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第8号 平成29年4月5日(水曜日)

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平成二十九年四月五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 長島 昭久君 理事 富田 茂之君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      秋本 真利君    安藤  裕君

      井上 貴博君    池田 佳隆君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      大西 宏幸君    鬼木  誠君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      神田 憲次君    木内  均君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      小林 史明君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      田畑 裕明君    谷川 とむ君

      野中  厚君    馳   浩君

      鳩山 二郎君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      松本 剛明君    宮路 拓馬君

      和田 義明君    太田 和美君

      坂本祐之輔君    高木 義明君

      玉木雄一郎君    平野 博文君

      牧  義夫君    宮崎 岳志君

      笠  浩史君    樋口 尚也君

      吉田 宣弘君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    伊東 信久君

      吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  土生 栄二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         加瀬 徳幸君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府再就職等監視委員会事務局長)       塚田  治君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局次長)         川上 尚貴君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        藤原  豊君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        奈良 俊哉君

   政府参考人

   (内閣府官民人材交流センター副センター長)    岡本 義朗君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官)        中川 健朗君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      山下  治君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岩本 健吾君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 平垣内久隆君

   参考人

   (前文部科学事務次官)  前川 喜平君

   参考人

   (元文部科学省大臣官房人事課企画官)       嶋貫 和男君

   参考人

   (元文部科学省大臣官房人事課長)         伯井 美徳君

   参考人

   (元文部科学事務次官)  森口 泰孝君

   参考人

   (文部科学省元大臣官房人事課長)         中岡  司君

   参考人

   (文部科学省元大臣官房人事課長)         藤原 章夫君

   参考人

   (文部科学省元大臣官房人事課長)         藤江 陽子君

   参考人

   (元文部科学事務次官)  銭谷 眞美君

   参考人

   (元文部科学事務次官)  坂田 東一君

   参考人

   (元文部科学事務次官)  土屋 定之君

   参考人

   (元文部科学省高等教育局長)           吉田 大輔君

   参考人

   (文部科学省元大臣官房人事課長)         小松親次郎君

   参考人

   (文部科学省元大臣官房人事課長)         常盤  豊君

   参考人

   (文部科学省元大臣官房人事課長)         関  靖直君

   参考人

   (文部科学省前大臣官房人事課長)         豊岡 宏規君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小島 敏文君

  池田 佳隆君     和田 義明君

  尾身 朝子君     宮路 拓馬君

  神山 佐市君     國場幸之助君

  小林 史明君     佐々木 紀君

  船田  元君     井上 貴博君

  太田 和美君     宮崎 岳志君

  高木 義明君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     野中  厚君

  小島 敏文君     神田 憲次君

  國場幸之助君     鳩山 二郎君

  佐々木 紀君     小林 史明君

  宮路 拓馬君     大西 宏幸君

  和田 義明君     池田 佳隆君

  玉木雄一郎君     高木 義明君

  宮崎 岳志君     太田 和美君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     尾身 朝子君

  神田 憲次君     鬼木  誠君

  野中  厚君     田畑 裕明君

  鳩山 二郎君     木内  均君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     秋本 真利君

  木内  均君     神山 佐市君

  田畑 裕明君     船田  元君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     青山 周平君

    ―――――――――――――

三月二十三日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(福島伸享君紹介)(第四七六号)

 同(吉川元君紹介)(第四八四号)

 同(高木義明君紹介)(第五〇八号)

 同(坂本哲志君紹介)(第五〇九号)

 同(長尾敬君紹介)(第五一〇号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第五三五号)

 同(小川淳也君紹介)(第六一一号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願(大西健介君紹介)(第四七七号)

 同(岸本周平君紹介)(第四七八号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第四八五号)

 同(古川元久君紹介)(第四八六号)

 同(吉川元君紹介)(第四八七号)

 同(赤松広隆君紹介)(第五〇四号)

 同(伴野豊君紹介)(第五〇五号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第五一一号)

 同(小川淳也君紹介)(第五三六号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第五三七号)

 同(畠山和也君紹介)(第五四七号)

 学校現業職員の法的位置づけに関する請願(大平喜信君紹介)(第四八三号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、行き届いた教育を求めることに関する請願(畠山和也君紹介)(第五四八号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(小川淳也君紹介)(第六一〇号)

同月三十日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(池田道孝君紹介)(第六四〇号)

 同(山田賢司君紹介)(第六七六号)

 同(井坂信彦君紹介)(第七六一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)について政府から報告を聴取いたします。松野文部科学大臣。

松野国務大臣 文部科学省における再就職等問題に係る調査報告にかかわる報告をさせていただきます。

 文部科学省では、本年一月以降、再就職等問題調査班を設置し、外部有識者である特別班員四名の指導、判断のもとで調査方針等を決定するとともに、調査班員として十五名の弁護士の方々に参画していただき、三百回以上のヒアリング調査、三千名以上を対象とした全職員調査、再就職規制導入以降の全退職者六百名以上を対象とした退職者調査等、現時点ででき得る限りの調査を徹底的に行い、最終まとめを取りまとめました。

 これにつきましては、三月二十九日の再就職等監視委員会において了承されたことを受け、同月三十日に公表したところです。

 最終まとめにおいて、組織的なあっせん構造の全容を解明するとともに、再就職等監視委員会の調査により判明した事案と、新たに文部科学省の調査によって判明した事案とを合わせ、違法行為が確認された事案が六十二件ありました。

 確認されたこれらの行為は、文部科学行政に対する国民の信頼を著しく損ねるものであり、省を挙げて猛省するとともに、文部科学省の責任者として、改めて国民の皆様に心よりおわび申し上げます。

 最終まとめを踏まえ、三月三十日、改めて処分する三名を含め、関係した職員等三十七名について厳正な処分等を行いました。この結果、一月二十日に処分した職員等と合わせると四十三名となり、多くの処分等を行ったことは極めて遺憾なことであります。文部科学省として、再就職等にかかわる構造を断ち切るために厳正に対処いたしました。

 特に、文部科学省の再就職あっせんの構造の構築、運用にかかわってきたことや、このような事態を招いたことについて、事務方のトップである事務次官の責任を極めて重く受けとめ、三人の事務次官経験者を停職相当の評価としたところであります。

 最終まとめにおいては、調査を通じて考え得る再発防止のあり方として、硬直化した人事慣行や組織体制の見直し、身内意識の組織風土の改革、職員の遵法意識の醸成が挙げられております。

 私の使命として、これを踏まえた再発防止のための方策について、有識者に参画いただき、その意見を踏まえて取りまとめ、それを着実に実行し、文部科学省が国民に信頼され得る組織になるよう、職員一丸となって、与えられた職責に全力で取り組んでまいります。

永岡委員長 これにて報告は終わりました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として前文部科学事務次官前川喜平君、元文部科学省大臣官房人事課企画官嶋貫和男君、元文部科学省大臣官房人事課長伯井美徳君、元文部科学事務次官森口泰孝君、文部科学省元大臣官房人事課長中岡司君、同藤原章夫君、同藤江陽子君、元文部科学事務次官銭谷眞美君、同坂田東一君、同土屋定之君、元文部科学省高等教育局長吉田大輔君、文部科学省元大臣官房人事課長小松親次郎君、同常盤豊君、同関靖直君及び文部科学省前大臣官房人事課長豊岡宏規君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官土生栄二君、内閣人事局内閣審議官加瀬徳幸君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、再就職等監視委員会事務局長塚田治君、地方創生推進事務局次長川上尚貴君、地方創生推進事務局審議官藤原豊君、同奈良俊哉君、官民人材交流センター副センター長岡本義朗君、財務省理財局次長中尾睦君、文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官中川健朗君、大臣官房文教施設企画部長山下治君、高等教育局長常盤豊君、高等教育局私学部長村田善則君、厚生労働省大臣官房審議官椎葉茂樹君、健康局長福島靖正君、農林水産省大臣官房審議官岩本健吾君及び国土交通省航空局次長平垣内久隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田一男君。

前田委員 おはようございます。自民党の前田一男でございます。党務では、文科部会におきまして、亀岡部会長のもとで部会長代理を務めさせていただいております。

 文科省天下り問題が発覚してからもう二カ月になるわけでありますが、自民党の文科部会におきましても、六回ほどこの問題について取り上げてまいりました。その都度、出席議員からは厳しい意見が出され、毎回、会議は三十分ぐらいオーバーし、その間、誰一人として途中で席を立つ議員はおりませんでした。それだけ、自民党議員も、今回の文科省の天下りの問題、これをきっかけに根絶していかなければいけないと強く思っているところでございます。

 そのような空気の中で、私ども自民党の文科部会といたしましては、この最終報告が発表される前に、部会長名で松野大臣に文書要請をさせていただきました。組織ぐるみで再就職等の規制違反行為を行ってきたことは重大な問題であることを指摘した上で、事務方のトップである歴代事務次官、そしてその実務をつかさどっていた歴代の人事課長、さらには違反行為を行った職員の厳正なる処分を求めると同時に、再発防止の徹底を要請したところでございます。

 今回の調査報告はこの要請にも沿った内容になっているものと一定の評価をしているところでございますが、要は、この報告書の信頼性、それが国民の皆様に受け入れられるものなのかということが大事になってくるというふうに思います。

 この後、あっせんの仕組みづくり、また再発防止策、そして今後の国家公務員の再就職についてどう考えていくべきなのかということについて問うていきたいと思います。

 まず、文科省内に設置された調査班であります。その信頼性が問われるわけであります。一部からは、外部調査でこれを行うべきではないかというふうな声もありました。公明党さんの御意見もあり、この調査班には弁護士も入ってもらってしっかりとした調査ができたというふうに調査班の皆様は言えるかどうか、そのことについて説明をしていただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 調査班長をしております中川でございます。

 文部科学省における再就職等問題調査班は、法律やコンプライアンスの専門家から成る外部有識者である特別班員四名の指導、判断のもとで調査方針等を決定するとともに、さらに、調査班員として十五名の弁護士の方々にも参画していただきました。その方々とともに、三百回以上のヒアリング調査、三千名以上を対象とした全職員調査、再就職規制導入以降の全退職者六百名以上の方々を対象とした退職者調査等を行いました。

 このような外部有識者を中心とした体制をとって徹底的な調査を行ったことにより、最終まとめにおいて、組織的なあっせん構造の全容を解明するとともに、再就職等監視委員会の調査により判明した事案と、さらに新たに文部科学省の調査によって二十七件の違法行為が判明し、全体で六十二件の違法行為が確認されたものでございます。

前田委員 ただいま中川さんから御説明いただいたわけでありますけれども、調査班には、弁護士の方が十五名、そして文科省の職員の方も班員として二十一名参加されたということでございます。

 この弁護士の先生方と文科省の職員の方々の仕事の内容また役割分担、そういったことについて、もうちょっと説明していただけますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 調査に当たりまして、弁護士等の有識者に果たしていただいていた具体的な役割といたしましては、調査方針、調査方法の決定に当たっての指導、判断、具体的には、節目節目の会議においてこの調査方針でいいかということを確認いただき、そして御指導いただきながら進めてまいりました。また、三百回以上、大変多数のヒアリングをいたしましたが、このヒアリングへの同席、単に同席するというだけではなく、ヒアリングの質疑を主導いただきました。また、国家公務員法等に違反する行為に関する指導、判断、これは専門的知見が必要でございますので、そういった判断、こういったもの等が挙げられます。

 このように、調査そのものは、第三者の主体的な御指導のもと、その第三者性を確保するとともに、法律やコンプライアンスの専門家としての御知見を生かしていただきながら実施してまいりまして、その御指導、判断のもと、調査班におきまして、そのスタッフが、三千名以上の全職員調査あるいは退職者調査等、力を合わせて徹底的な調査を進めたということでございます。

前田委員 よくわかりました。

 現役の職員三千名、再就職規制導入以降の退職者六百名全てへの調査、そしてヒアリングは、二百十五の個人と団体で、その回数は三百回以上。弁護士の先生方のさまざまな御労苦に心から感謝申し上げたいと思いますし、また文科省の職員も、昼夜を分かたず、組織再出発のために真摯に取り組んでこられたのだろうと思います。

 さて、中間まとめ後に、文科省の職員が外務省や内閣府の再就職まであっせんしていたのではないかという報道がありました。これは、この文科省のあっせんのシステムがほかの省庁にまで及んでいたのか、そのような疑念を持たれかねません。この点、説明をいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査に当たりましては、全職員及び再就職規制導入以降の全退職者に対しまして徹底的な調査を行いまして、その結果、文部科学省の職員が外務省職員や内閣府職員の再就職のあっせんを行っていたこと、こういった事案が二件明らかになりました。

 これらの事案につきましては、まず、外務省職員をあっせんしていた事案、これにつきましては、もともと現役職員の人事交流を企図し、東京外国語大学から大使等の経験者を求められていたところ、当時の人事課長が、外務省職員との雑談の中で適任者を聞いたという事案でございます。

 また、内閣府職員をあっせんしていた事案は、新潟大学が経済分析にすぐれている者を探しているということを聞いた当時の人事課長が、旧経済企画庁出身者が適任ではと考えた事案でございます。

 いずれも、それぞれの大学のニーズを考慮して行ったものであって、定常的な業務として行っていたという事案ではございませんが、これらも含め、今回の調査で、省庁間で組織的、構造的に再就職をあっせんしたという事案ではございませんが、この二件につきまして、人事課長等が違反事案があったということで認定したものでございます。

前田委員 よくわかりました。

 この調査とは別に、内閣府では今、全省庁一斉の調査が行われている、そのように伺っています。これは今も調査中だというふうに思いますけれども、その対象者や今の進捗状況、これについて御説明ください。

加瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、内閣人事局に立ち上げました再就職徹底調査チームにおきまして、全力を挙げて調査を行っているところでございます。

 現在、一つ目としまして、現行の規制が導入されました平成二十年十二月三十一日以降に再就職情報が公表された退職国家公務員、これはOBでございますが、そのうち、営利企業などに再就職した約六千四百人に対する、再就職に至る経緯などについての書面調査、二つ目としまして、本省幹部や地方機関を含む現役の人事担当者に対する、早期退職者への対応やOBへの情報提供の実情などについてのヒアリング調査、三点目としまして、各府省官房人事課に対する、職員などへの再就職規制の周知のための取り組みについての書面調査を実施しているところでございます。

 これらの調査につきましては、現在も継続中でありますことから、さらに具体的なことについてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、引き続き徹底的な調査を行い、その結果が出次第、速やかに明らかにしていく考えでございます。

前田委員 この一斉調査についても、その結果を注視していきたいと思います。

 次に、組織的仕組みを構築してきたことに対する文科省事務方トップの責任について伺いたいと思います。

 発表された処分は、停職、減給、戒告、訓告、文書厳重注意、国家公務員としては重い処分だというふうに言えると思います。計四十三名の処分、文科行政最高責任者の事務次官初め主要な幹部、本当に遺憾なことであります。

 しかし、私は、この仕組みを構築してきた人と前例を踏襲してきた人では、若干違うものがあるのではないかというふうに感じました。

 そこで、きょうは、本来は清水潔元事務次官に話を聞きたかったんです。この方は、ちょうどこの時期に事務次官となられて、一年五カ月にわたり職責にあった方であります。文科省から参考人として声がかかっていたにもかかわらず、おとといから海外に渡航されたということであります。一体どんな仕事があって、みずからがいた文科省で今こういう問題が起きているのに、一体どういうことかと思います。民主党の政権下での事務次官であります。ぜひ民進党の皆様にもこの辺を突いていただきたいというふうに、私は、個人的に思うところであります。

 結局、前川さんに聞くしかありません。前川さんが全部背負っていかなきゃいけないんだということだと思います。平成二十一年から二十二年にかけて、ちょうどこの再就職のあっせんが構築された時期でありますが、省内では、どんな空気があって、幹部の方々はどのような考え方を持ってこの時期、臨まれていたのか、わかる範囲で結構です、お答えください。

前川参考人 その当時、私は大臣官房審議官で初等中等教育局を担当していたというふうに記憶しておりますが、そのころの雰囲気といいますか空気といたしましては、厳しい再就職規制が導入されたということで、早期退職なりあるいは定年退職でやめる人たちの再就職の希望についてどう対応したらいいのかというのは、恐らく省内幹部、いろいろと悩んでいた時期だろうと思います。

 大まかな認識としては、OBの人たちが善意であっせんをしてくれているのではないか、そのような認識でいたというふうに思っておりまして、このさまざまな事案について調査が進んで詳細が明らかになりましてから、私も、人事課がかなり組織的に関与しているということは認識するに至ったわけでございますけれども、当時の私の認識といたしましては、漠然と、OBの方々がボランティアベースで再就職の希望をかなえている、そのように認識していたわけでございます。

前田委員 今回の事案は、当初は、きょうも来ていただいていますが、嶋貫さんが個人的な裁量のところで行ってきたのではないか、そのような印象を私も報道などから得たところでございますが、その後、これは実は組織的な問題であって、嶋貫さんがこの中心的な役割を担うこととなったということが明らかになってきたわけであります。

 嶋貫さんにその経緯を伺う前に、まず、官民人材交流センター、この機能についてちょっと伺ってみたいと思います。

 第一次安倍内閣の中で最後に制定された法律だったと思います。平成十九年の国家公務員法改正を踏まえて、職員の離職後の就職の援助、これを行うために、平成二十年の十二月に官民人材交流センターが設立されました。しかし、平成二十一年九月の閣議決定における鳩山総理大臣の発言で、勧奨退職の職員の就職援助、これが一切できなくなりました。もともと、省庁によるあっせんはやめて、そのかわりに全省庁一括で、このセンターにおいて再就職のそのような結びをしていくというふうなことであったわけでありますが、しかし、聞くところによると、一切の事前調整なく、この機能をなくする発表があったというふうなことでございます。

 内閣府に、この経緯についてもう少し詳しく説明をしていただきたいと思います。

岡本政府参考人 御説明申し上げます。

 国家公務員の再就職のあっせんにつきましては、平成二十年十二月以降、内閣府に設置されました官民人材交流センターに一元化されたところでございます。

 しかし、今先生からお話がありましたように、平成二十一年九月、閣議におきまして、当時民主党の鳩山総理から、官民人材交流センターによるあっせんを、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除き、今後は一切行わないという発言がございました。この発言を受けまして、それ以降は、組織の改廃等による分限免職者以外の再就職のあっせんは行わないこととされております。

 この方針につきましては、現在においても維持されているところでございます。

前田委員 この点は、もちろん民主党の政権下で行われたわけでありますが、自民党もこの流れを踏襲しているというふうなことでございます。(発言する者あり)ええ、党派を超えてやりましょう。

 この件について、嶋貫さんに聞きたいと思うんです。この変更をもって、嶋貫さん、あなたはどう受けとめられたでしょうか。

嶋貫参考人 初めに、このたびの一連の問題、監視委員会から、また文科省から、そして何よりも社会から厳しい御批判を受けるに至りましたこと、かかわった者の一人として、また私自身がかつて文科省に身を置いた者として、大変重く受けとめてございます。おわびを申し上げたいと存じます。

 私自身は、みずからのできる範囲のお手伝いという気持ちで、後輩を思ってかかわってまいったところでございますけれども、しかし、そのプロセスにおいて文科省の関与が指摘されることになりました。

 私が公務員を退職した平成二十一年の夏でございますが、このときというのは、新たな再就職規制がスタートをして間もないころでございました。文科省自身もこれは戸惑っておられたことと、私は外から見ておったわけでございます。また、何よりも、退職を控えた方が大変不安な状況にあったものと察してもおりました。しかし、私に何か具体のすべがあるわけでもございませんでした。

 ただ、そのとき、漠然としたイメージとしては、これからは官民交流センターが活用されたり、あるいはさまざまなOBの方の個人的なお世話のようなものが頼りになっていくのかな、そういう感じを当時持っておりました。

 ただ、官民交流センターにつきましては、今お話ございましたが、これは先般の最終報告でも触れてございますけれども、その機能がどうなるのかといったようなこととか、そういった幾つかの面で懸念があったことも記憶の中にはございます。

 そんな中で、私もOBの一人として、何かお役に立てる機会があればそうさせていただきたいというぐあいには考えてございました。当時は、全体がまさに手探りの状況というようなものであったというぐあいに考えております。

前田委員 お話を伺っていまして、嶋貫さんがしてきたことは、本来、官民人材交流センターがその機能として担うべきものだったのではないかというふうに感じました。一月二十六日の予算委員会で、民進党の委員の方からも、人事課OBがやっているところが実質的な官民人材交流センター文科省向けみたいになっているという発言もございました。

 嶋貫さんにもう一度聞きたいと思います。

 もし官民人材交流センターが当初の計画どおり職員の就職援助を行っていたら、自分の役割は必要なかったと思われますか。

嶋貫参考人 官民交流センターの役割が見直された時期といいますのは、私が公務員を退職した直後であった、そういうこともございまして、ただいまお話しの点につきましては、そうであったのかもしれないのでございますが、明確に私の気持ちの中で比較して意識することはできませんでした。

 ただ、これはちょっとお話の異なることかもしれませんが、当時、省庁の関与を制限する、こういう新たな再就職規制というのは、結果として、一人一人の職員がみずからのスキルを高める、みずからの道を切り開いていく、そういう努力を促すものであるというぐあいにも考えておりました。

 そのような意味で、私がイメージしておりましたお手伝いといったものも、ある意味、過渡的な、いわば経過的なものであると考えてもおりましたし、そうであってほしいと願ってもおりました。

前田委員 人助けと思ってやってこられたかもしれませんけれども、結果としては、文科省の信頼を失墜させることになったわけであります。嶋貫さんには、その分、これからこの国を担っていく子供たちの将来のために、一汗も二汗もいろいろな形でかいてほしい、そのように思います。

 さて、次に、再発防止策とこれからの国家公務員の再就職、それをどうしていくのかということについて伺っていきたいと思います。

 再発防止策は文科省で検討されるべき重要な問題でありますが、今回の最終まとめの中で、四名の外部有識者の方が文書をまとめられています。

 最終ページの参考資料の九であります。調査班特別班員の所見、この指摘は私は重要だというふうに感じました。再発防止策が現職職員の行為を監視するだけの方策では不十分、そして、退職した人たちの能力をその後どう生かしていくかという再就職の道をつくっていくことが再就職等規制違反の抑止につながる、こう指摘しています。

 平成二十一年になくなった官民人材交流センターが本来持っていた機能、再就職の道をつくるという、これをもう一度、私は、与野党を超えて議論して、そして取り戻していくということも重要な観点ではないかというふうに思っています。

 これまでるる私は述べてまいりましたが、松野大臣に、今の点も含めて、今後の決意をいただきたいと思います。

松野国務大臣 まず、改めまして、今回の文部科学省における再就職等規制違反について、最終まとめにおいて違反行為が確認された事案が六十二件あるなど、文部科学行政に対する国民の信頼を著しく損ない、当省職員の再就職疑惑を抱かせるものであり、また、この一連の違反行為の中において隠蔽工作もあったということで、省を挙げて猛省をしているところであり、また、文部科学省の責任者として、改めて国民の皆様におわびを申し上げる次第であります。

 再発防止策について、委員の御指摘をいただきました。

 再発防止策を検討するに当たりまして、今回の最終まとめにおいて、調査を通じて考え得る再発防止のあり方として、硬直した人事慣行や組織体制の見直し、身内意識の組織風土の改革、職員の遵法意識の醸成の三点が挙げられているところであります。今後、この報告の内容を踏まえ、法律やコンプライアンスの専門家など外部有識者の御意見をいただき、速やかに、具体的な再発防止のための方策を取りまとめてまいりたいと考えております。

 なお、官民人材交流センターを機能させていくことなど、政府全体で考えていく課題につきましては、文部科学省としても、所管の山本大臣に必要な協力を行っていきたいと考えております。

 文部科学省が国民に信頼される組織となるよう、職員一丸となって、私も先頭に立って、与えられた職責に全力で取り組んでまいります。

前田委員 平成十九年の法改正で、文科省の職員にとっては、大学等への天下りの問題というのは他省庁とはやや違った意識があったのではないかというふうに感じるところもあるんです。文科省の職員は、文科省と大学等を現職出向という形で行き来をしていて、そして、ある年齢でもって文科省をやめるとなったときには、その現役出向の流れの中でまた大学の方に行くという、そのような意識があったのかもしれません。

 しかし、世間はそうは見ないわけであります。大学には、文科省から、運営費交付金や私学助成金など数十億円の単位でお金が出ています。世間は、文科省からOBを受け入れた方が大学としては無難だと考えるだろうなというふうに思うと思うんです。ですから、これからの文科省職員の大学の再就職を考えるときには、これを超える理由とか正当性、そういったものを言えないと、国民の不信は払拭できないということも指摘しておきたいと思います。

 自民党文科部会で、多くの謝罪と説明を文科省の調査班の方からいただきました。若い職員の真摯な姿に、私は素直に、文科省の将来への希望を見たような気もしました。これを契機に、文科省には見事なる再出発をしてほしいというふうに思います。

 そして、政治も、国に奉職してきた国家公務員の再就職、あとは自分で勝手に頑張れというのではなく、これに対してしっかりとした道筋をつくっていくことも大切であるということを申し上げて、私の質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 質疑時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 私は一年生議員でございます。一年生議員ではございますが、初当選以来、この文部科学委員会に所属をさせていただき、学校の耐震化、また給付型奨学金の創設など、国民の皆様に安心していただける、また喜んでいただける、そのような政策を前に進めることができたのではないか、自分なりに自負をしております。

 この国民に安心していただける、喜んでいただける政策の前進について、もちろん、文部科学省の皆様の一生懸命な努力があったことも私はよくわかっております。その旨、心から文部科学省の皆様に感謝をしております。

 しかし、まことに残念ではございますが、文部科学省の一部で、国民の目の届かない場所で法を犯し、自分たちの利益のためによりによって組織を運営していた。このことは私は許され得るはずはないとも思いますし、厳しい言い方かもしれませんけれども、文科省は、国民を裏切った、子供たちを裏切った、子供たちの健全な育成を担う所管行政庁として万死に値する、そのように私は申し上げざるを得ません。

 今般提出された最終報告書が真に国民の皆様の御批判にたえ得るものであるか、また、国民の皆様にこれから新しい文科省として進んでいくに当たって御理解をいただける、そういったものであるか、そういった観点から私は質問に立たせていただいております。

 報告をいただいたこの最終報告書、私、概要版の文言について少し気にかかっている点がございます。概要版の二ポツ、再就職のあっせんの構造解明の一つ目の丸に、「職員OBが再就職あっせんを行うことは違法ではないとの軽信」という記載がございます。軽く信じた、とんでもないことだと思います。

 この問題を再発防止の観点からこれからの文科行政にやはり生かしていただきたい、そういった意味からも、この発端の部分、何で軽く信じてしまったのか、そして、なぜ、軽く信じて、それが違法であったわけだけれども継続をしてしまったのか、そういった過程についてきちっと検証が加えられているのか。

 そこで、まず一番最初の、法のたてつけについて確認をさせていただきたいと思います。

 国家公務員法について、これは文科省に限った話ではございません、OBが現役職員の関与なく後輩の再就職の世話などをすること、それ自体というものは国家公務員法に反するのでございますでしょうか、教えてください。

加瀬政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家公務員法第百六条の二第一項におきましては、現役職員が、営利企業などに対し、他の職員や職員であった者を当該営利企業などの地位につかせることを目的として、当該職員に関する情報を提供すること、当該地位に関する情報の提供を依頼すること、当該職員を地位につかせることの要求、依頼をすることなどを禁止しております。

 お尋ねの、既に退職した元国家公務員が、現役職員の関与なく、他の退職した元国家公務員の再就職に関与することについては、国家公務員法第百六条の二第一項で規制する行為には該当するものではないというふうに考えております。

吉田(宣)委員 違法ではないという結論でございました。

 では、少し当てはめたいと思います。

 きょうお越しいただいている嶋貫参考人、平成二十一年の七月十三日に文部科学省を退職しておられます。それ以降はOBです。では、このOBである嶋貫参考人が現役職員の関与なく再就職の世話を行っていたとすれば、それは国家公務員法に違反するのでしょうか。

加瀬政府参考人 仮定の御質問にお答えすることは非常に難しいところでございますが、繰り返しとなって恐縮でございますが、お尋ねの、国家公務員を既に退職されている方が、現役職員の関与なく、他の退職した元国家公務員の再就職に関与することについては、国家公務員法百六条の二第一項で規制する行為には該当するものではないということで考えております。

吉田(宣)委員 当てはめについて、具体的にその結論というふうなことは、なかなか答弁というものは難しいことは私も承知をしておりますが、その趣旨については理解いたしました。

 すなわち、OBの方というのは、それは後輩がやはり大切です。本当に、いい文科行政というものをともどもに築いてきた、そういった思いはあろうかと思います。後輩の世話をしたいと思うことは、これは自然なことだと思います。現職の職員の関与がなければ、これは違法ではないということでございました。

 ただ、やはり、今般の最終報告書、私も見せていただきましたが、多数の国家公務員法違反の事例が出ております。認定をされております。その中には、嶋貫参考人がOBとして携わった例が数多く見受けられます。

 今のやりとりで、OBが現役職員の関与なく再就職の世話をするということは違法ではないということであったにもかかわらず、最終的にこれだけたくさんの違法事例というのが出てきたその理由についてどのように分析をされたか、教えていただければと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの、平成二十年十二月三十一日、この日に、改正国家公務員法に基づく再就職等規制、これが導入されたわけでございますが、その後、なぜこういった違法なことがされてきたかというものについて、最終まとめで時代を追って分析をしております。

 この中で、二十年の十二月三十一日、この導入時において、最終まとめによりますと、このころ、規制対象外である職員OB、これは今の御議論にもありましたように規制対象外である、その職員OBを含む外部の者に再就職あっせんを依頼する、こういうことは違法性はないものと漠然と認識されていた、こういうことも初めの時代の分析として最終まとめに記述しております。

