衆議院

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第2号 平成30年11月14日(水曜日)

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平成三十年十一月十四日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 大見  正君 理事 神山 佐市君

   理事 馳   浩君 理事 義家 弘介君

   理事 菊田真紀子君 理事 城井  崇君

   理事 鰐淵 洋子君

      穴見 陽一君    池田 佳隆君

      上杉謙太郎君    小此木八郎君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      大塚  拓君    大西 宏幸君

      木村 弥生君    小林 茂樹君

      下村 博文君    白須賀貴樹君

      高木  啓君    中村 裕之君

      根本 幸典君    百武 公親君

      福井  照君    船田  元君

      古田 圭一君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      川内 博史君    中谷 一馬君

      初鹿 明博君    松田  功君

      村上 史好君    吉良 州司君

      牧  義夫君    稲津  久君

      中野 洋昌君    中川 正春君

      畑野 君枝君    杉本 和巳君

      吉川  元君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       櫻田 義孝君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   文部科学副大臣      永岡 桂子君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中川  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  源新 英明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 生川 浩史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   平井 明成君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林  靖君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     大西 宏幸君

  白須賀貴樹君     穴見 陽一君

  根本 幸典君     宮澤 博行君

  宮路 拓馬君     木村 弥生君

  川内 博史君     松田  功君

  初鹿 明博君     中谷 一馬君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     白須賀貴樹君

  大西 宏幸君     大塚  拓君

  木村 弥生君     宮路 拓馬君

  宮澤 博行君     百武 公親君

  中谷 一馬君     初鹿 明博君

  松田  功君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中川真君、内閣審議官高橋一郎君、内閣審議官源新英明君、総務省大臣官房審議官多田健一郎君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、文部科学省大臣官房長生川浩史君、大臣官房総括審議官瀧本寛君、大臣官房文教施設企画・防災部長平井明成君、総合教育政策局長清水明君、初等中等教育局長永山賀久君、高等教育局長義本博司君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、スポーツ庁次長今里讓君、文化庁次長中岡司君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君及び国土交通省大臣官房審議官小林靖君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

馳委員 三年ぶりの委員会質問ということで、いきなり失礼いたしました。

 まず、櫻田五輪担当大臣にお伺いしたいと思います。

 東京オリンピックのいわゆる現状において、主要課題は何か、そしてそれにどのように取り組んでいくのか、大臣の決意を伺います。

櫻田国務大臣 政府としては、平成二十七年十一月に閣議決定したオリパラ基本方針に基づき、各府省庁の関連政策を一体として、オールジャパンで取組を推進していく必要があると思っております。東京大会につきましては、国は、東京都及び組織委員会の取組をバックアップしていくことが重要であると考えております。

 政府としては、円滑な輸送の実現、セキュリティーの万全と安全、安心の確保、大会期間中における暑さ対策、日本の文化の魅力発信、ホストタウン等による全国の機運醸成、ユニバーサルデザインの推進等による共生社会の実現など、着実に取組を進めているところであります。

 特に、復興オリンピック・パラリンピックでは、東京大会の最も重要なテーマの一つでございます震災からの復興を後押しするとともに、復興の姿を世界に向けて発信するための取組を進めてまいります。

 また、パラリンピックの成功なくして東京大会の成功はなしというふうに考えております。世界じゅうで観戦する人々に勇気を与え、自信を持って人生を切り開いていくことを後押しする大会を目指し、ユニバーサルデザインの町づくりと心のバリアフリーをしっかりと進めてまいります。

 私自身、文部科学副大臣の在任中から東京大会の準備にかかわってまいりました。また、地元ではスポーツと障害者スポーツが垣根なく非常に盛んに行われており、私も、機会を見つけて参加させていただいております。こうした私自身の経験も生かしながら、東京大会の成功に全力を尽くしていく覚悟でございます。また、私の地元には車椅子テニスで世界チャンピオンの国枝慎吾さんが所属しておりますので、非常に関心を持っております。

馳委員 報道等で大変かまびすしいのですが、一体、大会の運営に当たりまして、総額幾らかかるのか。そして、大臣の役割というのは、要は、関係省庁また組織委員会、競技団体等と連携をして、いかにそれを圧縮するかということの調整役が問われます。

 それに取り組む決意も含めて、一体、幾らかかって、どういう姿勢で圧縮に取り組んでいくのか、お伺いします。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 東京大会は、東京都が招致して開催するものであり、準備、運営は、開催都市である都が主導することが基本であります。その上で、国が必要な支援をしてきたという経過があります。

 そのため、この開催経費については、まず、開催都市である東京都と、大会の準備、運営を担う組織委員会が実施主体の責任において明らかにすべきものと理解をしております。

 昨年末、組織委員会が公表した大会経費は一兆三千五百億円であり、この中で国の負担は、新国立競技場の整備において国が担当する部分の経費千二百億円、パラリンピック経費の国負担分三百億円の計千五百億円とされていますが、これらは、大会関係者間で合意した役割分担に基づく二事業に関するものであります。

 国は、東京都や組織委員会を支援する立場から、大会経費のほか、日本選手の競技力向上、セキュリティー対策、ドーピング対策など国が担うべき施策に責任を持って取り組んでおり、オリパラ関係予算として集計、公表しております。

 この取組に関して今後必要な予算については、毎年度の予算編成過程で検討し、決まっていくものであり、あらかじめ将来の予測の総額をお示しすることは困難でございます。

 なお、先般会計検査院から公表された平成二十五年度から二十九年度までの五年間の支出額八千十一億余円については、内容を精査した結果、大会等に特に資する事業の経費は千七百二十五億円であることが判明したところでございます。

 それ以外の経費六千二百八十七億円については、各府省等が本来の行政目的のために実施している事業であり、大会に直接資する金額を算出することが困難な事業、大会との関連性が比較的低い事業であることが明らかになっております。

 一方、大会を国民の理解を得て成功させる観点から、またオリンピック、パラリンピックの持続可能性という観点からも、大会経費等の縮減、効率化に努力することは非常に重要な課題であります。

 東京大会を、国民から祝福され、支援される大会にするためにも、アスリートファーストの観点にも配慮しつつ、引き続き、東京都、組織委員会と密に連携して、経費の縮減、効率化に向けてしっかりと取り組んでまいります。

馳委員 櫻田大臣はもう既に質問通告した部分は終えられましたので、ほかの委員会に答弁を呼ばれているはずですから、ここで退席をしていただいて結構です。

亀岡委員長 櫻田大臣、御退席をどうぞ。

馳委員 関連して、内閣官房の源新内閣審議官にお伺いしますけれども、万が一、東京都や組織委員会が赤字を出したら、その補填は誰がするんですか。

源新政府参考人 お答えいたします。

 先ほど櫻田大臣がお答えいたしましたとおり、まずは経費の縮減、効率化ということに取り組んでいることでありますので、万が一ということが起きてはならないと思ってございます。

 その上で、今御質問のありました、仮に大会開催費用が膨らんで、結果的に決算で赤字に陥るような場合、あくまでも万が一の仮定ということのお話でお答えさせていただきますけれども、国際オリンピック委員会、IOCに提出された立候補ファイルでは、仮に大会組織委員会が赤字になった場合の対応として、こうした記述がございます。

 組織委員会は、二〇二〇年東京大会を確実に実施できるよう、東京都及び国と協議する、その上で、万が一組織委員会が資金不足に陥った場合には東京都が補填することを保証する、そして、東京都が補填し切れなかった場合には最終的に日本国政府が国内の関係法令に従い補填する、このようにされているところでございます。

 ただ、冒頭申し上げましたように、今、組織委員会におきましては、IOCとの議論も踏まえまして、収支が均衡する予算、これを策定しておりまして、現時点においては赤字に陥ることは想定されておりませんが、あくまでも万が一ということでお答えさせていただいた次第であります。

馳委員 実は、私は自由民主党の五輪招致本部長を務めさせていただいて、今ほど審議官がお示しをいただいた案件については、各国のIOC委員を回るときに重大な課題として説明をしてきた当事者として申し上げております。

 したがって、万が一ということを想定するのが、今皆さんお聞きいただいたように、政府が補填するんですよ。政府というのは国費じゃないですか。国民が補填するんですよ。組織委員会や東京都が払い切れなかったら、政府、まさしく国民が負担するんですよ。これは重大な問題と考えて取り組んでいただきたいという部分とともに、政府が野方図に補填していいのかという国民からの批判が出ないような取組が求められているんですよ。

 だからこそ、運営においても、いわゆるIOC、IPC、それからIF、これは国際競技団体、そして国内のJOC、JPC、そして国内のNF、競技団体ときちんと調整をしながら進めていき、対応が求められているということを改めて私からも申し上げておきたいと思います。

 同時に、万が一ですから、私は万が一を追及するのが大好きなので言いますけれども、そのメルクマール、基準というものを既に内閣府は、内閣官房源新審議官、そのメルクマールをつくっているんですか、つくっていないんですか。お聞きします。

源新政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、立候補ファイルのときに記述した内容、それ以上のものでもなくそれ以下のものでもないということでございます。

馳委員 ここは正式な委員会の場ですから、私から改めて申し上げたいと思います。

 万が一ではなくて、赤字が出たときにこうするという準備を既にしておくべきであります。そのことを強く申し上げておきたいと思います。

 招致の活動で、世界じゅうのIOC委員の皆さんと、いわゆるIOC委員の過半数の票を得ないと二〇二〇年の招致は決定しない、まさしく、政治家である皆さん方は選挙の厳しさを御存じのように、票読みをやったんです。その票読みをやったときに、一番の我が国のネガティブなポイントは何だったのか、どのようにしてそのネガティブなポイントをクリアしてポジティブなポイントに変えたのか、そのシナリオがありました。そのことを源新審議官は御存じですか。

源新政府参考人 まことに恐縮ではございますけれども、正確にはちょっとお答えできない状況でございます。

馳委員 こういうことは人事があって担当者がかわろうとも引き継いでいってほしいんです。なので、当事者であった私から皆さんの目の前でお伝えしたいと思います。

 汚染水の問題なんですよ。これは、世界じゅうのNGO団体からIOCの委員に対して、またマスコミに対して激しい突き上げがありました。それに対して、残念ながら、招致本部は十分な答弁ができなかったんです。

 そして、二〇一三年の九月初旬ですけれども、どのように対応するかというときに、たまたま私が国会議員としての招致本部長であり、たまたま私は、放射性廃棄物の処理に関する特別措置法案、これは議員立法で、超党派でできた法律だったんですよ。内容は、放射線の管理区域以外に暴露されてしまった放射性物質の処理についてきちんとモニタリングをして、そしてその廃棄物をきちんとモニタリングの上で中間貯蔵施設におさめて、最終的には三十年後となりましたけれども、最終処分をするという、法律でルールを決めたんですよ。そのことを記者会見で申し上げたところ、世界じゅうのマスコミ含めNGO団体の皆さん方も御理解を一定程度いただいたという経緯があるんですね。

 したがって、二〇二〇年の東京オリパラ大会の大きな課題は、東日本大震災からの復興の姿を見ていただくこと、政府として責任を持ってこの問題に取り組んでいく姿勢と事実を見せることが一つあるんですよ。このことを源新審議官には改めてお伝えしておきたいと思います。

 その上で、では、福島の復興にかかわる大きな課題として、子供のメンタルケアの問題について、大臣に私の方から提言したいと思います。

 亀岡委員長は福島を選挙区とする代議士でありますので御存じだと思いますが、子供の心の健康の問題について、発災から随分いろいろな経緯を踏まえて今日に至っておりますけれども、国と県と、そして避難せざるを得なかった子供たち、保護者、また、帰還が始まりましたから、帰ってきた子供たちに対して小中学校で教育をしっかりと提供する教職員の皆さん方、その上で、メンタルケアということですから、医療、保健、福祉に関する専門の皆さん方が継続してモニタリングをして調査結果を取りまとめて、その上で、必要な加配教員の措置、必要な教職員のカウンセリングなどの専門的な高度なレベルを踏まえた研修、こういったことを継続的に行っていくための拠点整備が私は必要ではないかと思っています。

 もっと細かく言えば、浜通り地域におきましては、皆さん方も何度も訪問しておられると思いますけれども、いまだに十分に帰還がされておりません。むしろ、帰還しないと判断した御家族やその子供たちの気持ちを考えてあげていただきたいと思います。ふるさとを失うんですよ。これが教育の現場においていかに重大な問題かということを理解していただきたいと思っています。

 今、毎年度の予算要求で加配の措置、またスクールカウンセリング事業をやっていただいておりますが、私は、一つのモデル事業として浜通り地域に拠点をつくって、専門家を集めて、人材育成もし、対応するというモデル事業を浜通り地域のどこか、あえて言えば、いわき市がふさわしいのかなと思っております、いわき明星大学とも連携事業を行っておりますから。私は、国の責任としても、福島県の責任においても、むしろ国がバックアップする形でやっていただきたいと思っているんです。

 なぜこのことを申し上げるかといえば、想定されているじゃないですか、首都直下型地震、南海トラフ大地震。太平洋側で起きた場合に、まさしく先般の北海道の東胆振地震でも、被災地から避難しなければいけない、子供たちが帰れるかどうか、仮設住宅でお住まいの場合の義務教育の提供の問題、カウンセリングの問題、医療、福祉にかかわる問題。

 本当に福島のことを考えるのであるならば、自然災害の多い我が国の実情を考えるのであるならば、私は、福島の浜通り地域においてこういった拠点整備をして、万が一、今後、全国のあちこちで自然災害が起こったときに、教育のサポート体制といったものはモデルとして展開できるような準備をしておくことも必要だと思いますが、柴山大臣、どうお考えですか。

柴山国務大臣 私も、発災直後から、自民党の青年局の一員として、チーム・イレブンのメンバーで何度も被災地を訪れておりました。

 また、先月二十二日には、福島の地元で学校を再開した富岡町立小中学校、こちらの方を訪問させていただき、児童生徒が減少したままであるということですとか、今、馳委員からも御指摘になられた子供の心のケア、これが継続して必要である、また魅力ある学校づくりが求められているということなどを関係者からお伺いして、被災地特有の教育課題にしっかりと対応していく必要があると感じたところです。

 今御紹介をいただいたような教職員加配、スクールカウンセラー等の配置ですとか経済的支援、また特色ある教育活動を展開するふるさと創造学の取組などを支援してきたところでありますけれども、今、加えて御指摘になられた福島浜通り地域において、全国の大学等が有する復興に資するいわゆる復興知を誘導、集積していくために、地元の市町村と連携して組織的に教育研究活動を行う大学等も支援をしているところであります。

 例えば、地元市町村の教育、あるいは今御指摘になった医療等の関係部局を連携させて、子供と子育て世代も含めた住民の心の健康を確保するための取組、こういったことも進めていかなければいけないと思っていますし、福島イノベーション・コースト構想の促進の過程にあって、今おっしゃったような形での総合的な連携拠点を、どういう形で設けるかはともかく、進めていく取組というのは私は非常に重要なことであるというように思っております。

馳委員 これは、実は公明党の高木美智代先生が厚労副大臣になった段階で積極的に御指示をいただいて、厚労省と文科省の合同の打合せなども行いながら、高木美智代副大臣の御指示があったおかげで連携が進んできたのは事実です。

 そして同時に、これはまさしく、事業として行うと、いつ終わるんだろうか、いついなくなるんだろうか、この加配の先生はというもとでは、安心して知見を積み重ねていくことはなかなか難しいと思うのであります。

 したがって、今現在、福島大学でも取り組んでおられる連携事業はございますけれども、それを浜通り地域に移すことによって象徴的に、同時に、福島の子供ばかりでなく、今後、もしかしたら本当に大地震が起きるかもしれない、自然災害が起きるかもしれない、しかし、そういったときに、傷ついた子供たち、避難して傷ついた子供たち、いじめに遭っている子供たち、家庭の課題を抱えた子供たちにたえられるような、しっかりと支援できるような専門的な人材の育成やその配置、こういったことを政府として積み重ねていく上での拠点整備が必要だ、私はそう思っているんです。

 これは、ある意味でいえば、被災地だからこそやっていかなければいけない国が支援すべき課題だと思っています。

 改めて柴山大臣に、少なくとも私はきょう提言を申し上げておりますから、検討に入ることぐらい言ってもらわないとだめですよ。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、馳議員からの御提言、それから、これまでの厚労省等との連携した取組が既にキックオフをしているところであります。これをしっかりと加速させて、私も、被災地に寄り添う復興大臣の一人として活動していく気概で頑張っていきたい、このように考えております。

馳委員 次に、財務副大臣に来ていただいておりますので、十月二十四日開催されました財政審の見解について質問させていただきます。

 うえの副大臣、国立大学法人への運営費交付金について、教育、研究面を評価する共通指標に基づいて配分する額を、運営費交付金のまずは一〇%程度にまで拡大する、この方向性が示されておりますが、この一〇%という数字の根拠をお示しください。

うえの副大臣 お答えをいたします。

 国立大学運営費交付金の約九〇%に当たる基幹経費の部分につきましては、法人化後十四年間にわたって、教育や研究に頑張っている大学も、あるいは残念ながらそうではないと言える大学も、原則、前年同額で配分をされてきたものと承知をしています。

 これに対し、日本の教育、研究の質を高めていく観点から、骨太二〇一八におきましては「戦略的な配分割合の増加を進める」とされ、さらに、先日の経済財政諮問会議におきましても、有識者議員から、来年度から抜本的にその割合を引き上げていくべきだとされるなど、改革が求められているところであります。

 私どもといたしましても、全国八十六の国立大学について、教育や研究の評価に基づき予算を配分することは、頑張って成果を上げていただいている大学を後押しする、そうしたため、また、税を負担していただいている国民の皆様への説明責任を果たすためにも必要なことだと考えています。

 評価に基づき配分する割合につきましては、私どもとしてはできるだけ大きい方が望ましいと考えておりますが、三十一年度は四百億円を評価して配分するとの文部科学省の要求に対し、思い切って倍以上にしていただきたいとの趣旨で、まずは一〇%、千億円程度まで拡充することを十月二十四日の財政制度等審議会で提案したところであります。

馳委員 一〇%の根拠になっていません。今、中期目標を立てて、六年間で対応している国立大学法人からすれば、思い切って、頑張って一〇%、根拠がないじゃないですか。

 そもそも、いつも財務省の方がエビデンスを示せとか言いながら、自分たちの一〇%の数字については、思い切ってとか頑張ってとかって。それは、うえのさん、あなたが今、ベンチプレスが四十キロしか挙がらないのを、思い切って、頑張って百キロ挙げろと言っているのと同じですよ、本当に。

 その方針も評価基準もきちんと示さないままに、今、二〇一六年から六年間かけて、中期目標に従って毎年一%ずつ効率化係数を掛けて概算でようやく四%、四百億円という数字を積み上げてきているのを、積み木崩しするようなものじゃないですか。

 この一〇%という数字は撤回してください。

うえの副大臣 ベンチプレス八十キロはちょっと私も難しいと思いますが、今御指摘をいただきました一〇%について、私どもとしては、あくまで、できるだけ多い方が配分割合は望ましいという考えのもとで、文科省の皆様からの提案も踏まえ、倍以上の一〇%ということを提案させていただいているところでございます。

 それにつきましては……(馳委員「もういい」と呼ぶ)よろしいですか。

馳委員 皆さん、聞きましたか。頑張ってですよ。それは財務省が答弁する答弁内容じゃありませんよ。

 この答弁を聞いた上で、頑張らなきゃいけない柴山文科大臣、暮れの予算編成に向けて、根拠のある反論をしていただきたいと思います。どうぞ。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 私も改革マインドについては人後に落ちないと自負している人間ではございますけれども、財政審の今の目標等については、その方向に異存があるわけではございませんが、地方の国立大学の多くは、基盤的経費の減少に伴って更に教員採用の抑制や停止を行っているわけで、その上でさらに、運営費交付金の一〇%程度が毎年大きく変動すると、教育研究の質の低下や経営の著しい不安定化につながりかねないところが続出をしてくるということでありまして、そういうことも踏まえて丁寧な議論をしてほしいということと、あと、今、予算に向けた決意ということで、全体としての交付金のパイをやはりふやしていくということが我々文科省にとって極めて重要だというように考えております。

 具体的には、これまでも、平成十六年と平成二十七年の予算額を比較すると千四百七十億円既に減少してしまっておりますけれども、平成二十八年度予算については前年度同額の一兆九百四十五億円を確保して、それ以降は同額程度をずっと確保しているわけです。

 しかしながら、二〇一九年度の概算要求については、対前年度三百十六億円増の一兆一千二百八十六億円を計上させていただいておりまして、文部科学省としては、各国立大学が計画的かつ戦略的に改革に挑戦することを進められるような評価と配分のあり方をしっかりと検討しつつ、そういった基盤整備も確保していくということを目指していきたいと思います。

馳委員 終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、義家弘介君。

義家委員 自由民主党の義家弘介です。私も、一年ぶりの質問となります。

 まず、大臣は所信的挨拶の冒頭で、先般、文部科学省幹部が続けて逮捕及び起訴されるという文部科学行政に対する国民の信頼を根底から損なう事態に関し、遺憾の意を表明されました。私も、一緒に文部科学省で仕事をした大変信頼している方々もかかわった処分であり、大変残念かつ遺憾な思いを感じております。

 文部科学省はこの事態を受けて、服務規律の遵守状況、公募型事業の選定プロセスの調査を行う外部有識者を構成員とする調査・検証チームを設置し、先般中間取りまとめを公表いたしました。さらに、文部科学省の若手も参画する文部科学省未来検討タスクフォースを設置し、今後の文科省のあり方についての検証を行って、現在進行形で検証を行っているということでございます。

 しかし、私はそもそも、この中間取りまとめの内容の周知が十分だとは思っておりません。今回の事案が発生した背景には、特定の政治家の存在がございます。懲戒処分を受けた職員、これは処分を受けたことは受けとめねばならないですけれども、彼らの名誉のためにも、本日は具体的な質問をさせていただきたいと思います。

 平成三十年七月四日、佐野前科学技術・学術政策局長が逮捕されました。容疑は、東京医科大から平成二十九年度私立大学研究ブランディング事業で有利な取り計らいを受けたい旨の請託を受け、その謝礼であることを知りながら、自身の次男に対し、同大学の平成三十年入試において加点を受け、合格の地位の付与を受けたことが受託収賄罪に当たるとされてのことです。

 続いて、平成三十年七月二十六日、川端前国際統括官と、コンサルタント会社の役員である谷口浩司氏が逮捕されました。容疑は、川端前国際統括官が谷口氏から過剰な飲食接待、約二十回、合計百五十万円相当と言われておりますが、受けたことが収賄罪に当たるとされたものです。

 特に、この川端前国際統括官と、そしてコンサルティング会社役員の谷口浩司氏は、このたびの文部科学省の調査で明らかとなり、そして懲戒処分が行われ、結果として、二代続けて事務次官が引責辞任するという事態を生んだキーマンであると言えます。

 そして、キーマンの一人であるコンサルティング会社役員の谷口浩司氏の背景には、立憲民主党及び国民民主党の国会議員の存在があったこと、これは既にネットの世界では公然のことでありまして、また、先週の土曜日、産経新聞も実名を挙げて報道していますし、御本人もそれに対して取材に答えております。

 しかし、なぜか産経新聞以外のメディアでは、報道しない自由とでもいうんでしょうか、これを黙殺しております。本件は既に関係者が逮捕、起訴され、また前述のように、文部科学省の職員が懲戒処分され、引責辞任したという極めて重大な案件であります。そのような事態に対して、産経新聞を除くメディアの報道しない自由ともいうものがどうしてまかり通るのか、私には理解できません。

 少なくとも、私は国民に知らせる責任があると思っておりますので、本日は、具体的な質問をこれからさせていただきます。

 文部科学省に質問いたします。

 文部科学省は、前述のコンサルティング会社役員の谷口浩司被告人、同じく逮捕された川端被告人に関連して、利害関係者以外の者から高額な接待を受けた事案、倫理規程第五条第一項関係で、三名の職員に対し、二名を懲戒処分、一名を矯正措置としました。

 そこで、お聞きします。

 減給三カ月十分の一の懲戒処分を受け、引責辞任した戸谷前事務次官は、どのような経緯で谷口被告人らから高額な接待を受け、結果、処分されることになったんですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 戸谷前事務次官については、川端被告人から、当時、元国会議員との会合への誘いを受けて会食等に参加したものと承知をしております。

 以上です。

義家委員 既に報道はされていますが、元国会議員、今は現職の国会議員ですが、元国会議員とはどなたですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 国会議員の氏名の公表については現在整理中でございまして、現時点においては回答を差し控えさせていただきます。

 失礼します。

義家委員 何を整理しているんですか。

瀧本政府参考人 失礼します。

 現在、各関係方面等と調整を行っているところでございまして、現時点においての回答を差し控えさせていただきたいということで答弁をさせていただきました。

義家委員 何かやましいことでもあるんでしょうかね。

 既に十一月十日の産経新聞では実名が出ているじゃないですか。御本人もコメントを出しているじゃないですか。何を整理しているんですか。もう一回教えてください。

瀧本政府参考人 今回の調査・検証チームの調査におきましては、委員からも御指摘のとおり、私どもの職員の服務ないしは倫理規程の遵守状況等について、一つの大きな柱として調査をしたわけでございますけれども、その際、具体的にどの程度倫理規程に抵触をするのかあるいは違反しているのかということについて、複数の職員からの具体的な事実の関係でありましたり一貫した説明等の内容について確認をさせていただいたところで、私どもの調査・検証チームの委員の先生方の御判断として、同席をしていたとされますその他の関係者先には、その倫理の違反の程度については関係がないということで、先方への確認をしていないということでございます。

 したがいまして、そうしたものも含めまして、もろもろの点について現在整理中でございまして、現段階では答弁を差し控えさせていただきたいということでございます。

義家委員 全く納得できませんよ。

 例えば、じゃ、一般論で聞きますよ。国会議員があるいは国会議員の関係者が呼ばなかったら、誰かわからない、誰が同席しているかわからない席上で誘いを受けたら、逆に、行きますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、見ず知らずの方の誘いに応じて会食や接待等に応じることは、通常考えられないものと思います。

義家委員 そんなの当たり前じゃないですか。会費も誰が同席しているかもわからないような会合にのこのこ行っているとしたら、それこそ日本の危機ですよ。

 つまり、国会議員あるいは国会議員の関係者から呼ばれたから行ったわけです。そして、行ったらその席上に、逮捕された人物及び国会議員あるいは当時元国会議員だった人がいるわけです。その結果として、処分されて引責辞任しているんですよ。因果関係がここにあるんですよ。それに対して今整理しているということが、私は全く理解できませんよ。

