第23号 令和7年5月28日(水曜日)
令和七年五月二十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 長谷川嘉一君 理事 斎藤アレックス君
理事 田中 健君
東 国幹君 石田 真敏君
伊藤 達也君 上田 英俊君
小寺 裕雄君 田中 和徳君
土田 慎君 中西 健治君
根本 幸典君 福原 淳嗣君
古川 禎久君 牧島かれん君
松本 剛明君 岡田 悟君
海江田万里君 川内 博史君
川原田英世君 小山 千帆君
階 猛君 末松 義規君
辻 英之君 原口 一博君
水沼 秀幸君 三角 創太君
矢崎堅太郎君 萩原 佳君
村上 智信君 岸田 光広君
中川 宏昌君 平林 晃君
山口 良治君 高井 崇志君
田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
内閣府副大臣 瀬戸 隆一君
総務副大臣 阿達 雅志君
財務副大臣 斎藤 洋明君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
財務大臣政務官 東 国幹君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 檜垣 重臣君
政府参考人
(金融庁総合政策局長) 屋敷 利紀君
政府参考人
(金融庁企画市場局長) 油布 志行君
政府参考人
(金融庁監督局長) 伊藤 豊君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(財務省主計局次長) 吉野維一郎君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
参考人
(日本銀行総裁) 植田 和男君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
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委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
長島 昭久君 小寺 裕雄君
江田 憲司君 小山 千帆君
櫻井 周君 川原田英世君
階 猛君 辻 英之君
山口 良治君 平林 晃君
同日
辞任 補欠選任
小寺 裕雄君 長島 昭久君
川原田英世君 櫻井 周君
小山 千帆君 江田 憲司君
辻 英之君 階 猛君
平林 晃君 山口 良治君
同日
理事櫻井周君同日理事辞任につき、その補欠として長谷川嘉一君が理事に当選した。
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五月二十二日
消費税率五%以下への引下げとインボイス制度の廃止に関する請願(山崎誠君紹介)(第一二二七号)
同(浅野哲君紹介)(第一二五二号)
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(新垣邦男君紹介)(第一二六九号)
同(大河原まさこ君紹介)(第一二八八号)
同(藤原規眞君紹介)(第一三七一号)
同月二十八日
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第一四二三号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一五四五号)
同(志位和夫君紹介)(第一五四六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一五四七号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一五四八号)
同(田村貴昭君紹介)(第一五四九号)
同(田村智子君紹介)(第一五五〇号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一五五一号)
同(本村伸子君紹介)(第一五五二号)
消費税率五%以下への引下げとインボイス制度の廃止に関する請願(堀川あきこ君紹介)(第一四七二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
資金決済に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
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○井林委員長 これより会議を開きます。
この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事櫻井周君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に長谷川嘉一君を指名いたします。
――――◇―――――
○井林委員長 内閣提出、資金決済に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として警察庁長官官房審議官大濱健志君、生活安全局長檜垣重臣君、金融庁総合政策局長屋敷利紀君、企画市場局長油布志行君、監督局長伊藤豊君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、財務省主計局次長吉野維一郎君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江澤正名君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。
○櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、資金決済法の改正ということでございますが、その前に、先週、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議がございました。財務大臣とそれから日銀総裁が出席されたというふうに承知をしておりますので、まずこちらについて二点ばかり聞かせていただきます。
資料一にお配りしておりますのは、G7財務大臣・中央銀行総裁声明ということでございます。これの一ページ目の三ポツのところ、声明には、国際機関は、我々の前回の会合において、貿易政策と経済政策の不確実性が高く、世界の成長の重荷になっていると指摘した、我々は経済政策の不確実性はピーク時から低下したことを認識というふうに書いてございます。
大臣にお尋ねをいたします。貿易政策と経済政策の不確実性が高い原因は何だったという御指摘だったんでしょうか。また、経済政策の不確実性はピーク時から低下ということですが、何をもって低下したと判断されたんでしょうか。御説明をお願いいたします。
○加藤国務大臣 まずは、先般のG7の会合出席に当たりましては、いろいろ御高配いただきましたことに改めて感謝申し上げたいと思います。
その上で、今般のG7の財務大臣・中央銀行総裁会合の共同声明における記述に関する御質問でありますが、貿易政策と経済政策の不確実性に関する記述については、前回、四月のG7会合にも参加した国際機関であるIMFが当時公表した世界経済見通しをベースに記述をされております。
そこにおいては、米国の関税措置とそれに対抗措置を取る国が現れていることを指摘しつつ、大きな政策の転換が世界経済の不確実性を生み出しているとの趣旨の指摘をされ、具体的には、世界経済全体において、今年の一月に比べて、例えば今年については〇・五%のマイナスとなっている等々の見通しを示しているところでございます。
さらに、経済政策の不確実性はピーク時から低下したとの認識についてでありますが、これに関しては、米中あるいは米英など、一連の関税措置に係る交渉の一部で進展が見られていること、これを踏まえたものと理解をしております。
○櫻井委員 確かに、アメリカと中国の関税については、一一五%、大幅引下げということなんですが、引き下げたとてまだ三〇%とか高い関税が残っているわけで、果たしてこれで不確実性が低下をしたのかというのは、ちょっとなかなか判断しづらいところだというふうに思います。
実際、このG7の財務大臣・中央銀行総裁会合が終わった後、トランプ大統領は、EUからの輸入品に対しては六月一日から五〇%の関税を課すというようなことを発信されたり、でも、それはその後に、五月二十六日には、七月九日まで延期すると発信してみたりというようなことで、不確実性はまだまだ高いままではないのかなというふうに考えます。
また、今回のこの声明の中にはアメリカの関税措置への直接の言及はなかった、こういう評価が報道機関の間でもなされているかと思います。
過去にこの手の共同声明とかこういったところでどういうふうに書かれているのか振り返ってみますと、例えば、二〇二四年十一月、去年のAPEC首脳宣言、マチュピチュ宣言においては、自由で、開かれた、公正で、無差別で、透明性があり、包括的かつ予見可能な貿易・投資環境を実現する重要性を認識し、その実現のために引き続き取り組むというような記述がございました。また、もう少し遡って二〇二二年五月の日米首脳共同声明では、自由で公正な経済ルールに基づく多角的な貿易体制の重要性を認識、こういうふうにもございます。
ちょっと大臣に重ねて質問申し上げますが、今回はこれらの趣旨の文言は入っておりません。今回のG7では、自由で開かれた貿易の重要性は共通認識には至らなかった、こういう理解でよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 それぞれの、各国から米国の関税措置等についても議論がなされたというところでございます。詳細はちょっと省かせていただきますが。
その上で、そうした議論も踏まえながら、我々の中で、現時点の、不確実性が高まる中で、今、一時的にはピークからは、さっき言った低下したというのは、ピーク時からは低下しているという状況でありますけれども、ないというわけではありませんので、そうした状況を踏まえて、どういう対応をしていくべきなのか、これについての共通認識をお示しをしたということでございまして、今の、自由で開かれた云々かんぬんということについて、改めてそこには言及はしていないところでありますけれども、日本としては、それを前提に取り組んでいかなきゃいけないというふうに考えています。
○櫻井委員 日本銀行の総裁にも来ていただいておりますので、同じ点について質問させていただきます。
二〇二五年五月二日、今月、日銀の展望レポートを公表されております。これは毎年四月とかに出されているので、今年の場合は五月二日にずれ込んだということでございますが、これの五ページには、関税を含む政策の不確実性の高まりが大きな影響を及ぼすという記載がございます。また、七ページ目には、世界経済の先行きをめぐる不確実性は高くという記載もございます。さらに、本日、資料二につけております八ページのところ、ここには、各国の通商政策等の今後の展開やその影響をめぐる不確実性が極めて高い状況にあると。極めて高いと、いつも慎重な物言いをされる日本銀行にしては極めて強い表現をされているわけなんですが、こういった記載があるわけでございます。
それから、資料三につけております、これはアメリカのFRBの五月七日のFOMC、フェデラル・オープン・マーケット・コミッティーの後のプレスリリースでございますが、この中で、真ん中ちょっと上ぐらいですかね、アンサーテンティー・アバウト・ジ・エコノミック・アウトルック・ハズ・インクリースト・ファーザーという記載もございます。
日銀総裁もそれからFRBのパウエル議長もこういう認識をお持ちなんだと思いますが、総裁にお尋ねをいたします。世界経済の先行きの不確実性は極めて高い状況にあるというふうに記載されているんですが、極めて高い状況にあるのか、それとも低下したと、この声明にあるとおりなのか、どっちなんでしょうか。
○植田参考人 お答えいたします。
私ども、五月初めに、今話がありました展望レポートを公表いたしましたし、その後すぐ、これも御指摘がありましたFEDのレポートも出ております。
たしか、私の認識では、その後、米中間で関税の交渉が進み、相互に関税を引き下げるということが合意されたということであったかと思います。そこは前向きな動きではあるわけですが、御指摘の最初のG7の声明は、その点を踏まえたものと認識しております。
ただ一方で、日米間を含めまして多くの通商交渉はまだ現在進行中でありまして、その先行きがどういう姿になるかという点に関しましては、引き続き不確実性は高いというふうに考えております。さらに、関税がどこかの水準に落ち着いたといたしましても、それが世界経済、日本経済にどういう影響を及ぼすかという点については、様々な不確実性が依然として残っているというふうに思っております。
私どもとしては、今後のデータや情報を丁寧に確認してまいりたいと思っております。
○櫻井委員 続きまして、資料四につけております、これは先ほどの声明の三ページ目になります。こちらには、高水準の公的債務及び高まる財政圧力という環境、それから、財政的に健全な方法で成長を促進する政策を追求するための最適な方法について議論し、知見を共有というふうにございます。
財務大臣にお尋ねをいたします。これは、どのような知見を共有されたんでしょうか。
○加藤国務大臣 今御指摘の記述は、G7会合の成長戦略について議論をしたセッションがございまして、それをベースにしているものと理解しております。
私の方からは、G7各国は、現在、財政余力が限られる中にあって、人口動態の変化や技術革新、厳しさを増す安全保障環境への対応や経済の生産性向上を目指して、投資や構造改革を推進していく必要に直面をしていること、こうした状況において、我々の取組を、得られた成果や教訓と併せて互いに共有することは重要であるということを強調し、日本の取組としては、少子高齢化に伴う労働供給制約に対応すべく三位一体の労働市場改革に取り組んでいること、また、生産性の持続的向上や新たな価値、サービスの創出に向けて、官民を挙げたデジタル化や省力化投資を推進していくことなどを紹介をいたしました。
他国の発言について具体的に言及することは差し控えますが、各国からも自国の成長戦略の紹介があり、その結果として、そこにまとめられておりますように、構造改革が強固で持続可能な経済成長の基礎づくりに貢献する等、三つの点が記載されていると思いますが、それらについて合意をしたところでございます。
今回、そういった意味で知見を共有し、また、それぞれ具体的な意見交換ができたということは非常に有意義だったと私は認識をしております。
○櫻井委員 一般的に言われているところとして、例えば、防衛費、NATOについては五%とかいうようなことが言われておりますし、アメリカでは大規模な減税が検討されているということでございますし、我が国においても防衛費は増加するとかいろいろな形で歳出圧力はかかっているのではないのかということで、財政の先行きについてはいろいろ懸念を持つ見方もあるんだろうと思います。
資料五をつけております。こちらは、日本、それからアメリカ、ヨーロッパ、特にヨーロッパはイギリスとドイツを挙げておりますけれども、三十年物の超長期の国債の利回りが上昇してきているというところを示しているグラフでございます。
本来であれば、アメリカもヨーロッパも、どちらかというと利下げ局面ということで、これから金利が、短期の金利が下がれば、それが長期、さらには超長期にも多少なりとも影響して、下がる傾向にあるのかなと思いきや、実際はそうではない方向に進んできているというところなんです。
大臣にちょっと重ねてお尋ねをいたしますが、日本やアメリカ、ヨーロッパで超長期の金利が上昇しているということは、財政的に健全な方法で成長を促進する政策を追求するための最適な方法について金融市場は知見を共有していないということの表れではないんでしょうか。すなわち、金融市場は各国の財政の健全性に疑問を持っていると考えますけれども、大臣はどのようにお考えですか。
○加藤国務大臣 市場が知見を共有するというのは、ちょっと、主体が違いますので、我々は政府でありますし、市場というのはいろいろな方がおられますので、なかなかそういった言い方は難しいんだろうと思っています。
各国の金利の上昇、また我が国も含めて、その状況について政府としてのコメントは控えさせていただいておりますが、現下の、例えば我が国の足下について言えば、それぞれの投資家自体の動向、あるいは今おっしゃった財政に対する見方等が影響しているのではないかという市場の見方があることは十分承知をしているところでございますので、我々としては、そうした市場の動向もしっかり見極めながら、そして、先ほどありましたように、様々な財政圧力という、こうした環境の中で、ここに書いてあるんですが、長期的な成長可能性を上げることが、財政の持続可能性へのリスクを管理し、賃金及び生活水準を向上させるために重要であるというふうに同意をしていると。まさにそうした方向、我が国においては、経済あっての財政、こういった形でしっかり取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。
○櫻井委員 日本銀行の総裁にもお伺いします。
この超長期の金利の上昇についてなんですが、総裁は経済学者として大学でも教鞭を執られていたということでございますが、その頃から、長期金利については市場に委ねるべきというようなお考えを示されていたと承知をしております。実際、黒田総裁時代に日本銀行が進めていたイールドカーブコントロールも、植田総裁就任後にはほどなくして終了ということになったわけなんです。
長らく、黒田総裁時代のまさにイールドカーブコントロールで、異次元の金融緩和の時代には、金利がほぼない時代だったから、余り金利のことを考えなくてよかったのかもしれませんけれども、資金調達コスト、このことを余り意識する必要はなかったのかもしれませんが、最近ではそうでもない状況になってきている。さらに、マーケットの方も、それをちゃんと反映したような長期金利、さらには超長期の金利になってきているというふうに思います。
金融市場が各国の財政の健全性に疑問を持っているというふうにも考えられるわけですが、日本銀行総裁としては、この超長期の金利の動きについてどのように分析をされているのかということと、それから、超長期の金利上昇が経済に与える影響をどのように分析されているのか、お答えをお願いいたします。
○植田参考人 まず、金利動向でございますが、短期の金利の動きについては具体的なコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
ただし、市場参加者からは、最近の超長期金利の上昇については、その前の既存のポジションの巻き戻しや、あるいは、一部投資家については規制対応が一巡したことによる投資需要の減退等が影響しているという声も指摘されているところでございまして、私どもとしても注意して見ていきたいとは思っております。
その上で、超長期金利の上昇の経済への影響の部分でございますが、私ども、しばらく前に、金利の動きと経済の動きとの対応関係について分析したことがございます。それをまとめますと、金利変動の経済活動に及ぼす影響は、超長期金利よりも短期から中期の金利の変動の影響の方が大きいということが示されております。理由としては、企業、家計の資金調達に占める短期や中期の借入れのウェートが大きいということを反映しているものだというふうに考えております。
ただ、超長期金利が大きく変動した場合に、その影響が長期あるいはさらには短中期の金利に及ぶという可能性もある点には留意しつつ、今後の市場動向あるいは経済への影響について注意深く見てまいりたいと思っております。
○櫻井委員 G7の声明についての質問はこれで終わりにさせていただきますので、総裁はここで御退室いただいて結構でございます。本日はありがとうございました。
○井林委員長 植田総裁は御退席ください。
○櫻井委員 それでは、本日の資金決済法に関連する質問事項に入らせていただきます。
今回の法改正のポイントの一つとして、クロスボーダー収納代行に対する規制を導入されるということでございます。これの目的の一つは、オンラインカジノの取締りを強化するということだと承知をしております。
資料六をつけております。これは昨年四月五日の当委員会での議事録でございますけれども、私、オンラインカジノの問題について取り上げさせていただいて。ただ、財務金融委員会でございますので、お金の流れを止めるというところで何とかこのオンラインカジノ、これは、オンラインカジノというのは違法ですから違法なものは日本国内では一切やっちゃ駄目ということなんですが、お金の流れを止めることで実質的にできないようにするという取組を進めるべしということで、質問させていただきました。
本日、今回、こうした法案、資金決済法を改正をするということで、この目的、一歩前進ということで大変感謝をしているところではございます。ただ、そのことについてもう少し踏み込んで詳しく、どの程度今回の改正で実効性があるのかということについて確認をさせていただきたいと思います。
本日は警察庁にも来ていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
まず、オンラインカジノによる日本から海外への資金流出が年間どれぐらいあるのかということ。それから、オンラインカジノは日本国内において違法なので正確な統計はないことは承知をしておりますが、犯罪の規模を政府としてどのように把握をしているのか。また、年間の検挙数など取締り状況はどうなっているのか。御説明をお願いいたします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
警察としまして、お尋ねのオンラインカジノに係る海外への資金流出や犯罪の規模について正確に把握はしておりません。ただ、警察庁委託調査として実施したオンラインカジノの実態把握のための調査研究では、国内における年間賭け額の推計は約一兆二千四百二十三億円に及ぶといった結果が出ているところでございます。
また、オンラインカジノを含むオンライン上で行われる賭博の検挙数につきましては、令和五年は十三件、百七人、令和六年は六十二件、二百七十九人を検挙しておりますが、このうち、自宅のスマートフォン等からアクセスして賭博を行う無店舗型のもの、いわゆるこれがオンラインカジノの利用ということになるかと思いますが、それにつきましては、令和五年、五件、三十二人、令和六年、五十五件、二百二十七人を検挙しているところでございます。
○櫻井委員 御説明ありがとうございます。
今御説明いただいた一兆二千四百億円という話は、資料七につけているところでございます。これは警察庁の報告書、警察庁のホームページにも載っておりましたので、本日お持ちいたしました。
一方、四月二十日にNHKスペシャルでオンラインカジノについて特集がございました。この中では数兆円というふうな指摘もございました。ですから、委託調査でいろいろ工夫をして、ただ、過大にならないように推計をされたんだろうというふうに思いますけれども、少なく見積もっても一兆二千四百億円ということではないのかなというふうにも思います。
