第22号 令和7年5月16日(金曜日)
令和七年五月十六日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 斎藤アレックス君 理事 田中 健君
石田 真敏君 伊藤 達也君
上田 英俊君 川崎ひでと君
田中 和徳君 土田 慎君
長島 昭久君 中西 健治君
根本 幸典君 福原 淳嗣君
古川 禎久君 牧島かれん君
松本 剛明君 山本 大地君
岡田 悟君 海江田万里君
川内 博史君 佐々木ナオミ君
階 猛君 末松 義規君
長谷川嘉一君 原口 一博君
水沼 秀幸君 三角 創太君
矢崎堅太郎君 萩原 佳君
村上 智信君 岸田 光広君
中川 宏昌君 山口 良治君
高井 崇志君 田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
外務副大臣 藤井比早之君
財務副大臣 斎藤 洋明君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
外務大臣政務官 英利アルフィヤ君
財務大臣政務官 土田 慎君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官) 渡邉 淳君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局長) 岩成 博夫君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 石川 泰三君
政府参考人
(金融庁総合政策局長) 屋敷 利紀君
政府参考人
(金融庁総合政策局政策立案総括審議官) 堀本 善雄君
政府参考人
(金融庁監督局長) 伊藤 豊君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 近藤 玲子君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 大村 真一君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 柏原 裕君
政府参考人
(財務省主計局次長) 吉野維一郎君
政府参考人
(国税庁次長) 小宮 敦史君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉田 修君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
政府参考人
(国土交通省航空局航空ネットワーク部長) 秋田 未樹君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 上田 幸司君
参考人
(日本銀行総裁) 植田 和男君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
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委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
東 国幹君 川崎ひでと君
石田 真敏君 山本 大地君
江田 憲司君 佐々木ナオミ君
同日
辞任 補欠選任
川崎ひでと君 東 国幹君
山本 大地君 石田 真敏君
佐々木ナオミ君 江田 憲司君
―――――――――――――
五月十五日
資金決済に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
資金決済に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
財政及び金融に関する件
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○井林委員長 これより会議を開きます。
財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官渡邉淳君外十八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。矢崎堅太郎君。
○矢崎委員 おはようございます。立憲民主党の矢崎堅太郎です。
今日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、大きく三つ質問をさせていただきたいというふうに思います。まず、物価高対策についてであります。
私たち民主党は、参議院選挙に向けまして、食料品の消費税八%をゼロにする、時限的ではありますけれども、それをお示しする予定でございます。政府におかれましては消費税については引き下げることはないということで、私もこの場で質問させていただいて、大臣からも明確に答えていただいております。さきの日経新聞、五月十日付に載っていましたインタビューでも、大臣から、消費税引下げは不適切というのを私も読ませていただきました。
そこで、ちょっと角度を変えてお聞きをしたいんですけれども、私たちはやはり、消費税の問題点としては逆進性があるということだというふうに思っております。やはり低所得者の方が生活必需品を買う割合が高いわけですから、そこで逆進性が発生している、それを何とかしなければいけないという考えなんですけれども、大臣におかれまして、消費税の問題点として逆進性があることについてはどのようにお考えになっているか、教えていただければというふうに思います。
○加藤国務大臣 消費税については、税と社会保障一体改革ということで、当時、私ども、野党ではありましたけれども、当時の与党の皆さんと御一緒になりながら今日の姿をつくり上げてきたと私自身は思っておるところでございます。
その上で、消費税については、確かに、負担のみを見れば低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高いという意味で、いわゆる逆進性を有するという指摘は承知をしている。また、他方で、軽減税率制度の実施によってその緩和が図られているということは従前から申し上げてきているところでございますし、あわせて、税というのは、税を徴収しながら何をやるのかという支出との見合いで考えていく必要があると思っておりますが、消費税財源が充当される社会保障給付等による受益は低所得者ほど手厚くなっており、所得の再分配につながる面もあることから、こうした受益の面も併せて評価すべきものと考えております。
○矢崎委員 逆進性についてはお認めをいただいたということで、そこは一致はさせていただいたのかと思うんですけれども、そのあとのことについては、ちょっとなかなか、考え方はいろいろありますから、そこはちょっとまだこれから議論の余地があるというふうに思います。
そこで、続きましてですけれども、今、そうはいっても、これだけ物価高が続いて、そして、皆さん、食べるのにも低所得者の方は困る状況にあるわけであります。
そこで、よくこういう局面で使われている昔の話として、民のかまどの話があります。皆さんもよくお聞きになっているというふうに思いますけれども、仁徳天皇のときに、仁徳天皇が丘の上から里を見ると、御飯どきにもかかわらず、かまどの煙が立っていない。そこで、おつきの者になぜだと聞いたら、今、民は大変困窮していて、かまどをたくこともできないということを言いました。それを聞いて、仁徳天皇は、それならば三年間税を取るのはやめようということで、税を取るのはやめたというわけであります。
今まさに日本の状況は同じような状況ではないかというふうに私は認識をしております。本当に明日食べる食べ物にも困る、そしてまた、そもそもお米そのものが、値段が上がり続けて、供給量も少ないという状況においては、まさにそのときと今は変わらない。だからこそ、私はここで何かをしなければいけないと思います。
やはり、政治の一番大切なことは、国民の命と財産を守ること、そして、国民が食べることに困らないようにすることだというふうに私は考えています。その意味で、消費税の八%食料品引下げというのは私は有効だというふうに思っておりますけれども、大臣は、そこについてはちょっと一致できないんですが、今私がお話をさせていただいた、政治は国民が食べるのに困らないようにすることが必要だ、そのために政治はあるというふうに考えておりますけれども、大臣はこの点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○加藤国務大臣 まさに税も含めて財政そのものの役割は、国民が豊かで健康的な生活を暮らしていく、それを支援をしていく、そのために、逆に言えば、税、場合によっては日本の場合は保険料も含めて、それを頂戴をし、そしてそれを効率的に管理し、そして必要があればそれを支出していく、それが基本だと思います。
そういう中で、現下、足下、特に食料品、まあ当初は原油、エネルギー価格でありました。今は若干それが落ち着いているものの、まだそれが高止まりしている。それに食品等の価格が上がってきている。一方で賃金等の努力もしてはいただいていますけれども、それに先行して物価が上昇する中で、国民の皆さん方、特に委員御指摘の所得の低い方々において、大変生活が苦しい、厳しい、こういうお話をいただいている。これは我々もしっかり受け止めておりますし、それに対して対応していくということは、当然、政府と、また政治の仕事だというふうに思っております。
ポイントは、どうやるかということなんだろうと思います。
それについては、御党は御党としてのお立場でそうしたことをおっしゃられたということは十分承知をしておりますが、ただ、物価対策として食料品の消費税の減税について一般的に申し上げさせていただくと、まさに高所得者、高額消費も含めて負担軽減がなされるということで、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者への支援という意味でどういうことであろうか、効率性として乏しいのではないか。
また、全国の事業者において、新たな税率に対応するためのレジ、システムの改修、値段の設定の検討等、様々な影響が生じるため、相当の準備期間が必要になることなどにも留意する必要があると考えておりますので、私どもとしては、既に令和六年度補正予算、令和七年度予算等に盛り込んだ施策あるいは税制改正等について、これをしっかりと具体化し、それを進めていく中で、家計や事業活動に与える影響にも引き続きしっかりと注意を払いながら、物価高対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○矢崎委員 ありがとうございます。
今、大臣のお考えも分かりました。ただ、そうしたら、消費税を下げない、食料品の八%を下げないということの代わりに、今ちょっと御説明ありました、それでは、国民が食べるのに困らないようにするために具体的な方策というものを、何か大臣の方でお考えがあれば教えていただきたいというふうに思います。
○加藤国務大臣 まさにそういった意味で、先般の令和七年度税制改正の所得税について、我々も提案させていただき、また、与野党の合意を含めて修正がなされた、いわゆる物価上昇を踏まえた、主に低所得者層の税負担を軽減するための一人二万円から四万円の所得税減税、これはまさにこれからでありますから、これをしっかり執行していくことが必要だというふうに考えております。
また、足下、先般総理からもお話がありましたけれども、ガソリンに対する支援措置、あるいは、七、八、九月、一番、電気料金、冬と夏場は電気料をよく冷房あるいは暖房で使いますので、その月に対する支援、こういったところにしっかり取り組んでいかせていただきたいと考えております。
○矢崎委員 ありがとうございます。
今大臣から、個別策として、ガソリンへの支援、それから電気、ガス代への支援ということのお話がありました。確かに、これも重要なことでありますが、しかし、これはもう岸田政権のときから言われていることでありまして、その結果として今どうなっているかといえば、状況としてはまだ変わっていない。だからこそ、私は、それとはまた違う策をやって、国民の皆さんが食べるのに困らないようにすることが必要だということを申し上げたいというふうに思っておりまして、そのために私たちは、食料品八%をゼロにする、時限的にするということが最も今やるべきことだということでお話をさせていただいております。
残念ながら、政府のお考え、大臣のお考えがそうではないということでありますから、今すぐそういうことはできないと思います。ただ、やはり、そのお考えというのも現時点でのお考えだというふうに思っておりますので、今後また議論をさせていただきながら、この問題については、どこかで一致できないかということで、これからも議論させていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次です。次は、トランプ関税についてお伺いをしたいというふうに思います。
先日、米中で関税の引下げについて一致をしました。これは本当に私からすると、まさかというか、唐突というか、急にそういうことがあるんだなというふうに思ったわけでありますけれども、このことについて大臣がどのように受け止められているか、教えていただければというふうに思います。
○加藤国務大臣 米中貿易協議の結果については、十二日、共同声明が発表されたところでございます。
米国と第三国との協議について日本国政府としてコメントするのは差し控えたいと思いますが、政府としては、米中間の発表を含め、関連の動向を引き続き高い関心を持って注視していくとともに、その影響を十分に精査しつつ、適切に対応していくということ、これは従前から申し上げておりますが、こうした姿勢で対応していきたいと考えております。
○矢崎委員 他国のことということではありますけれども、しかし、非常にこの結果というものは重大な影響をもたらすというふうに考えております。
そこで、もう一つお聞きしたいんですけれども、この米中の合意に関して事前にアメリカ側から日本に何らかの情報があったのかどうかということについて、教えていただければというふうに思います。
○英利大臣政務官 矢崎委員、ありがとうございます。お答えいたします。
我が国としましては、御指摘の米中間の発表を含め、関連の動向については高い関心を持って注視しております。日米間では平素より緊密に意思疎通を行っておりますが、その詳細につきましては、外交上のやり取りであり、差し控えたく存じます。
いずれにせよ、我が国としましては、関連の動向を引き続き高い関心を持って注視していくとともに、その影響を十分に精査しつつ、適切に対応していく考えであります。
ありがとうございます。
○矢崎委員 英利政務官、ありがとうございました。
今なかなか外交上のあれでお伝えできないということなので、これ以上はちょっと教えていただけないでしょうけれども、やはり、何かあれば、日米間のこれまでの関係を考えれば、情報が入る、まあ今回入っていたのかもしれませんけれども、何らかのそういう関係を更に築いていただくようにお願いしたいというふうに思います。
そこで、大臣にもう一度お伺いしたいんですけれども、今回の米中合意が、今行われております日米の関税の協議にどのような影響を与えるというふうにお考えになっているか、教えていただければというふうに思います。
○加藤国務大臣 今回の米中協議が日米協議に与える影響でありますけれども、各国、置かれた立場、状況、それぞれでございます。米国との協議スケジュールも、また合意の中身、タイミングなどもそれぞれ異なっていくということにはなるんだろうというふうに思っておりますが、ただ、当然、交渉するときにあらゆる情報を用いながら対応していくというのは大変大事なことでございますので、引き続き、米中のみならず、米国の関税措置に係る様々、他国におけるいろいろな交渉状況がどうなっているのか、こういったものに対してはしっかり情報を把握しながら対応していく。
そして、その中で、日米間では双方が率直かつ建設的な姿勢で協議に臨み、可能な限り早期に合意を目指し、首脳間で発表できるよう目指すことで一致をしているわけでありますから、我が国としては、これまでの日米協議の結果を踏まえながら、引き続き、赤澤大臣を先頭に、政府一丸となって、最優先かつ全力で取り組んでいきたいと考えています。
○矢崎委員 是非、この日米の関税交渉は日本の国益にまさに直結をすることだというふうに思います。今大臣がおっしゃられましたけれども、まさに日本としてチームを組んで、しっかり成果が出るようにお願いしたいというふうに思います。
そこで、次は、関税とは別に、日米の為替の問題があります。
このことについては、加藤大臣とアメリカのベッセント財務長官で協議が行われているというふうに承知をしております。
そこで、まずお伺いしたいんですけれども、ベッセント財務長官は、今、アメリカにおいては、トランプ大統領の歯止め役としての期待がかかっているというふうにも聞いております。そこで、四月の二十四日に、直接、財務長官と大臣が会談をされておりますけれども、このカウンターパートでありますベッセント財務長官に対する大臣の印象や評価というものがありましたら、教えていただければというふうに思います。
○加藤国務大臣 先月、ワシントンDCで、五十分間にわたりまして、初めて対面でベッセント長官とお会いをさせていただきました。その中で、会談そのものは大変落ち着いた雰囲気の中で率直な意見交換ができたというふうに認識をしておりますし、ベッセント長官との間では建設的な議論ができる、信頼し得るカウンターパートという実感を強くしたところでございます。
財務長官指名後の最初の外国との大臣級ビデオ会議の相手に日本の財務大臣である私を選んでいただいたという経緯もございまして、日本のことを大変重視していただいているとも考えており、また、御本人は、多いときには年十回ほど来日されたとおっしゃっておられましたけれども、日本については大変造詣も深いという印象を持っております。
現在、ベッセント長官は、経済や金融市場への知見を生かしてアメリカ政府の中でもリーダーシップを発揮されているところであり、様々な課題に取り組まれると承知をしております。我が国との間でも、最も重要なカウンターパートであるベッセント長官と、引き続き、私の場合は為替に関してということになりますが、緊密に連携を図っていきたいと考えております。
○矢崎委員 ありがとうございます。
やはり、為替の安定というものは非常に大事だというふうに思いますので、そういう意味において、加藤大臣とベッセント長官の個人的な信頼関係を築いていただく、そのことが長期的にも日本の国益になるというふうに思いますので、是非とも、そこについてはこれからも引き続きお願いしたいというふうに思います。
そこで、四月に行われた長官との日米財務相会談につきまして、成果と、また何らかの課題があったとしたならば、それについて教えていただければというふうに思います。
○加藤国務大臣 四月二十四日の会談でありますが、為替について、為替レートは市場において決定されること、為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることなどについて、その認識はお互いに再確認をさせていただいたところであります。また、引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致をしたということでございます。
今後の日米協議の内容について具体的に言及するのは差し控えさせていただきますが、こうして築かせていただいた日米の共通見解、これをベースとして引き続き協議を続けていきたいというふうに考えております。
○矢崎委員 ありがとうございます。
