第18号 令和7年4月18日(金曜日)
令和七年四月十八日(金曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 斎藤アレックス君 理事 村上 智信君
理事 田中 健君
東 国幹君 石田 真敏君
伊藤 達也君 上田 英俊君
田中 和徳君 土田 慎君
中西 健治君 根本 幸典君
福原 淳嗣君 古川 禎久君
牧島かれん君 松本 剛明君
江田 憲司君 岡田 悟君
海江田万里君 川内 博史君
階 猛君 末松 義規君
長谷川嘉一君 原口 一博君
水沼 秀幸君 三角 創太君
矢崎堅太郎君 萩原 佳君
岸田 光広君 中川 宏昌君
山口 良治君 高井 崇志君
田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
財務副大臣 斎藤 洋明君
財務大臣政務官 東 国幹君
財務大臣政務官 土田 慎君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官) 菱山 大君
政府参考人
(財務省主計局次長) 吉野維一郎君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省理財局長) 窪田 修君
政府参考人
(財務省国際局長) 土谷 晃浩君
政府参考人
(国土交通省総合政策局国際統括官補佐官) 飯塚 秋成君
参考人
(日本銀行総裁) 植田 和男君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
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四月十八日
理事斎藤アレックス君同日理事辞任につき、その補欠として村上智信君が理事に当選した。
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四月十六日
消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八四九号)
同(志位和夫君紹介)(第八五〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第八五一号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第八五二号)
同(田村貴昭君紹介)(第八五三号)
同(田村智子君紹介)(第八五四号)
同(堀川あきこ君紹介)(第八五五号)
同(本村伸子君紹介)(第八五六号)
消費税率五%以下への引下げとインボイス制度の廃止に関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第八五七号)
同(阿部知子君紹介)(第九一八号)
同(松木けんこう君紹介)(第九七七号)
消費税率五%への引下げに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八五八号)
同(志位和夫君紹介)(第八五九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第八六〇号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第八六一号)
同(田村貴昭君紹介)(第八六二号)
同(田村智子君紹介)(第八六三号)
同(堀川あきこ君紹介)(第八六四号)
同(本村伸子君紹介)(第八六五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
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○井林委員長 これより会議を開きます。
この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事斎藤アレックス君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に村上智信君を指名いたします。
――――◇―――――
○井林委員長 内閣提出、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、本案に対し、階猛君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。
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特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○櫻井委員 ただいま議題となりました特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
現行法上、外国為替資金特別会計から一般会計に繰り入れることができるのは、決算時に剰余金が生じた場合のみとなっているところでありますが、本修正案は、決算を待たずに繰入れができるようにすることで、一般会計における財源確保に資するものとしております。
次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。
外国為替資金特別会計においては、予算で定めるところにより、一般会計に繰り入れることができるものとし、これに関する規定を新設することとしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○井林委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官菱山大君、財務省主計局次長吉野維一郎君、主税局長青木孝徳君、理財局長窪田修君、国際局長土谷晃浩君、国土交通省総合政策局国際統括官補佐官飯塚秋成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井林委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。国光あやの君。
○国光委員 自民党の国光あやのでございます。
本法案に対しまして、まず意義と、そして留意点について政府参考人にお伺いさせていただきたいと存じます。
私も改めてこの法案を勉強させていただきまして、今回の改正の趣旨といたしまして、政策的重要性が高く成長が見込まれる分野に対しまして、安定性を確保して機動的に投資資金を供給するということが必要ということはおっしゃるとおりだと思っておりまして、これによって、イノベーションの推進や地方創生の取組、またレアメタル等の海外権益の獲得競争における優位性の確保など、非常に我が国の国益に資するような投資が成長していくことを心から期待をしております。
その手段として、投資財源資金を活用した財源の留保や、そして投資勘定による借入れが可能となることによって、投資勘定の資金繰りの柔軟性を確保して、そして安定的な、機動的な投資を可能とするとされております。
この意義は分かるんですが、一点確認がございます。やはりこれは一見するとちょっと気になる部分だろうかと思うんですけれども、今般の改正によって投資財源資金への財源の留保や借入れが可能となるわけでありますけれども、それによって、活用されない資金が滞留したり、投資勘定の財務の健全性が損なわれたりというような、そういう弊害というのはないのでしょうかということでございます。また、その中で、運用上の留意点として、特に運用上の上限額というのも何らかの形で設定する必要もあるのではないかと思いますが、その辺り、是非、御見解をお伺いさせてください。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
投資財源資金への繰入額や借入れによる資金調達額につきましては、他の特別会計と同様に、特別会計法にのっとり、毎年度の予算で議決いただくとともに、その増減や見通しについて、予算添付書類として国会に提出することとしております。資金への留保額、借入額につきましては、他の特別会計の資金などと同様、金額を法律等で定めるものではございませんが、国会での予算議決などに加え、運用上の限度額の考え方などを関連する審議会にも説明しつつ、検討してまいりたいと考えております。
その上で、現時点での考え方を申し上げますと、過度な金額の留保や借入れとならないよう、例えば、過去の動きも踏まえ、平均的な歳入水準からの振れ幅、臨時の資金需要への機動的な対応、産投のこれまでの要求額と歳入額との差額などを勘案することを考えておりまして、あくまで現時点での試算ですが、三千億円程度と計算されます。
その上で、当面は、この計算も踏まえまして、節度ある運用を徹底する観点から、保守的な金額の目安を設けることや、資金への留保に当たりましても、歳入と歳出の差額分を単純に留保せず、あくまで平均的な歳入水準からの上振れがあるときに、その上振れの範囲で留保するといった対応を考えておりまして、金額の目安は、例えば三千億円程度という先ほど申し上げましたあらあらの計算の半分、すなわち千五百億円程度を検討しているところでございます。
こうした目安なども通じ、自主財源の変動をならし、安定的、機動的にリスクマネーを供給するという今回の法改正の趣旨を逸脱することのないよう、節度ある形で運用してまいりたいと考えております。
○国光委員 ありがとうございます。
国民への説明責任という形でも、今、最後におっしゃった節度ある形が非常に重要だと思います。是非、野方図に規模が拡大するとか、あらぬそしりを受けないように、それをしっかり運用上、留意していただきたいことを与党としても切にお願いを申し上げたいと思います。
続きまして、先ほど冒頭に趣旨説明がございました立憲民主党様に対して、改正案に対する質問をさせていただきたいと思います。
この立憲民主党による改正案の内容、趣旨、目的でございますが、改めて、まず、もう一度御説明をいただいてもよろしいですか。
○櫻井委員 ただいま、修正案の趣旨についてということで御質問をいただきました。
現行法は、外国為替資金特別会計から一般会計に繰り入れることができるのは、決算時に剰余金が発生した場合のみということになっております。今回の修正案におきましては、決算を待たずに繰入れができるようにするというものでございます。これにより、一般会計における財源を確保することに資するということでございます。
○国光委員 ありがとうございます。
そのような点というのは、趣旨と、それだけ聞くとあれなんですけれども、今の政府提出の法案は外為特会ではございません。同じ特会ですけれども、財投特会でございます。ここが一つ、是非お伺いをしたいところなんですけれども、つまり、目的は、元々、政府が出されているものは、あくまで財投の特会で、先ほど参考人がお答えなさったように、機動的、安定的に投資、我が国の国益に資するようにそれを対応するものということでございます。今お答えした趣旨は全くそこにかするものが余りないような気がいたしますが。
改めてお伺いさせてください。政府が提出している法案、まさに、繰り返しですが、財投特会でございました。私が先ほど質問したとおりです。立憲民主党の改正案が政府提出改正案の修正という形で提出されておられますが、その根拠は何なのでしょうか。全く違うもの、名前、一緒なものは、たまたま特会が一緒かなぐらいなものであって、全く章立ても違うし、同じ木に別の枝が生えているようなものでございますが、改めてそれの背景を御説明いただきたいと思います。
○櫻井委員 お答え申し上げます。
本案が修正案に当たるとする根拠についてお尋ねいただきました。
御指摘の修正の範囲については様々議論があるところではございますが、少なくとも次の二点を確認することが必要と考え、検討したところでございます。一つは、政府原案と政策的、法的な関連性があるということ、もう一つは、政府原案の付託委員会の審査権を侵さないということ、この二点かというふうに思います。
まず、今回の修正案につきましては、後者の委員会の審査権、これは問題にならないというふうに考えます。したがいまして、前者の関連性が問題となるわけでございますが、この関連性については、政府原案について、案文の字句、内容を改めることや案文を削除することはもちろん、案文を追加することも修正の範囲というふうに考えております。
この観点からしますと、本修正案は、現行法上の外国為替資金特別会計から一般会計に繰り入れることができるのは、決算時に剰余金が生じた場合のみとなっておりますところ、これでは特別会計法の内容として不十分というふうに評価をいたしまして、決算を待たずに一般会計への繰入れができるようにする、そういった内容を追加するものでございます。
以上のように、本修正案は、政府提出の原案の趣旨、内容では特別会計法の改正案として不十分であると評価をいたしまして、政府原案に新たな内容を追加することを目的とするものであり、十分に修正の範囲内であるというふうに考えてございます。
○国光委員 十分に修正の範囲内か否かということに関しましては、余りこのような修正、それほど歴史上あるわけではなく、余りこれが許可されてしまいますと、ほかの法案の審議にもいろいろな影響が及び得ると思います。是非、修正案として扱うか否かは、委員会運営に与える、まあそれぞれ理事、皆様方は御苦労されていらっしゃるわけでもございます。政府もそうでございます。やはり委員会運営に与える影響は大きいかと思いますし、この委員会のみの影響ではありません、ほかにも飛び火をする可能性もありますので、是非その辺りは今後も、御党を始め各党が良識を持って対応していただくことを切にお願いを申し上げたいと思います。
その手続もそうなんですけれども、もう一つお尋ねしたいのが中身でもございます。
御党の以前からの御主張ですから気持ちは分からなくもないんですが、いささか間が悪いのかなというふうにも思っております。
ありがとうございます、反応いただいて。御党から笑いがありましたけれども、川内先生、それは後でまた是非質問等で御指摘していただきたいと思いますけれども。
中身なんですけれども、やはり米国との関係もございます、これは後で申し上げますが。この改正案の中身につきまして、外為特会の運用収益による決算上剰余金は、既に、特会法の八条の規定に基づき一般会計に繰り入れることは可能です。修正案におきましては、決算上剰余金に限定しない形で、予算で定める金額を外為特会から一般会計に繰り入れるということを可能とするものでございますが、これは実際上、保有する外貨資金を減らして財源にすることを目的としたものとメッセージとして受け止められやすいものでございます。
外貨資金の保有額を減らして財源に充てることについては、これまで政府からは、実質的な円買い、そしてドル売り介入に当たるとして、慎重な姿勢がかねてより示されてきたところであり、為替市場にも不測の影響を及ぼしかねません。
さらに、間が悪いのはここなんですけれども、足下では今、新聞を資料でお配りをしたとおり、米国債の金利の動向が非常に注目を集めております。米国の関税政策への対抗措置として中国が米国債を売っているのではないかというふうな臆測が広がるなど、市場ではやや疑心暗鬼になっているところがございます。
こうした中で、我が国の足下、日本の国会まで米国債の保有額を減らすのかなというようなメッセージ、意思を、誤って、立憲民主党さんの本意ではないかもしれませんけれども、タイミングとしては誤ってお伝えするようなことになれば、日米関係にも大きな影響を及ぼし得ると思いますし、さらに、来週、加藤財務大臣は、アメリカに伺って、トランプ関税問題につきまして交渉に伺うところでございます。その一週間前の今、この法案を提出することというのは、なかなか政治的にはチャレンジングだなと、私、個人的には非常に思うところでありますけれども、是非、その辺りの御見解、日米関係への影響も考慮して出されていらっしゃるんでしょうかということを明確にお答えいただきたいと思います。
○櫻井委員 ただいま委員からは、日米関係に与える影響について御質問いただきました。
我が国において日米関係が重要であるという委員のお考えについては、私も同じ考えでございます。
また、委員の御心配の件についてはよくよく理解をしているつもりではございますが、本修正案が日米関係に直ちに悪影響を与えるというふうに考えているところではございません。特別会計の財産は我が国の所有するものでありますから、その扱いについては独立国たる我が国の意思において行うものであって、他国から干渉を受ける筋合いのものではないというふうに考えております。
その上で申し上げれば、本修正案は、外国為替資金特別会計から一般会計への繰入れを可能にするというものであって、具体的な金額等については、修正案の七十九条の二で設けておりますとおり、予算で定めるところというふうになります。
予算案は、内閣において、そして加藤財務大臣の下で、外交関係なども含めて考慮して編成されるものというふうに承知しておりますところ、本案が直ちに外交に影響を与えるものではないと考えておりますし、そのように加藤財務大臣におかれても運用されるものというふうに期待をしているところでございます。
○国光委員 ありがとうございます。
政策、政治というのは、当初、そういうふうに意図されて与えないと思っていた、大丈夫だと思っていたけれども、いろいろなことが起こるのが、まさに政策、政治でございます。私、元々専門は医療でしたが、高額療養費制度はまさにそういうことでした。よかれと思ってやったことが大炎上、よかれと思ったことが人の涙を誘う、非常にたくさんありますので、そこは是非是非最善の注意をいただきたいと思います。
いずれにしても、是非こちらは、出し方としても、やはり修正案を出すことについてはやや乱暴な部分があるのではないかと思いますし、そしてまた、今のこのタイミングという意味でも、元々御指摘はよく分かります、分かりますが、いささか間が悪いのではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。やはり、我が自民党としては、我が国の国益ファーストで、今激動する日米関係を始め、議事運営は非常に重要なところでありますけれども、その辺りの御懸念をしっかり申し上げさせていただいて、是非御配慮をいただきたいと思っております。
最後に、政府参考人に、済みません、元の法案に関しまして、よろしいでしょうか、国民への説明責任ということで、最後、投資勘定のガバナンスについてお伺いさせていただきたいと存じます。
昨年七月の財政審の財政投融資分科会の取りまとめでは、財源面での仕組みの改善に加えて、投資勘定の運営改善、ガバナンスの強化についても強く必要性が指摘をされておりました。是非この指摘への対応状況をお答えいただきたいと思います。
○井林委員長 窪田理財局長、時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○窪田政府参考人 はい。
お答えいたします。
審議会の指摘を受けまして、投資勘定のポートフォリオマネジメントの高度化や人員体制の充実などにも引き続き取り組んでまいります。
○国光委員 以上です。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、階猛君。
○階委員 立憲民主党の階猛です。
本日は、特会法改正案です。
さっき、国光議員の質問ですけれども、なぜ我が方の修正案が高額療養費制度の見直しと一緒に論じられるのか、全く理解できません。あちらの方は、実際に予算を措置して、そして国民の負担を増やす、特にも高額療養費で一番苦しんでいる人の負担を増やすという話で、我が方の修正案は、具体的な予算措置はこれから外交関係を考えてやるというふうに櫻井議員も答弁したわけで、全く質が異なるということを冒頭申し上げておきたいと思います。
その上で、特会法改正案といいますと、私が思い出すのは、今から約二十年前、塩川さんという財務大臣の名言がありました。母屋でおかゆをすすっているときに離れですき焼きを食べているということで、母屋である一般会計は財政が厳しくて非常に支出を切り詰めているという中で、特別会計にはお金が潤沢にあって無駄遣いをしているんじゃないかといったことを捉まえて、先ほどのような表現をされたというふうに認識しておるところであります。
ところで、今回の特会法改正案、またすき焼きを食べ放題にすることを考えているんじゃないかというような懸念がございますので、ちょっと厳しくチェックしていきたいと思っております。
まず、今回改正の対象になる財投特会投資勘定、その現状を見ておきたいと思います。
皆様にお配りしている資料の一枚目を御覧になってください。
この投資勘定は、政府保有株の配当金などを原資として産業投資等を行うというのが原則です。特会法の五十条という条文によりますと、産業投資等というのは、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって行う出資や貸付けということになっています。その例として、先週問題になった、DBJの特定投資業務というところに、官民ファンドへの出資をしたというのもあったわけです。
そして、もし産業投資等に使うお金が足りないということになれば、現行制度では、一般会計から予算措置をして必要な資金を繰り入れる、あるいは、長年使われていないということですが、投資財源資金というところにあらかじめ一般会計からお金を繰り入れてそれを活用するといったような手法もあるわけです。逆に、政府保有株の配当金や売却収入が多くなって産業投資等で使い切れないという場合には、一般会計に繰り入れることで財政健全化に役立てるという仕組みも現行法上設けられているということを確認しておきたいと思います。
このように、財投特会投資勘定には、お金が足りないとき、お金が余ったときの対応について法律でちゃんとルールが定められています。このルールを変えようという今回の改正案ですけれども、まず一つ、お金が余ったときの対応。
二ページ目の上段の方です。このように、投資財源資金というところに財源を留保する、ここにため込むということで、将来の産業投資等の原資を確保できるようにするということなんですが、さっき言ったとおり、現行法上、お金が余ったら一般会計に繰り入れて財政健全化に役立てるというのがこれまでのやり方でした。
なぜ今回の改正が必要なのか、大臣から具体的な立法事実を説明していただけますでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、背景には、近年の社会経済情勢等の変化を踏まえ、成長分野等に対する資金供給が重要かつ喫緊の政策課題となっており、ある意味で、官が先鞭をつける形でリスクマネーを供給する産業投資の重要性、これが高まってきているところであります。
