衆議院

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第4号 平成28年10月28日(金曜日)

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平成二十八年十月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 長島 昭久君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    安藤  裕君

      池田 佳隆君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      田野瀬太道君    谷川 とむ君

      辻  清人君    冨岡  勉君

      馳   浩君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      松本 剛明君    宮澤 博行君

      青柳陽一郎君    坂本祐之輔君

      高木 義明君    平野 博文君

      牧  義夫君    笠  浩史君

      樋口 尚也君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      伊東 信久君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   内閣府副大臣       水落 敏栄君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (内閣官房教育再生実行会議担当室長)       藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     辻  清人君

  下村 博文君     宮澤 博行君

  太田 和美君     青柳陽一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     神山 佐市君

  宮澤 博行君     下村 博文君

  青柳陽一郎君     太田 和美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 教育公務員特例法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、教育公務員特例法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房教育再生実行会議担当室長藤原章夫君及び文部科学省初等中等教育局長藤原誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。

 委員会におきまして、大概、社民党の吉川先生とともにラストを押さえているんですけれども、本日はトップバッターですので、張り切ってまいりたいと思います。

 それでは、教育公務員特例法等の一部を改正する法律案に関しての質疑ですけれども、この法案というのは、目的としては教育の質の向上と理解しておりますので、そういったことをテーマに質問させていただきたいと思っているんです。

 まず、昨年の十二月ですけれども、中央教育審議会から三つの答申が出ました。教員の資質向上に関する答申、チーム学校に関する答申、学校と地域の連携、協働に関する答申がそれぞれ出されています。

 こちらにおられる馳前文部科学大臣がことし一月に「次世代の学校・地域」創生プランを、それを受ける形で決定していると認識しております。これからの時代に必要な教育を見据えた上で、文科省が進めるべき施策に関してアクションプランという形で決定したと思いますけれども、本日の審議するべき法律に極めて関係の深いプランであると思います。

 まず最初に、このプランに関しまして、松野大臣にその概要をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 おはようございます。

 学校の抱える課題が複雑化、多様化している中、学校と地域が相互にかかわり合い、諸課題を克服していくことが重要です。

 このため、文部科学省では、本年一月に「次世代の学校・地域」創生プランを策定いたしたことは、伊東先生から今御紹介をいただいたとおりでございます。

 その内容は、地域と学校の連携、協働に向けた改革、二つ目が、学校の組織運営改革、チーム学校と称しております、三つ目が、教員制度の一体的改革でございまして、これら三つを統合的、一体的に推進していくこととしております。本プランに沿って、現在、関連制度の改正等の施策を順次実施しております。

 今回の法改正に関しましては、本プランの教員制度の一体的改革の中で、教員の資質向上を目的とする法改正について措置するものであります。

伊東(信)委員 大臣に御答弁いただいたんですけれども、今回の法案というのは、このプランのうちの教員制度の改革について政策の具現化を図るものであると思いますし、大臣の答弁からもそのようにうかがえるんです。

 今回の法律案というのは、教育公務員の特例法、教職員の免許法、独立行政法人教員研修センター法の三つの法律の改正案を提出する旨が明記されておりまして、このことによって教員の養成、採用、研修の一体化を図ろうというのはよく私も認識しておるんですけれども、しかしながら、今般提出された法律案、これらの三つの法案を一括して改正する内容になっておりますけれども、個別に提出するのではなく、なぜ一括して改正する必要があるか、その趣旨を改めて松野大臣にお伺いしたく思います。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案は、委員御指摘のとおり、教育公務員特例法、教育職員免許法及び独立行政法人教員研修センター法の三つの法律を改正する内容となっております。

 これら三法の改正内容は、昨年十二月に取りまとめをいたしました中央教育審議会答申を踏まえまして、教員の資質の向上を図る観点から、養成、採用、研修を通じた一体的な改革を目指すものでありまして、そのために、今回はこの三法を一括して改正するものでございます。

 具体的には、教員の養成、採用、研修、それぞれの観点から、まず第一に、教育公務員特例法の一部改正におきましては、任命権者に対して、大学等と協議会を組織し、文部科学大臣が策定する指針を参酌した上で、公立学校の教員としての資質の向上に関する指標を策定し、この指標を踏まえて研修計画を定めることを義務づけることであります。

 次に、教育職員免許法の一部改正に関しましては、科目区分を大くくり化することによって、教員養成段階において機動的、弾力的に新たな教育課題に対応するための教職課程の改善を図ることでございます。

 また第三に、独立行政法人教員研修センター法の一部改正でございますが、教員等の任命権者が資質に関する指標を策定する際には、専門的な助言を新しい法人、すなわち教職員支援機構が行うほか、教員採用試験に係る課題を含め調査研究を行うことなどとしておりまして、これら三法を一括して法改正を行うことで、教員の資質向上を効果的に図ってまいる所存でございます。

伊東(信)委員 いろいろな方法論があると思いますし、目的として教員の資質向上というのはよくわかるんですけれども、果たして、丁寧に一つずつの法案を審議した方がいいのか、それとも、三つまとめて一括してやった方がいいのかというのは、これから答えが出るとは思うんです。

 それでは、この法案の細部の中で教職員の免許法の一部改正のことについても触れていると思うんですけれども、言うまでもなく、教職員というのは、子供たちの勉強、単なる科目としての勉強を教えるだけでなく、子供たちの人格形成において大きな影響を与える極めて大事な、重要な職業であると思いまして、特に、近年の子供たちをめぐる課題というのは、いじめの問題、不登校の問題、考えてみれば昔からあったのかもしれないし、あったのでしょうけれども、ただ、年月がたっても解決されることなく、やはり社会的な状況を考えると、かなり深刻な状況になっているのではないかと思います。

 子供たちをめぐる課題というのは、ますます複雑化し、多様化しておるわけですね。これらの課題を解決し、かつ学校が信頼される、そういった学校づくりのためには、やはり教職員、厳しいようですけれども教職員の皆さんにはしっかりした資質を備えていただきたい。

 その意味で、現在大学において行われている教員養成というのは極めて重要でありまして、学校現場で現に生じている課題に対しても真に対応した教員養成への改善を図ることが急務だと思うんですけれども、その中で、今回の法案にありますように、この教育職員免許法の改正において大学の教員養成課程を見直しておりまして、やはり印象としては教職課程のいわゆる大くくり化を図っているように思うんですね。

 私が申し上げるような課題に、子供たちの環境の課題の複雑化、多様化にこの大くくりで果たして対応できるのか、教職課程の改正は大くくり化を図ると私は理解しているんですけれども、改めて、その趣旨、目的についてお伺いしたいと思います。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の教育職員免許法におきましては、免許状の授与を受けるために修得が必要な科目といたしまして、大学レベルの学問的、専門的事項について学ぶ教科に関する科目、それから、児童生徒への指導法等について学ぶ教職に関する科目などの区分が設けられておりまして、その区分ごとに単位数が規定されているところから、新たな教育内容について教職課程につけるようにしようとしても、機動的、弾力的な教職課程の改善を行うことはなかなか難しい状況でございました。

 こうした点を踏まえつつ、今般、アクティブラーニングによる授業改善や、ICTの利活用の促進、道徳教育、特別支援教育の充実といった新たな教育課題への対応が求められていることも踏まえまして、教育職員免許法に規定する科目区分を大くくり化することにより、こうした課題に対応するための教職課程の改善を図ることが可能となるものと考えております。

 さらに、科目区分を大くくり化することによって、これまで、教科に関する科目として取り扱われてきた大学レベルの学問的、専門的事項と、教職に関する科目として取り扱われてきた児童生徒への指導法等について一体的に取り扱うことが可能となり、より実践的な指導力のある教員を養成することが可能となると考えております。

伊東(信)委員 私自身は、今も年に一、二回、大学で教えたりすることもあるんですけれども、大学での教育と、また初等教育、中等教育、幼児教育、違うと思います。

 先ほどの答弁の中に、専門性と、いわゆる現場の教育との違いがある、乖離があると認識されているというぐあいに受け取ったんですけれども、そのことに関してはさらに後の質問でやらせていただきたいと思うんですが、前提として、やはり子供たちの教育をめぐる環境というのは、ずっと申し上げていますように、十年前、二十年前と比較すると複雑化し、多様化しているというのは否めないと思います。

 大学での教育で新たに教職員を養成して、そのまま学校に教員として赴任して、さらにチェックをして研修をする、これは非常にすばらしいことだと思うんです。

 ただ、一方で、私はラグビーをずっとやっていますのでどうしてもラグビーの練習に例えてしまうんですけれども、強いチームと弱いチームと両方に所属したとき、どこが違うかと考えたら、強いチームというのは、無駄なことを全て省いて、非常に短時間に集中してやることができて練習に集中ができるという意味では、各選手の負担というのが減っていたんですね。負担が減るからこそ広い範囲もカバーできるという感じで受けたので。

 何が言いたいかといいますと、教職員の皆さんが過度に仕事量がふえて疲労しているのであれば、子供たちのいわゆる教育を均等に受ける権利にも悪い影響を与える、そういった懸念があると考えます。

 ここで質問させていただきたいことは、十年前、二十年前と比較しまして、教職員の仕事量というのは果たして増大しているのかどうか。その検証を政府として行っているのであれば、もし検証されているのであれば、その検証結果というのをお教えください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今日の学校を取り巻く環境は複雑化、困難化しておりまして、貧困問題への対応や保護者等からの要望など、学校に求められる役割も拡大しております。また、教育の質の向上のための授業革新やさまざまな教育課題への対応も求められております。

 また、平成十八年度に文部科学省が実施した教員の勤務実態に関する調査によれば、教員の一カ月当たりの平均残業時数は、平日、休日を合わせて約四十二時間でありまして、これは昭和四十一年度の結果に比べましておよそ五倍となっておりまして、教員の長時間勤務の実態が明らかにされております。さらに、勤務時間が増加した主な業務としては、生徒指導、部活動、あるいは事務的な業務等となっております。

 文部科学省におきましては、教育政策に関する実証研究の一環として、今年度から教員の勤務実態の実証分析を開始しているところであります。さらに、教員の業務負担軽減のため、省内に設置したタスクフォースにおいて、部活動における休養日の設定や教員の業務の見直しを初めとする業務の適正化に向けた報告を本年六月に取りまとめまして、各教育委員会に周知を図るとともに、平成二十九年度概算要求に所要の経費を計上しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、学校現場における業務の適正化を着実に推進していくことを通じまして、学校教育の質の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 これは難しいところなんですね。いわゆる部活動というのは、授業が終わった後にもちろん始まるわけで、練習だけじゃなくて、試合ともなれば、土曜日、日曜日も潰れてしまい、祝日も潰れてしまいますし、はたまた合宿練習、いろいろな強化で夏休みとか長期の休みも潰れてしまう可能性もあります。

