衆議院

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第10号 平成29年4月14日(金曜日)

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平成二十九年四月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 坂本祐之輔君 理事 富田 茂之君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      谷川 とむ君    馳   浩君

      福井  照君    船田  元君

      古田 圭一君    松本 剛明君

      泉  健太君    太田 和美君

      高木 義明君    玉木雄一郎君

      平野 博文君    牧  義夫君

      笠  浩史君    樋口 尚也君

      吉田 宣弘君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    伊東 信久君

      吉川  元君    長島 昭久君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       伊藤 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            関  靖直君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小瀬 達之君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  長島 昭久君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  山井 和則君     長島 昭久君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     小倉 將信君

  高木 義明君     玉木雄一郎君

  笠  浩史君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     小林 史明君

  泉  健太君     笠  浩史君

  玉木雄一郎君     高木 義明君

同日

 理事長島昭久君同月十日委員辞任につき、その補欠として坂本祐之輔君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月十三日

 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に坂本祐之輔君を指名いたします。

     ――――◇―――――

永岡委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長有松育子君、初等中等教育局長藤原誠君、高等教育局長常盤豊君、科学技術・学術政策局長伊藤洋一君、研究振興局長関靖直君、スポーツ庁次長高橋道和君、厚生労働省大臣官房審議官椎葉茂樹君及び経済産業省大臣官房審議官小瀬達之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串正樹君。

大串(正)委員 自由民主党の大串正樹でございます。

 文部科学行政の一般ということで質疑をさせていただきます。

 本日は、主に高等教育と、あと幾つか、行政で使われております用語についてお伺いしたいというふうに思っております。

 まず最初に、高等教育の中で、特に研究の質の向上の問題についてお伺いしたいというふうに思います。

 文部科学行政の中でも、アベノミクス、特に、経済を立て直すという上では、やはり研究の質向上というのは非常に重要な政策課題であると思います。その中でも特に、高等教育機関である大学、大学院といったところの研究の質の向上というのは大変重要な課題であるというふうに考えているわけでございます。

 ただ、大学という研究機関、ここでの研究の質の向上というのは、恐らく、学生に対する研究の指導であるとか、あるいは教員本人の研究に対する熱意、それをしっかりと形にしていく、そういう研究活動、そういったものと切っても切れない関係にあると思います。

 そういった中で、さまざまな研究を振興する施策がいろいろ取り入れられているわけでございますが、そういった質の高い研究を行うことこそが、大学の指導的な研究者の育成にもつながりますし、また学生の育成にもつながって、これらが将来の日本の経済を支えていく人材につながっていくというふうに考えても差し支えないのではないかなというふうに思います。

 そういった中で、大学の研究の質の向上の施策、さまざまあるわけでございますが、一般的には、大学の改革であるとか研究の助成、あるいは教員のスキルアップのためのファカルティーディベロップメント、FDといった分野でいろいろなことをやられておりますけれども、実際の研究の現場のことを考えますと、実は、大学の組織の中だけでさまざまな取り組みによって研究の質を向上するというのは非常に難しいのではないかなというのが、私の率直な問題意識でございます。

 本来であれば、研究というのは大学の枠を超えた研究者同士の切磋琢磨が不可欠であるということで、実際に、研究者というのは、それぞれの研究の専門領域で学会に加入いたしまして、その学会の中での発表であるとかあるいはほかの大学の研究者とのディスカッションによってそれぞれの研究の質を高めていく、同時に、そういった学会の雑誌、学会誌、ジャーナルと呼ばれるものに投稿することによって投稿論文の質を上げていく。もちろん、この論文は、査読という仕組みがあって、それぞれの学会のクオリティーに合わせて、それぞれの研究が問題ないレベルであるかどうかというのをしっかりと見きわめた上でなければ掲載されなく、それがまた研究者の実績にもつながっていくということであります。

 そして、特徴的なのは、研究者というのは、容易に大学を移ったりはするんですけれども、所属している学会というのはほとんど変わらずに、同じ研究領域での活動を続けられるというわけでございます。

 そこで、特に最近問題になると思っておりますのが、やはり新しい領域、学際領域と呼ばれるような新しい分野の研究領域がいっぱいふえているわけでございますが、そういったところは、往々にして、初期の段階は学会が存在していない、発表する場がない、そういった問題があります。

 そういった中で、本当に新しい分野を切磋琢磨して成長させていく、研究の質を上げていくためには、やはりそういった学会設立や運営に対するインセンティブを大学改革と並行して与えていかなければいけないのではないかなというふうに思います。

 ただ、新しい領域であるがゆえに、人員も少なくて、その少ない教員たちが、研究の傍らにさまざまな学会の大会を開いたりとか、あるいは雑誌の編集、査読の仕組みをつくったりとか、そういったことをしなければいけない、そういうジレンマがあるわけでございます。こういった意味で、大学改革と並行して、そういった学会設立に対するどういった取り組みを文部科学省としては支援ができるのか、お伺いしたいと思います。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 学会は、研究者を中心に自主的に組織される団体といたしまして、学術研究の発展に寄与する重要な役割を果たしているところでございます。また、新しい領域を学ぶ大学院生が学会発表などの機会を通じまして研さんを積むということは、教育的な意義が大きいと認識をしております。

 文部科学省といたしましては、学会の自主性、自律性を尊重しつつ、その活動を振興するため、学術情報の国際発信力強化に向けました取り組みやシンポジウム、学術講演会の開催などに対しまして、科学研究費助成事業によりまして支援を実施しているところでございまして、こうした取り組みによりまして、御指摘の新領域や学際領域に係る取り組みについても支援をしているところでございます。

 引き続き、学会の主体的な活動の充実、活性化を支援してまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 科研費、そういった分野があるということをぜひ積極的にPRしていただいて、同時に、どうしても人員的に、科研費があるのはわかっていても、そういった学会設立にちょっと二の足を踏んでいるようなそういう研究領域に対しては、もっともっと相談に乗っていただくとか、いろいろな形の人的なサポートもしていただければというふうに思います。

 いずれにいたしましても、研究の質の向上に関しては、そういった学術交流の重要性ということもこれから位置づけていっていただければというふうに思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 そういった研究のレベルが上がっていろいろな研究の教育の質が上がったとしても、やはり人材育成というのが、どうしても雇用とのつながりが不可欠ではないかというのがもう一つの問題意識でございます。

 例えば、私が自民党の中で検討をしておりましたサイバーセキュリティーの人材、これから、東京オリンピックであるとか、海外からいろいろな人が来る中でいろいろな人間が日本にやってきて、そしてインターネット環境でいろいろなアクセスをする中で、そういったセキュリティー対策が十分にとられているかというと、やはりこれは非常に不安なものがございます。

 そういった中で、そういうセキュリティーを維持するための企業にそれだけの人材がいるかというと、まだまだその人材が不足しているのも現状でありまして、そういった人材をどんどん育成しようとしても、そういった学んだ専門性の高い人たちの就業先がなければ、これは意味がない。やはり教育と雇用というのは、どうしても因果関係としてセットで考えなければいけない。

 ただ、雇用政策といいますとどうしても厚労省の分野になりますし、文科省としてどういった形で連携をとっていけるのか、文科省としての考え方をお聞かせいただければと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 グローバル化や少子高齢化が進展する中で、我が国の成長を持続させるためには、学部から大学院を通じた高等教育全体として、職業に必要な知識、技能等を育てるため、職業教育を推進していくことが重要だと考えています。

 具体的には、学部段階において、ほぼ全ての大学で、勤労観、職業観の育成や今後の将来設計等を目的としたキャリア教育に取り組んでいます。また、新入生に対する初年次教育で、将来の職業生活や進路選択に対する動機づけ、方向づけのための教育プログラムを実施している大学の割合は近年増加傾向にあり、平成二十六年度では七割を超えています。

 さらに、大学院段階では、専門職大学院において理論と実務を架橋した人材養成に取り組んでいるところですが、多様化する社会のニーズを的確に踏まえた教育プログラムを必ずしも提供できていないなど、指摘があります。

 そのため、今後は、企業や自治体等の関係者の参画を得て教育課程の編成を行うことにより社会との連携を一層強化するなど、より実践的な教育を推進していきます。

 また、すぐれた専門技能等を持って新たな価値を創造することのできる専門職業人材を養成する専門職大学を制度化するため、今国会に学校教育法の一部を改正する法律案を提出させていただいているところです。

 文部科学省としては、学生が職業に必要な知識、技能等を確実に身につけ、社会や職業生活の中で力を存分に発揮できるよう、今後とも職業教育の一層の充実に努めてまいります。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 専門職大学のお話も出たところでございますが、ぜひ研究の質を落とさない中で、そしてしっかりと社会に役立てる人材をつくっていただくということは、大変重要なことだと思います。

 また、今お話にありましたように、社会との関係性、省庁の壁を越えた議論がもちろん必要であると思いますが、社会から学び直しで大学に入る、あるいは大学で学んだ人がまた再び企業に戻って活躍をするという人材の流動性を高めていくこと、そういう社会環境をつくっていくこともこれから大切になると思いますので、またぜひそういった分野でも御支援をいただければというふうに思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 幾つかちょっと用語についてお伺いをしたいなというところがありまして、一つは、まず、イノベーションという言葉でございます。

 科学技術分野でイノベーションというのはよく出てくる言葉ではあります。私も、議員になってからよくこの言葉に出くわして、往々にして、割と安易に使われている場面も少なくはないのではないかなと。イノベーションがあれば全てを解決してくれる、それが日本の経済を大きく伸ばしてくれる、そういうふうに、この言葉を使うことによって、かえって実は問題の本質が見えにくくなる場面も少なくはないのではないかなということで、少し定義に立ち返って、施策の中での重要なポイントをもう一回考えてみたいと思っているわけでございます。

 まず、イノベーションというのは、もともとシュンペーターという経済学者が定義をしたものでありまして、これは、経済発展の中で、新結合という言葉、新結合を遂行することがいわゆるイノベーション、技術革新につながる。新結合というのは、新しい財貨であったりとか生産方法であったり、販路の開拓、新しい資源の供給源を獲得したり、組織も含まれますけれども、そういったものの新たな結合を意味しているわけでございまして、これは単なる創意工夫であったり、あるいは今までの既存技術の改善というものではないというところが、実はイノベーションの重要なポイントであります。

 つまり、シュンペーターが例に挙げていますのは、時代背景がそうだったんですけれども、駅馬車が汽車にかわるという大きな変革ということがイノベーションの一つの例として挙げられているわけですが、ただ、駅馬車をやっている事業者が鉄道会社をつくったわけではない、全く違うところから新しい概念が出てきたというわけでございます。

 そういう意味では、非連続的な変化であるというのが実はこのイノベーションの重要な課題であって、この非連続性というところを意識した上でさまざまな施策を打っていかなければ、なかなか実効性がないのではないかなというふうに思います。

 ちょっとお配りしております資料でも、S字カーブというのがありまして、時間とともに技術というのは成長していくわけですが、最初は緩やかな成長で、それがある一定のレベルを超えますと急激な成長を遂げる。ただ、ある程度成長を遂げますと、民間のニーズをはるかに超えたレベルになってしまうと、今度は伸びが鈍化していく、そのすきにまた新たな技術が非連続的に生まれてくる。

 こういう技術の積み重ねを重ねることによって経済の成長というのが成り立つというのがイノベーションの根本的な考え方でありまして、この新たな技術の発生というのが、ある意味、破壊的イノベーションとか創造的破壊という言葉もございますけれども、イノベーションによって引き起こされる既存産業の破壊ということもイノベーションには不可欠なもの、裏表であるということでございます。

 ですから、クリステンセンが言っているようなイノベーションのジレンマというものが生じる、大企業だからこそ失敗をしてしまうというところに関しても、これは非連続的な変化であるがゆえに起こり得ることでございます。

 そういった意味で、文部科学省としては、科学技術を先導する省庁として、このイノベーションの定義と文部科学省としての取り組みについて御紹介いただければというふうに思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、イノベーションの定義でございますけれども、ここでは科学技術イノベーションについて御説明をさせていただきたいと思います。

 政府の科学技術基本計画におきましては、科学的な発見や発明による新たな知識をもとにした知的、文化的価値の創造と、それらの知識を発展させて経済的、社会的、公共的価値の創造に結びつける革新と定義しているところでございます。

 今日、社会経済の構造が大きく変革する大変革時代到来の中では、我が国の国際競争力の維持、持続的な発展を実現していくためには、このような科学技術イノベーション、特に先生御指摘の非連続的なイノベーションが大変重要かと思います。

 文部科学省におきましては、これまでも、すぐれた研究成果、基礎研究の成果から実用化までの切れ目のない支援のためのさまざまな研究開発プログラムを実施してきております。その結果、例えば、iPS細胞の樹立でございますとか青色発光ダイオードの発明など、従来技術の延長にない、まさに非連続的なイノベーションを生み出すような成果も輩出してきているところです。

 今後、さらにこのような非連続的なイノベーションの創出を加速するために、アイデアの斬新さ、あるいは経済社会的インパクトを重視した研究開発に挑戦する新たな制度といたしまして、本年度から、未来社会創造事業というものを立ち上げたところでございます。

 現在、対象分野につきましては鋭意準備中でございますけれども、その特徴といたしましては、多くの斬新なアイデアを取り込み、迅速な事業化を進めるために、研究開発全体をマネジメントする人に大きな権限を与えるですとか、あるいは、リスクの高い研究を適切に管理するために、少額の研究費で研究開発を開始して、進捗ごとに成果を確認するステージゲート方式、こういった仕組みを取り入れながら、非連続的なイノベーションの創出に向けた取り組みを加速してまいりたいというふうに考えてございます。

大串(正)委員 ありがとうございます。非連続性というところに視点を置いて御答弁をいただけたというふうに思っております。

 この点については、やはり文部科学省が主導的に各省庁にも働きかけて、それぞれの分野でのさまざまな新しい技術を開発していくことを後押ししていっていただければありがたいというふうに思いますし、また、今お話にありました新しい価値の創造という部分も、社会的な価値を生み出すという意味では大変重要な試みでございます。これをしっかりと進めていっていただければというふうに思います。

 それでは、最後の質問になります。

 もう一つは、PDCAサイクルについてお伺いをしたいというふうに思います。

 これは最近、行政の各分野で、いろいろな文書の中でもPDCAサイクルを回していこうということがよくうたわれているわけでございますが、その本質的な意味を少し、もう一回掘り下げていきたいなというふうに思います。

 政策評価の中でもPDCAというのが出てくるわけでございます。これは、いわゆるプラン・ドゥー・チェックというところの次にAというのが来るわけですが、これが海外の文献ではアクションではなくてアクトというふうに表現されることが多々ありまして、なぜか日本ではプラン・ドゥー・チェック・アクションということになっているわけでございます。

 できれば、世界的に普及しているアクトという表現に統一をしていただければありがたいなというふうに思います。私は、英語、ネーティブではないんですけれども、ネーティブの人から見れば、多分、アクトの方が自然なのではないかなというふうに思っております。

 そういった点も含めまして、PDCAそれぞれの、企画立案の段階、実施の段階、そして評価して、それを新たな企画段階へ反映していくというそれぞれのプロセスをしっかりと捉えていっていただければというふうに思います。

