衆議院

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第9号 平成30年5月9日(水曜日)

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平成三十年五月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    上野 宏史君

      尾身 朝子君    大見  正君

      小林 茂樹君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      高木  啓君    中谷 真一君

      根本 幸典君    馳   浩君

      鳩山 二郎君    船田  元君

      古田 圭一君    松本 剛明君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      和田 義明君    櫻井  周君

      日吉 雄太君    山本和嘉子君

      吉田 統彦君    源馬謙太郎君

      西岡 秀子君    平野 博文君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    串田 誠一君

      吉川  元君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         中川 健朗君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  長島 昭久君     笠  浩史君

同月九日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     上野 宏史君

  船田  元君     中谷 真一君

  古田 圭一君     和田 義明君

  宮路 拓馬君     鳩山 二郎君

  櫻井  周君     吉田 統彦君

同日

 辞任         補欠選任

  上野 宏史君     尾身 朝子君

  中谷 真一君     船田  元君

  鳩山 二郎君     宮路 拓馬君

  和田 義明君     古田 圭一君

  吉田 統彦君     櫻井  周君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、文部科学省大臣官房長藤原誠君、大臣官房総括審議官中川健朗君、生涯学習政策局長常盤豊君、初等中等教育局長高橋道和君、高等教育局長義本博司君、スポーツ庁次長今里讓君及び文化庁次長中岡司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田委員 皆様、おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 文部科学委員会での質問は大変久しぶりでございますが、きょうは、大臣、そして私の尊敬する丹羽副大臣、質疑の機会をいただきまして本当にありがとうございます。

 この学校教育法等の一部を改正する法律案、重要な法律案でございますので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 今回、デジタル教科書を使用することによる健康面への影響を中心に、まず前半、質問をさせていただきたいと思います。

 光というものは、明かりともいいますが、人類の文化的かつ健康的な生活に大きく寄与してまいりました。しかし、強過ぎる光は当然人体に悪影響を及ぼすことがわかっています。

 例えば、自然な光である太陽光ですら、浴び過ぎれば、日焼け、熱傷、また皮膚がんの原因になることもよく知られているところでございます。当然、皆既日食なんかを直接目で見てはいけないというのは子供のころから習うわけであります。また、心理的な影響も当然、ポケモンショックとかそういったものも皆様御記憶に新しいかと思いますが、そういったものもあるわけであります。また、ある特定の周波数の明暗というのが、光過敏症、過敏性発作、後ほど申し上げますが、そういうものを起こすこともわかっています。

 今回の法案はデジタル教科書の導入が趣旨である、そのように聞いておりますが、万が一、この導入で子供の健康を害することがあってはなりません。

 そこでまず、その点を中心に質問させていただきたいんですが、これは御存じかどうかだけお答えいただければいいんですが、IT眼症というもの、よくネットでも出るんですけれども、それは御存じでしょうか。どちらでも結構でございます。大臣、では、お願いします、御存じかどうかだけ。

林国務大臣 済みません、先生のように御専門ではないので、ちょっとIT眼症というのは、多分、ITに眼と書くんでしょうか、ちょっと存じ上げません。

吉田委員 今、ヤフーニュースなんかでも出たりするぐらい結構よく知られて、今回、役所の方には通告をかなり細かくしておきましたので、実りある議論になればと思うんですが、IT、大臣、副大臣、もう御存じのとおり、インフォメーションテクノロジーですね。情報技術、これはいわゆるテレビゲームも含みますし、パソコンだとか全ての情報機器、そういった技術を含むわけですが、これを長時間あるいは不適切に使用すると生じる目の病気やそれに付随する体の変調、不調のことをいうのがこのIT眼症なんです。つまり、ITを使うことによって生じる、目を中心とした全身の不調、いわゆる社会問題になっているそういったものであります。

 IT機器の普及で、成人の方でも、事務用のパソコンをずっと長時間座って、議員の先生方もそうかもしれませんが、そういった長時間の仕事をすると目が疲れるとか頭が痛い、そういった、目の症状だけじゃなくて全身的な症状を訴える方がふえています。

 このIT眼症という以外にも、VDT症候群、ビジュアル・ディスプレー・ターミナル症候群とかテクノストレス症候群、いろいろな言われ方をするものなんです。これは肉体的だけではなくて、精神的ストレスも言われているわけです。

 また、コンピューター画面を見ている、携帯電話もそうですね、スマートフォンやデジタル端末、そういったものから出る電磁波自体も体に悪影響、これは学術的には子供への影響の方が強いんじゃないかという説が唱えられていますが、そういったことも考慮しなければいけない。

 この法案が契機になって、子供さんがタブレットを中心としたIT端末をますます積極的にお使いになることが予想されるわけですが、ただでさえお母さんたちは、テレビを見過ぎちゃいけないよとかパソコン、ゲームとかし過ぎちゃいけないよと言いますよね。目が疲れる、目が悪くなるんじゃないか、学校の成績も悪くなるんじゃないか、そういった影響も、御本人というよりお母さん方、お父様方が心配されるわけですが、こういったデジタル教科書を使うとますますこういった心配や影響が危惧されると思うんです。

 その点に関して見解を、まず、全体的なそういった影響に関していただけますでしょうか。

林国務大臣 文科省では、平成二十三年度から二十五年度にかけまして実施をいたしました学びのイノベーション事業におきまして、ICTの活用に伴う児童生徒の健康面への影響等に関する配慮事項について調査を実施しております。

 この調査の結果によりますと、タブレット端末や電子黒板を活用した授業の時数にかかわらず、目の疲れを感じた児童生徒の割合には有意な差が見られなかったところでございますが、一方で、電子黒板等の画面が見えにくかった、こういう場合については、目の疲れの変化にやはり統計的な有意差が見られるなどの結果が得られております。

 これらの調査結果も踏まえて、眼科の専門家からは、学校でのICTの利用時間程度であれば児童生徒の健康面へ影響は生じないと考えられるが、一方で、今、先生からお話ありましたように、タブレット端末や電子黒板を集中して見続けるとドライアイになりやすくなることから、授業では、タブレット端末や電子黒板を長時間集中して見続けることがないように配慮が必要であるということなど、健康面への影響についての知見が得られたところでございます。

 これらの調査結果や知見も踏まえまして、平成二十六年度に文部科学省では、カーテンの利用、また照明の工夫等によるICT機器の画面の見えにくさの改善方策や、タブレット、PC等の画面を長時間継続して見続けないようにすることへの配慮等につきまして、「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」として取りまとめまして、各都道府県教育委員会等に周知するとともに、文科省のホームページに掲載して活用を促しているところでございます。

 文科省としては、こうした成果を踏まえつつ、児童生徒の健康への影響等が生じないように留意しながら、デジタル教科書の導入はやはり段階的に進めることといたしておりまして、本法案においても、デジタル教科書の使用態様については文部科学大臣が定めることとしておりますので、その中で、学校におけるデジタル教科書の適切な使用環境への留意を盛り込むことを想定しております。

 さらに、デジタル教科書の効果的な活用のあり方、導入に当たっての留意点等に関するガイドラインを策定する予定にしておりまして、その中で、児童生徒の健康面への影響が生じないように、これまでの知見等も踏まえた留意点を示すとともに、引き続き、デジタル教科書も含めたICTの使用による健康面への影響等の把握に努めてまいりたいと考えております。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣も先ほどドライアイというお言葉も使っていただいて、また、多分、先ほど大臣がおっしゃった専門家というのは、日本眼科医会か日本眼科学会、そういったところかと思います。その日本眼科学会、眼科医会も、やはりかなり子供のIT機器の使用に関しては警鐘を鳴らしておりますので、ぜひそこはしっかりと見ていただかなきゃいけないんですが、もうちょっと細かい質問を続けていきたいと思います。

 ドライアイや眼精疲労という話が今出ました。もう大臣はそういう言葉も御承知おきいただいているので、かなり踏み込んだ指導をしていただけると思いますが、例えば、やはり光というものの脳や全身に対する影響というのはわからないわけですよね、今までしっかりとした統計はないわけですから。

 当初、導入段階において、時間ですよね、さっき長時間という話も大臣はおっしゃっていますが、具体的に、最初の導入に関してはどれくらいの時間を適正と考えているのかということをお伺いしたいんです。

 私は、やはり本来、最初、導入するなら一時間ぐらいが妥当じゃないかなと私個人としては思いますけれども、大臣、副大臣のお考えで、導入の初期に当たって、段階的というお話もありましたけれども、そういった中で、当初の予定としてはどれくらいの時間を想定されているのか教えていただけますか。

林国務大臣 先ほど申し上げました、平成二十六年度に取りまとめました「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」でございますが、そこに、長時間にわたりタブレット端末等の画面を児童生徒が注視しないようにすることへの配慮について記載をしております。

 それから、そこにおいて実は、厚生労働省が作成した、これは大人向けですが、先ほど委員からもお話のあった「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」、これは平成十四年の四月のものですが、ここに実は、パソコンでのデータ入力のような集中的な作業については、連続作業時間は一時間を超えないようにするとの目安が示されているということで、これをうちの方のガイドブックでも紹介しておるところでございます。

 文科省として、デジタル教科書の効果的な活用のあり方や導入に当たっての留意点等に関するガイドラインを先ほど申し上げたように策定する予定でございますので、その中で、児童生徒の健康面への影響を生じないように、これまでの知見等も踏まえた留意点を示すとともに、引き続き、デジタル教科書も含めたICT使用による健康面への影響等の把握に努めてまいりたいと思っております。

吉田委員 大臣、大人と子供はやはり違いますので、そこは留意していただかなきゃいけない。

 連続して一時間は子供には長いんじゃないですかね、大臣。私は、連続して一時間デジタル教材を使うというのはちょっと長過ぎると思いますし、私がさっき言っているのは、トータルで一日に一時間ぐらいにとどめてはいかがかと言っているんです。連続して一時間は、ちょっとこれは、大人と違いますし、行き過ぎかと思いますが、大臣、もう一度そこをお答えください。簡潔にで結構です。

林国務大臣 御紹介したのは、大人向けの連続のところが一時間というのを紹介しているということでございます。授業は一時間はないと思いますし、その授業の中でずっとこれを使っているということはないとは思いますけれども、今、委員からお話のあったことも踏まえて、しっかりとガイドライン策定に生かしていきたいと思っております。

吉田委員 ぜひそこは御留意いただきたいと思います。

 時間がありますのでちょっと先に進みますが、専門的なことで次々聞いていきますけれども、例えば、色覚異常、色覚特性の異常というものをお持ちの方が、男の子だと大体五%います。女の子だと〇・二%いるんですが、こういった子たちに対する、これは通告でもしっかり申し上げておいたんですが、やはり光だと、紙よりそういう方が見にくくなる可能性があるんですよ。そこに対して、私もいろいろなアイデアを出して通告をさせていただいたんですが、そういった方への配慮を簡潔に、大臣、お願いします。

林国務大臣 この法案は、児童の教育の充実を図るために必要があると認められる場合にデジタル教科書を紙の教科書にかえて使用することができる、こう書いておりますので、今、委員からお話があったように、デジタル教科書を使用することが適切でない場合には、無理にデジタル教科書を使用させることは適当ではないというふうに考えております。

 タブレット端末等の画面の明るさを調整する等の工夫により、デジタル教科書を使用できるような場合も考えられることもあるわけですから、策定を予定している先ほど申し上げたガイドラインにおいて、まさに専門家の知見等をいただきながら、記載をしっかりと検討していきたいと思っております。

吉田委員 ありがとうございます。

 重なるのでこれは申し上げておくだけにしますが、網膜色素変性症という病気もございまして、これは強い光を浴びると進行するんですね。失明に至る病気ですので、こういった子が必要以上にやはり目にダメージを与えることがないように、大臣、ぜひこれはしっかりと、今の話もあわせて、そういった目の御病気、特性をお持ちの方がいらっしゃいますから、そういった方への配慮はぜひお願いをしておきます。

 重なるので次に進みますが、あと、姿勢ですよね、大臣。タブレットやそういったものを見るときの体の姿勢、そういったもので、デジタル教材の端末を近見視、近くで見る癖がつくと、日本の国民病とも言える近眼、近視が進む可能性があるんですが、そういったことへの配慮もガイドラインとかにちゃんと盛り込まれていらっしゃいますか。

林国務大臣 デジタル教科書を使用する際の姿勢が悪いと、タブレット端末等の画面が見えにくいことによる目の疲れや、無理な姿勢を続けることによる疲労が増す、こういうことが考えられますので、やはりデジタル教科書を使用する際の姿勢について留意するということは大変重要だと考えておりまして、先ほども申し上げましたが、必要に応じて画面の明るさ等をしっかり調整するということも工夫の一つとして考えられるというふうに思っております。

 一部、先ほど申し上げた平成二十六年の「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」においてもこういうことを記載しておりますが、今後、デジタル教科書の導入に当たって策定を予定しているガイドラインにおいても、専門家の知見等もいただきながら、記載を検討してまいりたいと思っております。

吉田委員 ありがとうございます。

 せっかくこういった機会をいただいていますので、ちょっと健康に関する問題が続いて恐縮なんですが、これは大事なことですので、大臣、ぜひしっかりと御検討いただきたいんです。

 次に、光全体という中でブルーライト、大臣御存じかと思います、ブルーライトが健康に影響を与えることを御存じだと思います。ブルーライトとは青い光ですね。これは短波長、波長の短い光で、エネルギーが物すごく強いわけです。網膜まで到達する、要は目の奥まで到達するわけですね。これがいろいろな影響を与えることがわかっているんです。

 例えば、まず、目単体の問題だと、ブルーライトが網膜というところに当たることによって網膜の加齢黄斑変性という病気を起こすことがわかっているんですよ。これは今、失明原因、欧米では一位、二位ですし、日本でもすごく上位に上がってきている。それに対する治療が、実はすごく薬が高いものですから、医療費を圧迫しているんですね、結構。ブルーライトによって活性酸素が発生して、こういった病気を起こす可能性があるわけですよ。これは、子供のころからブルーライトとかこういう光をずっと浴びると、当然リスクが上がっていくわけですよね。

 そういったことに関する配慮も、ちょっと御存じかどうかも含めて、ちゃんとしっかりと対応いただけるのか、お答えいただけますか。

林国務大臣 私も、個人的な話になりますが、スマホをこの間改めてさわっておりましたら、就寝用のシフトというのがあって、ちょっと黄色くなる。ぼやっとした光になって、寝る前の時間ですか、それで寝つきがよくなるのかどうかはあれですが、そういうのがあるんだなと思って今質問をお聞きしておりました。

 まさに、寝る前にこういうデジタル教科書等の使用で強い光を浴びるということで寝つきが悪くなることへの懸念とか生活習慣の乱れへの懸念から、やはり家庭においてデジタル教科書を含めた情報機器の適切な使用を促していくということが重要であると考えております。

 先ほど来申し上げている平成二十六年のガイドブックにおいては、睡眠前のICT機器の利用を控えるという点も含めて、児童生徒の健康に留意してICTを活用してもらいたいということを促しております。

 デジタル教科書の導入に当たって策定を予定しているガイドラインにおいても、専門家の知見等もいただきながら、家庭においてのデジタル教科書の使用に関する留意事項についても記載を検討したいと思っております。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 次の質問の部分を一部お答えいただいたんですが、大臣がおっしゃったように、青いライト、体のサーカディアンリズムが狂うんですね。つまり、体内時計を狂わせるんですよ。専門的に言うと、メラトニンというものの分泌がふえると人間は眠くなるんですけれども、メラトニンの分泌を抑えちゃうんですね、青い光を浴びると。つまり、朝だと認識してしまって体が起きてしまう。そういった結果、不眠症だとか、あとホルモンバランスの変調、そういったものを起こすわけであります。例えば肥満や、実は糖尿病、睡眠障害の原因にも青い光はなることがわかっています。

 そうすると、大臣、自宅にデジタル教材を持って帰って、大臣も先ほどちょっとおっしゃっていただきましたけれども、それで夜遅くまで子供たちが勉強すると体内時計が狂っちゃって、肥満の子が、日本もちょっと肥満がふえていますよね、大臣御存じのとおり。肥満の子がふえたり、場合によっては、二型の糖尿病を発生させる余地になってしまったりする可能性が高まるんじゃないかと思うわけです。

 つまり、帰宅後の使用等に関しても相当留意や指導いただかないと、医学的に、大臣さっきおっしゃっていただいたように、青い光を夜浴びるのはよくないんですよ。寝る三時間前にはもう浴びるのをやめなきゃいけないというのが、本来医学的には正しいので、そこを大臣、ちょっともう一言、厳しくちゃんとそういう指導をすることと、家に持ち帰ってのデジタル教材の指導に関しても、これは多分ガイドラインに載っていないはず、まだ今検討されていない問題だと思うので、そこを御検討いただきたいので、ちょっとお答えいただけますか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、まさに今、委員からお話があったように、寝つきが悪くなるというんですか、今、専門的には朝と間違えるということだというふうに教えていただきましたが、まさに、寝つきが悪くなることや生活習慣の乱れ、朝と夜が混同されるということでしょうか。

 したがって、そういうことをしっかりと踏まえた上で専門家の知見をいただいて、家庭におけるデジタル教科書の使用に関する留意事項をしっかりと検討していかなきゃいけないと思っております。

吉田委員 大臣、ぜひこれはしっかりと御検討いただいて、どちらかというとそちらの、学校が目を離しているときですよね。自宅での使用方法というものを相当しっかりフォローしていかないと、今みたいな問題が起こるわけです。

 更に言うと、大臣、実は最近よく知られた知見なんですけれども、深夜勤務したり、要は看護師さんとかCAの方みたいに生活リズムが非常にコントロールしづらい仕事をしている女性というのは、このブルーライト等々の影響で乳がんがふえているんですよ。これは、よく知られた事実に最近はなりつつあります。要は、ホルモンのバランスを崩しますし、それぐらい影響があるということをぜひ認識していただきたいんです。

 デジタル教科書というのは、初等教育から中等教育、そしてこれからは高等教育までずっとふえていくものだとは思いますが、その中で、こういった啓発や留意をしていかないと、もう一度申し上げますけれども、乳がんは日本もふえていますから、女性でそういったリスク、男性もですよ、男性も乳がんはあります。しかも、男性の乳がんの方が予後は悪いですから、委員長御存じのとおり。委員長お詳しいのであれですけれども、男性の乳がんはすごく予後が悪いですから、そういった意味でも、そこも、大臣、本当に、今いろいろお答えいただいてしっかりと御理解いただいていると信じていますけれども、学校の中だけじゃなくて、御自宅に帰ってからのデジタル端末の使用、特にやはり初等教育においては、啓発、教育、指導しないといけないと思うんですね。

 ここをちょっともう一回はっきりと、そこをしっかり指導していただくというお答えはいただきたいんですけれども、お願いします。

林国務大臣 ありがとうございます。

 繰り返しになってしまうかもしれませんが、先ほど申し上げたように、平成二十六年のガイドブックにおいても、児童生徒の健康に留意してICTを活用するということを促してはおりますが、今回、デジタル教科書を改めて導入ということでございますので、今、委員からお話のあったような専門家の知見をしっかりといただいて、家庭におけるデジタル教科書の使用に関する留意事項について記載をしっかりと検討していきたいと思っております。

