第12号 令和3年4月20日(火曜日)
令和三年四月二十日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 越智 隆雄君
理事 井林 辰憲君 理事 うえの賢一郎君
理事 神田 憲次君 理事 鈴木 馨祐君
理事 藤丸 敏君 理事 末松 義規君
理事 日吉 雄太君 理事 太田 昌孝君
穴見 陽一君 井野 俊郎君
井上 貴博君 今枝宗一郎君
鬼木 誠君 加藤 鮎子君
勝俣 孝明君 城内 実君
小泉 龍司君 田中 良生君
津島 淳君 中山 展宏君
船橋 利実君 穂坂 泰君
本田 太郎君 牧島かれん君
宮澤 博行君 山田 美樹君
海江田万里君 櫻井 周君
階 猛君 野田 佳彦君
長谷川嘉一君 古本伸一郎君
吉田 統彦君 吉田 宣弘君
清水 忠史君 青山 雅幸君
前原 誠司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
内閣府副大臣 赤澤 亮正君
外務副大臣 鷲尾英一郎君
財務副大臣 伊藤 渉君
厚生労働副大臣 山本 博司君
内閣府大臣政務官 和田 義明君
財務大臣政務官 船橋 利実君
政府参考人
(金融庁総合政策局長) 中島 淳一君
政府参考人
(金融庁企画市場局長) 古澤 知之君
政府参考人
(財務省主計局次長) 宇波 弘貴君
政府参考人
(財務省主税局長) 住澤 整君
政府参考人
(財務省理財局長) 大鹿 行宏君
政府参考人
(財務省国際局長) 神田 眞人君
政府参考人
(国税庁次長) 鑓水 洋君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君
政府参考人
(国土交通省大臣官房海外プロジェクト審議官) 石原 康弘君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 美濃 芳郎君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 山田 知裕君
政府参考人
(株式会社国際協力銀行常務執行役員企画部門長) 橋山 重人君
参考人
(日本銀行総裁) 黒田 東彦君
参考人
(独立行政法人国際協力機構理事) 山中 晋一君
参考人
(独立行政法人国際協力機構理事) 横山 正君
参考人
(株式会社海外交通・都市開発事業支援機構代表取締役社長) 武貞 達彦君
財務金融委員会専門員 鈴木 祥一君
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委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
本田 太郎君 穂坂 泰君
長谷川嘉一君 吉田 統彦君
斉藤 鉄夫君 吉田 宣弘君
同日
辞任 補欠選任
穂坂 泰君 本田 太郎君
吉田 統彦君 長谷川嘉一君
吉田 宣弘君 斉藤 鉄夫君
―――――――――――――
四月十九日
新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
金融に関する件(破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告)
財政及び金融に関する件
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○越智委員長 これより会議を開きます。
金融に関する件について調査を進めます。
去る令和二年十二月十一日、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づき、国会に提出されました破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告につきまして、概要の説明を求めます。金融担当大臣麻生太郎君。
○麻生国務大臣 令和二年十二月十一日に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出いたしております。
報告対象期間は、令和二年四月一日以降令和二年九月三十日までとなっております。
御審議に先立ちまして、その概要を御説明申し上げさせていただきます。
まず、今回の報告対象期間中に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分は行われておりません。
次に、預金保険機構による資金援助のうち、救済金融機関等に対する金銭の贈与は、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で十九兆三百十九億円となっております。
また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産の買取りは、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆五千百九十二億円となっております。
なお、預金保険機構の政府保証つき借入れ等の残高は、令和二年九月三十日現在、各勘定合計で一兆九千六百七億円となっております。
ただいま概要を御説明を申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理等に関しましては、これまでも適時適切に所要の措置を講ずることに努めてきたところであります。
金融庁といたしましては、今後とも、各金融機関の健全性にも配慮しつつ、金融システムの安定確保に向けて万全を期してまいる所存でございます。
御審議のほどよろしくお願いを申し上げます。
○越智委員長 これにて概要の説明は終わりました。
――――◇―――――
○越智委員長 次に、財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、独立行政法人国際協力機構理事山中晋一君、理事横山正君、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構代表取締役社長武貞達彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総合政策局長中島淳一君、企画市場局長古澤知之君、財務省主計局次長宇波弘貴君、主税局長住澤整君、理財局長大鹿行宏君、国際局長神田眞人君、国税庁次長鑓水洋君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、国土交通省大臣官房海外プロジェクト審議官石原康弘君、大臣官房審議官美濃芳郎君、大臣官房審議官山田知裕君、株式会社国際協力銀行常務執行役員企画部門長橋山重人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○越智委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤丸敏君。
○藤丸委員 おはようございます。
本日は、複雑な話ではございませんので、麻生大臣というよりも、和田政務官、赤澤副大臣に対応をお願いしたいと思います。
先日、IMFの成長率の改訂がありました。年末にはコロナ前に戻るというふうにIMFは言っております。しかし、日本は今、コロナ変異ウイルスで大変な状況であります。でも、何とかワクチンを進めて、そういうふうに年末に経済が戻れるように皆さんで努力しなければならないと思っております。
早速本題に入らせていただきます。
この国が豊かになるために、何とか金融市場を成長させたいと思っております。本来的には心の豊かさが問われるところでありますが、資産的にも少し豊かになればいいなと考えるところでございます。
配付資料一ページ。この四十年間で、米国のこの赤い太線、時価総額は三十九・三倍に伸びております。S&P株価が二十七・七倍。日本の青の太線、時価総額が五・一倍、日経平均が三・九倍でございます。
そして、この端っこの一九八〇年のところを見てみますと、日本は一九六〇年頃に皆保険、皆年金ができておりますが、アメリカは公的年金が十分ではないので、一九八一年に、民間に依存した形で、税制優遇の歳入法四百一条k項の確定個人拠出年金ができ、老後に備えた貯蓄が始まりました。これが四〇一kでございます。その四〇一kの資金が毎月毎月金融市場に流入し、また運用でのリターンも悪くないということで盛んになり、一九九〇年からは勢いがついて、そしてアメリカのパソコンも発達して、マッキントッシュやウィンドウズ、それからインターネットができた環境がそろい、ITバブルというふうになりました。
二ページ目を見てもらいますと、この二ページ目は、念のために、これは米国だけなんですが、一九四六年からの推移であります。
ちょっとまた戻りますと、一ページ目の山がありますが、最初の山が、これはパソコンが普及したITバブルの山であります。次の山が言うまでもなくリーマンの山であります。最後の右肩上がりがGAFAの山であります。
それから三ページ。この三ページ目は、一九八一年から四〇一kがスタートし、資産が毎月毎月流入し始め、それが呼び水となって、一九九〇年から資産流入が増えてきております。
このグリーンと青のところが、基本的に毎月毎月、四〇一k、投資信託からお金が入ってきておりまして、一九八〇年から九〇年ぐらいの間はそろそろという感じでありましたが、一九九〇年になるとインターネットとかパソコンが普及し始めてきます、それでこれが、呼び水が多くなって、この最初の右肩上がりのグラフになるわけであります。そして、上がったところで、ちょうど一九九五年、ウィンドウズ95とか出てきましたが、ここで加速してITバブルというふうにはじけたわけであります。
思い起こせば、パソコンがはやる前は、UNIXとかサン・マイクロシステムズとかそういうものがはやっておりました。
次に四ページ。この四ページは、この紫の太線、これはデリバティブが発達したところであります。二〇〇〇年からは、デリバティブが誘い水となって発達してきております。
このデリバティブが発達する前提として、コンピューターが二〇〇〇年ぐらいから本格的になったというのもありまして、東証においても、一九九九年から、手でこう、手指しサインというか、というのもなくなりまして、インターネットというか、処理になってきておりますので、そしてネットで買えるようになったということでありますので。それと、デスクトップのところで、インテルが入ってるじゃありませんが、相当コンピューターがよくなったので、計算が机の上で相当できるようになったわけであります。ですから、ここでデリバティブが盛んになって、次のリーマンに向かっていくという時代であります。リーマンがはじけたとしても、またすぐ、買いが強いですから、GAFAをつくり上げたというところであります。
まずは一問目に入らせていただきます。
世界の市場について、規模や時価総額、株収益がどういうふうになっているのか、また、日本も金融センター構想を持っておりますので、そのお考えをお聞きしたいと思います。
○和田大臣政務官 お答え申し上げます。
世界の株式市場について、二〇二〇年末時点の時価総額の順位でございますけれども、一位がニューヨーク、二位が米国ナスダック、三位が上海、そして四位が東京、五位が香港となっております。
このように、日本には大きな実体経済と株式市場がございます。さらには、約一千九百兆円という家計の金融資産があり、しかも、そのうちの一千五十六兆円は現預金でございます。資産運用ビジネスにとっての大きなポテンシャルがあるといったことは間違いないというふうに言えると思います。
こうした日本の強みやポテンシャルを生かし、アジア、世界における国際金融センターとしての地位を確立していくことが重要だと考えております。金融当局による施策や所要の税制上の措置、行政サービスの英語対応、在留資格の緩和といった諸課題に取り組んでいるところであります。
また、そのためには、日本市場の魅力を向上させることが極めて重要でございまして、海外投資運用業者等の参入を促進するための簡素な参入手続の創設、銀証ファイアウォール規制の見直しなどによる資本市場の活性化等に取り組んでいるところでございます。
こうした取組を通じまして、委員御指摘のあったとおり、国をより豊かにするといった観点に立ちまして、世界に開かれた国際金融センターとしての地位を確立してまいりたいと思っております。
○藤丸委員 ありがとうございます。
次に、いつも私が言っているんですが、アメリカの掃除のおばちゃんは、ざらに百万ドル持っている、一億円ですね。百万ドル、一億円持っているとよく言っております。
これは、四〇一kや投資信託が一九八〇年から始まっておりますが、毎月百五十ドル、四十年積み立てていればたまっています。九ページを見てもらえますか、九ページにそれを書いております、九ページ、十ページ。これはS&P五〇〇に投資した分であります。
一九八一年から四〇一kが始まっておりますので、二〇二〇年末までの四十年間の積立てで、毎月百五十ドル積み立てていけば一・一億円ですね、このぐらいになっておるわけです。この四十年間の平均利回りが七%、これは証券業協会に計算してもらいましたので、こういうものでございます。
私はよく、掃除のおばちゃんであっても一億円ざらに持っていると。よく言われるんですよ。税制のときもよくそういうことを言いますが。百ドルでは無理ですけれども、百五十ドル、四十年間毎月投資していたら一億円持っているということであります。
その横側、十ページを見てもらうと、どのくらい積み上がっているかというのが分かります。百ドルじゃそこまでいきません。二百ドルだと一・四までいくわけですから、毎月毎月の積立てがいかに大事かということであります。
なぜこのことが起きるのかというと、アメリカの株価は右肩上がりを示しているからであります。
アメリカの金融市場も、元々こういうふうに、先ほど二枚目にありましたように、活性していたわけではなく、四十年前はアメリカ人も貯金が多かったわけであります。ところが、一九八一年、四〇一kの話ですが、アメリカは年金や保険が十分ではありません。日本は一九六〇年に皆保険、皆年金が、六一年だったかな、始まっていますが、アメリカも一九八一年に四〇一kが始まり、三ページを見てもらうと分かるんですが、十年ぐらいかけて少し上がってくるんですよ。これはちょっといいかもしれないということで、まあまあいいじゃないかということでどんどん上がっていきまして、一九九〇年からは、少しぐっと、パソコンもできた関係があると思うんですけれども、ぐっと上がって、アメリカの場合、一九九〇年ぐらいからインターネットで、パソコンで買えるようになってきておりますので、十年日本より早いということで、そして、四〇一kのお金が呼び水になってじゃんじゃん入っていくということで、相まって、右肩上がりでやっていきました。
そこで、二問目。
アメリカ株価右肩上がりの始まりの四〇一kのポイントについて、説明をお願いいたします。
○中島政府参考人 お答えいたします。
四〇一kは、米国の確定拠出型企業年金の一種であり、一九七八年の米国内国歳入法の改正で導入された制度であります。企業の拠出だけではなく、従業員本人の拠出も可能となっており、税制上は、課税所得からの控除、運用益の給付金受取までの課税繰延べ、企業拠出については、法人税の算定上損金算入が可能といった優遇措置がございます。
具体的には、従業員拠出と企業拠出の合計は一人当たり年間五万八千ドルまで、従業員拠出については五十歳未満は年間一万九千五百ドルまで、五十歳以上は年間二万六千ドルまで課税所得から控除可能でありまして、企業拠出については従業員に対する報酬の二五%まで損金算入が可能となっております。また、六十歳になる前の中途引き出しの際には原則として一〇%のペナルティー課税を受けますが、死亡時や初回住宅購入費、多額の入院費用等の目的で払い出す場合にはペナルティー課税がなく、年金目的以外にも利用することができるものとなっております。
こういった税制上の優遇等があることで、加入者の拡大など、制度の普及に資しているものと承知しております。
○藤丸委員 今説明がありましたように、四〇一kのポイントは、もちろん一九八一年の前にもアメリカはDCがありました、ディファインド・コントリビューション・ペンション何とかですね、がありましたが、余り十分ではありません。そこで、ポイントは、今まで企業型だったので企業がお金を拠出していたんですが、個人が拠出できるようになった。それと、税制繰延べはもちろん同じようにあります。投資先を自分で選択するということになったのがポイントであります。
それで、一九九〇年から二〇〇〇年まで、アメリカは毎月給与から大量のお金が流入するようになり、需給としての買いが強くなり、そしてまた、マッキントッシュとかウィンドウズが誕生して右肩上がりになっていったということであります。
そして、二〇〇〇年ぐらいからの話でありますが、二〇〇〇年ぐらいからは、コンピューターの進化で金融工学が進み、デリバティブ取引が盛んになります。これにより、リスクヘッジといいますか、保険を掛けて大きく勝負できる、このことがアメリカの金融市場を大きく伸ばしたわけであります。
第三問目に入ります。
このデリバティブについて、これは大阪の堂島の米会所が始まりと言われており、江戸時代、一七七〇年代ですが、江戸幕府の米下落の対策として、苦慮して、江戸町奉行の大岡忠相まで登場して、帳合い取引や証拠金という話が出ています。
本来的に、リスク回避、ヘッジですが、先物オプション、スワップとありますが、典型的なデリバティブについて御説明を願います。
○中島政府参考人 お答えいたします。
デリバティブ取引は、有価証券等の取引から派生した取引を言い、主な類型としては、先物取引、オプション取引、スワップ取引があり、また、取引所で行う取引所取引と金融機関が顧客等と相対で行う店頭取引に分類されております。
デリバティブ取引の種類や取引目的は様々でありますが、例えば、先物取引は、将来の一定の時期にあらかじめ定められた価格で金融商品の売買を行うことを約束する取引であり、一般にリスクヘッジ目的で利用されております。例えば、多数の銘柄の株式を保有する投資家が日経二二五先物といった先物取引を利用することが考えられます。この投資家は、将来、保有する株式の価格が下落した場合には損失を被りますが、将来の一定時期にあらかじめ定められた価格で売却する先物取引を行うことで、株価下落時にこの先物取引で利益を得ることができ、結果として、保有する株式の価格下落リスクをヘッジすることが可能となります。
○藤丸委員 このデリバティブがリーマン・ショックを引き起こし、今、GAFAをつくり上げているということであります。
アメリカの株価の右肩上がりは、くどいようですが、日本のように皆保険、皆年金のないアメリカにとって、一九八一年から始まった四〇一kに始まり、二〇〇〇年からのデリバティブにより加速されて大きくなったと言えます。
また、金融ショックがあったとしても、市場にお金が流れているので、買いが強い、回復が早いということになります。そして、企業の理想であります長期資金調達は市場からということで、イーロン・マスクのテスラや、失敗しましたが、ロケットが飛ぶわけであります。日本も、そこまでとはいかないまでも、少しはそうなればいいなと考えているところであります。
四問目。
日本において、老後の蓄えや資金形成のためにはどういうものがあるか、説明を願います。
○中島政府参考人 お答えいたします。
