衆議院

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第13号 平成30年5月23日(水曜日)

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平成三十年五月二十三日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大見  正君    小林 茂樹君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      馳   浩君    百武 公親君

      船田  元君    古田 圭一君

      松本 剛明君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      櫻井  周君    日吉 雄太君

      山本和嘉子君    西岡 秀子君

      平野 博文君    中野 洋昌君

      鰐淵 洋子君    金子 恵美君

      畑野 君枝君    串田 誠一君

      吉川  元君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   経済産業副大臣      武藤 容治君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 山崎 俊巳君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大賀 眞一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            古澤 知之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土田 浩史君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     務台 俊介君

  根本 幸典君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     西田 昭二君

  務台 俊介君     池田 佳隆君

同日

 辞任         補欠選任

  西田 昭二君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、文部科学省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長山崎俊巳君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、警察庁長官官房審議官大賀眞一君、金融庁総務企画局審議官古澤知之君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、文部科学省大臣官房長藤原誠君、生涯学習政策局長常盤豊君、初等中等教育局長高橋道和君、高等教育局長義本博司君、高等教育局私学部長村田善則君、文化庁次長中岡司君、経済産業省大臣官房審議官土田浩史君及び商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。

宮路委員 おはようございます。自由民主党の宮路拓馬でございます。

 本日は、文科委員会、初めて質問に立たせていただきます。ありがとうございます。

 私の地元は鹿児島であります。川内博史先生と同じ鹿児島でありまして、その鹿児島は、今、明治維新百五十年で大変盛り上がっております。あわせて、NHK大河ドラマ「西郷どん」の放送もあり、まさに文化を起点として多くの方々にお越しをいただき、盛り上がっているわけでありますが、実は、その鹿児島が輩出したのが初代文部大臣森有礼であります。伊藤内閣、そして黒田内閣において文部大臣を歴任したわけであります。その初代文部大臣森有礼の、その文部科学省、今は文部科学省になったわけでありますが、その設置法の審議の場に立たせていただくこと、偉大なる大先輩にしっかりと顔向けできるよう、質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 明治維新によって近代国家日本が成立してから初めてとなる中央省庁の大規模な地方移転にかかわる今回の文部科学省設置法の一部改正案でございますけれども、まず最初にお伺いいたします。

 今回の改正法案によりまして、文化庁の所掌事務に「文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。」が追記されるとのことでありますが、この権限付与により国の文化行政はどのように変わっていくのか、お伺いしたいと思います。

林国務大臣 本法案では、文部科学省及び文化庁の所掌事務といたしまして、文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、文化に関する関係行政機関の事務の調整、これを追加することにしております。

 これによりまして、文部科学省及び文化庁が各府省庁間の調整を図りながら、政府全体の文化行政の計画を取りまとめ、効果的な実施を図る、そういった取組が可能となるわけでございます。

 その結果、文化庁が直接担当する文化施策のみならず、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めていくことで、各施策間の相乗効果、また好循環の創出が期待できると考えておるところでございます。

宮路委員 ありがとうございます。

 今回、この規定が追加されることは、文化庁にとっても文化行政を進める上での非常に大きな推進力となるということで、文化庁自身も、今回の改正法案によって、今後、文化行政が円滑に更に力強く進むことを期待しているでしょうし、我々国民としても、まさに今回の改正法案によって、そうした文化大国日本に向けてさらなる動きが出ることを期待しているところであります。

 これは国の動きでありますが、昨日衆議院を通過いたしました、先般本委員会でも審議をされました文化財保護法及び地教行法の改正案でも、今回の文科省設置法の改正案と同様、地方においても、そうした関係分野を巻き込んだ文化政策の企画、立案、推進のためのものであったというふうに理解しておりますが、この点について改めて文科省の見解をお伺いしたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 本法案によりまして、今後、観光、町づくり、国際交流、福祉、教育、産業等の関連分野との有機的な連携が進められ、文化芸術に関する施策の充実が進むこととなります。

 こうした国の文化政策の変化を受けまして、地方におきましても同様に、例えば文化行政を担当する部署が文化関連施策の分野や部署と連携をし、文化芸術基本法第七条の二に基づきます地方文化芸術推進基本計画の策定や、部署を超えて有機的に連携した施策の形成に取り組むなど、地方公共団体でも新たな文化政策の企画立案が進められることを期待しております。

 文化庁といたしましても、こうした地方公共団体での新たな取組につきまして、他府省庁とも連携しながら、助言、支援してまいりたいと考えております。

宮路委員 地方自治体においても、いわゆる首長部局と教育委員会との関係というのは、さまざまな面において、全国的にも問題視されることもあれば、また連携して政策を行ってきたということもあろうと思います。

 この首長部局と教育委員会の関係についても、先般の地教行法の改正等でも論点になったところでありますが、改めて、より具体的にお伺いします。

 本法案が、都道府県や市町村の教育委員会を始めとする地方自治体の文化行政に対してどのような影響を与えると想定しているのか、改めてお伺いしたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案によりまして、文化芸術に関する施策の推進につきまして、先ほども申し上げましたけれども、観光、町づくり、国際交流、福祉、教育、産業等の関連分野との有機的な連携を進められるなど、新たな文化行政に対応できますよう、組織体制といたしましても、新文化庁では、文化部、文化財部の二つの部制を廃止いたしまして、課の構成なども含めて抜本的に改めるという予定でございます。

 こうした国の文化行政の推進体制の抜本的改革に応じまして、地方公共団体の文化施策の推進体制も大きく変わり、文化施策の担当部署と、観光、町づくり、国際交流、福祉、教育、産業等の関連分野の担当部署との連携がより進められ、各地方公共団体の御判断で適切な組織体制が整備されていくものと期待しております。

 この結果、地方の文化施策におきましても、各施策間の相乗効果や好循環の創出が期待できるものと考えております。

宮路委員 自治体によっては、先般の地教行法の改正もしかりですが、今回の設置法の改正により、国が大きく文化行政に動き出すということを期待し、そして、その動きに合わせる形で、地方が持つ文化財を活用し、観光振興あるいは産業育成等につなげていこう、そういう意欲ある自治体も多くあるというふうに聞き及んでおります。

 しっかりと国の方も情報発信をし、地方のそうした動きをしっかりサポート、後押ししていただけるようにお願いしたいと思います。

 続きまして、今回の法案のもう一つの柱であります、文化庁の所掌事務に、文化に関する関係行政機関の事務調整を加えることについてお伺いをしたいと思います。

 先般、我が鹿児島も関係をいたしました明治日本の産業革命遺産、これが世界遺産として登録をされました。これはシリアルノミネーションといいまして、山口であるとか長崎あるいは鹿児島等々、各地にわたる文化遺産を取りまとめて、近代国家日本を成立させたその文化的価値が認められて登録に至ったものでありますが、その担当をしたのは、実は文化庁ではなく内閣官房でありました。

 そうした政府全体にかかわる話だったので、内閣官房によってその事務がとり行われたというふうに聞き及んでいるところでありますが、今般まさにこの文化庁に、文化に関する関係行政機関の事務調整、この権限が与えられることになります。この権限付与によって、今後どのような効果が生じると考えているのか、具体的にお伺いしたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 この法案におきまして、文部科学省及び文化庁の所掌事務として、文化に関する関係行政機関の事務の調整等を追加するということによりまして、文化庁が、従来の文化振興にとどまりませず、繰り返しになりますけれども、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育、産業など関連分野との有機的な連携を図るための中核的な役割を果たすことができると考えております。

 文部科学省といたしましては、今後、文化芸術推進基本計画、既に策定しておりますけれども、そのフォローアップや文化芸術推進会議の機会を通じまして、文化関連施策の関係省庁間の円滑な連携を促進し、我が国の文化行政の一層の推進を図ってまいりたいと考えています。

 御指摘の明治日本の産業革命遺産につきましては、構成資産が稼働中のものであるということで、文化財保護法の範疇で捉えられるかというようなさまざまな議論がございまして内閣官房の方で整理されておりますけれども、引き続き内閣官房においても担当することと承知しておりますが、新文化庁におきましても、これまでどおり連携が保たれるよう取り組んでまいりたいと考えております。

宮路委員 ありがとうございます。

 ただいま、各関係行政機関の事務調整について、具体的な効果についてお伺いをしたところでございますが、更に具体的にお伺いをしたいと思います。

 文化による地方創生のためにも、観光、町づくり、国際交流、福祉、教育、産業などの各関連分野施策との連携は非常に重要、これは御答弁いただいているとおりでありますけれども、特に、私、農水分野でもやらせていただいているものですから、食文化の振興、これは農水省がこれまで頑張ってきた分野であろうと思います。先般、世界文化遺産に和食が登録されたところでありますが、これは、文化庁とともに農水省も主体となって頑張った成果であるというふうに承知をしているところであります。あるいは、こちらは外務省との連携になろうかと思います、日本文化の世界に向けた発信。こうしたことは、繰り返しになりますが、農水省、あるいは外務省、さらには観光庁などの関係省庁との連携が不可欠な施策であろうと思います。

 こうしたいわゆる境界線上にある分野について、この規定が追加されたことにより、具体的にどのように文化庁がかかわっていくことになるのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

中岡政府参考人 今回の法改正によりまして、文化芸術振興基本法の一部を改正する法律附則第二条の趣旨を踏まえた改正になるわけでございますけれども、文化庁の機能強化に向けまして、各府省庁の文化関連施策の調整機能を果たし、総合的、戦略的な文化行政を推進するためのものでございます。

 この改正によりまして、文化庁がこれまで所掌してまいりました文化振興にとどまりませず、各府省庁とともに、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育、産業など関連分野との有機的な連携を図っていくなど、我が国の文化行政の中核的な役割を果たすことができると考えております。

 先ほども委員が例を挙げられましたが、例えば、農水省さんと連携をいたしまして地域の食のブランド化を図ったり、国土交通省、観光庁さんと連携をして文化財等の観光資源としての魅力向上を図ったり、外務省さんと連携をいたしまして海外現地のネットワークを活用した日本文化の対外発信を図っていったりするなど、文化庁だけでは困難な、あるいは境界領域に属するようなこと、協働することによってより成果を上げられるようなものがあると思いますけれども、そういった事業に積極的に取り組むことができると考えております。

宮路委員 今回の改正法案によって、そうした積極的にかかわり得る権能が付与される、まさに仏がつくられるわけでありますが、その仏にしっかり魂を入れていただくためには、今後、新文化庁において、積極的にそうした関係省庁、農水省、外務省、あるいは国土交通省、観光庁とかかわっていただくことが必要だろうと思っております。

 今回の法案が成立した暁には、恐らく、組織の再編が図られ、あわせて、各省庁との交流も拡大していくものと思います。ぜひ積極的にそうした関係省庁との人事交流なども図って、より一体的となった、政府全体となった文化行政の振興が行われるようにお願いをしたいと思います。

 続いて、京都移転についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正法案、これ自体、京都移転が規定されているものではありませんが、今回の文化庁の機能強化、新文化庁への移行については、文化庁の京都への移転とまさに車の両輪、それによって我が国の文化行政をより力強く推進していこう、そういう趣旨であろうと思っております。

 改めてお伺いをいたします。

 先般の本会議での質疑でも問われていた点ではありますが、文化庁の京都移転のメリットについてお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 文化庁の京都移転のメリットといたしましては、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都、ここに移転することによりまして、例えば、文化財を活用した観光振興、外国人観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興、こういった我が国の文化行政の企画立案能力の向上が期待をできること、また、こうした先進的な取組を今度は全国の地方公共団体に効果的に波及させることによりまして、地方文化の掘り起こし、また磨き上げにつなげていくことなどが期待をできるということが挙げられると思います。

 また、文化庁の先行移転の取組として、昨年四月に文化庁地域文化創生本部、これを置いておりますが、地方自治体のニーズや文化庁施策への意見をこれまで以上に把握できるようになったこと、こういう成果が上げられているところでございます。

 今後とも、文化庁の京都移転の効果が、京都や関西地域はもちろんですが、我が国全体の文化行政のさらなる強化に広がっていくよう、必要な取組を進めてまいりたいと思っております。

宮路委員 林大臣におかれては音楽も大変たしなまれるということで、その大臣のもと、京都移転に向けて大きく推進するように期待するところであります。

 更にお伺いをいたしますが、今回の京都移転決定に当たっては、地元京都の方からも応分の負担をするという上での移転となったというふうにお伺いしているところであります。一方で、今ほど大臣からも御答弁いただいたように、国の文化行政にとっても大きなインパクトを持つメリットがあるということでございました。

 あくまでも国の行政機関の移転というわけでありますので、私もかつて総務省において地方行財政を担っていた立場からしても、今回の移転が地方にとって過度な負担とならないよう、仮にその応分の負担を負うと京都の方からもあったとはいえ、あくまでも国の行政機関の移転に係るものですから、過度な負担とならないように留意する必要があると考えております。

 この点について見解をお伺いしたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年の三月でございますが、そこで決定されました政府関係機関移転基本方針におきましては、中央省庁の地方移転に関しまして、過度な費用の増大や組織肥大化にならないか、あるいは地元の協力、受入れ体制が整っているかが、移転費用等の視点として必要とされてきたところでございます。

 その中で、文化庁の移転に当たりましては、京都側から、先ほど委員御指摘のように、土地の提供や庁舎建設費用についての応分の負担の意向が示されているところ、国といたしまして、行革の観点を踏まえつつ、移転費用の検討等を進めることとされております。

 これらを踏まえまして、平成二十九年七月に本格移転先を京都府警本部本館に決定する際も、移転に関する費用も含めて検討するなど、国と地方を合わせても、全体として移転に係る費用が過大にならないよう、京都側としっかり協議を重ねながら検討を進めてまいったところでございます。

 今後も、これまでの経緯や合意内容を踏まえつつ、遅くとも二〇二一年度中を目指すとされております本格移転を円滑に進めるため、京都府、京都市や関係省庁などの関係方面と連携協力しながら着実に調整を進めたいと考えております。

宮路委員 思ったより時間がたってしまいましたので、通告の一問飛ばさせていただきますが、今ほど御説明ございましたとおり、しっかりと京都移転のメリットを発揮させていく、そのときには過度な負担とならないように行っていくということでございますが、全体として、やはり文化庁の京都移転は歓迎すべきであると、これは私も、総務省時代、地方分権あるいは地方創生にかかわっていた身からして大変歓迎すべきだというふうに思っております。

 一方、今回の移転、これを京都のみ、移転先である京都のみに還元することなく、私の地元は鹿児島であります、京都は、近くなるとはいえ、やはり大変離れたところであります。私の地元鹿児島を含め、各委員の皆様方の地元、全国各地の地方創生につながるよう文化政策を進めていただきたいと考えております。この点についての見解をお伺いいたします。

林国務大臣 文化庁が文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都に移転することによりまして、東京一極集中の是正に加えまして、例えば文化財を活用した観光振興や外国人観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興などの面からのモデル的な取組などを推進することができ、こういうモデル的な取組を今度は全国の地方公共団体に効果的に波及させることが期待できると考えるところでございます。

 また、京都移転により、改めて地方の目線で政策企画等が求められるところでございまして、地方創生の観点に立った文化行政の企画立案能力の向上、ひいては全国各地の地方文化の掘り起こし、磨き上げ、こういったものにつなげていく、こういうことが期待できるんじゃないかと思っておりまして、先生のお地元の鹿児島も含めて、文化庁の京都移転の効果を京都、関西にとどまらせずに、我が国全体の文化行政のさらなる強化、文化芸術立国の実現、こういうものにつなげてまいりたいと考えております。

宮路委員 ありがとうございます。

 今回の京都移転も含め、非常に大きな、先ほど申し上げたとおり、明治国家設立以来の大きな動きであるというふうに考えておりますが、ただ、残念ながら、私が聞き及んだところによりますと、この京都への文化庁の移転、私にとっても非常に大きな大決断、大英断であったと思いますが、このことについて余り国民一般に知られていない、文化庁ってもう移転したんだっけというような話を聞くこともあるというふうにお伺いをしております。

 この点について、やはり文化は、発信して皆さんに届いて何ぼというものでありますので、改めてお伺いいたしますが、この京都移転を始め、文化庁の今回の新文化庁への機能強化も含めまして、もっと文化行政全体について国民に向けて情報発信をしていく必要があると思います。その点についてお伺いをしたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁の京都移転につきましては、まさに御指摘のとおり、初めての中央省庁の地方移転として注視されているとともに、京都以外の地域の方々からも移転に対する理解と共感をいただく必要があるという観点からも、積極的な広報発信は欠かせないものであると考えております。

 このため、昨年四月に京都に設置をいたしました地域文化創生本部につきましては、文化庁ホームページ上に本部のページを開設するとともに、SNSでも週一回程度の発信を行っているところでございます。今後は、移転に関するパンフレットの作成や記念となるイベントの開催を始め、地域文化創生本部でこれまで進めてまいりました広域文化観光・まちづくりや暮らしの文化・アートなどの事業の充実、発展により、各地の文化行政の好事例や各地の魅力ある文化活動、文化財などを国内外へ発信し、新文化庁の取組につきまして積極的に広報したいと考えております。

宮路委員 行政というのは、えてして広報、情報発信が不得手であるというふうに考えておりますが、それではいかぬということでありますし、文化というのは、繰り返しになりますが、発信されて、国内に、あるいは国外に届いてやはり初めて意味のあるものであろうと思っております。そういう意味では、新文化庁となるわけですので、その情報発信、広報については、これまで以上に力を入れて推進していっていただきたいと思います。

 続いて、私の地元鹿児島でも、川内先生もそうですね、史跡である城山、これは、西郷隆盛が最後西南の役で命を落としたところになりますが、城山、あるいは、大河ドラマ「西郷どん」でも話題になっております国指定の重要文化財建造物である旧集成館機械工場など、文化財が数多く残されております。

 これらの文化財の次世代への継承、これも非常に重要な点であって、先般の文化財保護法の改正の審議の際にも多くの委員の先生方がおっしゃっていた点でありますが、そのためには、適切な修理あるいは整備が必要でありますが、資金的な課題からなかなか修理等が進まず、危機的な状況にあるものも多いというふうに聞いております。

 今回、新文化庁となるわけですので、そうした地方のニーズに見合う修理に係る予算を十分に確保していただき、行っていただきたいと考えますが、その予算確保に対する文化庁の、文科省の決意についてお伺いをしたいと思います。

中岡政府参考人 予算のお尋ねでございます。

 平成三十年度予算におきましては、委員御指摘の文化財の適切な保存修理を支援するための経費といたしまして、対前年度比十億円増の約三百七十六億円を計上するなど、文化財の保存のための取組の充実を図っているところでございます。

 今後とも、地方のニーズを踏まえながら、文化財を次世代に確実に継承していく上で必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

宮路委員 文化行政はこれまで、ある意味、かすみを食っては生きていけないというような、やゆされる向きもあったかと思いますが、最近は、文化で飯を食うんだ、産業を興し、あるいは観光を振興するんだ、そういうことも叫ばれている中での今般の設置法の改正であり、あるいは、先般の文化財保護法あるいは地教行法の改正という文脈にあるのだというふうにも認識しております。

 ただ一方で、これは、昨今の文化政策は経済路線に偏り過ぎているのではないかという懸念の声も寄せられるところであります。私は、やはりしっかりと文化財が維持あるいは継承されてこそ、それをもとにした経済振興が図られるというふうに思っており、これはあくまでも車の両輪、両方とも不可欠なものであると考えております。

 そうした中で、今後、どのように文化の保護、維持、継承と経済成長との均衡を図った文化政策を新文化庁のもとで進めていくのか、最後にお伺いをしたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 我が国には、地域の伝統文化からポップカルチャーまで魅力ある文化が各地に満ちあふれておりますことから、これまで、経済活動に結びつけることで、文化芸術の振興と相まって、GDP拡大に貢献する経済波及効果をもたらすことが期待されたところでございます。

 このため、内閣官房と文化庁におきましては文化経済戦略特別チームを結成し、昨年十二月に、文化と経済の好循環を実現する省庁横断の政策パッケージとして文化経済戦略を策定いたしました。この文化経済戦略の中でも、文化財の継承を確実に行っていくことは未来を志向した新たな創造活動の大前提であるということ、適切な周期での文化財修復や文化財保存の担い手の技能、知見の継承は国として必要な戦略的投資であるなどとして、文化芸術資源、文化財の保存を重点戦略の一つに位置づけております。

 また、本年三月に閣議決定されました文化芸術推進基本計画におきましても、文化財の保存や活用、継承が求められております。

 今後とも、文化経済戦略や文化芸術推進基本計画を踏まえつつ、文化と経済の好循環の実現に向けたさらなる均衡ある政策展開を進めてまいりたいと考えております。

宮路委員 今回の改正法案、しっかりと成立をしていただき、そして我が国の文化行政が力強く推進することを願い、森有礼初代文部大臣に対し、しっかりとした質問ができたか、きょうの夜、目を閉じながら聞いてみたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、亀岡偉民君。

亀岡委員 おはようございます。

 文化行政に造詣が深くなりたいと思っている自由民主党の亀岡偉民です。

 宮路先生みたいな立派な質問ができるかどうかわかりませんが、きょうは、三つちょっと心配なことがありまして、お尋ねをしたいと思います。

 特に、芸術に関する教育に関する事務、こう表現されているんですが、この文化庁、新文化庁なんですが、私ちょっと心配なのは、学校教育における人材育成からトップレベルの芸術家の育成まで一体的な施策の展開についてというのがあるんです。

 学校教育ということであれば、音楽であれば、音楽表現をするために必要な技能を身につけるとともに、音楽を愛する心情と感性を育み、豊かな情操を養うということになります。本来であれば、文化庁であれば、すばらしい優秀な芸術家、音楽家をどんどん伸ばしていく、トップレベルのプレーヤーを育てていくという印象があるわけですが、学校教育では、どちらかというと、ここに書いてあるように、音楽を愛する心情と感性を育み、豊かな情操、そういうことをしっかりと植え付けるというのが学校教育の目的となろうと思います。

 昨今でも、ちょっとスポーツに例えれば、今回のラフプレーで、勝つことに意義があるみたいなところで間違った指導をしてしまう可能性がある。

 私も、これはちょっと文化庁が、すばらしい今までの人材をもっと、より頑張ろうとして、優秀な人材を育成しようとしてきた、その中で今度は、学校教育の中にしっかりとその思想を取り入れる、これはある意味ではすばらしいことだと思います。

 大臣も一流トップミュージシャンとしていろいろ頑張ってこられたと思いますが、まさにこれから、一流のものを聞かせながら一流を目指すという意味で学校教育に取り入れてしまうと、ともすると、学校教育の中でとんでもない教育になりかねないんじゃないだろうかという、ちょっとそんな心配がなければいいんですが、文化庁がしっかりとその辺を考えて、一流演奏家又は本物の芸術家をいろいろ活用することができる学校教育現場になりますから、逆に、子供たちにとってはすばらしいチャンスが生まれることになるとは思うんです。しかしその反面、先生方がともすると、そこをしっかり理解していなくて子供たちに強要してしまう、又は、トップの芸術家やミュージシャンを目指すような、学校教育の中に取り入れたりしてしまいはしないだろうか、これは私すごく大事なことだと思うんですね。

 当然、いろいろな子供たちがたくさんいるわけですから、学問というか、数学ができなくても音楽に興味を持ったり、そういうところへ入っていきたいという子供たちもいれば、よくわからないけれども、何か、うん、いいんだなという考え、感性を持たれる子供たちも出てくる。まさに、そういう人たち全部に合わせていい授業ができれば効果的だと思うんですが、文化庁が全部事務を扱うことによって、ともするとトップミュージシャンを強制、強要するような、あのスポーツのように、勝つことが全てではなくて、教育の現場でのスポーツなんだよというのと同じように、音楽や芸術の現場なんだよ、そして、そこでしっかり学びながら、例えば自分の好きなものや、そういう情緒豊かな感性を持つことが大事なんだよという教育にしっかり特化していくことができるかどうか、これはもうこれからの取組方にかかわると思うんですね。

 だから、今まで以上の中身の濃い授業が期待できる反面、両極端の効果が分かれる可能性があると思いますので、誤解のないように、文科省としてしっかりと指導体制をとっていかなければならないんじゃないかと感じているところでありますが、その辺ちょっと、取組方を説明していただきたい。お願いいたします。

林国務大臣 大変大事な御指摘ではないかと思っております。

 これまでも、文化庁におきまして、子供たちのすぐれた文化芸術の鑑賞体験機会、本当の一流のものに触れる、こういう機会が充実するように取り組んでまいりまして、伝統文化、生活文化を体験、習得できる機会、こういうものの充実を図ってきたところでございます。

 今般の改正により、今、委員からもお話がありましたように、学校における芸術に関する教育の充実の観点からも、こうして培ってきた知見や文化芸術団体のネットワーク等を今まで以上に活用し、そして今、先生からお話があったように、文化と教育の両分野における施策をやはり一体的、効果的に推進を図る。どっちかではいけないと思うんですね。

 先生がおっしゃっていただいたように、現場で本当に中身の濃い授業ができる可能性があるわけでございますから、そういうものを生かしながら、しかし、普通の小学校、中学校でクラス全員が一流の芸術家になる、こういうことではないわけでしょうから、そういうことをしっかりと踏まえながら、両方の施策の一体的、効果的な推進を図るということで、音楽等の芸術に関する教育、これを一層充実させてまいりたいと思っております。

亀岡委員 ぜひ、各先生方、指導者にもそこをしっかりと理解していただいた上で、いろいろな子供たちがいるわけですから、いろいろな子供たちに合った、そういう芸術文化の教育ができるような環境をしっかり整えていただきたいと思います。

 次に、文化庁には得意な分野があります。今まで、古民家とかいろいろなものに対して、しっかりと歴史的な文化を残していこうという姿勢をとってきていただいているわけですが、私の福島にも古民家がたくさんあります。

 古民家は、三代続くとなくなると言われているぐらい厳しい状況がありまして、資産家ですから、資産家の方々が子孫まで資産家であるわけはないのであって、今、その古民家の所有、維持に大変な思いをしている家庭がたくさんあります。

 その方々が集まって、何とか古民家を残していこう、そして教育に生かしていけないだろうか、さらには観光資源にできないだろうかということで頑張って活動している団体があります。

 私、文化庁の得意分野の中で、今回、新文化庁として新たな体制の中で、この古民家をしっかり生かすこと、プラス教育の現場に生かしていくということがすごく活用のできる一番の方法ではないかと。古民家を子供たちが訪ねていくことによって、その町の文化がしっかりわかり、歴史がわかり、そしてなおかつ、今度は、古民家を何とか残していくことができれば、その学習の場がこれから生かされていくわけです。さらに、その歴史がよければいいほど今度は観光資源にもなっていくと思うんですね。

 ですから、文化庁、新文化庁として教育の現場に入っていくときに、今までの得意分野プラスその得意分野を教育にいかに生かしていけるかということになれば、そこに新たな取組また予算も必要になってくる。これが中途半端であれば、全てがだめになっていく可能性がある、その古民家がなくなっていったり、歴史がなくなっていったり、まさに子供たちの教育の学べる場がなくなっていったり。

 ですから、取り組むときに、非常に大切な地域の文化を保存するための新たな予算づくり、そして、それが教育に資するものになっていくんじゃないかと思うんですね。

 ですから、これを文化庁が主導して、新しい歴史まちづくりの計画や教育効果の上がるような取組をどうやって進めていくかということを考えていただきたいと思いますので、その辺、どういうふうに考えているか、ちょっとお尋ねできればと思います。よろしくお願いします。

林国務大臣 今御指摘があったように、文化財として魅力のある古民家、こういったものなどを学校教育とか社会教育に活用していくということは、子供たちが、自分たちの地域に残る文化財と、そういう文化財を育んだふるさとへの理解や愛着、こういったものを深めることができるとともに、やはりこういった大事な文化財の次世代への継承の担い手を育成していく、こういう観点から大変大事であると考えております。

 現在国会で御審議いただいている文化財保護法の改正案において、市町村は文化財保存活用地域計画を策定することができる、こうしておりますので、この地域計画の中に、各市町村の実情に応じてということですが、文化財の保存、活用に係る学校教育との連携について記載するということが考えられるというふうに思っております。

 文科省としては、今後、市町村が地域計画を作成する際の記載事項や留意事項等に係る国の指針を作成することとしておりますが、今の亀岡先生の御指摘も踏まえて、この指針の中で、地域の文化財と学校教育等との連携について地域計画の柱の一つに位置づけるなど、各地方公共団体における取組を促してまいりたいと思っております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 これがしっかりとできれば、継続的に古民家が残されていくことになりますし、その文化が今度は子供たちに継承できていく、その地域の歴史がしっかりと受け継がれていくということになると思いますので、その辺もしっかりよろしくお願いします。

 それからもう一つ、これは古民家とは別に、それぞれ各地域には文化資源があると思うんですね。実は、なぜこれを言うかというと、私どものところで川俣町というところがあるんですが、地元の皆さんが、もう人がいなくなったところの公民館を活用して美術館をつくったんですね。地元の美術家たちの皆さんが集まってきてそういうものを寄贈したり、又は、川俣町にゆかりのある人たちの美術品を所蔵したりしながら展示をしています。これは、なかなか町が単独でできるものではない。

 ただし、古民家と同じようにその町の文化がありますし、逆に今度は、今では過疎化になったところに、そこに行こうとする意欲を持った芸術家たちが生まれてきます。そうなると、その地域の観光の資源にもなっていく。そして、その観光資源を生かすためにも、今度は子供たちに案内役をお願いして、その子供たちが案内役として勉強して、その地域の歴史を学んでいくことにもなるんですね。

 そうすると、文化庁の強みというのを一番出せるのがこういうことじゃないかなと。地方のよさをしっかり生かして、それを観光や町づくり、産業、教育などに連携できる新文化庁にできるんじゃないか。これは今までになかったことだと思うんですよ。文化庁は文化だけをやればいいんだということでやってきたと思うんですが、新文化庁としてしっかりとそういう取組ができれば、その地方には物すごい活力が生まれていくと思うんですね。

 ですから、ちょっと心配なのは、文化庁を東京に置くのであれ京都に置くのであれ、今ちょっと聞いていると、京都に地域文化創生本部を置き、観光や町づくりにつなげていく取組を進めていくと聞いているんですが、京都に行っちゃったりすると、ほかのところがわからないと言われないようにしないといけないなと。逆に、しっかりとこういうことをやりますよということを明言していただいて京都に行ったんだよということがわかればちょっとは安心できると思いますので、地域のまさに観光資源に資するような芸術文化の拠点、これも文化庁がしっかり支援するなどして教育に生かすんだということ、これに取り組んでいただければと思うので、お願いいたします。

林国務大臣 まさに、今お話がありましたように、地域文化創生本部、これは京都にございますが、全国を対象として、伝統文化の親子教室事業とかそれから歴史文化基本構想の策定支援、こういうものを行っておりまして、地元の地方公共団体等との関係機関とのネットワーク構築にも取り組んでおるところでございます。

 これからこうした取組をそれぞれの地方文化のさらなる掘り起こしとか磨き上げ、こういうものにつなげていく必要がございまして、そのためにもやはり、全国の地方公共団体のさまざまな要望をしっかり受けとめながら、各地の地方創生のそれぞれの取組としっかり連携していくことが重要だと考えております。

 今後、これらの地域文化創生本部の取組を踏まえつつ、全国各地における文化行政のさらなる発展、強化に向けまして、更に諸施策を充実してまいりたいと考えております。

亀岡委員 ぜひ、新文化庁は新たな可能性をたくさん秘めていると思うんですが、逆に反面、ちょっと心配な面を何点か言わせていただきましたが、本当に子供たちの教育に資する、そういう文化庁であって、また、その中で、すばらしい芸術家たちを更に伸ばしていく文化庁でもあるという、相反する二つの面をしっかりと共有させながら、これから一番の、地方の創生に資する、そういう地方の文化も生かしていくという文化庁にしていただければ、そのことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

冨岡委員長 次に、工藤彰三君。

工藤委員 皆さん、おはようございます。自由民主党、名古屋の工藤彰三でございます。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 今、宮路議員が歴史のある質問、そして、先輩であります亀岡先生が芸術文化の話をされました。私、端的に、今回の法案の改正について確認事項としての質問をしたいと思いますので、短い時間ですが、お答え願いたいと思います。

 今回の法改正は、京都への移転に向け、新文化庁にふさわしい組織改革、機能改革を図ろうとするものであると私は承知しております。

 そこでまず、京都移転についてお聞きする前に現在の文化庁の概要についてお伺いします。

 文化庁は、文化行政の中核として、我が国が文化芸術立国となるための取組などを進めているところであります。そして、その所管は、芸術文化や文化財のように文化と名のつくもののほか、著作権や宗務行政などにもわたっていると承知しております。

 そこでお伺いいたしますが、このようなさまざまな事務を所管する文化庁は、現在どれぐらいの人数で、そしてどれぐらいの予算で業務に当たっているのか、お答え願います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 予算だとか員数の件でございますけれども、文化庁の平成三十年度の予算につきましては一千七十七億円ということでございますけれども、文化庁の定員は、今回京都移転に向けた機能強化も含めまして、二百五十三名ということでございます。

工藤委員 ありがとうございました。

 次ですが、東京から京都に移転した場合、今人数が出ましたけれども、実際この建物、昭和三年、昭和天皇の即位の礼に合わせて竣工したもので、かなり歴史のあった建造物であります。

 私も、この質問に先立ちまして、この間の日曜日、ちょっと時間をつくりましてこの移転先まで、京都まで行ってまいりました。そして、実際やはりかなり古いので、気になることがありますのでお答え願います。

 耐震化を含めた新文化庁の本庁舎、改修工事はどのように行われるんですか。そのことをどのように今するのか。昭和三年の建物ですから、お聞かせ願いたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁が京都移転いたしますのは、遅くとも平成三十三年ということでございます。昨年の七月に、その移転先につきましては、現在の京都府警本部の庁舎ということでございますけれども、御指摘のように、昭和三年の竣工ということで、かなりな歴史を感じさせる建物でございます。

 これにつきましては、耐震の課題等もございまして、国の機関が入るにふさわしい耐震性能を備えるという必要がございますので、この性能を維持しつつ、なおかつ、新文化庁が京都移転した際に必要な部屋割りとか、さまざまな機能を果たすための考え方の整理というのを現在しておるところでございます。

 そういったものを含めまして、基本的に、京都府さんの方でそういった京都府警本部の耐震改修をしていただくという段取りになっておりますけれども、それに向けまして、経費の負担割合等につきまして、現在鋭意関係者と調整をしているという状況でございます。

工藤委員 ありがとうございます。

 続きまして、今の文化庁でさまざまな申請書類、申請があると思うんですね。そして、今は霞が関で行われております。これが京都にかわるんですが、先ほど申し上げたとおり、京都に名古屋から行きました。ちゃんと、タクシーとかでなくて、京都駅から乗りかえて、地下鉄で歩いてみて歩測して、どれぐらいで行けるかということをしてきたんですが、非常に乗りかえは混雑しております。特に日曜日でありました。

