衆議院

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第10号 令和4年3月11日(金曜日)

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令和四年三月十一日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 薗浦健太郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 藤丸  敏君

   理事 稲富 修二君 理事 末松 義規君

   理事 吉田 豊史君 理事 角田 秀穂君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      石井  拓君    石原 正敬君

      門山 宏哲君    川崎ひでと君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    中川 貴元君

      三ッ林裕巳君    八木 哲也君

      山口  晋君    山田 美樹君

      山本 左近君    若林 健太君

      鷲尾英一郎君    江田 憲司君

      櫻井  周君    下条 みつ君

      中川 正春君    野田 佳彦君

      伴野  豊君    赤木 正幸君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      竹内  譲君    中川 宏昌君

      岸本 周平君    田村 貴昭君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   財務副大臣        岡本 三成君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   財務大臣政務官      高村 正大君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  松尾 元信君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 原  圭一君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構副理事長)       山田 順一君

   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     山本 左近君

  鈴木 隼人君     山口  晋君

  藤原  崇君     井野 俊郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     藤原  崇君

  山口  晋君     鈴木 隼人君

  山本 左近君     川崎ひでと君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     塩崎 彰久君

    ―――――――――――――

三月十日

 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

同月十一日

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(山岸一生君紹介)(第三八〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

薗浦委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構副理事長山田順一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総合政策局長松尾元信君、外務省大臣官房参事官原圭一君、財務省主税局長住澤整君、国際局長三村淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。塩崎彰久君。

塩崎委員 愛媛一区の塩崎彰久でございます。

 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 東日本大震災から今日でちょうど十一年、本当に、この震災で犠牲になられた大勢の方々、そして、今なお避難生活を続けている方々、被害に遭われた大勢の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思っております。

 十一年前、まさに、私たちが震災で苦悩し、絶望に打ち震えるときに、世界の各国からの支援がどれほど心にしみたか、その感謝の思いを今日この日に改めて感じております。あのとき、世界各国から、人的、物的、経済的な支援をしてくださった国が百七十四か国、そのうちの百十九か国は日本からODAをもらっている国、さらに、三十五か国は、いわゆる最貧国と言われるアフリカやアジアの発展後発地域の皆様でございました。

 そうした過去の経緯を踏まえたときに、今般、この法律の中で、国際開発協会に対して日本が増資のリーダーシップを取っていくということは、非常に歴史的な大きな意義があるというふうに感じております。

 この国際開発協会、皆様御案内のとおり、世界銀行グループの中で、途上国、中でも本当に貧困にあえいでいる国々に対して支援し、そして、その貧困の削減を行っていくために融資などを行っていく世界最大の援助機関でございます。

 今回、この国際開発協会に対して日本が増資をしていく、特に、パンデミックで、全世界がつながっているということを改めて確認し、日本だけがワクチンを打ってもいけない、発展途上国でもワクチンを打って、一緒にこのパンデミックを乗り越えていくことがいかに大事かということを痛感したこのタイミングで増資のリーダーシップを取っていくということは、非常に大きな意義があると思っております。

 お手元の資料をお配りしておりますが、今回の国際開発協会に対する増資の金額でございます。御覧いただければ分かりますように、今回、日本は、拠出国の中で第二位、一三・八%の拠出を決めております。これまでずっとこの援助を引っ張ってきた英国が大きくそのシェアを減らす中で、日本がしっかりとこの援助のリーダーシップを取っている、この姿勢については非常に国際的にも大きなメッセージを送っていく意味があると思っています。

 ただ、一方で、我が国の財政も決して余裕があるわけではございません。こうした厳しい財政状況の中でこうした国際機関にお金を出すよりは、いやいや、もっと、JICAなどを通じて、バイラテラルな、一対一の国に対する援助をした方が感謝されるんじゃないか、そんな声もあるかと思います。

 そこで、改めて政府に確認をしたいのは、今回、国際開発協会に対する支援のような形で、バイではなくマルチの形で支援を行う、その意義をどう考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生のおっしゃいますように、大変、日本の財政事情、厳しい中でございますけれども、一方で、今、コロナの危機に見舞われてございます。先生がまさにおっしゃられましたように、このコロナの危機、途上国も含めまして世界全体で乗り越えていきませんと、まさにオミクロン株に見られますように、絶え間ない変異株が出てきてしまうというようなことにもなりますし、あるいは、世界のサプライチェーンが制約を受けて、日本の経済活動も影響を受けるということもあるわけでございますから、まさに世界全体でこの危機を乗り越えなければ、日本のコロナの危機も終わりませんし、経済的な回復もないというふうに思ってございます。

 当然、二国間の、バイの支援というものもやっていくわけでございます。このコロナの中でも緊急円借款などをやってございますけれども、何といってもこれはグローバルな問題でございますから、やはりこのIDAを始めとした国際機関の知見と資金をしっかりと生かすということが非常に重要でございます。

 先生がおっしゃいましたように、IDA、世界的にも最大規模の援助機関ということでございまして、ここでやる取組がまさに世界の開発課題の大きな方向性を決めると言っても過言ではございません。そういった中で、私ども、このIDAの支援、大変重要だと思っておりますし、足下のコロナ危機を離れましても、昨今、中国を始めとした新興国、多くの貸付けも行いまして、途上国への影響力も高めているところもございます。こういったところに日本のバイのお金だけで対抗するというよりは、やはりこういった国際機関の知見とノウハウと資金を、場合によっては、ほかの国からこの国際機関に集まってくる資金も生かしながら、日本が重視しております開発課題を推進してもらうということは極めて重要と考えておりまして、こういった観点から、私ども、本日審議をお願いしておりますIDAも含めましたマルチの支援というものも大変重要な外交ツールである、国際金融外交ツールであるというふうに認識してございます。

塩崎委員 ありがとうございました。

 今、参考人から、中国の支援が増えているというお話もありましたが、私もこの点は非常に大事なポイントであるというふうに思っております。

 この新型コロナで、発展途上国の皆さんが債務の返済に苦しんでいる、そして債務の返済が困難になる、こういう国が出てきている現実がございます。そうした中で、報道では、中国など、多額の貸付けを盾に、返済が困難になった国の港や空港、こういったものが借金のカタに管理権が奪われてしまう、いわゆる債務のわなと言われるような実態が広がっているのではないか、こうしたことが非常に懸念をされているわけでございます。

 まさに、最貧国の方々に対する債務問題、この対応に当たっては、国際的な協調、そして、まさに債務の透明性、持続可能性を、日本だけじゃなく多国間できちっと担保していくことが非常に大事だと思っておりますが、この点については、IDAへの拠出についてはどのような取組を行っていますでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく、中国を始めといたします新興債権国による貸付け、それから、昨今、民間からの貸付けというのも多うございまして、実は、既にコロナの前から、途上国、かなり債務をたくさん抱えるような状況でございました。足下、このコロナが起きまして、当然、途上国も経済活動が大きく落ち込みますれば歳入も減りますし、一方で、コロナによってワクチンを始め様々な歳出も要るということで、一層財政状況が厳しくなり、したがって、途上国の債務状況、更に悪化をしてございます。

 こういう中で、いわゆる債務救済を要するような債務危機に陥ることをどう防ぐかということでございますが、やはり、まさに先生御指摘のとおり、平時から、危機に陥る前から債務の透明性を高めて、貸し付ける側も借り入れる側も、足下の債務の状況がどういう状況なのか、そこを正しく把握をした上で、能力を超えた借入れをしない、あるいは返済能力を超えた貸付けをしないといったことが非常に大事になってくるわけでございますし、そうした形で債務の状況が絶えず透明に分かれば、これは、ひいては、それらの途上国に対します安定的な投資資金の流入、持続的な成長ということにもつながるものと存じます。

 こうした観点から、日本は、G20におきましても、今回のIDAにおきましても、債務の透明性、大変重視をしてございまして、今回の増資交渉の過程におきましても、債務データの正確性あるいは透明性、こういったことを確保する必要性、そして、IDAはまさに大きな世界における貸し手でもございますので、やはりそういうIDAが債務の透明性の分野で中心的な役割を果たすべきではないかということを強く主張したところでございます。

 その結果といたしまして、今般の増資でIDAが取り組みます重要な政策的な約束、コミットメントといたしまして、支援対象国における債務、財政の持続可能性でございますとか、債務管理の強化、透明性の向上、こういったことも支援をするということで、各国、それを含めて増資の約束ということで合意をしてございます。これは当然、債務国だけではございませんで、貸す側、債権国からも、しっかりと、透明性、データの提出に協力してもらうことが必要でございます。そういったことも含めましてIDAの取組をということで、IDAの方もそれをやるということで今回交渉したところでございます。

塩崎委員 三村局長、どうもありがとうございました。

 日本の交渉によって、債務の透明性を求める文言が合意文書の中にしっかり書き込まれたということ、大変安心をいたしました。

 さて、こうしたこれまでの国際金融の在り方を大きく変えるような出来事が今週ありました。

 おととい、三月九日、アメリカのバイデン大統領は、暗号資産の在り方に関して、これを総合的に見直す大統領令、これを発令をいたしました。この大統領令の中では、暗号資産の在り方について、消費者保護、金融安定、不正利用、そしてイノベーションの推進、こうした様々な項目について、オールガバメント、政府全体で百八十日以内に政策提言を出せということになっております。

 このタイミングについては、まさに今、ウクライナに対する、経済制裁を強めていこうとする中で、暗号資産を使った国際送金が抜け穴になっているのではないか、こうした懸念も後を押しているというふうに言われます。

 そうした中で、改めて、今、日本も、ウクライナを侵攻しているロシアに対して経済制裁をかけているわけでございますが、暗号資産を使った部分が抜け穴になっているのではないか、例えば、登録をしていない交換業者、ウォレットなどを使った送金については手当てが十分ではないのではないか、こうした点について国際協調をして更に取組を進めていく必要がないか、ここの点を確認をさせてください。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 暗号資産を含むデジタル通貨につきましては、G7やG20、またFATF等の国際的な取組を通じて、これを用いた不正な資金への対策強化を図っているほか、国内におきましても、令和二年に外為法についての通達を改正いたしまして、この許可制の対象となる制裁対象者に対する支払いには暗号資産を移転する行為も含まれることを明確化するなど、政府一体となって資産凍結措置の強化に取り組んでございます。

 今後とも、自主規制団体である日本暗号資産取引業協会とも連携を図りつつ、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、経済制裁の実効性確保に努めてまいります。

塩崎委員 ありがとうございます。

 この大統領令は規制を強めるということだけではなくて、やはり、今回の大統領令というのはアメリカの非常に強いメッセージが込められていると思います。それは、暗号資産というものをまさに重要な経済インフラとして位置づけた上で、責任あるイノベーションを推進していくんだ、そして、アメリカがこの分野においてこれからもリーダーシップを維持していくんだ、こういう強い決意が秘められていると思います。

 私は、この大統領令を見て、正直言ってやられたと思いました。先を越されたなと。日本も、この暗号資産の分野について、もっと早く、政府としての優先順位を引き上げて取り組んでいく方針を発表するべきではないか、暗号資産だけでなく、その先に広がる新しい、ウェブ3と言われる大きな経済分野について取り組んでいくべきではないかというふうに思っております。

 特に日本には、アニメやゲーム、こうした豊富なIPコンテンツ、そして、それを支える豊かな人材がいます。しかし、今、税の問題、そして規制の問題などが、このブロックチェーンエコノミーと言われるものの発展を阻害しているんじゃないか、こうした点が盛んに懸念をされております。

