衆議院

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第4号 令和3年2月19日(金曜日)

会議録本文へ
令和三年二月十九日(金曜日)

    午後四時五十一分開議

 出席委員

   委員長 越智 隆雄君

   理事 井林 辰憲君 理事 うえの賢一郎君

   理事 神田 憲次君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 日吉 雄太君 理事 太田 昌孝君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    今枝宗一郎君

      尾身 朝子君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    勝俣 孝明君

      門山 宏哲君    小泉 龍司君

      佐々木 紀君    田中 良生君

      津島  淳君    中山 展宏君

      船橋 利実君    古川 禎久君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    山田 賢司君

      山田 美樹君    海江田万里君

      櫻井  周君    野田 佳彦君

      長谷川嘉一君    古本伸一郎君

      斉藤 鉄夫君    清水 忠史君

      青山 雅幸君    前原 誠司君

      田野瀬太道君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   財務大臣政務官      船橋 利実君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           武井佐代里君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  古澤 知之君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   角田  隆君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    大鹿 行宏君

   政府参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁)    田中 一穂君

   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     尾身 朝子君

  牧島かれん君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     城内  実君

  佐々木 紀君     牧島かれん君

    ―――――――――――――

二月十九日

 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

越智委員長 これより会議を開きます。

 先刻付託になりました内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 日本経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあります。政府といたしましては、令和三年度予算等により、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている国民の命と生活を守るため、感染拡大防止に万全を期すとともに、将来を切り開くため、中長期的な課題を見据えて着実に対応を進めてまいります。少子高齢化に伴う構造的な課題に直面している日本の財政は、新型コロナウイルス感染症に対応する中で、より厳しい状況にあります。引き続き、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化の達成に向けて、これまでの歳出改革の取組を継続し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいります。

 こうした中、最近における国の財政収支が著しく不均衡な状況にあることに鑑み、令和三年度から令和七年度までの間の財政運営に必要な財源の確保を図るため、これらの年度における公債発行の特例措置を定めることとし、本法案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 令和三年度から令和七年度までの間の各年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書の規定による公債のほか、当該各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができることとする等の規定を整備することといたしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

越智委員長 麻生大臣。

麻生国務大臣 引き続き。

 二〇二五と申し上げるところを二〇二〇と申し上げておりました。訂正させていただきます。

越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

越智委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十二日月曜日午後一時、参考人としてSMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長金融財政アナリスト末澤豪謙君、明治大学商学部教授水野勝之君、群馬大学名誉教授山田博文君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長武井佐代里君、金融庁総合政策局長中島淳一君、企画市場局長古澤知之君、財務省主計局次長角田隆君、理財局長大鹿行宏君、株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁田中一穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

越智委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 山形三区選出の加藤鮎子です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 早速、質疑に入らせていただきます。

 我が国が戦後初めて国債を発行したのは昭和四十年度とされています。当時のことを振り返りますと、私はまだ生まれてもおりませんけれども、昭和三十九年の東京オリンピックが終わり、税収が伸び悩んでおりました。そんな中、特例法を定めることによって、初めて財政法第四条の例外として歳入補填のための国債を発行しました。戦後一貫して掲げてきた財政法第四条の非募債主義を大きく転換した節目だったと言えます。

 なお、当時の内閣は佐藤栄作総理大臣、福田赳夫大蔵大臣、そして大蔵大臣秘書官は越智委員長の御尊父であられます越智通雄先生であったと伺っております。

 それから半世紀以上が過ぎ、現代の私たちは、二度目の東京オリンピックを控え、更には感染症との戦いという難題に取り組んでおります。昭和四十年のように、私たちは再び戦後の経済財政運営における転換点に立っているのかもしれません。未来への責任を踏まえ、財政の在り方について議論を深めることが必要だと感じております。

 こうした認識の下、特例公債法の改正案に関連をいたしまして、未来志向で幅広く御質問をしてまいりたいと思います。

 まず初めに、経済財政運営につきましての質問でございます。

 新型コロナ対策により、今年度の新規国債発行額は、特例公債九十兆円、建設公債二十二・六兆円、合計百十二・六兆円という過去最高額となる見込みであります。そして、マーケットにおいては、これらに加えて、償還額の一部を借り換えるための借換債が発行されます。その借換債なども含めた今年度の国債発行の総額は、二百六十三・一兆円にも上る見通しであります。

 このように多額の国債発行を行っておりますけれども、現在は幸いにも、日銀の金融政策によって、直ちに金利リスクが顕在化する状況ではないようでございます。しかし、世界各国で財政出動や金融緩和が行われている現在の環境が変わって、例えば、海外のどこかで景気がよくなって、量的緩和が終わる可能性がどこかの国で起きたりと、その中で、現状のバランスが崩れて、日本の国債がスムーズに売れなくなる可能性があり得ないとも言えません。

 ある一定程度慎重に国債を発行する必要性もあるかと思いますし、世界経済の状況や各国の財政金融政策の動向なども見極めつつ、丁寧なマクロ経済財政運営を行う必要があると考えますけれども、財務省としてはどのようにお考えでしょうか。

伊藤副大臣 お答えいたします。

 新型コロナに対応するため、世界各国で財政出動や金融緩和が行われ、日本においても累次の対応が取られているところであり、この危機を乗り越え、経済を早期に成長軌道へと戻していくことが重要と考えております。

