第17号 令和7年4月15日(火曜日)
令和七年四月十五日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 斎藤アレックス君 理事 田中 健君
東 国幹君 五十嵐 清君
石田 真敏君 伊藤 達也君
岩田 和親君 上田 英俊君
栗原 渉君 田中 和徳君
土田 慎君 長島 昭久君
中西 健治君 根本 幸典君
福原 淳嗣君 古川 禎久君
松本 剛明君 森下 千里君
山本 大地君 岡田 悟君
海江田万里君 川内 博史君
階 猛君 末松 義規君
長谷川嘉一君 原口 一博君
水沼 秀幸君 三角 創太君
矢崎堅太郎君 萩原 佳君
村上 智信君 岸田 光広君
山口 良治君 山崎 正恭君
高井 崇志君 田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
財務副大臣 斎藤 洋明君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
財務大臣政務官 東 国幹君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長) 寺岡 光博君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 廣瀬 健司君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 松家 新治君
政府参考人
(金融庁総合政策局長) 屋敷 利紀君
政府参考人
(金融庁総合政策局政策立案総括審議官) 堀本 善雄君
政府参考人
(金融庁企画市場局長) 油布 志行君
政府参考人
(金融庁監督局長) 伊藤 豊君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 望月 明雄君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君
政府参考人
(財務省主計局次長) 前田 努君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省理財局長) 窪田 修君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮本 直樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 佐藤 大作君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
参考人
(日本銀行企画局長) 奥野 聡雄君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
辞任 補欠選任
上田 英俊君 五十嵐 清君
中西 健治君 山本 大地君
牧島かれん君 岩田 和親君
松本 剛明君 森下 千里君
中川 宏昌君 山崎 正恭君
同日
辞任 補欠選任
五十嵐 清君 栗原 渉君
岩田 和親君 牧島かれん君
森下 千里君 松本 剛明君
山本 大地君 中西 健治君
山崎 正恭君 中川 宏昌君
同日
辞任 補欠選任
栗原 渉君 上田 英俊君
―――――――――――――
四月十四日
特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
財政及び金融に関する件
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○井林委員長 これより会議を開きます。
財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長奥野聡雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長寺岡光博君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。
○田中(和)委員 おはようございます。自民党の田中和徳であります。
本年度の税制改正の法律は既に可決をされ、新年度より執行をされております。私は、あえて、国と地方で二兆円にも上るたばこ税と健康被害に関するハームリダクションについて質問をさせていただきます。十五分という僅かな時間なので途中になって切れるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
私の地元川崎市のたばこ税収入は毎年約百億円であります。喫煙者からは、多額な税金を納めているのに吸える場所が極めて少ないという不満があり、また、一般のたばこを吸わない人からは、たばこの煙による健康被害、特に受動喫煙問題を厳しく指摘されております。たばこ税は、一般財源とはいうものの、毎年多額な税収がある以上、喫煙者と非喫煙者との分煙の見地から、安心してたばこを吸える喫煙施設の整備促進を全国的に整えるべきでございまして、強くこの際要望しておきたいと思います。
さて、私は、自民党の、国民の健康を考えるハームリダクション議員連盟の会長であります。ハームリダクションとは、日本語に直訳すると、害を減らすという意味になります。我々は、特にたばこのハームリダクションについて取り組んできました。
ハームリダクション先進国は欧米が中心で、私自身、二度のヨーロッパの視察を行いました。例えばイギリスの保健省、またアメリカの食品医薬品局、FDAは、たばこの有害性は燃焼時の煙に起因することを科学的に認め、燃やさないたばこ製品やニコチン製品には低い税率を設定しておりまして、特にイギリスは、電子たばこ、ベイパーを無税にして、急速に普及をさせております。私自身、現地で買って使用しているものは、三千回吸引をして僅か日本円で千円です。外地で買ったものを私が吸っているわけですから、ここは違法性はないわけでございます。
この調査で会ったイギリスの国会議員から次のような説明を受け、特に印象に残っております。
いわく、喫煙者をこの世から完全にゼロにできれば健康被害の問題は解決できるけれども、そんなことができる国は実在しないし、イギリスでも考えられない。ならば、特に大きな原因となっているたばこの煙の有害性の問題を掘り下げて対処すべきである。
このイギリスの議員の発言は我が国にも当てはまります。喫煙率のピークは、男性が一九八六年、昭和六十一年五九・七%、女性は二〇〇四年、平成十六年一二・〇でございましたけれども、その後、健康被害が大きく取り上げられるようになって、一昨年、二〇二三年、令和五年は男性が二五・六%、女性は六・九%まで激減をしておるわけであります。しかし、もちろん、喫煙者数をゼロにするということは、我が国もできていないわけであります。
このイギリスの議員は、続けてこのようにも述べております。
様々な議論はあったけれども、たばこの害は燃焼に伴う煙に起因するものだということが多くの専門家の見解だったので、煙が全く出ない、ニコチンをリキッドにする電子たばこを税をかけないで安い値段で販売し、喫煙者を紙巻きたばこから電子たばこに一気にシフトさせる政策を取った。この点は大成功だったと思う。電子たばこのニコチンの害はゼロではないかもしれないが、ほとんどの喫煙者が吸っていた紙巻きたばこの害に比べれば、九九%以上、大幅に被害が削減される可能性があるのだ。
このように述べていたことが特に印象的であります。
日本では、ニコチンが、薬機法、すなわち医薬品医療機器等の法律によって医薬品に該当するので、ニコチンを含むリキッドの販売はできません。そこで、日本の法律にマッチするよう工夫された加熱式たばこが二〇一四年、十年前に初めて発売されて以降、我が国では、健康志向の高まりから、紙巻きたばこから加熱式たばこへのシフトが急速に進んでおりまして、今や、我が国における加熱式たばこは全体のシェアの五〇%近くに達しています。お配りしております資料はちょっと前の資料ですから四〇%少々になっていますが、もっともっと今では進んできております。
一説には、加熱式たばこの健康被害は紙巻きたばこに対して約一〇%程度しかない、このように言われておるわけであります。この急速な移行の背景には、日本の消費者が、自身の健康への影響に加えて、周囲の人への不快なにおいや健康への影響を気にする、いわゆる気遣いというすばらしい国民性を持っていることも事実でありまして、そして、今まで、僅かながら加熱式たばこの低い税率で低価格であったということも大きな要因の一つであったと思います。
世界を見渡すと、日本は先進国の中で紙巻きたばこに対する課税が最も低い一方で、加熱式たばこに対する課税は極めて高くなっておりまして、現在の日本の加熱式たばこの税率は、紙巻きたばこ比で約八〇%であります。それが更に上がる流れになっておるわけであります。
二〇二三年時のデータになりますけれども、諸外国における紙巻きたばこを一〇〇%とした加熱式たばこの税率は、皆様のお手元に資料をお配りをさせていただいておりますけれども、例えば、スウェーデンが二一%、イギリスが二三%、イタリアが四二%、EU諸国平均で四二%となっております。一方、我が国では、諸外国のハームリダクション政策に逆行するような形で、今後、紙巻きたばこと加熱式たばこの税率を同じにするという決定がなされておりまして、私自身は残念に思っておるところであります。
加藤大臣にお尋ねします。
加藤大臣は厚生労働大臣の経験をお持ちのお立場でもございまして、外国で積極的に取り入れられている健康被害軽減のハームリダクションと軽減税率についてどのように見解をお持ちか、承りたいと思います。また、日本のたばこ税の在り方について、諸外国のたばこ税と比較してどういうふうに感じておられるか、お伺いをいたします。以上であります。
○加藤国務大臣 私も、今お話しいただいたように厚労大臣をさせていただいて、そのときには、いわゆる健康増進法、これも提案させていただいて、国会でも質疑をさせていただきました。そういった意味において、たばこの、これは間接喫煙も含めてですね、と健康の影響については大変高い関心を持たせていただいているところでございます。
その上で、今、田中委員からイギリスの事例等も御指摘がございました。お示ししていただいた資料の二ページ目の中の一番左の表を見させていただくと、明らかに日本の加熱式たばこの利用割合というのは非常に高く、このときよりも、今お話があったように、半数近く、五割近くになっているというお話がありました。そうした低い状況の各国において、実際のそれぞれの国が様々な形でたばこに関する課税をされているわけでありますので、ちょっとその辺がどういう形になっているか、まあイギリスのお話は今お話がございましたけれども、ちょっと、他国についてまで承知をしていないので何とも申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
その上で、加熱式たばこの健康影響については、これは厚生労働省からもこの間答弁がなされているものと承知をしておりまして、紙巻きたばこと比較して健康影響が低いとの十分なエビデンスは現時点では得られていないという答弁がなされていたものと承知をしております。
そうしたことを踏まえた上で、我が国のたばこ税の在り方については、与党税制改正大綱で、同種同等のものには同様の負担を求める消費課税の基本的考え方に沿って見直しを行うとされ、これを踏まえ、令和七年度税制改正において、加熱式たばこについて、紙巻きたばことの間の税負担差を解消するための課税方式の適正化を行う、この法案もお認めいただいたところでございます。私どもとしては、これに沿って対応していくべきものと考えております。
なお、ハームリダクションの考え方、それをどう税制に反映していくのか、これは様々な御議論があろうかと思っておりますので、こうした御議論もしっかり傾聴しながら考えていきたいと思っております。
○田中(和)委員 ここで厚労省にお尋ねをしますけれども、紙巻きたばこと加熱式たばこ、そして諸外国で一般的に販売されている電子たばこ、ベイパーでありますが、それぞれ健康被害について調査をしておられるはずでございます。長年にわたって内外でたばこの害が指摘されているにもかかわらず、今大臣からも話がありましたけれども、エビデンスが一向に示されていないのは大変な問題だと私はいつも言っておるわけでございます。いつになったら明確に示すつもりなのか、お伺いをしておきます。
○宮本政府参考人 お答えいたします。
紙巻きたばこに関する健康被害につきましては、昭和三十九年に、成人の長期多量の喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは明らかである旨を通知をいたしまして、その後も様々な研究を行う中で、現在では、喫煙の健康影響については科学的にも明らかであると考えております。
また、加熱式たばこについては、我が国では、販売が開始された平成二十六年前後より健康影響に関する調査研究が行われており、その主流煙に健康に影響を与えるニコチンや発がん物質が含まれていることは明らかであるものの、紙巻きたばことの比較をして健康影響が低いというエビデンスは、現時点では得られていないと認識しております。
一方、電子たばこについては、現時点で、国内において医薬品として製造販売承認を得たニコチンを含有する電子たばこが存在しておらず、加熱式たばこの発売と同時期より海外での知見の収集などに着手し、今も情報を収集しているところでございますが、電子たばこによる健康影響については明らかではないと認識しております。
喫煙による健康影響につきましては、実際に健康への影響が生じるまでに一定の期間がかかることなどから、いつまでに具体的なエビデンスを示すかについてお答えすることは困難でございますが、引き続き科学的知見の収集に努めてまいりたいと考えております。
○田中(和)委員 今答弁がありましたけれども、一向に厚労省からは明らかにされないわけでありまして、私は、このままこういう状態が続くということは、場合によっては、医療費の削減とか経済の損失を抑止する有効な手段の一つとしてこれは問題があるなと、いろいろとこういう問題を取り上げつつ、今後、税にもやはり反映をさせていくべきじゃないかと、あえて私は加藤大臣にもう一度お尋ねをしておきたいと思います。
政治家として、国民の健康、一方においては、大切な税でありますから、特に、国防費等に使う税として二兆円、あるいはこれから更にもう少し上げていこうという税収の担税商品であるたばこでありますけれども、それは私は認めますけれども、健康被害と税の関係、特にハームリダクションの視点というのは、これはもう大変な世界の流れでして、このことに逆行するような形の税制というのは余りよろしくない、私はこのように思っておるわけでございまして、大臣に、もう時間が来ましたので、最終的にお尋ねをして、終わりにしたいと思っております。
○加藤国務大臣 加熱式たばこの健康影響については、先ほど厚労省から答弁があったところでございます。
その上で、繰り返しになってしまいますが、たばこ税の課税に当たっては、同種同等のものには同様の税負担を求める消費課税の基本的な考え方に沿うということで今回対応させていただきました。
今後とも、たばこの税負担水準の状況、たばこの消費動向、財政状況等を総合的に勘案して対応していく必要があると考えておりますし、今委員がおっしゃった、課税の中においてハームリダクションというのをどう取り入れていくのか、これはまさにこれからの議論なんだろうというふうに思います。そういった意味においても、まずは厚労省における健康被害等のエビデンス、こういったものをしっかり認識をしながら、また、お話をいただいたハームリダクションと課税の在り方の議論、こういったものも、また党税調においても議論されるのであろうと思いますし、そういった議論をしっかり踏まえながら、私どもとしても対応させていただきたいと思っております。
○田中(和)委員 終わります。
○井林委員長 次に、三角創太君。
○三角委員 立憲民主党の三角創太です。
本日は、先週に引き続きまして一般質疑ということで、まずは、先週報道されました一律の現金給付案、物価高対策としての現金給付案についてお尋ねをいたします。
報道によりますと、自民党では、物価高対策として、一人当たり三万から五万円の国民への一律の現金給付をやる方向ということが出ておりますけれども、まず、これについては事実でしょうか。大臣にお伺いをいたします。
○加藤国務大臣 様々な報道が流されていることは承知をしておりますが、政府として、今御指摘のあった新たな給付金を始めとして、補正予算、経済対策について検討している、こういう事実はございません。
○三角委員 現状、政府としては決まっていることはないということでございますので、ここからは一般論としての質問ということになりますけれども、仮に、報道されているように国民一人当たり一律で五万円の給付を行うというふうにした場合に、大体幾らぐらいの財源が必要になるのかということを、お分かりになればお示しください。
そして、難しければ、コロナの際の一律十万円の給付金の支出総額についてお答え願います。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま大臣から御答弁ございましたとおり、政府として新たな給付金について検討しているという事実はございません。
その上で、今御指摘の五万円という前提で、あくまで機械的な試算ということで申し上げれば、我が国の人口約一億二千万人に一人当たり五万円を乗じれば約六兆円となるということでございます。
○三角委員 六兆円という数字をお出しいただきました。かなり大きな財源が必要になるということが分かりました。
これも仮定の質問になってしまいますけれども、これからそういった大規模な一律給付を行おうとすると、例えばどういったところから財源を確保することができるのか、国債発行以外にそうした大規模財源を確保する方法というのは考え得るのか、御答弁願います。
○斎藤副大臣 お答えいたします。
先ほど加藤財務大臣から答弁申し上げたとおりでございますが、政府として新たな給付金といった補正予算、経済対策について検討している事実はございません。
そのため、お尋ねの、仮に大規模な給付を行うための財源といった仮定の御質問に対しまして、一概にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
○三角委員 石破総理が、トランプ関税に対応して、これからすぐにでも補正予算を組む可能性があるというときに、その土台となる財源が今も見えていないということはかなり不安を覚えるわけでありますけれども。
仮に、追加の国債発行ということになると、更なる財政悪化が懸念をされるというふうに思います。また、税収の上振れ分という話も出ておりますけれども、これも既存の国債の圧縮ですとか百三万円の壁の引上げということで使用済みであるというふうに認識をしております。
一方で、報道によりますと、森山幹事長から物価高対策で税収の上振れ分を使途にしようという話があり、昨年度の税収の上振れの実績は幾らなのか、そして、そのうちの幾らを何に既に活用したのか、余りは幾らなのか、こうしたところについて御答弁を願います。
○斎藤副大臣 お答え申し上げます。
令和六年度税収につきましては、昨年十二月に成立した令和六年度補正予算においてプラス三・八兆円程度の増額を見込み、歳入に計上しております。この補正予算では十三・九兆円の歳出増を計上しておりますことから、税収の増額分は、一対一で何かにひもづいているわけではございませんが、全額この補正予算の財源として活用しているところでございます。
○三角委員 分かりました。