 そして当時、烏丸線の丸太町駅、四つ地下鉄の駅がありまして、そこから地上に上がるのに二分、そして私の足で歩いて五分。そして、当日は日曜日ですから、渋滞しておりませんから、普通にスムーズにいくんですけれども、平日は全く違うと思います。

 また、やはり京都だなと思ったのは、京都府庁舎の前でちょうどお祭りがあって、みこしを担いでみんながワッショイワッショイとやっておりました。そこには外国人の方も見えておりまして、わざわざ観光に来て担いでいるんですかと言ったら、いや、違うんだ、この町が好きだからもうこちらに引っ越してきたと。そういう方もいらっしゃるんですが、実際の今の文化庁とこれからの文化庁、申請件数はどのようにどう分かれていくのか、そのことを知りたいのと、先ほども話が出ましたけれども、実際、これは場所を移転して、一般の方はどれくらいわかっているのか、そのことについての告知、周知はどのようにされるのか、お聞かせください。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的には、さまざまな申請等、ちょっと例を挙げてみますと、二〇一七年度における関係団体からの文化庁への申請等としては、例えば著作権等管理事業者の登録事項の変更届出につきましては四十件弱、宗教法人規則にかかわる認証につきましては四十件弱などが挙げられますけれども、会議や打合せなどを含めますと更に多数に上るものと思われます。

 昨年七月の文化庁移転協議会の取りまとめで示されているとおり、東京で行うことが必要な団体の対応等につきましては従前どおり行うことができますように、例えば、著作権や東京の芸術団体などに対応できる体制につきましては、本格移転後も東京で対応するということを予定しておりますが、文化行政を強化するということで、とりわけその文化関連団体の連携が今後一層重要になってくると思います。

 京都と東京の二つの拠点それぞれにおきまして、例えばテレビ会議システム、ICTを最大限活用しながら、働き方改革も進めながら、全国の団体とこれまで以上に連携が図れるよう工夫をしたい。その工夫につきましては、本格移転までまだ時間がございます。ことしの十月を予定しております新文化庁への機構改革につきましては、まずは東京で行うわけでございますけれども、さまざまな課題につきましては実証を通じて浮き彫りにしていって、本格移転の際には円滑に移転ができますよう努めたいと考えております。

工藤委員 ありがとうございました。

 続きまして、場所が移転する、建物がかわるということですが、今度、当然職員も移転するんですが、その職員、家族もいるわけでありますが、その職員の方々の暮らす官舎や住まいはどこに持ってくるのか。そして今、東京と京都でICT、いろいろ使ったり、テレビ会議を行うとか、そういうことがありますけれども、実際問題、そのようなことでしっかり対応できるのか。まだ先の話かもしれませんが、そのようなことについてお聞かせを願いたいと思います。

中岡政府参考人 異動する職員のお尋ねでございます。

 昨年四月に先行移転として京都に設置をいたしました地域文化創生本部の事務局職員につきましては、定員職員としては十名の者が京都に行っておるわけでございます。地元からの御協力をいただいた京都府、京都市の公務員宿舎や民間の賃貸住宅に入居している状況でございます。京都府の宿舎には二名、京都市宿舎には四名、その他、例えば民間、あるいは御実家がある場合は御実家だとか、さまざまありますけれどもその他が四名というような状況で、十名の状況がございます。

 これはあくまでも、昨年の四月に地域文化創生本部がスタートいたしましたけれども、それにつきましては、実際、そういう職員の宿舎の問題という意味においても、これは一つの実証ということになるわけでございますけれども、本格移転後の職員ということになりますと、大変多数の職員が異動するわけでございます。国家公務員宿舎や地元の宿舎、民間等が考えられますけれども、今後の本格移転に向けまして、職員の意向を把握しながら、京都府、京都市や関係省庁等の各方面としっかりと調整をしたいと考えております。

工藤委員 ありがとうございました。

 余り時間がないので、一点聞かせていただきたいと思います。

 この委員会室には、歴代の文科大臣、特に元気な馳先生、下村先生や平野先生、歴代大臣がお見えですが、現在の文化庁の場所は旧文部省です。この歴史のある建物、さざれ石がある建物、もし移転した場合はどのように、残すのか解体するのか、そのような考えはあるのか、一度それをお聞かせ願いたいと思います。

中岡政府参考人 御質問の通告がございませんですが、私の記憶の限りで申し上げますが、現在の庁舎につきましては、文化庁全部が入っておるわけでございますけれども、移転後につきましても、例えば、東京で文化庁は残る機能がございます。そういったものが当然入るわけでございますが、それ以外にも、例えば、京都の仕事の関係で国会対応が必要であるというようなこと、例えば法案を提出する、そういう話になりますと、かなりのスペースを東京に確保してしっかりと対応できるような体制もとらなきゃいけない、さまざま課題があろうかと思います。

 そういったものはしっかり整理したいと思いますが、私が聞いておりますところによりましては、現在の古い建物でございますけれども、引き続き、それはありまして、それを文化庁として使わせていただくということでございますけれども、当然、出ていったスペースについてはかなり大きなものがございますので、それをどう活用していくかということにつきましては、文科省全体として、関係各省とも連携しながら検討していくものと考えております。

工藤委員 ありがとうございました。

 今の次長の答弁ですと、今後は巨大な政府委員室ができるんだなということを確認できました。

 最後に、大臣にお尋ねしたいと思いますが、今のやりとりを聞いておりまして、そして、文化庁移転に向けて、林文科大臣の今後の意気込み、思いを聞かせていただきたいと思います。

 これをもって質問を閉じさせていただきます。

林国務大臣 文化庁の京都移転につきましては、東京一極集中の是正をする、地方創生などを図る、中央省庁初の地方移転として位置づけられていることに加えまして、やはり文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都、ここへ移転するということで、文化財を活用した観光振興、観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興に関する企画立案能力を向上させる、そして、こうした先進的な取組効果を全国的に波及させる、こういった我が国の文化行政のさらなる強化を図る上で大変意義があり、大きなチャンスだ、こういうふうに思っております。

 昨年六月には文化芸術振興基本法の改正が全会一致でなされたところでございまして、こういう文化芸術の振興はもとより、他分野、観光、町づくり、国際交流、福祉、教育、産業、いろいろな分野と連携して、文化芸術政策の総合的な展開や文化庁の機能強化がこれによって求められているところでございますので、新しい文化庁にふさわしい組織改革、機能強化、そして文化に関する施策を総合的に推進するための体制整備など、文化行政をしっかりと強化しながら、京都への本格移転に向けて着実に準備を進めてまいりたいと思っております。

工藤委員 ありがとうございました。

 質問はこれで終わりますけれども、やはり京都を訪ねると、観光ばかりじゃなくて、海外の方や全国の方が文化にかかわっていきたい、そんな思いで訪問されていることをひしひしと感じました。

 ぜひとも、この移転をきっかけに、今、文部科学や教育や文化芸術、いろいろな面が、ちょっと停滞したり、いろいろ問題が起きていることがありますので、そのことも踏まえて、しっかりと行政運営を担っていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、内閣提出、文部科学省設置法の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきたいと思います。

 平成二十九年に、議論を重ねまして、文化芸術振興基本法を文化芸術基本法に抜本的に改正をいたしました。この改正の目的は、文化芸術そのものの振興にとどまらず、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育、そして産業など幅広い関連分野の施策を法律の範囲に取り込むとともに、文化芸術により生み出されるさまざまな価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用するということとしたものでございます。

 本日議題となっております今回の法改正は、平成二十九年の法改正の附則に置かれた「政府は、文化芸術に関する施策を総合的に推進するため、文化庁の機能の拡充等について、その行政組織の在り方を含め検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という規定に基づくものでございます。

 そのため、今回の法改正は文化庁の機能強化、拡充のためでなければなりません。本日は、この観点から政府の見解を確認させていただき、我が国の文化行政を更に充実強化するための具体的方策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 文化庁は、この改正案による機能強化の上、遅くても二〇二一年度までに、長官、次長、審議官、文化財鑑査官、長官官房政策課、文化資源活用課、参事官、文化財一課、二課、宗務課は京都に移転することとお伺いをしているところでございます。

 そのため、昨年四月に、先ほど来からありましたけれども、京都に地域文化創生本部を設置し、本格移転の準備を進めつつ、新たな政策ニーズに対応した事務事業を先行的に実施をされているところでございます。

 しかし、私のところには、たくさんの芸術家、そして文化人など多くの関係者の方から、京都に移転して本当に大丈夫なのかという不安の声を多くいただいております。

 例えば文化芸術振興フォーラム、これは六十九団体が加盟して構成員九万人という団体でございますけれども、実演芸術、映画、美術など文化芸術のかなりの活動が東京で行われ、文化芸術関係の全国組織も東京に場所を構えている、文化行政が全面的に京都に移転することで、文化芸術にかかわる生きた情報や、情報収集、現状把握の能力が低下し、政策への反映が弱まり、行政機能の低下を招くのではないかというお声、危惧をいただいているところでございます。

 また、私自身も文化庁と連携をとったところ、情報が東京と京都で錯綜してしまいまして、機動的な連携と真逆な方向に行ってしまったということに直面したことはまことに残念だったと言わざるを得ません。

 この行政組織の移転は、先ほども、今、工藤委員の方からもお話ございましたけれども、本当に大変なことでございます。特に、文化庁はこれから我が国政府の顔というべき重要な役割を担う機関だと私は思っております。

 そこで、この一年間、地域文化創生本部の事務事業の先行的な実施を通して、京都移転についてどのようなメリット、デメリットが浮かび上がってきたのか。私は、メリットもそうですけれども、特に重要視しなければいけないのはデメリットだと思っております。このデメリットについて今後どのように工夫して改善されるのか、そして、文化庁の京都移転が文化行政の機能低下につながるのではないかと心配をされている多くの芸術家、文化人の不安を本当に払拭することができるのか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

林国務大臣 昨年四月に設置をいたしました文化庁地域文化創生本部における先行移転の取組による成果として、地方自治体のニーズや文化庁施策への意見をこれまで以上に把握できるようになったこと、また、関係者との日常的な意見交換を通じて、地方の知見やノウハウ等を生かした連携協力を進める環境が生まれていることなどが挙げられます。

 一方で、例えば、今委員からもお触れになっていただきましたが、急を要する案件に機動的に対応できない場合がある、こうした課題も浮かび上がってきておりまして、こうした課題を踏まえて、本年十月からは、機動的対応を可能とする組織再編、機能強化を図った新文化庁の体制を東京において構築し、本格移転、これは遅くとも二〇二一年度を目指すということですが、本格移転を先取りした試行、改善を図ってまいりたいと思っております。

 さらに、この組織再編においては、国会対応業務、外交関係業務、関係府省庁との連絡調整業務に加えて、東京を拠点とする文化芸術関係団体への対応業務、これにつきましても、その機能を引き続き東京に置く前提で体制を整備して、担当部署を本格移転後も東京に残す予定としておるところでございます。

 今後、文化芸術に関係する多くの皆様との連携を一層深めながら、この文化庁移転を契機として、我が国の文化行政のさらなる強化が図られるように取組を進めてまいりたいと思っております。

浮島委員 ぜひとも、いろいろな関係団体の方々と連携をとりながら進めていただきたい。これからも、またいろいろな問題、課題が出てくると思いますけれども、その課題一つ一つ、これをしっかりと、いかによくしていくのかということで、しっかりと改善に向けて仕事をしていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 また、その文化庁の京都移転の真価が問われるのが、先日も御質問で少し触れさせていただきましたけれども、京都で初めて行われる国際博物館会議、ICOMの世界大会でございます。このICOMは、一九四六年に創設された国際的NGOで、世界じゅうのミュージアム、博物館、美術館等の振興を通じて、文化財の保護、研究、展示などに貢献されていて、ユネスコの協力機関としても活躍をされています。世界百四十一カ国の国と地域からさまざまな分野、例えば、歴史、美術、考古学、民俗、科学、そして技術、自然史などにわたるミュージアムの専門家約三万七千人という博物館関係者が会員でございます。

 この日本初の国際博物館会議が、二〇一九年の九月一日から七日まで京都で開催されます。百四十一の国と地域から三千人を超えるミュージアムの専門家が京都に集まります。私は、この開催時の担当は、まさに文化庁になり、初の大仕事と言っていいと思います。このICOMのメンバーの方々も、先ほどもお話ありましたけれども、京都に来て文化に触れたい、町全体がミュージアムであるような京都を訪れることを心から楽しみにされて来られると思います。

 文化庁が、でも、ただ単に、どの町で開催しても同じような会議ロジを担当してしまったら意味がないと私は思っております。この大事な一週間にわたるICOM京都大会において、私も、二月に予算委員会でも触れましたけれども、ルーブル美術館の文化財の修復にも使用されている越前和紙のような伝統工芸品をいかに織り込んでいくのか。また、先週の文化財保護法改正案の質疑でも触れさせていただきましたが、和歌山県立博物館や和歌山県立工業高校、盲学校などが連携で取り組んでいる、未来へ守りつなげる和歌山プロジェクト、和歌山わかもの・文化財守り隊、国内外でも珍しい視覚障害のある方が触れられるレプリカを3Dで作成、また、さわって読む図録を作成している、このような貴重な取組。また、京都ですから、能楽堂で能を披露したり、ICOMの方に能楽の体験をしていただく、例えば、着物を着ていただいたり、面をつけたりなどしていただく。また、京都には、海外でも公演されて活躍されている舞踊集団菊の会とか、いろいろな日本の踊りを発表しているところも京都にはたくさんございます。こういう我が国の文化や芸術をICOM京都大会を通じてどのように世界に発信するのかが問われていると私は思います。

 このように、このICOM京都大会におきましては、軸足を京都に置く文化庁だからこそ把握することができる、また、我が国しかできないすぐれた取組を地道に丁寧に集めてこそ、ICOM関係者にそれを積極的に発信することが大切であり、心にしみる忘れられない京都大会にしていかなければならないと思います。まさしく文化庁が京都に移転するからこそ、こんなにすばらしい大会ができたんだと大成功させなければならないと私は思っております。その覚悟が本当に文化庁におありになるのか。

 そこで、大臣に、この二〇一九年九月のICOMは文化庁の移転の真価が問われる大事な重要な機会であると思われますけれども、京都と東京の文化庁がそれぞれフル回転し、かつ、空間を超えてしっかり連携しなければならないと思っております。そこで、京都での開催を楽しみにしているICOM関係者に日本の文化を積極的に発信するため、どのような体制を組み、文化人や芸術家などを含めた応援団をどのように生かしていくのか、大臣の思いや具体的なアイデアをお伺いさせていただきたいと思います。

林国務大臣 二〇一九年に開催されます国際博物館会議、ICOM京都大会は、今先生からお話がありましたように、世界各国から三千人規模の博物館関係者が一堂に会する世界大会で、我が国では初めて開催される大変大きな意義を持つものだ、こういうふうに思っております。

 京都大会は、我が国の博物館の取組やプレゼンスを大いにアピールするということはもちろんですが、世界各地の博物館の関係者が、今おっしゃっていただいたように、我が国の文化や伝統、特に京都でございますから、こういうものに触れるまたとない機会となり得るということで、こういう人たち、プロですから、日本文化の発信にも本当に積極的に取り組む必要がある、こういうふうに思っております。

 このため、文科省としては、主催者であるICOM京都大会二〇一九組織委員会、それから文部科学省、文化庁、それから京都の地域文化創生本部、この四者で構成をされますテレビ会議等を通じた定期的な情報共有体制を構築するとともに、文化人、芸術家、芸術団体の皆様の御意見をお伺いして、地元自治体との連携協力を密にしながら、大会の成功に向けてしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。

浮島委員 またとない機会ということでございます。本当にまたとない機会だと私は思っておりますので、しっかりと連携をしていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 また、このICOMの京都大会に関しましては、今回の改正案では重要な規定が置かれています。本年十月一日に、これまでの文部科学省生涯学習政策局が担当している博物館に関する事務を文化庁が一括して所管することになるという点でございます。この改正により、美術館、博物館、水族館、動物園、科学博物館なども文化庁が担当することになります。そのため、このICOM京都大会の準備については、ことしの九月末までは生涯学習政策局が担当し、十月一日からは文化庁が担当することになります。

 今回の法律案によるこのような所管がえは博物館行政の機能強化のためであり、間違ってもこのICOM京都大会の準備に支障が生じることがあってはならないと私は思います。また、一番大切なのは、現場を混乱させてはなりません。

 そこで、常盤生涯学習政策局長にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、この九月までICOM京都大会の準備を担当するに当たっては、京都の地域文化創生本部など、文化庁としっかり連携しながら、博物館行政が文化庁に移行することを前提に準備を進めていく必要があると思います。特に、六月に開催されるICOMの年次総会、これには、ICOM日本事務局の担当者が京都大会のプレゼンテーションをパリに出向いて行うと聞いております。どんなアイデアを提起されるのか、考え抜いておられるのか。また、ICOM京都大会の予算の概算要求は生涯学習政策局が担当することになりますけれども、どのようにするおつもりなのか、現状と今後の対応についてお伺いをさせていただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 文化庁との連携ということでございます。

 私どもの方で、現在、生涯学習政策局の方で担当している部分が十月から文化庁の方で担当ということになるわけでございますけれども、この点につきましては、先ほどの大臣からの答弁にもございましたとおり、関係する四者による体制を踏まえて、情報の共有を図ってまいりたいと考えてございます。

 また、六月の六日から八日にかけまして、ICOM年次総会がパリで開催をされます。そこには、京都国立博物館等の担当者を含みますICOM京都大会二〇一九組織委員会関係者が、映像を用いまして、大会の概要、京都の博物館についての紹介、プレゼンテーションを行うというふうに承知をしてございます。

 また、ICOM京都大会におけるイベント等の具体的な構想につきましては、ことしの九月に開催をされますプレ大会でございます、ICOM舞鶴ミーティング二〇一八などで検討を行うということとしております。

 それに向けまして、先ほども申しましたが、文部科学省、文化庁、地域文化創生本部及びICOM京都大会二〇一九組織委員会、この四者を構成員といたしました情報共有体制を構築することによりまして、必要な情報の共有を進めて、よりよいアイデアの提起につなげてまいりたいと考えてございます。

 また、予算の点での御質問がございました。

 文部科学省といたしまして、平成二十七年にICOM京都大会の招致決定がございました。これを受けまして、ICOM京都大会への機運の醸成と、それを通じた博物館の振興を目的といたしまして、平成二十八年度から、博物館ネットワークによる未来へのレガシー継承・発信事業を実施しております。

 この事業においては、平成三十年度は、博物館を通じて日本の魅力を国の内外に発信する観点から、複数の博物館連携による共同展示、多言語による情報発信、学芸員の資質向上等のモデル事業を行いますとともに、ICOM京都大会に対する国民の理解促進のためのシンポジウムの開催などを行うこととしております。

 今後も、大会後にも我が国博物館が持続的に発展することを目指しまして、文化庁などの関係者と連携をしながら、ICOM京都大会の成功に向けた取組をより一層進めてまいりたいと考えてございます。

浮島委員 予算の要求と査定、執行の担当がかわるわけでございますから、縦割りと言われないようにしっかりと連携をとっていただきたい。今が私はとても重要な時期だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、文化庁次長にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、文化庁も、今からICOMの京都大会は自分の担当だという意識を持って生涯学習政策局としっかり連携をとるとともに、京都の文化庁地域文化創生本部を活用して、ことしの十月から円滑に新しい事業が遂行できるようにするべきだと思っております。

 この京都大会が成功しなければ京都移転も無理であるという強い決意で取り組んでいただきたいと思いますが、現状を含めて取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本年十月に向け、これまで文部科学省が所管してまいりました博物館に関する行政を文化庁に一括して移管することにより、博物館全体の制度と具体的な取組支援を通じたさらなる振興を図ってまいりたいと考えております。

 ICOM京都大会は、我が国の博物館の取組やプレゼンスを大いにアピールするとともに、世界各地の博物館関係者が我が国の文化や伝統に触れるまたとない機会になり得るものと考えております。

 文化庁といたしましては、十月から円滑に新しい業務を遂行できますよう、主催者であるICOM京都大会二〇一九組織委員会、文部科学省、文化庁、京都の地域文化創生本部の四者との密な情報共有体制を構築したいと考えております。

 また、ICOM京都大会開催を機に、新たに総合的な博物館行政を行うことができますよう、オール文化庁で大会の成功に向けた支援に取り組んでまいりたいと考えております。

浮島委員 生涯学習政策局も文化庁も、しっかり連携すると言葉でおっしゃっていただいております。

 私が何度も何度も、この連携、縦割りではなくてしっかりとやっていただきたいと言う理由は、実は先週末、五月の十九日の土曜日ですけれども、私も、大阪、地元関西で会議がありまして、その会議の合間に知人から、きょうこれに行ってきますとチラシを見せていただきました。それを見てちょっと驚いたんですけれども、その当日、大阪歴史博物館で、ICOM京都大会二〇一九年の一年前のイベントである、二〇一八年国際博物館の日記念シンポジウムというのが開催をされておりました。私も、その場で知ったので、ちょうど二十五分ぐらい移動時間がありましたので、私がいた会議の場所からその博物館まで五分程度でございましたので、急遽その場所に行かせていただきました。

 そこに行かせていただきましたけれども、主催は、日本博物館協会、ICOM日本委員会、ICOM京都二〇一九組織委員会で、共催は、文部科学省、ICOMシンガポール国内委員会とのことで、基調講演にICOMザンビア、ICOMポルトガル、そしてシンガポールの代表の方々がお越しくださっておりました。

 そこで、常盤局長にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、担当の方は参加をされていたのか、また、文化庁、そして京都の地域文化創生本部にも参加するように事前に連携をとったか、お伺いをさせていただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一八国際博物館の日記念シンポジウムでございますけれども、今、浮島委員から御指摘ございましたように、文部科学省において共催をしている事業でございまして、当日は、私どもが担当でございますので、生涯学習政策局から担当者が出席したところでございます。

 このシンポジウムについては、文部科学省の私どもの担当者から文化庁に対しまして、ICOM京都大会にかかわる一連の説明の中で情報提供はさせていただいたわけでございますけれども、このシンポジウムの趣旨とか意義の説明など、十分な情報提供、共有ができなかったのではないかというふうに思ってございます。

 ICOM京都大会の開催が迫っている状況を鑑みますれば、文化庁に対しまして、より丁寧な対応を行うべきであったというふうに考えてございます。

 今後は、ICOM京都大会に係る業務の重要性に鑑みまして、先ほども申し上げましたが、組織委員会と文化庁、地域文化創生本部との定期的な情報共有体制を構築いたしまして、緊密な連携を図ってまいりたいというふうに考えております。

浮島委員 それでは、文化庁にもお伺いをさせていただきたいと思います。

 この大阪開催がされたシンポジウム、これには京都の事務局より担当の方は御参加されたのでしょうか。また、今、生涯学習局長の常盤さんからありましたけれども、説明の中ではあったということでございますけれども、説明を聞いて、誰か東京からでも行くということになったのか、また、文化庁には主催者の方から御案内はあったのか、この三点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先週、ICOM日本委員会が主催し、文部科学省が共催して、二〇一八国際博物館の日記念シンポジウムが開催されますことにつきましては、十分な情報共有がなされておりませんでした。ということで、文化庁の方から担当者が出席するということはございませんでした。

 また、文化庁として、京都の地域文化創生本部に知らせていなかったということはまことに遺憾でございまして、委員御指摘のように、十月を待たずとも、主催者を始め、関係者と密な連携を図り、二〇一九年のICOM京都大会の成功に向けた協力をしてまいりたいと考えております。

 主催者の方からも、特段連絡はいただいておりません。

浮島委員 主催者の方から連絡がないのは、私は当たり前だと思います。なぜかというと、これは文化庁が今担当ではなくて、生涯学習政策局が担当であるから、そこに御案内を差し上げた。そして、内々でしっかりと連携をするべき、図っていくべきだと私は思っております。

 また、今御答弁を伺っていると、文化庁は知っていたが参加はしなかったということでございますけれども、私は、ここをしっかりとやっていただきたいということを強く申し上げさせていただきたいんです。

 というのは、京都に移転する。でも、連携をしっかりします、しますと言葉では言っていても、この霞が関内であっても連携がとれていない。今度、東京から京都に移転する。また、東京と京都では約四百から五百キロと離れているわけですけれども、そんな中で本当に連携がとれていくのかということをとても心配しているところでございますので、何度も何度もお願いをさせていただいているのは、しっかりとした連携をしていただきたいということでございます。

 また、もう一点、もう一つの論点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の改正案におきましては、小学校の音楽、図画工作、中学校の音楽、美術、高等学校の芸術に関する学習指導要領の策定などの業務は、これまで初等中等教育局教育課程課が担当しておりましたけれども、本年十月以降は文化庁に移管し、芸術に関する国民の資質向上について、学校教育における人材育成からトップレベルの芸術家の育成までの一体的な施策を展開することとしております。

 そのこと自体は私は意味のあることで、ぜひトップレベルの芸術家が学校に出向いて子供たちと接する、そして芸術教育や芸術体験を充実させていただきたいと思っております。

 他方、先日も質問させていただいたように、和歌山では、歴史から学ぶ地域の災害と防災教育といたしまして、南海トラフ地震が想定されている県内地域において、過去の津波被害に遭った文化財の現地調査など、地域社会全体で共有、そして継承する活動をされております。芸術科目が、社会科や総合の学習、理科などと教科横断で結びついた特色のある大切な取組であると私は思っております。

 また、小学校における合科的指導のもと、芸術科目における言語活動も、平成二十年の学習指導要領改訂以来、随分進んできています。これは、言葉と体験という学習指導要領改訂の理念を初中局が明確に打ち出し、各教科でしっかりと共有してきたからできたことだと私は思っています。

 このように、芸術科目が総合学習や他の教科と結びつくことによって効果的な教育になっている例がどんどん出てきている中で、今回の所管がえにより、芸術科の科目が文化庁に閉じこもり、このような広がりを失っていっては元も子もないと私は考えております。

 そこで、高橋初中局長にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、今回文化庁に移管される芸術科目を他の教科とうまく連携させて、教育の効果、質の高い授業づくりを更に展開する上では、初中局の役割は大変大きいと思います。文化庁とどのように連携をしながら、開かれた芸術科目のための教育課程行政を展開するのか、お聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 各教科等の特質を生かしながら、芸術に関する教科と他の教科等を連携させた教科等横断的な視点からの学習活動を行うことは、芸術に関する教科とともに、他の教科等の学習内容も深めることにつながり、双方にとって大変有意義なことだと考えます。

 例えば、国語科の言語活動で創作した詩を活用して、そこから感じ取ったことや考えたことなどをもとに美術科の授業において絵などに表現する活動を行ったり、社会科における歴史に関する学習と関連づけて、音楽科の授業において我が国や郷土の伝統音楽を教材として扱ったりすることなどが考えられます。

 また、初等中等教育における教育課程は、学校教育の目的や目標を達成するために総合的に組織した各学校の教育計画であることから、教育課程に関する行政は一体的に推進することが求められます。

 このため、文化庁で教育課程に関する業務を行う行政職員及び教科調査官は初等中等教育局にも併任発令を行うなど、組織的な体制整備を図りながら教育課程行政を進めていくことにしております。

 今後、文化庁の持つ文化芸術振興施策の知見や芸術関係者等のネットワーク等も生かしながら、初等中等教育局による総合調整のもと、文化庁と十分な連携協力を行い、学校における芸術に関する教育のさらなる推進に努めてまいりたいと考えております。

浮島委員 ぜひとも総合調整のほど、しっかりしていただきたいとお願いをさせていただきます。

 芸術科目が文化庁に移管されたからといって、教育を受ける子供たちにとっては、初中局も文化庁も関係はありません。芸術科目がもっと輝くためにも、教育課程全体のあり方について、文化庁がしっかりとした専門性を持ち、理解を深めなければならないと私は思っておりますけれども、今後の対応について、文化庁次長にお伺いをさせていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 子供たちが生涯にわたり芸術を愛好し、感性を高め、心豊かな生活や社会を創造していくためには、芸術に関する教育などを通じ、生活や社会の中の芸術や芸術文化と豊かにかかわる資質、能力を培っていくことが重要だと考えております。

 本法案によります業務の移管に伴いまして、これまで文部科学省本省で芸術に関する教育の事務に携わってこられました教科調査官も、文化庁において芸術に関する教育の基準の設定にかかわる業務を担うこととするなど、移管に当たって必要となる体制整備を図ることとしております。

 本法案の改正によりまして、これまでも文化庁で実施しておりました子供たちの文化芸術鑑賞、体験活動のさらなる充実に努めるとともに、文部科学本省との連携協力体制を十分に図り、文化庁の知見を生かした文化と教育の両分野における施策の一体的、効果的な推進を図ってまいりたいと考えております。

浮島委員 私は、本当に、文化庁こそ長い伝統文化を育んできた我が国の政府の顔であるべきだと思っております。今回のこの文化庁の機能強化、これは何のために行うのか。そして、文化推進フォーラムや文化芸術振興議連でも議論がなされ、二〇二〇年、五輪の年には文化省と主張されているように、フランスなどと同様に、文化省、文化大臣が置かれてもおかしくはないと私は思っております。

 そこで、大臣に、今回の法改正により、文化庁を日本の政府の顔としてどういう機能強化をしていくのか、御決意をお伺いさせていただきたいと思います。

林国務大臣 本法案は、昨年六月に成立をいたしました文化芸術基本法の趣旨を踏まえて、文化庁が中核となって我が国全体の文化行政を総合的に推進し、関係府省庁と一丸となってさまざまな関連分野と有機的に連携した施策を展開するということを目的としておるところでございます。

 文化省や文化大臣の設置につきましては、国の行政組織のあり方の問題でもありまして、行政改革の趣旨も踏まえつつ、国の行政組織のあり方の全体の議論の中で検討する必要があるものと考えておりますが、いずれにせよ、本法案によりまして我が国全体の文化行政を総合的に推進する体制を整備いたしまして、縦割りを超えた柔軟かつ機動的な取組と、それから新たな領域への積極的な対応を進めていくことで、我が国の文化行政の国内外に対するプレゼンスを高めて、今すばらしい長官をいただいておりますので、文化庁が日本政府の顔として機能するようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

浮島委員 もう一点、常盤局長にお伺いをさせていただきたいんですけれども、先ほど来から、四者会議がされるという、テレビ会議がされるということでございますけれども、これはいつから開始されるのか、教えていただければと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたが、これからの段取りといいましょうかスケジュールといたしまして、六月の初めにパリで年次総会が開催される予定でございますので、その結果を持ち帰ったものを起点といたしまして、関係の四者でしっかりと連携して、九月の舞鶴のミーティングに備えるという形で進めさせていただければというふうに考えてございます。

浮島委員 ぜひともしっかりとした会議を持っていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 私は、海外に皆さんも行かれると思いますけれども、行かれたときに、ヨーロッパとか行きますと、ツアーの行程の中に博物館や美術館のコースが入っているところがとても多く見受けられます。でも、残念ながら日本ではまだまだコースに入っていない。少しずつ今コースには入りつつありますけれども、日本の博物館、美術館も、向こうの、ヨーロッパ、またいろいろな海外から来ていただくときに、必ずコースに入っているというふうにしていかなければならないと思っています。

 昨日も、文化プログラム推進委員会の委員長として、菅官房長官に、文化プログラムを始めとする文化関連予算の確保、拡充を求める決議を官邸にてお渡しをさせていただきました。長官の方からは、京都のICOMについても、日本の文化についてはしっかりと責任を持ってやっていくという力強いお言葉、お尻をたたいてほしいというお言葉もいただきました。

 私がきょうも何度も何度も連携をしていただきたいとお願いをさせていただいたのは、文化庁が京都に行くことにより、日本の文化芸術の行政が変わった、より文化芸術に親しみやすくなった、そして、具体的に予算がふえた、予算もこのままではなくて、具体的に予算がふえたなどと、しっかりと移転に対して目に見える成果があらわれるように全力で取り組んでいただきたいということで、きょうは連携をしっかりとしていただきたいということで御質問をさせていただきました。

 私も、今後とも、これから文化行政に対しても全力を尽くしていきたいと思いますので、ぜひとも連携をしっかりとしてやっていただきたいということをお願いし、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 今回、文部科学省設置法の一部を改正する法律案ということで、早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 本法律案は、文化庁の京都への移転、こういう話がございまして、これとあわせて文化庁の機能の強化をしっかりと図っていくんだ、こういう中身であるというふうに理解をしております。

 私、この話をずっと聞いておって思いましたことは、政府関係機関の地方移転ということでこの議論がスタートしたわけでございますけれども、もともとの議論のスタートは、東京一極集中をしているじゃないか、これが是正できないか、こういう地方創生のところから議論がスタートをしたものと理解をしておりまして、もともと、いろいろな会社の本社機能の移転を政府としても後押しをしていくべきじゃないか、こんな議論の中で、それであれば政府の機関も地方移転というものも検討していってはどうか、こういうふうな流れであったかというふうに理解をしております。

 しかし、それを考えますと、政府関係機関が地方に移転をしたものの、それによって、先ほど浮島先生もおっしゃっておられましたけれども、行政の機能そのものがそれで低下をしてしまったね、こういうことになってしまってはやはり私は意味がないというふうに思いますし、そういうことであれば、地方創生の議論そのものが、地方にいろいろなものが行って、その地方にとってはいいんだけれども、では、行った会社にとっては本当にメリットがあったのか、こういうところも、やはり政府全体の地方創生の議論にもかかわってくるんじゃないかなというふうに思っております。

 やはり、移転をするのであれば、しっかり機能も強化し、そして文化行政そのものにとっても大きなメリットがあったな、これによって文化行政そのものがよくなったな、こういうことが私は必要であるというふうに思います。

 先ほどの質疑でも、予算等も含めてというお話もございました。私も、やはり予算、あるいは人員という人の問題もあるかもしれませんけれども、こうしたものも含めて文化行政をしっかり強化していく、こういう大きな契機にしていかないといけないというふうに思っております。

 まず冒頭、この点につきまして、大臣の御決意を伺いたいというふうに思います。

林国務大臣 文化庁の京都移転につきましては、文化財を活用した観光振興、全国各地の地方文化の創生、こういった観点を踏まえて、文化行政のさらなる強化が期待されるところでございますが、この法案は、昨年六月に成立した文化芸術基本法の趣旨等を踏まえて文化庁の機能強化を図ることとするものでございまして、文化政策のさらなる振興のために、必要となる予算や人員の確保が重要である、そういうふうに認識をしております。

 予算については、文化芸術基本法でも、政府は、文化芸術施策の実施に必要な法制上、財政上又は税制上の措置を講じていくこととしておりまして、今後とも文化芸術の振興に必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

 また、人員についてですが、本法案をお認めいただければ、政令改正による組織の抜本改編を行うこととしておりまして、その場合、本年十月には新文化庁を発足させることを予定しておるところでございます。