 一方で、新型コロナへの対応により足下の財政状況が悪化する中で、市場の信認を維持していくためには、経済財政と併せて、財政健全化の両立をしっかり進めていくことが重要と考えております。

 引き続き、内外の経済動向や諸外国における財政金融政策を注視しつつ、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非とも、諸外国の財政金融政策の動向も注視をしながら、慎重に経済財政運営を行っていただきたいと思います。

 次に、市場との対話などについてお伺いをいたします。

 今回の改正によりまして、プライマリーバランスについての文言が条文から外れることになったと承知しております。これにつきまして、市場から、プライマリーバランスの達成を国が意識しなくなるのかなどと誤ったメッセージと受け止められることは得策ではありません。さらに、多額の国債を市場で安定的に消化をしていくためには、マーケットのニーズを踏まえた国債発行が必要となります。そういったことを踏まえますと、国債管理に当たりましては、金融機関等の市場関係者と緊密に対話を行っていくことが重要だと考えます。

 こうした諸課題を踏まえまして、今後の国債管理政策につきましての、どのような方針で臨むか、財務省の御見解をお伺いします。

大鹿政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員がおっしゃいましたとおり、令和二年度の国債発行総額は予算ベースで二百六十三兆円、そして、令和三年度の当初予算におきましても二百三十六兆円と、国債発行額は過去に類を見ない規模となっております。

 こうした中、安定的に国債発行を行っていく観点から、御指摘のとおり、市場の状況や投資家の動向を注視しつつ、市場関係者との丁寧な対話を行いながら、市場ニーズを踏まえた国債発行を行うことが極めて重要であると考えております。

 こうした方針の下、私ども国債発行当局におきましては、各回の入札時のヒアリングのほかに、証券会社との意見交換の場であるプライマリーディーラー会合、すなわち国債市場特別参加者会合や、銀行や生保等の機関投資家との意見交換の場である国債投資家懇談会といった会合をそれぞれ年に数回の頻度で開催しております。また、海外投資家との関係強化を目的とした海外IR、投資家向けの広報活動でありますが、これを世界の各地域を対象にこのコロナ禍にありましても実施をしておりまして、我が国の財政や国債管理政策に係る正確かつタイムリーな情報の提供を行っているところでございます。

 今後とも、こうした取組を通じまして、市場関係者との緊密な対話に努め、国債の安定消化、日本国債に対する信認の維持を図っていきたい、このように考えているところであります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 財務省におかれましては、是非引き続き、決して油断することなく、様々なリスクを想定して、国債管理政策に市場との対話を持って当たっていただくことを御期待申し上げます。

 次に、コロナ対策による国の債務についてお伺いをしたいと思います。

 改めて申し上げるまでもなく、新型コロナへの対応に万全を尽くすことは今何よりも重要であります。医療提供体制の整備や休業要請に応じた事業者への支援等、国民の健康や生活を守るために必要な予算はしっかりと手当てをすべきであります。

 しかし、こうした予算は、先ほども触れましたとおり、まさに本委員会で審議している特例公債法に基づいて発行されている特例公債で財源が賄われていることを忘れてはなりません。子育て世代の議員の一人として、コロナ対策として積み上がった国の債務については、私たちの子や孫の世代に多大なツケを回さないよう、着実な償還が必要と考えます。

 この点、東日本大震災の折には、復興特別債という形で国民の皆様に御負担をお願いして償還を行っているところですけれども、コロナが収束した暁には、こうした例も参考にしつつ、どのように債務償還を進めるのか国民的な議論を行う必要があると考えますけれども、財務省の御見解を伺います。

伊藤副大臣 お答えいたします。

 これまでの補正予算や現在国会で審議をいただいております当初予算において、感染拡大防止策、雇用や生活の支援など、効果的で必要な予算を積み上げてきたところであります。

 一方、こうした新型コロナへの対応の結果、足下の財政が悪化していることは事実でございます。財政の信認が失われないよう、新型コロナの危機を乗り越え、経済再生と財政再建の両立をしっかりと進め、次の世代に未来をつないでいくことが我々の責任と考えております。

 新型コロナ以前から、日本は少子高齢化という構造的な課題も抱えております。引き続き、国民の皆様の理解をいただきながら、歳出歳入両面の改革の取組を続け、着実な債務の償還に努めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 今まさに緊急事態宣言下のさなかではございますけれども、若い世代は心の中で将来の財政を心配しておりますので、是非先を見据えた御議論をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、地方創生臨時交付金の使途についてお伺いをいたします。

 新型コロナウイルス感染症対策においては、地方自治体の皆様が第一線で日夜奮闘しておられることに心から敬意を表します。

 他方、今回コロナ対応として地方自治体に配分をされている地方創生臨時交付金については、全国を見渡しますと、報道等において、無駄遣いではないかと批判される事案も散見されております。

 これは、もちろん地方自治体が創意工夫に応じて自由に活用していく交付金でございますので、各自治体においてもいろいろ御検討いただいた上での結果であろうとは思いますけれども、しかし、中には、国費による支援がなければ本当にこんなことに使ったのかなと首をかしげざるを得ないケースも見受けられます。税金を原資にした事業である以上、一定の節度は必要であります。国民の皆様が疑念を持つようであってはなりません。

 PDCAの観点から、こうした事案について国も情報収集を行い、今後の運用等に生かすべきではないかと考えますが、内閣府の御見解を伺います。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府では、これまでも、地方創生臨時交付金の運用に当たりまして、地方公共団体から提出された実施計画の事業が、制度要綱上、交付対象事業とされている緊急経済対策に対応した事業に該当すること、職員の人件費、用地費などの対象外経費に該当しないことを確認した上で、関係省庁とも調整の上、適正に交付手続を行ってきたところでございます。

