衆議院

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第18号 令和4年5月13日(金曜日)

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令和四年五月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 薗浦健太郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 藤丸  敏君

   理事 稲富 修二君 理事 末松 義規君

   理事 吉田 豊史君 理事 角田 秀穂君

      井上 貴博君    石井  拓君

      石原 正敬君    門山 宏哲君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      国定 勇人君    小泉 龍司君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      中川 貴元君    藤原  崇君

      三ッ林裕巳君    八木 哲也君

      柳本  顕君    山田 美樹君

      若林 健太君    鷲尾英一郎君

      江田 憲司君    櫻井  周君

      下条 みつ君    野田 佳彦君

      伴野  豊君    赤木 正幸君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      中川 宏昌君    岸本 周平君

      斎藤アレックス君    田村 貴昭君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   財務副大臣        岡本 三成君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   財務大臣政務官      高村 正大君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 森元 良幸君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         渡邊 国佳君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  松尾 元信君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            有泉  秀君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  古澤 知之君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    角田  隆君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           澤井  俊君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行理事)     内田 眞一君

   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     柳本  顕君

  鷲尾英一郎君     国定 勇人君

  岸本 周平君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     鷲尾英一郎君

  柳本  顕君     井上 貴博君

  斎藤アレックス君   岸本 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)


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     ――――◇―――――

薗浦委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、理事内田眞一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として警察庁長官官房審議官森元良幸君、刑事局組織犯罪対策部長渡邊国佳君、金融庁総合政策局長松尾元信君、総合政策局審議官有泉秀君、企画市場局長古澤知之君、監督局長栗田照久君、財務省理財局長角田隆君、国際局長三村淳君、経済産業省大臣官房審議官澤井俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。門山宏哲君。

門山委員 自由民主党の門山宏哲でございます。

 今回は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、今回の資金決済法改正案は、大きく三つの柱、すなわち、電子決済手段への対応、銀行等による取引モニタリング等の共同化への対応、そして高額電子移転可能型前払い式支払い手段への対応を骨子とする改正案と承知しておりますが、それぞれについて質問させていただきます。

 まず、電子決済手段等への対応でございますが、今回の改正法では、新たに電子決済手段等取引業を創設し、その仲介者について登録制を導入しております。この電子決済手段等取引業を創設する趣旨、また、仲介業者について届出ではなく登録制とする趣旨について、御説明ください。

黄川田副大臣 近年、金融のデジタル化が進む中で、法定通貨と価値を連動させるステーブルコインを用いた取引が海外において増加しております。こうしたステーブルコインについては、将来的には幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性も指摘される一方で、海外の当局から利用者保護やマネロン上の課題を指摘されるものも存在しております。

 このような状況を踏まえ、本法案では、広く送金・決済手段として用いられるステーブルコインについて、その取引の仲介者に対して必要な法律を導入するため、仲介者として電子決済手段等取引業等を創設することといたしました。

 また、仲介者である電子決済手段等取引業者等については、顧客の保有する電子決済手段を管理するため、例えば、顧客資産の流出等により利用者に被害が発生するおそれがあることを踏まえ、不適切な事業者の参入を事前に防止し、利用者を保護する観点から、暗号資産の取引を仲介する暗号資産交換業者と同様、届出制ではなく登録制としております。

 こうした対応により、我が国におきましても、ステーブルコインに関する制度上の取扱いが明確化されることになり、適切な利用者保護やマネロン対策等を図りつつ、分散台帳技術等を活用した金融イノベーションを促進することが可能になると考えております。

門山委員 ありがとうございます。

 今回、この仲介業者の参入要件として、一定の財産的基礎や業務を適正かつ確実に遂行できる体制というものを要件化しておりますけれども、その具体的内容は何でしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねいただきました仲介者の参入要件として求められてございます財産的基礎の具体的水準でございますけれども、これは今後内閣府令で定めるということを予定しておりますが、先ほどもございましたほかの業、例えば暗号資産交換業での例ですとか、それから、これにつきましては、金融審議会の報告書におきまして、不正利用時の補償方針の策定を求めるということとされているわけでございますが、そういった趣旨も踏まえまして検討していくこととしてございます。

 また、仲介者の参入要件として求められてございます、業務を適正かつ確実に遂行できる体制ということでございますが、例えば、利用者財産を確実にしっかり管理できるかといった点ですとか、あるいは犯罪収益移転防止法に基づく本人確認義務といった義務が確実に遂行されるかといった体制を想定しているところでございます。

門山委員 内閣府令で定めるところですけれども、しっかり定めていただければと思います。

 電子決済に該当する一定の信託受益権について金融商品取引法の適用対象から除外して、発行者となる信託会社等について資金決済法等の規律を適用するということに今回されていますけれども、金商法の適用除外とし、資金決済法の適用とした理由について説明してください。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました特定信託受益権というものでございますけれども、これは具体的に、この法案の中で、信託会社などが受け入れました金銭の全額を預貯金によって管理するといった要件を満たす信託受益権というふうに規定しているところでございます。

 こうした特定信託受益権につきましては、投資商品として用いられるというものではございませんで、専ら決済手段として使用されるという機能、性質に鑑みまして、御指摘のとおり、金融商品取引法の規律ということについては除外しているわけでございますが、仮に金商法の規制をかけるということになってまいりますと、例えば、募集に係る有価証券届出書の提出義務ですとか、それから、売買に関します業規制ですとか相場操縦といったものがかかるわけでございますけれども、先ほど申しました商品につきましては、信用リスク、金利リスク、流動性リスク、為替リスクといったリスクも最小限化されているところでございまして、そういった金商法の規制を課すべき必要は低いじゃないかということで、適用を除外することとしているところでございます。

門山委員 よく分かりました。

 続きまして、銀行等による取引フィルタリング、取引モニタリング等の共同化への対応について御質問させていただきます。

 今回の改正法では、新たに、為替取引に関し、顧客の制裁対象者該当性の分析等を共同化して実施する為替取引分析業を創設していますが、その趣旨を御説明ください。

黄川田副大臣 足下におきまして、国際的にもより高い水準でマネロン対策等の実施が求められております。その一方で、中小規模の金融機関においては単独での対応が難しいとの声があることも踏まえまして、こうした対策の一環として、取引のフィルタリングやモニタリングを共同化し、高度化を図ろうとする動きがあると承知しております。

 本法案の為替取引分析業に関する規制は、こうした動きも踏まえたものでありまして、複数の金融機関等の委託を受けて、為替取引に関し、取引のフィルタリングやモニタリングを共同で行うことを為替取引分析業とし、許可制の下で、監督当局の直接の検査監督等を通じ、その業務運営の質を確保しようとするものであります。

門山委員 大手の銀行は我が国では独自にやっているというふうにも伺っておりますけれども、やはりしっかりとしたモニタリング等を実施するためにこういう業を創設するという趣旨と伺いました。

 また、この為替取引分析業者の監督として、報告、資料の提出命令、立入検査、業務改善命令等があると伺っておりますけれども、この監督を実効的に伺う具体的方策、チェック体制等について教えてください。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 為替取引分析業者でございますけれども、複数の銀行などの委託を受けまして、マネロン対策の中核的な業務でございます取引フィルタリング、それからモニタリングを担うという性格がございます。したがいまして、業務運営の質を継続的に確保していくということが極めて重要と考えているところでございます。

 本法律案におきましては、為替取引分析業者に対する業規制といたしまして、先ほども御紹介させていただいた、一定の財産的基礎ですとか、あるいは情報システムの整備といった点を含めまして、業務を適正かつ確実に遂行できる体制の整備というものをまず参入要件として求めているわけでございます。その上で、業務の実施に当たっての情報の適切な管理といった義務を課すということをいたしまして、それで、業務開始後におけますその適切性を確保するという観点から、監督当局による報告、資料の提出命令、立入検査、それから業務改善命令といった規定を整備しているところでございます。

 金融庁といたしましては、このような規定の下で、まず、申請が、為替取引分析業の許可の申請というものが出てまいるわけでございますが、そういったものがあった場合には、業務を健全に遂行するに足る財産的基礎を有しているか、あるいは業務を適正かつ確実に遂行できる体制は整っているかといったことについてまず審査を行う。その上で、許可を行って、業務が開始された後におきましては、報告、資料の提出を求める、あるいは検査を行うということを通じまして、実施状況についてのモニタリングをきちんと行っていくということと考えてございます。

 このような対応を通じまして、為替取引分析業者における適正かつ実効的な業務運営が確保されるよう努めてまいりたいと考えてございます。

門山委員 まず、許可の段階でしっかりとチェックして、しっかりと実効性のある監督になることを期待しております。

 続きまして、高額電子移転可能型前払い式支払い手段への対応について質問させていただきます。

 高額電子移転可能型前払い式支払い手段の発行者について、業務実施計画の届出、犯罪収益移転防止法の取引確認義務等に関する規制をかける趣旨を御説明ください。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 近年、金融のデジタル化が進む中で、価値を電子的に移転できる前払い式支払い手段として様々なものが普及しております。例えば、利用者同士のアカウント間で残高の譲渡が可能なものや、相手方に番号等を通知することにより価値を移転できる電子ギフト券のほかに、また、国際ブランドのクレジットカードと同じ決済基盤で利用できるプリペイドカードなどが普及しております。中には、高額な価値を移転できるサービスも提供されております。

 こうした実態を踏まえまして、不正利用の防止を徹底する観点から、今回の法律案では、そのような前払い式支払い手段の発行者に対しまして、議員御指摘のとおり、システム管理等に関する業務実施計画の届出を求めるとともに、資金移動業者やクレジットカード事業者と同様に、犯罪収益移転防止法に基づき、取引時における顧客の本人確認を求めることとしております。

門山委員 ここで、高額電子移転可能型といいますけれども、高額というのは幾らをいうのでしょうか。また、その金額の根拠について教えてください。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、御指摘のとおり、高額な価値を電子的に移転できる前払い式支払い手段の発行者に対しまして、犯罪収益移転防止法に基づき、取引時における顧客の本人確認などを求めるということにしているわけでございます。

 高額の金額基準につきましては、金融審の報告書の中で触れているところでございますけれども、一回当たりの移転譲渡額が十万円を超えること、一か月当たりの移転譲渡額の累計額が三十万円を超えることなどといった水準が示されているところでございます。

 この十万円でございますけれども、この額を超える現金を持ち込んで銀行送金をする際に犯収法の取引時確認が求められるといったこととのバランスを見ているものでございます。それから、三十万円の方につきましては、前払い式支払い手段と機能やリスクの面で類似しておりまして、既に犯収法の義務が課されておる、クレジットカード事業者の提供いたします少額利用のカードの限度額の例というものがございまして、そういったものを踏まえて示された水準ということでございます。

 具体的な基準につきましては内閣府令で定めることとしておりますけれども、金融庁といたしましては、こうした報告書の考え方を踏まえて、適切に検討してまいりたいと考えてございます。

門山委員 例によると、一回十万とか一か月三十万とかというような話も出ているわけでございますけれども、実際、この実施計画の届出、犯収法上の義務で、マネロンというのは本当に防止できるんでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づきまして、まず、この高額電子移転可能型の前払い式支払い手段の発行者に対しまして、業務実施計画の届出、それから犯収法に基づきます顧客の本人確認を求めるわけでございますけれども、まずは、こういった義務を通じまして、発行者において実効的なマネロン対策を講じることというものが重要だと考えてございます。

 加えまして、金融庁といたしましても、モニタリングを通じまして、各発行者による取組状況を確認しつつ、より実効的なマネロン対策を促したいと考えてございます。

 なお、金融庁の取組の一つでございますけれども、本年の四月でございますけれども、マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題といったレポートを、この三月末時点の状況を四月に公表したというものでございますけれども、金融機関の取組を促すという観点から出させていただいてございます。

 こういったマネロンの高度化のためには、経営陣の関与、理解、リスクの特定、評価、顧客管理の高度化といった課題に金融機関が継続的に取り組むことが重要ということでございますが、金融庁といたしましても、金融業界と連携しながら、マネロン対策の高度化に取り組んでいきたいと考えてございます。

門山委員 しっかり対策に取り組んでください。

 終わります。

薗浦委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌です。よろしくお願いいたします。

 暗号資産の規模は、二〇二一年八月時点で、総額約二百二十四兆円という規模になっております。そのうち、主なステーブルコインは約七十種類で、総額約十二・二兆円とされております。

 二〇〇九年にブロックチェーン技術が生まれたことにより、仮想通貨が、それまでの単なるポイント的なものから、集権的な管理者に依存せずに価値の移転を実現し得る手段となり、インターネット空間における通貨としての側面が急速に発展、進化をしてまいりました。

 その中で、二〇一九年、当時のフェイスブックがリブラ構想を発表し、話題になりました。結果的には失敗に終わったわけでありますけれども、最初から指摘されていた懸念は大きく三つあったと言われております。一つはマネロンへの懸念、二つ目は利用者保護への懸念、三つ目は通貨主義の侵害でありました。二〇二〇年十月のG20の声明でも、ステーブルコインへの懸念が表明をされております。

 また、ちょうど五月十一日にも、ステーブルコインの一種であるテラUSDの暴落が暗号資産市場全体に影響を及ぼし、イエレン米財務長官やアメリカ連邦準備理事会も、ステーブルコインは流動性リスクにさらされているとしまして、ステーブルコインを規制することを示唆いたしましたが、金融庁としてこのリブラ構想やステーブルコインの動向をどう見ているのか、まずお伺いをしたいと思います。

有泉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のようなリブラ構想のように、国際的に広く利用される可能性のありますグローバルステーブルコインにつきましては、先生御指摘の二〇二〇年十月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議の声明は、サービス提供開始前に、国際基準や各国規制を含む全ての関連する規制監督上の要件を満たすことを求めております。

 あわせて、金融安定理事会、FSBでございますが、こちらの方では、満たすべき規制監督上の要件を示した、グローバルステーブルコインに関する十のハイレベルな規制、監督、監視上の勧告を公表しているところでございます。足下でございますが、FSBにおきまして、市場動向あるいは各国における規制対応の状況も踏まえつつ、この勧告の見直し作業を進めているところでございます。

 金融庁としましては、今後ともこうした国際的な取組に積極的に貢献していきたい、このように考えているところでございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 やはり、当時、フェイスブックの利用者が世界で約二十七億人いまして、そこに独自の通貨が生まれるというのは、法定通貨の関係において、法律を含めて整理ができていなかったのでスタートができなかったのだと思います。一方、このことにより、アメリカを始め各国が、中央銀行のデジタル通貨、CBDCの議論を活発したことは結果的によかったと感じております。

 ただ、現在は、なし崩し的に暗号資産がインターネット空間から現実空間への結びつきを急速に強めていっております。その流れの中で、各国がステーブルコインへの位置づけを急ぐ形になったと思います。今回の法改正で、我が国としては初めてステーブルコインを電子決済手段の対象とするわけでありますけれども、これは極めて大事な一歩だと思います。

 そこで、今回、暗号資産のうち、ステーブルコインのいわゆる法定通貨担保型だけが資金決済法で位置づけて規制対象となりますけれども、暗号資産担保型や無担保型は除かれております。この二つを除いたのはどのような理由があってなのかについてお伺いをしたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、改正前の現行の資金決済法の枠組みでございますけれども、不特定の者の間で電子的に移転可能な決済手段として利用される財産的価値というものの中で、まず、通貨建て以外、今回のステーブルコイン以外のようなもの、通貨建て資産以外のものを暗号資産ということで規定いたしまして、その売買を暗号資産交換業というふうにして規律しているというのがございます。

 一方で、通貨建て資産に該当するというものにつきましては、先ほどの暗号資産から除かれているということでございますから、その売買などの行為は資金決済法の規制の対象外、これが現在の改正前の状況でございます。

 こういった中で、金融審の報告におきまして、法定通貨建てステーブルコインについて、法定通貨の価値と連動した価格で発行され、発行価格と同額で償還を約されるものといったものをデジタルマネー類似型というふうにいたしますのと、同時に、それ以外のもの、例えば、ステーブルコインとは言っておりますけれども、アルゴリズムなどによって価格の安定を図るような設計がなされているものといったものが暗号資産型ということで、ステーブルコインをデジタルマネー類似型とそれから暗号資産型に分けまして、デジタルマネー類似型のステーブルコインにつきましては、送金・決済手段として社会で幅広く使用されることが考えられるということで、今回の法案におきまして登録制の導入などを講ずることとしているわけでございます。

 一方、暗号資産を担保とするものですとか、あとは、先生の御指摘の無担保のものにつきましては、法定通貨での償還が約束されているというわけではございませんということもございまして、デジタルマネー類似型のステーブルコインとは異なるということで、既にございます現行法の暗号資産の規律を受けるということで、法改正の対象外としているという考え方でございます。