 この新文化庁においては、縦割りを超えた開放的、機動的な文化政策集団の形成、これを掲げまして、従来の文化部、文化財部、この二部制を廃止いたします。京都への本格移転を見据えた次長を新設するとともに、文化資源を活用した観光振興とか地方創生の推進、さらには文化発信力の向上や食文化など生活文化の振興、こういった機能強化を図るために二十名程度の定員増などを措置することとしておるところでございます。

 今後とも、本法案による文化庁の機能強化や予算、人員の適切な確保等を通じまして、文化芸術立国の実現に向けた取組を推進してまいりたいと思っております。

中野委員 大臣から答弁いただきました。これについては、人もふえるという話もございましたけれども、他方で、東京と京都という二カ所になるということもございます。これが本当に機動的に連携をしていけているのか、そして、文化庁の行政の機能そのものが本当にしっかり強化できるのか、これについては引き続きこちらの方でもしっかり見ていかないといけないというふうに思いますし、やはり必要な措置というものをしっかり講じていく、こういうふうな必要があるというふうに思います。

 もう一点、文化庁の機能強化ということでお話をしましたけれども、もう一つは、そこにも関連することでございますけれども、文化庁と京都との連携ということが大きな今回のメリットの一つなんだということの御説明はあったかというふうに思います。

 確かに、京都というのは国宝や重要文化財等々いろいろなものが非常に数多くある、そういう地域だということは確かでございますけれども、しかし、これは京都だけではなくて、近隣の奈良であるとか大阪であるとか、あるいは兵庫、滋賀、もちろん和歌山もそうでございますけれども、京都を含めた関西の地域、ここに多くの文化財があるというふうに思っております。単に京都と東京だけを比べれば、文化財の数でいうと、やはり東京もかなりあるという状況だというふうに思っております。

 ですので、文化庁と京都との連携、これにあわせて、やはりより広域の連携というものが文化行政についてのメリットを考える上でも非常に大事なんだろうというふうに私は思います。特に、関西始め近隣の地域あるいは文化庁との連携、こういうものをしっかり強化していくべきだ、このように考えますけれども、どういうお考えか、大臣の答弁を求めたいというふうに思います。

林国務大臣 この文化庁の京都移転の先行的な取組といたしまして、昨年四月に地域文化創生本部が設置されております。地元の京都府や京都市はもちろんなんですが、関西広域連合を構成する地方公共団体や関西経済連合会等からも職員を派遣していただいておりまして、関西地域の地方公共団体や経済界、文化関係団体等との連携関係は日常業務のレベルから構築をされておる、こういうふうに考えております。

 また、関西地域では、平成十五年当時の河合隼雄文化庁長官の呼びかけに応えまして、関西文化圏の一体化、活性化を推進するためにフォーラムの実施や継承活動に取り組む関西元気文化圏事業、これが現在も継続実施されておるところでございます。

 こうした取組を通じまして、関西地域の地方公共団体それから関係団体、こういったところとの連携強化を一層図るとともに、これを基礎に、全国各地における文化行政のさらなる発展、強化につなげていくようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

中野委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 続きまして、今回の法改正のもう一つの中身でもございます、博物館などこうした文化施設、こういうものの所管が、今まで文部科学省の本省と文化庁に分かれていたというものが文化庁の方に移管をされる、こういうことについてお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほども浮島先生からもお話ございましたけれども、私も党の部会で和歌山県の方に視察に行かせていただきました。和歌山の県立の博物館が中心となりまして、先ほどお話ありました、自治体と中学校、こういうものも連携をして、防災、災害の、地元の歴史的なそういったものを生徒みずからがしっかりと勉強、学んでいく、こういう防災教育というものもやっておられましたし、あるいは、県立の工業高校とも連携をされまして、文化財のレプリカをつくる取組、こういうものもされておられました。

 これは、工業高校の生徒みずから、こうした文化財のレプリカを、3Dプリンターのような新しい機器を使いまして、そういうのをつくっていく。実際に県立博物館に飾られている本物の文化財はもちろんさわったりすることはできないものでありますけれども、こうしたレプリカであれば手でもさわることができる。視覚障害者の方もこういうものも楽しむことができる。あるいは、いろいろな形で、地域の文化財のレプリカをつくったりですとか、いろいろな取組をされているなということを、私も本当にこれは非常にいい事例だというふうに思いました。

 それは、地元の子供たちにとっても、そうした文化財、こういうものに直接接する、親しむ、こういう機会にもなりますし、地域の方々に、そうした文化財を通じて生徒の皆さんがいろいろな形で貢献をしていく、これも本当にすばらしいことだなと思いました。こうした美術館や博物館の持つ文化財に子供たちが接し、親しむこと、こういうのはやはり非常に重要だなと。

 私も、自分の小学校、中学校、高校、こういう機会に、こうした文化財、こういうものに触れる機会というのは非常に貴重なものでございましたし、博物館の所掌が文化庁に移管されるということで、文化施設、こういうものを一体的に所管されるということでございますけれども、それと教育との連携というものを、やはりしっかりと連携をしていただいて、ぜひ強めていただきたい、私もこのように思う次第でございます。

 これについて、文部科学省の方から、今後の方向性を答弁いただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちが美術品や文化財等の文化芸術に触れ、体験することは、子供たちの感性、創造力を高め、心豊かな生活を送ることにつながり、極めて重要なことでございます。

 このため、文化庁では、これまで、美術館、歴史系博物館で、地域の子供、若者、障害者、高齢者等が参加できるプログラム等への支援を続けてまいったところでございます。

 今般の法改正によりまして、博物館行政全般を文化庁が所管することによりまして、博物館と学校教育、地方自治体、民間企業等関係機関との連携強化を図り、子供たちが文化芸術に触れる機会を充実してまいりたいと考えております。

中野委員 ぜひとも、この点については今回しっかり強化をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私も、党の部会の方で、さまざま、この文化財の関係の方々の御意見、こういうのも伺ってまいりました。やはり、今、どんな分野でも後継者の問題というのは深刻だというふうに伺いますけれども、こうした文化財、これを支えるいろいろな技術者であるとか職人の方、こうした方々というのはいらっしゃるわけでございまして、この後継者不足が本当に深刻だ、こういうお話をよく伺うわけでございます。

 例えば、私の地元の関係でいいますと、私の地元は兵庫県ではあるんですけれども、奄美群島と非常に関係の深い地域でございまして、奄美大島のところに視察に行かせていただくこともあるんですけれども、大島つむぎというのが、皆様御承知の方も、着物とかで見たことがある方もいらっしゃるかと思いますが、それは奄美の非常に伝統的な工芸品でございまして、これを実際につくる過程を見学もさせていただいたんですけれども、これは糸を染めるだけでも何十回も染めないといけない。あらかじめデザインが決まっていて、そのとおりに糸を染めて、それをもう一度織り上げるということで、非常に工程も複雑で大変だ、こういうこともございました。

 昔は、こうしたものも、実際に民間で商品を売るときもかなり高い値段で売れていたわけでございますけれども、しかし、今ではなかなかそれも難しいということで、こうしたいろいろな全国各地の、非常に工程も複雑で、そして非常に美術的な価値も高いであろうこうしたものを支えていく技術者の方々というものの技術の承継というのは、本当に全国各地で今難しくなっているのではないか、こういうふうに痛感をしている次第でございます。

 これは、このままほっておいてしまえば、技術の後継をする人がいなくなってしまうということであれば、文化財を活用して今いろいろなものを進めよう、こういう取組をしておるわけでございますけれども、文化財、伝統的な技術、そういうものそのものが継承されなくなってしまう、こういうことではやはりいけないというふうに思います。

 これを支援していくため、あるいはこういうものをしっかり維持していくための取組というものをしっかり強化する必要があるというふうに感じております。これにつきまして、文部科学省のこれからの取組というものを答弁いただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化庁におきましては、文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術、技能を、文化財保護法に基づきまして選定保存技術として選定をし、その保持者や保存団体が行う伝承者養成、技術の向上等に要する経費を補助しているところでございます。

 また、文化財の修理に携わる技術者を対象にいたしまして、文化財建造物や美術工芸品などの種別に応じた講習会を実施し、その資質向上を図っております。

 加えまして、今般の文化財保護法の改正案につきまして御審議賜ったわけでございますけれども、この中で、市町村の地域計画や個々の文化財ごとの保存活用計画の作成が制度化されているところでございますが、こうした仕組みを通じまして、文化財の保存修理にかかわる人材確保が更に進むよう、文化庁としても必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

中野委員 先ほどの御答弁に関係しましてお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、こうした伝統的な技術、こういうものを支えていくための取組ということで御答弁いただきましたけれども、近年、伝統的な建築物であるとか、典型的には、例えば古民家のようなものを活用していろいろな地域の活性化に取り組んでいこう、こういう取組が今全国各地で進んでおるかというふうに思います。

 これに関しましては、実際の建築物としての取扱いの問題というか、建築法令としてどうしていくかみたいな課題もさまざまあるというふうに伺っておるんですけれども、もう一つは、そうした伝統的な建築を支える、いわゆるたくみのわざというか、こうしたものをどう継承していくのか。これは、大工さん、昔の宮大工さんのような、ああいう木工のようなところもございますし、あるいは壁塗りをしていく左官の方々、あるいは伝統的な畳であるとか、そうしたさまざまな関連する技術、こういうものがあるわけでございます。

 私が、関係するいろいろな方々から伺いましたのが、今、ユネスコの無形文化遺産、ここに、こうした伝統建築、こういうものをつくっていく伝統的な技術、こういうものをぜひ登録していこう、こういう動きがあるというふうにお伺いをいたしました。

 しっかり国の制度としてこうした技術を継承していく仕組みというのも大変重要でございますし、こうしたユネスコの無形文化遺産のような、こういうものにしっかり登録をしていただいて、日本にはすばらしい文化、技術というものがあるんだ、こういうものをさまざま発信していく、私はこれは非常に重要な取組であるというふうに思います。ぜひ国として進めていっていただきたいというふうに思うんですけれども、現在の状況あるいは今後の見通しについてお伺いをしたいというふうに思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ユネスコにおきましては、二〇〇三年に無形文化遺産保護条約が採択されまして、我が国におきましては、二〇〇四年の締結以降、現在まで二十一件の無形文化遺産を登録してきておりまして、本年三月、次期候補といたしまして、伝統建築工匠のわざの提案書をユネスコ事務局に提出したところでございます。

 伝統建築工匠のわざにつきましては、社寺や城郭等、我が国の伝統的な木造建造物を建てる上で不可欠な木工、屋根ぶき、左官、畳製作などの高度な伝統技術で、国の選定保存技術として選定されている十四件を一括して提案するものでございます。

 今回の提案案件がユネスコの政府間委員会で実際に審議されますのは平成三十二年の十一月ごろと見込まれております。文化庁といたしましては、保存団体等関係者各位と連携協力しながら、登録におきまして着実に準備を進めたいと考えております。

中野委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 続きまして、今回、文化庁、司令塔機能を強化していくということで、文化財を活用した観光であるとか地域の活性化であるとか、こうしたものを更に進めていく、こういう取組が進んでいるということを承知しておりますけれども、これに関連をしまして、日本遺産についてお伺いをしたいというふうに思います。

 日本遺産、今、全国の地域においていろいろな歴史がある、あるいは歴史的なそれぞれの地域が誇るものがある、こういうものを日本遺産ということで登録して、これを地域の活性化に生かしていこう、こういう取組であるというふうに承知をしております。

 私は、地元は兵庫県でございますけれども、現在、三件登録をされている状況であります。私の地元の尼崎市も、今、阪神間のさまざまな都市と連携をして、この日本遺産の登録というものを目指してやっていこう、こういう動きもあるというふうに承知もしております。

 先日、私が行ってまいりましたのが、兵庫県にある日本遺産の中で、播但地域に昔いろいろな鉱山がございまして、これを貫く道ということで、銀の馬車道というものがございます。これがずっといろいろな市町にまたがっているわけでありますけれども、これのある神河町というところに先日行ってまいりまして、そうしたお話も伺いました。交流館などもありまして、これからしっかり頑張っていこう、こういうふうな取組もやっているというふうなお話も伺いましたけれども、この日本遺産を活用した地域の活性化の取組、やはりこれは質量ともにしっかりどんどん後押しをしていかないといけないなというふうに思います。

 地域によっては、かなりこれを活用してというふうな事例もあるというふうに思いますけれども、全体的な知名度というかそういうことも含めれば、私はまだまだ、国がしっかり音頭をとって、日本遺産というものがある、それぞれの地域にこういうものがある、これを活用していくというのは、やはりもっともっと国の後押しが必要ではないか、こういうふうに感じている次第でございます。

 このさらなる取組ということにつきまして、答弁いただければと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 日本遺産は、地域の魅力ある有形無形の文化財群を地域が主体となって総合的に整備、活用し、国内外に戦略的に発信することにより、地域の活性化、観光振興を図ることを目的としているものでございます。日本遺産の認定自体がゴールではなく、認定後の各認定地域における積極的な取組が重要であると認識しております。

 このため、文化庁におきましては、認定地域に対しまして、多言語ホームページやアプリの作成等の情報発信、ガイドの育成等の人材育成、説明板の設置等の環境整備等に対して必要な財政支援を行い、日本遺産の魅力発信を支援しているところでございます。

 また、めり張りをつけた支援を行うということも非常に重要でございます。認定地域が抱えております個別の課題等に対応した専門家を派遣いたしまして指導助言を行うとともに、平成二十九年度に、外部有識者から成る日本遺産フォローアップ委員会を立ち上げ、PDCAサイクルによる事業の改善を促しているところでございます。

 今後とも、日本遺産を通じました地域の活性化、観光振興の促進や国内外への戦略的な発信につきまして、関係省庁と連携しながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 最後に、地域の文化の継承ということで、これは本当にそれぞれ各地にあると思いますけれども、お祭りですとかそういうものについてお伺いをしたいというふうに思います。

 私の地元でも、長い歴史のある祭りということでだんじりのお祭りがございまして、それぞれの町で、地車というかだんじり、これを維持補修しておるわけでございます。各地でいろいろな歴史の長い伝統行事というのがあると思うんですけれども、どこの地域でも、今、担い手の不足、あるいは維持のための費用が本当に大変である、こういうさまざまな課題があるというふうに思います。

 こうした伝統の文化、こういうものを絶やさないためにも、こうした地域のそれぞれの伝統行事、こうしたものへの支援というのが非常に重要だというふうに思いますけれども、最後に、政府の方から答弁いただきたいというふうに思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 だんじりなどの地域の祭りを始めといたしました無形民俗文化財は、日本の歴史、風土の中で生まれ、世代から世代へと繰り返し受け継がれてまいりました貴重な地域の財産でございます。

 文化庁では、これらの無形民俗文化財のうち、特に重要なものを重要無形民俗文化財に指定するとともに、その伝承、活用を図るため、祭り等に用いられる用具の修理、新調、伝承者養成等への補助を行っております。

 また、未指定の無形民俗文化財につきましても、伝統文化の継承基盤を整備するという観点から、地域文化遺産活性化事業を通じました支援を行っているほか、特に必要あるものを記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財として選択をし、記録作成等へ補助を実施しておるところでございます。

 これに加えまして、先ほども御答弁申し上げましたが、現在御審議賜っております文化財保護法改正案における、地域の市町村で、未指定を含めた域内の文化財の継続的、計画的な保存、活用のための文化財保存活用地域計画を作成するということができるということになっておりますが、地域の実情に応じまして、だんじり等の地域の祭りをこの中に位置づけて地域社会全体で維持、振興されますよう、文化庁としても、求めに応じて指導助言をしたいと考えております。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの山本和嘉子でございます。

 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 先日、愛媛県が、学校法人加計学園の獣医学部新設をめぐって行われた二〇一五年春の東京出張にかかわる記録の文書を参議院の方に提出されたということでございまして、この記録は極めて克明に内容が記録されておりまして、二〇一五年四月二日に内閣府と官邸で行われた面会が加計学園獣医学部新設を実現するために決定的な契機であったということが記されている資料となっております。

 例えば、この文書の中で、加計学園の報告で、二月二十五日に理事長が首相と面談、理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明、首相からは、そういう新しい獣医大学の考えはいいねとのコメントがあったと。また、柳瀬首相秘書官から改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定であるということが記されておりますが、これを問われても、二月二十五日に会った覚えはないと安倍総理はおっしゃるということでございます。

 また、四月二日十一時半から、内閣府での会議で、藤原地方創生推進室次長の発言として、政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県、市、学園と国が知恵を出し合って進めていきたい、そのため、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたいというふうに発言していると。本案件が、政府が中心となって県と市と学園とが一丸となって進めていくという趣旨が述べられています。

 それと、引き続いての三時からの総理官邸での柳瀬首相秘書官、首相案件である、何とか実現したいと考えている。どうやったらこの案件を通せるかということも、具体的にいろいろな指示が幾つもこの文書の中に記されているということでございます。

 これは明らかに、本案件を知ったのは二〇一七年一月二十日とした総理の発言とも食い違うものでございまして、この件の指示をしたことはないとする総理の答弁とも食い違っているものでございます。

 こういった事態を踏まえまして、改めて、文部科学大臣、林大臣にお聞きいたしますけれども、本当のことを言っているのはどっちなのか、どっちがうそを言っているのか、どう大臣はお感じになるか、それをお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 この愛媛県から提出された文書におきましては、総理と加計学園理事長が面会したとされているわけでございますが、私、事実関係を承知しておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 総理が、御指摘の日に加計孝太郎理事長と会ったことはございません、念のために、きのう、言われた日の昨日ということでしょうが、官邸の記録を調べたところでございますが、確認できませんでしたと記者に答えているということは、今、委員からお話があったとおりでございますし、私も承知をしております。

山本(和)委員 こうした資料が出てきたということで、安倍内閣への信頼はもう大きく揺らいでいるのではないかと思っております。大学を所管している文科省においてはなおさらのことではないかと思うのですが、ここでお願いなんですが、文科大臣として、四月に見つからなかったとおっしゃっていた愛媛県の文書、この今回出てきた文書の裏づけも含めまして、いま一度、省内の徹底調査をお願いしたいと思いますが、いかがでいらっしゃいますでしょうか。

林国務大臣 この愛媛県から提出されました文書に記載のある平成二十七年四月前後の柳瀬総理秘書官と加計学園等関係者の面会につきまして、これまで、内閣官房からの指示により、文部科学省において、当時文部科学省から内閣官房に出向していた職員への聞き取りを行ってきたことを踏まえまして、補足的確認ということで、今回、追加聞き取りを行っております。

 聞き取りでは、愛媛県から参議院予算委員会に提出された資料を見て、現時点で思い出した記憶はあるかとの質問に対して、今回の文書を見て思い出したことはなく、明確な記憶はないという回答であったと聞いております。

 文科省としては、これまでも、文書や証言が出てきた場合には、詳細に丁寧に事実関係を確認しております。必要な範囲においての確認作業を十分に行っている、こういうふうに認識をしておるところでございます。

山本(和)委員 文科省の信頼回復ということも含まれるとは思います。大臣のリーダーシップで、省内の徹底調査、再度指示をお願いしたいということを申し上げたいと思います。

 ぜひ、委員長からもその調査の指示をお願いしたいと思いますが、いかがでいらっしゃいますでしょうか。

冨岡委員長 理事会で諮りたいと思います。

山本(和)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 では、文化庁移転に関しましての質問に移らせていただきたいと思います。

 文化庁の移転の目的ということは東京の一極集中を是正するということでございまして、まち・ひと・しごと創生本部が移転に対する検証等を行ってきたということでございます。

 京都府、京都市、京都の政財界、文化界を挙げて平成二十七年から招致に取り組んできた。先ほどもお話がありましたけれども、そのもっと前、平成十五年、二〇〇三年に、元文化庁長官だった河合隼雄さんが、経済、政治、文化の東京一極集中を懸念して、地域の底力を発揮しようということで、まずは関西からということで、関西元気文化圏推進協議会が設置されたという過去があります。文化庁と関西、京都とのこうした思いからすると、正式に移転が決まったということは本当に歓迎すべきことであるというふうに思います。

 新文化庁を掲げまして、組織改革と機能強化を目的に挙げておられますけれども、今後の移転に向けての準備というものが大変重要であると考えております。多くの税金も使いまして、職員の方々を京都に移住させてまで移転を行うということでございますから、納得してもらえるようなものでなければならないと考えます。

 そこでまず、文化庁が京都に移転する意義についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

林国務大臣 文化庁の京都移転には、まず、中央省庁初の地方移転ということで、東京一極集中の是正、地方創生などへの期待がある、これに加えまして、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都、京都に移転することによりまして、例えば、文化財を活用した観光振興ですとか外国人観光客向けの効果的な文化発信、さらには生活文化の振興など、我が国の文化行政の企画立案能力の向上が期待できるということがございます。

 さらに、こうした先進的な取組が今度は全国の地方公共団体に効果的に波及されることによって、地方文化の掘り起こしや磨き上げにつなげていく、こういうことが期待できると考えております。

 また、今、議員から御紹介いただきましたけれども、二〇〇三年の河合隼雄元文化庁長官の熱意、呼びかけを契機として、これまで培われてきた、関西地域での地方公共団体や民間事業者との連携体制を生かしていくことも重要と考えております。この団体には、今、宮田文化庁長官も特別顧問ということで一緒になって頑張っているということでございますので、しっかりと推進をしてまいりたいと思っております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 新文化庁の行政は京都に本部を置くということでございますけれども、全国に発信ということも大臣おっしゃっていただいておりまして、全地方公共団体の文化の政策の強化がされることを期待申し上げたいというふうに思います。

 引き続きまして、新文化庁を支える人材についてお聞きをしたいと思います。

 行政を担う文化庁が、日本の中心である霞が関を離れまして京都という地方に出ていくということで、新しい環境の中で文化行政を行っていくということでございます。積極的に外部の人材を取り入れて、組織の中でさまざまな新しい文化をつくり出すということで、そういう文化行政を積極的に生み出すという環境もつくっていけるのではないかなと思います。

 京都は、伝統文化や伝統産業を担う人々、先進的な考えを持つ研究者や芸術家、また日本文化に関心を持つ外国の方などが集う場所、土地柄であると思います。こうした人々がコミュニケーションを行い、文化行政を担うのにふさわしい場所であるのが京都であるのかなというふうにも思います。

 そうした意味でも、今回の移転によって外部からの人材にどのようにかかわっていただくのか、そのことをお聞きしたいと思います。

林国務大臣 今、山本先生からお話がありましたように、やはり、新しい文化庁において積極的に外部の人材を取り入れるということは、それぞれの知見やノウハウ等を生かした新たな文化政策の企画立案の観点から意義があるものと考えておるところでございます。

 今後、本格移転を見据えた新たな組織におきまして、京都府それから京都市を始めとする地元からのさらなる協力、全国自治体や大学からの職員派遣、また民間人や事務補佐員の雇用など、さまざまな形で文化庁に参画していただく定員外職員も含めて、必要な人員を計画的、段階的に確保して本格移転を迎えたい、こういうふうに思っております。

 海外からの人材というのは大変興味深いものでありますが、これにつきましては、これからの人事の運用の課題と受けとめたいと考えておるところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、外部の人材等とのかかわり、積極的にやっていっていただきたい。文化の発信も外部からの意見もとても大事だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいところでございます。

 続きまして、京都と東京の仕事の分担について少しお聞きをしたいと思います。

 今回、機能重視ということで、組織改編をされまして、人員を強化するということでございます。文化行政を効果的に前に進める上でとても評価できることだとは思いますが、一方で、組織改編後の文化庁に誕生する十一の課のうち、京都に移る組織が六、東京に残る組織が五つというふうに聞いております。人員の割合は、京都が七、東京が三という割合ということも先ほどからお話が出ております。

 東京に残る組織には、国会対応やほかの省庁との企画調整、著作権などの比較的お忙しい部門が東京に残るのではないかなと思うのですが、東京に残る人材に過重な負担が生じないのか、また、京都と東京の連携を進める上でのICT会議システムを導入しているというふうにもお聞きしておりますが、その実際の効果や、それ以外にどのような連携の仕組みを検討されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 京都と東京の仕事の分担につきましては、昨年七月の文化庁移転協議会の取りまとめにおきまして、本格移転における組織体制の大枠といたしまして、文化庁本庁を京都に置くこと、本庁におきましては、国会対応、外交関係、関係府省庁との連絡調整等に係る業務及び東京で行うことが必要な団体対応等の業務を除く全ての業務を行うなどを決定いたしております。

 東京と京都との連携というのがより密接に必要になるわけでございますけれども、既に平成二十九年四月に先行移転として設置をいたしました地域文化創生本部と東京の文化庁をつなぐテレビ会議システムを合計三台設置いたしまして、週に一回、文化庁庁内での庁議というものがございますけれども、そういうものを始めといたしまして、各種会議や打合せなどで日常的に活用することにより、東京と京都との連携を図っているところでございます。

 本年十月には、今後の本格移転を見据えまして、新たな文化庁の組織体制を東京において構築することを予定しております。その際に、京都に移ったということを仮定して、分けて、それでシミュレーションしていくということが必要になってくると思います。さらなるICT活用など、連携強化に向けた試行を重ねることによりまして、本格移転後に東京に残る人材に過剰な負担が生じないように改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

山本(和)委員 しっかり改善する点等々、御検討の方、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 引き続きまして、京都と奈良を中心とする関西圏には、日本の伝統文化や文化財の多くが存在すると同時に、それを支える伝統産業というものも多くあるというふうに思います。西陣織や丹後ちりめん、京友禅などの伝統文化は、伝統産業と切り離して考えることができないものだと思います。

 近年、こうした伝統産業の衰退は著しく、それを支える職人も急速に減っているということでございまして、結果、伝統産業の多くが海外に業務委託する形もあるというふうにも聞いております。例えば、着物の刺しゅうの技術を担える人がもう少なくなってきているということでございまして、ベトナムに今委託をしている業者もあるというふうにも聞いております。

 伝統産業の担い手がいなくなるということで、減っていくということであれば、例えば舞踊とか能楽、そして歌舞伎などの衣装を始め、伝統文化の継承に支障を来すということにもなるのではないか。そのほか、文化庁が京都に移転することで、単に伝統文化を守るだけでなく、それと結びついた伝統産業の担い手とも積極的にかかわっていただいて、経産省とも連携して、伝統文化と伝統産業の底上げをする役割を果たしていただきたいというふうに思います。

 移転を契機に、こうしたテーマに積極的に取り組んでいただきたいと思います。経済産業省、文科省とともに、それぞれにお聞きしたいと思います。

中岡政府参考人 文化庁と経済産業省と両方にかかわる話でございます。

 まず、文化庁としての御説明でございます。

 現在、工芸技術など無形の文化財につきまして、重要無形文化財として指定をし、伝承者養成等への補助を行っておりますけれども、その伝承、活用を図る上でも、御指摘のように、産業振興との連携は極めて重要であると認識しております。

 このため、京都に今設置しております地域文化創生本部におきましては、既に、伝統的な工芸技術に関する用具、原材料につきまして、経済産業省さんとの連携協力により、その現状の調査分析等を行う調査事業を進めているところでございます。

 今回の法案によりまして、文化庁は、新たな事務といたしまして、各府省間の調整を図りながら、政府全体の文化行政につきまして、基本的な政策の企画立案や関係行政機関の事務の調整を所掌するということとしておりますけれども、この法案成立後には、こういった連携協力を更に進められるように、文化庁の大幅な組織改編を行うことを考えております。

 まさに、伝統工芸品と伝統的な文化財というようなことが両方相まって、より文化財を保存、活用するため、より連携を図ることによって強化されることを我々としてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づきまして、これまでに全国で二百三十品目の伝統的工芸品を指定してきております。

 当省におきましては、産地が抱えます後継者の育成あるいは販路の開拓などの課題に対しまして、新たにこういった伝統工芸品産業に従事することとなりました若手の職人を対象といたしました人材育成の支援、あるいは産地と現代的なデザイナーとのマッチングによります新商品開発、あるいは海外展示会への出展などの支援を行ってきているところでございます。

 また、伝統的工芸品の工房、あるいはそれを抱えます産地、地方におきましては、それ自体が貴重な観光資源となる可能性を秘めております。インバウンド需要を取り込むべく、観光などの異業種と連携をいたしまして、産地のブランド化や広報活動の強化に努めているところでございます。

 また、ただいま文化庁からも答弁がございましたけれども、文化財と伝統工芸品に共通する用具や原材料の確保に向けた調査事業につきまして、両省連携して進めているところでございます。

 こうした支援等を通じまして、伝統工芸品産業の底上げに向けまして、文化庁など関係省庁とも連携しつつ、鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

山本(和)委員 それぞれありがとうございました。

 ぜひ、連携を深めていただきまして、伝統産業、伝統文化の発展につなげていっていただきたいというふうに思います。

 引き続きまして、トップレベルの芸術家養成についてお聞きをしていきたいと思います。

 スポーツ庁では、オリンピック選手を養成するようなわかりやすい、施策が見えやすいと思いまして、指導者の育成やナショナルトレーニングセンターの拡充などが挙げられると思います。芸術文化は取組がわかりづらいというふうな気もいたしまして、文化庁にその点をお聞きしますと、新進芸術家グローバル人材育成事業、新進芸術家海外研修制度、文化芸術による子供の育成事業などがあるというふうに聞いておりますが、もっと広くわかりやすい活動が必要ではないのか。先ほど宮路委員からもありましたが、情報発信が必要であるというふうにも思います。

 例えば、そういった芸術における人材育成を受けた人材が広く知れ渡るような公演活動やコンクール、それらを見て、子供たち、若い人材が私もやってみたいと思わせるような仕掛けが必要なのではないかなと思います。

 ことしの三月に、特殊メークの技術でアカデミー賞のヘアメーク、ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘さんという方がいらっしゃいましたけれども、これまで日本でなくてアメリカで活動されてきたというふうにも聞いております。

 そういったすばらしい人材を発掘するためのアンテナの張り方といいますか、文化庁は今後どのように進めていかれるのかお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 我が国の文化芸術の発展のためには、やはり文化芸術に関する若手芸術家の人材育成を図るとともに、その活動を広く周知して、今、委員がおっしゃられましたように、子供たちの目標となる、こういう経験を子供たちに持ってもらう、こういう意味で、人材育成につながるという好循環をつくっていくことが極めて重要だと思っております。

 才能豊かな新進芸術家等の育成に向けましては、基礎や技術を磨くための国内における公演等の実践的な研修機会の提供に加えまして、世界の第一線で活躍する指導者のもとでハイレベルな技術の習得を行う海外研修等の施策を展開しておるところでございます。

 さらに、今お触れいただきました新進芸術家育成事業においては、例えば、文化庁の支援による海外研修を終えた若手芸術家によるコンサート、それから海外で活躍する日本人バレエダンサーによる公演など、成果発表の機会を広く提供するとともに、そういうところにたくさんの人に来てもらうということも含めて活動の周知を図っているところでございます。

 今後とも、これらの取組を通じてトップレベルの芸術家の育成に取り組むとともに、これらの活動の周知に努めてまいりたいと思っております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 制度一つ一つ見ていきますと、やはり若い人たちが育っていくためにいろいろな手厚い制度というふうに思っておりますが、例えばグローバル人材育成というものは、予算が前年より一億円減額となっているようなことも見てわかったんですけれども、非常にそういうのは重要な部分であると思いますので、ぜひ今後、予算等の見直しもお願いしたいところでございます。

 引き続きまして、学校における芸術教育の推進についてもお聞きをしたいと思います。

 本法律案では、これまで文部科学省が所管していた芸術教育の所管を文化庁に移管するということになっておりますが、この移管による具体的な効果はどのように考えておられるのかということもお聞きしたいと思いまして、文化人、芸術家などを学校に紹介して授業を行ったりするというふうにも聞いておりますし、それ以外に、例えば優秀な生徒に日展などの芸術公募展への出展の推進なども考えられるのではないかなと思いまして、日展というのは、一科が日本画、二科が洋画、三科が彫刻で四科が工芸美術、そして五科が書道というふうになっております。

 美術芸術の最高峰の公募展ということなので、比較的若い入選者をそこからトップレベルに育成するということもあり得るのではないかなと思いまして、入選することによる成功体験でステップアップしていくという、先ほど大臣もそういうふうにもおっしゃっておられましたけれども、そのほか具体的にどのような施策があるのか、あれば教えていただきたいと思います。

林国務大臣 学習指導要領につきましては、芸術に関する教科科目を含めて、小中学校は平成二十九年三月に、高等学校は平成三十年三月に改訂を行い、今まさに学校現場に対してその趣旨の周知を行っているところでございますが、この法案によりまして、芸術に関する教育の基準の設定に関する事務の所管が文化庁に移管をされるということで、直ちに学習指導要領に定められた教科等の目標や内容等に影響を及ぼすというものではないわけでございます。

 一方で、本法案によって業務の移管をするに際して、学校教育において、文化庁の持っております文化芸術振興施策の知見、それから芸術関係団体等とのネットワーク、こういうことを活用することによって、芸術に関する教育のさらなる充実が図られると考えておるところでございます。また、委員から今お話のありました日展等も検討に値するのではないか、こういうふうに思っております。

 本法案による当該事務の移管後においても、文部科学省本省との十分な連携協力体制を確保しながら、例えば、芸術関係団体等と連携して教員等を対象とした研修のさらなる充実を図るとか、博物館等の関係機関と連携していろいろな取組を行うなど、さまざまな方策を検討してまいりたいと考えておるところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今、大臣おっしゃいました教員への研修なども含めまして、子供たちへの文化の振興、ぜひさらなる取組をお願いしたいというところでございます。

 引き続きまして、新しい文化の創造についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 文化芸術は、そういう、新しいものを取り入れて生み出していくということで、更に継承されていくということでございます。アニメやゲーム、ポップカルチャーなどもそれに当たるのではないかなと思いまして、京都には京都国際マンガミュージアムというのがございまして、京都市と京都精華大学の共同事業で、世界から注目される漫画の資料の収集や保管とか公開、それを研究するということに加えて、展示やイベントなどを行っているということでございます。場所は、地域の廃校となった小学校をリメークした建物でミュージアムができたんですけれども、そういった、文化庁として、地域での文化発信という例が各地方でも可能ではないかなと思いまして、新文化庁としてどんな取組を考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 漫画、アニメなどメディア芸術等の地域の文化資源を活用いたしまして、地域文化の振興や地域の再生につなげていくことは極めて重要でございます。

 既に、現在の文化庁におきましては、文化芸術創造拠点形成事業によりまして、委員御指摘のように、京都市のメディア芸術と京都の地域資源とを活用したコンテンツ産業振興事業を始めといたしまして、鳥取県のまんが王国発ソフトパワー事業や高知県の高知県まんが王国・土佐推進事業のように、地方公共団体等が実施するメディア芸術を活用した事業を支援してまいったところでございます。

 また、これに加えまして、平成三十年度からは、世界に向けて国際発信力のある拠点形成を支援するため、国際文化芸術発信拠点形成事業によりまして、北九州市の北九州メディア芸術創造拠点推進事業の支援を開始したところでございます。

 このようにさまざまな資源が地方にはあるわけでございまして、今後とも、メディア芸術を始めといたします文化芸術資源を活用した事業の支援につきましては、新文化庁としてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございました。