吉田委員 ありがとうございます。

 しつこくて申しわけなかったですけれども、しっかり何度かお答えいただいたので、きっとしっかりとしたものができ上がるんだと思っております。

 あと、健康の問題に関しては、最後もう一問だけちょっと念のために聞いておきますけれども、代表的な反射てんかん、てんかんというのは、大臣も副大臣も御存じだと思うんですけれども、実は光過敏てんかんというものがあるんですよ。

 反射的に光によって、さっき言ったように、同じ周波数のちらつきとかそういうものが誘因になることが多いんですが、こういった児童がいた場合に配慮が必要だと思うんですけれども、万が一、そういった既往がなくても初発は起こるわけですから、そういったことが起こっちゃった場合、デジタル教材が原因だと考えられる場合は、これはちゃんと質問通告してありますので、どういった対応やどういった責任の所在で対応されるのかということをちょっと最後にお答えいただけますか。

林国務大臣 デジタル教科書については、やはりプラスとマイナスの両面の効果や影響等を持ち得るということを理解した上で、まさに段階的に導入を進めていくことが適当だと考えております。

 したがって、この法案においても、児童の教育の充実を図るために必要があると認められる場合に、デジタル教科書を紙の教科書にかえて使用できるようにすることとしておりますので、まさに今、先生からお話がありましたように、健康上の影響とかそれから学習上の支障が生じた場合にはその使用方法を見直して、結果的には中止することも含めて判断することが必要である、こういうふうに考えておりまして、これについても、デジタル教科書の導入に当たって策定を予定しておりますガイドライン等を通じて周知徹底してまいりたいと思っております。

吉田委員 それでは、健康のお話はこれで終わらせていただきまして、次に、デジタル教科書を使用することによる児童生徒への学びの充実の利点とか教育上の効果について伺いたいと思うんです。

 まず、恐らく、今回の導入に当たって、各学校現場、つまり担任の先生等の判断でデジタル教材の使用頻度は決まるんですよね。そのように聞いておりますが、全ての授業時間の中でデジタル教材を使っていく先生もいらっしゃるでしょうし、全く使わない先生も出てくるんじゃないかなと思うんですけれども、そのあたりを文部科学省としてはどのように指導若しくはモニターをしていくのかということを教えていただきたいんです。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 デジタル教科書の使用形態につきましては省令で定めることといたしておりますが、まずは、紙の教科書が主として使用されることとなっております。デジタル教科書の使用は教科の一部に限りながら、基礎的な、基本的な教育内容の履修を保障できることを国として検証することが必要であると考えております。

 したがって、教育課程の一部の範囲を含め、デジタル教科書の使用体系につきましては、具体的に省令やガイドラインで示していきたいと考えております。

吉田委員 では、副大臣、全く使わない先生がいちゃってもしようがないし、ずっと使いっ放しの先生がいちゃってもそれはしようがない、現場に完全にお任せしちゃうという感じですか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 デジタル教科書の設置につきましては、自治体や設置者の権限によってデジタル教科書を使用するという裁量も含めておりますが、例えば現場で、教員が高齢化によって、また、どうしてもこの授業においてはデジタル教科書を使うよりも紙の教科書の方がいいといった場合は、全く使用しないということもあり得ると考えております。

吉田委員 ありがとうございます。

 では、副大臣、紙と全く同じデジタル教科書の導入と聞いておりますが、これは自宅に持ち帰ってもいいんですね。

丹羽副大臣 御質問ありがとうございます。

 デジタル教科書を自宅に持ち帰り、家庭学習において使用できるかどうかにつきましては、例えばタブレット端末が一番いい例だと思うんですが、タブレット端末の整備状況等を踏まえ、先ほど申し上げましたとおり、校長や設置者において適切に現場において判断されるものだというふうに考えております。

 なお、家庭での学習のタブレットの使用につきましては、例えば佐賀県の武雄市においては、児童生徒がタブレット端末を家庭に持ち帰って学習を行っている例があるということも承知いたしております。

吉田委員 そこは、まだ今後ということですね、副大臣。

 要は、勝手に持ち帰っちゃったりすると、さっき申し上げたように、教科書、全部入っていて便利ですから、例えば寝転がってベッドでタブレットを使って勉強なんという子、絶対これは出てきますし、勉強が得意な子に限ってそういうことをやるかもしれませんし、そうすると、さっき言ったように、就寝三時間前は本来使わない方がいいという中で、肥満とかIT眼症、糖尿病、睡眠障害、そういったことを起こす可能性があるので、副大臣、そこはぜひ指導をしっかりとしていただくことをお約束いただきたいと思います。

 では、実際の成績に関してちょっと教えていただきたいんですね。

 学習効果、つまり、大臣、副大臣、これはいいものだからやろうと法改正をするわけですよね。つまり、学習効果が得られなければ、やめた方がいいわけじゃないですか。そうすると、私が調べたところで、二〇〇七年、和歌山大学で、三十一人に対して半年間調査研究をした。半年間三十一人、一クラスということですよね。そうすると、成績が上昇した科目と、逆に低下した科目があった、ちょっと具体的な資料は今手元にないんですが、あったと聞いております。

 文部科学省としては、デジタル教材の導入によって、短期的な学習効果と長期的な学習効果は両方大事だと思います、短期で効果が出ても長期で効果が出なければこれはよくないわけであって、両方において学習効果が出なければやはり導入することは控えた方がいいと思いますが、長期、短期両方に、文部科学省としてしっかりとした学習効果のデータはお持ちでしょうか。あればお示しください。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 ICTを活用した教育の効果につきましては、例えば児童生徒の学力テスト及び授業に関する意識調査の結果を比較した場合、授業においてドリル学習や各自が考えをまとめる際に、先ほど言いましたタブレット端末を活用した場合の方が、小学校においては、知識や理解、また思考、判断、表現、技能の観点において市販テストの成績が高いという結果が出ております。また、児童生徒の授業に対する評価が高く、新しい考え方を見つけたり、授業に集中して取り組むことができるといった傾向が調査研究からも見られております。

 しかしながら、デジタル教科書の使用と学力の関係につきましては、現段階では一概的に説明できないということでもございますので、文部科学省といたしまして、デジタル教科書の使用につきましては、教育上の効果、影響等を今後しっかり把握、検証していきたいと考えております。

吉田委員 子供たちは画面とかテレビとか好きですから、最初は一時的に見入ってしっかりとした効果は出るかもしれませんけれども、長期的にはまたちょっとこれは別の問題ですので、本当に、副大臣、大臣、省庁としてしっかりやっていただきたいと思います。

 今回の法改正で、デジタル教科書用のタブレットや端末、それぞれあるとさっき副大臣もおっしゃっていただきましたが、予算としてはどれくらいの予算がかかるのか、どのように文科省としては想定されているのでしょうか。また、デジタル教科書はまずは教科書会社さんがつくっていくと聞いているんですけれども、今後の、自由化がなされたりしたときのコンペティション、競争原理、そういったものはどのようになるか教えていただきたいんです。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 まず、デジタル教科書を導入するかどうかということも含めまして、導入する場合の費用負担につきましては校長や設置者において判断していただくこととなっておりますが、今回の法案において、文部科学省といたしまして、平成三十年度から五年間にわたり、単年度約一千八百五億円の地方財政措置を講ずることといたしております。

 また、その際、デジタル教科書を、実際価格としてどれぐらいになるかという御質問もございましたが、それは教科書発行会社において決定されることとなっておりますので、一概にこの値段でということは文部科学省としてお答えすることはできないと考えております。

吉田委員 副大臣、後段のコンペティションのことも軽く触れていただきましたけれども、そうすると、適正な金額で適正に競争、ある程度の競争がありながら運営されるということに関しては、文部科学省としてはしっかり注視をしていくという理解でよろしいですよね。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 現在販売されていますいわゆるデジタル教科書に関しては、例えば中学校の国語や英語等につきまして、学年ごとに一人当たりおおむね数百円から千円程度で販売されているということは文部科学省として承知いたしておりますが、余りにも適正でない価格のデジタル教科書が販売されるとかそういった場合においては、文部科学省としても、しっかりとそういった事実を把握していきたいと考えております。

吉田委員 わかりました。

 副大臣、先ほど、地方財政措置をなさるということを言っていただきました。その中で、私はちょっと心配するんですが、デジタル教科書のタブレットや端末の供給という点で、例えば離島にお住まいの児童たちや山間部にお住まいの児童に対して、一般の都会の方、子供たちに比べて不利な供給状況になるというおそれはありませんか。大丈夫ですか。

丹羽副大臣 現在、文部科学省におきまして、新学習指導要領を見据えて、学校において最低限必要とされ、かつ優先的に整備すべきICTの機器等に関しまして、昨年の十二月にICT環境の整備方針を策定したところでございます。

 そういった中、この方針を踏まえて、教育のICT化に向けた環境整備五カ年計画に基づきまして、委員おっしゃられたように、離島も含めて、全国的に学校のICTの環境整備を進めていくことができるように、先ほど、平成三十年度からの地方財政措置も含めた予算措置を講じたところでございます。

吉田委員 ありがとうございます。

 副大臣、大臣もしっかりとお答えいただいて、重ね重ねの質問で大臣には申しわけなかったですけれども、大事なことなので何度も確認させていただきました。

 最後に、もう質問時間は終わっておりますので、健康、そして教育、両面、このデジタル教科書、やはり影響をしっかりと注視していただいて、長期的なフォローアップもしっかり万全の体制でしていただいて、日本国の宝である子供たちの学び、健康、それを第一に考えて、慎重かつ段階的な導入をくれぐれもお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの山本和嘉子でございます。

 早速質問に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず一点、学校法人加計学園の獣医学部新設をめぐりまして、愛媛県の職員らが柳瀬元首相秘書官と面会したとされる二〇一五年四月に、内閣府から文部科学省に、県職員らが首相官邸を訪問する予定であるという、それを伝えるメールが文部科学省の中の調査で見つかったという件でございます。

 県作成の首相案件と書かれた文書の信憑性が高まったことになりますけれども、柳瀬元秘書官も面会を認める意向を固めたとのことで、あす、参考人招致も予定されているところでございます。昨年の予算委員会で再三再四会った記憶がないとおっしゃっておられましたので、どのように説明をされるのかというのが注目をされているところではございますけれども、安倍総理も、昨年七月の予算委員会の閉会中審査でございましたが、二〇一七年の一月二十日に初めて加計学園が獣医学部の設置認可の申請をしていることを知ったというふうにもおっしゃっております。

 ただ、このメールのやりとりからも、二〇一五年の時点から総理も御存じだったということになるのではないかと思います。多くの国民が、最初から加計学園ありきで、総理も元秘書官もうその答弁をしていたのではないかと思ってしまいます。

 一方、京都産業大学では、獣医学部設置の特区申請を見送らざるを得ない不利な条件が重なって、官邸にも呼ばれずフェアでなかったと、当時の京産大の教授で鳥インフルエンザの第一人者の大槻先生が先月の朝日新聞の取材でおっしゃっておられます。私は、京産大が事実上除外されて、極めて公平さを欠いていたのではないかと思います。

 そんな中、昨年十一月には、文科省の方で加計学園の獣医学部設置の認可をされました。文部科学大臣として、認可された大臣として、一連のこういったことについて今どのようにお感じになっておられるか、大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 岡山理科大学の獣医学部の新設につきましては、国家戦略特区を所管する内閣府を中心に、段階的にそのプロセスが進められたところでございまして、国家戦略特区の枠組みの中で、関係法令に基づいて、関係省庁の合意のもとで適切に進められたものというふうに理解をしております。

 その後、大学設置・学校法人審議会において設置認可申請の内容を学問的、専門的観点から審査いただくとともに、申請内容と国家戦略特区のプロセスとの整合性も確認できたということで認可をしたところでございます。

 したがって、国家戦略特区のプロセス、設置認可のプロセスともに適切に進められてきたものと認識をしております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 適切だとはおっしゃいますけれども、やはり認可に関しては公平性を欠いていたのではないかなと思います。首相案件という言葉からも明らかでありますし、行政の公平性に対する国民の疑念と不信を一刻も早く取り除いていただくのが政権のお役目だと思います。安倍総理始め柳瀬元秘書官は、国民に明確にごまかしのない答弁をすべきだと思います。そのことを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。

 続きまして、先日、立憲民主党の子ども子育てプロジェクトチームで食育に関する勉強会を行いました。その中で、都内で食育の活動をする講師の先生が、最近、朝御飯を食べさせてもらえない子、また、十分に食べさせてもらえず飢えている子が見られるようになったというふうに言っておられました。家庭の事情から栄養面の配慮ができず、バランスのよい食事が難しくなった、どうすればおなかを満たすことができるのかということだけ考えたという、そういうレベルの子供がふえているということでございました。これは東京という比較的恵まれた地域でのお話ではありますけれども、もっと食が行き届かない地域があるのではないかということもおっしゃっておられました。

 子供の貧困の問題とつながっている課題だと思いますし、二〇一四年に子どもの貧困対策推進法が施行されていますけれども、しかし、依然として七人に一人、約二百八十万人の子供たちが貧困状態である。これに対して、子供食堂など取組が各地のお母さんたちなどによって始まっています、いろいろ報道されているとおりだと思いますけれども。各自治体等の予算もつき始めているということを聞いておりますが、それでも食べていない生徒がいる。そうした中、見かねた教員が個人として生徒に朝御飯を与えているという例も聞いております。

 貧困対策として真剣に地域を挙げて取り組むためにも、子供食堂のような取組を支えていく必要があるのではないかと思います。子供食堂の運営上の課題は、やはり場所の問題、そしてボランティア、担い手の問題、ボランティアの確保が必要だというふうに聞いております。例えば、学校などの地域の拠点を子供食堂として使えるようにすることと、子供食堂が、必要としている子供やボランティアができるという人にその情報が伝わるような取組ができないかということも課題だということもお聞きしております。

 総じて、文科省として子供の貧困についてどのような取組をされているのかも具体的に教えていただきたいと思います。いかがでしょう。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 子供の貧困につきましては、例えば小中学校においては、市町村が行う就学支援を行うような事業に対して、国が一定のものに対しては交付金を交付する、あるいは交付税措置を行う、そういったような形で財政的な支援をしているようなところでございます。

山本(和)委員 個別の子供食堂を進めるということは恐らく難しいことだと思うんですけれども、そういう貧困な子供に対する教師のケアといいますか、その教師に情報が行くこと、義務としてでなく、緩やかな形ででもサポートできる地域の情報を届けていっていただくようなことが大切かと思いますけれども、そのあたり、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 学校の教職員が児童生徒等の健康状態の日常的な観察により、食事の摂取状況等含む心身の状況を把握し、組織的に対応するとともに、必要に応じて関係機関等と連携し、支援することは、御指摘のように大変重要であると認識をしております。

 文部科学省におきましては、こういったことから、「教職員のための子どもの健康相談及び保健指導の手引」を作成して、学校における健康相談の進め方と支援体制づくりについて示すとともに、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーの拡充なども図ってきているところでございます。

 今後とも、各学校における児童生徒の抱える健康課題に対する早期対応がより効果的に行われるよう、養護教諭、栄養教諭、スクールソーシャルワーカーを始めとした教職員による支援体制づくり、そして、関係機関等とも連携して児童生徒等の支援を行う、こういったことについて、都道府県教育委員会等を通じてしっかりと指導してまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、その御指導等よろしくお願いしたいと思います。

 引き続きまして、子供の安心、安全、学校でのけがや事故を減らすためという取組について、ちょっとお伺いをいたします。

 五月、六月はやはり運動会シーズンということでございまして、数年前にも話題になりましたけれども、運動会での組み体操で死亡事故、障害事故が起きているということでございます。

 二〇一六年にスポーツ庁が、安全確認がない場合は見合わせるようにという通知を出された結果、組み体操での事故は大幅に減少しているということでございます。しかし、まだ一部の地域で危険な組み体操をやっている学校もあるというふうにもお聞きしておりますし、危機管理の面からも、安全な組み体操を推進していけるよう指導をお願いしたいところでございます。

 そのあたり、現状どうされているかをお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、組み体操の事故の防止につきましては、今お話ございましたように、平成二十八年に、事故防止について万全を期すよう注意喚起を行う通知を行ったところでございますけれども、最近でも事故が、件数が減ったとはいえ、まだ起きているというのが現状でございます。

 最近ではまた、本年四月二十五日に、学校における体育活動中の事故防止等についての通知を更に発出いたしまして、再度、組み体操等による事故の防止についての通知を確認いたしまして、事故防止に努めるよう注意喚起を行ったところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 いろいろと学校での事故等について研究なされている先生方からちょっとお聞きをしたんですけれども、子供が安心して体育の授業が受けられて、クラブ活動ができるために、やはりそういう研究をもっと進めないといけないということでございますが、独立行政法人日本スポーツ振興センター、いわゆるJSCの持っている、より細かな事故やけがのデータ、それらをもとに研究を進める、そういうのを研究者にぜひ公開してほしいというお話もあります。

 より安全に行われるよう研究するために、そういったデータを役立てるようにはしていただけないかということなんですが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の管理下における事故については、日本スポーツ振興センターが行う災害共済給付制度に基づき、死亡、障害に係る見舞金や医療費の給付が行われており、当該給付を通じて、学校の管理下の事故事例の蓄積がなされているところでございます。

 日本スポーツ振興センターでは、蓄積された事例をデータベースとして公開するとともに、学校における事故災害防止に係る調査研究を行う報告書等をまとめており、学校現場へ配付したり、学校関係者が集まる会議等で周知活動を行っております。

 なお、一般の研究者等から研究目的で災害事例情報等の提供申請があった場合は、プライバシー保護の観点とデータ確保に係る事務局の対応体制の観点を踏まえながら、個別に丁寧に相談に乗り、対応しているところでございます。

 引き続き、災害共済給付を通じて得た情報を活用して、学校現場の事故防止につなげることができるよう、文科省としても、日本スポーツ振興センターと連携してしっかりと取り組んでまいります。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 学校の体育の授業、そして運動会、あるいは部活動が安全に行われるように、適切な指導をお願いしたいところでございます。JSCの情報提供も含めて、そのあたり、ぜひお願いしたいところでございます。よろしくお願いします。

 引き続きまして、今回の法案に関しまして質問させていただきたいと思います。

 学校教育法の一部を改正する法律案、平成三十二年実施の新学習指導要領に向けてのデジタル教科書の導入についてお聞きをしていきます。

 新学習指導要領では、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。」ということが前提とあります。教育の情報化は、子供たちの学習への興味、関心を高めること、そして学習内容をわかりやすく伝えることなどのために重要な課題であるというふうには思います。ただ、その情報手段の活用のために必要な環境という意味では、紙の教科書を維持して指導者向けのデジタル教科書を充実させることや生徒一人のコンピューターの保有台数を充実させること、また、その目的に応じたデジタルの教材を充実させること、これらも大事だと思います。

 そもそも、今回のデジタル教科書を導入することに対する意義というものはどのようにお考えでしょうか。教えてください。

林国務大臣 デジタル教科書の使用によりまして、例えば、デジタル教科書にハイライトや書き込みを繰り返し行うことによって、試行錯誤しながらグループで話し合い、考えたことを例えば電子黒板に転送して共有をして、ほかの意見と比較しながら自分の考えを一層深めていく、それから、デジタル教材である動画等と一体的に活用しまして、学習した内容の実社会の活用場面を想定しながら学習しやすくなる、こういった取組が例えば考えられるわけでございます。

 それからもう一つは、障害のある児童生徒等について、例えば視覚障害とか発達障害のある児童生徒が、文字の拡大、色の変更、それから音声で読み上げる、こういった機能を使用することによりまして教科書の内容を理解できやすくなる、こういった効果も期待されるところでございます。