 では、その会合には、先ほど戸谷次官の例を出しました、その会合には元国会議員は参加していたという認識ですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 調査・検証チームのヒアリングにおきまして、元国会議員もその会食の席に同席していたというのが戸谷前次官の主張でございます。

義家委員 ということなんですよ。現在立憲民主党の衆議院議員であられる方がここに同席していたわけであります。説明責任を果たしていただきたいというふうに思います。

 次に、減給一カ月十分の一の懲戒処分を受けた義本高等教育局長は、どのような経緯で谷口被告人らから高額な接待を受け、結果、処分されたんですか。お答えください。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 義本高等教育局長につきましては、川端被告人から国会議員の事務所の関係者である谷口氏に会ってほしいという依頼があり、この会合に参加したものと承知をしております。

義家委員 国会議員の事務所の関係者というのは、さきに質問した次官のかかわる国会議員ですか。それとも、違う国会議員ですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 公表させていただきました検証チームの報告書によりますると、国会議員、先ほど次官の際に出てまいりました元国会議員とは別の国会議員であると認識をしております。

義家委員 これは国民民主党の参議院議員です。

 事務所の関係者である谷口被告人ということですけれども、事務所の関係者、どのような関係者と認識していますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 谷口被告人の立場につきましては、これまでの報道等から、当時は民進党などに所属されていた参議院議員の政策顧問の名刺を配って活動していたものと承知をしております。

義家委員 次に、矯正措置を受けた柿田前大臣官房総務課長は、どのような経緯で谷口被告人から高額な接待を受け、結果、矯正措置とされたんですか。

瀧本政府参考人 お答えいたします。

 柿田前総務課長については、川端被告人から会計課長就任祝いを開催したいとの誘いを受けて、会合に参加をしたものと承知をしております。

義家委員 もうこれ、むちゃくちゃじゃないですか。

 上司にですよ、当時の上司に、会計課長になったからお祝いをしてあげたいから、ぜひお祝いさせてくれと言って、行ったら谷口被告人がいて、そして処分されているんですよ。とんでもない話なんですよ、これ。

 私は、文部科学省が、問題は問題ですよ、問題は問題ですが、これ、ある種断れない関係の中で、行って処分され、二人は引責辞任をしている中で、私はもっと怒りを持つべきだと思いますよ。今でも整理しているなんという感覚自体が、私は、一緒に仕事をした文部科学省の役人たちの思いを考えれば考えるほど、胸に詰まる思いですよ。先輩である川端被告人から開催したいと言われて行ってみたら谷口被告人がいた、だからあなたは矯正措置ですと。

 次に、利害関係者から供応接待を受けた事案、倫理規程第三条一項六号関係により懲戒処分を受けた二名についてお伺いします。

 これは、同じ日、同じ会合での事案ですが、まず、減給二カ月十分の一の懲戒処分を受けた高橋前初等中等教育局長は、どのような経緯で会合に参加することになり、結果として処分されたんですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 高橋前初等中等教育局長については、川端被告人から誘いがあり、国会議員も出席した懇親会に参加したものと承知をしております。

義家委員 中間取りまとめ、そのまま読みますよ。国会議員E氏より懇親会を開催するので参加してほしいとの要請がある旨、川端被告人から伝えられ、懇親会に参加した。ここに谷口さんもいたわけですけれども、ここには、さきの国民民主党の現職の国会議員も同席しているんですよ。その中で、まだ整理中というわけですか。これも私には全く理解できません。

 次に、減給二カ月十分の一の懲戒処分である由良前スポーツ庁参事官は、どのような経緯で会合に参加することとなり、結果として処分されたんですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 由良前スポーツ庁参事官については、誰から誘いがあったかは御記憶が明確ではないものの、国会議員も出席した懇親会に参加をしたと承知をしております。

義家委員 大変、これまで答弁させることも心苦しいわけでありますが、委員長、ぜひ整理していただいて、これはもう既に報道されて名前も出て本人たちも認めていることで、文部科学省が、それでも答えられない、答えられないと言っている。これは、背景にどんな圧力があるのか、私は存じ上げませんけれども、ぜひしっかりと委員会の場で明らかにするように、お取り計らいをよろしくお願いします。

亀岡委員長 理事会で協議します。

義家委員 実は、私も手元に、独自に入手した、国会議員の政策顧問の肩書のある名刺を持っていますけれども、住所も参議院会館の議員の部屋、それから、連絡先になっているメールアドレスも参議院のドメインがそのまま刷られています。しかし、私の入手した名刺は、実は国会の会館の電話番号の下四桁が若干違うんですよね、事実のものと。しかし、携帯電話番号は書いてあるわけですけれども、これも、迷惑をかけないようにという形でやったものなのかどうなのか、私にはこれは推察でしかありませんけれども、こういった現物もありますので、ぜひ今後とも検討していきたいというふうに思っております。

 その上で、先ほども質問しましたが、国会議員あるいは国会議員の肩書を持つ人物ではない一民間人に、同席する人や会費を一切知らせずに誘われたら、普通は会合に出席しないわけであります。

 文部科学省の同僚、先輩である川端被告人に、国会議員の名前を出されて誘いを受け、事実、戸谷次官のケースでは、当時は落選中であった現立憲民主党の国会議員、高橋初等中等教育局長、由良参事官のケースでは、現国民民主党の国会議員が実際に同席しているわけです。この議員の責任は極めて大きいと断じざるを得ません。

 しかし同時に、私は大きな疑問も持っていました。

 幾ら谷口被告人が国会議員の政策顧問という肩書の名刺を持っていたとしても、名刺なんか誰でもつくれますから、名刺を持っていたとしても、それのみをもって役人がむやみに信用するというか、相当信用していなかったらこういう関係にはなっていかないと思う疑問が私にはありました。

 しかし、先週末、十一月十日の産経新聞の報道でその疑問がすっかり解けました。

 私の調査でも、この谷口被告人に対しては、ある国会議員、これはまた別の国会議員ですけれども、ある国会議員の関与が浮かんでおりましたが、議院事務局に問い合わせても、情報公開できない旨の返答しかもらえず、確証を得るには至っていませんでした。

 しかし、産経新聞の記者が直接、国民民主党の国会議員に取材したところ、谷口被告人に秘書の通行証を渡していたということを認められました。この認められた国民民主党の国会議員、どなたでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 これは私どもの調査・検証チームの調査ではございませんが、報道によりますると、国民民主党の大西健介衆議院議員が、私設秘書に発行される国会の通行証を谷口被告に貸与していたというふうに報じられていると承知をしております。

義家委員 報道によればということですから、私も、報道によればでお話ししますが、当時落選中であった吉田統彦氏から、谷口被告の国会への出入りが必要なので通行証をかわりに発行してほしいとの依頼を受け、吉田氏の身元保証もあり、吉田氏の身の回りのことをしているというならばと通行証を貸与したと。吉田氏が昨年の総選挙で当選後、返してもらった、さらに、一回しか会っていない、軽率だったなどと答えておりますが、一回しか会っていない人に私設秘書の通行証を渡すって、ちょっと私はびっくりしたわけです。

 この通行証があればどの役所にも入れますよね、国会も、役所も、永田町も、あらゆるところ。つまり、政策顧問の名刺を持って通行証を持っていたら、これは文科省だけじゃなくていろいろなところを自由に行き来できる。誰がどう見ても明らかな政策顧問であるということが、役人に信ずるに足る状況になっていくわけですよ。

 普通は一般人は、あるいは国会のチェックって厳しいですから、さまざまな手続をしなきゃ中に入れない。そして当然、記録も残りますから、一回しか会っていない人に出した私設秘書用の通行証と、それから政策顧問という肩書、この二つがまさに文部科学省を巻き込んだ今回の事例の根幹にあるわけであります。

 こういうことを報道しないということが私は考えられないわけです。まさに、言ってみれば反安倍無罪みたいな風潮が今あるような気がするんですよね。

 安倍内閣のことを否定するなら、例えば言葉の言い間違いなんて誰でもありますよ。私だってしょっちゅう間違えますよ。読み間違い、誰でもありますよ。ない人はいないんじゃないですか。

 そういうことは延々と報道を続けて、こういう重要な、実際に役人が処分されて、引責辞任して、人生にかかわるような重大なことの背景に国会議員の存在があったということ、これを黙殺するということは私は信じられない、そう思って、きょう、ずっと調整しながら、しっかりと明らかにすべきだと言ってきたんですよ。

 だけれども、きょうのきょうに至るまで、国会議員の名前は言えません、整理中ですと。報道されているのに、国会議員の名前は言えません、整理中ですと。この理由が私にはわかりませんよ。なぜこういう答弁になっているのか。極めて残念に思っております。

 そもそも、野党の皆さんも国会で質問していましたが、私設秘書としての通行証は当該議員の署名捺印が必要です。そして、それはあくまでも、当該議員の仕事を補佐するために発行を受けているものです。私の私設秘書に発行している通行証は、私の仕事を補佐するために、院に正式に申請して発行してもらっているわけです。

 落選中の議員の政治活動を補佐するとして申請することはできないんですよ、そもそも。落選中の議員の補佐はできないんです。国民の民意によって選ばれた国会議員の仕事の補佐をするために役所に行ったり国会に行ったり、さまざまな業務をするために通行証が存在しているわけですね。

 今回のケースは、現職の議員に頼んで、落選中の議員の政治活動を補佐する、実際にはそういうお願いの中で申請書を出して発行したという事例でありまして、議員同士が話を合わせて衆議院に対して虚偽の届出をしたというそしりは到底免れないことだと私は思います。ぜひ説明責任を求めたいと思います。

 いずれにしても、国民民主党の参議院議員の政策顧問という肩書、国民民主党の、報道によれば、大西健介衆議院議員が、現在は立憲民主党の衆議院議員で、当時は落選中であった、報道によれば、吉田統彦氏の依頼を受けて申請し、実際に貸与された通行証で国会、永田町、霞が関で自由に活動できた環境があった、この二つが谷口被告人の身元への信頼を担保したことは明白であります。

 文部科学省から逮捕者を出し、複数の懲戒処分、さらには次官、初中局長が引責辞任した一連の事案の根幹では、少なくとも現時点で三人の野党議員がかかわっておられます。

 また、事件の指南役と言われる人物は、外務省から旅券返却命令が出されていて、戻ってきたら逮捕されるという状況になっているわけですが、現在も海外に滞在しているということでございます。

 この事件は、政治を巻き込んでさらなる事態に発展する可能性があります。特捜部の捜査が進んでいますが、引き続き、我々与党としても注視してまいりたいと思いますが、一連の事案を受けて、大臣の感想と、そして改めて、文部科学省を改革していく方針と強い意思をお示しください。

柴山国務大臣 先ほど義家議員から御紹介をいただいたとおり、文部科学省においては、今回の本当に国民の信頼を失ったことへの反省を踏まえて、創生本部を立ち上げ、そして省全体の改革に向けた取組をキックオフさせていただいたところでありますが、そうした改革の取組もしっかりとした事案の究明が前提でありますし、何がそこまでこの大きな不祥事を起こしたのかということを徹底的に解明しなければいけないという思いは議員と共通であります。そうした改革の過程において、しっかりと事案究明についても取り組んでいくことをこの場でお誓い申し上げたいと思います。

義家委員 私も、副大臣時代、文科省の再就職あっせん、いわゆる天下りの問題、その後、加計学園などをめぐる個人メモの乱発というか流出、さまざまなことを受けとめながら、文部科学省の職員と歯を食いしばって一生懸命事実を明らかにして改革を進めてきました。しかし、いかに事実を明らかにして改革をしても、国会議員の側が役所の側に働きかけたとき、役所はなかなかノーとは言えない立場があります。

 だからこそ、我々は抑制的でなければならないし、もちろん、政策は役所の協力がなければ進めていくことは当然できませんから、一緒に力を合わせてやっていくわけですけれども、少なくとも、役所の皆さんをこういう事件に巻き込むような可能性のある動きや可能性のあるかかわりというものを議員がすることは厳に慎んでいかなければならないと思います。

 これは当然、私も含めてのことでありますけれども、私は、役人が役人として役人の矜持を発揮して、明治維新百五十年、次なる時代のために文部科学省が力を合わせて前に進んでいくということを、政治が足を引っ張っては絶対にならないというふうに思っていますし、そして、文部科学省も、今のような、整理が整理がという姿勢ではなくて、自分たちの問題なんですよ。自分たちの問題であるからこそ、誰が言われたとか誰に気にしてとかではなくて、みずからが改革していくんだというマインドをしっかりと発信していかなかったら、次の時代の人づくり、これはできませんよ。そのことを心から強くお願いして、そして、柴山大臣のリーダーシップに強く強く期待し、私の質問を終わらせていただきます。

 これまで何度も質問に立ってきましたが、一番苦しい質問でありました。しかし、質問しなければ次に行けないという覚悟の上で行ったことなので、瀧本さんも大変苦しい答弁でしたけれども、その辺については、心から気持ちがわかる、わかっているという思いだけ最後にお伝えして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。ありがとうございます。

 柴山大臣、また文科省の皆様、そしてきょう法務省の方にも来ていただいておりますが、最後までよろしくお願い申し上げたいと思います。

 先ほど義家委員の方からもございましたが、私も、まず冒頭、大臣の方にお伺いをしたいと思います。

 先般、文部科学省の幹部職員が立て続けに逮捕、起訴される事案が発生をいたしました。また、これに関連いたしまして、事務方のトップである事務次官や初等中等局長が辞職をし、ほかの幹部につきましても懲戒処分等を受ける事態となっております。

 今お話もございましたが、さまざま経緯があったにせよ、事実でございまして、教育、文化、スポーツ、科学技術といった、我が国の根幹を担う文部科学省がその信頼を大きく失ったことは、大変に残念でなりません。絶対にあってはならないことだと思っております。

 このようなことが二度と起こらないよう再発防止に努めるとともに、これを機に、組織文化を含め文部科学省のあり方を見直す必要があると思いますが、改めて大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 今般の幹部職員の逮捕、起訴事案によりまして、文部科学省に対する国民の信頼を根底から損なう事態になったことは、本当に残念でなりません。

 今少し御紹介をしていただいた、文部科学省幹部職員の事案等に関する調査・検証チームの中間まとめにおいては、文部科学省について、例えば、服務規律などの法令遵守の組織文化、また国民の視点を重視する組織文化、風通しのよいコミュニケーションができる組織文化が必ずしも根づいていないのではないかといった問題点も指摘をされていたところであります。

 このため、先般、私を本部長として、有識者を含むメンバーで構成される文部科学省創生実行本部を設置させていただいたほか、省内公募によって若手を中心に構成される、文部科学省未来検討タスクフォースにおいて既に議論をさせていただいております。

 今後、中間まとめで指摘された事項、あるいは、先ほどの御質問にもあった、独自の徹底的な調査も含めて、また、若手職員始め省内の職員の皆さんとしっかりとコミュニケーションをしながら、私自身が先頭に立って、省一丸となって再発防止策の検討を行うほか、システム改革も含め、新生文部科学省の創生に向けて取り組んでまいる決意でございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 大臣の強い御決意のもと改革が進められていくと思いますけれども、今までどおりの姿勢や対応では、一度失った信頼を回復することはできないと思います。しっかりと、大臣のもと、また、緊張感を持って皆さんとともに頑張っていただきたいと思いますので、再度その点をお願い申し上げたいと思います。

 それでは、具体的な質問に入らせていただきたいと思います。

 今般、児童生徒等の命を守るため、熱中症対策といたしまして、全国の公立小中学校等の普通教室にエアコンが設置できるようにするための支援措置を盛り込んだ補正予算が成立をいたしました。

 先日、我が党の山口代表の質問の際にもございましたが、公明党は早くからエアコンの教室への設置を訴え、取り組んでおります。

 今から二十七年前の話になりますが、平成三年になりますけれども、公明党のある地方議員が過去からの気温上昇を丁寧に比較調査いたしました。気象庁の大手町の観測点の記録をもとに、明治三十三年から四十三年の十年間の七月と八月の平均気温、また、昭和四十五年から平成二年の二十年間の七月と八月の平均気温を調査し、比較をいたしました。

 その結果、その当時、平成三年当時でございますが、七月で約二度、八月で二・四度上昇していることがわかりまして、ヒートアイランド現象が顕著になってきているんじゃないかということで、そのように議会の方で訴えをさせていただいております。

 この調査データを根拠に、学校におけるエアコン設置を議会で粘り強く主張いたしまして、その結果、その自治体では小中学校でエアコンが設置されることとなりました。

 このように、長年、私たち公明党は、地方議員の皆さんとともに、エアコン設置について取り組んでまいりましたので、今回、このような措置が図られまして、大変にうれしく思っております。

 また、特にことしの夏は猛暑が続いておりまして、私自身も、大阪府内のエアコンが設置をされていない小学校の方を視察させていただきました。八月六日でございます。夕方四時で、子供たちがいない環境ではございましたが、三十七度あるという、この状態では、子供たちの学習意欲の低下が心配されるのはもちろんでございますが、やはり、言うまでもなく、健康と命にかかわる重大事態につながるのではないかということで、私自身も実感をしたところでございます。

 今回の補正予算では、まだエアコンが設置をされていない全国の公立小中学校の約十七万の教室に対して必要な予算が盛り込まれたものと、大変に評価をしております。

 文部科学省は、補正予算の成立を受けまして、来年の夏までに確実にエアコンが設置されるように早急にしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 公立小中学校は児童生徒が一日の大半を過ごす学習の場でありまして、その学習環境の安全性を確保することは極めて重要であります。

 先ほど御紹介をいただいたとおり、御党も熱心に訴えられてきた熱中症対策としての公立小中学校へのエアコン整備のため、今般の補正予算においては、所要額、これをしっかりと確保した上で計上するとともに、臨時特例交付金を創設させていただきました。

 この補正予算によって、今御指摘があったように、来年の夏までに、子供たちの安心、安全を確保するため、迅速に、早急にエアコンの整備が進められるよう、国として全力で取り組ませていただく決意でございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今大臣からも言っていただきましたが、やはり子供たちの命を守るため、また、教育を受ける上で、学習をしていく上で、一番いい環境の中で勉強を進めていく上で大事な課題だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、また、実際にエアコン設置に向けて予算が盛り込まれまして、これ自体は大変にすばらしいことなんですが、しかし、まだ現場からは、次の課題があるということで、要望もいただいております。

 これは予算委員会で我が党の石田政調会長の方からも御指摘をさせていただいておりますが、エアコンを実際に運用するには、そのランニングコストが大きな負担となります。エアコンを設置して適切に使用することができるように、設置はしたけれどもちょっと電気代が気になるのでつけないでは全く意味はございませんし、やはり適切に使用することができるように、自治体の負担を軽減するための支援措置があって初めて円滑な運用が可能になると考えますが、文部科学省と、あと総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

平井政府参考人 各学校設置者が公立小中学校の運営に当たってエアコンなどの維持管理費を軽減していくことは、大変重要であると認識しております。

 このため、文部科学省においては、教育委員会等に、学校における省エネルギー対策を促す通知を毎年度発出するとともに、学校でできる省エネルギー対策の手引等を作成、周知しているところでございます。その中で、エアコンを設置した場合の省エネ対策として、具体的には、適切な運転や温度の設定、カーテンやブラインド等を活用した空調負荷の低減等の事例を紹介しているところでございます。

 また、学校施設の断熱化や省エネルギー型設備の導入等の環境を考慮した学校施設、いわゆるエコスクールに対する国庫補助を行うなど、その整備に対し支援しているところでございます。

 文部科学省としましては、引き続き学校における省エネルギー対策に取り組んでまいりたいと思います。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 公立小中学校の学校運営に要する経費につきましては、光熱水費を含め、普通交付税で措置をしているところでございますが、冷房設備に係ります電気代につきましては、過去の冷房設備の設置率などを踏まえまして、これまでは光熱水費に積算をしていなかったところでございます。

 先日、平成三十年度の補正予算におきまして、熱中症対策として、全ての公立小中学校に冷房設備を設置するための特例交付金が計上されたところでございます。この補正予算が成立したところを踏まえまして、平成三十一年度より、冷房設備に係る電気代について、普通交付税により措置することを検討しているところでございます。

 現在、約千五百校の公立小中学校を抽出いたしまして、冷房設備に係る電気代を調査中でございます。その結果を踏まえまして適切に措置してまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、総務省の方からも、平成三十一年度より、冷房設備に係る電気代について、普通交付税により措置を講ずるということで検討していただいているということでございました。大変に自治体の皆さんも期待をされていると思いますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

 先ほどの質問の中で、文科省の方にも、済みません、一応お答えはいただいたんですけれども、もう一度確認といたしまして、やはり、文科省としてできることといたしましては、今少し答弁の中にもあったんですが、まず省エネ対策、これをしっかりと同時にやっていくことが重要だと思っておりまして、答弁の中にもあったんですが、カーテンの件だったり、断熱の窓、そういった窓を設置するだったり、あと子供自身にも、自分の健康を守るために水分をとることとか睡眠不足をしないとか、そういったことも教育というかお知らせしていくことも大事ではないかと思っておりますので、そういった取組もあわせまして同時に取り組んでいただきたいと思いますので、要望でございますが、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、またこれも地元からいただいている、現場からいただいている声でございますけれども、今回はエアコンが設置をされていない普通教室を優先して支援を行うものでございますが、次の課題といたしまして、特別教室や災害時の避難所となります体育館への整備も進めてほしいという、学校関係者や自治体の皆様からも多く声をいただいております。これも大変に重要な課題と考えますけれども、文部科学省の御見解をお伺いいたします。

平井政府参考人 今般の補正予算においては、児童生徒の日々の学習に際し、熱中症を予防し、安全を確保する観点から空調設置に取り組むこととしているため、まずは、児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室への設置が最優先と考えてございます。

 その上で、普通教室以外への空調設置につきましては、予算の執行状況を勘案しつつ、各自治体からの要望を踏まえながら、今後、状況を見きわめてまいりたいと思います。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 もう一度確認になりますが、まずは普通教室に、まだ設置をされていない普通教室に設置をする、その上で、執行状況を見ながら、各自治体の皆さんの要望を踏まえながら対応していきたいということでございましたが、これは前向きにやっていくということでよろしいでしょうか。

平井政府参考人 しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

鰐淵委員 ありがとうございます。

 御存じのとおり、既にさまざま努力をされて、工夫をされてエアコンを設置されている自治体もございますので、そういったことも踏まえた上で、次の課題ということで、特別教室や体育館への設置を進める必要があると思いますので、やっていただくということで答弁いただいたと思っておりますが、私たちもしっかりと応援していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の課題に入らせていただきたいと思います。

 次に、外国人材の受入れ拡大の対応について質問をさせていただきます。

 中小・小規模事業者の人手不足の深刻化を防ぐ観点から、一定の専門性、技能を有する外国人材を幅広く受け入れることは、雇用環境のみならず、日本社会全体に大きな影響を及ぼすものと考えております。

 今回の入管法等の改正による外国人材の受入れ拡大が文部科学行政に与える影響をどのように認識されているのか、まず大臣の御見解をお伺いいたします。

柴山国務大臣 在留外国人が増加をすることを受けまして、そのコミュニケーション能力の育成、支援を始め、外国人が日本の中で円滑に生活できる環境を整備することによって共生社会の実現を図ることが本当に重要になってくると考えております。

 文部科学省といたしましては、今般御審議をいただく入管法案によりまして、深刻な人手不足に対応した新たな在留資格を創設することを踏まえまして、外国人材の受入れ拡大を見据えた日本語教育と子供の教育環境整備のための具体的な方策を検討しております。

 まず、生活者としての外国人に対する日本語教育に関しましては、外国人に日本語の学習機会が行き渡ることを目指した全国各地の取組の支援、公民館の利活用などですね、それから、日本語教師のスキルを証明する新たな資格の整備、こういったことを進めていきたいと思います。

 また、外国人の児童生徒などの教育の充実、こちらに関しましては、日本語指導に必要な教員定数の義務標準法の規定に基づいた改善の着実な推進、日本語指導等に係るきめ細かな支援の実施、ICTの活用を始めとした地方公共団体の体制整備支援、こういったことを進めていきたいというように考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今大臣の方から具体的な取組等、御説明をいただきました。ありがとうございました。

 やはり、これから外国人材を受け入れていくに当たりまして、まず共生社会を目指す、その上でやはり日本語の教育環境を整備することが大変に重要になってまいりますので、その上で、今後、日本語教育機関の充実が更に重要になってくるかと思っております。しかし、現状は、日本語教育機関の中には学校ぐるみで留学生に週二十八時間を超える不適切な就労活動をさせている機関が存在しているとの指摘もございます。

 この点につきまして法務省に伺いたいと思いますが、このような留学生の就労活動の実態をしっかりと把握すべきであると考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 在留資格、留学は就労できない在留資格ですが、資格外活動許可を得た場合には一定の範囲内での就労が認められます。

 留学生の就労活動につきましては、機会あるごとに日本語教育機関に対して、週二十八時間以内の遵守について留学生に指導するようお願いをしていますが、入国管理局として、現状、留学生の個々の資格外活動の状況について自動的に把握できるような仕組みとはなっておりません。

 そこでの取組でございますが、厚生労働省から提供される外国人雇用状況届出により、雇用主、雇用開始時期等を把握することが可能ですので、入国管理局では、これらの情報をもとに、必要に応じて雇用主に稼働状況を照会するなどして、留学生の資格外活動の状況の把握に努めているところでございます。

 法務省におきまして、資格外活動違反を防止するため、教育機関における入学者選考及び在籍管理の徹底を図るとともに、資格外活動違反が認められる留学生に対して、積極的な資格外活動許可の取消し、在留期間更新不許可処分を行うなど、適切に対処しているところでございます。

 今後とも、留学生の資格外活動状況について適切に把握するよう努めてまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 既に実態を把握しているところもあるかと思いますが、それが、これから日本語教育機関の質の確保に、把握した上でこの質の確保にしっかりとつなげていかなければいけないと思っております。

 日本語教育機関の開設時には、法務省告示に基づく法務省の審査によりまして質の担保を図っておりますけれども、その後が重要でございまして、今も少しお話ございましたが、開設後も継続的にその質を確認していく仕組みを創設することが必要だと考えております。改めて法務省の見解を伺いたいと思います。