 地方公共団体とも連携して、ぜひよろしくお願いしたいところでございます。

 文化庁の京都移転、将来、文化庁が京都に移転してよかったと思っていただけるように、ぜひ、準備大変かと思いますが、機能を充実するということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主党・市民クラブの日吉雄太です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に移らせていただきます。

 本日の案件であります文部科学省設置法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 まち・ひと・しごと創生本部において、東京一極集中の是正として、政府関係機関の地方への移転が議論され、文化庁が京都へ移転ということになったわけではありますが、なぜ文化庁に白羽の矢が立ったのか、その経過と目的、並びに、京都移転によって文化行政に明るい未来が見えるかどうか、林大臣の御所見をお願いいたします。

林国務大臣 この京都移転ということでございますが、平成二十八年三月に、今お触れいただきましたように、まち・ひと・しごと創生本部決定で、政府関係機関の移転基本方針というのが決まりまして、国会対応等の業務についても現在と同等以上の機能が発揮できることを前提とした上で、新たな政策ニーズに対応するための機能強化を図りつつ、全面的に移転するということが決定したところでございます。

 文化庁の京都移転には、まずやはり、中央省庁初の地方移転ということで、東京一極集中の是正とか地方創生などへの期待があると考えております。

 また特に、京都でございますので、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積している京都へ移転することによって、文化財を活用した観光振興ですとか観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興に関する企画立案能力の向上、そして、こうした先進的な取組を今度は全国的に波及させるなど、我が国の文化行政のさらなる強化を図る上で意義があるものと考えておるところでございます。

 なお、文化庁の機能強化や京都への移転に必要な体制の確保に当たっては、これまで政府方針で示されているとおり、過度な費用の増大や組織肥大化とならないよう、効率的、効果的なものになりますように取組を進めてまいりたいと思っております。

日吉委員 なぜ他の省庁ではなくて文化庁がというところが少しちょっとわかりにくかったんですけれども、京都移転についてお伺いいたします。

 京都移転のこの判断は、文化庁としまして、非常によい決定であったと快く承諾したということかどうかというようなことで、大臣が、メリットとしまして観光振興等を挙げられておりましたが、その反面、一方で、無駄が生じるとかデメリット等もまああると思います。

 このデメリットという観点から、今回の京都移転について、この決定が妥当であったかどうかということを御答弁いただけますでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 京都移転につきましては、既に昨年四月から地方文化創生本部という先行移転の取組を進めておりますけれども、これまでの過程で、さまざまなメリットがあった反面、例えば緊急対応を要するような対応につきまして課題があるというような事例もあったわけでございます。

 こういったことにつきましては、これから平成三十三年、遅くとも平成三十三年までに本格移転をするということでございますので、それまで、ことしの十月以降、新たな新文化庁の体制を持ちまして、更にシミュレーションをいたしまして、そういったデメリットが克服できるようにしたいというふうに思いますので、そういったメリットというものを生かしつつ、デメリットをなくすという努力を我々としてはしていきたいというふうに考えております。

日吉委員 無駄というようなところからデメリットをなくす、こういった対応をしっかりしていただきたいなと思っております。

 そして、今回の文化庁の京都移転は平成三十三年までに完了するというお話をいただきましたが、このスケジュールどおりに実際に移転を完了しなければなりません。そして、新たな業務を始めていく、こういうことになります。

 京都での新しい庁舎が、現在の京都府警察本部を改装して使用すると伺っております。

 また、今回の京都移転に伴って異動する職員は二百五十名に及ぶ、このようにも聞いております。多くの職員の異動等に向けた取組も必要になってまいりますが、期限内にこの移転を完了しなければならないという中で、このプロセス、どのように進んでいくか、ある程度具体的にお伺いいたします。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的なこれからのスケジュールでございますけれども、大枠で決めておりますのは、昨年七月の文化庁移転協議会の取りまとめにおいてでございます。

 既に指摘をいただいておりますけれども、文化庁本庁の職員数におきましては、全体の七割を前提にいたしまして、京都府、京都市を始めとする地元の協力も得ながら、二百五十人程度以上を見込むということでございます。そういった方々をしっかりと収容できる庁舎といいますものをこれから整備していただくということになるわけでございますけれども、先ほどお話ございましたように、この移転先といたしましては、京都府の警察本部本館になるということでございます。京都府が京都市などの協力を得まして、この本館の耐震化を含めた改修、増築を行うこととされております。今年度、来年度に実施が予定されております設計を経て、遅くとも二〇二一年度中の本格移転を目指すということになるわけでございますが、その過程で、こういった設計費あるいは建築費等の負担につきまして、どういうふうに負担割合を決めていくのかというようなことも解決していかなきゃいけないということでございます。

 文化庁といたしましては、引き続き、本格移転までに、京都府、京都市や関係省庁などの関係方面と連携協力しながら、着実に調整を進めていきたいというふうに考えております。

日吉委員 スケジュールどおり進むように着実に進めていっていただきたいと思います。

 続きまして、芸術に関する教育の基準の設定に関する事務は、これまで文部科学省本省が所管してきたものでありますが、今回文化庁に移管されます。

 この移管の趣旨と効果についてお伺いしたいと思います。

 学校現場における人材の育成やトップレベルの芸術家の育成など、今までどおりの文部科学省の所管よりもよりよくなるとの判断からこのような移管が行われることと思いますが、その理由を具体的に御答弁いただけますでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度におきまして、学校における芸術に関する教育は文部科学省本省が、子供たちに対する文化芸術の振興や普及、トップレベルの芸術家育成は文化庁が担当しております。文化庁の持つ文化芸術振興施策の知見や芸術関係者等のネットワークというのが、文化庁は持っておるわけでございますけれども、学校教育においてこれまでは十分に活用されていないとの課題が指摘されてきたところでございます。

 今般の改正によりまして、文化芸術にかかわります人材育成の充実に加えまして、学校における芸術に関する教育の充実の観点からも、文化庁が担ってきた知見や文化芸術団体のネットワーク等を今まで以上に活用するということによりまして、生活や社会の中の芸術文化と豊かにかかわる子供たちの資質、能力を更に高めるということができると考えております。

 それが文化芸術の新たな担い手の育成にも資するものということでございまして、そういう観点から、この芸術教育を文化庁の方で所管するということになったということでございます。

日吉委員 より効果の出るように着実に取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、加計学園問題について少しお伺いをさせていただきます。

 同僚の山本議員が先ほど質問をさせていただきましたけれども、愛媛県が参議院予算委員会に提出した文書について少しお伺いをいたします。

 この文書、愛媛県が作成した文書なんですが、これは公文書だと思うんですけれども、この見解につきまして林大臣にお伺いいたします。公文書ということでよろしいでしょうか。

林国務大臣 ちょっとお尋ねをいただいておらなかったので、公文書かどうかについては、ちょっと私、正確には把握をしておらないわけでございます。

 愛媛県の職員の方のメモというような位置づけである、それが個人的に持っておられたということであると公文書になるのかならないのか、そこは、ちょっと済みません、手元に確たるものは持ち合わせておりませんので、答弁を控えさせていただきたいと思います。

日吉委員 これは愛媛県で作成された正式な文書だというふうに考えております。

 先ほど、大臣、その内容についてはコメントを差し控える、事実関係がわからないとおっしゃっていましたけれども、この文書自体は公文書だと思うんですけれども、これを、コメントを差し控えられるというのは、ちょっとどういう感じなのかなというところがよくわかりませんので、もう一度御答弁いただけますでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 一般論ではありますけれども、職員が作成し組織的に共有されたものを公文書として扱っておりますので、大臣が先ほど答弁いたしましたように、作成者が私どもじゃなくて愛媛県ということでございますが、それを作成し国会の方に提出されて公表されているということでございますので、外形を捉えれば公文書の形になるんじゃないかと思いますが、ただ、作成者は私どもではありませんので、大臣が先ほど答弁させていただいたとおりでございます。

日吉委員 そうしますと、外形的に公文書というお話ですので、基本的には、その内容の信憑性は高い、このように考えてよろしいんですね。

義本政府参考人 お答えいたします。

 その内容につきましては、相手方に確認をとったということであるかどうかについても私どもは承知していませんので、事実関係について信憑性があるかどうかについては、私どもとしては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

日吉委員 そうしますと、一般論として、公文書、これは信憑性が高い、こういうことでよろしいでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 中身の事実かどうかという問題と外形的に公文書であるかというのは別の観点ではないかと思いますので、その中身についてのコメントは差し控えたいと存じます。

日吉委員 一般論でお伺いしたところでございまして、その中身、いろいろあると思いますけれども、基本的に、公文書を信頼して行政は進んでいくと思うんですけれども、そういうことでよろしいですね。

義本政府参考人 一般論でございますけれども、あくまで公文書というのは、そういう性格を持って作成して、お互いの信頼関係に基づいてできているものだと理解しております。

日吉委員 そうすると、場合によっては、公文書、信憑性がない、間違っている、こういうこともよくあるということでしょうか。

義本政府参考人 先ほど申しましたように、性格としては、あくまでも内部での個人のメモとして職員が作成したものでございますので、相手方の確認をとったものではないというふうに理解しておりますので、その中身をとってみれば、場合によっては事実と異なる可能性があるというふうに理解しております。

日吉委員 先に進まないので、この件はちょっとおきまして、もう一点、利害関係についてお伺いをさせていただきます。

 加計学園の利害関係問題を検討するに当たりまして、参考のために、公正な判断をしなければならない立場の人が職務を遂行する上で利害関係を有する場合の取扱いについて、特に配偶者との関係で、法務省、金融庁、警察庁に幾つか質問をさせていただきます。

 まず、法務省にお尋ねします。

 裁判では裁判官の除斥という制度があります。裁判の公正さを失わせるおそれがある場合に、当該裁判官を裁判から除外する仕組みです。民事訴訟法第二十三条には、裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は事件について当事者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき、当該裁判官は除斥されると規定されております。

 それでは、検察官についてお伺いいたします。

 仮に、検察官の配偶者が起訴対象者が経営する法人の役員や従業員である場合、当該検察官は当該事件に携わることができるのでしょうか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 検察官の場合は、今御指摘にありましたような除斥といったような制度はございませんので、お尋ねのような場合にその職務の遂行が禁じられるという法律上の規定はございません。

 また、利害関係といっても、個別の具体的な事案によってその内容、程度といったものはさまざまでございますので、お尋ねに一概にお答えすることは困難なのでございますが、一般論として申し上げれば、事件関係者等からその職務の公平性に疑いを抱かれないように、その事件にかかわらないことも含めて適切に対応することになるというふうに考えております。

日吉委員 今のお話ですと、個別のケースによるということですが、少なくとも、利害関係の有無を調査し、公正な判断が行えないということであれば当該検察官は当該事件を担当できない、こういうふうな理解をいたしました。

 次に、企業の監査を担当する公認会計士の利害関係について金融庁にお伺いいたします。

 公認会計士の配偶者が監査を受ける会社の役員又は従業員である場合、当該公認会計士は当該会社の監査を行うことはできますか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の公認会計士による監査につきましては、専門家としての独立した立場において財務書類等の信頼性を確保することを目的とする制度でございます。

 このため、公認会計士法において、公認会計士は、本人又はその配偶者が役員等である会社の財務書類等について、監査証明業務を行ってはならないとされているところでございます。

日吉委員 ありがとうございます。

 配偶者が監査を受ける会社の役員や従業員である場合、当該公認会計士は、公正な監査判断が行えないおそれがあることから、監査を行うことができないよう定められております。

 次に、警察庁にお尋ねいたします。

 捜査官の配偶者が捜査の対象となっている法人の役員又は従業員である場合、当該捜査官は、当該捜査対象となっている法人の捜査を行うことができますか。

大賀政府参考人 警察におきましては、警察官が、被疑者、被害者その他事件の関係者と親族その他特別の関係にあるため、その捜査について疑念を抱かれるおそれのあるときには、当該警察官を当該捜査に携わらせないようにしておりまして、犯罪捜査規範第十四条にこの旨を規定しているところでございます。

日吉委員 ありがとうございます。

 当該関係が捜査に支障を来さないかどうか、捜査の公正性を害さないかどうかを判断して、利害関係者、配偶者が関係する事件には当該捜査官は関与をしない、こういうふうなお答えをいただきました。

 では、内閣府にお尋ねいたします。

 以前の本委員会で、加計学園の獣医学部新設の認定に当たっては、国家戦略特別区域諮問会議のメンバーと加計学園との間に利害関係が存在することで、公正な判断が阻害されるようなことがあってはならない旨指摘させていただきました。一定の利害関係が存在する諮問会議メンバーは、認定の判断過程に加わることはできません。

 今、法務省、金融庁、警察庁から、公正な判断を下すことを職責とする人がその職務を全うする上で規制される利害関係についてお話を伺いました。配偶者との関係で厳しく利害関係が制限されていることがわかります。

 国家戦略特別区域諮問会議の議長である安倍総理の御夫人が、加計学園の運営する御影インターナショナルこども園の名誉園長に就任されていましたが、このようなケースは、関係の深さは別にしても、一義的には利害関係にあるということでよろしいですね。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 何度か御説明しましたが、国家戦略特区のプロセスは、政府だけでなく、第三者である民間有識者が主導する諮問会議やワーキンググループで、議事もルールにのっとって全て公開するなど、オープンな形で行う透明性の高い仕組みでございまして、総理という言及がございましたけれども、国家戦略特区諮問会議の議長として恣意的に運用する余地はございません。

 その上ででございますが、諮問会議のメンバーで合意の上決めていただいております諮問会議の議事運営規則では、直接の利害関係を有する議員を審議及び議決に参加させないことができるとされているというのは、もう先生にも御承知をいただいているところだと思います。これにつきましては、改めて確認をいたしましたけれども、みずからが経営していたり役員となっている会社が特区の事業認定を受ける場合などを想定したものであるということでございます。

 お尋ねが一般論ではなく個別の事案であるということでございましたが、今回の獣医学部新設の案件では、国家戦略特別区域法第八条第二項第二号の実施主体は学校法人加計学園でございます。その役員につきまして、広く公開されているところ、確認をいたしましたが、特区諮問会議の関係者はそこには含まれていなかったというように認識をしてございます。

日吉委員 今、役員ではなかったというようなお話を伺いましたけれども、今、いろいろな方にお話を伺って、それが役員である必要は基本的にはないというふうに考えております。

 例えば、総理夫人、この方は報酬をいただいていたのでしょうか。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 当時、総理夫人がどのような役職をお務めであるかについては、既に質問主意書の答弁書で政府としてもお答えしているとおりでございますが、夫人の私的な行為に関するものでございまして、政府としてその関係を正確に把握する立場にございません。

 以上でございます。

日吉委員 例えば、加計学園から名誉園長としての報酬を、仮にですよ、百万円月額差し上げます、ですから、総理にちょっと口添えしていただけませんか、こういったこと、こういった危険がやはり利害関係になると思います。ですので、報酬を受けているか、受けていないかといったことも当然調査をしておく必要があると思うんですけれども、この調査は行われましたでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども触れさせていただきましたとおり、政府としての公式見解として、質問主意書の方で、夫人の私的な行為ということで、把握する立場にないということで御答弁をさせていただいているところでございます。

 この答弁との整合性も含めて、御指摘の点については、もう一度持ち帰って確認をしてまいります。

日吉委員 仮に報酬の有無を調査していないということであれば、利害関係があったか、ないかというような、手続上の重要な不備があるのではないかなというふうに考えるところでございます。

 そしてもう一つ、利害関係のあるメンバーをこの会議から除外することができるというような規定がございました。この認定の判断プロセスから除外するということですけれども、これは、利害関係のあるメンバーを除外しなくてもよいという意味ではなくて、利害関係のあるメンバーがそのまま会議に参加することを防ぐための規定というふうに考えております。つまり、利害関係があれば、当然、当該メンバーは除外されなければならないというふうに解釈できると思うんですけれども、そのあたりの解釈を教えてください。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家戦略特区諮問会議の議事運営規則により、その決定により、直接の利害関係を有する議員を参加させないことができるとしているのは、本人の意思にかかわらず、会議の意見として特定の議員を審議に参加させないことができるという趣旨では極めて重い。本人が言い出すかどうかだけではない、他の議員の指摘をするケースもございますでしょうし、これは会議として合意をすべきことという、そこをしっかりと見るようにという意味で、会議御自身がみずからそういう運営規則を決められた、こういうふうに承知をしてございます。

 ただ、今回の件に関して申し上げれば、その件も含めまして、異議なく、一月二十日のくだんの区域会議の認定につきましては、諮問会議としては了承しているということが合意をされてございますので、このプロセス自身については法律に基づいて問題はないものというふうに理解をしてございます。

日吉委員 そこでの合意がされたというようなお話がございました。問題がなく進んだというふうにお話しいただきましたけれども、その際に、安倍総理夫人が加計学園の名誉園長をしている、こういう事実を踏まえ、それで、報酬をいただいていたか、いただいていなかったか、こういう事実を踏まえた上で、それでも利害関係がないから総理を意思決定過程から外さなくてもいい、こういう結論を出したということですか。そういう検討をしっかりされたのでしょうか。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、諮問会議の議事運営規則で、「直接の利害関係を有する議員を、審議及び議決に参加させないことができる。」の「直接の利害関係」としては、みずからが経営していたり役員となっている会社が特区事業認定を受ける場合などを想定したものということでございます。

 これに照らせば、今回の獣医学部の新設の件では、公開されているところで確認できる限り、諮問会議関係者がそうした役員等に該当はしていないというふうに認識しておりますし、それを前提に、当時も御判断を全体としていただいたのではないか、このように考えてございます。

日吉委員 加計学園問題というのは、総理の友人が理事長を務めている、そして総理の夫人が加計学園グループの名誉園長をしている、こういった利害関係的な要素を受けて、国民の皆様が物すごく疑問に思っているわけです。だから、あらかじめ、こういったことが起きないように、総理がそのメンバーから除外されていなければならなかった、こういうことだと思っております。

 ですので、その会議において、しっかりと利害関係の有無を把握した、調査した上で、会議として、総理には、そこからその決議には参加しない、こういう手続が行われていなければいけなかった。しかし、それが行われていなかったので、今回の手続には大きな不備があるというふうに考えております。

 この点につきまして、林大臣、加計学園の獣医学部設置を認可されました大臣としまして、御所見、お考えをお伺いできますでしょうか。

林国務大臣 戦略特区に関する話は内閣から答弁があったとおりだ、こういうふうに思っております。

 国家戦略特区のプロセス、それから、それを受けての申請、受けての設置審でのプロセス、ともにしっかりとした手続を踏んで行われたものだという認識を再々申し上げてきておりますが、その認識は今でも変わっておりません。

日吉委員 いろいろなケース、利害関係のケースを御紹介いただきました。その中で、やはり当事者だけではなく、その配偶者についても非常に制限されている、こういったところが社会の至るところであるわけです。

 この諮問会議におきましても、獣医学部新設という認定を行うに当たりましては、非常に公正性が求められているところでございます。そういった意味で、利害関係の調査が不十分であった中で、この認可が適切であったという御答弁は非常に残念に思っているところでございます。

 時間がなくなってしまいましたので、質問は終わらせていただきます。フットボールの件、ちょっとお伺いしたかったんですけれども、申しわけございませんでした。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・市民クラブの櫻井周です。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問を始めさせていただきます。

 まず最初に、文化庁の京都移転、これについてお伺いをいたします。

 午前中もさまざまな質疑が既に行われております。私自身、京都の大学に六年間通ったということもありまして、京都という町には大変思い入れがあるところです。そこに文化庁が移転してくるということは、期待するところも大きいところではあります。他方で、いろいろな課題、午前中も指摘をされておりました。これらについてお伺いをしていきたいと思います。

 まず、五月十五日に衆議院本会議で林大臣に質問をさせていただきました。このときには、御答弁で、文化庁の機能強化と京都移転は、いずれも文化行政の強化、ひいては文化芸術立国の実現に向けたもの、このように御答弁をいただいております。

 ただ、私、ちょっと腑に落ちないのは、京都に移転すれば文化行政の強化につながるというその理由が、まだはっきり腑に落ちないところがあります。

 といいますのも、東京にあっても強化はできるのではないのか、なぜ京都に移転したら強化につながるのか、そこがちょっとわからないものですから、いま一度御説明いただけますでしょうか。

林国務大臣 文化庁が文化財豊かで伝統的な文化が蓄積した京都に移転することによりまして、東京一極集中の是正に加えて、例えば、文化財を活用した観光振興ですとか、外国人観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興、こういった面からモデル的な取組というのを新しい京都で推進することができて、こうした取組を今度は全国の地方公共団体に効果的に波及させるということが期待をできると考えております。

 また、京都移転によりまして、改めて地方の目線で政策企画等が求められるということから、地方創生の観点にも立った文化行政の企画立案能力の向上、さらには全国各地の地方文化の掘り起こし、磨き上げ、こういうことにつなげていくことなども期待できると考えております。

 京都への移転とこのたびの法改正による文化庁の機能強化を契機として、文化芸術立国の実現に向けた取組を積極的に推進してまいりたいと考えております。

櫻井委員 また、五月十五日の衆議院本会議では、地方創生担当の梶山大臣にも御答弁をいただいております。そして、きょうは田中副大臣にもおいでいただきまして、ありがとうございます。せっかく来ていただきましたので、お伺いしたいと思います。

 梶山大臣は、京都に移転することにより、我が国の文化行政の企画立案能力の向上を期待する、先進的な取組を全国の地方公共団体に効果的に波及させる、今、林大臣の答弁と同じようなことをおっしゃっておられます。

 ただ、そうはいっても、京都、奈良というのは文化財がたくさんある、だから、これまでも観光客に大勢来ていただいている。だから、そういう観光資源があるからこそ観光振興できるという部分があります。他の地域では、そのような文化財が必ずしも多いわけではないという状況の中において、京都とか奈良とか、ないしは関西の取組というのがほかの地域で本当に参考になるのかどうなのか、ちょっとそこも疑問に思うところですので、いかがでしょうか。

田中副大臣 まず、文化庁の京都移転ということでありますが、今、林大臣からも御答弁があったように、やはり、京都というところは、特に伝統的な文化が蓄積したところであります。例えば、先進的な取組をするに当たって、文化財を活用した観光振興ですとか、あるいは外国人の観光向けの効果的な文化発信、生活文化の振興など、こうした分野を新たな取組として行うということにはまさに適したところだと思っております。

 また、それをいかに広げていくかというところだと思いますが、昨年十二月に文化庁において策定した新たな文化経済戦略においては、京都に限らず、全国各地域に所在する文化財の活用、これを積極的に推進しようと決定したところであります。

 地域における文化財の保存ですとか活用、これは、地域の関連産業ですとか地域経済との相乗効果も大きい。各地でこうした文化芸術活動を充実させていくこと、これが地域の活性化、地方創生にも寄与するということであります。

 それに関して言えば、やはりこの京都という部分の文化が持つ潜在的能力、これは一番高いということでありますから、より一層、地方文化の掘り起こしですとか磨き上げにつなげる、こうした先進的な取組を行うには最適であるということであります。

櫻井委員 そうなんです。文化財を活用した観光振興なんですが、ただ、京都、奈良には、先ほど申し上げたように、たくさんあるからそういうのができるわけですけれども、そういうのが余り、そうはいっても、掘り起こして探しても、余りそんなに著名なものというのはたくさんあるわけではないので、そうすると、やはりなかなか、京都とか奈良の事例というのは参考にならないんじゃないのというのが一つございます。

 もう一つは、日本の文化といったときに、ざっくり分けて、明治より前の、江戸以前のもの、江戸時代とか更にその前のものの系統の日本文化と、それから、明治以降の文明開化をした後のものとで大分、何かちょっと様相が違うのではないか。

 それ以前のものについては、確かに京都、奈良にたくさんある。一方で、現代的なアート、サブカルチャーとかそういったものも含めたものはむしろ東京にもたくさんありますし、それ以外の全国各地にそういった多種多様なものがあろうかと思います。それぞれ、もしかするとアピールの仕方とかも大分違ってくるのではないのかというふうにも考えるんです。そう考えると、必ずしも京都の事例、奈良の事例が全国に通用するとも余り思えない。

 と考えたときに、本当に京都での事例を参考に全国に波及させるのだと、むしろ何か、そういう一律モデルだったら限界があるから、まさにそうじゃない多種多様な視点が必要なのではないのかと思うんですが、どうでしょう。ちょっと今までの御答弁を聞いていて、本当に全国各地のそれぞれの特性を生かしたような観光振興なり地域振興って図れるのかなと。

 結局は、一つのモデルに寄っかかってやってしまう、そうなると、役所の手続的にはわかりやすいかもしれませんけれども、しかし、現実にはなかなかそぐわないのではないか、このようにも心配するんですが、いま一度御答弁いただけますでしょうか。

田中副大臣 委員御指摘のように、やはり、地域には地域のさまざまな文化、それに対するいろいろなPRの仕方もあろうかと思います。

 文化庁においても、文化的な資源が豊富な京都、こういうところに移転することによって企画立案能力というものも向上して、いろいろなパターンが、地域文化の掘り起こしですとか磨き上げにつながる、そのパターン化がされるものと思います。そうしたものをやはり全国へと波及させていく、そういうことも重要だというふうに考えております。

櫻井委員 あともう一つ、午前中の質疑の中で、やはり東京と京都と実質的には二つの体制になる、この二元的な執務体制に対して効率的な業務ができるのかどうか心配だ、こうした御指摘もございました。

 五月十五日の衆議院本会議で、林大臣は、文化庁の機能強化や京都への移転に必要不可欠な体制の確保に当たっても、効率的、効果的なものとなるよう検討するというふうにおっしゃられてはいるものの、結局のところ、東京出張ないしは京都出張がふえて、旅費の増大、さらには、移動に伴う時間のロスといいますか、職員の負担がふえていくというようなことになってしまうのではないのか、このようにも心配するんですが、その点いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。

林国務大臣 先生おっしゃるように、二カ所になりますので、やはり業務遂行上、十分な京都と東京それぞれの職員の間の意思疎通を図るためには、意識して連絡を密にする必要があると考えております。

 このため、やはり、遠隔地でも多人数で会議等ができるテレビ会議室、これは必須であろうと思っておりまして、私も実は行ったんですけれども、京都の庁舎に専用室を数室設けて、東京に勤務する職員が京都の本庁に出張した際に業務や打合せを行えるようなスペース、これもあらかじめ準備する方向で調整を進めておるところでございます。

 ことしの十月には、新たな文化庁の組織体制を東京において構築することとしておりまして、今の文化庁の場所で、京都と東京の二つの組織に分かれて実際に業務を展開することとしております。こうした取組をあらかじめやっておくことによって、実際に勤務地が京都と東京に分かれた後もそれぞれの組織の間で円滑な意思疎通を行えるよう、本格移転までの間にいわば試行を重ねて改善を図ってまいりたいと思っております。

櫻井委員 午前中の質疑の中でも、文化庁次長から、こうした京都、東京の二元体制を想定したシミュレーションを行うという御答弁をいただいておりました。

 ただ、実際、フロアを分けて、それで、そこの行き来もしない、話合いをするときにはもしかするとテレビ会議システムを使うんだ、そういうような取組もされるのかもしれませんが、そうしたところで、実際のところ、でも、やはりちょっと直接会って話をしないといけないよね、一々出張復命書とかを書くのも大変だよねということになると、じゃ、昼飯どうよ、そのときにちょっと打合せしようよというようなことになって、すり抜けされてしまうのではないのか。そういった昼飯に行くところまで会うなとは、そういうふうにはできないと思いますので、昼飯、晩飯、そうした、外で接触をする、コミュニケーションをとるというような場面も出てくるのではないのか。

 そうしたときに、ついでに資料なんかを持っていっちゃって、そこに忘れてきたりすると、それこそまた別な問題も出てきますから、そういったところも目くばせをしながら、しかし、それはとめられないし、どうなるのかなという心配もするところではあります。

 ただ、そうはいっても、一方で、懸念ばかり言っていても前に進みませんので、こうした取組で、いや、文化庁、なかなかよくできているよということになりますと、ほかの省庁についても、そうしたある種、外に動かしてやっていくというような形が出てくるかもしれませんし、また民間企業においても、そうした取組を参考にして、より分権的に東京一極集中を解消していく、地域のいろいろな資源の掘り起こしにもつながっていくという取組のきっかけにもなるかもしれませんので、ぜひその辺、シミュレーションされるということですので、うまくやっていただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと次のテーマに移らせていただきます。

 副大臣、どうもありがとうございました。

 次に、法科大学院とそれから法曹五年コースのことについてお尋ねをいたします。

 法科大学院、もう十年以上前に設立をされました。このときには、社会人それから法学部以外の他学部の出身者、それを、法曹界といいますか、弁護士、裁判官、検察官にそういう多様な人材を送り込むということを目的の一つとしておりました。

 一方で、結局のところ、高い授業料、それから当初想定されていたよりもずっと低い司法試験の合格率ということで、結局は、社会人、他学部出身者は敬遠することになってしまった。そもそも法科大学院への受験者もどんどん減っていっているという状況です。

 そこで、その魅力をちょっとでも高めようということで、法曹五年コース、法学部三年、それから法学部出身者の既修コースの二年、合わせて五年のコースをつくろう、こういう構想も出てきているというふうに聞いております。

 そこで、ちょっと大臣にお尋ねするんですが、やはり、法曹五年コースということになりますと、法学部以外の出身者をふやすという当初の法科大学院の設立趣旨とはもう真反対のことになってしまうと思います。結局のところ、法科大学院制度が失敗したということではないのかというふうに考えるんですが、大臣の御所見をよろしくお願いします。

林国務大臣 平成二十七年度に文科省で調査を実施いたしまして、法科大学院の教育に対する評価でございますが、受入れ側の法律事務所や企業等からも高い評価を得ておるところでございます。それから、加えて、法学既修者コースの修了生の約七割が修了後三年以内に司法試験に合格するということで、法科大学院はこういう一定の成果を上げていると認識しております。

 一方、やはり、法科大学院修了までに要する時間的、経済的負担のほかに、法学未修者コースの修了生の合格率が修了後五年間で五割に満たないということ、それから、法学未修者コースの入学者の約七割が実際は法学部の出身となっていることなどの課題が指摘をされておるところでございます。

 こういったような状況を踏まえて、本年三月に中教審の法科大学院等特別委員会におきましては、今後の法科大学院改革の基本的な方向性というのを取りまとめておりまして、法学部と法科大学院が連携して学部段階からより効果的な教育を行うことによりまして、法学部生が法科大学院に進学するに当たっては、法学既修者コースへの進学を基本とするとともに、さらに、すぐれた資質、能力と明確な法曹志望を有する学生がより早期に法科大学院に進学できる道を整備すること、多様なバックグラウンドを有する者が法の分野でその知見を生かせるように、未修者教育の充実を図ること、こういう提言がされたところでございますので、文科省としても、中教審における議論も踏まえながら、プロセスとしての法曹養成制度により多様な人材を質の高い法曹として輩出できるように、引き続き、法科大学院教育の改善、充実に努めてまいりたいと思っております。

櫻井委員 いや、結局のところ、法曹教育に一定税金を投入しているわけですけれども、昔の旧試験の制度のときには、司法試験に合格した人にある種手厚い二年間という長目の司法修習を行うというところで、合格した人に集中的に教育を施す、研修を施す。一方で、法科大学院制度になってからは、法科大学院に私学助成の補助金を入れているわけですけれども、これは、合格前のたくさんいる学生に薄く広く補助金をつぎ込む、しかも自己負担も非常に大きい、こういうことで、やはりお金の使い方、財政負担、それから個人の負担を考えると、効率が悪くなったのではないのか、昔の方が効率的な教育ができたのではないのかというふうにも考えるんですね。

 しかも、昔の試験であれば、勉強しながら、例えば、最初は大学四年生のときに受けたけれども合格しなかった、五年、六年まで頑張ったけれどもちょっとだめだった、見込みはないかもしれないから一旦就職をして、ただ、細々と勉強を続けて、それで合格するというようなパターンもありました。

 ですから、いろいろなやり方があり得たんですけれども、これが、法科大学院に行かなきゃだめですというふうになると、仕事もできない、そこに集中しないといけない、お金もかかるということで、時間的なロスも大きくなってきているのではないか。以前の方が財源の面でも時間の面でも効率がよかったのではないのかと考えるんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 なかなか一概に、今、法科大学院にかかっている費用、国立大学も私学もございますが、これと、司法修習にかかっていた費用をそのまま比べるというのはなかなか難しいんだろうな、こういうふうに思っております。

 たしか、法科大学院を最初にスタートさせるときに、先ほどもちょっと、多様なバックグラウンドを有する者が法の分野でその知見を生かせるようというふうに申し上げましたけれども、全員が法曹の資格を取って、司法試験に合格してその道に進むだけではなくて、要するに法の分野というのは、企業にも法務部門がございますし、ほかの資格を持った方がそういう知見を持っておられる、こういうこともあって、そういう多様なバックグラウンドを有する者が法の分野でその知見を生かしていくという理念もたしかあったのではないか、こういうふうに思って、今思い出しておりますが、ただ、現実を見ますと、委員がおっしゃるように、やはり、受験をして通る率というのがもう如実に数字で出てしまうものですから、どうしてもそれが唯一の指標のごとくなってしまう、これはなかなか難しいところだと我々も思っております。

 一方で、法曹に必ず行きたいんだ、なるべく早く行きたいんだという人と、それから未修者で、バックグラウンドをほかに有している人が法律的な知見を持っているということを、先ほど申し上げたように、提言でもいただいておりますので、しっかりとそういう提言を受けて、改善、充実をしていかなければいけないと思っております。

櫻井委員 法科大学院も、一旦つくってしまった以上、なかなかこれをすぐやめるというわけにはいかないところだと思います。実際のところとしては、七十校以上あったものがもう四十校を切るというふうにどんどん減ってきていますので、もしかすると、文部科学省としてはこっそりと撤退戦略を徐々に進めているのかなというふうにも思ったりはするところですが、ただ、学生の方の立場にしてみますと、法科大学院に希望を持って行ったけれども、しかしながら合格しなかった場合、じゃ、その後、就職活動をするときにも、法科大学院出身なのに何で司法修習に行っていないんですかと言われて、いや、合格しなかったんですということになると、司法試験を目指したけれどもだめでしたということで、ある種格下に見られてしまって、なかなかプラスに働きにくい部分というのもあるように感じております。

 ですので、なかなかこれは一概に言えないのではないか。以前であれば、こっそり勉強しておれば、そういったことも表の経歴に出てこないから、幾らでも転身しやすかったという部分はあるのではないのか、このようにも考えるところです。

 ちょっともう時間がないので、次の質問に移らせていただきます。

 加計学園のことについても、先ほど、午前中にも質問がありましたが、ちょっとこの質問をさせていただきます。

 加計学園の問題に関して、加計学園の獣医学部について、ことしから、この四月からスタートいたしましたが、獣医学部の志望者、二十倍近い倍率になった、こういう若い人たちの希望を塞いで、認可するかどうか自体を門前払いしていた行政のあり方自体を正したんだ、安倍総理はこのように述べておられます。

