衆議院

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第14号 令和7年4月4日(金曜日)

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令和七年四月四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井林 辰憲君

   理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君

   理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 斎藤アレックス君 理事 田中  健君

      東  国幹君    石田 真敏君

      伊藤 達也君    上田 英俊君

      大空 幸星君    田中 和徳君

      田野瀬太道君    土田  慎君

      中西 健治君    福原 淳嗣君

      古川 禎久君    牧島かれん君

      松本 剛明君    岡田  悟君

      海江田万里君    川内 博史君

      川原田英世君    階   猛君

      末松 義規君    長谷川嘉一君

      原口 一博君    水沼 秀幸君

      三角 創太君    矢崎堅太郎君

      萩原  佳君    村上 智信君

      岸田 光広君    中川 宏昌君

      山口 良治君    高井 崇志君

      田村 智子君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       瀬戸 隆一君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   経済産業副大臣      大串 正樹君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   財務大臣政務官      土田  慎君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  屋敷 利紀君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  油布 志行君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 下仲 宏卓君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 渡邊  滋君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (国税庁次長)      小宮 敦史君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    内田 眞一君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     大空 幸星君

  根本 幸典君     田野瀬太道君

  江田 憲司君     川原田英世君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     土田  慎君

  田野瀬太道君     根本 幸典君

  川原田英世君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

井林委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、副総裁内田眞一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、金融庁総合政策局長屋敷利紀君外九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大野敬太郎君。

大野委員 おはようございます。

 昨日、トランプ政権が相互関税を発表しました。真の友人であり同盟関係にあるアメリカが我が国に課した関税は、二四%。衝撃でありました。根拠も薄弱。誠に遺憾だと思います。

 もちろん、目下の厳しい安保環境の中ですので、アメリカとは緊密な連携とコミュニケーションを図っていくべきで、これは政府に強く求めたいと思いますが、一方で、ルールではなくディールをベースとするスタイルのトランプ政権が相手ですので、少なくとも関税上はあらゆる選択肢を検討していくべきだと考えます。

 我が党もこれまで、この委員会の小林筆頭が本部長を務める経済安全保障推進本部で長らく在り方を議論し、関連の提言も行ってまいりましたが、打つか打たないかではなく、打てる環境整備は必要だとの認識で一致しております。少なくとも、WTOが機能していない中で、関税定率法の、具体的には例えば六条など、解釈に余地があるのではないかと考えます。これまで曖昧戦略であったと思いますが、そろそろ公表すべきなのではないかと思います。

 そこで、大臣に伺います。

 事実確認として、日本は、法律上、アメリカへの対抗措置を講じることができるんでしょうか。お願いします。

加藤国務大臣 我が国の関税制度について一般論として申し上げることになりますが、関税定率法には、第六条において報復関税制度、また、第九条においてリバランスの措置が規定されているところでございます。

 このうち、リバランスの措置に関して申し上げますと、相手国がセーフガードを取った場合に対抗して講じ得る措置でありまして、これは、第一次トランプ政権のときには各国が措置しており、我が国においてもこの発動の権利を留保する旨、WTOに対して通報したということでございます。

 また、報復関税制度については、WTO加盟国に対しては、基本的に紛争解決手続を得る必要がありますが、現状、実質的にWTOの紛争解決手続の一部が機能していないことなどを踏まえますと、可能な限り紛争解決手続は得た上で、関税定率法で定められている報復関税措置の発動も可能と考えております。

大野委員 ありがとうございます。

 可能な限り紛争解決手続を取ればできるというお答えでありました。ありがとうございます。大臣の御英断だと思います。これでようやく外交交渉の土台は築けたのだと思います。

 ただ、繰り返しでありますけれども、打つか打たないかというのは、産業政策にも外交政策にも大変お詳しい大臣には誠に釈迦に説法ではありますが、国家戦略上もさることながら、産業構造が国際的に入り組んでいますので、国益上の総合的な判断が必要だと思います。当然、その内数として、国際秩序の維持強化に向けた役割を日本が今こそ果たすべきだと考えます。アメリカの真の友人として、言うべきは言い、協調すべきは協調し、あらがうべきはあらがうという方針で、引き続き御協議を賜れればと思います。

 それでは次に、対抗措置はいいとして、国内対策も最重要課題であると思いますが、ここもしっかりと考え抜かれた経済対策が必要だと考えます。そこで、まずは大局的な判断の前提として伺います。

 日本の現下の経済、産業構造で交易条件の悪化が生じた場合、政府部門と企業部門と家計部門の間にどのようなメカニズムが働いて、どの部門にどのようなインパクトがあって、そして政策余地はどの程度あるのか、定性的で結構でありますので、財務省の認識を、副大臣、お願いしたいと思います。

斎藤副大臣 大野委員御指摘のとおり、近年の輸入物価の上昇は、日本の交易条件の悪化要因となっておりまして、また、国内におけるインフレの起点にもなっていると承知をしております。

 交易条件が日本経済に及ぼす影響の経路は様々ではありますが、一般論として申し上げますと、交易条件の悪化にもつながる輸入物価の上昇は、消費者物価の上昇を通じて家計の負担の増加にもつながる一方、生産コスト増を通じた企業負担、特に、価格転嫁の難しい中小企業の負担の増加にもつながると考えております。つまり、価格転嫁が進まなければ企業の負担が解消されない一方で、価格転嫁が進んで消費者物価が上昇する場合には、賃金上昇が伴わなければ今度は家計の負担が重くなるという見方もあります。

 このような見方を踏まえれば、価格転嫁を推進するのみならず、中小企業の稼ぐ力の強化や生産性の向上等によりまして物価上昇を上回る賃上げを実現することで、企業の負担軽減や家計所得の増加につなげていくことが重要となります。

 政府として、そのような取組を進め、持続的な経済成長を実現してまいります。

大野委員 ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおりだと思います。価格転嫁が進まなければ企業部門の負担、賃上げなき転嫁が進めば家計部門の負担、賃上げを伴った転嫁が進めばバランスということになるんだと思います。例えば、過去の一次オイルショックのときに、ここは転嫁が進まなかったので主に企業が負担した、こういう分析がありますが、いずれにせよ、交易条件の悪化に対しては、価格転嫁というものが全体像を決定づけるというのは間違いない構造だと思います。

 そこで、部門別に見ていきますと、まず、政府部門についてでありますが、これは各党も御指摘あるように、コストプッシュインフレでは単純に税収が増えます。ただ、その分だけ歳出も増やさないと、物価に対して財政中立にはならずに、交易条件の変化の波に乗って政府が民間から富を吸収する構図になります。

 では、歳出をどこに出すべきかですが、大方針として、少なくとも、政府が元請になっているようなそういう部門、すなわち公定価格や政府調達についてでありますが、これは政府も取り組んでいただいておりますが、もう少し明確にコミットするべきだと考えます。民間に転嫁をしろと言いながら自分は転嫁に応じない、これは理屈は通らないわけでありますので、そこは対応いただければと思います。もちろん、どれだけ出すのかは別問題で、財源があるのだから単純に大盤振る舞いしていいのかというと、日本の経済、産業構造を考えると、私はしっかりとした戦略を持って措置すべきだと考えています。

 それでは、その構造とは何かについて触れたいと思います。

 今、トランプ関税がなくても、ただでさえ国民の負担は深刻です。家計部門の特に中低所得者層と、企業部門の特に中小企業、小規模事業者の層は、価格転嫁が十分に進んでおらず、賃上げも道半ばなので、本当に疲弊をしていると思います。その意味で、例えば、さきに通りました所得減税、これは、当然、物価上昇分程度は措置すべきでありますし、その意味では政府の対応を評価しますが、これ以上に更なるスライドというのをこの部門にかけますと、一見、経済的には、消費が拡大するのでプラスに見えますが、現状の日本の経済構造の本質的な課題、これからは逃げることができないように思います。

 そこで、お伺いをいたします。

 今、日本は、人不足、サプライチェーンの脆弱性で産業の供給力や生産性が低下する一方で、加えて、企業部門は、国内投資より海外投資を優先して、配当をそのまま海外に積み上げている。更に言えば、これから金利のある世界に突入してまいります。構造的に日本国内の付加価値を生めない構図にあります。これは、国際収支の構造や需給ギャップからも読み取れます。

 そこで、財務省にお伺いいたします。

 財務省としては、日本のこの経済、財政の構造、経済、産業の構造をどのように御覧になっておりますでしょうか。副大臣、お願いします。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、日本経済は、人口動態等を背景に、人手不足の時代となっていると考えています。

 その上で、御指摘の貿易収支は、様々な要因によって決まるものであり、一概に申し上げることは困難ですが、一般論としましては、供給力の不足により輸出が減少した場合は、貿易収支に赤字方向の圧力が生じると考えております。

 また、日本の経常黒字のうち、第一次所得収支の黒字がその大宗を占めておりますが、御指摘のとおり、海外での再投資が多くなっておりまして、日本への還流が少ないことは課題だと考えております。そのような企業の投資動向等の背景には、長年、コストカット型経済や新興国製品との価格競争を背景に、生産設備の海外移転が進められまして、また、国内での設備投資、人への投資、賃金が抑制されてきたことがあると考えております。

 政府としては、このような背景を踏まえ、コストカット型経済から脱却し、日本経済の生産性を高め、賃金と投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとしていくことが重要だと考えております。

大野委員 ありがとうございます。

 今、消費を増やしても、国内で供給ができないので、すなわち供給力が極端に減ってきているということから、海外から買わざるを得ない。そうなってまいりますと、追加の財政措置、この部分はほとんどが、海外から買わざるを得ないということは、海外に流れるということであります。これは、例えばデジタルサービス赤字、これは有名な例でありますけれども、一昨年は五兆円、去年は七兆円ほどであったかと思います。一人当たり七万円も日本人は海外に支払っている、こういう構造であります。まさにデジタル植民地、こういう構造が今の、残念ながら、日本の構造であります。

 そんな中で、政府と家計部門の間を資金が行ったり来たりしているだけで、返せと言っても、これを続けている限り付加価値は生めず、近い将来、まさに本当に日本が付加価値を全く生めない国に、そして、恐らく、主要国と比べて給料は三倍も四倍もギャップが開く、そういう国に成り下がるのは私は目に見えているんだと思います。付加価値を生む、そういう国にする、生きたお金をしっかりと回していく、それが必要でありますし、まさに、日本はこれから何で飯を食っていくのか、これは本当に真剣に考えないといけないんだと思います。

 そこで、そういう瀬戸際にある今の日本の状況で、もう余り時間は残されていないと私は思いますが、正しい財政運営によって付加価値の生める国にしていくという観点が強く求められていると思いますが、そこで、最後に大臣にお伺いしたいのは、これまでのインフレに加えて、トランプ関税の影響、これに対する対策、国内対策、経済対策として一体どういう志向をしていくのか、大局的な観点で大臣から御答弁を賜りたいと思います。

加藤国務大臣 まさに委員がおっしゃったように、今、需要不足から供給制約の局面に入ってきている。そうした中で、引き続き物価を上回る賃金の上昇を実現していくためには、もちろん、足下において、価格転嫁等、これをしっかり進めていくと同時に、やはり、賃上げができる、所得の向上ができる環境をつくっていく。そのためには、いわゆる供給サイドにおける様々な省力化、デジタル化、あるいは将来に向けての成長分野に対する投資等々を通じて、それを進めていかなければならない。

 そういったことで、先般の、去年の経済対策、そして補正予算、そして今年お認めいただきました当初予算、さらには税制改正、こういったことをやらせていただいているということで、これを一つ一つ進めていく中で、物価上昇を上回る賃金を実現できる、牽引する成長型経済への移行をしっかり進めていく。

 こうした中で、今回のトランプ政権における関税政策に対しては、もう既に総理からもお話があるように、こうした影響をしっかり分析をし、そして精査した上で、特に国内産業等への影響を踏まえ、資金繰り対策など必要な対策に万全を期していくことが必要だというふうに考えておりますし、さらに、今後、輸入物価などを背景とした交易条件の悪化等に起因する物価上昇の負担、これは今でも実感されておりますけれども、そうしたことも注意深く見ながら、必要な対策を打っていく必要があるというふうに考えております。

大野委員 ありがとうございました。

井林委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。立憲民主党の原口一博です。

 今日は、財務大臣中心に質問したいと思いますが、いわゆるトランプ関税ですね、このトランプ関税については、これまで、トランプさんが大統領選挙に出るときから、同盟国として緊密に、我が国はこの対象ではないと強い交渉をされてきたと思いますが、こういう認識でよいかどうか、まず財務大臣に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 先般の石破総理とトランプ大統領の首脳会談始め様々なレベルにおいて、今回のような関税措置に対する懸念、また、そうした際には、日本を含むべきではない、こういったことを適宜、日本として申入れをし、あるいは説明をしてきたというふうに承知をしています。

原口委員 そういうお話ですけれども、二月七日、あの日は北方領土の記念日ですね、国会は、そういうこともあるから、政府に配慮して与野党で石破総理をアメリカに送り出しました。ところが、この関税についてはお話しになっていない、なぜかというと、向こうが出さなかったからと。私は、全部、会談は見ていましたけれども、最初に言っていますよ。だから、大変失礼ながら、加藤さんや小林さんやほかの方が総理だったらこうなっただろうかと私は思うんです。

 皆さんのお手元の一、二、昨日、トランプさんが手元に、説明していたものですね。これを見ると、はっきり明暗が分かれているんですよ。財務大臣、一ページ目、二ページ目を御覧になってください。

 カナダやメキシコ、これには大きな関税が行くだろうと思っていましたけれども、彼らは、ここに至るまで大変な交渉をしていますね。いわゆるミューチュアルタリフはそんなに来ていないんですよ。では、日本は何をやっていたのかということですね。

 赤で囲ったところが日本ですけれども、いわゆる非関税障壁、これが四六ということですが、この四六の中身を教えてください。

加藤国務大臣 中身というか、どういうふうに計算されているのかということであります。

 必ずしも承知をしておりませんけれども、こうした数字、米国通商代表部のホームページ上では、計算上の大胆な仮定、いわゆる、相互関税率を一%上げると輸入価格が〇・二五%上がると仮定をし、輸入価格が一%上がると輸入量が四%減るという仮定の中で、いわゆる今ある貿易赤字を減らすためにどういった税率が必要かという計算で、結果として、米国から見ての貿易赤字額と輸入額を用いて、二国間の貿易収支がバランスするように算出されたのが相互関税率であるという趣旨の説明がホームページ上なされているというふうに承知をしております。

原口委員 それを、ホームページで見てやるようじゃ駄目ですね。だって、この中には為替操作というのも入っているというんですよ。おかしいじゃないですか。日米は協調して為替介入しているわけだから、それは外すべきだし、昨日、リアルタイムで見ていましたけれども、七〇〇%の農産物への関税なんかないでしょう。ないものを基にこれをやっているんですよ。だから、本当に交渉しているんですかということをまず強く言っておきたいと思います。

 そこで、日本銀行、今日は副総裁ですね、トランプ関税による我が国経済、物価への影響、これを教えてください。それから、これを契機として物価あるいは経済をめぐる不確実性は高まっていると思いますが、こうした下で、今後の正常化プロセスに与える影響、これを教えてください。

内田参考人 お答え申し上げます。

 米国が導入しました自動車関税それから相互関税でございますが、様々なルートを通じて世界経済及び日本経済に影響を及ぼし得るというふうに思います。

 例えば、関税の導入がグローバルな貿易活動に影響を及ぼす経路、あるいは不確実性の高まりが、各国の企業や家計のコンフィデンス、更には国際金融資本市場への影響、こういったものが考えられます。全体として見ますと、関税政策は、こうしたルートを通じて、世界経済及び我が国経済には下押しする方向で働く要因であるというふうに思います。

 一方で、物価面への影響でございますが、こちらは、今申し上げた経済への下押しは当然、物価にも押し下げということで作用すると思いますが、例えば、供給サイドで、グローバルサプライチェーンなどへの影響もありますので、こちらは押し上げに作用する可能性もございます。また、金融市場あるいは為替市場を通じた影響というのも考えられるということでございまして、物価への影響につきましては、上下様々な要因が考えられ、少なくとも現時点では、一概に評価することは難しいかなというふうに思っています。

 いずれにしましても、内外の経済、物価に及ぼす影響それからその程度というものは、関税の今後の帰趨にも大きく依存しますので、日本銀行といたしましても、今後の動向を十分注視してまいりたいというふうに思います。

 正常化プロセスの方でございますが、先行きの金融政策運営につきましては、繰り返し申し上げてきているとおりでございますが、展望レポートで示した、経済、物価の見通し、すなわち、景気の改善が続いて、基調的な物価上昇率が二%に向けて高まっていくとの見通しが実現していくとすれば、それに応じて、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくというふうに考えております。

 その上で、こうした見通しが実現していくかどうかについて、毎回の金融政策決定会合で予断を持たずに点検してまいります。

 御指摘の関税政策の影響を含めて、内外の経済、物価情勢、金融市場の動向等を丁寧に確認しまして、見通し、リスク、それから見通しが実現する確度、これを点検しながら適切に判断してまいりたいというふうに思っております。

原口委員 ありがとうございます。

 私が求めて、日銀総裁じゃなくて副総裁に来ていただきました。というのは、もう植田ショックを起こしているような余裕は日本にないからですね。

 この一、二を見て、これはミューチュアルタリフですが、これ以外にもタリフが飛んできているんですね。いわゆる安全保障上の問題ということで、鉄鋼、アルミ、それから自動車。これは我が国の基幹産業を直撃しているわけです。

 先ほどの大野議員の質問にもありましたけれども、どういう報復をしますか。それが一点目。それから、二点目、これは二五が飛んでくるわけで、そうすると、自動車産業は裾野が広いですから、これは日本全体の生き死にに関わるような問題だと思います。私は、早速、財政出動も伴った対策を即打つべきだと思っているんですが、財務大臣の基本認識を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 対応ということでありますけれども、先ほど大野議員に御説明いたしましたけれども、我が国の関税制度では、関税定率法で報復関税制度とリバランス措置があるということで、あとはちょっと御説明しましたので省略してよろしいですか、ということが一つ、関税の世界ではあるとは思います。それらも含めてどういう対応措置があり得るか、政府の中でもあらゆる措置を念頭に今検討させていただいているというのが今の状況でございます。

 その上で、まずは、大事なことは、これまでもそうでありますけれども、こうした今回の関税措置の対象から我が国を除外する、こういった働きかけを引き続き強く求めていく。これは先日、総理からも指示が出されたところであります。あわせて、国内産業、雇用への影響を勘案し、資金繰り対策など必要な対策に万全を期すという指示もございました。

