじゃないかと思うので。ちょっと前にも、この種のプロの方に話していて、全くみやびたところにしか行かないというあなたの説は正しいと言われたのは、私はその先生の話を聞いたものですごく自信を持ったんですけれども。

 何となく、もうちょっとそこのところをやらないとなかなかうまくいかないのかなというのが正直な実感です。

日吉委員 ありがとうございました。そのあたりはどうなるかちょっとわかりませんけれども、社会の流れとしては分散型になっていくんじゃないのかなということを思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 さまざまな、いろいろな支援をやっていますけれども、その一方で、中期的には減税、長期的には減税ということも考えられるのかなと思うんですけれども、この点について、今どのように考えられているのか、何か考えがあれば教えていただけますか。

麻生国務大臣 減税って言ったのね。

 ちょっと正直、例えば消費税を減税とかいうような意識が今あるわけでは正直なところありません。私どもとしては、今、例えば、今回、三月に多い期末の納税というものを、法人税、個人の所得税等々、この納税に関して、延滞金利なし、延滞税なしでぼんと一年延期していいですよって、一種の大きな減税、約二十六兆円ぐらいになりますけれども、そういった、財務省がやったことないようなことをやらせていただきましたけれども、そういったものを含めて、今減税というものの意味の効果はわかりますけれども、私ども、同時に財政再建もやらないかぬ立場にありますので、そういった意味からいきますと、私どもとして、今直ちに何とかをどうするというようなことで減税を考えているわけではございません。

日吉委員 確認なんですけれども、今直ちにとおっしゃられましたので、どこかで考えることも、状況によっては、その選択肢は残している、こういうことでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 税というものは、これまでも何回、いろいろな形で所得税等々減税をさせてきていただいておりますし、法人税含めてやらせていただいておりますので、私どもとしては、景気のよくなって、財政収支というものがよくなれば、当然減税というのは考えていくべきものだと思っております。

日吉委員 よくなっていけば当然そうなると思うんですけれども、今のこの苦しい状況において、これがまたもしも続いていくような状況において、減税、これの選択肢は排除していない、これでよろしいですか。

麻生国務大臣 今この段階で、コロナ等々の対策でいろいろやっております中に減税という政策があるかという意味で聞いておられるんでしたら、今の段階で考えているわけではありません。

日吉委員 今の段階では考えていないですけれども、将来、状況に応じては考える可能性がある、こう理解をさせていただきました。よろしいでしょうか。

麻生国務大臣 将来の定義がよくわからぬのでお答えのしようがありませんけれども、私どもは、基本的に財政を預からせていただく立場からいきますと、少なくとも、今財政というものは極めて厳しいことに、今回も更になりますので、そういった意味では、私どもとして、その段階において、いわゆる税収、景気等々、いろいろなことを考えながらやらせていただくということになろうと思いますが、今すぐというか、しばらく、そういった状況になるまで、減税をするという気持ちはございません。

日吉委員 しばらく減税をする気持ちはないとおっしゃられましたけれども、状況に応じて、やはり減税も考えていかなければいけないんじゃないのかなと。

 その一方で、相続税について、聞いた話ですと、相続資産というのは百兆円ぐらい毎年ある、しかし税収が二兆数千億、こういった中で、基礎控除が結構多いので免除される方が多い。こういったところで、基礎控除を廃止して財源を得る、こういった議論ってこれまで行われたことはありませんか。

麻生国務大臣 これは、イギリスに学生でいるときに、まだあのときはイギリスは相続税の高い、今から五十年以上前の話ですけれども、イギリスは相続税がやたら高かったんですけれども、ハイエクでしたかね、誰かが、何でもかんでも全部一割にする、百万円稼いだら十万円、一億稼いだら千万だと。それが全ての人の税金にしてもらえばそれで余るはずだと言って、相続税もそのうちの一つだと言った記憶があるんですけれども、私どもはその話を聞いたときへえと思ったんですけれども。

 それは、全員例外なく、生活保護をもらっている人も一割だ、みんな一割ということをやれば、全ての税は余るはずだという説であって、それからしばらくしてから、大分しばらくたってからこの政界というところに仕事がかわりましたので聞いたことがあるんですけれども、全員例外なく一割払っていただいたら、間違いなく予算は余りますと。当時、若い、若くもないですな、その方、結構たたき上げの方でしたけれども、詳しい人が、その人が一番詳しいといったので聞いたことがあるんですけれども、そう言われた記憶はありますから、そういうことが実際なのかもしれませんけれども。