他方、産業投資の財源の、過去十年を見させていただきますと、最も多い年が約八千八百億円、最も少ない額が約四千三百億円と、年度ごとに大きく変動し、年度によってはリスクマネーの供給を抑制的に行う必要があったという経緯がございます。
こうしたことを踏まえて、今般改正では、他の特会に設置された一般的な資金と同様、必要性を踏まえた上で、投資財源資金に投資勘定の歳入等の一部を留保できるようにすることで、財源調整手段を確保し、投資勘定の資金繰りの柔軟性の確保を図るものでございますし、また、その資金をためる先としては、お示しをいただきました現状の投資財源資金、こういう仕組みを活用させていただいているところでございます。これにより、今後、スタートアップ支援を始めとする政策性の高い分野等に対して、投資勘定は、産業投資という形で安定的、機動的にリスクマネーを供給することが可能になる、こういった観点から、今回こうした改正を提案させていただいたところでございます。
○階委員 答えていないと思うんですよ。
今でも、必要があれば、一般会計からお金を繰り入れて投資を行う資金は調達できるわけですよ。なぜ、今の制度でもそういう仕組みがあるのに新たに設けなくちゃいけないのかということについて、答えていないと思いますよ。端的にお願いします。
○加藤国務大臣 お答えさせていただいたように、産業投資の財源は、御承知のように、NTT株式、JT株式の配当金等がその財源となっているわけでありまして、そうした財源を活用する中で、先ほど申し上げたリスクマネーを供給する産業投資という仕組みをつくっている。
そうすると、その供給財源が、今、先ほど申し上げたように、十年間で多いときが八千八百、少なければ四千三百、これだけ大きく変動すると、年度年度ごとに対応できる供給額が抑制的になってしまう。じゃ、今委員御指摘のように、一般会計から入れればいいのではないかという。しかし、一般会計の状況はもう委員御承知のような状況でございますから、そういった中でなかなかこちらの方に回すことはできない。しかし、この仕組みの中で、まさにNTT株式、JT株式の配当等、こういったことを活用するというこの投資勘定、これをより弾力的に使っていくという視点から、今回の仕組みを提案させていただいたところでございます。
○階委員 一般会計が苦しいから繰入れはできないんだといったようなことがありましたけれども、だからこそ、今までは、余ったお金はちゃんと一般会計に戻して財政健全化に充ててきた、これが財務省の矜持じゃないですか。
今回は逆ですよ。余ったお金は戻さないで、むしろため込んで、一般会計には戻さないということですよ。これは、私は、塩川さんの例えをかりれば、離れですき焼きを食べていたら肉が余ったので冷凍して次のすき焼きのときに食べましょう、こんなことじゃないですか。
投資勘定から過去十年で二・一兆円を一般会計に繰り入れて、財源として活用されてきたはずです。今回のすき焼き冷凍スキームによって、一般会計等への繰入れはどうなりますか。具体的に説明してください。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
法改正が一般財源への繰入額に与える影響ですが、現行法におきましては投資勘定に財源を留保する規定がない中で、これまで、投資勘定における歳入と産業投資支出の差額について、基本的に一般会計に繰り入れておりました。今般の法改正が成立しますと、これまで一般会計に繰り入れてきた金額の一部が投資財源資金に留保されることになります。
ただし、今回の法改正におきましても、投資勘定から一般会計への繰入れの規定は存置しておりますので、投資財源資金に係る措置については、節度を持ち、透明性の高い形で運用することによって、投資財源資金に留保する必要のない金額については引き続き一般会計に繰り入れてまいります。
○階委員 そうすると、従来、十年間で二・一兆円ですから一年当たりにならすと二千億円、これぐらいの一般会計への繰入れは維持されるという理解でよろしいですか。お答えください。局長でいいです。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
一般会計への繰入れは、一般会計の現状や投資勘定の方の現状を見ながら毎年の予算編成の中で決定されるものですので、現段階で確たる数字を申し上げることは困難でありますが、例えば、今回、別途法案が出ておりますAI、半導体スキームなどにおきまして、これは一般会計そのものではございませんけれども、他会計の行う業務に、今後、長期間にわたって投資勘定が協力するなど、政府全体の財源配分の中で必要なことは今後とも行っていくというふうに考えております。
○階委員 半導体にお金を回すという話が今出ましたよ。これで、私、先週、この半導体の法案について経産委員会で取り上げたんですよ。何を取り上げたかというと、まさにこの法案で対象になっている財投特会投資勘定から、二十六年間、毎年八百億円ずつ、トータル二・二兆円だったと思いますけれども、これぐらいの多額の金額を、何と、投資ではなくて借金の返済原資をただで上げるといったようなことが経産委員会の法案の中で盛り込まれていたわけですよ。
これは本来、まさに我が委員会の所管じゃないですか、財投特会投資勘定って。そのお金の使い方をなぜ経産委員会で議論しているのか。私はそれもおかしいと思いますし、先ほど我が党の修正案について、いろいろ、修正案としておかしいんじゃないかというふうに言われましたけれども、さっきの、経産委員会で我が委員会の所管である財投特会投資勘定のお金の使い方を議論している、しかも、投資ではなくて借金の返済原資に充てるということを議論していること自体、審議権を侵害しているのではないか。本当に問題だと思いますよ。
この点について、通告していませんが、大臣、御存じですか。御存じだったら、これが本当に正当化できるのかどうか、お答えください。
○加藤国務大臣 まず、各委員会でどういうふうに所掌されてどう審議されるか、これはまさに国会でお決めいただくことというふうに思いますので、政府から申し上げることではないんだろうと思います。
なお、経産委員会においても、AI、半導体スキームに関して積極的な御議論が行われていることは承知をしております。
○階委員 すき焼きで肉が余ったら冷凍してため込んでおいて、今度は、隣の離れ、エネルギー特会ですき焼きをしたいというので、肉をただで上げるようなものじゃないですか。何でこんな大盤振る舞いをしているんですか。これは塩川さんが懸念された状況がむしろ拡大再生産されようとしていますよ。同じ財務大臣として、このまま放置していいんですか。お答えください。
○加藤国務大臣 まず、昨年十一月の経済対策でAI・半導体産業基盤強化フレームが作成され、それに基づき、財投特会投資勘定からの繰入れ、経産省所管の既存基金の返納と、そしてGX経済移行債等の活用により、必要な財源を確保しながら、補助、委託等で六兆円程度の支援を実施することとされているところであります。
今委員御指摘は、このうちの財投特会投資勘定からの繰入れということでありますが、これについては、AI、半導体分野の官民投資を誘発し、我が国産業の競争力強化を図る中で、投資勘定からの資金について、一般会計を経由せずに直接エネルギー対策特別会計に繰り入れることで、資金の流れを明確化するということもございます。
その毎年度の繰入額に比して、支援を実施する上では、一度に多額の支援が必要になるということも想定されるところでございます。そこで、必要に応じ、いわゆるつなぎ国債を発行することとしているものであり、その償還財源として財投特会投資勘定からの繰入れを充てる、そうしたスキームを考えておられる。それ自体、財務省としても適当であるというふうに考えております。
○階委員 何で財投特会からエネルギー特会にお金を入れることが明確化につながるんですか。今までどおり、ちゃんと、余ったお金は一般会計に財投特会から戻して、必要があればエネルギー特会なりに一般会計からお金を出した方が、国会でも議論ができますし、よっぽど明確化につながると思いますし、国民の理解も深まると思いますよ。
国民の見えないところで特会から特会に裏金のような形で渡すというのはおかしいんじゃないですか。なぜ明確化なんですか。教えてください。
○加藤国務大臣 おっしゃるように、投資勘定の資金を一般会計に繰り入れて一般会計からエネルギー特会に繰り入れるというスキーム、これは今でもできるというのは御指摘のとおりでございます。
ただ、そうなってくると、お金自身にまさに色がないということもございますので、この考え方が、まさに、この投資勘定、そのベースとなっておりますNTT配当等収入をもってこうした半導体の支援を行っていく、このベースに立って考えれば、その財源がきちんとどう動いていくかが見えるという意味においては、特会を通じてそこがひもづけられるように予算書上明確にするということが重要ではないかと考えているところでございます。
○階委員 今、エネルギー特会に入れた資金によって半導体産業を支援していくみたいなことをおっしゃいましたけれども、これはそのためのお金じゃないんですよ。つなぎ国債の償還資金なんですよ。
本来、最初に説明したとおり、財政投融資特会投資勘定というのは投資のための勘定ですからね。投資のための勘定なのに、わざわざ借金の返済原資をただで上げるわけですよ。だからおかしいと言っているわけですよ。借金の返済原資を出すんだったら、何もこの勘定を使う必要はないんですよ。
だから、普通に一般会計に戻して、借金の返済原資が足りなかったら、もし足りなかったらですよ、でも、そもそもエネルギー特会で半導体に投資して、将来リターンが得られれば、そこから返済原資も生まれるじゃないですか。そういう可能性もあるのに、なぜ今の段階で二・二兆円もエネルギー特会に投資勘定からお金を繰り入れる必要があるのか。全く理解できませんよ。それこそ無駄遣いの最たるものじゃないですか。すき焼きをやりたい放題やって、ほかの勘定にも渡しているというのはおかしいと思いますが。
先ほどの説明、矛盾していませんか。お答えください。
○加藤国務大臣 AI・半導体産業基盤フレームに基づき、財投特会投資勘定からエネルギー特会への繰入れ、先ほど申し上げましたように、一度に多額の資金が必要でありますから、それはそれ自体、今のスキーム上、その全額に対応することができないということで、一時的に同特会でつなぎ国債を発行している。
したがって、本来的に言えばこちらに支援を充てていくべき、そこは議論があるかもしれませんが、それを前提とすれば、産投のお金をそうした支援につなげていく、ただ、それが一遍に出せないのでつなぎ国債というスキームを間に入れているというだけであって、最後、突き詰めていく財源というのは、あくまでもNTT等の配当収入、これを財源に対応していく。この姿は、むしろこういうスキームを取ることによってよりはっきりする、私はそう思っております。
○階委員 最後はNTTの配当金とかが原資になっているから産業投資の制度に矛盾しないんだみたいなことをおっしゃっていましたけれども、それは前提がちょっと違っていて、原資がNTTとかJTの株の配当であっても、それによって出資して、リターンが得られなければ、それは産業投資の趣旨に反するわけですよ。今回のやつは、まさにつなぎ国債の償還資金をただで上げるということで、そこからは何のリターンも生まれませんから。これは経産委員会でも明確に答弁されていますからね。
リターンが出ないものに無償で資金を提供する、これはこの投資勘定の趣旨に全く反していると思いますよ。先ほどの説明は矛盾しています。お答えください。
○加藤国務大臣 いやいや、矛盾しているわけではなくて、お金の流れを説明をしたということでありまして、今回は、御指摘のように、財投特会投資勘定から繰入れという形を取っているわけであります。これは、AI、半導体分野の官民投資を誘発し、我が国産業の競争力強化を図る中で、次世代半導体生産を行う産業の育成などを支援し、将来の投資勘定からの出資、収益確保につなげていく、こういう観点から行うこととしているところでございます。
○階委員 将来の出資等につなげていくと言いましたけれども、二・二兆円出したものは戻ってこないんですよ。つなげていくというのはどういう意味ですか。お答えください。
○加藤国務大臣 もちろん、これ自身が既に直接的に回収を観念しているものではないわけでありますけれども、こうした次世代半導体の産業育成を支援することによって、将来投資勘定からの出資をしていくいわば対象といったものがまず育っていく。もちろん、最終的には民間投資につながっていくわけでありますけれども、そういったプロセスの中で、そういったステージも当然あり得る。そういった意味において、将来の投資勘定からの出資、収益の確保にもつながるということを申し上げたところでございます。
○階委員 今の質問に関連する図を五ページの上の方に示しておるんです。AI・半導体産業基盤強化フレームのスキーム概要という資料ですけれども、この中で、今取り上げていたのは財投特会投資勘定からの繰入れということで、矢印が特会債発行の方に伸びています。この矢印の意味は、二・二兆円、これは八百億円ずつ二十六年間だったと思いますが、これをただで上げて特会債の償還に充てるということがこの矢印が示す意味です。
そして、他方で、財投特会からは下の方にも矢印が短く伸びているのが分かるかと思います。金融支援四兆円以上。この金融支援をするというのは財投特会の本来業務ですよ。政府の書面を見ておりますと、この下向きの矢印、これは〇・八兆円ぐらい使うということになっています。この〇・八兆円に財投特会のお金を使うならまだ分かるんだけれども、二・二兆円、〇・八兆円の三倍ぐらいをただで上げるということになりますと、トータル三兆円。これによってどれだけのリターンが得られるのかというふうに思うわけですよ。
この三兆円のリターンをどのように見込んでいるかということをお答えいただけますか。具体的な数字なので、局長からでも、あるいは政府参考人どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
AI・半導体産業基盤強化フレームの三兆円ですが、エネルギー対策特会への繰入れ二・二兆円につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたが、投資勘定からの出資ではなく、別途法律をもって対応するものですので、直接的に回収が観念されているものではございません。
一方、今後、このスキームを推し進めていく中で、収益性があると認められた場合には〇・八兆円程度の産業投資の支援を予定しておるところでありまして、現時点では試作品の開発段階ではありますが今後収益性があると認められる状況におきまして投資を行うということで、この〇・八兆円には、そういう見込みがある段階で執行していくということになるかと思います。
○階委員 答えていませんよ。
三兆円というお金を出すということは閣議決定の文書に書いていますよね。三兆円のお金を出す。出すことを決めているわけですよ。そこからどれだけのリターンを見込んでいるかということを聞いています。具体的な数値をお答えください。
○窪田政府参考人 お答えします。
多少繰り返しになるかもしれませんが、既に支出を決定しております二・二兆円については回収ということを観念しておりません。
一方、〇・八兆円については、今後、現在試作品の開発段階にあるものが産業投資を行うに必要な収益性があると認められる状況で予算措置をすることになりますので、現段階で、この投資の時期やリターンについて、確たることを申し上げることは困難でございます。
○階委員 びっくりしましたね。さっきの財務大臣の答弁は、将来の出資や融資につながるからということで、二・二兆円をただで出しますという話だったんですよ。でも、今の局長の答弁は、二・二兆円はただで上げるけれども、その先の〇・八兆円、出すかどうか分からないということじゃないですか。全く矛盾していますよ。(加藤国務大臣「矛盾していない」と呼ぶ)なぜですか、矛盾していないのは。お答えください。
○加藤国務大臣 別に、私は、今回の二・二兆円が回収という話をしているわけではなくて、それは回収を観念されるものではないということは先ほど答弁させていただきました。
その上で、こうした形で半導体の産業育成をしていく、ステージがいろいろあるわけでありますから、最初は補助等をしていく、そしてだんだん独り立ちをしていく、最終的には民間の投資で回っていく、これがあるべき姿。その途中過程においては、まさにこうした産投の出資というステージも出てくるわけでありますから、その段階で産投出資、そして、当然出資をすれば収益ということにつながっていく、そういうステージがあり、それに、そういったことも想定した中で今回の繰入れをやらせていただいているということを申し上げたわけで、繰入れイコールそうした出資、回収といったことを申し上げたわけではありません。
○階委員 投資をすればリターンにつながっていくということなんですが、その投資をするかどうかが、さっきの局長答弁だと、今の段階でははっきりしないと言っているわけですよ。だったら、収益機会があるかどうかもはっきりしないのに二・二兆円をただで上げることになりませんかということを言っているわけで、こんなお金の使い方でいいんですかということを言っているわけですよ。
財政規律を重んじる財務省、財政健全化が大事なんでしょう。なのに、二・二兆円、なけなしの資金をただで提供するわけですよ。おかしくないですか。首をかしげていますけれども、こっちの方が首をかしげたくなりますよ。何を考えているのか、よく分かりませんよ。
そして、私の資料では、前のページになりますけれども、四ページ、特別会計法改正というのが、平成二十五年、実は民主党政権のときから特別会計の見直しというのは進めてきまして、それが法律の形で成就したのは、安倍政権になってから、平成二十五年十月のことでした。
その中で、下線が引かれていますけれども、「必要以上の資産を保有しないよう、剰余金を適切に処理。」ということを入れて、離れのすき焼き食い放題ということが起きないようにしたわけですよ。にもかかわらず、時計の針を逆に戻していますよ、この法案で。いいかげんな法案ですよ、これでは。
しかも、ため込んだお金を何に使うかと思えば、隣の離れのすき焼き代金に充てるということじゃないですか。おかしいでしょう。せめてこれは、リターンが得るところに使うんだったら分かるんですけれども、リターンを得るところでもないのに、そして、将来的にもリターンが得られるかどうかも分からないのに、二・二兆円もお金を使う。そのお金を使うことによって、毎年八百億ずつ減るわけですよね、投資の資金が。
今までは毎年二千億ぐらい収入と支出の間に幅があった、平均してならすと二千億ぐらい幅があったということが、三ページのグラフに表しております。これを見ていただくと、二千億幅があったのが、二・二兆円ただで上げる、毎年八百億円ずつただで上げるということで、これは半分ぐらい幅が減っちゃうわけですよね。幅が減るということはリスクバッファーが少なくなるということで、そのリスクバッファーをつくるための今回の法改正ではないですか。
こんな財務省にとって手前勝手の都合のいい法案で、財政規律をゆがめる、離れのすき焼き食い放題にする、こんな法案は即座に撤回するべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 大前提として、AI、半導体産業をどうやって日本の中で育てていくのか、そのために何が必要なのか、それが委員がおっしゃっているすき焼きというのであれば、これはまさにそうしたことを実現していくべきなんだろうと思います。
そのために、じゃ、手段として何がいいかという議論はあるんだと思います。だから、目的の部分と手段のところで、目的が明らかに違うということであれば、それはちょっとなかなか議論は難しいと思いますが、これまでの委員の御指摘も、別に、半導体産業、そういったものを育成していく、そして、やはり日本の現状はアメリカ等に比して遅れているからキャッチアップさせなきゃいけない、ここは多分共有しているんだろうと思います。
じゃ、そのためにどういうステージが必要なのか。すぐ投資ということになるのか、まず補助とかそういった段階のものも要るのではないか、やはりそうしたステージに応じた道具立てをしていく必要がある。そして、その道具立ての原資として、先ほどから申し上げているように、もちろん一般会計というのも否定されているわけではありませんけれども、まさに、産業投資という流れの中で広く考えてみれば、NTTとかそういった形で出てきたお金を使っていく、じゃ、そのスキームとしてどういう形をすることが一番分かりやすいのかということが原点に私はあると思っております。
確かに、委員の指摘の、本来投資すべき勘定なのに何で繰入れをするのか、そこは確かに、これまでも復興特会あるいは防衛等によって繰入れをしてきた、それと次元が違うんじゃないかということを多分おっしゃっているんだろうと思いますけれども、しかし、今申し上げたやるべきことを考えて、今ある我々の財源をどう有効活用するのか、こういった視点から、今回のこういったスキームを提供させていただいているというところでございます。
○階委員 肝腎なところに答えていないんですよ。
半導体育成に我々は反対しておりません。そして、ステージによっては、補助金を出す、委託費を出すということも否定していません。ただ、問題は、この産業投資の中から、投資すべきお金をなぜリターンの得られないつなぎ国債の償還原資に使うのかということが、全く納得できる説明がないから、私はここで申し上げているわけですよ、その使い方がおかしいと。
その使い方を裏づけるための財源として今回の法改正を通そうとしているということで、そもそも目的もおかしければ手段もおかしいということを申し上げまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、矢崎堅太郎君。
○矢崎委員 おはようございます。立憲民主党の矢崎堅太郎です。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は二十一分いただいておりますので、大きく二問、質問させていただきたいと思います。
まず、財政投融資特別会計について質問をさせていただきたいと思います。