 アメリカは百八十日と期限を切りました。日本はどうでしょうか。政策の優先順位をこれまで以上に引き上げていく必要はないか、成長戦略のど真ん中にこのウェブ3の戦略というものを位置づけていく必要はないか、場合によってはウェブ3担当大臣を置くぐらいの覚悟でこのウェブ3政策に取り組んでいくべきではないか。鈴木大臣に、このウェブ3について、日本の取組、これについての決意をお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 塩崎先生御指摘の三月九日のアメリカの大統領令は、デジタル資産の責任ある発展に向けた米国政府全体の戦略として、米国当局間の連携を含めた包括的な対応を指示するものとなっておりまして、その内容はデジタル資産のリスクとイノベーション促進の双方に配慮したもの、そのように理解をしております。

 金融庁としても、これまで、暗号資産などのデジタル資産に関し、利用者保護や金融犯罪防止とイノベーション促進のバランスを考慮して、所要の措置を講じてまいりました。

 先生御指摘のとおり、ロシアへの経済制裁に関し、暗号資産が抜け道のおそれとして注目されるなど、デジタル資産への見方や対応はそれ以前のものとは状況が異なってきているもの、そのように考えております。デジタル資産への対応は、従来よりも増して国際的な連携が重要ですので、米国を含む各国当局とも緊密に連携しつつ、不正やリスクについて十分に配慮した、責任あるイノベーションの実現に向けて優先的に取り組んでいきたいと考えております。

塩崎委員 鈴木大臣より、優先的にこのデジタル資産の対応について政策を進めていただけるとの答弁をいただきました。ありがとうございました。

 以上をもちまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、中川貴元君。

中川(貴)委員 自由民主党の中川貴元でございます。

 今日は、御質問させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、今も話がありましたとおり、東日本大震災から十一年目の日を迎えます。亡くなられた方、あるいは今もってなお苦しまれていらっしゃる方、心からお見舞いを申し上げますと同時に、私たちは決してこの日を忘れてはならない、こんなことを強く思うわけであります。

 そういう中で、現在、ロシアが極めて非人道的なウクライナの侵略を行っている。そういう中で、今回のこのIDA第二十次の増資については、これは世界からも評価されるべき、あるいは評価に値する、そういう国際支援、貢献だというふうに思っています。そして、まさにこのリーダーシップを取られたのが鈴木大臣であると確信をしているところでもあります。

 そこで、まず大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、先回の第十九次増資の対象期間は二〇二〇年七月から二〇二三年六月までの三年間でありましたが、現在の新型コロナウイルス感染症対策などに係るIDA借入国の喫緊のニーズ、これに対応していくために、今回、第二十次の増資を行っていこう、こういう運びとなったというふうに伺っているところであります。

 また、二〇二一年二月、IDAの出資国と借入国の代表は、第二十次の増資交渉を一年前倒しで開始することに合意をし、二〇二一年四月、増資交渉が開始され、そして同年十二月、増資交渉が妥結をいたしました。そして、二〇二二年七月から二〇二五年六月を対象期間として、第二十次の増資の合意に至ったわけであります。

 出資国からの貢献は総額二百三十五億ドル。我が国の貢献額は六・九%増加。結果、貢献シェアは一三・八%、その順位は第二位を維持することになります。

 今回の増資は、IDAの歴史上で初めて一年前倒しの増資となります。これは、大臣を中心に、議論を終始日本がリードをし、そして大きなプレゼンスを発揮した、その成果だとも認識をしているところであります。

 そこで、大臣、改めて、大臣御自身から、今回の増資の意義と一年前倒しをするその必要性、さらには、増資交渉において日本が果たした役割について、まずはお伺いをさせていただきたいと思います。

 そして、我が国が国際社会の主要国として世界の途上国の安定に貢献していくことは大変意義深いと思いますが、であるがゆえに、是非とも、我が国の国益にもつながるような、そういう支援、そういう形の支援の仕方、そういうことを行っていただきたいなというふうにも思うわけであります。

 国民の皆様から見れば、日本の経済状況も大変厳しい中において、それでもなお世界に貢献をしていく、世界の本当に困っている人たちに手を差し伸べていく、そういうことを国民の皆様にも誇りに思っていただきたい、そういう足跡を是非残していただきたいな、こんなふうにも思います。

 その辺りについて、大臣、国民の皆様にどう御説明をしていかれるのか、事例や、あるいは今回の増資に当たっての考え方をお聞かせをいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 日本がコロナ禍を乗り越えて世界とともに発展をしていくためには、途上国を含む世界全体でコロナを封じ込め、変異株の連鎖を防ぐとともに、世界経済全体の回復に貢献していくことが重要であると認識をいたしております。

 今般、IDAでは、ワクチンの確保や医療提供体制の整備等、途上国による新型コロナ対応を積極的に支援する中で、資金不足が見込まれることとなりました。

 こうした状況を受けまして、二〇二〇年十月の世銀・IMF合同開発委員会で、当時の麻生財務大臣から各国に先駆けてIDAの増資に向けた議論の開始を呼びかけるなど、増資の一年前倒しを主導するとともに、二〇二一年十二月には増資交渉の最終会合を主催をし、私からも世界各国に先駆けて拠出表明を行い、世界の連帯と各国の拠出を呼びかけ、史上最大規模の増資を達成するなど、日本がリーダーシップを発揮し、IDA第二十次増資交渉の成功に貢献したものと思っております。

 通常三年に一度の増資を、史上初めて一年前倒しした今回の増資は、日本と世界がコロナ危機からの脱却を図る上で大きな意義があると考えております。最終会合では借入国代表や世界銀行から日本に対し謝意が示されるとともに、会合後には国際的なNGOからも感謝が表明されるなど、日本のプレゼンスが高まり、国益にもつながったものと考えております。

 今後、実際に今回の増資が活用され、我が国を含めた世界の課題であるコロナの封じ込め等に役立つことを期待をしているところでございます。

中川(貴)委員 今大臣からるる御答弁をいただいたところでありますが、そこで、この後は、この増資をIDAの出資国に賛同を得ていく、この作業が必要になってこようかと思います。

 今日の議題、本日の議題となっているIDAの増資については、その都度、法律改正により、政府に対して追加出資の授権がなされている、また、増資法案の早期成立の必要性も訴えられているところであります。

 そこで、IDAの総投票権シェア八%を我が国が持っているわけですが、この八%がどの程度影響を持っているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

 それから、もしも仮に成立が遅延する場合があるとするならば、どういう場合が想定されるのか、そして、それはどういうタイムスケジュールになっていくのか、この辺りについても併せてお伺いをしたいと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、このIDAの第二十次増資の発効の要件でございますけれども、先生から御紹介ございましたとおり、IDAにおける日本の投票権、御指摘のとおり八%強でございますけれども、IDAの増資の発効要件自体は、これは投票権とリンクしているものではございませんで、全体の拠出総額の六〇%以上、これに当たる国がこの手続を終えますと発効する、こういう形になってございます。

 当然、日本は、先ほどの議論でもございましたように、第二位の、一〇%以上の割合を占めるドナーということでございますから、この総拠出額の六〇%以上という要件を満たすに当たって、日本がこの手続を終えることは極めて重要な意義を持っているということでございます。

 その上で、四月には、世銀、IMFの合同開発委員会、まさに世銀関係の重要な国際会議もございます。先ほど大臣から御答弁がございましたように、この第二十次増資、日本がまさに終始議論を主導してきたということもございますので、私どもといたしましては、是非、この法案を早期に成立させていただきますれば、そして、この増資につきまして授権をいただきますれば、この四月の大きな会議におきましても、これまでIDAを主導してきた日本として、引き続き、各国へも早い対応を呼びかけるといった形で引き続きプレゼンスを発揮できるということで、早期成立のお願いをこれまでもさせていただいているところでございます。

中川(貴)委員 分かりました。

 今回、この増資、大変意義のあることだというふうに思いますが、この資金がどんな形で本当に役に立っていくのか、ここは注視する必要があろうかと思います。これはやはり、もちろん、IDAの借入国に対する資金不足に対して支援をしていく、これも大切なことでありますが、今現在、この日本も大変厳しい財政状況の中でのことであります。国民の皆様の理解を得るためにも、やはりこうした資金が有効に活用される必要があろうかと思います。

 そこで、日本としては、どの分野での支援を重視し、どう効果的に反映をされていくのか、この点についてもお尋ねをしたいと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく、先ほど来申し上げておりますように、今回、途上国における新型コロナ対応、あるいはそこからの、危機からの回復を支援するということが重要でございます。

 その中で、日本といたしましては、国際保健、あるいは防災の取組、それから質の高いインフラ、あるいは債務、こういった様々な、日本が従来から重視しております政策課題について、改めてその重要性について増資交渉を通じて訴えてきたところでございます。

 その結果、今回の第二十次増資の重点政策の中で、コロナへの対応、あるいは、日本がかねて推進しておりましたユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、こういったことを含めました保健システムの強化、それから、自然災害に対する強靱性の向上、まさに防災の取組、それから、質の高いインフラ投資の推進ですとか、先ほども申し上げました債務の透明性、持続可能性の向上、こういった日本が重視する開発課題がまさにIDAの重点政策として反映をされているということで、日本としても高く評価しているところでございます。

中川(貴)委員 今、御答弁の中に、今日、たまたま、東日本大震災から十一年を迎えるわけですが、やはり防災ということに対しても非常に大変な意識を持っていただいている、こういうことでありました。

 やはり、そういう中において、我が国としても、どうやって分配をしていくのか、これはどうなっているのか、そのスキームをお示しをいただきたいなというふうに思います。我が国がここと言うことではないと思います。この協会の方がいろいろ取りまとめた上の中でどのようにそれを分配をしていくのか、そのスキームについてお伺いをしたいのと、それから、やはり、先ほど大臣にも少しお話をさせていただきましたが、これは、この増資に見合う、出資に見合う国益をどうやって我が国も得ていくのか、この点についてもとても大切な視点ではないのかなというふうに思っています。

 やはり、経済情勢が大変厳しい中ではあるけれども、しかし、世界全体の発展のために日本が国際貢献をしようとしている中でありますが、これを国民の皆様にもよく理解をしていただくためにも、やはり、出資に見合う国益をどう得ていくのか、また、今答弁をいただきましたが、防災の重要性、この普及に向けての副大臣の意気込みについて併せてお答えをいただければと思います。

岡本副大臣 お答え申し上げます。

 IDAの資金に関しましては、その多くが、支援対象国七十四か国の経済規模などに応じて、決められた計算式で分配されることになっております。

 世界最大規模のドナー基金であるIDAにおいて、日本が引き続き影響力を確保することで、各国に配分される資金が日本の重視する開発課題を反映した形で使用されることは、日本の国益の観点から極めて重要であると考えています。

 委員お尋ねの防災につきましても、自然災害に脆弱な途上国も多くて、気候変動に伴う自然災害の頻発化に関心が高まる中、日本は、防災に関する豊富な知見と経験を踏まえまして、IDA第二十次増資交渉を通じてその重要性を訴えてきました。

 鈴木大臣からも、増資交渉の最終会合において、岩手県が、十一年前の本日、大震災によりまして大きな被害を受けたものの、強靱なインフラの構築と不屈の精神でよりよい復興を達成したことを御紹介しながら、防災の重要性を強調させていただいたところであります。こうした日本の主張を踏まえまして、防災は今回の増資の重要政策の一つに位置づけられております。