 また、あわせまして、日本語教育機関に対する継続的な質の担保に対する取組は、やはりこれは日本語教育の専門性を有する文部科学省も積極的に関与していく必要があると思っております。この点につきまして、文部科学省の方にも見解をあわせてお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 今お話しいただきましたように、法務省は、文部科学省や文化庁の意見を聞いて、外国人留学生を受け入れることができる日本語教育機関を告示しております。

 しかし、告示後、教育の質を含めた日本語教育機関の運営状況等について、継続的に確認、評価する仕組みがないという問題がございます。

 そこで、まずは、現状の枠組みのもとで日本語教育機関の質を担保するために、法務省において、文部科学省等との関係機関と連携しつつ、告示後も定期的に日本語教育機関の運営状況を把握し、必要に応じ、適格性を欠く日本語教育機関を告示から抹消するなどの措置を講ずることを検討しているところでございます。

 また、法務省において開催をしております外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会におきましても、日本語教育機関における教育の質を担保するための枠組みにつきまして、有識者の意見を踏まえつつ対応策を検討しているところでございまして、引き続き、日本語教育機関の適正性確保に向けた検討を具体的に行ってまいりたいと考えております。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今法務省から御答弁がありましたけれども、留学生の受入れを行うことができる日本語教育機関を告示するに当たりまして、文部科学省におきましては、質の維持向上の観点から、有識者会議を設置いたしまして、校長の識見、主任教員の知識、能力、授業時数、授業科目、設置者の日本語教育機関の経営に関する識見等について書面の調査及び聞き取り調査を行いまして、法務省が定める基準への適否につきまして検討を行いまして、その結果を法務省にお伝えし、法務省において告示をいただいているという仕組みに今なっているところでございます。

 法務省からお話ございましたように、さらに今後は、質の担保の観点から、告示後も定期的に運営状況等について把握しまして、必要に応じて、適格性を欠く日本語教育機関を告示から抹消するなどの措置について両省で検討しているところでございます。

 その検討に当たりまして、抹消の基準となっております出席率や不法残留率の指標の厳格化を図るほか、さらに、新たな抹消の基準といたしまして、留学生の日本語能力に係る客観的な指標の設定等についても検討しているところでございます。

 これらの具体的対応策の詳細につきましては、先ほど法務省から御答弁がありました外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会におきまして、有識者の意見も踏まえながら検討を行っているところでございます。

 日本語教育機関の質の確保のために、文部科学省としましても、今後とも引き続き、法務省と協力しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 法務省また文科省の方からも、具体的に、質の担保に向けてしっかりと取り組むということでございました。

 やはり重要な課題でございますので、時間は限られているとは思いますが、しっかりと具体的に協議をした上で、また現場の皆さんの声も踏まえた上で、新たな仕組みづくり、進めていただきたいと思っております。

 その上で、あわせまして、質の高い日本語教育を実施していく上でやはり重要になってくる課題といたしまして、日本語教師の資格の創設、これも先ほど大臣の御見解の方でもお伺いをいたしましたが、やはり直接かかわってくださる日本語教師の方の資格創設が求められているかと思っております。

 その担い手、日本語教師のですね、人材の質の向上に向けてしっかりと取組を進めていただきたいと思いますが、この点につきまして、文化庁の方に御見解をお伺いしたいと思います。

中岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、外国人に対しまして質の高い日本語教育を実施していくためには、日本語教育人材の質の向上が不可欠でございます。

 このため、本年三月に、文化審議会国語分科会におきまして、日本語教師や日本語教育コーディネーター等の日本語教育人材の養成、研修に当たっての教育内容やモデルカリキュラムなどを示しました、日本語教育人材の養成・研修の在り方についての報告を取りまとめたところでございます。

 また、この報告の内容を養成、研修の実施機関に実際に活用してもらうための事業も平成三十年度から開始したところでございます。

 さらに、先ほど大臣からも答弁ございました、日本語教師のスキルを証明できるような日本語教師の資格の創設に向けましての検討につきまして、本年九月末の文化審議会国語分科会日本語教育小委員会におきまして着手したところでございます。

 文部科学省といたしましては、これらの取組を通じまして、日本語教育人材の質の向上にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 冒頭に大臣の方からもお話がありましたし、しっかりと、日本語教育人材の質の向上のためにもこの日本語教師の資格を進めるということで、そういった前向きの答弁をいただいたと思っております。

 やはり、子供たちの最大の教育環境は教師でございます。そういった意味で、日本語教師の皆さんのそういった資格の創設化、また質の向上ということで、しっかりとこれは文部科学省が責任を持って取り組んでいただきたいということを再度要望させていただきたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきますが、外国人材の受入れの拡大に伴いまして、多文化共生社会の実現、これを目指していくわけでございますが、その中で、子供たちが我が国で安心して生活できるよう、進学支援やキャリア形成支援を含めて、学校における教育相談体制の充実を進める必要があると考えております。

 先日、共生社会を目指して外国人の子供たちの教育支援を行っているNPOの活動を、大阪の方なんですが、ちょっと視察をさせていただきました。

 その関係者の方からさまざま御意見や要望をいただいたわけなんですが、まず、そこのNPOでは、高校進学を目指す子供たちに対しまして、また保護者に対しまして、言語ごとにブースを設けて受験のシステムを丁寧に説明をしたり、また相談に乗っている、そういったことをされておりました。

 そこで実際に活動されている方からいただいた御意見でございますが、やはり学校によって、また先生方によって、日本語教育また進学支援の力の入れ方が余りにも差がある、その差をなくしてほしいという御意見をいただきました。

 このような現状、現場の声は以前からも届けられているかと思いますけれども、こういった課題、更に重要になってくるかと思っております。

 日本語指導に必要な教員定数の改善や支援員の配置、また、公立小中学校等において外国人児童生徒が学校生活に適応するための指導の充実を図るべきと考えますが、文部科学省の見解をお伺いいたします。

清水政府参考人 外国人児童生徒に対する指導の充実についてでございますが、まず、外国人がその保護する児童生徒の公立義務教育諸学校への就学を希望する場合は無償で受け入れる機会を確保しておりまして、これらの児童を学校に受け入れるに当たりましては、日本語の指導を行うことも含めて、きめ細かな指導を行うことが重要と認識しております。

 このため、委員からの御指摘もございましたが、外国人児童生徒等の教育のための教員の加配定数につきましては一部を基礎定数化いたしまして、これを二〇一七年度から十年間で計画的に進めることにより、各自治体において、対象となる児童生徒十八人に対して教員一人が確保できるような改善を図ったところでございます。

 また、こうした外国人児童生徒等の在籍する学校に対する日本語の指導員、また母語の支援員の派遣、そして教員の研修のモデルプログラムの開発等の支援も実施してきているところでございます。

 平成三十一年度、来年度の概算要求におきましては、これらの日本語指導に係るきめ細かな支援の実施、また多言語翻訳システム等ICTの活用を始めとした地方公共団体の体制整備の支援等の推進に係る経費を要求しておりまして、文部科学省といたしましては、今後とも、外国人児童生徒等に対する指導の充実に努めてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 さまざま文科省としてもお取組をしていただいているかと思いますが、しっかりと、また自治体の皆様、またNPOで活動している皆様、そういった方々の声もまた更に聞いていただいた上で、よりよい対策が講じられることができるようにお願いしたいと思います。

 それでは、時間となりましたので、以上で終わらせていただきますが、重要な課題がまだまだ山積しておりますので、しっかりと私たち公明党も年末の予算編成に向けまして頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの菊田真紀子でございます。

 柴山大臣、このたびの大臣御就任おめでとうございます。

 柴山大臣はこれまで、政府においては、内閣総理大臣補佐官を務められ、また総務副大臣、外務大臣政務官など、経験を積み重ねてこられました。しかし、国会、衆議院におきましては、主に予算委員会とか財務金融委員会とか内閣委員会に所属をされていたということで、文部科学委員会においては、大臣自身、当時委員として所属されたことはありましたけれども一度も質疑に立たれたことがございませんでしたので、どのような考え方をお持ちの大臣なのかということで、きょうはいろいろ質問させていただきたいというふうに存じます。

 まず、教育勅語に関してですが、大臣は、十月二日の就任後初めての記者会見でこう話されました。教育勅語については、それが現代風に解釈をされたり、あるいはアレンジをした形でですね、今の例えば道徳等に使うことができる分野というのは、私は十分にあるという意味では普遍性を持っている部分が見てとれるのではないかというふうに思いますと話されましたが、政府として検討する考えがおありということなんでしょうか。

柴山国務大臣 私の就任後記者会見のコメントについて御紹介をいただきました。

 当然のことですけれども、教育勅語そのものについては、日本国憲法及び教育基本法の制定などをもって法制上の効力は喪失をしております。

 私の発言の趣旨は、教育勅語そのものとは離れて、友人を大切にするなどの考えは現在の教育においても通用する内容もあるという認識を示したものでございます。ということで、政府として、道徳等も含めて教育現場で活用するための何らかの検討を行うということを念頭に置いたものではありません。

 ただ、個人や団体の中には、先ほどのような理念や考えを教える、あるいはその検討をしている動きもあるというふうに聞きますので、その場合については、当然のことながら、教育基本法の趣旨を踏まえながら、学習指導要領に沿って、学校現場の判断で行うべきものと考えております。

菊田委員 ちなみに、その個人や団体というのはどういう方々か御存じですか。

柴山国務大臣 今申し上げたとおり、個人や団体のレベルにおいてさまざまな動きがあるということは承知をしておりますけれども、具体的に特定の個人や団体についてここで挙げることは差し控えさせていただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、そういった個人や団体の教育勅語についてのいろいろなアレンジ、取組をこちらから奨励するということを考えているわけではございません。

菊田委員 もう申し上げるまでもありませんが、教育勅語は、一九四八年に、根本的理念が主権在君に基づき、基本的人権を損なうとして、衆議院が排除決議をし、参議院においても失効決議を採択しています。国会として完全に否定しているわけです。さらに、憲法や教育基本法が教育勅語の原理そのものを否定しているのに、その一部を取り出してアレンジして肯定するというのはおかしいということを指摘したいと思います。

 先ほど大臣、友人を大切にするですとかとお話しされましたけれども、別にこれは、教育勅語をアレンジしたり一部を取り出したりしなくても、今の学校教育の中でしっかりと教えられていることだと思いますが、いかがですか。

柴山国務大臣 全くおっしゃるとおりです。

 現に、改訂された学習指導要領も、今、菊田議員が御指摘になられたような、いわゆる徳目等について書き込まれているところでもありますので、繰り返しになりますけれども、私は、わざわざ教育勅語を使うことを奨励するということは一切検討していませんし、そういうことを進めたいということも考えておりません。

 ただ、私の記者会見の文章を子細にきちんと追っていただければおわかりかと思いますけれども、そういうことを検討されている動きについて、それは検討に値する、理解できる、そういう趣旨の発言をさせていただいたかと思います。

菊田委員 永岡副大臣にお聞きします。

 十月四日の、就任後初めての記者会見において、今の柴山大臣の教育勅語に関する発言について記者から質問をされました。そして、副大臣はこういうふうにお答えされています。柴山大臣の発言につきましては、細かいことまでは承知をしておりません、ニュースなどで見知ったということはありますけれども、余りにちょっと、副大臣になるということもばたばたと決まりまして、柴山大臣の本当の真意ですとか、意見というのは、意図というのは、現時点におきましては把握をしておりませんので、コメントは申しわけございませんが、差し控えさせていただきたいと思っております、このように語られました。

 そこで、永岡副大臣にお伺いしますが、その後、大臣の真意を確認され、政務三役で共有されたんでしょうか。また、副大臣も大臣と同じような、この教育勅語に関する考え方、お持ちなんでしょうか。ぜひ御披露いただきたいと思います。

永岡副大臣 菊田委員にお答えいたします。

 思い起こせばでございますが、十月の四日、確かに、副大臣として、そしてあと政務官も一緒にですが、就任の記者会見をいたしましたときの発言はそのとおりでございます。

 そういう中にありまして、やはり、柴山大臣の教育勅語に関します意見というのが、その後、事務方の方から会見等の資料をいただきまして、議事録をいただきまして、それをしっかりと読ませていただきました。そういうことで、私たち政務三役は、しっかりと大臣の考えを共有させていただいておるところでございます。

 その内容につきましては、今大臣の方から御答弁があったとおりでございます。

 以上です。

菊田委員 議事録をお読みになられたということなんですけれども、これは大事な問題ですから、直接、政務三役で話合い、あるいは、大臣に対して、私はこう考えるというような、そういう場は持たれたのかどうかお聞きしているんです。

永岡副大臣 お答えいたします。

 政務三役一緒になって教育勅語と柴山大臣の発言に対しての協議ということはいたしませんでした。

 しかしながら、それぞれ、政務三役、副大臣、政務官のところには、事務方の方からきちんと大臣の会見等の議事録をいただきまして、そしてそれぞれ認識をしたところでございまして、それが共有されている、認識が共有されているということには変わりがないかと思っております。

菊田委員 私は浮島副大臣にも質問したかったんですけれども、ちょうどこの一週間、国際会議に出張されて、委員会に出られないということでありますので、また別の機会に浮島副大臣にも御質問させていただきたいというふうに思います。

 永岡副大臣にはもう質問しませんので、結構です。

 次に、安倍政権のもとで教科化されました道徳について伺います。

 小学校では、今年度から、文部科学大臣の検定に合格をした道徳の教科書を使って授業が行われています。検定に合格した小学校の道徳の教科書は何冊ありますか。そのうち、現職の総理大臣や政治家の写真、名前が掲載されている教科書というのは何冊あるのか、あわせて教えてください。

永山政府参考人 平成三十年度から使用されることとなりました小学校の道徳の教科書につきましては、平成二十八年度に教科書の検定が行われたところでございます。その際、八者から検定申請がありました。申請冊数は六十六冊でございますけれども、その全てが検定に合格をいたしたところでございます。

 それから、もう一つのお尋ねの現職の総理等につきましては、恐縮でございます、手元にちょっと今資料がございません。(菊田委員「聞こえない。大きな声で答弁してください」と呼ぶ)はい。現職の総理等が載った教科書につきましては、恐縮でございます、今、手元に数字、データがございません。

菊田委員 ちょっと、その答弁でいいんですか。

 どうぞ。

永山政府参考人 失礼いたしました。

 一冊でございます。

菊田委員 何でそうごまかすんですかね。

 私、今委員の皆さんの手元にお届けをさせていただきましたけれども、六十六冊という先ほど御答弁がありましたが、実は、安倍総理の名前と写真が掲載されている教科書がありました。

 これは教育出版株式会社の五年生の道徳の教科書なんです。「下町ボブスレー ―町工場のちょう戦―」ということで、内容は私はここで議論するつもりもないし、内容はすばらしいというふうに思いますけれども、このボブスレーに乗り込んで笑顔でポーズをする安倍総理の写真に非常に違和感を感じました。

 文科省にもう一回確認させていただきたいんですが、教育出版株式会社、小学校五年生の道徳教科書の検定では、何カ所検定意見が付されましたか。安倍首相だけじゃなくて、安倍首相の後ろにいろいろな人がいるんですけれども、この写真について意見が付されたり、あるいは議論に上がったということはあったのでしょうか、お答えください。

永山政府参考人 御指摘の教科書につきましては、教科用図書検定調査審議会における専門的、学術的な審査に基づきまして六つの検定意見がついてございますけれども、この写真につきましては、特に意見はついてございません。

菊田委員 六つの箇所に意見が付される一方で、現職の総理大臣の写真については何ら議論にならなかったということですね。私は非常に違和感を持ちます。

 この写真には、安倍総理以外にも国会議員が写っていますが、その議員名と所属の政党名を教えてください。また、官僚の方も写っているようですが、その方の氏名と当時の肩書について、大臣、お答えください。

柴山国務大臣 済みません、ちょっと私も委員からの御指摘を受けて、写真、当該資料を拝見させていただきました。

 議員からの質問を受けて、今回調べてみて、ちょっと私も、知っている方も知らない方もいらっしゃったものですから、調べてみたところ、下町ボブスレーオフィシャルブログというブログがネット上検索をできました。そのネットのブログを検索させていただいたところ、もう少し大きな写真も拝見することができまして、当該教科書の右の方には、株式会社マテリアルの細貝社長が写っていらっしゃるな、それから、中の方の複数の政治家については、恐らく私の同僚である山口泰明議員や伊藤議員や関議員が写っているものというふうに思います。

菊田委員 イトウ議員なんて、イトウさんという人はいっぱいいるんだから、きちっと名前も言ってくださいよ。氏名をきちっと言ってください。それから、役人の人も写っているでしょう、後ろに。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 伊藤達也議員と関芳弘議員じゃないかなというように思います。役人の方については、拡大をした写真においても、ちょっと私、済みません、まだ判然としておりません。

菊田委員 山口泰明さん、伊藤達也さん、関芳弘さん、そして柳瀬唯夫内閣総理大臣秘書官がここに写っているんです。

 この写真が撮影された日時と場所、どのような催物だったのか、文科省、お答えください。

永山政府参考人 先ほど大臣申し上げた下町ボブスレーオフィシャルブログにおいて確認をいたしましたところ、その写真というのは、二〇一三年、平成二十五年六月三十日に自民党本部で開催された中小企業・小規模事業者政策緊急フォーラムにおいて撮影されたものとされてございます。

菊田委員 現職の総理大臣が道徳の教科書に掲載されていることに違和感を覚えるだけでなく、写真の子細は検定に直接関係ないとはいえ、自民党本部で開催された自民党のイベントで、自民党の国会議員や安倍総理の秘書官が写っていて、安倍首相についても、総理大臣というよりは自民党総裁という立場の色が濃い写真を道徳の教科書に掲載することが果たして教科書の検定基準に反していないのか、疑問を持ちます。

 そこで、文科省に確認をします。

 義務教育諸学校教科用図書検定基準における教科共通の条件二の四では、政治や宗教の扱いは、教育基本法第十四条及び第十五条の規定に照らして適正かつ公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこととしています。また、二の八では、図書の内容に、特定の個人、団体などについて、その活動に対する政治的又は宗教的な援助や助長となるおそれのあるところはなく、また、その権利や利益を侵害するおそれのあるところはないことと定めています。

 この写真は、今ほど申し述べました二の四に照らせば、明らかに特定の政党に偏っていませんか。二の八でも、安倍首相や特定の政党の活動に対し政治的な援助や助長となるおそれがあるととることもでき、検定基準に反していると考えますが、大臣の見解を伺います。

柴山国務大臣 今、菊田議員から御指摘をいただいた写真は、最初、教科書の内容について御指摘をいただきましたが、物づくりに関する民間の取組について取り上げた教材の中で、細貝さんの名前も紹介させていただきましたけれども、関係者による努力や成果を示す、あくまでも一つの資料として、小さな写真を掲載されたものだと思っております。

 また、この写真については、総理大臣、ポーズを決める安倍首相というふうに書かれているかと思いますが、総理大臣という公の立場で掲載されているものでありまして、特段、特定の政党を応援あるいは助長をするという観点から掲載されたものでもありませんし、何よりも、教科用図書検定調査審議会における審査においても、検定基準に照らして特段の欠陥が指摘されなかったものでありまして、私どもとしましては、問題があるとは認識をしておりません。

菊田委員 繰り返しますが、私は、この内容については何も言っておりません。しかし、余りにもやり過ぎでしょうということです。

 では大臣、今の答弁からすると、公の立場としてということであれば、では、公の立場ですから、内閣総理大臣あるいは自民党総裁ではなく、文部科学大臣やほかの閣僚の立場であっても、同じように写真が掲載されることは問題がないということになりますか。

柴山国務大臣 政治家個人としてではなくて公の立場で写っている写真であれば、総理大臣でないからといって一概に否定されるものではありませんで、あくまでも、繰り返しになりますけれども、審議会において当該写真を掲載することが関連諸規定及び文脈に照らして問題がないかという観点から審査されるというように考えております。

菊田委員 安倍政権で道徳の教科化と一生懸命やってきましたよ。でも、その結果、こういうことが起きている。道徳の授業が現職の総理や特定の政党のアピールあるいは国会議員のアピールに使われるようなことが普通に、当たり前のように前例になったら、私は大問題だというふうに思いますよ。

 教科書に掲載されている写真は、実は左側が切り取られているようです。文科省に確認します。出版者が最初に申請してきたときの写真は、この教科書に掲載されている写真と変わりませんか。

永山政府参考人 特に変更はございません。

菊田委員 何か下の写真に比べて幅がちっちゃく、狭くなっているから、何なんだろうと素朴に疑問を持ちまして、先ほど答弁の中にもありましたけれども、下町ボブスレーオフィシャルブログというところに同じ写真が出てきています。

 それがこの写真です。これですけれども、この一番左側、教科書の方の左側、写真の見て左側、肩だけ写っている人がいるんですけれども、この肩だけ写っている人、誰か確認してくださいというふうにお願いしておきましたが、文科省、わかりましたでしょうか。

永山政府参考人 恐縮でございますけれども、明確に確認できておりません。

菊田委員 確認できていなくて、確認したくなかったんでしょう。

 もともとの写真には笑顔で写っているのに、この道徳の教科書の中ではなぜか切り取られてしまった先生がいるんです。その方は、もともとの写真を見ますと、自民党の甘利明議員です。

 なぜ、甘利……(発言する者あり)もちろんです。だから配っておりません。

 なぜ甘利議員が切り取られてしまったかは推測にすぎませんけれども、この検定の始まった二〇一六年四月、甘利議員は、URをめぐる口きき疑惑で大臣を辞任し、睡眠障害で国会を欠席され、あっせん利得処罰罪で刑事告発をされていました。そういう議員を道徳の教科書に載せるのは適当ではないんじゃないかと出版者が切り取ったのか、若しくは文科省が意見をつけたんでしょうか。

 もう一度確認をさせていただきたいと思います。

 これは、もとの写真がわからない、見ていないということでありますので、もし甘利議員が切り取られずにそのまま教科書に使用されていた場合は、これは検定に影響はありましたか。

永山政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、私どもに申請いただいた写真については特に変更はしていない、その後ですね、いないので、特に切り取られたとかいうことについては私どもとしては把握をしていないわけですけれども、一般論といたしまして、仮に政治家の方が載っていたということであっても、恐らく検定に影響はしなかったのではないかというふうに思っております。

菊田委員 これは蛇足ですけれども、柳瀬元総理秘書官も写っていますから、もし検定時期が今だったら、この写真はそれでも使われていたんでしょうか。

永山政府参考人 一義的には出版者の判断でございますので、私どもとしてどうこうという立場ではないというふうに認識をいたしてございます。

菊田委員 教科書の本文にちょっと入らせていただきますけれども、これは下町ボブスレーの最後の文章なんですが、「プロジェクトはその後も続き、二〇一六年一月、ジャマイカチームが、二〇一八年に韓国で開さいされる平昌冬季オリンピックでの下町ボブスレーの採用を決めたのでした。」と締めくくられています。ジャマイカチームの写真も掲載されています。

 しかし、残念ながら、事実は異なりまして、結局、ジャマイカチームは下町ボブスレーを使用せず、別のそりで平昌オリンピックに出場しました。結果として事実と異なる内容が掲載されたことになりますが、このことは適切だと考えますか。検定で合格を出した文部科学大臣にも落ち度がないのか、見解を伺いたいと思います。あわせて、現在、この教科書を採択した学校現場ではこの内容はどのように使用されているのかについてもお答えください。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、結果として、ジャマイカチームが日本製のボブスレーを平昌五輪の本番では使わなかったわけです。

 ただ、今紹介をしていただいた最後の記述の部分については、現時点におきましては、発行者から訂正の申請がなされておりません。検定済み教科書の訂正は、基本的に、発行者が、訂正することが必要な記載や訂正することが適切な記載を発見した場合に文部科学大臣の承認を受けて行うものでありまして、訂正を行うかどうかの判断は一義的には発行者に委ねられておりまして、文部科学省から積極的に訂正を求めるということは行われておりません。

菊田委員 発行者に全て任せているというのはやはりおかしいんじゃないですか、大臣。やはり学校教育現場で先生方も困るんじゃないですか。どうですか。

柴山国務大臣 まず、現場任せにするのは不適切ではないかということなんですけれども、事実関係を必要に応じて教師が補足をするなど、学校現場の状況を踏まえながら指導が行われるというように考えております。

 あと、文部科学省が訂正することができないのかという御指摘なんですけれども、確かに、教科用図書検定規則には文部科学大臣による訂正の勧告に関する規定はあるんですが、教科用図書検定調査審議会の専門的、学術的な審議に基づいて行われる教科書検定の性格に鑑みれば、専ら文部科学大臣の裁量に属する勧告権の発動は抑制的であることが求められると考えております。このため、確認できる限り、過去に訂正の勧告が行われた例は存在しません。

 ということで、御指摘の記述についても、現時点においては勧告を行うことは検討しておりません。

菊田委員 せっかく始めたこの道徳の教科が、何か政治的にいろいろな影響を受けたり、政党や国会議員あるいは権力のそんたくであるのか何なのか、子供たちの教育現場をゆがめるようなことがないように、やはり大臣、笑っている場合じゃないですから、これは大きな問題だと思いますので、しっかり対応していただきたいというふうに思います。

 それで、時間がもうないので、きょうは、総務省副大臣、済みません、来ていただきましたので、ちょっとエアコンについて質問させていただきたいと思います。

 もう既に、全国の小中学校、普通教室のエアコン設置率は五八%ということで、六割近くは設置しているんですけれども、総務省はエアコン設置に伴う電気代についてはこれまで調査、積算、把握していなかったということなんですが、それはおかしいんじゃないですか。六割も設置しているのになぜ把握していなかったのか、教えていただきたいと思います。

鈴木(淳)副大臣 公立小中学校の学校運営に関する経費につきましては、光熱費も含めて普通交付税において措置をしておるところでありますが、冷房設備に係る電気代につきましては、冷房設備の設置率が低かったということから、これまでは光熱費に積算されておりませんでした。

 平成二十二年時点では一六%、二十六年時点で三二・八%、最近でもまだ低い水準でございまして、平成三十年度普通交付税の算定方式を検討する際に参考としました平成二十九年の設置率も五〇%に達していなかったということでございますので、その時点では積算に含めておりませんでした。