 ただ、学校でのいわゆる授業だけでなく、クラブ活動、部活動というのは、子供たちのいわゆる教育という面では非常に大きな割合を占めていることも事実でありまして、私自身の質疑の趣旨としては、そのクラブ活動の負担をあえて減らす方向に持っていきたい、そういった趣旨ではないということはわかっていただきたいわけなんですね。

 先ほどの答弁の中にありましたように、授業があって、クラブ活動があって、それ以外の指導の中で、やはり複雑化、多様化する子供たちの教育の責任はもちろん、いわゆるいじめ、不登校の深刻な状況を改善する、いろいろなプレッシャーというのが教職員の皆さんにかかっているのは容易に想像できます。加えて、多様化した保護者の皆さんへの対応、そして教育委員会への報告関係。想像するにも、実は私の弟は教職員免許を持っているんですけれども、初等教育ですけれども、弟とディスカッションしても出てくるのは、やはり精神的な負担がだんだんだんだん、ますます負担が大きくなってきているのではないかということです。

 やはり児童の人格形成におきまして、教職員のメンタルヘルスというのはかなり影響を与える、子供たちの人格形成にも非常に影響を与える重要な問題と認識しております。

 公立学校の教職員の精神疾患による休職者の推移を見ますと、平成十二年度、十年以上前ですけれども、在職者に占める割合が〇・二四%、人数にして二千二百六十二人だったんですね。そこから十年たてばどうだったかということで、平成二十二年を見ると〇・五九%、二倍になっているわけです。一%を切っているわけなんですけれども、人数にすると五千四百七人の方ですね。つまりは、この五千四百七人の教職員の方がメンタルヘルスが損なわれている、精神疾患によって公立学校の教職員の方が休職しているという事実なんですね。

 二年前の平成二十六年では〇・五五%、五千四十五人、わずかには減っているんですけれども、どうでしょう、統計学的にも改善されているとは言いがたいわけです。

 精神疾患による休職者、私は医師ですので、精神疾患といいましてもいろいろな分野があるというのはわかっているんですけれども、今はちょっと、あえてその詳細は述べませんが、では、政府の方で、この詳細、内容の分析というのは果たしてやられているのでしょうか、お答えください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの教職員の精神疾患につきましては、文部科学省におきまして、平成二十五年の三月二十九日に教職員のメンタルヘルス対策検討会議が最終まとめをして、その背景について分析をしているところでございます。

 この検討会議のまとめによりますと、教職員の精神疾患の背景につきましては、教職員の業務量の増加あるいは教職員の業務の質の困難化、教諭間の残業時間のばらつき、業務改善や職場のコミュニケーションの状況に関して校長などとその他の教職員との間で認識のギャップがあるなどの分析がなされているところでございます。

伊東(信)委員 どうでしょう、それで、休職された先生方というのはきちっと分析されていると思われるんですかね。

 分析の詳細についてというのは、各専門家の話もあると思うんですけれども、それでは、その改善方法というのは検討されているのでしょうか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、教員のメンタルヘルス対策の充実、推進を図ることが喫緊の課題であると考えておりまして、これまでも、各教育委員会に対して、教員本人のセルフケアや管理職等によるケアなどの予防的な取り組みや、試し出勤等の復職支援に係る取り組みなどを通した対策の推進、ストレスチェック制度の実施を含む労働安全衛生体制の整備等の指導を通知などによって行っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、ストレスチェック制度の実施を含む労働安全衛生体制の整備の普及啓発のためのリーフレットの作成及び配布を行っているほか、公立学校における労働安全衛生体制の整備状況に係る実態調査などの具体的な取り組みを行っているところでございます。

伊東(信)委員 実態調査もいいんですけれども、本当に、私は理系の中でも医師でありますので、我々は診断をするわけですけれども、最終的に診断が正しいかどうかは、治療ができてこそ診断が正しいと思っておるわけなんですね。ですので、やはり出口ということをどうしても考えてしまうわけです。

 これは教職員の方の問題だけではなくて、教職員のメンタルヘルスが、すなわち、即いわゆる児童生徒にかかわってくるということなんですね。

 その中でも、多様化しているいろいろな教職員のストレスの中にも、そして子供たちにも深刻な問題になっているのは、いじめ、不登校の問題がやはりあると思うわけです。

 このいじめの問題も、直接いじめを訴えなくても、そうかもしれない状況に気づいてあげる、早期に認知ができるということも、教員の重要かつ必要な資質だと思います。

 先ほど、医師であるので治療するのが大事だと言いましたけれども、やはり重症化するよりも、早期発見、早期治療というのが基本ではないかと病気の世界でも思うわけなんですけれども、いじめに対する早期発見というのは、児童に対しても教職員に対しても非常に大事で、有効なことだと思うんです。

 平成二十五年に、馳前文部科学大臣が座長となっていただいて、いじめ防止対策推進法というのが制定されまして、私もその実務委員会に入っていたんですけれども、そのときに私が特に意見させていただいたのは、今の趣旨に基づいて、いじめ問題の早期の認知について、ネガティブに捉えるんじゃなくて、それを早期発見した、問題解決のために意識を持って早期に認知したということでプラス評価をするべきだと申し上げさせていただきました。

 その結果、平成二十七年の八月十七日付の文部科学省の通知の中で、「文部科学省としては、いじめの認知件数が多い学校について、「いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立っている」と極めて肯定的に評価する。」と言っていただき、「各教育委員会等は、学校や教職員の評価において、「積極的にいじめを認知し、適切に対応すること」を肯定的に評価する必要がある。」と全国の教育委員会及び自治体、関係する諸団体に伝えています。

 さて、現状はどうかということですけれども、このいじめの認知をプラス評価とするという認識というのは、現場において果たして徹底されているのでしょうか。

 私自身が相談を受けたお子さんというのは、やはり学校内のいわゆるいじめによるトラブルで、苦渋の決断で転校されたようです。この事例というのは、我々で調べましたけれども、教育委員会には報告はされていませんでした。

 一つの事例を見逃したことで何か糾弾したいというわけではございません。しかしながら、原因の一つに、教職員がこの問題の改善、解決、書類の作成までをしているというのが現実あるわけですよね。改善して、解決して、書類の作成をしている。これが、先ほどの質問にも関連するんですけれども、仕事の量が増加する、では、報告するよりも、見ないふり、目をつぶった方がいいと判断されたのかもしれないと思うわけです。

 こういったことを申し上げる統計的なエビデンスとしまして、千人当たりのいじめの認知件数を都道府県別に見ますと、平成二十六年度におきまして、千人に対して京都が八十五・四件、いじめの認知件数。佐賀県が二・八件、三件以下。かなりの差があるんですね。三十倍あるわけです。平成二十七年度においても差はないんですよ。

 文科省において、これほど差があるということに対して、果たして検証はされているのか。ポジティブに捉えるのであれば、京都の八十五・四件というのは、よくぞたくさん発見したということになるわけなんですけれども、京都府の教育委員会は果たしてこれをどのように評価されているんでしょうか、文科省の把握している状況をお聞きしたいと思います。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 いじめは、どの学校におきましても、またどの子供においても起こり得るものでございまして、文部科学省は、学校現場に対して、いじめの認知件数が多い学校については、いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けて取り組みのスタートラインに立っていると、極めて肯定的に評価する旨を各都道府県教育委員会に対して周知しているところでございます。

 また、学校評価や教員評価におきまして、いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく、いじめの早期発見、組織的な取り組みなどを評価するように促してまいりました。

 平成二十七年度のいじめの認知件数は、調査開始以来最も多くなっておりまして、初期段階のものを含めたいじめの早期発見が、学校現場で積極的に行われてきたものと認識をしております。

 引き続き、文部科学省といたしましては、いじめの早期発見が進み、認知件数が多くなることを肯定的に評価することの周知、教員評価において、いじめの未然防止、早期発見等の取り組み状況を評価するように促すなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 本当に具体的なこと、京都のことはどうだったのかという答弁がなかったんですけれども、実は、三年目を迎えて、このいじめ防止対策推進法の検証をするということになっておりまして、十一月の中旬にその報告を受けます。

 そこで、時間も限られていますので、委員長は必ず時間を切ってきますので、きちっと時間どおりに終わりますので、ちょっと次の質問に移りたいと思います。

 次に、いわゆる職員の資質向上についてなんですけれども、今までは、あえて教科のことに触れなかった、かつ公立の学校を対象にお話しさせていただいたわけですけれども、教育を担うというのは、何も公立の学校の先生だけではありません。私立学校の場合は法体系が異なりますので、そのまま公務員の特例法を私立学校に当てはめるというのは適切ではないと思いますけれども、しかし、私立の学校もいわゆる教育を担っており、子供たちの教育を受ける権利の観点を考えますと、私立学校の教員の資質の向上も、当然のこと、図るべきと思います。

 さて、私立の生徒の皆さんは、自分たちで選んでいるというわけではないんですね、私立学校といえども。そのことを考えますと、私立でも公立でも、教職についている全ての人に資質を向上させるように、教育格差が生じないようにするためにも、公立ばかりに重点化すると、今度は、私立学校の独自性もあると思いますけれども、文部科学省としては、私立は知らぬというんじゃなくて、私立の教員の資質向上についてはどのように図っておられるかというのをお教えください。

樋口大臣政務官 私立学校においては、建学の精神に基づき特色のある教育が行われており、教員の資質向上についても、これまで、各学校において校内研修や関係団体による研修が実施されているものと認識をしております。

 伊東先生御指摘のとおり、今回の教育公務員特例法は、公立学校の教員を対象としており、私立学校の教員については今般の制度改正の対象となっておりません。

 一方で、私立学校についても教員の資質向上は重要な課題であると認識をしておりまして、現在でも、独立行政法人教員研修センターにおいては、国公私の設置形態を問わず研修に参加をしていただいており、引き続き、法改正後の教職員支援機構においても、私立学校の教員に対してできる限り参加をしていただくよう働きかけを行い、私立学校の教員にとってもより有益な研修の企画、実施になるように努めてまいります。

 さらに、文部科学省においては、研修を含む教育の質の向上に資する取り組みへの支援を行ってまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 樋口政務官、ありがとうございます。

 樋口政務官とは大阪で御一緒していますので、引き続き、では、大阪を題材にして私立学校の話をさせていただきたいと思うんです。

 私の選挙区の枚方市、交野市にも私立学校がありまして、交野市には関西創価高校という高校がありまして、枚方市には東海大仰星、啓光学園という、ラグビー、スポーツの非常に強い学校があって、いわゆる私立学校の独自性としては個性を発揮できているとは思うんですけれども、大阪全体を見ると、やはり公立の学校、高校に本当は行きたかったんだけれども、学力的に行けなかった、私立学校が受け皿にある、しかし私立学校も授業料の問題で行けなかったということに対して、大阪府は、高校の無償化を実質的に実現し、公立だけでなく私立学校の高校に対しても無償化しています。この取り組みを政府が主導して全国に広げていただきたいと思っているんです。