 ちょっとお配りした資料の中に、実はこのPDCAサイクルというのが、誰が考えたのかというのが学界の中でも論争になっていたことがあります。もともとは品質管理と経営管理という、お配りした図の左上のところからスタートするわけなんですけれども、品質管理分野では、シューハートであるとかデミングという品質管理の有名な研究者が日本にやってきて講演をしたというところで、当時はワンウエーの品質管理の概念から、このサイクルの概念に置きかわれたというところに着想を得て、実はこれは日本人の水野さんという方とかが中心となりまして、日本人の研究者がPDCAサイクルというのを開発していったという経緯もございます。

 これは日本発の品質管理の考え方でもあるし、またこれも、経営管理と統合されて、そして今、政策過程の中でも生かされているということをぜひ誇りに思いたいなというふうに思っているわけでございます。

 特に、文部科学省の分野では、きょうお話をしておりますような高等教育の分野で積極的にこのPDCAサイクルを展開している事例はあるかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 経済社会の変化やグローバル化の急速な進展、本格的な人口減少社会の到来の中におきまして、大学の教育研究の一層の向上を図るためには、大学がみずからの目標を明確化し、その実現に取り組むとともに、成果や課題を検証しつつ、改善、発展を目指す、いわゆるPDCAサイクルの仕組みを構築するということが重要と認識しております。

 そのための仕組みの一つに認証評価がございまして、認証評価機関が大学の自己点検評価の結果分析及び教育研究活動等に基づき評価を行い、その評価を踏まえ、各大学において改善の取り組みが行われているというところでございます。

 この取り組みの中で、具体的に、例えば学習の達成度や満足度に関して、有効な学生からの意見聴取が行われていないというような指摘を受けて、具体的な改善として、例えばルーブリック、いわゆる評価基準の開発等の成果を活用するとか、あるいは民間の学習経験調査に参加をして他大学との比較分析を行うというような改善の取り組みが行われている事例もございます。

 さらに、三十年度からは、各大学の内部でみずから教育研究活動の改善を継続的に行う仕組みが構築をされ、機能しているかをより重点的に評価するなど、認証評価のあり方の改善を図るということとしております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 研究の分野でも使われているということでございます。また、これは政策のスパンが長い教育課程改革にもぜひ生かしていっていただければというふうに思います。

 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

永岡委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 本日も質問の機会を賜りましたこと、委員長そして理事の皆様、委員の皆様に心から感謝を申し上げます。

 限られた時間でございます。早速質問に入らせていただきます。

 各地では新学期が始まって、新しい生徒さんの学校が始まる季節となっております。本日は、この未来を担う児童生徒が充実した学校生活を送っていただくためにも、この時期にいじめの問題についてしっかりと確認をして、その防止について資する質疑、そういったものに取り組ませていただければと思い、きょうはいじめをテーマに質問をさせていただきます。

 平成二十三年の十月に滋賀県の大津市の中学生がいじめを背景とした自殺をしてしまったという事案は、大変大きな社会問題になったと記憶をしております。この事案を発端として、いじめ対策の法整備の機運が高まって、平成二十五年の六月にいじめ防止対策推進法という法律が成立をしたと承知をしております。中身は、いじめの定義であったり関係者の責務、基本方針の策定、また防止等に対する措置について定められ、いじめを防止する施策というのが進んだものと承知をしております。

 ただ、本法が成立したからといって、残念ながら、いじめそのものがなくなったわけではなく、心を痛めているところでございますが、平成二十七年の岩手県の矢巾町で中学生が自殺をした事案において、生徒の訴えを学校がいじめとして認知をしていなかったことや校内の情報共有不足が指摘をされたところでございます。

 文部科学省は、この事案を受けて通知を発しておられると承知をしておりますが、その通知の内容についてまず確認をさせてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の平成二十七年七月の岩手県矢巾町で中学生が自殺した事案を踏まえまして、いじめの認知に関する考え方などを示した通知を各都道府県教育委員会等に対しまして同年八月十七日に発出したところでございます。

 この通知におきましては、いじめは予期せぬ方向に推移し、自殺等の重大な事態に至ることもあることから、初期段階のいじめであっても学校が組織として把握し、見守り、必要に応じて指導し、解決につなげることが重要であること、文部科学省としては、いじめの認知件数が多い学校について、いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取り組みのスタートラインに立っていると極めて肯定的に評価すること、各教育委員会等は、学校や教職員の評価において、積極的にいじめを認知し、適切に対応することを肯定的に評価する必要があることなどを示しているところでございます。

吉田(宣)委員 いじめ防止対策推進法に基づきさまざまな施策をし、また、そのような一つの事案を動機としたものかもしれませんけれども、そのような通知も発付し、文科省としては一生懸命このいじめ防止に取り組んでいらっしゃるというふうに思っております。

 確認ですけれども、今御説明いただいた通知及び防止対策推進法も含めて、今、その効果についてどのように評価をされているのか、教えてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年度のいじめの認知件数でございますが、二十二万五千百三十二件となっておりまして、調査の開始以来最も多くなっております。また、千人当たりのいじめの認知件数の都道府県格差についても、二十六年度の約三十一倍から二十七年度は約二十倍に縮小しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、法の趣旨や通知の趣旨徹底によりまして、学校現場において積極的ないじめの認知に向けた取り組みが進んだものと評価をしております。

吉田(宣)委員 まず、学校でしっかりいじめに気づいていくということは大切なことだと思います。大人である我々、現場では先生がそういった任に当たられておられると思いますけれども、まずは気づくこと、そういった意味においては、今説明がありましたとおり、認知件数等やはりふえていっているというのは、これまでの取り組みが一つの効果を生んでいるというふうに評価をしたいと思います。

 ただ、皆さんも御記憶だと思いますが、横浜市におけるいじめの事案、また、新潟県立高校の一年生の男子が自殺をした事案、また、後ほど触れさせていただきますが、福島の原子力発電所事故等による、福島県から避難をしている児童生徒に対するいじめなど、不幸な事案もいまだ見られるところでございます。

 その上で確認をさせていただきたいのですけれども、福島の事案については少し後ほど触れさせていただきますが、ここでは総論として、推進法や通知の運用においていじめがなくならないということを踏まえると、やはり問題があろうかというふうに思います。文科省において、そういった運用の面でどのような問題があって、またどのような解決策というものを考えておられるのか、確認をさせてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年度のいじめの認知件数が調査開始以来最も多くなっており、初期段階のものも含めたいじめの早期発見が積極的に行われてきたものと認識している点は、先ほど申し上げたとおりでございます。

 その一方で、いじめ防止推進法の施行後におきましても、いじめの認知や情報共有が適切に行われていなかったために重大な結果を招いた事案が依然として発生しているところでございまして、法の趣旨のさらなる徹底が大きな課題であると認識しております。

 このような状況のもと、文部科学省といたしましては、いじめ防止対策推進法の附則第二条に基づきまして、法施行後三年の見直しといたしまして、教職員による適切な対応等を徹底するためのいじめの防止等のための基本的な方針の改定、いじめの重大事態の調査が適切に行われるようにするためのガイドラインの策定をこの三月に行ったところでございます。また、いじめ問題も含め、学校における喫緊の課題に対応するために、平成二十九年度予算におきましては、一部加配定数の基礎定数化や、いじめ、不登校等への対応のための加配定数の改善など、教職員定数の改善を図ったところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、いじめに適切に対応できる学校指導体制の整備を推進するとともに、いじめ防止等のための対応が適切に行われるよう、文部科学省の職員を教育委員会に派遣し、改定した基本方針やガイドラインの説明を行うなどして、各教育委員会や学校現場における取り組みを支援していきたいと考えております。

吉田(宣)委員 やはり、学校全体の実力といいますか力を上げていくためにも、今御説明があった教職員の数をしっかり整えていくこと、先般審議もさせていただいた教職員の標準基礎定数化というものについて、十年かかるというふうな期間は承知はしておりますが、着実に学校の現場での力を増していくためにも、実行をしていっていただきたいというふうに思います。

 先日、原子力発電所事故等により福島県から避難している児童生徒に対するいじめの状況等の確認に係るフォローアップ結果というものが発表されたと承知をしております。結果の内容について確認をさせてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災または原子力発電所事故により避難している児童生徒のいじめにつきましては、昨年十二月に文部科学省から、被災児童生徒を受け入れている学校に対しまして、当該児童生徒がいじめを受けていないか確認を行うように依頼したところでございます。

 この三月に各学校が確認した結果についてフォローアップを行ったところ、平成二十八年度におきましては、福島県から避難している児童生徒に対するいじめは全体で百二十九件認知され、そのうち九件が東日本大震災または原子力発電所事故に関連する事案であることがわかったところでございます。

 また、二十七年度以前のいじめについてでありますが、全体で七十件が認知され、そのうち九件が東日本大震災または原子力発電所事故に関連するものでございました。

 その内容といたしましては、福島県から避難している児童生徒が、放射能がうつるとか、あるいは福島に帰れなどと言われるなど、被災児童生徒をさらに傷つけるような事案が見られたところでございます。

吉田(宣)委員 福島原発に起因する避難者へのいじめというのは、非常に心が痛むところでございます。やはりこれはしっかり国としてメッセージを発して、もしいじめをされるような方がいれば、やめていただきたいと思います。

 松野大臣、今の調査結果、御説明ありましたけれども、この調査結果を受けての大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。

松野国務大臣 被災児童生徒へのいじめの中には、今、政府参考人の方から答弁させていただきましたが、福島県から避難している児童生徒が、放射能がうつるでありますとか福島に帰れなどと言われたものもあり、その背景には、周囲の、大人も含め、放射線に関する理解不足や避難を続ける方々のつらい思いに関する理解不足が存在すると考えております。

 そのため、先般、フォローアップ結果の公表に合わせて、被災児童生徒へのいじめの防止について、私からメッセージを発表したところであります。メッセージでは、全国の児童生徒に対して、被災児童生徒へのいじめを防ぐために、震災を経験して、ふるさとを離れてなれない環境の中で生活を送る友達のことを理解し、その方に寄り添い、一緒に支えながら学校生活を送ってほしいとの思いを込めております。また、保護者、地域住民の皆様に対しては、学校等と連携をして、被災地の状況や放射線に関する理解を深めようとする取り組みを行っていただくようお願いをしたところであります。

 文部科学省より各都道府県教育委員会に対して、このメッセージの内容を、機会を捉えて児童生徒、保護者、学校の教職員等に伝えていただくよう依頼したところであり、引き続き、被災児童生徒に対するいじめについて各教育委員会に対する必要な指導助言を行い、いじめの防止に努めてまいります。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 やはり、国が、福島を追われて避難をしている方々に本当に親身になって寄り添う姿勢を示すこと、そして、国民全体が福島から避難をしている方々に応援をしているというふうな環境といいますか雰囲気を文科省にはしっかりつくっていただきたいと思いますし、そのためにも、今、松野大臣に答弁いただきましたその思いを、児童生徒を含む避難者の安心となるよう、教育の現場、また地域住民の皆様にしっかりと隅々まで届けていただくようにお願いをしたいと思います。

 最後に、新しい試みについて質問したいと思います。

 総務省の情報通信政策研究所というところが行った、平成二十七年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査というものを見せていただきました。その中でわかったことですけれども、今の十代の若い子供たちというのは、音声通話という、声でやりとりをすることはほとんど行っていなくて、ほとんどLINEなどのSNSを使って文字でコミュニケーションをとっている。ネット電話の使用も一部あるようですけれども、私が十代のころと比べて全然違うというように、今回初めて気づいたというか知りました。大変急激な変化であろうと思われます。

 この点、音声通話限定だったいじめ相談体制の改善というものが、この児童生徒のコミュニケーションのとり方の実態に合わせて改善されなければいけないのではないかなと思っております。音声通話限定というところに一つ課題があるのかなと思っております。また、通信会社、LINE株式会社も含めて、非常に協力姿勢を示しておりまして、非常にありがたいことだというふうに承知をしております。

 このような状況を受けて、我が党の浮島智子衆議院議員が松野大臣のもとを関係者とともに訪ねて、SNSを用いた相談窓口の開設について要請したというふうにお聞きをしております。松野大臣はその場で、ツールとして非常に魅力的だ、検討していくとお答えになったとお聞きしておりますが、実施に向けた検討状況について、松野大臣からお聞かせをいただければと思います。

松野国務大臣 文部科学省においては、いじめ問題等に悩む児童生徒等が、全国どこからでも、いつでも相談機関に相談できるよう、夜間、休日を含め通話可能な二十四時間子供SOSダイヤルを設置し、平成二十八年度からは通話料無料としたところであり、平成二十七年度より相談件数は増加しているところです。

 一方、吉田先生の方から御指摘をいただきましたとおり、近年、若年層の多くはSNSをコミュニケーションの手段として用いており、電話のみならずSNSを用いて、さまざまな悩みを抱える児童生徒のSOSを広く受けとめ、一人でも多くの児童生徒に迅速、適切に対応することは大変重要であると考えております。

 文部科学省としては、SNSを既に各種施策に活用している自治体からの聞き取りを始めており、その結果などを踏まえ、その有効性や課題を把握しながら、SNSを用いた相談体制の実現に向けて検討してまいりたいと考えております。

藤原政府参考人 失礼いたします。先ほど、吉田委員への御答弁の中で、福島県から避難している子供たちへの、そのフォローアップの二十八年度分について、全体で百二十九件の認知のうち、東日本大震災等の関連の事案が九件と申し上げましたが、四件の誤りでございます。訂正申し上げます。

吉田(宣)委員 間もなく時間が参ります。質問を閉じさせていただきますけれども、松野大臣、今御答弁いただいたとおり、児童生徒のコミュニケーションの実態に合わせた相談体制の確立というのは、本当にこれは喫緊の課題だろうと私は思っておりますので、ぜひお力をおかしいただきたく、改めて要望させていただきたいと思います。

 冒頭に申し上げたとおり、各地で学校が新学期を迎えております。希望を持った児童生徒が学校の門をくぐっている情景を目にする国民は、恐らくそれだけで幸せを感じていただいているのではないかと思います。私もその一人です。偶然ですけれども、私の娘も、来週の月曜日、十七日に新小学一年生になります。

 希望に満ちて晴れの入学を迎える児童生徒にはやはり喜びに満ちた学校生活を送ってほしいし、また、たくさんの友達をつくってほしいと願うことは、国民全員の、全ての願いと言っても過言でないというふうに思います。そのためにも、全てのいじめを絶対に起こさせないという我々大人のかたい決意を込めて、防止策というものをやはり徹底していただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民進党の泉健太でございます。

 通常は文科委員ではありませんが、きょうは、出張で質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。

 また、松野大臣におかれましては、先日、京都、文化庁事務局の全面的な開始ということでお越しをいただきまして、ありがとうございました。ぜひこれからも、京都における、地方における政府機能が遺憾なく発揮をされるということで期待をしたいと思いますので、どうぞ御支援のほどよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 きょうは、教育勅語のことをお話しさせていただきたいと思います。先日、内閣委員会でも質問させていただきました。

 私、道義、道徳は大変大事だと思っておりますので、日本は道義国家であってよいと思います。ただ、行き過ぎがあってはいけないということでありますし、我が国は民主国家でございますので、現在の文部科学行政が決して戦前に返ってしまうようなことであってはいけないし、また、よく言われるように、右派と言われる方々の中からも、ひいきの引き倒しじゃないかなんという声が出てくるぐらいに、教育勅語が今の時代に注目をされることそのものがおかしな話ではないかというふうに私は思うわけであります。

