衆議院

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第6号 平成30年11月28日(水曜日)

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平成三十年十一月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 大見  正君 理事 神山 佐市君

   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      池田 佳隆君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      加藤 鮎子君    神谷  昇君

      小林 茂樹君    佐藤 明男君

      下村 博文君    白須賀貴樹君

      高木  啓君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      細田 健一君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      川内 博史君    初鹿 明博君

      村上 史好君    吉良 州司君

      牧  義夫君    稲津  久君

      太田 昌孝君    中野 洋昌君

      中川 正春君    畑野 君枝君

      杉本 和巳君    吉川  元君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  北村  信君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   平井 明成君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       松尾 泰樹君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            磯谷 桂介君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     宮澤 博行君

  船田  元君     佐藤 明男君

  宮内 秀樹君     細田 健一君

  宮路 拓馬君     神谷  昇君

  中野 洋昌君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     加藤 鮎子君

  佐藤 明男君     船田  元君

  細田 健一君     宮内 秀樹君

  宮澤 博行君     根本 幸典君

  太田 昌孝君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(佐々木隆博君紹介)(第一〇二号)

 同(池田真紀君紹介)(第一一六号)

 私立学校の保護者負担軽減、教育環境改善のための私学助成充実に関する請願(稲津久君紹介)(第一一五号)

 同(荒井聰君紹介)(第一一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府沖縄振興局長北村信君、地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、子ども・子育て本部審議官川又竹男君、文部科学省大臣官房総括審議官瀧本寛君、大臣官房文教施設企画・防災部長平井明成君、総合教育政策局長清水明君、初等中等教育局長永山賀久君、高等教育局長義本博司君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、科学技術・学術政策局長松尾泰樹君、研究振興局長磯谷桂介君、スポーツ庁次長今里讓君、文化庁次長中岡司君及び国土交通省大臣官房審議官眞鍋純君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。村井英樹君。

村井委員 おはようございます。自由民主党の村井英樹です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。文部科学委員会で初めて質問をさせていただきます。

 そしてまた、私が本日文部科学省の方にお伺いをしたいのが、来年十月から始まります幼児教育の無償化についてでございます。

 この無償化、そもそもは、我が国の最大の課題である少子化対策、これを検討する際に、二十代、三十代の若い世代で理想の子供数を持たない最大の理由は、子育てや教育費にお金がかかり過ぎるからであって、教育費への支援を求める声が大きかったということや、幼児教育、保育の重要性という観点から、昨年の衆議院選挙を経て実施が決まったというものでございます。予算規模も非常に大きくて約八千億円、しかも、これも単発ではなくて毎年八千億円ということでありまして、大変インパクトの大きい政策でありますので、ぜひスムーズに十月からの実施につなげていただきたいと考えております。

 そしてまた、ちょっと個人的なことなんですけれども、実は私も二人の息子の父でありまして、長男が三歳で次男が一歳なんですけれども、長男はことしから地元の浦和の幼稚園に通っておりまして、そんな関係で、最近は、パパ友というんですか、お父さん仲間と話す機会も結構あるんですけれども、今般の幼児教育の無償化について正しく伝わっていない部分も結構あるなと感じておりまして、そんな観点からきょうは質問をさせていただきます。

 お父さんたちと話をすると、さすがに幼児教育が無償化になるという話は伝わっております。ただ、その一方で、上限額なく無償化になると思っておられる方も結構いらっしゃいます。もちろん、いわゆる新制度の幼稚園、認可保育所、認定こども園は、保育料も公定の価格になっておりますので、ここは全て無償となるわけですけれども、うちの息子も通っておりますけれども、いわゆる私学助成ですね、私立の幼稚園で、旧来型の補助制度というか、私学助成と就園奨励費で補助が賄われているといったような幼稚園については、月額二万五千七百円までが無償となるということであって、それを上回る部分については保護者に御負担をいただくということになっております。

 この月額二万五千七百円という線引き自体は、私学助成園はみずから保育料を決められるわけでありますので、青天井で高額な保育料の幼稚園まで無償化にはできないと思いますし、その二万五千七百円という額も、新制度における利用者負担額を基準にしているという以上、妥当だと思います。思いますけれども、ただ、うちの息子の幼稚園も含め都市部の幼稚園の保育料というのは、相当数この二万五千七百円という月額保育料を超えていることが多いです。

 そのため、しっかり周知徹底をしておかないと、来年の十月からいざ施行となったときに、保育料が、実質負担額が千円とか二千円とか三千円ということかもしれません、なので、少なくなるんだと思いますけれども、ただ、月額保育料が二万五千七百円を超えているような園に通わせている保護者からすると、なぜ保育料を引き続き取られるのかということで、保護者の方から失望を買うおそれがあるのではないかと感じています。

 そこで、文部科学省に伺いたいと思います。

 私立幼稚園の中で月額二万五千七百円の保育料を上回る園、これは相当程度あって、完全に無償にならない保護者も相当数いらっしゃると思いますが、制度の趣旨をしっかり周知徹底する、無償化の意味、これをしっかり伝えていくべきではないかと思いますけれども、文科省の見解を伺いたいと思います。

永山政府参考人 子ども・子育て支援新制度に移行していない私立幼稚園につきましては、既に月額二万五千七百円を超える保育料を徴収している園も中には相当あるというふうに認識をしておりまして、その場合には保護者に自己負担が生じることになります。

 こうした点も含めまして、住民、事業者向け説明資料を全国に発出したりとか、当該説明資料を三府省、内閣府、厚労省、文科省ですね、そのホームページで公開したり、あるいは全国五ブロックで自治体職員向けセミナーを開催したり、そういった形で周知に取り組んでいるところですけれども、来年十月からの無償化の実施に向けて、住民や事業者、自治体の方々に対して更に丁寧に周知、広報を進めていきたいと考えております。

村井委員 御答弁いただきました。ぜひ、やっていただけるということでありますけれども、積極的に周知徹底、この部分、進めていただければと思います。

 次なんですけれども、次は、無償化に係る幼稚園の預かり保育部分の議論なんです。ここをかなり親御さんからも聞かれますし、幼稚園の事業者の方からも結構質問が多いところかと思います。

 この預かり保育、当該子供に保育の必要性の認定があれば、月額一万一千三百円を限度として無償化の対象となるということなんですけれども、これも思ったより知られていないということであります。結構、認可保育園の方はもっと長い八時間とかという標準時間で無償化になるのに、幼稚園の方は四時間だけじゃないかとか、いろいろなことを言われるんですけれども、この預かり保育部分もしっかり、もちろん保育の必要性の認定が前提でありますけれども、そういったような子供を持つ世帯は無償化になるという部分もしっかり周知徹底していただきたいと思います。

 その上でさらに、この預かり保育についてちょっと伺いたいのは、どの世帯が具体的に預かり保育が無償化になるのか。つまり、保育の必要性の認定基準なんです。

 もともと、この保育の必要性の基準という、今回の預かり保育の無償化に当たって使われる基準というのは、保育園の方、保育所入所のための二号認定のことだったと思うんですけれども、今回、幼稚園の預かり保育の無償化判定のために、二号認定とは別の仕組みとして、保護者世帯の方に対して、そのお子さんの保育の必要性の認定の仕組みを措置されるということでよいか、まず伺いたいと思います。

永山政府参考人 まず、二号認定でございますけれども、これは保育所等への入所や施設運営費である施設型給付の支給に必要な認定でございまして、今回の預かり保育の無償化に係る認定とはその趣旨あるいは法的効果が異なってございます。

 したがいまして、基準は同一でも、預かり保育の無償化に係る保育の必要性の認定は二号認定とは異なる、二号相当認定とでも申しましょうか、そういった別の認定の仕組みを整えることを想定いたしております。

村井委員 ありがとうございます。

 保育の必要性の認定といっても、二号認定と、今回の幼稚園の預かり保育で無償化になるかどうかのための保育の必要性の認定というのは別なんだということを御答弁いただきました。

 その上でなんですけれども、二号認定の保育の必要性認定の基準というのは、保護者の就労時間、月四十八時間から六十四時間の間で自治体が定めたものとされていまして、うちの地元のさいたま市なんかだと、待機児童が結構いることもあって、就労が月十六日、六十四時間以上の基準となっています。

 私が伺いたいのは、今般の預かり保育の無償化に係る保育の必要性認定基準は、各自治体ごとに、二号認定の必要性の基準と同じという理解でよろしいでしょうか。

 逆に言うと、今、二号認定の基準というのは各自治体によってばらつきがあるわけです。ということは、今回の預かり保育の無償化の保育認定の基準というのも各自治体ごとにばらつきが出るということでよろしいでしょうか。

永山政府参考人 幼稚園の預かり保育につきましては、認可保育所に入ることができない場合の代替的な措置として無償化の対象とされたということでございますので、保育の必要性が認められる者を対象に無償化をするということになってございます。

 こうした経緯を踏まえますと、保育所に入る要件を満たしているにもかかわらず預かり保育の無償化の恩恵が受けられない事態が生じるのは不適切だろうということですので、今回の預かり保育の無償化を受けるために必要となる保育の必要性の認定の基準、これにつきましては、保育所等に入所するために必要となるいわゆる二号認定の基準と同一とする方向で検討しております。

村井委員 ありがとうございます。

 この預かり保育の無償化について、ただいまのやりとりでありましたとおり、保育の必要性があれば無償化になるということ、まずこの部分と、その上で、保育の必要性については、各自治体ごとに既に二号認定用に定められている基準に基づいて決められるということだったと思いますけれども、その部分、しっかり周知をしていただければと思います。

 保護者の方も、うちは預かり保育は無償化になるのというやりとりが結構聞かれますので、ここの部分もしっかり周知徹底していただければと考えております。

 次に、どんどん行きますけれども、私立幼稚園の保育料の引上げ、これについて伺いたいと存じます。

 今般の幼児教育の無償化に伴って、私立幼稚園の中には、保育料の引上げ、これを検討しているところもあると仄聞をしております。

 確かに、現状、月額二万五千七百円以下の保育料の幼稚園であれば、二万五千七百円までは引き上げても保護者負担はゼロのままということになりますし、二万五千七百円を超えている幼稚園であっても、無償化に合わせて保育料を引き上げれば、全体の保育料自体は大きく下がるわけですので、保護者の負担感なく保育料を上げられるという現実もあるのかもしれません。

 ただ、これは当然のことなんですけれども、幼児教育、保育の質の向上に資する保育料の引上げはよいとしても、いわゆる便乗値上げ的なものは許されるべきではありません。そもそも、そんなことが相次いでしまっては、大切な子供を預かる私立幼稚園の信頼の根幹を揺るがすということにもなりかねないわけです。

 そこで、文科省に伺いたいんですけれども、今般の無償化に伴って、万々が一にも私立幼稚園が悪質な便乗値上げを行わないよう防止する方策は考えておられるか、伺いたいと存じます。

永山政府参考人 私立幼稚園の保育料というのは、近年上昇傾向でございます。

 一般論といたしましては、私立幼稚園の保育料の引上げがなされた、そのこと自体が直ちに不適切ということではないんだろうと思いますけれども、一方で、今般の幼児教育の無償化は、幼児教育、保育における保護者負担の軽減、これが目的でございますので、おっしゃったとおり、質の向上を伴わない保育料の値上げが助長される、そういったことはあってはならないというふうに考えております。

 文科省といたしましては、これまでも各園に無償化の趣旨を丁寧に説明してきてございますし、私学幼稚園団体からも、質の向上を伴わない保育料の引上げが行われることのないよう、二回にわたって呼びかけていただいております。

 引き続き、今回の無償化の趣旨が各園に適切に理解されるように努めてまいりたいと考えております。

村井委員 ありがとうございます。

 ぜひ、文科省としても強いイニシアチブで、万が一のことが起きないように対応をお願いしたいというふうに思います。

 次の論点なんですけれども、次はちょっとテクニカルなんですけれども重要だと思っているんです。この私学助成園における無償化の具体的な実施方法、これについて伺いたいと思います。

 これを一言で言うと、保育料を保護者に一旦払ってもらってから後で給付金でお返しをするのか、それとも、最初から保護者から保育料をいただかない、若しくは、月額保育料が二万五千七百円を超えている場合はその差額分、千円とか二千円を払っていただくということにするのか。

 もう少し具体例を挙げて言うと、月額の保育料が現在二万五千円の幼稚園があった場合、まずこの二万五千円を保護者にお支払いをいただいてから、後ほどその分を給付金という形で保護者にお返し、償還払いするのか、そもそも保育料は保護者からいただかないで、二万五千円の給付金を幼稚園が自治体から代理受領する形にすべきなのかという、ここの二つの無償化のルートがあるんだろうと思いますけれども、そこの部分について伺いたいと思います。

 今般の私学助成園の無償化は、従前の就園奨励費の仕組みを生かしつつ新たな給付制度を創設するという形で行われますけれども、現在の就園奨励費の支払い方は償還払いのケースが大半だと聞いております。なので、先ほどの例で言うと、保護者に一旦二万五千円払ってもらって、その後お返しをするという形になっています。

 ただ、今回、無償化ということでやっているわけですけれども、保護者の支払いの負担感を軽減するためにも、やはり最初から保護者から保育料は取らない、若しくは二万五千七百円を超えるようなところは差分を払っていただくという形が、私は個人的には制度趣旨に合うのではないかなと思っています。

 うちの地元のさいたま市の例になっちゃうんですけれども、昨年度なんかは、この就園奨励費の支払いが、一年分まとめて、年度末の二月に一度でどんと支払われたわけです。

 これを前提に今後の無償化が進んでいくとどうなるかというと、保護者は引き続きこれまでどおりの保育料を月々幼稚園に対して払い続けます、年度末に大体、二万五千七百円掛ける十二カ月、約三十万円ぐらいの就園奨励費が口座にどんと年度末に振り込まれます。

 一年通して見ると、無償化、実質負担はないということなのかもしれませんけれども、やはり子育て世代の感覚からすると、月々の支払いをなくしてもらう、若しくは減らしてもらうということかもしれませんけれども、もらって初めて無償化という感じがするのではないかなと感じております。

 更に言うと、やはり、来年の十月から保育料の支払いがすぱっとなくなるということになると、子育て世代的には、消費税は上がったけれども恩恵もあったなということをダイレクトに感じ取りやすいと思いますし、反動減対策という意味でもきくのかなと思います。

 そういう意味で、ここのどちらのルートを選択するかというのは今基本的に自治体の選択に委ねられていると思いますけれども、文科省にはぜひ、就園奨励費で主流であった償還払い、後で払うという仕組みではなくて、そもそも払わなくてよい、かなり少額だけ払ってもらえばよいという幼稚園の代理受領方式、これを自治体に促してもらいたいと思いますが、御見解はいかがでしょうか。

永山政府参考人 新制度に移行していない幼稚園につきましては、今回の無償化に当たりましても、現行の就園奨励費と同様に、基本的には、償還払いか代理受領なのか、そういったものも含めまして、実施主体であります市区町村が実態に応じて柔軟に支給方法を判断できる、これは基本だとは思ってございます。

