第25号 令和7年6月3日(火曜日)
令和七年六月三日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 斎藤アレックス君 理事 田中 健君
東 国幹君 石田 真敏君
伊藤 達也君 上田 英俊君
英利アルフィヤ君 田中 和徳君
土田 慎君 長島 昭久君
中西 健治君 根本 幸典君
平沼正二郎君 福原 淳嗣君
古川 禎久君 牧島かれん君
松本 剛明君 江田 憲司君
岡田 悟君 海江田万里君
川内 博史君 階 猛君
末松 義規君 長谷川嘉一君
原口 一博君 水沼 秀幸君
三角 創太君 矢崎堅太郎君
萩原 佳君 村上 智信君
岸田 光広君 中川 宏昌君
山口 良治君 高井 崇志君
辰巳孝太郎君 田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
財務副大臣 斎藤 洋明君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
財務大臣政務官 東 国幹君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(内閣府公益法人行政担当室長) 高角 健志君
政府参考人
(金融庁企画市場局長) 油布 志行君
政府参考人
(金融庁監督局長) 伊藤 豊君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省理財局長) 窪田 修君
政府参考人
(国税庁次長) 小宮 敦史君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
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委員の異動
六月三日
辞任 補欠選任
中西 健治君 平沼正二郎君
田村 智子君 辰巳孝太郎君
同日
辞任 補欠選任
平沼正二郎君 英利アルフィヤ君
辰巳孝太郎君 田村 智子君
同日
辞任 補欠選任
英利アルフィヤ君 中西 健治君
―――――――――――――
六月三日
消費税率五%以下への引下げとインボイス制度の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七三〇号)
同(志位和夫君紹介)(第一七三一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一七三二号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一七三三号)
同(田村貴昭君紹介)(第一七三四号)
同(田村智子君紹介)(第一七三五号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一七三六号)
同(本村伸子君紹介)(第一七三七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
信託業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
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○井林委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、信託業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府公益法人行政担当室長高角健志君、金融庁企画市場局長油布志行君、監督局長伊藤豊君、財務省主税局長青木孝徳君、理財局長窪田修君、国税庁次長小宮敦史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井林委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。
○海江田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の海江田万里です。
今日は、立憲民主党からこの法案の審査、質疑に立つのは私だけでございまして、そして時間も三十分と限られておりますから、答弁の皆さんは、なるべく短く、しかも的を射た答弁をお願いしたいと思います。
さて、この法案ですけれども、昨年の公益信託に関する法律、これは内閣委員会で審議をして、そして本会議を経て成立をしたわけでございますが、その法律の成立が今回の信託業法の改正案につながるわけでございます。
要点は、これまで信託銀行が行っていた信託業務を広く開放しようということだろうと思いますが、この法律の主なプレーヤーは、委託者ですね、寄附をする人、それからそれを受ける受託者、それに信託管理人、これは内部でまさに管理するというか統制を取るということですけれども、この三者が主なプレーヤーになって、中でも受託者が大事だろうと思います。
この受託者につきまして、これまでは、信託では、免許を与えられた信託銀行が行っていたわけですが、今度は、受託者が行政庁の認可を受け、信託業務を行うわけであります。もちろん、それによって従来の信託業法の適用は受けないということになります。その意味では、金融庁はこれまでの監督、検査の権限を新たな制度の下では放棄をするということになりますから、いわば、信託業務と、もちろん信託銀行に対する監督は残りますけれども、新たな信託業務と金融庁は縁を切るということで、その意味では、縁切り法案といいますか、金融庁の方々は何となくほっとしたような表情ではないだろうかと拝察しますが、そうした前提の中で、以下、具体的な質問に入ります。
この法律が成立をしますと、来年の四月に施行予定で、そして、最初の数年間、やはりスタートしてからの数年間が大切だと思いますので、一体、どのくらいの新規の信託案件が出ると予想しているのか、これは内閣府で結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
○高角政府参考人 お答えいたします。
公益信託は、公益法人とともに、民間公益活動の一翼を担うものでございます。この二つの制度が民間公益活動の選択肢として共に活用されることを通じて、民間公益の活性化を図り、社会課題の解決に向けた取組を促進することを目指しているものでございます。
現行の公益信託は、平成十五年の五百七十二件をピークに減少傾向にございます。今般の制度改正により、公益信託が使いやすく、国民の皆様から信頼いただける制度となることから、近年の減少傾向を反転して、過去のピークを上回ることができるように普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
○海江田委員 今、過去が五百七十余件、そして、それを上回るということでございますが、恐らく千件近くなるのではないだろうか。と申しますのは、受託者になれる人たちが、これは当然、行政庁の認可を受けなければなりませんが、例で挙げていますのが、NPO法人。これが大体今、四万ぐらいあります。かなり異動がありますけれども、四万ぐらいあろうと。それからあと、公益法人。公益法人全体でいうと、大体一万件ぐらいあるということです。そのほかに自然人。これは一般の人間でありますけれども、これも受託者になれるということですから、受託者になれる人たちの数というのは大変大きなものでありますね。
これはやはり、これから新しい制度になってスタートするわけですから、それがそこそこの数はなきゃいけないということで、先ほど、これまでの数よりも上回るだろうということですが、ただ問題は、やはり監督、検査、これは続けるわけであります、ただ、主体が行政庁になりますけれども。この監督、検査をする主体のリソースですね、数が、例えば人員の数、これが本当に足りるのかどうなのか。
今、内閣府が公益法人についてやっていますのが、これは去年の国会での議論で出ましたけれども、内閣府所管で二千六百五十五、そして、この二千六百五十五の公益法人を六百三十二人で見ている、あっ、六十三人、六百三十二人いればいいんですが、六十三人で見ているということでございますから、やはり増やすことは当然だと思いますけれども、これをどのくらいに増やす予定であるか、お聞かせください。
○高角政府参考人 御指摘のとおり、公益信託制度の信頼性を確保する上で、認可そして監督のための実効的な体制を整備することが不可欠でございます。内閣府では、これまでも所要の定員措置を計画的に行ってきております。
令和八年度からの制度施行に向けて、公益法人と公益信託に係る業務が一元化されるということに伴う合理化であるとか、あるいはDXの推進等による業務の効率化を図りながら、引き続き必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。