中川(宏)委員 次に、マネロン対策、利用者保護の観点から、今回、電子決済手段の定義を定めまして、電子決済手段等取引業の登録、犯収法での特定事業者と指定し、マネロン規制の対象とするのは理解ができるところであります。

 このマネロン対策でありますけれども、暗号資産は世界中で取引をされているわけですので、我が国だけが行っても効果が表れないのではないか、こういった懸念があります。今回の法改正で、世界各国との連携の部分をどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

有泉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、暗号資産を取り巻く環境変化というのは大変速いものがございます。また、暗号資産、取引のクロスボーダー的な性質に鑑みますと、暗号資産に関するマネロン対策について、国際的な連携が重要だというふうに考えております。

 この点、金融活動作業部会、FATFと呼んでおりますけれども、こちらでは、暗号資産も含め、マネロン等対策の国際基準、これを策定しておりまして、その実施の重要性についてはG20財務大臣・中央銀行総裁会議でも言及されているところでございます。

 金融庁としては、FATFなどの国際的な場におきまして、暗号資産に係るマネロン等対策の向上に向けた議論に、先生の御指摘も踏まえまして、積極的に対応、貢献していきたい、このように考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 次に、利用者保護と経済面との両立についてお伺いをしたいと思います。

 暗号資産を研究されている方に伺いますと、この世界の方たちにとって暗号資産は分散型が基本でありまして、外のものにひもづけば分散型と言えないといいます。一方、ビジネスが入っていくにはある程度の規制やルールが必要と考える方もいらっしゃいます。今回の規制は当然であり、もっと強い規制が必要という意見も多いと思いますが、現実的には、暗号資産取引所に対する規制が日本は厳しく、みんな海外の方に出ていっているといいます。私がある研究者から聞いた話でありますけれども、その知人の日本人が、日本は規制が厳しいので、シンガポールとかドバイに移住をして、ステーブルコインの開発といった暗号資産に係るシステムの開発を始めたそうであります。

 マネロン対策や利用者保護の観点と、難しいですけれども、経済面も考慮していかなくてはいけないのかなと思っております。暗号資産自体も、またプラットフォームなどの環境も、日々すさまじい勢いで進化をしております。これらの点を踏まえまして、今後、柔軟かつスピードある対応が必要と考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

黄川田副大臣 議員がおっしゃるとおり、暗号資産やステーブルコインを取り巻く環境がグローバルに、かつ急速に変化する中、金融庁といたしましては、利用者保護やマネロン対策等の確保と、イノベーションの促進による利便性の高いサービスの実現、この二点を両立させていくことが重要な政策課題となっていると認識をしております。

 こうした課題に的確に対応していくためには、日頃から、規制、監督に関する国際的な議論の動向や民間事業者によるビジネスの実態、それらなどを適切にフォローしながら、必要に応じまして、今回の法案のように機動的に制度整備を進めていくことが重要と考えているところでございます。

 実際に、例えば、金融安定理事会で行われている暗号資産やステーブルコインへの対応についての国際的な議論には、金融庁も積極的に貢献しているところでございます。ステーブルコインについては、こうした国際的な議論も踏まえまして、米国や欧州においても、今回の法案と同様に、規制の導入に向けた動きが本格化していると承知しているところでございます。

 一方で、金融庁では、民間ビジネスの動向を把握しつつ、フィンテックを活用したイノベーションへの挑戦を支援する体制を整備してきております。具体的には、二〇一五年十二月に、新たな事業を検討しているフィンテック企業等からの相談にワンストップで対応するフィンテックサポートサービスを設置いたしております。

 金融庁といたしましては、引き続き、こうした取組を通じまして、環境変化に柔軟に、また迅速に対応しながら、利用者保護とイノベーション促進の両立を図るよう努めてまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 両立について検討していただいており、感謝を申し上げたいと思います。

 次に、パーミッションレス型の問題について触れてみたいと思います。

 パーミッションレス型の分散台帳で不特定の者に対して流通可能な仕様で発行し、発行者や加盟店以外の不特定の者に対する送金・決済手段として利用できるものについては、電子的支払い手段に該当し得るとしております。電子的支払い手段を発行、償還する行為は、現行法上、基本的には為替取引に該当しまして、銀行業免許又は資金移動業登録が求められるとあります。

 例えば、外国の会社が日本の顧客に対して資金移動業の登録なくステーブルコインを販売した場合に、為替取引法違反となるのかどうかという点であります。預り金にも為替取引にも該当しないステーブルコインがあるとの指摘もありますが、この点について御見解をお伺いしたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御紹介申し上げましたけれども、通貨建てのステーブルコインは、デジタルマネー類似型というものと、それに該当しない暗号資産型というものに分かれるわけでございます。

 デジタルマネー類似型に該当する、ステーブルコインに該当するという場合につきましては、先生御指摘のとおり、その発行は銀行法上の為替取引に該当するということでございます。したがって、仮に海外の発行者が銀行免許又は資金移動業の登録を取得することなく国内の顧客に対して発行のための勧誘を行うといった場合には、銀行法上の無免許営業ということになるわけでございます。

 それから、そちらに該当しない暗号資産型のステーブルコインでございますけれども、そちらに該当する場合には、その販売は資金決済法上の暗号資産交換業に該当するということでございます。したがいまして、海外の発行者が暗号資産交換業の登録をなくして国内の顧客に対して販売のための勧誘を行うといった場合には、資金決済法上の無登録営業ということになると考えてございます。

中川(宏)委員 時間が迫ってまいりましたので、最後に、手短に一問お願いしたいと思います。

 世界には大小様々なプラットフォームがありますけれども、日々新しいタイプのプラットフォームが生まれております。このプラットフォームの大小にかかわらず、一律に法的に整理しているのか、この点について御見解をお伺いをしたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきまして、ステーブルコインを取り扱う電子決済手段等取引業者の制度につきましては、先生が御指摘のとおり、規模別の規制というものにはなってございませんが、今後、実務関係者からよくヒアリングもいたしまして、政省令、ガイドライン、モニタリングなどにおきまして、規模に応じました運用を行っていくということを含めて、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 時間が参りましたので、以上で終了いたします。

 ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 おはようございます。立憲民主党の伴野豊でございます。

 本日は、安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案について、その質疑をさせていただきたいと思います。一部関連する案件もお尋ねしたいと思いますので、大臣、また、三十五分ですけれども、おつき合いいただければと思います。

 先ほど来からお話があるように、今回、金融のデジタル化等に対応して安定的かつ効率的な資金決済制度を構築する必要がある、こういう中で、三本の柱ということだと思いますけれども、海外における電子的支払い手段、いわゆるステーブルコインのお話を始めとする電子決済手段等取引業の創設、次なる案件として、銀行等における取引モニタリング等の更なる実効性向上の必要性の高まり、これはマネロン対策ということで、為替取引分析業の創設、それからさらに、高額で価値の電子的な移転が可能な前払い式支払い手段、非常に長い言葉でございますけれども、こうした対応としてどうするか、この三つのお話があるかと思うんですが。

 この内容に入っていく前に、まず、大臣、恐縮です、通告していませんが、さらっとお答えいただけると思いますので、ぶしつけで恐縮ですけれども、大臣も携帯電話をお持ちだと思うんですけれども、それはスマートフォンですか。

鈴木国務大臣 スマートフォンを使っております。

伴野委員 失礼いたしました。別にほかの回答を期待していたわけではございませんので。私もスマートフォンです。だけれども、このスマートフォンを使いこなしているかと問われますと、これは正直言って私もつらいところがあります。

 実は、私も連休前に、今まで使っていた携帯電話が、これは私、最近二回ともそうだったんですけれども、新しく換えた、五年ごとに換えざるを得ない状況になる。どちらもバッテリー周辺がおかしくなって、場合によっては、これは、そういうバッテリー周辺が先に来るように作られているのかなと思わざるを得ない。昔のメイド・イン・ジャパンだったら、壊れないということを技術の最高峰として考えていたんじゃないかと思うんですが、手頃な時期に壊れ出すと言うと大変失礼かと思いますけれども。それで、アップルへ走っていきました。そうしたら、これはやはりもう換えられた方がいいでしょうとお勧めいただいたものですから、そのように換えました。

 その方がおっしゃるには、もう説明書も何もありませんからね、ちょうどゴールデンウィークに入るじゃないですか、ずっと触っていてください、そうすると覚えますからと言われて、私も素直に、ゴールデンウィーク、時間があるときに触っておりましたけれども、触っているうちに疲れちゃいまして、まだ正直言って使い方を覚え切っていないというのと、それから、幾つかのアプリは、多分データはクラウド上にあると思いますのでいいと思うんですが、全部移管できているというか使いこなしているかというと、非常に心もとない状態が続いている。

 ですから、携帯電話ということで、今はiPhoneにしているんですけれども、最近は電話すらこれでしなくなっている。幾つかの、メッセージ機能とかLINEとか、それからSNSは使いますけれども、多分一番使っている機能は検索でして。

 検索は非常にいい。ただ、注意しなきゃいけないのは、先ほどからお話が出ているように、この検索の傾向というのは全部読み取られていて、つまり、食べ物に例えると、自分が好きなものが先にどんどん出てきちゃう。こういう傾向ですから、あなたはこれを食べたらどうですかと。だから、場合によって、その情報がどこから来ているものかをきっちり調べないことには、たまたま自分が検索しているのは、あなたが好みのメニューを探しているのと一緒で、自分の解釈に都合のいい、過去のデータに基づいて都合のいいものがどんどんどんどん、それがアルゴリズムというものだと思うんですけれども、言ってみれば計算式だと思いますが、確率論でどんどん出てくる。そういう傾向にあるということからすると、使い主が本当はどっちなんだ、最近AIで議論されることの一つかもしれませんが。

 そんなことを考えて、今回の法案もいろいろ読ませていただきました。そうした中で、やはり言葉の定義というのは、最低限しっかりしておかなきゃいけないなと。議論する中でも、その議論の基礎となる言葉の意味や、どう解釈していくか、それから、今起こっているデジタル化というものの仕組みの基本的なことぐらいは理解しないと、分かっているようなつもりで、分かっているふりをしているつもりで物事だけがどんどんどんどん大きくなっちゃって、しかも、それから、物理的に価値を動かしてきた時代ではなくて電子的に移るということになると、間違えたときは一気に突っ込んでいっちゃいますし、そういう特性があるものを我々はこれから使いこなしていかなきゃいけないなという、そんな思いをしているところなんですね。

 まず、じゃ、順番に行きますので、これは言葉の説明と事実関係を教えていただければ結構ですので、政府参考人の方から端的に教えていただければいいかと思います。

 先ほど来から言葉の中にも出てきていますけれども、いわゆる旧リブラ構想、フェイスブックによる旧リブラ構想というのがあったかと思いますが、これは今、金融庁としてはどういうふうに捉えて、これをどうしていかなければいけないという問題意識の中で今回も法案化されたと思いますけれども、まず、その辺りから、旧リブラ構想というのはどう捉えて、どう対応してきたか、教えてください。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のリブラ構想につきましては、二〇一九年の六月でございますけれども、当時のフェイスブックを中心とするリブラ協会が公表した、通貨を裏づけにする、今回の通貨建てということと共通いたしますけれども、そういうステーブルコインの発行計画でございます。リブラを発行いたしまして、それを協会が預金などで管理するということでございますけれども、先ほど来ございますように、グローバルステーブルコインという議論がございました。マネロンのリスクがあるのではないか、それから本当に償還可能性があるのか、それからサービスがきちんと提供されるかといった点につきまして、国内だけではなくて、国際的にも連携しながら対応することが大事だということでございます。

 その中で、先ほどの通貨建てというステーブルコインについて今回法律の改正をお願いするというものが今の法改正でございます。

伴野委員 ありがとうございます。

 だから、やはりどうしても、フェイスブックということがあって、アメリカ発のデジタル化というところは否めないんだろうと思いますし、その対策もそうなんだろうと思います。

 そうした中で、やはり難しい言葉として、暗号資産。それから、デジタルマネー、デジタルマネーと、分かっているつもりで、この定義。さらには、似たような価値の表現としてトークンというのも出だしましたよね。この辺りをちょっと御説明いただけませんか。

古澤政府参考人 法律上の定義のものとそれから通常のものとございますけれども、まず暗号資産につきましては、資金決済法の中で定義してございます。読み上げさせていただきますが、不特定の者に対する代価の弁済に使用でき、かつ法定通貨と相互にできる、それから、電子的に記録され移転できる、それから、法定通貨又は法定通貨建ての資産ではない、そういう性質を有する財産的価値というふうに暗号資産は定義されているところでございます。例えばビットコインがこの例でございます。

 それに対しまして、デジタルマネー、これは法律上の用語ではございませんで通称でございますけれども、明確な定義はございませんが、一般に、銀行や資金移動業者が発行者となって提供している電子的な送金・決済サービスを指すというふうに受け止めているところでございます。

 それから、先生がおっしゃいましたトークンでございます。これも明確な定義はないところでございますけれども、金融安定理事会、FSBと申してございますが、彼らがこの二月に発表したレポートの中でもトークンという言葉を使ってございまして、そこでは、利益のデジタル表示であって、利益を受ける権利、若しくは特定の機能を遂行する権利、又は特定の目的や用途を持たないものといったものを指すというふうに定義されているというふうに承知してございます。

伴野委員 デジタル化に限らず、金融に限らず、新しい仕組みをつくっていくときには、必ず言葉の定義、基本的な定義というのは、解釈によって都合のいいようにならないように、やはり、何か仕組みをつくるとき、あるいは改正していくときには基本に立ち返っていただくようにしていただければと思います。

 そうした中で、これも先ほど話題に出たかもしれませんが、CBDCに関するところとして、その基本原則は今どう解釈されていますか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 中央銀行デジタル通貨、CBDCについての原則でございますけれども、国際的には、昨年の十月にG7の財務大臣・中銀総裁会議、この場におきまして、このCBDCについての原則というものに合意をしたところでございます。

 簡単にその内容でございますけれども、まずは基本的な理念としまして、このCBDCについて、透明性、それから法の支配、それから健全な経済ガバナンス、これが重要だということ、この理念の下に各国がCBDCを検討するに当たっての論点あるいはその指針、これを示したものでございます。

 主なものを申し上げますと、例えば、データプライバシーの確保という観点で、個人情報の保護ですとかあるいは利用の在り方について、しっかりと説明責任とか透明性を確保しろといったことでございますとか、あるいは、マネロン、テロ資金対策、こういう観点で、CBDCが不正な金融に利用されないようにするべきであるといったこと、それから、サイバーセキュリティーの確保の観点でございますとか、それから、CBDCが仮に国境を越えて利用されるという場合に、他国の通貨主権ですとか金融システムの安定、こういったことへの影響、これも配慮をするべきだ、こういったようなことがこのG7の合意の中に書かれている、こういう内容でございます。

伴野委員 性善説で全部いけば物事というのはスムーズにいくんだと思いますが、とかくそうでない場合もある。

 スポーツの世界ですら、発祥の地のところが最初は強いんだけれども、そのうち負け出すと、そこがいろいろな仲間を募って自分たちに都合のいいルールに少しずつ少しずつ持っていくという傾向はありがちですので、日本は絶対にそうならないように、逆に常に世界をリードしていくぐらいの気概でお願いしたいかと思います。

 そうした中で、今のデジタル資産取引における世界の潮流について改めてお伺いしたいと思いますが、この辺り、どう捉えていらっしゃいますか。先ほど、旧リブラ構想に端を発したという話もありましたが、いかがでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、デジタル決済、今どういう潮流にあるかということかと存じます。

 資金決済のインフラにつきましては、従来は現金決済中心ということでございましたが、キャッシュレス決済が普及するという中で更にデジタル化が進んでいるというのが全体の状況の中で、そうした中で先ほどの二〇一九年六月のリブラ構想といったものが出てまいりまして、法定通貨と価値を連動させたステーブルコインというものが特に海外において増加しているということでございます。

 こういったものに対する我々としての問題意識ということでございますけれども、一つは、将来的な可能性も含めまして幅広い分野で送金・決済手段として用いられるという将来展望が可能性として指摘されているということでございますけれども、他方で、先ほど来出てまいります利用者保護とマネロン上の課題というものも指摘されているわけでございます。

 こういった点につきまして、国際的にも、どういうふうに規制をするかという原則につきまして、金融安定理事会、FSBでございますが、リスクに応じた規制ということで、同じリスク、同じビジネスであれば同じルールを適用するといった原則が各国で合意されているところでございます。G20においても、そういったことを踏まえまして、必要な規制監督上の対応が取られるまではサービスを開始するべきではないという声明も公表されているところでございます。

 こういった議論を踏まえまして、我が国でも今回の法案でございますし、それから、米国、欧州につきましても規制案が公表され、そういった規制の導入に向けた動きが進んでいるというものと認識してございます。