そのうちで、百三万円の壁の引上げに関しては大体幾らぐらいの予算を使う予定になっているんでしょうか。これは今年度の話になると思うんですけれども、お答えいただければと思います。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、昨年度ではなくて、議員御指摘のとおり、令和七年度の予算でございます。
その上で、いわゆる百三万円の壁の問題、元々の政府案の基礎控除の引上げなどにつきましては〇・六兆円、それから衆議院で修正をいただきました更なる特例の上乗せ、これは〇・六兆円でございます。これらについて、七年度予算の中で対応させていただいておるところでございます。
○三角委員 分かりました。
そうしましたら、森山幹事長もおっしゃっておりましたけれども、上振れ分から補正予算を組むということであれば、今お答えいただいた税収の上振れ分から百三万円の壁の引上げなどに使ったお金、これは、政府としては、財源、必ずしもこの上振れから使ったというわけではないという説明だと思いますけれども、そもそも、言い出した国民民主党さんは上振れ分を使うというふうに説明をしておりますので、この上振れ分から今お答えいただいた〇・六兆円などを引いた金額の範囲内で補正予算を組むにしても、その上限というのを是非意識をしていただきたいというふうに思いますし、もしそれを超えるということであれば、財政健全化という目標をしっかりと意識をしていただきたいということは申し上げておきたいと思います。
その上で、もう一問お伺いをさせていただきたいのは、仮に、先ほど申し上げた五万円の全国民一律給付ということを行った場合に、どれぐらいが消費に使われるのかというのも大変疑問が残るところであります。
さきのコロナの際の一律十万円の給付では、給付額のうち大体何割が消費に回ったのかという点について、答弁を願います。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の特別定額給付金が消費に与えた効果につきまして、私ども内閣府経済財政分析担当で、ビッグデータである家計簿アプリデータを用いて推計をいたしましたところ、全サンプルの平均的な消費の増加効果は給付額の二二%程度でございました。
○三角委員 二二%ということでお答えいただきました。すなわち、八割近くが貯金に回ってしまった。十万円、皆さん、私ももらいましたけれども、十万円のうち八万円はみんな貯金したよということが分かりました。
あれだけ大規模な一律給付をやっても、やはり多くの皆さんが貯金に回してしまうということであれば、物価高対策としての効果についても疑問が残るということは申し上げざるを得ません。給付にしても減税にしても、物価高で苦しんでいる方や、また、影響の大きい品目に絞って効果的に分配を行うということが、限られた財源の中で適切な用途であるというふうに考えます。
この問題について、最後に大臣にお伺いをさせていただきたいんですが、仮に、物価高対策とはいえ、参議院議員選挙の直前に全国民に一律で現金を配るという行為を政府が行った場合に、これは有権者に、裏金の問題、もう忘れてくれ、また商品券の配付問題も忘れてくれ、お金を配った自民党政権にまた参議院議員選挙で票を入れてくれという、実質的な合法な選挙買収という見方もできると思いますけれども、この点について御所見をお伺いいたします。
○加藤国務大臣 まず、冒頭に答弁させていただきましたように、政府としては、新たな給付金といった補正予算、経済対策について検討しているという事実はないということでございますので、したがって、それ以上についてコメントする立場にもないということは御理解をいただきたいというふうに思います。
○三角委員 分かりました。
今の時点では検討していないということだと思いますけれども、こうした物価高対策、補正予算を組んでいく中で、現金給付という話がこれから出てくるのであれば、是非、今私が指摘をさせていただいたような点については意識をしていただきたいというふうに思いますし、こうした買収のような疑念を払拭する意味でも、物価高対策は、給付よりも減税であればそういった指摘も当たりにくいのかなというふうにも思いますので、より必要な方に手厚い支援を行う方法というのを是非政府としても検討していただければというふうに思います。
続きまして、所得税の話に話題を変えていきたいと思います。所得税の申告期限の延長についてお伺いをいたします。
先日、私の地元で、私も税理士会の会員の一人でありますけれども、税理士会の皆さんから御指摘をいただいた点でありますが、現状は、所得税については例年三月十五日が申告期限ということになっており、税理士において、この時期に申告が集中することによる業務過多が問題になっております。結果として、税理士事務所においては、同時期における残業の発生、事務所職員の疲弊につながっているという指摘があります。
そこでお尋ねをしたいのは、所得税の申告期限については、なぜこの三月十五日というのが期限として設定をされているのかという点について、まずはお答えいただければと思います。
○青木政府参考人 お答えいたします。
まず、所得税は、御承知のとおり暦年を課税期間としておりますので、年末に納税義務が成立いたします。このため、確実な納税を確保するためには、年末からなるべく早い時期に申告手続を完了していただくことが望ましいというふうに考えております。その上で、確定申告の準備に必要な期間も確保する観点から、昭和二十七年分の所得から三月十五日を申告期限といたしております。
この所得税の確定申告の情報につきましては、国税庁から市町村に提供されまして、五月末に行われます個人住民税の税額決定のほか、六月以降順次行われます企業などにおける地方税の源泉徴収や、地方公共団体における各種社会保障サービスの給付や負担の額の決定などに反映されていく仕組みとなっております。このため、仮に所得税の申告期限を後ろの方に延長した場合には、市町村の事務でございますとか、地方税の源泉徴収事務を行います企業などの事務を逼迫させたり、社会保障サービスの給付が遅れる懸念があるというふうに考えております。
○三角委員 分かりました。
そうはいっても、例えばコロナの発生時においては、申告期限を四月十五日まで延長しているということがございました。当時そのような対応ができていたことを勘案すれば、同じような対応が平時においても取り得るのではないでしょうか。なぜできないのか、理由があれば御答弁願います。
○青木政府参考人 お答えいたします。
まず、御指摘の令和元年分と令和二年分につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、全国的な行動制限などを伴う政府方針が行われておりました。これを踏まえまして、十分な申告期間を確保するため、申告期限を一律で一か月延長しております。
このとき、令和元年分と令和二年分に係る所得税の確定申告期限の延長が行われた際は、市町村の中には、個人住民税の課税スケジュールへの影響をできるだけ回避するように、時間外の勤務などにより対応した事例もございました。また、例年の課税日程に間に合わずに、やむなく企業に対する天引き税額の通知を送り直しせざるを得なかった事例などもあり、総務省によって自治体へ聞き取り調査をしたところ、一つの市で最大七万八千件程度の通知の送り直しが生じた事例があったというふうに聞いております。
こうしたことを踏まえますと、確定申告の延長には課題が多いものと考えておりますが、その上で、確定申告期の、御指摘のありました税理士さん又は納税者御本人の事務負担に配慮することも重要であるというふうに考えておりまして、本年二月十四日に、日本税理士会連合会及び関係省庁との間で新たに継続的な協議の場が立ち上げられまして、納税者、税理士、そして国と地方自治体を含む行政の三者全ての事務負担を軽減する観点から、申告期限の延長以外の方法も含めまして、実効性のある施策を中長期的に検討していくこととなったものと承知しております。
こうした協議の場を通じまして、今後どのような対応が考えられるのか、丁寧に検討してまいりたいというふうに考えております。
○三角委員 分かりました。
申告期限が、その後の市町村、また住民税の処理等も勘案すると、なかなか動かし難いということは一定理解をいたします。また、これからその在り方の見直しについて協議をされるということについては前向きな御答弁ではないかなというふうに思います。
その上で、そうであれば、これは私からの御提案でありますけれども、申告について、個人についても、例えば法人と同様に決算期を任意に定めて事務を分散化する、必ずしも暦年課税ということにすごくこだわらずに、そういった決算期を任意に定めて事務を分散化するということはできないのか。法人で同じように実施をしているわけでありますから、制度的に絶対に不可能であるということはないと私は思います。
もちろん、行政側の事務負担を考慮する必要はあるというふうに思いますけれども、例えば、会社員については、これまでどおり暦年での課税として企業側での年末調整による処理に事務を任せる、一方で、例えば個人事業主など確定申告が必要な方については、任意の決算期を設定するなどの制度を導入する、これも行い得るんではないかなというふうに思いますけれども、こうした制度を導入する場合の課題について御答弁いただければと思います。
○青木政府参考人 お答えいたします。
二点あったかと思います。
仮に個人につきましても法人と同様に決算期を任意に定めることを認めることとした場合でございますが、所得税が累進構造を取っておりますので、かつ、個人については事業年度に関する規定もない中で、課税年度の変更による税負担の意図的な操作を防ぐといった観点から、課税年度を変更する場合についてどのように税法で規定するかという課題がまずあろうかと思います。
また、課税年度が暦年であることを前提に組み立てられております所得税の各種の仕組みでございますとか、先ほども申し上げました、税の情報を活用する社会保障等の他の制度の執行に大きな影響が生じ得るという課題もあるものと認識しております。
もう一点、個人事業主に絞っての任意の決算期の設定についてでございますが、個人の所得には、事業所得以外にも各種の所得がございます。それらを合算して累進税率により課税している中で、仮に事業所得のみ課税年度を変更することとした場合、事業所得を分離課税とせざるを得ず、引き続き総合課税である給与所得課税に比べまして累進税率が緩和されてしまい、働き方に中立的でなくなるのではないかといった課題も生ずるものと考えております。
○三角委員 分かりました。
いろいろな課題があるということは私も認識をいたしました。ただ、今御指摘いただいた中でも、意図的な利益の操作というところは、それは企業の会計でも同様だというふうに思いますし、当初、仮に一回、最初、決算期をずらして導入するというところから継続適用を前提とすれば、別にそこはそれほど大きな問題にならないのではないかなということは申し上げておきたいと思います。
税理士また納税者の皆様の負担軽減ということにも配慮をした制度設計を今後も提案をしてまいりたいというふうに思います。
次に、また話題を変えまして、昨年行われた定額減税についてお伺いさせていただきたいと思います。
定額減税では、所得税三万円、住民税一万円を減税をするとして、減税によって引き切れない額が生じる世帯、比較的低所得の世帯に対しては、調整給付金が支給をされました。私自身も、一昨年の年収は、当選前でしたので、定額減税で引き切れるほど稼いでおらず、調整給付の対象となっておりました。
一方で、この調整給付金が支払われても、実際に昨年の年収は一昨年よりも増加をして定額減税分を引き切れるという場合がございます。その場合には、減税を、予定どおりというか、重複をして受けられるということとされており、事実上の二重取りが可能となっております。
まずお伺いをしたいのは、このように、所得が当初の想定、一昨年の想定よりも増加をしたことによって定額減税の実質的な二重取りが起きることについて、政府としては許容をしているのか、また、調整給付金の返還を求めないという認識でよろしいか、御答弁願います。
○青木政府参考人 お答えいたします。
前段の部分の答弁でございます。
所得税の定額減税につきましては、令和六年分の所得に基づいて実施をいたしましたが、定額減税で引き切れない額が生ずると見込まれる方向けの調整給付金につきましては、令和六年分の所得税の減税実績が確定いたします令和七年を待たずに、令和五年分の所得など令和六年中に入手可能な情報により、定額減税し切れない額を見込んで給付を実施いたしました。
この点、令和六年分の所得が令和五年と比較して増加するような場合、議員御指摘のようなケースでございますが、調整給付金の支給時に見込んでいた額よりも多く定額減税を受けられることとなりますので、定額減税と調整給付金の額の合計が一人当たり四万円より大きくなる場合が生ずることは御指摘のとおりでございます。
仮に、これらの重複を認めない制度にしようとした場合には、例えば所得税の減税実績が確定する令和七年を待って調整給付を実施することとなりますが、賃金上昇が物価高に追いついていないことによる国民の御負担を緩和するためには迅速な給付が必要だという観点から、特段、重複を認めないといった考え方には立たなかったものでございます。
○三角委員 分かりました。
簡潔に言うと、二重取りオーケーということのようでございます。
実際、こうした、今申し上げたような形で、金額的にはどれぐらいの二重取りが発生をしているのか、政府としては把握をしているのか。把握しているとすれば、その総額を御提示願います。
○松家政府参考人 お答えいたします。
先ほど答弁がございました、定額減税と給付金の一部に重複が生じている、その額についてでございますけれども、その実態を把握するには、給付の事務を担う自治体におきまして、自治体間での転居といったケースも含めて個別個別の状況を確認する必要があることから、自治体に大きな負担が生じることとなるため、政府としては、自治体にこれらの確認を求めておらず、把握をしてございません。
○三角委員 税収に非常に大きな穴を空けるような話だと私は思います。まずは二重払いの実態についての調査をお願いしたいと思います。
その上で、この二重取りについて、政府としては是正するための措置は何も講じないのか。迅速にやる必要があるというふうに先ほど御答弁いただきましたけれども、別に、今の時点では数字は確定しているわけでありますから、今から是正をしようと思えばできると思うんですね。今回の百三万円の壁の引上げだったりガソリン減税とかについては非常に財源にこだわっている一方で、この件に関しては随分とお手盛りな計算をされているというような気がするんですけれども、この点、大臣に御答弁をお願いを申し上げます。
○加藤国務大臣 いささか、制度を変更する、あるいは一時的にしても、その財源の議論と、運用面をどうするかというのは、やや議論の次元が違うのではないかなと思って、今のお話は聞かせていただきました。
その上で、今回の措置については、今御説明をさせていただいたように、確かに、減税額と給付額の合計が一人当たり四万円より多くなる場合があるというのは事実であります。これらの重複を避けるために、例えば、所得税の減税実績が確定する令和七年を待って調整給付を実施することとすると、迅速な給付の実現ができなくなる、また、後で返還を求めるとした場合には、所得税の減税実績の確定後に給付実績と突合の上で超過額を判定の上、返還を求める、こういうことになりますと、市町村の事務が大変過大になるといった課題があります。
したがって、今回の対応においては、市町村の事務負担なども配慮しつつ、また、より迅速に皆さんに減税給付をお届けするということ、そうした観点から今回の対応とさせていただいているところでございますので、今後、こうした重複を是正するための措置を講ずるといった考えは持っておりません。
○三角委員 分かりました。
市町村の事務負担が過大になるというお話、先ほどからありますけれども、そうであるなら給付金にすればよかったんじゃないのというふうにも思います。
ちなみに、この定額減税と給付金の事業に当たって計上された予算は幾らになるのか。非課税世帯への十万円の給付というのは除いた額で御答弁願えればと思います。
○松家政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの定額減税と給付金の一体措置におきまして、定額減税をし切れないと見込まれる方々へのいわゆる調整給付につきましては、計上した予算額は約一・二兆円でございます。
○三角委員 一・二兆円ということで、非常に大きな金額がこの定額減税に使われたわけでございます。
そのほかにも、今申し上げた二重取り以外にも、家族が控除を受けている場合に二重取りが発生をしたりですとか、また、所得税と住民税の課税最低限が異なることによっても二重取りが発生をしているということが指摘をされています。これらについてもしっかりとした調査を行っていただき、適正な是正を可能な限り行ってもらい、課税の公平性を守ることを要望したいと思います。
今後、強力な物価高対策を追加で行うのであれば、なおさら、さきの定額減税について、おかしな運営がなされていなかったか、徹底をした検証が必要であるというふうに思います。
続きまして、また違う話題に行きまして、さきの質疑でもお伺いをさせていただきました中小企業倒産防止共済制度、通称経営セーフティ共済について追加でお伺いをいたします。
本制度につきましては、企業が掛金を拠出をして加入をし、経営不振時の緊急貸付けなどにその資金が供与されていると認識をしております。この掛金は、現状は企業側において全額損金算入できるように租税特別措置において定められています。解約する場合においても、入会後三年以上経過をした後は掛金に対して一〇〇%の解約返戻金が受け取れると伺っています。
一方、近年では、この制度を悪用して、実質的に節税、保険商品のように利用している事例が出てきています。すなわち、利益の出た年に本制度に加入をして、損金算入を行って、三年以上経過をして利益の出なかった年に解約を行うことで、元金も保証されて節税メリットを享受するという企業が出てきています。
こうした企業が増えてきたのは、特に、さきの質疑でもやりましたけれども、平成二十三年度に、それまでの月額の掛金が八万円だったというのを二十万円にまで月額の掛金の上限を引き上げたということが一つの要因になっているということを、さきの質疑では指摘をさせていただきました。
その上で、お尋ねをさせていただきたいのは、現状の本共済の積立金額の全体の合計は大体幾らくらいになるのか、御答弁願います。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
令和五年度末における倒産防止共済金につきましては、約二・八兆円でございます。
○三角委員 二・八兆円ということ。分かりました。
直近で、共済金の貸付件数と金額が非常に大きく減少傾向にあるというふうに思います。お配りの資料を御覧いただきますとお分かりいただけますが、例えば、平成二十年度で件数が五千三百九十一件、貸付金額が四百八十七億円ぐらいですね。令和四年度で貸付件数が百五十件、そして金額にして十七億円程度ということでございまして、大幅に貸付件数や金額が減少しているのはなぜなのか。実行額僅か十七億円というのは非常に小さい、私、銀行で働いていましたけれども、私個人の融資の目標額とかよりも小さいぐらいであるというふうに思いますし、先ほどの御答弁いただいた積立額二・八兆円というものに対しても余りにも小さいというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