○海江田委員 私はやはり、増員するということをはっきりおっしゃった方がいいと思うんですね。DX化などは当然期待されるものですが、例えば、検査という項目があって、この検査はやはり人間が行かなきゃいけない、ドローンを飛ばしてドローンが検査するわけではありませんから。そういうことでいうと、増員はするということ、これはよろしゅうございますね。
それからあと、検査ですけれども、これまでは、大体三年に一回立入りをしますよということを明らかにしていて、実際にはなかなか三年が難しいところもあったようですが、原則三年ですよという立入検査の基準があったわけでございますが、これもやはりきちっと守るわけですね。この点、お答えをいただきたいと思います。
○高角政府参考人 お答えいたします。
新しい公益信託制度におきましては、行政庁は、公益信託事務の適正な処理を確保するために必要な限度において受託者に対して立入検査を行うことができるとされております。
信託銀行のように、多数の公益信託を同一の受託者が引き受けているというケースもあることから、こういった事情も踏まえながら、公益信託の適正を確保する観点から、立入検査の頻度であるとか具体的な実施方針等について、ガイドラインの中で定めてまいりたいと考えております。
○海江田委員 そのガイドラインですけれども、恐らく、七月には明らかになるのではないだろうかということですが、今の時点で分かっているガイドラインを説明をいただきたいと思います。
○高角政府参考人 ガイドラインにつきましては、今、公益信託法に基づく具体的な政令であるとか内閣府令の策定作業を進めておるところでございますけれども、これも踏まえまして、具体的な公益信託の認可に際しての基準であるとか、さっき申しました監督の方針であるとか、そういったことを定めることとしております。
○海江田委員 これじゃ本当に分からないですね。
まず、特に私が問題にしているのは、やはり、検査をちゃんとやるんだと、それと、検査の頻度というのはこれまでと同じ程度の審査をやるのかどうなのかということですね。これは大きな点ですから、ここはやはり、しっかり検査をやるんだとおっしゃっていただいて、頻度も、これまでと同じようにやるんだ、三年に一度やるんだということを、これはガイドラインに当然盛り込まなきゃいけないと思うので、それをどうぞおっしゃってください。
○高角政府参考人 立入検査に関しましては、公益法人については御指摘のとおり三年程度を目途として実施をしていたと。今回の制度改正に伴いまして、公益法人につきましては多少ちょっとめり張りをつけていこうという方針にしておりますけれども、いずれにしても、定期的なサイクルで立入検査を行っているということでございます。
公益信託に関しても、同様に、定期的な立入検査ということを基本的には想定をしてございます。ただ、先ほど申しましたように、一つの受託者が多数の公益信託を受託しているという余り公益法人の方にはないケースがございますので、そういったことを踏まえて、ちょっと具体的な立入検査のサイクル等も設定してまいりたいと考えております。
○海江田委員 はっきり言いまして、NPO法人ですとか、数が増えるわけですよ。
私自身、公益財団法人の評議員をやっています。それから、NPO法人の顧問かな、一般社団法人の理事とか、結構いろいろなことをやって、見ているんですけれども、やはり公益財団法人は非常に厳しく、厳格にやっていますよ。特に評議員会をしっかりつくってやっているわけですけれども、今度のは評議員会は別になくたっていいわけでしょう。一人の、まあ一人以上ですけれども、いわゆる管理人がいればいいということになるわけですから。それから、もちろん、NPO法人の中にはちゃんとしっかりやっている法人もたくさんあります。だけれども、ここ近来、NPO法人、あるいはまたほかの公益法人もそうですが、そういう法人が起こした問題というのは、本当に新聞に、枚挙にいとまないほど出ていますよ。
だから、その意味ではやはり、まずスタートのところで、これまで以上に、めり張りとかいうことじゃなしに、これまでと同等、いや、それ以上にしっかりと監督、検査もやりますよということをどうして言えないんですか。おっしゃってください。
○高角政府参考人 ありがとうございます。
御指摘を踏まえて、立入検査を定期的にやっていくというところは、当然、これまでと同様、やっていくわけでございます。ちょっと、三年というところも、公益法人の方で三年のサイクルで基本やってきたということを十分踏まえまして、具体的な立入検査のサイクル等を設定してまいりたいと考えております。
○海江田委員 これは是非厳しくやっていただきたい。厳しくというより、厳格にやっていただきたいというふうに思います。
今は外部の監督でありますとかあるいは検査ですけれども、それ以上に大事なのが、実は内部のガバナンスですね。ここができていなければ、その意味では大変大きな問題を含む法律になってしまうわけで、そのおそれがあるということで今お尋ねをしているわけですが、とりわけ、やはり、内部チェックとしては、さっきお話をした信託管理人、これを置くわけですが、これはそれこそ人数の定めがありませんから、まあ普通は弁護士さんなんかを想定しているんだろうと思いますけれども、一人でも構わないわけですよね。
先ほどお話をした私が経験しております公益財団法人は、十三人ぐらいいますかね、みんなそれぞれなかなか有能な方々で、この人たちが合議でもって決めているんですよ。やはり合議でないと。一人だと、幾ら有能な方でもやはり時々失敗することがありますから、それから、いろいろな情報に左右されますから。
どうして一人でもいいような条件にしたんですか。
○高角政府参考人 公益信託の受託者につきましては、法人であるとか個人であるとかそういった属性だけで判断するということではなくて、実質的な受託者としての能力があるかどうかというところを見てまいります。
当然、法人であれば、その法人に応じたガバナンスが備えられているか、そして個人であれば、その個人である、例えば、一人ではなくて複数の方で受託をされる、あるいは一人の方でも十分な能力を有しているということを踏まえて、公益信託の受託者に足るかどうかというところを判断していくということにしております。
○海江田委員 申し訳ないけれども、私の質問を聞いていなかったですね。
私は信託の管理人の話をしているわけですよ。財団法人なんかの評議員会、評議員と比較して、信託管理人が一人だということは問題があるんじゃないですかということを質問したわけですが、受託者の話でごまかしたというか、間違えて。
これはいけません。もう一回ちゃんと、短く。
○高角政府参考人 失礼いたしました。
信託管理人についても、御指摘のとおり、人数が一人であるとか何人という規定はございませんけれども、受託者の業務を監督するのに必要な能力を有しているかというところを、実質を見て判断させていただきます。
○海江田委員 これも答えていないですね。本当に一人で平気なんですか。一人もあり得べき、あり得るケースなんですよ。本当に一人で平気ですか。全般の自信を持って言えないじゃないですか。だから、今の答弁は、はっきり言って、ごまかしです。これ以上言いませんけれども、一人は危ういですよ。非常に危ういですよ、これは。
それからもう一つ、受託者の委託者に対する勧誘。これは、お金が集まらなきゃいけませんから、どうぞ、お金を持っている人、あるいは、この人はどうも委託者になってくれるんじゃないか、勧誘の話。これまで伝わってきているところでは、不適切な勧誘は禁止されるということですけれども、非常に曖昧ですね、不適切というのは。
例えば、事例としては、一度断った人に何度も繰り返し勧誘をしてはいけませんよと。いわばストーカーみたいなものですね、これに対して、いけませんよということですけれども、しかも、受託人だけじゃなくて、第三者ですね。受託人と意を通じた、あるいは、自分で、いろいろな人がいますから、私のところに頼めばちゃんと委託者を連れてくるからその代わりマージンを下さいねというような話も当然出てくると思うんですが、しかも、電話で勧誘するとか、それは当然あるわけですよ。あるいは、ネットに大きな広告を出すとか、大きなというよりも頻繁に広告を出すとか、そういうことも許されるわけですね、これは。
○高角政府参考人 まず、受託者の委託者に対する寄附の勧誘又は要求に関しまして、公益信託法では、寄附を断った者に対して継続的に勧誘する行為、乱暴な言動や迷惑を覚えさせるような方法で勧誘する行為、寄附財産の使途について誤認させるおそれのある行為を禁止事項としております。加えて、内閣府令では、寄附者に対して虚偽のことを告げる行為などについても禁止事項とする予定でございます。