 さあ、今、今まで一円も払っていない方も含めて全部一割ということが世の中で通りますかねということは、ちょっと全然、政治的な話としては別な話になるんだと思いますけれども、いずれにしても、相続税をゼロに、今二兆円ぐらいですかね、相続税は二兆数千億だと思いますけれども、それをゼロにした場合、それにかわる財源というようなものが何かなというのはちょっと政治的に考えないかぬところだと思います。

日吉委員 所得税、法人税、消費税にしてもフローに対する課税であって、相続税というのは資産。今フローが非常に苦しい時期なので、相続税についてもちょっと検討することがあってもいいのかなというようなことを申し上げさせていただきます。

 最後に、質問です。

 お手元に資料を配らせていただきましたが、これは三権分立の絵なんですが、先日来SNSで話題になっているものですが、この1の資料は衆議院のホームページに載っているものです。2の資料が首相官邸のホームページです。

 これを比べてみると、行政のところの矢印が、衆議院では国民から行政に向かって世論というふうに矢印が伸びているんですけれども、首相官邸のホームページ、2の資料では、内閣から国民に対して矢印が伸びています。

 これは三権分立を説明する資料で、教科書にもよく載っている資料だと思うんですけれども、この1がオーソドックスなものなんですが、国民が国会に対して選挙においてチェックをする、裁判所に対しては国民審査でチェックする、行政については世論としてチェックをしていく、こういった機能をあらわしているんですけれども、なぜかこの首相官邸は逆になっていて、非常に違和感があるんです。

 なぜこれはこういうふうになっているんですか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の官邸ホームページに掲載されております日本国憲法下の三権分立という図につきましてでございますが、確認できます限りで、平成十年、一九九八年、橋本政権のころから同様の図が掲載されているものと承知してございます。大変そういう意味では古いものでございますので、この図の作成経緯等について詳しいことはちょっとわからないのでございますけれども、「内閣制度の概要」というタイトルで、内閣制度の概要を御紹介するページの中で、行政権の主体でございます内閣から主権者であられます国民の皆様に対しまして、国民全体の奉仕者ということでございますけれども、行政サービスをお届けをしているという趣旨を矢印で記したものというふうに思われます。

日吉委員 行政サービスと書いていただければいいのかもしれないですけれども、それであればほかの、国会も裁判所も逆の矢印、双方向の矢印を書くとかでないと何かバランスが悪いですし、これは世論をないがしろにしているんじゃないかというふうに皆さんおっしゃっているわけなんですね。だから、今までずっとそうであったということで、じゃ、なぜ今、このタイミングで、世論をないがしろにしているんだというふうな、こういうことが騒がれてきているのかといったら、やはり政権の体質としてしっかり耳を傾けていないんじゃないか、こういうふうに思われている、思っている人がたくさんいるからなのではないのかなというふうに思います。

 だからこそこういった意見が出てきているんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、この図、普通のオーソドックスなものに直すおつもりはございませんでしょうか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 この図につきましては、先ほども申し上げましたように、少なくとも第二次安倍内閣発足よりもはるか以前から同様のものが掲載されているものでございまして、御指摘のような意図とか趣旨というものは全くないところでございます。

 先生からも御指摘ございましたように、こうした行政サービスの提供、行政の執行に当たりましては、国民の皆様の世論など、御意見を十分踏まえるべきことはもちろん重要であると考えておりまして、この図そのものはそのような趣旨を否定するものではないというふうに考えております。

麻生国務大臣 検討させます。

日吉委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 終わります。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 立国社共同会派の階猛です。

 午前中の質問の続きで日銀総裁に伺いますけれども、まず、おさらいです。

 金融支援特別オペ、拡充されましたけれども、私は、中小企業向け貸出残高はふえないのではないかということを申し上げました。実際ふえるかどうか、これは実績値を見てみないとわからないわけでして、この数字をちゃんと把握するべきではないかということを申し上げました。

 もう一回確認ですけれども、実際に残高が伸びているかどうか、これは数字を確認するということでよろしいですか。

黒田参考人 さまざまなやり方があると思いますけれども、できるだけ把握するようにいたしたいと思っております。

階委員 ありがとうございます。

 それでは、新しい質問ですけれども、私の通告の四点目なんですが、展望レポートについても、今回のコロナの問題の陰に隠れて、火事場泥棒と言うと言葉は悪いですけれども、またおかしな変更が加えられているということです。

