衆議院

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第9号 令和7年3月11日(火曜日)

会議録本文へ
令和七年三月十一日(火曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 井林 辰憲君

   理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君

   理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 斎藤アレックス君 理事 田中  健君

      東  国幹君    石田 真敏君

      伊藤 達也君    上田 英俊君

      大空 幸星君    田中 和徳君

      土田  慎君    中西 健治君

      根本 幸典君    福原 淳嗣君

      古川 禎久君    牧島かれん君

      松本 剛明君    岡田  悟君

      岡田 華子君    海江田万里君

      川内 博史君    末松 義規君

      長谷川嘉一君    原口 一博君

      水沼 秀幸君    三角 創太君

      矢崎堅太郎君    萩原  佳君

      村上 智信君    岸田 光広君

      中川 宏昌君    山口 良治君

      高井 崇志君    田村 智子君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   経済産業副大臣      古賀友一郎君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   財務大臣政務官      土田  慎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 林   誠君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    高村 泰夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  長島 昭久君     大空 幸星君

  階   猛君     岡田 華子君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     長島 昭久君

  岡田 華子君     階   猛君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

井林委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 本日で東日本大震災から十四年を迎えます。

 改めて、お亡くなりになられた方々を悼み、深く哀悼の意を表しますとともに、被災地の復興を祈念いたします。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

井林委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

井林委員長 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官林誠君、財務省関税局長高村泰夫君、経済産業省大臣官房審議官小見山康二君、大臣官房審議官浦田秀行君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官木原晋一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井林委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡田悟君。

岡田(悟)委員 立憲民主党の岡田悟です。

 質問の前に一言、先ほど黙祷しましたけれども、改めまして私からも、東日本大震災、犠牲になられた全ての皆様に心から哀悼の意を表します。そして、大切な御家族や友人、知人を亡くされた全ての皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 それでは、質疑に入りたいと思います。

 今日は関税定率法等の一部を改正する法律案ということではございますが、関税、今世界的に非常に注目をされており、我が国もアメリカのある種ターゲットになるかもしれないということで、今朝、今日の未明、武藤経済産業大臣がアメリカに行かれて、ラトニック商務長官それからグリアUSTR代表ともお話をされたということでしたけれども、先ほど大臣がアメリカで会見されたそうですが、この協議がどのようなものであったのか。今日は古賀友一郎経済産業副大臣にお越しをいただいておりますので、是非その内容をお話しいただければと思います。

古賀副大臣 お答え申し上げます。

 本日未明、武藤経済産業大臣は、ラトニック商務長官、グリア通商代表、そしてハセット国家経済会議委員長とそれぞれ会談を行ったもの、このように承知しておりまして、その中におきまして、米国政府がこれまで発表してきました関税措置につきまして、我が国の米国経済への貢献、こういったことも踏まえまして、我が国がその対象になるべきではない旨を申し入れた、こういうことでございます。

 これ以上の詳細につきましては、外交上のやり取りでございまして、この場での言及は差し控えさせていただきたいと思います。

 以上です。

岡田(悟)委員 報道によりますと、大臣がお話しになっている記者会見の映像が出ておりましたけれども、アメリカ側から、まず、鉄鋼、アルミニウムの関税引上げの対象になるかどうかについて言質を得られなかった、その他、自動車等についても、日本が対象になる可能性があると言われているわけですけれども、これについても、NHKですけれども、米の関税措置、日本を除外するという話にはならずというふうに大臣もおっしゃっているようですけれども、こういう認識でよろしいでしょうか。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 今回、武藤経済産業大臣から米側に日本の立場をお伝えしましたが、日本を関税措置から除外するとの確認までが取られているわけではないというふうに承知をしております。

 引き続き日米で協議がなされていくものと承知をしており、現時点ではそれ以上のコメントを控えさせていただきたいと存じます。

岡田(悟)委員 自動車については、カナダ、メキシコが今、先日から、一か月関税の引上げを猶予されているという状況。それとは別に、トランプ大統領が取りあえず自動車の関税を引き上げるということを言っていて、これが我が国も対象になれば、日本から輸出をしている自動車、これが、三兆円の税負担が新たに増えるのではないかと言われているわけですけれども、日本が自動車の関税引上げの対象になるのかどうかという点は議題として上がったのかどうか。いかがですか。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 会談の中におきましては、米国政府がこれまで発表してきた関税措置につきまして、我が国が対象になるべきではない旨を申し入れて、米国の関税措置が我が国の産業や日米両国におけるビジネス環境の整備や投資、雇用の拡大に与える影響について、我が国の考えを説明してまいったということでございます。

岡田(悟)委員 アメリカとの関係は大切ですし、交渉事ですから全て明らかにするというのが難しいということは分かるんですけれども、非常に国民の関心も高い、また産業界の皆さんも大変関心を持っておられる。安心材料があれば安心もできるし、何か一つでも分かることがあれば、今後どういう手を打っていくのかということを企業の皆さんも考えることができますので、もう少し何か具体的な一致点があれば教えていただきたいと思いますし、アメリカ側から、少なくとも決裂とか、何か対立するような状況になったのではないようだとは思いますけれども、今後も交渉を続けていくことができる状況なのかどうか、こういう点、もう少しお話をいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 本日の会談におきましては、日米経済関係を更に発展させるための個人的な信頼関係の構築につながったというふうに聞いてございます。また、これまでの米国における日本の貢献について、米国側から非常に重く受け止めていただいているというふうに聞いてございます。

 米側からは、日本との関係を重視しているという発言とともに、米国は様々な制度の相互性を重視しており、米国における製造業の復活や雇用の確保を重視しているということの説明があったというふうに聞いております。