 ただ、今回こうした予算が計上されましたので、平成三十一年度より、冷房設備に係る電気代につきましては、普通交付税により措置をすることを検討いたしております。

菊田委員 もう時間ですのでやめますけれども、やはり総務省が、電気代、光熱費に関しては普通交付税によりしっかり、必ずきちっと措置をします、国が責任を持つから心配せずに設置してほしいと地方自治体に明確にお伝えをし、自治体を後押しするような取組をしていただきたいということを要望いたしまして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。(発言する者あり)

 では、お願いします。済みません。

鈴木(淳)副大臣 現在、千五百校の公立小中学校を抽出しまして、冷房設備に係る電気代を調査中でございまして、その結果を踏まえ、適切に措置してまいります。

菊田委員 終わります。

亀岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

亀岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。初鹿明博君。

初鹿委員 立憲民主党の初鹿明博です。午後のトップバッターを務めさせていただきます。

 まずは、柴山大臣、櫻田大臣、御就任おめでとうございます。初めての質問になりますので、どうぞよろしくお願いします。

 では、まず最初に櫻田大臣に質問をさせていただきますが、大臣、今、アメリカが妊婦さんの日本への渡航を自粛するようにということをしているんですけれども、御存じですか。また、御存じでしたら、その理由、知っていますか。

櫻田国務大臣 承知はしております。(初鹿委員「理由については」と呼ぶ)

亀岡委員長 指名してから質問してください。

櫻田国務大臣 風疹が非常にはやっているということを向こうで勘づいて、勘づいてというか、認知して。

初鹿委員 そうなんですね。

 十月の二十二日に、アメリカの疾病対策センター、CDCというところが、日本の風疹が流行していることを非常に重く受けとめていまして、三段階警戒レベルがあるんですが、二段階の勧告に引き上げたんです。

 この勧告というのはどれぐらいのレベルかというと、エボラ出血熱がはやったときと同じレベルなんですよ。かなりアメリカとしては日本の風疹の流行というのを重く見ているんです。

 そこで、櫻田大臣、大臣、オリンピック担当として所掌していること、幾つかあるんですが、その中に感染症対策というのもありますよね。

 こちら、三十年八月に出た政府の取組に係る工程表というところにも、感染症対策の推進ということがちゃんと書いてあるんですよね。であるにもかかわらず、所信の演説の中で感染症のことを一言も触れていなかったんです。当然、櫻田大臣、日本で風疹がはやっているということを御存じでしたよね。風疹だけじゃなくて、実ははしかもことし持ち込まれてはやっていたんですよ、夏にね。夏というか、春先からずっと夏にかけて。

 この問題を私通常国会で、厚労委員会でも質問しているんですけれども、はしかも風疹も、どちらもMRワクチンという同じワクチンで防げるんです。でも、日本はその対策が十分にされてこなかったために、二年に一回とか、はしかは二年連続ではやっているんですけれども、続いている。

 こういう中で、二〇二〇年に、海外からたくさんのお客さんが来るオリンピックをやるわけですね。このまま風疹がはやった状態ですと、アメリカだけじゃなくてほかの国も、オリンピックのときに日本に行かない方がいいよなんということになったら、これは本当にせっかくの大イベントが台なしになってしまいますよね。

 そういうことを考えると、私、非常に風疹の対策というのは重要なんだと思うんですが、何でこれだけはやっているときに所信演説するのに、一言も触れなかったんですか。

櫻田国務大臣 政策的なことはいろいろありますが、オリンピック担当としてもそういうことは触れるべきだったかもしれませんが、一義的には厚生労働省の管轄かなと思いました。

初鹿委員 では、演説の内容に大臣は一応目を通して、必要なものは加える、また、これは別にいいんじゃないかとか、そういうことはやったりしている、そういうことでよろしいんですか。

櫻田国務大臣 そのとおりでございます。

初鹿委員 では、改めて聞きますが、この風疹の対策、二〇二〇年までにオリパラ大臣としてきちんとやらなければならないという認識を今の時点で持っておりますか。

櫻田国務大臣 関係省庁と協議をして検討したいと思います。

初鹿委員 オリパラ大臣としてやれることを幾つか提案させていただきますので、しっかり受けとめていただきたいと思います。

 オリンピック、パラリンピック、開催をするに当たって、多くの方がその開催にかかわりますよね。特に、会場の設営だとか、それこそ会場にいろいろな案内をする係の方、スタッフもいればボランティアの方もいる。そういう方々が、恐らく万の単位でかかわっていくことになると思うんですが、ぜひ大臣、そういう方々、オリンピックにかかわるスタッフやボランティアの方々、この方々にMRワクチンの接種を義務づけていただきたいんですが、いかがでしょうか。

櫻田国務大臣 風疹、麻疹を含め、東京大会で感染症対策は、非常にこれは重要な課題の一つであると認識をしております。それで、厚生労働省において、検疫所職員の増員など検疫体制の整備、それと、感染症に関する情報収集体制の強化、さらに、結核、風疹等の対策の推進等を行ってきたと承知しております。

 また、ボランティアや大会運営スタッフなどが健康な状態で大会運営に携わるべく、組織委員会では、東京都や厚生労働省と相談を進めているところであり、連携して必要な対策を行っていく予定であると伺っております。

 いずれにしても、オリパラ担当大臣としては、今後の動向を注視するとともに、東京大会に向けた感染症対策を、引き続き関係機関と連携して進めてまいりたいと思っております。

初鹿委員 ぜひ大臣、大臣が主導して、オリンピック、パラリンピックの大会にかかわる人は必ずMRワクチンを接種するように、これは東京都や組織委員会に伝えてくださいよ。というよりも、指示をしてください。そうしないと、日本に来た方々が感染してしまって、自国に持ち帰ってしまうことにもなるわけです。日本は、はしかは排除した国になっているんですけれども、その排除した日本が、今度、輸出する国になってしまっていいんですか。

 オリンピックですけれども、一九六四年に東京オリンピックがありましたよね。その年に沖縄で風疹が大流行したということを御存じですか。

櫻田国務大臣 そこまでは把握しておりません。

初鹿委員 沖縄でオリンピックの年に大流行しているんです。これは、オリンピックがあったからということではなくて、当時は米国の施政下のもとにありましたから、アメリカで大流行していて、米軍の方々が持ち込んで大流行しました。その結果、どうなったかというと、先天性風疹症候群で、耳の聞こえない子供たちがたくさん生まれました。それで、その子供たちのために聾学校がつくられることになっていったんです。

 この聾学校の子供たちが甲子園を目指すという映画もつくられて、これは「遥かなる甲子園」という映画なんですけれども、こういう映画もつくられて、風疹をなくそう会という、風疹で先天性症候群のお子さんを持っているお母さんたちがつくっている会で、これでミュージカルを、今度、二月の二十四日、東京のオリンピックセンターでやりますから、これは無料ですから、ぜひ見ていただいて認識を持っていただきたいんですが、また五十年以上たって、オリンピックで風疹がはやった、蔓延したなんということにならないようにしっかり対策をとっていただきたいと思いますので、ぜひその点はよろしくお願いします。

 あとやはり、選手や選手の周りにいるコーチとかそういう方々にも、ぜひきちんとワクチンの接種をしてもらいたいんです。ただ、ワクチン一回打つのに一万円ぐらいかかるので、その経済的な負担もやはりありますよね。若い選手が多いから、基本的には若い方々は定期接種をしていますけれども、ある一定年齢以上の方は、もう御承知のとおり、三十代後半から五十代は全く打っていない方々で、この人たちが蔓延の原因になっていると言われているわけですから、そういう、選手やその周りにいる人たちには、オリンピックの予算を使って公費で打つようなことも検討してください。

櫻田国務大臣 御指摘につきましては、感染症対策を所管する厚生労働省にしっかりとお伝えをするとともに、大会の成功に向けて、必要に応じて関係省庁と連携しながら調整を進めていきたいと考えております。

初鹿委員 厚生労働省に伝えるのもいいんですけれども、やはりオリンピックのことで私は限定して言っているので、少しオリンピック担当の大臣として主体性を持って取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 では、櫻田大臣への質問はここで終わらせていただきますので、もし予定があるようでしたら退席をされて結構ですので、ありがとうございました。

 では続いて、柴山文科大臣にお伺いいたしますが、資料を一枚めくっていただいて、新聞の記事をつけさせていただいております。

 実は、この記事、ことしの初めぐらいの記事なんですけれども、文科委員会で通常国会で質問したかったんですが、なかなか質問する機会がなかったので今になってしまいましたけれども、中学生が修学旅行で行ったアメリカで亡くなってしまったんです。通常、学校管理下で事故とかそういうもので亡くなったりした場合に、JSCがやっております災害共済給付というもので補償が受けられるということになっているんですが、何と、海外旅行の場合は小中学生は対象になっていなかったんですね。高校生は対象になっているんです。それで、この遺族の方が訴訟を起こしたということなんです。

 当然、国内で修学旅行をやる場合は、小学校、中学校、高校関係なくみんな対象になるんですが、なぜか、海外に行くと高校生だけだったんですね。私もいろいろ調べていって、これは外したというよりも、むしろ高校生を昭和六十一年に加えているんですよね、対象に。それまで恐らく、海外に修学旅行に行くなんということはなかった。それが、高校生が行き始めて多分いろいろな問題が出てきたから、高校生を加えたんだと思います。それから二十年近くそのままになっていて、誰も気にしていなかったんじゃないかと思います。ですので、私は、小中学生が今まで対象になっていなかったことを責めるつもりはありません。

 でも、やはり時代は変わってきて、今や中学校、これは公立でも結構海外に行っているんですね。私も文科省の方からどれぐらい行っているのかと聞いて結構びっくりしたんですが、公立の小学生でも海外に修学旅行で行っている場合もあるということなんです。

 そういうことを考えると、この対象から外しているのは時代おくれだし、学校管理下で起こったことは全部補償する制度なのに、海外に修学旅行に行ったら外される。では、小中学生が海外に修学旅行に行ったのは学校管理下ではないのかということになってしまいますので、ぜひこの規定を見直して、小中学生も海外への修学旅行でも対象になるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今、初鹿議員が御指摘のとおり、日本スポーツ振興センターが行う災害共済給付制度は、学校の管理下における事故について医療費あるいは死亡障害に係る見舞金の給付を行う制度なんですけれども、高校生については、海外への修学旅行の事例がふえてきたことを受けて、昭和六十一年度から海外への修学旅行中の事故について給付対象としたところでありまして、更に時代が過ぎて、平成十五年度からは、海外研修中の事故についても給付対象ということで、対象範囲を拡大いたしました。

 他方、中学生以下については、海外への修学旅行等の事例がこれまで少なかったことから、給付対象としてはおりません。

 ただ、今御指摘のとおり、中学生の海外への修学旅行やあるいは海外研修、こういった実施状況も変わってきているという御意見もありますので、それらの動向を踏まえて、災害共済給付の給付対象のあり方についてしっかりと検討してまいりたいと思います。

初鹿委員 御意見もあるんじゃなくて、事実としてふえているんですよね、これは小学生も実際にありますので。

 あと、やはり件数の問題ではないと思うんですよ。やはり全て学校管理下で起こったことは対象にするべきだと思いますので、特に、小学生や中学生の方がよりしっかり管理をしなければならないわけですから、例えば中学生は対象にするけれども小学生は対象外だというようなことにはならないようにしていただきたいので、もうこれは全部一律ね。

 さすがに幼稚園生で行くということはそんなに想定できないんでしょうけれども、年齢問わず、海外に行った場合も対象にしていただきたいと思います。

 では、次の質問に移ります。

 次は、今度は肌着の問題に入ります。

 実は、ことしの夏ぐらいに、運動着、体操服の下に肌着を着るのを禁止している学校があるということで、結構親御さんの間で話題になったというのを御存じでしょうか。御存じですよね。

 この問題は、私も質問を通常国会で夏の前にやりたかったんですが、なかなか機会がなかったので今になってしまっているんですけれども、質問しようかなと思っていたら、お手元に新聞記事を載せておりますが、川内先生の地元の鹿児島県なんですけれども、女子生徒の肌着が黒だったということで校外学習に参加させなかったということが起こったわけです。本当に起こったことなんですが、白いブラウスの下に黒いタンクトップを着ていて、それが透けて見えるのがだめだということで、親御さんも来ていろいろあったみたいですけれども、それで参加できなかった。

 このこと自体、私、非常に問題だなと思うし、校則で肌着の色まで縛る必要があるのかなというのは疑問です。特に、体操服ですと、今、大体小学校の中学年ぐらいから体も成長してきますから、女の子はやはり透けたりするのを気にするんじゃないかと思うんですよ。

 では、一体どれぐらい、そんな禁止しているような学校があるのかなというのを調べようと思って、なかなかなかったんですが、実は、菅公という学生服をつくっているメーカーがきちんと調査していて、すごいなと思ったんですが、それを今つけておりますから見ていただきたいんです。

 まず、クエスチョンの二で、体操服の透けが気になるかという質問に対して、女子の六八・二%、大体七割ぐらい、やはり透けが気になると答えているわけです。それで、もう一枚めくっていただいて、結構びっくりなんですが、三、下着の着用の許可状況というところで、ちょっと見にくいんですが、一番右端が、許可していない、認められていないというところなんですけれども、低学年だと一九・九%、約二〇%、中学年で一四・五%、高学年でも八・九%、これは小学生ですね。全体で一四・四%。大体一五%近くが体育の授業のときに下着を着ちゃいけない、肌着を着ちゃいけないというふうになっているんです。

 いろいろ調べていくと、学校の通知みたいなのもたくさんネットで拾えるんですが、その理由として、汗をかいて、それが冷えると風邪を引くからと。だったら、着がえを持っていけばいいじゃないですかね。そんな単純なこともわからないのかなと思うんですが、こうやって体育の授業で肌着を着ちゃいけないというのは、私はやはり不適切じゃないかと思うんですよ。

 先日も、どこかの市長さんで、中学生が汗をかいて頑張っていた姿を見て、下着が透けていたというようなことを言って非難を浴びていた方がいると思いますが、やはりそういうことになってしまうわけですよね。

 ですので、ぜひ、校則で肌着の色を指定するとか体育の時間に着ちゃいけないとか、そういうことは不適切だということを、大臣、文科省から全国に通知するということはできないんでしょうか。

柴山国務大臣 まず一般的に、校則については、各学校がそれぞれの教育目標を達成するために必要かつ合理的な範囲で定めるものでありまして、校則に基づいて具体的にどのような手段を用いて指導を行うかということについても、基本的には各学校において適切に判断されるものと考えております。

 先ほど新聞記事を御紹介いただいた鹿児島県の事案では、社会生活の公式の場において白いワイシャツの中に色のついた肌着を着ることは通常想定しがたいことから、学校としては、生徒がマナーを備えた大人になることを狙いとして色についての校則を定めているというのが、鹿児島県教育委員会からの聞き取りなんですけれども、ただ、今新聞記事にあったとおり、その処分として課外活動に参加させなかったということは、これは学校も教育委員会も不適切だったということは認めております。

 いずれにいたしましても、校則の内容については、学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化に応じて、絶えず積極的に見直していく必要があるというように考えておりまして、このことは、ことしの六月、生徒指導担当向けの会議において周知を行わせていただいたところでもありまして、引き続き、さまざまな機会を捉えて周知徹底に努めていきたいと思います。

 あと、先ほどの体育の授業の、体操服の下に肌着をつけてはいけないということを決まりとしている小学校、これも相当数あるということは承知をしております。

 その設定や見直し、先ほど通知を出させていただいたということなんですけれども、とにかく、長年の慣習にとらわれることなく、児童生徒の実態や社会の変化などを踏まえて、今日的な観点から有効や合理的で教育上意義あるものとすること、また、教職員だけでなく保護者を始めとする学校関係者からの意見を踏まえることが適当であるというように考えております。

 こうした考え方のもとで各学校が適切に対応するよう、都道府県教育委員会等に対して適宜指導助言を行うよう求めてまいります。

初鹿委員 ありがとうございます。しっかり対応していただけるというふうに確認をさせていただきました。

 では、次の質問ですけれども、きょうの毎日新聞の朝刊にこういう記事が出ていたんです。

 「同性婚否定は違憲」という見出しがついていて、「法の下の平等 来春にも一斉提訴」ということで、同性同士が結婚できないのは法のもとの平等を定めた憲法に反するなどとして、複数の同性カップルが国に損害賠償を求め、東京地裁に一斉提訴する方針だというのが毎日新聞の一面トップで出ておりました。

 そこで、柴山大臣にお伺いさせていただきたいんですが、大臣、ちょっと前の話なんですけれども、二〇一五年の三月だったと思うんですが、TVタックルという番組に出られましたよね。その席で、同性婚の話題になったときに、柴山大臣は、同性婚が制度化されると少子化に拍車がかかるのではないか、そういう発言をされたということですが、その発言をしたのは事実でしょうか。

柴山国務大臣 当該番組において御指摘のような発言をしたことは事実であります。

 ただ、その後、子細に調べると、同性婚を制度化した国には出生率がその後上昇した国も低下した国もあるわけでして、データをしっかりと確認することなくそうした発言を軽々にすべきではなかったかなというふうに現時点においては反省をしております。

初鹿委員 では、撤回をされるということでよろしいんでしょうか。それと、そのとき、発言したときになぜそう思ったのかということも教えていただけないでしょうか。

柴山国務大臣 まず後者の、なぜそのような発言をしたということなんですけれども、当時、テレビ番組で取り上げられていたのは、同性カップルを対象としたパートナーシップ証明の制度について議論をしている中で同性婚ということが話題に上がったわけなんですけれども、少なくとも、自然な方法で夫婦間に子供ができる可能性がない同性婚においては、出生率の向上にはつながらないというふうに私は考えて、そのような発言をしたところであります。

 また、先ほど初鹿議員がおっしゃった、撤回する気持ちがあるかどうかということなんですけれども、適切ではなかったかもしれないというふうに思ってはおりますけれども、番組において発言をしたことでもありますし、また、同性婚を認めるかどうかということにおいては、その国の伝統や文化に応じて非常にやはり歴史というものがあるわけですから、これを認めるということは、やはり事柄、制度については慎重であるべきではないかというのが、今でも私の感じていることであります。

初鹿委員 撤回はされないということなんだと思うんですけれども、大臣は文部科学大臣であります。学校にもたくさんのそういう性の多様性を持った子供たちが通っております。その子たちの多様性を認めていくような教育を私はぜひしてもらいたいと思いますし、今、大臣うなずいていただいていますから、そういう方向で文部科学省もいくつもりなんだと思います。そうであるならば、その子たちが傷つくようなことは、やはり大臣としては慎んでいただきたいんだと思うんですね。

 過去、してしまったことだから、今さら撤回をしても、そういうお気持ちなんだと思いますが、まず、少子化とは全く関係ないですよね。

 なぜ関係ないかと言ったら、同性の方に性的な指向がある方は、この制度があろうがなかろうが結婚はしないわけで、要は出生率がそれによって低下していくということはないわけですよ。関係ないんですよ。まさか大臣、法律に定めたらうつるなんということを思っていたわけでもないわけですよね。そんなこと、私はあり得ないと思いますから。

 ですから、ぜひ大臣、もう一回改めて伺いますが、文科省としてきちんとそういう性の多様性も認めて教育に当たっていくんだというお気持ちがあるならば、この発言は非常に不適切だったということは認めていただきたいと思います。

柴山国務大臣 繰り返しになりますけれども、具体的なデータについての子細な検証なくそのような発言をしたことは不適切ではなかったかというように今では思っております。

 また、今初鹿議員がおっしゃっていただいたとおり、学校現場において、性的指向、性自認に係る児童生徒に対するしっかりとした対応、これは私も当然極めて重要だと思っておりまして、文部科学省では、性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についての通知の発出を平成二十七年にさせていただいておりますし、また、何よりも教職員が理解を進めるということが非常に重要でありますので、教職員の理解促進のためのパンフレットの作成を平成二十八年に行い、そして、全ての小中高等学校への配布を同年行わせていただいて、学校における適切な対応を促しております。

 今後とも、性的指向、性自認に係る教職員の理解促進を通じて、悩みや不安を抱える児童生徒が相談しやすい環境づくりをしっかりと進めていきたいと考えております。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、医学部の不正入試の問題に移らせていただきます。

 皆さんのお手元に、中間まとめ、十月二十三日に出されたものをお配りしております。

 予算委員会の場で我が党の本多平直議員からも大臣に対して質問をしておりますが、その際のやりとりを見ていて、もう少し文科省として積極的に取り組めないものなのかなということを感じているんです。

 今、東京医大は問題の発端になった学校ですから、二年間分で、本来だったら合格していた、そういう受験生の人数を出して、それを来年の四月に救済していこうということで、それが二年間で百一人もいたということを発表していますよね。

 そのほかにも、順天堂大学とか昭和医大だとか、そういう大学の名前がちらほら聞こえてくるんですけれども、正確に文科省から、どこの大学でどれだけの人数が不正があったとか、そういう報告が出てきておりません。

 この報告書、中間取りまとめを見ると、二のところで「不適切である可能性の高い事案」というのがあって、一、現役生等には加点し多浪生には加点しないなど、属性によって取扱いに差を設けていると見られる事例、三、同窓生の子女等の特定の受験者については合格圏外であっても合格させていると見られる事例、四、より下位の特定の受験者に先に連絡していると見られる事例、ここまで具体的なことがわかっているわけですよね。

 でしたら、やはり文科省がいち早く、学校の自主努力というか、自主公表するのを待っているんじゃなくて、大学名は公表すべきだと思うんですが、いかがですか。

柴山国務大臣 文部科学省では、東京医科大学における事案を受けまして、ことし八月から緊急調査を実施させていただいておりますけれども、書面調査では不適切な入試はないと回答しておきながら、訪問調査を行う中で、複数の大学において不適切である可能性の高い事案が判明してきたということは、極めて私も遺憾だと考えております。

 なぜ校名を公表しないかということなんですけれども、まず一つは、現在、全ての大学を対象として、今申し上げたとおり、訪問調査、あるいはその際に生じた疑問点についての事実関係の確認、キャッチボールを行っている最中でありまして、現時点においては、文部科学省から具体的な大学名を公表することはまだ時期尚早ではないかということを考えているというふうに思います。

 ただ、不適切な事案があった大学については、何が起こってきたかということは自分たちでわかっているわけですから、大学が自主的に公表するとともに、速やかな対応をお願いしたいということを強く各大学に対しては申し上げているところであります。

 また、今申し上げたような、各大学がさまざまな形で自主的に対応することが、救済策の検討そのほか、不適切な事案の原因や背景の分析、また再発防止策の検討や入試の改善、こういったことにみずから主体的に取り組むことができるということもあろうかと思います。

 ですから、もちろんお尻は切って、また、今度受験する方々に対して不安を除去する対応をしっかりと求めてはおきますけれども、まず、大学みずからが不適切であることを認めて、我が事として正面から受けとめる機会を与えるということが必要だと考えております。

初鹿委員 そうだとしても、やはりお尻は、できるだけ早くするように、切ってもらいたいんですよ。だって、もう受験生の皆さんは志望校を絞り込んでいますよ。大体もう決まっていますよね。

 今回、東京医大の例でいえば、あそこは学校の定員は百二十人ですよね。百二十人で、今回百一人がわかって、六十何名かを来年の四月から入学できるように救済するということですよね。となると、六十名だとすると、百二十の定員で六十人はもう合格が決まっちゃう。じゃ、来年受ける人は合格者が六十人になるということですよね。大臣、そういうことですよね。

 定員をふやすというわけには医学部はいかないんですよね。それは定員をふやせるんですか。ちょっとここだけ確認させてください。

義本政府参考人 定員については、全ての学部について、ふやすことについては認可事項になっておりますし、医学部につきましては、文科省の基準によりまして、定員をふやすということについては原則的にはできないことになっております。

初鹿委員 ほかの学部なら場合によっては緊急で認可するということができるのかもしれないけれども、医学部は、医師の数の問題とも絡んでくるわけですから、簡単にふやせないわけですよ。そのことを考えるんですね。

 これから、別の大学で不正がありました、人数もわかりました、本来だったら合格している人数が例えば五十名いました、その五十人を来年の四月、入学できるようにしますということになった途端に、そこを希望している受験生、今現役の方とか浪人で受験を目指している方は、急に倍率が高くなって入学枠が狭まるわけですよ。これって、相当、どこの学校を受験するかという選定にもかかわる非常に重要な問題だと思うんですね。

 少なくとも、今後たくさん出ていった場合、当然救済は私はすべきだと思いますよ、すべきだと思うんだけれども、救済することによって、来年の受験生、特にことしの高校三年生は明らかに不利益だと思いませんか。このバランスをぜひ考えていただきたいし、文科大臣、現役の人たちが非常に不利益だということを文科省としてどう捉えているのかということも加えて、考えを教えていただきたいんです。

柴山国務大臣 御指摘は極めて重要で、全くごもっともだと思います。

 したがって、今私が、各大学が自主的にまずは発表するべきだというふうに申しましたけれども、まずは、とにかく時間が非常に限られているということが重要です。ですので、全国の受験生が安心して今度の受験に臨めるようにするために、文部科学省では、全ての大学で入学者選抜が適切に行われるよう、最終的な調査結果の取りまとめ、これはことし末までに行うということをしているのですが、それを待たずに中間まとめを、先ほど御指摘いただいたように、きちんと具体的な事例をもとに、私のメッセージとともに発出させていただきました。

 どの大学を受けたらどうなるのかということもわかるということも極めて重要です。ですから、そのことについても、今、大学の自主的判断を尊重するというふうに申し上げていますけれども、募集人員の設定を含め、大学入試の実施、合格者の決定、これについて、しっかりとした受験生への情報提供や説明に丁寧に対応するよう強力に指導していきたいと思います。

初鹿委員 本当にこれは重要な問題ですからね。ことし末までと言っていますけれども、もう十二月の半ばぐらいから出願が始まるわけですよね。出願してから、実は五十人救済することになりましたから合格者数が半分になりますなんということになったら、みんな驚いちゃいますよ、本当に。そんな酷なことにならないように、末というんだったら、今月末がリミットだと思いますからね。ぜひ、そのことを大学に強く申入れしていただきたいというふうに思います。

 その上で、この報告書を見ると、一番最後のページに、現在、一般社団法人全国医学部長病院長会議の大学医学部入学試験制度検討小委員会において医学部入試のあり方について議論が行われていると、何か、この医学部長病院長会議の決定を待って今後の医学部のあり方を決めていくかのような記述があるんですけれども、不正なことをやっていた当事者なんだから、当事者たちにそんなことを決めさせちゃ絶対だめだと思いますよ。やはり、これを待たずに決めていただきたいと思います。その点はいかがですか。