 午前中配った資料に書いてあったんですけれども、今もう委員のお手元にはないかもしれませんが、何がこの四月の展望レポートから変わったかというと、GDPや消費者物価指数の政策委員の見通し値、これの出し方が変わったわけですね。

 今までは、各政策委員が、自分は何%GDPがプラスマイナス変化します、あるいは、消費者物価指数がプラスマイナス何%変化しますということで、自分としてこうだと思う数値をピンポイントで出したんですけれども、今回からは、最大一%ポイントのレンジで出すようにしている。それを踏まえて、レンジで出すから、今まで出していた各政策委員の中央値というものも出さなくなっているということで、全てレンジで示すということになっています。

 これをやると、私も常々指摘しましたように、展望レポートというのは、常に見通し、予想は右肩上がり、しかし実績は尻すぼみということを言っていましたけれども、そういう検証ができなくなるんじゃないかというふうに思います。

 時系列での比較をやるということによって、日銀の政策は本当に効果があるのか、そして日銀総裁として職務をしっかり遂行しているのかということを検証していきたいと思っている中で、こうした急に変更をするというのは私はおかしいと思っていますけれども、なぜこんな変更を急に行ったのか、お答えください。

黒田参考人 現在の感染症拡大につきましては、各国で大規模な拡大防止策と雇用、生活を守るための措置が実施されておりますので、いずれ和らいでいくと考えておりますけれども、経済見通しを作成する際には、その時期について一定の前提を置く必要があります。

 そこで、四月の展望レポートでは、世界的に見て本年後半にかけて和らいでいくということを想定いたしましたが、その不確実性というのは極めて大きいというふうに認識しております。四月の展望レポートでは、このように先行きの不確実性が従来以上に大きいということから、経済、物価の見通しについて、委員御指摘のとおり、各政策委員が最大一%ポイントのレンジで見通しを作成し、公表することといたしました。

 過去においても、やはり見通しの不確実性が極めて大きかった二〇〇一年の米国同時多発テロの直後も、レンジで見通しを作成いたしました。今回も同様な扱いとしたものであります。

階委員 では、コロナの影響がこれから収束していくという前提ですけれども、基本的には今回限りで、また従来のように各政策委員がピンポイントで見通し値を示し、そして、その中央値をこの展望レポートには載っけていくという理解でよろしいですね。

黒田参考人 当然、先行き、不確実性が低下していけば、再び各政策委員の経済、物価見通しを一つの数値で作成して、中央値も公表していくということになると考えております。

階委員 はい、わかりました。

 それで、またもうちょっと先ほどの新型コロナ対応オペの話に戻りますけれども、午前中にお配りした資料の二ページ目には書いていたんですが、この特別オペの拡充とともに、新たな資金供給手段の検討ということも書かれていまして、政府の緊急経済対策等における資金繰り支援制度も踏まえて検討というふうになっています。

 これがどんなものかということなんですが、私は前回この委員会で、通常のローンだけではなくて、永久劣後ローンとか資本性の資金の注入というのも中小企業に対して考えていくべきではないかというふうに財務大臣には申し上げました。

 日銀総裁、せっかく来ていただいて、さらに、新たな資金供給手段の検討ということも挙げておりますので、日銀が掲げているこの新たな資金供給手段のイメージというものを教えていただけますか。

黒田参考人 この新たな資金供給手段につきましては、前回の、さきの決定会合の公表文の骨子で示しましたように、緊急経済対策を踏まえて行われる中小企業等への貸出しなどを対象にして、日本銀行が金融機関に対して有利な条件でバックファイナンスを行うということを想定しております。

 対象とする貸出しの範囲につきましては、骨子で掲げた保証料・利子減免制度等を利用して行うもののほか、政府系金融機関と連携して行うつなぎ融資など、対策の趣旨に沿ったものを含み得るように検討していきたいというふうに考えております。

 今後、早急に検討を進めて、成案が得られ次第、金融政策決定会合に報告していくことになるというふうに思います。

階委員 ということは、通常のローンの枠を出ないわけですよね。

 それで、この間の金融政策決定会合でも、政策委員の中には、感染症の影響でどんどん業績が悪化していくと中小企業向けの貸付けが不良債権化する可能性ということにも言及されている方がいらっしゃいまして、そういう中で、なかなか金融機関として新たなローンを出していくのは難しいのではないかというふうに考えております。

