第13号 令和6年4月3日(水曜日)
令和六年四月三日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 津島 淳君
理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君
理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 伊東 信久君 理事 稲津 久君
石原 正敬君 英利アルフィヤ君
小田原 潔君 越智 隆雄君
大塚 拓君 大野敬太郎君
木原 誠二君 岸 信千世君
鈴木 隼人君 瀬戸 隆一君
中西 健治君 中山 展宏君
藤丸 敏君 藤原 崇君
古川 禎久君 宮下 一郎君
宗清 皇一君 山田 美樹君
若林 健太君 江田 憲司君
階 猛君 末松 義規君
野田 佳彦君 馬場 雄基君
原口 一博君 沢田 良君
中嶋 秀樹君 藤巻 健太君
竹内 譲君 中川 宏昌君
田村 貴昭君 吉田 豊史君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 鈴木 俊一君
財務副大臣 赤澤 亮正君
外務大臣政務官 高村 正大君
財務大臣政務官 瀬戸 隆一君
厚生労働大臣政務官 三浦 靖君
政府参考人
(内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長) 坂本 基君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 伴子君
政府参考人
(金融庁総合政策局政策立案総括審議官) 堀本 善雄君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省国際局長) 三村 淳君
政府参考人
(国税庁次長) 星屋 和彦君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
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委員の異動
四月三日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 中西 健治君
掘井 健智君 中嶋 秀樹君
同日
辞任 補欠選任
中西 健治君 大野敬太郎君
中嶋 秀樹君 掘井 健智君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
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○津島委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長坂本基君、内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、政策統括官林伴子君、金融庁総合政策局政策立案総括審議官堀本善雄君、外務省大臣官房参事官門脇仁一君、財務省主税局長青木孝徳君、国際局長三村淳君、国税庁次長星屋和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○津島委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。中西健治君。
○中西委員 おはようございます。中西健治です。
元々所属していました、昨年まで所属していました財務金融委員会で、今回差し替えで質問の機会をいただきました。本当にどうもありがとうございます。
早速ですけれども、閣法の審議ということですので、国際通貨基金、IMFへの資金拠出に関する法案について政府にお伺いしていきたいと思います。
まず、私の考えとして、日本の外交政策を推進していく上で国際機関を戦略的に活用することは非常に重要であるというふうに思います。これは多くの方がそういうふうに思われているかと思います。
一方、世界的に自国第一主義を唱える動きが強まっており、我が国においても、SNSなんかを見ておりますと、外国に援助するのか、国際機関に拠出したりする資金があるんだったら私にちょうだい、こんなような書き込みにいいねがたくさんつくというようなのがよく見られます。
私自身は、昨今の混迷を深める国際情勢に鑑みると、国際機関などに資金を拠出する重要性はむしろ増しているのではないかと考えております。したがって、国民に対してその意義について丁寧な説明を行うこと、説明責任を果たしていくことが重要であると思われますので、今回の国際通貨基金に資金を拠出することの意義について、財務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 世界経済でありますが、気候変動、それからデジタル化といったグローバルな構造的課題に今直面をしているところでございますが、特に近年、新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナ侵略に伴いますエネルギー、食料不安など、各国が足並みをそろえて対処すべき様々な困難に見舞われていると認識をいたしております。
そうした中、多国間協調の重要性が一層増しているところでありまして、多くの国々が加盟するIMFを始めとする国際金融機関、これはこうした文脈におきまして重要な役割を担っていると思っております。
日本がこうした国際金融機関に対する主要出資国として政策課題の議論を積極的にリードすること、これは日本の国際社会におけますプレゼンスを高めるとともに、グローバルな課題解決を通じて日本の国益にも資するものと思います。これが国際機関に拠出をする意義であると考えます。
○中西委員 ありがとうございます。
このタイミングで国際機関への資金の拠出を討議するに当たっては、最近の、国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAの職員が昨年十月七日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃に関与した、この件に触れざるを得ません。
パレスチナのガザ地区で活動するこの国連機関のスタッフがイスラム組織ハマスによるイスラエルの攻撃に関与した疑いが出たことで、我が国も、令和五年度補正予算に計上いたしました三千五百万ドル、約五十三億円の拠出を停止したことは御承知のとおりであります。この件についてこの場で子細には取り上げませんけれども、資金を出して出しっ放しというのでは国民に対する説明責任を果たしているとは言い難いのではないかと思います。
先ほどの大臣の答弁にあったような目的を念頭に置いて資金を拠出したとしても、その資金の使途が果たして正しいかどうかをきちんとトレースしないのでは、出資責任、言い換えれば、株主責任とか貸し手の社会的責任、さらには国際的責任というものを果たしていないということになりかねません。
資金の拠出者として、国際通貨基金や国際復興開発銀行、世銀ですね、の活動について、その健全性などについてどのようなモニタリングを行っており、どのような評価となっているのか、お聞きしたいと思います。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
御質問いただきましたIMFと世銀でございますけれども、この日常業務の協議でございますとか意思決定、これは両機関とも、御承知のように本部がアメリカ・ワシントンDCにございますので、ここに常駐をしてございます理事で構成いたします理事会が、通常、こうした日常業務の協議、意思決定を行ってございます。
例えば、IMFにおいて申し上げますと、加盟国に対しての個々のIMF融資プログラムの組成決定でございますとか、毎回、その資金を払い込むたび、その都度ごとに理事会を開催して、その是非など、あるいは借入国がしっかりとやるべき改革をしておるか、そういったことも含めて議論をいたしてございます。それから、IMFの融資制度をつくるですとか、変更するですとか、当然、組織運営ということで、予算ですとか財務状況、こういったものも理事会において協議をし、決定を行っているということでございます。
世銀におきましても同様でございまして、理事会ですとかあるいは分野ごとの委員会、こういったところで、世銀全体の活動戦略、基本戦略でございますとか、支援分野ごとあるいは支援を受ける国ごとの支援の考え方あるいは計画、こういった様々なことを理事会において決定、協議をしているということでございます。
日本は当然、IMFも世銀も単独で理事を輩出してございますから、ここで日本としての考え方をしっかりと打ち込むということをいたしてございますし、当然、主要な出資国として、理事会以外の場におきましても、理事室あるいは我々本省の人間も含めまして、IMF、世銀いずれも、幹部あるいはスタッフと頻繁にやり取りをし、我々の考え方を伝えているところでございます。
○中西委員 ありがとうございます。
続いて、各国の資金の拠出割合についてお伺いしたいと思います。
今回は第十六次のクオータの見直しということでありましたけれども、国際通貨基金は、国家レベルの金融危機の際には必ず大きな役割を果たす極めて重要な機関であります。最近では、ギリシャ危機のときに、資金を投入するだけではなくて、経済運営に対して強く関与するといった大きな働きをしたことを御記憶の方も多いと思います。九〇年代のアジア通貨危機のときには、それこそ、IMFは韓国に入って、そして韓国の産業についても随分口出しをしたということにもなりました。
それだけに、国際通貨基金における発言力に影響するクオータについては常に見直し論がつきまとっており、今回も、昨年の夏頃には、出資割当額が変更になるのではないかという報道がありました。結果的に、増資規模を五〇%として、各国の出資割合については現行維持で決着しましたので、我が国の発言権を維持したということは高く評価したいと思います。
ただ、この結論に至るまでにどのような議論が行われて、我が国としてどのような主張をしたのか、これについては関心が高いところでございます。是非教えていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 クオータでありますが、IMFにおける各国の投票権の基礎となるものでありまして、GDPなどを考慮した計算式がそのシェアの目安となっております。
今回の見直しでは、クオータシェアについて、加盟国が世界経済に占める相対的な地位の反映を求める意見が多く出され、計算式の改定を含めた議論が行われてきました。しかし、具体的な計算式の改定等については、各国間で様々な意見があり、昨年末のクオータ見直しの期限も迫る中で、日本からは唯一の現実的な選択肢としてシェア調整を伴わない比例増資を主張したところであります。
交渉の結果、比例増資で合意が得られるとともに、計算式改革を含め、今後の更なるクオータシェアの調整に向けた指針となり得る複数のアプローチを二〇二五年六月までに策定することに合意をしたところであります。日本は、こうした議論に引き続き積極的に貢献してまいりたいと考えております。
○中西委員 是非、今後も発言権を維持する、そうしたことに力を尽くしていただきたいと思います。
続きまして、金融教育についてお伺いしたいと思います。
新NISAが一月から始まって、口座数そして買い付け金額が二倍、三倍の勢いだと報道されております。まず順調に滑り出したということではないかと思います。
私のところにも講演依頼というのがたくさん来ますけれども、そのテーマを投資運用でお願いしますというようなことが多くなってきました。それだけ関心が強いというところなんじゃないかと思いますが、私はそうした講演でよく言っているのは、これまで貯蓄から投資へということをずっと言ってきていますけれども、本当は貯蓄も投資もなんだということを申し上げております。
そもそも、貯蓄に偏重していたから貯蓄から投資へというスローガンになっているんですが、大事なのは、貯蓄も加えて、ライフステージに合ったポートフォリオをどのようにつくっていくかなので、よく言う、私が引き合いに出すのは、今のアメリカの国債、債券ですけれども、四・三%が十年で回るんですよ、こういうのを一部持っていたら、株や投資信託以外にもいいんじゃないですかなどということを言っております。関心が強くなっているわけですけれども、やはりそこで大事なのが金融教育じゃないかというふうに思います。
今日の朝の情報番組を見ておりましたら、これは驚いたんですけれども、月刊誌の少女漫画で金融に関する連載が行われておりまして、「なかよし」という講談社の少女漫画ですけれども、「お金のコンパス」という題名で、親子で学べる金融学、一番新しいのは、宝くじは投資かというテーマで、これは投資じゃなくて、一獲千金を狙うものですから、これは投機だよねというようなことを教えているということでありますが、非常に重要な取組だというふうにこれも思いました。易しく楽しく学べるというのは大変いいことだなというふうに思いました。
今回、金融経済教育推進機構が設立されます。こうした金融教育をどのように行っていくのか、現状を教えていただきたいと思います。
○堀本政府参考人 お答え申し上げます。
委員お話しのとおり、NISAの口座数の順調な伸びに見られますとおり、国民の投資に対する関心は高まりを見せているというふうに考えますけれども、そうした状況であるからこそ、国民の金融リテラシーを向上させる、これが重要な課題になってきていると考えております。
こうした中、今月中の設立を目指しております金融経済教育推進機構におきましては、全国の学校や公民館への講師の派遣、あるいは各種イベント、セミナーの開催、これは引き続き行ってまいりますし、これまで必ずしも十分ではなかった職域での従業員の教育にも力を入れてまいりたいというふうに考えております。
その際、単に金融商品の知識やあるいは投資について伝えるのではなくて、資産状況やライフプラン等に応じた適切な資産構成、ポートフォリオを作成することが重要であるというようなことについても内容に含めてまいりたいと思います。さらに、新しい取組といたしましては、無料の個別相談事業や、あるいは特定の金融機関に偏らないといった要件を満たしますアドバイザーの認定、公表なども実施してまいりたいと考えています。
○中西委員 私の知る限り、我が国には資格や検定といったものが好きな人が大変多いように思われます。かくいう私も、最近でも語学の検定などを受けておりますけれども、こうした傾向をうまく利用すれば、金融や投資に関する正しい知識の普及に利することになるのではないかというふうに思われます。
金融の知識についても検定のような制度をつくってみたらどうでしょうか。
○堀本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、金融リテラシーの向上に関心を持ってもらえる層を増加させる、これは非常に重要な取組だというふうに考えています。
現在、民間団体にも、個人の金融リテラシーを測定するための検定制度、これがございます。このような取組は、委員御指摘の問題意識に沿うものと考えております。
金融経済教育推進機構においても、先ほど申し上げました民間金融団体の動きと連携して、これを促進するための取組を検討してまいりたいというふうに考えております。
○中西委員 終わります。どうもありがとうございました。
○津島委員長 これにて中西君の質疑は終了いたしました。
次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。
順次質問させていただきたいと思います。
先ほどの中西議員と一部質問が重なりますけれども、我が党の基本的な考え方も含めて質問しますので、御了解いただきたいと思います。
まず、最初の質問は、IMFが果たしてきた役割に対する評価、それから今後求められる役割についてということですけれども。
IMFはこれまで、いろいろな役割はありますけれども、例えば、対外的な支払い困難、外貨不足に陥った、そうした加盟国に対する一時的な外貨の貸付けによる支援ですとか、それから、世界全体、あるいは各地域、国における経済金融情勢のモニター及び、加盟国に対する、経済政策に関して様々な助言を行うとか、それから、マクロ経済、財政、金融の分野での専門知識を備えた政策担当者が不足しているような、そうした加盟国に対する専門家の派遣ですとか、そうした技術支援等も実施しているというふうに承知をしております。
一方で、世界経済は、申すまでもありませんけれども、新型コロナウイルスの感染拡大のパンデミックに陥ったり、あるいはロシアがウクライナに侵略するというような行為、それからエネルギー、食料の不足、高騰、こうした危機的な状況にこの近年遭ってきているわけでございます。
そういう意味で、IMFによる融資に対する加盟国のニーズというのはこれまで以上に高まってきているだろうと思っていますし、資本の基盤強化、これも求められるところなのかな、このように理解しております。
そこで質問になりますけれども、IMFがこれまで果たしてきた役割について、どのように評価をしているのか。それと、今、先ほど申し上げましたように、世界にも複数の経済的な大変厳しい状況があって、懸念材料もあることから、国際金融市場が大規模化、複雑化している中で、今後のIMFに求められる役割というのは少し変わってきているんだろうと思っています。こうした点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 世界経済、気候変動、それからデジタル化といったグローバルな構造的課題に直面しているわけでありますが、稲津先生御指摘のとおり、近年は、新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナ侵略に伴うエネルギー、食料不足など、各国が足並みをそろえて対処すべき様々な困難に見舞われております。
