衆議院

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第2号 平成29年3月3日(金曜日)

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平成二十九年三月三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 長島 昭久君 理事 富田 茂之君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      谷川 とむ君    馳   浩君

      古田 圭一君    松本 剛明君

      簗  和生君    太田 和美君

      坂本祐之輔君    高木 義明君

      平野 博文君    牧  義夫君

      笠  浩史君    樋口 尚也君

      吉田 宣弘君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    伊東 信久君

      吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        藤原  豊君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官)        中川 健朗君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三日

 辞任         補欠選任

  福井  照君     小倉 將信君

  船田  元君     簗  和生君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     福井  照君

  簗  和生君     船田  元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進事務局審議官藤原豊君及び文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官中川健朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀岡偉民君。

亀岡委員 おはようございます。自由民主党の亀岡偉民です。

 きょうは、最初の質疑をさせていただきます。

 まず最初に、松野文部大臣、所信を聞かせていただきました。残念ながら、最初に出てきたのが、やはり天下りあっせん問題のお話が出てまいりました。本当に、所信のときにまずそこを述べなければならないというのは、大臣にとっては大変つらいことだと思います。しかし、文部科学行政はひとときとも滞ってはなりません。そして、子供たちの将来のためにやるべきことをしっかりやっていかなければならない、これが大切なことであります。

 松野大臣には、この所信で述べられたとおり、今回は、給付型奨学金含め、新たな取り組み、今までにない、かつてない取り組みをしっかりと断行していかなければならない、その思いが込められていると思います。ぜひ松野大臣には、たとえ何があろうと、しっかりとこれらのことをやり抜く、その決意のほどをちょっとお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

松野国務大臣 教育をつかさどり、法を遵守すべき立場にある文部科学省の職員が国家公務員法に違反する行為を行ったこと、さらにはその隠蔽を図ったことについては、国民の文部科学行政に対する信頼を著しく損ねるものであり、省として猛省するとともに、文部科学省の責任者として、心よりおわびを申し上げます。

 三月末までに行う最終報告に向けて、徹底的な調査を進め、全容を解明し、厳正な処分を行うとともに、再発防止策の構築にしっかりと取り組みます。一刻も早く文部科学行政への信頼を取り戻すことができるよう、省を挙げて全力で取り組む覚悟です。

 その上で、未来への責任を果たすことを最大の使命とする現在の安倍内閣において、未来への先行投資である教育再生、科学技術・学術、スポーツ、文化の振興を担う文部科学省の果たす役割は極めて重要であります。

 このため、教育については、年度末に向け、学習指導要領の改訂や給付型奨学金を実現するための法改正、学校の機能強化を図るための義務標準法の改正に全力で取り組みます。

 科学技術・学術については、産学官連携や基礎科学力の強化に向けた具体策を示します。

 スポーツ、文化については、文化庁移転に向けた準備を着実に進めるとともに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、国際競技力の向上やスポーツ実施率の向上、文化プログラムの推進に取り組みます。

 これらを初めとして、文部科学行政全般にわたり、信頼の回復とあわせて、現場第一の姿勢で、具体化と決断により、諸課題の解決に全力で取り組んでまいります。

亀岡委員 ぜひ松野大臣には、この所信をしっかりと実現させるために、胸を張って発言をしていただきたいと思います。やはり、確かにマイナスの面はありますけれども、早くこれを、全部うみを出し切って新たなスタートを切らないと、なかなか信頼回復はできないと思います。

 この天下りあっせん問題、ちょっと触れますが、残念ながら、文部科学行政をしっかりとサポートするはずの団体がどうもかかわっていたということをお聞きしておりますが、この団体、現在どうなっているか、ぜひ大臣の方からちょっとお聞かせ願えればと思うので、お願いいたします。

松野国務大臣 今回のあっせん行為に関与していた団体ですが、文部科学省としては、公益財団法人文教協会に対して、文部科学省出身者の役職員への就任等の自粛を要請するとともに、補助金等の国からの支出、書籍等の購入を一切行わないことといたしました。

