衆議院

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第3号 平成28年10月26日(水曜日)

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平成二十八年十月二十六日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 長島 昭久君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    安藤  裕君

      池田 佳隆君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      瀬戸 隆一君    田野瀬太道君

      谷川 とむ君    冨岡  勉君

      馳   浩君    福井  照君

      古田 圭一君    松本 剛明君

      簗  和生君    坂本祐之輔君

      高木 義明君    平野 博文君

      牧  義夫君    笠  浩史君

      樋口 尚也君    吉田 宣弘君

      池内さおり君    畑野 君枝君

      伊東 信久君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  船田  元君     簗  和生君

  大平 喜信君     池内さおり君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  簗  和生君     船田  元君

  池内さおり君     大平 喜信君

    ―――――――――――――

十月二十五日

 教育公務員特例法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

同月二十日

 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案の不登校対策にかかわる部分の白紙撤回に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第三二一号)

 同(大平喜信君紹介)(第三二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 教育公務員特例法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、教育公務員特例法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。松野文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 教育公務員特例法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松野国務大臣 おはようございます。

 このたび政府から提出いたしました教育公務員特例法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 学校教育の成否は、教員の資質によるところが大きく、これからの時代に求められる学校教育を実現するためには、教育の直接の担い手である教員の資質の向上を図ることが重要であります。

 一方で、近年、教員の大量退職、大量採用等による教員の年齢構成や経験年数の不均衡により、特に若手教員への知識、技能の継承が図りにくい状況があります。このため、教員の体系的かつ継続的な研修を充実させていくための環境整備を図ることが急務となっております。

 また、現在、新しい学習指導要領等のあり方について検討を進めているところですが、これからの時代の教育に対応できるようにするため、教員の資質の向上を確実に図る必要があります。

 この法律案は、このような観点から、教員の任命権者が実施する教員の資質向上方策の充実、大学における教員養成課程の改善及び独立行政法人教員研修センターの機能強化等について必要な措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、公立小学校等の校長及び教員の任命権者に、校長及び教員としての資質の向上に関する指標及びそれを踏まえた教員研修計画の策定等を義務づけるとともに、十年経験者研修を中堅教諭等資質向上研修に改め、実施時期の弾力化等を図るものであります。

 第二に、学校教育における新たな教育課題に対応するため、大学における教員養成課程の教科に関する科目や教職に関する科目等の科目区分を統合するとともに、小学校教諭の特別免許状の教科に外国語を加えるものであります。

 第三に、独立行政法人教員研修センターの業務に、学校教育関係職員としての職務を行うに当たり必要な資質に関する調査研究等の業務を追加し、同センターの名称を独立行政法人教職員支援機構に改めるものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。

永岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長藤原誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮川典子君。

宮川委員 おはようございます。自由民主党の宮川典子です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。そして、教育公務員特例法の一部改正案ということで、元教師だった私にとっては、これだけ研修、また教師のこれからの必要とされる像について一歩踏み込んだ改正が行われるということは、大変すばらしいことというふうに思っております。

 きょうは時間が限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 この教育公務員特例法の一部改正をした後で、これからこの研修について、文部科学大臣が指針を定めるということになっております。

 この法律が委員会を通りまして成立した後には、四月の一日からの施行というふうに聞いておりますので、まさに松野大臣がこの指針を決めるお立場になるのではないかというふうに思っておりますけれども、現段階で、松野大臣、その指針にどのような思いを、また方向性を盛り込まれるお考えがあるか、ぜひ伺いたいと思います。

松野国務大臣 文部科学大臣が定める公立学校の教員等としての資質の向上に関する指標を策定するための指針については、本法案の成立後、教育委員会等の学校関係者の意見も踏まえつつ、策定してまいりたいと考えております。

 現時点では、法案の規定に基づき、次のような事項を記載することを考えております。

 まず、教員の資質向上に関する基本的な事項としては、教員の資質の向上を図るに当たり踏まえるべき基本的な視点や同指標の策定の目的、意義等、次に、各任命権者が定める指標の内容に関する事項としては、職責、経験及び適性に応じた成長段階の設定基準等、最後に、その他教員の資質向上を図るに際し配慮すべき事項としては、大学や他の機関との連携に関する事項等を盛り込むことと考えております。

宮川委員 現場の声も聞いていただけるということですので、これは大変重要かというふうに思っております。国が必要とする教師像と、さらに、それに加えて、現場でどんなことが必要とされているのか、これが合致したところに大変重要なこれからの指針が出るというふうに思っております。

 もう一つは、先ほど法案の説明の中にもありましたけれども、この大臣指針が大学の教員養成課程に与える影響ということに私は大変関心を持っております。

 やはり教師というのは、養成、採用、研修、この三つの段階が合わさって初めていい先生というのができるわけですけれども、私は、日ごろから、大学の教員養成課程に関しては、もっとちゃんと充実して、そして方向性がしっかり定まった養成をしていかないと、いい先生というのはできないんじゃないかなと。採用された後、研修で幾らやろうと思っていても、その前の段階の養成というのが私は大変重要だというふうに思っております。

 この大臣指針が養成課程を有する大学にとってどんな影響力を持っていくのか、ぜひ、大臣の見通しを伺いたいと思います。

松野国務大臣 文部科学大臣が策定する指針は、教員等の任命権者が、校長及び教員としての資質の向上に関する指標を策定するに当たり参酌するものであります。各任命権者が同指標を策定するに当たっては、関係大学等と協議会を組織し、指標に関する協議を行うこととされております。

 協議会の構成員は、協議において調った結果を尊重することとしており、同指針を参酌した上で策定された指標の内容については、構成員である大学における教員養成課程においても反映されるものと考えております。