 このような漠然とした認識を持っていた中で、職員OB、大学等関係者からもたらされた求人情報等、こういったものが関係のところからもたらされてきますと、そこで人事課職員等が、嶋貫氏に対して、外部との具体的な調整に着手することを期待して継続的に提供する、外部の嶋貫さんという方であるから、規制対象外である職員OB、この方々に提供するのならばいいのではないか、こういった漠然とした認識の中でそういうことが行われることになった。

 このことは、分析されておりますように、OB職員である嶋貫氏を介しているとはいえ、再就職のあっせんに明確に文部科学省職員が関与しているということで違反行為として認定され、こういったものが継続的にされ、多数認定された、このように分析しているところでございます。

吉田(宣)委員 嶋貫参考人のいわゆる調整であったりそういった動きに職員が関与をしているということをもって、それが継続し、多発したことをもって、文科省が組織的に違法の認定を受ける事態に至ったというふうなことでございました。まことに残念なことだと思います。

 そこで、嶋貫参考人に伺いたいと思います。

 参考人が文部科学省を退職した当時、この国家公務員法再就職規制について理解をしておられたか、お聞かせください。

嶋貫参考人 私自身は、現職の人事行政に長く携わったということもございまして、新たな規制については気にもかけておりましたし、理解もしていたつもりでございます。

 ただ、今回の最終まとめでも当時の人事課の認識として触れられてございますけれども、今お話がございましたOBによる再就職のお世話につきましては、私自身も漠然と、許されるものというぐあいに考えていたことは事実でございます。

 これは、当時、制度が運用されて日も浅かったということもございまして、十分な事例の積み重ねがなかったといったようなことも影響していたのかなというぐあいに今振り返って考えているところもございますけれども、しかし、その後、時を経て、今回の指摘を受けてございます組織的関与というものが事例の中から生まれてきたときに、なぜそこで踏みとどまって考えることができなかったのかという思いは今強くございます。みずからの不明を恥じているところでございます。

吉田(宣)委員 認識はしていたと。ただ、漠然とした、軽い、まあ、軽いと私が評価してもいけないんですけれども、そういった気持ちはあったというお話でございました。認識はしていたけれども、恐らく、そういう漠とした認識であって、十分に理解はしていなかったのではないのかなというふうに思っております。

 では、そういった意識、認識について、今回の問題がこれだけ公になって発覚したとき、そこまで、そういったぼやっとしたというか漠然とした認識がずっと続いていたというふうなことでございますか。嶋貫参考人に、さらにお答えいただければと思います。

嶋貫参考人 今申し上げたところでもございますけれども、踏みとどまるべき時期があっただろうし、踏みとどまるチャンスはあったんだろうと今振り返って思ってございます。それができなかったということにつきましては、言葉を失う思いでございます。

吉田(宣)委員 踏みとどまるというのは、規範に直面をしたということであろうかと思います。私、法務委員会にも所属しておりまして、そういったいわゆる刑法というふうなものについて、国民の理解をしっかり深めるためにもいろいろな勉強もさせていただいておりますが、今般の問題というのは、国家公務員法について、それが違法でないという間違った理解が発端であったんだろうと思います。これを多分、法律の錯誤という専門用語でいうのかもしれませんが。法律の錯誤というのは、それが違法であろうがなかろうが、意識において、違法性の意識といいますけれども、これは関係ないというのが今の日本のあり方です。

 そういった観点からしても、やはり私は、もっともっと、後に述べますけれども、そういった遵法意識というものを今後しっかり用いていかなければいけないんだろうというように思います。

 続けて嶋貫参考人にお答えいただきたいと思いますが、一番最初にこういった、再就職の手伝いというふうなお気持ちだったのかもしれませんけれども、最初はやはり純粋なボランティアというふうな意識で始められたのではないですか。どうでしょうか。

嶋貫参考人 私自身といたしましては、当時は、非常に先行きの見えない中で後輩が不安な思いをしていたということも間近に見ていたこともございまして、後輩のため、そういうお言葉を使わせていただきますと、純粋な思いで手助けをしてきたつもりでございます。

吉田(宣)委員 後輩のためにという思いはもちろんあったんだろうと思います、今お話があったとおりですが。

 でも、文部科学省は、嶋貫参考人が教職員生涯福祉財団を退職する際に、次の就職先を探すようなことまでやっているんです。見返りではないですか、これは。とすれば、もはや、純粋な後輩のためというふうな意識はその時点ではもう参考人になかったのではないでしょうか。このころにはもう自分のためにやっていた、自分の利益のためにやっていた、そういうふうなことではないですか。嶋貫参考人、お答えください。

嶋貫参考人 私の内面の思いというのは今申し上げたところでございますけれども、一方で、このたびの一連の問題で、文科省が、お話しのように、そのための環境を整備したのではないかという御指摘もいただいてございます。私としてはそのような認識は持っていなかったわけでありますけれども、このたびの最終まとめにおきましても、そのことに言及がございました。その点につきましては、非常に重たく受けとめなければいけないというぐあいにみずからに言い聞かせているところでございます。

吉田(宣)委員 参考人、結果的に、後輩がみんな違法行為に手を染めるような結果になってしまったわけです。今どのようなお気持ちでおられますか、お聞かせください。

嶋貫参考人 このたびの処分というのは、これは先ほどお話ございましたけれども、国家公務員としての行為が問われたものと理解はしているわけでありますけれども、しかし、一連の事案が組織的関与の中で行われてきたというぐあいに認定されました以上、そこにかかわった私の行為が、またこれは許されるものではございません。みずから厳しく戒めてございます。多くの方が処分を受けるに至りましたこと、まことに痛恨のきわみでございます。

吉田(宣)委員 今、OBである参考人にお話を伺った上で、伯井参考人に伺いたいと思います。

 嶋貫参考人が教職員生涯福祉財団退職時に文部科学省の人事課長であったというふうにお聞きをしております。この人事課長時代、国家公務員の再就職等規制についてどのような認識を持たれておったか、お聞かせください。

伯井参考人 お答え申し上げます。

 私は、平成二十五年七月から一年間、人事課長をしておりました。当時、現役の職員が再就職のあっせん行為を行うことは国家公務員法の再就職等の規制の対象であるという認識をしておりました。その上で、職員自身が再就職のお世話などをやりとりするのではなくて、OBを介することで、国家公務員法に定める再就職規制の法違反にはならないと当時は考えていたものでございます。

 ただ、これは、事実、人事課職員が情報提供などの関与もしていたわけでありますし、私の監督責任というのも深く反省しているところでございます。また、再就職規制の内容についての理解が十分でなくて認識が甘かったということも猛省しているところであります。

 さらには、結果的に特定OBを介した再就職あっせん行為という形で、これは客観的に見れば組織的な法の潜脱行為であるということでございまして、そのことも深く自戒、反省をしているところでございます。

吉田(宣)委員 残念です。

 時間が少なくなってまいりましたので、次の話に移っていきたいと思います。

 今般の最終報告書が提出されるに当たりまして、組織的な関与を行ってきたOBまたは現職の文部科学省の職員の処分も決定し、私のところにも報告が参りました。確認をしておきたいのですけれども、この処分権者は誰でしょうか。

松野国務大臣 今回の処分に関しましては、任命権者である私が決定をいたしました。

吉田(宣)委員 私も、処分の内容について見せていただきました。

 同じ人事課長経験者であるのに、処分に随分ばらつきがあるようでございます。理由をお聞かせください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 同じ人事課長経験者でございましても、かかわった個別の事案の件数やそれらの事案へのかかわり方、これらが異なるため、処分の量定についても、個々の状況を総合的に勘案して行っているところでございます。

吉田(宣)委員 それでは、処分者に対してどのように伝達をされるのか。例えば、通知書みたいなものを郵送で機械的に送りつけるというような事務的なやり方では、私はいけないと思うんですね。違反者に対して大臣みずから直接処分を言い渡すといった厳格なやり方で行う場合もあろうかと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

松野国務大臣 このたび、再就職等問題調査班が取りまとめた最終まとめを受け、文部科学省の再就職あっせんの構造の構築、運用にかかわってきたことや、このような事態を招いたことについて、事務方のトップである事務次官の責任を極めて重く受けとめ、事務次官経験者三名について停職相当としたところであります。

 停職相当である事務次官経験者三名については、事の重大性に鑑み、私から直接、通知書を手交することといたしました。前川氏については既に手交したところであり、他の二人に関しては、日程調整の上、順次、速やかに手交したいと考えております。

 また、それ以外の処分を受けた現役の職員については、私の指示を踏まえ、事務次官より懲戒処分書を手交したところでございます。

吉田(宣)委員 大臣、重ねてお聞かせください。

 処分の内容については、もう当事者もわかっていることかと思います。文科大臣、どのようなことを勘案し、どのような思いでこの処分を下されたか、そのお気持ちをお聞かせいただければと思います。

松野国務大臣 このたびの文部科学省における再就職に関する国家公務員法違反等につきまして、国民の皆様の大変な不信を呼ぶことになったこと、心からおわびを申し上げる次第であります。このような事態を重く受けとめ、一月と今回で、関係した職員等四十三名に厳正な処分を行いました。このような人数の処分を行ったことは痛恨のきわみであります。

 文部科学省が失った信頼の回復は一朝一夕にできるものではありませんが、私も先頭に立って、再発防止のための取り組みを着実に実行し、全ての職員が日本の未来をつくるという文部科学行政の崇高な使命を共有しながら、職員一丸となって、与えられた職責に全力で取り組んでまいりたいという思いでございます。

吉田(宣)委員 処分を受けた職員の方、これからも文部科学行政を担う機会があろうかと思います。また、それ以外の職員の皆様も、今大臣がお話しになられた答弁の内容、その心は常に自分の血液に流れているというぐらいの、しっかり心に焼きつけて、私欲に心を奪われることなく、今後の国民の期待に応える仕事に取り組んでいただきたいと思います。

 以上のやりとりを通しまして、今般の問題の根底にあるのは、やはり文科省の職員の規範意識の薄さだろうと思います。法令遵守それからコンプライアンス、これは民間企業では当然しっかり職員が研修などで学んでいることでございますが、この法令遵守の研修みたいなものを文科省内部で行われておりましたでしょうか。お聞かせください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、新規採用職員に対する研修や課長級、課長補佐級等に関する研修において、国家公務員法の服務やコンプライアンスについて一定の研修を行ってまいりました。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、今回の最終まとめでは、職員一人一人の遵法意識が希薄であったことが今般の再就職等問題が生じた原因であり、職員の遵法意識を醸成するためのコンプライアンスに関する研修の充実が不可欠であるとの指摘を受けてございます。具体的に、再就職等規制については、今回の事案を踏まえた実態的かつ能動的な内容に改善を図ることが必要である、こういったものが最終まとめの記述にございます。

 このような指摘をしっかりと踏まえ、今後、法令や服務規律を十分に理解し遵守するよう、さらなる研修の充実に努めてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 これまで甘かったんですね。しっかり反省をして、そういった研修制度を整えていただきたいと思います。

 ちょうど新人の皆様が各省庁、入省する時期でもあります。国家公務員としての自覚、それは早急に徹底をされなければならないというふうに私は考えます。その上で、これからの文部科学省に必要な再発防止、これはこれから大切な課題になってまいります。

 この再発防止のあり方について最終報告書に盛り込まれておりますが、基本的なあり方として、適切な分析を踏まえ、コンプライアンス体制の構築であったり、現職とOBのかかわり方についての見直しであったり、また、規範意識の醸成に向けた研修の実施などが盛り込まれております。これについて私は評価をしたいと思います。

 具体的な策定については、今進捗していると私は承知をしておりますけれども、この具体的な策定作業の根底に、絶対に再発をさせないという断固たる決意について国民に御理解をいただけるのか、また、国民の皆様は厳しくこれから文部科学省を見ていかれると思いますが、そういった厳しい御批判にたえ得るものであるのか、それを常に意識して策定を進めていただきたいと私は強く求めたいと思いますが、文部科学大臣、受けとめをお聞かせいただければと思います。

松野国務大臣 吉田委員御指摘のとおり、今回の問題に対し、国民の厳しい目が向けられているということを直視しながら、再発防止策の策定に当たりましても、国民の皆様からごらんいただいて御納得いただけるものをつくり上げていかなければならないと考えております。

 それに当たりましては、現在の文部科学省の置かれている状況を考えると、この再発防止策の策定についても、外部の有識者の方々から、法律面であるとかコンプライアンスの面であるとか、専門的な御所見をいただき、外部有識者の方を中心とした再発防止策の策定に当たらなければならないと考えております。

吉田(宣)委員 大切なことだと思います。やはり、身内だけで決めてしまえば何だかんだ甘えも生じるのかもしれません。今の大臣の答弁を私は非常に高く評価したいと思います。

 最後の質問になります。

 この策定の完了時期、これについてはいつをめどに今進めていかれるおつもりか、大臣の御決意があればお聞かせいただければと思います。

松野国務大臣 今ほど答弁をさせていただきましたとおり、再発防止策の策定に当たっては、外部有識者の方々を中心に策定をおまとめいただきたいと考えておりますので、外部有識者の方々の人選また承諾等も含め、現在、検討し、御相談をしているところでございます。速やかに結論を出していきたいと考えております。

吉田(宣)委員 速やかにということは大切な視点でございますが、外部有識者の皆様の意見を真摯にしっかり受けとめたしっかりとしたもの、そういった再発防止策をつくり上げていただきたく、心からお願いを申し上げて、私、質問を終わらせていただきます。

永岡委員長 次に、平野博文君。

平野委員 おはようございます。民進党の平野博文でございます。

 松野大臣には、先般、所信の質疑においても、この天下りの問題について若干質問をさせていただきました。今調査中だということで、過日、最終報告ということが上がってきたわけであります。

 そういう中で、私が申し上げたときは、もっと早期にこれが発見をされる、あるいは、知っておるならば公益通報してでもこのものがもっと早く解明をしてほしい、そんな公務員であってもらいたい、こういう気持ちを持っておりました。また、全体をしっかりとうみを出してもらいたいということも申し上げました。特に、隠蔽、口裏合わせということについては、徹底的にその真相を解明してもらいたい、こういうふうに申し上げてきたところであります。そういう視点で、きょうは少し質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭の前田先生のお話がありましたが、民主党政権のときの云々というお話を頂戴しました。我々野党の今の立場でいきますと、三日か四日前に、こういう参考人に出てもらいたければ早目にあれを出しなさい、こういうことでやったんですが、前田先生が質問のときには、清水元次官は来られない、こういうことなんでしょうか。

 私、改めて、我々委員の方には、三日前だったと思いますが、こういう、銭谷さん以下ずっと並ばれておって、参考人については早目に言ってくださいということで言われたわけですが、なぜ清水さんについては出てこられなかったんでしょうか。通告しておりませんが、どうぞ。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 詳細を承知しておりませんが、清水元次官は現在外国におられるので、ここにおられないということのみ聞いておるところでございます。

平野委員 これは文科省にとっては最大の危機の案件になっているんですが、それをやはり最優先で、OBといえども次官経験者であります、その方がしっかりと真相解明について協力するという姿勢がないように思えてなりません。

 したがいまして、私は、なぜ来られなかったのか、どういう案件で行かれているのかということをしっかりと、委員長、理事会の中で改めて協議をしてもらいたいと思いますし、前田先生におかれてはそういう立場で御質問されましたから、ぜひ理事会でしっかりとそこは追及してもらいたい。

 委員長、よろしゅうございますか。

永岡委員長 後ほど理事会にて協議をさせていただきます。

平野委員 もう一点、本題に入る前に、実は、私、いろいろ今回のレポートを読ませていただきました。中に少しちらっと書いてあるんですが、利害関係のあるところだと思っておりますが、各生命保険会社へ顧問に就任されている方が多うございます。

 どういう方がどこへ行っているのかという資料要求をいたしましたら、なかなか出てこなくて、私も、きのうの夜は待っていませんでしたが、けさ来ましたら、資料をいただきました。こんな真っ黒な資料でありました。全く何もわからない。

 これについても、これはいろいろな問題があると思っていますから、理事会でしっかりとこの部分について、我が党の理事の方には申し上げておきますので、委員長、理事会で協議をぜひお願いしたいと思います。

永岡委員長 後ほど理事会にて協議をさせていただきます。

平野委員 さて、本題に入りたいと思っております。

 先ほど委員の方から、特に処分の軽重についてということでの御指摘がありましたので、かぶらないようにしたいと思っていますが、特に人事課の中でも、例えば藤江さんあるいは室長級の職員については停職、その他は減給、こういうことですが、その基準というのは、先ほど中川さんからも御説明あったと思うんですが、それは処分についての本当の基準なんでしょうか、改めて聞きたいんですが。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の処分の基準全体については人事院等が出しているものがございますが、これを今回の処分についてどういうふうに勘案していくかということにつきましては、最終まとめの中におきまして、一つ一つの事案あるいは構造、これに関する責任という部分の記載がございまして、どの方がどういうふうに責任を負うべきだという責任についても分析をし、とりわけ組織としての責任ということで、トップの責任、それから職責等があるということで人事課長の責任、こういったことが重いということ、それから、先ほど申し上げましたように、個々の事案、何件かかわったか、あるいは自分が主体的にかかわったか人に頼んだか、こういった総合的なことを勘案して、この報告書に書かれてあるものをもとに、任命権者である文部科学大臣がこの処分というのを決めた、こういうものでございます。

平野委員 そうすると、たまたま人事課に異動になって人事課にいたからこの処分を受けたということになり得るんですか。

 要は、言いたいことはどういうことかというと、改めてこれは大臣に聞きたいと思うんだけれども、次官、文科審、人事課長の責任、後で聞きますが、前川さんのようにみずからかかわった分は除いて、上位の職位にあるという間接的な、あるいは監督責任という観点で責任の重さを見ていくのか。

 あるいは、実質的にした人は一番重たいんだというけれども、ラインの指揮命令系統ということでいくと、たまたまその人が単独でやった部分じゃなくて、今回の調査のレポートでいくと、組織的に関与している、大体、こういうレポートが基本だったですよね。そうすると、やはり処分というのはラインの指揮命令のもとで行われているというふうに私は思えてならないんですが、人事課の室長あるいは補佐級の職員の責任は人事課長以上の幹部の責任と同等以上にやはり重いんですか。もっと上席にある人の方が重いんじゃないんでしょうか。その点、大臣、どうなんですかね。

松野国務大臣 個々の職員の処分につきましては、先ほど政府参考人の方から御説明をさせていただきましたとおり、国家公務員法の規定でありますとかその職責を踏まえつつ行ったものでございます。また、全体としての監督責任の問題、行為の反復性の有無の問題、違法性の認識等、それぞれの諸事情をあわせ、総合的に判断をさせていただきました。

 その中において、今回の最終まとめでは、旧文部省出身の事務次官及び人事課長には、組織的に再就職規制を潜脱する再就職あっせんの構築を防止すべきであったにもかかわらず、構造の構築、運用にかかわってきたことについて重大な責任があったということでございます。これを踏まえて、管理責任が極めて重いとし、事務次官、人事課長等には、事務次官経験者の停職相当を初め、厳しく対応させていただいたところであります。

 個々の職員は、その構造的なものの中において、その職について違反行為をやってしまったということがあるのではないかという先生の御指摘は、これは監視委員会の方からも、法律を潜脱する目的でこういった構造がつくられたという御指摘もいただいております。個々の職員も、そういった流れの中において違反行為を行ってしまったということはあり得ると思いますが、しかし、専門知識を持つ人事課の職員として違法行為、反復行為があったということにおいて今回の処分の量定を行ったところでございます。

平野委員 いや、私が言いたいことは、当初から幹部への報告や承認が繰り返されていた事実ということを鑑みますと、多くの幹部は、確立された再就職の仕組みについては、言うか言わないかは別にして、認識をしておったという事実、単に、見えない、聞かない、こういうふりをしておったんだ、事実上、上から下まで全部、この天下りのあっせんについては絡んでいたというふうに私は理解をしないと、逆に、汚れ仕事だけを人事課の現場の諸君に担わせて、幹部が責任を逃れ得るための制度設計をしておったようにしか映らないんですよ。そこをやはりはっきりしておかないといけないという点なんですね。

 したがって、今回の調査レポート、これが出ましたが、このときに調査された方三千人、あるいは退職した方六百人に及ぶ調査をした、こういうふうにお聞きしましたが、俺は違う、やっていないということで、このレポートに対して、事実とは違うと言われた人というのは何人かいましたか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど冒頭も御説明いたしましたように、全職員調査、OB調査、それからヒアリング調査、その他もろもろの調査、これも単にヒアリングを行うということだけではなく、有識者の御示唆をいただきながら、Aさんという人が怪しいときは、Bさんという人に聞く、そのかかわっていた団体にも聞く、さらに新しい供述があれば、そちらをまた再度聞く、こういったことを積み重ねてやってまいって違反として認定されたものがこの六十二事案ということでございます。

 したがいまして、その過程においてはもちろんいろいろな供述が違い、否定することもございましたが、これは認定されたものでございます。

平野委員 いや、言いたいことは、状況を合わせて認定をしたというんですが、本人も、事実、違法行為を行いましたということを、本人の承諾を得ているんですか、これは全部。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 各事案のところを最終まとめでごらんいただきますとかなりきめ細かく書いてあるんですが、Aさんはこういうことを証言した、Bさんはこういうことを言った、しかし、こういうメールが残っていた、したがって、こういうことは違反として認定できる、こういった、一つ一つの事案についてケースが違います。それぞれについて有識者のアドバイスをいただきながら、違反認定するというのは処分につながりますので軽々にはできません、そういったものを、裏をとりながら、証言をとりながら、総合的にやって違反認定をしたということでございます。

平野委員 ということは、当事者御本人も納得しておる、こういうことで私は理解をします。

 そこで聞きたいのは、やはり、組織として真に責任を負う、これは一体誰なんだというふつふつとした疑問が私は出るんですね。その判断をするのは、今、中川参考人からお話がありましたが、第三者でもないんですよ、事務方でもないんですよ、大臣なんですよ、真のこの責任を負うべき立場、あるいは政務三役なんですよ。

 私も、大臣在任中に起こっていることについては私の責任だと思いますよ。その辺を大臣、私は決して、一本一本の木だけを見て、その木を取ればきれいになるんだというんじゃなくて、文科省という全体の森を見てやはり判断をしてほしいと思うんですが、その点、大臣、どうでしょうか。

松野国務大臣 平野先生から御指摘をいただきましたとおり、文部科学省の責任者として、今回の再就職等規制違反に関して、本当に国民の皆さんに申しわけなく、責任を痛感しているところでございます。

 その上において、みずからに大臣報酬の自主返納等を科したわけでございます。その大きさ、多寡に関していろいろと御意見はあるかと思いますが、私として、これから自分の使命としてやり遂げなければいけないことは、まさに先生から御指摘をいただいた文科省自体の意識改革であり、その構造的なものをしっかりとつくり直すということが私の責任だと考えております。

平野委員 ぜひ大臣、厳しい、苦しいと思いますがやり切っていただきたいと思いますし、抜本的にやはりやってもらわなきゃいけない、かように思っております。期待をいたしております。

 そこで、前川さん、お越しいただいています。少し前川さんに。

 私の当時、官房長でありました。私の前川さんに対する評価というのは、非常に部下の面倒見がいい、庁内でも非常に人望の高い人だったし、私自身も非常に信頼をしています。こういう形で質問をさせてもらわなきゃならぬのは残念でありますが、一点だけ確認をしておきたいんですね。

 この調査報告によると、私の大臣在任中であります二〇一二年の五、六月ごろに、再就職あっせんを行わないかと国大協サービスに打診した、こういうレポートが上がっているんですが、これは事実ですか。

前川参考人 まず、文部科学省の官房長、文部科学審議官、事務次官という中枢の職におりまして、この問題につきまして十分監督責任を果たせず、このような事態に至ったということにつきまして、歴代の大臣を含めまして国民の皆様にも改めておわび申し上げたいと存ずる次第でございます。

 御質問の件につきましては、おおむね事実でございます。ただ、私の主観的な意図と事実認定との間には必ずしも一致しない部分もあるかとは思いますが、ただ、この調査班の調査結果につきましてはそのとおり受けとめたいというふうに思っております。

平野委員 実は、文科省はこの間一貫して、文部科学省においては官房長は人事に関与しないシステムなんだ、また、そういう風土、文化なんだということを説明してこられました。

 当初、この問題は、私は官房長が本来やるものだと思っておりましたが、報告書においても、人事課への監督責任があるとされつつも、再就職案件について原則として官房長はかかわっていないというふうに読み取れます。今までの各レクを受けても、そういうふうに思っていました。しかし、二〇一二年のこのとき、私の官房長でありました。私の理解では、前川さんは人事課長も経験をしていないんです。

 そこで、ぜひ聞きたいんだけれども、前川さんだけが人事に関与した特殊なケースの官房長だったんでしょうか、前川さん。

前川参考人 ほかの官房長経験者がどのような仕事の仕方をしていたかということについては詳細を承知しておりませんけれども、私が官房長の時期におきまして、課長以上の人事につきましてはほぼノータッチでございました。それは、文部科学審議官あるいは次官がタッチしていた、責任を負って扱っていたというふうに認識しております。一方、課長まで至らない部分の企画官、室長以下の部分につきましては、人事課長というよりも人事課の副長という職の者と相談しながら、これはかかわっておりました。

 先ほどのOBの再就職の件につきましては、基本的にはタッチしていない、これは当然、直接タッチすることはないわけでございますが、国大協サービスとの接触の件につきましては、先ほど申し上げたとおり、事実あったわけでございます。これは、私の主観的な意図といたしましては、特定のOBのボランティア的な善意に寄りかかっている仕組みはなかなか難しいのではないか、むしろ、国大協サービスのような、これは営利企業でございますけれども、そういったところが、職業安定法上の職業紹介業として、表の仕事としてきちんとやるという形をとるのがよりよいのではないか、このような発想から、私は国大協サービスと接触したということでございます。

平野委員 この時期に、文教フォーラムを舞台としたスキームが形成されていく、こういうことになるんですが、前川さんは、国大協サービスがそういうことをやる舞台をつくっていく団体になってくれないか、そこに嶋貫さんという人を充てていきたいがどうなんだろうという最初の入り口をつくったのではないかというふうに思うんですね。

 これは、前川さんの個人的な部分なのか、OBという幹部をベースにしておりますが、前川さんが官房長のときに国大協へ、例えば、山中その当時文科審でしたが、文科審やらあるいは事務次官の方から一度そういう土俵づくりをしてくれやと頼まれてやったのか、そのことをそんたくしてやったのか、あるいは、前川さん、俺がやっておかないと後々困るだろうという男気を出してやったのか、その三つ、どちらですかね。

前川参考人 私が官房長として国大協サービスとそのような、国大協サービスの当時の社長は私の元同僚といいますか先輩に当たる人だったので、相談したわけでございますけれども、この件について、私、その当時の次官や文部科学審議官に相談した記憶はございません。人事課とは相談をしておりましたけれども、私の一存で接触したというものでございます。

平野委員 まあ、そう言わないとおさまっていかないわね。

 きょうは森口次官に来ていただいています。忙しいところ申しわけないですが、次官は知りませんでしたか、この件は。

森口参考人 お答え申し上げます。

 私自身は、今回の件に関して報告、連絡、相談等は受けておりませんので、全く知らなかったという状況でございます。

平野委員 わかりました。知らないと言われれば、知らないんでしょう。ただ、それは誰も、逆に言ったら、知っているんだけれども知らないふりをする、こういうのも一つの組織のあれかもしれません。誰も知らないと言われても、知らないんだと信用する人が少ないんだろうと思います。

 そこで、申し上げます。

 あと五分になりましたが、嶋貫さんが先ほど、次の後輩がそういう意味では就職先が難しい、何とかしなきゃというボランティア精神に富んでということを言われておるんですが、平成二十年の法改正以降、退職者六百人に上る、こういうこと。今回、違法な再就職あっせんがあったとされるのは六十二案件。実際に再就職できたのは三十九事案にとどまるということですが、六百人には、法改正以前にあっせんを受けたとする、そういう方もおると思うので、事実上、再就職の届け出が必要な幹部に限れば十六事案にすぎないんですね。一方、再就職されている方は二百数十人おられるんですね。

 したがって、たった、たったと言ったら語弊がありますが、大問題だと思いますけれども、十六事案あるいは三十九事案にとどまるこの事案のために物すごく大きなリスクを文科省は嶋貫さんを通じて起こしたということになる。加えて、嶋貫さんが絡むところというのは、この引き継ぎ書を考えますと、幹部級の方の基準が書いてあって、こういう方だけ特別に優遇したあっせんをしている、こういうふうに思うんですね。

 したがって、何も嶋貫さんがかまなくても、大半の人は再就職をして頑張っておられるんですよ。ほんのこの十六事案あるいは三十九事案だけをもたれて、文科省はけしからぬ、こういうふうになってしまっているのが私は極めて残念であります。

 したがって、嶋貫さんがボランティアのつもりで、次の後輩が大変苦しむから何としてもその仕組みをつくりたいというこの論理は、私が今申し上げましたように二百数十名が再就職している、こういうことからすると、その仕組み、理屈はできたんでしょうけれども、文科省の後輩のために何とかつくっておかなきゃいかぬ土俵だということにならぬと私は思うんだけれども、嶋貫さん、どうですか。

嶋貫参考人 私が公務員を離れた時期というのは二十一年の夏でございましたが、そのころは、先ほどお話がございましたように、制度の見直しの直後ということもございました。

 ただ、そういう状況ではあったのでございますけれども、その時点で申し上げれば、今振り返りますと、私学等からお話が来ることもその時点ではほとんどございませんでした。また、退職を控えた後輩から、そういう具体の御相談を受けることもほとんどございませんでした。

 まあ、私自身が、そういう意味では、私自身の気持ちといいましょうか、そういうことをどこかに表明する立場でもございませんでしたものですから、それは当然の結果だったと思いますが、それが、時間が経過していく中で、このたび御指摘になるような形のものに変容していったというぐあいに受けとめております。答えになっていないかもしれませんが。

平野委員 嶋貫さんのあっせん行為、このこと自体は、無許可の人材紹介として違法ではないのかなと私は思うんですが、報酬を受けていないから違法性というのはないのか、あるいは、報酬というのは別のところでフックをかけてやっているものだから大丈夫なんだ、こういうふうに思っているのか、その点はちょっと聞きたいということ。

