第19号 令和6年5月8日(水曜日)
令和六年五月八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 津島 淳君
理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君
理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 伊東 信久君 理事 稲津 久君
石原 正敬君 英利アルフィヤ君
小田原 潔君 越智 隆雄君
大塚 拓君 大野敬太郎君
木原 誠二君 岸 信千世君
鈴木 隼人君 瀬戸 隆一君
中山 展宏君 藤丸 敏君
藤原 崇君 古川 禎久君
宮下 一郎君 宗清 皇一君
山田 美樹君 若林 健太君
江田 憲司君 階 猛君
末松 義規君 野田 佳彦君
馬場 雄基君 原口 一博君
沢田 良君 藤巻 健太君
掘井 健智君 中川 宏昌君
田村 貴昭君 吉田 豊史君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 鈴木 俊一君
内閣府副大臣 井林 辰憲君
財務副大臣 赤澤 亮正君
内閣府大臣政務官 神田 潤一君
財務大臣政務官 瀬戸 隆一君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 上村 昇君
政府参考人
(金融庁総合政策局長) 油布 志行君
政府参考人
(金融庁企画市場局長) 井藤 英樹君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 池田 達雄君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小谷 敦君
政府参考人
(財務省大臣官房総括審議官) 坂本 基君
政府参考人
(財務省主計局次長) 寺岡 光博君
政府参考人
(財務省理財局長) 奥 達雄君
政府参考人
(財務省国際局長) 三村 淳君
政府参考人
(国税庁次長) 星屋 和彦君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 菊池 雅彦君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 岸川 仁和君
参考人
(日本銀行総裁) 植田 和男君
参考人
(日本銀行理事) 高口 博英君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
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委員の異動
五月八日
辞任
若林 健太君
同日
補欠選任
小山 展弘君
―――――――――――――
五月七日
事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出第五七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出第五七号)
財政及び金融に関する件
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○津島委員長 これより会議を開きます。
財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、理事高口博英君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、大臣官房審議官上村昇君、金融庁総合政策局長油布志行君、企画市場局長井藤英樹君、総務省自治税務局長池田達雄君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、財務省大臣官房総括審議官坂本基君、主計局次長寺岡光博君、理財局長奥達雄君、国際局長三村淳君、国税庁次長星屋和彦君、国土交通省大臣官房技術審議官菊池雅彦君、道路局次長岸川仁和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○津島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。塚田一郎君。
○塚田委員 おはようございます。自由民主党の塚田一郎です。
歴史的な円安が続く中で、連休中にドル・円相場は乱高下を繰り返しました。資料一を御覧をいただきたいと思います。四月二十九日の午前十時頃、円相場は一時一ドル百六十円台に急落した後、午後一時過ぎから百五十四円台半ばまで反発をしました。五月二日の早朝も、百五十七円台から百五十三円台付近まで円が急伸をしました。市場では、そのとき、FOMCの金融政策決定会合後に米国債利回りが急低下、ドル安圧力が強まったと言われております。この二回のタイミングで市場介入があったのではないかというふうな報道があるわけですが。
また、五月三日午後九時半頃、市場が注目する四月の米雇用統計が発表され、農業分野以外の就業者が予想を下回ったということを受けて、FRBが利上げを見送り、年内に利下げを実施するのではないかという見込みがマーケットに広がりました。その結果、円相場は一ドル百五十三円台前半から一気に百五十一円台後半まで円高になるという、まさに乱高下を繰り返したわけであります。現在は百五十四円ぐらいに推移しています。
どうしても、黙っていると、円は売られ、ドルが買われる傾向がまだ続いているのかなというふうに思いますが、こうした中で、今回の、為替介入があったのではないかと言われているこの為替の動きを、現在の水準等について、財務大臣はどのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 為替相場の動きについて先生から今御説明があったところでございますが、為替相場の動向でありますとか水準につきましては、具体的に述べることは市場に不測の影響を及ぼしかねないことから、コメントは控えさせていただきたいと思いますが、為替相場は、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であって、過度な変動は望ましくないものと考えております。
政府といたしましては、引き続き、為替市場の動向をしっかりと注視をして、万全の対応を取っていきたいと考えております。
○塚田委員 為替相場の変動要因、いろいろあると思います。経済のファンダメンタルズが基本ですけれども、当然、二国間の金利差であったり、そのときの市場の投機、こういったものも含まれてくると思うので、いろいろな要素があると思うんですが、要は、この間ずっと円安が続いているわけですけれども、非常にピッチが急だということは、やはりいろいろな影響が出てくるということだと思います。
岸田総理は、様々な分野で幅広く賃上げを広げていかなければならないということを現在政策目標にされているわけですね。一方で、神田財務官は、日本全体が実質賃金を上げていこうとしているときにこういった円安が急激に進むことは足かせになるという発言をされています。
当然、賃上げの動きはよいことで、今年も春闘で大幅な賃上げがあったわけですし、そういう状況は続いているわけですが、一方で、実質賃金は二十三か月連続でまだマイナスの水準が続いているという実態があります。つまり、上がっている物価に賃金が追いつかない、そして、その物価上昇の一因に為替、円安があるのではないかというふうな見方もあります。
それで、資料の二を御覧ください。
早ければ今年七月から九月ぐらいに実質賃金のマイナスがプラスに転じるのではないかという予想もあるわけですけれども、まだこの円安基調が続くと、エネルギー価格の高騰あるいは値上げが更に九月ぐらいに実施されたりすると、物価が一段と押し上げられ、結果として実質賃金がプラスに転じる時期が遠のいてしまうのではないか、こういった心配の声もあるわけです。
そこでお伺いをしたいのは、物価高を上回る所得増へということを岸田内閣として目指している上で、先ほどからお話がある、過度な円安を抑制する必要があると思います。具体的なことはなかなかお話ししにくいかもしれませんが、相場の水準を見ているのか、変動幅、スピードを見ているのか、どういった要素を注目をされているのか、少し御説明をいただけないでしょうか。
○鈴木国務大臣 為替相場につきましては、水準によって是非を判断しているものではありません。ファンダメンタルズを反映して安定的に推移しているかどうか、それがどうかということが重要でありまして、過度な変動は望ましくないと考えております。
行き過ぎた動きということについて問われたわけでありますが、何が行き過ぎた動きに当たるかを含めまして、為替相場の動向などについて具体的なお答えをすることは控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、政府といたしましては、引き続き、為替市場の動向、これをしっかりと注視をして、万全の対応を行ってまいりたいと考えております。
○塚田委員 行き過ぎた動きというのは、やはり急激な円安傾向ということなんだろうと私は理解をしています。それをしっかり注視をしていただいて、必要な為替政策を取っていただくということに尽きるのではないかなと思いますが、その辺り、細かい答弁はこれ以上はお尋ねはしません。
次に、日銀の植田総裁にお話を聞きたいのですが、円安について日銀の植田総裁は、四月十九日、ワシントンでの講演で、基調的に物価が上昇し続ければ金利を引き上げる可能性が高いという御発言をされております。一方で、同じ四月の二十六日の、政策金利の維持や国債購入の継続を決めた金融政策決定会合後の記者会見では、足下の円安進行について基調的な物価上昇率に大きな影響は与えていないという認識を示されています。
もちろん、今後、円安が物価に無視できない影響が与えられた場合は金融政策の判断材料になるということもおっしゃっているわけですが、報道ベースでいくと、この十九日の発言と二十六日の発言が違うトーンに伝えられているような雰囲気が出ていて、こういった発言を受けて、市場としては緩和的な金融環境が継続するという見通しから、会見中に一時一ドル百五十六円台に下落をしたというふうに言われています。
ここでお尋ねなんですが、基調的な物価上昇率とは何を意味されているのか、円安が物価に無視できない影響を与える状況とは、じゃ、どのようなことを考えられているのか、もう一度ちょっと日銀総裁から改めて御説明をいただきたいと思います。
○植田参考人 お答えいたします。
私ども、物価情勢の評価に当たって、委員御指摘のように、基調的な物価上昇率を重視しております。では、何が基調的な物価上昇率かということでございますけれども、一言で言えば、インフレ率の変動のうち、短期的な変動の部分を取り除いた残りの部分ということになるかと思います。
ただ、これは具体的に何%になるかと言われますと、なかなかきちんと捉えるのは難しい概念でございまして、様々なやり方で推計を行っておりますが、どれか一つが完全にほかよりもいいというわけでもございませんし、そうした加工された物価指標のほか、物価変動の背後にある様々な決定要因、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金の動きなど、様々な情報を丁寧に見て判断していくものと考えております。
その上で、為替レートとの関係でございますけれども、私ども、金融政策は為替市場を直接コントロールの対象とは見ておりません。ただ、為替は経済、物価に重要な影響を及ぼす要因の一つであると考えております。円安は、輸入物価の上昇を通じて直接国内物価に影響するというルートもありますし、そのほか様々な経済主体の活動に影響を与えて、例えば総需要から物価に影響するというルートもございます。こうしたことが総合されて、場合によっては基調的な物価上昇率が動くということになってくるかと思います。そうしたことになりましたならば、金融政策上の対応が必要になるというふうに考えております。
この点、ここのところ、企業の賃金、価格設定行動がやや積極化するという動きが見えておりますので、過去の局面と比べまして為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているという面あるいはリスクがあるということは意識しておく必要があるかと思います。
繰り返しになりますが、為替レートは経済、物価に大きな影響を与えるものでありますし、動向次第で金融政策運営上の対応が必要になると考えております。日本銀行としては、政策運営に当たって、最近の円安の動きを十分注視しているところでございます。
○塚田委員 まあ基本的な考え方は変わらないんだと思うんですが、少しそういったところのトーンを捉えている報道もありますので、その辺りは正確に是非御発言をいただき、理解を得ていただきたいというふうに思います。
結局、我々国民からすると、もう百五十四円を超える円安進行というのは非常に懸念する状況で、原材料価格が上昇し、また製品価格が上昇すれば、非常に生活が厳しくなってくる。そうすると、実質賃金の低下を招くというリスクも出てくるということだと思うんです。ですから、若干の円安によるインフレ率への影響は一時的にとどまるという感じに国民的には捉えていないのかなと私は思います。
だから、そこの部分を政策的にどう判断するかというのは、これは日銀の金融政策ですし、もちろん金融政策は為替レートを直接コントロールする対象のものではないということは十分理解していますが、その辺りのところの少し温度差があるのかなということを感じて、今日は御質問をいたしました。
物価上昇はいずれ賃上げにもつながっていくんだと思いますけれども、日本の雇用制度上、賃上げというのはリアルタイムで行われるわけじゃないので、タイムラグが出てくるんですね。その間の為替動向が物価に与える影響をどう捉えるかということにも私は注視する必要があるということを申し上げているわけです。
急激な為替変動が物価に影響を及ぼす、あるいは実質賃金にも影響が出るということを考えた場合に、物価上昇が二%を超える状況まで円安は問題ないというふうにもし捉えられているのであれば、ちょっとその辺はどうなのかなということで、その辺りを日銀総裁に改めてお伺いします。どの程度の物価上昇、例えば二%を超えるような状況じゃなければ円安は問題ないということなのか、その辺りどうか、お尋ねしたいと思います。
○植田参考人 繰り返しになりますが、私どもは、為替レート、為替相場は経済、物価に重大な影響を与え得るものですので、その動向次第では金融政策運営上の対応が必要になると考えております。こうした観点から、政策運営に当たって、最近の円安の動きはもちろん十分注視してございます。
その上で、委員御質問の、基調的な物価上昇率が二%に到達するまで何もしないのかという点でございますけれども、私ども、現状では、基調的な物価上昇率がだんだん上昇して二に近づいていくというふうに見ております。この見通しどおりに少しずつ基調的な物価上昇率が上がっていけば、それに応じて金融緩和の度合いを調整していくのが適切であると考えておりますし、それを上回ってもっと上がるというリスクが十分高まれば、それに対しても対応することが適切であるというふうに考えてございます。
○塚田委員 時間ですので今日はこれで終わりますが、これからもしっかりと、金融政策、また、政府においては為替政策も含めて対応していっていただきたいということを御要望申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○津島委員長 これにて塚田君の質疑は終了いたしました。
次に、中川宏昌君。
○中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。
円安が約三十四年ぶりの水準まで急速に進みました。円安を始め様々な要因により、輸入物価上昇や家計への負担増加など、国民生活に影響を与えております。
財務省と金融庁は、三月末に、為替政策における政府と日銀の連携について、財務省、金融庁、日銀が臨時の三者会合を開きまして、為替相場の過度な変動は望ましくないという認識を共有してきております。四月終わりには覆面介入との報道がありましたが、財務省の神田財務官は、介入の有無を申し上げることはないとし、過度な相場変動が投機によって発生してしまうと国民生活に悪影響を与えると取材にお答えをしております。
一部では、海外との金利差が要因として、日銀の金融政策の変更を求める声が上がっておりますが、今、日本は金利のある世界に政策転換したばかりでありますので、複雑な世界経済状況を踏まえまして、金融政策におきましてはもろもろの状況を的確に判断をし、適切に実行していかなければならないと思っております。
そのためには、財務省、金融庁、日銀の連携を更に強化をしまして、より迅速に対応できる状態にしておくことが極めて重要だと思いますが、財務省といたしまして、日銀などとの情報共有、また、政策協調の体制について今後どのように強化されていくおつもりなのか、お答えをしていただきたいと思います。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
円安が進みますと、輸出や海外展開している企業の収益が改善する一方で、輸入価格の上昇を通じて企業や消費者には負担増になるといったプラス面、マイナス面双方の影響があるものと考えてございます。政府としては、円安のこうしたマイナス面の影響を緩和すべく、低所得者世帯への給付金の支給などを通じ、きめ細かく柔軟に政策対応を行ってきたところでございます。
また、物価上昇に負けない賃上げを実現するためにも、強化された賃上げ促進税制の活用促進や価格転嫁対策の強化を図るとともに、持続的な賃上げの原資となる生産性の向上を目指し、中小企業の省力化投資への支援等を進めているところでございます。
御指摘の日本銀行などとの連携につきましては、岸田総理と日銀総裁、つい昨日の夕方も面会をしましたように、定期的に意見交換をされておりますし、財務省、金融庁、日本銀行の間で、国際金融資本市場に係る事務レベルの情報交換会合、御指摘のいわゆる三者会合でございます、こちらを定期的に開催し意見交換をするなど、様々な場で密接に連携しているところであり、引き続き、物価安定の下での持続的な経済成長に向け、日本銀行等と緊密に連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
その上で、持続的な経済成長を実現するためには、金融政策と財政政策の連携、これが不可欠であります。
日銀は正常の金融政策に軸足を移しまして、日本銀行が金利のある世界へ踏み出したと報じられる中、日銀は、二%目標は変えず、緩和的環境も必要という両にらみをするために、政策に幅を持たせて、いかなる事態にも対応する構えをしていると思っております。金利のある世界で経済がどう動いていくのか、しっかりと見極めていくことが肝要であります。