こうした中、IMFは、エネルギー、食料不安に見舞われた加盟国への迅速な支援を主導してきたほか、その専門的知見に基づいて中立的な立場で世界経済見通しを公表し、各国の経済状況の分析を行うなど、重要な役割を果たしてきており、日本としても、こうした貢献、高く評価しているところでございます。
今後、IMFに求められる役割ということでありますが、国際金融市場が大規模化、複雑化する中で、IMFの今までの役割は一層重要となっておりまして、今後とも、IMFが国際通貨システムの安定と世界経済の安定的な成長に更に貢献をしていくことを期待をしているところであります。
○稲津委員 ありがとうございました。
昨年の十月に開催されました国際通貨金融委員会、ここで我が国が、ステートメントにおいてこのようなことがありまして、世界経済の安定と発展に向けて挑戦が続く中、IMFには、法と信頼に基づく多国間協調において中心的な役割を果たすことが期待される、こうありました。
具体的には、先ほど来申し上げたように、世界が非常に複合的な危機に直面している中で、IMFの資金の規模とか機能とか、それからガバナンスの面から見ても一層強化をする、また、そのための改革ですとか、途上国や、その債務問題とか能力開発とか、それから職員の多様化とか、様々な課題は、その時代、そして、今まさにそうしたことが強く求められているのだろうというように思います。我が国としてもしっかりと協力する中でIMFが取組を進めていく、こういうことを期待をしたいと思います。
次の質問は、IMFが十三年ぶりに増資を決定した背景、それから出資割合が維持された理由についてお伺いしたいと思います。これは政府参考人で結構でございます。
増資の決定は十三年ぶりということで、前回の増資は、リーマン・ショックに起因して世界経済が金融危機に陥った、こうしたことから、IMFの資金基盤強化の重要性が高まった。そして、二〇一〇年十二月、第十四次のクオータ一般見直しの下で、増資について合意がなされた。さらに、第十五次のクオータ一般見直しを行ったが、このときは増資は見送られている。
今般の第十六次クオータ一般見直しでは、加盟国全体の増資規模を五〇%として、各加盟国の出資割合については現行の割合を維持する、これで合意したということで、日本の出資比率は第二位、これが維持されたわけでございます。
今回の見直しで十三年ぶりに増資が決定された背景をどのように考えるか。それから、この出資割合については、元々IMFの出資比率については経済規模に応じた配分をするという考えがある中、これまでの比率が維持されたのはどのような理由によるものなのか。この点について見解を伺いたいと思います。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど来御議論いただいておりますように、今回の増資、まさに世界全体が、気候変動でございますとかデジタル化、こういったグローバルな構造的な課題に直面をする中で、ここ数年は、新型コロナですとか、ロシアによるウクライナ侵略、あるいはそれに伴うエネルギー、食料不安、まさに複合的な危機、様々な危機に国際社会全体が直面をしているという中で、やはり広く加盟国の間で、IMFの融資能力を強化して、そして加盟国の潜在的な借入れのニーズにIMFが応えられるようにしよう、こういう幅広い認識共有がございまして、御紹介いただきましたように、二〇一〇年以来の、十三年ぶりの増資に昨年末合意をしたということでございます。
その上で、クオータのシェア、どういう形で比例増資になったのかという背景でございますけれども、当然、GDP等を考慮した計算式というのがこのクオータのシェアを決める基本、目安となっておるわけでございますけれども、当然、今回の増資の議論におきましては、それぞれの国が世界経済に占める相対的な地位、これをしっかりと反映させるべきだ、そういう方向でシェアを決めるべきだ、こういう意見が多々ございました。
その結果、計算式の改定も含めて議論を行ってきたわけでございますけれども、ただ、具体的な、では計算式をどう変えていくんだということになりますと、例えばGDPは当然としまして、それ以外のどんな経済指標をどの程度勘案すればいいのかですとか、あるいは経済力以外の、何か経済以外の指標も考慮するべきなのか、すべきではないのか、こういった各論に入りますと、様々な議論がございました。
そういった中で、昨年末に、このクオータ見直しの期限も迫る中で、今回の見直しではシェアの調整は行わないで比例増資にしよう、こういう結論になったということでございます。
ただ、このクオータのシェアの見直し自体は重要でございますので、併せまして、この計算式の改革も含めまして、更なるクオータシェアの調整に向けた指針となり得る複数のアプローチ、これを引き続き議論をして、来年の六月、二五年六月までに策定しよう、こういうことについても併せて合意をした、このような経緯でございます。
○稲津委員 かなり詳しく今説明いただいたので、基本的なところはよく理解できたと思います。
次は、このクオータ一般見直しにおける対応方針についてということで、これは大臣にお伺いしたいと思うんですが、今回の増資は、やはり一番の狙いというのは多額の債務を抱える途上国への支援ではないだろうかというふうに理解しています。
早期に加盟国の議決を得る必要があったし、そして、中国など、経済規模に応じた比率の見直し、これも意見としてあったというふうに承知していますが、我が国やアメリカが、出資比率の変更を期限内に行うことは現実的ではない、こうして現状維持を主張した経緯もあり、今回は見送られたもの、このように理解をしております。
しかし、今後のクオータ見直しについては、第十七次クオータ一般見直しの下で、新たなクオータ計算式を通じたものも含めて、更なるクオータシェアの調整に向けた指針として考えられる複数のアプローチを二〇二五年六月までに策定すべく取り組むこととしております。
今後の議論にもよりますけれども、現状の加盟国の経済規模をそのまま出資比率に反映してしまえば、我が国の出資比率は中国などに抜かれて、IMF内での存在感の低下につながる可能性がある。我が国の出資比率を維持していこうとするのであれば、今後、経済規模だけではなくて、新たな考え方を含めた見直し基準など、我が国の国益に資する見直しとなるよう交渉していただきたい、こういうふうに考えます。
政府としての基本的な対応方針について、大臣の見解をお伺いします。
○鈴木国務大臣 先ほど国際局長から答弁をさせていただきましたが、このクオータ見直しにつきましては、計算式改革を含めまして、今後、更なるクオータシェアの調整に向けた指針となり得る複数のアプローチ、これを二〇二五年六月までに策定することに合意をしたところでございます。
そして、今後の議論にどのような立場で日本が臨むのかということについて言えば、これから議論が始まるところでありますので、現時点で確たることを申し上げることはできないわけでありますが、基本的に、日本としては、積極的に議論に貢献しつつ、グローバル金融セーフティーネットの中心を担う重要な機関でありますIMFにおいて発言権をしっかり確保できるということ、それを基本にして努めてまいりたい、議論に参画してまいりたいと思っております。
○稲津委員 しっかり日本の立ち位置をキープしていくというよりは、むしろ更に貢献していくんだという姿勢を今後も持ち続けていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
時間が大分来ましたので、もう一問、日本人職員の比率増加に向けた取組について伺っておきたいと思います。
IMFの職員は、経済学等に精通しているだけではなくて業務上高度な英語の能力が求められまして、欧米出身者が多くなる傾向があって、我が国の職員の割合がIMFに対する出資割合と比較して少ないという指摘もあります。我が国が国際貢献を拡大していくためにも、IMFなどの国際機関における日本人職員構成比率を増加させていくのは、私は大事な課題だと思っています。
育成等を含めた日本人職員比率増加に向けた取組について、政府の見解をお伺いします。
○三村政府参考人 御指摘のとおり、日本人職員の比率増加は大変重要でございます。国際機関において活躍する日本人職員をどう増やしていくかということで、これは国会におきましても、過去、国際機関の増資に関連して様々な法案審議をいただきましたときに、附帯決議の中でも、国際機関における日本人職員の登用機会を更に広げよ、このような附帯決議も頂戴し、御要請をいただいてきているところでございます。
こうしたことも踏まえまして、IMFとの関係で申し上げますと、私ども、IMFの幹部との面会の機会などに、これはもう鈴木大臣を先頭にあらゆる様々なレベルで、日本人職員の積極的な採用、あるいは採用された日本人の昇進、こういったものをIMFに対して申入れをしてございます。
それから、IMFの様々な会議におきまして、IMFにおける職員の多様化の重要性、特に、クオータシェアに比べまして職員の比率の低いような国が一層職員を送れるようにといったことの重要性、そういったものを主張し、働きかけを行ってございます。
こういった日本政府の働きかけも踏まえまして、IMFは、例えば、日本人採用のために日本にリクルートミッションを送るですとか、日本人の職員の方が出演をする広報ビデオを作るですとか、あるいは、IMFの幹部が日本に来ましたときには日本の大学とか高校向けに講演をしていただくですとか、そういった様々な取組をIMFにおいても行ってもらっているところでございますが、当然、今後とも、IMFに対しまして、日本人職員の増加に向けた取組、引き続きしっかりと求めてまいりたいと考えてございます。
○稲津委員 以上で終わりますけれども、最後に一言だけ話して終わります。
やはり国際機関の存在というのは非常に大きな意義があると思っていますし、今、世界の経済がどんどん変化していく中で、今後、やはり途上国ですとか新興国、こうした国々も主体的に国際機関に関わる仕組み、これをつくっていくことも大事な視点だと思っていまして、質問しようと思っておりましたが、時間ですので、最後に意見を申し上げて終わります。
ありがとうございました。
○津島委員長 これにて稲津君の質疑は終了いたしました。
次に、馬場雄基君。
○馬場(雄)委員 皆様、こんにちは。馬場雄基でございます。会派を代表し、質問させていただければと思います。
本日は、外務省より高村政務官にもお越しいただきました。外務省の皆様も含めて、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今回の法案は、IMFへの出資比率を五〇%増やしていくという国際的約束を果たしていくものでありますから、必要なものだというふうにも思っています。
一方で、世界では、戦争前夜にある、このような言葉をポーランドのドナルド首相が伝えているように、国際秩序は乱れ、限りなく不安定な中を生きる私たちにとって、IMFの役割は今まで以上に大きなものになっているというふうに捉えております。
まさに、その価値が、これまでとこれから、どのように変化していくのか、そして、日本がどういうふうにそこに対処していくべきなのか、本日論戦をさせていただければというふうに思っております。
まず、基本的なことを確認させていただきたいと思います。
IMFの最高意思決定機関は総務会です。このメンバーは、各加盟国が任命する総務と、そして総務代理がいるわけですけれども、我が国は、総務を財務大臣に、総務代理を日本銀行総裁にしております。これは、逆にしている国もありますし、例えば中国などでいえば、中央銀行総裁を総務、同副総裁を総務代理というふうに、中央銀行から両者を出しております。
財務省さんにまずお伺いしたいと思いますけれども、日本国として、総務を財務大臣に、そして総務代理を日銀総裁にしている戦略、それはどういうふうなものであるのか、お聞かせください。
○鈴木国務大臣 IMFの協定上、各加盟国は、自国の財務省、中央銀行その他これに類似する財務機関を通じてのみIMFと取引することとされております。そして、加盟国の総務及び総務代理の任命については、各加盟国に委ねられております。
そうした中、日本におきましては、IMFが担う国際通貨制度及びその安定に関することは財務省が、国際機関との協力を図るため外国為替売買の事務に関することは日本銀行が所管をしているわけでございますので、こうした日本国内の所管の在り方から、財務大臣が総務、日本銀行総裁が総務代理となっているところであります。
○馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。
もちろん事務手続の部分は当然理解をしているつもりではあるんですけれども、是非とも、その事務の手続だけではなく、なぜなのか、何のためにあるのかというところを、より戦略を持って考えていかなくてはならない、そういう時期に入ってきているのではないかなというふうに、事務手続だけではなくということでお願い申し上げたいというふうに思います。
先ほど来議論がありましたけれども、IMFへの出資比率は、日本はアメリカに次ぐ世界第二位ということに現状なっております。財務大臣を始め財務省職員の多くの方も出向しているまさにIMFでありますけれども、日本の政策の理解がIMFに伝わっているかというところがやや不安に思う点がございます。
資料をお配りさせていただきました。1をよかったら御覧ください。四条協議です。これは、IMF代表団がまさに相手国を訪問し、経済金融政策の情報収集を図るというものでありますけれども、その声明が出され、その一部を抜粋させていただいております。
まさにこの財政政策への指摘というものは、日本政府の柱とも言える政策をかなり厳しく批判しているものでございます。まず、こちらは財務省さんにお伺いしますが、この意見に対して我が国政府として声明を出されていたのかどうか、その点についてのみ、まず伺います。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、結論として申し上げますと、今御指摘のIMFの四条協議を踏まえました職員の声明に対しまして、何か政府として声明を出すとか公式見解を出すというようなことはいたしてございません。
若干、その背景を御説明申し上げますと、当然、今回の対日四条協議、実際のIMFの担当チームが来日をいたしますので、その担当チームと私ども財務省、日銀、内閣府等々の関係省庁、あるいは民間の方も含めまして様々な意見交換を行ってございます。こうした意見交換の機会に、まず、日本政府の様々な経済財政運営等についての考え方はしっかりIMFの担当チームに伝えているということでございます。
その上でのこのIMF職員の声明でございますけれども、これはそういった日本側の見解もしっかり聞いた上で、IMFが独立した国際機関として、そのIMFの職員としての責任におきましてこれは作成をされているものということでございますので、実際、これはIMFの組織としての正式な最終的な見解という位置づけではございません。
では、対日四条協議に係るIMFの組織としての最終的な見解はいつ出るのだということでございますが、これはむしろ、今後IMFの理事会が開かれるということでございまして、そこで日本としての考え方は改めて、当然、理事会の場でも表明を踏まえた上で、理事会での議論を経て報告書が最終的に承認をされ、公表される、こういう手順でございまして、現状そうなっておりますことから、IMFの職員の声明に対しまして声明等々の発出は現状行っていない、こういうことでございます。
○馬場(雄)委員 今後、最終的なその見解が出るということであるんですけれども、だとするならば、今のうちにしっかりと日本政府の考えというのは伝えるべきものがあるんじゃないのかなというふうに思いますし、そもそも、例えばこの三行目、資料を照らし合わせますと、「的が絞られていない所得税減税」あるいは「その時限的な性質」ということに関しては、我が党を始め各会派の皆様方が限りない形でここで論戦をさせていただいている中身であるというふうに認識しています。
同じ方向性をIMFと日本政府が考えているならば今のお答えで十分だというふうに思うんですけれども、はっきり言って百八十度全く違う世界にいる中で、何もここで声明を出していないということであるならば、最終的な見解に日本政府の考え方が伝わっていくとは到底思えるわけではないというふうに私は思いますけれども、この時点でIMFに対して、この場でも構いませんので、日本政府の考えというものをお伝えした方がいいのではないのでしょうか。
○鈴木国務大臣 さきの御質問で既に国際局長から答弁をしたとおりであるわけでありますが、IMFの対日四条協議におきましては、IMFの担当チームと財務省、日本銀行などとの意見交換が行われておりまして、日本の立場もよく説明をしているところであります。そして私自身も、来日したIMFの幹部とお会いをいたしまして、その場でも様々意見交換を行っているところでございます。
その上で、この声明は、日本側の見解も聴取した上で、国際金融、マクロ経済を専門的に扱う独立した国際機関であるIMFの職員の方が自らの責任で検討、作成したものであります。そして、IMFの組織としての見解は、今後、IMF理事会における議論を行った上で、報告書として公表されることとなります。日本としては、この理事会におきまして、改めて日本としての考え方を説明をする予定であります。