貸付件数や金額につきましては、倒産件数の減少傾向に伴いましてそれらも減少しているものと考えられますけれども、他方、近年、倒産件数、増加傾向にございます。二〇二五年の企業倒産につきましても、物価高、人手不足が大きなトリガーとなって増加していく可能性が高いとの予測もございます。これに備える意味においても、取引先の倒産による連鎖倒産を防止する本制度、引き続き重要であるというふうに認識をしてございます。
○三角委員 倒産件数が減っているからということなんですけれども、それであるならば、コロナの時期とかは恐らく倒産件数とかも増えていたんじゃないかなというふうに思うんですが、この時期においても貸付けの件数だったり金額は特に増えていないんですよね。ここでも大きな増加にはつながっていないということで、この当時は、コロナのゼロゼロ融資というような制度もありまして、こうしたものと役割がかぶる部分があったのではないかというふうにも思われます。
そういう意味では、この制度は、ほかの制度との重複という意味においても、その役目を終えているということも言えるのではないかと思われますけれども、この点について、大臣の答弁をお願いいたします。
○加藤国務大臣 中小企業倒産防止共済制度、いわゆる経営セーフティ共済は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産、経営難に陥ることを防ぐための制度であり、今御指摘のように、貸付件数、その金額が少ないということが、直ちに制度として役目が終わったのかということについては、よく議論する必要があるんだろうと思います。
他方、コロナ期において中小企業倒産防止共済金の貸付件数等が増えていないということがございました。御指摘のように、コロナ期には特例としていわゆるゼロゼロ融資が行われたわけでありますから、それとの関係、今委員御指摘がございました、そういったこともあるのではないかと思いますが、ゼロゼロ融資はあくまでもそのときに限った制度であるということでございます。
いずれにしても、本制度の必要性、有効性などについては、関係省庁とも議論しながら、不断の見直しを図っていかなければならないと考えております。
○三角委員 分かりました。
一方で、これはやはり、先ほど積立金額二・八兆円というふうにお答えいただきましたけれども、これ、ごめんなさい、質問通告していないんですけれども、ちょっと気になるのが、二・八兆円も預かっておきながら十七億円しか貸していないということで、二・八兆円はほぼ残っているというか、たまっているのかなと思うんです。これは非常に資金効率が悪いのかなというふうに思うんですが、このお金はほかに、ほかにというか、何か適切な運用とかはなされているのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
基金につきましては、中小企業基盤整備機構において適切に管理しているところでございます。
○三角委員 ごめんなさい、適切な管理というのは、何も使っていないということですか。運用とかはされていない。
○岡田政府参考人 そういう意味では、留め置いて管理しているということでございます。
○三角委員 二・八兆円は非常に大きなお金でありますし、これだけの資金調達をするとなると、国債も、利上げの影響もありまして、なかなか金利の支払いだけでも大変な状況もありますので、是非、せっかく、もったいないと思いますので、何らか適切な資産管理、運用をされることを御提案申し上げたいと思います。
私としては、この制度の維持自体が、今、自己目的化しているんじゃないかという問題意識を持っております。その結果として、加入件数を増やすために節税利用のような形になっているというふうに思われますので、適切な制度自体の見直しということを提案を申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、岡田悟君。
○岡田(悟)委員 おはようございます。立憲民主党の岡田悟です。
私は、財金では、前々回、トランプ大統領、アメリカの関税政策について質疑をいたしました。あれはたしかまだ三月だったと思いますけれども、あれから、アメリカがあらゆる国々への非常に高い関税を発表して大変な混乱があって、そして、中国以外にはそれを三か月免除するということが先週発表されたということで、今朝も、スマホ、これを対象にするのかどうか、昨日からいろいろ言われていて、対象外にします、やはり別の対象に入れますとか、日々、トランプ大統領あるいは側近の方の発言一つ、SNSの投稿一つで変わってしまうというふうな状況が続いています。当局の皆さんも大変苦労されているところだというふうに思います。大変お忙しいところですけれども、今日は財金に来ていただいたということで、質疑をしていきたいというふうに思います。
まず、直近の、最新のアメリカのトランプ大統領による関税政策、これがどういうふうな状況になっているか。特に今、中国をターゲットにしつつある、そして、中国も、最後までおつき合いをすると言っていて、報復関税をどんどんやっているような状況ですけれども、この状況についてまずは説明を外務省からしていただけたらと思います。
○大河内政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま、米国、中国によります関税措置、委員からも御説明のあったところでございますけれども、敷衍して御説明を申し上げますと、米国政府は、米国時間の四月二日に、相互関税措置の導入に関する大統領令を発出いたしまして、その後、九日に相互関税の一部、これは上乗せ分でございますけれども、につきまして、中国を除いて適用を九十日間一時停止する、こういう状況でございます。
現時点では、相互関税といたしましては、原則として、中国等を除く全ての国に対して一〇%、追加関税を適用しているということでございます。
一方、中国に対しましては、現時点で一二五%の相互関税を賦課してございまして、第二次トランプ政権発足直後に別途、二〇%の追加関税をかけてございますので、合計で一四五%の追加関税を賦課している、こういう状況でございます。
また、これに対しまして中国政府の方は、米国の相互関税措置に対抗いたしまして、全ての輸入品に対して一二五%の追加関税を米国に対して賦課している、こういうことでございます。
また、最後、委員からも御指摘ございましたとおり、米国政府は、十一日の大統領覚書におきまして、半導体製造装置及びその部品、スマートフォンなどをさきに発表した相互関税の対象から除外する、こういう発表を行うとともに、十三日にはトランプ大統領自身が更なる関税の扱いについて言及するということで様々な動きがある、こういう状況でございます。
○岡田(悟)委員 ありがとうございます。
同時進行でいろいろな問題が進んでいるという状況、皆さんもですし、あと、世界中の当局の皆さんも大変混乱をされている状況だというふうに思います。
我が国も、一〇%に今は猶予されている状況ではありますけれども、三か月後、どういう状況になるか。そして、それまでにアメリカとの交渉をするということで、我が国は一番最初の列に並んでいるということで、アメリカとの交渉は非常に近づいているという状況だと思います。ただ、アメリカが、非関税障壁、これをいろいろとこれまでも言ってきた。どれが交渉のテーブルにのるのかなど、今政府でも検討されている状況であろうというふうに思います。
また、東南アジアの国々も非常に高い関税をアメリカから課せられているという状況。ただ、ベトナムとか、彼らも条件を、ハードルを大分下げてアメリカとの交渉をこれからやっていくんだというふうに報じられています。
これから日本経済に何がどのように影響してくるかということを考えなければいけないですし、まさに皆さんも今取り組んでおられる状況であるというふうに承知をしておりますけれども、日本がまず一〇%の猶予をされたということはもちろんポジティブな要素であるということは間違いないと思いますが、自動車への二五%プラス既存の二・五%、これは続いていますね。鉄鋼、アルミも、二五%ですか、これも続いている状況であるということ。そして、そもそも、アメリカと中国が非常に高い関税を互いに出して、角突き合わせているという状況、これは間違いなく世界経済にも甚大な影響が及ぶことは、誰が考えても間違いがありません。
そして、日本企業は当然、海外にもたくさん進出をしていますし、今日び、中小企業の皆さんであっても、中国や東南アジアに生産設備があったり、あるいは取引をしているということは全く珍しくない。中国は今こういう状況ですし、ASEAN諸国が今後アメリカとどういう交渉をしていくのか、交渉がうまくいくのかどうかということも日本経済に多大な影響を及ぼすという状況であろうというふうに思います。
こういう状況を含めて、そして、製造業のサプライチェーンは非常に、世界中、アジア、中国、全体で複雑にでき上がっているわけですけれども、これへの影響を含めて、日本経済に今の関税のいろいろな状況がどのように影響するのか。また、政府として国内企業をどのように支えていくのか。お分かりの範囲で、これは経産省になりますかね、お答えをいただければというふうに思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今般の関税措置は国内産業に広範囲に影響が及ぶ可能性があることから、これをしっかりと精査し、国内の産業や雇用を守るために必要となる支援に万全を期すことが重要でございます。
この点、先週開催されました米国の関税措置に関する総合対策本部におきましても、総理から関係省庁に指示がございました。
このため、経済産業省としましては、副大臣、政務官、また職員が、自動車産業が集積する地域を直接訪問しまして、中小サプライヤーを含めた現場の声を受け止めながら、サプライチェーンの状況も含めて国内産業への影響の把握を進めているところでございます。
引き続き、精査を進めながら、それらの状況も踏まえて、現場の実態に即した形の追加の対応を検討してまいりたいと考えております。
○岡田(悟)委員 総理は神戸にも先日行かれて、地元の製造業の方などと意見交換をされていたというものもニュースで見ました。たまたま私の知人も意見交換をしていたようで、こういう取組は非常に、当然重要だというふうに思います。
今の時点で、じゃ、どのような経済対策が有効であるのかということ、今、与党で、当然野党も含めて、いろいろな意見、いろいろな声が出ています。先ほど三角委員からも質疑がありましたけれども、今後、アメリカの金利が急騰したりとかいろいろな動きが既に出ていますけれども、どのぐらいの深刻な影響が経済に及ぶのかということをまだ見定めることはなかなか難しい状況であるというふうには思います。
では、過去、ここ二十年ほど、経済危機があったわけですね。例えば、二〇〇八年のリーマン・ショック、そして二〇二〇年の新型コロナの発生した直後という状況。政府としても当時はいろいろな経済対策をされたということで、まずこの二つの大きな経済危機に政府としてどのように対応されたかとかということを一度検証してみる価値はあるのではないかと思います。
まず、リーマン・ショックにおいて政府としてどのような対応をされたのか、まず全体像、内閣府になりますかね、答弁をいただければと思います。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
二〇〇八年のリーマン・ショック時においては、同年十月に生活対策、同年十二月に生活防衛のための緊急対策、翌二〇〇九年四月に経済危機対策を策定するなど、経済対策を講じてまいりました。
当時は、世界の金融資本市場は百年に一度と言われる危機に陥っておりまして、それに伴い世界的な景気後退が見られる中で、日本経済は、外需面、国内需要も停滞し、特に雇用情勢の悪化が見られる中で、企業の資金繰りも厳しい状況になってございました。こうした状況において、雇用問題や資金繰り支援の確保等を最重要課題といたしまして必要な対策を講じてきたところでございます。
○岡田(悟)委員 当時は金融マーケットが、システミックリスクといいますけれども、動きを止めてしまった、機能しなくなったということ、これが世界中で起きていたという状況であったわけですけれども、まず金融庁の皆さん、国内企業にもいろいろ影響が出たわけですけれども、当時、金融庁としてどのような対応をされたかというところを御説明いただければと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
リーマン・ショックの際の金融庁の施策といたしましては、まずは、財務基盤が弱く、景気悪化がその資金調達の困難化につながる中小企業等に対しまして、金融の円滑化を図るために、二〇〇九年の十二月に中小企業金融円滑化法が成立をいたしております。この法律に基づきまして、金融庁は、金融機関に対して、中小企業等の借入条件変更の要望に柔軟に対応することや、対応状況の定期報告をすることを金融機関に求めておりまして、その結果を公表しているところでございます。
加えまして、中小企業等を支える金融機関の財務基盤を充実させるため、二〇〇八年十二月、金融機能強化法の改正によりまして、この法律の資本参加の申請期限を延長し、国の資本参加に当たって経営責任の明確化を一律には求めないこととするなどの対応を実施したところでございまして、これを受けて、改正の金融機能強化法に基づいて、十一金融機関に対して計三千九十億円の資本参加が実施されたところでございます。
こうした金融庁の施策のみを取り出して効果を評価することは困難でございますけれども、例えば、中小企業金融円滑化法が施行されておりました二〇〇九年十二月から二〇一三年三月の間、金融機関における貸付条件変更の申込みへの対応割合は九〇%を超えているということでございますし、また、この期間におきます資金繰りDI、貸出しDIはいずれも一貫して改善をしておりますほか、中小企業の倒産件数は減少しておりまして、先ほど申し上げたような施策は、当時、中小企業の資金繰りの改善や企業倒産の抑制などに一定の効果を発揮したのではないかと考えているところでございます。
○岡田(悟)委員 特に中小企業金融円滑化法は、民主党政権で亀井静香当時金融担当大臣の肝煎りで実施をされたということもありました。あらゆる企業に手を差し伸べる必要があるのかという議論もあったわけですけれども、失業とか経済の混乱を抑える効果はあったのではないかと思います。
そして、マーケットの問題、非常に混乱を来したわけですけれども、日本銀行としてもいろいろな手だてをされたと思いますけれども、日銀の当時の対策についても御説明いただければと思います。
○奥野参考人 お答え申し上げます。
グローバル金融危機を受けた二〇〇八年秋以降の局面におきまして、日本銀行は、金融市場の当時の急速な収縮に対応するために、主に以下のような措置を講じております。
まず、金融政策面では、短期金利の誘導目標を〇・五%前後から〇・一%前後まで引き下げております。それから、金融市場の安定確保、こちらの方を目的といたしまして、各種のオペレーションを通じて市場に対する潤沢な資金供給を実施したところでございます。さらに、企業金融の円滑化、こちらを念頭に置きまして、CPあるいは社債の買入れを導入いたしましたほか、民間企業債務の適格担保要件を緩和いたしまして、企業金融支援特別オペと呼びます、日本銀行から金融機関に対する新たな資金貸出しファシリティー、こちらの方を導入したところでございます。
これらの施策もありまして、グローバル金融危機の下でも、我が国の金融市場の安定、企業金融の円滑、全体として維持された、それに対して一定の役割を果たしたのではないかというふうに考えております。
○岡田(悟)委員 ありがとうございます。
今々アメリカの金利が非常に上がっているという状況が見られるわけですけれども、こういう状況に対する分析、もし、日本銀行、お聞かせいただけるようであればお願いしたいと思います。アメリカの金利が非常に上がっていて、関税の問題でマーケットも不安定になる要素があるという状況をどのように分析をされているか、もしよろしければお願いできたらと思います。
○奥野参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、最近の国際金融資本市場、とりわけ米国の株でありますとか長期金利、こちらの方は、米国の関税政策等の影響を受けまして内外で経済の不確実性が高まる下で、ここ三月の下旬から足下にかけて大きく変動しているというふうに認識しております。
ただ、一点、先ほどありましたグローバル金融危機時のように流動性が大きく低下しているということではないかと思いますけれども、いずれにしましても、こうした市場の動向それから内外の経済に与える影響を日本銀行としても引き続き注視していきたいというふうに考えております。
○岡田(悟)委員 金融市場も今大きく動いていますけれども、金融機関の資本規制も大幅に変わっていますから、同じことは起きないということは言えるんじゃないかと思います。
そして、次にコロナですね。
コロナ発生当初というのは、皆さんも御記憶のとおり、ほとんどの人も外出をできない、リアルな経済活動そのものが止まってしまうという状況だったわけですけれども、この当時、政府としてどのような対応をされたのかというところ、まず内閣府からお願いできますか。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
二〇二〇年のコロナ禍においては、同年四月に、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策、同年十二月に、国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策を策定するなどの経済対策を講じているところでございます。
こうした一連の経済対策につきましては、未知の感染症との戦いにおいて、雇用の維持、事業者への支援などにつきまして大胆な施策を講じることを狙ったものとなってございます。
○岡田(悟)委員 当時、発生当初は、治療法も確立をされていない、そして有効なワクチンが作れるのかどうかすら分からないという状況であったわけですけれども、こういう状況で広くセーフティーネットを張るということの意義というのは当然あったというふうに思います。
そして、企業向けには、持続化給付金、これが五兆円を超えて予算がついたという状況であったと思いますけれども、この効果と意義について、経産省、お答えをいただければと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
コロナ禍での事業者向け給付金は、委員御指摘にありましたとおり、政府が人流抑制等の要請を行うことで経済活動に制約を課し、地域、業種を超えて広範に需要が消失するという極めて特異な事態であったことから、使途に制限のない現金を給付するという臨時異例の支援策として実施したものでございます。
新型コロナの蔓延初期に実施いたしました持続化給付金につきましては、約四百二十四万件、約五・五兆円をお届けしたところでありまして、後続の事業者向け給付金、支援金等を合わせますと、合計で約一千四十七万件、約八・六兆円に上りました。
事業者の事業継続の下支えとして、一定の効果があったものと認識してございます。
○岡田(悟)委員 効果も、下支えという意味ではあったというふうに思います。
そして、不正利用、一部ありましたけれども、恐らく全体で見れば、もちろん、あってはいけないわけですけれども、統計学的に非常に小さかったというふうに思いますし、そして、自主返還という仕組みを取られたことも、これはよかったのではないかと思います。
一方で、持続化給付金については、いわゆる中抜きですね、広告代理店等が入って、かつ何重にも下請があって、たくさん金額が取られていくという非常に不効率かつ不透明な状況があったということは指摘をしておかなければなりません。