 教育基本法には、十八年の改正のときに、ある意味、徳目というものについてはほぼと言っていいほど盛り込まれて現在の教育基本法があるわけでございまして、わざわざ教育勅語を持ってこねばならぬ理由が果たしてあるんだろうかというふうに、不思議に感じざるを得ない。これは、もしかすると十八年の改正を御存じないのかなと思わざるを得ないような発言が飛び出しているということで、大変残念に思うわけであります。

 そういった意味では、きょう、改めて文科省に幾つか確認をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、これまで政府が質問主意書等々にも答弁書を出しておりますけれども、その中では「憲法や教育基本法等に反しないような」という表現が使われております。この「等」の中に、昭和二十三年、衆議院、参議院の両国会決議も含まれているということでよろしいでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 三月三十一日に閣議決定された質問主意書への答弁では、学校において、教育勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であるが、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではない等を答弁しております。

 学校における教育活動は、憲法、教育基本法や学校教育法などの法令に従って行う必要がありますが、教育勅語について言及された昭和二十三年六月の衆参両院の国会決議についても、同年の文部次官通達において、その趣旨を徹底し、遺憾のないよう万全を期すこととしていることから、それを踏まえることは重要であると考えております。

泉委員 大臣、端的にで結構でございます。今の「憲法や教育基本法等に反しないような」の「等」の中に国会決議が入っているか。これはもうイエスかノーかの世界です。

松野国務大臣 決議が「等」に含まれるかという御質問に関しましては、これは決議でございますので、直接決議が「等」に含まれるわけではございませんが、その決議を受けて、通達として、この決議の趣旨を徹底するようにというのを出しておりまして、この通達が含まれるということでございます。

泉委員 ありがとうございます。

 きょうは資料としてはお配りしておりませんけれども、昭和二十三年六月二十五日に、文部次官より各都道府県知事に通達、通知がなされております。そこには、衆参両院において決議がなされたので、その趣旨を徹底し、遺憾のないよう万全を期すことと書かれておりまして、まさに、ここでいわゆる教育勅語の回収ということも行っているわけでありますけれども、これが現在も生きているということの確認がいただけました。

 続いてなんですが、昭和五十八年、参議院の決算委員会で、当時の瀬戸山大臣が、教育勅語を朗読しないこと、学校教育において使わないことと答弁したわけですね。この見解は現在も変わっていないということでよろしいでしょうか。

松野国務大臣 御指摘の昭和五十八年の参議院決算委員会における瀬戸山文部大臣の答弁は、教育勅語について、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力は喪失していること、学校において教育勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であることをお答えしたものでありまして、現在の政府見解と変わるものではございません。

泉委員 瀬戸山大臣は、唯一の根本という言葉は使われましたか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の瀬戸山文部大臣の答弁の中で唯一の根本という言葉自体は出てきておりませんが、二十一年の次官通牒の趣旨を端的に答えているということでございます。

泉委員 いやいや、やはり大臣、これは事実関係ですので、誤ってはいけないと思うんですね。あるいは、曲解をしてはいけないと思うんです。

 今、政府参考人からもお話があった二十一年通知がまさに出てきたように、大臣は当時そういった答弁はしておりません。唯一の根本として朗読してはいけないと言っておるのではなくて、あくまで、単に、教育勅語を朗読しないこと、学校教育において使わないことと答弁しております。それがよいかどうかと言っているのであって、今の政府見解と変わりませんというふうに言う中で、さらっと、唯一の根本でなければ大丈夫かのような、そういった考え方の論理の変更を私はしてはいけないと思うから聞いているわけですね。

 唯一の根本というのは当時の答弁で使っておりませんが、大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、直接的に瀬戸山大臣の答弁の中で唯一の根本という表現はございませんが、瀬戸山大臣の、現在の憲法、教育基本法のもと不適切である旨から、趣旨全般として、使用の仕方について、これまでの通知、通達等を踏まえての答弁だという趣旨のことでございまして、直接的に表現があったかといえば、先生御指摘のとおり表現がないということでございますから、その面に関しては、撤回を、修正をさせていただきたいと思います。

泉委員 では、続いて、瀬戸山大臣はこうも述べております。現在の憲法、教育基本法のもとでは不適切である、こういうことが方針として決まっておると答弁しているわけですが、この見解は現在も変わらないということでよろしいですね。

松野国務大臣 瀬戸山大臣の答弁が、教育勅語に関して、現行の憲法また教育基本法の趣旨に合致しないということにおいては、現在においてもその考え方を踏襲しているものでございます。

泉委員 今の大臣の御答弁は、現行の憲法、教育基本法の趣旨には教育勅語が合致しないということを御答弁なされたということであります。その御答弁をしっかりと御自身で、また省として受けとめていただきたいということであります。

 内閣委員会での先日の質疑で、文科省は、昭和二十一年通牒、先ほどもお話が出ましたけれども、これが有効だと御答弁されました。三つ項目がございまして、二に、今後はこれを読まないこととすることと書いてあります。

 ならば、この二十一年通牒が有効だとしても、ある意味、ある意味というか、ここに明確に、今後はこれを読まないこととすると書いているわけでありまして、やはり教育現場での朗誦というのはこの二十一年通牒に反してしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 御指摘の瀬戸山文部大臣の答弁は、式日等における教育勅語の奉読を行わないことなど、教育勅語の取り扱いについて周知した昭和二十一年の文部次官通牒の趣旨を端的にお答えしたものであり、教育基本法等に反しないような適切な配慮のもとで教育勅語を朗読することまで否定するものではないと考えております。

泉委員 ちょっと文科省、もしわかればで結構なんですが、戦前の学校教育現場では、毎日教育勅語は朗誦されていたでしょうか。それが何か決められていたことはありますでしょうか。わからなければ結構ですけれども。

有松政府参考人 お答えいたします。

 詳細は直ちにお答えできません、申しわけございませんが。

 昭和二十三年の衆参の決議を受けた当時の森戸文部大臣の発言の中に過去の経緯を説明した部分がございまして、昭和二十一年十月九日、文部省令において国民学校令施行規則の一部を改正いたしまして、式日の行事中、君が代の合唱、御真影奉拝、教育勅語奉読に関する規定を削除いたしましたとございますので、戦前の国民学校令施行規則の中に奉読の規定があったものと考えております。

泉委員 今、私は、毎日ということをお話しさせていただきました。昭和二十一年の通牒のときには、式日等において従来教育勅語を奉読することを慣例としたが、今後はこれを読まないこととすることと書いてあるわけですね。

 今、ある意味不思議な現象が起こっておりまして、式日等に教育勅語を奉読することを、今後はこれを読まないこととするということを文科省は現在も有効だとしている。だけれども、毎日朝礼で読んでいる教育機関があっても、そこは現場が判断することですというふうになってしまっている。大変不思議な現象が起こっております。数日間、式日のときだけ読むことについては目くじらを立てながら、一方で、毎日教育機関で使うことには何も指摘をしていないという、大変不思議な教育行政になっているということを指摘しなければいけないというふうに思います。

 そういった意味では、従来奉読することを慣例としたが、これを読まないことにするということが、果たして式日に読まなければよいのかということなんです。大臣、これは本当に、昭和二十一年通牒を読むときにそういう解釈でよいのだろうかということを私は指摘させていただきたいと思うんです。

 そして、さらに言えば、昭和二十一年通牒の時点では、新たな憲法なり教育基本法というものが定まっていない状況であります。そういう中で、この二十一年通牒というのは、この時点では、実は教育勅語を全否定はしておりません。あくまで、いわゆる国民道徳の一つとして扱うことは問題ない、唯一ではなく一つとしてならば使うことは構わないというトーンで書かれたのが、この昭和二十一年通牒であります。

 一方で、昭和二十三年通知というものは、教育基本法も新たにできて、憲法も新たにできて、民主国家のもとで教育基本法が子供たちの教育の根本になるものであって、そして教育勅語が間違って利用されてはならないということで、わざわざ実は、衆議院において排除決議、参議院において勅語の失効確認の決議が行われているんですね。その決議を受けて文科省から通知がなされているということで言えば、二十一年通知が生きているというのもこれまたおかしな論理になってしまうわけでありまして、二十一年通知に上乗せをして二十三年通知が定められたんだということが私は正しい読み方ではないかというふうに思います。

 そういった意味では、この二十一年通知、今お話をしたように、式日等において教育勅語を奉読することを慣例としたが、今後はこれを読まないことにすることということの読み方を、大臣、今も、現在も、この委員会においても、式日にさえ教育勅語を奉読しなければこの条文は守られているという理解でよろしいですか。

松野国務大臣 式日において奉読するという形は、教育勅語を教育の唯一の根本とするということの姿勢であるというふうに考えております。

 現在、委員会等で御議論をいただいている内容というのは、教育勅語を教材として使用することについて……(泉委員「そこは私は論点にしていません。それは否定していませんから」と呼ぶ)否定していない。済みません。今までの委員会の議論ではそういった御議論がなされてきたわけでございまして、委員の質問に端的に答えるということであれば、個々の学校現場においての教育のありようについては、これは、まず、学校の園長、学校長、また教育委員会等が一義的にその判断権を持つものでございまして、仮にその行為が不適切ということであれば、所轄庁によって判断がなされるということでございます。

泉委員 国会決議には、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないと書いているのであって、唯一根本として認めないとは書いていないわけですね。要は、教育勅語を指導原理として使ってはいけないということが書いてあるわけなのであります。

 文部科学省、この指導原理的性格を認めないというのは、今の私の解釈でよろしいですか。

有松政府参考人 お答えいたします。

 昭和二十三年六月の衆議院本会議の決議におきまして、「これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。」とされておりまして、同年の文部次官通達におきまして……(泉委員「経過はいいです。もう言いましたから」と呼ぶ)はい。その趣旨を徹底するということとされております。

 この指導原理的性格を認めないことにつきましては、この決議を受けた森戸文部大臣も、教育勅語に対して教育上の指導原理たる性格を否定してきたことを述べ、そして、このことは、新憲法の制定、それに基づく教育基本法並びに学校教育法の制定によって法制上明確にされましたと発言しているとおりでございます。

 この意味で、教育勅語を我が国の教育における唯一の根本、指導原理として戦前のような形で学校教育の中に取り入れて指導するなど法令等の趣旨に反するものであれば、それは適切でないと考えております。

泉委員 ここなんですよ。ここで論理のすりかえがなされている、大変残念ですけれども。

 唯一の根本なんという言葉は使われていないんです。唯一の根本という言葉に近いものが唯一使われているとしたら、昭和二十一年の唯一の淵源となす従来の考え方というこの文章なんですが、この時点では、先ほどお話をしましたように、新たな教育基本法はないんです。この時点では教育勅語もまだ有効だとされていたときなんです。有効だけれども、奉り過ぎないようにしましょうというのが二十一年通牒なんです。

 大臣、これを引っ張ってきているんですよ。これはおかしいでしょう。ここから引っ張っちゃいけないんですよ。今の文部科学行政は、昭和二十三年通知なり、国会決議なりから引っ張ってくるはずのものが、なぜか、恐らく安倍政権のこの一、二年、もしくはこの数カ月かもしれません、になってからですよ、唯一の根本という言葉を急に持ち出したのは。これはおかしいんですよ。

 唯一の根本であるかどうかを議論するのではなくて、教育現場において、私も、教科書に出てくる教育勅語は全く否定しません、歴史史料として、それは過去の歴史を正確に学ぶ、これは全く否定しませんが、教育勅語を道徳教育で、道徳目的で使うこと、あるいは全文を毎日読むことというのは、過去の決議や文科行政からいって、唯一根本でなければいいというものではないから、私は指摘をさせていただいているんです。

 大臣、改めて、いかがですか。

松野国務大臣 先生の御指摘に関しては、私も、これを指導原理として用いることは不適切だというのはもう答弁でも明確にさせていただいておりますし、現行の教育行政が憲法と教育基本法に基づいて行われることはもう当然のことでございます。

泉委員 先ほど政府参考人が、指導原理として認めないと、言葉を続けて、唯一の根本、指導原理としてというふうにイコールにしましたけれども、それは違いますからね。そこはちょっと訂正をお願いします、明確に。今答弁いただいたんですが。

有松政府参考人 お答えいたします。

 教育上の指導原理として性格を認めないということは引き継いでいるところでございます。

泉委員 大臣、これはよく聞かれる議論で、教育勅語にもよいところがあるという言葉がよく聞かれます、ある閣僚からも。

 全文がよいのか、それとも、よいところもあるということは、よくないところもあるのか。大臣、教育勅語のよくないところというのはどこでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 教育勅語は、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力を喪失しておりますので、既に法制上の効力を持たない教育勅語のどの部分が教育基本法等にそぐわないかは、文部科学省において判断するものではないと考えております。

泉委員 では、政府の国会答弁では、稲田大臣が委員会で発言をされた、教育勅語にはよい部分もあるということに対して、それは大臣の個人的見解だという答弁書だったようであります。

 大臣にもお伺いをしたいと思います。

 大臣、個人的見解でお述べください。教育勅語のよいところもあるんでしょうけれども、悪いところというのはどこかございますか。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、文部科学大臣として、法制上の効力がない教育勅語に関して、どこの部分がいい、どこの部分が悪いということを発言することは控えさせていただきたいと思います。

泉委員 その上で、文科行政において教育勅語が今有効ではないということを改めて明確にしていただきたいというふうに思うわけです。

 というのは、私は何も行き過ぎたことを言うつもりはなくて、昭和二十三年、これは全会一致で国会で決議をしておるわけですね。これは教育勅語だけではございません。軍人勅諭ですとか青少年に対しての勅語ですとか、さまざまな詔勅の排除の決議をして、その排除決議をもって文科省ではこの通知をされているわけです。その中には、今お話をした軍人勅諭も入っているわけであります。

 先日の義家副大臣の、毎朝朝礼で教育勅語を読むことは一概に否定できない、それをもってだめだとは言えないというような御答弁がございました。改めて、大臣、この答弁、訂正をされませんか。

松野国務大臣 義家副大臣の答弁につきましては、例えば、教科書に記載されている内容を児童生徒を指名して読ませるといった教科指導もあることから……(泉委員「毎朝の朝礼の話をしたんですよ、私は」と呼ぶ)

永岡委員長 答弁中でございますので、お静かにお願いいたします。

松野国務大臣 児童生徒等に社会科等の教科書の教育勅語を読ませることのみをもって問題がある行為ではないとの旨を答弁したことと承知しております。

 いずれにしても、個々の学校においてどのような教育を行うかは、先ほど答弁したとおり、一義的にそれぞれの学校で創意工夫をしながら考えるべきものでありまして、仮にそこで行われる教育活動が不適切ということであれば、それぞれの所轄庁が判断をすべきものと考えております。

泉委員 私が国会で質問させていただいたのは、毎朝の朝礼において教育勅語を朗誦するということは、文部科学省の考え方からいって問題のある行為でしょうか、問題のない行為でしょうかという中で、義家副大臣は、教育基本法に反しない限りは問題のない行為だろうと思いますとおっしゃったわけですね。

 この論法でいくと、今、教育勅語の議論をずっとしていましたが、昭和二十三年に排除されたのは、教育勅語だけではなく、軍人勅諭もだということを先ほど申し上げました。

 では、大臣、軍人勅諭も、唯一根本でなければ朗誦してもよろしいということですか。

松野国務大臣 軍人勅諭も、これも法的効力を喪失している文章でございます。

 その中において、私たちが教材についての考え方を繰り返し述べさせていただいておりますが、学校教育法上、どういった教材を使って教えるかに関しては、これはもう教師であり、また学校長等の判断によるべきものであります。