 ただ、法科大学院のときもそうでしたけれども、設立当初は大きな期待が集まって学生が集まる。ただ、法科大学院のときには、司法試験の合格率が、当初の想定は七割から八割と言っておったのに、実際は二割、三割というふうに低迷をするということになって、人気も低下、学生が集まらないという事態になりつつあります。

 そこでお尋ねをいたしますが、加計学園岡山理科大学獣医学部は、既存の獣医学部よりも高いレベルを目指すということで、石破四条件にもあるとおり、高いレベルを目指すというところで設置されたわけでございます。六年後に獣医師試験、ことしの入学生が受験されることになろうかと思いますが、これは、合格率は既存獣医学部よりもはるかに高いレベルになる、このように期待してよいでしょうか。

林国務大臣 特区のプロセスを経て、今委員がおっしゃったように、今までなかったような需要に対しても応えていくということを旨としてこの申請がなされて、かなり時間をかけましたけれども、認可を可とするということで、認可を最終的にいたしましたので、完成年度というのが六年間ございますので、そこまではしっかりと設置審においてハンズオンで見ていただくということで、この設置申請どおりの教育がしっかりと行われているかということは、設置審として、仕組みとしてしっかり見ていかなければいけないというふうに思っております。

 その上で、特区の話もそうでしたし申請もそうですが、単に獣医師の試験の合格率を高くするというような議論ではなくて、新しい需要に対してしっかりと応えていく人材をつくっていくんだということでございましたので、やはりそこを中心に見ていくことになるんじゃないかというふうに思っております。

櫻井委員 ただ、そうはいっても、法科大学院もそうでした。実際、法科大学院のときにも、司法試験で弁護士、検察官、裁判官になるだけが道ではなくて、企業内の法務部などで働く、そうした職員も育てていくんだということではあっても、ただ、そうであっても、試験には合格していないと、やはり世間的には、何で法科大学院に行ったのに司法試験に合格していないのという話になっちゃうわけです。

 それと同じように、医学部、薬学部、獣医学部といったところでは、その資格を直接的に使わないような例えば研究職であったとしても、試験を受ける人というのはたくさんおられて、何で試験に合格していないの、しかも、こうした分野ですと合格率が非常に高いものですから、何で合格していないのということがやはり問題になってくるんだと思います。

 そういった意味で、これはやはり六年後、完成したときには、卒業生が出るようになったときには、しっかりと獣医師試験に合格する、これはある種、高いレベルの話じゃなくて、獣医師教育として最低限のレベルだと思うんですけれども、その最低レベルにはちゃんと到達できる、そして既存の学部よりもある種いい水準を、結果を出せる、こういうことでよろしいんでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり、申請内容のとおり確実に教育が実施されるということや、新しいニーズと先ほど申し上げましたけれども、先端ライフサイエンス研究とか地域における感染症対策など新たなニーズに対応する、こういう養成が行われるように、ふさわしい教育や研究活動が適切に実施されるということを期待するところでございまして、結果として、希望されて試験を受けられた方がなるべく多くその目的を達成するということは、それも我々は大いに期待したいと思っております。

櫻井委員 また、加計学園の関連では、愛媛県の文書がおととい参議院の方に提出をされました。

 このメモを読みますと、先ほどの午前中の質疑で山本議員からも質問ありましたとおり、愛媛県の文書には、加計理事長とそれから安倍総理が二〇一五年二月に会った、それで獣医学部新設について話し合った、こうした内容の記載がございます。これに対して安倍総理は、昨日、記者団に対して面会を否定しております。

 この両者、先ほども山本議員から質問ありましたとおり、相反するということになりますが、これはどちらが間違っているのかということについて、先ほど林大臣は、事実関係を知る立場にないから、こういう御答弁をされておりましたけれども、これはどっちかが間違っている、こういうことはよろしいですよね。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、事実関係、全く承知をしておりませんので、お答えは差し控えたいと思います。

 どちらかが間違っているということではないかということですが、文書の方は会った、こういうふうに記載があるということで、総理はそれを否定されておられるということですから、整合性がその間でとれているというふうには受けとめてはおらないということでございます。

櫻井委員 そうしますと、一方で自民党の二階幹事長は、総理大臣は我々の方から出しているんだから、総理を信頼するのが筋だ、このような趣旨の発言をされております。

 林大臣も内閣の一員ですが、やはり総理を信頼されて、総理の言葉の方が信じられる、こういうことになるんでしょうか。

林国務大臣 内閣の一員として総理をお支えする立場でございますので、総理がそうおっしゃっておられるということは大変重いことだと思っております。

櫻井委員 今のお答え、安倍総理が二〇一五年二月に加計学園の加計孝太郎理事長とお会いしていないということは、これは内閣の統一見解ということでよろしいんでしょうか。

林国務大臣 例えば、質問主意書をいただいたりするときには答弁書を閣議決定いたしたりしておりますが、まだこれは、総理の発言を記者が、記者に対して答えたことを聞いておるという段階でございますので、まだそういった、政府全体として何か手続をとって統一見解にしているという段階ではないというふうに承知をしております。

櫻井委員 愛媛県の文書と安倍総理の発言、これが整合性がとれていないという中で、内閣を支える閣僚の一人としては総理を信頼しているというお話でございます。

 そうすると、結論としては、愛媛県が参議院に提出した出張復命書、これが、内容が間違っているかもしれない、こういうことになるんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

林国務大臣 この愛媛県から提出された文書でございます、先ほどもちょっと公文書云々というお話がありましたが、これを拝見いたしますと、旅行命令簿、復命書、それから関連する個人メモ等で構成されているように見えるわけでございます。

 旅行命令簿や復命書については、愛媛県の公文書だというふうに考えられ得るわけですが、その記載内容、これは文科省で作成したものではなくて、また文科省で決裁をとっているものでもないので、この真偽についてなかなかお答えをする立場にはないなというふうに考えておるところでございます。

櫻井委員 加計学園の設立経緯についていろいろ国民の皆様から疑念を持たれているところでございます。これは、まさに政策判断にかかわる話だと思います。一方で、内容が本当かどうかわからないということになりますと、やはり愛媛県の中村知事に国会に来ていただいて、委員会に来ていただいてお話をしていただく、これは本物です、本当にこういうことがありましたということをお話しいただくべきだと考えますが、委員長、ぜひ、愛媛県の中村知事、この委員会にお呼びして、参考人ということで御審議いただけないでしょうか。

冨岡委員長 ただいまの件については、政府の統一見解みたいなのが出せれば、この委員会に出してください。それができないようであれば、一応理事会に諮りたいと思います。

櫻井委員 委員長、ありがとうございます。

 そうしましたら、ちょっと時間も迫ってきているので、次の質問に移らせていただきます。

 次は、私立大学は特にですけれども、大学定員の厳格化についてお尋ねをいたします。

 大学入学定員充足率を一・二倍以内に抑えれば私学助成金が交付されるというのが二〇一五年度までのルールといいますか、業務の進め方でございました。ところが、二〇一六年度は一・一七倍、二〇一七年度は一・一四倍、二〇一八年は一・一倍ということで、年々この定員充足率の運用が厳しくなってきております。

 この合格者を調整するというところで、私立大学は非常に四苦八苦をしている。国立大学の場合であれば、合格した人は大体入学してくれるということになっておりますが、私立の場合には、私立大学同士で併願をしている、また、国立大学は後から試験があって、合格されるとそっちに流れていくケースもたくさんあるということですので、なかなかこの歩留りといいますか、入学者を合格者数で割ったときの歩留り、これが読み切れないというのが現状でございます。

 そこで、こうした定員の運用の厳格化に伴って、追加合格をより細かく出していくようになってきております。そうすると、今度、受験生にとっては、不合格かなと思っていたら、後から追加合格を受け取る。でも、既に別の大学に入学金も払っちゃって手続を済ませちゃったというふうになると、なかなか、後からどうしようか非常に悩むわけです。

 悩んだ結果、新しいところに、追加合格が来たところに、希望順位が高いからとそちらに行くと、今度は、もともと入学金を受け取った方は、入学金も払ってくれたから来てくれるんだと思っていたら、別の大学に行っちゃったということになっちゃって、これまた数字が変わってくるわけですから、そうすると、更に追加合格を出さなきゃいけない。そうすると、また追加合格が出ると、更に同じような問題が芋づる式に起きているということで、最近では三月末まで延々こうしたイタチごっこが続いているようです。

 大学の定員厳格化によって私立大学の入試事務が煩雑になっている、受験生はどこに進学するか決めにくくなっている、こういう弊害が多くなっております。不毛なこうした努力を避けるためにも、以前のように一・二倍に戻した方がいいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 平成二十六年十二月に閣議決定をされました、まち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえまして、教育条件の維持向上を図り、かつ、大都市圏における入学定員超過の適正化の観点から、平成二十八年度より、入学定員充足率が一定の基準を超えた場合に私立大学等経常費補助金を不交付とする基準を段階的に厳格化しておるところでございます。

 大学設置基準の第十八条の第三項において、大学は、教育にふさわしい環境の確保のために、在学する学生の数を収容定員に基づき適切に管理するものとする、こうされておりまして、この規定に基づく定員管理を行うことによって教員一人当たりの学生数などの教育条件を維持向上させる、そのためにやっているわけでございます。

 このため、文科省として、教育条件の維持向上を図って、かつ、大都市圏を中心とする入学定員超過の適正化を図ることは必要な措置であろう、こういうふうに考えておるところでございます。

櫻井委員 そうはいっても、以前は一・二倍まで長らくよかったのが、ここに来て急に一・一倍ということで、〇・一倍ではあっても、このことが非常に、入試実務といいますか、受験生の間では負担になっているというふうにも聞いております。ぜひ、こうした問題についてちょっと解決策を考えていただきたいと思います。

 ちなみに、二週間、三週間前の日経新聞には、一つの解決策として、日経新聞の朝刊の「経済教室」という欄には、こうしたものを、大学と、それから受験生の間でマッチングをさせるような機関をつくれば、情報共有、そこで一元化すれば、ちゃんとできるんだ、ゲーム理論に基づいてアルゴリズムをちゃんと組んであればできるんだというような御提言もありました。

 それも一つの方法ですが、私自身は、そうしたことをすると、また行政の肥大化といいますか、ある種の別なコストがかかってくるのではないかというふうにも考えるので、余りいい方法だとは思いませんが、しかし、いろいろ工夫の余地はあろうかと思いますので、ぜひ考えていただきたいと思います。

 最後の質問になろうかと思いますが、最後というか、最後のテーマにちょっと移らせていただきます。

 生徒のウエルビーイング、生活満足度について、前回、五月十八日、文部科学委員会で取り上げさせていただきました。この生活満足度、PISAの調査結果でございますが、このことについて林大臣は、東アジアの国が低くなっておりまして、逆に中南米の国が高いという傾向があって、地理的なちょっと偏りが見られる、このデータの解釈に当たって、やはり調査に参加した国のさまざまな社会文化的要因、これを考慮する必要がある、このように答弁をされております。

 確かに、いろいろ、このPISAの結果を、その数字そのものを受けとめるというよりは、その数字が何を意味するのかということについて詳細に分析する必要があろうかと思います。

 少なくとも、このPISAの結果では、日本の生徒の生活満足度がOECD平均を下回っているということですから、これについてやはり調査分析をするべきだ、もし必要であれば対策を講じるべきだと考えるんですが、まず、この調査分析について、前回、私、ちょっと聞き漏らしたものですから、文部科学省としてちょっとやってみるということで言っていただけないでしょうか。

林国務大臣 この間、少しやりとりさせていただきましたが、東アジア、非常に低い。

 結局、満足というのは、ここまで行くと満足だと思っていることに対して現状がどうかという、そういう主観的な判断がなされるということでございましょうから、必ずしも国別に並べているのがGDPパーキャピタどおりにならない、そういうところであろうか、こういうふうに思っておりまして、逆に、経年的にこれはやっておりますので、比較できるものを見ると、日本の子供たちの学校生活満足度は上昇してきているということでございまして、約八割の中学生が学校に行くのは楽しい、こういう回答があるということでございます。

 いずれにしても、先生おっしゃったように、子供たちの学校生活等が充実したものとなるように、こうした国際調査の分析等に引き続き取り組んでまいりたいと思います。

櫻井委員 時間になりましたので、最後、一言申し上げさせていただきます。

 学力とそれから生活満足度の話でございますが、この議論のときに、個性についてもちょっといろいろ申し上げました。集団性を優先するのか個性を優先するのかということで、個性をもう少し優先するような、重点を置くようなものも必要ではないのかということを申し上げました。さらには、そうしたもの、教育の多様性がイノベーションを刺激するということも指摘をされているところでございます。

 子供たちの満足度、幸福度ももちろん重要でございますし、それにあわせて経済産業の発展を考えたときに、やはり今の時代、イノベーションをいかに起こしていくかというときには、多様性、個性が重要だということもあわせて分析をしていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案を中心に、文部科学大臣並びに経済産業副大臣に御質問申し上げます。よろしくお願いいたします。

 まず、文部科学省設置法の一部改正案から御質問申し上げます。

 きょうの質疑では、大きく二つ確認をしたいと思っています。一つは、このたびの京都への全面移転で、その効果、成果というのはいかがかという、その部分を明確にすること。そしてもう一つは、施設、組織、人員、そして事務内容、こうしたものが変化をするわけですが、行政改革に逆行することがないか、この点についても確認をさせていただきたいというふうに思っています。

 後半での質問でございますので、ほかの委員からの質疑もございました。その内容を深掘りする部分もあろうかと思いますので、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、そもそもの部分からお伺いをいたします。

 そもそも、文化庁の京都への全面移転は、具体的にどういう効果が我が国にもたらされるかということ。歴史や文化にゆかりの深い京都に移転ということでは、イメージでは理解をするんですが、きょうの答弁ですと、例えば、地方創生あるいは文化発信の強化といった意義や移転理由の説明もございました。ただ、先ほどからのやりとりでもございましたが、現在でもやれるし、やるべき仕事だというところが随分含まれております。新規に追加をされる部分が純粋にどこかというところをきちんと確認をしたいというふうに思います。

 きょうの大臣答弁では、その部分はどこかといいますと、答えは一つ、東京一極集中の是正、ここ以外ないかなというふうに感じております。そのほかの部分は、今でもやっておかなきゃいけないし、もし足りなかったり手を抜いているようじゃ困る内容ばかりだというふうに思いまして、この点を含めて、大臣、京都への全面移転、この効果というところ、ぜひ御見解をお伺いしたいんですが、お願いします。

林国務大臣 文化庁の京都移転につきましては、初めて中央省庁が地方へ移転するという意味で、今、城井先生からお話がありましたように、東京一極集中の是正、地方創生などへの期待、これはもちろんあるわけでございますが、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都への移転によって、やはり文化財を活用した観光振興、観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興に関する企画立案能力の向上、ひいてはこうした先進的な取組の全国的波及という効果があると考えております。

 昨年四月に、地方文化創生本部ということで、先行移転を京都にしておりまして、私も京都出張の折に少し見てまいりましたけれども、ここでは、伝統文化親子教室とか歴史文化基本構想の策定支援、こういった事業を実施するとともに、地元の自治体や関係機関の皆さんとのネットワーク構築へ向けた取組。これは、東京ですと大きいんですね、なかなか一堂に会するということができないんですが、京都ですと、何とかの団体というと非常にすっと財界も文化関係者も集まれる。そういうことを現地の人間が言っておられましたが、そういうネットワーク構築等に向けた取組を行うことを通じて、地方自治体のニーズや文化庁施策への意見をこれまで以上に把握できるようになった。

 それから、関係者との日常的な意見交換。顔見知りになりますので、そういったところから、地方の知見とかノウハウ等を生かした連携協力を進める環境が生まれてきている、こういう効果が上がってきているというふうに考えております。

城井委員 ありがとうございます。

 土地柄や規模感といったところの特徴を生かしながらというふうに答弁を伺いました。

 ぜひ、後づけで理由をつけたというふうに言われないようにしっかり頑張っていただければと思います。

 そこに絡んで、もう一点伺います。

 今回の法律案では、文化に関する施策の総合的な推進ということで、文部科学省、そして文化庁の任務拡大を行うということでございますけれども、この成果をどのように見込んでいるかということ、先ほどからの例示の部分と重なるんでしたら、そういうことだというふうにおっしゃっていただければと思いますが、お願いします。

林国務大臣 今回の法改正は、文化芸術振興基本法の一部を改正する法律、この附則の第二条を踏まえまして、文化庁の機能強化に向けて、各府省庁の文化関連施策の調整機能を果たして、総合的、戦略的な文化行政を推進するためのものでございます。

 本改正によって、文化庁がこれまで所掌してきました文化振興にとどまらずに、各府省庁とともに、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育産業、こういった関連分野との有機的な連携を図っていくなど、我が国の文化行政の中核的な役割を果たすことができると考えております。

 例えば、国土交通省、観光庁と連携して文化財等の観光資源としての魅力向上を図る、農林水産省と連携して地域の食のブランド化を図ったりするなど、文化庁だけでは困難な事業に積極的に取り組むことができると考えております。

 こうした、文化庁が直接担当する文化施策のみならず、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めていくことで、各施策の相乗効果、それから好循環の創出が期待できると考えております。

城井委員 ぜひ相乗効果、期待したいというふうに思います。

 その上で、意思決定プロセスについて、一点確認をいたしたいと思います。

 新しい文化庁が、政策決定過程において、文部科学省の関係がどうなるか。先ほどの議論にもございました、京都と東京の二カ所の業務になりますと、その意思決定プロセスがどういうふうに変わっていくか。先ほどの御答弁からは、意思疎通を密にしていくというふうな御趣旨の話もございましたけれども、逆に、分けてしまうことでその意思決定プロセスや業務の効率化に逆行することがないかという点を懸念いたしますが、この点はいかがでしょうか。

林国務大臣 文化庁の勤務地自体は東京と京都、二カ所に分かれますが、文化庁という組織としては一つでございますので、意思決定プロセスとしては、これまでと同様に、文化庁の長官のもとで、法令等にのっとり手続が進められるということでございます。

 こうしたことから、文化庁内のプロセスも、それから文化庁と文部科学省との関係もこれまでと変わらないところでございます。

 ただ、先生おっしゃるように、やはり大半が京都に移転するということになりますので、京都の部署と東京の部署の間での意思疎通がとりにくくなるおそれ、こういう指摘もあるところでございますので、業務の効率的な運営とか、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、テレビ会議などのICTの活用等によりまして、円滑な意思決定の実現に努めてまいりたいと思っております。

城井委員 続きまして、省内の事務体制と職員配置の部分で一つ伺おうと思います。

 総定員はふえるということ、そして割合は京都と東京で七対三ということで、これまでも伺ってまいりました。実際的には、全体としては国の職員がふえていくという傾向かというふうに理解をしております。

 この新たな体制を組んでいくに当たりまして、人件費の負担がどうなるかということを確認いたしたいというふうに思っております。人件費をふやし過ぎない工夫があるかどうかを含めて、この人件費の部分、大臣、お答えいただけますか。

林国務大臣 京都への移転を見据えまして、文化政策の総合的な推進に向けた機能強化を図るため、新文化庁の総定員は約二百五十人の組織体制を整備するとともに、今、城井先生から触れていただきましたように、おおむね京都七、東京三の配分割合で配置の検討を進めておるところでございます。

 また、新体制としては、新規増員、それから定員振りかえ等により、本年度二十二人の増員を図って、文化施策の対象拡大や文化芸術活動の基盤充実等の新たな役割を担う予定でございます。

 本年十月に発足する新体制における増員分の人件費としては、約五千万円を見込んでおるところでございます。

城井委員 今ほどお答えいただいた人件費増額分も含めてでございますが、京都、東京の二カ所での業務となりますと、文化庁予算全体でも変更、追加の部分が出てくるというふうに思っています。今の人件費の部分を含めてということになろうかと思いますが、そのほかにも、具体的な予算の変更や、特に費用増が見込まれる部分があろうかと思いますが、その部分を具体的におっしゃっていただけますか。その理由も含めて御説明願います。

林国務大臣 この文化庁の移転については、平成二十九年四月に先行移転として京都に地域文化創生本部を設置したところでございますが、文化庁の施策については、予算上は京都と東京で分かれておらず、あくまで文化庁として一本の予算であり、本格移転後も同様でございます。

 京都と東京の二カ所の業務体制となるということによりまして、予算上は、事務所の借料とか、二カ所の間の連携をとるための出張旅費、通信運搬費等の増が新たに見込まれるところでございます。先行移転に係る予算はこれらの新規増要因から成るものであり、平成三十年度には約一億円を計上しておりますが、本格移転に係る最終的な予算の総額等については、現時点ではまだ未定でございます。

城井委員 総額はこれからということでございましたので、ぜひ、業務費用を抑える工夫についても目配りをお願いしたいというふうに思います。

 続いて、京都移転後の事務所イメージについて確認をさせてください。

 先行移転と、そして本格移転という二段階になるというふうに承知をいたしております。そのスケジュールとともに、これらにかかわる費用見込みについてもここで確認をしたいと思います。

 きょうの質疑では、与党の議員の方から、巨大な政府委員室というふうな発言もございました。そうなりますと、今後のランニングコストということも大事になってくるというふうに思います。ハード面の支出抑制の具体的な工夫があるかということも含めて、この点、お答えをいただけますか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、地域文化創生本部を先行移転として二十九年四月に京都に設置しておりますが、現時点ではこの組織が本格移転までの間継続をするというふうに想定をしております。また、本格移転については、京都府が京都市などの協力を得て庁舎整備の設計工事を着実に進めた後、遅くとも二〇二一年度中を目指すこととされているわけでございます。

 なお、本格移転が完了いたしますと、地域文化創生本部は新文化庁へ吸収されて、その業務はそのまま引き継がれる予定になっております。

 先行移転に係る費用として、平成三十年度予算では、先ほど申し上げましたように約一億円を計上しておりますが、本格移転に係る最終的な費用の総額は、先ほど申し上げましたように、まだ現時点では未定でございます。

 本格移転が円滑に進みますように、京都府、京都市、それから関係省庁など関係方面と連携協力しながら、着実に準備を進めてまいりたいと思っております。

城井委員 東京に残る、総定員からいうと約三割の人員の人たちがおられるところ、今の文化庁の部分だと思いますが、これがまさか巨大な政府委員室になるというふうなことにはならないと思いますが、そのあたりの事務体制、その施設の場所の体制の縮小の仕方というところは考えながら進めていただけますか。

林国務大臣 しっかりと効率的にスペースを使うようにということで、もとよりこれは所管の制度官庁の財務省等とも折衝しなければなりませんので、余りにもすかすかのところがあるということはよもやないとは思いますけれども、移転後も、こういうスペースが効率的にしっかりと使われるように心配りをしていきたいと思っております。

城井委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、先ほど同僚委員からも、芸術に関する教育に関する事務を文化庁に移管する点についての御質問がございましたけれども、これに先行して、平成二十七年に文部科学省設置法の一部改正がございました。体育及び保健教育に関する事務を文部科学省本省からスポーツ庁へ移管したということでございました。これを移した後、何年かになりますけれども、これによってもたらされた具体的な成果について、例示を含めて、大臣、お話をいただけますか。

林国務大臣 スポーツ庁の創設でございますが、旧スポーツ・青少年局が所管をしておりました学校体育の振興等に加えて、新たにスポーツを通じた健康増進とか地域経済活性化等も含めて、スポーツ施策を総合的に推進できる体制というのが構築されたわけでございます。

 これによりまして、学校の保健体育の充実に関するスポーツ団体との連携が進むなど、スポーツ立国の実現に向けた取組、着実に進んできているところでございます。

 具体的には、例えば、公益財団法人の全日本柔道連盟とか、一般財団法人の全日本剣道連盟等において、武道の授業内容の充実を図るための指導参考資料を作成する、こういった取組とか、水泳の安全指導の観点から、公益財団法人の日本水泳連盟と連携した安全対策の取組を進める、こういった例など、スポーツと教育の施策の一体的、効果的な推進が図られてきておるところでございます。

城井委員 続きまして、博物館について何点か伺おうと思います。

 通告の部分を二問まとめてお伺いしたいと思います。

 博物館に関する事務の所管を一括化するというのが本法律案でございます。今後の取組をどのようにしていくかということ、特に、その場合に、博物館行政の効率化を目指してという部分があろうかと思いますけれども、その点の具体的な効果を含めて、大臣から見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 現行の制度では、博物館法も含めた博物館全般に関することは文部科学省本省が所管をしておりますが、博物館のうちで約八割を占めている美術館と歴史に関する博物館については、文化施設ということで、文化庁において所管をしておるところでございます。

 本法案におきまして、博物館全般に関する所管を文部科学省本省から文化庁に移管することといたしまして、博物館に関する行政をより一体的に推進していく体制を整備することとしております。

 この法案による事務の移管を機に、さまざまな分野の博物館の間の連携とか、学芸員の資質の向上、文化振興や観光の拠点としての博物館施設への支援等を通じて、博物館全体のさらなる振興を推進してまいりたいというふうに思っております。

 また、事務の所管を一括化して効率化する、こういうことでございますが、博物館全体の約八割を占める美術館、歴史博物館を文化庁で、それ以外の自然系の博物館、これが文科省の所管であったということで、今般の設置法改正により、こうした二元体制を解消して、博物館全般の振興策について文化庁が一元的な窓口になるわけでございますので、こういったことがいいチャンスとなって行政の効率化が一層図られ、更に博物館全般の振興施策が図られるということを進めてまいりたいと思っております。

城井委員 博物館でもう一点伺おうと思います。

 博物館は、今ほどありましたように、文化施設としての機能を持つ博物館の部分と、そして社会教育のための施設としての位置づけと、両方がございました。今回、それが所管が一つになることで、この両方の機能を今後担っていくという形になっていくわけですが、これまで文化庁の所管にはなかった社会教育施設としての機能確保の部分についていかに図っていくかという点について、大臣、具体的に確保策をお答えいただけますか。

林国務大臣 この法案によりまして博物館に関する業務は文化庁に一元化されることになるわけですが、社会教育として位置づけられている博物館の役割とか業務には変更はないわけでございます。また、博物館行政は一義的には文化庁が担当することになるわけですが、社会教育行政を所管する生涯学習政策局と密接に連携協力しながら、博物館の社会教育施設としての機能確保を図ってまいりたいと思っております。

城井委員 続きまして、我が国の文化発信を担うクールジャパンの推進について、文部科学省と経済産業省にお伺いしたいというふうに思います。

 まず、平成三十年五月十八日に、クールジャパンの推進に関する政策評価の結果に基づく勧告が総務省より行われました。勧告先は、農林水産省、経済産業省とともに文部科学省も含まれております。

 文部科学省に対する勧告で指摘をされた問題点が何か、今後の改善点を含めて、大臣、お答えいただけますか。

林国務大臣 先般、総務省が実施をいたしましたクールジャパンの推進に関する政策評価、この結果、文化庁が実施をしております文化交流使の派遣というのがございますが、この事業について、日本の文化芸術の発信に積極的に貢献している、その一方で、更に戦略的に進めるための方策を検討し検討結果を同事業に反映する必要がある、こういう勧告が出されました。

 同事業は、芸術家等を文化交流使に指名して、世界各地で自身の専門分野におけるさまざまな文化活動を行うことを通じて日本文化を世界に発信する、これを目的としておるところでございます。今回の勧告も踏まえて、上記の事業目的を達するために、対日理解の醸成というのが目的だったんですが、それに加えまして、インバウンド観光の促進の観点、それを見たら、やはり日本に行ってみたいなと思ってもらう、そのことがインバウンド観光の促進になる、こういう観点も盛り込みながら、文化交流使の派遣地域、分野について御指摘を受けて、戦略的に進めていきたいと考えております。

城井委員 総務省からの指摘は、ヨーロッパに偏り過ぎているよ、こういうことを含めて具体的な御指摘があったというふうに思っています。ぜひ戦略的な見直しをお願いしたいというふうに思います。

 この政策評価では、全体の評価としては相当程度クールジャパンは推進できている、進展しているという格好をとっておりますけれども、勧告事項に見られるところを確認していきますと、かなりひどい部分が多いということであります。ここでは、この政策にかかわる国の投資事業の損失が著しい部分について指摘をしたいと思います。

 例えばということで、経済産業省が主導して産業革新機構が一〇〇%出資した映画会社、オールニッポン・エンタテインメントワークスは、映画七作品の企画、開発を打ち上げておりましたけれども、何と一本も映画制作に至ることなく、二〇一七年五月、ベンチャーキャピタルに三千四百万円で法人売却されました。産業革新機構がこの法人に投資しておりましたのは二十二億二千万円。二十二億二千万円もかけておいて、三千四百万円で法人売却されているというあほらしい状況になっておりまして、つまり、出資したほぼ全額が損失したという形になっているというふうに聞いております。

 副大臣、これは事実でしょうか。

武藤副大臣 先ほどの総務省の勧告とはちょっと違う話ですけれども、先生御指摘のとおり、株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークス、これは、産業革新機構の出資決定により平成二十三年の十月に設立をされた会社でありまして、御指摘のとおり、平成二十九年五月に、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社に対して、株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスの全株式を三千四百万で売却する決定がなされたものと承知をしております。

城井委員 この映画会社、今三千四百万円での身売りということで副大臣からもお答えいただきましたが、このオールニッポン・エンタテインメントワークスの身売り先の新会社でありますが、所在地も人員も旧法人の業務執行体制を引き継いでいただけという状況になっているというふうに聞いておりますが、副大臣、これも事実でしょうか。

武藤副大臣 御指摘のとおりであります。

 ちょっとこれは話がややこしいんですけれども、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社は、昨年十一月、株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスと所在地や代表者が同じANEWホールディングスにマネジメント・バイアウトを行ったと承知をしております。

 産業革新機構が全ての株式を売却した後の話になりますが、発生した民間企業間における取引であるために、実際の人員構成などは、その詳細については我々は承知をしておりません。

城井委員 もう一点だけ指摘をさせてください。

 この映画会社、六年間の総売上高が一千五百万円だったにもかかわらず、外国人の幹部に一回のボーナスで二千万円も支払っていたというのは事実でしょうか。

武藤副大臣 経済産業省といたしましては、産業革新機構の投資先の個社における誰に幾らの報酬を支払っていたか等の詳細については承知をしておりません。

城井委員 副大臣、ここで私から申し上げたいのは、経済産業省が主導して産業革新機構が二十二億二千万円もクールジャパンの推進のために費やしたはずの税金が、予定の事業が行えなかった上に、投資を浪費して、その上で法人を売り逃げしたというのが問題だということを申し上げています。明らかに目的に反しており、そして税金が浪費をされた、こうした事業への投資について、責任を明確にして、損失分を取り戻す取組をやるべきだというふうに考えます。

 今後の取扱いについて、副大臣、明確に御答弁をお願いいたします。

武藤副大臣 先生、お答えします。

 産業革新機構は、民間ファンドがリスクをとりにくい案件を中心に投資を行っております。個別の投資が失敗に終わったからといって、直ちに投資が不適切であったということにはならないというふうに考えております。

 機構の投資については、リスクの程度等が異なるさまざまな案件の組合せで全体としての収益を確保することを目指しておりまして、平成三十年、ことしの一月末現在で投資額の二・二倍の回収を行っておるところであります。機構全体の収支はプラスを維持しておりまして、また、個別案件の成功確率を上げていくためにも、先生御指摘のとおりだと思います、御懸念がいろいろあると思いますが、重要な課題と認識しておりまして、機構においては、ベンチャー投資に関し、目きき能力の強化やハンズオン支援の充実などに努めてきているものと承知をしております。

 産業革新機構においては今後とも適切な投資が行われていくように、先生また御指摘のとおり、経済産業省としてもしっかり指導してまいりたいと思っています。

城井委員 副大臣、産業革新機構の運営全体のところと今の個別案件のところを取りまぜてもらっては困るというのが今のお話かと思います。

 産業革新機構は、リスクをとりながら投資をして、そして、全体としてプラスを出すべく努力をしているというところは私も理解をしているんです。ただ、その中で、今回のように、事業もせず、仕事もせずに二十二億円を半ば浪費して逃げてしまうという、これでいいのかということを申し上げているわけです。こういうものを見逃していると、目きき以前の話になってきます。事業の執行状況をチェックせずに、じゃ、見逃すんですかということになってしまいます。もう一回お願いします。

武藤副大臣 先生御指摘のとおり、公的資金を活用している以上、適切な運用は不可欠だというふうに承知をしております。

 この点、出資は、融資のように損失分を取り戻すような仕組みを用いて資金供給をするものではなくて、出資者がリスクを負う性質のものだというふうに、御指摘のような仕組みは今のところありません。

 そして、もちろん、今のお話のように、仮に投資先に違法行為等があれば、産業革新機構が不当な損害をこうむった場合には、損害を最小化して回収を最大化するという観点から、法的措置を含めて必要な対応がとられるものと承知をしております。

城井委員 副大臣、そこは適切な運用をきちんとチェックしてほしいわけです。

 林大臣、今聞いていただいたと思いますが、文化の発信にかかわるところで、文化の発信を名目にして食い物にするようなことがあってはならぬというふうに思うんですね。

 その部分を、今たまたま経済産業省が所管をする部分での出資の話でしたけれども、文化を所管する大臣として、そうしたものが食い物にされないようにきちんと見ておくという必要があるというふうに思うんですが、今の答弁を聞いていただいて、大臣、御所見をぜひ伺いたいと思うんです。

林国務大臣 今の案件、今初めてここで聞きましたので詳細に全部把握をしておるわけではございませんが、副大臣から御答弁があったように、しっかりと手続を踏んでやっていかなければならないし、違法なものがあればという御言及がありましたけれども、やはり、よかれと思っていろいろなところに投資をして結果としてうまくいかなかったということと、最初から、何かそういうことじゃなくて、違法行為的にだまそうと思っていたというところはしっかり区別をして、本当に文化のためにやっていこう、日本のクールジャパンのためにやっていこうという方のための施策でなくてはならないということが原則であろうというふうに思っております。

城井委員 このクールジャパンにかかわる案件で、今申した映画会社だけではなくて、そもそもがビジネスモデルとして成り立たないのにお金をつぎ込んでいたとか、応援する必要がなくて、既に海外展開をしていて、地域でのローカライズもできている、できるだけの能力があるのに、そこにあえて政府からの出資が行っていたというふうな形で、不適切な案件が山ほどあります。また別の機会に御指摘をというふうに思いますけれども、この点、ぜひ各省におかれましても確認をいただきたいということをお願いしたいと思います。

 最後に、加計学園問題について幾つか確認をさせてください。

 平成二十七年四月二日の首相官邸における面会の件であります。

 平成三十年五月二十一日に愛媛県より参議院予算委員会に提出されました文書において、面談結果の概要メモなど、新しい事実内容が確認をされました。この新しい文書の中で文部科学省にかかわる記述は、私の調べでは十一カ所ありました。文部科学省から出向していた参事官の言動の記載もあります。