一方で、先ほど検挙件数についても御説明いただきました。この一兆円を超える規模の犯罪に対して検挙件数は余りにも少ないのではないのか、取締りが全然追いついていないのではないのかな、こんなふうにも考えるところでございます。
資料八をつけております。これは内閣官房かな、ギャンブル等依存症対策推進本部の出しているものでございまして、ギャンブル等依存症対策推進基本計画、これの百十四ページにございますが、この中では、オンラインカジノ等の違法なギャンブル等の取締りの徹底を指示し、違法なギャンブル等の排除、こういうふうに記載をされております。
今回の資金決済法の改正でオンラインカジノを日本国内で排除することができるのかどうなのか、警察庁の今後の見通しについて御説明をお願いいたします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
資金決済法の改正法案におきましては、商品、サービスの取引成立に関与しない者が国境をまたぐ収納代行、いわゆるクロスボーダー収納代行を行う場合には、基本的には資金移動業の規制を適用する旨が盛り込まれているものと承知しております。
オンラインカジノ等の賭け客の銀行口座から送金された賭け金は、複数の銀行口座を経由している実態も見られ、賭け金である資金の移動を把握することが難しい例も多く、オンラインカジノに係る事件につきまして改正資金決済法を適用して取り締まることにつきましては、個別の事案ごとに具体的な事実関係に即して判断されることとなりますが、我々といたしましては、オンラインカジノに係る事件に関して改正資金決済法への違反があれば、適切に取り締まってまいりたいと考えております。
○櫻井委員 ちょっと、今の御答弁からしますと、じゃ、今回の法改正でもオンラインカジノをばしっと排除できるかというと、なかなかそうもいかないという御答弁というふうに受け止めさせていただきました。
実際、先ほど紹介いたしました四月二十日日曜日のNHKスペシャルでは、甲南大学の園田名誉教授がこのように述べておられます。根本的な対策がないので日本が世界から餌食にされている、こういう御指摘でございました。
こういったことについては、NHKスペシャルにおいては、ほかの各国の事例も載せておりまして、イギリスにおいては、若者がオンラインカジノのために毎年数百人自殺をしてしまっているというようなことも指摘をされておりました。アメリカでは、昨年、ロサンゼルス・ドジャースの水原一平通訳が刑事訴追されたというような事件もございました。
ある種、この十年、二十年ぐらいは、ギャンブルというかIRというような言い方をして、カジノとかギャンブルとかどんどん解禁する方向で進んでいったようにも私は受け止めているんですけれども、ただ、特にオンラインカジノについては、回転数が速くて、中毒になってしまうスピードがほかのギャンブルに比べても格段に速いということで、非常に危険だというようなことはいろいろな専門家が指摘をされているところでございます。日本でも、国立久里浜病院が、ギャンブル依存症等についても、かなりいろいろな知見を蓄積、治療もやり、知見も蓄積しているところですが、そこの専門家のお医者さんもそのように、ギャンブル依存症というのはほかのギャンブルに比べて格段にひどいというようなことを指摘をされているわけです。
ですから、世界各国、オンラインカジノ、日本は、違法だ、やっちゃ駄目ですよとやっていますが、国によっては合法の国もあるわけなんです。アメリカでも、州によっては禁止されているけれども州によってはオーケーだというふうにも、まちまちになっているわけなんですが、やはり、ギャンブルが人間の心をむしばんでしまう、ある種、魂を奪ってしまうというようなところは世界共通だと思うんですね。だからこそ、日本においても、平安時代の持統天皇以来、ギャンブルというのは禁止だと。江戸時代はギャンブルをやったら死罪だというふうになっていたんだと思います。
そこで、ちょっと警察庁にも是非お願いしたいんですけれども、オンラインカジノ、世界各地でやはり問題になっていると思うんですね。やはり世界を挙げて取り締まる方向で、一旦、今の現状を立ち止まって考えて、取り締まる方向で協議を開始する、そういう呼びかけをまずやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
オンラインカジノ運営事業者にライセンスを付与している外国政府等もあり、国によって、それらについての規制についての考えは様々なものがあるものと承知しております。
ただ、海外のオンラインカジノサイトにつきましては、当該国においてライセンスを得るなどして適法に営まれているものであっても、日本国内からこれに接続して賭博を行うということは犯罪となるところ、日本語に対応しているなど、我が国の国民を主たるターゲットとしているようなオンラインカジノサイトは悪質であると認識しております。
この点、日本向けのサービスを提供するオンラインカジノ運営事業者にライセンスを付与している外国政府等に対しまして、日本向けのサービスを提供しないよう、外務省と連携の上、外交チャンネルで働きかけを行っているところでございます。
これからも、時宜を捉えて、外国政府等にしっかりと働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○櫻井委員 このオンラインカジノの問題については、やはり、日本人が餌食にされているということもございますし、あとそれから、先ほどお話しいただきましたけれども、国によっては、国内ではオンラインカジノを禁止しているけれども外国向けにはオーケーですよみたいな国もあったりするわけなんですよね。外国からお金を巻き上げてくる、外国人を食い物にすることを前提にしているような事業者、また、そういう国の制度もあったりするものですから、そこはもう一度、もっと厳しい姿勢で世界に対して訴えかけていくという第一歩が必要だと思います。
全然違う分野ですけれども、こういった、世界で、本当は問題だと思っているけれども、囚人のジレンマ的な状況になっていることについて、日本が主導して取り組んで成果を上げてきたものとして、BEPS、大臣もいろいろ取組をされていますし、今回のG7の共同声明の中にもその部分、まあ余り入っていないか、そういう議論もあったのではなかろうかと思いますけれども、そういう取組、日本がやってきて、それで十年かけて成果を一定上げてきたわけなんですね。ですから、千里の道も一歩を踏み出す、そういう時期に来ているのではないのかということで、是非お願いしたいと思います。
それから、今日、総務省から副大臣にも来ていただいておりますので、お尋ねをいたします。
やはり、オンラインカジノを合法化している国から日本国内の在住者の資金を吸い上げるということを防止しようと思えば、根本的な対策としては、ブロッキング、アクセス遮断ということが必要と考えます。先ほどの警察庁の答弁でも、やはり、資金の流れを止めるといっても限界があるということでございました。いろいろな方法で取り組むべきだと思うんですけれども、総務省の御見解をお願いいたします。
○阿達副大臣 お答えいたします。
オンラインカジノへの対策は重要な課題であると認識しており、総務省としても実効性のある対応が必要であると考えております。
オンラインカジノのサイトへのアクセス抑止の在り方については、総務省において本年四月に、有識者会議である、オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会を立ち上げ、検討を開始いたしました。
サイトブロッキングにつきましては、技術的には全ての利用者の全ての通信の宛先を通信事業者が確認することから、通信の秘密の侵害に該当することなど憲法上の課題が指摘されており、ブロッキングによって影響を受ける様々な法益との比較の観点も含め、丁寧な検討が必要と認識しております。
総務省としては、これまで通信事業者やギャンブル依存症の関係者などの意見を聴取してきたところであり、本年夏頃をめどに中間論点整理ができるよう、引き続きスピード感を持って検討を進めてまいります。
○櫻井委員 ありがとうございます。
これまで総務省は、通信の自由と憲法上の問題があるということで極めて及び腰だったんですが、その重い腰をようやく上げて検討に踏み込んでいただけたということで、ありがとうございます。確かに通信の自由というのも重要な人権の一つではございますが、例えばドイツなど、人権意識が日本よりもはるかに高いんじゃないかと思われるような国でももう既に取り組んでいることですので、そうした先進事例を参考にしながら、是非取組を前に進めていただきたいというふうにお願いいたします。
総務省への質問はこれで終わりますので、御退席いただいて大丈夫です。ありがとうございました。
○井林委員長 阿達総務副大臣は御退席ください。
○櫻井委員 それから、続きまして、クロスボーダー収納代行についても質問させていただきます。
一問ちょっと飛ばして、クロスボーダー収納代行が抜け穴となって、犯罪資金が日本国内から海外に流出するような事件が相次いでおります。今般の法改正でクロスボーダー収納代行の犯罪資金への関与を十分に防止することができるのかどうか、これは大臣にお尋ねをいたします。
○加藤国務大臣 違法なオンラインカジノとかあるいはSNS型投資詐欺等、これをどう防いでいくかといった点においては、まさに今御議論いただいたように、多面的な取組が必要だと思っております。
その中で、そのような犯罪に係る送金への関与が疑われる収納代行業者を摘発するためには、現状は、単に送金を行った事実のみならず、賭博行為や詐欺行為への関与等を把握することが必要と承知をしております、現行法においてはですね。
今般の改正法案において、国境をまたぐ送金を取り扱う収納代行業者を規制の対象とすることで、賭博行為や詐欺行為への関与の有無にかかわらず、海外の収納代行先に送金する場合には、適用除外に該当する場合を除き、資金移動業の登録が必要となるという形を取ります。
こうした措置によって、具体的には、登録段階でオンラインカジノへの送金等、犯罪資金への関与が認められる場合には登録拒否要件に該当し、資金移動業の登録が認められないため、無登録業者として取り締まることも可能となるほか、登録を受けた事業者は資金移動業者として送金が犯罪に関わるものでないかを適切に確認する等のマネーロンダリング対策を講じる義務が課されるため、仮に登録後に犯罪に係る送金に関与したことが判明した場合には、必要な監督上の措置を講ずることも可能となります。
こうした対応により、国境をまたぐ収納代行を行う者が犯罪に係る送金に関与することを防止することにつながるものと考えているところでございます。
○櫻井委員 御説明ありがとうございます。
今の説明によりますと、これまで登録は要件ではなかったけれども、登録という要件を全部にかぶせることによって、これまでだったら違法性を確認しないとそこから先に進めなかったのが、登録という要件があるものだから、違法行為との関係性について、その前提がなくても先に進めるようになるということで、大きく前進できるということで承知をしました。
ただ、一方で、これまで真面目に収納代行ビジネスをやってきた事業者にとっては、ある種、とんだとばっちりというようなことにもなりかねないと思います。一方で、そういった問題のために、クロスボーダー収納代行において適用除外というのも今回設けるというふうに承知をしております。
その適用除外、イメージについて、いろいろこれまでの金融庁の審議会等でも議論はされておりますけれども、改めてそのことについて御説明をいただきたいというふうに思います。内閣府令でどのようなものを定めるのかということについて、ここが明確でないと、これまでビジネスをやってきた方も、予見可能性が低下をしてしまうということになれば、これまでのビジネスを真面目にやってきた人が、ある種、とばっちりを受けてしまうことになってしまいますので、その点について御説明をお願いいたします。
○加藤国務大臣 その前に、先ほどの、現状では賭博行為や詐欺行為への関与等の把握が前提になるということで、かなりハードルが高いということでございます。
その上で、今の御質問でありますが、今般の改正法案においては、国境をまたぐ収納代行を基本的に規制対象とするとともに、多様なビジネスの実態を踏まえ、マネーロンダリング等の観点からリスクの低いと考えられる行為については規制の適用除外とする枠組みとしております。
適用除外の詳細、今後、内閣府令で定め、関係者の意見をよく聞いていきたいと思っておりますが、現時点では四つの類型を想定しております。
具体的には、収納代行のうち、一つ目として、プラットフォーマー等が自らの提供するオンライン上のマーケットにおいて行われる売買についてその代金の精算を行う場合など商品、サービスの取引成立に収納代行業者が関与する場合、二点目として、収納代行業者が購入者から一時的に売買代金の支払いを受け、顧客の商品受領を確認した後に代金を引き渡す、いわゆるエスクローサービスの一環として行われる場合、三点目として、受取人と資本関係があるなど受取人と収納代行業者の間に経済的一体性が認められる場合、四点目として、他法令の規制によりマネーロンダリングや犯罪利用等のリスクが軽減されている場合などを規制の適用除外にすることを想定をしております。
先ほど申し上げた、今後、内閣府令で定めるべく、検討を進めてまいりますが、それに当たりましては、利用者保護とイノベーションの促進の両立を図るべく、事業者と密にコミュニケーションを取りつつ、適切な範囲での規制となるよう、検討していきたいと考えております。
○櫻井委員 こうした類型を四つ示していただいたということで、大分分かりやすくなったかと思います。そのことについては、資料十に、金融庁からいただいた資料ということで、つけております。
この四つの類型、これは典型的な例であればいいんですけれども、そうじゃないものについては、今までクロスボーダー収納代行のビジネスをやってこられた方は、自分のやっているやつは大丈夫なのかどうなのかということを心配になると思うんです。そういった方々にもちゃんと、きめ細かく相談を受けていただきたいと思うんですが、そういった窓口を是非設けていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 国境をまたぐ収納代行においては、まさに様々な形のビジネスモデルが存在をしております。金融庁でも、本法案の立案過程から現在に至るまで、業界団体や幅広い業態の事業者に対するヒアリングなどを通じて実態把握を行ってきたところであり、また、その中で、規制に該当するか否かが不明であるとの懸念の声も事業者の中にあることは承知をしております。
今般の改正法案の成立をしていただいた後には、金融庁とふだん接触がない事業者の方々にも金融庁に御相談等いただきやすいよう、新たに相談窓口を設置をし、個々の事業者の方々に対して、それぞれのビジネスが規制対象となるか否かについて相談に応じるとともに、事業の実態や要望を幅広く把握して、内閣府令策定の際の参考とすることにより、健全なビジネスに悪影響を与えることを回避し、適切な範囲での規制となるよう努めていきたいと考えております。
いずれにしても、事業者の方々に対し、規制に対する予見可能性を高めるよう、丁寧な対応を図ってまいります。
○櫻井委員 今大臣から答弁いただいたとおり、相談窓口を設けるとか、また、そもそも規制がいろいろ更にきめ細かくなるということで、金融庁の業務というのも大変増加すると思います。犯罪資金を食い止める重要な業務ですので、規制当局の業務を拡充していくためにも、是非、組織体制の充実、こちらも金融担当大臣にお願いしつつ、さらに、財務大臣としても機構の部分で是非お願いしたいということを要望申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、三角創太君。
○三角委員 立憲民主党の三角創太です。
本日は資金決済法の質疑ということでございますけれども、通告、一番、二番と振っていまして、ちょっと順序を逆にして聞かせていただきます。通告だと、クロスボーダー収納代行が一番で、二番にステーブルコインというふうになっているんですけれども、先にステーブルコインの方から、済みません、順番を変えてお伺いさせていただきます。
今回、ステーブルコインの裏づけ資産規定の見直しというものが行われる予定でございますけれども、この法改正において、信託型ステーブルコインの裏づけ資産については、これまでの要求払い預金のみに加えて、五割までは残存期間三か月以内の国債とすることが可能になるということでございます。
まずお伺いをしたいのは、裏づけ資産について、要求払い預金以外の運用について、なぜ発行額の五〇%まで国債での運用を可能とするのか、五〇%と設定した理由について、答弁願います。
○油布政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の信託型ステーブルコインの裏づけ資産でございますが、これは、利用者保護に配慮しつつ、かつ、国内事業者が、裏づけ資産の管理運用によって十分な収益が得られていないということで国際競争上不利な立場に置かれているという事態を回避するとの観点から、今般の改正法案におきまして、国債等での運用を認めるなど柔軟化を図るための措置を講ずることとしております。
こうした中、利用者保護の観点からは、裏づけ資産が毀損されないことを確保する必要があることから、一定の上限を設けることとしております。この上限につきましては、今後内閣府令において定める予定ということでございますけれども、現時点で、利用者保護やリスク管理における事業者の負担などを総合的に勘案いたしまして、五〇%に設定することを想定しているということでございます。
○三角委員 分かりました。
一方で、EUなどにおいては既に七〇%まで国債の組入れ比率を上げるということを認めているようでございます。日本においても、利用者保護というのはもちろん重要な観点だというふうに思いますけれども、今後の検討課題として、イノベーションを後押しをするという意味において、国債の組入れ比率を七〇%程度まで引き上げることも検討すべきではないかというふうに思いますけれども、この点、大臣の答弁をお願いいたします。
○加藤国務大臣 御指摘のように、五〇%よりも高く設定している例があることは承知をしております。ただ、その場合には、今回の改正法案で求めているものとは異なり、ステーブルコインの額面を上回る余剰資産の保持等の追加的なリスク管理が求められているというふうに承知をしております。
国債の組入れ比率については、今、五〇%というのを申し上げましたが、これから内閣府令において定めることとなりますが、今申し上げたような国際的な動向は踏まえつつ、利用者保護やリスク管理における事業者の負担などを総合的に勘案し、EUのような追加的なリスク管理等を求めないという中で、その上限を五〇%に設定するということを想定しているところでございますので、現在においてはそうした水準が適切ではないかというふうに考えているところでございます。
○三角委員 分かりました。
技術革新の非常に激しい分野だというふうに思いますので、是非適切な対応をお願いしたいと思います。
また、ステーブルコインについて、今回の改正では、まず、日米の国債を裏づけの資産として認めるということですけれども、ほかの通貨、例えばイギリス・ポンドペッグのステーブルコインなどが出てきた際に、裏づけとしてイギリス国債なども認める、こういったことも検討し得るのではないかなというふうに思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○油布政府参考人 お答えいたします。
信託型ステーブルコインにつきましては、外貨に関するものの場合、為替リスクを回避するために、その裏づけ資産を、連動する発行通貨と同じ通貨建ての資産に限定すべきと考えられます。
こうした中で、現時点、日本におけます信託型ステーブルコインの発行通貨につきましては、今御指摘のございましたポンドなどについては具体的なニーズが確認されているわけではございませんので、他方で、日本の円建てそれから米ドル建てにつきましては具体的な発行ニーズがあるということを確認しているわけでございます。
このため、今般の改正におきましては、こうした我が国におけます発行のニーズそれから流動性の高さなども踏まえまして、日本円建てそれから米ドル建ての国債で、かつ、満期、残存期間が三か月以内のものを裏づけ資産として認めるということを想定している次第でございます。
○三角委員 確かに、ポンドペッグのステーブルコインについてはまだ流通していないということだと思いますけれども、じゃ、そもそも日本円ペッグのステーブルコインですらまだ流通をしていないというふうに思いますけれども、現時点で購入できる日本円ペッグのステーブルコインは何種類あって何社が取引しているのか、答弁願います。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
現時点では、資金決済法に基づく電子決済手段等取引業者において取り扱われている日本円建ての電子決済手段は存在しておりません。
○三角委員 まだ存在すらしていないところを規制緩和されるということですね。今後、規制見直しをするのであれば、先ほど申し上げたポンドなども含めて幅広に法規制をつくってもよかったのではないかなということは提案をしたいというふうに思います。
一方、今度は逆に、今お話があった点に関して、規制緩和を本当にしてよいのかという立場から質問いたしますけれども、現状、日本円ペッグのステーブルコインについては存在をしていないと。今回このように規制の見直しを急ぐ理由というのは一体どこにあるのか。
というのも、例えば、一般的な仮想通貨に対する規制については、今回のこの法改正で、仮想通貨デリバティブだけではなくて、現物のみの取扱いの事業者への規制をようやく見直すなど、非常に後手に回っている印象がありますし、相続税と譲渡益課税で元本以上に納税しなければいけない問題など、他党からも指摘があり、非常に規制変化が遅い印象があります。
その一方で、このステーブルコインについてだけまだ全然市場が未成熟、日本円のステーブルコイン、出てきてすらいないという状況の中で、規制緩和の方向性の議論がなぜ今回行われているのか、この点、御答弁願います。
○油布政府参考人 信託型ステーブルコインに関する規制緩和についてのお尋ねでございますけれども、我が国では、二〇二二年の資金決済法等の改正におきまして、ステーブルコインに係る制度を導入いたしました。ただ、当時、国際的な前例がない中でございましたので、利用者保護を確保する観点から、保守的に制度設計をしようということで、裏づけ資産の管理方法を要求払い預金のみに限定したということでございます。
ただ、その後、主要な海外法域で、ステーブルコインに関する規制の導入あるいは規制案の提示といったものが進んでおりまして、委員からも御指摘ございましたけれども、その中では、国債を含め預金以外の裏づけ資産が認められるなど、海外の規制環境が変化してきたということでございます。こうしたことを踏まえまして、裏づけ資産の運用対象資産の拡充といった管理運用方法の柔軟化を図ることとしたところでございます。