 今回の議論を踏まえまして、どのように日米の国益をウィン・ウィンにしていくことができるか、今後緊密に協議していくことになるというふうに考えてございます。

岡田(悟)委員 ありがとうございます。

 難しい交渉になるだろうとは思いますけれども、国会にも適宜報告等、是非お願いをできればというふうに思います。

 そして、トランプさんが、大統領に就任される前から、当選後、いろいろな発言をされて、それに世界中が大変振り回されるという状況であるわけですけれども、我が国もG7のメンバーとして、自由貿易、しっかりとルールを守っていかなければいけないということが当然大前提であるべきだと考えています。

 一方で、二五%とか、合理的な理由もなくいきなり関税を引き上げられてターゲットにされるということがあった場合、何もしなくていいということにも、恐らく、国民世論の間でもそれは許されないのではないか、そういう空気、意見が強まる可能性もあると思うんですけれども、今後、我が国が関税の引上げの対象となった場合に、WTO等のルールに基づいてどのような手段を取り得ることができるのかという点、これは外務省の参考人の方から御説明いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 トランプ大統領就任後、立て続けに関税措置に関する様々な発表を行っているところでございます。

 今般の米国政府による広範な貿易制限措置、これは、世界経済また多角的貿易体制等に大きな影響を及ぼしかねないというふうに認識しております。米国政府には、これら関税措置につきまして、先ほど答弁がありましたように、申入れを行っているところではあります。

 我が国としては、これらの措置の内容及び我が国への影響につきまして十分に精査しつつ、引き続き必要な対応を取っていきたいというふうに考えてございます。

岡田(悟)委員 もし日本が報復関税を行う場合は、WTOの承認を得て行う、こういう法律に日本の法律もなっているというふうに承知をしていますけれども、そういう理解でよろしいですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 米国による関税措置につきましては、WTO協定との整合性については現時点でコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、米国政府には関税措置につきましての申入れを行っておりまして、引き続き必要な対応を取っていく考えでございます。

岡田(悟)委員 我が党の部門会議で御説明を財務省さんからいただいたときには、先ほど申し上げたような法律のルールに我が国の法律はなっていると伺っていますけれども、どうでしょう、財務省、お答えいただけますか。

高村政府参考人 一般論としてお答え申し上げます。

 我が国の関税制度におきましては、関税定率法に、WTO協定に基づき、WTOの承認を得た上で措置可能な報復関税制度が規定されているところでございます。

岡田(悟)委員 WTOとの関係はコメントされないということでしたけれども、じゃ、WTOのルールに反して報復関税を何らかの形で行うことがあり得るということでしょうか。林審議官、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 米国の関税措置についてのWTO協定上の整合性については、現時点でコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに考えてございます。

岡田(悟)委員 我が国の法律がどうなっているかで、アメリカがWTOとのルールの整合性をもってどうするかではなく。

 これは多分財務省が今お答えいただいたとおりだと思いますので、我が国の法律は、WTOの承認を得て報復関税を行うということでいいですね。林審議官、いかがですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が取り得る措置につきましては、措置の内容を精査した上で、何が取れるかということは検討していきたいと思います。

岡田(悟)委員 我が国の法律の解釈は、先ほど財務省でお答えいただいた解釈で結構ですね。今後、具体的に実際どうするかではなくて。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど財務省から答弁があったとおりと認識しております。

岡田(悟)委員 当然、法改正がなされない限りはそういうことだと思います。

 そして、まず、十二日から発動されると言われております鉄鋼、アルミニウムの二五%の関税の引上げですね。今回、それから日本を除外するという言質は取れなかったということになったわけですけれども、これがもし我が国に適用された場合に、輸出額に対して企業の税の負担額がどの程度増えるのか、経産省でこれは試算等をされているかどうか、お答えをいただければと思います。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 我が国といたしましては、引き続き、鉄鋼業界を始め関係業界とコミュニケーションを取り、鉄鋼、アルミニウム製品に対する関税措置の内容や我が国への影響について精査を行っているところでございます。

 米国政府には、これらの関税措置につきまして、措置の対象から我が国を除外するよう申入れを行っているところでございまして、引き続き、我が国への影響を踏まえて、必要な対応を行っていきたいと考えてございます。

岡田(悟)委員 影響額の試算をされているかどうか。試算をされている場合、金額についてお答えをいただきたいと思います。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 影響額については現在精査を行っているところでございます。

岡田(悟)委員 現時点では試算はしていないということですね。

 新聞記事等いろいろ出ておりますけれども、アルミは三百億円規模の輸出である、鉄鋼は、日本全体で見るとアメリカ向け輸出額二十一兆二千九百五十一億円のうち一・四%である、全体として規模は小さいんですが、追加関税によって半導体関連の派生品が対象となり得ると。今、半導体は国を挙げて開発に取り組んでおられるわけですから、これが対象となるとなると、いろいろな意味での金額以上のダメージもあるのではないかというふうに承知をしています。

 そして、自動車の関税、これは、日本から直接輸出をする自動車が関税引上げの対象になる可能性があるということと、もう一点、日本のメーカーがカナダ、メキシコに進出をしている、たくさん現地で生産をして、それをアメリカに輸出しているという状況があるわけです。カナダ、メキシコも、いろいろな協定等によって、アメリカの二五%の関税引上げの対象となっているけれども一か月今猶予をされているという状況だと認識をしておりますけれども、これはルールがもしあるのであれば御教示いただきたいんですけれども、メキシコあるいはカナダからアメリカに輸出をされる自動車、自動車部品等が関税引上げの対象となった場合に、日本からこれに対して何か対応を取り得ることが法的に可能なのかどうか。経産省、いかがでしょう。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 カナダ、メキシコでは、委員御指摘がございましたとおり、自動車メーカーを始め自動車生産に関する日系企業がサプライチェーンを広範に構築をしているというところでございます。