今後、政府は、どのように日銀と連携して経済成長に向けた政策を推進していくのか、また、政府の経済成長戦略と日銀の金融政策との整合性につきましてどのように確保をしていくのか、特に、今政府として力を入れている、先ほどもございましたが、賃上げやイノベーション促進に向けた取組についてどう連携していくのか、この点につきましてお伺いをさせていただきます。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一三年以降、政府と日本銀行は共同声明に沿って必要な施策を遂行してきており、こうした取組によりまして、足下では、デフレから脱却し、新たなステージに移行する千載一遇のチャンスを迎えています。このチャンスを確実につかみ取るため、政府と日銀は、引き続き、密接に連携しつつ、それぞれの役割をしっかりと果たすべく、一体となって取り組んでいくことは重要であります。
政府としては、民需主導の持続的な成長を実現するため、まずは、予算、税制、あらゆる施策を総動員して賃上げの取組を支援するとともに、併せて定額減税を実施すること等により、家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実につくり出し、消費をしっかりと下支えしてまいります。
あわせて、三位一体の労働市場改革や国内投資の拡大、スタートアップの育成等によるイノベーションの創出などを推進し、生産性向上、そして潜在成長率の引上げを図り、持続的、構造的な賃上げの実現につなげてまいります。
日本銀行には、引き続き、政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を行うことを期待いたします。
こうした取組を着実に進め、持続的、構造的な賃上げの下で消費や投資が増加し、更なる好循環が生まれるという、所得増と成長の好循環を実現してまいりたいと考えてございます。
○中川(宏)委員 政府と日銀の連携によるこの政策推進は、長期的な視点に立って持続的に行う必要があると思っております。そうした視点の中で一貫した政策運営を堅持することが私は重要であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、能登半島地震から丸四か月が経過をいたしました。復旧復興に向けた支援のため、政府は、四月二十三日に、今年度の予備費から一千三百八十九億円を支出することを閣議決定しておりますが、支援において課題となりました避難所におけるトイレについて伺いたいと思います。
阪神・淡路大震災また東日本大震災でも、水が流れないトイレなどにおいてあっという間に大変な状況になりまして、多くの場所で使用ができなくなったと報告をされております。
今回、私も、発災後の一月二日から毎週被災地に伺う中で、現地に行くたびに、多くの方から、高齢者や障害者が安心して利用できるトイレ、女性や子供にとって使いやすいトイレへの配慮の御要望を多数いただいております。その中で、トイレトレーラーの支援が届いた地域では、被災者の皆様から、ありがたい、助かる、こういうお声をお聞きしたところであります。
このトイレトレーラーですけれども、現在でも、消防庁の緊急防災・減災事業債を活用し、トイレトレーラーを整備している地方自治体がございます。内容は、地方債充当率一〇〇%で、うち七割は地方交付税交付金に算入し、残りの三割は地公体の負担となっております。
今後、首都直下地震や東海、東南海地震などが心配をされておりますけれども、災害時に大きな力を発揮するこのトイレトレーラーを全国の自治体にできるだけ配備しておくべきだと、被災地に行った率直な感想であります。地方公共団体がトイレトレーラーの整備を推進できるよう、消防庁の緊急防災・減災事業債の活用を更に広げていただきたいと思います。この点につきましてお伺いをさせていただきます。
○小谷政府参考人 お答え申し上げます。
災害時、避難所の生活環境を確保するとともに、災害応急対策に従事する方々が継続的に活動する上で、トイレの確保は極めて重要であると認識しております。
能登半島地震においては、全国各地の自治体がトイレトレーラー等を派遣し、被災地において有効に活用されたと承知しております。
トイレトレーラー等については、避難所の生活環境の改善のための整備に加え、令和六年度からは、災害応急対策の継続性の確保を図るための整備についても、委員御指摘のとおり、手厚い措置を講じている緊急防災・減災事業債の対象としております。
今後も、自治体に対し、こうした財政措置や活用事例について研修、説明会等を通じて周知することにより、トイレトレーラー等の整備が推進されるよう支援してまいります。
○中川(宏)委員 今回の状況をよくよく真摯に受け止めていただきまして、これまで以上に地方公共団体の負担軽減に向けた補助金制度の創設、また地方交付税交付金の増額、こういったことを是非検討していただきまして、効果的な対策、これを是非実施していただきたいと思いますので、是非また深く検討をしていただきたいと思っております。
このトイレトレーラーですけれども、仮に全国の地方公共団体にトイレトレーラーが数台ずつあれば、いざとなったときに被災地に集合することで、被災地への強力な、そして迅速な支援になると思っております。ある程度の場所の確保、また日頃のメンテナンスなども考えまして、例えば、道の駅などにおいて日頃から使用していただくことで、災害への備えの重要性を利用者に伝えることができると思います。また、道の駅には大方担当者等がおりますので、夜間ですとか、また、この度の地震のような元日に発生しても素早く対応できるというふうに思っております。
トイレトレーラーの地方公共団体への整備、そして道の駅の利用について、政府の見解をお伺いします。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のトイレトレーラーを道の駅において活用することは、平常時の道の駅の利便性を向上させるとともに、災害時における防災機能強化の観点からも有効なものであると認識をしております。
今般の能登半島地震におきましては、国土交通省といたしましても、福岡県うきは市の道の駅うきはで平常時より活用している防災用コンテナ型トイレを被災地へ派遣しており、被災者の生活支援等に有効であるとの知見を得たところでございます。
こういった活用事例や知見を踏まえまして、国土交通省では、平常時及び災害時に可動式のコンテナ等を道の駅において活用する際の留意点や活用アイデアを取りまとめたガイドラインを今般作成いたしまして、公表したところでございます。
トイレトレーラーを含むコンテナの設置が進むよう、地方公共団体に対しガイドラインの周知を図りつつ、連携を図りながら道の駅の機能強化を図ってまいります。
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
日本の災害時におけるトイレの環境、これは、私は、現地に行きまして大変思うことは、数十年前と状況は全く変わっていないというふうに認識をしております。その中で、今、トイレトレーラーの配備ということにつきまして私も質問させていただいておりますけれども、更にこれは議論を深めていただきまして、環境の改善、是非進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、最後の質問になりますけれども、今回の能登半島地震におきましては、能登半島のほとんどの道は狭く、なおかつ道路の本数が少ないということが大きな特徴でありました。国交省は一月の二日から道路の復旧に取りかかりましたが、ある程度の見通しができるまでにかなりの時間を要しました。これは、復旧作業が災害地の外側からしかできなかったためであります。理由は、被災地側に道路復旧をする重機が乏しく、また、復旧作業の拠点がないということであります。
全国では活断層が多数存在しておりますので、今回のことを教訓といたしまして、今後は、全国で、その地域の特性を考えた広域での災害対応計画を作成し、ある程度の規模で災害対応拠点をつくるべきだと考えます。
現在、国の防災基本計画に沿いまして、地方公共団体は、地域防災計画、さらに、住民などによる地区防災計画の策定に取り組んでおります。
今回の能登半島地震での様々な事象を検証しまして、そのことを踏まえまして、政府が主導し、その地域の特性を踏まえた強力で実効性の高い防災計画、また災害対応計画作りを推進していただきたいと思いますが、政府の御見解をお伺いします。
○上村政府参考人 お答えいたします。
能登半島地震では、地理的制約のある半島地域におきまして、土砂崩壊などによる道路の寸断や家屋の大規模な倒壊が発生している中で、人命救助やインフラの復旧などの災害対策に全力で取り組んでまいりました。
御指摘の復旧作業の拠点の確保につきましては、キャンピングカーなどの活用や民間宿泊施設の利用に併せ、能登空港に整備しました宿泊拠点を道路復旧等に携わる支援者の活動拠点として活用するなど災害対応に当たってきたところでありますが、御指摘のとおり、今後の災害に向けて、これまでの災害から得た経験、教訓を防災計画等に反映させていく必要があると考えております。
このため、今後、能登半島地震の災害対応を振り返る中で得られた教訓などを各種の防災計画の基本となります防災基本計画にしっかりと反映させていくことで、各地域の特性を踏まえた計画であります地域防災計画などについて必要な見直しを促してまいりたいと考えております。
○中川(宏)委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○津島委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。
次に、末松義規君。
○末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。
今日は、今、円安対策を含めて、通貨の関係についてお話をさせていただきたいと思います。
まず初めは、新しいデザインの通貨が発行されるということでございますけれども、その新しい通貨の発行の目的及び意義というか、何が変わるのか、これについて、大臣よりまずは御意見をいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 新しい日本銀行券を発行する目的等についてのお尋ねがございました。
日本銀行券につきましては、偽造防止の観点から、定期的に改刷を行って、偽造紙幣による被害でありますとか社会的混乱を未然に防ぐことが重要であると考えています。このため、前回の改刷から約二十年が経過したことを踏まえまして、今般、改刷を行い、偽造抵抗力に優れた新たな日本銀行券を社会に提供することには大きな意義があるもの、そのように考えているところです。
また、新しい日本銀行券につきましては、偽造抵抗力の強化のほか、目の御不自由な方や外国人にも配慮したユニバーサルデザインの考え方も取り入れているところでありまして、誰もが使いやすい銀行券を目指すという点におきましても意義があるものと考えているところです。
○末松委員 政府委員の方でもいいんですけれども、日本の通貨製造技術というのは世界一で、まず偽造不可能という話を、かなりそこは誇示されていたような気がするんですけれども、偽造をされたような、そういった事例が過去にあったのかどうか、それについてお伺いします。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
過去、偽造紙幣等の事例があったかどうかというお尋ねでございますけれども、最近の例をまず申し上げますと、令和五年におきましては、一万円券、五千円券、千円券といったものに偽造紙幣がございまして、合計で、令和五年の場合には六百八十一枚、その前年、令和四年には九百四十八枚といったようなものが発見されているというところでございます。
○末松委員 それでは、新通貨発行に係る総費用というのはどのくらいになるんですか。
○奥政府参考人 紙幣の新券の発行費用ということについてのお尋ねでございます。
日本銀行券の製造単価につきましては、これは、その詳細の内訳というものにつきましては、偽造防止の観点からお答えは差し控えさせていただきますが、その上で、あくまで日本銀行の予算額というのがございます。この予算額に基づいた機械的な試算値ということで申し上げますと、新しい日本銀行券のみを製造することとなっております令和六年度、今年度の令和六年度予算に計上されている銀行券製造費は約六百二十六億円でございます。
○末松委員 これ、発行の時期はいつになりますか。そして、旧通貨との交換期間、これはどのくらいを見ていますか。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
新券の発行は本年七月三日からでございます。
旧券との循環といいますか、換わっていくこと、その時期、期限などにつきましては、特段、定め、期限などを設けているものではございません。旧券も引き続き七月三日以降も通用する、使えるということでございます。
○末松委員 通常そうなんでしょうけれども、ちょっと世界を見ると、通貨で交換時期が非常に短い期間になったというふうな例もあって、いろいろな失敗例もあるみたいなので聞いたわけですけれども、旧通貨との交換レートは、当然ですけれども一対一ということでよろしいんですよね。
○奥政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○末松委員 大体何十億枚ぐらい新規で刷る予定ですか。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
全部でということですと、いわゆる流通総額というようなことになるのかもしれませんけれども、当座、令和六年度、先ほど言及いたしました令和六年度において予算上予定されている発行枚数、製造枚数ということでお答え申し上げますと、二十九・五億枚、一万円、五千円、千円全て合わせまして二十九・五億枚ということ、これは令和六年度の数字でございます。
○末松委員 さっき言われましたけれども、今の通貨の発行総額というのは、二三年末ぐらいで大体何億枚で、その価値は何兆円ぐらいになるんですかね。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年度ないし令和五年度、直近の銀行券の流通枚数ということで申し上げますと、二〇二四年、二〇二四年ですので本年の三月末時点の銀行券の発行高、枚数ベースですと約百八十億枚、金額ベースに直しますと約百二十一兆円ということになってございます。
○末松委員 二十年前は大体総額、今百二十一兆円という話でありましたけれども、二十年前だと大体それはどのくらいの総額だったんですかね。
○高口参考人 お答え申し上げます。
二十年前でございますが、銀行券の発行残高、前回改刷前の二〇〇四年三月末時点で七十一・四兆円でございました。
○末松委員 私もちょっとこれを聞いて、二十年前でキャッシュが七十一・四兆円、今年で百二十一兆円と、キャッシュの総額が二倍弱ぐらいに増えている。通常、我々、電子マネーとかいろいろなマネーが氾濫しているわけですよね、ペイペイだとか、あるいはSuicaとか、さらには楽天ペイとか。こういった電子マネーがたくさん出てきているのに、なぜキャッシュがこれだけ二倍弱ぐらいに増えているのか、これがちょっと分からないんですけれども、それを御説明いただけますか。
○高口参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘ありましたとおり、銀行券発行残高、二〇〇四年三月末時点で七十一・四兆円、二〇二四年三月末時点で百二十・九兆円ということで、大きく二十年間で増えておるわけでございます。こうした動きは、この間の我が国経済の規模の拡大や、低金利環境の長期化を受けた手元現金の増加などが背景にあると考えております。
この点、足下では、銀行券残高は前年比で若干減少をしております。これは、先生御指摘のとおり、電子マネーなどキャッシュレス化の進展に加えまして、コロナ禍の下で予防的に積み増されていた現金の取崩しや、現金取扱いコストを意識した金融機関における保有高の圧縮の動きなども影響していると考えております。
いずれにしましても、銀行券発行高の今後の動向につきましては、引き続き注視をしてまいりたいと考えております。
○末松委員 今の理由なんですけれども、ちょっと納得いかないのは、二十年前といったらGDPもそんなには増えていないんですよ。めちゃくちゃ経済圏が、日本がばあっと中国のように増えたわけじゃない。増えたわけじゃないのに、現金のニーズが増えていると。でも、キャッシュレスの状況が非常に広まった、そう言うというのはちょっと、経済圏の拡大というのはそれだけで説明できないんじゃないかなと思うんですけれども、何かそういった研究はなされていますか。
○高口参考人 お答え申し上げます。
先ほどのお答えとやや重なるところがございますけれども、二十年間で、先生がおっしゃったように、非常に大きく、銀行券残高の伸びほど経済規模が拡大したということではないかもしれませんけれども、やはり一定の規模の拡大はしてきておりまして、この間着実に現金の使用量というのが増えているということに加えまして、低金利環境が長期化しておりましたので、銀行に預金をすることに伴う機会費用、これが非常に低かったということもございまして、その分、銀行の預金をせずに、いわゆるたんす預金のような形で、手元に預金を持っているというような動きがかなり広範に広がった部分も一面の要因としてあるというふうに認識をしております。
これ以外にも様々な要因は考えられるところでございますけれども、結果として、銀行券残高はこの間かなり増えてきたということかと理解をしております。
○末松委員 そこをもうちょっと研究をお願いしたいと思うんですね。何か日本経済の独特な構造みたいのが分かるんじゃないか、そういう感じがしております。
よく、コピーレスということで、コピーしないようになって、いろいろと全部そういったものを電子化しようとしてコピーの使用枚数が増えるとか、そういう、何かちょっと逆の現象というのは私も妙だなと思ってはいたんですけれども、是非そこはちょっと研究をしていただきたいと思います。
これについて、最後、大臣の方に。
実は、一九四六年から四九年まで、日本も新円の発行ということをやったんですが、そのときは戦後すぐだったということもあったんですね、要は、旧円との交換直後、それで国民の財を把握して、それから財産課税をして、一部の方々は大変な思いになったという状況があったんですけれども、今回はそういうことは全く懸念しなくていいということでよろしいですよね。
○鈴木国務大臣 結論から申し上げますと、今回、そのようなことは全く考えていないところでございます。
先ほど申し上げましたけれども、今回の改刷、これは偽造抵抗力強化等の観点から行うものでありまして、国民の財産を把握して課税をするといった目的は全くありません。
また、現行の日本銀行券につきましては、新しい日本銀行券の発行が開始されます七月三日以降も引き続き、期限なく利用可能としているところでありまして、今回の改刷は、旧券の通用力を停止した戦後の新円切替えとは全く異なるものと考えているところです。
○末松委員 それを聞いて安心しました。