 今後とも、日本の知見、経験を生かしまして、途上国における自然災害に強い国づくりを推進していくという観点から貢献していきたいというふうに考えています。

中川(貴)委員 ありがとうございました。

 時間が参りました。是非、大臣のリーダーシップの下、G7各国とも連携を取りながら、日本のプレゼンスを発揮していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属の櫻井周です。

 本日も、貴重な質問の機会、火曜日に続いて与えていただきまして、誠にありがとうございます。

 質疑に入る前に、一言申し上げます。

 本日で東日本大震災の発生から十一年になります。犠牲になられた方々の御冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、今なお避難を余儀なくされている方々など、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 さて、本日は、国際開発協会、IDAへの加盟に伴う措置に関する法律の改正案ということで審議をさせていただくわけでございますが、このIDAへの増資、これは三年に一回というのがこれまでのペースでございました。開発金融について審議をする貴重な機会というふうに受け止めておりますので、本日は、IDAの増資にとどまらずに、世界銀行グループのオペレーション全般についても改めて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、IDA20最終会合の主催国として、我が国、多大なる貢献をしてきたというふうに承知をしております。先ほどの質疑の中でも、そういったことについて言及がありました。

 このIDA20の最終会合、昨年十二月十四日から十五日に開催をされ、当初は東京で開催されるというふうに予定をされておったんですが、感染拡大を受けてオンラインでの開催となってしまったというのは誠に残念ではございます。ですが、見事に、この最終会合で増資、過去最大の九百三十億ドル確保できたということは、大変すばらしいというふうに受け止めております。

 一方で、日本の出資額、四千二百五億円と巨額でございます。新型コロナウイルス感染症の蔓延で我が国自体も財政的には大変厳しい状況にある中で、国民の理解をいただいていくということは、これは必要不可欠でございます。

 そこで、大臣にお尋ねをいたします。

 各国とも新型コロナウイルス感染症により財政状況が厳しい中で、大きな支援を取りまとめたホスト国としての我が国の貢献、非常に大きいものがあろうかと思いますが、この点についてのいろんな御尽力について御報告をお願いいたします。

鈴木国務大臣 先ほども述べさせていただきましたが、現下のコロナ禍を乗り越えまして、世界とともに発展していくためには、途上国も含む世界全体で、コロナを封じ込めまして、変異株の連鎖を防ぐとともに、世界経済全体の回復に貢献していくこと、これが重要なことと思っております。

 今般、IDAでは、ワクチンの確保や医療提供体制の整備等、途上国による新型コロナ対応を積極的に支援する中で、IDAの資金不足が見込まれることとなりました。

 こうした状況を受けまして、当初、増資の前倒しに前向きでない国もいた中で、二〇二〇年十月の世銀・IMF合同開発委員会で、当時の麻生財務大臣から、各国に先駆けてIDAの増資に向けた議論の開始を呼びかけるなど、増資の一年前倒しを主導したところでございます。

 そして、二〇二一年十二月には、増資交渉の最終会合を主催し、私から、各国に先駆けて拠出表明を行い、世界の連帯と各国の拠出を呼びかけ、各国とも厳しい財政事情を抱える中でも、史上最大規模の九百三十億ドルの増資を達成することができました。日本がリーダーシップを発揮し、IDA第二十次増資交渉の成功に貢献できたことを大変うれしく思っております。

 通常三年に一度の増資を史上初めて一年前倒しした今回の増資は、日本と世界がコロナの危機からの脱却を図る上で大きな意義がある、そのように考えているところでございます。

櫻井委員 続きまして、ロシアによるウクライナへの侵略というのも連日報道されておりまして、このロシアの暴挙に対して大変憤りを感じるとともに、侵略されている側のウクライナの方々の状況を見ますと、本当に胸の痛む思いをしておるところでございます。

 したがいまして、ロシアによるウクライナ侵略に関わることと、それから世界銀行のオペレーションについてお尋ねをいたします。

 ロシアもベラルーシも、世界銀行の加盟国であります。そして、ロシア向けの融資事業、ベラルーシ向けの融資事業、こういったものがあって、しかし、これについては、貸付実行は即時停止というふうにも聞いております。

 この貸付実行の即時停止、これは、世界銀行は素早い判断で大変すばらしいと私は思うんですが、どのような根拠に基づいて、どのような手続で実施されたのかということ。

 それから、大臣、もう一つ、あわせて、ロシアとベラルーシ、加盟国としてのステータス、これはどういうふうに取り扱われているのかについて、ちょっとお尋ねをさせていただきます。

鈴木国務大臣 世界銀行グループは、三月の二日に、ロシアによるウクライナ侵攻を受けまして、ロシア及びベラルーシにおける全ての事業を直ちに停止した旨を発表いたしました。

 これはどのような根拠に基づいてということでございますが、世界銀行の規定に基づき、世界銀行グループのマネジメントの判断として決定されたもの、そのように承知をしております。そして、この決定につきましては、日本としても支持をしているところでございます。

 そして、今後のロシア及びベラルーシの加盟国としての地位、ステータスについては、その現状と今後の取扱いを私から予断を持って申し上げることは難しいと、現状、思います。

 いずれにいたしましても、我が国としては、今後の状況の推移を勘案しつつ、引き続きまして、G7を始めとする国際社会、また国際機関と連携をして適切に対応してまいりたいと思います。

櫻井委員 続きまして、世界銀行など国際開発金融機関などによって、ウクライナに対して支援ももう表明されているところでございます。

 世界銀行は、第一弾として七億ドルの支援を表明し、さらに、更なる追加の支援措置も準備をされているというふうに聞いております。また、欧州復興開発銀行、EBRDも二十億ユーロの支援を表明しているというところでございます。我が国も支援を表明しているというふうに承知をしております。

 ただ、お金の支援、これは大変重要なんですけれども、これを実際どうやってやるかというのはなかなか大変な課題でございます。

 ポーランドなどの隣国に避難された方々に対しての支援、これはしっかりやることはできると思うんですが、ちょっと大臣にお尋ねしたいのは、ウクライナ国内において戦闘が行われている、そして、ウクライナの人々、大半はまだウクライナ国内にいらっしゃるわけです、どうやって支援をするのか、支援物資を届けるのか。

 平時であれば、こうしたオペレーションは現場に任せるということでよいと思うんですけれども、今のような戦時においては、かなり特殊な、特別な、政治的判断を伴うオペレーションが必要になってくると思うんですが、これは大臣、どのようにお考えになられていらっしゃるでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今先生から御紹介賜りましたように、世界銀行グループで、早速ウクライナ向けの支援ということで決定をしてございまして、一日の日に、三十億ドルの全体での支援パッケージ、これは各国からの協調分も含めてでございますけれども、発表してございまして、その第一弾として、七日、今週の月曜日でございますけれども、世銀の理事会におきまして、三・五億ドルの財政支援、これを承認をしたというような状況でございます。日本も、これと併せまして、先般、岸田総理から表明いたしました一億ドルの借款を協調融資の形で出すということで考えておるわけでございます。

 これは、当然、財政支援ということでございますから、何か具体的なプロジェクトということではありませんで、まずはとにかく、できるだけ速やかにウクライナにお金を出すということでございますけれども、先生御指摘のとおりでございまして、今のこの状況でございますから、これをどういう形で届けるのか。特に重要なことは、仮に今後何かウクライナの方で大きな変更があったときに、それに対して、我々のお金が意図しない形で意図しない勢力に使われるようなことに対する備え、セーフガードというような言葉で議論しておりますけれども、そういったことも考えなければいけません。

 この辺りはまさに、これは実は、正直申し上げまして、走りながら考えているところもございますけれども、まさにそういったところも、世銀の内部でも様々、我々ドナー国も交えて議論をいたしながら、一方で、全部詰めてからということよりも、スピードも大事でございますので、スピードと、それから望まない形で使われることがないように、この辺りのバランスも取りながら、それぞれの開発金融機関の中で今議論を進めながら、できるだけ速やかな支援に努力している、こういう状況でございます。

櫻井委員 続きまして、世界銀行によるミャンマーに対する支援についても併せてお尋ねをいたします。

 ミャンマーの方は、今から一年ちょっと前に軍事クーデターがあって、その直後に世界銀行は貸付実行を停止をしたというふうに承知をしております。的確な判断だと私も受け止めております。

 大臣、ちょっと重ねてお尋ねをいたしますが、世界銀行において、どのような根拠に基づいて、どのような手続で、この世界銀行のミャンマー向け貸付実行を停止をしたのか、教えていただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 世界銀行は、二〇二一年二月にミャンマーにおいてクーデターが発生したことを受け、同国に対する支援を停止する旨を公表いたしました。このミャンマーに対する支援の停止は、世界銀行の規定に基づき、世界銀行グループのマネジメントの判断として決定したものと承知しております。

櫻井委員 続きまして、世界銀行のミャンマーへの貸付済み、残高も結構あるかと思いますけれども、貸付けですから、返済をしてもらわなきゃいけないということになります。

 現時点においては、ミャンマー政府からの返済は進んでいると。火曜日も、JICAも、ミャンマー政府からの円借款の返済、順調に進んでいるというふうなお答えでございました。

 ただ、現時点での返済額というのは、多分小さい。といいますのも、ミャンマーに対する支援というのは十年ぐらい前から始まっていますから、そうすると、グレースピリオドというんですか、猶予期間もありますから、返済が始まるのはまだそんなに早くない、始まっているものは少ないというふうに思います。ただ、これからどんどんどんどん返済が始まってくる案件も増えてくる。金額もそうすると増えてくるのではないのかというふうにも考えるところです。

 一方で、ミャンマー自身は、経済制裁が続けば経済は低迷し、返済能力はどんどん低下していくということになります。

 このミャンマーに対する貸付け、これは九年前に、我が国も含めて、多大なる債務免除を行ったという経緯もございます。

 そこでちょっと大臣にお尋ねしたいのは、世界銀行において、日本政府も同じだと思いますが、ミャンマーに対する債権回収、どのように考えているのか、お示しいただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 国際機関におきます個別の債権の回収につきまして、私から予断を持って申し上げることはなかなか難しいわけでございますが、世界銀行が公表している情報によりますと、世界銀行のミャンマー向けの債権について、現状、返済が滞っている状況にあるとは承知をしておりません。

 今後の債権の回収につきましては、ミャンマーをめぐる状況の推移等を踏まえ、必要に応じて世界銀行において適切に検討されるものと考えますが、我が国といたしましても、ここはしっかりと注視をしていかなければならない、そのように思っております。

櫻井委員 世界銀行、今大臣に御答弁いただいたとおり、ロシア、ベラルーシ、ミャンマーに対して貸付実行の即時停止、速やかに決定をしております。

 これに対して、先日、火曜日に、私も日本政府のいろいろな方針についてもお尋ねをいたしましたが、状況を注視している、それから、総合的に検討する、適切に対応というふうにおっしゃられて、明確な方針は示さないんですね。

 さらに、三月八日、先日の火曜日の答弁では、ミャンマーに対しては、条件付ではありましたけれども、円借款の貸付実行を実施するというふうな話もございました。

 日本政府は、貸付実行を即時停止はできない。世界銀行については、今大臣おっしゃられたとおり、やっている。世界銀行にできて、何で日本政府にはできないんですかね。根拠と手続、先ほど大臣お示しいただきました。これは世界銀行と同じようにすれば、日本の政府、日本の政府系金融機関も有事の際には世界銀行並みの対応を行うことができると思うんですが、何で日本はできないんですかね。大臣、お答えいただけますでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 もう委員御承知のとおりでございますけれども、ミャンマーについての日本政府の取組方針ということでございます。