一方で、金融面でもいろいろな取組があったというふうに思いますけれども、金融庁としての取組、これもちょっと御説明いただければと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症発生時の施策といたしまして、金融庁といたしましては、中小企業等の資金繰り支援に関しまして、先ほど申し上げました中小企業金融円滑化法と同等の措置を講じようということで、具体的には、金融機関に対しまして、中小企業等からの返済条件の変更等への対応など、資金繰り支援にきめ細かく対応することを繰り返し要請したほか、こうした対応状況の定期報告などを求めたところでございます。
また、政府が措置をいたしました実質無利子無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資を始めとする中小企業等の資金繰り支援策を円滑に実行するため、金融機関には、中小企業等からの相談対応や支援策を実行する上で必要な様々な手続に対応するための体制の整備を求めたところでございます。
加えまして、二〇二〇年六月に金融機能強化法が改正されまして、コロナの影響を受けた金融機関が同法に基づく国の資本参加を受けようとする場合には経営責任が問われないことなどを明確化した上で、資本の返済期限も設けないこととする、いわゆるコロナ特例を設けることで、中小企業等を支える金融機関の財務基盤強化を促したところでございます。
金融庁の施策のみを取り出して効果を評価することは困難でございますけれども、例えば、新型コロナウイルス感染症の影響が本格化した二〇二〇年三月から二〇二四年九月までの間の金融機関における貸付条件変更の申込みへの対応割合は、約九九%ということでございますし、ゼロゼロ融資を始めとする政府の各種支援策は、金融機関による資金繰り支援、経営改善支援等と相まって、新型コロナウイルス感染症の影響下における中小企業の倒産の抑制や雇用の維持につながったのではないかと考えているところでございます。
○岡田(悟)委員 ゼロゼロ融資、これによって倒産、廃業というのは大きく抑えられたということは非常に大きな意義があったというふうに思います。一方で、本来市場の中で淘汰をされるべき企業まで救ってしまったのではないか、こういう意見もあるわけですけれども、やはり、未知のウイルスが非常に広がって、リアルな経済活動が止まってしまったという状況でしたから、広くセーフティーネットを張るということの意義はあったと思いますし、どの企業が淘汰されるべきかということは、ちょっとコロナとは切り離して議論した方がいいのではないかというのが私の考えなんですけれども。
産業政策とはちょっと異なりますが、個人への特別定額給付金ですね、先ほど三角委員からもいろいろ質疑がありましたけれども、これが自治体にとって大変な苦難を強いるものであったという状況、数年前ですから皆さんも記憶に新しいところではないかと思います。わざわざ資料、エクセルをプリントアウトして目視で確認をするといった作業を強いられた自治体があったわけですけれども。
もし、今後、関税の影響で、やるかどうかは別にして、まあ関税でなくてもいいんですけれども、全国民にお金を配るという作業が必要になった場合、同じことが起きないのかどうか、そのための手だてを取られているのか、総務省にお尋ねをしたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
特別定額給付金でございますが、新型コロナウイルス感染症特別経済対策といたしまして、令和二年度の補正予算に基づきまして、日本国内の全ての住民に一律十万円を給付するものでございました。委員御承知のとおり、申請に当たりましては、原則として二つの方式を取っておりまして、一つはオンラインの申請方式でございます。もう一つが郵送の申請方式でございます。
特別定額給付金の給付に当たりましては、市区町村におかれましては、給付状況などの管理のためのシステムの整備、また、申請書の印刷と郵送、提出された申請書の確認作業、金融機関への振り込みといった一連の事務が必要となったところでございます。
総務省といたしましては、市区町村におけます給付事務の負担が軽減されますように、制度案や申請書の様式などの早期の情報提供、さらには、オンライン申請につきまして、受付の効率的な事務処理方法の提示とかシステムの継続的な改善を行いました。例えば、受付のデータの一括のダウンロードができるようにすること、また、世帯員の突合や確認を速やかにできるようなソフトウェアの無償提供などを行ったところでございます。また、給付金業務の円滑な処理に有用なシステムの情報提供を行うとともに、受付口座の入力画面につきまして、入力誤り等がないように改善等もしていったところでございます。また、民間委託の国費の支援といったことにも取り組ませていただきました。
こういったことをしながらでございますが、一般論といたしましては、今後、どのような給付が行われるかとか、実際、給付がどうなるのかとか、まだまだこれからの議論だろうというふうには思いますけれども、一般論として、今後、何らかの給付を行うに当たりましては、給付内容に応じたシステム、制度とするのが大前提というふうに考えておりますけれども、こういった先例も踏まえまして御対応いただくことが重要だろうというふうに考えるところでございます。
○岡田(悟)委員 同じことが起きないのか、大幅に改善できるのかどうかというところをもう一度端的にお答えをいただければと思いますけれども。大幅に改善ができるのかどうか、ここを端的にお答えいただきたいと思いますけれども、お願いします。
○望月政府参考人 まだ、どのような制度になるかとかそういうことは未定でございますので、具体的にお答えすることはなかなか難しいところではございますけれども、例えば、当時に比べましてマイナンバーカードが随分普及しているとか、そういった状況の中でオンラインを速やかにやるとか、そういった改善をするといったことは考えられるところであろうというふうに考えるところでございます。
○岡田(悟)委員 必要に応じて、給付が必要になれば速やかに配れる仕組みというのは必ず必要になるだろうと思います。
一方で、昨年の六月に始まったいわゆる定額減税、これは、リーマンであるとかあるいはコロナと比べて、物価が急激に上がっている頃に政府の中から提案が出てきたという経緯はありましたけれども、果たして必要だったのかというところは当時からずっと議論があり、世論の評価も決してよくはなかったというふうに記憶をしておりますけれども、二〇二四年六月から始まった定額減税、これに対する目的や意義について政府の見解をお尋ねしたいと思いますけれども、財務省、お願いできますでしょうか。
○青木政府参考人 お答えいたします。
定額減税でございますが、御指摘ありましたけれども、物価の上昇に賃金の上昇が追いついていないという初期の時点で、一時的な措置として家計の可処分所得を直接的に下支えをし、まず物価上昇を上回る所得の増加を確実に実現することで物価上昇を上回る賃金上昇の定着につながる目的で講じたものでございます。
○岡田(悟)委員 先ほどおっしゃったのが政府の公式な見解ということになろうと思いますけれども、例えば民間のレポートを見てみますと、あらゆる観点で費用対効果が低いであるとか、複雑怪奇な制度設計で異常な行政コストを課しているとか、非難が非常に強くある。
かつ、これはちょっと通告はしておりませんので答弁は結構ですけれども、先ほど、特別定額給付金が二二%しか消費に回らなかったという指摘がありましたけれども、定額減税についても、いわゆる限界消費性向と呼ばれるものが二〇%内外という指摘もあって、やはりこれも貯蓄に回ったという傾向が強かったのではないかというふうに思います。
なかなかちょっとこの定額減税、岸田総理がSNSで批判をされたとか、そういうことも言われていましたけれども、非常に意義や効果が見出しにくいということがあったわけですけれども、ここへ来て、関税の問題を受けて、はっきり言うと野党も含めてですけれども、給付金あるいは減税、対策をやるべきだというふうな意見が非常に強くなっている状況です。
昨日の予算委員会で石破総理は、かぎ括弧をつけますが、選挙目当てのばらまきということを考えているわけではございませんというふうに答弁をされて、ちょっとかぎ括弧の意味が非常に分かりかねるところなんですけれども。
また、報道によりますと、昨日のテレビ朝日ですけれども、総理周辺では米やガソリンなどに限定した地域ごとの商品券を配ることも考えられているという報道もあって、報道ですけれども、商品券であればお米とかガソリンとか目的を決めて配ることができますから、そういう意味では貯蓄に回らないということは言えるかもしれません。ただ、ちょっと、総理周辺が商品券というのは余りイメージがよくないのかなということは大変ちょっと、懸念をするところではあるわけですけれども。
ただ、自民党の閣僚経験者の方のコメントが、オフレコのコメントが載っていたんですけれども、トランプ関税がどうなるかも分からないのにどうやって経済対策をつくるんだというふうにおっしゃっていて、まさにそれに尽きるなというふうに思っております。
先ほど来私からも申し上げているように、リーマンであるとかコロナであるとか、特にコロナはやはり、未知のウイルスで、全世界でリアルな経済活動が止まったというところ、本当に私自身も、当時仕事をしておりましたけれども、不安で、自宅から大企業の社長インタビューをやったりとかそういうことが往々にしてある状況、本当に、生活に苦労された方も、飲食店の方も取材しましたけれども、たくさんいらっしゃったという状況でしたから、ゼロゼロ融資であるとか全てが有効に、一円残らず使われるということでは全くないけれども必要な措置であったということで、危機管理は手を広げて対応する必要があるということは理解をしています。リーマンのときの対応もそういうものであったというふうに思うんですけれども。
今回は、確かに影響は、世界経済に与える影響は大きい、我が国の企業活動に与える影響も非常に深刻なものになる可能性があります、あるとは思いますが、その実態がまだよく分からないという段階で、給付だ、あるいは減税であるという声が、野党も含めてですけれども、上がっていることは大変違和感を覚えるところです。
大臣に伺います。
もちろん、政府の立場ですから、自民党の森山幹事長が補正が必要だとおっしゃっているから、恐らく今後補正をやっていく方向になるんだろうと思いますが、それは党からの発言ですからちょっとおいておいて、先ほど来、リーマンとコロナの対策、いろいろ御説明いただいたことを踏まえて、今後、関税の問題が経済的な悪影響を引き起こすことがあった場合、何らかの対策は当然必要だと思いますが、その費用対効果をどのようにお考えか。対象をなるべく絞って効果的に対策を行うべきなのか、あまねく、国民全体にそれを行うべきなのか、大臣の基本的なお考えを伺えればと思います。
○加藤国務大臣 まず、先ほどから申し上げておりますように、様々な報道はございますけれども、政府としては、新たな給付金、減税といった中身の補正予算、経済対策について検討している事実はないということでございます。
その上で、総理からも、関税措置による国内産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な支援に万全を期す、そのためにも中身をよく精査し、影響を十分に分析する、こういうことが指示がなされているわけであります。まずは、こうした方針に基づいて、米国の関税措置が国内産業、雇用に対してどのような影響を与えるか十分に分析をし、また、今、資金繰り対策など必要な対応を行っておりますけれども、こうした対応をしっかり進めていきたいと思っております。
今後またいろいろなことが見えてくれば、その段階で、まあなかなか、全貌が見えてからやったら後手になるのではないかという御批判もあります。しかし、よく分からないうちにやっても、これは政策効果が生み出し得ないという部分もあります。ここは非常に難しいところだと思いますが、よくその両面を踏まえながらも、今までの御指摘も踏まえながら、的確な対応を図っていきたいと考えています。
○岡田(悟)委員 ありがとうございます。
もちろん、遅過ぎても意味がありませんから、即効性というものも必要だということは当然理解をしておりますが、まだちょっとなかなか、まあ参議院選挙が近づいているということもあることは事実ですけれども、まだちょっと決め打ちは早いのではないかという気もいたします。
先日の予算委員会で立憲民主党の野田代表は、我々は政府の足を引っ張るつもりは全くない、野党第一党として政府を後押しをする用意があるというふうに発言をされています。これはアメリカとの交渉に当たってという趣旨だというふうに思いますけれども、ちょっと私の立場で申し上げるのは僭越ではありますけれども、当然、国内でどのような経済対策をやるかということはアメリカとの交渉ともひもづいてくるわけで、この点も、非常にオープンな形で冷静な議論ができるのであれば、与野党でしっかりと話合いをしていく余地もあるのではないかというふうに思います。
ちょっと時間がどれだけあるか分かりませんけれども、次の質問です。
先日来、スルガ銀行、与野党から様々な指摘があるところですけれども、私、ちょっと、週刊ダイヤモンド時代に金融よりはむしろ不動産とかゼネコンの方が長く担当しておりまして、スルガ銀行に限らず、かつ、かぼちゃの馬車に限らず、投資用の不動産、ワンルームマンションの営業というのが非常に、特に金融緩和になってから低金利で盛んになっていたわけですけれども、物件価格は上がっているのに収益、つまり家賃がそんなに上がらないという余り投資家にとって有利な商品でないにもかかわらず、強烈な営業活動によって売り込む、しかも年金の代わりになりますとかこういうことを言って売り込むというケースがたくさんありました。
今も続いていると思いますけれども、国交省は全くデータをお持ちじゃないということで、金融庁として、金融機関を通じてどのようにモニタリングをされているのか、この点、御答弁をいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
投資用不動産向けの融資についてでございますけれども、私どもといたしましては、モニタリングの中で各金融機関の動向それからリスク管理の状況を把握しているところでございますけれども、提携する不動産業者の業務の適切性をきちんと検証しているかということですとか、銀行、金融機関の融資審査における牽制機能がしっかりと発揮されているかというようなことを、通常のモニタリング若しくは検査の中で把握をしているところでございます。
○岡田(悟)委員 時間が来ましたけれども、最後に一点だけ。
スルガ銀行を森元金融庁長官は非常に高く評価をしておられましたけれども、実態はこれまで質疑をされてきたとおりだったということ、加藤大臣、この点はどのようにお考えか、伺いたいと思います。
○井林委員長 加藤大臣、簡潔にお願いいたします。
○加藤国務大臣 従前から申し上げておりますが、金融庁元幹部の発言とスルガの不正融資問題との因果関係についてなかなかお答えするのが難しいことは御理解いただいていると思いますが、我々として、この不正融資問題に関連して、スルガ銀行の経営管理体制や内部管理体制に一部業務停止命令や業務改善命令に至った重大な問題があったにもかかわらず、これを事前に察知することができなかったこと、これは事実として受け止めていかなければならないと考えています。
○岡田(悟)委員 これで終わりますが、長官の発言と問題が結びついているということだけが問題ではなくて、やはり高く評価されていたこと自体が問題だということを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、村上智信君。
○村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。
早速質問に入ります。
トランプ関税につきましては、世界の多くの方が心配をしておりまして、そして、この国会でも多くの方から質問がありました。私からも質問をさせていただきます。
トランプ大統領は、関税を上げるというふうに言って、それに対して多くの国から提案があった、その提案があったことを是としまして、そして、たった今、関税をかけると言っていたもののうち、上乗せ関税を九十日間停止をします、基本税率の一〇%だけとしますということになっております。この九十日間というのは、まさにこれから交渉する期間だというふうに思います。この交渉においてどのように日本のかじを取っていくのか、非常に大切なポイントになってきます。
そこで、質問をいたします。
トランプ大統領は、日本の円安も問題にしているようですけれども、為替に関してどのような交渉が持ちかけられると予想していますでしょうか。また、その交渉においてどのように応じるのか、大臣のお考えをお聞かせください。
○加藤国務大臣 日米交渉はこれから始まるわけでありますから、今、その段階で内容に立ち入ることはなかなか難しいこと、また、特に為替の話は非常に機微にわたるわけでございまして、市場の臆測を招き、為替市場に不測の影響を及ぼすおそれもあることから、従前からそうしたことに関するコメントは差し控えさせていただいております。
その上で、為替については、米国との間で、為替レートは市場において決定されること、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることなどについては、これまでも米国との間で共有の認識を得ているものと考えております。
本年一月二十九日、私と米国ベッセント財務長官のビデオ会議においても、為替については両財務大臣の間で緊密に協議していくことを確認したところでございますので、今後とも、先ほど申し上げた共通認識に基づいて、日米間での意思疎通を積極的に図っていきたいと考えています。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
アメリカは、御承知のとおり、メキシコやカナダと貿易協定を結んでおりまして、その貿易協定の名前がUSMCAというふうにいいますけれども、その中で、為替に関係する条項も含まれております。その条文では、締約国に為替レートの不正操作を含む何らかの違反が疑われた場合には各国の代表によって解決を行う、そのようなことなどが定められております。不正操作があれば対応するような、そういう条文になっているわけです。例えば、アメリカの方から、このような条約を締結しようじゃないか、そのようなことは言われるのかもしれないなというふうに私は個人的には予想はしております。それに対してどう対応するのか。
先ほど大臣がお答えになった話、それはそのままこの話に通じると思っています。大臣のお答えになったとおり、やはり為替というのは市場が決めるものなんだ、そういう話をおっしゃっていまして、それ以上なかなか踏み込むことができないとは思います。そういうふうに為替の問題が難しいことは理解するんですけれども、しかし、交渉全体を考えた場合に、トランプさんから関税を上げるぞというふうに言われて、それに対して回答するのに、為替は難しいとか、あるいは米は難しいだとか、あるいはアラスカのガス田は難しい、難しい話ばかりを言っていると、なかなか、それを聞いてトランプさんが、よし分かった、難しいから仕方ないと言ってくれる感じもしないんですね。これはやはり、何かしら日本からも提案をしなければならないというふうな状況だというふうに思うんです。