 政府も、文部科学省が来年度の概算要求において、私立中学校に通う児童生徒の授業料負担の軽減を計上していると聞いております。さまざまな事情から低所得の世帯においても私立学校を選択する場合があることを踏まえた措置が必要だと考えておるんですけれども、改めて、文科省の本事業に関して新規で要求している意図や狙いについて、樋口政務官にお尋ねしたいと思っております。

樋口大臣政務官 伊東先生、ありがとうございます。

 私立の中学校そして小学校に通う児童生徒への授業料の負担の軽減について、概算要求で十三億円弱要求をさせていただいているところでございます。これは、私立中学校また小学校に通う児童が安心して教育を受けられるように、低所得者を中心に授業料への支援を行うということで、今、五百九十万円以下の方、三百五十万円から年収五百九十万円の方には年額十万円、二百五十万円から三百五十万円は十二万円、そして非課税世帯には年間十四万円という要求をさせていただいているところでございます。

 抜け落ちている支援ということについて、何としても頑張って取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ、先生方のまた御協力を賜りたいと心からお願いを申し上げます。

 ありがとうございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。樋口先生も本当にこういった教育の問題に対しても御関心を持っていただいて、党を挙げて大阪でも御協力いただいていますので、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 それで、いわゆる教育に携わる、資質の向上ということで本日御質問させていただいて、九時から御質問させていただいているわけなんですけれども、その冒頭の中で、いわゆる教職員の大くくり化の質疑をさせていただいて、その中で、専門性に関しては後ほど質問するとさせていただいたので、今質問させていただきたいんです。

 小学校というのは六年間ありまして、中学校三年、高校三年と教育期間がそれぞれに定められているわけなんですけれども、特に小学校で一定の水準の教育を受ける機会を担保するというのは非常に大事なことなんですけれども、やはり子供たちの成長のスピードというのを考えると、六年間というのは、大人の六年とは違ってかなり長い教育の機会であると思うんです。

 やはり、六年という中で小学校の低学年と高学年というのを一緒に考えるというのは、私の考えでは無理があると思うんですね。

 低学年のうちに、勉強することの意義や楽しさ、難しいですけれども教育を受ける権利を享受していることを、別の言葉で、易しい言葉で子供たちに指導することによって、中等教育、高等教育につながっていく。高等教育を、幾ら私立の学校を無償化しても、子供たちがやはり行かなければ意味がないわけで、それを初期段階で教えるということで、小学校の先生は、我々、僕は大学で教科だけ教えていますけれども、本当にその意味では頭の下がる思いです。

 しかしながら、高等学校になれば、大学側の立場で言って申しわけないんですけれども、やはり高等教育の橋渡しになる基礎学力というのは非常に大事でございまして、その時期において、教育において子供たちの将来の選択肢をふやすという意味では、非常に大事なものだと思います。

 そう考えますと、今回の法案で外国語が正式教科になる。これは私は、個人的には、グローバル化も含めて、いろいろな意味で非常に大事なことだと思うんですけれども、全ての教科で、小学校においても、中学校、高校と同じように科目別の免許制度も、特に高学年においては必要であるかと考えているんですが、そういった検討というのは、文科省の中ではされていたことがあるでしょうか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 小学校において、子供たちに集団や社会とかかわっていく力を育むために、学級担任ができる限り子供たちと触れ合い、一人一人の子供を十分に理解することが重要であることから、学級担任が全教科を指導することが一般的となっておりまして、小学校教諭普通免許状も、教科ごとの免許状とはなっておりません。

 他方、子供たちの興味、関心や能力が多様化する小学校の高学年を中心といたしまして、子供たちに魅力のある授業を展開したり、いわゆる中一ギャップへの対応をするために、小学校において、音楽、理科、家庭、図画工作、算数などの教科で専科担任制の導入が進んでいるところであります。

 こうしたことから、教育職員免許法におきましては、中学校及び高等学校の免許状を有する者は、小学校において対応する教科の指導を行うことを可能とする制度が平成十四年度から設けられておりまして、この制度を活用いたしまして、中学校または高等学校の免許状により小学校において教科を指導する者は、平成二十七年度には全国で六千三百二十六名となっております。

 文部科学省といたしましては、この制度や教科ごとに授与する特別免許状の活用とともに、専科教員の配置の充実などによって、今後とも小学校における専科教育に対応してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。検討されているということで解釈いたしました。

 最後に、あと一分ですので。

 であれば、やはり教育費の負担軽減というのは、経済状況に左右されずに教育を受ける権利を子供たちに保障するということです。これは将来的な貧困問題の解決につながる有益な方法と考えているんですけれども、この教育費負担軽減に関するビジョンを、松野大臣に最後にお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 子供たちの未来が貧困の連鎖により閉ざされることはあってはならず、全ての子供が家庭の経済状況にかかわらず希望する質の高い教育を受けることは、大変重要なことだと認識をしております。

 このため、文部科学省としては、平成二十九年度概算要求において、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育費負担軽減として、幼児教育の無償化の段階的推進、義務教育段階における就学援助の充実、高校生等奨学給付金の充実、大学生等への無利子奨学金の充実や給付型奨学金の創設などを盛り込んでいます。

 これらの取り組みを通じて、子供たちがそれぞれの夢にチャレンジできる社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 時間ですので、終わります。

永岡委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 民進党の菊田真紀子でございます。

 まず冒頭、三笠宮崇仁親王殿下の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 質問に入らせていただきます。

 人口減少、少子化、IT化など社会の変化がますます加速する中にありまして、我が国のさらなる発展と繁栄のためには、一にも二にも教育、人材育成が何より重要であり、我が党は、一貫して人への投資を最重点政策の一つとして取り組んでまいりました。

 学校教育の最前線に立つ教職員が、生きがいとやりがい、自信と誇りを持って職責を全うできるように、我々国会議員も、この国政の場においてしっかりと支援をしていかなければならないと考えます。

 しかし、残念なことに、諸外国と比較をいたしましても、日本の教員は、勤務時間が断トツに長く、多忙をきわめ、子供たちと向き合う時間がなかなかとれない。さらに、この仕事に対して自信を持つことができないというようなことが、さまざま指摘をされています。

 きょうは資料を提出させていただいておりまして、委員の皆様にもごらんをいただきたいと思いますが、せっかく教員になっても中途離職してしまう先生、さらに懲戒処分を受けた先生、後を絶っておりません。

 上段の方は中途離職をした公立学校教員の数の推移でございますが、平成二十五年度では一万二千七百一人、十二年前と比べて約一・六倍にふえています。下の段は私立学校教員の数でありますが、平成二十五年度で四千百八十三人、これも、十二年前と比べまして約一・五倍とふえております。

 二枚目の資料は、さまざまな理由によって懲戒処分を受けた公立学校の教員の数の推移でございますが、依然として毎年千人近い先生方が懲戒処分を受けている、こういう現状でございます。

 大臣は、こうした現状を深刻に受けとめておられますでしょうか。どういう理由、背景があると考えておられるのか、そして文科省としてどのように対応しているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

松野国務大臣 平成二十五年度に行いました文部科学省の調査結果は、菊田委員の方からお示しをいただいたとおりであり、増加傾向であると承知をしております。

 教員の中途離職の理由としては一人一人さまざまな理由があるものと考えますが、いずれにしても、文部科学省としては、一層教職の魅力を高めていくとともに、教員として採用された方が継続して勤務できるような環境整備を進めてまいりたいと考えております。

菊田委員 先ほどの伊東委員の質問にもありましたけれども、離職に至るまでに休職している先生方も非常に多いというわけでありまして、これはしっかりと分析をされて、そして精神的なサポートを含めてこういったことがなくなるように、ぜひ文科省として真剣にお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 それでは、法案について質問させていただきますが、国が策定する指針についてでございます。

 法案が成立した場合、施行日前においても、文部科学大臣はその準備行為として指針を定めることができるとされていますが、どのようなスケジュールで指針を策定されるのでしょうか。

 また、その内容については、価値観の押しつけや地域の自主性を阻害するものになってはならないとする答申を踏まえて、大綱的な内容になるのかどうか、松野大臣に確認をいたします。

松野国務大臣 本法案の附則第二条におきまして、文部科学大臣は、準備行為として、本法の施行前においても、公立学校の教員等としての資質の向上に関する指標を策定するための指針を定めることができるとされております。

 本法案が成立をした場合、指標の策定に関する規定が施行される平成二十九年四月一日以降に各任命権者が速やかに指標を策定できるように、文部科学省としては、教育委員会等や学校教育関係者の意見も踏まえながら、今年度中に指針を策定することを予定しております。

 また、指針はあくまで、任命権者が各地域の状況を踏まえ指標を策定する際の大綱的な指針と考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 続きまして、協議会について御質問いたします。

 例えば横浜市など、現行においても多くの地域で、教育委員会と大学が協議の場を持ったり、独自に指標を策定するところもある中で、なぜ今回、教育委員会と大学等が協議会を設置し、指標を策定することを法制化するのでしょうか。その必要性について御説明ください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 今日、教員の大量採用、大量退職による教員の年齢構成のバランスや経験年数の不均衡によりまして、従来の学校組織においてなされてきたような先輩教員から若手教員への自然な形での知識、ノウハウの伝達ができなくなるなど、教員の資質向上をめぐる環境が変化をしております。

 また、アクティブラーニングの視点からの授業改善など、次期学習指導要領の方向性に沿った教員等の資質、能力の向上を図ることが必要不可欠となっております。

 こうした課題に適切に対処し、全国のどの地域においても新たな時代に対応できる教員等の資質を確保するために、このたびの法案では、各任命権者が教員等としての資質の向上に関する指標を策定することとしております。

 また、効果的かつ効率的に教員の資質の向上を図るためには、採用後の教員の資質の向上を担う任命権者と教員の養成を担う大学がより密接に連携することが欠かせないことから、各任命権者が同指標を策定するに当たっては、大学等と協議会を組織するということにしたわけでございます。

 文部科学省といたしましては、各任命権者が大学等と連携して指標を定め、教員の資質向上を図っていくための仕組みをこの法案によって構築してまいりたいと考えております。

菊田委員 協議会においては、教育委員会や大学等の関係者のみならず、学校現場のまさに最前線で子供たちと向き合っている現職の教員の意見が反映されることが重要と考えますが、大臣の見解をお聞かせください。

松野国務大臣 協議会は、教員の養成を担う大学と採用後の教員の資質の向上を担う教員等の任命権者である教育委員会の関係者から組織をされるものであり、大学と教育委員会が協働して教員の資質向上のビジョンづくりを行うとともに、教員の資質向上について協力体制を築くことを目的とするものであります。

 他方、菊田委員御指摘のとおり、地域における課題や学校現場の状況を協議会における協議に反映させることは、当該地域にふさわしい指標を策定するために重要と考えております。

 このため、各協議会の運営に当たっては、学校現場の課題をしっかりと踏まえた協議がなされるよう、任命権者において、必要な運用上の工夫を検討していただきたいと考えております。