 そして、それが不適切ということであれば、所管庁が判断をしていくということでございますが、その上において、これまでもどういった点を判断するのかと。これはもう所轄庁による判断でございますけれども、その判断は、当然のことながら、現行憲法における、例えば国民主権でありますとか、基本的人権でありますとか、そういったことに照らし合わせて不適切ということであれば、これは所轄庁がしっかりと判断をしていくということだと思います。

泉委員 学校教育法ですか、三十四条に、学校長なりが適切に教材を選ぶということの文言がございますが、だからといって、教育勅語や軍人勅諭という国会決議で排除までされたものについても文科省が何ら言及されないというのは非常に恐ろしい話だなと思います。

永岡委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

泉委員 本当はもっとさまざまな質問をさせていただきたいところでありますが、本日は終わらせていただきますが、私は、今の教育基本法をよくごらんいただきたい。なぜ教育勅語を持ち出さなければいけないのか。全くそういった話というのは、今の政府の、政治家の側、与党の政治家の側からも出てきて……

永岡委員長 質疑を終了してください。時間が来ております。

泉委員 済みません。我が党の時間内ですが、委員長、何か問題ございますか。

永岡委員長 あります。

泉委員 我が党の時間内です。

永岡委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。

泉委員 はい。ちょっと、それは、我が党の時間内でございますので。

 ということで、ぜひ、引き続き、このことについては質問させていただきたいと思います。終わります。

永岡委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 今の教育勅語なんですが、教育勅語の一部には真理性があるんですよ。いいことを書いているんです。

 このことは、昭和二十三年の六月二十日、衆議院会議録第六十七号に、これは松本さんが趣旨弁明で言っていますね、「われわれは、その教育勅語の内容におきましては、部分的には真理性を認めるのであります。」と。親孝行とか兄弟仲よく、これは普遍性、真理性があるでしょう。しかし、「それを教育勅語のわくから切り離して考えるときには真理性を認めるのでありますけれども、勅語というわくの中にあります以上は、その勅語そのものがもつところの根本原理を、われわれとしては現在認めることができないという」ということをあえて言っているわけですね。

 部分的にいいからいいのではなくて、いいものが書かれてある、そこにある種普遍的な真理性があることを認めてなお、やはりそれが社会や、戦争という我が国の歴史において大きな影響を与えたことを踏まえて、我々の先輩方が衆参ともに全会一致で決めてきたこと、このことを、時代は変わっても、我々はしっかり、立法府に身を置く者として受けとめるべきではないかと思うんです。

 松野大臣、いろいろなことに対して、私、本当によく取り組んでおられると思います。こういうことに議論を使わなきゃいけないこと自体が、私は本当に何かもったいないなと思うんです。いろいろな御意見はそれはあると思いますが、でも、これは自民党も従来、私は、余り変わらない思いで来たんだと思いますね。

 あえて、冒頭、これを申し上げて入りたいと思います。

 道徳の話があったので、ちょっと順番を変えて先に聞きますが、ギャンブルのことを聞きます。ギャンブル依存症対策。

 これは、カジノを含むIR、複合施設についての議論が今政府の中でも始まりました。このIRそのものについては、賛否がそれぞれあります。観光の活性化につながるということで、私もその側面は認めている一人でありますが、ただ一方で、依存症ということについては、大変大きな社会問題として捉えられておりまして、政府でも、関係閣僚会議が設けられて議論が始まりました。

 そして、先般まとめられた論点整理というものがございまして、この中に、学校教育の中におけるギャンブル等依存症についての記述がございます。というのも、総理が、このIRについてはいろいろなことを対応していかなければいけないという中に、依存症やマネーロンダリング、青少年への影響等、IRについてのさまざまな懸念に万全の対策を講じることも重要ですというふうに、あえて青少年への影響等ということを総理自身がおっしゃっております。

 そこで伺います。まず、現在の学校教育におけるギャンブル等依存症に対する対策としてどのようなものがございますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちが成長し大人になった際、ギャンブル等に依存せず自律的かつ健康的に生きていくためには、学校教育を含むさまざまな場面を通じて、欲求やストレスに適切に対処し心身の健康を保てるようにすること、節度を守り節制に心がけることができるようにすること、消費に使える金銭の限度や優先順位を考えた自覚ある消費行動をとれるようにすることなどのために必要な力を育んでいくことが極めて重要でございます。

 このため、お尋ねの学校教育におきましては、まず、保健体育の時間などを通じて、欲求やストレスが及ぼす影響や、適切な対処が必要であることについて理解し、自分に合った対処法を身につけられるようにすること、それから、道徳の時間などを通じて、衝動に駆られた行動に陥ることなく、望ましい生活習慣を身につけ、自分自身の生活を豊かなものにしていけるようにすること、また、家庭科の時間などを通じまして、家計における収支バランスや計画を考え、適切な意思決定に基づいた消費行動が行えるようにすることなどについて指導をしているところでございます。

玉木委員 保健体育と道徳と家庭の時間ですか、これがギャンブル対策。

 ちょっと一つ伺いますが、小学校、中学校の学習指導要領、道徳のところを持ってきましたが、節度ある生活をするとありますね。今後、道徳というのが評価の対象になるということなんでしょうが、ギャンブルをすると道徳の点数は悪くなるんですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 道徳の評価につきましては、点数によって評価するものではなくて、全体として内容項目につきまして記述をして評価していくということでございまして、点数化はしないということでございます。

玉木委員 では、もっと端的に聞きますね。

 ギャンブルをすることは、節度を守り節制に心がける生活ではないという理解でよろしいですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの、ギャンブルに関する道徳的な評価の中で節度ある云々ということでございますが、それは個別の中身を見て判断しないといけないと考えていまして、なかなか、具体的に申し上げることは差し控えたいと思います。

玉木委員 差し控えるといったって、これは政府がまとめた、学校教育における対応のところに、「「道徳」の時間を通じて、節度ある生活に関することが指導」と、今も御答弁をいただきましたけれども、書いているんですね。

 だから、ギャンブルをすることは、この道徳に規定する節度ある生活に少なくともそぐわないという理解なんですよね。もう一度。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、委員御指摘のとおり、道徳において、節度ある生活に関することを指導ということでございまして、当然、過度なギャンブル依存であれば、そのようなこともあり得るというふうに考えます。

玉木委員 過度なギャンブルは道徳に反するんですね。今答弁がありました。

 もう一つ伺います。

 この論点整理の中に、今後の対応の一つの案として、高等学校の保健体育の学習指導要領解説への記載を検討するということなんですが、ギャンブル等の依存症対策として、保健体育の学習指導要領に何を書くんですか。

松野国務大臣 心身にさまざまな影響を与え、健康を損なう原因となる喫煙、飲酒や薬物乱用に関する依存症については、これまでも、健康な生活と疾病の予防について理解を深める観点から、指導の充実に努めてきたところであります。

 一方、インターネットや買い物などは、その行為自体が直ちに身体的な健康に悪影響を与えるものではありませんが、過度な行為に陥り、依存症になる場合もあります。ギャンブルに関する依存症もこの一例と考えます。

 来年改訂予定の高等学校の次期学習指導要領の保健体育では、新たに精神疾患を取り上げることとしております。また、同解説において、精神疾患の一つとして、ギャンブル等依存症も含めた依存症について取り上げる予定であります。

 具体的には、今後、専門家等の知見を踏まえながら、高校生がギャンブル等依存症の恐ろしさについて理解できるよう、効果的な指導内容について検討してまいりたいと考えております。

玉木委員 今、かなり大事な答弁をいただいたと思うんですね。精神疾患という言葉をおっしゃいました。その一環として位置づける。確かに、ギャンブルは、これは実はいろいろな議論があるんです。私も今研究をいろいろしていますけれども、精神疾患の一つだということ、つまり医学的、医療的な適切な治療が必要だということ、これは非常に大事だと思うんですね。

 一方で、さっきの道徳、これは何か、だらしない生活をしている、心が弱いというような観点で捉えられる側面もあろうかと思いますね。

 保健体育に書いていくということは、それが文科省としてはある種病気の一種だという位置づけの中で、今後の対応としては、保健体育の学習指導要領解説への記載ということをしていくということなんでしょうか。

松野国務大臣 ギャンブルそのものということよりも、ギャンブル依存症、過度なギャンブルによって依存症になるということ、この依存症が精神疾患ということでございます。

玉木委員 過度な依存症になるということは精神疾患ということで文科省は考えておられるんですね、という理解でよろしいんでしょうか。事務方、大丈夫ですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 依存症というのは、基本的には、飲酒や薬物乱用、喫煙による依存症というのを現行の指導要領では書いております。これは、精神疾患というよりは、健康そのものに影響を及ぼすということでございます。

 ただ、一方で、今回、新しい高等学校の指導要領では精神疾患を取り上げるということで、うつ病とか統合失調症のようなものは今想定されておりますが、例えばインターネットの過度な依存とかあるいはギャンブルの依存症というのも広い意味でこの中で取り上げ得るということを考えておりまして、今回、それを指導要領と解説の枠組みの中に新たに位置づけていこう、そういうことを検討しているということでございます。

玉木委員 この論点整理の文科省の対応のところに、「「保健体育」の時間を通じて、欲求やストレスが及ぼす影響や、適切な対処が必要であることについて理解し、自分にあった対処法を身に付けられるよう指導が行われている。」ということなんですね。

 保健体育のところに書くということは、そういう病気、病的なものになったら適切な診断、治療を受けましょうということなのか、欲求やストレスを、要は、ストレス解消をうまくやりましょうという観点で記述していくのか、これはどうなんですか。

高橋政府参考人 ストレスが及ぼす影響や適切な対処につきましては、これは中学校の段階でも入っておりまして、それを中高で行うということでございますが、特に発達段階を考えて、高等学校においてはさらにギャンブル依存症といったことについても取り扱っていこうということで、両者は基本的には二つの体系の中で考えております。

玉木委員 ちょっとよくわからないですね。総理がおっしゃって、青少年への影響ということを明示されているから、これは結構大事だと思うんです。

 私、totoのときを思い出すんですけれども、やはりあのときもいろいろな反対があったんですね。PTAの方々からも当時かなりいろいろな意見をいただいたのを覚えていますけれども、依存症対策は本当にきちんとやらないと、特に青少年への影響なんかを考えてやらないと、IRを入れてしまうと、本当に、うまくいけばいいんでしょうけれども、こういった悪影響が、きちんと対策を打てないままに始めてしまうと、大きな社会的な影響があるということであります。

 今お伺いしても、ギャンブル等依存症に対する学校教育上における位置づけとか対策が、私、必ずしもきちんとまだ整理されていないような気がするんですね。ですから、これは大臣、文科省としてもきちんと議論を深めていただきたいと思いますし、病気なのか怠け者なのか、これはなかなか境目が難しいところではあると思うんですけれども、そういった整理からやはりきちんとして、適切な対策を学校教育の中でも講じていただくということをお願いしたいと思いますが、大臣、最後にいかがですか。

松野国務大臣 先ほど答弁させていただきましたけれども、ギャンブル等の依存症の恐ろしさについて理解できるように、効果的な指導内容についてしっかりと検討してまいります。

玉木委員 このギャンブル等というのは、「等」は遊技なんですね。パチンコ、入っていますよね。

 現在、パチンコに対して、文科省はどう考えておられるんですか。先ほど言った、適切なストレスの解消法として将来大人になったらやってもいいと考えるのか、やはり道徳に書いている、節度を守り節制に心がける、適度なパチンコはいい、過度なパチンコになるとだめだと。

 今回、実はギャンブル等とあえて遊技も入れて議論を始めているのは、かなりパチンコも依存症があるし、非常に不幸な事件では、幼い子供を車の中に置き去りにして、夏、死亡させるといった事案もあるわけでありまして、笑い事ではない話なので、学校教育上、パチンコに対してもどのように位置づけておられるのか。ギャンブルと同じなのか、ギャンブル等ということで少し違う考えをこれまでも議論されてきたのか。もしあれば、教えてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 パチンコにつきまして、例えば校則で遊技場等への出入りを禁止するとか、そういった場合であればルールの問題でございまして、むしろ、学校における生徒指導の対象として適切な指導をしていく必要があるというふうに考えています。

玉木委員 生徒指導というのは、学校をサボってパチンコに行っている人にだめよという意味での生徒指導か、将来、例えば人生設計とか、先ほど話があった、収支をちゃんと、自分の暮らしを立てていく中で、将来にわたってもそういうことをしっかりやるという中で指導するような話なのか、それはどちらなんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、子供たちが学校に通っているときにそういう遊技場に出入りする、パチンコなどをやっているということであれば、当然、生徒指導の対象でございますが、そもそも風営法で、十八歳未満、子供たちについてはそういったことが禁止されていますので、そういったことについて申し上げると、生徒指導というよりは、きちんと教育として対応していくということでございます。

玉木委員 今政府が対応しようとしているのは、ギャンブル等依存症になっていますから、今まで必ずしも明確ではなかったかもしれませんが、そうしたパチンコに対する対策も、学校教育における対応として、今までもし抜けているのであれば、これもあわせて、いわゆるギャンブル、狭義のギャンブルということとあわせてやはり議論、検討をしていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。

 次に、前回も質問させていただきましたが、国家戦略特区における獣医学部の新設について伺いたいと思います。

 愛媛県今治市につくられようとしています加計学園の獣医学部の創設についてでありますが、松野大臣が、四月十日、学校設置審議会に設置認可を諮問したということであります。

 まず、定員が約百六十名と伺っております。これは当委員会でも議論しましたが、獣医師の数は足りている、これは文科省さんも農水省さんもおっしゃっている。ただ、地域ごと、分野ごとの偏在があります、なので、空白地域の四国につくりますという話だと思います。ただ、数は足りている。

 今、十六の国立、公立、私立の獣医学部がありますけれども、大体年間九百名強の定員があって、獣医さんが生み出されていくということなのでありますが、聞いたら百六十名ということなので、二割弱の新たな枠ができるということなんですね。これは相当のインパクトがあると思います。

 ちょっと時間がないのでこの点はきょう聞きませんが、それを教える先生方もそれなりのレベルの人がそれなりの数要るわけでありまして、この設置認可申請によると、約七十名ぐらいの教員を用意しているということで申請をするということなんですが、これは実は、私のところにある情報提供がありまして、この七十名ぐらいの教員のうち十数名が六十五歳の定年近傍の人、あるいは現在学生で学位を持っていない者もこうした教員候補に含まれているというふうな情報提供がございました。

 これから具体的な審議が進むんだとは思いますけれども、こうした定年近傍の方、あるいは学位を持っていない現在学生のような人も教員の候補リストに含まれているということなんですが、これは事実関係はいかがでしょうか。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 ことしの一月でございますが、内閣府が実施をいたしました特定事業者の公募に応募がございました学校法人加計学園の構想において、新設する獣医学部の専任教員を七十名配置するということが記載をされております。三月三十一日付で獣医学部の設置認可の申請がございまして、四月十日に、文部科学大臣から大学設置・学校法人審議会に諮問がなされたところでございます。

 現在、同審議会において、教育課程や教員組織、施設設備等が学校教育法及び大学設置基準等の法令に適合しているかについて、学問的、専門的な観点から審査が進められておりますので、申請書の具体的な内容についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えてございます。