日本における老後の蓄えや資産形成を支援するための主な制度としては、いわゆるiDeCoやNISAがございます。
iDeCo、個人型確定拠出年金は、公的年金の上乗せとして、老後の所得確保に向けた個人の取組を支援するための制度であります。現状、掛金の全額所得控除、運用益の非課税、受給時の公的年金等控除又は退職所得控除といった税制上の措置がございます。
iDeCoは、二〇〇二年一月から個人型確定拠出年金として開始され、制度開始当初は、自営業者と、職場に企業年金のない従業員のみに加入可能範囲が限定されておりましたが、法律改正により二〇一七年一月から企業年金加入者、公務員、専業主婦も加入可能となったことに伴い、愛称をiDeCoとしたものであり、二〇二一年、本年二月末時点で百八十九万人が加入しております。
また、NISAは家計の安定的な資産形成を支援するための制度であり、年間百二十万円まで買い付け可能で、五年間非課税で保有できる一般NISAと、年間四十万円まで買い付け可能で、二十年間非課税で保有できるつみたてNISAがございます。二十歳以上の方であれば誰でもいずれか一方を選択して利用することが可能であり、税制上、運用益が非課税とされております。
一般NISAは、二〇一四年に開始して以降、昨年末時点で約千二百二十万口座が開設されており、つみたてNISAは、二〇一八年に開始して以降、昨年末時点で約三百万口座が開設されております。
○藤丸委員 このiDeCo、四〇一kに似た、DCを四〇一kにしたようなもので、インディビジュアル・ディファインド・コントリビューション・ペンション・プランということであります。運用の仕方が、ちょっと国債とかそっちが多いので、株というよりも堅い運用が多いので、そういうと、利回りもいいですし、堅くいくという人たち向きです。だから、中年の方にはそれを私は勧めたいと思っております。
NISAは、これもイギリスのISA、インディビジュアル・セービングズ・アカウントにNをくっつけただけの話だが、けったいな、けったいと言ったらいかぬけれども、何だこの名前と思ったぐらいなんですけれども、英国のISAにNをつけているわけであって、ニッポン・インディビジュアル・セービングズ・アカウントとでもいうことになりましょうか。
そこで、このところ金融緩和、低金利で株が上がっています。つみたてNISAが三年三か月たっています。どれだけの運用益があったか、試算をお願いいたします。
○中島政府参考人 お答えいたします。
運用益については、投資している商品によって異なるため一概にお答えすることは困難でありますが、一定の仮定を置いた上での試算に基づき、御回答申し上げたいと思います。
つみたてNISAが開始した二〇一八年一月から二〇二一年三月までは三年三か月間、この間、つみたてNISAの年間投資上限額四十万円に収まるよう、例えば毎月月末日に三万円を積み立てていた場合、積立総額は百十七万円になります。この場合において、例えば、東証一部に上場する普通株式全銘柄を対象とする株価指数TOPIXに連動する公募投資信託に投資していた場合の運用益は、二〇二一年三月末でプラス二十七万円、約二三%のリターンとなります。
米国で時価総額の大きい主要五百社で構成される株価指数SP五〇〇に連動する公募投資信託に投資していた場合の運用益は、二〇二一年三月末でプラス四十四万円、約三八%のリターンとの試算となっております。
○藤丸委員 今の話は十四ページに実際につけております。十四ページですね。その後ろには、ではこれから、つみたてNISAというのは二十年やるわけです、そのシミュレーションを、ちょっと株価が、複利が四・七とか、そんな大きくは、余り期待を持たせてもいけませんので、TOPIXとか、本当は、S&Pなんかは五・九ありますのでもうちょっといくと思うんですが。
こういうふうに、私は、若い人、会社に入った新入社員のときからこういうのを説明して、資産形成をしてもらいたい、そしてこのお金が株式市場に入って、毎月定期的にずっと入っていくということで買いを強くして株価を押し上げていくというのが、私の望んでいる理想であります。
最後に、副大臣より、金融市場育成のため、御感想をお願いいたします。
○赤澤副大臣 委員御指摘のとおり、家計の安定的な資産形成の支援や成長資金の供給拡大を通じて経済の好循環を図っていくことは、非常に重要であると認識をしております。
また、昨年六月の自民党金融調査会の提言において、委員がまさに座長を務められた金融市場強化・保険PTからも、ちょっと引用させていただきますが、金融市場の機能、魅力の向上や、国民の安定的な資産形成を推進していくことが重要な課題であるとの御提言をいただいており、大変ありがたいことであると同時に、その課題認識を踏まえて施策を進めることが重要であると考えております。
このため、金融庁においては、顧客本位の業務運営や金融経済教育の推進、世界に開かれた国際金融センターとしての日本の地位確立のための環境整備、資産運用の高度化やコーポレートガバナンス改革などの様々な施策に取り組んでいるところでございます。
中でも、委員御指摘の税制に関して申し上げれば、資産形成の手段としてNISAの普及に努めてきたところであり、足下では、一般NISA及びつみたてNISAの開設口座数が合計で千五百万口座に達しているというのは御案内のとおりでございます。
また、つみたてNISAについては、特に二十代、三十代の利用者が増加するなど、若年層にも普及してきているところであり、引き続き、NISAなどの利用を通じて、安定的な資産形成の推進に尽力してまいりたいと考えてございます。
○藤丸委員 ありがとうございます。
若いうちから資産形成をする。今、スマホがありますので、スマホで大体毎日どのくらいもうかったとか損したとか、人間はお金じゃありませんけれども、心の豊かさが一番大事なんですけれども、もう少しぐらい、少しぐらい資産形成を若いうちからしていいんじゃないか。そのお金が金融市場に定期的に入り込んでいって、買いを強くして株価を右肩上がりにする。企業も、返さないでいいお金を金融市場から調達できるという良循環にしなければならないと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
終わります。
○越智委員長 次に、末松義規君。
○末松委員 立憲民主党、そしてその会派を代表しまして質問させていただきます。末松義規でございます。
今、藤丸委員から、若いときからの資産形成、これは重要だということ、そして金融庁も、報告書は受け取られなかったにせよ、退職時に二千万円ぐらいは必要だと。こういうことを国家的に、やはりしっかりとそういったものを実現していかないといけない、それがこれからの不確定な世の中を安心して生きられる要諦だと思っておりますので、そこは私も賛成だということをまず申し上げたいと思います。
そして、大臣、金融庁におかれましては、まずもって謝意を表明したいと思います。
この前、私の方で、第一生命の関係者によって被害が生じて、それの救済を一〇〇%、早くしてくれということを申し上げたんですけれども、大臣の御指示等あったのかと思いますけれども、そういった中で、きちんと、三月末には、第一生命の方で一〇〇%救済をしていくという方針が示されて、それが着実に実行されているということは喜ばしいことであって、これは高く評価すべきだと思っております。まずその謝意を表明したいと思います。
質問に移りますけれども、一点目が、実は消費税の総額表示という問題がございまして、今年の四月から消費税の総額表示が義務となりました。
それまで、実はこれになかなかなじまないような業界がございまして、例えば出版業界とか、あるいはリサイクル、中古品業界とかそういったところについて、例えば本なんかは、とにかく寿命が何年、何十年と非常に長いサイクルで売れていきますので。そういった中で、本の値段をどうしますかといったときに、消費税が変わるたびに全部価格表示を変えていかなきゃいけないという大変な手間と、それからコストと、そして大きな煩瑣な作業が出てくるわけで、これはとてもじゃないけれどもやっていけませんねというのが、出版業界始め幾つかの業界が困っている状況でございました。
そのために、今年の三月までは消費税転嫁対策特別措置法というのがあって、それによって、なかなか表示しにくいところはその表示をしなくてもいいよという中の経過措置みたいな形で書いてあったわけでございますけれども、今のこの総額表示を義務にした場合、やはり中古品の本とか、同じ本でもいろいろな、値段が違うようなところも含めて、消費税が変わるたびに、パーセンテージが変わるたびに本当に大変な労苦を強いられるということでございます。
そういったことは、やはり業界も、小さな本屋さんなんかは潰れていくとかそういうことにもなりますので、そういうことを勘案して、本当を言えば、先ほどの特別措置法を延長してほしいという声が非常にございます、私も新聞等でそれは見ているわけですけれども。そこについて、財務大臣としての御見解を問いたいと思います。
○麻生国務大臣 これは末松先生、もう長い歴史ですよね。これを最初に導入したときに、総額か外枠かというのでえらいもめましたけれども、両方されたらどうですと、私が自民党のまだ若造で、若造といったって五十ぐらいの若造だったんですけれども言わせていただいた記憶はあるんですけれども、山中貞則先生という方が税調に君臨しておられましたので、あの方に言われて、外枠だというのを強烈に主張されておられたので、失礼ですけれども、ビールを外枠でやったら、ビールを飲むやつはどのぐらいいるでしょうかと。会場は大笑いになって、山中貞則がいきなりステッキでばあんと言わせて、麻生、今のは一点やると言って、一点ですよ、一点やると言われて。よう反論するのは、俺を詰まらせたところは認めてやるとか言われて、それで結果的に両方やることになったり、いろいろした。これは本当に物すごく長いんです。
次の日から、本屋に行ったら、本屋は、週刊誌がいきなり百五円になりましたものね。百三円じゃなきゃおかしいじゃないか、二円お釣りをくれと言ったらば、ばかにされて、総額表示ですと言われたのを今でも覚えているんですけれども。
これはいろいろ歴史がありますので、ちょっと、利便性を確保する観点から、消費税が含まれた支払いというものの総額表示ということが、一目見て分かるようにするという話からいろいろこういうことになったんですけれども、二度目の消費税の引上げのときだったですか、事業者の事務負担へという配慮で、今言われたように、貼り替えないかぬと。私も商売をやったことがないから、小売はやったことがないので知りませんけれども、ドン・キホーテなんか大変ですよね、あれを全部貼り替えなきゃいかぬのかと思ったら大変だろうなと思って、たまたまああいったところの店の前を、渋谷で通りかかったときにそう思った記憶があるんですけれども。
いずれにしても、ちょっと、これは両方御意見があるところで、今の本屋さん等々、いろいろ出てきておりますので、本年の三月三十一日まで取りあえず延ばそうじゃないかということになったんですけれども。
今、総額表示をこの四月一日からやらせていただいておりますけれども、関係省庁ともいろいろ、これまでの例やら何やら丁寧に話をさせていただいて進めさせてきていただいたんですが、いろいろ流通の実態に応じてやりやすい方はということで、多くの方はこの形に納得をしていただいて、今、まとめてやる総額表示ということを考えさせていただいたんですけれども。
大体、アンケートを取りましても、九七、八%いいということになっておるように見受けられますので、今改めて、これをもう一回、総額表示の特例で延長を一年するということを今考えているわけではありません。
○末松委員 そうしたら、今大臣もお認めになられたように、関係の業界、例えばドン・キホーテ、全部貼り替えなきゃいかぬ、その負担はドン・キホーテで、全部おまえらが負担しろという話というのもなかなか酷な話なので。
そこは、何か補助金とか、あるいはどういうふうに補助するのか、なかなか難しいところはありますけれども、そういった、何かそういう追加的な負担を政府が助成するようなことは今まであったのか。あるいは、そういうことをやるようなことは全く考えられないのか。税率を変えたら、全部おまえらが勝手にやれ、その負担はおまえらが持てというのもちょっと酷な気がするんですけれども、いかがですか。
○麻生国務大臣 総額表示義務の特例というのをさせていただいて、消費税が一〇%に引き上げられたときから一年半の準備期間が設けられて、令和三年三月末ということにさせていただいたんですが、この準備期間というものを有効に活用していただいて、各業界において、それぞれ、流通実態というものに応じてやりやすい形で総額表示の対応は進めていただいたと承知をしておりますので、今のこの段階、私どもとしては、更に何らかの助成措置を講じるとか期間を延ばすとかいうようなことを考えているわけではございません。
○末松委員 これはある程度、特定の業界というのがやはりかなり関係するんだと思うんですね。出版業界とかそういったものを、要するに、商品の寿命が長い、極めて長いという、数十年。やはり名作というのは古典から始まっていますから、そういったところとか、中古で回っていくとか。大体、本というのは、今まで市場に出ているのが数億から数十億冊出ているわけで、これらに対して、全部それを、本ではスリップというんですか、値段表とか、あるいはカバーとかを替えてやるというのは、これはちょっと酷ですよね。
だから、もし補助金も助成措置も出ないというんだったら、例えば、特定の業界に対して、例外的な措置で、要するに、先ほどの特別措置法のような形の解釈を、財務省として、通達か何かでそれをやる。これについては業界の特殊性に鑑み、そういったことを指示してあげる。
要するに、いろいろな新聞なんかを私も見ていたんですけれども、何だ、おまえらは違法な行為をやっているじゃないかと言われるのは、やはり彼らとしては、出版業界も困るわけですよ。だから、違法じゃないよと。でも、罰金もこれはないというんだからいいじゃないかというのも、ちょっとそこはやや気持ちが悪い、売っている方からすれば、違法じゃないかと言われて。それも、財務省も、違法をどうするんだと言われても困るだろう。
だから、そういう解釈を、あるいは例外的な形で、そういうふうに示してやれば、それは別に助成措置も要らずに、そういったことで違法という状況は逃れられるというので、そこのところの配慮をお願いできませんか。
○麻生国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、一年半の準備期間を置かれたところでもありますので、これは出版業界に限らず、各業界におきましても、既にこの準備期間というものを有効に活用していただいて、それぞれの流通の実態に応じてやりやすい形で総額表示への対応を進めていただいた。そういうことですよ、これは時間をかけましたものですから。
それで、まだ対応できていない事業者が仮におられるとすれば、これは相談なり指導なり等を通じて引き続き適切に対応してまいりたいとは考えておりますけれども、今、違法とかなんとかというような感じで何とかというお話は、気持ちとしてはよく分かりますけれども、一応、形としてはこういう形でやらせていただこうと思っております。
○末松委員 出版業界なども、結構リジッドに、厳格にやる方々もおられるらしくて。
特に消費者が困っているわけじゃないんですよ。苦情が来ていないわけですよ、総額表示じゃなくたって。本体価格プラス税という形で表示していればいつでも使えるわけだし、そういったことを、そこら辺を、ある程度正当性を与えてあげる。
先ほど、実は総額表示に賛成が九十数%と言われていましたけれども、では、それの差引きの数%は本当に困っているわけですよ、反対しているわけですよ。そういうところは事情があるわけですよ。そこのところを、大臣、ある程度、彼らがそういった違法だとかというふうに困らないように、そこは、先ほども、ちょっと適正な形で考えようかなという感じのところを、もう一声ちょっとお願いできませんか。
○麻生国務大臣 末松先生の圧力に屈して、その場ではいと言うようなわけに、言えるような話じゃありませんので。
これはガイドラインというのを今公表しておりますので、例えば、今、本でやるとすると、印刷やらを変えるのは大変というので、大体あれはスリップを入れるとか帯を入れるとかいろいろな形でやっておられるんだと記憶しますけれども、そういった、しおりなんかでやるので、これは出版物を開かずに一目で分かるような表示ができるというところが一番肝腎なところなんだと思っておりますので。新刊とか増刷など、これは可能なものから随時やっていただくということになろうかと思いますけれども、今言われたものも含めまして、今いろいろ対応を検討させていただいているというか、そういったガイドライン、既にでき上がっておるもので、内容をよく読んでみると、意外とそういう対応ができるようになっている部分も。
本当に少ししか、更にその数%以下からもっと少ないところまでになってきているとは思いますけれども、いろいろな形での反対の声等々があるのは知らないわけではありませんし、結構長い話なので、知らないわけではありませんけれども、パーセントは猛烈に減ってきているということだけはちょっと頭に入れておいていただければと存じます。
○末松委員 断定的なことは申せない立場も分かりますので、そこはちょっと検討してください。
それから、では、第二点目に移りますけれども、今、地元でも、コロナの関係が非常にやはりわさわさしている状況なんですね。
コロナのワクチンですけれども、これについてちょっと数字的に確認したいので、厚労省の方にお伺いします。
まず第一点目ですけれども、医療従事者が五百万人ということで、このワクチンの接種状況についてお伺いしたいと思うんですね。
これまで、実際に接種の実績で、第一回目の接種実績というのは何万人ぐらい、これはパーセントで、どのくらいのパーセントがやっているのか。あるいは、第二回目まで接種を受けた実績、これも何万人ぐらいなのか、そしてパーセンテージはどのぐらいなのか、これは五百万人のうちですね。
あと、医療従事者に対して接種が終了する見込み、これはどのくらいなのか、それをちょっとまずはお伺いしたいと思います。
○山本副大臣 医療従事者に関しましては、二月十七日から接種を行っておりますけれども、四月十六日時点で百九十二万回の接種を行っております。そのうち約百二十万回は一回目の接種、そして約七十二万回は二回目の接種となっております。
そして、供給でございますけれども、今週の二週間で二千四百箱、また、五月十日の週に二回接種分として一千箱を配送することをもちまして、累計で四百八十万人分を超える数量の配送が完了する見込みでございます。
そして、医療従事者に対しての対応でございますけれども、今高齢者の接種会場で対応いただく医療従事者で接種をまだ終えていない方がいらっしゃいましたら、高齢者のワクチンを活用して、医療従事者自ら接種いただいた上で高齢者への接種を始めていただくことを含めまして、自治体に柔軟に対応していただければと考えておりますので、そういうスケジュールで対応しております。
○末松委員 今出ました高齢者、三千六百万人というふうにちょっとまた桁が一挙に上がるんですけれども、これの接種スケジュール、今、ちらほら始まり始めたという話ですけれども、この接種スケジュールと終了の見込み時期についてもお伺いします。