更に言いますと、IMFの各国への政策提言は、当該国政府の考え方と異なる場合もありますが、このように各国から独立した立場で提示されるため、信頼性があるとみなされている面もあります。
こうした点も踏まえまして、お尋ねのIMFの職員の声明に対して日本政府としての声明の発出は行っておりませんけれども、今後、様々な場で日本の経済財政政策の考え方を説明するとともに、IMFの指摘も念頭に置きつつ、適切な経済財政運営に取り組んでまいりたいと考えているところです。
○馬場(雄)委員 大臣、改めてなんですけれども、この文書をしっかりと読み取っていただきたいんですが、日本政府の立場あるいはその考えというのをしっかりと説明したというところに、私は全く納得がいかないといいますか、むしろ我々が論戦をさせていただいていた主張そのものになっていまして、全くもって違うことになっている。
それが、日本政府の考えを伝えました、伝えましたとおっしゃいますが、結果伝わっていない、あるいはそもそもの伝えてきたことが的外れであったというふうに言わざるを得ない状況になっているんじゃないかなというふうに思いますが、その点はいかがなんでしょうか。
○鈴木国務大臣 これは、日本の立場を伝える、そしてIMFの指摘と日本政府の考え方を一致させるという性格のものではない、こういうふうに思います。
IMFとして、その職員の責任において分析をして、問題点を指摘をされるわけでございます。それをまとめるに当たっては、財務省を始め、日銀、内閣府等との議論もしているわけでございます。
過去におきましても、必ずしもIMFの御指摘、日本政府の財政政策と一致しないものもあった、そのように認識をしております。
○馬場(雄)委員 大臣、しっかりと私の意見を聞いていただきたいんですけれども、一致させるべきというふうに私は言っていなくて、当然、各国の考え方があって、違いがあっていいと思うんです。ただ、ここまで違うもの、ここまでオポジットにあるものを両方が双方出しているというふうに言っている点と、IMFに対する一定の信頼があるということも言われており、さらに、IMFに多大に出向をさせている財務省も含めてですけれども、そういう状況であるということは私は違和感を覚えてならないということは、この場で改めて申し上げたいというふうに思います。
加えて、私、前回の質疑のときに、賃金に対する定義というものを申し上げさせていただきました。あのときは、これから研究しますというお答えでありましたけれども、その後進捗はどうなったのか、お聞かせください。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
物価高を上回る所得の実現とは、可処分所得、すなわち手取りの伸びが物価高を上回る状態を指しているものと承知しております。
その進捗についてでございますけれども、一概にどの指標を見れば分かるというものではないことから、物価や賃金、所得に関する様々な指標等を見ながら総合的に分析していくことになると考えてございます。
いずれにしましても、政府としましては、賃上げと所得減税等を組み合わせることで、まずはこの夏に可処分所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実につくり上げ、賃金が上がることが当たり前という前向きな意識を社会に定着させてまいりたいと思います。
○馬場(雄)委員 結果、やはりまだ賃金に対する定義が整い切らないという状況で、私が危惧しているのは、政府の都合のいい数字を並べて、それが、結果、全体的に日本が賃金が上がりましたというふうに表現されてしまうと非常に厄介だというか、非常に問題だというふうに思っています。
都合の悪い数字も含めてしっかりとお伝えしていくことが政府の責任だということを改めて申し上げたいと思いますし、賃金に対する定義というものを改めてしっかり確立していただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。うなずいていただいたので、またしっかりと進捗を確認したいと思います。
続きまして、通貨のバランスの変化についてお伺いしたいと思います。
国際秩序が大きく変化しているというのは、さきに申し上げたとおりです。SDRですけれども、IMF加盟国が持つ特別引き出し権というものですが、ここにおける日本円の構成比率の低下が著しくなっております。SDRの構成比率は、その通貨の流通状況を示しているというふうに思われますが、例えば二〇一五年にSDRの構成に中国人民元が初めて採用され、その後、人民元の構成比率は激増しています。二〇二二年、僅か七年の間に、何もなかったところから一二・二八%まで引き上げられたのに対し、一方、日本円に関しては、連続して引き下げられており、二〇〇五年には一五%あった水準が、二〇二二年で七・五九%まで下がっております。
今後、この世界の通貨バランスですけれども、日本にとって改善していくという傾向よりかは、悪化の一途をたどっていくのではないかということさえ予想できてしまうのが、今物すごく悲しい状況ではあるんですけれども、そうしなければいけないというふうに思います。
中国人民元が更に増えてくるということも含めて考えていかなくてはならないと思いますが、その国際通貨のバランスの変化に対して、いいことと、そして悪いことという両面を考えていかなければいけないと思うんですが、どのように分析されているのか、明確にお答えください。
○鈴木国務大臣 SDRの価値でありますが、現在、日本円のほか、米ドル、ユーロ、人民元、イギリスのポンドの主要五通貨の加重平均により決定をされておりまして、馬場先生御指摘のとおり、人民元が占める割合は、二〇一五年の一〇・九二%から二〇二二年の見直しでは一二・二八%に増加をしています。
SDRは、IMF加盟国等の公的主体、日本の場合は財務省、日銀に保有が限定をされた通貨提供請求権でありまして、民間取引に使用されるものではないために、SDRの構成通貨の変化が、民間取引が大宗を占める世界の経済、資本取引に直接影響を与えるものではないと考えております。
そして、中国は人民元の国際化を積極的に推進していますが、一般論として申し上げますと、自国通貨の国際化が進むことは、自国通貨での取引や決済が拡大し、自国企業の海外活動の円滑化等につながると考えられる。一方で、通貨を国際化する過程で、国際的な資金の流れを自由化することに伴いまして、資金の急激な流出入が生じたり、為替の変動が大きくなりやすくなると考えております。こういう、その国にとってはプラス面、マイナス面があるんだと思います。
財務省として、引き続き、中国の人民元の国際化の動向、これはよく注視していかなければならないと考えております。
○馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。
でも、だとすると、日本円が比率が下がってくる中で、円が急激に変動するというところがどうなるんだろうなというふうに、お話を伺いながら、日本経済の力の部分を危惧いたしますが、今日はそこを議論したいんじゃないので、ちょっとそこは飛ばしたいというふうに思います。
悲観するばかりではなくて、ここの、既に予想されていく未来にどう対処していくかということがすごく大事だと私は思っていますし、中国人民元がやはりすごく世界の中で大きくウェートバランスが増えていくということになれば、経済制裁等々を考えたいというふうに思ったときのバランス関係も、非常に懸念をすべき点になる可能性が高いというふうにも思います。
だとするならば、ここから外務省さんともお話をしたいんですが、はっきり言えば、仲よしこよしのグループ関係をつくっていてもしようがないわけでございまして、中国がこれからどういうふうな戦略を練っていくのか。日本側がつくりたい枠組みの中に中国を引き込んでいく戦略を考えるか。あるいは、それが難しいというならば、中国がつくっている枠組みの中に、これは簡単に日本が入るんじゃなくて、国益を背負っていって、しっかりと中国の枠組みの中に入って、中国の戦略をしっかり読み解いていきながらバランスを保っていく、まさに番頭役かもしれないですけれども、そういうことをやっていくことが今後求められているのではないかというふうに私は思います。
資料2を見ていただきたいんですけれども、昨今打たれている政策、私は経産と環境の委員会に所属していたので、ここら辺をすごく見ていたわけでございますが、ほとんど、アジア・ゼロエミッション共同体であったりIPEF、いろいろ様々ありますが、そういう動きになっているわけではないんじゃないかなというふうに思います。
これは別に、親中派とかそうだとかそうじゃないとか、そういう話のことを言いたいのではなくて、これら国際的な急激な変化を踏まえた上で、日本の国際経済上の関わり方、そして外交方針に大きく影響を与え、そして私たちの戦略を見直していかなければいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、是非、高村政務官のお話を伺わせていただければと思います。
○高村大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えさせていただきます。
中国は国際通貨システムにおける人民元の役割の拡大等に取り組んでいる、このことを承知しております。こうした中国の動向や政策の方向性は、我が国経済のみならず、世界経済にも大きな影響を与えるものであり、政府としては、引き続き高い関心を持って動向を注視しておるところであります。
中国は、経済面においても安全保障面においても、アジアのみならず、世界の中で大変大きな存在であります。日中関係は、日中双方にとってのみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄にとってますます重要になっております。
中国との間では、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくというのが我が国の一貫した方針であります。
そして、この方針の下、引き続き中国との間では、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図り、引っ越しできない隣国であるがゆえに存在する様々な課題のマネージと同時に、気候変動や感染症など、グローバルな共通課題への対応も含め、大局的な観点から幅広い分野で重層的に協力と交流を推し進めていく考えであります。
ありがとうございます。
○馬場(雄)委員 高村政務官、ありがとうございます。
今お話ししていただいたこと、本当に言葉上は分かるんです。ただ、実務上でしっかり動いているかというところを、恐らくここで話せることと話せないこともあると思いますので、是非信じたいと思いますので、実利を取っていただければというふうに思っています。
その上で、IMFに対する職員の部分も大事になってくると思いまして、この部分を全て踏まえた上で、財務省として、まさに国益を懸けてIMFに出向していかなければいけないというふうに思っています。単に行くだけでは全く意味がないんだというふうに私は思いますけれども。
過去の委員会質疑でも数多く、ここでまさに、先ほどの議論の中でも登場してきましたが、例えば二〇一九年三月ですかね、質疑で、当時、麻生大臣でございましたけれども、日本人の職員比率が上がっていかないその理由は、学位の問題であったり、そもそも働きたいという人がいるかいないかという、そういうふうな問題もあるのではないかという指摘をされておりました。
でも、だとすれば、日本人職員の比率が低いというこの現状は、我が国の側に原因があることになるのではないかというふうにも思いますが、その点についての政府のお考えをお示しください。
○三村政府参考人 IMF側に対しても日本人職員の増加に向けていろいろな働きかけをしていることは、先ほど別途お答えもいたしましたけれども、御指摘のとおり、日本側も昨今、例えば留学生が減っているとか、いろいろな問題はございます。
そういう中で、当然、我々もいろいろな形での働きかけをやらなければいけないと思ってございまして、例えば、日本国内でIMFで働けるような若手のエコノミストの方を育成するために、日本で、学生の方ですとか若手の研究者の方、あるいは社会人の方、こういった方にIMFの経済分析の手法についてワークショップを開催をして実践的に学んでいただくでございますとか、これも学界も巻き込んでということでございますけれども、例えば、最近、日本経済学会というところがございますけれども、ここでIMF関連の特別なセッションというものを実はやっていただきまして、ここに私どもの財務省の職員でございますとか、東京にIMFのアジア太平洋地域の事務所がございますので、ここの所長ですとか、あるいはIMFで勤務経験のある大学の先生方もいらっしゃいますので、こういった方々に実は御登壇をいただきまして、IMFがどういう形で採用しているのか、あるいはIMFの勤務がどういうものか、例えばこんなことを御説明をいただいて、そしてこういったアカデミズムの方にもIMFの仕事に興味を持っていただくとか、これはほんの一例でございますけれども、日本側でもできるだけ広く人材の掘り起こしができるように様々な努力はしてございますし、今後もしていかなければならないと考えてございます。
○馬場(雄)委員 お答えありがとうございます。
ただ、私の部分の考えというか、危機感なんですけれども、ワークショップをやるとか、面白おかしくやっていくとか、興味を持っていただくとか、もはやもうそのレベルの次元ではない国際秩序の変化が来ているんだというふうに思います。
何のために行かなければいけないのか、何のために、この国益を背負って、日本国民を守っていくために、物理的な戦争行為は絶対日本はしないというふうに私も信じたいですけれども、通貨上のバランスの中でかなり変化が起きてきているならば、そのための外交戦略に、そのための世界的な秩序をつくっていくために、財務省職員一人一人が国益を懸けて行くんだということが私は大事だと思っていますし、それは決して、興味を持っていただくとか、ワークショップをやるとか、そういったことでできてくるものではなくて、まさに、政治家の皆様方のリーダーシップの中でしっかりと伝えていくべきものなのではないかなというふうに思います。
是非とも、この部分について、体制整備について喫緊の課題として取り上げていただくことを、最後、お約束いただけないでしょうか。鈴木大臣、お願いいたします。
○鈴木国務大臣 IMFの日本職員が全職員に占める比率、これは二〇二三年四月末時点で二・七%でありまして、IMFにおける日本の出資シェア六・五%に比して低い状況になっている、こういうふうに思っております。日本人の職員を増やす、そして、IMFの中での幹部を目指す、こういうことは日本の国益にも係ることだろうと思っております。
ただ、国際機関に出向いたしますと、その出向した職員は、自国の代表ということもあるかもしれませんけれども、その国際機関に責任を負う、そういう立場もあるんだと思います。そういう基本的なことを踏まえながらも、しっかりと日本の立場というものを踏まえながら職務に就いていただくことが重要なんじゃないかと思います。
○馬場(雄)委員 冷静かつ大胆に政府が動くことを期待します。
終わります。ありがとうございました。
○津島委員長 これにて馬場君の質疑は終了いたしました。
次に、櫻井周君。
○櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は閣法審査ということでございますが、ちょっとだけ最初に消費税のことについて取り上げさせてください。ちょっと順番を入れ替えて、最後に書いていた消費税というのを一番最初にやらせていただきます。
まず、資料七もつけております。こちらには、中日新聞で去年の七月二日の記事を載せております。これは一体何があったかといいますと、障害者相談支援事業について、実は消費税が課税される、課税対象だったということが明らかになって、それまで消費税非課税だと思っていたと。大体、福祉関係の事業というのは非課税になっているものですから、非課税だと思っていたのが実は課税対象だったということで、先月、地方自治体でも、慌ててこの消費税分、しかも五年分追徴課税ということで来ているということなので、それに対応する予算組みをしたということで、全国的に大騒ぎになっているということです。
この件については、昨年の十二月七日にも阿部知子衆議院議員が、社会福祉の基幹事業というべき障害者相談支援事業の見直しに関する質問主意書というのを出しています。
また、資料八にもつけておりますけれども、先月、三月二十九日にも井坂信彦議員が、衆議院厚生労働委員会でもこれを質問で取り上げております。
要するに、障害者自立支援法の中で、一般相談支援事業それから特定相談支援事業、これは非常に似ているものです、それと、今回私が問題だと言っているこの障害者相談支援事業、非常に似ている事業なんですけれども、一般相談支援事業、特定相談支援事業、これは消費税非課税なのに、障害者相談支援事業だけが消費税課税対象になっているということで、これはもう、福祉事業なんですから、消費税非課税ということにしてはどうですかということを提案申し上げるんですが、大臣、これは非課税にしてもらえませんかね。いかがでしょうか。
○三浦大臣政務官 お答えいたします。
委員御指摘のように、厚生労働省としましては、今回の件、明確に周知をしていなかったということで、誤認している自治体が一定数存在しているということは認識しております。今後、きちんと自治体に対し丁寧に説明していくということを我々も取り組んでまいるところでございます。