その会談を経て、来週また大臣がカナダの方に行かれる、G7で行かれるというふうに聞いております。そこでできればもう一度、財務長官との会談をしたいというような報道も出ておりますけれども、是非また会っていただきたいんですが、そのときに、今回は、前回の会談を踏まえまして、どのように長官と渡り合っていくのか、その辺のお話、もし聞かせていただけるようでしたらお願いしたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、来週、カナダ・バンフにてG7財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されます。同会議に出席をさせていただく方向で、今、国会等についても各党の御理解をいただいているところだというふうに認識をしております。
仮に、来週のG7、私自身が出席をできる、それから、ベッセント長官の方も、ちょっと分かりませんが、日程調整がされて出席できるということになれば、その機会を活用して会談を実施して、そして、為替を含めた二国間の諸問題について議論を行うことを追求していきたいというふうに考えております。
○矢崎委員 是非、為替を安定させるという意味においては緊密な関係が必要だと思います。今回、また次回、会っていただきまして、その辺を更に詰めていただくような、そんなことを期待したいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、三問目に入りたいというふうに思います。今度は、地方銀行の支援についてであります。
私も金融機関におりました。私は都市銀行の方でしたけれども、地域銀行の方ともおつき合いがあって、なかなか大変な状況が続いているということも認識をしております。
そこで、まずお伺いをしたいんですけれども、まず、二〇一八年に公表されております、地域銀行の競争の可能性を分類した報告書がありますけれども、これを踏まえた上での金融庁の対応、そしてまた、最近、頭取のヒアリングというものをやっているというふうに聞いております。そうしたことにつきまして御説明をいただければと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
人口減少や高齢化など、地域銀行を取り巻く環境は依然として厳しい中、地域金融機関において安定した収益や将来にわたる健全性が確保されない場合、結果として、地域において十分な金融仲介機能を発揮できなくなるおそれがあるというふうに考えておりまして、こうした状況を踏まえて、金融庁といたしましては、地域銀行に対して、こうした厳しい経営環境の中でも、地域から求められる金融仲介機能を継続的に発揮するとともに、そのために経営基盤の強化等を通じて持続可能なビジネスモデルを構築することを継続的に促してきたところでございます。
また、その一環といたしまして、各地域銀行の経営陣、頭取と個別に対話を実施いたしまして、今、先ほど申し上げた人口動態などの構造的な変化を踏まえまして、その経営陣、頭取がどのような認識を持たれ、中長期的な戦略や対応を考えているのか、継続的に確認をしているところでございます。
○矢崎委員 金融庁の方でそのようなことをいろいろやっていただいているということなんですけれども、それを踏まえまして、今、地域銀行の経営改革、この状況がどのようになっているかという大臣の認識を教えていただければと思います。
○加藤国務大臣 先般、何か、地域銀行の直近の決算状況が出ていたというふうにも認識しておりますが、多くの地域銀行においては、自らの置かれた環境や今後の展望を踏まえ、持続的な発展、強化を実現することを重要な経営課題と認識し、そのための経営改革に着実に取り組んでいるものと承知をしております。また、そうした経営改革として、組織再編という手段を選択する地域銀行も見られる状況と認識をしております。
なお、金融庁は、地域銀行に対して、日々のモニタリング等を通じて、持続可能なビジネスモデルを構築することを継続的に促してきたところでございます、先ほど申し上げたとおりでございますが。
加えて、金融庁では、地域経済を支える金融機能を維持するために合併、経営統合等を行う地域金融機関が必要経費の一部の交付を受けられる資金交付金制度の創設、また、金融機関が取引先企業の内容を理解して、より付加価値の高いサービスを提供し、自らの収益力も向上できるよう、事業者支援能力の向上を後押しするための、業種別支援の着眼点の公表、企業の事業性に着目した融資を後押しする制度である企業価値担保権の創設などの環境整備を行っているところでございます。
○矢崎委員 そのような現状認識の中、報道によりますと、金融機能強化法に基づく資本参加制度であったり、資金交付制度の期限が来ますけれども、この延長をするという話が出ておりました。金融庁として、今後どのように地域銀行の経営改革を進めていこうとしているのか、これも大臣からお話しいただければと思います。
○加藤国務大臣 趨勢的な人口減少、高齢化という構造的な課題を抱える中で、地域が持続的に発展していくためには、地域銀行がその力を発揮することが求められていると考えております。
具体的には、有望なプロジェクトへの資金供給にとどまらず、地域事業者へのMアンドA支援、地域に必要な事業、人材の呼び込み、地域企業のDX支援などを通じて、地域経済に貢献する力、地域金融力と呼んでおりますが、を一層発揮する必要があります。
そのためには、地域銀行自身が不断に経営改革を行い、経営基盤の強化を行う必要があり、政府としては、地域銀行が思い切った経営改革に臨み、地域で求められる役割を十分に発揮するための環境整備を進める予定であり、その具体的な内容として、今お話がございました金融機能強化のための資本参加制度あるいは資金交付制度の期限延長、拡充などを検討していきたいと考えております。
今後、私の下でこうした関連施策をパッケージ化した地域金融力強化プランを年内に策定し、強力に推進することを通じ、地域銀行の地域金融力の向上を後押しをしていきたいと考えています。
○矢崎委員 是非、これから地域金融力強化プランを作成されるということでありますから、これをまた、どのようなものが出てくるかというものをちょっと注目したいというふうに思います。
それに加えて、報道によると、地銀に対する立入検査も再開をされているというふうに出ておりましたけれども、この立入検査の今後の方針、内容について教えていただければと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
報道では、立入検査の再開といったような言及があった報道がございましたけれども、私どもといたしましては、従前から継続的な情報収集と対話の下で各金融機関の特性を把握し、課題の性質に応じて、必要な場合に立入検査を実施してきたところでございまして、それで、この記事の、本格化というような文言が何を意味しているのかは判然といたしませんけれども。
私どもの金融行政方針におきましても、地域金融機関の経営方針やリスクテイクの状況、経営環境や直面している各種課題の軽重、経営資源等を踏まえながら、有価証券運用の状況や市場リスク、流動性リスク、取引先等の実態把握の状況、こうした信用リスクの管理体制について、検査も活用しつつモニタリングをするということを掲げているところでございまして、金融庁といたしましては、今後も、地域金融機関が地域から求められる金融仲介機能を継続的に発揮し、持続可能なビジネスモデルを構築できるよう、引き続き、立入検査も活用しながらしっかりとモニタリングをしてまいりたいと考えております。
○矢崎委員 ありがとうございます。
本当に地銀の経営状況は非常に厳しいところが多いというふうに思います。それは、やはり、地方の人口減少であり、経済が停滞をしている、その中でいかに地方銀行が生き残っていくのか。やはり、地域にとっても、地方銀行のネットワークであったり、地元の企業を支援するという意味において、健全な形で残していかなければいけない。そういう意味におきまして、私は、やはり、これまではどちらかというと、守りのこういった支援だったと思うんですけれども、今お話を聞くと、これからは攻めの支援であります。それを是非、金融庁として支えて、応援をしていっていただく、そのことが、やはり、日本の地域経済の発展、さらには日本経済の発展につながっていくというふうに思っておりますので、是非ともお願いをしたいというふうに思います。
時間となりましたので、私の質問をこれで終わらせていただきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
○井林委員長 次に、原口一博君。
○原口委員 おはようございます。立憲民主党の原口一博です。
今日は、財務大臣それから日銀総裁と議論をしたいと思います。テーマは、国家の主権とそして国民の暮らし、特に人間の尊厳を守るということでやりたいと思います。
財務大臣、日銀総裁にお伺いする前に少しだけ、政府と事実関係を確認しておきたいと思います。
外務省、先般、尖閣諸島における領空侵犯時に付近を飛行していた我が国小型飛行機の運航者に対して、政府側は事前に自粛を求めたと。我が国の空は我が国のものであって、我が国の飛行機が飛ぶことになぜ自粛を求めるのか。事実関係を教えてください。
○藤井副大臣 御指摘の民間小型機運航者との意思疎通については、関係省庁間において検討の上、その飛行目的が遊覧飛行である点も踏まえ、不測の事態を防ぐ観点から、当該民間航空機の航空の安全を図る目的で、関係省庁から、その運航者との間で意思疎通を行いつつ、飛行の安全性を考慮すべきであるとの考えを伝えたものと承知をしております。
○原口委員 自分の国の空を飛ぶのになぜそんなことをやる必要があるか。とんでもないことだと思います。私も三回尖閣の上を飛んだけれども、誰も何も言いません。皆さんの外交力はどうなっているんですか。
尖閣諸島開拓記念式典、今年百三十年だったんですよ、財務大臣。でも、政府からは誰一人として来ていない。どこに行っているかと思ったら、自公の幹事長は中国に行って握手している。三百六十五日のうち三百五十五日、中国の海警船が尖閣諸島周辺に来ている。海警船は、かつてはコーストガードだったけれども、今は中国解放軍になっている。日本を守る気があるのかと聞きたいと思います。
もう一つ、警察庁。
背乗り、戸籍を利用して、特に婚姻を利用して日本人に成り済ます、こういう事案が散見されています。警察として、この成り済ましに目を光らせているか、そして、戸籍が犯罪捜査に役立っているか。事実関係だけを教えてください。
○石川政府参考人 お答えいたします。
戸籍につきましては、本人確認を行う上で信頼性の高いものであるというふうに認識をしておりまして、委員御指摘の事案を含めまして、事件捜査においても法令に基づき適正に活用しているところでございます。
○原口委員 選択的夫婦別姓において、戸籍の存在が、まあ、中には要らないとか言っている人がいますが、相続についても必要でありますし、何よりも、日本が内側から侵略されているんじゃないか。後で法務省に聞きますけれども。
それからもう一つ、これは通告していませんけれども、警告という形で。
中国は、二〇二五年、今年までに、ソーラーパネルの世界のシェア、約九五%。日本では大規模ソーラーがあちこちに出ていますけれども、今日も長崎の人と話をしましたが、何とそのソーラーの中に不正通信が入っている。不正通信になるとどういうことになるかというと、我が国グリッドにつながっている場合は、送電網をカットされてしまう、若しくはそこから情報を盗まれてしまう。様々なことがあるわけで、政府においては、がらくたのオスプレイとかを買い込むんじゃなくて、内なる安全保障をやっていただきたいということを心から願うものであります。
さて、日銀総裁それから財務大臣に、今日の本題のお話をしたいと思います。
資料一を御覧ください。これが、ジョイント・ステートメント・オブ・ザ・トゥエンティーエイス・アセアン・プラス・スリー。日中韓、ASEANで蔵相会議、中央銀行総裁会議をやられました。
ちょっと本題に入る前に、日銀総裁と幾つかの基本的な点を確認しておきたいと思います。
日銀には昭和七年の教訓というものがございますね。これは何でございますか。
○植田参考人 申し訳ありません。通告いただいていないので、ちょっと何の話なのか、調べてまたお答えしたいと思います。
○原口委員 それはびっくりしました。
昭和七年の教訓というのは何かというと、戦前の日銀の転機になった、日銀の独立性、日銀が政府に言われていろいろなものを買い込んでしまうと日銀の独立性が奪われ、そして、結果、戦争につながったというものなんですね。いや、私が総裁に聞くとは。そうですか、済みません、通告していなかったのが悪いのだと思います。
では、もう一個聞きますが、これは毎回日銀の総裁に聞いていることですけれども、長期金利が一%上昇すると、日銀の財務の健全性はどれぐらい、日銀の、名目ですけれども、毀損しますか。教えてください。
○植田参考人 手元に正確な数字がないので後ほど御報告させていただきますが、二十数兆円程度のはずだと思います。
○原口委員 これは大体、基本的なことで、毎回日銀総裁とやっているんですね。だけれども、総括原価方式だから、そこで直ちに決済するわけじゃないから、日銀の財務の健全性は、幾らバランスシートがこんなに膨らんでいても、ECBやFRBに比べて大体今何倍ぐらいですかね、バランスシートが。それでも日銀の財務の健全性は確保されているというふうに認識しているんです。基本知識なので。
済みません、僕は今日クイズをしに来たんじゃないので、教えてください。財務の健全性は揺るがないということでよろしいでしょうか。
○植田参考人 まず、残高として私どもが保有しております国債に関しましては、国債の金利が上昇しますと評価損が発生しますけれども、これは償却原価法という会計制度を使っておりますので、損益には影響を与えないということになります。
一方で、金利を引き上げていく過程で、各期の損益には利払いのところから赤字が発生するということがございますが、時間がたつにつれて長期国債を金利の高いものに変えていく、変わっていくということがありますので、長期的には収益が上ってくるというふうに考えております。
○原口委員 ありがとうございます。私も間違えました、償却原価方式ですね。失礼しました。
そこで伺いたいんですが、日銀の独立性がなぜ大事か。さっきの昭和七年の教訓から導き出された、日銀の中にある脈々とした、自分たちは独立性を絶対に確保するんだと。中央銀行の独立性がなぜ大事ですか。
○植田参考人 これは基本的に、中央銀行の最大の使命であります物価の安定を保つための政策をきちんと実行するためでございます。
○原口委員 そうですね、物価の安定ですね。
ところが、資料一、それから、皆さんの手元でいうと六ページを御覧になってください。残念ながらこれがアジアにおける日本の今の現状ですね。
ワールド・オブ・スタティスティクス。大学のトップ五百のうち、日本はたった十二しか入っていない。
真ん中は、東南アジアにおけるエコノミックインフルエンス、つまり経済的な影響力。日本は大体赤で表示されますから、ああ、やはり日本が一番なんだというふうにこれを見て思うんだけれども、赤は日本じゃないんですよ。これはチャイナなんですね。圧倒的にチャイナが影響力を持っていて、日本はピンクです。もうほとんど影響力がなくなっている。
次の、横のグラフを御覧いただくと、トップ・カントリーズ・バイ・ハイテク・エクスポーツ、圧倒的にチャイナなんですね、財務大臣。そしてアメリカは三番目。アジアじゃ、ハイテク製品だとベトナムが四番目で、日本は十番目なんですよ。
こういう中で、私は、今回のASEANプラス3、何でここに出ていってこの共同声明になるのかなと思うんですよ。
その中の一部を抜き出したのが一ページです。我々は、不確実性の高まりを乗り越えていく中で、地域の結束と協力の更なる強化を呼びかけると。これはそうでしょうね。我々の目下の政策上の優先課題は、保護主義の高まりやと。この保護主義の高まりというのは、日銀総裁、財務大臣、何のことを言っているんですか。
○加藤国務大臣 これは、これまでもASEAN3の中で保護主義ということは言及をしてきたことでございますので、様々な概念がこの中に含まれているものと考えております。
○植田参考人 委員御指摘の共同ステートメントでございますが、そこでは、先行きの経済見通しに対するリスクの一つとして保護主義の高まりを指摘しておりますが、個別国の特定の政策に言及しているものではございません。
一般論としては、保護主義は、国内の産業や経済を保護するために貿易や投資を制限する政策を指すものと認識しております。
○原口委員 ということは、これは中国を指したわけじゃないんですか。
この中でも自由貿易を守れという人がいて、中国は自由貿易ですか。資本が流動性をちゃんと確保していて、資本が自由化してこそ自由貿易じゃないですか。本来だったら、ここで言うべきことは、中国に対して、ちゃんと流動性を確保しなさい、為替レートはこれでいいんですかということを言うべきじゃないんですか。
トランプ関税の交渉真っただ中で、昨日はシリアに対する制裁解除、それから、イランも、解除したら今度は核合意をすると言っている。世界でアメリカは、中国との間も、合成麻薬関税のところを除いては大体一〇パーぐらいで決着しているわけです。ところが、日本はどうか。日本と韓国、ここに出ている国は、中国以外はまだトランプ関税を抜けていないじゃないですか。鉄鋼とそれからアルミと自動車、二五をやられたら日本はどうなりますか。その最中に保護主義の高まりと言ったらアメリカを指しているように見えるじゃないですか。言うべきことは中国に対して言うべきだったんじゃないですか、資本の流動性を更に高めるべきじゃないのかと。
だけれども、先ほどの六ページを見たら、周りは中国の影響力がこれだけ大きいから、この中で発出するコミュニケは、まさに中国が言いたいことをそのまま言っているようにしか見えないんですけれども、反論があったら、お二人、教えてください。
○加藤国務大臣 保護主義が高まることというのは、まさに各国経済また地域経済にも負の影響を与える、これは従前から申し上げてきたところでございますので、そうしたことを今回も申し上げて、基本的に、こうした多国間でありますから、別に、ある国を言及してそこでするというよりは、そこで示された各国の現状に対する共有する認識、こうしたものを反映して、今回のコミュニケが、共同声明が作られたものと考えております。
なお、ASEANプラス3の財務大臣・中央銀行総裁会合は、アジアにおける金融面での協力を議論する枠組みとして一九九九年以降毎年開催され、各国財務大臣が一堂に会し、また対話をする大事な機会でもあります。
こういった機会に、まさに我々が主張している自由で開かれた貿易の重要性などについても発信することが重要でありますし、また、我が国との貿易、経済面、今、ASEANにおける中国の影響の話は資料でお示しをいただきましたけれども、そういったことも踏まえれば、なお一層、こうした会議に出席をし、日本がプレゼンスをし、そして議論をリードしていくということも大事だというふうに認識をしているところでありますし、また、来年度は日本はフィリピンとともに共同議長を務める、こうしたこともございます。
○植田参考人 ASEANプラス3の共同ステートメントでございますが、先ほども申し上げましたように、保護主義の高まりが世界貿易や経済の分断につながる可能性を指摘しています。
ただ、これは、ASEANプラス3だけでなく、同様の指摘は、IMFやOECDなどの国際機関も指摘しているということは指摘できるかと思います。
○原口委員 私は、出席するなとかこういうコミュニケを出すなと言っているわけじゃないんですよ。私もコミュニケを出したこともありますし、拉致の文言を入れろとかね。だけれども、中国が言いたいことをそのまま言っているんじゃないかと思っているわけです。