ちょっと話題を変えまして、今、私の友達で、私は福岡県出身なんですけれども、九州独立論等をやっている友達がいまして、九州で地域通貨を、九州マネーをつくろうじゃないか、こういうふうにやっている方もいるんですけれども、こういった、ある地域だけに通用する通貨、これは法律で禁止されているのかどうかというのを教えていただきたい。
私の方でレクチャーのときに聞いたのは、紙幣類似証券取締法というのがあるという話は聞いてはいるんですけれども、実際に今、電子マネーでどんどんどんどんいろいろなマネー、決済、支払い手段があるわけで、そういうことについてはどういうふうに考えればいいのか、教えてください。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる地域通貨についてのお尋ねでございましたが、今先生御指摘の紙幣類似証券取締法というものがございまして、これは、通貨と類似の機能を持つ通貨以外の券が流通することで、通貨の流通が排除され、通貨秩序が混乱する事態が生じることを防ぐ観点から定められた法律でございます。同法に基づきまして、財務大臣は、通貨と類似の機能を持つ証券の発行や流通を必要に応じて禁止することができるということに法律上なってございます。
したがいまして、御質問の、自治体がいわゆる地域通貨を発行することについての法的な位置づけでございますけれども、当該地域通貨の流通などによりまして、日本銀行券の流通が排除されるなど、通貨秩序が混乱する事態が生じるおそれがないのであれば、通貨や金融を始めとする既存の諸制度にのっとって適切に行われる限りにおきましては、通貨を所管する立場から、特段の問題はないものというふうに考えられます。
○末松委員 今のは力強いお答えだと思いますね。
地域主権とか今言われていて、江戸時代にも藩札というのがあったわけですよ、江戸の中央政府の中でも、藩の独立性も保っていこうよという形で。そういった意味で、こういった、地域でいろいろとやっていく、決済手段、あるいはそういうものを、電子的な通貨を含めて本当に多様な手段があるわけですから、できる限りそういったところは認める方向で是非考えていただきたいと思うんですけれども。
特に、地域通貨とは言わないまでも、例えばビットコインのような通貨的な価値を持つものとか、あるいは電子マネーというようなもの、これは、この資料の三にありますが、資金決済法ですか、そこにおいて、私が下線を引いておりますけれども、この供託等の義務、つまり、ここに書いているように、未使用の残高の二分の一の額以上を供託すれば、これが電子マネーとしてある意味では簡単に認められる、こういうことでよろしいんですか。
○油布政府参考人 今委員おっしゃったとおりでございます。
御案内のとおり、地域通貨と呼ばれるものにも様々なものがございますので、なかなか一律に申し上げることは困難でございますけれども、実際こうしたものの中には、資金決済法上の前払い式支払い手段、特に、様々な加盟店で利用できる第三者型の前払い式支払い手段として発行されているものが多く見られるということでございます。
この第三者型前払い式支払い手段を前提に申し上げますと、一定の適用除外はございますけれども、そういう場合を除きまして、発行者には、資金決済法上の登録を受けた上で、未使用残高の二分の一以上の額を保全し、それから、有効期限等について利用者へ情報提供することといった義務が課されております。
○末松委員 レクチャーのとき、ほかにも手段を聞いたんですけれども、今の供託金のほかに、銀行の保証があればいいとか、あるいは信託という形の手段もあるということですが、それもちょっと明らかにしてくれますか。
○油布政府参考人 お答えいたします。
保全義務と申し上げましたけれども、いわゆる供託所への発行保証金の供託のほかに、法律上、発行保証金保全契約、これは、銀行等に対しまして発行保証金を供託する旨の契約を結ぶこと、そのほかにも、発行保証金信託契約と申しまして、信託会社等に依頼して供託に充てることを信託の目的とするような、そういう保全の方法も認められているところでございます。
○末松委員 最後にですけれども、先ほど奥理財局長の方から、円の流通が阻害されない限り、別に地域通貨はいいんじゃないかというような話がありましたけれども、この阻害されるというような事態というのは、どういうことを具体的に念頭に置いているんですか。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
紙幣類似証券取締法が想定をする通貨の流通が阻害されるというケースについてのお尋ねでございますけれども、これは、様々なケースが考えられますので一概に申し上げることは困難でありますけれども、何らかの通貨類似の機能を持つ通貨以外の券が流通することで、流通過程において通貨の支払いに何らかの一定の混乱が生じ、流通自体が滞るといったような事態が想定されるということだと考えております。
○末松委員 余り、ほとんど何も言っていないのと一緒ですね。
では次に、為替についてお話をさせていただきます。
大臣にまず聞きますけれども、これは質問通告をしていないんですけれども、非常に簡単な話で、政府が為替介入をしたという事実というのは、過去、何回もありますよね。
○鈴木国務大臣 過去においては何回かあった、そういうふうに承知しております。
○末松委員 今回、大体、為替が円・ドルで百六十円ぐらいにちょっとなったところで急に反転をして、円高となって、百五十五、六円ぐらいまでになったのかな、そういうふうに反転して、そして更に百五十三円ぐらいまで円高になったということで、報道ベースでは政府の為替介入があったと言われていますけれども、これは事実ですか。
○鈴木国務大臣 報道ベースでそういうお話があるということは承知をしておりますけれども、為替介入につきましては、その有無を含めまして、お答えは控えさせていただきたいと思います。
○末松委員 その答えを控えるという理由は何ですか。
○鈴木国務大臣 為替につきましては、その水準等を含めて、財務大臣としての発言が市場に影響を与えるおそれがありますので、コメントは控えさせていただいておりますが、介入の有無につきましても、今後の様々な適切な対応を政府としては取っていかなければいけないわけでありますので、それについて予見を与えることにもなりかねない、こういうふうに思いますので、コメントは控えさせていただくということであります。
○末松委員 私は、別にこれは反対の立場から言っているんじゃなくて、円安防止のために、今までの政府の行動を見ていると、ほとんど策がない、あるいは何もやっていないし、やれないんじゃないかと思ったんですけれども、そこで、もし政府がこれで介入をやっているということであれば、私は非常に評価しているんですね。今、円安で、国民の生活が非常に、苦しんでいるわけですから、そこは止めてほしいというのは国民の切実な願いだと思います。
これは、後で介入したんだということを発表するということはあるんですか。
○鈴木国務大臣 ディスクロージャーの観点から、一か月の介入総額につきましては毎月末に、それから、日次の介入額や介入通貨につきましては四半期ごとに公表をするルールになっております。
○末松委員 そこで介入をしたということを発表するんですかと言っているんですけれども。
○鈴木国務大臣 その数字を見て判断をしていただければいいんだと思います。
○末松委員 済みません、ちょっとぼかさないでください。その数字を見ながら、財務省が発表するんですかということを聞いているんです。
○鈴木国務大臣 ディスクロージャーの観点から、そういうルールになっておりますので、発表いたします。その額を発表いたします。
○末松委員 報道では、為替介入が行われた翌日の日銀公表の当座預金残高変動要因という動きを見ると大体類推されて、四月二十九日に二回で、総額五・五兆円の為替介入をしたんじゃないか、五月一日は一回で、三兆円程度のドル売り介入をしたようだというふうな報道がされているんですね。これは一週間のオペレーションとしては過去最大ということでございますし、その結果、円高基調に、円高ショックじゃないですけれども、円高基調になったということで、私自身は非常に評価をしております。
また、四月二十九日には、神田財務官が、為替介入そのものを認めてはいませんけれども、激しい為替変動が国民経済に与える影響を看過し難いというコメントを発していまして、これは、まさしく全体として為替介入が行われたんだろうという裏づけなんだろうと私は感じているわけですけれども。
いずれにしても、あした、五月九日の八時五十分ですか、財務省のホームページになりますけれども、外貨準備残高の内訳が公表されるので、四月二十九日の為替介入というのが大体認識されるんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、事実関係で申し上げますと、委員から御指摘をいただきましたとおり、令和六年四月末の外貨準備等の状況、こちらを明日、五月九日午前八時五十分に公表させていただくということで予定をしてございます。
他方、先ほど大臣からお答え申し上げましたけれども、毎月ごとの介入の総額、月次の介入総額というのは、こちらは毎月月末に公表してございまして、足下でいいますと、四月二十六日から五月二十九日までの介入の総額、こちらは五月三十一日に今公表を予定してございます。
○末松委員 これは、一応、短期的には七円ぐらい円高になったということなんですけれども、これがまたずっと押し戻されるという見通しもあるわけですね。特にサマーズ元米財務長官なんかは、短期的には円が高くなったので効果ありと見えるかもしれないが、長期的には、為替介入というのはただの民間の巨大な資金の流れに押し流されてしまうだろうというふうな認識も持っているわけですね。
そうした場合に、では、この百六十円ぐらいが看過できない水準なのかということについては、コメントできる範囲でコメントしてくれますか。
○鈴木国務大臣 為替の相場については、決して守るべきラインというものがあるわけでなくて、あくまで変動というものに着目をするということであります。
政府として、為替の相場というものは、水準というものは、それは市場においてファンダメンタルズを反映して決められるものであって、安定的に推移することが望ましい、急激な変動は望ましくない、そういう立場であります。
○末松委員 一般論でかわされましたけれども、ミスター円と言われた榊原元財務官が、為替介入に使える総額というのは大体、およそ二十兆円から三十兆円ぐらいだろうということを言われているんですけれども、基本的に、これは元の経験者がそう言っているんですけれども、これについて何かコメントがありますか。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のような御質問も含めまして、為替介入について何か具体的にお答えすることは、これは市場に不測の影響を及ぼすおそれもございますので差し控えますけれども、一般論として、私ども、外為特会が保有する外貨資産というのは、これはまさに将来の為替介入等に備えて保有しているものということでございますから、この全体につきまして、安全性、流動性に最大限留意して運用を行う、まさにこういう考え方で日々運用を行っているということでございます。
○末松委員 また百六十円以上に円安になった場合、ここは昔、ジョージ・ソロスが率いるクォンタム・ヘッジファンドというのがポンドで通貨戦争を行って、英国政府が負けた、こういうふうな事例もあるわけですけれども、こういうことで、外国通貨勢がかなり、では、百六十円まで日銀が支えるのであればもっともっと円を売り浴びせてやろうというような、通貨戦争的なところがあるかもしれませんが、これについて、大臣、どういうふうな認識を持っていますか。ちょっと大臣はなかなか答えにくいのかもしれないので、三村局長の方、お願いします。
○三村政府参考人 まさにこれは、今後の為替市場における海外投資家がどういう動きをするか、そういう動向、あるいは今後の為替相場の動向等といったことにも絡むお尋ねでございますので、ちょっとなかなか、これについて我々の立場から具体的にコメントすることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれもございますので差し控えますけれども、いずれにいたしましても、先ほど大臣からも御答弁がございましたが、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、過度な変動は望ましくない、こういう考え方で臨んでいるところでございます。
○末松委員 大臣の方に最後にちょっと決意を述べていただきたいんですけれども、百六十円を超えて百七十、百八十といったら国民生活にとんでもない負担がかかるわけですけれども、そういうことをさせないという形での、別に市場に影響を与えるということを私は考えていませんけれども、ただ、円安を止めるという確固たる意思は示していただきたいと思いますが、よろしいですか。
○鈴木国務大臣 円安につきましては、プラス面、マイナス面、両面があるわけでありますけれども、今は何といっても物価高騰にどうやって対応していくかということでありますので、そうした輸入物価が押し上げるというマイナス面について、私も強い懸念を持っております。そういう懸念の下で、市場の動きをしっかりと見て、そして、取るべきときには適切な対応を取っていきたい、そういうふうに思っております。
○末松委員 ちょっと、この急激な円安が今一番、国民の物価高に、今大臣おっしゃられたように問題になっていますから、そこは是非、為替の管理ということも含めて、しっかりお願いしたいと思います。
最後に、インボイスについて、私のインボイス反対という立場から話をしたいんです。
資料の一を見ていただきたいんですけれども、インボイス制度を考えるフリーランスの会の方々が、七千人、緊急に三月の末から四月の頭にかけて実態を調査報告しまして、七千人のうち九一・九%がインボイス制度の見直し、中止を望むというふうに答えているわけでございます。
ちょっと内容を更に見て、資料の二を開けていただきたいんですけれども、今言ったことに加えて、消費税の負担感については、インボイス登録事業者の六割が、負担軽減措置終了後のめどが立たない、負担が大きくて事業が成り立たなくなりそうだと回答しているし、また、インボイス登録事業者の六割超が、消費税や事務負担の費用を価格転嫁できずに身を削って補填している、借入れして消費税を納税した事業者は、インボイス登録事業者の約一割に当たる二百人超あったと。
さらに、免税事業者の四割超が、制度開始後に重要な取引先から値引き、発注量の減少など何らかの不利益を被っている、そして、全回答者の七割が、今後の事業について、見通しが悪く不安であり、廃業、転職を視野に入れていると、マイナスの見通しを訴えているわけですね。
こういうふうな本当に厳しい状況というのは、大臣として、まずは、こういったアンケートに目を通したのか、この調査の結果についてコメントしてもらいたいと思います。どういう認識でいるか、お願いします。
○鈴木国務大臣 インボイス制度が始まりまして、運用が開始されて、様々な御意見があるという中で、今、末松先生から御指摘がありました、このフリーランス事業者の皆さんの団体が実施しているアンケート調査、これにつきましても、財務省として分析を行っているところでございます。
このフリーランスの団体の方々のアンケート調査の中に、いろいろ先生から今御指摘がございましたが、その中にも、事務負担や税負担、それから取引関係等に関する課題、そういうことを指摘する声が多かったと承知をいたしております。
政府としては、そういう声にもお応えしなければならないということで、インボイス制度導入に当たりまして、IT導入補助金によって小規模事業者のデジタル化を支援する、あるいは、税制においても、制度の定着に向け、いわゆる二割特例を設けるなど、税負担それから事務負担の軽減にも配慮をしております。
また、公正取引委員会を始め関係省庁と連携をして、取引先から不当な取扱いを受けないように、考え方の周知を行うとともに、厳正な対応を行っているところであります。
いろいろな声が寄せられております。こうした先生御指摘のアンケートについても、私どもとしても、それについても中身をよく見させていただいているところであります。
○末松委員 そういったいろいろな救済措置をやっていると言われているんですけれども、それが、やはり、やっていたとしても、こういう本当に厳しい声が出てきているのが現状なんですよね。
だから、これは私、税務署の方にも聞いたんですよ、ある関係者に。そうしたら、税務署も人数が足りなくて、このインボイスの調査をやるなんということは、もうまず手が足りなくてできないんだと。だから、大口で、しかも悪質なことだけしか調査、あるいはそういった取締りもしていないというようなことになったと思うんですけれども。
実際に、大口で、そういった悪質な事業者とか、こういうのは、まだ半年ですけれども、何か一件でも調査をしたんでしょうか。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
消費税の申告につきましては、個人事業者は本年四月一日にインボイス制度開始後初めての申告期限が到来したばかりでございまして、現在、申告内容の確認等を進めているところでございます。また、法人事業者につきましても、制度開始後まだ決算期が到来しておらず、申告が行われていない場合が多いということで、このため、委員御指摘のインボイス関連の非違については、回答を差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、従来から、調査必要度の高い納税者を中心として、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどにより、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。
インボイスにつきましても、軽微な記載不備の把握を目的とした税務調査は実施しないこととしておりますが、仮に調査等の過程で記載不備等が把握された場合には、納税者に指導を行うなど、適切に対応することとしております。
○末松委員 私が聞いているのは、一件でも調査したのか、そういった例が挙がったのかというのを聞いているので、あなたの一般論を聞くために私はここにいるんじゃないんですよ。言ってください。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
インボイスの軽微な記載不備の把握を目的とした税務調査は実施していないところでございますが、一般的な所得税の調査あるいは法人税の調査過程でインボイスの不備を把握した場合には、適切に対応することとしております。
先生が御指摘の大口、悪質に対する調査ということでございますが、これは通常、日々行ってございますので、行っているところでございます。
○末松委員 だから、また言わせないでよ。一件でも検挙した例はあるんですかということをイエスかノーかで答えてください。
○星屋政府参考人 件数というのは把握してございませんが、大口、悪質という観点から、所得税あるいは法人税の調査というのは行っているところでございます。