○山本副大臣 高齢者の優先接種等に関しましては、全国知事会の方から、段階的に接種範囲を広げて検証、改善を着実に行うなど、供給体制を踏まえた現実的なスケジュールの下に丁寧に進めてほしい、こういう要望をいただいておりまして、これを踏まえまして、四月十二日から優先接種が始まりました。先週、今週は、各都道府県に十箱のワクチンを届け、来週には全ての各市町村に一箱ずつ配送することになっております。
その後、四月二十六日から五月九日の二週間で四千箱、また、五月十日から二週間で一万六千箱のワクチンを、そして、六月末までには高齢者全員分、約三千六百万人分、二回分を配送する準備ができて、自治体の需要に応じてお届けすることにしております。
その上で、希望する高齢者の方々がいつ終了するかということに関しましては、実際、実務を担当する自治体の規模、人口規模も様々でございますので、それぞれが実情に応じた、作成した計画によって進められるものと考えておる次第でございますので、しっかり、各自治体において円滑な接種が進むように、緊密な連携をして進めてまいりたいと思います。
○末松委員 これとは裏腹になるんですけれども、そうすると、普通の方々が接種できる時期、開始時期というのは大体どのくらいなのか、そしてまた、それが終了するのがどのくらいなのか。あるいは、普通の方々といっても何かそこでいろいろなランク分けをして、早く、プライオリティーでやってもらうようなところになるのか、あるいはそういうプライオリタイズというのはされているんですか。
○山本副大臣 今お話ししましたとおり、医療従事者が二月十七日から、高齢者が四月十二日から接種が始まりました。その後、基礎疾患を有する方並びに高齢者施設等の従事者、そして一般の方の接種が予定されている状況でございます。
この一般の方がいつ接種が終わるかということに関しましては、先ほどもお話ししましたように、実際、接種の実務を担当します自治体の規模、これが様々でございますので、今自治体が実情に応じて計画を作成していただいておりますので、どちらにしても、政府としては、一日も早く希望する国民の皆様に安全で有効なワクチンが届けられるように、しっかり緊密な連携をしてまいりたいと思う次第でございます。
○末松委員 ちょっとこれは質問の段階では私の方から指摘しなかったんですけれども、私も質問していまして、さっき言った一般の方々というのは、これはどういう基準で選ばれるのか。要するに、何かプライオリタイズはするのかしないのか、あるいは、もう別に、住所順にやっていくのか。その辺についてはどうなっていますかというのを、ちょっと分かったら教えていただけませんか。
○山本副大臣 一般の方に関しまして、特に何か規定するものはございません。
○末松委員 一般の方々というのは、大体何万人、何千万人ぐらいになるんでしょうか、そうしたら。それは分かったらでいいですから、ちょっと。
○山本副大臣 十六歳以上の大人の方になりますので、人数に関しましては、医療従事者四百八十万人、さらには高齢者の方三千六百万人から引いた数字になると思いますけれども、ちょっと具体的な数字としては、今お答えできる形ではありません。
○末松委員 これらの接種スケジュールに対して、ワクチンの入手というのは、EUから一機ごとに承認が得られるわけでしょうけれども、今四千箱とかそういうふうに言っているけれども、これは一応内々の了解は得ている、要するに入手はできるという理解でよろしいですね。
○山本副大臣 ワクチンの供給ということに関しましては、昨年夏の段階から各企業と基本合意の契約を進めまして、締結が終わっているものが、三億一千四百万回分の供給を受ける、こういう契約の締結に至っている次第でございます。そして、ファイザー社とは、年内に一億四千四百万回分の供給を受けることにつきまして既に契約を締結しているところでございます。
また、さきの電話会談におきまして、菅総理の方から、九月までに我が国の全ての対象者に対しまして確実にワクチンが供給できるように追加供給を要請し、CEOからは、協議を迅速に進めたいとの話がございました。
これを踏まえまして、九月までにワクチンの供給がなされるめどが立ったものと考えております。
○末松委員 分かりました。
では、次に移ります。
日銀総裁、ちょっとお待たせしまして恐縮でございます。本当はもうちょっと議論したかったんですけれども、ごめんなさい。
ETFの購入が、今、簿価で三十七・五兆円で、時価で五十兆円あって、東証一部の時価総額の七%を占めているということで、この出口戦略について今日はちょっと議論したかったんですけれども。
ETF市場で、例えば昨年九月時点で、ETF市場の純資産総額の四十七・九兆円のうち日銀のETFが八四・五%を占めているということで、出口というものを考えた場合に、今まで余りにも、四十兆円ぐらいのETF、これはそのままずっと維持するのか、あるいは出口というものを何かそこで考えていらっしゃるのか。何かそれに歩を少し進めているような兆候も見えなくはないんですけれども、その辺は、これはずっと古くてまた新しい質問なんですけれども、そこをちょっと、もう一度語っていただけますか。
○黒田参考人 御案内のとおり、点検でもお示ししたとおり、二%の物価安定の目標の実現にはなお時間がかかるということが見込まれますので、ETF買入れを含めた金融緩和の出口のタイミング、あるいはその際の具体的な対応を検討する局面には至っていないというふうに考えております。
もちろん、先行き、物価安定の目標の実現に近づく際には、出口に向けた戦略や方針について金融政策決定会合で議論して、適切に情報発信をしてまいりたいというふうに思っております。
なお、保有しているETFをどうするかという点につきましては、もし仮に日本銀行が買い入れたETFを処分するというような場合には、当然のことながら、金融政策決定会合で新たな処分の方針を定めるということになります。
その際には、基本的な考え方として、市場などの情勢を勘案した適正な価格によること、それから、市場などに攪乱的な影響を与えることを極力回避すること、そして、損失発生を極力回避することといった方針に沿って具体的な処分の方針を定めることになると思いますが、現時点ではまだそういった議論をする段階ではなくて、この間の点検にもありましたように、十二兆円という年間買入れ限度の範囲内で、必要に応じて、めり張りをつけて購入していくという形にしておりまして、今すぐ、ETFの買入れについて、出口を云々するという段階ではないということを御理解いただきたいと思います。
○末松委員 時間が来たので終わりますけれども、ちょっとそこのところの、金融政策の大きな変更という話にもなるかもしれませんけれども、このままずっと四十兆円が四十兆円のままでいいんだ、二%物価が高まるまでやらないんだというのも、ちょっとここは異常さが目立つ。世界の金融機関からも、これは中央銀行の会議でもいろいろと言われてきたんじゃないかと思うんですけれども、そこをまたちょっとお話をお聞きしたいと思いますので、また次回に回します。
今日はありがとうございました。
○越智委員長 次に、櫻井周君。
○櫻井委員 立憲民主・無所属の櫻井周です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、ミャンマー向けの投融資の件について取り上げたいというふうに考えております。
ミャンマーでは二月一日に軍事クーデターが起こってしまいまして、以降、状況がまるで変わってしまったところでございます。この点については、二月十六日の本委員会でも私取り上げさせていただきました。また、三月十日の衆議院外務委員会、四月七日衆議院外務委員会、四月十二日、衆議院の決算委員会、参議院の決算委員会でも取り上げられております。それらを踏まえて、本日も質問させていただきます。
このミャンマー情勢については、基本的には外務委員会でするべきものじゃないのかと麻生大臣もお思いになられるかもしれませんが、財務省にも国際局がございまして、国際局の所掌範囲を中心に質問させていただきますが、一方で、総論となりますとどうしても外交政策に関わりますので、本日は外務副大臣にもお越しいただいているということで、よろしくお願いいたします。
まず、ミャンマーに対する外交政策でございますが、二月一日に軍事クーデターが起きた。そして、アウン・サン・スー・チー国家顧問やウィン・ミン大統領が拘束されて、軍出身のミン・スエ副大統領が非常事態を宣言をしてしまったという状況です。フライン国防司令官が全権を掌握したという状況に今なっております。
国民は、軍事クーデターに対して、大規模なデモで強烈に反対の意思を示しているわけでございます。これに対して、国軍は、住民の虐殺というようなことが起きております。本日お配りしております資料、一枚目の方にも、この虐殺の推移、特に赤い線で示されているところが殺されてしまった方々の人数を示しているわけでございますが、こうした虐殺された中には、単に道路で遊んでいるだけの子供に対して、いきなり軍が銃で乱射するといったこともございました。本当に痛ましいことが連日起きております。
こうした状況ではございますが、茂木外務大臣は、三月十日の衆議院外務委員会で、ミャンマー国軍に対しても様々なルートを持っております、私もフライン司令官とは直接二度お会いしておりますと、クーデターを起こした張本人であるフライン司令官とのパイプを生かした交渉を強調されておりました。
しかしながら、事態は悪化の一途をたどっております。また、昨日、おとといですか、日本人のジャーナリストの拘束も報道されているところでございます。
そこで、まず外務副大臣にお尋ねをいたします。
ミャンマー国軍とのパイプを生かした交渉、これは全く成果を上げていないというふうに言えると思います。市民の虐殺を即時にやめさせるために、ODA、OOFなどの投融資は一旦停止するなどして、国軍に対して強い圧力をかけるということを私からは提案させていただくんですが、外務省の御見解、また、外務省はどのようにお考えでしょうか。
○鷲尾副大臣 日本は、欧米諸国と比べても、ミャンマーに様々なチャンネルを持っておりまして、現地には、駐在経験も長い、ミャンマー専門家で知られます丸山大使がおられる。
日本として、ミャンマーでのクーデターの発生以降、特に三点、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、そして民主的な政治体制の早期回復を強く求めてきております。
しかし、委員も御案内のとおりでありますが、国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、ミャンマー国軍、警察の市民に対する実力行使によりまして、多数の死傷者が発生し、事態が悪化しているわけでありまして、深くこの状況を懸念しております。
事態を鎮静化する、民主的体制を早期回復するという思いは、制裁を科している欧米も、対話の必要性、ASEAN首脳会議を呼びかけている身内のASEANも、日本と全く同じ気持ちだと思っておりまして、その中で、日本としては、欧米の考えも受け止めつつ、ASEANが主体となった働きかけも後押しするという極めて重要な役割を担っていると承知しております。
クーデター発生以降、毎週のように欧米やASEAN各国とも連絡を取っておりますが、日本への期待、ミャンマーへの最大の援助国として、ミャンマーの国民生活の向上や民生支援に誰よりも中心的な役割を担ってきた日本に対する期待は非常に大きいと考えているところです。
非常に難しい問題であるということは分かっているつもりでありますけれども、ミャンマー側に一層の働きかけを行っていきたいというふうに考えておりまして、ASEANや欧米と連携いたしまして、事態の鎮静化、民主化への復帰のため、粘り強く取り組んでいきたいというふうに思っております。
その上でですけれども、我が国は、ミャンマーの民主化に向け、様々な支援を行ってきた最大の援助国でありますので、そういう対ミャンマー経済協力の今後の対応につきましては、ミャンマーにおける事態の鎮静化や民主的な体制の早期回復に向けまして、どのような対応が効果的か、総合的に検討してまいりたいと思っております。
○櫻井委員 最後、総合的に検討していくということですが、もう二か月たっているんですね。こうした働きかけ、三点を中心に働きかけをしていると言うけれども、しかも軍とのパイプを生かしてと言うんだけれども、一向に成果は上がっていない。はっきり言えば、なめられているんじゃないのかというふうにも思いますので、そこは、しっかりとした態度を示す時期に来ているのではないのかということを改めて申し上げまして、麻生大臣にもお尋ねをいたします。
二月十六日のこの委員会で私もこの問題を取り上げた際に、麻生大臣からは、軍事クーデターというけれども銃弾の音がまだ一発も聞こえていないというのが今の状況なんだと理解しております、このような答弁をされております。
その後、今、資料一でお示しをしたとおり、多くの市民が虐殺されているという状況です。ミャンマー国軍は、丸腰の市民に対して、機関銃や迫撃砲などの戦闘用の武器を使用して虐殺を行っている。極めて深刻な状況だと私は受け止めておりますが、麻生大臣、ミャンマーの現状をどのように認識しているか、お答えいただけますでしょうか。
○麻生国務大臣 先ほどの御質問というかお話の中で、まだ銃弾の音が一発も聞こえておりませんと。あれは三日後からですからね、銃弾の音がしたのは。だから、言い方は気をつけられないと、俺が発言して三日後から銃弾の音が聞こえ始めたんだからね。まず間違えないでくださいよ。
それで、起きております銃弾の音等々は、今も、ヤンゴンだとかネピドー、ネピドーは首都ですけれども、ここでは全く聞こえていませんものね。起きておりますのは、カチン族とか、あそこは部族がいろいろおりますので、タイ国境側とか、そういったところの地域で起きておる。これも報道に出ています。そのとおり申し上げておりますので。
したがいまして、私どもとしては、これは、バイデン・菅会談のときの、あのときの共同声明、ミャンマーに関しては、基本的に、民間人に対する暴力的な対応の即時停止、国家最高顧問アウン・サン・スー・チー等々、拘束された関係者の解放、そして民主的な政治体制の早期回復、この三点を強く求めるということで日米で合意したということに思っております。
多数の民間人がいわゆる地方、首都じゃなく地方において多く死傷しておられるということに関しまして、また、拘束者が発生をいたしております事態については、強く懸念をいたしておるところであります。
今、鷲尾副大臣の方からもお話があっておりましたけれども、こういった状況で、今はまだ国軍、警察等々の実力行使によって民間人に対する暴力が、少なくとも、首都は極めて平穏だそうですけれども、周りで、地域、地方において継続されているということは強く非難するということを申し上げてきておりますので、今はこれが政府の公式見解になっております。
少なくとも、昔のビルマ、今のミャンマーというところに関しまして、私どもとしては、これはこれまでもいろいろ支援をしてきた国でありまして、今、中国製の武器は一つもなくなって、武器は全てロシア製に替わったと思っておりますが、それ以外に少しずつ、中国に非常に近かったところが変わりつつあるところまで今来ている、いろんな意味で変わりつつあるところだと思っておりますので、今、私ども、対中やら何やら考えますときに、せえのでやりますと、中国にまたというようなことだけは避けたいなという感じがいたしておるのは、これはアメリカも、欧米も皆同じところだと思っておりますけれども。
いずれにしても、どういう形でこういうのをやっていくかというのは、これは今、先ほど申し上げた三つの条件のほかに、この国の治安等々が安定していくものにしていかないといかぬので、みんなでこれを見守りつつも、軍によるという形になっても、タイも同様に、軍事政権になったとはいえ、かなり民主化され、いろんな形で変わってきておりますので、どういった形でこれを民主化させていくかということに関しましては関心を持って見てまいりたいと思っております。
○櫻井委員 ちょっとまだ麻生大臣の認識が甘いようにも感じますけれども、ちょっとそれを深掘りしていると時間がなくなってしまいますので、個別の話に移らせていただきます。
お配りしております資料、これは日本経済新聞の記事でございますが、さきの土曜日の朝刊に載っていた大きな記事でございます。やはり、ミャンマーに対する事業、国軍リスクの懸念ということで、大変大きな記事が載っております。
本日、JOINにも来ていただいておりますし、JBICにも来ていただいておりますが、JBICが融資をしJOINが出資をしているYコンプレックスという、ヤンゴン市内での大きな複合都市開発でございます。
ここの場所は元々国軍が土地を持っていたということで、今も所有権は国軍が持っている。再開発をするに当たって、この土地の賃貸料というのは国軍に支払っているのではないのか。つまり、一般会計に入らずに国軍の会計に入っているのではないのか。今、こうしたクーデターが起きて、住民虐殺も起きているわけですが、そういったことに、鉄砲玉のお金は実はこうしたところからも流れているのではないのか。こんな疑惑があるわけでございます。
JBIC、JOINが投融資をしているこのYコンプレックスの事業、この土地の賃料は国軍の口座に入金されているのか、ちゃんと一般会計に入っているのか、この点の確認はどのようにされていますか。
○武貞参考人 海外交通・都市開発事業支援機構の武貞でございます。
弊社は、J―SPC、特別目的会社を通じ、御指摘の都市開発事業を手がける現地事業会社に出資しております。
この事業の用地の契約につきまして、J―SPCは直接関与はしておりませんが、現地ミャンマー企業が政府の一員である国防省と土地リース契約を結び、土地の利用権を得た上で、その現地企業から当該現地事業会社がサブリースを受けるという契約になっております。
現状を確認はしておりますが、土地の支払いにつきまして、政府内部で適切に管理されていたと承知しております。
○櫻井委員 政府の中で管理をされていた、この政府の中身が問題なんですよね。
国軍は、このクーデターが起きる前は、アウン・サン・スー・チーさんを始めとする、いわゆる政府が管理できないところ、国軍は国軍で完全に独立会計で、監査も何も受けないというようなことになっていて、だから、それが問題だということだったんですね。
だから、それは国軍ではなくて一般会計に入っていて、当時のクーデター前の政府がきちっと監査をできるような状態になっていたのか。なっていなかったんじゃないのかということで御質問させていただいているんですが、それは確認できているんですか。一般会計で、それでクーデター前の政府がきちっと監査をできていた、こういうことでよろしいんですか。
○武貞参考人 政府部内のことでございますので、詳細を鋭意確認しておりますが、昨年の段階で、政権内部で適切に管理、政権のルールに従って、政権内部で昨年度は適切に管理されていたと聞いております。
○櫻井委員 いや、聞いているだけじゃなくて、武貞社長は元々JBICに長らくお勤めだったというふうに承知しておりますが、バンカーとしては、ちゃんと、そんなの、聞いた、聞いてないの話じゃなくて、きちっと書類で確認するものでしょう。
書類では確認されていない、こういうことですか。
○武貞参考人 申し訳ございません、政府との直接の契約が私どもございませんので、書類で政府からの確認は取っておりません。