その前にスタンスを明確にしておきますけれども、私、松下幸之助の弟子ですから、善隣友好、中国は大事にしなきゃいけないと。でも、限度があるんじゃないですか。彼らは日本の土地を買いまくっているけれども、私たち、向こうの土地、買えますか。為替レート、じゃ、このレートでいいんですか。トランプ関税というのはまさにそういうことを言っているんじゃないんですか。違うんですか。
ここで日本は主張したんですか。中国、こんな状況でいいですかと財務大臣、主張なさいましたか。
○加藤国務大臣 中国に対しては、中国だけではありませんが、ASEANプラス3という、こういった国際会議の場では、国際会議とは別に、バイでもいろいろな議論をさせていただいております。
今回は中国の藍仏安財政部長との会談の機会をつくったところでありますが、その際には、貿易赤字の偏在を解消するためには、その根源であるマクロ不均衡を解消することが重要であり、その是正に努める観点から、中国の国内消費の拡大に取り組むことを期待する、こうしたことも申し上げたところでございます。
○原口委員 なかなか納得できないですね。だから、もっと言うべきことをちゃんと言うべきだということを申し上げて、次の問題に入りたいと思います。
さっきも議論がありましたけれども、消費税ですね。今日は、消費税が外国の人たちに様々な悪用をされている事例について財務省がどう認識しているかと。
これは、輸出還付金がありますから、輸出企業を立ち上げて、そして、還付されますよと、その証明書を持って銀行からお金を借りて、還付金とともにドロンする。あるいは、私、税関労組の皆さんともお話をしているんですけれども、金塊をよそから持ってきて、まあ密輸ですね、それで消費税を詐取する。消費税というものは大変外国勢力に対して脆弱な税じゃないかという認識を持っているんですが、財務大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 近年、消費税の還付申告税額が増加傾向にある中で、国内で仕入れた商品を国外へ輸出したかのように偽造の申告をするなど、輸出免税制度を悪用する事案が把握されているところでございますし、こうした事案の中には外国人によるものも含まれていると認識しています。
国税当局においては、外国人による事案を含め、消費税の輸出免税制度の悪用への対応を重点課題と位置づけ、厳格な申告書審査と的確な税務調査などを実施し、消費税の適正課税の確保に取り組んでいるところでありますし、今後とも、こうした取組を通じて、消費税の不正還付の防止には厳正に取り組んでいきたいと考えております。
○原口委員 そうはおっしゃっても、実際、海外に逃げられてしまうと取り返すことはほとんどできないんですよ。だから、そういう、一生懸命日本人が働いて払った消費税がよその国に流れてしまっている、この部分は余り軽く見ない方がいいというふうに思います。
そして、今、パネルをここに示していますけれども、財務大臣にお礼を申し上げたいと思います。私が、A社、B社、C社、売上げ、仕入れ、経費、人件費、利益、全部同じだ、これで分かりやすく国民の皆さんに説明していたら、財務省の方から、いや、これは不正確だ、B社については売上げを五千万にしろ、人件費はC社については千二百十万にしろ、利益については九百九十万にしろと、この緑のところですね、わざわざ御指導いただきました。大変親切なことで、お礼を申し上げたいと思います。
でも、財務大臣、数学を考えれば分かりますけれども、y=ax、aのところを固定して、yはどうなるか、xが変わったらどうなるかといっているときにaを変えろというのも、まあおごった話かなと思いますが、とにかく、ひとまずは感謝しておきます。わざわざこんなのを書いてくれて。この下の変更箇所、これは財務省が作ってくれたやつです。
趣旨は変わらないんだけれども、A社はどんな会社かというと、この間末松議員がやりましたね、全部国内取引、一〇〇%正社員。B社はどういう会社かというと、さっき、外国人に悪用されている、日銀総裁、もう結構でございます。ありがとうございます。
次は、日銀の昭和七年の反省から、日銀の独立性と、それから統合政府についてはお考えにならないですよね。日銀と政府との間が、バランスシートを共有させてという考え方はお取りにならないですね。それだけちょっと確認させていただいてよろしいでしょうか。
○植田参考人 私ども、取りあえず私どものバランスシートを見て政策を決めております。
○原口委員 日銀総裁、どうぞお帰りいただいて。ありがとうございました。
○井林委員長 植田総裁は御退席ください。
○原口委員 さきの続きにします。
C社はどういう会社かというと、B社と違って、A社と同じように国内のサービスあるいは財を売っている。ただ、A社と違うのは何かというと、これが一〇〇%派遣、つまり非正規の社員であるというところであります。
そうすると、A社、B社、C社で払う消費税が違うんですね。A社は二百万円納税するんだけれども、C社は、派遣にすると、財務省の御指導によると九十万円で済む。逆に言うと、B社は三百万円還付。
ちょっとこれも歴史ですけれども、元々消費税というのは、付加価値税、どうやって入れられたかというと、これはフランスの人が発明したんですよね。当時、WTOで、政府が金を入れるとWTO違反になるから、もっとルノーやそういったものを助ける方法はないかなといって出てきたのがこれですね。
前回の質問のときも聞きましたけれども、私、政経塾で中曽根内閣のブレーンに育てられたと言いましたけれども、あのときも、これが入ると日本は弱くなるという認識をしていました。
そこで、財務大臣にお伺いしますが、この消費税というのは付加価値税ですよね。
○加藤国務大臣 付加価値税という定義の問題だと思いますが、一般的にOECD含めて各国でやっておられる付加価値税ということであれば、それに類するものだ、要するに売上税ではなくてという意味においては、そういうことだろうと思います。
○原口委員 さすが、ノーペーパーでおっしゃられます。
ところが、この間、前の財務大臣、鈴木財務大臣との間では、これが直接税なのか間接税なのかと。
私は、自民党時代、これは間接税だと聞いて、一生懸命入れるのを手伝ったんですよ。直間比率と当時は言っていた。間接税が余りにも薄くて直接税、所得税とか法人税が重いと企業がフライトしてしまう、だったら駄目だ、これから少子高齢化に向かうんだから消費税は必要だというのが一九九〇年代の入れたときのロジックですが、これは間違いないですか、財務大臣。
○加藤国務大臣 済みません、ちょっと当時のきちんとした経緯を持っているわけではありませんが、私の記憶を振り返ると、当時そういう直間比率是正という議論があったということは記憶にはあります。
○原口委員 直間比率の是正なんですよ。
ところが、この消費税は、一つの大きな仮定を置いているんです。その仮定は何か。
今日、クイズみたいにやって、昔、林芳正君が菅さんにやったときの、あの意地悪な、菅さんにやったんですよ、経済の乗数効果は何かと。今、官房長官をしている人、いるでしょう。彼がやって、菅さんは立ち往生したんですよ。僕はそういう意地悪なことはしません。林君じゃない。林君は意地悪な人じゃないですよ、言っておきますけれども。
これは何を前提としているかというと、一〇〇%、いや、ほぼ価格が転嫁されているということを前提にしていますよね。そこは間違いないですか。
○加藤国務大臣 我が国の消費税は、多段階において課税をさせていただいて、その間に控除等を行うことで、それが的確に価格転嫁されていくことを前提に、価格転嫁というか、そういう多段階によってそれぞれの消費税が構成されているという意味においては、そのとおりだと思います。
○原口委員 だから、その前提が本当は崩れている。
その前提を教えてくださいと言ったら、回答率が二六%の答えを持ってくるんですよ、財務省は。たった二六%ですよ。その二六%の人が、九四%、価格転嫁していますと言うんだけれども、実際は価格転嫁できていないんですよ。できていないからみんなが苦しんでいる。赤字の企業にもかかる直接税だから、逆に言うと、ベンチャーだ、今から生まれたばかりのときは、日本で起業できないから外に行ってしまっているんです。三十年前に自民党青年局長のときに僕が言われたのと真逆になっているんです。これがあるために国内で起業できない。ましてや、これは財務省の資料ですからね、非正規の社員を雇えば消費税が安くて済むから。
僕は、財政を健全化するなとは絶対言っていません。幾らでも国債を出せるとも思っていない。さっき財政の、日銀の健全性についても言いましたけれども、このエコノミックインフルエンスもそうだけれども、どんどんどんどん、今、四割が非正規になってしまっているわけです。このままいくと、日本は国民が自分の家計を再生産できなくなってしまうんじゃないか。
私は、ここは一回リセットすべきだと思う。こういう多段階の面倒くさい消費税というのは一回なくして。アメリカはないじゃないですか。アメリカはこの付加価値税はないんですよ。これは二〇一七年にこの議論を当時麻生財務大臣とした。日本だけこれがあって、アメリカはないから、トランプ関税、今回のこともこういうことになりますよということを当時言っているんですよ。
トランプさんが言っている、日本の消費税は非関税障壁であるというのはそんなに不合理な論理ですかね。財務大臣、そこをお答えください。
○加藤国務大臣 大統領のいろいろな話の中で付加価値税が挙がっていたことは承知していますが、ただ、委員御承知のように、この付加価値税というのは別に日本だけが入れているわけではなくて、世界百六十か国ぐらいで既に導入をされている、国があるというふうに認識をしておりますし、日本では、売上税という形でやるかどうか議論がなされたときも、売上税という形を取ると、ある段階の方にそうした納税の負担が集中するというようなこと等々もあって、こうした多段階な課税とする今の消費税が望ましい、こういう経緯の中で採用されたものと承知しています。
○原口委員 二〇一七年も今と同じ答えなんですよ。よそはやっているからアメリカだけ違うんだと。でも、それは、アメリカからしたらそのロジックは通用しません。
さて、これはまた次にやりたいと思います。
このことによって非正規がどんどんどんどん増えている、そのアクセル要因であるということはお認めになりますね。これは財務省が出してきた資料ですから。
○加藤国務大臣 よく最初におっしゃる、済みません、何か財務省の事務局といろいろあったという、それは多分派遣を活用するという話だと思います。
ただ、一方で、派遣を活用しても、そこであるように、人件費、要するに働く人に対する賃金が同額ということでやれば結果においては差異がないということでもありますし、他方で、この間消費税の引上げがなされたときに派遣の比率が上がったということは、特にそうした指摘は聞いたことがないということでございます。
○原口委員 やはり、多分政権を同じにできないなと今思いました。三ページのこの資料、これはよほど深刻に考えないと駄目だと思いますよ。
じゃ、ちょっともう時間がなくなってきたので、ワクチン基金について言います。公取、来られていますね。
この間、福岡厚労大臣と議論したら、厚労省は関わっていないんですって、価格がそろっていたことについて。つまり、厚労省を中心とした官製談合ではないと強く言い切られたと私は理解しました、予算委員会で。ということは、ワクチンメーカーが、本来、パンデミック時に三千円だったものを、定期接種にするときに、一万一千九百円とか一万二千百円で価格がそろっているわけですよ、五社。これはカルテルの疑いが更に強まったと私は思うんですが。
一般論で結構です。役所が関わっていなくて、役所が関わって官製談合したり価格をつり上げるというのは今までさんざんぱら見てきましたけれども、厚労省は関係ないと言っています、私は知りませんと。ということは、市場においてゆがめる行為があったんじゃないかと思うんですが、一般論でいいので、公取、委員長が昨日で退任ということで、本当に御苦労さまでした、次の方が来られていると思いますが、御答弁をお願いします。
○岩成政府参考人 お答えいたします。
一般論で申し上げますけれども、独占禁止法では、複数の事業者が相互に連絡を取り合って、本来、各事業者が自主的に決めるべきである価格を共同で取り決め、競争を自主的に制限することを、不当な取引制限として禁止をしているところでございます。したがって、事業者が相互に通じ合って価格を横並びに決めるといった場合には、いわゆる価格カルテルとして独占禁止法上問題になるものでございます。
○原口委員 それはよく分かります。竹島委員長のときに一緒に作りましたから。そのときに、リーニエンシーって入れましたよね。
リーニエンシーって、ちょっと通告していないけれども、何のことですか。教えてください。
○岩成政府参考人 お答えいたします。
リーニエンシー、いわゆる課徴金の減免制度というふうに呼んでおりますけれども、先ほども申しましたような不当な取引制限というのを行っている事業者が、自主的に公取にその旨を報告するということによって、課徴金を免除したり減額するという仕組みのことでございます。
○原口委員 そこで、今日、政務官かな、ありがとうございます。
七ページを御覧ください。これが、三週間前にアメリカのザ・ホワイトハウスのホームページに出たものです。ラブリーク、つまり、これは何を意味しているかというと、ラボから私たちが新型コロナウイルスと言っているものはリークされたものであると。これが自然界にあるものとは到底考えられない、この右側の一、そう書いてあるんです。
これは、政務官、厚労大臣には伝えていただけましたか。
○吉田大臣政務官 お答え申し上げます。
大臣にはこのことは私はお伝えはしておりません。
○原口委員 これ、もう千人以上の人が死亡認定されて、そして、大臣、私も毎日のように相談が来ますよ。私みたいに髪の毛がなくなったり、がんになったり、脂質ナノ粒子だったりスパイクたんぱくが体に長く残って、血栓をやったりいろいろしている。
ところが、これを判断する専門家は、ウイルスの専門家、自然界にあるものの専門家であって、人工物の専門家はいますか、政務官。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
先ほど、済みません、私からは大臣には伝えていないというふうに申し上げましたが、事務方からは大臣には伝わっているということでございます。
その上で、今御指摘の件につきましてでありますけれども、生物学のいわゆる安全性を評価する審議会の委員に生物兵器というようなことを専門とする方はいらっしゃらないということでございます。
○原口委員 だから、安倍さんのときに厚労大臣でいらっしゃったから、加藤大臣のところに安倍さんから行ったと思うんですよ。あのとき安倍さんに何を言ったかというと、これが自然発生由来である、それに決めつける理由はどこにもない、とすると、アメリカで言うデュアルユース、生物兵器の専門家も入れておかなきゃいけないというのが防衛関係者からあって、そして、安倍さんがその窓口をつくってくれたんです。だから、加藤大臣、お会いになったと思うんです、その中の専門家と。
八ページを御覧になってください。これは私の、ゆうこく連合という組織をつくっているんですが、これと、メッセンジャーRNAワクチン中止を求める国民連合、合わせて二百万以上のデータを各自治体から取りました。これはビッグデータです。そのうち、八ページの絵は何を言っているかというと、八十歳以上の方、二十六万人のデータです。これを詳しく説明する時間はありませんけれども、何があるかというと、私たちがワクチンと呼んでいるものを打てば打つほど死亡率が上がっているんです。これは初めて出ているデータです。もうそろそろやめてほしいというふうに思います。
それで、これも政務官に聞きます。
やっと各メーカーが効能書、適正使用ガイドとかいうのをこうやって出してきました。この中に重症化予防効果と書いていないじゃないですか。感染予防効果についても水増ししていたんですよ。ひどいやり方ですよ。だったら、重症化予防効果のために七千八百五十二億も使っている意味はないじゃないですか。経産省は三千億これに使うんですよ。やめませんか。
重症化予防効果は書いていないのに、重症化予防効果を政府があると言って国民に勧めるのは、それは国民を欺くことにならないですか。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
薬事承認におきましては、ワクチンの品質あるいは有効性、安全性、こういうのを科学的に担保することを目的としておりまして、今現在承認されている新型コロナワクチンの臨床試験において発生予防効果を確認して承認を行っているところでありまして、この結果が、今委員が御指摘のとおり、添付文書に重症化予防効果については記載をされていないところではございます。
他方、予防接種法に基づく接種におきましては、公衆衛生の見地から実施をするものでありまして、新型コロナワクチンの接種については、当該ワクチンが薬事承認をされているということを前提とした上で、臨床試験に限らず、国内外で実施された研究における科学的知見を踏まえて、審議会で専門家の議論を踏まえて方針を決定しているところでございまして、重症化予防効果は一定程度持続をするとの知見、あるいは、重症化予防を目的に六十五歳以上の重症化リスクが高い方に接種を行うということとされたところであります。
○原口委員 皆さん、聞かれましたか。私たちが出している、成立している法律に何て書いてありますか。不断に検証せよと書いてありますよ。していないじゃないですか。今、彼が言ったのは五年前のことです。五年前にこういう手続で正しくやりました、そういうことですよ。
さて、もう時間がなくなったので、森友文書。
四ページを御覧ください。これが、平成二十九年四月十日に、私と当時の佐川局長、それから麻生財務大臣に聞いているんです。もうこのときから答弁、ぐちゃぐちゃです。
今回、加藤大臣、政治案件のところが欠落している、この理由は何ですか。
○加藤国務大臣 調査報告書においては、この応接録の廃棄について、国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で、更なる質問につながり得る材料を極力少なくすることが主たる目的であった旨、認定しているところでございます。
○原口委員 ひどくないですか。だって、このときに、そういうことをやめろ、やめますと宣言しているんですよ。新たに文書も出して、通達も出して、システムも変えてとやっているんですよ。御覧になってください。
あのときは、証人喚問を求めたら、裁判中だから来れぬと言った。是非、当時の責任者に来てほしい。
それから、委員長、お計らいいただいてありがとうございますけれども、例の国会でやった案件、日報がないとかおかしいじゃないですか。ちょうどこのときに、そこもここに書いているんですよ、あのとき、南スーダンだったかな、そこの日報を、当時の稲田大臣は、出します、一次資料が大事ですからこれからちゃんと出しますという答弁をして、出しているんですよ。何でそこから八年たったらこんなに後退しているんですか。
本来は、文書というものは役所の人たちを守るんですよ、これは。それを勝手にマル政案件だけ捨てられるなんてあり得ない。文書があるから彼らの業務の正当性が担保されるわけですよ。
これも引き続き追及しますけれども、大臣、なくなったマル政案件、それから、明らかに捨てているというか隠しているだろうなと思うのが、近畿財務局とそれから……
○井林委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。