 日本政府といたしましては、まさに、ASEAN諸国を含む国際社会と連携しながら、ミャンマー側に対して事態の改善に向けた働きかけをこれまでも行っておるところでございますけれども、このミャンマー経済協力の今後の対応につきましては、そうした働きかけの状況を見ながら、かねてより我が国が要求しております、暴力の即時停止、被拘束者の解放、民主的な政体の早期回復、この三点、それからASEANがまとめております五つのコンセンサス、これがどう実現されていくか、この辺りの諸要素を勘案しながら、どのような対応が効果的かを総合的に検討していく、これが現在の日本政府の立場でございます。

櫻井委員 いやいや、だから、総合的に検討とかって、結局、方針を示していないじゃないですか。世界銀行はちゃんと、一旦止める、一旦止めてその先どうするかというのはそれぞれ検討されるんでしょうけれども、日本政府は止めるとも言わない。特に、ミャンマー向けの円借款については、いろいろな事情があるにせよ、ちょっとずつ貸付実行しているという答弁だったじゃないですか。

 先ほど大臣は、世界銀行が、例えばロシア向けの借款即時停止、それについて日本政府としても支持しているとおっしゃっていたじゃないですか。じゃ、同じことを日本政府もやりましょうよ。是非お願いしますよ。大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 この案件は外務省とも十分詰めなければならないことでありまして、財務省の立場だけでなかなかすぱっとここでお答えしにくい点がございます。

 先ほど国際局長が答弁しましたとおり、日本が要求しておりますのは、暴力の即時停止、被拘束者の解放、民主的な政体の早期回復、このほか、ASEANの五つのコンセンサスがどう実現されていくかということを見ながら、政府全体として、特に外務省とも十分すり合わせた上で、決定をしていきたいと思います。

櫻井委員 そういう、総合的に検討とかいって、もう一年たっちゃっているんですよね、ミャンマーについては。そうやってずるずるずるずるやっちゃっているものだから、全然、何か相手になめられちゃって交渉になっていないんじゃないのか、そんなふうにも心配するんですよ。

 是非、ミャンマーについては、選挙で選ばれた民主的な政府を、軍事クーデターで権力を強奪するというようなことであったわけですから、こんなことを認めちゃいけない。ODA大綱にも明確に違反しています。そんなところで貸付実行が行われるということはあってはならないと私は考えます。

 ロシアについても、侵略戦争、武力による現状変更、原子力発電所に対する攻撃、一般市民の殺りくなど、国際法違反を挙げれば切りがございません。こういったところについても、貸付実行、今ロシアに対しては多分されていないと思いますけれども、これはちゃんと明確に止める、一旦止める。それで、ちゃんとそれが実行されて、元の平和な状態が戻ったらまた再開すればいいことでございますから、一旦止めるということを明確にして、その上でそういった働きかけをしていくべきではないのかというふうにも思います。

 ということで、そういうことを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 続きまして、世界銀行における日本人職員の数についてでございます。これは副大臣から御答弁いただけるということでお聞きをしております。

 この質問を準備しておったら、今朝、こんな、世界銀行東京事務所ニュースレターということで、こういうのが入っていました。わざわざ、しかも臨時号と書いてあるので、この日の審議に合わせてお配りされているのかなというふうにも思いましたけれども、日本人採用プログラムに関する説明会が行われるというふうなことで、今日も実施をされたというふうに書いてございます。

 二年前のIDA増資に係る法案審議、そして附帯決議の中で、「我が国の国際貢献機会を拡大する観点から、国際機関において日本人職員の登用機会をさらに広げる活動を推進し、有能な人材が円滑に採用されるよう努めると共に、枢要なポストの獲得にも尽力すること。」、こういうことがついております。

 現在、世界銀行、特に世界銀行グループの中でも中心的存在であるIBRD、国際復興開発銀行に対する我が国の出資割合、七%ちょっとというふうに承知をしておりますが、一方で、職員数で見ますと、三%ちょっとということでございます。最近の日本人職員の数、この附帯決議をつけてから増えていますかというふうに聞いたら、ちょっと増えているというふうにも聞いておりますが、ただ、出資割合、出資比率に比べてはるかに少ない数になっております。

 そこで、副大臣にお尋ねをさせていただきます。

 出資比率に基づいて望ましい職員の数みたいなもの、目安はあるのかどうなのか、ないにしても、やはり出資比率が一つの目安にはなると思いますが、日本の場合、職員の数を倍増させてもまだ出資比率には及ばないというレベルでございます。世界銀行グループの日本人職員、どうやってこれから増やしていくのか、この点についてお答えをお願いいたします。

岡本副大臣 今し方、櫻井委員から御紹介をいただいたように、前回の第十九次の増資に関わる御法案を審議いただいた際に、本委員会におきまして、先ほど御紹介いただきました附帯決議を決めていただきました。我が国といたしましても、国際貢献機会を拡大する観点から、日本人の世界銀行グループの職員を増やす、とりわけ、枢要なポストの獲得にも更に日本人を送り込んでいくというのは非常に重要だというふうに思っています。

 この附帯決議を踏まえまして、日本人職員数及び日本人幹部の増加に向けて、具体的には、世銀幹部の来日を含むリクルートミッションを実施をしておりましたり、世銀幹部や日本人職員を招いた日本人向けキャリアセミナーの実施、さらに、世界銀行東京事務所等と連携をした採用志望者への面接の支援、総裁を始めとする世銀幹部に対する働きかけなどに取り組んでまいりました。

 この附帯決議をいただきました以前から取り組んでまいりましたので、実は昨年末、二〇二一年十二月で、世銀グループの日本人職員数、二百十八人おりますけれども、二〇一六年と比べますと二六%増えております。足下、若干その伸びが鈍化しておりますけれども、更に努力を重ねまして、附帯決議の趣旨に沿いまして努力を重ねていきたいというふうに考えています。

櫻井委員 日本人の職員、急に増やせと言っても、ばんとすぐ来年に倍増というわけにはなかなかいかないのは重々承知をしておりますけれども、まだまだ伸ばす余地があるのではなかろうかというふうに思うんです。

 増やすということについて言えば、新たな職員を増やしていく、もちろんこれは重要ですけれども、今いる日本人職員が辞めないようにしていくということも重要だと思うんですね。この点についての取組というのは何かあるのか。

 つまり、余り言うとなんなんですけれども、国際機関においては、同じ出身国同士で何かある種ネットワークを組んでいて、お互い何か助け合いみたいなことをやっているような国といいますかもあるやに聞いております。それはインフォーマルな形でやっているんでしょうけれども。要は、世界銀行の中も人事制度が大変厳しいから、あるとき、もう君、首だよというふうに言われることもある、首になったら、そのポストを落とされたら、別なポストに、同じ国の出身者がちょっと、じゃ、こっちへおいでと誘ったりとかして、辞めなくて済むようにするとか、いろいろな工夫をやっているみたいなんですね。

 ところが、日本人職員はなかなかそういうウェットなつき合いを実は余りしていないといいますか、日本国内だったら、日本国内に残っている日本人はそういうウェットなつき合いは好きなのかもしれないですけれども、わざわざ日本の社会を飛び出して海外に行ってしまわれる方は、どうも余りそういうのがお好きでないのかどうなのか分かりませんが、余りそういうのが行われていないやにも聞きます。

 これはなかなか日本政府としてバックアップするとかというのは難しいかもしれませんけれども、ただ、理事、ダイレクターを輩出しているわけですから、何かちょっとダイレクターに工夫していただいて、いろいろそういった日本人同士のきずなを深め合うような、こういう取組もすることによって、辞めないようにするという努力も併せて必要だと思うんですが、せっかく、副大臣、うなずいていただいているので、お願いいたします。

岡本副大臣 櫻井委員御指摘のとおり、ネットワーキングの構築を支援する、また、そのネットワーキングを更に強化するような支援をしていくことは、現在働いていただいている日本人職員の方を今のポジションでプロモーションされる、また、他のポジションが空いたときに、そのネットワークの中で知り得た情報でスムーズに他のポジションに移るということも含めて、重要だというふうに思っています。

 政府としても、特に女性の一層の活躍も含めまして、更なる日本人の方々の定着そして増加に向けまして、特に幹部職員数の増加も視点に入れまして、世銀の中での継続的な雇用、昇進を促進するための日本人職員間のネットワークの構築、また、東アジア女性職員のネットワークの構築等の取組を一層支援していきたいというふうに考えております。

 加えまして、新たな裾野を広げるという意味では、仕事や留学で海外に滞在をしていらっしゃる日本人の方々に更に間口を広げていくことが重要だと思っておりまして、候補者の拡大に向けて更に取組を進めていきたいというふうに考えています。

櫻井委員 副大臣、ありがとうございます。

 あともう一つつけ加えて言うなら、世界銀行と類似の業務をやっている機関として、日本国内ではJICA、あとJBICも近い仕事をしていると思います。こういったところから世界銀行に転職されていく方も結構いらっしゃって、JICAの副理事長がいらっしゃる前で余り言うのもなんですけれども、JICAの優秀な職員が世界銀行でも大活躍していくというのもございますから、こういったところで、JICAに一旦入って、そこで実務を学んで、世界銀行なり各種世界に羽ばたいていくというのも一つの方法ではなかろうかなというふうに思いますので、是非いろいろな取組を進めていただきますようお願い申し上げます。

 続きまして、開発金融の在り方についてお尋ねをしたいと思います。

 先ほど塩崎委員からも債務のわなについてお話がございました。この債務管理の問題というのは非常に重要だと思います。

 昨年十二月二十八日、日本経済新聞の朝刊に、デービッド・マルパス総裁のインタビュー記事がございました。こちらにあった記事では、問題は途上国の債務の額がはっきりしないことだ、世界銀行の分析では、途上国債務は公表額よりも実際にはGDP比で三〇%も多い場合がある、例えば二〇一四年以降の中国による途上国融資には、秘密保持のため契約に多くの非開示条項がある、途上国に融資しようとしても、ほかの借入先や負債総額が分からなければ、返済の確率すら分からなくなる、二〇二二年は途上国債務の透明性を一段と高め、減免などの再編も進めなければならない、こういうふうにインタビューの記事の中で書かれているんですね。

 まず、世界銀行としては、貸し手の責任というのがあると思うんです。バンカーとして、貸した金がちゃんと返ってくるかどうかというのは基本中の基本だと思うんです。返済能力をちゃんと把握する、債務残高の把握をする、それで、その中で返済余力、あとどれぐらい貸しても大丈夫なのかということを的確に把握するというのは基本中の基本だと思うんですが、マルパス総裁は、それができていないというふうに正直におっしゃられているわけなんですね。

 貸し手の責任というのは、今日はJICAの副理事長がいらっしゃっていますけれども、日本もいろいろな形で開発途上国にお金を貸しているわけです。日本政府も貸し手としての責任があろうかと思います。

 一方で、マルパス総裁御指摘のように、世界銀行の加盟国である中国の暴走があると。経済的な、貸し込んでいくことによって、先ほど塩崎委員からもお話があったような債務のわな、借金漬けにして、最後は借金のカタに何かいろいろなものを取っていっちゃうというようなことまである。中国の貸し手責任、これはちゃんと問わなきゃいけないような場面も今後出てくるのではなかろうかというふうにも思います。

