衆議院

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第16号 令和4年4月13日(水曜日)

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令和四年四月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 薗浦健太郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 藤丸  敏君

   理事 稲富 修二君 理事 末松 義規君

   理事 吉田 豊史君 理事 角田 秀穂君

      青山 周平君    井上 貴博君

      井原  巧君    石井  拓君

      石原 正敬君    門山 宏哲君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      国定 勇人君    小泉 龍司君

      小森 卓郎君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    西田 昭二君

      藤原  崇君    古川 直季君

      三ッ林裕巳君    八木 哲也君

      保岡 宏武君    山田 美樹君

      鷲尾英一郎君    江田 憲司君

      櫻井  周君    下条 みつ君

      中川 正春君    野田 佳彦君

      伴野  豊君    赤木 正幸君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      竹内  譲君    中川 宏昌君

      岸本 周平君    田村 貴昭君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   外務副大臣        小田原 潔君

   財務副大臣        岡本 三成君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   財務大臣政務官      高村 正大君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 和也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡田 恵子君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           小野平八郎君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    阪田  渉君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           牛草 哲朗君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           伏見 啓二君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    森  重樹君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    渡邊  毅君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部審議官)            高瀬美和子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           山中  修君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大澤 一夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     古川 直季君

  高村 正大君     国定 勇人君

  塩崎 彰久君     小森 卓郎君

  中川 貴元君     保岡 宏武君

  若林 健太君     井原  巧君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     青山 周平君

  国定 勇人君     西田 昭二君

  小森 卓郎君     塩崎 彰久君

  古川 直季君     神田 潤一君

  保岡 宏武君     中川 貴元君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     若林 健太君

  西田 昭二君     高村 正大君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――

薗浦委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人としてデジタル庁審議官内山博之君、外務省大臣官房審議官遠藤和也君、大臣官房審議官岡田恵子君、財務省大臣官房総括審議官小野平八郎君、関税局長阪田渉君、国際局長三村淳君、農林水産省大臣官房審議官牛草哲朗君、大臣官房審議官伏見啓二君、林野庁林政部長森重樹君、水産庁漁政部長渡邊毅君、資源管理部審議官高瀬美和子君、経済産業省大臣官房審議官山中修君、大臣官房審議官新川達也君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、国土交通省大臣官房審議官大澤一夫君、大臣官房審議官塩見英之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 自由民主党の鷲尾でございます。

 本日は、五年ぶりに財務金融委員会で質問する機会をいただきまして、同僚諸氏始め皆様方に感謝を申し上げたいと思います。

 早速でございますが、質問に入らせていただきたいと思いますけれども、今般、関税暫定措置法の一部を改正する法律案並びに外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案ということでありますけれども、ロシアによるウクライナ侵略に対して、各国横並びで、私どもも国際社会に対して、一致結束をして制裁を科していこう、このことは本当に大事なことでありまして、我が国は隣国がロシアでありますけれども、しっかりと一致結束をするということが私は極めて重要だと思っております。

 今、国民の皆様にも、毎日、ウクライナ、ロシアの戦争について大変悲惨な情報が耳に入ってくるわけでありますけれども、この二十一世紀の現代におきましてあれだけ悲惨な状況が目に飛び込んでくるというのは極めてショッキングなことでありまして、このロシアの侵略は、我が国としても、国民一丸となって許せないという一致結束した意思表示をしていくことが極めて重要であるというふうに思っております。

 ましてや、最近、被占領地域が解放された後に見ることができます余りにもひどいショッキングな状況というのは、本当に直視するのが堪えないわけでありまして、他方で、今、こういう情報化社会ですから、非常に皆さん、目にすることができます。それを思うにつけても、ウクライナの皆様方には心からのお見舞いを申し上げますし、我が国はできる限りの支援をしっかりとしていかなければならないという気持ちを日々新たにするわけであります。

 そういう中におきまして、今般、最恵国待遇を無効化する、そういう法律を改正するわけでありますが、そもそも、この最恵国待遇を無効化するということにつきまして、法律上の手続がこれまで明示されていなかったということがございました。もちろん、そういうことを想定していなかったというわけじゃなかったんでしょうけれども、実際に立法事実として適切なものがなければこういったことにも気づかなかったということだと思いますので、そういう意味におきまして、今般、しっかりと手続を明らかにしていくということ自体、非常に大事なことであるというふうに思っております。

 その上で、質問でありますが、昨日、代表質問でも各党の先生方からいろいろな質問がありましたけれども、その中でも、余り重複して質問が重ならないように、私も、昨日の質問もずっと聞きながら、ちょっとこの点は一応確認をしておかなければいけないということが幾つかございますので、そこにつきまして質問させていただきたいと思います。

 まず、最恵国待遇につきまして、これを無効化していくんだということでありますけれども、最恵国待遇を撤回するに当たって、これは公布日から一年間、令和五年の三月三十一日までという形で決めるということにしてあります。

 撤回するという理由やその基準につきましては先般の質疑でも明らかになったわけでありますけれども、これが、当面一年間とする、そういう理由につきまして、当局から御答弁をお願いしたいと思います。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の措置によりまして、ロシアに対して関税についての最恵国待遇を撤回することで、ロシアに対しては、WTO協定税率に代わり、国内法に基づく基本税率又は暫定税率が適用されることとなります。

 その措置の期間についてお尋ねをいただきました。

 もちろん、この措置、実際にいつまで必要かというのは見通せないところがあるわけでございますが、この措置が関税暫定措置法上に位置づけられることも踏まえまして、ロシアに対しても適用されることとなる関税暫定措置法上の暫定税率、この適用期限は令和五年三月三十一日までとされていることも踏まえまして、本法に基づく今般の措置の適用期限も同様に令和五年三月三十一日までの間とすることとしております。

鷲尾委員 今ので了といたしたいと思いますけれども、この公布翌日からいわゆる最恵国関税が撤廃されるわけでありますので、これは、まあ、多少といいましょうか、関係の事業者に関しましてはかなり影響があると思いますけれども、実際には魚介類や木材が影響があるといったところであります。

 他方で、天然資源につきましては、基本税率が無税でありますので、これにつきましては、WTOの税率が撤廃されたとしても変わりません。そういう意味では、影響を受けるのは魚介類であり木材という形になっております。関係者に対する迅速な周知徹底というのがどうしても必要になってくると思いますし、あわせまして、この関税率の変更で事務負担、当然ながら生じます。

 我々も、税率が変更するときには常に、税率が変更した際の実務上の負担というのは非常に過重になる可能性があるから、日頃、いろいろな支援策を考えるべきだということも議論をしているわけでありますけれども、今回は特に、特殊な事案でありますから、その影響を受ける事業者への対応というのは、特に輸入業者がそうだと思いますけれども、かなり懇切な対応が私は必要になってくると思いますけれども、この点、どのような検討がなされておりますでしょうか。財務省だけではなくて、今日は水産庁と林野庁にも来ていただいていますので、それぞれ御答弁いただけたらと思います。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正によりまして、ロシアを原産地とする物品について、WTO協定税率でなく、国内法に基づく関税率が適用されることとなります。

 これにつきましては、税関ホームページなどを通じて広報を行うとともに、輸入者や通関業者といった関係者に対して、関係団体を通じて周知することを予定しています。

 また、税関手続を電子的に処理するシステムでありますNACCSを通じまして輸入者がロシアを原産地とする貨物の輸入申告を行う場合に、システム上で自動的に国内法に基づく関税率が適用され、納付すべき関税額が適正に計算されるよう、システム対応も行うこととしております。

 このように、輸入者などがこれまでと同様に手続を行えるよう、周知、広報やシステム対応を適切に行ってまいりたいと存じます。

渡邊政府参考人 お答えをいたします。

 水産物の関係でございます。

 輸入業者のまず事務負担の関係でございますけれども、輸入業者や通関業者から我々が聞いている限りにおきましては、今回の関税率の引上げによりまして新たな事務負担は特段生じないというふうに聞いているところでございます。

 また、最恵国待遇の撤回によりまして、水産物の主な関税率が、イクラなどだと三・五%から五%、カニについては四から六%、サケについては三・五から五%というように、幾つかの品目で関税率が数%上がるということでございますけれども、水産物の輸入につきましては、関税の水準だけではなくて、商品の価格や為替レートの変動など様々な要素の影響を受けるため、一概に関税引上げによる影響を申し上げることはできないということでございますけれども、いずれにいたしましても、今般のウクライナ情勢に伴う貿易環境の変化によります水産物の輸入にどのような影響が生じているかについては、今後とも注視をしていきたいと思っているところでございます。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 林産物輸入への影響ということでございますけれども、まず、事務手続につきましては、先ほど財務省から御答弁ありましたように、関係団体を通じた広報に努めてまいりたいと考えてございます。

 林産物の主な品目の関税率は、今回の最恵国待遇の撤回によりまして、製材の一部で四・八%から八%に上がるものがある一方で、構造用集成材などの関税率は変わりません。

 また、木材の輸入の影響ということでございますけれども、昨年来のいわゆるウッドショックという状況の中で、既に国際的な木材価格の高騰が見られる中、関税率の水準だけではなく、商品の価格や為替レート、フレートの変動など様々な要素によって決まっていきますので、一概に関税引上げによる影響を申し上げることは難しいと考えてございますが、いずれにいたしましても、今般のロシア関連の動きが全体として木材の輸入にどのような影響を与えるかについて、今後とも注視していく考えでございます。

鷲尾委員 もう時間がなくなってまいりましたので、最後の質問とさせていただきたいと思いますけれども。

 冒頭も申し上げましたが、やはり一致結束をした経済制裁に対するコンセンサスを我が国としても国際社会に対して訴えていくということだと思いますけれども、他方で、今まさに日ソ漁業協力協定というのが議論をされております。この議論を開始するに当たっても、政府としていろいろな思いがあったと思います。また、大臣の御地元に関係することでもございますし。

 この日ソ漁業協定が今の時期に交渉開始をされたという理由、この時期に行うことに対する影響につきまして、お答えをいただきたいと思います。

高瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 日ロサケ・マス漁業交渉、これは十一日から日ロ漁業合同委員会を開催しておりまして、日本漁船による日本水域でのロシア系サケ・マスの操業条件等について協議を行っているところでございます。

 この日ロサケ・マス漁業交渉は、我が国の漁業活動に係る権益の維持、確保のためこれを行うこととしたものであり、日本の漁業者が受入れ可能な操業条件等が確保されるよう、しっかりと交渉に当たってまいりたいと考えております。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも冒頭御指摘ございましたですけれども、ロシアによるウクライナ侵略、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でございまして、我が国としては、G7を始めとする国際社会と連携しつつ、幅広く、厳しい対ロ措置を取るなど、毅然と対応してきているというところでございます。

 その上で、現在行われております日ロサケ・マス漁業交渉につきましては、我が国の漁業活動に係る権益の維持、確保のために交渉を行うということとしたものでございます。

 引き続き、我が国外交の全体の中で、何が我が国の国益に資するかという観点をしっかり考えながら、また、国際社会と連携し、関係省庁とともに適切に対応してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 せっかくなのでもう少し突っ込んだ御答弁をいただきたかったわけでありますけれども、なかなか今の状況で言えること、言えないことがあるのかなと事前のレクでも感じているところでございました。

 これから、六月には歯舞群島で昆布漁についての漁業交渉も始まりますし、その後、北方四島での枠組み協定の交渉もこれから始まります。そういう意味において、その都度その都度、私ども、ロシアに対してしっかりと経済制裁をしていくということとの整合性は問われると思いますので、政府は是非とも準備をいただきたいと思います。

 また、これで質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、今日は鈴木大臣から御答弁をいただく機会がなかったわけでありますけれども、これはある意味、今日は鈴木大臣の誕生日だから、きっとそこをいろいろ忖度をされたのかもしれませんけれども、大臣、今日はお誕生日おめでとうございます。

 以上、私、質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。大臣、お誕生日、私からも、おめでとうございます。

 ウクライナ各地で、ロシア軍の残虐非道な行為が徐々に明らかになってきました。武力でウクライナに押し入って、女性や子供、お年寄り、一般の人々の命まで奪っていく、このロシアの暴挙は断じて許すことができません。

 不幸にも命を落とされた方々の御冥福を深く祈るとともに、このような悲惨な事態が更に拡大しないよう、一刻も早い停戦を求めるとともに、塗炭の苦しみにあえぐウクライナの人々に対する人道支援を、国際社会と協調して、拡充強化すべきであると考えます。

 ロシアへの最恵国待遇の撤回とそれに伴う関税の優遇税率廃止の措置、制裁の抜け穴を防ぐための暗号資産の移転規制と暗号資産交換業者に対する制裁対象者に係るものかどうかの確認の義務づけを内容とする二法案も早急に成立させ、実行すべきであると考えます。

 その上で、幾つか質問をさせていただきます。

 ロシアのウクライナ侵攻以降、日本がロシアに対して行った経済制裁を振り返ってみますと、国際的な決済ネットワーク、SWIFTからロシアの特定銀行の除外、ロシア中央銀行の資産凍結、ディーゼルエンジンや半導体、半導体製造装置を始めとするロシアへの輸出規制などの措置が取られてきました。そして、三月十六日に岸田総理がロシアの最恵国待遇撤回を表明し、そのための法案が四月五日に国会に提出をされました。

 ここに至って、ロシアに対する経済的な制裁とその内容の妥当性について国会の議論に付されたと言えますので、ロシアへの制裁効果、日本への影響といった問題の前に、基本的なことから確認、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日本において最恵国待遇の撤回を決定するに至った経緯について確認をさせていただきたいと思います。

 WTO体制は、自由、無差別、多角を掲げ、貿易の自由化、多国間ネットワーク、加盟国間の輸出入品の平等な取扱いを加盟国に求めております。

 最恵国待遇は、ガット一条によれば、WTO加盟国は、自国がある産品に課す最も低い関税率や貿易関連の法令における最も有利な待遇をひとしくほかの全ての加盟国との輸出入に適用しなければならない。したがって、各WTO加盟国は、例えば、ある特定の加盟国からの産品について、それ以外のほかの加盟国に課すより高い関税で輸入を制限することも、逆に低い関税で優遇することも認められないこととされています。

 WTO加盟国は最恵国待遇を享受できる、これが原則であり、特定の加盟国をこの枠組みから外すことは、慎重な判断が求められる事柄であると考えます。

 本来であれば、WTOの枠組みから外すのであれば、WTO加盟を認めない、取り消すというのが筋ですが、WTOには具体的な除名の手続がなく、手続を新たに定めるにも、加盟国の全会一致が慣例となっていることから、ウクライナ侵攻に対しても、各国が独自の判断でWTO原則を否定する、最恵国待遇の撤回を行っているわけですが、日本のロシア最恵国待遇撤回はどのような手続を経て決定したのか、法案提出に至る経緯についてお伺いをいたします。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正、委員の御指摘にありましたように、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難し、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対する制裁を更に強化するため、関税についての最恵国待遇を迅速に撤回するものでございます。

 本年三月十一日に発出されたG7首脳声明において、ロシアの最恵国の地位を否定する行動を取るよう努めるとされたことを踏まえまして、三月十六日には、総理から、ロシアに対して外交的、経済的圧力を一層強めるため、ロシアに対する貿易優遇措置である最恵国を撤回する旨、表明されたところでございます。さらに、三月二十四日には、総理から、ロシアの最恵国待遇の撤回のための法改正案を今国会提出に向け準備を進めることが表明されたところでございます。

 本法案は、こうした背景を踏まえ、政府において、関係省庁等との調整を可及的速やかに行い、三月二十八日に関税・外国為替等審議会関税分科会において審議の上、四月五日に答申をいただき、同日四月五日に閣議決定をし、国会に提出をさせていただいたものでございます。

 よろしくお願いします。

角田委員 今回のロシアの蛮行に対して国際社会と協調して制裁も迅速に行わなければならないということが一つあったかと思いますけれども、これまで想定されていなかったことを急に、スピード感を持って判断しなければいけなかったという事情も理解できますが、今後に向けて、こうした日本としての判断基準、また、そのための手続の在り方については、是非とも検討していただきたいということをまず要望させていただきたいと思います。

 最恵国待遇撤回によって、具体的には、ロシアから輸入する木材の多く、サケやイクラ、カニなどの魚介類の関税が引き上がることになりますが、輸入業者などに対する説明が急がれると思います。また、今後の情勢の変化で期間を短縮する場合等も含めて、関係者に対してどのような対応を行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正によりまして、ロシアを原産地とする物品について、WTO協定税率ではなく、国内法に基づく関税率が適用されることとなります。