 もう一つは、人事課職員の職員の情報提供というのは、個人情報保護法からいう、いわゆる行政機関の個人情報の流出というところになって、これも違法行為だと思うんだけれども、その点についてこの調査レポートの中には報告がされていないんだけれども、この点についてはどうなんですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この最終まとめにつきましては、冒頭申し上げましたように、一月に再就職等監視委員会から、国家公務員法の該当条文について、これこれを調べろという、任命権者にそういう責務が与えられましたので、これを受けて任命権者がそれに応えるという形で、この最終まとめを再就職等監視委員会の求めに応じたものとしてまとめたものでございます。そしてそれが了承されたというもので、そういう位置づけのものでございます。

 一方、ただいま御指摘の点につきましては、このまとめという一連の調査を通じまして、関係するものにつきましては、私ども調査の方で、いろいろな形で関係のところとも調整をしながら、意見等を伺いながら調整をしてみたものでございます。

 一つ目の、このあっせん活動が、これは恐らく職業安定法の関係かと思います、これについては、嶋貫氏が必要な許可を得ずに多数の文科省職員OBへ雇用関係の成立のあっせんを行っており、厚生労働省にも相談をいたしました。この行為は職安法の規定に違反する行為に該当する可能性があるということで、厚生労働省とも相談をして、考えられます。

 一方、嶋貫氏の活動は文科省職員OBを対象としたものであり、国民の権利利益を著しく侵害するような状況には至っておらない、こういう見方もございまして……(平野委員「短く、短く」と呼ぶ)はい。職安法の目的が強度に妨げられてはいないことから、過去の事例にしても、必ずしもその違法性は大きくない、こういう考えを持っております。

 また、個人情報保護法につきましても、違反したのではないかというものについて総務省に一般的な解釈を確認の上、ここについて、罰則対象の個人情報ファイルがあったのかとか、そういった点を確認いたしましたが、個人情報ファイルに該当する情報があったとは確認するに至らない、あるいは……(平野委員「いや、もういい」と呼ぶ)はい。該当する証拠を認めるに至っていないということでございます。

平野委員 もう時間が来たので終わりますが、今の点も非常に私は懸念するところであります。

 もう一つは、隠蔽にかかわったところで、任用計画官が個人の責任において、引き継ぎの実践的内容をつくった、こういうことはあるんですが、これについてもしっかりとまだやらなきゃいけないと思いますので、最終報告が終わったということが最後ではなくて、最初の始まりであるという認識を私はいたしておりますので、これからもしっかりと解明したいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 民進党の笠でございます。

 大臣、先ほど来お話ありましたけれども、まず私、端的に、今回の最終調査報告が出た結果というもの、中間報告で既に判明している二十七件と合わせて事例だけでも六十二件になり、四十三人が処分をされる、本当にほかの省でも過去にない、極めて残念な結果だというふうに思っております。

 まず大臣、この調査結果で、平成二十年十二月三十一日以降の再就職等規制導入後を対象にしたこの調査、もうこれで全て全容は明らかになったとお考えですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今回の調査に当たりましては、もう既に答弁をさせていただきましたけれども、三千人を対象とした全職員調査、六百人以上を対象としたOBに対する調査、また三百回以上のヒアリング、これらを、委員会の皆さんの御指導もいただいて、外部有識者の方々の指導、判断のもとに行いました。現時点において文部科学省としてとり得る限りの方法をもって今回の解明に当たったと考えております。

笠委員 今回の文科省のいわゆる天下りあっせん問題を受けて、今、内閣府が全省を対象に調査を行っている。この内閣府の方の調査、これは継続して文科省も行われているわけです。先般、私どもの部門においても、この調査結果、なるべく早く出すようにということを私どもは求めておりますけれども、その結果で、万が一にも今回の最終報告に入っていないような事案が出てくるようなことは絶対に私はあってはならないと思うし、もしそういうことがあったときには、大臣も、それなりの責任、しっかりと責任をとる覚悟はあるかということをお伺いしておきたいと思います。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、現時点においては文科省としてとり得る限りの調査を進めたという考えは持っておりますが、また新たにそういったものが、もし疑いがあるような事案が出てきた場合においては、まずは、その事案に関しても徹底的に調査をして厳正に対処をするということは、定常的な仕組みとしてつくっていきたいと考えております。

笠委員 私も、文科省で副大臣、政務官も務めました。私のときにもこういったことが行われてきたということは、本当にある意味遺憾でございますし、私どももそういった責任というのは負っているんだと思います。しかし、最終的な大臣の責任のもとで発表された調査でございますので、それが万が一にも、いろいろなことが起こった、あるいは後で違った事例があったというようなときには、そのことがないことを願っておりますけれども、それはやはり大臣の責任は極めて重くなるということだけは申し上げておきたいと思います。

 それで、大臣、今回の各違法事例について、文部科学省がこの再就職の受け入れの見返りとして、例えば予算配分であるとか、あるいはいろいろな学部の新設等々、特別な何か便宜を図ったことがあるのかどうか、しっかりとそのことは調査をしたのかどうか、伺いたい。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今回の調査に当たって、例えば受け入れ先の法人、団体等に関して何らかのそういった利益誘導的なものがあったかなかったかも含めて、全職員調査、OB調査も含めてやらせていただいております。

笠委員 ということは、なかったということでよろしいんですね。

松野国務大臣 現状の調査においてそういった事例は確認されておりません。

笠委員 公務員の皆さん方がそれぞれの能力を生かしながら、また次の再就職先でいろいろな形で仕事をしながら社会に貢献していただくことは、それ自体は悪いことじゃないわけです。ただ、言うまでもなく、いろいろな権益あるいは予算の権限のある関連したところに行って便宜供与が図られるとか、そこに癒着の構造が生まれるということが、この天下りのやはり本質的な問題でございますので、その点は、大臣の今の答弁で、なかったということで、私もそのことを信じておきたいというふうに思っております。

 それで、大臣は三十日に記者会見もされましたけれども、再就職あっせん構造の構築、運用に関与した事務次官以下幹部職員等の責任は厳しく問われるもので、そういう観点から厳正な処分を行ったというふうにおっしゃっていますけれども、このあっせん構造の構築、運用というのは具体的にはどういうことなんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 最終まとめにおきまして、処分書にあっせん構造の構築、運用にかかわってきたと記載された職員が、事務次官、文部科学審議官、官房長、人事課長であったときに関与したものとして、嶋貫氏の再就職あっせんが継続できるよう官房長、人事課長が環境整備を行い、その検討状況が事務次官にも報告をされていた例、また、文部科学審議官、事務次官がみずから職員OBに退任の意向の確認を行ったり、再就職あっせんに関与していた例、嶋貫氏が職員OBの再就職先の調整を進める中で、次官、文部科学審議官、人事課長に嶋貫氏からの状況報告がもたらされていた等の事実が確認をされています。

 これらを踏まえて、関与した文部科学省幹部職員については、あっせん構造の構築、運用に関与したと評価したところでございます。

笠委員 いや、大臣、私が伺っているのは、この再就職あっせん構造の構築、運用じゃなく構築したということは、ではどういう人たちがこの仕組みを構築したのかということが、私は、この最終報告書を見てもよくわからないんです。

 それぞれがそれぞれの立場のときに関与したというのは書かれている。しかし、問題は、組織的にこういったことが行われていたその枠組みを誰が、誰の指示で、どういう人たちの指示でつくり上げられてきたのか、私は、そこがどうもこの報告書だけを見て全く明らかになっていないなという気がしております。

 特に、当初は、OBである嶋貫氏を介した天下りのあっせんの仕組みであった。しかし、その後、文科省の人事課を中心に、この嶋貫さんを介さずに現職職員が直接かかわっていく仕組みが構築されたんじゃないかと私は思うんです。

 今回の調査の結果、大臣としては、その仕組みを、まあ一人の方じゃないでしょう、誰が、誰の指示でこれが構築されていくことになったのか、大臣の見解を伺いたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 平成二十二年七月ごろに作成された引き継ぎメモの内容などからは、人事課職員が日常的に嶋貫氏とやりとりを行っていたこと、事案によっては、省内意見調整の形で事務次官や人事課長に報告が上がっていたことなどが明らかになったことに基づき、人事課OBである嶋貫氏を介した再就職あっせん構造の仕組みにつきましては、誰か特定の個人が一貫して構築をしたものではなく、関係した事務次官を初め、文部科学省幹部により組織的な関与の中で形成されていったものと判断されているところであります。

 そのため、このような再就職あっせん構造が形成されたことを踏まえて、関与した事務次官以下幹部職員に責任があるとしたところでございます。

笠委員 今回、ここにいただいている処分の概要がございますけれども、懲戒処分である停職であるとか減給であるとか戒告等々、厳しい処分が行われております。

 そして、ここにいろいろな、それぞれ、処分の概要として、なぜこういう処分になったのかという説明が書かれているんですけれども、この中で、先ほど私が申し上げた、文部科学省が組織的に再就職等規制を潜脱する再就職あっせんの構造の構築を防止すべきであったにもかかわらず、この構造の構築、運用にかかわってきたことについて重大な責任があったと指摘されている方が八名おられます。清水さん、山中さん、前川さん、藤江さん、関さん、中岡さん、伯井さん、豊岡さん。当時の次官らと人事課長です。この八名だけは、このことが明確に理由として入っているんですね。

 ということは、この八名があっせん構造の構築の中心的な役割を果たしたということで受けとめていいんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど答弁をさせていただきましたが、今、笠先生の方から御指摘があった八名に関しては、個々の、それぞれの立場において、環境整備でありますとか、報告を受けたにもかかわらず、本来であれば、そこでその是正に動かなければいけない人間が、そのまま動かずにいたというようなことを含めて、個々、行為があったということでございますが、先ほどお話しさしあげた、特定の個人が、または数人が一貫してこの構築に関与したという形ではないということでございます。

笠委員 私はやはり、このあっせん構造の構築という言葉があえて何度も使われ、そして、この処分の内容にまで、ペーパーにまで書かれているわけだから、それはその人たちだけの責任じゃないですよ。

 しかし、運用だったらわかるんですよ。でも、構築でしょう。ということは、そういうシステムを組織的につくり上げてきた責任が、この八名の方だけじゃないけれども、特にその理由として処分をされているということは、やはりそこが中心的にやったのかというふうに読めるわけですよ。その点をお伺いしているんです。その人たちがいい悪いとか、そういうことではなく、そういった観点で、今回、やはり組織的に天下りをあっせんする構造があったということが問題なんですよ。

 個人の一人の人がどんどんやっていたんだったら、その人だけが処分されればいいんです。でも、それだけの大きな組織の中でそういう構造ができ上がるということは、やはり、歴代の立場ある人たちも含めて、しっかりそこでその中心的な役割を果たした人がいるんじゃないですか。そういったことを大臣がどう受けとめておられるのかということをお伺いしたいんです。短くで結構です。

松野国務大臣 先ほど申し上げました平成二十二年の七月ごろの引き継ぎメモに、既に人事課職員の嶋貫氏との日常的なやりとり等々が書かれております。

 まさにこれは笠先生が御指摘のとおり、今回、構築がどのようになされたかというのが調査のポイントでございまして、外部有識者の方々も、その点をポイントとしてずっとヒアリングを重ねていただいたわけであります。その中においても、日常的なやりとりの積み重ねによって潜脱を目的とした関与というものがなされていった、外部有識者の方々の分析もそのようになされているということであって、私の受けとめ方も、これが特定の一人または数人によって設計、構築されたものという形ででき上がってきたものではないのであろうというふうに認識をしております。

笠委員 きょうは、前川さんと藤江さん、両参考人においでをいただきました。

 まず、お二人に伺います。

 当時、同時期に、前川さんが文科審、そして藤江さんが人事課長という立場で幾つかの案件にかかわっておられますけれども、違法行為、国家公務員法違反に当たるという認識があったかどうか、それぞれお答えください。

前川参考人 現職の職員が直接再就職先と連絡をとり情報をもらう、あるいはポストの提供を求める、あるいは再就職を求める人間の情報を提供する、こういった行為、これは明らかに違法であるということは十分認識しておりました。

 ただ、OBによるあっせんにつきましては、ここにつきましては私の不明を恥じるばかりではございますけれども、違法性の認識に欠ける部分があったことは否めないというふうに思っております。

藤江参考人 お答え申し上げます。

 まずは、今回の件につきましては、私自身、人事課長という立場にありながら、大変申しわけなく思っておりますし、最終まとめにもございますけれども、私自身、幾つかのものにみずから関与してしまったことがあるということに対して、大変深く反省しているところでございます。

 お尋ねの点につきましてでございますけれども、違法性の認識ということにつきましては、OBによる照会につきましては違法ではないとの認識をしていたところでございます。

 ただ、まとめにもございますように、候補者を挙げた上でOBに伝える等の行為をしたものもございますし、さらには、みずからかかわった案件も指摘されるという状況でございまして、今顧みますと、ここまでなら大丈夫という境界線がだんだんと薄れてきたという状況で、非常に深く反省しているところでございます。

笠委員 藤江さん、停職三カ月、現職であなたが一番重い処分を受けたわけですけれども、この処分、先ほど平野議員からもありましたけれども、処分を受けた者として、相当だというふうに重く受けとめているのかどうか、そして、なぜあなたが歴代の人事課長の中で一番重たい処分を受けたと認識されているか、お答えください。

藤江参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、停職三月ということで、大変重い処分であるというふうに認識しておりますが、それだけ自分の行った行為が重かったということで受けとめているところでございます。そして、深く反省しているところでございます。

 委員御質問の、なぜ一番重い処分だったかということにつきましては、まず、かかわった件数が複数にわたるということがあるものと考えますが、それに加えまして、その中で、最終まとめに指摘のある再就職あっせん構造による組織的な関与というものによらない形も含めまして、みずから直接関与していたものが複数あったということがあろうかと思います。

 また、自分といたしましては、人事課長として、ほかの職員に法を守らせる立場にあったものでございますけれども、その役割を十分果たせなかったばかりか、自分の対応によってほかの人たちを巻き込むような結果になってしまったものもあるということを大変申しわけなく思っているところでございます。

 この重い処分ではございますが、これをしっかりと受けとめ、十分反省してまいりたいと考えております。

笠委員 きょうは限られた時間なので、前川さんと藤江さんだけおいでいただきました。

 藤江さんのときに、東京外大に外務省の職員、あるいは、新潟大学に旧経済企画庁、内閣府の元職員のあっせんに関与されておられる。

 まず、ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、この最終報告書を読めばわかるんですが、他省のOBなり、あるいは職員を結果としてあっせんした、その再就職のお手伝いをしたというようなことについては、この二ケースだけということでよろしゅうございますか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今回の調査によりまして、この二案の事案について、まず外務省職員をあっせんしていた事実、また内閣府職員をあっせんした事実のこの二例というふうに確認されております。

笠委員 私、先ほど藤江さんが、前川さんも、OBを介しての紹介ということはなかなかその違法性というものを感じていなかったと、違法であるんだけれども、そのことは率直に申しておられたわけです。

 藤江さん、他省の職員までそういった形で紹介をしていくということ、これはやはり違法だ、自分は悪いことをやっているけれどもなかなか言い出し切れない、そういったお気持ちがあったんじゃないですか。先ほどちょっとそこが私、わからなかったので。

 明らかにOBを介していなくて、そして、これについては、藤江さんのお話だと、前川さんにも相談していなかったということだけれども、どういうことでこういうことになったのか。私は、何か、もう少し上の人から頼まれたとかそういうことがあって、あなたがひょっとしたらそれを自分で全部抱え込んでいるんじゃないかというような心配すらしているわけですよ。いかがですか。

藤江参考人 お答え申し上げます。

 この二件につきましては、大学からの希望等を聞く中で、自分が得た情報からその要望に合致するのではと思いまして、大学が希望する人材を得ることにつながるのではということで、紹介をするという形でつないでしまったものでございます。

 他方、違法性の認識につきましては、これは本当に私の不十分な、浅はかなところでございますけれども、他省庁の職員であること、その上、それぞれ既に大使という特別職であったり教員であったりということで、違法性についての意識が薄かったということで、違法性を意識せずに紹介してしまったものでございます。

 なお、これは私が行ってしまったものでございますけれども、組織としての業務という認識ではございませんで、上司である文科審にも報告しなかったというものでございます。

笠委員 この同時期に嶋貫さんなんかが関与している案件では、ほとんど、その案件については前川文科審も藤江さんも名前が出てきます。しかし、文科省だけでやった、しかも他省の職員をあっせんするということについては、一切、前川さんにも相談していない、私自身でやったということですけれども、私は、そこは非常に不可解だなという気がしておりますから、そのことは指摘をしておきたいというふうに思います。

 それで、大臣、ちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほどのこの処分の内容にもう一回戻るんですけれども、藤江さんも今反省されている。それは、先ほど来、かかわった件数であるとか、いろいろな点からのこの処分の内容だということなんですが、これはだらだらといろいろ書いてあるんだけれども、藤江さんのところに、例えば他省の、今回その二件だけでしょう、外務省あるいは内閣府、これは随分報道でも取り上げられましたよ、何だ、文科省は他省の職員まで天下りをあっせんしているのかと、なぜそのことは書いていないんですか。大臣、これを読まれたんでしょう、処分。やはりこれは私は特筆すべきことだと思いますよ。いかがですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今回の外務省及び内閣府にかかわる再就職あっせんの事実関係については、最終まとめにおいて判明した事案二十五、事案二十六に、それぞれ、外務省案件、内閣府案件につきまして具体的に記載をしているところであります。

 処分の概要においては、処分の根拠となる法令違反等について記述をしているところでありまして、今回の処分の概要の記述については、通常、処分を行う際に作成する記述と同様の記載ぶりをもって書いたものでございます。

笠委員 私が大臣の立場で、大臣が最終的に目を通してこれを発表されたんでしょう。そうですよね、大臣、目を通されたんですよね。(松野国務大臣「通しました」と呼ぶ)

 やはり今回、文科省の中のもたれ合い、あるいは先輩との関係、いろいろなことがあったでしょう。しかし、他省の職員までとなると、これは質が違うんですよ。私は、もっと悪質だと思う。だったら、そういったことはきちんとこの中に、事案で書いたじゃなくて、私は、そういうことも考慮されて、やはり藤江さんがこれだけ厳しい処分も受けたんじゃないか。単に件数だけの問題じゃないでしょう。

 それがどういうふうに考慮されたのかわかりませんけれども、やはりこういったところもしっかりと考慮をしての重たい処分だというふうに私は認識をしているので、これは事務方に聞いた方がいいのかもしれませんけれども、それは単なる件数だけで、質の問題じゃないんだということですか。

中川政府参考人 処分につきましては、全体として、件数、かかわり度合い、そういったものを総合して任命権者が決めたものでございます。

 ただ、任命権者がその処分をどうするかに当たっては、この報告書全体に、誰が、いつ、どういうことをやったかというのがきめ細かく書いてございます。その一つが今の事案でございまして、それをまとめて、処分書というものの中でわかるように示したものというふうに理解してございます。

笠委員 これは事務的に言うとそうでしょう。私は、やはりきちっとした形で、大臣がそういったこともきちんと書き込むべきだったということを重ねて指摘しておきたいと思います。

 それで、実は前回、三月八日に、私も当委員会での大臣所信に対する質疑の中で、いわゆる管理職員であったものが二年以内に再就職したときの届け出義務について指摘をさせていただきました。このときには、私のもとに情報提供があって、実はもう委員会で質問する前に文科省の方に、合田元生涯学習政策局長が尚絅学院大学の学長に再就職をしているけれども、この届け出がないがゆえに、私どもの党に提出されたいわゆるこの天下っているリストの中に入っていなかったというお話をして、失念であったということで届け出を済ませたということでした。

 その後、しっかりそういったことも含めてきちっとOBの調査をするようにということで、文科省の方で調べていただいて、三月の三十一日、我が党への天下り最終報告の報告をするための部門会議の中で、合田さん以外にも十五名もの方が届け出をしていなかったということが明らかになった。これは、今実は、全省調査もそうなんだけれども、届け出があったものを対象にしているんですよ。だから、私は、それは内閣府の方にしっかりと、こういう文科省のように届け出がない人がいるから、それも含めて調査するようにという指摘はしましたけれども、これは大臣、違反なんですよね、国家公務員法違反。

 リストを見てください。リストにざっと、その後、提出が確認できた日ということで、合田さんだけがこれは早い。もうみんな、何年も失念したままなんですよ、届け出をしていないから。私が、これで質問で取り上げるよと言ってから、ばたばたばたばたと、文科省の方で催促して届け出がなされた。

 しかし、実は、先週金曜日、このことを文科省から聞いた。そうしたら、この一番、二番、四月三日、四月四日、四月三日、四月三日、四月四日、四月四日、四月三日と、七件のケースがある。この人たちは金曜日時点で届け出をしていないの、まだ。そして、なぜだと言ったら、いや、再三催促しているけれども、届け出をしていただけないんですと。私がいよいよ質問するということになって、今度、そこが丸になった紙が来て、その日付を出せということで。

 大体どういうことですか、これは。これは大臣が悪いんじゃない。これは大臣、ちゃんと文科省の人たちは、きちんと届け出しろと。もうこれは、後で届け出たから済むという話じゃないんです。

 大臣、私、確認したいんだけれども、こういった悪質な人は、これはやはり国家公務員法違反なんだから、この第百十三条に、罰則として、十万円以下の過料に処することになっています。これを裁判所に、過料に科すと通知するかどうかを決めるのは、そのときの、退職のときの所管の大臣なんです。

 ぜひ松野大臣、これはしっかりと過料に処した方がいいと私は思いますよ。こういう人が教育現場に、なぜ、どういう立場で学生たちに向き合っているのか。法律を破る、そのことを指摘されても、その届け出もしない。大臣、どうですか。

松野国務大臣 再就職規制導入以降の全退職者六百名以上を対象といたしました退職者調査等の過程において、計十六名が再就職に係る事後の届け出を行っていないことが判明をいたしました。そして、この件については、笠先生からの御指摘もいただきまして、文部科学省から、法令の規定に沿って早急に届け出を行うようにということを促しまして、今御指摘いただいたとおり、四月四日の時点で十六名全員からの届け出があったものであります。

 これは御指摘のとおりの事案で、懲戒処分対象となり得る事案でございますので、現在、制度を所管する内閣人事局と相談をしているところでありまして、その結果も踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

 なお、文科省の今回の調査班による調査におきましては、届け出を行っていなかった者十六名についても、全退職者六百名以上を対象とした調査の対象ということになって、調査は行われております。

笠委員 時間が参りましたので、最後にもう一度お伺いしますけれども、大臣、遵法意識に欠けていたんでしょう。こういった、OBで法律を守らない、守らない上に、これは届け出をしたから済むという話じゃないですからね、大臣。していなかった時点で違法なんですよ。

 だから、大臣、この方々を対象に、きちっと大臣として、この過料に科すということも含めて、どういう、罰則、判断をされるのかということの答弁をきちっと最後に求めて、私の質問を終わります。

永岡委員長 時間が来ております。手短によろしくお願いいたします。

松野国務大臣 まず、先ほど私の方で処罰対象というふうに申し上げましたが、これは、内閣人事局と相談して裁判所への過料の通知についてのことでございまして、既に国家公務員としての身分を有していないために、懲戒処分の対象とはならないというふうに訂正をさせていただきたいと思います。

 通知に関してでございますけれども、私も、この事案に関しては、極めて重大な問題であるというふうに考えておりますが、まず、所管する内閣人事局と今相談の最中でございますので、その結果をもって適切に対応したいと考えております。

笠委員 終わります。

永岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

永岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。牧義夫君。

牧委員 民進党の牧義夫でございます。

 ややアウエーな感がありますけれども、午前中に引き続いて、天下りの問題について質問をさせていただきたいと思います。

 我が党のお二人と比べたら、やや優しい質問になるのかなというふうに思っておりますけれども、優しいというよりも、ちょっと違った観点から、私なりの質問をさせていただきたいと思っております。

 せんだって、三月八日にも質問をさせていただきましたが、もう一回、私、その質問の議事録を読み返して、少し腹立たしく思う部分も改めて散見されたので、そのことについて申し上げたいと思います。

 この問題の本質はどこにあるのか、これは人の見方によって、あるいは立場によって違うと思います。役所の皆さんは、法律を執行する立場の人たちでありますから、当然その人たちに法令の違反があったりあるいは潜脱があったりしてはならない、これは当然の話でありますし、そのことについてはきちっと徹底究明をし、そして再発防止に努めなければならない、これも当たり前のことで、午前中、その辺のところを我が党の二名もしっかり質問をさせていただいたと思います。

 ただ、やはり我々は、政治の立場において、行政の人たちと違った角度からこの問題の本質を見きわめて、そして私たちなりに責任を果たしていかなければならないんだろうな、私はそういう問題意識を持っております。

 三月八日の私の質問に対する大臣の答弁で、ちょっとそのまま読ませていただくと、再就職の規制のあり方に関して全体的にどう考えるかというお話でありますけれども、現状、文部科学省は現行法規制においてこの法を犯して違反をしたという状況でございますので、まずは文科省として、全容解明と処分と、そして身を律し、再発防止ということでございます、全体の再就職規制に関しては、また御議論があるということであれば、所管の山本大臣を中心にしっかりと御議論をしていただければと存じますと。

 やや、もう丸投げというか人ごとというか、そっちで議論しているんだからそっちでしてくれ、我々はそれを受けて、しっかり今度こそ間違いなく法の執行をするんだ、法令遵守をさせていただくんだ、それだけの話なんですね。

 これは私、役所の皆さんにも強く抗議を申し上げたいと思うんですけれども、大臣にこんな答弁をさせちゃいけないですよ。これは役所の皆さんの言葉だと思うんですよね。法令を破った立場として、これはしっかりこれからやっていかなきゃいけない、ただし、今後のあり方の議論については、山本大臣のところでやっていただければ、それに従いますと。これは役所の、役人の立場からすれば当然の話なんですけれども、大臣が答弁の中で言うべき話じゃないと思うんですね。

 我々は、この天下りの問題の何が問題かということを突き詰めて考えれば、これはやはり最終的に、私たち国民の代表として、この天下りというものは結果として国民に不利益をもたらす、そういうことがあってはいけないからこそ私たちは天下りを追及しているわけで、この国民にとっての不利益というのは、天下りした人たちが何らかの補助金なりを、色をつけさせる、あるいは許認可の段階で情報を漏えいするとか、そういうことが国民の不利益につながるわけで、私は、今回この天下りの問題で、どこに法令違反があったか、なかったか、そんなことよりも、法令違反じゃない天下りも含めて、結果として国民にとって不利益となるものをもう一回しっかり文科省として洗い出すべきだというふうな問題意識を持っております。

 そういう中で、ちょっと残念なのは、もう一つ言えば、「国民の疑惑を払拭できる体制をつくるということが必要であると考えておりまして、それまでの間、文部科学省から予算支出を行っている大学等の団体への再就職を自粛するよう職員並びに受け入れ先、大学等に要請をしたところであります。」と。

 要は、これをそのまま読めば、ほとぼりが冷めるまでは当分自粛するというふうにしか読めないわけで、本当の本質的な反省の上に今こういう議論がなされているのかなということに甚だ疑問を抱かざるを得ないわけで、もう一回、私の今申し上げたような意見を踏まえて、大臣の言葉でしっかりとお答えをいただきたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 三月八日の委員会においての私の答弁に関してでございますが、御懸念のような響きがあったとすれば、私の言葉足らずであったかと思います。

 私が三月八日の時点で申し上げたことは、まずは、現行法さえ守れていないという状況の文部科学省の中において、今後の展開、再発防止はもちろんでありますし、今御指摘があった本質論を考えるに当たっても、まず、今回の違反に関してしっかりと調査をして厳正に対応するということから始めなければならないという趣旨でお話をさせていただいたところでございます。

 そして、御指摘の、本質はどこにあるかということに関しましては、牧先生のお話、御指摘の中にあったとおり、この再就職違反等を通して、まさに国民の不利益になる、一部の団体、法人等への利益誘導がなされる、もしくはなされるのではないかという疑念を生む、こういったことが再就職違反の本質的な問題であろうかというふうに思います。

 そして、今後どう対応していくかということでございますが、現状の私の考えは、公務員の再就職自体が悪いわけではない、問題があるわけではないと考えておりまして、公務員生活を通して得た見識等々を再就職の場で生かしていただくことは、これも大事なことであろうかと思います。

 ただ、再就職をするに当たって、先ほど申し上げましたとおり、まずは、現行法令に関してそれをしっかりと守っていかなければなりませんし、文部科学省が今信頼を失墜している状況の中においては、より文部科学省はその透明性、公開性を高めていって、国民の方の疑念を払っていかなければならないというふうに考えております。

牧委員 私もほとんど同じ認識なんですが、私が申し上げたかったのは、やはり平成十九年に法改正があって、二十年に施行されているわけで、このときも、いろいろな問題があったんだと思います、露呈したんだと思います。そういうことからすれば、今回、やはりもっと本質論に立ち返って、それこそ新しい立法も視野に、本当の意味でのこういった解決を図っていくための我々政治の立場の責任があるんじゃないか、そういうことを私は申し上げたので、今の大臣のお話ですと、あくまでも現行法をそのまま維持する中で、現行法すら守れなかった、それを何とか改善したいという、ややちょっと消極的なお話にしか私には捉えられないんですけれども、いいです、それ以上求めても多分答えは返ってこないと思いますので、この辺にしたいと思います。

 今回、最終まとめということで発表されましたが、先ほどの質問にもありましたけれども、本当にこれで最終なのか、本当にもうこれ以上ないということを証明せよと言っても、それこそ悪魔の証明になってしまいますので、証明せよということは言えないんですけれども、ちょっと私なりに、OBの方にお聞きしたいなと思っていることがあります。