 我が国といたしましては、米国とカナダ、メキシコ政府との間のやり取りを注視するとともに、これらの措置の影響を十分に精査をして、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

岡田(悟)委員 我が国が報復関税を行う場合は、先ほど財務省に御答弁いただいたように、WTOの承認を得て、実際やるかどうかは別にして、行う法律になっているということですけれども、メキシコ、カナダが対象になった場合、日本メーカーの自動車を対象に関税引上げが行われた場合、何か法的に措置を取り得ることが可能なのかどうか。法的にはどうなっていますでしょうか。そういうものはあるのかないのか教えてください。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、報復関税とよく言われますけれども、一般に報復関税という言葉がどういう意味で使われているかというのはよく検討する必要があると思っております。

 先ほど私が申し上げたのは、我が国の関税定率法に規定されている、WTO協定に基づく報復関税、これについては、日本はWTOの承認を得た上で措置可能な状況にございます。

 なお、それ以外にも、第一次トランプ政権のときには、各国はセーフガードに対する対抗措置という措置を取ってきておるようです。これは、特定の国がセーフガード措置を発動し、事前の補償協議が調わない場合は、相手国の措置と実質的に等価値の範囲内で割増し関税を課す制度でございます。第一次トランプ政権のときは、EU、中国等がこのような措置を発動したと聞いております。

岡田(悟)委員 通告はしているんですけれども、第三国が対象になり、我が国のメーカーが損害というか税負担を被る場合に、何か対抗できるルールは我が国にあるかないかということをお尋ねしているんですけれども。

 これは、ルール以外、いろいろな交渉をして対応されるということはあってしかるべきだと思いますけれども、何か法的なルールがあるのかどうかをお尋ねしているんですけれども、いかがでしょう。

井林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井林委員長 速記を起こしてください。

 高村関税局長。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の関税定率法の規定を見させていただきました。そこには、その国を通過する貨物で輸入されるものにはという形で対象が決められておりますので、基本的には、我が国の国境を越えて輸入されてくるものについての損害というものを見ていくことが基本になると考えております。

岡田(悟)委員 では、一般論で、A国、B国としましょうか、そこで日本のメーカーが造った自動車がC国に輸出をされて関税が引き上げられた場合、日本が何かC国に対して報復なり対抗措置を取るという法律上のルールは存在しないということでよろしいんでしょうか。一般論で結構です。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 関税定率法上にはそのような規定はございません。

岡田(悟)委員 じゃ、ほかの法律でもそういうルールには現行なっていないという理解でよろしいでしょうかね。

高村政府参考人 そのような理解で結構でございます。

岡田(悟)委員 余りそこで我が国もがんがん報復をやるというふうな法改正をすると、恐らく自由貿易を阻害することになりますし、ひょっとしたらこれからいろいろな議論があるのかもしれませんが、我々もしっかりこれはよく研究をしていきたいというふうに思います。

 残り、ちょっと時間は余りありませんが、今回、関税定率法等の一部を改正する法律案の質疑ということで、資料をお配りをしておりますので御覧をいただければと思います。なお、資料二枚目の下の文章ですが、九千八百九十億円という数字、これは、暫定税率対象四百十一品目と書いておりますが、そうではなくて、関税収入の見積り全体の金額の誤りでしたので、おわびをして訂正をいたします。

 こちらは、関税に対して適用されている暫定税率、毎年度この見直しをこの委員会でも議論されてきたものと承知をしておりますけれども、この内訳を財務省の皆さんから公表していただきました。関税においてこの暫定税率を設けておられる目的、意義について、大臣、お答えをいただければと思います。

加藤国務大臣 まず、暫定税率は、政策上の必要性などから、適用期限を定めて基本税率を暫定的に修正する税率となっています。

 これは、国内産業保護、また消費者等の利益確保を図る観点から、その時々の国内産業、国際交渉の状況、国際市況等を踏まえて、暫定税率を引き続き設定する政策上の必要性の有無、また、現行の暫定税率の水準が適正なのかどうかといった点について常に見直しを行う必要があるという考え方に基づき、適用期限を定め設定をし、こうして毎年国会での御審議をいただいているということでございます。

岡田(悟)委員 国際的な取決め、ウルグアイ・ラウンド合意に基づいて、一定の輸入量は関税をかけない、あるいは非常に低い関税に抑えるということも踏まえてこのような税率が設けられているものと承知をしておりますが、一方で、例えばトウモロコシ、コーンスターチ用のものが六百九十億円程度、それなりに大きな金額なのかなと思います。あるいは麦芽も対象になっているわけですけれども。

 例えばコーンスターチ用のトウモロコシや麦芽というのは、どのような事業者が輸入をするものとして、検討状況にあるようにヒアリング等をされたのかどうか。これは、財務省、お答えいただけますでしょうか。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 コーンスターチ用トウモロコシでございますが、これは、物資を所管する農林水産省と財務省で協議をいたしました。

 国内生産が行われていない中、競合する国産芋でん粉だけでは国内のでん粉需要を賄えていないこと、それから、輸入品が無制限に国内に流入するのを防いで国産でん粉原料用芋生産者を保護するとともに、当該物資を原料に生産される製品を消費者に対して安価に供給する必要があること等の観点を確認して、今回、暫定税率を継続することに至ったということでございます。

岡田(悟)委員 輸入するのはどのような事業者なのかということをお尋ねをしているんですけれども。ビールの原材料表示を見ると、コーンスターチとかよく入っているわけですけれども、どのような事業者が輸入をしているということなのか、お答えください。