日本からも前向きな提案、その提案というのは、もちろん、日本にとってもメリットがあること、アメリカにとってもメリットのあること、そういうことを提案するべきではないかというふうに考えます。例えば、新しい日本からの投資案件でもいいと思いますし、あるいは、共同で研究開発、技術開発をしようじゃないか、そういうのでもいいと思います。何かしら持っていかなければこの話はまとまらないというふうに思いますので、為替は難しいにしても、全体として考えていただいて、そのようなトランプさんが納得できるようなものを持っていかないといけないんじゃないかと私は思います。
報道を見ていますと、政府がトランプ関税にどう対応するのか、この報道の中で、どなたが言ったか明示していなかったと思いますけれども、多分政府の幹部の誰かだと思いますけれども、この問題に対してはパッケージで対応するというふうなコメントをしていたのが紹介されていました。パッケージで対応する、これを聞いて、私はやはりちゃんと考えているなというふうな感想を持ちました。もしトランプさんが言っていることだけを考えているなら、パッケージで対応するなんていうことは言わないと思います。多分、日本側から前向きな提案をちゃんと準備して、そして持っていって、それでトランプさんを納得させよう、そういうふうな意図があるのかなというふうなことを感知いたしました。
それと関係しているのかどうなのか分かりませんけれども、一週間ほど前に、日本製鉄がUSスチールを買収する、こういうふうな話がありましたけれども、それに関連して、一旦は止めていたアメリカでしたけれども、それをもう一度見直そうということをトランプ大統領が指示をしたということがニュースに出ていました。これを私はニュースで見たときに、もしかしたらそういうふうな日本から提案したことの一つだったのかなというふうなことを私は、これは単なる推測ですけれども、そういうふうに思った次第です。多分、政府は何かしらのことを準備して、そして持っていっているだろうなというふうには思います。
そして、多分、その具体的な案件、国会で質問してもなかなか言ってくれないということも、それも理解をするところです。私自身も、経済産業省で働いていたものですから、そういうふうな外交交渉の裏は見させていただいたので、なかなか、本当のことを表の場所で言ってしまうと、アメリカに筒抜けになってしまって、それは自分たちのカードを先に見せることになるものですから、多分それは、内々に準備をして、そしてトランプさんに一枚ずつ見せて、納得したところでこのゲームは終わり、多分そういうふうな準備をされているんだというふうに思いますけれども、もしそうなっていなかったらそうなるように是非御指導をいただけたらというふうに思います。
さて、次の話題に移ります。次は物価高です。
報道を見ていますと、野党だけではなくて与党の中でも、物価高対策あるいは関税対策として、給付金やあるいは消費税引下げ、こういうことをやるべきじゃないかというふうな声が出ています。私自身も多くの有権者の方から言われます。物価高だから大変で困っている、あるいは、米が高いということを言われます。
そこで、質問します。
関税と物価高への対策として国民一人当たり数万円の給付を政府・与党が検討しているとの報道がありますけれども、実際に検討していることがあれば教えてください。お願いします。
○斎藤副大臣 お答えいたします。
先ほど来答弁を申し上げておりますが、そのような報道があることは私ども承知をしておりますが、政府として新たな給付金といった補正予算や経済対策について検討しているという事実はございません。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
検討していることはないということで、多分、財源論の問題だとかいろいろ考えてのことだと思います。これも報道情報ですけれども、自民党の幹事長が、財源を伴わない減税の提案は国際的な信用を失う、そういうふうなことをおっしゃったということでした。財源の問題は確かに分かるんですけれども、たった今は税収が増えている状況ですので、その増えている税収を割り振っていくということはできるんじゃないのかなというふうに思うんですね。確かに物価が上がれば支出する方も増えますけれども、しかし、更に残るものがあるはずなんですね。是非、そういうところの予算があるのでそれを物価高対策に使っていただけたらというふうに思います。本当に、地元の方、日本の多くの方が困っております。是非よろしくお願いします。
日本維新の会としましても、このことは提案をさせていただいております。官房長に提言書をお渡ししました。その中で、食料品に限った消費税の減税、これを提案をしています。是非前向きに考えていただけたらと思います。
その際には、是非、インボイスの話、消費税のインボイスの話も、これを廃止の方向で考えていただけたらと思います。
インボイスの話はこの場所でも質問をさせていただきましたけれども、余りにも多くの作業が発生する、納税者側に手続の負担が大きい、その割にはその収入は二千億円にしかならないという話です。そのような小さい金額だったら、この制度をやめてしまって、その分、経済対策だと思って還元してほしいというふうに思います。このインボイスで、作業で働く分、それをもっと前向きな、売上げを伸ばすとか新しい商品を開発するとか、そういうふうな前向きな方にその労働力が振り向けられるように、是非前向きな御検討をいただけたらというふうに思います。
次の質問に移ります。
金融庁は四月十日に報告書をまとめました。報告書の名前は、暗号資産に関する制度の在り方等の検証ということで、私もその概要を拝見させていただきました。
暗号資産といえば、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨のことですけれども、かなりこれが世の中に普及をしてきておりまして、ポピュラーになってきております。口座開設数が延べ千二百万口座を超えておりますし、利用者預金残高が五兆円以上になっております。投資経験者の暗号資産保有割合が七・三%ということで、FXや社債を超えているということで、非常にポピュラーな取引方法になってきております。
これまでは暗号資産というのは資金決済法において規制されていたということですけれども、こうやって普及してきたので、その普及度合いに応じて、今後、規制や制度を変えようか、在り方を見直そうというのが今回の検証の趣旨だというふうに伺っております。
そこで、質問をいたします。
四月十日に金融庁が暗号資産に関する制度の在り方等の検証を取りまとめましたが、暗号資産をめぐる課題は何だと認識していますか。お願いします。
○油布政府参考人 お答えいたします。
おっしゃるとおり、金融庁では、昨今の暗号資産に係る取引の実態等を踏まえまして、暗号資産に関する制度の検証を行ってまいりましたが、その検証結果を踏まえ、先週十日にディスカッションペーパーを公表いたしております。
このディスカッションペーパーにおきましては、暗号資産の投資対象化が進む中で、次のような点を課題として整理してございます。
まず、情報開示、提供の充実でございます。現在、新たな暗号資産の発行時には一定の情報開示、提供が行われておりますが、その際に使用される説明資料等については、内容が不明確である等の指摘があるほか、その資料の作成者には正確な情報提供を行う義務が課されておりません。暗号資産の発行者と利用者の間の情報の非対称性を解消するという観点から、情報開示、提供を強化する必要があるのではないかと考えられるところでございます。
次に、利用者保護についてでございますけれども、近年、海外所在の業者を含めまして、無登録で暗号資産投資の勧誘を行う者が現れているほか、詐欺的な勧誘に関する相談が金融庁にも少なからず寄せられております。利用者保護の強化を図る、それから、無登録業者による違法な勧誘を抑止するという必要があるものと考えられるところでございます。
また、暗号資産につきましては、投資セミナーやオンラインサロン等も出現しているところでございまして、その中には、利用者から金銭を詐取するといった違法行為が疑われるものも見られると指摘がございます。こうした暗号資産の投資運用行為やアドバイス行為、これにつきましても、適正な運営を確保する必要があるものと考えられます。
このほか、本ディスカッションペーパーでは、暗号資産に係るインサイダー取引規制についても、国際的な規制の動向なども踏まえ、何らかの対応を取る必要が高まっているのではないかといった点を課題として記載しております。
以上のような課題につきましては、今後、ディスカッションペーパーに寄せられますパブリックコメントでの御意見や諸外国の状況なども参考にしながら、制度改正を行うか否かも含めまして、必要な対応を検討してまいります。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
暗号資産をめぐって様々な課題があるということが分かりました。そして、それに対して、今回、いろいろな方から、パブリックコメントをかけて、御意見をいただいて、そして制度をつくるというタイミングだということです。どのような法律を改正するのかはこれからということでしょうけれども、法律改正で済むのか、あるいは新法なのか、それも今後だということだとは思いますけれども、ちょうどよいタイミングですので、私からも意見を言わせていただこうというふうに思います。
暗号資産に関する詐欺的なセミナーなどが横行しております。私も、いろいろなサイトを見ていると、やはりそういうふうな宣伝じゃないかなというふうに疑われるものをよく見ます。そういうことでは、非常に心配をしておりました。このような投資の助言、これは金融商品取引法では規制対象とできるわけなんですけれども、そういうふうな、もし今回の法改正で金融商品取引法の規制対象とすることになるんだったら、セミナーとかの投資助言、こういうものは登録業者ということになるわけですね。ちゃんとしたところは登録をする、登録をすると金融商品取引業者などと表示をすることができますけれども、そうすると、投資側に対して安全性をアピールできるわけですね。
そこで、質問いたします。
暗号資産の投資助言を金融商品取引法の規制対象にすれば、登録業者が選ばれて、詐欺的な業者が選ばれなくなるのではないでしょうか。
○油布政府参考人 委員のおっしゃるとおり、近時、暗号資産取引に関する投資セミナーや情報提供名目のオンラインサロン等がございまして、その中には、利用者から金銭を詐取するなどの違法行為が疑われるものがあるということでございます。
現行の資金決済法では、暗号資産取引に関しましては、助言、アドバイス行為といったものについて、いわゆる業登録等は求めておりません。先般公表いたしましたディスカッションペーパーでは、詐欺的な行為を抑止し、利用者保護を図る観点から、暗号資産取引に係る助言、アドバイス行為についても、これを規制の対象とすることが適当ではないかとの課題認識を記載しております。その場合には、無登録で詐欺的な行為を行おうとする業者に対する抑止、排除効果、牽制効果が期待できるものと考えます。
もっとも、現時点では、こうした規制を金融商品取引法で行うかどうかも含めまして、何か方針が具体的に固まっているわけではございませんが、パブリックコメントでの意見なども参考にしながら、今後検討を深めてまいりたいと思います。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
金融商品取引法でやるかどうかは決まっていないということですけれども、何かしらの規制は必要だと思いますので、是非前向きに検討いただけたらというふうに思います。
次の質問なんですけれども、暗号資産については、ハッキングやマネーロンダリングも問題になっています。例えば、暗号資産の交換業者であるDMMビットコイン、これは昨年五月に四百八十億円もの不正流出がありまして、その事業を廃止するというふうな大変なことが起こりました。多分、この四百八十億円、普通に考えるとというか、私の推測でしかありませんけれども、海外に漏れたのかなという気がいたします。せっかく、日本の国富、四百八十億円をむざむざよその国に出してしまうというのは、本当にもったいないことだと思います。
そこで、質問いたします。
ハッキングやマネーロンダリングについて、暗号資産交換業者に対してどのような監督対応をしているのか、教えてください。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
金融庁では、暗号資産交換業者に対して、立入検査を含むモニタリング手法を機動的に使い分け、継続的なモニタリングを実施するとともに、必要があると認められた場合には、業務改善命令等の行政対応を行うこととしております。
今事務年度の各社に対するモニタリングについては、特にハッキングによる不正流出リスクへの対応及びマネーロンダリング対策に重点を置いております。
具体的には、まず、ハッキングによる不正流出リスクへの対応に関しては、議員御指摘の、昨年五月に発生した利用者財産の不正流出事案を踏まえた利用者保護の観点から、各社の暗号資産の管理に係るセキュリティーについて、また、マネーロンダリング対策に関しては、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインで求めている各社の管理体制について、それぞれ実態把握を行うとともに、それらの高度化を促しております。
金融庁では、引き続き、ハッキングによる不正流出リスクへの対応やマネーロンダリング対策に関する体制整備状況等について、各社の状況をしっかりとモニタリングするなど、暗号資産交換業者に対して適切に対応してまいりたいと考えております。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
ハッキングやマネーロンダリングに関してもこれから法規制を考えるということだというふうに思います。この法規制を考える際に考えていただきたいのは、今の監督をやっている実際の内容が効果をもたらすような、そんな法規制を考えていただきたいなということです。
私が気にしているのは、このような暗号資産の交換業者、多分、事前に、最初にシステムを設計するときにどれだけの安全対策をしたんだろうかという、そこの最初の設計がポイントかなという感じがしています。そういうふうなことでいうと、今、監督対応で説明していた中で、各社のガイドライン、それを見てみますという話をしていましたけれども、むしろ、それを自主的な取組とせずに法規制の中でしっかり役所側から指摘できるような、そんな枠組みにする必要があるのかなというふうな感想を持ちました。若しくは、一番いいのは、国の方で技術基準をしっかり定めて、それが交換業者の許可基準である、そうするのが一番強いとは思いますけれども、そこら辺はさじ加減もあるでしょうから、是非そういうことも含めて検討していただけたらというふうに思います。
次の質問に移ります。
今回の検証においては、インサイダー取引についても言及しておりました。インサイダー取引といいますと、株価だったらイメージが湧くんですけれども、会社の重要な情報、上がるような情報もあるし、株価が下がるような情報もありますけれども、そのような情報を知り得た人は、株を売ってみようとか買ってみようとかして、それで大もうけできる、そういうような不正行為をさせないためにインサイダー取引の規制を株式では入れている、それは納得するんですけれども、暗号資産においてはどのようなことがあり得るのか。
ちなみに、ETF、上場投資信託では、インサイダー規制の対象外になっております。だから、全ての投資がインサイダー取引の対象じゃないんですけれども。
そこで、お伺いいたします。
暗号資産のインサイダー取引規制の対象となる情報としてどのようなものがあり得るのでしょうか。教えてください。
○油布政府参考人 このディスカッションペーパーにおきまして、暗号資産に係るインサイダー取引に関しましては、抑止力を高めるという観点から、海外での法制化の動き等も踏まえ、本邦でも何らかの対応強化の検討が必要ではないかと考えられるところ、多種多様な暗号資産の性質を踏まえた要件を定立するということができるのか否かなど様々な課題もありますため、規制や市場監視体制の在り方等については更に検討を行う必要があると記載しているところでございます。
お尋ねのインサイダー取引規制の対象となる情報につきましては、一般的には、対象となる資産の価格変動に大きな影響を及ぼし得る情報、これが含まれるものと考えられますが、具体的にどういった情報が該当し得るのかにつきましては、暗号資産の性質を踏まえて検討していく必要がございます。
例えば、米国では、大手の暗号資産交換業者が新たな暗号資産の取扱いを開始する、こういう未公開の情報を当該業者の社員が知人に伝達し、その知人が取引で利益を得たとされる事案につきまして、インサイダー取引として摘発が行われた例がございます。
こうしたことも踏まえながら、先ほど申し上げました暗号資産の価格変動に大きな影響を及ぼし得る情報の具体的な中身については、今後更に検討していく必要がございますけれども、先ほどの暗号資産の新規取扱開始、あるいはその廃止のほか、例えば、暗号資産の発行者や開発者等の破綻、それから暗号資産管理者に対する深刻なハッキングなどが検討の対象には含まれてくるものと考えております。
いずれにいたしましても、この暗号資産のインサイダー取引への対応につきましても、今後パブコメにお寄せいただいた意見なども踏まえて検討を深めてまいりたいと思っています。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
これもしっかり検討いただけたらと思います。
さて、次の質問ですけれども、暗号資産を投資対象としてしっかり位置づけるのであるならば、申告分離課税にすることも考えるんでしょうか。考え方を教えてください。
○堀本政府参考人 お答え申し上げます。
暗号資産取引に関する課税については、昨年末の令和七年度与党税制改正大綱におきまして、一定の暗号資産を広く国民の資産形成に資する金融商品として業法の中で位置づけ、投資家保護のための規制等の必要な法整備をするとともに、取引業者等による取引内容の税務当局への報告義務の整備等をすることを前提に、見直しを検討するとされたところでございます。
暗号資産を投資対象としてしっかりと位置づけるという御質問でございますけれども、これは、先ほど申し上げた中では、金融商品として業法の中での位置づけ、あるいは投資家保護のための規制等と関係するものでございますけれども、いずれにせよ、税制改正については、暗号資産に関する制度に関する検討と併せまして、先ほども申し上げました与党税制改正大綱や、業界団体等からの要望内容を踏まえまして、税制改正のプロセスに沿って、暗号資産取引に係る課税を申告分離課税とすることの適否も含めて、必要な対応を検討してまいる予定です。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
検討していただけるということで、前向きに受け取っております。これまでいろいろな投資が現れてきては、それが一般的な投資になったところで申告分離になってきたかなというふうに思っております。FXも二、三十年前はまだ総合課税でしたけれども、それが申告分離になりましたし、今度は暗号資産なのかなというふうな感じで私はこの話を見ております。
さて、最後の質問をいたします。
今回の検証を踏まえて暗号資産の規制をしっかり考えていただきたいのですが、大臣の意気込みを教えてください。
○加藤国務大臣 委員から暗号資産の規制に関して今いろいろと御議論を頂戴したところでございます。
暗号資産に関する制度の在り方の見直しに当たっては、暗号資産取引市場の健全な発展に資するという観点から検討していくことが重要と考えております。