 また、指標は広く公表するよう努めることとしているため、協議会の構成員でない大学においても、指標の内容を踏まえた教員養成課程の改善が進められることになるものと期待をしております。

 文部科学省としては、このような協議会における協議等を通じ、大学の教員養成課程においてもしっかりと指針の趣旨が生かされるよう、その内容の検討を行ってまいりたいと考えております。

宮川委員 養成の段階に対してしっかりと指針が影響をしていく、また、協議会で決まったことをしっかり実施していくということでありますけれども、学校の先生というのは、どこに行っても、山の奥に行っても離島に行っても、同じ能力と、また子供たちに対して必要な資質を持っていなければいけません。ですので、教員の養成というところが一番重要だと私は考えますので、ぜひ、大臣の指針には、養成はこうあるべきではないかというような強いメッセージを入れていただくことを強く望みたいなというふうに思っております。

 そして、その協議会を経た後に、資質向上に関する指標をつくるということになっておりますけれども、学校の先生の資質というのはどういうところで見られるべきかということを私は日ごろ考えておりますが、やはり問題解決能力のある人ということが一番重要だというふうに思っております。

 例えば、いじめも、また、いろいろなさまざまな問題も、起こらないということは現場にはありません。必ずトラブルというのは日々起こってくる。それは、子供たちの成長段階で起こるべくして起こってくるということでありますので、問題の解決ができる人というのが、私は、一番今求められている教師像ではないかなと思っております。

 例えば、A先生はいじめを五件抱えていました、B先生は十件抱えていました。その年度の終わりに、A先生は五件をそのまま放置してしまったというか解決ができなかった、B先生は十件を八件に変えた。もちろん、五件、八件と絶対値で見ればB先生が劣っているかのように見えますけれども、二件大きな問題を解決した。こういうところで資質がやはりはかられなければいけないというふうに思っております。

 大臣は、この資質の向上に関する指標というのがどうあるべきであるか、お考えを伺いたいと思います。

松野国務大臣 教員の資質向上に関する指標は、職責、経験及び適性に応じて向上を図るべき教員の資質に関する指標であり、当該教員の任命権者である教育委員会等が、その地域の実情に応じて策定をするものであります。同指標においては、教員の職責、経験及び適性に応じた成長段階ごとに、教科指導力や生徒指導力といった能力や資質の目安が規定されるものと考えております。

 文部科学省としては、各段階ごとに必要な能力や資質が明確にされ、それぞれの教員が、おのおののキャリアステージに応じて研修等による資質の向上に取り組むことができるような指標となるべきであると考えております。

宮川委員 それぞれの地域の事情に合わせてということも大変重要だというふうに思います。地方分権が進んでいる教育であればこそ、それぞれの事情を踏まえるということは大変重要だと思いますので、各教育委員会にも、この指標をつくるに当たってはしっかりとしたつまびらかな調査をした上で、どういう教師が望まれるのかということをしっかり決めていっていただきたいというふうに思っております。まさに大臣のおっしゃるとおりというふうに思います。

 今回、十年経験者研修というのが中堅教諭等資質向上研修に変わるというふうに法文に書いてございますけれども、この実施対象者についてどのようにお考えか。多分、十年ということだけで切らないんだというふうに思いますので、実施対象者について伺いたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 中堅教諭等資質向上研修につきましては、学校において、いわゆる中堅教員として職務を遂行する上で発揮することが求められる能力の向上を図るための研修でありまして、十年経験者研修とは異なり、その実施の時期については制限を特段設けていない状況でございます。これは、年齢や経験年数の構成状況が地域によって異なっておりますため、当該研修の実施時期を一律に限定せずに、任命権者が判断するということにしたものであります。

 今般、全ての任命権者が、教員としての資質の向上に関する指標を定め、体系的な計画を策定することを踏まえまして、各地域における研修計画の中で当該研修をしっかりと位置づけてもらいたいと考えております。

宮川委員 制限がなしということで、これも画期的ではないかなと思います。

 今まで研修というのは、初任者研修、十年経験者研修というふうに年次で切っていましたけれども、今、採用のバランスというのが、非常にアンバランスな地域が多いです。フタコブラクダのように、非常に多い年次と少ない年次、そしてまた若手が非常に多かったりということで、ばらつきが大変強く出ておりますので、中堅というのは非常に曖昧な言い方かもしれませんけれども、その地域で、必要とされる時期になったら研修が受けられるというのは大変画期的であるというふうに思いますので、それぞれの実情に合わせた運用をこれからも期待したいと思っております。

 中堅でまた若手というのはよく研修の機会に恵まれているんですけれども、私は、自分が現場にいたときから思っていたことは、何でベテランの先生には研修がないのかなということを考えておりました。

 例えば、若手の先生方はいろいろな業務負担が非常に多いということをよく言われますけれども、実はベテランの先生たちの職務を代行しているということもあります。私も実際やりましたけれども、まだITについていけないような先生方がいます。エクセルとは何とか、ワードとは何といって、まだワープロを指一本で打っている先生方もいます。手書きでテストの答案用紙、問題用紙をつくっている方もいらっしゃいます。

 これは教師の能力には直接かかわりはないというふうに思いますけれども、業務がICT化をしていくという中で、やはり時代の流れについていっていない人、そして御自身の子育ても終わられて子供たちからさらに距離が離れてしまった方というのは、今の子供たちがどんなことをやっているのか、スマートフォンといったら、スマートフォンとは何という話をしてしまうようなベテランの先生がいることも現実問題としてあります。