○櫻井委員 出資者だから直接云々と言うんでしょうけれども、それは出資した者の責任として、これは非常に大きな問題ですから、そこはちゃんと確認しないといけないと思いますよ。
ただ、今はもう軍事クーデターが起きてしまったので確認しようがないというのも現状ですから、今、この賃料の支払いは止めるべきだというふうに考えますが、それはどうされていますか。
○武貞参考人 守秘義務事項であるため、詳細回答はお控えいたしますが、弊社がJ―SPCを通じて出資する現地事業会社は、本年二月一日、クーデター以降は、土地リース契約先に対して、本事業用地の地代等の支払いを一切、行った事実は現状ございません。
○櫻井委員 少なくとも軍事クーデター以降はこの支払いを止めているということで、その点はしっかり対応いただけているということで、そこの点については安心をいたしました。
次に、ちょっと円借款の方も聞かせていただきます。
二月十六日の本委員会で、円借款のプロジェクトで、契約したコントラクターの中に軍が関与するような企業が入っていたりするのかという私の質問に対して、本日お越しのJICAの山中理事は、今御質問がございましたような軍関係の企業の関与というのは確認されておりません、こういう御答弁でした。
ただ、その後、この日経新聞にもございますとおり、バゴー橋建設事業、これは三百十億円程度の事業でございますが、ティラワ特別経済区とヤンゴン市内との間にあるバゴー川に架ける橋でございまして、これは大変重要な交通の要衝になります。この事業については、三井住友建設と横河ブリッジのジョイントベンチャーが受注していると承知をしております。横河ブリッジは、ミャンマー経済公社、MECと技術協力の覚書を締結している、こういう関係にございます。
このバゴー橋建設事業にミャンマー経済公社、MECは参画していると承知しているが、どのような位置づけで参画されていますか。
○山中参考人 お答え申し上げます。
ミャンマーのバゴー橋建設計画でございますけれども、本事業は、委員御指摘のとおり、ヤンゴン郊外に新たな橋梁を建設し、交通及び物流網の改善、また、ミャンマー国民の生活の向上に資することを目的とした事業でございます。
二月十六日の本委員会におきまして、円借款事業の主契約者を念頭に置いて、軍関係企業の関与は確認されていないという旨のお答えを申し上げましたけれども、その後三月に、本事業の主契約者より、二〇一九年十一月にMEC、ミャンマー・エコノミック・コーポレーションと下請契約を締結し、事業を実施しているという旨の報告を受けたところでございます。
主契約企業が下請としてどの企業を選ぶかということにつきましては、どのように工事を進めるのが最も適切なのかという観点から主契約企業が決めるものでございまして、基本的に主契約企業に委ねられているというものでございます。
なお、御指摘のMECとの下請契約でございますけれども、現下のミャンマー情勢を踏まえまして、主契約企業が今後の対応を検討中というふうに承知しておりまして、JICAといたしましても、適切な形で処理されるよう、日本政府とともに相談をしてまいりたいというふうに考えております。
○櫻井委員 このMECという会社でございますが、これは、アメリカ財務省が三月二十五日にミャンマーに対する追加の経済制裁を発表したときに、このMECと、それからミャンマー経済ホールディングスリミテッド、MEHLの二社を指定しております。これは軍に非常に関係の深い企業ということで指定をされているわけでございますが、その企業がサブコントラクターとして円借款事業に入っていた、こういうことが後で分かったということなんです。
サブコントラクターだったから分からなかったというのは、これは本当にまずいんですね。今まさに、外務省が中心になって、ビジネスと人権に関する行動計画、これもまとめていますよね。この中で、人権デューデリジェンスとかサプライチェーンを通じたディーセントワークの実現、こうしたことを言っているわけですから、これは、直接の契約相手方だけではなくて、その先も全て、全部把握しなきゃいけないというのが今のビジネスの現状だと思います。
ですから、この点についてもきちっと把握をするようにお願いしたいというふうに思いますし、また、そのような体制を、本日お越しのJBIC、JICA、JOINの皆さんはするべきだということも改めて申し上げておきます。
その上で、もう時間がないので、質問をちょっと飛ばさせていただきます。
アジア開発銀行や世界銀行は、一旦、ミャンマー向けの支援、これは新規を止めているだけじゃなく、新規を止めるというか、まだ二か月ですから止めるも止めないもないんですが、既存の、既にオンゴーイングの案件についても貸付け実行を停止しております。
こうした状況、これは適切な判断だと私は思いますが、それに引き換え、円借款、それからOOFの事業については、新規の停止は、もうしていない、しているのかしていないのかよく分かりませんけれども、オンゴーイングの案件について、貸付け実行を停止をまだしていないですよね。
そういった措置をやはりするべきだというふうに考えますけれども、やはりアジア開発銀行や世界銀行と同じような対応が今必要な時期に来ているというふうに考えますが、国際局を所掌している麻生大臣、円借款、それからOOFの事業、一旦停止ということで、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 これは、ミャンマー各地のデモ等々、今いろいろ報道されておるとおりなんですが、間違いなく拘束者が発生しているということを強く懸念している、先ほど申し上げたとおりです。また、国際社会の度重なる呼びかけに対しても、民間人に対する暴力等々が継続されているということを強く非難する、これもその上で申し上げておりますが。
その上で申し上げさせていただくと、対ミャンマーの経済協力につきましては、これは今いろいろ話があっておりましたけれども、今後の対応というものにおきましては、状態というものがどういった形で鎮静化するかとか、民主的な体制の回復に向けてどのような対応が効果的に行われているか、これを政府としては総合的に見て、その上で検討させていただくということになろうと思います。
○櫻井委員 総合的に見てと言った後、最後、ごにょごにょというふうに言われましたけれども、結果は、この二か月たって全然成果は上がっていないじゃないですか。全然成果は上がっていないということが、まさに、だから次のステップに進むべきときに来ているのではないのか。
新型コロナウイルス感染症対策をここでごちゃ混ぜにして持ち出すわけではないですけれども、そちらにおいても後手後手を踏んでいる、全然、現状把握が十分できていないということが今の政府の体質を如実に表しているというふうに思いますよ。
この問題については、野党が、私が言っているだけじゃなくて、与党の自民党の議員からも、四月七日の外務委員会で、ミャンマーについては、人権弾圧、もっともっと、ODAの新規停止どころじゃなくて、厳しい対応をしていかなければならない、このような提案というか発言もあるわけです。これは別に与党、野党関係なく、やはり今のミャンマーの人権状況、大変憂慮すべきだということを言っているわけです。
それから、前駐ミャンマー大使を務めた樋口前大使も、日本経済新聞のインタビュー取材に対して、国軍の偏狭な本質や現地の情勢をよく見て、事態の推移を冷静に見通す必要があるということ、それから、対処に当たって日本が大事にすべきなのは、もちろんミャンマーの人たちの人権であり命、ミャンマー国民は日本に圧倒的な信頼を寄せているというふうに言っておりますが、ただ、今、こうやって日本が軍と密接な関係を強調すればするほど、ミャンマーの国の人たちは日本からどんどん心が離れていってしまっているわけです。新規案件凍結は当然として、支援する前提が覆ってしまった今、抜本的な見直しが迫られている、こういうことも前の大使がおっしゃっているわけでございます。
こうしたことも踏まえれば、もう次のステップに進むべきだということを強く申し上げまして、時間になりましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○越智委員長 次に、青山雅幸君。
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。
本日も、大変貴重な質問の時間、ありがとうございます。
早速お尋ねしてまいります。
新型コロナ禍でありまして、なるべくウェブであるとかそういった合理的なやり方でできるものは合理的に済ませようというような社会の流れになっておりますし、それは新型コロナを抜きにしても、デジタル庁の創設であるとか、社会の全般の流れ、日本の目指していく方向性の一つだと思います。
一方で、行政手続に関してはまだまだアナログな部分が非常に残っている。そしてまた、いろいろなことがまだまだ立ち遅れている。
先日も痛感したのは、私ども、各省庁からレクを受ける際に、ウェブを使って、ウェブの会議のシステムでやっているんですけれども、度々某省庁の接続が落ちる、特定の官庁でいつも落ちてしまうというようなことがございまして、もう少しやはりきちんとした取組、あるいはそういった精神といいますか気持ちですね、やはり、私いつも言うんですけれども、いろいろなことで、気持ちを込めていかないとなかなか世の中というのは前に進まない部分がある。気持ちを込めた上で、いろいろな具体的な方策を練っていくことが必要なのかなと思っております。
そういう観点から一つまずお伺いしたいんですけれども、昨年に引き続きまして、確定申告の期限が、コロナということで一か月延長されておる。そういった中で、確定申告においては、私なんかもよくやるわけですけれども、税務署に行って、できている書類に判こだけ押してもらって帰ってくる。何となく、すごくありがたいし、安心感はあるわけですけれども、そういう形で受領印をもらうことについてどのような意義があるのか。まず、その点について国税庁の方に確認をさせていただきたいと思います。
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の収受日付印、この押印につきましては、収受の事実を確認するものでございまして、例えば、御自宅等で作成した確定申告書を税務署に持参して、対面で提出し、その控えに収受日付印の押印を受けたとしても、仮に後日申告誤りが判明した場合には是正されることになります。
したがいまして、この収受日付印の有無によって取扱いが変わるということではございません。
○青山(雅)委員 今お答えになったとおりで、別に、作ってわざわざ持参して判こを打ったとしても、間違いなく取ってもらいましたよという証明にすぎないわけですね。
一方で、そういうことをしないで済む、もっと簡便に済むやり方というのが幾つかもう既に用意されておりまして、若干今の話とはそれますけれども、還付申告、今年は還付になりますよというものであるならば、通年、別に定められた期間でなくても、二月の中旬からふだんでしたら三月の中旬ですか、そのくらいの定められた期間でなくても、いつでもできます。それから、そもそも、確定申告であってもe―Taxであるならば、新年の最初の税務署の営業日と申しますか業務開始日から申告ができる。また、申告書類をウェブ上で作成して郵送するという手段もございます。
こういったいろいろな手段があるんですけれども、意外と知られていない。多分、私どもも昔は実は県庁で法人事業税などをやっていて、その期間には税務署のお手伝いに行ったりしたものですからよく分かるんですけれども、やはり一般の方はなかなかそういう細かい実務について御存じない。
これは一つの、国民全体にとっての合理化という観点から、よく確定申告の期間になると本当に一斉に報道がなされて、皆さんそういう気持ちになるわけですけれども、今言ったような合理的なやり方があるということについて十分に周知されるようにしたらいかがかなと思うんですけれども、その点の広報についてお伺いしたいと思います。
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
確定申告期間が始まる二月十六日よりも前から還付申告書が提出できる、このことにつきましては、確定申告の手引や国税庁ホームページの確定申告特集ページにおいて示しているほか、国税庁ホームページ内におけます確定申告書等作成コーナーにおいても、翌年の最初の営業日から申告書を作成できるようにするとともに、同サイト内におけるよくある質問への回答として、還付申告書は二月十六日よりも前に提出できること、これを御案内しているところでございます。
また、申告書を郵送により提出できることにつきましては、同様に、確定申告の手引や国税庁ホームページの確定申告特集ページでお示ししているほか、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーにおきまして、作成した申告書をe―Taxで提出するか、印刷して郵送等により提出するか、いずれかを選択いただく仕組みとすることなどで周知しているところでございます。
いずれにいたしましても、確定申告の広報につきましては、引き続き、納税者の方にとって分かりやすいものになるよう努めてまいりたいと思います。
○青山(雅)委員 今言ったような広報ですと、わざわざ税務署のウェブまで行かないと見られないということですので、それにとどまらず、たまには大々的にコマーシャルでも打つとか、もうちょっと一般的に、ほっておいても知るような形での、受動的でも知られるような形での広報が必要かなと思いますので、また検討してみてください。
それから、もう一点、本当に細かい点で恐縮ですけれども、先ほど言ったように私の経験からいっても、税務署で例えば還付申告とかその手のやつをやると、膝詰め談判で、向き合って、聞きながら、書類を受け渡しながらやるわけですね。今、コロナの感染で一番やはり心配されているのが、ランセットの論文なんかでも実はあるんですけれども、ミスト、マスクのこういった隙間から出て、長時間接しているとやはり感染するんじゃないか。こういうふうに天井の高い部屋ならいいんですけれども、換気が悪くて天井が低いようなところだと危ないんじゃないかということが言われているわけですね。単に黙って座っている分には全然いいんですけれども、換気が悪くて、要は、空気の体積が低いところは危険だと。
そこで思うわけですけれども、今言ったように、税務会場というのは一つの、場合によりますけれども、税務署の中でやる場合には少なくとも非常に狭くなりますし、一般的に、確定申告の時期というのは、どこかの体育館みたいなところを借りたりとか、商業施設、大きな会場でやる場合が多いわけですけれども、今言ったようなものもあるものですから、もう今から、やはり来年もまだ、恐らくそう簡単には収束していないと思いますので、天井が高かったり開放的で換気のしやすいような、そういった施設でもってやるという方向性をきちんと計画しておくことが必要だと思うんですけれども、その点についてお考えをお聞かせください。大臣にお伺いしたいと思います。
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
令和二年分の確定申告では、例年よりも二週間程度前倒しして二月一日から開設するとともに、申告会場でもあらかじめ様々な三密回避策を講じて、申告相談に対応してきたところでございます。
感染症対策は引き続き大事な話だと思いますので、今年の反省を踏まえまして、更によりよきものになるように引き続き検討してまいりたいと思います。
○青山(雅)委員 是非よろしくお願いします。
続きまして、政府保有株式の配当金収入の使途についてお伺いします。
時間がないのでちょっと手短にお答えいただきたいんですけれども、令和元年度末現在で政府保有株式の総額は二十二・六兆円ということになっております。政府への配当額が平成三十一年三月期決算で見ると四千四百六十億円程度であります。
財政投融資計画でこれらを産業投資として財投機関に投資しておりますけれども、そのリターンはどのくらいになっているんでしょうか。
○大鹿政府参考人 お答えいたします。
今委員がおっしゃりました政府保有株式の総額二十二兆六千七百九十億円は、一般会計等も含めて政府全体として保有している株式の金額でございますが、このうち産業投資を経理しております財政投融資特別会計投資勘定が保有する株式の総額は、令和元年度末時点で十三兆五千七百七十億円でございます。
この投資勘定が保有する株式の配当金でありますけれども、令和元年度は三千三十九億円、それから、制度が発足した昭和二十八年度から令和元年度までの累計額で三兆二百五十七億円となっております。
なお、株式配当金のほか国庫納付金という制度もございまして、これらや、帰属している株式の処分益を含めた収益全体で申し上げますと、令和元年度は五千六百九十九億円、累計額で六兆七千百九十八億円となっているところでございます。
○青山(雅)委員 そうしますと、結構な額がやはりリターンとして入ってきております。
時間がないものですから、大臣に是非お聞きしたいんですけれども、いろんなところに、リスクマネーと言える産業投資でこういったお金を使っているわけですけれども、民間が参入しないような部分というのはやはりなかなかリターンが望めないような部分かな。逆に、民間が参入してくるようなところであるならば、別にそこは民間に任せればいい。
政府保有株式のこういう結構な額に上るリターンは、財政状況から考えると、政府自らがリスクを取ってそういった産業投資に回すよりも、公債の償還に充てるというような姿勢があっていいと思うんですけれども、この点に関する大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 今後の民間の経済成長というものを促していくためには、なかなかリスクテイクを今の民間の銀行はされませんから、ファンドを含めまして。そういった意味では、今後、バイオとかよく出ますし、デジタルとかいろいろなものに、イノベーションの投資とか、新興国を含めました海外へのいわゆるビジネスの展開等々重要なんですから、これらの投資に関しましては、いわゆる民間の企業では負い切れません。とても耐えられぬ、リスクがでかい等々で、研究開発のリスク等々、海外リスク等々、これは政治リスクが問題となってきますので、そういったところでは、日本というのは今後、ベンチャー企業等々が大きく成長する際に必要とされる大規模かつ長期のリスクマネーの供給というのは極めて不十分だと思います。それが今の現状だと思っております。
したがって、こうした民間が直面する課題を考えますと、いわゆる政府保有の株式の配当金収入等々を資本性資金である産業投資として活用するということで、リスクが高く民間だけではとてもしょい切れないというような資金等々にリスクマネーを供給して、民間資金を入れる、ああ、政府が行くならということで民間資金を呼び込んでいくということで、これは日本経済の発展に重要な施策になると思っております。
今、また、債務の償還にもという話が出ましたけれども、これは当分考えないかぬところで、私どもとしては、最近では、政府の株式保有というものを売却したときの利益等々の場合については債務の償還に充てさせていただいているというのが現状であります。