 今、日銀副総裁からお話がありましたように、今回の一連の措置、不確実性が高まることなども含めて、世界経済そして日本経済における影響、これを大変懸念をしているところでございますので、そうした状況をしっかり見極めながら、必要な対策をしっかり取らせていただきたいと考えております。

原口委員 いや、財政出動を伴った補正予算をすべきだと言っているわけです。今頃から対策ということ自体がおかしいとだけ申し上げておきたいと思います。

 今回、石破総理は、訳が分からぬとか何を言っているか理解不能とか、こうならないために七日に行かれたんじゃないんですか。今回、トランプさんの記者会見なんかで、晋三、晋三、晋三という、安倍総理だったら分かってくれるだろうという言葉がありましたね。それは何かというと、反グローバリズムだと。実際、貿易ルールだ、自由だといいながら、本当に、自由な貿易の中でアメリカや日本はどうなったか。中を、よその国の、例えば、国名は言いませんけれども、幾らでも中央銀行を使って、そしてかさ上げした企業と競争している。あるいは、もっと言うと、知的財産もそこから取られている。それは本当に競争なのかと。今回トランプさんが言っていることを単なるジャイアンのたわ言みたいに思っていたら大間違いするということだけ申し上げておきたいと思います。

 また、さらに、日銀副総裁に、一月の政策金利引上げで国債の価値はどれぐらい下落しましたか、数字だけ教えてください。

内田参考人 お答え申し上げます。

 数字ということでございますけれども、考え方を御説明しないとこれはいけないと思いますので、理論的なところから御説明させていただければと思います。

 そういう意味では、政策金利を引き上げることについては、先ほど申し上げましたように、市場においてある程度織り込まれていたわけでございます。したがって、政策金利を利上げをすることそのものが長期金利に影響するということでなくて、あくまで、我々の政策反応を前提として、経済あるいは物価に対する市場の見方がどう動いていくかということで長期金利は動いているものというふうに考えております。

原口委員 私は数字が欲しかったわけですけれども、これは今日は時間がないので、ここにとどめておきます。

 もっと言うと、トランプさんは消費税が非関税障壁だと言っているわけです。これはチャンスですね。実際に、アメリカは一〇%の消費税があるところばかりじゃないですからね。そのことだけ指摘しておきたいと思います。

 さて、限られた時間で、皆さんのお手元の資料の後ろの方を御覧になってください、七ページ。これは自民党の方は御存じでしたか。

 アメリカとウクライナ、シーブリーズ二〇二四ということで、何と交戦国に自衛隊員を送って。財務大臣、私、周りが自衛隊員なんですよ、おじとか、非常に怒っています。これは何で秘密にしていたのか。何と参加国、しかも、これはブルガリアのバルナということで、日報を出してくれと言ったんですよ。日報、出てきません。本当にブルガリアでやったのかも分からない。しかも交戦中。これはロシアの海域からどれぐらいかというと、五百キロですよ。

 皆さん、知っていましたか。自民党安保部会で了解されていますか。いろいろな友人たちに聞いたけれども、知らぬと。日本はこのタイプで過去、亡国の戦争に突き進んでいるんですよ。

 防衛副大臣、これは何で秘密にしていましたか。

本田副大臣 お答えいたします。

 各種訓練の公表については、個々の訓練ごとに公表の有無や時期等を判断しておりますが、本訓練につきましては、艦艇の派遣を伴わなかったことや少人数の要員の参加にとどまる点等を総合的に勘案しまして、積極的に公表することはしなかったということでございます。

原口委員 ちょっと意味が分からぬですけれども。消極的に公表していたんですか、じゃ。違うでしょう。

 これは二一年に初めて菅さんのときにやっているんですよ。二二年がロシアのウクライナ侵攻だから、これはやめているんです。二三年、また、霊南坂から頼まれたのか何か分からぬけれども、イギリスに一名出しているんです。それでこれでしょう。

 戦闘区域になり得る、たった五百キロですよ、黒海という海、行かれたことありますか。対岸でまさにロシアとイギリスが軍艦同士がぶつかったの何のとやっているところに出すというのは、どういうことですか。これはとんでもない憲法違反だし、これは共産党の山添拓議員が参議院で質問してくれました。そのときに、ちゃんと今までやっているじゃないですか。これだけ例外なんですよ。だから、何でこれだけ例外にしているかと。相手が交戦国だからでしょう。違いますか。

本田副大臣 お答えいたします。

 交戦国ということではございませんで、シーブリーズ、この訓練の名前ですけれども、シーブリーズへの参加は日・ウクライナ防衛協力、交流の一環といたしまして二〇二一年から行われているものであり、特定の第三国を想定したものではございません。

 ブルガリアでの訓練については、安全が十分に確保されたブルガリアの領海内において、実際の機雷ではなく訓練用の模擬の機雷を使用して機雷除去の手順等を演練したものであり、実際の戦闘行為に関わるものでは全くございません。

 こうしたことを踏まえれば、本件がこれまでの日・ウクライナにおける取組と比較して大きく踏み込んだ、位置づけの異なったものというわけではないと考えておりまして、御指摘のような問題があったとは考えてございません。

原口委員 あなたは副大臣だから気の毒なところはあるけれども、ひどいですよ、これは。これがさきの総選挙前に出ていたら、自民党はもっと負けていますよ。こんなのを許していいんですか、自民党の皆さん。あなた方にも無断で行っているんですよ。

 委員長、是非、日報を本委員会に提出するように理事会でお計らいいただきたいと思います。

井林委員長 後刻、理事会で協議いたします。

原口委員 ありがとうございます。

 さて、残りの時間を使って、例のワクチンです。三つ聞きたいと思います。

 私たちの部会でも、本当に、プリペイドカードを作り、そして、それをまた別のところでチャージをするというやり方をいっぱいやっているこの基金のやり方、もうやめませんか。コロナワクチンの接種助成スキームだけで七千八百五十二億円を使って、これプラス交付税を使っていると言いました。

 それだけじゃないんですよ。次のページを御覧になってください、四ページ。経産省もやっているんですよ。経産省が何でワクチンに関係しているんだと聞いたら、工場をつくるのは経産省が上手なんですと言って、三千億入れているわけですよ。デュアルユース、デュアルユースというと、この世界でいうと、生物兵器とそれからワクチンと両方のことをいうんだけれども、ここでは有事と平時とやっているわけです。こういうやり方は是非やめるように指摘をし、そして、資料五を御覧になってください。

 今、千七百の自治体で、ワクチン接種をした人がその後どうなったか、これは因果関係を言っているんじゃないですよ。単なるそこの開示資料です。見てみてください、五ページ。

 例えばEX3617というもの、松戸市、五十万の人口で、EX3617は百八人が打って、亡くなった方が八十九人です。八十九人亡くなっているんです。ロットによってこんなに差があるというのはおかしくないですか。これは六十歳以上の方だから、御高齢で亡くなるというのもあるのかも分からない。(発言する者あり)確かに。ちょっと今のは取り消します。年齢が上に行けば、それは亡くなるリスクは高くなるでしょう。

 ところが、六ページを御覧になってください。加藤大臣、これは同じ、ゼロ歳から二十九歳のロット別死亡数、松戸市の年代別。FH3023というのは、同じロットで六人が亡くなっているんですよ。六人が死亡している。五十万人の都市で合わせて四十一人が亡くなっている。しかも同じロットでね。

 そろそろ全国調査をしてくれませんか。

 そして、ファクトだけ聞きます、仁木副大臣。いつもごめんね。あなたにつらく当たったみたいに香川の人から言われたので。そんなことないから。事実を自分の目で確かめてほしいんですよ、あなたもお医者さんでしょう。だから、三つ聞きます。

 一つ。スパイクたんぱくの毒性について石破政権はどう考えているのか。毒性というのは、スパイクたんぱくは、いろいろなところにたまって、いろいろな病気を引き起こすという意味の毒性です。

 二番目。このメッセンジャーRNA、遺伝子製剤というのは、カリコさんがノーベル賞を受けたときは、これが長く、シュードウリジンといって、体にとどまるということだけれども、皆さんは、接種後二週間とか三週間とか短い期間しか見ていないんですよ。この間、僕はここで自分のがん細胞のあれを出しました。あれは、接種から何と一年半たった後にでも僕の体の中にスパイクたんぱくがあったわけです。メッセンジャーRNAのワクチンがどれぐらい長く続くと考えているのか。

 この二点について教えてください。

仁木副大臣 原口委員にお答えします。

 冒頭、いろいろと御配慮いただきまして、ありがとうございます。

 まず、一番最初のお話でございますが、全国調査、これは私も将来的にはやってということでありますが、現時点では、自治体別を含めて、そういういわゆる副反応調査、それは、上がってきたものに関しましては今既存のスキームでやられておりますが、及び、ロットごとのそういった副反応調査というのはやっておりますが、全国に向けてのサーベイというのはまだやっていない状況でございます。ただ、御指摘のように、中長期的なことを踏まえて、やることも検討してみるべきだということで、省内で私は今そういうことを言っているところでございます。

 まず、Sたんぱくが、毒性と言われました。

 その前に、原口委員、この松戸市の資料もそうでございますが、死亡例、これを見ると、ワクチンを接種して死亡がもたらされたような、そういうふうな形にも見えるわけでございまして……(原口委員「そうは書いていません」と呼ぶ)いや、そうでございますけれども、ですから、そういう意味でいいますと、私が申し上げたいのは、いただいた資料を今評価することができないということでございます。そのことをまず冒頭に申し上げたいと思います。

 Sたんぱくも、毒性ということを、属性の一部と言われていましたが、これは、ワクチンを接種するとSたんぱくができるようになっているんですね。ワクチンというのは、そういった生体内でできた反応を用いて、特に免疫反応でもって免疫を獲得していく、これで感染予防につながったり重症化予防をもたらすような薬剤のことをワクチンと定義するわけでございます。

 今の答えに関しますと、二、三週間の短期的な調査はあるけれども中長期的なのはないと言われましたので、その辺は見ていく必要もあると思いますが、現時点で、これはいつまで持続するか、まあ、Sたんぱくに対しまして抗体ができるんですね、抗Sたんぱくという抗体が。その抗体量を測定することによってワクチンの有効性を見ていくというふうな、そういうふうな研究をされている方がいらっしゃることも把握はしております。そういう意味でいうと、一般的には、半年ぐらいたってくるとそのワクチンの有効性というのは弱くなっていく、減弱されるんじゃないかというようなことも出ておりますが、国といたしまして、中長期的なこと、そして、何か月たってそういったワクチンの有効性、今言われた原口委員の言葉で言うと、Sたんぱくの毒性というか、属性が持続するかということのデータは持ち合わせておりません。

原口委員 もう時間が来ましたからこれでやめますが、Sたんぱくの毒性についての論文は幾らもあって、福岡厚労大臣にもお渡ししています。

 そして今や、謎の日本人の大量死ということで、昨日、大臣が御答弁になっていますが、一月だけで一三・六%増えているんですよ。今、火葬場が足りないということで、火葬場ビジネスまでスタートしているんですよ。御遺体を安置するために十八万円とか、そうやって取っているところまである。

 是非、省内でこれに向き合ってください。遺伝子製剤としたためにいろいろなところが抜けているんですよ。そのことを指摘して、質問は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、矢崎堅太郎君。

矢崎委員 おはようございます。立憲民主党の矢崎堅太郎です。

 本日も質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。今日は二十分いただいておりますので、大きく二問、御質問したいというふうに思います。

 まず最初に、食料品の消費税のゼロ税率化についてお伺いをしたいというふうに思います。

 三月二十八日、先週の金曜日の参議院の予算委員会で、我が党の川田龍平議員が総理に対しまして、食料品の消費税のゼロ税率化についてどう考えるかという質問をされました。これに対して、総理は、それは一概に否定するつもりは私はございませんと。その上で、総理は、諸外国でも食料品税率をゼロにしている国があるというお話をされた上で、どのような効果があったかということは、それは検証してみなければなりませんとして、そして、一概に否定する気は全くございませんが、そういうことの検証というものを少しやらせていただきたいと思いますという答弁をされました。

 そして、川田議員が諸外国の例を説明をして、その上で、ほかの国でもやっていることを、是非、この国でもできることはやはり是非やっていただきたいと思いますがいかがですかと総理にお聞きをしました。

 そうしますと、総理は、ここは間違いがあるとあれなので読みますけれども、税率がどうなのか、期間がどうなのか、対象の品目がどうなのか、四の五の四の五の言ってやらないということを言っているわけでは全くございません。そういうことをきちんと検討させてください。それによっていかなる効果があったかということもございますし、あるいは事務の煩雑性ということもございます。今、私どもが導入している軽減税率との関係もございます。それから、その多くの御紹介をいただきましたので、私といたしましては、そういうものをきちんと精査をしたいと思っております。これも物価高対策の一つの対応として考えられないことではございませんが、これ少し時間のかかることでございますので、若干の時間の猶予を賜りたいと存じますという御答弁をされております。

 これを聞いて、恐らく皆さんは、政府は消費税の減税についてはしないという方針だというふうに思いますので、これは恐らく、私もそうですけれども、聞いている方というのは、ちょっと総理が少し踏み込んだ発言をされたのではないかなというふうに思っております。

 そして、ここで財務大臣にお聞きをしたいんですけれども、この答弁をするに当たっては、恐らく質問通告もあったでしょうし、仮になかったとしても、予算委員会でこのような質問が来るという想定問答というのはあるんでしょうから、総理から事前に大臣の方に、こういう今みたいな話をするというような相談があったかどうかということをお聞きをさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、一般的に、総理がどう答弁されるかについて逐一相談するということは余り想定はされておりませんし、そのとき、たしか総理は、いつものようにと言ったらあれですけれども、余り答弁書を読まずに御自身の言葉でお話をされていたというふうに認識をしておりますし、ピンポイントでお話があるということの問いでありますから、このことの答弁ラインそのものについて、ああいう答弁をされるということについて、事前に私が承知したわけではございません。

矢崎委員 ありがとうございます。

 では、その上でお聞きをしますけれども、相談がなかった上で総理がこのような発言をされたということで、大臣としては、やはり、今までの政府の、消費税減税はしないという中で、少し踏み込んだような発言だと思うんですけれども、これを隣で聞いていて、率直に大臣がどのように思われたかというのを教えていただければと思います。

加藤国務大臣 その後、総理もお話をされておりますけれども、今回の発言は、物価高について諸外国で様々な対策が取られてきた、最初にゼロ税率の話をされましたけれども、川田議員からは、ともかく付加価値税の減税といったことも考えてはどうかという物価対策としての質問だったというふうに承知をしておりますけれども、そうしたことについて、諸外国の対策やその背景、効果などについてよく調べさせたい、あるいは調べてみたい、こういった趣旨でお話をされたものと認識をしています。

矢崎委員 じゃ、大臣としては許容範囲の発言だというふうに思われたというふうに理解をしますけれども。

 そういう発言があったところで、恐らく、この二十八日の段階で、この発言を聞いて、多くの国民の皆さんは、総理がこのことについて少し検討するのではないかなと思った方は多かったと思うんですけれども、それが、四月一日、総理の会見がありました、今週の火曜日ですけれども。そこでは一転して、今大臣もおっしゃいましたけれども、総理は、このことについて記者から聞かれたときに、きっぱりと、税率の引下げは適当ではないというふうにおっしゃったわけであります。

 本当に、僅か四日間で発言がぶれているというふうに取られても仕方がないと思うんですけれども、このことについては、今大臣がお話ありましたけれども、総理に対して何か御助言というかアドバイスというか、そういうことをされたということはなかったんでしょうか。

加藤国務大臣 ちょっと記憶が定かでないところがあって申し訳ないんですけれども、その後、総理も、先ほど私が申し上げたような、調査をするという趣旨だということをおっしゃったというふうに認識をしておりますし、また、一転して消費税の引下げは適当でないということについては、これは従前からもまた何ら変わっていないというふうに私は認識をしています。

矢崎委員 そうだとすると、総理がそうして一貫して引き下げるのは適当ではないと思っているのであるならば、私は、参議院の予算委員会のときの川田議員の質問に対したときに、その段階で、そうではないと言った方がよかったんだというふうに思います。

 今回、本当にこの消費税の減税というものは、まさに国会の場でも与野党で議論されておりますし、国民の皆さんの最大の関心事でもありますから、こうしたことで総理の発言がぶれるというように取られかねない今回のことだと思いますので、そうしたことがやはりあると、今回の高額療養費の問題もそうですけれども、国のリーダーがそうしたぶれるようなことであっては非常に国民の皆様は不安になると思います。

 そうしたことについて、大臣のお考えが何かあれば、御感想等あればお願いしたいんですけれども。

加藤国務大臣 消費税に対する姿勢は何らぶれていないし、一貫していると思います。

 ただ、その上で、国会での御議論でありますから、各国において、そうした消費税、欧米諸国では付加価値税という名前になるんでしょうけれども、そうしたものの引下げを、物価対策あるいはコロナ対策等で実施している国もあるという御指摘も含めて、そうした実態とか、それがどういう効果があったとか、そういったことについては分析し、調べてみますと、まさにそれは、熟議たる国会として、政府としての姿勢なんだろうなというふうに思いますが、それと方針と、それはまた別の問題だというふうに思います。

矢崎委員 そうしますと、総理がおっしゃっていた、少し時間をください、そういう諸外国の例を検討させてくださいという発言は、今でも生きているということで理解してよろしいんでしょうか。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 そのとおりです。

矢崎委員 そうしましたら、改めて、この問題というものは本当に国民的な議論になっております。食料品の消費税率のゼロ化についての大臣のお考えを改めてお聞かせいただければと思います。

加藤国務大臣 これは総理から述べられているように、我が国の消費税は、急速な高齢化に伴い、社会保障給付費が大きく増加をする中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられておりますので、食料品に対する税率も含めて、消費税率全般について引下げを行うということは適当でないというふうに考えております。

矢崎委員 大臣のお考えは分かりました。

 ただ、この問題というのは、やはり、今これだけの物価高で皆さんが苦しんでいる中でありますので、国民的な議論の上で、更に国会の場でも議論を深めていかなければいけないというふうに思っておりますので、是非、この問題は今後とも継続して議論をさせていただければというふうに思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。次はオンラインカジノ対策についてであります。

 ギャンブル依存症になって大変困っている方、当事者の方、そして御家族の方というのがいっぱいいらっしゃいます。私も、もう十年近く前ですけれども、地元でギャンブル依存症の家族の方にお会いをしてお話を聞いて、本当に大変だなということを実感をしました。