高村政府参考人 個別の事業者名についてお答えすることは営業上の秘密を明らかにすることにつながりかねないため、お答えは差し控えさせていただきます。

岡田(悟)委員 事業者名も通告ではお尋ねをしておりますが、どのような事業者なのか、その業種のカテゴリーでもお答えいただければと思いますけれども、いかがですか。

高村政府参考人 御指摘のありましたコーンスターチ用のトウモロコシでございますが、これは、主に糖化用の製造の原料に使用されており、その他、ビールや段ボールの原料に使用されているということでございますので、そういった製造業者の、原料を調達する人たちが、そういう業者が輸入していると思われます。

岡田(悟)委員 関税の減収額が紙巻きたばこは二百三十億円程度ということですけれども、これは国内のどのような事業者が輸入をしているということになるんでしょうか。

高村政府参考人 失礼いたしました。

 紙巻きたばこにつきましての協議の状況でございますが、紙巻きたばこにつきましては、国際約束の結果に基づきまして、日本たばこ産業株式会社による国内における製造独占を維持する一方で、暫定税率を無税としており、物資を所管する財務省理財局と協議をしたところでございます。

 その協議におきましては、同社が、当該製造独占を前提に、国産葉たばこを自主的に全量を買い取り、葉たばこ農家の経営安定に取り組んでいること等の観点を確認いたしまして、暫定税率を延長することが適当であるという結論に至ったものでございます。

岡田(悟)委員 これはもうJT一社ということでよろしいですね。

 特定の会社を利するものに全てなっているとまでは言いませんが、これはやはり、国内の市場の状況、たばこを吸う人も減ってきたり、加熱式たばこ等別のものにも変わってきているという面もありますから、国内市場の状況を見て不断の見直しをしていく、この財政難の状況、やはり税収を確保するということも必要ですから、国際的なルールも踏まえて、もう少し透明化、事業者名も減収額が大きい会社は公表するとか、より国民に分かりやすい仕組みに改めていただくということを、今後是非議論を進めていただきたいと思います。

 こちらで終わりたいと思います。ありがとうございました。

井林委員長 次に、村上智信君。

村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。

 関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、早速質問に移ります。

 トランプ大統領が一月に就任して以来、アメリカにおきましては、多くの国の様々な物品に対して関税を上げようというふうにしております。関税を上げると、日本から輸出するものがしにくくなるというふうな直接的な影響以外にも、経済全体への影響が広がるのでないかというふうに思います。

 そこで、関連して質問いたします。

 米国が関税を上げれば米国のインフレが進んで、その結果として、円安が再燃して日本経済への影響があるのではないでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 トランプ大統領御就任以来、大統領の発言、また米国政府から関税政策に対する措置が立て続けに発表されてきておるところであります。

 米国の関税措置については、先ほど質疑もございましたが、政府として米国に申入れ等を行っており、今般も、武藤経産大臣が訪米をしてラトニック商務長官等々との会談も行ったところであります。

 財務省においても、今後明らかになる措置の内容及び我が国への影響を十分に精査しながら、関係省庁とも連携し、適切に対応していくというこのスタンスは、従前から申し上げてきたところでございます。

 その上で、関税が米国のインフレを引き起こすかどうか、これも米国経済の状況によっていろいろなんだろうと思いますし、その上で、米国のインフレが為替相場にどう影響するのか、そして、その為替相場の影響が我が国にどう影響するのか、三つのファクターがこう、不確定なところもございますが、最後のところだけ申し上げさせていただきますと、為替相場の動向が日本経済にどういう影響を与えるか。輸出物価の変動を通じた企業の海外売上げ、また利子、配当など海外からの所得等に当然影響が出てくるわけでありますが、それ以外にも、輸入物価の変動を通じた国民生活、事業活動への負担の影響など、様々な経路をたどるわけでありますので、プラス面、マイナス面、それぞれ双方の影響が、また、そのときの国際経済あるいは国内経済の状況によっても違いが出てくるものと認識をしておりますので、そうしたこともしっかりと見極めながら適切な対応を図っていきたいと考えています。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 確かに、為替が動けば日本の経済への影響は非常に大きいものがあるというふうに思います。

 私として、もし答えていただけたらなと思ったのは、その為替がどっちに振れるのか、どういうふうに予想されているのか、そういうことが聞きたかったんですけれども、やはり財務省としてそれを答えることはなかなか難しいということだというふうには思います。世の中への影響を考えればそこは慎重にならざるを得ないのかなというふうに思いますけれども、しかし、多分、財務省の中では、どういうふうに為替がなるんだろうなと想定をいろいろ考えていらっしゃって、そして、その想定に基づいてどう対応しようというのも考えているんじゃないかとは思います。

 今、トランプ大統領は、円安はけしからぬというふうに言って、また日本に対する主張を強くしようとしているんじゃないかというふうに見受けられます。この円安については、アメリカの国内のインフレが原因ではないかというふうに言う分析があります。

 そして、インフレの原因について、何でインフレになっているのか、これについては、私は、日本の総合商社に勤めている方が実際にアメリカを見てきた結果として言っている分析を聞いて、ああそうなのかと思った話があったんですけれども、これはコロナが原因だというふうに言うんですね。コロナが原因で、アメリカでは何百万人の方がお亡くなりになりました。その結果、人手不足が起こって、人を集めるために企業では人件費を上げた、そして、人件費が上がったので様々な物価が上がっていった、こういうふうな分析があるんだという話を聞きました。

 人手不足によってインフレが起こったというふうなことであれば、まさにアメリカの大統領は移民を引き受けない方向にやろうとしていますし、また人手不足が起これば更にインフレが起こる、そして、関税がですね、これもインフレの方向に向かうと思われるので更に円安が進むんじゃないかと思いますので、そういうふうにまさにトランプ大統領が円安を引き起こそうとしているようにも見えるものですから、是非、トランプ大統領と交渉をされる際にはそういう話をしていただきたいんですけれども、しかし、なかなか外交交渉上難しいのも分かりますので、是非、粘り強く大統領と交渉していただきたいなというふうに思います。