 法改正があって、今の現行法すら守れないと今大臣のお話がありましたけれども、私は、行政の皆さんは、これが本当の意味で実効性があって、さらに国民の福利にとっても意味のある十九年改正のそういった再就職規制だと本当に腹の底から思っていて、それを守れなかったのか、あるいは、腹の底では、本来ちょっと違うんじゃないか、もうちょっとあるべき仕組みというのがあってしかるべきじゃないかということがひょっとすると腹の底にあって、だからこそ潜脱ということが起こったんじゃないかなというふうに私は思いますので、OBの方たちにちょっとお話を聞きたいと思うんですね。

 昔は多分、事務次官になられる方は、それぞれの省庁のヒエラルキーのトップとして、その他同僚あるいは先輩の面倒をしっかり見るというのが事務次官のまずは最大の仕事だったというふうに聞きます。そういった意味での意識というのがずっと連綿と続いている中で起こったことじゃないかなと私は思うんですけれども、今の現行法が本当にこの実情に合ったものなのか、そぐうものなのか、率直なところの意見、一言ずつで結構ですので、もう自由な立場で物が言えると思っておりますので、どうぞ一言ずつおっしゃっていただきたいと思います。歴代次官。

銭谷参考人 お答え申し上げます。

 私は、法施行後から平成二十一年七月まで事務次官の職にございました。

 このたびの再就職問題に関しまして、かつて文教行政の責任者の一人であった者として深く責任を感じている次第でございます。

 お尋ねの再就職規制の法改正についてでございますけれども、これはいろいろ経緯がございまして、官民の癒着につながりかねない公務員OBの口きき、あるいは予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為を根絶して公務の適正性に対する国民の信頼を確保することを目指した改正で、重要な事柄であったというふうに今も認識をいたしております。

 当時、法改正を遵守しながらどのように対応するかというのは課題であると認識はしておりましたけれども、今思いますと、再就職規制が導入された当初の段階で、職員に遵法意識の徹底を図るなど、必要な資質の育成の措置及び継続的な研修措置等を十分にやはりもっと講じるべきであったということの責任を今感じている次第でございます。

 法改正自体は、今申し上げましたような経緯を踏まえた重要なものであったという認識でございます。

牧委員 委員長、済みません、時間ももったいないので、もうお一方だけ。

坂田参考人 お答えいたします。

 私は平成二十一年の七月から翌年二十二年の七月まで次官をしておりました。

 一時そういう意味で事務方の最高の職にいた者といたしまして、今回の事案について、大変国民の方々に、文部科学行政の信頼性を損ねる結果になりまして、まことに申しわけなく感じております。

 お尋ねの法規制、二十一年末の国家公務員法改正によりまして、再就職規制がそれ以前よりも厳しくなったというぐあいに理解はしておりますけれども、私は、改正された法改正自体を素直に受けとめました。したがいまして、職員一同、あの規定に従って、あのルールに従って今後は再就職の活動をしなきゃいけない、このように認識しておりましたので、当時から、職員全員につきましても、そのような意識で再就職活動にかかわる、かかわっているものだということでございました。

 ただ、結果的に、最終報告書でも御指摘がございますとおり、遵法意識が非常に希薄であったということで、深く反省しているところでございます。

牧委員 OBの方も現職と同じような認識であられるということが改めてわかったんですけれども。

 ただ、私がどういう問題意識でこういうことを申し上げているかというと、きちっと遵法に再就職をすれば逆に何の問題もない、官民の癒着がもうそこで断ち切れているんだというふうに捉えられては困るなというふうに私は思うので、あえて、ちょっと意識を聞かせていただいた次第です。

 なぜそういうことを言うかというと、今回の最終まとめの中にも、一部、単なる再就職規制の違反だけじゃなくて、文科省の言い方をかりれば、信用失墜行為が判明しているというお話がありました。

 これは、ともすると組織的な情報漏えいとも捉えられるような、先ほど来られていた嶋貫さんにかかわるお話なんですけれども、こういうことが、嶋貫さんは今回の天下りの問題のいわば主役級の人でありますから、その人をめぐってたまたまこの信用失墜行為というのが露呈をしただけで、私は、ひょっとすると、きちっと規制に従った再就職をする中で、こういった信用失墜をもたらすような行為がほかにあるんじゃないかと疑われてもいたし方ないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のものは、最終まとめにおいて滋慶学園副学長事案ということであったものかと思います。

 これは、当時の大臣官房審議官、高等教育局担当や設置審査に係る事務を担当する職員、この二名のみが、大学の設置申請に係る審査の過程で、大学の設置審査に関する公表前の情報や是正意見に対するアドバイスを設置審査とは関係ない部署の職員に提供する行為が行われた、これが公務に対する信用を傷つけるものとして、国家公務員法第九十九条の信用失墜行為の禁止に違反するものと指摘されておるものでございます。

 今回の中ではこの事案だけということでございます。

牧委員 今回の調査ではこの事案だけということですけれども、私は、そうはとても、簡単にすとんとのみ込むことはできないわけで、こういったことは、たまたま奇貨としてこういうことが出てきたというだけであって、私は、手続上の再就職のやり方のまずい部分、これをもうこれ以上追及するつもりはないんですけれども、むしろ国民にとって不利益になるのはこういう類いの話だと思いますから、こちらの方を徹底的にこれからやっていただきたいと思います。

 先ほどのお話も、要するに、設置認可の担当者が、全然関係のない部署と言いましたけれども、これは人事ですよね、人事の方にお話をして、そこから嶋貫さんやらあるいは学校にお話が行ったか、行かなかったか、そこら辺のところをちょっともう一回確認したいんですけれども、行ったんでしょうか、行かなかったんでしょうか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 本年二月下旬に公表した中間まとめ以降、今回の報告書でもそうでございますが、平成二十六年三月末に申請がございました滋慶大学の設置に係る審査過程で、審査に関する情報や是正意見に対するアドバイスが、当時の高等教育局担当審議官から設置審査とは関係ない部署である人事課職員に提供された事実が記載されているわけですが、このような情報は実際には申請者には伝わらなかったということでございます。

 申請者にも伝えられず、審査の過程における不当な働きかけはなかったというふうにされているわけでございますが、こうした行為自体が設置審査の信頼性を著しく損なうということで、官職への信用を失墜させるものであるということで、今回のような取り扱いになったということでございます。

牧委員 そう言われれば、はい、そうですかと言うしかないんだと思うんですよね。本当にそれが設置者に伝わっていたか、伝わっていなかったか、これこそまた悪魔の証明になってしまうわけで、なかったと言われれば、はい、そうですかと言うしかないんですよ。

 大臣、本当にこれ以外に、あるいはこれも含めて、そういうことは一切ないというふうに断言できますか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今回の調査班による再就職等規制違反の一連の調査の中におきましては、御指摘の認可業務等に関して、そういった事案があったかどうか、情報漏えい等があったかどうかに関しても、同時に調査をさせていただきました。

 その中において、この滋慶学園の事案以外にはそういった情報漏えいに関して確認ができなかったということでございますが、しかし、牧先生のお話、御指摘にあるとおり、この一つをもってやはり国民の信頼が大きく失墜をし、先ほど来先生がお話をされているように、再就職等を通して、こういった当情報漏えい等も含めて、こういうものがあるのではないかというような国民の疑惑を招いたということは事実であろうかと思いますし、これは猛省をしなければいけないことだと考えております。

 これらのことがないように、もちろんしっかりと省の意識改革に努めたいと考えております。

牧委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 特に、やはり、ここ最近の学部の新設ですとか、あるいは学校の、あの森友学園じゃないですけれども、文科省の直接指導が及ぶ範囲内ででも、きちっともう一回精査する必要は私はあろうかと思っております。

 これはひょっとすると的外れのお話になるかもしれませんけれども、一つ、私が興味を持ったのは、今回、四月新設の、成田に新設された国際医療福祉大学医学部、ここに事務局長、事務局次長、たしかおられると思うんですけれども、その人たちは文科省OBでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員法に基づく再就職状況の届けによれば、ただいま先生御指摘の国際医療福祉大学事務局長及び副事務局長、これは二名、文部科学省OBが再就職しているというのは事実でございます。

牧委員 先ほど申し上げたように、だからどうだということは申し上げるつもりはございませんが、こういうところもやはりしっかり私は精査する必要があると思っています。もう既に受験をされて入学が決まってという方たちがいるわけですから、この学校そのものにけちをつけるつもりはありませんけれども、やはり、日本の医療提供体制、それから国際化をする中でのいろいろな医療の国際化の問題等々、全体を考える意味では国家戦略特区ということの一つの理屈づけにはなるのかもしれませんけれども。

 ただ、世界最高水準の国際医療拠点としての医学部の新設のためと大きくうたっているんですけれども、たしか定数も百四十ということで、全国の医学部で一番なんですよね。今まで医学部を持っていなくて、隣接する理学療法士ですとか薬学だとかそういうことをやってきた学校が、いきなり日本で一番定数の多い医学部を新設するというのは、どうも私はすとんと落ちないところがございます。

 そして、もう一つは、千葉の地域の医療連携、これは一体どうなるのか。実際の地域の医療の問題、それから国際戦略との関係、これは本当に、地元と国との同床異夢というか、そういうところも多分にあるんじゃないかな。ただひたすら医学部新設初めにありきという感がしてならないんです。

 細かい話は聞きませんけれども、まず、地域医療との関係、厚労省の方からもお聞かせいただきたい。

 なぜそれを聞くかというと、やはりこの新設に当たっては、いろいろな議論があったと思います。医師会からも意見があったと思いますし、いろいろ病院等々、あるいは他の大学の医学部等々からもかなり辛辣な意見も寄せられていたというふうに私は認識をいたしております。それをどういうふうに乗り越えたのか、ちょっと厚労省の方からまずお聞かせいただきたいと思います。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 国際医療福祉大学の新設医学部におきましては、平成二十七年七月に、内閣府、文部科学省及び厚労省の三府省で合意いたしました国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針におきまして、国際的な医療人材の育成を行うことと、一般の臨床医の養成、確保を主たる目的とする既存の医学部とは次元の異なるものとするとされておりまして、この趣旨に乗った養成がされるものと考えているところでございます。

 一方、国際的に通用する医師となるためには、臨床の現場でのさまざまな診療技術を身につける必要がございまして、一連のキャリアパスの中で地域医療に従事することもあり得るというところでございます。

 先ほど申し上げました三府省の方針にありますように、養成された医師が、当初の目的に反して一般の臨床医として勤務することにより、長期間にわたり社会保障制度に影響を及ぼす可能性がある場合には、医師需給を踏まえた全体の医学部定員の中で調整を行うということとされておりまして、必要があれば、この方針のもと対応してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

牧委員 それでは、文科省の方からもちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。

 この学部の新設のために必要な条件整備、留意点というのがあったと思います。国際医療拠点としてふさわしい留学生の割合、これはたしか百四十人のうち二十人が留学生だったと思うんですけれども、それから、国際医療拠点としてふさわしい外国人教員の割合、一定年数以上の海外での診療経験や教育経験を有する教員の確保、診療参加型臨床実習期間の十分な確保、大多数科目での英語による授業の実施、全ての学生による十分な期間の海外臨床実習の実施、公衆衛生に関する専門職大学院の設置、海外の大学との学生交流に関する協定の締結、かなり高いハードルだと思うんですね。

 これを、今まで医学部も持っていなかった学校がいきなりこういうことができるのかと私も少し不安に思ったものですから、職員、教員の名簿も取り寄せたりしましたけれども、ちょっとそれはいろいろな主観もあろうかと思いますけれども、私は、必ずしも英語で授業をやるだけの十分なスタッフだとは思いません。

 本当にこういうことをうたっているのであれば、地元の千葉大学等も含めて、きちっとした学校にこういう機能を付与させる方がよっぽど国家戦略としてもいい話だと思っておりますし、あの森友学園が、幼稚園、保育園しかないのがいきなり小学校をつくるというのと同じように、どっちが上か下かは別として、本当にこういう要件を満たしてスタートしたんでしょうか。文科省からお聞かせください。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 国際医療福祉大学の医学部でございますが、一つは、大学設置・学校法人審議会において、学問的、専門的な観点からの審査を行っていただきまして、その結果、平成二十八年八月二十六日に、設置を可とする答申をいただいているところでございます。

 また、もう一方で、この答申に加えまして、国家戦略特区における特例としての経緯も踏まえまして、平成二十七年七月三十一日に内閣府、厚生労働省とともに決定をいたしました国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針への対応状況について、これは先ほど先生からお話がございましたような、国際医療拠点としてふさわしい留学生の割合であるとか、あるいは海外での臨床実習であるとか、多数の項目を挙げていただきましたが、そういう点について別途確認を行いました上で、文部科学大臣として認可を行ったものでございます。

牧委員 これからも、ちょっと私なりの問題意識で、引き続いてこの学校のことは見てまいりたいと思います。

 何せ特区ということで開設をされましたので、これから先、地域医療との関係、あるいは医療スタッフを養成するという意味合いでの文科省の役割、それも踏まえて、これは内閣府でやったと思いますけれども、本当にその辺のところがそごを来さないのか、私は非常に心配をいたしております。

 天下りがどうだとかこうだとかということは別として、この問題、また時々取り上げて、スタートしたばかりですから、今後どうなっていくのか、その推移を見守って、もう学生さんが入っているわけですから、その人たちの人生もあるので、この学校そのものにけちをつけるつもりはありませんが、途中で軌道修正できるところはやはりきちっと軌道修正をしなきゃならないときがいずれ来るんじゃないかなと私は大変心配をいたしていることをつけ加えさせていただきたいと思います。

 最後に、これも、特に天下りだからどうのこうのということでは、法令違反だどうだこうだという話ではないんですけれども、かねてよりいろいろ、これまでも過去の歴史の中で何度か当委員会で取り上げられたこともあるテーマだと思うんですけれども、文教施設の整備についてです。

 かつては文教施設協会というのがあって、そこがかなりいろいろな形で取り仕切りをしてきたという中で、不祥事もあったことも事実であろうと思います。

 私は、その文施協のことについて今さら、もう一般社団法人ですので、とやかく申し上げるつもりはありません。文教施設の今後どうあるべきかということを研究されている機関だということだと思いますので、それはそれでいいと思うんですけれども、問題は、かつて、いろいろな不祥事があったのも、現職の……

永岡委員長 申しわけありません。時間が来ておりますので、なるべく短目にお願いいたします。

牧委員 ごめんなさい、時間。大臣官房の文教施設企画部の現職の人が直接かかわったんですね。

 私は、今回、もうOBの名簿もないというお話を聞いて、逆に、名簿がないのに、では、その天下り先、どこに皆さんが就職をされているのかという情報も全くないというお話を聞いて……

永岡委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので、短くお願いいたします。

牧委員 はい。そこは非常に懸念をいたしております。

 この問題についてもう一回、また改めて取り上げさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 終わります。

永岡委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 冒頭、大臣、通告しておりませんけれども、教育勅語について伺います。

 大臣の発言で、教育勅語を道徳教材に用いることもできる、否定しないという発言があったやに思いますが、事実関係はいかがでしょうか。

松野国務大臣 私の記者会見での発言であろうかと思いますが、道徳ということに言及をさせていただきましたのは、新聞記者の方から、道徳に関してはどうかという質問をいただきました。それで、例示として道徳という言葉を、教科を使わせていただきましたが、私の考え方は、基本的に、道徳であるかどうかにかかわらず、全ての教科において共通した考え方をしております。

 それは、教育勅語自体は、憲法の制定や教育基本法の制定によって法的拘束力を失っております。その中にあって、学校の教材として使う分にはどうかという御質問でありましたので、これはもちろん、教育勅語を教育の唯一の根源として使う使い方というのはできないということと、使い方が憲法の趣旨、教育基本法に反していないという状況であれば、これは教材として用いることに関しては否定されるものではないという答弁をさせていただいたということでございます。

玉木委員 憲法に反しない場合には道徳教材に用いることも可能だということですか。確認です。

松野国務大臣 教材として用いる資料自体が憲法に反するか、教育基本法に反するかということではなく、それをもって、教え方、資料の使い方において憲法の趣旨、教育基本法の趣旨に反していなければ、教材として用いることはできるということでございます。

玉木委員 歴史の史料として使ったりすることは当然あり得ると思いますね。

 ただ、これまで、我々の先輩方が衆参で決議をして、排除決議、失効決議、それぞれ衆参でやっていますけれども、そこでさまざまな議論がなされた上でこの決議があり、それを戦後、我々は守り続けてきたということがあります。

 これは改めて、昭和二十三年六月二十日の衆議院ですけれども、この決議の際の提出者の趣旨弁明がなされています。ここにこういうことが書かれているんですね。「その教育勅語の内容におきましては、部分的には真理性を認めるのであります。それを教育勅語のわくから切り離して考えるときには真理性を認めるのでありますけれども、勅語というわくの中にあります以上は、その勅語そのものがもつところの根本原理を、われわれとしては現在認めることができないという観点をもつものであります。それが憲法第九十八条にも副わないゆえんでありまするので、」「われわれはこの教育勅語を廃止する必要がある」というふうにしております。

 つまり、部分的には確かに、親孝行であるとか兄弟相仲よくというのは、これは普遍の真理だと私は思います。そのことを否定する人はいないと思うんですが、そういうことを掲げながら、そういったいわば部分使用を認めてはならないという趣旨弁明のもとで、衆参で全会一致で決議をされたということを考えますと、道徳的な規範としてその一部を用いることについては、特に文部行政を所管する文科大臣としては、私は、極めて慎重に取り扱うべきではないかなと思うんですね。

 そこで、教員や校長先生にこれは任せられるということもおっしゃっていたやに聞いておりますけれども、では伺いますが、憲法に合致する形で使用するというのは、具体的にどういうことを意味するんでしょうか。

松野国務大臣 まず、教材の使用に関しての法的な規制について説明させていただきたいと思いますが、学校教育法第三十四条の第二項の規定に基づきまして、学校における教科書以外の教材は、法令に従った有益適切であるものである限り、校長や設置者の判断と責任で使用されるとされております。

 これは、第一義的には、どういった教材を用いるか、どういった教え方をするかというのは教員でありますとか学校長に判断権があるということでございますが、私は、別に道徳の教材として教育勅語を推奨しているわけでも何でもありません、ただ、要は、否定ができない。なぜ否定ができないかといえば、今お話をさせていただいた規定によって否定はできないということであります。

 私たちがポイントとして考えておりますのは、先ほども申し上げましたけれども、教え方でございまして、例えば、憲法に反する趣旨の教材、教育勅語がどうかは別として、反するものであっても、これを教材として、この考え方についてどう捉えますかという教え方はできるわけであります。これに対しては、さまざまお立場によって考え方があるから議論が成立するんだろうというふうに思います。

 そういった教材としての用い方が問題であって、例えば、現行憲法を教材としても、その教え方が現行憲法の精神に反する教え方、基本的人権であるとか主権在民であるとか、そういったことに反することの趣旨で教えるということになれば、これは適切ではないということになると思いますし、要は、その教材を用いて、どういった視点によって指導がなされるかということではないかと思います。

玉木委員 今のを聞いても、現場の先生や校長先生は、曖昧過ぎてよくわからないと思いますね。

 今まで、両院で決議をして、全会一致で排除、失効してきたものを、あえて復活させるというか使用を認めるということであれば、その使用基準については、すとんと落ちるような明確な基準のもとでやらないと、これまで決議してきたことの趣旨が私はねじ曲げられてしまうのではないかということを懸念いたしております。

 このときに決議で決まったことは、今日もなお国民道徳の指導原理としての性格を持続しているかのごとく誤解されるということを恐れて、直ちにこの謄本を回収し、漏れなく回収せしめるというふうなことをあえて言っているわけで、こういうことを徹底してまで新しい民主国家における教育の理念ということを広く国民に浸透させようとしてきたことを、やはり歴史の重みとしてしっかりと受けとめることが、時代を超えて、文部行政に携わる者として、私は大事ではないかなというふうに思います。

 ですから、先ほど申し上げたように、部分的には非常にいいことを書いています、書いていますけれども、この趣旨説明にもあったように、その部分的にいいところを認めてなお、指導原理的な性格を認めないということを宣言するということを言っておりますし、将来濫用される危険も全然ないとは申されませんと。

 こういったことを全て議論し尽くした上でその決議があるということについては、文部大臣としても重く受けとめていただきたいし、教育現場に対して誤ったメッセージが伝わらないように十分配慮していただきたいなと思います。

松野国務大臣 その決議の趣旨に関しては、私ももちろん読ませていただいておりますし、今先生から御説明いただいたとおり、これが今、教育における根本の原理ではない状況にもかかわらず、誤解されてはならないという点も含めて、その決議があった趣旨は尊重していかなければならないと思います。

 ただ、私が先ほど来申し上げているのは、教材として用いるということは、その教材の示している方向性をそのまま教えるということとイコールではないんだろうというふうに思います。その教材を示すことによってどんなことをその教員が教えようとしているのか、伝えようとしているのかということが、ここが重要なんだろうというふうに思いますので、先ほどの繰り返しになりますが、一義的には教員、学校長の判断でございますし、その判断が適切かどうかということに関しては所轄庁もしくは所管庁が判断をするという今制度のたてつけになっておりますので、それがしっかりと機能していくんだろうと考えております。

玉木委員 部分的にいいんですよ、教育勅語は。真理性があるんです、そこには。でも、それでもなお使ってはならないと先輩たちが苦心して苦心して決議をしてきたことをセットで、全体として我々は考える責任がやはり後世代を生きる者として私はあると思うので、そのことをぜひ文科大臣に改めて御認識をいただきたいと思います。

 次に、ちょっと一点だけ、ずっと取り組んできて気になることを聞きます。

 学校給食、給食だけではなくて子供の食に関することなんですが、朝食を食べる頻度と学力との間に一定の相関があるということが言われています。

 大阪府がこの前独自調査をしましたけれども、これは国としてどう考えているのかということを、まず認識を教えていただけますか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 平成二十八年度全国学力・学習状況調査の結果によりますと、これは必ずしも朝食と学力の関係を直接的に示しているものではありませんが、調査結果の単純な傾向を見れば、朝食を毎日食べていると回答している児童生徒の方が各教科の平均正答率が高い傾向が見られます。また、学校の授業時間以外の学習時間が長いということも、朝食を食べるか食べないかと学校の授業以外の学習時間の長さに関するものも傾向としてあらわれているということでございます。

 発達期にある子供に基本的な学習、生活習慣を身につけさせることは重要であると考えておりまして、文部科学省としても、もう御承知のとおりでございますけれども、そのための一つの方策として、社会全体で子供の基本的な生活習慣づくりの機運を醸成するための「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進しているところでございます。

玉木委員 かつて予算委員会で、私、子供の朝食の現状について取り上げたことがあったんですが、今、子供の食、ちゃんとしているところはちゃんとしているんですけれども、乱れている子供も多いんですね。全く食べない子供、あるいは、例えばコカコーラとスナック菓子、こういうことで朝食を済ませて学校に行く子供もふえています。

 そういう中で、なぜ学力と関係するのかな、あるいは学習時間と関係するのかなと思うと、食べるものによって子供の健康状態とか精神状態とかそういったことにも影響を与えるので、しっかりこれはやはり見ていく必要があるなという問題意識です。

 実は、私の出身の香川県で、ある町から、子供の血液検査を定期的にして、それをずっと経年のデータとしてとって、それを分析するということをして、子供の食生活やあるいは生活の改善にもつなげていって、一定の効果があって、今全県でこれをやっています。

 これは私、平成二十六年、もう三年前になりますが、二月二十七日に安倍総理に対して、こういう子供の健康状態、特に血液検査を行ってチェックをして、それを子供の生活の改善、ひいては学力の改善にもつなげていくようなことをしてはどうかという御提案を申し上げて、総理はそのとき、「香川県でやっている取り組みの成果等々もしっかりと検証しながら、その上において、全国に広げていくべきかどうかということについても研究をしていきたい、検討していきたい、」とお答えいただいております。

 その後の検討はいかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 平成二十六年の二月に下村大臣が答弁をしたとおり、平成二十五年十二月の、有識者によってまとめられました「今後の健康診断の在り方等に関する意見」において、血液検査を全国一律に行うことは困難であるとの結論であります。

 その理由として、学校の健康診断は学校生活を送るに当たり支障があるかどうかのスクリーニングであるため、血液検査はその枠を超えているということ、医療行為である血液検査を全国の学校で行おうとするのは現実的ではないなどの意見が出されました。このため、文部科学省としては、学校の健康診断において全国一律に血液検査を実施する状況にはないと認識をしております。

 なお、学校における健康診断は、平成二十五年十二月に有識者によってまとめられた意見書を踏まえまして、平成二十六年四月に学校保健安全法施行規則を改正して、平成二十八年の四月に施行されたところであります。

 学校での健康診断の実施状況を鑑み、健康診断のあり方については慎重に検討したいと考えております。

玉木委員 実績をよく分析して、いいものはぜひ国としても広げていってもらいたいなと思います。引き続き、検討をお願いしたいと思います。

 天下りについて伺います。

 では、きょうは嶋貫参考人にもお越しをいただいておりますが、先ほど来質問がありましたけれども、これは文科省にまずお答えいただきましょうか。今回、六十二件、違法行為等が認定されましたけれども、このうち、いわゆるOBスキーム、嶋貫さんを経由したものとして認定されたものは、この六十二件のうち何件ありますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の最終まとめにおいて明らかになった違法と考えられる六十二件の事案のうち、嶋貫氏がかかわったものは四十事案でございます。

玉木委員 六十二件のうち四十事案ですから、三分の二を超えていますね。ほかは独自に人事課長さんなどが関与したケースだと認識しております。

 午前中もありましたけれども、嶋貫参考人、以前、私、何度かお伺いさせてもらいましたが、最初、ボランティアで始めた、人助けだということだったんですが、ただ、少なくともこの二十二年七月のメモを見ますと、対象、取り扱い範囲が、本省の幹部職員が退職する場合であるとか、国立大学法人等の理事、事務局長が退職する場合であるとか、青少年施設の所長が退職する場合とか、こういうふうに対象が決まっているのと、あと、注目したのは、二回目以降の再就職を紹介する場合ということがこのメモでは決められています。

 これは、大体このメモのとおりでしたか、実際行った対象、作業。

嶋貫参考人 今お話ございました引き継ぎにつきましては、文科省の中の書類と受けとめておりまして、私自身、つぶさに見たことは実はなかったのでございますけれども、今回拝見いたしまして、私なりに意識している範囲といいましょうか、全てというわけではございませんけれども、重なっている部分が多いような気はしてございました。

 ただ、そこの職にそういう立場でおられる人全てがということではなくて、大くくりな対象というような捉え方でそれは書かれておるんだろうと思うのでございますね。

 もう一点、お話しの部分がございましたけれども、私としては、六十で公務員の定年を迎えた方が六十五の年金までそれなりに経験を生かして活躍できるような場所がもしあればというような気持ちで、生活上の安定ということもございましたでしょうし、そういうことで、私の意識としては、六十五ぐらいまでもしそういう機会があればということでやってございました。

 その先、六十五を超えて再就職された方も私ももちろん承知してございますが、それは、全体の中で、どなたか先輩が個別に声をかけたようなケースでありますとか、あるいは、私がお聞きした範囲で申し上げれば、例えば、六十五を超えて、週に一回とかそういう軽目のお話があって御紹介したケースも幾つかあったという程度のものと受けとめております。

玉木委員 大体この対象としては、今、メモにあるとおりということでありましたけれども、これは二十二年七月で、嶋貫参考人が退職されたのが二十一年七月ですから、もう一年後にはこのメモが作成されているわけですね。ですから、私、人事は大体夏ですから、そうすると、二十一年七月の人事で退職されていますから、その次の人事のときにはもうこういったものがある程度あった上でやっていたのではないかと思われるんです。

 質問は、これはボランティアで始めたということなんですが、今回の報告書はかなり組織的な関与を認定した報告書だと思いますけれども、当初から、つまり、ある種、退職時から、事務次官か文科審か幹部の命を受けて、こういったことをやるために退職をし、スタート時から、こういったスキームを行うことを最初から想定してやっておられたのではないかと思うんですけれども、それはどうですか。

嶋貫参考人 ただいまの件でございますけれども、平成の二十一年に、新たな再就職規制がスタートしたころでございますけれども、その時点で、文科省自身が今後の再就職についてどのようにお考えになっておられたかということにつきましては、私はそのことを知る立場ではなかったわけでございますけれども、当時、文科省自身も、これは午前も申し上げたことであるのでございますけれども、新しい制度の中である種の戸惑いを感じていたのだろうなということは考えてもおりましたし、退職を迎える人たちが不安の中に身を置いていたということも私なりに察してもいたわけでございます。

 そんな中で、私としては、当時、私自身のこの思いというようなものがございまして、後輩のために役に立つならばということで、できる範囲のお手伝いをしていこう、できる範囲のことということで考えておったものであります。

玉木委員 明確な、幹部、事務次官や文科審からの指示があったわけではないということですか。

嶋貫参考人 そのとおりでございます。

玉木委員 これは文科省に聞きますが、そのことについては明確に認定できましたか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまのあっせん構造のところ、これが今回の最終まとめでもかなり詳しく書いてあるところでございます。

 この組織的な再就職あっせん構造につきましては、まさに、平成二十年十二月三十一日、改正国家公務員法が施行される前は、学校法人等の非営利法人への再就職あっせんを人事課において業務として行っていた、その後、改正法に基づく再就職等規制の導入により、現職職員が再就職に関与できなくなるとともに、学校法人等の非営利法人も規制対象となることから、改正法の範囲内でどのように対応するのかが大きな課題とされていた、これも最終まとめに書いてございます。

 このような課題認識の中で、平成二十二年七月ごろに作成された引き継ぎメモ、ここの中では、そうした幹部職員の明確な指示、こういうものは明らかになっておりません。しかし、いろいろな事実がこの最終まとめの中に、個別に認定された事実が記載されてございまして、そのような事実から見たときに、人事課職員が日常的に嶋貫氏とやりとりをしていた、あるいは、事案によっては省内意見調整の形で事務次官や人事課長に報告が上がっていた、こういったことがこの当時も、明らかになった幾つかというものが事実として記載してございます。