今回は投資勘定の改正ということになります。投資勘定は、やはりリターンを期待して投資をするということでありますから、まず、現状、この投資がどのような結果になっているかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
まず最初に、これまでの財政投融資特会における官民ファンドにつきまして、その対象数、それから累積損失を抱えているファンドの数、累積損失がその中で最大のところはどこかということ、そしてまたその損失額について、それぞれお答えいただければと思います。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
二〇二三年度末時点で財投特会の投資勘定から出資している官民ファンドは八ファンドとなっております。そのうち、累積損失のある官民ファンドは六ファンドとなっております。また、その累積損失が最大となっている官民ファンドは、海外交通・都市開発事業支援機構でございまして、二〇二三年度末の時点で九百五十五億円の累積損失額となっております。
○矢崎委員 ありがとうございます。
八つのうち六つ、累積赤字が出ているという状況ということ、そしてまた、最大の損失を出しているところが九百五十五億ということで、海外交通・都市開発事業支援機構ということであります。これからちょっとJOINというふうに略して呼ばせていただきたいというふうに思うんですけれども。
そこで、最大の損失額を出しておりますJOINについてちょっと整理をさせていただきたいんですけれども、まず、この機構、JOINが設立された経緯、そしてまた、官民の出資比率、さらには、昨年度の事業報告によれば社外取締役を除く役員の方が六人おりますけれども、この役員の方の経歴について教えていただければというふうに思います。
○飯塚政府参考人 海外交通・都市開発事業支援機構、JOINは、海外における交通事業や都市開発事業が投資の回収までに長期間を要するなど、民間企業のみでは参入が困難であることに鑑み、事業の初期段階からリスクマネーを供給することなどにより民間企業の海外市場への参入促進を図るため、平成二十六年に設立されております。
JOINへの出資については、令和六年三月末時点において、政府出資が二千七百億円、民間出資が約五十九億円となっております。
また、JOINの役員については、国土交通省から現役出向する専務取締役一名のほかは民間出身者で構成されています。
○矢崎委員 今お答えいただきまして、ありがとうございます。
このうち、出資比率については、政府が二千七百億円、そして民間が五十九億円ということで、ほとんど政府が出しているということになりますから、このことを考えますと、やはり、多額の税金が使われているということを考えますと、これだけの赤字が出ているということについては非常に問題があるなというふうに思います。
そこで、お伺いをしたいんですけれども、なぜ、JOINがこのような巨額な赤字を計上することになったのか。そしてまた、これは、今お話をしましたけれども、多額の税金がつぎ込まれているということを考えますと、この責任の所在、どこに責任があったのかということ、そして、誰がその責任をどのように取ったかということについてお答えいただければと思います。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
今ほど御指摘いただきましたとおり、このJOIN、多額の累積損失を抱えることとなりました。とりわけ、二〇二三年度におきまして、当期純損失が拡大をしたということでございます。これは、幾つかの事業が当初の計画どおりに進捗していないということに原因があるわけでございまして、大きく三つの事業、これがかなり足を引っ張っているというところでございます。
そうした中におきまして、JOINにおきましても、多額の損失計上に至った事態、これを重く受け止めているというふうに承知をしているところでございます。
昨年十二月中旬の改善計画、これを策定をしたところでございますけれども、JOINにおきまして、取り組めるものから直ちに改善策を実施しているところでございまして、新たに策定をいたしました改善目標、計画の確実な達成に向けて全力で取り組むことを通じまして、その経営責任をしっかりと果たしていただきたいというふうに考えているところでございます。
○矢崎委員 今、明確に、責任がどこにあって、誰が責任を取ったというようなお話がなくて、答弁からお聞きしますと、これはやはりJOINに責任があるということで理解してよろしいんでしょうか。
○国定大臣政務官 先ほども答弁申し上げましたとおり、JOINにおいてまずこの事態を重く受け止めているというのは承知をしておりますし、私ども国土交通省といたしましても、監督官庁として、こうした事態を大変重く受け止めているところであります。
○矢崎委員 そうしますと、例えばJOINの方で社長が交代するとか、そのような具体的な責任の取り方というのはあったんでしょうか。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたとおりでございますけれども、今回の事態を受けまして改善計画を策定をさせていただきまして、これをしっかりと履行していく、これが私どもとしてはしっかりとした責任の取り方であろうというふうに認識をしているところでございます。
○矢崎委員 九百五十五億という損失ですから、改善していくことが責任の取り方と言われましても、なかなか国民の皆さんは納得できないんじゃないかなというふうに思います。ただ、これ以上御質問しても同じ回答だと思いますので、次に行きますけれども。
そうしますと、国交省の方で監督しているということを考えますと、このような責任の取り方については、私はちょっと取れていないと思うんですけれども、今回の責任の取り方についての国交省のお考えをお聞かせいただければと思います。
○国定大臣政務官 先ほど答弁申し上げたところに尽きるわけでございますが、そもそも、昨年十二月に策定をいたしました経営改善策、これにつきましては、JOINのみならず、私ども国土交通省も参画させていただく中で計画を策定をしてまいりました。これの履行をしっかりと果たしていくことが肝要かというふうに思っております。
○矢崎委員 ちょっと納得できませんけれども、おっしゃりたいことは分かりますので、次に行きたいと思います。
それでは、財務省の方にお聞きしたいんですけれども、財務省は出資をしておりますが、財務省は今回の結果そして責任の取り方についてどのようにお考えになっているか、大臣にお答えいただければと思います。
○加藤国務大臣 まず、今般、JOINがこれほど多額の損失を計上したことに関して、出資者である財務省としては、大変遺憾という思いでございます。
あと、経営責任については、今国交省からの御説明もございましたけれども、財政投融資分科会においても、JOINの経営改善等に係る有識者委員会の最終報告及びそれに基づく改善策等についてJOIN、国土交通省より報告を受けた際には、万一、再度、多額の損失が発生するようなことがあれば経営責任の取り方を含めて対応が必要などの厳しい指摘がなされているところでございますので、財務省としては、改善策等が着実に実行されることが重要と考えており、こうした点も踏まえ、より一段の経営努力を通じて経営責任を果たしていただきたいと考えています。
○矢崎委員 そうしますと、今後このようなことが繰り返されないようにしっかり経営をしていっていただきたいんですけれども、それについて、JOINが様々、今お話あったところ以外でも問題があると私は思うのは、例えば組織体制でいえば、役員の方、先ほど経歴の話をしてもらいましたけれども、例えば、あそこに、投資の専門家であったり、こういった経営ができる、リスク管理ができる人がいるのかですとか。
また、今日は時間がないですから個別になかなか損失のことは、事業のことは言えませんけれども、大きく言っても、ミャンマーの事業であったり、それからテキサス新幹線であったり、ブラジルの鉄道事業であったり、そうしたものがやはり損失を大きく計上しております。そういったところ、また、その損失についても公開が遅れたという指摘もされておりますので、そうした部分も含めまして、やはりしっかりとこれから取り組んでいただかなければいけないと思うんです。
そこについて、これからどのように改善策をやっていくのか、そして、現在どのような状況になっているかということについてお答えいただければと思います。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
具体的な改善策という御指摘でございます。
例えばでございますけれども、一件当たりの投資規模の上限の設定であったり、撤退基準の明確化、また、多角的な観点からリスク評価を見える化する資料の策定等のモニタリングの強化を実施しており、今後につきましては、外部有識者が支援の状況をチェックする第三者評価をまず導入をしていきたいというふうに考えております。
また、組織体制、今ほど御指摘いただきました、投資ファンドの経験者の採用などによりますエクイティーファイナンス審査体制の強化であったり、外部専門家の知見の活用にも取り組むこととしております。
国土交通省といたしましても、しっかりとこれにつきまして監督をしてまいりたいというふうに考えております。
○矢崎委員 ありがとうございます。
しっかりと今おっしゃられたことを着実に実行していただいて、二度とこのような巨額な損失が出ないようにしていただきたいというふうに思います。
それでは、続きまして、外為特会の修正案についてお伺いをしたいというふうに思います。
まず、この三年余りですけれども、悪い円安によって輸入物価が上昇して、国民の暮らしが厳しくなっているのは、皆様も同感だというふうに思います。この観点から、物価対策の財源として、外為特会から一般会計に繰り入れることは一つの有力な手段になるのではないかなというふうに考えておりますけれども、この点について修正案の提出者の方がどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
○櫻井委員 御答弁申し上げます。
委員御指摘のとおり、悪い円安を抑え、物価高を抑えて国民生活を守るのは政治の責務と考えております。
この責務を果たすための政策の財源確保に当たっては、国民の負担をできるだけ抑えることで、歳出改革や決算剰余金の活用、税外収入の確保など、いろいろなあらゆる工夫を行うべきというふうに考えております。
本修正案は、税外収入の確保という工夫の一環としまして、外国為替資金特別会計から決算を待たずに一般会計に繰り入れるというオプションを設けるものでございます。
委員の御提案と全く同感でございます。
○矢崎委員 ありがとうございます。
一方で、このことは、外為特会から一般会計に多額の資金が繰入れされますと、外為特会本来の目的であります自国通貨の防衛という役割を果たすことができなくなるおそれがあるというふうにも考えています。一般会計への繰入れが過度に行われないようにするための歯止めも必要だというふうに考えておりますけれども、提案者の御見解をお聞かせいただければと思います。
○櫻井委員 御答弁申し上げます。
委員からは、一般会計への繰入れが過度に行われることがないようにするための歯止めが必要ではないか、こういう御質問をいただきました。
委員御指摘のとおり、外国為替資金特別会計の資金が一般会計に野方図に繰り入れられるようなことがあってはならない、そのために歯止めが必要というふうに考えております。
修正案では、七十九条の二を設けまして、予算で定めるところによりと規定しております。すなわち、外国為替資金特別会計から一般会計へ繰り入れる際には予算審議が行われまして、まさに国会の統制の下にあることになるということでございます。国会がこうした歯止めになっているというふうに考えております。
○矢崎委員 ありがとうございます。
今の説明を聞いて、私もこの修正案については納得できますので、是非進めさせていただければというふうに思うんですけれども、ここではあくまでも制度としてつくって、そして、今の非常に厳しい財政状況の中で、財源確保の一つとして制度をつくっていくということで、今すぐこれを使ってどうこうというお話ではないというふうに私も理解をしております。
その上で、今のこの修正案について大臣のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
○加藤国務大臣 まさに修正案自体はこの委員会あるいは国会で御議論されるべきものであり、また、政府がそれに対してコメントするような立場にはまずないというふうに思います。
その上で、ちょっと私も修正案の全貌、詳細を知っているわけではございませんが、今、介入のために私どもが有しているこの資金を売却するということであれば、これまでも、特会云々ではなくて、今あるお金を売却すればいいではないかという御質問をこの国会でも頂戴をしているわけでありますが、その際には、将来の為替介入のために保有している外貨資産、元々これ自体が介入資金であるということ、また、取り崩すことで市場に急激かつ過度な変動を生じた場合の対応力を損なうということ、したがって今の保有額というのは過度なものではないということ、そして、実質的に円買い・ドル売りの為替介入とそうした行為は同じことになるので、為替市場に不測の影響を及ぼすおそれがあるのではないかということを申し上げてきたところでございますので、その認識は変わるものではございません。
○矢崎委員 ありがとうございます。
あくまでもこの修正案については、先ほど提案者の説明もありましたけれども、制度としてこれをつくっておいて、これを何かあったときに機動的に使えるように仕組みを整えておくというふうに理解をしております。ですので、このことは、大臣もおっしゃられましたけれども、この場で議論されて決めていただくということにはなるというふうに思いますので、是非、委員の方にもこの修正案について御理解をいただければなということを申し上げまして、時間となりますので終了とさせていただきたいというふうに思います。
どうもありがとうございました。
○井林委員長 次に、江田憲司君。
○江田委員 おはようございます。
加藤大臣、来週訪米をされると聞いておりますが、IMF、世銀の会合と聞いておりますが、当然、ベッセント財務長官にもお会いをして、また交渉をスタートさせるんだろうなと思っておりますが、そういうことでよろしいですか。
○加藤国務大臣 来週、IMF、世銀等の会合がワシントンでございますので、今、それに向けて、国会の許可含めて最終的な調整がなされているものと承知をしております。その上で、そうした許可をいただけるのであれば、是非出席をさせていただきたい。そして、その機会に、それはマルチの場ではありますけれども、アメリカを始めとしたバイの会談、これも積極的に模索をしていきたいというのが今の状況で、具体的にベッセント長官との日程等が固定している、フィックスしているわけではないということがまず前提でございます。
その上で、為替について御関心がある、特にベッセント財務長官が、関税、非関税障壁、通貨問題、政府補助等について議論していくことは楽しみだと。これは別に私との会談を前提としているわけじゃなくて、日米間の話だろうと思います。そうした話が出ていることは十分承知しておりますが、それ以上の中身に入ることは、委員御承知のように、いろいろな為替市場に臆測を呼びますので、控えさせていただきたいと考えています。
○江田委員 是非行っていただいてしっかり日本の国益を主張していただきたいんですが、赤澤担当大臣が訪米されて、為替の議論はなかったとおっしゃっているのは、まさに加藤大臣がベッセント財務長官とやられるからという理解でいいですか。
○加藤国務大臣 私、一月二十九日にベッセント長官とビデオ会議をさせていただきました。その際にも、為替についての共有認識、まさに市場において決まる等の話を申し上げた上で、専門性を有する両財務大臣の間で緊密に協議していくことは確認しているところでございますので、そうした流れの中での今回の会談になるものと私は認識をしています。
○江田委員 ベッセント財務長官も、為替を議題にするとおっしゃっていますから。ただ、米国の意図は何なんでしょうね。為替を議題にして日本に対して何を迫ってくるのか、大臣はどうお考えですか。
○加藤国務大臣 そこから先の話になりますと、ここで何らかの形を申し上げること自体がまさにマーケットに与える影響というのがございますので、これは控えさせていただきたいというふうに思いますし、また、現時点において、少なくとも公式的にベッセント財務長官から、通貨問題などについて議論するという話はありますが、それ以上に突っ込んだ話が公式的にも表明されているものではないと承知しています。
○江田委員 大臣も御承知のとおり、トランプ大統領は大統領選のときから、今のドル高は三十四年ぶりなんだ、ドル高・円安は米国にとって大惨事だ、ディザスターだと言っているわけですね。それはなぜかというと、アメリカの製造業が競争力を失い、多くのビジネスを失う。大統領になられた後も、日本は円安誘導していると批判をしているわけですから、当然、ベッセント財務長官はそういうトランプ大統領の意向を受けて加藤大臣には、今の円安を是正しろといって迫ってくるんじゃないですか。
○加藤国務大臣 今のはあくまでも委員の御推測なんだろうと思います。トランプ大統領の発言等をベースとした委員の御推測だと思います。
先ほど申し上げましたように、まさに、どういうことを議論するのか、両者で確定していれば、それは明らかにしていくというのもあるのかもしれませんが、現状そういう状況でございますし、また、何か臆測あるいは推測で申し上げること自体が、逆に市場の臆測を招き、為替市場に不測の影響を及ぼすおそれもあるということで、これは差し控えさせていただきたいと思いますが、もちろん、当然、やった議論に関しては、またしかるべき形で御説明させていただきたいと思います。
○江田委員 大臣が明確に言えないのは分からないでもないので。しかし、円安誘導批判をしているわけですから、もっと円高にしろと言うのは明々白々ですから、当然準備をされていると思います。
そういうことを踏まえて、ちょっと外為特会の議論を進めていきたいと思うんですけれども、これは常識ですけれども、変動相場制を取る国においては為替介入というのは極めてまれだ、これはもう国際的コンセンサスですよね。ただし、日本だけが、変動相場制を取る先進国で異常なほどの膨らんだ外貨準備を持っている。
前回もお聞きしたので、直近の数字で、ドルベース、円ベース、今、外貨準備高は幾らですか。事務方で結構です。
○土谷政府参考人 お答え申し上げます。
直近の外貨準備高の規模でございますけれども、令和七年三月末時点で約一・二七兆ドルになります。この金額を同じ月の基準外国為替相場で換算いたしますと、約百九十八・五兆円、この数字になります。(江田委員「二百兆円近い膨大なバランスシート……」)
○井林委員長 ちょっと、済みません。気持ちは分かるんですけれども、手を挙げてから。
江田憲司君。
○江田委員 失礼しました。
膨大な外貨準備を持っている、こんな変動相場制を持つ先進国はあるんですか。事務方でいいです。
○土谷政府参考人 委員お尋ねでございますけれども、固定相場制と外貨準備がなじみやすいということは事実でございますけれども、必ずしも変動相場制を……(江田委員「そういう国があるのかと聞いている」と呼ぶ)はい。例えばスイス、この国は変動相場制でございます。
○江田委員 本当に強情ですね。イギリスも、フランスも、ドイツも、イタリアも、十分の一ですよ。
中国は例外。それはドルペッグでしょう。固定相場制の変形じゃないですか。こういうことも知らない人も多いんだけれども、結局、香港ドルと米ドルをリンクさせているわけですよ。だから、その香港ドルの信認を下げないように莫大な外貨準備を持つのはまだ分かる。
しかし、極めて例外的な為替介入に備えて、二百兆円もの。どうやったら正当化ができるのか。
そこで大臣に聞きたいんですけれども、これだけ莫大なバランスシートを抱えているということは、当然為替リスクがある。今は円安だから、この前答弁していただきました、五十兆円近い含み益があるけれども、一時八十円まで円高が進んだときは数十兆円の差損が出ていたわけでしょう。こんな膨大な為替リスクを抱えてまでこんなバランスシートを持っているというのは、どうやったら正当化できるんでしょうか。
○加藤国務大臣 委員の御指摘は、要するに、外貨準備の適正な基準というのはどのぐらいなのかということなんだろうと思います。その中で、当然、必要であれば為替リスクを負っていくし、必要でなければ負うべきじゃないという多分御主張なんだろうと思って、聞かせていただきました。
もちろん、我が国の外貨準備は意図してここまで積み上げてきたわけではなくて、過去の円売り・ドル買いの介入の結果、こうした水準になってきたというのは確かに御指摘のとおりでありますが、他方で、前もたしか委員との間でやり取りをしたように、この間の円の取引高で捉えた為替市場の規模も拡大をしているということ、また、他国における過去の事例、これは中国の話じゃないかと委員からおっしゃられましたけれども、為替介入が一たび必要となればかなりの準備も必要だという観点から考えて、現在の日本の外貨準備がまさに過大と考えているわけではなく、そういった意味では、こうした外貨準備高を持っておくということが、現下、必要だというふうに認識をしているところでございます。
一方で、これを売却することに関しては、先ほどの委員に答弁申し上げましたように、ある意味で逆の意味での為替介入というふうに映るというリスクもあるということでございます。
○江田委員 日本のファンドに例えて言えば、数十兆円の為替差損をもし出したとしたら、即刻、社長は首ですからね。これは国民の金ですからね。為替リスクを負っている、莫大な。そこまでして正当化できる、いわゆるまれな、例外的な為替介入に備える額なんて、私はとても理解できませんからね。
なぜこうなっているか。何度も指摘しました。ロールオーバーですよ。米国債が満期になって、返ってくるドルをそのまま米国債に再投資している。だから、この日本のバランスシートを見ていると、ずっと上がっているんですよ。一時的に下がるというのは為替介入したときだけですね。
こんなロールオーバーしている変動相場制を持つ先進国というのはあるんですか。
○土谷政府参考人 お答え申し上げます。
他国の外貨準備の運用状況につきまして、私どもつぶさに承知しておるわけではございませんけれども、一般論としてお答え申し上げますと、各国とも、外貨準備の運用に当たりましては、安全性、流動性に配慮して、外貨建て預金でございますとか、外貨建ての証券などで運用しているものと承知しております。