○青山(雅)委員 数字でもう一つお聞きしたいことがあったんですけれども、時間となりましたので、本日はこれで終わりにさせていただきます。また今の議論を引き続きさせていただきたいと思います。
どうも本日はありがとうございました。
○越智委員長 次に、階猛君。
○階委員 本日は、銀行法等改正案、これから趣旨説明ですけれども、ちょっと質問の機会があるかどうか分からないので、まず大臣に基本的なところをお尋ねしたいと思います。
業務範囲規制の見直しが行われるということで、私の資料の一ページ目を御覧になってください。
これから新しくできる業務を右側に書いておりますけれども、よく分析してみると、従来、従属業務会社で収入依存度規制のある形でしか認められなかった業務が、銀行本体や銀行業高度化等会社で収入依存度規制のない形でできるようになるという意味で、一定程度自由度は広まるわけですが、全く新規の業務で明確に法令で位置づけられるというものは、私が見たところ、障害者雇用促進法に係る特例子会社、そして地域と連携した成年後見という二つしかないように思います。
そこで伺いますけれども、今回の改正によって、これまでの異次元の金融政策で収益悪化が進み、大手金融機関と比較して経営資源が乏しい地域金融機関にとって、この見直しがどの程度の収益改善効果があるというふうに考えているのか、大臣、お答えをお願いします。
○麻生国務大臣 今回の、来週から御討議いただくんですが、先月国会に提出させていただいた銀行法等の一部を改正する法律案、これでは、今いわゆるポストコロナとよく言われますけれども、企業とか社会が取組をするのを幅広く支援が銀行としてできるようにという意味で、その業務にデジタル化とか地方創生などに関する業務というのを追加するというのが改正案に盛り込まれております。
この見直し後に、銀行グループとして、例えば、元々自分で自由に開発していたITのシステム等々を地域のいわゆる企業に幅広く貸与する若しくは提供してデジタル化を支援するとか、地域の銀行とそこにある地域企業が共存共栄する形で新しい業務というのを営んで、その結果として、銀行の自らの収益改善、また持続可能なビジネスモデルというものを構築することにも役立てるということだと思っておりますので、改善の効果についてというのが最後に出ていましたけれども、これをそれぞれ地域の金融機関が新たな金融機関の業務としてどのように取り組んでいかれるかというところは、これは地域銀行の経営者の経営判断ということによるんだと思っておりますので、具体的にこれをお示しすることは困難でありますけれども、土地等々、いろいろ自分で持っているものの開発というものは、業者と組んだら結構な収益改善になるんじゃないかなという感じは私はいたしますけれども。
○階委員 具体的な効果が分からないということなんですが、ちょっと一問省いて三つ目の質問に行きますけれども、私の資料、三ページ目、御覧になってください。
二〇一九年度の銀行決算、資金利益というところ、グラフになっておりますけれども、地域銀行の資金利益は二・七%前年度比減少ということで、金額でいうと約一千億円、資金利益というのは利ざや収入とかあるいは国債の利息収入、そういったものがあるわけですけれども、こういったものが一千億円ぐらい減ったということです。
これも、日銀の超低金利政策が長引くことによって貸出利ざやが縮小したことや、高利回りの国債等が償還によって消えてしまったことが要因となっているわけです。
この傾向が変わらなければ、地域金融機関としては、生き残るための合併、経営統合やリストラを進めざるを得ず、リスクある取引先への融資や新規業務の開拓などによって地域経済に貢献していくことが困難になるようなふうに思えるのですが、この点について大臣の見解をお願いします。
○麻生国務大臣 これは、御指摘のありましたように、収益の悪化が続くということに対しての御懸念なんだと思いますが、これはもちろん超低金利というものの継続というものもありますし、地域によっては人口減少というものが大きくて、ちょっと岩手県に詳しくありませんけれども、九州では、長崎等々、銀行がかつてに比べてかなり減っておりますので、そういった意味では、貸出業務を始めとして厳しい状況が続いて、結果として、あそこは肥後銀行、八十二銀行だったかな……(発言する者あり)十八銀行か。八十二じゃない、十八銀行と肥後銀行の合併とか、福銀と一緒になるとか、いろいろなことをやっているんだと思いますが。
こうした状況というのは、地域金融機関に対しましては、例えば、地域の企業に対して経営改善につながる助言をするとか、企業の事業性を適切に評価した上で融資を実行する等々によって企業の付加価値向上を図るということ等々、いわゆる借り手の企業の支援というものを通じて金融機関自身も計画的な事業ができるようなビジネスモデルを構築して、地域経済に発揮することというのが基本なんだと思っておりますが、御指摘のとおり、これは必ずしも容易な話じゃないんですよ、こういう話は。みんなに役人が言うほど、経営をやったことがない人がしゃべっているんですから、現場に行ったらそんな簡単な話じゃありませんから。
金融庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、業務範囲の規制の見直しというものや環境整備に更に取り組まないかぬということだと思っておりますので、地域金融機関の間でも環境認識を共有してもらわないかぬところだと思いますが、そうした施策を活用させていただきながら、銀行の経営改善をいかにやっていくかというものをもう少しやらせていただかないと、何となく、地域銀行というのは、大体その地域で一番ゆったりしておられるところでしたから、今まで。そういった状況がかなり厳しいものになってきておられるということで、お目にかかる方々も少し、昔に比べて、三、四年前に比べて、顔に結構緊張感がありますものね、今。厳しいことになっておられるからですよ。昔はそんなことは全然なかったですから。はあというような話で、他人事みたいな返事をしていたから。
こういう銀行は先はないだろうなと思っていましたけれども、大分変わってきておられるような感じがこのところしますので、この種の話に関してもいろいろ、御自分からこうしてくれというお話はなかなか来ない、それが最近は、たくさんではありませんけれども、いろいろ言っておみえになる経営者、小さいとは限りませんよ、大手のところでも、経営者としてそういう意識をお持ちの方々は、結構いろいろな規制やら何やらについて言ってこられるようになってきたのかなという感じは、私の個人的な感想かもしれませんけれども、そんな感じがしております。
○階委員 地域経済に貢献するためには、まず地域金融機関自らがしっかり体力は持っていなくちゃいけないということなんですが、元々人口減少などの逆風がある中で、それに追い打ちをかけて異次元の金融緩和で超低金利というのがあったわけです。
危機感が足りないというようなお話もありましたけれども、私も地域金融機関、銀行員出身で、いろいろな方からお話聞きますけれども、相当厳しいです。
それで、その厳しさもまだ始まったばかりで、これからどんどん加速度的に厳しくなっていくというふうに私は見ておりますので、この銀行法改正で、いかにして業務の見直しで収益機会を増やせるか、そして金融緩和のマイナス面を取り戻せるかということを注目して見ていたんですけれども、どうも、資金交付制度の話とか、あるいは業務範囲規制の見直しといったところも踏み込みが足りないと思っています。
これでは、どんどん縮小均衡の方に走っていくだけだろうと思っていまして、地域経済への貢献というのは全くもって心もとないというのが私の評価です。
その上で、元凶となっている日銀の金融政策について黒田総裁にお尋ねします。
今回、点検結果が発表されましたけれども、この表題を見ますと、この肌色の冊子の表紙には、「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」ということで、もう結論先取りになっているような点検で、バイアスがかかっているということだけではなくて、そもそも、より効果的で持続的なと言っているということは、今までの効果は大したことはなかった、それから、出口は遠いということから持続的なということを言っているのではないかと思うんですが、より効果的なら二%目標は早期に達成できるはずだと思いますし、一方、金融緩和が持続的ということは、二%目標はしばらく達成できないことが前提となっているということで、この点もおかしいと思っています。
より効果的で持続的なということの含意を教えていただけますか。
○黒田参考人 日本銀行は、二%の物価安定の目標を実現するため、大規模な金融緩和を実施しております。もっとも、二%の物価安定の目標の実現には至っておりません。また、感染症の影響によりまして、経済、物価の下押し圧力は今後も継続し、二%の目標の実現には時間がかかることが予想されます。
こうした状況を踏まえると、当面、感染症の影響への政策対応が必要であるほか、長期的には、二%の目標を実現するため、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくことが重要である、こうした考えから今回の点検を実施したわけでございます。
今回の点検を踏まえた政策対応によりまして、長短金利操作付量的・質的金融緩和の持続性、機動性が増したというふうに考えております。
点検でも確認されたように、大規模な金融緩和は効果を発揮してきておりまして、この枠組みの下で強力な金融緩和を粘り強く続けていくことで、時間はかかるが二%の目標は達成できるというふうに考えております。
○階委員 二%目標が達成できない理由として、この冊子の最初のところに三点挙げられていますね。一つは、予想物価上昇率に関する複雑で粘着的な適合的期待形成のメカニズム、二つ目に、弾力的な労働供給による賃金上昇の抑制、三つ目に、企業の労働生産性向上によるコスト上昇圧力の吸収といった、三つの原因を挙げています。
一つ目の、複雑で粘着的な適合的期待形成、黒田総裁も粘着的だということが先日海江田委員からもお話がありましたけれども、ここは、複雑で粘着的なものはなかなか変えるのは容易じゃないだろう、ただ、二つ目、三つ目は私は変えられると思うんですね、政策次第で。
二つ目の、弾力的な労働供給による賃金上昇の抑制というのは、要は女性や高齢者の非正規雇用が増えていて、低賃金の方が増えているから賃金上昇が抑制されているということで、これは非正規雇用を正規雇用に切り替える、そういう政策をすれば改まるはずです。
それから三つ目の、企業の労働生産性向上によるコスト上昇圧力の吸収というのは、要は、生産性向上は起きているけれども、賃金に回っていない、コスト上昇圧力の吸収の方にしか行っていないということで、これも政策によって改めることは可能だと思います。
この二つ目、三つ目にしっかりとスポットを当てて、ここを直していけば目標達成はできるんじゃないですか、本気でやろうと思うのならそこに力を入れるべきじゃないですか。
○黒田参考人 御指摘の二番目と三番目の点は御指摘のとおりでありまして、我々の分析でも、当面、女性その他、特に非正規の雇用が増えたということで賃金が上がりにくいという状況はあったと思いますが、しかし、その後の経過を見てみますと、非正規の方の賃金もかなり上がっています。それから、御指摘のように、非正規から正規へ移るという人も少しずつ増えてきていまして、この正規の雇用が増えるということが今後は賃金、物価の引上げの要因として非常に大きく働くであろうということはそのとおりだと思います。
それから、もう一つの、生産性の向上、これもまさに委員御指摘のとおりでありまして、生産性が向上して、本来、収益が増えて、賃金をもっと払うということになっていくべきなんですけれども、それがそのまま、価格を上げなくて済む、コスト削減を価格を上げないということにつなげて収益や賃金の方に行きにくいという状況があったことは事実です。これも少しずつ是正されてきてはいますけれども、委員御指摘のとおり、この二つの面での改革というか、そういうものがあると、賃金、物価がより上がりやすくなるということは間違いないと思うんです。
ただ、それでも、先ほど申し上げたように、最初にそういうことが起こって、その次に非正規の人の賃金も上がる、正規化が進む、あるいはこちらで、生産性が向上していく過程で、価格の引下げでなくて、賃金、価格を上げていくという方向に少しずつ動き始めてきたということは言えると思うんですけれども、残念ながら、委員御指摘のとおり、そこが十分でないということはそのとおりだと思います。
○階委員 大臣には通告していませんけれども、今私が申し上げた二つ目、三つ目のことは、これは日銀にお願いすべきことじゃないという気もしていまして、政策協定、アコードを結んでいるわけだから、政府、日銀一体となってやるべきことだと思いますけれども。
政府として、私が申し上げたこの今回の点検で指摘されている二つ目の、非正規雇用による賃金の抑制であるとか、あるいは生産性上昇が賃金上昇につながっていないということ、これを政府として正していく、そのことによって二%物価安定目標達成に近づけていく、そういう本気度はありますか。お答えください。
○麻生国務大臣 これは前から、六年ぐらい前からだと思いますが、経済諮問会議等々で、政府側、政府というか、自民党の方から、例えば出てこられた経団連の方々に、また民間労組を代表して出ておられる連合の神津さんあたりに、これはおたくらがやる仕事なんじゃないんですか、連合のやる仕事でしょうが、何で連合がこれをちゃんとやらぬのですかと。議事録、残っていますよ、何回も。(階委員「連合はやっていますよ、経営者が応えていない」と呼ぶ)やっていなかったから上がらなかったんだろうよと私は言ったんです、その人に。いや、やっていますと言うから、やっていたってこの程度じゃないですかという話をしたんです。私はそういうふうに、今でも議事録が残っておりますので、ちょっと議事録が抹消になったかどうか知りませんけれども、ちょっとかなり激しくやり合ったことがあるんですけれども。
上げろ上げろと言っているのは我々が言っているのであって、何でですかということを申し上げたぐらい、これは随分やってきたんですよ。
それでも上がらないという事実は、やはり労働分配率等々は明らかに下がっていますでしょうが。あれは、企業に対して分配率を上げろと、政府は、我々、社会主義をやっているんじゃありませんし、統制経済をやっているんじゃありませんので、自由主義ですから、それはなかなか言える限度があるんですよ。それでも結構言って、毎年、少なくとも、昔はベアなんて言葉は全くありませんでしたけれども、この八年間、ベアという言葉が出てきたでしょうが。いつから出たんですか。民主党なんか一回もないよ、そんなもの。それが現実でしょうが。
階さん、これは、真面目にやっていないと言われたら、ちょっと待ってくださいよ。やった上でまだ力が足りないと言うのであれば、私どもとしては、内部留保が増えた割には設備投資また賃金に回る率が低いというのは事実だと思っておりますので、私ども、引き続き努力をせないかぬところだと思っております。
○階委員 やるべきことは明確になったと思うので、そこを更に前に進めていくということを是非お願いしたい。
それから、お話の中であった労使交渉の議事録ですか、政労使の何か会議の議事録ですか、これは後でいただけますかね。委員長、そこのお取り計らいをお願いします。
○越智委員長 理事会で協議します。
○階委員 それで、私がなぜ本気度が足りないというふうに思えたかというと、今回、国債買入れによる名目長期金利押し下げ効果というものを試算していますよね。これは、私の資料で四ページに二つの方法で押し下げ効果を推計していますけれども、いずれも押し下げ効果は一%程度と見ています。これが妥当なのかどうかということなんですね。
もしこれが妥当だとすると、仮に国債買入れをやめても長期金利は一%程度しか上昇しないというふうに日銀は考えているということになりますけれども、それでいいんですか。黒田総裁、お答えください。
○黒田参考人 まず、今回の点検では、日本銀行の国債買入れが名目長期金利を押し下げる効果について定量的な分析を行ったわけですが、具体的には二つのアプローチで押し下げ効果を推計しておりまして、第一に、過去のデータを用いて、有効求人倍率、消費者物価、それから米国長期金利の三つの経済変数で長期金利を説明する関係式を推計し、これを用いて、量的・質的金融緩和導入後に三つの経済変数が示唆する長期金利を計算して、その仮想的な長期金利と実際の長期金利の差がこの政策による押し下げ効果だというふうに考えて、当該効果を推計したわけです。
もう一つは、より経済学的というか、国債保有割合、実質GDP成長率予想、米国長期金利の三つの変数でやはり長期金利を説明する関係式を求めて、日本銀行の保有割合で説明される部分が国債買入れによる長期金利の押し下げ効果というふうに考えて、当該効果を推計したわけです。
どちらの推計からも、国債買入れによる長期金利の押し下げ効果がマイナス一%程度であるという結果が示されたわけです。そういう意味では、今回の分析結果は一定の妥当性を有するというふうに考えておりますが、委員御指摘の、今、国債買入れをやめたら長期金利がどれだけ上がるかというのは、この計算式から直接出てくるわけではありません。
ただ、この計算したときのような有効求人倍率とか消費者物価とか米国長期金利等々の変数が同じであれば、その程度の長期金利の上昇にとどまるというふうには推測はできますけれども、あくまでも、将来に向かって、今の政策をやめたときに金利がどのくらい上がるかというのは、そもそもその状況における有効求人倍率とか消費者物価とか米国長期金利の状況がこの計算データで計算したときの過去八年間の状況と変わっている可能性がありますので、一概に、一%程度にとどまる、やめちゃっても一%程度しか長期金利は上がらないということは言い切れないというふうに思います。
○階委員 相変わらず複雑で粘着的な答弁なんですが、最後の方で本当のことをおっしゃられたと思いますよ。
やはり、日銀が国債買入れを今やめたら、国債価格が暴落して、金利が急騰、急上昇するということになると思います。だから国債買入れをやめられないのであって、一%の押し下げ効果があるから継続しているわけではないというふうに私は見ておりますけれども、そういうことでいいですか。正直に、端的にお答えください。
○黒田参考人 あくまでも、金融緩和の効果が、長期金利を一%程度引き下げているという効果があるということを前提に、これまでの長短金利操作付量的・質的金融緩和を粘り強く続けていくことによって、一方で予想物価上昇率が徐々に引き上がっていけば、実質長期金利も下がっていきますし、経済に対する緩和効果も強まっていくということでありますので、当然、現在の金融緩和政策を続けることによって、名目金利の押し下げ効果をできるだけ長く継続させて、二%の物価安定の目標に向けて進んでいくということに変わりはありません。
○階委員 時間が来ましたのでもう質問しませんけれども、二点だけ指摘させてください。
五ページにありますとおり、金融仲介機能への影響ということも書かれておりますけれども、先ほどの押し下げ効果とかオーバーシュート型コミットメントの影響の分析に比べると、極めて抽象的で具体性を欠く内容になっています。ここの分析も、きちんと具体的に定量的にやっていただきたいというのが一つ。