その上で、社会福祉法に規定する社会福祉事業に位置づけるかどうかにつきましては、公的な助成を通じた普及や育成が必要な事業であることや、サービスの質の確保のための公的な規制が必要な事業であることの要素を総合的に勘案して判断することとしております。
今回の障害者相談支援事業につきましては、市町村が実施主体として実施する事業でありまして、公的な助成や規制の必要性などの要素などを総合的に勘案すると、社会福祉事業の性格には必ずしもなじまない、そのため社会福祉事業として位置づけられていない、そういう状況でございます。
また、一般相談支援事業及び特定相談支援事業の基本相談と障害者相談支援事業は、障害者から相談に応じる事業であるという点では共通いたしますけれども、一般相談支援事業及び特定相談支援事業は、指定を受けた事業者が、障害福祉サービスなどの支給決定を受けている障害者を対象として、サービスの計画作成や地域移行支援に付随する形で基本相談支援を行うものであり、他方で、障害者相談支援事業は、市町村が住民に対するサービスとして、障害福祉サービスなどの支援決定を受けていない障害者を中心に、生活上の課題などの様々な相談支援を行うものでございます。
今後とも、しっかりと、障害者が相談支援事業により、必要な支援が届くように取り組んでまいりたいと思っております。
○櫻井委員 今いろいろ御答弁いただきましたけれども、それは三月二十九日の厚生労働委員会で既に井坂議員が、それはおかしいでしょう、今の答弁はおかしいでしょうということを詰めて、大臣も、これは私もレクを受けるときに理解するのに相当大変でしたというふうにおっしゃられているわけなんですよ。
いろいろおっしゃいましたけれども、障害者相談支援事業、まず入口のところでここに行って、それで具体的な話の流れで一般相談支援事業に行くこともあるし、特定相談支援事業に行くこともあるしという流れになっているのに、何でこの最初の入口のところは消費税課税になっているのかということなので、これは多分、自治体がやらなきゃいけないということで、地方自治体がやるものだから、それで社会福祉事業に指定されていないというのが元々の経緯なんだろうなと思いますけれども、地方自治体も、いろいろほかにもやらなきゃいけないことがあるからということで、それを外注するといいますか外出しをしたときに、実は消費税非課税というふうになっていなかった、あれっという、そういうことだと思うんですね。
武見大臣だって、これはおかしいというふうに思われている節のある答弁をされているわけですよ。では、何で社会福祉事業に入れてもらえないかというと、結局、消費税の問題で、それは財務省がうんと言わないからというふうに厚生労働省のかなりハイレベルの方がこっそりおっしゃっていたというふうにも聞いております。結局、財務省なんですよ。
大臣、消費税、さすがにこの部分について非課税にしていただけませんでしょうか。
○鈴木国務大臣 どなたが財務省のせいでその対象にしていないとおっしゃったのか、私はよく分かりませんけれども、社会福祉事業に分類されればこれは非課税になるわけでありまして、社会福祉事業に分類するかしないかというのは、これは財務省で決める話ではなくて、厚生労働省で決められる話である、そういうふうに認識をしているところであります。
何か少しでも税収を上げるために、財務省があえてこれを社会福祉事業に認定しないで消費税をかけているということはございません。
○櫻井委員 大臣から厚生労働省が自分で決めていいというふうにおっしゃられていますので、是非、厚生労働省できちっとこれは社会福祉事業に位置づけて、消費税非課税ということでやっていただきますよう要望を申し上げて、この障害者相談支援事業の件を終わりにさせていただきます。
政務官、ありがとうございました。
○津島委員長 三浦政務官は御退室ください。
○櫻井委員 続きまして、インボイス制度についても一つお伺いをいたします。
この三月までの納税期間の中で、自民党は脱税しているんじゃないのか、それに対して国民は増税なりインボイス制度で厳しく取り立てられているという怨嗟の声が上がっているわけなんですが、インボイスに関しましても、ストップ!インボイスというグループがアンケート調査を行いました。
そのお声をちょっと御紹介いたしますけれども、新たに発生した消費税や事務負担に対して価格転嫁ができず、売上げや貯蓄を減らして対応しているというお声、それから、新たに発生した消費税や事務負担を借入れして補填しているというお声、消費税の負担が大きく事業が成り立たなくなりそうだというお声、経理、申告作業が非常に大変だったというお声が非常に多かったということ。それから、インボイス未登録の事業者が、重要な発注元、売上先から、値引きや取引排除など何らかの不利益を被っている、そういうお声もあります。事業、仕事の見通しが悪く不安、廃業、転職を視野に入れていると、マイナスの影響を訴えておられます。
やはり、大臣、インボイス制度は大変負担が大きい、納税事務負担が大きい。大臣として、現場の状況をどのように把握をされていますか。もし、この税負担が、税負担といいますか、税の金額の負担だけじゃなくて事務負担ですよね、これが大きいということであれば、やはりここはもう思い切ってインボイスは一旦廃止をするということを提案申し上げたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 昨年の十月にインボイス制度が導入をされたわけでございますが、それについていろいろなお声があるということは承知をしております。
そして、先生が今御指摘になられましたストップ!ザ・インボイスの行ったアンケートについても、詳細じゃありませんけれども、ざっとですけれども、項目程度は承知をしているところでございます。
その中で、やってみたら事務負担が相当重いものがあって、それに伴って生産性が低下をしているといったこと、そういうこともこのアンケート調査の中にあったのではないかと思っております。
こうした御指摘につきましては、受領したインボイスの登録番号が有効か、会計ソフト上で自動的に確認するための仕組みを国税庁が提供しているほか、IT導入補助金の拡充等により、そうした会計ソフトの導入等を後押しするなど、業務の効率化に資する支援を行っているところであります。
また、税制の面から申しますと、簡易課税、二割特例、少額特例によりまして、売手、買手の双方における事務負担に配慮しているところであります。
インボイス制度は廃止すべきだというお話でありますが、これは複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要であり、中止することは考えてはいないところでありますが、引き続きまして、各省庁と連携をしながら、事業者の抱える課題等を把握して必要な情報の周知を徹底するなど、きめ細かく丁寧に対応してまいりたいと思っております。
○櫻井委員 今、大臣から、事務負担が増大しているということは認識いただいているというお話でございました。二割特例とかいろいろなことをされて、これはこれで、税負担を軽減するためには必要なのか、必要というか、元々なしにすれば一番いいんですけれども、いきなり十割というわけにはいかないからということで二割ということにしているんでしょうけれども、そうすると、これまた事務負担が増える、二割だからまた大変というお声もこれまたありまして、やはりいろいろなところで無理が来ているんじゃないのかなということを改めて申し上げて、閣法の審査に入りたいと思います。
まず、IMF増資の必要性ということで通告させていただいておりますが、この点については、先ほどの稲津議員からの質問でも取り上げられておりましたので、ちょっと飛ばして、もし時間があれば後で戻ってくるということにしたいと思います。
続きまして、IMF出資クオータの決定経緯についても、これまでの三人の委員の方からの質問もございましたので、ちょっとこれも飛ばさせていただいて、三番目の開発金融をめぐる情勢変化というところに移りたいと思います。
質問の前提として、二年前、二〇二二年三月十一日のこの財務金融委員会におきまして、このときにもIMF、IBRD加盟措置法の改正案がありました。このときにはIDAの増資でございましたけれども、私も質問をさせていただいて、鈴木大臣から御答弁をいただいております。この部分を踏まえるのと、それからもう一つ、去年十一月十九日に、NHKスペシャル「混迷の世紀 世界“債務危機”は止められるか」ということで、国際局の皆さん、三村局長も、それから神田財務官も、結構、長時間インタビューで答えられておりましたけれども、こうした報道も踏まえてちょっと質問をさせていただきます。
まず、開発資金ニーズということです。SDGs、二〇三〇年目標ということで世界を挙げて取り組んでいるわけなんですが、これまでの間に非常に多額の資金のニーズがあるというふうにも言われております。例えば、OECDのインフラストラクチャー二〇三〇、これは大分前の数字ですけれども、このときには、世界のインフラ投資額、累計で七十一兆ドルに上るのではないのか、こんな推計もあったりします。
そういった資金ニーズがあるということになりますと、世界銀行などの国際機関又は日本などの先進国の資金援助ではこの資金需要を到底満たすことはできない、こういう話があります。
こうしたインフラ投資の資金ニーズとそれに対する供給状況について、財務省としてどのように認識をされているのか。国際情勢の認識について、まず御答弁をお願いいたします。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
今まさに櫻井委員から御紹介いただきましたように、途上国、今後ますますSDGsの達成に向けた様々な取組を推進するために、巨額の資金が必要になるというふうに考えてございます。OECDの推計を御紹介いただきましたし、いろいろな国際機関の推計がございますけれども、文字どおり、巨額の資金ニーズがあるということでございます。
当然、こういった巨額の資金ニーズに対応いたしますためには、これは、私ども、バイのODA、あるいは世銀やIMFといったような国際機関からの公的資金、これももとよりでございますが、やはりそれだけではございませんで、民間資金もしっかりと導入をしていく、あるいは途上国自身にも国内資金の動員に努めていただく、こういったことを促すということも非常に重要であると考えてございます。
したがいまして、公的な資金ということで申し上げますと、例えば、いわゆるMDBs、世銀やADB等々の国際開発金融機関の融資余力の拡大に向けてのMDBsの改革の議論、こういったものを今まさにG20等々でもやってございますし、それから、先ほど申し上げました途上国での民間資金の動員あるいは国内資金の動員ということで、途上国におけます投資環境の整備ですとか、あるいは税収確保をやっていただく、こういったことのための支援というものも重要と考えてございまして、こういったこともマルチで国際機関を通じて、あるいはバイで、様々な形での支援をやってございまして、こういった取組を引き続きやっていく必要があるというのが私どもの認識でございます。
○櫻井委員 こうした資金ニーズがある、開発ニーズがあるというのは大変重要なことではあるんですけれども、では、実際に借り手の方がそれをしっかりと実施していく能力があるのか、また、多額の資金を借りたときにその債務を管理する能力があるのかということも重要なポイントです。
資料一をつけさせていただいております。これはワールドバンクのインターナショナルデットレポート二〇二三の該当ページをコピーしたものでございますが、ざっと見ていただいて分かるとおり、下の表ですね、二〇一〇年から二〇二二年を比べただけでも、ほぼ、債務の残高は、四千三百二十六というところが八千九百六十六というふうになっていることからも分かるとおり、倍増しているという状況です。
それから、二〇二三年十二月十三日の日本経済新聞の記事でございますが、こちらでは、「途上国の債務返済六十五兆円、過去最高」ということで、これは、アメリカやヨーロッパの金融引締めによる金利上昇で利払い負担が増加しているということも併せて書かれております。すなわち、多くの国が危機への道を歩んでいる、こんな指摘もあるわけなんです。
ただ、大事なことは、フィージビリティーの高い案件を形成していく。準備不足のままに事業を始めてしまうと失敗し、それがある種、不良債権といいますか重荷になってしまうということだと思います。逆に、ちゃんと準備をし、フィージビリティーの高い事業、これをちゃんと実行できれば、リターンも大きいわけですから、借金をしても、その借金の返済には困らないはずなわけです。債務が問題になるのは、リターンが不十分な事業が少なからずあるということではないのかなというふうにも思うわけでございます。
そこでお尋ねをいたしますが、やはり借り手の実施能力、つまりフィージビリティーの高い案件を形成していく能力、そして、建設等、土木工事等であれば建設する能力、それをまた完成後ちゃんと運営する能力。鉄道等でありましたら、鉄道の線路を敷いて電車を買っても、ちゃんと電車の整備とか、きちっとできなければ動かないわけですから、こうした運営能力というのが必要になってくるわけなんですが、こうしたことはきちっとできているのかどうなのか、また日本がどのような支援をしていくべきなのかということについて、財務省の認識をお願いいたします。
○鈴木国務大臣 櫻井先生の御指摘のとおり、途上国の支援案件の開発効果、これを高めるためには、案件実施能力の改善、これは重要なものであると私どもも考えております。日本は、途上国の案件組成や実施に係る能力構築をJICAや世界銀行等を通じて支援をしているところであります。
また、途上国におけます債務管理能力の不足も懸念すべき課題と認識をしております。日本は、この分野に知見を有するIMFや世界銀行を通じまして、これらの能力構築を支援するとともに、公的債務データの透明性向上のため、債権者と債務者が保有する債務データを突合する取組を主導をしてきているところであります。
今後とも、途上国の自立性を尊重しながら、途上国の案件実施能力、そして債務管理能力の改善に向けた支援、これを継続して行ってまいりたいと考えております。
○櫻井委員 大臣からは、債務の管理能力についても御答弁いただきました。
債務の管理能力に関しましては、資料三につけております。
これも日本経済新聞の去年の七月の記事でございますが、「途上国の債務、透明性確保へデータ集約」ということで記事になっております。ただ、貸し手のデータを全部集めました、借り手のデータを全部を集めました、そうするとこれはちゃんと対応するはずで、金額も一致するはずなのに、この日経新聞の報道によりますと、ずれていたということが、結構ずれが生じていたということが明らかになった、こういう記事でございます。
まず、債務データ、債権データの突合ということは、G7の議長国であった日本の主導で取り組んだというふうにも承知をしておりますが、このときの、一年前の記事ではずれがあったという話になっているんですが、このずれは、ちゃんとその後確認して、ぴたっと合うようになったのかどうなのか、この点いかがでしょうか。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
この債権者側のデータと債務者側のデータの突合はまさに極めて重要でございまして、今委員から御紹介いただきましたように、昨年、G7議長国で、私どもは各国に声をかけまして、債権国側から、十八か国でございますけれども、世界銀行とデータを共有をいたしまして、その結果、債務者側から世銀が取っておりましたデータと六十億ドル以上のイニシャルにそごが見つかった、そういう状況でございます。
当然、今、世銀側におきまして、それぞれの国とどこがずれているのかという確認作業をやっておるわけでございますけれども、これは当然、単発でやって終わりという作業でございませんので、こういった突合あるいはそのための債権者のデータを世銀と共有いただく作業を今後とも継続的にやっていくことも非常に私ども重要だと考えてございますので、今まさに、昨年やりましたような取組を今年以降もやっていこう、できればこれはできるだけ全てのG20諸国が参加する方向でやろうよ、こういった呼びかけをG20等の場でも、私ども、今、ほかの国とも連携しながら呼びかけをしているところでございます。
○櫻井委員 これで、今、御答弁は十八か国というお話でございましたけれども、G20全てのメンバーにも呼びかけをしているというお話なんですが、この十八の国の中に中国やインドは含まれているんですか。既に去年の作業をやったところの中に中国、インドは含まれているのかどうか、教えていただけますか。
○三村政府参考人 たしか、参加した国全ての個別の名前を公表していたかどうか、ちょっと今手元にはございませんけれども、まさしくお察しのとおり、G20の中で、特にノン・パリ・クラブの国、こちらの中の主要どころでまだこの作業に参加いただいていない国というものが現にございましたので、そのために、私ども、そういった国にも引き続き呼びかけをしているというところでございます。
○櫻井委員 G20の国の中ではロシアも入っているかと思いますが、なかなか全ての国というところは、一方で必要性は高いんですが、他方で、現下の国際情勢の中で厳しいところももしかしたらあるかもしれませんが、是非、国際金融の秩序を守っていくためにもお願いしたいと思います。
あともう一つ、おととし、二〇二二年三月十一日、財務金融委員会で、私の質問に対して財務大臣からの御答弁なんですが、環境ですとか社会にも配慮し、途上国の持続可能で包摂的な成長の実現に資する支援を行うこと、これが極めて重要と考えておりますと、G20原則では、もちろんこれは中国も入っているんですけれどもということで、社会面、生態系や生物多様性を含む環境面への配慮といった点も明記しているところ、こういう答弁をいただいております。
