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第19号 令和7年4月22日(火曜日)

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令和七年四月二十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井林 辰憲君

   理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君

   理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 村上 智信君 理事 田中  健君

      東  国幹君    石田 真敏君

      伊藤 達也君    上田 英俊君

      土田  慎君    長島 昭久君

      中西 健治君    根本 幸典君

      福原 淳嗣君    古川 禎久君

      牧島かれん君    松本 剛明君

      山際大志郎君    岡田  悟君

      海江田万里君    川内 博史君

      階   猛君    末松 義規君

      宗野  創君    長谷川嘉一君

      原口 一博君    水沼 秀幸君

      三角 創太君    矢崎堅太郎君

      斎藤アレックス君    萩原  佳君

      岸田 光広君    中川 宏昌君

      山口 良治君    高井 崇志君

      田村 智子君

    …………………………………

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   財務大臣政務官      土田  慎君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     山際大志郎君

  江田 憲司君     宗野  創君

同日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     田中 和徳君

  宗野  創君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

井林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する階猛君外一名提出の修正案を一括して議題といたします。

 本案及び修正案に対する質疑は、去る十八日に終局いたしております。

 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。水沼秀幸君。

水沼委員 立憲民主党の水沼秀幸です。

 私は、立憲民主党・無所属を代表して、政府提出の特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に反対、立憲民主党提出の修正案に賛成の立場から討論いたします。

 政府案に反対する理由は二点あります。

 第一に、リスクマネーの供給については現行法で対処が可能です。我が国の財政状況を鑑みれば、現状のルールを変え、余ったお金を一般会計へ繰り入れることができなくなってしまうことは不健全だと考えます。

 ただでさえ特別会計は、かつて塩川財務大臣が、母屋でおかゆをすすっているのに離れですき焼きを食べていると表現されたように、疑いの目で見られていた過去があり、だからこそ、特会改革が、民主党政権の下、進められてきました。その経緯を踏まえると、すき焼きの冷凍保存を許容するような今回のスキームは、時計の針を巻き戻すことにほかならず、不適切です。

 第二に、財投特会勘定から直接エネルギー対策特別会計へ繰入れが行われようとしている現在の政府行動の不透明さが挙げられます。

 本来であれば一般会計の健全化に寄与するかもしれないトータル二・二兆円という多額の金額を、投資ではなく借金の返済原資として提供しようとする今回の政府方針は、全くもって投資勘定の資金活用先には適していません。

 半導体産業を支援していく、この姿勢については、我が党も間違いなく大切であると考えていますが、今回のスキームの実態は、産業の育成資金ではなく、つなぎ国債の償還資金として用いることを目的としていることがこれまでの質疑を通じて明らかとなりました。

 産業投資のプリンシプルには、「資本コスト以上の適切な収益を確保するため、優れたプロフェッショナルな投資組織であることを目指す。」そのことが掲げられています。この原則を見詰め直したとき、現在政府より提案されているスキームは皆様にどう映りますでしょうか。リターンのない借金の返済原資を出すのであれば、投資勘定を用いる合理性は一切ありません。まさに食べ放題すき焼き肉横流しスキームであり、物価高に苦しむ国民生活を無視して身内だけでおいしい思いをしたいようにも映りかねない、この状況を断じて看過することはできません。

 以上の政府案とは異なり、我が党の修正案は、一般会計の財源捻出のために外国為替特別会計を活用しようとするものであり、これまでの特別会計の理念に沿うものであります。だからこそ、政府案が否決された場合は論理的に修正案も否決されることになりますが、この重要性を御理解していただき、多くの委員に御賛同いただきたいと考えています。

 最後に、国民の神聖なる負託を得て今日ここに集まった野党委員の皆様に前回同様お伝えします。現在、少数与党と言われている状況にあって、野党が一致団結すれば政府案を否決することができます。是非聡明なる御判断を仰ぎたく存じます。

 引き続き、国民生活に寄り添い、よりよい会計制度の実現に全力で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げ、私の討論とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

井林委員長 次に、萩原佳君。

萩原委員 日本維新の会の萩原佳です。

 特別会計に関する法律の一部を改正する法律案の原案に反対、立憲民主党提出の修正案にも反対の立場から討論をいたします。

 特別会計は仕組みが複雑であり、国の財政状況を極めて分かりづらくしているとの指摘がなされてきました。過去には、元財務大臣がこれを表して、母屋ではおかゆを食って節約しているのに、離れ座敷で子供がすき焼きを食っていると述べたこともあります。

 その後は統廃合が進んだものの、令和七年度予算においても歳出純計額は二百兆円を超えています。

 財政の透明性を高め、国民が国の財政上のリスクを正しく認識できるようにすることは、民主主義の発展のために極めて重要であり、これは特別会計においても同様です。その観点から、我が党はマニフェストで、不適切又は冗長な特別会計があれば廃止又は統合することを定めています。

 その点、本法案で、財政投融資特別会計の投資勘定と産投機関との間に投資財源資金を挟むことでここに新たな財布を一つ設けるのは、産業投資の複雑性が増し、冗長であると考えています。

 加えて、今国会の予算審議では、基金への過剰な資金のため込みが論点となりました。財務省からは、本法案によって必要以上の資金をため込むことは想定しないと伺っていますが、基金がこれだけ大きな問題となっている今、同様に特別会計が肥大化する懸念は拭い切れません。

 そして、我が国の産業投資の歴史を鑑み、ベンチャー等に国が投資することに懐疑的にならざるを得ないとの声もあります。リスクマネーを供給して新たな産業をつくるのは民間の役目で、国は構造改革や岩盤規制の打破など小さな政府を実現することで投資環境を整える仕事に集中するという役割分担を徹底すべきではないかとの意見にも真摯に耳を傾けるべきです。