加えまして、第三者、受託者でない第三者が委託者を勧誘するという行為につきましては、公益信託法上、直接の禁止規定はございません。ただ、受託者が勧誘する場合も、第三者が勧誘する場合も、具体的に、最終的に公益信託の認可を行うに当たりましては、行政庁としまして委託者の真意をしっかり確認することといたしております。委託者が望まないような公益信託が認可されることはございません。
○海江田委員 今私が聞いたのは、第三者もできるんだということ、それから、かなり、例えば不動産の販売業者がリストを基にして電話をかける、これはよくやっていることですけれども、それと同じようなことはできるということですよね。
あと、もう一つ問題なのは、これは大臣にも関係してきますけれども、税制上の優遇という措置があるわけですよ。これは必ず、税制上の優遇がありますよと言って勧誘するわけですよ。それは禁じられていないでしょう、事実、あるんだから。税制上の優遇がありますよと言って勧誘することは禁じられていない。
改めてですけれども、税制上の優遇というのを、委託者、受託者、両方の立場から説明してください。
○高角政府参考人 新しい公益信託制度の下で認可されました公益信託につきましては、令和六年度税制改正におきまして、基本的に、公益法人並びの税制措置を受けるものとされております。
具体的には、公益信託に財産を拠出した個人の委託者等に対しましては所得税の寄附金控除や相続税の課税価格への不算入、法人の委託者に対しましては出捐金の損金算入、また、受託者に対しましては信託財産から生じる利益の非課税が認められることとなっております。
○海江田委員 これはかなり大きいんですね、はっきり言って。
例えば、NPO法人、認可のNPO法人というのは、これは税制上の寄附金控除の優遇はありませんよ。だから、わざわざ、どのくらいちゃんと行き渡っているかということをチェックをして、そして、やはり、特定寄附の控除を受けるためには認定NPO法人にならなきゃいけないわけですよ。
今度の受託者は、それこそ本当に、まさに認可を受けて、そして受託ができるわけですよね。この問題は実は大きな問題があって、しかも、宣伝のときに、宣伝というか勧誘ですね、自分の純粋な気持ちからここに寄附をしたいということ、そうしたら、その結果、その純粋な気持ちに対して、言ってみれば、税制上で、ああ、そうですか、社会のために貢献したいという思いがあるんですね、じゃこういう優遇をしますよということですけれども、そこが逆になっちゃって、とにかく、かなりの資産家に対しては相続税のことをやはり言うでしょう。今までかなり、これは立派な保険会社であっても、あるいは免許で規制されたところであってもやはりそういうことをやって、そしてそれが、いろいろな問題が起きているわけですよね。
だから、例えば勧誘の禁止と言うのであれば、税制の優遇を殊更うたうとか、あるいは税制の優遇を正面に出したような勧誘は駄目ですよぐらいは言わなきゃ駄目ですよ、当然。そういうことをガイドラインの中にきちっと盛り込むこと、これは大事なことですからね。
どうですか、税制の優遇を、そこをライトアップして勧誘しちゃいかぬということは言えないんですか。
○高角政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたような、税制上の措置というものが公益信託に関して措置されていることでございますけれども、公益信託を勧誘する際に、こういった税制優遇があるというそのこと、事実を述べること自体は制限されるものではないというふうに考えてございます。
先ほど申しましたように、今検討中の内閣府令案におきまして、虚偽のことを寄附者に告げる、そして勧誘するというようなことにつきましては規制をすることを予定をしております。
○海江田委員 だから、私は、事実を言っちゃいかぬということじゃないんですけれども、やはり、殊更にやるのは、これは禁ずべきですよ。殊更がどういうことかといえば、そこはまたおのずから、また細かく決めていけばいい話ですし、それはおのずから分かってくることですね。
もうちょっと時間が、食料品の消費税のことも、せっかく金融大臣兼ねて財務大臣がいるわけですので聞きたいわけでございますが、結論的に言いますと、やはり、例えばですけれども、一定金額以上の、一億円でも、十億円ではちょっと大き過ぎるかな、もう少し薄く五億円なんというのも一つあるんですけれども、一定の金額以上の規模の信託に対しては何らかの形で、例えば、信託銀行をどこかでかませるか、あるいは信託業法の規制を残すとか、そういうことを考えられてもいいんじゃないですか。これは初めてのことですからね。
特に、大きな金額が動いて、そこでいろいろな犯罪に絡むようなことも、マネーロンダリングだってできますよ、やろうと思えば。それから、極端な話ですけれども、海外支援と言って、海外のテロ組織にお金を送ることだってできるわけですよ。特に、金額が大きくなれば、そういう意味ではそういう犯罪につながることも必ず起きますから、そういう規制はやって当然じゃないですか。
あともう一つこれについてお話をしますと、行政庁が検査をやって問題が発見された場合、これは当然のことながら認可取消しもあります。従来の公益法人であれば、一般法人として事業は継続できるわけですから、今までの公益法人じゃなくなっても事業は継続できるわけですから、受益者、例えば奨学生だとかいろいろな人たち、これまで利益を受けていた人たち、将来の利益を受け取る人も、その利益は一定程度守られるわけですよ。ただ、これがもう解散、即、信託の終了しかないわけですから、そういう利益を受けるはずの人たちの利益がなくなるということと、それから、やはり委託者の資金がどういう形で守られるのかという大きな問題もあるわけですよ。
だから、ここを、一切、信託業法は関係ないんだ、信託銀行もかませませんよということであれば、大きな問題がこれから残ってくるというふうに思うんですが、どうですか、信託銀行あるいは信託業法をかませるのは。これは金融庁かな。
○油布政府参考人 お答え申し上げます。
公益信託に関する法律の改正は、社会のニーズに柔軟に対応しながら社会的課題の解決のために中核的な手段となることを企図して、全面的に改正されたものと承知しております。
この新しい公益信託の制度では、まず、認可の際に、公益法人と共通のノウハウを有する行政庁において、定められました内閣総理大臣又は都道府県知事におきまして、信託財産の金額の多寡にかかわらず、それを適正に処理するために必要な受託者の業務執行能力等が、これは公益信託ごとに、一本一本、公益信託ごとに審査されるということ。それから、内閣府に置かれました公益認定等委員会などの第三者機関への諮問によりまして、独立、中立的な立場から法令上の認可基準を満たすかどうかについて判断される枠組みとなっております。
また、認可後におきましても、委員いろいろ御指摘ございましたけれども、公益信託の受託者に対しまして適切な検査、監督を行う枠組みが構築されているということでございます。
行政庁といたしましては、受託者から提出される信託概況報告等に基づきまして、認可の際の審査事項が維持されているかどうかを確認し、必要に応じて業務改善命令あるいは取消しを含む監督上の措置を講ずるものと承知しております。
このように、信託財産の金額の多寡にかかわらず、公益信託の、ガバナンス能力があるかを判断されるものと考えられますことから、信託業法の改正におきまして適用除外とすることについて、私どもとして、これを問題があるとは思ってございません。
○海江田委員 金額の多寡にかかわらずということを言っているけれども、これはかかわらなきゃ駄目なんですよ。やはり、金額の多いところはそれだけリスクも、何かあったときのリスクは非常に大きなものになるから、私は、是非、今後、金額の多い少ない、規模の大きい小さいによって改めるべきだ、線を引くべきだというふうに思っています。
それから、最後になりますけれども、今、消費税の問題、特に私は食料品の消費税にこだわりたいんですよ。
日本の食料品の軽減税率、食料品は軽減税率で八%ですけれども、標準税率は一〇%ですよ。この一〇%と八%の間に二%しかないわけですよ。つまり、標準税率の八割なんですよ。
私は、特にG7の国々の中では日本の食料品は、EUのように二〇%あるようなところでも低いわけですから、あるいはゼロ税率なんですから、日本の食料品の八%というのは高い、ほかの国よりも、どこよりも高い、これは事実ですけれども、そういう認識を持っているかどうかということについて大臣の認識を伺うこと、これは変える変えないは別ですよ、事実として、絶対値として高いということ。