まず、暗号資産取引について国民から広く信頼を得るためには、更なる利用者保護の検討が必要であると。ただ、一方で、諸外国と比較して過重な規制を課すと、利用者や事業者の海外流出を招き、結果的に、海外の無登録業者によりサービスが提供されることで、利用者保護の実効性が低下する懸念や、我が国の競争力をそぐ懸念に留意した対応が必要と考えています。
今月十日に公表したディスカッションペーパーでは、利用者保護とイノベーション促進のバランスの取れた環境整備を図ることの重要性が指摘をされているところであります。
同ペーパーのパブリックコメントを実施しているところであり、今後の方針について現時点で固まっているものではありませんが、今回のディスカッションペーパー、公表させていただいたものや、今後パブコメに寄せられる意見を踏まえつつ、諸外国の状況なども参考にしながら、必要な対応について検討を更に深めていきたいと考えています。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
以上をもちまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、岸田光広君。
○岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広です。
本日も質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、時間もございませんので、早速質疑に移らせていただきたいと思います。
まず、トランプ政権の関税政策について伺ってまいります。先ほど来質疑が続いておりますが、重要な問題ですので、私なりの視点で質疑をさせていただきます。
トランプ大統領の、日本向け二四%、そして一律一〇%の相互関税につきまして、日本経済そして金融市場に深刻な影響を及ぼす懸念がございます。直近では、四月七日に中国への関税が一四五%に引き上げられ、金融市場が混乱をしております。日経平均が同日七・九%下落、スタンダード・プアーズ五〇〇は二日で六・六兆ドルの時価総額を失いました。そして、四月九日、九十日間の停止という発表があり、日経平均は九・一%の反発、S&P五〇〇も九・五%急騰いたしましたが、同時に、円安が、百五十円、台後半に進行、そしてアメリカの十年物の国債利回りの方が四・三四%に上昇するなど、非常にボラティリティーの高い状況が続いております。
本日は、関税の経済的影響、その根拠の妥当性、消費税との関連、中小企業支援について、政府の方針を伺ってまいります。
まず、トランプ関税の日本経済への影響と政府の対応策についてお伺いします。
トランプ大統領の相互関税は、日本経済、特に中小企業、輸出産業に深刻な影響を及ぼす可能性がございます。特に、自動車、電機産業では、コスト増による価格転嫁か利益圧縮かの選択を迫られ、雇用の安定、賃上げにも影響が出かねません。大臣は、この関税が日本経済に与える具体的な影響をどのように分析されているか。また、九十日間の一時停止措置、この期間を活用して、どのような交渉、戦略をもってされるのか、国内支援策をどのように講じられることを検討されているか、お聞かせください。
〔委員長退席、国光委員長代理着席〕
○加藤国務大臣 今般の米国政府による関税措置は、幅広い産業に対して大きな関税負担をかけるものであり、貿易、金融市場など様々なルートを通じて、日本経済のみならず世界経済にも影響を及ぼし得るものと認識をしております。
具体的な影響については、各国政府や各企業による対応等によって大きく変わり得ることから、一概に申し上げるのはなかなか難しいところではありますが、例えば、米国の関税措置の導入がグローバルな貿易活動に与える直接的な影響、また、不確実性の高まりが各国の企業の投資行動や家計の信頼感の低下に与える影響、国際金融市場の変動を通じた影響などを踏まえますと、全体として我が国経済を下押しする方向で働く要因になるのではないかと考えております。
また、交渉の関係でありますけれども、まずは、米国政府に対して措置の見直しを強く求めるなど取組を進めるとともに、関税措置による国際産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な支援に万全を期す、これは既に総理からも指示が出されているところでございます。
今後の交渉については、引き続き政府内で鋭意検討を進めているところでありますが、政府としては、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかなどを考えながら取り組むとともに、米国の関税措置の影響を十分分析し、その対応、特に国内対策ですね、万全を期していきたいと考えております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
大臣からも、国内対策をしっかりしていくということでお伺いしました。
先ほど来、一律の現金給付等のお話もありましたが、今検討中ということで、物価対策等を行っていかなければならないんですけれども、私も、今週末、能登半島に入ってきまして、被災地の方を見てまいりました。現地でやはり一番お伺いしたのが、ガソリン代が百九十円を超えていて、非常に生活が苦しいということをお伺いしました。是非ともガソリンの暫定税率の廃止の方も検討していっていただければと思います。
次に、トランプ関税の根拠と日本の対応について伺ってまいります。
トランプ大統領は、日本が米国に四六%の関税を課していると主張し、それに基づき二四%の相互関税を正当化しています。しかし、日本の平均関税率は約三%であると伺っております。このトランプ大統領の主張は事実と大きく異なります。
このような根拠の薄い主張に対して日本政府はどのように反論し、また、国際社会とどのように連携をしてアメリカを説得していく方針なのか、加藤大臣の見解をお聞かせください。
○加藤国務大臣 まず、政府として米国側の税率等の根拠について申し上げる立場ではございませんけれども、USTRのホームページ上の、計算上の仮定を置いた上で、米国から見ての貿易赤字額と輸入額等を用い、二国間の貿易収支がバランスするように算出されたのが相互関税率であるという趣旨の説明がなされているものと承知をしております。
日本の関税率でありますが、貿易加重平均実行税率、これは二〇二三年でありますが、一・九%ということで、御指摘より更に低い水準となっております。
米国政府が今般相互関税措置を発動したことは極めて遺憾であります。今般の一時停止の対象となっていない一律一〇%分の相互関税も含めて、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めてまいりますとともに、関係省庁と協力、連携の上、米国と緊密に協議するなど、必要な対応を粘り強く行っていきたいと考えております。
また、国際社会との連携ということでございますが、私も、先週九日にG7議長国であるカナダのシャンパーニュ財務大臣と電話で会談を行ったところでありますが、今後も引き続き、G7を含めた国際社会と率直な意見交換をするなどして連携を図っていきたいと考えております。
〔国光委員長代理退席、委員長着席〕
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
是非とも国際的な連携をよろしくお願いします。また、数字をもってロジカルに是非周知をしていっていただきたいと思います。
次に、消費税と関税の関連性についてお伺いしてまいります。
トランプ大統領が日本の消費税を非関税障壁としているとの指摘があります。消費税がトランプ関税に影響しているという見方について、大臣はどのようにお考えでしょうか。また、トランプ大統領が消費税を非関税障壁とみなす主張自体について、どのように評価をし、そして日本政府は米国にどのように反論していくのでしょうか。さらに、関税や消費税をめぐる議論が物価上昇につながる懸念がある中、消費税に関する具体的な対応を検討するおつもりはありますか。
以上についてお答えください。
○加藤国務大臣 まず、先ほど申し上げましたように、アメリカの相互関税率というのは、USTRのホームページを見ると、日本の消費税や輸出還付金が今回の相互関税率の計算に直接反映されているものとなっていないというふうには承知をしております。
その上で、我が国の消費税を含む付加価値税は、国産品か輸入品かにかかわらず、一律で課されるため、輸入品を不当に扱っておらず、輸入品のみに課される関税と同視すべきではないということ、こうした考え方については既に日本から米国に様々な機会を通じて伝えているところであり、今後も機会を捉えて主張していきたいと考えておりますし、実際、百七十国以上の国、地域において日本と同様の付加価値税の仕組みを採用しているところでございます。
また、消費税に関して、トランプ関税に対して具体的な対策ということでございますけれども、現段階においては、先ほど申し上げましたように、企業における資金繰り支援、これに万全を期すということでございます。
また、消費税に関しては、これまで総理からお話をしておりますように、社会保障を支える大変大事な財源であり、それについて引き下げることは考えていないというふうに答弁されているところでございます。
○岸田(光)委員 次に、中小企業支援の具体策についてお伺いをしてまいります。
トランプ関税が実施されれば、輸出に依存する中小企業は特に大きな打撃を受けます。関税によるコスト増や市場縮小に対し、政府は金融支援や中小企業支援のメニューを検討しておくべきだと考えますが、いかがでしょうか。具体的にどのような支援が想定されるか、先ほど、金融の、資金繰りについてお話がありましたけれども、お考えをお聞かせください。
○斎藤副大臣 お答え申し上げます。
政府としては、米国による追加関税の動きを踏まえ、事業者への資金繰り支援策といたしまして、政府系金融機関を含め、全国約千か所に特別相談窓口を設置したほか、日本公庫等においてセーフティーネット貸付けの要件を緩和するなどの措置を実施しているところです。
今後の更なる支援策に関しては、総理から、関税措置による国内産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な支援に万全を期すよう指示をいただいているところでありまして、そのためにも、まずは一連の関税措置の内容を精査し、影響を十分に分析してまいります。
○岸田(光)委員 それでは、次に、証券口座への不正アクセス事件についてお伺いをしてまいりたいと思います。
先日の委員会でこの問題は途中になってしまったんですけれども、証券口座への不正アクセス事件について今広く報じられておりますが、さらに、少なくとも六社の証券会社で不正アクセスや不正取引が公表されていまして、被害が広がっております。不正にログインされた証券口座が乗っ取られて、保有する株を勝手に売却され、その資金で、中国株だけではなく、日本株でも、流動性の低い銘柄を大量に購入をして、それでその後売却するという被害が拡大しています。中には、老後資金として大切にためておいた一千四百万のお金を取られてしまったという御夫婦の報告もあります。
今回の不正アクセス事件について、政府はどの程度の情報を把握されているか、お伺いしたいと思います。
先日の委員会では、楽天証券から時々刻々報告を受けている、しかし顧客の申告に基づくものであり、事業者としても確認中のものであるので、詳細については精査中であると御答弁の方をいただいています。しかし、その後も被害が広がっております。現時点で把握している状況の説明をお願いしたいと思います。
そして、今回の事態に私は非常に強い危機感を感じています。新NISAが昨年から始まり、これをきっかけに株、投資信託を始めた人が増えました。安心して取引できる環境が不可欠ですが、このような事態は、まさに、貯蓄から投資へ、この動きを冷やしかねません。個別の証券会社のセキュリティーの問題ではなく、株式市場全体の信頼性を揺るがす事態だと考えております。
この状況について、大臣の認識をお伺いします。
○加藤国務大臣 金融庁では、四月十四日時点で、楽天証券、野村証券、SMBC日興証券、SBI証券、マネックス証券、松井証券の六社において、第三者の不正アクセスによる顧客の身に覚えのない株式取引が発生している旨、把握をしております。
具体的なアクセス等の被害発生状況について、日々報告を受けているところでありますが、その詳細については、現時点、各社において精査が行われているところであり、具体的にお答えすることができないということでございます。
金融庁としては、まずは被害の拡大防止が重要であると考えており、四月三日に金融庁のウェブサイトに注意喚起文を公表したほか、各証券会社に対し、顧客に対するセキュリティー対策の要請や丁寧な顧客対応を行うよう指示をしたところでございます。
御指摘のように、金融サービスに対する信頼が揺らぐということは大変な問題であります。その信頼の維持は、まさに金融取引の前提と言えるものであります。金融庁としては、利用者が安心して株式等の取引を行うことができるよう、引き続き、各証券会社から新たな被害の発生状況や追加的な対応の必要性を確認し、顧客対応に万全を期すとともに、日本証券業協会とも連携し、不正アクセス防止等のセキュリティー水準の向上を図っているところであり、日本証券業協会においては、インターネット取引における不正アクセス等防止に向けたガイドラインの見直しに向けて検討が開始されているものとお聞きをしております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
本事件の背景には、フィッシング詐欺やマルウェアによる情報窃取が指摘されています。インフォスティーラーと呼ばれる情報窃取型のウイルスがパソコンに感染することで情報が抜き取られていることもあるそうです。このフィッシング詐欺等について、政府としてどのような対策を講じているか。また、事業者の指導や国民への啓発活動はどのように進められておりますでしょうか。金融機関のセキュリティー基準についてもお答えいただきたいと思います。
また、今回の事態を受けて、政府として新たに検討していることはございますでしょうか。多要素認証の義務化やふだんと違う行動を察知して行うリスクベース認証の導入など、具体的な規制強化策を早急に検討するべきだと思いますが、この点についてお答えください。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
実在する証券会社を装う偽サイトは複数の証券会社について確認をされておりまして、金融庁といたしましては、四月三日に金融庁のウェブサイトにおいて証券会社の偽サイトに関する注意喚起文を公表したところでございます。
また、各証券会社におきましても、不正取引の発生を受けて、被害の拡大防止に向けた取組として、顧客への注意喚起のために、ウェブサイトを大きく変更し、顧客に対し、取引暗証番号の変更やログインを二要素認証で行う設定を求めるメッセージを発信するなどの対応を取っていると承知しております。
このように、既に、金融庁や各証券会社においては、利用者に対し多要素認証などを行う設定を求める注意喚起を行っているところでございますけれども、仮に多要素認証を義務化した場合には、ログインする際の手間を増やすこととなるという指摘もあると承知をしているところでございます。
今般の事案を受けまして、日本証券業協会において、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、インターネット取引での不正アクセスを防止するためのガイドライン改定の検討を開始しております。
金融庁といたしましては、まずは、こうした業界団体や各証券会社における検討、取引の実態を踏まえつつ、顧客の保護と利便性確保、双方の観点から、不正アクセス防止対策を始めとするインターネット取引におけるセキュリティー水準の向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○岸田(光)委員 どうもありがとうございます。
手間が増えるというところもあるんですけれども、資産の保全というか、安全性というのも重要ですので、これも至急検討していただきたいと思います。
次に、被害者への補償について伺っていきます。
ネットバンキングでは不正送金に対しては補償されるのが原則とされていますが、証券取引では明確な補償規定がないと聞いております。この点について確認をさせてください。
一般的に、金融商品取引法では、証券会社などの金融商品取引業者が顧客の損失を補填する行為は禁止されています。顧客が被った被害について、損害について、政府として補償の枠組みを整備すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。また、事業者責任の明確化、これもしていくべきだと思いますが、これについてお聞かせください。
○井林委員長 伊藤監督局長、ちょっと時間が来ているので、簡潔にお願いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
金商法では、御指摘のとおり、顧客の損失補填禁止が規定されておりますけれども、顧客と関係のない第三者が不正アクセスを行って有価証券の売買を行った場合に、金商業者が原状回復のために顧客への補填を行ったとしても、金融商品取引法の損失補填禁止に違反するものではないというふうに考えております。
他方、現在、インターネット取引において、顧客の口座に不正アクセスして行われた顧客の身に覚えのない取引について、証券業界としての統一的な補償の枠組みはないと承知しております。
事業者の補償や責任の有無は、各社の各顧客口座における取引がどのような状況で行われたのか精査した上で検討すべきものと考えておりまして、現時点で予断を持ってお答えすることは困難でございますけれども、金融庁といたしましても、証券業界と緊密に連携をし、適切に対応してまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 これで質問を終わらせていただきますが、この問題、ちょっと広がりを見せていることもありますので、是非とも早急な対応の方をよろしくお願いを申し上げます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、山口良治君。
○山口(良)委員 公明党の山口良治でございます。
初めに、先週の委員会で取り上げさせていただきましたトランプ大統領による関税引上げにつきまして、時間の関係で、私の最後の質問、三点にわたって問題提起、お願いを申し上げる形で終わりましたので、これにつきまして、改めて大臣にお伺いしたいというふうに思います。
一点目は、関税危機の影響や対策に関する情報発信についてでございます。
先週の質問で、連日総理や官房長官などが直接国民に情報発信することを提案をさせていただきましたが、税率が二四%から一〇%に引き下げられたこともあり、現在、国内世論もやや落ち着きを見せてきておりますが、やはり国民の皆様は今後の経済と生活の見通しに不安を抱いております。この点、何ら変わらない状況であることを踏まえまして、政府には、局面局面で広く国民に直接情報発信をする機会を持つべきであると考えますが、大臣の御見解をお願い申し上げます。
○加藤国務大臣 今般の米国政府による広範な貿易制限措置は、日米間の貿易、経済関係、ひいては多角的貿易体制全体などに大きな影響を及ぼしかねないところでありますし、個々の企業また国民の皆さんの生活にも様々な経路で影響し得るものと考えており、御指摘のように、政府として的確な情報発信を行っていくことは極めて重要と認識をしております。