 地方創生臨時交付金は、地域の実情に応じて自由度高く活用することのできる交付金でございますので、個々の事業の経済対策との関係の詳細につきましては、各事業を実施する地方自治体において説明責任を果たしていただくべきものと考えております。この考え方につきましては、先般、第三次補正の地方単独事業分の配分を行った際、改めて事務連絡により各地方公共団体に周知徹底したところでございます。

 また、内閣府におきましては、実施計画の概要を公表することを基本といたしますとともに、事業実施に一定のめどが立った段階で必要な検証を行っていきたいというふうに考えております。

 今後とも、関係省庁や各地方公共団体と連携をして、適切に執行に努めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非とも有効なプラン・ドゥー・チェック、そしてアクションを回していただくことを期待を申し上げます。

 次に、サステーナブルファイナンスについてお伺いをしたいと思います。

 国債の安定的な消化には、我が国の財政への信認が大前提であります。我が国の財政への信認を維持するのは、社会保障改革を始めとした歳出改革とともに、歳入面を考えたときには、ポストコロナにおける産業構造や経済社会の変革も重要であります。

 昨年十月、菅総理より、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言されました。国際的にも、パリ協定の下で各国が気候変動対応への取組強化を進めておりますが、これには、産業構造や経済社会の変革を進めるため、政府だけでなく、民間資金も活用する必要があると思います。現在、ESG関連の民間資金は世界全体で総額三千兆円と言われており、国内を見ても約三百兆円と、この三年で実に六倍に増加するなど、国内外で投資額が拡大をしています。

 そして、脱炭素社会、あるいは持続可能な社会に向けての活動に資金を振り向けるサステーナブルファイナンスの推進に向けた議論が国際社会で急速に進んでいます。とりわけEUでは、二〇一八年にサステーナブルファイナンスに関するアクションプランが採択され、企業の環境情報の開示強化など、積極的な政策が進められています。

 我が国におきましても、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて、世界的なESG投資の流れを踏まえて、金融面でも取組を進める必要があると考えますが、金融庁としてのお考えをお聞かせください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現に向けて、経済と環境の好循環をつくり出していくことが政府の重要な課題となっております。日本の企業はカーボンニュートラルの実現に向けた高い技術や潜在力を有しており、国内外の成長資金がこうした企業の取組に活用されるよう、金融機関や金融資本市場が適切にその機能を発揮することが重要と考えております。

 こうした観点から、金融庁では、昨年十二月、産業界、金融界、学者等の有識者から構成される有識者会議を設置し、日本におけるサステーナブルファイナンスの課題や対応案について幅広く御議論をいただいているところであります。

 議員御指摘のとおり、金融庁としては、世界的なESG投資の流れを踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら、金融面の取組を進めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非、世界の潮流を捉まえて、積極的に進めていただきたいと思っております。

 気候変動に関する企業の情報開示について、ちょっと絞ってお伺いしたいと思います。

 ESG投資を促進するためには、企業による情報開示が重要でありますが、このESGに関する情報開示につきましては、TCFD、気候関連財務情報開示タスクフォースの略でありますが、や、米国のSASB、サステーナブル会計基準審議会の策定する開示枠組みなど、今、様々な開示の基準が存在していると承知をしております。投資家にとっては、統一的な基準で比較ができなければ不便であると考えますけれども、金融庁は、ESG情報開示の基準の国際的な統一化に向けてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のESGに関する企業の情報開示につきましては、お話のございましたTCFD提言、それからSASBを始めといたしまして、国際的には数百種類の様々な基準が存在していると言われていると承知してございます。

 こうした中、ESGの情報開示の基準の検討に当たりましては、御指摘のございました投資家にとっての有用性、それから開示に伴う企業の負担、これに併せまして、当局といたしましては、基準がより統一的になっていくことで開示情報の比較可能性が向上する、ひいては資本市場における効率的な資源配分に資するというふうに考えてございます。実際に、開示基準の統一化につきましては、例えば国際会計基準を策定しているIFRS財団においても取組が進められていると承知してございます。

 引き続き、我々といたしましては、こういった国際的な動向を踏まえ、国内関係者と連携しながら、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 気候変動対応を考えるに当たりましては、気候変動リスクが企業活動に与える影響のみならず、逆に、CO2排出などの企業活動が気候変動の方に、気候変動や災害など、企業活動の方が環境に与える影響についても考えることが重要だと考えております。

 こうした企業が環境や社会に与える影響についても情報開示をすることが重要だと考えておりますが、この点につきましての金融庁のお考えをお聞かせください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 企業が開示している環境情報には、主に環境が企業活動に与える影響に関する情報と、企業活動が環境に与える影響に関する情報の二種類に分けられております。

 このうち、議員御指摘の企業活動が環境に与える影響については、投資家のみならず、他のステークホルダーへの情報開示の観点から重要性が増しているとの意見もあり、環境報告書、サステーナビリティー報告書、企業の社会的責任報告書等において任意の開示を進めている企業があるというふうに承知をしております。