 こういうことから、人事課OBである嶋貫氏を介した再就職あっせん構造の仕組み、これが、誰か特定の方の指示とかトップの何か明確な指示、こういったものではないんですが、誰か特定の個人が一貫して構築したものではなく、関係した事務次官を初め文部科学省幹部により組織的な関与の中で構築、形成されてきた、こういうことがこの最終まとめの中で判断されているところでございます。

玉木委員 そこの構築の責任関係が極めて曖昧なんですね。

 この六ページにはこう書かれていますね。「このような嶋貫氏の活動の環境整備を平成二十一年当時の事務次官をはじめ幹部職員が積極的に支援したのではないかとの推測も含めて調査を行ったが、平成二十一年から少なくとも平成二十四年まではメール等の物証がほとんど残っていない時期であり、」「証言は得られなかった。」ということなので、ないのではなくて、メール等が残っていないから、そういう指示があったのではないかと推測も含めて調査したけれども、そこが確定できなかったということですね。

 今回の調査の特徴は、中間取りまとめから対象はふえていますけれども、基本的には自己申告とかあるいは調査で出てきたということなんですが、私は、本当にこれは網羅的になされた結果なのかなということについては、依然として疑問が残ります。

 そこで、報告書の中にも出てきますけれども、人事課が嶋貫さんとも相談しながら、某氏とここには書いていますが、某氏と相談しながら再就職先の案をつくって、それを時に次官や幹部に相談しながらやってきたということが書かれていますが、このつくった案について、全部網羅的に調べましたか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査は、全職員調査、OB調査、それにまつわるヒアリング調査、それからメール調査、こういったものを有識者のアドバイスの中で総合的にやっておるものでございます。ただいま申し上げたもの、これを総合的にやった中で、ただいまの、メールに書かれてあるような、ここに残っているようなものが一体どうであったかというヒアリングを体系的に重ねて、ここの最終まとめで認定されるようなもの、このやり方についても、有識者のアドバイスを得ながらやったものでございます。

玉木委員 いや、お答えいただいていないんですけれども。再就職先の案というのは毎年つくられたと思いますね、各種類。それを全部、毎年各種類ごと、例えば本省の幹部職員に関するもの、国立大学法人の理事、事務局長に関するもの、青少年施設の所長が退職するようなもの、こういったカテゴリーごとに全て、毎年、これをきちんと調べた上で今回の調査結果ということですか。これは明確にお答えください。

中川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど総合的にと申しますのは、あるメールが残っているから、そこのメールに書かれていることをうのみにするわけではなくて、そのメールに書かれていることを複数の方から、当時の方、ヒアリングをする、あるいは総合的にやる、とりわけこの引き継ぎメモというものは非常に有力なメールだということで大変議論いたして、この周りのことをつぶさに調査をいたしました。

 この中で、実際に違法事案になったもの、あるいは認定したもの、こういった取り組みをしておりまして、その結果、ここにある引き継ぎメモ等、その時代に認定されたものというのが何と何と何であるというものを明確に書いてあるわけでございます。

 メールの一行一行に書かれてあることが全て真実だということで、それにのっとってやるというようなやり方はしておりませんで、このメール、その当時の方のヒアリング、そういったものを総合的に考えた上で、どれとどれとどれを潰していくか、こういったことを総合的なやり方でやって、違法事案というのを認定したものでございます。

 一方、OB職員については、当時の導入以降のOB職員全職員に対して調査をかけておりますので、そのデータというのも有力なデータの一つとして活用していることを申し添えます。

玉木委員 網羅的な、悉皆的な調査が行われているのかどうかということの疑問が残るわけですね。

 時間が来ましたのでもうここでやめますけれども、ぜひ委員会に提出をお願いしたいのは、嶋貫さんと相談しながら再就職先の案をその都度つくっていると思います、これを全て委員会に提出をいただきたいと思います。

 つまり、六十二件が違法が認定されましたけれども、いわば分母ですね、その対象を全て調べた上でこれが六十二件かどうかがわかりませんので、少なくとも案をつくっているということが引き継ぎ書の中にはありますから、この各種の再就職先の案……

永岡委員長 時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。

玉木委員 これを全て提出していただくことをお願い申し上げたいと思います。

 ちょっと財務省と内閣府は質問できなかったので申しわけありませんけれども、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 文部科学委員会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。民進党の宮崎岳志でございます。

 まず冒頭、教育勅語について一点伺いたいと思いますが、先ほどもう玉木雄一郎議員の質問にはお答えになったので、その確認でございます。なるべく手短にお願いしたいんですが。

 教育勅語については、それを唯一の根本原理とするようなことはだめだ、しかし、その部分を何か教材に、つまり、副読本であったり、プリントであったりというようなものに活用し、問題のない、憲法や教育基本法の精神に反しない形で利用するのであれば、これが、例えば道徳の教科であろうと、国語の教科であろうと、いわゆる歴史教育以外のものでも使っても構わない、否定されるべきものではない、こういう理解でよろしいでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 校長や設置者の判断と責任において使用が可能だと考えております。

宮崎(岳)委員 校長の判断に基づいて使用が可能だ、道徳の教科書であってもということだと思います。

 さて、ただ、この教育勅語が否定されてきたのは、その内容に問題がある、それだけではないんですね。教育勅語が神格化をされ、それがある意味で国民に対する一種の迫害、弾圧にもつながってきたというこの歴史の中で、これは全体として用いるべきではないのではないか、こういう理屈があったんだと思います。先ほど玉木雄一郎議員から衆参の決議の話もありました。

 私が取り上げたいのは、一点、これはわからなくても構いません、通告しておりませんので、御存じかどうかだけお伝えください。内村鑑三という人物を御存じでしょうか。

松野国務大臣 詳細までというふうに言えるかどうかはわかりませんが、人物としては存じ上げています。

宮崎(岳)委員 では、内村鑑三不敬事件あるいは一高不敬事件というのは御存じですか。

松野国務大臣 存じ上げません。

宮崎(岳)委員 通告をしておりませんので、御存じないということは問題があることだとは思いませんが、ぜひこの教育勅語の問題を考えるときには覚えていただきたいんです。

 内村鑑三不敬事件というのは、明治二十三年の十月に教育勅語が発布を、公布をされる、それから年末にかけて各学校に教育勅語が配られる。そして、翌年の正月に、始業式のときに、この教育勅語の奉読式というところが多くの学校で行われます。内村鑑三は、高等第一中学校でしたか、今の東京大学の教養学部の前身になる学校ですけれども、ここの教師をやっておりました。そのときに、奉拝をしろ、この教育勅語に対して宗教的低頭をしろという言葉を使われておりますが、宗教的な意味で頭を下げろというようなニュアンスの指示を受け、それを拒絶した。そのために彼は職を追われたという事件であります。

 御紹介をするのは、「日本キリスト教史双書 内村鑑三不敬事件 小沢三郎著」という本でありますが、

  本書は、明治二四年に勃発した、いわゆる「内村鑑三不敬事件」――または「第一高等中学校不敬事件」――を取り扱ったものである。この事件は、明治キリスト教史上画期的なものであり、また日本近代史上、「信教の自由」に関する代表的な戦いであった。

  内村鑑三個人にとって、この事件は、人生の岐路になった。この問題で妥協すれば信仰的に没落し、拒絶すれば社会的に孤立する。内村はおのが信ずる道を選び、よろめきながら一すじの道を歩んだ。そして悪罵と攻撃にさらされ、一時は生活の道さえ断たれたかの観があった。

内村鑑三は教育勅語を否定したわけではないんです。これは実行すべきものであって拝むものではないというふうに言った。だから、敬意を表するために頭を下げるのはいいけれども、これを宗教的に礼拝することは拒絶する、そういったことであったんですが、彼がその後どうなったか。

 余は高等学校の倫理講堂に於て其頃発布せられし教育勅語に向て礼拝的低頭を為せよと、時の校長代理理学博士某に命ぜられた、然るにカーライルとコロムウエルとに心魂を奪はれし其当時の余は如何にしても余の良心の許可を得て此命令に服従することが出来なかつた、余は彼等の勧奨に由て断然之を拒んだ、而して其れがために余の頭上に落来りし雷電、……国賊、不忠……脅嚇と怒喝……其結果として余の忠実なる妻は病んで死し、余は数年間余の愛する此日本国に於て枕するに所なきに至つた、余の肉体の健康は夫れがために永久に毀損せられ、余の愛国心は甚大の打撃を被りて余は再たび旧時の熱心を以て余の故国を愛する能はざるに至つた、実に余の全生涯に渉る此世の不幸はすべて此一瞬間より来つた、

こういう状況なわけです。

 そして、ついにはキリスト教全体に対する社会的迫害に発展をした。これがいわゆる第一高等中学校不敬事件というものになります。

 結局、これは教育勅語が発布せられたときの話なんですね。初めて教育勅語を目にした、そして、その教育勅語を御真影とともに飾り、御真影ではなく教育勅語に対してこれを崇拝せよという指示が下り、それを世論も支持し、そして内村鑑三は迫害をされていく、内村鑑三のみならず多くのキリスト教徒がこの場で迫害をされてしまう、こういった事件があった。

 これは戦中に至るまで、こういったことは続くわけです。奉安殿に教育勅語を安置し、それを奉拝する。奉拝するというのは奉って拝むことですから、これは宗教的な行為です。そのような歴史の上で、これは使ってはならないというこれまでの政府の、あるいは国会全体の意思が示されてきた。

 これを、ただ一部が正しいからといって、それを研究するのはいいでしょう、研究はするのはいいが、国語に使うということは、あるいは道徳のことに使うということは極めて慎重であらねばならないと私は思いますが、これはいかがでしょうか。

松野国務大臣 ただいま宮崎先生の方から御教授をいただきました事件に関して、その内容をお聞きして、今、現状においても、教育勅語を教育の唯一の根源とすることであったり神格化をされるというようなことは、当然のことながら、これは、現行憲法が制定され、教育基本法が制定されている上において許されるものではありませんし、学校現場において宗教的な事由によって差別をされたり迫害されたりということはあってはならないことは、もう当然であります。

 私が申し上げているのは、これを推奨しろといったようなことでは全くありません。学校教育法上の運用において、やはり一番、教育の先端、最先端で御苦労されている教職員の方々、また学校長の方々が、教材を選択する、選べる権利、またそれをもって教える権利、それに関して制約を加えてはならないという趣旨で私は従前より答弁をさせていただいているということでございますので、繰り返しになって恐縮でございますけれども、それが法令上適切に使用されるということにおいては、教員の方々、学校長の方々において第一義的には判断をされるべきだという答弁をさせていただいているところでございます。

    〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕

宮崎(岳)委員 例えば、教育勅語以外にも、社会的な意味で、これは使用するのが不適当ではないかというふうに考えられるような書物もあると思います。

 例えば、アドルフ・ヒトラーの書いた「わが闘争」という本があると思います。恐らくこれは、一部分だけとってみれば、それなりに納得できるところがあるんでしょう。不屈の精神みたいなことも書いてある。そういうものを、例えばその一章とか一文だけ切り取れば、それは道徳の教科書に物理的には使えなくもない。

 こういったものであっても、それを使っても、その場の校長の判断であれば、そして、特にそういった、ヒトラーを個人的に礼賛するというような趣旨ではなく、ただその文言の一つがすばらしい道徳的なものだということであれば、これは使っても、否定すべきではない、そういうことでよろしいんですか。

松野国務大臣 「わが闘争」、「マインカンプ」の全体としての趣旨は、今日的な人権意識でありますとかその他、現行の日本国憲法における趣旨とも反するということは、もうこれは誰しもが認めるところであろうかと思います。

 私が申し上げているのは、その精神を、例えば「わが闘争」に書かれている内容の精神を、それをそのまま生徒児童に伝える目的を持ってこれが使用されるということであれば、当然のことながら適切でないというふうに思いますが、これは、教材としての使用の仕方というのは、さまざま、各個々人の教師によって手法があるわけでございまして、例えば、「わが闘争」を示して、こういった人権意識、民族差別的な発想があった歴史的な時代があったということに関して今皆さん方はどうお考えですかということを討論させるですとか、教材としての使用に関しては、その教員の判断の自由があるということを申し上げているまででございます。

宮崎(岳)委員 歴史の教科書に、あるいは歴史の副読本等に、その歴史の一側面、一事実として「わが闘争」が載るのも、教育勅語が載るのも、これは私は当然否定しないし、日本じゅうのほとんどの人は否定されない、当たり前のことだと思います。

 そうじゃなくて、その一部分が切り取られて、それが道徳とか国語の教科書に載っている。確かに、切り取られた文章にはそんな問題があるところもないし、あるいは、その教え方も特に問題のある教え方でもない。そういうことであっても、基本的には、これは校長なり教員の自由であるということでよろしいんでしょうか。使用は否定されないと、「わが闘争」についても。

松野国務大臣 これは先ほど申し上げたことの繰り返しで恐縮でございますが、学校教育法上認められている運用に関しては当然認められるわけでございますが、私が申し上げているポイントは、先生御指摘の、一連の中でここの部分は正しいから使えるでしょうというような趣旨で答弁をさせていただいているわけではございません。その教材を使ってその教員が何を伝えようとしているのか、そこが問題、ポイントであって、その対象としての教材の使用としては可能だということでございます。

宮崎(岳)委員 可能だという御答弁であります。

 私は、教育勅語については、中身について、それはいいところもあるというふうに思いますし、私自身、そういったことを否定しようとも思いません。私はクリスチャンではございませんから、真の意味で内村鑑三の本当の心境というのはわからないかもしれませんが、しかし、教育勅語というものが、全体として、ある意味で宗教的な文脈の中で迫害や弾圧というものに利用されてきたというこの歴史を思えば、このものを学校教育の中で、歴史教育以外の部分で、観点で、あるいは社会教育、政治教育とかそういうこと以外の部分で取り扱うのは不適切ではないかというふうに思っておる次第であります。

 最後に、先ほど自民党席から、内村鑑三の話をしたときに、あざ笑うような笑い声が上がりまして、本当に私は残念ですし、なぜこの話をしているときにそういう反応が出るのか。自分の考え方は違うかもしれませんけれども、ここは耳を傾けるべき歴史的事実であり内容であるというふうに私は思っております。

 最後、一つ、内村鑑三について、蛇足になりますが、申し上げたいと思います。

 内村鑑三、群馬県の偉人として大変有名な方であります。私の出身の群馬県には上毛かるたというのがあって、その中に「心の燈台 内村鑑三」、こういう文章があって、群馬県民であれば小学生でも誰でも知っている名前なんですね。

 これは参議院の予算委員長山本一太参議院議員のブログを、たまたま、内村鑑三を調べているときにお読みしました。内村鑑三は、山本委員長の母方の遠縁に当たるんだそうです。そして、その本を自分の心の支えとしてきたというようなお話がブログに書いてありました。そこを一部、ちょっと読ませていただきます。

 内村の箱根での講演をおさめた「後世への最大遺物 デンマルク国の話」は、政治家山本一太にとって特別な一冊だった。政治家として苦しい場面に遭遇したときは、今でもこの講演録を読み返し、自分を奮い立たせる。十年前、第一次安倍政権が発足する直前まで、所属していた派閥、清和会の中で、一貫して安倍支持を訴え続けた。自民党総裁選をめぐる山本一太の発言は、メディアでも頻繁に取り上げられた。当時、毎週行われていた派閥総会の席で、幹部の人たちから厳しく批判された。全員の前で罵倒されたこともあった。が、最後まで態度を変えなかった。実はこのころ、「後世への最大遺物」の講演録のコピーを持ち歩いていた。一日に何度も読み返していた。あのときの内村鑑三の言葉にどれほど勇気をもらったことか。

 党派はいろいろあると思うんですよ。私は、山本一太氏の所属する自民党とは対立関係にある党派の人間だというふうに思っております。それはそれでいいんですけれども、まさにこの歴史観の問題については、そういったことを排除して、やはり議論をきちんとして、冷静に結論を出さなければならないと私は思っているし、内村鑑三の歴史を考えれば、教育勅語に対する今回の政府答弁は極めて問題があると私は感じているところであります。

 もう一度、もし所感を伺えるのであれば、大臣、お話を伺えますか。

松野国務大臣 私も、例えば宗教的、思想的なもので学校の場で何かを神格化するとか、それによって差別、迫害が起こる、こういったことは決して許されないということにおいては、恐らく宮崎先生と同じ考え方だと思います。

 そして、誤解がないように申し上げれば、教育勅語を道徳で用いるべきだと推奨する気も全くありません。

 繰り返しになって恐縮でございますが、しかし、学校現場、教室の中における教員の教えるという行為に関する自由度であったり権利であったり、そういったものを阻害してはならないというのが私の本意であります。

 ですから、当然、例えば教育勅語を何かしらの教科で用いて、憲法に反する考え方、先ほど先生が例に挙げられたような状況の中で教えるということに関しては、私は、当然のことながら、適切じゃない、反対だということでございます。

 要は、その教員がしっかりと、その教材を使って何を子供たちに伝えようとしているか、その観点において判断されるべきものだと考えております。

宮崎(岳)委員 この問題はこれで終わりますけれども、長年にわたり、やはり、教育勅語を教育の中で利用することは、歴史教育とかそういう過去の歩みを学ぶということを除いては、軽々しく使うのは不適切なものだというふうに扱われてきたし、国会や政府のこれまでの判断もそうだったのではないか。だから、今回の政府答弁がこれだけ反響がある、よくも悪くも反応があるということだと思っております。

 私は、今の一連の御答弁、それは、大臣の言わんとしている趣旨もわからぬではないけれども、結果としては、学校現場に教育勅語を持ち込むことの一つの動きになるし、また、「わが闘争」も、文脈さえきちんとしていれば使っても構わないというお話だったと思いますけれども、私は少々疑問を感じざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。

 続いて、天下りということでありましたけれども、今いろいろマスコミ等をにぎわしております加計学園でございます。

 二人の文部科学省からのOBが天下りをしているということはこれまでの質疑でも出ているところでありますが、一点、これは午前中の国土交通委員会の質疑でも確認をさせていただきました、この加計学園に、平成二十七年に安倍昭恵総理夫人が神戸にこの関係のイベントで行っている、それについて、夫人付の職員が同行されているわけですが、この夫人付職員の旅費はどなたが負担をされたでしょうか。土生官房審議官、お願いいたします。

土生政府参考人 お答えさせていただきます。

 総理夫人の私的な活動につきましても、総理の公務遂行補助に関する当面の活動について必要な連絡調整をするということで、職員が同行する場合があるわけでございます。夫人の私的な活動そのものをサポートするということではございません。

 原則としましては、総理夫人の申し出によりまして夫人の私的経費により負担されているということでございますけれども、自治体あるいは主催者が負担になっている例もあるということでございます。

 ただいま先生から御指摘のありました平成二十七年九月十九日の神戸への同行ということでございますけれども、職員はチケットを夫人側から手渡されたものということでございましたけれども、昨晩、先生から御指摘をいただきまして、改めて確認いたしましたところ、旅費の実費につきましては、最終的に学園負担となっていたということでございます。

 したがいまして、国としましては旅費を支給していない、このような取り扱いになっているわけでございます。

    〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕

宮崎(岳)委員 総理夫人に講演か何か、御挨拶か何かお願いして、総理夫人の旅費を負担する、それまではわからないでもないですし、私的な活動だからいいんでしょう。そこに政府の職員がついていく、それは公務である。その人の旅費を先方の民間のそういった団体に、加計学園に負担させる、これは問題ないんでしょうか、土生審議官。

土生政府参考人 お答えいたします。

 旅費法上の扱いでございますけれども、国以外の者が旅費を負担するというときは国は旅費を支給しないというふうに規定をされているわけでございます。

 理由のいかんを問わずそのような扱いになっているところでございますので、私どもとしては、問題ないものと考えております。

宮崎(岳)委員 それは旅費法として出さなくていいという話であって、公務なのに、総理の夫人付の政府職員の旅費を先方に負担させるのが適当なのかどうかということは大いに疑問が残るということだと思います。

 続いて、ちょっとその関連で伺いますが、これはきのう福島みずほ議員が参議院で質問されていましたけれども、例えば、平成二十八年の七月九日に沖縄で、島尻候補の応援に総理夫人は行かれている。同年六月二十八日には、岡山に小野田当時候補の応援に夫人が行かれて、応援演説をされたりいろいろ、練り歩きの同行みたいなことをされたりしていて、写真等も残っているということであります。

 その場に夫人付職員が同行しているという写真もたくさん残っているわけでありますが、これは同行していたのかどうか、同行していたとすれば、この旅費はどなたが負担されたものでしょうか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、常時の総理の公務遂行補助に係る連絡調整を行っているということでございますので、夫人が私的な活動をされている場合におきましても同行する例があるということでございます。その中で、夫人の私的な活動が選挙の応援といった場合もあったということでございます。

 参議院で福島議員から御指摘がございました沖縄、岡山の件でございますけれども、その後、御指摘を受けまして確認をいたしましたところ、平成二十八年六月二十八日、それから平成二十八年七月九日でございますけれども、いずれも職員が同行をしていたということを確認したところでございます。

 旅費につきましては、総理夫人側の申し出によりまして、私的経費により負担されているものというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、職員の同行は、選挙の応援を含めまして、その私的な行為そのもののサポートを行っているわけではないわけでございます。あくまでも公務遂行を補助するための活動に係る連絡調整の必要性から同行しているものでございまして、政治的行為の制限等には十分に留意して対応したというふうに聞いております。

宮崎(岳)委員 私的な経費と言いましたが、これは夫人のポケットマネーでしょうか、それとも自由民主党の経費でしょうか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 夫人側からチケットを受け取ったというふうに聞いております。最終的な費用負担者につきましては、現時点においては確認いたしておりません。

宮崎(岳)委員 これは大臣等でも非常に気をつけていることだと思うんですね。当然、選挙応援に行かれることはある。特別職の政治的な自由がある方がそこに、公務員で特別職の人が同行するということはあると思いますが、いわゆる一般職の、まさに役所の方が選挙応援についていくというのは、これは大臣やあるいは官邸の官房長官とか総理大臣とかということであっても普通ないことじゃないか。そこは自分の、例えば安倍晋三事務所の秘書なり、あるいは自由民主党の職員なりが交代をしてつく。SP以外は通常そういう取り扱いをされているはずであります。なぜこんなことが起こっているのか。

 そして、その経費について、国家公務員の経費が私的に負担をされていて、それが夫人本人が出したのか、選挙応援自体は自民党の活動だと思いますから、自民党が出したのかもわからない。これは余りにずさんだし、問題のある取り扱いではないかというふうに考えます。

 次に、ことしの二月二十七日から三月二十九日までの三十一日間、これは前回、別の委員会で質問させていただきました、総理夫人が、総理の公務遂行補助活動、いわゆる公務だと思いますが、従事されたのはどれぐらいかと。そうしたら、外交関係が二日で、残りが四日、合わせて六日。外交関係の方は外務省から来ている職員の方々が面倒を見ている。総理夫人に常時ついているのは経産省から来た常勤の総理夫人付職員だということなので、この二人の仕事の状況はどうなのかということで、そういう趣旨で質問させていただいたわけです。

 国内業務四日だと言いましたが、一回は天皇陛下がベトナムへ出発するときのお見送り、一回は帰ってきたときのお出迎えでありまして、これは総理自身に夫人が帯同していますので、別に夫人付職員が何をやらなきゃいけないというものでもないと思うんですね。そうすると、夫人が単独で公務遂行補助活動ですか、これをした日数というのは、この三十一日間で何日なんでしょうか。

土生政府参考人 御説明いたします。

 ただいま委員から御紹介ございましたとおり、御指摘の一月間でございますけれども、外交関係では二回、二日間、外交以外では四回、四日ということでございます。

 外交以外の関係ということで申し上げますと、その両陛下のお見送り、お出迎えを除けば、二回、二日間ということでございます。

宮崎(岳)委員 その二回、二日間だけが単独の公務遂行補助活動だ、残りの二日間は総理への単なる同行だ、こういうことでよろしいでしょうか、確認です。

土生政府参考人 正確に申し上げますと、まず、外交関係以外の二日間でございますけれども、農林水産省主催の農業女子プロジェクトアワードへの出席、それから東日本大震災被災地訪問の二件ということでございます。

 それから、外交関係ということで申し上げましたけれども、このうち、一つは賢人達人会総会前日のディナーレセプション、それから、二件目につきましてはモザンビーク大統領夫妻の懇談夕食会ということでございますので、外交関係につきましても、一件、単独で行動された例があるということでございます。

宮崎(岳)委員 時間になりましたので終わりますが、最後に一言だけ申し上げます。

 今の話を聞きますと、外務省側の職員というのは、ずっとこれまでの総理でも総理夫人についているんです。それは外交関係の公務補助活動の処理があるからです。それ以外に二人の経産省職員が常勤でついているのが特殊なところなんです、安倍政権の。

 そして、結局、聞いてみますと、単独で行動している公務的な公務補助活動というのは二日間しかないんです。その二日間のために一カ月間ずっと二人の職員が常勤で張りついていて、やっていることはほとんど私的活動の随行なんですよ。

 これは、私は、いびつな形ではないかと思いますし、この一連の問題の原因になっているんじゃないかというふうなことを指摘申し上げ、時間となりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 初めに、三月二十七日、栃木県で高校生の登山講習会中に発生した雪崩により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。

 文部科学省を初め関係者の皆さんの、原因究明と今後の対応を進めていただくように求めてまいりたいと思います。

 それでは、文部科学省の天下り問題について質問をいたします。

 きょう、委員会の資料として、皆さんのお手元にも文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)が配られております。きょうは、初めに、この点について幾つか質問をいたします。

 まず、この最終まとめの五ページにございます点です。

 この間、法律が変わりました。「平成十九年改正国家公務員法の施行時の文部科学省の状況」ということが書かれておりまして、一つは「改正前の再就職あっせん業務」とあります。

  平成二十年十二月三十一日に改正国家公務員法が施行される前は、国家公務員は離職後二年間、その離職前五年間に在職していた国の機関等と密接な関係にある営利企業へ就職するときは人事院の承認が必要とされていた。この当時において、文部科学省から営利企業に再就職をする職員は少なく、規制の対象外であった学校法人等の非営利法人に再就職する者が中心であったことから、退職後二年を経ることなく、学校法人等への再就職あっせんを、人事課において業務として行っていた。

と述べられております。

 そして二つ目に、「改正法に対する当時の人事課の認識等」というところで、

  改正法に基づく再就職等規制の導入により、現職職員が再就職に関与できなくなるとともに、職員OBの主な再就職先であった学校法人等の非営利法人も規制対象となることから、改正法の範囲内でどのように対応するのかが大きな課題であった。

と述べられております。

 そこで、きょうは、参考人の方にも来ていただいておりますので、この点について幾つか伺いたいと思います。次に、松野文部科学大臣にも、この点について御認識を伺いたいと思います。

 当時、それまでは天下りというのは原則禁止であった、どうしても必要であれば人事院に承認してもらうということだったと思うんです。それは原則なくなったということが法改正によって行われたわけです。同時に、学校法人等非営利法人も対象に、規制にはなっていくわけですけれども、そういう変化があった。

 ここに、二番目のところに書いてある「改正法の範囲内でどのように対応するのかが大きな課題であった。」ということは、どういう当時の皆さんの認識だったのかということが問われなくてはいけないというふうに思うんです。この点についてどのようにお考えなのか、まず、政府の方から当時の法解釈を含めてお話しください。

中川政府参考人 お答えいたします。

 まさに、当時の改正法に基づく再就職等規制の導入のころ、これは、ただいま委員御指摘の、最終まとめの五ページに書いてあるところでございます。最終まとめ、今読み上げられたところですが、当時の人事課の認識として、改正法が施行される前は、学校法人等の非営利法人への再就職あっせんを業務として行っていた人事課においては大きな課題であったと。

 具体的には、これもいろいろなヒアリング調査等を通じて把握したものでございますが、最終まとめにもございますように、職員OBの再就職について、改正法に基づく再就職等規制の導入により、現職職員としては職員OBの再就職にかかわることができなくなる、今までやっていたことができなくなるので、どういうふうにやっていったらいいか、これが一つの課題でございましたし、そこに慎重な対応が必要であるという認識があった一方、新設されるまさに官民人材交流センターとか民間の人材あっせん団体が有効に機能するか、このあたりについても懸念があったというお話もございまして、このような問題について一体どのように対応していくか、これが課題であったということが多数のヒアリングから指摘されたということでございます。

畑野委員 それでは、その当時担当をされていた方に伺いたいと思います。どのような御認識だったのか。

 きょうは、お越しいただいた、銭谷元文部科学事務次官、それから小松親次郎人事課長、お二人の参考人からお話をしていただきたいと思います。

銭谷参考人 お答えをさせていただきます。

 私は、法が施行されましたときから平成二十一年の七月まで事務次官の職にございました。

 それで、当時の状況といたしましては、改正法に基づきまして再就職規制の導入が図られて、一つには、今お話もございましたが、現職職員が再就職に関与できなくなるということと、学校法人などの非営利法人も規制の対象になるということで、人事課を初め現職の職員が再就職のあっせん等を行うということはできなくなったわけでございます。

 そこで、私どもとしては、法令を遵守しながらどのように対応するかが課題であるという認識をまず持ちまして、職員に遵法意識の徹底を図るといったような、必要な資質の育成の措置とか継続的な研修等を講ずるべきであるというふうにまず思いました。ただ、今思いますと、そのことが必ずしも十分でなかったということの責任をまず感じております。

 それから、現実的な対応といたしましては、結局、退職をしたOBの方とかあるいは外部の方々のお力を、一つはおかりしていくことになるのかなという漠然とした思いは持っていたというふうに記憶いたしております。

畑野委員 そうしますと、銭谷参考人は、そうは漠然と思っていたが、何かそれについて具体的に手を打ったということはなかったということですか。

銭谷参考人 やはり当時思いましたのは、法令をきちんと遵守していくということでございましたので、私としては、特に職員の再就職について具体的にかかわったとか、そういうことはございませんで、その後、退職をするわけでございますけれども、退職をされた私どもの先輩なりがいろいろと後輩の、その後退職される人のお世話を見ていくことになるのかなと思っていた、そういう状況でございました。