○末松委員 これ以上言いませんけれどもね。
大臣にもお聞きします。
これで、半年たって、ここまでいろいろな反対論も出てきていて、私たちも法律で廃止論というのも出しているわけですけれども、一度こういったフリーランスの会のアンケートも含めて勘案して、是非財務省としても、一度このインボイスについてのアンケート調査というのを行っていただけますか。
○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げたとおり、いろいろな団体からのアンケート等によるお声というものは、財務省としてもそれを受け止めて反映を、参考にさせていただいているというところでございます。
いずれにいたしましても、こうした事業者の皆さんの実態把握というもの、これは重要なことと思います。財務省としても、今まで各省庁を通じた実態把握、そういうものに努めているところでございますが、引き続きましてこうした実態把握を継続して、そして、その上で、把握した課題に対してはきめ細かく丁寧に対応していきたいと考えております。
○末松委員 本当に、早急に調査をしていただきたい。改めてちょっとお願いしたいんですが、コメントを下さい。
○鈴木国務大臣 財務省としては、今までもこの実態把握というものには努めてきたものでございます。各省庁とも連携してやっております。こうした努力を引き続き継続してやってまいりたいと思っています。
○末松委員 フリーランスの会の方とか税理士の方等を含めていろいろと話をしていたときに、こういった質問があるので、ちょっとそれについてもお答えいただきたいんですが、我が国において複数税率が導入された後で、帳簿で適正な課税がなされていなかった具体的な事例というのはありますか。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
国税当局における個別の調査事案の詳細な内容についてはお答えを差し控えさせていただきますが、一例を申し上げますと、例えば、料飲食業におきまして、八%である食料品と一〇%である酒類の仕入れにつきまして、全額、標準税率の一〇%で仕入れ税額控除しているような事例が把握されてございます。
○末松委員 もう一つお伺いしますけれども、我が国で、今、不景気で物価高という中でこういうインボイスの増税をするという、そして、事業者がアンケートに見られるように本当に大変な思いをしている、こういうタイミングの、今なぜインボイスなんだというのは昔から言われているわけですけれども、こういう厳しい時期になぜこんなことをやるんだということについて、タイミングの悪さを私は認識してほしいと思うんですけれども、それについてコメントいただけますか。
○鈴木国務大臣 インボイス制度は、何か税収増を目的としたものではなくて、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものとして、法律の規定に基づき、複数税率導入から四年間の準備期間を経て開始されたものであります。そして、その円滑な導入と定着に向け、政府としても、各種負担への対応や取引環境整備に取り組んできたところでございます。
不景気、物価高の中でのタイミングが悪いということでございますが、そうした物価高や、それが事業活動、国民生活に及ぼす影響に対しましては、政府としては、別途、累次の補正予算や予備費の活用によりまして機動的な対応を行ってきたところでございます。
今後も、経済、物価動向については、しっかりと注視してまいりたいと考えています。
○末松委員 是非、早急に調査を、詳細な調査を行っていただくことを要求をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○津島委員長 これにて末松君の質疑は終了いたしました。
次に、江田憲司君。
○江田委員 おはようございます。立憲民主党、江田憲司でございます。
財務大臣、日銀総裁、よろしくお願い申し上げます。
今日は、私、為替や金融政策、さらには外為特会にたまっているこの含み益をいかに国民の皆さんに還元をするかというテーマで議論を進めたいと思っております。
その前に、今の円安、この連休中、百六十円台に一時乗る。今朝ほどは、今調べましたら、百五十四円台後半で推移しているということなのですが、円安、これは当然メリット、デメリットあるんですけれども、大臣、今のこの円安、この国にとって、メリット、デメリット、プラスマイナス、どう評価を、判断をされておりますか。
○鈴木国務大臣 先生御指摘のとおり、円安にはプラスの面とマイナスの面があるわけでありますが、今、我が国の大きな政策課題として、物価高騰への対応というものが極めて重要であります。
したがいまして、円安がもたらす輸入物価が高くなるということについて、懸念をしているところでございます。
○江田委員 懸念はされていると。
ざっくり言うと、プラス面はやはり輸出企業。ただ、昨今は昔と違って海外生産比率も伸びておりますから、端的に言うとグローバル企業が一番円安のメリットを受けている。
一方では、国民生活は、今御指摘のように、物価上昇で本当に生活が非常に困窮したような状態に置かれているということなので、私は基本的には、その国民生活をこの物価高から守る、円安から守るという立場で議論を進めていきたいと思うんです。
四月三十日でしたか、一連の流れの中で神田財務官が、過度な変動が投機によって発生すると国民生活に悪影響を与える、したがって、しっかり対応しなければならないという発言をされております。この認識の意味を問いたいんですけれども、まず、今回の円安の進展というのは、過度な変動であり、かつ、それが投機によってもたらされたとおっしゃっておられるんですけれども、大臣もその認識に違いはございませんか。
○鈴木国務大臣 財務官と私は常に連絡を取り合って認識を共有しているところでありまして、財務官のそうした認識は、私もそういう、同様の認識を持っているということであります。
○江田委員 今回の行き過ぎた円安は投機によるものだということ。
それから、これは念のためお聞きしますけれども、国民生活に悪影響を及ぼすと。この悪影響とはどういう意味ですか。
○鈴木国務大臣 日本はやはり、食料にしてもエネルギーにしても大宗を海外市場に依存をしている、それから、ドル建てでの取引が占める割合が大きいということでありまして、円安によって輸入物品の価格が上がる、それが今課題となって、国民の皆さんも非常に注目をしている価格高騰に影響を与えているという懸念、それを強く持っているということであります。
○江田委員 私と完全に一致した認識でございます。
岸田政権は、釈迦に説法で、言うまでもなく、とにかく物価上昇を上回る賃金上昇を実現をするんだと。実質賃金、この二年近くずっとマイナスなんですけれども、今年中、半ばぐらいには実質賃金もプラスにするんだというのが岸田政権の最重要課題だと位置づけられておりますよね。
そういう中で、この円安、百六十円をうかがうような円安は、これは神田財務官も、こうした実質賃金を上げていこうとしているときに足かせになる、そうもおっしゃっておられるので、やはりこの水準というのは、財務大臣、財務当局としても看過できないというふうにお考えになっているのではありませんか。
○鈴木国務大臣 円安が物価高騰に大きく影響を与えるということには強い懸念を私も持っているところであります。ただ、その水準が、どの水準が適切なのか適切でないのかということにつきましては、江田先生の御質問に答えておりますが、私の話していることも市場参加者もよく注目をしていることでありまして、そうした市場参加者の行動に対して影響を与えることにもなりかねませんので、水準につきましてはコメントは控えさせていただきたいと思います。
○江田委員 看過できないとは言えないけれども、強い懸念を持っていると。
某シンクタンクの試算によれば、この円安が百七十円を超えると、今年中の実質賃金プラスはもう夢のまた夢になると。百六十円以内であれば辛うじて今年中には実質賃金がプラスになるかもしれないというような試算も出しておりますので、おのずから、やはり百六十円、大臣はコミットできないと思いますけれども、そういうのが私は防衛ラインなのかなというふうに思っておりますが、いずれにせよ、財務当局は今の円安水準に強い懸念を抱いているということは明確にされたと思います。
さて、この連休中、二度にわたって、一回目、四月二十九日は五・五兆円、五月の二日未明ですね、いずれも薄商いのところを狙って為替介入するというのは常套手段だと思いますけれども、三兆円強、合わせて九兆円程度の規模で二回為替介入をしたのではないかと言われておりますけれども、これについてはコメントできないということではございますが、もう一度、その理由をちょっと説明をしていただけますか。
○鈴木国務大臣 直近のドル・円相場の動きについては、コメント、特に介入したかどうかということについてはコメントはいたしませんが、先ほど申し上げたとおり、私の発言については市場参加者も見ていると思います。これについてコメントいたしますと、私どもは為替の動向に強い思いを持って注視をしているところでありまして、万全の対応を今後取っていく、こう言っているもので、今後の万全な対応を取るということに予断を与えかねない、市場参加者に対して。投機筋と言ってもいいかもしれません。そういうこともあると思いまして、コメントは控えさせていただいているところであります。
○江田委員 ところが、過去を見ると、例えば二二年九月二十二日の介入の場合は、その直後に発表されているわけですよ。ですから、財務当局としては、コメントせずという場合と、それからあえてコメントして介入を発表すると、使い分けておられるんですけれども、一般論としてどういう基準で使い分けておられるんですか。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、一般論として、為替介入の実施の有無につきましては、これは介入直後に公表することもあれば、公表しないこともあるということでございます。
どういう場合に公表するのか、しないのかということでございますが、これはまさに先ほど大臣からもお話がございましたけれども、今後の対応ということも含めまして、介入の目的に照らして、その効果を高めるために何が一番いいか、公表するのとしないのと何がよいかというところを総合的に勘案をして、そのときの状況に応じて判断ということでございます。
御指摘のとおり、二二年九月二十二日に介入をいたしましたときは、これはその直後に発表いたしておりますけれども、この当時は、当時の二二年九月の介入が二十四年ぶりの円買いの介入であった、こういったようなこともございまして、その当時の判断として、介入直後に発表したということでございます。
他方、これも御承知のとおりでございますが、例えば翌月の十月の介入の場合には、その直後には公表を控えたということで、まさにその時々で、大臣とも御相談いたしながらの判断をしているということでございます。
○江田委員 市場と対話しながら、投機筋の動きも見ながら、そうはいっても、莫大な為替の取引市場の中で少しでも介入効果を出そうという総合的判断だと思うんですが、ちょっと聞き方を変えるけれども、二二年当時の二十四年ぶりの円買い・ドル売り介入ですか、それは結果的には功を奏したという御評価ですか。であればいいんですよ。
○三村政府参考人 済みません、ちょっと必ずしも質問の御趣旨が理解できているかどうか、あれでございますけれども、二二年九月二十二日の介入につきましては、先ほど申し上げたとおり、二十四年ぶりの介入ということで公表いたしまして、それから、日次の、あるいは月次の公表というものもその後随時やらせていただいたということでございます。
十月の介入につきましては、直後は控えましたけれども、その後、月次、あるいは四半期ごとということで、これもそれぞれのタイミングで公表させていただいたところでございます。
○江田委員 ある程度、財務当局がいろいろな要素を勘案して総合的にやられることは私はそうだろうと思いますが、国民的に言うと、その結果、しっかり介入効果が出せた、その戦術が功を奏したということであればよしということですが、そうやっていろいろな内密裏に進めた結果、結果も出なかったということであれば、ちょっとどうかなと思ったので御質問させていただきました。
さて、この介入の原資というか、これは神田財務官が、その二二年秋の介入時にこうおっしゃっているんですね。米国債売却を含め、介入の原資は無限にあると発言をされています。今回の一連の流れの中でも、過度な変動は国民経済に悪影響を与えるとして、行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず適切な対応を取るとおっしゃっているんですが、こうした神田財務官の米国債売却をもいとわない、無限にあるんだというこの御発言について、財務大臣も御同意されますね、当然。
○鈴木国務大臣 御指摘の財務官の発言でありますが、その発言は、介入原資に制約があるとは特段認識しておらず、今後とも過度の変動に対し必要な対応を取り続けることができるという趣旨の発言であったと認識をいたしております。
私も、今後、過度の変動に対し必要な対応を取る上で、介入原資が制約になるとは特段認識をしていないところであります。
○江田委員 ですから、やる、やらないは別として、今、外貨証券、大宗を占める米国債も含めて、介入の手段というか原資については制限はない、ゆめゆめ米国政府に忖度することもないということでよろしいですね。
○鈴木国務大臣 やはり行き過ぎた動きというものは、企業活動でありますとか家計にも大変影響を及ぼすものになりますので、そうした行き過ぎた動きについては、それをならすという行為、これは必要に応じてやらなければならないんだと思います。
私どもとして、しっかりと市場の動きを注視をして、そして、そうしたやるべきことを、適切な対応をしっかりと今後も取っていきたいと思います。
○江田委員 だから、そういうことはいいんですが、要は、分かりました、米国債も含めて、売却も含めてあらゆる手段を講じる、その選択の余地はあるということで、やる、やらないは別として、財務官がそうおっしゃっていますし、財務大臣も同じ考えだというふうに理解をいたしました。うなずいておられるので、そうだと思います。
ところで、私、素人なので、こういう介入の場合、一般論として、外為、外貨準備は今のレートでは二百兆円近くあるわけですが、いろいろな種類の資産があるでしょう。そういう中で、こういうときに介入するときにはどのお金を使うんですか。例えば内部留保、現預金、流動性の高いお金なのか、それとも、今言ったような米国債、満期になる前の米国債も含めて、どういうものを優先的に使っていくんですか、これは一般論として。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
大変申し訳ございませんけれども、実際に為替介入をやるとした場合に、私どもの持っております外貨準備高の中の資産の中で何を売るのか、売らないのかといった、こういった個別の取引の在り方についてお答え申し上げることは、これも市場に不測の影響を与えるおそれもありますことから、お答えを差し控えたいと存じますけれども、まさに外為特会の外貨資産全体、安全性、流動性に配意をしながら、将来の為替介入等に備えた資産として運用しているということに尽きるかと存じます。
○江田委員 では、聞き方を変えますが、これも後から検証された事実なんですけれども、例えば二二年の秋の介入のときは、要は内部留保というか現金の額は介入によって減っていないんですよ。であれば、それ以外のものを使ったということなので、考えられるのは外貨証券、特に米国債ですけれども、このときはもう終わった話ですから、それぐらいお答えになっていいでしょう、ディスクロージャーの観点から。
○三村政府参考人 まさに御指摘のありました事実関係を申し上げますと、二二年九月、十月の為替介入に関連しまして、その前後で、月次で、私ども、外貨準備高における預金の推移、御指摘のとおり、公表してございます。
為替介入の前の二二年八月末時点、これが約千三百六十一億一千万ドル、この現預金を持っておりました。これが、九月の末、これは一回目の介入の後ということになりますけれども、その時点では、八月末に比べまして二百万ドルほど現預金は増えまして、一千三百六十一億一千二百万ドルほどの現預金になっている。それから十月末、これは二回目の十月の介入の後ということになりますけれども、十月末時点では九月末に比べまして九億ドル強、更に現預金は増えまして、二二年十月末時点での預金、これは千三百七十億一千七百万ドルであったということで、御指摘のとおり、八月末、九月末、十月末と、その当時の外貨準備高における預金自体は増えていたというのが事実でございます。
○江田委員 ですから、外貨証券を売って、まあ米国債だと思いますけれども、その差益で増えたということですね、現預金が。それを証明しているじゃないですか。イエスかノーで。
○三村政府参考人 繰り返しになりますが、その時点で具体的に何を売った、売らないというようなことについては答えは差し控えますけれども、御承知のとおり、当然この預金、様々な売り買いもありますれば、償還金でございますとか利息等々もある、いろいろなお金の出入りがある中での結果としての預金の残高になっているということでございます。
○江田委員 預金の残高じゃなくて。でも、どこかで何かを使っているわけだから、これはもう明らかに外貨証券を売ったということですよね。要は、財務省にとって、対外的に言うかどうかは別にして、都合のいいときには外貨証券も売るということがはっきりしたと。具体的には米国債も売るということですね。さっきの答弁も併せて考えるとそういうことだと思います。
ですから、だからこそ財務官はもうとにかく介入の原資は無限にあるとおっしゃったんだということで、これは常識を持っている人間が今答弁を聞くとそういう理解だということをあえて確認しておきたいと思います。
さて、日銀総裁、お待たせしました。
今回の百六十円まで行った円安の一つの大きな要因は、四月二十六日の政策決定会合後の総裁の会見で、基調的な物価上昇に今の円安は今のところ大きな影響はないとおっしゃったので、それでもう市場が反応して更なる円安が進んだという理解なんですけれども、総裁はそもそもそういう御認識はありますか。
○植田参考人 私どもは、その会見でも私申し上げましたように、足下の円安、これまでのところは基調的な物価上昇率に大きな影響はなかったと見ていますが、今後は影響してくる、あるいは影響するリスクがあるというふうにも見ておりまして、それは両方、先ほどの記者会見でも申し上げたところでございます。
○江田委員 そういう中で、昨日総理とお会いになったんですよね。それは総理からお呼びかけがあったんですか。
○植田参考人 これは、私どもと総理との間では、定期的にというほど決まった間隔ではないですけれども、何か月かに一回お会いして、その間の経済、物価、金融情勢について意見交換をするということをさせていただいております。