 一般的に、ギャンブル依存症といいますと、その当事者の方が、例えば意思が弱いとかお金の管理がルーズだとかというふうな、個人的なことだと思われがちだというふうに思いますけれども、実はそうではなくて、ギャンブル依存症というのは病気の一つだということであります。ですから、そのことをまず皆様にも知っていただきたいし、広く啓発をしていかなければいけないというふうに思っております。

 そして、ギャンブルというと、一般的に、これまでは競馬ですとか競輪ですとかパチンコということだったと思うんですけれども、近年、これに加えまして、オンラインカジノというのがまさに大きくなってきております。昨日も吉本興業の六人の芸人さんが書類送検されましたけれども。

 こうした、まさに昔のギャンブルといえば、お金を自分で払ってですとか、パチンコであれば実物がありますから、どのぐらい自分が今お金を使ってしまっているかというのが認識できたんでしょうけれども、オンラインカジノは、まさにスマホがあればいつでもどこでもできますし、また、実際のお金が前で動くわけではありませんから、そういった多額のお金を使ったとしても、その方にとってもそういった意識がない中で、どんどんどんどん、被害といいますかお金を使ってしまうという問題がございます。ですので、この対策というものをやはり早急にやっていかなければいけないと思っております。

 そして、このオンラインカジノ、まさにいろいろ幅が広いですから、国会においても、所管は内閣府でありますけれども、いろいろな省庁にまたがっていると思います。今日は金融庁に関するところについて御質問をしたいというふうに思いますので、お願いしたいというふうに思います。

 まず最初ですけれども、ギャンブル等依存症対策推進基本計画で、金融庁は、オンラインカジノと思われるウェブサイトに賭け金の振り込み先として表示されている口座等の情報提供を受けると書かれています。この場合、金融庁はどこから、そしてどういう種類の情報を取っているのかということについてお聞きをしたいと思います。

屋敷政府参考人 お答えいたします。

 金融庁では、オンラインカジノへの送金先として利用されているなど、預貯金口座に関する不正利用の情報を警察庁などから入手した場合には、当該口座が開設されている金融機関に情報を提供し、当該銀行に対して犯罪収益移転防止法に基づく各種義務の履行を求めております。

 また、オンラインカジノへの送金に関して、無免許、無登録で為替取引を営んでいると疑われる事業者について金融庁が情報提供を受けた場合には、金融庁は、事務ガイドラインに基づき、当該事業者に対して照会書や警告書を発出することとしております。

 金融庁では、今後とも、警察庁などと連携の上、適切に対応してまいりたいと考えております。

矢崎委員 是非そういう情報を積極的に取っていただいて、そういった口座について制限をかけられるような、そういうことを更に進めていただきたいというふうに思います。

 そして、次ですけれども、ギャンブル依存症問題を考える会が患者の方に調査をしたところ、患者の半数がオンラインカジノが法律で禁止されていることを知らなかった、また、開始して一週間以内に約三割の方がもう借金を始めているという数字が出ております。

 そこで、お聞きをしたいんですけれども、多重債務問題の理由の多くが、やはり、ギャンブルでお金がなくなっていろいろなところからお金を借りてしまうという方が多いというふうに思います。ですから、そこを何とか防ぐといいますか、そこで歯止めをかけられないかということで、金融庁として、金融機関、とりわけ貸金業者が、顧客に対して、多重債務の場合に新たに借りられないようにするとか、そういったことを金融庁がどのようにやっているかということを教えていただければと思います。

油布政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁では、ギャンブル依存症を含みます多重債務問題につきまして、関係省庁と連携いたしまして、相談窓口の認知度向上、あるいは、潜在的な相談者の掘り起こしなどを目的といたしまして、多重債務者相談強化キャンペーンを例年実施してございます。昨今は、この一環といたしまして、全国の自治体や金融機関等の窓口を通じまして、多重債務問題やギャンブル依存症に悩む方の相談先等を記載したリーフレットを配布するなどしております。また、多重債務相談窓口を設置している自治体や財務局に対しまして、相談者の方がギャンブル等依存症であることが疑われる場合やその御家族である場合には、精神保健福祉センター等のギャンブル等依存症対策の相談拠点などに適切につなぐよう要請を行っております。

 金融庁といたしましては、引き続き、関係省庁と連携いたしまして、ギャンブル等依存症の対応を含め、多重債務問題の解決に向けた取組を進めてまいりたいと思っております。

矢崎委員 ありがとうございます。

 今お話がありました、まさに患者の方が来たときに、どうしたら支援といいますか救済できるか、そういうところにつなぐことができるかということがまた一つのポイントだと思います。なかなか、患者さんというのは、そういう支援団体があるとか窓口があるとか、そういうのを知らない方が多いですから、是非そうしたことを更に進めていただきたいんですが。

 それに関連して、要望ですけれども、今、オレオレ詐欺なんかですと、かなり社会的に周知をされておりますので、よく、銀行とかで、振り込みに来た人に対して、銀行の方が事情を聞いてそれを未然に防ぐということが本当に多くなってきているというふうに思います。

 このギャンブル依存症についても、借金の返済ということを家族の方がすることが大変多いわけです。これは共依存という言葉なんですけれども、まさに家族の方が、当事者の方と一緒になった感覚によって、とにかく借金を肩代わりして返さなきゃいけないということでお返しをしてしまうことがあります。そのときに、やはり銀行とかでも、オレオレ詐欺と同じように、そうした家族の方に対して、今おっしゃったような支援団体につなぐですとか窓口があるよとかということを言っていただけるような、そんなことをやっていただけると更にいいのかなというふうに思いますので、是非御検討いただければと思いますので、要望させていただきたいというふうに思います。

 最後になります。

 今、いろいろなことを金融庁でやられておりますけれども、今後、金融庁として、このオンラインカジノ対策について更に何かやることがあれば、教えていただければと思います。

油布政府参考人 オンラインカジノへの対応につきましては、今年の一月に金融審議会の作業部会の報告書がございまして、国境をまたぐ収納代行、収納代行につきましてはこれが送金に当たるかどうかというのが論点になるわけでございますが、国境をまたぐ収納代行につきましては、オンラインカジノあるいは投資詐欺などに用いられる事例が存在するということを踏まえ、リスクに応じた規制が必要であると提言されております。具体的には、国境をまたぐ収納代行に関しましては、商品、サービスの取引成立に関与しないような者が行う場合には、基本的にはこれは為替取引、いわゆる送金であるということで、資金移動業の規制を適用すべきであるとされております。

 金融庁といたしましては、オンラインカジノ等に関しまして、送金のパイプラインの面からもできるだけ対応策を講じるという観点から、この報告書の提言を踏まえました資金決済法の改正法案を今国会に提出させていただいているところでございます。

矢崎委員 ありがとうございました。

 是非、このオンラインカジノの被害の方を本当に一人でも減らすということで取り組んでいきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、岡田悟君。

岡田(悟)委員 立憲民主党の岡田悟です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今日は日本銀行の植田総裁にお越しをいただきました。お忙しいところ、ありがとうございます。

 先ほど原口委員からも質問がありましたけれども、アメリカ・トランプ政権の関税政策、日本時間の昨日の朝発表されて、世界中かなり動揺しているという状況であろうと思います。そして、マーケット、株価等、非常に今大きく下がっているという状況です。いろいろな見方がありますけれども、予想よりはかなり関税の引き上げ方が大きいのではないか、こういう見方もあります。

 先ほど内田副総裁から若干お答えをいただきましたけれども、改めて植田総裁にもお尋ねをしたいと思います。

 一連のトランプ大統領による関税政策の日本経済と世界経済への影響、そして、日本銀行の金融政策、これにも何かしら影響するのかどうか、お答えをいただければと思います。

植田参考人 お答えいたします。

 関税政策の影響でございますけれども、例えば、関税の導入が、まずグローバルな貿易活動に直接影響するというメカニズムが考えられます。それから、今後の関税政策の帰趨を含む様々な政策に関する不確実性の高まりが、各国の家計や企業のコンフィデンスあるいはマーケットに影響を及ぼす可能性がございます。こうした様々なルートを通じて、関税政策は世界経済及び我が国経済に下押しの圧力を働かせる要因になると考えられます。

 我が国の物価面では、今申し上げた経済の下押し圧力は物価を押し下げる方向に作用すると考えられます。ただし、グローバルなサプライチェーンが混乱するというような供給サイドからの影響がありますと、上押し圧力に働く可能性もございます。また、金融・為替市場を通じる影響にも注意が必要です。

 このように、上下、特に物価については様々なメカニズムが考えられますので、現時点では一概には評価できないというふうに見ております。

 こうした内外の経済や物価に及ぼす関税政策の影響や程度について、私どもとしても十分に注視し、金融政策の決定において役立てていきたいと思っております。

岡田(悟)委員 ありがとうございます。

 確かに、影響は非常に、国内外、いろいろなルートを通じて起こっていくんだろうということだと思います。

 そして、今、完全にこうなると言われているわけではないにせよ、米国において、スタグフレーション、これが起きるのではないかということを懸念する声が出始めているというふうに伝えられています。景気は悪くなっているのに物価が上がり続けるという、七〇年代にアメリカがこれに非常に苦しんだと言われていることですけれども、これが今後もしアメリカで本格化をした場合において、日本銀行の金融政策に何か影響を与えるものなのかどうか。植田総裁、いかがでしょうか。

植田参考人 こういうことが起こった場合にこうなるというふうに具体的になかなか申し上げづらいわけですが、いずれにせよ、今回の関税政策の我が国の経済、物価への影響については、私ども、毎回の金融政策の決定会合で、その会合までに入手可能になった様々なデータ、ヒアリング情報などを確認して、しっかりと議論してまいります。

 二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現という観点から、適切な政策運営を行ってまいりたいと思っております。

岡田(悟)委員 状況がどうなるか、またそれを前提に決め打ちをされるというふうな御答弁は難しいものということは承知をしております。

 今、日本銀行において行われている政策というのは、これまでの異次元緩和の見直しということで、物価高に応じて金利を少しずつ引き上げていく、その一方で、国債の買入れ、これを減らしていくということが今行われているというふうに理解をしています。これは、今もう物価が既に上がってきているわけですから、当然、金融政策の見直しは、必要な取組も今まさになされているんだろうということは理解をしておりますが。

 これもちょっと仮定の話にはなりますけれども、アメリカの関税の見直しというのは世界経済に非常に大きな影響を与えるということで、世界恐慌といいますか、余り考えたくありませんけれども、経済が非常に危機的な状況に陥るのではないかという懸念も出ております。もし経済の状況が急変をした場合、今進めておられる金融政策の見直し、これもまた大幅に変更する、金利を引き下げるとか、国債あるいはリスク資産を買い入れるとか、金融政策を今後大きく変更される可能性があるのかどうか。一般論でも結構ですけれども、お答えいただければと思いますけれども、いかがでしょう。

植田参考人 抽象的な言い方で恐縮ですが、外部環境が大きく変化した場合に、私どもの経済、物価見通しもそれに合わせて変化すると思います。

 それに合わせて適切な政策対応を取ってまいりたいと思っております。

岡田(悟)委員 ありがとうございます。

 非常に、関税、影響が大きいということで、ただ、まだ具体的にどういう影響が出るのかというところは、我が国だけじゃないと思いますけれども、政府でもなかなかつかみ切れておられないのではないかという状況のように思います。ただ、これは、我が党の重徳政調会長も、国会でいろいろな取組をして政府を後押ししていくというふうにおっしゃっておりますので、背中を押していくとおっしゃっているんですね。これをしっかりと、アメリカに国を挙げて対応していくという議論をしていくべきではないかというふうに私は思っております。

 では、総裁に引き続きお尋ねをしたいと思うんですが、先週の日銀報告に対する質疑でも、我が党の先輩の委員の皆さんが盛んにいろいろと総裁と議論を交わしておられましたけれども、改めて、多角的レビュー、昨年公表されました、これについてちょっとお尋ねをできればと思っております。

 非常に長大な、いろいろなことが詳しく分析をされていて、大変勉強になりましたけれども、このレビューは過去二十五年間の日本銀行の金融政策に対するレビューであるということは認識をしておりますけれども、やはり注目をされたのは、アベノミクスに対する、異次元金融緩和に対する評価であったのかなというふうに思います。これについて、端的に、このレビューとしては、大規模な金融緩和は一定の効果を発揮はしたが、当初に想定していたほどの効果は発揮しなかったと。これは、これまでも何度も答弁されておりますように、日本銀行としての一連の金融緩和に対する結果、レビューなのかなというふうに理解をしております。

 一方で、このレビューの冊子の後半には、有識者、主に経済学者の先生方が一連の金融政策に対する評価を示しておられるわけですけれども、大変腑に落ちたといいますか、多分多くの国民の皆さんも同じように感じておられるのかなというふうな文言がありまして、村田啓子先生、立正大学の先生でいらっしゃいますけれども、つまり、大規模緩和は、輸入インフレと人手不足に助けられて、十一年目に結果として目標を達成したと言えるというふうに書いておられて、異次元緩和は、いろいろな大胆な、それこそ大胆な動きをたくさん前任の黒田前総裁がされて、今なお日本の経済に大きな影響を及ぼしているわけですけれども、ただ、残念ながらといいますか、アベノミクスは、今申し上げた、輸入インフレと人手不足に助けられて、十一年目に結果として目標を達成したと言えるという、この二行に尽きるのではないかというふうに私は思ったんですけれども。

 総裁に伺いたいんですが、当初見込まれたように、金融緩和をすることでインフレの期待を起こして物価上昇率二%を達成されるということはできず、結果として、日米金利差による円安や人手不足で今二%以上に物価が上がっているのではないかと思いますけれども、総裁の見解を伺いたいと思います。

植田参考人 大規模金融緩和の効果でございますけれども、私ども、レビューでもまとめましたように、まず、経済、物価を一定程度押し上げて我が国経済がデフレでない状態をつくり出すということには貢献したと考えております。その意味で、大規模金融緩和が、現時点においては、全体として見て我が国経済にプラスの影響をもたらしたと考えております。

 ただ、委員御指摘のとおり、長い間続いた、賃金、物価が上がりにくいということを前提とした慣行や考え方に根強いものがありまして、なかなかそこを変える、あるいは期待へ働きかけるということが難しくて、導入当初に期待されたほど物価を押し上げる効果が発揮されなかったというふうには考えております。

岡田(悟)委員 なかなか、黒田総裁、前回、階委員が、国会図書館ですかねの冊子に寄稿されているというものを紹介されました。ETFの件なども言及されていて、ただ、それ以外についても、非常にあっけらかんとある種金融緩和について振り返っておられるような印象がありまして、ちょっとこれは、今起きている物価高の状況を考えると、果たしてどうなのかということも思ったわけですけれども。この物価高の要因といいますか、二%あるいはそれを超えている今の物価の状況について、これも先週の質疑で、いろいろな分析と、あと議論がなされたという状況を、私も大変興味深く聞いておりましたけれども。

 三月の決定会合における主な意見というものを公表されています。主な意見、それ以上も出ていますかね、主な意見を見てちょっと私は気づいたんですけれども、ある委員の方、もちろんこれは意見ですから、日本銀行の組織としての見解ではないと思いますが、食品の値上がりによる物価への影響ですけれども、生鮮食品、穀類の上昇は、主に供給ショックと位置づけられるが、持続性があり得るということ、それから、農産物の価格高騰は、供給力低下や人件費上昇等、一過性でない要因の影響が大きいという指摘が上がっていました。

 私、今、選挙区は都市部なんですが、新聞記者をかつてしておりまして、秋田県に五年、記者の仕事をしていたんですが、もう十五年前ぐらいにはなるんですけれども、当時から、畑や田んぼに出る人は六十代でも若手と言われておりまして、今はもっとそういう状況が全国で広がっていると思います。

 何が申し上げたいかというと、農産物、漁業もそうかもしれませんが、供給力の低下、人手不足というのは非常に深刻化しているのではないか、米の値上がりが今非常に問題になっていますが、流通の問題とか天候の問題もあると言われていますけれども、構造的に供給力そのものが下がっているのではないかという指摘も出てきております。

 ということを考えれば、日本銀行の金融政策を考えられる上で、これも先週盛んに議論がありましたけれども、食品、生鮮食品まで入れるかどうかということは議論があるところかもしれませんし、それを除いている意味も理解をしておりますが、やはりこの食品の値上がりの問題、かつ、これが長期的に今後続くのではないかということも含めて金融政策をお考えになってはいかがかという議論、従来からありますけれども、改めて、この主な意見も含めて、総裁のお考えをお伺いできればと思います。

植田参考人 食品価格の上昇でございますが、まず、生鮮食品の値上がりですけれども、私どもとしては、天候要因により生鮮食品の価格は一時的に大幅に変動する傾向が強く、最近の変動についてもこうした影響が大きいというふうに見ております。

 それから、米価格ですけれども、これは、先行きどうなっていくか、特に価格の水準がどうなっていくかという点については不確実性が非常に大きいと思いますが、前年比で見た上昇率は次第に低下する可能性が高いというふうに考えております。

 その上で、委員の御指摘がありました、生鮮食品や米を含む食料品価格上昇のもうちょっと一般的な影響についてですけれども、まず、これらについて、天候以外の様々な要因が影響している可能性は場合によってはあるというふうに見ております。さらに、そうした購入頻度の高い品目の価格が上昇していることが消費マインドあるいは予想物価上昇率に影響を及ぼし得るという点にも、私ども留意しておくことが必要であるというふうに考えております。

 こうした点も念頭に置きながら、基調的な物価上昇率を今後とも適切に評価していきたいというふうに思っております。

岡田(悟)委員 済みません、ちょっとシンプルな質問で、通告していないので申し訳ないんですが、かつて日銀と政府との間で結ばれたアコード、共同声明ですね、ここに基調的という文言が入っているのかどうか、これをちょっとお伺いをしたいと思います。

植田参考人 そこには直接には入っておりません。

岡田(悟)委員 入っていないんですね。

 なぜその基調的ということを先日来おっしゃっているのかということは、お考えはあってのことだとは理解はしますが、ただ、やはりアコードには入っていないということを考えれば、さすがに、食品の件もいろいろ御説明いただきましたけれども、これだけ物価が上がっている、しかも二%を実際大きく超えて上がっているという状況を踏まえれば、やはりこれを見直すということも考え始めるべきではないだろうかというふうに思います。多くの国民はやはりそう感じていると思いますし。

 ちょっと時間がどこまであるか分かりませんけれども、金融政策の問題は日本の財政にも大きく影響しているということ、やはりこれも、アコードを一度解除して、日銀の金融政策にも柔軟性を取り戻すことによって、財政の問題、それから社会保障、再分配の問題も、広くオープンに議論をできるのではないかというふうに思います。そういう姿勢を政府・与党でお示しをいただければ、社会保障、財政についても、非常に前向きかつ今起きている問題を詳しく議論ができるのではないかということをちょっと意見として申し上げておきたいと思います。