 新事実が確認された以上、これを踏まえて、大臣、これまで文部科学省におけるこの面会の事実確認にかかわる調査で、範囲に入れていなかった関係部署の個人ファイル及び個人フォルダへの調査、そしてもう一つ、これまでの調査範囲に入っていなかった係長未満の職員に対する調査を行うべきであります。

 本日、大臣から別の委員への答弁でございました追加の聞き取り調査でも、今申した二つの点は範囲外でございまして、調査不十分でございます。大臣、この点、やっていただけますね。御答弁をお願いします。

林国務大臣 この平成二十七年の四月二日に愛媛県等が官邸を訪問したとされていることに関する文部科学省への事前連絡等の有無等につきましては、関係者からの聞き取りを行うとともに、関係部局が行政文書として保有している共有ファイル及び共有フォルダも確認をしております。

 この確認作業においては、関係部局において、共有ファイル及び共有フォルダを探索するとともに、関係者に対するヒアリングにおきまして、文書を見たことがあるか、又は共有したことがあるかなどと確認することを通じまして、共有ファイルであるか個人ファイルとを問わず、当該文書の存否そのものを確認する作業を行っておるところでございます。

 また、係長より下の職員からは聞き取りを行いませんでしたが、特区における獣医学部の設置に関する事項について係長より下の職員が何らかの情報に接した場合においても、一定の責任を負っている課長補佐又は係長が同様の情報に接していないことはないと考えられるわけでございますので、したがって、これまでも丁寧かつ詳細に確認をしておりまして、必要な範囲について確認作業を十分に行ったと認識をしているところでございます。

城井委員 大臣、個人フォルダ及び個人ファイルの件ですが、聞き取りはしているがという話でしたが、実物の確認がまだなんです。ですのでこれを申し上げています。係長未満の職員の方々についても、所持をしている可能性があるということを確認いたしたいんです。

 これまでにも、内閣府や農林水産省でも同様に、この愛媛県文書の存否の確認という作業を含めて行ってきておりますけれども、両省とも職員への確認はいたしております。個人フォルダ及び個人ファイルの確認もいたしております。

 そうした中で、文部科学省だけ、この個人ファイルと個人フォルダの確認がなく、そして係長未満の職員の確認もなく来ているんです。これだと、調べ上げましたというふうに言えないというのが、他省との比較があってもこの状況だということをお伝えしたいと思います。

 さらに、きょうの文部科学委員会理事会で、野党側の理事から複数申し上げましたけれども、当時文部科学省から出向されておりました角田元参事官による文部科学省本省への報告についての有無ということについても、きちんと確認をしたいということを再三申し上げ、きょうの理事会の場でも申し上げてきたわけでありますけれども、この点の確認にもつながる部分だというふうに思っています。

 きょう、先ほど少し触れられておりました愛媛県からの新文書の中でも、この角田元参事官の発言の部分もございました。こうしたものの裏づけを事実確認として行っていく意味でも、この調査というものは必要だというふうに思っておりますが、まず、大臣、この角田元参事官による文部科学省本省への出向時の報告の有無について、大臣から御明言をいただきたいというふうに思いますけれども、お願いいたします。

林国務大臣 今回、愛媛県から参議院予算委員会に提出された文書に関しまして、愛媛県提出の文書に記載のある平成二十七年四月前後の柳瀬総理秘書官と加計学園等関係者の面会につきましては、これまで、内閣官房からの指示によりまして、文部科学省において、当時文部科学省から内閣官房に出向していた職員への聞き取りを行ってきたことを踏まえて、補足的確認事項ということで追加の聞き取りを行っております。

 その結果、当該文書を見て現時点で思い出した記憶について、今回の文書を見て思い出したことはなく、明確な記憶はない、そういう回答であったというふうに聞いております。

 また、その後の報告でございますか、その後の報告等を要するに文科省の方にしたかということについても、記憶はないということだったということでございます。

城井委員 今ほどの御答弁の中でもありましたけれども、当時出向していた角田元参事官による文部科学省本省への報告の有無についての確認、いま一度調査を行っていただきたいというふうに思いますが、大臣、お願いできますか。ここを越えられないと、この文部科学省設置法の改正案の採決にも、理事会での議論にも影響するおそれが極めて大きい状況にございますので、この点、ぜひ御配慮いただいて、御答弁いただきたいと思いますが、お願いいたします。

林国務大臣 先ほど申し上げたように、五月十日、柳瀬参考人の参考人質疑がございましたが、四月二日とされる面会に同席していたかということは、この参考人の質疑の後で確認をしております。

 先ほど申し上げたのは、その次のとき、この愛媛県の文書が出たときということですが、そのときに、明確な記憶がないが、柳瀬参考人の答弁の内容を踏まえれば、同席していたのではないかと思う、それから、面会の内容については、三年前の話であり明確に覚えていない、面会の内容に関するメモ等はつくっていないと思うし、残ってもいないと。面会後、ここでございますが、文部科学省に連絡をしたかについては、明確に覚えていないが、連絡しなかったのではないかと思う、そういう回答を得ておるところでございます。

城井委員 追加の調査の部分とこの報告の有無のところと、明確にお答えいただけないのがとても残念でありますが、最後に一点だけ確認をと思います。

 先ほど、櫻井委員の質疑で委員長から御指示がありました、内閣の統一見解の提出について、大臣、御対応いただけるということでよろしいでしょうか。

林国務大臣 委員長から御指示がございましたので、持ち帰らせていただきたいと思います。

城井委員 大臣、これはぜひお応えをいただかなければなりません。内閣不一致の有無を確認する内容でございますので、総理大臣が言っていることと文部科学大臣が言っているということでは異なるということでは、野党側の我々からすると、そこは認めがたいということになります。

 委員長からの貴重な御指示をいただいたという部分も大変重たいというふうに思っておりますので、この重い、委員長からの御指示を踏まえたということでの御対応をぜひお願いしたいというふうに思います。

 というところで、私の時間が終わりということでありますので、質疑、以上とさせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。先ほどから質疑があっております。重なる質問があるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の文部科学省設置法の一部を改正する法律案について御質問いたします。

 今回の法律案は、文化芸術振興基本法の一部を改正する法律の附則第二条に規定されたことについて必要な措置を講ずるものとなっております。大きな柱として、京都への全面的な移転を受けて、新文化庁にふさわしい組織改革、そして機能の強化を図り、文化に関する施策を総合的に推進するということが大きな柱となっております。

 その中で、一つに、文化庁が中核となって我が国の文化行政を総合的に推進していくこと、第二に、芸術に関する教育の事務を文科省から文化庁に移管すること、第三に、これまで文科省が所管していた博物館の事務を文化庁が一括して所管することになることという三つの大きな柱がございます。

 まず、以前は文化芸術振興基本法と申しておりましたけれども、現在、抜本的な改正を行い、文化芸術基本法となっておりますけれども、今回の法案を考えるときに、この文化芸術基本法が、我が国の文化行政を考えていく上での大変基本となる、理念となる法律であるというふうに思っております。

 一方で、内閣官房と文化庁において策定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇一七及び未来投資戦略二〇一七において、文化経済戦略というものが策定をされました。

 この法案とこの戦略について、今回の改正を考える上で大変重要であるというふうに思いますので、このことについての御説明をお願いいたします。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年六月に成立いたしました文化芸術振興基本法の一部を改正する法律におきましては、文化施策と観光、町づくりなどの連携、関連施策との有機的な連携の必要性が指摘されているほか、関係府省庁から成る文化芸術推進会議による文化芸術推進基本計画の策定などが定められ、その附則第二条におきまして、文化芸術に関する施策を総合的に推進するため、文化庁の機能拡充について必要な措置を講ずるべきということが規定されておるところでございます。

 今回の法案は、当該規定に基づき進めてまいりました文化庁の機能の拡充等に関する検討を踏まえ、文化庁が中核となって我が国の文化行政を総合的に推進することができますよう、その任務及び所掌事務を改めるものでございます。

 先ほど委員御指摘の、平成二十九年十二月に内閣官房及び文化庁において策定いたしました文化経済戦略におきましては、文化を起点とした産業等の他の分野との連携による創造的活動によりまして新たな価値を創出するための方策が示されており、ここにおきましても、文化と他の分野との連携の必要性が示されているところでございます。

 文部科学省といたしましては、改正されました文化芸術基本法の趣旨や文化芸術推進基本計画を着実に実施し、文化経済戦略で示された方策を効果的に遂行するため、本法案の規定に基づきまして、我が国全体の文化関連施策の総合的な推進に向けて、関係府省庁と連携しながら、積極的に役割を果たしてまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今の御答弁とも若干重なるところがあるかと思いますけれども、今回の改正を受けて、我が国の文化行政、一番どこを大切にしながら、どのような基本理念にのっとってこれから進めていかれるのか、お尋ねをいたします。

林国務大臣 この法案では、文部科学省及び文化庁の所掌事務として、文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、文化に関する関係行政機関の事務の調整、これを追加することにしております。これによって、文化庁は、新たな事務として、各府省間の調整を図りながら政府全体の文化行政の計画を取りまとめ、効果的に実施していくことができるようになるわけでございます。

 その結果、直接担当する文化振興施策のみならず、例えば、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めることができ、各施策の相乗効果や好循環の創出、ひいては文化の本質的価値、社会的、経済的価値を最大限生み出すことができると考えております。

 また、芸術に関する教育に係る事務の移管によりまして、学校教育としっかりつながる形で、全ての子供たちへの芸術に関する教育、文化芸術の普及やトップレベルの芸術家育成とを一体的に進めることで、国民の文化芸術に関する素養のさらなる深化を図るとともに、博物館に関する事務の移管により、博物館のさらなる振興と行政の効率化を図ることとしております。

 この改正によりまして、我が国の文化芸術施策の新たな展開に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 文化行政を進めていく上で、文化行政に国がどのように関与をしていくのかということについてお尋ねをいたします。

 政府において文化行政を行っていくときに、文化の内容については不関与であるという原則のもとにこれまで文化行政が行われていたというふうに私は理解をいたしております。

 これから、大変重要な、芸術文化の中でも多様な文化を保護していくこと、そして、少数派となっている文化を保護していくということも大変大切な視点だというふうに思っておりますけれども、今後の文化行政に国がどのような形で関与をしていくのかということについてお尋ねをいたします。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化芸術活動におきまして、委員御指摘のような表現の自由は極めて重要でございまして、我が国の憲法二十一条で保障されている権利でございます。

 平成二十九年六月に改正されました文化芸術振興基本法におきましては、改正の文化芸術振興基本法におきまして、文化芸術活動を行う者の自主性の尊重につきまして繰り返し規定されておりましたけれども、これにつきましては、この法律の議論をしておりました議員連盟の中での議論で再度確認されたものでございますけれども、「文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、」という文言が新たに追加されるなど、改めてその必要性について明文化されたところでございます。

 文部科学省といたしましては、文化政策の推進に当たりまして、文化芸術基本法の理念を踏まえ、文化芸術活動を行う者の自主性と表現の自由を十分に尊重して施策に取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 続きまして、文化行政を行っていくときに、やはり財政的な裏づけというのが大変重要になってくるかというふうに思っております。我が国の文化行政の予算につきまして御説明をお願いいたします。

中岡政府参考人 数字のことでございますので、私の方から御説明申し上げます。

 平成三十年度予算は、平成二十九年六月に成立いたしました文化芸術基本法を踏まえまして、新文化庁へ向けまして、社会的、経済的価値を育む文化政策への転換を図ることとし、文化資源を生かした社会的、経済的価値の創出というものを新たな柱に加えて、過去最高の総額一千七十七億円を確保したところでございます。

西岡委員 一方、きょうちょっとお配りした資料でございますけれども、我が国の文化予算の状況を今お話しいただきましたけれども、先進国において文化行政にどれだけの予算が投入されているのか、また、どういう体制で文化行政が行われているのかということを資料でお配りいたしました。

 今見ていただきますと、この予算を見ましても、大変日本は各国に比べて低い数値となっています。予算の全体での比率も大変低い割合となっておりまして、一番予算が多いフランスにおきましては四千四百四十八億円、次に、韓国におきましては二千五百九十三億円と続いておりまして、日本は六カ国中一番少ない数字となっております。全体に占める割合も大変少ない状況でございます。

 また、他国におきましては、文化を担当している省以外の文化芸術に関する予算というものがございまして、英国においては国営宝くじ基金の財源がございます。韓国においては、文化芸術に関する基金、またその他の省庁においても文化予算というのがございまして、ここに表記されている財源よりも大変多い財源を文化行政に持っているという状況がわかるというふうに思っております。

 やはり、文化行政をこれから推進していくためには、この財源の裏づけというのが、大変厳しい財政情勢でございますけれども、大変必要なものだというふうに私は思っております。

 今後、文化庁が京都に移転をしていくわけでございますけれども、京都への移転について、今後どのようなプログラム、また工程によって、また予算につきましても、そして人的なこともどのような形で進めていかれるのか、先ほど新庁舎の改修の費用の負担のお話が質疑の中でございましたけれども、人員の配置の中では、京都だけではなくて、やはり全国に文化行政を進めていくという意味からも、人員を配置していくときに、全国の都道府県の文化行政にかかわる職員の方をこの中に配置していくというのも、全国に文化行政を広めていく上での一つのやり方ではないかというふうに思いますけれども、今後の工程、そして予算規模、人員配置についての計画についてお尋ねをいたします。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 委員の方からは、これからの京都移転に向けた工程、あるいはそれに伴う予算の裏づけ等の御質問かと思います。

 文化庁の京都移転には、まず、中央省庁初の地方移転として、東京一極集中の是正や地方創生などへの期待があることに加えまして、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都への移転によりまして、文化財を活用した観光振興や観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興に関する企画立案能力の向上、ひいては、こうした先進的な取組効果の全国的波及など、我が国の文化行政のさらなる強化を図る上でも意義があるというふうに考えております。

 このことを実施する上で、必要な予算というのは裏づけが必要でございますけれども、今回の法改正による文化庁の機能強化も踏まえながら、引き続き、文化芸術立国の実現に向けた必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。

 先ほど、委員の御指摘のように、とりわけ京都移転にかかわりましては、例えば、遅くとも平成三十三年に京都に移っていくということになりますけれども、その際にどういうような建物が新調されるのかといったところ、それに対する負担を、どういう割合を負担していくのかということによりましてかなり額的にも変わってまいると思います。

 実際、ことしの十月からは東京におきまして新文化庁の体制をとるわけでございますけれども、遅くとも平成三十三年には二つに分かれるということで、例えば、連携体制を確保するために新たな旅費だとかそういうものが必要になってまいったり、職員が住まいにする宿舎等の手当て等が必要になってくるということになりますと、それに対する手当てだとか、さまざまな要素はございますけれども、そういったことも含めてしっかりとシミュレーションして、個々の職員の意識も聴取した上で決めてまいりたいというふうに思うわけでございます。

 体制のことにつきましては、文化庁自体は国の役所でございますから、全国の職員の、例えば研修生だとか、さまざまな形で既に現在の文化庁にも入ってきていただいておりますけれども、新文化庁におきましても、引き続き、国全体の文化行政を更に振興していくという観点からは、各地方公共団体とかあるいは大学だとか、さまざまなところから職員を出していただくというようなことも考えていかなきゃいけないというふうに考えているわけでございます。

 以上、さまざまなところ、非常に複合的な部分があるわけでございますけれども、以上でございます。

西岡委員 今のお話の中でもございましたけれども、東京と京都という形で分散化をする中で業務を進めていくときに、ICT技術の活用ですとかさまざま先ほどから質疑があっておりますが、やはり京都と東京という地理的な分散の中で業務を行っていく中で、ICT活用もそうだと思いますけれども、具体的にどのような取組を今後されるのか、そのことについて御見解をお尋ねいたします。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁の本格移転に当たりましては、職員全体の約七割を京都に配置するということとともに、国会対応業務、外交関係業務、関係府省庁との連携調整業務等、東京での対応が必要となる部分につきまして、一部の担当部署を東京にも残すということになるわけでございます。

 これによりまして、京都及び東京の間で業務分担が図られることとなりますが、京都と東京の間で複雑な協議だとか調整を要する案件などが生じることもあることなので、京都と東京の双方に次長を配置して危機管理や業務遂行の体制を強化するということとともに、テレビ会議システムを日常的に活用している。現在も、地域創生本部等の連絡につきましては、このテレビ会議システムというものを非常に有効に活用させていただいておるわけでございますけれども、そういった活用は更に強化していくということになるかと思います。十分な意思疎通と適切な連携体制の構築に努めていきたいと思います。

 さらに、なかなかテレビ会議だけでは足りないということで、東京、あるいは東京の職員が京都に行く、さまざまなケースが考えられると思いますので、そういったこともしっかりシミュレーションしながら考えていきたいというふうに思っております。

西岡委員 あわせまして、今回、文科省の方から文化庁に移管をされるという業務がございますけれども、この業務移管につきまして、過去、スポーツ庁ができましたときに、文科省の外局としてできたわけでございますけれども、このときにさまざま移管が行われた中で問題点であるとか、実際に行っていく中で問題点、課題等、そのことが今回の業務の移管の中でも大変有効な過去の事例となると思いますけれども、スポーツ庁ができましたときのことで、何か課題、問題点、今回に生かせることがあれば教えていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、スポーツ庁の創設に当たりましては、旧スポーツ・青少年局が所管しておりました学校体育の振興等に加えまして、新たにスポーツを通じた健康増進や地域及び経済の活性化等も含め、スポーツ施策を総合的に推進できる体制が構築されております。こうした体制の整備を経て、例えばスポーツ庁は学校とスポーツ団体との連携を深化させるなど、スポーツ立国の実現に向けた取組を着実に推進しているところでございます。

 今回、文化庁に芸術に関する教育の基準の設定に関する事務を初等中等教育局の方から新たに今移管するということによりまして、今後、学校教育としっかりつながる形で全ての子供たちへの芸術に関する教育の充実や文化芸術の振興、さらにはトップレベルの芸術家の人材育成等を一体的に担うということで、国民の文化芸術に関する素養のさらなる向上と文化芸術を担う人材の育成強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 次に、先ほど配りました資料の中にもございますけれども、「文化政策の評価」という項目がございます。文化政策を評価していくということは大変性質上難しい面もあろうかというふうに思いますけれども、先進的な取組としては、イギリス、フランス、韓国で取り組まれておりまして、業績評価指標を導入されているというようなこともございます。大変難しい面があると思いますが、文化政策を評価していくということも大変今後必要な視点であるというふうに思っております。

 このことについて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お願いいたします。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年六月に成立いたしました文化芸術基本法に基づきまして、文化芸術推進基本計画を策定するということになったわけでございます。

 この基本計画につきましては、それまでの文化芸術振興基本法に基づきます基本方針というものがございましたけれども、方針ではなくて計画ということで、指標を設けまして、まさに委員御指摘のように、PDCAサイクルをしっかり回せるようにしたわけでございます。

 この基本計画におきましては、施策の着実かつ継続的な実施を図るということと国民への説明責任の向上を果たす観点から、先ほど申し上げましたように、評価、検証を行うということにいたしておりまして、毎年度、基本計画をフォローアップしていくということになります。

 このフォローアップの仕方につきましては、各省庁の施策もこの基本計画の中に入っておりますので、しっかりと文化芸術推進会議という場で、各省調整の場がございますので、そういったことも活用しながら、しっかりと調整をしたいというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 関連しまして、直接ちょっと通告はいたしておりませんでしたけれども、その文化芸術推進基本計画の中で、文化産業の国内総生産、文化GDPという指標を確立して、二五年までに現在の約二倍、そしてGDP全体の三%に当たる十八兆円にふやすという目標が挙げられております。

 この文化GDPは五年ごとの改定を予定されていて、その文化GDPとは、出版物、音楽、映画、ゲームの売上げであったり、劇場、美術館の入場料の収入から算出をするものだというふうに理解をしておりますが、この文化GDPについて、よろしければちょっと御説明をいただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化芸術資源を一層活用し、観光地の魅力や産業の付加価値の創出につなげることにより、文化GDPの拡大に貢献する経済波及効果を生み出すことといいますものが大変重要になってきております。政府は、我が国の文化GDPを対総GDP比一・八%程度から三%程度へ拡大することを目標として掲げてございます。

 他方、昨年の文化芸術基本法の成立によりまして、文化の対象範囲が広がったということもございます。文化芸術産業の経済規模につきましても、従来の文化振興にとどまらず、観光、町づくり、国際交流、福祉、教育、産業など関連分野まで視野に入れて文化を幅広く捉えることが求められております。

 委員御指摘のように、これまでのGDPの考え方につきましては、出版、放送、デザイン、サービス、映画、ゲーム等々の内容を積み上げたものではございますけれども、先ほど御説明申し上げました、幅広く捉えるということを踏まえまして、あるべき捉え方につきまして調査研究を行っているところでございます。関係省庁とも連携しながら、検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 文化財を保護していくというような従来の日本の文化政策と、今の文化GDPの中でも触れられておりますように、文化を産業として捉えるというこの二つの政策、方針があるというふうに思いますけれども、この従来の文化政策と文化産業政策とのバランスを今後どのような形でとっていかれるのかということについてお尋ねをいたします。

中岡政府参考人 文化政策におけるバランス問題ということでございます。

 我が国には、地域の伝統文化からポップカルチャーまで、魅力ある文化が各地に満ちあふれておるところでございますが、これらを経済活動に結びつけることで、文化芸術の振興と相まって、GDP拡大に貢献する経済波及効果をもたらすことが期待されております。

 このために、先ほども冒頭御説明申し上げました、内閣官房と文化庁は、文化経済戦略特別チームを結成し、昨年十二月に、文化と経済の好循環を実現する省庁横断の政策パッケージといたしまして、文化経済戦略を策定しております。この戦略の中でも、文化財の継承を確実に行っていくことは、未来を志向した新たな創造活動の大前提ということである、適切な周期での文化財修復や文化財保存の担い手の技能、知見の継承は、国として必要な戦略的投資であるなどとして、文化芸術資源、文化財でございますが、それの保存を重点戦略の一つに位置づけております。

 また、本年三月に閣議決定された文化芸術推進基本計画におきましても、文化財の保存や活用、継承が求められているところでございます。

 さらに、国会で御審議を既にいただいておりました文化財保護法の改正案につきましては、市町村における文化財保存活用地域計画、あるいは個別の文化財の保存活用計画を通じた総合的、計画的な取組を推進するものでありまして、保存と活用の両面から文化財の確実な継承を図ることによって、結果として観光振興や地域振興に寄与することとなると考えております。

 今後とも、文化経済戦略や文化芸術推進基本計画、改正文化財保護法を踏まえながら、文化と経済の好循環の実現に向けたさらなる政策展開を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 先般からの文化財保護法の一部改正案の中でも議論がございましたけれども、やはり保存と活用、日本の伝統文化を大切に守っていくところと、産業として発展をさせていくところ、活用していくところのバランスというのが大変重要だと思っておりますので、文化行政を進めていただく上で、そのことをぜひ大切に進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、文化芸術基本法におきまして、食文化ということが初めて明記をされました。この食文化を始めとした生活文化振興ということも、大変重要な日本の伝統文化、そしてまた新しい文化の本当に大切な部分であるというふうに思っています。

 そういう中で、観光庁、また経済産業省、農林省と一体となった取組というものがさまざまな面で必要になってくるというふうに思っております。京都に文化庁が移転をするという中で、各省庁との連携についてどのような形で進めていかれるのか、そのことをお尋ねいたします。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正は、文化芸術振興基本法の一部を改正する法律附則第二条を踏まえまして、文化庁の機能強化に向けて、各府省庁の文化関連施策の調整機能を果たし、総合的、戦略的な文化行政を推進するためのものでございます。

 この改正によりまして、文化庁がこれまで所掌してまいりました文化振興にとどまらず、各府省庁とともに、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育、産業など、関連分野との有機的な連携を図っていくなど、我が国の文化行政の中核的な役割を果たすことができると考えております。

 先ほども、各省庁との連携というお話がございました。例えば、観光庁と連携をいたしまして文化財等の観光資源としての魅力向上を図ったり、経済産業省と連携をして文化芸術資源による経済的価値の創出と戦略的ブランディングを図ったり、農林水産省と連携をして地域の食のブランド化を図ったりするなど、文化庁だけでは困難な事業に積極的に取り組むことができるものと考えております。

 このように、文化庁が直接担当する文化施策のみならず、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めることによりまして、各施策の相乗効果や好循環の創出が期待できると考えております。

西岡委員 続きまして、学校における芸術に関する教育の基準の設定に関する事務を移管するということの意義、効果についてお尋ねをしたいと思います。

 このことによって何が一番効果として教育現場にプラスの面があるのかということと、そのことによって学校現場へ何か今までと違う影響というものがあるのかということについてお尋ねをいたします。

林国務大臣 子供たちが生涯にわたって芸術を愛好し、感性を高めて、心豊かな生活や社会を創造していくためには、やはり、芸術に関する教育等を通じて、生活や社会の中の芸術や芸術文化と豊かにかかわる資質、能力、これを培っていくことが重要だと考えております。

 本法案では、学校における芸術に関する教育の基準の設定に関する事務を文化庁に移管することによりまして、学校教育としっかりつながる形で、全ての子供たちへの芸術に関する教育の充実や文化芸術の振興、さらには、トップレベルの芸術家の人材育成等を一体的に担うことによりまして、国民の文化芸術に関する素養のさらなる向上と、文化芸術を担う人材の育成強化を図ることとしております。

 文科省としては、本改正によりまして、文化庁が今まで培ってきた知見やネットワーク等を学校における芸術に関する教育と有機的に結びつけ、今まで以上に活用することで、生活や社会の中の芸術や芸術文化と豊かにかかわる子供たちの資質、能力を更に高めるとともに、文化芸術の新たな担い手の育成へつながることを期待しているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 あと一点は、先ほど城井委員からもお話がございました、博物館に関する事務を所管する意義についてお尋ねをいたします。

 今、社会教育行政の再構築ということで、学びの場を拠点とした地域コミュニティー形成の推進という取組がなされております。その中で、博物館も大切な役割を果たすということになっているかと思いますけれども、その推進していく中で、今回の改正というものがどのような意義を持って、そして連携をしていくのかということをお尋ねいたします。

林国務大臣 現行の制度におきましては、博物館法も含めた博物館全般に関することは文部科学省の本省で所管をしておるわけでございますが、実際は、博物館のうち大部分、約八割を占めている美術館と歴史に関する博物館については、文化施設ということで文化庁において所管をしておるわけでございます。

 本法案においては、博物館全般に関する所管を文部科学省の本省から文化庁に移管することといたしまして、博物館に関する行政をより一体的に推進していく体制を整備することとしております。

 文科省としては、法案による事務の移管を通じまして、さまざまな分野の博物館の間の連携、それから学芸員の資質の向上、さらには文化振興や観光の拠点としての博物館施設の支援等の施策を通じて、博物館全体の振興を総合的、一体的に推進してまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 やはり、文化財保護法のときの議論でもそうでしたけれども、学芸員の方の果たす役割というのが大変重要になってくるかと思いますので、学芸員の皆さんの研修、また人材育成というものは大変重要になるというふうに思っております。

 最後の質問となるかと思いますが、先ほども他の委員の方から御質問がございました、文化芸術振興議員連盟の方から、二〇二〇年に文化庁を文化省にするという構想がございます。先ほど質疑がございましたけれども、林大臣が、文化省を創設するということについてどのようなお考えをお持ちになっているのかということをお尋ねいたします。

林国務大臣 文化省の設置につきましては、国の行政組織のあり方の問題でもございまして、行革の趣旨も踏まえながら、国の行政組織のあり方の全体の議論の中で検討する必要があると考えております。

 今回の法改正によりまして、我が国全体の文化行政を総合的に推進する体制を整備して、縦割りを超えた柔軟かつ機動的な取組と、新たな領域への積極的な対応を進めてまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 あと一問、ちょっとお尋ねをいたします。

 今、さまざま議論を通して、今回の改正が、やはり日本の文化の行政をもっと振興していくために大変有効なものであるというふうに私は思っておりますけれども、今回の改正で、今後の文化行政が、ここが本当に大きく変わっていくんだという点がございましたら、今後の取組の中でもしお話しいただけることがあれば、お願いいたします。

中岡政府参考人 委員の御質問でございますけれども、いろいろな部分が変わるんですけれども、一番の今までの文化庁と全く異なっていますのは、大臣の方からも御答弁ありましたように、やはり文化庁の行政の枠を超えて、各省庁が各省庁それぞれの設置目的に従って文化関連の事業を展開されておりますけれども、そういったことも含めまして、文化庁が中心となって調整をしていくというような権限が今回の改正によりまして文科省の方に入れられるということでございます。

 こういったことを根拠といたしまして、我が国の文化行政を、これからオリンピック・パラリンピック、さまざまな動きがある中で、オリンピック・パラリンピック以降も文化芸術が引き続きまして盛んになりますように我々としてはしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 一層日本の文化行政が本当に推進をして、日本のすばらしい伝統文化が守られ、そして発展して、世界に発信をしていくということを、特にオリンピック・パラリンピックを控えて、世界への日本文化のすばらしさの発信というのが大切だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 これで私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。

冨岡委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 質問に入る前に、私からも一言申し上げさせていただきたいと思います。

 加計学園に関する新文書が国会に提出されましたが、その中身についてしっかりチェックをしていくと、やはり、今、例えば、事実関係を承知していないからコメントはできない、そういう御答弁というのはできないんじゃないかというふうに思うんです。当時、柳瀬総理秘書官が面談をされている中で当然、同席をされた内閣参事官、文科省からの出向であります。そしてもう一人の方も、農水省からも出向の方がいた。文科省からの出向の方、この方は角田さんですけれども、恐らく、総理案件となっている内容でありますから、これについては熟知していらっしゃったことだというふうに思うんです。それを、現段階で当時のことを覚えていないという言い方をもしされたとしたら、大変失礼かもしれませんけれども、行政にかかわる方として、つまりは国家公務員としてどのような働き方をしていたんだろうと疑問に思ってしまいます。極めて残念なことです。

 そうではなくて、しっかりと本当のことをおっしゃっていただけるような環境というものをつくっていく、これも重要だというふうに思いますし、そのためにもしっかりと調査を重ねてしていただきたいということと、そしてまた、林大臣を含めまして文科省の政務三役の皆様方には、しっかりと真相解明を政府全体でやっていくんだという、その姿勢をお示しいただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 通告はしていませんが、何かございますか。

林国務大臣 事実関係を承知していないと私が答弁申し上げたのは総理と加計学園の理事長が面会をした部分についてでございますので、それ以外のところはそれ以外のところとしてまた別に答弁をしておったと思いますが、同席した云々とか、その部分については、それぞれ調査をいたしまして、その結果もここで御報告をしてきたとおりでございます。

金子(恵)委員 文書の中では柳瀬秘書官は総理案件だというふうに明確に言っているわけですから、総理と加計学園との関係についてしっかりとチェックをしていかなくてはいけないということでありますから、そこの部分についても、もちろん、獣医学部設置所管の省庁、文科省のトップとして、やはり知るべきことはしっかりと調査をしていかなくてはいけないということだというふうに思うんです。ですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、文化行政のあり方、これについておただしをしていきたいというふうに思いますけれども、文化行政のあり方を大きく左右する今回の文部科学省設置法の一部を改正する法律案ということでありますけれども、そもそも、文化とは何だということを私たちは知っていなくてはいけないというふうに思います。先人たちが長年かけて紡いできたものであり、そして我々の責務として後世に引き継いでいく、そういう必要があるということだというふうに思います。

 御存じのとおり、私の地元も東日本大震災の被災地でありますけれども、復興においても文化を大きな役割というふうなものとして考えています。やはり、ふるさとを離れた人々の心をつなぐものでもありますし、また人々の心を癒やすというものにもなっているということであります。伝統芸能が復興のシンボルになったり、文化の重要性は多くの方が理解していることだというふうに思います。だからこそ、我が国の文化行政をこれまで以上に強力に進めるためにどのように組織を整備していくか、そういう議論をすることはとても重要だというふうに思います。

 なお、昨年六月に全会一致で成立した文化芸術基本法でも、文化芸術に関する施策を総合的に推進するため、文化庁の機能の拡充等について検討し、必要な措置を講ずることとされるというふうなことで、文化庁を中心として、我が国の文化行政を担うための盤石な体制を確立することが必要であると考えているということから本法律案が提出されたことだというふうに理解をしています。

 この法律案によって我が国の文化行政がどのように変わっていくのかということをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 本法案では、昨年六月に成立をいたしました文化芸術基本法の趣旨等を踏まえ、文部科学省及び文化庁の所掌事務として、文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、それから、文化に関する関係行政機関の事務の調整、これを追加することにしております。これによりまして、文部科学省及び文化庁が、各府省庁間の調整を図りながら、政府全体の文化行政の計画を取りまとめて、効果的な実施を図る等の取組が可能となるわけでございます。

 その結果、文化庁が直接担当する文化施策のみならず、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めることで、各施策間の相乗効果や好循環の創出が期待できると考えておりまして、文科省としては、これを機に、関係府省庁とともに、文化芸術立国の実現に向けて、しっかりとした文化行政の推進体制を構築してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 文化芸術立国をつくり上げる、私は応援したいと思います。ぜひ応援団になりたいというふうにも思います。ですけれども、いろいろな課題は文科省の中にもありますから、それをしっかりと乗り越えていくということだと思っております。

 文化行政を担う基盤を整えた上でぜひ取り組んでいただきたいということは、やはり日本文化の国内外への発信だというふうに思っておりまして、先ほどもほかの委員の御答弁の中でお話がありましたけれども、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催というのがあるわけですけれども、実は、私の地元の福島でも、野球、ソフトボールの一部開催というのがあるということでありまして、大変多くの方々の期待もあります。それとともに、やはり、地元の文化財、あるいは文化行政全体のお話ではありますけれども、何とかいろいろな方々に福島のよさを発信していきたいということで頑張っている方々もいるということでありますので、このオリンピック・パラリンピックを機にやはり日本の文化のすばらしさというのを発信していく、そういう機会、もっともっと大きくしていかなくてはいけないんだというふうに思っています。そのことについてどのようなお考えを持っているのか、お伺いしたいと思います。

林国務大臣 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会、これは文化の祭典でもございまして、魅力ある日本文化を世界に発信するとともに、地域の文化資源を掘り起こして、地方創生、さらに観光振興の実現にもつなげる絶好の機会であると思っております。

 このため、文科省では、国際文化芸術発信拠点形成事業、それから戦略的芸術文化創造推進事業等によります全国各地のさまざまな文化芸術活動への支援、国立文化施設における事業等を通じて、文化プログラムの推進を図ることとしております。

 また、各地域の文化プログラム等に関する情報を一元的に集約いたしまして、国内外に多言語で展開するポータルサイト、カルチャーニッポン、これを立ち上げまして、各取組の国内外への発信の充実に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、関係省庁、東京都を始めとした地方公共団体、さらには民間団体と連携しつつ、国内外への発信の充実も含めて、文化プログラムを積極的に推進してまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 二〇二〇年以降のレガシーを創出する、多くの外国人観光客に再び日本を訪れたいと思っていただくということも重要であるということだと思いますので、観光振興とも一体となって、各機関とも一体となってぜひ動かしていただきたいと思います。