重要性は認識しているし、それは一応宣言等ではうたって、約束もしている。ただ、本当にやっているかどうかというのは、これはまた別な話でございまして、開発途上国での事業の実施において、環境配慮、社会配慮、これが十分できているかどうかということ、これはIMFなり世界銀行なり、日本政府は確認できているんでしょうか、いかがですか。
○三村政府参考人 御指摘のとおり、私どもがバイであれマルチであれ援助をするに際しまして、単にお金を渡せばいいというものではございませんで、当然、この援助によりまして環境社会配慮がなされること、これによって開発効果を高めていくということが極めて重要でございます。
であるがゆえに、今も御紹介いただきましたように、私ども日本が議長を務めておりました二〇一九年のG20の際の大阪サミットの場におきまして、質の高いインフラ投資に関するG20原則ということで、これはまさにオールG20で合意をいたしましたけれども、この中では、環境への配慮あるいは社会への配慮、これをまさに原則の大項目として掲げまして、質の高いインフラにおいては社会包摂とか環境面への配慮、こういったことも重要だよというようなことを明記しているというところでございます。
その上で、当然、この原則をまとめてからも、私ども、ほかの、特にG7を始めとしました認識を共有する国と、この原則の普及というものをG20やその他の方でるる取り組んでございます。
例えば、質の高いインフラ原則に基づいての何か具体的な評価のための指標を世界銀行グループにまとめてもらって、これでプロジェクトの評価をしようとか、こういった具体的な取組も進めているところでございます。
当然、G20の中で合意した原則でございますから、これは全てのG20の国々、あとはG20だけではございませんで、支援を受ける側の国にも、この質の高いインフラ原則の考え方に基づいたプロジェクトは大事だよ、環境社会配慮は大事だよということ、これは私どもバイでも申し上げておりますし、当然、世銀、IMF等々のマルチの機関からもそのような主張をしていただきまして、呼びかけをしていただきまして、今後とも、更なる環境社会配慮を含む開発効果の確保、これにつながる支援というものをしっかりやっていきたいと考えてございます。
○櫻井委員 今、三村局長から御答弁いただきましたけれども、御答弁の内容は全くそのとおりなんですが、ただ、要は、約束して、約束したことがちゃんと履行されているかどうか、そこの担保なんですよね。
これはなかなか、例えば、よその、仮に中国としましょうか、中国がやっている事業について、日本政府がモニターするとかというのはなかなかやりにくいことですし、世界銀行といえどもなかなかやりにくいところではあるんですが、これは何かやはり工夫をして、きちっと約束したことが履行できているかどうか、確保していくことが重要かと思います。
例えば、世界銀行は、これは何か、ちょっと名前を忘れましたけれども、通報制度みたいなものがあって、現地の住民の方とかないしは市民団体の方が、環境破壊が行われているとか、とある国の資金援助によって、例えば山の中にダムを造りました、それで環境破壊が行われているとか、ないしは住民が強制的に移転されて人権侵害が行われているとか、そういったことがあれば通報できる仕組みがあるやに承知をしているんですけれども。
そういったものは、これは一義的には世界銀行のプロジェクト、世界銀行の通報制度は世界銀行のプロジェクトに対して通報できることになっていますけれども、例えば、世界銀行のプロジェクトじゃなくても通報できるようにするとかいうようなことをすれば、より実効性といいますか、G20の原則で合意したことを担保できるようになるのではないのかな。ないしは、力で押さえつけようと思っても、別なルートから漏れてしまって、抜けてしまって押さえつけることができないということになれば、これはきちっとやろうというインセンティブにも逆になっていくのではなかろうかなと思うんです。
何かこうした工夫、どんな工夫でもいいんですが、例えばということで、これはたしかパネルとかという仕組みだったと思うんですけれども、こういったものを活用するとか、いろいろ方策は考えられませんでしょうか。いかがでしょうか。
○三村政府参考人 御指摘、誠にありがとうございます。
まさしく世界銀行においても、こういった環境社会への配慮の観点からのセーフガードがございますし、こういったセーフガードに反するようなプロジェクトということであれば、御指摘のような通報の仕組みもございますし、そうした正式な通報によらずとも、例えばNGOの方ですとか、あるいは一部の政府ですとか、いろいろなところからこういう問題があるというような情報が入ってくる、これは当然あるわけでございます。
それから、おっしゃるように、世銀におきましては、基本は世銀のプロジェクトについてということではございますけれども、これも当然、委員も御承知のように、例えばJBICでもJBICのセーフガードがあったりですとか、各国それぞれに、国際機関あるいはバイの主要なドナーはこういったセーフガードをいずれも基本的には持っていると理解してございますので、そういった中で、しっかりと環境社会の観点から問題がないような案件のフォローアップをする。
これは案件の組成の段階だけでは当然ございませんで、実施段階も含めてそういうことをやっていく、大事だと思いますし、そういう観点から、例えば途上国の政府の皆さんへの技術協力、技術支援、人材育成のための取組、こういったことも、日本としては、例えば日本信託基金などを通じての取組などもやっているところでございますが、まさにいただいた御指摘もよく考えながら、更なる努力もいろいろ考えたいと思います。
○櫻井委員 ちょっと今、考えたいということで、御検討いただければと思います。
今、世界銀行は世界銀行のプロジェクトに対してこうしたセーフガードの仕組みがあります、アジア開発銀行はアジア開発銀行のセーフガードの仕組みがある、日本、JBICはJBICのセーフガードの仕組みがありますとお話しでしたけれども、例えば中国はそういうセーフガードの仕組みがあるのかどうなのか。また、国際機関として立ち上がったAIIB、アジアインフラ投資銀行、こうしたところもちゃんと持って機能しているのかどうなのか。
私は、事前に調べておけばよかったんですが、ちょっと調べ切れなかったものですから、もしそういったところでセーフガードの仕組みがない、ないしは十分に機能していないかもしれないという場合において、世界銀行がその部分を代替するというのは非常に重要なことではないのかなというふうに思ったものですから、ちょっと教えていただけますでしょうか。
○三村政府参考人 ちょっと、中国を含みます個別の政府の個々の制度がどうなっているのか、ひょっとすると一〇〇%正しくはないかもしれませんので、そちらはちょっと御勘弁をいただきまして、AIIBについて申し上げますと、AIIBは、形の上では、セーフガードとかそういったものは基本的にはかなり整っているとは認識をしてございますが、仮に形があったとして、実際のところどうなのというお尋ねだと思いますが、私の認識といたしましては、御承知のように、今、AIIB単独のプロジェクトはもちろんございますけれども、相当部分、彼らは現地に事務所を持っていないというようなところもございまして、世界銀行とかADBとか、結構ほかのMDBsとの協調のプロジェクトをやっているというものも相当部分を占めてございますので、こういった意味で、例えば世界銀行との協調のプロジェクトであれば、当然、世界銀行のセーフガードにしっかりとのっとっておりませんと案件は進められないというようなことになりますから、こういった協調の融資の形を通じての一定の歯止めがかかっているという部分はあるかと思いますし、当然、AIIBは私どもは参加していないわけですけれども、ほかのG7で参加している国がございますので、こういった国々からの出資者、ドナー国としての一定のガバナンス、こういったものも働いているものと推察をいたしてございます。
○櫻井委員 次の質問に移らせていただいて、資金供給で、結果的に不幸にして債務の返済が滞ってしまったようなケース、この場合どうするかということも一つ大きな課題でございます。IMFは、まさにこういったときに大きな役割を果たすために存在するものだというふうに承知をしております。
最近の例ですと、スリランカがかなり大きな負債を抱えた状態で債務再編が必要になったということでございます。
このことは昨年十一月のNHKスペシャルでメインに取り上げられたわけなんでございますが、このときには、二〇二二年の五月にスリランカがデフォルト、二〇二三年四月に債務再編のための債権国会議が発足をし、去年の十一月に基本合意までは達したというふうに承知をしております。これはまだ最終合意できたという報道には接していないので、まだなのかなというふうに思うのと、それから、最大の債権国、スリランカ向けの債権の半分は大体中国だったと承知をしていますけれども、その最大の債権国の中国がオブザーバー参加にとどまっていたということではございました。
ただ、いろいろの、合意内容では、この基本合意、つまり中国以外の国が集まって合意したこと、日本とそれからフランスとインドが共同議長ということで取りまとめたものについては、これはそこにいないメンバーのところ、ほかの債権国にもちゃんと提供しますよ、そうじゃなかったらこの基本合意は無効になりますよということで、実質的に中国も同じ条件のたがをはめたというふうにも承知をしています。
ただし、本当にたががはまっているのかどうなのかということがやはりここは心配なところで、NHKスペシャルでも指摘をされていたのは、エスクロー口座、秘密の専用口座みたいなものがあるのではないのか、そこにある程度現金を積ませておいて、いざとなったらそれを引き出すというようなことで、現金預金を担保にするようなやり口があるのではないのか、そうすると債権者の平等原則が崩されてしまうということになりはしないか、そういった指摘もあったわけなんです。
そこでちょっとお尋ねをしたいんですけれども、これはちゃんとそういった債権者の平等原則が守られるようなこと、モニタリングの仕組みも含めてでき上がっているのかどうなのか、また、これは最終合意はいつ頃になりそうなのか、教えていただけますでしょうか。
○三村政府参考人 まず、現状の事実関係から申し上げますと、委員に御指摘をいただいたとおりでございまして、昨年の十一月の末に、私どもが共同議長を務めます債権国会合とスリランカの間で、債務の再編の条件についての基本合意というものには至ってございまして、他方、足下は、まだこの基本合意に沿った債務再編の詳細を規定する、いわゆるMOU、覚書、これ自体はまだ正式な締結には至っていないというのが今日この時点での現状、これは御指摘のとおりでございます。
その上で、るる御指摘もいただきました、中国がオブザーバー参加になっている中で、中国の、スリランカと仮に結ぶ債務再編の条件との間での公平性、コンパラビリティーが確保されているのかどうか、あるいは、中国が裏で、エスクロー口座ですとか、あるいは何か担保に取ったりですとか、そういったようなことがないのかというところは、当然のことながら、この債権者委員会の中でもるる議論をしているところでございます。
まさしくスリランカ側と、申し訳ございません、基本合意の覚書の交渉の真っただ中ということでございますので、なかなかちょっと詳細はつまびらかに今の時点で申し上げることはできないんですが、まさにおっしゃったような、中国が、あるいはその他の債権者委員会の外の債権者とスリランカがどういう合意を結んでいるのか、そこに当たって、何か我々債権者委員会の中の債権国との関係でまさに公平な取扱いを損なうようなものがエスクロー口座等も含めてないのか、そういった情報をどういう形でスリランカからもらい、また、そういうことがないようにスリランカに対して歯止めをかけられるか、そういったことも債権者委員会として共通認識として念頭に置きながら、今大詰めの覚書の交渉をしているところでございます。
具体的にいつまでに覚書の署名、これは相手もあることでございますので具体的には申し上げられませんけれども、当然、スリランカは今後もIMFプログラムのレビューなどもやっていかなければいけませんので、そういった日程感も頭に置きながら、今大詰めの交渉をまさにやっている、そのまさにさなかでございます。
○櫻井委員 このスリランカの債務再編は非常に今後の重要なモデルにもなると思いますので、是非うまく取りまとめていただきたいというふうに思います。
るるこの開発金融をめぐる情勢を申し上げてまいりましたけれども、最初の法案の原点に立ち返って、今回IMF増資をするということなんですが、そもそもIMFのミッションは何かというふうに申し上げますと、これは、トゥー・アチーブ・サステーナブル・グロースということで、そのためには、プロモート・ファイナンシャル・スタビリティー・アンド・マネタリー・コーポレーションということがIMFのミッションとして掲げられているところです。
これに対して、このIMFのミッションに対して、やはり大口の出資国たるもの、それなりの責任、役割を果たしていくべきではないのかということだと思うんです。
日本は、まさにこのスリランカのケースにおいても、大口の出資国だからということだけでなく、やはりこれまでの経緯もあって、共同議長としてしっかりとした責任を果たしてきた。また、振り返ってみれば、二十五年前、アジア通貨危機がありました。このときにも各国に対して、IMFと協調して融資をするとかいうようなことで、いろいろなことを取りまとめるというようなこともやってまいりました。日本は大きな役割を果たしてきた。まさに、世界第二位の、IMFの中の第二位の出資国として大きな役割を果たしてきたというふうに思うんです。
ですから、単に経済規模でやったら日本も第四位に転落するかもしれませんけれども、しかし、単に、今日、稲津議員からも質問がありましたし、中西議員からも質問がありましたけれども、この出資割合が今後どうなっていくのかということを考えたときに、まさに日本がこれまで果たしてきた役割、そして、今後もしっかり日本は果たしていきますよと。もしかして第二位をうかがう国、本当にちゃんとこれまでやってきましたか、第二位にふさわしい仕事をしてきましたか、責任を果たしてきましたかということが重要なポイントだと思います。
この点について、これから第十七次の増資に向けて、フォーミュラ、出資の計算式を作っていくという過程の中で、こういう、ある種、定量的にはなかなか表現しにくい部分をどうフォーミュラの中にねじ込んでいくかということも大事だと思うんですが、この点について政府の考えをお聞かせください。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、今後のプロセスは、もう先ほど来出てございますけれども、今後、クオータの計算式の改革につきましては、今後の更なるクオータシェアの調整に向けた指針となり得る複数のアプローチ、これを来年六月までに策定することに合意をしたということでございます。
この中で具体的にどういう議論になっていくかはまさしくこれからでございますけれども、まさに今委員御指摘になられましたように、主たる出資国というのは単にお金を出していればいいというものではございませんで、国際的な共通する価値観でございますとか、法の支配ですとか、自由主義経済ですとか、あるいは債務問題への責任ある取組、こういった責任ある取組を果たすということも当然に重要でございますし、また、もちろん、世界におけるGDPのような経済的な相対的な地位、これも一つの要素ではありますけれども、他方で、これまでに鋭意私どもが積み上げてきました、IMFならIMFに対する累計の支援の規模、そういったものもございますし、クオータの外側でも、例えばいろいろなやり方でのIMFへの貢献というものを、私どもは、これは人的なものであれ資金面であれ、やってございます。こういったものをどう勘案するのか、しないのか。
いろいろな要素がございますので、当然、私どもとしては、ほかの国に対しましても金だけではない責任を求めたいと思ってございますし、私ども、金だけではない貢献を日本もやっているし、今後もやるというところを念頭に置きながら、しっかりと主張しながらの議論を今後とも続けたいと考えてございます。
○櫻井委員 局長から御答弁いただきましたけれども、大臣も是非よろしくお願いいたします。多分、再来週、IMF、世銀総会があって、出席をされる方向で調整されているというふうに聞いておりますけれども、そこではG7、それからG20の財務大臣会合もあるでしょうから、是非そこで今局長が言われたことをしっかりやっていただければというふうに思います。
最後に、ちょっと時間が迫っておりますので、日本人職員の増員に向けての取組ということでお尋ねをさせていただきます。
これも先ほど稲津議員からも質問がありましたが、ただ、この質問に対して、リクルートミッションを送ってもらっていますとか、大学で講演をやっていますとかワークショップを開いていますと、大体いつも同じ答弁なんですよね。確かにそれで少しずつは職員数は増えてきているので、効果があるといえばあるわけなんですが、ただ、目標とするところには全然届いていないというところもございます。