菊田委員 それぞれの地域、それぞれの協議会で、この人選を行っていくということでありますが、私は、先ほど来いろいろお話がありますように、教員の中にも世代間ギャップ、なかなか先輩の考え方がうまく若手に伝わらなかったり、あるいは若手の考えていることが先輩の教員には伝わらなかったり、意思の疎通がなかなか難しい、こういうところもあるわけですので、ぜひ現場の、現職の若い先生方の意見が反映されるような協議会が望ましいのではないか、こんなふうに思うわけであります。

 続きまして、教育委員会等が策定する指標というのは教員の評価や人事に活用されるのかどうか、お聞かせをください。

松野国務大臣 教員等の任命権者が策定する資質の向上に関する指標は、教員等の資質の向上を目的として、その職責、経験及び適性に応じて教員等が将来的に身につけていくべき資質を規定するものであります。

 一方で、教員等の評価は、地方公務員法の規定に基づいて行われる人事評価の仕組みの中で実施されるものであり、教員等がこれまでその職務の遂行に当たって発揮した能力を見るという観点から行われるものであって、両者は、その目的も趣旨も異なるものであります。

 また、人事異動などの教員等の処遇は人事評価の基礎の上に行われるものであり、教員等が将来的に備えるべき資質として定める同指標との関係は、人事評価と同様のものであります。

菊田委員 今大臣から御答弁をいただきました、指標は教員の評価や人事に直接活用されないということでありますので、このことをしっかりと教育委員会等に周知していただきたいと考えるんですが、いかがでしょうか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正で導入する予定の指標と、それから教員の評価あるいはその人事との関係につきましては、大臣から御説明を申し上げたとおりでございます。

 文部科学省といたしましては、この改正法をお認めいただいて成立した暁には、各都道府県、政令指定都市の教育委員会に対しまして施行通知を発出する予定でございますので、その中で、どういう形のものが中身としてふさわしいか、これからよく検討していきたいと考えております。

菊田委員 そこに対する懸念というものがあるわけですね。したがって、今明確に御答弁いただけなくて、ちょっと不満足ですけれども、しっかりと、このことを誤解のないように周知していただきたいというふうに大臣にもお伝えさせていただきます。

 現行の十年経験者研修と、このたびの新たなる名称となります中堅教諭等資質向上研修では、具体的に何がどう変わるんでしょうか。

 十年経験者研修と免許更新講習の実施時期が重ならないことによって、かねてから指摘されてきました教員の負担は解消されるのでしょうか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 十年経験者研修につきましては、在職期間が十年に達した時点での各教員の能力や適性等に応じて任命権者が実施する研修として位置づけられてきたものでありますが、一律にその実施時期を設定するのではなく、各任命権者が体系的な学びの環境を柔軟、適切に築けるような研修とすべきであるとの指摘がなされてきたところでございます。

 このため、本法案におきましては、これまで教員としての在職期間が十年に達した後相当の期間内に受講することとしていた十年経験者研修につきまして、実施時期の大幅な弾力化を図り、実施年次に制限を設けない中堅教諭等資質向上研修に改めることとしております。

 このような改正の結果、これまで免許更新講習と重複しやすかった研修の実施時期につきまして、当該学校や地域の教員の年齢構成を踏まえて調整することが可能となることで、研修や講習の受講に係る過密なスケジュールが緩和されるなど、学校現場における教員の負担軽減の観点から効果ができるものと考えております。

菊田委員 私立学校の教員の資質向上について伺います。

 これは、先ほど伊東委員も質問されておられましたけれども、私立学校に在学する児童生徒の割合は、中等教育学校と高等学校で約三割、幼稚園で約八割に上っています。私立学校が我が国の学校教育の発展に大きく貢献していることは論をまちません。

 先ほどの資料にもお示しをいたしましたが、私立学校教員の中途離職者も増加をしているようでありますが、文科省は私立学校教員の資質向上のための研修についてはどのように考えるのか、お答えをください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 私立学校におきましては、建学の精神に基づき特色ある教育が行われてきておりまして、教員の資質向上につきましても、これまで、各学校において校内研修や関係団体による研修が実施されてきているものと認識をしております。

 委員御指摘のとおり、教育公務員特例法は公立学校の教員を対象としており、私立学校の教員については今般の制度改正の対象とはなっておりません。

 他方、私立学校につきましても教員の資質向上は重要な課題であると認識しておりまして、現在でも、独立行政法人教員研修センターにおいて、国立、公立、私立の設置形態を問わず研修に参加いただいており、引き続き、法改正後の教職員支援機構におきましても、私立学校の教員に対してできる限り研修に参加していただくように働きかけを行い、私立学校の教員にとっても、より有益な研修の企画、実施になるように努めてまいりたいと考えております。

菊田委員 教職員免許法の一部改正について伺います。

 単に外国語に堪能というだけで社会人に特別免許状を与えて教壇に立たせることは、教職に必要な専門的知識や技能を根拠とする教員の専門性を否定することになるのではないかとの意見もあるようですが、松野大臣はどのように考えますでしょうか。見解をお聞かせください。

松野国務大臣 特別免許状制度は、教員免許状を所有していないが、特定の分野について高度の専門性を有し、教員としての熱意を有する社会人等を教員として登用し、学校教育の充実に資することを目的として、昭和六十三年に制度化され、現在、小学校、中学校、高等学校における全教科並びに特別支援学校における自立教科及び自立活動について授与することが可能となっております。

 その授与に当たっては、任用しようとする教育委員会や学校法人の推薦に基づき、免許状授与権者である都道府県教育委員会が行う教育職員検定において、担当する教科に関する専門的な知識経験または技能や、社会的信望と教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を有しているかどうかを確認した上で、あらかじめ大学の学長や学校の校長等の有識者の意見を聞いた上で、合格した者に対して授与することとされております。

 このような適切な手続を経て、専門性や資質の確認された特別免許状所持者がその特徴を発揮することにより、学校教育の充実につながることが期待されていると考えております。

菊田委員 現状において、特別免許状を持つ教員は、普通免許状を有する教員と同じように、例えば都道府県教育委員会等が実施する研修を受けているんでしょうか。また、今後、指標が策定され、教員研修計画が定められた場合は、どのように変わるのでしょうか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 特別免許状を有する教員につきましては、社会人等としての勤務経験に加えて、免許状の授与に際して、都道府県教育委員会の行う教育職員検定によって、教科に関する専門的な知識経験や教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を有していることが確認されているため、任命権者等に対して当該教員に初任者研修を受講させる義務は課されていません。

 一方で、文部科学省が平成二十六年に定めた、特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針におきましては、勤務校において特別免許状所有者に必要な研修や支援を行うこと等の必要な措置を行うこととしており、各地域や学校において、学習指導要領や授業研究について教科主任から指導を受けたり、校内業務について学年主任から指導を受けたり、教職大学院との連携のもと、随時必要な研修を行うといった研修が行われているものと承知しております。

 また、採用された後の勤務につきましては、普通免許状で採用された教員と同様であることから、十年経験者研修や免許更新講習については普通免許状を有する教員と同様に受講の対象となっておりまして、さらに加えまして、任命権者が独自に行う研修等についても同様に受講の対象になっているものでございます。

 この法案における資質向上に関する指標、教員研修計画、中堅教諭等資質向上研修につきましても、特別免許状所持者と普通免許状所持者とを区分けするものではなく、その職責、経験及び適性に応じて身につけていくべき能力や資質の目安を示すとともに、効率的、効果的に習得するための研修が計画、実施されることとなると考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 今回、小学校教諭の特別免許状の教科に外国語が追加されますが、昭和六十三年の特別免許状制度創設以来、外国語の特別免許状を授与した件数についてお聞かせください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 平成元年の特別免許状制度の創設以降、特別免許状の授与件数は累計で九百十五件となっております。その中で、中学校及び高等学校の外国語の特別免許状の授与件数は累計で百九十六件となっております。

 なお、近年、特別免許状の授与件数は増加傾向にありまして、特別免許状の授与の総件数は、平成二十五年度の五十九件から、平成二十七年度には二百十五件に、外国語の特別免許状の授与件数は、平成二十五年度の七件から、平成二十七年度には九十七件に増加しているところでございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 特別免許状の授与件数は増加をしているということなんですが、それでも、全体からすると非常に少ないというふうに私は思っておりまして、これはどこにその理由があるのか、手続上非常に複雑であったり難しかったりということが実際にはあるのではないかというふうに思うんですけれども、その点について、どのように対応していかれるつもりなのか、お聞かせください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 この特別免許状制度につきましては、授与権者である各都道府県の教育委員会におきまして、それぞれ授与に係る基準を設けているところでございます。従来から、比較的多くの自治体で特別免許状を授与するハードルがかなり高いように設定されてきたために、なかなか特別免許状の授与に至らなかったというふうに承知をしております。

 しかしながら、二年前に、文部科学省で特別免許状制度の授与の促進を促す通知を各都道府県の教育委員会に対して発出いたしまして、それ以降、徐々に特別免許状の授与件数がふえてきているという実態でございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 平成二十五年六月に閣議決定をされました第二期教育振興基本計画において、平成二十九年度までに、英検一級等を持つ英語教員の割合を、中学校の英語教員は五〇%、高校の英語教員は七五%にするという目標設定がなされましたが、現状について御説明ください。

 また、この目標達成に向けて具体的にどのような取り組みがなされているのかも、あわせてお聞かせください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 第二期教育振興基本計画におきましては、中学校及び高等学校の英語担当教員の英語力につきまして、英検準一級、TOEFLiBT八十点、TOEIC七百三十点程度以上を達成した英語教員の割合を、中学校では五〇%、高等学校では七五%とすることを成果指標としている点は、委員御指摘のとおりでございます。

 文部科学省が平成二十七年十二月に実施した調査におきましては、成果指標の達成状況は、中学校教員が三〇・二%、高等学校教員が五七・三%となっておりまして、教員の英語力向上は、なお喫緊の課題として認識をしております。

 このため、平成二十六年度から、成果指標を達成した英語教員の割合を都道府県別に公表するとともに、今年度からは、各都道府県における目標値や教員の英語力向上に向けた具体的な取り組みを含めた英語教育改善プランを策定、公表し、ヒアリングによって文科省としてフォローアップを実施するなど、各都道府県における教員の英語力向上の取り組みを強化しているところでございます。

 また、教員採用の改善に関しては、一定の英語力の確保を基準とすること等について地方自治体への働きかけを行うとともに、英語担当教員の養成におきましても、コアカリキュラムを策定し、英語力についての基準を求めていくなどの取り組みを進めているところでございます。

 今後とも、これらの施策を総合的に進めることによって、英語教員の英語力、指導力の向上に努めてまいる所存でございます。

菊田委員 なかなか、この目標を達成するにはまだまだ大変な努力をしていかなければいけないということでありますけれども、そのことが、現場の教職員、教員の皆さんの大きな心理的な負担、時間的な負担にならないようにする、そういう配慮もまた必要だというふうに思います。