もう一つは、そのオーバーシュート型コミットメント、六ページ目ですけれども、オーバーシュート型コミットメントというのは、埋め合わせ戦略、すなわち、物価上昇率の実績値が目標を下回る期間が続いた場合には、そうした状況を勘案して金融緩和を行うという考え方を実践したものだと言っておりますけれども、だったら、今、実績値が目標を下回る期間が続いている中で、物価目標を達成した後も、しばらくこの金融政策は変わらないのではないかというふうに思えるわけですよ。その具体的な期間を明示すべきではないか。
もっと具体的に示すべきではないかという二つのことを申し上げまして、この点検、今のままでは、この点検自体がこれまでの金融政策の失敗を埋め合わせる戦略にすぎないということを申し上げまして、質問を終わります。
○越智委員長 次に、吉田統彦君。
○吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。
時間もありませんので、早速始めさせていただきます。
まず、日本の事業家や富裕層における、ともすれば脱法的な節税策についてお聞きしたいと思います。
富裕層の究極の節税策の一つは、所得税法上の非居住者になることだと言われているそうであります。ちまたでは、年間百八十三日以上海外に滞在していればよいのではないかと言われているとも聞きます。本当に海外に生活の本拠があるのであれば問題ないとも言えますが、そうではなくて、形式的に海外のケイマン諸島やスイス、バミューダなどのタックスヘイブンや軽税地に移しただけで、日本での事業を継続し、年間何回も戻ってくる、何日も戻ってくる、常に海外から日本に対し指揮命令をしている、こういったことも当然横行しています。
そこで、こういったケースについて、財務省は、本来納めるべき税金のどれくらいを不当に逃れて税収減となっていると考えているのか、また、このような、時として脱法的な節税手法について、どのように捕捉しようとしているのか、現状を、大臣、お答えください。
〔委員長退席、鈴木(馨)委員長代理着席〕
○麻生国務大臣 国税庁として富裕層に対する対応の話を聞いておられるんですね。
海外に住居を移している人というのは、お医者さんの仲間でどれくらいいるんだか知りませんけれども、高額な資産を有する人というものの管理とか、租税条約に基づいて、情報交換資料の積極的な活用等々、これは取り組んでおります。
一番でかいのは、これは、こんな人より企業の方がでかいですからね、御存じかと思いますけれども。そういった意味で、私どもとしては、まずは企業だろうというので、八年前から始めて今日まで、アメリカを説得して、ついにこの七月に、うまくいけば、ジャネット・イエレンというFRBをやっていた人もいますので、実態をこの八年間、民主党の人だったので最後の四年間はいたわけじゃないんですけれども、聞いていたものですから。
去年の十二月から事は結構進み始めて、アメリカが降り、フランスもここで寄りましたので、この二月、三月のG7等々の財務大臣会合でこれは結構詰めるところまで来ましたので。最後の最後は大体すっとやられますので、最後のところまで詰めないかぬというところで、七月、G7、G20をイギリス、イタリアで、それぞれ現地でやるときまでにほぼ積み上げられると。先週でしたか、電話で再確認はしてありますけれども、国際連盟もつくっておいて最後に入らなかったという国ですから、余り当てにはしちゃいかぬ、常にそう心して思ってはおるんですけれども。
私どもとしては、今そういった問題は、非常に大きな制度的な見直しというものをやっていくので、まずは国際の法人の、額が余りにもでかいGAFA等々の話ですけれども、そういった意味で、法人税の下げ競争を、先進国で競争してやっているのは愚の骨頂というのを最初に言い始めて、それから今日まで日本がリードしてここまで来たと思っておりますけれども、最後は、一番でかいアメリカの部分とEUのところにありますこれをしないと、ちょっと日本だけでどうにかなるわけではありませんし、今百七十か国ぐらいまで来ておりますので、最後にこれをやることによってうまくいけると思っております。
御心配のところというのは、これをやって次に富裕層のところにまで行くと思っておりますが、今どれぐらいのものが抜けているか等々、どういうものをすればその人たちがこっちへ帰ってくるのかというところは、いま一つ、個人の部分につきましては、まだそこまで調べができ上がっているわけではございません。
○吉田(統)委員 大臣、しっかりと御答弁いただきまして、ありがとうございます。
それは法人の方が大きいですよね、大臣。しかし、個人も、大臣ほどではないですけれども、いっぱい資産家が世の中にいまして、本当に海外へ、かなりやはり行かれていますよ。私の知っている方なんかもそういう形でやっている方もいますので、しっかりそこもまた捕捉をいただいて。
細かいことはもちろん政府参考人でこの後も結構ですから、取りあえずは、私の最初の問いは大臣に答えていただきたいと思います。
是非、まず法人をやっていただいて、個人もしっかり、心から大臣、応援していますので、頑張っていただきたいと思います。
では、次の問いに行きたいと思います。この流れの中での質問なので、もし大臣、お答えがちょっと難しいようでしたら、これは参考人でも結構です。
法人というのはあまたありますね。都とか道とか県も法人の一つですね。その中で特に公益性の高い法人、公益社団法人、一般社団法人、一般財団法人、公益財団法人、学校法人、こういった法人の理事長について、主たる収入が法人からの収入であるにもかかわらず、海外で租税回避している方がいらっしゃいます。
そうすると、これは当然、繰り返しますが、公益性が高い、また、法人の課税の優遇などもあることから、ちょっと許し難い状況になっていると考えるんですが、ここに関して、参考人で結構ですので、端的にお答えいただけますか。大臣でももちろん結構です。
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
一般社団法人等の役員の給与、報酬等の課税関係ということでございますが、個人の方の課税関係を考えます上では、まず、その方の形式的な住所だけではなくて、職業ですとか、資産の所在でありますとか、親族の方の居住状況、あるいは国籍などをしっかりと確認させていただいて、その実態に照らして日本の居住者であるというふうに判断される場合もございますので、そういう場合には、ほかの方々と同様、その給与や報酬について、累進税率で課税をされるということになります。
他方で、そういった実態を確認してもなお非居住者であると認められる場合には、日本法人から受け取る給与等を含めまして、多くの所得類型において比例税率の源泉分離課税が行われているということでございますが、これは納税者等の事務負担や税務当局の執行可能性などの問題もございますので、そういった観点から戦後採用されたものと考えております。
そういった非居住者に対しても居住者並みの累進課税を行うということは一つの考え方だと思いますけれども、これについては、経済のグローバル化といった経済社会の情勢の変化なども踏まえながら、税負担の公平性という観点ももちろん重要でございますし、事務負担でありますとか執行可能性の観点も踏まえて、丁寧に検討していく必要があるというふうに考えております。
○吉田(統)委員 おっしゃるとおりの制度になっていますね。つまり、非居住者であると、源泉徴収だけですから約二割ですよね、約二割なんですよ。だから、五千万もらっていても、二割しか税を納めない。片や大臣は、やはり収入がたくさんある分、大臣はたくさん納めていらっしゃいますよね。これは、汗水垂らして一生懸命税金を納めている一般庶民から見たら、やはり不公平に映ってくる可能性があります。
特に、公益性の高い法人に関しては、理事長、そういう税の逃れ方は、二割だけだと、五千万だと非常に、一千万ぐらいまで抑えられますね、税金。これは通常ならあり得ないことですよね。そういった中で、やはり、こういう公益性の高い法人に関しては居住地を日本に限るだとか、そういうルールづくりもする中で公平な税制を求めていきたい、そういうふうに考えます。
さっき、局長、そういう考え方もあるということで、今後も制度を、いろいろなことを大臣と一緒にお考えいただくと思いますので、これはグローバルな社会でどんどんどんどん大きな問題になってきます、当然ですが。ですので、是非そこは留意をいただいて、公平な税制を心がけていただきたいとお願いして、次の質問に移ります。
大臣、大臣も病院経営を一族でされているわけですが、近年、分子標的剤、遺伝子治療薬、再生医療製品などの高価な医薬品が保険適用になっています。これで医療費負担は過度に増加しているという指摘がありますね。
例えば、オプジーボは二〇一四年九月の保険適用ですが、当初、百ミリグラム一瓶七十二万九千八百四十九円という高い薬価がついています。国内初のCAR―T細胞療法として注目されたキムリアは、一昨年の五月十五日に保険適用が決定し、一患者当たりの薬価は三千三百四十九万三千四百七円となりました。アメリカではこれは五千万円を、大臣、超えています。
こういった高度な医薬品が次々と保険適用されていくことによって保険財政の悪化を招くのではないかということが、様々なところから声が上がっています。一昨年十月九日の財政制度等審議会、財政審の分科会において、財務省は、高額な医薬品については、費用対効果を勘案し公的保険の対象から外すことも検討するよう提案したと報道されていました。
そこで、改めて、このような高価な医薬品が保険適用となって国の医療費負担を過度に増加させるとの懸念について、大臣はどのようにお考えになられますか。
○麻生国務大臣 これは大問題、一言で言えば大問題です。
財政審の話も読まれておられるようなので、医薬品の価格というのは、最近出たのではオプジーボですか、あれが一番有名になりましたけれども、元々別の薬でやったものが、あれに効くと分かったことでぼんと値段が上がったという形になったんですけれども。
財政審が言う、財政への影響というものを勘案して保険の収載の可否を判断するときには、これはいろいろ毎年末もめる話ですけれども、医薬品に対する予算の統制の在り方について抜本的に見直さないとどうにもならぬというのが財政審の指摘であります。
新規の医薬品というのは、本当に困難な病気と闘っておられる方々にとっては、高くてもそれが絶対効くとなれば、それは少々なものでもというのは分かるんですけれども、新しい薬が、AIの発達だ何だ、いろいろなもので治療ができる可能性が増えてくると希望が出てくるのは確かなんですが、一方で、医薬品の高級化若しくは高度化によって医療費の増加が、爆発的に増える可能性、高齢者が増える今からは特にそういうことになりますので。
こうした中で、我々としては、アメリカなんかと違って、国民皆保険制度というのを昭和三十五年ぐらいからやらせていただいてここまで来ているので、少なくとも、冠たるものだと思っているんですけれども、こういったものをきちんと維持しながら、傍ら高度化、医療品の高級化、性能のいいものに対する、両方うまくやっていくということに関しては、いわゆる費用を払う人ともらう人、そういった費用対効果、負担と受益、いろいろな表現はありますけれども、そういったようなものに真剣に、ちょっと時間をかけて取り組んでいきませんとえらいことになるというのが私どものあれで。
今年は、医薬品の改定を毎年やらせていただくということをやらせていただいたり、高齢者でも収入のおありになる方々がいらっしゃいますので、そういった方は済みませんけれども二割払っていただけませんかということをやらせていただいたり、いろいろなことをさせていただいておりますけれども、これでは、更にあと二年しますと、団塊の世代が全部七十五歳に入ってこられますので。
そういったことを考えますと、きちんとしたものをやっておかないととても国民皆保険はもちませんので、私どもとしては、御指摘のように、これは真剣に考えないかぬ大問題だと思っております。
〔鈴木(馨)委員長代理退席、委員長着席〕
○吉田(統)委員 大臣、二点、そういった状況を踏まえて、感想をちょっと大臣からお伺いしたいと思います。
端的にお答えいただきたいんですが、高額な薬価というと、大臣、私が十年前、ちょうど二〇一一年三月二日に厚生労働委員会で、ルセンティスという加齢黄斑変性に使う薬の日本における市場規模が当時百五十七億円になりました、この状況を鑑みて、当時、米国では、大腸がんに使われるアバスチンというものが加齢黄斑変性に、そもそも日本でも使われていたんです、適応外使用されていて、今もアメリカはアバスチンを結構使っているんです。日本も、アバスチンを加齢黄斑変性の治療に用いると、百分の一ぐらいの費用で済むんです。ルセンティスが高価で治療を諦める方も、医療財政にとってもよいのではないかという趣旨の質疑を当時も行っています。
このまま放置したら、早晩市場規模は百億を超えますよと、私、医療財政を圧迫すると予言をしました。私の予言、残念なことにもう的中しております、大臣。現在、ルセンティスや同様の抗VEGF剤の市場規模は一千億円を上回っています。我が国の医療財政圧迫の要因になっています。
だから、ここも、アメリカもやっていることなんです。大臣がおっしゃったように、アメリカは国民皆保険じゃないです。そういった国でもアバスチンを使っているんですよ。使えばこの一千億円を圧縮できるんです。こういったことをやるべきだと思います。何回も私は言っていますが、なかなか厚生労働省は固い。ただ、アメリカでもやっていますし、日本でも元々使っていた薬なので、やるべきだと思いますが、大臣、御感想を端的にお願いいたします。
○麻生国務大臣 これは吉田先生、個別の医薬品とか治療について、ちょっと、全く所管じゃないからね、こっちは。こっちは、金をいかに払わないかを考えるのが俺の仕事だから。だから、そういったことで、ちょっとこれは私の所管外で、お答えすることを控えさせてもらわないかぬのですが。
一般論として言えば、保険適用というのがされていて、安全かつ有効とかいうのを前提として、費用対効果の高い医薬品の効用について、活用するというのを促していくというのは、国民皆保険制度の持続性を高める意味でも非常に重要なんだと思っているんですが。
経済性も考えて、例えば、医薬品の使用方針というのが決まっているんですが、いわゆるジェネリック、ジェネリックを推進しろというのを六年前から始めて、あの当時、ジェネリックは二〇%台だったかな、今、八〇%ぐらいまで、ジェネリックの使用率がこの五、六年で増えていると思いますけれども、薬剤費というものの適正化というのをこれで図らせていただいているんですけれども。
今言われたように、保険で適用されていないいわゆる医薬品と治療の方法については、有効性が確認されるということが必要なんでしょうけれども、なかなか、ミドリ十字なんて覚えているかどうか知りませんけれども、あのときの話の思い出がありますので、なかなか、薬害についての恐怖心というのが非常に大きいというのは厚生省にあるんだと思いますが。
いずれにしても、いろいろなものが今、コロナのおかげで、随分そういったものに対する対応が遅いとか、感染症対策ができていないとか、いろいろなところが今回のことで指摘されておりますけれども、昔でいう、戦争前はこれは旧内務省の所管だったんですけれども、戦後、厚生省の所管になって、それで感染症対策はもう全然手が抜けていたというのが、感染症がなかったせいもありますけれども、今回それが明るみに出たという形になったかなという感じが私自身はしていますけれども。
いずれにしても、今言われましたように、いろいろな知恵というのを、これは役人だけじゃなくてみんなで考えないと、とても長くもたないなという感じがしております。
○吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。
おっしゃるとおりで、ただ、財務大臣の御所管ではないんですけれども、時として財務省の方というのはしっかり目を配っていただいて、例えば、薬局の調剤の話が出ましたので。要は、門前薬局に対する調剤報酬の話が昔ありましたよね、ちょっとそれは少し削りましょうと。そのときに、一階に調剤薬局があって、上にだあっとクリニックがあるところは対象外だったんですけれども、やはり財務省の皆さんがちゃんと目をそこに配っていただいて、対応していただいた例なんというものもあるんですよ。
なので、やはり財務省の側から、ここはこうした方がいいんじゃないかということも時として必要だと思うので、大臣、本当にいろいろな知恵をとおっしゃっていただいたので、是非やってください。
一般論として、もう一個申し上げます。これは個別の話ですが、一般論なので。
CAR―T製剤という、遺伝子治療、キムリアがさっき高いという話をしましたね。四月十四日の中医協で、三千二百六十四万七千七百六十一円に下がりましたが、依然として高額です。ただ、厚労省は、これは二百五十人ぐらいしか対象者がいないから保険財政への影響は限定的だと言っているんですね。ただ、その後も同様に、CAR―T製剤や様々な遺伝子治療が治験に入っています。このまま保険にのみ込んでいくと、大臣、当然、さっき大臣がおっしゃったように、保険財政に甚大な影響を与えます。
しかし、実は大臣、制度としてちょっとこれは財務省と厚労省に考えていただきたいんですけれども、大学とかアカデミアが自分たちで開発して、製薬メーカーの力をかりずにアカデミア内で完結されるCAR―T製剤治療を用いると、百万円ぐらいで済むんですよ。製薬メーカーを経由して保険収載していくと三千万円以上、しかし、アカデミアの中でしっかり安全性を担保して治療するということをやると、これは名古屋大学やチュラロンコン大学が今タッグを組んでやっているんですけれども、チュラロンコン大学、タイの東大ですよね、百万円以内でできるんですね。こういった医療費削減政策、かつ、クオリティーも高いようなんですね、どうもそちらの方が。
こういったことを、財務省は、この問いでもう終わらせていただきますが、医療財政の観点から、世界的に遺伝子治療はどんどん進んで、もう大臣はよく分かっていらっしゃるように、これは保険でのみ込んでいくのはもう無理ですよね。大臣はもうよくお分かりだと思いますけれども、こういうアカデミアにおいて完結する医療を進めることで医療費の削減、保険財政の健全化を図ることができると思うんですが、大臣、一般論として、ここに関してお答えをいただきたい。お願いします。
○麻生国務大臣 これはもうますます厚生省が跳び上がるような話をしているので、厚生労働委員会で局長を呼んでこの話をされたら、まずそこで拝聴させてもらいたいなと思いますけれども。
やはり感染症は、今回、ちょっと内務省所管だったものを厚生省に移したものですから、昔だったら警察が入れたわけですよ。吉田さん、おたくのおばあちゃん、おかしくないですかと、ばっと警察が入ってこれた。それで、隠していても、ちゃんとおばあちゃんを病院に連れていけたんです。今は保健所では入れませんから。それが実態でしょう。保健所の数も足りませんし、どんどんどんどん厚生省が減らしたんだから。結果としてそういうことになっているのが実態。