あともう一つ、この問題を私が質問しようと思っていろいろな人に聞いたら、この法律の源はそもそも岸田総理の新しい資本主義だという話で、民主党も昔、新しい公共とか、それから、立憲民主党は、よく原口さんが言うけれども、公益資本主義、これと同じじゃないですかと言うんですよ。私も、一瞬そうかなと思った。ところが、全然同じじゃない。似ているけれども非ですよ。似て非なるもの、これをえせというんですね。
偽物なら簡単に、これは偽物だって分かるんですよ。でも、これはえせだから分からない、分かりにくい、判断しづらいですけれども、私は、これはえせの新しい公共で、えせの信託業の改悪である、こう断じますが、このことについても最後に、あと、特に消費税の食料品のこと、加藤大臣、一言お願いしたいと思います。
○加藤国務大臣 消費税、あるいは諸外国では付加価値税、体系全体の中でどう位置づけるかということがあると……(海江田委員「食料品」と呼ぶ)ですから、全体の基本税率とか標準税率をどう置いて、それとの関係でどう位置づけるかということも含めて議論していく必要があるんだろうと思いますが。
御指摘の食料品の付加価値税率については、英国、カナダは原則ゼロ%、ドイツは七%等々であります。イタリアでは、肉、魚等の一部の食料品は一〇%、その他の国でも、テイクアウト、飲料、菓子類にはより高い税率を適用している例が多いと承知をしておりまして、OECD加盟国の基本的な食料品の税率を機械的に平均して試算させますと、八%程度であるものと承知をしているところでございます。
いずれにしても、消費税率、また食料品の消費税率については、これまでも申し上げておりますように、社会保障の大変大事な財源ということで引下げは適当ではないということは申し上げさせていただいているところでございます。
それから、信託のお話であります。
これは、そもそも公益信託、公益法人をどう位置づけるか等々の議論でありますので、基本的には内閣府さんが決められてきたことを、今回は、信託業法の立場から見て、二重の規制をすべきかどうかという議論だろうと思っておりまして、我々としては、先ほど局長から答弁させていただいたように、既に、内閣府等における制度また運用において、信託業法において求めるもの、これが担保されているというふうに承知をし、その上で、二重の規制を排除する、こういう考え方で整理をさせていただいているところでございます。
引き続き、もちろん、信託業法に基づく信託銀行等が受託をすることは当然可能ではありますけれども、いずれにしても、そうした形での整理をさせていただいて、今回提案させていただいているということでございます。
○海江田委員 ありがとうございました。
ただ、食料品の七%、八%、ちょっと意見が違います。事実ですから、これは。また今度ゆっくりやりましょう。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、村上智信君。
○村上(智)委員 村上智信でございます。日本維新の会でございます。よろしくお願いします。
質問時間が十五分しかないんですけれども、やはり、加藤大臣のかりゆしが余りにも似合っているものですから、一言、そのことを褒めてから質問に入りたいと思います。お似合いでございます。私はどっちかというと痩せているものですから、短い袖の服を着ると貧弱に見えるので、なかなか着られないんですけれども、この夏はちょっと挑戦してみようかと思いました。
早速、法案の改正について質問をいたします。
今回の信託業法の改正は、この法律から公益信託の部分を除くということでございまして、そして、公益信託に関係する法律は既に改正をして、来年の四月に施行するということでございます。公益信託に関係する法律の改正の目的、公益信託を普及したいということが目的にあるというふうにお聞きしております。公益的なこと、これは非常に大切というふうに思います。
資料を見ると、例示として、育英資金だとか学生寮の運営、こういうことに公益信託が貢献していくんだという話が書かれておりまして、大変前向きだろうと思いますし、私が昨日国会議員の先輩から聞くと、地元で今やはり公益信託に関心を持っている方がいるんだ、大阪には、明治政府の高官を接待するような、そういうような建物があったんだけれども、それが傷んでしまっていて、それを公益信託で保全管理したいんだという方がいるという話をお聞きしていまして、この公益信託、これから普及することを期待したいというふうに思っております。
最初の質問ですけれども、公益信託に関する法律の法改正は二〇二六年四月から施行されますが、改正前と改正後で何が変わるのでしょうか。
○高角政府参考人 お答えいたします。
現行の公益信託につきましては、各省の大臣の裁量により許可、監督される主務官庁制の下、事実上信託財産は金銭に限られ、受託者は信託銀行に限られ、行っている事業は助成に限られて、限定されている、こういった現状でございます。
新しい公益信託法におきましては、内閣総理大臣及び都道府県知事による一元的な認可、監督の仕組みに改め、認可基準やガバナンスについて法定しております。信託財産や受託者の範囲を拡大することで、公益法人やNPO法人が美術品や歴史的建造物の維持管理を行うなど多様な受託者や利用方法の公益信託が生まれ、新たな民間公益のツールとして広く活用されることを期待するものでございます。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
信託業法において公益信託する場合は資本金一億円以上の株式会社しかできなかったということですけれども、改正後は、業法から抜けるので、NPO法人だとか個人だとか、こういうことも受託できるということで、受託者が増えるはずですので、そういうことでは、この公益信託、より普及していくんじゃないかというふうに期待をいたします。
公益信託を広げる意味では、ある意味の規制緩和というのは非常にいいんですけれども、しかし、どうしてこの公益信託に関する法律ができたかという経緯から考えると、心配することも出てきます。先ほど海江田委員からも話がありましたけれども、信託業法、一部規制を残すこともあるんじゃないかという話もしていました。やはりそういうふうな観点の心配が出てくるんですね。もう誰でも、個人でもいい、NPOでもいいとなると、これを悪用する人が出てくるのかなというのはやはり心配をします。
元々この法律ができたのは大正時代だというふうに聞いております。信託法が最初にできて、信託法の中では別に業の規制はなかったんだけれども、個人で契約して信託を任せてもいい、そういうふうな法律だったけれども、やはり、実際やってみると、資産を預かった後に逃げてしまうような人が出てきて、今でいう投資詐欺ですよね、こういう人が出てきて、そして、詐欺をするような人を抑え込むために信託業法ができた、あるいは公益信託に関係する法律ができたというふうにお聞きをしております。
今回は、それを、時計の針を逆に戻す話ですので、規制緩和をする話、この運営に当たっては十分に注意をしていただきたいというふうに思います。そして、この法案が通って施行された後、やはり詐欺がどうしても後を絶たない、どうしても抑え込めないといったときには、また必要な改正を考えていただきたいなというふうに考えます。
次の質問に移ります。
公益信託は、困った方を助けるといった公益を目的としており、その趣旨はすばらしいと思います。公益的なことについては、これまでも日本の税制の中で所得税の控除などを受けられることになっておりましたが、これも相手によって控除が受けられる、受けられないという場合がありますけれども、この控除と公益信託の関係について質問いたします。
寄附をする相手によっては所得税の控除を受けられる場合がありますが、公益信託については控除を受けられるのでしょうか。
○高角政府参考人 お答えいたします。
新しい公益信託制度の下で認可されました公益信託につきましては、令和六年度税制改正におきまして、基本的に公益法人並びの税制措置を受けるものとされております。具体的には、公益信託に財産を拠出した委託者や寄附者に対しまして、公益社団、公益財団法人、あるいは認定NPO法人への寄附と同様、所得税の寄附金控除や法人税の損金算入が認められることとなっております。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
公益信託については控除の仕組みがあるということが分かりました。
今回、法改正をして、この公益信託、是非普及していただきたいなというふうに思うんですけれども、その際には、この公益信託の重要な意義、それはもちろん広報するでしょうけれども、こういう控除の仕組みがあるということも併せて宣伝していただけたらなというふうに思います。奇特な方がおられて、いろいろな人に寄附をしたい、そういうふうなときに、必ずしも控除が受けられないわけですから、そのような控除が受けられない場合でも寄附してくれる方はいるかもしれませんけれども、しかし、やはりこうして控除が受けられるとかということになれば、それは更に寄附したい方が集まるというふうに思います。また、公益という言葉を使えるということで、公益信託をやりたいという人も、安心して、公益だからということで寄附ができるんじゃないかというふうに思うので、しっかりと広報をやっていただきたいなというふうに思います。