○原口委員 中央省庁との間のものです。出してください。
それをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、村上智信君。
○村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。
本日も質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
さて、先月の十二日に開会式が行われまして、大阪・関西万博が始まりました。私もその開会式に参加をさせていただきました。国際的なイベントらしく、歌や踊り、そして太鼓という日本らしい、すばらしい催物がありまして、私も大変楽しませていただきました。
このような国際的なイベントの開会式、大変すばらしかったんですけれども、私の個人的な感想としては、できれば一般的な方も入っていただけたらなというふうに思いました。見ると、関係者や政治家の方が多かったかなというふうに思いました。
このようなすばらしい開会式で始まった大阪・関西万博ですけれども、この成功を私も祈っておりますし、少しでも貢献したいと思いまして、今周りの方に万博に行くように勧めているところです。このような万博、うちの息子も行きたいというふうに言い出しまして、ふだんはそんなことは言わない息子ですけれども、自ら興味を持ったみたいでして、行きたいと言いました。もしかしたら、一般的な方も、今まで興味がないと言っていた方も万博に行ってみようかという方が増えているのかなというふうに思います。
この万博の成功を祈りたいんですけれども、そのときに心配になるのが、密輸やテロになります。このことは万博が始まる前にも質問しましたけれども、また改めて質問をいたします。大阪・関西万博が始まって約一か月たちましたけれども、税関における対応状況はいかがでしょうか。また、今後の意気込みを教えてください。
○加藤国務大臣 私も開会式に参加させていただきまして、大変すばらしい開会式で、本当に関係者の皆さん方の御努力を多としたいなというふうに思っております。
大阪・関西万博、開会式は十二日でしたが、四月十三日の開幕から約一か月間を経過し、多くの方々に御来場いただいていると承知をしています。税関としても、万博における安全、安心の確保に貢献するため、テロ対策、また、適正かつ円滑な通関の実現に取り組んでおります。
具体的には、テロ関連物資等の国内流入を水際で阻止するため、応援職員の派遣等、集中的な人員投入、情報や取締り検査機器の活用による輸入貨物等の検査強化、空港、港湾等の巡回強化、国内外の関係機関との連携強化などに取り組んでおります。また、大阪・関西万博の会場に大阪税関の出張所を設置し、展示品の通関等の適正かつ円滑な実施にも努めているところであります。
引き続き、万博における安全、安心の確保等に貢献すべく、税関としても他の関係機関とも連携しながら万全を期していきたいと考えています。
○村上(智)委員 ありがとうございました。税関において集中的な人員配置をしているということで、安心をしました。
この大阪・関西万博を成功させるために経済産業省もしっかり対応しているようでして、開会式におきましては、ふだんは東京で働いているんじゃないかと思われる方がわざわざ現地に行って迎えるということもやっていただきまして、感銘を受けました。
この大阪・関西万博の入場者数が累計で三百万人を突破したというふうに聞いております。単純にあと五か月、同じペースで入場者が来た場合には、千八百万人ということになります。この人数でしたらまだ愛知万博の入場者数は超えないんですけれども、是非これから入場者が増えるように政府として頑張っていただきたい、そう思うんですけれども、愛知万博も後半になればなるほど入場者が増えたというふうにお聞きしておりますので、そういうことでいいますと、これから更に頑張れば、成功と言われるほどの来場者が来るというふうに思います。
そういうふうに入場者が増えていきますと、当然、海外からの来客者数も増えるというふうに思います。また税関においては大変になってくると思いますけれども、是非しっかりとした対応をしていただけたらというふうに思います。
さて、次の質問に移ります。
オンライン証券の口座の乗っ取りによる不正取引の話ですね。この話は既にこの財務金融委員会でも別の先生から質問をされていました。今年の一月から四月までの合計でその不正取引額が三千億円以上になったというふうなことで、このことについては金融庁が今月八日に発表したというふうにお聞きしております。
この事案に関連して質問いたしますけれども、不正アクセスをした者が不正取引をして不正に利益を得る仕組みを説明してください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
私どもといたしまして全容、詳細を把握しているわけではございませんけれども、証券会社からの報告などを踏まえまして、推測の部分もございますが、不正アクセスをした者、している者が、自己の口座などにおいてあらかじめ国内外の小型株などを購入しておきまして、その後、フィッシングなどいろいろな方法で他人の証券口座に不正にアクセスをして、その不正にアクセスをした口座の中にあります金融商品を売却して資金を得て、その得た資金で、最初に申し上げました自己が保有する国内外の小型株、同じ銘柄を大量に購入し、最初に自分の口座で買っていた小型株などの株価が上昇したところで売り抜けるというような一連の手口によって売却益を得ているのではないかというふうに推察されるところでございます。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
不正アクセスというふうに聞くと、ついつい疑ってしまうというか推測するのは、自分の口座に不正アクセスした口座から送金するんじゃないかというふうについ想像してしまうんですけれども、そうじゃないという話だったですね。手の込んだことをやっているなというふうに思いました。不正アクセスした者、私は加害者というふうに呼びますけれども、この加害者が不正にアクセスした口座で勝手に売買して、とある株をつり上げておいて、そして、他方で、加害者が持っている別の口座で値上がった株を売り抜ける、そういう話だというふうに理解をいたしました。
株価に影響を与えるほどの何億円という資産があるような口座しかこのような加害者は興味がないのかなというふうに思っていたら、そうじゃないという話をしてもらいました。実際には、少額の口座であっても加害者は売買をしているそうです。少しでも株価を上げるためにそういう少額の口座も対象に考えているのかもしれませんし、試しにやっているんじゃないかというふうな、そんな推測もしてしまうところであります。
いずれにしましても、少額の口座も含めて全ての投資家が対象になり得る、そういう問題だというふうに認識しなければなりません。
さて、次の質問に移ります。
先ほど御説明していただいた手口からすれば、ポイントとしては、投資家の口座に不正にアクセスする、多分少人数だと思います、何万人というわけじゃなくて少人数、その少人数の投資家の口座を不正に操作するだけで株価が上げられる、そういう小型株を狙うということがポイントだというふうに思います。であれば、株以外の金融商品でも同様な事案が、不正な取引が起こり得ると思います。
そこで、質問します。投資の口座の乗っ取りによる不正取引としては、株式だけではなく暗号資産でも起こり得ると思いますが、被害の報告はないのでしょうか。暗号資産交換業者も金融庁は調査したのでしょうか。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
金融庁が暗号資産交換業者大手五社に対して調査したところ、証券会社の事案と同様に不正アクセスされた口座内で不正取引された事案については、現時点で一社から報告を受けております。当該報告によりますと、不正アクセスされた口座数は二十八口座、顧客の被害額は約一億円となっております。
金融庁といたしましては、各暗号資産交換業者に対し、セキュリティー対策の実施を顧客に要請することや丁寧な顧客対応を行うことを求めていくとともに、業界団体と緊密に連携し、不正アクセス防止対策を始めとするセキュリティー水準の向上を図ってまいりたいと考えております。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
暗号資産も調査していただいているということで、不正事案が一社、二十八口座ということですけれども、証券会社の方を見ていますと急に増えていますので、二月、三月、四月で何千件というふうに増えております、そういうふうな状況を見ていますと、これも今後増えるかもしれませんので、是非、高い意識を持って対応いただけたらというふうに思います。
私が金融商品というふうに聞いて思いつくのは、少額で値段を上げられる金融商品というと小型株か暗号資産ということになるんですけれども、ほかにもいろいろあると思います。もしかしたらほかにもあるかもしれませんので、もしそういう金融商品で思いつくものがあれば、金融庁として、是非、目を配っていただけたらというふうに思います。一般的に、為替とかはなかなか少人数の投資では動かないと思いますけれども、しかし、ほかにもありますので、是非、目を配っていただけたらと思います。
さて、次の質問に移ります。
先ほど伺った手口からすれば、不正アクセスをしているわけですから、少なくとも、不正アクセス禁止法、不正アクセス行為の禁止等に関する法律に違反していると思います。であれば、不正アクセスをした加害者は警察機関によって捜査されるべきだというふうに思います。不正に取引され、株式が上がったところで加害者は売り抜けたという話でした。そうすると、この売り抜けたタイミング、売ったということが記録として残っているはずですね。このように犯人の特定はできるのではないかというふうに思います。
そこで、質問いたします。加害者の特定のために証券会社は警察に協力しているのでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
本事案に限りませんけれども、証券会社は、犯罪収益移転防止法に基づきまして、犯罪収益に関係しているなどの疑いのある取引につきましては行政庁に疑わしい取引の届出を提出することとされていますほか、常日頃より、犯罪の疑いのある事象については警察の捜査に協力をしているところでございます。
今般の事案におきましても、不正取引が発生した証券会社はこうした届出を提出をしておりますし、事案の性質を踏まえまして、金融庁といたしましては、各証券会社に対して、被害を認知した場合にはすぐに警察に自社の被害発生状況を相談するよう個別に指示をしているところでございます。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
再発防止のためには、犯人が捕まることも大切です。
この事案、お聞きしておりますと、加害者、犯人は、自分の口座を持っていて、そこで取引もしますし、一方で、不正にアクセスして操作をする、そういうふうな口座も用意するわけでしょうけれども、例えば、同じ会社で自分で開設して、そして不正取引もしている、多分そういうことをやっていると証券会社でも気づくかもしれませんね。とすれば、別の会社の証券会社の口座、自分は自分の、犯人は別の会社の口座を持っている、多分、そういうふうに分けているんじゃないかなというふうに想像します。そうすると、やはり、証券会社では犯人が分からなくて、分かるのは、それを情報を集めて捜査をする警察機関かなという気がいたします。
そういうふうに分けていても、しかし、情報を集めてくれば、その犯人がやったこと、これがだんだん見えてきて、何回もやっているでしょうから、二月から四月にかけて何千億、そういうふうな取引をしているわけですから、その中で、多分、共通の人が、共通の取引者が見えてくるのかなというふうなことでは、この犯人は捕まるんじゃないかというふうに私は期待をしております。是非、警察機関には頑張っていただきたい、そのように思います。
今回の、詐欺的なことがあると、気になるのは、まずは、犯人が捕まったかどうか、捕まるかどうかということ、そして次に思うのは、被害者の損害が補償されるかどうかになります。
このことにつきましては、この委員会でもほかの先生から質問がありましたので、私からは改めて質問はいたしませんけれども、証券会社の判断により補償するというふうに伺っておりまして、被害者の方も安心しているんじゃないかというふうに思います。
このように、証券会社が自らの判断で補償するということになっていますけれども、この判断に至った経緯として、多分、金融庁さんがそういうふうに働きかけをしたのかなというふうに思っております。この委員会の場所でも大臣から発言がありましたけれども、顧客の立場に立った丁寧な対応を証券会社に求めたということですので、そのような効果があったのかなというふうに思います。
次の質問に移ります。
犯人を逮捕すること、そして被害者の補償、そして続いて考えることは、再発防止になります。この不正取引の件数は二月から四月にかけて増えています。激しく増えているものですから、この問題は終わった問題と考えることはできません。もしかしたら、五月の集計をすると更に増えているかもしれない、こういうふうな問題だ、これからもまだ続くかもしれないというふうに、高い意識を持って対応しなければならない問題だというふうに考えております。すぐにでもしっかりとした再発防止策を取る必要があります。
そこで、質問いたします。金融庁は、証券会社に対して、再発防止に向け、どのような対策を指示しているのでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えをいたします。
金融庁といたしましては、本事案を受けまして、日本証券業協会や各証券会社に対しまして、インターネット取引におけるセキュリティーの強化について求めてきたところでございます。
現在、日本証券業協会及び各証券会社におきまして、ログイン時の多要素認証の必須化に向けた取組が進められているものと承知をしております。
加えまして、金融庁といたしましては、各証券会社に対して、多要素認証などの追加認証機能を顧客自らが設定をするようにウェブサイトの工夫などを促すとともに、セキュリティー面や顧客相談体制などで追加的な対応の必要はないか、絶えず確認を行うよう、求めているところでございます。
金融庁といたしましては、引き続き、業界団体、各証券会社の取組のフォローアップを行い、被害拡大、再発防止に向けて、インターネット取引におけるセキュリティー水準の向上を図ってまいりたいと考えております。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
金融庁から証券会社、日本証券業協会に働きかけているということで対応が取られていることが分かりました。多要素認証、これを推進するということで、日本証券業協会としても発表しているのは私も拝見をしました。
多要素認証、普通は、ログインするときにはID、パスワードを使えばログインできるんでしょうけれども、それ以外に認証を設けることだということで説明を受けております。
例えば、SMS、携帯電話にショートメールを送ることができますけれども、設定する際に携帯電話を証券会社の口座に登録をして、そしてログインをするときにショートメールが送られてくる、ワンタイムパスワード、一回使えるパスワードが送られてくる、そして、そのパスワードをログインするときに入力しなければならない、こんなふうな仕組みを多要素認証というということなんですけれども、確かに、携帯電話を持っている人しかログインできなくなりますので、このような不正アクセスが随分減るのではないかというふうに期待をいたします。ほかには、スマホを持っている方でいえば生体認証、指紋で認証するとか顔で認証する、こういうことも多要素認証としてログインのときに設定させることができるというふうな話をお聞きしまして、これは確かに有益な、有効な方法だなというふうには思いました。
それぞれの証券会社は、多要素認証を必須にするかどうか、導入するかどうかを判断するわけですけれども、経費がかかることなので、できない、すぐにはできない証券会社もあるというふうに聞いております。それは経営的な判断で仕方ないのかもしれませんけれども、しかし、投資家にとっては、やはり、多要素認証に対応している、そういう会社に口座を開きたいというふうに思うでしょう。
そのためだと思いますけれども、日本証券業協会において、多要素認証の設定を決定した証券会社七十二社を公表したというふうにお聞きしております。投資家にとっては有益な情報だというふうに思います。こういうふうに七十二社を公表するというのは、政府ではなかなか難しいかなとは思いました。この七十二社の方がよりセキュリティーが高いから、皆さん、その会社を使いましょうというふうな情報発信になりますので、中立を重んじるとなかなか難しいかもしれませんけれども、それだけ業界が今危機意識を持って対応している、そういうことだというふうに私は捉えました。
次の質問に移ります。
証券会社が多要素認証を導入しても、それを投資家が利用する必要があります。新規に口座を開設した投資家には多要素認証を必須にできるでしょうけれども、既存の口座の投資家は多要素認証を利用するのに申込みが必要になると思います。顧客からの申込みがないと、なかなか証券会社も多要素認証をやってみようというふうにならないというふうに思います。
そして、多要素認証の設備導入ができていない、そういう証券会社の顧客にとっては、不正アクセスされないように、フィッシングメールやフィッシングサイト、こういうことにだまされないようにする、そういうふうな注意喚起が必要だというふうに思います。
そこで質問いたします。金融庁は、投資家へどのような注意喚起を行っているのでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
本事案を受けまして、金融庁といたしましては、投資家の皆様に対して、より一層セキュリティー意識の向上、セキュリティー意識を高めていただくように呼びかけをしておりまして、金融庁のウェブサイトにおいて、四月三日、四月十八日、五月八日と三度にわたりまして内容も更新してお呼びかけをしておりますほか、証券業協会、証券会社を通じても、取引をしている方に注意を促すように指導しているところでございます。
内容でございますけれども、例えば、見覚えのある送信者からのメールだと思って、メッセージに掲載されているリンクを開いてしまいますと、これがフィッシングサイト、偽サイトであるという可能性がございますので、そういうことをしないということでございますとか、したがいまして、利用する証券会社のウェブサイトへは、リンクからではなくて、事前に正しいウェブサイトのURLをブックマークなどをしておいて、こうしたところからアクセスをする。
それから、各証券会社が提供する多要素認証ですとか、先ほど委員からも御指摘のありましたログイン通知サービスなどのセキュリティー強化機能、これは個別の証券会社によっても異なりますけれども、お客さんの判断でこれを無効にしてしまうという方がおられるようでございまして、これを無効にしないで有効にしておく、有効にするということですとか、使用するPCやスマートフォンのソフトウェアを最新にして、ウイルス対策ソフトを常に最新の状態に更新をするといった、被害に遭わないための対策を講じていただくようお願いをしているところでございます。
こうしたことを引き続き周知をしまして、業界団体や各証券会社とも緊密に連携をして、不正アクセス、不正取引の被害防止に取り組んでまいりたいと考えております。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