畑野委員 当時の雰囲気がよくわかる、大事な御答弁だったと思うんですね。何となく、先輩がやってくれるのかなと。

 結局、この法が、いいか悪いかというのはまた後で私は意見を申し上げますが、それについての認識が甘かったんじゃないかと私は言わざるを得ないんですが、小松参考人は、その当時、どうでしたか。

小松参考人 お答え申し上げます。

 その前に、今回の再就職規制違反等の問題につきまして、私は法律改正当時の人事課長でございます。その後に起こっていったことを考えますと、行政の不信を招きましたことにつきまして本当に心から申しわけなく思っております。心からおわびを申し上げ、それを前提として答弁させていただきます。

 まず、認識そのものにつきましては、私も、今回の調査のヒアリング等さまざまな形で、持っております記憶、情報等は提供いたしましたので、それも加味した上で報告書が第三者によってまとめられたと思っております。そういう意味では、先ほど調査班長から答弁のありましたことは、私が当時認識しておりましたことと全くそごがございません。

 具体的にどういうことが大きな課題だったかというお尋ねであったかと思いますけれども、一つは、法律が変わって、今まで、要は退職をどのように管理するかということについて、職務として行われてきたことの内容が大きく変わるということに対応して、どこまでの範囲であれば法的に違法がなく、かつ、制度の目的に照らして適切であるかという範囲をどのように考えて対応すればいいのかということについては、まだ法律ができたばかりで、実績や積み重ねもなく、さまざまな、例えば再就職等の監視をされるところから出されるパンフレットとか、問い合わせとかをしながら、どういうふうに理解をしていけばいいのかということを試行錯誤していたということがございます。

 それからもう一つは、当時、この法律改正については官民人材交流センターの構想がございまして、立ち上がりにつきましては、発足当初期というような言い方をしていたと思います。それから、本格稼働期というものがおおむね構想されておりまして、大体三年ぐらいたったところで本格稼働するような形にしていこうということで、政府内でも説明会もございましたので、それに向けてどのようにしていくと一番おかしくない制度になるのかというようなこともきちっと検討していかなければいけないという状況がございました。これへの対応。

 それからさらに、今までの御答弁にもありましたように、そもそも、OB等に限りませんで、民間において自主的に退職後に求職活動が行われていくということが想定されましたので、これは、OBというようなこともありますけれども、ほかに例えば民間のあっせん会社とか、そういったものも存在しているわけでございまして、こうしたものをどのようにして活用されると、国民に疑惑を招かず、新法の趣旨に沿った対応になるのか、こういったことを検討しなければいけないということでございました。

 しかしながら、そのことが十分にきちっとした結論を得るところまで達せず、また、それに伴って必要な理解に基づく遵法意識の醸成ということについては不十分であったということで、ここでも、評価、批判をされていると思います。そのことを重く受けとめる必要があるというふうに理解しております。

畑野委員 つまり、今まで続けてきたことの、職員をどういうふうに再就職させようかというところに専ら頭があって、実際、それまでもそうなんだけれども、国民の疑念を抱かれないように天下りというのは禁止するんだ、関係あるところには行かないんだ、その精神が貫かれていたかということが問われると思うんですよね。それは、その時々の法について政治の世界で決めますから、いろいろな意見の違いはありますよ、私たちは新たな提案もしているわけなんですけれども。ただ、ここのときに、どういう法律に基づいてやるとするのか、それが不都合であれば、それは不都合であるということも含めて国民的な議論をしていかなくちゃいけないわけですよ。

 そこのところの、今回、最終まとめ、私は最終と言えるのかという点では、この後質問を続けますけれども、この改正法の範囲内でこれまでのことをどんなふうにうまくやっていけるかなみたいな、これではだめだったという認識があるのかどうか、ここにしっかり立たないと、これから先、幾らいろいろな法律が変わっても変わらないと思うんですよ。その点はやはり政治の立場におられる松野文部科学大臣初め政府の役割は大きいと思うんですが、その点についての御認識はいかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 当時の、平成二十年十二月三十一日以降の制度変更があった中における文部科学省としての意識は、今、中川参考人や、当時その職の立場にあった参考人からお話があったとおりであったんだろうというふうに思います。

 OBの方々に頼るということかなという意識、今お話もありましたし、また、OBの方に頼るという形であればこれは法に抵触しないのではないかという、いわば軽信と指摘をされているところがあって、そういった中において、これは監視委員会の方から法を潜脱する目的で構築されたと指摘をされている制度ができていったのであろうというふうに考えております。

 また、これは、OBを通した案件以外で、直接的に現職職員が行っている事案もございます。これは当然、その中においては法制度に対する理解不足という事案もありますが、しかし、大きなところは、やはり身内意識の甘えから遵法精神が欠けて、結果として法規制を破ってしまったということにつながっていったのであろうというふうに考えております。

 こういった流れの中で、今回、文部科学省が国民の皆さんの信頼を著しく損ねたということに関して、本当に猛省をしているところでございます。

 制度全体に関して政治的にどう今後考えるのかという先生の御指摘でございますが、現状において、公務員の皆さんがその経験、知識を生かして再就職をして、また新しい場において活躍をするということは、これは有意義なことであると思いますし、法的にも認められていることだと思います。今回の問題点は、それが法に規制された、現職の職員がかかわってはならないということが、かかわってしまったという点に問題があるんだろうというふうに考えております。

畑野委員 最後の大臣の御発言については、私は違う意見を持っておりますので、それは後で申し上げたいと思います。

 次に、最終まとめの六ページのところを伺いたいと思います。

 二の「再就職あっせんの概況」というところでございますが、嶋貫氏の活動の環境整備を平成二十一年当時の事務次官を初め幹部職員が積極的に支援したのではないかとの推測も含めて調査を行ったが、平成二十一年から少なくとも平成二十四年まではメール等の物証がほとんど残っていない時期であり、関係者に対してのヒアリング等からは得られなかったというふうにしております。ここが今回の最終まとめのわからないところの一つなんですよね。誰がこの構造をつくったのかというのが書かれていないんです。

 それで、事務次官を初めとした幹部に、当時の方に伺いたいと思っていたのですが、当時審議官、後に事務次官になった清水潔参考人はきょう来ていただけていない。一番聞きたい方に来ていただけていないということなので、委員長に、引き続き、清水潔参考人に国会に来ていただくように招致をお願いしたいと思います。

永岡委員長 後ほど理事会において協議をさせていただきます。

畑野委員 先ほども委員会の中で議論になっておりましたが、海外渡航中で来られないと。つい先ごろまでは日本にいらしたのに、突然いなくなられたということでございます。

 それでは、その当時の人事課長の常盤豊参考人に伺いたいと思います。どなたによってこの構造はつくられたんでしょうか。

常盤参考人 お答え申し上げます。

 私も、平成二十一年から一年間、人事課長でございました。人事課長といたしまして、今回このような事態になりまして、私自身、しっかり指導監督すべきであったという点で、非常に大きく反省をしているところでございます。まことに申しわけなく思っているところでございます。

 私自身の認識といたしましては、先ほど私の前任の小松人事課長からお話がございましたが、私が小松前人事課長から引き継ぎましたのは、再就職規制についての法制上の取り扱いについて、非常に厳格な仕組みになりましたので、その規則をしっかりと厳守するということがとにかく一番重要なことなのだということで私は引き継ぎを受けたということでございます。

 その上で、私の認識といたしましては、これもまさに小松前人事課長からの引き継ぎでございますので、OBの方であるとか、あるいは民間の就職支援会社であるとか、もう現職の手を離れたところで再就職についての活動がなされるということが期待されているという状況だったというふうに思います。

 ただ、これも繰り返しになりますけれども、小松前人事課長も申しておられましたけれども、その中で、なかなか実際に、もう規則ができた後でございますので、OBの方のあっせんについて我々自身がそこに関与することができないわけでございますので、何か枠組みのようなことで設けて、こうやってくださいとか、そういうことを申し上げるような状況ではなかったというふうに私はむしろ思っております。

 そういう意味では、私の認識といたしましては、何かそういう構造をどなたかが意図してつくられたということではなくて、OBの方々による自発的な活動の積み上げというんでしょうか、そういう流れの中にあったのではないかということを私自身も当時の感覚としては持っているということを申し上げさせていただきたいと思います。

畑野委員 そうしますと、最終まとめで言われている、「当時の事務次官をはじめ幹部職員が積極的に支援したのではないかとの推測も含めて調査を行った」、この推測は一体どこから来ているんでしょうか、政府の方に伺います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まさにこの構造が、いつから、どのような形で、誰が主導して、誰がどういう役割を担ってこれができていったかということが、この調査班の有識者の方々の間でも大きな論点でございました。そういう観点から、いろいろな調査、とりわけヒアリング調査、当時の方々に伺うといったときに、絞って、そういう論点でヒアリングをしたという結果、今まさにここで議論されているような内容を何度も重ねまして、それも、当時の上の方、下の方からやるというようなことを繰り返した上で、結果的にこのような、当時、誰かが主導してそういうものを構築したということは見当たらなかったということで書かれている。

 それでは、組織がないのか、自発的にできたのかということについては、一方、その認定された事案が、証拠を取りそろえて、このころこういうことがなされていたというのは具体的にこの当時もございました。それが後ろに事案がございまして、その事案は、これは次官まで報告されている、これは誰まで行っているという、それは個別の事案でございますが、この時代にそういうことが一件、二件、幾つか実際に行われている証拠も残っていたということで、そうすると、やはり組織としてこういった構造的なものがあったというふうに評価せざるを得ないというのがこの報告書に書かれたものでございます。

畑野委員 松野大臣に伺いますけれども、構造を解明する上で、誰がやったのかとか、そういうところまではメールなど含めて残っていないということですから、そういう点で、本当に、真にこれがわかったのか。外形的にはそういう構造があったなというふうにはなるかもしれませんけれども、そこの不明の部分というのは、これは不明だという認識でよろしいんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 まさに先生御指摘の、どういった過程においてこの仕組みが構築されてきたかということは、今、政府参考人からお話があったとおり、調査班の外部有識者の先生方の観点においても、そこがポイントだということで、意識を持って調査に当たっていただいたということでございます。

 これは物証がない中で、ここは不明のままかという先生の御指摘でございますけれども、確かに二十一年から二十四年にかけての物証類がそれ以降と比べて少ないということは事実でございますが、その期間においても三千人を対象とした全職員調査も、またその期間に退職をされた方、OBに対する書面上の調査も行わせていただいておりますし、三百回を超えるヒアリング調査でありますとか、また受け入れ側の法人等も含めてのチェックをさせていただいておりますので、そういった意味においては、今回の調査を通して相当程度しっかりと解明がされているというふうに認識をしております。

畑野委員 完全ではないということはおっしゃるわけですが。

 そこで、次に、報告書の中で、先ほど申し上げた六ページの下のところで、嶋貫氏がボランティアベースで行っていたというふうに書かれております。「嶋貫氏は、改正法施行により現職職員が再就職あっせんを行うことができなくなったことを受け、このままでは多くの後輩が困難を抱えることとなるため、自身の経験を生かした支援ができないかという思いから、平成二十一年七月の文部科学省退職後、再就職あっせんを行うようになった。」と。

 嶋貫和男参考人に伺いますが、誰かにどこかの時点で業務としてお願いされたというふうに考えるのが自然なんですが、誰からか依頼をされたんでしょうか。

嶋貫参考人 私が公務員を退職した二十一年というのは、まさに新しい規制がスタートした時期でもございまして、その時点で私はもう文科省を離れた立場でございました。文科省自身がどのようにその問題に、新しい課題に向き合って、どのようにお考えになっていたのかというのは詳しく知る立場ではなかったわけでありますが、私なりに推測も交えながら当時考えていたことは、新しいルールができるということは、それはそれなりに文科省にとっても大変なことであっただろう、戸惑ってもおられただろうと思っておりましたし、何よりも、その中で退職を控えている人たちにとっても非常に不安な思いもあったんだろうというぐあいにも考えておりました。

 その中で、私が何か特別できることというのはないわけでありますが、その新しい制度の中で、今お話もいろいろございましたけれども、私なりに考えておりましたのは、再就職のセンターがございましたですね、その交流センターが活用されていくのかなとか、あるいはOBの方がお世話するようなケースも出てくるのかな、かなり漠然としたイメージとして私なりには受けとめておったところではございます。その中で、もし私が誰かから相談を受けてお世話するようなことがあれば、それはそれでありがたいことというんでしょうか、私としても人助けのようなつもりで、そういうこともあり得るのかなというぐらいのことでございまして、お尋ねのところに戻りますと、どなたかから具体にそういうお話を、要請を受けてそういうことにかかわってきたというものではございません。

畑野委員 しかし、その後のいろいろな再就職、御自身の部署を考えると、誰からの指示もなしに本当にボランタリー精神でというふうにはなかなか信じがたいわけです。

 それで、先ほど松野大臣からも幾つかの点の御認識の御答弁があったわけですが、軽信していたとか遵法精神がどうこうというのにとどまらない問題が今回さらに出たわけでございます。これは、今回の端緒となった元高等教育局長の吉田大輔参考人にきょうは来ていただいておりますけれども、その問題でございます。

 退職後に早稲田大学に教授として再就職をしたということで、退職前に人事課職員を経由して履歴書等を早稲田大学に提出して求職活動を行い、この再就職のために人事課職員が早稲田大学との連絡調整を行っていた、これが国家公務員法が禁止する再就職等規制に違反をしていたということでございます。

 これは、最終まとめでいいますと、九ページのところの一番下から、平成二十七年三月ごろの引き継ぎメモに記載のある内容ということで、一番下の行に再就職等監視委員会対応ということで、十ページにかけて、いろいろと声がかかるがその対応はこうすべきだということが行われていたというメモも出ました。

 そして、きょうはさらに、お手元の資料、これは国会内で出されているものでございますけれども、当時の吉田氏を初めとして、隠蔽のための想定問答集までつくっていたということでございます。

 まず、吉田参考人に伺いたいんですけれども、この想定問答集に、吉田さん本人と、それから間に立つ、これは黒塗りの方、X氏と言っておきましょうか、そして早稲田大学、それぞれの想定の答弁が書かれているんですが、この黒塗りの名前のわからないX氏というのは、これは実際そのようにかかわっていた方なんですか。

吉田参考人 お答え申し上げます。

 お答えの前に、まず、私の行動によりまして国家公務員法違反というようなことになりまして、文部科学行政にとりまして大変な信用を失墜するというようなことになりましたことにつきまして、私として深く反省をしているということと、それから皆様におわびを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、ただいまの御質問でございますけれども、今お配りになりましたような想定につきまして、これは、人事課の方からこういう線で対応してほしい、そういう要請がございまして、それに従って対応いたしました。

畑野委員 そうしますと、重ねて伺いますが、この黒塗りのX氏というのはそういうことはしていなかったということでございましょうか。

吉田参考人 お答え申し上げます。

 黒塗りのこの方は、実際には携わっていらっしゃいません。

畑野委員 重大な答弁でした。

 これは、問い、吉田氏はどのような経緯で早稲田大学に再就職したのか、答え、国家公務員退職後、平成二十七年八月五日、文部科学省の先輩である黒塗りのX氏から電話連絡があった、早稲田大学が高等教育行政に詳しい人材を求めているという内容であったので、挑戦したいと即答し、その次の日、八月六日に早稲田大学の副総長と面談、括弧、面談日時の調整は黒塗りのX氏が行っていた、その後、必要書類を早稲田大学に提出(八月下旬)し、平成二十七年十月一日付で採用となったというふうに、かかわりのない人をここに書いて、そういう答弁書もつくっていた。まさに隠蔽ですね。

 問い、黒塗りのX氏と吉田氏の関係性について、黒塗りのX氏は自分にとって三年先輩に当たり、在職中には時折情報交換を行っていたとか、問い、吉田氏は国家公務員を辞職する前に早稲田大学に接触したことはあるのか、答え、自身の採用に関しては接触したことはない。

 こういう点も全て違うということで、吉田参考人、よろしいんですか。

吉田参考人 お答え申し上げます。

 そのX氏と私との関係性ということにつきましては、これはそのとおりでございました。それは当然、前から知っている人でございます。

 それから、接触したことはあるのかということにつきましては、監視委員会の方の認定としては、事前に文科省の人事課を経由して私の履歴書などの書類が大学の方に伝わっていたという意味では、その点の接触はあったというようなことでございます。

畑野委員 済みません、再確認で申しわけないです。一番目の問いのこの内容についてはどうですか。

吉田参考人 お答え申し上げます。

 一番目のことについては、事前に求職活動と認定されるような行為があったという点は違いますけれども、それ以外に書かれております事柄、早稲田として高等教育行政に詳しい人材を求めているとか、あるいは八月六日に会ったとか、その後、必要な書類を八月下旬に提出した、十月一日付で採用になったという点は、それは事実でございます。

畑野委員 つまり、そういうふうに、実際いない人物を介在させて、その人からの話だったというふうに話をつくっていたというその想定問答集ですよね。ですから、これは、単なる軽信だったとか、あるいはうっかりしたとか、法律をよく知らなかったというんじゃなくて、知った上でそれをどうやって隠そうか、隠蔽しようか、こういうことだったのではないでしょうか。松野大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、再就職等規制違反自体も、これはもう大変な問題で、国民の皆様の信頼を失ったところでございますが、それに加えてこの隠蔽行為ということを行ったことが、まさに教育をつかさどる文部科学省においてこういった一連の行為がなされたということが、今回、国民の方々からお叱りをいただいている点でございますし、今回の問題に関して、この状況に対してより不信感を増した大きな原因であると考えております。

畑野委員 それから、全職員調査をされたということなんですけれども、もう一枚資料をつけさせていただきました。職員各位、平成二十九年二月二十八日、「再就職等規制違反行為に関する調査(再調査)について」ということなんです。

 これはなぜ再調査を二月二十八日にしたかというと、その中の三枚目に、二月六日に実は最初に調査をしていた、しかし、そこでいろいろな問題点、批判が上がったということで、もう一回、二月二十八日にやっているんですね。

 一枚目に戻りますと、二十八日付でいいますと、プライバシーへの配慮が足りなかったという問題等もありますけれども、三段落目のところに、「なお、前回の調査において「仮に虚偽の回答が判明した場合、懲戒処分等の量定に影響が出るおそれもあります」と記載したのは、」どうだったのかということが書かれ、「併せて、調査票の中に、他の職員の再就職等規制違反行為について「証明できるものが必要」と記載した趣旨は、」云々というふうに弁解のように書かれて、再調査がされているんですよ。これはどういう意味ですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの件も、最終まとめの二ページのところにもその経緯等書いてございますが、この二月六日付で実施した全職員調査につきましては、外部有識者の指導、判断のもとに実施したもので、調査の内容等については適切なものと考えておりますが、ここにございますように、調査の書面に、ただいま先生御指摘の、虚偽回答の場合には懲戒処分等の量定に影響が出る、証明できるものが必要と記載した趣旨、これが職員に十分に伝わっていないのではないか、あるいは、回答者個人のプライバシーへの配慮が十分でない回収方法をしていましたので、こういった御指摘を受けたところでございます。

 調査の書面に、虚偽回答の場合には懲戒処分等の量定に影響が出る可能性、こう記しましたのは、みずからの行為について隠すことのない回答を促進してほしい、こういう観点から記載したところでございます。

 こちらもずっと議論がございますように、今回、法律解釈というものを大変甘く見ていたということもございまして、再調査の際には、既に再就職監視委員会から御指摘いただいた認定事案、あるいは国家公務員法をどういうふうに解釈するか、厳しく解釈しなきゃいけないということが事例として既に挙がっておりました。したがって、この法律をよく解釈した上で、パンフレットもつけまして、その上で、自分の胸に手を当ててきちっと回答してください、これがここの意味でございます。

 また、他の職員の再就職等規制違反行為について証明できるものが必要と記載した趣旨は、情報提供により懲戒処分につながる、まさに今回処分というものを行っておりますが、今回、違反を認定していくというためには、うわさで聞いているとか何とかで聞いているだけでは認定ということに至りませんので、こういったものが必要だという、調査の正確性を担保することが必要との観点から記載したものでございます。

 現に、このことによりまして、こうした記載を持った再調査でこういった申請が出てまいりまして、また、みずからのことを申請した、そして結果的に違反認定がされた、細かい経緯は、細かいことは申し上げられませんが、そういった事案が実際にございます。

 このように、これらの記載を含め、本調査の意義、これがきちっと伝わるということが大事だということでこれをやったとともに、非常にプライバシーは重要なものでございますので、回収方法も変えてやったということでございます。

 一方、当時の御議論で、こういったものが書面にあると、何か、こういうものを見聞きしたけれども、そういうものも情報としては入れたいといったものを閉ざすのではないか、こういう議論をいただきました。私ども、やはり調査を徹底するというようなことから、いろいろなものから情報をいただきたいということで、この書面調査とは別に、再就職等規制違反が疑われた行為を匿名で相談、通報できる窓口、これも並行してそのアドバイスをいただきまして設けて、それでも、そちらからの情報も含め、徹底した調査をやっていたということでございます。

 もともと二月六日付でやりました全職員調査そのものは、その趣旨を徹底し、実際に、調査班の立場としては、非常にその趣旨が徹底したことにより、また、こういった真相の究明に近づくことができたというふうに考えているところでございます。

畑野委員 そうしますと、匿名の調査に基づいて、何件かそういうものはあったんですか。

中川政府参考人 お答えいたします。

 匿名調査の方はずっと引き続きやっております。今でも、そういったものがあれば、私ども真摯に調査をしていくという態度でおりますので。

 これも最終まとめの二ページに書いておりますが、この匿名窓口から来たものは、本窓口に、このまとめの時点で二件の報告がございました。

畑野委員 つまり、二件しかないということですよね。

 だから、二月の六日時点で、こういうふうな書き方をしたらみんな萎縮する、二十八日も、もう一回そうだよと言われても、それを本当に証明するものがなかったら、いや、いろいろあるけれどもね、もやもやっとして、結局隠蔽に、さらに口封じということになるんじゃないかというふうに言われても仕方がないことだと思うんです。

 ですから、これは、調査の方法はいろいろあると思います。ですけれども、職員が本当にみずから変えていこうという気持ちを促進するような対応の仕方というのはやはり今後進めていく必要があると思いますが、松野大臣、いかがですか。一言でいいです。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 まず、調査の結果に関してでございますが、当初の、実名を記して証拠も挙げるようにという指示をした調査で上がってきた案件が十件でございます。それに加えて、匿名でやったものがプラス二件ということでございまして、トータルで十二件が第三者の事案に関して言及をしたということでございます。

 先生の方の、要はこの調査が徹底されたものであるかどうかという御趣旨の御質問かと存じますが、現状において、先ほど申し上げましたとおり、全職員に対する調査、OB調査、また三百回を超えるヒアリング調査、団体等に関する調査を徹底的にやらせていただきました。

 これは、文部科学省として、現状としてはでき得る限りの調査をさせていただきまして、今回、最終報告とさせていただいたわけでありますが、もともと、この調査は、再就職等監視委員会からの要求によって始めたものでございまして、その調査の項目、方向性についても、監視委員会の方から御指導いただいた内容に対して行ったものであります。

 当然のことながら、最終報告を発表するに当たりまして、監視委員会の方に御相談をさせていただき、監視委員会からも、今回の最終報告をもって、一応全容について解明がされていると了承をいただいているということでございます。

畑野委員 それで、なおかつ、やはり自己改革を進めていくということでの努力が必要だということを申し上げておきたいと思います。これは、政府としての、全省庁を挙げての今後の対応にもなっていくというふうに思うんです。

 早稲田大学の問題を少し紹介しましたけれども、例えば、新潟大学でも、理事の採用過程で文科省の職員がとった対応が違法と認定されたことについて、新潟大学の職員組合がきのう記者会見をして、理事の採用無効などを要求されているんですね。ですから、大学の自治をゆがめられたのではないかということが各大学で今問題になっているということであります。

 そういう点では、二〇〇七年の法改正によって、大学など非営利団体への再就職を業務として文科省が行ってきたことが禁止された、規制になったわけですから、これは本当にやめなくてはならなかったというふうに思うんです。大学への天下りは原則禁止にすべきだと思います。

 それで、実はきのう、野党の民進党、日本共産党、社民党の三党で、天下り規制法案を国会に提出いたしました。

 文科省の天下り問題の緊急対策としてということですけれども、一つは、職員OBを介した再就職あっせん行為を禁止する等の規制を新設する、それから二つ目に、職員が離職後二年間は、その離職前の五年間在職していた国の機関と密接な関係のある営利企業等の地位につくことを禁止する、つまり、以前のものにまずは戻すという提案などをさせていただいたということでございます。

 私たちはさらにもっと進めるべきだというふうには思っておりますが、野党三党でも、こういうOBの問題、今回新たに問題になった問題、もっと規制を強めていく、そして、もう一回、原則天下りは禁止だという立場をしっかりと持っていくことが必要だということを申し上げておきたいと思います。

 それで、残る時間なんですが、実際、なぜ天下りを禁止しなくちゃいけないのかということで、マスメディアから言われているのは、根本に文科省による大学支配と癒着だというふうに厳しく指摘されているんですね。

 憲法では学問の自由、大学の自治を守ることが求められている文部科学省でありますから、天下りを通じて、大学を支配し、癒着しているなどということはあってはならないということでございます。

 それで、私、幾つか聞きたいんですが、二〇〇九年以降、国家公務員法第百六条二十五第二項などの規定に基づいて、大学に再就職した国家公務員は何人で、そのうち、スーパーグローバル大学創成支援事業の採択をされたトップ型十三大学、牽引型二十四大学に再就職した国家公務員は何人か、伺います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇九年、平成二十一年以降、国公私立大学に再就職した人数は百三十六名です。また、そのうち、スーパーグローバル大学創成支援事業に採択されたトップ型十三大学には計十三名、グローバル化牽引型二十四大学には計七名が再就職しております。

畑野委員 大学数が七百七十七大学として、そこに百三十六人が天下りしている、一校当たり〇・一八人。そのうち、スーパーグローバル大学三十七大学に二十人ということになると一校当たり〇・五四人、特にトップ型の十三大学に十三人が天下りしている、一校当たり一人。これはトップ型に集中しているわけなんです。

 スーパーグローバル大学のトップ型に採用された早稲田大学はどれぐらいの補助金をもらえるということになるのですか。

松野国務大臣 まず、先ほどの私の答弁で、実名を記した調査において十件、匿名で二件と申し上げましたが、これは修正させていただきまして、十件は十人と、二名ということでございます。

 今ほどの御質問でございますけれども、早稲田大学の構想調書において、平成二十六年度から三十五年度までの十年間の補助金申請額は五十億円とされております。

畑野委員 つまり、天下りを受け入れたかわりに、こういうスーパーグローバル大学のトップ型に採択される、そういう癒着があるんじゃないかという疑念が出されても仕方がない状況があるのではないか。

 そこで、きょうは当事者である吉田元高等教育局長に来ていただきましたから伺いたいんですが、スーパーグローバル大学創成支援事業は誰が高等教育局長のときにつくられたものですか。

吉田参考人 お答え申し上げます。

 これは平成二十六年度からの事業でございまして、当時は私が高等教育局長をやっておりました。

畑野委員 そうしますと、さらに吉田参考人に伺いますが、スーパーグローバルに採択された見返りとして早稲田大学に再就職できたのではないか、再就職後、早稲田大学と文部科学省のパイプ役を担われようと思ったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉田参考人 早稲田大学が採択されましたのは平成二十六年の九月ぐらいだったと思いますけれども、当時、別に私は早稲田大学の方に就職をしようとかというような気持ちは全くございません。

 私が再就職をした経緯につきましても、このスーパーグローバル大学との見返りとかということではなくて、当時の早稲田が求めていた人材像と、それから私が大学において行いたいと思っていることが合致したというところで採用していただいたものというふうに認識しております。

畑野委員 早稲田大学の大学総合研究センターのホームページに、文部科学省等の各種事業関係に関する連絡調整などへの関与、大学への助言を行うというふうに書かれておりましたが、早稲田大学にはどのような助言をされてこられたんですか。

吉田参考人 お答え申し上げます。

 早稲田大学は、今、ワセダ・ビジョン一五〇という基本方針に基づきましていろいろと大学改革を進めております。その際に、さまざまな教育に関する制度ですとか、あるいは予算事業ですとか、そういったものについての知識も必要になってまいりますし、それから、その予算事業の関係などにつきましてはどこが担当しているんだとか、それから、その事業の趣旨は何なのかということにつきまして、学内におきましてその趣旨などについてよく把握する必要があるということがございまして、私は、そういった面につきまして大学のその担当の方々に説明をする、そういった役割を担っているということでございます。

畑野委員 そこで、文科省に伺います。

 スーパーグローバル大学創成支援事業に採択された私立大学の授業料はどうなったか。採択される前の二〇一三年度から三年後の授業料はどれだけ値上げしているのか、また平均値について伺います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 事実関係でございますので、参考人の答弁をお許しいただきたいと存じます。

 お尋ねの、スーパーグローバル大学創成支援事業に採択されました私立大学の授業料の平均でございますけれども、平成二十五年が八十七万九千五百五十七円、平成二十八年度が九十万二千五百四円ということでございまして、採択後の三年間で二万二千九百四十七円値上がりをしているという状況でございます。

畑野委員 あわせて、では、最新の私立大学の授業料の平均額と、三年前と比較してどれぐらい値上げしているかも伺います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 私立大学の授業料の平均額でございます。これは平成二十三年と二十六年のデータを申し上げたいと存じますけれども、平成二十三年度が八十五万七千七百六十三円、平成二十六年度が八十六万四千三百八十四円ということで、三年間で六千六百二十一円上昇してございます。

 なお、この間、私立大学に通う学生の経済的負担の軽減を図る観点から、私学助成における授業料の減免の補助につきましても拡充をいたしているところでございます。

畑野委員 そうしますと、スーパーグローバル大学に採択された私大の値上げというのは、全国の私大と比べて、ちょっと時期はずれますけれども、平均三倍以上の値上げになっているということなんですね。