 一方で、借入国、これは当然ですけれども、お金を借りる側も、ちゃんと将来返しますよということをする責任、借り手の責任ももちろんあります。そのためには、ちゃんと債務を管理する、借金がどれだけあるのかということをちゃんと把握して、どれぐらいなら返せるかな、幾らぐらい借りても大丈夫かなということをちゃんと自分で管理する。これももちろん大事なことです。

 あと、秘密保持契約。秘密保持、非開示というのは、非常に罪深いなと思いますのは、借入国の国民にとってみても、幾ら政府が借金しているのか、国が借金しているのか、的確に把握しておかなきゃいけない。これは財政の、民主主義の根幹でございます。そういったこともできていないということになります。

 そこで、ちょっと大臣、せっかくの機会ですのでお尋ねしたいのは、それぞれの主体が借り手の責任、貸し手の責任を果たす必要があると私は考えますけれども、大臣、この問題についてどのように取組を進めていかれるのか、改めて御答弁をお願いいたします。

鈴木国務大臣 櫻井先生が御指摘のとおり、債権国が借入国の返済能力を超えた貸付けを行わないこと、これに加えまして、借入国も過剰に借り入れないこと、これが必要であると思います。

 この点、世銀におきましては、貸付けに当たって、借入国から債務データを収集をし、その国の債務持続可能性を分析した上で貸付けを実施しています。借入国によっては債務管理能力の限界もある中で、債権国側の協力も必要です。中国による不透明な貸付けは、こうした取組の阻害要因となると認識をしております。また、不透明な貸付けは、借入国が安定した投資資金の流入を確保していくに当たっても障害となりかねません。

 このような認識の下で、日本は、中国も含むG20等の場で、途上国の債務透明性、持続可能性の確保に向けた取組の重要性を主張するとともに、今回のIDA第二十次増資の交渉過程でも、債務データの正確性、透明性の確保に向けて、借入国を支援するとともに、債権国による債務データの共有の必要性を主張をしてきたところでございます。この結果、IDAにおいて、支援対象国の財政持続可能性や債務管理の強化、透明性向上の支援を行うとともに、中国を含む債権国からの債務データの取得を促していく、こうしたことがコミットされたところでございます。

 引き続きまして、途上国の債務透明性、持続可能性の確保に向けまして、様々な機会を活用をして取り組んでいきたいと思っています。

櫻井委員 今大臣の御答弁の中で、各国、中国を含めて加盟国の中の債権国がちゃんと情報、債務データ、債権データを提供するということで合意、コミットしたというお話でした。

 ということは、マルパス総裁がおっしゃられた、借入先、借入総額が分からないという問題は一応解決したことになるのかどうなのか、そこをちょっと重ねてお尋ねをしたいと思います。

 といいますのも、先ほど塩崎委員への答弁の中では、民間債務もあるから分からないと。国から国への貸付けだったら今の御答弁で把握できるということになりますが、民間債務もあるとなかなか把握し切れないということになるし、聞くところによると、中国については、政府一〇〇%出資の金融機関、中国の輸出入銀行であるとかそういったものは、それは政府系でしょう、国でしょうと思うんですが、いやいや、民間ですと言って言い逃れて逃げちゃっているとか、そんな話も聞くものですから。

 これは、今の御答弁、各国コミットしたということなんですが、本当に実効性のあるコミットなのか。その点、もう一度お願いいたします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、まず、世銀は当然、貸付けを行うに際しましては、これは、借入国の側からあらゆる債務データを収集いたしまして、それで、この借入国はこれぐらいの債務があるということで、債務の持続の可能性を分析をした上で、持続可能だということのときに初めて貸付けを実行するということでございます。

 ただ、当然これは、借入国に、必ずしも最貧国に限らない場合もございますけれども、その債権管理能力の問題ですとか、あるいはその他もろもろの理由によりまして、場合によって、債務国から出てくるデータが必ずしも正確でない場合もございます。こういった場合に正確な情報を提供するためにも、これはやはり、債権国側からもデータを取って、債権国側と債務国側、両方のデータを突合して正確な状況を把握する、これがまさに大事であるという中で、我々としては、そういう観点からも、債権国からのデータを取ることが必要だということを主張してきたところでございまして。

 まさに今回、IDAの中で、政策コミットメントとしまして、こういう債権国側からのデータの収集をIDAも呼びかけるし、一生懸命それをやっていくということで、そこは重要だということで、これは中国もいる場で合意をしたということでもございますから、我々としては、まさしくIDAの政策コミットメントの合意も踏まえまして、一層、中国を含む各債権国、当然これは債務データをタイムリーに提供するべきだ、これはIDAだけではございません、G20なども含めまして、引き続き強く主張してまいりたいと考えてございます。

櫻井委員 G20なり、それから世界銀行のこうしたIDA増資の中でも議論してきたということです。

 ちょっと細かい話になりますけれども、世界銀行のボードの中で、中国も日本も理事を輩出、ダイレクターを出していますよね。ボードの中でもこうした議論は行われているのかどうなのか。マルパス総裁がこうした問題意識をお持ちなんだから当然ボードの中でも議論はされているんだと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、これは世銀の理事会におきましても議題になっておることでございますから、そういう場があれば、今申し上げたような日本の立場を踏まえまして、これは世銀の理事会であろうが、その他、IMFの理事会でございましょうが、あるいは当然G20、あらゆる場で日本としては一貫した主張をさせていただいております。

櫻井委員 債務管理について、日本政府がリーダーシップを持って取り組んでいるということで承知をさせていただきました。

 続きまして、今日はJICAの副理事長にも来ていただいております。お待たせしております。

 もう一つ、今の開発金融をめぐる状況の中で大変心配するのは、人権などの社会配慮、それから環境への配慮、腐敗とか不正の防止、こうした原則、これは大原則なわけですけれども、それは、取りも直さず、平和や繁栄、そして一人一人のよき未来のために必要不可欠なことだからというふうにも思っております。

 そうした理念を持って我が国も開発援助に取り組んでいるというふうに承知をしておりますけれども、こうした取組、先ほどの債務のわなみたいなやり方で中国がばんばんやってくる、また中国以外の国ももしあるとすれば、こうした一生懸命やっていることが全て台なしになってしまうのではないかというふうにも心配するんです。

 その前に、まずちょっと、せっかく今日はJICAの副理事長にも来ていただいておりますので、こうした、我が国、これまで過去には、それこそ国会の中で、この事業は無駄だったんじゃないか、ODAは無駄遣いじゃないのかと、いろいろな批判もあったかもしれないけれども、それでも一生懸命、途上国の現地の人たちの暮らし向きをよくしたい、幸せにつながるようにしたいという思いで、いろいろな苦労をされてきたと思います。そのことについて、まずちょっと御報告といいますか、御説明いただけますでしょうか。

山田参考人 お答え申し上げます。

 JICAは、相手国のガバナンス支援、それから国づくりの支援、これを基本的な軸にいたしまして開発金融に取り組んでおります。

 こうした点からJICAは、日本政府の方針に従いまして、開発に伴う環境、気候変動への影響及び格差是正、社会的弱者への配慮等、こういったことに十分注意を払って、環境と公正性の確保に努めております。こうした取組については、他の開発パートナー、それから市民団体などとも意見交換を重ねておりまして、絶えず改善をしてきております。

 JICAが行う開発金融の中心でありますインフラ開発では、人権尊重、環境配慮、腐敗撲滅、こうした取組を着実に実施をしながら、相手国の人材育成、法整備の支援、制度、政策づくりを伴う質の高いインフラ支援を行っております。

 例えば、ラオス、カンボジアでは、インフラ開発と並行して、民法等法律の起草、それから普及、それから法曹人材の育成も継続的にやっております。

 それからまた、JICAがかつて支援をいたしましたインドネシアのブランタス総合開発では、本邦企業が一九六〇年代から約三十年間にわたり設計、施工監理を担当し、七千名のインドネシア人のエンジニアを育成いたしました。これは当時二万人と言われております同国のエンジニアの三五%を輩出しております。

 ODA事業でのインフラ建設は、案件形成、建設、運営、管理、いずれの段階においても高い倫理が求められます。そうした意味で、人材育成とガバナンスの強化を引き続き進めていきたいというふうに考えております。

 以上です。

櫻井委員 ありがとうございます。

 私もインドネシア向けの融資の仕事をしたことがございますので、今副理事長からインドネシアのブランタス川、これはジャワ島の東の方にある流域ですけれども、元々、洪水とそれから干ばつが繰り返されるような不毛な地だったところを緑豊かなといいますか、大穀倉地帯に変えていったということで、すばらしい、これは、単に治水、ハード面を整備したというだけでなくて、そこで数々の、たくさんの、今副理事長から御紹介いただいたとおり、インドネシア人の現地のエンジニアを育てていく、まさに国づくりや人づくりということをやってきたそういう一つのいい例だというふうに思います。

 ところが、中国を始めとする国がそういった、人材育成とかも全然関係ないよ、汚職とかももう好き放題というか勝手放題というようなことで事業を推進してしまうと、もしかすると、援助を受ける側の国の政治家は、だったらごちゃごちゃ言う日本よりも世界銀行よりも、中国からお金を借りた方がいいやというふうに、やすきに流れてしまう、そういうリスクすらあるわけでございます。

 でも、そうなってしまうと、本当にこの開発援助が目指している人々の幸せというのは実現できない、逆の方向に進んでしまう可能性だってあるわけです。

 ですから、この債務管理、債務のわなという問題だけでなく、やはり、本当に人々の幸せにつながるようなそうした援助をやっていくべきだというふうに思いますし、それは日本、世界銀行だけでなく全ての世界銀行の加盟国が力を合わせてやっていく、それとは違う方向の取組をする国がいたら、駄目だよ、ちゃんとこのルールを守ってねと。OECD・DAC、開発援助委員会にも、いろいろなそういった、こういう過去の失敗を踏まえて、いろいろな約束事といいますか、理念、原則を定めているわけですから、そこに入っていないから知りませんよみたいなことはないようにしていくべきだというふうに考えるんですけれども。

 そういった世界の開発援助、開発協力、こうした分野で是非大臣にリーダーシップを発揮していただきたい、二月のG20は欠席をされてしまいましたけれども、次回のG20財務大臣会合には出席をして、是非リーダーシップを発揮していただきたいというふうに考えるんですが、最後、大臣の御決意をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 今、櫻井先生からお話しになられたことは、私も、とても大切なことである、そういうふうに思っております。

 インフラ開発を含む途上国の開発、経済協力に当たりましては、環境ですとか社会面にも配慮し、途上国の持続可能で包摂的な成長の実現に資する支援を行うこと、これが極めて重要であると考えております。

 この点からいいますと、日本が議長を務めました二〇一九年のG20大阪サミットで合意をいたしました質の高いインフラ投資に関するG20原則では、もちろんこれには中国も入っているんですけれども、インフラ利用の開放性、包摂性、労働者への雇用、技能の提供、建設現場での安全性など、社会面、生態系や生物多様性を含む環境面への配慮といった点も明記をしているところでございます。

 そして、二国間支援におきましても、JICAの円借款などを通じて、この原則に従って質の高いインフラ投資を推進していると理解をいたしております。

 また、世界銀行におきましても、日本の働きかけを踏まえ、インフラの質の要素も勘案した新たな調達基準が導入されるなど、これまでも質の高いインフラ投資を推進してきたところでございます。