それで、前回、二年前の質問のときに、私、質問をさせていただいて、当時の副大臣から御答弁をいただいております。日本人職員間のネットワーキングの構築の取組を一層支援していきたい、こういう御答弁もいただいております。これはすなわち、日本以外のほかの国、余り国名を言うとなんですが、南アジアの国々の方々とかは同郷意識が非常に強くて、しっかりお互いつながっていて、ネットワーキングしていて、世界銀行もIMFもコンペティティブな職場ですから、万が一、首になってもお互いさまで助け合いみたいな、拾い合うみたいな、ないしは職を紹介するみたいな、ポストを紹介するみたいなことでいろいろ助け合っているやに聞くんですが、そういった動きが日本人間では非常に弱いということから、この副大臣の御答弁になったわけなんです。
進めていきたい、支援していきたいという答えだったんですが、その後どのように進んでいるのか、教えていただけますでしょうか。
○三村政府参考人 御質問ありがとうございます。
その後、まさしくこういった日本人の職員の方々のネットワーキングの取組を進めてございます。世界銀行にもIMFにもまさに日本人の職員の方がおられるわけでございますので、これは特に私どもが派遣した理事などに声がけをしていただきまして、さらには、それぞれの日本人職員の方でも比較的ハイランクにおられる方にもお願いをしまして、まさにこういった方、日本人の方々に集まっていただいて、場合によっては、理事室の人間を交えていろいろなやり取りをするということをやってございます。
参加される職員の方からも、意外にそういう横のつながりがそれまでなかったりもしたので、こういう機会はありがたいというようなお声も頂戴してございますし、これは是非私ども、せっかく現時点で理事室におりますので、これがよい触媒となりながら、こういったネットワーキングの支援、今後とも是非引き続きやってもらいたいと考えております。
○櫻井委員 もう質問時間が最後になりましたので、最後に要望を申し上げますけれども、これは、リクルートミッションとか送っていただくのもそうなんですけれども、やはり国際機関は基本は経験者を採用するということがございますから、それまでどういう経験を積むかということかと思います。
IMF、世界銀行で類似の業務をやっているところというのは、日本でいえば、財務省国際局であるとか、JICAであるとかJBICである、そういったところかと思います。
例えば、前回の世界銀行のIDA増資のときの担当の副総裁、西尾昭彦さんは、元々、海外経済協力基金、現在のJICAの出身でいるということで、私も、総務部総務課、振出組の大先輩がこのように世界で活躍されていることはうれしく思っておりますけれども、そういったことがあってのことだと思います。
今、図らずも円安で百五十円という水準になると、給与面でも遜色ないといいますか、むしろ魅力的な職場になっているかと思いますので、是非、財務省国際局からも世界に羽ばたいていく人材を送り出していただければというふうにお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○津島委員長 これにて櫻井君の質疑は終了いたしました。
次に、藤巻健太君。
○藤巻委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の藤巻健太です。
本日も、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速質問の方に入らせていただきます。先ほどからいろいろ質問が、ちょっとかぶってしまう部分もあるんですけれども、改めてという形でさせていただきます。
まず、出資比率についてお尋ねいたします。
現在、IMFに対する出資金額の我が国の比率は六・五%で二位となっております。経済規模を出資比率のベースと考えるならば、名目GDP世界四位の日本は、もう少し出資比率は低くなるはずでございます。そういった現状についてどのようにお考えになっていますでしょうか。
○鈴木国務大臣 クオータでありますが、これはIMFにおける各国の投票権の基礎になるものでありまして、御指摘のとおり、日本のクオータシェアは、近年、GDPのシェアに比して大きくなっております。
一般論になりますが、一定のシェアを確保することでIMFにおける日本の発言権を確保し、政策課題の議論を積極的にリードするということは、これは日本の国際社会におけるプレゼンスを高めるとともに、グローバルな課題解決を通じて日本の国益にも資するものと考えております。こうした考え方の重要性を踏まえつつ、今般のクオータ見直しに当たっても、各国間で様々な意見がある中で粘り強く交渉を進めてまいりました。
具体的には、昨年末の見直しの期限が迫る中で、日本から唯一の現実的な選択肢としてシェア調整を伴わない比率増資を主張し、厳しい交渉を経て最終的に比例増資で合意が得られ、六・五%の出資比率を維持したところでございます。
〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕
○藤巻委員 今後の方向性なんですけれども、この出資比率、六・五%になると思うんですけれども、これは現状維持を目指していくのか、それとも少し落としていくのか、減らしていくのか、それとも今後もっともっと増やしていくべきなのか、どのようにお考えになっているのでしょうか。
○鈴木国務大臣 今回の見直しでは、クオータのシェア調整をめぐりまして、先ほど申し上げましたように、各国間で様々な意見が出されました。その中で、計算式改革を含め、今後の更なるクオータシェアの調整に向けた指針となり得る複数のアプローチを来年の六月までに策定することに合意をしたところであります。
そして、先生からは今後の方向性ということでございましたが、これから議論が始まらんとするところでありまして、現時点で確たることを申し上げることはできませんが、日本としては、積極的に議論に貢献しつつ、グローバル金融セーフティーネットの中心を担う重要な機関でありますIMFにおいて、発言権をしっかり確保できる、それを目指して頑張ってまいりたいと思います。
○藤巻委員 私自身の考えではあるんですけれども、名目GDPベース以上の出資割合の現状、これを是とすべきか、ちょっと疑問は持っております。日本の累積債務は一千兆円を超える中、今回の見直しによりIMFへの出資は約九兆円となります。プライマリーバランスの黒字化も全く見通せない現在、我が国に九兆円も拠出する余裕があるのでしょうか。
本件は、外為特会の運営の一部として歳入歳出外で行われるため、一般会計及び外為特会予算上の措置を必要としないというふうにされていますが、予算措置云々以前に、そういった話以前に、財政状況がこれだけ厳しい中で出資額を三兆円も増やすということについて、国民の理解が十分に得られるとお考えでしょうか。
○鈴木国務大臣 御指摘のとおり、今回の増資が発効をいたしますと、日本のIMFに対する出資額は約三兆円増額されます。しかし、このうち外貨又はSDRによる貢献部分は、IMFに対する債権として引き続き我が国の外貨準備として計上されます。
また、円によります貢献部分については、その大部分は基金通貨代用証券の発行により行いますが、これは費消するものではなくて、IMF融資のために円の現金に換えて供給した場合も、借入国からの返済があった場合には日本に回収されるものでありまして、日本の現金が回収されるまでの間も、当該部分が我が国の外貨準備として計上されます。
このように、IMFへの資金貢献は我が国の外貨準備と位置づけられることから、一般的な財政支出とは異なり、出資額がそのまま財政負担となるわけではございません。こういうことを丁寧に御説明をする必要があると思います。世論の中にはいろいろなお考えがあるとは存じております。
〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
○藤巻委員 現在、一ドル百五十円を超えるような状況でございます。十年ちょっと前の一ドル八十円の時代から考えると、国際機関への、IMFに限らずなんですけれども、資金拠出の負担は二倍近くに単純計算するとなるということでございます。
仮に、このまま円安が、仮にですけれども進むと考えると、各国際金融機関への資金拠出の負担はますます増え続けるということが考えられます。仮に、今後、円安が更に進んでいったというふうに仮定しても、それでも各国際金融機関への資金拠出割合、これを何としてでも維持していくべきなのでしょうか。お考えをお聞かせください。
○鈴木国務大臣 外貨建ての出資額が同一であれば、円安によって円建ての出資額が増加するのは藤巻先生御指摘のとおりであります。
他方、国際金融機関への出資に際しましては、日本の国際金融開発上の優先課題との整合性、各国際金融機関の役割、国際社会における日本のプレゼンスなどを総合的に勘案をした上で、財政状況や他国の動向を踏まえた上で、その出資に係る国際交渉に臨んでいるところでございます。
国際社会における日本のプレゼンスなどは、これはある意味、国益に係るものでもございます。そういうことも踏まえて、今後とも、IMFや世銀を始めとする国際金融機関の主要出資国として、日本の貢献の在り方について引き続き検討してまいりたいと思っております。
○藤巻委員 先日の日経新聞の記事に、国際金融機関が加盟国に納入を義務づける拠出金について、外務省が二〇二四年度予算案で同年の支払い分を全額確保できていないことが分かったとありました。円安でドル建ての負担が増したことが影響したとのことです。
本法案は、特別引き出し権ベースであって、このケースとは違うとは思うんですけれども、日銀の政策もあったり、今、日本の為替相場、不安定な状況にあります。
本法案で定める出資上限九兆円、約九兆円という前提で本委員会でも議論を進めておりますが、もし本法案可決後に急速に円安が進んでいったりしたら、この九兆円という数字、これも変わってきてしまい、この委員会における議論の前提、九兆円という数字、変わってしまうというふうにも考えられるんですけれども、その観点についてはどのようにお考えでしょうか。
○鈴木国務大臣 IMFに対する出資額は、特別引き出し権、SDRで決められているために、円安が進行した場合、円により貢献する部分について円換算の金額が増加するということは、藤巻先生御指摘のとおりであります。
他方、今回増資をする三兆円の大部分は外為特会が発行する基金通貨代用証券にて行われ、IMFの求めに応じて、その都度、円現金の供給が行われるため、出資の財源が不足するといったことは想定をしていないわけでございます。
なお、残りの部分は外為特会で保有している外貨又は特別引き出し権で貢献することから、この部分は円安の影響を受けることはありません。
○藤巻委員 先ほどからおっしゃられているように、国際社会における発言力、それからIMF内における発言力を保つことは、確かにおっしゃるように重要だと思います。その意味で、出資比率を一定保つべきという考え方は確かに理解できます。
しかし、IMFにおける発言力を保つという観点においては、現状と同じように、二十四名の理事のうち一名をしっかり選出できていれば、その目的はある意味十分に果たせるのではないでしょうか。選出に要する得票率四・二%を維持できるだけの出資比率、これで国際社会におけるIMFにおける一定の発言力、これは保てるのではないかというふうにも考えることができると思います。つまり、出資比率、六・五%じゃなくて四%台でもいいのではないでしょうか。御見解をお聞かせください。
○鈴木国務大臣 現在、IMFの理事定員、これは二十四名でありまして、機械的に計算すれば、御指摘のとおり、約四%程度の投票権を有することで、単独で理事を選出し続けること、これは可能であります。
一方で、先ほど来申し上げておりますが、IMFでは、理事の選出以外にも、増資や協定改正といった重要事項を含む意思決定がクオータを反映した投票権に基づいてなされるため、クオータ支援の大きさは発言権に直結をいたします。
IMFは重要な機関であり、同機関において日本の発言権をしっかり確保すること、これは日本が国際金融システムの安定に貢献する上でも重要であると考えてございます。
出資割合、この四%というのはあるわけでありますが、これは理事を選任するということだけではなしに、様々な投票権に結びつくものであって、それが発言権に直結するという認識であります。
○藤巻委員 現在の出資比率なんですけれども、中国が三位の六・四%、ロシアが九位の二・七%でございます。この二か国は、外交上の立ち位置、我が国と大分違うとは思うんですけれども、IMFがその役割を果たす上で、各国の政治的思惑だったり、そういったものはしっかりと排除できているのでしょうか。
○鈴木国務大臣 IMFにおけます最高意思決定機関は総務会であり、増資や協定改正といった重要事項については総務会における投票により決定されます。また、総務会にかけられる議案のほか、個々の融資の承認などIMFの業務については、本部のありますワシントンDCに常駐する二十四名の理事で構成している理事会が協議、決定をいたします。
協議の過程で加盟国間の意見が分かれることもありますが、理事会での議論を通じ、可能な限りコンセンサスが得られるよう努力がなされており、最近でも、新型コロナウイルスやエネルギー、食料不安の際に加盟国への迅速な支援を主導しており、IMFの活動が各国の政治的思惑によって阻害されているとは考えていないところであります。
各国が自らの投票権に見合った責任を果たしつつ、引き続きIMFがその機能を適切に果たせるよう協力していくことが重要であると考えております。
○藤巻委員 IMFの財務状況、どうでしょうか。融資の返済は滞りなく行われていますでしょうか。健全な運営、しっかりとできているのでしょうか。データとともにお答えいただければと思います。
○三村政府参考人 私からお答え申し上げます。
財務状況ということで、まずはクオータの総額というところから申し上げますと、これは増資前の段階でのクオータの総額が約四千八百億SDR弱でございます。一SDR二百円弱ぐらい、現在のレートでございますので、日本円にしますと百兆円弱ぐらい、これがクオータの総額でございます。
それから、貸付けの状況と御質問でございましたけれども、現在、一般融資勘定におきまして現に実行しております融資残高、これが約九百二十億SDR、これは二〇二三年末、昨年末時点の数字でございますが、九百二十億SDRほどでございます。
これに加えまして、既に融資を約束していてこれから融資を実行する、こういうものもございます。このコミットメント済みの融資というものが八百二十億SDRほどございますので、先ほどの融資残高と合わせますと、大体千七百四十億SDR、三十五兆円ぐらいでございますけれども、これが、融資済み、あるいは融資を約束済みのものということでございます。
これが滞ったりしていないのか、焦げついたりしていないのかという話でございますけれども、IMFの方では、IMFに対する返済が期日までに行われない状態が六か月以上続いている、これがアリアというふうに定義をして管理をしてございますが、このアリア、過去にはもちろんそうした事例が生じたケースもあったわけでございますが、現状で申し上げますと全てアリアの状態は解消されてございまして、今この時点でアリアに陥っているような国はございません。
○藤巻委員 ありがとうございます。そういった部分は多少安心できるのかなと思いましたけれども。
続いて、先ほどから度々あるんですけれども、IMFにおける日本人職員の割合、これは発言力に直結するということも考えられます。出資割合に比べて我が国の職員の割合は低いのが現状であります。そういった現状についてどのようにお考えで、また、日本人職員を増やすために、改めてにはなってしまうんですけれども、どのような対策を考えていますでしょうか。
○三村政府参考人 改めて基本的な数字から申し上げますと、IMFの日本人職員が全職員数に占める比率、これは昨年四月末時点の数字、今手元にございますけれども、二・七%ということでございますから、我が国の出資シェアの六・五%に比べますと低い状態というのがまずファクトでございます。
先ほども申し上げましたけれども、IMFなどの国際機関でしっかりと日本人職員を増やしていくこと、これは極めて重要でございますし、過去の法案審議におきましても、当院からも附帯決議などで、国際機関における日本人職員、しっかりと登用機会を更に広げるようにということで御決議もいただいているところでございます。
こうした中で、私どもとしましては、大臣を先頭に、IMF幹部との面会の機会などを捉えまして、日本人職員の採用、あるいは採用後の昇進、それをIMFに要請をしてございますし、様々なIMFの会議におきましても、これは大臣であれ私ども事務方であれ、IMFにおける職員の多様化の必要性、こういったものを働きかけるといったこともしてございます。
その上で、先ほど来議論させていただいておりますような日本人向けのリクルートミッションの派遣でございますとか、広報ビデオの作成でございますとか、IMFの幹部職員、例えば副専務理事とか人事局長も昨年の秋に来てございましたが、そういった訪日時に日本の学校で学生さん相手に講演をしてもらうですとか、あと、少しでも裾野を広げる観点、外国で学んでおられる、例えばアメリカに留学をしておる日本人の方、こういった方々とIMFの職員との間で対談をしていただく、そういうイベントをやるとか、ありとあらゆるいろいろな取組は進めているところでございます。
本日の議論の中でも、また様々な御意見あるいはアイデアも頂戴いたしてございますので、そういったことも私どもも真摯に受け止めながら、更なる日本人職員の増加に向けた取組、今後も続けたいと考えてございます。
○藤巻委員 是非よろしくお願いいたします。
世界経済が複雑化していく中で、今後のIMFの役割はどのようにあるべきだというふうに考えておりますでしょうか。過去の事例とともにお答えいただければと思います。