そうした中で、外貨準備のうち債券で保有している部分につきまして、償還期限を迎えたものを債券に再投資、いわばロールオーバーでございますけれども、そういうことは一般的に行われているのではないかと考えております。
○江田委員 各国の運用は分からないと言いながら、ロールオーバーしていると。何だか訳が分からないですね。
それは、各国は、それぞれ為替当局が国益に従って、こういったどこでもあるような満期になった償還金、それは国益に沿って運用しているんですよ。しかし、その結果が、さっき、イギリスもイタリアもフランスもドイツも十分の一。それはそうですよ。莫大な為替リスクを抱えるんですから。大体、為替介入で膨らんだバランスシートは、平時に、余り為替に影響しない形で反対売買をしているから、これだけの圧縮されたバランスシートしか持っていないんですよね。是非、そこのところは、はっきり申し上げておきたいと思います。
では、ちょっと角度を変えて言いますけれども、一日の円・ドル為替の取引高は幾らですか。
○土谷政府参考人 お答え申し上げます。
為替市場におけます一日当たりの取引高についてでございますけれども、BIS、これが三年に一度行う調査に基づきます最新の統計によりますと、一日のドル・円の取引高は、二〇二二年四月の平均で約一・〇兆ドル、足下の為替レートで換算いたしますと、約百四十三・七兆円となっております。
○江田委員 御指摘のとおり、一兆ドルが一日ですよ。一年じゃないですよ。一年だと三百六十五兆ドルですよ。円に直したら、五京円ですよ。それから、円・ドルだけじゃなくて、全ての通貨を合わせると、一日の世界の為替取引高は一千兆円。ここなんですよ、御存じない方が多いのは。
だから、為替介入しても余り効果は出ないですよ。為替が変動することを心配するよりも、為替介入しても、本当に、少しは変動するけれども、すぐ元に戻るじゃないですか。莫大な取引量があるんです。だから、この前、答弁をしていただいたように、二年ほど前の償還金は二十一・五兆だと。
ちょっと聞きますけれども、直近で償還金は何兆になっていますか。
○土谷政府参考人 お答え申し上げます。
直近の償還金ということで、外為特会が現在保有します証券のうち一年以内に満期を迎えるものについてお答え申し上げたいと思います。
ただし、最新の数字が、この内訳が出ておりますのが令和六年三月末時点ということになりますが、そこの数字は、満期一年以下の外貨証券は約三十二・九兆円となっております。
○江田委員 去年聞いたときは二十一・五兆。それは、年度が違いますから。それがもう今や三十兆を超えているわけでしょう。しかし、三十兆といえども五京円ですからね。財務省の為替当局が指示して日銀のオペレーションに任せれば、いかようにでもできるんですよ。為替変動を及ぼしたくないと思えば、三百六十五日、為替市場と対話しながら、徐々に徐々に機会を見て売っていれば、為替変動なく、含み益を顕在化させられる。一方で、トランプさんが、おまえ、何だ、日本は、円安誘導しやがって、もっと円高にしろと言うんだったら、一気に売ればいいんですよ。そうすると、多少の為替変動がある。しかし、大体、一月、二月もたたないうちにまた元に戻る。だって、去年の為替介入、三度やったって、すぐ戻ったじゃないですか。ここの方の心配をせないかぬ。
それを、本当にこういう基礎的な知識を知らない、国会議員までが、いや、もうちょっとあれすれば変動する、困った。よく言える。こういう基礎的事実を把握してから言ってほしいと私は思いますけれどもね。
ですから、前回、百八十九兆円ベースで、含み益は四十八兆円あるという答弁をいただいたんですが、さっきのは去年の末ですかね、直近が。そのベースで、二百兆円弱のバランスシートで、含み益はどのくらいに上っていますか。
○土谷政府参考人 お答え申し上げます。
今委員のおっしゃった数字でございますと、令和五年度末決算に示されました令和六年三月末時点の為替評価益ということになりますが、これは、同じ月の基準外国為替相場でございます一ドル百四十七円などで評価した結果でございますが、数字としては約四十・八兆円、こういう数字になります。
○江田委員 分かりました。
それから、もう一つはっきり言わないかぬのは、米国債を売れなんて、私、一言も言っていませんからね。皆さん、区別して議論してくださいね。米国債を売るということと、米国債が満期になって返ってくる償還金を円転しろというのは全く違うということですよ。私はそっちを言っているのでね。
過去、私がお仕えした橋本龍太郎総理の有名な、コロンビア大学の発言がありますよね。あれは、米国債を売れなんですよ。あのときにメディアは失言だと何だか批判しましたけれども、とんでもない。これは用意周到に、御省の財務官経験者と私と橋本総理、大蔵大臣もやった橋本総理が本当に入念に打ち合わせた上で発言したんですよ。
その背景を申し上げますと、今、トランプの関税交渉でにわかにまた脚光を浴びている日米自動車交渉、あのときは、理不尽な数値目標、市場原理に反するようなことを平気で言ってきたわけですよ、当時、USTR代表が。とにかく、日本で車を造るときには、米国製部品のコンテンツ率、含有率を何年までに何%まで上げろ、アメリカ車を扱う日本のディーラー数を何年までに何店舗にしろと。敢然とはねつけたわけですね、敢然と。これは、加藤大臣、ちょっとあれになりますが、是非参考にしていただきたいんですよね。
だから、結局、あの当時、はねつけられたのは、それは橋本総理のお力にもよるんですけれども、やはり、EUとかASEAN諸国は本当に心配して日本との交渉を見ていたんですね。もし本当に日本がこんな数値目標を受け入れちゃったら、明日は我が身ですから。ですから、例えば、OECDの場に行ったとき、まあ今度、IMF、世銀にも行かれるから、是非、根回しというか、多数派工作というか、要は、意識を共有していただきたいんですよ。
そのときにOECDを全部回りましたよ。当時、二十五か国、大臣と一緒に私も回りましたね。そうしたら、みんな、これはおかしいと。それで、OECDで、二十四対一で米国が孤立したんですよ。それで、米国は、USTRのカンターは、途中からOECDの場に、雲隠れして出てこない。当時、クリストファー国務長官までが、次の月にG7があったものだから、クリストファー国務長官が、G7で自動車問題は、日本、出してくれるなと言われるまで追い込んだんです。
それで、最後、クリントン大統領に電話をして、カンターが。だから、USTRのカンターは全くマンデートがなかった。ずっと平行線だったんです。だけれども、最後の最後、六月二十八日に、向こうが設定した締切り期限の十一時にクリントン大統領とカンターは電話をするから、十一時十五分に来てくれと言われて、行ったんですよ、私と大臣、二人で。そうしたら、一気にベた降り。要は、はっきり言えば、クリントン大統領が、こういったいろいろな国際情勢を見た上で、やっとカンターに降りていいという指令を出したということですから。
是非、IMF、世銀の場で、いろいろな、大臣、お会いすると思いますから、ほとんどが今の米国のやり方はおかしいと思っていると思うので、是非そういう努力をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 委員からも、当時のいろいろな流れをかいつまんでお話をいただきました。
やはり、こういう交渉をするに当たっては、もちろん、当時とは相手、大統領も違うわけではありますけれども、しかし、過去に学ぶというのは非常に大事なことなんだろうというふうに思いますし、また、おっしゃったように、今の議論は日米であることは間違いありませんが、特に今回は、全各国に対してこうした相互関税等の対応を取っている、あるいは、車に関して言えば、あるいは鉄鋼に関しては、全世界に対して対応しているわけでありますから、そういった意味においても、米国とまさにその撤回に向けて厳しく対応していく、強く話をしていくというのと同時に、今おっしゃったように、他国ともいろいろと意見交換、情報交換、情報共有しながら対応していく、これは非常に大事だと思っておりますし、また、過去の事例もまた御教示いただければと思います。
○江田委員 アメリカの歴代大統領は、米国の膨大な財政赤字を日本人の金で米国債を買うことで支えているんだという認識は全くないんですよ。だから、これは加藤大臣とベッセントで話してほしい。要は、これだけの為替リスクを抱えながら、二百兆円も、ロールオーバーで償還金を買い換え買い換え、それで米国の財政を支えているんですから。まずこれを言わなきゃ駄目ですよ。
その意味を込めて、橋本さんはこれを言った、ジャブを打ったんですよ。理不尽な要求ばかりしているけれども、あなた方、私同様の日本の金であなたの財政を支えているの分かっているんですかということを言ったんですよね。それは、一時的には怒ってきますよ。何とか、ガイトナーだ、ガートナーか忘れました、財務次官が赤い顔してどなり込んできたけれども、その後、ぴたっと理不尽な要求は止まりましたよ。認識したから。トランプさんも知りませんから、こんなこと。だから、その辺も頭に置いて交渉していただきたいというふうに思います。
だから、私が言いたいことは、さはさりながら、この償還金は、何度も言うけれども、主権国家の自らの金ですから、米国債を売れと、違うんだから。
しかも、さっき言ったように、一日の為替取引高からいったら簡単な話。為替変動に及ぼさないようにやれと言えば、日銀のオペレーションはちゃんとやりますよ。トランプが本当に円高に振れさせろと言ったら、その意向に沿ってばっと売ればいいんです。そうしたら一時的に円高に振れますから。
そんなことは簡単な話だということは、私は、元財務官に、まあ財務省というのは、皆さん、外為特会の知識がないのは当たり前なんです、だって、絶対、伏魔殿で、公開しませんからね、金融マフィアの世界は。それはしようがないと思います。私は、元財務官につぶさに内幕も聞いていますから、その上で言っています。何の問題もありません。我が党の議員にもそう説明をまたしますからね。
二十兆、三十兆円ベースで、為替変動しないようにオペレーションで売ることもできるし、トランプが円高に振れさせろと言うんだったら、売ればいい。分かりました、トランプ大統領の意向どおりやりますでやる、そういうことを言っているんですよ。そうしたら、六兆、七兆、短期証券を償却した上で、純増で、永久じゃないですよ、二年、三年は六兆、七兆、八兆、純増で緊急財源が出るから、私は、それを物価高対策に充てろ。私が今言っているのは、食料品の消費税ゼロ%は五兆円だからこんなのは軽く出ますよと言っているんですよ。
だから、トランプさんの意向にも沿うし、物価高対策にもなるんだから、さっき誰か言っているように、間の悪いどころじゃない、間がいいんですよ、今。間がいいんだよ、何言っているんだという話ですよ、本当に。全く分かっていない、外為特会のことが。
それから、最後、そんなに懸念されるなら、一つ、僕、アイデアを出しますから。ドルを円に替えるから駄目なんでしょう。そうしたら、ドル・ドルでいいじゃないですか。トランプが関税をかけてきて日本の輸出企業は大打撃だというんだったら、返ってきたドルでドル融資すればいいじゃないですか、ドル債で。それは、だって、ドル・ドルだから全然関係ないじゃないですか。それは、加藤大臣、やりませんか。
○加藤国務大臣 ちょっと、委員のスキームが今のお話で必ずしも見えてこないんですが、基本的には、企業に対する融資ということ、外貨建て融資ということであれば、一義的には金融機関、場合によっては政府金融機関がやる役割なんだろうと思います。外為特会が中小企業等に直接融資を行うということは多分ない、そんなことはおっしゃっていないんだろうと思いますので、そういった意味において、そのスキームがどういう形になっていくのか。
また、他方で、今、JBICが企業の海外展開支援等のためにドル資金を貸し付ける際には、JBIC自身のドル資金調達を補完する形で、外為特会からJBICへのドル資金貸付けも行われている。そういうスキームも、今やらせていただいているところでございます。
○江田委員 スキームは幾らでも考えられる、そんなものは。だから、アイデアとして、二十兆、三十兆ベースで、ドルベースで返ってくるんだから。輸出企業は困って、いずれやるんでしょう、景気対策。我々だって考えますよ。そのときに、このお金は、ドルで、輸出企業というのは、だってドル決済が多いんだから。どういう形であれ、ドル融資とか何でもいいですよ。ドルでやれば、その分、円が浮くんだから、その円は一般会計で国民のために使えばいいじゃないですか。これが一つ。
もう一つは、政府の支出で、ドルベースでやっているやつがあるじゃないですか。例えば、防衛資機材は、これは二三年度の数字ですけれども、約一兆円はドル払いなんですよ。無償資金協力、例えば外務省、これはちょっと少ないので三億ドルですよ。これはドルで払っているんだから、外為特会に返ってきた償還金のドルを払えば、その分、一般会計は隙間が空くじゃないですか。それで景気対策をやればいいじゃないですか、物価対策も。
僕は、アイデアですよ、スキームなんて、大臣、政治家なんだから、スキームは幾らでも考えられる、そんなのは法律改正もすればいいので、我々は立法府なんだから。そういうアイデアを、大臣、考えた方がいいですよ。
○加藤国務大臣 いろいろアイデアを出していただいて、ありがとうございます。
今の防衛装備品等の外貨建て支出でありますけれども、外貨資産の管理等に係る経費を超える支出について外為特会から直接的に支出できるようにするのは、これは適当でないんだとお分かりなんだと……(江田委員「変えればいいんだ」と呼ぶ)ちょっと待って。聞いてくださいよ。
その上で、国庫金を外貨建てで送金する場合、民間銀行で両替する代わりに、外為特会の保有外貨を用いて市場レートで両替する、そして両替手数料も節減する、こうした効率的な国庫管理、これは現在も行っているところであります。
○江田委員 あなた方が償還金を円転するのも実質的な為替介入だと言うから、為替介入にならない方法を提案しているんだよ。本当に財務省というのは、今、デモをかけられておるんですけれども、若手官僚がかわいそう。少しは国民のために、財務省、これやって、あれやってとやらないとまずいですよ。だから言っているんですよ。この前レクに来た若手官僚も励ましておきました。あなた方、上が頭が固いやつがいっぱいいるかもしれないけれども、あなた方が突き上げろと。何の問題もない、こんなことは。
時間がないので、最後。
今、いろいろな、とにかく与野党とも対策を考えるときに、給付金、何か引っ込められるそうですけれども、給付金がある。それから、岸田総理が去年やられた所得減税もある、定額減税もある。それで、我々が訴えている消費減税。我々と言うのは悪いな、反対のやつもいるから、うちの党内に。だから、私が訴えている消費減税、食料品ゼロであれ、五%の時限的減税であれ。これは経済効果というのははっきりしているんですよ。
それで、野村総研の木内さんという人も、要は、給付金の倍、経済波及効果があると。これは内閣府の経済モデルを回した結果なので。木内さんのシミュレーションによると、給付金はGDPを〇・二一%押し上げる、消費税率の引下げは〇・四三%押し上げる。これは五兆円ベースですよ、五兆円の給付金、五兆円の消費税減税。これは〇・四三%、二倍ある。これは第一生命の永浜さんが同じ内閣府のモデルを使ってやると、同じ結果が出ているんですよ。
それは当たり前ですよね。だって、給付金だって、所得減税だって、一部は貯蓄に回るんだから。だけれども、消費減税というのは、使った分だけ全額消費に結びつく。当たり前ですよね。
そこで、内閣府、今日の経済研究所、内閣府モデルを使ったとシンクタンクが言っているので、これは正しいんでしょうね。
○菱山政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの民間調査機関による試算につきましては、いつ時点のGDPを使っているかなど細かい試算の前提に不明確な点はあるものの、内閣府の短期日本マクロ計量モデルの乗数等を活用した機械的な試算になっているものと考えております。
ただし、モデルにつきましては、一定の仮定により経済を抽象化したものですので、また、現実の経済そのものではありませんので、現実の政策効果は時々の経済社会の環境に応じて変化し得ることから、モデルによる政策効果の大きさは相当程度の幅を持って解していただく必要があるとは考えております。
○江田委員 何それ。税金を使ってモデルをつくっているんだから。
委員長、計算して、とにかく出させてくださいよ、五兆円ベース。
○井林委員長 後刻、理事会で協議します。
○江田委員 オーケー。
加藤大臣、頑張ってください。私でよければいつでも説明に行きますから、自動車交渉も。これは国益がかかっているので。是非お願いします。
終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。
今日、ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。今、ちょうど日米の交渉、外為特会についてお話がありましたので、私もそのテーマからお聞かせをいただきたいというふうに思います。
日本時間の昨日、赤澤経済再生担当大臣が、トランプ大統領のほか、ベッセント財務長官、グリアUSTR代表と会談をされました。赤澤大臣は、為替については話題に上らなかったと。
ちょっと通告外で、最初、お聞かせいただきたいんですけれども、来週、加藤財務大臣もアメリカに行かれる予定で、二十二日にもベッセント財務長官と会談、協議をされるのではないかという報道もされています。今、フィナンシャル・タイムズとかフランスの新聞とかで、日本はモルモットだとかカナリアだとか言われて、みんな世界が日本の交渉を注視しているわけですから、さしずめ加藤財務大臣もそういったことでまた注目をされるというふうに思います。
まず、通告外でお聞かせをいただきたいと思うんですけれども、赤澤さんの一回目の協議で為替がテーマに上らなかったということですけれども、そのことに対する受け止めと、来週協議に臨まれるということでございますので、そういったことに向けた方針であったり意気込みというものを少しお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○加藤国務大臣 テーマとして上がらなかった理由というのはちょっと私も承知していませんので、答えるのは控えさせていただきたいと思います。
その上で、今後の中身について申し上げることは、先ほどから申し上げておりますように、為替に、あるいは為替市場にいろいろ臆測を生むということもございますので、それは控えさせていただきたいと思っています。
為替については、これはさんざん申し上げているんですけれども、米国との間で、為替レートは市場で決定されるもの、また、為替レートの過度な変動、無秩序な動きは経済、金融の安定に対して悪影響を与え得る、こういった認識はこれまでも度重ねて共有をさせていただいていると思っておりますので、今回は、そうした認識をベースとした上で、日米間の意思の疎通、これをこうした会談で積極的に図りたいと思っております。
ただ、日にちをおっしゃっていましたが、まだ日にちがコンクリートしているわけではないということでございます。
○斎藤(ア)委員 ちょっと、為替について少しお話をさせていただきたいと思います。
トランプ大統領は、本日もほかの方から御紹介いただいているように、日本は為替を円安に誘導している、けしからぬというような論調で、これまでも日本に対する批判をおっしゃっているわけでございますけれども、逆に、ここ数年は日本は過剰な円安に苦しんでいて、物価が上がって国民生活が苦しくなるという結果を招いている。
そして、急激な変動で政府が度々円買い・ドル売りの介入をするなどして、円レートを少し、急激に円安になることを止めようとする動きを逆にしているぐらいで、トランプ大統領がおっしゃっている、円安に誘導しているというよりかは、確かに金融政策で円安になった結果ではありますけれども、逆に今、政府としては、どうやってこの過剰な円安を止めるのか、特に、急激な変動については介入などを行ってそれを抑制するということも行っているわけですから、トランプ大統領のおっしゃっている御認識と、そして、今政府が置かれている立場、行っていることというのは、ここ数年では現実として異なってきているのではないかなとも思うんですけれども、その点について、財務大臣はどう認識されていますでしょうか。
○加藤国務大臣 トランプ大統領の発言を含めて、それについて一つ一つコメントは差し控えさせていただいておりますけれども、日本は、元々、通貨安政策、これは取っているわけではありませんし、また、昨年実施したドル売り・円買いの為替介入からもその点は明らかだということも、私も対外的に申し上げているところでございます。
○斎藤(ア)委員 そういった交渉になるかならないか分からないし、基本的に為替というのはマーケットで決まるものだという共通認識の下で協議をしていくんだということを繰り返し財務大臣はおっしゃっていますけれども、仮に、これは仮定の話ですけれども、米国政権からプラザ合意のような合意を求められる、つまりはドル売り・円買い介入というものをしよう、しろとか、そういった合意をする場合、ドル売りの円買い介入を行う場合、日本政府は、保有する米国資産、米国債などを売却して、ドルを売って、そして円を買うことになりますので、この場合、今問題になっている米長期金利の上昇だとか、あるいはそういった米ドルに対する信認不安みたいなものを生み出してしまう。これは今、トランプ大統領さんが非常に嫌っているところでもあると思うんですけれども。
ドル売りの円買い介入というのは、アメリカから見たら、トランプ大統領から見たら、一面的にはドルの価格が下がってトランプ大統領にとって好ましいかもしれないけれども、日本が米国債を売るということはドルの信認問題にもつながると思っていて、米国にはその面では好ましくない結果を招くと思うんですけれども、その点については、財務大臣、何かコメントはいただけますでしょうか。
○加藤国務大臣 ちょっと仮定の話に一つ一つお答えするのはいかがなことかなという感じはするのでありますけれども、まず、為替については、先ほど申し上げた共通認識に基づいて、日米間の意思疎通を積極的に図っていきたいと考えております。
その上で、米国国債金利がどうなっていくのかというお話であります。