 その新たなローンを出しやすくするという観点にも応えながら中小企業の資金繰りニーズに応えていくという意味で、政府系ファンドや政府系金融機関による資本性資金の投入が必要だということを前回も申し上げました。

 最近の西村経済財政担当大臣のテレビなどでの発言を見ていますと、REVICを使ってこのようなことをやるかのような発言も私は見ております。実際のところ、政府として具体的な検討を進めていらっしゃるんでしょうか。大臣、お答えください。

麻生国務大臣 いわゆる、官に限りませんね、官民の金融機関において、無利子とか無担保の話、そういった資金繰りの支援に加えまして、いわゆる今の話は資金ではなくて資本の話ですから、資本性資金の必要性というのは今後高まってくるということは十分に考えておかないかぬところだとは思っております。

 政府において、いわゆる政府系ファンド、今、REVICとか、何かやたら最近意味のわからぬ長い単語が全部こうなっているんですが、地域経済活性化支援機構というのをREVICと称しておるんですけれども、これを活用して、ファンドによる社債性資本、いわゆるエクイティーの資金の話だと思いますけれども、この資本性の資金の供給などなどによって、零細とは言いません、中堅クラスの、何店舗かやっているような、そういった飲食店とか旅館等を含めて、地域の中小企業、中堅企業等々の経営支援というのをやっていくということで、今、西村内閣府何とか担当大臣で検討を進めているんだと承知していますけれども。

 今般の補正の中においても、日本政策投資銀行等々の特定投資業務というのを追加出資しておりますから、そういったものも計上しておりますので、企業の財務健全化というのが目的ではありませんけれども、いわゆる中小・中堅企業に対しても、地域の金融機関と共同のファンドというのを通じて、地域の新規事業とか異業種間の連携等々を考えて、やらせていただきたいというのを考えているんですけれども。

 いわゆる資金繰りと同時に、財務の内容の充実というんですか、そちらの方が正しいんだと思いますけれども、資金繰りプラス財務内容の充実ということ等々を含めて、これは全力で取り組んでいかないかぬところだと思っております。

階委員 REVICが地域金融機関と共同で組成した災害復興支援ファンドというものがありますが、これを活用していくような話も漏れ伝え聞いております。

 ただ、これは、今現在、ファンドの規模、全国五つのファンドがあるそうなんですが、大体、足し合わせても二百五十億ぐらいにしかならないのです。二百五十億円です、大体。ということは、ちょっと規模として少ないし、また、カバーされていないエリアも結構あるんですね。こうしたところをバージョンアップしていかないと、なかなか資本性資金の注入はスムーズにいかないんじゃないかと思っております。

 先ほど来、各委員からも、資金繰り支援、中小企業の支援はスピードが大事だということなので、ぜひこの観点から、資本性資金の注入についてスピーディーに進めていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

麻生国務大臣 これは担当は西村大臣なので、ちょっと私の所管ではないんだと思いますけれども、この種の話、大事なところだと思いますので、両者でよく話をさせていただければと思っております。

階委員 最後に質問しますけれども、政府系金融機関の実質無利子の融資がもともとあったわけですけれども、これに加えて、五月から始まった民間金融機関における実質無利子無担保融資というのは、私、今配っている資料に書かせていただいておりますけれども、特に小規模事業者では融資条件が似通っているというふうに思います。

 この委員会でもかねがね指摘されておりますとおり、政府系金融機関、日本公庫にはお客さんが殺到している、かつ、小規模事業者、国民事業の方にお客さんが殺到しているということで、なかなか審査もおりてこないということなので、せっかくこの五月から始まった民間金融機関の方の仕組みをもっともっと活用してもらうようにお客さんを誘導すべきではないかというふうに思っています。

 この点について、ぜひ取組をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 資金の勧誘をやれというわけですね。民間資金に勧誘をやれと。

 政府として、政府系金融機関よりも民間の金融機関による資金繰り支援を優先して誘導したいという意図があるわけではありませんけれども、今おっしゃったとおり、民間金融機関においても、この制度についてよくわかっておられない方がいらっしゃるんですよ。周知徹底しておらぬといえばそうなんでしょうけれども、わかっておられない方がいらっしゃるので。

 これは周知徹底は重要なところだと思いますので、これは経済産業省もちょっとかんでもらわないかぬところだとは思いますけれども、借入金の希望者への周知を目的として、制度の概要とか申込みの流れをわかりやすくいろいろ解説したものやら何やら、きちんとしたものを公開してはいるんですけれども、まだまだだということだと思いますので。また、動画を最近つくるんだという話をしておりましたので、あんたらのセンスは余り期待できぬなんといってこの間話をしたところなんですけれども。