政府としては、十一日の、米国の関税措置に関する総合経済対策本部で、石破総理から、九日の相互関税の一部停止を含め、一連の関税措置の内容を精査し、影響を十分に分析すること、林官房長官、赤澤大臣を中心に関係府省が緊密に協力し、米国政府に対して措置の見直しを強く求めるなどの取組を進めること、関税措置による国内産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な支援に万全を期す、こういった指示があったところでございます。
こういった指示はもとよりとして、それに基づいてどういう具体的な措置を取っているのか、相談窓口等々ございます、そういった中身についても、ホームページまた会見などを通じて、国民の皆さんに必要な情報が、しっかりと得ていただけるよう、発信に努めていきたいと考えておりますし、また、財務省としても、関係省庁とともに、官民金融機関に対して、米国自動車関税措置等に伴う影響を踏まえた金融上の対応などについて要請文を発出したところでございます。
引き続き、情報発信も含め、今回の米国の関税措置への対応について、関係省庁とも連携をして万全を期していきたいと考えております。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
私も、この土日、地元、自動車県である栃木で中小企業を営まれる皆様からお声をいただく中で、やはり、漠然とした、先が見えないという不安があるというお声をたくさんいただいております。遅滞なく、むしろ一歩先を見越しての的確な情報発信を行っていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
次に、先ほど来議論となっております、物価対策としての減税、また、減税実施までの給付措置等につきまして、お伺いをしたいというふうに思います。
公明党としましては、減税、また、減税が実施されるまでの期間、給付措置ということを主張させていただいております。一方で、減税はばらまきであるという批判、また、給付と減税を同時にするのではないかといった誤った情報に基づく二重のばらまき批判といったことが、メディアなどを中心に批判が行われております。極めて残念な限りでございます。国民生活の安定を考えての給付措置や減税の主張が、あたかも党利党略であるかのような一方的な決めつけの論調は、私としましては大変遺憾であり看過できないというふうに思っております。しかし一方で、責任ある与党として、減税する、また、給付の財源を当然示さなければならないというふうに考えております。
では、この財源について、現在、考えられる中、どのようなものがあるのか。あくまでも仮定の話であり、一般論として、こうした緊急的な措置を実施する場合においては、税収の上振れ分であるとか何らかの債券発行、予算配分の見直し、保有資産の売却、税外収入などなど、様々なものがあるかとは考えられますが、前回も触れましたが、これまで外貨準備高や外国債を活用したケースというものは過去あったのか、また、関税等における国内向け緊急対策について外貨準備高、外国債を活用することについて、加藤大臣の御見解を伺います。
○加藤国務大臣 委員御指摘のように、米国の追加関税措置について、政府としては、新たな給付金や減税といった補正予算、経済対策について検討していないということは先ほどから申し上げているところでございますので、したがって、その財源に関して具体な御質問にお答えするのは難しいことは御理解いただいた上で御質問をされていると思っております。
一般論ということになります。
外為特会の保有する外貨資産の運用によって生じた決算剰余金については、これまでも、特会法の規定に基づき、一般会計の財源として貢献をしているところであり、令和七年度予算においては三・二兆円を一般会計に繰り入れることとしております。
その上で、委員御指摘の、財源確保を目的として外貨資産を取り崩して円貨に替えるという御趣旨であるとすれば、まさに円買い・外貨売りの為替介入と受け取られかねないことから慎重に考える必要があり、こうした対応はこれまでも行っていないというところでございます。
また、特会法上、外為特会の負債である政府短期証券は、外為特会における円貨に不足がある場合に限って発行が認められており、仮に外貨資産を売却して円貨を取得した場合には政府短期証券の償還に充てなければならない、こういった法律の枠組みとなっていることにも留意が必要と考えております。
○山口(良)委員 外貨準備高につきましては、為替介入の原資ということであり、その活用につきましては慎重な判断が必要であるということは言うまでもございません。その上で、この外貨準備高を活用するというわけではなくても、国難という今必要な対策に係る財源については、財務大臣の強いリーダーシップの下で、あらゆる選択肢を検討して、しっかりと実行できるような財源確保を、減税また給付ということが政治的に決定をされた際には、是非リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。
三点目に、賃上げについて質問をさせていただきます。
トランプ大統領は、貿易収支の改善のためには、関税そのものとともに非関税障壁の解消についても言及をしています。そこで、私は先週、我が国が取るべき手だてとして、賃上げを加速をしていくべきだということを申し上げました。
この理由といたしましては、まず、家計の可処分所得の増加を通じ、購買力平価を引き上げて、日本と海外の内外価格差を解消していくことにつながる。また、賃金イコール人件費の引上げが欧米との賃金差を解消し、日本のコストが先進国内の標準的なラインに近づき、結果的に国際的な経済競争において公平な存在となっていく。まさに、非関税障壁の解消に資するということをアメリカに対してもアピールできる一つの材料になるのではないかということで、提起をさせていただきました。
私は、賃上げの原資は、企業の中に、大企業また中小企業も含めて、十分にまだあるのではないかと考えております。
過去二十年以上にわたって、我が国の企業は、全体的に見て増収増益と利益剰余金の積み上げが進んできておりますが、この要因としては、一つ、海外の成長の果実を取り込んでいること、そしてもう一つが、進めてきた法人税減税によって引き下がってきた法人税分が、そのまま、税引き後、純利益に積み上がっているということもあるのではないかと考えております。財務省の法人企業統計調査を見ましても、利益剰余金、いわゆる内部留保は、二〇二三年末に六百兆円、六百兆九千八百五十七億円となり、初めて六百兆円を超過し、二〇二二年度に比べ八・三%増と高い数値を示す一方で、人件費については、一九九〇年代半ば以降二百兆円前後で推移をし、二〇二三年度は対前年比三・四%増ということで、利益剰余金に比べ低い伸び率となっております。
そこで、このように賃上げが課題となっている中で、企業のいわゆる内部留保の積み上げについて、財務大臣、どのように考えていらっしゃるか、御見解をお伺いできればと思います。
○加藤国務大臣 企業の内部留保の増加でありますけれども、企業収益の増加が続いてきた、その反映ということになりますが、長年続いたいわゆるコストカット型経済、あるいは海外とのコスト競争の下で、生産の効率化、人件費の抑制、海外生産の拡大に伴う営業外収益の増加などもそれに加わったものと認識をしております。
また、企業が内部留保を、内部留保イコール現預金ではありませんけれども、特に現預金として保有する背景には、やはり、これまでのリーマン・ショックなどを始め、そうした経験の中で、一定程度手元に持っておく必要がある、こういう認識があったものと承知をしております。またそういったことも指摘をされているところでございます。多くの日本企業においては、そうした低成長やデフレの経験が今申し上げたような背景にあるわけであります。
政府としては、企業が過度に内部留保を現預金として保有するのではなく、賃上げあるいは設備投資などに効果的に活用していただくことが重要と考えております。引き続き、そうした意味での賃上げの促進を、価格転嫁等も含めてしっかりと進めていくと同時に、最低賃金の引上げ、省力化、デジタル化投資の促進などの賃上げ環境の更なる整備、また賃上げの原資ともなる企業の稼ぐ力を引き出すための投資促進、これらも含めて、予算、税制なども活用しながらしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
じゃ、そこに関連しまして、税制面からそうした企業の動きをどのように生んでいくかということで質問させていただきます。
政府・与党としましても、賃上げの更なる推進に向け、様々な手だてを打ってきていただきました。その効果も徐々に出てきているところでございます。ただ、他の先進国に比較をして賃金が低いというのはまだございます。さらに、昨今のトランプ関税に係る動きは、企業の収益悪化、これまで築いてきた賃上げの流れに冷や水を浴びせるという危機感もあります。
繰り返しになりますが、この利益剰余金、内部留保、六百兆円以上に積み上がる一方、人件費の伸び率がそれに比べて伸びが緩やかであるという中で、この利益剰余金、内部留保をいかに賃上げに回るようにしていけるかということで、今、折しも、企業のまさに稼ぐ力を示すROE、自己資本利益率の改善に向けて、政府、経済界、努力を続けていただいておりますが、日本のROEが低い原因としてこの内部留保があるということも、財務省もお認めになっていらっしゃると思います。この企業に蓄積されたお金がしっかり賃上げに回ることになれば、ROEもしっかり伸びていくと思います。
そこで、提案なんですが、例えば、ROEが改善をした企業に対して法人実効税率を優遇するなど、また、ROEが改善していない企業には官民の金融機関が貸出上限を低くするなど、実効性のある対策を、財務省として、金融当局としてまた検討していくことを、あるエコノミストなども主張されているようでございます。こうしたことにつきまして、財務大臣のお考えをいただければと思います。
○加藤国務大臣 賃上げに向けた企業のインセンティブとして、例えば賃上げ促進税制がございます。令和六年度税制改正において、一定の大企業などには、従来より高い賃上げ率を要件に、より高い最大控除率を受けられることとし、中小企業には繰越控除制度を創設するなどの改正を行いました。
また、令和六年二月、中小企業の賃上げの取組を促進するため、日本公庫などの融資に賃上げ貸付利率特例制度を創設し、従業員に対して支払う賃金等の総額である雇用者給与等支給額が前年比で二・五%以上増加する見込みのある事業者について、融資後当初二年間の金利を、各融資制度にて定められている利率から〇・五%引き下げるという措置も取っているところでございます。
こうした取組に加え、企業が賃上げしやすくするための環境の整備をすることが重要であり、価格転嫁の円滑化の推進、先ほど申し上げましたが、省力化、デジタル化投資の促進などに取り組んでいるところでありますが、引き続き、予算、税制などあらゆる施策を総動員し、まさに、企業の賃上げ、これを力強く後押しをしていきたいと考えています。
○山口(良)委員 このROEと賃上げ、そのための税制というものを精緻にひもづけていくということは、非常に難しい、様々な難点もあるというふうに思いますが、いかに企業の積み上げていらっしゃる利益剰余金をしっかりと価格転嫁とともに賃上げに向けていくことができるか、その観点に基づいた税制面からの検討をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。
最近、トランプ関税の、あるいは物価高を受けて、消費税の減税の話がかなり出てまいりましたので、我々れいわ新選組からすれば、遅きに失したというか、もっと前から、このトランプ関税が来る前から、三十年日本はデフレ不況が続き、そこにコロナが来て、さらに物価高、ここで当然やっていなければいけない。しかも、消費税廃止、これを我々は訴えているわけですが、しかし、不十分とはいえ、そして遅きに失したとはいえ、各党がそれぞれ、ほぼ全党が言い始めていると。
四月十一日の読売新聞では、自民、公明両党は物価高や米国の関税措置への対策として消費税減税を政府に求める方向で検討に入った、対象は値上げが続く食料品などを念頭に置いていると。公明党の斉藤代表は明確に減税を求めると言っていますし、自民党も、いろいろ意見はありますけれども、松山参議院幹事長などは、減税も含めて検討すべきだと言っていると。
それから、維新は食料品ゼロを既に提言をしている。ただ、二年限定というのがちょっと私はひっかかりますが、言っている。それから、国民民主党は五%減税、これも官邸にこの間申入れをされました。これもたしか二年限定、これは本当にちょっと不十分だと思いますが、そういう状況です。立憲民主党だけがなかなかかたくななんですが、しかし、食料品をゼロにする、江田憲司さん、今日はちょっといませんけれども、あと、末松さんもいませんけれども、消費税減税の勉強会、かなりの人数が提言をしていると。そのほか、共産党も、田村さん、今戻ってきましたけれども、共産党もずっと主張していますし、あるいは参政党、保守党に至るまで、本当に野党全部が消費税の減税を何らかの形で訴えているという状況まで来ました。
しかし、幾らこう言っても加藤大臣はいつも同じような答弁をすると思うので、ちょっと切り口を変えてというか、私はちょっと、食料品に限定した消費税減税というのが幾つか結構主要な案として出てきているんですけれども、これについて大臣はどう考えますか。
○加藤国務大臣 今、給付金、減税など様々な報道がなされているわけでありますが、先ほどから申し上げておりますように、政府においては、減税、給付金を含め、総合経済対策、補正予算について検討しているわけではないということでございます。
その上で、今お話しの点についても、従前から総理が、消費税の引下げについては考えておられないとおっしゃっておりますので、それを前提にすると、今申し上げたことについて、それ以上申し上げるものはないということであります。
○高井委員 ちょっと質問通告の仕方が悪かったですね。ここに限定して、もうちょっとうまく聞けばよかったと反省していますけれども。
ちょっと、食料品に限定することはなかなかやはり問題も大きいなと。果たして価格にちゃんと転嫁できるのか、できないんじゃないか、そうなった場合にやはり飲食店に過大な負担がかかるということで問題があるんじゃないかと思いますが、これはちょっと、改めてまた聞き方を変えて、財務省にもう一回整理してもらってお聞きしたいと思います。
それでは、これは通告していますけれども、今、こういった消費税減税の全体的な動きの中で、一部の方が、一部といってもかなり重要な方が、立憲民主党の枝野元代表は、先日、地元の講演のようなところで、無責任なポピュリズムだ、減税ポピュリズムに走りたいなら別の党をつくってくださいとまでおっしゃっていました。それから自民党の森山幹事長も、ポピュリズムと言われかねないことをしてしまうと取り返しがつかないというような発言がありますが、大臣は、この消費税減税というのはポピュリズムだと思いますか。いかがですか。
○加藤国務大臣 そのポピュリズムということに関しても、私も辞典を広げましたけれども、例えば、一般の国民の考え方、感情、要求を代弁するという政治的な手法という書き方もありますし、他方で、政治指導者が大衆の一面的な欲望に迎合し、大衆を操作することによって権力を維持する方法、いわゆる大衆迎合主義という書き方もあります。これは、一概にこれがそうだということはなかなか言い難いんだと思いますが、ただ、昨今の、身近な物の価格が上昇する中、国民の皆さんから、消費税を含め、負担軽減を求める声が上がっているということは、私どもよく承知をしているところでございます。
その上で、各種政策課題への対応に際し、人口動態等の経済社会の動向も踏まえ、政策目的に合わせて必要な政策を積み上げていくということは不断に求められているものと認識をしております。
なお、消費税については、先ほど申し上げたように、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられており、これを廃止する、また引下げをすることは考えていないということは、従前から申し上げているところでございます。
○高井委員 その考え方が間違っているということをもう何度もやっていますが、今、限られた時間の中でそれは繰り返しませんが、ここは、でも重要な点なので、またやりたいと思いますが。
あと、このポピュリズムについて言えば、今、大臣が二つの定義をおっしゃっていただきましたけれども、そういう二つの見方があるんですね。ただ、やはり、一般的には、多くの人の意見を聞くという形でいい意味で捉えるべきで、大衆迎合という、日本は何かそういう大衆迎合的な悪い意味で使われることが多いんですけれども、海外ではそうでもないんですね。と考えると、しかも、その大衆迎合という考え方というか、人々の意見を聞いて、それを、政策を実現する、これの何が悪いのかということだと思います。
そして、むしろ私は、枝野さんや森山さんというのは、マスコミが言っていることを、あるいは財務省が言っていることをそのままうのみにしている。それは、そっちの方がやはり聞こえはいいわけですよ。自分たちは正しいことをやっているというふうに見られるわけで。言葉のあやですけれども、私はむしろそっちの方がポピュリズムじゃないか、迎合しているんじゃないか、マスコミに迎合している考え方だと思いますので、是非ここは改めていただきたいというふうに思います。
もう一つ、鈴木総務会長、自民党の総務会長がこういうことをおっしゃっています。消費税は一度下げると元に戻すのに相当なエネルギーが要ると言っています。政治家が言うならまだしも、財務省も、これは誰が言ったかは分かりませんけれども、四月十二日の産経新聞で、財務省幹部は、消費税は一度減税すると元に戻すのが難しい、こんなことを言っているんですけれども、これは加藤大臣も同じ考えですか。
○加藤国務大臣 まず、鈴木総務会長等について、政府としてコメントは差し控えたいと思います。
また、消費税は一度下げると元に戻すのが大変かという御指摘でありますが、我が国においては下げたという経験がございませんから、それが実態的にどうなるのかというのはなかなか申し上げられないと思っておりますが、ただ、これまで、引上げに当たっては、やはり様々な、例えば経済的な影響等々もあって、そうしたものをしっかり判断して引き上げられてきた、こうした経緯はあるものと考えております。
○高井委員 何もないところから引き上げるのと、一旦下げてまた戻すというのは大分違うんじゃないですか。
それと、こういう理由でとにかくやはり消費税の減税を検討すらしないというのは、これは私は何度も言っていますけれども、職務怠慢だと思いますよ。それはやはり、財務省であったり、あるいは我々国会議員、政治家は、そういう苦労をしながら、だけれども、中学校の公民で習うように、景気がいいときには景気を冷ますために税金を上げる、それから景気が悪いときには減税をして、あるいは政府支出を増やしてお金を市場に出していく、これが経済学の当たり前の理論であるにもかかわらず、こういった税金の上げ下げを景気動向を見てやってこなかった。しかもそれを、やることが大変だ、面倒くさい、できないというのは、これは本当に政治家の、そして財務省の怠慢だと思いますけれども、大臣はそう思いませんか。
○加藤国務大臣 どういう政策を講じていくのか、これは税制措置に限らず、予算措置、規制改革、様々な対応がありますが、まさに景気状況、経済社会の変化、またその措置が持つ様々なメリット、デメリット、そうしたことを総合的に判断して対応すべきだというふうに考えております。