これは、需要、供給、様々な要因で決まるわけで、一概に申し上げるのは困難だと思っておりますが、私ども、日本の外貨準備の運用に当たっての考え方としては、金融・為替市場へ攪乱的な影響を及ぼさぬよう最大限配慮しつつ運用を行う、これを基本原則としているということでございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
ちょっと関連してもう一つ、通告外になりますけれども、今の御発言について御質問させていただきたいんですけれども。
トランプの相互関税の措置以降、ドルが大幅に安くなっている、そして米国債の金利が上昇をしている、つまり、米国債の値下がりが起きていて、米ドルの信認問題、先ほど申し上げましたけれども、そういったことが世界的にも注目をされているところでございます。そういったことがあって、トランプ大統領が、相互関税、九十日間の猶予を与えたということは、こういった米国債の金利の上昇というものが背景にあるということはよく報道されているところでございます。
ベッセント財務長官と、来週、二十二日という報道はありますけれども、まだフィックスされていないということでしたけれども、どのような交渉になるかはもちろん分かりません、その交渉の中身をつまびらかにされることはないんだろうというふうに思いますけれども、為替が持ち出されるかもしれないということは、為替を議論するということはベッセント長官がおっしゃっているわけですから、それは出てくるかもしれませんけれども、先ほど、日本の立場からすれば、為替というのはマーケットで決まっているんだから、それを操作をするというのはいかがなものかというのが基本的な立場にあるということは十分に理解をしております。
一方で、日本としては、アメリカの長期金利、米国債の価格が下がる、長期金利が上がる、こういったことを防ぐための協力をする、そういった交渉のカードはあるのではないかなというふうに思っております。米ドルの信用問題が更に発展して、世界でドル建ての資産をたたき売りするような資産家が増えれば、ドルが不足をして、ドルの供給問題にもつながって、それは当然日本にも大きな経済的な悪影響を及ぼし、世界の経済は大混乱するということになりますので、日本は世界最大の米国債の保有国でございますので、その米国債の構成を変えたりとかして、そして長期金利の上昇を抑える、そういった、アメリカを助ける、サポートをするといった交渉カードもあるのではないかと。
為替を必ずしも差し出さなくても、ほかにも交渉カードがある、米国債といったところも交渉カードになる、悪い意味ではなくて、それを支えるといった交渉カードというのも当然あるのではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
○加藤国務大臣 交渉に当たって、ありとあらゆるカードをまず我々としてはそろえていく上で、どういうカードを切っていくことが効果的なのか、またそれが我が国の国益に資するのか、そういった観点から考えていく、これは一般論として言えるんだろうと思います。
ちょっと具体の話について今ここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
日本はモルモットだ、カナリアだと、今、アメリカの懐に飛び込んで真っ先に交渉に行っているので世界が注目しているわけでございますけれども、日本だけが利益を得るようなことを求めても、世界経済が混乱してしまえば、それは日本にとってもよくない結果を招きますし、日本の国際的な信用にも傷がついてしまうわけでございますから、日本とアメリカの交渉を世界経済の安定にもつなげるような結果をつくり出していくためには、米国債、日本が最大の保有国でございますから、こういったところも活用する交渉というのは十分に考えられるし、そういったことも当然考えられていると思いますけれども、しっかりと、そういったことで、世界に利益のある交渉の結果というのも導き出していただきたいというふうに考えております。
少し外為特会のお話を聞きたいというふうに思っております。
外為特会については、我々日本維新の会も、外為特会の活用方法があるんじゃないかということで、様々議論させていただいているところでございます。一番簡単なのが、外為特会の毎年出る剰余金、これを一般会計に繰り入れて、それを財源とするということでございます。実際、既にこの外為特会の毎年の剰余金の七割は一般会計に繰り入れられて、財源として使われているわけでございますけれども、今、資金需要が大変ある、財政も厳しいけれども、でも、税金を上げることはできないし、逆に物価高対策が必要だということで、この外為特会の剰余金の部分を、七割と言わず一〇〇%まで例えば時限的に繰り入れて財源とするといったことは、一番単純な方法として考えられるのではないかなというふうに考えております。
先ほど国光先生が、この外為特会の活用ということがマーケットに悪影響を与えるのではないかということを懸念をされていましたけれども、仮に、剰余金に限った部分、剰余金を一般会計に繰り入れるという話であれば、これは別に、何か直接的にドルの資産を売って円貨を得るというような繰り入れ方はしていないわけですから、これは外為のマーケットに影響を与えないという理解でいいのか、そのことをまずお伺いをしたいというふうに思います。
○加藤国務大臣 今、外為特会の決算剰余金は保有外貨資産の運用収入が元になっております。決算剰余金の一般会計への繰入れは円貨で行う必要がございますから、政府短期証券を発行して見合いの円貨を調達した上で実施をしているということで、直接ドル自体を売ったり買ったりしているわけではないということでございます。
○斎藤(ア)委員 今お話しいただいたとおり、外為特会の剰余金というのは毎年七割は一般会計に繰り入れているけれども、そのドル建ての利益を、毎回毎回、毎年毎年、それをドルから円に替えて繰り入れているわけではなくて、見合いの政府短期証券を発行して、そして、政府の方でドル需要が発生したときにそのドルで支払って、償還に充てているということでございますから、別に、外為特会の剰余金を繰り入れるということについては、マーケットに、市場に影響がないということでございますので。
これは様々な今後の交渉次第ですけれども、今、日本維新の会としましては、教育の無償化、これは既に合意をした内容がありますけれども、具体的に制度設計を自民党、公明党の皆様とさせていただいているところですけれども、その財源をどうするのかという話もありますし、また、物価高対策、ガソリン減税の協議も、今、自公維でさせていただいていますけれども、その財源をどうするんだという話も当然あります。
その財源については、財務省の方でも今いろいろ、我々もコミュニケーションを取っていただいている中で、頑張って考えていただいているとは思いますけれども、一つの知恵として、これは恒久的な財源ではありませんけれども、外為特会の剰余金の繰入れを一時的に増やしていくということも十分に考えられると思いますので、是非そのことは財務省の皆様にも改めて申し上げておきたいというふうに思います。
では、このテーマについては終わらせていただきまして、次、日本国債のお話について質問させていただきたいと思います。
四月十三日のNHKスペシャル、これは日本国債の発行現場を取り上げていた番組でございました。加藤財務大臣、御覧になったか分かりませんけれども、このNHKスペシャルの番組の構成を見ていますと、国債の発行現場が悪戦苦闘されている、財務省の方々が悪戦苦闘している様子を描いていたわけで、本当に敬意を表したいと思いますけれども、私が受け取った雰囲気というのは、多くの国民が受け取った雰囲気でもあると思うんですけれども、国債の発行を行うことが困難になりつつある、だんだんとその困難さが増しているという、そういった雰囲気を感じる番組構成だったわけでございます。
これは、日銀が国債の引受額を減額をしていたり、また、長期金利の上昇局面で、国債価格が下がる局面でございますので、そのタイミングで、国内の投資家も、なかなか日銀の、国債を増やすという判断にはならなくて、困難さが増しているのではないかということを感じさせる番組だったし、私は大変だなというふうに感じたんですけれども、この財務省の国債発行に関する、関連する困難さというのは、その度合いは増していると理解していいのか、その辺り、財務大臣、お伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 ある意味で国債発行も借入れをするわけでありますから、借入れをするというのはなかなか容易ではないということは、まず一般的に言えるんだろうと思います。
その上で、昨年の日銀の国債買入れ減額の決定を受けて、国債の発行、消化については、国内外の幅広い投資家に購入していただく努力、これは一層重要になってきております。そのため、国内外の投資家に向けたIRの取組、また、国債市場で安定的に発行を行う観点から市場の状況や市場関係者の意見などを踏まえて国債発行計画の策定を行っていること、こうしたことがあの番組でも取り上げられた、私も見たところでございます。
今、入札、発行等を通じた資金調達自体に支障が生じているわけではございませんし、発行計画にのっとって粛々と進めているものと承知をしております。
他方、市場においては、国内外の投資家が様々な投資目的や今後の見方などに基づいて投資を行っており、その状況は日々変化しているわけでありますから、市場の信認を維持していく、これが非常に重要だと考えております。
国債発行当局としては、引き続き、金利の動向、また投資家のニーズ、これを見極めながら、市場との対話を丁寧に行い、適切な国債管理政策の運営に努めていきたいと考えています。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
大臣も御覧になったということでございましたけれども、その中で、財務省の中堅の方が、私も顔を拝見したことがある方が、ドバイに行って、海外の投資家にIR活動をする、日本国債の売り込みを行う、PRを行うというような場面も映し出されていました。大変興味深いところで、当然各国とも同様のことを行っているだろうし、普通に、証券を発行する、債券を発行する企業でも世界を回ってIRを行うわけですから、別に海外に売りに行っているからっておかしいわけではないんですけれども。
気になるのが、今後、海外の日本国債の保有比率が高まっていくのかどうかということでございます。今、日銀が半分持っているので、それが土台としてあるわけですけれども、九〇%の日本国債は国内で消化をされているわけですけれども、国内での消化がだんだん難しくなってくるということであれば、やはり海外に引き受けてもらわなければならなくなるということで、海外に引き受けてもらうということになると、さらに、国債マーケット、金融マーケットの影響、状況を注視をしなければならないということに当然財務当局としてはなると思っておりますけれども、この海外の保有比率というのは今後どうなると見込んでいるのか。その点、また財務大臣からお答えいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 広く国債と言ったときに、政府短期証券も含めて申し上げさせていただきますと、国債の保有に占める海外投資家の割合については、これまで、外貨準備や余剰資金の安全な円建て運用手段などとして、国庫短期証券、いわゆるTビルを中心に海外投資家の割合が上昇傾向にありましたが、金利上昇に伴う国内投資家による需要の回復、また国庫短期証券の発行額の減少などもあって、足下ではその割合は低下に転じており、令和六年十二月においては一一・九%と前年比で一・四%の低下となっております。
その上で、投資家の投資動向は、それぞれの主体のニーズ、市場動向など様々な要因によって変化するわけでありますが、国債発行当局として、今後の国債保有者の構成がどうなるか、確たることはそういった意味では申し上げられないということは御承知、御理解いただきたいと思います。
その上で、今後の国債発行の消化については、先ほど申し上げましたが、昨年の日銀の国債買入れ減額の決定を受けて、国内外の幅広い投資家に購入をしていただくということが必要でありますので、そういった意味での努力を更に重ねていきたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
単純に考えれば、半分、五百兆円程度ですかね、日銀が持っているものがだんだんと減らされるということになれば、それを、今後どういった展開で構成が変わっていくのかはなかなか予見しづらいですけれども、海外に引き受けてもらわなければ消化をできないという状況がまた進んでいくことも考えられるのかなとは思います。足下では下がっているということではございましたけれども。
その番組の中でも、海外の投資家と財務省の担当の方の会話の中で、海外の投資家の方からは、日本の今後の財政というのはどうなるんだ、それを財務省はどう考えているんだとか、あるいは、日本の政治情勢でこの財務状況というのはどう変わっていくんだということが質問されていました。当然そういった質問が出てくるものだろうとは思いますけれども、改めて見ると、何か身が引き締まる思いというか、我々がここで行っている議論が、日本の国債であったり、ひいては国民生活に本当に直接マーケットを通じて影響を与えるんだなということを、その番組を通じて見たわけでございますけれども。
番組の構成ですから、面白いところを切り取って流しているんだろうと思いますけれども、やはり、日本、大丈夫なのか、日本の財政は大丈夫なのかという質問が取り上げられていたわけでございますから、そのことを国債のマーケットも注視をしているんだろう、それは見なくてもそんなことは分かりますけれども、そういったことを改めて感じたわけでございます。
仮に、国際的な金融市場からの日本国債に対する信認が更に下がるようなことがあれば、既にG7諸国の中では日本の国債の信用格付というのは下から数えた方が早いわけでございますけれども、日本の国債の信認が更に下がる、財政状況に対する信認が下がるということは、国債価格の急落、長期金利の急上昇、一段の大幅な円安などの、今アメリカで起きているようなことが日本でも起きてしまうんじゃないかということが私は懸念をされるというふうに思っております。
もし仮に、国債価格が急落をして長期金利が上昇すると、住宅ローンにも影響して、今ほとんどの人が変動金利で借りているということは二回前くらいの質問で国土交通省からお答えをいただきましたけれども、変動金利で借りている人が大変多いので、すぐには支払いに影響はないといっても、中長期で見れば、その支払いがばっと最終的には増えてしまうということになりますし、また、大幅な円安になれば、輸入物価が更に上がって、物価高は更に加速をするということにもなってしまうというふうに思いますので、国債の金融市場からの信認、これが揺らぐようなことが更にあれば、国民生活にも多大な悪影響を私は及ぼしてしまうと思います。
今、どうやって物価高対策をしようかというところで、消費税の減税についても活発に議論が行われているところでございますけれども、その財源を無責任な形で手当てをするということになってしまえば、逆に物価高や、あるいは住宅ローンの金利の支払いが増えて、国民生活が逆に更に厳しくなるという悪影響、結果を招く可能性もあると思いますけれども、そういった財政の信認と、そして国民生活の関係、また消費税減税の議論について、財務大臣からコメントをいただければというふうに思います。
○加藤国務大臣 まさに、御指摘のように、また、先ほど申し上げたように、やはり市場の信認というのは非常に大事であります。ただ、その市場の信認というのはどういう要因があるのかというふうになると、いろいろな要因があるんだと思います。
例えば、貸付けをしようとすれば、日本の経済がどうなっていくのか、きちんと成長していくのか、そういったところも一つのポイントになると思いますし、一方で、返済に対する努力といいますか、そういったものがちゃんと行われていくのか、多面的な面、多面的な要素がそこには取り込まれていくんだろうと思っておりますから、それも含めて、我々として、市場の信認というものを非常に重視をし、一方で、現下の状況を考えると、経済の再生を着実に進める、一方で財政の健全化も図っていくという、こうしたスタンスで取組をさせていただいているところでございます。
○斎藤(ア)委員 日本維新の会としましては、今、国民生活が大変苦しい、そのことをしっかりと支える施策が必要だというのも当然重要でございますけれども、一方で、それを行うために、何か日本の金融市場を大混乱に陥れたり、あるいは将来世代に大きなツケを残すような仕組み、やり方であってはならないというふうに考えていますので、いかに現在の国民生活を支えるための財源を責任を持って生み出していくのかということが、最も今の政治において重要なことだと私も考えております。
その中で、今、日本維新の会として取り組んでいるのが、社会保障制度改革。これは、自民党、公明党さんとも今協議をさせていただいておりますけれども、何も、赤字国債をひたすら発行して、それで国民にばらまいて、それで日本の経済が、そして財政がよくなるのかといったら全くそんなことはないと思いますので、しっかりと、無駄があるところ、コスト削減を行って、それを原資として国民の生活を支えていく、手取りを増やしていく、天引きされるものを減らしていく、こういったことが重要だと考えておりますので、この社会保障制度改革、医療費の改革、これが大変本当に重要だというふうに考えています。
昨日も協議を行わせていただきました。残念ながら、協議に参加していた方のお話を聞いていると、日本維新の会からは、様々な批判を恐れずに、例えばOTC医療薬の保険適用の除外であったり、また、ジェネリックの活用の必須化というか、ジェネリックを活用したからといって付加金が払われなくなるような改革をしていくとか、様々具体的な改革の御提示を自民党、公明党さんにはさせていただいているけれども、ことごとくできない理由をお答えになられて、それで改革の議論がなかなか進まないというのが現在の自公維の協議の状況でございまして、そのことについては我々も更にプッシュをしていくつもりでございますけれども、是非、私は、財務省さんから応援をしていただきたいと思うんですね。
何もこういった改革をしないまま、ただ単に物価高対策だとか、ただ単に国民の手取りを上げようとすれば、また国債を発行して、また日本の財政状況は悪くなってしまうわけですから、そうではなくて、しっかりと改革で財源を生み出して、そして国民にしっかりとそれを渡していく、生活を支えるということが本当に重要だと思いますので、医療費の改革、社会保障制度改革が私は本丸だと思いますし、そのことについては、今、なかなか厚労省さんが固い、自民党の厚労族の皆様は本当に固い状況でございますので、私は財務省から御支援を是非いただきたいなと思うんですけれども、まず、そのことについて、財務大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今後を考えると、やはり、更に高齢化が進む中で、医療、介護を始めとする社会保障給付が増加をする、他方で、現役世代を中心に社会保険料の負担が増加をする、こうしたことの見通しというんですか予測に対して、医療、介護の給付の適正化などを通じて保険料率の上昇を最大限抑制する、これは重要なことだと我々も考えています。
このため、社会保障制度について、次世代の保険料負担を抑制しつつ、負担能力に応じて全ての世代で公平に支え合う全世代型社会保障制度の構築に向けて取り組む必要、これはこれまでも主張させていただき、また、一昨年末に閣議決定をした改革工程表に掲げられた改革項目も、関係省庁も連携しながら着実に実施していく必要があると考えております。
その上で、今、御党と自民、公明三党の合意に基づく協議体において、現役世代の増加する保険料負担を含む国民負担を軽減するための具体策について議論がなされているものと承知をし、我々財務省、また政府としても、そうした議論に必要な協力ということはしっかりさせていただきたいと思いますし、また、そこで結論を出していただければ、それを踏まえて、政府としても適切に対応していきたいと考えています。
○斎藤(ア)委員 これは、どう財源を生み出していくのか、そして、将来世代に負担をかけることなくどう今の国民生活を支えていくのかということで、私は本質的に敵も味方もいない話だと思っていますし、特に、財政について所管する立場の財務省の皆様からは是非様々な面でサポートいただきたいと思っておりますので、そのことは重ねてお願いをさせていただきたいというふうに考えております。
理財局長にも国債の点について最後にちょっとお伺いをさせていただきたいんですけれども、例えば経済対策などを赤字国債を更に発行して行うということになれば、NHKスペシャルで報じられていたような国債発行の現場というのは更に業務が厳しくなるということが、見た感想としては思うんですけれども、赤字国債の増発が国債発行の現場にどのような影響を与えるとお考えなのか、その点、最後にお答えをいただきたいと思います。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、これまでのところ、国債の入札、発行を通じた資金調達に特段の支障は生じていないと認識しております。
国債金利は、財政状況だけでなく、国内の経済、物価情勢や金融政策の動向、あるいは海外も含めた金融市場の動向など様々な要因を背景に市場において決まるものでございますので、金利がどのような影響によって動いているかということを一概に申し上げることは非常に難しいのでありますが、足下におきましては、例えば超長期の金利がほかの年限に対して大きく上昇する局面があったところでありまして、これなどは、その背景の一つとして、財政との関係が指摘されているところでございますし、また、市場関係者の方とお話しする機会もございますが、仮にですけれども、国債の格下げなどが生じた場合には、民間金融機関が行っている外貨調達などにも影響があり得るという指摘なども聞くことがございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
これまで、どちらかというとと言うと変ですけれども、将来世代にどう負担をかけずに、そして、それと同時に、今の国民の生活をどうしっかりと支えていくのか、そういったバランスを取っていく上で何が重要だろうかと我々が考えて、その答えの一つが、繰り返しになりますけれども、やはり社会保障制度改革だということだと思っています。