玉木委員 総勢三十名の教授就任予定者のうち、その半数の十五名がほぼ六十五歳ないしはそれ以上の年齢、このうち二名は学位すら取得をしていない、また、九名はまだ学生であり、学位もなく、教育歴も皆無である、こういう話があります。真偽のほどはわかりません。

 ただ、いろいろな、例えば、今話があった、一月四日に公募をしてから大変短い期間で、しかも一校だけが選ばれるといったようなこの間の手続について、当委員会ではなく、いろいろな委員会で疑義が呈されているところでありますから、このようなことについてもしっかりと調べて、本当に十分な教育が施されるような体制が組めるのかどうか。

 ただでさえ日本の獣医学は、世界のレベルに比べて、現在の十六校についても、それを世界レベルに上げていこう、これが一つの大きな課題にもなってございます。特にライフサイエンスとか先端分野に特化してやろう、普通の獣医をつくるんじゃないというのがもともとの特区の議論をしていたときには実は条件に入っていたのが、いつの間にか消えてしまって、私、それが不思議なんです。ただ、とにかく先端分野の、通常の獣医学教育ではできないものをやろうということで特区で認められたわけでありますから、その教員も、通常の獣医教育ではない相当ハイレベルの教育スタッフがそろうべきだと思いますね。

 そんな中で、今、情報提供があったような、ほぼ定年間近の人がほとんどであるとか、あるいは、これはにわかに信じがたいんですけれども、現在は学生で、今現在はまだ学位を持っていないとか、そういう人がもしリストに並んでいるとしたら、それは甚だ問題だと思いますので、これは、真偽のほどはわかりませんが、しっかりと調べていただきたいなと思います。

 最後に、北朝鮮の動向、半島情勢が非常に緊迫化しております。そんな中で、韓国にある現地の日本人学校等在外教育施設の安全確保について文科省としてどのような対応をとっているのか、最後に、この点だけお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 文部科学省では、在外教育施設に在籍する児童生徒や教職員の安全確保を目的として、従前より、危機管理、安全対策資料の配付、在外教育施設に対する日本からの安全対策巡回指導、緊急事態発生時の文部科学省等との連絡体制の整備の取り組みを行っています。

 特に、今回の朝鮮半島の情勢を踏まえて、外務省と密に連携をとっているところであり、昨日四月十三日には、ソウル日本人学校、釜山日本人学校を含む日本人学校、補習校に対して注意喚起の通知を発出したところであります。

 引き続き、外務省と情報共有しつつ、必要に応じて現地に情報提供するなど、緊急時に備えて、在籍児童生徒や教職員の安全管理に万全を期してまいりたいと考えております。

玉木委員 留学生も含めて、外務省と連携してしっかりとした対応をとっていただきたいと思います。

 終わります。

永岡委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 ことしで十一年目となる全国学力テストが来週の十八日にことしも行われます。ことしもまた全国全ての学校の全ての小学六年生と全ての中学三年生がこのテストを受けることになります。

 これまでも私たちは、この全国学力テストの実施とその結果の公表が教育をゆがめるさまざまな弊害を現に生んできていることを指摘し、実施はやめるように求めてまいりました。きょうは、この問題について松野文科大臣に質問したいと思います。

 まず、結果の公表にかかわってお伺いしたいと思います。

 文科省は、平均正答率などの調査結果を都道府県別に公表しており、さらに、各教育委員会の判断で、自治体ごとあるいは学校ごとにも公表できるようにしてきました。そのことが、全国で序列化と過度な競争を招いている、さまざまな形で教育をゆがめております。

 そのことは、文科省自身も実施要領の中で、調査結果の公表に関しては、「調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要である。」と述べているとおりであります。

 さらに、昨年の八月十二日、初等中等教育局長名での「全国学力・学習状況調査の結果の分析及び公表について」との通知が発出をされました。

 まず、局長に伺いたいと思います。

 この通知の趣旨について、簡潔にお示しいただけますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねのこの通知の趣旨でございますが、全国学力・学習状況調査の趣旨、目的に沿った実施を徹底し、数値データによる単純な比較が行われ、それを上昇させることが主たる関心事とならないように、各教育委員会に対しまして、報道発表も含め、調査結果の公表に際しては、序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等を考慮して適切なものとなるよう、改めて御配慮いただくというものでございます。

大平委員 今の答弁にありましたとおり、文部科学省も、全国学力テストの結果の公表によって、数値データの上昇のみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取り扱いが起こりかねないという弊害を認めておられ、あくまでも序列化や過度な競争が生じないよう配慮せよと、こうした通知で再度念押しをしております。

 そして、昨年度からは、実際の公表に当たっては、都道府県別の平均正答率を小数点以下まで示していたものから整数値までにとどめて公表するというものに変更をしました。

 局長、これはなぜこういうふうに変更したんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、平成二十八年度の全国学力・学習状況調査の結果につきましては、国といたしましては、平均正答率についての都道府県の一覧では小数点以下の四捨五入をした整数値で公表をしております。

 この理由につきましては、平均正答率につきましては、学力面において細かい桁における微少な差異は実質的な違いを示すものではないからでございまして、より序列化や過度な競争を招くおそれがないように、都道府県の一覧では、公表は整数値に変更したということでございます。

大平委員 あえて局長は読み飛ばしたのかなと思われるんですが、その前には、「小数点以下第一位の数値を公表することが、数値データによる単純な比較が行われ、序列化や過度な競争を助長する一つの要因として考えられる。」というふうにここで述べておられます。だから、整数値までの公表にしたと。

 私は最初から公表そのものをやめるべきだというふうに思いますが、少なくとも、この間、文科省としても、そういう弊害が生まれるということを認めざるを得なくなっている。

 私、この間、全国各地でのこの結果の公表によるさまざまな弊害をお伺いしてまいりました。

 例えば、青森の先生から聞いたお話では、青森県というのは毎回成績の上位にランクインをしている県でありますが、例えば校長会で、席順が学力テストの成績順になっていたりとか、あるいは学校ごとの順位が書かれた資料が渡されるということが平気で行われている、こんなお話も伺いました。

 また、これは報道でも大きく出ましたので御存じだと思いますが、静岡県、二〇一三年の学力テストで小学六年生の国語が全国最下位だったことを受けて、静岡の県知事が、テスト結果が最下位ということは授業が最下位ということだ、教員に責任がある、責任の所在を明らかにするために下位百校を公表すると公言しました。多くの県民が反対の声を上げて、それ自身は行われませんでしたが、そのかわりにといいますか、全国平均を上回った八十六校の校長名を公表した。すぐに地元マスコミはこれを学校名もつけて公表し、結果として、全国平均を下回った残りの学校が世に明らかになるという、こういうことになってしまったわけです。

 大臣、この間、結果の公表によって序列化や過度な競争が生まれてはならないという通知も出してきましたが、現状はこうなっている状況についてどんなふうに受けとめておられるでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 全国学力・学習状況調査を実施することにより序列化や過度な競争を招いているものではないと現状を認識していますが、今後、序列化や過度な競争を招くおそれがないように、先般、公表方法の変更などを行ったところであります。

 また、文部科学省としては、各教育委員会に対し、教育指導の改善充実に活用できるような多角的な観点から分析した内容の公表をお願いするとともに、国としても、調査結果の公表においては多角的な観点からの分析を行ってまいります。

大平委員 過度な競争は招いていないという御答弁でした。少し驚きました。一方で、通知で繰り返し文科省自身が、招いてはならないというこのアナウンスをやっているわけですよね。

 そこで伺います。

 各都道府県教育委員会が作成している教育振興基本計画というのがありますが、教育施策の目標値に全国学力テストの平均正答率などを置いているところが少なくないというふうに私も聞いております。

 例えば、私の地元、局長、ちょっと紹介していただきたいんですが、広島県あるいはお隣の山口県のこの計画の内容がどのようになっているか、お示しいただけますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年に策定されました広島県教育委員会主要施策実施方針におきましては、全国学力・学習状況調査の平均正答率におけるトップ県とのポイント差及び同調査の全国平均を上回っている教科数が指標になっているところでございます。

 また、平成二十五年に策定されております山口県教育振興基本計画におきましては、全国学力・学習状況調査の平均正答率が小中学校の全区分で全国平均を上回ること、及び、勉強が好き、どちらかといえば好きと回答している児童生徒の割合を増加させることなどが目標となっているところでございます。

大平委員 今御答弁のありましたとおり、今や、少なくない都道府県が学力テストの平均正答率を教育施策の目標として使っているという現状があるわけです。

 さらに私、御紹介をしたいのは、岡山県の状況であります。岡山県では、県の行動計画の冒頭に、重点政策一というふうにした上で、教育県岡山の復活を掲げております。その冒頭で、この全国学力テストの平均正答率を全国十位以内を目指すということが高らかにうたわれております。

 これはまさに、文科省自身も繰り返し指摘をしている、数値データの上昇が主たる関心事になってしまっているんじゃないかと感じずにはおられないんですね。実施要領でも言われています、調査により測定できるのは学力の特定の一部分であることということが、果たして本当に徹底されているのか。

 何より、他県と比較をして順位いかんをはかるということに何の意味があるのかというふうに思うわけです。きちんと学力が身についているかどうかをはかる指標としても私は誤っているんじゃないかと思うわけです。たとえ十位以内に入っても、その年、全国の学力テストの成績が全国で悪かったら、やはり本来子供たちにつけてほしい力が、十位以内に入ったとしてもついていないということにこの話からいえばなるわけで、それが県の重点政策の冒頭に大きく掲げられているということに私は非常に違和感を感じるわけです。

 大臣、こうした岡山県の実態を含め、こうした事態、状況をどのようにお感じになられるでしょうか。文科省自身が危惧してきた序列化、過度な競争というのが現場でも起きているんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、通知等におきまして、過度な競争を招くことのないようにということで各都道府県の教育委員会に対してお願いをしているところでございます。

 また、全国学力・学習状況調査の結果公表について、文部科学省といたしまして、現状においては過度な競争を招いている実態にあるという認識はございませんで、今年度以降も引き続き調査結果の公表を行っていきたいと考えております。

大平委員 招いていない、しかし通知は出している。と言うから、私は、こうした実態、リアルな実態を聞き取ったものを皆さんに御紹介しているわけです。

 何が深刻かといえば、こうした目標を掲げることが、何よりも子供たち、そして学校の現場、教員の皆さんに厳しい点数競争に追い立てているということなんです。

 岡山県では、学力テストで全国十位以内を目指すということで、冒頭にも述べましたが、自治体ごとに結果を公表し、そして、昨年度までの三年間、頑張る学校、校区には百万円を交付する、こういう施策も行われる。小学校六年生、中学校三年生の全国学力テスト以外に、県独自の中一テスト、小学校四年生、小学校五年生と中学校二年生でのたしかめテストの実施など、子供たちと教員を巻き込んだ激しい競争が広がっている。子供や保護者の皆さんからも、宿題が多くて大変だ、夜遅くまで学校に電気がついている、こういう不安の声、危惧の声が多く寄せられております。

 このように、結果の公表によって各学校の点数が比較をされる、テストの平均点を上げることが至上命題となり、子供たちと教員が過度な競争に駆り立てられ、教育をゆがめる弊害が私は深刻なものになっていると思います。

 大臣、改めて、文科省もこの弊害を認めている調査結果の公表を私はやめるべきだと思いますが、いかがですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 全国学力・学習状況調査の結果公表が過度な競争を招いているとの認識はなく、引き続き調査結果の公表は行っていきたいと考えております。

 なお、国として都道府県別の結果を公表している理由としては、国全体の調査結果について説明責任を有しており、その視点から、全国的な調査結果だけを示すのでは十分でなく、都道府県単位の状況について公表する必要があるためであること、また、都道府県教育委員会は、小中学校の県費負担教職員の人事権を有するなど都道府県域全体の教育行政に対してさまざまな役割を担っていることなどが挙げられております。

大平委員 学力テストの実施と、その結果の公表によって生まれる弊害はこれだけにとどまりません。

 昨年の四月の二十八日に、同じく文科省初等中等教育局長名で発出した「全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について」、これは異例の通知ですが、こうしたものが発出されました。

 局長に伺います。

 なぜこうした通知が発出されたのか、その背景と趣旨について簡潔にお示しください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 全国学力・学習状況調査は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握し、分析を行い、教育施策及び教育指導の成果と課題の検証や、その改善に役立てることを目的として実施されております。

 委員御指摘の通知でございますが、仮に、数値データの上昇のみを目的としているととられかねないような行き過ぎた取り扱いがあれば、それはこの調査の趣旨、目的を損なうものであると考えられることから、関係者間におきまして、いま一度原点に立ち戻って、この調査の趣旨、目的に沿った実施がなされるよう、各教育委員会及び所管の学校に対して依頼する目的で発出したものでございます。

大平委員 また、局長、意図的なんでしょうか。一番大事なところを読み飛ばしているんですね。

 この通知では、「一方で、四月前後になると、例えば、調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させ、本来実施すべき学習が十分に実施できないなどといった声が一部から寄せられるといった状況が生じています。」だから、こういう、数値データの上昇を目的ととられかねないような行き過ぎた取り組みになってはならないということを言っているんですね。

 ここで述べている、本来実施すべき学習が十分に実施できない状況というのは、どういう状況のことを指しているんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 数値データの上昇のみを目的として、調査実施前に授業時間を使ってテスト形式で集中的に過去の調査問題を練習させることによって、結果として、本来行うべき授業の展開とか児童生徒の理解定着の機会を狭めるような状況が、お尋ねの状況で想定されているところでございます。

大平委員 テスト対策と称して過去問を繰り返しやらせる。四月に行われる全国学力テストの直前になれば、そういうことが全国で大きく行われる。そういうことがあるから、そういうことにならないようにということで、この四月二十八日、異例の通知が出されたわけです。

 私、以前の質疑の際にも紹介したんですが、例えば、私の地元の広島の地方紙、中国新聞では、次のような記事を目にしました。新学期が始まっても、テスト対象となる小学六年生は、四月下旬のテスト実施日まで前年度の復習をするのが年中行事になった、配られた真新しい教科書が学力テストの翌日まで一切使われず、机の中で眠ったままに、六年生の新学期はそんな光景が普通になった、こんな記事を見ました。

 まさに学力テストによって、今、全国各地で、この通知が述べている、本来実施すべき学習が十分に実施できない、そういう看過できない事態が私、生まれていると思うんです。

 さらに、私は島根県の状況を御紹介したいと思います。

 島根県では、この間、我が党の県議団が繰り返しこの全国学力テストについて県議会で取り上げてきました。その中で、テスト直前に過去問題を解かせている学校がどのぐらいあるのか、これを調査せよと要求し続けてきました。そして、その調査結果を、ことし二月の県議会定例議会で県の教育長が報告をしました。そこで明らかになったことは、島根県内二百九十九の公立小中学校のうち、小学校で九十三校、中学校で十八校の合わせて百十一校、割合にしておよそ四割の学校で直前の対策を行っていたことが明らかになりました。

 委員の皆さんに配付している資料をごらんいただきたいと思います。県の教育委員会の作成の資料ですけれども、そのうち四十九の小学校と八の中学校では、まさに学力テストが行われる月である四月に、授業時間を使って行わせております。この表全体にある二月から四月までの三カ月の間で、これも直前だと言っていいと思いますが、二月から四月の三カ月の間で見ると、小中学校合わせて七十八校、二百九十九校のうち七十八校で、本来の授業時間を使って、授業時間を削って過去問を行わせているということが明らかになりました。