 総裁には質問は以上となります。御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

井林委員長 植田総裁、御退席ください。

岡田(悟)委員 続いて、大臣に、ちょっと時間があるか分かりませんが、伺いたいと思います。

 まず、日本銀行が国債の買入れを減らしていくという状況があります。これによって、国債の安定的な消化が可能かどうかということが課題になろうというふうに思います。とりわけ、海外投資家へのIRもこれから強化をされるということですけれども、海外投資家の比率が上がればその分リスクも増えるのではないかという見方もありますけれども、これも踏まえて、国債の安定的な消化について大臣のお考えを伺いたいと思います。

加藤国務大臣 国債の消化については、昨年の日銀の国債買入れ減額の決定を受け、国内外の幅広い投資家に国債を購入、保有していただく努力が一層重要になっていると認識をしています。そのために、市場環境、投資家ニーズに即した年限構成の見直しや新商品の開発、また、国内外の投資家に向けたIRの実施などの取組を行っているところであります。

 海外投資家については、その国債保有比率の上昇をリスクとする議論があることは承知をしておりますが、海外投資家の中にも、中央銀行、年金基金、生命保険など、国債の安定的な保有が見込める投資家も存在しているところであります。そうした海外投資家も含め、多様なニーズを持つ投資家が国債を取引することにより、市場の状況が一方向に流れることを防ぎ、市場を安定させる効果も期待できると考えており、政府として、引き続き、投資家のニーズまた金利動向、これを見極めつつ、適切な国債管理政策に努めていきたいと考えております。

岡田(悟)委員 もう時間がありませんが、配付資料を御覧いただければと思います。

 利払い費が今後どれだけ増える可能性があるのか。十年物国債の金利が二%から二・五%まで上がっていくという前提で、財務省、機械的な試算だと思いますけれども、試算を出されています。利払い費は足下八兆円ぐらいでしたかね、それがもう少し増えて、令和十年度には十六兆円を超える、ただ、その分、税収も物価が上がれば増えていくということで、税収も増えていく見通しとなっていますが。

 大臣にお尋ねをします。税収が上がれば利払い費が増えても問題ないとお考えになるのかどうか。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、多分、お示しいただいたのは、財務省の後年度影響試算から抜き出された数字ではないかと思います。これは機械的に計算をしたものでありますが、まさにここに示されたように、金利が緩やかに上昇する下で、利払い費が徐々に増加する一方、税収も増加するということであります。

 ただし、税収等の増加幅を上回って利払い費を含めた歳出が増加することが予想されるわけであります。まさに物価が上がればその分だけの支出が増える等々でありますけれども、その結果として、税収等と歳出の差額、つまり税収等が歳出に比べて不足する姿、徐々に拡大していく姿ということにこの後年度影響試算等はなっているところであります。

 その背景にあるのは、やはり我が国の債務残高が非常に大きいということがあり、特に、金利が上がる場合には政策的経費を圧迫するおそれがそれだけ大きいということでございますので、私どもとして、物価が上昇すれば税収も増加するから問題がないという認識は持っていないということでございます。

岡田(悟)委員 これで終わりますけれども、税収の問題は大臣御指摘のとおりと思います。きっちりと再分配ができるような適切な財政政策、我が党もしっかり考えていきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

井林委員長 次に、水沼秀幸君。

水沼委員 船橋、市川からやってまいりました立憲民主党の水沼秀幸です。

 党としての時間を守りながら、しっかりと行けるところまで行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 冒頭、先日の予算委員会分科会にて、銀行における貸し金庫問題について、そもそも現金を格納してはいけないという規定が各行の貸し金庫約款にはない点を私が指摘させていただきました。そして、先週の三月二十七日付で金融庁より銀行監督指針の改正案を公表いただきました。事実上、各行の約款で現金を、保管できない物品として明確化するように促す内容でございまして、指摘に対してスピード感を持って御対応いただいた関係者各位の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございます。

 本日も、お互いの立場から一致点を見出した上で、未来志向の対話ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、金融経済教育推進機構、J―FLECと言わせていただきます、これについてです。

 J―FLECは、岸田政権が掲げた資産所得倍増プランの目玉の一つとして、昨年、官民一体で設立された金融法人の認可法人です。前提として、J―FLECの事業は、金融経済教育を通じて安定的な資産を形成するといった、国民の皆様にとって非常に関心の高い事業であり、その必要性と重要性は十分に認められるものだという認識をしております。

 また、J―FLECのホームページにて公表されている各種セミナー及び勉強会用資料も拝見しました。小学生から社会人に至るまで区分ごとにきめ細やかに用意された各種資料の豊富さや、ゲーム形式の参加型教材の提案、そして動画の充実といった内容も含めて、すばらしいコンテンツを用意していただいていると考えています。だからこそ、これらのすばらしいコンテンツをより多くの人に金融教育として届けるべく、J―FLECも、KPIとして講師派遣における年間実施件数と参加人数を自らの目標として掲げたのだと拝察しています。

 そこで、資料一を御覧ください。この数字は、第三・四半期、つまり設定期間の七五%が経過した時点におけるKPIの進捗状況となります。残念ながら、二つのKPIは、どちらも三割程度で推移をしております。

 現在、暦は四月となりました。見通しや速報値等、分かる範囲で構いませんので、三月末の数字に近い最新のKPI達成状況を教えてください。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく、御質問がありました講師派遣やセミナーについて、実施回数が一万件、それから参加人数は七十五万件という目標でございます。

 これは、金融……(水沼委員「数字をお答えください」と呼ぶ)はい。それにつきましては、まさしく、データにありますとおり、実施回数五千回の倍増及び参加人数三十万人の二・五倍増を目指すということでございますので、昨年十二月までのJ―FLECの実施した講師派遣が三千七百回、参加人数が二十三万件でございます。

 本年三月末までの年間実施状況は、現在、J―FLECにおいて集計中ですけれども、先ほど申し上げました関連五団体における実績とほぼ同水準になる見通しでございます。

水沼委員 ありがとうございました。

 要は、KPIに大幅に未達という状況だと理解しております。せっかくこれだけ充実した資料を用意している中ですので、大変にもったいないなという印象を抱いています。

 そこで、伺いたいのは、講師派遣において金融経済教育の提供がJ―FLECによって公平なスタンスで無償で提供されているというコンテンツそのものの周知は、どのような対象へどれぐらい実施していたのかという点です。

 例えば、金融機関へ何社、教育機関へ何校、労働組合へ何団体かといったような、具体的かつ簡潔な形で、KPI達成に向けどのように努力をしたのかをお答えください。これは、国からの補助金一億五千万の中でも、職域向け講師派遣事業に最も多くの予算が割り当てられることからも、大切な観点だと考えます。簡潔にお答えください。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、文部科学省や総務省等の関係省庁、あるいは経団連、連合会といった団体と連携をいたしまして、全国の学校、地方団体、企業に対して、J―FLECの講師派遣を積極的に活用するよう、累次、周知をいたしております。

 それに加えまして、J―FLEC自身も、金融機関や地方公共団体、経済団体との共催も含めまして、イベント、セミナーを、この二月末時点でございますが、約百八十件開催をしております。

 さらに、各地域の金融広報委員会や財務局等が地域の経済団体や教育委員会等を訪問して、J―FLECを活用いただくよう、大体年間一千件以上はそういったような依頼を出しています。

水沼委員 ありがとうございます。

 例えば、労働組合では、私が前職にて委員長を務めていた当時もそうでしたけれども、組合費を拠出して外部講師を招いてマネーセミナーを開催している組織も多いかと思います。だからこそ、今、各種取組をしているということで、なかなか具体的なケースは申していただけなかったという認識なんですけれども、だからこそ、二〇二五年度は、各組織への周知の徹底をお願いしたいと思います。金融のところで、このJ―FLECのコンテンツの魅力度を認識するからこそ現状がもったいないと感じていることは御理解ください。

 本委員会には、金融機関で働いた経験をお持ちの委員の皆様が多くいらっしゃると拝察しています。金融の世界においては数字というものは大切なものであり、その意味では、目標値の半分にも届かなかった状況というのは、しっかりと現状を分析して、改善した上で新年度に臨む必要があると多くの委員が思われているのではないかと思います。

 そして、現在は四月です。J―FLECが一年間フルで稼働する初めての年度となります。立ち上げから一定期間が経過し、各種実情やノウハウも蓄積されつつあることかと拝察します。二〇二五年度のKPI達成に向けて、昨年度の反省も踏まえた取組の具体的な内容、金融教育をより多くの国民の皆様へお届けするのだという決意を大臣に御説明していただきたく、よろしくお願いします。

加藤国務大臣 今御指摘のように、二〇二四年度においては、実績と目標値に残念ながらかなりの差異がございます。J―FLECにおいては、一刻も早く全国に金融経済教育を行き届かせるため、あえて野心的なといいましょうか、二倍とか、ですから、かなり高い目標をあえて掲げて取り組んでいるところでございますので、この目標を可能な限り早期に達成するということ、全力で上げていかなければならないと思います。

 その上で、大事なことは、今御指摘のように、J―FLECとして広報活動に取り組んできておりますけれども、こうした取組の認知度が必ずしも高くないということでありますから、これをしっかり高めていくということであります。

 J―FLECにおいては、二〇二五年の年間KPIの達成に向けて、より多くの方々に講師派遣を利用いただけるよう、新入社員研修、社内勉強会への具体的な派遣事例も含め、官公庁、経済団体、教育機関等への周知や広報を強化するとともに、より多くのイベントやセミナーを開催できるよう、金融機関、企業、教育機関、地方公共団体、さらに、今労働組合のお話もしていただいたと思いますが、様々な団体に対して共催などの働きかけを行っていくこととしております。

 これまで経済金融教育に余り取り組んでこなかったところからも講師派遣やイベント開催の依頼等が来ているところでもありますので、こうした兆しをしっかり大きな流れにするべく、幅広い層に対して質の高い金融経済教育が提供できるよう、J―FLECの取組を金融庁としてもしっかり後押しをしてまいります。

水沼委員 ありがとうございます。

 野心的なKPIだったのでちょっと至りませんでしたというお話だと思うんですけれども、野心的なKPIを掲げたのであれば、そこは本当に野心的に、しっかりKPIの達成に。いずれにせよ、KPIなものですから、達成に向けた取組、それがちょっとおかしいということであればそのKPIの再設定の観点も含めて、必ず二〇二五年度はより多くの方々に金融教育が届けられるようなコミットをお願いしたく思います。

 次に、コンテンツについての内容です。

 高校生や大学生向けの資料では、闇バイトや情報商材ビジネス、あるいはポンジ・スキームへの注意喚起もあって、時代に即した資料にするための関係者の熱意を感じておりまして、その取組に改めて敬意を表します。

 だからこそ、昨今大きく問題となっているオンラインカジノの違法性に関する注意喚起も、先ほど矢崎委員の御指摘もあったんですけれども、この注意喚起も是非教材に入れていただきたいと思っています。

 実際に、闇バイトの実行犯役として逮捕された二十代男性からも、オンラインカジノで借金を重ねて、その返済のために闇バイトに応募したという供述がなされています。

 もちろん、金融教育という区分ですので、オンラインカジノというワードを出すことが難しいという御意見もあろうかと思います。その場合は、例えば、投資とギャンブルの違いなどの説明をして、多重債務を回避するという観点で、ギャンブル依存症に陥らないような対策を教材の中で紹介することも立派な金融教育だと考えています。御見解をお聞かせください。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 J―FLECにおいては、ギャンブルと投資が異なること、投資は、短期で売買を繰り返すのではなくて、長期、積立て、分散の重要性、ここら辺のことを周知をしていくということでございます。

 これを踏まえまして、本年三月二十一日に閣議決定されましたギャンブル等依存対策推進基本計画を踏まえまして、J―FLECの出張授業で利用可能な教材にこの点を組み入れるということを予定しております。

水沼委員 ありがとうございます。

 教材に組み入れるということで、前向きな答弁をいただいたことを心強く思います。是非、ギャンブル依存症対策は省庁横断で取り組んでいただきたく存じます。

 続いては、認定アドバイザー制度についてです。

 このアドバイザリー制度というものは、昨年公開された行政事業レビューにおいても、FPの取扱い等については、民業圧迫にならないように今後十分な点検をすべきという指摘がなされています。済みません、ちょっと質問の順番を変えちゃうんですけれども、この民業圧迫にならないようにという指摘を踏まえた、防ぐための取組の状況について教えてください。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 J―FLECが提供する、お金に関する個別相談というのがございます。ここにおきましては、一般的な金融知識や家計管理、あるいは資産形成の考え方、こういったものが主な役割にしてあります。それから、お金に関するアドバイスの価値あるいは意義を知っていただくきっかけとして、無料や割引で相談をしておりますけれども、この時間も限定をしているという形になっております。こういう形で、民間の取組を阻害するものでないように配慮しています。

 我々、J―FLECの方は、むしろ、こうした取組によって個人が専門家からのアドバイスの意義を感じられれば、その後、専門家からのアドバイスに対して報酬を国民の方が支払う、そういったような習慣、商慣行も根づいていくことを目指しているということでございますので、今後とも、そういう意味で民業の圧迫にならないような取組にしていきたいと考えています。

水沼委員 ありがとうございます。

 しっかりと、民業と、今、J―FLECの取組のプラスのシナジーが起きるような取組にしていただければと思います。

 済みません、もう時間が迫ってまいったんですけれども、ちょっと一点だけ苦言を呈したいのが、J―FLECの最新のKPIの状況というのを伺ったときに、例えば、東洋経済オンラインの三月二十一日時点の記事で、J―FLECによると、二〇二五年三月時点で依頼件数が二千七百件に達したというふうな形で、具体的な数字が出ているんですね。こういった形でメディアの取材にJ―FLECの方々が答えていらっしゃるので、国民の皆様の負託を受けた国会の場で数字を報告できないというものは、ちょっと今後しっかりと改善に努めていただければなというふうに思います。

 なので、そこを改善していただいて、もう時間が迫ってまいりましたので、ここは本当に、引き続き、やはり、一人一人が描くファイナンシャルウェルビーイングの実現というところをJ―FLECさんは掲げていらっしゃると思いますので、その点に関しては同意いたしますし、日本の発展、そして現役世代当事者としての声もお届けしながら、精力的に今後も活動をさせていただく所存です。

 質問を一部飛ばしてしまいまして、御準備された方には失礼いたしました。

 これで質問を終えます。ありがとうございました。

井林委員長 次に、村上智信君。

村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。

 質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。しかし、この大切なタイミングで喉風邪を引いてしまいまして、少し聞きづらい点があるかと思いますけれども、どうぞ御容赦いただけたらというふうに思います。

 さて、昨年の十二月に私は、国会におきまして、この場所におきまして、投資に関係して質問をさせていただきました。

 貯蓄より投資へ、この考え方、私も賛成をしております。今の日本の経済を考えましたら、やはり貯蓄よりも投資が求められているというふうに考えるからです。株式へ投資していただくこと、これはその会社を育てるということになります。ですから、株式への投資がより一般的になって、多くの方が参加していただけたらというふうに思います。ほかの金融商品や貯蓄が悪いというふうに言うわけじゃないんですけれども、日本の経済には投資かなというふうに思います。

 株式会社において出資者を集めることは大切なんですけれども、出資者を集めることにおいて苦労しておりますのは、非上場の会社、非公開の株式の会社になります。そのことに関連しまして、昨年十二月に質問いたしました。金融商品取引法に定める特定投資家の要件についての質問です。

 この制度はどういうことかといいますと、非上場の会社、こういう会社は、出資者を集めるために、証券会社に出資者を集めたいんだというふうに申し込む、そうすると、その証券会社の方で把握をしている特定投資家に投資をしませんかと声をかけて、そして集まってくる投資をその会社が受け取るということになるんですけれども、この特定投資家の要件といいますのが、法令で定めておりまして、先ほどの金融商品取引法に関係する法令ということになるんですけれども、この特定投資家の要件、資産が多いことなどを定められておりますけれども、その要件のうちの一つとして、特定の知識や経験、これについて、昨年度、金融庁においては、指針において詳しく定めますというふうなことをおっしゃっていました。

 そこで、昨年の十二月にもこの指針について質問しましたけれども、また改めて質問をさせていただきます。金融商品取引法に定める特定投資家の要件のうち特定の知識や経験については、指針にどのように定められたのでしょうか。教えてください。

油布政府参考人 お答え申し上げます。

 今ございました特定投資家の要件でございますけれども、内閣府令で定められておりまして、いずれも一年以上の取引経験があるということが必須でございますが、その中に、純資産若しくは投資性金融資産が一億円以上、あるいは年収が一千万円以上、こういった方につきましては、これに併せまして、特定の知識経験を有するということが条件にされております。

 この特定の知識経験を有する者が何かということでございますが、内閣府令上、証券アナリストでありますとか中小企業診断士等が列挙されておりますけれども、このほかに、これらと同等以上の知識経験を有する者も該当すると規定がございます。

 この部分が、範囲が分かりづらいという指摘がかねてからございまして、これを踏まえまして、金融庁では、三月十一日、先月の十一日でございますが、金融商品取引業等に関するQ&Aにおいて、委員御指摘の、同等以上の知識経験を有する者の範囲について、例示による明確化を図っております。

 具体的には、上場会社の役員、あるいは会社の経営戦略の作成あるいは新規事業の立ち上げに従事したことのあるスタートアップ企業の役職員、それからMアンドAやIPOの業務経験のある者などが該当する旨を明らかにしたところでございます。

 いずれの類型の場合でも、最終的には金融商品取引業者等が顧客の適合性を判断するということになりますけれども、金融庁といたしましては、こうした取組を通じて、スタートアップに対する投資家の裾野を広げ、資金調達環境の整備を進めてまいりたいと考えております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 要件を幅広く定めていただいたような印象を受けます。私は、十二月に質問した際に申し上げたのは、投資においては経験が一番大事じゃないかというふうに個人的に思っておりまして、そして、投資をしてみて、合わない人は合わないんですね。しかし、経験を積むと、合う人は合って、長期的に運用していけるようになるというふうなのが私が個人的に考えているところでして、経験としては一年以上というふうに定めているので、あとは広く要件を定めたらいいじゃないかという話をさせていただきました。誠にありがとうございました。

 さて、今の日本の経済が振るわない理由の一つとしては、ベンチャー企業が日本でどんどん出てくるような状況じゃないということが挙げられるというふうに思います。勢いのあるベンチャー企業が更に売上げを伸ばして人々の生活を豊かにする、こういうことが起こっていけばいいんですけれども、なかなかそうはなっていないというふうに思いますけれども、そのような問題点を考えたときに、やはりこの投資が関係するというふうに思うんです。