 デジタル教科書の使用によって児童生徒の教育がこういうふうに充実が期待されることから、本法案においては、必要に応じて、紙の教科書にかえて教科書の内容を電磁的に記録した教材、いわゆるデジタル教科書を使用できるようにするということになっております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今、大臣お話しいただきました、かなり充実の内容ということでございます。教育の充実はすごく大事なことでございます。学びの場を充実させるために、それらの意義が生かされるように進めていっていただきたいと思います。

 社会全体がICT化する中で、教育のICT化は避けて通れない課題であると思います。教科書のデジタル化は、その中の一歩として評価するものだと思います。一方で、教育のICT化には留意しなければならない点が数多くあると思います。それらについても順次質問させていただきたいと思います。

 続きまして、デジタル教科書の導入に向けて、教科書会社の方にいろいろとヒアリングをさせていただきました。その中で、比較的ソフトの開発が進んでいる会社においても、価格や流通方法などまだまだ手探り状態であるとのことでした。こうしたことから、三十一年の施行に間に合うかどうかという問題があるともおっしゃっていました。法案には平成三十一年四月一日施行とありまして、一方で、平成三十二年に新学習指導要領が実施されることとなっておりまして、タイミングについては少し現場が混乱するんですということもおっしゃっておられました。

 もともと、平成二十八年の十二月、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議の最終まとめの中では、可能な限り、次期学習指導要領の実施に合わせ使用することができるようとあることから、今回、新学習指導要領施行に合わせて本格導入をするということでよろしいんでしょうか。そのあたり、実施に向けてのタイムスケジュールをお願いしたいと思いますが、どのように想定されていますか。

高橋政府参考人 ただいま、導入に向けたタイムスケジュールの御質問をいただきました。

 この法案は、御指摘いただきましたように、平成三十一年四月一日から施行としております。

 現行の教科書に対応して既に作成しているデジタル教科書があれば、これを来年度より使用できることとなります。

 また、新学習指導要領に基づく新しい教科書に対応したデジタル教科書をこれまでより円滑に作成、供給することが可能となり、これが使用される平成三十二年度から新学習指導要領に合わせたデジタル教科書の本格的な導入が進むことが想定をされております。

 なお、文科省としては、こういったデジタル教科書の円滑な導入を支援するため、この法案が成立いたしましたら、今年中を目途に、教育委員会や学校等が参考とするためのガイドラインを策定して、その周知にも努めてまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 この法案を見ていますと、段階的に進めていくということが明らかでありますが、一足飛びにはいかないならいかないなりに、慎重に進めていただきたいと思います。現場の声を踏まえて、デジタル教科書を導入しやすいように、教材を活用しやすい状況もつくっていただきたいと思います。

 その次に、今ガイドラインのことをおっしゃっていただきましたけれども、紙の教科書とデジタル教科書を併用して使っていく、それは学校での判断だろうということも先ほどの質疑の中でもありました。今おっしゃったガイドライン、その策定がとても大事なことだと思いますけれども、その内容についてと、その策定の時期、年内とはおっしゃっておられましたが、それらをちょっと詳しく教えていただけますでしょうか。

高橋政府参考人 文部科学省では、平成二十九年度から平成三十年度にかけて、現在使用されているいわゆるデジタル教科書、位置づけとしてはまだ教材になっておりますが、これの使用実態等について調査研究を行っております。

 その成果を踏まえて、さらに有識者による検討の上、この法案が成立すれば、先ほども申し上げましたが、今年末を目途にガイドラインの策定を予定しております。

 このガイドラインにおいては、デジタル教科書の円滑な導入を支援していくため、その効果的な活用のあり方や導入に当たっての留意点等に関するポイントや事例を示すことを考えております。

 具体的な内容については、現在行っております調査研究やこれから行います有識者による検討、さらに、この国会での審議等も踏まえて検討してまいりたいと考えておりますが、現時点で想定しております内容を申し上げますと、例えば、紙の教科書を基本とし、デジタル教科書を適切に組み合わせること等の、教育課程の編成や具体の指導における工夫、配慮を行うこと、デジタル教科書と一体的に使用される補助教材等の適切な取扱い、PDCAサイクルの確立、情報端末のクラス間の利用調整や、技術的、専門的な支援体制の整備等の運用上の工夫、そして学校におけるデジタル教科書の適切な使用環境への留意、これは先ほど御審議いただいたような健康への影響も含めてのものになりますが、こういった観点についてガイドラインに盛り込むことを現時点では想定しているところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 ガイドラインの内容につきましては、自治体や学校現場にとって、適切に活用するための重要なものだと思います。

 そのガイドラインは外部委託というふうにもお聞きしておりまして、予算もとっておられるというふうにも聞いております。留意点などしっかり検証していただいて、先ほど吉田委員の質問にもあった健康面への配慮も、さっき申し上げましたけれども、そういったこともしっかりと踏まえていただきたいというふうに思います。

 デジタル教科書の今後の将来像についてもお聞きしたいと思うんですが、文科省としてどういった内容を求めていくのか。前回の櫻井委員の質問にもありましたけれども、現状のデジタル教科書の概念は紙の教科書と同一の内容である、デジタルの優位性は生かされていないものであるということでございましたが、今後の見通しとして、デジタル教科書は紙よりもデジタルの優位性を持った大きな可能性があるものが期待されるものなのか、将来像のようなものが明確にあるのかどうか、そのあたり教えていただけますでしょうか。

高橋政府参考人 まず最初に、先ほどの私の答弁で若干わかりにくかったので補足をさせていただきますが、現在の二十九、三十年度に行っている調査研究、これは委託をして行っておりますが、その委託の調査研究の結果や、あるいは、今後、有識者からの検討を踏まえて、ガイドライン自体は文科省として責任を持って作成したいと考えております。

 それから、今御質問の、デジタル教科書の今後の方向性でございます。

 御指摘のように、デジタル教科書については、その利用がプラス、マイナス両面の効果、影響を持ち得ることなどから、今回は、段階的にまず導入していくということをこの法案でも位置づけをさせていただいております。

 そして、今後の方向性につきましては、段階的に導入されるデジタル教科書の使用による教育上の効果、影響等を把握、検証し、その成果を踏まえながら検討することが必要であると考えております。

 なお、紙の教科書とデジタル教科書のいずれかを選択して使用する、今、併用制から、次をもし選択制という段階と考えるときに、その選択制といった導入につきましては、今申し上げましたように、デジタル教科書の使用による教育上の効果あるいは健康面への影響等に関する調査結果等々を踏まえる必要がございますので、これにつきましては、ICT環境の整備状況などさまざまな状況を見きわめながら、デジタル教科書の導入後、一定の期間を経た後に改めて検討を行う必要があるということを考えておるところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、先ほど、教育効果の検証ということもありましたので、そのことについてもお聞きをしたいと思います。

 デジタル教科書の教育効果について、調査研究、有識者への検討など、検証していくということでありましたけれども、紙での学びとデジタル媒体での学びでは、おのおの学習効果について違いが認められるという研究結果もあります。デジタルでは、考えや判断を総合的に述べるような問題が適している、紙では、決められた範囲における学習内容を知識として覚えたり理解することにすぐれているという報告もあります。

 こうしたそれぞれの持つ特性について、継続的な効果の検証や、それらに基づいた適正化が必要になってくると思いますが、具体的にどういった内容の検証を進めていかれるのか、そのあたりも教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、デジタル教科書については、その使用についてはプラス、マイナス両面の効果や影響を持ち得るものでございます。

 したがいまして、この法案成立後には、まずは段階的に導入を進めていくことが適当であると考えておりますが、その段階的な導入を進める中で、デジタル教科書のあり方については、その使用による教育上の効果、影響を、可能な限り、客観的、定量的な観点も含めてしっかりと把握、検証してまいりたいと考えております。

山本(和)委員 検証していかれる内容につきましては、ガイドライン等に反映していっていただけるようにお願いしたいところでございます。

 引き続きまして、タブレット端末についてお伺いをしたいと思います。

 ハード面の導入コストについてでございますけれども、デジタル教科書のタブレット端末の費用負担、これは有償ということでございましたが、それを誰が負担するのか。保護者なのか、自治体なのか。保護者であれば、新たな教育費の経済的負担が生じることは明らかなのかなとも思いますし、デジタル黒板などの費用は自治体等が負担することとなると思いますけれども、加えてタブレット端末の導入となれば、こちらも新たな財源のために交付金などの手当てが必要なのかなと思いますが、そのあたりを教えていただきたいことと、保護者や自治体のそれに対する理解はどの程度進んでいるのか、そのあたりも教えていただけたらと思います。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校の運営及び管理に必要な経費につきましては、法令に特別の定めのある場合を除きまして、学校の設置者が負担することということが学校教育法に定められております。公立学校のICT環境整備については、各自治体において責任を持って取り組んでいただく必要があるというふうに考えてございます。

 一方で、全国的に学校のICT環境の整備を進めていく必要があるということがございますので、昨年十二月に文部科学省として整備方針を策定したところでございます。

 この点は、学習指導要領におきまして情報教育の充実ということが言われておりますので、デジタル教科書を活用するか否かを問わず、こういうICT環境の整備ということが必要だというふうに考えてございます。そのために、その整備方針を踏まえた環境整備五カ年計画に基づきまして、単年度千八百五億円の地方財政措置が講じられることとされております。

 こうしたことも踏まえて、各自治体において適切な整備を進めていただくということが必要だというふうに考えてございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 適正な措置をしていただくということでよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、ICT環境について質問をさせていただきます。

 タブレット端末に加えて、例えばですが、生徒それぞれにオンデマンドの学習を取り入れる場合には、高速で大量のデータ、通信網の整備が必要になってくると思いますけれども、パソコンやその周りの設備、さらに、これらのメンテナンスや指導を行う人材の確保なども必要となってまいります。

 教科書のデジタル化が本格的に進めば、紙の教科書と違って、自治体の経済力やICT教育に対する姿勢などによって大きな格差が出てくるのが懸念されます。ひいては、学習格差にもつながるのではないかなと思います。

 こういったことに対しまして、政府として何か方策はありますでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、先ほどの御質問につきまして申し上げましたところでございますけれども、学校のICT環境の充実に向けまして、地方財政措置を積極的に活用していただく、このことを推進したい、そのことによりまして、ICT環境整備の地域間格差の解消ということを進めていきたいというふうに考えてございます。

 そのために、具体的には、新学習指導要領の実施を見据えまして、学校において最低限必要とされ、かつ優先的に整備すべきICT環境についての整備方針の策定と、そのことについて全ての教育委員会に対して通知をして周知をしていくということ。

 それから、実施という点について、現状において、学校ICT環境整備状況、このデータにつきまして、市区町村単位ごとの公表をすることによってICT環境整備状況を見える化をするということ、そしてまた、自治体のニーズに応じまして学校ICT環境の整備に必要な助言を行うICT活用教育アドバイザーというものがございますので、そういうアドバイザーの派遣というようなことを通じまして、各自治体において学校ICT環境整備の重要性について十分認識をしていただき、適切な整備が進められるように働きかけてまいりたいというふうに考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今後も、自治体ごとのそういった格差につながらないように、例えば自治体ごとの実例紹介などを行っていただいて、共有できるような仕組みも必要なのではないかなと思います。そのあたりも御検討いただきたいと思います。

 引き続きまして、デジタル教科書や教材の導入においても、今、指導員等のお話もありましたけれども、教員の働き方改革につながるような導入が望まれると思います。例えば、生徒の個別的、習熟度別の学びができるような教材の開発、小学校における英語の発音など、教員の教える能力をカバーしてくれるような活用方法や、テスト採点や習熟度の分析など、自動化などが考えられると思います。

 また、ICT環境が整えば、教員らが開発した教材や資料、指導方法などをクラウドを通じて共有化するということも進んで、教員の授業準備や採点などの時間が節約できる、より授業や生徒指導に集中できるということが考えられています。

 ただ、ICT化が進めば、教員の方々のICTに関する習熟度を伸ばしていかなくてはならないと思います。加えて、機器の故障、そういった支援をしていただけるICT支援員の配置など、自治体ごとが行っているというふうにお聞きをしておりますが、その支援員によって多忙化が更に軽減されると思います。積極的な配置が必要だと思いますが、現状等を教えていただければと思います。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 教育の情報化を進めていくに当たりまして、一つは、やはり学校の先生方のICTを活用して授業を指導できる、そういう能力を高めていただくということが必要だというふうに考えておりますので、その点につきましては、文部科学省といたしまして、研修であるとか、実践事例集あるいは手引の作成、配付というようなことを取り組んでおりますし、更に進めていきたいというふうに考えてございます。

 また同時に、デジタル教科書等を活用した授業をより円滑に進めていくという観点から申し上げますと、ICTの支援員というものの配置を進めることは極めて重要であるというふうに考えてございます。

 このため、ICT支援員の配置に係る所要の経費につきましては、この点につきましても地方財政措置が講じられております。各自治体に対して、その意義を周知いたしますとともに、この地方財政措置の積極的な活用を促しているところでございますが、さらに、その点については進めてまいりたいというふうに考えてございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 継続的にICT支援員の配置をお願いしたいと思います。今後の学校現場のICT化の定着のためにも、安定的にそういう方々の雇用をお願いしたいところでございます。

 時間になりましたので、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いいたします。

 今、山本先生の御質疑の中にもございました、学校のICT環境の整備の関係について、ちょっと重ねて伺わせていただきますが、第二期の教育振興基本計画に定められていた学校におけるICT環境整備目標の達成に向けて、二〇一四年から二〇一七年度の間、合計約六千七百十二億円の地方財政措置が講じられていたわけでありますが、整備目標の達成率は五〇%に満たない。六千七百十二億円の半分以上が他の目的に使われたのではないかというふうに思われますが、文部科学省としての御見解をまず教えてください。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 学校におけるICT環境整備につきましては、今委員から御指摘ございましたように、第二期の教育振興基本計画におきまして、教育用コンピューター一台当たりの児童生徒数三・六人、超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率、これはそれぞれ一〇〇%、そして、校務用コンピューターについては教員一人一台ということを目指すことなどが目標として掲げられていたところでございます。

 計画期間は二〇一八年三月まででありますが、その一年前の二〇一七年三月における学校のICT環境整備状況でございますけれども、教育用コンピューター一台当たりの児童生徒数は五・九人、そして超高速インターネット接続率、これは三十メガビット以上で調べてございますけれども、八七・三%、普通教室における無線LAN整備率は二九・六%、校務用コンピューターは教員一人に対して約一・二台ということになってございます。

 なお、地方交付税で措置をされております。地方交付税につきましては、自治体の自主財源でございますので、その具体的な金額等について把握をしておりませんけれども、一方で、そのことによって自治体の財政支出が十分か否かについては評価しにくいわけでございますけれども、学校のICT環境整備については更に取組を進めていく必要があるというふうに考えてございます。

川内委員 今いろいろ教えていただいたわけですけれども、本来、学校のICT環境の整備のために地方財政措置を講じるということで目標を定め、六千七百十二億円、二〇一四年から二〇一七年度の間に地方交付税措置をしたと。これは、本来のICT環境整備のために使われていれば、目標達成率は一〇〇%でなければならない、あるいは一〇〇%を達成したであろうということですよね。そこをまず確認させてください。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん、実際のコンピューターの整備については、コンピューターを購入する、そのほかさまざまな、自治体における購入のプロセスにおいてそれぞれ単価の差などもあると思いますので、一概にはなかなか申し上げられない側面はあるとは思いますけれども、一方で、今申しましたように、私どもとして目標を定めて、そのために必要な経費として地方財政措置をしていただいているわけでございますので、そういうことをしっかりと我々としては進めていくということを目標として取り組むことが必要だということでございます。

川内委員 いや、だから、一〇〇%に近い目標達成率になりますよねということを確認しているんですけれども。

常盤政府参考人 私どもが積算をしております、学校での例えばPCの、コンピューターの端末の整備などについて、私どもが積算をしておりますので、その考え方に基づけば、この必要な財政措置が行われれば、私どもとしては目標を達成することができるというふうに考えてございます。

川内委員 それが五〇%未満の目標しか達成しておらないということで、続けて二〇一八年度から二〇二二年度についても、学校におけるICT環境整備については引き続き地方財政措置を講じる、そしてさまざまな工夫をします、こうおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、今常盤局長がおっしゃられたように、地方交付税は地方自治体がある程度自由に、ある程度というか自由に使えるお金になるわけで、地方自治体による学校のICT環境整備がしっかりと進むように、文部科学省としては、格差が出ないように、更に地方自治体に対してしっかりとした要請なりあるいは指導なりというものをしていかなければならないというふうに考えるわけでございます。

 そしてまた、目標を立てて、その目標が一〇〇%達成されるように、頑張るために目標というのはあるわけであって、ただ数字を積算するための根拠として目標というのはあるのではないということを考えれば、文部科学省として、あるいは文部科学大臣はその目標達成に向けてしっかりと責任を持つべきであるというふうに考えますが、大臣としての御見解をいただきたいと思います。

林国務大臣 新学習指導要領を踏まえまして、自治体において学校のICT環境の整備を推進していくこと、これは極めて重要だと考えております。

 文科省においては、学校のICT環境の充実に向けた地方財政措置の積極的な活用を促進するために、新学習指導要領の実施を見据えて平成二十九年十二月に策定した学校のICT環境の整備方針の周知を強化する、それから、学校ICT環境整備状況のデータを市区町村単位ごとの公表によってICT環境整備状況を見える化をする、自治体のニーズに応じて学校ICT環境の整備に必要な助言を行うICT活用教育アドバイザーを派遣する、こういった取組を通じまして、各自治体において学校ICT環境整備の重要性が十分に認識されて、適切に目標に向かって整備が進められるよう、引き続きしっかりと働きかけていきたいと思っております。

川内委員 目標が単なる数字の上の目標だけに終わらないようにしなければならないというふうに思いますし、また、文部科学行政に対する国民の皆さんの信頼というものにそこはかかわるのだろうというふうに思います。

 そこで、文部科学行政に対する国民の信頼の根本に更にかかわる問題として、加計学園の問題についても若干触れさせていただきたいと思います。

 あす、柳瀬元総理秘書官、首相秘書官の参考人質疑も予定されているようでありますが、平成二十七年四月二日午後三時から、首相官邸において、柳瀬当時の秘書官並びに加計学園、今治市、愛媛県の会合が行われる予定であるとする趣旨の文部科学省に残されていたメールが公表をされたわけでありますが、その会合には、当時文部科学省から首相官邸に出向していた内閣官房内閣参事官が同席していたであろうと推測されることも、その文部科学省から公表されたメールには記載をされております。

 その内閣官房内閣参事官というのは、現在文部科学省高等教育局の角田私学行政課長で間違いないかということを教えてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの角田喜彦高等教育局私学行政課長は、平成二十七年四月二日当時、内閣官房内閣参事官として勤務をしていた次第でございます。

川内委員 その文科省から首相官邸に出向していた、内閣官房に出向していた角田内閣官房内閣参事官は、平成二十七年四月二日に行われたであろう柳瀬総理秘書官と加計学園等の会合に同席していたかどうか。昨日、通告をさせていただいております。角田さんに確認していただいているというふうに思いますが、同席していたのか否か、その結果を教えてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の内閣官房の職員として角田参事官が勤務しておりましたので、文部科学省として改めて確認することは考えておりません。