昨日の件に関しましては、三月に私どもは大きな政策変更をいたしましたので、その後の情勢のチェックということで、どちらからともなく昨日やろうということでお会いしまして、意見交換をさせていただいたというところでございます。
○江田委員 総裁、意地悪い質問で申し訳ないですけれどもね、その結果、昨日は、円安については、先ほどもちょっと触れられましたね、日銀の政策運営上、十分注視していくという表現に変わったと。これは、文理上、読むと明らかに、二十六日の会見の、今の円安は基調的な物価上昇に今のところ大きな影響はないというラインから明らかに修正をされたというふうに私は受け取るんですが、そういうことでよろしいですか。
○植田参考人 私どものスタンスは、先ほど申し上げましたように、これまでのところは基調的な物価というところに関してはそんなに大きな影響はないけれども、今後影響があるかもしれないし、リスクについては注意深く見ていきたいということを申し上げ続けてきたところでございますが、それがうまく市場等に伝わるように、適切な情報発信、丁寧な情報発信に努めていきたいと思っております。
○江田委員 もう少し言い方を工夫されればよかったのかなと。結果的に、市場が百六十円まで行ったのは総裁発言ですから。それで財務省当局も為替介入に動いたという大きなインパクトを与える発言なので。
いや、いいと思いますよ。だから、昨日、連携をしっかりアピールする、政府と、首相と。それで、これからの円安はもうしっかり注視していくという発信をやはり是非続けてやっていただきたいなというふうに思います。
さて、これは念のための確認ですけれども、一部にやはり、日銀は金利を上げたくないんじゃないかと。なぜならば、当座預金の付利、金利が〇・一%上昇すると大体五千億超の利払いになるんですよ、日銀は。年間、日銀の利益というのは大体三兆円前後ですよね、毎年。そうすると、これは、〇・一で五千億超になると、これからどんどん金利を上げていくと、例えば一%になると、何、五兆円、債務超過になっちゃうじゃないかと。そういう懸念もあって、日銀はなかなか、ヘジテートしているんじゃないかという、僕の見方じゃないんですけれども、見方があるんですけれども、それはいかがお考えですか。
○植田参考人 私ども、あくまで金融政策運営は物価の安定を目標として行っておりまして、その政策運営が私どもの財務への配慮から必要な遂行について妨げられるということはないというふうに思っております。
○江田委員 それははっきりしましたので、一部そういう懸念は全くないということで、純粋に、政策判断というものは諸般のいろいろな経済データに基づいてやっているということですよね。
だから、結局、どうなったら、じゃ、金利引上げの環境が整うんですか。この前出した展望では、二四年で、コアコアですね、生鮮食品とエネルギーを抜くコアコアで一・九、一・九、二・一でしたかね、二六年、二・一というのが展望で出されていますが、この流れでいくと、だんだん段階的に金利を上げられる環境になっていくという、そういう理解でよろしいですか、総裁。
○植田参考人 私どもの見通しは、今委員がおっしゃったとおりでございますけれども、その一・九、二・一になる一年半後とか二年後を待って利上げをするということではなくて、そういうパスどおりに基調的な物価が上がっていけば、それに応じて金融緩和の度合いを適宜調整していくというふうなつもりでおります。
○江田委員 だから、二%になっていきなり金利を上げるんじゃなくて、状況を見ながら徐々に上げていくこともあり得る、こういうことでよろしいですね。うなずいておられるので、そうだと思います。
そういう中で、二%という、従来からの物価上昇、物価目標でしたっけ、インフレターゲット、今の物価上昇がコストプッシュなのか、それともディマンドプルなのかというのは大きな判断要素だと思いますが、今現状、今の物価上昇は、コストプッシュ、それからディマンドプル、どのくらいの割合だと要因分析されていますか。
○植田参考人 これは大変難しい御質問でありますけれども、コストプッシュ等の要因は、どちらかというと財の方に大きく影響する要因、財の価格ですね、食料品等に影響するような要因かなと思っております。これを見ていきますと、これまでの輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響、つまりコストプッシュ要因は減衰してきているというふうに考えております。
一方で、その残りの部分、サービス価格の上昇等は、徐々に、いろいろな上下はありますけれども、強含んできておりまして、その部分、言い方を変えますと、賃金と物価の好循環に起因する部分の割合は強まってきているというふうに見ております。
○江田委員 前総裁の黒田さんは、たとえ名目的に二%を超えたとしても、その中身がコストプッシュであれば、持続的な物価上昇というか好循環を招かないので、金融政策は変更しないというお立場だったんだと思うんですよ。
だから、今後、二六年度まで見通して、一・九、一・九、二・一でコアコアが上がっていくとすると、その中での総裁の御判断として、やはりこの中で、コストプッシュによる上昇なのか、それともディマンドプルなのか、その割合も含めて、一般論として、どういう御判断をされるんですか、その点について、二%達成かどうかについて。
○植田参考人 私ども、先ほどの、例えば、二六年度にコアコアの見通しが二・一になるという見通しは、大まかには、先ほど申し上げました、基調的な物価の上昇率が二%程度になる、あるいはそこに向けて上がっていくという見通しに根差したものでございます。
そういう状態というのは、一時的なコストプッシュで物価が上がっているのではなくて、もちろん、賃金等が好循環で上がっていきますから、それはある種のコストプッシュでありますが、その部分と需要が上がっていく部分がバランスを取りながら二%の物価上昇が持続可能な状態というふうに見ております。
○江田委員 ちょっとよく分からない。要は、ディマンドプルが大宗となって物価上昇していけばいいという御判断ですね。
○植田参考人 言うまでもなく、二%の物価上昇を支えるような総需要、需要サイドの伸びが伴っていないといけないということではございます。
○江田委員 はい、分かりました。
総裁、ありがとうございました。もう退室していただいて結構でございます。
○津島委員長 植田総裁はどうぞ御退室ください。
○江田委員 さて、いわゆる外貨準備ですね。この前、この財務委員会で私も聞きまして、百四十七円レートベースで、今、百八十九・七兆円。今の百五十円や百五十五円で計算すると二百兆円前後の多額なというか莫大な外貨準備を日本は保有しているんですけれども、財務大臣、何でこんな莫大な外貨準備を保有していく必要があるんですか。
○鈴木国務大臣 日本の外貨準備高につきましては、変動相場制を採用する他の国々に対して比較的大きな規模を有していると認識をしております。
しかし、外貨準備の適正な規模そのものにつきましては、国際的に統一された見方があるわけではなく、市場に急激かつ過度な変動が生じた場合に自国通貨を買い支えるために十分な額の外貨資産を保有しておくことが必要と考えております。この点、近年の円の取引高で捉えた為替市場の規模の増加傾向や他国における過去の外貨準備の減少例などを鑑みますと、現在の我が国の外貨準備の額が過大であるとは考えていないところであります。
○江田委員 全く合理性のない回答ですね。それは事務方からもよく聞いているんですけれども。
では、聞き方を変えますけれども、イエレン財務長官もこの一連の流れの中で、要は、変動相場制を取る国では為替レートというのは市場で決まるのが基本なんだ、為替介入はまれである、例外的場合に限るんだ、これはG7のコミットメントだとおっしゃっているので、当然財務大臣も同意されますね、それは。
○鈴木国務大臣 G7の今までの合意でございますが、為替政策に関しては、為替レートは市場において決定されること、為替市場における行動に関して緊密に協議をすることに加えて、為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得るということが過去におきましてもG7で合意され、先月のG7の会合でもそれを改めて確認をしたところであります。
○江田委員 常識的に考えると、為替介入の必要がある場合があることは私も認めますが、それは異例、例外的な、まれな場合なので、もしそれで外為特会のバランスシートが膨らんだ場合は、平時に市場と対話しながら徐々にそれを売っていく、反対売買で売っていく、そうするとどんどんBSというかバランスシートを圧縮できるので、それが普通なんですね。
ですから、ドイツだって、イギリスだって、G7諸国はみんな日本の四分の一、五分の一、カナダに至っては十分の一の額しか持っていないんですよ。変動相場制というのはそういうことなんですよ。固定相場制類似の国、例えば中国、二〇〇五年まで固定相場制で、今ドルペッグで、管理変動相場制というんですか、こういう国は多額の金が要りますけれども。
極めて例外的な介入のために二百兆も持っているということ自体が、どんなへ理屈をこねても正当化できないんですよ。今言った、取引規模がそのぐらいあるから、その一円単位対応で持っておかにゃいかぬなんて、どこからその理屈が出てくるんだと。全く通用しない理屈ですから、それは指摘しておきたいと思います。
逆に言うと、その多額な外貨準備を持っているだけで、為替変動リスクを背負っているということですから。現に、今は円安だから多額の含み益が出ているからいいですよ。しかし、昔は、超円高で、八十円台、七十円台のときは、四十兆円も差損が出ていたんですよ、実は。私はその当時、これはイカサマファンドだと呼んだんですよ。これが投資ファンドで、顧客から預かった金を運用して四十兆も差損が出たら、社長以下みんな首ですよ。だから、そういう変動もあるんだから、介入で膨らんだバランスシートは、平時に市場と対話しながら余り為替に影響しない形で徐々に売っていくというのは、これは常識なんですよ。それはもうはっきり申し上げておきますから。今の財務省がいかに変なことをやっているか。
では、その背景にどこがあるんだということで、これは財務省OBのある方が指摘しているんです、これはやはり天下りがあるんじゃないかと。
この二百兆円の保管先というのがありますよね。これは保管されている相手は誰ですか、この二百兆円。民間の金融機関だと思いますが。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
外貨建て資産の運用委託先あるいは保管先につきましては、これはそれぞれの会社の財務状況でございますとか、あるいは、市場における取引実績等々、各社の実績あるいは能力を踏まえて選定するということでございますけれども、具体的な取引先がどこかということにつきましては、これは市場に不測の影響を与えるおそれもございますことから、お答えを差し控えます。
○江田委員 今、天下りは公表されているんですが、これは、保管料で十億円近い保管手数料を払っているんですよ、国からその。これは保管ですから、明らかに信託銀行なんですよ。固有名詞は出しません。信託銀行に信託しているわけです、そんな巨額の額は。信託銀行しかあり得ないですよ、常識で考えて。固有名詞はあえて出しませんけれども、そこにこの五年間で七人も天下っているじゃないですか。財務省の資料をもらいました、私。七人も天下っているんですよ。
だから、そういうことを勘ぐられないためにも、こんな全く説明がつかない二百兆円規模の外貨資産を、とにかく、さっき言ったように、順次このバランスシートを圧縮していかなきゃ駄目なんですよ。そして、為替変動リスクも減らしていくということです。
この天下り、実際そういうふうになっているじゃないですか、大臣。どう思われますか、これは。そう言われてもしようがないですよ。
○鈴木国務大臣 先ほど国際局長から答弁をいたしましたが、運用委託先や保管先については、実績、それから能力、それを踏まえて選定をしているところであります。
そして、民間企業の人事につきましては、それぞれの企業が企業自身の判断において必要と考える人材を採用していると承知をしておりまして、財務省としてコメントする立場にはありませんが、いずれにせよ、財務省の退職者は、国家公務員法に基づく再就職ルールにのっとりまして適切に対応してきているものと考えております。
○江田委員 今日はあえて言いません。もうこれを見たら、同一の信託銀行、七人ですよ。財務省の資料には固有名詞は書いているんですが、あえて個別の信託銀行を批判する趣旨じゃないので言いませんけれども、これは明らかに、十億円の手数料をバックに七人、この五年間で同一の信託銀行に天下っているということを指摘しておきたいと思います。
とにかく、常識に従ってバランスシートを圧縮してください。平時で、市場と対話しながら、為替を余り変動させないようなタイミングでやればいいんですよ。
それで、じゃ、この含み益の還元で、昨今、ほかの野党も言い出し、ネットの世界でもいろいろ言われているんですが、私は、もう二〇一一年に予算委員会で、米国債を売れとは言いません、ただ、米国債も満期になって返ってくる償還金があるじゃないですか、その償還金を使えという提案をもう既に二〇一一年にやっております。
今回も同じように、今度は円安ですから、わざわざ米国債の満期になって返っているお金で、全額また米国債を買っているんですよ、財務省は。何でこんなことをやっているんですか。理由を説明してください。
○三村政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたとおり、具体的に満期を迎えたものについてどういう形で運用しているのか、その詳細はお答えを差し控えますけれども、従来から申し上げておりますとおり、将来の為替介入等に備えるための外貨資産であるという観点から、安全性、流動性に配意をしながら運用を行っているということでございます。
○江田委員 そんなことじゃ、国民とかにもちませんよ。
では、聞き方を変えます。
今の二百兆円規模、百四十七円レートで、二百兆円規模にある、機械的な計算で分かります含み益は幾らですか。これはもう事務方から回答が来ていますから、局長、答えてください。
○三村政府参考人 大変失礼をいたしました。
外国為替評価損益、まず直近で公表しております数字は、これは昨年の公表いたしました数字でございますけれども、昨年三月末時点での含み益、為替評価損益は十九・五兆円ということでございます。
足下の数字というお尋ねかと存じますけれども、これはなかなか、その時々でポートフォリオの中身が変わるので難しいわけですが、仮に、昨年三月末の外貨資産の外貨建ての金額にそのまま足下三月末のレートを当てはめますと、ざっくり試算をいたしまして、機械的に当てはめれば、四十八兆円ほどの含み益という計算でございます。
○江田委員 もういい、五秒で済むんですから、ちゃんと答えてください。二百兆で四十八兆円の含み益があるということですね。
それでは、私が指摘した償還金、これはたしか、令和四年度は二十一・五兆円でしたが、足下の為替レートで計算すると、今その償還金はどのくらい上っていますか。
○三村政府参考人 お答え申し上げます。
これも昨年十一月に公表してございますけれども、令和四年度末時点での外為特会の外貨建資産の内訳というものを公表してございますが、その時点で、満期別構成割合における満期一年以下の保有債券は二十一・五兆円でございます。(江田委員「足下」と呼ぶ)足下の数字につきましては、申し訳ございません、そういう意味では、一年以下の保有債券、昨年の、令和四年度末時点の数字というものが直近の公表の数字でございます。
○江田委員 では、私が言いましょう。二十一・五兆円は百三十円レートで計算していますから、今の百五十円で引き直すと、大体三十兆円前後になるんですよ、今。今の償還金ですよ。
申し訳ないけれども、常識で考えてください。私は、満期になる前の米国債を売れと言っているんじゃないんです。いや、私は場合によっては売ってもいいと思う、さっきの議論では。しかし、返ってきたお金を、しかも、差益が三十兆、二百兆で四十八兆円の含み益があるということは、三十兆だとどのぐらいになりますか。もう六兆円前後の含み益が、この償還金を円転するだけで出てくるんですよ、六兆円。
しかも、この償還金というのは、毎年二十兆円、三十兆円規模で戻ってくるんですよ、満期になって。だから、大体五、六年は、毎年六兆円前後の含み益が還元されるということなので、大臣、これは、岸田政権はこのままいくと、結局、円安で物価が上がって、それで賃金がそれに追いつかない。やはり、最重要課題の実質賃金をプラスにしたいが夢のまた夢になる。そういう中で一番苦しんでいる国民の皆さんに、六兆円程度の、要は差益をしっかり還元する。
還元の仕方は、一番いい方法を考えればいいと思いますよ。今の防衛増税一兆円分をそれで帳消しにする、子育ての負担金の一兆円の健康保険料の値上げ分を帳消しにする、消費税を何%か下げる、困っている人に給付金を出す、いろいろなやり方があると思いますから。そこは今日議論できませんけれども、これは為替介入じゃないので、満期になったお金を主権国家としてどう使おうが、こっちの勝手ですから。六兆円を還元するということを今日おっしゃっていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 大きな政策論の一つのアイデアといいますか、考え方として先生のお考えはあるんだと思いますが、外為特会ということにフォーカスしてお話をいたしますと、満期になった証券をその都度少しずつ円転する場合であっても、外貨準備を取り崩すことは、実質的に外貨売り・円買いの為替介入そのものになってしまうと思います。
為替介入は、G7等での国際的な合意において、過度な変動や無秩序な動きへの対応のために行われることとされておりますので、この面から見ても、外貨準備を取り崩すことは適当ではないと考えているところです。
○江田委員 大臣、米国からそう言われているんですか。
○津島委員長 江田君、時間が経過しておりますので、おまとめください。
○江田委員 全くあり得ないですよ。そんなこと、米国が文句を言うわけないですよ。
それで、とにかく、トランプさんが、今の米ドル高は大惨事だと。輸出企業は、それはむちゃくちゃ影響を受けて失業者が増えると。昔の日本を考えればそのとおりでしょう。アメリカにとったって、今のドル高がいいわけじゃないんですよ。
それから、そもそも為替介入じゃないですよ。満期が来る前の米国債を売るというならまだしも、しかし、これは満期になったお金、日本のお金ですから、それを主権国家として使う、今一番苦しんでいる国民の皆さんに使うというのは当たり前のことですから。
これは、岸田政権にとっても悪い話じゃないんですよ。だって、最重要課題が夢のまた夢になってしまうかもしれないような円安が進んでいるわけで、そこに、困っている国民の皆さんの生活のために充てるというのは、是非、私が野党の分際で言う話じゃないかもしれないけれども、それは岸田政権にとっても絶対検討すべき課題だと思いますよ。最後、一言だけ。
○津島委員長 鈴木財務大臣、答弁は簡潔にお願いします。
○鈴木国務大臣 外為特会について言えば、そのようなことで、慎重な対応が必要であると思います。