今の回答にもありましたし、その前の回答にもありましたけれども、証券会社に顧客がログインした場合に最初に見る画面、そのタイミングで、契約書の変更があった場合には表示し、確認しなければ先に進めない、そのような仕組みになっている証券会社がありますけれども、そういうふうな画面で表示すればいいんじゃないかというふうな話は容易に考えつきますので、先ほどもそういうことはされているという話をお聞きしましたので、非常に安心をしました。
一方で、システム的に多要素認証を導入できない、そういうふうな会社もありますので、そういうふうな証券会社を使っている顧客のためにしっかりした情報発信をやっていただけたらというふうに思います。今でも被害者が増えているので、これは予算を組んででもやるべきかなと私は個人的には思います。
次の質問に移ります。
このように、投資家にとって不正アクセスを防ぐということは非常に大切です。投資をされる方にとって、今はネットで取引するというのが当たり前になってきております。そう考えますと、投資をされる方が、基礎知識として、フィッシングにだまされない、そのような知識を学んでいくことというのは基本的なことだというふうに考えます。
そこで、質問いたします。金融庁が推進している金融経済教育において、今般の事案を受け、不正ログイン対策も教育すればよいのではないでしょうか。
○堀本政府参考人 お答え申し上げます。
昨年設立されました金融経済教育推進機構、通称J―FLECでございますけれども、ここにおきましては、国民の金融リテラシーの向上に向けて、全国の企業や学校等への講師派遣を行っております。
この中で、これまでも、J―FLECでは、金融経済教育に関する最新のトピックあるいは個人の関心の高いテーマ、この中にはインターネットを利用いたしました金融犯罪等も含まれておりますけれども、これらについて、必要に応じて講演のプログラムの内容に盛り込んできております。
金融庁としましては、委員御指摘の不正ログインも含めて、適切な金融サービスの利用に当たって知っておくことが望ましい事項、これにつきましては、関係団体やJ―FLECとも連携をいたしまして、個人への啓発、啓蒙に取り組んでまいりたいと考えております。
○村上(智)委員 前向きな答弁をどうもありがとうございました。
それでは、最後の質問に移ります。
今回の不正取引で本当に驚くのは、二月に三十三件だった不正取引が、四月には三千件にも増えているということです。どのようにこの件数が増えたのかと考えると、そういうふうな詐欺がうまくいったという話はそのような関係者に広まるんでしょうか。ロマンス詐欺も、やろうという人がどんどん増えているのか、いろいろなタイプのロマンス詐欺が増えているというふうに聞きます。そういうふうに考えると、このような事案が今後ますます増えるんじゃないかというふうに思います。
不正取引、不正アクセス事案が急増しておりまして、今後も様々な手口が出てくると考えられる中で、金融機関のサイバーセキュリティー対策を進めていく必要があると考えますが、大臣の意気込みを教えてください。
○加藤国務大臣 今般の事案に限らず、技術の発展や地政学リスクの高まりを背景に、近年、サイバーセキュリティーに関するリスクが顕著に増大していると考えております。こうした中で、金融機関が顧客の資産を守り、業務を安定的に運営していくためには、不断にサイバーセキュリティーを強化していくことが不可欠であると認識しています。
そのため、金融庁は、従来から金融機関に対して、法令等に基づき、サイバー攻撃事案の発生を認識次第、当局宛てに直ちに報告することを求め、手口や被害状況などを迅速に把握するとともに、被害の拡大防止や適切な顧客対応を指示してきているところであります。
さらに、近年のリスクの増大を踏まえ、平時よりサイバーセキュリティーを強化する観点から、昨年十月に新たに、金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドラインを策定し、金融機関に求められる対応を明確化しています。また、このガイドラインなどに基づき、金融機関のサイバーリスク管理の有効性を検証するとともに、サイバー攻撃への対応能力の向上のため、金融業界横断的な演習を実施するなど、取組も行っております。
金融機関のサイバーセキュリティーの強化は、国民の皆さんが安心して金融サービスを御利用いただくために不可欠であります。金融庁としては、引き続き、こうした取組を通じて、金融機関のサイバーセキュリティーの強化、そして国民の皆さんが安心して利用いただける金融サービスの実現に向け、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
○村上(智)委員 以上をもちまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。
今日は、昨今話題になっていますお米について、また、そのお米を原料とします日本酒について、また、関連しましてビールについて、お聞きをさせていただきたいと思っています。
お米については、言うまでもなく、今の米不足に対しまして備蓄米も放出をされ続けていますが、現在も価格は高止まりをしたままであります。特に、低所得者世帯や子育て家庭にとっては深刻な負担です。このような状況下で、我が国の食料自給率は約三八%と先進国でも異例の低水準となっています。
その中で、財務省は、昨年の審議会における建議の中で、平時における国内生産と消費の状況を表す指標として参考にはなるが、食料安全保障の確保に関する政策目標として食料自給率のみを過度に重視することは不適切と言わざるを得ず、新基本法の趣旨にも必ずしも合致しないものだと述べています。さらに、あえて国民負担で国内生産を拡大するということではなく、輸入可能なものは輸入をし、ほかの課題に財政余力を振り向けるという視点が重要であるとしており、安定供給は多様な輸入先の確保などで対応可能というような内容が書かれています。
同盟国の関係を維持していれば国内生産がなくても輸入で賄えるというふうにも読むことができますが、しかし、ウクライナの戦争や中東の情勢、気候変動による輸出制限などで世界的なリスクが高まる中で、本当に輸入依存で食料安全保障は守れるかという考えもあります。この食料自給率、また輸入との関係について、財務大臣のまず見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、財政制度等審議会では、例年秋頃に翌年度の予算編成に向けた建議を取りまとめており、昨年十一月の建議では、農林水産に関する議論の一部として、米、水田政策を中心とした農業構造の転換について記載がなされていたところであります。
具体的には、昨年改正された食料・農業・農村基本法では、食料安全保障の確保の手段として国内の農業生産の増大を図ることを基本としつつ、安定的な輸入と備蓄の確保を図るとともに、輸出の促進などにより食料の供給能力を確保することが明記され、アプローチがより多角的なものとなっていること、食料安全保障の確保においては、国内生産の増大を基本とするという新基本法の趣旨を踏まえつつ、各手段を比較考量して進めることが重要などの指摘がなされたところであります。
財務省としては、食料安全保障を輸入に依存することは適当ではないと考えております。先月閣議決定された食料・農業・農村基本計画に基づき、食料安全保障の確保と農業の持続的な発展を図ることが重要であると考え、そうした姿勢で、今後とも、農林水産省などとよく連携しながら当たっていきたいと考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
輸入に頼ること、また、その一本では適切ではないと言っていただきました。それは共有できて大変によかったと思っています。
一方で、さらに、この建議の中で、今も述べてもらいましたが、様々な見直しが提言されておりまして、農業予算の見直しや、再生産可能な価格の維持は見直し対象といった内容も書かれています。これは、財政負担削減のために自給率や価格支援は切り捨てるというメッセージとも読むことができます。その結果、日本の水田は減り、農家は離散をして、将来に引き継ぐ米文化というものが大変危惧をされるものでありますが、自給率、さらには価格の支援といったものと、財政負担の削減という考えを、どのように大臣としては考えているのか、お伺いします。
○加藤国務大臣 昨年十一月の財政制度等審議会の建議では、食料自給率については、平時における国内生産と消費の状況を表す指標としての性格を明確にした上で活用すべきであること、水田政策の見直しに当たっては、国民負担の最小化という視点も不可欠といった指摘がなされていると承知しています。必ずしも食料自給率や生産者への支援等を切り捨てるべきという趣旨ではないと認識をしています。
その上で、先ほど申し上げましたが、先月閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画に基づき、食料自給率の向上を含め、食料の安全保障を確保しつつ、将来にわたって米の安定供給を確保できるよう水田政策を見直していくことが重要と考えており、所管の農林水産省ともよく連携してまいります。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
この建議の中では、食料自給率を一%引き上げるのには、畑地で四百億から五百億、水田で八百億から九百億の国費が必要であり、単純に食料自給率の向上を目指して国内生産の底上げを進めようとすると国民負担は大きくなるという視点があり、これを見ても、やはり財政的には削減すべきだというふうにも読めてしまったので、改めて聞かせていただきましたが、今おっしゃっていただきましたが、農水省が求める食料安全保障の強化ということ、また、国内生産基盤の維持、今回の法改正でこれが掲げられて、私たち国民民主党も賛成をしました。これについて、そごがないというふうに言っていただきました。
改めて、最後になりますが、政府全体としての整合性が取れているかということを伺いたいと思います。といいますのも、これらの建議が独り歩きをして、自給率の確保は財務省は求めないんじゃないか、また、確認はできましたけれども、輸入で賄えるんじゃないか、そういった言動が多々いろいろなところで見られましたので、改めて、全体の整合性ということについて、財務大臣のお考えを伺います。
○加藤国務大臣 重ねてになりますが、先月、食料・農業・農村基本計画を政府全体として閣議決定したところでありますので、財務省としてもこれに基づいて対応していくということは当然であります。
農業経営の収益力を高め、農業者の所得を向上させることを通じて、食料安全保障の確保と農業の持続的な発展を図っていくことが重要でありまして、農林水産省ともよく連携してまいります。
○田中(健)委員 どのようにしてお米の農家を守っていくのか、また、今おっしゃっていただきました持続可能な農業経営を続けていくのかということを、是非議論をまたしていきたいと思っています。
そのお米に関連しまして、今度はお酒についてお伺いをします。
清酒の消費量はピークの一九七〇年代から大きく減少し、また酒蔵も減少しています。その理由としては、後継ぎがいない、また需要の減少というのが言われておりますが、酒造の製造免許が新規で取れなくなっていることも少なからず理由になっているんじゃないかといった指摘があります。
日本の伝統産業でありながら、制度によってもしも衰退がされているようなことがあれば大変問題でありますので、伺いたいと思います。
日本酒の新規製造免許は、実質的に七十年間近くゼロという状態が続いていると言われていますが、これは事実かということと、また、これほど長期にわたって新規参入が事実上できないというような産業がほかにあるのかという現状について伺います。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
清酒の製造免許につきましては、法令に基づきまして、需給の均衡を維持する必要があることから、輸出するために清酒を製造しようとする場合などに限りまして、その他の要件を含め所定の要件を満たしているかという審査を行いまして、要件を満たしている場合に製造免許の付与等を行っているところでございます。
その上で、新規参入ということにつきましては、意欲のある方が酒類業と直接の関係はない業種から転身し、清酒の製造を始める事例もあるものと承知をしているところでございます。
なお、他の産業の状況については承知していないところでございます。
○田中(健)委員 ちょっとよく分かりませんでしたが、輸出用の新規の免許は確かに、これは法令改正がありまして、認められたということでありますが、完全に国内向けの製造免許というのは、この間認められていないということで、もう一度御確認させてください。よろしいでしょうか。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
輸出の免許、輸出のための製造の場合以外についても、一定の場合については製造免許の付与等を行っているところでございます。
純然たる新規免許という形での集計はしておらないところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、酒税の保全上需給の均衡を維持する必要があるということで、一定の場合に限って製造免許を付与することとしておりますので、これらの場合に該当しないものについては付与をしていないという状況でございます。
○田中(健)委員 確かに、買収したり事業継承ではできますけれども、この間七十年近く、新たな新規免許はないということであります。それを言ってほしかったわけですけれども。
今おっしゃってもらいました、需給の調整だということであります。これは、酒税法の中で、需給調整ということで、酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため、酒類の製造免許又は酒類の販売免許を与えることが適当でないと認められる場合には免許を与えないことができると言われていますが、今、需給の調整ということがありましたけれども、そもそも需要の充足というのは、誰がどのように、また根拠で、いつ判断をしているのでしょうか。これによって、新規の方が、もしもやりたいという思いがあって、できないとするならば、これが大きな理由となりますが、お答えください。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
酒類製造免許の需給調整要件でございますが、酒税の保全を図るため、酒類市場全体としての清酒製造者の乱立と過当競争を防止し、生産の安定、経営の健全化を維持する必要があるとの観点から、国税庁の通達におきましてその運用を定めておりまして、各税務署において、それに基づいて適切に運用しているところでございます。
現在、清酒は、国内消費向けの出荷量は、昭和四十八年度のピーク時から令和五年度には三割以下にまで減少するなど、需要の低迷が続いており、需給調整の緩和については慎重な検討が必要であると認識しているところでございます。
なお、需給の状況につきましては、酒類業者の申告、報告に基づく酒類の課税移出数量や消費数量のデータのほか、酒類の製造状況の実態調査を毎年実施するなどいたしまして、全国的又は地域的な需給の状況の把握に努めているところでございます。
国税庁におきましては、引き続き、需給の状況につきまして注視をいたしまして、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
○田中(健)委員 需給といっても、冒頭言いましたが、一九七〇年代からずっとピークは落ちているんですね。つまり、じゃ、新しい新規参入をやりたいといっても一生認められないという、今の言い方ですと、理由になってしまいます。
もう長らく減少傾向にある中で、今言いますと、競合相手の話も出ましたけれども、単に競争相手が増えると競争が激化をするという理由で新規参入が認められないとすれば、やはりこれは市場経済じゃない、また、競争を否定しているとも取られかねませんし、酒税の保全というのを第一の目的として掲げていますが、酒蔵の保護とさらに新規参入というのは別のものだと私は思います。もちろん、酒蔵というのも大変小規模な方が多いですから、それをしっかりと守って、日本の伝統を守り、継続していくのは必要ですけれども、それと新規参入を認めないというのは私は整合性がないと思っています。
新規参入によりこの酒税の保全が損なわれる事態というのは私は現実には考えづらいと思いますが、どのような理由でそこは御説明をいただけますでしょうか。
○小宮政府参考人 お答えを申し上げます。
酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるということにつきましては、新たに酒類の製造免許等を与えたときに、地域的又は全国的に酒類の需給の均衡を破り、その生産等の面に混乱を来しまして、製造者等の経営の基礎を危うくして、ひいては酒税の保全に悪影響を及ぼすと認められる場合をいうと考えているところでございます。
○田中(健)委員 需給を国が調整をして、それを壊しますと混乱すると。混乱するのは誰が混乱するのか、私たち消費者なのか、若しくは製造者なのか、分かりませんけれども、今言ったように、酒蔵の保護と新規参入というのは別のもので是非考えていただけないかなと思っていますし、そこには公益性もないです、今の答弁では。
それを踏まえまして大臣にお聞きをしますが、国内の日本酒の市場というのが減少していますが、しかし、海外では酒ブームも起きて、輸出は年々拡大をしています。インバウンドで、観光も、地酒の関心は非常に高いわけです。二〇二一年に規制緩和で輸出限定の製造免許は確かに取得可能となりましたが、輸出限定では新規でやる人が輸出しかできない、国内ブランドをつくれないとなると、国内で人気なものを海外の人はやはり飲みたいと思うわけでありますから、なかなか、海外の販路拡大の足かせに私はなっていると思っています。さらに、今お米の話をしましたが、地元米で更にお米を作りたいという方のチャレンジも認められません。これは、国の成長戦略又は地域の発展の戦略、地方創生にも逆行していないかと考えております。
地域経済の再生、農業の生産と連携した観光資源の創出といった意味でも、是非これらをもう一度考え直すときに来ているかと思いますが、見解を伺います。
○加藤国務大臣 これまでも委員と事務局との間で議論させていただきましたように、清酒の新規製造免許については、酒税法に基づき、酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要がある中で、国内消費向けの出荷数量が減少するなど、需要の低迷が続いていることも踏まえた適切な運営が求められているものと承知をしています。
その上で、我が国の成長戦略との観点から、地域で多様な酒類を製造してきた中小企業者の方々は、歴史的、文化的に重要な地場産業を形成し、地域経済を支えてきた重要な担い手であります。そして、こうした中小事業者の中には、近年インバウンド需要開拓や輸出拡大に積極的に取り組んでおられる酒蔵も多いことも踏まえ、過当競争は防止しつつ、意欲と能力のある方々へ酒造の事業を承継していく取組、これは大事だというふうに考えております。
中小企業の方々に安心して酒造りに取り組んでいただくといったこととの両立を図りながら、そうした支援も進めていかなければならないと考えております。