 やはり教育というのは、その時代時代、相手にする子供たちの状況にキャッチアップしていかなきゃいけないわけでありますので、ベテラン教諭の研修というのも必要だというふうに思いますけれども、これからのベテラン教諭の研修のあり方について何か方針があったら、ぜひお聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 自律的に学ぶ姿勢を持ち、時代の変化やみずからのキャリアステージに応じて求められる資質を生涯にわたって高めていくことのできる力につきましては、委員御指摘のベテラン教諭も含めて全ての教員に求められているものでありまして、あわせて、これからはICTの活用などの新たな課題への対応ができる力量を高めていくことも必要であると考えております。

 教員の資質向上は主として研修によって図られるものであることから、教員が、研修全体の体系を把握して、みずからが受ける研修の意義を適切に理解して研修の効果を高めることができるように、今回の制度改正におきましては、ベテラン教諭を含め、キャリアステージに応じて習得すべき能力を示す指標の策定など、体系的な研修システムの整備を図ることとしているところでございます。

 また、IT化が進む中で、ベテラン教諭等に対応してもらうべく、独立行政法人教員研修センター等におきましては、ICTを活用した授業づくりなど学校の情報化を通じた教育活動の質の改善を図るため、各地域における指導者養成のための研修を行っているところでございます。

 今回の、教員の養成、採用、研修の各段階を通じた、キャリアステージに応じた資質向上を図る体制の整備を通じまして、ベテラン教諭への研修についてもより一層の充実を図っていきたいと考えております。

宮川委員 ありがとうございます。

 キャリアステージに応ずるということも大変重要だと思いますけれども、やはり、ややもすると、自分ができないから、例えば電子黒板を入れるのは嫌だとか英語教育に反対をするとか、そういう現場の声があることも現実としてあると思います。

 こういう思いを反面教師にして、やはり学校の先生というのは、ずっと研修を積み重ねて、そのときの子供たちに必要なことに自分がまず追いついていく。それを教えるに当たっての技能や方策やいろいろなアイテムとなれ親しんで、ちゃんと自分がそれを子供たちに教えられるような、その人のキャリアステージというよりも、子供たちの時代にしっかり自分たちが追いついていくということが大変重要だと思っておりますので、ぜひここについても具体化をしていただきたいと思っております。

 今回のこの法案ですけれども、「校長及び教員の」というふうによく文言が出てまいります。このことを見ますと、では、教頭先生はどこに行っちゃったんだと皆さんはお思いになると思うんですが、教頭というのは、昇格、昇任をしていくので、教員群の中の一人、一つの役職というふうに捉えられていますけれども、ここで「校長及び」というふうに校長は別になっているのは、校長というのは採用になるんですね。校長試験を受けて、その学校の経営者として採用になるわけであります。

 ただ、校長先生に対して、また、校長になるに当たって、しっかりとした経営感覚を持っていただくとか、またリスクマネジメントができるような能力、それを、教師の立場とは違って、経営者として身につけていかなければいけないというふうに思うんですが、残念ながら、校長先生、学校長に対しての研修の機会というのは非常に少ないんじゃないかなというふうに私自身は思っております。

 教師が教室を出て、そして経営者になるということは、立場と考え方をそこからがらっと一転させなければいけません。人、物、金、また時間や情報、さまざまなものをどうやって判断して、校長として学校を運営していくのかということが大変重要だと思います。

 私が教師の立場で申し上げると、例えば自分が高校一年生の受け持ちをしたら、二年、三年まで行きたいなというふうに思うものです。しかし、私の実際の経験としてありますけれども、高校一年生の担任を持っていたのにもかかわらず、二年生のときには担任をかえられて、私は中学一年生の担任になりました。そのとき非常に、一教師としては、何だ、一年間積み重ねてきたことを無にされた、そういう思いがあったわけですけれども、しかし、よくよく、第三者的になって今考えれば、あれは学校長の判断だったと思うんですね。中高一貫教育をするに当たって、六年間しっかりその学年をマネジメントする人がいない。ですから、そういう主要教諭になるようにということで、中学一年生の担任を持たされた。

 ですから、それを見れば、そういう先生がいないとこれからうまく学校が回っていかないんだという学校長の判断というのはやはり重要なんだというふうに思います。ですから、ある意味では、冷徹に、冷静に物事を判断して、しっかりと学校を運営し、また人事配置をしていくということが大変重要ではないかなというふうに思います。

 ただ、今見ていますと、校長先生が本当にそういうマネジメント能力があるかなというと、やはり疑問を抱かざるを得ないというふうに思っております。これから、学校の先生方、それぞれ一教師として研修を積んで、すばらしい先生になったとしても、その人たちを動かす校長のマネジメント能力がなければ、やはりその学校の中で一〇〇%の力を開花することはできない。そして、それぞれの教師の力が合わさって一〇〇%、一五〇%の効果を生み出すことは私はできないんじゃないかなというふうに思っております。

 きょうは、委員の先生方のお手元に資料を配付しております。兵庫教育大学の校長先生に対するマネジメントの研修の資料をお渡ししておりますので、私の話など聞かず、それにぜひ目を通していただきたいぐらいのものなんですが、教育法規であるとか、また、今の現状、どんなことをしなければいけないのか、リスクマネジメントやいろいろなことについてそこに記されております。非常に興味深い資料だというふうに思っております。徹底したケーススタディーをして、こういう場合にはどういう対応をしていくべきなのかということがこんなに詳細にわたって書かれており、そのケーススタディーがこんなにふんだんに入れられている研修の冊子というのは余り見かけたことがありません。

 ですので、やはりこれからこういう研修をしっかりやっていかなきゃいけない。それに向けては、教材の研究ももちろん必要だというふうに思いますし、今回、センターを支援機構に変えていくわけですので、ぜひ、この教育支援機構の中でこのような教材をたくさんつくって、今ないところから、ゼロから生み出すのは大変です。そして、早くこの研修をしていただかなきゃいけないことを考えると、支援機構の役目というのも見えてくるんじゃないのかなというふうに私個人は考えております。