伴野委員 ありがとうございます。

 私が知る限りでも、現在ある主なステーブルコインは米ドル建てであると思いますし、中国は中国で、中国人民銀行によるCBDCの発行はやっていらっしゃるようですけれども、暗号資産取引自体は法律で禁じているというふうにも理解しております。

 日本の過去の傾向だと、何か新しいことをやると、特にこういう事柄については、金融界の事柄は、アメリカの先行を見ながら様子を見て、そして一方で、もう一つの大きな国の経済規模を持つ中国の移行等々も見ながら日本の仕組みも考えていくのかなと思っておりましたところ、今回、法律化といいますか、法案の形にしていくところとしては我が国が先行しているということだと理解しています。

 このタイミングでなぜ我が国が先行をするのか。あるいは、先行しなければならないのか。先行することに大変意味を持っていらっしゃるのか。どういうことでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどございましたように、国際的な議論自体は結構進んできてございます。

 繰り返しになりますけれども、二〇二〇年のFSBの原則、同じビジネス、同じリスクには同じルールといった原則ですとか、G20の声明で、必要な規制監督上の対応が取られるまではサービスを開始するべきじゃないといったことも言われているところでございまして、並行して、米国や欧州におきましてもステーブルコインに関する規制案が公表され、導入に向けた議論が本格化しているというところでございます。

 こういった中で、先生から先行しているんじゃないかという御指摘もございましたけれども、今回の法案の中では、広く送金・決済手段として用いられるステーブルコインについて仲介者に登録制を導入するということによりまして、こういった措置を講じることによって、今まで規制が明確でなかった部分につきまして、取扱いが明らかになるという面もございます。

 そういったことを確保することによりまして、一方では、きちんと適切な利用者保護やマネロン対策を図るということと併せまして、分散台帳技術などを活用した金融イノベーションを促進するという制度整備、環境整備ということを進めているというものだと考えてございます。

    〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕

伴野委員 ステーブルコインのロックイン効果という言葉もあるそうでございますので、私は、どっちかというと、この先行を、ちゃんときちっと、世界に先鞭をつけてリードしていくという意味合いであるならば、非常にそれは積極的にやっていただければいいかと思います。しかし、先行することを目的化してしまって、いろいろなところに仕組みの抜けや穴があってはいけないと思いますので、是非しっかり取り組んでいただければと思います。

 そうした中で、ただ、アメリカは、ステーブルコインに関するリスクというものをきちっと検討して、報告書が出ているかと思います。私もかいつまんで読ませていただいたところ、金融システムや金融市場の機能低下、まず一点、リスクがあるだろう、決済システムを不安定化させることもあるだろう、取引需要の集中による競争上の問題点も幾つかあるだろうという指摘をしておりますが、この辺りは金融庁、どう捉えていらっしゃいますか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ステーブルコインのリスクにつきましては、まさに利用者に対するリスクと申しますか、先ほどからございますけれども、きちんとステーブルコインが償還できるのか、それから、そのサービスが提供されるのかといったまずリスクがございます。それから、もう少し幅広く捉えまして、マネーロンダリングに対するリスク、こういったものについても考えなきゃいけないというのがあるかと思います。

 それから、先生がおっしゃったものの中に、さらに、金融システムに対するリスクということで、従来は金融機関の中で信用創造というものがあったわけでございますが、その世界の外にこういったものが増殖するんじゃないかというリスクもあるというふうに指摘されているというふうに認識してございます。

 我々の今回の法案を考えるに当たりましても、それらの点につきまして検討した上で、審議会でも御議論いただき、今回の制度に至っているというふうに考えてございます。

伴野委員 いずれにしましても、リスクをしっかり解決しながら対応していっていただければ、そんなふうに思います。

 では、次の二つ目の柱のところに行かせていただきたいと思います。

 今回、為替取引分析業の創設というのをマネロン対策でやるということでございますが、一般論として、私、以前、警察庁の方と議論したときに、いわゆる犯罪者の心理というか、泥棒の心理、これが分からないと取締りはできないんですというお話を伺ったことがあるんですが、マネロンもよく似たようなところがある。一つは、どういう手口で、どういうことで、どういう隙をついてやってくるかというのと、それから、やはり分析というのは非常に難しいものだと私自身は思っています。特に、日本人は、多分文化的なこともあるんですが、前任者の方がやられたことをチェックしていくということをいろいろ難しくしてしまう社会的仕組みやあるいは概念があるのではないか、無謬性ということもあるんだと思うんですけれども。

 そうした中で、この為替取引分析業を金融庁さん、今後監督、監視されていくわけであるわけで、当分は育てていくということがあるわけなんでしょうけれども、ちょっと大変失礼な言い方をすれば、これはどこでも起こり得ていることなんですけれども、発注者と受注者という関係で考えた場合に、発注者が本当に受注者を監督する様々な技術的能力、知見があるのかと問われたときに、非常にはてなマークがつく業界が多々散見されます。

 是非、この為替取引分析業の創設に当たっては、そういうことがないように、様々、人事交流等々もしていただきながら、いわゆる為替取引分析業の評価というのがどうあるべきか。ここはやはり基準の物差しなんかも、まず最初は幾つか、少ない項目で結構かと思うんですが、この辺りも明確にして、できることなら国民に分かりやすい評価基準なんかを作っていただいて、チェックできるような体制を是非今から御準備いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 現在、足下におきましては、国際的にもより高い水準のマネロン対策等の実施が求められております中において、中小規模の金融機関におきましては、システムの整備あるいは人材の確保等の面で、単独でそれぞれが対応するのが難しいという声がございます。こうした声を踏まえまして、対策の一環として、取引のフィルタリングやモニタリングを共同化して高度化を図ろうという動きがあると承知をいたしております。

 この法律案の為替取引分析業に関する規制は、こうした動きを踏まえたものでありまして、許可制の下で行政当局による直接の監督対象とし、その業務運営の質を確保しようとするものでございます。

 具体的に申し上げますと、許可制の参入要件として、一定の財産的基盤や情報システムの整備を含め業務を適正かつ確実に遂行できる体制整備を求めること、また、業務の実施に当たり、取り扱う情報の適切な管理等の義務を課しつつ、業務開始後における業務の適切性を確保する観点から、監督当局による報告や資料の提出命令、立入検査、業務改善命令等を規定しているところでございます。

 金融庁として、このような規制の枠組みの下で実効的な監督を行うことができますよう、金融庁の体制も整備しなければならない、こう思っておりまして、そうしたことも努めながら、実効性を確保していきたいと考えております。

    〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕

伴野委員 多分言葉で表現するとそういうことになると思うんですが、それはいろいろな解釈もあると思いますし、場合によっては都合のいい解釈をしていくという、性善説に立ちたいとは思いますが。

 ただ、業界が何か切磋琢磨していける、そういう仕組みも今から考えておいていただく。よくありがちなのは、この手が、発表会というのがいいのかどうか分かりませんが、仮想マネロンというのを作って、それに対して一番的確な対応等々を提案する競技みたいなものがあってもいいのかな、今思いつきで申し上げましたが。何かそういう、業界の中で切磋琢磨していって、金融庁さんがいつも規制する、あるいはチェックする側だけという、これははっきり言って原子力のことでもあり得るんですけれども、やはりどんどんどんどん進歩していく、あるいは難しい分野であるだけに、その中の業界の中で自浄努力が働く仕組みというものを今から考えておいていただけるとありがたいかなと思います。

 じゃ、次に行かせていただきます。

 高額電子移転可能型前払い式支払い手段。これは一言で言うと何ですかと聞きたいところから始めたいですが、この中で、本人確認が必要となる金額、先ほどもちょっと触れられていたと思いますが、たしかヨーロッパは百五十ユーロですか、だから大体二万円ぐらい、我が国は十万円程度というものが一つの基準になるというふうにも解釈しているんですが、この辺りの対応のところ、不正利用事案、案件も触れていただきながら、御説明いただけますか。

鈴木国務大臣 前払い式支払い手段によるマネロン等の状況ということだと思いますが、近年、金融デジタル化が進む中で、価値を電子的に移転できる前払い式支払い手段として、利用者同士のアカウント間で残高が譲渡が可能なものでありますとか、相手方に番号等を通知することにより価値を移転できる電子ギフト券のほか、国際ブランドのクレジットカードと同じ決済基盤で利用できるプリペイドカードなどが普及いたしまして、中には、高額なチャージや高額な価値の移転ができるサービスも提供されております。

 こうした中で、前払い式支払い手段のサービスについては、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認義務がないということから、反社会的勢力の人が前払い式支払い手段のサービスを利用している事例がございます。マネロン対策上の限界があるということも指摘をされているところでございます。

 このような実態を踏まえまして、本法案におきましては、犯罪収益移転防止法を改正をいたしまして、マネロン等のリスクが高い高額な価値を電子的に移転できる前払い式支払い手段の発行者を本人確認義務等の規律の対象とすることといたしたところでございます。

伴野委員 この辺りは、本当に、様々な詐欺も考えられますので、きっちり対策をしていただければと思いますが。

 そうした中で、ちょっと、キャッシュレス化の社会の進展に伴って様々、弱者と言うと大変失礼ですけれども、そういう課題も見えてきています。災害のときに本当に、便利な世の中というのは一気に不便になるわけで、そうしたときの対応や、もう既に、現金お断りとまでは書いていませんが、現金は使えませんよというお店の提示をされているところもあるやに思います。

 そうした、キャッシュレス化の進展に伴って様々出てくる課題、それに対して、場合によっては、一定規模の現金決済ネットワークをユニバーサルサービスとして維持するならば、それは誰が負担するのかというような問題がいろいろ出てくるかと思いますが、この辺りのところをどうお考えになっていらっしゃるか。

鈴木国務大臣 伴野先生が御指摘のとおり、例えば大規模な災害が起こりますと、電源や通信環境が途絶えるということで、こうしたキャッシュレス決済サービスが使用できなくなる可能性が高いという御指摘がございます。

 この点、キャッシュレス決済サービスの社会的重要性、高まっておりますので、災害やサイバー攻撃といった不測の事態においても安定的にサービスが提供されるように、日頃から備えることが求められていると思っています。

 金融庁では、キャッシュレス決済サービスを担う資金移動業者等に対し、特にサービスの提供システムの安定的な稼働について、モニタリングに注力をしております。そして、キャッシュレスの決済サービスなどが一時的に利用できないような大規模災害などもあり得ますが、そうした際の備えとして、預金取扱金融機関も含め、金融業全体で状況に応じた金融サービスの提供を行っていくことが重要であると考えております。

 金融庁として、キャッシュレス化による利便性向上とともに、金融サービスの安定的な提供、これが、両面確保されますように今後も取り組んでまいりたいと思っています。

伴野委員 是非よろしくその辺りの対応をしていただいて。

 とかく、弱者という言い方をすると恐縮ですが、詐欺をされる方は、やはりそういうところを狙ってやっていらっしゃる傾向があります。昨今、記憶に新しいところでは、ドコモ口座を使ったいわゆるフィッシング詐欺というのもあったのではないかと思います。

 これが、とかく、最終的にそれは自己責任という部分もないとは言えませんが、利用者の責任というところだけに期待するのではなくて、やはり仕組み的にしっかりセーフティーネットなりガードが働くようにしていただきたいと思いますので、これはもう、時間もだんだん来ていますので、お答えは結構です。こうした具体的案件に対してしっかり対策をしていらっしゃると期待をしておりますので、よろしくお願いします。

 最後に、最近地元へ帰りますと、やはり、物価高のお話が円安の話と一緒に一般の有権者の方からよく質問をされます。どう伴野議員は考えますかと問われるものですから、最近は私はこういうふうに答えています。

 一つは、世界的な資源や鉱物等の価格上昇、これは、ロシアのウクライナ侵攻というのも大きな原因の一つだとも思いますけれども、それプラス、やはり昨今の円安、これは両方が連動し合っていますので、その原因分析等々はしっかりやらなければいけないと思いますが、その円安の主な要因というと、やはり内外金利差を指摘される学者も多いです。さらには、その円安のそもそもの傾向が、やはり、賃金が上がっていない、国力の低下ではないかという指摘をされる、今の実質実効為替レートは一九七二年の辺りの水準であるということからすれば、残念だけれども、それが今の国力だという見方もあります。

 そうした中で、これは日銀さんに聞かなきゃいけないんですが、日銀さんのスタンスをそのまま踏襲するとすると、円安による国民負担は放置して、購買力に見合った水準まで消費を減少させる、その辺りになってくればバランスしてくるんじゃないか、物価と金融市場の安定を重視して動かないという日銀さんの姿勢がこのまま続くとすれば、政府は政府なりの対策を取っていかないと、つまり、今の物価高、円安、プラス世界的な資源や穀物等の価格上昇がどんどんどんどん国民だけに押しつけられていく、これが本当にあるべき姿なのか。

 日銀さんの基本理念の中にも、国民経済の健全な発展に資するということも書いてある。こういうところのバランスは、大臣、どうお考えになっていらっしゃるか、大臣の御意見をお聞かせいただいて、最後にしたいと思います。

鈴木国務大臣 現在の物価高あるいは円安のことについてどういう認識かということだと思いますが、最近の物価高につきましては、為替による影響、これもあるんだと思います、見られるものの、主に原油を始めとする世界的な原材料価格の高騰等を背景としたもの、そういうふうに認識しております。

 また、為替につきましては、様々な要因により、市場において決まると思っております。これは、日米金利差だけでなく、例えば、通貨量、物価の見通しなどが関係してくるわけでございまして、その変動の要因を一概に申し上げるのは難しいと思っておりますが。

 その上で物価高の対応について申し上げますと、政府としては、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応するため、先月二十六日に総合緊急対策を策定したところでございます。本対策に盛り込まれた原油価格高騰対策や中小企業、生活困窮者支援等を迅速に実行するとともに、引き続きまして、為替や物価の動向について緊張感を持って注視していきたいと考えております。

伴野委員 いずれにしましても、よろしくお願いいたします。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 立憲民主党の下条でございます。

 限られた時間の中で前向きな提言をした後の御回答をいただければなというふうに思っています。

 前から、日本は島国で、平和と水と安全はただだというような中で平和に暮らしてきた、これはもう感謝したいと思います。ただ、その間にいろいろな侵攻があったり、いろいろな部分が進んでいなかったり、そろそろ気づかなきゃいけないということは多くあると思います。

 私は、今日は、いろいろな部分で政府がそろそろ目覚めて前向きに手を出していただきたいという御提言をしていきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 まず一つ目は、キャッシュレス決済の現状ということであります。

 これは、私の手元にも来ておりますけれども、簡単に言えば、キャッシュレスにした場合、キャッシュであったときと比べてコストがどのぐらい削減できるか、これは大事な話だと思うんですね。

 このコストを削減すれば、その分はほかに使えるということにつながるし、千何兆借金があるわけですけれども、いろんな部分に使えていくということであります。

 まず、その試算、キャッシュレスコストになった場合の試算の見積りがあるか、また金額を教えていただきたい。

澤井政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省で令和三年度に実施しました検討会におきまして試算をしてございまして、それによりますれば、現金決済インフラを維持運営するための社会全体のコストにつきましては、一定の仮定の下で推計した結果、年間二・八兆円に上るという結果が得られてございます。

 したがいまして、現金の流通がなくなった場合には、こうしたコストが削減されるものと期待されてございます。

下条委員 こうやって、三兆行かないけれども、大きな金額が、大臣、出ているんですよね。

 三兆円削減できるというのが出ているわけですよ。これは、詳細も私の手元にあって、今日はちょっと時間があるので言いませんが、これだけ削減できることが目の前にぶら下がっていることが、まず一つ、私は提言しておきたい。

 それは元々、政府でも理解しているわけですよ。こうやれば、これだけ削減できる。二・八兆円ということは、やり方によって、二兆円になるかもしれない、三兆円や四兆円になるかもしれない。

 これだけの、まず、キャッシュレス決済をやっていけば、コストが削減できますよということが僕は一番大事なことなんです。それが一つ目です。

 そこで、今回の改正案というのは非常にいい改正案で、裾野が広がるってのは、余り細かいことは言いませんが、大変いいと私は個人的には思っています。

 そこで、このキャッシュレスの中で、今回、個人別の決済のデータをお調べになったとお聞きしています。どのぐらいの方がキャッシュレスを使ってきて、どのぐらいの方がまだまだそこに至っていない、この辺のデータを教えていただきたい。

澤井政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのキャッシュレス決済利用者の状況でございますけれども、私どもの方で、年代別のキャッシュレス利用者の傾向というものを、二〇二〇年に消費者アンケートという形で実施してございます。

 その結果によれば、二十代以上の年代につきましては、毎日キャッシュレス支払いを利用する方、そうした割合は、三十代が一番多くなっておりまして約二割。それから、そこから年齢が高くなるほど、だんだん落ちていく、こういう傾向にございまして、最終的には、七十歳では大体一割になっているということでございまして、そうした傾向になっているということでございます。