 一方で、おっしゃいましたとおり、代理受領、さまざま利点がございます。保護者がまず一時的な利用料の立てかえが不要となる、負担感が軽減するということもありますし、それから、市町村が個々の利用者への給付事務、これが要らなくなるということで、かなり事務負担が軽減される等々、利点もありますので、私どもは国と地方の実務者の協議の場というのを設けておるんですけれども、そういった場で、その利点も示しながら、代理受領を促しているというところでございます。

 国といたしましても、例えば、今ですと、市区町村とか幼稚園の資金繰りの関係がありますけれども、今、十月ぐらいに国費の交付なんですけれども、これも思い切って年度当初に持ってくるとか、そういった形の支援策も検討しているところでございます。

村井委員 ありがとうございます。

 今まさにおっしゃっていただきましたけれども、私、幼稚園の代理受領方式の方が望ましいんじゃないかということを申し上げました。ただ、その場合、おっしゃるとおりで、幼稚園の資金繰りの話というのが問題として発生をする可能性があって、これまで幼稚園は、毎月、目の前の保護者から保育料をいただけたわけですけれども、今度それがいただけなくなるとすると、なるべく早い時期に自治体の側から給付金が回ってこないと、園によっては資金ショートしてしまうという可能性もありますので、既にお話がありましたけれども、この新たな給付金の原資の出す時期、これはぜひ前倒しを御検討いただければと思います。

 きょうは内閣府にも来ていただいておりますので、一問だけ伺いたいと思いますけれども、そのようなことで、幼児教育の無償化が実施をされるということになると、さまざまな事務手続の変更といったようなことがあって、地方自治体にもいろいろな形で事務負担がふえるといったような声を地方自治体からも伺っているところでございますけれども、そんな地方自治体の事務負担の軽減に向けてどのような取組を行っておられるのか、ちょっと内閣府の方から伺いたいと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。

 特に、市町村から事務処理への懸念が示されていることは認識をしております。

 幼児教育の無償化に関する事務処理につきましては、内閣府、文部科学省、厚生労働省の三府省が連携をいたしまして、国と地方自治体とで実務の検討に関する議論を行う機会を設けるなど、地方自治体、特に市町村の方々からのさまざまな意見をしっかり伺いながら、一緒になって実務担当者向けの事務フローなどを作成するなど、準備を進めてきたところでございます。

 来年十月の無償化の実施が円滑に進むよう引き続き検討を急ぐとともに、今後とも、順次地方自治体の皆様へ必要な情報をお伝えし、準備を進めてまいりたいと考えております。

村井委員 ありがとうございます。

 以上、ちょっと早足で論点を詰め込んでしまいましたけれども、これまで、来年十月から始まる幼児教育の無償化の実施に当たっての課題を幾つか指摘させていただきました。

 私が言うまでもありませんけれども、国の礎は教育にあって、そして中でも幼児教育は、知識、IQなどの認知能力だけではなくて、これからの時代により必要とされる非認知能力の育成においても重要な役割を担っております。

 この幼児教育分野の政策の大きな転換と改革と言ってもよい今般の幼児教育の無償化、保護者や幼稚園関係の皆様始め多くの方に、やってよかったと言っていただける仕組みにしなくてはならないと思いますし、また将来、この国にとって大切な政策だったと振り返れるようにするためにも、来年十月からの円滑な実施が何よりも大切だと考えております。

 その点について、改めて、私と同じ埼玉県の出身で、私の初当選のときから兄貴分で、御指導いただいている柴山文部科学大臣に御決意を伺えればと存じます。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 村井議員の熱意あふれる御主張のとおり、この幼児教育の無償化は、全ての子供に質の高い、非常に重要な幼児教育を受ける機会を実質的に保障する、それと、冒頭御指摘になった少子化対策にも貢献をするというものでございまして、人づくり革命を実現する上で極めて重要な政策だと考えております。

 ということで、来年十月から予定どおり全ての地方自治体において適正かつ円滑に実施されるよう、先ほどの事務的な準備の面もそうですし、また、今鋭意、地方自治体と費用負担の件についても協議をさせていただいておりますけれども、地方自治体や現場の御意見を十分に尊重し、丁寧に伺いながら準備を加速していく決意でございます。

 どうぞ御協力をよろしくお願い申し上げます。

村井委員 大臣、ありがとうございました。

 私も、この幼児教育、保育の無償化、党にいるときからもそうでありましたし、内閣府の政務官をやらせてもらったときも携わらせてもらいました。

 よくここまで来たなという思いも個人的にはあるわけでありますけれども、画竜点睛というか、悪魔は細部に宿ると言うべきなのかわかりませんけれども、やはり最後の執行の部分までやり切って初めて政策として花開く、やって意味があったかどうかということになってくるんだろうと思いますので、ぜひ大臣におかれては、文部科学省の皆さんをしっかりリードしていただいて、十月からの円滑な実施に努めていただきますよう改めてお願いを申し上げさせていただいて、時間ちょっと前でありますけれども、私からの質問とさせていただきたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。終わります。

亀岡委員長 次に、宮川典子君。

宮川(典)委員 おはようございます。自由民主党の宮川典子でございます。

 きょうは、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。馳筆頭理事の強い目線を感じて、大変プレッシャーを感じておりますが、久々の質問ですので、三十分、しっかり質問してまいりたいと思っております。

 私は、よくこの委員会で申し上げていますけれども、もともと中学校と高校の英語の教師でありました。ただ、五年間しかやっていないので、余り偉そうなことは言えませんけれども、やはり英語の教師をしていた私にとってみれば、英語教育、これからの日本の英語教育はどうなっていくかということが大変気になるところであります。

 まず、きょう一つ目は、小学校における英語教育についてちょっとお話をしてみたいと思います。

 これから小学校三年生から英語教育がスタートするわけなんですが、この英語教育をスタートさせるに当たって、小学校三、四年生は授業時数が一こまふえる、二十八から二十九になるということになっていますけれども、この一時間ふえるということが現場にはどういう影響があるかということを文部科学省はちゃんと理解しているのかなというのが、私は大変疑問であります。

 しかも、その一時間をモジュール学習なんかを使って埋めればいいじゃないかという話があるんですが、モジュール学習の効果をどのくらい試算しているのか、そしてモジュールで本当に英語が身につくと考えているのかどうか、まずはその点を伺いたいと思います。

永山政府参考人 御指摘のとおり、二〇二〇年度から全面実施されます小学校の新学習指導要領ですけれども、外国語教育の充実のために、小学校第三学年以上におきましては、週当たり一こまの標準授業時数が増加いたします。

 したがいまして、やはり時間割り編成に当たりましては、教員の多忙化も含めて、かなり実態を踏まえたさまざまな工夫、これも必要になってくるというふうに思ってございます。

 御指摘のモジュール、これは短時間学習ということですが、十五分とかそういった短時間の学習、それもそうしたさまざまな教科編成、カリキュラム編成の工夫の一つではないかというふうに私どもとしては考えてございますが、その際に、もしこれを使うということであれば、やはり当該教科ですとか学習活動の特質に照らして妥当かどうかということは十分に教育的な判断というものが必要になってくると思います。

 実際、外国語科で、四十五分の授業でまず学習をやって、その翌日あるいは翌々日の朝、例えば十五分とかそういった形で、四十五分の授業で学習した内容をその十五分の中で例えば会話で使うとか、繰り返し使って練習をする、そういった活動などをやっているところもございまして、そういった取組を実際に行ってきた学校に伺ってみますと、例えば、一度行った活動を短時間学習、モジュールで発展して、あるいはアレンジして使うということで一定の定着が図られたというふうなことも伺ってございます。

 もちろん留意点もございまして、四十五分授業と短時間学習、これを関連づけるということが必要ですので、全くばらばらに、四十五分授業をやって翌々日あたりに英語の歌を歌うとか、そういった形ではやはり適切ではない。バランスのとれた資質能力の育成を図ること、そういったことへの留意も必要かと思ってございます。

宮川(典)委員 済みません、ちょっとそこを深掘りしてお伺いしたいですけれども、今、成功の事例があるということがありましたけれども、ここでは学校の先生方の研修が完璧だったんじゃないかなと思うんですが、実際、モジュールでうまくいっていた、短時間学習でうまくいっていた学校は、どういう先生方のラインナップがあったのか、もし今わかれば答えていただきたいと思います。

永山政府参考人 済みません、ちょっと手元に詳細な資料がございませんけれども、伺っているところでは、指導は基本的には担任がやっておるというふうに聞いてございます。

宮川(典)委員 小学校ですから担任の先生がやっているんだと思いますが、短時間学習で英語が身につくというふうに思うのは、できる方たちもいるかもしれません、でも、多くの場合は、私は生徒の実態を見てきて思いますけれども、朝学なんかで十五分で短時間学習をやろうとしたら、大体、生徒のエンジンがかかってくるのが十分後ぐらい。ということは、実質勉強できるのは五分ぐらい。特に英語なんというのは、日本語ではないですから、エンジンをかけるまでに先生がすごい努力をしなきゃいけない。さあ、きょうはみんなで一緒にABCの歌を歌ってみようとかと言って盛り上げて、やっと五分後にエンジンがつくというような感じなんですね。

 ということは、しっかりとした学習が本当に担保されるかというと、私はちょっと疑問を感じます。自分の経験上からも、短時間学習、モジュール学習で能力がつくかというと、私はそうではないんじゃないかなというふうに思っています。それを活用するに当たっても、なかなか難しいんじゃないかなというふうに思うんですね。

 今回、小学校で英語の授業をするというときに、私はもうこれは英語教師時代から思っていましたけれども、何で日本は英語を学んでいるんですかということなんです。文法大好き、一読一訳大好き。全く使えない英語です、はっきり言って。

 英語を学ぶんじゃなくて、英語で学ぶということをもうちょっと入れていけば、四十五分授業をやって十五分のモジュールじゃなく、ほかの教科でも例えば英語を使うことはできると思うんですね。だって、担任の先生がやるんですから、小学校の場合は。中学校、高校に行くと教科担任制になりますから、ちょっとこれは難しいところがありますが、小学校の場合はどの授業にも英語を入れていくことができるわけです。

 例えば算数で、一足す一は二、簡単な数式ですけれども、これを、ワン・プラス・ワン・イコールズ・ツーという言い方もある。だけれども、別の言い方では、ワン・プラス・ワン・イズ・ツーという言い方もある。二つも言い方があるんですよ。日本語では一足す一は二という言い方しかないけれども、英語では二つ言い方があるんですとかというのを算数の中でも入れることができるし、理科や社会や国語の中でも、国語の例えば詩を英語でみんなで言ってみようということもできるわけですね。

 ですから、さまざまな教科の中で英語を使うことができれば、別にこま数の問題じゃないんじゃないかと。まさに、先ほど局長がおっしゃったように、使える英語を身につけるためには、別にこま数の話ではないんじゃないかということを私は思います。

 文法ができるのは、確かに日本人の物すごくすぐれたところだと思うんですね。皆さん、外国の方とメールや手紙のやりとりをした方はわかると思いますけれども、文法はめちゃくちゃです。単語も、スペリングのミスなんてすごくたくさんあります。正確な文章で話さなきゃいけないなんて思っている英語を話す人たちは、多分日本人だけだと私は思っているんですね。

 コミュニケーション、言語というのは、通じればいいわけですから、そのことを考えれば、決して、正確でパーフェクトな英語でなくてはならないということは私はないんじゃないかな。特に、小学生にとってみれば、興味のあることを一生懸命話していくということが重要なんであって、英語を学ぶんじゃなくて、英語で学ぶということをこれから意識していかなきゃいけないんだと思うんです。

 それぞれの言語を使って、今でいうと英語ですが、英語を使ってカリキュラムを編成していく、他の教科も含めてやっていくという考え方が必要なんじゃないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

永山政府参考人 御指摘のとおり、英語でまず他者とコミュニケーションを図る力を身につける、これは大変重要だと思います。その際、実際に英語を用いて体験的に学ぶ、これは大変効果があると思いますし、その際にほかの教科と関連づけて学んでいく、これも非常に効果があると思います。

 新学習指導要領、小学校の英語教育ですけれども、「国語科や音楽科、図画工作科など、他の教科等で児童が学習したことを活用したり、学校行事で扱う内容と関連付けたりするなどの工夫をすること。」こういった記述もございます。

 具体的には、例えばということですが、理科ですとか社会科あるいは総合的な学習の時間において地域について調べる学習を行いますけれども、そういった後に外国語科で英語を使ってそれを外国の人に説明するとか、あるいは、社会科で世界の国、地域を学習する、それと並行して外国語科で、それらの国の風俗、習慣ですとか食べ物ですとかそういった活動を英語で行う、こういったことも含めた教育課程上の工夫ということは非常に期待をされるところだと思います。

 私どもとしても、こうした工夫を促すように、学習指導要領の趣旨をしっかり周知するとともに、各学校、地域におけるいい事例、これを収集して情報提供も行っていきたいと考えております。

宮川(典)委員 ありがとうございます。

 ここで、私は実は提案したいことがあるんです。

 今、局長の答弁にもあったように、さまざまな教科で英語を使っていくということができるようにこれからなっていけば理想的だと思うんですが、今ある単元の中でもう既にそれぞれの教科に組み込まれている時間が私はあると思っています。それは、総合的な学習の時間です。

 今、文部科学省がアクティブラーニングという話をしていますけれども、アクティブラーニングというのはまさに総合的な学習で、今まで行ってきた教科書に書いてあるだけではない、いろいろなところから学んできたものを授業の中に入れましょうということなんですよね。ということは、総合的な学習の時間というのはもう既に各教科に組み込まれていると言っても私は過言ではないと思っています。

 教科書をごらんください、皆さん。小学生、中学生の教科書を見ていただくと、まさにアクティブラーニングにかかわるようなところがきちっと入っています。ということは、もう総合的な学習の時間はアクティブラーニングに成長をし、そして単元としてはもう役目を終えたんじゃないかなと私は思っています。

 二十八時間が二十九時間になるということは現場にとっては物すごく大きな負担です。皆さんはたった一時間だとおっしゃるかもしれませんが、この一時間が物すごく教師にとっては、負担というふうには言いませんが、非常に大きな時間になるんですね。

 ですので、この役目を終えたというか、昇華してそれぞれの教科に組み込まれた総合的な学習はもうなしにして、その時間を英語に充てたらどうかというふうに思うんです。そうすれば、二十八時間を二十九時間にふやす必要はありません。大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 いろいろと検討をさせていただいておりますが、総合的な学習の時間においては、今おっしゃったアクティブラーニング的な授業の仕方の工夫ということのみならず、つまり、実社会や実生活における課題ということについて意識をするということのみならず、教科などの枠を超えた横断的、総合的な学習、探求的な学習、こういうことを行うということとしております。例えば、学校の裏の菜園とかに行って理科的なことも勉強しますし、また社会科的なことも勉強するしというような形で、各教科横断的な体験学習を例えば地域の方々とやるというようなことも、こういった総合科の中で行っているところであります。

 また、OECDの報告なんですけれども、我が国が国際的な調査においてトップレベルの成績をおさめている理由として、教科とそれから総合的な学習の両方において生徒主体の活動に生徒が参加しているということが挙げられているということなんですね。