 また、立憲民主党の修正案に関して、外為特会の規模が過剰ではないか、一般財源として活用すべきではないかという議論は我が党内にもあります。一方で、その手法については、金融市場への影響を含めて更なる検討が必要であり、法制化には時期尚早でないかと思料いたします。

 政府には、財政の透明性を高め、民主主義を前に進め、小さな政府、大きな民間経済によって我が国経済を更に発展させることを求め、反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

井林委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。

 会派を代表して、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案並びに同修正案に反対の立場から討論を行います。

 本改正案は、財政特会投資勘定の財務の自立性を高め、資金繰りに柔軟性を持たせながら、必要な分野などに対し機動的に投資資金を供給するために必要とのことですが、一般会計に出し入れすることなく、投資勘定内で剰余金をため込んだり、よそから借り入れたり、別の特会に流用することが可能となれば、資金が有効に活用されているのか、無駄遣いが行われていないかなどの検証面において国会や国民の監視の目は行き届きにくくなり、透明性の観点から問題があり、反対です。

 一方、立憲民主党提出の修正案は、外為特会に無駄にため込んでいる資金を有効に活用するためという趣旨には賛同しますが、外為特会の問題点、論点は多岐にわたるため、どさくさ紛れの財投特会改正の修正案としてではなく、外為特会改正案として提出し、十分な審議を行って結論を出すべきものであり、反対いたします。

 なお、今回の法案審議において、定足数に達しないため、五分程度中断することがありました。法案審議をお願いする立場である与党が、委員の半数が出席していなかったことは誠に遺憾であり、少数与党である立場をわきまえず、緊張感が欠如しており、猛省を求めます。

 また、本法案に主体的に関わるべき主計局長が、予算委員会で忙しいとの理由で出席しないことも極めて遺憾です。予算委員会で忙しいのは財務大臣も同じですが、財務大臣は、当たり前のことですが、予算委員会も財務金融委員会も毎回出席しています。霞が関には百名以上の局長、局長級ポストの人がいますが、大臣が出席する委員会に出席しないのは主計局長ただ一人です。このような財務省の傲慢な態度が、財務省解体デモを引き起こす一因にもなっているのではないですか。

 傲慢な態度を改めようとしない財務省と、財務省のわがままを長年の慣例との理由で唯々諾々と認めている与党に併せて猛省を求め、私の反対討論といたします。(拍手)

井林委員長 次に、田村智子君。

田村(智)委員 私は、日本共産党を代表して、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本法案により、財政投融資特別会計の投資勘定の予算の一部を、会計年度を超えて留保し、翌年度以降に使えるようになります。本来、財政法は、毎年度必要な予算を計上し、一会計年度内に使い切るという会計年度独立の原則に立っており、特別会計内での予算繰越しはあくまでも例外としなければなりません。官民ファンドによるリスクマネーの投融資のためにこの原則の例外とすることは、既に弛緩している自民・公明政権の財政規律を更にたがが外れた状態へと向かわせることになります。

 投資勘定から投融資されたリスクマネーは、多くの案件で巨額の損失が確定し、出資の審査や管理のずさんさが明らかとなっています。

 国土交通省所管の株式会社海外交通・都市開発事業支援機構、JOINは、二〇二三年度の決算で九百五十五億円の損失を計上しました。中でも、安倍晋三元総理がトップセールスで売り込んだ米国のテキサス新幹線事業は約四百十七億円もの損失を出し、先日、米国政府も事業撤退の宣告をしました。トップダウンの国策だからと拙速に事業参画を進めた挙げ句の失敗だと言わなければなりません。

 本法案も、二〇三〇年度までに半導体、AI産業の特定企業へ十兆円以上出資するという国策に沿って、公的支援体制の整備を主たる目的としています。ラピダスには既に一・七兆円以上の公的資金投入が決まっていますが、次世代半導体開発ができるかは分からず、その需要があるかも不明瞭です。過去の失敗の反省もなく、国民の監視を形骸化させ、一部の企業体に巨額の公的支援を行うことは許されません。

 以上を反対の理由とし、討論を終わります。(拍手)

井林委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

井林委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、階猛君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井林委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

井林委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、大野敬太郎君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。矢崎堅太郎君。

矢崎委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 政府は引き続き、特別会計において経理される事務及び事業の効果的かつ効率的な実施、区分経理の必要性、特別会計の資産及び負債の適切な取扱い、特別会計の資産及び負債に関する情報公開について不断に検証し、その結果に基づき、適切な措置を講じること。

 二 各特別会計の積立金又は資金については、現下の国の財政が極めて厳しい状況に置かれていることを踏まえ、各特別会計の必要な水準についてできる限り明らかにした上で、各特別会計の積立金又は資金の額が必要な水準を超えることとなるときは、その性格を踏まえ、超えることとなる部分を一般会計の歳入に繰り入れるため必要な措置を講じるよう努めること。

 三 財政投融資特別会計投資勘定は、産業の開発及び貿易の振興のための資金を出資及び貸付けによって供給するために設けられていることを踏まえ、その趣旨に合致しない資金の供給は厳に慎むこと。

 四 財政投融資特別会計投資勘定の資金によって「官民ファンド」を組成する場合、当該ファンドによる投融資について積極的に情報開示を行うとともに、国の出資割合については当該ファンドの性質を勘案して必要最小限度に留めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井林委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務副大臣斎藤洋明君。

斎藤副大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

井林委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

井林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時十七分散会


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