 これから校長を採用するに当たっては、マネジメントをやるというと、何か資格を想像するならば、MBAみたいなものがあると思います。もちろんこれはビジネスに関してですけれども、このビジネスをある意味では経営と捉えれば、MBAのような、やはりそういう資格を与えてもいいんじゃないのかな。例えば校長MBA、名前はどうするかにはよりますけれども、そういうものをつくっていく必要性があるんじゃないかなというふうに実は思っております。

 今まで、大学経営コースとか教育行政学、つまりこのマネジメントにかかわるような分野というのが日本では非常に発展がおくれている。私はそれは大学時代から感じていたことでありますけれども、ぜひ校長先生に対しては、ある意味での資格試験、校長の採用試験じゃなくて資格試験というのが必要ではないかなと思いますが、今後、校長の研修に対して具体的な方策をお考えでしたら、ぜひ大臣から伺いたいと思います。

松野国務大臣 学校の経営者である校長は、学校が直面する課題に組織的に対応し、特色ある教育活動を自律的に推進できるよう、学校組織マネジメント等を初めとする高度な知識を習得することが重要である、このことは宮川委員の御指摘のとおりだと思います。

 このたびの法改正においては、任命権者が策定する資質向上に関する指標や当該指標を踏まえた教員研修計画は校長も対象にしております。各地域において、校長を対象とした研修の充実が図られるものと考えております。

 また、独立行政法人教員研修センターを教職員支援機構へ改組するに際し、従来、同センターが国公私の設置形態を問わず行ってきた学校マネジメントのノウハウ、地域、他の組織との連携、協働、教育法規定について学ぶ校長研修のさらなる充実が図られるよう努めてまいります。

宮川委員 センター、これから支援機構に名前を変えるわけですけれども、活用をぜひしていただきたいなと思います。

 今回の教特法の一部改正をすることによって研修が充実する、これは、自分のときにこの法改正があったらよかったのになと思うんですね。それはなぜかというと、教師というのはどうしてもアウトプットが多いんです。日々子供たちに物を教える、そして子供たちの人格形成に携わっていくと、どうしてもアウトプットが多くて、インプットをする場所というのがなかなかありません。

 そして、もう一つ問題は、これだけ研修がたとえ充実してきたとしても、現場の実態と合うかどうかなんですね。教員の免許更新制というのが現場で大変不評なのは、だめ教師を切るからでは実はありません。一番は、その研修を受けに行く十分な時間がないということ、そして落ちついて勉強する場がないということなんですね。

 ですから、私は常々思っていますけれども、研修に行ってしっかりとしたインプットをしてもらいたいという思いがあるのであれば、やはり校内の校務分掌なんかの調整ももちろん必要です。そして、自分が担当する時間の調整も、授業時数の時間の調整も大変必要です。

 そうすると、研修を充実させるためには、やはり人員が必要なんですね。その研修に行く年次の皆さん、対象になる皆さんがしっかりと安心して勉強ができるように、そして、一番は、この研修に出ていくから、現場にいる子供たちがおろそかにされないことが重要です。例えば、どうしても時間調整ができなければ、子供たちが一日一枚か二枚のプリントを渡されて、はい、自習ですよということでは、子供の貴重な授業時間を奪うことになるわけですから、ぜひここには、ちゃんと授業ができる人を配置するべきだというふうに私は思います。

 今回、この委員会にも、国会にも提出されていますが、チーム学校というようにして、子供たちの時間を阻害しない、しかし教師がちゃんと資質を高めていけるような環境整備というのが必要だと思うんですが、これにはやはり人が重要、ということは、財源が必要なんです。

 きょうは三木財務大臣政務官に来ていただいていますけれども、財務省さんからは常に、エビデンスを出しなさいということを言われるんですが、財務省が考える教育のエビデンスというのはそもそも何なのか、ぜひ政務官のお考えを伺いたいと思います。

三木大臣政務官 宮川委員の御質問にお答えしたいと思います。

 教育政策については、骨太の方針二〇一六等において、エビデンスに基づくPDCAサイクルを確立することとされております。具体的には、エビデンスとは、学級規模の影響や効果の調査、加配教員、専門スタッフの配置の効果分析、あるいは高い成果を上げている地域や学校の取り組み、教育環境の分析といった実証研究に基づく教育政策の成果、費用に関する科学的根拠のことというふうに考えております。

 こうした考えに基づきまして、文部科学省においても、二十八年度の当初予算で、教育政策形成に関する実証研究が進められているものと我々も承知しておるところでございます。

宮川委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったことは決して間違っていないというふうに思いますし、ある意味では、そういういろいろなデータを残していくということも教育の分野にとっては重要だとは思っております。ただ、今私が申し上げたような現場の状況がよくわかってくださっているのかなというのが、私にとってはどうしても疑問の拭えないところなんですね。

 しっかり研修をやろう、いい教師をつくろう、そして、よく財務大臣がおっしゃっていますけれども、教師の質がよくなければ人をふやすことはできないよと、私が訴えると、よくその解として返ってくるんですが、確かにそれは正しいことというふうに思います。

 ですけれども、現場で子供を相手にし、そしてその後ろにいる家族、親、今は祖父母ですね、モンスターグランドペアレンツというのがいるというぐらいですから、いろいろな人を相手にしなきゃいけない。地域も相手にしなきゃいけない。もしかしたら、業者の人も相手にしなきゃいけない。いろいろなところで、やはりもう人が足りないんです。ですけれども、日本の教育がしっかり動いているのは、現場の先生が歯を食いしばって頑張っているからなんですね。