 製薬産業あるいは医療機器の産業を考えたときに、日本とアメリカというのは大きく違っておりまして、アメリカというのは、どんどんどんどん製薬のベンチャーが出てくるんですね。薬というのは開発するのにいろいろなことを試さないといけない。どういう化学物質があるかというのが分からないものですから、試してみるしかないんですね。そうすると、その物質ごとにベンチャーがどんどん現れては試す、そして、それが次々に失敗して、たまたまうまくいったところが大もうけをするというのが製薬の世界なんですね。そういうふうな製薬ベンチャーが出てくる、そしてそれに出資するというのがアメリカの文化として既に根づいているんですけれども、他方で、日本というのは、そのようになっていません。なかなかそういうふうなエンジェル投資家も出てこない、ベンチャーも出てこないというふうな状況です。

 そういうふうなことを考えると、日本の経済をよくするためには、投資家、エンジェル投資家を育てていくというのは非常に大切だというふうに思いますので、金融庁さんにおかれては、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 エンジェル投資家という話をしましたけれども、まずは投資家です、投資家を育てることが大事だというふうに思います。

 そこで、質問いたします。

 投資に関する教育として金融庁は何に取り組んでいるんでしょうか。教えてください。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁は、まさしくおっしゃるとおり、投資の知識も含めた国民の金融リテラシーの向上、様々な政策をやっております。その一環として、通称J―FLECですけれども、これを昨年四月に設立をしているということで、この中では、ライフステージや金融リテラシーの程度に応じていかに資産形成をしていくかというふうなことが重要でございまして、その一環として、投資、その投資のリスク、あるいはリスクをコントロールするための手法について、金融教育、経済教育の中に盛り込んでいっているということでございます。

 今後は、こうしたJ―FLECの取組も含めてしっかりと推進していきたいと考えています。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 先ほども話題に出ましたJ―FLEC、この機関がしっかりと投資教育をやっていただけたらというふうに本当に思います。

 この投資家への教育の中で、分散投資がいいんだとか、長期的にやることがいいんだとか、積立てがいいんだというふうに書いておりまして、それも全くそのとおりなんですけれども、それだけを見ると、ああそうか、それを気をつければもうかるのかと安易に考えてしまう方が増えると思います。先ほど御答弁の中にありましたけれども、やはり、リスクがあること、これをしっかり分かっていただかないといけないかなというふうに思います。

 私自身もちょっとだけ投資をやりますけれども、その中で一番ためになったのは失敗談なんですね。どの世界でも同じかもしれません、失敗談というのは本当に身にしみるんですね。そして、その失敗談を見て、自分もそうなったらいけないんだというふうに思うんですね。ですから、是非、そのようにリスクがあるということ、そして、より具体的に響くように失敗談などをその教育の中で盛り込んでいただけたらなというふうに思います。

 失敗というのは、どうしたら失敗するかというのとともに、自分の生活を壊してしまうというふうなリスクもあります。先ほど別の先生もギャンブル依存症の話をしていましたけれども、やはり、投資をしていながらギャンブル依存症になったりして生活が乱れる、そういうふうなリスクもあります。

 そこで、質問をいたします。

 一日中売り買いのできるFXでは夜中でも活動して生活が乱れるということ、ほかの投資でもギャンブル依存症になることが心配されるので、ギャンブル依存性なども金融経済教育に含めてはいかがでしょうか。お答えください。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁としては、いわゆるギャンブルと投資は異なる、投資を行うに当たっては、長期、積立て、分散の投資の重要性、そういったことを踏まえながら投資判断を行うべきだというふうに、これをしっかりと周知していくということが重要だと考えております。

 また、ギャンブル依存症への対応については、既に金融庁が公表しております、基礎から学べる金融ガイドというのもございまして、これには、ギャンブル依存症が起こしやすい多重債務あるいは日常生活への支障、そういったものや、あるいは、依存症に関する相談先を記載していくというようなことを行っております。

 今後についても、閣議決定されましたギャンブル依存症対策推進計画において、J―FLECの出張授業での利用可能な教材やJ―FLECの認定アドバイザーの研修に、こういったギャンブル依存症に関する内容を追加していくということを想定しております。

 そういうふうなことも通じまして、ギャンブル依存症について、関係の省庁と連携をしてしっかりと対応していきたいと考えます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 ギャンブル、パチンコや競馬などのギャンブルと投資は違うと考える方も多いんですけれども、依存症という意味では投資も依存症になりやすいというふうに思います。これはしっかり皆様に分かっていただかなければならないことだというふうに思います。

 三月二十一日に閣議決定されましたギャンブル等依存症対策推進基本計画、先ほど話がありましたけれども、その中でもしっかり、投資に関係してもギャンブル等依存症ということで対策、備えなければいけないということは書いておりまして、その点においては非常に安心をしております。

 投資に関係する教育、金融経済教育においては、ギャンブル依存症の話、そして、失敗したらどのようなことになるのか、これをよく理解していただくことが大切だというふうに思いますので、金融庁さんにおかれましては、この点、しっかり対応していただけたらというふうに思います。

 さて、話題を変えます。

 次は、これも先ほど話がありましたけれども、総理がおっしゃった消費税の話、食品に限った消費税の話ですね。三月二十八日の参議院の予算委員会におきまして、総理が、食料品に限った消費税の減税について、検証したいというふうな考えを示しました。これに関連して質問をいたします。

 食料品に限った消費税の減税の検証について、何か決まっていることがあれば教えてください。いつ頃までにどのような検証作業をするのか決まっているのでしょうか。お答えください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の三月二十八日の参議院の予算委員会での質疑に関しまして、総理から、その際、まず、我が国の消費税は全世代型の社会保障制度を支える重要な財源として位置づけられていることから、食料品に対する税率を含め、その税率を引き下げることは適当でないというふうに御答弁をされた上で、御指摘の部分につきまして、物価高については諸外国においても様々な対策が取られてきたとの指摘があったことから、そうした諸外国の対策でございますとかその背景、効果などについて引き続きよく調べさせたいという御趣旨で発言されたものというふうに承知をしております。

 したがいまして、財務省といたしましても、総理の発言の趣旨を踏まえまして、物価高に対する諸外国の対策やその背景、効果などについて、海外の事例の調査、分析を現在進めているところでございまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

村上(智)委員 御答弁ありがとうございました。

 今の答弁でしたら、物価高に対する海外の取組は調べるけれども、消費税については余り検証しないというふうな答弁にも聞こえましたけれども、総理の発言の記録を見ていましても、知識としては持っておきたいということでおっしゃっていて、知識として持っておきたいということで、この検証ですね、食品に限った消費税の話、その減税の話、これについて検証するのかなというふうに聞こえました。しかし、せっかくそういうふうな総理のお話であるにもかかわらず余り前向きに進んでいるような印象は受けないものですから、個人的には残念に思っております。

 しかし、せっかく総理が消費税の減税と口にされたのがよい機会になりますので、関連して質問をしたいと思います。

 これまでの国会での質疑におきまして、野党からは減税を求める質問が多いのに対して、政府からは財源を理由に難しいと否定する答弁をしているように見受けられます。他方、これまでの政権運営の中で、政府・与党が自ら減税に取り組んだ例もあります。例えば法人税ですね。法人税は段階的に下げられてきました。

 そこで、質問をいたします。

 これは一般的な話で構いません。一般論でいいんですけれども、一般的に、政府が減税を検討する場合には財源をどのように考えるのでしょうか。経済成長に応じて税収増を期待できるのが現状ですけれども、これを財源に見込むことはないんでしょうか。教えてください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御質問は一般論としてということでございましたが、まず、必要な実施する施策とその財源の在り方につきましては、その時々の経済社会状況を踏まえまして適切に選択されるべきものであるというふうに考えておりますが、そのうち、例えば恒久的な減収を伴う税制措置につきましては、安定的な財源を確保することが原則であるというふうに考えております。

 なお、御指摘ございました経済成長による税収増でございますが、これを財源として見込めることができるかという点についてでございますが、まず、税収は景気動向などによって変動するものでございまして、また、税収が増加する局面におきましては金利や物価が上昇するケースが多うございますが、そうした場合には、利払い費の増加でございますとか年金給付の増加でございますとか、歳出面での配慮も必要になってまいります。

 実際に、今回の七年度の予算におきましても、歳出面で、給与の改善でございますとか物価動向の反映などを行いつつ、政策的な予算を適切に確保した結果として百十五兆円と過去最高の歳出になってございまして、税収が過去最大と見込まれてもなお二十八・六兆円の新規国債を発行せざるを得ない状況であることなどに留意が必要であるというふうに考えております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 確かにそうですね。経済が成長すれば、その分だけ政府が出す支出も多くなる、それはごもっともだというふうに思います。しかし、その税収分全てが、物価が上がって出る部分が増えるばかりじゃなくて、やはり実質の成長分もあるわけですから、実質成長分については、それは何かに新しく使えるという発想ができるんじゃないかというふうに思います。

 財務省のホームページを見ますと、一般会計税収の推移というのが表示されておりまして、それを見てみますと、前年から比べて、令和六年度は一・三兆円、令和七年度は四・四兆円の税収増になっています。合わせて五兆円以上。これぐらいの税収増が見込めるのでしたら、先ほど話題になっておりました食品に限った消費税の減税、この減税の規模にも十分に見合うのかなというふうに考えられます。

 今は経済が伸びておりまして、税収も増えております。一方で、国民は物価高に苦しんでおります。税収増で新しくできること、これは是非、物価高で苦しんでいる国民のために物価高対策に使っていただきたい、そういうふうに考えていただきたいなというふうに思います。

 続けて質問いたします。

 また総理の発言に戻りますけれども、二十八日の参議院の予算委員会におきまして、総理は、食品に限った消費税の減税について検証したいというふうにお考えをお示しになりましたけれども、質問します。

 総理は、軽減税率の効果を考えたいとの趣旨の発言をされていますが、このような検討の際は納税者の過重な事務負担についても併せて考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答えいたします。

 三月二十八日のやり取りだったかと思いますが、総理は、その際、我が国においては既に軽減税率制度が導入されている中で、食料品の消費税を更に軽減する措置について、先ほども御答弁を申し上げましたとおり、諸外国の対策の内容でございますとかその効果、背景などについてよく調べさせたいという御趣旨で御発言されたものと承知しております。

 その上で、軽減税率制度でございます。これは、日々の生活におきまして幅広い消費者が消費、利活用されている商品の税負担を直接軽減するものでございまして、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの観点を踏まえて、消費税率の引上げに伴う低所得者への配慮として導入されたものでございます。

 その導入に当たりましては、特に中小事業者の方に新たに生ずる事務負担やコストに配慮いたしまして、制度面では、税率区分を一〇と八の二区分にとどめます。また、対象品目につきましても、酒、外食を除く飲食料品であれば基本的に軽減税率の対象とするなど、可能な限り簡素な仕組みとなるよう努めているところでございます。

 また、実務面では、レジ補助金やIT導入補助金による支援を行っておりますし、また、国税当局におきましても、全国の税務署やコールセンターなどにおいて丁寧な対応を現在も実施しているものと承知しております。

 軽減税率制度は、二〇一九年の十月の導入から五年半が経過しておりますが、社会に広く根づいており、低所得者への配慮という観点からも廃止することは考えておりませんが、その対応に努めておられる個々の事業者の方からの御相談などがありましたら、引き続き、きめ細かく対応してまいりたいというふうに考えております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 様々なことをお話しいただきましたけれども、私が政治活動をやっていて、いろいろな方から、今の政府のここを改めてほしい、そんな相談事があるんですけれども、この軽減税率については、その中でも声が大きく届いてきます。飲食店をやっていて、税率が八%と一〇%とある、例えばから揚げを売っていて、店内で食べれば一〇%だけれども、持って帰ったら八%、そういうふうなことで大変な事務の煩雑さがあるんだという話を聞かされます。

 それに対して、今御答弁いただいた話では、もう既に何年も入っていて納得感が得られているんじゃないかというふうにおっしゃっていましたけれども、いまだに私には言われるんです。大変だから何とかしてほしいというふうに言われるんです。

 多分、財務省さんに話ができるような大手の方は、そういうことにはどんどん慣れていけるんでしょうけれども、私がお話しするような一般の方、数人でやるような会社の方は、なかなかそうはいかなくて、すぐにレジを入れ替えるとか新しい会計システムを導入する、なかなかできないものですから、このことを是非覚えていただいて、総理から言われて今後検証されるんでしょうけれども、軽減税率、それによって納税者、納税する側がどれぐらい事務負担が大変なのか、海外ではどういう工夫があるのか、そういうことまで含めて検討していただけたらなというふうに思います。

 軽減税率の話をしましたけれども、もう一つお話をしたいのは、インボイスになります。

 インボイスにつきましても、これもまた多くの方から言われます。非常に作業として大変だ、事務作業が大変なんだ、こういうふうなことを言われます。このインボイス、対応しなければ商売相手から切られるわけですから、多くの企業が、あるいは事業者がやるというふうにしているんですけれども、しかし、事務が大変なので何とかしてほしい、そういう話になりますけれども、関連して質問いたします。消費税のインボイス制度の導入の狙いを教えてください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 インボイス制度は、複数税率の下でも仕入れ税額控除において差し引く金額を正しく計算できるようにすることで、課税の適正性を確保するために必要な制度として導入をいたしたものでございます。

村上(智)委員 食品などに軽減税率を導入したことに伴って、税率の違いをちゃんと書類に残して、そして正確な納税をしてもらうという趣旨は分かるんですけれども、そうであるならば、例えば、食料品以外、軽減税率に関係ない分野についてはインボイスは不要ではないのかなというふうな、そのような感想は持ちます。それに、インボイス制度を導入しなくても、ほかの税金も全部同じですけれども、納税を間違えた場合、こういうときは税務署がチェックして見つければいいということになるわけですから、そういうふうに税務署のチェックに頼ってしまうというふうな割り切りもできるというふうに思います。

 そこで、関連して質問いたします。インボイス制度の導入による税収増は幾らと見積もっているのでしょうか。教えてください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、インボイス制度でございますが、複数税率の下でも正しく仕入れ税額控除において差し引く金額を計算できるようにするためで、課税の適正化の観点から導入した措置でございますが、その結果として一定の増収がございます。免税事業者の方が課税事業者に転換することによりまして増収額が出ます。これにつきましては、令和七年度で見込んでおりますのは、国、地方合わせまして約二千億円程度ということでございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 このインボイス制度によりまして納税者の方は大きな事務負担を強いられるんですけれども、それにしては二千億円というのは少ないのかなというふうに思いました。このような膨大な作業をして、消費税みたいに何十兆も集まるんだったらよく分かるんですけれども、二千億円程度だったら、ちょっとそれは意味があるんだろうかというふうな感想を持ちました。

 仮定の話をしますけれども、例えば、税制度があって、その税制度で全国で一億円集まる税制度があったとします。その税制度をやるために納税者が事務作業をしますね、何十時間という事務作業をする。そして、それを時給で換算して、金額を足し合わせてみると、例えば十億円かかったとします。十億円の作業をして、一億円の納税だった。そのときに、この税金は入れるべきなのでしょうか。私の考え方は、そういうふうな税金は入れるべきではないと思うんですね。

 一億円の税収が集まって大切な政策ができるかもしれませんけれども、しかし、その一億円の税金を集めることをやめれば、十億円分だけ、働いている方は別のことができる。より生産的なことをやれる。販売を増やすとか、GDPを増やす、そんなことができる。そういうふうに考えると、一億円の税金を集めることをやめることによって十億円の経済効果があったというふうな評価もできると思うんですね。

 先ほど、二千億円という話がありましたけれども、このインボイスの制度にどれぐらいの人が関わっているのか分かりませんけれども、例えば一千万人がこの作業に関わっているとすると、一人頭二万とかですよね。二万というと、三日ぐらい働けば二万ぐらい簡単にいくと思うんですけれども、それぐらいの作業量は強いているんじゃないかなというふうに思うんですよね。

 そう考えると、このインボイス制度はやめて、二千億円集める代わりに、その分、これは経済対策なんだというふうに大きく打ち出して、そして、その分、国民の皆様に、納税している方々により生産的な仕事をやってもらう、こういうふうな発想があってもいいのかなというふうに私は感じました。

 さて、最後の質問に入ります。

 以上を総括した質問になりますけれども、大臣にお聞きします。今後の消費税などの在り方を政府において検討する際には、中小企業等に過重な作業が生じないよう、簡単で簡素な税制度を考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 税制については、これまでも、そのときの経済社会の変化、また、政策目的の実現などに加えて、公平、中立、簡素という租税原則にも留意した制度設計を行ってきたところでございますし、消費税の軽減税率制度についても、先ほどいろいろ政府委員からも答弁させていただきましたが、可能な限り簡素な仕組みになるよう努めているところでございますし、また、インボイス制度においても、事業者の事務負担にも配慮した制度設計を行っているところであります。

 今後、税制の在り方を検討するに当たっても、事業者の事務負担等にも配意して、できるだけ簡素なものとなるよう心がけていく必要があると考えております。

村上(智)委員 御答弁ありました。ありがとうございます。

 公平、公正、簡素、誠にそのとおりだと思います。そして今、納税する方の事務負担についても勘案していただけるというふうに前向きな答弁をいただきまして、誠にありがとうございます。軽減税率もそうですし、インボイスについても過重な事務作業があるんだというふうに言われております。是非そのような過重な作業が発生しないように税制度を考えていただけたらというふうに思います。

 私がこういうふうな話題を取り上げるのは、これからの日本というのは人口減少で困るからなんです。人口減少で人手不足なのにもかかわらず、これまでの社会の制度をその少ない人口で支えていかなければならない。そう思うと、できるだけ効率化を図るということが不可欠だというふうに思うんです。

 そのために、私は、今回はインボイスと軽減税率を取り上げましたし、それ以前はe―Taxの話を取り上げさせていただきました。e―Taxを導入するに当たって、便利になっている部分もあるんですけれども、しかし、全体的に、法人の方ではなかなか便利にならないものですから、そういうことを便利にしてほしいという話をさせていただきました。そしてまた、消費税の中でも、外国人の旅行者の話、外国から来る旅行者の話についても、やはり同じ趣旨で発言をさせていただきました。今これだけ円安ということもありますし、割り切って、外国旅行者の方にも消費税をかけたらいいんじゃないかという話をしました。その分だけ業務が効率化されるわけなんですね。