また、先生は別の観点から大きな政策のアイデアとして述べられたと思います。それにつきましては、そのアイデアを私も聞かせていただきまして、私の頭の中でも整理をしなければならないのかもしれないと思います。
○津島委員長 江田君、時間が来ておりますので。
○江田委員 いや、本当、残念です。
終わります。ありがとうございました。
○津島委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。
次に、藤巻健太君。
○藤巻委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の藤巻健太でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
アメリカのイエレン財務長官は四日、円相場が比較的短期間にかなり動いたと語った上で、こうした介入はまれであるべきで、協議が行われることを期待するというふうに述べました。
四月の二十九日、五月の二日に行われたであろう為替介入は、その際、アメリカ当局との合意は取れていたのでしょうか。また、今後行われるかもしれない為替介入において、アメリカ側の理解が得られる見込みというのはちゃんとありますでしょうか。
○鈴木国務大臣 為替介入につきましては、いろいろな報道がなされていることは承知をしておりますが、それについて、政府として介入したかしないかということについてはコメントをいたしておりません。
したがいまして、その先の米国の同意がどうのこうのということについても、コメントはできないということであります。
○藤巻委員 今後も日銀が国債を一定買い続けるならば、対価として円が市中にばらまかれるわけですから、必然的に円の価値というのは希薄してくることだと思います。逆に、FRBは米債を売ってドルを市中から回収していますから、ドルの価値は上がっていきます。日米金利差もあります。
現在の円安というのは、投機筋のせいというよりも、根本にドル高・円安構造があるというふうに私は考えているんですけれども、大臣の御見解をお伺いします。
○鈴木国務大臣 今、藤巻先生から、日米の金利差、これが構造的な要因ではないかという御指摘でございますが、御指摘の内外金利差や金融政策、また国際収支、物価動向といった構造的な要因のみならず、為替相場は、ウクライナや中東情勢に代表される地政学的リスクや、市場参加者のセンチメントや投機的な動きなど、様々な要因によって決定されるものでありまして、日米金利差のみをもって決まるものではない、そのように考えているところであります。
○藤巻委員 おっしゃられるように、為替相場は複合的な要因で決まっているとは思いますので、逆に、神田財務官が、投機だ投機だ、この円安は投機筋のせいだというふうに言い続けるのは、私はちょっと違和感を感じているところではございます。
二〇二二年の十二月二十五日の日経新聞の記事で、フィッチの格付担当者が、日銀の国債購入は日本国債の格付を支える要因の一つというふうに証言しております。仮に日本国債の格下げがあれば、日本企業の外貨調達に大きな影響を及ぼして、日本経済に甚大なダメージを与えかねません。
日銀が国債購入を続けていけば円安、国債購入をやめると、金利が暴騰してしまったり、あるいは日本国債の格下げリスク。かなり難しい状況にあるとは思うんですけれども、そういった部分について、大臣の分析をお聞かせいただければと思います。
○鈴木国務大臣 日銀によります国債の買入れ、これは金融政策の一環として行われているものでありまして、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべき、こう考えております。
したがいまして、今後の日銀の国債買入れの見通しについて申し上げられる立場ではありませんけれども、一般論として申し上げるならば、これまでと異なって金利が上昇する局面になれば、家計の金利収入の増加、住宅ローンや企業借入れなどの支払い利子の増加、銀行や企業が保有する債券評価の変動など、経済への様々な影響が考えられ、政府としてはその動きを注視していく必要がある、そのように考えております。
また、財政につきましても、一般論として申し上げれば、今後、金利が上昇し、利払い費が増加すれば、他の歳出予算を圧迫して財政硬直化につながるおそれがあると考えております。それだけに、今後の財政運営に当たりましては、このようなリスクも念頭に置きつつ、財政の持続可能性への信認が失われることがないように、適切なかじ取りを行うことが重要であると考えておりまして、引き続き、歳出構造の更なる平時化や重要政策に係る安定財源の確保など、歳出歳入両面での改革努力を重ねていく必要があると考えております。
○藤巻委員 マーケット、今非常に大きく動いているタイミングですので、しっかりとした対応をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
ちょっとテーマを変えさせていただきます。
二十年ぶりとなる七月三日の新紙幣発行まで二か月を切りました。この新紙幣発行を少しテーマにさせていただきたいと思っているんですけれども。
私は、従来より、この新紙幣発行についてはちょっと疑問を持ってはいます。偽造防止の精度を上げるというのがその目的ということなんですけれども、偽造防止の可能性を高めるというメリットよりも社会的なコストの方がはるかに大きいというふうに考えているからでございます。これは、コストとリターンが見合っていない、コストが大き過ぎるというふうに考えているところでございます。
二十年前とは違って、今は町中に、自動販売機、券売機、精算機、セルフレジ、町にあふれているわけです。それらを全て新紙幣に対応させる、これはもう国レベルの一大事業、大がかりなことなんですけれども。
ざっくりでいいんですけれども、自動販売機、券売機、精算機、セルフレジ、これは全国にどれだけあって、それらを新紙幣に対応させるために費用がどれだけかかるのか。つまり、各機器を新紙幣に対応させるためのコストをどの程度と計算しているのか、教えていただければと思います。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改刷に伴い改修等が必要となる金銭機器につきましては、金銭機器メーカーの業界団体であります日本自動販売システム機械工業会から、全国で約三百七十万台あるものと聞いてございます。
また、改刷に伴う金銭機器の改修コストにつきましては、元々の機器の更新時期と重なる場合もありまして、改刷に対応する費用だけを取り出して見込むということは困難でございますけれども、先ほどの業界団体におきましては、この元々必要となったというふうに考えられる機器の更新費用も含めた金額として、約五千百億円と見込んでいるものと承知しております。
○藤巻委員 五千億円以上かかるというところで、一方、では、この数年間、紙幣偽造による損失額というのはどれぐらいになるんでしょうか。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
今お尋ねの偽造紙幣による経済的損失といたしましては、偽造紙幣を受け取った者が直接的に被る経済的な損失のみならず、社会全体の経済取引において紙幣の真贋を頻繁に確認するために必要となる労力や機器なども含まれ得ると考えられますので、定量的にこれをお示しすることは困難ではありますけれども、全体としてはかなりの社会的損失が発生する可能性があると考えられます。
その上で、警察庁が公表している統計を引かせていただきますと、近年の偽造紙幣の発見枚数は、直近三か年におきまして、各券種の合計で、二〇二一年は二千百十枚、二〇二二年は九百四十八枚、二〇二三年は六百八十一枚となってございます。これらを金額換算いたしますと、二〇二一年は約二千八十三万円、二〇二二年は約九百十八万円、二〇二三年は約六百一万円でございます。
○藤巻委員 今、真贋を確認するための手間暇とか社会的コストがかかると言ったんですが、これは別に、新紙幣に変えたところでそのコストが減るわけではないということだとは思います。
全国の日本中の自動販売機、券売機、精算機、セルフレジ、これを新紙幣に対応させるのにかかる費用が五千億円。一方で、防げるかもしれない偽造による損失額は年間一千万円とか二千万円ですよね。必要経費は五千億円で、得られるリターンが年間一千万円とか二千万円。これは、得られる金額よりも失う金額の方がはるかに多いんじゃないでしょうか。
民間の事業だと考えると、普通こんなことは絶対やらないと思うんですよ。紙幣偽造を防ぎたいなら、警察の人員を増やして、犯人検挙に力を入れた方がはるかに効率的だとは思います。新紙幣の発行、コストとリターンが全く見合っていないというふうに私は感じるんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○鈴木国務大臣 先ほど理財局長から答弁がありましたように、近年の偽造紙幣の発見枚数、これは数百枚から二千枚程度となっておりますが、偽造紙幣による経済的損失、これは偽造紙幣を受け取った人が直接的に被る経済的な損失というものにとどまらずに、一たび偽造紙幣に対する不安が広まれば、円滑な経済取引が阻害されることによる経済的損失や社会的混乱、これは決して小さくないものと考えております。
でありますので、経済活動の大きな基盤となる紙幣に対する不安というものがあれば、これは大きな影響を与えるのであって、これは単にコストがどれぐらいかかるかというような話ではない、そういうふうに思っているところでございます。
そういう面から、偽造紙幣によります被害や社会的な不安が現に発生してから対応するのではなくて、偽造の試みを抑止するため、定期的に改刷を行い、経済的損失や社会的混乱を未然に防止すること、これが極めて重要である、そのように考えているところであります。
○藤巻委員 もちろん、その必要は私も認めるところではあるんですけれども、ただ、やはり日本中の機器を五千億円をかけて全部変えるというのは相当な社会的コストであるというふうに感じているのは事実です。
もちろん、今更中止というのは難しいとは思うんですけれども、準備の方、これは新五百円玉のときは対応できない機器が多くて、今も使えない機器も多いと思います。今回は全ての紙幣でございます。五百円玉は使えなくても何とかなりますけれども、紙幣が使えないというふうになると話は別です。これは五百円玉のときとは訳が違います。混乱等は起きないでしょうか。大丈夫でしょうか。
○鈴木国務大臣 財務省におきまして、日本銀行などと連携をして、市中の金銭機器の開発、改修が円滑に行われるために必要となる情報の提供を行ってきたところでありまして、現在、民間において準備が着実に進められているものと承知をいたしております。
金銭機器メーカーの業界団体からは、改刷の実施までに、金融機関のATM、鉄道等の乗車券券売機、スーパーの自動釣銭機など、多数の人が利用する場所での改修はおおむね完了すると聞いているところであります。
○藤巻委員 是非しっかりした対応をよろしくお願いします。
慣例で二十年に一回ぐらいのペースで新紙幣を発行しているとは思うんですけれども、二十年後にまた新紙幣を発行するかというような話にはなると思うんですけれども、そのときは改めて、コストとリターンがどうなっているのか、しっかり見極めていただくように、よろしくお願いいたします。
ちょっと関連して、新紙幣発行を機に変えてほしいことがちょっと一つ、軽くありまして、コインパーキング、これは精算機で一万円とか五千円札を使えるようにすべきじゃないかなというふうに思っておりまして、これは最近、特に都心部のコインパーキングの料金が高くて、支払いが二千円、三千円を超えることはよくあります。でも、多くのところで一万円札や五千円札が使えないというようなところです。キャッシュレスに対応していないところも多いというふうには思います。
これは、三千円ちょっとの支払いをするのに、千円札三枚、コインがなければ千円札四枚必要なんですけれども、持っていないことが多くあります。それで、千円札を調達するためにコンビニや銀行に行っている時間に課金されて、支払い料金が増えている。一万円札が使えないのは向こうの都合ですよね。こちらが向こうの都合に合わせて千円札を準備してあげているのに、その隙に課金する、これは法的に許されるんでしょうか。
通常日本国内で流通している一万円札を使わせずに、やむを得ず千円札を調達している隙に課金をする、これは到底納得できないです。悔しい思い、納得ができない思いをしている人はたくさんいると思うんですけれども、これは詐欺には当たらないんですか。国交省として、ちょっと法的解釈に基づいた公式の見解をお答えいただければと思います。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
駐車場法、都市における自動車の駐車のための施設の整備に関して必要な事項を定めている駐車場法においては、一定規模以上の一般公共の用に供する時間貸し駐車場の構造、設備及び駐車料金の額について一定の基準への適合を求めておりますが、駐車料金の支払い手段については定めておりません。
なお、一般論として申し上げれば、駐車料金の支払い手段について、利用者の利便性や設備投資費用などを考慮しつつ、個々の駐車場管理者において判断されるものと認識しております。
以上でございます。
○藤巻委員 一万円札を使わせないで、千円札を準備している隙に課金するというのは、法律で全く定義されていないと、一ユーザーとしてはちょっと納得がいかないところではあるので、何かしらの検討を考えてほしいところではあるので、よろしくお願いいたします。
国交省さんに来ていただいているので、納得ができない関連で、もう一個ちょっと質問をさせていただきたいんです。首都高の渋滞についてなんですけれども、首都高は渋滞がすご過ぎて、下道を使うより時間がかかってしまうこともかなり多いとは思うんです。
それ自体はしようがないかなというふうに思うんですけれども、首都高、首都高速道路、首都を高速で移動できるとうたって利用者からお金を取ってみて、いざ利用してみると、高速どころか低速。これはいいんでしょうか。高速を宣伝文句に利用者からお金を取って、利用してみたら逆に低速。これは利用者をだましていることにはならないんでしょうか。
これは高速道路じゃなくて、首都高速じゃなくて首都低速道路。首都高じゃなくて首都低に名前を変えろとまでは言わないんですけれども、高速で移動できることもあるんですけれども、道路が完成した当初、首都高じゃなくて有料自動車専用道路という名称にしなかったのは一体何でなのでしょうか。国交省としての見解をお答えください。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
高速道路の定義ということでございますけれども、高速道路株式会社法におきまして、高速道路とは、高速自動車国道、自動車専用道路並びにこれと同等の規格及び機能を有する道路というふうに規定をされております。首都高速道路につきましては、高速自動車国道ではありませんが、自動車専用道路ということで、高速道路に該当するということでございます。
委員からも御指摘がございましたけれども、高速道路につきましては、速達性などのサービス水準を高めることが重要だ、これは我々も思っております。
したがいまして、首都高速におきましても、ネットワーク整備や付加車線の設置など、渋滞対策を進めてきたところでございますので、引き続き、速達性の向上を図る、渋滞を減らすといったようなことで対策に取り組んでまいりたいと思います。
○藤巻委員 そうですね、渋滞解消、よろしくお願いします。
渋滞がすごいだけじゃなくて、首都高は構造が危な過ぎるというふうにも私は感じております。例えば、すぐそこの霞が関の入口なんかのところの合流だったり、天現寺の先の合流なんか、これは右側から合流しなくちゃいけない上に、合流レーンも非常に短い。
首都高はカーブが多くて、分岐や合流も複雑で多くて、事故の温床だと思います。通常の交通安全観念からは大きく乖離した異常な構造というふうに感じるんですけれども、一九六四年の東京オリンピックに間に合わせるために、ほぼ安全性を無視して突貫工事で造ったというのが国交省としての公式な見解になるんでしょうか。
古い話を蒸し返すなというようなところなんですけれども、無理やりオリンピックに間に合わせることにこだわらず、時間をかけて、渋滞の少ない安全な道路を造るべきだったんじゃないでしょうか。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
首都高速道路につきましては、委員御指摘のとおり、昭和三十九年の東京オリンピックを円滑に開催するという社会的要請を踏まえまして、整備を急ぐ必要があったことから、用地買収をできるだけ減らすよう、公共用地であります河川を道路空間として活用したことなどにより急カーブ区間等が存在しているといったことは、これは事実でございます。
道路という役割を果たすということからいたしますと、利用者の安全性確保、交通事故発生時の通行止めによる社会的影響の観点から、交通事故を削減していく必要がございます。そのため、首都高速道路におきましても、本線上への減速レーンマークの設置による速度抑制対策でありますとか、出入口へのポストコーンやカラー路面標示の設置による逆走、歩行者、自転車立入り対策などの対策を実施してきているところでございます。
その結果といたしまして、首都高の交通事故件数でございますけれども、平成二十四年、約十年ちょっと前は千件ございましたけれども、十年後の令和四年には約六百件に減少したところでございます。
昭和三十九年当時と比べますと、いろいろ道路の構造といったものも変わってきております。道路構造令に、大きな改築をするといったときには当然それに適合していくといったような形で、安全対策も含めて対応しているところでございます。
○藤巻委員 老朽化も進んでいると思いますので、そういった老朽化対策も併せて、どうかしっかりとよろしくお願いいたします。
またちょっとテーマは変わりまして、暗号資産について議論させていただければと思っております。
代表的な暗号資産であるビットコインの時価総額は、今年三月に一兆三千五百億ドルに達し、銀に並んだとされています。暗号資産は、ブロックチェーン技術に裏づけられた頑強なシステムの下、安価で速い国際送金が可能です。また、金融システムが脆弱な新興国においては銀行に代わる送金手段として活用されたり、グローバル経済の成長に資するものであるというふうに私は考えております。
各国でその制度の整備が急ピッチで進められているところであり、日本においても後れを取るべきではないというふうに考えておりますが、暗号資産及びその裏にあるブロックチェーン技術の発展、これは我が国のグローバル経済の中での国益を確保していくためにも重要であるというふうに考えておりますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○鈴木国務大臣 暗号資産それからブロックチェーン技術に対する評価、また今後の活用可能性ということのお尋ねだと理解いたしましたが、暗号資産につきましては、低コストの決済手段として有用といった肯定的な意見もある一方で、マネロンリスクや投機のリスクを指摘する意見もあり、その評価はまだ定まっていないと考えております。