 また、一般社団法人文教フォーラム及び一般社団法人教職員生涯福祉財団に対しては、これまでに委託費や補助金等を支出したことはありません。

 これらの各法人については、公益財団法人文教協会は解散の方針、一般社団法人文教フォーラムは残務処理の上解散の方針、一般財団法人教職員生涯福祉財団は文部科学省出身の役員等の全員が辞任する方針と聞いており、それぞれの決定は重く受けとめたいと考えております。

 なお、教職員生涯福祉財団の役員等の人事は財団の自主的な決定に委ねられているところですが、今後の文部科学省との関係についても、今回の事案に鑑み、財団において適切に判断がなされるものであろうと受けとめております。

 文部科学省としては、今般明らかになった再就職等規制違反行為や、法の規制を潜脱する目的で運用される再就職あっせんの枠組みを今後防ぐことが重要であると考えており、再発防止策を含め、最終まとめに向けて引き続き全力で取り組んでまいります。

亀岡委員 まさに、本来であればしっかりとサポートするそういう財団がかかわってきたということは、大変ゆゆしき問題であると思いますし、解散するのは当たり前だと思います。これは厳しく、あと自後も追っていただいて、粛正をしていただきたいと思います。

 一つだけ、ちょっとまたもう一つお聞きしたいのは、本年四月に退職する職員などが再就職をしなければならない、このときに文部科学省の対応方針をどう考えているか、大臣からお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いします。

松野国務大臣 現在、文部科学省において、平成二十年十二月三十一日に再就職等規制が始まって以降の全ての事案について、文部科学省職員や関係するOB、外部団体等に対して、書面による調査やヒアリングなど、必要となるあらゆる手段を用いて徹底的な調査を行うとともに、再発防止策を検討しているところであります。

 文部科学省職員の再就職については、今回の事案を受け、国民の皆様に疑惑を抱かれているところであり、みずからの襟を正す意味を込め、疑惑が払拭できるようになるまでの間、文部科学省の許認可や財政支出の対象となっている大学等への再就職を自粛することを職員や大学、研究機関等の関係者にお願いをする予定であります。

亀岡委員 残念ながら、本当に何も関係ない職員の皆さんにはこれは大変ゆゆしき問題であるということは思うんですが、ただ、どうしても、今の現状から鑑みて、疑いを持たれるようなところに就職はできないというのは、もういたし方がないと私も思います。ですから、これはきちんと厳しく厳正に対応していただくということが正しいんだろうと思いますので、大臣にしっかりとその辺のハンドルは握っていただきたいと思います。

 それから、中川さんにちょっとお聞きしたいんですが、中間まとめを公表するまでの経緯はどうであったのか、これが僕は一番大事だと思うんですね。ヒアリングや第三者の関与などの調査の具体的な進め方についても、どういうふうに聞いてきたのか、これが一番大切な過程だと思いますので、これについてちょっとお答えいただきたいと思うので、よろしくお願いします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 本事案につきましては、一月十九日に再就職等監視委員会から指摘を受けて以降、一月二十三日に文部科学大臣直轄の再就職等問題調査班を設置し、法律やコンプライアンスの専門家である特別班員四名の指導、判断のもと、調査班員十五名の弁護士の方々にも参画いただき、徹底的な調査を進めております。

 この調査状況については、まず二月六日に、国会における御審議にも資するよう、組織的な再就職あっせん構造について、その時点で把握できた事実を公表させていただきました。その後、引き続き調査を進め、二月二十一日に、組織的な再就職あっせん構造や、再就職等監視委員会から指摘を受けました三十七件の個別事案につきまして、その時点で把握できた事実関係を整理した中間取りまとめを公表させていただいたところです。

 調査に当たっては、全てのヒアリングに第三者が同席し、また、再就職等規制違反の該当有無について第三者の弁護士による専門的指導を受けながら調査を進めているところでございます。

 今後、中間取りまとめで十分に確認できなかった事案を含め、全職員や退職員を含む徹底的な調査を含め、これらを全て、全容解明を進めてまいっているところでございます。

亀岡委員 今発言のとおり、第三者の方々に同席をしてもらうということで、時間がかかることはよくわかります。しかし、これは、時間をかけても徹底して調査をするということは大事なんですが、それと同時に、早く終わらせる、収束させるということが大事です。