 また、もう一つ、地域別の傾向も調べてございまして、これにおきましては、やはり、大都市部の方が町村部よりも使われている傾向があるということでございますが、ただ、全体で見れば、週一回以上キャッシュレス決済を利用する割合というのは六割以上ということになって、かなり広がっているという状況にあるというふうに認識しております。

下条委員 ありがとうございます。

 六割以上といっても、週に一回使う人を入れて六割以上ですね。そうつけ加えていただくと、聞いている方もよく分かると思う。

 つまり、要は、キャッシュレスを週に一遍というのは、ほとんど使っていないと同じですよ。だから、三十代の人が二割ぐらいで、さっきも言いましたように、試算の中で三兆円も浮くという話の中で、これはちょっと進めていかなきゃいけないんじゃないかというのが僕の提言ですよ、簡単に言えば。

 十代の人はいろんな、十八以上の人もいるけれども、十二、三の人も含めて、六十代、七十代、八十代、五十代の人は、ずっと落ちてきて、週一遍使うか使わないかぐらいになっている。これが今の日本の実態だというふうな数字が出ております。

 そこで、私は、これを政府主導にしていってもらいたいということなんですよ、提言は。

 というのは、何で進まないかというところに問題点が僕はあると思うんですね。

 一つは、例えば、私は持っていますSuicaとか、デジタルマネーのSuicaとかnanacoとか、何か、ペイペイとかWAONとかクレジットカード、ありとあらゆるものが混在している。自販機では、交通の、何か、ぴっとあれでできるけれども、クレジットカードで買えない。また、駅そばのところでは、ランチタイムでは、単価が安いからクレジットは使えないようにして、現金にして、夕方から飲み会がある、まあクレジット。ばらばらなんですよ。こういうばらばらなものを民間にそのまま渡しておいて、本当にそれで、さっき言った、三兆円がどんどん、二年で五・六兆円、三年で三兆円掛ける何倍、こうなっていくわけですよ。

 だから、これは、そろそろ、安心、安全でやってきた日本のクレジットや電子決済、キャッシュレスの部分に、もっと政府が入っていってもらいたいとずっと思っているんです、僕は。これはデータがあるんです。これが大事であるということであります。

 そこで、経産省で、平成三十年にキャッシュレス・ビジョンというのが出たのかな、キャッシュレス検討会で。これは、大阪万博に向けて、キャッシュレス決済比率四〇パーの目標を前倒しし、世界最高水準に、将来的には八〇パーを目指す。令和元年六月の閣議決定では、二五年の六月までに、キャッシュレス比率を倍増して、四割程度にするということなんですね。

 これは、私は、今日、委員会で提言したいというものは、今言ったようなものが幾つかあって、それを待っていれば待っているほど、どんどんどんどん非効率なお金が出ていってしまうということなんですよ。だから、本当にこれは、政府目標でちんたらちんたらって、これは言葉が悪いんですけれども、ゆっくりしちゃっていていいのか。本当に、この二五年までに四割だという目標、目標ですよ、これはあくまでも。言いにくいけれども、今まで、目標、余り達成されていないとは思うんです、いろいろな事情があって、政府は。いろいろな目標です、各分野で。本当にこんな目標でいいんでしょうかという提案をしている。いかがでございますか、政府側としては。

澤井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘にありました目標につきましては、議員御指摘にあったように、まず最初は、二〇一七年時点で、当時はキャッシュレス割合が二割ということでございましたので、十年後の二〇二七年までに倍増する、それで四割にする、こういう目標を立てておりました。当時は、現金志向が日本は強いと言われる中で、当時としては野心的な目標として設定されておったということでございます。

 それを、これも議員から御指摘ありましたように、翌年の二〇一八年に、二〇二五年ということに前倒しをいたしまして、あわせて、最終的には八割を目指すというところを設定させていただいたところでございます。

 それで、現在、キャッシュレス化、今三割というところまで来ていますので、最終八割というところを目指すためにも、まずは、二〇二五年の四割ということを着実に達成すべく取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

下条委員 まあ、そこまでしか言えないと思うんですね。

 ただ、私は、やはり、大きな政府として、今言ったように、自分たちで試算を持っているわけですよ。キャッシュレスにしたらこれだけ浮くんだということを分かっているんだったら、まだばらばらですよね。それをもっと前倒しにしていくべきだというのをこの議事録に残したくてしゃべっているんです、僕は。さっきから分かったような話をし合っていますからね。それを大臣に聞いていただいて、この後のお話に進めていきたい。

 要は、キャッシュレスがめちゃくちゃ遅れていて、現金で買うよりも三兆円近く浮くことを分かっていながら進んできた船だということです、日本丸は。

 そこで、CBDC、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーです。これは、さっきも、ちょっと、同僚からリブラ構想の話もあって、一旦これはあって、その後、落ちちゃっているんですけれども。

 例えば、カンボジアでは、二〇二〇年に発行して、三分の一が利用している。韓国では、もう第一段階の実験が一月に終了。中国では、個人用ウォレットで取引金額は一兆七千億円。インドでももうCBDCを発行する。アメリカが三月に大統領令で、米国が国際的な議論でリーダーシップを発揮すべきというふうに明言しております。

 その前提の中で、また今までの条件の中で、本当に、日銀の方で、二六年までにCBDCの判断をするというふうに言っているらしいんですが、そういうふうに私は聞いていますが、まず日銀さん、今日は、このことについてお答えいただきたい。

内田参考人 お答え申し上げます。

 御質問の件でございますけれども、昨年一月に国会におきまして黒田総裁が、デジタルユーロが発行される可能性がある二〇二六年ぐらいまでには、我が国でも技術的、制度的に発行できるかどうかの判断ができるかという御質問をいただきまして、個人的にはそう思いますが、政府との調整、それから国際的な検討状況にも影響されるという旨お答えしたということでございます。

 もとより、CBDCの発行に当たりましては、そうした発行ができるかという実現可能性の検証だけではございませんで、発行すべきかどうかという点につきまして、政府それから民間事業者などと十分議論を尽くしていく必要がございますし、何よりも、利用していただく国民の皆様の十分な御理解が必要だというふうに思っております。そういう意味で、発行判断の時期というのも、そうした国民的な議論の中で決まっていくものというふうに理解しております。

下条委員 そうすると、黒田さんがそのときに、個人的見解、その後政府と詰めますよと言っている段階だということで、理解よろしいですね。

 だから、中身については我々の方でお聞きしないようにしますが、要するに、こんなのでいいんでしょうかねというふうに私は思っているわけですよ、こんなにゆっくりしていていいのかなと。

 それで、これは前倒しをもっとするべきということが一つの提案ですけれども、検討協議会のメンバーに、一番それを使う消費者や小売、自治体とかが入っているんでしょうか。いかがですか。

内田参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど昨年一月と申し上げましたが、本年一月の間違いでございます。訂正させていただきます。

 その上で、CBDCに関する連絡協議会でございますが、これは昨年四月から始めました実証実験に関する情報を共有して、その進め方について協議するということを目的に設置しました。そういう目的でございますので、メンバーは、実証実験の内容が将来のビジネスに影響する可能性の高い金融機関、それから決済サービス事業者の代表が中心となっております。

 今後、議論が進展していきますれば、より幅広い関係者の御意見を伺う必要も出てくるというふうに思いますので、その際には、連絡協議会という場を使うかどうかは別でございますけれども、何らかの形でそうした方々の声を取り入れる工夫をしていきたいというふうに思っております。

下条委員 結構だと思います。その中に、今ちらっとおっしゃった、名前はどうか分からぬけれども、入れていこうという意思、これは必要だと思うんですね。ただ、全体にスピードアップしろというのが僕の提案なので、是非、持ち帰っていただいて、進めていただきたい。

 やはり消費者とか自治体とか小売の人たちが入らないようだと、結局、言いにくいけれども、頭のいい人たちだけで決めた形になり、時間を取って、右左見ながら進めていくんじゃ、さっき言った、最初の私が提案したのと同じですけれども、どんどん遅れていって。だって、一年間で二兆八千億というのは相当な金額で、カチャンカチャン、ガチャンガチャン、一日一日いっているわけですよ。だから進めていただきたいということを申し上げます。

 そして、この状態の中で、私もアメリカは好きですけれども、大臣、アメリカが大統領で進めていこうぜと言っているわけですよ。今、日銀の方が、そういうふうに総裁が個人的、何じゃらかんじゃら言っているという中で、世界のデジタル通貨をリードするぐらいの発言を、そろそろ民間任せにしていないで、政府として、また閣議として、先鞭を切って提案していってもいいんじゃないか。そのバックがさっき言ったいろいろなコストの部分や、それから後でちょっと出しますマネロンの話もあるんですけれども、どんどん遅れていますよ、日本は。それが、ひいてはいろいろな国に対する、日本にとっては余りよくない国に対する、利することにもなっていることを後で提言しますが。

 大臣、これはもっと、そろそろリーダーシップを持って、私は言いにくいけれども、人間が生きていく中で、命とお金だと思いますよ。命は自分で守るしかない、また家族を守るしかないけれども、お金がなければ何も食っていけない。そのお金をいろいろ動かすことが、今日の、この決済やその他の部分の議論に影響してくるわけです。これは大変に重要な話になります。大臣、いかがですか。リーダーシップを取っていただいて、提言していっていただけないでしょうかね。いかがですか。

鈴木国務大臣 下条先生御指摘のように、中央銀行デジタル通貨につきましては、アメリカそして欧州など世界各国で検討が進んでおりまして、社会のデジタル化の流れの中で、日本としても重要な検討課題である、そういうふうに考えております。

 導入に当たっては、やはりそれまでに乗り越えなければならないものもあるわけでございますが、通貨が経済社会の根幹を成す重要なインフラであるということを踏まえますと、CBDC発行に際しての政策的判断には、金融システムの安定、プライバシーの保護、セキュリティーの確保、マネーロンダリング対応など、安全で信頼の置けるCBDCの在り方について、多岐にわたる制度面や法律面の論点の検討、こういうものもやはり不可欠である、そういうふうに思っております。

 発行判断を行う上では、まずこれらの検討を深めることが重要でありまして、財務省といたしましては、国際的な動向にも十分留意しつつ、日銀、金融庁等と緊密に連携をしてまいりたいと思います。いずれにしても、しっかりと対応していくべき重要な事項であると考えています。

下条委員 ありがとうございます。大臣、最後に、連携してやっていただくということなので。

 ただ、リーダーシップを取ってやっていただければということであります。そうすれば、無駄遣いや、いろいろなお金が出ていかないんだよということがさっきの数字で、政府がお示しになった数字の中に入っているということでございます。

 時間の関係で、次に移らさせていただきます。

 デジタル・カレンシー・ジャパニーズ・エン、ジャパン・エンのことでございます。

 七十四の企業、自治体、団体が参加するデジタル通貨フォーラム、資金決済法の枠内で銀行等の機関が発行することを検討しているということでございますが、これは、ユニバーサルサービスというのがあるんですけれども、ユニバーサルサービスには、議論について、金融庁としては、まず参加しているんでしょうか。また、参加していなければ、その理由を教えてください。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘がございましたDCJPYでございますけれども、これは円と連動するデジタル通貨の一種ということで、民間企業主導により設立されましたデジタル通貨フォーラムという場におきまして、デジタル通貨の実用性、それから想定される利用例の検討が行われるものと承知してございます。

 このフォーラムにつきましては、金融庁といたしまして、民間の動向や技術の進展などを把握する、これは金融行政を行っていく上で重要であるという観点から、オブザーバーとして参加しているというところでございます。

 こうした民間企業主導のフォーラムにおける具体的な検討内容につきましてコメントする立場にはございませんけれども、我々承知しているところでは、オブザーバーとして参加している議論の場におきまして、先生から御指摘のございましたユニバーサルサービス、全国一律な料金で安定的にサービスを提供するという意味かと存じますけれども、そういった議論がなされているとは承知していないところでございます。

下条委員 そこですよ、やはり。民間任せにしちゃっているということですよ。オブザーバーというのは、名前はいいけれども、要するに、見ているということですよね。参加して議論に入っていくべきじゃないかという提案をしている。これは皆さんに言ってもしようがないんだけれども、金融庁の。大臣に後でこれを聞こうと思っていますけれども。

 要は、これだけいろいろな世界情勢をやっている中で、民間に任せて、ゆっくり見ながらやっていていいのかなというのが、僕は思っているんです。オブザーバー、さっきも言ったように、七十四の企業体等が参加しているのに、いまだにオブザーバーでいいんでしょうか。

 というのは、御存じのとおりで、スウェーデンでは九八%ですね、キャッシュレス。大臣御存じのスウィッシュ、デジタル通貨。これは何でそんなに進んで、ほとんどの人が、即座に決済できて、一か月待って、タイムラグも何もない、そこで決済できるというふうになって、本当に、効率化と、いろいろな面で皆さんが助かっている。これを達成できたのは、大手が中央銀と一緒に、政府が入っていってやったということですよ。

 私は、さっきも言いましたように、どんどんどんどん遅れている中で、そろそろ目覚めよということですよ。政府がそろそろ目覚めて、このフォーラムに参加して、オブザーバー、横で見ているんじゃなくて、参加をしていって主導していってもいいんじゃないかという提案であります、大臣。スウェーデンがそれでもう九割以上、九八・三%です。だから、これをそろそろ進めていくべきじゃないかなと。

 民間から上がっていたのを、横を見て、左を見て、省庁を横断して、そんなのをやっていたら、どんどんどんどん、さっき言った部分が遅れていきます。それによって、僕は、最後に言いますけれども、いろいろな部分の危機がもっと盛り上がってくるということでありますので、大臣、いかがですか。そろそろ、オブザーバーじゃなくて、連携していって入り込んでいく、少し一歩前に出ていただきたい。それは金融担当大臣ならできる話ですよ。何も悪いことは、誰もマイナスではない。私は賛成したいと思っています。いかがですか。

鈴木国務大臣 CBDCの検討に当たりましては、決済手段としての民間決済サービスとどのように役割分担をするのか、それから、CBDCの発行、流通に際して民間事業者にどのような役割を担っていただくのかなど、民間事業者との連携をしっかりと踏まえる必要があると考えております。

 そのような観点から、財務省といたしましても、民間事業者も含めました協議の場であります日本銀行の中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会にメンバーとして参加するとともに、先ほど来先生から御指摘のございますデジタル通貨フォーラムにも、情報連携の観点から、オブザーバーとして参加をいたしております。

 いずれにいたしましても、民間決済サービスの現状、民間事業者の意見、そういうものを踏まえつつ検討を進めているところであり、今後とも、こうした民間の方々を含む関係者の皆様との議論を積み重ねていきたい、そういうふうに思います。

下条委員 珍しいです。もう一回だけ聞きます。

 オブザーバーで参加するのではなくて、連携で入り込んでいただきたいという私は御依頼をしましたけれども、今は、オブザーバーでやっていけという話だったんですが、大臣、いかがですか。入り込んでいって主導権を持ってもらいたい、スウェーデンみたいに一緒にやってもらいたい、スピードアップしてもらいたい、この辺で、ちょっと、私は二回質問しないんですが、いかがでございますか。

鈴木国務大臣 これは、財務省は通貨当局であるわけでございます。そして、銀行、資金移動者の規制そして監督当局である金融庁という、そういう関係があることは、もう先生十分御存じのとおりでございます。

 そういうことを考えますと、そうした関係も踏まえて検討をしなければ、直接参加することについては、そういうことも踏まえて考えていかなければならないんだと思います。

 いずれにいたしましても、CBDCにつきましては、民間事業者との連携、これはしっかりと踏まえなければいけない、そういう認識は強く持っているところでございます。

下条委員 ありがとうございます。

 その連携を重要視していますよという言葉をいただければ議事録に残りますし、これは大臣、大事な話なんですよ。この次に出てくる僕の御提案にもつながるんです、本当に急がなきゃいけない時期に来ているなと。で、ほかはどんどんどんどん進めて、アメリカも大統領でどんどんどんどん進めているから、是非リーダーシップを取っていただいて、その連携の中に入り込んでいただければというふうに思います。

 ちょっと時間の関係があって、次に移ります。

 次は、為替取引分析業、マネロンということでございますが、まず、クレジットカード不正利用、これは大体今どのぐらいの金額になっているか。また、海外で分かる範囲内でどのぐらい、アメリカを含めてあるか、ざっくりと数字を教えていただきたい。

澤井政府参考人 お答え申し上げます。

 キャッシュレス決済のうち、主たる手段でありますのはクレジットカードでございますが、このクレジットカードの不正利用の額は、二〇二一年におきましては約三百三十億円に達するというふうに認識しております。