 是非そういうふうに業務を効率化して、これから少なくなる人手、働き手、それでも社会が回っていけるように、効率化について考えていただけたらと思います。

 以上で私からの質問を終わります。ありがとうございました。

井林委員長 次に、岸田光広君。

岸田(光)委員 こんにちは。国民民主党の岸田光広でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 先ほど来取り上げられておりますが、アメリカのトランプ大統領が相互関税を発表し、日本に対し二四%の関税を課す方針を明らかにしました。これに加えまして、全ての国を対象とした一律一〇%の関税、そしてさらに、発効した自動車への二五%の追加関税が日本経済に深刻な影響を及ぼすと懸念されます。特に、輸出産業を支える中小企業、また地方経済、さらには国民生活への波及は看過できないと考えております。

 また、最近では、サイバー詐欺の急増も国民生活を脅かしております。交通系電子マネーを悪用したフィッシング詐欺、また楽天証券での不正ログイン事件が大きな問題となっております。

 本日は、この未曽有の経済的挑戦とサイバーセキュリティーの危機に対しまして、どのように政府で分析をされ、そしてどのような対策を講じるつもりでおられるのか、お伺いしたいと考えております。国民の暮らしと日本の未来を守るため、現実的かつ具体的な対応が求められていると考えます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 本日は植田日銀総裁に御出席いただいております。お忙しい中、誠にありがとうございます。

 三月の金融政策決定会合におきまして、外部リスクが高いことを金利引上げを見送る理由の一つとして挙げられていたかと思います。その時点で、外部リスクの評価には、グローバル経済の不確実性、海外の金融市場の動向などが含まれていたかと思います。この点につきまして、前回の私の財務金融委員会の質疑におきまして、植田総裁にお考えをお伺いしました。

 トランプ大統領が新たな関税引上げの方針を実際に発表し、これが国際貿易や為替、経済、さらには日本経済に与える影響が今まさに注目されています。

 このような状況の変化を踏まえ、日銀として、外部リスク、事前に、発表前に想定していたとおりと考えていらっしゃるのか、それとも外部リスクが大きく変わったと評価されるのか、また、そうであれば、その変化が今後の金融政策にどのような変化を及ぼす可能性があるのか、植田総裁の御見解をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、国光委員長代理着席〕

植田参考人 米国の関税政策でございますが、様々な経路を通じて世界経済及び我が国経済を下押しする方向に働くようになると考えております。今般の自動車関税そして相互関税の導入によって、内外の経済、物価をめぐる不確実性は高まったと見ております。

 これらの政策が内外の経済、物価に及ぼす影響や程度については、関税政策が今後どのように展開していくかということにも大きく依存します。今後の動向を十分注視していきたいと思いますし、その上で、毎回の金融政策決定会合では、関税政策の影響を含め、内外の経済、物価情勢、市場の動向等を丁寧に確認し、経済、物価見通しやリスク、あるいは見通しが実現する確度等を点検しながら、適切に政策を運営してまいりたいと思っております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 外部リスクが高まったということで伺わせていただきました。

 今も植田総裁に御答弁いただいたんですけれども、様々な経路で日本経済に影響が及んでくるということで、次に、アメリカの関税引上げが日本の物価を押し上げるというふうによく報道されているんですけれども、ここではあくまで一般論とか教科書的な観点で結構ですので、今まさに言われたように、様々な経路、どのような経路で、どのようなメカニズムで、日本の物価が上がっていくというふうになるのか、お伺いしたいと思います。輸入品価格の上昇また為替レートの変動が、コストを増やして、それが物価にどう波及していくのか、また経済全体にどう影響していくのかについて、植田日銀総裁のお考えをお聞かせください。

    〔国光委員長代理退席、委員長着席〕

植田参考人 米国の関税政策の我が国の物価への影響でございますが、様々なルートが考えられます。

 一つには、直接間接に我が国経済を下押しする方向に関税政策が働く可能性がかなりありますので、このこと自体は我が国の物価を押し下げる方向に作用すると考えられます。

 他方で、グローバルサプライチェーンが関税政策によって混乱するというような、供給サイドからの影響も考えられます。この場合は、場合によっては輸入物価の上昇等を通じて我が国物価に対して上押しの圧力を加える可能性がございます。

 また、さらに、金融・為替市場を通じた影響等も場合によっては発生する可能性があります。

 いずれにせよ、こうした内外の経済、物価に及ぼす関税政策の影響や程度については、今後の政策の帰趨にも大きく依存するため、私どもも十分に注視してまいりたいと思っております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 それでは、日本銀行が一日に発表されました三月の日銀短観についてお伺いしていきたいと思います。

 大企業の製造業における景況感、前回、二〇二四年十二月調査ではプラスの一四で、今回の発表で小幅悪化のプラスの一二ということになりました。この悪化は、鉄鋼業また食料品業など幅広い業種で見られ、アメリカの関税政策や中国経済の低迷が影響しており、報道などでは日本経済の先行きに対してネガティブな評価が多くなっております。

 植田日銀総裁には、この日銀短観について、全体としての景況感についての評価をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

植田参考人 三月短観の中の企業の業況感でございますが、全産業、全規模で評価しますと、おおむね横ばいとなっております。

 内訳的には、委員おっしゃいましたように、製造業では、一部において米国の関税政策あるいは中国等海外需要の伸び悩みの影響を若干見ることができます。他方で、我が国経済の緩やかな回復が続く下で、非製造業の業況感は幾分改善しております。

 これらを総合しますと、私どもの判断としては、我が国企業の業況感ですが、全体として良好な水準を維持しているというふうに評価しております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 マスコミ等ではネガティブな評価が多かったですけれども、誤差といいますか、今横ばいで推移しているという御答弁をいただきました。

 次に、前回、委員会での私の質疑で、国内の賃金と物価の動向についておおむねオントラックと植田日銀総裁は発言されたことについてお聞きしました。今回の日銀短観につきましても、おおむねこれまでのオントラックという評価は変わらないのでありましょうか。また、今回の日銀短観のいろいろな指標で、細かい点で想定外のものがあるのか、今後注意を要するようなものがあるのか、それについてお聞かせください。

植田参考人 今回の短観では、先ほど申し上げましたように、業況感は良好な水準を維持しているということに加えまして、企業収益の改善、それから労働需給の引き締まり、さらに価格転嫁の進展などが改めて確認されたというふうに判断しております。さらに、本年度の設備投資についても、この時期にしてはしっかりとした計画が示されております。こうしたことで、三月短観の結果は、我が国の経済が緩やかに回復しているという見方に沿ったものというふうに考えております。

 注意すべき点ということでございますが、一つポイントとしては、短観の回答期間が二月の二十六日から三月三十一日となっております。ですので、最近発表されました米国の関税政策の影響が十分に織り込まれていない可能性があると考えております。この点、今後、様々な情報等から、関税政策の影響について、引き続き十分に注視してまいりたいと思っております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 景況感についてはオントラックの状況が続いているということで、御答弁いただきました。

 次に、業種別業況判断DIについて詳しく拝見しますと、製造業、特に繊維、金属製品など、アメリカの関税引上げの影響を大きく受ける業態において既に低い数字となっています。また、大企業、中小企業で比較すると、やはり中小企業の数字が、業種によりまだら模様ではあるものの、全体としてやはりまだ低いように思います。

 業種別業況判断DIについて、日銀総裁の全体の受け止めというのをお聞かせください。

植田参考人 業種別の業況判断でございますが、委員御指摘のように、例えば鉄鋼などでやや大きめに悪化しております。これはやはり、米国が先行して導入しました鉄鋼、アルミニウム関税の影響が出ている可能性もあるというふうに認識しております。また、規模別に見ますと、これも委員御指摘のように、恐らく収益環境の違いなどを反映して、中小企業の方が水準が低くなっております。

 ただ、足下では、価格転嫁の進展等から、業況判断を引き上げる先も一部で見られています。こうした動きが今後定着していくかどうか、注目していきたいと考えております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 次に、日銀短観の回答期間について、二月二十六日から三月三十一日なんですけれども、これが今回のトランプ関税の影響をどのぐらい織り込んでいるのかといったところをお聞きしようかと通告はさせていただいたんですけれども、先ほどの御回答で、この部分について非常に高い懸念を持っていらっしゃる、まだ織り込みが進んでいないというような御回答をいただきましたので、この部分の質問については飛ばさせていただきたいと思います。

 ここまでで、日銀総裁に全てお答えいただきましたので、御退席いただいて結構です。どうも、本日はありがとうございます。

井林委員長 日銀総裁、退席してください。

岸田(光)委員 続きまして、加藤大臣に順次お伺いさせていただきたいと思っております。

 今回のトランプ大統領、トランプ政権における関税引上げ、こちらの影響なんですけれども、せっかく回復の途上にある日本経済、この日本経済を腰折れさせかねない、まさに国の一大事であるというふうに認識をしております。

 この問題に対する加藤大臣の危機感についてお答えをください。

加藤国務大臣 今般の相互関税措置を始めとした米国政府による広範な貿易制限措置は、日米間の貿易そして経済、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体などにも大変大きな影響を及ぼしかねないと懸念をしているところでございます。

 政府としては、米国による関税措置の内容、国内産業、雇用への影響を含む我が国への影響を十分に精査し、資金繰り対策など必要な対策をしっかり講じていきたいと考えております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 昨日、石破首相は、トランプ大統領に電話や対面で申入れを行う考えがあるか問われ、これに対して、閣僚や事務方が積み上げていくが、私自身がトランプ大統領と直接話すことが適当であれば、最も適当な時期に最も適切な方法で働きかけることをちゅうちょするものではないというふうに述べられました。私としましては、これはかなり慎重な言い方をされているなというふうに感じたところではあります。

 基本的に経済産業大臣が通商交渉の中心的役割を務められるとは思いますが、関税という税制面では財務大臣も重要な役割を担っているかと思います。この点について、加藤財務大臣にもお伺いをしたいと思います。

 首相が直接交渉の可能性を示唆されましたが、関税という税制を所管する財務大臣として、加藤大臣も、必要であれば直接訪問し、アメリカ側と交渉するという覚悟はお持ちでしょうか。日本の産業や経済に深刻な影響を与えかねないこの関税問題においては、財務大臣としての専門的知見からの働きかけも不可欠だと思います。

 加藤大臣には、トップ外交を支える重要閣僚として、首相とともに前面に立って交渉に臨む用意があることを明確に示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 総理の昨日の発言も、やはり、こうした事態の中で我が国の国益をしっかり守っていくため、そのためには前面に立ってそれに対して対応していく、ただ、やり方等々はいろいろありますから一番いい方法を選択する、こういうことの趣旨でおっしゃられたものと理解をしておりますし、私としても、もちろん経産大臣とそれぞれ役割分担がありますけれども、私は私としての役割、これをしっかり果たし、必要であれば、米国のベッセント財務長官等とも、あえて機会をつくるのか、また、今後においても様々な機会がございますから、そういったときを活用するのかを含めて、緊密な協議を図っていきたいというふうに考えております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 日本とアメリカの交渉スタイルは、その歴史的、文化的背景からも大きく異なると思います。私自身も、海外で生活しておりましたので、身をもってその違いを痛感してきました。アメリカでは、まず自分の立場を強く主張し、そして交渉に入っていく。日本は、これだけ努力して頑張っているからきっと相手も分かってくれるだろうというような交渉スタイルであるというふうに感じています。日本の中ではそのような美徳は評価されても、残念ながら国際的には通用しないのではないかなと思います。

 これはちょっと通告していないんですけれども、加藤財務大臣に、個人的といいますか、これまでの国際経験の中で、この海外との交渉スタイルの違いを、是非御所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 交渉スタイル、それぞれあると思いますし、個々においても、例えばアメリカ側であり、日本側であり、大臣であり、総理であり、それぞれのスタイルというのがあるんだと思いますが、基本は、先ほど申し上げた、いかにして国益をどう守っていくのか、そうした中において、主張すべきことは主張していくし、またそのタイミングをどう図っていくのか。最終的に、我が国の国益を最大限図るべく結論を得ていく、結果を出していく、ここに尽きると思いますので、スタイルというよりは何を目指していくのかと。

 今回に関して言えば、我が国としては措置の見直しを強く求めていくということでありますので、それに向けて最大限の一番いい方法を取るべきでありますし、また、その間において、国内において、国民の皆さんの暮らし、経済、あるいは産業に対する影響も懸念をされておりますから、それに対しては資金繰り支援などを含めて必要な対策をしっかり講じていく、こういうことだと思っております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 先ほども報復関税についての議論があったかと思います。私自身はこの報復という言葉は余り好きではないのですけれども、日本も、対抗措置をしっかり取った上で、いわゆるトランプ大統領の言われるディールに入っていくべきだと考えます。日本も、関税引上げを含めた対抗措置を検討していただくことをお願いしたいと思います。

 次に、アメリカの関税引上げにより世界的なインフレが起きるというふうに今言われております。関税で物価が上がるリスクが明らかである中、早急に物価引下げの対策を準備していかなくてはならないと思います。既に米などの食料品価格の上昇が国民生活を圧迫し、今年は猛暑も予想されております、電気代を引き下げる検討も、輸入価格高騰に備えた物価抑制策として具体化していかなくてはならないと思います。

 広範囲に物価に影響を及ぼすという観点で、また、地方に住んでおられる方々の家計を助けるために、早急に、ガソリンの暫定税率を今すぐ廃止をして、燃料費負担の軽減、これを図っていくべきだと思いますが、加藤大臣のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 物価対応についてはこれまでも様々な措置を既に講じているところでもありますし、そうした措置をしっかりと執行していくよう更に取り組んでいきたいと思っております。

 その上で、いわゆるガソリンの暫定税率の廃止については、これまでも申し上げてきておりますが、インフラ整備や維持管理等の負担の在り方、あるいは安定的な財源の確保、さらには各自治体への影響、こうした諸課題を解決する必要があり、昨年十二月の自民、公明、国民民主の三党幹事長合意を踏まえ、これらの諸課題の解決また具体的な実施方法について引き続き政党間で真摯に協議が続けられているものと承知をし、私どもとしては、そうした結果を踏まえて適切に対応していきたいと考えています。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 次に、関税がサプライチェーンに影響を与えるのは時間の問題かと思われます。ガソリン、電気、食料品のコスト対策を行う姿勢を早急に示し、国民に安心を与えることが重要だと思います。中小企業、特に地方の輸出関連企業がコスト増に直面するのは確実だと思います。中小企業また地方経済に与えるインパクトにつきまして、このトランプ関税を踏まえて、加藤大臣の受け止めをお聞かせください。

加藤国務大臣 米国政府による広範な貿易制限措置、今般の相互関税も含めてでありますけれども、日本の経済、日米両国の経済等々、あるいは貿易を含めて、様々なまた大きな影響を及ぼしかねないと懸念をしているところであります。

 国内においても、輸出企業のみならず、地方にも広がる関連の中小企業も含めて、国内産業、雇用へどんな影響があるのか、こうしたことをしっかり分析をし、そして、それに対する対策として、資金繰り対策など必要な対策に万全を期していきたいと考えています。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 日銀総裁並びに財務大臣から、アメリカの関税政策による影響と対応について丁寧な御説明をいただきました。感謝を申し上げます。

 私どもが特に懸念しておりますのは、この問題が、今申し上げた地方経済、中小企業の皆様、そして国民生活に与える影響でございます。こうした状況に対応するため、以下の三点について政府としての具体的な取組を御検討いただければと思います。

 答弁にもありましたけれども、アメリカとの建設的な対話、こちらを早急に進めていただきたいと思います。日米関係の重要性に鑑みまして、トップ会談を通じた相互理解の深化も含めた取組をお願いいたします。

 次に、物価上昇が国民生活に与える影響への対応、特に生活必需品である燃料費、電気料金、また食料品価格への影響を最小限に抑える施策の御検討をよろしくお願いします。

 そして最後に、中小企業の皆様への支援の充実についてです。地域経済の要である中小企業の事業継続をしっかり支えていく体制づくりが重要かと思います。

 私ども国民民主党といたしましても、これらの課題の解決に向けて、建設的な提案を続けてまいる所存でございます。引き続き、政府・与党の皆様と、建設的な議論を通じて、よりよい解決策を見出していければと考えております。

 次に、情報化社会の進展に伴いまして、高度化、複雑化するネットバンキング、ネット証券に関わるサイバー犯罪の問題についてお聞きをしたいと思います。

 ちょっと時間の方が押していますので、カード詐欺についてもお聞きしたいと思っておりましたが、本日は省略させていただきます。答弁を作成してくださった皆様には大変申し訳なく思っております。

 楽天証券の不正アクセス事件についてお聞きしてまいりたいと思います。

 証券会社、特にネット証券に関するサイバー詐欺の事案が最近増えていると報道されております。特に、楽天証券で不正ログインによる詐欺が多発していると報道されています。顧客の口座が不正にアクセスをされ、保有していた国内株式等が勝手に売却をされ、その資金で意図しない中国株などが購入されるという被害が報告をされています。これらの被害は一件当たり数百万に及ぶこともあり、直接的に資金が引き出されていない特徴があります。楽天証券は、これがフィッシング詐欺によるもので顧客情報の流出はなかったと言っていると今報道されておりますが、被害者の中には、フィッシング詐欺にはひっかかっていないという主張をされている方もいらっしゃいます。

 このような問題を受けまして、フィッシング詐欺の背景また対策について具体的にどのような見解を持たれているか、伺いたいと思います。

 まず、楽天証券で発生したこの不正アクセス事件について、政府はどの程度の情報を今把握されていますでしょうか。被害総額また影響を受けた人数など具体的なデータをお持ちか、お答えください。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、楽天証券でのこの不正アクセス事案、重大な問題だと考えておりまして、毎日若しくは時々刻々、楽天証券から、不正アクセスの件数、そのうち売買に至った件数などの報告を受けておりますけれども、この楽天証券の把握している状況につきましても、お客様の申告に基づくものも含まれておりまして、楽天証券としてまだ確認できていないというものも含まれておりまして、精査中のものも多数ございますことから、現在、現時点で、この場所で件数などをお答えすることは御容赦いただきたいと思います。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 まだいろいろ精査とかが進んでいる中ということですが、日々状況をキャッチアップされているということで伺いました。

 次に、本事件の背景には、フィッシング詐欺であるという指摘があります。このフィッシング詐欺について、政府としてどのような対策を講じられているか、また、事業者への指導、国民の啓発活動はどのように進められているか、お答えください。

井林委員長 伊藤監督局長、答弁は簡潔にお願いします。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 このフィッシング詐欺についての顧客への注意喚起につきましては、それぞれの証券会社においても行っておりますけれども、金融庁といたしましても、本件を踏まえまして、昨日、金融庁のウェブサイトにおきまして証券会社の偽サイトに関する注意喚起文を公表したところでございまして、また、証券業協会などからも注意喚起文を公表しているところでございますが、新手の詐欺でございますので、時々刻々、状況を把握した上で、必要な対策を引き続き取っていきたいというふうに考えております。