 さて、次の質問ですけれども、そのトランプ大統領は、関税を上げることを他国に突きつけまして、そして様々な外交上の譲歩を引き出そうとしているように見受けられます。関税を外交の交渉のカードに使っているという、まあ戦略的なやり方だなというふうに思います。我が国も、これほど戦略的ではなくてもいいんですけれども、しかし、関税を使って日本の国益を増やす、こういう発想は必要であろうというふうに考えます。

 そこで、質問いたします。

 関税の目的として国内産業の保護が挙げられますが、どの産業分野をこれまで保護してきたのでしょうか。また、今後の国内産業においてどの産業分野を保護して、あるいは成長させようと考えているのでしょうか。御答弁をお願いします。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国において関税は、主として国内産業の保護の観点から設定されているところでありますが、全体としては、貿易自由化の中で関税率を引き下げる一方、農産品などは、比較的高い関税率を課すことで関連国内産業の保護を図ってきておるところでございます。

 今後、どの産業分野又はどの品目について保護あるいは成長させるため関税率を変更するかについては、まずはその必要性等を物資所管省庁において御検討いただくべきものと考えております。

 その上で申し上げると、ただいま御審議いただいている平成七年度関税改正におきましては、国内関連産業を成長させる観点等から、鉱工業品四品目の関税率を無税とすることとしております。

 例えば、電気自動車等に使用されるリチウムイオン電池の生産に当たり使用される化学品であるLiBOBについて、リチウムイオン電池等の国内産業の競争力強化等を図る観点から、暫定税率を設定し、関税を無税とすることとしております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 国内産業を育てる意味で、是非、ほかの省庁、物資を所管している省庁あるいは産業を所管している省庁、こういうところと連携をして、まさに戦略的に産業育成を考えていただけたらというふうに思います。

 今御答弁にありましたリチウムイオン電池、これに関係する材料を無税にするという話をお聞きしました。リチウムイオン電池は元々日本が産業分野として強かったんですけれども、残念ながら、日本の技術者が海外に渡って、そして海外のメーカーが強くなったという話を聞いておりますと、非常に残念な気持ちになります。しかし、この産業分野は、日本として諦めていい分野ではありません。元々強かった分野ですし、それでもまだ、今でも世界シェアの二割ほどは持っておりますので、まだまだこれから強くできるというふうに思っております。今回の関税の無税化、これがリチウムイオン電池の産業育成に効果が出ることを期待をしております。

 さらに、私はこういう話もお聞きしました。これも非常に戦略的なやり方かなと思います。コロナの際には、ビニール手袋を、非常に日本の国内で多くなる、国内でも生産はしていますけれども、しかし海外品を多く買っていきたい、安く仕入れたいということで関税を下げた、コロナの間は下げました。そして、国民の皆様に安い手袋を使っていただいて、しかし、コロナの時期が終わってからはそれほどまでは要らないので、また手袋に対する関税を上げたという話をお聞きしまして、臨機応変な対応で、国益を考えているし、産業育成を考えているんだという取組だなというふうに感心をいたしました。

 さて、次の質問に移ります。次は、関税暫定措置法の改正についてお聞きします。

 暫定税率と特別緊急関税制度の適用期限を延長する法案について、なぜ延長するのか、その必要性をお聞かせください。お願いします。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、暫定税率でございますが、暫定税率は、政策上の必要性等から、適用期限を定めて基本税率を暫定的に修正する税率であります。また、特別緊急関税制度は、農産品の輸入急増時等に国内産業への影響を緩和するための安全弁として設けられた制度であり、対象品目の輸入数量が一定の水準を超えた場合、対象品目の課税価格が一定の水準を下回った場合に、関税率の引上げを行う制度であります。

 暫定税率及び特別緊急関税制度につきましては、国内産業保護と消費者等の利益確保の観点から、引き続き設定する必要があるのか、また、設定する税率は適正な水準かといった点について、その時々の国内産業や国際交渉の状況、政策上の必要性、国際市況等を踏まえて、毎年度、延長の要否を検討しております。

 平成七年度改正におきましても、そうした観点から多角的に検討した結果、暫定税率及び特別緊急関税制度の適用期限を一年延長することとした次第でございます。

 失礼しました。今、私、答弁を言い間違えました。令和七年度改正、平成と申し上げましたのは、令和七年度改正でございます。失礼いたしました。

村上(智)委員 御答弁ありがとうございました。

 そういうふうに必要性があるかどうかを判断する、そういう観点は非常に大切ですけれども、同時に、国際交渉も関わっているというふうに御答弁をいただきました。

 国際交渉、ウルグアイ・ラウンド、ドーハ・ラウンド、これに関係しているという話をお聞きしておりますけれども、そういうふうな交渉の場を設けなければ、なかなかこの税率も、海外との交渉も関わるものですから多分急には変えられないのかもしれませんけれども、必要があれば、国際交渉であれば、自ら率先して交渉の場をつくるということもまたできるのかもしれませんけれども。

 しかし、今の日本の状況を見てみますと、非常に円安で、海外から輸入するものは高い、そして国内は物価高、非常に大変な状況になっております。食べるものが高い、このような状況を考えれば、確かに、たった今は、暫定的に安くしている税率、これを上げるようなタイミングではないのかもしれません。そういうことでいえば、今焦って暫定的な税率を上げるような交渉というのは必要ないのかもしれません。しかし、逆に、今はこういうふうな、海外のものは高い、輸入が非常に大変な時期ではありますので、そうであるならば、暫定的に、海外から輸入するお米とか食料品、生活必需品、こういうものは、たった今は税率を下げるということも考えてもいいのかなというふうに思います。