川内委員 では、内閣官房は確認していただけましたか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房としては、現時点で柳瀬経済産業審議官等関係者のこれまでの答弁や公式コメント以上に補足して申し上げることはないということでございます。

川内委員 事実確認を、委員長、この角田さんという当時官邸に出向していた文科省からの出向職員がこの会合に出席していたかどうかということを、事実確認をしているだけなんですけれども、答えないんですよ、文科省も内閣官房も。

 私の質疑の残り時間があと三分ぐらいしかないんですね。これは事実確認しているだけですから。

冨岡委員長 通告は受けているんですよね。確認したんですか。どちらか。

 川内博史君。

川内委員 あと私の残り時間が二分ありますので、私の二分をここで留保して、共産党さんの質疑の後、その二分で確認していただいた結果を教えていただくということにさせていただきたいと思います。お取り計らいをお願いします。

冨岡委員長 ちょっと議事録をとめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 速記を起こしてください。

 今、川内博史君の残余の質疑時間、二分ほどだと思いますが、後刻行うこととして、一応これで終わりということにしてください。

 次に、西岡秀子君。

西岡委員 本日、国民民主党に所属をいたしまして初めての質問となります。本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、この法律案は三つの大きな法律から成っております。一つは学校教育法の一部改正、また著作権法の一部改正案、また文科省著作教科書の出版権等に関する法律の一部改正案、この三つの法律案から成っております。主にデジタル教科書につきまして質疑を今から行わせていただきたいと思っております。

 これまでも教育現場におきましては、教育の情報化、ICT化の推進が図られてきたところでございます。特に、平成三十二年度から導入される新学習指導要領を踏まえた、主体的、対話的で深い学びの視点も授業に今後大変求められるところであるというふうに思っております。

 現在、小中学校におきましては、現行の学校教育法では、第三十四条に紙媒体の教科書を使用しなければいけないという定めがございます。今まではデジタル版は副教材の扱いになっておりました。今回の改正で、検定済みの教科書の内容を電磁化し記録したデジタル教科書がある場合には、教育課程の一部において、そのデジタル教科書を使用することができるということが規定されたわけでございます。

 まず、大変基本的な質問でございますが、このデジタル教科書というものをどのように定義されているのか、また、従来からのデジタル教材をどのような位置づけとしてこのデジタル教科書とともに位置づけをされているのかということにつきまして質問をさせていただきます。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、本法案におけるデジタル教科書の定義でございますが、法案では、教科用図書の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的記録である教材、こういったような規定をしております。したがって、この法案によるデジタル教科書というのは、紙の教科書と同一の内容の部分がデジタル教科書ということになります。

 現在は、いわゆるデジタル教科書と呼ばれているようなものが教科書会社によって作成されておりますが、その中には、教科書と同一の内容もあれば、教科書にないようなものもございます。例えば教科書にない動画とかアニメーションなど、こういった紙の教科書以外の内容については、これはデジタル教科書には該当せずに、これまでのデジタル教材と同様に、今後は補助教材として扱われる、こういったような位置づけになります。

西岡委員 ありがとうございます。

 今回一部について認めたということにつきましては、先ほどからも質疑の中でございます、段階的な導入ということを文部科学省として考えられていることだというふうに思っておりますけれども、教育現場で長年、教科書をどのように使って、どのように授業を組み立てていくのか、先生方の長年にわたる不断の努力、そして経験、研究の積み重ねのもとに今の教科書を使った授業というものが組み立てられてきたというふうに私は思っております。

 この中で、学力だけではなくて、この教科書を使った授業というものの中で、私は、人間性というものも育まれてきた面が多くあったというふうに思っております。デジタル教科書だけを使用する授業というものがもし実践をされた場合には、今まで紙の教科書を使って育んできた授業の進め方、そして子供たちの育み方というものに大変不足する部分が出てくるのではないかというふうに思っております。

 今、私どもが情報をインターネットで得るのか、また新聞から情報を得るのかという議論にも少し似ているところがあるというふうに思いますけれども、情報の検索につきましても、今までは、図書館でいろいろなことを調べることによって子供たちも大切な本との出会いという場が私は多くあったというふうに思っております。

 その意味で、大変、紙媒体の教科書というものが重要な役割を今後も果たしていくのではないかというふうに思っておりますけれども、紙媒体の教科書との併用の必要性と、今後、デジタル教科書をどのように教育現場で位置づけていかれるのか、そのことについてお尋ねをいたします。

林国務大臣 デジタル教科書につきましては、その使用がプラスとマイナスの両面の効果、影響を持ち得ることなどから、段階的にその導入を進めていくことが適当であると考えておりますため、本法案では、紙の教科書と併用するということにしております。

 文科省としては、デジタル教科書の使用による教育上の効果、影響等を把握そして検証いたしまして、その成果等を踏まえながら、デジタル教科書のあり方について検討してまいりたいと思っております。

 紙の教科書とデジタル教科書のいずれかを選択して使用する選択制の仕組みの導入については、デジタル教科書の使用による教育上の効果、健康面への影響等々に関する調査研究の結果等を踏まえることが必要でございますので、ICT環境の整備状況等、さまざまな状況を見きわめながら、デジタル教科書の導入後一定の期間を経た後に改めて検討を行うということが適当であると考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 そのデジタル教科書を含めまして、今、教育現場におけるICTの教育推進におきまして、その環境整備というものもまだまだ十分でない面があるというふうに思っておりますけれども、現在の教育現場における機器の導入の状況につきまして教えていただきたいというふうに思っております。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年三月における公立学校における教育用コンピューターの整備状況でございますけれども、教育用コンピューター一台当たりの児童生徒数ということで見てみますと、全国平均では一台当たり五・九人、逆に見ますと、児童生徒五・九人に対して一台という状況でございます。小学校では六・七人、中学校では五・九人、高等学校では四・八人、特別支援学校では二・八人というふうになってございます。

 また、そのほか、普通教室における無線LANの整備率、これは、全国平均では二九・六%、また、普通教室における電子黒板の整備率、この点は全国平均では二四・四%という状況でございます。

西岡委員 今回導入をされますデジタル教科書につきましては、タブレットというものを導入するという形になっておりますけれども、タブレットを導入するに当たりましては、先ほどからも質疑の中でございますけれども、自治体そしてまた保護者の方にも負担を担わなければいけないのではないかということを大変懸念される部分があるというふうに思っております。

 また、この導入におきましては、先ほどからもたびたび議論があっております、それぞれの都道府県による地域間の格差、また公立、私立における格差、そして、低所得者の家庭において大変経済的な負担が大きいものとなるのではないかということが大変懸念をされているというふうに私は思っております。

 財源につきましては地方交付税で手当てをされるわけではございますけれども、最終的に、法律が成立をすれば、この導入については学校や教育委員会が判断をされるということになります。いかにいろいろな面で格差が出ない形で、どこにいても、どこに住んでいても、子供たちが同じような教育を受けることができる環境をつくっていくためには、文科省また文科大臣のリーダーシップというものが私は大変必要になるというふうに思っております。

 このことについて、今後、どのような形で全体的な統一を図られていくのか、また、大臣のリーダーシップをどのような形でとっていかれるのか、このことについてお尋ねをいたします。

林国務大臣 新学習指導要領におきましては、小学校においてプログラミング教育を必修化するなど、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力として位置づける、それから、学校においてICT環境を整えて、それを適切に活用した学習活動の充実を図ることに配慮する、こういうことが明記をされておりますので、今後の学習活動においてはより積極的なICTの活用が求められるところでございます。

 今委員からございましたように、学校のICT環境整備の地域間の格差等を解消するためには、新しい学習指導要領の実施を見据えた、学校において最低限必要とされ、かつ優先的に整備すべきICT環境についての整備方針の策定とその周知、平成二十九年十二月でございますが、これを行うとともに、公立学校に関しては、整備指針を踏まえた単年度千八百五億円の地方財政措置を講じるということになっております。

 それから、私立でございますが、私立においては、ICT環境の整備について、国公立学校の状況を勘案しつつ、新学習指導要領等を踏まえてコンピューターやインターネット等を活用した教育環境の整備を推進するため、ICT教育設備の整備に必要な経費について二分の一以内を私学助成により補助しているところでございます。

 さらに、地方財政措置の積極的な活用、これを促進するために、この学校ICT環境の整備方針の周知を強化すること、それから、学校ICT環境整備状況のデータを市区町村単位ごとに公表して見える化をするということ、そしてさらに、自治体のニーズに応じて、学校ICT環境の整備に必要な助言を行うICT活用教育アドバイザーの派遣、こういう取組を通じて、各自治体において、学校ICT環境整備の重要性が十分に認識され、また適切な整備が進められるように、引き続き働きかけをしてまいりたいと思っております。

西岡委員 重ねてでございますけれども、林大臣として、特に今まで取り組んでおられなかった部分でリーダーシップを発揮されるということについて、大臣の方で何かお考えになっていることがあればお話しいただければと思います。

林国務大臣 これは先ほど事務方からも答弁がありましたように、交付税は自治体の自主財源というところもございますので、やはりまずは、各自治体でこれは大事なことであるということを認識していただくということがまずないといけない、こういうふうに思っておりまして、その上で、大事なことですのでしっかりと整備をしてくださいということを働きかけていく、こういうことではないかというふうに思っておりますし、先ほど武雄の例がありましたが、こういういろいろな取組を周知徹底して、これだけ成果が上がっているんだということで、いわゆるピアプレッシャーといいますか、うちもやろうじゃないかというのを、自治体にとどまらず、そこにいらっしゃる方々もそういう認識を持ってもらう、こういうことも通じてしっかりと進めていければと思っております。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 今、大臣からもお話がございました、この先進的な取組をしている佐賀県の武雄市、そして東京の荒川区、大変先進的な事例が行われているというふうに聞いておりますけれども、簡単に御紹介をいただければと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 佐賀県の武雄市及び東京都荒川区におきましては、タブレットPC等のICTを活用した先進的な授業実践に取り組んでいると承知をしてございます。

 具体的には、佐賀県武雄市におきましては、市が、児童生徒一人一台、専用の教育用コンピューターを整備いたしまして、児童生徒が、授業の予習の動画を自宅で事前に視聴して、次の授業においてその予習したことを前提として話合いや協働学習に取り組む、いわゆる反転学習の実施、東京都荒川区におきましては、タブレットPCや電子黒板を活用した交流授業であるとか、教室の中でグループに分かれて意見を交流するというふうな授業であるとか、あるいは学習意欲を喚起させる、わかりやすい授業の実施ということの実践事例が示されているというふうに承知をしてございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 佐賀県におきましては、このタブレットが、一四年度の実績で生徒六千五百人に端末が配備をされておりまして、購入額は八万円であるというふうに聞いております。そのうち三万円が県の負担で五万円が生徒の負担になっているというふうに、ちょっと私が調べた資料ではなっておりまして、県はこのほかに、ソフトや通信環境整備費などに年間十億円を支出しているというふうに聞いております。

 一方、荒川区におきましては、タブレットをリースで賄う方式で一万台導入をされておりまして、区は年間五億円を支払い、児童側の負担はゼロということで荒川区の実例は聞いております。

 これはちょっと通告をいたしておりませんけれども、先進的な事例におきましても、購入をするやり方、またリース方式のやり方、いろいろなやり方があるというふうに思いますけれども、今この先進的な事例が進んでいく中でそのことをどのように捉えていらっしゃるか、ちょっと通告をいたしておりませんけれども、もしよろしかったら、この先進的な事例の今までの実績を踏まえた上での御見解があれば、聞かせていただきたいと思っております。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども御答弁させていただきましたけれども、現状においては、各学校に、これはデジタル教科書を使うか否かを問いませんけれども、学習指導要領の中で情報教育を推進していくという方向性が示されておりますので、そのために必要な整備として、現状、全国の標準的な整備は三クラスに一クラス程度ということで進んでいるわけでございますが、今委員からお話がございましたように、先進的なところで、佐賀県あるいは荒川区というところで一人一台を志向した取組がなされているということは承知をしております。

 そういう際には、私どもといたしまして、学校に備付けの教具として考えるのか、個人が一人一台で専用的に使用する、いわば学用品のような分類になるわけでございますけれども、そういうものとなるのかという違いがあるわけでございますけれども、後者の場合には、自治体のいろいろなお考えはあろうかと思いますけれども、やはり保護者の費用負担に当たっては、一つは各家庭に負担を求めるか否か、そして、求めるに当たっても、各家庭の経済負担を特に考慮していただくということが必要だというふうに考えております。

 その上で、そういうことを踏まえて、先進的な事例の、いろいろな交流を含めてお互いに意見交換をしていただいたりするなどした上で、各自治体において、設置者として適切に御判断をいただくということではないかというふうに思ってございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今御紹介いたしましたのは、タブレットを教育に導入するという先進的な事例でございますので、デジタル教科書というところとはまたちょっと違う面があるというふうに思いますけれども、そのタブレットの使い方につきまして、そのような購入方式、リース方式、そういう方式、さまざまな方式があるという中で今後どのような形で進めていくのかということについては、やはり保護者の皆様に過大な負担が及ぶことがないということは大変重要な視点だというふうに思っておりますので、この面についてぜひ考慮いただいて、今後の取組を進めていただきたいと思っております。

 そのこととも関連をいたしますけれども、今の紙の媒体の教科書につきましては、無償措置法等に基づいて、義務教育の学校については全児童生徒に無償で配付が行われております。今回のデジタル教科書を有償とするその根拠につきまして、お尋ねをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、紙の教科書を基本とし、デジタル教科書を併用するということにしておりますので、義務教育諸学校の児童生徒に対しては、引き続き紙の教科書が無償給与されることとなります。

 したがって、このような使用形態や紙の教科書のみを使用する児童生徒等の公平性の観点等を考えますと、デジタル教科書を無償措置の対象とすることは現時点では考えていないというところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 一方で、視覚障害や発達障害の理由によって紙の教科書では十分な学習が得られない児童生徒の皆さんにつきましては、全部又は一部でその使用が認められるというふうになっておりますけれども、この児童生徒の皆さんの御家庭に対しては、もし費用負担が発生をする場合には特別に補助をするというようなことをお考えでいらっしゃるかどうか、お尋ねをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、本制度改正では、障害のある児童生徒等についても、今までどおり、紙の教科書や、あるいは児童生徒の状況に応じて拡大教科書などが無償給与されますので、デジタル教科書は無償措置の対象とはいたしていないところでございます。

 なお、これまでも、障害により音声教材等を必要とする児童生徒に対しては、ボランティア団体の御協力をいただきながら、調査研究の成果として、DAISY教材等の音声教材等を無償提供しております。これにつきましては引き続き継続をしてまいる予定でございます。

 また、デジタル教科書を法案成立後導入するかどうか、導入した場合に費用負担をどうするか等については、基本的には校長や設置者において御判断いただくことになりますが、基本的には学校所有の教具として整備されたものを使用することが想定されるのではないかと考えております。

 今、仮に保護者負担になる場合にはというお尋ねでございました。この場合に、特別支援学校や小中学校の特別支援学級等に在籍する児童生徒の保護者に対しては、就学に係る学用品購入費を補助する制度が現在ございますので、これを活用することは考えられるのではないかと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 重ねてでございますけれども、保護者の皆さんに過度な負担にならないよう、また、特にこのような障害をお持ちのお子さんたちにつきましては、やはり格段の配慮をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、教科書検定制度に関連をいたしまして、デジタル教科書につきましては検定を受ける必要がないということになっておりますけれども、その内容が全く紙の教科書と同一であるということによってこの検定が行われないというふうに理解をいたしておりますけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

高橋政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

西岡委員 デジタル教科書につきまして、選択制等のいろいろな今後の進め方の中で、この検定制度につきましても当然いろいろな議論があるというふうに思っておりますけれども、今後、この検定制度、デジタル教科書につきましての方針等、今何かございましたら、御説明いただけるものがございましたらお願い申し上げます。

高橋政府参考人 答弁が繰り返しになって恐縮でございますが、基本的に、デジタル教科書の内容は紙の教科書と同一であるため、改めて検定を経る必要がないということでございますので、直ちに検定制度についてということは検討の必要はないのかと思っております。

 ただ、若干補足いたしますと、今後、デジタル教科書と一体的に、教科書の内容を超えたデジタル教材というようなものがそこにあわせて整備されることは考えられるわけでございます。この場合に、この部分については、先ほども申し上げましたが、補助教材といった扱いになりますので、これにつきましては、学校において使用される教材は、法律に基づき、校長や設置者の責任と判断により、有益適切なものに限り使用されるということになっておりまして、文科省としては、これまで、教材の使用に当たっての留意点として、教育基本法や学習指導要領等の趣旨に従っていること、その使用される学年の児童生徒の心身の発達の段階に即していること、特定の見方や考え方に偏った取扱いとならないこと、こういったことを示して、適切な取扱いを指導してまいったところでございます。

 こういった考え方は、今回デジタル教科書と一体的に販売されるデジタル教材についても適用があると考えておりますので、こういった点につきましては、今後ガイドラインなどを通じて周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今回の改正に当たりまして、教育のICT推進やデジタル教科書の使用に伴いまして、当然、指導する先生方の情報通信技術への知識や指導方法のノウハウというものが大変重要になると考えております。

 教員のICT活用指導力の現状、今の新学習指導要領を踏まえた研修、そして教育研修のあり方について御説明をお願いいたします。あわせまして、教育課程での育成、そして今後の教員の採用につきましての方針も含めまして御説明をお願いいたします。

林国務大臣 授業中にICTを活用して指導できる教員の割合、平成二十九年三月現在でございますが、七五%ということで、今後全ての教員が指導できることを目標にICT活用指導力を向上させていくことが必要であると認識をしております。

 このため、文科省としては、独法の教職員支援機構におきまして、新学習指導要領に対応したICT活用に関する指導者養成研修を実施するとともに、ICTを効果的に活用した指導方法に係る実践事例集、さらには各学校での校内研修リーダーを養成するための手引を作成、配付をしております。

 今回の学習指導要領の改訂では、情報教育の充実が盛り込まれておりますので、これを機に各教育委員会や学校が実施する教育研修が更に充実をするように働きかけてまいりたいと思っております。

 さらに、デジタル教科書との関連では、その効果的な活用のあり方や導入に当たっての留意点等に関するガイドラインの策定等を行ってまいりたいと思っております。

 また、教員養成についてもお尋ねがありましたが、これに関しては、教育職員免許法施行規則を改正いたしまして、大学の教職課程におきまして、教育の方法及び技術に関する科目に加えて、各教科の指導法を学ぶ授業科目の中でも必ず情報機器及び教材の活用、これを含めた内容を習得させることとしておりまして、こうした教職課程を経た教員が各都道府県教育委員会等において採用されていくものと承知をしております。

 こうした取組を通じて、教員のICT活用指導力の向上に努めてまいりたいと思っております。

西岡委員 ぜひ、教員の先生方の活用の能力の向上も含めまして、また、新しく教員となられる皆さんにつきましては、この教職課程におきまして、十分その能力を備えた先生方が適正に配置をされる必要があるというふうに考えております。

 次に、先ほどから、デジタル教科書のガイドラインの話がたくさん議論の中で出てきておりますけれども、このガイドラインに盛り込むさまざまな項目につきましては、ぜひ、本日の議論、また文部科学省の中でさまざま議論をされていることにつきまして、より詳しい形でこのガイドラインをつくっていただくことが、全国の都道府県また現場の先生方にとりましても、大変、今後の進め方の中で指針となるというふうに思いますので、さまざまな分野、またさまざまな視点でのこのガイドラインへの項目を盛り込んでいただくことをぜひお願いしたいと思っております。