 ですけれども、その状況が長く続くことはいいこととは私は考えません。それはなぜなら、大人はそれでいいんです、私たちというか教師はそれでもいいかもしれませんが、子供にとってそれがいい先生像であるというふうに私は考えません。

 ですので、研修をやっていくのであれば、ぜひ定数の改善であるとか、もしくは加配、配置を増員するというようなことを考えていかなければいけないと思いますが、政務官、いかがお考えでしょうか。

三木大臣政務官 委員御指摘のとおり、教育の質を高めるために、教員の能力の向上のための研修というのは非常に重要な役割を演じていると我々も感じております。

 研修に関連して、OJT等の実践的な研修を進めるための、教員の質の向上に向けた指導教諭の配置促進という加配の創設要求が提出されているものと承知しておりますけれども、先ほどおっしゃっていただいたような教員の外部研修を受けている間の補充について、例えば再任用教員の活用であるとか、研修のタイミングの工夫など、現状における対応を踏まえて、効率的、効果的な取り組みについてしっかりと文部科学省とも議論してまいりたいと思いますので、どうぞ御理解のほどよろしくお願いします。

宮川委員 時間をオーバーしないようにしたいと思いますので、次の質問で最後にしたいと思いますが、再任用をふやすというのがよく議論として出るんですね。

 それは、少しお給料を安く雇えるからというのはあると思いますが、先ほど私が指摘をしたように、ベテラン教諭にも研修が必要で、そして自分の年齢と子供たちの年齢、時代が隔絶してしまった人たちをもう一回入れるんじゃなくて、これから長年にわたって教育をしっかり担う若手の人をちゃんとやはり入れるべきだと私は思うんです。

 ですから、加配とか期間採用の人たちを、しっかりとした配置を計画的に決めて、教育委員会が、どういう人が研修をして、どういう学校がそういう人を何人抱えているかということはわかるわけですから、そこに重点的に若い人たちをしっかり入れていって、まさに今政務官がおっしゃったOJTを高めていくべきだというふうに思うんです。

 それには何としても財源が必要なんですね。そして、子供のためにという感情論を抜きにしても、やはり人材育成というのは時間がかかります。すぐ先に、一年後に、二年後に、三年後に簡単にエビデンスが出るものではないというのも反面としてあると思います。

 すぐに結果が全ては出ないけれども、そして、再任用の先生より若い先生が入った方がいいというのもエビデンスが出るには時間がかかりますが、必ず私は、現場の実感として、その成果が出るというふうに思っております。

 これからの教育予算に関して、特に学校の先生方の養成、採用、研修、一番質のいい教育を担保するために必要なこの研修に向けて、ぜひ人員の配置をお願いしたい。そして、そのための予算の配置をお願いしたい。

 そして、これから少子化になっていきますけれども、問題は高度化、困難化していきます。それは間違いなくこれから進んでいくことだと思います。今の状況がどんどんよくなる方向には、私はいかないと思っております。

 ですので、その際に当たっては、少子化だからということは抜きにして、ともに文部科学省も財務省も、ぜひその予算をとっていくということで共同に歩みを進めていただきたいと思いますが、政務官、いかがでしょうか。

永岡委員長 時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。

三木大臣政務官 委員の熱い思い、いつも部会の方でも聞かせていただいています。しっかりと我々それを受けとめまして、文科省とも、限られた予算の中ではありますが、しっかりと予算を確保して日本の教育のために努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

宮川委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 本日も、今国会、本委員会において、このように質問の機会をいただきましたこと、委員長、また、理事の皆様、委員各位の皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。

 そして、先般発災をいたしました鳥取の地震におきまして被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げて、質問を始めさせていただきたいと思っております。

 教育は日本の柱である。このように言い得ることはなぜか。日本の将来は、その未来を担うのは、子供の肩にかかっている。その子供たちの健全な育成を外しては、日本の将来はない。

 そして、その子供の教育に一番近い存在であるのが学校の先生であろうというふうに思います。したがって、学校の先生の存在はまさに子供のためにある、そのように言い切っても、これについては誰も異論はないのではないかと思います。

 そのことを思えば、今回の法案の改正におきましても、教師の立場に立って捉えていかなければならない、そのように私は思っておりますけれども、本日は、このような観点から、今回議題となっております教育公務員特例法案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、教員の引っ越しということについてお聞きをしたいと思います。

 例えば、東京で頑張っていた先生が何らかの事情で、私は地元は福岡なのでございますが、福岡に引っ越したいというときに、当然、東京での先生の職というのは辞さなければならないわけでございますけれども、その経験を生かして福岡の地で教師として勤めたいというふうな希望を持っている、そういった先生がいて、そうすると、今度は福岡で、また、ほかの教員採用を希望する方々と同じような試験を受けて、初めからやらなきゃいけないというのであれば、私は、これは酷なことだろうというふうに思っております。

 さまざまな事情で引っ越しをされたいというふうに思っておられる教師の経験を引っ越し先でもしっかり生かしていけるようなこと、この経験を加味することというのは大切であろうと思っております。

 教員の採用は自治体の権限の範疇であるということは承知をしておりますけれども、この観点から、文科省として、その現状認識についてお伺いをさせていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年度に実施されました教員採用選考におきましては、全ての都道府県・指定都市教育委員会におきまして、一定の教職経験を有する者に対して、試験の一部免除や特別の選考といった優遇措置を実施しております。

 試験の一部免除と申しますのは、例えば一次試験の筆記試験の免除でございまして、また、特別の選考というのは、一次試験の筆記試験を小論文に変更するなどのことでございます。