今言われた話も、これはひとえに有効性の確認というところなんですよね。簡単に言えば、アメリカで学生で住んでいたときには、現役ですよ、二十二歳ぐらいのときですから。そのときに、ベトナム戦争の真っ最中で、輸血なんですよね、輸血の血が足りないからと、みんなそれこそドネーションというか、ボランティアでやったわけです。日本の採血というのは大体こんなものですけれども、アメリカの採血は倍ですからね。大学生のときに自分で、みんなで行くから、私もそれに行きますよといって行った。これ全部かよと思った途端に、はい、私だけ、バスを出た途端にどんと貧血で倒れて、また自分の血を、献血した血をまた輸血されて、二度と来ないでくださいと言われたのを覚えているんですけれども。絶対量が違うんですね、あれは、輸血。あの量の多さにたまげて、二度と行かないようにしましたけれども。
同じように、やはり、日本人には効くけれども、アメリカ人にはもう全く量が足りなくて効かないとか、そこらのところが薬のときにはめちゃくちゃ面倒くさいんだそうです。アメリカ人でも、ヒスパニック系、何とか系といろいろあって、これまた全部調べた上でやるんだという話をその後聞かされたんですけれども。
是非、そういった意味で、この有効性のところの場合、日本人の場合は非常に繊細にできているんだと思いますので、そこらのところをちょっと、今のところを、チュラロンコン大学の話がありましたけれども、いろいろなところでやるというのは極めていいかなと私は思いますけれども、それを認可する立場に立つと、もしというのが最もというところをどうにかしないとならぬだろうなという感じはします。
○吉田(統)委員 ありがとうございます。広範な見識、御披露いただきましてありがとうございます。
ただ、論文で担保は一応されていますので、大臣、またこういった件も御検討ください。
ありがとうございました。
○越智委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
前回に続きまして、消費税のインボイス制度について質問いたします。
住澤主税局長は、この間、さも影響を受ける免税業者が少ないようなことを印象づける答弁を繰り返しておられましたけれども、これはやはり現場の実態を見ないものだと言わなければなりません。非常に無責任です。
機械的に算出したとはいえ、軽減税率の財源を捻出するために、百六十一万の免税事業者が課税業者を選択することを想定して、インボイス制度の導入で二千四百八十億円の増収を見積もったのは、これは財務省ですからね。
配付資料一を御覧ください。
このとおり、日本商工会議所や全国中小企業団体中央会、日本税理士連合会などが、中小企業の実態を現場で見ている多くの団体がこのインボイスの廃止や延期を求めている。これは事実なんです。
今日は、消費税のインボイス、この制度を導入された場合、課税を選択せざるを得ないケースについて、どういう実態が起こるのかということについて確認をしていきたいと思います。
消費税法で定められた消費税の納付税額は、配付資料二を御覧ください。
ここにありますように、課税期間中に、課税売上高に七・八%を乗じた額から、課税仕入れ高に百十分の七・八を乗じた額を差し引いて計算、軽減税率分を六・二四%で計算すると定められております。地方消費税分を足すと、それぞれ一〇%と八%。これを前提に質問させていただきたいと思います。
その二枚目の下にありますように、消費税法では、納税義務者は最終消費者ではなく事業者であり、課税売上高が一千万円以下の事業者は消費税の納税が免除されております。消費者が払った消費税を預かって事業者が納税するとはどこにも書かれておりません。
これは当たり前なんですけれども、この法律を前提に、五百万者と言われる免税事業者が今も商売をして、その他、経済活動をして生活しているわけですよね。それだけ多くの中小企業者がこのルールの下で経済活動をしている。ここをまず理解しないといけないと思います。
財務省が試算しました課税業者に転換する百六十一万免税業者の中には、建設業の一人親方、IT技術者、フリーライター、スナックのホステスさんなど多様な個人事業主、あるいはウーバーイーツの配達員、アニメーターなど、フリーランスとも言われる方々が含まれております。
初めに、建設業、一人親方のケースについて見ていきましょう。
配付資料の三を御覧ください。
課税業者のA工務店と免税業者の一人親方Bとの間で起こる消費税の負担関係を示したものでございます。分かりやすくするために、A工務店の売上げを一千百万円とし、簡易課税を選択しないこととしております。
Bさんが、これはインボイス導入後ですね、Bさんが免税業者のままインボイス制度が導入されると、A工務店の消費税納付額は八十万円に増えます。その結果、三十万円の収入が減るわけですよね。例えば、経営がぎりぎりのA工務店は、ケース二のようにBさんに課税業者になってもらうか、あるいは、ケース一のように自ら消費税の増額を負担するしかないわけであります。仮にBさんが課税業者になると、三十万円の消費税課税が発生するために収入が三十万円減って、これは三百万円になるわけであります。
そこで、建設業を所管している国土交通省に確認させてください。
このケースでは、工務店Aか若しくは一人親方Bかのどちらかが消費税納付税額が増えるわけです。一人親方の収入が減れば、廃業が増える懸念も出てくるわけです。今、五十一万人全国でいる一人親方が部分的にも廃業の憂き目に遭えば、建設業界全体が成り立たなくなるのではないか。国土交通省としては、そのような問題意識というのをお持ちでしょうか。
○美濃政府参考人 お答え申し上げます。
消費税のいわゆるインボイス制度につきましては、多くの事業者の方々に制度の理解を促し、必要な準備や対応を十分に行っていただく観点から、これまで、事業者団体に対して、複数回にわたりまして、制度改正の内容とともに、財務省、国税庁が開催する説明会の周知を行ってきております。
通常、事業者がどのような取引をどのような価格で行うかにつきましては、消費税の仕入れ税額控除ができるかどうかだけではなく、当該取引先との関係や工事内容、需給の状況など、様々な要素に影響を受けるものと承知しております。
他方で、インボイス制度に限らず、値下げ要求によりまして不当に低い請負代金を強いるなど建設業法違反が疑われるような場合は、駆け込みホットラインにおきまして違反疑義情報を収集し、不適切な取引が認められた事業者に対しては指導を実施しております。
インボイス制度の円滑な導入に向けまして、制度内容や相談窓口の十分な周知が図られるよう、引き続き財務省、国税庁と連携してまいりたい、このように考えてございます。
○清水委員 今おっしゃった建設業法の違反につながるような、いわゆる、不当に低い単価を求められるということがインボイス制度の導入によって懸念されるわけです。
美濃さん、もう一回聞きますけれども、例えば、この資料にあるように、Bさんが工務店から、あんた、課税業者になれるかと打診されまして、駄目なら、残念だけれども、消費税込みで三百三十万円で請け負うと言っているCさんに契約を替えると言われたケースについて、私は十六日の当委員会で公正取引委員会に確認しましたが、その行為自体は基本的には独占禁止法又は下請法上問題とならない、こう答弁したわけなんです。
これは国土交通省も同じ認識でよろしいですか。
○美濃政府参考人 お答え申し上げます。
具体の取引につきまして建設業法上の違反に該当するか否かにつきましては、個別の状況に応じて判断されるものでありまして、一概にお答えできるものではございませんけれども、いずれにしましても、インボイス制度の円滑な導入に向けまして、十分な周知が図られるよう、引き続き財務省、国税庁と連携するとともに、業界の方からの相談につきましては両省庁と連携して対応してまいりたい、このように考えてございます。
○清水委員 円滑な導入ができないからこそ、関係団体が反対されているんじゃないんですか。
住澤主税局長は、いわゆるそういう取引の問題が出たときに、独禁法や下請法で一人親方が守られるかのような説明をされましたけれども、今、国土交通省からも答弁いただきましたけれども、いわゆる仕入れ額控除ができるかできないか、インボイスが出せるか出せないかのみによって契約を替えたり値引きをお願いしたりするということ自体で取り締まることはできない、ならないということですから、これは大問題だと思うんですよね。
インボイス導入はほかの業界でも実は大問題になっておりまして、個人タクシー事業者。
インボイス制度が導入されますと、ビジネス利用の客による選別の可能性があり、課税業者にならざるを得なくなる場合が出てきます。つまり、これはBトゥーBのケースですよね。
公定幅運賃のため、消費税分込みの課税売上げとして料金設定しているわけなんですが、元々収入の低い業界のため、個人タクシーの事業者が課税業者になるしかないとなるならば、稼げない事業者というのは廃業の懸念も出てくるんじゃないですか。
こうなるとまた個人タクシー業界にも大きな影響が出てくると思うんですが、これは国土交通省が所管されていると思うんですが、何か対策を講じておられるんでしょうか。
○山田政府参考人 お答え申し上げます。
個人タクシー事業者の中には、インボイス制度が導入された場合、インボイスを発行できない免税事業者も存在するため、御指摘のとおり、個人タクシー事業者から、企業が利用を控える可能性があるのではないかと懸念する声があるものと承知をしております。
現在、このような課題につきまして、財務省と業界団体において実務的な対応を相談しているものと承知をしております。
国土交通省として、財務省や業界団体とも連携して、制度の丁寧な周知広報を含めて、適切に対応してまいりたいと考えております。
○清水委員 やはり、制度の周知広報じゃなくて、インボイス制度の導入そのものを中止あるいは延期するということが大切ではないかなというふうに思います。
次に、資料の四を御覧ください。
これは、シルバー人材センターの仕組みについてお示ししたものであります。
シルバー人材センターと会員の高齢者の間は業務委託契約になっておりまして、約七十万人の高齢者の方々が全国で登録されておられます。収入は月平均三万六千二百二十五円なんですね。年収四十三万四千七百円でございます。
現在の仕組みでは、配分金というんですけれども、配分金には消費税が含まれているため、高齢者が課税業者にならなければ、今後、シルバー人材センターが仕入れ額控除をできなくなるわけです。つまり、シルバー人材センターとして納める消費税の納税額が一気に増えるわけですよね。それを避けるためには、配分金に含まれる消費税分を差し引いて配分するしかなくなるわけですよ。
仮に、千人の会員がおられるシルバー人材センター、これは中規模です、ここでは、高齢者一人一人が課税業者となって、年収四十三万四千七百円の内税である消費税三万九千五百十八円を納税してもらうか、さもなくば、配当金を消費税相当分引き下げて、いわゆる三十九万五千百八十二円とするしかなくなるわけですよね。若しくは、シルバー人材センターが三千九百五十一万八千円の消費税負担を引き受けるしかないわけですよ。
これは、シルバー人材センターから悲鳴が上がっているわけですが、厚生労働省は何らかの対策を講じていらっしゃるんでしょうか。
○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。
シルバー人材センターの会員の多くは免税事業者でございますため、令和五年十月からのインボイス制度の導入により、シルバー人材センターから支払われていた配分金は原則仕入れ税額控除の対象とならないため、新たな消費税の納税が生じるなどの懸念の声があることは承知しているところでございます。
このような中、免税事業者の仕入れにつきましては、激変緩和措置として、制度開始後の令和五年十月から三年間は八〇%、さらに、令和八年十月からの三年間は五〇%の仕入れ税額控除ができるという経過措置が講じられていると承知してございます。
厚生労働省といたしましては、シルバー人材センターの事業への影響や、制度導入後の、センター会員である高齢者が課税事業者とならないような場合を含めた実務上の対応等、実情を把握しつつ、財務省を含め、関係省庁とも連携して対応してまいりたいと考えてございます。
○清水委員 お聞きいただいたように、やはり現場では不安と懸念の声が広がっているということなんですよね。
政府は、全世代型社会保障検討会議で、高齢者の雇用を増やすための対策を検討してきたわけです。にもかかわらず、シルバー人材センターで頑張って働いて得た高齢者のなけなしの配分金を年間約四万円も消費税の納税で奪う。四万円ですよ。つまり、高齢者に一か月間ただ働きさせるということになるわけですね。余りにもひどい仕打ちだと言うほかありません。
お待たせしました、住澤主税局長にここで聞くわけですけれども。
シルバー人材センターで働く高齢者に、約四万円の消費税納税のために課税業者になれというのが財務省、政府の方針なんですか。この間ずっと、簡易課税を選べるとか、あるいは経過措置があるとか、仕入れ額控除があるとか、いろいろ言われましたけれども、今言った工務店の一人親方の問題、それから個人タクシーの事業者のお話、そしてシルバー人材センターの現場での実態の懸念、これらを受け止めて、それでもこれは説明どおり懸念を払拭できると言い切れるんですか。
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
今、資料も用いて御指摘をいただきました各業界からは、それぞれ御懸念の声はいただいております。
その上で、関係省庁とも御相談をしながら、それぞれの業界団体と直接間接に意見交換もさせていただいて、課題の把握に努めながら、制度の御説明などもさせていただいているというのが現状でございます。
その上で、やはり丁寧にこの制度を理解していただくということが大事だと思いますし、せっかく資料をお示しいただきましたので、少し誤解のないようにということで補足させていただきたいと思いますが。
資料の三枚目で、一人親方と工務店のケースの数値例が示されております。この現在の方を拝見いたしますと、仕入れをしている工務店の方は、売上げが一千百万円という比較的小規模の工務店ということだと思いますけれども、五千万円以下の売上げの事業者の場合には、先ほど資料の二枚目で御説明いただいたような原則的な消費税の税額計算ではなくて、簡易課税制度というのがあるということはこれまで繰り返し申し上げてまいりました。
この工務店の場合は、これは本則計算しているケースで、五十万円の仕入れ控除をしているわけですが、一般的な建設業の場合、みなし仕入れ率は七〇%でございますので、簡易課税を選択される方がはるかに有利でございます。
その場合、百万円の売上税額から、みなし仕入れ税額が七十万円ということで、それを引きますので、納付税額は三十万円ということになりまして、納付後の粗利は五百二十万円というのがこの現状ということになります。
その上で、インボイスが導入された後も、五千万円以下の方ですので簡易課税制度の適用が引き続き可能でございますので、一人親方の方からインボイスを受け取らなくても、引き続き七十万円の税額控除を続けることができるということで、基本的にインボイスの導入による影響は生じない可能性が強いというケースでございます。
これまでも言ってまいりましたように、課税事業者になる必要が生じるかどうかというのは、BトゥーCの取引がどの程度あるかということにもよりますし、こういった取引の相手方が簡易課税を適用可能な事業者かということによっても左右されます。
また、免税事業者からの仕入れについても、当初三年間は八〇%、仕入れ控除が可能だという仕組みになっておりますので、例えば、この数値例でいって、ケースの一の方で仮に本則課税をした場合でも、A工務店は、このケース一において、仕入れ控除できる金額というのは六万円しか減らないということになりますので、手取りの減少額も三十万円ではなくて六万円にとどまるというのが当初三年間のケースということになります。
こういった総合的な要素を勘案して、課税するかどうか、課税転換するかどうかということが決まってくるということでございますので、その辺をきちんと丁寧に御説明しながら、また、独禁法、下請法の関係についてもきちんと考え方を整理して、関係省庁と連携して対応してまいりたいというふうに考えております。
○清水委員 丁寧に説明すれば負担がなくなるということじゃないんです。
結局、フリーターにとってもインボイスの影響が深刻になるということについても、もっと理解するべきだと思うんですね。
次の資料を御覧ください、五枚目ですけれども。
これは、アニメーションの制作者の就業形態についてお示ししたものであります。
日本のアニメ産業を支えているアニメーターですけれども、白書によれば、業界そのものがフリーランスで支えられております。日本アニメーター・演出協会の調査によりますと、約半数がフリーランス契約で、そのほかに自営業が一九・一%、約七割が個人事業主で支えられている。制作会社が約四百社ありまして、そこで働く個人事業主は最大五千人程度に上ると言われているんですが、この方々が課税業者になるということになる可能性があるわけです。アンケートによれば、二十代前半で、六枚目の資料を見ていただいたらいいと思うんですが、アニメーターの平均年収は百五十五万なんですよ。課税業者になれば、年間十四万円の消費税を納税せざるを得なくなるということになるわけですね、原則。
最後に麻生大臣に質問して終わりたいと思うんですけれども、一人親方、個人タクシー、シルバー人材センターやアニメーター、現在免税業者である個人事業主やフリーターなど、多くの中小零細業者がインボイス制度の導入で大きく生活が変わるわけですよ。
インボイス制度の導入後に、収入を減らして消費税課税業者になるか、仕事そのものを廃業するかが迫られるフリーランスが出てくるということをやはり想定するべきだと思うんですね。あるいは、これらは自由競争社会だから仕方がないというのか。
麻生大臣の、このインボイス導入による、多くの免税事業者が現に今この税制の下で生活し、働き、家族を養っている、こういう人たちに負担を押しつける、このことについての認識を伺います。
○麻生国務大臣 インボイス制度の導入に当たって、免税事業者への影響という話ですけれども、これはさっきいただいた紙ですけれども、売上げ千百万だよね。売上げ千百万でやっているんでしょう、おたくのは。これは簡易課税だよね。(清水委員「いや、簡易課税は選んでいません。分かりやすくしている資料だから」と呼ぶ)何で簡易課税を選ばない。だって、五千万円以下だったら簡易課税じゃないの。だって、税金が違いますからね。そこだけちょっと、いかにもこうなるような話は違いますよ、前提は。簡易課税を使えばこれは全然違う、税金が違ってくるから。ちょっとそこのところだけ、いかにも何となく、やり方としてはいかがかなと思いますけれどもね。
我々としては、いわゆる顧客が消費者という小売業の場合とかサービス業の場合、いわゆるBトゥーCの事業者の場合、それから、得意先の事業者が簡易課税の適用を受けているという場合、これはインボイスの交付を求められることはありませんからね。だから、全ての業者かと言われると、違うんじゃないでしょうか。簡易課税を受けているということになるとね。そこのところだけちょっと、これは議事録だけは残りますので、それは明らかに、我々がそのまま全部それを認めたようなことになるので、ちょっとそれは違いますよということを申し上げておきます。