今、財務省の怠慢ではないかというお話がありました。私どもとしては、国民生活を守るために最大限努力するのは、これは当然の務めだというふうに思っております。ただ、実態というのが、経済の実態、生活の実態というのがございますから、やはり、それらも踏まえた適切な手段を、ケース、ケースの状況を踏まえて考えていく、これが必要なことだというふうに考えているところであります。
特に、消費税について申し上げますと、その周知、システム改修のために一定の準備期間が必要であるということ、加えて、全国の事業者において新たな価格を検討していただかなきゃいけない、あるいは値札の貼り替え、レジの改修等に伴う事務負担、こういったことも生じるものと承知しております。
○高井委員 まさに、そういう経済状況を見て機動的に判断するのが、それを今やるべきだと言っているのに、それに対して、消費税は一度下げたら上げるのが大変だと言っていることが怠慢だというふうに申し上げております。
これは、実は、私は同じ質問を予算委員会でして、石破総理に聞いて、そのときの、切り抜いた動画が千二百四十万再生された、十四万いいねがついて、ふだん、れいわ新選組とか全然応援していない人からも、たくさんのいいねや、何か高井って初めて見たけれどもいいこと言っているじゃん、どの党なんだ、れいわなのかみたいな、そういう反応が出るくらいこの言葉はヒットしたんですね。消費税というのはコロナのとき百か国以上が下げているのに日本は検討すらしていないということを言ったら、そのとおりだ、何で財務省は機動的にやらないんだというのは、本当にこれは国民の声だと思いますので、是非。
我々は消費税は廃止です。なぜなら消費税にはこれから言うような悪税である点がたくさんありますから、上げ下げというよりは廃止なんですけれども、しかし、景気動向において税を上げ下げするという、そこの部分をやっていない、これもまた大きな問題だと思いますので、これからも指摘していきたいと思います。
それでは、次に輸出還付金の話。
先ほどもどなたかの委員の質問にありまして、財務省も答えていましたけれども、これは、確かに財務省がおっしゃるように百七十か国もやっていて、国際的に共通の制度で、国境税調整という、これはどの国もやっているんですよ。
ただし、トランプ政権だって、ずっと前から主張している共和党だって、そんなことは分かっているわけで、じゃ、なぜ日本でこのことが問題になるかといえば、やはり、前から指摘しているように、輸出大企業が下請の会社に消費税分をまけさせている実態があるんじゃないか、そうすれば還付金はそっくりそのまま輸出補助金になるわけですよということを米国は主張しているんだと思いますが、それはそれで正しいと考えませんか。
○加藤国務大臣 いわば、委員の御指摘のように、消費税分の不当な値引きということだと思いますが、この不当な値引きを強いることで消費税の適正な転嫁を妨げる行為に対しては、公正取引委員会において、独禁法や下請法に基づいて厳正に対処されるものと承知をしております。
また、こうした問題は、輸出企業であろうが国内企業であろうが、不当な値引きを求めれば生じる問題でありますので、消費税自体の問題ではないというふうに考えています。
○高井委員 そこがちょっと全然意見がかみ合わないんですけれども。
現実に、輸出還付金という形で、しかも年間八兆円。しかも、この八兆円は、ただ、輸出だけじゃないと財務省はおっしゃるわけで、それはそうなんです、大型設備投資とかでも還付しているから。じゃ、その内訳を出してくれと言ったら、出せません、膨大な事務作業がかかりますと。それは、膨大な事務作業をやったとしても出すべきじゃないですかね。これだけの大きな金額が、我々の推計では九割は輸出企業に還付されているんだろうと。トヨタ自動車一社で五千億から六千億が還付されていると推計されているわけです。こういった制度を、そもそもやはり消費税を導入したときから意図していたのではないかということを我々は思っています。
財務省は、そういった文書は残っていません、証拠はありますかと言いますけれども、そんなもの証拠を残すわけないじゃないですか。だけれども、この消費税というのは、経団連がずっと要求していたことで、そして経団連の歴代会長を見れば、東芝、新日鉄、トヨタ、キヤノン、東レ、日立、みんな輸出大企業なんですよ。こういったところがやはり消費税を求めていた。法人税を値下げすることと併せてこの輸出還付金というものがそれの温床になったということだということを強く申し上げて、ほかの質問もあったんですけれども、時間になりましたので終わりますが、引き続き、この消費税の問題は、トランプ大統領が言ったから、アメリカが言ったから下げろとか廃止しろとかいうことじゃなくて、元々悪税なんだということをこれからもしっかり議論していきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございます。
○井林委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
冒頭、トランプ関税について、昨日の予算委員会で要請にとどまったことを経産省にお聞きしたいと思います。
NHKの報道では、国内の自動車メーカーは、当面、調達や生産コストの削減で対応し、北米での自動車販売価格を値上げしないと言っているんですね。トヨタ自動車の幹部は、原価を削減するというふうに取材に答えています。
トヨタの取引先企業は、これまでも、乾いたタオルを絞るようにコストカットを求められてきました。賃金抑制、非正規雇用の拡大、需給調整での大量の雇い止めなど、労働者を犠牲としたコストカットもやってきました。石破政権はコストカット型経済からの脱却を掲げているはずです。今、日本のトップ企業がコストカットに乗り出すことは、この方針とも逆行します。
トランプ関税による影響をリーマン・ショックのようにしてはならないというふうに考えます。直ちに、トヨタ自動車を始めとする自動車メーカーに対して聞き取りをして、取引先企業や労働者を犠牲にすることのないよう要請すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
今般の米国の関税措置などによる負担のしわ寄せが中小、小規模の受託事業者に及ぶことがないようにしていくことが重要でございます。
こうしたことから、経済産業省では、日本自動車工業会や日本自動車部品工業会を含む関係団体に対しまして、関税措置に伴い発生したコスト負担を受注事業者に一方的に押しつけるなどによって取引適正化の取組が阻害されることのないよう、要請文書を発出いたしました。加えまして、今月八日には、武藤経産大臣が自動車業界各社のトップと面会しまして、今回の関税措置で厳しい状況に直面する中でも適正取引の確保に配慮するよう要請したところでございます。
自動車産業におけるサプライチェーン全体での適正取引の確保に向けまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○田村(智)委員 これは一般的な要請にとどめず、個別企業に聞くべきだと思います。原価削減で対応すると既に表明しているわけですから、NHKの取材に対して。個別企業に対してしっかりと、状況を見て。一方的じゃないんですよ、取引先企業にそういうふうにコストカットをのませているわけですから。一方的ではないですよ、相手も了承していますよという形でやってくるわけですから、これまでも。しっかり原価削減という対応をすべきじゃないというところまで、私はやるべきだと思います。
NHKのワールドニュースを見ていましたら、三七%の関税を突きつけられたバングラデシュを取り上げていました。ある衣料品工場の社長は、原価を下げるようなことはしない、高い関税をかけるならアメリカ人は高い価格で買えばよいというふうに取材に答えていたわけですよ。輸出の大半を占める衣料品工場で働いているのは、このバングラデシュなどは、多くは女性で、賃下げや雇い止めが起きたらたちまち貧困に直面してしまう、こういう事情を現地の工場は本当によくつかんでのことだというふうに思います。
トランプ関税、一片の道理もありません。この暴挙から雇用と取引先の営業を守ると、日本のトップ企業の社会的責任を今果たすよう、私は強く要請することを重ねて要求しておきたいと思います。
また、今、トランプ関税はもはや朝令暮改の状態です。ウォール街からも警鐘が鳴らされて、米国の経済界からも見直しを求める声が上がっています。全面撤回を求めることを正面に据えて、経済界や市民も含めた国際協調を広げて対米交渉に臨むべきだということも改めて指摘しておきたいと思います。
では、国内対策について加藤大臣にお聞きしたいと思うんですね。
暮らしと営業を守る対策、いよいよ急務となっています。先週からにわかに消費税減税に焦点が当たり始めました。
加藤大臣、今、連立与党の公明党の代表からも、消費税の減税も選択肢としてという発言が行われる状況なんですよ。これをどう受け止めておられるか。社会保障財源という一言で消費税減税の議論を封じるのではなく、消費税減税を選択肢とした議論、これを財務省でも行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、政府としては、物価高について、令和六年度補正予算や令和七年度予算に盛り込んだ世帯当たり三万円の低所得者世帯向けの給付金、重点支援地方交付金、一・二兆円の所得減税など、あらゆる施策を総動員し、物価高対策に取り組んでいくこととしております。
具体的な、先ほどから申し上げておりますように、給付金あるいは減税などを含めた総合対策また補正予算について、政府としては検討していないということでございます。
○田村(智)委員 公明党の代表からも、まさに与党として一緒に政策を進める立場を取ってきた公明党の代表からも、消費税減税も含め、選択肢はいろいろあるんじゃないか、こういう意見が出ていることについてはいかがですか。
○加藤国務大臣 公明党の代表を始め、あるいは自民党の中からも様々な御意見があることは承知をしておりますが、政府としての現状は、先ほど申し上げた、そうした補正予算あるいは経済対策については検討していないということでございます。
○田村(智)委員 やはり、こういう声が与党から起きてきているということは、それだけ本当に、物価高騰での暮らしの大変さ、営業の大変さが深刻化しているからだと思うんですね。
私、前の委員会でも指摘しましたが、そのときに、財務省が、消費税がもたらしている影響に対して余りにも無関心ではないのかということを指摘してまいりました。そこで、私、影響調査ということを二つ求めたいんですよ。
一つは、国民生活への影響です。
帝国データバンクの調査では、四月の食料品値上げは四千二百二十五品目に及ぶと、四月だけで。その他、公表されている値上げ、九月までで昨年の九割を超える品目になるんですよ、九月までで。国民の消費税負担がどうなっているのか。この間、私の求めに応じて財務省は、所得税、住民税、消費税について年収別に税負担率の推計を示しましたが、この一回で終わりにしないでほしいと思うんですよ。これは二〇二三年の家計調査をベースとしていますから、その後、二四年、二五年と物価高騰はずっと続いているわけですから、この物価高騰の下で消費税負担がどうなっているか、更なる調査を是非してほしいと思います。
そしてもう一つは、インボイスによる影響を始め、事業者に対する消費税納税の影響調査です。
中小企業の賃上げを妨げる要因となっていないのか、物価高騰によって消費税の納入負担はどうなっているのか、そして、免税事業者だった個人事業主などが一年分の消費税納入を行ったことによる影響など、私は、実態把握をすること、これは効果的な物価高騰対策を行う上で不可欠だと思います。
加藤大臣、今言った、国民生活への消費税の影響、そして事業者に対する消費税納税の影響、是非、実態調査を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 前者のやつは、委員がおっしゃっているのは収入階層別で計算をした分だと思いますので、これは、そのデータが、たしか二〇二三年の分だと思います、二四年あるいは二五年は当然まだ出てきていないわけでございますので。もちろん、そうしたデータが出てくれば、またそれに応じて考えていきたいというふうには思います。それが前段の話ですね。
後段のインボイスの関係でありますけれども、インボイスについては、円滑な導入と定着を図る観点から二割特例といった経過措置が設けられるとともに、公正取引委員会を始めとした関係省庁と連携し、事業者が取引先から不当な扱いを受けないよう、適正な監視、取締りを行っているところでございます。
インボイス制度の運用状況や取引への影響に関しては、例えば、インボイス導入に伴う事務負担の状況をソフトウェアベンダーが調査した結果などを分析するほか、各省庁において、各業態が実務上抱えている課題、取引実態の把握に努めているところであります。こうした点について、依頼に応じて可能な範囲で各種団体との意見交換に主税局の職員も出席し、直接のお考えを伺っております。
インボイス制度への対応は、まさに各業界の取引慣行なども踏まえて行われることを踏まえますと、各省庁を通じた実態把握が効果的だと考えており、財務省としても、各種団体との意見交換の場なども活用した実態把握、これを継続し、また、把握した課題に対してはきめ細かく丁寧な対応を図っていきたいと考えております。
○田村(智)委員 私は、一番把握しなきゃいけないと思うのは、消費税納税の負担が何を中小企業に及ぼしているのかということだと思うんですよ。今、価格転嫁がちゃんとできているかとかそういうことばかりの調査なんですよね、今の御説明だと。そこが抜けていると思うんですよ。
私たち、今、党としてトランプ関税対策本部というのをつくりまして、中小企業などへの影響について聞き取り調査を行っていますが、例えば、ある半導体企業の三次下請で金属加工業をしている個人事業主の方。トランプ関税が問題となり始めた二月から親会社からの発注が激減し、月七十五万円の売上げが、今、月二十万円にまで減少してしまった、一方で、今年の消費税の納税額、これはインボイスで一年分になりましたので、これで跳ね上がって年間二十万円となってしまった、余りに重い負担だというふうに怒りの声を寄せてくれています。
中小企業への影響については東京商工リサーチの方からもお話を伺いましたが、既にコロナ危機そして物価高騰で長期にわたって疲弊していて、そこにトランプ関税の影響が来ているんだと。消費税の減税は間違いなく大きな支援になるというふうに要望されておられました。
ですから、今言ったみたいに、消費税を納税していることが非常に重い負担になっている、これは是非、実態調査をやってほしいと思うんですけれども、加えて、消費税を減税したらいかなる経済効果があるのか、こういう影響調査も私は今ややるべきだというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今の中小企業の事業者のお話からすると、確かに、消費税の納税自体は、既に消費税分を、転嫁できたとすればですけれども、納入業者から受け取った、その後払いになっているということ、そのずれがそうしたことが生じているんだろうというふうには思います。
それから、もう一つ、仮に消費税を下げれば、納税業者からは当然、その分の引下げが求められるということでございますので、そこの限りについて申し上げれば、その事業者に対しては、必要なものは本来適正な価格できちっと納入をしてもらう、その上に消費税がかかっていく、こういった形をしっかり担保することなんだろうというふうに思います。
それから、今委員おっしゃっているのは、全体として消費税引下げそのものがどういう効果を及ぼすかというお話だと思います。
確かに、消費税そのものが軽減すれば一時的には下がるということになりますが、ただ、それ以降どういう形になるかというのは経済状況いかんだということになります。
一方で、消費税が社会保障全体の大変大事な財源であることは従前から申し上げてきているところでございますので、私どもとしては、社会保障を支えていく、それが国民の安心、安全につながっていく、こうした意味からも消費税の引下げについては適切ではないということ、これは従前から総理も申し上げているところでございます。
○田村(智)委員 私は、もうAIだ何だといろいろなことで推計できる時代じゃないですか。消費税減税の経済効果というのは是非、影響調査をやっていただきたいというふうに思います。
一方で、国民に一律五万円の給付金という案が、今日も議論になっていますけれども、与党の中で検討しているという報道があります。まあ、否定されているんですけれども。しかし、もう一昨年から毎回、形を変えて給付金と。しかも、選挙の前になると、にわかに給付金ということが繰り返されてきたわけですから、やはりこういうことが議題になるわけですよ。
給付金の消費への効果というのは、私は限定的なものであるというふうに思うんですけれども、その点での大臣の認識はいかがでしょうか。
○加藤国務大臣 給付金が消費にどれだけつながっていくのかというのは、やはりそのときの経済状況等によって異なるんだろうと思います。
先ほどの質疑の中でも、先般の定額給付金、特別定額給付金ですかについて、たしか二割程度が消費というお話がありました。確かに、コロナ禍でありますからかなり消費が抑制されていたというのも事実であり、たしか、あのときの定額給付金そのものは、そうしたことを直接目的とするよりは、政府から、あのときは何といいましたか、緊急事態宣言等があって様々国民生活に負担をかけている、こうした中で国民全体が一致してコロナ禍を乗り越えていこう、こういう趣旨であったものと認識をしているところでございます。
いずれにしても、給付金にするにしろ、何にするにしろ、どういう経済状況があって、そして、そのためにどういう手段が適切なのか、これはしっかり議論し、また、そのための財源措置をどうするのか含めて、しっかり考えていくことが必要だろうと、一般論としては思います。
○田村(智)委員 誰一人取り残さない物価高騰対策は消費税減税ですから、タブーなくと石破首相はかつて言っていたわけですから、是非議論をしていきたいと思います。
終わります。
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○井林委員長 次に、内閣提出、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣加藤勝信君。
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特別会計に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○加藤国務大臣 ただいま議題となりました特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、財政投融資特別会計の投資勘定について、政策的重要性が高く成長が見込まれる分野等に対し、安定性を確保しつつ機動的に投資資金を供給するため、所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、予算で定める額を投資勘定から投資財源資金に繰り入れること、投資勘定における決算剰余金を投資財源資金に組み入れること、及び投資勘定における決算上の不足を投資財源資金から補うことを可能とすることとしております。
第二に、投資勘定における借入れを可能とするとともに、一般会計から投資勘定への繰入対象経費を限定することとしております。
その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時七分散会