 まさに、学力テストによって、そして結果の公表も含めたこうした点数競争の中で、本来実施すべき学習が十分に実施できない状況が、この通知では一部と書いているんですけれども、私は、決して一部どころか、相当の規模で生じていると思います。

 松野大臣に改めてお伺いしたいと思いますが、何のための学力テストなのかという根本が問われる事態が私は横行していると思います。皆さん方が進める施策がこうした教育のゆがみを引き起こしているという御認識があるでしょうか。松野大臣にお伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御紹介の島根県の事例でございますが、島根県につきましては、例えば、四月に、授業時間で類似問題も含めた過去問題を使ったかどうか、そういった使ったか否かということだけを把握したものではないという、そういう調査でございます。

 すなわち、数値データの上昇のみを目的としているのか、あるいは本来実施すべき学習が十分に実施できていないのか、これらの要素も含めて把握しているものではございませんので、島根県教育委員会におきましても、例えば、四月に行った五十七校全てが問題事例であるというような認識はしておりませんで、私どもとしても、同じような認識を持っている次第でございます。

 また、委員お尋ねの件につきまして、私どもとしては既に繰り返し通知を出しているわけでございまして、学校において数値データの上昇のみを目的としているととられかねないような行き過ぎた取り扱いがなされることは好ましくないということを各都道府県教育委員会等に対してお示ししておりますが、現状において、そのような取り扱いがなされているというような認識は持っていないということでございます。

大平委員 私は、大臣の御認識をお伺いしたわけですけれども。

 島根県だけでは決してないです。中国新聞の記事を先ほど紹介したこともありますし、例えば、前半紹介しました岡山の先生たちから私が聞いた話の中でも、本来行うべき授業内容を圧迫しているとか、時間をとられ教科指導に影響が出ている、過去問の解説に時間がかかり授業が進まない、授業時間が減って計画どおりに進まない、こうした声をたくさん聞いております。文科省はそういう声を聞いていないのかと疑問にも思うわけです。

 島根県の調査のことを、局長、云々言われましたけれども、大臣にお伺いしたいと思うんですが、文部科学省の最低限の責任として、全国各地で本来実施すべき学習が十分に実施できていない状況が、文科省としては一部に生じていると。しかし、一部であったとしても、こういう看過できない状況が生まれているということをお認めになっているわけですから、そして、少なくとも島根ではそのことをにおわせる資料を教育委員会が調査をして公表している。

 文部科学省としての最低限の責任として、今、全国でこうした問題が起きているのか実態の把握を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 この通知の趣旨は、関係者間において、いま一度原点に立ち戻って、本調査の趣旨、目的に沿った実施がなされることを求めるものであり、何らかの実態把握を求めるものではありません。

 なお、文部科学省としては、これまでも、実際に学校を訪問し、児童生徒や学級担任、教科担任等と意見交換をしてきており、今後とも、必要に応じ適宜、状況の把握に努めてまいりたいと考えております。

大平委員 いま一度原点に立ち戻ってということを強調しているということは、原点から踏み外しているような状況が、現状、全国にあるという認識の裏返しではないでしょうか。

 通知一枚出して終わりという対応ではなくて、実施すべき学習が実施できていないという実態が少なくともあるわけですから、これは全国でどうなっているのかと、全国学力調査を十一年目も引き続きやる、さらに結果の公表もやると言っているわけですから、私は、その中で生まれている弊害をきちんと実態調査するということは最低限の責任だ、そのことも重ねて訴えておきたいというふうに思います。

 今でさえ、結果の公表と点数競争の中でこれだけの弊害が出ているにもかかわらず、今年度から文部科学省は、さらにその公表の内容を質的にも規模的にも広げようとしております。

 本年三月二十九日、全国的な学力調査に関する専門家会議が、「全国的な学力調査の今後の改善方策について」のまとめを発表いたしました。その中で、全国都道府県別の調査結果の公表に加えて、今年度から全国の指定都市ごとにも公表することを決めました。公表する範囲がどんどん広がっている。

 それだけではありません。このまとめでは、これまで各都道府県の教科ごとに全体一本での平均正答率を公表していたところから、より細かな、新たな仕組みでの公表にするとしていますが、どういう内容になっているのか、御説明ください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、今年度から新たに指定都市についても公表するという点でございますが、これは、従来、指定都市は教職員の人事権を持っていたわけですが、給与の負担についての権限を持っていなかったということで、今回、指定都市の役割が高まったということで、都道府県並みということで、新たな対象として公表の対象とするというふうにしたところでございます。

 また、お尋ねの、委員御指摘の改善方策のまとめの関係でございますが、ここにおきましては、二教科四区分、理科を実施する場合には三教科五区分でございますが、それらごとに、児童生徒を正答数の大きい順に整列し、人数割合によって二五%刻みで四つの階層分けを行い、A、B、C、Dの四つの層として示した割合、それから、全国学力・学習状況調査結果チャートの学校運営における学校質問紙調査項目に係る領域ごとの数値、それから、同じく全国学力・学習状況調査結果チャートの児童生徒における児童生徒質問紙調査項目に係る領域ごとの数値、さらには、年度ごとの調査内容、結果を踏まえた特徴的な質問紙調査項目の回答状況につきまして、新たに都道府県、指定都市の一覧での提供、公表を行うこととするというふうにされております。

大平委員 つまり、あなたの県にはよくできたAに属する子供たちが何人いて、ほとんどできなかったDに属する子供たちが何人いますと、人数割合で示す、これを全国一覧にして公表しようというのであります。序列化や過度な競争を生じないようにといいながら、まさに序列化を招くような材料を文科省みずからわざわざ提供し、公表しようとしているのであります。

 局長に重ねて伺いますが、全体一本での平均正答率の公表を今、都道府県ごとに行っているわけですが、各教育委員会の判断で、この新たな仕組みも、自治体ごと、学校ごとに公表することを認めるというものになるんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 調査結果の公表に関しましては、教育委員会や学校が保護者や地域住民に対して説明責任を果たすことが重要である一方、調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要であるということでございます。

 その上で、調査結果の公表に当たりましては、公表する内容や方法等については、教育上の効果や影響等を考慮して適切なものとなるよう判断すること、単に数値のみの公表は行わず、調査結果について分析を行い、その分析結果をあわせて公表すること、さらに、数値について一覧での公表やそれらの数値により順位を付した公表などは行わないことなどを踏まえた上で、学校の設置管理者である各教育委員会の判断で、それぞれの教育委員会、さらには学校ごとの結果を公表することは可能であるというふうに考えております。

大平委員 とんでもないと言わなければなりません。

 文科省は繰り返し、序列化や過度な競争は生じないようにと言いながら、まさにAからDの四つのランクづけをして、これも新たに都道府県ごとに公表して、そして自治体ごと、学校ごとの公表も可能とするというものです。全く矛盾していると言わなければならないと私は思うんですね。

 それだけじゃありません。このまとめでは、新たな指標を教育委員会に提供するとして、「各教育委員会に対し、学校ごとに、学校がより一層指導を充実すべきと考えられる一定の学力層の児童生徒の人数及びその割合を示す。」と書いており、さらに、このことにより、教職員の配置や学校への予算配分等への活用をしやすくするということまで、このまとめでは書かれております。

 これは局長、どういう意味なのか、新たなこの指標についての説明をしていただけますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、学校がより一層指導を充実すべきと考えられる一定の学力層の児童生徒の人数及びその割合についてでございますが、国語、算数、数学の教科ごとに、比較的課題を克服しやすいと推測される設問として、全国正答率五〇%以上の設問を取り出し、そのような設問のうち、正答の設問数が二分の一以下である児童生徒について、学校ごとに人数及びその割合を割り出すという趣旨でございます。

大平委員 最後に、大臣にお伺いします。

 先ほど答弁でも大臣おっしゃいました、説明責任だ、分析しやすいようにわかりやすく示すとおっしゃられるわけですが、このことによってどれだけ学校現場が、子供たちや教員の皆さんが競争に追い立てられ、追い詰められているか。皆さんの通知の中でも、実施から丸十年がたって、いま一度原点に立ち戻ってという言葉もありましたが、これだけ皆さんもお認めになる弊害が生まれている全国学力テストは中止すべきではありませんでしょうか。少なくとも、調査結果の公表は直ちにやめるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 文部科学省において、現状が学力テストによって過度な競争を招いているという認識はございません。この学力テストによって一定の教育効果が出、また、各教育委員会がその結果を精査、分析することによって、それぞれがより効率的な教育行政を行うことに資するものと考えております。

大平委員 毎年六十億円の予算は、何よりも、少人数学級など教育条件の整備に充てるべきだということを訴えて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本日は、国民の健康、安全という観点と文部科学行政のかかわりについて述べさせていただきたいと思います。

 この委員会で再三お話しさせていただいておりますように、私自身は、メディカルドクター、医師でございまして、医療行政というのを、現場におる観点、もしくは大学において研究する観点でお話をさせていただいておりました。

 私の地元、大阪第十一区、枚方市、交野市の枚方市におきましては、各単科大学もしくは総合大学として、関西医科大学において医療、大阪歯科大学において歯学、摂南大学薬学部におきまして薬学ということで、それぞれに医師、歯科医師、薬剤師であったり、それぞれの研究というところなんですけれども。

 その中で、私自身が、これもまた再三この委員会でお話しさせていただいていますように、ラグビーをやっているものですから、この春に、ちょうど今ぐらいの季節から始まるんですけれども、関西において、医歯薬リーグ、医科、歯科、薬のラグビーリーグというのが開催されまして、その御縁で、卒業してOBになった時点でも、各学部、各大学のラグビー部の方と懇意にしております。

 特に、地元の大阪歯科大学のラグビー部のOB会の皆さんには、私自身は出身は医学部ですし、神戸大学なので対戦相手だったんですけれども、今、OB戦として助っ人で呼ばれたりとかもしています。九州の歯学部と東北の歯学部と試合をしたときに、僕が足りないメンバーの中に入っておりまして、そういった中で、よく医学の現状、歯学の現状とかというのを話をして、はたまた現役の学生も来られますので、今の歯学教育についてお話をお伺いするんです。

 そんな中で、ちょっと今回は違和感を感じたことなんですけれども、特に、歯学部の中でも私立の歯学部というのは、どうしても、私学助成金の関係もありまして、国家試験の合格率というのを残念ながら第一義に考えている、教員の皆さん、学校も、そこに偏重する傾向も見受けられます。全部の先生じゃないし、全部の私立の歯学ではないと思うんですけれども、残念ながら、国家試験に合格するためのあたかも予備校みたいな感じで授業が展開されているところもございます。国家試験の過去問。

 本当に、何となくですけれども、先ほど大平議員の話を聞きながら、最低限の知識はやはり教育ですから必要ですけれども、そこにばかり偏重するのもどうかなというのを先ほどから感じていたんです。

 歯学教育というのは、もちろん、最低、国家試験には通るだけの学力がなければいけないというのはわかるんですけれども、やはり良質な歯科医師の育成でありましたら、どうしても、我々医師と違いまして、歯科医師の先生というのは、御自身で開設をして、歯科医師として、管理者として地域の医療に貢献されるというところもありますし、患者様の機微な医療情報であるプライバシーを取り扱う道義的責任も問われれば、国民の健康でありますので、社会秩序を保つための法的責任にも数多く向き合うことになります。その中で、国家試験の問題だけでそれがカバーできるか。

 誤解を受けないようにお話ししますけれども、私自身もやはり国家資格を受けまして、国家試験の勉強をしていましたので、このことが不要ということは申し上げません。しかしながら、教育環境やカリキュラムがこの資格に対してどのように必要であるかを国民に広く啓示していくことも必要だと思っております。

 歯学大学の教育、歯科医師の教育の質の向上を図るために学校教育において体制を整えておくことが、最終的には歯科大学生の客観的な資質の担保につながると思いますし、国民の皆さん、地域の皆さんの健康、安全にもひいてはつながると思うんですけれども、こういった歯科大学、歯学部などの教育に対する文部科学省としての取り組みというのをまず総括的にお話しいただければと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 人の命や健康にかかわる歯科医師の養成において、歯学部教育の質の向上は極めて重要であると考えております。

 文部科学省では、歯学教育に関する有識者の会議による検討結果を踏まえまして、各歯学部に対して、歯科医師としての臨床能力の確保や体系的な歯学教育の実施に係る取り組みの推進を強く促しているところであります。

 加えて、これを受けた各歯学部の取り組みについて、昨年三月に公表されたフォローアップの結果、臨床能力に関する試験の実施や、歯科疾患が全身に及ぼす影響に関する体系的な教育など、特色ある取り組みも確認をされています。

 さらに、社会状況の変化に伴う多様な歯科医療ニーズに応えるため、文部科学省では、大学を対象とした補助事業である課題解決型高度医療人材養成プログラムにおいて、医学部と連携した教育体制の構築に係る取り組みを支援しているところであります。

 文部科学省としては、このような取り組みを通じて、質の高い歯科医師の養成に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 文部科学省としては、やはり、歯科大学の学生の、もしくは歯学部の学生の資質の担保に資する教育を、有識者を交えて年度ごとに検討されているというのはよくわかるんですね。ただ、実際に医療の現場において、厚生労働省が把握されているそういった結果において、多分、新しく新規参入される誕生した歯科医師、こういった人数の議論もされていると思うんです。

 これまでに、昭和六十一年、平成十年、平成十八年、三回にわたって新規参入歯科医師の削減を中心とした議論が行われております。歯科大学の入学定員や国家試験に関する提言をなされて、入学定員を削減するという目標を達成しようとしていることを承知しております。

 現在、そのことに対して、今の大学定員の現状と、定員削減の根拠というのはどこにあるのか、もしくはどのような方法で進められているか、重ねて文部科学省としての取り組みを教えてください。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 歯学部の入学定員でございますけれども、昭和五十七年に閣議決定されました歯科医師抑制方針のもと、厚生労働省に置かれました検討会の報告等に基づきまして、昭和六十年の入学定員、三千三百八十名でございましたけれども、この三千三百八十名に対する二八%の削減目標を達成いたしますために、各歯学部に定員削減を働きかけてきたわけでございます。

 その結果、平成二十八年度の定員でございますが、二千四百七十二名となっておりまして、二六・九%の定員削減が行われているという状況でございます。

伊東(信)委員 ちょっと、根拠的なところをお答えいただかなかった気がします。

 三千三百八十名が今二千五百名というところなんですけれども、それだけ減らす根拠としましては、厚労省との議論があったと思うんですけれども、まず文部科学省側にお聞きしたいと思うんです。そういった提案というのは、文部科学省としては、定員を減らす根拠としては、厚労省からどのようなお話で受けとめておられますか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答えいたしましたように、昭和五十七年に閣議決定がございます。これは「今後における行政改革の具体化方策について」ということでございますが、その中で、特に医師及び歯科医師については、全体として過剰を招かないように配慮し、適正な水準となるよう合理的な養成計画を確立するという閣議決定がございます。

 それを受けまして、昭和六十一年の七月に、これは当時の厚生省でございますけれども、将来の歯科医師需給に関する検討委員会の最終意見ということがございまして、その中で、歯科医師の新規参入を最小限二〇%削減すべきであるというような報告、最終意見がございまして、それを受けて、文部科学省でも、有識者の会議を開き、まとめを行いまして、二〇%の削減ということをいたしました。