 ということで、文部科学省としては、外国語科を始めとする各教科と総合的な学習の時間の、先ほど宮川議員がおっしゃったように、相互の関連づけを図っていくことによって両方の充実を図るということが重要だと考えております。

 引き続き、総合的な学習の時間の中身の充実を含めた新学習指導要領の円滑な実施に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

宮川(典)委員 大臣からいろいろなお話をいただきました。

 私は、英語というのが、先ほど申し上げたように、英語を学ぶんじゃなくて、英語で学ぶということを小学生のときからしっかり身につけてほしいと思っています。

 そのことを考えますと、聞く、読む、書く、話す、この四技能をしっかり身につけたいと思ったら、まさに総合的な学習の時間のような英語の授業をしっかりやらなきゃいけないということですから、ぜひ、このカリキュラムをどうしていくかということは更に深く検討していただきたいと思います。

 そして、授業時数を一こまふやしたから英語がうまくなるわけじゃないんです。どうやったら英語がうまくなるかというカリキュラムをしっかりつくっていただきたいと思いますので、引き続きの検討をよろしくお願いいたします。

 では、二つ目の項目ですが、外国人児童生徒の対応について質問をしたいと思います。

 私の事務所では、東京でも山梨でもそうなんですが、学生インターン生を受け入れております。私が議員になってから六年近くたちますが、その数は百名近くになります。

 この中から、実は高校の先生になったインターン生がいるんですね、きょう傍聴にも来ておりますけれども。その彼が就職したというか今奉職している学校では、外国人生徒が非常に多いということで、大変悩みを抱えていたり、苦労しているという話を聞きました。

 何が一番苦労しているかというと、例えば、外国人生徒が余り日本語がうまくならない、日本語の授業が十分に理解できない、それについて悩んでいたり、あとは、ここで一生懸命勉強しても日本でいい職につけるのかどうかということを大変悩んでいるというふうに聞いています。

 確かに、同じ悩みを抱えている外国人児童生徒というのは日本じゅうにいるんじゃないかなと私は思っているわけですが、今、文部科学省として外国人児童生徒に対して現在どんな施策をやっているのか、まずは紹介をしていただきたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 外国人児童生徒等、特に日本語指導が必要な外国人児童生徒等につきましては、きめ細かく指導、支援できる体制の整備充実、そして、これらの児童生徒の教育に携わる教師、支援員等の資質能力の向上が重要な課題だと認識しております。

 このため、文部科学省といたしましては、外国人児童生徒等の教育のための教員の加配定数の一部を基礎定数化いたしまして、これを二〇一七年度から十年間で計画的に進めることによりまして、各自治体において、対象となる児童生徒十八人に対して教員一人が確保できるような改善を図ったところでございます。

 また、こうした外国人児童生徒等の在籍する学校に対する日本語指導員、また母語の支援員の派遣など、地方自治体が行う取組への支援を行う、また、外国人児童生徒の教育を担う教員研修のモデルプログラムの開発等を実施するといった取組をしてきているところでございます。

 平成三十一年度の概算要求におきましても、日本語指導等きめ細かな支援、また多言語翻訳システムなどICTの活用を始めとした地方公共団体の体制整備の支援、そして外国人の高校生等に対するキャリア教育の推進に係る経費を要求しているところでございまして、今後とも、外国人児童生徒に対する指導の充実に努めてまいりたいと考えております。

宮川(典)委員 いろいろな施策をやっていただいているのは私も承知をしていますし、きめ細やかになってきていると思います。

 ただ、先ほど私が申し上げた、外国人児童生徒が日本語の授業が十分に理解できないというのは、これはもともと、学校の先生が多言語化に対応できるような能力がないからじゃないでしょうか。そして、ちゃんとした進路指導ができないということは、その方たちが、多文化の人たちがどういうところで働いて日本で暮らしていくことができるかということを理解していないからじゃないでしょうか。

 外国人児童生徒にかかわる教師の能力というのは三つ私は必要だと思っていまして、まずは、多言語に対する知識、英語だけではなくて多言語化に対応できる知識があるかどうか、そして二つ目は、多文化に対しての知識があるかどうか、そして三つ目は、外国人児童生徒の進路に対して、現実問題、社会がどうやって外国人を受け入れているか。

 これに対しての知識は三つなければいけないと思いますけれども、あえて聞きますが、これは、教員を採用される前に、ちゃんと教職の養成課程でカリキュラムに組まれているんでしょうか。

清水政府参考人 先生御指摘のとおり、公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒等、こういった子供たちが十年間で一・七倍に増加しております。先生御指摘の知識、能力というのは大変重要なことだと考えております。

 こうした背景から、教育職員免許法等の改正によりまして、平成三十一年度からでございますが、特別な支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解という科目を必修の科目といたしまして、この科目の中で外国人児童生徒等の対応が行われるよう、文部科学省が策定いたしました教職課程のコアカリキュラム、コアカリキュラムといいますのは、全国全ての大学の教職課程で共通的に修得すべき資質能力を記載したものでございますけれども、この中で、母国語の問題その他特別の教育的ニーズのある児童生徒等の学習上又は生活上の困難や組織的な対応の必要性といったことを学ぶように定めているところでございます。

 なお、既に、集住化地域に立地する大学等におきましては、地域のニーズを踏まえて、先行して、教職課程の中で外国人児童生徒等に対応する知識、日本語指導を取り扱っている大学もあるところでございます。

 いずれにしても、今後更にふえてくることが予想されます外国人児童生徒等に対応するために、教師が必要な知識、技能が身につけられるように努めてまいりたいと考えております。

宮川(典)委員 まさに、今おっしゃっているとおりで、どうやって対応していくかということに対しては、もっと速く、スピードを上げて対応していかなきゃいけないと思いますけれども、養成課程にちゃんとしたカリキュラムがなければ、現場に行って教えることができないのはもう言うまでもありません。これは別に教師をやっていてもいなくても、皆さん周知のことだと私は思います。

 全く養成課程で勉強したこともないのに、現場にぽんと放り出されたら外国人児童生徒がたくさんいて、さあそれを何とか指導しなさいというのは、余りにも不案内であるし不親切である。そして何より、これで不利益をこうむるのは外国人児童生徒であります。そして、それを指導できない学校の先生たちも悩みをずっと抱えなければいけないということですから、これは早急にコアカリキュラムの中の、今の段階ではまだ私は分量が少ないと思いますから、もっともっとここを拡充してしっかりやっていただきたいと思いますし、言語は英語が話せればいいなんて思っていることが間違っているんです。

 皆さん、いろいろな国の人のいろいろなブロークンイングリッシュを聞いてください。その人たちは英語がしゃべれると思っていますけれども、日本人の理解度とは全く違う。ですから、いろいろな国から子供たちが来ても、自分たちはこれが英語だと思って話しても、日本人の先生には伝わらないということがたくさんあって、では、今まで私たち何を勉強してきたんだということにもなりかねません。

 ですから、その子たちが、地域によってはどういう国の外国人が来ているかということはばらつきがあると思いますけれども、せめて挨拶ぐらい、そして簡単な会話ぐらいができるように、それぞれの大学、そしてそれぞれの地域でやる教員研修の中でカリキュラムをつくっていかなきゃいけないと私は思っています。

 それともう一つは、提案ですけれども、多言語対応免許というのも必要ではないかなというふうに思うんですね。

 しっかり免許を持っている先生が多言語化そして多文化共生ができるような指導をしていくということも重要なんですが、養成カリキュラムに外国人児童生徒に対応するカリキュラムをふやすということと、もう一つは、多言語対応免許というのを創設してはいかがかと思いますが、大臣、御意見を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 現行制度において、教員免許状の教科は、原則として教育課程上の教科や学校種に対応して設定されているため、御提案のような免許状は今後の検討課題ということになろうかと思いますが、今、宮川議員がいろいろと御指摘をしてくださったように、教員養成課程において、そういった特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解をしっかりと位置づけていく、先ほど清水局長の方から、平成三十一年度から必修科目化するということについて説明をいただきましたけれども、こういったことは非常に重要だと思っております。

 また、これに加えて、我々文部科学省としては、外国人児童生徒等の教育を担当する教員の養成、研修内容等をよりしっかりと体系的にまとめたモデルプログラムを今開発しているところでありまして、こういった取組を通じて、御指摘のような外国人児童生徒等の教育を担当する教員の資質能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

宮川(典)委員 大臣、前向きな答弁と私は捉えました。ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 それともう一つ、これは制度をつくれということではないんですが、外国人児童生徒が、日本語は確かに少し苦手かもしれないけれども、日本人の子供たちが聞いたことがないような国の言葉、そして初めて学ぶ言語、こういうものを用いて学校現場で、ちょっときらっと光るような、そういうシステムというか取組を各学校にもしていただきたいと思うんですね。

 例えば、中国語でおはようとかこんにちはとか自分の名前は宮川典子ですとかというふうに言えるようになるだけでも、子供たちは、この外国人児童生徒からしっかり中国語というのを教えてもらったということが、その子にとっても大きなステータスというか、少し、みんな友達に、なかなかコミュニケーションをうまくとれないんだけれども、自分が何か役に立つことができたというような充実感、こういうものが得られるような学校の環境整備をぜひともしていただきたいと思います。

 多分、子供たちは、文法なんかわからなくても、単語帳なんかなくても、言葉と言葉で、違う言葉を話し合ってもコミュニケーションができるだけの未知の能力を持っていますので、ぜひそのあたりも検討していただければと思っております。

 残り時間、ちょっと少なくなりましたが、あえてきょう私は、文部科学省の不祥事事案、続いておりますが、これについて質問をしたいと思います。

 先日の文部科学委員会で義家先生がかなり厳しく指摘をされていましたけれども、やはり私、まだいまだに納得ができないのが、報告書の中で、国会議員A、国会議員E、この名前が公表されないことなんですね。

 何でこれがまだ公表できないのか、そして何で公表しないのか、全く私は理解に苦しみます。いま一度、きょうここでも声が上がっていますけれども、公表すべきだというお声があるわけですから、これに対して、なぜ公表しないのか、もう一度答えていただきたいと思います。

柴山国務大臣 今、国会議員、御指摘の氏名の公表について検討させていただいているところでございまして、現時点においては、引き続き回答を差し控えさせていただきたいと考えます。

宮川(典)委員 理由がわからないんです。何で隠しているかの理由がわからない。

 大臣、もう一度答弁いただけますでしょうか。

柴山国務大臣 引き続き、関係各方面と調整をさせていただいているということでございます。

宮川(典)委員 私は、この該当する国会議員の先生方が、どこの党に所属をしているから公表しろと申し上げているんじゃないんです。これは、与党であろうが野党であろうが、こういう事案、職員がやめざるを得なくなったような事案、だまし討ちのような事案は、絶対あってはならない。これは、与野党ともに厳しく、私たちが国会議員としての倫理観をもう一度持ち直さなきゃいけないという問題だと私は思っているんです。ですから、この相手が誰だということは私には関係ありません。つまり、このことをちゃんと私たちが直視をしなきゃいけないということで私は申し上げています。

 私は文部科学大臣政務官も務めるチャンスをいただきましたけれども、私は、文部科学省こそ日本で一番大切な省庁だと思っています。それはなぜかというと、唯一、子供たちの成長を見、そして夢を見られる省庁、現実問題だけじゃなくて、リアルだけじゃなくて、まさに夢を持って将来を語れる唯一の省だと私は思っています。

 だとするなら、その背中を見ている子供たち、若者、学校の先生、間違っていることは間違っている、違うことはちゃんと口に出して言う、正々堂々と言う、そういう背中を私は見せてほしいんですね。

 ぜひ皆さんに申し上げたいのは、これは文部科学委員会で、与野党を問わず、そういう問題に対して真摯に向き合うということが重要だと私は思います。いろいろなことを隠蔽するんじゃなく、正々堂々と伝えていく。そして、文部科学省は何かの圧力に負けて正しいことが言えない省庁じゃないんだということをぜひ柴山大臣をリーダーにして言っていただきたいと最後にお願いを申し上げて……(発言する者あり)委員長にもお願いを申し上げます。

亀岡委員長 理事会で協議させていただきます。

宮川(典)委員 お願いを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、尾身朝子君。

尾身委員 自由民主党、群馬一区選出の尾身朝子です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、本日、日本の科学技術行政について質問させていただきたいというふうに思います。

 本年十月一日、本庶佑京都大学特別教授のノーベル生理学・医学賞受賞といううれしいニュースが飛び込んできました。私も何度も本庶教授にはお目にかかっておりますけれども、本庶先生の受賞を心からお喜び申し上げたいと思います。

 先生の受賞は、我が国の高い研究水準を世界に示すとともに、国民に勇気と誇りを与えるものです。引き続き、独創的で多様な研究をしっかりと支援していくとともに、改めて研究を担う人材の育成を着実に進めていく必要があると痛感しております。

 一方、近年、論文数の伸びの停滞、国際的なシェア、順位の低下に象徴されるように、我が国の研究力は相対的に低下傾向にあり、特にここ数年はその動きが顕著であるとの指摘もあります。

 科学技術イノベーションの基盤となる研究力の低下をこのまま放置すれば、深刻な国力の減退につながり、同時に、安心、安全の確保など国家的、社会的課題への対応にも支障を来しかねません。

 そこで、まずお伺いいたします。

 本庶先生を始めとして、各方面から基礎研究の重要性が強調されています。さまざまな観点で我が国の研究力の低下が指摘されている中で、我が国の研究力の現状について、政府の認識をまずお聞かせください。

松尾政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘いただきました我が国の研究開発力に関しましてでございますが、論文、若手研究者、産学連携といったことについて申し上げたいと思います。

 まず、我が国の論文数でございますけれども、先生御指摘のとおり、減少傾向にございます。また、被引用数トップ一〇%の補正論文数のランキングにつきましても、十年前に比べまして、世界四位から九位になるなど、国際的な地位が低下しております。国際共著論文や新たな研究分野への挑戦も、各国と比較して低下しているということが言われてございます。

 また、若手研究者につきまして、その能力を発揮できる研究環境が十分に整備されておらず、修士課程修了者の学生が博士課程進学をちゅうちょするといった傾向も言われてございます。

 次に、産学連携でございますけれども、我が国のイノベーション、そしてまた、外部資金による財源の多様性の観点からもこの産学連携というのは重要な要素でございますけれども、民間企業からの研究費の受入額は近年増加傾向ではあります。

 ただし、一方で、その規模でございますけれども、一件当たり平均約二百万から三百万程度と依然として小さくて、組織対組織の本格的な産学官連携の推進が必要であるといった現状課題があると考えてございます。

尾身委員 今御説明いただいたようなさまざまな観点から、残念ながら日本の研究力が国際社会の中で相対的に大変低下しているということが指摘されました。こうした危機的状況の中、現状に甘んじているわけにはいきません。一刻も早くこれを打破する必要があります。また再び日本が科学技術の世界でトップランナーにならないといけないというふうに思っております。