 いずれにしても、そういった努力をしてはおりますので、少なくとも、効果が出てくればと思っております。

田中委員長 既に持ち時間が経過しております。御協力をお願いします。

階委員 わかりました。

 これで終わりますが、日銀の特別オペで金融機関が得た資金を貸出しに回すときは金融機関がリスクをとるので、それで、今の状況、なかなか信用リスクを考えると貸しにくいということなんですが、こちらの新たに始まった民間金融機関の方は信用保証協会から一〇〇%保証してもらえるので、そういった信用リスクを考えないで金融機関は貸せるということで、私は非常にこれは有効活用すべきではないかというふうに思っていまして、ぜひ周知徹底もよろしくお願いします。

 以上です。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 本日は、五月一日からオンライン申請が始まりました持続化給付金について質問をさせていただきたいと思います。牧原秀樹経産副大臣にもお越しいただいております。

 午前中、参議院の方でも、この持続化給付金、財政金融委員会で議論になっておりましたけれども、ハイライトといいますか、私、麻生大臣の答弁に非常に注目しまして、フリーランスへの支援についてこういう答弁をされたんですね。

 フリーランスと聞いて、最初に思いつく由緒正しきフリーランスはテキ屋だ、三密で被害を受けた、祭りになくてはならない最も必要な職業だ、事業内容もしっかりしている、これまでの前例にとらわれたらだめだ、やはり公平に支援することが重要だと。

 もうすごい委員会室が沸きまして、やはり、現状を捉える視点、それから懐の深さ、これに参議院の委員の皆さんも喝采を送られたんじゃないかなというふうに思います。ちょっと余談ですが、田島国税庁次長の人相にも触れられて、国税庁の柔軟な対応についても非常にユーモラスに語っておられたのが印象に残りました。

 それで、きょうはぜひ、牧原副大臣にも最初に確認するんですが、この持続化給付金について、中小企業、フリーランスを含む個人事業者、事業継続をする、この新型コロナから守っていく、そういう点で、残らず支援していくんだ、こういう姿勢で臨んでおられるかどうか、その決意についてまず確認します。

牧原副大臣 午前中の例もしっかり見ていただきまして、委員には、質問ありがとうございます。

 お答えをしますけれども、この持続化給付金につきましては、新型コロナウイルス感染症によって大きな影響を受けた事業者に対して、事業の継続を下支えをし、そしてまた再起の糧としていただくために創設をした特別の措置でございます。したがって、事業を営んでいるかどうかということが給付の対象とするかどうかの判断基準になっているところでございます。

 その上で、これが遅くなってしまうと、その間にだめになってしまうとかいうような事態が起きてしまうかもしれないので、できるだけ早期にお届けをするという観点から、簡易に判断をさせていただく、そしてまた迅速に大量に処理をするようにさせていただく、こういうことになったわけでございますが、思い、最初の根本的な視点というのは、委員が御指摘のとおり、事業の継続をお支えしたい、こういうことでございます。

清水委員 持続化給付金は売上げが半減した月があるということが要件になっていると思うんですが、昨年の売上額を確認する書類として、例えば確定申告書別表一など税務申告書類を提出するということになっていると思うんです。事業者が提出するこの証拠書類を確定申告の税務書類にすると決めたのは、これは国税庁の提案なんでしょうか。

田島政府参考人 せっかくのお尋ねでございますが、持続化給付金は中小企業庁所管の事業でございまして、当該事業の内容等につきましては、国税庁としては所管外のことでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

清水委員 所管が違うということですので、国税庁が提案したものではないというふうに思うんですが、当然ながら、税務申告書類というのは税務申告のための書類ですよね。そもそも、給付金のための証拠書類になるということを想定して事業者の皆さんは確定申告をしてきたわけではありません。

 そういう点では、この持続化給付金は中小企業の事業継続を支えるということが目的ですから、例えば、副大臣、この税務書類の記載内容のみをもって、これは受け付けできませんというようなちょっと機械的な対応、いわゆる受け付けできませんとか審査できませんとか、まあ審査するのはその後の追加書類等でやればいいと思うんですが、繰り返し言いますが、そもそも税務申告書類ですから、これのみをもって受け付けしませんというようなしゃくし定規な対応というのはとらないでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