 独立行政法人教員研修センター法の一部改正について伺います。

 本法案では、名称を独立行政法人教職員支援機構に改めるとともに、新たな業務が追加されますが、具体的にどのような業務が加わるのか、説明してください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 改正案におきましては、教員研修センターの行う業務につきまして、まず第一に、公立学校の教員等としての資質の向上に関する指標を定めようとする者に対する専門的な助言、第二に、学校教育関係職員の資質に関する調査研究及びその成果の普及、第三に、免許状更新講習の認定に関する事務、第四に、免許法認定講習の認定に関する事務、第五に、教員資格認定試験の実施に関する事務、これらを追加することとしております。

 このうち、指標策定者に対する専門的な助言の業務につきましては、例えば、教育委員会等の求めに応じて、教職員の資質に関する調査研究の成果や他県の好事例など、機構が有する知見を活用した助言を行うことを想定しております。

 また、調査研究業務につきましては、例えば教員採用試験の共同実施や学校経営におけるタイムマネジメントに関する調査研究など、教員の養成、採用、研修の改善に資する研究を行うことを想定しております。

 免許状更新講習や免許法認定講習の認定に関する事務、教員資格認定試験の実施に関する事務、これらは、文科省で行ってきた業務をアウトソーシングするものでございます。

 これらの取り組みを通じまして、教員養成、採用、研修を通じた教職員の支援の充実を図ってまいりたいと考えております。

菊田委員 現状、この独法は、予算、職員数など、どのような体制で運営されているのか、教えてください。

 今回の法改正によりまして、新たに、今御説明をいただいたような教員免許更新講習や教員資格認定試験等の業務が文科省から移管されることになれば、この独法の予算や職員数など体制は変わるのでしょうか、説明を求めます。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の教員研修センターにつきましては、平成二十八年度予算で十四億二千二百万円となっておりまして、このうち、国費の補助が十二億七千五百万円となっております。また、現在の教員研修センターの職員数は四十名となっております。

 今般の改正で、教員研修センターの業務に新たに追加される免許状更新講習の認定事務等の業務につきましては、これまで文部科学省で行ってきた業務のアウトソーシングでございまして、当然のことながら、その業務のために要していた人員は文部科学省本省から移管をする予定でございます。

 また、学校教育関係職員の資質に関する調査研究などに必要な予算についても、限られた財源の中、文部科学省全体の予算の範囲の中で調整を図ることとしております。

 いずれにいたしましても、予算、人員については適切に対応し、一層の業務の効率的な運営を図りながら、教職員の資質向上に係るナショナルセンターとしての機能強化を図っていきたいと考えております。

菊田委員 御説明ありがとうございました。

 この独法の運営に当たりましては、今御答弁いただきましたように事務の効率化に努めて、業務の拡大に伴って定員とか予算が何かいつの間にか肥大化するということがないように、ぜひ努めていただきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、大臣に、最後に一言だけ御質問したいんですけれども、ただでさえ多忙をきわめる教員が、児童生徒、本当に子供たちと向き合う時間がなかなかないという中での今回の法改正でありますので、ぜひ効果的な研修を受講できるようにしていかなければいけない。

 大臣には教職員定数の改善をぜひ強く求めたいと思いますが、この点について御答弁をいただきたいと思います。

松野国務大臣 先生の御意見の中にあったとおり、日本の教育の質を決定するのは、これはすなわち教員の質だと思います。そして、現場が今大変な長時間労働、多忙感を持って当たられているという状況も認識をしております。

 そういった先生方が子供たちとしっかりと接する時間があるように、また、自己を高めるための研修もしっかりと時間がとれるように、定員の増、アップに向けてしっかりと取り組んでまいります。

菊田委員 終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、高木義明君。

高木(義)委員 民進党の高木義明でございます。

 菊田議員に続きまして、松野大臣にお尋ねをしてまいりたいと思っております。

 まずは、松野大臣、馳前大臣を引き継いで我が国の重要な文部科学行政をつかさどる大変なお仕事でありますが、しっかり取り組んでいただきますように心からお願いを申し上げたいと思っています。

 きょうの本題は教育公務員特例法でございますが、その前に、ぜひこの際お聞きしておきたいことがございます。

 それは、きょうは丸川大臣が内閣委員会で来られませんので副大臣が来られておりますが、御承知のとおり、去る十月の十八日に、国際オリンピック委員会、IOCのバッハ会長と小池東京都知事の会談が行われております。この模様は各報道で御案内のとおりでございますが、私は、この会談の中でバッハ会長が言われた言葉、本当に胸に刺さることがあります。それは、開催都市として選ばれた後にルールを変えないことが利益にかなう、原則を守ることで一緒に経費を見直すことができる、こういうことを述べております。

 激烈な招致合戦、そして、安倍総理も行かれて、関係者は大変な準備をして、まさに感動の瞬間でした、東京に決まったと。本当に私もあのときはうれしく思いました。そういうあの光景がまだまだ頭の中にありますが、しかし、今になってなぜかこの問題が迷走しているように思えてなりません。

 ルールを変えるということは、まさにこれは、スポーツマンシップ、あってはならないこと、こういうことが現実に起こっておる。そういうことがIOCの会長から言葉が出てくる。このことは、私たちは、開催都市は東京都でありますが、これは国のかかわる問題、日本人として、そして国民として、この言葉は、私は、国としてしっかり対応しなきゃならぬことだと思っております。

 この件について本当ならば丸川担当大臣にお尋ねしたかったのでありますが、そういう事情でございますので、どうぞひとつ副大臣、御所見があればお伺いをしたいと思います。

水落副大臣 お答えをいたします。

 バッハ会長の発言内容自体については承知しておりますが、これは、東京都庁におけるバッハ会長と小池知事との会談におきまして小池知事に対し発言されたものであります。なおかつ、政府関係者は同席いたしておりません。

 したがいまして、実際の発言記録からバッハ会長の含意などを酌み出して、ここで政府の解釈をお答えすることは必ずしも適切ではないと考えております。この点につきましては、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。

 なお、小池知事との面会後、バッハ会長が丸川大臣と面会した際には競技会場の件についてのお話は一切なかった、このようにお聞きをいたしております。

高木(義)委員 そのことについて余り問い詰めることではありませんが、副大臣も、まさにオリンピック・パラリンピックにかかわる大事な立場でございます、そして政治家として、このような会談の中でバッハさんが言われたあの言葉を、どういう感じを持っておりますか。御所見があれば。

水落副大臣 先ほども申し上げましたとおり、私も政府の一員でございまして、政治家の立場とおっしゃいましたけれども、私の立場からは、ただいまお答えしたとおりでございます。

高木(義)委員 会談でバッハ会長は次のように述べております。東京都と組織委員会、そして政府、IOCの四者協議を提案いたしております。まさに政府がこの中に入っておる。小池東京都知事もこれに同意をしたと報じられておりますが、担当部局として、この四者協議をどう受けとめておるんですか。そして、この四者協議は誰がどのようにリードしていくんですか、どうですか。

水落副大臣 お答えいたします。

 四者協議につきましては、大会開催経費をパーツ、パーツではなくトータルとして削減するために非常に大切な会議であるという位置づけがなされておりまして、この点について、丸川大臣がバッハ会長から直接伺ったと承知をいたしております。

 大会開催経費につきましては、東京都の都政改革本部の中間報告では、このままだと三兆円を超えるかもしれないとされておりまして、政府としても、こうした状況を深刻に受けとめる必要があると考えております。

 したがいまして、競技会場などの見直しにとどまらず、幅広い視点からのコストカットに取り組む必要があると認識しております。バッハ会長から参加を求められた四者協議は、こうした幅広い視点からのコストカットの議論を行うための絶好の場であると考えております。

 四者協議におきましても有益な議論を行うためにも、概算でも構いませんので、組織委員会と東京都において早急に大会経費の全体像を取りまとめていただくよう、政府としても積極的に働きかけてまいりたい、このように思っております。

高木(義)委員 私は、安倍総理が行かれて、すばらしい演説もされました、アンダーコントロールというあの印象も強いんです。だからこそ、私たちは、我が国として、国民として、あの決定の瞬間の感動をもって二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを大成功に、大きな力を注ぎたいとも私も微力ながら思っております。

 そういう中で、今お話がございましたが、これはもう悠長な話じゃないと思うんですね。誰がどこでどういう役割でそういうことを収束させていくのかというのは、政府も責任があるんです。そういう意味で、これはいつまでに、そして二〇二〇年といっても、もう余りないんですよ。会場からあるいはコストから、いろいろなことがあるでしょう。そういう意味での懸念を私は持っておるから、あえてお尋ねしたいわけでございます。何かありますか。

水落副大臣 先ほど申し上げましたように、四者協議におきまして有益な議論を行うためにも、概算でも構いませんので、組織委員会と東京都におきまして早急に大会経費の全体像をまとめていただきたいと思っておりまして、政府としても、そのことを積極的に働きかけてまいりたいと思っております。

高木(義)委員 善処をお願いしたいと思います。

 さて、教育公務員特例法についてお尋ねをいたします。

 まさに、あすの国づくりは豊かな人づくりから、私はそのような思いを持ってこれまでも取り組んでまいりましたけれども、今回の法案、改正は、現場力をつける、まさに教職員の指導力、教育力、これをある意味では研修によって高めていく、そのことも私は大事なことの一つであると思います。

 そういう意味で、この流れを改めて振り返ってみますと、安倍総理が座長を務める政府の教育再生実行会議、これまで九次にわたる提言がなされております。教育委員会制度の改革、こういった実績もありますし、また、教育再生を牽引する、そういう役割を果たしておると私は思っております。各界の有識者の皆さん方が出席をされていろいろ議論されておる、このことについては深く敬意を表するところであります。

 特に、昨年の五月の十四日には第七次提言、まさにこの法案のもとになるような、「これからの時代に求められる資質・能力と、それを培う教育、教師の在り方について」、こういうことが出されておりました。一方、十二月二十一日には、中央教育審議会、いわゆる中教審の「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」が出されております。また、ことしの一月二十五日には、「次世代の学校・地域」創生プランが大臣決定をされております。これは御承知のことであります。これを受けてのこの法案の提出となったと私は認識をしております。

 ついては、教員の研修について、これまでも、今議論がございました何点かの課題と議論があったわけでありますが、この法案のポイントの一つに、十年経験者研修が今回は中堅教諭等資質向上研修に改められております。

 実施時期を弾力化していく、このことによって免許状更新講習との重複を避けるということが配慮されておりますが、これによって本当に教員の負担感が軽減されるのかどうか、これが非常に大事なことだと思います。いわゆる、まさに研修疲れ、講習疲れ、こんなことがあってはならない、そういう立場で、この点についての御所見をお伺いしておきます。