柴山国務大臣 そもそも論で申しますと、大学入試というのは、各大学が入学者受入れ方針、いわゆるアドミッションポリシーに基づいて、その建学の精神等に基づいて入学者を選抜するためのものでありまして、具体的な入試の方法については、基本的には各大学の判断に委ねられておりますけれども、全くおっしゃるとおりでして、今回の事案は、通常許されないと考えている性別あるいは受験回数による差別ということでありますので、一旦、AJMC側にボールは投げておりますけれども、その議論においては、文部科学省が私の名前で発出した中間取りまとめで示した考え方や現場の状況を踏まえた検討が行われるものというふうに考えております。

 ですので、もちろん関係者の意見にまず耳を傾けるということをしてまいりますけれども、しっかりと、今月の中旬にもAJMC側が取りまとめをするというように聞いておりますので、その中で確実に我々の中間まとめを踏まえた形での報告がなされるというように確信しております。

初鹿委員 ぜひ、出てきたものをそのまま受け入れるんじゃないように、これは問題だなと思うところはやはりはね返していただきたいと思うんですね。

 その上で、この中間取りまとめの三ページのところで非常に気になる記述があるんですよ。

 というのは、五の「募集要項等の役割と入学者選抜の公正性」というところの、丸が三つあって、一、二と書いてあるところなんですね。ここで、「募集要項等で予め説明していた試験方法や合否判定基準に反して又は予め説明していないにもかかわらず、特定の受験者を合理的な理由なく合格又は不合格とすること」、二のところも同じように、「予め説明していないにもかかわらず、」と書いてあるわけです。

 では、あらかじめ説明していたらいいのかということになるんですけれども、私は、説明していたからといって、性別や年齢で差をつけるというのは不適切だと思うんですよ。例えば、男性は八割、女性は二割しか採りませんとか多浪生はもう採りませんとか、そういうのはやはり不適切だと思いますがいかがかというのと、あともう一つ、学校のOBの枠をつくって優先的に合格させているという学校が現在でもあるわけですけれども、私は、選ぶのは大学の自主性というものはあるのかもしれないけれども、私学助成が入っているわけですから、公的な色彩が非常に強いわけです。やはり卒業生の子弟を優先するというのは、その点を考えたら不適切であると思うんですよ。仮にどうしても入れたいというんだったら、その同窓生の子供を入れる人数分は私学助成の算定の人数から除くとか、そういう対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 初鹿議員が今御紹介をしていただいた中間まとめにおいては、不適切と判断すべき事案を、一つは、募集要項等であらかじめ説明していた試験方法や合否判定基準に反して又はあらかじめ説明していないにもかかわらずそのような扱いをしていたということはおかしいよということ、それから二点目が、合理的な理由なく、性別、年齢、現役、浪人の別等の属性に応じた一律の得点調整や取扱いの差異を設定しちゃいけないよ、こういうことを定めさせていただいております。

 ですので、今御指摘になった、募集要項に記載すればいいのかというと、決してそうではなくて、募集要項に記載するだけでなく、大学がその合理的な理由をきちんと説明できることが必要であるという趣旨でこのような中間まとめに至っているわけであります。

 なお、先ほど紹介させていただいたとおり、AJMCにおいてもこの医学部医学科の入学者選抜のあり方について自主的に議論をされているところでありますが、それはあくまでも参考にさせていただくということでありまして、例えば東京女子医科大学のように、創設の経緯や合理的な理由がある場合には属性によって取扱いを変えるということ自体は私は一律に否定されるものではないというように思っておりますが……(発言する者あり)それは当然です、おっしゃるとおり。当然なんですが……

亀岡委員長 簡潔に願います。

柴山国務大臣 そうでなければ、性別や年齢により一律に差別するような扱いは、これは社会通念上、特に現在の社会通念上は認められるものではないというように考えております。

 それから、同窓生の……

亀岡委員長 大臣、簡潔にお願いいたします。

柴山国務大臣 失礼いたしました。

 同窓生については私学助成を返納するべきではないかという御指摘なんですけれども、少なくとも仕組み上は、私学助成は、私立学校の教育条件の維持及び向上、修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、もって私立学校の健全な発達に資することを目的としておりまして、算定の基礎となる学生数について、今、入試区分や属性等によって取扱いを変える仕組みとはなっていないので、ちょっと仕組みの中で説明するのじゃなくて、あくまでも、先ほどお話をさせていただいたとおり、AJMC側でどのような説明をするかということをしっかりと確認させていただきたいと思います。

初鹿委員 時間も過ぎていますので、一言だけ最後につけ加えさせていただきますけれども、やはり今現役で受けようとしている子供たちが一番不安なわけですよ。その子たちの不安が取り除かれて、本当に受験できちんと実力が発揮できるように早く結論を出していただくようにお願いをして、質問を終わります。

亀岡委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 国民民主党の牧義夫でございます。

 柴山大臣におかれましては、このたびの御就任、おめでとうございます。心からお喜びを申し上げたいと思います。

 その上で、質問を早速させていただきたいと思います。

 柴山大臣は名門武蔵高校を御卒業というふうに聞いておりますが、ネットの記事でちらっと見たんですけれども、旧制の時代の武蔵というのは、戦時中でも天皇陛下の御真影をお祭りする奉安殿も学校の中に設置しなくて、陸軍の担当者が来て校長先生と一悶着あった、その反骨精神の学校だというようなふうにネットの記事で読みました。そこの卒業生であられる大臣が十月二日の就任会見で早速教育勅語について言及をされておりますので、これは意外だなというような、そういう観点からその記事も書かれておりましたけれども、そういう意味で、ちょっとその真意をここで確かめさせていただきたいなというふうに思いました。

 教育勅語については、今まで、例えば教育基本法の改正のときですとか、歴代の大臣就任の後でいろいろ国会でも議論になりましたし、一人の人間が今をもってもこれを人間生活を送る上で最高の規範だと思って、そうやって生きていく方がいらっしゃるということも、これも私は否定するつもりはございませんけれども、事文科大臣がこういう発言をするからには、その真意についてはしっかり確認をしなきゃいけないなというふうに思っております。

 十月二日の会見で大臣は、教育勅語について、現代風に解釈をされたり、あるいはアレンジをした形で、今の例えば道徳等に使うことができる分野というのは、私は十分にあるという意味では普遍性を持っている部分が見てとれるのではないかというふうに思いますというふうに、ちょっとわかりにくいんですが、そういうふうに述べられております。

 どこに普遍性があるのかなということも含めて、このお話の真意、どういう意味でこれを述べられたのか、ちょっと、まず、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 私の出身校についても言及をしていただきました。おっしゃるとおり、武蔵というのは大変自由を重んじる学校でありまして、そこで私もいろいろなことを経験させていただきました。

 ただ、卒業においては、私が少なくとも個人的に感じたのは、当時、周りの学校は非常に、先ほどもちょっと質問に出ていましたけれども、厳しい校則とか、あるいは管理教育とか、そういうものが問題となっている中で、やはり学生の自主性を重んじるということが極めて重要だということで、私は自分のスクールカラーというものに誇りを持っていたんですけれども、一面、やはり自由とそれから義務や規律というものはバランスをとらなくてはいけないということも感じる場面がありましたので、私が就任の記者会見でそういったこともあわせて言及をさせていただいたということを、まず冒頭、紹介をさせていただきたいと思います。

 そしてまた、教育勅語についての御質問なんですけれども、申し上げるまでもなく、日本国憲法及び教育基本法の制定などをもって、法制上の効力は喪失をしております。

 私の発言の趣旨は、先ほどわかりにくいという御指摘もあったので、端的に申しますと、あくまで教育勅語そのものとは離れて、友人を大切にするなどの考えは現在の教育においても通用する内容もあるという認識を示したものでありまして、政府として、道徳等も含め、こういった教育勅語を教育現場で活用するための何らかの検討を行うということを全く念頭に置いたものではありません。

牧委員 そうすると、特別の教科道徳に使うつもりは全くないという解釈でよろしいんでしょうか。

柴山国務大臣 考えておりません。

牧委員 そこを確認できればいいんですが、ただ、一般的に普遍的な部分もある、それはよくわかります。ただ、であれば、何も教育勅語を持ち出す必要も逆にないんじゃないかなと。あえて大臣が教育勅語という言葉を持ち出されるということには、そこには一つのやはり政治的な意味合いを感じ取る人がいても、そうじゃないとおっしゃるかもしれないけれども、いてもおかしくないなと私は思うんですけれども、あえてなぜ持ち出すのか。

柴山国務大臣 当該記者会見の全文を見ていただいたらわかるんですけれども、私は全く教育勅語について触れるつもりもなかったんですね。ただ、報道というか記者の方から教育勅語についての現在の政府見解をお示しいただいて、大臣はどう思いますかと記者の側から私に質問をされたので、今申し上げたような答えをさせていただいたわけであります。

 また、国として当然、学校教育に教育勅語を使うつもりはありませんけれども、個人や団体の中には先ほど申し上げたような考えを教える、あるいは検討している動きもあるというように聞いておりますので、それについては、きちんと教育基本法の趣旨を踏まえながら、学習指導要領に沿って学校現場の判断で行ってほしいと思っていますし、何も、全くおっしゃるとおりで、教育勅語を使わなければそういうものが教えられないということは全くないと思います。

牧委員 わかりました。前後の文脈もしっかり踏まえれば決してそういうことではないということを確認させていただいたんですが、そういう言葉を使ったことによって、こういうことがひとり歩きしているということもやはり大臣にはしっかり認識していただいて、今後気をつけていただければと思います。

 そういった意味で、ちょっと確認なんですが、昨年の閣議決定で、教育勅語を「教材として用いることまでは否定されることではない」ということが閣議決定されたように聞いておりますけれども、この決定の内容について大臣はどういうふうに理解をされているか、確認をしたいと思います。

柴山国務大臣 先ほどの閣議決定の御紹介なんですけれども、教育については、教育基本法の趣旨を踏まえながら、学習指導要領に沿って学校現場の判断で行うべきと考えておりまして、御指摘の答弁、政府解釈についても同趣旨のものであるというように考えております。

牧委員 ということは、私の解釈でいえば、教育勅語というものはかつて終戦までありました、ただし、今はもう失効していますということを子供たちに教えることにおいては、これは否定するものでない、そういう理解でよろしいんですね。

柴山国務大臣 具体的にどういう形で教育勅語を紹介するかということについては、先ほど紹介をさせていただいたとおり、個人ですとかあるいは団体、また設置者、所轄の自治体等において、国民主権等の憲法の基本理念や教育基本法の定める教育の目的に反しないような形で使ってもらうということではないかというように思っております。

牧委員 それは当然の、当たり前のお話だと思います。今の教育理念に反しない形というのは当然のお話だと思うんですけれども、ということは、教育勅語というのは、昔のハムラビ法典だとかモーゼの十戒だとか、ああいうふうに歴史的に存在したものだという理解だけでいいというふうに、いや、首をかしげられるとちょっと、違うんですか。何か、そこに書いてある規範的なことを子供たちに教えるという意味なんですか。

柴山国務大臣 冒頭答えさせていただいたとおり、単なる歴史的な事実としてというよりは、教育勅語そのものと離れて、そこの中にある、友人を大切にするなどの考えは現在の教育においても通用する内容もあるのではないかということを申し上げたわけであります。

牧委員 これ以上やっても平行線だと思いますので、これ以上余り追及しませんが、いずれにしても、大臣がはっきりおっしゃられているのは、この勅語をアレンジしてまで使用することは検討に値するという発言をされているので、その辺のところはやはりもうちょっと十分な説明をしていただかないと、教育行政をつかさどる立場としてちょっと軽率かなというふうに私は思うということだけは申し上げさせていただきたいと思います。

 続いて、高等教育段階の奨学金について質問をさせていただきたいと思いますけれども、大臣のいろいろ見解をお聞きする前に、まずちょっと具体的なお話から入らせていただきたいと思います。

 十一月一日の朝日新聞に出ていたのを見たんですけれども、奨学金、これは貸与型の奨学金ですけれども、有利子、無利子、当然返済しなきゃいけない。この返済が滞ったときに、連帯保証人なり保証人のところに支払いの請求が行くわけですけれども、この保証人、連帯保証人じゃなくて保証人の方ですね、支払いの義務が、これは分別の利益というのがあって、連帯保証人と二人立っていれば最大でも二分の一ということなんですけれども、それを機構は全額請求して、ほぼ九割方の保証人の皆さんがこれに応じていたと。

 請求するときに、この分別の利益というのがあるんですよということすら知らせないで取立てを行ったという事実で、これはけしからぬ話で、悪徳なサラ金みたいな取立てだというふうに私は言わざるを得ないと思うんですけれども、この実態について、まず、事務方でも結構ですから、端的にお答えください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 滞納している奨学金の回収につきましては、日本学生支援機構が保証人に対して全額を請求していることにつきましては、今議員が御指摘のとおり、保証人の民法上の権利、分別の利益と責任に関する理解を十分に得た上で返還をいただくということが望ましいというふうに考えております。

牧委員 新聞の記事によると、そういう説明がなされないまま全額を請求して、九割方の人が全額を返済している、このことについてどう思いますかということを言っているんです。お答えください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、保証人から分別の利益による負担分を超えて返済していただいた部分につきましては、弁済としては法的には有効であると承知しております。

 しかしながら、文科省としては、滞納している奨学金の回収に関する保証人への返還請求につきましては、日本学生支援機構としての対応の考え方を丁寧に、かつわかりやすく説明いただくことが重要であるというふうに考えておりますので、日本学生支援機構に対しまして、その考え方を明らかにするように指導をしてまいりたいと考えております。

牧委員 私が聞いているのは、弁済してもらった分が法的に有効だとかそうだとかというのは、これは当然有効なんでしょうけれども、取立ての仕方ですよ。必要のない分まで、これを返していただかなきゃ困るという請求の仕方をされたからこそ皆さん払っているわけで、これは不適切な請求の仕方じゃないでしょうか。この分別の利益って、よっぽど法律の専門家じゃなきゃわからない話でしょう。これをきちっと説明してから請求するのが本来あるべき姿だと思うんですけれども。

 ということは、認識のないまま、言われるまま払ってしまった分というのは、これは過払い金じゃないですか。これは、過払い金請求されたら返してくれるんでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、滞納している奨学金の回収に関しましては、日本学生支援機構が保証人に対して全額を請求していることにつきましては、分別の利益と責任に関する理解を十分に得た上で返還いただくということが望ましいというような考え方でございます。

 なお、弁済があった部分に関しましては、日本学生支援機構の請求権が消滅していることから、その返還に応じることは困難であるということを日本学生支援機構から聞いているところでございます。

 なお、先ほど申しましたように、学生支援機構としての対応の考え方を丁寧かつわかりやすく説明いただくことが重要であると考えておりますので、その点につきましては、日本学生支援機構に対しまして、その考え方を明らかにするように指導してまいりたいと考えております。

牧委員 聞いたことに答えていただいていないと思うんですね。

 払う必要のないものを払ってしまったのを、返還請求したら返してくれるんですかという質問です。ちょっと端的に答えてください。

義本政府参考人 弁済があった部分につきましては、日本学生支援機構としての請求権が消滅していることから、その返還に応じることは困難であるということでございます。

牧委員 これは返せないというお話だと思います。

 多分、余計に払った分は連帯保証人に請求してくださいという言い分なんだろうと思うんですけれども、連帯保証人というのは親御さんですよね。保証人というのは四親等内の親族だということで、お互いよく知っている間柄であると思うんですよね。だから、連帯保証人がもう払えないというのがわかっているからこそ、求めに応じて全額を払ってしまったというケースが私はほとんどだと思うんですよ。ただ、そのときに分別の利益についての説明がしっかりあれば、こんなことにはならないと思うんですね。

 これは果たして、闇金じゃあるまいし、学生支援機構がやることですか。大臣、どう思われますか。

柴山国務大臣 一般論としてお答えをさせていただければ、給付型でない奨学金については、本来、本人がしっかりと、将来、その糧を得て返すのが当然のことであろうというように思っております。

 ただ、当然のことながら、非常に経済的に恵まれない方々がいらっしゃるのも事実でありますので、そういうところから奨学金というものが制度化されているということでありまして、おっしゃるような民法上の分別の利益については、これは十分に理解した上で返還をしていただくことが望ましいことは事実でありますけれども、だからといって、保証人から分別の利益による負担部分を超えて返還していただいた分について、これは返してもらえるんだということはちょっと法律的にも説明がつきませんし、また、先ほど義本局長の方からお話をさせていただいたとおり、請求権が消滅をしているということからも、これは返金に応じるということは困難である。

 ですので、我々としては、先ほど来申し上げているとおり、分別の利益をまず理解を十分に得た上で返還をしていただくことが望ましいということと、それから、日本学生支援機構としての対応の考え方を丁寧かつわかりやすく説明するように指導していくということが大事だというふうに思っております。

牧委員 大臣の御説明はよくわかります。形式的にそのとおりだと思うんですけれども、私が申し上げたのは、この取立ての仕方が不適切だったんじゃないかということですね。そのことについてどう思われますか。これはもう請求できないんだと言われちゃうと、本当に血も涙もない返答だなというふうにしか捉えられないんですけれども、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 再三繰り返しになるとおり、既に支払われてしまったものは過払い金となるわけでもございませんので、それについて返還ということは難しいのかなというふうに思いますが、ただ、今累次にわたって議員から御指導いただいているとおり、分別の利益と責任に関する理解を十分に得た上で返還をしていただくことが望ましい、そして、ちゃんとその旨の考え方を明らかにするようにしてほしいということを指導していきたいと思います。

牧委員 これ以上きょう追及してもしようがないので、ここら辺でやめますけれども、それもこれも、やはり無利子、有利子問わず、要は、借金をして学校に通わざるを得ない、高等教育を受けざるを得ない、そういう境遇の人たちが三人に一人以上いるという実態があると思います。給付型の人たちというのはまだまだ、ほんの氷山の一角でしかないわけで、やはりしっかり給付型の奨学金の制度に向けて進めていただかなきゃいけないと思うんですけれども、それだけの数の人たちが借金を背負って社会に出るんですよ。このことについて、大臣の所見をまずお聞かせいただきたいと思います。

柴山国務大臣 御指摘のとおりでありまして、意欲と能力のある者が経済的理由から進学を断念せざるを得ないという実態が今厳然として存在するということから、奨学金事業の充実をこれまで図ってきたところであります。

 進学のための資金計画について助言を行うスカラシップアドバイザーの派遣などを通じて無理なく奨学金を返還できるような適切な貸与額の検討等を促しているところでもありますし、また、さまざまな経済状況によって奨学金の返還が困難な若者もおりますので、そういった返還者にはきめ細かな対応も必要であるというように思っております。

 このため、返還期限猶予制度ですとかあるいは減額返還制度などの返還困難者に対する制度の充実を図ってきたところでもあります。

 引き続き、制度の周知を図り、奨学金の返還負担の軽減に努めていきたいと思います。

 また、もうこれは何度も申し上げているとおり、今度の骨太の方針において、そういった給付型の奨学金を大幅拡充を行うということを今後進めていきたいと考えております。

牧委員 今、骨太の方針のお話が出ましたが、大臣の最初の御挨拶の二ページ目に、高等教育については二〇二〇年度からというくだりがあります。全ての意欲ある住民税非課税世帯の学生等について必要な支援を行いますということになっている。

 これは、そうすると、全ての意欲あるというのは、学力の基準ですとかそういったことを抜きにして、意欲さえあれば受けられるという解釈でよろしいんでしょうか。

柴山国務大臣 今、牧議員が御紹介をいただいたとおり、家庭の経済状況にかかわらず、意欲さえあれば大学等に進学できる社会へと変革するため、真に支援が必要な所得の低い世帯の子供たちに限ってではありますけれども、授業料の減免措置と給付型奨学金の大幅拡充を行うというふうにさせていただいております。

 ですので、新制度の支援対象者については、大学等への進学前の段階における支援の決定に当たって、高等学校在学時の成績のみで否定的な判断をするということをせずに、レポートの提出ですとかあるいは面談などによって本人の学習意欲を確認することをしっかりとさせていただきまして、高等学校在学時の成績だけで対象者を選別するようなことは行わない考えです。

牧委員 今のお話を聞いて、大変安心をいたしました。成績だけで判断されると、成績とは何ぞやという話になってしまうと思うんですよね。情報処理のスピードが速かったり、記憶力がよかったり、それだけでもって人間というのははかれるものではありませんし、学習の意欲というものを適切に評価していただくということは非常に大切だと思いますし、今の大臣のお話で少し安心はいたしました。

 ただ、ちょっと、その一ページ前へ戻っていただくと、生産性革命を実現すると。これがちょっと私、意味がよくわからなくて、何か、人間が生産性があるとかないとかということを言った方もいますけれども、これからお国のために生産を上げる人たちを大事にするのが教育なのか、あるいは一人一人が自己実現を目指すことが教育なのか、大臣の価値観をちょっと教えていただきたい。

 それで、この生産性革命とは一体何なのかということもちょっと説明していただければと思います。

柴山国務大臣 私が、所信挨拶において、人づくり革命とあわせて生産性革命ということを紹介させていただきました。文部科学省が担う教育再生や科学技術イノベーション、スポーツ、文化の振興は、今、私が申し上げた人づくり革命、生産性革命において中核を担うものであるというように認識をしております。

 生産性革命について、文部科学省では、では、具体的にどういうことを想定しているんだということなんですけれども、戦略的イノベーションの推進や若手研究者の活躍促進、大学のイノベーション拠点化などによるイノベーション促進基盤の抜本的強化について、大学改革とも連携した取組、個人の力を引き出す教育環境の整備、スポーツ、文化芸術分野における人材育成、こういったことを想定させていただいておりまして、部分的には、当然人づくり革命と重なる部分もあるのかなというように思っております。

 教育は、教育基本法に基づいて、人格の完成を目指し、国家社会の形成者として必要な資質を備えた国民の育成を期して行われるものでありまして、そういう意味からも、この生産性革命もやはり私は重要な柱だというように思っております。

牧委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 国民民主党の吉良州司です。

 きょうは、今国会の最大のテーマである外国人労働者の受入れ、その議論を文部科学省の所管領域の中でより深めていくために、大臣にいろいろと質問させていただきたいと思っています。

 ただ、質問通告した各論については、実は、午前中の公明党の鰐淵議員からほとんど各論については質問が出て、また答弁もありましたので、私は少し、大局と言うと言葉がよ過ぎるんですけれども、総論的な議論を柴山大臣とさせていただきたいというふうに思っています。

 その際、ちょっと、ここの委員の皆さんにお断りしておきたいことは、私、初めて文科委員になりました。これまでほとんど外務委員か経産委員だったんですけれども、人口減少社会の中で、これからの日本を支えていくためには、とにかく一にも二にも子供への教育、そして子供たちを育てる子育て世代への支援が大事だ、そういう思いから文部科学委員にならせてもらいました。(柴山国務大臣「ありがとうございます」と呼ぶ)はい。

 その中で、私が、これまでも外務だ経産の中で発言させてもらう際に必ずお断りしたことは、私は、時に、こういう政策にすべきではないか、こういうことをやるべきではないかという提案もさせてもらいますが、その内容については、必ずしも私が属する、今、国民民主党の正式な政党の方針と違う場合もある、又は政党の方針が出ていない場合もある。それでも、私は、私吉良州司、議員個人の責任において、提案、発言をさせてもらいたいと思っていますので、そのことについては事前に御理解をいただきたいと思っています。

 それと、もう一点、先ほど馳委員の答弁に対して、柴山大臣が、改革マインドは人後に落ちないという答弁をされておりました。私もそういう改革を志向する提案もさせていただきたいと思っていますので、柴山大臣においては、余り慎重になり過ぎることなく、思い切って答弁をいただければと思っています。

 私自身は、仮に、柴山大臣の答弁の中で、ある言葉を選択した、その言葉が場合によって必ずしも適切じゃなかったとしても、その言葉自体を捉えて追及したりするつもりは全くありません。発言全体の趣旨、答弁全体の趣旨をきちっと踏まえてやりとりをさせていただきたいと思っていますので、そういう意味では、柴山大臣の思うところを率直に聞かせていただきたいと思っています。

 それで、まず最初の質問になるわけですけれども、私は、今回の入管法改正、これ、現実的には移民政策への第一歩、移民政策にかじを切ったと私は認識をしております。それでも、政府の方は、いや、移民政策ではないとずっと言い続けております。

 この背景は何なのか。私が考えてみますと、異文化が入ってくる、異文化を担った人が入ってくるという違和感、それから、他国で見られるような、外国人の受入れ、流入によってやはり治安が悪化するというケースも多々見られる、こういう負の側面を日本において具現化させたくない。そういう意味で、日本国民に、その種の不安を払拭するために、移民政策ではないということを言いながら、一方で、人手不足というものはもう喫緊の課題として補わなければならない。そういう中で、今回の、移民政策ではないけれども外国人労働力の受入れが必要だ、こういう認識をしているんだと思います。

 そうであるならば、私たち、国会としてといいますか、政治家として考えなければいけないのは、外国人、また外国人労働者が入ったときも、日本人ときちっと共生できる、そういう環境をつくるべきだというふうに思っていますが、大臣も、そういう意味では、共生できる環境をつくるということについては全く同じ認識だと思いますけれども、その共生できる環境をつくるには何が最も大事だと思っておられるでしょうか。

 これ、先ほど言ったように、ちょっと個別具体の質問通告からは離れていますが、私、質問通告の中で、一番大きなテーマとして、外国人労働者の受入れ、将来的には移民受入れを視野に入れた際の文部科学省の役割、その方針のもとで現場が担うべき役割についてという広いテーマを質問項目に挙げさせてもらっています。そういう意味では、広くは質問通告に入るんだろうと思って、ちょっと柴山大臣の見解をお伺いします。

柴山国務大臣 まず冒頭、吉良議員の大変真摯な質疑に対する思いをお伝えいただき、感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、今の御質問についてなんですけれども、確かに、通告と若干違う御質問かと思います。

 入管法の今回の改正案は、移民じゃないということに何でこだわるかということは、累次にわたって総理からも所管の法務大臣からも答弁をさせていただいているとおり、真に必要な分野に着目して、そしてしっかりとコントロールをしながら徐々に外国人材を受入れをしていく、しかも専門性に着目をして受け入れていくということでありますので、それは、通常、一般的に言われる移民政策とは違うというふうに説明をさせていただいております。