 金融庁としては、こうした企業の自主的な開示の状況について引き続き注視するとともに、必要に応じて関係省庁と連携し、対応してまいりたいというふうに考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 先ほど伺った国際的に統一された基準の実現に向けた動きの一つとして、御答弁の中にも出てまいりましたIFRS財団、国際会計基準、IFRSを策定しているIFRS財団の動きがあるわけですが、こうした開示に関する国際的な基準を確立していくために、日本として国際社会でリーダーシップを発揮してほしいなと私は思うのでありますけれども、政府としてはどのように取り組んでいくおつもりでしょうか。金融庁のお考えをお聞かせください。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、先ほどございましたように、IFRS財団というところでは、基準の比較可能性を高めるサステーナビリティー報告基準の実現に向けた取組が進められているというところでございます。こうした国際的な議論について、日本としても積極的に参加していくことが大事であると認識してございます。

 例えば、IFRS財団に関しましては、国内の民間関係者や関係省庁と連携して対応するための枠組みというものを設置いたしまして、例えば財団が出しております市中協議に対するコメントレターの作成などの取組を進めているところでございます。

 こういったコメントレターの中では、IFRS財団の基準設定主体を設置する提案というものを支持する、それから、その設定主体ができた場合には我が国としても積極的に貢献していくといった旨表明しているところでございます。

 引き続き、国内関係者と連携しながら、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 こうした新しい先進的な分野において、我が国でもルールづくり、また環境づくりのところで積極的に関与していって、国際社会で存在感を示していくということは大変重要だと思っておりますので、是非とも積極的な関与を強めていっていただきたいというふうに考えてございます。

 先ほど申し上げておりましたように、カーボンニュートラル実現のためには民間資金の動員が不可欠でございますが、政府においては、カーボンニュートラル社会に貢献する投資機会とその収益を幅広く国民へ提供できるような経済と環境の好循環を生み出すべく、産業政策のみならず、金融市場の仕組みづくりにおいてもそうした視点を持って頑張っていただきたいと思っております。

 これまで企業による情報開示に焦点を当てて議論をさせていただきましたけれども、サステーナブルファイナンスの推進という観点からは、もちろん企業開示の部分だけ、企業の情報開示だけでなくて、それ以外の様々な市場プレーヤー、例えばアセットオーナーや投資家、官民の金融機関、取引所、外部評価機関やデータプロバイダーなどがそれぞれ同じ方向に向かって適切に役割を果たしていくことが重要だと考えております。すなわち、インベストメントチェーン全体を見て、ESGのいわばエコシステム全体をきちんと見ていくという視点が必要なのではないかと考えております。

 金融庁においては、現在、有識者会議で議論を進められているとのことでしたけれども、最後に、この点に関して、金融庁の御見解をお伺いしたいと思います。

中島政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、健全な金融資本市場の機能発揮という観点からは、インベストメントチェーンに参加する金融機関、投資家、企業といった各主体がそれぞれの役割を果たすことが必要というふうに考えております。

 先ほど申し上げた金融庁において設置した有識者会議においても、金融面での取組として、例えば、カーボンニュートラル社会への移行を促進するため、金融機関が融資を通じて企業の技術や潜在力が発揮されるよういかにサステーナブルファイナンスを推進していくか、あるいは、金融資本市場を通じてカーボンニュートラル社会に貢献する投資機会をいかに投資家へ提供していくか、さらに、これまで議論のありました、企業の資金調達を円滑化するための企業のカーボンニュートラルに向けた取組に関する開示をいかに充実させていくかなど、インベストメントチェーン全体について幅広く御議論をいただいております。

 金融庁としては、こうした意見も聞きながら、課題や対応案について検討してまいりたいというふうに考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございました。

 最後になりますけれども、ポストコロナにおける我が国の産業構造改革や経済社会改革のトリガーとなり得るグリーン化、これを促進するためには、再三申し上げているとおり、ESG関連の資金を上手に呼び込んで経済成長につなげていくことが大事だと考えております。

 やはり、我々子育て世代の政治家としては、先ほどの債務の償還もそうですけれども、未来を見据えて、子供たちに残していける環境、地球を残していくということ、それとともに、我が国の財政をきちっと健全化、健全な状態で渡していくということ、これをしっかり考えた財政運営をしていただきたいというふうに思っております。

 また、先ほど申し上げたESG投資の環境づくりということで金融庁さんにお願いをしたい市場の環境づくりにおきましては、情報開示の部分がとても大事だと申し上げましたが、そのときには、是非とも企業が環境に与える影響もきちんとコミュニケーションがなされるような、そういう基準をつくっていただくことを期待していきたいと思います。そういったことを踏まえた金融市場を整備していくことが、私は、本当の意味での、真のサステーナビリティーであるというふうに考えておりますので、是非ともそういった議論を進めていただくことをお願い申し上げまして、少し早いですけれども、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 今日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございました。

越智委員長 次に、本田太郎君。

本田委員 自由民主党、京都五区選出の本田太郎でございます。

 質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私からは、大きく分けまして、特例公債法に関する質問と、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付けに関する質問をさせていただきたいと存じます。

 冒頭、特例公債法に関する質問に入る前に申し上げたいと思いますけれども、今般の新型コロナウイルス感染症は国家国民が直面している大いなる危機であるという認識の下、私自身は、こうした危機に面する緊急時には、平時には様々考慮しなければならない財政上の考慮は一旦後退させ、必要な額の歳出をちゅうちょなく行うべきだと考えております。よもや、財政再建を優先して経済が崩壊したり、国民が路頭に迷うようでは本末転倒であります。