 先ほど全職員に調査というお話を聞きましたが、その調査の内容にまたちょっといろいろ問題があったと伺っておりますが、これはしっかりと、調査結果というのは大事になってきますので、今後、もう一回再調査する予定があるのかどうかを含めて、お答え願います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の点、書面調査につきましていろいろ御疑念もあったということもありましたが、これについて、今後、書面調査も踏まえまして、法律やコンプライアンスの専門家である特別班員四名の指導、判断のもと、弁護士から成る再就職等問題調査班によるヒアリング、これも実施してまいります。

 あわせて、人事課で任用関係事務に従事する職員、高等教育局で補助金、設置許可等事務に従事する職員、各局等において局内の人事関係事務に従事する職員、これに対する同様のヒアリングも実施してまいります。

 さらに、御指摘も踏まえ、職員から匿名で通報等を送られる体制、再就職問題等調査班に相談、通報窓口の整備、こういうこともいたしまして、そこからの情報も必要に応じ活用してまいる、こういう予定でございます。

亀岡委員 ぜひ、これは二度と再発をしないようにということでの調査であると思いますので、しっかりとうみを出し切ってもらいたいと思います。

 そして、この問題で一番ちょっと不安を感じるところがあるのは、全く加担していない者を巻き込む可能性があるということだと思うんですね。

 本来であれば、加担していた者はもう厳罰に処さなきゃいけない、これは当たり前の話ですが、全く関係のない人たちまで巻き込んでしまうと、その人たちの人生までが変わってしまう可能性があります。これは歴代幹部、現役幹部を含めて、もし積極的に加担した者がいるとすれば厳罰に処さなければいけませんが、全く関係ない人を巻き込んでしまうということになってしまえば大変なことになってしまいますので、これも含めて、松野大臣に、この辺どう考えているか、ちょっとお聞かせ願えればと思うので、よろしくお願いします。

松野国務大臣 現時点の調査において、再就職あっせん構造は、主に人事課職員が主体的に担ったものであることが明らかとされており、歴代幹部、現役幹部についても管理監督責任があること、また、個々の事案に積極的に関与した幹部職員がいたことが指摘をされております。

 現在、全容解明に向けた調査を進めておりますが、今までに確定した事実や現在進めている調査結果を踏まえ、それぞれの管理監督責任や個々の案件への関与の度合いを加味した上で、最終的な決定を行って、厳正な処分を行ってまいりたいと考えております。

亀岡委員 大臣の今の決意のとおり、かかわった者がしっかりとはっきりとした場合においては、厳正な処分をしながら、二度と再発が起きないようにということ、これを徹底していただきたいと思います。

 これは、四月以降、これがしっかりできていないと、本当に教育現場に文科省の信頼を回復できるかという大きな問題にかかってくると思いますので、ここはよろしくお願いします。

 今度は所信の中身に入らせていただきますが、大臣が所信の中でも述べられていますが、ノーベル賞の受賞者の大隅教授が再三にわたって、若者の基礎研究に触れられておりました。一番大事なのは、自分たちがなぜノーベル賞をとれたかというと、若い時代にしっかりした基礎研究ができた、それが今できていないと、再三にわたって述べておられました。私は、これは非常に大事だと思うんですね。

 今、ちょっと福島のことを申し上げると、イノベーション・コースト構想でかなり国に努力をしていただいているんですが、中身の問題で、研究者または科学者の問題が不足していると言われています。まさにそういうものも有効活用しながら、若い人たちが夢を持てるような研究費、こういうものもしっかり文科省として考えていかなければならない。これが、大隅さんが、文科省だけではなくて国に対する問いだったと思います。

 これについては、大臣、この所信の中でどう考えているか、お願いします。

松野国務大臣 我が国が成長を続け、新たな価値を生み出していくためには、科学技術イノベーションを担う創造性豊かな若手研究者を育成、確保していくことが重要であり、イノベーション・コースト構想の実現等を通じた福島の復興にも資するものであると考えております。

 一方、我が国では、近年、若手研究者の安定的なポストが減少するなど、厳しい状況に置かれています。

 このため、文部科学省では、若手研究者の安定かつ自立した研究環境を実現する卓越研究員事業等を実施するとともに、昨年十一月、田野瀬大臣政務官を座長とする基礎科学力の強化に関するタスクフォースを省内に設置し、研究者目線に立った具体策の検討を行っています。