○田中(健)委員 是非議論をもう少し深めてもらいたいと思っています。七十年間新規が参入していないという業界はないですし、また、例えば地域限定の免許とか、今スタートアップでやりたいという人もいますから、この酒類のスタートアップ向けの、準免許のような形でもいいですけれども、何か新たな新制度の検討をすべきときに来ていると思いますので、お願いをしたいと思います。
時間がないのでビールに行きたいんですけれども。
ビール業界は、じゃ、翻ってどうかというと、九四年の、最低製造量が大幅に引き下げられたことで、地ビールとかクラフトビールと言われるものが次々と誕生をしました。出荷量自体はビールも減っています。しかしながら、各地に特色ある醸造所が生まれて、新たなファン層を獲得できています。
つまり、さっき需給のバランスと言っていたんですが、新たに需要を生んでいるわけですね。ですから、私は、日本酒も新たに需要を生めばいいわけであります、調整ばかりを言っている話ではないと思っています。
しかし、そのビール業界においても、地元のビールの製造業者からは、自分たちで育てた麦や米を使ってビールを造ると、高いコスト、高い酒税で大変経営が厳しいと切実な声をいただいています。地域農業と連携した地ビール、クラフトビールの製造というのは、六次産業化のモデルとしても大変重要であります。しかし、現行制度では、ビールの場合は超大手のメーカーがありますので、また酒造とはちょっと産業構造が違いますけれども、大量生産する大手のビール会社と同じ酒税でやって、大きな負担となっています。
是非とも、地域資源の活用や農業との連携や地産地消の推進といった観点から、自家栽培の麦や米を原料としたビール製造については、税率や分類において特例的措置を設けることはできないか。例えば、地ビール製造者の地域資源の活用、酒類を、独立した分類として新たな税区分をつくるとか、そういったことを考えますが、見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 地域資源の活用などを行う酒類製造者については、地域性などを踏まえた多様な酒類の製造に積極的に取り組み、酒類業の健全な発展に寄与する酒類製造者に対して支援を行う観点から、令和六年四月より、酒税の税率の特例が講じられているところでございます。
例えば、御指摘のような自家栽培の麦や米などの自家栽培原料の使用を拡大したビールの製造、また地元産原料などの地域資源の使用を拡大したクラフトビールなどの酒類の製造などを目標とした事業計画を提出して税務署長の承認を受けた中小規模の酒類製造者については税率が二〇%軽減されるなどの特例措置が適用されているところでございます。
引き続き、この特例の適用状況や効果等について注視していきたいと考えています。
○田中(健)委員 確かに、軽減税率、一五から二〇%にしていただきましたけれども、なかなかそれでは継続できないという声を多数いただいております。せっかく、全国に今、クラフトビール、八百とも言われる新しい醸造所ができていますので、これを支えていくためにも、これも地方の創生にもつながりますので、更なる支援策や、また対応を考えていただければと思っております。
以上、時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 加藤財務大臣は御退席ください。
次に、福原淳嗣君。
○福原委員 改めまして質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げ、通告に従い、質問をさせていただきたいと思います。
今回の私の質問の中の骨子にありますのは、二月の加藤大臣の所信に対する質疑の中で、国内投資をしなければならないという大臣の一言であります。言い換えるならば、設備投資をすれば生産性は向上するし、生産性が向上すれば、それは賃金水準の上昇となって跳ね返ってくるということだと思っています。そのために、残念ながら我が国は少子高齢化を迎えますが、それでも、少子高齢化社会でも成長する日本を実現するために、三つの形の投資が必要なのではないかという観点から、今回質問をさせていただきます。
その三つというのは、社会全体の生産性を高める投資であり、もう一つは、極端な海外依存型の産業構造を改善する、あるいは極端な海外依存型産業構造から脱却する投資であり、そしてもう一つは、クールジャパンである、まさにその宝庫である地方が持っている歴史、文化、伝統、いわゆる地方が持つ多様性への投資ということで質問をさせていただきたいと思います。
まず一点目、我が国日本の社会全体の生産性を高める投資といえば、皆さん、DX、デジタルトランスフォーメーションだということは、まさにもう周知であります。では、このデジタルトランスフォーメーション、どういう技術が要るのかということに関して、実は、国土地理院が明確にうたっています。G空間社会だとうたっています。これは、国民誰もが、いつでも、どこでも必要な情報を使えます。ですので、農業、物流、建築、産業の活性化だけではありません。災害の対策、環境問題、生活の質の向上、様々な社会課題の解決に貢献するだけでなく、新しいサービスをつくり出していく社会、G空間社会。
でも、実は、このG空間社会、二つの技術が必要です。一つは、情報通信技術、ICT、そしてもう一つが、地理空間情報技術、いわゆるジオスペーシャルテクノロジーであります。ICTの方はいいんですが、こちらの地理空間情報技術、これに必要なのが、実は衛星なんです。
昨年の十一月、閣議決定をされております宇宙戦略基金でありますが、我が国の安全保障、ひいては経済成長にも貢献する宇宙開発の利用の促進のために、宇宙関係予算の拡充、ひいては宇宙政策推進体制を強化していく必要があると思っておりますが、内閣府の担当の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○渡邉政府参考人 お答えいたします。
新産業や新技術への挑戦を通じて新しい付加価値を創出しまして生産性を向上することは、我が国の経済成長、地方創生に不可欠であると認識しております。そのような観点から、安全保障、防災、減災、民生利用まで幅広く活用が期待される、先端技術のフロンティアでもあるような宇宙分野の開発、利用を促進することは、非常に重要でございます。
また、裾野の広い宇宙産業の活性化のためには、自治体や地方の企業の活躍も不可欠でございまして、例えば、ロケットの射場につきましては、北海道、和歌山県において、民間や自治体が主導して整備が進められているところでございます。また、先生の御地元の秋田県でも、能代市に一九六二年からJAXAのロケットモーターの地上試験場がございまして、日本の宇宙開発を支える基盤として重要な役割を果たしてきているという状況でございます。
こうした中、政府といたしましては、地域の企業も含めた民間企業が複数年度にわたって大胆に研究開発に取り組めるよう、今先生からお話もありましたけれども、宇宙戦略基金を令和五年度に創設いたしまして、現在までに、延べ二十八都道府県での様々な事業者による取組が開始されているところでございます。
加えて、アメリカのスペースX社のような、ロケットの一部を回収して再利用するような取組、また、宇宙往還機、高速二地点輸送に活用するようなサブオービタル飛行などの様々な新しい宇宙輸送形態についても、幾つかの地域で、民間企業が主体となって、具体的な研究開発などが準備されているところでございます。
こうした民間企業による新たな事業の展開を可能にすべく、宇宙活動法の改正による制度の見直しについても、今、検討を進めているところでございます。
引き続き、政府といたしましては、予算面、制度面など、様々な取組を通じまして、宇宙分野に挑戦する企業などの取組を、関係省庁と連携しながら積極的に支援をしてまいりたい、このように考えております。
○福原委員 渡邉審議官、ありがとうございました。
是非にとも、宇宙政策の推進というのは地方創生二・〇にもかなう政策だという認識を持って、強力に進めていただければと思います。
G空間社会を支える地理空間情報技術と情報通信技術、ICT。ICTの方は、私は、総務省もNTTグループも切り札を持っているというふうに思います。いわゆるイノベーティブ・オプティカル・アンド・ワイヤレス・ネットワーク、IOWN、そして、それを地方に展開していく、データセンターも含めて。これは、ビヨンド5G、6Gで、必ず私はゲームチェンジャーになれると思っています。
その展開についてお聞きしたいんですが、ここで重要なのが、極端に海外に依存したDXであってはならないだろうと。総務委員会でもお話をしましたが、一九八九年の企業の時価総額ナンバーワンは、NTT。今は、グーグル、アマゾン。全然変わっています。そういう意味で、このICT、IOWNを含めたオール光ネットワークの展開をどう考えているのかということを総務省にお聞きしたい。
そしてもう一つ、このICTを進めていく上で重要なのは、実は銅なんです、ケーブル。実は、この銅、ベースメタルの銅なんですけれども、日本国内の鉱山で作られています。これは、経済安全保障上、非常に鉱山政策ということも重要になってくるというふうに考えています。是非、この点に関しては経済産業省の見解をお聞きをしたい。
そして、情報化、情報化といいますが、実は、AIの時代になると、電力がたくさんかかってしまうということが言われています。そうした意味にもおいて、IOWNは、まず、圧倒的に、今の百分の一の電力で、圧倒的に大量の高品質なデータを、圧倒的な速さで送ることが可能になる。エレクトロニクスからフォトニクス、電子から光子へ、そういったものを考えていくと、電力を安定に供給して我が国の経済成長力をつくり、かつ、脱炭素社会を実現するという意味での、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略、GX二〇四〇との兼ね合い、いわゆるワット・ビット連携、電力系統と通信系統の両方をどう整えていくのかということに関しても、総務省並びに経産省の担当から見解をお聞かせいただきたいと思います。
○近藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、IOWN構想が目指すオール光ネットワーク、こちらは、地方におけるDXなどの生産性向上を支えるとともに、我が国が強みを持つ分野として、国際競争力の強化を図る上でも重要な役割を果たすことが期待されております。
総務省では、次世代情報通信基盤について推進戦略を策定し、オール光ネットワークの早期実現と国際競争力の強化に向けて、研究開発、国際標準化、社会実装、海外展開を一体的かつ戦略的に推進することとしております。
具体的には、ビヨンド5G基金事業を活用した研究開発を積極的に進めており、関連する研究開発プロジェクトに対し、これまで約五百七十億円の支援をしております。
また、研究開発と並行して、ユーザーを含む多様な主体の参加を募り、実サービスの提供に当たっての課題の確認、検証ができるテストベッドの段階的な整備にも取り組んでおり、今年度から運用を開始いたします。
これらの取組を通じ、オール光ネットワークが各地域の生産性向上などのために広く活用されるよう、積極的な支援を進めてまいります。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
ケーブルの材料でございます銅、これにつきましては、委員の御地元にある、秋田を始め地方にある非鉄製錬所の多くで生産をされているところでございます。
また、こうした非鉄製錬所の多くでは、副産物として、有用なレアメタルも生産されておりまして、そこでは都市鉱山からのスクラップ、廃材も活用されているところでございます。
そうした非鉄製錬事業所への投資というのは、我が国の経済安全保障上も非常に重要であるというふうに認識をしておりまして、政府といたしましても、重要鉱物の安定供給の確保のために、必要に応じて、経済安全保障法に基づきまして、日本企業の国内外の鉱山開発、製錬事業等への支援を行いたいというふうに考えてございます。
○大村政府参考人 お答え申し上げます。
地方創生二・〇の実現のためには、データセンターを核とした地域におけるAIの利活用を含めたDXの推進が鍵となるものと認識をしてございます。その際、新たなデータセンターの整備によって将来的に電力需要の一層の増加が見込まれる中、データセンターを脱炭素電源が豊富な地方等へ立地誘導していくことなどが有効でございます。
それを支える通信、電力基盤の整備に当たっては、御指摘のGX二〇四〇ビジョンを踏まえつつ、電力と通信の効果的な連携、いわゆるワット・ビット連携でございますが、これを進めることがますます重要となっているものと認識をしております。
そこで、総務省におきましては、経済産業省と連携をしまして、通信、電力、データセンターに関する産業界と政府の関係者が一堂に会したワット・ビット連携官民懇談会、これを本年三月より開催をいたしまして、関係事業者の考え方の共有、今後のデータセンター整備に向けた諸条件の整理、ワット・ビット連携に向けた効果的な方策の検討などを進めているところでございます。
今後とも、ワット・ビット連携を進めることによって、AI活用を通じたDXを加速させるとともに、成長と脱炭素社会実現の両立を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○福原委員 ありがとうございました。
よく、失われた三十年と言われます。先ほど、企業の時価総額の話をしましたけれども、実は、でも、失われた三十年ではないと私は考えています。
例えば、昨年の農林水産物あるいは食品の輸出額は一兆五千億を超えました。インバウンド、食文化は高く評価をされています。別の言い方をされれば、世界から評価されているクールジャパンのまさに源泉は地方にある。歴史と文化と伝統、これにしっかりとお客様をつなげていくことで、新しい成長、稼ぎ頭を変えていくという見方は必要だというふうに考えています。
私、元々首長でしたので、首長さんから今聞くと、総務省が出している二地域居住あるいはふるさと住民登録制度、これらを非常に高く評価をしています。でも、そうやって登録をしても、やはり、時間、距離を縮めていくためにも、私は、地方空港、いろいろ施策はありますが、今まで以上に充実させていく必要があると思っています。是非、この点に関して、国土交通省航空局の意気込みを聞かせていただきたいと思います。
○秋田政府参考人 お答えをさせていただきます。
御指摘の二地域居住制度やふるさと住民登録制度は、地域への人の流れを創出、拡大するものでございまして、交流人口拡大の拠点となる地方空港、これは大館能代空港も入るものでございますが、こちらを活性化していくということは大変重要だ、このように考えておるところでございます。
このため、国土交通省といたしましては、羽田発着枠政策コンテストの開催を通じました羽田と地方を結ぶ路線の拡充、また、地方路線に係ります国管理空港の着陸料の軽減といった取組を進めさせていただいているところでございます。
このほか、エアラインや地方公共団体におかれましては、二地域居住者にマイレージを付与したり、県域を超えた広域での二次交通の整備を図っているところもある、このように承知をしているところでございます。
引き続き、地方公共団体を含みます地元の関係者などと密接に連携をさせていただきまして、地方空港の活性化に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○福原委員 秋田部長、ありがとうございました。
秋田には航空宇宙関連産業が伸びる素地がありますので、これからも御指導をよろしくお願いをしたいと思います。
それでは、最後になりましたが、斎藤洋明副大臣に見解をお伺いをしたいと思います。
冒頭申し上げましたが、少子高齢化社会でも成長する日本、これを私たちはつくっていかなければならない。私たちの社会は、明らかに新しいステージに変わりました。そのときに必要なのが、やはり、リスクを取って成長の果実を取りに行く、いわゆる成長資金としてのリスクマネー、ここだと思います。私、いろいろと、今回、財務金融委員会に属して、実は財務省はその準備をしてきているという認識を持っておりますが、この点に関しまして、財務省としての見解をお聞かせいただきたいと思います。
○斎藤副大臣 御質問にお答えいたします。
地方への投資を進めるためのリスクマネーの供給という観点からの御質問でございます。
日本政策投資銀行の特定投資業務、これは本委員会におきまして法改正をいただいたところでございますが、この特定投資業務は、DBJ法におきまして、地方活性化や我が国企業の競争力向上を政策目的としているところであります。
先般の法改正も踏まえまして、今後、地域活性化に向けた取組を一層強化して、リスクマネー供給を加速してまいりたいと考えております。
引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。
○福原委員 斎藤副大臣、ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
○井林委員長 次に、中川宏昌君。
○中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。
私から、今日、国民の金融資産を守る観点から、特に高齢者の保護、そして制度の信頼性確保に焦点を当てて質問をさせていただきます。
まず初めに、先ほどからの質疑でもございましたが、金融リテラシー向上に向けた施策についてであります。
人生百年時代を迎えまして、資産形成や家計管理、そして悪質な詐欺や金融トラブルの回避など、これは全ての世代にとって不可欠な要素となっております。特に、御高齢者また若年層では、情報格差が拡大しやすく、様々問題になっているところであります。
そうした状況の中、今様々な取組が展開をされているところでございますが、今後は更に、日常生活に根差した教育の機会の拡充、これが求められるのではないかと思っております。学校現場での対応、また地域に応じた住民向け講座、こうしたことなど、包括的また体系的な教育の提供が必要であると思いますが、誰もが年齢や生活環境に問わず必要な金融知識を身につけられる社会に向けて、金融庁といたしまして今後どのように具体的に施策を講じていくのか、まずこの点についてお伺いをさせていただきます。
○堀本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、金融庁としても、誰もが年齢や生活環境に問わず必要な金融リテラシーを身につける社会、この実現が非常に重要だというふうに考えております。
この点で、昨年四月に設立されました金融経済教育推進機構、通称J―FLECでございますけれども、最低限身につけるべき金融リテラシーを体系的に整理をいたしまして、金融リテラシー・マップというのもございますが、それに沿って様々な年齢に向けた講義資料を作成しております。さらに、全国の企業、学校、公民館等に講師派遣を行いまして、家計管理、あるいは資産形成の基本、あるいは金融トラブルの防止、委員の御指摘の点について、様々なトピックについて幅広く授業を行っているところであります。
こうした中で見えてきた課題といたしましては、これまで実際に講師派遣を受けた方からの事後評価、これは高いものがございます。ただ一方で、J―FLECの活動の認知度、これは必ずしも高くないというふうな課題を我々は認識しております。
こうしたことから、J―FLECとしては、二〇二五年において、具体的な講師派遣の事例も含めて、官公庁等に周知や広報を行うとともに、金融機関等の様々な団体に対してイベント、セミナーの共催等を働きかける、こういうふうなことになっておりますので、金融庁としてはこのJ―FLECの取組をしっかり後押ししてまいりたいと思います。