 そういう前提の下、この後、特例公債法案につきまして、少々細かく質問をしてまいりたいと思います。

 まず初めに、特例公債法案の意義についてお尋ねをしたいと思います。

 財政法第四条は、入るを量りて出るを制すとの哲学の下、国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入をもってその財源としなければならないと規定しております。つまり、租税等をもって国の歳出財源を確保するという原則を掲げておりまして、一般会計の歳出財源の不足を補うための特例公債、いわゆる赤字国債の発行は、原則として認められていません。

 他方で、財政法第四条ただし書には、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を得た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができると規定されており、この規定に基づきまして、建設国債は発行できるとされているわけでございます。

 これは、建設される公共施設等は後世に残り、国民共有の資産として、その便益を現役の世代のみならず将来世代も享受し得ることから、公債の元利払いという形で将来世代に費用負担をさせても不合理と言えないということであるからでございます。

 こうしたことから、財源確保のために、使途について制限のない特例公債を発行する必要がある場合には、我が国は法治国家、そして財政民主主義を取るわけでございますから、財政法第四条の例外としての特別法を制定することが必要となってまいります。

 以上のような法律の仕組みの下、昭和五十一年度以降昭和五十八年度までは、特例公債を発行するための特別立法では、満期時にその全額を現金償還するという方針が取られまして、借換債の発行は認められておりませんでした。

 しかし、昭和六十年度から特例公債の本格的な償還が始まるにもかかわらず、大変厳しい財政状況に直面したため、昭和五十九年度の特別立法では、従来の借換え禁止規定が削除をされまして、速やかな減債に努めるものとするとの条件の下で、借換債の発行が許されることとなりました。

 その後、平成二十四年に、ねじれ国会のために特例公債法案を成立させることができず、予算執行の抑制を実施せざるを得ない状況になりましたため、議員修正によりまして、複数年度にわたる特例公債の発行を可能とする現在の特例公債法ができたわけであります。

 このような経緯を踏まえつつ現状を見た場合、我が国の経済、財政は、新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、非常に厳しい状況にあることは明らかであります。

 令和二年度は、景気悪化への対応のために編成された補正予算で、多額の追加歳出が計上されました。他方で、歳入は主に公債金としたことから、公債依存度は六四・一%となる見込みです。

 令和三年度も、歳出総額が百六・六兆円を見込まれるのに対し、歳入につきましては、税収が五十七・四兆円で、その他の収入を含めましても六十三兆円にすぎず、差額の四十三・六兆円は公債金で賄うこととされております。公債依存度は四〇・九%に上ると見込まれております。

 こうしたことから、引き続きまして新型コロナウイルス対策を含めた様々な予算執行を確実に行うためには、裏づけとなる特例公債法は不可欠である、そのように考えています。

 財政法第四条の例外である特例公債法がこのように常態化すること自体は残念な気持ちもございますが、国民の命と健康を守るという政府の責務を果たすためには、現実問題として財政運営の基盤を確保することが最優先される必要があると思います。

 そこで、改めまして、今回の特例公債法の意義について、政府の御所見を伺いたいと思います。

伊藤副大臣 お答えいたします。

 ただいまの本田先生の御質問の中に意義もほぼ包含されておりましたけれども、改めてお答えをさせていただきます。

 今回の特例公債法の改正案は、御指摘のとおり、平成二十四年に、当時の民主党、自民党、そして公明党の三党でお決めいただいた枠組みを引き継ぐものでございます。

 引き続き特例公債を発行せざるを得ない厳しい財政状況にある中で、これも本田先生御指摘のとおりでありますけれども、新型コロナ対策を含め様々な予算執行の裏づけとなる特例公債法は不可欠でありまして、現行法と同様に、今後五年間における特例公債の発行を可能とすることで、安定的な財政運営を確保する意義があると考えております。

本田委員 ありがとうございました。

 まさに、安定的な財政運営を実現するために、五年間の複数年にわたる枠組みをつくっていただくということでありますので、私もその点はしっかりと理解をしたいと存じます。

 次に、特例公債法は、前回、平成二十八年に改正がなされまして、五年間の複数年度にわたる特例公債の発行が可能となっております。今回は、その五年が期限を迎えるため、改めて五年間の延長を求めるというものでありますから、過去五年間についての政府の総括をお尋ねしたいと思います。

 振り返りますと、政府は、平成二十五年六月及び平成二十七年六月に、平成三十二年度までのプライマリーバランス黒字化と、その後に債務残高対GDP比を安定的に引き下げる、そういうことを目標として掲げました。この目標を踏まえる形で平成二十八年に特例公債法が改正されまして、「平成三十二年度までの国及び地方公共団体のプライマリーバランスの黒字化に向けて経済・財政一体改革を総合的かつ計画的に推進し、」との文言が加えられました。それと同時に、平成三十二年度までの複数年度にわたる特例公債の発行が認められることになったわけであります。

 しかし、消費税の一〇%への引上げ時期の延期とか、消費税率の引上げ分の使途の変更などによりまして、平成三十二年度のプライマリーバランス黒字化の達成は困難な状況となってしまいました。そのため、政府は、平成三十年六月に、新たな目標として、二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランス黒字化と同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すことといたしました。

 このように、平成二十八年の特例公債法改正からの過去五年間、政府としては、厳しい経済環境の中で一定程度財政健全化にも配慮をしてこられたものと思います。

 他方で、先ほど述べましたように、特例公債法第四条に書かれているプライマリーバランス黒字化目標は、二〇二〇年度までの達成が二〇二五年度に先送りをされており、この点は、率直に申し上げますと、少々残念に感じるところであります。