 次に、教育委員会における教育の情報化に関する業務推進の組織体制の現状についてでございますけれども、教育委員会の中に専門とする課や係があるというところが一%、専門の課はないが担当者を決めている教育委員会が一五%、必要に応じて担当者を割り当てているという教育委員会が五三%。そのような意味で、この専門的なところを担う方々をもっときちんと組織の中で確立していく必要があるというふうに思いますけれども、このことについてお尋ねをいたします。

林国務大臣 この教育の情報化に関する業務の推進体制につきましては、教育委員会によって状況は異なりますけれども、教育の情報化の意義についての認識が十分でなく予算が確保しにくいケース、また、専門的な知見が、今お触れいただいたように、不十分なケースがあるという課題があるというふうに認識をしております。

 このため、新学習指導要領において、学習活動におけるICTの積極的な活用が求められることをまずは周知徹底するということ、そして、これを見据えて、学校において最低限必要とされ、かつ優先的に整備すべきICT機器等に関して整備方針を策定する、さらに、この方針を踏まえて、環境整備五カ年計画に基づいて、単年度千八百五億円の地方財政措置が講じられるということを周知する、こういうことによって教育の情報化の意義の浸透を図っていきたいと思っております。

 また、自治体のニーズに応じてICT活用教育アドバイザーを派遣することによりまして、こういう機器等の整備やICTを効果的に活用した教育活動の導入などに関して専門的な知見についてのサポートを行っておるところでございます。

 こうした取組を通じて、教育委員会の推進体制をサポートしながら、各自治体において教育の情報化が推進されるように、引き続き働きかけてまいりたいと思っております。

西岡委員 一方で、このデジタル教科書を教育現場で使用するということが実践をされることによりまして、その教育効果の検証ですとか授業の進め方、また情報通信技術の進展の中での教育方法、授業の進め方というものが、大変、これからさまざまな取組を通じて蓄積をされていかなければいけないと思いますけれども、今後、このデジタル教科書を使った授業の教育的な進め方につきまして方針等ございましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思っております。

林国務大臣 新しい学習指導要領において、この情報活用能力というのが学習の基盤となる資質、能力と位置づけられておりまして、各教科等においてICTを活用した学習活動の充実を図るということになっております。

 このため、情報活用能力を教科等横断的に育成するカリキュラムマネジメントの手法の研究、それから、ICTを活用して、いわゆる主体的で対話的である深い学び、アクティブラーニングと呼んでおりますが、こういう視点からの授業改善、こういったことに係る調査研究を行っておるところでございます。

 また、いわゆるソサエティー五・〇、超スマート社会を実現していくということなど、社会構造が大変に速く変革する中で、やはり教育分野においても、こういったデジタルテクノロジーの活用が急速に進展をしておりますので、エドテックと言っております、エデュケーションとテクノロジーを合わせたエドテックということでございますが、これを活用するに当たって、それに関する課題について、省内でプロジェクトチームを設置いたしまして、検討を始めておるところでございます。

 文科省としては、加速度的に進む技術革新の恩恵を最大限に活用することで可能となる新しい教育の方法、さらには次世代の学校のあり方などについて、不断に検討してまいりたいと思っております。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

西岡委員 ありがとうございます。

 先ほどから、健康面についての懸念につきまして、さまざま御指摘があっておりますけれども、今回、一部導入ということで、段階的な導入を図られる。その中で、やはり子供たちの健康、そして心身面への影響というものにつきましては十分な配慮をぜひしていただいて、また、導入における教育の効果、これについても、これから運用していく中での十分な検証が必要であるというふうに思っております。

 また、その検証をしていく中でさまざま問題点が出てきた場合には、その都度、やはり不断の見直しをして、より子供たちにいろいろな健康面、心身面での影響がないように、また、本当に子供たちの教育についての効果があるのかどうか、このことも十分に審議をしていただいて、見直しを含めまして、慎重にこのデジタル教科書導入につきましては進めていただきたいというふうに思っております。

 私としましては、やはり紙の教科書の役割の重要性、これも一方で大変大切な、子供たちの教育におきましては役目を果たしているというふうに思っておりますので、この紙の教科書につきましても、引き続き、この位置づけについて、やはり大変重要なものであるという位置づけのもとで取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 最後に、文部科学大臣、林大臣の方から、このデジタル教科書運用に当たりましての大臣の一番大切だと思われる取り組んでいく中での方針、指針というものがございましたら、最後にお聞かせをいただきたいと思っております。

林国務大臣 平成二十七年に、文科省がPTA関係者に対してアンケートをやっておりますが、デジタル教科書では健康面への影響が大きいと考えられるという回答が一定数出ておりますので、やはりこういう御心配、御懸念を払拭しながら、併用制ということで慎重に進めていくということ、そして、しっかり検証をしながら段階的に進めていく、これが大事なことではないかと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 これで質疑を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、私からも大臣に、きょうは集中してということで御質問を申し上げます。よろしくお願いいたします。

 先ほどからの質問で、幾つか質問通告が重なっているところもございますが、少し深掘りをすることも含めて、丁寧に伺えればというふうに思っております。よろしくお願いします。

 まず、教科書制度との関係についての確認から入りたいと思います。

 デジタル教科書は改めて教科書検定を経る必要がないということで、大臣、よろしかったですね。

林国務大臣 はい、そのとおりでございます。

城井委員 その点を踏まえて、一つだけ確認をしたいと思います。

 内容が同一なので検定不要だという理解をしておりますけれども、デジタル教科書の一つの特徴として、表示方法はさまざま工夫が出てくるのではないかというふうに思っております。内容が同一という範囲の中で表示の方法の工夫があり得るかどうかという点については、大臣、どのようにお考えですか。

林国務大臣 表示の工夫というのは、例えば拡大したりとか、そういうことですね。(城井委員「そうですね」と呼ぶ)はい。

 内容が同一であるという前提のもとで、いろいろな表示の工夫はあり得るんだろうというふうに思っております。

城井委員 その折、デジタル教科書の中で書ける範囲と、先ほどからございましたデジタル教材で対応するだろう範囲というものがあると。両方が今後教育現場で使われていきましたときに、同じ画面上で表示をされているということになりますと、デジタル教科書の部分は、内容の確認は検定の段階でくぐっていますのでという確認がありますが、デジタル教材ということになりますと、その内容を含めての確認が公式にはくぐっていないということになってきます。

 ただ、教育を受ける子供の側からすると、同じ画面での内容ということになりますので、そこが混同されるおそれがあるなというふうに思いますが、この検定を経ていないデジタル教材についても、一定の質の確保、確認というものがどこかしらで必要になってくるのでないかというふうに考えますけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 デジタル教科書と一体的に販売されるデジタル教材を含めて学校において使用される教材は、法律に基づいて、校長や設置者の責任と判断によって、有益適切なものに限り使用されるというふうになっております。

 他方、文科省としてはこれまで、教材の使用に当たっての留意点として、教育基本法や学習指導要領等の趣旨に従っていること、その使用される学年の児童生徒の心身の発達の段階に即していること、特定の見方や考え方に偏った取扱いとならないこと等を示して、校長や設置者が適切に取り扱うように指導してまいったところでございます。

 こうした考え方を踏まえまして、本制度改正に当たっては、デジタル教科書と一体的に販売されるデジタル教材についても、学校において不適切に使用されることがないよう、文科省において策定を予定しているデジタル教科書に関するガイドラインを通じまして、従来の留意点を含め、その適切な取扱いについて、教育委員会等に対して指導してまいりたいというふうに思っております。

 また、デジタル教科書の発行者に対しても、学校における補助教材の適正な取扱いの趣旨について周知徹底をしてまいりたいと思っております。

城井委員 ありがとうございます。

 設置者が確認、責任を担うということ、そしてその判断基準についてもお示ししていただいているということ、そして発行者に対してもその配慮をということでの指摘ということでございました。ありがとうございます。確認をさせていただきました。

 続いて、先ほどから議論になっております負担の問題について少し確認を申し上げたいと思います。

 先ほどからございましたように、デジタル教科書はいわゆるデジタル教科書でありまして、教科書無償の対象外ということでございます。デジタル教科書自体の購入や表示をさせる機器の準備など、学校内のデジタル機器の整備は自治体や保護者の負担となるというのが先ほどからの議論であります。

 本来は、教科書無償の措置の対象にすべきだというふうに考えます。少なくとも、自治体間格差の是正や低所得者層への支援が必要だというふうに考えますけれども、この点、確認をしたいと思いますが、大臣、答弁をお願いします。

林国務大臣 本法案では、紙の教科書を基本としましてデジタル教科書を併用するということになっておりますので、義務教育諸学校の児童生徒に対して、引き続き紙の教科書、これは無償給与をされるところでございます。したがって、このような使用形態や紙の教科書のみを使用する児童生徒との公平性の観点等を考えますと、デジタル教科書を無償措置の対象とすることは、現時点では考えておらないところでございます。

 公立学校のICT環境整備につきましては、三クラスに一クラス分程度の学習用コンピューターの整備に必要な経費も含めまして、先ほど来御議論になっておりますが、平成三十年度からの五年間にわたって、単年度千八百五億円の地方財政措置を講じることとなっております。

 こうした現状を踏まえれば、デジタル教科書の費用についても、設置者が負担をいたしまして、基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いるということが想定をされるところでございます。

 なお、学用品費については、経済的理由による就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、市町村が就学援助を実施しているところでございます。

城井委員 大臣からも公平性の観点ということをおっしゃっていただきましたが、今回の取組は、学校教育におけるICT化の、ある意味でここからは移行期に突入するというふうに思っています。

 その意味では、これまで教育にかかってきた費用とは少し違う負担が生まれてくる、プラスアルファの負担が生まれてくるという部分だというふうに私は理解をしています。特に、先ほどからのお話も含めてでありますが、例えば、ハードの面は地方交付税措置である程度賄いましょうということ、あるいはソフトの部分は設置者の負担というふうなことになってくるわけでありますが、問題なのは、その移行期に子供たち一人一人にきめ細やかにその教育機会が届くかどうかということが大事だというふうに思っております。

 そういたしますと、先ほどの例えば教育用のパソコンでありますとかあるいはタブレット端末でありますとかということを文部科学省に伺いますと、まずこのスタート段階では三人に一人だ、こういう話でございました。これでいいのかということであります。先ほどの地方自治体の間での格差というものが、そうした児童生徒の学習環境の格差につながってしまうということではいかぬというふうに思うんです。

 更に申し上げますと、先ほど教具ということの取扱いの話がございましたが、仮に教具とした場合には学校予算からの負担になります。その学校の予算、特に校長裁量などを含めた予算が、そこに新たに賄うだけの負担を抱えられる余力があるかというところ、特に、今学校現場のハード面の整備は本当に汗をかいてもつらい状況が続いているという中で、そこが大丈夫かというふうに思うわけであります。

 学用品ということにした場合には、先ほど就学援助という言葉がございましたが、就学援助の金額の算定の基準の中に、そうしたICT教育に向けた新たな個人負担というものも計算に入れてやってきたかという点は確認をしたいというふうに思うわけであります。

 大臣、この教具や学用品というところでのこれまでの予算の発想とはちょっと違う状況になってきていることを踏まえて、足りないんじゃないですかね。この新たな支援の部分、予算面の支援というのは必要なんじゃないか。新たな段階へステップを踏む移行期だからこそ、もう一押し必要なのではないかというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほど来申し上げております地財措置でございます。学校において最低限必要とされて優先的に整備すべきICT機器等に関して、学校におけるICT環境の整備方針を策定しておりまして、同方針を踏まえた環境整備五カ年計画、そこに、今、先生がおっしゃっていただいたようなことに関する方針を定めて、それに基づいてこの単年度の千八百五億円の地方財政措置ということになっておりますので、基本的にはそこで見ていくということになろうか、こういうふうに思っております。

 それから、先ほど足りるのかというお話がございましたが、学習者用コンピューター、三クラスに一クラス分程度ということを目標としているわけですが、これは、先進校等における取組事例等も踏まえて、各学校においておおむね一日に一授業分程度、児童生徒が一人一台の端末環境で学習できる環境を実現することが必要、こういう考えに基づくものでございます。

 今回の改正は、教育課程の一部において必要に応じて紙にかえてデジタルを使用できる、こういうことでございますので、三クラスに一クラス分程度の先ほど申し上げましたような学習者用コンピューターが整備されていれば、デジタル教科書の導入は可能であるというふうに考えております。

城井委員 今の大臣の御説明ですと、いわゆる教具の取扱いの部分については、先ほどからのお話の予算で何とかカバーができるんじゃないかというふうに、今のお話では理解を私もいたします。

 その上で、学用品の取扱いになった場合に、先ほどの就学援助でカバーする予算にもともと想定にない中身だというふうに思われますが、この点はいかがですか。

林国務大臣 そちらの方も、この千八百五億円の措置の対象になり得るということでございますが、大きな額をそれほど想定しているわけではないということでございます。

 失礼いたしました。そちらの方は千八百五億円の対象にはなっていないということでございました。失礼いたしました。余り大きな額にはならないだろうというふうには想定をしております。そこは一緒でございます。

城井委員 特に、家庭における個人負担ということになると思いますので、ここは細やかに見ていただきたいというふうに思います。やはり各家庭の事情も異なりますし、何よりも、その学齢の学びはその年にしかないというふうに思いますので、小学校三年生がその学びに当たったならば、そこで格差が出てしまうようでは困るということをぜひ改めて確認をいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 続いて、先ほどからも議論がありました長時間の使用による健康への影響についてであります。

 先ほど吉田委員からの質問にも幾つかございましたけれども、例えば、学びのイノベーション事業での健康の影響の調査を行ったというふうに大臣の答弁がございましたけれども、この事業での調査も含めてありますが、専門家からの意見聴取を含めたところはくぐっての今回の法案ということに至っているんでしょうか。専門家とのやりとりというのはどのようなやりとりがありましたでしょうか。

林国務大臣 今お話しいただいた学びのイノベーション事業は、ICTの活用に伴う児童生徒の健康面への影響等に関する配慮事項について調査を実施したわけですが、タブレット端末、電子黒板を活用した授業の時数にかかわらず、目の疲れを感じた児童生徒の割合には有意な差は見られなかった、ただ、電子黒板等の画面が見えにくかった場合には、目の疲れの変化に統計的な有意差が見られるという結果が得られたところでございます。

 こうした結果を踏まえて、眼科の専門家により、学校でのICTの利用時間程度であれば児童生徒の健康面への影響は生じないと考えられますが、一方で、タブレット端末や電子黒板を集中して見続けるとドライアイになりやすくなることから、授業では、タブレット端末や電子黒板を長時間集中して見続けることがないように配慮が必要であるということなど、健康面への影響について知見が得られたところでございます。

城井委員 先ほどの吉田委員の質問の中での御答弁でございましたが、特に、子供の長時間使用の時間めどについてであります。

 今後の、活用のためのガイドブックあたりには、大人のめどでありますがということで連続作業が一時間を超えないというお話がございましたけれども、大臣、やはり子供向けの時間めどをきちんと明示すべきだというふうに思うんです。

 なぜかと申しますと、学校で使う分は先生方も含めて把握がしやすいと思うんですが、問題は、家庭学習も含めたトータルの時間だというふうに思うんですね。だから、家庭学習を含めた時間めどをやはりきちんと示しておくということが重要なのではないか。特に、寝転がって使うということも含めた自宅での使用方法も含めて明示をする。これはガイドラインの世界なのかもしれませんけれども、この点を家庭の教育方針だけにはなかなか任せにくいのではないかというふうに思っておりまして、この点の使用方法と、そして子供向けの時間の明示ということはやろうということを大臣におっしゃっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 二十六年のガイドブックには、厚生労働省の、大人の場合の連続使用は一時間ということを紹介しているということは、先ほど吉田委員にもお答えしたとおりでございます。

 吉田委員からも、それは大人であるからと、こういうことの御指摘をいただいたところでございますので、今度はガイドラインを策定していくに当たっては、子供であるということ、それから授業中に使うということ等、当然いろいろなケースがあると思いますが、うちに持ち帰っていただけるようになった場合はうちでも使われる。先ほど吉田委員は、寝る前三時間だったかな、三時間は使わない方がいいというようなことをおっしゃっておられましたが、そういうことも含めて、専門家の知見を更にいただいて、しっかりとガイドラインに記載をする方向で検討したいと思っております。

城井委員 ぜひお願いしたいというふうに思います。

 一度健康を害すると、戻すのは大変だというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、デジタル教科書の学習効果の認識について質問申し上げたいと思います。認識と評価についてであります。

 特に、家庭学習、自動採点、個別指導、協働学習、学習の記録、こうしたものが今回のデジタル教科書の導入でのメリットだということで、政府側からも説明があっております。こうした観点で、本当に有効かどうかというのをお示しいただければというふうに思いますが、これまでの紙の教科書をベースにした教育と、今回のデジタル教科書を使った場合に、今挙げたような観点での方法、新旧の方法を比較する検証を行ったか、確認したか、その内容はいかがかという点、大臣から具体的にお示しをいただきたいと思いますが、お願いします。

林国務大臣 ICTを活用した教育の効果としては、例えば、児童生徒の学力テスト及び授業に対する意識調査の結果を比較した場合に、授業においてドリル学習や各自が考えをまとめる際などにタブレット端末を活用した場合の方が、小学校においては、知識、理解、思考、判断、表現、技能の観点において市販のテストの成績が高い、それから、児童生徒の授業に対する評価が高く、新しい考えを見つけたり、授業に集中して取り組むことができる、こういった傾向が示されているところでございます。

 一方で、御指摘の家庭学習、自動採点、個別指導、協働学習、学習の記録というのは、さまざまな方法についてそれぞれ特化した検証というのは行っておりませんで、デジタル教科書の使用と学力の関係については、現段階で一概に説明するということは困難であるというふうに考えております。

 文科省としては、今後、デジタル教科書のあり方について検討していくために、その使用による教育上の効果、影響等、客観的、定量的な観点も含めて把握、検証していく、これは非常に重要なことであると思っておりますので、その調査研究方法についてもしっかりと検討してまいりたいと思っております。

城井委員 ありがとうございます。

 私も、今おっしゃっていただいた定量的な観点での検証が必要だというふうに思っています。ですので、今後、移行期たる時期に進めていく段階から既にその検証をぜひ始めていただきたいというふうに思っております。

 先ほど幾つか例示をいただいたもので申しますと、例えば、意欲や動機づけのアップといったところは少々定性的な面があります。市販テストの結果がアップしたというところは定量的な部分と一つ見ていいかなというふうに思いますが、裏づけとしてはちょっと弱いというふうに思っております。その意味で、科学的根拠、エビデンスをきちんと捉えた上での学習効果の判断が必要だというふうに思っております。

 先ほど、定量的なというふうにおっしゃっていただきましたが、定量的かつ継続的な検証材料を確認していくということをぜひ大臣におっしゃっていただきたいと思いますが、この点、いかがですか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、デジタル教科書の使用と学力の関係について、一概に現段階では評価が難しいところでありまして、健康面の影響等、プラスとマイナス両方あり得るということですので、今回は併用とさせていただいて、段階的に導入を進めていくということになってきたところでございます。