 この新しい適用につきましては、税関ホームページなどを通じて広報を行うとともに、輸入者や通関業者といった関係者に対して、関係団体を通じて周知することを予定してございます。

 また、税関手続を電子的に処理するシステムでございますNACCSを通じまして輸入者がロシアを原産地とする貨物の輸入申告を行う場合に、システム上で自動的に国内法に基づく関税率が適用され、納付すべき関税額が適正に計算されるよう、システム対応も行うこととしてございます。

 ただいま委員から御指摘がありました、措置の期間短縮といった場合も含めまして、関税率の変更を行う場合においては、輸入者などにとって不測の事態とならないよう、周知、広報などを適切に行ってまいりたいと思います。

角田委員 しっかり対応をお願いしたいと思いますけれども、今回の措置によりましても、液化天然ガスやパラジウム、石炭、原油などは、元々無税で、この措置でも税率は変更をされません。

 ロシアに対する制裁措置として高率の関税をかける国もありますが、今後、日本として、特定の国に対して制裁目的で関税を引き上げるということも考え得るのかどうか、また、考えているのかどうか、この点について確認をさせていただきたいと思います。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 G7首脳声明におきましては、各国の手続と整合的な形で、ロシアの最恵国の地位を否定する行動を取るよう努めることとされておりまして、どのような方法で最恵国待遇の撤回を行うかは各国により対応が様々となっております。

 こうした中、諸外国における措置については、例えば、アメリカ、イギリスやカナダのように高い関税率をかける国もある一方、EUは、関税率の引上げではなく、輸出輸入禁止措置の組合せで行うことを発表しているものと承知しております。

 我が国としては、国際社会と一致団結して迅速に対応する必要がある中で、国民生活への影響等を踏まえて、ロシアへの関税についてのWTO協定上の最恵国待遇を撤回することとしたものでございます。

 御質問いただきました関税率の引上げを含め、更なる措置については、予断を持ってお答えすることは差し控えますが、いずれにせよ、我が国としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して適切に対応してまいりたいと思います。

角田委員 次に、規制対象者から第三者への暗号資産移転規制について伺います。

 暗号資産の取引については、交換業者を介さない個人間の取引が可能であることなどから捕捉が困難であり、規制の実効性をどこまで確保できるか疑問視する声もありますが、まずは交換業者によるチェックが確実に行われるよう対応を求めたいと思います。

 日本は、当時世界最大の仮想通貨取引所であったマウントゴックスの大量のビットコイン消失と破綻を経て、二〇一七年の資金決済法改正で、仮想通貨に対する規制を世界に先駆けて導入をいたしました。その後、コインチェックの仮想通貨大量流出事件などで、登録に際しての事前審査の厳格化、検査の強化なども進められてきていると理解をしておりますが、新たな規制が着実に実行されているのかどうかの確認方法も含め、今回どのような対応を考えているのか、お伺いをしたいと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたように、暗号資産につきましては、これは、いわゆる交換業者を介さない個人間の取引、こういったものもございます。これの把握、捕捉が難しい、これは国際的にも指摘されてございますし、それに対してどのように対応するかは、まさに、日本にとどまりませんで、各国共通の課題というふうに認識をしてございます。

 もちろん、こうした業者を通さない取引についてどういう対応の在り方が望ましいのか、これは当然、国際的な場において各国当局とも引き続き議論をしていく課題だと考えてございますが、その上で、今般のお願いしております外為法の改正につきましては、先ほど委員からも言及いただきましたように、まずは業者を介した、こういう取引をしっかりと規制の対象にすることで、暗号資産が規制の抜け穴とならないように、できる手当てをまず速やかに講じていこう、こういう趣旨でお願いをしているものでございます。

 実効性の確保は当然重要でございます。業界としっかり連携するということが前提でございますので、まずは今回の法改正の内容を速やかに業界に対しても周知徹底を図っていく、これは当然でございます。それから、政府として、様々各国当局において把握している情報、公表している情報、こういったものを我々としても当局から業界の皆様方に積極的に提示をして共有をしていく。それから、当然、今回の法改正を踏まえまして、外為法上の立入検査あるいは報告徴求、こういった権限もございますので、必要に応じましてこういったこともさせていただきながら、しっかりと、望ましい実効性の確保のベストプラクティスについて業界にも徹底をさせていただきたい、よく連携してまいりたいと考えてございます。

角田委員 国内に目を転じますと、長引くコロナショックで売上げが大きく落ち込んだ飲食、宿泊、生活関連サービス、娯楽、陸運といった業種の企業は、全国にも多数存在しており、しかも中小零細企業が多いという特徴があります。そこにウクライナ情勢も加わって、原油を始めとする輸入原材料の高騰が追い打ちをかけております。

 現場を歩きますと、中小企業からは、売上げは回復してきているものの、コストの増加がそれを上回り、利益は減っている、取引先に価格への転嫁に理解を求めて二度三度と交渉しているがなかなか難しいとの声も伺います。

 政府が目指す賃上げ、そのための原資を確保できるようにする、そのためにも、特に弱い立場に置かれがちな中小企業の価格転嫁を後押しするため、取引先への指導の強化、相談体制の充実など、取組を強化していただきたいと思いますが、この点について見解をお伺いいたします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 原材料価格や燃料費が高騰している中で、取引適正化の取組、大変重要だと思っております。今日は幾つか事例を御紹介させていただきます。

 まず、価格転嫁を行うためには、価格を交渉するという、その場を設けるということが大事だと思っておりまして、昨年の九月に初めて価格交渉促進月間というものを実施したんですが、今年の三月もそれを再び実施いたしまして、価格交渉の浸透とその定着を図っております。

 今後、フォローアップ調査を行ってまいりまして、前回、四万社にアンケートを行ったんですが、今回は十五万社の下請中小企業に対するアンケート調査を実施いたしまして、業種別に価格交渉の状況を取りまとめて公表してまいりたいと思っております。

 それから、サプライチェーン全体での共存共栄を目指す取組として、パートナーシップ構築宣言、今、やっておりますけれども、大企業の皆様にも更に御参加をいただくなど、実効性を高めてまいりたいと思っております。

 それから、取組の三つ目でございます。全国の下請Gメン、これを倍増いたしまして、全国各地の下請企業の現場の悩みを丁寧に伺いながら、課題解決につなげていく。そのほか、相談対応の充実ということで、取引に関して総合的に相談を受け付ける下請かけこみ寺、あるいは足下のウクライナ情勢、原油価格高騰などの影響を受けている中小企業向けの特別相談窓口を設置しております。もっともっと御利用いただけるように、商工団体などを通じた周知など、更なる広報にも取り組んでまいりたいと思っております。

角田委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、江田憲司君。

江田委員 皆さん、おはようございます。

 大臣、お誕生日おめでとうございます。また、連日お疲れさまでございます。

 日々報道されておりますあのウクライナの惨状を見て、心を痛めておられる国民の皆さんも大勢いらっしゃると思いますし、ここにおられる議員の皆様、同じだと思います。

 プーチンによる残虐非道、卑劣な侵略行為は断固として許すわけにはいきませんし、それに対しては高い代償を払わせなければいけない。そういう意味で、これまで経済金融制裁をかけてまいりましたし、今回の法案もその一環だと認識をしておりまして、全くその内容等については異存はございません。ただ、残念ながらといいますか、プーチンの戦争遂行、侵略行為、継続の意思がみじんも揺らいでいないと私には見えるんですね。

 そういう意味から、ちょっと大臣を始め政府の方々に、今までの経済制裁の効果、さらには、これからの更なる制裁強化について、今日は具体的にお聞きをしてまいりたいというふうに思います。

 まず、昨日も末松議員、本会議で質問されておられましたが、ルーブルですね。ルーブルが、侵攻直後は一ドル百二十ぐらいまで落ちたんですよね。それが最近は一ドル七十だ、八十だという。元に戻ってしまっている。

 これ、当初はやはり、特に、金融制裁をかけることによって、中央銀行の外貨準備を凍結したりをして、ルーブルが下落したときの買い支えもさせないようにしようという意味でやっていたのに、なぜ、これだけの経済金融制裁をかけているのに、大臣、ルーブルが元に戻ってしまったのか、その要因をどう分析されておられますか。

鈴木国務大臣 おはようございます。

 江田先生御指摘のとおりでございまして、足下では、ルーブルの対ドル相場、これは侵略前の水準に戻っております。その要因でございますが、ロシアの輸出企業に対する外貨売却の義務づけでありますとか、国民に対するルーブルの外貨への両替停止など、ロシア当局の措置によりまして相場が支えられている側面も大きいのではないかと理解をしております。

 一方、いわゆる闇市場では、大幅な安値でルーブルが取引されているとの指摘もあると聞いております。

 ただし、これまでG7等が講じてきた制裁の結果、ルーブルの対ドルの水準ではございませんけれども、株価の下落、国債利回りの上昇が見られるほか、生活必需品も含めました消費者物価が急上昇するなど、様々な面でロシア経済に影響が出ていると認識をしているところでございます。

江田委員 大臣も触れられたように、主にロシア政府による資本の流出規制みたいなものが功を奏しているというようなことはあるんですけれども、これは、大臣、持続可能なものなんでしょうかね、ロシアにとって。これは、一時的に持ちこたえているのか、それとも、これまであるいはこれからの金融制裁等によって、やはりもう中長期的には下落していくのか。その辺の見通しをどうお持ちになっておられますか。

鈴木国務大臣 今後のルーブルの相場についてでございますが、様々な要因によって決まるものでございまして、その見通しについて、正直、確たることを申し上げること、なかなか難しいな、こういうふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今後の状況の推移、それから制裁の効果、そういうものを勘案しつつ、引き続き、ロシアに対して最大のコストを課すべく、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して適切に対応してまいりたい、そのように思っているところでございます。

江田委員 いずれにせよ、ルーブルという通貨の下落を、当初、ある意味でターゲットにもしてきたはずだったのが、これは当てが外れたと。一方で、これは余談ですけれども、円の方はどんどん安くなって、もう百三十円を超えるのは時間の問題だと言われているような。これも本当に何か、じくじたるというか残念な思いがあるんですが。

 それでは、ロシアの物価、確かに上がっているんでしょうけれども、ロシアの消費者物価等々ですね。しかし、これも、報道によりますと、一時、侵攻直後に上がったような上がり方じゃなくて、前週比で一%ぐらいの値上がりというような報道もあります。それから、何日か前、モスクワ市内のスーパーマーケットがテレビに映っていましたけれども、やはり品物は潤沢にあるんですよ。随分買占めがあるとか値上がりしたという砂糖だって、潤沢にあるんですね。

 私は、九〇年代、ロシアと北方領土交渉にも携わっておりましたので、そのときに鮮明に覚えているのは、やはり、ソ連邦崩壊直後は最も窮乏していたわけですけれども、ロシアは、私が訪ねた九〇年代の後半でも、スーパーの棚に品物がなくなるぐらいの経済的な困窮があったんですよね。それに比べれば全然もう、値段は上がっているんでしょうが、品物は潤沢にあって、困っていないという印象を受けたんですけれども、その辺の分析はどう政府としてされておられますか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 まず、物価についてでございますけれども、物価上昇率で申し上げますと、三月の物価上昇率は前年同月比で一七%ということで、これはかなり高い数字になっております。

 ただ、一方で、委員おっしゃるとおり、週次で見ますと、一番新しい数字が、四月一日に終わる週の一週間の数字が出ておりますけれども、前週比で一%ということで、上がり方としては相当減速しているというのは事実だと思います。

 他方で、品目別の物価上昇率というデータもございまして、同じ四月一日のデータで申し上げますと、例えば、砂糖ですと五・一%、前週比で上がっている、それから、タマネギにつきましては一四・二%上がっているというようなことで、一定の生活必需品等についてはかなり高い物価上昇率が続いているのではないかと考えております。

 それから、品不足の状況ということについてでございますけれども、私ども、もうこれはちょっと報道でしか承知していないわけですけれども、一般的に、スーパーなどで品不足の状況にあるわけではないという報道は承知しております一方で、食料品など一部品目では購入制限が実施されているらしいという報道も一方であるようでございます。

 引き続き、状況を注視してまいりたいと考えております。

江田委員 狂乱物価と言われるほどには上がっていないし、一時、ロシア国民も経験した経済的な困窮ほどにはなっていない。逆に、値段が上がっているのは、プーチンの宣伝にもよるんでしょうけれども、これは西側諸国のせいなんだと、むしろ結束、ロシアの国民のプーチン支持率を上げている一つの要因にもなっているのかなと、これも残念に思っていますけれども、余りこれは影響、所期の目的、成果は上げられていないのかなという感じを受けます。

 それで、ロシアが持っている外貨建ての国債等々のデフォルトの可能性、これもいろいろ言われてまいりまして、当然満期が来ている。四月にはドル建て国債の三百三十億ドルですか、満期が来て、それをどうするのか。ソブリン債三十三億ドルが六月までには償還時期を迎える。ロシアの対外債務の三割弱の千三百五十億ドルの満期は一年以内に来るという。こういうところでどんどんどんどん満期が迫って償還義務が生じているときに、今、CDS、クレジット・デフォルト・スワップ、保証料率は一〇〇%を超えると。クリミア併合のときのロシア国債のCDSはたかだか六%ぐらいの保証料だったのが、一〇〇%を超える。これはもう紙くず同然ということですよね、市場からすると、CDSが一〇〇%を超えるというのは。にもかかわらず、まだデフォルトはしていないわけですよ。

 いわゆるデフォルトの可能性についてどういう御認識を持たれておられるのか、大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 ロシアの国債につきまして、四月の八日金曜日、格付会社のS&Pが、外貨建てのものを一部デフォルトとみなすSD、選択的デフォルトとした上で、格付を停止をする旨発表したと承知をしております。

 既に主要格付会社三社全社がロシア国債の格付を停止しており、これらの格付会社がデフォルトを認定することはなくなった、そのように承知をしておりますが、ロシア国債の償還の水準につきましては引き続きしっかりと注視をしなければならない、そのように認識をいたしております。

江田委員 ちょっと基礎的なところで恐縮ですが、もしデフォルトということになれば、ルーブルの先ほどのレートですけれども、これは当然下落すると思っていいんでしょうね。

鈴木国務大臣 先生御指摘の可能性が極めて高いんだと思いますが、いろいろな要因もございますので、一概には申し上げられないと思います。

江田委員 一応、ルーブル、物価、品不足等々について、具体的に、経済制裁、金融政策の効果についてちょっと検証させていただいたんですけれども、大臣、これも基礎的なことで恐縮ですけれども、何のために、どういう目的を持ってロシアに対する経済金融政策をやっているのか、ちょっと原点に戻って、基礎的なことで恐縮ですけれども、お答えいただけませんか。何を目指しているんですか、この金融経済制裁というのは。

鈴木国務大臣 究極的には、侵略をやめさせて、そしてウクライナ領土内からロシアが撤退をさせる、それを目指しての制裁であると理解しております。

江田委員 そのとおりだと私も思います。

 しかし、今現状は、軍の撤退はおろか、停戦にも至っていないということですね。だから、やはり、これまでやってきた経済金融制裁は、史上最強最大とも言われておりますけれども、残念ながら所期の目的が達成されていないということは率直に認めなきゃいかぬと思うんですよね。

 我が国としては、ウクライナの戦争に参加するわけにもまいりませんし、欧米のように武器弾薬を供与するわけにもまいりませんから、政府としてやるべき本当に枢要な政策、対策としては、やはりこの経済金融政策が大きいわけなんです。

 ですから、そういう、今大臣がおっしゃられた所期の目的を達成するために、これからも私は更なる制裁強化を、事態のエスカレーションに応じて、国際社会と協調して、特にG7と協調してやっていかなければいけないと思いますし、その点、日曜日でしたか、NHKの世論調査は非常に勇気づけられるものでした。国民の皆さんに、今の経済金融制裁の現状をどう評価するかということで、何と半分近く、四七%の国民が更に制裁を強化すべきだと答えておられる。適切だという人も三十何%。

 ですから、やはり残念ながら今は余り功を奏していない。それはいろいろな理由があって、これから御質問させていただきますけれども、やはり本丸の、ロシアの輸出の半分を占めると言われているエネルギー、この肝というか本丸中の本丸を攻められないから、やはり今みたいな状況になっていると言わざるを得ないですね。

 そういう意味で、この前やっと、欧米に追随をして、日本も石炭のロシアからの輸入禁止、段階的な輸入禁止ですか、これについて岸田総理は発表されましたけれども、ここに期限が書いていないんですね。タイムスケジュールが全くない。EUの方も、多額の石炭輸入はしているにもかかわらず、八月には禁止するというようなめどを言った上での表明なんですけれども、日本の場合、この石炭輸入の段階的禁止のタイムスケジュール、タイムテーブル、今はどうなっておりますか。