 また、海外でございますが、これも各国で被害の定義だとか対象となるキャッシュレス手段、いろいろ異なっておりますので、我が国と単純には比較できないのでございますが、各国のレポート等によりますと、米国では推計で、二〇二〇年には約一兆一千億円、欧州では二〇一九年に約二千三百億円といったレポートも出ているというふうに承知してございます。

下条委員 実を言うと、難しいところなんですよね。何か日本の被害額が少ないように聞いている人は思うんですが、分かっていないということがもう一つあるんですよ、犯罪が。

 海外はいろんなデジタル決済が進んで、それに付随して、物すごく能力を上げたチェック機能が働いている。例えば、極端な話、FBIを含めまして。ただ、日本は、把握しているのが三百三十で、実際、三百三十億円以上はないということではないと、僕は認識、それは皆さんもお分かり。つまり、把握することが一番大事なんですね。そこなんです。

 つまり、犯罪というのは、捕まる人、捕まらない人、逃げちゃった人、いろいろあると思うけれども、それと同じで、そんなに膨大に金額が違うということ、アメリカも余り、さっき言ったデジタルが遅れていますから。そういう意味で、把握しているかどうかというところの数字だと僕は理解しています。

 つまり、把握していない部分が多いから、いろんな分のマネロンに多く使われちゃっているんです、この日本丸がですね。それを僕はまず提案しておきたいと思います。

 そして、為替取引は、例えば、今日はもうあと時間がちょっとしかないんですけれども、警察を通していろいろやってくる中で、御提案の株式会社、一般社団法人もさることながら、全国の銀行協会、地方銀行協会、第二地方とか信金とか、各金融機関ごとにオール・ジャパンでチェック機能を進めていったらどうかというのが私は思っているんですよ、今打ち任しちゃっているだけなので。ですから、これは今後の課題として、全部、つまり、多くの情報をいろんな団体を含めてオールで把握しておくと、そこにいろんなクレジット被害とか、いろんなマネロンのやつが絡まってきますから、そこを御提案したいと思います。いかがでございますか。

鈴木国務大臣 先生の、なるべく大きな規模で行った方がマネーロンダリングの撲滅には有効だ、そういう御指摘であると思いますが、全国銀行協会におきまして、全国地方銀行協会や第二地方銀行協会も参加する形でマネロン対策等の共同化に向けた検討が今進められております。本法律案の為替取引分析業に関する規制は、こうした動きを踏まえたものでございます。

 金融庁として、各金融機関がマネロン対策等を共同化して、その知見やノウハウ等を集約する形で業界全体として取り組むこと、これは、御指摘のとおり、対策の実効性や効率性の向上に大いに資するものであると考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 もう一回言います。日本が三百億円ぐらいしか被害がないというのは、それは把握していないのであります。私も防衛省におりましたけれども、いろいろな問題がある。だけれども、ほかの国は一兆何と、それだけ把握できる体制が整っているということですね。それを理解していただいて、大きな枠で、オール・ジャパンで連携を取っていただくというような御回答だと理解しておりますので、是非進めていただきたいと思います。

 時間の関係がありますので、次に移ります。

 私は、こういうふうにいろいろ言ってきているのは、とある隣国でどんどんミサイルを発射している。今年になってからもいろいろ発射している。

 これ、僕は、もう時間の関係があるから自分の方から言いますので、例えばICBMというのは一回当たり発射だけで約三十億円ぐらいかかると。発射だけですね。それ以外に、小さい、中距離とかいろいろ、どんどん発射している国がありますけれども、この国は、実を言うと、御存じのとおりで、国連安全保障理事会から制裁委員会に対して、このサイバー攻撃を含めたものがその収入源になっていると。つまり、一発撃つと三十億とかって、弾道ミサイルは三十億だけれども、その施設、維持費、人件費、そして、その他の、維持費ですね、建設等を含めて、そうすると、膨大な金額になる上に、ミサイルというのは開発の方にお金がかかりますから、そのミサイルの開発とか核兵器プログラムに膨大な費用がかかるとアメリカのジョージタウンの教授もおっしゃっていると。また、それを含めた、国連でも、これはそろそろチェックを入れなきゃいけないんじゃないかなと。

 私は、このサイバーというのはまさに、デジタルの中に入ってくるのを含めて、非常に大きなもの。例えば日本でも、昨年八月に交換業者がビットコインで百億円超流出したというのがありましたね。アメリカの調査会社でチェイナリシスというのがあって、これが、警察と連携して捜し出した結果、相当な金額が、あえて言います、北朝鮮の方に流れているということでございます。

 私は、なぜこういうふうに声高に言って、いろいろな無駄遣いとか、いろいろな経費、コストがかかっていることを話した上でこの話をするかというと、隣国というのは最も我々が安全保障で真剣にならなきゃ、目覚めなきゃいけない国なんですよ、我々自身が。その国に、さっき言った、チェック機能やいろいろな部分が遅れていることによって、どんどんお金が流れているとしたらですよ、これは確定であるんです。これは国連の制裁委員会に出した話ですから、パネルの委員会が。だから、それは、一〇〇%そうだと私は言いませんが、それだけぽんぽんぽんぽん撃ってきている隣国の北朝鮮に対して最も安全保障上目覚めなきゃいけないのは、僕はこの日本だと思っています。

 それで、このサイバー攻撃を含めた不正被害に対する連携、これ、時間も来ちゃってあれなんですけれども、そちら側も言いにくいところがあるんですけれども、是非、これ、知らしめたいと思うんです、国民の皆さんに。こういう委員会で言うということは、そうなんだなと。これは与党とか野党とか関係ないです。我々の安全保障のポイントとなる、要するに、ミサイルを打ち上げるというのは金がなきゃできないんだから、金がどこから来るかということです。それが僕らが分かっているのであれば、チェック機能をどんどん進めていくべきじゃないかなと思います。

 今の状態はいかがでありますか。答えられる範囲で結構ですので、お答えいただきたい。

薗浦委員長 警察庁森元長官官房審議官。

 なお、持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

森元政府参考人 お答えいたします。

 外貨の獲得や機密情報の窃取など、サイバー空間における脅威、深刻なものと認識しております。

 北朝鮮につきましては、外貨の獲得を目的として、様々な形でサイバー攻撃を行っていると見られまして、米国を始めとする諸外国もその旨を明言しています。

 こうした情勢を踏まえまして、警察におきましては、サイバー事案への対処能力の強化を図るため、警察庁にサイバー警察局が、関東管区警察局に重大サイバー事案の捜査を行うサイバー特別捜査隊を本年四月一日に発足させております。

 今回の組織改正によりまして、サイバー事案の厳正な取締りと実態解明、それから国内外の関係機関との連携を更に推進いたしまして、安全、安心の確保をしっかり図ってまいりたいと決意しております。

下条委員 ありがとうございます。

 これ以上は申し上げませんが、なかなか答えにくいところの部分は多いものですから、ただ、そういう状態の中に日本があって、我々が一番目覚めなきゃいけないんですよ、大臣、それだけ申し上げておきたい。そして、さっき言ったチェック機能をどんどん早めていく、それによって、国民の生活そして命を守っていただけたらというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。

 本日も貴重な質問時間をいただき、ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。

 質問の方に移らせていただきます。

 まず、昨今の為替動向に関してお伺いいたします。

 本日は、昨日の夜、一円ほど円高になっておりますが、ドル・円相場はこの二か月で十五円ほど円安に大きく振れております。そのような中、為替相場に関して、日銀の黒田総裁は一貫して、円安は日本経済にプラスとおっしゃっております。一方、鈴木大臣は先月十五日の会見で、悪い円安という言葉を使われております。

 一見すると、為替動向に関して、政府と日銀が違う見解を示しているように聞こえますが、改めて、大きく円安に動いている現在の為替相場に関して、財務大臣としての御見解をお聞かせください。

鈴木国務大臣 今、藤巻先生が御指摘になられました黒田総裁の御発言については、私はコメントする立場ではございませんので控えますが、黒田総裁も為替の安定は極めて重要という趣旨を述べられているんだ、そういうふうに思ってございます。

 再々述べておりますが、為替の安定、これはもう重要なことでありまして、特にも最近のような急速な変動、これは望ましくないと考えております。政府としては、為替市場の動向、日本経済への影響、そういったものを緊張感を持って注視してまいります。

 そして、これまでのG7等で合意された、為替レートは市場において決定される、為替市場における行動に関して緊密に協議する、過度の変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与え得るといった考え方に基づきまして、米国等の通貨当局と緊密な意思疎通を図りながら、政府として今後適切に対応してまいりたいと考えております。

藤巻委員 急速な変動は望ましくないとおっしゃられたんですけれども、大臣は先月十三日にも、急激な変動は大変問題があると述べられて、また、二十一日のイエレン米財務長官との会談でも、直近の円安が急激であるということを数字をもって示されたとのことです。

 それでは、急激でなければ円安は是認、円安は総合的に日本経済全体にとってはプラスとお考えなのでしょうか。

鈴木国務大臣 それはもう先生も御存じのとおり、円安には両面があるわけでございます。例えば、輸出産業等についてはプラスになるわけでありますし、輸入につきましてはそれが物価高につながるという、両面あるということで、一概に、今おっしゃられていたように、急激でなければいいとか、悪いとか、そういうのを一律的に言うことはちょっと難しいんだと思います。

藤巻委員 為替相場は、人々の生活にも企業の収益にも直結する、大臣おっしゃられるように、大変影響の大きいものであると思います。

 ただ、一方で、これだけ相場が大きく動く中、その相場観というか、政府が分析する望ましいレンジを全く示さないというのは、マーケット任せというのは、逆にちょっと多くの人に不満、不安を与えてしまうようなことにもなると考えております。引き続き、為替動向に関して適切な御判断の方をよろしくお願いいたします。

 続いて、今月九日、安倍元総理が、日銀は政府の子会社だと発言されました。政府と日銀の関係性について、鈴木財務大臣としてはどのように認識されているのか、お聞かせください。

鈴木国務大臣 安倍元総理の御発言だと思いますが、私は、その御発言自体、そこの部分だけしか報道で知っておりませんので、全体としてどういう文脈でなされたのか分かりませんので、発言自体については申し述べませんけれども。

 その上で、一般論として申し上げますと、政府は日本銀行に対して五五%の出資をしておりますけれども、議決権、これは有しておりません。また、日本銀行には、日本銀行法三条一項及び五条二項におきまして、金融政策や業務運営の自主性が認められております。こうした点を踏まえますと、日本銀行は政府がその経営を支配している法人とは言えないわけでありまして、会社法で言うところの子会社には当たらない、そのように考えております。

藤巻委員 そうすると、前総理と現財務大臣の考えが違うというようなことになってしまうのかなと思うんですけれども、八年近く続いた第二次安倍内閣は、日銀は政府の子会社という立場、考えから金融政策を行っていたという認識でよろしいのでしょうか。

鈴木国務大臣 それは、御本人に聞いていただかなければ分からないと思います。

藤巻委員 分かりました。機会がありましたら御本人に聞いてみます。

 続いて、法案の方に移らせていただきます。

 現在、顧客の制裁対象者該当性や疑わしい取引該当性の分析は各金融機関にそれぞれ任せられている状況かと思いますが、金融機関から警察の方に、それらの報告件数、また、その報告を基に検挙に至った件数はどのくらいになるのでしょうか。あわせて、金融機関から報告があった後の流れについてお聞かせください。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 令和三年中に、疑わしい取引の届出受理件数は約五十三万件でありますけれども、そのうち、金融機関等から提出された疑わしい取引の届出件数は約四十九万五千件と約九三・四%を占めております。

 このうち、検挙に至った件数でございますけれども、これは金融機関等を含む全ての事業者に係る件数となりますけれども、警察において、令和三年中に、疑わしい取引に関する情報を端緒として検挙した事件、これは一千四十五件、あるいは既に着手しております事件捜査の過程において疑わしい取引に関する情報を活用して検挙した事件の数は一千五百一件となっております。検挙に至った罪名といたしましては、詐欺、窃盗、偽造有印公文書行使、あるいは組織的犯罪処罰法違反、覚醒剤取締法違反等が挙げられます。

 流れでございますけれども、国家公安委員会におきましては、金融機関を含む特定事業者からの疑わしい取引に関する情報を捜査機関に提供しております。各捜査機関におきましては、先ほど申し上げましたけれども、当該情報を端緒として内偵捜査を行って、マネーロンダリング事件等の検挙に至りますほか、既に捜査している事件の裏づけ捜査や余罪捜査等に活用しているところでございます。

藤巻委員 おっしゃられた件数、これは多いのか少ないのか、判断は難しいところではあると思うんですけれども、検挙に至った件数、氷山の一角かとも思います。

 私自身、銀行員時代、この取引が疑わしい取引に該当しないかどうか、銀行内の手続にのっとってやっていました。新規取引先の役員が反社ではないか、犯罪歴はないか、銀行の持つデータと照合したり、あるいは、外為送金の際は何の目的で送金するのかと顧客に聞いていました。やってはいたんですけれども、一方で、ちょっと形骸化しているという感じもありましたし、銀行の持っているデータも、どれだけの量を持っていてどれだけの質なのか、そんな疑問も持っておりました。

 そういった意味において、共同化した為替取引分析業者を許可制にして業務運営の質を確保し、取引モニタリングを効率化し精度を高めていくという本法案の方向性に関しては、理解できるところでございます。

 一方で、これで十分なのでしょうか。民間の自主的な取組に期待するところではあるとは思いますが、金融庁と民間がより一体的となって、マネロンやテロ資金供与対策、疑わしい取引のモニタリングを強化していく必要もあると考えます。先ほども申し上げましたが、捕捉できている疑わしい取引などは一部なのではないのでしょうか。本法案も含めて、将来的な更なる取組、方向性に関してお考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 昨年八月のFATFによります対日審査報告書の公表を契機といたしまして、政府一体となってマネロン対策等を強化するため、関係省庁で構成する政策会議を設置するとともに、行動計画を策定し、必要な法整備の検討を含め、現在、取組を進めているところでございます。

 行動計画におきましては、金融庁は、マネロン等に係る検査監督の強化、取引モニタリングを含め、リスクに応じた金融機関等によるマネロン対策等の強化、取引モニタリングの共同システムの実用化に向けた検討などに取り組んでいくこととしております。

 また、これら対策につきましては、国民の御理解と御協力が不可欠であります。対策の必要性について、金融業界と連携して情報発信を行っているところでございます。

 金融庁として、我が国の金融機関のマネロン対策等の高度化に向けた施策を総合的に進めてまいりたいと考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 ちょっとかぶってしまうんですけれども、為替取引分析業者の持つ犯罪に関わるデータベースなど、情報の質、量、また業務運営上のシステム、統計的処理、それぞれ実効性を高めていかないと意味がありません。そこの部分は大丈夫でしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 為替分析業者は、為替取引分析業者でございますけれども、複数の銀行の委託を受けて、マネロン対策の中核でございます取引フィルタリング、モニタリングを担うということで、運営の質を継続的に確保する、非常に重要だと考えてございます。こういうことで、先ほども御紹介させていただきます参入要件、それから、その業務実施に当たっての規律、そして業務開始後の手当てというものをしているところでございます。

 金融庁といたしましては、こうした枠組みの中で、為替取引分析業者の業務が適切かつ実効的なことで行われるよう、適切にモニタリングしてまいりたいと考えてございます。

 先ほども御紹介させていただきましたけれども、金融庁といたしましても、マネロン対策の高度化ということに向けまして、例えば、マネロン対策の現状と課題といったレポートを出して、金融機関のマネロン対策に係る理解の促進といったことも取組も進めているところでございます。こういった取組を業者とも共有するといったことで、マネロン対策の継続的な向上を促してまいりたいと考えてございます。

藤巻委員 また、大量の個人情報を持つことになると思います。そういった個人情報、流出することがないか、こちらの方の安全対策はどうでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 為替取引分析業者でございますけれども、先生御指摘のとおり、個人情報、データベースを事業に用いるということでございますので、まずは、個人情報保護法にのっとって、個人情報を適切に取り扱う必要があるということでございます。

 その上でということでございますが、これに加えまして、今般の業規制におきまして、為替取引分析業の許可の申請があった場合、情報の適切な管理を含めまして、業務を適正かつ確実に遂行できる体制が確保できるかということを審査することといたしてございます。それから、許可後でございますけれども、業務の実施状況について監督当局がモニタリングを行うということとしてございます。

 為替取引分析業者が保有する個人情報につきましては、こういった枠組みの下で適切な管理を求めてまいりたいと考えてございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 本法案を通じて、疑わしい取引や、マネロンだったりテロ資金供与対策、しっかりと行っていただければと思います。