また、金融庁、財務局自らも、他の関係省庁と連携して各地で地方の関係団体と様々なイベントを今後とも行う予定でおりますので、その際にJ―FLECの認知度の向上に努めていきたい、このように考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
金融リテラシーは、もはや選択的な知識ではなくて、誰にとっても必須の生活力ではないかというふうに思っております。そうしたことにおきまして、今、J―FLECの認知度の向上という課題もあるということでお話をお聞きしましたけれども、やはり、様々な展開の中で、生活に根差した教育施策、こういったことを更に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続いて、特に御高齢者を金融被害から守るための体制整備についてであります。
詐欺的な投資勧誘、高齢者の理解を超える複雑な金融商品の販売、深刻なトラブルが相次いで報告をされております。中には、契約したが取り消せなくなった、相談できる人がいなかったという声もありまして、後悔や不安を抱える御高齢者も多く、こうした背景には、高齢者の孤立、これが大きく関係しているかと思っております。判断に迷ったときに助言を得られず、一人で意思決定を迫られまして、結果的に被害に至るケース、これが後を絶ちません。
このような状況に対しまして、消費者庁が主導しまして、各自治体におきましては、地域金融機関や自治体、福祉関係者そして警察が連携いたしました見守りネットワークの構築の取組、これが進んでおりますけれども、更にこの取組を進めるべきだと考えます。
高齢者の見守りには、定期的な訪問やまた声かけによる異変の早期察知、さらには本人の同意の下で家族と金融機関が情報を共有できる体制の強化が必要ではないかと思っております。特に、振り込め詐欺や投資詐欺を防ぐには、見守りネットワークへの地域金融機関の積極的な参加、これが必要であると思いますが、高齢者の見守りの体制強化について、お考えをお伺いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、認知症や独り暮らしの高齢者、障害者などを狙った犯罪被害の拡大が懸念される中で、地域住民と多くの接点を持つ地域金融機関が見守りネットワークに参画することは大変重要であるというふうに考えております。
また、認知症高齢者等の早期発見や消費者トラブルの未然防止等につなげるため、既に様々な地域の見守りネットワークにおいて地域金融機関が参加、貢献している例が出てきているというふうにも承知をしているところでございます。
金融庁といたしましては、こうした事例も参考に、まだ本枠組みに参加していない地域金融機関に参加を働きかけるなど、関係省庁と連携しながら、独り暮らしの高齢者の方々などを支えていくための取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
高齢者の孤立、これが金融被害の温床になっているのではないかと思っております。そうしたことでありますので、地域包括ケア、こういった視点を持ち込んだ実効ある展開を今後お願いしたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。
関連をいたしまして、高齢者の財産を法的に保護する成年後見制度について、不正防止と信頼性確保の観点から質問をさせていただきます。
成年後見制度は、判断能力が不十分な高齢者の財産を守る上で重要であることは論をまちません。その趣旨や役割は社会全体で共有をし、支えていくべきものと思いますけれども、制度の運用面におきましては深刻な課題も存在をしております。
例えば、親族が後見人となり、親の財産を遊興費に多額に費やした事例もありました。また、専門職である弁護士、司法書士による後見においても不正行為が発生をしまして、最高裁の調査によれば、二〇一一年からの十年間で後見人等による不正は約四千四百件弱、約二百八十三億円の被害が出ておりまして、制度の信頼性を揺るがす深刻な状況であるかと思っております。
後見人による被害を出さないための不正防止に向けた監督体制の強化について、法務省といたしましてどのような取組を講じているのか、お伺いをいたします。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
法定後見制度では、成年後見人の不正行為を防止するため、家庭裁判所が成年後見人を直接監督するほか、必要があると認めるときは後見監督人を選任することとされております。その監督の結果、成年後見人について後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は成年後見人を解任することが可能であります。
その上で、不正防止に向けた取組として、家庭裁判所において、予想される後見事務の内容に応じて弁護士や司法書士等の専門職を成年後見人や後見監督人等に選任するなどの運用がされていると承知をしておりますほか、法務省を含みます関係機関等におきましても、後見制度支援信託、支援預貯金の導入の促進、専門職団体における倫理等の研修や個別の後見業務への相談、助言等が進められているところでございます。
委員御指摘のとおり、後見人の不正行為の防止は重要な課題でありまして、法務省としても、引き続き、関係機関等と協力して不正防止に向けた取組を進めるとともに、不正防止のための方策の検討に取り組んでまいりたいと考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
本来高齢者を守るための成年後見制度が一部で信頼を損なっている現状は、極めて憂慮していくべきだと思っております。先ほど、体制を強化していくというふうにおっしゃっておりましたけれども、監督体制の見直しに加えまして、第三者のモニタリングの常設化、また、被後見人の声を定期的に拾い上げていく仕組みの導入も必要じゃないかと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
最後の質問になりますが、財務金融委員会の場ではありますけれども、高齢者の金融資産また権利擁護の観点から、制度の運用実態に関わる視点から質問をさせていただきたいと思います。
後見人を立てられたことによって、娘や兄弟など、親に会えなくなるケースがあり、被害者の会も設立をされております。これらの全てが、本人が会いたくないと言っているということで全く会えなくなっている状態とお聞きをしております。また、福祉施設などでも、ケアマネジャーが間に入りまして、本人があなたに会いたくないと言って、家族が会えなくなる場合も聞いております。
高齢者は、残念ながら、時間とともに判断能力が低下していくこと、これは避けられません。そのため、高齢者本人の状態を見ながら、後見人を立てたり、福祉関係者が介入する場合であっても、一定程度の期間ごとに、本人、家族、医師、弁護士などを中心に、第三者も入れまして検証するシステムの導入が必要だと考えるところであります。
被後見人やその家族が後見人の行動に疑問を持った際に相談できる窓口、また支援体制はどのように整備が必要だと思われるか、法務省と厚労省にお伺いするとともに、福祉施設や福祉関係者などによって高齢者の家族が高齢者本人に会えない状態のときの相談窓口や支援体制につきまして、この点につきましては厚労省の見解をお伺いしたいと思います。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
成年後見制度を利用する本人が尊厳のある本人らしい生活を継続するためには、成年後見人による事務が適正、適切に行われる必要があります。被後見人やその家族が成年後見人に不適正、不適切な職務遂行があるとの疑問をお持ちの事案では、家庭裁判所に報告してその監督を促し、場合によっては介入を求めるといったことが考えられます。家庭裁判所に手続案内を受けることも考えられるところでございます。
法務省といたしましては、成年後見人による適正、適切な事務を確保するためには、まずはこのような制度が適切に活用されることが重要であると認識しておりまして、引き続き、制度の趣旨、内容の周知に努めてまいりたいと考えております。
○吉田政府参考人 厚生労働省関係の取組についてお答えを申し上げます。
まず、相談窓口、支援体制についてでございますけれども、令和四年三月に閣議決定されました第二期成年後見制度利用促進基本計画に基づきまして、現在、国、地方公共団体等において、成年後見制度の周知、広報、相談窓口の整備等、利用促進に向けた取組を進めております。
具体的には、同基本計画におきましては、後見人に関する苦情には、後見人の不適正、不適切な職務に関するもののほか、後見人が本人や親族等の意向等に沿わないことへの不満等様々なものがあり、まずは広報や事前説明が重要であるとされていることを踏まえまして、厚生労働省では、成年後見制度利用促進ポータルサイトを設置いたしまして、本人や家族を含む関係者に対し、制度の理解促進に向けた周知、広報を進めております。
また、基本計画では、市町村に権利擁護支援や成年後見制度の利用に関する地域の相談窓口を明確にすることを求めており、ほぼ全ての市町村、具体的に申し上げますと、九六・三%に当たる千六百七十六市町村におきまして相談窓口が整備されているものと承知をしております。
さらに、同基本計画におきましては、市町村は、身上保護に関する支援への苦情等の解決に向けて、福祉サービスの調整等も含め、関係者と連携して対応を行うとともに、必要に応じて専門職団体と連携して対応するほか、不適正、不適切な事案については家庭裁判所に連絡することともされているところでございます。
続きまして、福祉施設等に関する御質問にお答えを申し上げます。
高齢者がその家族等と面会することは、高齢者等のQOL、生活の質の向上に影響するものであり、高齢者本人の意思を前提といたしまして、その機会を確保することは重要であると考えております。
例えば、介護老人福祉施設、特別養護老人ホームでございますが、こちらにつきましては、運営基準などを定める省令におきまして、入所者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立ってサービスを提供するように努めなければならないこと、入所者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めなければならないことが規定されておりまして、各施設においてこうした取扱いが入所者本人の意思に基づいて適切に運用されることが重要であると考えております。
厚生労働省といたしましては、引き続き、成年後見制度の周知、広報や市町村における取組の支援等を通じまして、成年後見制度の適切な利用促進に取り組んでまいります。
○中川(宏)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十四分休憩
――――◇―――――
午前十一時五十七分開議
○井林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井でございます。
今日も、財政、国債の発行などについて議論したいんですけれども、また主計局長を通告したんですけれども、予算委員会で忙しい、開かれてもいない予算委員会で忙しいそうで、今日は吉野次長が、次長も三人いて、何かいろいろな方が来るわけですが、吉野次長は、私と入省同期、平成五年でございまして、実は、財務省の平成五年は、玉木国民民主党代表、それから自民党は木原さんがいて、そこに吉野さんが入って、三人で国会を動かしているなんといううわさも流れる、吉野さんは財務省のエースで、いずれ局長、次官になる方だと思いますので、今日はしっかり財務省の考えを、うそ偽りない考えを答弁いただきたいと思います。
まず最初に聞きたいのは、財政審議会という日本の財政を考える非常に重要な場に、積極財政と言われる、要するに、財政出動をもっとやって、国債を発行して、そして経済を成長させていこう、そういう考えの人が私が見る限り一人もいない。みんな緊縮財政、財政健全化のことばかり考えている、特に経済学者が多いと思いますが、なぜ積極財政派の人を入れないんですか。これはバランスが悪くないですか。次長、お答えください。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
財政制度等審議会の委員の任命に当たりましては、財務大臣が、各分野の政策や制度につきまして幅広い知見と経験をお持ちの方々を人物本位で任命しておりまして、経済界や企業関係者、市場関係者、学界、言論界、労働組合など、多様なバックグラウンドを有する方々が委員を務めていただいておるところでございます。
したがって、特定の主義や主張をなされていることのみをもって委員に任命するといった運営はしておりませんけれども、財政制度等審議会が、経済社会情勢や様々な政策分野を含め、国の予算に関する重要事項を幅広く議論していただく場であることを踏まえまして、多様なバックグラウンドを有する方々を人物本位で任命しておりますし、これからもそうしてまいりたいと考えております。
○高井委員 この財政の話は、積極財政か緊縮財政かで国会だって大きく分かれているわけですよ。それから経済界だって大きく二分する一大論争なんですよ。それを、別にいろいろな立場の人を集めたといったって、どう見ても、言っている主張が、緊縮財政という財務省の考えに沿った人ばかりが集まっている。これでは到底公平な議論とは言えません。
是非これは、こういうふうな指摘を受ける前にちゃんと、次も受けますから、しっかり委員は見直していただいて、積極財政と言われる立場の人たちをやはり入れるべきだと申し上げておきます。
それからもう一つ、財政審議会に提出している財政総論という、毎年、年二回ですかね、財務省が示す資料にもちょっと注文があります。
おとといも申し上げましたけれども、海外の格付会社の日本の国債の格付が下がっているという資料を出しているわけですよ、財務省は。しかし、これは、かつて財務省が海外の格付会社に対して文句を言っているんですね、公式に文書で。それは、自国通貨建てで国債を発行した国で、債務不履行、デフォルトした国はない、そういう立場を言っているわけですよ。しかし、その文句をつけた海外の格付会社を今喜んで使っている。
明らかにこの格付はおかしいと思いますよ。だって、ユーロ圏の国の格付が上位なんですよ、ドイツとかイギリスとか。だけれども、そういう国はユーロで発行していますから、ユーロで国債を発行している格付が日本より高いはずがないんですよ、財務省の考えでいえば、あるいは一般的な経済理論でいえば。おかしいんですよ。それをむしろ財務省は指摘しなきゃいけないのに、今の海外格付会社の資料を喜んで使っているのは、これはおかしくないですか。矛盾していませんか。いかがですか。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
海外の格付会社が日本の国債の格下げを行った際に我々指摘をしたということがございましたけれども、その理由につきまして、客観的な説明を求めたことがある、そういう認識でおります。
主要な格付会社によりますれば、財政赤字の拡大や債務残高対GDP比の上昇など、更なる財政悪化や経済成長の低迷などが見込まれる場合などにおきましては日本国債の格付が下がることになるという可能性が指摘されております。
国債の格付が下がった場合の影響につきましては、国債の利払いが増加することによりまして政策的経費を圧迫するおそれがあることに加えまして、国債の信用に連動して国内の金融機関や企業の社債等の信用が低下いたしましたり、国債が外貨調達の際に担保として認められなくなるということを通じまして企業等の調達コストが上昇するといった場合もあると指摘がなされているところでございます。
このような観点から、格付会社がどのような目線で格付を決定しているのかを示すことは財政の持続可能性を見る上で有意義なものと考えておりまして、引き続き、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないよう、経済あっての財政の考え方の下、力強く経済再生を進める中で、財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいりたいと考えております。
○高井委員 財務省はよく、平成十四年、二〇〇二年にあれは出したものであって、今は状況が変わったんだと説明するんですけれども、しかし、二〇〇二年の方が財政は悪いんですよ。最も財政が悪化しているときなんです。そのときは財務省は抗議をしているのに、それから実は財政は改善しているんですよ。
皆さん誤解していますけれども、政府債務残高は日本はほぼこの二十年間変わっていないんですよ。ところが、アメリカは、当時、二〇〇二年頃はアメリカと日本の政府債務残高の水準はほぼ一緒だったんですよ。ということは、これは確かに日本は厳しいですよね。アメリカみたいな大きな国と、政府の債務残高、借金が同額だったら、それは大変だと、二〇〇二年当時、皆さんが、財務省が財政健全化が必要だと言うのはまだ分かります。だけれども、そこからアメリカは何と四倍この債務残高が増えているんですよ。日本はほぼ一緒なんです。
じゃ、何で債務残高対GDP比が日本が悪いのか、アメリカより全然悪いのか。理由は簡単ですよ。分母であるGDPが全く増えていないからですよ。日本はGDPがほぼ横ばい、アメリカは四倍、それ以上にGDPが増えているから、だから、債務をGDPで割った数字は当然日本は悪くなるし、アメリカはよくなるということだけなんですよ。債務残高は変わっていませんからね。債務残高を増やさないから、つまり国債を発行していない、政府支出を増やさないから経済は成長していないんですよ。鶏と卵の関係かもしれないけれども、やはりそこは間違ってきたと思いますよ。
二十年前に財務省が厳しいと言い続けて、二十年間頑張って債務残高を抑えてきた結果、日本経済が成長していないことによって、そして債務残高対GDP比の数字が悪くなっているんですよ。これはやはりおかしくないですか。財務大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 今お話がありましたように、残念ながら日本のGDPがこの間十分伸びてこなかったということで、これは割り算の関係でありますから、そうした数字になっているというのは分母が伸びていないからというところで、債務残高比は、結果的に、今見ますと、日本は二〇〇四年が一六九%が二〇二三年は約二四〇%、アメリカは二〇〇四年の約六六%が二〇二三年は一一九%ということですから、アメリカ一一九に対して日本は二四〇ということで、まだ債務残高対GDP比で見ると高いということは指摘をできると思います。
この背景には、今お話がありましたように、日本がアメリカに比べて経済が成長しなかったことは否定はできないところでありますが、しかし、そうした結果があるということはしっかり受け止めていかなきゃならないと思いますし、ポイントは、先ほどから申し上げているように、市場の信認なんだと思うんですね。ですから、そこのところをよく見極めながら対応していく。そういった意味では、先ほどの格付というのもその一つの判断材料ということにもなる。その辺はよく慎重に見極めながら、引き続き、市場の信認を受け続け、そして国債の安定消化が図られるように努力をしていきたいと考えています。
○高井委員 財務大臣も財務省も分かっているんだと思いますよ、今の答弁を聞いても。