次の質問に移ります。
信託に関連してですけれども、投資信託について伺いたいというふうに思います。
投資信託につきましては、別に法律がありまして、投資信託及び投資法人に関する法律に規定されています。信託法があり、そして信託業法があり、そしてその特別法としてこの投資信託及び投資法人に関する法律があるということなんですけれども、この投資信託に関連してお聞きしたいんです。
政府は、貯蓄よりも投資を推進しています。私もこの考え方に賛成をしております。私が考える理由は、日本の経済成長のために投資が必要だからです。企業が活動していく中で、資金は必要です。そして、もしリスクが低くてできる事業があれば、融資を受けると思います。融資を受けて、そしてその事業をやって、そして成功すれば返していきますね。他方で、リスクが上がってくると、株式会社は株式を新たに発行して、そして新しい事業を始める、そして株主に還元しようとすると思います。しかし、そういうふうに順番にリスクが低い事業は減っていって、そして、残っている事業は、リスクが大きい、なかなかお金が集まらない、こういうふうな事業が残っているというふうに私は認識をしております。
昔は、テレビも洗濯機も、ある程度の技術が見通せて、作って売れるなというふうに思った。しかし、そうじゃないものが残ってきている。代表的なものは医薬品とか、医療機器もそうです、こういうものは非常にリスクが高くて、なかなかお金が集まらない。それがうまくいっているのがアメリカ。今の日本とアメリカの製薬業界の差というのはここら辺にあるのかなと私は分析をしております。アメリカの方では、ベンチャー企業にお金が集まって、そしてベンチャーが医薬品を開発する。失敗することも非常に多い。だけれどもそれを納得する方も多い。そして一方で、日本の方はなかなかそういう資金が集まらない。こういうふうな差があると思うんですね。
そこで、投資信託についてお聞きしたいんですけれども、投資信託の運用先は法令で限定されていますけれども、投資信託は未公開株でも運用できるのでしょうか。
○油布政府参考人 投資信託の主たる対象は法令で規定されております。有価証券を筆頭に、不動産等が定められているわけでございます。
お尋ねの非上場株式につきましては、有価証券でありますので、投資信託への組入れが必ずしも明示的に禁止されている資産ではございませんでしたが、他方で、おととし、二〇二三年までは、その評価方法それから組入れ比率に関する十分な定めがなかったということで、実務上、投資信託への組入れは行われてきませんでした。
このため、投資信託に係る運用の多様化を図りたいということで、昨年、投資信託協会におきまして、自主規制規則が改正されております。評価に関しましては公正価値測定を用いて時価評価するということ、それから、非上場株式の組入れ比率の上限につきましては原則純資産の一五%以内とすること等の規定が設けられております。
こうした取組を受けまして、昨年、同年九月以降、実際に非上場株式を組み入れた公募投資信託が複数組成され始めているものと承知しております。金融庁といたしましては、引き続き、スタートアップ等の成長資金の供給促進のための取組を進めてまいりたいと考えております。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
投資信託の運用先について、法規制はあるものの未公開株でも大丈夫ということで、実際に、業界の方の基準、投資信託協会の基準として、一五%以下にしようというふうな自主的な取組をしているということだそうです。これまではほとんど、そういう未公開株、非上場の株は組み入れてこなかったという話ですけれども、こうやって一五%と決めれば、実際にやってくる投資信託の運用会社も出てくるかなというふうに思います。去年の二月の話なので、これからでしょうけれども、是非、今後の運用の状況については、私も情報を集めて、これがどうなっていくのか、どれぐらいの期待値を持てるものなのか、そういうのはよく見ていきたいと思います。
未公開株は、大体は失敗することが多いんでしょうけれども、しかし、成功するものは百倍とか千倍とかになっていきます。それをよしとする投資家が増える、これが一番大事かなというふうに思っておりまして、私の個人的な思いとしては、そういうふうな、何%組み入れるということをはっきり明示しておけば何%でもいいというふうになっていけばいいなというふうに思います。日本の経済成長のために、ベンチャー企業、未公開の株にどんどん投資する人が現れなければ日本は経済的に沈没するんじゃないか、そういう危機感を持っておりますので、是非このことは、私も関心を持っていきますし、また政府におかれても関心を持って注視していただけたらというふうに思います。
さて、最後の質問に移ります。
資産運用立国の観点から、企業の成長につながるように、家計からの資金供給を投資信託などを通じてどのように促していくのか。かりゆしがお似合いの大臣に是非お願いします。
○加藤国務大臣 ありがとうございます。評価をいただきまして、大変光栄でございます。
政府において、まずは、家計が、安定的な資産形成に向けてより多くの資金を貯蓄から投資に向けていく、また、販売会社においては、家計へ多様な資産形成手段を提供し、運用会社等は、受益者の最善の利益を実現できるよう資金を運用する、そして、企業においては、その資金を成長投資に回し、企業価値を向上させる、そして、その恩恵が資産所得という形で各家計に還元され、更なる投資、消費につながる、こういった、まさに家計における安定的な資産形成を行いつつ、経済全体の成長を引き出す好循環、これを促すため、資産運用立国の取組を推進をしております。
資産運用立国の実現に向けては、御指摘の投資信託等を始めとする手段を通じて、家計からの資金がスタートアップなどへも供給されることは極めて大事、重要であります。資産運用立国実現プランに基づき、先ほど答弁させていただきましたが、投資信託への非上場株式の組入れを実務上可能とするための環境整備、また、家計の資産を運用する資産運用会社には、有望な企業を見極め、家計の資産形成を支える良質な運用商品を組成していくことを促していくこと、さらには、スタートアップを含む上場企業へのコーポレートガバナンス改革を進め、企業の投資対象としての魅力の向上を図っていくなど、引き続き、スタートアップ等への成長資金の供給促進のための取組を進めていきたいと考えております。
○村上(智)委員 前向きな御答弁をありがとうございました。
私からは以上です。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、岸田光広君。
○岸田(光)委員 おはようございます。国民民主党の岸田光広でございます。
本日は、信託業法の一部を改正する法律案について伺ってまいります。
その前に、一問、領収書のデジタル保管義務についてお伺いしたいと思います。
ある事業者の方から、令和六年一月一日から始まった、電子帳簿保存法の改正に伴う領収書のデジタル保管義務について御意見をいただきました。具体的には、システム導入の手間とコストが大きく、ITに不慣れな小規模事業者にとって事務負担が大き過ぎるとの訴えでした。
令和三年の電子帳簿保存法改正により、電子取引で受領した領収書等の電子データでの保存が義務づけされております。背景には、コロナ禍で行政分野におけるデジタル化、オンライン化を進める必要性、デジタル化を進め納税者の利便性の向上を図る必要性があったことなどが挙げられます。
電子データでの保存ルールでは、タイムスタンプ機能をつける等改ざん防止のための措置を取ること、保存データを確認するためのディスプレーやプリンター等を備えつけること、日付、金額、取引先の三つの要素で検索できることが求められております。基準期間の売上高が五千万円以下の方は検索要件は免除されます。猶予期間は設けられましたが、その猶予期間も令和五年で終了して、令和六年一月一日より原則義務化されて、その上で、先ほどの御意見をいただいたところです。
これでは負担が大きいのではないかと国税庁の方にも問い合わせたところ、事業者側からもやはり負担が大きいなどの意見があり、令和五年に、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合に限り猶予措置が定められたと伺いました。