 もちろん、前提となりますのは、文化財の保存の部分と、そして活用の部分のバランスでありまして、活用だけがどんどん進められるということではなく、しっかりと私たちはこのレガシーを守っていく、有形無形、両方の文化財というものをしっかりと次の世代にお渡しできるような、そういう環境づくりというのもしていかなくてはいけないということもつけ加えさせていただきながら、そのバランスがとれれば、今のような発信、どんどん応援をしていきたいというふうに思っているところでもあります。

 今回、文化庁が京都に移転するというわけでありますけれども、先ほどメリット、デメリットの議論がもうあったところでもありますけれども、京都への移転に向けて、新文化庁にふさわしい組織改革、そして機能強化を図って、文化に関する施策を総合的に推進するということで本法律案が提出されたというふうに理解をしています。

 元来、政府関係機関の地方移転は、まち・ひと・しごと創生本部において、東京一極集中の是正を目的として進められるものであるということでありますけれども、本法律案の目的との関係について御説明いただきたいと思います。

林国務大臣 この法案でございますが、昨年六月に成立をした文化芸術基本法の趣旨等を踏まえて、文化庁の機能強化を図ることとするものであり、また、あわせて検討されている文化庁の京都移転についても、文化財を活用した観光振興、全国各地の地方文化の創生などを通じて、文化行政のさらなる強化を図るものでございます。

 なお、文化庁の京都移転につきましては、文化行政のさらなる機能強化に資するだけでなく、委員が今おっしゃったように、東京一極集中の是正や地方創生などへの期待もあるところでございます。

金子(恵)委員 もともと、文化庁の京都移転というものが始まったといいますか、そういう動きが出てきたのは、恐らく一九八八年にさかのぼるのではないかなというふうに思います。

 京都市が国に文化、学術関係機関の市内移転を求めたというのが一九八八年です。その後、二〇〇二年の一月に河合隼雄文化庁長官が就任し、京都国立博物館内に長官室分室が初めて設置された。後に文化庁の関西分室となりました。名称は、文化庁関西元気文化圏推進・連携支援室ということです。そして、二〇一二年に関西分室は京都府庁旧本館に移転されて、二〇一四年に文化芸術創造都市振興室と名前を変えてきている、名称を変えているということでありますが、今、京都に文化庁を、そういう思いを持った、もちろん京都の皆さんの運動があったんだろうというふうに思います。

 私がここで申し上げさせていただきたいのは、今、現政権が進めている地方創生のお話ではありますけれども、これと一体となってただ進めているというふうに見る必要がないのかなと思うことなんです。マスコミは、地方創生の目玉だということで、今回のこの国機関の地方移転第一号だという言い方をして発信しているようですけれども、もう既に歴史的にこういう動きがあったということです。

 私は、政府機関の移転というものが全てよしとされるものではないというふうに思っておりますし、地方創生とは根本的に異なる政策だというふうにも思っていまして、移転をすれば地方が豊かになる、地方創生にしっかりとつながっていくとは限らないという議論がこれまでもされてきたというふうに思いますし、なかなか政府関係機関としては、手を挙げてくださる、そういう省庁もいなかったということから、たまたま文化庁はどうだという話になったというように理解されても仕方ない、そういう現状だというふうに私は思うんです。

 京都移転の全てがだめではないと思います。いろいろな理由があると思います。しかしながら、一方では、地方創生につながるのかどうかという議論というものがきちんとなされていないのではないかと思うんですが、大臣、地方創生につながるというふうにお考えになられますか。

林国務大臣 この文化庁の京都移転には、中央省庁初の地方移転ということで、東京一極集中の是正や地方創生などへの期待があると先ほど申し上げたとおりですが、これに加えまして、文化財がやはり豊かで伝統的な文化が蓄積した京都に移転するということで、例えば文化財を活用した観光振興ですとか、外国人観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興といった我が国の文化行政の企画立案能力の向上、これが期待できる。

 また、こうした先進的な取組を全国の地方公共団体に効果的に波及させるということによって、それぞれの地方の文化の掘り起こしや磨き上げにつなげていくこと、こういうことが期待をできるので、そういう意味で文化庁の京都移転は地方創生の一翼を担うものである、そういう位置づけになっているわけでございますので、文化庁としては、こうした期待に応えられるように、京都府、京都市を始めとする地方公共団体や関係府省庁などともしっかり連携しながら、地方創生の効果を上げていきたいと思っております。

金子(恵)委員 文化庁の京都移転ということが全面的に行われたとしても、京都府に与えるインパクトというのは恐らく限られるということだというふうに思います。

 一方で、デメリットの部分は、先ほど来議論がありますけれども、例えば、一部の業務だけを切り出すような移転はかえって非効率となるだろうという危惧もあるということです。

 実際に、文化庁は十月、京都移転を想定して組織を再編するということで、移転を機に文化政策推進機能の強化を目指しているということでありますし、分野別に縦割りとしていた課を機能を重視した横割りにして、文化資源活用課などを新たに設けるとしています。東京には、著作権課と国語課のほか、文化外交を担う文化経済・国際課、国会対応に当たる企画調整課、芸術文化担当の参事官室が残る。そして、専門性が高い分野の職員がいる文化財関係の部署は京都に移るということは予定されているということであります。

 京都に置く文化庁の本庁に職員約七割を配置するということを前提としていますけれども、文化庁を東京と京都に分断して配置することによって、まずは、庁内の中での、庁内の連携が確保できない懸念があるのではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。

 また、他省庁との連携も難しくなっていくのではないかということが懸念されます。例えば、東京に残る部署は、世界遺産や世界無形遺産、文化財修復の国際協力を担当していません。外務省などとの協議をどうするのかという不安もあるというふうに思います。実際に文化資源活用課が所掌するということになるというふうに伺っていますが、この関係は京都に行くということでありますので、そうすると、やはり霞が関との連携というのがとりにくくなっていくのではないかというふうに思います。この件についてどのような対策を講じていくのか、お伺いしたいと思います。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 文化庁の本格移転に当たりましては、委員おっしゃったとおり、職員全体の約七割を京都に配置するとともに、国会対応業務、外交関係業務、関係府省庁との連携調整業務等の東京での対応が必要となる部分につきましては、一部の担当部署を東京に残すことといたしております。

 これによりまして、京都及び東京の間の業務分担が図られることになりますが、委員の先ほどの御指摘のとおり、東京と京都の間で複雑な協議、調整を要する案件などが生じることもございますので、京都と東京の双方に次長を配置いたしまして、危機管理業務や業務遂行の体制の強化を図るとともに、テレビ会議システムを日常的に活用することによって、十分な意思疎通と適切な連携体制の構築に努めていきたいと考えております。

 また、関係省庁との連携調整につきましても、京都と東京の間に距離の課題がとなるおそれがございますので、先ほど申し上げましたとおり、テレビ会議システムの活用や職員配置の工夫等により、円滑な意思疎通と業務遂行を図っていきたいと考えております。

金子(恵)委員 例えば、専門性が高い分野の職員がいる文化財関係の部署は京都に移るということでありますけれども、自治体から文化財の指定や修理に関しての問合せをする場合があるというふうに思いますが、そうすると、今までは東京で済んでいたことを、もしかすると、私は東日本の人間でありますけれども、東日本の皆さんは京都まで行かなくてはいけないのか。どういう形で窓口に行ったらいいのかということも含めて、いろいろな影響があるんだというふうにも思うんですよ。

 そのことについて、例えば東京でも窓口を設置して、そしてしっかりと相談を受けることも可能であるとか、そういう仕組みづくりというのは必要なんだと思うんですけれども、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

丹羽副大臣 委員の御指摘のとおり、東京にある文化庁が京都に移転することによって東北の方々の要望やさまざまな陳情等が困難になるおそれがないように、ICT等の活用によって行政機能の低下を防いでいきたいというふうに考えております。

金子(恵)委員 それは当然、ICT等ということはおっしゃったんですけれども、今言ったように、自治体のさまざまな相談、そういうものもきちんと受けていただく仕組みということでよろしいんですか。

丹羽副大臣 簡単に申し上げますと、各自治体からの御要望は、今までと同様にしっかりと対応できるような体制を整えていきたいと考えております。

金子(恵)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 また、懸念されていることの一つに、県庁や政令市などから出向してきている研修職員の件があります。給与は全て出身母体持ちでありますけれども、定員数二百五十人程度の小さな文化庁にいる研修職員は四十名というふうに伺っています。業務に欠かせない貴重な戦力という声も漏れ聞きますけれども、京都に移転した場合、これまでどおり派遣していただけるのかどうかというところがわからないのではないかと思うんです。

 こうなったときに、文化庁の人手不足というのが実際に生じるのではないか。どのような対策を講じて行政機能の低下を防ぐのか、お伺いしたいと思います。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 人手不足の件につきまして、先ほどの、新文化庁は、約二百五十人の定員に加えて、京都府や京都市を始めとする全国の地方公共団体から、また大学から、研修生の受入れや非常勤職員の任用など、組織改正にふさわしい体制の構築を現在進めております。

 また、研修職員が、勤務地が東京から京都に変わるということで派遣継続ができなくなるのではないか、そういったおそれも生じるかもしれませんが、他方、京都に移ってくることで、京都に近い地域であれば派遣を逆にしていきたい、そういった自治体も出てくるのではないかというふうに考えております。

 各地方公共団体とも十分に連携、協議しながら、国、地方間の人材ネットワークがしっかり広がるように、引き続き努力していきたいと思っています。

金子(恵)委員 京都に移転することによって反対に、京都で研修職員として働きたいという人が多く出てくる可能性もありますけれども、ただ、やはり送ってくる方の県庁とか政令市、地方公共団体は、どちらかというと霞が関に近いところに置きたいというふうに思っていると思うんです。それは、文化庁だけじゃなくて、ほかの省庁との連携というのをやはりできる、そういう環境というものも必要だろうという思いだというふうに思うんですね。

 ですから、そのことも含めて、先ほど、いろいろな新たな技術を持って連携をとっていくということでありますけれども、その部分もしっかりとカバーをしていっていただきたいというふうに思っております。

 本法律案で、博物館に関する事務は全て文化庁が所管することとなっているということですけれども、文化庁が一括して所管する意義及び博物館の社会教育施設としての機能の確保策についての考えを伺いたいと思います。

丹羽副大臣 この法律案におきまして、博物館を含めた博物館全般に関することを文部科学省の本省から文化庁に移管することによって、博物館に関する行政をより一体的に推進し、さらなる博物館の振興につなげていく上で意義があることと考えております。

 また、博物館の社会教育施設としての機能につきましては、社会教育行政全般を取りまとめる生涯学習政策局とともに連携をして博物館行政を推進することを通じて確保していきたいと思います。

 このため、文化庁におきまして、京都移転後においても博物館の担当課を東京に置きまして、生涯学習政策局や社会教育担当課とも日常的な連携協力体制を確保することといたしております。

金子(恵)委員 今おっしゃっていただきました、法案に関連して、博物館に関連いたしまして一つ質問させていただきたいんですけれども、東日本大震災で被災した文化財の修復を担っている博物館に対しての支援についてお伺いしたいと思うんです。

 東日本大震災の津波で被災した文化財の修復を担う岩手県立博物館が本当に時間との戦いを強いられているという記事が、先月、四月十六日だったと思いますけれども、東京新聞に掲載されました。修復作業を資金面で支えている文化庁の補助が、国の復興期間に合わせて二〇二〇年度末で廃止になるということです。膨大な修復をようやく半分を終えたにすぎない状況でありまして、県立博物館は、完了には更に十年が必要と訴えています。

 岩手県は、被災ミュージアム再興事業補助金を活用して博物館に修復用の専門施設を新設し、本年度も三億四千八百万円の補助を受けているということでありますけれども、それでもあと十年はかかるだろうというふうに言っている。

 先ほども申し上げましたけれども、文化の復興というものが本当の復興のゴールには必要なんだというふうに思います。

 ぜひ、支援というものを継続していただきたい。補助を継続するということは、別な形でもいいですけれども、どのような形でこの支援を継続していただけるかということをおただししたいと思います。

林国務大臣 東日本大震災によって被災した文化財については、これまで文化財保存に係る専門家、これを現地派遣いたしまして、未指定の文化財も含めて、文化財の一時避難とか洗浄等の応急処理を行う文化財レスキュー事業を進めてまいりました。応急処置された文化財の修復については、平成二十四年度から、今度は被災ミュージアム再興事業を実施して、被災した古文書や歴史資料、民俗資料等の文化財からの汚泥やカビの除去、脱塩、修理について支援してきているところでございます。

 岩手県においては、陸前高田市内の施設から救出された被災文化財について、引き続き、岩手県立博物館が主導的に文化財修復を行っておられまして、文科省として支援を行っております。

 文科省としては、引き続き、被災文化財の修復、被災地への専門家派遣などについて、岩手県始め被災地の御要望をお伺いしながら、必要な支援を進めてまいりたいと思います。

 委員がおっしゃったように、政府の復興期間、十年間となっておりまして、二〇二〇年度で終了いたしますが、我々としては、被災県の御要望や御意向をお伺いしながら、必要な支援を検討し、対応してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ぜひ支援を継続していただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 文部科学省設置法改正案について、林芳正文部科学大臣に伺います。

 林大臣は十五日の本会議趣旨説明で、本法案が文化庁の機能強化を図り、文化に関する施策を総合的に推進するために必要な体制の整備を行うものだと述べられました。

 そこで伺いますが、文化庁の機能強化とは具体的にどのような内容を言うのでしょうか。

林国務大臣 本法案では、文部科学省及び文化庁の所掌事務といたしまして、文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、文化に関する関係行政機関の事務の調整、これを追加することとしております。

 これによりまして、文化庁は、新たな事務として、各府省庁間の調整を図りながら、政府全体の文化行政の計画を取りまとめて、効果的に実施していくことが可能となります。その結果、文化庁が直接担当する文化施策のみならず、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めることで、各施策の相乗効果や好循環の創出が期待できると考えております。

畑野委員 二〇一六年十一月十七日の文化審議会答申、文化芸術立国の実現を加速する文化政策では、これからの文化政策の目指すべき姿として、文化芸術資源の活用により生まれた社会的、経済的価値等を新たな文化芸術活動の振興へと還元するという好循環をつくり上げていくことが重要と述べております。

 これはどういう意味ですか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の好循環の具体的な例といたしましては、地域の多様な文化財を一体的に捉えて、町づくりに生かしたり、地域特有の美しい景観を取り戻し、維持したり、地域で芸術祭を開催したりするなどの取組を進めることが考えられ、地域への観光客や収入の増加がもたらされる等、それにより、にぎわいや人と人とのつながりが新たに創出され、生み出された社会的、経済的価値等が文化財の保存や文化芸術活動のさらなる発展へつながっていくということが考えられるということを説明したものでございます。

畑野委員 ところが、文化経済戦略、前回の委員会でも取り上げましたけれども、そこでは、「国や地方自治体、企業、個人の各々による投資が促進されることを通じて文化芸術を起点とした創造的な活動のサイクルが回り出し、そこから高い付加価値や新たな需要が創出されることにより、持続的な文化の発展と経済成長に繋がる好循環の構築を目指す。」というふうに言っております。

 平たく言いますと、投資を呼び込めるような文化芸術資源で資金を稼いで、それで文化芸術の振興に回す、そういう環境をつくるということではありませんか。

 私、文化庁の「「文化経済戦略」の策定について」という二〇一七年十二月二十七日の報道発表も読みましたけれども、そこでは、「内閣官房(文化経済戦略特別チーム)及び文化庁において、文化と経済の好循環を実現する省庁横断の新政策を実行するため、「文化経済戦略」を策定」したというふうに書かれていて、その文化経済戦略は、文化と産業、観光等他分野が一体となって新たな価値を創出し、創出された価値が、文化芸術の保存、継承や新たな創造等に対して効果的に再投資されることにより、自立的、持続的に発展していくメカニズムを形成することを目的として策定されたということですよね。文化経済戦略特別チームというのは、経済拡大戦略のためのプランをつくっていくということでつくられたというふうにも紹介をされているわけです。

 ですから、私、今回の文部科学省の、また文化庁の機能強化というのは、文化芸術基本法、基本理念が十ありますけれども、一つ一つが本当に大事な内容になっております。これは、超党派議員連盟の提案によって当委員会でつくられたものです。その中でも、「文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならない。」とか「創造性が十分に尊重されるとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう考慮されなければならない。」とか、一つ一つが本当に大事なこと、十項目にわたって言われております。

 その最後の十番目の理念のところを政策として具体的に推し進める、こういうことばかりが強調されているように私は感じるんです。ほかの基本理念がないがしろにされるべきではないと思いますが、いかがですか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、昨年六月に成立いたしました文化芸術基本法第二条におきまして、文化芸術に関する施策の推進に当たりましては、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育、産業など関連分野との有機的な連携が図られるよう配慮しなければならないとする新たな理念。

 実はそれまで、理念としては八項目が挙げられておったわけでございますけれども、新たに二項目追加した。そのうち、委員御指摘の十番目のものが新しくつけ加わったものでございますけれども、それを踏まえまして、文化庁が、従来の文化振興施策にとどまらず、文化に関連する施策を総合的に推進することができるよう、その所掌事務を明確にするものでございます。

 有機的な連携を図る分野といたしましては、これまでもさまざま議論に及んでおります観光や産業などの経済と大いに関係する分野もございますが、あわせまして、例えばその理念の中でも、国際交流や福祉、教育などの分野とつながることによりまして、国際貢献や共生社会の実現だとか、あるいは次世代の育成など、他の理念、ほかにも理念をさまざま掲げておりますけれども、他の理念にも通じるさまざまな社会的価値をもたらすものもあると理解しております。

畑野委員 この文化芸術基本法の、私、質問いたしまして、提案者の大事な御答弁をいただいてまいりました。懸念があったわけですね。

 当時、山本幸三地方創生担当大臣が、一番のガンは文化学芸員だとか、観光マインドが全くなく、一掃しないとだめだという暴言があって、これは厳しく批判をいたしました。

 それで、こういう中で、観光、町づくり、国際交流などの関連施策にかかわらない文化芸術そのものの振興は置き去りにされかねないのではないか、観光や町づくりの名のもとに、文化財の保存が曖昧にされたり、文化行政がゆがめられてはならない、どうでしょうかと質問しましたら、提案者から、縮小されるんじゃないか、こういう懸念に対しては、全くそういうことではなくて、より幅広にやっていこう、こういうことでございますから、体制、予算等々含めて、この改正をすることによって、私は、より充実していくものと確信しておるところでありますというふうにおっしゃっております。

 それで、私は、さらに、文化芸術の振興そのものは、何か成果を上げなければ行わないとか、成果を上げていないものは行わないというものではなくて、文化芸術の創造、享受は、本法律にあるように国民の文化的権利なのでありまして、当然、今以上に進めていく課題だと思いますが、いかがですかという答弁に、自主性、創造性、それを尊重するということが大前提でありますので、御指摘のような、いわゆる成果主義を強調することによって文化芸術活動を行うことが萎縮するようなことがあってはならないと考えておりますし、それは法律の趣旨ではございませんというふうにおっしゃられ、国の基本計画を押しつけるものではないというふうに、地方自治体についても、国の計画を参酌、すなわち参考にしつつも、実情に即した計画を定めるよう努めるということですなどなど、一つ一つやってきたんです。

 それで、結論は、私は、現状の文化予算の規模を当然視するのではなく、文化芸術の振興のために予算面で国が積極的な役割を果たすべきではないかということの提案者の御答弁が、さらに文化予算の充実、拡充に、党派を超えて進めたいと政府に働きかける、この予算を適切に執行するためにも、文化庁の機能の拡充が必要であるということで附則第二条に書いたと言っているんですね。

 何か大もうけのために進めてほしいというのは、ここで基本法を議論するときにそんな議論になっていないんですよ。国がもっと予算を獲得する、本当に文化芸術を進めてほしいという超党派議連やあるいは関係団体の皆さんの願いや思いがこもったものだった、表現の自由という問題も加わったということを私指摘しておかなくてはならないと思います。

 ですから、十の基本理念、これはないがしろにされることではないと、確認ですけれども、いいですね。

中岡政府参考人 ちょっと聞き取れなかったんですけれども、十の……(畑野委員「基本理念については、これはないがしろにされるべきではないと考えますが、いかがですか」と呼ぶ)はい。この文化芸術基本法に基づいて、今回の文部科学省設置法の改正を御提案させていただいているということでございます。

 そういうことでございまして、この文化芸術基本法の理念、基本理念、ここについてはしっかりと踏まえて、文部科学省の設置法の運用につきましても、しっかりと気をつけてまいりたいというふうに思っております。

畑野委員 そうはおっしゃいましても、本当に心配があります。

 というのは、きのうから本会議で議論が始まった特定複合観光施設区域整備法案、いわゆるカジノ実施法案ですけれども、そこでは、納付金の額に相当する金額を、観光さらには文化芸術の振興に必要な経費に充てるというふうに言われているんですよね、政府提案のこういう法案が。つまり、ばくちで人の不幸の上に集めたお金を文化芸術に充てるなど、これは言語道断じゃありませんか。

 この文化芸術基本法に当たって、その提案者の趣旨というのは、国の文化予算をしっかりと拡充していこう、国が支援しようということだということを私は指摘しておきたいと思います。

 次に、新学習指導要領は、学校段階ごと、教科、領域、学年ごとに詳細に身につけるべき事項を示し、目標及び内容に示す資質、能力を偏りなく養うことを目指すものと書かれております。教育関係者の皆さんから、技能を身につけることに主眼が置かれて、本来の感性や情操を養う教育がゆがめられないかという懸念の声が聞かれております。

 そこで伺いますが、新進芸術家の育成を担ってきた文化庁が学校教育にかかわることになって、トップレベルの芸術家の育成が重視されて、本来身につけるべき基本的な教育内容が軽んじられるということはないと思いますが、どのように対応されるおつもりですか。

林国務大臣 芸術に関する教育は、子供たちの豊かな感性、情操、創造力、こういうことを育むことを目的として、初等中等教育局において行ってまいりましたが、本法案によって、芸術に関する教育の基準の設定に関する事務が文化庁へ移管された後も、その趣旨、目的は変わらないということでございます。

 文科省としては、この改正によりまして、文化庁が今まで培ってきた知見やネットワーク等を、学校における、先ほど申し上げましたような芸術に関する教育と有機的に結びつけまして、今まで以上に活用することで、生活や社会の中の芸術や芸術文化と豊かにかかわる子供たちの資質、能力、これを更に高めるとともに、文化芸術の新たな担い手の育成へつながる、それもあわせて期待をしているところでございます。

畑野委員 次に、博物館の問題です。

 教育基本法第十二条第二項で、公民館、図書館と並んで社会教育施設とされております。社会教育法第五条で市町村教育委員会の所管とされております。また、博物館法によってその設置及び運営に関する規定が定められておりまして、文部科学省の生涯学習政策局社会教育課が所管してまいりました。

 法案は、社会教育施設と位置づけられている博物館を文化庁の所管に移すわけですが、何のためにそのようにするのでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の制度におきましては、博物館全般に関することは文部科学省本省が所管をし、博物館のうち約八割を占めております美術館と歴史博物館につきましては文化施設として文化庁が所管をし、社会教育の観点も含め、特色ある取組や学芸員の研修など、さまざまな支援を推進しているところでございます。

 博物館に関する行政をより総合的、一体的に推進していく体制を整備するということで、この法案におきましては、博物館全般に関する所掌を文部科学省本省から文化庁に移管するものでございます。

 この改正を機に、文化庁が一元的に博物館行政を担うことになるわけでございますが、博物館分野を横断して、博物館分野の振興を推進していくということができる。社会教育行政全般を所管いたします生涯学習政策局とは引き続きしっかりと連携して、社会教育の振興を支えてまいりたいと考えております。

畑野委員 博物館というのは、地域の社会教育の拠点として、まさに教育機関として重要な役割を果たしてまいりました。

 社会教育推進全国協議会の皆さんからもお話をいただきました。

 神奈川県の相模原市立博物館では、住民やボランティアの皆さんと一緒になりまして、地域のボランティア組織相模原植物調査会が野外調査で植物収集をする中で、県内初となる植物を発見して、それが県のレッドデータブックに載ったり、高校生や大学生が研究成果を報告する学びの収穫祭の取組など、博物館を核にした実践が豊かに広がっていると伺っております。

 こうした役割、どのように御認識されていらっしゃいますか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の博物館の意義でございますけれども、博物館は、博物館資料の収集、保管、展示を行うほかに、学校や公民館等の教育、学術又は文化に関する諸施設と連携協力をし、教育普及活動を行うなど、実践も含めた社会教育のための施設として重要な意義を有する施設であると考えております。

 このような社会教育実践としての意義は、本法案によりまして、文化庁に博物館に関する業務が一元化されましても変更するものではございません。

畑野委員 地域の公立博物館などが社会教育施設として本当に大事に取り組まれてきた。これが文化庁の所管になることで本来的な位置づけが曖昧にされるのではないかという懸念の声も伺いました。それは、博物館を文化庁に移管しても、あくまでも社会教育施設であるという位置づけに変わりはないということでよろしいですよね。

 文化庁として、博物館に関する社会教育をどのように進めていきますか。

中岡政府参考人 今回の法案におきましては、博物館全般に関する所掌を文部科学省本省から文化庁に移管することとし、博物館に関する行政をより一体的に推進していく体制を整備することとしておりますが、先ほども御答弁申し上げましたが、社会教育施設として位置づけられる博物館の役割や業務には変更はございません。

 本法案の改正を機に、文化庁が一元的に博物館行政を担うことで、博物館の分野を横断して博物館全体の振興を推進していくとともに、社会教育行政全般を所管する生涯学習政策局と引き続きしっかりと連携をして、社会教育の振興を支えてまいりたいと考えております。

畑野委員 確認させていただきました。

 現在、中教審で、人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策についての議論が始まっていると伺っております。どのような検討ですか。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 本年三月二日でございますけれども、中央教育審議会に対しまして、今、委員御指摘の、人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について、大臣から諮問いたしました。

 この諮問におきましては、地域経済の縮小あるいは貧困問題などの地域社会が直面いたしますさまざまな課題、一方で、人工知能やIoTの進展など、今後予想される社会のあり方の大きな変化、こうしたものに対応いたしまして、持続可能な地域づくりや共生社会の形成を進めるという観点から、社会教育がどのように貢献すべきかということについて検討をお願いしております。

 具体的には三点ございまして、第一点は、関係者の連携と住民の主体的な参画による新しい地域づくりに向けた学習あるいは活動のあり方、第二点は、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設に求められる役割、第三点は、社会教育施設に求められる役割を果たすために必要な具体的な方策、この三点について主に検討をお願いしております。

 文部科学省といたしましては、中教審において、先進事例のヒアリング等も行っていただきながら、新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について積極的な御検討をいただきたいと考えております。

畑野委員 実は、大臣が諮問されているんですよね。その諮問文によると、社会教育施設が、地域活性化や町づくり等の分野と効果的に連携を図るための運営のあり方や振興の方策について、その所管のあり方も含めて検討するよう諮問しているということです。この中には、教育委員会が所管する地域の博物館を、町づくり行政、観光行政等の一体的な取組が進められるよう、首長部局の所管とできるよう検討することにも触れられています。前回、私はこれを問題にしました。

 さらに、多様な手法による資金調達の活用促進等、民間の力を活用した施設運営のあり方についての検討など、博物館を始め図書館、公民館を含めた社会教育施設のあり方が大きく変えられようとしているんじゃないかという懸念があります。

 博物館法二十三条では、公立博物館は、入館料など利用に対する対価を徴収してはならないということになっているんです。こういうことがゆがめられてしまうんじゃないかという懸念もあるんです。

 確認です。

 社会教育施設は、その法的位置づけを維持し、そのもとで発展の方向を打ち出すべきではないかと思いますが、いかがですか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、委員御指摘のとおり、三月二日の中教審への諮問におきましては、社会教育施設が、地域の実情を踏まえつつ、地域活性化や町づくり等の分野と効果的に連携を図るための運営のあり方や振興のための方策について、その所管のあり方も含めて御検討をお願いしているということでございます。

 現在の検討状況といたしましては、中教審の中の生涯学習分科会のもとに、ワーキンググループにおける議論を今行っているところでございますので、その中での専門的な見地からの御検討ということをしっかりと受けとめた上で、私どもとしては対処してまいりたいというふうに考えてございます。

畑野委員 社会教育施設は、社会教育施設としてその法的位置づけをしっかり維持して、さらなる発展をするべきだということを求めておきたいと思います。

 最後に、先ほどから議論になっております加計学園獣医学部新設について質問をいたします。

 一昨日の五月二十一日、国会に提出された愛媛県の新しい文書です。

 四月二日の柳瀬首相秘書官と愛媛県、今治市、加計学園側との面談の際に、文部科学省から官邸に出向していた角田参事官の同席が確認できます。

 県が作成した面談結果概要メモ、二十七ページある愛媛県の提出文書の中の二十五ページのところにありますが、柳瀬首相秘書官が、官邸にも参事官として農水省と文科省から出向している者がいるので必要に応じて相談してはどうかと、県、市、学園側と角田参事官との間の橋渡しをするような発言をしております。

 この面談以降、角田参事官は、県、市、学園側と具体的にどのような相談をされてきたんですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今回、先生御指摘のとおり、五月二十一日に愛媛県から参議院予算委員会に提出された文書に関しまして、愛媛県提出の文書に記載のある平成二十七年四月前後の柳瀬総理秘書官と加計学園等の関係者の面会について、これまで、内閣官房からの指示により、文部科学省において、当時文部科学省から内閣官房に出向した職員への、当時の角田参事官でございますけれども、聞き取りを行ってきたことを踏まえまして、補足的に、確認事項としまして、角田氏に対しての追加聞き取りを行ったところでございます。

 先生御指摘の点につきまして、官邸にも内閣参事官として農水省や文科省から出向している者がいるので必要に応じて相談してはどうかとあるけれども、それについてどうかということについて本人に聞き取りさせていただいたところでございますけれども、加計学園や愛媛県、今治市から相談を受けた覚えがないというふうなことの回答を得たところでございます。

畑野委員 確認ですけれども、これは五月二十一日ので確認したということですね。

義本政府参考人 御指摘のとおり、二十一日のを受けて、その日の夜になりますけれども、本人から確認させていただきました。

畑野委員 思い出していただくために、時間がずっとたっているわけですよ。

 それで、愛媛県の方からは、四月二日前後ではないですよね。二十七年四月二日と、角田喜彦と書いた内閣参事官の名刺も今回添付をちゃんとされているわけですよね。こういう事実がどんどんどんどん明らかになってくるわけですから、どんどん思い出していただくように、私、角田さんに出ていただくように当委員会の理事会でお願いしておりますけれども、ぜひ委員長、諮っていただきたいと、最後、確認します。

 それからもう一つ、二十六ページには、柳瀬氏は、企画書をつくって吉田高等教育局長に提案するようアドバイスしているんですね。吉田さんはどのようなアドバイスをされたか聞かれましたか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年四月二日当時の吉田高等局長でございますけれども、先生御指摘のとおり、関連する文書の二十六ページに、文部省でいうと高等局の吉田局長にしかるべき提案をというふうな話がございましたので、昨日、御本人に対して事実関係を確認いたしましたけれども、吉田氏からは、加計学園の関係者に会ったことがないというふうな回答をいただいております。

畑野委員 吉田さんにもきちっと来ていただいてお話を伺いたいと思いますので、これも委員長にお願いしたいと思います。

 最後に、大臣、今回いろいろと総理の御発言もあるようですけれども、こういうことを含めて、しっかりと文部科学省として調査をすべきだと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 先ほど義本局長からも答弁いたしましたように、その都度その都度、この間、例えば柳瀬さんの国会での発言があった後も、また今回、五月二十一日を受けて、その都度必要な聞き取り等をやって確認をしてきているところであるというふうに認識をしております。

畑野委員 では、委員長、今申し上げた方に加えて中村愛媛県知事に来ていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わりますが、いかがでしょうか。

冨岡委員長 理事会で諮りたいと思います。

畑野委員 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 文化庁が移転するということで、文化という言葉をちょっと調べてみましたらば、結構奥が深い言葉でございました。

 カルチャーという英語を坪内逍遥さんが翻訳して、文化という字を当てたそうでございます。そうしまして、この文化というのをまた調べてみますと、辞典的には、行動様式とか生活様式の総体ということでございまして、要するに、いいとか悪いとかではなくて、暮らしぶりそれ自体を指しているような意味合いというふうに定義づけられているようでございました。

 暮らしぶりといいますと、有名なサラリーマン川柳というのがきょう発表されまして、その第一位が「スポーツジム車で行ってチャリをこぐ」という、自転車でなぜ行かないのかということなんでしょうけれども、これも一つの文化になっているのかなと。二位は、「「ちがうだろ!」妻が言うならそうだろう」という、私もなるべく逆らわないようにしているんですけれども、これも我が家の文化かなと思っています。

 あすの予定もわからない国会というのもあしき文化ではないかなと思うんですが、そういう意味で、文化というのは、いいとか悪いとかではなくて、現状を言っているということなのではないかなと思うんです。

 その点で、今回の改正の規定に関してお聞きをしたいんですが、第三条なんですけれども、現行には、二行目ですけれども、この白いものですが、「学術及び文化の振興」というのが現行法になっておりまして、これが改正案では、「文化の振興」という「文化」は除かれているんですね。

 私は、そういう意味では、現行法の「文化の振興」というのが暮らしぶりをいうのであれば、暮らしぶりを振興するというのはやはりおかしいなというふうに思っていたので、今回の改正案は、この「文化の振興」という「文化」を「振興」から外したというのは、私が今指摘したような意味合いを込めて改正されたのでしょうか。確認をさせてください。

中岡政府参考人 条文の立て方の御質問でございます。

 今回の法改正は、文化庁の機能強化に向けまして、文部科学省及び文化庁の任務を、これまで所掌してまいりました「文化の振興」にとどまらず、より広い「文化に関する施策の総合的な推進」と改めることによって、総合的、戦略的な文化行政の推進を図るものでございます。

 このために、現行法におきまして「学術及び文化の振興」となっておりましたものから「文化」を削除いたしまして「学術の振興」とする一方で、「スポーツに関する施策の総合的な推進」の部分に「文化」を追加するということで、「スポーツ及び文化に関する施策の総合的な推進」と改めることとしておりますが、この趣旨は、基本的に、「文化の振興」自体が「文化に関する施策の総合的な推進」の中にもう取り込まれているというような整理でございますので、前の部分を削ったというものでございます。

串田委員 今の説明はわからなくはないんですけれども、文化というのがありのままの状況の生活ぶりであるとするならば、それを振興するというのはどういう意味なんだろうと、ちょっと日本語的にはわかりづらいので、逆に、改正案がそれを除いて、「施策の総合的な推進」という意味では、現在の生活様式の、生活をしやすくするという意味で推進するという意味では、そういう意味からすると、私は好意的に改正案の文言を考えたんです。