 先ほど手袋の話をさせていただきましたけれども、ビニール手袋、あれも、コロナに関連して急に必要性があったから税率を下げ、そして戻すことをやられたわけですけれども、同じように、たった今の円安、これによる物価高、これを考えたら、今のこの税率を、短期間だけでも、円安の間だけでも下げる、こういうことを考えていただけたらなというふうにお願いをいたします。

 次の質問に移ります。次は、関税暫定措置法の改正法案のうち、沖縄に関する事項についてであります。

 早速質問します。

 沖縄における選択課税制度について、二年の延長としておりますけれども、これまでの実績を教えてください。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の選択課税制度につきましては、これまでに四件の利用実績がございます。また、内閣府によりますと、令和七年度以降、実際に医療用機械器具製造の分野において制度の利用が予定されていると承知しております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 四件の実績があるということで、この実績がある分だけ、沖縄の方が、新しい事業ができたということで喜んでいるんじゃないかというふうに思います。基地を負担していただいている沖縄に対して、それを支えるという気持ちは非常に大切だというふうに思っております。

 沖縄に関しては、実は、私は、経済産業省で働いているときに、その関係する仕事をさせていただきました。そのときに自分で経験して聞いた話、そこから思うんですけれども、確かに、様々な制度があって、それが効果も上げているものもあるんですけれども、しかし、全部が全部うまくいっていない、そういうふうに感じておりました。

 沖縄振興予算は三千億円ほど計上されておりますけれども、沖縄のために用意されている予算ですけれども、しかし、その執行においては、沖縄の自治体が要望すれば、それが、かなり審査が甘くてついてしまうという面があるようでして、それがために、せっかく予算をつけても、成果が上がっていない、最終的な産業振興に至っていないとか、あるいは地域活性化に結びついていない、そういうものもあるというふうに私はお聞きしておりました。是非、この沖縄関係の予算、効果が上がるようにやり方を考えていただけたらなというふうにお願いをいたします。

 そして、最後の質問に移ります。最後は、輸入者が電子取引を行った場合について今般、法改正を考えておりますけれども、このことについてであります。

 一般的に、隠蔽などの不正をした場合、重加算税が課されますけれども、電子取引の場合は、重加算税に更に一〇%追加で加重をするということがこれまで定められておりました。それが今般の改正において変わるということですが、質問いたします。

 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存が一定の要件を満たしている場合に、関税に係る重加算税の加重措置、先ほど言った一〇%ですね、この適用対象から除外する趣旨をお伺いいたします。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 輸入者は、貨物の取引に関する請求書等の授受をメール等により行う電子取引を行った場合には、一定の要件に従って、取引情報に係るデータを保存する必要があります。このような電子取引データは複製、改ざん行為が容易であるといった特性に鑑み、現行制度においては、電子取引データに関連する隠蔽、仮装行為について重加算税が賦課される場合には、不正を抑止する観点から、重加算税を一〇%加重することとされています。

 他方、近年は、請求書等がデータ連携に適したデジタルデータで送受信される場合に、その保存及び処理を自動化するシステムが流通しております。こうした複製、改ざん行為が困難と認められる適正なシステムを利用して請求書等が送受信、保存される場合は、重加算税の加重措置の制度趣旨に鑑みても加重措置の適用対象から除外することが適当と考えられるため、今般、見直しを行うこととしたところであります。

 なお、今般の改正によって輸入者において適正なシステムの利用が進むこととなれば、これまで以上に輸入者の電子取引データの保存等に係る事務負担の軽減につながるほか、適正な輸入申告が確保されることが期待されます。

村上(智)委員 御答弁ありがとうございます。

 今回の法改正の趣旨がよく分かりました。確かにそうですね。デジタル的な世界というのは、確かに、改ざんもやりやすいですけれども、改ざんができないような、そういうシステムというのが普及してきておりますので、それに伴いまして、重加算税一〇%分、それをやめてもいいじゃないかという話で、納得がいく内容だとは思います。

 今後、デジタル化がますます進むと思いますし、また、進めなければならないと思います。特に、今は人手不足の社会です。この人手不足を少しでも緩和するために、デジタルでできるものはデジタルに任せて、そして、人手不足に対応しなければならないと思います。この輸入に関する手続も、更にデジタル化を進めて便利にしていただけたらなというふうに思います。

 以上をもちまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

井林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 今日は、関税定率法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻は続いています。断じて許されることではありません。一方、トランプ大統領は、ウクライナへの米国武器の供給停止を決定しました。また、ウクライナ軍への一部の情報提供も停止をしたり、今後の展開は読めない状況にあります。そんな中で日本ができることとしては、やはり経済制裁であり、この強化が必要だと考えています。

 初めに、他国との足並みを確認するために、米国、英国、EU等の主要国での、貿易面で優遇をする最恵国待遇の対象国からロシアを除外している措置の現状についてを伺いたいと思います。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 G7各国及びEUにおいては、令和四年三月のG7首脳声明に沿って、ロシアに対する最恵国待遇の撤回措置が継続されていると承知しております。

田中(健)委員 日本も、G7に倣って、ロシアを優遇措置から除外することを続けておりますが、この決定、昨年の三月二十九日に一年間の延長を閣議決定していますが、この延長期限が今月と迫っています。今後の措置についての対応はどのように今考えられているか、伺います。

加藤国務大臣 ロシアに対する関税における最恵国待遇の撤回措置は、令和四年四月に、今お話をさせていただきましたG7首脳声明を踏まえ、国際社会と緊密に連携し、ロシアに対する外交的、経済的圧力を一層強める等の観点から講じたところでございまして、これは年々延長してきているところでございまして、この措置は本年三月末まで、現在、延長されています。

 今後の対応については、ロシアのウクライナ侵略が継続しており、G7を始めとする国際社会と引き続き緊密に連携して対応する必要があることなどを踏まえつつ、外務省、関係省庁と連携しつつ検討を進め、適切に対応していきたいと考えています。