猶予措置が適用される具体的な要件についてお聞かせください。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の猶予措置でございますが、これは、税務署長が相当の理由があると認める場合に、電子取引データの原則的な保存要件に代えて、出力書面の提示や提出、ダウンロードの要求に応じられるよう保存しておけばよいというものでございます。
この相当の理由が設けられた趣旨は、原則的な保存要件に対応することが困難な事業者の実情に配意したものでありますため、具体的な例を申し上げますと、例えば人手不足、システム整備の資金不足、システム整備が間に合わないといった事情も猶予措置が適用される要件としての相当の理由に含まれるところになるということでございます。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
そのような猶予制度がしっかりあることをお聞きして、安心しました。
誠実に税務申告を行う事業者が過度な負担を感じることなくデジタル化のメリットを享受できる環境を整えることは、税務行政の信頼性と経済の活性化にとって極めて重要であります。電子帳簿保存法改正は、デジタル化による納税の効率化と透明性向上を目指す重要な取組ですが、現場の中小事業者がその負担に耐え切れず、税務申告の意欲を損なう事態になることは避けなければなりません。行き過ぎた規制を修正することは非常によいことだと考えますが、しっかりと周知に努めていただきたいと思います。
事業者の声を真摯に受け止め、きめ細やかな支援策と周知徹底を通じて、納税者の負担の軽減とデジタル化の恩恵を広く共有できる環境整備を強く求めますが、加藤大臣のお考えをお聞かせください。
○加藤国務大臣 今御説明させていただきましたように、令和三年度税制改正において、電子取引の取引情報を税法が定める保存要件に従ってデータのまま保存しなければならないとされたところでありますが、中小企業にとっては事務負担が重い、対応できないといった強い要望を頂戴し、令和五年度税制改正で、先ほど説明をさせていただいた猶予措置が整備されたところでございます。まずは、こうした電子帳簿等保存制度の猶予措置、これの周知をしっかり図っていきたいと思っております。
他方で、我が国はいわゆる人口減少に基づく供給制約の時代に入ったと指摘をされ、今後の日本経済の成長、また企業が成長を進める上においては、業務のデジタル化を進めていくことが中小企業等においても重要だという御指摘はそのとおりだと思います。
政府としては、先ほど申し上げた猶予措置の周知とともに、関係団体とも連携し、業務者の負担軽減等やデジタル化の恩恵を広げるための環境整備、これに引き続きしっかり取り組ませていただきたいと考えています。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
まだ知らない方もたくさんいらっしゃると思いますので、周知の方、よろしくお願いいたします。
それでは、信託業法の改正について伺ってまいります。
信託業法の改正案は、公益信託の活用を促進し、社会課題の解決と公益の増進を図るため、硬直的な制度を見直すものだと理解しております。従来主務官庁が監督していた公益信託を、信託財産・事務の範囲拡大、受託者範囲の拡大、許可、監督制の廃止を柱とし、内閣府や都道府県知事による一元的な管理、信託管理人制度を導入して、柔軟かつ透明な運用を目指すものだと理解しています。
しかし、信託業法の適用除外、認可の適正性、リソース確保、信頼性には課題があると思います。
監督当局の一元化に伴う認可の適正性について伺います。
信託業法改正により、公益信託が信託業法の適用除外となって、監督が各所管官庁から内閣府や都道府県知事による一元的な管理に変更されますが、金融庁が適用除外を問題ないと判断した理由は何なのでしょうか。特に、信託業法の厳格な監督基準が適用されない場合、認可の適正性や委託者保護が損なわれるリスクが懸念されます。どのような根拠に基づいて、適用除外しても公益信託が適正に活用されると判断されたのか、お答えください。
○油布政府参考人 先ほど御答弁申し上げたところと重なる部分もございますけれども、この公益信託の新しい仕組みでございます、まず、認可の際に、公益法人と共通のノウハウを持つ行政庁であります内閣総理大臣又は都道府県知事におきまして、その公益性それから業務執行能力等が公益信託一本ごとに審査されるということでございます。それから、第三者機関への諮問によりまして、独立的、中立的な立場から認可基準を満たしているかどうかを判断するということでございます。
認可後におきましても、公益信託に関する法律におきまして、不適切な勧誘の禁止、受託者に対する規制もございます。それから、公益信託の受託者に対する検査監督権限等の措置が講じられておりまして、利用者保護の観点から、信託業法と比較して十分な水準の規制監督権限が確保されているものと承知しております。
私ども、公益信託法が成立いたしましてから、内閣府において政令や内閣府令等が策定される手続の過程におきまして、私どもとしても全面的に協力させていただきまして、信託業法と同水準の、例えば行為規制など、どういった規定が置かれるかについて、よく御相談にあずかってきたところでございます。
振り返ってまいりますと、古い公益信託の法律は片仮名法でございまして、全部で十二条しかない非常に簡素なものでございまして、この点、今回の新しい公益信託法では、行為準則といったものも法律上の規定として置かれたりしてございます。この点を鑑みまして、私ども金融庁としましては、二重の規制、監督を避けるという観点から、これを適用除外として、公益信託が適切に活用されていくことを期待しているものでございます。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
次に、監督リソースの確保についてお伺いをしたいと思っておりましたが、先ほど海江田委員からも質問がありましたので、この質問については省略をさせていただきたいと思います。
最後に、公益信託の信頼性の確保と適用除外に関する大臣のお考えについて伺いたいと思います。
いわき信用組合やスルガ銀行の問題で、今、金融機関への信頼が大きく揺らいでいるところかと思います。本改正による公益信託は、社会問題を解決し、公益を増進する大切な仕組みです。しかし、信託財産の損失や委任者の保護が不十分だと、制度への信頼が失われるおそれがあります。
内閣府においては、二〇二五年七月をめどに、政令、内閣府令、またガイドラインの策定が進められていると伺っています。国民から信頼される公益信託制度を構築するために、今回、信託業法を適用除外とすることが決まりましたが、今、その根拠について伺ってまいりましたが、加藤大臣の、適用除外しても大丈夫だということに関する考え方というのを最後に改めてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○加藤国務大臣 まず、スルガ銀行、いわき信用組合などのお話をいただきましたけれども、こうした金融機関における不祥事は、まさに金融機関に対する国民の信頼を大きく傷つけるものであり、大変遺憾であると同時に、我々金融庁としても、やはり、これまでの経緯をしっかり踏まえて、この事態を重く受け止め、まさに、早期解決あるいは厳正な対応、これにしっかり取り組んでいきたいと思っております。
その上で、公益信託については、今るる御説明させていただきましたけれども、信託業法において求められているものとの関係で、事務の間でそれを詰めてまいりました。そうした中で、委託者保護の観点から、信託業法と比較しても十分な規制監督水準が確保されているものと認識に至ったところでございます。
新しい公益信託制度が利用者にとって信頼ある制度として構築され、活用され、そして、それがまさに公益の増進につながるということが重要と考えております。金融庁としては、今般の改正法案によって、公益信託を信託業法の適用除外とすることを通じて二重の規制、監督を避ける、これによって制度が円滑に活用されていくことを期待しているところでございます。
○岸田(光)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井です。
今日は信託業法の審査なんですが、ちょっと今日が今国会最後かもしれないので、これまで積み上げた……(発言する者あり)まだある。そうですか。かもしれないので、聞いておきたいと思いますが。
その前に、さらに、昨夜、ちょっと驚くニュースが入りました。通告していませんけれども、森山幹事長、自民党の幹事長が、二兆五千億、農業関係の予算を確保してくれと。まあ大賛成ですよ、我々。もっともっとやるべきだ、年間二・五兆やるべきですね。五年で二・五兆とおっしゃったようですけれども。しかし、私が疑問なのは、こういうときには財源の話はされないんですね。ふだん我々が何かやろうとすると、ちょっとでもやろうとすると、財源どうするんだと言うのに、それを一番言っている森山幹事長が昨日は言っていないと思うんですけれども、これは財源、なくていいんですか、大臣。