 こうした検討も踏まえつつ、今後とも、福島の復興を初めとする我が国の将来を担う若手研究者の育成、確保に努めてまいります。

亀岡委員 ぜひここは、多くの研究者が、大隅先生以外の方々も、若手研究者に対する国の姿勢というものを問うておりましたので、しっかりと、この日本にとって人材育成が一番大事ですから、そこも重点的に取り組んでいただきたいと思います。

 それから、丸川大臣にちょっとお伺いしますが、丸川大臣の所信では、東京大会の成功に向け、オリンピック大会の関係の効果を全国に広げ、地方活性化に資するため、地方経済界と連携をして取り組むということ、それから、次世代へのレガシーを全国で創出していくというお話がありました。

 まさに、東京オリンピックとはいいながら、地方で、いろいろな意味で、これはオリンピックを開催する地域だけではなくて、多分、その効果を期待している地方はたくさんあると思います。ですから、いろいろな意味で、ホストタウンを含めて、ホストシティーも含めてしっかりやっておられるんだと思いますが、福島も同じなんですね。

 これは、東北の復興なくして日本の復興なし。その中でも、福島は大変な風評被害がいまだ続いております。今回は、野球やソフトボールが何とか福島で開催できる意向の中でここまで進んできていると聞いております。ぜひこれは、もし世界じゅうからこのオリンピックに来ていただける、また見ていただけるとすれば、どんな風評被害対策よりも一番効果の上がるものであり、また、復興を見せる一番のいいチャンスになると思います。

 まさに、オリンピックによって国策がしっかりと遂行でき、そして福島の子供たちが新たなる希望を持てる、そのレガシーもつくれることになるんじゃないかと思いますので、その取り組みはいかがか、ちょっとお聞かせいただければ、お願いします。

丸川国務大臣 間もなく震災から六年になります。本当にこの間、復興に向けて地域で御尽力をいただいてきた皆様方の御労苦に敬意を改めて表したいと思います。

 私も全く同じ思いで、ぜひこの二〇二〇年の機会を、福島が復興しつつある姿、東北が復興しつつある姿を世界に向けて発信するために生かしたいと思っております。

 先生御指摘のように、野球・ソフトボールの開催は福島でということでございますが、三月のIOCの理事会を目標に今、組織委員会と県で調整中であると伺っておりますが、このオープニングセレモニーの開催ということについてはまだこれから検討するというような状況でございまして、全く白地だと伺っておりますので、逆に言えば、関係者の皆様方がお互いに知恵を出し合って、どんなふうにできるかということを、構想を描いていただける余地が残っているものと存じます。

 私どもも、国として、ぜひ大会の組織委員会とともに、皆様方の思いを共有しまして、皆様の思いがかなうように尽力をしてまいりたいと思います。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ丸川大臣、そして松野大臣も御協力いただきたいんです。

 私は、復興を一番位置づける意味で、または知らしめる意味で、この開会式というのを福島でやることを私自身は決めているんですが、多分これはIOCが認めてくれるかどうかわかりませんが、一番の夢と希望につながるもので、復興に資するものだと思っていますので、ぜひ両大臣の御協力、御支援をお願いしたいと思います。

 それから、ちょっと国家戦略特区に関して、実は、内閣府において、義務教育における遠隔教育の議論が行われていると聞いています。

 教育にICTを活用するのは大いに推進すべきだと考えておりますし、私の地元の新地町なんかはこれで表彰を受けて、最新地として評価をいただいております。

 しかし、その中で、授業が行われている教室に教師がいなくてもいいのか、または遠隔教育でそこから教える側の方にも教師の免許がなくてもいいという主張があると聞いておりますが、東日本大震災の被災地を初め、義務教育においては、児童生徒に寄り添ってきめ細かく対応するということが求められています。そして、そのために、教員の加配ということも含めてしっかり配意していただいたところであります。

 一人一人に寄り添う、これはやはり人間じゃなきゃできないことでありますから、この遠隔教育が、全く教職を持っていない、先生でない人たちがかかわってやっていくということが果たして義務教育に正しいのだろうか、これは僕は大いに疑問だと思っているんですね。ひょっとしたら、学校教育法で定める義務教育の根本も揺るがしかねないものだと思いますので、松野大臣、どう考えるか、お願いします。