細田副大臣 ありがとうございます。

 今先生から御指摘ございましたとおり、今般、G7首脳で足並みをそろえて、ロシアに対する制裁措置を強化するために、ロシアからの石炭輸入のフェーズアウトや禁止を含む、エネルギー面でのロシアへの依存を低減するための計画を速やかに進めることに合意をいたしました。

 その上で、具体的なエネルギー分野の制裁措置は、各国の事情、エネルギー安全保障の考え方に基づいて対応することとなっていると理解をしております。

 まず、この夏や冬の電力需給や産業界への影響をしっかりと見極めつつ、再エネや原子力を含めたエネルギー源の多様化、ロシア以外での供給源の多角化に向けた取組、生産国への安定供給の働きかけなどを通じて、ロシアのエネルギーへの依存を段階的に低減し、最終的に輸入しないという方向を目指してまいりたいと考えております。

江田委員 だから、そういう考えは分かるんですけれども、もう目の前に危機が進行しているときに、はい、やめます、しかしいつまでかは分かりませんでは、全く実効性がないわけですよ。もうずっと今までの話の流れをお聞きになってお分かりのようにね。

 EUは、私の知る限り、ロシアからの石炭輸入が四五%を占めているという。日本はたしか、発電用石炭のうち、ロシア輸入石炭の占める割合は一三%ですか。四五%も占めているEUですらが八月全面禁止ということを打ち出しているのに、日本政府としてそれで一体いいんでしょうか。もう一度お答えください。

細田副大臣 ありがとうございます。

 今先生から御指摘があったような国際的な状況というのは私どもも認識をしておりますけれども、ただ、一方、先ほど申し上げたとおり、具体的なエネルギー分野の制裁措置は、各国の事情、エネルギー安全保障の考え方に基づいて対応するということが基本であるというふうに認識をしております。

 御指摘は十分踏まえさせていただきたいと思いますけれども、当面、この夏や冬の電力需給や産業界への影響をしっかりと見極めながら対応させていただきたいというふうに考えております。

 いずれにせよ、ロシアへの依存を低減するための取組を可能な限り速やかに進めたいというふうに考えております。

江田委員 まあ、副大臣ですから、そのぐらいの答弁しかできないのは私も理解をしますけれども。

 これは、石炭、私も昔やっていましたけれども、オーストラリアの炭鉱開発。石炭、トップはオーストラリアですし、二番はインドネシアでしたか。とにかく代替手段はあるし、やはり石炭火力自体が全世界的にもうやめていこうという流れになっているので、とにかく、ピンチをチャンスに変えて、むしろそういう攻めの姿勢でこういう石炭輸入も代替していく、他のエネルギーも含めてというような、私は是非やっていただきたいと思いますし、何よりも、制裁の効果がない、言うだけじゃということです。是非ここは日本としてしっかりと対応していただきたいと思いますね。

 先ほどのNHKの世論調査でもう一つ私が非常に勇気づけられたことは、国民の七割の方が、エネルギー価格が上昇しても、電気料金が上がっても、ロシアへのエネルギー依存は減らしていくべきだと七割の人が思っているということなんですね。

 やはり、前回、私の質疑で募金活動のことも触れさせていただきました。三月、週末、三日間、数時間ずつ三日間で、私の地元だけで二百万円以上の募金が集まったんですよ。その中には、一万円札が二十枚、三十枚ありましたし、本当になけなしの年金から募金箱に入れてくださるお年寄りや、その他、お子さんですね、小中学生のお子さん、親御さんと一緒に入れてくださる方は、ある意味で親御さんが主導されてというのもあるんでしょうけれども、全く一人で、小中学生の人がお駄賃から百円、五百円、十円、一円入れてくれるという。だから、本当に、やはり日本人もウクライナ人と共にあるという連帯意識が、今、このウクライナの惨状を見て高まっているということなんですね。

 ですから、お金で済むことならもういいと、命は何物にも代えられないから。この命を、残虐なプーチンによって、女性や子供までも含む無差別攻撃で、残忍なやり方で亡くなられている命を守るためには、多少の経済的負担は甘受しようというのが日本国民の私は意思だと感じました。

 ですから、そういう意味で、石炭はもちろんのこと、それは本丸は、もう皆さんも御承知のとおり、石油と天然ガスですから。石油と天然ガス、先ほど申し上げましたように、ロシアの輸出の半分を占める。これでもう着々と今戦費を調達しているわけですから、プーチン、ロシアは。ヨーロッパからもどんどんお金が入っている、日本からも今も入っているということなので。それは、難しい問題があることは恐らく私が一番よく分かっていると思います。旧通産省時代のプロジェクト、サハリン1、サハリン2ですから、私自身よく分かっておりますけれども、しかし、もう一度お聞きしますけれども、日本がどうしようが、対応しようが、継続する、撤退しないと言おうが、例えばEUも、原油をまずどうするか検討しようと、EUの大統領、幹部、言い始めましたよね。今まさに検討していると思いますね。

 EUというのは、御承知のように、原油、石油は二五%ロシアに依存して、天然ガスは四五%も依存しているんですよ。日本は、原油がたしか三・六%、天然ガスは八・四%ですね。はるかにEUはロシア依存が高い。例えば、EUが何らかの形でロシアからの原油、天然ガスの輸入規制というか、禁止まで踏み込むかが分かりませんけれども、そういうものに踏み込んだときは、日本もそれに追随せざるを得なくなると思いますが、その点についてどうお考えですか、政府としては。

細田副大臣 ありがとうございます。

 もう先生よく御存じだと思いますけれども、確かに、御指摘があったとおり、まず、先ほど申し上げたとおり、今月七日に発表されたG7の首脳声明で、ロシアからの石炭の輸入のフェーズアウトや禁止を含む、ロシアへのエネルギー依存低減に向けた計画の速やかな実施や、ロシア産石油の依存度低減に向けた取組を加速することとされております。また、十一日の欧州外務理事会において、石油やガスの制裁も含め、全ての選択肢が議論の俎上にのったものの、結果として何も決定されなかったというふうに聞いております。

 我が国の追加的なエネルギー関係の制裁措置については、現時点で予断することは差し控えたいと思いますが、今後、G7の方針も踏まえつつ、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

江田委員 あと、プーチン、こんなことを言っているんですよね。プーチンは、ロシアの非友好国に対して、天然ガスの輸入代金をルーブルで支払うことを要求する、それに従わない場合には天然ガスの供給を打ち切るとしている。これが方針ですよ。そして、御案内のとおり、G7はルーブル支払いを拒否しましたから。

 これも一つの大きな要因として、日本がどう対応しようが、いきなりロシアがサハリン1、2についても供給をストップさせるということも十分考えられるんですよ。それについてはどうお考えですか。どう考えるというか、先ほどの、EUが輸入禁止に踏み切る場合、プーチンが一方的に打ち切る場合、最悪の事態を想定してエネルギー安全保障とおっしゃるのなら、政府は当然今でも準備をされている、検討されている、代替手段を検討されている、そうじゃないと政府の責任を果たしていないということになりますけれども、政府の今の検討状況を御答弁ください。

細田副大臣 ありがとうございました。

 ロシアの現在のウクライナの侵略に対して、G7を始めとする国際社会が連携して追加のロシア制裁を強化する中、足下でロシアが対抗措置を講じている現状を踏まえれば、不測の事態に備えて万全の対策を取る必要があると考えております。これは先生御指摘のとおりだと考えております。

 とりわけLNGの安定供給について、既に電力、ガス会社が二、三週間程度のLNG在庫を有しておりますけれども、今後、様々な可能性もございます。この可能性も踏まえて、ロシア以外のLNG生産国やスポットマーケットからの代替調達も世界中で取り合いになっており、非常に見通しが厳しいところでございますけれども、事業者間の融通に加えて、電力システム全体での機動的な電力の広域融通などにも取り組んでまいりたいと考えております。

 また、G7の首脳声明に沿って、再エネや原子力も含めたエネルギー源の多様化、LNGへの投資などによるロシア以外での供給源の多様化、主要消費国とも連携した生産国への増産の働きかけなどを通じて、ロシアへのエネルギー依存を低減するべく、更なる取組を進めてまいる所存でございます。

 このような取組を通じて、エネルギーの安定供給確保に向けて、官民で連携して、力強く取り組んでまいりたいと考えております。

江田委員 そういうストップされた場合も万全を期すという御答弁ですから、しっかりそのとおりやっていただきたいと思います。

 いずれにせよ、これは非常に難しい問題ではありますけれども、もしかしたら耳にたこになっているかもしれませんが、桜田経済同友会代表幹事がおっしゃっている、記者会見で。サハリン2については、ロシアが国際法違反を繰り返しながら、日本企業は何もなかったかのように取引していくことは考えられない、価値観が通じない国で取引していくリスクをこれまで以上に考えていかなければいけない、ジェノサイド、集団虐殺に近いことを繰り返す国の重要企業や重要プロジェクトについては、今関与している商社もしかるべき判断をされると思う。全くそのとおりだと思います。

 それから、小林健日本貿易会会長、この秋、日商会頭にもなられるそうですけれども、三菱商事の会長でもあって、これは実は、後で触れますアーク2から早々に撤退した企業でもありますけれども。ロシア産液化天然ガスの調達について、会見で、産地や調達時期を変更するスワップ取引など、実体的な解決手段はあるんだ、こう言っていますから。

 私は、もうもたないと思いますよ。だって、ロシアというのは、平時でも平気で接収、国営化する国ですからね。だって、サハリン2も起こったじゃないですか、二〇〇六年。御存じですよね、二〇〇六年、何がサハリン2に起こったか。いきなりロシアの当局が環境破壊だといって工事計画認可を取り消して、それを口実にガスプロムを参入させ、過半の資本を取得させて、いわゆる国営化にしたわけでしょう。こういうことを平気で平時でもやる国ですからね。

 何度も言いますけれども、こういうリスクのある国に、日本のエネルギーの安全保障、委ねていいんですかという。もっと大きな国益に照らして、岸田総理、岸田政権としては、是非、財務大臣、もう財務大臣も幾らでもお金を出している立場なんですから、国務大臣としても、是非そういう大局的判断をしていただきたいと思いますね。

 もう時間もなくなってきたので、このアーク2と言われる問題を取り上げます。これはもっとひどい話、即刻、撤退すべきだと私は明言します、このアーク2というのは。

 アーク2というのは、御承知じゃない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、これは、二〇一九年の大阪におけるG20時に、安倍、プーチンの間で合意した首脳案件ですね。

 このアーク2というのは北極海の天然ガス開発なんですけれども、これを主導しているノバティックという会社は、実はこれはクリミア併合時の制裁対象企業なんですよ。米国が制裁対象にした企業がノバティック。ノバティックの事実上の支配者はゲンナジー・ティムチェンコといいまして、これはプーチンの黒い金庫番と言われていますよ、黒い金庫番。それを見事に米国の制裁の尻抜けとして、元々、安倍総理というのは、クリミアのときにも腰砕けの制裁にとどめて、欧米からは制裁潰しだ、尻抜けだと批判され、ロシアは大喜びしたということがありましたけれども、その一環として、二〇一九年といえばほぼ北方領土が返ってくる見込みもない時期にも、こういったアーク2というものを経産省主導でやったということですね。

 これは北極海のプロジェクトでありまして、さっきのサハリンとは違います。地政学的にも何ら日本の利益はありませんし、日本に供給しているんじゃなくて、これは中国に主に天然ガスを供給するプロジェクトですから、日本のエネルギー安全保障上もほぼ関係ありませんのでね。

 こういう、そもそも、G7諸国というか欧米の制裁破りのようなこのアーク2は、日本のエネルギー安全保障の観点からも全く痛痒を感じないので、これは即刻、撤退すべきだと私は強く申し上げたいと思いますけれども、政府の見解、御答弁ください。

細田副大臣 ありがとうございます。

 先生よく御存じだと思いますけれども、現在の我が国のエネルギー自給率は一〇%程度でありまして、残念ながら、OECD諸国では最低のレベルでございます。まず、その現実を冷徹に踏まえるべきであるというふうに考えております。

 その上で、御指摘ございましたアークティックLNGプロジェクトやアークティックLNG2プロジェクトは、世界的にLNGの新規調達が困難な状況において、長期的かつ安定的に一定量のLNGを調達できるプロジェクトであると認識をしております。いずれのプロジェクトも、自国で権益を有し、長期的な資源の引取り権が確保されており、現状のようなエネルギー価格高騰時は市場価格よりも長期的に安価に調達できることから、エネルギー安全保障上、重要なプロジェクトであるという認識でございます。

 我が国としては、エネルギー安定供給をしっかりと確保しながら、G7の方針を踏まえつつ、引き続き、国際社会と連携して適切に対応したいと考えております。是非、この点について御理解いただくようお願いします。

江田委員 全く関係ないですよ、そんなことは。日本のエネルギー安定供給であるとか自給率とか、全く関係ないプロジェクトなんですからね。

 大臣も、それは副大臣は答えられないのは当たり前なので、大臣、国務大臣として是非認識していただきたいのは、このプロジェクトというのは、欧米がクリミア併合時にかけた制裁破りのプロジェクトだということですよ。安倍さんとプーチンが主導したプロジェクトだということです。日本のエネルギー安全保障にも全く関係ないプロジェクト、北極海。それに対して、砕氷船だといって、北極海は氷があるから、四隻も八隻も砕氷船だと、また莫大な金をかけて。

 それで、これは、さっき言ったように、黒い金庫番という、このノバティックが六〇%株を持っているんですよ。ここに日本が投資すればするほど、プーチンのまた戦争財源になっていくわけです。日本に全くメリットがない。欧米のやっている制裁破りだ。

 これは、申し訳ないけれども、今までの経済金融制裁は、全てG7、国際社会の後追いでしょう。さっきの石炭もそうだし、金融制裁だって、ズベルバンクとアルファバンクの資産凍結、アメリカがやったからしようがない、やりましょう、欧州が石炭やったからやりましょうでしょう。

 これは独自性が出せるんですよ、大臣。これは、日本の独自、日本が絡んでいる企業、プロジェクトですから、欧米追随じゃなくて、独自性が出せる制裁になる。是非、大臣、ちょっと最後、お聞きになった上で、御答弁できたらお願いします。

鈴木国務大臣 現在の、ロシアがウクライナに侵攻して、そして領土と主権の一体性を壊し、力による現状変更を試みる、そして、その過程におきまして、女性、子供を含む無辜の市民が虐殺をされているということ、これはもう全く許せないことでございまして、最高に強い言葉をもって非難をしなければいけないと思います。

 そういう中で、日本も主に経済制裁ということを、G7を始めとする世界、社会と足並みをそろえてやってきたというのが実情でございますが、その中でも、各国、置かれた立場によって、足並みはそろえながらも、やはりここはできるけれどもここはできないという、それはあるんだ、こういうふうに思ってございます。そういう中で、ロシアに対する代償を最大化する、そして、国民生活や日本経済に与える副次的効果を最小化するということを基本に置きながら、これから進めていくべきだと思います。

 江田先生が御指摘のアーク2事業につきましては、これは私、所管外でございまして、今日、先生からよくお話を伺ったところでございますが、そこについての判断を今この場で私が申し述べるということは、これは控えさせていただきたいと思います。

江田委員 大臣、二千億円の融資を一応約束している国際協力銀行は大臣の所管ですから。国際協力銀行はこれを引こうとしています、今、余りにもリスクが大きいので。

 それだけ最後に申し上げて、是非、国務大臣としてリーダーシップを内閣の中で発揮をしていただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

薗浦委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属の櫻井周です。

 大臣、私からも、お誕生日おめでとうございます。

 本日は、対ロシア経済制裁の関連する法案として、関税暫定措置法と、それから外為法の改正案ということで質問をさせていただきます。

 まず冒頭、ロシアの侵略で犠牲になられたウクライナの方々に心から哀悼の意を表します。

 また、一刻も早い軍事行動の停止と、ウクライナに住む方々の平和と安全確保を強く求めていきます。

 さて、昨日の衆議院本会議で、立憲民主党、我が党の末松議員が質問で申し上げておりますとおり、本日審議の法案は、ウクライナを侵略するロシアに対する経済制裁を強化するための手続整備であり、必要なことだと考えております。一方で、不十分な点であるとか、不明瞭な点があることから、質問もさせていただきます。