 そして、じゃ、何を最も重要なファクターと考えるかということなんですけれども、いずれにいたしましても、外国人の保護する児童生徒がふえてくるということは、これは避けられないというか、紛れもない事実であろうというように思うんです。家族の帯同は原則として認めない一号の分野であっても、その後のこともいろいろ考えれば、そういった外国人の保護する児童生徒、こういう方々がやはり日本の中でしっかりとコミュニティーに受け入れられる、そして教育環境を整備するということが重要だと思っております。

 文部科学省といたしましては、今申し上げた、外国人がその保護する児童生徒の公立義務教育諸学校への就学を希望する場合には、求めがあれば無償で受け入れる、これは現在もそういう仕組みになっております。

 また、こうした義務教育諸学校への受入れに当たっては、コミュニティーにしっかりと受け入れられるように、日本語の指導を行うことも含めて、きめ細かな指導を行っていくということがこれから必要になってくると認識をしております。

 いずれにいたしましても、今後の外国人材の受入れに係る対応について、政府においては、ことし七月に、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議、私もメンバーですが、設置をされて、政府一体となって、日本語教育を含む関連施策に取り組むこととなっております。

吉良委員 ありがとうございます。

 私自身が思う大事なことというのは、大臣が今答弁されたことも含まれるんですけれども、所管省庁としては厚生省と私は文科省だと思っていまして、つまり、外国人が日本に行きたくなる、日本に行けば夢がかなえられる、いい生活ができる、そう思って、日本が外国人からも選ばれるようになるために必要なことは、雇用環境の整備、そしていわゆる社会保障の充実、そして何よりも、日本に来る外国人本人とその家族、特に子供たちの教育、これが充実していること、これが共生できる環境をつくるという一番のインフラ整備だというふうに思っています。

 ちょっと一回、お配りした資料を見ていただきたいと思っているんです。

 これは、東南アジア諸国も、近い将来、人口ボーナス期は終了し、負担期、人口オーナスへと移行するということで、特に東アジア、東南アジアの国々がどういうタイミングで人口ボーナスから負担期へと移行するかということを示した図なんですね。

 この図というのは非常にいろいろなことを教えてくれまして、左上の日本を見ただけでもそうですけれども、この赤い線が右肩下がりのときというのは人口がだんだん減っているときですよね。だから、当然、グラフが高いときには人口が多かったし、経済でいえば成長を謳歌していた時代。逆に、右肩上がりになれば、高齢者が多くなって、経済的にも停滞だったり横ばいだったり、余儀なくされる。

 そして、右側を見ていただければ、第二グループと書いてありますけれども、シンガポール、中国、タイ、韓国。中国を除きますと、こういう国々というのは、ある意味では既に経済成長、中進国から先進国になったか、仲間入りをしようとしている国々。実際、こういう国々からの移民というか労働者は日本には来ていません。

 そして、今、左下を見ていただければわかるんですが、第三グループ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、これに右横のフィリピンあたりが入ってくるんですけれども、こういう国々が、今、そしてこれから日本に大勢入ってくる可能性があるというふうに思っています。

 そういう国々は、まさに今発展途上にあり、現時点では人口がふえているけれども、二〇年代、三〇年代にかけて人口が負担になってしまう。そのときは、残念ながら、その国においても若い人が不足して、とても海外に行く余力がなくなってくる。その国としても、当然、そういう若い、特に優秀な人たち、日本は高度人材を求めているんですけれども、その人たちをとても海外に出すわけにはいかない、そういう時期に入ってくる。そういうことを示しています。

 現時点の日本における児童あたりを見ても、どの母国語かということを見ると、日系人を受け入れた影響もあってポル語、それから中国、フィリピンが多いわけですけれども、今後は、人口異動のこのグラフを見ても、ベトナム、インドネシア、フィリピンあたりが中心になってくることが予想されますので、その外国人とその子供たちが多くなるというある意味では予見のもとで、外国人児童への教育のあり方も考えていってもらわなければいけないというふうに思っています。

 まず、この見方、考え方について大臣の所見があればお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

柴山国務大臣 御指摘のとおり、今後の長期的な社会あるいは国際情勢の推移を見れば、おっしゃるように、途上国においても少子化に転じていくということは予想がされるところでありまして、今回、我が国が外国人材の受入れをある程度ふやしていったとしても、それがいつまでも続くという環境ではないのではないかというように思います。

 それに備えて、我々としては、やはり、先ほど来お話が出ているとおり、人づくりあるいは生産性革命、こういったことも、あるいは、女性や高齢者の方々の活躍支援ということもしっかりと進めていかなければいけないというように考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 先ほども言いましたけれども、選んでもらいたい、いい人材を日本によこしてくれとお願いしなければいけない時代がすぐそこに来ているので、そのときに、今、我々野党の方からさんざん指摘している、こんな劣悪環境の中で、生煮えの制度の中で受け入れていいんですかということについては十分耳を傾けていただきたいというふうに思っていますが、その中で、私は特に、子供たちの教育の充実が決め手になると思っています。先ほど私は、政党と考え方が違う又は政党が結論を出していないということを言いました。私は、移民政策にかじを切るべきだと思っています。

 今回の一号についてですけれども、五年ごとに変わっていく。世界で最も難しい言語である日本語を、子供のときでなく、大人から学び始めて、一年、二年で習得できるものではありません。表面的には会話しているように見えても、本当の真意というのは伝わっていないことが多い。

 それに比べて、移民という形で家族で受け入れて、子供たちが小さいころから、保育園だったり幼稚園だったり小学校だったり中学校で学ぶことができて、日本の文化も学べる、日本人の友達もできる、当然日本語もほぼネーティブのように使いこなせることができる。

 五年ごとに、はい、帰れ、本国に戻れとやっていれば、また新しく日本語がほとんどわからないフレッシュな外国人が入ってくるんです。ちょっと覚えたかなと思うとまた戻って、また日本語がわからない。そうすると、外国人労働者というのは永遠に末端の仕事しかできなくなります。

 だから、ネーティブのように日本語がしゃべれる子供たちを連れてきてもらうということが大事だと思います。

 私は、五年半アメリカに住んでおりました。ニューヨーク勤務で駐在して、家族と当然一緒に行きました。そのときに、今、トランプ大統領が出現して、移民は悪だ、特に不法移民は悪だ、犯罪者だとまで言っていることに物すごく違和感を覚えるんですが、移民国家アメリカが外国人に対してどれだけ温かく迎えてくれたかという経験をしています。

 全く英語のわからない娘たちがアメリカの小学校に入る、中学校に入る。そうすると、マンツーマンで、マンツーマンですよ、一対五とか一対十とかじゃないんです、いわゆる始業前の一時間、そしてカリキュラムの中でも、向こうでいう国語、英語をやるときにはついてこれないので、その時間、先生がわざわざ娘のために時間を割いて、一年間みっちりと普通の授業についていけるように教育をしてくれました。一年ないし二年で普通の授業が受けられるようにするという強い意思の中で、よく日本もJSLというのが言われますけれども、イングリッシュですからESLという制度があって、本当に公立の学校が力を入れてくれておりました。

 それだけではなくて、もう一つ話をさせてもらうと、先ほど、外国人が日本に入ってくると治安が悪化するという不安があるということを言いました。でも、もちろん、アメリカの中でもいろいろな地域、いろいろな人たちがいると思いますが、私がいた地域について言いますならば、ヒスパニックとしてメキシコだとかエルサルバドルとかエクアドルからアメリカに入ってきた一世の方々は、気の毒なぐらい大変な苦労をしています、正直言って。それでも頑張って、私の近くで知る限りは犯罪も全く起こっていませんでした。

 なぜか。それは、彼らの子供たちがアメリカの小学校に行き、中学に行き、高校に行き、高校を卒業するころにはスペイン語と英語のバイリンガルになって、かつ、アメリカの場合は、中南米ビジネスが物すごく盛んですから、スペイン語と英語のバイリンガルという職場、雇用の需要が限りなく多くあるんです。ですから、一世は大変な苦労をしているけれども頑張れるのは、自分たちの子供たちがいい教育を受けさせてもらって、いい職につけて、家族間、家族の結束が強いですから、子供たちは親の苦労を見て、自分たちがいい仕事、いい暮らしができるようになったら、親と一緒に暮らして、一世の労をねぎらう。孫の代になると、スペイン語も少しわかるアメリカ人になるんです。もうメーンは英語です。ですから、完全にアメリカという国に溶け込んでいく。犯罪だとか治安悪化というようなこととはほど遠い。

 そういう意味で、私自身は、悪いけれども、未熟練労働として、単純労働として、下働きだけする外国人を受け入れるのではなくて、家族ごと受け入れて、特に子供を連れてきてくれということで、子供たちにそれこそ行き届いた教育をすることで選んでもらう国になる、日本に来た外国人が、自分のもちろん豊かな生活、幸せな生活を送ると同時に、この日本において、日本に貢献してくれる、日本の社会の安定、そして日本の経済の成長のために貢献してくれる人材として育てるべきだし、迎え入れるべきだというふうに思っているんです。そういう意味で、私は、移民政策にかじを切るべしというふうに思っています。

 まあ、このことを聞いても正面からは答えられないと思いますけれども、私が今申し上げたことに鑑みて、子供たちの教育の重要性ということについて、もう一度、大臣、所見をお願いします。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

柴山国務大臣 外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策を今法務省を中心に関係府省庁で行われておりますけれども、それは、まさしく、今吉良議員が御指摘のとおり、受け入れた以上は当該外国人材としっかりと共生をしていくということが極めて重要だという理解に基づくものでありまして、七月に、先ほど紹介をさせていただいた関係閣僚会議で取りまとめられた総合的対応策の検討の方向性には、日本語指導に必要な教員定数の義務標準法に基づく着実な改善、教員等の資質能力の向上、日本語指導補助者や母語支援員の活用などの指導体制の整備などが盛り込まれているところでありまして、文部科学省といたしましては、こうした対応策の具体的な内容を踏まえて、引き続き、外国人児童生徒等に対する日本における教育の充実、これにしっかりと努めていきたいと思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 大臣の方は、午前中も、日本語教育を強化するために日本語指導教員の資格というものを、制度をつくって、その充実に努めるというような答弁をされておりました。

 もう、ちょっと時間がなくなったので、私からの提案にさせていただきたいと思っていますが、一つは、教員資格を取るために教育学部に行きますけれども、その教育学部の中で、今、小学校だったり、中学の場合は学科別になっていると思うんですけれども、その中に、外国人又は外国の子供たちに日本語を教えるという学科を独立して設けるということが一点。

 それからもう一点は、さっき言った、小学校の教員、中学校の教員も、自分の専門教科に加えて、どの教員も、今言った外国人の子供たちを教えることができるという何らかのカリキュラムを盛り込んでもらって、教員は全員が自分の専門プラス今言った外国人の子供たちを教えることができるというようにしていっていただきたい、これが一点です。

 最後に、一億総活躍社会ではないですけれども、それだけ多くの移民を受け入れる、また外国人労働者を受け入れていくということになったときに大事なのは、日本人全てがその外国人に対してきちっと応対できる、時には、友達になったときに日本語を教えることができるような能力といいますか資質を持つことだというふうに思っています。

 そういう意味で、中学、高校の段階で、望むらくは全員が、いや、日本の生徒ですよ、日本の生徒全員が、外国人又は外国、特に児童に対して日本語が教えられるような能力を持つ、そのような指導に努めていっていただきたい。現実的には全員というのは無理にしても、三人に一人、四人に一人ぐらいはそういうことができるようになる。そういう社会をつくることで、さっき言いました、日本が選んでもらえる国になる、来てもらえる人たちに、日本における幸せな生活を、快適な生活を保障できる、このように思っています。

 その三点の提案について、大臣、コメントがあればお願いします。

亀岡委員長 時間が来ていますので、簡潔に。

柴山国務大臣 しっかりと検討させていただきたいと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 終わります。

亀岡委員長 次に、中川正春君。

中川委員 中川正春です。

 限られた時間ではありますが、大切な時間をいただきまして、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 最初に通告をしたのは、さっきの話に通じるんですが、日本社会の国際化の進展と、そして教育に対しての課題ということで通告をさせていただきました。

 今、新しい外国人労働者の受入れの枠組みをつくろうということで政府から提案がありますが、本来は、多文化共生社会、国を開いていくに対して、この日本の社会がどういう形で国の形としてつくられていくかという、その多文化共生を基本にした、ある意味で移民法、移民の基本法みたいなものが一つあって、それから、個々の労働者あるいは生活者、あるいはまた、その他もろもろで日本に来る人たちの、ある意味、部分部分の政策というのを議論しなきゃいけないんだろうと思うんですが、今逆になっていまして、基本的な移民の基本法あるいは多文化共生というものに対して、真っ向からの議論をこれまでしてこなかったということ。だから、結局は、行き当たりばったりというよりも、なし崩し的移民といいますか、そんな議論でしかすることができない。ここに基本的な、今我々が直面している問題があるんだろうというふうに思います。

 その上で、文科省としては、このような類型で、アンスキルドというか非熟練の外国人を受け入れる枠組みとしては、技能実習制度と、それから日系と言われる外国人、それからもう一つは留学生、この三つの類型があるんだと思うんです。

 その中で特に、まず議題としていきたいのは、日系と言われる外国人。これはピークでは三十二万人ほどまでいっていましたが、今でも二十万人。これは、最初から家族を帯同して、何の条件もなしに日本に入ってきて就労ができて、三年ごとにビザを更新していくことができる。そして、永住も可能、帰化も可能。これは移民なんですよ、基本的には。

 そういう枠組みがあるんですが、これについて、文科省、ずっと対応をしてきました。今、この外国人の子供たちの義務教育期間を含めた就学率、子供がちゃんと学校に行っているのかどうかということを把握しているのかどうか。いるとすれば、どれぐらいの割合で今そのものがあるのかということ。

 それからもう一つは、海外にルーツを持つ子供たちの高等学校あるいは大学への進学率、これは具体的にどういうふうになっているのか。まず、その辺から聞かせてください。

柴山国務大臣 先ほど来、移民、移民という言葉、ワーディングが出ております。

 日本と多文化共生を国是としているようなアメリカとでは、そもそも国の成り立ちが違いますので、アメリカの国情について、日本がストレートにそれを反映するということは、私は適切ではない。特に、サステーナビリティー、持続可能性ということを考えた場合には、それは必ずしも適切ではないというふうに思っております。

 そして、今御指摘いただいた、海外にルーツを持つ子供についての就学率、義務教育段階を含めた就学率について御質問をいただきました。

 就学率という形での把握はしておりませんけれども、公立の小中高等学校等に在籍する日本語指導が必要な児童生徒、これは実は、国籍が日本国籍であっても日本語指導が必要な方というのはいらっしゃるわけです、日本語指導が必要な児童生徒の数、これは全国で約四万四千人であり、そのうち外国籍の児童生徒数は約三万四千人となっております。また、各種学校として認可されているインターナショナルスクールや外国人学校に在籍する児童生徒の数は、一部日本国籍の児童生徒も含まれますけれども、小中高等学校段階では約一万八千人ということになっております。

 なお、学校基本調査によれば、小中高等学校に在籍する外国籍の児童生徒数は約九万二千人ということでございます。これは当然、日本語指導が必要でない、日本語に堪能な児童も含まれておりますので、単純な、日本語指導が必要な児童生徒の数とはバランスを失しているということは申し上げたいと思います。

 海外にルーツを持つ子供というデータは、申しわけありません、直接のデータはございません。

 また、高校進学率及び大学進学率についての御質問ですけれども、日本語指導が必要な高等学校生の大学等への進学率については、平成二十九年度の速報値によれば四二・二%となっております。ことし八月に公表した学校基本調査の速報値によれば、平成二十九年度の高等学校卒業者の高等教育機関への現役進学率はトータルとしては七〇・八%ですから、さっき紹介した四二・二%というのは低い数字であるというように思います。

 なお、海外にルーツを持つ子供の高校進学率については把握をしておりませんけれども、平成二十八年度においては、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数は、高等学校で二千九百十五人、中学校では八千七百二十九人となっておりますから、高等学校段階で三分の一程度に減ってしまっているということは見てとれます。

中川委員 就学率を把握していないということはどういうことかというと、義務教育についての議論が午前中にありましたけれども、義務教育化していないために、よかったら来てください、無償化をしますよというところで受けて待っているだけで、そこには住んでいる子供がいるから、その子供をやはり学校に行かせなきゃいけないよというところまでしっかり追いかけていない、そういう現状の中での今外国人の子供たちに対する対応ということ、これが基本的な要因になっているということだと思うんです。それでいいんですかという問いかけをしたいんですよ。

 同時に、進学率を見ていると、日本の子供たちの半分以下、恐らく、中学校にも行っていない子供たちの全体の数を合わすと、もっと、本来の進学率からいくと低いものになっているんだろうというふうに思います。

 文科省は精いっぱいの対応をしてきたんだと思うんです。地方自治体に対して、できる限り外国人の子供たちも受け入れなさいと。私の地元でいけば、四日市の笹川団地というところがあるんですが、そこの小学校はもう半分がブラジル、ペルーの子供たちになってきている。そういう努力もしながらやってきたんですが、今の施策の中ではなかなか、トータルでやる多文化共生という社会をつくり得るような環境までいっていないということ、ここを指摘しておきたいというふうに思うんですが、大臣は、そこのところは今どういう認識を持っておられますか。

柴山国務大臣 今、中川議員から御指摘のとおり、我が国においては、外国人児童生徒の保護者に対して就学義務を課しているわけではありません。公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には、国際人権規約等も踏まえ、その子を日本人児童生徒と同様に無償で受け入れるということをさせていただいております。また、外国人学校への入学を希望する場合には、もちろん外国人学校に通うことも可能です。

 今御指摘のように、外国人児童生徒に対して義務を課してはいかがかという御質問でございますけれども、外国人のアイデンティティーや教育をめぐる国際的な動向なども踏まえて慎重に検討を要する問題であるというように考えております。

 いずれにいたしましても、文部科学省としては、外国人の子供の就学機会が適切に確保されるよう、自治体に対して、就学案内の徹底や就学ガイドブックの作成、配付などを行うよう求めているところであり、今後とも、外国人児童生徒の就学機会の適切な確保のために必要な措置を講じていきたいと思います。

中川委員 これからまた新しい枠組みで、外国人労働者、それも家族の帯同ということを前提にして受け入れていくという枠組みができるわけですが、現在の日系という枠組みの中で、生活者としての外国人はもういるわけですね、さっき申し上げたように二十万人。この人たちに、日本語を習得していく機会、また、それを促していく方法というのを考えなきゃいけません。さっきの新しいプロジェクトチームで議論しているという話です。

 しかし、現状はどうかということになると、どうですか、日本語を習得している割合、現在の外国人の生活者としての日系の人たちの習得している割合というのはどれぐらいのものだというふうに思われますか。

 というのは、なぜこれを聞くかというと、生活者のための日本語教育に対して補助金を文科省からは出していて、さまざまにそれを地方自治体のサロンや何かを使いながら展開しているというのは私よく知っているんです。しかし、それがどれだけ面的に浸透して、どれだけの効果を持っているかということについて、どのように評価をしていくかということを確認していきたいというふうに思います。

柴山国務大臣 生活者としての外国人に対する日本語教育に関する目標に関しては、ことし、平成三十年三月に閣議決定した文化芸術推進基本計画における進捗状況を把握するための指標として、在留外国人数に占める日本語教育実施機関、施設等における日本語学習者数の割合を掲げているところであります。

 この割合は、平成二十六年度末時点で八・二%、これはただ、在留外国人の中には日本語学習を追加して行わなくてもいい、基本的にしっかりと日本語がわかる人を受け入れていくという枠組みなわけですから、現時点において、そういった実施機関、施設等における日本語学習をしている方の割合は低く出るということが現実でありますけれども、今紹介をさせていただいたとおり、平成二十六年度末時点で八・二%であったものが、平成二十九年度末時点では九・四%となり、上昇傾向にあるということも紹介をさせていただきたいと思います。

 文部科学省としては、このような指標を参考としつつ、引き続き、希望される外国人の日本語教育環境の整備を着実に実施していきたいと考えております。

中川委員 現状がこういうことですから、いろいろな施策をやってきたけれども、今のところやったふりをしているような、そうやって、さっきも言いわけをつくれるような、そういう形でしかない。私自身もそれに携わってきて、つくづくそう思うんです。

 そんな中で、やはり基本的な政策に結びつけていかなければならないだろうというふうに実は危機感を持っています。

 というのは、五年間で三十四万人ぐらい新しく枠をつくろうということですよね。これは、考えようによっては、外国人労働者として認められる人数が三十四万人ですから、家族の帯同ということをそれに加えて、外国人自体がどれだけ日本に入ってくるかということになると、恐らく五十万人から百万人単位の中で膨れるんだと思うんです。しかも、子供たちがそのようにこの社会の中に入ってくるということですから、文科省の対応というのがいかに大切なものになってくるかということが言えるというふうに思います。

 恐らく、ニーズというのは現状の三倍ぐらいになっていく、そのニーズにも今全く応えられていない、そんな状況を指摘しておきたいというふうに思うんです。

 その上で、これは全て社会的なコストとしてこの受入れに対しての対応を本格的にしようと思ったら、相当資金が必要になってくるわけです。普通は、これを国が負担するのか、地方が負担するのか、それとも、このことによって利益を享受する事業主に負担をかけるのか、あるいは、当事者の外国人がそれを負担していくのか、こういう選択肢の中で制度設計をしなきゃいけないんだろうと思うんです。

 そんなところへ向いて文科省の議論というのをぜひ進めていってもらいたいというふうに思うんですが、大臣としては、ここのところはどのように推しはかって、トータルなコストを見て、その上で、その負担をどのように設計したらいいというふうに考えておられますか。

柴山国務大臣 まず、今御指摘になられたコスト、トータルコストですけれども、文部科学省としては、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の検討の方向性に基づき、外国人材の受入れ拡大を見据えた日本語教育と子供の教育環境整備、それぞれのための平成三十一年度予算として、七億円の増額となる十二億円を概算要求させていただいております。

 また、その費用の分担についてでありますけれども、政府全体で進められている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の取りまとめに向けた検討も踏まえ、文部科学省として各種取組の充実を図るとともに、地方公共団体等に対する適切な支援を推進していきたいというように考えておりまして、現在においても、きめ細かな、例えば国が三分の一補助をしているような支援の事業というものもございますし、地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業、これについては国が全額負担するなど、しっかりとした分担を目指していきたいと考えております。

中川委員 私は、国が全て負担をするのには反対です。

 これはもともと、労働者、いわゆる労働としての外国人の受入れですから、これによって利益を享受する人たちというのがいるわけですよ。だから、そこへの負担ということも考えていきながら、トータルで、それぞれが納得のいく形でコストというのを分担していくという議論がなければ、例えば、今、集住都市会議の皆さん、これはブラジルやペルーの日系の人たちをずっと受け入れてきたところでありますが、ここで、例えばさまざまな、医療から教育から生活関連にわたって、いわゆる市税とか県税というのを使いながらこれの対応をしてきた、国は一体何をしているんだ、そういう議論がずっと続いてきたわけですよね。

 その中で、国は何をしているんだということを彼らがなぜ言い始めたかというと、海外から入ってきた外国人、これは国がつくった制度設計、制度で入ってきた人たちだけれども、その負担をなぜ私たちの市税でやらなければいけないんだということに対して、なかなかはっきりとした答えを出すことができなかった、そのジレンマの中で地方自治体は苦しんできたんです。

 国もこれは同じですよ。やはりそこのところのコストと、それから、そこから出てくるベネフィットをしっかり勘案しながら制度設計をしていくということが大切だというふうに私は思っています。

 それに加えて、文部科学省、今、日本語教育を中心にして担当している課というのはどこでやっていますか。

柴山国務大臣 文化庁の国語課だと承知をしております。

中川委員 これは恐らくトータルで、各省庁を絡めて、日本語教育をどういうふうに展開していくか、そして、外国人自身の、日本語を勉強していきたいというそのエモーティブというか、気持ちを誘導していくような、そういう政策をトータルでどうつくっていくか。これは、各省庁をしっかり組み込んでいかないとできない話だと思います。国語課の中に机を一つ置いていいというような、そういう状況の中ではなかなかこの対応は無理だということ、これを大臣、しっかり認識していただきたいというふうに思います。

 トータルでこれからどういうふうに持っていくかということを早く議論していただいて、その体制をぜひつくっていっていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 ことし六月十八日の大阪北部地震により、大阪府高槻市の小学校でブロック塀が倒壊し、四年生の女子児童が亡くなるという事故が起きました。七月十七日には、愛知県豊田市の小学校で、一年生の男子児童が校外学習後に熱中症で亡くなるという事故が起きました。私は、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表します。

 私も、高槻市、豊田市の現地に伺いました。これらの事故に対する柴山昌彦文部科学大臣の思いと、二度とこのような事故を起こさせないための対策について伺いたいと思います。

柴山国務大臣 まずは、亡くなられたお二方に対して、私からも心より哀悼の意を表したいと思います。

 本来、最も安全であるべき学校施設の被害によってとうとい人命が失われた、また、学校管理下においてこのような痛ましい事故が起きたということは、極めて重く受けとめております。

 文部科学省としては、二度とこのような事故を起こさないよう対策を徹底する必要があると考えており、まず、ブロック塀については、全国の教育委員会等に対して、安全点検などを要請する通知を発出しております。八月にはその進捗状況の結果を取りまとめて、御案内のとおり、補正予算において、その安全対策に必要な経費を計上いたしました。

 また、熱中症対策の方につきましては、これまでもさまざまな機会を捉えて繰り返し注意喚起を行ってきたところですけれども、今回の事故を受けて、改めて全国の教育委員会を通じて全ての学校に注意喚起を行うとともに、補正予算におきまして、公立小中学校等への空調設置に必要な経費を計上させていただきました。

 また引き続き、子供たちの安心、安全な教育環境を守るために全力で取り組んでまいります。

畑野委員 そこで、具体的に伺います。

 まず、ブロック塀対策です。

 文科省は学校施設におけるブロック塀等の安全点検等状況調査を実施されたと大臣から御報告がありました。八月十日にその結果も公表されました。その中で、外見上安全性に問題があるブロック塀等を有する学校は全体で一万二千六百五十二校、二四・八%でした。その中で、高さ、控え壁等について問題があるものは一万八百四校、また、劣化、損傷がある学校は七千四百八十四校と、本当に多くのところで危険な状況があったということです。