松野国務大臣 遠隔地の学校同士の合同授業やさまざまな専門人材の授業への活用など、ICTを活用した教育は文部科学省として積極的に推進をしているところです。

 一方、教育基本法や学校教育法に規定された義務教育の目的、目標を踏まえれば、義務教育は、単なる知識の伝達ではなく、教員と子供との触れ合いの中で生きる力を育むことが不可欠であり、授業を行う教室に資格のある教員がいなくてもよいといった今回の提案に関しては、文部科学省としては受け入れるべきではないと考えています。

 文部科学省としては、子供に寄り添い、一人一人を大切にした教育が各学校において行われるよう、教員定数の確保に努めるとともに、特に被災地においては、よりきめ細やかな指導のため、教員加配等の支援に努めてまいりたいと考えております。

亀岡委員 まさに教師が教室にいなければ、第一次安倍内閣のもとで改正された教育基本法や学校教育法に規定された義務教育の目的、目標は達成できないと考えます。教師が子供との直接の触れ合いの中で授業を行うこと、教員免許等の必要な資格を持った教員が子供の指導を行うことがなぜ規制の対象になるのかという、これが僕は不思議でしようがないんですね。

 ですから、これは、時間がなくなってきたのであれなんですけれども、どうしても、先生がいなくてもいいというような義務教育はあり得ないのであって、それを内閣府が、全く別の視点から、規制改革かどうかわかりませんけれども、何でも緩和すればいいんだというやり方でなし崩しにしてしまうことは許されることではないと思っております。

 ぜひこれは内閣府の藤原審議官にお答えいただきたいんですが、今、福島の子供たちこそ教師との人格的な触れ合いを求めているからこそ、教師の加配をお願いしてきたのであって、これを全く無視するようなやり方を福島に持ち込むというのは許されるべきことではないと私は思っております。何でこういうことが行われているのか、ちょっと説明をいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府におきましては、自治体や事業者の方々から、年二回、集中受け付けの提案でございますとか、それから随時、制度改正についての提案を受け付けてございます。

 実は、今委員御指摘の件でございますけれども、二月の十日に、福島県の楢葉町から御提案を頂戴いたしました。

 これは、被災地からの御提案であるということ、それから町長御自身が提案内容を御説明されるということ、お聞きしていますと、私どものみならず規制改革会議等につきましても御要望を出されているということもございまして、大変熱意を感じたこともございまして、特区のワーキンググループという組織がございます、大臣に対する諮問機関でございますが、こちらで二月の十六日に楢葉町松本町長からヒアリングを行わせていただいたところでございます。

 御提案の内容につきましては、東日本大震災以降、住民、とりわけ子供のいる世帯の帰還が進まないという中で、その帰還を促すために魅力的な教育環境を整えたいというお考えに立って、域内だけでは確保が困難な多様な人材を活用して、ICTを活用して遠隔教育を実現したいという御提案でございました。

 この提案についてでございますけれども、とにかく、現時点ではまだ入り口に立ったばかりでございます。まだ、内閣府としてスタンスを固めて関係省庁と議論するという段には全く至ってございません。それ以上の議論が行われていないところでございます。

 本日の委員からの御指摘を十分踏まえまして、当然、本件、内閣府だけで進められるものでも全くございません。引き続き、文科省を初めとします関係省庁、また関係各者と十分に調整を図ってまいりたいというふうに思っております。

亀岡委員 ぜひ、松本町長が取り下げたら、これはもうすぐ御破算にしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 大臣所信に対する質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 今、亀岡先生の方からも再就職問題に関しての御質問がありました。私も、まずその点から聞かざるを得ないというのは、ちょっと残念なんですが、皆さんのお手元に資料を二つ、机上配付させていただきました。

 資料の一は、二月五日付の朝日新聞、編集委員の曽我豪氏の「日曜に想う」という記事であります。表題は「百年前の文部省廃止論」。ちょっとびっくりするような表題が出ていまして、これは何だということで読んだんですが、高橋是清が原敬内閣の大蔵大臣だった一九二〇年、大正九年、このときに提出した「内外国策私見」という文章の第四項目に、「文部省ヲ廃止スルコト」という項目がありました。曽我氏はこれを引用して今回の事態を批判しまして、一番下の最終の段のところに結論が書いてあります。