また、委員から、ステーブルコインの市場が未成熟であるとの御指摘もございました。
これは、国内事業者が裏づけ資産の管理運用によって十分な収益が得られないということもございまして、これによりまして国際競争上不利な立場に置かれているということでございます。これを回避するという観点から、今般、この措置を講ずるということを提案させていただいているものでございます。
○三角委員 分かりました。
そうすると、じゃ、規制緩和を今回進めると、このステーブルコインについて、日本円のものも含めて、発行したいというような業者が既にいるという認識でよろしいですか。そういう何か引き合いというか打診が来ているということでよろしいですか。
○油布政府参考人 お尋ねのとおりでございまして、具体的に、信託型ステーブルコインについて、発行検討、ニーズについていろいろお問合せ等をいただいております。
○三角委員 分かりました。
ちなみに、私が調べた限りにおいては、現状、日本国内で取引所で取引されているステーブルコインは今回の規制対象一種類を含めて全部で三種類しかないということでございまして、日本円はないんですけれども、ドル建てのUSDCというやつと、DAIと書いてダイというやつ、あとジパングコイン、この三つしかございません。
そのうち、USDCというのは米ドルペッグでアメリカの会社が発行元です。もう一つのダイというのは、いわゆるDAO形式ということで、分散型の管理なので、運営会社というのは特定で持っていません。そして、三つ目の、唯一、ジパングコインというのについては、三井物産の関連会社が発行元ということでした。そして、案の定、三井物産から自民党の政治資金団体である国民政治協会に寄附が流れていると。
二〇二三年の国民政治協会における三井物産からの寄附額は幾らになりますでしょうか。
○笠置政府参考人 通告がございましたので、一般財団法人国民政治協会について、二〇二三年、令和五年分の政治資金収支報告書を確認したところ、三井物産株式会社からの寄附として二千八百万円の記載がございます。
○三角委員 二千八百万円。まあ、やはりという感じでありますけれども。今回、まだまだ市場が未成熟であるステーブルコインについてこれだけ急いで規制緩和をするということ、おかしいなと思って調べてみたら、やはり自民党に二千八百万円の献金をしている三井物産が仕掛け人ということでございました。
仮想通貨については、当初、ビットコインとか、自民党にとっても誰が発行しているか分からないし何の利益にもならないから、特段の法規制とか市場整備も全然進んでいない、でも、大口寄附先である三井物産が仕掛けている新しい領域の新商品については市場がほぼ未成熟であってもどんどん規制緩和をする、やはりこのような体質は非常におかしいというふうに思いますし、改めて政治資金の透明化と企業・団体献金の寄附禁止がいかに重要であるかということを考えさせられました。
大臣、この点について反論や御意見などあればお願いいたします。
○加藤国務大臣 これまでの法規制をめぐる、特にこの暗号資産をめぐる法規制、市場整備の観点については、例えばビットコインに関する破産があったり、いろいろな事象があったことを踏まえながら、るる整備をしてきたところでございます。中には、割と先駆的に取り組んできて、二〇一六年の資金決済改正法により暗号資産の交換等を行う業者に登録制を導入したことを契機に、暗号資産に関する実態や環境の変化を踏まえて適切な制度の在り方について継続し検討を行い、法改正を始めとする制度整備を行ってまいりました。
今般の法改正、今委員御指摘のように、信託型のステーブルコインについて、利用者保護に配慮しつつ、国内事業者が国際競争上不利な立場に置かれることのないよう、裏づけ資産の管理運用方法に関する規制の柔軟化を図っておりますが、他方、暗号資産については、我が国で暗号資産の現物のみを取り扱う国際的に事業を展開する暗号資産交換業者が破綻した場合に備えて国内保有命令の規定を導入する、こういった対応も含めているところでございます。
このように、今般の法改正は、利用者保護と、一方で、こうした暗号資産を含めてやはりイノベーションの推進を図っていく、こうした点のバランスを取る観点から資金決済法について所要の改正を行うというものでございますので、御指摘のように、政治団体から大口の寄附をいただいた云々かんぬんといったものとは全く別のものとして、法案のこうした整備の必要性を踏まえた対応ということで御理解いただければというふうに思っております。
○三角委員 もう少しだけここをお伺いしたいんですけれども。
仮想通貨とかに対してもこれから規制を改めて考えていくということだと思うんですけれども、何でこのステーブルコインだけをこんなに早く、まだ市場が未成熟なのに規制緩和を進めるのか。その差というか対応の差について、ちょっと御答弁をもう少し詳しくいただきたいんですが、お願いいたします。
○油布政府参考人 今回、信託型のステーブルコインについて規制緩和を行うわけでございますけれども、世界的にステーブルコインはかなりの流通が、出回っておる中で、大半がテザーあるいはUSDCということで、これはドル建ての、米国にリンクしたステーブルコインでございます。その中で、日本の事業者が発行するステーブルコインやあるいは円建てのステーブルコインというものが、現実的には、非常にこれが、存在しない若しくは流通量が限られております。
そういったことも背景にしまして、裏づけ資産が預貯金等に限定されており、運用収益が十分に上がりにくいために、事業者が国際競争上不利に置かれている、この事態を改善する必要があるということでございます。
○三角委員 分かりました。
先ほど大臣からは、別に今回の三井物産からの寄附がこの規制緩和には関係ないよというような御答弁がありましたけれども、それはそうなのかなとも思います。二千八百万円もの大口の寄附がされていれば、このステーブルコインの規制緩和ぐらい、小さいおまけぐらいのものだと考えているのかもしれません。そのためだけにこんな大金の寄附をしたんじゃない、もっと、資源開発とか、分かりませんけれども大きい利権の部分で便宜を図ってよということなんだと思い、理解をいたしました。
次に、クロスボーダー収納代行の方についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
今回の法改正が提案をされている一つのきっかけは、先日から問題になっているオンラインカジノの蔓延が念頭にあると認識をしております。法律上禁止をされているオンラインカジノについて、今後規制をかけていくことは私としても重要だというふうに考えております。
一方、法規制としては、現状の賭博罪での規制に加えて、ギャンブル依存症対策基本法の改正であるとか、先ほども話題になりました総務省によるブロッキングなどが併せて検討されていると認識をしています。
今回なぜ資金決済法での規制が必要となるのかについて、まずは答弁願います。
○油布政府参考人 社会的に大きな問題となっておりますオンラインカジノ等でございますけれども、その利用の抑止に向けましては、関係省庁でも様々な面から対応を図っているものと承知しております。金融庁といたしましては、送金面からもこの対応を講じることが必要と考えている次第でございます。
警察庁の委託調査によりますれば、海外オンラインカジノの利用者によります入金の方法、この中には、電子決済サービス・決済代行、銀行送金を用いたと回答した者が多いということでございますが、こうした方法で入金された賭け金の流れにクロスボーダーの収納代行業者が関与している例も少なくないのではと考えられているところでございます。
国境をまたぐ収納代行につきまして、こうした違法な送金の抜け穴として用いられている状況があると考えられることを踏まえまして、一方で、マネーロンダリングや利用者保護等の観点からリスクが低いと考えられるものは適用除外とするとした上で、今般、資金決済法を改正し、規制対象とすることによりまして、送金面からオンラインカジノ等の利用を抑止するということが必要と考えた次第でございます。
○三角委員 海外にあるオンラインカジノの運営業者への資金移動を止めることの重要性は私も理解をいたします。一方で、今回の法改正によって、オンラインカジノのような違法行為とは無関係の健全な経済活動についても過度な規制がなされてしまい、新しいビジネスを阻害してしまうことがないかについても、慎重にバランスを考慮する必要があると考えています。
そこで、いま一度お伺いしたいのは、今度は逆に、ギャンブル等依存症対策基本法において今回広告規制が検討されているということでありますけれども、そうしたところと併せて、そっちで送金規制を入れるということはなぜできないのか、適当でないのか、資金決済法の方で対応するのかについて、説明を願います。
○油布政府参考人 お尋ねのギャンブル等依存症対策基本法について、改正が議論されているということでございますけれども、今回の私どもの国境をまたぐ収納代行への規制につきましては、オンラインカジノだけに限らず、ギャンブルだけに限らず、海外投資詐欺の事案などでも被害が発生しているということも踏まえまして、そうした海外投資詐欺に使われるようなものでも利用され、対応が必要とされている規制対応について処置を行うというものでございます。
御指摘のギャンブル等依存症対策基本法は、基本的にギャンブル等を念頭に置いた法令ではあるということでございますので、私ども、資金決済法の方でオンラインカジノに限らず対応することが適当と考えた次第でございます。
○三角委員 説明は理解できるんですけれども、であれば、担当、所管ではないのかもしれないですが、ギャンブル等依存症対策基本法以外に、分からないですけれども、投資詐欺を禁止するための法律とか国際ロマンス詐欺を禁止するための法律とかそういうのを作って、要は、今回、送金という手段のところに着目した規制になっていますけれども、そうじゃなくて、目的の部分について着目をした法規制にするということは、別に法律を作ろうと思えば国会なのでできると思うんですけれども、なぜそうされないのかということを、いま一度御説明願います。
○油布政府参考人 お尋ねの件、金融庁の所管を超える部分もございますので、お答えできるかどうかはちょっと自信のないところでございますけれども。
一般的に、特定の送金の目的といいますか、債権が発生する原因に起因しましてその送金を禁止するというような形を取る場合には、そうしたものだけを禁止するような場合には、そうでないような外観を装うということが恐らく想定されることから、そうした対応だけで実効的にこうした禁じられるべき送金を止めるということは一定の限界もあるかなというふうにも思う次第でございます。
それから、今おっしゃったような方法に加えまして、資金決済法でありますとかあるいは銀行法、それから暗号資産に関するものもそうでございますけれども、一旦利用登録をかけた上で、それで対処するということであれば、例えばオンラインカジノだけを意図的にやっているような、そうした業者はちょっと別だと思いますけれども、通常、送金業務みたいなものを担っている事業者が、体制の不備からそうしたものに手を貸してしまう、あるいは過失といいますか、しっかりとしたチェックが行われないことで結果的にそういう送金を許してしまうということについて、報告徴求でありますとか業務改善命令でありますとか、そういう監督官庁としての利用者に対する監督手段でそれを抑止するという対応も可能になっております。これは登録を取るような業者の話でございます。
そういった点も考え合わせまして、私ども、今、送金と申しますと、恐らく、銀行送金のほか、資金決済業が行う資金移動、それから暗号資産というものがございます。この三つの類型、いずれも基本的には犯収法の特定事業者として規制がかかっておりまして、疑わしい取引の届出を行う義務でありますとか対策防止の義務がかかっているわけでございますが、今回規制をかけることを改正法案に盛り込ませていただいております海外に送金するクロスボーダー収納代行は、今、現時点では業規制がかかっておりません。金融庁の監督対象となる業者ではないということでございまして、現時点では、そうした銀行、それから資金移動業、それから暗号資産といった大きな三つのカテゴリーの中でいわば穴が空いている部分であると考えています。この穴を早急に塞ぎたいということで、資金決済法で為替取引と規定するというふうな法改正を提案させていただいております。
○三角委員 分かりました。
そして、今回、この資金決済法によってクロスボーダー収納代行を取り締まるということですけれども、その中で、次にお伺いしたいのは、今回の改正によってどれぐらい違法行為を取り締まることができるのかという点についてです。
今回の法改正によって、年間にして大体何件程度、無許可登録業者として取り締まることができるというふうに見込んでいるんでしょうか。御答弁願います。
○油布政府参考人 オンラインカジノ等への送金に関しましては、一般的に、例えば不正に入手した口座を複数経由するでありますとか、複雑な仕組みを構築しているものと承知しております。また、現状、先ほど申し上げましたけれども、金融庁の監督対象ではないということでございますので、その送金の実態等について報告徴求等を行うこともできておりませんので、現状における実態というものも必ずしも把握し切れていないというところがございます。
また、御指摘の年間の取締りの件数の見込みということでございますが、取締りということであれば警察庁の所掌ということではありましょうが、法改正後に何件これを取り締まることができるか、こういう見込まれる具体的な件数については、やはり現時点で予断を持ってお答えすることはできないのではないかと考えられます。
ただ、いずれにいたしましても、今回の法改正を通じて、クロスボーダーの収納代行につきましては、もちろん適用除外は設けるということでございますが、基本的に資金移動業の登録を求めるということになる中で、例えばオンラインカジノ等への送金をビジネスにしようとするような、そういう収納代行業者、これは賭博罪の成立への関与を問わず無登録業者として取り締まることが可能になる、そういうツールが増えるということであると理解しております。
○三角委員 現状、これからの見込みについてはなかなか難しいということだと思いますけれども、聞き方を変えまして、これまで、オンラインカジノだったり出資金詐欺だったりとか、こういったクロスボーダー収納代行以外の送金方法が使われることで被害があるというものも当然あるというふうに思いますけれども、こうした、今回規制をしようとしている、例えばオンラインカジノだったり投資詐欺だったり国際ロマンス詐欺だったりということが、これまで、直近の年間の総取締り件数、そして、そのうち銀行振り込み経由がどれぐらい、何件あるのか、クレジットカード決済が何件あるのか、クロスボーダー収納代行が何件あるのか、その他の支払い方法が何件あるのかということを、実績値について説明を願います。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
銀行口座の不正利用に関しましては、全国銀行協会が、口座不正利用に関するアンケートにおいて、利用停止及び強制解約等の件数の推移を公表しております。
オンラインカジノを始め犯罪に絡む海外送金は、複数の口座を介して行われるなど資金の流れが不透明であり、捜査権限を持たない金融庁がその実態を正確にお答えすることは困難ではございますけれども、例えば、同アンケートにおいて、二〇二四年四月から同年十二月までに利用停止、強制解約等を行ったとされている件数九万三千五百三件のうち、オンラインカジノの利用の疑いがある件数について金融庁で確認したところ、主要行等及び地域銀行で合計二千三百六十件と承知しております。
また、他の事業者についても確認したところ、大手の資金移動業者十八社及び前払い式支払い手段発行者五社においては同期間中に合計十八件について、大手の暗号資産交換業者五社においては合計九百十九件について、それぞれオンラインカジノの利用の疑いにより口座の利用停止等を行ったものと承知しております。
なお、クレジットカード決済を用いたオンラインカジノ等への対応につきましては、割賦販売法を所管する経済産業省において取り組まれておられるものと認識しております。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
クレジットカード決済に関する取締りの件数ということでございますが、先ほど金融庁からの御答弁と重なる部分でございますけれども、捜査権限を持たない当省にとって、その実態を正確にお答えすることは困難でございます。
クレジットカード決済は膨大な件数が行われていまして、その中で、様々な理由で決済が止まるといったことはございます。与信であるとか、PINコードを間違えるであるとか、いろいろな要因で決済ができないケースもあろうかと思いますけれども、当省においては金融庁と同様なアンケート調査等を行っておりませんので、数についてお答えすることは困難でございます。
○三角委員 そもそも、今回、クロスボーダー収納代行に対する規制ということですけれども、今申し上げた銀行振り込みは今説明ありました。でも、クレジットカードは幾つか分からない。クロスボーダー収納代行ということで、それぞれの送金手段によってどれぐらい被害というかが起きているかという全体像がつかめない中で、このクロスボーダー収納代行だけを今回規制していくというのが本当にやり方として正しいのかというのは大変疑問であります。
その上で、銀行振り込みやクレジットカード決済については、今後、こうしたオンラインカジノなどの違法行為が行われないように、どのように規制をしていくのか、大臣の説明を願います。
○加藤国務大臣 今るる御説明させていただいたように、様々な違法な送金というのは想定されるわけでありますので、その抜け穴となっている国境をまたぐ収納代行を為替取引に位置づけ、資金決済法の規制を及ぼすことで、海外オンラインカジノへの送金などに関与することを抑止するということにつながることを考えているところでございます。
なお、銀行振り込みを通じたオンラインカジノへの送金の対応としては、先ほども数字が、事務局から御説明させていただきましたけれども、マネロン対策等の観点から、オンラインカジノへの送金を含め、預貯金口座が不正に利用されていることを把握した場合には、出入金の停止や口座凍結等の措置を講じるということを求めております。また、オンラインカジノの違法性に関する利用者への注意喚起を行うなども要請をしてきたところでございます。
さらに、今後、オンラインカジノ等への送金を止めるための対応として、警察庁や金融機関などとの関係者と連携しつつ、オンラインカジノ等への送金や不正利用が疑われる口座の特定の手法について先進的な取組を行っている事例を金融機関等に共有をすること、また、全国銀行協会において検討が進められております不正利用の疑いのある口座情報を銀行間で迅速に共有する仕組みの構築について、その検討状況をフォローすることなど、更に取組を進めていきたいと考えております。
○三角委員 分かりました。
恐らくもう時間があれなんですけれども、やはり新しいイノベーションもかなり激しい分野かなというふうに思っておりますので、規制と、そして健全な事業者に過度な負担がかからないように是非配慮をお願いをいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。
本日は、資金決済法の中のクロスボーダー収納代行の部分に関して質問をさせていただきたいと思います。
まず冒頭、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
本改正案におけるクロスボーダー収納代行への新たな規制について、楽天の三木谷代表理事が率いる新経済連盟からは、違法オンラインカジノ事案や投資詐欺事案といった特殊な事案を除き、立法事実となるトラブルが発生していないとの指摘があります。今回の規制範囲が広範に過ぎ、過剰な規制であるとの強い懸念が表明されているところでございますし、また、フィンテック協会からも、多くの会員事業者から、本改正案、特にクロスボーダー収納代行に関する規制整備に対して懸念の声が寄せられていると承知をしています。
これらの業界団体は、現行の仕組みでも消費者保護に資する側面があることや、インバウンド需要の取り込み、またキャッシュレス決済の推進といった経済効果を強調し、健全な事業活動やイノベーションが不当に阻害されることへの危機感が示されています。
政府として、これらの業界からの切実な声をどのように受け止めていらっしゃるのか。また、今回の規制が過剰でないとすれば、その具体的な根拠を御説明いただきたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、国境をまたぐ収納代行に対する規制については、今委員会でいろいろ議論させていただいたように、海外オンラインカジノへの送金やSNS型投資詐欺等に利用されている状況にあると認識をし、既存の法的枠組みではこうした状況に対応することができないことから、今回の規制は必要なものと認識をしております。
他方、金融審議会資金決済制度等に関するワーキング・グループの会合などにおいて、新経済連盟やフィンテック協会から過剰な規制ではないかとの御懸念も表明されたものと承知をしております。
金融庁としては、こうした懸念を重要なものと受け止めながら今般の法改正作業に取り組んできたところであり、これらの関係団体とは金融審議会での議論の終了後も、新たに規制対象となる範囲などに関し、対話を継続するとともに、団体の会員企業へのヒアリングや会員企業向けの説明会の開催などにより、密なコミュニケーションを図ってまいりました。
今般の改正法案を成立いただいた後には、新たな相談窓口を設置し、金融庁とふだん接触のない事業者の方々も含めて御意見や事業の実態を把握するとともに、業界の御意見を丁寧に伺いながら、マネーロンダリングや利用者保護等の観点からリスクが低いと考えられ、規制の適用除外とすべき具体的な行為について、今後定める内閣府令において適切に設定できるよう検討を更に進めてまいります。
○斎藤(ア)委員 大臣、ありがとうございます。
今お答えいただいた内容に重なる部分が多いですけれども、細かなところを順次、事務方の皆様にも質問させていただきたいというふうに思います。
次に、今回の法改正が事業者に与える影響についてお伺いをしたいと思います。
これまで資金移動業の登録を要しなかったクロスボーダー収納代行業者に新たな登録を求める場合、その影響は決して小さくはありません。資金移動業の登録には、資本規制であったり、また履行保証金の供託、分別管理体制の構築、厳格なAML/CFT体制の整備など、多大なコストと複雑な事務負担が伴うことになります。これらの負担は、特に経営体力に乏しい中小企業や新たなサービスで市場に挑戦しようとするスタートアップにとっては、事業の継続そのものを脅かすほどの大きな障壁となり得ると懸念をしております。