 ことし三月に第三期教育振興基本計画を中教審において取りまとめられておりますが、教育政策を進めていくに当たって、客観的な根拠に基づくPDCAサイクルの確立を更に進めていくということの必要性が盛り込まれたところでございますので、こうした文教政策全般にかかわる基本的な方向性というのを踏まえて、今後、デジタル教科書のあり方について検討していくためには、その使用による教育上の効果、影響等、客観的、定量的な観点も含めて把握、検証することは非常に重要でございますので、その調査研究方法についてしっかりと検討していきたいと思っております。

城井委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続いて、デジタル教科書の活用について、それを担う教員の部分について、私からもお伺いしたいと思います。

 先ほどの質疑の中でも、今回の「情報」の教員として当たれる人数ということで七五%という数字がございましたけれども、あと三割弱、人数が足りないというふうに思います。教員の研修も必須だというふうに思います。

 この教員の研修、技能の向上についての足りない部分をいつまでに満たしていくか。先ほど申したように、子供たちの教育機会はそのタイミングしかないというふうに思いますと、これは急ぐべきだというふうに思いますが、この点について、特に時期の明示を含めて、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、デジタル教科書の活用を含めて、学校における教育の情報化を進めていくためには、まさに今、委員から御指摘があったように、教師のICT活用指導力を向上させるということが重要でございますが、二〇一七年現在で、ICTを活用して指導することができる教員の割合は七五%ということでございます。

 時系列的に言いますと、平成十九年が五二%ということで、そこから右肩上がりで順調には推移をしてきておるわけでございますが、主として、教育委員会や学校における研修の機会がまだ不十分である、それからICT環境整備そのものがおくれているので使えない、こういった課題があると考えております。

 したがって、一つ目の課題に関しては、教育職員免許法の施行規則を改正いたしまして、大学の教職課程におきまして、教育の方法及び技術に関する科目に加えて、各教科の指導法を学ぶ授業科目の中でも必ず情報機器及び教材の活用を含めた内容を習得させることとするとともに、独立行政法人の教職員支援機構において、各地域における教育の情報化を推進する指導者養成のための研修を行うこと、ICTを効果的に活用した指導方法に係る実践事例集や各学校内部で研修を担う人材を養成するための手引を作成、配付すること等によりまして、教師のICT活用指導力の向上に努めておるところでございます。

 また、二つ目の課題に関しては、各教育委員会、学校に対するICTを活用した教育の必要性の理解及びICT環境整備の促進を図ってまいりたいと思っております。

 今回のデジタル教科書につきましては、ガイドラインを通じて適切に使用するように努めてまいりたいと思います。先ほど申し上げましたカーブがなるべく上に上がっていくように、しっかりと頑張ってまいりたいと思っております。

城井委員 私、教員研修センターに視察に伺ったことがあります。情報の授業を担う地域の先生方を研修するための先生の役をする教員の方々の研修の現場に立ち会っての視察でございました。

 その視察の折に、その教員の方々と懇談会の場をいただきまして、実際にそういう、当時はパソコンで教育を広げていく、あるいは学校の業務にパソコンを入れていくときにどんなことが困りますかね、こういう質問をしたことがございました。その折に、とても言いにくそうだったんですが、おっしゃりましたのが、ほかの先生からパソコンが壊れたので面倒を見てくれと言われるとか、そういう、本来の業務改善ですとかあるいは子供たちの教育のためにというのとはちょっと違う部分での役割を担うようなことが言われたというようなことでございまして、そこは逃れがたいですねというようなことを言ったわけです。

 これは恐らく、民間の企業なども含めて、そうした役割の方はいるんだろうというふうに思うんですが、ただ、折からの教員の多忙化もあり、教員の働き方改革と言っているこの時期にもう一手間仕事がふえてしまうとなりますと、若干本末転倒だというふうに思うんです。

 そこで、ICTの支援員の配置が重要になってくるというふうに思います。そういたしますと、ICT支援員がおられますと、デジタル教科書にかかわるICT機器の例えば故障やトラブルなど、学校業務に支障が出るおそれを少しでも減らすことができるのではないかというふうに思うんです。

 ICT支援員の配置を促進するという対応をぜひすべきだというふうに思いますけれども、ただ、大臣、どこまでできますかね。この点をぜひお示ししていただきたいと思います。

林国務大臣 教員がICTを活用して授業を円滑に行えるように、教員のICT活用をサポートするICT支援員の配置を進めることは大変重要であると考えております。

 このため、ICT支援員の配置に係る所要の経費については地方財政措置が講じられているところでありまして、これもやはり、各自治体にその意義を周知しておるところでございます。

 今後とも、必要なICT支援員の配置がなされるように地方財政措置の積極的な活用を促してまいりたいと思っておりますし、また、先生方それぞれがレベルアップをしていただくということとICTの支援員の配置、あわせてしっかりやっていくことが肝要だと思っております。

城井委員 しっかりというふうにおっしゃっていただきましたが、大臣、ここでもきめ細やかさが大事だというふうに思っています。

 今回の地方財政措置で、さて、どれぐらいの学校にICT支援員が届くでしょうか。各校の配置割合はどのようなめどで見られているか。後押しをしていくという気合いはわかったんですが、どれぐらい届くかというところを具体的にお示しいただけますか。

林国務大臣 教員のICT化に向けた環境整備五カ年計画に基づく地方財政措置では、四校に一人の割合、全国で約八千人になりますが、この割合でICT支援員を配置することを想定して積算をしておるところでございます。

城井委員 四校に三校は届いていないということでございますが、これで足りますでしょうか。その目標の配置の根拠はございますか。

林国務大臣 ずっとそこに一人張りつきにならないと、それぐらいの頻度でパソコンが壊れるかといえば、そういうことではなかろうと思いますので、一人が四校のうちの一校に行って、残りの三校に行かないというわけではなくて、できればやはり巡回をしながら、それぞれのレベルをアップしていっていただくように配置をできればというふうに考えております。

城井委員 続きまして、ガイドラインについて少し伺いたいと思います。

 デジタル教科書の活用については、ガイドラインで事例を示すということでございました。このガイドライン作成のスケジュールを具体的にお示しいただきたいと思いますが、先ほどからのお話で年内というお話があったかというふうに思いますけれども、私の関心は、来年四月の施行に向けた教育現場の準備が間に合うかどうか、そこから逆算をしてのスケジュール感を具体的にお示しいただければと思います。大臣、お願いいたします。

林国務大臣 今の指導要領に基づくやつは、先生がおっしゃるように来年ということになりますので、平成二十九年度から平成三十年度にかけて、今使用されているデジタル教科書の使用実態について、その調査研究を行っております。したがって、その成果も踏まえて有識者によって検討していただいて、法案が成立すればということですが、ことしの末を目途にガイドラインを策定したい、こういうふうに思っております。

城井委員 ぜひ、教育現場の準備がしっかり間に合うようにということを確認いただきながら御準備を進めていただければというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。

 続いて、子供の行動の検証について一点触れさせてください。

 実際にタブレット端末などを子供が触れてしまいますと、間違いなく遊んでしまう。優秀な子供さんに至っては、ロックの解除をしてアプリをダウンロードして勝手に遊ぶというケースは十分あり得るというふうに思っています。そうやって違うことをやってしまうことで子供の注意が散漫になることは間違いないと思っておりまして、大きな課題だというふうに思っています。

 技術の進歩よりも子供の成長の方が速いというふうに私は思っておりますが、こうした部分について、子供の行動についての検証が必要だと思いますし、これまでもされているというふうに思いますけれども、この点について、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 得意な子は本当に得意ですから、いろいろなことを大人よりもできる。我が家もそうなんですけれども、そういうことで、先ほど申し上げたようなハイライト、書き込み、いろいろメリットもございますし、一方で、今、委員がおっしゃったように、児童生徒の注意が散漫になるという可能性についても指摘をいただいております。

 こういった観点にも留意をしながら、ガイドラインの中に導入に当たっての留意点をしっかりと盛り込んでいきたいというふうに思っておりまして、そういったところを含めて、教育上の効果や影響等を検証していかなければならないと思っております。

城井委員 我が家でも、四歳の子供が親のスマホを取り上げてSNSでメッセージを送るという事態が発生しておりまして、我々の常識は通用しないということになっていると思っております。ですので、そういう意味では、予断を持たずに客観的な検証をぜひお願いしたいというふうに思います。

 最後に一点、紙の教科書との併存について確認をさせてください。

 我が国では、紙の教科書を使って授業の実践、教科の研究が積み重ねられてまいりました。今でも、自主的なものも含めて、教員の方々が努力を積み重ねていただいています。先ほど西岡委員からも指摘がありましたけれども、そうした学校文化のもとで、学力だけではなくて人間性も培われてきたということであります。

 紙の教科書とデジタル教科書の併存で、今後、こうした、よき学校文化は維持されるでしょうか。ぜひしていくべきだというふうに思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 デジタル教科書、何遍も申し上げてきたように、やはりこの使用がプラスとマイナスの両面の効果、影響も持ち得るということで、段階的にその導入を進めていくことが適当であると思っております。

 したがって、必要に応じて紙の教科書にかえてデジタル教科書を使用するわけですが、紙の教科書を主として使用する、こういうふうにさせていただいております。

 今後、策定を予定しているガイドラインにおいても、紙の教科書を基本としてデジタル教科書を適切に組み合わせること等の教育課程の編成や、具体の指導における工夫、配慮を行うこと、また、PDCAサイクルを確立して、評価、見直しを行うこと等を規定したい、こういうふうに思っております。

 さらに、文科省としては、デジタル教科書の使用による教育上の効果、影響等を把握、検証して、その効果等を踏まえながら、デジタル教科書のあり方について検討していきたいと思っております。

 デジタル教科書の導入によって児童生徒の教育の充実が図られるということが重要でありますので、紙との併用をしっかりと段階的に進めていくことによって、今、先生からお話のあったような学校現場の混乱というのが起こっちゃいけませんので、こういうことを避けながら、円滑にデジタル教科書の導入を図ってまいりたいと思っております。

城井委員 学校現場からも、これまでの取組を新しい道具で表現することができるならそれはそれでおもしろいという声も伝わってきておりますので、ぜひ文部科学省においても、その点も御支援をお願いしたいというふうに思います。

 きょうは、学校教育のICT化の移行期を踏まえてということで順次質問を申し上げてまいりました。

 今後、国会の側からも、超党派での議員立法で、学校教育の情報化、ICT化の推進の法律案を提出いたす今準備をいたしておりまして、間もなくの提出になろうかというふうに思います。ぜひ各党の御協力もいただきながら、きょうの御議論を踏まえてでありますけれども、政府の姿勢を今後も確認いたしながら、そして、改善提案を私どもから申し上げて、そして子供たちの健全な学びと育ちを応援してまいりたいというふうに思いますので、引き続きの御支援をお願いしたいというふうに思います。

 私からの質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 学校教育法の一部改正案について、林芳正文部科学大臣に質問いたします。

 学校教育法上、教科書は、教科用図書とされ、紙媒体のものを想定しています。今回の法改正で、紙の教科書と同一の内容をデジタル化した教材、つまり今回のデジタル教科書が、教育課程の一部について、紙の教科書にかえて使用することができるようになるとしております。

 このデジタル教科書は、法律上は教材でありまして、無償化の対象になっておりません。文部科学省といたしまして、義務教育における個人負担のあり方についてどのように考えておられますか。

林国務大臣 デジタル教科書を導入するかどうか、また導入した場合に費用負担をどうするか等については、校長や設置者において判断をいただくということになります。

 なお、デジタル教科書を使用するために必要なタブレット端末等につきましては、基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いるということが想定をされるわけでございます。

 公立学校のICTの環境整備につきましては、先ほど来御議論がありますように、三クラスに一クラス分程度の学習者用コンピューターの整備に必要な経費も含めて、平成三十年度からの五年間にわたって、単年度千八百五億円の地方財政措置を講じるということになっております。

 このような現状を踏まえれば、デジタル教科書の費用についても、設置者が負担をし、基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いるということが想定されるところでございます。

畑野委員 林大臣から、学校所有の教具として使用されるということで、設置者で負担をする、つまり、個人負担にはならないようにしていくということでよろしいですね、確認です。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、導入するかどうか、それから、導入した場合に費用負担をどうするか等については、校長や設置者においての判断ということになるということでございます。

畑野委員 設置した場合ですけれども、文部科学省としては、個人の負担にならないようにしていくという方向でよろしいんでしょうか。

 というのは、実は、先ほども議論がありましたが、自治体によっては個人負担が発生する可能性も否定できないと。今、教育費の経済的な負担が問題になっている、あるいは地方間格差もあると。特に、義務教育段階でのデジタル教科書を導入した際に、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議の最終まとめでも、多くの意見が、義務教育段階において使用するデジタル教科書については、紙の教科書とともに、無償で児童生徒に給与されることが望ましいというふうに指摘されているんですね。

 ですから、文部科学省としてのやはり態度、どうあるべきかということを示していくことは必要じゃないかと思うので繰り返し伺っているわけですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 文科省としては、平成二十七年の三月四日付の初中局長通知におきまして、教材の購入に関しては、保護者に経済的負担が生じる場合は、その負担が過重なものとならないよう留意するように各教育委員会等に求めておるところでございます。また、学用品費につきましても、経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、市町村が就学援助を実施しておるところでございます。

畑野委員 ですから、個人で書いたりするノートと違って、教具ということですから、学校のものというふうになるわけですね。これ、ちょっと確認です。

高橋政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、まず、デジタル教科書を使用されるのに必要なタブレット端末については、これは基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いることが想定されます。したがいまして、そこに入れるデジタル教科書についても、基本的には、そのタブレットに入りますので、学校所有の教具として整備されたものを用いることが想定はされますが、基本的に、その負担をどうするかについては、最終的には校長や設置者において判断いただくことになる、そういうことでございます。

畑野委員 何だかはっきりしない答弁なんですよね。私としては、皆さんからもあったように、義務教育の段階においてやはり無償というふうにするように、それは国を含めてやっていただくというふうにぜひ強く求めたいと思います。

 次に、法案では、視覚障害、発達障害その他の紙の教科書を使用して学習することが困難な児童生徒に対して、必要な場合は、教育課程の全部又は一部で、デジタル教科書を使用することも可能とされております。紙の教科書のかわりにデジタル教科書が使えるわけで、全部ということもあるわけですから、その場合も個人負担が発生しないように手だてを講じる必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

高橋政府参考人 障害を持った児童生徒の場合であっても、基本的に、デジタル教科書については、今回は無償ということは現時点では考えておりません。したがいまして、導入した場合に費用負担をどうするか等については、校長や設置者において判断いただくことになりますが、先ほど申し上げたように、基本的には学校所有の教具として整備されたものを使用することが想定されるところでございます。

 なお、これまでも、障害により音声教材等を必要とする児童生徒に対しては、これはデジタル教科書ではありませんが、ボランティア団体等の御協力をいただきながら、調査研究の成果として、DAISY教材等の音声教材を無償提供しておりまして、こういった取組も引き続き継続してまいることとしております。

畑野委員 DAISY教科書の話がありました。これは本当にボランティアの皆さんによって支援いただいているわけですね。ですから、これは本当に国としても更に支援を充実していただきたいと思うんです。

 現在でも、視覚障害のある児童生徒の学習用に拡大教科書や点字教科書等が使われて、そして、学校教育法附則第九条に規定されているように、無償給与となっております。それからさらに、小中学校の通常学級に在籍する弱視の児童生徒に対しても、予算措置として無償給与がされてきているわけですね。

 ですから、そういう点で、例えば全部使うというふうになった場合の支援のあり方というのは今後検討していくべきだと思いますが、いかがですか。

高橋政府参考人 先ほど申し上げましたように、基本的には学校所有の教具として整備されたものを使用することが想定されるところではございますが、仮にでございますけれども、保護者負担となるような自治体があった場合には、現在、特別支援学校や小中学校の特別支援学級等に在籍する児童生徒の保護者に対しては就学に係る学用品購入費を補助する制度がございますので、こういった制度の活用といったことが今後の検討になるのではないかと考えております。

畑野委員 この点を含めても、きちっと検討を強めていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 あわせて、私立の小中学校、これはどういうふうに考えますか。

高橋政府参考人 私立学校についても、デジタル教科書を導入するかどうか、また、導入した場合に費用負担をどうするかについては、校長や、あるいはその設置者である学校法人において御判断いただくことになります。

 なお、私立学校におけるICT環境の整備については、国公立学校の状況を勘案しつつ、次期学習指導要領等を踏まえ、コンピューターやインターネット等を活用した教育環境の整備を推進するため、ICT教育設備の整備に必要な経費について二分の一以内を私立学校に対して補助しているところでございます。

畑野委員 私学の助成の拡充もあわせてお願いしたいと思います。

 それから、高等学校での導入について、この点はいかがですか。

高橋政府参考人 高等学校の場合は、そもそも、義務教育と違って、教科書の無償措置ということは講じられておりませんが、高等学校においても、デジタル教科書を使用するために必要なタブレット端末等は、基本的には自治体の負担で学校に備え付ける教具として整備されることが想定されますので、そういった意味では、義務教育と同様に、基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いることが想定はされますが、ここも最終的には校長や設置者の判断ということになります。

畑野委員 それらの導入に当たっては、やはり財政的な問題が出てくると思うんですね、一つは。ですから、それはどういうふうに進めるのか、本当によく検討して進めていく必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 もう一つの問題は、デジタル教科書導入のメリット、デメリットの問題です。先ほどから議論になっております。

 それで、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議の第六回目の会議において、国立情報学研究所の新井紀子教授、AIの研究者でいらっしゃる方ですが、次のように発言をされておられます。

 デジタル教科書にそれだけのメリットがあるかということを検証していきたいと思いますとおっしゃって、第一に、デジタル教科書が、障害や困難がある子供たちには大変恩恵になるのだという議論があります、確かに、必要な生徒にデジタル化した教科書を提供する枠組みは非常に重要です、特に、弱視の方あるいは発達障害のお子さんに、その弱視の程度に合わせて拡大できたり、字ではなくアニメーション等で内容が示せるようなデジタル教科書というのはメリットが大変大きいので、そのような枠組みがより進んで充実することは望ましいと考えますと。

 一方、実は、動画や音のコンテンツはユニバーサルデザインではないということについては認識をしなければなりません、国立情報学研究所は、さまざまなタイプのコンテンツに対して、そのユニバーサルデザインになるような研究をしておりますが、動画、特にアニメーションや音のコンテンツにアノテーションをつけるという方策がないため、盲聾児は利用できないコンテンツが圧倒的に多いということは認識しておく必要があります、また、テキストより動画の方が深く理解できる児童もいますが、逆に動画ではテキストより理解が減ってしまうという児童もいるということについて認識をする必要もありますし、調査をする必要もあると考えております、こういうふうにおっしゃっております。

 また、協調的学習が進むのではないかという議論について、このように述べられております。

 デジタルノートを共有することで協調的な学習が広がるという話です、実は、グループワークにPCを持ち込むことで視線が個人のPC画面に奪われて会話が減るということが、近年、しばしば報告されています、例えば、福嶋氏の「PCを利用したグループワーク講義における対面的画面共有の実践」という論文では、あなたのグループは活発に議論しましたかという問いに対して、PC利用のグループは、「はい」が五〇%、一方、紙と附箋利用のグループは、「はい」が九二%という結果が出ています、こういうことなどが述べられていて、私は大変興味深く読ませていただきました。

 検討会議の最終まとめでも、教育効果、健康面の影響など、これらについては、デジタル教科書の使用による効果、影響について、現時点で客観的、定量的な検証は事実上困難とされています。