○三村政府参考人 改めてになりますけれども、IMF、世界的にもグローバル金融セーフティーネットの中心を担う機関ということで位置づけられているわけでございます。
過去の事例ということですが、まさに最近も、新型コロナウイルスの中では、緊急融資というような形を通じまして、大体九十か国ぐらいに、総額一千億ドルを超えますけれども、一千数百億ドル規模の資金支援というものをIMFはやっておるわけでございます。
それから、ロシアによるウクライナ侵略、これでエネルギーや食料不安に見舞われる国もある中で、そういった国々のための新たな支援の枠組みを設けたりですとか、また、ウクライナ自身にも、昨年の三月、ウクライナ向けの支援、IMFのプログラムも合意をするといったような形での迅速な支援、まさに主導してきてございます。
そういう意味で、私どもとして、IMFはまさしく世界経済あるいは国際金融市場の安定のために重要な役割を果たす機関であるという認識に変わりはないわけでございます。
今後の在り方ということでございますが、当然、加盟国、気候変動ですとか、デジタル化とか、こういったグローバルな構造的な課題に直面しておるわけでございますし、残念ながら、今後とも、様々な地政学的なリスクですとか、パンデミックですとか、自然災害ですとか、いろいろな危機があろうかと思います。
こういう中で、IMFを資金規模、それから、その果たす機能、ガバナンス、こういったそれぞれの観点から強化していくのが重要だというのが私どもの考え方でございまして、日本は第二位の出資国で現状ございますので、今後ともそうした観点からしっかりと議論に貢献し、IMFに更に重要な役割を果たしてもらいたいと考えてございます。
○藤巻委員 ほかの国際金融機関についても、ちょっとだけお尋ねいたします。
ほとんどの国際金融機関への我が国の出資割合は五%前後であります。一方、ほかの先進国も同じ傾向にはあるんですけれども、国際開発協会、IDAにだけは一六・七%と突出しております。これはなぜでしょうか。
日本が一六・七%も出資することがどのように国益につながるのでしょうか。ほかの国にも更なる出資を求めていくべきではないでしょうか。IDAの果たすべき役割とともにお答えいただければと思います。
○三村政府参考人 これは、まず事実関係から申し上げますと、本日御議論いただいております、例えばIMFにおきますクオータ、これはまさしく、先ほど来出ております計算式などによりまして、全体の交渉の中でそれぞれの国が出す比率が決まってくるわけでございますが、IDAの増資の場合といいますのは、それぞれの国が、全体としてこれぐらいのお金を集めたいというものをIDAから示された上で、各国がボランタリーにどの程度出せるかという中で比率が決まってくる、そういった違いはございます。
その上で、御指摘のとおり、IDAにこれまで日本は一六%以上の出資をしておるわけでございますけれども、まず、IDAの役割というお尋ねでございましたので、それを改めて申し上げますと、これは、まさしく所得水準が低い低所得国、ここに支援をするのがIDAでございまして、こういった低所得国に対しまして、経済成長とか貧困削減、こういったものを支援していく、こういうものでございます。
単に一援助機関ということにとどまりませず、IDAが掲げます大きな開発課題、これは世界全体の他のマルチのドナーですとかバイのドナーにとりましても、そういう意味で国際社会全体の開発政策、これに大きな影響を与える、そういう重要な機関がIDAということでございます。
そのようなIDAの極めて重要な役割を踏まえまして、私どもとしても累次の増資の交渉の中でIDAには積極的に貢献をしているということでございまして、こういった形でIDAに強い影響力を日本としても保ちますことが、まさしく他の、中国等々の議論も本日はございますが、どんどん途上国への影響力を高めるほかの国もあります中で、日本が重視をしております開発課題を効率的、効果的に推進していくという中で、このIDAを積極的に支援をしていくということは極めて重要だと考えてございまして、そういった中で今までIDAの支援をしているということでございます。
そういう意味では、私ども、まさしく国会でも御審議をいただいた上でこれまでやってきておりますIDAへの貢献、出資比率それ自体が高過ぎるとは私ども自身は思っていないわけでございますが、他方、日本だけが支援するという話ではもちろんございませんので、国際社会の様々な開発政策あるいは課題について、あるいは価値観を共有するほかの国とも連携をしながら、引き続きIDAをしっかりと支えていく、こういう考え方で今後も取り組んでまいる所存でございます。
○藤巻委員 現在、我が国が国際金融機関に拠出している金額、これは総額幾らになるのでしょうか。これは円ベースでお答えいただければというのと、また、IMFに限らず、各国際金融機関へ資金拠出することについて、金額であったり出資割合であったり、全体的な今後の方向性についてのお考えをお聞かせいただければと思います。
○鈴木国務大臣 IMFを始めとする国際金融機関に対する出資累計額は、合計約十三兆円となっております。
また、国際金融機関への出資に際しては、日本の国際金融開発上の優先課題との整合性、各国際金融機関の役割、国際社会における日本のプレゼンス等を総合的に勘案しつつ、財政状況や他国の動向を踏まえた上で、その出資に係る国際交渉に臨んでいるところであります。
今後とも、IMFや世銀を始めとする国際金融機関の主要出資国として、日本の貢献の在り方について検討をしてまいりたいと考えます。
○藤巻委員 ありがとうございます。
繰り返しになりますけれども、現在、我が国の財政は非常に厳しい状況にあります。国際社会での発言力を維持すること、これはもちろん重要なんですけれども、財政の立て直し、国内経済の活性化の方がより重要であるというふうに私は考えております。そこをしっかりと意識した上で、各国際金融機関への出資を考えていっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
まだちょっと時間がありますので、少しテーマを変えさせていただきまして、続いて、三月十五日に提出期限を迎えた確定申告についてお尋ねいたします。
今回から大きな変化として、インボイス制度があります。インボイス制度、これに大きな事務負担があるのは事実でございます。また、この度の政治資金の問題を見て、納税をしたくないという人も多かったと聞いております。
本年の所得税の申告状況ですが、例年に比べてどうでしょうか。皆様、例年どおりしっかりと申告されているのでしょうか。まだ集計は終わっていないのかもしれないんですけれども、分かっている範囲の状況をお答えください。
○鈴木国務大臣 藤巻先生から御指摘がありましたとおり、今回の確定申告、これはインボイス制度導入後初めての確定申告であり、また、政治資金と納税の関係について厳しい御指摘や御批判をいただいている中での実施でございました。
消費税につきましては、インボイス発行事業者への登録により新たに課税事業者となった方々を始め、事業者が円滑に申告を行うことができますように、国税当局において相談対応の職員の増員をするなど丁寧な対応に努めてきたところであります。
こうした中、今般、所得税、消費税共に申告期限を迎えましたが、国税当局からは、申告書の提出は着実に行われ、申告会場の運営等も特段の支障なく終えることができたと報告を受けております。この場をおかりをして、納税者の皆様の御協力に感謝申し上げたいと思います。
今後とも、国税当局において、納税者の方々からの御相談等に対し、真摯に対応してまいりたいと思っております。
○藤巻委員 分かりました。申告、大きな問題なく滞りなく行われているなら、それはそれでいいことだと思います。
関連して、ちょっと基礎控除のところについて、確定申告の基礎控除、所得税の基礎控除のところについてお伺いいたします。
現在の基礎控除、これは合計所得金額が二千四百万円以下なら四十八万円、二千四百万円超、二千四百五十万円以下なら三十二万円でございます。これは、昔は一律三十八万円だったのが、二〇二〇年度から現在の制度に変わりました。
これは、高所得層からより多く取ろうというような意図なんでしょうけれども、その是非はおいておいて、私が問題と考えるのは、逆転現象が起きているということです。
年収二千四百万円の人は四十八万円の基礎控除、二千四百一万円の人は三十二万円の基礎控除でございます。つまり、年収二千四百一万円の人は、二千四百万円の人よりも結果として手取りが少なくなります。このケース、高所得者層の一部の人にしか関係ない話ですし、金額もそこまで大きくないのではあるんですけれども、大事なのは税の理念かなというふうに思っております。
百三万円の壁にも同じことが言えますけれども、これ以上働くと逆に手取り金額が減る、あるいは、自分より額面収入の低い人が、税金の制度のせいで、結果、自分より手取り金額が高い、こういった状況は、労働意欲を損なわせ、不平等感を生みます。
今まで逆転現象はないような制度だったのに、あえて二〇二〇年にこの逆転現象を生み出すような制度変更に疑問を感じているところではございます。いわゆる逆転現象を発生させる制度、これは、税の理念である簡素、公平、中立の公平から逸脱しており、望ましいものではないと考えております。
税金の制度により、結果として手取り金額の逆転現象が起きることについて、大臣のお考えをお聞かせください。
○鈴木国務大臣 所得税の基礎控除につきましては、平成三十年度税制改正におきまして、所得二千四百万円を超える水準について所得制限を設けておりますが、これは高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいのではないかといった視点を踏まえ、所得再分配機能の回復を図る観点から行ったものと承知をしております。
手取りの逆転現象が生じており不公平であるとの御指摘がございますが、限られた場合において手取りが若干減少するケースがあること、これは事実であります。
しかし、控除額が段階的に減少、消失する仕組みにつきましては、負担の変動が急激なものとならないよう、負担の公平と簡素な制度、それぞれの必要性のバランスを踏まえて設計したものであり、その上で、本措置は所得の低い方と高い方の間での不公平の解消を図ることを趣旨としていること、また、逆転が生じる金額、これは最大八万円程度と承知しておりますが、この金額も、所得制限が適用されるような高い所得水準、二千四百万から二千五百万円と比べますと、必ずしも大きなものとは考えられないことを踏まえますと、特段の問題があると考えてはおらないところであります。
○藤巻委員 おっしゃることはよく分かるんですけれども、やはり逆転現象、これは私は公平性の観点から望ましいものではないとは思っていますので、意見として言わせていただければと思っております。
続いて、ちょっと時間の関係で、通告、順番は逆になってしまうんですけれども、収受印についてお尋ねいたします。
国税庁は、来年一月から確定申告への収受日付印の押捺を行わないと発表しました。その意図するところをお答えください。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
申告書等の控えへの収受日付印の押捺につきましては、書面で申告書等を提出した納税者の方々が提出した事実を後日確認できるよう、納税者から求めがあった場合に税務署において実施してきたものでございます。
他方、国税庁におきましては、経済社会のデジタル化を踏まえまして、税務行政におきましてもDXを進めておりまして、e―Taxの利便性向上に取り組んできております。
その結果、近年e―Taxの利用率は向上しておりまして、このことも踏まえまして、令和七年一月以降、書面申告の控えへの収受日付印の押捺を取りやめることとしたところでございます。
なお、申告等を行った事実につきましては、収受日付印によらずとも、電子申告の場合にはe―Tax上で確認可能であるほか、書面申告の場合も含めまして、申告書等情報取得サービス、あるいは税務署窓口において閲覧申請による申告書等の確認、さらには納税証明書といった様々な確認方法を整備し、納税者の方々の利便性を高めてきたところでございます。
国税庁といたしましては、令和七年一月以降、収受日付印の押捺を取りやめるとの方針につきましては、納税者や関係機関等に丁寧に周知広報を行いながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○藤巻委員 押捺をあえてやめること、やめる必要もないんじゃないかというのが私の考えなんですけれども、押捺は事務負担がそこまで大きいとは思えません。押すときに数秒で済むような話ではございます。もし、出した出さないのトラブルが起きてしまったときにどうするのかというのもあります。今まで、収受印の押捺というのは、納税者側が提出したという証明の一つだったわけです。
仮に、税務署側が書類を紛失してしまった場合、出した出さないの水かけ論になってしまうようなことも考えられるわけです。税務署側が書類を紛失したのか、あるいは納税者側が本当に提出していないのか、これは分からないというようなことも考えられます。無駄な判こはなくしていくべきという風潮には当然賛成いたしますけれども、必要な判こは押すべきだと考えております。
納税という特に重要なことであったら、その証明は一つでもあった方がいいと思いますし、非常に重要なものであると思います。なくても大丈夫じゃないかという意見は分かるんですけれども、あえて収受印、これを廃止するメリットはほとんどないのかなというふうにも感じております。
なくてもいいのかもしれませんけれども、ちゃんと申告したという証明が収受印でも欲しいという人には、数秒で済むようなことですので、押してあげてもいいんじゃないでしょうか。御見解、お聞かせください。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
現状では、納税者から求めがあった場合に、書面申告の控えに収受日付印を押捺し、返却、返送しておりますが、その際、本来収受するべき申告書の正本を誤返却してしまうなど、事務処理誤りが生ずるリスクも残っていると考えてございます。今般の見直しは、こうした誤返却等の防止にも資するものと考えてございます。
それから、繰り返しになりますけれども、申告等を行った事実につきましては、収受日付印によらずとも、e―Taxの受信通知や税務署窓口における申告書等の閲覧など様々な方法により確認可能ということで、代替措置も用意してございます。
こうした点も含めまして、引き続き納税者等に適切に周知広報を行ってまいりたいと考えてございます。
○藤巻委員 ちょっと時間も限られていますので、最後、e―Tax関連について。
e―Taxで申告する人と従来の紙での申告をする人、今、割合はどれぐらいになっているんでしょうか。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
昨年行われました令和四年分の所得税の確定申告について申し上げますと、e―Taxの申告人員は千四百九十五万人、書面での申告人員は八百万人となっており、申告人員全体に占めるe―Taxの割合は六五・一%となってございます。
なお、直近の令和五年分の所得税の確定申告におけるe―Taxの利用状況につきましては、現在件数を集計中でございまして、具体的な件数等をお示しすることは困難でございますが、様々な利便性向上策を講じてきた中で、昨年より更に利用割合が増加していると見込まれるところでございます。
○藤巻委員 e―Taxの申告で、何かトラブルは起きていないでしょうか。e―Taxでの申告トラブルを減らして、スムーズに行って、e―Tax申告をより広めていくためにどのような方策を考えておりますでしょうか。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年分の確定申告期におきましては、e―Taxを始めとする国税関係システムにつきましては、大きなトラブルが発生することなく推移したところでございます。
e―Taxの利用拡大につきましては、国税庁においてこれまでも、スマートフォンでも操作しやすい専用画面の提供や、e―Taxとマイナポータルを連携させ、申告に必要な各種証明書等の情報をマイナポータルから一括で取得し、申告書へ自動入力する仕組みを導入するなど、e―Taxの利便性向上に努めてきたところでございます。
また、令和七年一月には、所得税の全ての画面につきましてスマートフォン用の専用画面を整備するほか、利用者からの御意見も踏まえつつ、更なる操作性等の向上にも取り組むこととしております。
今後とも、システムの安定稼働に努めるとともに、納税者目線に立って利便性の向上を図り、e―Taxの利用拡大に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○津島委員長 藤巻君、時間が経過しております。
○藤巻委員 はい。時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
本日はありがとうございました。
○津島委員長 これにて藤巻君の質疑は終了いたしました。
次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
IMF法改正案について質問します。
第十六次クオータ一般見直しに伴う今回の増資では、出資割合は維持しつつ、IMFの出資総額を約四千七百十一億SDR、九十三兆円から、約七千百五十七億SDR、約百四十兆円と、五〇%増資することで合意されています。日本の出資額は約三百八SDR、約六兆円から、約四百六十二億SDR、約九兆円に引き上げられます。三兆円の増資です。