 既に、一九八一年に新耐震基準が施行されるのと同時に建築基準法施行令が改正されて、ブロック塀につきましては、宮城県沖地震、一九七八年ですが、その被害を踏まえて高さの基準が強化されました。

 この基準に基づいて定期検査は行われていたと聞いているのですが、基準を満たさない既存不適格のブロック塀がここまで放置されていたということを本当に重く受けとめる必要があると思います。

 高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会が十月に公表した調査報告書、これなんですけれども、学校施設の安全性を確保するためのさまざまな国の通知、例えば二〇一五年十月三十日の学校施設の維持管理の徹底についてや、翌二〇一六年三月の学校施設整備指針など、ブロック塀については地震時の危険に関する注意喚起が少なかったということを指摘しているんです。

 柴山大臣は、この指摘を文部科学省としてどのように受けとめられますか。

柴山国務大臣 御指摘の報告書において、具体的にブロック塀等について、維持管理の徹底について言及をしたものが乏しかったという指摘がなされていることは承知をしております。

 学校施設の計画設計上の留意事項を示した学校施設整備指針において、ブロック塀等の囲い、囲障について十分な耐用性や地震時の安全性を確保することの重要性を示すとともに、ブロック塀等を、これは建築基準法上含められておりますけれども、学校施設の維持管理の徹底について通知文書を発出し、有資格者による専門的な点検を定期的に実施するよう、ことし六月の倒壊事故以前より要請はしてきたところであります。

 今般の事故を受けて実施した安全点検等実施調査の結果、全学校のうち約四分の一で安全性に問題があるブロック塀等を有することが判明したことを踏まえて、速やかなブロック塀等の安全対策等の実施について要請をさせていただきました。

 また、平成三十年度補正予算におきましては、各学校設置者が実施する倒壊の危険性があるブロック塀の安全対策に必要となる経費として二百三十二億円を計上したところであります。

 引き続き、ブロック塀等の安全対策には全力で取り組んでまいりたいと思います。

畑野委員 調査委員会の調査報告書の中では、今大臣が言われた指針も、設置については書かれているということですけれども、設置後の点検や維持に関する言及ではなかったというふうには指摘していることを申し上げたいと思います。

 大臣、要望なんですが、二〇一五年三月、学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック改訂版というのがあるんですね。それで、これは調査委員会からも指摘されているんですが、その中に、ブロック塀のチェック項目、点検項目がないんです。ですから、このガイドブックも至急改訂をしていただいて、こういったブロック塀の対策についても載せていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

平井政府参考人 このたびの深刻な事態を踏まえまして、必要な見直しを行いたいと思います。

畑野委員 それでは、大臣、よろしくお願いをいたします。

 それで、国土交通省に伺います。

 今回のブロック塀の対策は補正予算臨時特例交付金で手当てされているというふうに伺っているんですが、学校に限らず、通学路のブロック塀など、地域全体で対策を打つ必要があると思います。今回の事故を踏まえて、どのような対応をしていきますか。

小林政府参考人 ブロック塀の対策についてお答えをいたします。

 学校に限らず、通学路の沿道を含む地域に存在するブロック塀などの安全対策は喫緊の課題であると認識をしております。

 このため、国土交通省におきましては、これまでに塀の所有者などに向けた安全点検チェックポイントの公表、地方公共団体に対する塀の所有者などに向けた注意喚起の依頼、支援措置の周知、建築士関係団体などへの協力依頼や関係団体連絡会議の開催などを行っております。また、一部の地方公共団体において、所有者への周知のほか、相談窓口の設置や防災・安全交付金の効果促進事業などを活用した支援に取り組んでおり、国土交通省といたしましても、ブロック塀の撤去に対する支援を推進しているところでございます。

 さらに、今後のブロック塀などの安全対策について、通学路を含む避難路の沿道のブロック塀などについて、建築物と同様に耐震診断を義務づけることができるよう、耐震改修促進法の政令などの改正に向けて、パブリックコメントを行ったところでございます。これにあわせて、ブロック塀などの耐震診断や、診断の結果、撤去などを行う場合の費用に対する支援について、平成三十一年度予算概算要求に盛り込んでおります。

 今後とも、ブロック塀の安全対策につきまして、関係省庁、関係業界や地方公共団体と連携して、対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

畑野委員 ぜひ進めてください。

 次に、エアコンの設置について伺います。

 大臣が、全ての普通教室にということでやっていただくということなんですが、実際、十七万教室分といいますと、エアコンメーカーが前年度の実績を踏まえて生産計画を立てると、需要が急増して生産が追いつかないとか、値段が上げられるんじゃないかとか、あるいは、オリンピック関係で施工業者が東京に集中していて地方では業者が足りないとか、エアコンを設置する場合には変圧器も必要になる、各学校の状況に合わせて、発注を受けてから生産されるために、納入までに数カ月かかるなどの話をたくさん伺っております。

 エアコンを設置したくても、エアコンや業者を確保できないという事態が起きた場合にどう対応されるか。臨時特例交付金は翌年度の繰越しを可能とするべきだと思いますし、地方財政措置、実質地方負担二六・七%になっているんですが、これも変わらずに適用されるべきだと思いますが、いかがですか。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、今回、緊急に対応する必要があることから、集中的、円滑な工事実施に向けた準備が極めて重要であるというように考えております。

 私ども文部科学省においては、経済産業省とも連携をさせていただきまして、各都道府県に対して、域内のエアコン設置工事の需要量を工事関係事業者に対して広く情報提供していただくこと、工事の発注に向けた準備、施工に向けた事業者との検討、調整を進めていただくことなど、早期の事業実施に向けた準備をお願いしているところであります。

 また、今般のブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金については、繰越明許費として補正予算案に計上しており、やむなく工期が延長する場合には、翌年度に繰り越して使用することも可能となるよう準備を進めております。

 なお、やむを得ない理由で翌年度に繰り越した場合でも、今年度中に地方債の同意を得ているものについては、地方財政措置の適用範囲は平成三十年度補正予算と同様ということで使えるということでございます。

畑野委員 ぜひ進めてください。

 既に普通教室のエアコン設置が終わっているというところも多いんですね。特別教室や体育館への設置の要望も強いんです。これはどのように進められるおつもりですか、大臣。

柴山国務大臣 公立小中学校等は、児童生徒の学習の場でもあるとともに、その学習環境の安全性を確保することが重要だという観点から、まずは、児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室への設置が最優先と考えております。

 その上で、普通教室以外へのエアコン設置は、補正予算の執行状況を勘案しつつ、各自治体からの要望も踏まえながら、今後、状況を見きわめていきたいと考えております。

畑野委員 今年度の学校施設整備費は六百八十億円で、本当に少なかったんですね。補正含めてもまだまだ足りないということで、本当にこれはしっかりと予算を確保していただいて、体育館を含めて進めていただきたいのと、先ほど総務省からランニングコストへの支援を検討するという答弁があって、リースも含めて早くつけたいというのもありますので、ぜひそれは、支援の検討も重ねて申し上げておきます。

 ここで、学校での熱中症対策の徹底が重要になってくると思うんです。

 きょう、資料の二枚目に、日本救急医学会熱中症に関する委員会が熱中症予防に関する緊急提言を発表しております。暑さ指数を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断をというんですね。つまり、気温だけではない、湿度とか輻射熱とか、そういうものも総合的に考慮しようというふうに言っております。

 この点では、暑さ指数は愛知県の豊田市でも三十一度以上あった、気温だけでないものではかるとそういうものだった、危険というレベルだったということも言われて、市当局は、九月議会の答弁の中で、WBGT、これは暑さ指数のことですが、その情報を学校で確認し、判断する仕組みが構築できていなかったと自省の思いを述べられているんです。

 私、いろいろな情報があるんだけれども、学校で生かされるようにするためには、熱中症予防のための学校のマニュアル、登下校時の対策やプールの気温、水温管理を含めたものですとか、それから、熱中症計というのがあるんですね。そんなに値段は高くない。それを屋外と屋内に一つずつつけるというようなことへの支援を行うべきだと思うんですが、文科省、いかがですか。

清水政府参考人 学校における熱中症対策につきましては、各学校において、地域の実情に応じた危機管理のマニュアルをつくって対応していくということが重要だと思っております。

 文部科学省としては、学校の危機管理マニュアル作成の手引をつくりまして、熱中症予防のために、暑さ指数、WBGTを測定することなどもその中で取り上げているところではございます。

 また、熱中症事故の防止については、毎年、猛暑期が始まる時期に、通知による注意喚起を行っているところでございますけれども、そういった中で、例えば環境省の熱中症環境保健マニュアル、また、日本スポーツ振興センターが作成しておりますパンフレットの「熱中症を予防しよう」といったものもあわせて情報提供を行っておりまして、プールにおける熱中症でありますとか通学中の熱中症の事例などを取り上げているところでございますので、こういった点、各地域において十分に理解をした上で、危機管理のマニュアルづくりに取り組んでいただければと思っているところでございます。

 ただ、そういった中で、平成三十年度、猛暑になりまして、熱中症により児童が亡くなるという痛ましい事件が起きておりますので、文科省としても、これを重く受けとめまして、熱中症の対策の情報の提供について、通知とあわせまして、関係会議でありますとか、あとポータルサイトの手段によって周知をするといったことを進めておりますし、また、通知で周知した内容の学校現場の対策について、隔年でございますけれども、悉皆調査をしているところでございますので、こういったことを通じまして、登下校中も含めた各学校現場における熱中症事故の未然防止、また、事故後の適切な対応といったものをこれからも促していきたいと考えているところでございます。

畑野委員 ぜひ検討してください。

 最後に、文部科学省の当時の科学技術・学術政策局長の佐野太氏が、私立大学研究ブランディング事業に東京医科大学が選定されるように依頼を受け、その見返りに、ことし二月、同大を受験した息子の点数を加算させ、合格させてもらった疑いで逮捕された事案を発端として、東京医科大学での女性に対する入試差別の実態が明らかになったということについて伺います。

 これは明白な女性差別だと思うんですね。公正であるべき大学入試で、女性の合格者を抑えるために得点操作が行われたということです。

 大臣はどういうふうに認識していますか。女性差別だという認識ありますか。

柴山国務大臣 大学入学者選抜については、公正かつ妥当な方法により行うことが求められているところであり、性別により一律に差別的に取扱いを行うという今回の事案は大変遺憾であり、大学の信頼を失う重大な問題だと考えております。

畑野委員 大臣に重ねて伺います。

 女性差別だと。これはあってはならないということで、女性差別ですか。

柴山国務大臣 女性の差別を合理的理由なく行うということは許されない、特に現在の社会通念上は許されないと考えております。

畑野委員 合理的であろうとなかろうと、やってはならないということを申し上げたいと思います。

 それで、本当に、被害に遭った受験生たちが泣いております。東京医大から連絡が来て、また二度目に落とされるんじゃないかと。しっかりと大学が謝罪と、そしてきちっとした対応をしていくということが必要だと思うんですね。そのための文部科学省としての支援を行うべきだと思いますし、他大学の実態の公表も早くやってほしいということを申し上げて質問を終わりますが、いかがでしょうか。

亀岡委員長 時間が来ているので、柴山文科大臣、簡潔に。

柴山国務大臣 しっかりと対応してまいります。

畑野委員 終わります。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 二〇一〇年の文部科学委員会、当時与党で、こちら側に下村元大臣だとか馳元大臣とかずらっと並んでおられたときに、向こう側で私は、与党側ですが質問させていただく機会をいただきまして、そのときに節つきで歌ったんですが、きょうは詩だけ読みますが、

  千島のおくも、沖縄も、

  八洲のうちの、守りなり。

  至らんくにに、いさおしく。

  つとめよ わがせ、つつがなく。

こういう、「蛍の光」四番というのがありまして、決して私は戦争を肯定するつもりは全くありませんし右翼であるつもりもありませんが、これは戦前に結構歌われたと聞いておりますし、実は、海上保安庁の幹部というか長官経験者の方に伺ったところ、海保でこの歌を知らない人はいない、皆歌えますよということを言われておりました。

 教育というのは、極めて我が国の百年の計で根幹でありますので、柴山文科大臣、御就任本当におめでたいと思いますけれども、重責をぜひ全うして、更にいい、というか問題がたくさんあるので、改めていい文科行政を進めていただきたいというエールを送らせていただきたく存じます。

 時間の関係で、櫻田オリンピック・パラリンピック担当大臣が内閣委員会と同時に並行でやっていらっしゃるということなので、ちょっと順番を御無礼ながら変えて、むしろ次の委員会に行っていただくという観点から、オリンピック、パラリンピックのことについて、大臣の所信的発言に絡めて質問をまずさせていただきたく存じます。

 実は、もう半年、一年ぐらい前になるかと思いますが、私の耳に、おい、杉本、大変だよ、聖火台について全然検討を忘れられていて、聖火台が何か新国立競技場にないらしいぞという話をある情報筋からいただきました。

 その後、どうされるのかなと思っていたら、聖火台については別のところに設置するやに聞いておりますけれども、済みません、正確な情報を私持っておりませんし、来年、再来年、いよいよオリンピック、パラリンピックという日を迎えます。そしてまた、今質疑を聞いている限り、東京都が表に立って、政府は赤字になった場合にどうするんだという質疑も馳さんからありましたけれども、そういうお立場であるということは拝察しつつも、やはり国家の威信をかけて行うオリンピック、パラリンピックでございますので、この聖火台の問題について、初期動作にミスがあったのか、現在の状況はどうなっているのか、あるいは、実際に二〇二〇年に開会式を迎え、そして聖火が入ってきて点火するというような流れの中に支障はなく、万全を期すことができるのか、こういった点について担当大臣としての御見識を伺いたく存じます。お願いします。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 聖火台については、開閉会式のセレモニーとも密接に関連するために、平成二十七年に新国立競技場の整備計画の再検討を開始したときから、そのデザイン、場所等につきましては、後日検討する課題として整理をされてきました。

 聖火台のデザイン、場所等については、組織委員会が大会の一年半前までに国際オリンピック委員会、IOCの承認を得ることになっていると承知しているところでございます。

 聖火台を含め、開閉式の演出については、現在、組織委員会が決定したクリエーティブディレクターを中心に検討が行われていると理解しております。

杉本委員 一年半前までというお言葉と、それから組織委員会が中心的な責任を負ってきちっとやるんだということで、そういう理解でよろしいか、確認だけお願いいたします。

櫻田国務大臣 そのとおりでございます。

杉本委員 はい、わかりました。

 滞りなくというか万全というか、本当に、我が国の威信をかけたこのオリンピック、パラリンピックを成功裏に導いていただくためにも、お仕事に精励いただければと思います。

 以上で大臣には終わりますので、御退席、委員長の御了解と皆さんに。

亀岡委員長 櫻田大臣、退席どうぞ。

杉本委員 ありがとうございます。

 それでは次に、文科大臣に質問をさせていただきたく存じます。

 柴山大臣は、冒頭、質疑でもありましたけれども、予算委員会とかお仕事されておられて、私の印象は、すごい勝手な印象ですけれども、衆議院の第一と第二の地下通路でよく走っておられるのをお見かけして、本当に仕事をされる議員でいらっしゃるなというふうに拝察していますので、汗をかく大臣、動く大臣、礼儀正しい大臣、勉強する大臣、こういう印象ですけれども、義家元副大臣が厳しいこともおっしゃったと思いますが、本当に国家の威信をかけて、これはオリパラではないですけれども、文科省立て直し、本当にお願いしたく存じますので、ぜひ有言実行で成果を出していただきたいというお願いを申し上げます。

 さてそこで、畑野議員も質問されておられましたが、退席されてしまっていますが、熱中症の問題について質問をさせていただきたく存じます。

 総理は所信表明演説の中で、熱中症対策として、全国の公立小学校、中学校にエアコンを設置しますという御発言をされました。そして先ほど、柴山大臣は答弁の中で、全ての学校にということをおっしゃっておられたんですけれども、実は私、地元で、選挙が厳しいのでこつこつ地元を回るんですけれども、その中で、公立の保育園の保育士さんの生の声を聞くことがありましたけれども、いや、杉本さん、実態、熱中症ね、総理大臣が教育無償化とかいろいろ言って、期待もしているんだけれども、現場はわかっているのかしらと。

 実は、市によりますけれども、私の地元の市を調べましたけれども、公立の保育園のエアコンの設置というのはきちっと一〇〇%できているところもあります。しかし一方で、施設が老朽化していて、あるいは予算繰りの関係でなかなかうまく設置ができていないというようなことがあるやに認識していまして、なぜかと申し上げれば、先ほど畑野先生の資料の中にもあったんですが、熱中症弱者という言葉があって、この先生の資料では小児という書き方があったんですけれども、むしろ、小児よりも、新生児であったり乳児であったり、あるいは幼児というような六歳未満の年齢の方々こそ、私は熱中症リスクというのは極めて高いんではないかと思います。

 何となれば、地元の声としては、杉本さんはわかっていないだろうけれども、小学生は少し熱中症で調子が悪いとかいって保健室に行けたりする判断力がある、しかし、幼稚園、保育園の幼児たちは調子が悪いというのをはっきり言えないし、あるいは、自分の症状も自覚する前に熱中症の重症にかかってしまうというリスクが極めて高いんだということで、総理の御発言で小中学校にエアコンを設置していただくことは極めて意義があると思いますけれども、更に考えると、幼児期の熱中症対策、さっきは知らしめるというか認知というか、そういう意味で言っていましたけれども、物理的にやはりエアコンをきちっと幼稚園、保育園に設置するべきではないかなというふうに私は認識をしております。

 それで、先ほどもちらっと数字が質問の中であったかと思いますが、念のため申し上げますと、全国ベース、小中学校の普通教室は設置率五八%、特別教室が四二%、合計で平均四九・九%が設置されているということです。参考までに、高等学校では、普通教室七七・二%、特別教室四一・八パー、そして合計で五四・一パー、特別支援学校というくくりでいきますと、普通教室八三パー超、特別教室七〇パー超、そして合計が七七・八という中にあって、幼稚園は比較的高いですけれども、普通教室七〇・九、特別教室六二・九、そして合計が六八%ちょうどという数字をいただきました。

 それで、問題は保育園なんですね。保育園は御案内のとおり管轄が厚労省さんでいらっしゃるということなので、このデータのことについて、ちょっとこれは馳元大臣からもアドバイスをいただく中で、きちっと数字を押さえたらということをいただいたので、この質疑の前に厚労省さんにデータを要求しました。しかし、答えとしては、一般財源のため地方管理ということでデータが今手元にすぐはない、ただ、調査はもう開始を、依頼をかけましたというお答えになりましたので前向き対応をいただいていると思うんですけれども、残念ながら、ただ、数字ですら、保育園の数字というのがないということです。

 それで、柴山大臣に、文科大臣就任早々申しわけございませんけれども、次は厚労大臣を目指していただきたい。あるいは、馳さん、今外されましたけれども、馳さんに厚労大臣をやっていただきたい。あるいは、政権交代をして、両大臣を兼務するような、幼保一元化ができるような、そういう執行権を持っていただきたいと思うんです。

 こういったデータが、やはり保育行政の方の厚労のサイドで数字が、調査をかけていただいているということはありがたく存じますけれども、一方で数字すらないということではやはり残念でならないので、どなたとは言いませんけれども、ある行政を進めるに当たって、別の役所からある要員を引っ張ってきて行政を大きく推進したという話をちょっと聞いたことがあります。

 極端な話、厚労省からこの保育の部分を出向者を受け入れて、そこで文科省として管轄に入っていただいて、幼保一元化コントロールみたいなのも、なかなか、今も委員会が向こう側でやっていますけれども、委員会が違うし、大臣、役所が違えばということなんですが、いつもこういった議論ばかりして成果が得られないのでは意味がないと思うので、そんな形で出向を受け入れるようなことで、厚労省の人たちを文科が受け入れて、幼保一元化的な行政をしていただくというのも、まあ、義家さんはどうお考えなのかわからないですが、大臣にはそんなことも御配慮いただきながら、こういった幼児期のエアコンの設置、今年度予算は小中が優先されるというふうにこの補正では聞いておりますけれども、先行きを含めて、この幼児期の熱中症対策、具体的にはどんな方向感をお持ちかどうか、確認をさせていただければと思います。

柴山国務大臣 医学的に、幼児期の子供は体温調節機能がまだ十分には発達していないことに加え、みずからの健康状態を把握して訴えることが、御指摘のとおり難しい場合もあるとされております。

 このため、文部科学省としては、幼稚園を含む学校現場で熱中症の予防や熱中症を発症した場合の対応が的確に行われるよう、熱中症に対する予防方法や応急措置などの対処法についてまとめた参考資料や教職員用研修資料の作成、配付、周知、各教育委員会等に対して熱中症事故の防止についての通知、事務連絡の発出、各教育委員会の指導主事等が集まる会議等における注意喚起などを実施させていただいております。

 それと、保育園等についても御指摘をいただきました。

 保育園の空調設置状況については、御指摘のような把握がなかなかできていないというような実態もあります。厚生労働省が調査を行うに当たり、調査方法や様式の情報提供を行うなど、文部科学省として協力連携を図ってきたところであります。

 また、就学前の子供が利用する施設の設備、運営に関して、幼稚園等については学校教育法に基づき文部科学省が、保育所等については児童福祉法に基づき厚生労働省が基準の制定など必要な政策を講じておりますけれども、申し上げるまでもなく、縦割り行政の弊害というものがあってはいけませんので、今後とも、両省で連携を図りながら必要な政策をしっかりと推進していきたいと考えております。

杉本委員 仕事師の柴山大臣に本当に連携をきちっとしていただいて、場合によっては出向者を受け入れるというような、ちょっと私の僣越な提案でございますけれども、そこまで踏み込んで、幼保一元化というか、この熱中症対策を中心に進めていただければと思います。

 先ほど別の委員から、東京医大の入学の問題で男女の性差別というか女性蔑視というか、そんなような質問があったやに聞いておりますけれども、そこは私も極めて遺憾であり、正直申し上げて、大学関係者を参考人としてこの場に呼んでいただきたいぐらいで考えております。これはまた理事会等で発言の機会をいただければ提案させていただこうと思いますけれども、いずれにしろ、きちっとこれに対する対応というかはこれからしていただくし、厳しい対応というものが必要だと思います。

 一方で、これはアンチテーゼで恐縮なんですけれども、海外の大学院とか、アンダーグラデュエートという意味ではないかもしれないですが、多分アンダーグラデュエートでもそういうことをアメリカでは考えて入学をしているんじゃないかと思うんですが、ダイバーシティー、多様性という意味の合格の合否判定というのがあって、定員に対して、例えば性の差別があってはいけないと思いますけれども、そうではなくて、人種であったり、あるいは、世界から生徒を受け入れるというような大学であった場合は、地域をある程度区分けして、いろいろな地域からいろいろな国の方に来ていただくという大学の入学試験の方式があると私は認識しておりますけれども、こういったダイバーシティーの入学定員の考え方といったものも、男女の差別とか、密室でコネを、文科省の関係者は合格させて、一生懸命真面目に勉強した女性の方が不合格だったというのがあっては機会均等にはならないと思いますけれども、一方で、多様性とかいった点を考えると考慮すべき点ではないかと思います。

 ちょっと次の質問と絡めて申し上げますけれども、例えば、音楽大学で男女混声合唱団を編成しなきゃいけない、しかし、試験ばかりの結果で合格発表していたら、結果的には男性の合格者がいなかった、混声合唱団が組めない、これが実は実態だと思うんですよ。

 ですから、試験というものが、全て点数万能で決めるのではなくて、海外のケースであったり、日本の大学入試も大分形が変わってきているので、アプリケーションによる論文形式であったり、TOEFLだったりといった外部語学力の考査などを選考過程に十分反映して行うという大学の合格判定方式といったものはあるかと思いますけれども、こういった点も含めて、責任ある大臣というお立場で、あってはならないことと、こういう点は大学の合格基準としては可能性としては考えておくべきではないかということも、アンチテーゼとして我々はきちっと議論しておく必要があると思うんですが、この点についての御見識を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 個別具体的な入学者選抜の方法については、各大学の入学者受入れ方針、アドミッションポリシーに基づく各大学の判断に委ねられており、各大学の自主性についても十分配慮されるべきであると考えております。

 一方で、先月十三日に公表した中間まとめにおいては、不適切と判断すべき事案を、「募集要項等で予め説明していた試験方法や合否判定基準に反して又は予め説明していないにもかかわらず、合理的な理由なく性別、年齢、現役・浪人の別等の属性に応じた一律の得点調整や取扱いの差異の設定などを行うこと」というようにさせていただいております。

 これは、性別や年齢等の属性による取扱いの差異を設けるならば、募集要項等に記載するのみならず、大学がその合理的な理由を説明できることが必要であるという趣旨で、このような発表をさせていただいたところであります。

 そして、その上でなんですけれども、東京女子医科大学のように創設の経緯や合理的な理由がある場合には、属性により取扱いを変えること自体が必ずしも否定されるものではないと考えますけれども、性別、年齢により一律に差別するような取扱いは、特に現在においては社会通念上認められるものではないと考えておりまして、こういう意味からも、しっかりとした合理的理由の説明を大学側あるいはAJMC側に今求めているところであります。

杉本委員 時間となりました。あとの質問は、また次の一般質疑でということで終わります。

 ありがとうございました。

柴山国務大臣 済みません。

 私、何か、先月十三日と言ったかもしれません。先月二十三日に公表した中間まとめでございます。訂正させていただきます。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 この一年半、約二年、大変文科省は危機的な状況に陥っているというふうに感じざるを得ません。天下り問題、加計問題、そして東京医大を舞台にした贈収賄疑惑、また不正入試、加えて障害者雇用の水増し、こうした問題が続発をしております。まさに異常事態と言っても過言ではないんだろうと。

 この折、大臣以下責任ある立場の方々、ぜひ、文科省の組織のガバナンスの問題はもちろんでありますけれども、この間行われてきた文部科学行政、その仕組みの中にいろいろな問題を生み出す原因があったのではないか、私はそのように感じておりますので、それも含めてしっかりと検証をしていただきたいというふうに思っております。

 きょうはそれも含めて少し質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、オリンピック、パラリンピックの関係について大臣にお聞きをしたいと思います。