 この度、再度、五年にわたる特例公債の発行を可能とするための改正法案を提出するに当たりまして、政府自身として過去五年間の財政健全化の取組をどのように評価しておられるのか、政府の総括を伺いたいと思います。

伊藤副大臣 お答えいたします。

 これも今、本田先生、質問の中でも取り上げていただきましたけれども、現行の特例公債法の下、五年間にわたりまして、まずは社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分に収めるなど、歳出の目安に沿った予算編成を行ってきましたほか、歳入面でも、消費税率一〇%引上げにより後代への負担のツケ回しを軽減するなど、着実に財政健全化に取り組んできました。

 足下では、新型コロナへの対応で財政が悪化しておりますけれども、これは、新型コロナの一日も早い収束に向け、国民の命と暮らしを守るために全力を傾けた結果であります。

 今後も、厳しい財政状況も踏まえつつ、粘り強く適切な財政運営に努めてまいりたいと考えております。

本田委員 御答弁ありがとうございました。

 今後とも、財政運営、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、先ほど過去五年間の総括につきまして伺いましたので、この度の本改正案が成立しました場合の政府としての財政健全化に向けて、今後はどのように進めていくおつもりなのか、抱負を聞かせていただきたいと存じます。

麻生国務大臣 やはり、今、新型コロナというものの感染拡大によって、これは日本だけじゃなくて世界中非常に大きな影響を受けたんだと思っておりますので、それに対応するために、まずは経済というものを活性化させるというのを優先せざるを得ないということで、これは各国一斉に財政出動というのをやり、戦後一回も財政出動をやったことがないドイツも財政出動に踏み切るということにまでなりました。

 日本としても、経済というものと同時に、我々は他国に比べて財政の今の状況は厳しいというのは御存じのとおりでありますので、私どもは財政再建と両方をうまくやっていかにゃいかぬ。ある意味、二律背反するところはあるんですけれども、それを両方やっていかねばならぬというので、この約七、八年間、その方針を貫かせていただいて、少なくとも新規国債発行は十二、三兆減らすところまで行っていたんですが、今回で一挙にぼんとまた、元のもくあみ以上に悪くなっておりますので、そういったもので、私どもとしては、きちんと対応しながらそっちもやらねばならぬというのが我々の置かれておるところであります。

 加えて、今、日本の場合は、少子高齢化に伴いまして生産年齢人口というのが今後減ってまいりますので、そういった意味では、そこのところも対応していかなきゃいかぬということだと思っておりますので、普通の状況より更に厳しい状況を覚悟しておいてやらねばいかぬと思っております。

 ポストコロナという言葉がよく言われますけれども、まだよく見えてこない。人はポストコロナと言いますけれども、それはどういう社会か、よく見えていないんですが、今までと同じものではないのではないか。例えば、リモートなんという、機械のおかげで、随分、生活というか働き方が大幅に変わってきて、一番変化が遅いこの国会ですら、衆参の出席は半分でいいということになり、A班、B班とか分けるようになっておるわけですから、いろいろな意味で、国会ですら変わるほど随分いろいろな影響が出てきたことは確かだと思いますね。

 このコロナがなかったら、A班、B班なんということはとても考えられませんから。とてもじゃない。第一、密の極みですから、衆議院なんというところは。ああいうところで、行かせておいて、人様にはみんな密になるな、なるなと言っている衆議院議員はおかしいんじゃないかと言われて、ちょっと子供に言われて反論ができませんでしたので、私はなるほどなと思っているんですけれども。

 いろいろな意味で、私どもとしては、規制の改革とか経済構造の改革とか、いろいろなものをやらないとなかなかうまくいきませんし、間違っても、今のような、社会保障費が毎年五千億ぐらい伸びていく、本来、ほったっておけば一兆円ぐらい伸びるはずのものを今五千億ぐらいまでに抑えられてはおりますけれども、そういったようなものを考えて、構造的なものを抱えておりますので、私どもとしては、今回の財政法を通していただいた後、いろいろなものを更に今まで以上にきちんと対応していって、やはり歳入歳出両方の面をきちんとやることと同時に、政治としては、規制改革とかいろいろな形で、ポストコロナと言われるようなものに対して、まあ、いろいろな表現が出されていますけれども、そういったような、グリーン化を始め、いろいろなものを一つ一つやっていかないと、私どもとしてはなかなか難しいということを考えておりますけれども。

 いずれにしても、グリーン化が遅れている、遅れていると言われますけれども、先生、やはり、私どもとして、かつて、排気ガス規制のときだって一番遅れていたんですからね、スタートしたときは。三十何年前ですけれども、一番日本が遅れていると言われたんですけれども、終わってみたら日本が一番進んでいるということになりましたので。目標をきちんと決めて一斉に動き出すということができれば、コロナが終わった後一斉に動き始めれば、十分にそういったものに対応できるというのが、日本の底力として持っておかないかぬ。そういったものができるような規制の緩和であったり財政支援であってみたりすることもやりながら財政再建というものをやっていくというような、大まかに言えばそういうことじゃないかなとは思っております。

本田委員 御答弁ありがとうございます。大変示唆に富むお話をいただいたと思います。

 お話を受けまして、やはりポストコロナの時代におきましては、一つ大きな目標を日本として掲げて、そこは政治が主導しなければならないんだと思いますけれども、そういったものをやはり国民の皆さんにも理解をいただいて、一致団結して我が国が、これまで失われた何十年とございましたけれども、それを回復できるような、そういう時代にしたいと、私も今、心を新たにいたしました。ありがとうございます。