 次に、四条についてお聞きをしたいと思いますが、ここで追加された規定があるわけですけれども、この四条の「つかさどる」というところが追加されたということであるとするならば、現行法はこれはつかさどっていなかったということになるのかということなんですけれども、「文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること」を「つかさどる」というのを追加しているということは、これまではこれは行われていなかったという理解でよろしいんでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 この部分が今回の法改正の目玉の部分でございます。

 現行法では、文部科学省の所掌事務といたしまして、「文化の振興に関する企画及び立案並びに援助及び助言に関すること。」と規定されており、これまでも、文化庁では、文化芸術の振興や文化財保護に関する施策の企画立案を実施してまいりました。

 これに対しまして、昨年六月に成立いたしました文化芸術基本法におきましては、文化芸術に関する施策の推進に当たって、より広く、観光、町づくり、国際交流、福祉、教育、産業等の関連分野との有機的な連携など、新たな展開が求められているところでございます。

 このために、文化庁がこれまで担ってきました文化振興等の企画等は今後も文化庁で行いつつ、各府省庁が所掌する文化関連施策については、それぞれ府省庁で実施していくとともに、これらの施策が文化庁の調整のもとで相互に有機的に連携して展開されるよう、この改正案におきましては、新たに新設の条文、「文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進」というものを規定するものでございます。

串田委員 今お答えをいただいたものの中で、事務の調整を行うというお話がありましたが、これも今回の改正で行うことになったということになるんでしょうか。これまで調整をしていたところはどこになって、今後、その調整をする機関というのはどういうところを想定されているんでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 今回、事務の調整の規定を新設いたしております。

 これは、昨年六月に成立いたしました文化芸術基本法に基づきまして文化芸術推進会議が設けられたところでございます。関係行政機関としては、文部科学省、内閣府、総務省、外務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省などということで法定されているところでございます。

 そういう意味において、これまで、いわゆる組織法上はこういう事務の調整というものの規定はなかったわけでございますけれども、昨年成立いたしました基本法に基づきましてそういう調整といいますものを直接行っていたということでございますが、今回、この設置法の中にきちっと位置づけるということでございまして、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育、産業など関連分野との有機的な連携を図るため、そういった分野を所管する関係行政機関との間で相互に調整を図っていくということがはっきりとしたということでございます。

    〔委員長退席、神山委員長代理着席〕

串田委員 これまでも調整はしていたけれども、それを明確にしたというような意味合いで理解させていただきます。

 次に、この資料のところに記載されている芸術教育に関する点を質問させていただきたいんです。

 芸術教育に関する事務を本省から文化庁に移管しとあるんですけれども、芸術教育だけを文化庁に移転していく理由というのはどういうことなんでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 芸術に関する教育を文化庁に移管することとした理由ということでございます。

 子供たちが生涯にわたり芸術を愛好し、感性を高め、心豊かな生活や社会を創造していくためには、芸術に関する教育等を通じまして、生活や社会の中の芸術や芸術文化と豊かにかかわる資質、能力を培っていくことが求められております。また、我が国におけます文化芸術の持続的な発展のためには、文化芸術に関する人材の育成といいますものも極めて重要なものでございます。

 しかしながら、現行制度におきましては、学校における芸術に関する教育は文部科学省本省が、また、学校以外での子供たちの文化芸術の振興や普及、トップレベルの芸術家育成は文化庁がそれぞれ担当しておりまして、両者の連携が十分ではない状況がございました。

 このために、本法案におきましては、学校における芸術に関する教育の基準の設定にかかわる事務を文化庁に移管することといたしまして、学校教育と文化芸術行政とをしっかりつなげることで、全ての子供たちへの芸術に関する教育、文化芸術の普及やトップレベルの芸術家の人材育成とを一体的に担うことによりまして、国民の文化芸術に関する素養のさらなる向上と文化芸術人材の育成強化を図りたいということで、今回移管をしたということでございます。

串田委員 文化庁、今回、その機能をある程度、博物館も統合をしていくような形で理解しているんですが、一方、芸術ということになりますと、例えば、今必修科目になりましたダンスだとか武芸だとか、こういうものというのは芸術の中に入るのか入らないのか。芸術という言葉自体が非常に広い概念でありますので、どこまでが入るのか。

 むしろ、分離されていって、今まで統合していくんだという流れが趣旨であるのかなと思っていたんですけれども、逆に、芸術教育に関しては文化庁に移管するということになったときの芸術の範囲というのが逆にはっきりしなくなってしまうんじゃないかと思うんですけれども、ダンスとか武芸だとか、例えば武芸でも空手の型なんというのは私は芸術のような気もするんですけれども、その点はどうなんでしょうか。

中岡政府参考人 文化の範囲あるいは芸術の範囲につきまして、非常に広うございますので、その定義につきましてはなかなか難しい部分がございます。

 文化庁におきましては、バレエやダンス等のトップレベルの舞台芸術創造活動等に対しまして支援を行っております。また、地域において伝承されている武術につきまして、条例に基づき、自治体指定の無形文化財として指定している例もございます。文化庁におきましても、申請に応じて支援をしているという状況でございます。

 一方で、委員御指摘のように、ダンスや武芸の形態といいますものは、先ほど例に挙げられたものでも一様ではなくて、一律に芸術に含まれるのか含まれないのかといったところを行政の方で決めるというものではないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、文化芸術が人間に多くの恩恵をもたらすものであることから、文化芸術基本法の趣旨に沿って文化芸術の振興を図るということの基本に返るということになっています。

    〔神山委員長代理退席、委員長着席〕

串田委員 芸術教育だけを文化庁に移管するということなので、今ダンスが必修科目になっている中で、例えば体育の授業は、これは本省が体育の教師になるのかなと。しかし、ダンスを教える段階になると、これは芸術と言わないのかなというのがありまして、そういう意味では、芸術教育を担当する教員や人材も文化庁が育成するというようなことなんですけれども、そういう意味では、芸術というものの境目というのが非常にわかりづらいことになるのではないかなと思うんですが、そこを事前にきっちりしておかないで大丈夫なんでしょうか。

 そこの育成も含めまして、どこまでが芸術かというのを今の段階でもわからない中で移管すると言われても、非常に現場でも難しいし、ダンスを芸術と言わないというといろいろ異論もあるでしょうし、その点はいかがなんですか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 芸術の範囲といいますものがどこまでの範囲を示すものかということを画するべきであるというような御意見だと思いますが、芸術の振興という言葉では、文化芸術基本法の第八条に規定がございます。規定の中に文言がございます。その中では、芸術につきましては、「文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術」と規定されているわけでございます。

 しかしながら、そういう言葉の定義の程度でございまして、まさに委員御指摘のような、その中でもさまざまなものがあるということにつきましては、きっちりと分類されているものではないと認識をしております。

 一方、今回の改正によりまして文化庁に移管されます芸術に関する教育にかかわる具体的な業務の対象といたしましては、小学校の音楽、図画工作、中学校の音楽、美術、高等学校の芸術科、音楽科、美術科といった教科、科目に関することを予定しているということで、その部分については一義的に決まってくるということでございます。

串田委員 ダンスが必修科目になったということで、それを契機にして、ダンスに関してもトップレベルのそういう生徒になっていただきたいなと思いますし、そういう意味で、スタートラインが必修化なのではないかなと思いますので、どうなんでしょう、体育の延長線なのか、芸術のものを教えるのかというのは非常に難しい部分があるのかなと思いますので、そこら辺はじっくりともう一度検討していただければいいかなと。非常にその境目というのは難しい部分もあるのかなというふうに思っています。

 次に、ちょっとがらっと変わって、著作権のことをお聞きしたいんですけれども、著作権が特別扱いされているような、所管がかわる、違うような部分もあるんですが、これは何か歴史的ないきさつというか、そういったようなことがあるんでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 特別扱いといいますか、例えば、これまで芸術文化の行政だとか文化財保護の行政、そういったものとはちょっと一線を画した性質のものでございますが、平成十年に著作権課という課が、それまでは文化部にあったんでございますけれども、長官官房に移管された当時は、ネットワーク化等の技術革新による著作物の利用形態の多様化や、著作権制度をめぐります国際的動向等への考慮の必要性などが新たな課題として生じてまいりました。まさに今、現行の著作権法が、国際情勢に伴いまして、いろいろな制度改正等が次々に行われているのがまさにその証左でございます。

 このため、文化庁におきましては、これら国内外の著作権をめぐる多くの課題に対応するために、関係府省庁との連携や国民の著作権に対する意識を高める広報などを総合的に推進する必要が生じたことから、著作権課を長官官房に移しまして、より体制の整備充実を図るというのが経緯だというふうに聞いております。

串田委員 その問題の根底にあるのは、著作権を非常に広い概念として捉えているのかなと。

 例えばコンピューターのソフト、プログラムですね、これも著作権の対象ですし、絵画だとか小説だとか、そういう芸術的な分野も著作権の分野であって、芸術的な分野と工業的なコンピューターのプログラムというものが混在したものを一つとして扱うところに、私はちょっと無理があるのかなと。

 一般的に、やはり絵だとか小説だとかは芸術なので、これはやはり文化庁だとか文科省の対応にすべきなのかな。それが、プログラムだとかそういったような問題が、国際的な問題になるので長官官房というのはわかるんですけれども、それを一緒くたにしてしまうものですから。文科委員会においても、著作権の扱い方が、文科委員会ではないとか、あとは、この前の海賊版の部分も、総務省かというと総務省じゃなくて、やはり内閣府だったとか。

 いろいろな意味があって、著作権に関しては、非常に扱いが難しい部分があるのかなと思うので、そこら辺、工業的なプログラムだとかというのをちょっと分離するようなというか、何か別部門で考えていくというようなこともこれからちょっと必要なのかなというのは、個人的には、感想としては思っているところでございます。

 ところで、先ほどから、文化庁が京都に移転するということで、何人も質問があったんですけれども、この移転に関して、職員には戸惑いはなかったんでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化庁が京都に移転することで、文化による地方創生、文化行政の強化が図られるという、これまでもこの委員会でたびたび御答弁申し上げているところでございますけれども、そういう期待がある一方、初めての中央省庁の地方移転ということでございまして、とりわけ、国会対応だとか各省調整だとか外交だとか、さまざまな関係を持っている担当の職員、そういったところを中心に、戸惑いを覚える者もいるだろうと考えております。

 このため、文化庁内におきましても、京都移転に関する職員向けの説明会を開催したり、京都移転についてお互いに意見を持ち合う機会を設けるなど、職員の思いにも耳を傾けながら、移転に向けた機運醸成を進めているところでございます。

 遅くとも平成三十三年度を目指すとされます本格移転、そこのフェーズにおきましては、職員の個々の事情などにも十分に配慮するとともに、住環境の確保や家族の教育、保育などを含めた福利厚生など、環境整備にもしっかりと取り組んでいかなきゃいけないというふうに考えております。

串田委員 先ほどまでも、こういう移転に関してはより積極的にというお話がありましたが、我が党は、文科省に限らず行政機関がいろいろなところに、地方分権的な部分で、東京一極主義というものを是正するという意味でも進めていくことがいいのかなというふうに主張させていただいている党でございます。

 これは、災害が起きたときにも、やはり一つに集中していることによって壊滅的な状況にならないというような、そういうリスクヘッジということもあるでしょうし、そういう意味で、今回の文化庁の移転というのは大変興味があるというか、行く末がどういうふうになっていくのかということを、大変推移を見守っていきたいというふうには思っているんですけれども。

 先ほどちょっと国会対応というお話がありましたが、例えば質疑をするときに、いろいろな方が説明をしに来てくれたりとか、いろいろなことがあるんですけれども、文化庁が京都に移転することによって、そういう質疑だとかというものを、当然京都から来ていただくということはできないので、東京に滞在する人も何人かいらっしゃるということなんですが、二重に担当者が必要になってくるというようなことになると、これは行政に関しての本末転倒的な部分があると思うんですが、そこら辺はどういうふうにクリアしていくというおつもりなんでしょうか。また、そのときには、東京と京都が何らかの会議みたいな、いわゆるテレビ会議みたいなことを想定されているのかもあわせてお聞きしたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 何分初めてのことでございまして、試行錯誤の部分もあるわけでございますけれども、ある意味、さまざまな状況を想定しながら議論をしているところでございます。

 今回、国会等の対応のために京都から職員が東京に来るということも想定されると思います。とりわけ国会審議を法案などでお願いする場合は、ある意味相当根を詰めて議員の先生方に御説明申し上げるというような機会も多くなってまいります。そういったところにつきましては、例えば、そういったスペースを東京の方にきちっと確保してやる必要があるというようなことも考えなきゃならないわけでございます。

 また、二重に人員が必要になることはないのかということでございますけれども、先ほど、次長を二名体制にする、これは別に二重でやっているというわけではなくて、それぞれ文化庁の組織自体が分かれるということでございますので、それぞれ危機管理という観点で責任を持つ職員が必要でございますので、そういうような体制にするというわけでございます。

 この京都移転を進めるに当たりまして、当初から、こういう二重行政というものにならないようにしっかりと検討していかなきゃいけないということはさんざん指摘されてきたところでございまして、今回、私どもの組織改正案につきましても、そういったことがないように、きちっと内閣人事当局と調整をさせていただいておるということでございます。

 また、京都と東京の間で会議を行うということもございますが、これもるる御答弁申し上げておりますけれども、既に今、テレビ会議システムで文化庁の庁議を行っています。庁議というのは、長官が出まして、実は、その会議の部屋の奥には京都の職員が見えるぐらいの感覚で、高性能なテレビ会議システムが入っております。したがいまして、そういったこともしっかりと利用しながら、できるだけ支障のないように我々としては工夫をしたいというふうに考えております。

串田委員 今、いろいろ工夫されるということのお話もありました。文部科学省ですので、科学という部分からいろいろな、電話会議というのもいろいろと進展していって、まさに目の前にいるような形のプロジェクターみたいなものも今開発されていると聞きましたので、非常に旧態依然とした、ぞろぞろぞろぞろ東京にやってきて、その分だけまた宿泊代もかかる、交通費もかかるということになると、これはちょっと、地方移転というものに対するマイナス評価ができてしまうという点では、私としても、地方分権を進めていこうという党としては、改善というか、そこら辺の部分の工夫をしていただいて、見事に成功していただきたいというふうには思っているわけでございます。

 次に、一つだけ、時間でございますので、トップレベルの芸術家の育成ということだけを最後にお聞きしたいと思うんですが、具体的にどのような施策を考えているのかお聞きをして、終わりにしたいと思います。

中岡政府参考人 トップレベルの芸術家の育成についての御質問でございます。

 我が国の文化芸術の発展のためには、文化芸術に関する人材育成が極めて重要でございます。その際、才能が大いに開花する若い段階に国内外のトップレベルの芸術家から直接学び、時代を先取りする創造性や感性を大いに伸ばしていくことが重要であると考えております。

 文化庁といたしましては、才能豊かな新進芸術家等の育成に向けて、基礎、技術を磨くための国内における公演等の実践的な研修機会の提供に加えまして、世界の第一線で活躍する指導者のもとでハイレベルな技術の習得を行う海外研修等の施策を展開しております。

 今後とも、これらの取組を通じまして、トップレベルの芸術家の育成に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

串田委員 時間になりました。

 NHKの番組でも、そういうトップレベルのアスリートが一言言うと、それだけでがらっと変わるというような、そんなこともありましたので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 文科省設置法改正案の質疑でありますが、まずその前に、他の委員も触れておられましたけれども、一昨日、愛媛県で新たな文書が公表されました。その後、昨日ですか、関係する方々、大臣もそうですが、それぞれ記者会見等々がされておられます。

 私自身、ちょっと違和感を感じたといいますか、林文科大臣の記者会見、これは記事に出ていたものですから、一部だけだと言われるかもわかりませんけれども、事実関係については承知していないのでお答えは差し控える、国家戦略特区のプロセス、それを受けての文科省の審議会のプロセスは適切に進められてきたものと認識している、こういうふうな記者会見がされたというふうに報じられております。

 私、非常に違和感をどこで感じるかといいますと、ほかの方とやはりスタンスが違うのではないか。例えば、国家戦略特区を担当する梶山地方創生大臣、これはもちろんみずからのところですから、聞き取り調査をするということをおっしゃっておられます。それから、野田総務大臣は、国民にうそをつかず、説明責任を果たすことが大事なんだというようなことを言われております。

 まさに、昨年の、今の時期なのかもうちょっと前からだったか正確には覚えておりませんけれども、この加計問題をめぐって、この文科委員会で何度も質疑をさせていただきました。当初ないと言われていた文書が、よくよく調べてみたら個人のフォルダから出てきた、共有フォルダしか調べていなかったけれども、個人フォルダを調べたら出てきました、こういうことが何度も何度も、実はその前の天下り問題も含めて続いてまいりました。

 加計問題というのは、もちろん、文科省が先頭に立って何かやったということではありませんけれども、まさにその当事者の一人といいますか、一つの機関であります。後から調べて出てきたというのは、これは最初から出てきたのとは全く意味が違ってきます。まだ何か隠しているんじゃないか。今回も、この愛媛県の文書が出てきて、先ほど来聞いておりますと、聞いたところ記憶がないとか記録がないとか、これもまた去年から聞いてきたような話を何度も言われるわけであります。

 ですから、これはやはり、行政がゆがめられたというふうな指摘もされているこの加計問題について、文科省として、言われて調べるのではなくて、省内に残っているあらゆる文書の中で加計問題に関係する文書というのを、一度総ざらいで調べる必要があるのではないか。

 そうしないと、何か問題が起こって調べてみました、見つかりませんでした、よくよく調べたら見つかりました、これが続くと、文科行政そのものに対する信頼が私は大きく揺らぐのではないかというふうにも思いますけれども、この点について、まず最初に大臣にお聞きしたいと思います。

林国務大臣 先ほどもちょっとお答えをしたんですが、事実関係を承知していないのでお答えができないと言ったのは、総理と加計さんの面会の部分についてのお答えだったんですが、多分報道で、全体について何かそういうふうに言っているように書かれていたのかなと思っておりますが、その部分についてはそういうふうに申し上げたというのが正確なところでございますということをまず申し上げておきたいと思います。

 それから、新しい文書が愛媛県から出てまいりましたので、二十七年四月前後の柳瀬総理秘書官と加計学園等関係者の面会について、これまでも、内閣官房からの指示により、文科省において、当時文科省から内閣官房に出向していた職員への聞き取りを行ってきましたが、それを踏まえて、今回も、これが出ましたので、補足的確認事項として追加に聞き取りを行っておるところでございます。

 先ほど来の繰り返しになりますが、愛媛県から参議院予算委員会に提出された資料を見て現時点で思い出した記憶はあるかという質問に対して、今回の文書を見て思い出したことはなく、明確な記憶はないという回答であったということでございます。

 その都度都度、我々は、文書や証言が出てきたときに、丁寧かつ詳細に事実関係を確認しておりまして、その都度必要な範囲についての確認作業を十分に行っていると認識しておるところでございますが、今後も、更に新たな文書や証言が出てきた場合などには、必要に応じて、その都度対応をしっかりとやってまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 私が提案しているのは、その都度都度とかあるいは必要な範囲で、まさに昨年、共有フォルダを捜したけれども見つからなかった、だけれども個人フォルダを捜したら見つかったという文書がございました。

 それは、必要な範囲というのを意図的に当時は共有フォルダに絞って調べた。個人のメモだということで、もともと共有フォルダの中に入っていない文書を、わざわざ共有フォルダだけを必要な範囲と設定して捜した結果、最初は見つからなかった、後で見つかった。

 これは、結局、先ほども言いましたけれども、文部科学行政全体に対する不信感を国民の中に生み出すものでありますし、その都度都度ではなくて、これだけ何度も何度も新しい文書が出てきて、後で見つかったということも含めて出てくる、こういう事態はもう避けるべきだ。だとするならば、省を挙げて、この問題にかかわることで知っていること、あるいは自分が持っている手控えの文書も含めて、一回、文科省全体として私は調査をした方がいいのではないか、そういうお話をさせていただきました。

 先ほど大臣が言われていた、事実関係は承知していないというのは、私もそういうふうに大臣の発言については理解をしておりますので、それは誤解をなきようにということで、ぜひそういうことで調査をしていただかないと、いつまでたってもこれは終わらない話でありますから、ぜひ取組をしていただきたいというふうに思います。

 もう時間が、これで十分近く使ってしまいましたので、早速法案の方に入っていきたいと思います。

 今回の法改正、これは多くの委員も指摘されておりましたが、京都移転、二〇二一年度中、遅くともということでありますけれども、そうしたことを視野に入れた組織と機能の改革だというふうに承知をしております。

 そこで、まず、文化庁の移転協議会による昨年七月二十五日の「新・文化庁の組織体制の整備と本格移転に向けて」という取りまとめ文書、これを読ませていただきました。京都に置かれる文化庁本庁の職員数は、定員及び定員外職員を含め全体の七割、二百五十人以上となる見込みというようなことが載っております。また、報道ベースでは、東京には約百十人の職員が残るということであります。

 まず、定員自体はふえるのか減るのか、全体として、東京、京都を合わせて。それから、定員外はどうなるのか、人数は。京都、東京に定員はそれぞれ何人、何人、定員外は何人、何人になるのか、この点を尋ねます。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化庁の定員数につきましては、このたびの機能強化を通じまして概算要求をしておりましたが、平成三十年度に約二十人程度の定員増が図られまして、二百五十人程度となるものでございます。

 これまでも、定員外の職員を含めまして、平成二十八年度当時におきましては三百六十人程度の職員がおりましたけれども、京都移転につきましては、全体的に、定員内、定員外も含めて二百五十名程度というようなことで、全体の七割を京都に持っていくというふうに昨年の七月では整理をさせていただいたというものでございます。

 したがいまして、あくまでも平成三十三年、遅くともといったときに、どれぐらいの定員外の職員がいらっしゃるかということにつきましては、まだその段階にならないとわかってこないという状況でございます。

吉川(元)委員 では、定員外が何人になるかは結構ですので、定員がそれぞれ、京都と東京、何人になるか、これもまだわからないということなんですか。

中岡政府参考人 定員の振り分けでございます。

 定員の振り分けにつきましては、この二百五十人という定員ということを前提に考えますと、百七十人程度が京都に、八十人程度が東京にというような整理でございます。

吉川(元)委員 それともう一点、ちょっと確認なんです。

 これは報道ベースだけでしか見ていないんですが、東京は、定員、定員外を含めて約百十人程度というふうに考えていらっしゃるんですか。

中岡政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、百十人程度ということで、約三割ということでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、全体で三百六十人。今も三百六十人ぐらいで、定員と定員外を合わせると、余り変わらない。若干定員がふえて定員外が減るという、おおよその数字になるんだろうというふうに思います。

 今単純に計算いたしますと、京都に移る定員の方が大体百七十人ということは、二百五十人前後ということは、八十人ぐらいが定員外。それで、東京は八十人が定員で、三十人程度は定員外という形に、これは単純な足し算引き算の問題ですから。そのとおりになるかどうかは別にしても、そういうふうに見込んでいるということになるわけで、最初からそうやって答弁していただければこのやりとりは必要がなかったわけで、そういう意味でいうと、もう少し端的に説明いただければというふうに思います。

 私、まず、ちょっと疑問に思うのは、現在、定数が二百三十人ぐらいで、三百六十人いるということは、百三十人ぐらいの方が、定員外という方々がいらっしゃいます。当然、この方は、近隣の自治体から、あるいは大学等々から出向されている方も含まれている。その方はどうされるかは、もちろん京都に移転する際に引き続きついていくという人もいれば、いや、もうそこまでは行けないから出向から引き揚げますという方もいらっしゃるだろうと思います。

 そうではない方、文化庁が雇用している定員外の方、この方は大体何人ぐらいいらっしゃいますか。

中岡政府参考人 文部科学省が雇用しているという人数でございますけれども、百三十人ということでございます。

吉川(元)委員 それは出向者も含めた数字じゃないんですか。

中岡政府参考人 失礼いたしました。

 出向者も含めておりましたので、事務補佐員等につきましては九十人というような状況でございます。

吉川(元)委員 九十人の方がいわゆる定員外ということで、臨時、非常勤で文科省、文化庁として雇用されているということであります。

 そういたしますと、先ほどの概算で、概算といいますかおおよそのイメージでいうと、京都は定員外が八十人、東京は三十人ということになります。そうすると、この八十、三十の中には大学やあるいは自治体から出向者もおりますので、その比率がどうなるかはちょっと私も今わかりませんけれども、少なくとも東京に残る定員外の方は三十人。

 今、文科省として雇用されている方は九十人いらっしゃるということは、この方々は三人に一人しか、仮に東京の三十人が全て出向者ではなくて文科省が雇用している、恐らくそういうことはないと思いますのでもうちょっと少ないんだろうと思いますが、そうしますと、大部分の方は、これは京都に行くのか、あるいはもうそこで雇用を打ち切るのか、そのどちらかになるというふうに思いますけれども、そういう認識でよろしいですか。

中岡政府参考人 委員御質問の点は、まさに、遅くとも平成三十三年度に京都に本格的に移転したときの状況でございますが、先ほど来、三割が東京に残るということでございますので、全体的にパイが少なくなっていくということでございます。

 御指摘のように、東京には三十名程度というようなことになろうかと思いますけれども、そのときには、今後の非常勤の職員の採用に当たって、さまざま、勤務地の希望だとか任用期間に十分に配慮した募集を行うことで、適切な人員配置に努めるというのが我々の使命だと思っております。

吉川(元)委員 既に九十人の方がいらっしゃるということでありますけれども、恐らくさまざまな形で任用されていらっしゃるんだろう。その中には、二一年度以降も雇用が継続される、例えばあと四年雇用契約を結んでいるだとかいうような方はいらっしゃいますか。

中岡政府参考人 私が把握している限りにおきましては、そういう四年間というような長いスパンで雇用しているという者はいないというふうに承知しております。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、例えば四年という話をしているだけであって、二一年度中に移転をする、これを超えて雇用契約が結ばれている方はいらっしゃいますかという意味で聞いているんです。四年という意味で言っているわけじゃないんです、別に。

中岡政府参考人 四年以上ということになるんだと思いますけれども、そういう方は、私の知る限りにおいてはいないというふうに認識しております。

吉川(元)委員 臨時、非常勤ということで、恐らく短期の雇用契約を繰り返したりしながら雇用されている方もいらっしゃるというふうに思います。

 定員内の人たちももちろんそうですけれども、そういう方も含めて、この間、ずっと文化行政を支えてきた人たちであります。今回、京都移転ということで、定員の方は国家公務員ですから、当然それは、行けということになれば、個人の事情はしっかり聞きながらではあります、意向も聞きながらではありますけれども、行くということになると思いますけれども、臨時、非常勤に関して言えば、それぞれ個人の事情があるんだろう。

 ただ、今やっている仕事を続けたい、だけれども京都には移れないという方は、恐らくこの九十人の中にたくさん、たくさんかどうかわかりませんが、いらっしゃるというふうに思います。そういう方が、ある意味では、京都移転というのは、文部科学省、いわゆる政府が今回の法律も含めてやって移すんだ、だけれども、そこで働いていた人たちは、移るから、二一年度以降は、京都には来られないんだったらもう要りません、そういう扱いというのは、私はちょっといかがなものかと。

 それは、契約上は、例えばここの年度で契約が切れるから、その際に、京都に行けますか、いや行けません、では契約はこれで打切りですね、形の上ではそういうことは違法ではないというふうに言われるかもわかりませんけれども、やはり、この間、いわゆる公務職場でも定員外の非正規の方、ふえてまいりました。これは別の委員会でありますけれども、総務委員会でもこの非正規の方々の処遇の改善に向けていろいろな議論をしてまいりました。

 今回の京都移転に伴って、私は、雇いどめのようなことが起こることは、これはやはり避けるべきだというふうに思いますし、その点についてどのようにお考えでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員、大変御心配いただきまして、その部分でございますけれども、文化庁の本格移転に当たりまして、定員外職員である非常勤職員につきましては、職員個々の希望や事情を把握するとともに、これらを十分に配慮した適切な配置を検討したいというふうに考えております。

吉川(元)委員 ちょっと通告していませんが、大臣もいかがでしょうか、今の。とにかく、これで雇いどめになる。ある意味で、移転するのは文部科学省の勝手であって、それについてこられない非正規はもう要りませんという、これは余りにも冷酷といいますか、だろうと思いますし、そういうことが起こらないよう最大限の配慮が必要だと思いますので、大臣からもぜひ御答弁いただけますか。

林国務大臣 今、次長から答弁したとおり、定員外職員である非常勤職員については、やはり皆さんの個々の希望とか事情を把握して、これらを十分に配慮した適切な配置というのを検討してまいらなきゃいけない、私もそういうふうに思っております。

吉川(元)委員 関連して、ちょっともう人員の話は終わりまして、移転に関してですけれども。

 今回、京都移転ということでありますが、文化庁が京都に移転する中で、関係独法、三つほどあるんですかね、あると思いますけれども、これがどのようになるのか。また、本体が京都に移ったときに、関係独法は恐らく東京に、例えば国立美術館なんというのは当然、東京にあるわけですから、移ろうにも移りようがないわけで、そういった場合に、文化行政、京都と東京ということで支障が生まれないのかどうか、この点はいかがですか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 文化関係の独立行政法人につきましては、現在、職員規模が大きい東京の施設職員が本部機能を兼務していることによりまして、効率的に運営しているという状況でございます。

 このため、当該機能を移転することになりますと、機能確保が難しくなるということもございまして、独法につきましては、広報発信や相談に係る機能を京都に設けることが一定の意義、効果が期待できるというようなこともございますけれども、本体につきましては、東京にあるという前提で現在議論しておりますが、独法の窓口につきましては東京に置きます課の方で対応するということでございまして、その連絡につきましては支障なく行えるということはできると思います。

吉川(元)委員 余り時間が残っていないので。

 あと、費用の関係ですけれども、これは、新聞等々を見ますと、費用負担、京都府、京都市との間の費用負担というのがまだうまく調整できていないというか、これからお話合いをするということなんですが、そういう認識でよろしいんでしょうか。

中岡政府参考人 委員御指摘の部分でございますが、費用負担につきましては、京都側の方で土地の提供や庁舎建設費用について応分の負担をするというような意向が、そもそもこの移転を希望される段階でいただいておるわけでございます。

 そういう意味において、これから実際に受け入れる京都府警本部の耐震改修等が行われるわけでございますけれども、そういった費用に係ります費用分担につきましてはこれからということでございますので、着実に調整をしてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 これも、以前、国立競技場の建てかえ問題で、費用をどうするんだというような話がございました。

 今から、応分の負担という、一番、何というんですか、応分の負担といったら大体どの程度が応分の負担なのかという、非常に曖昧模糊とした状態の中で合意が行われております。恐らく、新しい文化庁になる建物、歴史的な建物でありますが、歴史的であるということは、同時に、耐震も含めて改修をかなりしていかなきゃいけないんだろうと。そういう面でいいますと、しっかりと、混乱がないように、当該の自治体、京都府やあるいは京都市等とも議論をしていただきたいというふうに思います。

 もう一点、今回、改正案の四条七十八号において、「文化に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。」が新たな所掌事務としてつけ加えられております。いわゆる関係省庁会議の設置ということでありますけれども、これについて取りまとめるのは最終的には文化庁が責任を持って行うということでよろしいんでしょうか。

林国務大臣 昨年六月に成立した文化芸術基本法に基づきまして、文科省、内閣府、総務省、外務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省などの関係行政機関から成る、今お触れいただきました文化芸術推進会議が設けられたところでございまして、文化庁において、従来の文化振興にとどまらず、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育産業など、関連分野との有機的な連携を図るために、関係行政機関相互の調整を行っております。

 文化に関連する行政については、引き続き各施策の担当府省庁において責任を持って実施することになりますが、今回の法改正によりまして、文部科学省設置法上、文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進や文化に関する関係行政機関の事務の調整といった我が国の文化行政全体の取りまとめや調整は文科省が所掌し、その直接の担当部署として文化庁が位置づけられることになるわけでございます。

 各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めて、各施策の相乗効果や好循環の創出ができるように努めてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 文化庁が行うということですが、当然、関係省庁会議ということになれば、行われるのは東京だろう、京都に出てこいと言えるほど恐らく文科省も文化庁も強くはないと思いますので、当然ここで行われる。あともう一つ、学習指導要領の策定にかかわる体制にも関連してくるんですけれども、これも東京で行うことになるんだろうと。

 そうしますと、先ほどの数字、おおよそ定員の八十人、それから定員外が三十人の百十人体制で行うというふうになるわけで、そうなりますと、こうした新たな所掌事務、果たしてきちんとやっていけるのかどうかというふうに不安を感じるわけですが、どのような対応をしていかれるつもりなんでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 設置法上、新たな業務ということでございますが、先ほども答弁させていただいた部分があるんですが、この文化芸術推進会議につきましては、昨年の法律の成立に伴いまして、既に二回行っております。現在、東京にございます政策課で担当して推進してきたわけでございますけれども、この文化芸術推進会議に関連する事務は、先ほど来もお話が出ていますけれども、関係行政機関との調整といいますもので、調整の過程でかなりのさまざまな事務が発生してくるわけでございますけれども、その担当部署は東京に置くということとなりますけれども、この十月に、新文化庁への組織再編におきまして、関係行政機関との連絡調整に必要な体制を整備したいと考えておりまして、支障がないようにきちっと対応したいと思っております。

 これは、教育課程の部分につきましても、初等中等教育局と密接に連携していかないといけないという事務でございますので、これにつきましても東京で行うわけでございますけれども、これにつきましてもしっかりと体制を整えていくということでございます。

吉川(元)委員 これまで調整をやられていた部署というのは政策課だということでございましたが、今回のポンチ絵を見させていただきますと、政策課は京都に移転をするということであります。そうしますと、この下に新しい部署として企画調整課というのがありますが、ここが恐らく担うことになるのかなというふうに思いますし、それでよろしいんでしょうかということと、もう一つ、先ほどの学習指導要領策定にかかわる事務、これは、新しいところでいいますと、東京のどこの課が担うことになるんでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、文化芸術推進会議の調整事務につきましては、御指摘のとおり、企画調整課で行う、企画調整課は東京にある課でございます。

 一方、学習指導要領の関係の事務でございますけれども、これは、芸術文化担当という参事官を置くことになっておりますけれども、そこで担当するということでございます。

吉川(元)委員 当然、参事官というのは、参事官という役職で、一人でできるわけではないので、恐らくそこに何人かつかれると思うんですけれども、全く新しいことをやっていくということで、果たしてこの体制でできるのかというのは非常に不安に感じます。

 きょう、実は経産省の方にも来ていただいて、先ほどちょっとクールジャパンの関係で他の委員の方も質問ございました。私も、会計検査院の報告とかを見て愕然といたしまして、ちょっとこれはこれで一つ大きな問題だと思っております。きょうは質問時間がもう終わってしまいましたので、大変申しわけありません、わざわざ来ていただいたんですが、次回、また別の機会に質問させていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

冨岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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