政府は、今回の法改正がこれらの既存の事業者、とりわけ中小企業やスタートアップに与える経済的な影響、例えば、具体的なコンプライアンスコストの増加の見込みや競争条件の変化、最悪の場合、市場からの退出を迫られる、そういった可能性についてどのように影響評価を行っているのでしょうか。また、これらの事業者が新たな規制に円滑に対応できるよう、例えば、登録手続に関する相談窓口の設置、まあ今少しお話がありましたけれども、あるいは経過措置の柔軟な運用、あるいは何らかの具体的な支援策を検討されるおつもりはあるのか、その点、お答えいただきたいと思います。
○油布政府参考人 お答え申し上げます。
商品、サービスの取引成立に関与しない者がクロスボーダーの収納代行を行う場合に、これは、基本的にはリスクに比例的な規制として資金移動業の規制を適用するということが必要と考えている次第でございますが、この資金移動業者に対しましては、御指摘のように、利用者資産の保全あるいはマネーロンダリング対応等が義務づけられるといった負担が生じるわけでございます。
新たに資金移動業登録が求められることになる事業者につきましても、おっしゃるとおり、一定の経済的な影響、御負担が及ぶものと考えておりますけれども、こうした義務は、利用者保護やマネーロンダリング対応のために必要なものであると考えておりまして、国際的な送金を取り扱う事業者、適用除外とならない事業者のことでございますけれども、これについては必要な措置であろうと考えております。
ただ、一方で、そうした対象になる、適用対象になる、規制の対象になる事業者の方が新たに規制に対応できるようになるということも重要なことであると考えてございます。
まず、今般の改正法案の成立後には、ふだん私どもと接触がない、そういうスタートアップも含めた中小の事業者の方々にも私ども金融庁に御相談等をいただきやすいように、新たに相談窓口を設置いたしまして、個々の事業者の方々に対して、それぞれのビジネスが規制対象になるのかどうかといった点を中心に御相談に応じるとともに、逆に、今度は、新たに登録が必要となる、そういう事業者の方の登録プロセスに関する不安につきましては、金融庁にフィンテックサポートデスクというものがございます、こちらも御活用いただきながら、ここでは、登録に向けた具体的な手続等に係る御相談を受け付けることとしております。
なお、委員の御質問にもございましたけれども、この法案におきましては、新たに規制対象となる既存のビジネスに配慮いたしまして、必要な準備期間を確保するために、法律の施行後、最長二年間の経過措置の規定を措置することとしております。
こうした取組を通じまして、新たに登録が必要となる事業者の皆様が円滑に対応できるよう、金融庁としても丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
改正内容や登録手続について丁寧な周知、広報と、また相談窓口を設置されるというお話ですけれども、そちらもしっかりと運営をしていただきたいというふうに考えております。
そういったことも踏まえてですけれども、大臣に再度お伺いをしたいと思います。
特に、今回審議中の改正案のクロスボーダー収納代行に関する新たな規制については、先ほど申し上げましたとおり、新経済連盟やフィンテック協会を始めとする業界から、その規制範囲の曖昧さ、既存ビジネスへの影響、イノベーション阻害の可能性など、多くの強い懸念が表明されています。これらの状況を踏まえ、仮に本法案が成立した場合においても、政府には、新たな規制が関係業界に与える影響を注意深く見守り、また、施行後も継続的に業界団体との対話の機会を設け、そこで得られた実態や課題認識に基づいて、必要に応じて制度の解釈、運用の改善や、場合によっては更なる法改正を含めた見直しを柔軟に検討していただくことが必要だと考えておりますけれども、その点に関してのお答えをいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、先ほど申し上げましたように、金融庁とふだん接触のない事業者の方々にも金融庁に御相談等をいただきやすくするなど、新たに相談窓口をまず設置をさせていただく。それから、適用除外を内閣府令で策定するわけでありますけれども、それに当たりましても、事業者の実態や要望を幅広く把握をし、健全なビジネスに影響を与えないよう、適切な範囲での規制になるよう検討していきたいと考えております。
その上で、施行後、これは成立後一年たったところで施行と確かなっていたというふうに思いますが、その施行後においても、相談窓口で把握していく事業の実態や事業者の要望を参考にしつつ、多様なサービスの実態を継続して注意深く分析するとともに、制度の運用に改善の余地がないか、不断な検討を行っていきたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 是非、業界の不安を和らげるためにも、建設的な関係構築への道筋を、これを機につけていただきたいと思いますし、また、利用者保護と不正利用防止を図りつつ健全なイノベーションを促進できるような、そういった対応を取っていただきたいと思いますので、その点、重ねてお願いをさせていただきたいと思います。
次に、少し細かい話に入っていきますけれども、規制の必要性、合理性について確認をしていきたいというふうに考えております。
今回のクロスボーダー収納代行に対する規制強化の主な理由の一つとして、海外オンラインカジノの決済や、あと、投資詐欺といった不正事案への対応が挙げられています。これらの不正行為を許してはならないということは論をまちませんけれども、しかしながら、その対策として広範なクロスボーダー収納代行事業者を対象に含め、一律に資金移動業としての厳格な規制を課すという今回の手法がなぜ必要かつ最善の策であると判断されたのかという点でございます。
例えば、より対象を限定した規制アプローチ、具体的には、特にリスクが高いと特定される取引類型、例えばオンラインギャンブル関連の決済に特化した手段では対策が不十分だったのでしょうか。ほかのより的を絞った規制選択肢と比較検討された結果、今回の広範な規制が選択された具体的な理由について、政府の御見解を伺いたいと思います。
○油布政府参考人 国境をまたぐ収納代行につきましては、国内で完結する収納代行と異なりまして、マネーロンダリングや犯罪利用等のリスクがより高いということに加えまして、そもそも、資金の流れを捕捉し、行為の実態を把握するということも困難であるということでございます。
こうした状況を踏まえまして、今般の改正法案におきましては、クロスボーダーの収納代行を基本的には規制対象とするとともに、多様なビジネスの実態を踏まえ、マネーロンダリング等の観点からリスクの低いと考えられる行為については規制の適用除外とするという枠組みとしております。
委員御指摘の方法でございます、規制対象を法律で限定列挙するような方法についても、検討はいたしましたけれども、この場合には、例えば、オンラインカジノでありますとか海外投資詐欺等に係るそういう送金を担うような悪質な収納代行業者の側で、規制対象とならないようにビジネスの外観を取り繕うというようなことで規制の適用を免れることが容易となります。また、そうした場合に、今度は当局側において、そうした収納代行業者が規制対象であるのかどうかということを証明することが非常に困難であろうと考えられるところでございます。
こうした理由から、限定列挙方式ではなく、基本的には規制対象として一定の行為を適用除外とする枠組みの方が、海外オンラインのカジノや海外投資詐欺などに係る送金の抑止に実効的につながるものではないかと考えている次第でございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
続けて、では、実際にどういった立法事実があるのかということを重ねて質問させていただきたいと思いますけれども、新経済連盟さんは、今回の規制強化に関して、立法事実となるトラブルが限定的である、そのような主張もされています。政府が今回の広範な規制導入の根拠とする具体的な立法事実について、その具体的な内容を改めて御説明をいただきたいと思います。
○油布政府参考人 現行、このクロスボーダーの収納代行は為替取引としての規制がかかっておりません、資金移動業の登録が求められておりませんので、私どもの方で、報告徴求などを通じて実態を、全体像を把握するということは非常に難しいわけでございます。こうした中で、ただ、御存じのように、クロスボーダー収納代行が、海外オンラインカジノ、あるいは海外投資詐欺等に利用されている状況にはあるというふうに考えております。
先ほどもお話ございましたが、警察庁の委託調査によりますれば、海外オンラインカジノへの年間賭け額の総額は一・二兆円を超えると推計されております。その際の入金方法をカジノ利用者の方に調査されたようですけれども、そこでは、電子決済サービス・決済代行、銀行送金を用いたと回答された方が多いわけでございますが、こうした方法で入金された賭け金は、その賭け金の流れにクロスボーダー収納代行業者が関与している例は少なくないと考えられるところでございます。
加えて、SNS型投資詐欺それからロマンス詐欺の被害の拡大につきましては、警察庁の令和六年の実態調査によりますと、令和六年におけますその被害額は千二百億円を超えるということでございます。この中には、海外に拠点を置くものが相当数含まれているものと考えられます。
さらに、こうしたSNS型などのほかに、海外に拠点を置く事業者による事案として、これは数年前明るみに出た事案でございますけれども、シンガポールに所在する会社が、日本の国内にある者に投資を募りまして、国境をまたぐ収納代行業者を経由して約千二百億円の送金を受けて、その多くが現在も返還されていないとされる事件も起きております。
このように、国境をまたぐ収納代行が関与する犯罪事案等による具体的な被害、これは広範囲で生じていると考えられることから、深刻な状況にあると認識いたしております。
金融庁といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、既存の法的枠組みの中ではどうしても限界があるということでございますので、今般の法改正が必要と考えた次第でございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
オンラインカジノであったり投資詐欺案件で深刻な被害が生じているというところは、それはそのように我々も認識をしていますけれども、質問は繰り返しませんけれども、なら、なぜそこに限定をした、そこに関与している収納代行業者に対する規制というものができなかったのか。一方で、全体の資金の把握、流れが今できていないのでこういった法改正が必要だという御意見もよく分かりますので、そこは、実際に運用していただきながら、しっかりと規制のかけ方が適切かどうなのかということは見ていただきたいというふうに思いますので、この後質問を続けますけれども、その点、重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
もう一点、規制の妥当性の部分で、中小、ニッチ事業者に関するコスト負担の現実性というものをお伺いしたいと思います。
先ほどもお伺いをしましたけれども、特に小さな事業者においてはコスト負担が大きくなってしまうわけでございます。余りこういったサービスを使わない方というのは御存じないと思いますけれども、海外の小規模なEC事業者やコンテンツプロバイダー等と連携して、比較的ニッチな市場でクロスボーダー収納代行サービスを提供している国内の中小事業者もあるというふうに言われていますし、これも今回の規制の対象に当然入るわけでございますけれども、これらの事業者にとって、先ほども触れましたが、初期コストやコンプライアンス体制のコストは事業の採算性を著しく悪化をさせるわけでございます。場合によっては事業継続そのものを困難にするのではないかとの懸念もあります。
政府は、今回のこういった法規制によってこういったニッチな収納代行サービス事業者が市場から消えていってしまう、そういったリスクを現実のものとして懸念をされているのか。また、そういった事態は避けるべきであって、こういった事業者であっても、健全な事業者においては、事業を継続できるような支援であったり体制整備が必要だと考えていらっしゃるのか。その点、明らかにしていただきたいと思います。
○油布政府参考人 もう繰り返しは避けさせていただきますけれども、クロスボーダーの収納代行につきましては、犯罪その他のマネーロンダリングに用いられるリスクが高いということでございます。また、国際的な要請といたしましても、金融安定理事会、FSBから、国境をまたぐ送金について、マネーロンダリング等のリスクに対して比例的な規制、監督を行うよう求められているということでございます。
こうした状況を踏まえて、今般、国境をまたぐ収納代行を行う場合には、基本的には、リスクに比例的な規制として資金移動業の規制を適用する必要があると考えている次第でございます。
具体的に、資金移動業の登録を取っていただく場合ですけれども、資金移動業者につきましては、御指摘のとおり、財務規制、あるいは利用者資産の保全義務、犯収法上の取引時確認等の義務が課されるということになります。
こうした規制につきましては、資金移動業者のその取り扱う送金額によって、登録類型を三類型設けております。こうした類型によりまして、少額の場合には少額の第三類型ということになりますけれども、資産保全義務の内容等に差を設けているということで、規制の柔構造化が一定程度図られているものと考えております。
今回、適用除外に当たらないということで登録を求める事業者に対する規制でございますが、これは、基本的には、事業者の規模等も勘案した上で、国境をまたぐ資金の移動が犯罪やマネロン等に使われるリスクの高さを踏まえた必要なものと考えております。
ただ、いずれにしましても、今後とも、事業者からの御意見を丁寧に聴取してまいりつつ、御懸念、御不安の解消に努めてまいりたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
では、残りの時間で、規制の範囲とその定義を明確化することを目的に何点か質問をさせていただきたいと思います。
まず、取引の成立への関与の具体的基準についてお伺いをしていきたいと思います。
改正案では、クロスボーダー収納代行のうち、商品又はサービスの提供に係る取引の成立に関与することなく行われるものを資金移動業の規制対象に含めるとしていますが、この関与の有無を判断する具体的な基準が条文上は必ずしも明確ではありません。
例えば、海外のECサイトに出店する事業者と購入者の間の決済を仲介する国内事業者が、単に決済機能を提供するだけでなく、出店審査、取引モニタリング、あるいは利用者間の紛争解決サポートといったプラットフォームとしての一定の役割を担っている場合、これは取引の成立に関与していると解釈されるのでしょうか。
もし関与の定義が非常に狭くて、例えば、価格設定に関与していないといけないだとか、あるいは直接的に配送業務にも関与していなければならないという範囲であれば、多くの健全なプラットフォーム型サービスにまで意図せず規制対象が含まれてしまうのではないかと危惧をしています。
この取引の成立への関与の有無は、具体的にどのような行為や基準をもって判断されるのか、政府の見解をお示しいただきたいと思います。
○油布政府参考人 委員お尋ねの、商品又はサービスの提供に係る取引の成立に関与することということでございますけれども、これは、収納代行業者がその利用規約におきまして受取人と支払い人の間の取引成立条件を定めるなど、その関与がなければ取引自体が成立しなかったほどの関与があるかどうか、これを基準とするということを想定しております。具体的には、内閣府令の中でここを可能な限り明確化してまいりたいと思います。
したがいまして、インターネット上で、出品者と購入者に対して、オンラインマーケットといいますか、取引の場を提供するプラットフォーマーでありますとか、あるいはタクシーの配車アプリを提供している事業者、こういった場合は、ほとんどのプラットフォーム型、多くのプラットフォーム型サービスにつきましては、委員がおっしゃいました、商品の価格設定や直接的な配送業務、こういったものを担っていなかった場合でありましても、適用除外の基準を満たし、基本的に要件に該当する、規制がかからないということであるかと考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
そういった具体的な業界団体とのQA、やり取りを通じて事業者の予見可能性を早急に高めていただいて、不必要な混乱というのは避けていただきたいというふうに考えております。
続けて、定義について別の部分をお伺いしていきたいと思いますけれども、経済的な一体性と他法令の範囲等について、ちょっと伺っていきたいと思います。
今回の改正案では、クロスボーダー収納代行であっても、利用者保護等の観点からリスクが低いと考えられる特定のケースについては資金移動業の規制対象外とすることが示されています。金融庁の説明資料によれば、例えば、資本関係があるなど受取人との経済的一体性が認められる者が収納代行を行う場合や、他法令で規律されている場合などが対象外とされる具体例として挙げられていますけれども、これらの具体的な要件、特に経済的一体性を判断するための具体的な基準、例えば資本関係とかそういったものですけれども、それであったり、あるいは、他法令として具体的にどのような法律が想定されているのか、現時点で公表されている資料だけではなかなか理解が追いついていないところでございます。どういった内容を具体的に想定されているのか伺っていきたいと思います。いかがでしょうか。
○油布政府参考人 今回、クロスボーダー収納代行の規制の適用除外に当たる類型のうち、まず、受取人と収納代行業者の間に経済的一体性があることということを一つ想定してございます。これは、受取人と収納代行業者、これが経済的に一体であれば受取人の保護のためにあえて業規制を課す必要は乏しいということを踏まえたものでございますが、具体的には、受取人の五〇%超の議決権を有するなど親子会社の関係などを、現時点では想定しております。
次に、同じく適用除外の類型で、他法令で規律されているものにつきましてはこれを除外するということでございますけれども、現時点では、例えば、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者、これが割賦販売法に基づきまして加盟店等を調査しております、その加盟店を受取人として収納代行を行う場合などが想定されます。
また、第三者型前払い式支払い手段、第三者型のプリペイドカードでございますけれども、この発行者がこれも加盟店を管理しているということでございますので、その加盟店を受取人とする収納代行を行う場合についても、資金決済法の規律が及んでいるということで適用除外ということを考えているところでございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
割賦販売法など今おっしゃっていただいたような法規制を受けている事業者に関しては対象外である、そちらで既に規制をされているからということでございましたし、また、親子関係にある、具体的に五〇%以上という基準だけが示されましたけれども、ほかに、支配関係にある基準というのは会社法上もありますし、そういったところはどうなのかというところも問合せがあると思いますので、そういったところにも迅速にお答えをまたしていっていただければと思います。
今のお話と少し関係をするというか再確認という形なんですけれども、少し細かい話になりますけれども、ここ最近、インバウンドが国内で大変活発でございまして、海外の観光旅行客が大変多くなっているわけでございます。こういった観光客の利便性向上のため国内の小売店や飲食店が、海外のQRコード決済、例えばアリペイやウィーチャットペイなどを導入するケースが増えていますけれども、事業者に、小売店などに向けてそういった開拓を行うアクワイアリング事業者というものも存在していますけれども、例えばこういった事業者さんは今回の規制で何か影響を受けるのかであったりですね。
まあこの部分だけを議論したいわけではないので、言ったら、いろいろな事業者がこの業界にいて、資金の流れも大変複雑でございますので、こういった事業が対象になるのか、私は対象でないのかということは、いろいろな問合せがあると思うんですけれども、そういった問合せ窓口があって迅速にお答えいただけるということでいいのか、重ねてお伺いをしたいと思います。
○油布政府参考人 お尋ねのようなケースでありますれば、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者の登録がなされている場合など、適用除外になり得ると承知しておりますけれども、この具体的な適用除外は、今後、内閣府令において定めるということになります。
その際、インバウンド決済や越境のEC決済については様々なビジネスがあるということでございますので、そうした各社のビジネスモデルの実際のところをお示しいただきまして、そうしたビジネスモデルについて情報が得られれば、私どもとして規制対象となるか否か等につきましてお示しすることができるよう、相談窓口を設けますけれども、そちらの方で対応してまいりたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 是非その点はしっかりとよろしくお願いしたいと思います。
今回の質疑の中でも度々出ている、詳細は内閣府令で定めていくというところでございますけれども、この内閣府令の公表時期と、またその策定のプロセスについて確認をさせていただきたいと思います。
規制の具体的な範囲や資金移動業の規制対象外となる例外規定の詳細など事業者の事業運営に直結する多くの重要事項が、この法改正では、法律本体ではなく、施行までに策定される内閣府令に定められる、委ねられることになっています。これにより事業者は、改正法が成立しても、実際にどのような行為が規制対象となり、どのような準備をすればよいのか、内閣府令の内容が明らかになるまで正確に把握はできず、法的な予見可能性が著しく損なわれるとの懸念を持っています。
今、委員会質疑などでも明らかにしていただいていることは多々ありますけれども、一方で、やはり内閣府令がしっかりと出てくるまでは事業者の不安というのは継続をしてしまうという意味でございますけれども。
そこで、改めて伺いますけれども、これらの重要な事項を定める内閣府令の案は具体的にいつ頃公表され、できればこの法改正が成立をしたという前提でお答えいただきたいんですけれども、パブリックコメント手続等を通じて十分に業界の意見を聴取する機会が確保されるのか、具体的なスケジュール感と意見聴取のプロセスについて、可能な範囲でお答えをいただきたいと思います。