田中(健)委員 もうこれは今月ということでありますし、各国、G7とも足並みをそろえるという意味でも、是非この措置を早急に求めていきたいと思います。

 その中で、ロシアにおいて貿易といえば、やはりエネルギーであります。エネルギー資源はロシアの中核を占めまして、二〇二一年においては五割を占めております。G7の各国は、持続可能な代替供給を確保しながらも、ロシアへのエネルギーの依存を低減することで一致をし、これまで進めてまいりました。

 その中で、ロシアから輸入するエネルギー資源に対する基本税率及びWTO協定税率について伺いたいと思います。両者に差がなければ、今取り上げました最恵国待遇を撤回しても、制裁効果は得られません。これについて、まず事実関係と基本的認識を伺いたいと思います。

 さらに、エネルギー資源以外についても、基本税率及びWTO協定の税率がどのような実情になっているのか、及び、どのような品目にこれまで効果があったのかということも併せて伺います。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 関税暫定措置法第三条に基づく最恵国待遇撤回措置は、WTO協定税率の適用を撤回し、国定税率を適用するものであります。

 そのため、御指摘のとおり、液化天然ガスとか石炭ですけれども、仮にそういったものについて、WTO協定税率と国定税率が同じ品目につきましては、最恵国待遇撤回措置を講じた場合、撤回措置の影響はございません。

 ですので、委員御指摘のとおり、今ロシアから輸入している液化天然ガス、石炭等については撤回措置の影響はないということになります。

田中(健)委員 これに対しては、今局長はないと言ったんですが、どのような効果があったかということは政府としてまた認識されていますでしょうか。

高村政府参考人 失礼いたしました。

 そして、エネルギー資源以外でございますが、エネルギー資源以外では、例えば、ロシアからの輸入量が一定程度ある水産物のうち、ベニザケにつきましては、WTO協定税率が三・五%、国定税率は五%であることから、最恵国待遇の撤回措置によって関税率は一・五%引き上がっております。

 輸入量への影響につきましては、輸入は複合的な要因で変動するものであり、全てが本措置によるものとは判断できませんが、二〇二四年にロシアから輸入した魚介類全体では、制裁開始前の二〇二一年と比較して約一千トン減少しているところであります。

田中(健)委員 魚介類については影響が出ているということであります。

 さらに、エネルギーにおいては、各国においては、それぞれ関税率を引き上げたり、また、エネルギーの輸入禁止をしたりとか、それぞれ対応が違うということでありますが、さらに、それに対しても、効果がないんじゃないかといった様々な声もあるんですけれども、現在、大変物価上昇がロシアは続いておりまして、私はこの影響は大きく今出ているんじゃないかというふうに認識をしています。

 その中で、各国は更に経済制裁を進めています。イギリスの政府は、二月二十四日、ウクライナ侵略に対する追加制裁を発表し、軍事転用可能な製品をロシアに供給する中国やインドの企業のほか、関連企業に対しても資産凍結などを科すことを決めました。EUも同日、この採択をしたところでありますし、また、消極的ではないかと言われていたトランプ大統領も、三月七日、ロシアによるウクライナ侵攻の停戦合意が実現するまでは大規模な金融制裁、他の制裁、関税に対する引上げを検討していると表明があったところであります。

 日本においても、武藤経産大臣が、年明け一月十日にはロシア向けの制裁の強化を決定しておりますが、今回、EUやアメリカの制裁の決定を受けて、追加の金融政策、関税引下げについてどのように大臣は所感を持っていらっしゃるか、また、日本はこれに対して今後どのような姿勢で臨んでいくのか、伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今委員からお話がありましたように、ウクライナへの侵略を受けたロシアに対する制裁について、先月末、EU、英国から資産凍結等の追加制裁が公表され、また、米国のトランプ大統領からも追加制裁を検討している旨の発言があったところであります。

 他国の政策のコメントは差し控えておりますが、政府としては、現在のウクライナをめぐる様々な動きについて、多大な関心を持って注視をしております。

 我が国における対ロ制裁については、ウクライナの公正かつ永続的な平和を実現するために何が効果的かという観点から、G7を始めとする国際社会と連携しつつ、これまでも対応してきたところでありますが、引き続き、こうした基本姿勢、基本方針に基づいて、状況状況を踏まえながら適切に対応していきたいと考えております。

田中(健)委員 具体的な制裁内容はこれからということでありますが、是非、各国が今、歩調を合わせてこの制裁に向けて取り組んでいるところでありますので、早急に議論を進めていただきまして、取組を進めていただきたいと思います。

 その中で、大変大きな影響となったのが、ロシアの大手銀行のガスプロムバンクであります。これが昨年十一月に経済制裁の対象となりました。同行は、極東の液化天然ガスプロジェクト、サハリン2の資金決済にも関わっており、日本にもこの影響が懸念をされています。日本は、サハリン2のLNGに大きく依存をし、複数の商社も権益を維持しております。こうした状況から、アメリカの財務省は、サハリン2から日本に出荷されるLNGの取引に限っては今年六月までは制裁の対象外としていますが、それ以降の扱いは明らかになっておりません。

 現状、六月までの期限は変わっていないのか、また、現在対象となっている措置が適用となれば、日本への影響は、大きな影響であり、避けられないと思っていますが、どのような対応を取っていこうとしているのか、方針を伺いたいと思います。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月にアメリカが発表したガスプロムバンクへの制裁について、サハリン2プロジェクトやサハリンエネルギー社に関するガスプロムバンク経由の取引は、委員御指摘のとおり、本年六月末まで適用除外とされておりまして、現状、サハリン2プロジェクトに影響は生じておりません。