 今回のIDA第二十次増資におきましても、質の高いインフラ投資の推進は、改めて重点政策の一つとして掲げられております。

 引き続き、途上国の持続可能で包摂的な成長の実現を目指して、インフラ開発を含め、開発協力の取組を進めていきたいと考えております。

櫻井委員 今回のIDA増資、そして世界銀行、我が国のODAの役割、これは世界平和を実現していく、そして人類の繁栄のために本当に大事な役割を果たしているというふうに思いますし、是非大臣にはリーダーシップを発揮していただきたいということをお願い申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

薗浦委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、東日本大震災により犠牲となられた全ての方々に心よりの哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたします。また、震災の記憶、教訓を子々孫々、後世に伝えていくことが今を生きる私たちの使命であるということを改めて感じております。被災された方へお見舞いを申し上げ、一刻も早い復興を祈念いたします。

 それでは、質問の方に移らさせていただきます。

 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、本案はIDAに対し四千二百五億五千七百二十四万円の範囲内において追加出資をするという内容ですが、この金額は、全体の増資額の一三・八%に当たり、出資国の中で二番目の金額となります。一番はアメリカの一四・一%、三番目はイギリスの七・九%、中国は五・三%、これは日本の出資額の四割ほどです。ドイツも、日本の半分ほどしか出資をしておりません。

 途上国へ開発支援をすることは国際社会の一員の責任として重要であるということはもちろん認識しておりますが、日本の出資比率、高過ぎるのではないかというふうに感じております。

 GDPが日本の四倍ある米国は日本と同等の出資額、日本の三倍近くある中国は四割ほどの出資額です。ある程度、GDPに比例した出資額にするという選択肢はないのでしょうか。

 財政的にも厳しく、コロナ禍で経済的に困窮している方が多くいる中、米国並みの世界第二位、中国やドイツの二倍ほどの出資をする余裕が今の日本にあるのでしょうか。途上国への支援より、国内への支援ではないのでしょうか。イギリスは、十九次増資では一六・七%の出資比率がありましたが、今回の二十次増資では七・九%まで落としています。

 今の日本の出資比率、本当に適切なものとお考えでしょうか。今後の出資比率についてどう考えておられるのでしょうか。お答えください。

鈴木国務大臣 様々な国際機関があるわけでありますが、国際機関の中には、経済規模等に応じて出資額の上限が自動的に決定される機関もありますが、IDAは経済規模によらずに出資額を決めることができる機関でございます。IDAは国際社会が対応すべき開発課題の方向を規定する世界最大規模のドナー基金であり、IDAに積極的に貢献し、日本の強い影響力を確保することが、途上国への影響力を強めております中国に対抗しつつ、債務問題、国際保健といった日本が重視する開発課題を着実に実施するために不可欠であると考えているところであります。

 こうしたことを踏まえまして、日本はIDA第二十次増資の議論を主導し、最終会合を主催するとともに、今回の増資では前回増資の貢献シェアと同じ一三・八%を維持することとしたものであります。その結果、今回の増資においては、保健システムの強化、自然災害に対する強靱性、質の高いインフラ投資の推進、債務の透明性、持続可能性等、日本が重視する開発課題が重点政策に位置づけられたと考えております。こうした点を踏まえますと、日本の出資比率が高過ぎるとは考えていないところでございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 おっしゃったように、様々な観点からの検討があるとは思うんですけれども、二〇一五年に十二年ぶりに改定された開発協力大綱では、開発途上国を含む国際社会と協力して、世界が抱える課題の解決に取り組んでいくことは我が国の国益の確保に不可欠となっているとし、被援助国である途上国の利益となるだけではなく、日本の国益にかなうということも明確にうたっております。

 また、二〇一九年に内閣府が行った外交に関する世論調査では、開発途上国への支援について、どのような観点から実施すべきだと思いますかという問いに対して、エネルギー資源などの安定供給の確保に資する、あるいは、開発協力は戦略的な外交手段の重要な手段だから、あるいは、企業や地方自治体の海外展開など、経済に役に立つ、そういった回答がかなり多くの割合を占め、多くの方が途上国への開発支援、援助に直接的な利益を求めているということが分かります。

 このような国民の声、そして開発協力大綱も踏まえると、やはり我が国の国益に資する国際協力の在り方を模索していくべきと考えます。もちろん、途上国にとっても我が国にとってもウィン・ウィンの関係が理想ではありますが、今後、日本の国益に資する方向に開発協力をシフトしていくのか、それとも、あくまで途上国の発展という本来の目的に沿った形でいくのか。方向性など、今後どのような形で国際協力を進めていくのかお答えください。

本田大臣政務官 お答えいたします。

 ODAは我が国の重要な外交ツールでありまして、開発協力の推進は国際社会の平和と繁栄に貢献し、ひいては我が国の平和と安定の確保、更なる繁栄の実現といった国益の確保につながるものと考えております。開発協力大綱にもその趣旨が明記されているところでございます。

 そして、ODAによる質の高いインフラ整備、教育、保健医療、人材育成などの支援は、相手国との関係強化や我が国の国際社会における主導的役割の実現にもつながりまして、大変重要であると考えています。我が国の開発協力は、これまで、開発途上国を含む国際社会からも高く評価されているところだと認識しています。

 現在、新型コロナを含む感染症対策や気候変動を始めまして、解決すべき開発課題は拡大、複雑化しています。自由で開かれたインド太平洋の実現や、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの達成など、我が国にとって重要な外交政策を推進していくためにはODAは重要な役割を果たすものであり、政府としては、引き続き戦略的かつ効果的なODAの実施を努め、国益の重視を追求していきたいと考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 一概に国益に資する開発援助を行うといっても、どこにどれだけ支出をすればいいのか、その判断というのは非常に難しいところではあるというふうに考えております。外部要因も大きく作用するため、開発援助の各プロジェクトがどのような効果、どのような経済成長を生み出すのか、評価が困難であるからです。

 また、多額のODAを受け取ることにより利権が発生し、結果として政治が腐敗してしまうことにもつながるという話も聞きます。事務作業や調整作業が増えてしまい、優秀な人材が援助機関で働き、民間企業の人材が不足してしまうという可能性も考えられます。

 そうはいいましても、資金を拠出している以上は、その分析、評価はしなければなりません。IDAの資金はどのように使われ、どのような効果をもたらしているのか、本当に途上国の経済成長につながっているのか、財務省としてはどのように分析、評価されているのでしょうか。お答えください。

 また、開発援助と聞いてもいまいちぴんとこない、具体的なイメージが湧かないという方も決して少なくはないと思いますので、よい結果の出ているプロジェクトなど、好事例を例示いただければ、そう考えております。お願いします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 事例というお話もございましたので、若干答弁のお時間をいただきますことをお許しいただければと存じます。

 まず、プロセス、それから、どうPDCAサイクル的にしっかりと目標どおりにIDAのお金が使われているのか、そこをチェックできているのかということで、その点を申し上げます。

 本日るる御答弁申し上げてございますように、IDA増資交渉の過程の中で、こういうものが重要政策だというようなものを合意しているわけでございますが、実際にこれをスタートいたしますと、この重要政策、重点政策を踏まえまして、IDAとそれぞれの支援対象国の間で、それぞれの支援ニーズを踏まえながら、具体的にどういう支援プロジェクトをやっていくか、こういったことをまとめてまいります。プロジェクトがまとまりますれば、それを、日本も含むドナー国もおります理事会、ここに諮って、承認を得れば実際に動き出すということですから、まずは案件ごとにドナー国の理事会がちゃんとガバナンスを利かせているというところがございます。

 それから、三年間のIDAの増資の期間全体を通じてのPDCAサイクルというものを回してございまして、これは今回の二十次増資でも実は、先ほど来申し上げております国際保健でございますとか、あるいは債務の問題ですとか、それぞれの重点分野ごとに、具体的に何か国にどういう取組をするというような具体的な政策目標を四十一ほど掲げてございます。

 全体の三年間のちょうど中間になります来年の十月に今予定されてございますけれども、そこで全てのドナー国も含めて集まりまして、この中間評価を行って、PDCAサイクルの一環として、そういう目標に沿ってちゃんと進捗しているか、こういったこともチェックをする、こういうプロセスで、プロジェクトごと、それから三年間の増資期間を通じて、双方の観点からチェックをしているという状況でございます。

 その上で、何か好事例はないかというお話でございましたので、お許しをいただければ二例、二つほど、過去のこれまでのIDAの取組の事例を御紹介申し上げたいと存じます。

 一つは、ネパールで大きな地震が起きた後に、日本が防災の知見も生かしながら、IDAのプロジェクトを一緒に取り組んだという例でございます。

 御承知のように、二〇一五年に、ネパール、大きな地震が発生をいたしました。それ以降、このIDA、ネパールで地震で倒壊しました住居を、まさに地震ですとか水害、いろいろな災害に強い、災害に強靱な、安全な住宅を再建する、こういうプロジェクトを始めたわけでございます。これは、IDAの支援で二十四万戸以上の住宅を再建いたしまして、世銀の推計によりますと、現地で被害が甚大であった地区で、四十億ドル近い三十七億ドルぐらいの経済価値があったというようなことが推計されてございます。

 重要なところは、この支援に当たりまして、世界銀行の東京事務所に東京防災ハブという組織がございますけれども、そこで日本は、まさに日本の防災の知見を生かすためにいろいろなプロジェクトをやっていこう、そういった知見を生かしたプロジェクトをやっていこうということで信託基金を設けてございますが、この信託基金を通じましてネパールの支援に当たりまして、日本が阪神・淡路大震災あるいは東日本大震災の経験を生かしましてこのプロジェクトの企画立案に大きく関わったということでございます。これによりまして、まさに日本の防災の知見、経験を生かした日本の顔が見える支援ができたのではないかということでございます。

 さらに、これは副次的な効果としても、受益者の方が実際に支援のお金を受け取られますときに新たに銀行口座を開設したという方もかなりおられまして、かなりの部分はしかも女性の方ということで、議員も御承知のとおり、こういった途上国はなかなか銀行口座すら作れなくて、金融包摂、金融サービスが及ばないような方が多いんですが、こういった金融包摂の問題、ジェンダーの不平等の改善の問題、こういったことにも、副次的な効果かもしれませんけれども、効果があったということでございます。

 それから、二つ目の事例でございますけれども、これは中米のホンジュラスの事例を一つ御紹介させていただければと存じます。

 ラテンアメリカの中でも、ホンジュラスは最も貧しくて、格差も非常に深刻なわけでございますが、IDAのプロジェクトといたしまして、このホンジュラスにおきまして非常に極度の貧困に悩む御家庭、これをターゲットとしまして、その家庭で、小さなお子様にいわゆる予防接種を受けさせるですとか、あるいはきちっと学校に通わせるですとか、そういったことをやった場合には親御さんに現金を支給しますよ、こういうプロジェクトでございます。

 やはり、貧しい方ですと、子供を学校に行かせる代わりに働かせちゃったりとか、あるいはろくに予防接種も受けられなくて病気になったりとかということもございますので、それではまさに、大人になってからそういった子供がきちっとした職に就いて立派に働くこともできなくて、文字どおり貧困の再生産になってしまう。これを防ぐ、こういうプロジェクトでございます。

 これも二十三万世帯以上の受給者がいらっしゃいまして、九割以上が女性の方でございます。まさしく、貧困の再生産の防止とともに、保健サービスの強化ですとか、教育の定着ですとか、ジェンダー、こういった問題にも資する、一つのプロジェクトでいろいろな日本が重視する開発課題に役立ったのかなと思ってございます。