他方、その基盤となりますブロックチェーン技術については、様々な分野での利活用の可能性が指摘されており、こうしたイノベーションが従来のインターネットの在り方を変え、さらに、経済の発展や社会変革の可能性を秘めているものと承知をいたしております。
そのため、金融庁といたしましては、これまで、利用者保護やマネロン対策等を確保しつつ金融分野におけるイノベーションを促進する観点から、暗号資産やステーブルコインに関する制度整備を行ってきたところであります。
引き続き、金融機関や事業者との意見交換等を通じまして、ブロックチェーン等のデジタル技術の進展をしっかりとフォローをして、必要に応じた制度整備を行うなど、健全なイノベーションの促進に向けて取り組んでいきたいと考えております。
○藤巻委員 おっしゃられるように、暗号資産、これは犯罪に使われることも多く、負のイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、それは、包丁は殺人事件に使われるから、包丁は悪いというふうに言っているのと同じで、暗号資産もしっかりとした法整備の下、プラットフォームを確立していけば、グローバル経済の成長に資するものであるというふうに考えております。
その上で、今後どのように暗号資産が使われる犯罪を防いでいくかという視点から、ちょっと質問させていただければと思います。
警察庁によると、令和五年のSNS型投資、ロマンス詐欺の被害総額は四百五十億円を超えるとのことです。その被害のほとんどが暗号資産送金か銀行振り込みで行われています。暗号資産送金型に関しては、一旦送金してしまうと被害金の回収が難しいのが現状となっております。
しかしながら、被害者の多くは、新規の暗号資産口座を開設した上で、その直後に、アンホステッドウォレットと言われる、どこの暗号資産交換所にもひもづかない特定困難なウォレットに振り込みをするという類型的な行動を取っています。その観点から、交換所は、犯罪に関わる暗号資産送金の予知は十分に可能であり、疑いのある送金は一時送金をストップするなどの対応はできるというふうに考えております。
被害の事前予防のため、金融庁としては、どのような対策を考えておられるでしょうか。
○鈴木国務大臣 暗号資産を用いた投資詐欺等につきましては、金融庁の利用者相談室にも多くの相談が寄せられておりまして、利用者保護等の観点から重要な課題であると認識をいたしております。
こうした投資詐欺等を防ぐには、暗号資産交換業者においては、顧客の取引のモニタリングを通じた詐欺が疑われるような取引の検知や、詐欺が疑われる取引について改めて取引目的を顧客に確認するなどの追加調査を実施し、その結果に応じて、講ずべきリスク低減措置を的確に判断、実施することなどが重要でありまして、金融庁としても、暗号資産交換業者に対しまして適切な体制整備を促しているところであります。
また、特に、顧客の暗号資産をアンホステッドウォレットに移転する際には、取引相手のアンホステッドウォレットの属性について調査分析等を行うことを求めております。
金融庁としては、暗号資産交換業者において投資詐欺の被害防止等のための取引が適切に行われますように、引き続きしっかりとモニタリングをしてまいりたいと考えております。
○藤巻委員 そういった部分、是非よろしくお願いいたします。
また、暗号資産が海外の暗号資産交換所に送金されている場合は、送金先の暗号資産交換所が把握できても、交換所が被害者からの問合せに応じなく、被害回復が進まないケースがほとんどです。こういった海外の暗号資産交換所は、日本国内にもグループ会社として暗号資産交換所を有していることも多いんですけれども、国内グループ会社を経由して情報開示等を働きかけていくことはできないのでしょうか。
被害回復の観点からも、海外の暗号資産交換所に対して、今後、どのような対応を考えていますでしょうか。
○鈴木国務大臣 繰り返しになりますけれども、暗号資産を用いた詐欺、投資詐欺等につきましては、利用者保護等の観点から重要な課題であると金融庁としても認識をいたしております。
その上で、御指摘の詐欺被害者の暗号資産が金融庁の登録を得ていない海外の暗号資産交換所に移転された場合の対応については、金融庁は、登録を受けて暗号資産交換業を行う日本法人を有するか否かにかかわらず、海外の交換所に対する直接的な監督権限を有しておりませんけれども、そのような情報に接した際には、日本法人を有するグループの場合には、日本法人に対して情報を提供しグループ内での共有を求めることや、捜査当局に対して、捜査活動の際に必要に応じて活用するための情報を提供することなど、必要な対応を行ってまいります。
加えまして、グループ内の海外交換所においてマネロン対策の不備が疑われる場合には、日本法人にも同様の不備がないかについて、しっかりと確認をしてまいります。
○藤巻委員 被害の端緒となるプラットフォーマーによる偽広告に対する規制などについては議論が進みつつあるところなんですけれども、被害者の被害回復、被害予防のための議論は十分に進んでいるとは言えないのが現状です。暗号資産、ブロックチェーン技術の健全な発展のためにも、被害を事前に予防し、また被害回復を進めていくことは極めて重要でありますので、しっかりとした対応をよろしくお願いいたします。
最後に、暗号資産の税制について質問させていただきます。
自民党のデジタル社会推進本部のウェブ3プロジェクトチームがホワイトペーパーを作成して、その中で次のような提言をしております。暗号資産取引で生じた損益を申告分離課税の対象とすること、損失の所得金額からの繰越控除を認めること、暗号資産デリバティブも申告分離課税の対象にすることの検討を行うこと、それから、損益は保有する暗号資産を法定通貨に交換した時点でまとめて課税対象にすることの検討を行うこと。
私は、もう本当にこれらの提言に全面的に賛同するところでありまして、特に、損益を申告分離課税とすることに関しては早急に進めるべきと考えます。総合課税から申告分離課税とすることで、人材や資金の海外流出を防ぐことができ、ブロックチェーン技術の発展が見込めると同時に、海外に流れた暗号資産取引が国内に戻って、結果として税収増も見込めるところでございます。
この数年間、国会で議論も多くなされてきました。自民党のプロジェクトチームの提言もあります。機は熟しつつあるとは思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○鈴木国務大臣 暗号資産取引をめぐる課税の在り方につきましては、その市場の発展の影響の観点を含め、業界団体や経済団体等に様々な要望があることは承知をしております。
しかしながら、暗号資産取引による個人所得を申告分離課税とすべきとの御意見につきましては、給与や事業による所得は最大五五%の税率が適用される一方で、暗号資産取引による所得は二〇%の税率とすることについて国民の理解を得られるかどうか、株式のように、家計が暗号資産を購入することを国として推奨することが妥当なのかなど、様々な論点があると考えております。
こうした論点を踏まえて、丁寧な検討をする必要があると考えているところです。
○津島委員長 藤巻君、時間が経過しております。
○藤巻委員 検討していただけるとのお言葉をいただきました。ありがとうございます。是非しっかりと、よろしくお願いいたします。
これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○津島委員長 これにて藤巻君の質疑は終了いたしました。
次に、掘井健智君。
○掘井委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の共同会派の掘井健智でございます。
財政健全化は財務省の任務でありますけれども、我々政治家の仕事は、経済成長若しくは行政サービスの拡大とその財政とのバランスでありますから、どうしても財務省と意見が合わないということがあります。
令和六年三月五日開催されました財政制度分科会の議事録を見ました。出席委員の発言の一部を御紹介いたします。
税収増の期待があったとしても、プライマリーバランスは赤字だから、税収増で増えて使ってしまったら元も子もない、こういう発言もありました。また、財政赤字の問題が国民にちゃんと伝わっていない、税金はいまだに年貢であって、公共サービスはただ飯で空から降ってくると思っている、受益と負担の乖離が国民に伝わっていないから、いかに財政赤字であるかを伝えていかなければいけない、こういう発言がありました。
要約いたしますと、プライマリーバランスが優先だから、経済がよくなって税収増になっても行政サービスするな、また、行政サービスをしてほしかったらそれなりの負担をしろ、こういうことを言っているんです。
この財政制度等の審議会、これは、財務省の都合がいい人が集まって、本当に極端な財政破綻論を展開しているようにどうしても見えてしまうんです。もちろん財政健全化は大事でありますから、それでも健全化にも度合いがありまして、やはり統合的な計画が必要であって、世界で最も市場から信認を得ている我が国の財政がにわかに破綻するからと必要以上に騒ぐ姿に、非常に違和感を持っております。
質問します。財政健全化における資産評価について質問します。
バランスシートは、財政状態を把握するための国の信用の評価であります。資産を適切に評価しバランスシートに表示するということは、政府の財政状態を正確に反映するために重要であると思っております。
しかし、国の財政の現状について、国の保有する資産を差し引いた純債務残高で考慮すべきではないかという参議院の財政金融委員会での質問に対して、財務大臣は、国が保有する資産は非金融資産も金融資産も換金しにくいから負債と相殺することはできない、このように答弁されております。
資産は将来的にキャッシュフローやほかの経済的利益を生み出すと期待される資源や権利のことでありますから、資産を、換金の容易、可能性ではなくて、運用や業務に不可欠かどうかで判断するものであると考えておりますけれども、この大臣の答弁の意図することについて改めて伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 二年前、令和四年三月十六日の参議院の財務金融委員会における私の答弁についてでありますけれども、その趣旨を申し上げますと、まず、国の負債である国債については、償還期限が来た際には、税収や借換債の発行によって資金を確保した上で、決まった償還期限において確実に償還されるべき性質のものでありますが、一方、国の保有する資産、特に道路でありますとかダムなどの非金融資産については、流動性や市場性に乏しく、売却が困難であることから、国債等の負債と見合いで相殺して財務状況を見ることがなじむ性質のものではないと考えております。
なお、国の保有いたします資産のうち金融資産について、年金積立金や為替相場の安定のために保有する外貨準備などは、見合いの負債が存在していることから、換金して他の財源に活用することが不可能であります。
こうした趣旨から、これまでも国会等で説明させていただいてきたとおり、国が保有する資産について、単純に負債と相殺することや新たな財政支出に充てることができる財源として認識するといったことは適切ではないという点について答弁をさせていただいたわけでございます。
○掘井委員 それはやはり間違っていると思いますね。相殺というよりも、やはりネットで考えるべきでしょう。これは簿記の基本や思うんですね。企業会計はそうなっております。だから、僕、売ってくれと言うているわけじゃないので、国の評価でありますので、よく考えていただきたい、このように思います。
次の質問です。プライマリーバランスの黒字化達成の見通しについて質問します。
与党内では今まさに財政健全化の議論が行われており、六月に骨太の方針が決定されます。財政健全化の指標といたしましてプライマリーバランスの黒字化を目指してきておりましたが、果たして税収と税外収で政策的経費を賄うなんてことは、前々から、これはできるのか疑問に思っておりました。この見通しについてお伺いします。
○鈴木国務大臣 内閣府から出されました中長期試算では、成長実現ケースにおいて、二〇二五年度時点の国、地方のプライマリーバランスは、歳出が自然体で伸びる場合には赤字となりますけれども、歳出効率化努力の継続を前提とすれば黒字化するという姿がそこに示されております。
この目標の達成には、高い経済成長と歳出効率化努力の継続、この両立が必要でありまして、決して容易なものではない、容易ではありませんけれども、政府としては、デフレからの完全脱却を果たして経済を立て直すことと併せて、緊急時の財政支出を長期化、恒常化させないよう、歳出構造の平時化を進めることとともに、行政事業レビューなどを活用することで、より一層の予算の効率化と無駄の削減に取り組むなどの歳出歳入両面での改革努力を着実に推進をし、その目標の達成を目指していきたい、そのように考えております。
○掘井委員 経済がよくなって税収が増えるということは期待するところでありますけれども、なかなか、今の日本の政府のバランスシートを見ますと、何百兆円の赤字ですよね、それを埋める。プライマリーバランスの赤字というのはプラマイ・ゼロでありますから、そんなことできるのかということで。
大臣は、経済の成長、それと経費を削減するということがありましたけれども、経費も、必要な行政サービスはしていかなあかんということでありますから、していくということであります。
増税という方法がありますけれども、大臣は、増税、プライマリーバランスを黒字にするのは増税が一番早いと思いますけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○鈴木国務大臣 今、二〇二五年度のPB黒字化を目指して努力をする、今の財政健全化目標はそれしかありませんので、それに沿って全力を挙げるということであります。
そして、二五年PB黒字化のために何か増税をするということは、今考えているところではありません。
○掘井委員 分かりました。増税は考えていないということであります。
プライマリーバランスの黒字化の目標は、究極の目的は財政破綻の防止であると思うんですけれども、プライマリーバランスの赤字で破綻している国なんか聞いたことがないんですね。財政健全化指標はもっと現実的な指標で見るべきだと思っております。
次の質問です。財政健全化と国債の利払い費について質問します。
二〇二四年二月の十九日の日本経済新聞の記事に、高過ぎる想定金利、財務省、財政健全化の新目標へ布石かという記事が出ておりました。これまでは、政策的経費を対象に、税収と税外収入で賄えるかが問題でありましたのに、加えて利払い費を賄う対象となりますと、財政健全化の実現のハードルが上がってしまうことになると思うが、大臣、御所見はいかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 利払い費の話でありますけれども、今後の長期金利等の動向につきまして、これを一概に申し上げることは困難でありますけれども、一般論として申し上げれば、我が国の高い債務残高対GDP比を踏まえますと、今後、金利が上昇し、利払い費が増加すれば、他の歳出予算を圧迫し、財政硬直化につながるおそれがあると考えております。
したがいまして、今後の財政運営に当たっては、このようなリスクも考慮に入れて、財政の持続可能性への信認が失われることがないよう、適切なかじ取りを行うことが重要だと思っております。
政府としては、プライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化するとともに、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくこと、これを財政健全化の目標として現在掲げておりまして、まずはこの目標の達成に全力で取り組むことが必要であると思ってございます。
その後の目標につきましては、現時点でまだ確たるものを申し上げることはできませんけれども、中長期的な財政の持続可能性への信認を確保していくために財政健全化に向けた努力を継続していくことが重要と認識しておりまして、そのための目標の在り方については、御指摘の金利の動向はもとより、今後の財政需要の動向や経済成長の見通しまで様々な要素を総合的に踏まえつつ、よく検討してまいりたいと考えております。
○掘井委員 これまでの債務残高とGDPの比率ではなくて、利払い費とGDPの比率にシフトがありつつある、国際的に。そんな流れがありますけれども、六月に骨太の方針がまた新しく作られますけれども、こんな中にそれが、その概念というか価値観というか、反映されていくということはあるんでしょうか。
○鈴木国務大臣 先ほどちょっと先走って答弁してしまいましたけれども。今決まっておりますのは二五年度のPB黒字化ということでありますが、次なる財政健全化目標につきましては、今まさに検討を始めているという段階でありますので、確実なものを申し上げることはできませんけれども、まずは中長期的な財政の持続可能性への信認を確保すること、そのためには、財政健全化に向けた努力を継続していかなければならないと思っております。
そして、その目標の在り方については、先生からお話がございました利払い費のこと、あるいは金利の動向、そういうものはもとより、今後の財政需要がどうなっていくのか、それから経済成長の見通し、そういった様々な要素がありますので、そういうものを総合的に踏まえつつ、よく検討してまいりたいと考えております。
○掘井委員 時間がありませんので、次の質問に移ります。
令和六年度の積算金利について質問します。
マイナス金利を解除しても、日銀は依然として国債を買っていくということでありますから、長期金利がにわかに上がるということは想定しにくいと思います。
しかし、想定金利は財務省のさじ加減で決まっているようにも見えるんです。財政の負債にあります利払い費、現在一・九%の想定金利は非常に高いように思います、実勢と比べて。自分で想定した高い利払い費を捉えて負担であると言うのは非常にナンセンス、このように見えますけれども、予算計上の根拠について教えていただきたいと思います。
○寺岡政府参考人 お答え申し上げます。
予算上の国債の積算の際に用いられる積算金利についてのお尋ねでございますが、これは将来の金利動向を正確に見通すことが困難な中、かねてより、国債の利払い財源が万が一にも不足することのないよう、十分な予算計上を行うという考えの下で設定をしているものでございます。
令和六年度予算における積算金利、これは一・九%としてございますが、予算編成当時の長期金利の水準が〇・八%であったこと、今後の金利上昇に備える趣旨から、過去に一・一%上昇した例があること、こうしたことを勘案して設定したというものでございます。
○津島委員長 掘井君、時間が経過しております。
○掘井委員 はい。時間ですので、最後にコメントだけ。