松野国務大臣 高木先生におかれましては、文科大臣の大先輩でありまして、引き続き御指導いただければとお願い申し上げます。

 今質問いただきました点でございますけれども、学校現場を取り巻く環境というのは複雑化をし、多様化し、学校や教員に求められる役割も拡大する中で、教員の負担を軽減し、教員がみずから学び続けることができる環境を整備することは喫緊の課題であると考えております。

 先生御指摘のとおり、質を高めていくための研修が、学校現場、教員に負担を与えるようなことは避けなければならないというのは共通の思いでございます。

 平成二十六年三月に取りまとめられた教員免許更新制度の改善に係る検討会議の報告においても、十年経験者研修について、免許状更新講習の受講時期と重なる教員の負担感、重複感の解消を図るために必要な措置を講じることが提言をされております。

 こうした提言も踏まえ、これまでも各都道府県教育委員会においては、十年経験者研修の一部について、免許状更新講習として認定を受けるなどの取り組みを進めてきたところでありますが、このたびの法案においては、さらに、十年経験者研修について、実施時期の大幅な弾力化を図り、実施年次に制限を設けない中堅教諭等資質向上研修に改正することとしております。

 この法案が成立をすれば、これまで免許状更新講習と重複しやすかった研修の実施時期を当該学校や地域の教員の年齢構成を踏まえて調整することが可能になり、研修や講習の受講に係る過密なスケジュールが緩和されるなど、学校現場における教員の負担軽減の観点からも効果が期待できるものと考えております。

高木(義)委員 今、教職員を取り巻く環境というのは、十年前、二十年前、いや三十年前、まさに大きく変化をしております。それは、私が言うまでもなく、大臣も認識をされておると思います。

 やはり先生、教員、指導者は、子供たちの成長にとって物すごく影響力を持つことは、これはもう当然ですね。したがって、この先生たちがまさに、子供もそうですが、ゆとりを持って伸び伸びと、みずから研修に参加をし、そしてまたみずからで研さんをする、そういう心身ともにしっかりとした現場、こういうことを私は見守っていかなきゃならぬと思っておりますので、どうぞひとつ、そういう意味で取り組まれることを要望しておきます。

 さて、教育再生実行会議の提言、先ほど申し上げましたけれども、ことしの十月の七日に、教育再生実行会議では、今後の会議の進め方が議論をされております、そこでは、これまで実行段階にある取り組みにおいても、その狙いが真に達成されていない場合や、課題解決に向けたさらなる加速化が求められる施策も見られると。

 まさに私は、少なくともこの四年間に九次の提言をするということはすばらしいことだと思いますよ。それは、それだけ教育が今問われておる。本当に、その辺については私も評価をしますよ。ただ、これがかけ声倒れに終わってはならぬ、あるいは提言倒れに終わってはならない。問題は、その中身の実行です。

 したがって、今議論の中でもありましたように、真に達成されない場合、あるいは加速化を求める施策、こういったことについて、具体的にどのようなものか、お示しをいただきたいと思います。

藤原(章)政府参考人 お答えいたします。

 教育再生実行会議におきましては、これまでの累次の提言について、その狙いが真に達成されているか、課題解決に向けてさらなる加速化が必要かといった観点などから、その進捗状況につきまして、有識者の皆様の御意見をいただきながらフォローアップを行うこととしておるところでございます。

 今後のフォローアップに当たりましては、今般御審議をいただいております教育公務員特例法等の一部を改正する法律案を初めとした教師の資質の向上のほか、学校の組織運営改革や高大接続の改革、教育投資、教育財源の充実などといった事項に係る施策が主なものとして考えられるところでございます。

 実行会議においては、これまで、昨年の十二月、ことしの四月と二回にわたってフォローアップの会合を開催してきたところでございますけれども、今後とも、教育再生実行会議の提言の着実な実現に向け、適切にフォローアップが行われるよう努めてまいりたいと存じます。

高木(義)委員 その九次にわたる提言についての個々の課題について、どのような形でフォローアップをするんですか。フォローアップのやり方、そして目指すべき方向、いかがですか。

藤原(章)政府参考人 お答えいたします。

 具体のフォローアップのやり方につきまして、現段階で決まっているものがあるわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、昨年十二月、ことし四月と二回会合を持ちまして、そこで現在の達成状況などにつきまして議論をいただいたところでございます。

 今度、新たなテーマについて議論もスタートするところでございますけれども、今後、適切な時期に、また施策の進捗状況を議論していただきながら、その状況をフォローアップしていきたいというふうに考えているところでございます。

高木(義)委員 やはりフォローアップが重要になってきます。また、これには、体制の整備もありましょうし、あるいは人材の確保もあると思います。大臣、この議論をやっていく、そしてそれを実行に移していく、やはりつまるところは財源の問題に至ると私は思います。

 私どもの民主党政権では、社会保障と税の一体改革、これはまさに三党合意ですね、自民党さんも公明党さんも一緒になって、これからの社会保障、これから大事になる、そのためにはしっかり、やはり党派を超えて国家的見地でやらなきゃいかぬということから、そういう運びになったわけであります。

 その中で、これまでは高齢者、年金、医療、介護、これが中心の財源確保でありましたが、この時点において、やはり子育て、教育が大事だ、この予算、安定的な財源の確保がもう避けて通れない、そういう思いで、人への投資として、新たな消費税の使途について子育て、教育を加えたという経過がございます。

 今日段階で、改めて、教育財源の確保について、大臣の御所見をいただきたい。

松野国務大臣 私も、先生と同様に、教育は未来への先行投資であると考えております。我が国が今後も継続的に発展をしていくためには、教育投資の充実を図っていくことが重要であると考えております。そのためには、国民の皆さんの理解をいただくということが重要かと思います。

 昨年七月に取りまとめられました教育再生実行会議第八次提言において、教育投資の充実のために教育財源の確保のための方策が掲げられております。その実現のためには、先ほど申し上げましたとおり、広く国民の間で教育投資の効果や必要性について認識が共有をされることが不可欠であろうかと思います。

 本提言を踏まえ、現在、中央教育審議会において、第三期教育振興基本計画の策定に向けた審議の中で、教育政策の効果を社会に対して示すための方策について検討をいただいているところであります。

 こうした議論を踏まえつつ、広く国民の間での理解の醸成を図り、財源を確保しつつ、教育投資の充実に努めてまいりたいと考えております。

高木(義)委員 また最後の方で改めてお尋ねしますが、教職員を取り巻く現状について、これも人とお金がついて回る話でありますが、よく経済協力開発機構、OECDの話が出てまいりますね。我が国はOECDの中でも教育の公財政支出が少ない、これはもう御承知のとおりです。これはやはり我々はしっかり受けとめていかなきゃならぬと思います。

 また、教職員の勤務実態についても報告がなされております。OECDが二〇一三年に実施をした国際教員指導環境調査によりますと、教員の一週当たりの仕事時間は、参加国平均は三十八・三時間であったのに対し、我が国は五十三・九時間、参加国中で最長であった。これは、これまで議論が出ておりますいろいろな要素があると思っておりますが、仕事の配分で見ると、我が国の教職員は授業以外の業務に多くの時間を費やしておるということが明らかになっております。

 この勤務実態についてどのように改善をしていこうとしておられるのか、御所見をいただきたい。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 今日の学校を取り巻く環境は複雑化、困難化しておりまして、学校に求められる役割も拡大しております。また、教育の質の向上のために、授業革新やさまざまな教育課題への対応も求められております。

 一方で、委員御指摘のとおり、教員の長時間労働に支えられている現状は既に限界に来ていると認識しておりまして、教員の業務負担の軽減を図り、子供と向き合う時間を確保することは喫緊の課題であると認識をしております。

 このため、省内に設置したタスクフォースにおきまして、部活動における休養日の設定、教員の業務の見直しを初めとする業務の適正化に向けた報告を本年六月に取りまとめまして、各教育委員会に周知するとともに、平成二十九年度概算要求に所要の経費を計上しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、これらを踏まえまして、学校現場における教員の業務の適正化を着実に推進してまいりたいと考えております。

高木(義)委員 また、OECDの調査では、我が国の教員の給与は、先進諸外国に比べて必ずしも低くはありません。教員にすぐれた人材を集める、そのためには、我が国において人材確保法というのがございます。まさに学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法、これは昭和四十九年に制定されております。これに基づいてずっとこれまでやっておりますが、どうでしょう、この人材確保法の趣旨が今も生かされておるのかどうか、この辺の見方をどう思っておられるんですか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 教員に優秀な人材を確保して義務教育水準の維持向上を図る上で、委員御指摘の人材確保法は、その制定当時から非常に重要な役割を果たしてきております。

 現在でも、教員全員に義務教育等教員特別手当を支給することなどによって、一般の公務員と比べて高い給与水準が維持されております。具体的に、平成二十七年度の給与比較を申し上げますと、年収ベースで一・八%、小中学校の教育職は一般行政職よりも高いという状況でございます。

 今後とも、優秀な教員を確保していくために、人材確保法における教員給与の優遇措置について、その基本を維持しながら、めり張りある教員給与体系の確立に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

高木(義)委員 そういう文科省の気持ち、取り組みを受けまして、改めて私は、少人数学級についてただしてみたいと思います。

 これから将来を担う子供たち、また教育のあり方、やはり教員が子供一人一人に向き合う時間を確保する。きょうの報道にもありましたように、不登校が二万六千人だという報道もありました。これまでも多くの方々が御努力をされて、何とかという努力をされておるにもかかわらず、今現実はそうなんですよね。そういう意味では、私は、やはり少人数学級というのは大事なことだ、このように思っております。

 少人数学級については、現状、平成二十三年四月から、三十年ぶりに、小学校一年だけ、四十人から三十五人学級という法律ができました。私は非常によかったと思っております。ただ、小学校一年まで。やはりこの小学校、中学校段階、教育にとって重要な年ですよ。だから、少人数学級を段階的に進めていく、こういう決意を持っていただきたい。

 少人数学級に対する評価と、そして今後の大臣の決意、これについていかがでしょうか。

松野国務大臣 少人数学級の効果については、例えば、山口県における追加的な教職員配置を活用した独自の少人数学級の取り組みでは、少人数学級化の前と比較をして、不登校児童生徒の出現率の減少、学習習慣等の定着、全国学力・学習状況調査における平均正答率の向上が数値データとしても明確に示されております。これは、少人数学級が学力や生徒指導に効果的であることを示すものであり、有効な施策の一つであると認識をしております。

 少人数学級は、よりきめ細やかな指導が可能となることから、学校現場などから要望も多く、有効な施策であると考えておりますが、一方で、現在も各自治体で指導方法についてさまざまな取り組みが行われており、少人数学級以外の指導形態にも効果が見られることから、学校の実情を踏まえ、各自治体の判断で、少人数学級やチームティーチング、習熟度別少人数指導などを選択的に行うことも効果的であると考えています。

 このため、今回の概算要求においては、喫緊の課題である、発達障害等の児童生徒に対する通級による指導や外国人児童生徒等の教育などを中心に、多様な子供たち一人一人の状況に応じた教育の充実のために必要な定数改善を要求しているところであります。