 かいつまんで申し上げれば、日本の知見が生かせる、日本の顔が見える、そして、できるだけ一つのプロジェクトで様々な課題に対応できる、こういったプロジェクトは重要だと思っておりますので、引き続き、バイでもマルチでも、我々も努力して取り組んでまいりたいと考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 ネパールの今の事例もホンジュラスの事例も、非常に有効な、有意義な事例だと感じました。こういった事例を少しでも増やしていって、貴重な資金ですので、効率的な運用の方、しっかりとつなげていただければと思っております。

 先ほどの話とちょっと関連しますけれども、次に、二国間援助と多国間援助に関してお伺いいたします。

 政府開発援助には、特定の開発途上国に直接支援を行う二国間援助と、IDAなどの世界銀行グループなどへの出資や拠出金を通じて支援を行う多国間援助があります。

 二国間援助の場合は、国際機関を間に挟まない分、途上国に援助が届くまでの時間が比較的短いという場合が多くなります。特に、災害時や紛争後の復旧など緊急性の高い援助ではスピード感が求められることも多く、援助における迅速性は大切な要素です。さらに、機材や施設は日本からのものだと相手側に意識されて、先ほどもありましたように、日本の顔が見えるようなことが多くありまして、外交的に有利に働いたり、援助を受けた国の親日感情が高まったりする効果も期待できます。

 それに対して、多国間援助の方なんですけれども、被援助国は資金がどの国から拠出されたのかが分かりにくく、意識されないことも多くなります。国際機関が間に入ると、特に途上国に向けた貢献は必ずしも正しい方向に使われないおそれ、つまり、間に人が介在する機会が多くなることで事業の中立性が懸念されることが往々にあります。

 こうして考えると、一概にはもちろん言えないとは思うんですけれども、二国間援助の協力の方が効果的かなともいうふうに考えられるんですけれども、二国間援助、多国間援助、双方の特徴やメリットをお教えいただければと思っております。また、方向性として、今後どちらに軸足を置いて進めていくのか、どうかお答えください。

本田大臣政務官 お答えいたします。

 まず、開発協力の推進は、国際社会の平和と繁栄に貢献をして、ひいては我が国の平和と安定の確保、更なる繁栄の実現といった国益の確保につながるものであります。

 このことを前提といたしまして、二国間支援については、相手国政府との緊密な調整の下、その国の開発ニーズや開発政策に沿った案件を形成しておりまして、実施におきましても、インフラ整備から人材育成、機材供与に至るまで、我が国政府やJICAのプレゼンスがしっかりと見える形で行われることになります。

 他方で、多国間支援につきましては、二国間支援の実施が難しい国、また地域を含めまして、国際機関の専門性やネットワークを生かした支援を実施しているところであります。

 なお、多国間支援においても、供与物資に日の丸のステッカーを貼るなど、国際機関との間で我が国の顔が見える支援となるような工夫に努めているところであります。

 政府としては、複雑化する開発課題に適切に対応するためには、二国間支援と多国間支援を効果的に組み合わせ、それぞれの強みを生かした取組が重要だと考えています。

 例えば、新型コロナ感染症の拡大に対しましては、途上国を含めたワクチンへの公平なアクセスを確保すべく、国際的な枠組みであるCOVAXファシリティーを通じた支援を行っております。

 同時に、JICAが途上国の中核となる医療機関の人材育成などを実施し、感染症対策を含む保健システムの強化にも二国間で取り組んでいるというところであります。

 今後とも、二国間支援と多国間支援を効果的に組み合わせまして、開発協力を進めてまいりたいと考えています。

藤巻委員 ありがとうございます。

 続きまして、ちょっと櫻井委員と質問がかぶってしまうんですけれども、経済面の方から人的貢献の方に目を向けたいと考えております。

 世界銀行グループの日本人職員は、全六千六百九十四人中、二百十八人、全体の三・三%ほどしかおりません。他国は出資比率に近い職員数の比率となっていることを踏まえると、この三・三%というのはかなり低いものであるというふうに言わざるを得ません。

 日本は米国に次ぐ出資をしているのですから、世界銀行グループの中でも中枢に人員を配置しなければならないと考えております。人的資本も含めて国際協力を主導していかなければならないというふうに考えております。

 日本は、金は出すけれども口は出さない、金は日本に出させておけばいい、そういうふうに他国に思われてしまうことが果たして国益に資すると言えるのでしょうか。

 もちろん、英語圏外にあることだったり、専門的人材の不足等の壁はあるのでしょうが、今後、こういった国際機関の指導的立場に人材を輩出するためにどのような方策を考えておられるのでしょうか。

岡本副大臣 藤巻委員御指摘をいただきましたように、日本として人的にももっと貢献をしていくべく、現在、財務省として取り組んでおります。

 先ほど言及いただきましたとおり、二〇二一年十二月末で、日本人の職員は二百十八名、全体の約三・三%。五年前と比べますと二五%増加しておりますが、まだまだ力強く後押しをしていくことが必要だと思っております。

 そのため、一つは、世銀幹部の来日を含むリクルートミッションの実施、さらに、世銀幹部や日本人職員を招いた日本人向けキャリアセミナーの実施、また、総裁を始めとする世銀幹部に対する働きかけなどに取り組んでおります。

 このような取組が、先ほど申し上げた日本人職員数の増加に今後更につながるように、政府として全力を今後も上げていきたいと考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 このIDAへの出資金、原資は税金です。当然、無駄遣いは許されず、使い道だったりその成果は、国民の皆様に明示されなければなりません。

 開発援助の分野でIDAの役割は大きく、その中で日本の出資割合も高くなってはいるものの、それに対して国民の皆様の理解は十分に進んでいないと考えております。

 日本が先進国だから出資は当然という意識ではなく、日本もコロナ禍で厳しい財政状況と向き合いながら、なけなしの資金で今回も増資をするんだということを多くの方に理解していただくことが必要です。

 限られた援助資金を貧困撲滅のため、教育や保健等、本当に困っている人たちに使い、ひいては日本の国益に結びつけることが重要であるかと考えます。

 もちろん、我が国が、先進国として、国際社会の一員として、発展途上国への開発支援において大きな責任を背負っていることは理解しております。ふさわしい、あるべき国際協力の在り方を引き続き模索していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平でございます。本日も、質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 今、審議の間でいろいろありましたけれども、IDAを含む世銀グループによる開発援助、かなり効果を上げてきたと思います。いろんな課題はありますけれども、これまでいろんな効果を上げてきました。特に、アジアの地域は開発援助の優等生なわけでありますけれども、もちろんマルチの開発援助に加えて、特にアジアの場合は、日本政府のバイラテラルの援助、戦後賠償から始まるわけですけれども、非常に効果があって、かなり卒業をする国が増えてまいりまして、今やIDAのドナー国になっているわけであります。

 また、その中でも、南アジアの地域が比較的遅れてきた地域ということなんですけれども、その南アジアでも、インドが既にドナー国になっておりますし、パキスタンは、借入れを受けながらでもやはり一方ドナー国にもなるという、そういう非常に前向きな国になっています。

 しかし、一方で、これを地域で見てみますと、南アジア地域全体としては、やはり分断の問題があります、紛争の歴史もあるものですから。そういう意味で、例えばこれを地域としてどのように見ていくのか、援助していくのか。

 例えば、インド、パキスタンそしてネパール、この辺り、国境を境とするところは、実は、水力発電ということに着目いたしますと、物すごいポテンシャルのある地域であります。そうだとすると、三国が共同でやるような水力発電のネットワーク、そういうものに対して、国境をまたぐという形で地域電力網ができるということに対してどのような貢献ができるんだろうか。

 マルチでも、地域内の協力支援について何か日本政府としてお考えがあるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

鈴木国務大臣 岸本先生の御指摘のとおり、インド、スリランカはIDAの支援対象国から卒業する一方で、パキスタンやバングラデシュは依然IDAの枢要な支援対象国となっております。世銀も、南アジア地域を世界で最も経済統合が遅れている地域の一つとして、例えば、域内の交通網を整備すれば貿易等の拡大を通じて経済成長が期待されると分析をしております。

 こうしたことも踏まえまして、我が国は、インドとバングラデシュを連結する道路網など、同地域における国境を越えた交通インフラの整備に取り組んでいるところでございます。

 先生が、国をまたいで水力発電などが大変有用なものではないかという御指摘もございましたが、南アジア地域の域内交流、協力が進んで経済の底上げが図られるよう、我が国としても、引き続き、こうした国をまたいだものも含めて取組を行ってまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 質疑の途中でありますが、間もなく震災の発生時刻となりますので、ここで質疑を一旦中断させていただきます。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

薗浦委員長 速記を起こしてください。

 この際、委員会を代表して一言申し上げます。

 間もなく東日本大震災の発生から十一年となります。

 改めて、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、被災地の復興を祈念いたします。

 ここに、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、午後二時四十六分に合わせ、一分間の黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

薗浦委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 質疑を再開いたします。岸本周平君。

岸本委員 それでは、引き続いて質問をさせていただきたいと思います。

 今年は第八回のアフリカ開発会議、TICAD8の開催が予定されております。

 アフリカの中でも多くの低所得国があるわけでありますが、低所得国では、いろんな問題はあるんですけれども、特に、子供の栄養不足、あるいは乳幼児の死亡率の高さ、保健衛生の分野がベースのところで大変遅れているということがあります。

 一方で、日本では、栄養分野でも大変優れた知見がありますし、さらに、保健衛生の分野では、母子手帳というのが、これはシステムとして世界的に大変効果のある、有用な道具として各国が導入をするという中で、進んだシステムとして、日本の得意分野でありますし、特に、国民皆保険ということで、保健医療分野でもこれまでの経験を生かすことができる分野であります。その意味で、先ほど審議の中でも出ましたが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの分野では日本の貢献は非常に期待されていると思います。

 そういう意味で、アフリカ地域への支援ということで、日本政府としてIDAとともにどのような方針で臨まれるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 TICADは、一九九三年の初開催以来、四半世紀を超える歴史を誇るフォーラムでありまして、アフリカ開発を推進するため、アフリカのオーナーシップを支える形で日本が主導してきたものであります。日本は、これまでも、IDAを始めとする世界銀行グループと連携をしながら、アフリカ地域において、インフラのみならず、ワクチン製造を含む保健、農業等、様々な分野で支援を行ってまいりました。

 本年八月末に開催予定のTICAD8に向けて、IDAを含む世界銀行グループとの連携を一層強化しながら、日本の強みを生かしつつ、アフリカ自身が主導する発展を引き続き力強く後押しし、ポストコロナを見据え、アフリカ開発の進路を示していきたい、そのように思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 それで、これまでの審議でも、開発援助におきまして、マルチがいいのか、バイがいいのかというような御議論がありましたけれども、これはもちろん、両方のバランスをどう取っていくかということなんだろうと思います。

 バイでいいますと、いろんな日本政府の援助、資金援助もありますけれども、さっきJICAの副理事長も来られていました。実は、私も国際金融の仕事をしておりまして、アジアをずっと回った経験があるんですけれども、JICAの職員の皆さんが、本当に本当に草の根で、そういう地域の奥まで入り込んで頑張っておられます。私たち、私は、財務省の国際局としても大変助かりました。JICAの皆さんが、本当に相手の政府、あるいはいろんなNGOを含む現地の皆さんとの信頼をかち得ていらっしゃる、すばらしいと思います。