○油布政府参考人 クロスボーダー収納代行に関する内閣府令の案でございますけれども、これを、具体案を公表いたしましてパブリックコメントを開始する時期につきましては、具体的な時期を申し上げることは困難でございますけれども、今般の改正法案の施行期日が公布日から一年以内とされていること、それから、今般の改正案に限らずパブリックコメントの期間は行政手続法上、最低三十日間を設ける必要があり、受け付けたコメントを内部で検討するために必要な期間も必要ということでございます。これにつきましては、遅くとも年度内には明らかにできますように検討してまいりたいと思っております。
なお、このパブリックコメントのプロセスに加えまして、その前の段階、内閣府令案を検討する段階から、先ほど来申し上げております新たに設置する相談窓口を通じまして事業の実態や要望を把握していくこととしております。これらを参考とした上で、適切な適用除外の範囲を検討してまいります。
内閣府令の策定に当たりましては、こうしたプロセスを通じまして、業界団体や個別の事業者の方々など幅広い関係者から御意見を丁寧に伺ってまいりたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 是非、今お答えいただいたとおりの対応、そして迅速に行っていただきたいというふうに思います。
では、最後に、重ねてになりますけれども、大臣にお伺いをしたいと思います。
平成三十一年に資金決済法が改正をされたときには、衆議院の財務金融委員会で、民間部門が過度に萎縮することがないよう法解釈の周知徹底に努めるであったり、イノベーションにも十分留意するであったり、過度な規制とならないよう注視し、必要に応じ適切に対応するといった内容を含む附帯決議が付された経緯がございます。
今回も、このような過去の附帯決議の精神に鑑み、今後策定される内閣府令やガイドラインの運用に当たっては、過度な規制とならないよう、また、健全なフィンテックの発展や国際競争力のあるイノベーションを不当に阻害しないよう最大限の配慮をもって臨むお考えがあるか、重ねてお伺いをしたいと思います。
○加藤国務大臣 今般の法改正による規制対象については、過度な規制とならないよう、多様なビジネスの実態を踏まえ、マネーロンダリングや利用者保護等のリスクが低いと考えられるものについては、今後定める予定の内閣府令において適用除外にする、今までも御説明させていただきましたが、そうした方針で臨んでいきたいと考えております。
さらに、この適用除外を定める内閣府令の検討に当たっては、今お話がありました過去の附帯決議に盛り込まれたイノベーションへの配慮という趣旨を踏まえ、新たに設置する相談窓口などを通じて把握した情報などを参考にしつつ、過度な規制となることでイノベーションを不当に阻害することのないよう配慮してまいります。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
今回のクロスボーダー収納代行の部分については、業界団体の懸念も分かるところが大変ありますし、一方で、現行の法規制では監視体制が不十分だという御懸念も、金融庁の御説明も一定筋が通ったものだと思いますので、ただ、一方で、大変変化が激しい業界でもありますので、今回、各会派の皆様にお願いをして、検討条項を少し変える修正案なども議論させていただいているところでございますので、法改正が成った際には、しっかりとその立法府の意思というものも酌み取っていただきながら、健全な業界の発展を阻害しない形で法規制をしっかりと運用していただければと思いますので、その点お願い申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井でございます。
今日は、ちょっと法案の質疑に入る前に、大変重大な問題というか発言が予算委員会でありましたので。
石破総理が五月十九日の参議院の予算委員会でこう答弁していますね。国民民主党の浜野委員の質問に対して、我が国の財政状況は間違いなく極めてよろしくない、ギリシャよりもよろしくないと。ギリシャを例に出して日本の財政は悪いという答弁、これはかなりいろいろな問題、話題になっています。国民民主党の玉木代表も、極めて不適切な発言だというようなことを述べておりますが。
総理の答弁というのは、大体役所の皆さんが原稿を、案を書くわけですけれども、これは財務省がそういう答弁書を書いたんでしょうか。お答えください。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のありました五月十九日の参議院予算委員会での石破総理の御発言でございますけれども、事務方の用意しました答弁書に沿って発言されたものではなく、予算委員会での質疑者との議論を行う中で発言されたものであると承知をしております。
その上で、この石破総理の御発言は、日本の財政状況について議論する中で、例えば債務残高対GDP比がギリシャを含めた他国と比べて高い水準にあるということを念頭に置きまして、日本の財政が厳しい状況にあることについて言及したものであると承知しておりまして、こうした意味において、財務省としても総理と同じ認識を持っております。
○高井委員 財務省は答弁を用意していないということですけれども、いろいろ日頃のレクチャーとかでは伝えているんでしょうし、今、指標の一つ、債務残高対GDP比、これは財務省が、しかし、そればかり言うからよくない、様々な指標があるものを分析すべきだというのを私は繰り返し言っていますが。
財務省に重ねて聞きますけれども、総理の認識と財務省の認識は一緒ですか、ギリシャより悪いという。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
やや繰り返しになりますけれども、五月十九日の石破総理の御発言ですけれども、財政状況について議論する中で、債務残高対GDP比がギリシャを含めた他国に比べて高い水準にある、日本の財政が厳しい状況にあるということについて言及されたと承知しておりまして、各国の財政状況を比較する際には、先生もよく御指摘のとおり、様々な指標から多角的に評価する必要があるという認識ではおりますが、その前提の上で、例えば足下の実績について申し上げますと、債務残高対GDP比はギリシャが一六五・二%であるのに対して日本は二四〇%、財政収支対GDP比について申し上げますとギリシャがマイナス一・三%であるのに対しまして日本はマイナス四・二%となっておりまして、こうした意味におきまして、少なくとも財務省としても総理と同じような認識を持っているところでございます。
○高井委員 大臣に聞きます。
大臣は、総理のこの答弁は適切だったと考えますか。
○加藤国務大臣 まさに今次長から御答弁させていただいたように、日本の財務状況について、今申し上げた指標で見ればギリシャよりも悪いということで、そういったことも申し上げながら、現下の日本の財政は大変厳しい状況にあるというこの認識は、私も総理大臣と一致をしているところでございます。
○高井委員 これは大臣に通告していますけれども、ギリシャの元財務大臣のバルファキスさんという、経済学者なんですけれども、当時、ギリシャ危機のときの財務大臣です。この方が、自身の回顧録、「黒い匣」という本なんですが、これで、日本とギリシャは全く違うということをギリシャの元財務大臣が述べていますが、これに対して大臣はどう思いますか。
○加藤国務大臣 私もその著書を全部読んでいないので、どういう趣旨でお話しになられたのか、ちょっと十分理解をしておりませんが、ただ、著書の中では、ギリシャは貿易赤字を抱えていたのに対し日本は貿易黒字である、あるいは、ギリシャは自前の中央銀行がないのに対して日本は中央銀行が非伝統的な金融緩和策を実施しているといった言及がなされているというふうに承知はしております。
その上で、先ほどからお話をさせていただいておりますが、各国の財政状況を比較するには、様々な指標から多角的に評価の必要はあると考えております。
我が国では、これまでも申し上げておりますけれども、家計の金融資産や経常収支の黒字等を背景に、大量の国債の大部分を国内で低金利かつ安定的に消化してきたわけでありますけれども、近年では、国債等の海外保有割合が増加傾向にあり、また、金融政策の調節により日本銀行の国債保有残高の減少も見込まれるなど、環境も変化してきております。経常収支についても、民間部門を含め様々な経済活動に連動するものであり、足下の貿易収支は赤字となっている月もございます。その動向をしっかりと注視していく必要があると考えております。
いずれにしても、著書にある点も踏まえて、我が国の財政状況については過度に楽観視することは避けるべきでありますし、従前から申し上げておりますように、一たび財政の持続可能性の信頼が失われれば、金利の上昇等を通じ利払い費が大きく増加する等々、財政面において重大な影響が及ぶおそれがあることにも留意する必要があるというふうに考えております。
○高井委員 これは極めて不適切な発言ですよ。やはり総理が自国の国債をおとしめるような、これは本当に、本来なら市場が即座に反応してもいいけれども、全然反応していない。はっきり言って、総理、何言っているんだという市場の評価ですよ、ギリシャより悪いわけないじゃん、何ばかなこと言っているのと。むしろそっちの方が、日本の総理をあきれた、あるいは今の財務省の答弁で財務省に対してもあきれたというのが市場の評価になりますよ。
私、この発言を聞いて思い出したんですよ。民主党政権のとき、私も民主党だったんです、当時。菅直人総理が、政権交代直後、二〇一〇年、参議院選挙の前に、財務大臣のときかな、同じように、ギリシャより日本が悪いとか、ギリシャのようになってしまうと。そして、参議院選挙中に消費税増税をほのめかした。私、当時、鳥取県に応援に入っていたんですね。鳥取、激戦区だったんです。まさに石破総理のお膝元の鳥取で勝てる、事前の調査はほぼみんな勝てる。ところが、この菅総理の発言で、結果負けたんですね。本当にあそこで潮目が変わって、民主党政権は瓦解をしていったわけですが。
やはり、こういう間違った発言を総理がすることによって、本来なら非常に大きな影響が起きるんですよ。
産経新聞の社説、余り、私、意見が違うことが多いんですけれども、今回は珍しく同じ意見です。首相は今回の江藤氏の発言に激怒したというが、対外的には何の影響もない江藤発言より、首相のギリシャ発言の方がよほど危険な失言なのではないか、たまには自分自身のふがいなさに激怒してみてはいかがだろうかと、産経新聞が厳しい、社説で書いています。
やはり、大臣、総理あるいは財務大臣がこういう自国、自分の国の国債を、危機をあおる、これはやはり控えるべき、国益に反するんじゃないですか。いかがですか。
○加藤国務大臣 私自身、自国の国債の危機をあおったことはございません。具体的にどういう発言を言っておられるか、ちょっと私には理解できないところでありまして。
財政事情の厳しさを申し上げ、そして、その財政事情をしっかり踏まえた中で、財政健全化に向けて努力をすることによって、まさに市場の信認をいただいていく。そうした努力の中で、現下、我が国は大変厳しい財政状況ではありますけれども、毎月の発行については、安定的な消化に支障が生じているわけではなく、計画を踏まえながらも着実にそれを進めている、こういう状況だと認識をしています。
○高井委員 総理の発言を大臣も今認めたわけですし、国債を、確かに直接は言っていないかもしれませんけれども、日本の財政がギリシャより悪い、極めてよろしくないと言うのは、これはやはり国債の信用をおとしめることと一緒じゃないですか。
これは、私、何度も言っていますけれども、今日ちょっと資料を配らせていただきました。今の日本の政府債務残高が、皆さん、本当に何か右肩上がりで、財務省の資料を見ると確かにぐっとグラフが上がるように見えるんですけれども、これを比較してみました、アメリカと中国と日本で。これはIMFです、出典は。
日本は赤ですけれども、そんな増えていないんですよ。財務省がどうせ反論するのは、これはドルベースですと。確かに為替の影響があるんです。だから、日本は例えば二〇〇五年にアメリカとほぼ一緒なわけですよ。それまでは日本の方が多かった。この当時は確かに多いと思いますよ。日本のGDPの規模から比べて、アメリカと同じ国債発行残高というのは、確かにそれは多いですよ。だけれども、そこから日本の国債は極めて抑制的に、発行を抑えてきているんです。世界の中で一番財政出動していない国なんですよ。だから、ほぼ横ばい。
これをドルに換算、当時これは百四円ぐらいだったので、今百四十三円だから、確かに一・四倍ぐらいは増えていますけれども、でも、同じドルでアメリカは四倍に増えていますよ、この二十年間の間に。ほかの国もそうなんですよ。こうやって財政支出を増やして、そして経済を共に成長させていく、それが世界、ほかの国もみんなそうなんですよ。だけれども、日本はこの二〇〇五年の時点で、もう危機だと言って、財務省がそこからとにかくプライマリーバランスのことばかり言って国債の発行を抑えてきた。その結果、国債の発行も伸びていないし、そして、その結果経済も伸びていないから。だから、債務残高対GDP比で比べれば、それはGDPが全然増えていないんだから、その比率が上がるのは当然じゃないですか。それは前に財務大臣も認めていただいていますが、こういうことですから。
それで、私が今日聞きたいのは、二〇〇二年に財務省は、海外の格付会社に対して、日米など先進国の自国建て国債はデフォルトしない、債務不履行しないんだ、だからその格付はおかしいと言って抗議文まで出しているんですよね。それは正しい姿だと思いますよ。まさに、ギリシャが破綻したけれども日本が破綻しないのは、自国通貨で、円で国債を発行して、しかも九五%国内で消化している、そして対外資産がたくさんある、政府資産がある、こういう理由なわけです。
それを、やはりそこを発信すべきですよ、財務大臣は。日本の国債、大丈夫なんですよということを発信すべきなのを、今これだけ財政がある意味よくなっているというか、二〇〇四年、五年に比べれば明らかに今はいいわけですよ、アメリカの四分の一ぐらいですから。そういう中で、格付会社に対して本来反論をちゃんとすべきなんじゃないですか。大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 委員御指摘のように、ドルベースで見れば、円安になればその分だけ小さくなるということは御指摘のとおりでありますが、円ベースで見ると、二〇〇四年には日本は八百九十七兆円、それが二〇二三年には一千四百二十兆円となっているわけでありますし、GDP比で見ても、前回申し上げましたが、二〇〇四年が一六九%から二〇二三年は二四〇%、悪化をしているところであります。アメリカと比べてということがありましたが、アメリカは、まさにそういった財政収支の赤字というのも一つの課題として今議論がなされるものと承知をしております。
その上で、二〇〇二年のように先進国の自国建て国債はデフォルトしないと反論しないのかということでございますけれども、これも前回申し上げましたが、御指摘の文書は、当時の外国格付機関に対し、財務省として格下げ理由についての客観的な説明を求める中で、財政構造改革などの取組や当時の強固なマクロ経済の中では自国通貨建てのデフォルトは考えられないと述べたところであります。
すなわち、これらの文書は、財政運営に対する信認が損なわれるような事態が生じれば、金利の上昇などを通じて国債の償還などに様々な影響が生じる可能性まで否定しているものではないと認識をしているところでございますので、引き続き、政府としては、中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないように、力強く経済再生を進める中で、財政健全化も実現をし、経済再生と財政健全化の両立、これを図っていくことが重要だと考えております。
○高井委員 私が聞いているのは、だから、二〇〇二年の格付会社に出したことを責めているのではなくて、責めているというか、なぜそれと同じことを今も言わないのかというところが、本当に財務省の姿勢に私は大きな憤りを感じます。
もう時間が大分なくなってきたので、一つだけ聞いておきたいのは、やはり国債を発行、我々は、でも無限に国債を発行するとは言っていないんですよ。インフレが進めば、それはやはりハイパーインフレのおそれがあるのでやめなきゃいけない。今のインフレ、もうインフレじゃないかと言うけれども、これはコストプッシュインフレなんですね。ここでも何度も議論しました、日銀総裁もそう認めました。だから、デマンドプルインフレ、本当に需要が、消費が旺盛になって生産力が追いつかなくなる、こういうデマンドプルインフレが、例えば二%とか三%、こういう状況が来るまでは国債を発行すべきです。
そして、消費税廃止。今、消費税減税、廃止、共同通信の調査では、七三%国民の支持を得ている、産経新聞でも、七一%、消費税減税、廃止なんですよ。国民の七割が求めているんですよ。そして、それを国債発行でやる、これをデマンドプルインフレになるまで、二、三%になるまでやるべきじゃないですか、大臣。
○加藤国務大臣 消費税の減税に関するマスコミの世論調査の数字をおっしゃられました。
確かにそういう数字もありますが、一方で、たしかテレ東と日経新聞がやったデータでは、違う形で、むしろ、減税をし、赤字国債を発行することに対しては懸念をする声が多かったというふうに認識をしております。
その上で、どの程度まで国債が発行できるかというのは、委員がおっしゃるインフレ率というのも、それは一つあるんだろうと思いますが、それだけではなくて、市場は様々な要因を総合的に判断しながら見ているわけでありますので、そうした市場参加者において、まさに、財政の持続可能性、これに対する評価が落ちることがないように我々は努めていかなければ、委員おっしゃるように、確かにデフォルトだけではなくて、例えば金利が急騰する、あるいはインフレがより一層進行する、こういったまさに財政の危機、こういった事態を引き起こしては絶対にならないというふうに私どもは思っているところでございますし、例えば今委員のおっしゃるようなインフレ率を見ても、足下だけじゃなくて将来も見ながら、また、どの程度まで将来を見るかというのは市場のその時々の状況で変わってくるというのは委員が十分御承知のところだと思っておりますので。
我々は、まさに総合的に勘案しながら、市場における財政運営に対する信認、これを失うことがないように引き続き努力をする中で、一方で経済の再生にはしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
○高井委員 総合的にとか市場の信認を失わないようにと言いますけれども、何の数字の指標もないし、何か、財務省が総合的に勘案してと言うだけで、それで一切国債発行を、何か新しい政策をやろうと思えば、財源を見つけてこい、国債では駄目なんだと言うのは、その結果、やはり日本経済が成長していないわけですから。
私もインフレだけで決めるべきとも言っていませんよ。しかし、インフレ率は、デマンドプルインフレになるかどうかは大きなメルクマールですし、ほかの指標でもいいんですよ、そういうのを財務省も出していただいて、では、この指標とこの指標が行くまではいいじゃないですかと。クレジット・デフォルト・スワップだって一つですよ。こういった指標をちゃんと議論する場を、この国会がまずそうだし、でも時間が足りないんですよ。だから、国会だけじゃなくて、いろいろな、財政審議会とか政府でもやればいいし、あるいはテレビ討論とかやってもいいですよ。そういった、国債をどこまで発行できるかという精緻な議論をしないと。
ただ単に、何か心配だ、心配だ、市場の信認が失われるなんて言って財政引締めばかりやっていたら、経済は成長しないんですよ。それは世界中が同じことなんです。みんなそれを乗り越えながらやっているので、是非日本も、何か、国債発行は一切駄目なんだ、必ず財源を見つけろみたいな罰ゲームみたいなことはやめていただきたいということを強くお願いして、法案の質問に入ります。
もうほとんど時間がないので一問になると思いますが、我々はこの法案は反対です。反対の理由は後ほど討論で明確に述べますが、一問だけになると思いますが、先ほど斎藤委員もされたクロスボーダー収納代行規制、ここが過剰規制なんじゃないかというのが我々の懸念点です。やはり、本当に、真に規制が必要なオンラインカジノとか出資金詐欺とか、そういったものをブラックリスト方式にして明示する、そういう規制の方式に変えるべきじゃないですか。
大臣、通告していますので、お願いします。
○加藤国務大臣 国境をまたぐ収納代行については、国内における収納代行と異なり、マネーロンダリングや犯罪利用等のリスクが高いことに加え、資金の流れを捕捉し、行為の実態を把握することが困難と考えております。
こうした状況を踏まえて、今般の改正法案においては、国境をまたぐ収納代行を規制対象とすることを基本とした上で、多様なビジネス実態が存在する中、マネーロンダリング等のリスクの低い行為については、リスクベースの考え方に基づき、適用除外としております。
こうした中で、委員から、規制対象の限定列挙、いわゆるブラックリスト方式を採用しないのかという御指摘がございました。
こうしたブラックリスト方式では、例えば、オンラインカジノや海外投資詐欺等に係る送金を担うような悪質な収納代行業者が、規制対象とならないようビジネスの外観を取り繕い、規制の適用を免れることが容易となり得ること、また、その場合に、当局においてこうした収納代行業者が規制対象となるかどうかの証明が困難となり、結果的にオンラインカジノや海外投資詐欺等に係る送金の抑止につながらないおそれがあるものと考えられることから、今般の改正法案では、包括的に規制をかけ、例外を設ける方法を取ることとしたところであります。
その上で、規制の適用除外とする具体的な行為については、多様なビジネスの実態を踏まえ、リスクの低い行為にまで規制が及ぶことがないよう、事業者と密なコミュニケーションを取り、内閣府令において適切にその範囲を定めていきたいと考えております。
○高井委員 終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 加藤財務大臣は御退席ください。
次に、大野敬太郎君。
○大野委員 自由民主党の大野敬太郎でございます。
今回は資金決済法の改正案ということでございます。先ほど来、随分議論が進んでおりますので、似たような質問になるかもしれませんが、改めて与党側から確認的な質問をさせていただきたいと思います。
今回の法改正はクロスボーダー収納代行と暗号資産の二つがメインのテーマとなっておりますけれども、どちらも、技術とサービスの高度化、これによって社会的な問題が生じる、この対応をめぐって、利用者保護とそれからイノベーション、これのバランスをどのように取っていくのかが課題ということであります。
当然、一般論として、私は規制はなるべく少なくしていくべきだと思っております。これは方向性は皆さんも共有をいただいていると思いますけれども、ただ、一方で、リスクに応じた適切な規制というのは最重要であろうかと思います。当然、ここは金融庁の腕の見せどころだということだと思います。