これまで消費税が上がるということはありましたけれども、所得税といったものは別にこの三十年間上がっていない、むしろ下がっているわけでございます。ただ一方で、社会保険料、我々はもう社会保険税と言ってもいいのではないかと思っていますけれども、社会保険税が、ステルス増税みたいな形で、国民がなかなか注目しない中で、どんどん上がってきたわけでございます。
本当に、働いている人たちには給料明細を見ていただきたいんですけれども、所得税、住民税等に比べて社会保険料がとてつもない金額で今引かれているわけでございまして、これをどうにかしないと国民生活を支えることもできないし、これをどうにかしないと財源を生み出すということもできないと思っておりますので、そのことに全力をこれからも尽くしていきたいというふうに考えております。
最後に少しだけ法案の部分の確認をさせていただきたいというふうに考えております。
この産業投資を行うための投資勘定については一定程度必要な部分もあるということは、理解は我々日本維新の会としてはしております。さきの政策投資銀行の法案については我々も賛成をさせていただきましたので、問題はあるということは指摘をさせていただきつつ、一定程度必要な部分もあるだろうとは思っておりますけれども、この投資勘定が規律なく使われてしまう、国会の審議、目が届かないところでその投資がどんどんと広がってしまう、規律が失われるということについては日本維新の会としても大変危惧をしているわけでございまして、投資勘定の膨張であったり、あと、規律のない投資の拡大みたいなことを防ぐことが重要だという認識を財務大臣として持っていただいているのか、重ねて確認をさせていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 今回の投資勘定の行う産業投資の原資は、先ほどから申し上げておりますように、NTT、JTからの配当金収入等であり、こうした貴重な自主財源の活用に当たっては、国がリスクマネーの供給を行う必要性を精査し、投資事業の安易な膨張を招かないように留意しつつ、規律ある運用を行うことが重要と考えております。
今般の改正は、スタートアップ支援や脱炭素化、経済安全保障などの面で公的なリスクマネー供給の重要性が高まっている中で、投資勘定の歳入の変動をならし、安定的、機動的にリスクマネーを供給することを目的として行うものですが、運用に当たっては、節度を持ち、透明性の高い形とすることを考えております。
具体的には、投資財源資金への繰入額や借入れによる資金調達額については、他の特別会計の資金等と同様に、特別会計法にのっとり、毎年度の予算で議決をいただく、また、その増減、見通しについては予算添付書類として国会に提出することに加えて、運用上の限度額の考え方などを審議会に説明した上で公表していきたいと考えております。
今般の改正による投資勘定の機能強化と併せて、車の両輪とも言えるガバナンスの向上、これは御指摘のように重要な課題でございます。足下で、ポートフォリオ管理体制の整備、また産投機関同士の連携強化に向けた取組などを進めておりますが、今後とも、産業投資の一層の運営改善、ガバナンスの強化といった管理面における取組も併せて進めていきたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 この法案の採決は来週火曜日に予定をされているということで、今、少数与党の状況ですから、どういった結果になるか分からないわけでございます。通るかもしれないし通らないかもしれないということでございます。
仮に通らなかったとしても、本当にこれは、日本の産業投資として、国策として重要だという話であれば、当然、各党は話は聞くと思います。我が党の中にも、そもそも政府が産業投資すべきではないという根強い意見を持っている方もいますので、それはその時々によって判断は変わるわけでございますけれども、本当に国策として必要なのであれば、都度、国会審議の場で、一般会計に繰り入れるというか、一般会計から特別会計、産業投資にお金を振り分けるといった、そういった判断を国会に諮れば可能な部分もあると思いますので。
法案審議がどうなるか、最後、結果は分かりませんけれども、通った場合でも、くれぐれも慎重な説明であったり運用をしていただきたいし、通らなかった場合でも、丁寧に国会へ説明することによって、必要なことであればしっかりと国会の審議を経てやっていくということで、その姿勢でお願いをしたいというふうに思います。
以上で質問を終わらせていただきます。
○井林委員長 次に、岸田光広君。
○岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広です。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
特別会計及び財政投融資は、国の予算運営、リスクマネーの供給等において重要な役割を担う一方、不透明性や非効率な運用が長年指摘されてきました。国民の信頼を確保するため、改革の進展と課題を十分に検証する必要があります。本日は、特別会計改革の歴史的経緯や具体的な成果、財政投融資のガバナンス強化、官民ファンドの運用実態等について質疑をさせていただきます。
まず、加藤大臣にお伺いをしたいと思います。
特別会計は、一般会計とは独立した予算管理により、資金の流れが不透明で、裏予算との批判も受けてきました。このような問題意識の下、特別会計改革が始まったと理解しておりますが、具体的にどのようなきっかけや歴史的背景で改革が進められてきたのでしょうか。また、特別会計に関する法律制定を契機に特別会計の統廃合が進み、透明性向上が図られたとされていますが、この間の主要なマイルストーンや具体的な改革内容についてお聞かせください。
○加藤国務大臣 委員会でもいろいろ議論がありましたが、特別会計について、過去、予算全体の仕組みが複雑で分かりづらい、国民による監視が不十分となり無駄な支出が行われやすい、まあ、先ほどすき焼きの話もございましたけれども、多額の剰余金等、財政資金の効率的活用が図られていないといった指摘がなされてきたものと承知をしております。
そうした指摘を踏まえて、平成十七年に閣議決定されました行政改革の重要方針、また、平成十八年に成立をいたしました行政改革推進法において、各特会の統廃合や特会改革の方向性について定められ、その後、平成十九年に成立した特別会計に関する法律において特別会計に関する規定の整理がなされ、特別会計の統廃合が進められており、特別会計の数を申し上げれば、平成十八年度の三十一が令和七年度には十四となっているところでございます。
その上で、特別会計法の成立以降、現在に至るまで、特別会計の区分経理の必要性などについて不断な見直しを行ってきていると承知をしており、引き続き、特別会計改革の趣旨に沿って様々な取組を進めていくべきものと考えております。
○井林委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○井林委員長 速記を起こしてください。
岸田光広君。
○岸田(光)委員 では、再開させていただきます。
次の質問に移ってまいります。
かつての財政投融資制度には様々な問題点がありました。予算とは別枠で動いていたため国会のチェックが弱く、不透明と批判されていたこと、民間よりも競争意識が弱く、非効率な事業や赤字事業にも資金が流れていたこと、郵貯、簡保の巨大資金が政治的に利用されていたこと、また、財投機関の赤字補填が最終的に国の負担となるケースもあり、隠れた国の債務とみなされていたことなどといった点です。
財投改革を経て、具体的にはどのような制度変更がなされたのでしょうか。また、それが実効性のある改革となっているのでしょうか。財政融資ではどのような取組や改正が行われて現在のような形となっているのか、御説明ください。
○窪田政府参考人 お答えします。
財政融資につきましては、平成十三年度に、郵便貯金、年金積立金の全額預託義務を廃止するといった抜本的な改革を実施しております。
具体的には、郵便貯金等の全額預託義務を廃止し、マーケットの規律の下、必要な資金だけを財投債などにより調達することとし、資金調達と貸付期間のミスマッチに起因する金利変動リスクを低減するため、資産負債管理の高度化を図っております。さらに、ディスクロージャーの徹底として、政策コスト分析の導入や財投機関における民間準拠の財務諸表の導入を行い、効率的な運用を図って対応してきているところでございます。
○岸田(光)委員 それでは、次に、財政投融資についてお聞きしたいと思います。
投資勘定についても改革をこれまで進めてこられたと思います。どのように改革を進めてこられたのか、御説明ください。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
投資勘定につきましては、特別会計改革の方針が盛り込まれました平成十七年の閣議決定などにおきまして、投資の対象を必要な範囲に限定し、財政融資資金特別会計に移管するといった方向性が示されました。これを受けまして、投資勘定は、平成十九年の特別会計法の成立に至るまでに、収益性の低い基礎研究開発への出資の抑制、また、この勘定の前身であります産業投資特別会計を廃止し、財政投融資特別会計の下に投資勘定として移管するといった見直しを行っております。
その後、平成二十八年や令和三年のフォローアップにおきまして、出資とリターンの関係を一元的、継続的に管理し、その成果について一覧性を持って分かりやすく示すために、一般会計及び他勘定とは区別して経理する必要があるとされるなど、その必要性を検証、確認された上で現在に至っております。
また、こうした特別会計としての必要性の検証も踏まえつつ、産業投資について、その役割をより適切かつ効果的に果たしていくために、平成二十六年や令和元年、直近でありますれば令和六年におきまして、財政制度等審議会での議論、取りまとめを通じて運営改善に努めてきたところでございます。
今後とも、一層のガバナンスの強化等、適切な管理、運営に努めてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 御説明いただいたように、特別会計改革や財政投融資の透明化が進んだにもかかわらず、JOIN、クールジャパン、A―FIVE等において、投資の失敗や不透明な運用が問題となりました。JOINでは、海外インフラ投資の不良債権化、クールジャパンでは、採算性の低いコンテンツ事業への過剰投資、A―FIVEでは、農業ベンチャーへのリスク管理不足が指摘されています。
改革後のガバナンス強化やリスク管理がなぜ機能しなかったのでしょうか。お答えください。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
投資勘定では運営改善には努めてまいりましたが、他方で、各産投機関における個別の投資案件において大きな損失が生じていることは御指摘のとおりでございまして、出資者である財務省としても大変遺憾に考えております。
これまでも、産投機関の運営改善に向けた取組といたしまして、例えば、官民ファンドの累積損失について、各ファンド及び監督官庁がその解消のための計画などを策定、公表した上で、計画からの乖離が認められる場合には、改善計画を策定する、それでもなお乖離が認められる場合には、速やかに組織の在り方を含め抜本的な見直しを行う、その見直しによる成果が上がらないときには、統廃合を前提に具体的な道筋を検討するという、いわば三段階で改善を徹底する仕組みが設けられてはおります。
また、JOINの損失計上を踏まえた有識者委員会における検証においては、事業から撤退するタイミング等をあらかじめ定めていなかったという課題を洗い出し、その改善策を講じることといたしております。今年一月の官民ファンド幹事会等閣僚会議におきましては、JOINの例を参考に、他の官民ファンドにつきましても適切な運用に取り組むよう、官房長官より指示をいただいているところでございます。
財務省といたしましても、出資者の立場から、財投計画の編成過程などを通じ、各ファンド及び所管省庁に対し、ガバナンスやリスク管理の一層の改善に向け、不断の対応をいたしてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 それでは、具体的な事例でちょっとお伺いしていきたいと思います。
先ほど矢崎委員の方からも御質問がありましたけれども、国土交通省所管のJOINについてお聞きしてまいります。
このJOINについては、関与したテキサス新幹線プロジェクトを含め、二〇二四年三月期に七百九十九億円の損失を計上し、累積赤字が、先ほどもありましたけれども、九百五十五億円に達しております。テキサス新幹線プロジェクトについては、民間企業からの出資がない中でJOINが投資を継続した結果、適切な撤退時期を見誤った可能性があります。なぜこのような投資を行い、撤退が遅れたのか、説明をお願いします。
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
テキサス高速鉄道事業は、巨額かつ長期間の投資が必要となる高速鉄道事業であり、事業の初期段階から様々なリスクが想定されたこと等から、民間事業の参画を促進するための環境整備を行うため、建設段階に至る前段階にJOINが先行投資したものです。
JOINの損失計上を踏まえて設置した有識者委員会の最終報告においては、官民ファンドは民業補完が原則であることから、リスクの大きいJOINによる先行投資は対象外とすべきであるとされました。これを踏まえ、JOINにおいては、先行投資は対象外とする旨の措置を講じております。
また、本事業の前提には我が国の新幹線技術を導入するための許認可の取得が条件であったところ、連邦政府の方針の変化により許認可の取得が長期化しました。結果的に、当初予定していた事業期間が延びたこと等から、撤退の遅れにつながったものです。
有識者委員会の最終報告では、撤退基準の明確化などのリスク管理の指摘がなされており、これらの改善事項に真摯に対応してまいります。
○岸田(光)委員 こういった案件は当然、リスクがあるものですけれども、やはり、リスクの評価、民間が全くついてこれなかったというような状況もあります。リスクの評価及び見通しの甘さがあったのではないかと思います。
次に、個別の出資案件におけるJOINと民間パートナー企業との出資割合について伺います。
テキサス新幹線プロジェクトでは、JOINは最大の出資者とはならないというルールがあったにもかかわらず、民間企業からの出資がない中で、先ほども申し上げましたが、JOINのみが出資を継続していました。このようなずさんな運用がなされることがないよう、出資割合については厳格なルールを設け、歯止め機能を果たすべきだと考えますが、見解を伺います。
〔委員長退席、国光委員長代理着席〕
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
JOINが支援を決定する際に従うべき基準、支援基準においては、JOINが我が国事業者との間で最大出資者とならないこととする一方、最大出資者となることが一時的な場合にはこれを認める例外規定があります。
JOINの損失計上を踏まえて設置した有識者委員会の最終報告において、この例外規定の適用は出資金の払込時期のずれ等の技術的な場合にとどめるべきとされました。これを踏まえ、昨年十二月中旬にJOINの取締役会において、同趣旨を明確化した取組の方針が決議されております。
国土交通省においても、JOINによる先行投資は対象外とする旨をJOINに対して通知しているところであり、今後、適切な運用が行われるようしっかりと監督してまいります。
○岸田(光)委員 先行投資といいますけれども、結局、民間はついてきていないので、民間企業、パートナー企業とのコミュニケーションも全然取れていなかったんじゃないかというふうに思わざるを得ません。
この関連でも財務省にもお伺いしたいと思います。
このJOIN、もうほとんど国営と言っても差し支えないような状況だったと思います。ずるずるとこのファンド、比率が高まるということは、投資が失敗してもファンドの損失は抑えられ、非効率な運営に移行しがちです。具体的なルールを求めて、出資者としても、歯止め機能、これを果たすべきだと考えますが、財務省としてどう考えるか、お聞かせください。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
官民ファンドは、民間のリスクマネー供給の活発化を目的としておりますので、その評価に当たりましては、御指摘のような、入口だけでなく、官民ファンドから個別プロジェクトへの投融資、いわば出口において民間からの資金参画をどの程度得られているかという点も見る必要があるとは考えておりますが、その上で、入口の官民ファンドに対する出資につきましては、政策目的の達成に向けて安定的な経営が求められることなどの理由から、政府が発行株式の二分の一以上を保有することが規定されております。
御指摘の非効率な運営の弊害の回避という点につきましては、官民ファンドが実際の投融資を行うにつきまして、官民ファンド内において、民間の社外取締役を中心とする意思決定機関の議論を経ること、官民ファンドが出口で最大出資者とならないようにすることなどの工夫を行い、民間の知見や民間の資金を最大限活用する仕組みとしております。
以上のことを踏まえますと、入口における官民出資の比率に直ちに一律のルールを設けることには困難な面があると思いますが、引き続き、不断の見直しを行っていくことで、官民ファンドへの出資、官民ファンドからの投融資の両面における官民のバランスに配慮しながら、効率的な運営の下、成長分野等に対する適切なリスクマネーの供給に努めてまいりたいと考えております。
〔国光委員長代理退席、委員長着席〕
○岸田(光)委員 この入口のところも、客観的かつ合理的、定量的なルールと仕組みがやはり必要だと思います。どうしても恣意的になってしまうところがあるので、それはやはり必要でないかとは思います。
次に、JOINの巨額の損失ですが、公的資金を投入する、扱う機関として、国民の信頼を揺るがす重大な問題だと思います。この損失の発生について、JOINの経営陣の責任、先ほど答弁もあったかとは思いますが、改善計画を着実に実行していくという答弁だったと思いますが、しかし、例えばこういう大きな損失を出した場合、民間ではこれはやはりあり得ないと思います。例えば、役員の辞任とか報酬の返上、また内部統制の強化、これも図っていかなければならないと思います。このような措置が必要と思いますが、これについて見解をお聞かせください。
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
JOINにおいても、二〇二三年度決算において多額の損失計上に至った事態を重く受け止めているものと承知しております。
昨年十二月中旬の改善計画の策定以降、JOINにおいて、取り組めるものから直ちに改善策を実施しているところであり、新たに策定した改善目標、計画の確実な達成に向けて全力で取り組むことを通じて、その経営責任をしっかりと果たしていただきたいと考えています。
また、内部統制の強化については、リスク管理部門への職員の配置換えやコンプライアンス組織の拡充等を実施しております。
○岸田(光)委員 九百五十五億円もの損失を出していて、やはり経営責任が問われていないじゃないかと私は思います。
二〇二四年三月期のテキサス新幹線の損失に対する改善計画の提示が十二月となりました。公的資金を活用する機関として、国民への迅速な説明責任が求められる中で、九か月も改善計画の策定に時間がかかったというのは重大な問題だと思います。
改善計画の策定が十二月までかかった要因、また内部の意思決定プロセス、ガバナンスの課題が何だったのかをお答えください。また、財務省におきましては、このような遅れをどのように評価し、今後、同様の問題を防ぐためにどのような監督強化策、情報の迅速化策を講じる予定か、お答えください。
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
昨年六月のJOINの二〇二三年度決算の公表後、多額の損失計上を踏まえ、八月初旬に、国土交通省に、JOINの役割、在り方、経営改善策等の幅広い観点から検証、検討するための有識者委員会を設置しました。
有識者委員会においては、JOINが多額の損失計上に至った要因について、パートナー企業等へのヒアリングや二〇二三年度決算において損失計上した個別事業についての検証を含め、十二月上旬まで七回にわたり検討が行われました。
当該有識者委員会が昨年十二月に取りまとめた最終報告を踏まえ、同月、国土交通省及びJOINにおいて改善計画を策定するに至ったものでございます。
○窪田政府参考人 ただいま御説明ありましたように、有識者委員会において丁寧に議論を行った結果、一定の時間を要することになったというふうに承知はしておりますが、出資者の立場といたしまして、各産投機関に対して、課題があった場合には速やかに対応するよう今後とも求めてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 いきなり投資の見込みが急激に悪化したわけではなく、ある程度予兆はあったと思います。この問題を認識し、この改善計画を作るまでにやはり時間がかかり過ぎではなかったかと思います。
また、財務省におきましても、やはり、出し手としての、最終的なゲートキーパーとしての役割をしっかり果たしていただきたいと思います。
また、このJOINの件以外にも、ブラジルやミャンマーでの事業ではJOINが損失を出しましたが、実際に損失を出す前に、パートナー企業は関連する損失を既に計上していたと伺っています。JOINが官民ファンドとしてパートナー企業と連携する中で、なぜパートナー企業の損失時点でJOINは損失を認識せず、翌年まで計上を遅らせたのか、その理由と経緯を詳細に説明してください。事業リスクの評価や情報共有の遅れ、会計処理の判断基準に問題はなかったのか。また、財務省として、JOINのガバナンス不備をどのように評価していますか。今後、同様の遅れを防ぐために、PDCAサイクルがちゃんと機能するように管理強化策や体制改善策を講じるべきと考えますが、この点につきまして御所見をお伺いします。
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