 一方で、いろんな世界の、世銀グループもそうですし、マルチの機関が入り込んでいるんですけれども、そこの人たちの、ある意味、国際金融の仲間の中で、やはり日本が大変大きなドナー国であり、しっかりと出資をしているということが、何というか、国際協力畑の中での日本の立場をすごく上げているんです。だから、そこで働く人たちも胸を張って、マルチで貢献しているがゆえに、バイでも胸を張って活動できる。その中で、仲間の皆さん、いろんな機関の人とも仲よくできる、協力ができるという状況があることは、是非、議員の皆さんには御理解をいただきたいと思います。

 その上で、バイであれマルチであれ、これから大切なことは、まず、気候変動問題というのがあります。IDAが対象とするような低所得国にとって、気候変動の問題と経済支援の両立、これは結構大変なことであります。よちよち歩きと言うと失礼ですけれども、しかしながら、気候変動と経済支援の両立ということをこれからやっていかなきゃいけない。

 それに対して、我々日本政府、バイでももちろんできるわけですけれども、例えば世界銀行は、国別気候・開発報告書、CCDRの作成を既に開始をされています。まさに、日本政府として最も貢献できる分野ではないんだろうかというふうに考えておりますので、ドナー国として世銀とどのような貢献をしていくのか、協力をしていくのかについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 国際社会全体といたしまして、ネットゼロを実現をして、一・五度C目標を達成するためには、先進国のみならず、途上国において温室効果ガスの排出削減を進めることが不可欠であります。他方、途上国が経済発展していくにつれましてエネルギー需要が一層高まる中、必ずしも、再生可能エネルギーだけでそれを賄えるわけではありません。

 日本としては、このように一足飛びに再生可能エネルギーへの移行が困難な国もある中で、各国がそれぞれの経済的、社会的事情を踏まえつつ、ネットゼロに向けた現実的な道筋を歩めるよう支援していくことが重要だと考えております。こうした主張は、世界銀行グループの気候変動アクションプランにも反映されておりまして、IDAを含めた世界銀行グループとして、途上国における現実的なトランジションを支援していくこととされております。

 日本としても、引き続き、世界銀行等の国際開発金融機関と連携をしつつ、気候変動対応と経済成長の両立に向けた支援、これを進めてまいりたいと思っております。

岸本委員 時間が参りました。これで終わります。どうもありがとうございました。

薗浦委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 国際開発協会第二十次増資は、所得水準の特に低い開発途上国に対し、新型コロナウイルス感染対応のため、一年前倒しして増資するものであります。国際的な連帯でパンデミックと戦う上で、IDAを通して低所得国を支援する重要性はますます高まっています。さらに、IDA20プログラムには、教育、保健、栄養、ワクチン、セーフティーネット、障害者支援などの人的資本分野への優先投資を支援するという積極的な政策コミットメントが含まれており、評価できます。

 以上の理由から、出資増額を決める本法案に賛成です。

 一方、日本のODA研究者から、次のような指摘が上がっています。

 政府のODA大綱では、その重点政策の一番目に質の高い成長とそれを通じた貧困撲滅が掲げられた、ここに端的に示されているように、政府の発想はトリクルダウンである、世界銀行ですらこの発想から脱却してきたにもかかわらず、日本政府はいまだにこの古い発想に縛られている、こういう指摘が上がっています。

 そこで、大臣にお伺いします。

 現在、新型コロナ対策やロシアのウクライナ侵攻などによる食料などの国際貿易の影響が低所得国に重くのしかかっており、ますます最貧困国にとっての優先課題は、文字どおり貧困の撲滅であります。質の高いインフラ投資は優先事項ではなくて、生きるための必要な支援を重視するべきと考えますけれども、鈴木大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣 日本といたしまして、質の高いインフラということは実は重視をしているところなのでありますが、従来から、質の高いインフラのみだけではなくて、国際保健分野を始め、人的資本分野への支援を重視して、これに取り組んでまいりました。

 今回のIDA第二十次増資の交渉においても、日本が議論を主導する中で、ポストコロナに向けた成長を見据えて、国際保健や栄養、教育といった人的資本分野における支援の重要性を繰り返し訴えました。その結果、今般の増資においては人的資本が重点支援分野の一つとして位置づけられておりまして、その中で、国際保健、栄養、教育等、人的資本分野の支援に一層取り組んでいくこととされております。

 日本として、引き続き、世界銀行と連携をいたしまして、人的資本分野への支援、これもしっかりやってまいりたいと思います。

田村(貴)委員 次に、私、この委員会で再三取り上げてまいりました消費税のインボイスについて、ちょっと今日は苦言も含めて質問をしたいと思います。

 二月十五日の私の質疑に対して、インボイス導入に中止、延期を求める等の地方議会の意見書の数について、およそ五十との財務省からの答弁がありました。私、その質問の後に、意見書を上げた議会の一覧の提出を財務省に求めました。なかなか提出されないんですよね。なぜ提出されないのか。何度も何度も督促して、ようやく一枚の紙が届いたのは、今日の質問通告の後に、昨日の夕方、届けられたのであります。

 これは、財務大臣に届いている、地方自治法に基づく地方議会からの意見書なんですね。こんなオープンで、何で、簡単なものが、集約してすぐ出せないんでしょうか。教えてください。

鈴木国務大臣 田村先生から、二月十五日の委員会において、およそ五十の議会から提出された資料、これを出すように、そういうお話がございました。

 インボイス制度について地方自治体で採決が採られ、財務省に提出された意見書の一覧につきましては、先生の今の御指摘にございましたが、昨日提出した、こういうふうに聞いておるところでございます。

 提出に時間を要したのは、財務省で収受した意見書の原本確認とか内容精査といった確認作業を十分に行っていたためと、そういうふうに私も聞いておりますが、恐らく先生は言い訳を言っているというような受け止めになられるかもしれませんが、遅れてしまったことは大変申し訳ございません。

 今後も、資料要求など依頼のあった場合には、迅速かつ正確に対応できますように努めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 次の質問の回答までいただいたような感じなんですけれども。

 この意見書は、衆議院のイントラネット、意見書情報でもすぐに確認できる情報なんですよね。しかも、昨日の夕刻、私の元に届けられたまとめの資料、五十一の自治体、これをまとめただけなんですよ。

 でも、これもまたおかしいんですよ。兵庫県議会からの意見書が入っていないんです。兵庫県議会が去年の十月二十二日に可決した意見書は、こういう表題です。「シルバー人材センターの安定的な事業運営のために適格請求書等保存方式導入にかかる適切な措置を求める意見書」というものなんです。これはインボイスの意見書なんですけれども、なぜ入っていないのか。

 そうしたら、この資料の一番下に、表題にインボイスと記載のあったものを抽出としているんです。適格請求書等保存方式というのは、インボイスのことじゃないんですか。インボイスという五文字が入っていないから、何か、パソコンで検索して、これは並べただけ。私は、こういうやり方は非常にずさんだと思いますよ。およそ、ちょっと考えられない、いいかげんな対応。

 大臣、兵庫県議会の意見書、こうやって出ているんです。これは兵庫県議会に私は失礼だと思いますよ。

 これはいいです。後でまた大臣に聞きますけれども。

 森友学園事件で、財務省は、行政文書の提出を拒み、改ざんまで行いました。そして、麻生財務大臣は、この問題が、財務省、ひいては行政全体の信頼を損なったとして処分を行い、財務省として、今回の事態を真摯に反省し、二度とこうしたことが起こらないよう、文書管理や決裁手続等に関する再発防止策を直ちに進めてまいりますと反省されました。

 今国会でも、法人税の見積りに対する財務省の答弁がおよそ人ごとに聞こえる、無責任だとの指摘があって、これは問題になったところでもあります。

 説明をおろそかにする、資料を出し渋る、まともな資料が出てこない。財務省は森友事件の教訓を酌んでいないんですか。国民の代表である国会議員、国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会を、これは冒涜するものじゃないですか。財務大臣は、改めて、森友学園事件を教訓として、規律を徹底していただきたい。

 先ほどの答弁と重複するかも分かりませんけれども、こうした誰もがすぐに見ることができる資料なんですから、さっさと出していただきたい。そういうことをいま一度徹底していただけますか。

鈴木国務大臣 今回お示しした意見書の取りまとめでありますけれども、別に、悪意があって、隠すようなものでもそもそもないものでございますが、結果として大変遅くなってしまったことは申し訳ないと思っております。

 これからも、そうしたことにつきましては、正確に、かつまた迅速に対応できますように、しっかりとやってまいるように徹底をさせたいと思います。

田村(貴)委員 確認しました。

 それで、このインボイスに関する意見書は、シルバー人材センターに関わる意見書が物すごく多いんですけれども、鈴木大臣自身、意見書は大臣宛てに寄せられる、法に基づく意見書です、非常に大事な意見書です、シルバー人材センターからインボイス制度の影響について聞かれたことはございますか。

鈴木国務大臣 シルバー人材センターの方から対面でこうしたお話を伺ったことはございませんが、この御指摘の内容については、ただいまも話題になっております地方自治体から受領しました意見書でありますとか、国会での、主に田村先生からの御質問でありますが、その質問を通じた事務方からの説明等の機会を通じて承知をしているところでございます。

田村(貴)委員 これは、大臣にちゃんと地方議会から寄せられた意見書は届けて、そして、省全体として受け止めていただく。その議会の意見書の背後には、事業者の声、国民の声があるわけなんですよ。政府として、大臣として読んでいただきたい、聞いていただきたいという切なる声なんですね。ここを軽視してもらっては絶対に困るということを申し上げて、今日は質問を終わります。

薗浦委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

薗浦委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、井林辰憲君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 国際開発協会を含む国際機関への資金拠出を行うに当たっては、我が国の厳しい財政状況のもと、多額の資金を拠出することに鑑み、我が国の国際貢献として効果的かつ戦略的な資金拠出となるよう、然るべき国際機関の計画・方策に反映させるべく努め、国際社会における我が国の評価を高めるよう最大限尽力し、計画的に取り組むこと。また、国際機関の運営等に関して、主要出資国としてふさわしいリーダーシップを発揮するなど、我が国の国際的プレゼンスの向上に努めること。

 二 国際機関の活動や我が国の貢献について一層の広報活動及び情報公開を行い、当該資金拠出に関し国民の理解を得るよう努めること。

 三 我が国の国際貢献機会を拡大する観点から、国際機関において日本人職員の登用機会を更に広げる活動を推進し、有能な人材が円滑に採用されるよう努めるとともに、枢要なポストの獲得にも尽力すること。

 四 開発途上国の抱える債務問題が深刻化する中、国際開発協会など世界銀行グループにおいても債務国における借入先や借入額等の債務データを的確に把握することが重要であることから、債権国間で当該債務データの共有を促進していくとともに、債務国が適切な債務管理を行い、返済能力に応じた借入れが実施されて債務の持続可能性が確保できるよう、各加盟国に対し積極的に働きかけていくこと。

以上であります。

 何とぞ御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

薗浦委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

薗浦委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

薗浦委員長 次に、内閣提出、保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 保険業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木国務大臣 ただいま議題となりました保険業法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 保険業を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、保険契約者等の保護を的確に行うため、生命保険契約者保護機構がセーフティーネットとしての機能を万全に果たすことは引き続き重要であります。このような状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。

 生命保険会社が破綻した場合に生命保険契約者保護機構が行う資金援助等に関しては、本年三月末までの特別措置として政府の補助が可能とされているところでありますが、この措置の期限を令和九年三月末まで五年間延長することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

薗浦委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十一分散会


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