 まず、今回の法改正ないしロシアに対する経済制裁について、この目的についてお尋ねをしますということで通告をさせていただいております。

 ただ、これは、先ほど江田議員からの質問の中でも御答弁いただいておりますので、ちょっとこの質問は私から確認させていただくのみにさせていただきます。

 結局、これまでいろいろ経済制裁、既にやってきたものはありますし、今回の法案でするものもある。また、四月八日に岸田総理が表明されたものも、追加措置もございます。

 こうしたことを踏まえて、昨日の法案趣旨説明の中では、大臣は、ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、G7と連携し、ロシアに対する外交的、経済的圧力を一層強める、こういうふうに言われている。しかし、外交的、経済的圧力を一層強める、その先にあるのは一体何か、最終的な目的は何かといいますと、やはり、ロシアの侵略をやめさせる、ロシアをウクライナから撤退させる、こういうことだということを先ほども御答弁いただきました。そうなんです。そこを原点に、そこから逆算して必要な措置を組み立てていくということが必要だというふうに思います。

 今回の法案も、全体像の中のその一部だと思います。全体像をどう考えるのかということがなかなか話の中で出てこないものですから、本当にこれで大丈夫なのか、利くのか、これまでのところ十分に利いていないじゃないか、ロシアはまだ戦争を続ける気でいるぞ、こういうことなので、そのことについて後ほどまたしっかり質問をさせていただきます。

 ちょっと、法案の個別具体的な課題についてまずお尋ねをいたします。

 関税暫定措置法の改正について、今回最恵国待遇を取りやめるということなんですが、これは、対象となる国、物品、期間は政令で定めることになっております。

 今回はロシアを対象とするということで、そのことは当然だと思います。しかし、この法案の中には、ロシアと書いているわけではございません。政令で定めるということなわけなので、そうすると、今後は、政府にある種、白紙委任、立法府は通さないということになってしまいます。

 昨日の衆議院本会議で岸田総理は、緊迫した国際関係等を踏まえ、機動的かつ効果的に対応する必要があるため、法律で定める要件に基づき、法令、告示により対応する、このように答弁されております。ですが、今回の法律、三条に書いてあるわけですけれども、三条を見ましても、「便益を与えることが適当でないとき」としかなくて、特段の要件が見当たらないんですね。

 ですから、ちょっとお尋ねをしたいのは、政令で定める国、物品の期間、どのような判断基準で判断するのかということです。

 今回の件については、ロシアについて言えば、国会で非難決議、衆議院では三月一日にやっています。参議院では三月二日にやっています。国連総会でもロシア非難決議を三月二日にやっています。こうした決議を踏まえて判断するというのであればそれは理解できるんですけれども、この判断基準、改めて御説明をお願いいたします。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも御説明いただきましたとおり、今回の法案は、三月十一日のG7首脳声明において、ロシアの最恵国の地位を否定する行動を取るように努めるとされたことを踏まえて、日本としてロシアへの外交的、経済的圧力を一層強める観点から、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、ロシアに対する最恵国待遇を迅速に撤回するためのものでございます。

 このように、今回の措置は、国際社会と一致団結してロシアに対して厳しい措置を取ることを目的としたものでございますから、当然のこととして、対象国はロシアということにしてございます。

 また同様に、国際的に連携してロシアの最恵国の地位を否定するという目的でございますので、対象品目については全品目とするということとしてございます。

 一方、期間については、ロシアに対しても適用されることとなる暫定措置法上の暫定税率がその適用期限が令和五年三月三十一日までとされていることも踏まえ、本法に基づく今般の措置の適用期限も同様に令和五年三月三十一日までの間とすることとしているところでございます。

櫻井委員 今回のことについてはG7で合意した範囲ということの御説明というふうに承ったんですが、ただ、今後について、では、今回の法律の中でG7の合意とかそういうことも何も書いてないわけですよね。ですから、ちょっとお尋ねをしているわけで、やはりちょっと、そこは、今のは今回の件はこうだったという説明だけなので、今後ロシア以外のことについてこういう措置が必要になるケースはあるかもしれない、そのときにではどういう判断基準でやるのか。

 今回の場合は、先ほど申し上げたように、国会決議もある、国連総会もある。それはもうどこからどう見てもこれは必要なことでしょうということでみんな納得できるわけなんですけれども、もう一度、ちょっと、その判断基準、未来のことについて、ロシア以外について対象にする場合どうなのかということについてお尋ねしているので、お願いします。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 将来、対象国、対象物品、期間を追加、変更などする場合の判断基準、これにつきましては、現在、将来更にこれを追加するということは考えていないものでございますので、現在お答えできるかと申しますと、一概に、こういう基準であるとお答えすることは困難でございます。

 その時々の国際的な状況などを踏まえ、外務省を始めとする関係省庁とよく相談した上で……(発言する者あり)その時々の国際的な状況等を踏まえ、外務省を始めとする関係省庁とよく相談した上で判断することとなると考えております。

櫻井委員 いやいや、ちょっと、法律の作り方として、政令で、もう政府の中だけで決められちゃうでしょうと。ロシアについてはいいですよ、国会で決議していますから。でも、これから先どうなるのか。法律には、ロシアとか何も、国会決議が必要とか何も書いていないわけですよ。政府の一存で勝手にばんばん決められるという作りになっているから、しかも、岸田総理が、法律で定める要件に基づきと言っているんだけれども、法律を見たら特段の要件は書いていないから、それで聞いているんですよ。

 ですから、この答弁が、しかも、今回、急いでやったから、附帯決議を作る時間もなかったから、今の答弁が今後のこの法律の運用の縛りになるわけですよ。ですから、そこは、ちゃんと丁寧にやりますよということを、国際社会、外務省とか相談するだけじゃなくて、国際的な、おおよその合意らしきもの、国連総会の決議とまで言ってしまうと縛り過ぎるかもしれないけれども、何らかそういう基準を示してください、こういうお願いをしているわけなので、もう一度お願いいたします。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のロシアによるウクライナ侵略に対して、国際社会、連携して、厳しい措置を迅速に取ることが求められる場合を、今回のような、そういう状況を念頭に置いた法律でございます。

 本法案では、国際関係の緊急時において、WTO協定による関税についての便益を与えることが適当でないときと規定させていただくことで、法律によって要件を限定させていただいた上で、そして、対象国等を政令で定めさせていただくこととしております。

 また、今回の措置で、ロシアに対して適用される関税率は、国会で既に……(櫻井委員「いや、それはもういいから」と呼ぶ)分かりました。

 先ほど、冒頭に申し上げましたとおり、今回のような、G7を始めとする国際社会が連携して、しかも、WTO協定による関税についての便益を与えることが適当でないということで連携しなければいけないようなときを念頭に置いた法律でございますので、今後、そういう判断をするときが来ますれば、そういったことを念頭に判断していくことになると思います。

櫻井委員 ちょっと、局長だからもう、これ、大臣、ちょっとお答えくださいよ。

 ロシア、今回、やるわけですけれども、ロシアとこういう、これぐらいひどいことがあればやりますよと、これが一つの判断基準なんですというような、今の、先ほどの趣旨の答弁だったと思うんですけれども、大臣、それでよろしいんですか。

鈴木国務大臣 政府に政令で任せられているわけでございますが、何も政府が勝手にどんどんどんどん進めるというものではもちろんございません。

 次なる、こういう、この法律を活用する機会があるのか、ないのか、分かりませんけれども、万が一、また発動するようなことがありましたら、丁寧に国会にも御説明をして、御理解をいただけるように努力をさせていただきたいと思います。

櫻井委員 ちょっと、余りここの要件について詳しく検討されていなかったのかもしれないですけれども、ロシアが念頭にあることは、それはいいんですが、今後、この法律が何らか独り歩きしてしまわないように、その点、今、国会に対して、丁寧に説明して、理解を求めていくということでしたので、是非よろしくお願いします。

 続きまして、次、外為法の改正についてですが、暗号資産について、個人と個人との直接取引の捕捉は困難ということも指摘をされているところでございまして、実効性、どのように担保するのかということについては、先ほど角田委員からの質問にお答えいただいた以上のものは出てこないのかなというふうに思いますので、これもちょっと、質問をパスさせていただきまして、次の項目に移らせていただきます。

 次に、対ロシアの経済制裁についてです。

 これまでロシアに対して経済制裁を行ってまいりました。二〇一四年に、ロシアがウクライナ領のクリミア半島に、軍事力によって併合した、この際にも、日本はロシアに対して経済制裁を行いましたが、このとき、どのような効果があったのか、経済制裁の目的は達成できたんでしょうか。これは大臣、お答えいただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 二〇一四年、ロシアによりますウクライナの主権及び領土の一体性に対する侵害を受けまして、我が国は、アメリカ、EUとの協調によりまして、金融制裁として、個人、団体に対する資産凍結、及び、ロシアの主要銀行の我が国における証券の発行、募集の禁止の措置を講じたところでございます。

 G7諸国が連帯してこのような措置を講じたことで、例えば、一例を挙げますと、日本を含む主要国の銀行による対ロシア融資の残高が二〇一四年の制裁措置を境に大幅に減少したほか、ルーブル相場も対ドルで下落するなど、全体として一定の効果はあったのではないか、そのように思っております。

    〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕

櫻井委員 一定の効果はあったか、効果はあったのかどうかということについて言えば、お配りしております資料の三で、ロシアの実質可処分所得の伸び率の推移ということで、確かに二〇一四年以降、ロシアの国民の皆さんの所得はむしろマイナス傾向になっていて、一定の効果はあったのかもしれませんが、じゃ、制裁の目的は何だったのかというと、これはクリミア併合をやめさせるということが本来的には究極の目的だったはずですが、この目的はやはり達成できなかった。達成できなかったばかりか、先ほど江田議員からの質問にもありましたとおり、二〇一六年には協力プランを示して、それで制裁破りみたいなことを日本政府はやっちゃったということで、全く制裁どころではなかったのではなかろうか、こういうふうにも思うわけです。

 それを踏まえて、その反省を踏まえて、今回、この二〇二二年二月以降のロシアに対する経済制裁についてもお尋ねをいたします。

 これまで既にやったものです、既にやったものとして、SWIFT遮断、資産凍結などやっていますけれども、これまでのところ、どのような成果があったんでしょうか。

鈴木国務大臣 これまで、G7各国等と緊密に連携をしつつ、ロシア政府による新たなソブリン債の我が国における発行、流通の禁止、ロシア中央銀行への制裁措置、最大大手行でありますズベルバンクを含むロシアの銀行に対する資産凍結、ロシアへの新規投資の禁止などの厳しい制裁措置を迅速に講じてきたところでございます。

 この結果、ロシアにおきましては、株価の下落、年初に比べますとマイナスの三七%、国債利回りの上昇、年初比でプラスの二・五%、こうした国債利回りの上昇が見られるほか、生活必需品も含めた消費者物価が急上昇しております。こうした様々な面での、ロシア経済に影響が出ていると認識をいたしております。

 政府としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をしてまいりますが、ただいま御審議をお願いをしておりますこの法案に基づく対応も含めまして、圧力を更に強化してまいりたいと思っております。

櫻井委員 今回の二法案の改正によって、これも経済制裁ですけれども、これについての効果はどのようなものを見込まれていますか。

鈴木国務大臣 ロシアに対する様々な制裁措置の中で、今御審議をお願いしております二法案の改正の効果を定量的に申し上げること、これは困難でございますが、関税暫定措置法の改正により、国際社会と一致団結してロシアに対して厳しい措置を取るという我が国の意思、これを強く示すとともに、外為法の改正により、各国と足並みをそろえて暗号資産に対する規制を強化することで、日本が制裁の抜け穴になることを防ぐことが重要である、こういうふうに考えております。

 そこで、ロシアに対する制裁の効果につきましては、これまでに我が国が講じてきた措置のみならず、G7を始めとする国際社会によって講じられた措置を含めた対ロシア制裁全体の中で判断していく必要があるのではないかと考えているところでございます。

 これからも、ロシアに対する国際的な経済制裁の実効性の確保にしっかりと努めていかなければならないと考えております。

    〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕

櫻井委員 今、定量的な評価は難しいと。それはそうでしょう。

 もう一言言えば、関税についても、最恵国待遇をやめますと言ったって、既に皆さん御承知のとおり、エネルギーについてはゼロがゼロのままで何も変わらない、そのほかの水産物等についてもそんなに高い関税がかかるわけでもないという意味で見れば、制裁に効果があるのかというと、余りないだろうというふうには思うわけです。

 ただ、これはやらないよりやった方がいいですし、それは必要な措置だと、足並みをそろえるということは必要ですが、この点についても、これだけでは足りないから、もっともっと必要な措置、関税を高い関税率にするのか、金融にするのか、数量を減らすのか、いろんなことをこれからもちゃんと検討いただきたいというふうに思います。

 それから、四月八日、岸田総理が記者会見で、五本柱の経済制裁を表明している。ロシア産の石炭の禁輸、ズベルバンクの資産凍結など表明していますけれども、これはどのような効果を期待しているんでしょうか、見込んでいるんでしょうか。

本田大臣政務官 お答えいたします。

 我が国は、これまで、G7首脳声明などを踏まえまして、ロシア政府高官や軍事関係者などに対する制裁、ロシアの銀行に対する資産凍結などを含む金融分野での制裁、また、輸入禁止措置など厳しい制裁措置を着実かつ速やかに実施してきております。

 ロシアのエネルギーへの依存低減につきましても、G7首脳声明を踏まえまして、エネルギー源や供給源の多角化のための取組を可能な限り速やかに進めていく方針でもございます。

 我が国を含む各国の制裁措置によりまして、物価の上昇や外国企業の撤退、操業停止など、ロシア経済への様々な影響が出ていると認識をしております。

 そうした中で、四月八日に岸田総理が、今委員御指摘のとおり、石炭輸入のフェーズアウトや禁止を含むエネルギー分野でのロシアへの依存の低減、また、機械類、一部木材、ウォッカなどのロシアからの輸入禁止、さらには、ロシアへの新規投資の禁止、また、ロシアの最大手銀行の資産凍結、ロシアの軍事関係者、議員など、資産凍結の対象の更なる拡大という五つの柱から成る追加制裁を発表しましたが、これも着実に実施をしているというところであります。

 こうした様々な措置によりまして、一刻も早くロシアが国際社会の声に耳を傾けて侵略をやめるよう、我が国としては引き続き、G7を始めとする国際社会と結束をして、更に強固な制裁を講じていきたいというふうに考えております。

櫻井委員 いろいろ経済制裁をやってきているけれども、先ほど江田議員からの指摘もありましたとおり、資料二に示しております。ロシア・ルーブルのUSドルとの為替レートの推移でございますが、ルーブルがルーブになっていますけれども、ルーブル、ちょっとミスタイプ、失礼いたしました。

 これは一旦ルーブル、安い方に振れたけれども、結局今は戻っている。闇レートでは高い水準だという、大臣の御答弁もありましたけれども、結局のところ、この一連の経済政策は、ロシアに侵略戦争をやめさせるというのが究極の目的で、これはまだ達成できていないし、その兆しも出てきていない状況ですから、これではまだまだ足りないということだと思います。

 これまで、これは私から見える姿ですけれども、経済制裁。経済制裁をする側の都合で、これだったらできるかな、これだったらできるかなというのを、何か小出しにしちゃっている、やりやすいところからやっているという印象があります。

 でも、それはやる側のところで、環境が整ったものからやっていくということで、仕方がない部分があるにしても、やはり戦争をやめさせる、侵略戦争をやめさせるという目標があって、目的があって、そこから逆算して、本当は、こういう措置が効果がある、あれもやる、これもやるということを組み立てていかなければいけないというふうに考えるんですね。そういう全体像がちょっと見えないものですから、そして目標達成への道筋が見えないものですから、これがいろいろ心配するところなんです。

 このままずるずると戦力の逐次投入というようなことで、これは戦略としては余り賢い方法ではありませんから、こうやってちょっとずつやっていって、利かないからということでずるずるずるずる長期化すれば、これは制裁する側の悪影響もどんどん大きくなってくるわけです。返り血を浴びるという表現をする人もいますけれども、これは返り血どころの騒ぎじゃないですね。やはり、肉を切らせて骨を断つみたいな話ですから、我々も肉を切られるわけですよ。我々の方からも血がどんどん出ていっちゃうわけですよ。

 そういうことに対して、やはり一刻も早くロシアの侵略戦争をやめさせる。これはもちろん、ウクライナの人たちに対して、ウクライナの方々の命を守る観点からもそうなんですけれども、やはり我々の経済制裁する側も、これは長くなっちゃうとだんだんしんどくなってきちゃいますから、実効性のあるものがやりにくくなるかもしれない。だから、そういう意味でも、早期に決着をつけるんだ、そういう強い意思で、そしてその意思を裏づける戦略が必要だと思うんですね。