 それで、スーパーグローバル大学創成支援事業なんですが、外国人教員や英語の授業をふやすなど国際化に必要な経費、これは誰が負担をするのかということと、早稲田大学の構想調書では、財政支援期間終了後の事業展開の中で授業料はどういうふうにすると書いているのかということについて伺いたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 スーパーグローバル大学創成支援事業でございますけれども、徹底的な大学改革と国際化の断行ということで、先生から御指摘がございました外国人教員や英語の授業をふやすなどの取り組みに対しても、大学側の申請により補助金を支出することが可能となっているものでございます。なお、事業規模が交付される補助金額を超える場合には、超過分については大学みずからが負担するということになっているものでございます。

 それから、あわせてお尋ねがございました、構想調書において、財政支援期間終了後の事業展開についてどう書かれているかということでございます。

 大学の構想調書の項目の中に、終了後の事業展開ということで、「国際化を推進するため、学費を見直す。授業料を丁寧に見直し、教育研究経費に必要な部分は、学費に上乗せする。」という記載があると承知しております。

 一方で、同じ項目におきまして、早稲田大学は学費以外の方法で予算を捻出する方策についても示されておりまして、例えば、外国の主要大学におきます寄附金募集方法を参考にしながら寄附金収入の充実を図るとともに、産学連携を通した外部資金の調達も図るということで記載されていると承知いたしております。

畑野委員 でも、そうやって自己資金を書くように国も求めている、欄をつくっているわけですね。

 財政支援期間終了後の事業展開に向けた資金計画、学費の値上げを含めて、まだ書かなくてもいい時期に早稲田大学は先んじて書いているんですね。授業料値上げの先頭に立ってきた。こういうことを国が先導してもし進めていたとしたら、これはもう重大な問題であって、こういう角度からも、天下りというのは禁止し、私学の、またそれぞれの大学の自主性をしっかりと尊重するという立場を貫くように求めて、質問を終わります。

永岡委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。

 文部科学省における再就職問題に係る調査報告をもとに質問をしてまいります。

 長丁場ですので、大臣にはそろそろおトイレ休憩も行っていただいても。最初の方の質問の中にはありませんので、それまでに戻っていただければと思います。

 さて、今回の調査報告を確認しましたところ、国民の皆さんにとって、やはりワイドショーなどの情報をもとにしているせいもあるんですけれども、役所に就職すれば再就職も面倒を見てもらえるというような何かそんな冷ややかなことぐらいで、事の本質が、やはり、何が悪くて、何がよくないのかというのが明確でないような気がします。要は、国家公務員法第百六条を初めとする法律違反をしているということですよね。

 それで、今回、やはりこれからの文部科学省にとって大事なことというのは、まず一に再発防止。そのためには、午後からの質疑のほとんど中心であったように、では、このシステムを構築したのはどなたで、いつから構築されたかということです。ただ、このことについて質疑したところで、やはり、知らない間に、自発的にシステムができたというような感じの答弁になっていましたので、それではちょっと質問の仕方を変えます。

 まず、配付した資料、これは調査報告書の中で質問したい内容を抜粋しただけなんですけれども、一番のところで、「平成二十年十二月三十一日に改正国家公務員法が施行される前は、」そして云々かんぬんあって、「学校法人等への再就職あっせんを、人事課において業務として行っていた。」とあります。つまりは、もともと文部科学省が法改正の前は通常の業務として再就職のあっせんを行っていた実態があるわけなんですけれども、では、改正法施行前に他の省庁でも、文部科学省以外でも、監督を受ける等の関与がある法人への再就職を人事課が業務として行っていた例があるのかないのか、まずは内閣にお尋ねいたします。

加瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年の国家公務員法改正により各府省における再就職のあっせんが禁止される前におきましては、職員が在職中に培った能力や経験に対する企業、団体等の需要に応える等の観点から、必要に応じまして各府省における再就職のあっせんが行われていたのではないかというふうに考えられますが、つぶさに存じ上げているところではございません。少なくとも法律上禁止はされていなかったということでございます。

伊東(信)委員 予想していた答弁というか、そういった記録がないと言われたらそれまでですし、少なくとも法律はなかった、そのことはよくわかるわけなんですね。

 であるのならば、法律を遵守しているかどうかということが、今回の問題で、法律違反はやはり厳罰に処罰するだけではなく、今後そうならないようにするという観点から考えますと、配付資料の二の部分に、「改正法に基づく再就職等規制の導入により、」と書いてありまして、「打開策の見通しが立たないうちに改正法が施行され、職員OBの中で再就職のあっせんを行ってもらうしかないという共通認識が生まれていた。」とあります。

 では、ここで嶋貫さんにお伺いすることになるんですけれども、三月八日の文部科学委員会での私の質問に対して嶋貫さんは、お役に立つならば、そういう思いで退職者を紹介してしまったと答弁されまして、本日もそういったニュアンスの答弁をされましたけれども、先ほどからの答弁で、そもそも、このような再就職あっせんのシステムは嶋貫さんお一人で始めたということではないということですよね。であるならば、現行法の範囲で罰則は受けられなくても、やはり社会的にかなり批判を浴びられていると思うんです。

 法律違反でもないのにそういった批判を浴びられていることに対しては、理不尽だとは感じられておられませんでしょうか。

嶋貫参考人 今回の示されたというか行われた処分は国家公務員法に基づくものと受けとめているわけでありますが、その中で組織的関与というものが取り上げられているわけであります。その部分について、私は民間人の立場でございますけれども一定のかかわりを持ったということで、そういう意味で、私自身の行為が同じように許されるものではない、これは私自身が受けとめているものでありまして、そこは厳しくみずからを戒めているところでございます。

 それから、もう一つ申し上げますと、私が、平成二十一年でございますけれども、公務員を退職した後は、今、システムというお話でございましたけれども、私自身の意識としては、私自身は個人的に、何かそういう相談をもし受ければ、それはできる機会があればそうしたいというようなところからスタートしたようなものと理解しております。

伊東(信)委員 嶋貫さんの御認識としては、前回御答弁されたこととやはり一貫はしていると思うんですよね。法律の違反ではないけれども、やはり関与した者として責任を感じられていると。

 前回は、であるにもかかわらず、後輩の皆さんが処罰されたことに関してという質問の仕方をしたんですけれども、そうではなくて、ここで人事課長経験者の皆さんにお伺いする話になるんですけれども、法改正が行われた当時、小松参考人には、御自身が、それまで合法であった再就職をあっせんしたものができなくなってしまったわけですね。それで、前回の答弁では、人事課の職員もそういった議論を試行錯誤を重ねていたという面もあるかと存じますという答弁をされたわけです。

 つまりは、再就職のあっせんを法改正後にどのような方法であればできるのかと検討していたということになるんですね。だから、できなくなってしまったという理解でなくて、どうにかして再就職をあっせんしようと考えたと。できなくなったからやめようというんじゃなくて、どうにかして再就職をあっせんしようと考えたのか、小松参考人にはその理由というのを教えていただけますでしょうか。

小松参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまおっしゃられました、私どもが、あっせんにかかわれなくなったので行わないというのではなくて、どのようにすればよいかというのを考えていたというのは根本的に違いますので、私のもし答弁がそのような印象を与えたといたしますれば、完全に訂正させていただきます。

 私の方あるいは当時の人事課の職員としては、文部科学省に限りませんけれども、国の政府としては就職あっせんにはかかわれないということになった、その事態に対して、例えば、OBに限りませんけれども、民間でどのように対応していただくことがあり得るのかないのか。あるいは、そういったことに自分でこれからは考えていただかなければいけないとすると、そういうきちっと法令や制度の趣旨にのっとった方法でどのような方法があり得るのかということについて、例えば、再就職規制の部門の方々にも御相談の上で、そういった情報を提供することができるのかできないのか。そういった、かかわれなくなった中でどのように対応するか。

 あるいは、先ほども申し上げましたが、法律の積み重ねがないものですから、解釈とか、どこまでどのようにすると正しいのかということが手探りの状況がございました。ただ、当時いただいていたような説明資料等からすると、相当広くこの法律にひっかかるという可能性がある、違法になる、あるいは不適切だという可能性があるというふうに認識されましたので、そういった解釈等についても、よほど慎重に対応しなければ、不適切もしくは違法ということになるであろうと。

 その限界なり、そういったものをどのように考えればいいのか、こういったことにつきまして、試行錯誤をしながら手探りをしていたという意味でございました。

 誤解を与えるような答弁でございましたら、訂正をいたしまして、おわびを申し上げます。

伊東(信)委員 小松参考人、ありがとうございます。

 私が申し上げたいのは、そのときの議論の実情をお聞きしたいわけでございます。

 実は、こういったところで、本当に、皆さんの本音というか実態をと。つまりは、何とか法を遵守しようとされていた、それがこういったことになってしまったという言い方は変ですけれども、それぐらいに解釈します。それであるのならば、次は常盤参考人に御質問したいわけです。

 前回の中間報告に関して、そのときの答弁をもとに質問しますし、そのときに対して私の理解がもし違うのであれば、それはもう遠慮なくおっしゃっていただいて構わないので。全ては議事録に基づいて質問しますので、そういった引用だと思ってください。

 次の常盤参考人に至って、当時、組織的あっせんの実態を認識していなかったと前回の委員会ではお答えになっています。知らないのであるならば指導監督すらできなかったと思うんですけれども、それでも、結局、法律に違反してしまったという結果になってしまって、戒告処分を受けてしまった。つまり、認識していなかったので指導することができなかった、でも、実際には罪になってしまった。このことに対して、ちょっと理不尽さを感じたりとかそういったことはされないんでしょうか。正直なお気持ちをお聞かせください。

常盤参考人 お答えを申し上げます。

 私、平成二十一年七月から一年間でございます。そのときに、先ほどの質疑の中でも申し上げましたけれども、前人事課長からは、一つは、やはり、これは大前提でございますけれども、再就職に関する規制が強化をされましたので、この規制について厳守をするということが何よりも一番重要なことであるということの引き継ぎを受けました。その上で、これも先ほどお話が出ておりましたように、OBの方、あるいは民間の会社とか、そういう枠組みが、文科省が関与しない形でそういうものがあり得るかもしれないし、そういうことについてのある種の期待のようなものが当時あったということも一方での事実だろうというふうに思ってございます。

 私が申し上げましたのは、その当時は、これも先ほども申し上げたとおりでございますけれども、その中で、嶋貫参考人との関係で、人事課とのかかわりがあるということを私自身は認識していなかったわけでございます。ただ、そのことは、結果として見ますと、私が在任していた最後のころの私の部下の引き継ぎの中でそういうことが現に、その引き継ぎ文書の中にはそういうことが記載されているということもあるわけでございますので、私といたしましては、やはり、当時、そういうことについてしっかりと認識をして指導監督をすべきであったというふうに今も思っておりますので、理不尽さなどということは全く感じておりません。

伊東(信)委員 常盤参考人、ありがとうございます。

 引き継ぎ文書の話をされたんですけれども、では、こういったシステムがいつ構築されたか、誰が構築したかということに関して明らかにするというのは、質疑においてはなかなか困難なのかもしれないんですけれども、でも、そういったシステムを受け継いでこられているということもやはり問題であるわけですね。

 どのように引き継がれていったかということに対して、常盤参考人がそういった引き継ぎをしたということで、次の関参考人にお聞きしたいのは、この報告書の中で、先ほども答弁いただきましたけれども、特定のOBと表現される嶋貫さんのことをどの時点で知ったか、どのように紹介されたかということを教えていただきたい。そして、関参考人も、次の人事課長にどのように嶋貫さんを紹介していったかも教えてください。

関参考人 初めに、このたびの再就職規制違反によりまして国民の皆様の信頼を著しく損ねることになりましたことを、深くおわびを申し上げたいと存じます。

 私は、平成二十二年の七月三十日から二十四年の一月五日まで、人事課長として在任をしておりました。

 人事課長に着任をした後に、当時の職員から、人事課のOB嶋貫さんが、法人等から相談を受けたり、文部科学省OBや退職予定者の再就職の相談、紹介をしているということをお聞きいたしました。当時、現役の職員はあっせん行為をできないので、人事課の経験のあるOBが自発的に人脈や経験を生かして相談、紹介をされているものと受けとめておりました。

 私自身、前任者から特に具体的な引き継ぎはなかったと記憶しておりますし、後任者には特に具体的な引き継ぎはしなかったと思います。また、報告書にございます任用計画官の引き継ぎメモにつきましては、作成の事実について把握はしておりませんでした。

伊東(信)委員 引き継ぎがないのに引き継がれているというのも、なかなか不思議な話なんですけれども。

 では、次の中岡参考人にお尋ねするんですけれども、前回、私の質疑に関連した、次に吉川委員が質問されたんですけれども、そのときに、当時、人事課の現役の職員が特定のOBである嶋貫さんに対し資料を提供し共有していることを認識していなかったとお答えになっていますね。先ほど歴代人事課長にお尋ねしたのと同じように、知る由もなかったのに、結果的に二割も減給、そして、かつ四カ月という処分を受けているんですけれども、この処分に対しては不当だとは思っておられないでしょうか。

中岡参考人 お答えいたします。

 今回の処分についてのお尋ねでございますけれども、私は、平成二十四年の一月六日から平成二十五年の七月七日まで、人事課長として在職しておりました。

 今回、処分の理由といたしましては、在任当時の認識の程度にかかわらず、実態として人事課職員による嶋貫氏への情報提供や直接の再就職等規制違反行為等が行われていた、また、部下職員に対する監督責任があったということでございます。さらに、再就職等規制を潜脱する再就職あっせんの構造の構築を防止すべきであったにもかかわらず、構造の構築、運用にかかわってきたことについて、重大な責任があったというふうに指摘されてございます。

 私といたしましては、当時、嶋貫氏に対する不適切な情報提供がなされているということの認識はなかったわけでございますけれども、組織の長として、人事課長として、再就職等規制を潜脱する再就職あっせん構造の構築を防止すべき職責があったということでございますので、その職責を果たさなかったことに対する責任を問われたものというふうに考えておりまして、厳粛に受けとめております。

伊東(信)委員 中岡参考人もそうなんですけれども、皆さん、いわゆる法律違反をされていたということに関して、国家公務員法というのがありますから、法律も改正がありましたから、そのことを知らなかったとはいえ、やはり関与してしまった、実際に法律違反を行ってしまったということに対して、そういった意識を持たれているというのは妥当だと思うんですけれども、しかし、共通してお答えいただいているのに、嶋貫参考人との接触に関して、何となく、やはりかたくなに、なかった、そもそも知らなかったということをおっしゃっている方が多いわけなんです。

 それでは、同じように伯井参考人なんですけれども、嶋貫参考人のことを知っておられたということを前提で、どの時点で知って、どのように紹介されたかということをまずはお聞きします。

伯井参考人 お答えいたします。

 私は、二十五年七月から一年間、人事課長を務めておりましたが、それ以前にも人事課には人事企画官として勤めていたときがございまして、その際、嶋貫さんは同僚というか一緒に仕事をしておりましたので、知っておりました。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。伯井参考人はそもそも嶋貫参考人を知られていたわけなんです。

 それでは、次の方にお聞きする前に、伯井参考人は、こういったシステムの中に嶋貫参考人は関与しているというような引き継ぎを、前の課長からあったのかなかったのか。あったのであれば、同じような引き継ぎを次の方にされたのかしていないのか。それをお答えください。

伯井参考人 私の記憶の範囲ですけれども、前任の中岡課長からは、嶋貫さんのことについての引き継ぎといいましょうか、私が就任いたしました二十五年の七月当時、嶋貫氏が教職員生涯福祉財団を退職しなきゃならない、それに伴って、そこで行っていた再就職支援業務を外形的に独立して行えるような事務所の確保が必要なんだということが課題になっておったということを当時から課題として認識しておりましたので、記憶としては引き継がれた覚えはありますが、これはちょっと、私の記憶ですので、そういうことでございます。

 後任に引き継いだかどうかは、後任の藤原課長も、実はもともと人事課にいた経験のある者でございますので、あえてそこまで詳細には引き継がなかったように記憶しております。

伊東(信)委員 それでは、先ほどお名前が出た後任の藤原参考人にお聞きしたいんですけれども、以前の答弁では、特定OBの行うあっせん行為について、それが違法であるという認識が不十分であったとお答えになっているんですね。

 では、嶋貫参考人が行う再就職あっせんについて、違法ではないんだよという引き継ぎがあったからこそ、そのように思ったと解釈するんですけれども、その点はいかがでしょうか。

藤原参考人 お答えいたします。

 先ほど伯井前課長からお話がありましたように、前課長から特段のその点につきましての引き継ぎがあったというふうには思っておりませんけれども、ただ、私が着任をした際には、前回も御答弁申し上げましたように、いわゆる組織的なあっせんの体制が既にあったということで承知をしているわけでございますけれども、そうした中で、特定のOBを経由して行うものは、これは必ずしも明確に違法とまでは言えないのではないかというふうな認識を持っていたということでございます。

伊東(信)委員 特定のOBの行うあっせんについて、それは違法である認識は不十分だと。恐らく、そのことに関して、文科省の人事課の中でそういった議論がされなかったからこそ認識が不十分であったと思うんですね。だけれども、やはり違法ではないんだよという引き継ぎなりそういったコンセンサスがあったのではないかなと思うんですけれども、にもかかわらず、一月二十日の処分で停職一カ月という重い結果が出たと思うんですけれども、その重い結果に関しても、藤原参考人の御認識、御見解をお伺いいたします。

藤原参考人 お答えいたします。

 その当時の認識につきましては、先ほど御答弁を申し上げたとおりでございますけれども、客観的に見ればこれはやはり問題であったというふうに思っておるところでございまして、その責任を負う必要があるというふうに思っておる次第でございます。

 また、処分に際しましては、吉田元局長の再就職のあっせんにみずからも関与したという判断をいただいておるところであり、この処分を厳粛に受けとめているところでございます。

伊東(信)委員 直接的に関与したということで、その処分も妥当だということをおっしゃったわけなんですね。直接的に関与されたということで、停職一カ月ということだったんですけれども。

 では、それよりもさらに重い処分、停職三カ月というのを藤江参考人は受けられていると思うんですけれども、前回の答弁では、みずからの関与があった部分について反省されていると。午前の質問に対する答弁も、みずからの関与があったとおっしゃっていました。

 みずからの関与という意味に関しましては、ここで午前中の答弁に戻ってその基準は何かというところにはさかのぼりませんけれども、藤江参考人の意識としましては、数の問題なのか、みずからの直接が複数あった、もしくはこの件数の重さなのか。

 そういったことも含めて、やはり三カ月の停職処分というのはかなり重たいと思うんですけれども、このことに対して、これこれこれだから三カ月という重い処分ですという説明をきちっと納得する形で受けられたのか、そのことに対して妥当だとお考えなのかということをお聞かせください。

藤江参考人 お答え申し上げます。

 午前中もお答え申し上げましたけれども、停職三月というのは大変重い処分でございまして、それだけみずからの行為の重さの結果ということで、意味を重く受けとめて、しっかりと反省してまいりたいと思っております。

 この三カ月の意味ということにつきましては、件数が多いことに加えまして、午前中にも申し上げましたけれども、組織的関与にかかわったというところと、さらには、組織的な関与によらない形も含め、みずから直接関与をしたという、その直接の関与という中身の問題と両方あるのではないかと思います。

 処分の理由書というのもいただいておりまして、その中でも、件数そして直接の関与、みずからやったということも書かれておりまして、そこにつきましては、本当に重く受けとめまして、しっかりと受けとめ、十分反省してまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 理由書という文書を読まれて、それだけで納得されたということなんですけれども、やはり組織の中の法律違反というところで、文書だけで納得されたというのも、何となくちょっと腑に落ちないところもあるんですけれども。

 であるのならば、同じく、減給二割、二カ月という処分を受けられました豊岡参考人にお聞きしたいんですけれども、三月八日の質疑の中では、特定OBが、退職者の世界の中で、退職者のネットワークの中で、他の退職者の再就職をあっせんしていること自体は違法だと認識しておられなかったとおっしゃっていますけれども、これは、特定OBの世界の中での退職者のネットワークなので違法じゃないと。

 ということは、これはおっしゃるとおり違法ではないと理解するんですけれども、まずは再就職等監視委員会にお伺いします。これは違法ではありませんね。

塚田政府参考人 先生、済みません、もう一度ちょっとお願いしたいのですが、私ども、制度の所管をしているわけではございませんで、ちょっともう一度お尋ねをお願いします。

伊東(信)委員 豊岡参考人がおっしゃったのは、特定OBが、退職者の世界の中で、退職者のネットワークの中で、他の退職者の再就職をあっせんしている、つまり、ここに公務員が関与していないので、このこと自体は違法だと認識していなかったと豊岡参考人はおっしゃっていたんですけれども、OBの中での話だけだったら違法ではないという解釈で間違いないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

塚田政府参考人 お答えをいたします。

 私ども、監視機関でございますので、個別具体の話についての対応ということが前提でございます。

 その上で、あえて申し上げさせていただきますと、国家公務員法上、再就職等規制違反で、特に先生が今おっしゃいましたあっせんにつきましては、職員や職員だった者について、職員がしかるべき違反行為を行うということでございますので、純粋に全くのOBのネットワークの中でそういったことが行われて職員を紹介していただくということは直接法に抵触するものではないとは思いますが、あくまでも一般論でございます。

伊東(信)委員 本当におっしゃるとおりなんですね。その範囲内であれば、豊岡参考人の理解は正しいことになってしまうわけなんですよ。

 しかしながら、恐らく、私の質問、ちょっとわざとやっているわけなんですけれども、お答えにくい原因の中で、当時の人事課長である豊岡参考人の知らないところで、嶋貫さんに対して情報提供したり、依頼を受けたメモを作成したり、ワープロで清書したという事実があった。

 では、本当に知らなかったというのが事実かということに加えて、嶋貫参考人のこと自体も豊岡参考人は知らなかったのか、もしくはどこかで紹介だけはされたのか、そして、知らなかったにもかかわらず、このような処分をされたことに対して妥当だと受けとめておられるのかということをお答えください。

豊岡参考人 お答えを申し上げます。

 私、人事課長の在任期間は、去年の六月二十一日からことしの一月十九日まででございます。

 それで、前回、委員の御質問にお答えしたときに、当時、特定のOBの方が退職者のネットワーク世界の中でその他の退職者の再就職をあっせんされていること自体が違法だという認識はしてございませんでしたと御答弁しております。これは今も同じでございます。その特定のOBの方というのは、嶋貫さんがされておられるということを想定していたものでございます。

 まず、嶋貫さん自体につきましては、私は承知しておりました。人事課長に着任する前から文科省の職員として、OBとして嶋貫さんがおられたとか、人事課で長く仕事をされておられたということは私は知っておりました。

 それで、人事課長に私が着任したのが私自身が人事課の業務をした初めてのことでございますが、前任の課長から嶋貫さんについての引き継ぎはなかったと思っております。また、嶋貫さんの仕事についての引き継ぎも聞いてはいなかったと思いますが、私、着任前から嶋貫さんを存じ上げていたということと、嶋貫さん御自身がさまざまな退職者の再就職のお世話をされていたということは、誰から聞くともなくでございますが、知っておりました。

 嶋貫さんがさまざまなネットワークの中で、OBとしてそのあっせんをされていること自体、それ自体が違法だという認識はなかったわけでございます。それからまた、一方で、これは当初まで知らなかったことでございますが、人事課の職員が嶋貫さんに対してさまざまな人事情報を提供していた、これは当初存じませんでした。これを知りましたのは、再就職等監視委員会の調査が昨年の十二月以降本格的に進んでまいりますが、その調査の進展の過程で、どうもそういうことがあったようだというのを知ったということでございます。

 ただ、私がそういう認識であったということ、その認識の程度にかかわらず、実態として人事課の職員が、さまざまな情報提供とか再就職規制違反行為等々の違法行為が行われておりましたことにつきましては、当然ながら、部下に対する監督責任がございますし、また、そういう再就職あっせんの構造の構築を防止すべき立場にあった、それはもう間違いないことでございますので、その点で今回処分を受けたものと思っておりまして、それは厳粛に受けとめてございます。

伊東(信)委員 本当に、皆さんの御答弁の中にもありましたけれども、この天下り問題というのは、かつての天下りが問題視されていなかった時代の役所の仕事の仕方が、形は変わっても仕組みとして続いていたというのがやはり認識すべき点だと思います。

 最後の、豊岡参考人の中で、ちょっと逆にかばったような表現になりますけれども、嶋貫参考人のやられていることに対しては違法じゃないわけですよね。それが、やはり御自身なり役所が絡むと国家公務員法に抵触しちゃうということなんです。

 るる文部科学省の歴代の人事課長に質問したんですけれども、それでは、改正法施行後に他省庁で同様な天下りがないか調査するに当たって、この人事慣行を把握すべきではないかと思うんですけれども、改正法施行前後の当時の人事慣行というのがやはり大事だと思うんですけれども、この調査はそれを含めて行われているのか。また、今のこの時点で、中間報告の予定さえ公表していないし、個別の論点に関しても全く情報開示がないんですけれども、そのあたりをまず再就職等監視委員会に確認したいと思います。

塚田政府参考人 恐れ入りますが、先生のお尋ねは文部科学省の今回の調査の件でございますか。(伊東(信)委員「他省庁」と呼ぶ)他省庁につきましては、大変恐縮でございますけれども、私どもは、人事局さんみたいに監査をやっているわけではございませんで、個別具体の違反の疑いのものがあれば、その都度、個別具体に対応させていただくという立場でございますので、大変恐縮でございますが、一般にどうなっているかということは承知していないところでございます。

伊東(信)委員 そうなんですよね。だから、そういった事案がなければ、再就職等監視委員会というのは動けないということが事実として判明しておるわけなんですね。

 では、例えば今回、事案としていろいろあったわけなんですけれども、学校法人への再就職がなぜそもそも文部科学省内で一般的であったのかという疑問もわいてくるわけなんですね。

 そもそも、慣例として横行してきたことが今も脈々と続いているということに焦点を絞りたいわけでございまして、許認可権や国立大学運営費交付金や私学助成金の支出が文部省からなされていることに関係していると疑義を持たれても仕方がないと思うんですけれども、文部省の規制や財政支出が関係していない法人等への再就職、つまり関係していないところの再就職というのは、国家公務員法の改正前後も余りないのではないかと思うんですね。全部関係しているところばかりと思うんですけれども。

 改正前後、文部省規制、財政支出が関係していない法人等への再就職はほとんどないと思うんですけれども、そのあたりの実態はどうでしょうか。文部科学省の方から教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 再就職先につきましては、義務づけられた届け出がございます。今ちょっと詳細に手元に持ち合わせておりませんが、多々、いろいろなところに再就職しておるというふうに理解しております。

伊東(信)委員 文部科学省にかかわらず、他の省庁も同様ではないかと思うんですね。やはり所轄省庁の許認可権とか財政支出がある法人への再就職について、現行法で禁止された違法な天下りでなくとも、いわゆる天下りということで、このことに対して、再就職に関して、内閣人事局というのは、調査とか把握というのは今回のことを契機にされているのでしょうか。

加瀬政府参考人 現在、内閣人事局におきましては、安倍総理の指示を受けまして、内閣人事局に立ち上げました再就職徹底調査チームにおきまして、全力を挙げて調査を行っているところでございます。

 その調査の中身につきまして述べますと、現行の規制が導入された平成二十年十二月三十一日以降に再就職情報が公表された退職国家公務員のうち、営利企業などに再就職した約六千四百人に対する再就職に至る経緯についての書面調査、本省幹部や地方機関を含む現役の人事担当者に対する早期退職者への対応やOBへの情報提供の実情などについてのヒアリング調査、各省官房人事担当課に対する職員等への再就職規制の周知のための取り組みについての書面調査を実施しているところでございます。

 これらの調査については現在も継続中でありますことから、さらに具体的なことについてはお答えを差し控えさせていただきますが、引き続き徹底的な調査を行い、その結果が出次第、速やかに明らかにしていく考えでございます。

伊東(信)委員 調査をしていただいているということです。

 では、資料の三を見ていただきますと、離職している個人が後輩のために職業を紹介すること自体は違法ではない、これは再三言っていることですね。職員OBを含む外部の者に再就職あっせんを依頼することは違法性がない、これは漠然と認識されたとあるんですけれども、るる申し上げておりますように、現行法では、嶋貫参考人は規制対象となりませんので、処分も受けない。

 しかし、今回の報告書でもほとんどの事案で名前が挙がっているんですけれども、嶋貫参考人自体は、本人としてはそのことに対してじくじたる思いということはお伺いしたんですけれども、でも、これはやはり現行法に欠陥があるというぐあいに解釈されると思うんです。そのあたり、松野文部科学大臣、そして内閣府にお尋ねしたいと思います。

 まず、松野文部科学大臣、どう思われていますか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 現行法に対する認識ということでございますが、まず、公務員が、これはいつも繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、その公務員の期間中に得た見識でありますとかそういったものを再就職先で利用していくということには、これは有用性があると考えております。

 そして、問題点としては、再就職を通じて、そのやり方が不透明であると、そこに癒着が生じたり、また、特定の法人、団体に関して利益誘導的なものがなされるのではないか、またなされているという誤解を生むのではないかということにあるんだろうと思います。

 そういった観点から、役所と団体の間の関係を、特定の関係が生じないように現職の関与を絶つというのが現行法の趣旨だと考えておりますが、法律の制度の趣旨は、これも有意義なものであるというふうに考えております。

 その上において、今回、現行職員がかかわってはならないということに関して文部科学省が違反を起こしたということは極めて遺憾でありますし、おわびを申し上げるということでございます。

伊東(信)委員 内閣府もよろしくお願いいたします。

加瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の再就職について問題なのは、官民の癒着につながりかねない、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為であるというふうに考えております。一方、法令に違反することなく再就職し、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味があるというふうに捉えております。