 これらの措置を通じまして、平成二十七年度におきましては七千四百五十三名の方が全国で採用されております。

 優秀な教員が他県においても活躍いただけるようにすることはとても大事なことでありまして、このような採用選考の取り組みが一層進みますように、各教育委員会に対して促してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 今般の改正案は、定年を迎えるベテランの先生が多数退職をされることが見込まれている、小学校、中学校の先生が急速に若返りをしていくというふうなことを捉まえて、教員の質的向上のための改正であるというふうに承知をしております。

 国は指針を策定し、教育委員会と大学等の間で協議会を設置し、策定した指標に基づいて教員の研修計画を定めることにしているというふうに承知をしております。

 そこで質問をさせていただきたいわけでございますが、この改正前の教員の質的向上について、これまでどのように取り組んでこられたのか、それについて、まずは確認させていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 教員の資質の向上を図るために、初任者研修、十年経験者研修のほか、各教育委員会が各地域のニーズを踏まえて実施するさまざまな研修に対して、これまで支援を実施してまいりました。文部科学省におきましては、各種研修における指導者の派遣や研修等定数の措置に取り組んでいるところでございます。

 そのほか、独立行政法人教員研修センターにおきましては、現職教員の指導力向上にも資する「教員研修の手引き」などの作成、普及、各地域の中心的な役割を担う校長や教頭などへの研修や、国として対応すべきいじめ問題あるいは外国人児童生徒などの喫緊の重要課題に関する都道府県等の指導者を養成するための研修などを実施しているところでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 ここで、この法案から少し外れさせていただきますけれども、これも私が地元の福岡で聞いた話なんですけれども、教員の免許更新講習、この点について、一点お聞かせいただきたいと思います。

 福岡で聞いた話なんですが、自分の希望しない講習というものを選択せざるを得ない状況があったりするというふうなことをお聞きしました。また、講習には一定の負担があるということも、お伺いをしたところでございます。

 先生の立場に立ってみれば、やはり先生の意思というもの、希望というもの、気持ちというものを最大限に尊重して、希望にかなった講習を受けてもらうようなことを配慮してあげなきゃいけないというふうに思うんですけれども、研修の選択について、負担の軽減も含めて、どのように文科省の方で御認識されているのか、お聞かせいただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの免許更新講習につきましては、対面で行われる講習については、従来より、講習の受け入れ定員が限られているところから、希望者が集中した場合に応募した講習を受講できないことがあるということは承知しております。

 こうしたことから、文科省といたしましては、受講者が希望する講習を確実に受講できるようにするために、今年度から通信、放送、インターネットを活用した免許更新講習を開設する大学などに対する補助を開始いたしました。例えば、愛媛大学におきましては、この補助金を活用して、人気のある対面講習をインターネット講習として配信するような取り組みを進めております。

 また、僻地など大学が近隣にない地域で行われる講習、商業、水産、特別支援教育など対象教員が少数の教科等に対応した講習につきましては、受講者に過度な費用負担が生じないように、講習の開設経費の一部を補助することによって、全国でおおむね一定程度の費用負担となるように努めているところでございます。

 今後とも、これらの取り組みを通じまして、受講者の方々が講習を受講しやすくなるような環境整備に努めてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 講習を受ける先生の立場に立って、最大限の配慮をお願いしたいと思います。

 では、法案に少し戻りますけれども、横浜市や東京都などでは、退職した先生を再任用して新人の先生をサポートするなどの取り組みがあるとお聞きをいたしました。

 私は、子供や学校、地域の状況というのはそれぞれかなり状況は違っているだろうというふうに思うのですけれども、今般定める国の指針というものが、何か国家的に一律的に網をかけるような、地域の実情を奪うようなことになってはいけないのかなというふうに思っておりますけれども、これに関する文科省の御認識をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学大臣が定める公立学校の教員等としての資質向上に関する指標を策定するための指針につきましては、この法案の成立後、教育委員会など学校関係者の意見も踏まえながら策定してまいりたいと考えておりますが、この指針はあくまでも、任命権者が各地域の状況を踏まえて指標を策定する際の大綱的な指針でございます。

 したがいまして、委員の御指摘のとおり、各地域の状況を踏まえての指標の策定というふうになってまいりますので、指針は大綱的な性格であるということでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 もう一点、懸念をちょっと質問させていただきたいと思います。

 各協議会で事細かに統一した指標というものを策定する場合もあり得るかと思いますけれども、地域の特性への配慮というのが十分にされない懸念というのも一方であるというふうに、私はそういったお声にも触れました。

 私は、その地域や学校における現場の課題を捉える場合には、さまざまな関係者の方の声をしっかり聞いて検討していかなければならないというふうに考えておりますけれども、文科省の認識を伺いたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの協議会につきましては、教員の養成を担う大学と、採用後の教員の資質向上を担う教員等の任命権者である教育委員会の関係者から組織されるものでございまして、大学と教育委員会が協働して教員の資質向上のビジョンづくりを行うとともに、教員の資質向上について協力体制を築くことを目的としているものでございます。

 他方、地域における課題や学校現場の状況を協議会における協議に反映させることは、当該地域にふさわしい指標を策定するためにも重要と考えております。

 このため、各協議会の運営に当たりましては、学校現場の課題をしっかりと踏まえた協議がなされるように、各任命権者において必要な運用上の工夫を検討していただきたいと考えております。

吉田(宣)委員 よろしくお願いいたします。

 もう一点、懸念です。

 この指標というものが研修の目安となるというふうなことが中教審の答申に書かれておりました。これが単に先生の評価というふうなことに陥ってしまったら、私は本末転倒だと思いますし、本来の目的が達成されないというふうに考えておりますが、そのような懸念に対してはどのようにお答えされますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 教員の任命権者が策定する資質の向上に関する指標につきましては、教員の資質の向上を目的として、職責、経験及び適性に応じて教員が将来的に身につけるべき資質を規定するものでございます。