 こうしたことを踏まえれば、デジタル教科書の導入は段階的に慎重に行うべきですし、導入後の状況について丁寧な検証が必要だと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

林国務大臣 まさに、委員から今お話あったように、デジタル教科書につきましてはメリット、デメリット双方あり得る、こういう前提でございます。

 例えば、書き込みを繰り返しやすいとか、一回消してまた書き込むとか、ハイライトも何回もできるとか、それから、それを電子黒板にやって、みんなで議論する、こういうところ、また、ここの範囲だけを出すとか、そういうこともできるということでございますが、一方で逆に、先ほど、PCとグループの話はデジタル教科書とまたどう相関するのかということもあるかもしれませんが、新井先生がおっしゃっていた動画とテキストの比較というのは大変興味深いお話だ、こういうふうに思っております。

 やはり、デジタル教科書の使用と学力の関係、これは現段階でなかなか一概に説明できないわけでございますので、併用する、選択ではなくて、紙が基本でデジタルは使うことができる、そういう併用をして、段階的に導入を進めていく。

 そして、今後は、デジタル教科書が併用で入ってきますと、その使用による教育上の効果、影響等、可能な限り、先ほど城井先生とのやりとりでも申し上げさせていただきましたが、客観的な、また定量的な観点、これも含めて把握、検証していかなければならないと思っております。

畑野委員 紙の教科書とデジタル教科書との併用というお話になると思うんですが、先ほど紹介した最終まとめでは、中長期的には、紙の教科書とデジタル教科書のいずれかを選択して使用する選択制の導入も含めた制度面の検討ということも述べられているんですね。

 しかし、私は、先ほど大臣もおっしゃったんですけれども、選択制先にありきではなくて、丁寧な検証を踏まえて今後の方向性を議論するべきだと思うんですが、その点、いかがですか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、まずは併用で段階的にやった上で、検証して、その上で、最初から、どこかいったら必ず選択制になるということではなくて、選択制にするかどうかも含めて検討していかなければならないと思っております。

畑野委員 次に、デジタル教科書の使用についてなんですが、あくまで、できる規定ですから、使用義務を課すものではないということです。

 紙の教科書の使用を前提にデジタル教科書の活用が図られるというふうになりますと、どう活用するのかというのは学校や教員の自主的な判断に委ねられているということでよろしいですか。

林国務大臣 おっしゃるとおり、デジタル教科書を使用するかどうかについては、補助教材と同様に、地域や学校及び児童生徒の実態等に応じて校長や設置者が判断を行うということになります。

畑野委員 それで、大臣、長年紙の教科書で教えてきたベテランの教員の方の中では、このデジタル教科書の使用になじめないという方も当然いらっしゃると思うんですね。先ほども議論のありました、そういう方は使わなくていいということでよろしいですね。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、使用するかどうかについては、補助教材同様に、基本的には校長や設置者が判断を行うことになります。

 ただ、実際には、現在の学校現場においても、具体の授業の中で教科書や補助教材をどのように使用するかは、校長の関与のもとでも、教員の創意工夫によるものであると考えておりますので、基本的にはデジタル教科書においても同様と考えております。

畑野委員 ですから、先ほど副大臣も使わなくても大丈夫ですとおっしゃったので、大臣、そういうことで、教員のそういう創意工夫という点では、そういうのは使えないという方は別にそれでいいということでよろしいですか。

林国務大臣 そういうことで結構だと思います。

畑野委員 教育現場では、デジタル教科書の活用の程度が人事評価の対象にされるのではないかという不安があるんですね。そんなことはあってはならないと思うので、いかがですか。確認です。

高橋政府参考人 公立学校の教師の人事評価の基準及び方法など必要な事項については、これは、地方公務員法の規定によりまして、任命権者が定めることとされております。

 したがいまして、デジタル教科書などICTの活用能力をどのように取り扱うかを含め、人事評価の基準や方法は各教育委員会において適切に判断されるべきものと考えております。

畑野委員 ですけれども、デジタル教科書についてはちょっと自分は使わないなといった場合に、それが何か評価されるというのは、先ほど自主性、創意性と言ったのと矛盾すると思うので、そこをもう一回確認させてください。

高橋政府参考人 そのような学校現場の実態を踏まえて、各教育委員会において適切に判断されるべきものであると考えております。

畑野委員 使用義務でもない。デジタル教科書を、じゃ、使った先生の方が有利になるということですか。おかしいですよね、それは。

高橋政府参考人 繰り返しになりますけれども、公立学校の教師の人事評価の基準、方法などについては、これは任命権者が定めるものでございますので、各教育委員会において適切に判断されるべき事項である、そのように考えております。

畑野委員 教員の創意工夫を含めて、それはきちっと反映できるように私はしていくべきだということを強く文部科学省に求めておきたいと思います。

 文学作品ごんぎつねは、最初から通して読むことでキツネの寂しさ、悲しさ、兵十と友達になりたかった気持ちが理解できる、本文と自由に切り取ることができたとして意味がない、回答に早くたどり着ける技術だけを教えても、日本語の多様なオノマトペや比喩表現の獲得ができるというような教育課程にはならないという現場の先生の声もありますから、しっかりと受けとめてください。

 児童生徒にとってデジタル教材がどのようなことになるのか、これは本当に今後も検討することを求めたいと思いますし、私は、教員増などを常に言っているんですが、子供の変化に見合った条件整備を手厚く、ぜひ文科省を先頭にやっていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。

 最後に、私、同僚議員からも質問のありました加計学園の獣医学部新設をめぐる問題について少し質問をしたいと思います。

 二〇一五年四月二日に、加計学園、愛媛県、今治市の関係者が内閣府の藤原地方創生推進室次長と柳瀬首相秘書官と面会した記録が、愛媛県と農水省から公表されまして、私は、四月十三日の当委員会で、文科省としても調査をするように求めてまいりました。

 四月十七日に、愛媛県の担当職員が備忘録として作成したとされる文書の存在は、文科省としては確認できなかったと伺っております。

 四月二十日に、愛媛県等が官邸を訪問したことに関する内閣府から文科省への事前連絡等の有無に関する調査結果が公表されました。

 このどちらも個人ファイルや個人フォルダが調査されていないんですが、なぜ調査しなかったんですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の確認作業におきましては、関係部局において、共有ファイル、紙のファイルですが、それから共有フォルダ、電子媒体、これらを探索するとともに、関係者に対するヒアリングにおきまして、当該文書を見たことがあるか、あるいは共有したことがあるかなどと具体的に確認することを通じまして、共有ファイルそれから個人ファイルなどを問わず、当該文書の存否そのものを確認する作業を行ってきたところでございます。

畑野委員 聞き取りした上でやっているわけですから、それは不十分だと思うんですね。

 林大臣は、四月二十日の記者会見で、現時点で考え得る最大限の方法で確認作業を行ったとおっしゃっておられます。個人ファイル、個人フォルダを調査しないで最大限の方法でやったというふうには到底言えませんので、これは更に徹底した調査を求めたいと思います。

 次に、メールが出てまいりました。

 四月二十日に文科省が公表した、愛媛県等が官邸を訪問したことに関する内閣府から文科省への事前連絡のメールということです。

 行革室御中、矢印があって、内閣府からと。名前は消されております。お疲れさまです、本日十一時三十分、加計学園が藤原次長に面会に来るとのことです、当方も同席をすることとなったので、概要についてはまたお知らせしますと。これは二〇一五年四月二日九時五十二分というふうになっております。

 次に、行革室御中、矢印がありまして、内閣府からと。名前は消されております。お疲れさまです、取り急ぎ、本日の面会の結果をお知らせします、日時、四月二日木曜日十一時三十分から十二時三十分、先方、学校法人加計学園、倉敷芸術科学大学、名前が消されております、同、名前が消されております、愛媛県地域振興局地域政策課、今治市企画部財政部企画課、同、愛媛県東京事務所ほか、当方、藤原次長、次は消されております。

 次長からは、制度改正の実現は首長のやる気次第、熱意をどれだけ示せるか、今月(又はゴールデンウイーク明け?)に予定する国家戦略、構造特区の共通提案に出してみては、反対派の同意を得るためにも、構想の内容(コンセプト、カリキュラム、自治体の取組等)を検討していただきたい、御相談いただきたいという趣旨の説明があり、自治体、大学側が持ち帰って検討する結果となりました、また、本日十五時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです、概要は後でまとめてお送りします、よろしくお願いしますということで、このメールは、二〇一五年四月二日十二時四十八分というふうになっております。こういうメールを公表していただきました。

 これらからわかるのは、二〇一五年四月二日に加計学園、愛媛県、今治市の関係者が内閣府の藤原地方創生推進室次長と柳瀬首相秘書官と面会したということで、文科省としてはこれは事実だということでよろしいですね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のメールにつきましては、去る四月二十日に公表しているところでございますが、その中身について文部科学省として確認する立場ではございません。

畑野委員 仮定の、勝手な考えの記録が残っているということですか。そういう職員だということですか。そんなはずないじゃありませんか。文部科学省の職員はみんな優秀なはずですよね。これはきちっと調査してください。だって、黒塗りに、出した人は先ほどお名前を紹介したじゃないですか。その方に、あなた、これ、書いたのは事実ですねと確認すればいいわけですから、それを求めておきたいと思います。

 あした、参考人招致で柳瀬氏が国会で発言をされるということになっております。否定をされてこられたけれども、結局、これらの文書から、愛媛文書、農水省の出した文書、そして今回の文科省のメール、これは面会の現場に加計学園の関係者がいたということが明らかになったわけです。愛媛県と今治市が国家戦略特区に獣医学部新設を申請する二カ月も前に、国家戦略特区への申請のアドバイスを懇切丁寧に与えていたという文書ですよね。愛媛文書の最後には、県としては、国家戦略特区申請の提案書案について、今治市の動向を踏まえ、加計学園とも協議をしながら、連携して策定を進め、内閣府と相談させていただきたいと書かれております。特区申請の初めから政府は一体となって加計ありきでレールを敷いてきたということではないでしょうか。

 林大臣は、昨年十一月十五日の当委員会で、私の質問に対して、加計学園の獣医学部新設は国家戦略特区のプロセスの中で新設するにふさわしいことが確認されて設置認可の申請になったという趣旨の答弁をされました。新たな文科省のメールに基づいて再調査する必要があるんじゃないですか。

林国務大臣 きょうのどなたかの御質問にもお答えしたとおり、適切な、内閣府を中心とした国家戦略特区のプロセスによって、その後、こちらの方で設置認可のプロセスを踏んだということは変わらずに申し上げてきたとおりでございます。

畑野委員 あのときに私は林大臣に、認可をしたら大臣の責任になるんですよ、おやめになった方がいいですよとたしか申し上げました。

 その国家戦略特区のプロセスそのものが揺らいでいる、信頼性が損なわれている、こういう事態じゃありませんか。内閣一体として、あるいは大学設置に責任を負う文部科学大臣として、これでよいのかという調査、それは、学ぶ学生たちあるいは全国の国民、教育研究の現場への文部科学大臣としての責任じゃありませんか。いかがですか。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、国家戦略特区の枠組みの中で関係法令に基づいて関係省庁の合意のもとで適切に進められてきたもの、また設置認可のプロセスも設置審において学問的、専門的観点から審査をいただき、また申請内容と国家戦略特区のプロセスの整合性も確認をできたということで認可をしたところでございますので、両プロセスともに適切に進められてきたものと認識をしております。

畑野委員 終わりますけれども、大学設置審のプロセスそのものもいろいろな意見があったということを委員会で私も紹介させていただきました。全面的な検討、調査を重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。続きはまた今度やりたいと思います。

冨岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、デジタル教科書、この法案について質問させていただきたいというふうに思います。

 今回、教育課程の一部、障害のある生徒については一部又は全部について、紙の教科書にかえてデジタル教科書が利用できるように学教法が変わるということであります。

 まず最初に、どうも釈然としないといいますか、腑に落ちないところがあるので、そこだけもう一回確認させていただきたいと思うんですが、本案の条文でいいますと、三十四条の二項、三項に関係する部分ですが、教科書用図書にかえて当該教材を使用することができるというふうになっております。当面、紙媒体の教科書との併用ということになるとも聞いております。

 この教科書用図書にかわるという意味なんですが、これは言葉の使い方といいますか、今の当委員会の議論でも文科省の方からもデジタル教科書という言葉が出てくるんですけれども、改めて確認ですけれども、これは教科書なんですか、それとも教材なんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案において、先ほど委員から御指摘ありました第三十四条第二項においては、いわゆる今回議論いただいているデジタル教科書については、教科用図書の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的記録である教材と規定をしておりますので、教科書か教材かと言われれば、位置づけとしては教材になります。

 ただし、今御指摘がありましたように、三十四条の第一項で、教科書の使用義務、紙の教科書の使用義務が課されております。ですから、副教材を使ったとしても、それによって教科書を使わないことはできないんですが、この電磁的記録である教材については、それを教科書にかえて使用することができる、そういう教材であるということが今回法律に規定される、そういうことでございます。

吉川(元)委員 いや、その説明が釈然としないんですよ。

 教科書にかえて使える、それはまさに教科書じゃないんですか。デジタル上の教科書だというふうに、どうしても、きのうも質問レクの際にかなり長時間にわたって、一体どっちなんだという話で、教科書を使わなきゃいけないというのがその第一項でありまして、第二項でそれにかえて使えるとなれば、それは教材ではなくて、私はやはり教科書なんじゃないかと。だからこそ、紙にかえて使えるというふうに普通はなるんじゃないかというふうに思うんですが、なぜそれがそうならないんですか。

高橋政府参考人 今回は、第三十四条の第二項に、こういった電磁的記録である教材については教科用図書にかえて使用することができるということを規定いたしましたので、したがって、いわば特別な教材という位置づけを与えられることによって、教科書の使用義務を課されない、そういう整理にしたということでございますので、条文上は教材ということになっております。

 ただ、内容的には教科書と同一のものでございますので、したがって、教科書の使用義務を今回免ずることができる、そういった位置づけになっているわけでございます。

吉川(元)委員 そういう説明をされても、普通の人間であると理解に苦しむ。もうそれは、これは教科書ですというふうに言ってしまえば済むわけです。

 教材ということになった場合には、そもそも、それは校長に選定権があって、それから、教育委員会に事務の管理、執行権があります。検定は不要でありますし、法律にする必要もないわけです。だけれども、今回これを法律に書き込むということは、これはやはり、私は、教科書にかわるものである以上、それは教科書だろうと。それを無理くり教材だというふうに言われるというのは、私自身は非常に腑に落ちない、釈然としないというふうなことを思わざるを得ません。

 何となく、邪推といいますか、推測をするに、教科書というふうにもし仮に定義をしてしまえば、これは当然、無償化の対象になりますよね。

高橋政府参考人 教科書の無償につきましては、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の第二条において、この法律、つまり無償にする法律の定義としては、学教法三十四条第一項及び附則第九条に規定する教科用図書をいうということになっておりますので、仮に三十四条二項の表現を教科書に変えたとしても、やはりこの無償措置法のところを改正しなければ直ちに無償にはならないというのが法律上の構成でございます。

吉川(元)委員 いやいや、法律上のテクニカルな話ではなくて、教科書である以上は、それは無償でなければならないんじゃないんですか。

 もちろん、その場合には法律を変えなければいけないというのは理解できますけれども、法律の趣旨、無償化法の趣旨からすれば、教科書であれば、これは当然無償にしなければならないものだという認識でよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、義務教育諸学校の教科用図書を無償にするかどうかについては、基本的には無償措置法の方に規定がありますので、そこに規定をされないものは無償にならないということでございます。

 それから、今回、いわゆる条文上は教材で、この審議においてはいわゆるデジタル教科書といった言葉を使わせていただいておりますが、この位置づけについて、本法案では、紙の教科書を基本として、デジタル教科書は併用するということになっております。したがいまして、紙の教科書はこれまでどおり全ての児童生徒に無償給与されますので、こういったことを勘案して、現時点ではデジタル教科書については無償措置の対象とすることは考えていないということで、これは用語の問題というよりは、そういった判断を今回したということでございます。

吉川(元)委員 では、ちょっと確認いたしますが、これから将来、いわゆるデジタル教科書、デジタル教材が今まで以上に普及をしていって、その意味でいうと、今以上にデジタル教材を使う範囲が広がって、それが教科書用の図書にかわる位置づけになったとしても、仮に、紙媒体の教科書を無償で配付しているのであれば、デジタルについては無償にする必要はない、そういう立場ですか。

高橋政府参考人 今回の法改正は、あくまで、デジタル教科書を段階的に導入していく、まず最初の第一歩という位置づけでございます。したがいまして、今後、デジタル教科書の取扱いについては、デジタル教科書の使用による効果や影響の把握、検証を行いつつ、無償にすべきかどうかについても、これは今後慎重に検討していく課題であると考えております。

吉川(元)委員 いやいや、私が聞いたのは、今、紙はただで配付している、だからデジタルについては金を取っても構わない、有償だというような答弁を先ほどされたので、将来更にこの比率が変わって、あるいは、デジタル教材がある意味でいうと教科書という位置づけになって、ただ、依然として紙媒体のものは無償で配付している、こういう場合には、依然として、これは教科書であったとしても有償だ、それで構わないんだという理屈になっているんですかというのを聞いているんです。

高橋政府参考人 先ほど、まず無償措置の対象とすることは現時点では考えておりませんという答弁をさせていただきました。したがいまして、今後、この法案が成立後にデジタル教科書の導入がどう進んでいくか。きょうの御審議でもいただきましたように、それに合わせて、我々としても、しっかりとその効果、影響というのは検証、把握していく必要があると考えております。

 その上で、将来的に、例えば今回の併用制から更に選択制になるのかどうか、そういったことも今後の検討課題の一つになり得るかもしれませんが、そういったようなさまざまな状況を考えながら、将来的なデジタル教科書の無償、有償については議論していくべき課題であると考えております。

 そういう意味で、先ほど、今後慎重に検討していくべき課題であると考えているということで、未来永劫それを有償だということでもありませんし、今の時点で方針が決まっているというものでもございません。

吉川(元)委員 局長、質問をちゃんと聞いてください。

 私が聞いているのは、紙で無償で今配付をしているから有償で構わないんだというような答弁、そうとれるような答弁を先ほどされたから、そういう答弁なんですか。それとも、今はデジタル教材という位置づけ、二項で教材なんという、いわゆるデジタル教科書、教科書と言っているけれども、あくまでこれは教材なんだ、だからこれは有償なんだという理屈なのか。それはどちらなんですか。

高橋政府参考人 まず、今回、三十四条第二項に新たに規定させていただくものは、条文上は教材ということになっておりますが、この教材は教科書にかえて使用できるものでございまして、いわゆる通常の副教材ではないものでございます。

 今回、この法案によって、いわゆるデジタル教科書については、紙の教科書と併用する、段階的な導入ということで、引き続き、紙の教科書は無償給与することにしております。

 したがって、このような使用形態や紙の教科書のみを使用する児童生徒との公平性の観点を考えてみると、現時点ではデジタル教科書を無償措置の対象とすることは考えていない、こういう現時点での今の判断を申し上げたものでございます。

吉川(元)委員 もう余り時間がないので、ここばかりやっているわけにいかないので、まず、この有償について少し伺いたいんですが。

 有償ということですけれども、最終報告等々を見ますと、価格についてはいわゆる出版会社が決定をするけれども、余り高くなっちゃだめだよというようなことが書かれております。