その上で、取引排除が生じるということは、インボイスの交付を求められないわけですから、全ての免税事業者について影響があるわけではない、まずそれが大前提ですね。
また、免税事業者がBトゥーBの取引において、いわゆる課税が適用される事業者との取引を行う場合であっても、免税事業者からの仕入れであって、制度導入後の三年間は八〇%でしょうか、その後三年間は五〇%、控除ができることになっていますよね。
そのときの業界における需給の状況とか、免税事業者が取り扱っておられる、提供しておられる技術とかサービス、いろんなものが変わってくるとは思いますけれども、課税の事業者になる必要がない事業者もこれはある程度想定されるんだと思っているんですが、その上で、本制度の導入によって、免税事業者がBトゥーBの取引において不当に扱われぬようにしたいというのをえらい言っておられますので、それは当然のこととして、我々は回避をせないかぬというのは当たり前の話なので。
例えば、優越的地位にある者が地位を利用して一方的に不当な値引きというのは、これは不公正な取引が行われているというのであって、これは、独占禁止法とか下請法とかいうのに係る考え方の検討、整理というものを含めて、関係省庁間で更に連携して、必要な対応を検討してまいりたいと思っております。
○清水委員 人間の営みというものをしっかりと見て、この問題、検討していただきたいと思います。
終わります。
○越智委員長 次に、前原誠司君。
○前原委員 国民民主党の前原でございます。
日銀は、三月十九日の金融緩和の点検で、ETFの買入れにつきましては、年間十二兆円の買入れ額の上限を維持する一方で、六兆円という原則を削除して、東証株価指数、TOPIX連動型のETFに限定すると。つまり、株価が急落する場合で大規模な買入れをするということが明記をされました。
私は、黒田総裁とも何度も、この場、予算委員会でも議論をさせていただきましたけれども、ETFの買入れについては反対であります。今回の点検は、今までの批判への一定の配慮はうかがえるものの、根本的な解決にはなっていないということをまず申し上げておきたいと思います。
二〇一〇年の秋のETF買入れという政策導入時の議事録が十年たって公開されました。そこにはこう書かれています。臨時、異例の措置であることが世の中に理解されないと、いつの間にか恒常化する危険性がある。これは黒田総裁の前の白川総裁のときの議事録でありますけれども、臨時、異例の措置と言って、恒常化する危険性と言っているわけですね。
前の総裁のときですけれども、これはどういうことを示していることと認識をされていますか。
○黒田参考人 当時の政策委員会のメンバーの考え方を私が何か申し上げるというのは適切でないと思いますけれども、恐らく、主要国の中央銀行で、株式やあるいはETFのようなものを買い入れている中央銀行がなかった、そういう中で、株式市場の大きな変動、特に、リスクプレミアムが過大に拡大して株式市場が十分な機能を果たし得ないという状況に鑑みて、異例ではあるけれども、そして、そういった株式市場の機能が回復すれば、更なる買入れはやらなくていいだろうというようなことを考えておられたのかもしれません。
ただ、それはそのときの考えであって、現在の我々の考え方としては、やはりこのETFの買入れというのは量的・質的金融緩和全体の緩和措置の一環であって、やはり、株式市場の機能をよりよくするためにも、また、リスクプレミアムが過度に拡大した場合にこういった買入れを行うことによって、過度な変動とか過大なリスクプレミアムを防ぐという意味は依然としてあるのではないかというふうに思っております。
○前原委員 御自身でお答えになったように、他の国はやっていないことを組み入れるということで、臨時、異例の措置、恒常化する危険性ということもおっしゃったし、また、先ほど株式市場のこともおっしゃいましたけれども、これは完全に機能低下しますよ、それは。だって、巨大に日銀が買うわけですから。その残りの中で株価が決まるということになりますから、まあ、それは後でまた申し上げたいと思いますけれども。
そのときは、年間の買入れ上限は四千五百億だったんです。今、十二兆でしょう。こういう臨時、異例の措置というもの、恒常化する危険性というものが当時認識されていて、そのときの上限は四千五百億。今、十二兆円ですから。
そして、ETFというのは国債と違って償還期限がありませんから、どんどんたまっていくという状況の中で、今は、簿価ベースで三十五兆円を超えて、時価では恐らく五十兆円程度と見られていて、これは総裁が答弁されたものを引用しておりますけれども、東京証券取引所の時価総額の七%程度を保有しているということになっています。これは、今、GPIFを抜き、世界最大の日本株保有者となっているわけですね。
今申し上げたように、市場に流通する株式が減ることで売買がしにくくなり、株価の形成がゆがみます。本来淘汰されるべき企業も延命されてしまうことは、これは今までも何度も指摘をしてまいりました。
問題は、最大の投資家であるにもかかわらず、投資家としての行動をしていないことなんです。株主としての議決権を行使するために投資をしていない、値上がり益を確保する意図もない、リスクを負っているのにリターンを目的としていない。
一般の投資家と全く真逆の行動を取っている巨大な投資家の行動が、先ほど触れられましたけれども、株式市場の機能を損なっているとは思われませんか。改めてお答えください。
○黒田参考人 このETFの買入れにつきまして、株式市場、特にコーポレートガバナンスの影響に関する指摘があることはよく承知しております。
この点、このETFを構成する株式については、スチュワードシップ・コードの受入れを表明した投資信託委託会社によって適切に議決権が行使される扱いとなっておりまして、これを通じて企業経営への規律づけを図っているわけであります。
また、三月の金融政策決定会合では、先行き、日本銀行が保有するETFの残高が更に増加するにつれコーポレートガバナンスに関する懸念が高まる可能性があることも踏まえ、機動性と持続性を高めるために、従来以上にめり張りをつけた買入れを行うべく、買入れ方針を見直したわけでございます。また、その際、買入れ対象について、個別銘柄に偏った影響ができるだけ生じないよう、指数の構成銘柄が最も大きいTOPIX連動型に一本化したわけでございます。
委員御指摘の点はよく理解しておりますけれども、他方で、二%の物価安定の目標を実現するために今幅広いマーケットで金融緩和を続けているわけでして、このETFの買入れというのも、そういった大幅な金融緩和の一環であるということを是非御理解いただきたいと思います。
○前原委員 日本銀行は、アセットマネジャー、運用会社、例えば、野村アセット、大和アセット、日興アセット、三菱UFJ国際、こういったところに委託されていますね。そして、今総裁がお答えになられたように、スチュワードシップ・コード、いわゆる機関投資家向けの行動指針を持ったところに運用されているということでありますけれども、最大の株主、大株主である日本銀行は、これらのアセットマネジャーに対して議決権行使の指針を示されていますか。イエスかノーかでお答えください。
○黒田参考人 先ほど申し上げたように、スチュワードシップ・コードの受入れを表明した投資信託委託会社によって適切に議決権が行使される扱いとなっておりまして、日本銀行が個別に議決権について指示するということはしておりません。
○前原委員 今お答えになったように、日本銀行は、こういうアセットマネジャーに対しては議決権行使の指針を示していないんですよ。示していない。だけれども、日本銀行は個別の銘柄も持っておられますでしょう、株。これに対しては議決権行使の指針を出しているんですよ。
要は、これだけ大株主になって、筆頭株主になっている大企業というのはいっぱいあるわけじゃないですか。でも、要は、日本銀行の直接の議決権行動の指針ではなくて、つまり、運用先のアセットマネジャーのスチュワードシップ・コードに委ねて、それを判断されているのかもしれないけれども、直接の日本銀行の議決権行使の指針ではないんですね。
そういう指針が、直接自分たちが反映されるような運用に変えられるおつもりはありませんか。もっとダイレクトに、つまりはアセットマネジャーのスチュワードシップ・コードを理解してじゃなくて、言ってみれば自分たちの議決権行使の指針が働かされるような、そういった運用方法に変えられる、私は運用は反対ですよ、ETFを買われるのは反対ですけれども、もしやられるとすればそういう形に変えられるべきではないですか。
○黒田参考人 この点につきましては、いろいろな議論があるということは理解いたしますけれども、あくまでもやはり日本銀行としては、個別企業への関与を避けるという意味から、と申しますのは、我々がETFを購入しておりますのは、株式市場においてリスクプレミアムが過大になることを防ぐという趣旨で、いわばマクロ的な趣旨で行っているわけでございますので、個別の企業への関与を避けるという観点から、あくまでも投資信託法に基づいて、ETFを組成した投資信託委託会社が議決権を行使する、その場合、ETFの管理機関である投資信託委託会社がそのスチュワードシップ・コードを受け入れているということを明記して行っているということでございます。
○前原委員 黒田総裁、おっしゃっていること、分からないでもないんですよ。個別の企業に対しての関与を避ける。例えば人事とかそういったもの、具体的なところは避けるということは分かるんですが。
ちょっと、私がお配りした資料を見ていただけますか。
まず一枚目、これはスイスの研究機関、IMDが出している世界競争力年鑑。これは菅総理とのこの委員会でのやり取りでも使わせていただきましたけれども、三十年前は日本は六十三か国・地域の中で一位だったものが、去年は三十四位まで落ちているんですね。このいわゆる競争力の分析は四つに分けているわけです。その中において一番落ちているのがビジネスの効率性なんですよ。五十五位まで落ちているんですね、五十五位。
つまりは、私は個別のことを言っているんじゃなくて、日本企業のビジネスの効率性というものが落ちているんじゃないか。そこはどこに原因があって、日本銀行として、大株主としてこういったビジネスの効率性を上げるためには、個別企業の具体的なところというよりは、こういったことを日本銀行としては考えますよという議決権行使の指針というものがあってもいいのではないかと思うわけですね。
二枚目を御覧ください。これはまさに黒田総裁が任期になられた、このポジションに就かれた後のいわゆる様々な経済指標を表しているわけですね。
この異次元の金融緩和によって、コロナによって経常利益はどんと下がりましたけれども、ただ、大きな問題は、内部留保は七割増えて約六九%、設備投資は二〇%ちょっと、多いときで三〇%ぐらい。問題は人件費と実質賃金じゃないですか。人件費は、これは名目賃金ですね、変わらない。実質賃金はむしろ下がっているわけですね。
これは、この委員会で税制の改革の議論をするときに、財務省は今まで、設備投資をしたりあるいは給与を上乗せするというところに対しては税制面の優遇措置を取っているんですよ。一生懸命に設備投資を促したり、そしてまた、どうやって人件費を上げるか、あるいは雇用の維持、こういったことについても税制面での努力は政府としてもされているわけですよね。
じゃ、日銀として、この一枚目、二枚目、ビジネスの効率性は、世界の中でも言ってみればびりのランクだ。そして、設備投資や人件費に回っていなくて、内部留保に回り過ぎているんじゃないか。例えば、こういうような大きな大方針をしっかりと、ちゃんと示していないでしょう、今は。任せているんだから。だから、こういうものを本当に、異次元の金融緩和ということで、私はETFを買うことは反対だけれども、もしやるとすれば、こういった状況というものを改善する、企業に大株主として促すということがあってもいいんじゃないですか。だからこそ運用の改善をすべきだということを申し上げているんです。いかがですか。
○黒田参考人 日本銀行は一方で、一部の主要国の中央銀行もやっていますけれども、いわゆる貸出し支援という形で、金融機関が一定の企業、産業に貸し出すときに、それに対して一定の優遇的な金利でお金を融通するということをやっております。そういう意味では、その中で生産性とかそういうことも考慮した貸出し優遇措置を講じておりますが、株式市場、それをまとめているETFについては、そういった形で介入するということが必ずしも適切でない。やはりできる限りニュートラルな形で、しかも市場の全体を反映するようなTOPIXに今集約して、個別企業の動向とか個別企業の政策について、中央銀行として、間接的であっても介入するということは避けているわけであります。
それについて委員の御批判があるということは分かるんですけれども、そこまで株式市場に介入するということが適切かどうかという点については、やはりためらうというか、そういうところがありまして、委員の御指摘の趣旨は分かりますけれども、今のやり方が一番マーケット全体に対してポジティブな影響を与えると同時に、余計な、過剰な企業活動に対する介入を避けるという意味では好ましいやり方ではないかなというふうに思っております。
○前原委員 私、全く間違っていると思いますよ、その考え方は。やるんだったら徹底的にやらなきゃ。中途半端ですよ。それは株価全体を押し上げることにはなっているかもしれないけれども、日本の企業の言ってみれば構造改革とか体質改善というものにつながっていないじゃないですか。
さっきの貸出しの話は、これはあくまでも貸出しでしょう。ETFというものを買ってリスクプレミアムに働きかけるということをやっておられるわけでしょう。でも、それで、買うだけだ、何も口出ししない。そして、構造改革については責任を持たない。やっていることがあべこべじゃないですか。中途半端ですよ。やるんだったら徹底的にやるということの中で責任を持つということが私は大事だと思いますよ。
麻生大臣、金融庁を所管される大臣として、GPIFにもスチュワードシップ・コードを求めているんですよ。日本銀行も、しっかりとこういった、今お話をしたようなスチュワードシップ・コードを果たすべきだと思われませんか。
○麻生国務大臣 日銀が最初に買うときはみんなで何と言っていたか、介入するんじゃないぞとみんなで言っていたんですからね。今度は介入しろと言っておられるわけだから……(前原委員「違う、違う。僕は、ETFは反対だと言っているんです。やるんだったら徹底してやれと」と呼ぶ)これはなかなか、判断する立場は難しいですよ。僕はそう思うね。俺たちは、外野からわあわあわあわあ、日銀のことだからと思ってわんわん言うよ。しかし、買うときは買えと言っておいて、それで、買った途端に介入するなとか言っておいて、今度はもうちょっとやれと言っているんだから。それはちょっと、なかなか、日銀総裁なんかやるものじゃないなと思いながら聞いていましたけれども。
いずれにしても、前原先生おっしゃるとおりに、内部留保がたまり過ぎていることははっきりしているし、はっきりしていることは、労働分配率が、七十何%台が今六十何%ぐらいに下がったんじゃないの。何でそんなに下げちゃったんだよ、僕はつくづくそう思いますよ。一番の問題はこれでしょうが。
だから、そういった意味では、やはり、企業がその分だけをもっと人件費、給与等に上げておけばもっと物価は自然と上がっていたはずだし、そして、設備投資というものにもっと金を回しておけばいろいろなものがあったはずだと、それは思いますよ。私はもうずっと前からそう言っているんだから、六、七年ぐらい前から。
しかし、現実問題として、ここは統制経済をやっているんじゃないから、どうしたってそれは、介入、介入って、株主として介入しろということを、もうたまらぬからやれということの話のように聞こえましたけれども、どの程度にやるかというのは、うちは共産主義やら社会主義や統制経済じゃなくて自由主義をやっているから、そうすると、その点はなかなか難しいだろうなというのが正直なところですけれども。
ただ、何となくこのところ、中西経団連の会長の話をこの二月ぐらいから聞いていると、ちょっと明らかに去年までとは話が変わっていて、内部留保等々に関しての話が出てみたり、人件費をもっとというような話が、会話として出てくるだけじゃなくて、公式の場で言われる機会が前に比べて増えてきているなと思って、ああ、やっと感じるようになられたのかなと思わないでもないんですけれども。
正直なところ言って、少しずつ状態を見ながら、変わりつつあるかなと思ってはいますけれども、今みたいな御意見は、御意見としては分からないことはありませんけれども、ちょっと、日銀の立場としてはなかなか難しいだろうなと思います。
○前原委員 それもおかしな答弁ですね。
スチュワードシップ・コードを進めろという金融庁の立場で、日銀だけはかばう。国家統制経済じゃないんだからといって、国家統制経済じゃないですか、GPIFで株を引き上げて、ETFを買って株価を引き上げて。国家管理じゃないですか、完全な。上げ底経済じゃないですか。
だから、そういうことをやっておいて、日銀がETFの中身についてはアセットマネジャーにある意味委ねているということになって、そして、政策目的というものについて、株価は上がっているけれども企業の効率性は上がっていない、内部留保がたまって設備投資や賃金には回っていない、そういうところまで責任を持つのを、それが中央銀行や政府の責任じゃないんですか。私は極めて中途半端だと思いますよ。
このことについてはまた議論させていただきたいと思います。
終わります。
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○越智委員長 次に、内閣提出、新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣麻生太郎君。
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新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○麻生国務大臣 ただいま議題となりました新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
新型コロナウイルス感染症等の影響により社会経済情勢に様々な変化が生じている中、これに対応して日本経済の回復、再生を力強く支える金融機能を確立することが、喫緊の課題となっております。このような状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして、御説明を申し上げます。
第一に、金融グループの業務に、ポストコロナにおいて重要となります、デジタル化や地方創生などに資する業務を追加することといたしております。また、金融グループによる、地域の活性化に資する事業活動を行う会社に対する柔軟な出資を可能といたします。
第二に、グローバルな拠点配置の見直しを行う海外の投資運用業者が日本拠点を新設する場合に、届出による参入を認める制度を創設いたします。
第三に、中小企業等を支援する立場にある地域銀行等が、合併や経営統合などの事業の抜本的見直しを行う場合に、預金保険機構が資金を交付する制度を創設いたします。
その他、関連する規定の整備等を行うことといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会