 このため、平成十九年の国家公務員法改正によりまして、再就職規制について、行き先を制限する外形基準から行為規制に転換したところでありまして、密接な関係のある営利企業への離職後二年間の再就職の原則禁止にかえまして、それまで禁止されていなかった各府省による再就職あっせんの禁止等、厳格な規制を導入することとしたものでございます。また、その際、規制を実効あるものにする観点から、離職後二年以内に再就職した場合にはこれを公表するということとともに、極めて独立性が高く、かつ強力な調査権限を有した再就職等監視委員会を設置し、厳しく監視することとしたものであります。

 今般の文部科学省の事案につきましては、現行制度による監視が機能したという面もございますけれども、本事案で生じました国民の疑念を払拭するため、先ほど申し上げましたとおり、内閣人事局において、文部科学省の事案と同様の事案がないか全省庁について調査を行っている最中でございます。その結果を踏まえまして、どのような対策をとれば実効が上がるか、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 今答弁いただいたように、現在の国家公務員法の天下り規制は、いわば行為規制が中心になって、範囲として、他の職員、元職員の再就職依頼、情報提供等の規制、現職職員による利害関係企業等への就職活動規制、再就職者によるもとの職場への働きかけ規制という形なんですね。こうした規定では、特定の禁止行為さえ回避すれば政府出資法人などに堂々と再就職できるという、抜け道ととられかねない方法もあります。

 松野大臣が答弁されたように、公務員の方だけ処罰される、この法律自体はある一定の評価ができると思うんですけれども、やはり何をどのように規制しているのか明確でないし、ちょっと世間から見ると不公平なように感じます。

 もう間もなく時間なので、やはり我々日本維新の会としては、大阪であった例のように、本当にさらに厳しい一定の範囲の法人、いわゆる天下り法人の再就職自体を原則として禁止する、そういった法案を作成して今国会へ提出いたしますので、また御検討のほどをよろしくお願いいたします。

 時間ですので、終わります。

永岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、文科省を舞台にした再就職問題、いわゆる天下り問題についてお聞きをいたします。

 まずは、この間の調査班の御努力、とりわけ外部から加わってくださった識者の方や弁護士の方々の御努力には心から敬意を表したいと思います。

 また、本日の審議にお越しいただいた参考人の方々、長時間の審議、大変御苦労さまであります。事実をありのままにぜひお話ししていただくことを期待いたします。

 さて、最初に大臣にお聞きします。

 再就職等監視委員会に指摘され、調査の結果、違法行為とされた三十五件に加え、今回、文科省独自の調査によって新たに二十七件が違法行為とされました。合わせて六十二件であります。そして、事務方のトップたる事務次官経験者、二〇〇八年の国家公務員法改正以降の人事課長経験者は全員、監督責任も含めて処分をされるという、前代未聞、異様な事態となっております。また、最終まとめを読みますと、人事課を舞台にした新たな引き継ぎ文書の存在も明らかになっております。

 まさに省ぐるみで違法行為が行われていたと言っても過言ではない調査結果について、改めて大臣の認識をお聞かせください。

松野国務大臣 今回文部科学省が公表した最終まとめについてということでございますが、これに対する私の考え方はこの委員会当初の報告の中に織り込ませていただいております。委員の貴重な御質問の時間を、それをもう一度繰り返すと質問を削ってしまいますので、短くさせていただきたいと思います。

 今回の結果で、六十二件の違反の事案がございました。また、その事案の一連の流れの中において、隠蔽工作、また隠蔽と言われても仕方がないと言われるようなことが起こったことは、文部科学省として大変申しわけなく思っているところであります。何よりも、文部科学省、学校現場でありますとか研究現場、文化、スポーツ、それぞれの現場を抱えております。そこで御苦労いただいている方々にも大変な御迷惑をおかけしたという思いでございます。

 今回、今先生の方から御指摘いただいたとおり、厳正な処分を科したというふうに考えております。これだけ多くの人数を処分者として出したことは極めて遺憾でございますし、任命権者としても、常日ごろより一緒に働いている仲間たちに対する処分でありますから、これはもうじくじたる思いであり、痛恨のきわみでございますが、しかし、これから文部科学省がしっかりと信頼を回復していく上においては必要な処分であったかと考えております。

吉川(元)委員 今回の問題、吉田元高等教育局長の在職中の求職活動に対する文科省の職員の関与が発端でありました。内閣府の再就職等監視委員会から調査が求められたのが一月の十九日のことです。有識者や弁護士も加えた調査班が、結果として、全職員とOB合わせて三千人を超える方々に書面調査やヒアリングを行った結果が最終まとめと理解をしております。

 この最終まとめによって、文科省を舞台にした天下り構造、違法行為の全容というのは解明できたという御認識なのかどうか、お聞かせください。

松野国務大臣 今回の調査に当たりましては、今先生から提示をいただいた方法によって全職員や退職者への調査、匿名で通報可能な相談窓口の設置、また関係団体等へのヒアリング、これは三百回以上重ねたものでございます。文科省として、現時点としてでき得る限りの調査をしたというふうに考えております。

 この結果として、組織的なあっせん構造の全容を解明するとともに、再就職等監視委員会から指摘のあった個別事案のほかに、新たに二十七件の違法事案が判明したところであります。

 先ほど申し上げましたとおり、文部科学省としては、現時点ででき得る限りの調査を尽くしたものとして今回まとめさせていただき、その調査結果は、この調査に当たって御指示をいただきました監視委員会の了承もいただいたというところでございます。

吉川(元)委員 最終まとめについて、ざっと見ただけでありまして、細かいところまで完全に読み込んでいるわけではありませんけれども、やはり印象としては、まだ不透明感は少し残っているんじゃないかというように思います。

 まず、二〇〇八年の国家公務員法の改正後、いつ、誰が主導して再就職あっせんの仕組みをつくったのか。平成二十二年七月ごろに人事課で引き継ぎメモが策定されたとされていますけれども、いつ、誰が主導して仕組みをつくったのかまでは残念ながら断定されておりません。

 また、今回の最終まとめで、人事課内の引き継ぎメモとして新たに、平成二十八年三月ごろのもの、最終まとめでは引き継ぎメモ三というものが出てきました。天下りの仕組みがかなり精緻につくられていることをうかがわせるメモです。人事課以外の誰がこの仕組みを認知し共有しているのかについても、依然として疑問は残ります。

 そして、OBを介した再就職あっせん以外に、人事課などが直接的に情報提供やあるいは再就職依頼をしていた案件もかなり多く存在することが明らかになりました。この中には他省庁職員のあっせんも含まれています。これらの構造も完全に解明されたというふうにはなかなか思えないのが現状であります。

 いずれにしても、この最終まとめをもってこれでもう全ておしまいということにはならないのではないかということだけ指摘をさせていただきます。

 次に、文科省に問われているのは、真相究明と同時に、再発をいかに防止して国民の信頼を回復していくかという点だろうというふうに思います。

 今回、調査班から何点かにわたって再発防止策が提案をされていますけれども、これは調査に当たった方々からのものであります。

 最終まとめ、そして調査班の再発防止策、これは非常にざくっとしたものだというふうに思いますけれども、これを受けて、文科省として、誰が、いつまでに再発防止策を取りまとめるというふうにお考えなのか、お聞かせください。

松野国務大臣 今回の最終まとめにおきまして、調査を通じて考え得る再発防止策のあり方として、硬直化した人事慣行や組織体制の見直し、身内意識の組織風土の改革、職員の遵法意識の醸成が挙げられておりまして、これは、調査に主導的にかかわっていただきました外部有識者の方々の指導のもとまとめられた再発防止のあり方ということでございます。

 今後、この報告の内容を踏まえまして、現状、文部科学省が置かれている立場、国民の皆さんから信頼を失っているという状況を考えまして、再発防止策、体制の設計、構築に関しても、外部のコンプライアンスや法律の専門家の方々に中心的に御議論をいただきながらつくり上げてまいりたいと考えております。

 今、時期に関しては、これは外部から御参加をいただく方との調整等もございますが、取り組んでいるところでございまして、体制に関してはなるべく早期に発足をして検討に当たっていただきたいと考えております。

吉川(元)委員 きょうは朝からこの問題について当委員会で議論しておりまして、大臣の方からも大変厳しい言葉が出てまいりました。現行法令すら守れない、国民の信頼は失墜をしたと。そういう中でもう一回この体制を立て直していくために、やはり再発防止策は絶対に私は必要だというふうに思います。そうでないと、例えば現行法令すら守れない組織が出してきた法律について、国会の場でまともに私は審議はできないんだろうというふうに思います。

 そういう点でいいますと、やはりこれは早急に、以前、義家副大臣からも聞いた話なんですけれども、恐らく幾つかの段階を踏みながらやっていくことが必要なんだろうというふうには思いますけれども、半年たってもまだ何も出てきませんというようなことでは、これは全く文部科学行政は停滞をしてしまいます。

 その点で、できる限り早い、いろいろな段階、まずとにかく当面これをする、中期、長期というのはあると思いますけれども、これは早くやらないと本当に行政の停滞を生んでしまうというふうに思いますけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

松野国務大臣 先生の方からいただきました厳しい御指摘というのは、まさに国民の皆さんの感覚に沿ったものであろうというふうに認識をしております。

 こういった状況の中で申し上げるのも大変恐縮なんですが、一方で、文部科学省として、文部科学施策、科学技術、文化、スポーツに対する政策に関しては、これはもう真摯に取り組ませていただいているというふうに考えておりますが、しかし、それを広く御納得いただくためには、御指摘のとおり、早期に再発防止策をつくり上げていくことが重要であるというふうに考えております。

 ただ、これは、外部の方々の御意見を中心にということでございますので、外部の方々との調整を今進めているところでございますけれども、現時点においては、とにかく、できるだけ早期に議論の体制をつくり上げて、信頼回復に努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 さまざまな諸課題に対応して文部科学行政を進めていかなければならないというのは理解をいたしますし、その必要性はあろうかというふうに思います。

 ただ、その根底にはやはり信頼というものがなければいけませんし、また、法令をきちんと遵守する、文科省はそれをちゃんとやっているんだというものがない限り、やはり絵に描いた餅に終わってしまうんだろうと思います。ですから、いろいろな諸事情はあるかと思いますけれども、できる限り早い再発防止策の策定をぜひお願いしたいというふうに思います。

 関連してお聞きしますけれども、今回、天下り問題で国民の信頼を著しく損なったということで、疑惑が払拭できるまで大学、研究機関などへの再就職を自粛する旨を三月三日に明らかにされておられます。

 今回、最終まとめが取りまとめられたわけでありますけれども、私自身は、まだ全ての全容の解明には至らない部分もあるのではないかというふうに思いますし、依然として、今、努力中だということでありますけれども、再発防止策が講じられていない現状を考えれば、まだまだ疑惑を払拭できたというふうには言いがたい状況だというふうに思います。

 その点で、その自粛についてですけれども、再び大学、研究機関等への再就職を再開するおつもりはあるのか、いつごろ、そういうことを考えておられるのか、どのタイミングで再開をしようと考えておられるのか、お聞かせください。

松野国務大臣 御指摘をいただきましたとおり、三月三日に、当省の許認可や財政支出の対象となっている大学、研究機関等の関係機関への再就職について自粛をお願いしたところであります。

 この自粛につきましては、期間を定めているものではなく、まさに、再発防止策を含め、国民の皆様からの疑惑を払拭できる体制を構築するまでという考え方を持っております。

吉川(元)委員 関連してちょっとお聞きしたいんですけれども、これは再就職の話であります。一方で、予算委員会等々で自民党の方の方から、まるで大学は文科省の植民地じゃないかというふうに指摘をされた出向の問題はどのように扱われるおつもりなんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 文部科学省から国立大学法人への出向につきましては、国立大学協会の申し合わせを踏まえ、任命権を有する各学長の要請に基づいて行われております。文部科学省から推薦をされた職員を実際に採用するか否か、出向者を学内でどのように配置、活用するか等につきましては、各学長がそれぞれの人事戦略に基づき判断をしております。

 また、各学長が、みずからの人事戦略の一環として、大学改革や機能強化といった各国立大学法人が抱える諸課題に対応するため、豊富な行政経験により専門的な知見及び全国的な視野を持った文部科学省職員を学内管理職ポストに活用したいと要請をされているものと承知をしております。

 文部科学省、国立大学法人の間の人事交流は、国立大学法人にとりましては、文部科学省経験者が行政で培った知見、広い視野を生かして大学運営に貢献すること、文部科学省にとっては、大学での実務を通じて現場感覚を養い、その経験を将来文部科学省や他大学で生かすことができる、それぞれ期待できるため、双方にとってメリットがあるものと考えております。

 このため、文部科学省としては、学長から要請があれば引き続き適切に対応してまいりたいと考えますが、無用な誤解が生じることがないよう、プロセスにおける透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 これは新聞等々でも報道されておりますけれども、出向の名で天下り、こうした記事が出ております。出向が終わって、一日だけ本省に戻ってきて、その日に退職をして、そして翌日からは、もといた、出向に行っていた大学に再就職をする。非常にこれは疑わしい、違法ではないかと疑われるような事例というのが、新聞を見ますと、八年間で二十六人いらっしゃるというようなことが報じられています。

 そういう面でいいますと、出向の問題、これは、また後ほど時間があればより詳しくやりたいというふうに思いますけれども、やはりもうちょっと考えなきゃいけないんじゃないか。先ほど、現場感覚を生かすというふうに、これは、出向に行った人、文科省の職員が、現場感覚を養って、本省に戻ってきてその経験を生かすという話ですけれども、一日戻って退職して再就職といったら、これは現場感覚なんか全く生かす暇もないわけで、そういう面でいうと、ここもしっかりこれから議論をしていかなければいけないというふうに思っております。

 次に、嶋貫参考人にお聞きをしたいというふうに思います。

 今回の調査で組織ぐるみの天下りの仕組みが本当に明らかになったのかどうか、率直なところ、私自身は自信がないところであります。

 いずれにしても、あらゆる懸念を排除し、国民が納得できる再発防止策が徹底されない限り、信頼回復もあり得ない。したがって、大学、研究機構などへの再就職再開もないのではないかというふうにも私自身は思っております。

 さて、OBとして天下りの中心となった、中心的に媒介をしてきた嶋貫参考人、あなたは、違法行為が確認された六十二の案件のうち、約三分の二、四十件に関与しております。早期退職勧奨を受ける職員の生活を案じ、ボランティアとして始めたのかもしれませんけれども、嶋貫さんがかかわった再就職あっせんの多くが違法と判断をされました。しかし、現行の規制ではOBは処分の対象外ということになりますので、処分はされておりません。

 改めて、今回の最終まとめを経て、御自身が行ってきた行為について、率直な認識をお聞かせください。

嶋貫参考人 みずからの、OBとしてかかわったこの一連の事案が厳しい御批判を受けるに至りましたこと、かつて文科省に身を置いた者として大変重く受けとめておりますし、また、深く悔いているところでもございます。

 幾つかの安易な私自身の思い込みが遵法意識の欠如という批判を招いたり、また、現職とOBが互いに持つべき緊張感というものがどうも緩んでしまった、これが最終報告書に言われる過剰な身内意識だったかと思います。そういう言葉で看破されたりもしてございます。特に、この点につきましては、これはOBの側が気がつくべきことだったというぐあいに反省もしてございます。遅きに過ぎはしましたけれども、みずからを厳しく戒めているというところでございます。

 多くの方がこのたび処分を受けるに至りましたこと、まことにざんきにたえない思いでございます。

吉川(元)委員 これは文科省だけではありませんけれども、早期退職勧奨というのが現実に存在している以上、対象となる職員の就職先をどうするのかというのはやはり大きな問題です。私自身は、この早期退職勧奨というのはなくして、官僚の方々も定年まで働けるようにすること、これが必要だというふうに思います。

 また、再就職のシステムとして合法的に設置されている官民人材交流センターですけれども、職員にも、そして受け入れ側からもほぼ認知をされていない現状のもと、再就職に係る制度設計が果たしてこのままでいいのか、これについて、私も問題意識を持つところでもあります。

 こういう再就職にかかわってきた嶋貫さんの目から見て、職員の再就職の問題、どういった点に課題があるというふうにお感じになられているでしょうか、率直にお聞かせください。

嶋貫参考人 このたび、文科省の最終まとめにおきまして、検討の結果でございますとか、あるいは今後の方向性について触れられてございますことと、また、私自身、物申す立場でもないということで、控えなきゃいけないのかとは思いますが、このたびの自身の反省を通して感じた幾つかのこと、例えばでございますが、民と官とがどのように競い合い、高め合っていくのかという問題でございましたり、あるいは、職員のスキルアップを通して職員自身の自律性を高めていくためには人材の育成というものをどのように考えていったらいいのかとか、それから、これは大変大事なことと私も思っているわけでございますけれども、社会に理解されて、そして受け入れられる、そういう透明性の高い仕組みというのはどういうものなのか、こういうことをずっと考えてきているわけでございますが、これらのことは、表現こそ違え、いずれも今回の最終まとめには盛り込まれている、そういう視点が含まれている、そのように理解をしているところでもございます。

吉川(元)委員 それでは、あっせんの仕組みに関して少しお聞きをしたいというふうに思います。

 まず、嶋貫参考人にお聞きをいたします。

 二〇〇八年十二月の改正国家公務員法の施行以来、現職職員が再就職に関与できなくなり、主な再就職先である学校法人、いわゆる非営利事業であっても規制の対象となりました。これを受け、当時の人事課長や人事課職員は、長く人事課に在籍し多くの情報を持っている嶋貫参考人に期待していた旨が最終まとめには記載をされております。最終まとめでは、嶋貫参考人も、このままでは多くの後輩が困難を抱えることとなるため、自身の経験を生かした支援ができないかと考えるに至ったとされております。要は、その人事課の期待と嶋貫参考人の思いが一致したということだろうというふうに思います。

 そこで尋ねますが、平成二十一年七月の文科省退職後、最初に再就職あっせんを行った事案は、いつ、どのようなものか、御記憶の範囲でお答えください。

嶋貫参考人 大変恐縮なのでございますが、はっきりした記憶がなくて、正確なところを申し上げられないところなのでございますが、私が公務員を退職したのは平成二十一年の夏でございますが、そこから一年、二年先ぐらいのことだったのではなかろうかと思ってございます。当時は、私学等から私のところへお寄せいただくようなお話もほとんどございませんでしたし、また、退職者から相談を受けるといったようなことも余りございませんでした。

吉川(元)委員 先ほども少し触れましたけれども、非常に御尽力、御努力いただいた調査ですけれども、文科省の組織的な天下りあっせんの仕組みがいつ、誰を中心にしてつくられてきたのか、依然としてはっきりしておりません。そこで、嶋貫参考人に御自身が最初にかかわった案件を思い出していただきたいというふうに思ったわけです。

 最終まとめによりますと、多くの後輩のことを考え、ボランティアベースの活動として関与されたようでありますが、その動機は別にして、実際に天下りのあっせんを始めていくと、天下りをする側と受け入れる側の情報がどうしても必要になる。そうすると、その中で人事課の関与というものがあった方がいいと考えるのは、これは普通だろうというふうに思います。

 そこで、文科省退職後に嶋貫参考人が始めたこの天下りの仲介でありますけれども、人事課が関与したのはいつ、どのような案件だったのか、これも記憶の範囲でお答えいただければと思います。

嶋貫参考人 この点につきましても、はっきりした覚えがございませんで大変申しわけないのでありますけれども、やはり最初の一年、二年といいますのは、ほとんど頼まれるというようなこともなかったと思ってございます。したがいまして、人事課に例えば来年春の定年退職者について尋ねるといったようなことも、そういう必要自体がなかったと記憶してございます。

 これは今回の一連の調査の中で私自身が大変悔やんでいるところなのでございますが、私自身は、それは公知の事実として、特別の人事情報に当たらないと思っていた定年退職者の確認とか、そういったことが今回指摘されることになったわけでございます。そういったこと自体が、当時、平成二十一年から数えて、先ほどの数字でございますが、一年、二年先というのはほとんどなかったような記憶でございます。

吉川(元)委員 退職されてから一、二年後ではないかということですけれども、平成二十二年七月ごろには、人事課内に、嶋貫参考人を中心にした再就職あっせんの手順を記した引き継ぎメモが作成をされております。ということは、嶋貫参考人が退職されてから一年半ぐらいですかね、そのころには、既に人事課と嶋貫参考人を結ぶ再就職あっせんの仕組みが形づくられたわけであります。

 再就職あっせんに当たって人事課が関与する仕組みは、人事課と嶋貫参考人、どちらの側から言ったといいますか、主導したというか、こういうのをやりましょうよというふうにしたんでしょうか。

嶋貫参考人 ただいまお話ございました引き継ぎの文書については、実は私もその存在を、今回、その一連の経過の中で知るところとなったわけでありますけれども、私の方からまず文科省の側への働きかけというんでしょうか、そういうことで申し上げますと、先ほどの話と重なるのではありますが、例えば大学の事務局長なんかで、そういう一定の範囲の人について、私の方から、定年退職を迎える人はどういう人なのかといったようなことを尋ねたりしたことがございます。やがてそれが、これは最終まとめにもございますけれども、定型化した業務のような形で、人事課の方からいただくような形になったりしたものでもございます。

 また、人事課の方から、人事課が入手した再就職に関する情報をメール等で私が受け取ったりということ、それ自体が、今振り返りますれば、不適切な情報ということになるわけでありますが、そういうやりとりがあったところでございます。

 これらはいずれもその時々の状況の中で行われてきたものでございまして、ただいまお尋ねのような意味でのどちらが主導してというのは、なかなか、一概にというんでしょうか、言い切れないところがあったような気がしております。

吉川(元)委員 どちらが呼びかけたのか、主導したのかというのは一概には言えないと。そういう意味でいうと、あうんの呼吸だという話なのかもわかりませんけれども。

 それでは、次に、中岡参考人、豊岡参考人、お二人にお聞きしたいと思います。

 先ほど伊東委員からも質問がありました。私の方もちょっと確認をしたいということがありますので、確認をさせていただければと思います。

 手短に答弁の方はお願いをしたいというふうに思いますが、お二人が人事課長だった期間、OBである嶋貫参考人が再就職のあっせんにかかわっていたことは承知をしていたという理解でよろしいのかということと、もう一つ、あわせてお二人にお聞きしますけれども、嶋貫参考人と人事課との間で再就職に係る情報のやりとりをしていた認識は持っていなかった、嶋貫さんがやられていることは知っていたけれども、人事課が組織としてこれにかかわっていたということは知らなかったという理解でよろしいんでしょうか。

中岡参考人 お答え申し上げます。

 私が人事課長でありましたのが、平成二十四年一月六日から二十五年の七月七日まででございます。約一年半ということでございます。

 人事課長に就任する前から、嶋貫さんはこういったOBの再就職のお世話をされているということは知っておりまして、私の理解では、やはり人事課の経歴が長いということと、再就職規制が始まって以降、さまざまな不安がある中で、やはり嶋貫さんを頼っておられたのかなというふうに私なりに理解しておったわけでございます。

 そこで嶋貫さんが人事課の方を訪れておられたということはございます。その中で、例えば調査官と話をされているということは見たことがございます。ただ、距離が離れておりますので、具体的に何を話されているのかということは私は存じませんでした。

 そういう意味においては、今回、一連の調査の中で、不適切な情報提供が現役の人事課の職員から嶋貫さんの方に提供されたりあるいは共有されていたということにつきましては、私は存じ上げませんでした。

豊岡参考人 お答え申し上げます。

 私が人事課長でございましたのは、去年の六月二十一日からことしの一月十九日でございますが、私の認識といたしまして、嶋貫氏が再就職あっせんにかかわっておられたことは承知しておりました。

 それから、人事課の関与という点でございますけれども、先ほどの中岡参考人と同じでございますが、時々いらっしゃっているということは承知しておりましたけれども、人事課の職員がさまざまな人事情報を提供したということにつきましては、当初存じませんでした。当初と申しますのが、それを知りましたのは、去年の十二月以降でございますか、再就職等監視委員会の調査が進展する過程で、そのようなことがあったようだということを知るに至ったということでございます。

吉川(元)委員 職場に嶋貫参考人、今はもう完全に退職をされて、一般の方が入ってきて調査官といろいろなお話をされているというのをお二人は目撃されている。そのまま、普通だったら、何を話したのと聞くはずだと思うんですよね。ところが、そういうこともされずに、知らなかった、どんな話をしているのか知らなかったと。

 これはちょっと、再就職の問題以前に、例えば、ほかの、同じ文科省の中で日ごろいろいろな話をされている方と何か相談をしている場合、これだって、課長としては、何が起こっているのかを把握する義務というのは当然あるわけで、それが、もといたとはいえ、一般の方が入ってきていろいろな話をしているのを見ていたというのは、ちょっと私は解せないなというふうに思わざるを得ません。

 というのは、見ていたという話は私も今初めて聞いたものですからあれですけれども、人事課が関与していなかったというようなことをこの間何回か、ちょっと断片的ではありますけれども、答弁をいただいております。

 そうなりますと、これは処分の理由の中に、いろいろな処分がされております、厳しい場合のは停職含めて処分されておりますが、その処分理由が書かれております。これは二月のたしか予算委員会の中で質問がされて、そのときに、それぞれ各歴代の人事課長が答弁をされておりますけれども、嶋貫さんがかかわっていたというのは知っていた、だけれども、人事課として組織的にかかわったというのは知らなかったというふうに答弁されている方が何人かいらっしゃいます。今答弁いただいたお二人もまさにそうであります。

 そうすると、例えば人事課がかかわっていたということを知っていた方については、処分理由の中の、再就職等規制を潜脱する再就職あっせんの構造の構築を防止すべきであったにもかかわらず、構造の構築、運用にかかわってきたというふうに、知っていたとすればそういうふうに言えると思います。知らなかった人が、なぜ、構造の構築、運用に、これはお二人の処分の理由の中にも、この再就職の構造の構築、運用にかかわってきたというふうに書かれているんですけれども。

 今のお話を聞いていると、まあ、本当なのかうそなのかわかりませんが、だけれども、処分理由とずれているんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の最終まとめにおきましては、前半で構造の解明というのがございます。それから事案について、違反事案というのがあって、六十二件あります。その後に、本体は四十七ページから三ページにわたってなんですが、ここに、そういったあっせん構造の構築等に関する責任について、こういうページが三ページあります。個別の事案であれば個別の事案の違反ということだったんですが、今回は組織的なものだということで、その全容解明についての評価を踏まえた責任について、ここについては、ごらんいただけばわかるんですが、事務次官はこういう責任がある、人事課長はこういう責任がある、その他の者はこういう責任がある、これを極めて明確に書いてございます。

 今御指摘のところ、最終まとめにおいて、人事課長については、明確に書いてございますが、在任当時の認識の程度にかかわらず、実態として人事課職員による嶋貫氏への情報提供や直接の違反行為等が行われており、部下職員に対する監督責任、今先生御指摘のとおりです、があったとされる。これだけではなく、とともに、事務次官のもとに、再就職等規制を潜脱する再就職あっせんの構造の構築を本来防止すべきものであったにもかかわらず、構造の構築、運用にかかわってきた、これができ上がってきているという事実がございます。こういうことで、重大な責任があったということを指摘しているというところがございます。

 この報告を踏まえて、処分につきましては、任命権者たる文部科学大臣が処分をしたということで、実際には、人事課長の認識の有無にかかわらず、人事課長として、再就職等規制を潜脱する再就職あっせんの構造の構築を防止すべき職責があったことに対する、それを果たさなかったことへの責任ということで厳正に処分した、こういうことと理解しているということでございます。

吉川(元)委員 そうしましたら、もう余り時間がないので、ちょっと質問の順番を変えますが、その処分の基準、これは午前中にもお話がありました。同じようなことをしているのに処分にかなり程度の差がある、それはなぜかというような質問が他の委員からもありましたけれども、これを見ておりますと、減給というのは大変重い、停職に次ぐ重い処分だろうと思います。

 同じように、人事課がかかわっているということは知らなかったということでの中岡参考人とそれから豊岡参考人を見ますと、中岡参考人の方がやや重い、ややといいますか、減給四カ月、片や減給二カ月ということですので、重くなっております。これはわかるんです。というのは、さらに同時に、漏らしちゃいけないといいますか、漏らすべきではない情報を人事課にも漏らしていたということで、これで重くなっているというのはわかるんです。

 私、理解できないというかわからないのは、きょうはちょっと別の形で参考人として座っていただいておりますけれども、戒告の常盤当時の人事課長。常盤参考人も、以前予算委員会の中で、人事課として組織的にかかわっているということは知らなかったというふうに答弁されております。ですから、先ほどの二名の方と同じ答弁です。

 処分理由を見ます。そうすると、全くほぼ同じです、処分の理由というのは。もちろん、いつからいつまで人事課長をやっていたか、これは当然違いますけれども、それ以外は、一パラ目は全く同じ文章です。二パラ目も、例えば豊岡参考人の場合は「事務次官のもとに、」と書いていますけれども、常盤参考人の場合は「旧文部省出身の文部科学審議官のもとに、」ここが違います。その後に、常盤参考人の場合は「人事課長として、」という文言が入っていますが、豊岡参考人の場合には、人事課長としてという文言は入っておりません。それ以外は全て同じなんです。同じ理由なのに、なぜ、片や減給十分の二、二カ月、片や戒告なのか。これはなぜこういうことになっているんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の職員の処分につきましては、この最終まとめに書かれました個々の事案あるいは構造へのかかわり等々を踏まえまして、国家公務員法の規定や他の事例等も踏まえつつ、職責や行為の反復性の有無、違法性の認識の有無等、その他考慮すべき諸事情もあわせて判断したものということでございます。

 これを踏まえて、再就職等規制導入後の旧文部省出身の歴代事務次官、構造の構築、運用にかかわってきたことについて極めて重大な責任があり、停職相当、同様に、歴代人事課長にも重大な責任があり、原則減給処分等としたところであり、事務次官以下幹部職員に厳正な処分を行っているところであり、その個々のかかわりについては、この報告の、例えば時代的な背景、どの時代にやっていたかなども総合的に勘案して処分をしているということでございます。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、全く同じ文言でこれだけ処分が違うというのは、ちょっと私自身は納得しかねるということだけ指摘をして、質問を終わりたいと思います。

永岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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