 その価格、例えば普通のいわゆる教科書、紙の教科書というのは、文科省、文科大臣が値段についても、いわゆる公定価格ですから、もちろん値段を決めるわけですけれども、この場合には、当然、値段というのは、いわゆる出版者の方がこの値段でお願いしますということになるわけで、どのぐらいの価格帯になるのかというのは私自身も今よくわかりませんし、文科省として、まず、どのぐらいの価格になりそうだというふうに考えておられるのかということが一点。

 それから、有償といった場合、保護者が負担をする部分が出てくるわけですが、これは全額保護者が負担をするという認識でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 二点御質問をいただきました。

 まず、最初の御質問でございますけれども、現在、まだ、いわゆる法律に基づくデジタル教科書というのはございませんけれども、現在、教科書会社が製作、発行しているいわゆるデジタル教科書、今、教材の扱いでございますが、これに関しまして、例えば中学校の国語や英語などについては、各学年ごとに一人当たりおおむね数百円から千円程度で販売されているものが価格帯としては多い、このように承知をしております。

 なお、実際、今後のデジタル教科書の価格については、他の教材と同様、民間事業者である教科書発行者において決定されるため、現時点で文科省としてその見通しについてお答えすることは困難であることは御了解いただきたいと思います。

 それから、デジタル教科書の費用負担の話でございますけれども、デジタル教科書を導入するかどうか、また、導入した場合に費用負担をどうするか等については、これは校長や設置者において判断いただくことになります。

 これまでも再々御答弁しておりますが、実際にデジタル教科書を使用するために必要なタブレット端末については、これは交付税措置もされておりまして、基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いることが想定されますので、このような現状を踏まえれば、デジタル教科書の費用についても設置者が負担し、基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いることが想定はされますが、最終的には、校長、設置者において判断いただくことであるということでございます。

吉川(元)委員 それで、ちょっと関連で、通告していないんですが、供給方法について、これも最終まとめを見ますと、両論併記といいますか、一人一人にDVDやメモリースティック等々を配付する方法と、それから、サーバーからダウンロードをする方法が両論で併記をされておりますが、これはどちらの方向で決まっていくというふうに考えているんでしょうか。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

高橋政府参考人 デジタル教科書について想定される主な供給方法は大きく二類型ありまして、ダウンロード型とオンデマンド型、この二通りが考えられます。

 ダウンロード型としては、主にDVD等の記録媒体を各児童生徒に供給する場合と、教育委員会、学校や発行者からインターネットにより発信して供給する場合が想定されます。

 オンデマンド型としては、教育委員会、学校や発行者等のサーバーに保存されたデジタル教科書にインターネットを通じてアクセスして使用することが想定されます。

 今後、文科省としても、デジタル教科書が児童生徒に円滑に供給される仕組みが構築されるよう、発行者と連携をしてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 そうしますと、例えばどういう形になるのか。サーバー経由なのか、それはいろいろ今からやっていくんでしょうけれども、一人一人にファイルといいますか教科書というのが渡されるというデジタル教科書、いわゆるデジタル教科書ですけれども、という認識でよろしいんでしょうか。一人一人に渡されると。

高橋政府参考人 一人一人にというのがちょっとどういう意味か私も十分理解できておらないかもしれませんが、基本的には、学校の授業で紙の教科書にかえて使われるいわゆるデジタル教科書については、当然、タブレットが想定されて、一人に一台、それが配付されることが通常想定されると思います。

 ただ、それが学校の教具として備え付けられるものであれば、クラスごとにそれを渡しながら、みんなでそれぞれ使うというようなこともありますので、一人に一台ということと、授業において一人が一台使うということはちょっとまたそれは別であって、その点については設置者や学校の判断になっていく、そのように考えております。

吉川(元)委員 いや、私が聞いているのは、今の紙媒体の教科書というのは、例えば国語や数学、算数の場合もあるでしょうが、一人に一冊ずつ渡されるわけです。デジタル教科書の場合も同様な形をとるのかどうなのか。

 なぜこんなことを聞くかといいますと、デジタル教科書の利点ということを、再三再四、文科省の方は言われておられます。その中には、例えば、いわゆる動画を見られるということもありますが、同時に、マーカーを簡単に引くことができる、あるいは、そこにいろいろなメモを、きのうのレクだとたしか、メモと言われたのかちょっとはっきり覚えていませんが、書き込みをすることができる、紙媒体以上に容易にできるということを言われておられました。

 だとするならば、その教科書というのは、最初はみんな同じものであったとしても、授業を通じて、いわゆるカスタマイズといいますか、例えば、自分にとってはここが非常にわかりにくいところだというのは一人一人違うわけですから、一人一人に供給されないと、同じものをみんなが見ますと、最初は同じものであっても、次の授業のときには、既に一回自分が読んだものの中に書き込んだり、あるいは強調したりしたものが残っていないと、これは全く意味のない、先ほどから利点、利点と言われるものが利点ではなくなってしまうわけで、そういう面で、一人一人に供給されるものなのか。

 それから、あと、当然、教具として供給をされるということになれば、これは個人の、ハードはいいですよ、ハードは、教科書そのものは個人の、当然有償ですからお金も払うわけですから、個人のものであって、例えば一年生のときに習ったことを二年生で振り返ろうと思ったときに、今の紙であれば簡単に、昔の教科書を引っ張り出してきて見れば、当然、昔の、昔といいますか当時の教科書を見られるわけですけれども、これが教具で学校の所有だというふうになってしまったらそういうことができなくなってしまう、そういう危惧も持つわけですけれども、その点はいかがですか。

高橋政府参考人 現在の公立学校のICTの環境整備については、三クラスに一クラス分程度の学習コンピューターの整備というのが今の目標になっておりますので、そうなりますと、三人の子供が一台を共有するということが通常は想定されるものでございますので、そういう意味では、一人に一台というよりは、何人かが共有をすることになります。

 ただし、タブレットに入ったデジタル教科書であれば、例えば、それぞれの子供が書き込んだ内容については、それを保存して、例えば学校のサーバーなどに保存をしておいて、次の子供が使うときはまた真っさらな状態にして、その子供が次回使うときには前回の書き込みをまた再現するようなことは技術的には可能になっておりますので、そういった面では、共有することによってもデジタル教科書の利点というものはそれなりに生かせるのではないかと考えております。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 そういうことができるというのはいいんですが、そういうふうにするんですか、しないんですか。それは学校設置者に任せるということなんですか、あるいは、校長、学校に任せるということなんですか。

高橋政府参考人 基本的には、そこは、タブレットの整備といった話になると相当な金額のものになりますので、学校というよりはむしろ設置者のウエートが大きいのかもしれませんが、そこは、基本的には学校や設置者が判断していただくことになります。

吉川(元)委員 私は、ハードの話をしているんじゃないんですよ。タブレットだとかパソコンだとかの話をしているんじゃなくて、そこで展開される教科書、いわゆるデジタル教科書そのものが誰の所有のものなのか。

 ということは、当然、紙の教科書であれば、自分でいろいろな書き込みをしたりだとかアンダーラインを引いたりだとか、それは一人一人がカスタマイズしていくわけですけれども、それについては、三人に一人ということではないでしょう。一人一つということでいいんですよね。一人一人が自分の教科書を持っている、いわゆるデジタル教科書を持っているという認識でいいんですか。

高橋政府参考人 何度も恐縮でございますけれども、タブレットを一人一台持つのか、あるいは何人かが共有するのかということは、それはハードの問題としてはあろうかと思います。そして、そこに入れるいわゆるデジタル教科書のソフトの費用負担については、これも、どうするか、端的に言うと、設置者負担になるのか、保護者負担になるのか、二通りが考えられるわけでございますが、そこは校長や設置者において判断いただくことになる、そういう答弁を従来からさせていただいておるところでございます。

吉川(元)委員 そうすると、普通の、いわゆる紙媒体の教科書にかわって使用できるというふうに言ったとしても、明らかにそこには、デメリットといいますか、場合によっては、一人一人にカスタマイズされた教科書、デジタル教科書にはならない可能性を持っているということ、それも可能性としてはあるということでよろしいんですか。

高橋政府参考人 例えば、何人かで一つのデジタル教科書を共有する場合であっても、それぞれが書き込んだ内容については、それぞれに保存して、また後日それを再現するということが可能でありますので、そういう形での利用ができると考えております。

吉川(元)委員 何度も言うように、できるということじゃなくて、そうするということなんですか、それとも、そうしないということなんですか、そうしない可能性もあるということなんですか。

高橋政府参考人 これも繰り返しになって恐縮でございますが、そこはまさに設置者や学校の判断ということになりますので、例えば、設置者が一人に一台タブレットを配付して、そこにデジタル教科書のソフトを入れて、一人に一台、専用で持たせるという判断をすれば、そういうこともありますし、何人かが共有するような形で、ただし、それぞれが使った後の保存などはサーバーなどに入れておいて、各人がそれぞれ使えるようにする、そこはいろいろなやり方があると思いますので、そこは設置者ないし学校の判断になるということでございます。

吉川(元)委員 いろいろなやり方が可能だというのは、それはわかるんですが、例えば費用負担、有償でやった場合に、当然、さっき言ったように、教科書というのは、いわゆる勉強をしていく過程の中で、それぞれが問題関心を持ったりしながら、いろいろなことを教科書の中に、さっきも言ったようにアンダーラインを引いたりだとかいろいろやっていくわけで、それが例えば、一日に一こまであったとしても、あるいは、ハードが三クラスで一クラス分であったとしても、それを常に見られるような状態にしておかないとそれはやはりおかしいですし、逆に言うと、教科書用図書にかわって使用できるとするのであれば、そういう条件面をきちんとつくらないと、それは教科書用図書にはかわり得ないものなんじゃないかと。

 ちょっと、あと五分しかないので、もう次に移りますけれども、この点は非常に、今の答弁を聞いておりましても、教科書用図書にかわってと言う割には、非常に曖昧なところが残っているなというふうに思わざるを得ません。

 次に、費用負担が発生をするということでありますけれども、仮に、紙でただで、無償で教科書は配付されるんだから、そういうデジタル教科書を負担したくない、あるいは負担をしたくてもできない、そういう方が保護者の中にいらっしゃった場合、どういうふうにこれはなるんでしょうか。

高橋政府参考人 今の御質問は、仮にデジタル教科書の導入の費用を保護者が負担する場合であったらということだと思いますので、その際には、まずはデジタル教科書を導入する趣旨等について、保護者からの理解を得ることが重要であると考えます。

 また、文科省としては、従前より、補助教材の購入に関しては、保護者等に経済的負担が生ずる場合は、その負担が過重なものとならないよう留意するよう通知を発出しておりますので、今回法制化されるデジタル教科書の負担についても同様の指導を行っていくものと考えております。

吉川(元)委員 これは確認なんですけれども、先ほどどなたかの質問に答弁された際に、支援の対象になり得るような答弁をされたような、私の記憶が間違っていれば申しわけないんですが、端的にお聞きいたしますけれども、このデジタル教科書、いわゆる保護者が負担しなきゃいけない、有償化の場合には、これは就学援助制度の対象たり得るのかどうか。この点についてはいかがですか。

高橋政府参考人 就学援助制度は、基本的には、これは市町村が行っている事業でございます。そして、現在は学用品費という費目がありまして、こういったものについて、経済的理由により就学が困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して実施をしておりますので、一義的にはそこは市町村の判断によるものと考えられます。

吉川(元)委員 もちろん市町村が行っているということではありますけれども、当然対象になるという、それは市町村がそのように判断をすれば対象になるということでよろしいですね。

高橋政府参考人 現時点においてはそういった例がございませんので、これは今後の検討課題であると思いますけれども、市町村の判断においてなり得るものと考えております。

吉川(元)委員 それは、もちろん現時点でないのは、それはまだこの法律は通っていないですから、当然そんなものがまだ存在しないというのは当たり前の話でありますけれども、今、自治体の判断でそれは可能であるということの答弁をいただいたということで確認させていただきます。

 それともう一点、もう一点だけちょっと費用の関係に関して確認させてください。

 障害のある生徒の皆さんについては、教科課程の一部又は全部においてデジタル教科書を利用できるという規定になっております。この場合も、やはり費用負担については保護者の皆さんの負担になる場合があるというふうな認識でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 先ほどから御答弁しているとおり、その費用負担をどうするかは学校や設置者の判断でございますので、そういう意味においてはなり得る可能性はあると思います。

吉川(元)委員 ちょっと時間が来てしまいまして、まだほかにもたくさん聞きたいことはあったんですが、先ほどのお話でいいますと、デジタル教科書の価格については出版者が一義的には決めていくということであって、現状でいうと数百円から千円程度ということでありますが、例えば五教科でありますと五千円近くの費用がかかるというふうになりますし、更にもっとその五教科以外にもふやしていけば、当然その部分の負担がふえていく。そういう面でいいますと、保護者の負担を減らしていくということは、これは今後絶対に必要でありますし、私は、教科書というからにはやはり無償にすべきだということを指摘させていただきたいと思います。

 また、あわせまして、これはほかの委員が質問しておりますので質問いたしませんけれども、教員に対する支援、これによって更に教員の多忙化が進むようなことがないように、文科省としてしっかり対応をとっていただきたいということを最後にお願いして、私の質問を終わります。

冨岡委員長 この際、川内博史君の残余の質疑を許します。川内博史君。

川内委員 文部科学省から、平成二十七年当時、内閣官房に出向していた角田内閣官房参事官は、平成二十七年四月二日に行われたであろう柳瀬総理秘書官と加計学園等の首相官邸会合に同席していたか否か、御確認をいただいたというふうに思いますので、教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 去る四月二十日に私どもの方で公表いたしました、愛媛県等が官邸を訪問したとされていることに関する事前連絡の有無などの確認の報告書、この報告書の作成のプロセスで、委員お尋ねの角田さん、当時官邸参事官でございましたが、彼につきましても、その関係で聞き取りをしているところでございます。

 角田さんの方からは、ちょっといろいろなやりとりの経緯はここでは省きまして、具体的には、当該面会について、同席について覚えがないというような回答はいただいているということでございます。

 なお、先ほどの繰り返しになりますが、当時の内閣官房の職員ということでございますので、今回改めて文科省として確認することは考えていないということでございます。

川内委員 官房はどうですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでいただいた委員の御指摘につきましては、大変重く受けとめさせていただいてございます。まず、その点、申し上げておきたいと存じます。

 他方で、関係者のこれまでの国会での答弁や公式コメントがある中では、内閣官房の事務方としては、現時点で補足して対応を行い、申し上げることはないという点については、先ほど御答弁申し上げたところでございます。

 こうした中、本日も、先ほど委員から御指摘をいただいたところでございます。本日の御指摘も含め、この間、お時間ありましたので、その対応について相談をさせていただきました。

 まず、御指摘の、当時の角田内閣参事官でございますが、当時は内閣官房の職員でございましたが、現在は文部科学省の高等教育局私学部私学行政課長でございます。したがいまして、その対応についても、文部科学省など、関係省庁ともよく相談させていただく必要があると存じます。

 また、柳瀬経済産業審議官については、五月十日、あす、国会において参考人招致される話が進められているものと承知してございます。

 こうした点も含め、また、重ねての委員の御指摘もあわせて相談をさせていただきました。

 大変恐縮でございますけれども、どのような対応が可能か、持ち帰らせていただきたいと存じます。関係省庁ともしっかり相談をしてまいりたいと存じます。

 以上でございます。

冨岡委員長 質疑持ち時間が終了いたしました、簡潔に。

川内委員 委員長の御許可をいただいて、私は、事実確認をした上で御回答くださいということで質問を留保させていただきました。私のわがままでしたわけではありません。

 委員会の意思として、事実確認をしていただいて、御回答、御答弁くださいと。二時間以上ありました、この間。

 関係省庁とよく相談してと、今ごろそんな答弁をされても、私としては承服をするわけにはいきません。

 この場で御答弁をいただくように、委員長から指導していただきたいと思います。

冨岡委員長 今の答弁のとおり、もう少しいろいろ相談もあるかと思いますので、この件につきましては、もう時間も来ておりますので、理事会等でまた諮りたいと思います。(川内委員「納得できないですよ」と呼ぶ)

 一応、質疑時間がもう過ぎておりますので。今の答弁で御不満のようでありますので、後日改めてまた質問をする時間はあると思います。よろしいでしょうか。

 質問の内容についていろいろ踏み込んだ意見もあるかもしれませんが、今の答弁を、答弁したということでございますので。質疑時間も過ぎております。

 着席してください。(川内委員「委員長、最後に一言言わせてくださいよ、それでもう終わりますから」と呼ぶ)着席をまずしてください。

 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

川内委員 委員長の御差配に従う気持ちはちゃんと持っております。その上で、事実確認をしてくださいねということで質問を留保した、それを委員長はお認めいただいて私の順番になっているわけです、最後の最後に。そこで、あのような不誠実な御答弁をされるというのは、これは国会に対する大変な侮辱である、冒涜であると。

 私はただ単に事実を確認しているだけですから、委員長として最後に、ちゃんと事実確認については誠実に答えてね、待っているからねということぐらいはおっしゃっていただかないと、この後、法案の採決になりますから、ぜひ委員長、一言、行政を御指導いただきたいということをお願いして、私の質疑を終わらせていただきます。

冨岡委員長 答弁が不完全だったとは思いませんが、検討をするということでお二方から答弁をいただいたので、それは了としたいと思います。

 ただ、委員会、前もって質問通告がありますので、可及的にできる範囲内で答えることを命じます。

 以上。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、安藤裕君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山本和嘉子君。

山本(和)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 デジタル教科書の使用による教育効果や児童生徒の心身の発達・成長を含めた健康面への影響に関して、本格的かつ長期的な調査研究や実証研究に基づいた客観的・定量的な検証を行い、知見を蓄積した上で、デジタル教科書の使用に関する必要な施策を講ずること。

 二 デジタル教科書が児童生徒の学びに資するものとして効果的に活用されるよう、夜間における使用の抑制を含め、同教科書の使用に関する留意点等を取りまとめたガイドラインを策定の上、教育委員会や学校への周知・情報提供を通じて、関係者の理解促進を図ること。

 三 デジタル教科書の円滑な使用を実現する観点から、情報端末や校内ネットワークなどの学校におけるICT環境の整備に必要な施策を講ずること。その際、地方公共団体の財政事情等により、学校のICT環境の整備状況に格差が生じている現状に鑑み、全ての児童生徒が、居住する地域等にかかわらず等しくICTを活用した学習を享受できるよう、財政上の措置を含めた適切な支援を行うこと。

 四 デジタル教科書の使用に当たり地方公共団体や保護者等に過度の負担を課すことのないよう、著作物をデジタル教科書に掲載する際の補償金額が妥当な水準に設定されるために必要な措置を講ずること等により、その価格を低廉に抑えるための取組を推進すること。特に、障害のある児童生徒等については、教育課程の全部においてデジタル教科書の使用が認められることから、必要な財政上の措置を含めた積極的な支援を行うこと。また、義務教育段階で使用するデジタル教科書については、将来的な無償措置を検討すること。

 五 デジタル教科書を活用した授業の質を高める観点から、大学の教員養成課程や独立行政法人教職員支援機構、各教育委員会における研修等を通じて、教員のICT活用指導力の向上を図るとともに、教員への過度な負担を回避するため、ICT支援員の配置促進等、必要な環境整備に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

冨岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林文部科学大臣。

林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

冨岡委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十三分散会


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