 平地に波乱を起こすような廃止論を唱えるものではない。だがこうは思う。なぜ今この時代において、科学でも文化でも体育でもなく、文教事務を国家が統括する文部を頭に冠した役所が存在する必然性があるのか。責任を負うべきところで身をかわし、自由に任せるべきところで管理を持ち出し、特権を慎むべきところで守ろうとする。そうしたちぐはぐな行動様式を改めない限り、その必然性を感じさせることは難しいというふうに結論づけられております。

 私、これをずっと読んで、ちょっと違和感を覚えたんですね。本当に高橋是清さんがこんなことを百年前に言っているんだろうかということで、「内外国策私見」の原本に当たってみました。

 そうしましたら、確かに、小中学校の施設経営監督は地方自治体に任せよという文章はあるんですね。でも、その前後を全部この曽我さんははしょっていまして、高橋是清氏は、都会と地方の差を無視して全国一律の教育を施すのは問題があるというふうな指摘をされています。また、地方自治体の財政力には差があるので、一律に負担を強いるのは問題がある、この点は間違いなく指摘されているんですね。

 その上で、こんなふうに言われています。「而シテ斯クノ如ク全国平等劃一的ノ教育ヲ施ス其結果ハ青年子弟ヲシテ動モスレバ実際ヲ離レタル平等思想ニ陥ラシメ、社会ノ秩序上下ノ差別等ヲ一切無視スルノ感念ヲ懐カシムルニ至ル傾向ナシト云フ可ラズ。」ということまで言われているんですね。

 これはちょっと本当に言い過ぎだなと思うんですが、さらに、こんなことまで言われています。国民思想を涵養し、伝統精神を全国の子弟に知らしめるには教育勅語がある、教育勅語により、修身処世の大本を指示し、健全なる国民思想を涵養せしめよ、文部省ではなく、内務省をもってこれに当たらせよというふうに主張しているんですね。

 ここの部分を全部考えて曽我氏はこういう引用をしたのかな、ある意味、ちょっと切り文的に高橋是清さんの提言を使って今回の文科省廃止論みたいなことを言われているんじゃないかな、ちょっとマスコミ人としていかがなものかなというふうに、原本に当たって思いました。

 高橋是清さんの指摘はもっともな部分はありますけれども、ただ、現代に、教育勅語、しかも内務省でやれというのは、今内務省がずっと流れてきたのは警察庁あるいは総務省ですから、そういったところに教育を任せて本当にいいのかというふうに思うんですが、大臣は、この曽我さんの提言を見られてどう思われますか。

松野国務大臣 御指摘の報道については、当省の再就職等規制違反問題に関するものと承知をしております。この問題で国民の皆様の信頼を文部科学省が著しく損ねたことは省を挙げて反省、猛省をしながら、全容を解明し、厳正な処分を行うとともに、再発防止策の構築にしっかりと取り組んでまいります。一刻も早く信頼を取り戻すよう、省を挙げて全力で取り組む覚悟であります。

 議員が言及をされました個別のコラムの内容について、コメントは差し控えたいと考えております。記事における御指摘は御指摘として真摯に受けとめつつ、文部科学省は、未来への先行投資である教育再生、科学技術・学術、スポーツ、文化の振興という重要な役割を担っており、これらに責任を持って取り組んでいくことが信頼回復につながるものと考えております。

 このため、学習指導要領の改訂、給付型奨学金の創設、義務標準法の改正等の教育政策や、産学官連携、基礎科学力の強化に向けた具体策の検討等の科学技術・学術政策、文化庁の京都移転に向けた準備、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えた国際競技力の向上や文化プログラムの推進等の文化、スポーツ政策に全力で取り組んでいく覚悟でございます。