○加藤国務大臣 これまでも申し上げておりますように、森山幹事長を始め、党におけるそれぞれの皆さん方の御発言に対して、政府としてはコメントは控えるということでございますので、また森山幹事長において、今後、そうしたお話があれば必要な説明がなされるものと承知をしております。
○高井委員 極めて都合がいいですね。本当に与党としていいかげんだということが。
私たちは国債でやればいいと申し上げていますから財源は別に示さなくていいと思いますけれども、皆さんがいつも示せ示せと言うので、非常におかしい、矛盾した発言だなということで指摘させていただきました。
それでは、積み残した、二、三回聞いているんですけれども、これは、二〇〇二年に財務省が海外の格付会社に対して先進国の自国通貨建ての国債はデフォルトしないということを抗議をしているということに対して、財務大臣の答弁は、二十八日ですけれども、当時の外国格付機関に対して、財務省として格下げ理由についての客観的な説明を求める中で、財政構造改革などの取組や当時の強固なマクロ経済の中では自国通貨建てのデフォルトは考えられないと述べたところでありますということなんですが。
私は、何度も指摘しているとおり、この二〇〇二年の方が日本の財政は悪かった。それは客観的に、アメリカと比べると、当時はアメリカより債務残高が多かったんですね。これは確かに危ない状況だろう。しかし、それから日本は国債発行は抑えてきたんです。一方で、アメリカはずっと伸ばしてきて、それで、その結果、今、日本はアメリカの四分の一ですよ、国債発行残高。こういう状況の中で、やはり、その中で今、海外の格付会社が何だか知らないけれども日本の格付を下げているわけですから、これを当然抗議すべきだということを何度も指摘してきました。まあ、同じ答えが、多分、財務省は、債務残高対GDP比は悪くなっているんだから、だから抗議しないんだということだと思うんですけれども。
では、お聞きしますが、もし、百歩譲って日本の財政が当時より悪くなっているんだとしても、先進国の自国通貨建ての国債はデフォルトしない、このことは変わらないんじゃないですか。いかがですか、大臣。
○加藤国務大臣 デフォルトの話をされていますけれども、まさに財政危機ということをまず考えるべきだと思います。その中の一つはデフォルトというのはあると思います。一方で、委員おっしゃるように、インフレ、特にハイパーインフレ等の問題もあります。それから金利が急激に上昇するということもあると思います。
私どもとしては、まさにそうした財政危機という事態をいかに避けていくかということが重要だというふうに考え、そして、そういった意味において、市場あるいは投資家が現状に対してどういうふうに判断をしていくのか、それをよく見極めながら、適正な国債管理政策に努めるとともに、やはり、常において財政に対する市場からの信認を得るべく財政政策を運営していくということが重要だというふうに思います。
御指摘のように、日本の場合には、今海外投資家の割合も増えてきている、あるいは、また金利が上がり始めてきている、日銀における保有残高が減少している、こういった点もあることにも留意する必要があるというふうに思います。
○高井委員 デフォルトはしないということで、じゃ、見解は一緒でいいですか。
○加藤国務大臣 どういう形に、日銀がまさに国債の引受けをどんどんしていくということであれば、それはそうした手段があるのかもしれませんが、しかし、その結果として経済に何が起こっていくのか、結果的にそれを見て判断しないと、一局面だけ見て判断するのではなくて、まさに財政政策、財政がきちんと運営されていけるのか、経済に対して悪い影響を与えていないのか、こういったことを判断した上で我々は財政運営を進めていかなきゃいけないというふうに思います。
○高井委員 またかみ合っていないんですけれども、あと三分しかありませんので、これはもう次の国会に送りたいと思います。
それでは、もう一つ、スルガ銀行の話。
これは、報告徴求命令が出て、スルガ銀行はその日に、五月十三日に、新たな支援策も検討し、なるべく早く示したいというふうに社長が会見しております、発表しておりますが、どうも、被害者の方から聞くと、スルガ銀行の行員からは何ら新たな支援策なるものは示されていないということなんですね。非常に抽象的なことしか聞いていないそうなんですが、金融庁としては、社長の言った新たな支援策というのはどういうものであるべきで、そしてスルガ銀行が何も考えていないという現状をどう考えていますか。あと、報告をいつまでにもらうんですか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先般出しました報告徴求命令の報告期限は先週五月三十日でございまして、私ども、スルガ銀行から報告書の提出を受けてございます。報告書には、アパマン問題の解決に向けた取組が長期化している理由、今後アパマン問題の早期解決に向けて取り組む新たな支援策やその期限などが記載されておりまして、現在、金融庁においてはその内容を精査しているところでございます。
新たな支援策の具体的な内容を含めまして、当該報告書の詳細につきましては、調停に関するものも含まれ、また、様々な関係者がいる中で、今後の対応に予断を与えかねないことからお答えはできないことを御理解いただきたいと思いますけれども、金融庁といたしましては、この報告書に記載された支援策などが十分な内容となっているか、当該支援策などが今後しっかりと実施されていくか等、同行におきましてアパマン問題の早期解決に向けて十分な対応が取られていくか、しっかりと確認をしてまいります。
○高井委員 局長、もう何度も言っていますけれども、この委員会で、私が調べた限りでは維新さん以外は全党がこの問題を取り上げているんですよ。ですから、これは本当に真剣に取り組んでいただきたい。
聞くところによると、局長は長官になるんじゃないかと言われていますけれども、これはやはり任期中にきちんと、局長の任期中に解決しないと私は長官になる資格はないと思いますよ。これは是非、局長、決意を聞かせてください、任期中に解決する決意。それから大臣にも、もう時間がないと思いますので聞きますが、これは大臣の任期中にも解決していただかなきゃいけないし、そして、もし局長の任期中に解決できないんだったら長官にしちゃいけないと思いますよ。大臣、見解を。
まず局長、そして大臣、お願いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、今申し上げましたように、先週出てまいりました報告書の内容についてしっかりとフォローして、問題の早期解決に努めてまいりたいと考えております。
○加藤国務大臣 まさに、この委員会等、国会において様々な御意見も頂戴しているところでございます。
まさに、スルガ銀行不正融資事案、業務改善を命令してからもう六年以上経過しているわけでありまして、いまだ最終的な解決に至っていない債務者の方々がおられる、このことは大変遺憾だということ、そして、一日も早い解決に向けて、今般、私も逐次、状況は担当部署から報告を受けると同時に、同行に対して五月十三日に報告徴求命令の発出を行い、そして現在、同行からの報告概要、もちろんそれも聞かせていただいております。
今後、私として、債務者にとって可能な限り早期に問題解決が図られるよう私自身も深く関与し、そして必要な措置をしっかり取っていきたい、こういうふうに考えております。
○高井委員 報告徴求を出したことは評価しますけれども、それが、中身がすかすかなものになりかねないので今日申し上げていますので、これは、大臣それから局長、しっかりチェックして、本当に任期中に解決をお願いします。
法案の質問はできませんでしたけれども、我が党は賛成いたします。
ありがとうございます。
○井林委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
信託業法改正案には賛成をいたします。
今年五月、スルガ銀行は、金融庁より報告徴求を受領したと公表をいたしました。シェアハウス融資でスルガ銀行の不正行為が大量に発覚した問題では一定の解決が図られたものの、同時期に進行していたアパマン融資では、同じ不正行為は発覚しているものの、個々の案件の多様な事情があるという理由で一律解決を拒否したため、いまだに解決できない被害者が破綻の危機に陥っております。当時の金融庁がスルガ銀行を持ち上げ、不動産融資をあおったことから起こった事件であることは明らかだというふうに思います。シェアハウス問題でも金融庁の責任は曖昧のままでありましたけれども、アパマン問題では、報告徴求の上、全ての被害解決に向けてスルガ銀行を指導し切ることで金融庁の責任を果たしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