牧原副大臣 既に七十万件ぐらいの申請が来ております。それを一日も早く、できるだけ早くということで審査をしていくというのはかなりの手間ではございます。そういうことも考えて、先ほど申し上げたように、一刻も早く多くの事業者の方に給付金をお届けするという観点から、いろいろ検討を重ねた結果、確定申告で事業収入がある、それが半減しているということをもうぱっと見てぱっと支払いをするということをさせていただいたわけでございまして、そういう趣旨から、確定申告書の第一表に記載された事業収入というものを基準にさせていただいたということでございます。

清水委員 確定申告書の別表だけを見て、事業収入がぱっと見てぱっとわかる場合と、そうでないという場合もやはりあると思うんです。その際には、例えば事業者が作成された売上台帳であるとか、あるいは所得税の申告書だとか、前年度の売上げがわかるものを確定申告書類に加えて提出をする。新型コロナの影響を受けて売上げが減ったかどうかということは、これは事業者の任意で添付するということが、作成するということが許されているわけですから、そうした点も、ぜひ柔軟な対応をお願いしたいというふうに思います。

 これは牧原副大臣にもう一つ確認なんですけれども、私もこのフォーマットを見ましたけれども、宣誓・同意事項に全てチェックしないとオンラインで進んでいけないんですよ、申請に。その宣誓・同意事項というのは、例えば、証拠書類に虚偽はありませんとか、あるいは暴力団関係者ではございませんとか、あるいは不正受給が判明した場合は返還しますと誓約しているわけですよね。

 ですから、事業者のそういう真摯な思いに信頼を寄せて、ぜひ、もちろん迅速にやらなければならない、一方で。同時に、やはり対象となる人はしっかりと拾い上げていく、排除していかない。時間はかかるかもしれないですけれども、これはやはり、今後しっかり対応していく、そういう姿勢で臨んでいただきたいのですが、この点、いかがでしょうか。

牧原副大臣 まさに委員が御指摘になった、いわゆる暴力団じゃないとかいうことを証明していただくということで、本来なら、二百万円とかあるいは百万円という税金由来のお金をお支払いするには相当に慎重な審査が必要ですし、これをもらうために、いろいろな人もやるんじゃないかとかいう不安の声もあったんですけれども、何しろ一刻も早くということで、その申請をしていただいた上ですぐお支払いをしているということでございます。

 そういう意味では、そういう申請をしていただいた方は基本的に信頼を申し上げて、できる限り広くお支払いをしていくという姿勢でございます。

清水委員 ありがとうございます。

 最後に、フリーランスで働く事業者への支援について質問させていただきます。

 実例を紹介させてください。

 これは静岡県で五つのバス会社と委託契約を結ぶバスガイドさんのケースなんです。報酬については委託元が源泉徴収しておりまして、確定申告では給与所得としなさい、このように税務署から指南を受けて、個人事業所得ではなくていわゆる給与所得として申告をしていた。今、御承知のとおり、観光業、新型コロナの影響を受けて全然だめですから、仕事がなくなった。それで、バス会社それぞれとの雇用契約ではありませんからね、雇用調整助成金の対象にもなりませんし、休業手当もないわけなんです。

 この間、牧原副大臣御承知のとおり、フリーランスの方から、雑所得だとか給与所得で申告していればこの持続化給付金の対象とならない、そういう声が上がっている。よく御承知だと思うんです。梶山経産大臣も、今週中を目途に対応を検討したいというふうに言われているわけなんですが、ぜひ、そういう点では、先ほどテキ屋の話もありましたけれども、事業を営んでいるかどうかという、その実態に即してしっかりと柔軟に対応していただくということが大事だというふうに思うんですが、この点について所見を述べていただけますでしょうか。

牧原副大臣 この事業化給付金につきましては、先ほど来申し上げているように、とにかく一刻も早く事業者の皆様にお届けをし、事業の継続をお支えをするということで、簡易にさせていただいたということがございます。

 他方で、自分はその中で漏れてしまっているんだと、今委員が御指摘のようないろいろな御指摘がありまして、そういうようなことがあるということも承知をしているところでございます。

 この趣旨に返れば、フリーランスの方も含めて事業継続を支えるということが喫緊の課題であると思っておりますので、昨日梶山大臣からも答弁をさせていただいたとおり、具体的にどのような対応ができるのか、関係省庁とも連携をしながら、今週中を目途に方針をお示ししたい、このように考えております。