 続いて、ちょっとかぶってしまうんですけれども、中央銀行デジタル通貨、CBDCについてお伺いいたします。

 近年、各国中央銀行でCBDC導入に向けた動きが活発化しており、米国でも、CBDCの研究開発の加速を含む大統領令にバイデン大統領が署名をしており、今後大きく進む可能性があります。日本銀行も、二〇二〇年十月に、中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針を発表しております。

 CBDC発行に向けて、現在の取組状況を教えてください。

岡本副大臣 お答えいたします。

 CBDCにつきましては、欧州や米国など世界各国で検討が進んでおりまして、日本におきましても、日本銀行が昨年四月より実証実験を通じた技術的検証を行っているところでございまして、社会のデジタル化の流れの中で、財務省としても重要な検討課題であるというふうに考えております。

 他方、通貨が経済社会の根幹をなす重要なインフラであることを踏まえれば、CBDCの発行に際しての政策的判断に関しましては、金融システムの安定、プライバシーの保護、セキュリティーの保護、マネーロンダリング対応など、安全で信頼の置けるCBDCの在り方について、多岐にわたる制度面や法律面での論点の検討が必要であるというふうに考えておりまして、財務省といたしましては、国際的な動向にも十分に留意をしつつ、日銀、金融庁等と緊密に連携しながら、今後しっかり対応してまいりたいと考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 効率的で利便性の高い決済システムの構築に向けての動きをどうぞよろしくお願いいたします。

 時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸です。

 本日も、また貴重な質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、資金決済に関する法律の一部を改正する法律案に関連して、電子決済手段等への対応、いわゆるステーブルコインへの対応に焦点を絞った質疑をさせていただきます。

 このステーブルコインの発行と流通が海外において増加しているという話は、今までも各委員の方たちも指摘されていますが、金融のデジタル化に対して安定的かつ効率的な資金決済の制度を構築する必要性があることを受けての法改正として理解しています。

 これまでの世の中になかった、想定されていなかった技術がどんどん出てきて、さらに、スピードも、想定されていないスピードで変化している中、非常に難しいかじ取りというか、バランスが重要な施策、制度と考えております。

 私個人の話でいくと、私自身も、ちょっとジャンルは違うんですが、不動産ビジネスにおいてテクノロジーを活用していく、そういったスタートアップを立ち上げた経験もあって、ブロックチェーン始め、以前は仮想通貨と呼ばれていた暗号資産を日々追いかけてはいるんですが、今回の質疑に際して、やはり、ステーブルコインの内容はかなり時間をかけてキャッチアップが必要でした。

 やはり、世の中のプレーヤーが走りながら考えている世界において、政府が、現時点において、どういう軸を方針としているかということを産業界若しくはビジネス界に示していくというのは、非常にプレーヤー側からしても重要な、何というんですかね、羅針盤にもなりますので、本日の質疑の前半においては、日本が目指している方向性について特に焦点を絞った質問とさせていただきます。後半は、かなり技術的な細かい質疑にも踏み込みたいと考えていますので、本日はよろしくお願いいたします。

 まず、最初の質問として、しょっぱなからかなり、明確な答えの出しづらい質問とはなるんですが、一言で言うと、利用者保護とイノベーション促進、ある意味両輪、両方必要なんですけれども、ここのバランスについてお伺いしたいと考えています。

 特に電子決済手段への対応方針としては、二つの方向性、利用者保護をしたりとか、今までも出てきましたマネロン若しくはテロ資金の対策を取るための規制を強化する世界と、もう一方で、イノベーション若しくはグローバル化に対応するために促進、支援する方向、二つあると思うんですけれども、これについて、電子決済手段等への日本政府の対応方針としてどのようなバランスを取ろうとしているかを、鈴木大臣より御見解をお願いできますでしょうか。

鈴木国務大臣 電子決済手段や暗号資産等を取り巻く環境、これがグローバルに、かつ急速に変化する中で、金融庁といたしましては、赤木先生今御指摘のございましたとおり、利用者保護やマネロン対策等の確保と、イノベーションの促進による利便性の高いサービスの実現、この二つを両立させていくこと、これが重要であると認識をしております。

 こうした課題に的確に対応していくためには、民間事業者のビジネスについて実態把握やフォローをしっかり行い、規制がイノベーションを阻害していないか、あるいは利用者保護に支障が生じるおそれがないかなどを絶えずチェックしていく必要があると思っています。

 金融庁では、例えば、二〇一五年に設置いたしましたフィンテックサポートデスクを通じまして、フィンテックを活用したイノベーションへの挑戦を支援しつつ、民間事業者の最先端の取組について情報収集をするなどの取組を行っております。

 また、海外のビジネス動向や規制、監督に関する国際的な議論を把握することも適切な行政判断を行っていく上で重要であると考えています。金融庁としては、例えばFSBにおけるステーブルコインへの対応に関する議論に積極的に参加、貢献しているなど、取組を行っているところでございます。

 引き続きまして、こうした取組を通じて、ビジネスの環境変化に適切に対応し、利用者保護とイノベーション促進の両立を図るよう努めていきたいと考えています。

赤木委員 まさに利用者保護を図りながらドラスチックなグローバルの変化に対応すること、非常に難易度は難しい試みとは思いますが、現場とかなり密にコミュニケーションも取りながら、深めながら進めていただく方針をお聞きして安心いたしました。

 一方で、すごいスピードでデジタル技術が進んでいる時代において、利用者保護の側面をもうちょっと深掘りというか大きな視点で見た場合に、ちょっと言葉が適切かどうか分からないんですが、デジタル弱者と呼ばれる、なかなかこういったデジタルの部分とか、活用し切れない世代がいるのも確かで、こういった方たちが取り残されたりとか、詐欺とかのトラブルに巻き込まれることも、一方で、私自身、懸念しております。

 さらに、日本は、まさに特有な問題として、二千兆円を保持しているというか持っている貯蓄世代という方たちが結構高齢世代でもかぶっている部分もありますので、場合によっては、たくさんのお金を持っている方たちがデジタル弱者に該当している可能性も少なくはないかなと考えております。

 まさに、政府としても、貯蓄から投資へということを目指された根拠のベースの部分がこの二千兆円という部分を非常に重視されているのではないかと考えていますが、こういったお金の使い方とか、そもそものお金の概念が複雑になる中で、このような貯蓄世代若しくは高齢世代への対応として、政府方針としてどのようにお考えになられているか、これも改めて鈴木大臣より御見解をお願いいたします。

鈴木国務大臣 キャッシュレス決済でありますが、これは利用者の利便性向上や企業の生産性向上等にもつながるものでありまして、金融庁もその推進に取り組んでおります。

 この推進に当たっては、キャッシュレス決済に不慣れな方が、その使い方や機能だけでなく、メリットや注意点について正しく理解することが重要である、そのように思います。

 そのために、金融庁と財務局におきまして、キャッシュレス決済に関し、その種類や使い方、機能のほか、現金を持ち歩かなくてもよいなどのメリットや、使い過ぎや詐欺、金融トラブルに留意する必要があるなどの注意点につきまして、金融経済教育の出張講義や教材等を通じて様々な方にお伝えしているところでございます。

 こうした取組も含めまして、引き続きキャッシュレス決済の推進に努めてまいりたいと考えております。

赤木委員 まさに教育の重要性、強く認識されているというところをお聞きして、継続して行っていただければと思います。

 やはりこの二千兆円の貯蓄というのが、先ほども御答弁でもありましたが、まさに暗号資産、ステーブルコインの市場規模が今二百二、三十兆円、もうちょっと今多いと思うんですが、ある意味、それの十倍近いお金がこの日本に残って、存在していますので、このお金をどう流通させるか若しくは流動化させるかという部分は、ある意味、最先端の電子決済の手段と同じかそれ以上に重要かなと考えておりますので、並行して推進していただければと考えております。

 さらに、暗号資産は、ステーブルコインという名前が安定的というような訳し方をされると、まさにこういった詐欺とか新しい経済犯罪が発生することも懸念しています。

 そういった中で、リスクやデメリットの話に関連して、電子決済手段に関する犯罪というのはまだ発生していないと思うんです、まあ、これからの話ですが。同じ技術を用いた暗号資産に関する詐欺、トラブルというのは、残念ながら相応な経験値が蓄積されていると考えています。これについて、どういったトラブル等が発生しているかについて御教示、お願いできますでしょうか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 暗号資産をかたった典型的な詐欺ということでお答えさせていただきますと、出会い系サイトとかマッチングアプリなどで知り合った人に勧められて暗号資産に投資したものの、その後、返金されない、出金できない、連絡が取れないといったような典型的な事例がございます。

 暗号資産交換業者についての主な相談内容というところでいきますと、これはそんなに、何というか、先ほどのような例ではなくて、口座開設時に個人情報を記載した書類の提出が求められることが不満であるとか、マネロンの疑いがあるとして取引に制限がかけられ不満であるというような事例などがございます。

 それで、先ほどの典型的な詐欺の事例みたいな話ということについては、当然、正規の登録を受けた暗号資産交換業者によるものではございませんが、金融庁といたしましては、消費者庁、警察庁と連携して、暗号資産のトラブルの具体例を示して注意喚起を行っているほか、詐欺事案に関しては捜査当局へ情報提供を実施しているということでございまして、引き続きこのような取組に努めてまいりたいと考えております。

赤木委員 そうですね、まさに今回のこの法案を適用する監督官庁が対応する取引業者が詐欺を行うのではなくて、やはりこういった新しいビジネスというか現象に目をつけた不法行為者がトラブルの原因になっているという部分で、まさにずれが生じているというところは非常になかなか難しい世界かなと思いますが、今おっしゃられたみたいに、警察、消費者庁との連携を密に取りながら、こういった利用者保護の体制の構築を進めていただきたいと考えております。

 この暗号資産の詐欺等の今お話しいただいたような不法行為を前提として、今回の法案になっている電子的支払い手段等に関する利用者保護の方針も決められていると認識しています。具体的には、セキュリティーの確保や不正利用の補償若しくは個人情報の保護、あとは、問題が発生した場合にどういった形で解決するのかといったところも想定されていると思いますので、どういった利用者保護の方針を取ろうとしているのかについて御見解をいただけますでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 電子決済手段等取引業者に対して求めます利用者保護に関する措置といたしましては、本法案において、例えば、利用者が電子決済手段等取引業と銀行等が行う業務との誤認を防止するということできちんと説明するといった点ですとか、取り扱う電子決済手段の内容それからその手数料などにつきまして利用者へきちんと情報を提供するなど、利用者の保護を図り、電子決済手段等取引業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならないとされているところでございます。

 また、御指摘のございました、本法案におきましては、情報漏えいなどの、そのセキュリティーの確保とそれから個人情報の管理を行うために必要な措置を講ずべきことといったことも規定してございますし、それから、御指摘のございました、利用者に損害が生じた場合におけます賠償責任の所在の明確化ということで、このための電子決済手段等の発行者との間で契約締結を行うべきことといったことも規定しているところでございます。

 こういった措置を含めまして、利用者保護のために必要な措置につきましては、今後、内閣府令やガイドライン等におきましてその具体的内容を規定してまいりたいと考えてございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 私もまさにスタートアップ経営をしていたときは、恥ずかしながら利用者保護よりイノベーションの促進をもっと重視すべきだとちょっと個人的に考えていた時期もあるんですが、一方で、改めてこういった立場になったり冷静に考えると、利用者保護があって初めてこういった新しい技術が普及していくというのはやはりベースにあると考えて、これぞまさに真実と考えていますので、非常にバランスの難しい政策、制度にはなると思いますが、この利用者保護とイノベーション促進の両方、わがままなあれなんですが、やはりやらなきゃいけないこととして両方の実現をお願いしたいと考えています。

 これはどちらか一方ではないんですね。これは両方同時に実現する力が、日本には当然まだまだ眠っていますし、実際に発揮されている状況だと私は確信していますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 ここから、もうちょっと細かい、技術的な、各論の質問に移らせていただきます。

 細かい話ではあるんですが、実は、現場サイド若しくはビジネスサイドのプレーヤーにとっては非常に関心が強い内容になっています。具体的に、私の知人で電子決済関係のビジネスをやっている方たちからも、今日是非ここは聞いてほしいと頼まれた内容にもなっていますので、ちょっと時間の関係もあって、詳細な定義等ちょっとはしょった状態で、少し乱暴な質疑となるかもしれませんが、御容赦をお願いいたします。

 まず、デジタルマネー類似型の電子決済手段のみを本法案で対象としている、逆に言うと、暗号資産型の電子決済手段を対象としなかった理由、そして、今後の方針について、教えていただきたいと思います。例えば、ステーブルコインの発行者に対する規制の違い、若しくは法令上の位置づけもあると思いますし、あとは、ほかにもどういった方針、今後の進め方をするかについて、御見解をいただけますでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるステーブルコイン、幅広いものを含み得るわけでございますけれども、御指摘のとおり、本法案におきましては、法定通貨の価値と連動した価格で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの、これをデジタルマネー類似型、それ以外を暗号資産型と区分いたしまして、それぞれの性質に応じた規律を適用するというふうにしているところでございます。

 デジタルマネー類似型のステーブルコインにつきましては、銀行、資金移動業者が発行する既存のデジタルマネーと同様に、送金・決済手段として社会で幅広く使用される、ここは踏まえまして、本法案におきまして、その取引を行う業者に登録制を導入するなどの措置を講ずるということでございます。

 一方で、御指摘のございました暗号資産型でございますけれども、その暗号資産型につきましては、送金・決済手段として社会で幅広く使用されるというところとは性格が違ってございますので、現行の暗号資産交換業としての規律というものを適用することとしているところでございます。

 先ほど、先生の御質問にございました、じゃ、この先どうするんだというところでございますけれども、今回の法律の中でも、暗号資産型のステーブルコインのうち、将来的に、広く決済・送金手段として利用されるようなものが出現するということになりましたら、内閣府令でそういったものを指定いたしまして、デジタルマネー類似型と同様の規律を及ぼすということを可能としている枠組みになってございます。

 いずれにいたしましても、暗号資産型のステーブルコインに係る規制の在り方につきましては、利用実態ですとか諸外国の制度整備の動向も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

赤木委員 まさに明確な基準が設けられていて、今後の世の中の動向も踏まえて決められていくということを理解いたしました。ステーブルコインといっても大きく二つあること自体、なかなか世の中にまだ認知されていない中で、利用者保護という非常に重要な部分も含めて、今後の周知をよろしくお願いいたします。

 続いて、海外で発行されているステーブルコイン、これを日本で取り扱うことができるのかどうか、取扱いをそもそも今回の法案で想定しているのか、取り扱える場合は、どういった条件、また損害賠償等の取決めをどうするのかといった部分について、政府としてどのようにお考えかをお聞かせいただけますでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今後広く送金・決済手段として利用されることが想定されるステーブルコインにつきましては、マネロンの防止とそれから利用者保護の観点から、利用者の資産が適切に管理され、仮に発行者が破綻した場合には利用者が円滑に償還を受けられるといったことが重要であると考えてございます。

 御指摘の海外のステーブルコインでございますけれども、海外のステーブルコインを国内の事業者が仲介するといった場合には、こうした点が確保されているということが必要だと考えてございます。

 取引の仲介を行うことができる海外のステーブルコインの具体的な要件は、今後内閣府令などで定めるということでございますけれども、現時点では、基本的に、国内において発行者の拠点が設置されるということとともに、資産保全がなされるということが必要だと考えてございます。

 そのほかにも、今後の諸外国における規制監督体制の整備状況や実務も踏まえまして、どのような場合に本法案により整備される枠組みと同水準の利用者保護が確保されていると評価できるかについて検討していく必要があると考えてございます。

 あと、その後でございますと、海外発行者とそれから仲介者の契約締結という問題が出てまいります。

 発行者と仲介者が分離する中で、適切な海外金融サービスの提供には、システム全体としてのガバナンスと申しますが、そういう確立が必要だと考えてございます。

 こういった観点から、発行者と仲介者の適切な連携、利用者から見た発行者と仲介者の役割それから責任関係の明確化といったため、本法律案では、原則として、電子決済手段等取引業者に対して、発行者との契約締結義務を課すというふうにしてございます。

 その一方、例外的に、電子決済手段等取引業の利用者の保護に欠け、又は電子決済手段等取引業の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれが少ないという場合といたしまして内閣府令で定める場合につきましては、契約締結義務を課さないということもしているところでございます。

 こういった内閣府令の具体的な内容につきましては、今後、発行者が海外のものである場合も含め、利用者保護の観点を踏まえつつ検討してまいりたいと考えてございます。

赤木委員 今お答えいただいた点に関しては、やはり、ビジネスサイドの側からは非常に難易度が高いというふうに考えている方たちがいるのも事実なんですが、一方で、ハードルは高いんですけれども、ビジネスメリットを考えれば、きちんと条件さえ、条件というか、明確な条件が示されていれば、乗り越えてくる事業者は必ず存在すると私自身は考えています。