今日は、森友事件について聞かせていただきます。
伊藤豊金融庁監督局長は、元財務省の秘書課長として、公文書改ざん発覚後に財務省が二〇一八年六月にまとめた報告書、これをまとめた一人であります。伊藤さんがまとめたこの二〇一八年六月の調査報告書では、佐川氏が改ざんの指示をしたとは一切書かずに、あくまで、方向性を決定づけたとしか書かれておりません。
安倍昭恵氏を始めとする政治家関係者の記述が決裁文書にあることが佐川氏に報告された際のくだり、これは報告書の二十四ページにあるんですけれども、こう記されているんですね。
理財局長は、そうした記載のある文書を外に出すべきでなく、最低限の記載とすべきであると反応した。理財局長からはそれ以上具体的な指示はなかったものの、総務課長及び国有財産審理室長としては、理財局長の反応を受けて、記載を直す必要があると認識した。
伊藤さん、確認しますけれども、反応したというふうにあるんですけれども、これは、そのように佐川氏が伝えたということで間違いないですね。これは指示ということになるんじゃないですか。いかがですか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
まさに委員が読み上げになられましたとおりでありまして、報告書においても、方向性を、一連の対応の方向性を決定づけたということは調査報告書においても記載されているとおりでございます。
○辰巳委員 ですから、これは指示をしたということでいいんじゃないですか。外に出すべきではないと反応した、これは、事実上、指示ですよね。反応したんですよ。これは言っているわけですね。そういう発言があったということは確認していいですね。出すべきではないという発言があったと。これは確認させてください。
○窪田政府参考人 報告書に記載のとおりでございます。
○辰巳委員 だったら、これは指示じゃないですか。事実上、指示ですよね。反応したんです。出すべきではない、それを聞いていたんですね、総務課長などが。これは指示ですよね。べきでないと言っているんだから、指示ですよ。いかがですか。
○窪田政府参考人 指示をするということと方向性を決定づけるということは、言葉の問題でありますが、方向性を決定づけるということも、大変重要な対応を理財局長がし、総務課長及び国有財産審理室長は、その反応を受けて記載の改ざんなどを行ったということかと思います。
○辰巳委員 方向性を決定づけたのは当然なんです。しかし、初めてこの政治家関係者の記述があると理財局長に報告されたときに、理財局長は、文書を出すべきでなく、最低限の記載とするべきであると部下に言っているんですよ。
大臣、その場面を思い浮かべてください、普通に考えたら指示ですよね、これは。いかがですか、大臣。
○加藤国務大臣 まさに私から申し上げられることは、まさに、その調査報告書に書かれていたこと、そのことが全てだというふうに思います。
その上で、委員がどういうふうにお考えになるかどうか、それはまたいろいろお考えがあると思いますが、私どもとしては、その報告書に書かせていただいたものが全てであるというふうに考えています。
○辰巳委員 全てではなく、ごまかしているので改めて聞いているんです。
これは、指示と書かないんですよ。だけれども、佐川氏がそう反応したというのは、反応したじゃないんですよ、これは。言っているんですよ。今、言ったということを認められたと思うんですけれどもね。
外に出すべきではなく最低限の記載とすべきであると部下に言ったら、それは、改ざんしなさい、そういう指示になるじゃないですか。大臣、そう思いますよね。
○加藤国務大臣 その場のやり取りそのものを私は承知しておりませんから言及できませんけれども、まさにそうしたことを聞いた人間が、まさにそれはそういう反応だったという、そうした言葉で受け取った、そして、それがそのまま報告書に書かれたということではないかというふうに思います。(発言する者あり)
○辰巳委員 そうなんです。組織ではそれが指示になるんですよ、大臣。
じゃ、伊藤さんに改めて聞きたいと思うんです。
二〇一八年の十月二十八日、伊藤さんは、夫を亡くした赤木雅子さんのところに弔問に行き、そのまさに四か月前のこの六月に仕上げた財務省の調査報告書の中身について説明をしています。その際、こう伊藤さんはおっしゃっているんですね。
本件については何段階もありまして、佐川局長の指示が赤木さんまで到達するまでに、途中何人も止められなかった、若しくは自分で手を動かしてしまった人たちなので、最後は彼の判断、理財局長の判断。
これは私は重大な発言だというふうに思いますよ。調査報告書をまとめられたまさに御本人が、佐川局長の指示ということをおっしゃっている。伊藤さん、指示ということがあったんじゃないですか。
○窪田政府参考人 それぞれの者があらゆる場所でどういうことを言っているかというのを完全に把握しているわけではございませんが、調査の結果は、こちら、この調査報告書にありますように、具体的な指示はなかったものの、理財局長の反応を受けて、総務課長、国有財産審理室長は記載を直す必要があると認識したという事実があったというふうに考えております。
○辰巳委員 個々の発言について詳細は知らないと言うているんですけれども、御本人がおられますから、御本人、発言してくださいよ、是非。伊藤さん、いかがですか。
○窪田政府参考人 調査報告書は財務省の責任としてまとめたものですので、これが財務省の見解ということになります。
○辰巳委員 私、これはやはり、まとめたのは財務省なんですよ、まさに身内がまとめた調査報告書で、余りにも不十分だと言わなければなりません。今、兵庫県では第三者の調査会がやられて、それこそ知事の指示の可能性が高いという話もされているわけですよね。我が党は、この国会でも野党からは、第三者的な立場での調査が必要だ、あるいは国会が関与しての調査が必要だということを言ってきたわけですよ。財務省は、最強の第三者機関である検察が動いているから大丈夫なんだということを言ってきたわけです。ところが、その検察に提出された十七万ページもの報告書、決裁文書等が、重要な部分が欠落していたという話になってきたわけでしょう。これは十分な調査ができないという話じゃないですか。
やはり、第三者的な立場での調査というのを改めてやって、森友事件の改ざんの真相を明らかにする、そのことを改めて申し上げて、私からの質問を終わります。またやりたいと思います。
ありがとうございました。
○井林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。階猛君。
○階委員 立憲民主党の階猛です。
ただいま議題となりました信託業法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
先ほどの海江田委員からの質問に対し、公益信託法を所管する内閣府の政府参考人の答弁は、全く不十分でありました。
具体的には、本法案が成立した後、新公益信託の認可、検査、監督を一元的に担うことになる内閣府等の体制拡充について、現下の六十三人をどうするか不明確であります。また、受託者に対する検査の頻度は、三年に一回という公益法人の検査ルールより増やすか減らすかも不明確でありました。税制上の優遇措置をセールストークとして受託者による委託者への勧誘を禁止することには消極的でありました。さらに、一定金額以上の資産を預かる公益信託について、引き続き信託業法の規制を及ぼすことにも消極的でありました。
これで果たして委託者の利益は守れるのでしょうか。甚だ疑問です。
加えて、政府参考人は、この答弁の際、質問者の目を全く見ることなく、視線は常に宙をさまよっていました。今後の制度運用への自信のなさが如実に表れていたと思います。
こうした質疑の経過と結果を踏まえ、公益信託の受託に関し、信託業法の規定の適用を除外し、金融庁がいわば縁を切るという本法案については、現時点でその必要性も合理性も認められません。立法府として反対すべきであります。
委員各位の御賛同を求め、討論を終わります。(拍手)
○井林委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより採決に入ります。
信託業法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○井林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時二十四分散会