要するに、債務残高対GDP比で比べれば日本は確かに悪いんですけれども、でも、そのGDPが増えなかった原因というのは、結局、消費税を引き上げたり、あるいは、政府支出を増やしてこなかった、これはもう客観的データでも明らかですから、明らかに政府の、特に財務省の経済政策、財政政策の失敗なんですよ。その結果、確かに今、市場の信認は危ういかもしれない。だけれども、一方で、格付会社は確かにそういう評価をしているけれども、クレジット・デフォルト・スワップ、私が何度も取り上げているこの数字は、極めて良好な安定的な数字なんですよ。
これに対して、昨日、中山次長はこう答弁しています。潤沢な家計金融資産ですとか経常収支の黒字を背景に、国債が安定的に消化されているという状況が評価されていると。やはり、市場も評価しているからこのクレジット・デフォルト・スワップ、CDSの数字は低いわけですよ。
ところが、一方で、月曜日に、財務大臣は予算委員会で私の質問に、国民の資産等々を前提とした議論がどこまでそれとして通じるのか疑問だと。これは、私が予算委員会で、債務残高は確かに千二百八十兆円あります、しかし、国の金融資産、企業、家計、政府を合わせた金融資産は、九千八百九十五兆円、もう一京円近くあるわけですよ。それから、個人、家計の金融資産だけ取って見たって二千百七十九兆円あるわけです。これはよく、国民一人当たり借金が一千万円を超えたと皆さんもマスコミも騒ぎますけれども、個人の金融資産、一人当たり千七百六十六万円、平均して一人持っているんですよ。
それだけの金融資産があるからこのクレジット・デフォルト・スワップは評価が高いんだと昨日、中山次長が、おととい主計局次長が認めていますからね。
だから、こういったことを考えたら、市場の信認云々を、財務大臣は、何か、天候の影響がとか人口減少がとかいろいろ災害がとか言いますけれども、そんな、何か情緒的な話ではなくて、客観的数字でやはりちゃんと議論していただきたい。
特に、海外の格付会社は間違った評価をしていますから、それに対して抗議をするのが日本政府のやるべきこと。二〇〇二年に財務省がやったことが正しいんですよ。今それを、全く違った、自分たちの都合のいい数字を取り出して財政審議会に示している、この財務省の態度は誠にもっておかしいということを申し上げます。
一方で、国債の発行は無限にできるものではないということも申し上げています。そして、国債が発行できなくなったときにどうするんだということは、実は、共産党さんが予算委員会で主張して、石破総理に何かすごく褒められていましたけれども、それと同じことを我々も言っているわけですよ。しかし、今はまずは国債で乗り切るべきでしょうと。今増税の話をして、またここで経済にストップをかけるんですかということで、私もあえて増税の話はしていませんが、今日は質問したいと思います。
消費税を引き上げてきたその原資は、法人税減税なんですよ。法人税の、本来払うはずだった金額を全部集めると、消費税の税収総額の実に七割近くが、法人税が減税されてきているわけです。四三・三%あった税率が、今、二三・二%まで、二〇%まで税率を落としているわけですから。そして、所得税だって、最高税率七五%だったものが、今、四五%まで所得税も引き下げてきたんですよ。でも、その結果、今、日本は一番富裕層の多い国になっちゃったんですよ。一億円以上の投資をぽんとすぐできる人の数、アメリカに次いで日本は二位ですよ。明らかに、アメリカと同じくらい、アメリカに近く、日本は貧富の格差が広がってきた。
そういうことを考えれば、法人税の増税、特に累進性、それから所得税も累進性の強化、あるいは金融所得課税、こういったことをやる、将来的にはね。まずは国債で対応するけれども、国債がもうこれ以上発行できないというときには今言ったことをやるべきだということは、れいわ新選組も訴えていますし、それに対する財務省の見解を、財務大臣、お聞かせください。
○加藤国務大臣 まず、穴埋めかという話でありますが、消費税は、本格的な少子高齢化社会の到来を見据え、国民福祉の充実などのために必要な歳入構造の安定化を図るという目的の下に創設をされ、社会保障制度を支える貴重な財源として位置づけられ、その税収は、年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てられ、その充実を図ってきたということでございますので、税収が法人税減税の財源に充てられたということは、その指摘は当たらないというふうに考えております。
また、法人税そのものについては、平成元年度十九・〇兆円で、その後ずっと下がってきましたが、令和七年度予算では十九・二兆円とそれを超える見込みになっているということ、他方で、我が国の競争力強化、国内投資や賃上げ促進等の観点から税率の引下げなどを行ってきましたが、今後の在り方については、令和七年度与党税制改正大綱において、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなどめり張りのある法人税体系を構築していくとされたことを踏まえて、検討を進めていきたいというふうに考えております。
また、所得税については、所得再配分機能の強化を図る観点から、平成二十五年度税制改正において最高税率の引上げなど、累次の改正を行ってきたところであります。
税制については、今後も、経済社会の情勢変化などを踏まえつつ、再分配機能をどの程度発揮させるべきかといった観点も含め、検討していくことが重要と考えております。
○高井委員 まとめますが、我々、あくまでも増税じゃないですからね。まずは国債を発行する、それで十分対応できるんだということをこれからもしっかり議論していきたいと思います。
終わります。
○井林委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
消費税のことを質問したいところですが、今日は、四月九日に続いて、オンラインカジノについてお聞きをいたします。
この四月九日の私の質問後に、NHKスペシャルがオンラインカジノを取り上げていて、ギャンブル依存症にして身ぐるみ剥ぐ、こういう実態が放映されていて、本当に、ネットを利用したある意味洗脳、詐欺だと怒りを持ちました。本格的な対策が急がれます。今、アクセスをどうするか、その入口の対策ということを議論されていて、これはもちろん必要ですけれども、財務金融委員会ですから、資金の流れを遮断する対策に絞ってお聞きします。
前回の私の質問に金融庁は、全国銀行協会が行っている口座不正利用に関するアンケートの中にオンラインカジノに係る件も含まれていると答弁されました。では、オンラインカジノに係る件数、不正利用のうちどれだけの件数なのかなど、分かる範囲で説明をいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
全国銀行協会が公表している口座不正利用に関するアンケートにおいて、二〇二四年四月から同年十二月までに口座不正利用に伴う利用停止、強制解約等とされている件数、これは九万三千五百三件でございますけれども、これにつきまして、このうちオンラインカジノ利用の疑いによるものの件数を金融庁で確認をいたしましたところ、主要行等及び地域銀行で合計二千三百六十件ということでございました。
○田村(智)委員 九万件のうち三千件に届かないと。警察庁の委託調査、今年一月に公表されたものですと、年間一兆二千億円以上オンラインカジノの賭博総額が推計されているわけですね。そして、やはりほとんどが摘発できずに見逃されているというのが現状だというふうに考えられると思います。そういう認識でよろしいでしょうか。これはやはりほとんど見逃されているんじゃないかと。もう一度。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
申し訳ございません。私どもとして、見逃されているかどうかということにお答えは難しゅうございますけれども、先ほど申し上げましたように、利用停止、強制解約されている中のオンラインカジノの件数については先ほど申し上げたとおりということでございまして、その数字をどのように評価されるかということを金融庁として申し上げるのは難しいことをお許しいただければと思います。
○田村(智)委員 私は、警察の委託調査での推計から見ても、これはほとんど見逃されていると言わざるを得ないんですね。
この警察庁の委託調査報告書、大半のカジノサイトでは銀行振り込み、銀行送金も利用可能というふうに指摘をしています。どのサイトも、当然のことですけれども、オンラインカジノへの入金、賭けに勝った場合の受取方法、これは説明がされている。中には、オンラインカジノの振り込み先口座は毎回異なる場合がありますなどと注意喚起をしているサイトもあるということも指摘されています。そうすると、これは常にサイトを監視していれば口座番号は把握できるということではないのか。
金融庁若しくは全銀協は、オンラインカジノのサイト情報を把握して、最新情報を金融機関等へ提供しているのかどうか。この点はいかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
銀行や資金移動業は、捜査当局等から情報提供を受けるほか、銀行によっては、送金等の取引形態に着目して、より個別具体的な調査を行うことで、オンラインカジノに関連する口座を把握しているというふうに承知をしております。
このような口座については、犯罪収益移転防止法に基づき、行政庁に疑わしい取引の届出を提出しているほか、口座の利用停止等の措置を講じているものと承知をしておりますけれども、委員御指摘のとおり、これが全てであるかということについては、それは必ずしも全てを網羅できているということではないというふうに考えております。
○田村(智)委員 むしろ氷山の一角ということだと思います。
委託調査報告書では、調査対象となったオンラインカジノサイトで銀行振り込みを採用している場合、会員登録前の状態で入金先及び出金元口座を開示しているオンラインカジノはないため、特定することはできなかったとあります。この調査は民間企業への委託調査ですから、やはり違法なオンラインカジノのサイトに会員登録するということはできないと思います。
では、金融庁や警察はどうなのか。日本語で、明らかに日本人を対象としているオンラインカジノについて、銀行振り込み先の把握ができるのにやらないということになるんじゃないかと思いますが、この点、金融庁、警察庁、それぞれお答えいただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
金融庁といたしましては、私ども捜査機関ではないものですから、どうしても、民間の情報にどこまで入っていけるか、金融機関に対しては監督権限がございますので、いろいろな情報を報告を受けることは可能でございますけれども、それ以外のところにどこまで入っていけるかというところには限界があるかなというふうに思っております。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
警察におきましては、個別の事案ごとに法と証拠に基づきまして所要の捜査を行う中で、口座情報を含め、必要な情報の把握に努めているところでございます。
○田村(智)委員 個別の案件ということだと、常時監視してまさにこちらから取りに行くということになっていないという御答弁かと思うんですね。
警察政策学会のゲーミング政策研究部会が、オンラインカジノをめぐる法的諸問題という資料を昨年七月に公表しています。これはホームページから誰でも読めます。過去の検挙案件などを分析して、今後の課題として、刑事司法のみで対応するには限界がある、金銭の流れの対策や広報等、総合的な対策を推進すべきと指摘しています。
その中でも、第一に、銀行やクレジット会社に日本国外のオンラインカジノ事業者について最新の情報を提供する必要があると述べています。また、海外オンラインカジノでは電子マネーでの入金、出金が可能だが、日本の電子マネーは使えない、そうすると、国外の電子マネー発行会社への支払いは賭博に関連するリスクの高い行為であること、また、国外の電子マネー発行会社から日本の個人の銀行口座への多額の送金はそもそも不自然であり、常習賭博であれば犯罪収益となる可能性があること、これらを銀行やクレジット会社に周知する必要があるというふうに指摘をしています。
ちょっとこれはここまで丁寧に通告していないんですが、今のように、例えば電子マネー、国外の電子マネーの発行会社から多額の送金が日本の個人の銀行口座にあったらそもそも不自然だ、これはすぐにでもできる周知、注意喚起だと思いますけれども、金融庁、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 それぞれの銀行におきまして、マネーロンダリング規制の観点から、通常と異なる多額の入金でございますとか多額の出金があったようなケース、また、カジノ等が疑われるようなケースもあるかと思いますけれども、こういうものを発見をした場合には、マネロンで疑わしい取引として届けるという仕組みになっておりますので、これをどのように高度化できるかという問題かなというふうに考えます。
○田村(智)委員 冒頭、何度も指摘しますが、一兆二千億規模でのお金が動いているわけですから、一般的な喚起ではなく、オンラインカジノの問題としての注意喚起が必要だと思います。
銀行やクレジットカード会社への対策が強まると、決済代行業者の関与が強まる可能性があります。その点からも注目しているのが、二三年九月、海外オンラインカジノの賭け金の決済を代行したとして、警視庁が渋谷区の決済システム運営会社の経営者らを常習賭博幇助の容疑で逮捕したという案件です。オンラインカジノサイトに登録した客は決済代行業者に賭け金を振り込む、業者がカジノで使うポイントを購入して客にポイントを付与し、また、客が賭けに勝った場合の現金の払出しにも対応していたということなんですね。
警察庁にお聞きします。この件では、オンラインカジノのサイトでこの決済代行業者の口座への振り込みが指示をされていたのかどうか。お答えください。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの事件は、日本国内におきまして、被疑者らが海外のオンラインカジノサイトで利用できる決済システムを開発、運用し、賭客らが携帯電話機等のインターネット通信機能を有する端末からオンラインカジノにアクセスして賭博をした際、これを幇助したものとして、令和五年九月までに、警視庁等において、被疑者七人を常習賭博幇助で検挙し、賭客ら二十一人を単純賭博罪で検挙したものでございます。
○田村(智)委員 質問にお答えいただいていない。
これは、オンラインカジノのサイトでこの決済代行業者の口座への振り込みを指示していたものなのかどうか。お答えください。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
通告がございません。また、捜査の中身にわたる部分でございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
○田村(智)委員 これはこの場で御答弁いただけなくても、是非、金融庁との連携は、私、必要になってくると思うんですよ。
決済代行業者が海外へ送金しただけでは、常習賭博の幇助というふうに、すぐに適用というのは難しいと思うんですよね。だから、どういう場合に常習賭博の幇助の罪が成立するのかということなども含めて、本当に、金融庁との連携で、お金の流れから遮断していくということが求められていると思います。
大臣に、最後、お聞きしたいんですけれども、海外への出入金を事業とすることは為替取引に当たり、銀行以外は、資金決済法に基づき、内閣総理大臣の登録を受けた者に限定されます。そして、公益に反する者は現行法でも登録の取消しとなります。
そうすると、現行法においても、海外オンラインカジノへの出入金を行う決済代行業者等を取り締まることは可能だと思うんです。もちろん、法改正によって取締り強化を行うことも当然ですけれども、これまで現行法でできることをやってきたのかどうかということが問われていると思います。
この面から、金融機関なども参加する実態調査や検討会、これを開催して、どうやってこの対策を立てていくのか、警察庁との連携をどうしていくのか、こういうことの検討が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、オンラインカジノに対して政府を挙げて対応していく必要がある、それは私もそのとおりだと思っております。
政府としては、違法オンラインカジノ対策に関する関係省庁連絡会議を設置をして、関係省庁一丸となった対策に取り組んでおり、金融庁では、金融機関等が個別の口座や送金とオンラインカジノの関連性をどのように判断しているか等のヒアリング、警察庁との情報交換などを通じて、オンラインカジノに係る送金実態の理解、把握にまず努めております。
その上で、オンラインカジノの違法性に関する利用者への注意喚起などを金融機関などに要請をする、違法な送金の抜け穴となっている国境をまたぐ収納代行について資金決済法の規制を及ぼすために資金決済法の改正案、今提出させていただいておりますが、こういった取組を行ってまいりました。
今後、オンラインカジノに関連する送金や口座の特定について、先進的な取組を行っている事例を金融機関等で共有をしていくこと、また、全国銀行協会においても、不正利用の疑いのある口座情報を銀行間で迅速に共有する仕組みについて検討が進められており、金融庁としても検討状況をフォローしているところであります。
オンラインカジノへの送金の実態の解明、なかなか難しい点もございますが、金融庁としては、引き続き、警察庁や金融機関等の関係者と連携を図り、オンラインカジノへの送金を止めるための具体的な取組、これをしっかり進めていきたいと考えています。
○田村(智)委員 これは、特に二十代、三十代の若者の人生がめちゃくちゃにされているという深刻な案件でありまして、資金決済法の改正法案の中でまた審議を進めたいと思います。
終わります。
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○井林委員長 次に、内閣提出、資金決済に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣加藤勝信君。
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資金決済に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○加藤国務大臣 ただいま議題となりました資金決済に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
金融のデジタル化等の進展に対応し、利用者保護を確保しつつ、イノベーションを促進することが、喫緊の課題となっております。このような状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、暗号資産交換業者等が破綻した場合等における資産の国内保有命令を創設することといたします。
第二に、利用者と暗号資産交換業者等との間で、暗号資産等の売買、交換の媒介のみを行う者について、登録制を創設し、所要の行為規制等を整備することといたします。
第三に、国境をまたぐ収納代行のうち、一定のものに対し、資金移動業の規制を適用することといたします。
その他、関連する規定の整備等を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容でございます。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十分散会