そこで、まず、クロスボーダーの収納代行について、改めてでありますけれども、その趣旨と目的を金融庁に確認をしておきたいと思います。
○油布政府参考人 お答え申し上げます。
国境をまたぐ収納代行、これは国内と国外との間の送金に使用されるものでございます。国内だけで完結する収納代行と比べまして、海外オンラインカジノ、それから海外出資金詐欺、投資詐欺等の海外に拠点を置く犯罪やマネロンリスク、こういったものの高いものと考えております。
また、国際的な金融規制に関しまして基準設定主体がございます金融安定理事会、FSBでございますが、こちらから、国境をまたぐ送金についてはマネーロンダリング等のリスクに応じて比例的な規制、監督を行うよう求められているところでございます。
こうした状況を踏まえまして、そもそも商品、サービスの取引成立に関与しない者が依頼を受けて国境をまたぐ収納代行を行うような場合、これは、利用者保護等の観点からリスクが低いものは適用除外にするということでございますが、そういうものを除きまして、基本的には為替取引として資金移動業の規制を適用する必要が高いと考えた次第でございます。
○大野委員 ありがとうございます。
具体的な状況認識としては、オンラインカジノ、あるいは投資詐欺、あるいはマネロンに対するリスク、特にFSBからもこの対策をクロスボーダーの送金については求められているという認識をお示しいただきましたけれども、特にこの中で、先ほど櫻井先生もお触れになっておられましたけれども、オンラインカジノの問題について、私も、結構ここは社会的な問題として大きくスポットを当てて対処をするべきだということを強く思っているところであります。
先ほどの櫻井先生の御質問にもありましたけれども、実は、警察庁が今年の一月に、オンラインカジノに関する実態調査、これを取りまとめていらっしゃいますけれども、その中で、拝見しますと、結構恐ろしい実態が浮き彫りになっているわけであります。
その中では、経験者は推定で三百三十六万九千人、国民全体でいえば三十人に一人が経験をしている。二十代は十二人に一人、これは学校で考えると結構多いなと思うんですよね。三十代でいえば十七人に一人、そういう経験をしたことがあるということでありました。そして、一人当たりの年間の平均賭け額というのも推計をしているんですけれども、それが六十三万円、総額はというので、櫻井先生のときにも指摘がありましたけれども、一兆二千四百二十三億円、これ以上、多いんじゃないかという御指摘があったという話でありましたけれども、少なくとも、これはちょっとかなり多い、問題だなと思います。
オンラインだろうが何だろうが、賭博は賭博、賭け事は賭け事ですから、当然これは刑法犯罪でありますし、仲介すれば幇助罪ということになる可能性もあるわけでありますけれども、その中で、驚くことに、利用者の六〇%が違法性を認識していたにもかかわらず利用を続けていた、しかも、五七・七%の利用者が、自分は依存症だ、あるいは少なくとも少しは依存症かもしれないという認識があるということだったということなんです。
そういったことを考えますと、日本の若者を、ギャンブルへの依存やカジノの資金稼ぎのための闇バイトや犯罪行為への加担、これから守っていかなければならないんだろうということは、この委員の先生方は確実に共有をしていらっしゃるんだと思います。だとしたら、やはり刑法の存在にあぐらをかくということだけでは事足りないので、金融面からも強力な措置を行うことが必要なんだと確信をしております。
ここで改めてお伺いいたしますけれども、今回の措置で、オンラインカジノ等の違法な送金、これに対して十分な効果が得られますでしょうか。
○油布政府参考人 お答えいたします。
今般の改正法案によりまして、クロスボーダーの収納代行、これを、為替取引であるということで、適用除外は設けつつ、基本的には資金移動業の登録を求める、登録がない者は無登録営業ということになるわけでございます。
こうした措置によりまして、例えば、登録段階で、海外オンラインカジノへの送金を行っている、そういう送金をビジネスとしているような場合には、これは登録拒否ということでございまして、登録が認められない結果、無登録業者として取り締まることが可能となる。例えば、常習賭博罪の関与がなくても、賭博罪の正犯や共犯に問えなくても、無登録業者として摘発する、取り締まるということが可能となるということでございます。
また、登録を受けた業者の方も、資金決済法上の資金移動業者ということになります。送金が違法行為に関するものでないかを適切に確認する犯収法上のマネロンの対策を講じる義務が課されることとなります。仮に、登録の後にこうした違法送金に関与したことが判明したような場合、必要に応じということでございますけれども、監督上の措置を講じることも可能となります。
こうした対応によりまして、クロスボーダーの収納代行を行う事業者が海外オンラインカジノなどの送金に関与することを抑止する、送金面から穴を少し塞ぐということができるのではないかと考えている次第でございます。
○大野委員 御丁寧な御答弁をいただきました。ありがとうございます。
少なくとも一歩進むことができた、少なくとも、登録の制度を設けることによって抑止をしっかり働かせて、そして具体的に対処ができるというふうになるんだというふうに思いますが、ここも努力が必要なんだと思いますので、しっかりと対策を講じて、運用の方もしっかりとした対応をお願いしたいと思っております。
一方で、先ほどイノベーションとのバランスの話に触れさせていただきましたけれども、これも先ほど櫻井先生から御指摘もありましたけれども、当然ながらでありますけれども、こういう違法なものとは全く違う健全なビジネスをずっとやられているような方々にとってみれば、規制はコストを強いるということに相なります。例えば新経連とかフィンテック協会というのも懸念を表明をしているわけで、まだ確実にどの領域がどういう対象になるということが必ずしもつまびらかにされていないので、不安が起こる、疑念が起こる、これは当然だと思います。特に、ビジネスにとっては予見可能性というのは非常に重要な要素でありまして、何だかよく分からないというのだと、ビジネスができないどころか投資もできない、拡大できないということにもなるわけでありますので、ここは非常に重要なポイントであろうかと思います。
そういう観点では、やはり適用の対象をしっかりと明確にしていくことというのが必要なんだと思いますけれども、この点に関して、基本的にどのようにお考えになっているかを改めてお伺いをしたいと思います。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
委員も御承知のように、国境をまたぐ収納代行には様々な形のビジネスモデルが存在します。金融庁におきましては、本法案の立案過程から現在に至るまで、業界団体や幅広い業態の事業者に対するヒアリング等を通じて実態把握を行ってきたところでもあります。不安の声が事業者の間にあることはまた承知しているところでもあります。
金融庁としまして、様々なビジネス、多様なビジネスの実態を踏まえながら、国境をまたぐ収納代行のうち、マネーロンダリングや利用者保護等の観点から規制の必要性が低いと考えられるものにつきましては、今後整備する内閣府令において規制の適用除外を設ける方針であります。
現時点では、適用除外として四つの類型を想定しておりまして、具体的には、プラットフォーマー等が自らの提供するオンライン上のマーケットにおいて行われる売買についてその代金の精算を行う場合など商品、サービスの取引成立に収納代行業者が関与する場合、また、収納代行業者が購入者から一時的に売買代金の支払いを受け、顧客の商品受領を確認した後に代金を引き渡す、いわゆるエスクローサービスの一環として行われる場合、また、受取人と資本関係がある等受取人と収納代行業者の間に経済的一体性が認められる場合、他法令の規制によりマネーロンダリングや犯罪利用等のリスクが軽減されている場合などを規制の適用除外にすることを想定しています。
加えて、今般の改正法案の成立後には、金融庁とふだん接触がない事業者の方々にも金融庁に相談をいただきやすいよう、新たに相談窓口を設置します。個々の事業者の方々に対しまして、それぞれのビジネスが規制対象となるか否かについて相談に応じるとともに、事業の実態や要望を幅広く把握して、内閣府令策定の際の参考にすることにより、健全なビジネスに悪影響を与えることを回避し、適切な範囲での規制を検討してまいりたいと考えております。委員おっしゃるように、予見可能性ということもまた重要だというふうに考えております。
金融庁としましては、こうした取組を通じ、事業者の方々の御不満、御不安に丁寧に対処してまいりたいと考えております。
○大野委員 ありがとうございます。
瀬戸副大臣は同郷で、香川県の、隣の選挙区でございますが、今日は大臣がいらっしゃらないので瀬戸副大臣でも構わないですかと聞かれたので、私は、瀬戸副大臣がいいですというふうにお答えをさせていただきました。丁寧な答弁、ありがとうございます。
いずれにせよ、このバランスというのは極めて重要なところであります。運用上もかなり努力が必要なんだと先ほども申し上げましたけれども、繰り返しそこの部分は御努力をいただきたいと思いますので、改めてでありますけれども、金融庁におきましては、強力な体制をしっかりと整備をしていただきまして、監督の高度化も必要があると思います。是非、そうした体制整備、体制面の手当て、これをしっかりとお願いをしたいと思います。
ちょっと時間がもう参っておりますので、改めて、ちょっと最後に、一点だけでありますけれども、今度は暗号資産についてであります。
まさに今、暗号資産というのはトランプ政権も積極的に推進しようじゃないかという方針を打ち出しておりますけれども、ここの部分も、改めて、あるべき規制の姿だけちょっとお伺いをさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。じゃ、お願いします。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
暗号資産の規制の在り方につきましては、暗号資産の利用や取引の健全な発展のため、利用者保護とイノベーション促進のバランスの取れた環境整備を図っていくことが重要と考えております。
こうした考え方の下、今般の改正法案におきましては、喫緊の課題への対応としまして、暗号資産交換業者に対する資産の国内保有命令の導入等の措置を講ずることとしております。
また、これとは別途、昨今の暗号資産に係る取引の実態等を踏まえ、暗号資産に関する制度の在り方等の検証を踏まえて、その検証結果を、先月、四月ですけれども、ディスカッションペーパーとして取りまとめ、公表したところであります。
金融庁としましては、今般の検証結果や諸外国の状況なども踏まえまして、引き続き必要な環境整備に取り組んでまいります。御質問ありがとうございます。
○大野委員 終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、山口良治君。
○山口(良)委員 公明党の山口良治でございます。
質問をさせていただきたいと思います。
国内の暗号資産の口座が一千二百万口座を突破をし、利用者の預託金も五兆円を超えているということで、この市場が広がってきておりますが、そうした中で、二〇二二年に起きたFTXの事案に対する政府の迅速な行政処分については高く評価をいたしております。
今般の資金決済法改正によって、これまで規制の対象外であった現物のみを扱う暗号資産業者に対しても資産の国内保有命令を導入し、制度的空白を解消していくことは、利用者保護の観点から極めて重要であると考えております。
そこで、新たに導入をされる資産の国内保有命令について、制度運用の透明性また実効性をいかに確保していくかということで質問をさせていただきます。
今回の法案の第六十三条の十六の二において、この国内保有命令の発動要件が政令、内閣府令に委任をされており、具体的な基準というものが不明確であるのではないかというふうに思えます。また、海外展開事業者に対する実際の拘束力をどのように確保をしていくのか、また、既に海外に資産を移転してしまっている場合などにおいて資産を取り戻すことについての実現可能性など、制度全体としての予見可能性また透明性を高めていくことが非常に重要であるというふうに思いますが、この点について政府の考えをお伺いいたします。
○油布政府参考人 暗号資産の国内保有命令についてお答え申し上げます。
こちらにつきましても、金融審議会のワーキンググループで、幅広い関係者の間で御議論をいただき、今般の改正により創設することとしたものでございます。
御指摘の、公益又は利用者の保護のため必要かつ適当であると認める場合にこの国内保有命令を発動するわけでございますが、この発動要件、こちらにつきましては、金商法上の金融商品取引業者に対する資産の国内保有命令の規定を参考に起案させていただいているものでございます。
具体的には、国際的にビジネスを展開している、そういう暗号資産業者が破綻して、その一〇〇%子会社といったものが国内で暗号資産交換業を営んでいるような場合、あるいは、破綻に至る手前でありましても、海外にありますその親会社の方が具体的に破綻の危機に瀕している、破綻のおそれが極めて高いと恐れられるような段階、こういう段階におきましても発動することができるのではないかというふうに想定をしております。
それから、委員御指摘の海外の事業者に関する実効性でございます。
これはまさに、海外での破綻法制の状況でありますとか域外への法律の執行力の観点、これらから一定の限界があるというのも事実であると考えております。ただ、国内法人に対しまして、国内保有命令を、法律に基づきこういうことを発出するということで、海外での破綻手続のこうした財源などに用いられる事態を防止する可能性を高める効果があると考えております。
先ほどおっしゃいましたFTXの事案などの場合にも、こちらは金融商品取引法の方の国内保有命令を使って保有命令を出したわけでございますが、結果として、国内保有命令の影響がこれは大きくあったと思います。国内の、日本の方々の財産をグループとしての海外での破産処理に使われることは防ぐことができたということでございます。
いずれにせよ、委員御指摘の予見可能性、透明性の向上というのは非常に重要であると考えておりまして、おっしゃいましたように、今後、業界関係者とも協議をしながら政令等の詳細を定めるとともに、制度の周知に努めてまいりたいと思っております。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
もしも、海外事業者が規制を免れる一方で、国内の正規事業者、真面目に規制を受けている、そうした厳しい規制の監督の下にさらされている、こういう事業者が不利な状況に立たされるというような、公正な競争環境が損なわれてしまわないように、健全な市場形成、日本がそういう市場であるということがしっかりと確保できるよう、制度の予見可能性、透明性を高めるための、運用面での、この制度をどう運用していくかという部分でのより具体的な準備等々も進めていただきたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
暗号資産等の取引仲介業の登録制度の創設は、これまで規制がなかった仲介業務について、利用者を守る重要な制度であると考えております。そこで、実際に利用者を守るための具体的な仕組みについて質問をさせていただきます。
暗号資産は、値動きが激しく、一般の方には分かりにくい、そういう商品でもあります。仲介業者による無理な勧誘や、手数料が幾らかかるのか分からない、こういった問題もあります。新しくつくられる仲介業の制度では、こうした問題から利用者を守るために、どのような人にどこまで勧誘してよいかといった基準や、手数料の説明義務、仲介で問題が起きた場合の責任の所在、利用者からの苦情への対応体制、どのように定めるかが大事になってくるかと考えます。
特に、暗号資産は投機的な面が強いことを考えますと、一般の方への過度な勧誘を防ぎ、判断に必要な情報をきちんと提供をさせていくために、しっかりとしたルール作りが大事であるというふうに思いますが、ここについて、政府の御見解を伺います。
○油布政府参考人 御指摘のとおり、暗号資産は投機的な面があるということも踏まえまして、利用者保護の観点からは、新しくつくります仲介業者、これにつきましては、その仲介業者による過度な勧誘を防ぐとともに、また、利用者に対して判断に必要な情報提供がなされることを確保することが重要と考えております。
このため、詳細の方は内閣府令で定める予定でございますが、新たに創設される仲介業者の勧誘につきましては、いわゆる適合性原則を適用いたしまして、利用者の知識、経験、財産の状況や取引の目的等に照らして不適当な勧誘、こういうことを禁止する、それから、勧誘の要請をしていない利用者に対しまして訪問し又は電話をかけて勧誘する行為、これも禁止する、また、勧誘に先立って、利用者に対しまして、その勧誘を受ける意思の有無を確認することをしないで勧誘する行為、こちらを禁止することを想定しております。
また、仲介業者の利用者に対する情報提供義務あるいは広告規制につきましては、手数料などの情報を含めまして、暗号資産交換業者等と同様の規制を課すことといたしております。
○山口(良)委員 金融リテラシーの高くない、そういった利用者が、不適切な勧誘によって過度なリスクを負う、そういった事例も散見をされておりますので、事業者側へのルール作りとともに、しっかりとした監督を行っていく、そういったモニタリング体制も取っていただきたいというふうに思いますので、登録制度をつくったから終わりではなくて、しっかりとした運用面での更なる強化をお願いをしたいと思います。
続きまして、今回の資金決済法で海外決済の仲介サービスに規制をかけることは、オンラインカジノや投資詐欺の被害防止に向けた重要な一歩であると考えます。しかし、この規制が本当に効果を上げるためには、幾つか私は心配している点があります。
一つは、被害者救済の現実的な難しさということで、一度海外に送られたお金を取り戻すのは非常に難しい。少額に分けて送金される、そうした場合の発見も非常に困難であります。規制をかけても、既に被害に遭った人や被害に遭う人のお金をどこまで実際守れるのかという不安もございます。
二点目には、正当な業者への影響についてでございます。新しい金融サービスを提供する会社が市場に参入しにくくなったり、規制に対応するためにコストがかさんで手数料を上げざるを得ない、こういった可能性もあります。
これらのために、金融庁として、こうした複雑な規制を監督するための人材や予算を十分に確保していく必要があると考えます。オンラインカジノや投資詐欺の防止、摘発については、事案ごとに個別の対応が当然必要であると思いますので、全て網羅的に今回のこの法規制で対応できるとは考えてはおりませんが、可能な限り手だてを進めていく必要があると考えます。
そこで、お伺いをいたします。
これらの課題を踏まえ、規制の実効性を高めるための具体的な対策について、率直な御見解をお聞かせください。
○油布政府参考人 まず、委員御指摘の正当なビジネスを営んでおられる健全な事業者のことでございますけれども、これを適用除外とする要件につきましては、先ほど御答弁もございましたが、内閣府令において現時点で大きく四つ、プラットフォーマー等、商品、サービスの取引成立に収納代行業者が関与している場合、それから、二つ目として、いわゆるエスクローサービスの一環として行われる場合、三つ目といたしまして、受取人と資本関係があるなど受取人と収納代行業者の間に経済的一体性が認められる場合、それから、四点目としまして、他法令の規律によりマネロンや犯罪利用のリスクが軽減されている場合、こういった類型を適用除外とすることを想定しております。
その内閣府令を詳細に定める際には、多様なビジネスの実態を踏まえまして、不必要な過度の規制を課すことのないようにバランスに配慮する必要があると考えておりまして、改正法の可決、公布後、速やかに設置する予定の相談窓口に寄せられる御意見なども参考にしながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと思っております。
それから、無登録業者の取締りの方でございます。
これは非常に難しい点があるのは御指摘のとおりでございます。その中で、一つ申し上げられることとすれば、資金決済法の第九十二条に報告制度というのがございます。こちら、資金移動業者の登録をせずに、規制対象となるそういう業務を営んでいる者につきましては、無免許、無登録で為替取引を営んでいるということでございまして、必要に応じて海外当局との連携も検討しながら対応してまいりたいと思っております。そうした業者に対しましては、照会書を発送し、その次には警告書の発出、それから、そうした業者名の公表、警察への情報提供を行うなど、関係省庁と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○山口(良)委員 先ほど答弁でも関係省庁と連携をするとありましたので、警察庁を始めとした省庁との連携、非常に重要でございますので、また海外当局との連携も重要であると思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
もう時間もございませんが、最後の質問をさせていただきます。
国際的な規制動向との整合性をお伺いしたいと思います。
G20やFATF、またバーゼル銀行監督委員会など国際的な議論も活発化しておる中で、今回の資金決済法改正、これらの国際的な規制動向とどのような整合性を図っていくのか、最後にお伺いしたいというふうに思います。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
我が国の規制を整備するに当たりましては、委員御指摘の国際的な規制動向との整合性を考慮していくことは非常に重要であるというふうに考えております。
今般の改正法案におきましても、国際的な規制動向との整合性を図る観点から講じることとした措置が含まれております。
具体的には、信託型のステーブルコインの裏づけ資産の管理運用につきまして、国債を含め預金以外の裏づけ資産が認められる等の柔軟化を図っております。また、そのほかにも、国境をまたぐ収納代行につきましては、金融安定理事会、FSBの勧告も踏まえまして、規制の適用除外となるものを除き、資金移動業の規制を適用することとしております。
我が国におきましては、二〇一六年の資金決済法等の改正におきまして、暗号資産の交換等を行う者に対するマネーロンダリング等に対する規制を導入するなど、世界に先駆けて暗号資産に関する規制の整備を行ってまいりました。
金融庁としましては、引き続き、こうした我が国の規制の情報や得られた教訓を国際的に発信していくなど国際的な議論に積極的に貢献していくとともに、今後の制度整備に当たっても、国際的な協調が必要な施策につきましては、国際的な動向も踏まえつつ検討を行ってまいりたいと考えております。