 小学校二年生以降の三十五人以下学級につきましては、少人数学級の効果の検証を踏まえながら、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。

高木(義)委員 時間も限られておりますから、最後にいたします。

 ぜひ、今大臣の検討という話がございますので、これはしっかりやっていただきたいと思っております。

 過去、国際人権A規約のうち、無償教育の漸進的導入については、二〇一二年九月、当時の平野大臣ですか、野田内閣のときに、留保の撤回を閣議決定して、国連事務総長に通告をしております。

 ある意味で大きな政策課題となったのは高校授業料の無償化だ、私はそう思っております。高校授業料の無償化が教育の無償化につながる。もちろん、幼児教育、そして大学の給付つき奨学金、もっと言うなら、大学の高等教育も無償化、こういう流れは、私は、党派を超えて、大きな国民の声になっていると思うんですよ。

 高校無償化の評価、そして教育の無償化について、これから来年度予算編成があります。このときに、どうかひとつ大臣、今の概算要求では私は不十分だと思うんですよ。公立、私立ともに教育費の増額確保を目指して、大臣の決意と御所見をいただきたいと思います。

松野国務大臣 誰もが家庭の経済状況に左右されることなく希望する質の高い高校教育を受けられることは重要であり、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の施行によって、経済的理由による中途退学者の減少等、効果が一定程度あったと考えております。私は、評価をさせていただいております。

 一方で、さきに述べた、いわゆる高校授業料の無償化については、公私間の教育費格差や、低所得世帯における授業料以外の教育費負担が大きいこと等、課題があったと認識をしております。

 このため、平成二十五年に、所得制限を設けることによって財源を捻出し、低所得者への給付型奨学金の創設や公私間の教育費格差の是正を図るなど制度改正を行わせていただきました。

 先生から御指摘、御提言をいただきました教育費負担の軽減でありますが、現状におきまして、幼児教育無償化に向けた取り組みの段階的推進、高校生等奨学給付金の充実、大学等における授業料の減免等や給付型奨学金の創設を含めた大学等奨学金事業の充実等に取り組んでおりまして、必要な経費を盛り込んでおります。

 今後とも、必要な財源を確保しつつ、教育費負担軽減に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えておりますので、この問題は、ぜひとも党派を超えて、文科委員会の先生方のお力添えをいただきたいと思います。

高木(義)委員 頑張ってください。終わります。

永岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 今回の法改正は、教員の方々が自信を持って時代の変化に即した授業や子供たちへの指導ができるよう研修制度を充実させる、そのことに主眼を置いたものとして理解をしております。同時に、教員の経験年数の構成が均衡のとれたものではなくなっているために、知識や教え方の伝承は必ずしも良好ではない、そのための対応という側面も持っているというふうにも思っております。

 そこで、最初に、なぜ教員の経験年数がバランスのとれたものではなくなっているのか、その原因をお聞きしたいと思います。

 文科省の学校教員統計調査を見たとき、二〇一三年度において小中高全てで、経験年数一年から五年の比較的経験の浅い教員層が、経験年数十一年から十五年、いわゆるミドルリーダークラス、これは文科省はそういうふうに呼んでいるようですけれども、中堅に差しかかっていく教員の層を大幅に上回っております。二〇一三年度の中学校の教員の経験年数でいうと、一年から五年の層が全体の二〇%を占める、五年刻みの経験年数で最も多くなっております。

 今回の法改正のもととなった昨年十二月の中教審答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」では、経験年数五年未満の教員の割合がかくも高い状況になったのは、平成になってから例がないというふうな指摘もされております。

 それだけ教員の経験年数構成がいびつになっているということですが、なぜこうした事態になったのか、大臣にお聞きいたします。

松野国務大臣 第二次ベビーブーム、昭和四十六年から四十九年前後でありますが、約十年の高い出生数に対応するため、昭和五十年代から平成の初頭にかけて地方自治体が大量の教員を採用した一方で、その後、教員採用数を抑制する傾向があり、特に、平成十年前後に採用されたミドルリーダーとなるべき年齢層の教員が相対的に少なくなっているものと認識をしております。

 その後、昭和五十年代から平成初頭にかけて大量に採用された教員が退職する時期が到来し、近年、教員の採用数が増加してきたものと考えられます。このため、経験年数五年未満の教員数がミドルリーダー層の教員数を上回る結果となったと考えております。

吉川(元)委員 団塊ジュニアに合わせて大量採用があったということでありますけれども、経験年数のアンバランスというのは、研修制度の充実だけでは、やはりなかなか対応し切れない側面があると思います。

 学校の先生がどこで一番学ぶかといえば、まさに学校の中で学ぶわけでありまして、そういう面でいいますと、毎年毎年定員の改善計画を立てておられますけれども、ここのところずっと初年度から計画が頓挫をするということが続いております。やはり中長期にわたっての定数改善の計画をきちんと立てていくことが必要だというふうに私自身は思いますので、その点を指摘させていただきたいと思います。

 関連してもう一つ、教員の年齢別の退職者という、こういう資料がございます。国会の調査室で作成したものだと思いますが、小中高ともに定年を迎えた六十歳以上が一番多い、これは当然だろうと思います。

 ところが、定年前の五十五歳から六十歳未満で退職してしまう教員の数が年々ふえております。また、定年あるいは定年直前を除くと、意外にも二十五歳から三十歳、普通ならば教員という仕事になれてきて、いよいよこれからというところの年代の退職者数も多くなっております。これも年々増加傾向にあります。

 定年を迎える前の五十歳代の退職、それから二十五歳から三十歳という若年退職、この二つがふえている原因をどのように分析されているのでしょうか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 学校教員統計調査によりますと、定年前の五十歳から六十歳未満の退職者数及びその割合につきましては、過去十年間程度、徐々に増加していることは事実でございます。他方、委員御指摘のとおり、二十五歳から三十歳未満の早期退職者についても、ここ十年程度の間、徐々に増加しているところでございます。

 ただ、この二十五歳から三十歳未満につきましては、教員の総数も増加しているところから、早期退職者の割合については余り変化していないというふうに承知をしております。

 それぞれの離職理由の内訳でございますが、共通して、職務上の問題と回答している割合は極めて少なく、半数以上が家庭の事情とかあるいはその他の事情ということで回答をしておりまして、私どもとしては、なかなかこの原因の特定は難しいと考えております。

吉川(元)委員 私、お話を五十を過ぎた方に聞くと、やめられるものならもうやめたいという方は結構たくさんいらっしゃいます。また、若い世代の退職の原因がどこら辺にあるのかというのはよくまだ分析できていないということですけれども、数字だけ見ると、これは、いわゆるブラック企業ですよ、若い人が働き始めてやはりやめるというのは。それだけ、今学校は大変な状況になっているということだろうと思います。

 あわせてもう一点、TALISの調査結果に関連してお尋ねをいたします。

 二〇一三年のTALISの調査、教員の自己満足度に関連した設問が設けられております。この中で、もう一度仕事を選べるのなら教員になりたいと回答した割合、全参加国平均七七・六%であったのに対して、日本の場合は五八・一%、この調査に参加している国の中では最低レベルになっております。

 また、これは私もまた教員の方に伺うと、自分の子供に、学校の先生になりたい、あるいはなってほしいというふうに思うかと聞いたら、まず学校の教員は勧めないというお話もよく伺います。

 この調査結果を見ますと、子供たちを教え育てる意欲に燃えて教員になるわけですけれども、理想と現実のはざまでギャップを抱えながら働いているその様子がうかがえます。

 この自己満足度が非常に低いTALISの調査結果を文科省はどのように捉えていますか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 国際教員指導環境調査、いわゆるTALISの調査結果につきましては、委員の御指摘のとおりでございます。

 その要因につきましては、さまざまなものがあると認識しておりまして、なかなか特定することが困難と考えますが、例えば、学校教育の課題が多様化している現状、教員の多忙な勤務状況、社会全体の高学歴化等に伴い教員に対する専門職としての社会的評価が低下していること、あるいは子供たちの家庭環境が多様化している、こういったものがその原因であるというふうに考えております。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

吉川(元)委員 多様化だとかいわゆる高学歴化というのは、別に日本だけが起こっているわけじゃなくて、世界じゅう、特に先進国においてはどこも同じような状況になっているわけで、その中にあって日本の教員の自己満足度が低いというのは、私は大きな問題だろうというふうに思います。

 そこで、今回の法改正、改正案の具体的な中身について質問いたします。

 実際に教壇に立つ教員の方々にとってみれば、できる限り身近な地域、学校内で役立つ知識、先ほどお話ししましたけれども、一番学ぶ場所というのは学校なわけですから、そういう経験が共有化できる研修が必要ではないかというふうに思います。実際に、そういう話もたくさん聞きます。

 また、地方教育行政では国の関与は最小限にとどめるべきだというふうにも考えております。この観点から、学校の自主性、独立性を重視した研修制度になっていくことが私は理想だろうというふうに思っております。

 そこで、指針について尋ねますけれども、条文の第二十二条の二の二項で、「指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。」というふうになっております。読んでいると、大綱的な意味合い、これは以前の委員会でもそういう答弁がありましたが、ただ少し気になる文言もあります。

 それは何かといいますと、第二十二条の二の二項の二で、指標の内容に関する事項というようなものが入っております。これは後ほど聞きますけれども、指標というのは指針を参酌してつくるのであって、大枠を書いていればいいだけであって、指標の内容に関する事項というのは、場合によっては非常に細かなことも書き込めるようなことになりますけれども、この点についてはどういうふうになっているのか、お聞きします。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学大臣が定める公立学校の教員等としての資質の向上に関する指標を策定するための指針につきましては、あくまでも、任命権者が各地域の状況を踏まえてこの指標を策定する際の大綱的な指針でございます。各任命権者の策定する指標、あるいはそれに基づく研修計画の内容を個別具体的に制約する性格のものではございません。

吉川(元)委員 次に、指標のあり方についてですけれども、これは参酌して地域の実情に応じてという言葉も盛り込まれておりますので、独立性、自律性が発揮される内容だ、文科省が干渉する性格のものではないという理解でいいのか。それから、あと、この指標自体が非常に細かなものに逆になってしまうという危惧も持っておりますけれども、その点についてはどう考えればいいのか、お答えください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 公立学校の教員等としての資質の向上に関する指標を策定するに当たり、各任命権者は文部科学大臣が定めた指針を参酌することになりますが、この指針はあくまでも、先ほど申し上げましたとおり、大綱的な指針でございまして、各任命権者による指標の内容に関して個別具体的に文部大臣が定めていくものではございません。

 また、この指標は、教員の職責、経験及び適性に応じて向上を図るべき資質に関する指標でありますので、各教員がキャリアステージごとに身につけるべき教科指導力あるいは生徒指導力といった能力や資質の目安を規定するものでございます。