 それで、先ほど来議論になっておりますけれども、資料一を御覧いただきますと、これはロシアの主要輸出品目でございますが、これは圧倒的に、やはり鉱物性燃料、エネルギー、石炭、石油、天然ガス、こうしたものが非常に多いということが明らかになろうかと思います。

 それから、資料四を見ていただきますと、これはロシアの政府の歳入ですけれども、四割から五割は石油と天然ガス関連なわけです。ロシア連邦の国家予算は二十五兆ルーブルぐらい、日本円に直しますと三十八兆円ぐらいかと思いますけれども、これは、石油と天然ガスの収入がなくなると、戦争するため、戦争するにもすごくお金がかかりますけれども、そのお金が調達できなくなるのではないか、こういうふうにも考えられます。

 一方で、ロシアの国民経済を考えたときに、これは資料三、先ほど示しましたけれども、ロシア経済は既に国民生活が厳しい状態が続いていますけれども、これはもう既に厳しい状態になっているし、先ほど江田議員からも御紹介ありましたとおり、ソ連邦崩壊のときに比べればはるかにましな状態ということですから、果たしてそれがどこまで利くのかというのはございます。

 結局これは、今回の経済制裁、大きく分けて二つのアプローチがあろうかと思います。

 一つは、戦争をするためにはロシアはお金がかかる、そのお金を調達できないようにするということ、お金の面でのもの。それから二つ目は、ロシアの国民世論に働きかけて、やはり戦争はやめようよという世論が盛り上がるという、その二つが大きなアプローチではなかろうかと思うんですが、二つ目のロシアの国民世論に働きかけるというのは、これは、すぐにどうこうなるというものでは、なかなか難しいというふうに思います。ロシア国内でも世論統制が行われているということですのでなかなか難しいことを考えると、やはりお金、戦争するお金をなくしていくということが重要だというふうに考えます。

 こうしたことを踏まえて、大臣、やはりこの全体像をちょっと示していただきたいんですよ。

 経済制裁の目的、先ほど大臣も、ロシアに侵略戦争をやめさせる、ウクライナからロシア軍を撤退させると。その道筋を是非ちょっと示していただきたいんですけれども、今すぐここで示せないというのでも、いずれ、しかるべきときにというか早急に示していただきたいと思うんですが、これは大臣、見解いかがですか。

鈴木国務大臣 一つは、ロシアが侵略をやめ、ウクライナ領内から撤退させるというその目的に向けてですが、これは、日本一国や例えばアメリカ一国が制裁だと言っても効果は上がらないわけでありますから、これからも、やはりG7を始めとする国際社会と連携をして、そういう国際社会の中でロシアに圧力をかけていくということが一番重要なんだと思います。

 これから全体像をと、こういうことでありますが、まず、いわゆる国際社会が一致団結して進むということでありますので、しっかりと連携をしながら、協議をしながら、最大限の効果が上がるものをこれからもしっかり考えていくということが大切ではないかと思います。

櫻井委員 ちょっと今の大臣の御答弁に象徴されるのが一つの姿だと思うんですね。そうじゃないんですよ。もちろん、国際社会と連携するのは大事です。G7、連携するのは大事です。でも、ロシアを、これでもう戦争できないようにする、お金がなくてもう戦争できませんという状態に追い込んでいくこの道筋を、いや、それは日本単独で描くものではないでしょう、アメリカやそのほかのG7各国とも協調しながら、こういう絵面ですよ、これでもうロシアはこれ以上戦争できませんというところに追い込んでいくんだ、そういうのをきちっとこの国際協調で示していくということが大事なんじゃないですか。

 そのときに、じゃ、例えば中国とかインドとか、大きなところに穴が空いているよね、この穴もどうやって防ぐのかということを、これも昨日の衆議院本会議で末松議員が質問していましたけれども、そういったところも重要になってくることが全体像から見えてくるし、そうすると、国際世論として、じゃ、中国とかインド、ちゃんとやってねということも議論として沸き上がってくると思うんですね。

 ですから、改めて、ちょっとこの全体像、国際協調の中で示していただくということをお約束いただけませんか。

鈴木国務大臣 岸田総理も、外遊等を通じまして、例えば、様々なロシアに対する国連での議決について、棄権に回ったり、また、ロシア寄りの立場を取っている国に対する働きかけもしているところでございます。

 そういう努力も積み重ねながら、やはり国際社会として、これはもう国際秩序の根幹を崩すような行為でございますから、そういうような外交努力をしながら、制裁の効果を高めていく。

 そして、先生御指摘のとおり、報道等によりますと、一日の戦費も相当かかるわけでありまして、そういう兵糧攻めというんでしょうか、そういう観点も大切なのかなと思いながら、先生の御質問を聞いていたところでございます。

櫻井委員 ちょっと、全体像を示してください、そのことをお約束くださいという、御答弁をいただけなかったんですけれども、是非お願いいたしますよ。

 ちょっと次の質問に移らせていただきます。

 日本経済、これは、経済制裁すると、日本経済にも悪影響があります。また、その前から、ロシアがウクライナに侵略を始めたということで、物流等も滞って、経済に対していろいろな悪影響があります。

 日本経済にどのような悪影響があるのかということと、それからあわせて、それに対して、やはり日本の国内の国民経済、先ほど江田議員の紹介でもありました、日本の世論調査の中では、経済制裁、もっと強くやるべきだ、日本国内において、物価が少々上がったりということは、それはつらいけれども、それはもう我慢しますよ、ウクライナの方々と共にあるんだ、そういう世論が日本国内でもあるわけですが、とはいいながらも、ちゃんと日本の経済も守っていかなければいけないということで、立憲民主党としましては、先週、四月八日に、総額二十一兆円の緊急経済対策、発表しております。

 こうしたことを政府としてもしっかり、この立憲民主党の提案、のんでいただくのが一番いいんですが、それは政府も政府なりの考えはあるでしょうが、やはりこれぐらいの規模の経済対策、やっていく必要があると思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 先生おっしゃるとおりに、経済制裁を科せば、その副作用として、日本の国民生活、それから日本の国の経済に対する影響が出てくるというのは御指摘のとおりでございます。

 御指摘の影響につきましては、引き続きしっかり注意していく考えでありますが、例えばウクライナ情勢等に伴う原油価格高騰に対しては、既にガソリン価格の上昇を抑える激変緩和措置等の対策を実施してきております。

 さらに、現在、物価高騰等に対応するため、四月末を目途に、総理から指示のありました総合緊急対策を策定するべく、検討を急いでいるところでございます。

 総合緊急対策の具体的施策について、現在、早くできますように検討を行っておりますが、国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応できますように、関係省庁と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

櫻井委員 今、四月末に総合緊急対策というお話がございました。

 これは、規模としてどれぐらいのものを想定されているんですか。

鈴木国務大臣 総理の指示によりますと、令和三年度の補正予算も出ております。それから令和四年度の予算もございますが、そういったものを、前倒しできるものは前倒しをする、その上で、予備費、通常予備費五千億、それからコロナ関連予備費五兆円、まずはこの予備費を活用するということでございまして、そういう総理の方針の下で対策を取りまとめていくということになると思います。

櫻井委員 いや、今、コロナの五兆円の予備費とおっしゃいましたけれども、それ、まずいんじゃないですか。私、今お尋ねしているのは、このロシアのウクライナ侵攻に伴う、物価高とか、いろんな国民経済へ影響が出ていることについての対策としてお尋ねしているんですよ。

 コロナ対策、新型コロナウイルス感染症対策予備費は、新型コロナウイルス感染症に係る、感染拡大防止に係る経費に充てるものですよね。それ以外のところに使っちゃったら、これ、予算総則に反しますよ。これ、その五兆円ではなくて、ちゃんと正々堂々と、補正予算、組んでいくべきなんじゃないですか。

 それから、五千億円の一般の予備費を使うと。これだけじゃ足りないでしょう。しかも、これから梅雨が来て台風が来てという時期があるわけですから、これはちゃんと、いざというときの災害対策、残しておかないといけない。地震だっていつ起きるか分からないわけですよ。

 ですから、そこに充てるのではなくて、やはり、今、国会開いているんですから、正々堂々と補正予算を組むべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、財源的には、令和三年度の補正予算、それから令和四年度の予算におきまして、前倒し執行できるものは前倒しをしていくということでございます。

 そして、この検討しております総合緊急対策に盛り込まれる具体的施策というものは今後決まっていくわけでございます。そして、コロナ予備費は、御承知のとおり、コロナ感染症拡大に対して、それに対応するための予備費であるわけでございますが、一般論として、各省庁からコロナ予備費の趣旨に該当して使用したいという要求があれば、その要求の個別具体の内容に基づいて、使用の可否、それをしっかりと判断することになる、こういうふうに思います。

櫻井委員 いや、でも、そうすると、コロナ対策はコロナ対策に使いますということで、それから、五千億円、それから予算の前倒しといったって、これは、元々予算編成したときに、ロシアがウクライナに侵攻することを想定していなかったわけですよね。ですから、それに対応するような予算組みになっていないわけですから、やはりこれはちゃんと補正予算を組むべきではないですか。

 最後にもう一度、補正予算、組みますということを、大臣、御答弁いただきますようお願い申し上げます。

鈴木国務大臣 今緊急対策を検討しているところでございます。その中で、総理からは、既定予算の前倒し、そして、この通常予備費、コロナ予備費をまずは活用するという指示が出されているところでございまして、今決まっておりますのはそこまででございます。その指示に従って作業を進めていきたいと思っております。

櫻井委員 時間になりましたのでこれで終わりますけれども、国会は六月までとりあえず会期があるわけですから、それまで十分対応できると思います。是非、補正予算を組んで、国民経済、しっかり守っていただくようお願い申し上げて、質問を終わります。

薗浦委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。

 大臣、お誕生日おめでとうございます。大臣は、私の母と同い年でございます。大臣から見ると、私は子供のような年齢の若輩者ではございますが、大変恐縮ですけれども、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に移らせていただきます。

 昨日、本会議で総理にも質問させていただきましたが、改めて財務大臣の方にもお伺いいたします。

 日銀が大規模な金融緩和を続けている中、世界的にインフレが進み、各国の中央銀行が金融政策の正常化を図っています。結果として、日米の金利差が拡大し、その差は今後更に進んでいくことが予想されます。そういった現在の状況に関してどのような見解をお持ちなのか、お答えください。

鈴木国務大臣 アメリカのFRBにおいて金融緩和を見直す動きがあるということ、これは承知をしておりますが、各国の金融政策は、それぞれの国の経済、そして物価、金融情勢に応じて実施されるもの、そのように理解をいたしております。

 他方、日本銀行におきましては、引き続き、二%の物価安定目標の実現に向けて、適切に金融政策運営を行われること、それを政府としても期待をしているところでございます。

 その上で、御指摘の日米金利差は、双方の中央銀行の金融政策のみならず、様々な要因により決まるものでありまして、今後の見通し等について一概に申し上げることは困難であると考えております。

 また、為替につきましては、日米金利差だけでなく、様々な要因によって市場において決まるものであると理解をしておりまして、これも一概に申し上げることは難しいわけでございますが、政府としては、為替の安定というものは重要であり、急速な変動は望ましくない、そのように考えておりますので、引き続き、特に最近の円安の進行を含めまして、為替市場の動向や日本経済への影響をしっかり、そして緊張感を持って注視をしてまいりたいと思っております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 昨日の総理の答弁の中でも、暗号資産の技術の発展を阻害することのないよう留意するとの発言がございました。また、以前の財務金融委員会でも、麻生前財務大臣も、ブロックチェーン技術には大きな可能性があり、大事であると発言されております。ブロックチェーン技術の進展と表裏一体である暗号資産の広範な流通も、我が国の国益に十二分に資するものであると考えます。

 暗号資産などに対応した税制については、我が国が雑所得として課税方式を取る中、世界では既に、株式と同様、キャピタルゲイン課税となっており、国際競争上不利となっています。暗号資産の広範な流通が国益に資するということ、国際金融市場における競争力の確保、そしてブロックチェーン技術の発展という観点からも、暗号資産取引で得た利益は、世界先進各国と同様に、キャピタルゲイン課税とすることに強い合理性があると思料します。御見解をお聞かせください。

鈴木国務大臣 藤巻先生が御指摘のとおり、暗号資産の取引に係る所得につきましては、外国通貨の為替差益と同様に、原則として雑所得に区分をされておりまして、総合課税の対象となっているところでございます。

 一方、上場株式等の譲渡益等につきましては、税制の中立性、簡素性、適正執行の確保などの観点のほか、貯蓄から投資へとの政策的要請を受け、一般投資家が投資しやすい簡素で中立的な税制を構築するといった考えから、二〇%の分離課税が採用されているところでございます。

 暗号資産の取引による所得に二〇%の分離課税を採用すべきとの御意見があること、これは承知をいたしておりますが、給与や事業で稼いだ方は最大五五%の税率が適用される一方で、暗号資産で稼いだ方は二〇%の税率でよいとすることについて国民の理解を得られるかどうか、また、株式のように、家計が暗号資産を購入することを国として推奨することが妥当なのかどうかなど、様々な課題があると考えておりまして、今後、丁寧な検討が必要なのではないかと思っております。

藤巻委員 是非検討の方を進めていただければと思います。

 暗号資産税制のもう一つ大きな問題点についてお伺いいたします。含み益のある暗号資産をほかの暗号資産に交換した時点で課税されてしまうということです。

 暗号資産を法定通貨に換え、利益が実現した時点で課税されるのがあるべき形ではあると考えますが、現在の制度はそうなっておりません。例えば、円でビットコインを買って、そのビットコインが値上がりをする、その値上がりしたビットコインでイーサリアムを買う、この時点でビットコインの値上がり分に課税されてしまいます。本来であれば、そのイーサリアムを円に換金し実現した利益に対して課税すべきと考えます。

 この制度のせいで、二〇一七年十二月から二〇一八年にかけて、大幅な価格の変動で多額の納税義務が生じ、多くの人が立ち行かなくなりました。つまり、値上がりした暗号資産をほかの暗号資産に換えたことで納税義務が生じて、その後交換した暗号資産は価格が大幅に下落、手元に残ったのは多額の納税義務と含み損を抱えた暗号資産という人が多くいました。この人たちの利益は実現していません。

 含み損を抱えるのは投資のリスクとしてしようがないことかもしれませんが、ここに納税義務が発生するのは余りにも酷なのではないでしょうか。ルールやリスクを十分に把握していなかったのが悪いと切り捨てるのは余りにも残酷なのではないでしょうか。

 さらに、暗号資産取引の利益は雑所得であるため、損失の繰越しもできません。このような制度の下では、暗号資産の広範な流通、ひいてはブロックチェーン技術の発展を望むことは到底できません。

 暗号資産を他の暗号資産に交換した時点では納税義務が生じずに、法定通貨に交換し、利益が実現した時点で課税する制度に改めるべきと考えていますが、御見解をお聞かせください。

鈴木国務大臣 御指摘のとおり、暗号資産同士を交換する場合につきましては、元々保有していた暗号資産の取得価額を新たに保有することとなる暗号資産の時価が上回れば、経済的利益が実現していると考えることから、これを所得として課税することとなっております。

 これは、為替取引において、例えばドルをユーロに交換する場合においても、同様に、経済的利益が実現すれば所得として課税されていることを踏まえれば適切な取扱いである、そのように考えております。

 いずれにいたしましても、税制のことにつきましては、QアンドAを作るとか、いろいろな関係される方々に御理解いただけるような努力をしっかりやっていきたいと思います。

藤巻委員 確かにユーロ、ドルとの関係はそうなるんですけれども、暗号資産同士の交換というのは、ユーロ、ドル間のものよりもはるかに活発に行われておりますので、その部分というところもやはり考慮に入れていただきたいなというふうに考えております。更なる御検討の方、どうぞよろしくお願いいたします。

 国際金融市場において、今や暗号資産は大きなウェートを占めており、決して無視できるものではありません。米国には、法定通貨、暗号資産が健全な競合をすることにより、最も効率的で安価な金融システムが構築されるとの意見も多いと聞きます。また、世界では十五億人以上もの人々が銀行口座を持っておりません。暗号資産であれば、その人たちを決済ネットワークに取り込むことができ、新しい大きな商流を生み出すことができます。