 他方、教員の評価につきましては、地方公務員法の規定に基づいて行われる人事評価の仕組みの中で実施されるものでございまして、教員がこれまでその職務の遂行に当たって発揮した能力を見る観点から行われるものでございますので、この両者は、その目的あるいは趣旨が異なっているものでございます。

吉田(宣)委員 先ほど申し上げたような心配はないというふうに理解をさせていただいたところでございます。

 関連して、またお伺いしたいと思います。

 この答申では、学校のインターンシップ制の導入も提言をされておりました。現在、教育実習は教員の免許取得というものに必要でございますが、しかし、現場の実情を知るには、その教育実習の期間というのはやはり短いのではないかというふうな御意見もあるところだと思っております。この点、インターンシップ制についての導入を文科省としてはどのように考えているのか。

 また、現行制度では、教育実習や教育実践演習については、法律事項ではなくて、教育職員免許法施行規則で定められているというふうに承知をしております。

 これらの実習、演習と学校のインターンシップ制度の義務化も今後検討すべきではないかというふうな御意見もお聞かせをいただいたところでございますが、この点に関する見解を求めたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 学生が長期間にわたり継続的に学校現場での活動を体験することは、学生が学校現場をより深く知ることができるとともに、実践的な指導力を育成するという観点で有効であると考えております。

 こうしたことから、昨年十二月に取りまとめられました中央教育審議会の答申におきましては、教職を目指す学生が、一定の期間にわたり学校現場において授業や学校行事、部活動に関する支援、あるいは補助業務を行う機会を充実するために、学校インターンシップを教職課程に位置づけて、単位として認められるようにするということが提言されたことは、委員御指摘のとおりでございます。

 一方、この答申では、学校インターンシップの実施に当たりましては、既存の教育実習との間で役割分担の明確化を図ること、円滑な実施に向けた受け入れ校の確保や実施内容の検討、学生に対する事前及び事後の指導の適切な実施などの環境整備について今後十分に検討することが必要であることから、一律に義務化はせず、各大学の判断により教育実習の一部に充てられるようにするということが提言をされています。

 文部科学省といたしましては、この答申を踏まえて、まずは各大学の判断で学校インターンシップを実施できるようにする方向で検討を進めまして、その必修化につきましては、今後、大学の実施状況等を踏まえながら議論を行ってまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 この義務化の是非はさておき、やはり学生のうちに実際に仕事を経験しておくことの意味合いというのは大きいかと思います。ぜひ、教師になりたい学生の立場に立って、さまざまな観点からの検討をお願いしたいと思います。

 次に、OECD、経済協力開発機構の調査によれば、日本の先生の勤務時間が参加国中の調査で一番長いというふうなこと、これは委員の皆様も御承知のことかと思います。特に、部活の時間が大きな負担にもなっているというふうに承知をしておりますが、学校の先生の勤務時間についてどのような認識をお持ちになっておられるか、ここは樋口政務官にぜひお答えいただきたいと思います。

樋口大臣政務官 お話のありましたとおり、今日の学校を取り巻く環境は複雑化、困難化をしております。貧困問題への対応や保護者等からの要望への対応など、学校に求められる役割も拡大をしています。また、教育の質の向上のための授業革新や、さまざまな教育課題への対応も求められているところであります。

 平成二十六年度に公表されました中学校教員を対象としたOECD国際教員指導環境調査の結果等において、吉田委員御指摘のとおり、我が国の教員の長時間労働の実態が示されていると認識をしております。

 中学校教員で一週間当たりの平均勤務時間は、参加国平均が三十八・三時間であるのに対し、我が国日本は五十三・九時間で、調査に参加している国・地域の中で最長であります。特に、一週間当たりの勤務時間に占める部活動などの課外活動の指導時間は、参加国平均が二・一時間であるのに対し、日本は七・七時間と特に長くなっております。

 このように、教員の長時間労働に支えられている状況は既に限界に来ていると認識をしておりまして、教員の業務負担の軽減を図り、子供と向き合う時間を確保することは喫緊の課題であると認識をしております。

吉田(宣)委員 その認識は私も全く共有をさせていただいているところでございますが、では、改善する方策というものも、これは大切になってこようかと思いますけれども、文部科学省においてその考えがあるのでしょうか。樋口政務官、またお願いいたします。

樋口大臣政務官 複雑化、困難化する学校現場の諸課題に対応し、教員が子供と向き合う時間を確保するためには、学校指導体制の整備とあわせて、学校現場の業務の適正化を図ることが重要であります。

 このため、省内に設置したタスクフォースにおいて、学校現場における業務の適正化に向けた報告を本年六月に取りまとめて、各教育委員会に周知を図ったところでございます。

 本報告では、具体的な改善方策として、教職員の業務の見直しや統合型校務支援システムの整備など教員が担うべき業務に専念できる環境の整備、休養日の設定の徹底などの部活動の適正化、勤務時間管理の適正化や教職員の意識改革の推進等を示しており、平成二十九年度概算要求に所要の経費を計上したところでございます。

 また、総理が開催をする教育再生実行会議においても、教師の働き方や業務のあり方も含め、学校、家庭、地域の役割分担と教育力の充実について新たなテーマとして取り上げ、精力的に御審議をいただく予定となっております。

 文部科学省としましても、これらを踏まえつつ、学校現場における業務の適正化を着実に推進することを通じ、学校教育全体の質の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 学校の先生が大変な思いをして今仕事に取り組まれておることを我々はしっかり共有して、その改善に努めていきたいというふうに思います。