報道では、コロナ、ウクライナ戦争や、それに起因する食料危機、気候変動、干ばつや洪水の多発、中東での紛争など、危機の連鎖が背景にあると言われていますけれども、五〇%増資の根拠は語られていません。
なぜ、これだけ巨額な増資が必要なのでしょうか。日本が三兆円も増資することについて、その根拠と、そして理由について説明してください。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、今回の増資に伴いまして、日本のIMFへのクオータ総額、約六兆円から九兆円、三兆円追加の増額ということでございます。
この五〇%の増資、五〇%の根拠というところ、これは、もとより数多くの国々の交渉の結果としてまとまったものでございますので、なかなか、何か数式のようなもので定量的に、なぜ五〇%なのかということをお示しするところは若干難しいことは御理解をいただければと存じます。
先ほど来出ておりますように、今般、加盟国が、気候変動ですとかデジタル化とか、こういった様々なグローバルな構造的な課題に直面をしている、そして最近、ここ数年も、新型コロナですとか、あるいはロシアによるウクライナ侵略に伴いますエネルギー、食料価格の変動、それから途上国の債務問題、こういった様々な複合的な危機に直面をしている。こういう状況の中で、幅広く加盟国の間でIMFの融資能力を強化すること、それによりまして加盟国の潜在的な借入れニーズにちゃんと応えられるようにということでのIMFの増資の必要性、これが加盟国間で広く国際的に認識の共有がされたということ。
それから、加盟国がIMFから借り入れる場合のIMFの融資の金額でございますけれども、これは、基本的な考え方として、それぞれの国の出資額、クオータに対する比率に基づいて決まるというのが基本的な考え方でございます。したがって、それぞれの国が比例増資であっても、クオータの出資の額が増えれば、それだけIMFから借り入れることができる金額が増えることも期待できるということの中で、幅広い加盟国の支持を得ての五〇%増資の合意でございます。
○田村(貴)委員 定量的な根拠はなく、五〇%増資の具体的な説明はありませんでした。
IMFは、各国の状況を無視した画一的な総需要抑制的な政策の押しつけを融資プログラムで行っているという厳しい批判を受けてきました。
例えば、一九九七年のアジア通貨危機では、支援の条件としてIMFが課した緊縮財政や高金利政策の結果、タイなど融資を受けた国々はマイナス成長に陥り、国民生活にも深刻な影響を与えました。
二〇〇〇年代に入り、コンディショナリティーのガイドラインの改定や構造的パフォーマンス基準の禁止など、改善を図ったと言われていますけれども、IMFのプログラム融資の問題は余り変わっていないとの指摘が相次いでいます。
例えば、ボストン大学の国際開発政策センターのレポート二〇二一年、二〇〇二年から二〇一八年の七十九か国への融資についての分析によりますと、IMFの厳しい緊縮財政は、高所得者上位一〇%への所得配分率を高める一方で、中低所得者層下位八〇%への所得分配率を低下させ、所得格差を拡大する方向に動いている、このように指摘されています。
IMFの構造調整融資、融資の条件に緊縮財政や社会保障政策の削減を求める緊縮財政の押しつけ批判について、日本政府はどのような評価をしているのでしょうか。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員に御指摘をいただきましたように、IMFの資金、借入国が借入れで利用するに当たりましては、コンディショナリティーというものが課されてございます。加盟国がそもそもの国際収支上の困難に陥ったその要因を解決をする、そして強固かつ持続的な経済成長につなげ、ひいてはIMFへの返済をしっかりとできるように、こういう観点から、借入国に対しまして適切な政策の採用、実施を求める、このようなものを融資の条件にするというコンディショナリティーでございまして、御指摘いただきましたように、特にアジア通貨危機のときに、このIMF側が課しましたコンディショナリティーによって相手の国の経済悪化を招いたのではないか、こういうような批判があったことは、これは御指摘のとおりでございます。
そうした中で、これも御紹介いただきましたけれども、その後、IMFではコンディショナリティーのガイドラインというものを二〇〇二年にまとめてございまして、真に重要なものにコンディショナリティーは限定をするでございますとか、支援対象国の自主性を尊重するんだというようなことも盛り込んでございます。
それから、経済的、社会的な配慮という観点でございますけれども、このコンディショナリティーのガイドラインでは、支援対象国を取り巻く社会的、経済的な事情をちゃんと考慮しろ、こういうことも盛り込まれてございます。
ガイドラインの策定以降も、コンディショナリティーの改善、この取組というのはIMFにおいて随時行われてきてございまして、御指摘いただきましたように、例えば構造改革についてのコンディショナリティーを達成できないと、即、機械的に融資をやめるということではなくて、もう少しそこは必要に応じて柔軟な対応を認めるですとか、それから、セーフティーネットの整備ですとか脆弱層に的を絞った支援、こういった社会的な支出はIMFとしても重視をしていく、それによって雇用機会の喪失や格差の拡大を防いでいく、こういった考え方も随時その後IMFにおいて確認をされてございまして、日本政府としても、こうした適切なコンディショナリティーの設定、それによって真に借入国にとって役立つIMFプログラムにするということが重要という認識でございます。
○田村(貴)委員 うのみにできない、国際社会において、融資を受けて様々な問題が起こっています。
IMFからの融資の結果、電気料金の値上げなど、重大な影響が国民生活に及んでいます。例えば、二〇二三年九月十七日、日経の報道ですけれども、パキスタンの電気料金は、平均的な家計の収入の一五%から二〇%を占めています。しかし、料金が一〇〇%から二〇〇%跳ね上がった。債務不履行を避けるためにIMFと結んだ三十億ドルの支援に関する取決めでは、電力に課金し、補助金を廃止することを義務づけたからであります。
また、十一月二十八日の同じく日経の報道です。財政破綻したスリランカで市民の生活が苦しさを増しています。IMFの支援を取り付けるために実施した電気代の値上げが暮らしを直撃しています。電力供給を止められた世帯では、何と盗電でしのいでいるという報道です。
日本政府は、このような条件付で融資を行い、債務国の国民の生活が破綻している状況を把握していますか。IMFに対して、債務国の国民生活を破綻させるかのような緊縮財政を強いる、そういう条件付融資はやめるべきだ、中止若しくは見直しを求めていくべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 田村先生御指摘のように、パキスタンやスリランカの経済状況、これが厳しいということは承知をいたしております。
そして、その要因については一概に申し上げることは困難でありますが、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵略に伴う食料、エネルギー価格の変動、自然災害等が大きな要因になったとも言われておりまして、必ずしもIMFの融資条件によるものとは考えていないところであります。
事実、パキスタンやスリランカのIMFプログラムを見てみますと、融資条件の設定に当たって、セーフティーネットの整備や脆弱層に的を絞った支援といった、支援対象国の社会的な側面も重視する最近の方針を反映して、高齢者や障害者への給付、就学促進等のため、社会的支出の下限を設定をしているところであります。
日本といたしましても、IMFプログラムが脆弱層への影響に十分配慮しつつ加盟国の経済の立て直しに貢献することが重要だと考えているところであります。
○田村(貴)委員 しかし、耐え難い電気料金の高騰を招いているのは事実であります。支援の方法を見直すべきです。
次に、新たな経済に向けた給付金、定額減税一体措置について質問します。
二月二十日の質疑で、同一生計配偶者に係る定額減税では、二〇二四年分と二〇二五年分の二年間で適用する場合があることや、低所得者向けの給付金と定額減税を重複して受ける世帯があることを私は指摘し、政府もそれを認めました。
資料をお配りしています。例えば、一人親世帯で小学生の子供二人のケースと、そして夫婦で小学生子供二人のケースで、二〇二二年と二〇二四年の収入に応じた給付額、定額減税がどうなるのかということを表にしてみたんです。
この場合、定額減税の対象となる収入は幾ら以上となりますか。幾ら以上か、そのことだけ教えてください。
○青木政府参考人 お答えします。
一人親で小学生のお子さん二人の三人家族の場合につきまして、社会保険料などについて一定の仮定を置いて試算いたしますと、親の令和六年分の給与収入金額が約百六十万円以上である場合には定額減税の対象になるものと考えております。
○田村(貴)委員 厚生労働省の令和三年度全国ひとり親世帯等調査によりますと、母子世帯の一九・七%、約二割が就労収入百万円未満であります。つまり、母子世帯の約二割は、低所得者向けの給付金しか受けられません。この上段の左側、二十万円という部分です。しかし、一円でも所得税若しくは個人住民税が発生すれば、給付金と定額減税を重複して受けることになります。
例えば、一人親、子供二人ケースでは、二〇二三年分就労年収が百五十五万円の場合、給付は二十万円です。二〇二四年分の就労年収が百六十五万円になれば、減税プラス調整金は三十二万円となります。少し収入が少ない母子世帯の方が十二万円支援が少ない、こういうことになります。財務省、これは事実ですね。
○青木政府参考人 お答えします。
定額減税と給付金の実施につきましては、それぞれ実施時期それから制度の趣旨などが異なるため、納税者の状況によりまして双方の制度の対象となるようなケースもあるものと考えております。
○田村(貴)委員 裏面の資料二では、夫婦片働きと二人の小学生の家族の例も記しておりますけれども、同じことが言えます。最も支援が必要と考えられる母子世帯の低収入世帯には給付金しか支援がなく、そして、一円でも納税する収入になれば重複が可能となってくる。やはり、今回の一体措置の仕組み自体に問題があると言わざるを得ません。
今年二月に公表された内閣府の二〇二三年度日本経済レポートでは、預金残高別に見た超過貯蓄の分析をしています。この分析をどのようにされましたか、内閣府。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
超過貯蓄は、コロナ禍で消費機会が制限された結果積み上がった貯蓄のことを指しておりまして、アメリカではこれが取り崩されて消費に回っておりますが、日本では取崩しが限定的でありますことから、内閣府の二〇二三年度日本経済レポートにおいて分析を行ったものでございます。
お尋ねの預金の残高別の超過貯蓄の分析でございますけれども、あくまでも一口座当たりの情報ですので、個人ごとの名寄せをしているわけではないという点に留意が必要であるものの、預金残高が大きい層では超過貯蓄の増加が続く一方、預金残高が少ない層では超過貯蓄が減少に転じているという結果になっております。
家計の預金残高別の分析からは必ずしも確定的な含意が得られるわけではございませんが、総じて言えば、預金残高という意味で大きな資産を持っている層では超過貯蓄の取崩しが起きておらず、逆に、少ない層では超過貯蓄の取崩しが起きているという傾向が見られるところでございます。
○田村(貴)委員 大臣、低所得、低資産の消費者は、超過貯蓄を取り崩して消費に回らざるを得ないという状況があります。岸田政権が進めているこの税、給付の対策では、やはり低所得者世帯への支援が少なく、格差と貧困が拡大するだけじゃないですか。いかがですか。
○津島委員長 鈴木財務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、よろしくお願いします。
○鈴木国務大臣 一番、今、物価高に影響を受けております低所得者層の皆様方に対しては、さきに先行して行いました給付と併せまして十万円の給付を行う、そして、納税者で税金から引くことができる方には定額減税を実施するということをやるわけでありまして、その大きな目的は、賃上げが実感できる、物価高よりも賃上げがそれを上回るということを実感していただく、それによって長年しみついたデフレマインドを払拭するというのが今回の取組の政策の大きな目的であると思っております。
その目的は重要なことでありまして、今考えております仕組みの中で進めてまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 支援を抜本的に強めることと、消費税減税、インボイスの廃止を強く求めて、質問を終わります。
○津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。
これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○津島委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。田村貴昭君。
○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
国際通貨基金、いわゆるIMFには、対外支払いが困難になった国に対し融資を行い、一時的に信用を供与するなど、国際社会において重要な役割があるものの、米国にのみ事実上の拒否権を与えるなど、意思決定システムに問題があります。また、緊縮財政を支援の際の融資条件にするなど、厳しいコンディショナリティーのため、借入国の国民生活を圧迫しているといった重大な問題を抱えています。
今回の第十六次一般見直しで増資を決める過程において、ほかの世銀グループと同様に中国など新興国の出資比率を引き上げる改正も議題となりましたが、米国の反対により見送られたと言われています。適切な出資比率への見直しは当然であり、米国に有利な仕組みを維持し続けた今回の増資案には反対です。そもそも、五〇%という巨額の増資をするにもかかわらず、国民に具体的な根拠を説明することもなく、三兆円も増資することには賛成できません。
IMFの融資条件の問題は、近年においても、借入国の国民生活を破綻に追い込むような事例が相次いで起きており、何も変わっていません。国民生活を犠牲にしてまで国の債務破綻を回避させるための金融支援とは、結局のところ、融資を行ってきた債権国や民間金融機関の救済にほかなりません。現在のコンディショナリティー融資の仕組みを維持しながら増資をすることは認められません。
以上で討論とします。
○津島委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○津島委員長 これより採決に入ります。
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○津島委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、塚田一郎君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。
○櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 世界経済の複合的な危機に伴い、加盟国が直面する課題への対応に国際通貨基金が一層貢献できるよう、今後も同基金の機能やガバナンス等の強化に向け、我が国としても同基金に協力するとともに、主要出資国にふさわしいリーダーシップを発揮するなど、我が国の国際的プレゼンスの向上に努めること。
二 今後のクォータの見直しに当たっては、その増資規模について十分検討するとともに、加盟国の出資割合の調整に関し、経済力を基礎としながらも新たな指針の必要性について各加盟国に働きかけ、我が国の国益に資する見直しとなるよう努めること。
三 開発途上国の抱える債務問題が深刻化する中、国際通貨基金や世界銀行グループを通じて債務国における借入先や借入額等の債務データを的確に把握することが重要であることから、債権国による当該債務データの共有を促進していくとともに、債務国が適切な債務管理を行い、返済能力に応じた借入れが実施されて債務の持続可能性が確保できるよう、各加盟国に対し積極的に働きかけていくこと。
四 我が国の国際貢献の機会を拡大する観点から、国際機関において日本人職員の登用機会を更に広げる活動を推進し、有能な人材が円滑に採用されるよう支援に努めるとともに、出資に見合う枢要なポストの獲得に尽力すること。
以上であります。
何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○津島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。
○鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○津島委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○津島委員長 次回は、来る五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十三分散会