○山口(良)委員 終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○井林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岸田光広君。
○岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広です。
本日は、資金決済法改正について伺ってまいります。よろしくお願いいたします。
その前に、証券口座の乗っ取り事案についてお伺いをしていきたいと思います。
私も、四月四日と四月十五日のこの財務金融委員会において、この問題の深刻さについて指摘をし、早急な対策を求めさせていただきましたが、残念ながら、被害の拡大が止まらない状況でございます。
四月四日の委員会におきましては、まだ初期の段階でこの問題を取り上げさせていただき、証券取引をされている方は非常に不安を持たれていると思うのでしっかりその不安に対応していただきたいと要請をさせていただきました。
また、四月十五日の委員会におきましては、多要素認証の義務化、またリスクベース認証の導入など、具体的な規制強化を早急に導入すべき、また、政府としての補償の枠組みを整備すべきと言及させていただきました。その際、加藤大臣からは、金融サービスに対する信頼が揺らぐということは大変な問題である、金融庁としては、利用者が安心して株式等の取引を行うことができるよう、顧客対応に万全を期す、セキュリティー水準の向上を図っているところであるという答弁をいただきました。
しかしながら、金融庁の発表によると、不正取引の規模は、三月末までで六百八十七件、金額が二百五十七億円、四月末までで三千五百五件、金額の方が三千四十九億円と、三月から四月の一か月間で件数が四倍、売買額は約十倍となっています。
この間、金融庁では、ホームページでの注意喚起を行ったり、証券会社に対してはセキュリティー対策の要請と丁寧な顧客対応を指示したり、日本証券業協会と連携してのガイドラインの見直しに取り組んでいただいているところかと思います。しかし、残念ながら、金融庁のホームページのアラートでは不十分に思いますし、証券会社に対しても、デバイス認証、多要素認証の義務化を指導すべきだったのではないでしょうか。
日証協では、四月二十五日になって、多要素認証の必須化をようやく打ち出しましたが、もっと早く対応できたのではないでしょうか。
また、報道によると、被害者に補償を出す方向が表明されており、これは投資家の安心につながるものと安心しております。ただ、内容につきましては、投資家の過失に応じた補償という報道もあり、補償の道筋が見えているのでしょうか。投資家の安心のためにも、どのような補償の内容となるか早急に明らかにしていくべきと考えますが、具体的な内容についてお答えください。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
この度の不正アクセス、不正取引の被害急増を踏まえまして、金融庁といたしましては、委員御指摘のとおり、日本証券業協会及び各証券会社に対して、顧客の立場に立った丁寧な対応を行うよう求めてきたところでございます。
五月二日に、日本証券業協会及び証券会社十社が一定の被害補償をする方針であるということを公表したところでございます。また、この公表の中で、具体的な補償内容については、各証券会社において、各顧客におけるパスワード、IDなどの管理状況、自社が提供しているセキュリティー機能と各顧客の利用状況等といった個別の事情を勘案して精査した上で、各顧客の事情に応じて個別に対応していくということを申しております。
各証券会社におきましては、被害を受けた顧客とは既に何らか連絡を取っているものと承知をしておりますけれども、補償につきましては、各顧客の被害発生状況などを精査しており、補償内容が固まり次第、補償の手続を含めて、顧客へ個別に連絡していくというふうに聞いているところでございます。
金融庁といたしましては、引き続き、顧客の立場に立った丁寧な対応が行われるよう、各証券会社に対応を求めていくとともに、進捗状況をフォローアップしていく考えでございます。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
個別に対応をしていくということだと思いますが、この事件の対応の仕方や補償の内容によっては、今後、より安全な証券会社へ顧客が移る動きが加速することも予想されます。補償負担は、経営体力の弱い中小証券会社にとっては破綻リスクを高めます。こうした財務上のリスクをどのように評価されているのか、御説明ください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
証券会社は、法令上、業務に伴うリスクが顕在化した場合でも、それに伴う損失に十分耐えられるだけの十分な自己資本を維持するよう求められているところでございまして、金融庁といたしましても、こうした財務の健全性も含めて、証券会社のモニタリングを行っているところでございます。
現在、各証券会社において、先ほど申し上げましたように、被害額や補償内容などについて具体的な検討が進められているところでございますけれども、金融庁といたしましては、引き続き、各証券会社に対して丁寧な顧客対応を求めていくと同時に、財務の健全性の状況なども含めてフォローアップをしてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 是非その財務の健全性のフォローアップの方をよろしくお願いします。
証券口座の不正アクセス被害が急増する中で、被害を受けた顧客が証券会社のコールセンターに連絡しても、なかなかつながらず、長時間待たされるケースが頻発し、不安が増幅しております。
不正アクセス防止のためのガイドラインでは丁寧な顧客対応を求めているかと思いますが、苦情が多い現状を踏まえ、顧客の不安解消のために、証券会社に対し、コールセンターの体制の整備、例えば、人員の増強、また回線の増設、また専用窓口の設置等を具体的に指導すべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
この度の不正アクセス、不正取引の被害急増を受けまして、金融庁といたしましては、各証券会社に対して、顧客の不安を解消するべく、問合せや相談について、顧客の立場に立って真摯かつ丁寧に対応できる体制を整備するよう求めてきたところでございます。
各証券会社から継続的に状況のヒアリングを行っておりますが、その中では、新たな被害の発生状況などのほか、顧客相談体制などで追加的な対応の必要がないのかなどについても確認をしているところでございます。
こうした中で、委員御指摘のとおり、一部の証券会社におきましては、オペレーターの増員や専用窓口の設置等の対応を図っていますけれども、会社によりましては、不正取引に関する相談のほか、多要素認証など認証強化機能に関する問合せが多く寄せられているというところもございまして、コールセンターにつながりにくい状況が発生している会社もあるというふうに報告を受けております。
金融庁といたしましては、こうした顧客の疑問、不安に迅速に対応できるよう、引き続き、各社に対して、コールセンターの運営などを含めまして、顧客対応に万全を期すよう求めてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
特に最近、やはりコストの関係もあってコールセンターの人員が削減されて、非常につながりにくい、証券会社だけではなくて、そういう状況になっているかと思います。特に、被害に遭われたときはすぐにアクセスできないと不安をあおることになりますので、是非この点について連携してよろしくお願いいたします。
この問題は、貯蓄から投資への政策や、NISA拡充による投資意欲に悪影響を及ぼしかねません。投資といいましても、余裕資金の運用だけではなく、老後の資産形成に役立てようと、こつこつと積み立てていらっしゃる方も多くいらっしゃいます。この問題は、民間任せにはせず、政府として、是非、責任を持って迅速に対応すべきではないかと考えますが、大臣の受け止めをお聞かせください。また、投資意欲の冷え込みを防ぎ、証券業界の信頼回復と、貯蓄から投資への政策を推進するため、加藤大臣の決意を是非お聞かせください。
○加藤国務大臣 まさに今、貯蓄から投資へということで進めている中において、やはり、それぞれ皆さん方が信頼感をこうした投資に対して持っていただくということは非常に大事だというふうに考えております。そのためにも、証券口座の不正アクセス、不正取引の被害防止に向けて、政府としてはスピード感を持って対応していきたいと思います。
金融庁では、本年三月下旬頃、顧客から証券会社に対し、身に覚えのない取引が行われている旨の被害申告が急増したため、四月三日以降、金融庁ウェブサイトや警察庁との連名の文書により、投資家の皆さんに向けて、複数回にわたって注意喚起を行うほか、日本証券業協会や各証券会社に対し、インターネット取引のセキュリティー対策の強化を繰り返し求めるなど、迅速な対応に当たってまいりました。
日本証券業協会では、多要素認証の義務化に向けて、業界ガイドライン改正の議論を開始するとともに、多要素認証の必須化に同意した証券会社のリストを公表し、取組の強化にも努めていただいております。
さらに、五月二日には、日本証券業協会と十社の証券会社により、約款にかかわらず顧客に対して一定の顧客補償を行う旨の申合せが行われたところであります。
金融庁では、不正取引を防止する観点からも、日本取引所グループの自主規制法人においても深度ある市場監視が行われるように求め、その取組をしっかりとフォローアップするとともに、証券取引等監視委員会とも連携するなど、金融庁として主体的に様々な関係者と緊密な連携を図り、必要な対応を取っております。
これからの業界の信頼回復と、貯蓄から投資への推進への決意ということでありますが、金融サービスや証券市場に対する信認の維持は、家計の資金を投資に向け、貯蓄から投資への政策を進めていく上の大前提であります。冒頭申し上げたとおりでございます。こうした観点から、不正アクセス、不正取引の被害防止は重要な課題であると認識しており、金融庁としては、引き続き、様々な関係者と緊密に連携し、一日でも早く被害が収束をするということ、そして、こうした事案の再発を防いでいく、こうした取組を徹底して進めてまいります。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
加藤大臣も非常な危機感を持っていただいていることを認識いたしました。引き続き、迅速な対処の方をよろしくお願いいたします。
次に、資金決済法の改正について伺ってまいります。
まず、暗号資産の交換業者等に対する資産の国内保有命令の導入についてお伺いをしたいと思います。
近年、暗号資産市場の急成長に伴い、顧客資産の流出や、不適切な管理が問題視されてきました。国内保有命令は、こうした課題に対し、特に日本国内の投資家が安心して暗号資産取引に参加できる環境を整備する目的があります。一方で、事業者にとっては、運用コストの増加や、また海外展開の制約となる可能性もあり、バランスの取れた運用が求められるかと思います。
FTXトレーディングリミテッドの破綻におきましては、同社がデリバティブ取引を取り扱っていたので、金融商品取引法に基づく資産の国内保有命令を含む行政処分を実施し、これにより、同社資産の国外流出を防止できたと承知しております。今回の改正は、現物取引のみを行う事業者にも資産の国外流出を防ぐことを可能とするものです。
まず、お伺いします。FTXジャパンについては、日本の金融庁の規制により、顧客資産が分別管理されていたと承知しています。FTXジャパンの顧客は既に資金の引き出しが可能となっていると伺っていますが、全顧客の資産が安全に保護されているのか、また、引き出し手続の現在の状況、残された課題について、具体的にお聞かせください。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、日本の暗号資産交換業者に対しては、資金決済法において、顧客資産の分別管理が義務づけられており、当社においても、顧客資産が分別管理されており、適切に保護されているものと承知しております。
当社においては二〇二三年二月より顧客資産の引き出しが可能となっており、当社の公表文によれば、二〇二五年四月二十五日までに、法定通貨が約五十五億円、暗号資産が約二百二十五億円引き出されております。
顧客資産の返還は現在も継続していることから、金融庁といたしましては、当社における分別管理や引き出し手続が適切に行われるよう、しっかりとモニタリングしてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 FTX社の破綻は、FTX社が、顧客資産を分別管理せず、約百億ドルの顧客資産を関連会社のアラメダ・リサーチに貸し付けていたことが破綻の主因と指摘されています。
日本では、金融庁の規制により、暗号資産交換業者に顧客資産の分別管理が義務づけられていますが、国内の全交換業者がこの義務を適切に遵守しているのか、また、現状の監視、監督体制はどうなっているのか、お答えください。FTX社のような分別管理の不備を未然に防ぐため、具体的な措置、検査の実施状況をお答えください。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、資金決済法において、暗号資産交換業者に対して顧客資産の分別管理が義務づけられており、その管理状況について、定期的に外部監査を受けた上で、当局に報告することなどが義務づけられております。
また、金融庁は、暗号資産交換業者に対する事務ガイドラインにおいて、事業者の監督上の着眼点として、社内規則に分別管理の執行方法が具体的に定められ、利用者との契約に反映しているか、自己の財産と利用者財産等が明確に区分され、かつ、個々の利用者の金銭の残高、暗号資産の数量について直ちに判別できることとしているかといった点を定めております。
各業者における分別管理の体制につきまして、金融庁では、新規登録の審査時に、適切な体制が整備されているかを確認しているほか、既存の業者に対しても、立入検査を含めたモニタリングを通じて継続的に確認を行っているところでございます。
金融庁といたしましては、引き続き、各業者において適切に顧客資産の分別管理がなされているかについて、しっかりとモニタリングしてまいりたいと考えております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
このような事案を防ぐため、分別管理の徹底、こちらの監督の方をよろしくお願いいたします。
次に、暗号資産等取引に係る仲介業の創設について伺ってまいります。
今回の法改正の趣旨は、これまで、暗号資産の仲介業務を行うには、暗号資産交換業者と同等の厳格な規制、フルパッケージ規制が課され、参入障壁が高かったですが、新たに暗号資産仲介業を創設することで、従来の交換業者以外の事業者が参入しやすくなり、決済や送金の利便性向上とイノベーションを促進しつつ、適切な規制の下で、利用者の資産保護を確保することが可能になると伺っております。
一問、時間がありませんので、飛ばさせていただきます。
暗号資産仲介業の創設により、暗号資産市場や関連業界にどのような具体的な影響が予想されますでしょうか。特に、決済の利便性向上や新たなサービスの創出といったイノベーションがどのように促進されるのか、お答えください。
○油布政府参考人 お答えいたします。
現行の資金決済法におきましては、暗号資産等の売買又は交換の媒介だけを行うという事業者であっても、暗号資産交換業者等の登録が必要となるところでございます。そうした事業者におきましては、利用者財産の預託を受けないにもかかわらず、暗号資産交換業者と同様に、財務規制、マネーロンダリング規制等の規制がかかることになっております。
こうした中、今般の改正法案におきましては、新たな仲介業を創設いたしまして、利用者財産の預託を受けないなどの特性に応じた、過不足のない規制を適用することとしております。
新たな仲介業の創設によります影響や期待されるイノベーションにつきましては、これは事業者側の経営判断によるところでございまして、一概には申し上げられないところでございますが、例えば、新たなサービスといたしまして、暗号資産への投資を希望する顧客を抱えている証券会社等が、この仲介業の登録を受けて、自らの顧客に、グループ内、提携先の暗号資産交換業者になろうかと思いますけれども、こちらに送客するサービスなどが考えられます。
また、委員からもお話のございましたオンラインゲームあるいはEコマースなどにおきましても、その決済手段として利用者が暗号資産を購入するタイプのものが想定されます。そういう場合に、ゲーム会社等がこの仲介業の登録を受ければ、自らの利用者を提携先の暗号資産交換業者に送客するという形で新たなサービス等が生まれていくことが考えられます。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
またちょっと一問飛ばさせていただきます。
暗号資産仲介業者が増えることが想定されますが、これにより多くの方が暗号資産の取引を始められることと思います。これにより投資家保護がおろそかにならないのか、非常に心配するところです。金融庁として、そのリスク、またその対策についてどのように考えているのか、お答えください。
○油布政府参考人 御指摘のように、暗号資産の仲介業者の新規参入も想定されますし、その結果といたしまして、利用者の裾野が広がり、多くの方が暗号資産の取引をお始めになる可能性があると考えております。
そこで、委員御指摘のとおり、暗号資産につきましては、詐欺等のリスクが存在するとともに、その価値の変動が激しいということで、保有者に損失が生ずるおそれもあるということを踏まえまして、新たな仲介業者に対しましては、媒介を行う者として、暗号資産交換業者と同等の説明義務あるいは広告義務を課すこととしております。
また、この新たな制度の下では、いわゆる所属制を採用することとしておりますので、仮に仲介業者がこうした法令上の義務に違反した場合には、当該仲介業者自身に対しまして、報告徴求、業務改善命令等の監督処分を講じることができるわけでございますが、これに加えまして、その所属先の暗号資産交換業者の方に対しましても、同様の監督上の措置を講ずることが可能となります。
さらに、所属制を採用しておりますため、仲介業に関して問題が生じた場合には、利用者に対する賠償責任を、原則、所属先であります暗号資産交換業者の方が負うということになります。
このように、事業者の特性に応じた、過不足のない規制を適用することで、新たに暗号資産の取引を始められる方も含めまして、利用者保護を適切に図ってまいります。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
クロスボーダー収納代行の規制対象についてですが、この件、通告はさせていただいていましたが、これまで各委員の皆様方から質問がありましたので、私の方からは省略させていただきます。
ビジネスの世界は急速に変化し、新たな取引手法が次々と生まれています。FSBからもリスクに応じた柔軟な規制が求められており、過度な規制がイノベーションを阻害する懸念もあります。クロスボーダー収納代行の規制強化に際し、合法的なビジネスに影響を与えないように進めるべきと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
済みません、あと、資金移動業者の破綻時における利用者資金の返還方法の多様化についても通告させていただいていましたが、時間になりましたので、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
まず、暗号資産に関わる改正内容についてお聞きします。
法案では新たに、事業者と利用者との間で取引の媒介のみを行う事業を仲介業とし、登録を義務づけています。
既に登録を義務づけられている暗号資産交換業者には、禁止行為として、適合性の原則や不招請勧誘の禁止、招くことも請うこともしていない勧誘の禁止といった規制が課されています。これは他の金融商品等の取引と同じです。十分な知識がない、あるいはそもそも興味のない人が暗号資産のような金融資産を購入させられることのないようにという規制ですね。
確認しますが、仲介業者にも同様に禁止行為の規制を課すのでしょうか。
○油布政府参考人 お尋ねの仲介業者の規制でございますけれども、今般の法案の中で、暗号資産交換業に関する規定を準用しておりまして、さらに、詳細につきましては内閣府令で定める予定としております。
この中で、勧誘に関しまして、暗号資産交換業者と同様に、まず、いわゆる適合性原則を適用する、利用者の知識、経験、財産の状況や取引の目的等に照らして不適当な勧誘などを禁止するということでございます。
それから、御指摘のいわゆる不招請勧誘、これにつきましても、勧誘の要請をしていない利用者に対して訪問し又は電話をかけて勧誘をする行為、これを禁止することとしております。
また、勧誘に先立ちまして利用者に対しその勧誘を受ける意思の有無を確認することをしないで勧誘をする行為、こちらについても、暗号資産交換業と同様に、内閣府令におきまして禁止とすることを考えております。
○田村(智)委員 不招請勧誘について、今説明があったとおり、内閣府令では、訪問し又は電話をかけて暗号資産交換契約の締結の勧誘をする行為、まあ、等がつくとは思いますが、そのように規定されているんですね。
しかし、顧客の側が別の用件でアクセスしてくるという場合があります。例えば、証券会社に株や証券の購入相談で訪問をしたとき、その証券会社が仲介業者として暗号資産の宣伝物を見せて勧誘する、これも不招請勧誘に当たり禁止されるということになるでしょうか。
○油布政府参考人 お尋ねのケースにつきましては、個々の具体的な判断によると思いますので、一概に申し上げるのは難しいところであろうかと思います。
おっしゃいましたように、不招請勧誘というのは、勧誘の要請をしていない利用者に対して訪問し又は電話をかけて勧誘をする行為ということでございます。
他方、この新たな仲介業者につきましても、暗号資産交換業者と同様に、訪問、電話以外のパターンでございますが、単なる広告を超えて勧誘に該当するような行為を行う場合に関しましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、勧誘に先立って利用者にその勧誘を受ける意思の有無を確認しないで勧誘をする行為などが禁止されます。このほかにも、裏づけとなる合理的な根拠を示さないで表示を行うこと、断定的判断の提供、その他の規定についても、これを整備することで、利用者の意思形成に不当な影響を与えることを防止することとしております。