 やはり、二千兆円というすごい膨大な資金の流通、流動性というのを考えれば、日本だけでも魅力のあるマーケットではありますので、この辺り、繰り返しになるんですけれども、利用者保護と促進の部分のバランスをよろしくお願いいたします。

 さらに、細かい質問、続きまして、次は、パーミッションレス型ステーブルコイン、これを日本で取り扱う可否について、これはどちらかというとマネロンの対策に関連した論点が大きいと思いますが、ここについてどういった御見解を持たれていますか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、いわゆるパーミッションレスの分散台帳でございますが、通常のパーミッション型と言われているものと異なりまして、利用者がネットワークに参加する際に管理者による許可が必要でない、これがパーミッションレス型というふうに承知してございます。現在海外で流通しているステーブルコインの中には、こうした分散台帳を利用しているものというものも見られるものというふうに考えてございます。

 電子決済手段等取引業者につきましては、適切な体制整備を求める観点から、本法案を踏まえて、今後検討いたします内閣府令におきまして、電子決済手段の特性それから自己の業務体制に照らして、利用者保護又は電子決済手段等取引業の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる電子決済手段を取り扱わないということを求めることを想定してございます。

 そういう中で、電子決済手段等取引業者が取り扱う電子決済手段、具体的にはステーブルコインでございますけれども、システムの安全、安全性、強靱性などに加えまして、権利移転に関する明確なルールがある。それから、先生から御指摘のございました、マネロン対応の観点から、そういった要請に確実に応えられるといった点。それから、発行者や仲介者の破綻時、それからその技術的な不具合、そういった問題が生じた場合におきまして、取引の巻き戻し、それからその損失の補償など、利用者の権利が適正に、適切に保護されるということが考慮される必要があると考えているところでございます。

 御指摘のパーミッションレス型の分散台帳を活用したステーブルコインの国内での取扱いにつきましては、こういった考え方に照らしまして、その適否を個別具体的に判断することを想定しているところでございます。

赤木委員 まさに、私の質問の中で定義をしないまま使っている言葉を、定義も含めてお答えいただき、ありがとうございます。

 時間も来ましたので最後の質問なんですが、そもそも論として、このステーブルコインの安定性のリスクとか償還リスクについて。

 先日、FRBが、これについて、リスクが高いんじゃないかという警告があったり、実際に、テラUSD、ステーブルコインが暴落したりというのがここ数日で起こっていますが、これについてどのように御判断されていますでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今、足下、テラUSDでございますけれども、民間の情報提供サイトでございますコインマーケットキャップというところのデータによりますと、元々一コイン一ドルでございますので一ドル付近で推移していたわけでございますが、今月十日以降、下落して、その後も一ドル付近まで回復していない状況というものが続いているものと承知してございます。

 こういった中で、ステーブルコインにつきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、デジタルマネー類似型、それから暗号資産型というものに区分いたしまして、それぞれの性質に応じた規律を適用することといたしてございます。

 御指摘のテラUSDの方につきましては、これは日本の登録を受けている暗号資産交換業者が取り扱っているものではございませんけれども、現時点におけるサービス対応を前提といたしますと、暗号資産型という方に該当するものと考えてございます。

 暗号資産型のステーブルコインにつきましては、一般論といたしまして、日本の暗号資産交換業者は上場審査といったことも行ってございますし、それに加えまして、利用者に対して暗号資産の性質の説明を行うなど、利用者保護のための体制整備を構築することが求められているというところでございます。

 ステーブルコインを含む暗号資産の動向が金融市場それから金融システムの安定に与える影響につきましても、引き続き注意してまいりたいと考えてございます。

赤木委員 済みません、私の持ち時間、少し延びてしまいまして、時間も来ましたので質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。国民民主党の斎藤アレックスでございます。本日は質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、今、維新の赤木委員からステーブルコインのことについて質問がございました。私も同様の質問でございますが、ちょっと通告の順番を変えまして、まず、本法案に関して、ステーブルコインに関して質問をさせていただきたいと思います。

 今、やり取りにもありましたけれども、二十四時間前ぐらいからステーブルコインのテラやテザー、またルナでも、ルナはステーブルコインじゃないかもしれませんが、暗号資産の暴落が起きて市場が混乱している中でございます。大変、本法案の本委員会での取扱いがタイムリーなものになっていますけれども。

 ステーブルという名前とは裏腹に、ステーブルじゃない今状況になっている、安定していない状況になっていますが、今後、ステーブルコインと呼ばれるものがどのような役割を世界の金融決済システムで果たしていくことになると財務省はお考えになっているのか、まずその御認識を伺えればと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、金融のデジタル化というものが進む中で、ステーブルコインを用いた取引は主に海外において非常に広がっているというふうに承知してございます。

 こうしたステーブルコインにつきましては、将来的には幅広い分野、例えば暗号資産同士を取引するときにステーブルコインを使うといったものも広まってございます。そういった中での決済手段、送金手段として用いられるという可能性も指摘されている一方で、海外の当局からも、先ほど来ございます利用者保護、それからマネロン上の課題を指摘されているというふうに、そういったものも存在していると承知してございます。

 こういった中で、本法案でございますけれども、広く送金・決済手段として用いられるステーブルコインにつきまして、その取引の仲介者に登録制を導入するといった措置を講じているところでございます。

 今こういった中、先生の御指摘のように今日の相場も動いているわけでございますけれども、金融決済システムをめぐる内外の環境が急速に変化しているというところで、今後の動向を見通すのは困難と考えてございます。

 金融庁といたしましては、いずれにいたしましても、国際的な動向を注視しながら、先ほど来ございます適切な利用者保護、それからマネロン対策ということを図りながら、分散台帳技術を活用した金融イノベーションを促進することが可能になるようにするということのために、不断の制度面見直しに努めてまいりたいと考えてございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 ステーブルコインのリスクについても本日るる議論がなされていますけれども、イエレン米財務長官がつい先ほど、アメリカ時間の昨日、米下院の下院金融委員会でステーブルコインについて発言をされたと。その中で、報道によれば、現在の規模では金融安定への真の脅威とはみなさないが、非常に急速に成長しており、我々が何世紀にもわたって経験した銀行取付け関連のリスクと同様の危険性を呈していると、ステーブルコインに関して危険性があるということを強くこれまで以上に発言をされています。

 新たな規制が必要ではないかという発言であったり、米財務省としてステーブルコインの危険性について報告書をまとめるというふうに下院金融委員会で述べたということでございまして、今回の市場の動きに応じて、ステーブルコインに対する見方も米政府では少し厳しくなっている、明らかに厳しくなっているということが報道されています、伝わってきます。

 そのことについて、財務省、もし財務大臣も御所見があれば、どういったふうに取り込んでいくのか御説明いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のステーブルコインに関する規律の導入でございますけれども、国際的には、先ほど来御紹介させていただいています、例えばG20におきます議論ですとかそれからFSBにおける議論、その中では、同じビジネス、同じリスクのものについては同じルールを適用しようよといったことを議論してきている中でございます。

 先ほど来も御紹介させていただきますが、アメリカにおきましても欧州におきましても、そういった問題意識の中で、例えばマネロン対策をどういうふうにしていくか、それから、金融システム以外のところで信用創造が広がるようなことについてどういうふうに考えるか、金融システムに対するリスクをどういうふうに考えるかといった問題意識を共有しながら、規律を考えるということを進めてきたものでございます。

 今回の御提案させていただいてございます資金決済法の改正というものも、まさにその流れに沿った改正案というふうに我々として考えているところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 名前と裏腹に非常にリスクがあるというところで、消費者保護の観点からも注視していくことが必要だと思いますので、是非とも、本法案が成立をされた後もしっかりと監督をして、検査をしていただければというふうに思います。

 もう一つ、ステーブルコイン関連で通告をさせていただいていたんですけれども、時間もないのでお願いだけにとどめたいと思いますけれども、大変やはり専門的な分野だと、今回、法案の中身とか解説とかを見ていても思いました。

 ブロックチェーン関連の、デジタル関連の高度な技術が使われているということで、正直、かなり私も理解が追いついていないところはたくさんございますので、やはりデジタル関係の専門家としっかりと連携をしていただくことが財務省でも今後ますます重要になるということが今回の法案の審議でも分かりますので、是非とも、デジタル庁であったりとか、また、人材を財務省の方でもしっかりと確保していただく、これまでいないような人材を確保していただくというところもしっかりと御検討をいただき、取り組んでいただければと思います。

 ありがとうございました。

 続きまして、ちょっと本法案の審議から外れまして、現下の円安、金融緩和政策に関して質問をさせていただきたいと思います。本日は、日銀黒田総裁にも御足労いただいておりますので、質問させていただきたいと思います。

 私は松下政経塾の出身でございまして、政経塾のときに前原誠司衆議院議員の秘書をしていたこともあって、よくこの委員会で、前原代議士と黒田総裁がやり取りをしているところを見ておりましたので、今回、こういったふうに質問させていただくことになって、大変、初当選後、最も緊張しておりますので、どうか温かい気持ちで御対応いただければと思います。

 私が松下政経塾に入塾したのが二〇一三年の四月でございまして、ちょうど黒田日銀総裁、第二次安倍政権の下で異次元の金融緩和が始まった月であります。そこから丸九年がたったわけでございまして、ここまで長期間にわたって金融緩和を異次元で行っていくということは、日銀としても、総裁としても想定をしていなかったのではないかというふうに勝手に推察をしております。物価安定目標の二%を持続的に実現できる状況にいまだなっていないというところであります。

 昨今、安倍元総理による、日銀は政府の子会社だという発言が物議を醸しています。テクニカルに日銀が政府の子会社かどうなのかという点よりも、安倍元総理が幾ら財政赤字を増やしても日銀に引き受けさせれば大丈夫といった趣旨で発言をしている、繰り返しているということは、私は問題だと考えております。

 改めて黒田総裁にお伺いをさせていただきたいんですけれども、もちろん、特に安倍総理の発言に関してはマーケットも反応していないのでお答えいただく必要はございませんけれども、金融緩和を無尽蔵に続けていくことはできない、金融緩和にも副作用があるということはまず確認をさせていただきたいんですけれども、その点について御所見をいただくことは可能でしょうか。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、現在の大幅な金融緩和というのが二〇一三年の四月から始まって、その後、様々な修正も加えられておりますけれども、基本的に量的・質的金融緩和というものが現在まで続いていると。その中で、これもまた御指摘のように、まだ二%の物価安定目標を安定的、持続的に維持するということはできていないということでありますので、今後とも、その物価安定目標を実現すべく必要な金融緩和を続けていくということになると思います。

 その場合の副作用というか影響ということについては、いろいろな議論がありますけれども、例えば、全体として非常に金利が下がり、イールドカーブがある程度フラット化してきて、そして、金融機関の貸出利ざやが縮小するという影響があるのではないかと言われています。これは、日本だけでなくて欧米でも言われている話なんですけれども。

 他方で、それではそうでないように金利を上げてしまったらどうなるかというと、これは、景気が悪くなり、あるいは、銀行の貸出し自体の量も減ってしまったりすると、利ざやが拡大しても銀行の収益は必ずしも増大しない。さらには、景気が悪くなれば信用コストも拡大するということですので、大幅な金融緩和、金利の大幅な低下によって金融機関の利ざやが縮小していることは事実なんですけれども、では、そうでない金融政策を取ったら金融機関の収益が拡大するかというと、そうではないので、この点もある程度、そうでない政策を取った場合との比較で見てみないといけないということだと思います。

 それからもう一つは、大量に国債を購入していますので、そして、その下でしかもイールドカーブコントロールということをしているために、国債の市場機能が低下しているのではないか、これも、欧米でも大量に国債を買っていますのでそういった議論があるんですけれども、その中で、日本銀行としては、大量の国債購入というもの、量的な目標というよりも、むしろ、経済に一番重要な適切なイールドカーブを維持するという形にして、必要な国債を買い入れると。だから、国債の量を決めて、その量だけ何が何でも買い入れるというのではなくて、適切なイールドカーブになるようにするということで対応してきたわけですが、他方で、十年物国債の金利をゼロ%程度という中で、一時非常に金利の変動が小さくなって、余りにも国債の市場機能が損なわれているのではないかということもあったので、ゼロ%程度というのはプラスマイナス〇・二五%の範囲で変動することは適切であるという形で、経済に対する刺激効果と国債市場の機能度を一定程度保つということのバランスを取ってやっているわけです。

 そういう意味で、国債市場の機能度に大量の国債購入、中央銀行による大量の国債購入が機能度を低下させているんじゃないかという副作用というのもあり得るとは考えていますけれども、他方で、大幅な金融緩和自体は必要ですので、そこはある程度バランスを取って、そういった副作用といった問題にも対処してきたというところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 市場機能が低下しているという話、昨日か今日かの日経新聞でも出ていましたので、非常にそこも重要なポイントだと思うんですけれども、もう一つの、今重要な副作用として生じているものが私は円安だと思っております。継続的な金融緩和によって円の価値が下がっていると。円相場は今二十年前の水準ですけれども、購買力平価で換算すると、円水準は五十年前と同等になっているということでございます。

 まず、ちょっと時間も限られるので、何点かまとめて質問させていただきたいと思うんですけれども、緩和の副作用として、一般生活者、消費者の暮らしぶりの悪化を招く過度な円安を招いている、あるいは招きかねないという認識があるのか、まず一点目にお伺いしたいと思います。

 それに加えて、これまで九年間にわたって行っている異次元の金融緩和、当然、出口戦略に関しても検討してこなければならなかったというふうに思います。過度に円が安くなっていく、それをコントロールするためにどうしても金融緩和をやめざるを得ないという可能性も考えられますけれども、異次元の金融緩和を店じまいする、金融政策を正常化していく方策、しっかり御検討いただいているのか、その点、二点目に教えていただきたいと思います。

 最後に、今後、二%を超すインフレを安定的に実現できなかったとしても、円安であったりとか金融のシステムの状況に応じて金融緩和を正常化をしていく、その模索をすることは黒田総裁の任期の中で考えていらっしゃるのか。あと一年の任期でございます。正常化は次の総裁に委ねるのかということになると思いますけれども、その点についても、三点目、お答えいただければと思います。

 済みません、まとめてよろしくお願いします。

黒田参考人 まず、円安の御質問でございますが、我が国の経済は感染症による落ち込みからのまだ回復途上で、最近時点のGDPも感染症拡大前のレベルよりも二%程度下でございまして、欧米のように感染症拡大の前のレベルを超えているというところではなくて、まだ回復途上であるということであります。

 そして、資源価格上昇による下押し圧力というものも受けていますので、やはり、こうした状況では、強力な金融緩和によって経済活動をしっかりとサポートすることが何よりも重要だというふうに考えております。

 一方、為替相場については、御指摘のように、いろいろな問題もあり得ますので、何よりも経済、金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが極めて重要である。その点で、最近見られたような、為替市場における短期間での過度な変動というものが、やはり先行きの不確実性を高めて、企業の事業計画の策定などを難しくするために望ましくないというふうに考えています。また、御指摘のように、為替相場の変動の影響は、家計と企業で異なる上に、企業の中でも業種や規模によって不均一であるという点にも留意が必要であるというふうに考えておりまして、引き続き、為替相場の変動が経済、物価に与える影響については、十分注意して見てまいりたいというふうに考えております。

 それから、二番目の、出口のお話でございますが、もちろん、金融緩和からの出口の際には、金融市場の安定を確保しながら適切に出口戦略を遂行することは十分可能であるというふうに考えております。

 そう申し上げた上で、現在の消費者物価の上昇は、エネルギー価格の上昇を主因とするものであって、二%の物価安定の目標を持続的、安定的な形で実現するにはなお時間がかかるということでありますので、当面大規模な金融緩和を続けることが必要であって、具体的な出口戦略の手法などについて論じるのはやはり時期尚早だと思いますが、物価安定の目標の実現が近づいてくれば、当然出口に向けた戦略や方針について金融政策決定会合で議論して、適切に情報発信していくということになると思います。

 なお、先日の展望レポートでお示ししたとおり、政策委員の中央見通し、見通しの中央値でいいますと、二〇二二年度は、国際的な資源価格上昇の影響などを受けて、生鮮食品を除く消費者物価の上昇率は一・九%程度になるということでございますが、二〇二三年度になりますと一・一%程度に低下してしまうということでありまして、私の二〇二三年四月の任期との関係で出口とか何かを考えるというのは適切でないと思いますけれども、少なくとも、今の政策委員会の見通しの中央値の物価目標との関連でいいますと、二〇二三年度でも二%を安定的に実現できるような状況にはなっていないということだと思います。