 本日、自由民主党科学技術・イノベーション戦略調査会でJST浜口理事長が発表されましたけれども、その中で、本庶先生や青色LEDの赤崎、天野先生らのノーベル賞受賞につながったような基礎研究は、助走期間が大変長く、広く薄く、時には二十年を超えるような長期的な支援が必要だという御指摘がありました。

 一方で、大学の研究現場からは、大学から定常的に支給される研究費が減少しており、長期的な取組が必要な基礎研究が困難になっているという指摘もあります。我が国から継続的にノーベル賞受賞者を輩出していくためには、短期的な成果を求める競争的資金の充実とともに、広く薄く長期的な支援、基盤的な支援の充実が必要ではないでしょうか。

 文部科学省として、どのように今後、基礎、基盤的な研究の底上げを図っていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 尾身議員には、ずっと継続的に日本の科学技術力の強化に向けて大変な御尽力をいただき、感謝しております。

 今御指摘になられたような極めて憂慮すべき現状を一刻も早く打破し、我が国の研究力の向上を図るために、今、松尾局長からもいろいろ課題を紹介してもらいましたけれども、若手研究者への資金の重点配分、そして海外で研さんする機会の拡充、また、外部資金による財源の多様化など、こういった大学改革を進めることが必要と考えております。

 今後さらに、世界で活躍できる質の高い研究人材と流動性の確保、研究者の継続的な挑戦を支援する研究資金、研究生産性の向上に資する研究環境の実現に向けて、人事給与マネジメント改革を始めとした大学改革と一体的に、科学技術イノベーションシステムの改革を加速、深化させていきたいと考えております。

尾身委員 ありがとうございます。

 今大臣から、若手を含め研究人材に対する措置、それから研究資金、研究環境、そして大学の改革などを行っていくという力強い答弁をいただきました。ありとあらゆる手段を尽くさなければいけないと私も考えております。

 今月二十二日に、自民党科学技術・イノベーション戦略調査会、知的財産戦略調査会で、来年度予算及び第二次補正予算の編成に関する決議を行いました。

 その中で、イノベーションエコシステムの構築こそがアベノミクス第三ステージとして持続的かつ確固たる我が国の経済成長を実現するものであり、科学技術水準を維持強化し、イノベーション創出による生産性向上、ひいてはプライマリーバランス黒字化を実現するためには、政府を挙げて科学技術イノベーション政策を一層強力に推進していくことが極めて重要であると述べられています。

 特に、緊急性の高い課題として、ソサエティー五・〇の実現に向けたムーンショット型研究開発制度の推進、生産性革命、AIなどや、国土強靱化に資する研究開発、大型研究施設の整備、大学や国立研発法人の安全対策などに係る経費は、平成三十年度第二次補正予算などにおいて措置されるべきだと考えています。文部科学省のお考えをお聞かせください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、先週二十日でございますけれども、総理から、国土強靱化対策等喫緊の課題に対応するためということで、平成三十年度第二次補正予算の編成に関しまして御指示があったところでございます。そして、昨日二十七日には重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議が開催され、災害により研究活動の中断の危機等が懸念される国立大学や国立研究開発法人等のインフラ設備の更新等の対応方策を実施することとされたところでございます。

 文部科学省といたしましては、防災、減災、国土強靱化を始め、先週、党の方で御決議もいただいたということでございますが、そういった決議の趣旨も踏まえながら、補正予算の機会も含めまして、必要な科学技術関係予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

尾身委員 ありがとうございます。

 先ほどの決議の中にもありますけれども、研究者に重要な、多様な視点を持つ海外経験のある研究者、また女性研究者、文理融合領域に取り組む研究者などの活躍や、国際的な研究者の流動化の促進などが極めて重要だというふうに考えております。

 海外での研究経験を高く評価するという政策と、帰国した後の研究者の日本での研究を円滑に支える総合的な支援の充実、さらには若手、女性研究者のさらなる活用などが重要だと考えますが、文部科学省として、このような人材の育成、確保にどのように取り組んでいくのか、具体的なお考えをお聞かせください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、最大の鍵は人材でございます。高い意欲を持ち、独創性に富んだ多様な人材を育成、確保することが急務でございます。

 このため、文部科学省におきましては、創造性豊かな若手研究者の育成、確保、そしてその方々の多様な場での活躍の支援、キャリアの形成に資します流動性の担保、確保、御指摘の女性研究者、そして、海外からのすぐれた研究者の積極的な登用、活用の場の確保、さらには、文系、理系を含めた新しい分野、あるいは融合した分野に挑戦する環境の構築など、幅広い取組を展開しているところでございます。具体的に、さまざまな若手研究者のプログラムもございますし、女性活躍支援の事業もございます。

 今後とも、こうした取組を通じまして、科学技術イノベーションを担う、先生御指摘の多様な視点、多様な視座を持つ人材の育成、確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

尾身委員 ありがとうございます。

 続きまして、沖縄科学技術大学院大学についてお伺いいたします。

 二〇一一年に設立された沖縄科学技術大学院大学、OISTは、世界じゅうから一流の研究者を招聘し、すぐれた研究環境のもとで世界トップクラスの研究を行っている大学院大学です。創立からまだ年数が短いですけれども、論文の被引用件数など、その研究成果は、既に、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア工科大学、オックスフォード大学に匹敵するレベルに到達しています。

 OISTが更に成長し、高い水準の研究成果を発表し続けることは、我が国の科学技術イノベーションを飛躍的に発展させることにつながります。そのためには、上記のような大学と同程度の教員規模に到達するまで、日本政府による継続的な支援が不可欠だと考えております。

 本年六月十五日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太方針でも、「科学技術・イノベーションの国際的拠点を目指した沖縄科学技術大学院大学の規模拡充とともに、ITやものづくりの中核を担う人材の育成、米国の協力を得た英語教育の充実、深刻な子供の貧困への対策などにより、沖縄における人づくり革命と生産性革命を実現する。」と述べられております。

 OISTに対しましては、政府が成長を更に後押しするための確実かつ手厚い予算措置をしていくべきと考えております。これは、沖縄振興のみならず、日本の科学技術振興に大変資するものだと考えておりますので、政府の見解をお聞かせください。

北村政府参考人 お答えいたします。

 沖縄科学技術大学院大学、OISTにおいては、世界最高水準を目指し、科学技術に関する教育研究を推進しており、尾身先生御指摘の研究レベルに関しては、例えば、世界有数の科学誌に論文が掲載されるほか、論文の引用率では国内主要国立大学と肩を並べる水準にあると承知しております。

 これまでも、OISTについては、沖縄振興政策の重要な柱の一つとして、その運営に必要な経費を確保してきております。

 今後とも、沖縄の振興及び自立的発展並びに世界の科学技術の発展に寄与することを目指し設立されたOISTが、所期の目的を達することができるよう、運営についての不断の改善を行いながら、その発展を適切に支援してまいります。

尾身委員 OISTに関しましては、本当に国際的な評価も非常に高いですし、また、日本の中での科学技術研究で非常に実績が伸びているところでございます。これを更に更に伸ばすためには、ぜひとも政府の御理解と御協力が必要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、私も関係しておりますが、STSフォーラムについて御質問させていただきます。

 STSフォーラムの年次総会が、ことしも安倍総理出席のもと十月に開催され、世界八十の国、地域から千四百名の参加がありました。安倍総理は、イノベーションの重要性を何度も強調され、革新的研究開発プログラムImPACTの例を挙げられました。我が国の取組は各国の参加者にも強く印象づけられたものと思います。柴山文部科学大臣におかれましても、御就任早々、御出席いただきました。

 同会議は、ことしで第十五回となるものですが、科学技術の発展が社会にもたらす光と影の部分について、研究者、産業界、行政のリーダーが一堂に会し、百年、五百年という長期的な視野から議論するもので、国際的にも高い評価を受けています。

 STSフォーラムは一つの例ですが、我が国が今後一層のリーダーシップを発揮し、さまざまなレベルでの科学技術外交を展開していくことは、国際社会における我が国の役割の可視化やプレゼンス向上のため、大変重要であると考えます。文部科学大臣には、ぜひとも、みずから率先して参加していただき、積極的に科学技術外交に取り組まれることを期待しております。この点についての御所見を伺います。

柴山国務大臣 今、御紹介をいただいたとおり、先月開催をされましたSTSフォーラム年次総会に私も出席をさせていただき、本庶佑特別教授あるいは各国要人との会談も行わせていただきまして、科学技術の諸情勢、今、光と影というふうにおっしゃいましたけれども、そういった事柄について学ばせていただくとともに、それぞれ、各国の協力についても大変有意義な意見交換を行わせていただきました。

 こういった会議が日本で開催される意義、そして科学技術外交の意義、極めて大きいものがあると考えております。我が国の科学技術が世界の知を取り込み、国際競争力を維持強化するとともに、世界の研究ネットワークにおいて我が国が主要な一角に位置づけられ、国際社会における存在感を発揮するためにも重要だというように考えております。

 文部科学省といたしましては、今後、国際頭脳循環への参画や研究ネットワーク構築を牽引すべく、国際共同研究の抜本的な強化、そしてSDGsといった地球規模課題の解決に向けた国際科学技術協力を、相手国や分野、課題に応じ、科学技術の国際活動の展開に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

尾身委員 ありがとうございました。

 国際共著論文が少ないということも日本の弱みの一つと言われておりますので、このような国際会議に文部科学大臣が率先して出席していただくということ、大変有意義だというふうに考えております。

 先ほど御紹介いたしましたJSTの浜口理事長の発表についてですけれども、その中で、ドイツのイノベーションを推進する拠点であるフラウンホーファー協会についての御紹介がありました。ドイツ国内六十六カ所で大学に隣接する形で研究所が設置され、大学と地域の企業が連携して大変効果的にイノベーションを生み出しているとの御指摘がありました。

 我が国にもCOI、センター・オブ・イノベーションという制度があり、全国十八拠点で五年間で三百三の企業が参加し、企業からの資金は二百四十四億円となり、ベンチャー企業が二十六社も生まれています。

 このCOIのように、我が国のイノベーション創出の研究開発拠点をふやすことで、産学連携による成果が生まれ、また地方創生が効果的に進められるのではないかと考えておりますが、文部科学省のお考えをお聞かせください。

松尾政府参考人 御指摘のとおり、文部科学省では、平成二十五年度よりCOIプログラムを実施してございます。

 このプログラムは、十年後に我が国が目指すべき社会像をビジョンとして定め、組織、分野の壁を越えて、大学、企業等の関係者が一つの屋根、これはアンダー・ワン・ルーフと言っておりますけれども、一体的に研究開発に取り組むといったことをコンセプトとして、全国十八の拠点で研究開発を実施してございます。

 各拠点におきましては、委員御指摘のとおり、研究開発の成果の実用化が着実に進んでおりまして、参加する企業によるリソース提供も年々増加してございます。継続的なイノベーション創出に向けた各拠点が各地域で生まれているという現状でございます。

 我が国各地域にイノベーション創出の拠点を形成することは、御指摘の地方創生、地方の活性化にも資するものであり、文科省として引き続きこういったCOIプログラムを着実に推進してまいりたいと思っております。

尾身委員 ありがとうございます。

 科学技術イノベーションの創出においては、まず、天才型の人が引っ張っていくという形もありますけれども、今の、COIを各地域に拠点として形成することによって裾野が広がっていくということも挙げられると思います。特に、COIにおかれましては、課題解決型の取組を行っておられるということ、それから、アンダー・ワン・ルーフということで、研究者の方と民間の企業の方が同じ場を共有するということで、また、当初は通じなかったそれぞれの単語の使い方が通じていくというようなところから、科学技術イノベーションが更に推進すると考えておりますので、積極的な取組をお願いしたいと思います。

 さて、イノベーションエコシステムの構築やソサエティー五・〇を実現するということは、我が国にとって大変重要だと考えております。そのためには我が国の科学技術イノベーションを更に振興するということが必要で、そのためには何といっても予算の確保が必要です。

 イノベーションは投資額に比例すると、前経団連会長の榊原会長からの御発言も聞いたことがございます。平成二十八年度にスタートした第五期科学技術基本計画は既に三年目に入っており、同計画に掲げた政府研究開発投資目標、対GDP比一%、総額二十六兆円を確実に達成するためには、関係本部、府省庁一丸となって、科学技術イノベーション関係予算を全体的に抜本的に拡充していくことが必要です。それには何よりも今年度の第二次補正、そして来年度の予算が非常に重要となってまいります。

 いよいよ本格化する年末の予算編成に向けて、柴山大臣に先頭に立っていただき、科学技術関係予算の確実な確保を行っていただきたいと考えておりますが、大臣の御決意をお聞かせください。

柴山国務大臣 一昨日も、尾身議員、あるいは渡海議員が決議の申入れにお越しになりまして、政府の研究開発投資について、対GDP比一%、総額約二十六兆円を目指して取り組むべきだという御指導をいただきました。

 なかなか厳しい状況ではありますけれども、科学技術イノベーションは我が国が将来にわたって成長と繁栄を続けていくためのまさにかなめでありまして、生産性革命の中核を担うということで、一生懸命取り組んでいく決意でございます。引き続き御指導よろしくお願いいたします。

尾身委員 ありがとうございました。

 柴山大臣の大変心強い御決意、本当に期待したいというふうに思います。

 イノベーションエコシステムやソサエティー五・〇の実現に向けて、科学技術イノベーション振興のため、科学技術の振興というものは、我が国の国力のさらなる充実のため、また大変大事だというふうに思っております。そのためには、研究開発の現場において、例えば資金が柔軟に使えるということ、それからスピーディーに研究開発にお金を振り向けることができるということが大変重要です。

 諸外国は科学技術に国家的にどんどん投資をふやしている中で、日本の投資額は、残念ながらまだ、一時期は伸びておりましたけれども、今は若干フラットな状況になっております。これを更に打破して、再び日本がフロントランナーになれるように、日本が科学技術の世界において世界の中できらりと輝く国であり続けるために、さらなる科学技術イノベーションの推進が必要だというふうに考えております。

 柴山大臣始め科学技術行政に携わる皆様方にさらなる後押しを私どももさせていただくことをお誓い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。

 本日は、何点か質問をさせていただければと思うんですけれども、まず、リカレント教育の推進ということで質問をさせていただければというふうに思います。

 今政府の方でも、人生百年ということで、学び直しが非常に大事だということが言われておりまして、その中核となっていくのがやはりリカレント教育なのではないかというふうに思っております。

 ただ、私も、リカレント、リカレントということで、かけ声はよくいろいろなところで上げさせていただくんですけれども、実際にどういう現場でどういう教育が行われるかというのをやはり見た方がいいだろうということで、地元でリカレント教育を実際にやっている大学などにさまざまお話を伺う機会が先日ございました。

 私も、リカレントといいますと、やはり人生の途中で学び直すということで、大きくキャリアを変えて、何か全く違うものを学んで、そしてキャリアを変えていく、そういうイメージもあったんですけれども、さまざまなものがあるなというふうなことを現場に出て感じたところでございます。

 より地域に密着した形というか、例えば、主にリタイアをした方が何か生きがいであるとかそういうものを学んでいくようなプログラム、そういうリカレントというものももちろん、どちらかというと生涯学習的なプログラムだと思うんですけれども、そういうものも数多く実際には提供されておりました。