 この分野で立ち遅れることは、国益の損失を意味します。もちろん、本法案の趣旨にありますよう、マネロンやテロ資金対策、制裁対象者への取組を強化することは前提とした上で、暗号資産の広範な流通、ブロックチェーン技術の発展、ひいては国際金融市場での国益の確保のために、暗号資産取引による利益に対する税制をキャピタルゲイン課税とすること、暗号資産同士の交換には課税せず、法定通貨に換え、利益が実現した時点で課税するという制度に変えることを求めさせていただきます。

 続いて、次の質問に移ります。サハリン1、2に関してお伺いいたします。

 まず、このプロジェクトの概要をお答えいただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 サハリン1は、国や日本企業が出資するサハリン石油ガス開発株式会社が参画する石油プロジェクトでございます。原油輸入の約九割を中東に依存する我が国にとって、中東以外からの原油調達先として貴重なプロジェクトでございます。

 サハリン2につきましては、三井物産と三菱商事が参画する原油及びLNGのプロジェクトでございます。LNG輸入の約九%を供給し、発電電力量の約三%に相当するなど、我が国の電力、ガス供給に不可欠なエネルギー源を供給するプロジェクトでございます。

 いずれのプロジェクトも、自国、日本で権益を有し、長期かつ安価なエネルギーの安定供給源として保有しておりまして、現状のようなエネルギー価格高騰時には市場価格よりも安価に調達できることから、エネルギー安全保障上重要なプロジェクトであるというふうに考えてございます。

藤巻委員 昨日の総理の答弁で、ロシアがエネルギー供給を止める不測の事態も想定し、官民を挙げて万全の対策を取ると述べられておりました。また、LNGに関しては、事業者間融通や電力の広域融通などを組み合わせ、国内のエネルギー安定供給に努めるとおっしゃっております。

 一方、先日、読売新聞のインタビューで、東京ガスの内田社長は、サハリン2からLNGの輸入が止まったら都市ガスの供給支障を起こすと答えております。日本が輸入するLNGのうち、サハリン2からの調達が約八%を占めています。他国のプロジェクトとすぐに長期契約をするのは難しく、スポット取引量が不足していることから、代替分全てをスポットから買うのは物理的に不可能とも話されています。

 もしスポット取引で代替分を賄えたとしても、ガス料金の上昇や企業への大きな負担が予想されます。仮にロシア側から供給を止められた場合、どのような影響を想定されているのでしょうか、お答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、電力・ガス料金は、その原料、燃料となりますLNG価格や原油価格が国際的に上昇する中で上昇してきてございます。

 具体的に申し上げますと、日本の電力、ガス事業者はLNGを専ら長期契約で調達しているわけでございますが、その際のLNG購入価格は一般的に原油価格に連動する契約となってございます。

 このため、昨年来の原油価格の上昇に伴って輸入LNG価格も上昇してきているわけでございますし、また、あわせて、委員からも御指摘がありましたスポット価格、スポット調達の比率も増えてございますので、これが国際的な需給の逼迫の下で非常に上昇してきているということは、電気・ガス料金の上昇につながるものだと考えてございます。

 仮に、サハリン1、2に限らない話でございますけれども、世界的な原油、LNGのグローバルマーケットの供給量が減ることになりますと、需給に応じてLNG価格が上昇します。同時に、それは国内の電気・ガス料金の更なる上昇につながることが想定されるところでございます。

 なお、国内の電気、ガスの料金につきましては、従前から、原料、燃料の価格に需給調整をうまく、の高騰に備えた激変緩和の仕組みを導入してございます。

 具体的に申し上げますと、例えば家庭用の電気料金につきますと、過去三か月の燃料費の平均を取って価格に反映することにしてございますので、激変緩和という意味では和らぐ形にはなってございますが、いずれにせよ、価格の上昇というものは料金の上昇につながってくるところでございます。

 ガスについても同様の仕組みでございますけれども、いずれにしろ、この上昇が急激に起こらないように取組を進めていきつつ、燃料価格や電気・ガス料金の動向については、しっかりと注視して対応していくことが必要かと考えてございます。

藤巻委員 今回のケースに限らず、自国内で確保できる資源が限られている我が国にとっては、エネルギーの安定供給のための資源の代替調達の経路を確保していくことは非常に大事なことです。ロシアから一定の割合を輸入しているLNGや石炭の代替調達ルートについてどうお考えになられているのか、お答えください。

 また、今般の事情とは異なる話ではありますが、原油の輸入は七五%近くをサウジアラビアとUAEに依存しています。何かしらの理由でこの二か国からの供給が滞った場合、代替調達ルートの確保など、どのような対策を想定されていますでしょうか。併せてお答えください。

細田副大臣 ありがとうございます。

 先生からるる御指摘あったとおり、エネルギーの安定供給というのは、国民経済、日本の経済社会の基盤でございまして、この安定供給の確保に全力を尽くす所存でございます。

 まず、LNGの安定供給につきましては、既に電力、ガス会社が二、三週間程度のLNG在庫を有しておりますけれども、今後、様々な可能性も想定されます。ロシア以外のLNG生産国やスポットマーケットからの代替調達も世界中で取り合いとなっておりまして、大変厳しい見通しではございますけれども、事業者間の融通に加えて、電力システム全体での機動的な電力の広域融通などに取り組んでいく所存でございます。

 さらに、先ほどお話をいたしましたG7の首脳声明に沿って、再エネや原子力を含めたエネルギー源の多様化、LNGへの投資などによるロシア以外での供給源の多様化、主要消費国とも連携した生産国への増産働きかけなどを通じて、ロシアへのエネルギー依存を低減すべく、更なる取組を進めてまいりたいと考えております。

 また、石油の代替調達先についてでございますけれども、代替調達のいわゆる手段でございますけれども、これは、既存の原油国への増産の働きかけでありますとか、あるいは公的ファイナンスを通じた上流開発投資への積極的な支援、また、安全な代替のシーレーン確保を含む調達先の多角化など、あらゆる手段を通じて、官民で連携して、エネルギーの安定供給に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

藤巻委員 エネルギーの安定的な確保は極めて重要な課題でございます。あらゆる可能性や選択肢を模索していただければと思います。よろしくお願いいたします。

 続いての質問に移らせていただきます。

 ちょっと時間の関係で一問飛ばさせていただきますけれども、現在、今週月曜日から、太平洋のサケ・マス漁の日ロ漁業交渉が始まっています。去年の交渉は五日間ほどかかったと聞いております。昨今の状況下、交渉の難航も予想されますが、現在の交渉の進捗状況や、交渉妥結時期のめど、どのような着地点を想定しているのか、交渉ではあるので言えない部分も多いとは思いますが、可能な範囲でお答えください。

高瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 日ソ漁業協力協定に基づく日ロサケ・マス漁業交渉については、一九八五年から始まりまして、毎年、日本漁船によるロシア系サケ・マスの操業条件等について協議を行っています。

 今年は、今月十一日から日ロ漁業合同委員会を開催しておりまして、日本水域での操業に関する協議を行っているところであります。

 交渉の見通しにつきましては、現在交渉中であるため、予断を持ってお答えをすることは差し控えますが、日本の漁業者が受入れ可能な操業条件等が確保されるよう、しっかりと交渉に当たってまいりたいと考えています。

藤巻委員 ありがとうございます。

 サケ・マス漁に限らず、日ロ関係が複雑化する中、貿易においても今後も難しい交渉が続くことは考えられます。また、この後も日ロの大きな漁業交渉が控えています。日本の国益をしっかりと確保すべく交渉に臨んでいただくことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 皆さん、おはようございます。日本維新の会、赤木正幸です。

 本日も貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私も同じですが、鈴木大臣、誕生日おめでとうございます。岡本副大臣は五月五日ですのでちょっと早いですけれども、併せておめでとうございます。

 内容に入らせていただきます。

 本日は、関税暫定措置法の一部を改正する法律案に関連して、ロシアの最恵国待遇の停止、そしてロシアからの輸入停止について質問させていただきます。

 先ほどの藤巻委員の質疑においても、度々国民生活への影響について触れられていましたが、私も、制裁の効果を問うというよりかは、どちらかというと、これはもう既にたくさん質疑が行われていますので、国民生活、若しくは国内産業、どんな影響があるかを折に触れて御見解をいただくことになりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず最初の質問となりますが、最恵国待遇停止の諸外国の動向についてお伺いいたします。特に、どの国が日本と同様に最恵国待遇の停止を方針を出しているか、そしてさらに、法案等を整備して既に実行している国はどこか、日本より早く実行に移せた国はどこか等について、御回答をお願いできますでしょうか。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 先般のG7首脳声明を踏まえまして、G7を始めとする国際社会と連携し、ロシアの最恵国待遇を停止するための方針を打ち出してきているところでございます。

 WTO協定上、最恵国待遇は、関税、輸出入規則、手続など様々なものが対象となっているのですが、関税率の引上げに関して申し上げますと、まず、カナダが、既存の法律に基づいて三月二日から最恵国待遇の撤回を行っています。それから、イギリス及びアメリカが、立法措置などを行いまして、それぞれ三月二十五日、四月九日から、ロシアに対するWTO協定税率の適用を停止した上で高い関税を課しているものと承知しております。

 なお、EUでございますが、最恵国待遇の停止について、関税率の引上げではなく、輸出入禁止措置のみで対応する方針を表明しておりまして、これにつきましては、三月中旬以降、様々な措置を講じてきているところと承知しております。

赤木委員 ありがとうございます。

 私の認識では、G7以外においては、なかなか、この関税の引上げによる制裁、若しくはこういった最恵国待遇の停止等を行っている国は必ずしも多くはないかなとは思っているんですが、一方で、国際社会として一致団結してロシアの暴挙を止めようとしていることの重要なメッセージにもなりますので、こういった諸外国の動向についても折に触れて情報提供を続けていただければと考えております。

 次に、最恵国待遇の停止に向けた国内、日本における決定過程の手続について教えていただきたいと考えております。

 三月十一日にG7の首脳声明以降、かなり複雑な手続をスピーディーに行われていると認識はしているんですが、一方で、やはり、一か月以上かかっていて、もどかしいというふうに感じられている国民の方々もいらっしゃると私も聞き及んでいますので、御見解というか御説明をいただけますでしょうか。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきました三月十一日のG7首脳声明からでございますけれども、翌週の三月十六日に、総理から、ロシアに対して外交的、経済的圧力を一層強めるために最恵国待遇を撤回するという表明をいただきました。また、三月二十四日には、総理から、そのための法改正案を今国会提出に向けて準備を進めるということが表明されております。

 こうした背景を踏まえまして、政府において関係省庁等と調整を可及的速やかに行いまして、三月二十八日には関税・外国為替等審議会関税分科会において御審議いただいた上、四月五日に答申をいただき、同日四月五日に閣議決定し、国会に提出させていただいたものでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 やはり、相当に多くの手続を経て法案提出に至っていると認識いたしましたが、この提出に至るまでのスピードに対する評価について、鈴木財務大臣より御見解をいただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 今般の関税に係る法案につきましては、三月十六日水曜日、総理から、G7首脳声明を受けてロシアに対する最恵国待遇を撤回する旨を表明して以来、そのための法改正案を提出することを三月二十四日木曜日に表明し、関係省庁等との調整など必要な準備を速やかに行った上で四月五日火曜日に閣議決定を行うなど、できる限り迅速に対応してきたと認識をいたしております。

 関税についての最恵国待遇を迅速に撤回するという今回の措置を通じて、G7を始めとする国際社会と一致団結してロシアに対して厳しい措置を取るという我が国の意思を強く示すことに大きな意義があるものと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、このような有事においてはスピードも非常に重要ですので、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、最恵国待遇停止について、制裁としての効果を少しお聞きするとともに、一方で、国民生活への影響をどのように想定、判断されているか、これについて御見解をいただけますでしょうか。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアに対する制裁の効果につきましては、輸出入の禁止措置も含めて、様々な措置と併せて制裁全体の中で判断していく必要があると考えております。

 今回の法改正によりまして、例えば魚介類や木材の一部の品目について、WTO協定税率に代わり国内法に基づく関税率が適用されることにより、関税率が数%程度引き上がることになります。この措置自体による国民生活への影響は、基本的には限定的であるとは考えておりますが、こうした影響も含めて、ロシアによるウクライナ侵略をめぐる影響全般について、今後とも注視していく必要があると考えております。

赤木委員 そうですね、この最恵国待遇停止そのものの国民生活への影響は必ずしも大きくないと判断されているとのことですが、日々、状況は流動的ですので、注視を続けていただきたいと考えております。

 今も御回答いただいたみたいに、最恵国の停止だけでなく、輸出入全般についての制裁というか対応によってロシアに対抗していくということでしたので、この辺りからちょっとロシアからの輸入に関連した質疑に移らせていただきます。

 まず、ちょうど週末から様々な報道、総理からのメッセージも出ていますが、ロシアからの石炭輸入の停止について、今後の検討や実施の進め方について教えていただけますでしょうか。個人的には最恵国待遇停止以上に国民生活への影響が大きいと考えておりますので、国民の皆様の予測可能性を高めるためにも、情報をいただければと考えております。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、背景でございますが、今般、G7首脳で足並みをそろえてロシアに対する制裁措置を強化するため、ロシアからの石炭輸入のフェーズアウトや禁止を含む、エネルギー面でのロシアへの依存を低減するための計画を速やかに進めることに合意してございます。その上で、具体的なエネルギー分野の制裁措置の在り方は、各国の事情、それからエネルギー安全保障の考え方に基づいて対応して決めていくということになってございます。

 我が国の場合でございますけれども、この夏、それからその次の冬の電力需給や産業界への影響をしっかり見極めながら、様々な代替策、例えば再エネ、原子力も含めたエネルギー源の多様化でありますとか、ロシア以外での供給源の多角化に向けた取組、さらには、生産国への安定供給の働きかけなどをしっかり講じながら、ロシアのエネルギーへの依存を段階的に低減し、最終的に輸入しないという方向を目指していくこととしてございます。

赤木委員 まさに、産業界、国民生活への影響、そして、代替策を検討しながら進められていくとのことですが、やはり影響はゼロではないと考えております。

 特に、今言われた電力、あと、製鉄、セメントに関してもかなりな影響があるのではないかと個人的に考えていますが、こちらについて影響についての御見解をいただけますでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど定光部長からも御説明ありましたように、今般、G7首脳で足並みをそろえてロシアに対する制裁措置を強化するため、ロシアからの石炭輸入のフェーズアウトや禁止を含む、エネルギー面でのロシアへの依存を低減するための計画を速やかに進めることに合意をしているという状況にございます。

 これによります産業界への影響ということでございますけれども、御指摘をいただきました業界、例えばセメント産業におきましては、原料や燃料の一部にロシア産の石炭を使用しておりまして、他の産地の石炭への切替えに伴う調達コストの増加により、セメント価格への影響などが考えられるという状況でございます。

 また、鉄鋼産業では、メーカーが製鉄用に使う原料炭の価格が既に前年同期と比較して約三倍に上昇しておりまして、原材料の価格高騰を懸念する声があることを承知をしております。

 なお、電力につきましては、夏や冬の電力需給の影響の見極めが重要と考えております。

 経済産業省としましても、G7首脳声明の内容を着実に実現するに当たり、このような産業界への影響やこの夏や冬の電力需給をしっかりと見極めながら、ロシア産の石炭使用量の低減に向けた燃料転換や省エネ設備導入等の対策、代替炭確保の支援、足下の供給途絶リスクを低減すべく、石炭供給網監視の実施、安定供給に向けた産炭国への働きかけ等に取り組んでいく所存でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 私、元々不動産業界にいたこともあって、まさに建設業とか不動産業からいろんな声が入ってくるんですが、建築費の高騰について、既に、今御回答があったみたいに、多くの心配や懸念をいただいている状況です。

 建築費の高騰に関する想定、さらに、この想定を踏まえた支援策等について、御回答いただけますでしょうか。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 建設資材の価格につきましては、最近の短期間において著しく上昇しているものがございます。

 例えば鋼材、鉄の関係でございますが、その価格について言いますと、昨年来、四割から五割程度上昇しているということでございます。

 また、セメントを原料といたします生コンクリートにつきましても、これまでそれほど大きな上昇というのはなかったのでございますが、最近におきましては、業界団体の方で、今後値上げを打ち出すというような動きが出ておりまして、価格の上昇が見込まれているところでございます。

 このような建設資材の物価高騰につきましては、価格転嫁を円滑に進めることが重要と考えてございます。

 公共の工事につきましては、最新の実勢価格を適切に反映する適正な予定価格の設定、それから、標準請負契約約款上にいわゆるスライド条項というのがございますが、これを適切に適用していくことの対応が必要となってまいります。