富田委員 大臣、リーダーシップを発揮して、ぜひ頑張っていただきたいと思うんです。

 もう一つの資料を資料二として裏につけさせていただきました。これは教育評論家の尾木直樹氏の文章ですけれども、「公僕の原点、再確認せよ 聞き取りにも誠実対応を」というふうに書かれております。私の地元の千葉日報の二月十九日付に載っていたんですが、多分、共同通信とか時事通信で配信された記事だと思うんですが、私はちょっと千葉日報しか見ませんでしたので、千葉日報で机上配付をさせていただきました。

 尾木氏は、文科省が国家公務員法に違反していた意味は極めて深刻だというふうに、大きく分けて二点根拠を挙げられています。

 一番上の段から、一つは文科省が全国の小中高、大学の統括官庁であるからです、高潔で信頼されることにたえ得るような業務の仕方、そして品格が文科省の官僚には求められる、一方、教育の現場は隠蔽が横行していると、御自分の、大津市で起きたいじめ事件の第三者委員会の経験を踏まえられてお話をされています。そして、教育現場からすると文科省も隠蔽をしているじゃないかということになる、文科省のダメージははかり知れない、これが一点目。

 そして、二点目として、今教育は大きなターニングポイントにある、いろいろお金もかかるし教員もふやさなきゃならない、そういった中で、教育の中身と質を変えるにはお金がかかる、そのためには国民の支援、応援が不可欠です、しかし、今回のような問題が起きると、声高に言える環境ではなくなる、教育行政の先頭に立ち、現場の理論的支柱にならなければいけないのに、その結果、子供たちにしわ寄せが来るのではないかと懸念している。

 おっしゃるとおりだと思うんですね。これは本当に、二つとも大事な指摘だというふうに思います。

 尾木氏は結論として、なぜこのような事態が起きたのか、職員は聞き取りに正直に話してほしい、国民の側に立ち、仕事をする公僕という原点をもう一度再確認してもらいたい、そして、調査チームも、摘発するだけではなく、どうしたら違法な天下りの構造をなくすことができるのか、答えを導き出す必要があると指摘されております。

 そのとおりだと思いますが、大臣はどう考えられますか。

松野国務大臣 二月二十一日に公表した中間まとめは、再就職等監視委員会から指摘のあった組織的な再就職あっせん構造や三十七件の個別事案について集中的に調査を行い、その時点で把握できた事実関係を整理したものであり、今後、三月末の最終報告に向けて、全職員や退職者を含む徹底的な調査を行って、全容を明らかにすることとしております。

 御指摘のうち、一点目の、国民のために仕事をする公僕という原点に立ち戻って職員が聞き取りに正直に話すという点は、まさに全職員に対して書面調査を行った際に職員に徹底した内容であり、本調査に対して職員は正直かつ真摯に回答を行っていただけるものと考えております。

 二点目の、どうしたら違法な天下りの構造をなくすことができるかという点につきましては、まず、徹底した調査を行って全容を明らかにし、これまで明らかになった事実及び調査結果に基づいて厳正な処分を行ってまいります。その上で、実効的な研修の実施に加え、文部科学省の置かれた状況を踏まえ、国民に納得いただけるような再発防止策を講じていくことが重要であると考えております。

 文部科学省の信頼が損なわれたことは、みずから引き起こしたことでありますけれども、加えて、教育現場の皆様方や子供たちにも大変な迷惑をかけているということを十分踏まえながら、文部科学省への国民の信頼を取り戻すことができるよう、省を挙げて全力で取り組んでまいります。

富田委員 大臣の言われるとおりだと思うんですが、中間報告を党としてお聞きして感じたことは、監視委員会から指摘されたことをただ追いかけているだけなんじゃないか、本当に、どうしてこういう構造になったのかというところに突っ込んでいくような調査がされているのかという点では、少々疑問でした。

 我が党からいろいろ提案させていただいて、多くの弁護士さんたちも調査チームに入ったわけですよね。この方たちの能力を活用して、構造的なところにメスを入れていただきたい、そうした形で最終報告を出すべきだと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

松野国務大臣 まさに今回の調査に当たりましては、公明党からも外部有識者の導入等において具体的なアドバイスをいただきました。その外部有識者、弁護士さんでありますとか企業のコンプライアンスの専門家の方々に加わっていただきまして、今回の中間取りまとめ、また最終報告に向けて調査を進めているわけでありますけれども、まさに今後再発防止に対してどういったしっかりとした制度を構築していくかということに関しても、外部有識者の方々の御指導、御意見もいただきながら、国民に納得をいただける再発防止策をしっかりとつくってまいりたいと考えております。