 ただ一方で、今回、エネルギー価格が大幅に上昇したことが消費者物価の上昇率を引き上げていますので、それを除いた、生鮮食品及びエネルギーを除いた消費者物価の上昇率で見ますと、二〇二二、二三、二四とかなり順調に上昇していくということが見通されておりますので、二%の物価安定目標は、もう少し時間はかかりますけれども、達成できるというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 物価安定目標を重視して、緩和を、景気の状況を見ながら緩和を継続していくという変わらぬ御意思を今お示しいただきましたけれども、金融緩和を変更しないのであれば、過度な円安に関してはそれ以外の手段で対応していくことが必要になるかと思うんですけれども、その役割は財務省で担うことになると思いますが、政府はどのような手段を検討しているのか、そういった取組をしっかりと行っていくことがあるのか、財務大臣にお伺いできればと思います。

鈴木国務大臣 為替政策について、ここで私が何か申し上げると本当に多方面に様々な影響を与えますので、具体的コメントは控えること、これは先生の御理解をいただけるんだ、こういうふうに思います。

 そして、手法ということでいえば、これまでのG7等で合意されました、為替レートは市場において決定される、為替市場における行動に関して緊密に協議する、過度の変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与え得るといった考え方に基づきまして、米国等の通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ、政府として適切に対応してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 今、なかなか日銀においても、そして財務省においても、難しいかじ取りを迫られていると思いますけれども、こういった状況を招いている責任は、やはり政治の側にあると思います。財政の状況であったり、賃金が上がらない状況、経済が回復しない状況を招いてしまっているわけですから、しっかりと、もう参議院選挙がありますけれども、国民民主党としても、金融政策の出口戦略も含め、また経済の立て直しに関してもしっかりと公約をお示しさせていただいて、そして他党の皆様と議論をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、時間が来ましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 安倍元首相が、今月九日、大分市の講演で、日銀が市場を通じて政府の国債を買い入れることに触れ、日銀は政府の子会社だと発言をしました。先ほど大臣は、政府として、政府が支配されている法人ではないと答弁がありましたけれども、改めて伺います。日銀は政府の下請、子会社ではありませんよね。

 安倍首相のこの発言の重大性は、こうした認識の下で、在任中、政治をつかさどったということであります。その結果、異次元の金融緩和を押しつけて、異常円安がいまだに続いているわけです。日米の金融政策にギャップが生まれて、そして、現在、輸入物価全般の高騰の原因、大問題となっています。こうしたアベノミクスがもたらした失政、政策の転換が求められていると思いますけれども、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 田村先生の前段の方の御質問につきましては、先ほど申し上げましたけれども、一般論として申し上げますと、政府は日本銀行に対して五五%の出資をしておりますが、議決権は有しておりません。また、日本銀行には、日本銀行法三条一項及び五条二項により、金融政策や業務運営の自主性が認められております。こうした点を踏まえますと、政府がその経営を支配している法人とは言えないわけでありまして、会社法で言うところの子会社には当たらない、そのように考えてございます。

 そして、後段の方の安倍総理の御発言でありますけれども、これは、文脈が、どういう文脈の中で言われたのかが分かりません。私も、自分の経験で、全体を通して見ていただければ分かるけれども、ある部分だけ切り取られると、何か随分自分の意思と違ったことになってしまっているなという経験もございますが、そうかどうかは分かりませんけれども、いずれ、全体を承知をしているわけではございませんので、コメントは控えさせていただきたいと思います。

田村(貴)委員 安倍元総理の、反省もなく、その上の暴言は決して許されるものではないということを指摘して、法案の質問に入ります。

 電子決済手段等への対応についてまず伺います。

 本法案の背景にある海外におけるステーブルコインの急拡大は、各国の監督当局等に、技術進歩や利用実態にキャッチアップするよう、規制の対応を迫っています。

 米国連邦準備制度理事会は、今月九日、金融安定性に関する最新報告書の中で、ステーブルコインは、三月には時価総額が二十三兆円、千八百億ドルを超えるほど一年で急速に成長したが、金融ストレス時に価値を失ったり流動性が低下する可能性のある資産に裏づけられていると指摘しました。そのために、一部のマネー・マーケット・ファンドや債券などと同様、償還リスクに直面する可能性が高いと警鐘も鳴らしています。つまり、ステーブルコインの構造的な脆弱性により、取付け騒ぎが発生するリスクがあるとの認識も示しています。

 現在、日本国内でステーブルコインは発行されていませんけれども、今後の発行や利用を想定して法律に規定しておくことは、海外の状況を考えても必要だと考えます。また、利用者の保護制度を明らかにしておくことは、金融被害を抑制する上でも重要であります。

 まず、ステーブルコインの定義について確認したいと思います。

 金融審議会の資金決済ワーキング・グループの報告書では、いわゆるステーブルコインについて明確な定義は存在しないと書かれていますが、一般的にはどのような意味なのか、金融庁はどのように定義していますか。また、FSB、金融安定理事会の勧告など、海外ではステーブルコインを暗号資産の一種として説明されていることが多いです。しかし、今回の法改正により、日本の資金決済法では、法定通貨建てのステーブルコインは暗号資産に分類されません。これはなぜでしょうか。お答えいただきたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、ステーブルコインについては明確な定義は存在しないということでございますけれども、一般的には、特定の資産と関連して価値の安定を目的とするデジタル資産で分散台帳技術を用いるものをいうというところと認識してございます。

 そういった中で、御指摘のとおり、今回の法案では、法定通貨の価値と連動した価格で発行されて、発行価値と同額で償還を約束するものというものをデジタルマネー類似型、それ以外のもの、例えば、アルゴリズムによって価額の安定を図るような設計がなされているものというものにつきましては暗号資産型ということで、それぞれの性質に応じた規律を適用するということでございます。

 前者のデジタルマネー類似型につきましては、銀行や資金移動業者が発行する既存のデジタルマネーと同様に、送金・決済手段として社会で幅広く使用されることが想定されるというところに着目いたしまして、本法案では、暗号資産型のステーブルコインとは異なる取扱いというふうにしているところでございます。

 暗号資産型のステーブルコインにつきましては、元々、今の、現行の資金決済法の中で暗号資産としての規律がございます。それが適用されるという理解でございます。

田村(貴)委員 ちょっとまとめて聞きますので、まとめてお答えいただければと思います。

 金融庁の説明資料では、今回の法改正によって、法定通貨建てのステーブルコインは、例えばテザーですね、デジタルマネー型、デジタルマネー類似型、電子決済手段として定義されます。送金・決済手段のためのデジタルマネー、例えば、銀行が預金の裏づけをしているJ―Coinなど、また、資金移動業者の未達債務が裏づけとなっているペイペイなど、こうしたデジタルマネー、デジタルマネー類似型というのは、何が、どこが違うのか、制度上違うのか、これについて説明してください。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどおっしゃいました後者のデジタルマネーの方でございますが、これは、一般に、銀行や資金移動業者が発行するデジタルの送金・決済サービスというものを指すものと理解されているところでございます。

 一方で、デジタルマネー類似型のステーブルコインにつきましては、本法案におきまして、先ほど申し上げました、法定通貨と連動するということで発行されていて、それを約しているものということと整理しているところでございます。

 いずれも、社会で幅広く使用される電子的な送金・決済手段としての機能を果たすというところは共通でございますけれども、デジタルマネーの方につきましては、発行者である銀行や資金移動業者が発行から利用者へのサービス提供まで一体的に行っているというところがございます。

 他方、デジタルマネー類似型のステーブルコインの方でございますけれども、先ほど先生、テザーの例を出しておられましたが、発行する者とそれから仲介する者が分離した形でサービス提供がされる、これが一般的になっているというところが異なっているというふうに考えてございます。

 今回、デジタルマネー類似型のステーブルコインのうち、不特定の者を相手方として代価の弁済、購入、売却できるものを、本法案において、資金決済法上の電子決済手段として定義しているところでございます。

田村(貴)委員 利用者保護制度について伺います。

 発行主体である業者が破綻した場合、既存のデジタルマネーと本改正案で定義されるデジタルマネー類似型の資産は、共に保護されるのでしょうか。発行者が銀行及び資金移動業者、それぞれについて説明してください。また、信託会社が発行するデジタルマネー類似型、電子決済手段の場合はどうなるんでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタルマネー類似型のステーブルコインの発行者といたしましては、銀行、それから資金移動業者、それから、先生の御指摘のございました特定信託会社というスキームがございます。

 これらの発行者が仮に破綻するといった場合におきましては、まず最初の銀行につきましては、預金保険制度に基づきまして、利用者の預金を保護するという枠組みでございます。それから、資金移動業者につきましては、元々、供託によって保護が図られてございますので、それで利用者の資産が保全されるという枠組みでございます。それから、最後の特定信託会社につきましては、信託によりまして利用者の資産を倒産隔離するという枠組みでございますので、それぞれ、破綻の場合には、適切に破綻処理、利用者保護がなされるというふうに考えてございます。

 また、ステーブルコインの場合、仲介者が入るという枠組みでございますけれども、発行者が破綻した場合において、仲介者が入ったということで別に基本的な保護が変わるということではない、基本的にはそういうことは想定していないというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 発行者によって利用者の保護制度が変わってくるということです。大変複雑で、ややこしい話ですね。

 キャッシュレス決済について、国内でも利用は拡大してまいりました。利用者に対して、キャッシュレス決済の法的根拠あるいは利用者保護制度は、ほとんど知られていないのではないでしょうか。その上で、法定通貨建てのステーブルコインが決済手段と広がれば、またその手段は複雑になってまいります。

 発行者や仲介者の責任で、例えば、デジタルマネーとデジタルマネー類似型の違いを利用者に認識させて利用するような環境を整えるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。本改正で、発行者若しくは仲介者に法的根拠の違いを通知する義務は設けられているのでしょうか。この点について、金融庁はどのような対策を考えていますか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきまして、仲介者に対して課される利用者保護の措置の一環ということでございますが、利用者において仲介者を銀行と誤認することを防止するための説明を行うといったことを義務づけることとしてございます。

 これに基づきまして、利用者において、銀行等が自ら利用者に提供するデジタルマネーと、それから仲介者を通じて提供するデジタルマネー類似型といったものの違いを認識した上でサービスの提供が受けられるように、仲介者に対して、利用者への適切な説明の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 次に、不正への対処について伺います。

 暗号資産では、各国で数百億円規模の不正送金や資産消失などの事件が絶えません。ブロックチェーンが不正に書き換えられることも起きています。デジタルマネー類似型のステーブルコインも暗号資産と同じブロックチェーンの技術を使うことから、同じようなリスクを抱えているのではないでしょうか。本法案が成立した場合、どのような対策がなされることになるんですか。また、仮に不正送金や消失が発生した場合に、所有者への補償はされるのでしょうか。技術的な防止策及び補償の在り方について説明をしてください。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ステーブルコインを取り扱う仲介者に対して求める利用者保護の措置といたしまして、本法案では、利用者が仲介者を銀行等と誤認することを防止するための説明、それから、取り扱うステーブルコインの内容それから手数料についての利用者への情報提供を行うために必要な措置を講ずべきだということを規定しているところでございます。

 それから、本法案におきましては、情報漏えい防止等のセキュリティーの保護、確保、個人情報の管理を行うために必要な措置を講ずべきだということ、それから、利用者から預かったステーブルコインを分別管理するべきだということ、利用者に損害が生じた場合における賠償責任、これは先生の御指摘にあったところでございますけれども、この賠償責任の所在の明確化のため、発行者との間で契約締結を行うべきだということを規定してございます。こういったことで、適切に利用者保護を図ることとしているところでございます。

 これらの措置を含めまして、利用者保護のために必要な措置につきましては、内閣府令、さらにはガイドラインなどにおきまして具体的な内容を規定していく予定でございまして、今後、適切に検討してまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 法定通貨建てのステーブルコインというのは日本円に限りません。つまり、外国通貨であれば理論上どの外国通貨建てのステーブルコインでも発行され、FX取引のような金融商品としての可能性も出てまいります。

 例えば、ドル建てのステーブルコインが発行された場合に、為替変動を利用した金融商品としての利用も考えられるのではないでしょうか。その場合は金融商品取引の対象となるのでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の外貨建ての電子決済手段でございますが、通貨の価格変動などによって電子決済手段の価格も変動するおそれがあるということで、こういった外貨建ての電子決済手段を売買する電子決済手段等取引業者につきましては、本法案で金融商品取引法を準用するということとしてございます。

 また、外貨建ての現物の取引だけではございませんで、そのデリバティブにつきましても金融商品取引法を適用することといたしているところでございます。

田村(貴)委員 外貨通貨建てのステーブルコインを利用したFX取引のような金融商品の販売も考えられると思います。

 例えばレバレッジ、これは自己資金の二十五倍までの取引が可能だと伺っていますけれども、こうしたものを利用した取引も考えられるのでしょうか。その場合の規制は、外国為替証拠金取引の規制なのか、暗号資産の規制となるのか、どうなんでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、現行のレバレッジ規制でございますが、外国為替証拠金取引のレバレッジにつきましては二十五倍、それから、暗号資産のデリバティブの場合には二倍といった枠組みが現行定められているところでございます。

 ちょっと法律のたてつけで恐縮でございますけれども、金商法におけますデリバティブ取引に関するレバレッジ規制のたてつけでございますが、まず、金商法の法律の方でデリバティブ取引の原資産が金融商品に当たるかどうかというところで一つ枠がかかりまして、その上で、定義された原資産に係るデリバティブ取引のもののうちで一定のものにつきまして内閣府令でレバレッジ倍率を規制する、こういう法律とそれから府令の枠組みになってございます。

 御指摘の電子決済手段、今回手当てされるものでございますけれども、金融商品取引法の金融商品の定義には含まれるわけでございますけれども、内閣府令におけるレバレッジ倍率の規制というものはまだ定められていないというところでございます。

 今後、電子決済手段の性質ですとか、それから、他の金融商品を原資産とするデリバティブ取引のレバレッジ倍率の水準などを踏まえまして、レバレッジ規制の水準というものについても検討してまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 決済手段でなくて金融商品として利用される可能性があるのであれば、その場合は購入者への説明責任や適合性の原則の適用なども必要となると思います。金融庁はどのように考えて、どのように徹底されていきますか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 電子決済手段の取引業者につきましては、本法案におきまして、利用者への説明義務など、利用者保護策の措置を講ずることとしているところでございます。

 また、先生御指摘の説明義務、適合性の原則でございますけれども、外貨建ての電子決済手段など為替変動リスクが生ずるようなものの売買を行う電子決済手段等取引業者につきましては、利用者保護の観点から、本法案におきまして、金融商品取引法の規定が準用されるということで、説明義務、それから適合性の原則の規定を及ぼすこととしているところでございます。

田村(貴)委員 電子的決済は、もう非常に幅が広くなってまいりました。私たち、こういう法案審査、審議に当たらないと中身が見えてこないところもあって、非常に複雑な仕組みになっています。

 デジタルマネー、これは、銀行の預金が裏づけのものもあれば、未達債務が裏づけのものもある。今度法改正に入っているステーブルコイン、これは、価値がいわゆる固定化したといったところで、テザーなどデジタルマネー類似型ステーブルコインという形があるんだけれども、海外ではこれも含めて暗号資産となっているんだけれども、日本の法律上は暗号資産としては分類されない。ほかに暗号資産もある。そして、前払い式の支払い手段もある。

 これだけ膨れてくると、やはり、既定事実を法制化していく、そして対策していくというのでは、これはなかなか国民も大変じゃないかなと。いろいろな不正とか事故によって被害に巻き込まれる可能性もあると思います。

 こうした広がった電子マネー、そして新たに導入される電子決済について、これを分かりやすく、やはり金融庁として国民に、あるいは未成年者の消費者法の問題も出ているんですけれども、分かりやすくやはり説明していく必要があると思いますけれども、大臣でも金融庁でもどちらでもいいですけれども、どう考えておられますか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、暗号資産というものがございまして、それからデジタルマネーというものがございまして、さらに今度、ステーブルコインで、デジタルマネー類似型、若しくは暗号資産に入るのか、こういう分類はどうなっているのかというところが、先生の御指摘の、分かりにくいじゃないかというところかと思います。

 もう一方で、制度をつくっている者といたしまして考えさせていただいてございますのは、同じようなサービス、同じような機能のものについては同じようなリスクを、名前はどういうふうにやろうと同じような規律がかかるようにしなきゃいけないよねという考えも我々としては大事にしたいというふうに思っているところでございます。

 そういう意味では、今回のステーブルコインのデジタルマネー類似型というのは、送金・決済サービスに使われるじゃないかということで、同じような規律、デジタルマネーと同じような規律というところで全体のデザインをしているわけでございますけれども、まさに先生の御指摘のように、なかなか分かりにくい、特に消費者の方に分かりにくいじゃないかというところにつきましては、我々も気をつけながら、よく業者の方とも、説明責任を果たすなど、十分に連携してまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 時間が参りました。終わります。

薗浦委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十七日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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