岸田(光)委員 時間となりましたので、終わらせていただきます。

 今回の事件で、証券取引をされている方、非常に不安を持たれているかと思います……

井林委員長 申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いします。

岸田(光)委員 はい。

 しっかりその不安に対応していただきたいとお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

井林委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 昨年、インサイダー取引や貸し金庫の金品窃盗など、金融取引の信頼を揺るがす不祥事が相次ぎました。今日も冒頭から話のあるとおり、いわゆるトランプ関税による、世界経済が不透明さを増す中で、金融政策のかじ取りが困難な状況ではありますが、こうした中でも金融取引への信頼を確保していくことが何よりも重要であります。

 その観点から、この委員会でも何度か取り上げになっておりますが、改めて、スルガ銀行の不正融資問題を取り上げたいと思います。

 二〇一八年四月、スマートデイズ社が経営破綻をし、スルガ銀行のかぼちゃの馬車など不正融資問題が顕在化をしました。多くの個人投資家が高額ローンを抱え、一部では、数千万円の価値しかない物件を数億円で購入させられるという悪質な事例も明らかとなりました。二〇二二年の麻生訴訟判決では、これらの融資は一部営業職員の暴走ではなく、スルガ銀行が組織的に行っていたと認定をされております。

 通常、銀行は、不動産価格を適正に評価し、融資条件も厳格に設定をします。しかし、スルガ銀行は、なぜか複数のハードルを越えて無理な融資を続けた。また、投資家のリスク認識を無視し、プロの投資家ではなく不動産投資の余り詳しくない人をターゲットにしていたとすれば、これは極めて悪質であります。

 スルガ銀行の、不動産価格の評価、融資条件、融資スキームの立て方について、金融機関の在り方としてどう間違っていたと評しているのか、金融庁としての見解をお伺いさせていただきます。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 スルガ銀行によるシェアハウス融資やいわゆるアパマン向け融資におきましては、不動産業者が、賃料や入居率の見込みを実勢よりも高く想定したり、若しくは実績値よりも高い数値に改ざんすることなどによりまして、割増しされた不動産価格を算出していた事例や、融資を実行する際にカードローンや定期預金等の様々な商品を抱き合わせて販売することを条件としていた事例、不動産業者が融資審査に必要とされていた書類を改ざんし、当該改ざんに関して行員が不正行為と認識しながら業務を行っていた事例など、不適切な事案が多数認められたところでございます。

 こうした問題が発生した要因といたしましては、同行におきまして、審査体制に不備が認められる営業優位の組織が構築される中で、厳しい業績プレッシャーなどにより不正行為を蔓延させる企業文化が醸成されていたことや、同行の取締役会が、特定の役職員に営業方針や施策を任せ切りとし、適切に監督機能を果たさないなど、同行の経営管理に問題があったことなどが挙げられるというふうに考えておりまして、金融庁といたしましては、こうした内部管理体制、経営管理体制上の問題を重く受け止め、二〇一八年十月に、同行に対しまして、一部業務停止命令を含む業務改善命令を発出したところでございます。

中川(宏)委員 これは適切性を欠いたという一言では済まされない、極めて深刻な事業だったと思います。特に、金融機関が、プロとしての立場を利用しまして、リスク認識のない一般の方々に対しまして意図的に不正融資を重ねた点は、単なるガバナンス、チェック体制の問題ではなくて、銀行業の根幹を揺るがす倫理の欠如だったのではないかというふうに思っております。私自身も地方銀行の勤務を経験させていただきましたが、その経験からしても、不正融資事件で四百名以上の被害者、また一千億円超の被害総額まで至ったということは、これは到底理解できないことであります。

 先ほどもお話がありましたが、事件発覚後、二〇一八年十月十二日には金融庁から業務改善命令が出されたところでありますが、今年、二〇二五年一月時点で、いまだ改善命令は継続中であります。スルガ銀行が事件の重大性を真に反省をし、改善に取り組んでいるか、これは疑わざるを得ないと思います。

 金融庁といたしまして、この業務改善命令が七年近く継続している事態をどう受け止め、今後どのように改善を促していくのか、この点につきましてお伺いをさせていただきます。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、また、私、先ほど申し上げましたように、二〇一八年の十月に業務改善命令を発出して以降いまだに解決に至っていないという点につきましては、金融庁としても甚だ遺憾でありますし、問題であるというふうに考えております。

 私どもといたしましては、同行に、できるだけ早く債務者との間で問題解決が図られることが重要であると考えておりまして、重ねて銀行に対して指示をしているところでございます。

中川(宏)委員 甚だ遺憾というお話がございましたけれども、改善命令が七年続くというのは、これはもう異常事態であります。更に金融庁として主体的に、ある意味期限を区切ってでもしっかりとした対応を求めていただきたいというふうに思っております。

 二〇二五年三月、スルガ銀行は、投資用不動産融資物件三万七千九百七件のうち、約二割で審査書類の改ざん、偽造等の不正があり、係争中は二・一%の七百八十件と公表しました。係争中二・一%となっておりますが、銀行業務におきまして、審査書類の改ざんまた偽造が一件でもあれば、これは重要な問題であります。それがいまだに七百八十件、当初の被害総額一千億円以上という事態は異常と言えます。

 この不正スキームでは、売主、仕入れ業者、ブローカー、客つけ業者、これが一体となりまして改ざんを行って、スルガ銀行はセミナーを開いて不正物件の買手を集めるという手口もありました。しかも、その買主の多くは不動産投資に精通していない人でありまして、金融機関として極めて許されない行為であります。

 金融行政といたしまして、スルガ銀行の不正融資事件を防げなかった制度上の問題、これをどう捉えているのか、また、今後このような事件が起こらないようにどう制度を改善したのか、お伺いをさせていただきます。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 銀行は、銀行法令に基づきまして、健全かつ適切な業務運営を確保するための体制整備とその実行が求められているところでございまして、これを、私ども監督当局といたしまして、金融庁がしっかりとモニタリング、監督指導するという制度の枠組みとなっているところでございます。本件につきまして、これが事件発生前に十分に機能させられなかったということであると考えておりまして、大いに反省すべきであるというふうに思っております。

 こうした反省を踏まえまして、金融庁といたしましては、コンプライアンス・リスク管理に関する検査監督の基本的な考え方やその重要性を重ねて発信をしてきているところでございますし、また、地域金融機関における投資用不動産向け融資という点につきましても、各金融機関から徴求したデータを基に各行の貸出動向を分析する、また、アンケート調査や立入検査等を通じて、顧客を紹介する不動産業者の業務の適切性をどのように検証しているかといった金融機関のリスク管理の状況を把握することなどを通じましてその実態を確認するというようなことを、場合によりましては行政処分なども含めまして行ってきたところでございます。

 金融庁といたしましては、引き続き、このスルガ銀行における事案の反省も踏まえまして、様々な機会を通じて、金融機関において適切なリスク管理体制が構築されているか、しっかりとモニタリングを行ってまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 リスク体制の構築ということで、強力に行っていただきたいと思うんですが、このスルガ銀行が三月十三日に出した、シェアハウス以外の投資用不動産向け融資についての当社対応状況という報告をしておりますけれども、これは、正直言って被害顧客本位ではない報告書であります。

 先ほども、組織的交渉が行われている件数は七百八十物件、三万七千九百七物件のうち二・一%ですがというふうにある中で、この後、対象不動産から得ている家賃収入を自ら留保して当社に対する約定に基づく元利支払いを長期間止めている方がいらっしゃいますと。これは、この融資に対して非常に疑問を持っている、また、スルガ銀行の対応がどうだったかと疑問を持っているので止めていらっしゃる方がいらっしゃると。この後なんですけれども、当社は、これらの債務について適切に引当金を計上することによって、財務健全性を担保しており、そのカバー率は九九・六四%という報告をしているんですね。これは、明らかに顧客本位でない報告だというふうに私は思っております。是非、こういった点もつぶさに見ていただいて、顧客本位でどうやって改善をしていくのかということを強く言っていただきたいと私は要望をさせていただきたいと思っております。

 それから、スルガ銀行の元役員らは、裁判で、不正はあったが不法ではないと述べました。不正があったことを認めつつ、違法ではないとする姿勢は、信用で成り立つ銀行業に携わる者として到底許されるものではありません。

 この事件は、金融のプロである銀行が、不動産投資に不慣れな一般の方々を標的としまして、不適切な融資で利益を得た極めて悪質な事案であります。それにもかかわらず、スルガ銀行は業務改善命令に従わず、不正融資による利益を七百九十三億円取得しているという試算もあります。

 銀行業の世界はもとより厳しい規制がありますけれども、このような事件を受けて、政府が資産運用立国を目指す中で、国民の皆様が安心して資産運用ができる環境を構築していかなければならないと思います。金融庁の見解をお伺いさせていただきます。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、資産運用立国の取組を加速させていくためには、また、国民の皆様が安心して資産運用ができるという環境をつくっていくためには、金融機関、銀行に対する信頼は大前提となるものであるというふうに考えておりまして、こうした観点からも、スルガ銀行の事案にとどまらず、金融機関の信頼を確保するための取組を、私ども金融庁の取組も併せまして、しっかりと進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。

中川(宏)委員 それでは、時間も参りましたので、最後、一点のみ質問させていただきたいと思います。金融リテラシーの向上であります。

 先ほど水沼委員からもありましたけれども、J―FLECの取組、これが非常に今後大事だというふうに思っております。スルガ銀行の事件におきましても、金融に余り精通していない人がリスクの高い物件を購入させられたことがこの問題の一因であるかと思っておりまして、金融経済教育、これが極めて大事であるというふうに思っております。

 現在、J―FLECが具体的に、特に若者に対してどのような取組を行っているのか、簡潔にお伺いをさせていただきます。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月に設立されました金融経済教育推進機構、J―FLECにおきましては、これは世代に関係なくなんですけれども、学生、社会人、高齢者、全て、幅広い方に共通して、ローリスク・ハイリターンはあり得ない、いわゆるおいしい話には注意をしなきゃいかぬ、これを金融トラブルを避けるための考え方として徹底して教育を進めております。

 その上で、御質問にありました若者向けでございます。若者向けには、実は、二〇一三年以降に使っております金融リテラシー・マップというのがございまして、これは、年齢層別、小学校、中高、それから二十代、三十代、五十代、そういうふうになっているんですけれども、これ別にこういったような内容を金融教育で行っていくべきだ、そういうのを周知をして、J―FLECだけではなくて、金融団体の金融教育にも共通して使っていただいているということでございます。

 その中で、J―FLECは、こういった年齢層に向けてきめ細かく、出張授業であったり、あるいは教職員の方の研修等に努めているという状況でございます。

中川(宏)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

井林委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井でございます。

 今日、この委員会を開く必要はあったんですかね。トランプ関税で大変なときに、加藤大臣、午前中ずっと張りつきでここにいて、本当によかったんですかね。その割にはこの人数ですよ。定足数、足りているのかどうか、そんな感じですよね。今でこそ野党も少ないけれども、午前中、十時の時点で、与党自民党、十六人中六人しか座っていませんでしたよ。こんな緊張感でいいんですか。今、株価がこれだけ下がって、国内産業、大変なことになる、そういったときに、私は、加藤大臣をずっとここに座ってもらって審議するのが本当によかったのかと。そして、与野党の皆さん、ここにいる皆さんの緊張感のなさに大変あきれます。

 しかし、開かれていますから、まずは、今日は前回に続いて国債の問題を取り上げようと思っていますが、その前に、このトランプ関税について御質問いたします。

 まず、トランプ氏は、日本がアメリカに四六%の関税をかけているという趣旨の発言をして、この数字がみんな理解不能だというふうに言っていますが、これは政府として、財務省としては、この四六%という数字はどう分析をしているのか。そして、私は、かつてから言っているように、消費税あるいは輸出還付金がこの中には含まれていると考えていますけれども、財務省の見解をお伺いします。

加藤国務大臣 日本政府としてアメリカ側の税率の根拠について説明する立場ではございませんけれども、先ほども申し上げましたように、米国通商代表部、USTRのホームページ上では、計算上の仮定を置いた上で、米国から見ての貿易赤字額と輸入額等を用い、二国間の貿易収支がバランスするように算出されたのが相互関税率であるという趣旨の説明がなされているものと承知をしております。

 こうした米国政府の説明に基づけば、今回の相互関税率そのものについて、日本の消費税等々が直接の算出の要因になったとは考えてはおりません。

高井委員 USTRの発表をそのままうのみにされているということですね。

 確かに数字上はそういう数字がぴったりくるということではありますけれども、しかし、この後、いわゆる非関税障壁というものが何であるかということは、これはやはりアメリカと交渉するにおいて重要なファクターになってくると思います。

 これは、ただ、私たちれいわ新選組は、トランプ大統領が言うから消費税廃止しろとか輸出還付金やめろということではない。それはトランプ大統領の内政干渉だと思っていますので、そういう立場は取りませんが、しかし、そもそもこの輸出還付金というのは私はおかしいと考えていますし、それから、国内産業を守る、あるいは株価がこれだけ下がっている状況の中で、やはり経済対策は必須でありまして、それにおいては、れいわ新選組がこれまで訴えてきた消費税廃止、少なくとも減税、それから現金給付、そして中小零細企業に対する支援、こういった思い切った経済対策をやるべきだと思いますが、これはちょっと通告していませんけれども、緊急事態なので、財務大臣はどう考えますか。

加藤国務大臣 消費税の減税に対しては、従前から申し上げているように、私どもは適切ではないと考えておりますが、その上で、これまでも物価対策について様々な対応を行ってきたところでありますし、今後、特に、今回の米国における相互関税を含めた貿易制限的な措置等が日本経済あるいは世界経済に与える影響、それが国内におけるそれぞれの国民の生活、暮らし、さらには産業、これにどういう影響を与えるか、これはしっかり分析をし、万全の対応を期すべし、これは総理からの指示でもございますし、それに対してしっかりと対応していきたいと考えています。

高井委員 そんなのんびりしたことでいいんですかね。

 自民党は午前中に、何か総合経済対策を打つべしという、部会で会議をやったと聞いていますし、それから、この後、午後三時半からは党首会談もあるという、本当に緊急事態だと思います。そういった中で、やはり財務大臣が経済対策の取りまとめ役ですから、私はここで委員会に出ている場合じゃなかったんじゃないかと改めて申し上げたいと思いますし、やはり、ここは緊急な経済対策、我々は消費税廃止ぐらいやるべきだと思っていますが、是非これは早急に議論しなきゃいけないと思っています。

 ただ、経済対策をやるにおいても、やはりその財源がという話がよく出るわけで、今日は、元々やろうと思った国債について議論したいと思いますが。

 前回のこの委員会で、私は、国債償還費というのがこれは世界中で日本だけしかやっていないと。一般会計予算の実に一五%を今占めています。金額にして来年度予算で十七・三兆円もの金額が、ほかの国は計上していないのに、日本だけ、六十年償還ルールというルールの中で、国債費のうちの六十分の一を毎年わざわざ計上しているんですね。

 これは、そうすることによって、では何で計上しているんですかと聞いたら、財務大臣の答えは、財政健全化の精神を体現するものとして定着している、それから、債務返済負担の具体的な額を明らかにして、見える化の意味で有意義だと。まさに、債務が大きいということを見えさせるために入れているということですが、これは私は水増しだと思いますよ。

 もう一つ聞いたのは、何で世界の中で日本だけということに対しては、財務大臣は、財政規律維持に関する基準を法律においてほかの国では規定をしていると。そういう法律で別の基準を置いているんだと。これは、でも、日本だって財政法の四条で、法律でちゃんと定めていますし、法律で定めてあるのであれば、あるいは、ドイツは確かに基本法、憲法に相当するもので定めていますけれども、しかし、議会で変えているんですよ、それを。議会で多数になれば変えているわけです。

 こういった制度に対して、国債償還費というものをわざわざ世界で唯一日本だけが計上している。相変わらず財務省の答弁では主要国ではと書いているのを、この間財務大臣は言い直して、世界では日本だけと認めていただいたと思いますけれども、こういうことがいまだに行われている。

 実は、調べたら、財務省が二〇一九年九月に廃止を検討していたという報道が朝日新聞にあるんですね。そこで書いているのは、要するに、政策的経費に対して税収が足りない分だけ赤字国債を発行するという形になる、これを廃止すれば。つまり、プライマリーバランスの目標と整合的になるという趣旨で、財務省は国債償還費をやめようと検討していたんですよ。そのやめる理由というのがまさに、要するに、見せかけというか水増しして見えるから、本当にプライマリーバランスを検討しようと思ったらそこの部分をなくした方がいいという検討をした。結局、最終的には検討倒れで終わっているんですけれども。

 これは、これを機会に、私、この委員会でも随分取り上げて、国債償還費という問題がかなり皆さんにも伝わってきたと思いますので、この際、改めて財務省として廃止を検討する考えはありませんか。

加藤国務大臣 もう委員が私どもの主張は言っていただいたので、そういった点を含めて廃止することは考えていないということでございますし、また、過去における、財務省の中における検討の報道があったというお話があります。財務省としては、まさにおっしゃったように、財政規律の在り方については日頃から様々な勉強や検討を行ってきているということでございまして、一つ一つについてのコメントは差し控えたいと思いますけれども、そうした視点に立った議論をしっかりしていくということ。

 そして、何よりも大事なことは、やはり市場における、こうした国債発行を今しているわけでありますけれども、こうした日本の財政に対する信頼、これをしっかりと堅持していくということが何よりも大事だというふうに考えています。

高井委員 財政に対する信認を得るために、水増しした、世界で一か国もやっていない国債償還費という十七兆円ものお金をあえて見せかけで計上するというのは、私は、国民をだます、ミスリードすることだと思いますので、これは是非改めていただきたい。引き続き、この委員会でも取り上げていきたいと思います。

 それで、財務省は、これ以上国債を発行してはいかぬ、債務残高がこれ以上増えたら日本の財政の信認が得られなくなるとおっしゃるんですけれども、我々はそうではないという立場です。

 ただ、よく勘違いされるのは、じゃ、れいわ新選組は国債を無限に発行していいということですね、だったら税金は要らないじゃないですかとたまに言われるんですけれども、全く我々そんなことは言っていませんからね。私が本会議でそう言うと、議場から、特に立憲民主党の方から、言っているだろうみたいなやじが飛ぶんですけれども、全く言っていませんから、そんなこと。