富田委員 期待しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 最後にもう一点、夜間中学の設置促進についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 私も提案者として参画させていただきました義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が、昨年十二月七日に成立しました。平成二十九年度予算案として、中学校夜間学級の設置促進等推進事業として二千万円が措置されております。

 加えて、文部科学省において、本年一月に「夜間中学の設置・充実に向けて」という手引を作成されて、公表されました。こういうものなんですが、これは大変よくできているというふうに思います。非常にわかりやすいですし、全国の自治体の教育担当者にぜひ読んでいただきたいというふうに思いまして、私の方では、公明党の約三千人の地方議員の皆様に、今回こういうのができたということで、議員が閲覧できる党のホームページに載せさせていただきました。

 また、二月十日付の公明新聞でも一面で大きく取り上げさせていただいて、ぜひ各地域で検討してもらいたいというふうに提案をしているんですが、残念ながら、でも、なかなか手を挙げてくださる自治体がないというふうに文科省の担当者から伺っておりました。

 そうしましたら、二月の二十二日、千葉県の松戸市教育委員会の伊藤純一教育長が松戸市議会におきまして、二〇一九年四月に公立の夜間中学を開設したいということを表明されました。

 千葉県内には、市川の大洲中学校に夜間学級が設置されております。県内二校目となるわけですけれども、全国夜間中学研究会の理事である須田登美雄先生が、この法律が成立した後、私の事務所を訪ねてくださいまして、どういったところに新しく夜間中学ができるかというお話をしていたんですが、その際に、今、八都府県三十一校しかないけれども、その八都府県以外にぜひつくってもらいたいけれども、県内に二校目があってもいいんだというふうに言われたんですね。

 市川にあるけれども、松戸は自主夜間中学があるから、松戸にできてもいいんだという話をされたので、どうしてですかというふうに伺いましたら、県内に一校しかないと、そこで、夜間中学で教鞭をとられた教員の先生が一般校に転勤してしまう、そうなると、夜間中学で自分で体験したものを継承していくことができなくなる。同県内に二つあると、お互い行き来して、若い先生につないでいくことができるというふうに須田先生は教えてくださいました。なるほどなと思ったんです。

 伊藤教育長は、こんなふうに松戸市議会の質疑に答えられたようです。これは、三月一日に市議会で質問があって、答弁されたようですが、二年間かけて準備を進めていきたい、ただ、中学校夜間学級の新設は全国でもこの十年近く例がなく、特に関東圏においては三十年以上例がありません、教育委員会としては、既存の夜間中学の例を参考としつつも、開設準備に当たりまして、あらゆる角度より検討、研究してまいりますというふうに答弁されていました。

 ぜひここをしっかりバックアップしていただいて、せっかく議員立法でできた法律ですので、文科省としても強力なサポートをしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

松野国務大臣 松戸市が夜間中学の新設を表明したことについては、いわゆる教育機会確保法の成立後初の事例であり、文部科学省としても、その開設準備について、千葉県や松戸市の教育委員会への助言や支援に努めてまいります。

 文部科学省としては、各自治体において夜間中学の設置に向けた検討が進むよう、富田委員から提示をいただきました夜間中学に関する手引を作成し、周知をしたところであります。

 また、平成二十九年度予算案において、教員への研修も含め、夜間中学の新設に向けた準備について支援するための経費を計上しております。

 さらに、現在提出している義務教育費国庫負担法の改正法案では、都道府県が夜間中学を設置した場合についても、教職員給与の三分の一を国が負担することとしております。

 これらを通じ、各都道府県に少なくとも一つは夜間中学が設置をされ、また、その上で、各自治体においてニーズを踏まえながら取り組みが進むよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

富田委員 今大臣が指摘された、都道府県が設置した場合の三分の一補助というのは、これまでなかった制度ですので、ぜひ都道府県の皆さんにもこの制度をしっかり知っていただいて、新しい夜間中学ができるように、私たちも全力を尽くしていきたいと思いますので、大臣もしっかり応援をしていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十四分散会


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