 あるいは、全くキャリアを変えるというよりは、例えば典型的には潜在保育士の方であるとか、離職された介護職員の方であるとか、例えば女性が一時期自分のキャリア、もともと保育士として働いていたけれども大きく期間があいてしまった、そういうものをもう一度、最新の情報であるとか、最新の制度であるとか、あるいは現場感覚というものも、かなり離れているということもありまして、そういうものをもう一度学び直して復職をするであるとか、あるいは、例えば今自分がいる、まさに働いている分野の中でスキルを上げていくというか、同じ会社にいる、同じ分野にいるということではあるんですけれどもスキルアップを図っていく、あるいはキャリアアップを図っていく、そういうさまざまな形のリカレント教育というものがやはりあるなというふうに痛感をしたところでございます。

 他方で、今、実際、政府としてもしっかり力を入れようと思っているんです、こういうお話もさせていただいたんですけれども、現場に行きますと、では、具体的にこれを推進するために国がどういう支援をしているのか、何か具体的な支援が入っているのか、こういうものを伺いますと、やはりなかなか直接的に何か支援をするという形ではどうしてもないというふうなこともさまざまお伺いをいたしました。

 それぞれ、文部科学省ももちろんありますし、あるいは厚生労働省の方も後押しをしている分野であるというふうに思っております。しかし、現状、具体的に現場のニーズに合った形でなかなか支援というのも届いていないのかなというふうにまた感じたところというのも事実でございまして、これは、これから大学教育を考えていく中で、少子高齢化ということで学生の数もどんどん減っていくという現状の中で、やはり大学としてもこうした社会人の学び直しというものにも力を入れていくべきなんじゃないか、そういう視点もあるわけでございまして、リカレント教育をこれからの大学教育において推進していくためには、国として支援の枠組み、あるいは制度の何か隘路があるのであればしっかり変えていく、こういうことも必要であるというふうに思います。

 大臣に、これからの大学教育におけるリカレント教育をどのように推進していくのか、こういうことについて、まず冒頭お伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

柴山国務大臣 中野議員が御指摘のとおり、リカレント教育と一口に言っても本当にさまざまなものが考えられますし、また実際に実施をされているのかなというように思います。

 ことし六月に取りまとめられた人づくり革命基本構想に基づいて、私ども文部科学省といたしましては、やはり関係省庁としっかりと連携をして、産学連携プログラムの開発の検討ですとか、あるいは文部科学大臣認定プログラムの対象を拡大していくですとか、そういった取組を実施しているところでございます。

 また、先日、十一月二十六日に公表された中央教育審議会の答申でも、オンライン教育の充実も含め、多様なニーズを持った社会人が場所や時間を問わず何度でも学び直すことができるような環境の整備、より短期、かつ産業界や地方公共団体と緊密に連携した実践的、専門的なプログラムの開発、実践的な教育を行う人材の育成プログラムの開発、実施の必要性などについて盛り込まれております。

 そういったことも参考にし、引き続き関係省庁と連携しながら、リカレント教育のさらなる推進に努めていきたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 さまざま、厚労省も含め、各省庁間の連携をして、具体的なニーズに即した形のものを提供していくということが一番これを進めていく鍵かなというふうに感じております。ぜひ後押しをお願いできればと思っております。

 具体的に、少し、リカレントの分野の中で、文部科学の分野の中で何かそういうものが進められるものがないかなというふうに思いまして、具体的にプログラムを見ていて思いましたのが、例えば、学校の先生がいろいろな形で研修をいつも受けられているわけでございまして、もちろん、学校の教師というのはやはりいろいろな形で常に学び直していくということが非常に重要だというふうに思いますけれども、例えば、そういうリカレント教育のプログラムで、研修は割と座学的なものも多いということで、よりそれをフォローするような実践的なプログラムみたいなものを提供しているというふうな話も伺いました。

 ただ、お話を聞くと、これはどうしても、学校の先生が手弁当で受けられていたりですとか、自分の努力ということでやられていたりということもお伺いをいたしまして、こうした教員の学び直しというところについてもリカレント教育というのは実はもっと活用できるのではないか、こういうことも感じた次第でございます。

 こうした点について、文部科学省としてはどうお考えかというのを答弁いただきたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 教員の学び直し、リカレント教育についてでございますが、社会が急速に進展する中で、知識、技能が絶えず刷新し、実践的指導力を高めていくためには、教師自身が教職生涯を通じて探求心を持ち、学び続けることが不可欠でございます。その際に、大学等から提供される最新の研究に基づく知見は大変有効だと認識しているところでございます。

 このために、まず、平成十九年度に制度化した教職大学院は、現職教員が確かな指導理論とすぐれた実践力、応用力を身につけることを一つの目的、機能としておりまして、現在、ほぼ全ての都道府県において設置されたところでございます。また、年々入学定員もふやしているところでございます。

 また、平成二十一年度に開始した教員免許更新制においては、教師が定期的に最新の知識、技能を身につけることを目的としております。この免許状の更新講習につきましては、大学によって多くの講習が提供されているところでございます。

 このほか、各都道府県の教育委員会におきましても、大学等と連携をした研修を実施したり、あるいは、各大学におきましても、現職教員向けの公開講座の提供を行っている、そういう事例もあるところでございます。

 こういった教師の学び直しを支援するために、各地域におきましては、必要に応じて都道府県の教育委員会等と大学等が協議会をつくって、それを活用して教師の学び直しのニーズと大学とが提供する教育プログラムを調整する、こういったことを進めていただきたいと考えておりますし、文部科学省といたしましても、教師が学び直しのための各種の教育のプログラムに参加しやすい環境の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。

中野委員 答弁をいただきましてありがとうございます。

 教師の学び直しというのも私は非常に大事なことである。確かに、多忙であるとか働き方改革とかいろいろなことがございますけれども、しっかりこれは推進をぜひしていっていただきたいというふうに改めてお願いを申し上げます。

 続きまして、ブロック塀の関係の質問を幾つかさせていただきます。

 地元で大阪北部地震が本年ございまして、学校のブロック塀が倒壊して犠牲者が出る、ニュースでも大きく取り上げられましたので御記憶の方も多いかと思います。また、通学路についても、ブロック塀が倒壊をいたしまして見守りの方が犠牲になる、こういうこともありました。亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表したいというふうに思います。

 私ども公明党も、やはり、しっかり命を守る、特に、みんなが一番安全なところだと思っている学校、こういうところでこういうことが起きてしまったということで、これにしっかり対応していかないといけない、こういうふうに政府に何度もお願いもさせていただきまして、今回、補正予算も成立をいたしましたので、さまざまな対策も進めていただいている、こういうふうに承知をしております。

 具体的な予算の執行に当たりましては、これもまた現場の自治体含め、いろいろなお声もいただいておりました。例えば、ブロック塀が倒壊をしたということで学校で直ちに点検をいたしまして、特に国の予算というものの成立を待つことなく取組をしっかりと自分で行っている、こういう場合に対してはどのように対応できるのかでありますとか、あるいは、ブロック塀というのは工事の事業の額も非常に小さいということもございまして、本当に補助対象になるのかというふうな、こうした、具体的にこの事業を進めていくに当たっては、現場の自治体からいろいろなお声もいただいたところでございまして、しっかり対応ができるようにということでお願いもしてきたところでございます。

 特に公立の学校のブロック塀への対応ということについて、今現在、政府としてはどのように対応しているのか、これについて御説明をいただきたいというふうに思います。

平井政府参考人 お答えいたします。

 大阪府北部地震による被害を受けまして、今般の第一次補正予算においては、倒壊の危険性のある公立の小中学校等のブロック塀の安全対策のため、臨時特例的な措置として新たな交付金を創設し、支援することとしてございます。

 この新たな交付金では、国庫補助率は既存の制度と同様三分の一でございますけれども、残り、地方負担である三分の二について、地方財政措置を充実し、通常七五%のところを全額地方債の充当を可能とし、その返済金の六〇%を国からの地方交付税で措置されることとしてございます。これによりまして、地方自治体の負担が全体の事業費の約四分の一程度に軽減されることとなります。

 また、地方自治体からの要望も踏まえまして、従来の取扱いを弾力化し、小規模工事へも配慮し、補助対象の下限額の設定を一校当たりから一設置者当たりに緩和するほか、臨時特例的な対応といたしまして、大阪北部地震発生日以降に契約を進めている地方自治体について、遡及的に補助対象としたいと考えてございます。

 文部科学省としましては、今後とも、子供たちの安全、安心を確保するため、早急にブロック塀の安全対策が進められるよう全力で取り組んでまいりたいと思います。

中野委員 ありがとうございます。

 しっかりと要望に対して対応していただいているということで説明をいただきました。

 もう一つは、通学路の危険なブロック塀の対策ということでございます。

 これは、学校の施設とは違いまして、通常の民間の建物であるとか民家であるとか、こういうものの塀ということでございますので、なかなか具体的な支援というのが難しいというふうなお声をいただいておりました。

 私も、国の予算として何か対応できないのか、こういうこともお願いをしておりましたけれども、例えば従来の国の交付金の事業の中で、効果促進事業のような形でこういうものに対して支援をすることも制度としては可能だ、こういうふうなこともお伺いをしておりましたけれども、なかなか、しっかりとした制度としてやはり位置づけていかないとこうしたものの対応というのは難しいのではないか、こういうことで対応を求めてまいりました。

 きょうは国土交通省にも来ていただいておりますので、こうした通学路の危険なブロック塀に対して今後どのように国として対応を図っていくのか、また対応が可能なのか、こういうことについて答弁をいただければというふうに思います。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

眞鍋政府参考人 通学路などのブロック塀に対する措置についての御質問をいただきました。

 ブロック塀などの安全対策は、建物本体の耐震化とともに喫緊の課題であると認識してございます。

 このため、国土交通省は、これまでに、塀の所有者などに向けた安全点検チェックポイントの公表をいたしました。また、地方公共団体に対しましては、塀の所有者などに向けて注意喚起をしていただくよう依頼するほか、今御指摘がございました、交付金の効果促進事業のメニューで支援が可能であるというような旨の周知もあわせてさせていただいているところでございます。そのほか、建築士の関連団体への協力の依頼、関連業界団体の連絡協議会の開催などを通じまして安全対策を進めてございます。

 さらに、今後の対策といたしましては、まず、通学路を含む避難路沿道のブロック塀などにつきまして、建築物本体と同様に耐震診断を義務づけることができるように、耐震改修促進法施行令の一部を改正いたしました。実はこれは昨日、十一月二十七日に閣議決定いたしたところでございまして、来年一月一日の施行を予定してございます。

 また、ブロック塀などの耐震診断や、耐震の結果を受けて撤去などを行う場合の費用に対する支援につきましては、交付金の基幹事業に位置づけるべく、現在、平成三十一年度概算要求に盛り込んで調整をしているところでございます。

 今後とも、ブロック塀などの安全対策について、業界団体、公共団体と連携して取り組んでまいります。

中野委員 昨日閣議決定ということで、迅速に制度改正もしていただきまして、ありがとうございます。しっかりと来年度予算でも措置できるようにということで、我々としてもしっかりと応援をしてまいりたいというふうに思います。

 最後に、地域の伝統行事について少しお伺いをしたいというふうに思います。

 私の何年間か活動している中でも、地域のお祭りのような伝統行事の維持というのは非常に困難になってきているなという感覚を持ちまして、身近な例でいきますと、例えばことしも、町内会の盆踊りみたいなイベントも、やはり高齢化あるいは寄附金が集まらないですとか、いろいろな理由でどんどんどんどんなくなってきているというふうなのをここ数年でも実感いたします。

 地元の尼崎市というところではだんじり祭りもやっておりまして、これは曳行するというだけではなくて、だんじり同士をぶつけ合うということで、非常に勇壮なお祭りにもなっておりますが、歴史的に長年続いているこうしたお祭りの維持ということで、実際に、じゃ、だんじりの補修をどうしていくんだですとか、やはりこうした伝統行事を支えていっている文化財あるいは文化遺産、こういうものをしっかり維持、継承していくということを国としても後押ししていかないと、なかなか地域の伝統行事の維持というものはおぼつかないのではないか、非常にこういう危機感も持っているところでございます。

 やはり国といたしましても、こうした地域の大事な伝統行事というものがそれぞれの地域にあるというふうに思います、こうした取組を維持、継承するための支援というのは、しっかりと今後も力を入れていただきたい、このように考えるわけでございますけれども、政府の方から答弁をいただければと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、地域の祭りなどを始めといたしました無形民俗文化財は、日本の歴史、風土の中で生まれ、世代から世代へと繰り返し受け継がれてきた貴重な地域の財産でございます。

 文部科学省におきましては、これらの無形民俗文化財のうち、特に重要なものを重要無形民俗文化財に指定するとともに、その伝承、活用を図るために、祭り等に用いられる用具の修理、新調、伝承者養成等への補助を行っております。

 また、指定に至らない未指定の無形民俗文化財につきましても、伝統文化の継承基盤を整備する、そういう観点から、地域文化遺産活性化事業を通じた支援を行っておりますほか、特に必要のあるものを記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財として選択いたしまして、記録作成等への補助を実施しております。

 これに加えまして、先般の通常国会におきましても、地域の文化財の担い手の減少を背景といたしまして、その強化を図るために、本委員会におきましても御議論いただきました改正文化財保護法におきましても、市町村は、未指定を含めた域内の文化財の継続的、計画的な保存、活用のため、文化財保存活用地域計画を作成することができることとなっております。

 地域の実情に応じて、地域の祭りをこの中に位置づけ、地域社会全体で、総がかりで維持、推進できますように文部科学省としても支援してまいりたいと考えております。

中野委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 私の方からは、最近の話題、また、いただいている要望をもとに何点か質問させていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 先日パリで行われましたBIE総会におきまして、二〇二五年国際博覧会の開催地が大阪・関西に決定をいたしました。私も大阪所属の議員でございまして、今回の結果はオールジャパンで誘致に取り組んだ成果であると、この場をおかりいたしまして、改めて関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 この万博の開催は、最先端技術など世界の英知が集められ、イノベーションの創出へとつながり、また、投資の拡大や地域の活性化など、我が国社会の発展に大きな影響を与えるものでありまして、また、東京オリンピック・パラリンピック同様、日本の魅力ある文化芸術等を世界へ発信することができる絶好のチャンスでもあると思っております。

 この東京オリンピック・パラリンピックから万博へ、文科省の果たす役割もますます大きくなってくるかと思いますが、万博開催決定の受けとめと、万博の成功に向けた文部科学省の今後の取組につきまして、まずお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 まずは、このたびの万博の開催国に我が国が選ばれたことについて本当に心からうれしく思うとともに、オールジャパンで誘致に取り組んだ関係の皆様の御尽力に心から私からも感謝を申し上げたいと思います。

 今後、文部科学省といたしましても、大阪万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」のもと、例えば人工知能ですとかバーチャルリアリティー等を活用した展示への最先端技術、知見の提供、また、今御指摘になられたような、文化芸術を含めた日本の魅力発信など、具体的な開催準備に向けて必要な協力をしっかりとしていきたいと思っております。