一般に、事業の損失計上を行うかどうかは各社の判断によるものと承知しておりますが、JOINにおいては、二〇二三年度の決算で損失計上した事業も含め、毎年度の決算において、監査法人の意見も踏まえながら、会計ルールにのっとって損失計上の要否について判断を行っており、その判断については監査法人からも、適正との意見を得ているところです。
損失計上や公表の在り方については、有識者委員会の最終報告において、JOIN特有の課題や官民ファンド一般の課題が存在することも踏まえつつ、パートナー事業者との計上、公表時期がずれた場合に、ステークホルダーへの説明を行うことが必要との指摘がなされています。
これを踏まえ、今後のJOINの決算においては、パートナー事業者の損失計上の有無を確認し、損失計上する場合には、JOINにおいても損失計上することを検討するなどの対応を行うこととしております。
○窪田政府参考人 財務省といたしましても、監督省庁である国土交通省やJOINにおいて今御説明申し上げたような取組がしっかりと実行され、ステークホルダーに適切なタイミングで説明がなされるよう、きちんと求めてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 伺ったところでは、会計上の基準の違い、減損処理をしていく中で、国際会計基準とかUS―GAAPと日本のジャパンGAAPとの違いで、パートナー企業の方は先に認識したということなんですけれども、会計基準の違いで、やはり、認識したとしても、そのリスクはもう顕在化していたわけですから、そのリスクをしっかり把握して、連携しておくべきだったんではなかったかと思います。
次に、特別会計は、統廃合、情報公開が進んだものの、国民や国会にとって依然として分かりにくいものとの批判が根強く残っています。予算の使途、運用実態、収支の詳細を更に見える化するため、どのような改善策を講じる予定でしょうか。
年金特別会計や外為特別会計など巨額の資金を扱う会計は、複雑で、実態が分かりにくい状況です。財務省はウェブで決算書を公開はしていますが、専門知識がないとなかなか理解が難しく、リアルタイム性や視認性に欠けていると思います。やはり事前に数字をチェックしにくい状況だと思います。その上で、財政投融資の投資勘定について、その運用の成果についてどのように見える化をしていくか、具体的に教えてください。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
投資勘定につきましては、産業投資の出資とリターンの関係を一元的、継続的に管理し、その成果について一覧性を持って分かりやすく示すために区分して経理する必要があると整理されてきておりまして、御指摘のとおり、その運用状況について、投資とリターンの関係をより分かりやすく示すことは重要と考えております。
現在、各機関からの配当金、納付金について公表しておりますが、より一層一覧性を持って分かりやすく運用の成果等の情報などへのアクセスができるような工夫ができないかということを含め、一層の改善に努めてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
今回の特別会計の改正案におきまして、冒頭の質問で、数値基準、実際に留保する金額、それを大体三千億円というふうに見積もって、保守的に考えて一千五百億円という数量的基準を一定考えるようなお考えもお示しいただいたんですけれども、資金の財源留保の水準と借入金の上限額、こちらにつきましては、やはり、数値基準をしっかり決めた上で、まあ考え方はお示しいただいたんですけれども、それだけでは恣意的な運用を防ぐには不十分ではないかと考えています。定量的かつ合理的な指標を対外的に明示すると同時に、経済状況に応じて随時、基準を見直す仕組みを整備していただきたいと思います。
また、大型案件につきましては、財政制度等審議会による事前評価等も検討していただいて、多くの専門家の意見を取り入れるプロセスを確立すべきだと思います。過去の道路特別会計の余剰金問題を教訓に、資金上限設定、国会の事前承認、年一回の運用報告の法制化等を検討して、この歯止めをしっかりつくっていくべきだと思います。
数値基準の設定を超え、これらのガバナンス強化策を具体化し、資金の過剰なため込みや不適切な借入れを防ぎ、国民の信頼をしっかりと確保していっていただくことを強く要望させていただきます。
本日の質疑を通じまして、特別会計また財政投融資の透明性向上とガバナンス強化の必要性を改めて確認させていただきました。
国民民主党は、国民の税金を扱う以上、不透明な運用や非効率な投資は決して許されず、徹底した見える化、説明責任が不可欠と考えます。JOINやクールジャパン等の失敗事例を教訓に、定量的基準の明示や事前評価の法制化、運用報告の義務化など、具体的な歯止め策を早急に講じるべきだと考えます。
国民の信頼を回復するため、資金の過剰なため込み、恣意的な運用を防ぐ仕組みを構築し、経済状況に応じた柔軟な基準見直しを進めることを強くお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。
本日はありがとうございました。
○井林委員長 次に、中川宏昌君。
○中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。
まずは、今日、立憲民主党さんの方から修正案が提出されましたので、その点につきまして二点確認をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
昨今の国際情勢、とりわけ米中間の関税政策をめぐる対立は、世界の金融市場を大きく揺るがせております。実際に、先週も、経済の先行きに関する不安が広がりまして、世界同時株安が生ずるなど、国際金融の安定性が揺らぎかねない状況となりました。こうした中で、我が国といたしましても、経済、金融の安定確保に万全を期していくことが求められているところでございます。
今般御提出されました、外為特会から一般会計への繰入れを可能とするというこの修正の御提案は、国際的には、日本政府が保有する米国債を含む外貨準備を売却する可能性があるとの誤認を招きかねないと思料されるところではないかと思っております。特に、市場は政府の財政運営に対して敏感に反応しまして、いたずらに疑念を増幅させれば、円高や金利上昇などを誘発して、企業会計また家計への悪影響が波及するおそれもあるところであります。
今回の修正案は、国際金融市場に対しまして日本が外貨準備を取り崩す意思を示したと受け止められかねず、金融の不安定化を招くリスクもあるかと思いますけれども、提出者の見解をここでお伺いさせていただきます。
○櫻井委員 お答え申し上げます。
ただいま委員から、金融の不安定化を招くリスクがあるのではないのか、こういった御質問をいただきました。
今般の修正案の七十三条は、あくまで外国為替資金特別会計から一般会計に繰り入れることができるようにするための規定でございます。さらに、七十九条の二を設けまして、予算で定めるところによりと規定しております。すなわち、外国為替資金特別会計に係る予算は国会で審議され、その審議内容は国内外に公開されますことから、市場の疑心暗鬼や金融の不安定化を招くリスクは想定されない、このように考えてございます。
なお、二年前に当委員会において審査を行いました防衛財源確保法においても、外国為替資金特別会計から一般会計に繰り入れるような条文がございましたけれども、このときには市場の疑心暗鬼を招くようなことはなかったと承知をしておりますし、金融の不安定化を招くようなこともなかったというふうに承知をしております。
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
たとえ売却の意図がなかったといたしましても、繰入れ可能という規定が法律上明記されることによりまして、市場はそれを、将来的に外貨準備の取崩しがあり得る、こういったメッセージとして受け止められないのかなというふうに私自身は思っております。
次に、もう一点だけお伺いします。財政的な構造についてお伺いをさせていただきたいと思っております。
今回の修正案の趣旨は、外為特会が保有する外貨建て資産を売却して、その売却益をもって一般会計の財源に充てるという構想であると理解をしております。
外為特会の外貨建て資産は、あくまで政府短期証券という円建て短期の負債を発行して調達した資金によって取得されたものでありますので、借金をして取得した資産である以上、その資産の売却によって得た円貨を、元の借入れを償還せずに一般会計に移すことになれば、これは、外為特会の健全性、また、会計制度上の区分管理の原則に反するのではないかという懸念が生じるかと思っております。この点は、いわば片務的な資産処分でありまして、将来世代へのツケ回しにつながる危うさをはらんでいるのかなというふうにも思っております。
財源確保の手段としてこうした形式的な資産の売却と繰入れを行うことは、外為特会の本来の趣旨、また責任ある財政運営の観点からも懸念があるのではないかと考えるところでございますが、提案者の御見解をお伺いさせていただきます。
○櫻井委員 お答え申し上げます。
外国為替資金特別会計の本来の趣旨や責任ある財政運営の観点からも問題があるのではないのか、このような御指摘をいただきました。
委員御指摘のとおり、外為特会の本来の趣旨を損なわないようにするべきというふうに私も考えますし、責任ある財政運営の観点は重要であるというふうに考えます。
そこで、修正案では七十九条の二を設けて、予算で定めるところによりと規定しているところでございます。すなわち、外国為替資金特別会計は、予算審議を通じて外国為替資金特別会計の本来の趣旨にのっとった運用がなされるものというふうに考えますし、また、内閣及び財務省において責任ある財政運営が行われるものというふうに考えております。
なお、先ほど片務的というお話もございました。この点については、先ほど江田委員からの発言にもございましたとおり、これは、外貨建ての資産を売却した後、それを、例えば円で発行しております政府短期証券の返済に充てて、更に含み益等も現状あるものですから、その残余の部分について一般会計に繰り入れるとか、様々な運用の方法があるというふうに考えますので、必ずしも片務的になるとは考えておりませんし、また、片務的にならないような運営をしていくべきというふうに考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
先ほども、私、触れさせていただいたんですが、外貨資産を購入する際は政府短期証券を発行して賄っているものでありまして、その資産が売却等をされる場合には、その政府短期証券の償還に充てるのが私は適切ではないかというふうに思っておりますので、その点は付言をさせていただきたいと思っております。
それでは、修正案提出者への質問は以上でございますので、階委員、櫻井委員におきましては、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
それでは、原案について何点かお伺いをしたいと思います。
通告の問い三を飛ばしまして、問い四の、投資勘定における借入れが新たに可能とされる点について、お伺いをさせていただきたいと思います。
これまで、NTT株やJT株等からの配当金等を主たる歳入としまして、自己資金中心に運営されていた投資勘定が、借入れという新たな手段を得ることで、資金繰りの柔軟性は確かに増すものと考えます。一方で、借入れには当然、金利負担や返済リスクも伴い、財政健全性や市場の信認に影響を及ぼす可能性もないとも言えません。今、日本のみならず世界でトランプ関税による金融不安が広がっておりますので、金融当局はしっかりリスク管理をしていただいているとは思いますが、ここは万全な体制で対応をしていただきたいと思っております。
そこで、今後借入れを活用するに当たってどのような財務リスク管理の方針を設けていくのか、借入れ限度、債務償還の優先順位、金利上昇時の対応など、ガバナンス面での具体的な運用設計についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
今般、投資勘定の借入れに係る規定を手当てするに当たりましては、借入れについて適切なリスク管理を図ることが財務規律の点で重要と考えております。
こうした観点を踏まえまして、借入れにつきましては、年度中の産業投資の執行状況等を精査いたしまして、真に必要な金額に限って行うこととなりますが、その際、NTT等の配当金収入などの恒常的に見込まれる収入を勘案しつつ、財政融資資金からの固定金利、複数年度の均等償還の借入れをすることにより、毎年度の償還支払い額を一定限度内に収め、毎年の必要な産業投資と安定的な借入金の償還が行えるよう対応してまいります。
なお、借入金額の運用上の限度額につきましては、先ほど申し上げた投資財源資金への財源留保の限度額、私の方から、過去のいろいろな動きを踏まえますと、三千億円程度と計算される中から、当面こうした試算を踏まえて保守的な目安を設けること等を申し上げて、当面の間は三千億円の半分程度、千五百億円程度ということを検討していると申し上げましたが、借入れについても同じような考え方で、自主財源をならすという点では共通の考え方になりますので、同じような考え方で限度額について検討したいと考えております。
また、他の特別会計の借入金同様、投資勘定の毎年の借入れの限度額につきましては、予算において議決をいただくこととなっており、国会における統制と節度ある透明性の高い実務対応を通じて適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
慎重な運用を重ねてお願いいたしたいと思いますが、借入れは制度の柔軟性と引換えに信頼を損ねるリスクもあるのではないかと思っております。機動性の名の下に財政規律がじわじわと緩まないよう、不断の検証をお願いしたいと思います。
続きまして、問い五を飛ばしまして、問い六に入らせていただきます。政策効果の実効性と現場への波及という観点からお伺いをさせていただきます。
今回の改正によって産業投資の資金供給における柔軟性が高まることで、AIや再生可能エネルギー、レアメタル確保といった成長分野へのリスクマネーの供給がより積極的に行えるようになるとしております。こうした成長分野や経済安全保障に関わる投資はしばしば都市部や大手企業に集中しがちでありまして、地域における中小企業やスタートアップ、また大学発ベンチャーなどへの波及が限定的になるのではないかとの御意見も聞かれるところであります。
制度の運用において、地方創生や中小企業支援、また地域資源を活用した再エネプロジェクト、いわば全国津々浦々の経済波及効果をどう確保していくのか、今後の制度設計や投資判断の在り方において地域経済との接続をどう図っていくのかという点について御認識をお伺いさせていただきます。
そして、加えて、個別案件については産投機関がそれぞれの判断で進めているわけですけれども、こうした機関が現場のニーズや地域が望んでいる政策目標と十分に連携できているかどうかという点も大事な視点であると思っております。
こうした産投機関の投資判断における政策的な整合性、特に地方公共団体との情報共有や協議の場など、どのように制度的に担保していくのか、現場との接続に対する工夫ですとか今後の課題認識について、併せて御答弁をいただきたいと思います。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
地域経済の活力を取り戻す経済政策として、地方創生策の拡充などが重要な課題となっていると認識しております。
こうした中、日本政策投資銀行や脱炭素化支援機構といった各産投機関におきまして、地方公共団体等との直接の対話や課題調査の実施、支援事業者による地域住民とのコミュニケーションの確保などにより、現場のニーズに即して地域経済の活性化等に資する施策の実施に努めていると承知しております。
連携ということに関してですが、個別機関の中には、地方拠点がないことなどから地方での活動が限定的な例もあります。
財務省では近年、いわゆる官民ファンドの支援スキーム等を地域金融機関等に対して説明する合同説明会を実施していることに加え、地域公共交通や離島航路など地方公共団体の抱える課題のうち、財政投融資を活用して解決し得るものに関するセミナーの開催などの取組を行っております。
今回の法改正によって安定的、機動的にリスクマネーの供給ができるようになることから、財務省といたしまして、地方公共団体との連携を一層強化し、地域創生など地域の課題解決に資するリスクマネーの供給により積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
是非、地方が取り残されることなく、各地の挑戦が大手に劣らず評価される運用を強く期待いたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。
先ほどこの委員会が五分止まりましたね。定足数といって、半分出席がないと委員会は開けないんですけれども、半分を欠けていました。これは二回目ですよね。過去にも今国会中一回ありました。しかも、今日は法案審議という、これは政府・与党が法案の審査をお願いをするという立場であるにもかかわらず、さっき確認しましたけれども、与党は半分出ていなかったと。これは本当に与党には猛省を促したいと思います。
それともう一つ。今日も主計局長が来ていただけません。私もやみくもに嫌がらせのように主計局長を呼ぶのはやめようと思って、必要なときに、しかも、今日のこの特別会計法というのは、主計局も大いに関わる、前回の改正のときには主計局が主管の局であった、それから各党への説明も主計局と理財局が両方説明に来ている、このくらい主計局に関わるにもかかわらず、主計局長は来ない。
何か、財務省は、予算委員会は主計局長で財務金融委員会は次長なんだということですけれども、予算委員会はもう終わっていますし、しかも、それを、与党がそのままの言い分を受け止めて、そして理事会で合意できないから呼べないと。これは本当に与党に私は苦言を申し上げたいと思います。財務省の何か言いなりみたいになってしまうと、これはやはり。財務省にも、国民の今デモが起きたりしていますけれども、やはりそういう姿勢が、謙虚な姿勢が私はないんじゃないかと思いますので。
何度も言いますけれども、主計局長だけですからね、所管の委員会に大臣がいるのに局長が出てこないなんという局長は、霞が関広しといえども主計局長しかいないんですよ。こういう制度は私は国会が毅然としてやはり変えるべきだということを申し上げて、質問に入りたいと思います。
今日は日銀総裁に来ていただきました。お忙しい中、ありがとうございます。ちょっと法案とは関係ないんですけれども、やはりトランプ関税の問題が、先ほど、大きな議論になっていますので、ここは重要な局面なので、日銀総裁に是非確かめておきたいんですが。
トランプ氏の狙いは、やはり、先ほどからあるように、円高・ドル安に持っていこうということで、そのためには、日本が利上げをすれば、それはそっちの方に進むわけですよね。そういう意味では、よもやと思いますが、今度、四月三十日、五月一日に金融政策決定会合がありますけれども、今のところトランプ氏は、昨日も為替の問題は言及しなかったと言っていますけれども、しかしこれから出てくるに決まっているし、そして、またそれを忖度して日銀が利上げを決定するなんてことはよもやないと思いますが、日銀総裁に確認いたします。いかがですか。
○植田参考人 お答えいたします。
まず、為替相場の水準やその評価について、私どもから具体的にコメントすることは差し控えさせていただければと思います。
いつも申し上げていますように、為替相場については、経済、金融のファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要であると考えています。
その上で、私ども日本銀行としましては、引き続き、二%の物価安定目標を持続的、安定的に実現するという観点から、適切に金融政策を運営してまいりたいと考えております。
○高井委員 物価政策の観点からという御答弁で。しかし、今の答弁だったら、五月一日にいきなり上げたって、いや、うそはついていませんというか、そんな答弁になってしまいますよね。
確かに物価政策でやっていただけばいいんですけれども、私は利上げには反対です。それはやはり、今のインフレというのは、確かにインフレですけれども、コストプッシュインフレなんですね。この間、三月二十六日に、私の質問に、現在のインフレのかなりの部分がコストプッシュだと日銀総裁自らがお認めになっています。
いろいろ分析してみると、生鮮食品を除く消費者物価上昇率二・四%のうち、食料品の寄与度が一・三四%なんですよ。そのうち米の寄与度は〇・四四%。こんなに、やはり米の、米価の値上がり、そして食料品の値上がりがこの物価上昇に寄与しているんです。まさにコストが上がっているということで、これは供給側の要因ですから、私はこの状況で利上げをするのは筋違いだと。
ましてや、今、企業が一万件倒産したんですよね、去年一年で。超えたんですよ、一万件を。そして、今回のトランプ関税騒動で、資金は、やはりリスクを回避して、アメリカから日本に集まってくることも明白じゃないですか。そうなれば、これから円高が進む要因しかないんですよ。
そういった中で、ここで利上げを断行すれば、私は、ますます過剰な円高に進むおそれがあって、ただでさえピンチに立っている輸出企業にも更に大打撃。そして、何よりやはり、中小企業、倒産が一万件、これが一万件じゃ済まなくなる。大きな問題があると思います。
日銀総裁にお聞きしますけれども、今言ったように、食料品の値上がりによるコストプッシュインフレなんだから、利上げしたって物価を下げる効果はないんじゃないですか。いかがですか。
○植田参考人 委員御指摘のとおり、現在の物価上昇につきましては、米を含む食料品価格上昇の影響が大きくなっております。ただ、こうしたコストプッシュの影響については今後徐々に緩和していくというふうに私ども見ております。
一方で、賃金の上昇も受けまして、コストプッシュの影響を除いた基調的な物価上昇率は徐々に高まってきていると判断しています。私どもとしましては、今後、こうした基調的な物価上昇率が二%に向けて高まっていくという見通しが実現していくとすれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。