 そのため、この指標におきましては、特定の教育方法とか指導の方法、手法を限定するような記載がなされることは想定されておりませんで、具体的な指導法を記載することにはならないものと考えております。

吉川(元)委員 あともう一つ、この指標が人事評価あるいは人事異動など教員の処遇に関係するものになるのかということもお聞きしようと思いましたが、これはもう別の委員の方がお聞きして、関係ないということで答弁をいただいておりますので、これについては省略をします。

 次に、ずっと、できる限り地域や学校現場の実情に即してということでありますけれども、条文を読みますと、指針にしろ、指針はもちろん文科省ですけれども、指標あるいは協議会、さらには研修計画の策定に至るまで、学校設置者、すなわち市町村の教育委員会の関与を求める規定がありません。これはどうしてこういうふうになっているのか。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 教員等の研修につきましては、教員等の任命権者が一義的な責任を有しておりまして、県費負担教職員に対しては都道府県教育委員会がそうした立場にあることから、その資質の向上に関する指標は都道府県教育委員会が策定するものとなっております。

 他方、委員御指摘の市町村教育委員会につきましては、都道府県が実施する教員等の研修に協力しなければならないと法律上なっているところからも、都道府県教育委員会と市町村教育委員会の協力体制を構築することが重要であると考えております。

 そのため、各任命権者におきましては、例えば、この指標を策定するに当たって組織する協議会の構成員といたしまして、市町村教育委員会の代表者を加えるなど、市町村教育委員会との連携を図るために必要な工夫を図っていただくことを期待しております。

吉川(元)委員 世界の教育、日本だけではなくてどこも、グローバリゼーション、それからいろいろな社会の高度化等々の中で、いろいろな改革が行われております。そのメーンストリームといいますか、大勢は、脱中心主義、分権ということで行われております。

 世界的に見ますと、その分権というのはどういうふうになっているかといったら、国が持っていた権限が、学校や、あるいは市町村でもいいです、市町村の教育委員会でもいいですが、あるいは教員にずっとおりていく流れであります。

 ところが、日本の場合は、そこにはおりずに、今お話があったとおり、全てが県のところにおりてきている。これは、分権あるいは脱中心というふうには実際には言えないんじゃないか、私は、そのことを指摘させていただきたいと思います。

 あともう一点、研修計画を定めたところで、第二十二条の四の二項の五で、研修の実施に関し必要な事項として文部科学省令で定める事項というふうなことが盛り込まれております。指針があって、それを参酌して指標がつくられて、それに基づいて計画がつくられる。指標については、指針が縛るものではない、大綱的なものだと言いながら、実際に行う計画のところで、文科省令で定める事項、こういうものが入ってきているわけです。

 先ほどから、文科省がああしろ、こうしろという話ではないということだけれども、ここに、一番最後の具体的な計画のところで、文科省令で定める事項というのが入っていると、実際には、介入という言い方かどうかわかりませんけれども、そういう自主的なもの、地域の特性に合わせたものと違ったものになるのではないかと危惧を持つんですけれども、この点についてはいかがですか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 各任命権者が策定する教員研修計画において定めるべき事項といたしまして、この法案では、初任者研修、中堅教諭等資質向上研修等に関する基本的な方針、それらの研修の体系、時期、方法や施設に関する事項、研修を奨励するための方途に関する事項に加えまして、研修の実施に必要な事項として文部科学省令で定める事項を挙げている点は、委員御指摘のとおりでございます。

 この文部科学省令で定める事項といたしましては、現在のところ、市町村教育委員会が実施する研修との関係性などを考えているところでございますが、法律にはなかなか記載し切れない技術的な記載事項について、文部科学省令で定めていくこととしたいと考えております。

吉川(元)委員 先ほども言いましたけれども、参酌して地域の特性に応じてつくっていくと。ところが、一番最後の計画のところで文科省令で定めるとなってしまうと、これはやはり私は問題だと思いますし、仮に省令で定めるにしても、あくまで大枠の部分で、細かなところまで立ち入らずに、省令は、そこにとどまるべきだということを指摘させていただきたいと思います。

 それともう一点、ちょっとよくわからないので確認なんですけれども、独立行政法人教員研修センターによる助言でありますが、指標作成の際には専門的な助言を行うものとするとなっておりますけれども、これは必ず専門的な助言を受けなければならないものなのかどうか、この点について確認させてください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案におきましては、公立学校の教員等としての資質の向上に関する指標を策定する各任命権者に対しまして、独立行政法人教職員支援機構が同指標の策定に関する専門的な助言を行うこととしております。

 委員お尋ねのこの助言につきましては、指標を策定するに当たり、各任命権者が専門的、技術的な知見を求める場合や、同機構が主体的に、例えば全国の先進的な事例を幅広く提供しようとする場合に行われることを想定しておりまして、いずれにしても、各任命権者がこの指標を策定するに際しまして、必ず機構の助言を求めるように義務づけているものではございません。

吉川(元)委員 あくまで求めがあれば研修センターの方が助言をするということで、それは義務ではないということの理解でいいというふうに理解いたしました。

 次に、協議会に加わるメンバーなんですけれども、研修に協力する大学というのは理解できます。それにプラスして、教員の資質の向上に関係する大学として文科省令で定める者と。ここでもまた、文科省がこうしなさい、ああしなさいとも読める規定が置かれているんですけれども、理由はどういうことなのか、それから、その目的、さらに具体的にはどのような大学を念頭に置いているのか、お聞かせください。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 改正教育公務員特例法第二十二条の五第二項第二号において規定いたします文部科学省令で定める大学につきましては、個別の大学名を定めるというようなものではなく、主として、一定の要件を満たす大学を規定することを考えております。

 具体的には、教職課程を有し、任命権者に教員として採用された卒業生の実績が一定の基準を上回っている大学などを考えておりますが、教員等の研修に直接協力しない大学であっても含まれるものと考えております。

吉川(元)委員 研修に協力する大学だけでいいんじゃないんですか。これは両方選ばなければいけないということなんでしょうか。両方入れなければいけないということなんでしょうか。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 職員に対する研修につきましては、地方公務員法の規定に基づきまして、任命権者が実施するというふうになっております。したがいまして、このたびの法改正により規定する教員研修計画を策定する責任は、研修の実施主体である任命権者であります。

 ただし、協議会におきまして、当該指標に基づく校長や教員の資質向上に関して必要な事項についても協議を行うこととなっておりますので、研修に協力する大学等が教員研修計画について協議会で協議を行うことは当然可能であると考えております。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、例えば、この条文の読み方なんですけれども、いわゆる研修に協力する大学及び文科省令で定める者となっていて、これは両方とも入らなければいけないのか、それとも、例えば研修に協力する大学が入っていればそれで十分なのかということを聞いているんです。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 研修に協力する大学につきましては例示でございまして、具体的に研修に協力する大学あるいは研修に直接協力しない大学、いずれにおいても法令上は含まれ得るということでございます。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、研修に協力する大学が協議会に入る、その大学が入っていれば、文科省令で定める者は入らなくてもいいんですねということを聞いているんです。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省令につきましては、その内容は今後検討をしていくことになるわけでございます。仮に、文部科学省令で定める大学として教員の研修に直接協力しない大学を定めた場合については、当然入るということでございます。

 いずれにしても、その中身については今後の検討課題でございます。

吉川(元)委員 余り時間がないので、聞いたことについて的確に答弁していただけますか。

 研修に協力する大学、これは、ここに書いてあるとおり、メンバーに入る、及び文科省令で定める者となっていて、文科省令で定める者、これはマストなのか、それとも、その前にあった研修に協力する大学が入っていれば、別に入らなくてもいいですよということなのか、どちらなのかというのを聞いているんです。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 法文上の規定といたしましては、文部科学省令で定める者につきましては、具体的に、その中身によりけりということでございますので、今後よく検討させていただきたいと思います。

吉川(元)委員 今後検討すると、条文を聞いているんですよ。この条文はどうやって読むんですかと聞いているんですよ。入るのか入らないのか、入らなくてもいいのか。

 もちろん、二項の、研修に協力する大学、これは入るでしょう。その後の、文科省令で定める者が入るのか入らないのかを聞いているんです。どっちなんですか。今から検討すると言ったら、法案の審議はできないですよ。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 何度も御答弁申し上げていますが、文部科学省令の中身については今後定めるということでございますが、仮にそこで含めないということであれば、当然入らないということになります。(吉川(元)委員「入らなくてもいいということですね」と呼ぶ)それは、そこで規定しなければ入らないということでございます。

吉川(元)委員 規定しなければ入らないというのはどういうことですか。意味がよくわからないんです。ちょっと端的に答えてもらえますか、もう時間が余りないので。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 この改正教育公務員特例法の第二十二条の五第二項の第二号につきましては、研修に協力する大学についてはその例示として掲げてありまして、その他については文部科学省令で定めるというふうになっておりますので、文部科学省令で定めるということであれば入るということになりますし、文部科学省令で定めなければ入らないということになります。

吉川(元)委員 それは、文部科学省令で入るか入らないかを定めるということなんですか。今法律を審議しているんですよ。それで、どっちなのかというのを聞いているのに、それは後から決めますと言ったら、この法案の審議はできないですよ。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げた条項については、研修に協力する大学その他の文部科学省令で定める者というふうに規定してありますので、ここに書いてある研修に協力する大学というのは一つの例示でございまして、それ以外について今後文部科学省令で定めるということになる、そういう仕組みでございます。

吉川(元)委員 そうすると、研修に協力する大学あるいは文部科学省令で定める者、これはどれを選んでもいい、一つ選んでおけばいいということでいいんですね、その理解は。それでいいんですね。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの件に関しましては、具体的には、先ほどお答え申し上げましたとおり、一定の基準を上回っている大学などについて文部科学省令で定めるということになりますので、その中身については今後の検討次第ということであります。

吉川(元)委員 本当はもっといろいろなことを、例えば校内研修のあり方、私自身は、校内研修が一番教師にとってプラスになると。研究授業に基づく授業研究というのは、これは世界的にも非常に高い評価をされていますから、それを進めていくことが必要だというようなことも含めてお話を伺いたかったんですけれども、もう質問時間が来てしまいました。

 もう一回だけ聞きます。もう一回だけ、今の点について。

 例えば、私がどこかの任命権者で、協議会をつくります。そうしたら、研修に協力している大学に来てくださいと言えば、それで済むのか。そうではなくて、それも呼ぶけれども、文科省令で定める者も来なきゃいけないのか。

永岡委員長 申し合わせの時間が来ております。手短にお願いいたします。

 答弁も手短にお願いいたします。

藤原(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの件につきましては、具体的に文部科学省令で定めるということでございますが、いずれにしても、任命権者、つまり都道府県・指定都市教育委員会が協議会のメンバーを最終的に定めることになりますので、そこで任命権者の判断が尊重されるということになります。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、私は、もうちょっとこれは審議しないとだめだということを最後に指摘させていただいて、質問を終わります。

永岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十六分散会


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