 そして、その次のステップといたしまして、平成十年に、厚生省において歯科医師の需給に関する検討会の報告がございまして、新規参入歯科医師を一〇%程度抑制するということがございました。それを受けて、私どもの方でも、懇談会を設けまして、削減をさらに継続するということで進めてきているという状況でございます。

伊東(信)委員 お話しされている内容については、私自身は、今の現状もしくはこういった取り組みというのはよくわかるわけなんです。

 だから、要は、現場において、やはり歯科医師の過剰供給が昭和五十七年の段階で予測されてきて、それに対して取り組みをしているというぐあいに理解するわけなんですけれども、実際私が聞きたかったのは、その過剰の状態というのを聞きたかったんですけれども、やはりここは、となれば、厚労省にお伺いしなければいけないんですけれども。

 入学があって、我々医師、歯科医師というのは国家試験を受けるわけなんです。歯科医師の国家試験についてなんですけれども、大体、歯科医師の国家試験というのは合格者が二千人ぐらいなんですね。先ほど答弁もいただきましたように、当初三千三百八十名から二千四百七十名に減っていますけれども、これでもまだ、国家試験に受からない人間が五百名出てくるわけなんですね。

 二〇一七年、ことしの四月四日の歯科医師の新聞、日本歯科新聞というのがありまして、そこで、数年、国家試験の合格者は二千人前後で決まっておる、歯学部全体の入学者は二千五百人で推移している、つまり、合格者二千人と相対評価として決まっているんやないかというような意見が出ているんですけれども、現状は本当にどうなのか。

 現在の歯科医師の国家試験の出題内容も含めて、出題方法も含めて、いわゆる合格基準について、厚労省よりお聞きしたいと思います。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、歯科医師国家試験の合格基準でございますけれども、毎年、医道審議会の歯科医師分科会におきまして審議されておりまして、現在、複数の基準から構成されているところでございます。

 まず、歯科医師として必ず具有すべき基本的な最低限度の知識、技能を問う必修問題につきましては、これは絶対基準での評価を行っているところでございます。一方、一般問題と臨床実地問題につきましては、問題の難易度による合格状況の大きな変動を防ぎ、一定の知識、技能を有する受験者が基準を満たせるよう、相対基準での評価を行っているところでございます。

 このように、歯科医師国家試験の合格基準は、一定の質を確保しつつ、問題の難易度等に左右されないよう設定されているものでありまして、合格者数の上限の設定はなされていないところでございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 本当に、現状としてそうだと思うんですね。資格試験ですので、ある決まった点数を、いわゆる普通の検定試験と違って、七十点合格とか八十点合格というぐあいにぴっちり決められないというのは、年度ごと、もしくは問題の質による、難易度によるところがあるからそういった調整があるというのは非常にわかります。

 いわゆるこれは統計学になってしまいますし、毎年のあれになりますので、それで大体二千人程度の合格者で毎年推移しているということは何となく理論的にはわかるんですけれども、現場の歯科の先生、歯科のいわゆるOB会の会長、もしくは大学の教員と話をしていても、ぴっちり人数で切られている、つまり、本当の意味での相対評価だというような危惧を持たれているというか、誤解であればその誤解を持たれている、認識をしている歯科の先生もおられるみたいなんですね。

 答弁の中でございませんでしたけれども、入学定員の削減というのは国公立大学を中心にされています。百名ぐらいいてた入学定員を五十名ぐらいに、国公立というのはかなり削減しています。これは私立の歯学部をもっと減らせという意味ではございません。大学においても経営というのがございますから、入学者の定員を減らすことは、やはり、いわゆる学校の運営にもかかわってくるという大学側の主張もわからないでもないわけなんですね。しかしながら、単純計算で毎年約五百名の卒業生が、歯学部を卒業しても歯科国家試験に合格できない、歯科医になれない学生さんもおられるわけです。

 もうちょっと踏み込んで言いますと、合格率が上がらなければ、私立の歯学部というのは残念ながらやはり予備校化している傾向もありまして、次の受験者数にもかかわってきますし、私学助成金にもかかわってきます。そうなると、かなりの頻度で留年をさせたり、もっとひどいのは、卒業しても国家試験を受けさせない、学校の方針として国家試験を受けさすことをとめているところもございます。

 歯学部に入っても歯科医師になれない学生がおられる現状を踏まえて、文部科学省として何かしら生徒に対する指導とか学校全体に対する指導とかという方策は立てられているのでしょうか。

    〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、昨年の七月から八月にかけまして、各大学の歯学部との意見交換の場を設けました。その中で、各歯学部に対して、先ほどお話がございました入学定員の削減であるとか、あるいは、今お話がございました指導の改善という観点から、最低修業年限での歯科医師国家試験の合格率を向上させていくような取り組み、また、仮に歯科医師として不適格な方については、進路変更を含む適切な指導を行っていただきたいというようなことを含めて、取り組みの推進について、意見交換の中で要請をしているという状況でございます。

伊東(信)委員 学生時代に、家庭教師なり塾の先生としてアルバイトをしていて、医学部であったり歯学部を目指される生徒さんが、高校生、浪人生の方がおられて、個人的に教えていたわけなんですけれども、医者であったり歯科医師であったり、開業されている親御さんの息子さんというのは、もう生まれたときからそれを運命づけられていて、ずっと教えられていますけれども、やはり一対一でしていると、どうしてもなりたくないという子供も中にはいてるんですね。それは親子の話し合いにもなるかと思うんですけれども。

 高等学校において歯学部を目指した、ところが、入ってもやはり不適である、そういった方の指導というのも、ぜひとも学校として、ほかにも道があるんだということを教えていただけるようなことを今答弁の中でいただいていましたけれども、そういった救済のことも、文部科学全体として考えていただきたいんです。

 このテーマの中で、松野大臣が最初の答弁でいいことをおっしゃっていただいたんですけれども、歯科医師の先生は、いわゆる歯、口腔内だけを診ているのではなく、全身状態ともかかわりがある、こういった認識をされていただいているのが、僕は、本当にすばらしいことだと思います。

 実は、生活習慣病、糖尿病とかに関して、口腔ケアをすることでそれがかなり予防できるという取り組みもされていると聞いていますし、そういったデータもございます。

 今後、少子高齢化を迎えて、高齢者の患者様がふえていく中で、介護の現場の中でも、全身の既往症を踏まえた上での歯科医療も必要とされていますし、かかりつけ歯科医師も重要視されています。

 私自身、かつて、医師になったときに、形成外科というところにおりまして、小児の、三カ月ぐらいの子供の手術をして、その後、口腔面に関してなんですけれども、矯正の先生と連携しながら、二十まで育成医療を使いながらやらせていただいたことも含めて、かなり医師、歯科の連携というのも今後考えられていくわけです。

 そういう中で、歯科医ではないけれども、専門知識を有している人材として活用することも可能ではないか、もしくは歯科医師としての重要性を再認識していただきたいんですけれども、厚生労働省内での検討の中で、こういった歯科医の重要性に関して検討というのは現在されていますでしょうか。もしなければ、それを要望として、厚労省よりコメントをいただきたい。

    〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 近年、歯科保健医療を取り巻く状況でございますけれども、例えば子供の齲歯の減少や、それから八十歳で二十本の歯を保つという八〇二〇運動の達成者の増加など、疾病構造の変化がございます。また、高齢者の受診患者の増加なども伴いまして、大きく変化しているところでございます。

 そのため、今でございますけれども、歯科医師の資質向上等に関する検討会というのを設置いたしまして、こうした歯科医療の需要の変化を踏まえた歯科医療体制、また歯科医師の需給と供給のバランスなどについても現在検討しているところでございます。

 特に、議員おっしゃいました医療や介護との連携や、それから医科、歯科の連携、それから地域包括ケアの中での歯科医師の参加など、そういったことも含めて検討しているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 つまるところ、やはりこれは、現場を見ている厚労省と教育に携わっている文科省との本当に連携となりますので、こういった連携のところを進めていただきたいと思います。

 このテーマはこのあたりで終わりますけれども、連携という意味で、実は、次は、日本における万国博覧会のことをちょっとお聞きしたいんです。

 現在、ラグビーワールドカップ、オリンピックのバッジ、そしてこの上に、これは実は大阪万博の推進のバッジなんですけれども、二〇二五年国際博覧会の立候補について、四月十一日に閣議決定をしていただきました。大阪の選出の議員ですから、大阪万博に関しての実現に向けて応援をしていきたいと思うんです。

 思えば、私は一九六四年生まれで、一九七〇年、ちょうど幼稚園から小学校のときに経験した大阪万博、これはやはり今でも鮮明に覚えていまして、月の石を見るためにアメリカ館で一時間待ったり、今では普通になっていますけれども、ムービングウオーク、動く歩道に乗って、当時、できたときは、今だったら、この議員会館の下の動く歩道でもそうなんですけれども、歩いていますけれども、あのときはみんな立って、そのまま待って、遊覧するような感じだったんですね。

 何十年も経て、太陽の塔しかりですけれども、かなり覚えておるんですが、来場者数も六千四百万人だったそうです。これは、比較して、二〇〇五年の愛知万博が悪いというわけじゃないんですね。ただ、二〇〇五年の愛知万博は二千二百万人、大阪万博は六千四百万人。そういう意味で、かなり一九七〇年の大阪万博というのは大盛況だと思うんです。現在もいろいろなレガシーも伝わっているんですけれども、そういった成功要因も含めて、その大阪万博の成功の要因についてどのように捉えているか、お教えください。

小瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 一九七〇年の大阪万博は、アジアで初めて開催する万博であり、国際的にも注目度が高く、御指摘のとおり、約六千四百万人という、それまでの万博の中で最も多くの来場者数を記録した万博でございました。

 御指摘のとおり、今日では当たり前になっている動く歩道のほか、携帯電話、あるいは実用化が近いリニアモーターカーを初め、一九七〇年当時の人々の心を躍らせるような未来の社会、生活のあり方を多く提案したことが成功要因の一つになったというふうに考えてございます。

 二〇二五年国際博覧会では、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックなどのレガシーを引き継ぎつつ、AIやロボットなど最先端技術を活用しながら、多様で心身ともに健康な生き方や、持続可能な社会経済システムの未来像を提案し、世界じゅうの人々の好奇心を刺激し、魅了する万博というのを目指していきたいというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 やはり、二〇一九年にラグビーワールドカップがあって、二〇二〇年に東京オリンピックがあります。関西では、ワールドマスターズゲームズというシニアの方の世界のスポーツ大会もあります二〇二一年を踏まえて、二〇二五年に、やはり日本の国のために、日本の国を盛り上げるために万博というのを国家戦略として頑張っていただきたいんですけれども、その誘致とかの現状というのは今どうなっていますでしょうか。

小瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月以来、安倍総理を初め首脳、閣僚レベルの外国出張や国際会議などのさまざまな機会を活用して、立候補を念頭に支持を要請し、既にほぼ全てのBIE、博覧会国際事務局加盟国に支援要請をしているところでございます。御指摘のとおり、四月十一日に立候補等の閣議了解がされ、速やかにBIEに対し立候補を届け出ることとしております。

 今後は、在外公館に加えまして、海外の政府や産業界とのつながりが深いジェトロなどの関係機関や、現地の日本企業が幅広く有する国際的なネットワークを最大限活用しながら、BIE加盟国各国の状況やニーズに合わせ、日本で万博を開催することの魅力を伝えていきたいというふうに考えています。

 先日設立されました二〇二五日本万国博覧会誘致委員会や関係省庁と連携し、オールジャパンの体制で誘致活動に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 時間が来ましたので、最後に文科大臣にお答えいただきたいんですけれども、オールジャパンでと先ほどおっしゃっていただきました。私の先輩であります山中先輩でも、やはり日本が直面する高齢化、少子化に対して、日本というのは本当に一歩も二歩も進んでいると思うんです。日本が二十年、三十年後に明るい未来像を示す必要があると思うんですけれども、松野文部科学大臣として、大阪万博に対しての貢献、協力をぜひともしていただきたいと思うんですけれども、何かそういった議論なり、そういった意気込みというのはございますでしょうか。

松野国務大臣 大阪への誘致を閣議了解した二〇二五年の万博は、心身ともに豊かさを感じられる命輝く生き方や、持続可能な未来の社会経済システムを皆でデザインすることを目的としております。

 教育、科学技術、スポーツ、文化を所掌する文部科学省としてどのように貢献できるのかを省内で検討を進めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。みんなで頑張りましょう。

 終わります。

永岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、昨年の臨時国会で成立をいたしました義務教育の段階における教育機会の確保法、この基本指針が策定をされました。議連の中でも少し議論はさせていただいたんですけれども、当委員会でも質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、法律では二条三号になりますが、不登校児童生徒の定義に関する部分です。文部科学大臣の定める状況とされております。

 昨年十一月の質疑の際、心理的な負担という法文上の表現ですけれども、不登校の原因を本人に全て起因させるような表現になっているのではないかというふうに質問した際に、提出者からは、具体的な定義においては、心理的負担以外のさまざまな要因、背景を考慮した上で定められるものと考えておりますとの答弁をいただきました。また、文科大臣が定める状況についても、現行の不登校調査の定義を踏まえ定められるものと考えておりますとの答弁をいただいております。

 したがいまして、今回の基本指針においても、不登校児童生徒の具体的な定義、あるいは文科大臣の定める状況について具体的な内容があるのかなというふうにも思ったんですが、見たところ、そうした表現がないようであります。この点についてはどうなっているのでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 教育機会確保法第二条第三号に基づきまして、ことしの二月十四日に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律第二条第三号の就学が困難である状況を定める省令を定めたところでございます。

 この省令におきましては、委員お尋ねの文部科学大臣が定める状況につきまして、「何らかの心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない又はすることができない状況」と定めておりまして、文部科学省が従来から実施してきております問題行動等調査における不登校の定義をほぼ踏襲する形で規定した次第でございます。

吉川(元)委員 わかりました。

 それに関連して、今、問題行動等諸問題に関する調査ということでありますけれども、これは、不登校児童生徒への支援に関する最終報告、昨年七月ですが、ここでも、「不登校とは、多様な要因・背景により、結果として不登校状態になっているということであり、その行為を「問題行動」と判断してはいけない。」というふうになっておりますし、今回発出されました指針においても、「問題行動であると受け取られないよう配慮し、」という文言が入っております。

 ところが、これはいろいろ言い方はあるんでしょうけれども、先ほども言いました児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査、その中に、暴力行為などと並んで不登校というものが調査項目の中に入っております。

 指針の、「問題行動であると受け取られないよう配慮し、」というふうになっているのであれば、まず、文科省、この調査のあり方、少し再検討が表現も含めて必要なのではないかと考えますが、いかがですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、不登校児童生徒の数等につきましては、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査で調査をしております。この調査におきましては、いじめや暴力行為などの問題行動に加えまして、不登校とか教育相談など、問題行動以外の状況につきましても調査しているところから、現状ではその名称を問題行動等としているところでございます。

 なお、先般の、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律に係る附帯決議などを踏まえまして、不登校は問題行動ではないことを明確にするために、同法に基づく基本指針におきまして、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮すべき旨を明記した点は委員御指摘のとおりでございますが、その趣旨をさらに明確にするために、現在、文部科学省におきましては、この調査の名称について、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査ということで、不登校を加えるという形で変更すべく、必要な手続を行っているところでございます。