ただし、こうした見通しが実現していくかどうかについては、予断を持たずに点検していきます。関税政策の影響を含め、内外の経済、物価情勢あるいは市場動向を丁寧に確認して、適切に政策を判断してまいりたいと思っております。
○高井委員 ここは本当に、慎重にも慎重に、丁寧に丁寧に分析していただかないと、単に物価上昇率が何%だからじゃないんですね。
おっしゃるように、コストプッシュインフレとデマンドプルインフレ、どちらなのかというのはなかなか判断しにくいですよ。ですけれども、申し上げたように、やはり米とか食料品の物価高が多く寄与している、それはお認めいただいたので、そこの部分をやはり、それが今だけだということはないと思いますよ。そして、日本がデマンドプル、つまり需要側、消費が旺盛になっていくなんていう気配は、賃金だけ見れば多少上がっていくかもしれませんけれども、やはりそんな状況じゃないですよ、日本国内、どう見ても。是非そこはしっかり判断をいただいて、私たちは利上げには断固反対いたしますが、是非、日銀総裁にも冷静な判断を、分析をお願いしたいと思います。
総裁、それでは御退席いただいて結構です。ありがとうございます。
○井林委員長 植田総裁、御退席ください。
○高井委員 ちょっと大臣にもお聞きしたいと思いますが、このトランプ関税の交渉で、私は昨日の報道で驚いたんですけれども、これは産経新聞の記事ですね、トランプ氏がSNSで、在日米軍の負担などについて協議する考えを示すと、「防衛省内で「安保を話し合うとは初耳だ」(幹部)と悲鳴が上がった。」と。投稿時点で赤澤氏は既に日本を出発しており、防衛省幹部は同行していなかった、防衛省幹部は十七日朝、これまで米側との当局間のやり取りで防衛負担のフの字も出てこなかったのにと恨み節を漏らした、自民の国防族議員は、十分予期できた事態だ、なぜ誰もついていかないのか、ひどいていたらくだと苦言を呈したと。
これは自民党の言うとおりですね。本当におっしゃるとおりですよ。これは本当に政府の怠慢というか、本当に何か油断というか気持ちが入っていないなというのを象徴するような出来事だと思います。
是非、加藤大臣は、石破総理やあるいは赤澤大臣ともいろいろ相談に乗る立場だし、あるいは為替のことではまた交渉にも行く立場ですから、こういった政府の姿勢はゆめゆめ、改めていただきたい、引き締めていただきたいし、あるいは、できれば、石破総理、赤澤大臣あるいは防衛省にもアドバイスというか指導をしていただきたいと思います。
というのも、私たちは石破総理に総辞職を求めました。この間の予算委員会で大石共同代表が明確に、多分我が党だけですよ、総辞職をはっきり求めたのは。そういう立場ですから、私は、この関税交渉、九十日、七月九日までの間に石破総理はお辞めになるんじゃないか、なってほしいし、なっている可能性があると思っているわけです。
そうなったら次の総理は加藤大臣じゃないですか。菅内閣で官房長官、それから岸田内閣では厚労大臣、安倍内閣でも厚労大臣です。そして石破内閣では財務大臣。まさに経歴的にも申し分ないし、党員投票とかでやればコバホークさんとかの方が強いかもしれませんけれども、国会議員投票でやれば、菅派とか岸田派とか、そういった方たちが、安定感を求めて加藤総理大臣の可能性は私はあると思うので、だから、あえて申し上げますけれども、やはり、今回の日米安全保障も、パッケージで私は交渉すべきだと。これはれいわ新選組としてもそう考えているんです。
というのは、トランプ大統領がレシプロカルという言葉をよく使います。これは相互性とか対等性、これを求めている。不公平だ、対等にしろと言うのであれば、これを逆手に取って、日米地位協定もレシプロカルに、対等に改定しろということを、このくらいのことを言うタイミング、思い切って言うべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 その問いがどこに記されているかちょっと分かりにくいところはあったんですが。
防衛の関係に関して、これはトランプ大統領もいろいろ発信をされているところでありますし、また、今後について、これは私が云々申し上げるわけでは、所掌を超えているというふうに思いますが、大事なことは、やはり、それぞれについて、我が国が今何をやってきているのか、どうやろうとしているのか、こうした正確な情報をきちっと説明をしていく、これは防衛に限らず大変大事なことだというふうに思っております。
その上で、どういうスコープで今回の協議が行われていくのか、ちょっと、私もそこに入っているわけじゃございませんから、それ以上についてはコメントを控えさせていただきたいと思います。
○高井委員 答弁は求めましたけれども、是非そういう思いを持っていただきたいというアドバイスというか、我々の思いをお伝えしたかったので、これから重要な局面を加藤大臣が担う可能性は私は大いにあると思っていますので、是非そういった姿勢で臨んでいただきたいというお願い、要望でございます。
じゃ、法案に入りますが、ちょっと法案はもう、私が通告したことをほかの委員の方がさんざん皆さん聞いてくださったので。我々、この法案に対しては反対です。また反対討論でその理由は明確に申し上げますので。
ちょっと今日どうしても聞いておきたいのは、来週から大臣が海外出張でいなくなって、恐らくゴールデンウィーク明けまで開かれないんじゃないかと推測しますので、消費税の問題。
この間、立憲の長谷川委員にこういう答弁を主税局長はされていました、消費税は間接税だと明確にそういう答弁をしていましたけれども、これは私は大いに疑問なんです。間接税というのは、例えば、典型的なのは入湯税とかゴルフ税ですよ。入湯税というのは、これは入浴する人が払う、それから、ゴルフ税というのはゴルフをする人が払って、それを、特別徴収といって、銭湯とかゴルフ場が代わって納めるんですね、払う人のものを。だから間接税なんですよ。
だけれども、消費税というのは、法律上明確に事業者に課していて、消費者が払うとは書いていないんですね。これは私は、明確に間接税だと言い切るのはやはりおかしい、直接税的な要素、法人税、事業税、そういう性格を多分に有している税金だと考えますけれども、財務省、主税局長で結構ですので、見解をお聞かせください。
○青木政府参考人 お答えいたします。
消費税につきましては、消費税法や、その創設時の税制改革について基本理念などを示した税制改革法の規定に照らしまして、事業者が納税義務者である一方、価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担することを予定していることから、納税義務者と税を負担する者が一致しないことを予定している間接税に該当することと考えております。
また、委員御指摘いただきました入湯税それからゴルフ場利用税につきましては、入湯客やゴルフ場利用客が納税義務者でございます。税を負担する一方、浴場やゴルフ場を営む事業者に対して、利用する消費者から税を特別徴収して納付する義務が課されているという点では消費税とは異なりますが、全体として見ますと、事業者が納付手続を行う一方で消費者が負担する形となっていることから、一般的に間接税に分類されているというふうに承知しております。
○高井委員 今も説明にあった、予定しているとか、あと預り金的なとか、そういう言葉、的なとか予定しているというところに、これはごまかしがあるんじゃないですか。違いますか。
○青木政府参考人 お答えいたします。
預り金的という部分と予定しているという部分についての御指摘かと思います。
まず、預り金的性格というふうに私ども御説明をしておりますが、これは、消費税について、消費者が納税すべき金銭を事業者が法的に預かったわけではないものの、消費税相当額が売上時の対価に含まれて支払われまして、納税されるまで事業者の下にとどまることから、預り金的性格を有するものと従来から御説明をしております。
また、消費者が最終的に負担することを予定している税であるという御説明につきましては、事業者が消費税を転嫁する義務は規定されておりませんが、消費税創設時の税制改革の基本理念等を示しました税制改革法におきまして、事業者は消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとするというふうに規定されておりまして、こうしたことを踏まえまして、そのような説明をしているところでございます。
○高井委員 納得いかないですけれども、時間になってしまったので、引き続きやりたいと思います。
法案審査も重要で、本当はもっと時間をいただきたいし、一日で、今日採決しないんだから、また来週やればいいんじゃないですか、火曜日に。是非質疑していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。
○井林委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
財政投融資特別会計の投資勘定である産業投資について、当初予算の段階で歳入の一部をプールして翌年度以降の歳出に回せるようにする、また、決算剰余金を一般会計に戻さず投資勘定でプールできるようにする、これが法案の内容です。
本来、国の予算は、会計年度独立の原則にのっとり、単年度ごとの予決算であって、剰余金は国庫に返納するものです。例外は、年金事業、これは将来の年金給付のための積立てが必要なための例外、そして保険事業、これは保険料収入と給付額とのミスマッチを年度を超えて調整するために必要だという、こういう極めて限定的に例外として認めているもののはずです。
階議員の質問で詳しい仕組みが指摘されていましたが、今回の法案は、ラピダスへの一・七兆円を始め、半導体、AIの特定企業に巨額の公的支援をするためのものです。開発が成功するかは不明、需要も不明、それでもラピダスに巨額の支援をするために会計年度独立の原則をもないがしろにする。これは余りに道理がないと思います。
大臣にしょっぱなからお聞きしたいんですけれども、財投によるリスクマネーの出融資ということについては、むしろ国会のチェック機能を強めることこそ必要だ、これは、政策投資銀行の法案でも私、質問しましたし、附帯決議の中にもそういう内容があったと思います。ところが、この法案は国会の監視という点で真逆の対応になっていると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今般の改正は、御説明しておりますように、投資勘定のうち貴重な自主財源の変動をならし、安定的、機動的にリスクマネーを供給することを目的として、節度を持ち、透明性の高い形で運用することを考えており、具体的には、他の特別会計の資金と同様、資金への繰入額については、特別会計法にのっとり、毎年度の予算で議決をいただく、また、その増減や見通しについて、予算添付書類として国会に提出するという形で国会のチェックを受けることを前提としておりますので、財源留保は国会のチェック機能を弱めるということにはならないものと考えております。
○田村(智)委員 これはラピダスへの巨額支援ということは、明らかな法案の目的なんですよね。これまでも財投による産業投資は本当にずさんに行われてきたということも、これまでの質疑の中で指摘されてきました。だけれども、国策だからといって巨額支援をまたやろうとしている。それでいいのかということで、私も、国交省所管の官民ファンド、海外交通・都市開発事業支援機構、JOINについて取り上げたいと思います。
JOINは、既に指摘がありましたが、二四年三月末の累積損失が九百五十五億円。うち、米国テキサス高速鉄道事業が最も損失額が多く、約四百十七億円に上ります。テキサス州のダラス―ヒューストン間三百九十キロを日本の新幹線を使って九十分で結ぼうという事業だったわけですが、国内企業からは、JR東海も車両を製造している日立製作所も出資をしていない。
なぜ新幹線関連企業さえ参加していない状態でJOINは出資を進めたのでしょうか。
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
テキサス高速鉄道事業は、巨額かつ長期間の投資が必要となる高速鉄道事業であり、事業の初期段階から様々なリスクが想定されたこと等から、民間事業の参画を促進するための環境整備を行うため、建設段階に至る前段階にJOINが先行投資したものです。
JOINの損失計上を踏まえて設置した有識者委員会の最終報告においては、官民ファンドは民業補完が原則であることから、リスクの大きいJOINによる先行投資は対象外とすべきであるとされました。これを踏まえ、JOINにおいては先行投資は対象外とする旨の措置を講じ、本年三月に開催した有識者委員会によるフォローアップ会合において措置済みであることが確認されております。
国土交通省としては、JOINにおいて徹底的な改革が行われるようしっかりと監督するとともに、最終報告で指摘された改善事項に真摯に対応してまいります。
○田村(智)委員 確認したいんですけれども、JOINの出資事業の中で、民間出資がないまま事業を進めたという案件は何件あるんでしょうか。
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
一件でございます。
○田村(智)委員 この案件だけなんですよ。
JOINは、国内民間企業の出資がないままに、米国の民間企業テキサス・セントラル、TC社に出融資をし、事業参画しました。個別事業の検証の中で、本事業は、鉄道事業の経験が全くなく、専らファイナンスクローズ時の資金回収による利益への関心が高い米国の民間投資家が始めたと指摘しています。また、高速鉄道案件を実施する知見、能力、経験を実施主体であるTC社が欠いていたともあるんです。余りにずさんな事業参画なんですね。
昨年十二月十二日、財政制度等審議会財政投融資分科会では、JOINの存続、これも議論をされていまして、委員の一人から、海外事業の大きな投資リスクに鑑みれば、BバイC分析とそれを踏まえた採算の計算をして投資決定を行うことが国内事業以上に必要というふうに指摘をされています。
ということは、BバイC分析、事業の採算性、これも検討しないままにこの巨額の融資を行ったということになるんでしょうか、この新幹線事業について。
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
テキサス高速鉄道事業を含め、JOINの投資においては、支援内容の決定に当たり、国土交通省が定める支援基準に照らし、長期的収益性についても、その事業性、投資の適否、最適な支援内容を詳細に審査し、法定の海外交通・都市開発事業委員会において判断しています。
JOINの損失計上を踏まえて設置した有識者委員会においては、テキサス高速鉄道事業の検証も行われ、JOINからは、本事業の高い予見困難性を認識はしていたものの、出資を行った後、民間投資資金が集まらない等のリスクが想定以上の規模で発現したとの振り返りがありました。また、有識者委員からは、本事業の出融資は過大であったのではないかといった意見や、高速鉄道事業への関与の在り方自体を検討すべきではないかとの意見もありました。
こうしたことから、本委員会の最終報告では、高速鉄道システム全体を導入する事業については、開発リスクの高さに鑑みて、初期段階からの出資は対象外とすべきとされ、JOINにおいて必要な措置を講じています。
○田村(智)委員 BバイCの分析もやっていないということですよね、国交省の基準にないと。
今答弁のあった有識者委員会の最終報告書には、事業の途中での撤退の可能性を検討すべきだったのにできなかった、組織内の同調圧力を牽制するガバナンスが欠如していたという指摘もあるんです。
この出融資の判断として、結局、情報収集もまともにやっていない。だって、鉄道の知見が全くない企業だったわけですよね。単にクローズ時にどれだけもうけられるか、これを考えている人たちが始めた事業だということですから、そういう情報収集すらやっていなかった。採算性の検証もやっていない。その上、撤退の検討もできなかった。
なぜこうなったのか。私は、国策としての融資だったからではないのかということを指摘せざるを得ないんです。
このTC社への出融資の決定というのは二〇一五年十一月です。同じ年のゴールデンウィーク、半年前、当時の安倍首相が訪米をして、新幹線技術のトップセールスを行っているんですよ。まさに総理案件の国策として、スタートありきで拙速に事業参画をし、そして撤退の判断もできなかった、こういうことではないんですか。
○飯塚政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しで恐縮でございますが、テキサス高速鉄道事業を含め、JOINの投資においては、支援内容の決定に当たり、国土交通省が定める支援基準に照らし、長期的収益性についても、その事業性、投資の適否、最適な支援内容を詳細に審査し、法定の海外交通・都市開発事業委員会において判断しております。
○田村(智)委員 詳細に審査して、こんなまとめが出てくるのかなんですよ。本当にずさんな投資だったわけですよね。
今どうなっているか。これはまだ撤退の判断、最終的な決断はやっていないんですよね。
二〇二三年に全米鉄道会社アムトラックの事業参画の検討が報じられ、今度は岸田首相が日米首脳会談でこれを歓迎したんですよ。そして、JOINは、巨額の債権を計上しながら、まだ撤退ではなく事業実現で債権の回収を見込もうとしていた。これは個別の検証の中に出てくるんです。
しかし、本年四月十四日、米国の運輸省は、テキサス新幹線プロジェクトに対して補助金の撤回を公表しました。事業費は四百億ドルを超えると見られ、建設は非現実的で、納税者にとってリスクが高いとの判断だと日経新聞が報道しています。
もう本事業、完全撤退、全額損失ということになるわけですか。
○飯塚政府参考人 テキサス高速鉄道事業については、二〇一五年よりJOINが支援していたものですが、昨年十一月、支援決定を撤回し、現在撤退手続を行っているところであります。
○田村(智)委員 完全に失敗に終わったということですね。
財務大臣にお聞きしたいんですね。
新幹線の売り込みというのは、私たちも国会で聞きましたよ、安倍総理がやっているのを。まさに国策、そしてリスクマネーの投資、これで完全なる失敗だと。今また同じことをやろうとしているんですよ、ラピダス、半導体。
私は、本当にこういうことに対して厳しい監視が必要で、まさに繰越しなんていうことを法案で決めるべきではないと思うんですよ。ちゃんと単年度主義で、こういう計画ですという予算、決算を行うべきだと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 ちょっと済みません、今回のスキームの中においては、予算という形で特別会計の中でお示しをさせていただき、そしてまた、決算の段階ではそれをお示しをした。おっしゃっているのはそこから先のことなのではないのかなというふうに思います。
それについては、まさに今回のJOINの例は、多額の累積損失が発生して、私ども大変遺憾な事態だというふうに考えております。こうした事態をしっかり踏まえて、今後、こうした対象事業の実施等については厳格な審査を行って、こうしたことがないよう対応していくことが必要だというふうに考えております。
○田村(智)委員 最後に日銀総裁にお聞きをしたいんです。
今、本当にずぶずぶの投資なんですよ、こうなってくると。これは私は、アベノミクスによって、異次元の金融緩和政策によって、日銀が国債の爆買いをしてきた、このことによるモラルハザードが起こっているのではないかというふうに言わざるを得ないんです。
先日のNHKスペシャルで、国債が特集されていました。植田総裁は、一九九六年に財務省から委託調査を依頼され、国債発行に関する分析をして、GDP比一〇〇%を超えると国債発行を減らすことは大変困難になるというふうに結論づけたことが番組の中で紹介されていました。
この研究論文について紹介いただけないでしょうか。
○植田参考人 お答えいたします。
この研究でございますけれども、当時、約三十年前ですが、大蔵省の理財局から委託を受けまして、私が分析した結果でございます。
ただ、その当時の約束としまして、研究した成果は大蔵省理財局の所有になる、いわば版権がそちらにあるという形になっておりますし、私は、その研究をその後自分から公表したということは一切ございません。
したがって、大変恐縮ですが、大蔵省、今の財務省の方にお問い合わせいただければと存じます。申し訳ありません。
○田村(智)委員 理財局長、実はうちの事務所からこの論文を見たいということで要求をしたんですけれども、出していただけなかったんですよ。
植田総裁、理財局が認めればよろしいということで、よろしいですか。
○植田参考人 理財局さんの方でお認めいただければ、私の方は一向に構いません。
○田村(智)委員 理財局、済みません、求めていなかったんですが、こういう流れですので。出していただけないですか。
○窪田政府参考人 実は、御指摘の資料について、財務省においては資料の存在が確認できておりません。
○田村(智)委員 これは、そうしたら、植田総裁、お手元にありますでしょうかね。手元になければ仕方がない。理財局がよろしければ出していただきたいというふうに思うんですけれども。
これはちょっと理事会協議事項にしていただきたいと思います。是非これを読みたいと思うんですよ。しかも、財務省がちゃんと、恐らく予算を使って委託した事業ですよね。これは私たち、読む権利があると思うんです。是非理事会で協議いただきたいと思います。
○井林委員長 ちょっと物がないので、どう協議したらいいのか分かりませんが、後刻、理事会で協議をいたします。
○田村(智)委員 植田総裁、お手元にお持ちですか。
○植田参考人 委託元であります財務省の了解が得られれば提出いたします。
○田村(智)委員 これはNHKが報道しているんですから、理財局も、ないなどというのはちょっと余りに失礼な答弁だというふうに思いますよ。
今、国の長期債務残高、対GDP比は一〇〇%どころか一八〇%にもなっているわけですよ。本当に今、政府の財政規律が失われていて、こうした巨額投資も増え続けるという異常な事態である。ここに対する国会の監視を強めることが必要だと申し上げまして、質問を終わります。
○井林委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
次回は、来る二十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十八分散会