 また、民間工事につきましては、昨年十二月に、パートナーシップによります価値創造のための転嫁円滑化会議におきまして、適正な請負代金の設定や契約後の状況に応じた契約変更につきまして、国土交通大臣から民間発注者団体等に対しまして直接の要請をいたしました。また、あわせて、文書で、公共、民間の発注者や建設業団体に対しまして、その旨の周知徹底を図ったところでございます。

 引き続き、現場の実態の状況に丁寧に耳を傾けながら、団体とも連携いたしまして、価格転嫁が円滑に進むよう、必要な取組を行ってまいります。

赤木委員 そうですね、まさに、オリンピック後にやっと建築費が下がると業界の皆さんが期待していたところの逆の高騰ですので、特に、影響の波及範囲が大きい内容ですので、できる限りの対応策、支援策、あと、業界団体との連携をお願いいたします。

 次に、ロシアからの輸入に関連した次の質問として、今度、木材の輸入停止についてお伺いいたします。

 こちらに関しても、不動産というか、だけじゃなくて、一般消費者からも、不動産、住宅を建てられなくなるんじゃないかなというような心配も聞いているところです。

 まさに昨日の閣議決定で、既に、ロシアからのチップ、丸太、ベニヤについての輸入禁止措置が発表されましたが、今後のロシアからの木材輸入の停止について、進め方、検討の方法等、御見解をいただけますでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 木材のうち、チップ、丸太、単板につきましては、昨日の閣議了解を経まして、輸入貿易管理令に基づく輸入禁止品目として、経済産業省の告示により指定が行われたところでございます。

 お尋ねの更なる制裁措置につきましては、現時点で予断をすることは差し控えたいと考えてございますが、我が国といたしましては、ロシアに対する外交的、経済的圧力を加える観点から、国際社会との連帯なども総合的に考慮いたしまして、政府全体として適切に対応していく考えでございます。

赤木委員 そうですね、木材に関しては、ロシア以前の、去年のコロナの影響を受けてのウッドショックとして、木材供給に非常に大きな課題が発生していると認識しています。

 今回のロシアからの木材輸入停止に関連して、このウッドショックの拡大、若しくは更なる継続をどう想定されているか。また、これに対して、先ほどの石炭と同じですけれども、どういった対策を取られているかについて、御見解をいただけますでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年三月頃から、世界的な木材需要の高まりやコンテナ不足等による国際的な需給の逼迫によりまして木材の輸入量が減少いたしまして、輸入木材や国産材製品の価格が高騰する、いわゆるウッドショックと呼ばれる状況が発生してございます。

 こうした中でのロシア・ウクライナ情勢でございますけれども、今後の国内の木材需給への影響の可能性については、予断を持たず、よく注視をしてまいりたいと考えてございますが、いわゆるウッドショックへの対応につきましては、緊急的な対応といたしまして、正確な需給情報の共有のために、昨年来、三巡にわたりまして、川上から川下までの関係団体による需給情報の連絡協議会を、中央及び全国七地区において継続して開催してまいってございます。

 また、先月には、ロシア・ウクライナ情勢を踏まえまして、都道府県の木材関係担当課長会議を開催いたしまして、最新の情報共有や、輸入木材製品から国産材製品への転換事例の周知なども行ってまいってございます。

 また、戦略的な対応といたしまして、木材の供給力を強化する観点から、乾燥施設整備を支援するでございますとか、原木の安定的な供給に向けた間伐や路網整備の取組の推進などに必要な対策を令和三年度補正予算及び令和四年度当初予算に計上してございまして、これらを通じまして、国産材の安定供給に向けた環境整備に取り組んでございまして、海外市場の影響を受けにくい需給構造の実現に取り組んでいく考えでございます。

赤木委員 まさにそうですね、国産木材への転換等、行われていると理解をしております。

 しかしながら、一方で、住宅の建築費への影響はやはり避けられないと考えていますので、この住宅費の、建築費の高騰の想定、そして想定を踏まえた対策について、御見解をいただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナ感染症の影響からの回復過程で木材価格が高止まりをしているという状況の中で、今回、一部木材についてロシアからの輸入禁止措置等が講じられるということになりました。

 現時点で足下の木材価格が更に高騰しているということは承知してございませんけれども、関係省庁とよく連携をいたしまして、木材市場の動向でありますとか需給の状況等をしっかり注視をしていく必要があるというふうに考えてございます。

 その上で、先生御懸念の点でございますけれども、木材価格の上昇によりまして住宅市場自体が冷え込むということのないようにする必要があると考えてございまして、住宅ローン減税でありますとか木造住宅を取得する方への補助事業、こういった形で取得者の負担軽減を図り、消費者の住宅取得をしっかり支えてまいりたいと考えております。

 また、住宅供給を担う事業者の方々が需要に応じた木造住宅の供給を継続することができますように、令和三年度の補正予算から、工務店と木材関連事業者が連携をして木材を安定的に供給、利用するという先導的な取組を支援してございまして、令和四年度につきましても引き続き支援を行ってまいりたいと考えてございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 今日、私、不動産の話を長引かせ過ぎて、最後に鈴木大臣に質問を用意していたのですが、ちょっと時間もありませんので、改めて誕生日おめでとうございますということで、私の質問を締めくくらせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平でございます。

 今日も質疑の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 これまで、鷲尾委員や江田委員の質疑の中でもありましたけれども、経済制裁、これは西側諸国が一致団結して、より効果のあるものを引き続き強化していかなければならないものと存じます。その意味で、今回の法案には私どもも賛成の立場で臨ませていただいております。

 その上で、これまでの審議では、この法案に対する質疑はかなり進んだと思いますので、少し私は観点を変えまして、返り血を浴びてでも経済制裁をしていかなければならないという状況の中で、当面、私どもが今対応しなきゃいけないのは、資源価格の上昇や食料品価格の上昇といった物価問題なんだろうと思います、一つには。今日はちょっと物価対策について質疑をさせていただければと思っております。

 今回、物価問題と言いながら、日本はまだインフレというような状況には全くほど遠いわけであります。物価上昇目標まで届いていないぐらいであります。一方で、原材料価格の中で、特に資源エネルギー価格は相当上がっていますし、これは末端価格にも転嫁が割と容易に行われています。また、食料品についても輸入のものが、比較的消費者も理解ができますので、これがかなり高騰をしているということはあるわけでありますけれども、それ以外の物価がなかなか上がってこないということですので、これをどう考えるのか。

 実は、日本政府として物価対策が一番しっかり行われたのが第一次オイルショック、一九七三年ですね、第四次中東戦争。それから、その後、一九七八年のイラン革命のときの第二次オイルショックがありました。その頃のことを少し調べてみたんですけれども、もちろん今と全く状況が変わっています。

 一九七〇年代というのは、日本経済は世界経済と全く同じベクトルで、同じように動いていました。今とは全く逆ですね。一九七三年というのは、既に中東戦争の前から非常に好景気で、しかも過剰流動性があって、中央銀行が相当各国ともお金を出していたものですから、既にもうインフレ傾向にあったところにオイルショックがあったということで、大変なことになったわけであります。二割ぐらいの物価上昇ということですから、これこそまさにインフレだったわけですし、当時、政府も非常に機動的に対応されていました。まさに経済企画庁に物価局ができたのはこの七三年でありますし、省エネのために資源エネルギー庁ができたのも実は一九七三年であります。画期的な年なんですね。

 一九七八年の第二次オイルショックは、実は経済状況が非常に落ち着いていたということもあり、インフレ期待も余りなかった。それから、第一次オイルショックのときの経験があったものですから、日本を含む各国とも非常にスムーズに対応されたということもあって、割とうまく切り抜けています。

 基本的に違うのは、第一次オイルショックは、日本でも賃金が非常に上昇するということの中で、まさに賃金が上がるコストプッシュインフレで大変なことになった。第二次オイルショックのときは、労働組合も非常に賢明で、賃金の引上げを余り強く望まなかった結果として、いわゆるホームメイドインフレにならなかったというようなことがあるんですね。

 一番違うのは、今と。今は全く日本は違います。世界の各国は既にコロナ対策によるいろいろな金融緩和を、もう出口の方に走っている。日本は、この前、日銀の黒田総裁を呼んで皆さんで審議しましたけれども、なかなか金融緩和を止めることはできない。つまり、物価が上昇することに対して、普通であれば財政金融政策で対応するんですね。しかし、その財政金融政策で対応することができない、特に金融政策で対応することができないというのが、今、非常に日本の特殊な状況なんだろうと思います。

 調べている過程で驚きましたのは、当時、経済企画庁という経済官庁があって、そこには物価局ができ、その前は国民生活局に物価担当部局があったんですけれども、私も昭和五十五年に入省した当時、経済企画庁のカウンターパートに、物価の局の中に物価の課が幾つもあるので、いろいろ政策の議論をしたことを覚えていますけれども。今、内閣府に、経済政策を担当する内閣府に物価担当部局がないんですね。驚きました、ちょっと私も不勉強で。今、物価対策は消費者庁が担当されているということなんです。

 これは、皆さん、物価というのは、非常に、ずっとデフレが続いていましたから我々は余り着目してこなかったのかもしれませんが、逆に言うと、これだけデフレが長引いたときに、経済企画庁に物価担当部局があった時代から、経済政策を担当する内閣府に物価担当部局がない。これは、デフレの分析というのは経済政策の中でやってこなかったということかもしれないんですね、ひょっとしたら。そういうことも今回感じました。

 そこで、財務大臣にお聞きしたいんですけれども、一応、今回の物価対策では、先ほど言いましたように、今の状況では、日本銀行の金融政策、つまり、金融引締めというような形で物価を鎮静化させるようなことはできないというたてつけです。しかも、全体的に上がっているわけではなくて、資源価格、食料品価格だということに加えて、補助金でガソリンの値段を下げる、今なさっているわけですね。

 直接物価に介入をする、補助金を使って物価に介入をする、これはオイルショックのときはやっていません。オイルショックのときは、総需要政策をやり、そして、買占め防止、それから、一部、物価統制令を発動しまして、灯油とか、ある程度の、原油が上がることによって影響を受ける物価に対して統制的なことはしましたけれども、補助金で価格の機能を、経済における価格の機能を止めるというような形で補助金を使う制度というのは、寡聞にしてそんなにこれまでやってこなかったんだろうと思うんですけれども。

 財務省として、金融政策ではなくて、そういう個別の補助金の制度で対応するということは、これは、今回の物価上昇というのは、そう大したことではない、長続きはしない、短期的なものだ、個別的なものだという判断をされているのかどうかということをお聞きしたいんです。

 つまり、第一次オイルショックで大変だったのは賃金が上がったからなんです。第二次オイルショックでうまくくぐり抜けたのは賃金が上がらなかったからなんです。今回、春闘で二%上がっていますけれども、これは大したことないんですね。春闘の二%のうち、半分は定昇が入っていますから。

 そうすると、実は、賃金がこの後上がってこないから、いや、上げようとされているのは分かっていますけれども、基本的に上がってこないから、一時的な物価上昇だと考えて、金融ではなくて個別の財政施策で物価対策をされようとしているのかどうか、これは財務大臣にお聞きしたいと思います。

鈴木国務大臣 物価の先行きにつきまして、今の状況が一過性であるかどうかということも含めまして、市場関係者の間で様々な御意見があるということを承知をしております。

 民間エコノミストの見通しの平均では、来年度の生鮮食品を除くいわゆるコア消費者物価指数の上昇率の伸びは、令和四年度よりは低下をするというのが平均的な見方であると承知をいたしております。

 その上で、政府としては、ウクライナ情勢に伴う原油価格、物価の高騰等による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応するため、総合緊急対策を取りまとめることとしたものであります。

 また、賃金の引上げ、これは岸田内閣の最重要課題でございまして、政府として、賃上げに向けまして、税制あるいは公的価格の引上げ、あるいは中小企業の価格転嫁を適正に行うための環境整備など、いろいろな施策を総動員をしておりまして、引き続き、持続的な賃上げに向けてしっかり取り組まなければならないと思ってございます。

 デフレからの脱却に向けて、政府、日銀一体となって取り組んでまいりたいと思っております。

岸本委員 そういうことですから、来年は物価は落ち着いてくるだろうということがコンセンサスなわけですから、今私たちがやる物価対策というのは本来どうあるべきかということを議論したいんです。

 国会の中、あるいは大体私どもの頭の中は、いや、これは大変だ、ガソリンも上がって大変だね、だから、これはともかく補助金を出して下げようじゃないかということ、上げるのを止めようじゃないかということをやっているわけです。我が党も同じようなことを言っていますので、今日は岸本周平個人としての意見を述べさせていただきたいと思いますけれども。

 これは、個別に、価格が上がれば節約するんです。価格が上がれば節約するから、また、その結果として需要が減って価格が下がるんです。価格というのは、そういう生き物のようなものですから。それに政府が直接介入するというのは、およそ好ましいことではないだろうと思います、元々。

 オイルショックのときも、例えば、物価統制令で、灯油とかを、ある品目でウォッチする品目にしたりしましたし、買占めも止めたりということはしましたけれども、直接介入することはしなかった。むしろ、あのとき何が起きたかというと、省エネですよね。圧倒的に政府は省エネを進めた。そして、企業も減量経営をした。その結果が、かえって、かえってですよ、大変でした。第一次オイルショックのときに、企業収益も落ちる、かなりリストラもされました。しかし、その結果として、生産性が上がり、省エネ効率が物すごく増えた。その後の日本経済の成長に寄与したわけでありますし。

 例えば、役所も、七三年にできたエネ庁では、ムーンライト計画ができましたよね。ムーンライト計画でエネルギー転換効率の向上を図る。あるいは、サンシャイン計画で、まさに太陽、地熱、石油代替エネルギーの技術開発をしていった。それが、その後の日本経済の成長に寄与していたわけですから。

 これは内閣府の副大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、どうですかね、この価格の効果をそいでしまうような政策というのが本当にいいのかどうか。実はその価格の効果で第一次オイルショックを切り抜けた日本経済が非常に強靱化したことを考えたときに、その辺、内閣府としての御所見を伺いたいと思います。

黄川田副大臣 岸本先生の経済状況の認識、これは私どもも同じ方向に向いているのではないかというふうに思っているところでございます。

 そして、まず、この物価上昇に対しては、しっかりと対症療法的な、今大臣からもお話がありましたように、激変緩和措置等を行うほか、三月四日にも、ウクライナ情勢を踏まえまして、この激変緩和措置の拡充等を行っているところでございます。

 そうした中で、今も、三月二十九日に、原油価格や物価高騰等が国民生活や経済生活に及ぼす影響に緊急かつ機動的な対応をするために、四月末を目途に総合緊急対策を取りまとめるよう総理から指示がございまして、現在、具体的な内容を検討しているところでございます。

 その上で、この価格の効果をしっかりと反映した政策をするべきではないかということでございますが、経済財政諮問会議におきましても議論をしているように、より本質的に、持続的な経済成長を高め、我が国経済をショックに強い体質に変えていく必要があるというところで、それのために重要なのは、賃上げを含む可処分所得の増大と、脱炭素を始めとする新たな成長フロンティアの開拓に向けた国内投資を促進していくということでございます。

 オイルショックの時代に省エネの取組がその後の成長の基盤を構築しましたように、エネルギー価格の上昇というピンチにある今こそ、脱炭素の取組を一気に進めるチャンスと捉えて、そこを、政策転換を強くするべきであるというふうに考えております。

 こうした中長期を見据えた成長戦略や経済財政政策については、新しい資本主義のビジョンと実行計画を取りまとめ、そして、夏の骨太方針に向けて議論を深めてまいる所存でございます。

岸本委員 そういう御答弁になるんでしょうけれども。

 物すごく単純に、小学生の頭で考えますと、ガソリンの価格が上がっている、灯油の価格が上がっている、軽油が上がっている。じゃ、節約しましょうということになりますよね。それは、私はいいことだと思いますよ。いいことだと思いますよ。ただ、そのことによって困る中小零細企業の方がおられたら、そこは何とかする。

 まさに、オイルショックのときも、そういう政策を取っています。中小企業対策はやっています。それから、競争政策はやっています。どんどん競争して、まさに、省エネ効率を高め、企業として強くなりましょうというのはやっている中で、困っている人には手を差し伸べる。

 しかし、およそ、エネルギー価格を下げる、補助金で下げるというのは、これはカーボンニュートラルと真逆ですよねと小学生の岸本周平は思うわけであります。

 大人の人は、カーボンニュートラルといって、できもしない目標を挙げて、三〇年に四六%も下げるという、絶対できもしない目標を日本政府は挙げている、前からおかしいなと思っていたけれども。一方で、せっかく値段が上がっていたらカーボンニュートラルに近づくのになと、子供は思うんですよ。難しいことは言わずに、何で、カーボンニュートラルをやろうとしているのにと。