清水委員 今の答弁を聞かれて、フリーランスの皆さん、少し希望が持てたのではないかというふうに思います。申告区分だけでなくて、実態に即して持続化給付金の対象としていただくようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延映夫でございます。

 本日は、麻生大臣に御答弁いただけるということで、若干緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 私の質問時間は十分ですので、早速質問させていただきます。

 消費増税、昨年十月に実施されました。それ以前、増税を見送る見送らないの議論が出た際、安倍総理は、リーマン・ショック級の経済危機が起きれば見直す可能性について言及をされました。これは政治判断で行うということだと理解しております。

 そこで伺いたいのですが、昨年十月に増税を行う際、一部軽減税率を含めた向こう一年間の税収の増加額はどの程度だと見込まれているのでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 平年度ベースにおける消費税率引上げによる増収額は、国税が三・四兆円程度、地方税が一・二兆円程度、合わせて四・六兆円程度と見込まれておりました。

美延委員 四・六兆円ということなんですけれども、こういう今のコロナウイルス感染の状況になって、私は麻生大臣にまず伺いたいのは、今の危機はリーマン級の経済危機と認識されておられるのか、それとも、リーマン・ショックほどの経済の落ち込みではないと考えられているのか、大臣の御所見を伺わさせてください。

麻生国務大臣 リーマン・ショックというのは金融の話でして、御記憶かと存じますけれども、少なくともマーケットから全くキャッシュがなくなりましたから。一晩金を借りますと、一晩ですよ、一晩の金利が五・六%。銀行間取引ですよ、五・六パー。町のサラ金より始末が悪かったですよ、はっきり言って。五・六ですよ、一晩で。それがリーマンのときの話です。今は金利幾らですか。そんなことは全くありませんから、種類が違うんですよ、全然。

 だから、そういった意味では、私どもとしては、いわゆる金融危機というものは信用収縮というものによって起こった話なんですから、えらい勢いでいろいろなものが大変なことになったことは事実ですけれども、今回のコロナの話は、これは全く別の話で、金ではなくて物と人の動きがとまったということによる影響なものですから、いわゆる経済活動の影響に関して言えば、全然リーマンのとはショックの性質が全く異なるものでありますけれども、極めて厳しい状況にあるものだと思っております。

美延委員 今大臣が言われたように、極めて厳しい状況であると。

 大臣は先ほどの答弁で消費税減税は今の時点では考えておられないということをおっしゃっておられましたが、私どもの松井代表、大阪市長の松井代表が、先ほど麻生大臣宛てのツイッターで、こういうことをツイッターで言われております。麻生大臣、まずは消費税減税、それからキャッシュレスポイントの五%の継続、これを経済対策として早急に決めていただきたいということを言われているんですけれども、大臣、御所見いかがでしょうか。

麻生国務大臣 その種の話はもういっぱいありますので、それを特に見るということはありません。その種のことで影響を受けるということもありませんし、新聞も余り読まない方なので、努めて読まないようにしていますから、その種の話も努めて読まないように、聞かないようにしていますので、だからあわせて野党の話も聞かないんじゃないかとすぐ言いそうな顔がいますけれども、そんなことはないので。

 信用できる人の話は聞きます。私は、それはもう明らかに、信用できない人、信用できる人、そういったのは人によって違いますので、同じ党だからとか同じ県人だからとか全然関係ない、そんなのは。人によって違いますので、私どもはそう思います。

 ただ、現実問題として、今、私どもの場合、避けて通れない最大の問題、これは何といったって少子高齢化ですよ、この国にとって。最大の問題はこれですから、長期的には。そのときに、社会保障の給付というのはどうやってやるんですかと。もらう人はどんどんふえていって、払う人が減っていくというこの状況をやっていくときに、今の状況をどうやっていくかというのは、私どもは、中長期的には最大の問題だと思っておりますので、少なくとも全ての世代が安心できるという、そういった全世代型の社会保障というのを真剣に考えないといかぬことだと思っております。

 その中で、最も税負担を全世代型で公平にといえば、これはもう間接税、すなわち、日本の場合は消費税ということになろうと思いますので、その消費税を今の段階で引き下げるというようなことを考えてはおりません。