こうした措置を講じることを通じまして、新たな仲介業者の利用者の意思に反した取引等が行われることがないよう、適切に監督してまいりたいと思っております。
○田村(智)委員 これは仲介業が抜け道とならないように是非しっかり監督してほしいと思います。
それで、今の訪問、電話なんですが、暗号資産というのは、多分インターネット上での取引が多いと思うんですね。そうすると、訪問、電話というのはおよそ考えにくい。ゲーム課金が暗号資産という場合、暗号資産そのものには関心がない。関心があるのはゲームです。また、暗号資産に対する知識も十分でないのに、購入しなければゲームができない。それで購入する。こういうことも十分にあり得るんですよ。
そうすると、ネット上での不招請勧誘というのはどういうものが当たるんでしょうか。
○油布政府参考人 いわゆる不招請勧誘の禁止と言われているもの、これは金融商品取引法等に規定があるものでございます。
これは先ほども申し上げましたけれども、不招請勧誘自身は、利用者に訪問し又は電話をかけて勧誘をする行為ということでございまして、インターネット上での表示その他については不招請勧誘の直接の対象になるというものではございません。
他方で、先ほど少し御答弁させていただきましたけれども、インターネット上で行われる行為につきましては、不招請勧誘ということではございませんが、例えば単なる広告を超えて勧誘に該当するような行為のような場合、これについては一定の禁止をすることを考えておりまして、勧誘に先立ちまして利用者に対しその勧誘を受ける意思の有無を確認しないで勧誘するような行為でありますとか、裏づけとなる合理的な根拠を示さないで暗号資産の性質等に関する表示を行う行為、それから、不確実な事項について断定的な判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのある表示を行う行為、こういったものをインターネットあるいはSNS等を通じて行うことは禁止するということで、利用者の意思形成に不当な影響を与えることを防止することを意図してまいりたいと思っております。
○田村(智)委員 これはちょっと今後の課題だなと今の答弁を聞いて思いました。
広告を超えたと言うんですけれども、今、何かの広告を見ると、関連広告がどんどん流れるじゃないですか。そうすると、繰り返しの広告というのが勧誘にならないのかという問題も含めて生じてくると思います。
今言ったゲーム課金の場合などは、例えば、動画サイトでは、広告を見なければ動画の続きを見ることができないというものがありますよね。同じように、ゲームで暗号資産による課金をする前に、暗号資産のリスクなど重要事項に当たる内容を、これは文字じゃ駄目だと思うんですよ、動画とか音声で告知しなければ先に進めないなどの措置も必要になってくると思います。これは今後是非検討して、広告が勧誘にならないように、あるいはゲームが勧誘にならないようにという手だてを取ることが必要だというように思います。
それで、国境をまたぐ収納代行、ここはちょっと私、焦点で質問したいんですけれども、法案では、国境をまたぐ収納代行について、為替取引としての規制を適用し、収納代行事業者は登録を義務づけられます。海外オンラインカジノや海外出資金詐欺等の違法送金を行う者を無登録事業者として取り締まることが可能となります。
前回、十六日でしたかの委員会の質疑で、オンラインカジノの賭け金のような違法送金については、現行法においても常時モニタリングや情報提供により違法が疑われる口座への送金を止めるなど取締りが可能ではないのかということを指摘しました。
そうしますと、本改正で一体取締りがどのように強化されることになるのか、簡潔に御説明ください。
○油布政府参考人 無登録業者が行うクロスボーダーの収納代行につきましては、御指摘いただきましたように、現に登録をしてくる際に、そうしたビジネスをなりわいとしているような業者についてはこれを登録させないということ、登録拒否要件に当たりますので、無登録営業として取締りの対象とすることができるということでございます。
他方で、登録した業者、登録を行った業者がそのようなことを行った場合には、監督上の処分、報告徴求、業務改善命令等で対応するということでございます。
現行、銀行等がこうしたクロスボーダーの収納代行の業者に銀行口座を提供している場合、現行ではそうした行為は規制がかかっておりませんので、合法的な行為ということになろうかと思います。実際には、銀行の方で中身を適切に判断して、さらに、いろいろな対応を考えておられるようですけれども、まず障害となりますのは、提供している口座の業者が、自分は国際的な資金移動を行っているけれども、収納代行の形式で行っているので、これは法律に違反するものではありません、また、犯収法上の確認義務もかかっていない、こういうふうに答えることができるようになっております。
この点が、大きくこの法律の、もし通していただきましたら変わってくるのではないかと考えております。
○田村(智)委員 その一方で、法案では、違法送金のリスクが低いと考えられるものは規制の対象外としています。今日の委員会でもかなりこの点が議論になっているんですけれども、これは内閣府令で列挙する、適用除外のところを列挙していくということですけれども、その中に、海外オンラインカジノなど違法な送金事業が紛れ込む余地はないという根拠のようなものはあるんでしょうか。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
今般の改正法案において、国境をまたぐ収納代行のうち、一定のものは、犯罪やマネーロンダリング等に用いられるリスクが高く、利用者の保護を図る必要性が高いことを踏まえて資金移動業の規制の対象とした一方で、多様なビジネスが存在する中で、マネロン等のリスクが低いと考えられる行為については規制の適用除外とする枠組みとしているところでございます。
具体的な適用除外の内容は今後内閣府令で定めることとなりますが、四類型に該当する場合には、マネーロンダリングや犯罪利用等のリスクが低く、規制の必要性が低いため、適用除外とする方針でございます。
当該適用除外規定に該当するかどうかについては、実際の取引等の内容を踏まえ、個別に具体的に判断する必要がありますが、仮に、違法送金をする収納代行業者が実質的に海外送金を行っているとみなすことができる場合には、資金決済法の登録を求めていくことになるものと考えております。仮に、こうした事業者が登録の求めに応じない場合には、無免許、無登録で為替取引を営んでいる者として、当該事業者への照会書や警告書の発出、警察との情報共有等を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。
○田村(智)委員 適用除外にするのは利用者の保護ということが言われていたりするんですけれども、その点で、マネーロンダリングなどに使われているわけではないけれども、本当に利用者保護という理由で登録除外を広げていくのはどうなのかなという点をちょっと指摘をしたいんですね。
例えば、取引仲介プラットフォーム、宿泊予約やタクシー予約などを仲介するネットのサイトというのは、最初から利用者保護という理由で登録の対象外となるということが今日の答弁からも考えられます。
宿泊予約サイト、アゴダ、本社はシンガポールです。ブッキングドットコム、オランダです。そうすると、海外ホテルだけでなく、国内のホテルや旅館もこれらのサイトを利用して予約のためにクレジット決済をすると、国境を越えた収納代行になるわけですね。
これら大手の宿泊予約サイトでも、システムエラーで予約ができていなかった、予約条件が違ったなどのトラブルは現に起きていて、サイトの連絡先に電話をしても国際電話になってしまう、それで、海外の苦情窓口につながって、あらかじめ日本語で録音されている、宿泊先の連絡先に問い合わせてくださいというメッセージが流れるだけで何ら対応になっていない、返金を求めても一度クレジット決済したら一切応じない、こういう問題が指摘をされています。顧客からは、これでは詐欺ではないかと声が上がる事例もあり、最初から適用除外とすることが果たして利用者保護と言えるのかということを疑問視しています。
そもそも実態が把握できていない状態であると思います。そう考えると、私はむしろ、網を大きくかけて、実態をよくつかんで対応していくということも必要ではないか、そういう慎重な検討も必要ではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○油布政府参考人 御指摘の点でございますプラットフォーム業者につきましては、やはり、商品、サービスの取引成立に収納代行業者が関与するパターンでございますけれども、これは、自身の取引に関する資金の受取や支払いに関与するということで類似する側面があるところでございまして、典型的な、依頼されて行う単なる送金、為替取引等とは異なる部分もあろうかと考えております。
また、先ほど御指摘のあった事例につきましては、その内容にもよると思いますけれども、資金移動という観点から見たときには、規制すべき対象ということに当たらないような、そういう不都合な実態もあるということで、資金移動あるいは資金決済法の観点でプラットフォーム業者をどこまで規制するのかという問題もあろうかと思います。資金決済法でございますので、やはり資金の移動に着目した観点から規制をかけていくということかと思います。
そうした観点からでございますけれども、今般の金融審議会のワーキンググループにおきましても、今回規制の対象外とされた行為についても、国内外の利用者被害の状況を注視し、今後、必要があれば規制の範囲について改めて議論すべきであるとの提言をいただいたところでございます。
利用者保護の観点から、送金、為替取引という観点から規制を及ぼすべきと考えられるような状況に至った場合には、必要に応じて適用除外の範囲について改めて検討してまいることになろうかと思っております。
○田村(智)委員 残る時間はオンラインカジノについてお聞きします。
前回の委員会で、オンラインカジノ業者のサイトを常時モニタリングすれば振り込み先の口座番号など把握できるのではないかと質問しましたが、警察庁は、個別事案ごとに対応するという答弁でした。なぜ常時モニタリングなど監視ができないのか。何が障壁となっているんでしょうか。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
お尋ねのオンラインカジノサイトの常時モニタリングにつきましては、捜査手法に関する事柄となりますので、その実施の有無も含めましてお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
○田村(智)委員 一般論で聞いていますから、それぐらい答えていただいてもいいんじゃないかと思うんですけれども。
それで、調べてみたら、四月二十二日、犯罪対策閣僚会議が行われていて、国民を詐欺から守るための総合対策二・〇を決定しています。その中で、様々なモニタリングの強化ということが言われているんですけれども、これを私、ざっと読んだときに、やはり、特殊詐欺というのは被害者の多くが高齢者だ、警察も金融機関も取締りを強化するという意欲が高い、これは当然だと思います。一方、オンラインカジノは、送金する側も賭博罪が問われ、自己責任と捉えているところがあるんじゃないのかと思うんですよ。しかし、そこから闇バイトあるいは特殊詐欺のグループへとつながっていくということも分かっていて、特殊詐欺に手を染める人を抑えるという意味でも、オンラインカジノへの違法送金を摘発するということは重要だと思うんです。
ちょっと時間が来てしまったので、加藤大臣にお聞きしたいんですけれども、今のような問題意識なんですよ。オンラインカジノには、ギャンブル依存症にする仕組みや絶対に勝てない詐欺的手法があるということも、NHKスペシャルなどで開発者が告発をしています。ですから、特殊詐欺は、これは入金してしまった側が明らかに被害者、だけれども、オンラインカジノの場合は被害者なき犯罪みたいになっちゃっているんですよね。それで取締りがきちんとやられていると思えない、私には。金融機関におけるモニタリングであるとか、それも十分だと思えない。不正口座利用のあの調査も十分だと思えない。ここをもう少し問題意識を持って取り組むことが必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、金融機関では、マネーロンダリング等防止の観点から、警察を始めとする外部からの情報提供、モニタリングにより預貯金口座が不正に利用されていることを把握した場合には、出入金の停止や口座凍結等の措置を講じているところでありますし、こうした預貯金口座の不正利用等防止に向けた取組を高度化させるべく、昨年八月にも、預金取引等金融機関に対策の強化も要請をしたところでございます。
今後も、オンラインカジノへの送金など不正利用が疑われる口座の把握に対して先進的な取組を行っている金融機関を共有する等々の措置を講じていきたいというふうに思っております。
同時に、金融庁においても、さらに、本年五月十四日に日本暗号資産等取引業協会を通じて暗号資産交換業者に対して要請文も発出して、詐欺被害防止に向けて種々の要請を行ったところでございまして、また、要請文においては、利用者が国内外のオンラインカジノに関連した取引を行おうとしていることを把握した場合に当該取引を停止することなども併せて要請をしております。
各事業者において、送金後の取引の流れも含めた取引モニタリング等により、オンラインカジノに関連した取引を検知し、当該取引を停止するなどの取組も行われているものと承知をしておりますが、引き続き、各事業者において、オンラインカジノに関連した取引の防止に関する取組状況、これをしっかりモニタリングすることにより、今お話がございました、まずこれを入口として入って、最終的にはそれ以降のめり込むというんですかね、そういった流れ、そのまず入口をしっかり遮断すべく、関係省庁とも連携しながら、金融庁としても対応していきたいというふうに考えています。
○田村(智)委員 本改正はオンラインカジノについても規制の一歩となると思いますが、今後も適正な規制が行われるよう求めていきたいと思います。
質問を終わります。
○井林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○井林委員長 この際、本案に対し、大野敬太郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。斎藤アレックス君。
―――――――――――――
資金決済に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○斎藤(ア)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
政府提出の改正案におきましては、国境をまたぐ収納代行一般に広く網をかけ、新たに資金移動業の規制対象とすることとしていますが、このような手法には、問題が指摘されている業者だけでなく、利用者保護の観点で特段の問題が指摘されていない業者も規制対象となり得るとの懸念があります。広く網をかけておきたいとの政府の主張には理解できるところもありますが、規制対象となる範囲は、状況の変化に応じ、リスクを適切に評価して設定されるべきと考えます。
そこで、本修正案におきましては、検討規定について、検討の目途を施行後五年から施行後三年とするとともに、資金移動業の規制を適用する国境をまたぐ収納代行の範囲を検討の対象として明記することとしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。
会派を代表して、資金決済に関する法律の一部を改正する法律案及び修正案に対して、共に反対の立場から討論を行います。
本法案は、金融のデジタル化等の進展に対応し、資金移動業関連の規制と、暗号資産、電子決済手段関連の規制の五項目を見直すものであり、そのうち三項目については賛成しますが、残り二項目については以下の懸念があり、全体として反対します。
まずは、国境をまたぐクロスボーダー収納代行への規制の適用についてです。
クロスボーダー収納代行については、利用者保護やマネーロンダリング等のリスクへの対応の観点から、基本的に資金移動業の規制を適用し、利用者保護等の観点からリスクが低いと考えられるものは、内閣府令において規制の対象外とするという内容ですが、本日の委員会でも多くの委員から指摘されたとおり、決済領域は常に新たな革新的なサービスが生まれていますが、資金決済法にてクロスボーダー収納代行を原則として規制対象にしてしまった場合、幾ら内閣府令において現状のビジネスの一定範囲は対象外になるとはいえ、新たなサービスに影響を及ぼさない保証はなく、新たなサービスが生まれにくくなる懸念があります。
また、既存ビジネスにおいて資金移動業登録をしていない事業者が今回の改正により新規に資金移動業登録が必要となった場合、決済金額の保全、膨大な数の本人確認の実施等が必要となり、既存事業者の事業継続や新規参入の大きな障壁となることから、旅行者向けのインバウンド需要に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
本改正に当たり、主要事業者への個別のヒアリングやトラブル事例の実態調査等、金融庁による実態把握が十分になされているとは言い難く、必要な範囲を超えた過剰規制となり、予期しない悪影響が発生することも懸念されます。
クロスボーダー収納代行を全て規制対象にするのではなく、オンラインカジノや出資金詐欺等の違法行為に主体的に関与していることが疑われる場合等、本当に規制されてしかるべきものだけを規制するブラックリスト方式で対応するのが筋です。
もう一点は、暗号資産等取引に係る仲介業の創設についてです。
本改正案において、電子決済手段・暗号資産サービス仲介業は、既存の金融分野における仲介業と同様に所属制が採用されることとなります。所属元事業者が仲介業者に対して適切な指導等を行い、利用者の損害発生を未然に防ぐものですが、本法律案が想定するオンラインゲーム等のコンテンツ市場においては、その市場価値の規模によって、事業者からの仲介業者への営業上の配慮によって指導が十分に機能しない場合も考えられ、また、暗号資産交換事業者を子会社として保有しているようなプラットフォーム企業が仲介業者となり、親子会社間でのシナジー効果を優先してしまうケースも想定されます。
いずれのケースにおいても、昨今社会問題となった保険業界におけるビッグモーター事案と同様に、所属元事業者と仲介業者の立場の逆転やなれ合いによる顧客無視の利益至上主義によって利用者が多大な損害を被る懸念が払拭できないため、賛成できません。
修正案については、附則の検討規定を修正したくらいでは、今述べた問題点は払拭されず、この修正案にも反対いたします。
以上で反対討論を終わります。
○井林委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○井林委員長 これより採決に入ります。
資金決済に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、大野敬太郎君外四名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井林委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井林委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
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○井林委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、大野敬太郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。三角創太君。
○三角委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
資金決済に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 第二条の二第二号に規定する資金移動業規制の適用除外を定める内閣府令の制定に当たっては、その範囲を必要かつ適切なものとするため、違法オンラインカジノの利用を通じた財産的損失や犯罪関与、海外投資詐欺等による詐欺被害及び利用者の二重支払いといった利用者保護上のリスクと民間経済活動への影響を的確に把握すること等を目的とした相談窓口を本法の公布後速やかに設置し、既存の決済サービスを提供・利用する事業者を含め、より多くの関係者からの丁寧な意見聴取に努めること。
二 一の内閣府令の制定に当たっては、事業者に過度な不安や混乱を生じさせることのないよう、また、違法オンラインカジノや海外投資詐欺、利用者の二重支払いといった利用者保護の必要性が認められるもの以外が規制対象とならないよう十分に配慮し、当該内閣府令において、現時点で想定されているプラットフォーマーが収納代行業者となる場合等の適用除外の複数類型を明示するとともに、当該類型への該当可能性に関する当局の基本的な考え方について、公表又は個別の相談等を通じて周知することにより、規制の適用範囲が可能な限り萎縮を招かない明確なものとなるよう努めること。また、当該資金移動業規制の適用除外の範囲については、本法の施行後の状況の変化を的確に把握し、必要に応じて適切な見直しに努めること。
三 第二条の二第二号の規定により、違法オンラインカジノ及び海外投資詐欺等に係る収納代行が為替取引に該当することが明確化され、当該収納代行が法律上の無登録営業となることで、これらの違法行為の取締り環境が変化することを受け、政府として金融庁と警察庁の連携強化及び各種の提供された情報の分析体制の強化をはじめとする、より一層の取締り対策強化を図ること。
四 本法に基づく制度の運用に当たっては、利用者保護を確保しつつ、イノベーションを促進するため、当局の実効性のあるモニタリング及び新たに資金移動業に登録申請する事業者の登録審査が円滑に実施されるよう、金融庁及び財務局において必要な機構・定員を確保し、実効的な態勢を確立するよう努めること。
以上であります。
何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣加藤勝信君。
○加藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
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○井林委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○井林委員長 次回は、来る三十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時五十七分散会