 二〇二五年に向けて、大阪・関西はもちろん、世界じゅうの皆さんに夢や希望を与える、魅力あふれる万博を実現できるよう、引き続きオールジャパンで取り組んでいければと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 一九七〇年に開催されました万博に参加をされた方にいろいろ伺いますと、やはり人それぞれ思い出といいますか、印象に残っていることを皆さんそれぞれお持ちになられているわけなんですが、改めまして、今大臣にもおっしゃっていただきましたが、今回の万博を通しまして、特に子供たち、日本の子供たち、世界の子供たちが生涯にわたる夢と希望を持てるような、そういった万博にしていくことも重要ですし、また今回、二〇二五年の万博は、SDGsの達成を目指すということも一つの大きな柱となっております。

 そういった意味で、今世界が抱えている諸課題について、日本の子供たちもそれに関心を持ってもらって、また、世界に関心を持ち、そのことに対して取り組んでいく、そういったことにもつながるという、大変に重要なことになるのではないかと思っております。

 そういったことからも、万博の成功に向けてはオールジャパンで引き続き取り組んでいくわけでございますが、その中でも、ぜひとも、文科省が牽引をしていただいて、先頭に立って頑張っていただきたいということを改めて要望させていただきたいと思いますので、大臣、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入らせていただきたいと思いますが、ドーピング防止対策について質問させていただきたいと思います。

 先般の国会で、議員立法によりまして、スポーツにおけるドーピング防止活動の推進に関する法律が成立をいたしました。十月一日に施行しております。先日のWADAの理事会には、浮島副大臣や文科省の関係者も出席をされていると伺っております。

 我が国におきましては、ラグビーワールドカップやオリパラ東京大会を控えておりまして、ドーピング検査員の確保、また、ドーピング検査体制の整備など、そういった課題がございます。これらの課題の解決に向けた取組と、我が国のクリーンなスポーツの実現に向けた取組についてお伺いをしたいと思います。

今里政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生今御指摘の、WADAの常任理事会、理事会、十一月十四日と十五日にアゼルバイジャンで開催されたところでございます。お話しのように、浮島副大臣がアジア地域を代表する常任理事、理事として出席したところでございます。

 我が国は、今先生もお話しございましたように、二〇一九年にラグビーワールドカップ、そして二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックの東京大会、二〇二一年に関西ワールドマスターズゲームズ、いわゆるゴールデンスポーツイヤーズと呼ばれる時期を迎えることになっておりますので、開催国として、これらをドーピングのないクリーンな大会として成功させ、世界のドーピング防止活動を牽引していく必要があると認識しているところでございます。

 お話のございましたドーピング検査員の確保など、その他の取組でございますけれども、まずは、世界各国から参加するアスリートに対応できるように、やはり英語を始めとする言語能力、それから豊富な実地経験を有するドーピング検査員の確保、これが大会の開催に当たっての課題というふうに考えてございます。

 文部科学省といたしましては、日本アンチ・ドーピング機構などと連携をいたしまして、ドーピング検査員の増員や開催競技大会に対応できる検査員の要請など、ドーピング検査員の確保と質の向上に取り組んでいるところでございます。

 クリーンなスポーツの実現に関しましては、このほか、検査員の確保だけではなくて、関係者やそれからアスリートの意識の向上、啓発普及事業といったものも重要でございまして、それもともに取り組んでいるところでございます。

 WADAの常任理事国である我が国に対しましては、ドーピングのない大会を実現する、このことへの期待も非常に大きいところでございますので、引き続きWADAや大会組織委員会などの関係機関と緊密に連携を図り、クリーンなスポーツの実現に全力を尽くしていく所存でございます。

 以上であります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今スポーツ界でもさまざま課題、問題がある中で、先ほども申し上げましたが、ラグビーワールドカップ、オリパラ東京大会を控えている中で、やはりクリーンな大会、クリーンなスポーツの実現ということで、ドーピング防止対策、重要な課題の一つになってくるかと思います。ぜひとも着実な取組をしっかりと推進していただきたいということを重ねて要望させていただきたいと思います。

 続きまして、いただいている要望をもとに質問させていただきたいと思いますが、学校図書館における新聞の配備について質問させていただきたいと思います。

 新聞は、我が国の文字、活字文化の発展に大きく寄与してまいりました。しかし、昨今の活字、新聞離れの現状は、日本の将来にとって大変に深刻な問題であると考えております。

 学校図書館における新聞の配備は、これまで地方財政措置がなされてきておりまして、平成二十九年度から平成三十三年度までの新たな学校図書館図書整備等五カ年計画においては、これまで小学校に一紙、中学校一紙のこういった配置から、小学校一紙、中学校二紙、高等学校四紙へと配備が拡充をされております。しかしながら、各学校ではこの配備がまだまだこれからといった状況であると伺っております。

 文部科学省は、各学校における配備状況をしっかりと掌握していただきまして、今後、各学校に確実に配備されるように取り組んでいく必要があると思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 学校図書館に新聞を配備している学校の割合でございますが、平成二十七年度末現在の調査でございますが、小学校で四一・一%、平均しまして一・三紙、中学校では三七・七%、平均一・七紙、高等学校では九一・〇%、平均二・八紙という状況でございます。

 先生から既に御紹介いただきましたとおり、平成二十九年度からの第五次学校図書館図書整備等五カ年計画におきまして、小学校では一紙、中学校では二紙、そして新たに高等学校では四紙を配備することとしておりまして、これができるように単年度約三十億円の地方財政措置を講じることとされているところでございます。

 今後、こうした措置の積極的な活用を、各種会議の場を通じまして自治体関係者に働きかけていくことでもって、学校図書館への新聞配備の充実を促してまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 文字、活字文化の振興を目指す上で、小学校のころから身近に新聞があって、また、新聞に触れられるという環境整備を推進することが大変に重要であるかと思っております。将来的には、一つの教室に一紙あってもいいんではないかなと私は個人的には思っているんですけれども、まずは五カ年計画に基づいて着実にしっかりと取り組んでいく必要もあるかと思います。

 また、今、例えば携帯であったりパソコンでいろいろな情報をすぐに収集できるわけですけれども、やはりどうしてもそれは、自分の関心があることを突き詰めていくことはできると思うんですが、幅広くいろいろな情報を得ようと思ったときに、新聞がある、目の前にあることによって、すぐ手にとって情報を得ることができる、そういったこともありますし、そういった意味で、まずは小学生のころから新聞に触れる環境をつくっていくということで、繰り返しになりますけれども、こういった環境整備を着実に進めていただきたいと思いますので、ぜひとも自治体の方の周知徹底ということで、その点もよろしくお願いしたいと思っております。

 続きまして、ソサエティー五・〇時代における教育について、何点か質問させていただきたいと思います。

 さきの通常国会でも質問させていただきましたが、改めて柴山大臣に質問させていただきたいと思います。

 政府は、人生百年時代、ソサエティー五・〇時代の到来を見据えた経済社会を構想する中でさまざまな取組を進めていらっしゃいますが、ソサエティー五・〇時代において求められる人材像をどのように考えているのか、まずお伺いしたいと思います。

 あわせまして、学び方、また学校がどのように変わっていくのか、文部科学省としてどのような方策を検討しているのか、大臣の方にお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 文部科学省ではことし六月に、ソサエティー五・〇に向けた人材育成についての基本方針を取りまとめて、以下のような力が今後必要になってくるというようにお示しをさせていただいております。

 まず、文章や情報を正確に読み解き、対話する力などの共通して求められる力を示した上で、まず一番目として、技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見、創造する人材、そして二番目として、技術革新と社会課題をつなげ、プラットフォームを創造する人材、そして三番目として、さまざまな分野においてAIやデータの力を最大限活用し展開できる人材などの、新たな社会を牽引する人材像でございます。

 こうしたことを踏まえて、文部科学省といたしましては、まず、個人の学習履歴の活用など、個別最適化された学びの実現、そして基盤的な学力や情報活用能力の習得、そして大学等における文理分断からの脱却といった三つの方向性を掲げて、予算を含め、取組の促進を図っているところでございます。

 このような政策の具体化を通じて、ソサエティー五・〇社会に向け、人材育成にしっかりと取り組んでまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今後さらに、さまざま技術革新が進みまして、また、教育現場におきまして、今大臣からもお話がありました、さまざまな取組がなされていくわけですけれども、最終的には、やはり一番大事なことは、子供たち一人一人の個性を生かしていける、また一人一人が輝いていけるような、そういった多様な学び方の実現、これが何よりも重要になってくるかと思います。

 そうなりますと、これまで大事にされてきた教員の専門性、また教員が直接子供にかかわる重要性が更に、むしろ一層重要になってくるんではないかと思っております。

 そういった中で、これも先日公表されましたけれども、教員の勤務環境が、文科省の勤務実態調査によりまして、先日公表されましたが、過労死白書のデータにも見られますけれども、小中学校の一日の平均勤務時間が十一時間を超えるという大変に厳しい現状がございます。一部では、この働き方改革に関しまして、給特法の改正あるいは残業手当の支給を求めるべき、そういった意見もございますが、教育を充実する観点からすれば、教員の負担を減らしまして子供たちに向き合う時間を確保する、そして教員自身が充実した人生を歩む、そういった環境整備を進めることが重要だと考えております。

 この教員の負担軽減、勤務環境改善への取組、見解をお伺いしたいと思います。

永山政府参考人 御指摘のとおり、教員勤務実態調査等で教師の長時間勤務の実態が明らかになってきてございます。質の高い学校教育を維持発展して、教員が子供と向き合う時間をしっかり確保する、こういうためには教師の業務負担の軽減を図ることは喫緊の課題でございます。

 このためには、教師でなければできない業務以外の多くの仕事を教師が担っている現状、これを抜本的に変えることが先決でありまして、学校や教師の業務の役割分担や適正化を着実に実行することが重要と考えております。

 また、小中学校それぞれの状況を踏まえまして、本年度は、小学校の英語教育のための専科教員千人の定数改善、それから、教師の業務負担の軽減のために、中学校における部活動指導員ですとかスクールサポートスタッフの配置、こういったことで対応しているところであり、引き続き、これらの取組を推進してまいります。

 これらの取組の着実な推進に加えまして、現在、中央教育審議会において、学校における働き方をテーマにいたしまして集中的に御審議いただいております。その審議を踏まえ、教職の専門職としての教師にふさわしい勤務環境の確保に取り組んでまいりたいと思います。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 先ほども、英語の授業が一こまふえることによって先生方の影響ということでお話もございました。またそのほか、いじめ、不登校、障害のあるお子さんへの対応ということで、やはり学校が抱える諸課題が山積している中で、どうしても学校、先生方に求められることが余りにも多いということで、今、具体的に、教員定数の抜本的拡充とか、専門スタッフ、そういった方々の活用とか、そういったお話もしていただきました。

 また、もう一つ重要なことといたしまして、やはり保護者を始め関係者の皆様にも、全てを先生に任せるということではなくて、チーム学校としてしっかりと取り組んでいく、そういった御理解をいただくことも重要ではないかと思っております。

 こういったさまざま取り組む課題はあるわけですけれども、やはり先生方の現場の声を一番大事にしていただいて、今言っていただきました働き方改革を含めて、しっかりと取り組んでいく必要があると思っております。

 その上で、今、教師と聞きますと、どうしてもブラックということが前面に出てきているわけなんですけれども、実際に学校現場の状況を見ますと働き方改革を進めていかなければいけませんし、しかし一方で、やはり本来教師というものは、子供たちの成長にかかわる大変にとうといものというかすばらしいものでございますので、しっかりとそういったことも全面的に出していただいて、これから教師を目指す学生の皆さんを含めて、本当に魅力ある先生というところで、そういったすばらしい人材が集まってくるような、そういった取組も文科省としても必要であろうかと思っております。

 その点につきまして、大臣の御見解と御決意をお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 まさに、教育は人なりと言われるように、学校教育の成否は教師の資質能力にかかっていると考えます。すぐれた資質能力を備えた魅力ある教師が必要とされておりまして、多くの有為な学生にぜひ教職を志していただきたいと考えております。

 そのためにも、今、鰐淵議員が御指摘になったような、学校における働き方改革を進めることも重要ですし、また、教師が誇りを持って働くことのできる環境整備に取り組むことも必要でございます。

 親御さんの高学歴化に伴って教師に対する尊敬の念が薄れているというような指摘もあるんですけれども、ただ、高度専門職業人として先生がいかにとうとい仕事をしているかということを、しっかりと待遇面も含めて我々が社会に訴えていく、伝えていくということが重要であると考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 子供たちの最大の教育環境はやはり教師でございますので、繰り返しになりますが、働き方改革、職場の改善、また、大臣におっしゃっていただいた、魅力ある、またとうとい仕事であるということをしっかりと文科省としても訴えていただきながら、具体的な政策を、しっかりと私たちも力を合わせて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 きょうはちょっとたくさん質問を用意しているので、速やかに質問に入っていきたいと思いますが、私の地元は江戸川区なんですけれども、江戸川区は中学校二年生のときに職場体験というのを行っておりまして、チャレンジ・ザ・ドリームという名前をつけてやっているんですが、きのうまで我が事務所に二人の中学生、中学二年生の女子が来ておりました。一月には一人、男の子が来ていたんですけれども、その子たちに文部科学委員会で質問するからどういうことを聞いてもらいたいかということを尋ねて、それで返ってきた答えをきょうは幾つか取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 きょう、まず最初に取り上げるのは、ことしの一月に我が事務所に来ていた中学二年生の男の子なんですが、車椅子で肢体不自由の生徒さんでした。非常に優秀なんですね。きょうちょっとお父さんからのメールで来たんですけれども、この前、英検の準二級に受かったと。今、中学三年になったところですから、それでもう準二級を取るというのはなかなか優秀ですよね。その子から言われたのが英検の問題なんですよ。

 英検は、先日の委員会で川内先生も城井先生も取り上げて、これから大学センター試験に活用されるということになるわけですね。ですから、今まで以上に公平性とか中立性というものがきちんと保たれなければいけない、そういう試験になってくると思います。

 その英検の試験で、彼が受検をしたとき、四級までは、口頭で自分で言ったものを代筆してくれる口頭代筆というのが認められていたんです。ところが、三級になるとそれが認められないということになって、何でなのかということなんですが、ライティングといって、ちゃんとアイ・ハブ・ア・ペンとかそういうものを書くようになるから、それはスペルを代筆する人が書いてしまうことになって、スペルまで正確に書くのが求められるからだめなんだということにされたと。

 それで、タブレットで打つことはできるので、タブレットでやりましょうということになったらしいんですが、自分がいつも使っているタブレットはだめだと言われた。それで、協会の試験会場で用意されたものを使えと。しかも、渡されるときに、壊したら弁償してもらうからねと言われた。字が書けないということは、物を持つのがなかなか難しいわけですね。その子にタブレットを落としちゃいけないよという、この一言が相当プレッシャーだったということなんですよ。そんな状況だとやはり十分に力が発揮できないんじゃないかというふうに思うんですね。