吉川(元)委員 ぜひ、文科省がつくられた指針、この指針をまずしっかりと配慮した上でやっていただきたいというふうに思います。

 次に、基本指針の二ページ目ですけれども、不登校児童生徒の状況に応じた支援について、「登校という結果のみを目標にするのではなく、」という記述があります。質疑の際にも指摘をしましたが、不登校生徒の千差万別の状況を踏まえれば、学校への登校や復帰だけが前面に出るような印象は避けた方がいいというふうにも思うわけですし、そういう点でいいますと、この登校という結果のみを目標にするなという記述というのは大切なところだろうというふうに思います。

 また、学校に通えていても、ぎりぎりの状態、まさに不登校の予備軍のような状態に置かれている子供もたくさんいらっしゃいます。この点を踏まえれば、無理やり学校に通わせることを目標とするのではない、さらに、不登校の子供の数がふえた、あるいは減ったということだけで、不登校の支援が進んだ、後退したという、そういう尺度にすべきではないというふうに考えますけれども、この点はいかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 不登校児童生徒への支援に際しては、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があると考えています。

 こうした考えのもと、文部科学省としては、不登校児童生徒数の増減だけでなく、教育支援センター、民間団体における支援や、ICT等を通じた支援など、不登校児童生徒が多様で適切な教育機会を得られているかの観点も重要であると考えており、その旨、教育機会確保法に基づく基本指針においても明らかにしているところであります。

 文部科学省としては、基本指針について、既に通知等において周知をしているところでありますが、引き続き、同基本指針の趣旨を教育委員会や学校現場に周知徹底してまいります。

吉川(元)委員 委員会の審議では、文科省の不登校児童生徒への支援に関する最終報告において、不登校児童生徒の情報を共有する関係機関に警察が挙げられていることに懸念を示させていただきました。その際、情報の共有に当たっては、当事者や保護者への説明と意思確認を前提とすべき旨を質問し、まさにその指摘のとおりという答弁もいただいております。

 基本指針を見ますと、状況の把握あるいは組織的、計画的な支援における当事者や保護者の意思の尊重と書かれておりますが、これは、原則としてという言葉がついております。そうなりますと、これは例外というものがあるのか、あるとすれば一体どういったものが例外としてあるのかを教えていただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの例外についてでございますが、例えば、不登校児童生徒が、家庭環境に大きな困難を抱えているなどの事情によりまして、保護者等と連絡がとれない場合、あるいは、不登校児童生徒が深夜に犯罪に巻き込まれるおそれがある場合などにつきまして、福祉などの関係機関と連携した支援が喫緊に必要となる場合も考えられるところでございます。そのような意味において、例外を考えているということでございます。

吉川(元)委員 まさに、原則として当事者、保護者の意思が尊重されるというふうに書かれているわけでありますから、これはしっかり踏まえた対応をお願いしたいということと、通告はしていないんですけれども、ちょっとそれに関連して、二〇〇三年、平成十五年五月十六日に、文科省の初等中等教育局長通知というものが出されております。

 それから、これは昨年の二月一日に、「「訪問型支援及び保護者への情報提供に関する実態調査」の実施について」という依頼の文書が、これは文科省の初等中等教育局フリースクール等担当から発出を、事務連絡として出されております。読みますと、今回の指針と少し、そごとまでは言えるかどうかわかりませんけれども、あるのではないかというふうに思います。

 例えば、先ほどの実態調査の依頼の文書を読みますと、「ひきこもりがちな不登校児童生徒やその保護者に対しては、必要な配慮の下、訪問型の支援を積極的に推進することが期待される」というようなことが書かれております。

 それから、あと、先ほどの二〇〇三年の文科省初等中等教育局長通知を見ますと、例えば、不登校に関して言うと、充実した指導という書き方がされております。通知の方は、大体支援という形になっているんですけれども、指導という言葉が書かれておりますし、あと、進路の問題というような書き方も、この通知ではされております。

 そういう面でいいますと、法律ができて、新しい指針ができましたけれども、若干、過去の通知あるいは依頼等々と、言葉の使い方も含めて、あるいは考え方も含めて、そごが出てきているのではないかというふうに思います。

 そこで、この二〇〇三年の通知、依頼の方は、これで調査を依頼して終わっているわけですけれども、この通知については、引き続きこれは生きているものなのか、あるいは、上書きをされて改定されていくものなのか、この点について、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 突然のお尋ねでございまして、その平成十五年の通知の中身がちょっと手元にございませんで、精査できない状況ですが、ただ、お尋ねの点につきましては、今般、教育機会確保法が成立いたしまして、基本方針を文部科学省として出したということでございますので、その中身について仮にそごがあるような場合であれば、当然のことながら、上書きするのが原則だと思いますが、ただ、この点について、さらに詳細を精査して対応したいと思います。

吉川(元)委員 通告していなくて大変申しわけなかったと思うんですけれども、読んでおりますと、やはり、情報共有のための個別指導記録の作成等々の中で、個人情報の取り扱いに十分配慮しつつ、まあ、プライバシーの点の配慮は書かれてはいるんですけれども、今回の通知の中で非常に私自身重要だというふうに思った、先ほどの原則本人などの意思を尊重していくという文言は、残念ながら、この二〇〇三年の通知の中には見られない言葉であります。その言葉は非常に重要な言葉だというふうに思いますので、ぜひ、今後省内で検討していただいて、必要があれば改定をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、この問題に関しては事実確認なんですけれども、十校と言われる不登校の特例校、今後どういうふうな状況になっていくのかということを考えておられますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの不登校特例校につきましては、御指摘のとおり、現在十校ございます。さらに、現在、新規設置に向けての動きがあるということも承知しております。

 文部科学省といたしましては、不登校特例校の一層の設置促進に向けまして、設置申請があった場合につきましては、申請等に係る指導の支援を行うなど、取り組みを強化していきたいと考えております。

吉川(元)委員 大臣にもお聞きしようと思いましたけれども、しっかり対応していただきたいということでお願いをしたいと思います。

 時間も余りありませんので、次の大学入試改革について幾つか尋ねたいと思います。

 現行のセンター試験にかわり、大学入学希望者学力評価テストといった名称変更が予定されているようでありますが、評価はさまざまで、どちらかというと批判的なものが多いようにも受けとめております。

 教育再生実行会議では、センター試験の知識優先傾向の是正や、それから脱一発勝負、脱一点刻みが指摘をされておりました。ところが、その教育再生実行会議の提言、中教審答申、そして高大接続システム改革会議の最終報告と、検討が具体化していくにつれて、最初に言っていたのと大分違う、例えば記述式問題の導入が非常に焦点に当てられるような、そういう印象を持ちます。

 果たしてこれは改革の名に値するのかというふうに疑問にも思いますし、それよりも、実際にこれは導入可能なのかどうか、疑問が尽きないところであります。一番当惑するのは、当事者たる受験生です。二〇二〇年度実施ですから、もう余り時間がありません。

 記述式の問題、これは、けさの新聞にちょうどその内容が明らかになったといいますか、そういう記述が出ておりましたけれども、記述式の問題について、八十字から百二十字程度で、全て民間業者が採点を行うというような新聞報道が出ておりましたが、それでよろしいんでしょうか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 大学入学者選抜につきましては、現在、中央教育審議会の答申等を受けて検討をしているところでございますが、きょうの新聞の記事ということでございましたけれども、きょうのこの段階で、何か固まったとか、まとまったということではございませんので、この間の進捗状況についてお話をさせていただければと思ってございます。

 今、記述式のことについて御指摘をいただきましたけれども、記述式問題の採点方法も含めた大学入学希望者学力評価テストの具体的な制度設計につきましては、現在、国立大学協会、あるいは公私立の大学関係団体、高等学校関係団体等と意見交換をしながら、検討を進めているという段階でございます。

 共通テストにおける記述式試験でございますけれども、昨年の十一月の段階で二つのパターンを提示したわけでございます。パターン一といたしまして、各大学が採点する方式、それから、パターン二といたしまして、センターが採点をして段階別評価を行い、各大学が確認する方式、この二つを提案したところでございます。

 その後、大学関係団体から御意見をいただいております。

 例えば国立大学協会からは、各大学が採点するパターン一につきまして、全ての国立大学受験生に個別試験で高度な記述式試験を課すことを目指すということとし、当面、例えば新テストのパターン一を各大学が個別試験として選択をして、各大学において採点を行い、活用することも含めて、考え方が示されているところでございます。

 一方、センターが採点をするパターン二でございますけれども、この点につきましては、国立大学協会から、具体的な問題例と採点の公正性担保などの検討ということが求められております。この点につきまして、大学入試センターにおいて、国語と数学について複数の記述式問題を出題し、民間事業者による採点の妥当性も含め、モニター調査というものを行っておりまして、検証作業を行っているというところでございます。

 こうしたセンターあるいは大学団体における検討結果を現在整理しているところでございます。採点主体や採点方法を含めまして、実現可能性を見きわめながら、具体的な制度設計について検討し、速やかに公表したいと考えております。

吉川(元)委員 丁寧な答弁は結構なんですけれども、時間も余りありませんので、できるだけ簡潔にお願いしたいというふうに思います。

 新聞を見ますと、これは、もちろんまだ検討中ということでありますが、原案としては、民間業者に採点をやってもらうことになっているというような記事が出ております。今後まだ引き続き検討ということでありますが、そもそも、記述式問題の解答を厳密に採点することは果たして可能なのかどうなのか。新聞記事によれば、八十字から百二十字程度の問題ということでありますけれども、それで果たして判断力や思考力、あるいは表現力を問えるのか、私自身は非常に疑問です。この程度のことであれば、多くの大学が既に独自の試験、二次試験やあるいはAOなどでの論文試験など、恐らくこれよりも充実した試験が既に実施されているのではないか。

 今回の改革、少なくない大学が極めて冷ややかに眺めているような印象を持ってしまいますが、共通試験への記述式問題の導入について、そもそも大学側からの需要、やってくれという声はあったんでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 共通テストの記述式問題につきましては、現行の学習指導要領において、言語活動の重視ということがうたわれております。このことを踏まえて、高校生に自分の考えをまとめ、文章として書く力を身につけさせるということを目指して導入するものでございます。

 このような記述式問題の導入意義につきましては、国立大学協会、それから日本私立大学団体連合会など大学関係団体も認めているところでございます。具体的にもそのような文書等もいただいておりますけれども、そこは省略をさせていただきますが、さらに関係団体の意見を聞きながら制度設計をしていきたいというふうに考えてございます。

吉川(元)委員 思考力、判断力、表現力を問うというのは、それは大切なことだと思うんですが、ツイッターの百四十字より少ない字数でそうしたものが判断できるとは、私は到底思えません。

 新聞報道では、文科省の有識者会議の委員だった南風原東大副学長は、新テストで記述式問題を国立大学の全受験生に課すことに対して、数十万人の受験生の幅広い能力を識別するのは難しい、採点も機械的な基準に改めざるを得ないのではないかというふうに述べておられます。

 恐らく、例えば、「まつすぐな道でさみしい」とか「分け入つても分け入つても青い山」、こういう歌を詠んだ種田山頭火、受験したら多分落ちると思います。表現力をこの程度のことで、しかも、まさに機械的に判断をするというのは、私は、それは不可能なんだろうというふうに思います。そういう意味でいうと、受験生に無用な混乱だけを起こすのではないかという危惧を持たざるを得ません。

 あと気になるのが、英語についてであります。

 センター試験で既に実施されているリーディング、リスニングに加え、ライティング、スピーキングといった四技能を評価したいという意図、これは理解できないわけではありません。ただ、これもけさの新聞を見ますと、どうやら、英検、TOEIC、TOEFLといった、そうした検定試験の結果を利用するという方向で原案がまとめられたというふうに書かれております。外部の資格・検定試験の受験が前提になるようでは、そもそも、共通試験、なぜ必要なのかということになりかねません。

 これは昨年質問させていただきましたが、今後実施される高等学校基礎学力テスト、その結果が将来的には大学入試に活用される可能性もまだあるわけで、その上で、英語に関してはさらに外部の資格・検定試験を受けておく必要もこのテストでは存在をします。そのステップを経て共通試験と二次試験があるということになると、受験生はたまったものじゃないんじゃないかというふうに思います。また、現場の高校の先生も大変困惑することになろうと思います。

 さらに、費用も決して安くはありません。英検はそれぞれ級ごとに値段が違いますが、例えば準二級で五千二百円、二級で五千八百円、それからTOEICは五千七百円強、TOEFLに至っては二万円をはるかに超えるような受験料が必要になります。二回受けられるというふうにきょう新聞には出ておりましたけれども、例えばTOEFLを二回受けると、それだけで五万円近いお金がかかってしまう。

 そういう意味でいうと、家計への負担増、もう既にセンター試験でも、三教科以上で一万八千円の受験料がかかるわけで、こうした家計への負担増も含めて、想定できる否定的な影響についてしっかり議論されたのでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバル化が急速に進展をしている中で、英語によるコミュニケーション能力の向上ということは課題となっております。高等学校の学習指導要領でも、読む、聞く、話す、書くの英語四技能を総合的に育成するということが求められております。

 このため、大学入学者選抜においては、このような高等学校段階の、読む、聞く、話す、書くの四技能の総合的な能力を適切に評価できるようにするということが必要であり、民間の資格検定試験の活用を含めて、中央教育審議会の答申や高大接続システム改革会議の最終報告を踏まえて、検討を行っているところでございます。

 英語四技能の評価に当たりましては、現在、民間事業者により広く実施され、社会的に一定の評価が定着している資格・検定試験を活用するということは有効な方策だと考えておりますが、その際、受験者の負担にも配慮するということが必要でございます。活用に当たっては、費用負担、受験機会など、一定の基準を満たすことを求めることなどが考えられると思っております。

 具体的な制度設計につきましては、専門家の意見も聞きながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 もう時間が来ました。終わりますが、その四技能をきちんと評価したいというのはわかりますけれども、それを共通テストの中でやろうとするから、いろいろな矛盾が出てくる、その点を指摘させていただいて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

永岡委員長 次に、内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。松野文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 学校教育法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松野国務大臣 このたび政府から提出いたしました学校教育法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の社会情勢が目まぐるしく変化し、課題も複雑化していく中で、今後、職業のあり方や働き方も大きくさま変わりすることが想像されます。このような中で、我が国が成長、発展を持続していくためには、すぐれた専門技能等をもって、新たな価値を創造することができる専門職業人材の養成が不可欠です。

 この法律案は、こうした状況を踏まえ、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を展開させることを目的とする専門職大学の制度を設ける等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を育成、展開することを目的とする新たな高等教育機関として、専門職大学及び専門職短期大学の制度を設けます。専門職大学等においては、文部科学大臣の定めるところにより、専門性が求められる職業に関連する事業を行う者等の協力を得て、教育課程を編成し、及び実施し、並びに教員の資質の向上を図ることとし、その卒業者には、文部科学大臣の定める学位を授与することとします。

 第二に、専門職大学については、その課程を前期課程及び後期課程に区分することができることとし、前期課程修了者には、文部科学大臣の定める学位を授与することとします。

 第三に、実務の経験を通じて職業を担うための実践的な能力を修得した者が、専門職大学等に入学する場合には、文部科学大臣の定めるところにより、修得した実践的な能力の水準等を勘案して専門職大学等が定める期間を修業年限に通算できることとします。

 第四に、専門職大学等にあっては、その教育課程、教員組織その他教育研究活動の状況について、専門分野の特性に応じた認証評価を受けることとします。

 このほか、所要の改正を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

永岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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