美延委員 私はもともと消費税を一〇%に上げるのではなくて八%でとめ置くべきだという考え方でずっとおった人間ですので、消費税を上げて、しかも、安倍総理も、先ほど一番最初に申し上げましたように、リーマン・ショック級のことが起きたらということですけれども、これは先ほど大臣おっしゃったように、種類は違うとはいっても今は本当にとんでもないことが起きているわけですから、こういうところで、私はやはり、すこっと経済対策を打つ、そして消費税を当面まず八%に下げて、まあ消費税を八%に下げるのが難しければ、今使っている軽減税率、これを全部の品目に利用すればそんなに手間もかからないと思うんですけれども、もう一度答えていただけますでしょうか。

麻生国務大臣 そういう御意見もあるのは、先生だけに限らず、いろいろ御意見というのを伺いますけれども、答弁は先ほど申し上げたとおりであります。

美延委員 何回言ってもこれは難しいんだと思います。本当に残念ですけれども、私は、これはぜひなし遂げていただきたいな、いつでもお考えを変えていただきたいなと思います。

 それから、もう一つ大臣にお伺いしておきたいのは、五月一日に、総額一兆円の地方創生臨時交付金を計上し、各自治体に配分額を公表いたしました。

 一部には算定ミスもあったようですけれども、国に実施計画を提出すれば地方独自の感染拡大防止の経済活動に活用できるということを承知しているんですけれども、先ほど言いました我が党首の松井大阪市長は、市独自で、七月から三カ月間の水道料金の無償化をしたり、学校給食の無償化を一年間前倒して行ったりしております。これは、誰もが使う水道や未来を担う子育ての支援の一環として、家庭の負担を減らす政策だと思います。首長のできる権限の範囲で全てを動員して、誰もがわかるわかりやすい政策で市民を守っていると私は理解しております。

 そこで、副総理であり財務大臣である麻生大臣に二点ほど伺わせていただきたいと思います。

 まず一点目、今回成立した一兆円の交付金でコロナの対策は十分であるのかということが一つ。それからもう一点は、私は、実施計画を国に提出して許可を受けてからお金を配分するというシステムは、地方がスピード感を持って対策を打つことができないと感じています。選挙で選ばれた知事や市町村の首長の裁量で自由に活用できる、いわゆる真水のお金を使えるように、一兆円で終わるのではなくて、第二弾として、更に拡充して積み増して財政面から支援していただきたいと思いますが、麻生副総理の御所見を伺います。

麻生国務大臣 まず、地方交付金として、いわゆる創生交付金の一兆円の話ですけれども、これはリーマン・ショックのときに一兆円やらせていただいたのが最初です。そのときに、一兆円の地方交付金というのをやらせていただいて、少なくとも、地方の首長さんというのはいわゆる一種の経営者ですから、その方々の中で極めてこれは評判のよかった金だったので。

 それで、今回もこの話が出てきて、あのときは公共工事の裏打ちが何か随分ありましたので、五千億で今回はいいんじゃないかと思わないでもありませんでしたけれども、結果として一兆円でやらせていただいたというのが今回で、まだ何に使うか、どうされるか、今からいろいろされている段階なので、まだ今の段階では、まだ執行も全く始まっていない段階なので、次のときにはどうするかという話をちょっと聞かれても、仮定の質問にはお答えいたしかねます、それが一点目。

 二つ目の話というのは今の話ですけれども、少なくとも今の段階で地方の首長さんも一千八百人もいると、できのいいの悪いの、なかなか有能な人、切れている人、いろいろなんですよ、同じ知事でも。

 おたくの吉村と比べてほかのはどうだと言われれば、言いたくなる人はいっぱいいますよ、我々も。あの人がいいなんて言っているんじゃないよ、違いますからね。私、もっと言いたいこといっぱいあるから、俺のところの県の知事にも。たくさんあるんですよ、だけれども、あるけれども、それは経営能力の話ですから、その金を有効に使ってやってもらわなきゃ、税金ですから。税金を有効に使ってやってもらう人に対して、じゃ、どの人が有能なんだというのは、選挙に選ばれた人は皆有能かと言われたら、それは同じ県でも違いますな。

 だから、そういった意味では、私どもとしては、はい、一律に全部やればみんなうまくやってくれる、私、そんな、それほど簡単に人にお金を、預かっているお金を人に、はい、大丈夫です、じゃんじゃんやってくださいなんということを言えるほど無責任な立場じゃいられませんので、そういった意味では、この種のお金は、有効に使っていただくというのをどうやってやるかというのは真剣に考えていただかないかぬところだと思っています。

美延委員 どうもありがとうございました。

 ぜひ、これもまた検討していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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