 ありがたいことですよね。例えば、これ、カーボンニュートラルを達成するために、ひょっとしたら、炭素税をかけなきゃいけないという考え方もあり得るでしょう、今後。炭素税をかけないのにガソリンの値段が上がっているんですから、実験として一遍やってみたらどうですかと。これでガソリンが上がって、どんどん上がって、CO2が減っていくかもしれない。そうすると、炭素税というのは、実は意味があるかもしれないみたいな実験もできるのかもしれないと小学生の岸本周平は思うわけであります。

 そういう意味でのトータルの経済政策をやっているのが内閣府にもかかわらず、物価担当部局がないというのは、消費者庁も物価担当なんだけれども、資料は全部、内閣府の昔の経済企画庁の資料は全部消費者庁に行っているんですよ、物価関係の。内閣府に資料はないんです、物価関係の、一つも。

 実は、私、今回、資料要求したら、内閣府から来たのは、平成五年の経済白書のコピーと、経済企画庁五十年史のコピーでした。それしかないんです。それで本当にいいんですか、副大臣。

黄川田副大臣 物価については、経済の体温とも言われておりまして、その安定に向けては、経済金融政策、いわゆるマクロ経済政策によりまして、経済や雇用の安定とともに、物価を安定させていくことが重要であると認識しております。

 このため、マクロ経済政策を担当する内閣府におきまして、物価の動向も含めたマクロ経済全体の動向を把握するとともに、状況に応じて、機動的なマクロ経済政策を行ってまいっております。

 現在作業中であります原油高、物価高に対する総合緊急対策についても、マクロ経済政策の一環として、物価も含めて、内閣府が関係省庁と連携して取りまとめを行っているところでございます。

 なお、委員御指摘の、当時の経済企画庁におきましては、マクロ経済政策に加えまして、公共料金政策などの部門が、現在の消費者庁の所掌になっているということでございますが、こうした物価政策が必要な際には、しっかりと消費者庁等の関係省庁とともに連携をしておりまして、その連携を基に適切なマクロ政策を行っているという認識でございます。

岸本委員 だけれども、資料が全部ないんです、物価関係の過去の政府の資料が。内閣府の、経済を分析される方が見られないんですよね。本当にそれでいいんでしょうか。

 それでいうと、行政改革、これから省庁再編成があり得ると思いますけれども、ノスタルジーで言っているわけではありませんけれども、これは財務大臣に国務大臣としてお聞きしたいと思いますけれども、内閣府は大きくなり過ぎました。やはり、日本のエコノミスト集団である輝かしい経済企画庁を復活した方がいいと思うんですけれども、国務大臣の鈴木大臣の見解を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 旧経済企画庁でございますが、マクロ経済政策や物価政策の立案といった業務を所掌していたと理解をいたしております。平成十三年の省庁再編によりまして、内閣総理大臣のリーダーシップを強化するという観点から、内閣府が経済財政運営に関する総合調整機能を果たすようになったもの、このように理解をしているところでございます。

 その趣旨に沿って、政府一体となってこうした原油価格、物価高騰等への対応についても取り組んでいかなければならないと思います。省庁再編のときの趣旨がしっかりと果たされなければならない、そのように理解しております。

岸本委員 昔の経済企画庁には、個人名でエコノミストとして有名な人が何人もいました。今、内閣府には一人もいらっしゃらないことを指摘して、質問を終わります。

薗浦委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 法案に関連して質問します。

 ロシアのウクライナ侵略の下で、世界の食料、エネルギー価格の急激な上昇が起こっており、低所得国では債務問題が危機を高めています。

 国際通貨基金、IMFのビトール・ガスパール財政局長は、ウクライナ戦争は前例のない水準の公的債務にとって更なるリスクとなっているほか、パンデミックは依然として多くの政府予算に負担をかけていると指摘して、不必要なデフォルトを防ぐためにはグローバルな協調的アプローチが必要だと述べているところです。

 低所得国の債務返済の凍結や免除などもこれまで以上に対応していかなければいけないと思いますが、大臣に伺います。

 来週のG20それからIMFCでこれは議題になると思いますけれども、現状ではどのような合意がなされそうなのか、そして、日本政府はどのような貢献、提案を考えているのか、教えてください。

鈴木国務大臣 低所得国の債務問題でありますが、これは、新型コロナウイルス感染症の拡大により厳しさを増している中、今般のロシアによるウクライナ侵略に伴う食料等の国際価格の高騰を受け、一層懸念される状況になっていると思っております。

 来週予定されておりますG20やIMFCでの議論については、現時点では予断を持って申し上げることは難しいわけでございますが、日本政府といたしましては、低所得国の債務救済を実施するために、二〇二〇年十一月にG20が合意いたしました共通枠組みの下で、まずは早急に成功事例をつくるとともに、低所得国にとって、同枠組みの下で債務救済を進めるに当たって必要なプロセスを明確化すべきであるということを訴えて、議論に貢献してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 強力な経済制裁は、世界経済と国際金融システムからロシアを孤立させるための重要な手段となってまいります。

 一方で、原油、天然ガスなどエネルギー、食料品、肥料など、国際価格の高騰に拍車をかけて、コロナ禍で傷んだ世界経済を不安定化させる、そういう危険もはらんでいます。

 G7首脳声明では、「生じつつある世界的食料危機の予防及び対応のために必要なことを行うことを引き続き決意している。」と書き込まれています。具体的にはどのような対応を検討されているんでしょうか。

牛草政府参考人 お答え申し上げます。

 日本政府としては、まず、困難に直面するウクライナの国民に対する人道支援として、三月十一日及び四月五日の二回、国際機関を通じた、食料支援を含む合計二億ドルの緊急支援を決定したところであります。

 一方で、委員御指摘のとおり、農産物や肥料等の国際価格の高騰が、食料輸入途上国を始めとする世界の食料安全保障へ与える影響が懸念されているところでございます。これに関して、三月十一日にG7の農業大臣会合が臨時に開催されております。食料・農業市場を開かれた状態に保ち、輸出に関するいかなる不当な制限措置をも阻止することや、世界の食料市場の透明性を確保することなど、G7各国の農業大臣が連携して対応していくこととしたところでございます。

 また、四月八日には、今御紹介ありましたG7の首脳声明の要請を受けましてFAOの臨時理事会が開催されて、我が国も理事国として参加しております。緊急対応、復興支援、食料システムの強靱性の構築を含めて、ロシアのウクライナ侵略が世界の食料安全保障に与える影響について、即時的な、あるいは中長期的な計画を策定するよう、理事会として事務局に要請したところでございます。

 この後、五月中旬にもドイツで再度、G7農業大臣会合の開催が予定されております。世界の食料安全保障のため、G7を始めとする各国で一致して対応していきたいと考えております。

田村(貴)委員 続いて質問します。

 経済制裁で追加されるロシアの最恵国待遇撤回によって、日本の水産業への影響が考えられます。カニ、ウニ、これらは品目別輸入金額でロシアが五割を占めています。単純計算では、追加関税が三十六億円になるとも試算されています。

 水産物は、輸入停滞で既に値上がりをして、今般の措置で更に輸入コストが上がってきます。昨日、私、本会議で質問しました。総理は総合緊急対策で検討すると答えられましたけれども、水産業支援策としてはどのようなことを今検討されていますか、大臣。

鈴木国務大臣 最恵国待遇の撤回を含めまして、今回のウクライナ情勢等が我が国水産業に与える影響につきましては、漁業者あるいは水産加工業者など、業態によって様々な影響があると承知をしております。

 政府といたしましては、それらの影響を注視いたしまして、例えば調達先の多様化など、しっかりと対応していくことが重要であると考えております。

 財務省といたしましても、四月末の取りまとめに向けて検討しております総合緊急対策において、現在検討中でございますが、農水省を始め関係省庁と連携をして、緊急かつ機動的に対応すべき課題を整理した上で具体的な施策を組み立てていきたい、そのように考えております。

田村(貴)委員 政府の物価高騰総合緊急対策について、引き続き質問をしてまいります。

 岸田総理は、三月二十九日の閣僚懇談会において、総合緊急対策として四点の柱を示しました。一つ目は、原油価格高騰への対応。そして二つ目として、穀物、水産物等の価格上昇対策です。この中で、飼料については特に言及があって、次のように述べられています。配合飼料価格の上昇が畜産経営に及ぼす影響を緩和すること等により、危機に強い経済構造を実現しますとしました。

 生産現場では、ここ一年間、配合飼料価格が急騰していて、畜産現場では、現行制度では対応し切れないと訴えが続いています。総合緊急対策で畜産経営に及ぼす影響を緩和するとしている以上、従前にない新たな支援措置が当然必要になってくると思いますけれども、そういうことをこれから実施するということでよろしいんでしょうか。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 配合飼料価格の上昇に対しましては、配合飼料価格安定制度による補填の仕組みがありまして、現在、四期連続で補填が発動し、直近となる令和三年度第三・四半期は、生産者に対して配合飼料一トン当たり八千五百円が交付され、畜産経営への影響を緩和しております。

 現在の基金残高につきましては、異常、通常補填を合わせまして二百九十二億円があり、当面の支払いについては対応可能でございます。

 コロナ禍での価格上昇に加え、ウクライナ情勢により穀物の国際相場が不安定な動きをしていることを踏まえ、本制度の安定的な運用に向けた対応の検討が必要な状況と考えております。

 現在、三月二十九日の閣僚懇における総理指示を受けた原油価格・物価高騰等総合緊急対策の取りまとめに向けて、農林水産省においても、穀物の国際価格が高騰している現状にしっかりと対応すべく、必要な対策を検討しているところでございます。

田村(貴)委員 新たな対策を検討しているということでよろしいんでしょうか。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 今検討中でございますので、その点も含めて、今の段階では検討中ということを申し上げさせていただきます。

田村(貴)委員 先ほど八千五百円の緩和ができていると言ったんですけれども、これはちょっと緩和にはなっていないんですよね。そのことは後でちょっと聞きますけれども。

 畜産農家にとって、長年、配合飼料価格上昇というのは、これはもう経営を苦しめる最大の問題であります。

 私、六日の農林水産委員会でも取り上げたんですけれども、配合飼料の工場渡し価格は、二〇〇六年七月がトン当たり四万三千二百五十円でありました。今年の一月の速報値では八万三千三百八十一円と、十六年間で一・九三倍、約二倍になっています。もうちょっと遡って二十年間で見ますと二・五倍に上がっているわけです。ですから、飼料というのはかなり高騰しているんです、長い目で見ても。

 一方で、各種肉の卸売価格というのはほとんど上がっていません。その差額を畜産農家が、業者が被っているということです。しかも、長期にわたるデフレ、また、TPPなどの経済連携協定などによって輸入価格が引き下げられて、とても価格に転嫁できないという状況があります。

 農水省に重ねて確認しますけれども、配合飼料価格安定制度、先ほどお答えがありました。これは、激変緩和を目的にしていて、長期的な価格上昇による畜産農家の負担を支援する制度ではない、このことは確認したいと思います。いかがですか。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、その意味では、この制度は、配合飼料価格の高騰が畜産経営に及ぼす影響の激変緩和を行うものでございます。

田村(貴)委員 それで、その配合飼料価格安定制度なんですけれども、平均輸入原料価格と基準輸入原料価格の差額を基準として通常補填単価及び異常補填単価を計算する仕組みです。大変ややこしいシステムになっています。仕組みになっています。

 数字について答えていただきたいと思います。

 近年の高騰が始まる二〇二〇年度の第三・四半期の平均輸入原料価格、それから二〇二一年度の第三・四半期の平均輸入原料価格、この数字を教えてください。そして、その差額は幾らになっているのか。また、二〇二一年度の第三・四半期の通常補填単価及び異常補填単価についても教えてください。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年度の第三・四半期の平均輸入原料価格は輸入原料一トン当たり二万五千七十八円、二〇二一年度の第三・四半期の平均輸入原料価格は輸入原料一トン当たり四万一千五百二十円となっており、その差額は一万六千四百四十二円となっております。

 また、二〇二一年度の第三・四半期の補填単価につきましては、直近一年の平均価格が三万二千九百九十五円となったことから、通常補填単価が配合飼料一トン当たり四千三百七十二円、異常補填単価が配合飼料一トン当たり四千百二十八円となっております。

田村(貴)委員 今の数字をまとめますと、二〇二一年度の第三・四半期の補填額は、通常と異常を合わせて、トータル八千五百円なんです。八千五百円の支援、救済ということです。しかし、この一年間で飼料の価格は一万六千四百四十二円、これだけ上がっているわけです。この差額、これが畜産農家の大きな負担になっているわけです。

 配合飼料の国際価格の高騰分を全て補填するということになっていない、それは事実ですね。全てを補填することにはなっていない、事実ですね。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 事実というか、直近の一年の平均価格について算定する仕組みになっておりますので、先生御指摘のように全額を補填するというのはちょっと正確ではないと思います。

田村(貴)委員 だから、結局そういう制度になっているということで、この一年間の急騰をしっかり支援する制度にないということです。だから新たな支援制度が必要だ、それをしっかり検討してくださいと言っています。

 元々、畜産農家の多くは、十分な利益を得ていないために、急激な変化に対応できるほどの内部留保も持っていません。資金を銀行などから借りることができれば。その畜産農家は破綻します、お金が借りられなければ。既に鹿児島県などでは、大規模な畜産農家が破綻しています。そして、昨日もニュースが入ってきていますけれども、全国の畜産農家が経営の危機に達しているということも報道されているところです。

 資金繰りについて質問します。

 本制度を実施している全日本配合飼料価格畜産安定基金が、制度改革を提案しています。その一つが、補填金の支払いが遅れる仕組み。二〇一四年の補填算定方式の変更に伴い、補填の有無の判明が従来に比べ約四か月の遅れになっている、生産現場では、営農計画に支障ありとして問題視されています、これらのギャップを是正するための算定方式の速やかな見直し等が求められていますと提案は指摘していますけれども、この提案について、四か月遅れで補填される、認識されていますか。どうされますか。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、報告書が昨年作成されまして公表されたということで、内容等については承知しております。

田村(貴)委員 それと、先ほどの、一年間で一万六千四百四十二円の負担が増えているのに対して、現行の補填、支援制度では八千五百円であると。ですから、全額補填になっていないというのは制度上そうなっていると言うんだけれども、残りの七千九百四十二円というのは、これは農家の負担ですよね、畜産農家の負担であります。

 ですから、この配合飼料の支援制度そのものも改善していかなければいけません。価格安定制度、この改善も必要だし、それから運用も変えていかなければいけないし、そして、この情勢の下での急騰に対する新たな支援が必要になってまいります。

 大臣にお伺いします。

 今回の政府の総合緊急対策でやはり対応していくべきであると思います。補填金を支払う、そして、政府系金融機関で無利子融資などの資金繰りを是非検討していただきたいと思います。その運転資金がないと、すぐにもう、これは廃業、そして離農につながっていくわけなんですよね。

 とりわけ、やはり、政府の総合対策において四点柱があって、その二点の中で特出しで、配合飼料価格の上昇が畜産経営に及ぼす影響を緩和すると個々具体的に書かれていますので、資金繰りについても是非今の窮状を救う手だてを打ち出していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 飼料価格が高騰する中で、お困りの畜産農家の皆さんについて資金繰り支援を実施することは重要であると考えております。

 現在を申し上げますと、飼料価格高騰などの影響を受けて経営状況が悪化している畜産農家に対しましては、日本公庫の低利融資による支援を行っているところであります。

 その上で、先月策定指示のありました総合緊急対策においては、田村先生御指摘のように、配合飼料価格の上昇が畜産経営に及ぼす影響を緩和すること等により、危機に強い経済構造を実現します、そのようにされておるところでございまして、その具体的内容については農水省を中心に検討が進められているところでございます。

 その取りまとめに向けましては、農水省等の関係省庁と連携をしながら、畜産農家等の資金繰り支援、これにつきましては万全を期していきたい、そのように思っております。

田村(貴)委員 補填対応も重要ですけれども、資金繰り対応も大変重要になってきている。

 農水省、最後、いかがですか、資金繰り。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 財務大臣がお答えしたように、我々も今検討しておりますので、しっかりと検討をしてまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 検討からしっかり対応していただきたいと思います。

 終わります。

薗浦委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

薗浦委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

薗浦委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

薗浦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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