 次の質問に入らせていただきます。

 平成二十四年のねじれ国会の際の特例公債法に関する三党合意、先ほど副大臣から言及がございましたけれども、その三党の合意というのは本改正案でも維持されていると考えてよいのかをお尋ねしたい、そのように思います。

 つまり、平成二十四年は、ねじれ国会が原因となって単年度の特例公債法を成立させることができず、予算執行の抑制をせざるを得ない、そんなような状況となってしまいました。そうした中で、三党合意がなされ、議員修正によって複数年度にわたる特例公債法を成立させたと先ほども言及がございました。

 その後、あの平成二十八年の特例公債法改正時に、政府は、当時の枠組みを引き継いで、平成三十二年度、二〇二〇年のことですけれども、そのときまでにプライマリーバランスの黒字化目標と、同年度までの複数年度にわたる特例公債の発行を可能とする改正を行ったわけでございます。

 このように、平成二十八年改正に至るまでの状況と今回の改正案が出されている状況は、改正法案に財政健全化の目標を掲げているという点、また、政府提案による複数年にわたる発行を可能とするという点で類似をしております。

 他方で、今回の状況を見てみますと、平成二十四年から九年が経過している上、さらに、平成二十四年当時とは異なりまして、新型コロナウイルス感染症の拡大という景気を大きく悪化させる要因にも直面しております。それへの対策として多額の特例公債が発行されているということでございます。

 そうした状況変化があるわけですが、政府としては、平成二十四年当時の三党合意に基づく枠組みを本改正案においても維持をしているのでしょうか、御所見を伺いたいと思います。

伊藤副大臣 お答えいたします。

 本田先生御指摘の平成二十四年の三党合意の背景は、改めて御報告いたしますと、当時、予算の成立後もその裏づけとなる特例公債法が成立をせず、これもおっしゃっていただいたとおり、地方行政を含め、国民生活に影響を及ぼしかねない状況が生じていたことがございます。

 そうした中で、当時の野田総理から、どの政党が政権を取っても当面は特例公債を発行せざるを得ない状況にあることから、平成二十四年度の対応だけでなく、それ以降も考えて、予算と特例公債法を一体的に処理するルールをつくるべきとの御提案があったことを受けまして、三党において協議を行い、複数年度にわたり、特例公債法の、発行を可能とする現在の枠組みを取りまとめたものと承知をしております。

 繰り返しになりますけれども、引き続き、特例公債を発行せざるを得ない厳しい財政状況にある中で、安定的な財政運営を確保する観点から、平成二十四年の三党合意は現在も重要な意味を持つと考えております。このため、今回の法案においても、三党でお決めいただいた枠組みを踏まえ、現行法と同様に、今後五年間の特例公債の発行根拠を定めることとさせていただいております。

本田委員 明快な御答弁をありがとうございます。理解をいたしました。

 次に、今回の改正案におきまして、特例公債法第四条の「プライマリーバランスの黒字化」という文言を「財政の健全化」という文言に変更したその趣旨についてお尋ねをしたいと思います。

 元々、平成二十八年改正の特例公債法においては、「プライマリーバランスの黒字化」という文言が第二条二号で法律上も定義をされておりましたが、本改正案においては、財政の健全化という文言については定義規定が存在しないわけでございます。

 こうした違いがあるわけですので、プライマリーバランスの黒字化という文言を財政の健全化という文言に変更した趣旨について、確認をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いします。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 特例公債法の第四条の趣旨でございますが、これは特例公債の発行抑制の努力義務について規定するものでございまして、したがって、その取組の方向性を示す際に、国及び地方のプライマリーバランスの黒字化といった具体的な健全化目標までを法律に書き込む必要はないことから、今回は財政の健全化という一般的な表現を取らせていただきました。

 このように、第四条は政府の財政健全化目標の根拠を定めたものではございませんので、今回の法改正によりまして健全化目標自体に影響を与えるものではないと考えております。

 プライマリーバランス黒字化目標につきましては、骨太方針二〇二〇等を踏まえまして、二〇二五年度の達成に向けて歳出歳入両面の取組を続けてまいります。

本田委員 ありがとうございます。

 文言は変わりましたけれども、趣旨そのものは大きく変わるものではないということで理解をいたしました。

 次に、新型コロナウイルス感染症に関する経済対策によりまして、国債の発行が急増いたしました。今後、これをどのように管理していくのかについてお尋ねしたいと思います。

 新型コロナウイルス対策のために、短期の国債が大量に発行されております。具体的に見ていきますと、二〇一九年度の発行額は二十一・六兆円にすぎませんでしたが、令和二年度は第三次補正予算後で八十二・五兆円、令和三年度は当初で八十三・二兆円と急増しております。このように、令和二年度の新型コロナウイルス対策が原因となって短期国債の発行額が急増しましたが、これは一年以内に償還しなければならないために、その償還の財源として令和三年度も短期国債を八十三・二兆円も発行せざるを得なかったんだろうということだと理解をしております。

 このように、多額の国債を発行されましたけれども、その多くを短期国債が占めるといういびつな状況になっております。こうした状況は、例えば今後金利が上昇した場合において、短期国債の価格が下がって資金繰りに困難が生じるなど様々なリスクが存在すると思われますが、政府としては現在の国債を今後どのような方針で管理していくつもりなのか、御所見を伺いたいと思います。