 口頭代筆についても、アイ・ハブ・ア・ペンだったら、I、H、A、V、E、A、P、E、Nということまで言って代筆をするようにして、そのかわり時間をちょっと長くとるとか、工夫をすればできると思うんですよ。

 ですから、今までは一資格だったのが、今度は大学受験のために使われる、つまりは今後の人生に物すごく影響するような試験になるわけですから、これは英検だけに限ることではないですけれども、ほかの、センター試験で使える全ての民間の試験できちんと共通のルールを決めて、それは文科省がきちんと指導をして、できる限り障害の特性に応じた、特に本人がこういうやり方で受検したいということを尊重するような受検方法にしていただきたい、そういう配慮を徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 幾つかの問題が絡み合っているので、ちょっと丁寧に説明させていただきます。

 大学入学共通テストの枠組みで実施する民間の英語資格検定試験については、試験内容、実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件を満たしていることを大学入試センターが確認したものを活用することとしておりまして、その参加要件の一つとして、御指摘のような障害のある受検生への合理的配慮をしていることをみずから公表しているということが定められておりまして、各試験実施団体が行う具体的な配慮事項について、各団体のウエブサイトでも公表をされております。

 また、障害の種類や程度によって受検機会が奪われることがないように、例えば聴覚障害のある受検生のスピーキングやリスニングの結果の扱いについて、各大学が受検生の障害の程度を把握することなどにより、不利益が生じないようにするよう定めております。

 それとあと、先ほど紹介をさせていただいた、各団体が自主的に取り組むためのガイドライン、これについて文部科学省が定めさせていただいております。このガイドラインにおいては、検定試験の実施に関する自己評価の項目の一つとして、障害者が受検する場合の必要かつ合理的な配慮について盛り込んでおりまして、各事業者において、それぞれの検定試験の内容や特色などを踏まえつつ、障害者に対する特別な措置を講じていると承知をしております。

 今後とも、関係団体とも連携して、こうしたガイドラインの周知を図ってまいりたいと考えております。

初鹿委員 ぜひ、やはり当事者の受けられる、受けやすい、そういう配慮を徹底していただくようにお願いをさせていただきます。

 では、次に移ります。

 今、皆さんのお手元に資料を配らせていただいたんですが、皆さん、びっくりしませんか、今でもこんなことがあるんだと。給食を残さず食べなさいといって児童に指導をして、そうしたら五人が嘔吐をしてしまった。

 私の世代だと給食を残しちゃいけないという時代で、多分、大臣も同じぐらいの世代なのでそういう指導を受けたと思います。授業が始まってもここにお盆を置いて、食べるまで残されたりとか、私もそういう経験があります。一度そういうときがあったんですが、好き嫌いで残したんじゃなくて、単に味がまずくて食べられなかった。クラスの三分の一ぐらいが食べられなかったんだけれども、全員残されていて、それはかなり、クラスの中でみんな不満になったんですけれどもね。

 好き嫌いはいけないかもしれないけれども、やはり味が合わないとか、あと、量的に難しいという場合もあるわけで、それを一律に全部食べなさいという指導はやはり不適切ではないかと思うんですね。それは当然文科省も、そのとおりだということでこの前説明に来られた方もおっしゃっていましたから、そうなんだと思います。

 しかし、一枚めくっていただきたいんですけれども、次の新聞は今月の十九日に出ていた新聞なんですが、完食の強要をやめてといって、支援団体に相談が千人も集まっていると。この一枚目の岐阜の件だけじゃなくて、今でも一般的にこういうことが起こっているんだなということをあらわす記事だと思うんですね。

 先ほども申し上げましたが、きのうまで来ていた女子生徒二人に何を質問してもらいたいかと言ったら、二人とも給食のことを言っていて、そのうちの一人が全く同じことを言っていたんですよ、給食を残さずに食べろと言われると。

 今でもこういう指導が行われているわけで、やはりこれは余り好ましいことじゃないので、ぜひ、大臣、もう一回きちんと徹底をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今、初鹿議員のお話を伺って、私も小さいときのことを思い出しました。

 ただ、本当に、御指摘のとおり、給食指導というのは、児童生徒の生活活動や健康状態なども踏まえつつ、食事の量、食べる速度、嗜好などについて個別に把握をし、強制的に食べさせるんじゃなくて、望ましい食習慣を身につけさせるため、少しずつ、根気よく、好き嫌いなくしっかりと食べるというような、改善に向けた指導を行っていくという姿勢が極めて重要だと思っております。

 また、学校教育において、児童生徒が食品ロスの削減についてもやはり理解と関心を深め、実践する力を身につけるように、教科などで学習する内容や食品を給食の献立に活用するということなど、重要だと考えております。

 例えば、地域の食文化や産業、生産、流通、消費などについて理解を深め、食事ができるまでの過程を知り、自然の恵みや食にかかわり働く人々に感謝の気持ちを育むですとか、あるいは、食べ物を大切にする、できれば残さず食べようとするという態度を養う、こういうことなどが学校におけるいわゆる食育において取り組まれているところでございます。

 そういったことをトータルかつ丁寧に文部科学省として給食指導に盛り込んでいくこと、また、食品ロスの削減に関する教育の推進、こういったことを教育委員会の学校給食担当者が集まる会議などにおいて周知徹底していきたいと考えております。

初鹿委員 何か、最後は食品ロスの話になっちゃっているんですけれども、食品ロスも大切だと思うんですよ、それを教えることも。でも、それと、食べ残しちゃいけないという指導はやはりちょっと切り離さないといけないと思うので、そこをきちんと丁寧に教職員に徹底していただきたいとお願いをさせていただきますので、よろしくお願いします。

 それでは次、今度は変形労働時間制について質問をさせていただきます。

 今、教員の働き方改革を行う中で、一年間の変形労働時間制の導入を検討しているということであります。

 この変形労働時間制の導入の前提ですけれども、これは閑散期と繁忙期があって成り立つものだと思うんです。では、教員の仕事に閑散期と繁忙期、特に閑散期というものが本当にあるんですかということ、ここが私は非常に疑問なんですよ。つまり、八月は夏休みだから、生徒が来ないから閑散期なんじゃないの、そういう安易な考えに基づいているんじゃないかというふうに思うんです。

 こちらのお配りをしている資料なんですが、これは、学校における働き方改革特別部会で十一月十三日に配られた資料の変形労働制のイメージの図なんですけれども、勤務時間のイメージということで勤務時間、月ごとの時間が書いてあるんですが、これはどう見ても、所定労働時間の七時間四十五分に土日祝日を引いた日数を掛けただけ、いわゆる平日の日数を掛けただけの数字になっていると思うんですよね。

 これが前提で議論されているとすると全く実態に即していないと思うんですけれども、まず、この七時間四十五分を前提に議論しているのかということと、それだと絶対に実態には即していないんじゃないかということについて、御見解を伺います。

永山政府参考人 御指摘のグラフ、この図でございますけれども、これは御指摘のとおり、十月十五日に開催されました中教審の学校における働き方部会において、同部会の事務局であります私どもの方から、変形労働時間制を導入した場合の勤務時間のイメージという資料でございまして、審議に供したものでございます。

 この資料ですけれども、中教審において、この一年単位の変形労働時間制というのは、時間外の勤務の縮減につながる必ずしも重要な方策ではない、時間外勤務の縮減を前提に、学校週六日制当時のいわゆる夏のまとめどりと同様に、教師が社会の理解を得ながら長期休業期間中にまとまった休みを取得する仕組みとして検討がなされているということを踏まえまして、あくまでも一つのイメージとして、変更前の平日一日当たりの勤務時間を、地方公務員の一日の勤務時間として一般的に条例で定められている七時間四十五分、これをベースに作成したものでございます。

初鹿委員 変形労働時間をやる上で、繁忙期と閑散期があって、閑散期は所定労働時間よりも少ない時間じゃないと、それを別のところに上乗せする意味がないんじゃないかと思うんですよね。まずそこをちゃんと押さえなきゃいけないと思うんです。

 では、教員の皆さんがどういう働き方、働く時間なのかということを示す資料を見ていただきたいんですが、三枚目、これは皆さんも御存じだと思いますが、学校の問題をずっと研究している内田良さんという名古屋大学の准教授の方がつくったブログにある資料です。これは名古屋造形大学の大橋教授と元名古屋市の中学校の教員である中村氏との共同の研究をグラフにまとめたものでありますが、これを見ても明らかなように、八月でも残業をしているということなんです。

 つまり、八月も残業をしているわけですから、変形労働時間にするには、八時間、所定労働時間七時間四十五分よりも少ないから、その月は六時間でいいね、残りの二時間はほかのところにくっつければいいねということになるんだけれども、結局、その時間、その月も八時間以上働いているということになったら、六時間にしたら三時間分超過勤務になるんじゃないかということなんですよね、一時間もともと残業しているわけだから。全く超過勤務の削減にはならないというように思うんです。

 まず、これを導入するに当たっては、教員が毎月どれぐらい超過勤務をしているのか、実労働時間数を把握していくことが必要だと思うんですが、まず把握をしているのかということと、把握をする必要性があるというように思わないのか、お聞かせください。

永山政府参考人 まず、把握をしているかということでございますけれども、私どもは、勤務実態調査においての把握ということはやっておりますし、そもそも現場に……(初鹿委員「月ごとですよ、月ごと」と呼ぶ)あれは十月から十一月にかけての、特定の期間においての調査でございます。そういった把握、調査を行ってございます。(初鹿委員「月ごとの」と呼ぶ)いや、それはある年の、平成二十八年度の十月から十一月における勤務の状況を調べたものでございます。それはございます。毎月ということではございません。

 ただ、私どもというより、むしろ各学校におきまして勤務時間の把握というのは基本的にはしないといけない。特に、労働安全衛生法の関係で……(初鹿委員「その話と、これから制度をつくる話は違うでしょう」と呼ぶ)はい。

 少なくとも、現在におきましても、やはり学校において勤務の時間の管理ということはやるべきだ、やらないといけないということになってございますけれども、それは各学校においてなされているものだというふうに思ってございます。

初鹿委員 私が聞いているのは、一年間の変形労働時間制という、所定労働時間を月によって変えるような制度を決めるに当たっては、実際に各月ごとに教員がどれくらい働いているか、その実態を調べないで決められないでしょうと。十月と十一月だけ調べているからいいですという話でもないし、学校の現場が把握していなければいけないって、学校の現場が把握していなければいけないのは当然だけれども、その数字を文科省が知らないでどうやって全体の制度を変えられるのかということを言っているんです。ぜひ、これは、やるならばきちんと調べていただきたいと思います。

 その上でお伺いしますが、仮に変形労働時間制をとって、繁忙期は十時間、閑散期は六時間という勤務形態にするとしますよね。十時間で長時間勤務が消えるのかといったら、そんなことはないんですよ。

 なぜならば、一枚めくっていただきたいんですけれども、これは過労死白書からのデータです。教員の一日当たりの平均実勤務時間(通常期)、学校種別ごとにいろいろありますが、全体で十一時間十七分なんですよ。結局、変形労働時間制でマックス十時間ですからね、繁忙期でも。十時間にしたとしても、一時間十七分は平均的に超過勤務になると。つまり、二時間、今まで七時間四十五分だったところを十時間に上げれば、二時間十五分分が隠れるだけの話なわけじゃないですか。そうですよね。

 変形労働時間になって、なぜ、では超過勤務が減ると考えるんですか。

永山政府参考人 変形労働時間制を取り入れたからすぐに自動的に勤務時間が減るということではもちろんございません。ただ、労基法に規定されております一年単位の変形労働時間制、これは、休日の増加による労働者のゆとりの創造ですとか、時間外、休日労働の減少による総労働時間の短縮を実現するために、業務の繁閑に応じまして労働時間を配分する制度でございますので、一年単位で考えたときに、全体として休日の増加、あるいは勤務時間の減少が期待される場合に有効な制度と考えておりまして、私どもとしては、これだけではなくて、いろいろな勤務時間を縮減するための施策、行事の精選ですとか事務の効率化等々、あるいはサポートスタッフの配置等々あわせて、そういったものを実現していきたいと考えてございます。

初鹿委員 私が言いたいのは、だったら、やる順番が逆なんじゃないのかと。変形労働時間制を導入する前に業務量の削減をして、まず平均的に労働時間を下げてからじゃないとこんなこと実現できませんよ。結局、どこかに偏っただけで終わるだけだと思いますよ。

 休日の出勤を減らすと言っているけれども、今の現状の部活動の状態のままで休日を減らせますか。変形労働時間になったら減るんですか。減らないと思いますよ。だから、私がまずやってもらいたいのは業務量の削減ですよ。

 なぜ業務量の削減ということを言うかというと、また過労死白書のデータになりますが、ここで、「所定勤務時間を超えて業務が発生する理由」というところで一番多いのが「自身が行わなければならない業務量が多いため」、六九・六%もこう答えているわけですよ。つまり、物すごく一人に荷重がかかっている。これをなくしていくためには、どういう仕事は教員がやるべきか、そうじゃない仕事はどうなのかという切り分けも必要だと思いますが、それに加えて、定数も見直しをして増員をしていくこともやはり考えていかないと、一向に労働時間なんて減っていきませんよ。

 ぜひそういうことをまず先にやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

柴山国務大臣 御指摘のとおりです。

 中教審の議論においては、一年単位の変形労働時間制について、学期と学期の間に長期休業が存在するという教師に固有の勤務の態様に沿うものであるですとか、あるいは長期休業中に確実に長時間の休日を確保できてリフレッシュにつながるといった意見、肯定的な意見がある一方、今、全くおっしゃるとおりで、学期中の勤務時間や長期休業中の業務を縮減することが前提だろうといった御意見もありますし、中でも、学校週五日制が完全実施された平成十四年度以降、夏休みにおいても研修ですとか部活動、プール指導などの業務が増加しているということが指摘をされております。

 ですので、まさしく中教審においても、一年単位の変形労働時間制を導入するに当たっては、まず年間を通じた業務の縮減を徹底するとともに、長期休業中の研修や部活動の大会等のあり方や実施時期を大幅に見直す必要がありということが書かれております。

 したがって、私は、そのために果たすべき文部科学省の役割は大きいという指摘もありますことから、引き続き審議を深めていただくとともに、文部科学省としても積極的に、そういった御指摘の前提条件、コミットしていきたいと考えております。

初鹿委員 ありがとうございます。

 大臣と思いが同じだなということを確認できましたので、ぜひその方向で、まずしっかり業務量の削減、そして本当にこれはできれば定数増までしっかり行っていただきたいということをお願いさせていただきます。

 では次に、先ほど村井議員が質問しましたけれども、私立幼稚園に対する幼児教育の無償化の問題を少し取り上げさせていただきます。

 先ほど村井さんが言ったのと私も全く同じ問題認識を持っていて、無料無料と言うけれども無料にならない人はたくさんいますよねということと、二万五千七百円という基準額があると、それよりも低い保育料を取っているところはそれに合わせて上限まで値上げをしたい、そういうふうに思うだろう、それで実際にそういうところも出てくるんじゃないかということをやはり非常に懸念しております。