 せっかくの機会なので、臨時採用の先生についても一問だけお聞きをしたいと思います。

 臨時採用の先生というのは、本採でございませんので、初任者研修も十年研修もないというようなことでございますけれども、こういった方々も、児童生徒にとってみれば、先生は先生である、そういった点では変わらないというふうに思っております。

 そういった意味からは、こういった方々への研修の機会の確保というのも私は必要ではないかと思いますけれども、文部科学省の見解をお聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の臨時的任用教員につきましては、臨時的に任用された後、中長期にわたって教員として勤務することがあらかじめ想定されていることではないところから、従来より、教育公務員特例法に規定する初任者研修や十年経験者研修などの研修の実施義務の対象からは外されているところでございます。

 今般、新たに規定する資質の向上に関する指標や教員研修計画につきましても、こうした従来の法的な整理に沿いまして、臨時的任用教員はその対象外とすることとしております。

 一方で、臨時的任用教員の研修も重要であるという認識のもと、各都道府県、指定都市の教育委員会の約九割程度におきましては、それぞれの地域の教育センターや大学と連携して、臨時的任用教員を対象とする研修を実施しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、オンライン研修の普及、各教育委員会の好事例の情報提供を通じまして、臨時的任用教員の研修機会の確保に資する取り組みを今後とも進めてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 今の御答弁だと、国の役割というのは若干少ないのかなと思いますけれども、今ある制度の中でまたしっかり実施している自治体があるのであれば、それをしっかりバックアップしていっていただきたいというふうに思います。

 あと一問、せっかくの機会なので、また質問させていただきますが、教育職員免許法改正案について一問だけお聞きしたいと思います。

 小学校において平成三十二年度から導入される次期学習指導要領の中で、小学校五年生、六年生における外国語の教科化、外国語の教育の改善充実を図る方向で検討が進んでいるというふうにお聞きをしております。

 本法案では、各学校が特別免許状を活用した効果的な外国語教育を行えるように、その対象に小学校の外国語を追加するというふうにしておりますけれども、これに加えても、しっかりとした体制というのを私はとっていただきたいというふうに思っておるんですけれども、文科省の見解をお聞きしたいと思います。

藤原政府参考人 小学校における外国語教育の教科化に対応するためには、現職教員が研修等の機会を活用して指導力を向上させるとともに、効果的な教材開発や指導体制の構築等によって、十分に指導力を発揮するための環境を整備することが不可欠でございます。

 このため、文部科学省におきましては、現職教員が外国語の指導力に関する専門性を高めることができるように、各地域で研修講師や助言者としての役割を担う英語教育推進リーダーや、各学校で指導の中核となる教員の養成、また、小学校の現職教員が中学校外国語の免許状を取得することのできる講習の開発、実施などを支援しております。

 また、現職教員が十分に指導力を発揮できるように、ICTの活用を含め、柔軟なカリキュラム設定を行うことが可能となる新教材の開発、さらには専科指導のための教職員定数の措置、また、外国語指導助手、ALTや、英語が堪能な外部人材の活用などに取り組んでいるところでございます。

 文部科学省といたしましては、小学校における外国語教育の教科化を円滑に実施するために、各教育委員会とも連携しながら、教員の指導力向上や、それを支える環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 よろしくお願いいたします。

 最後にお聞きをいたします。

 学校の先生を取り巻く環境というものは、非常に複雑化もしており、変化もしており、課題が多い、そういうふうな認識を持っております。地域によっても状況は違うし、学校の先生の負担というのは非常に大きい、役割も重要である。

 先ほど冒頭に申し上げたとおり、教育というのは、私は、日本の柱であるというふうに認識をさせていただいております。日本の将来を担う、また財産でもあろうかというふうに思います。

 私は、この現状の変化、さまざまな複雑化、そういったものをやはり正確に捉えて機動的に対応していくことは、これからますます重要になっていくだろうと思っております。

 その意味で、国として、現場の声を十分に聞いていくこと、こういった姿勢が私は求められると思っておりますし、制度改正とともに、必要な財源措置というのは積極果敢に取り組んでいかなければいけないことであろうと思っております。

 以上の質問をお聞きされて、ここで松野大臣の受けとめを最後にお聞かせいただいて、私の質問を締めさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 吉田委員の御質問をお伺いして、学校現場から、また教室の視点からの多くのお話をいただき、それぞれの御指摘は極めて重要だと感じております。

 そして、それに対して文科省が今後どう対応していくかということであり、また環境整備を進めていくかということでございますが、学校現場における喫緊の課題に対応するために、教員の資質向上とあわせて、チーム学校の推進や学校現場の業務改善等の取り組み、次世代の学校に必要な指導体制を構築することが重要だと考えております。

 学校現場の実情にさらなる対応が必要な課題を踏まえ、平成二十九年度概算要求においては、小学校専科指導やアクティブラーニングの視点からの授業改善、発達障害等の児童生徒への通級による指導や外国人児童生徒等教育の充実、指導教諭の配置促進やチーム学校の実現に向けた基盤整備などによる「次世代の学校・地域」創生プランの推進などに向け、「次世代の学校」指導体制実現構想を策定し、教職員定数の改善要求をしております。

 文部科学省といたしましては、学校現場を支援し、子供たちの教育現場を充実していくために、必要な教職員定数の確保、充実に向けて全力で取り組んでまいります。

吉田(宣)委員 力強い御決意、ありがとうございました。

 私も、学校のあり方、また学校の先生の立場に立って、また生徒の、子供の立場に立って全力で取り組んでまいりますこと、このことをお誓い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時六分散会


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