伊藤副大臣 お答えいたします。

 令和二年度では、一次、二次補正予算を受け、市場のニーズ等を踏まえまして、御指摘のとおり、幅広い年限で増発を行いつつ、短期債を大幅に増発をいたしました。他方、中長期的に国債発行額を抑制していくためには、財政健全化に取り組むとともに、短期債の減額を通じて借換債の発行を抑制していくことも必要でございます。

 こうした観点から、令和三年度の国債発行計画におきましては、市場からのニーズの強い四十年債を増額する一方、可能な範囲で短期債の減額を図ることとしております。

 いずれにせよ、引き続き、市場の状況や投資家の動向等を注視しつつ、市場参加者との丁寧な対話を行いながら、市場ニーズを踏まえた安定的な国債発行に努めてまいりたいと考えております。

本田委員 承知いたしました。よろしくお願いいたします。

 済みません、先を急ぎますので。

 最後に、話題を変えまして、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付けに関する質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の新型コロナウイルス感染症のいわゆる第一波の際、金融公庫には、一時的に業績が悪化している方々に対し、設備資金及び運転資金を無利子無担保で貸し付ける、いわゆる特別貸付けを開始していただきました。

 開始の当初は、支店での対応が滞っている、また、手続に時間がかかっているなどなど様々な苦情もございましたけれども、御努力いただきまして、手続の簡素化や、またマンパワーの補充もしていただきまして、滞り等は解消されたと理解をしております。

 令和三年に入ってから無利子貸付けの金額が四千万から二千万円更に上乗せをされましたが、その際に、二千万円の部分につきまして追加が断られたり、また、二千万円は丸々借りられないといった方もあったというようなことを仄聞しております。

 新型コロナウイルス感染症特別貸付けは、そもそも、コロナを原因とする倒産等を徹底的に防ぐために、非常事態対応として事業者の方々の生き残りを支援する趣旨の制度であると理解をしております。したがって、本来的に融資が受けられない、従前から赤字である事業者、そのような方などを除いては、融資を断られたり、減額されて行き詰まる方々が出ては元も子もないわけでございます。

 そうした観点から、特別貸付けが始まった当初から現時点にかけて、貸付けの実績、また、対応の滞りや、先ほど述べました不十分な融資といったことがなかったかなどにつきましての内容をお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 昨年の二月以降、いわゆるコロナの貸付けを開始しておりまして、先生今御指摘のように、当初はかなりたくさんのお客さんを迎えて、お待たせする時間が長かったり、様々な御指摘を受けました。一時的にそういう意味で混乱したこともあったと思いますけれども、その後、お客様から提出していただく書類を相当削減して、それから、七、八割はみんな郵便あるいはネットで申し込んでいただくというのにいたしました。

 それから、我々の人事異動も、千六百名の人事異動を全部ストップしまして、土日も申込みが多い地域、繁華街の地域は土日も開くというようなこともやって、随分そういう意味では改善をさせていただいていると思っています。

 特に、五月の一日から民間の無利子融資が動いてくれまして、これに助けられてという感じで比較的スムーズに動いてきたというふうに思っております。

 それから、融資のスタンスは、これはもう当初から政府から御指示、御指導をいただいておりまして、審査に当たりましては、足下の財務状況とか過去の貸出条件の変更の実績とかというような、そういう事象のみにこだわって判断するのではなくて、経営実態ですとかお客様の抱えている実情をよく踏まえて判断をするようにということで、今年に入ってからも、緊急事態宣言の延長を受けまして、赤字とか債務超過とか、ただ貸出条件の過去の変更といった事実のみで判断するのではなくてという御指摘をいただいております。

 今先生からお話しのあった貸付けの上限額の話でございますけれども、当初、去年の三月の制度創設の当初は、一番件数の多い国民生活事業でいいますと三千万が上限でございました。その後、七月に四千万、それから今回六千万ということで拡充をされておりますけれども、この国民生活事業の実際の貸付額というのは、実は一千万円以下が全体の六五%、三千万以下が九五%ということで、これはお申し込みになるお客様自身が大きな金額を望んでいないこともございますけれども、我々も、どのくらい借りたらいいんだという御相談もあったりして、じゃ、固定費の半年分にしましょうとか一年分にしましょうとかいう、実は相談をしながら貸しているところがありまして、その意味で、大きな金額、つまり、上限額に張りついた要望そのままをお認めするということがない場合がございます。

 ただ、一回目お貸しして、どうしても二回目が必要になれば、上限額の範囲内で対応することも可能でございますので、今後、先生の御指摘になるような事例で、問題があるような事例が発生しないようにしていきたいと思っております。

 実は、据置期間は、制度は五年なんですけれども、実際には一年以内の据置きの方が六、七割いらっしゃいます。ということは、もう既に二回目の、二回目といいますか、据置期間が来たけれどもちょっと返せないからということで御相談をいただいている事例がもう既にたくさん出てきておりまして、条件変更をして借り入れるスピードを遅らせるとか、あるいは、今の先生のお話にあったように、プラスアルファの貸付けをするとかいうのは動いておりますので、政府の指示に従って、お客様の立場に寄り添って対応していきたいというふうに考えております。

本田委員 御答弁ありがとうございました。

 今後とも、最後におっしゃったように、お客様の立場に寄り添った御融資を含めまして、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

越智委員長 次回は、来る二十二日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十四分散会


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