 これまでも、アメリカを始めとしたG7各国に対して、日本のエネルギー安全保障におけるサハリン2プロジェクトの重要性を丁寧に説明し、日本の立場について理解を得てきたところでございます。

 引き続き、丁寧な説明に努めまして、適用除外の期限となっている六月以降も日本への供給量の安定的な確保に支障を来さないよう、万全を期してまいります。

田中(健)委員 冒頭、武藤経産大臣の話がありました。現在、訪米し、関税措置、日本の除外を申入れを行っているということでありますが、この中でアラスカ州でのLNG開発などをめぐっても議論をしたという報道が一部ありましたが、まだまだアラスカ州のLNGには時間がかかる中、やはり、このサハリン2、大変、現時点では重要なプロジェクトだと思っていますが、これについて今、経産省からは、しっかりと引き続き継続していくというのがありましたが、この件については、武藤大臣の中で、話合いというか、議論が出たんでしょうか。分かる範囲でお伺いできればと思います。

木原政府参考人 外交上のやり取りにつきましてはお答えを差し控えたいと思いますが、いずれにしろ、サハリン2プロジェクトは日本のエネルギー安全保障上、大変重要なものでございますので、日本への供給量の安定的な確保に支障を来さないよう、万全を期してまいります。

田中(健)委員 中身についてはなかなかお伝えできないというのは重々承知をしておりますが、大変重要だということは同じ認識を持っていましたので、これも六月ということでもう期限が迫っておりますので、是非しっかりとした議論を進めていただきたいと思います。

 引き続きまして、今回改正になります特恵関税制度の課題についてを伺いたいと思います。

 この特恵関税制度とEPAの両方が適用される場合は、国内産業にとっては競争が激化するということもあります。特に、EPAの締結国が低価格で製品を輸出してくる場合は、日本の国内産業が影響を受ける可能性が高まります。

 例えば、発展途上国や新興国からの安価な輸入品が増加すると、国内企業が価格競争に巻き込まれ、利益率が低下するリスクが生まれると考えますが、国内産業への影響というのはどのように考えているでしょうか。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 特恵関税制度は、開発途上国からの輸入品に係る関税を引き下げ、その国の経済発展を支援することを通じ、開発途上国との連携を強化することを目的とした制度になっております。

 その上で、委員御指摘のとおり、特恵関税制度の改正やEPAを締結する際には、あらかじめ国内産業に与える影響についてしっかりと精査すべきものと考えております。

 国内産業への影響につきましては、まずは物資所管省庁において検討されるものと考えますが、財務省としても、そうした考えの下、関係省庁と連携して、今般の特恵関税制度のLDC卒業後の適用延長措置の検討やEPA交渉に臨んでいるところでございます。

田中(健)委員 日本側としては分かりましたが、逆に、今度は、一部の新興国や発展途上国に対して特恵関税制度を適用を続けることがかえってその国々の自立や経済発展を妨げる可能性があるんじゃないかということも考えられます。

 この特恵関税が続くことで、その国々を始め、日本を始めとする先進国への依存度ですね、ゼロでありますから高くなりまして、競争力のある産業が育ちにくくなるというふうにも考えられるかと思いますが、新興国を長期的に見た場合の経済成長を妨げる可能性についてはどのように考えているのか、伺います。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、特恵関税制度につきましては、開発途上国支援のための制度であることを踏まえ、発展途上にある国の持続的な成長に寄与する制度としていく必要があります。

 今般の改正案につきましては、関税・外国為替等審議会関税分科会において御議論をいただいておりますが、当分科会からは、我が国として、開発途上国との連携を強化していくとの方向性を踏まえ、特恵関税制度全体として、開発途上国の成長に一層寄与するとともに、必要とする国に恩恵が行き渡るものとなるよう、諸外国の制度も参考としつつ、国内事業者等の意見も聴取し、制度の在り方全体を検討し、特恵関税制度の期限到来、令和十二年度末を待たず不断の見直しを図ることが必要であるとの答申をいただいております。

 財務省としても、こうした御指摘を踏まえ、関係省庁と緊密に連携し、引き続き制度の在り方全体を検討してまいる所存であります。

田中(健)委員 最後に、大臣に、自由貿易の進展による関税の譲許の拡大、またFTA、EPAの増加により特恵の関税制度の機能というのは相対的に低下をしているんじゃないかと推察されますが、大臣の所感と、今後このEPAと特恵制度の関係というのをどのように進めていくのかというのをお伺いしたいと思います。

井林委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は極めて簡潔にお願いします。

加藤国務大臣 EPAは対象国となる国と品目ごとに個別に交渉することで税率を定める、一方で、特恵関税制度は開発途上国を対象として同じ関税率を適用するということで、結果として二つの制度で異なる税率の設定ということもあるわけでございます。

 特恵関税制度は、今お話がありましたように、開発途上国からの輸入品に係る関税を引き下げてその国の経済発展を支援することを目的とした制度、また、EPAにより低い税率を適用する枠組みが拡大している中、特恵関税制度の機能が相対的に低下しているという御指摘も頂戴をしているところではあります。

 他方で、WTOは、各加盟国が特恵関税を活用して後発開発途上国を始めとする開発途上国への支援を行うことを前提としており、実際にもLDCを中心に特恵関税制度が幅広く利用されている中で、日本がこの制度を見直す場合には、対象国との経済、外交上の関係にも影響が生じるということも念頭に置きながら対応していく必要があると考えております。

 その上で、EPAと特恵関税制度は、どちらも多角的な自由貿易制度の構築に資するものであります。その在り方については、我が国の経済の発展はもとより、開発途上国との関係等も踏まえて、不断にその在り方を検討していくことが必要だと考えています。

田中(健)委員 ありがとうございました。

 終わります。

井林委員長 次回は、明十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


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