 正直言いまして、きょう午前中も少しその予算の関係、お話が出ました。また、参議院の予算委員会でもこの問題については議論されておりまして、非常に、聞いておりますとわかりにくいといいますか、いろいろな数字が出てまいりまして、一体この数字は何なんだというような数字が次々と出てまいりましたので、少し整理をする意味でも幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず確認ですが、いわゆる三者、組織委員会、東京都、国、この三者で協議をして、東京オリンピック・パラリンピックに国として支出するのは千五百億円ということでよろしいでしょうか。

櫻田国務大臣 そのとおりでございます。

吉川(元)委員 続きまして、先般、参議院の予算委員会の中で千七百二十五億円という数字が出てまいりました。これについては、平成二十五年から二十九年度にかけて、これは内閣官房の方で、会計検査院の方から、八千十一億円のうち、東京オリンピック・パラリンピックに関係するものが千七百二十五億円支出をされた、そういう意味合いの数字ということでよろしいでしょうか。

櫻田国務大臣 国の大会関連費の経費ということでよろしいです。

吉川(元)委員 では、続きまして、この千七百二十五億円のうち、いわゆる三者で協議をした、国が出すと言っていた千五百億円、これはどの程度この千七百二十五億円の中に含まれているのでしょうか。千五百億円全てがもう既に支出をされたものなのか、それともその一部なのか、この点について、参考人でも結構でございます。

源新政府参考人 お答えいたします。

 千七百二十五億円と、大会経費に含まれる国の千五百億円についてのお尋ねでございます。

 先般、私どもが作業して公表させていただいたものの中で、大会の準備、運営等に特に資する事業ということで千七百二十五億円と公表させていただいております。この中に含まれますいわゆる大会経費の国の負担額につきましては、新国立競技場の整備千二百億円のうちの執行分七百四十四億円、それに加えまして、パラリンピック経費で国の負担する金額三百億円、この合計の一千四十四億円ということでございます。

吉川(元)委員 ありがとうございました。

 そうしますと、千五百億のうちおおよそ一千四十四億円を国はもう既に支出をして、残り約四百五十億円強、四百五十六億円というふうになりますけれども、これがいわゆる三者の協議の中で更にこれから支出をしなければいけない数字ということでよろしいでしょうか。端的にお答えください。

源新政府参考人 そのとおりでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、三者の中で費用分担についてはかなりぎりぎりの議論をされた中で千五百億というお話でございましたが、千七百二十五億のうち一千四十四億については、これはもともと約束をしたお金だったと。残り七百億弱でございますけれども、これについては、特に都やあるいは組織委員会と相談することなく、こういう言葉でいいのかどうかわかりませんが、国がいろいろと配慮した上で、三者の協議とは別のお金として支出をしたということでよろしいんですか。

源新政府参考人 お答え申し上げます。

 国は、東京都や組織委員会を支援する立場から、これまで、大会経費のほかに、日本選手の競技力向上ですとか、セキュリティー対策、ドーピング対策など国が担うべき施策に責任を持って取り組んでおりまして、これをオリパラ関係予算として集計、公表してきてございます。

 先ほど申し上げました大会の準備、運営等に特に資する事業、一千七百二十五億の中で、ただいま申し上げましたオリパラ関係予算に相当する部分としては、六百七十七億が支出としてございます。さらに、それに加えまして、一般の行政経費のうちで、執行の結果、支出段階で組織委員会等が対象となったもの、これを含めまして、先ほどの新国立競技場それからパラリンピックの経費、合計いたしまして千七百二十五億円ということで公表させていただいている次第でございます。

吉川(元)委員 ちょっと、質問に答えてください。

 今言った、新国立七百四十四億、それからパラリンピックとして三百億、これが千七百二十五億のうちの内数としてある。それ以外の残りについては、国がオリンピックを成功させるために、いわゆる三者の協議以外に、いろいろ配慮した上で国が出したお金だということでよろしいんですか、そういうお金ですか。それとも、三者の協議の中で、やっぱりこれは国として出してくださいというお金なんですか。

源新政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の三者で合意した大会経費の外ということでございますが、これは平成二十八年度以降、国費負担を明確にするという観点から、大会の運営、成功等に直接資する施策であり、かつ新規、追加的に講ずる施策ということで、これまで集計、公表してきているものでございます。

吉川(元)委員 だとすると、三者の協議の際に、いわゆる国民負担といいますか、東京オリンピック・パラリンピックのために国民負担として国が出すお金、千五百億の外側にあるお金が、今おおよそ幾らですかね、七百億近く支出をされたということだというふうに理解をいたします。

 そもそも、一体どの程度までこれが膨れ上がるのか。千五百億は千五百億で、それは三者で合意した話ですけれども、一体この金額、最終的にどこまで膨れ上がるものになるのか。少なくとも、今千七百二十五億と言いましたが、新国立競技場は千二百億出すと言っておりますので、まだそのうち七百四十四億円しか支出をしておりませんから、残り四百五十六億円については、ここに更に追加をされる。それを単純に足し合わせただけでも二千億を超えます。

 そしてさらに、これは平成二十九年度までですから、平成三十年度、これは予算ベースですけれども、既に二百八十一億円使っておりますから、最低でも二千二百億円を超えるお金が、国民の税金がオリンピックのために、パラリンピックのために使われる、そういう認識でよろしいんですか。最後、最終的にどの程度になるのか、お答えください。

源新政府参考人 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のオリパラ関係予算のところが最終的にどれくらいになるのかという、そういったお尋ねかと理解しておりますが、今後必要な予算額につきましては、まさに毎年度、各年度の予算編成過程で検討、決まっていくものでございます。したがいまして、あらかじめ、現時点におきまして将来の予算がどれくらいかと申し上げることはなかなか困難でございます。

吉川(元)委員 オリンピックというのは、いつ開かれるんですか。十年後ですか。再来年ですよね。再来年の七月に開催をされる。しかも、既に今は来年度の概算要求は出ていて、これから年末にかけて予算折衝で、最終的にどうなるかというのはわかりませんが、少なくとも平成三十一年度の当初予算の概算要求についてはもう出ているわけです。そうすると、残すのはあと幾つですか。来年度、仮に補正を打ったとすると、三十一年度の補正と三十二年度の当初、この二つですよ。これで予見性が、どうなるかわからないなんという話は一体どこから出てくるんですか。なぜそうなるのか。

 来年度の本予算の概算要求の中に既に含まれている金額もあると思います。これは調べればすぐわかる話ですし、なぜそれが予見できないのか、その理由を教えてください。

源新政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮ではございますが、今まさに予算編成過程中でございまして、現時点におきまして、この場で数字について予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

吉川(元)委員 それは、もちろん一円単位まで正確に言えと言っているんじゃないんですよ。大体どのぐらいになるのか。今、最低でも二千二百億は超えると。これが二千五百億になるのか、あるいは四千億になるのか、そのぐらいのこともわからないんですか。それは全くわからないということなんでしょうか。どうですか。

源新政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、既に決まっておりますのは国の負担額、大会経費の中に含まれる一千五百億円、それに加えまして、オリパラ関係予算に相当するもので既に支出されている六百七十七億円、それに加えまして、今まさに執行中の平成三十年度予算のオリパラ関係予算の金額。それ以降のものにつきましては、まさに今予算編成過程中でございますので、数字をこの場で申し上げるのは大変恐縮ですけれども差し控えさせていただきますし、また、来年度予算につきましては、年が明けてから国会での予算審議もございます。その関係もございますので、この場での数字のお答えは差し控えさせていただきとう存じます。

吉川(元)委員 今いただいたやつを見ますと、二十八年度当初から三十年度当初まででいうと、大体、当初予算と補正予算、それぞれありますけれども、二十八年度当初が百六十七億、二十八年度補正が百六十三億、二十九年度が二百一億、補正、二十九年度が三百十六億、三十年度当初が二百八十一億、こういうふうに大体動いてきているわけです。

 ですから、最低でも大体このぐらいにはなるんじゃないかぐらいは言っていただかないと。もともとの約束は、千五百億しか出さないと言っていたんですよ。それがどんどんどんどん膨れ上がって、もしかするとこれは二倍あるいは二・五倍、三倍になるかもわからない、そうしたら約束が違うじゃないですかということを言っているんです。

 これ以上聞いても恐らく繰り返しになりますがの答弁しか出てこないと思いますので、きょうはこれで今の話は一旦終わります。

 そして、大臣、先ほど、都とこれから予算の縮減に向けて協議をしていくというお話がございました、午前中の答弁で。縮減に向けて協議をしていく、この縮減というのはどれを縮減する話をされるんですか。

櫻田国務大臣 そういったことも含めて都と組織委員会と国でよく協議してやるということ、縮減したいと思っております。

吉川(元)委員 ちょっと理解不能なんです。

 最初に言ったとおり、三者で協議をして決めたのは一千五百億なんです。これを縮減する協議をするんですか。三者で、あるいは都と協議をするとすればこの一千五百億しか協議の対象にならないと思うんですけれども、そういう理解でいいですか。一千五百億を値引きしてくれという協議をするということなんですか。大臣が午前中に答弁したから聞いているんです。

源新政府参考人 恐縮でございますが、私の方からお答えさせていただきます。

 先ほど申し上げました一千五百億円の国の負担額、これのほとんどがもう執行されている状況でございますので、大会経費全体の一兆三千五百億円のほとんどは組織委員会と東京都の負担分でございます。

 そのあり方につきましては、国際オリンピック委員会、IOCの方からもまさにオリパラ大会の持続可能性が問われている状況でもございまして、経費の縮減、効率化、厳しく問われているところでございます。

 組織委員会、東京都も十分問題意識は理解しておりますので、その方向で、かつ、一方で、東京大会の成功のために必要なところもございますので、そうした観点で、バランスのとれた形でうまくいくよう、引き続き協議をしていきたいと思っております。

吉川(元)委員 聞いたことに答えてください。何の縮減を協議するんですかと聞いているんです。

 その一千五百億、既にもう一千億を超えるお金を支出していますけれども、これを減らそうという話をしているのか、それとも、国が、最初に言いましたけれども、オリンピックを成功させるために自発的に支出をしている競技力向上だとかなんとかということを縮減するために東京都と協議をするんですか。

 だとすれば、東京都と協議したって仕方がないでしょう。国が東京都と協議をして、東京都の方がぜひ出してくださいと言われたお金じゃなくて、国がみずからが出しているお金であるとすれば、東京都と縮減の協議をする対象にならない。一体何の縮減の協議をしようとしているのかを教えてくださいと言っているんです。

源新政府参考人 お答え申し上げます。

 大会経費一兆三千五百億円のうち、組織委員会と東京都が負担することとされております一兆二千億円相当の部分、これはまさに、競技会場の整備ですとか大会の運営経費等でございます。

吉川(元)委員 もう時間がないので、質問にちゃんと答えてください。

 東京都と縮減の協議をするというこの縮減というのは、何のお金を縮減する協議をするんですかと聞いているんです。

源新政府参考人 お答えします。

 大会経費のうち、東京都それから組織委員会が負担する対象経費ということになります。

吉川(元)委員 いや、それはもう既に三者で協議して決まったんでしょう、六千億、六千億、一千五百億で。その六千億、六千億を減らせという協議をするということ、そういう理解でいいんですね。

源新政府参考人 申し上げます。

 一兆三千五百億円といいますものは、大会組織委員会が昨年の十二月に公表している数字でございます。その後の時の経過がございまして、いろいろな事情の変更もございます。また、コスト縮減、効率化のいろいろな取組も重ねられております。そういったことも踏まえて、大会経費の縮減ということについて関係者で話し合っていくということでございます。

吉川(元)委員 それは東京都から要請があったんですか。

源新政府参考人 申し上げます。

 この経費のさらなる見直しということにつきましては、東京都、組織委員会、国、この三者が常日ごろから同じ問題意識を持っているところでございます。

 要請があったのかと言われれば、同じ問題意識を持っておりますので、そういう中で常に取り組んでいるということでございます。

吉川(元)委員 ちょっともう時間が来てしまいました。本来であれば、不正入試の問題等々も質問しようというふうに思っていたんですけれども。

 やはり、何度聞いても、非常に不明確、不明朗、不透明と言わざるを得ないと思いますし、きちんとこれは、どこまで負担をするのか、幾ら負担するのかを明確にしていただかないと、国民の負担、どれだけ膨れ上がるのか、きょう聞いただけじゃわかりませんので、これは別の機会にまた質問させていただきたいと思います。

 以上で終わります。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 無所属ではございますけれども、この国会から未来日本という会派を立ち上げさせていただきました、笠でございます。

 私も初当選以来もう十五年以上になるわけですが、そのほとんどは文部科学委員会に所属をさせていただいておりますけれども、最後に質問をするというのは本当に初めての機会でございまして、しっかりまたただしてまいりたいというふうに思います。

 まず冒頭に、大臣も所信の中で、この一連の文科省における不祥事、実はきょうは小此木自民党の委員もおられますけれども、昨年、通常国会、私が当時の民進党の国対委員長代理で、小此木さんが自民党の国対委員長代理でございました。この通常国会、最初にこの組織的な天下りの問題で大変、これは与党、野党の対立というよりも、やはり政府に対して厳しく対応していこうということで、お互いいろいろな意味でやり合っていました。

 そして、その後に今度は加計学園の内部文書、この問題が四月ぐらいでしたか、当初はないと言っていたものが実は実在していたというようなそういった一連の問題の中で、我々も連日国会でさまざま取り上げながら、しかし一方で、文科省に対してしっかりと国会に対する説明責任を果たすようにということを、これは表でも、あるいは表でないところでも含めて、我々は対応していたわけです。

 そのときの官房長が、実は捕まった、逮捕された佐野局長なんです。官房長、総務課長を中心にしながら国会対応し、私も小此木さんも、当時、この佐野官房長が本当にいつもおわびに来るわけですよ、国会に、それぞれの政党に。しかし、謝ることじゃなくて、しっかりとこの文科省の中で、どういったこれから事実解明ができるのか、あるいは再発防止へ向けてどういった取組をするのか、それが仕事じゃないか、我々に謝る暇があったら、そういうことをきちっとやれ、そして国民の皆さんに対する説明責任を果たすべきであるというようなことを本当にある意味ハッパをかけながら、当時、非常にもうやつれていたというか、やはり大変だったんでしょう。健康面も、時々は体は大事にしろよというようなことを、激励もしながらハッパをかけていたわけですよ。

 しかし、そのさなかに、まさにその時期に、いわゆる今回逮捕されることになった、東京医科大とのいろいろな形での夜の会合をやったり、あるいはその中で息子さんの裏口の入試を依頼していたりというような、今そういったさまざまな疑惑があるわけですけれども、本当に大変遺憾だし、残念でなりません。

 多くの文部科学省の役人の人たちが一生懸命、日本の人づくりのために日夜頑張っていることは、私も政府に入っておりましたので、よくわかっています。

 それだけに、この教育行政をつかさどる文部科学省の、もう本当にこの地に落ちた信頼というものを取り戻すためには、私は、柴山大臣の相当なリーダーシップが必要になってくると思いますので、まずはその決意をしっかりと語っていただきたいと思います。

柴山国務大臣 一連の天下り問題、また今般の幹部職員の逮捕、起訴事案、こういった事柄によって文部科学省に対する国民の信頼を根幹から損なう事態に立ち入っているということは、私も大変遺憾であります。

 先日公表された文部科学省幹部職員の事案等に関する調査・検証チームの中間まとめにおいては、その背景として、服務規律など法令遵守の組織文化、国民の視点を重視する組織文化、風通しのよいコミュニケーションができる組織文化が必ずしも根づいていないのではないかということが指摘をされております。

 このため、先般、私を本部長とし、そして外部有識者も含むメンバーで構成される文部科学省創生実行本部を設置したほか、既に省内公募により若手を中心に構成される文部科学省未来検討タスクフォースにおいて議論が行われております。

 今後、本創生実行本部において、中間まとめで指摘された事項も踏まえつつ、若手職員の意見もしっかりと聞きながら、私自身が先頭に立って、省一丸となって、もう後がないんだという再発防止策の検討を行い、新生文部科学省の創生に向けて取り組んでまいる強い決意であります。

笠委員 その点については、今年度中ですか、一定の方向性を出すということで取り組んでおられるということでございますので、また改めてしっかりとこの委員会でも私も取り上げていきたいと思います。

 一点だけ。

 この一連の不祥事の中で、例えば天下りの問題のときには、旧文部省の官僚の人たちを中心とした問題でした。今回、もちろん旧文部省の方がその接待の場で、処分された方はおられるけれども、どちらかというと、科技系の人たちを中心として今回のこのブランディング事業をめぐる問題というものがあった。

 やはり、ある意味では原則、事務次官も交互に、旧文部、旧科技というようなところで行われている、そういうある意味では役所の中の縦割りの組織というものについてもこの際しっかりとちょっと見直していくというようなことも含めて、ぜひ大臣には取り組んでいただきたいというふうに思います。これは要望でございます。

 それで、きょうは、私も、超党派の議員連盟で、馳さんが会長で、私が事務局長を務めております、夜間中学の問題について議論をさせていただきたいと思います。

 実は、ちょうど五年前になりますか、二〇一三年の十一月に、当時は私は野党の文科委員会の筆頭理事をやっていたんですけれども、委員会として初めて足立区の夜間中学の視察を行わせていただきました。

 その中で、各党の皆さん方が、この夜間中学を全国に、しっかりと最低一つは、一校はつくっていこうよということで超党派の議員連盟をつくって、そして、それを後押しできる法律をきちんと議法としてつくっていこうということで、翌年、二〇一四年の四月に、夜間中学等義務教育拡充議員連盟というものを結成させていただき、全ての党の皆様方に役員になっていただき、取り組んできたわけでございます。それで、その成果として、二〇一六年の十二月に、義務教育確保法ということで、夜間中学並びにフリースクール、この支援を行っていく、その議員立法が成立をしたわけでございます。

 ただ、残念ながら、八都府県三十一校しか今ないこの公立の夜間中学が、来年の四月に、千葉の松戸で一校、それと、大臣は埼玉県でございますけれども、埼玉県では初めてとなる、川口市で一校開校するというようなことで、それは喜ばしいことなんですけれども、まだ、残念ながら、具体化しているのがその二校にとどまっているということでございます。

 まず第一に確認したいことは、四十七都道府県に全て最低一カ所はこの夜間中学をしっかりと開設していくという方針に変わりはないのか、あるいは、そうしたことのために、これからまた、今、次に、千葉やあるいは埼玉に続く、松戸や川口に続く動きがあるのかどうか、その現状について、あるいは大臣のこの問題についての所感をお述べいただきたいと思います。

柴山国務大臣 お答えいたします。

 夜間中学には、義務教育を修了しないまま学齢期を経過してしまった方、あるいは不登校などさまざまな事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業された方、そして今注目をされている外国籍の方などの義務教育を受ける機会を実質的に保障するためのさまざまな役割が期待されていると思います。

 平成二十二年国勢調査によると、義務教育を修了していない方は全国に少なくとも十二万八千人いらっしゃるということがわかっておりますが、御指摘のとおり、現状、夜間中学は、全国八都府県二十五市区に三十一校の設置にとどまっております。

 このことから、文部科学省においては、平成二十八年十二月に成立した、御指摘のあった教育機会確保法、また、ことし六月に閣議決定された第三期教育振興基本計画を踏まえ、引き続き、全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学を設置されるよう取り組んでまいります。

 そして、今委員から御指摘のあった二校についての開校予定、これについて文部科学省では新設準備に向けた支援を行っているところでありますけれども、昨年七月に文部科学省が行った調査によりますと、夜間中学の新設に向けた検討、準備を進めていると回答した自治体は六県七十四市ございました。

笠委員 六県七十四市、そういった形で実際に調査あるいは研究、そしてまた開校へ向けた準備にこれから入っていくということになれば、非常にそれは喜ばしいことでございます。

 大臣、やはりこれは、我々もいろいろな課題があると思う。やはり夜間中学をしっかりと、今未設置の県において何とかしたいという思いは多分自治体の皆さん方も持たれていると思います。しかし、なかなか、じゃ、そのときに教職員の配置をどうするのか、あるいは、今おっしゃったように、これから外国人の労働者を、外国人を受け入れていくときに、更に外国人のお子さん、本国では義務教育を修了していないお子さんが入ってこられることだってある。そのニーズはどんどんふえていくと思うんですね。

 そういった中で、大臣自身の問題意識として、どういう支援を国として行うべきだというふうな問題意識を持っておられるか、お答えいただければと思います。

柴山国務大臣 今御指摘いただいたとおり、具体的に夜間中学へのニーズは本当に多様であり、かつ潜在的に存在をしているところであると考えられますので、設置を検討する自治体におけるニーズの掘り起こしやその把握を支援するとともに、夜間中学の設置充実に向けた手引の作成や、夜間中学を周知するポスターの作成、配布などの広報活動を行わせてきていただいたところであります。

 文部科学省といたしましては、今後も、夜間中学の設置を進めるためにさまざまな取組をまた進めていきたいと考えております。

笠委員 確かに一部には、最近外国人のお子さんが多いので、そこに国として予算的な措置をしていくことが果たしてどうなのかというような議論があることも承知をしております。

 しかし、少なくとも、私は、日本人であれ外国人であれ、この日本で暮らす子供たちが全て義務教育をきちっと修了していく、学ぶことができる環境をつくっていくということは国としてのやはり責任だと思いますので、しっかりとその点はまた御尽力をいただきたいと思います。

 そして、大事なことは、先ほど十二万八千人と。しかし、これはまだ本当にそうなのかどうかということが把握できていないところに問題があるわけですよね。果たして、本当に今、未就学の人たちがどれぐらいいるのか、全てはっきりとはわかりません。

 しかしながら、やはりこれは我々も求めてきましたけれども、国勢調査によってもう少しその実態、人数を把握することができるんじゃないかということで、実は国勢調査は、最終卒業学校を確認する項目、今は小学校と中学校が一緒になっています。しかし、それを、小学校と中学校とをしっかりと分けて、そして調査にかけることによって更に未就学者の人数が明らかになる、より詳細になってくるんじゃないかということで、このことは、私のみならず、私も委員会でも取り上げてまいりましたけれども、ほかの党の方々も総務省に対して要請をしてまいりました。

 実は、大規模調査、今度、二〇二〇年に行われます。この二〇二〇年の大規模調査のときじゃないとこのことはできないんですね。ですから、そのことをしっかりと要請したいと思いますし、実は林前大臣が、六月十五日でしたか、当時の野田大臣に対して、そのことを文科大臣としても総務大臣に直接の要請をされたというふうに伺っておりますけれども、きょうは、鈴木副大臣、総務省としてその判断、結論が出たのかどうか、その点をお答えいただきたいと思います。

鈴木(淳)副大臣 お答えいたします。

 委員の御指摘は、今ありましたとおり、国勢調査におきまして、義務教育部分をまとめた選択肢であります小学、中学という項目につきまして、小学校と中学校とを分ける、分割して把握すべきでないかという問題意識と認識いたしております。

 調査事項の検討に当たりましては、法令等との関係や施策への利活用といった有用性、あるいは記入者が説明を正しく理解し記入できるかといった正確性の確保など、さまざまな観点から総合的な判断が必要でございます。

 御指摘の点につきましては、平成二十八年、教育機会確保法が設置されるなど、従前よりも政策的必要性が高まっておりますことも認識しておりますので、正確性の確認も行いつつ、前向きに検討してまいりたいと思います。

笠委員 副大臣、平成三十二年、二〇二〇年の国勢調査へ向けて、既に平成二十九年の夏ですか、七月、八月に試験調査というのを行っているわけですよね。その結果はもうまとまっています。

 この試験調査では、小中を今までどおり一緒にした調査、予備調査と、小学校、中学校を分けての調査票を使っての調査と、二つに分けてやっているんですよね。しかしながら、実はその正確性ということでは、分けている方の方が、誤差の範囲とはいえ、正確なんですよ。要するに、誤りが少なくなっている。その結果はごらんになっていますよね。

 そういうことを考えれば、今度、今、六月、七月にことしやっている二次試験調査があるんですけれども、間もなくこの結果がまとまるということでよろしいですか。もうまとまっているんですかね。

鈴木(淳)副大臣 お答えをいたします。

 本年六月に実施しました第二次試験調査の結果も踏まえて、本年度中を目途に、二〇二〇年に実施予定の国勢調査に係る実施計画案を策定してまいります。策定した実施計画案につきましては、統計委員会に諮問し、同委員会における審議の後、答申をいただいた上で、実施計画として決定をされます。その後、官報告示などの所要の手続を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

笠委員 副大臣、統計委員会にかけなきゃいけないんだけれども、諮問すると。ただ、そのときに、やはり概要は、この調査結果を受けて、今回、今まさに最終のまとめをやっている、分析がやられている二次試験調査の結果、あるいは、先ほど言った、もう既に発表されている一次試験調査、この要するに二つの結果を受けて決めるわけですよね。それは総務省としての見解。

 当然ながら、我々も、今言った、これは大きな点だと思う、小学校と中学校とを分けるというのは、変更点としては。ただ、そういった中で、ほとんど、例えば国民の皆さん、調査を受ける方の負担であるとか正確性ということは問題ないということが、少なくともこの二次調査でとんでもない結果が出ない限りは、恐らくそう変わらないと思うんですよ。ですから、それはやはり年内にも方向性というのはきちっと決めていただかないと、皆さん、本当に心配されているんです、関係の方々が。

 もう少しちょっと、きちっとお答えいただきたいと思います。

鈴木(淳)副大臣 お答えいたします。

 十二月にはその結果が出てまいりますので、それを踏まえて検討していきたいと思っております。

笠委員 じゃ、年内には、この二〇二〇年の国勢調査をどういう形でやるのか、私は小学校と中学校をきちっと分離してやっていただけるというふうに、今、馳筆頭も、会長もうなずいておりますので、そのことはお約束いただいたというふうに前向きに受けとめさせていただきたいと思いますし、きょう副大臣がこうやって責任を持って答弁されているので、ちょっとしつこいようなんだけれども、やはり改めて柴山大臣から、今度、石田大臣に総務大臣もかわられましたので、この点は強く要請をぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 省庁の垣根を越えてしっかりと対応させていただきたいと思います。

笠委員 そういったことも含めながら、夜間中学あるいはフリースクール、我々もこの義務教育確保法を、先ほど馳さんがちょっと退席されているときに御紹介したんだけれども、超党派でつくった法律ですし、またこれは二〇一九年には三年後の見直しもやらなければなりませんので、私どももしっかりその点については取り組んでいくことをお約束申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

亀岡委員長 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十九分散会


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