 じゃ、何がその制約になるんだと。国債発行の上限は何かといえば、供給能力です。その供給能力が示される数値がインフレ率です。

 財務省が言っているとおり、国債を発行して、債務残高があると市場の信認が下がったら、財務省も認めていますけれども、金利が急上昇したり過度なインフレになって、経済社会に多大な影響が起こると言っています。

 じゃ、インフレにどういうときになるのかといえば、それは需要が供給を上回ったというケースですから、供給能力が落ちていって、需要の方が、消費の方が旺盛なときにはインフレになるということです。こう我々は考えています。

 国債発行の上限を決めるのは供給能力であり、インフレ率だと考えていますが、財務省は我々れいわ新選組の考え方に対してはどうお考えですか。

加藤国務大臣 今の委員のお話を聞きながら、国債発行の上限が、供給能力、インフレ率だ、じゃ、どのぐらいのインフレ率が上限なのかというところですよね。そこがよく分からないなと思って、まず御主張としては聞かせていただきました。

 その上で、そうした御議論というのは、もう少しかみ砕けば、過度なインフレを起こさなければ幾らでも発行してもいいんじゃないかという考え方だと思いますが、少なくとも、日本も含めて、主要先進国においてそうした考え方に基づいて政策運営をしている国はないというふうに承知をしています。

高井委員 お尋ねですので答えると、我々は、インフレ率、当初は二%という、政府の目標である二%がまず一つの基準だと。デフレで全く二%に何をやっても達していなかったわけですから。

 最近は、じゃ、もう達しているじゃないかと言う方がいますけれども、これはコストプッシュインフレなんです。我々が考えているのは、デマンドプルインフレ、真の意味で供給能力を需要が上回った状態のインフレになったときは、それは二%、あるいは二%で区切る必要はないと思います、そこにプラス三%ぐらい乗せてもいいという経済学者もたくさんいますので、そこは状況を見ながら判断、もう決め打ちで何%と言うつもりはありませんが、少なくとも、デマンドプルインフレになって、三%とか四%ぐらいのインフレになったときには、そこは国債の発行は控えましょうというふうに我々は言うつもりです。しかし、全くそうなっていない今、そういずれなるかもしれない、だから駄目なんだということを恐れて恐れて発行を抑制するという考え方は間違っているということです。

 一つお聞きしたいんですが、これは中野剛志さんという経済産業省の現役の課長さんが書いている「どうする財源」という本で、すごい、よく政府の中でこういった本を書いて、立派な方だと思います。主張も全く正しいことを言われていると思いますが。

 この中野剛志さんの本によれば、歴史上で、ハイパーインフレ、つまりインフレが過度に行き過ぎたときに国債はこれ以上発行できないんだということなんですが、じゃ、そのハイパーインフレというのはどういうときに起きたかというと、四つしかないと。一つは、社会的、政治的な混乱や内戦のケース、これは具体的にはムガベ政権のジンバブエとかソ連崩壊後のロシア、こういうケース。それから二つ目は、戦争などによる生産能力の崩壊、これは第一次世界大戦後のドイツとか、あと、第二次世界大戦中の日本、戦後の日本です。それから三つ目が、徴税権力の弱い政府、これはちょっと例がないんですね。四番目は、多額の外貨による対外債務、これは外国の通貨で債務を発行していたアルゼンチンとかギリシャが有名です。こういうケースはハイパーインフレになるんですけれども、それ以外でハイパーインフレになったケースはないんですね。

 唯一、この徴税権力の弱い政府という三つ目を私は財務省は心配しているのかなと。

 つまり、財務省や政治家はよくこう言うわけですよ、消費税は一度下げたら上げるのが大変だ、だから下げられないんだと。つまり、そういう財政、ハイパーインフレになりそうなときに税を上げたり下げたりするというのは、これは本来の財務省であり、我々政治家の仕事なんですよ。それをやろうとしない、これはもうまさに職務怠慢だ、だってコロナのときに百か国以上が消費税を下げたのに日本は検討すらしていないじゃないか、これを予算委員会で言ったら、私のその切り抜き動画が千二百四十万回も再生されて、国民の十人に一人が見るような、そのくらいバズったのは、やはり多くの国民が、そういう思い、税金というのは景気のよしあしによって機動的に上げ下げするんでしょう、なぜ財務省は、あるいは国会議員はそれをちゅうちょするんですかということだと思うんですよ。

 財務省、お聞きしますが、ハイパーインフレになるおそれがある、これ以上国債を発行したら過度なインフレが進むと国会で答弁していますよ。それはどういうケースで過度なインフレになると財務省は考えているのか、お聞かせください。

加藤国務大臣 その過度なインフレとハイパーインフレというのをどう定義するかというのはあるんだろうと思います。それから、先ほど委員もインフレの話をされておられましたから、その辺の整理もあるんだろうと思いますけれども、中野さんの著書の中に四つの分類があることは承知をしておりますし、一つの考え方だと思っておりますが、いわゆるハイパーインフレは極めて特殊な状況で発生するもので、その要因については必ずしも統一的、網羅的な分類方法があるわけではないと承知をしております。

 過去に財務省として国会答弁で申し上げた、諸外国を含め過去のハイパーインフレの事例に照らして申し上げれば、戦争を背景とした極端な物不足や財政運営及び通貨に対する信認が失われた場合等において発生するものというふうに考えております。

高井委員 だから、そういうことが起きたときには発生するけれども、全く今はそういう状況じゃないわけですよ。

 そういった中において、財務省はよく、経済再生と財政健全化の両立を図ります、それを本当にオウムのように繰り返し言いますけれども、それは正しいんですよ、正しいけれども、明らかに財政再建に偏っていませんか、もっと経済再生に今は軸足を置くべきでしょうということをれいわ新選組は訴えているわけで、これからもこの議論を続けていきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございます。

井林委員長 次に、田村智子君。

田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。

 私も、冒頭、トランプ大統領の関税措置について。これは二度にわたって既に質問をしてまいりました。日米協定で追加関税は課さないという確認があったにもかかわらず一方的な破棄であると。午後に党首会談もありますので一言だけ加藤大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、こういう事態ですので通告なしで済みませんが。

 やはり、国際的に見て、私たちは、アメリカが押しつけてきたWTO体制などについては反対の意見を持っています。それは、グローバル企業が、まさに国境を越えて、利益を世界の国々から収奪していくというような仕組みがつくられてきたことによるものです。しかし、たとえそういう中身であっても、少なくとも、それぞれの国々が交渉を積み重ねてつくってきた協定を一方的に破棄をする、これは余りにも横暴な態度であって、日本政府としては撤回を米国に対して求めるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 私どもも、米国政府が今般の相互関税を発表したことは極めて遺憾である、また、WTO協定及び日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しているということは申し上げているところでありますし、これまでも、また、これからも、今回の措置について日本を含めないということについては強く申入れを行っていきたいというふうに思っています。

田村(智)委員 撤回を求めるべきだと、この場でも強く求めておきます。

 通告した質問に入ります。

 私も強力な物価高対策についてお聞きします。

 今、私たち日本共産党は、要求対話、要求アンケートというのに全国で取り組んでいまして、どこでも物価高騰への悲鳴の声をお聞きしています。

 都内の女性の方、何もかも高い、高い、高い、その一言だという声とか、老舗の焼き鳥屋さんに伺うと、鳥肉の価格、これまでじわじわと上がっていたのがここに来てぐっと値上げになった、もう自分たちも価格の見直しをやらなければならないと。あるいは豆腐屋さん、コロナ前に一度値上げしたらお客さんは離れてしまった、今はもう値上げしないと利益が出ないんだけれども、上げるに上げられない状態だと。

 石破首相は、参議院の予算審議のさなかに、強力な物価高騰対策というふうに発言したということで厳しい批判に遭って、今、予算の範囲でのことだというふうに言い訳に回ったわけですけれども、通した今年度の予算というのは暮らしを守れない中身だということを、いわば吐露したようなものだと思います。

 財政金融委員会ですので財政に絞って質問しますが、まず、今年度、二〇二五年度予算で行うのは所得税の基礎控除の引上げ、一人当たり年間二万円から四万円の所得税の減税が約五千六百万人を対象として実現する。石破首相も会見で強調されていました。私たちは、所得税の基礎控除、課税最低限の引上げだけでは、年収百三万円に届かない最も生活が大変な人たちが置き去りになりますよということを指摘しました。これに対して、この委員会でも、そして石破首相も会見で、低所得者世帯には三万円、子供一人当たりは二万円追加、この給付がある、これが物価高騰対策だということなんですが、これは、二四年度補正予算での手当てであり、しかも一回だけの給付です。

 そして、ここからが質問でお聞きしたいところなんですが、所得税の基礎控除の引上げというのは低所得者に薄いではないかという批判があって、収入二百万円から八百五十万円までの人には二年間限定で減税額の上乗せを行った。これは、物価上昇に賃金上昇が追いついていない状況を踏まえた対応だと法案審議でも説明されました。基礎控除の引上げの上乗せ減税は二年間、物価高騰対策、ここからこぼれ落ちる低所得者世帯向けの給付金は一回限り、これだけ見ても、私は整合性が取れていないというふうに考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今お話がありました、基礎控除特例のうち、給与収入二百万円相当超八百五十万円相当以下の方を対象とする部分については、御指摘のとおり、令和七年と令和八年の限定した措置でありまして、これは、先ほど委員からもおっしゃっていただきましたけれども、物価上昇に賃金上昇が追いついていない状況を踏まえ、中所得者層を含めて税負担を軽減する観点から行うものであり、デフレからの脱却局面における経済対策としての位置づけで、そういった意味で期限付の措置としているものであります。

 その際、税制について法改正が必要でありますし、実際には源泉徴収義務者の協力も必要でありますから、予算のように柔軟かつ機動的な対応ができないということも含めて、将来的な予見可能性を確保する観点から、二年間の措置として実施されているものと承知をしています。

田村(智)委員 整合性が取れていないでしょうということのお答えになっていないと思うんですよね。

 もう一点指摘したいのは、さらに置き去りとなる人がいるということなんです。

 所得税非課税世帯の中には住民税均等割のみの世帯がいて、住民税非課税ではないので、給付金の対象にもならないんです。約二百四十万世帯が、給付金の対象でもない、そしてまた所得税減税の対象にもならない、まさにはざまに陥るんですよ。この問題はこのまま放置するんでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今お話がありました住民税均等割のみの世帯も含めて幅広い生活者に対する物価上昇への対策としては、まずは何といっても、物価上昇に負けない賃上げの実現、これを図っていくということであります。

 また、あわせて、賃上げの効果が出るまでの間には、物価高への対応を進めていくことは大変重要であります。

 そのためにも、地域の実情に応じた支援を行うための重点支援地方交付金、また燃料油激変緩和事業など、令和六年度補正予算で措置した施策を迅速かつ効果的に実施をしていく。また、今、お米の価格についてもいろいろ高騰が問題になっておりますが、政府備蓄米の活用について、二十一万トンを供給することとしており、引き続き流通や価格の動向を注視し、必要であればちゅうちょなく更なる対応を行うこと。加えて、子供、子育て支援や高校無償化の先行措置など、令和七年度予算に盛り込まれた物価対策に資する措置を実施するなど、総合的な対策を進めることで、住民税均等割のみ世帯も含む幅広い生活者の暮らしを切れ目なく支援していきたいと考えております。

田村(智)委員 今の説明では、所得税の減税措置そして給付金の措置から二百四十万世帯はこぼれ落ちるということをお認めになっている答弁なんですよね。全ての世帯に対するものしかないと言っているわけですから。それでいいのかということを聞いているんですよ。

 加藤大臣はこれまでも、本当に、相対的にエンゲル係数が高い低所得者層ほど物価上昇の影響を強く受け得るものと認識しているとお答えになっている。四月以降、食料品は更なる値上げラッシュなんですよ。今の答弁でいいんでしょうか。完全にこぼれ落ちる人をそのままにするんですか。

加藤国務大臣 おっしゃる税制等に対しては、当然、所得税を負担されていませんから対象にならないというのは委員の御指摘のとおりでありますけれども、ただ、今申し上げた措置というのはそういった方々にもしっかりと対応していく措置だということを申し上げておりますし、特に高校無償、子供、子育て支援等々について、こういったことをしっかりと進めていくということが幅広い生活者の暮らしに対する支援につながっている、それをしっかりと進めていきたいというふうに考えています。

田村(智)委員 せめて、給付金について考えるぐらいの答弁はしていただきたいと思いますよ。いかがですか。

加藤国務大臣 給付金とおっしゃったのは、既に令和六年度補正で手当てした給付金、これは御指摘のように非課税世帯を中心に提供されているということで、これは今支給を進めておりますけれども、できるだけ早く対象者にはしっかりと進めていきたいというふうに思っておりますが、それを加えたものについて今我々として議論しているわけではございません。

田村(智)委員 こぼれ落ちることをそのままにするという冷たい答弁なんですよ。これは是非検討いただきたい。

 そして、やはり、強力な物価高騰対策を本気で進めるつもりがあるならば、置き去りになる人をつくらないと、必要な事態に合わせて公平な物価対策をやっていくべきで、そうすると、やはり毎日の買物に容赦なく襲いかかってくる消費税の減税に踏み切るしかない、これが最も効果的な物価高騰対策だということを重ねて強調したいと思うんです。

 そして、改めて二月二十五日にお示しした資料を配りました。これは、二十一日の予算委員会でも示した、勤労者世帯の年収別税負担割合なんですね。消費税の逆進性が強いために税負担全体の累進性が失われているということを指摘しました。

 この委員会での質問では、加藤大臣は、この一番上の白い部分がどういう計算か分からないということで、私が示した資料に疑義を呈したんですね。ならば財務省として示してほしいというふうに求めて、昨日、質問通告で、どうなっていたのか質問するよというふうに伝えましたら、出てきました。それが二枚目の資料なんです。

 財務省、この資料について御説明ください。

青木政府参考人 お答えします。

 御指摘がありました二月の二十五日の衆議院のこの財金委員会で、要請に基づきまして、財務省におきましても、委員が提示された資料と同じデータと世帯区分を用いまして、年収別の税負担率を再現したものでございます。

田村(智)委員 これを見ますと、所得税、住民税、消費税までなんですね、その他税というのは入っていないんですけれども、でも、年収二百万円までのところで七・五%、三百万で八・〇、四百万までで七・五、七・八、八・二、八・六、九・〇というふうに、百万刻みで見ていきますと、やはり、加藤大臣、財務省の資料でも税の累進性は失われているんじゃないでしょうか。これは、私は、税の公平性という財務省が掲げている税の原則からも大問題だというふうに考えますが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 データについてでございますので、補足して御説明します。

 私どもが出させていただいたデータは、所得税、住民税、それから消費税の数値でございます。これは、委員が御提示いただいた数字とほぼ一致しておりまして、これらの三税の数字を合わせてみますと、おおむね累進的な構造になっているというふうに私どもとしては評価しております。

 その上で、その他の税でございますが、御提示いただいたその他の税の中には、恐らく、酒税、たばこ税といった嗜好品に係る税目が含まれておると思います。また、固定資産税や自動車税なども含まれておると思いますが、こういったものは資産に対する税でございますので、収入以外の要因にも大きく影響を受けると考えられる税目も含まれておりまして、収入階級に応じた税負担を議論する際には、これらを含めた数値を用いることは必ずしも適切なものではないのではないかというふうに考えております。

田村(智)委員 質問に答えていません。

 私は、じゃ、そこの部分を除いたとしても、例えば年収二百一万から三百万円のところ、所得税、住民税、消費税の負担割合、収入における負担割合は八・〇%ですよ。年収五百一万から六百万円のところは八・二%ですよ。そこから七百万のところも八・六%ですよ。もうほとんど累進性はない、こう言えるんじゃないですか。加藤大臣、どうですか。

加藤国務大臣 どの辺の数字をもって、あるとかないとかという判断をするところはなかなかあるんだろうと思います。

 ただ、おっしゃるように負担だけじゃなくて、やはり受益も併せて見なければ、これは正確な判断には至らないというふうに思います。

田村(智)委員 ここに例えば社会保険料を入れたとしますと、社会保険料というのは料率が一定でしょう、国民健康保険料なんかは本当に負担が重いですから、もっと逆進性が出てくるんじゃないかと。これはなかなか計算が難しいので私たちもできていないんですけれども、そういうことも危惧されるわけですよ。

 そして、今、給付もとおっしゃったんですけれども、まず税のところでの、税の公平性というのは財務省が掲げている原則なんですよ。所得の同じ人は同じぐらいの割合で負担する、所得がより多い人はより負担の割合が大きくなる、それが崩れているんじゃないですか。これを問題だというふうに考えていないこと自体が大問題なんです。いかがですか。

加藤国務大臣 まず、消費税の議論のときには、結果的に、これだけ高齢化が進む中で、所得、要するに働いている人たちの負担に頼ることが高齢化社会に対応できるのか、こういう議論の中で、幅広く負担をいただくということで消費税の導入が図られた、こういう経緯があります。

 したがって、いろいろな意味での公平性というものを踏まえて考えていく必要があるというふうに思います。

田村(智)委員 社会保障の給付が所得の少ない人のところに厚いなんて当たり前のことであって、それをどうやって負担するかといったときに、より低所得の人のところに重く負担割合を担ってもらいましょうということ自体が、私はおかしいと思う。それはゆがんでいると思う。だから、消費税に社会保障の財源を求めること自体がおかしい。これまでも指摘してきた、法人税のアベノミクスからの減税、これの見直しとか、証券優遇税制、所得一億円の壁、なぜこうしたところの是正を図らないのかということは厳しく指摘しておきたいと思います。

 そして、私は、余りにもこの消費税の負担ということに対して財務省の認識が薄過ぎるというふうに思うんですよ。

 私たちのこのグラフはどうやって出したかというと、三枚目の資料なんですね。これは、日本共産党が、予算要求資料として、税負担の割合がそれぞれ収入に応じてどうなっているか、所得に応じてどうなっているか出してくれと言ったら、財務省が、五分位、五つの階層に分けて出してきたんですよ。これを見たときに、税の負担割合というのが、これは累進性が第一分位から第三分位まで少なくとももう失われているじゃないかということに気づいて、だったら年収別で見てみたらもっとすごいことになっているんじゃないのかと。これで、私たちはこの資料を示したわけですよ、年収別というのを。独自に推計をしたわけですよ。

 私は、消費税を二度も税率を引き上げた、物価高騰は襲いかかってきている、そのときに消費税の負担が国民にとってどういうものになっているのか、財務省は、もっとそこに関心を持って、税制の分野からいかに暮らしを守るのか真剣に検討すべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

井林委員長 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十三分散会


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