やはり、今お聞きしますと、予算や計画が金利の上昇による負担を吸収できるために高いということでありますけれども、そのリスク管理とともに、財政の安定化の確保もそこにあると思うんですね。余りにも高い金利を想定すれば、やはりそれが国民の懸念や不安を引き起こしたり、逆に財政への不信感をもたらすようなことも考えますので、バランスと説明責任を今後もしていただきたい、このように思いまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○津島委員長 これにて掘井君の質疑は終了いたしました。
次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
消費税インボイスについて質問します。
前回の質問でも問題提起したんですが、消費税の確定申告をした個人事業者のうち、インボイス登録者は百九十八万五百五十七者、約二百万者。そのうち、元々免税業者でインボイス登録した者が百六万者、五三%にも達しています。
売上げ一千万円以下の層でこれだけ新規課税業者が増えているのですから、確定申告をしていない、あるいは、確定申告をしたけれども納税できていない、こうした事業者が大幅に発生するのではないかと私は考えています。
少なくとも、国税庁は、今年の確定申告の速報値を把握しています。速報値を前提にした、確定申告を終えた消費税課税事業者の滞納件数及び滞納率の増減の見通しについて説明をしていただけますか。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
国税庁におきましては、例年、五月下旬を目途に、所得税及び個人事業者の消費税に係る確定申告の状況を公表しておりまして、本年も同日程による公表を目指しておりますので、現時点において、申告件数の状況についてはお答えは困難であることを御理解いただきたいと思います。
その上で、インボイス発行事業者の登録を得ている個人事業者の納付状況につきましても、国税当局において、現在、集計作業が必要であるということで、現時点でお示しすることはできないということを御理解いただきたいと考えております。
○田村(貴)委員 私がなぜこれを質問するかというと、消費税の納税、これは大変なんですよ。
先ほど末松議員も取り上げましたけれども、四月二十六日、インボイス制度を考えるフリーランスの会が、インボイス問題検討・超党派議員連盟の会合の場所で、七千人実態調査報告を公表しました。
資料一を御覧ください。インボイスの導入による消費税と事務の負担が耐え難いものになっています。
上の棒のグラフです。インボイス登録した事業者のうち六割超が、消費税や事務負担の費用を転嫁できず、身を削って補填したと回答しています。これは、売上げ、貯蓄などから捻出と書かれています。しかも、消費税を納税した事業者のうち、約一割が借入れをしたというふうにされています。
下の円グラフです。借入れをした額は、事業者の約六割が五十万円未満です。しかも、十万円未満の少額の借入れが約四割を占めています。このような少額ですら借金をせざるを得ない自営業者、フリーランスの実態が浮き彫りになっています。
そして、この調査で寄せられた自営業者の声をちょっと紹介したいと思いますが、例えば運送業の方です。副業として貨物軽自動車運送事業を行っているが、インボイス制度開始とほぼ同時に業務の依頼が激減した、そして今月いっぱいでこの事業からの撤退を決定した。建設、土木の方、下請の免税事業者の廃業、倒産で事業が継続できなくなる、連鎖倒産への不安がある、実際に業界全体で前期より仕事が減っているし倒産も増えている。医療、福祉の方、医師会に、医師会はインボイスで増える負担をインボイス登録していない開業医への支払いを減らすということで補う、この念書を取られた、独禁法ぎりぎりだ、こんなことでは開業医はやっていられない、廃業も考えていると。
大臣、廃業という言葉がどんどん出てきているんですよ。しかも、今挙げた職種は国民生活に欠かせない事業です。しかも、人手不足が問題となっている業界で、インボイスが起因となって廃業を促進するなど、これはあってはならないことではありませんか。
大臣、いかがですか。この状況をいかに受け止めておられるか。これでもインボイスによる影響は大したことはないとおっしゃるのか。答弁を求めたいと思います。
○鈴木国務大臣 このストップ!インボイスが実施されましたアンケートは、私ども財務省としても、その中身はしっかりと見させていただいているところでございます。
そして、こういった税制によって、要するに、インボイス制度によって廃業があるというようなお話も伺ったところでありますけれども、税制と、そうしたことの職業選択のことを考えてみますと、税制の中立原則との関係ということになるわけでありますけれども、中立原則とは、租税制度が職業、資産移転、企業立地などの納税者の選択をゆがめるべきではないとの考え方でありまして、これを踏まえますと、インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を確保するためのものであって、特定の者に税の恩恵を与えたり税負担を課すものでないため、納税者の選択をゆがめるものではなくて、中立原則に反するものではない、こういうふうに考えております。
実態としてこういうアンケート調査が出されているということについては、しっかりと受け止めさせていただきます。
○田村(貴)委員 もうずっとこの議論をしてきているんですけれども、受け止めて無策なんですよ。経済の好循環だ、賃上げだと政権挙げて言われるけれども、インボイスの導入によって、中小事業者、フリーランスの方、経営が悪化しているじゃないですか。やっていられないという状況になっているじゃないですか。やめるべきですよ。早く確定申告の調査結果を出してください。また質問します。
続いて、滞納処分の捜索について質問します。
東京商工リサーチは、社会保険料を含む税金滞納に起因する倒産が前年度比三・四倍に急増、コロナ禍後で最多を記録したとのレポートを公表しました。ゼロゼロ融資などで経営を続けてきた企業の収支が改善する間もなく、税金や社会保険料の滞納整理が進められ、倒産、廃業に追い込まれています。
滞納処分について質問します。
国税徴収法第百四十二条で規定されている捜索の目的について説明してください。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
国税徴収法第百四十二条の捜索は、差し押さえるべき財産の発見や差し押さえた財産の引揚げなど、滞納処分のために必要がある場合に行うものでございます。
○田村(貴)委員 この捜査の権限は、令状なしに、納税者等の基本的人権の侵害を認める公権力の行使と理解されます。したがって、徴収職員は、何をしていいものでもなく、捜索の調査範囲は滞納処分に真に必要なものに限定すべきであります。そうですよね。ましてや、納税者らのプライバシーに触れる行為は、十分して行わなければなりません。
例えば、たんす、衣装ケースの中身を調べる場合に、下着などが入っていることはあります。捜索に当たっては十分な配慮が必要なケースと考えますが、国税庁は、プライバシー保護の観点から、どのような手順を踏むように指導していますか。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
国税徴収法における捜索は、滞納者が質問に応じないために財産の所在等が明らかにならない場合など、滞納処分のために必要があるときに行う強制調査でございます。
したがいまして、法令上、徴収職員は、戸や金庫などを自ら開くために必要な処分をすることができることとされておりますが、通達上、このような処分は、滞納者等が徴収職員の開扉の求めに応じないなどやむを得ない場合に限り行うこととしております。
また、国税の滞納整理におきましては、こうした捜索を行うに当たりましては、捜索を行う場所や物の状況に応じまして、滞納者のプライバシーの保護に十分配意して適切に実施することとしております。
○田村(貴)委員 プライバシーの保護に十分注意するということでありました。
たんすや金庫の中というのは当然のことですけれども、家の中の様子や納税者本人、家族を例えばビデオ撮影するなどというのは、滞納処分とは全く関係のない行為に入ります。プライバシー侵害にもなりかねません。
国税庁は、納税者のプライバシーを侵害するようなビデオ撮影については、指導したり、あるいは奨励したりしているんですか。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
国税の滞納整理における捜索の実施に当たりましては、滞納者等のプライバシーの保護に十分配意して適切に実施することとしておりまして、捜索に際しビデオ撮影を行うといったことは奨励していないということでございます。
○田村(貴)委員 それでは、地方税について、総務省にも確認します。
地方税の滞納処分は、国税徴収法に準拠しています。捜索において、納税者のプライバシーの配慮についてどのように運用するよう指導されていますか。今話があったように、納税者のプライバシーを侵害するようなビデオ撮影を指導したり、奨励したり、そういうことをしていますか。地方税の徴収実務において、国税庁と運用指針は同じ考えというふうに受け止めてよろしいですか。
○池田政府参考人 お答えをいたします。
委員お尋ねの件については、国税庁と同様の認識を有しておりまして、ビデオを撮影することを奨励するようなことはしておりません。
その上で、総務省といたしましては、各地方団体等における個別具体の事実関係を承知する立場にはございませんけれども、留意事項等を示した通知におきまして、納税者に損害や不利益を与えることがないよう、地方税の賦課徴収に関する個人情報の取扱いに万全を期していただきたい旨も通知をして、お示ししているところでございます。
○田村(貴)委員 資料の二を御覧いただきたいんですけれども、宮城県滞納整理機構が、住民税や国民健康保険料などの滞納者の自宅を訪問し、ビデオ撮影をしながら、たんすなど、中身を全て開けて捜索したと納税者から話を聞きました。この納税者は、幾ら税金を滞納しているからといっても、プライベートなたんすの中身などを見られ、それが録画されるのは余りにも恥辱だと憤っておられます。
この滞納整理強化月間、宮城県の広報物を見ますと、滞納者宅捜索の様子の写真に写っている二人の徴収職員は、それぞれビデオ撮影を行っていますね。このような場面を広報に掲載するんです、県の。それほどだから、宮城県の徴収の現場ではビデオ撮影が常態化しているというふうに考えられます。
総務省、これは自治体任せにしていますと、滞納者の人権を無視し、そして圧力になりかねないビデオ撮影を使った捜索が全国に広がりかねません。地方税法を所管する総務省が基準を明確にする必要があるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
委員が御指摘になられた宮城県の事例、この個別具体の事実関係を総務省として承知する立場にはございませんが、まずは、これがどのような状況で必要性になって行われたものなのか、よく伺ってまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 そのビデオ撮影は指導も奨励もしていないと、財務省も、そして総務省も言われたんだと。これは県のホームページに、しかも県の広報として載っているわけですよね。これは実態をちゃんと掌握していただきたい。すぐにやっていただきたいと思います。
不当な捜索をやめるために、個人のプライバシーとか、あるいは個人情報に触れる部分、ビデオというのは一回スイッチを押したら何でも撮れますからね。音声も記録できます。そして、カメラを向けたら何でも映りますから。そういうことがないように、やはり正さなければいけないんじゃないでしょうか。
地方税の徴収実務について、地方税法上の督促、滞納処分のための質問、検査、差押え等については、公務員の中でも徴税吏員に限定して認められています。公権力の行使だからであります。
各地で行われている徴税機構等の徴収事務の共同処理においても、この機構の共同処理においても、国税徴収法や地方税法に従い行われる公権力の行使と考えますけれども、総務省、いかがでしょうか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
この徴収事務を共同処理する組織におきましてどのような事務を担うかによるとは考えておりますけれども、広域連合や一部事務組合等の仕組みを活用いたしまして、構成団体から移管された滞納事案について滞納処分を行う場合、これについては、当該滞納処分は公権力の行使に当たると考えてございます。
○田村(貴)委員 公権力の行使であるならば、その徴収実務が法令遵守されているかどうかの管理監督責任は一体どこにあるんでしょうか。徴収機構等に対して委託をしている案件においても、その滞納徴収権がある自治体にその管理監督権があるのでしょうか。どこにあるんでしょうか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
これは、共同処理している組織の組織形態によりまして変わってございます。広域連合や一部事務組合の仕組みを活用している場合、これは、構成団体から権能がそのまま移管されて、構成団体の権能からは除外されておりますので、構成団体から広域連合等に移管された滞納事案については、当該広域連合等の規約に基づいて滞納処分等を行うこととなります。
一方、この宮城県の例がそうなんですが、法人格のない任意組織においては、滞納処分等の事務を行う職員について、構成団体の徴税吏員として相互併任発令を行うのが一般でございまして、こうした任意組織が取り扱う地方税等に係る滞納事案につきましては、当該任意組織を構成する各地方団体の長の名において滞納処分等の事務を処理しているものと承知しております。
○田村(貴)委員 いろいろなケースがあるということだったんですけれども、このくだんの、家の中に入ってきてビデオを撮られて、たんすの中身まで見られて恥辱を受けたという方は、じゃ、一体どこに相談していったらいいんでしょうか。どこにこのことを知らせて、そして正してもらったらいいんでしょうか。
○池田政府参考人 個別具体の事案についてお答えいたしかねますが、一般論でございますが、先ほど申し上げました任意組織によって行われている場合、まずはその組織に言うという手もございますし、また、滞納処分は、当該、その方のお住まいの市町村長の名で行われるものでございますので、その市町村に言っていく方法もあろうかというふうに、一般論でございますが、考えております。
○田村(貴)委員 抗議してやめないんだったら、奨励もそして指導もしていない、ビデオカメラ、そこまで国が言うんだったら、ちゃんと国の方で対応していただく以外にないじゃないですか。対応を取ってくださいね。
最後、大臣に質問します。
冒頭、商工リサーチの記事にあるように、社会保険料の滞納処分が中小零細企業、業者を廃業、破綻に追い込んでいるという報道があります。国税徴収法や国税通則法に定められた換価の猶予とかそれから納税の猶予が考慮されないままに、一回滞納すると一括返済が求められて破綻するケースも多々あるというふうに聞いています。
人権侵害とも取られるような捜索の徴収実務が平気で行われていることは、今日明らかにしました。私は、OECD各国で当たり前の納税者権利憲章がこの国にも必要だというふうに思います。納税者の権利を守っていく、この手だて。そして、不的確な、そういう捜索の在り方、これを正していくために力を発揮していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○津島委員長 鈴木財務大臣、申合せの時間が経過しております。
○鈴木国務大臣 はい。
政府といたしましては、今御指摘のございました納税者権利憲章、これを制定するかどうかというよりも、実際に納税者の視点に立った利益の保護や利便性の向上に向けた措置を手当てするとともに、その内容をしっかりと説明していくことが重要であると考えます。
国税の滞納整理につきましても、これまで、納税者の負担軽減等の観点から、例えば、平成二十六年度改正において、納税者の申請に基づく換価猶予制度の創設などの措置が講じられたほか、国税当局におきましても、法令に基づいて、滞納者の事業や財産の状況など個々の事情を十分に把握した上で、法令の要件に該当する場合には納税の猶予などの緩和制度を適用するなど、その実態に即しつつ適切に処理するよう努めていると承知をしてございます。
まずは、実際に納税者の視点に立った利益の保護や利便性の向上に向けた措置が取られることが重要であると考えております。
○田村(貴)委員 終わります。
○津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。
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○津島委員長 次に、内閣提出、事業性融資の推進等に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣鈴木俊一君。
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事業性融資の推進等に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○鈴木国務大臣 ただいま議題となりました事業性融資の推進等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
不動産を目的とする担保権又は個人を保証人とする保証契約等に依存した融資慣行の是正及び会社の事業に必要な資金の調達等の円滑化を図ることが、喫緊の課題となっております。こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、事業性融資の推進に関し、基本理念及び国の責務を定めることといたします。
第二に、事業性融資推進本部を設置し、事業性融資の推進に関する基本的な政策の企画立案及び推進や、関係行政機関の事務の調整を行うことといたします。また、本部において、事業性融資の推進に関する基本方針を定めることといたします。
第三に、事業性融資の推進のため、企業価値担保権を創設するほか、その適切な活用を確保するため、企業価値担保権に関する信託業務について免許制を導入するとともに、所要の行為規制等を整備することといたします。
第四に、事業性融資について、事業者や金融機関等に対して指導又は助言を行う機関の認定制度を創設することといたします。
その他、関連する規定の整備等を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○津島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○津島委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る十四日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会