 先ほど答弁の中で、まず値上げのところについては、質の向上を伴わない値上げはやめるようにという要請をするようなことを言っていましたけれども、では、果たしてそれが本当にわかるのかということですよ。例えば、今回、消費税が上がるわけですよね。消費税が上がる、この増税に対応するために値上げをするといったら、それは合理的な理由になってしまいますよね。今、幼稚園の教諭といえどもなかなか人手不足だ、人材が集まらないということだから、人材を集めるためだといったらそれも、実際に新たに雇わなくても理由になりますよね。

 ですから、一体、では、どうやって便乗値上げを防ごうとしているか、もうちょっと具体的な例を示していただきたいんです。例えば、提出をしてきたけれども納得いかない場合はこれは認めないということができるのかどうかも含めて、具体的にどうしようと思っているのか、教えてください。

柴山国務大臣 まず、御指摘の幼児教育の無償化に伴う便乗値上げなんですけれども、私立幼稚園の保育料は上昇傾向が続いております。ですので、過去のトレンドという形で統計をとっていくことは可能だと思っております。

 一般論としては、そういった私立保育園の保育料の引上げがなされたとしても、そういう意味では不適切ではない。ただ、まさしく今御指摘になったとおり、今回の無償化という、保護者負担の軽減を目的としているにもかかわらず、いわゆる質の向上を伴わない保育料の便乗値上げが助長されるようなことは、決してあってはならないと考えております。

 文部科学省としては、これまでも各園に無償化の趣旨を丁寧に説明してきており、私学幼稚園団体からも、質の向上を伴わない保育料の値上げが行われることのないよう呼びかけていただいておりますけれども、引き続き、今申し上げた過去の実績等もしっかりと踏まえた形で、今回の無償化の趣旨が各園に適切に理解されるように努めていきたいと考えております。

初鹿委員 皆さんのお手元に、幼稚園の保育料の都道府県ごとの平均額の一覧をお示しさせていただいているんですが、基準額三十万八千四百円になるんですよね、二万五千七百円掛ける十二だと。それを超えているのは、東京、神奈川、岐阜、高知、福岡で、それ以外はかなりの差があるんですよね。十九万円台のところもあれば、東京なら三十二万円台ですから、十九万円台だとそれこそ十万円ぐらい差があるわけです。

 文科省さんに聞いてびっくりしたんですけれども、各園がどれぐらいの保育料を取っているかというのを全体で把握していないということなんですね。今回の無償化は、上限に満たない場合はその保育料の金額までしか補助しないわけですよね。どうやって積算しようとしているんですかということなんですよ。

 つまり、二万五千七百円掛ける人数で掛けたら、普通に考えれば余るわけですよ、そこに達していないところがたくさんあるわけだから。きちんとした予算を計上しようと思ったら、どこの園は幾らで何人の子供がいるということをきちんと積み上げなければいけないと思うんですけれども、そういう保育料をきちんと調べることはしないで予算を組むんでしょうか。

柴山国務大臣 今の資料を見させていただければわかるとおり、子ども・子育て支援新制度以降の私立幼稚園の平均保育料が三十万八千四百円を超える都道府県は四カ所ありまして、一方で、全国の平均保育料は約二十七万八千円となっております。

 二万五千七百円という金額については、同制度における幼稚園の利用者負担の上限との公平性の観点から設定をされたものでありますけれども、確かに、一つ一つ個別の保育料を精査しないと正確な予算というものは算定できないということは事実でありますけれども、人数把握の困難性もございますから、現在のところは、各園の保育料を個別に調査するということは考えておりません。

 ただ、私立高等学校等授業料などの調査によって、引き続き都道府県ごとの平均保育料については把握をすることとしておりまして、こういった調査の状況などを踏まえながら、必要に応じて検討していきたいと考えております。

初鹿委員 制度上しようがないとは思うんですけれども、結局、住んでいる地域によって保育料がこれだけばらつきがあると、住んでいる地域によって受ける恩恵が差が出てくるんだと思うんですよね。これはちょっといかがなものかなと若干思います。

 それと、もう一枚めくっていただいて、ここに東京都のデータがあるんですけれども、初年度納付金の高い幼稚園と低い幼稚園というものを出させていただきました。この高い幼稚園を見ていただきたいんですけれども、これは入園料も含めてだからにはなりますけれども、百五十万を超えるような幼稚園が一番なんですよね。全ての幼稚園に対して対象にするわけですよね。ある意味、こういう富裕層がいる幼稚園、富裕層の方にも年間三十万円無償にするというのは、本当に正しいのかというのは私はちょっと疑問かなと。

 一方で高校は、今までみんな無償にしていたものをわざわざ所得制限かけたんですよ、あなたたちは。それなのに、何で三歳からのこの幼児教育は所得制限なく全員無償にするんですか。こんな百五十万円の幼稚園に通わせられるような御家庭まで三十万円、どうして無償にするのか、私は理解できません。この点についてどう考えているのか、教えてください。

永山政府参考人 高校就学等支援金につきましては、御指摘のとおり、平成二十二年度の制度創設時には所得制限は設けられておりませんでしたけれども、厳しい財政状況のもとで、限られた財源、有効活用という観点から、平成二十六年度より現在のように所得制限を設けてございます。

 これに対しまして、幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものでございまして、その無償化は、全ての子供に質の高い幼児教育を受ける機会を実質的に保障する意義を有する、それとともに、子育て世代の経済的負担の軽減により、少子化対策に貢献する意義も有すると考えてございます。

 このため、幼児教育の無償化につきましては、これまで財源確保しながら低所得者層の保護者負担軽減を中心に段階的に取り組んできた、今般の新しい経済政策パッケージ等に基づきます幼児教育の無償化は、この取組を一気に加速するものとして、所得制限を設けることなく三歳から五歳までの全ての子供たちを対象として、幼稚園、保育所、認定こども園の費用の無償化を実施することとしたものでございます。

初鹿委員 すごく矛盾していることを言っていますよね。今自民党の先生方もうなずいていただいていますが、財政が厳しいから高等学校は所得制限かけましたと言っていて、財政が厳しいから消費税を上げるんでしょう。その財源を使って、どうして所得制限なく幼稚園は無償化するのか、全く答えていませんでしたよ。

 何でなんですか。全員に広く幼児教育が必要だから無償化。高校だって、私必要だと思いますよ、そういう面では。そこは区別はないと思うんですよ、教育に。私は、やはりここはちょっと考え直していただきたいと思います。

 時間がなくなってきたんですけれども、ちょっと最後にもう一つ。

 その一方で、私立小中学校の就学支援実証事業というものは、所得制限をかけてこれを行っているわけです。これはこれでいいと思うんですよ、所得制限があるのは。ところが、所得制限だけならまだしも、ここで、新聞の記事とその後の御案内というところをつけておりますが、所得だけじゃなくて資産まで調べることにしているということなんです。

 資産六百万円以内だということで、その調べる相手は、親権者、これは当然そうなのかなと思うんですが、親権者だけじゃなくて、児童と同居する祖父母、それだけじゃなくて、祖父母や親権者以外に授業料を負担している者がいる場合はその資産まで調べるということなんです。

 この三番目の者はどういう者かといったら、恐らく離婚をした養育費を払ってくれているかつての配偶者だということだと思うんですが、その人に、あなたの資産が幾らかわからないと授業料の補助がもらえないから教えてなんて言って別れた方が聞けますか。私、聞けないと思うんですよ。

 この資産まで調べるという要件、ほかのものではこんな厳しくないと思うんですが、なぜ設けているのかということと、私はこれは余り好ましくないからやめた方がいいというのと、絶対に高等学校まではこれは発展させないようにしていただきたいという、以上三点質問して、質問を終わらせていただきます。

亀岡委員長 質問時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

柴山国務大臣 いかに経済的に厳しい御家庭を支援できるかという観点から、授業料負担の軽減を行いつつ、私立学校を選択しているという理由は一体どういうことなのかなということなどについての実態把握を目的とした五年間の実証事業として、資産についての問合せということをさせていただいております。

 他にないということなんですが、高等教育段階における日本学生支援機構の給付型奨学金制度においては、今紹介していただいたような資産要件というものも、ことしからでありますけれども課しているということでございます。

 そして、最後なんですけれども、児童生徒及び保護者のプライバシーに配慮した提出方法について特段の配慮を行うよう依頼をさせていただいているところでございまして、引き続き、制度の改善に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。

初鹿委員 時間が来ましたので、最後に一言だけ。

 これは学校に提出する場合が多いので、やはりプライバシーを考えると、本当に慎重にやっていただきたいということをお願いさせていただきます。

亀岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 大臣、よろしくお願いします。

 先日、十一月二十一日の本委員会で、きょうの委員会でもたびたび話題になっているわけですけれども、大学共通テストに英語の民間試験を導入する、活用するという問題についての質疑で、柴山大臣からは、公正性の確保をどうするかということについて、大学、高等学校関係者や各試験団体を構成員とする意見交換の場を年内に設置させていただきます、そして、その中で、各試験団体に対して、試験の公正性の疑念を生じないよう注意喚起するとともに、実際の試験問題と問題集の関係性について、問題がないということについてどのように担保するのかということも含めて説明を求め、確認をすることをぜひ検討させていただきたいという御答弁をいただきました。

 今、その意見交換の場について、どういう場を持つのかということに関しての事務局での検討が行われているというふうに思うのでございますけれども、文部科学省は、ことし、さまざまな出来事があったわけでございますけれども、特に、医学部の入試をめぐるさまざまな女性差別、あるいは多浪生を差別する問題、そしてまた、文部科学省の高官の子弟が不正に入学をしていたとされる問題等、入試をめぐるさまざまな問題も、ことし、文部科学省に起きたわけですね。

 入試というのは非常にセンシティブなイベントで、多くの受験生、そしてまた保護者の皆さんが、入試に英語の民間試験を活用するということについても物すごくぴりぴりしている部分がおありになられる。そういう意味で、この意見交換の場についても物すごく注目を集めるというふうに思うんですね。

 だから、この意見交換の場に、そういう、試験の公正性とか、あるいはこういう問題があるよというようなことについて、知見あるいは見識を有する方にしっかりと参加していただくということが必要なのではないかというふうに思うんですけれども、大臣のお考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。

柴山国務大臣 御指摘をいただいたとおり、試験の公平性、公正性が疑われるような事態が生じることのないよう、しっかりと環境を整備することが重要でありまして、大学、高等学校関係者や各試験団体を構成員とする意見交換の場において、民間試験の実施に関係する全ての立場の方の率直な御意見を伺うことができるよう、年内の設置に向けて今調整に取りかかっているところでございます。

 では、具体的に、意見交換の場にどういう方に参加をしていただくかということについては、それぞれの関係団体に対して推薦の依頼をさせていただいておりまして、それを踏まえて委員を決定したいと考えております。

川内委員 関係団体に推薦を依頼する、そして民間試験を実施する全ての関係者という二つのキーワードが出たというふうに思うんですけれども、この民間試験を導入しないと発表されている東京大学あるいは名古屋大学、要するに入試の公正性あるいは公平性をしっかり担保できないのではないかという観点からなのかどうかは私はつまびらかに存じ上げませんが、いずれにせよ、東京大学、名古屋大学の入試にはこの民間試験は採用をとりあえずしないよ、自分たち独自の試験でやるよということを発表されていらっしゃいます。

 私、その東大の副学長をされた南風原先生とおっしゃる先生のこの「迷走する英語入試」というブックレットを読ませていただいて、ほう、なるほどね、こういう見方があるんだな、こういう懸念があるんだなということをすごく学ばせていただいたんですね。だから、こういう方にもしっかり参加をしていただく。

 いや、僕は、英語の民間試験を導入するというのは悪いことだとは思っていないんですよ。読む、聞く、書く、話す、英語の四技能を充実させようねと。私なんかもう、オー・イエーしか言えなくて、恥ずかしい思いをいっぱいするわけですからね。そういう意味では、いいことだ、大いにやればいい。だけれども、それはきちんと制度設計をして、それこそ公正性や公平性を担保しなければならない。

 そういう意味では、こういう懸念を示していらっしゃる、しかも入試の権威だ、入学試験についてはもう誰よりも詳しい先生であるというふうに聞いておりますが、こういう先生もしっかり意見交換の場に入っていただくということをお約束いただけますか。

柴山国務大臣 ちょっと個別の方がいいかどうかということは……(川内委員「こういう先生」と呼ぶ)はい。おっしゃっていることはわかります。意見交換の場に御参加をいただく先生には、要は、お手盛りであってはいけないよということだと思うんですよ。

 今、東大と名大についても御指摘をいただきましたけれども、国立大学も含めた、幅広くさまざまな関係の団体に対して推薦の依頼をさせていただいており、その中には当然、懸念とか慎重意見を開陳していただける団体もあろうかと思います。いただいた推薦を踏まえて、委員を御懸念のないような形で決定したいと考えております。

川内委員 大臣、御信頼を申し上げておりますので、この意見交換の場がまた批判を受けるようなことがあってはならない、しっかり、ああ、ちゃんと議論しているねということが見える形で委員の先生方を御選出いただけるというふうに理解をしておきたいというふうに思います。

 それでは、次の論点なんですが、きょうもこの委員会は朝から学校の先生方の働き方の問題が大変議論されているわけですけれども、中教審では、変形労働時間制を採用するというようなことが何か議論されているやに聞くわけですけれども、結局、数字をどれだけ合わせても、学校の現場の先生方の勤務実態というものが変わらなければ意味がない、どれだけ数字を合わせても仕方がないというふうに私は思います。

 学校の先生方はやはり子供たちのことを愛しているし、子供たちのことが大好きなので、子供たちのためだと思うとどれだけでも仕事をするというのが学校の現場だと思うんですよね。だから、部活も、スポーツ庁に部活は週二回休みなさいよと言われても、やはり部活で子供たちに頑張らせたい、子供たちも頑張りたい、保護者もみんなして応援しているとなると、いいや、そんな部活を休むなんて俺はできないよということで、一生懸命指導する先生もたくさんいらっしゃるということだというふうに思うんです。

 そこで、先ほど文科省の初中局長は、学校現場の先生方の勤務の実態について、長時間勤務の実態は明らかなんだという御答弁をされました。長時間勤務の実態は明らかだと。しかし、学校の先生方のお給料、どれだけ働いたものについて対価を払いますかという、教育職員の給与に関する特別措置法、給特法と言うそうですけれども、この給特法上は、超過勤務の時間というのは勤務時間に入っているんですか。

永山政府参考人 給特法におきましては、超勤を命じることができる場合、四類型ございますけれども、それは勤務時間の内外を通じてということでございます。

川内委員 いや、だから、初鹿先生が七時間四十五分という数字を先ほどおっしゃられたわけですけれども、例えば、五時過ぎて、あるいは六時過ぎて職員室で、子供たちの日誌に先生がよく頑張ったね、あしたも頑張ろうねというコメントを書く。あるいは試験の採点をする。夕方六時、七時にそういうことを学校の先生方がしていらっしゃるのは勤務時間に入るのかということを聞いているんです。

柴山国務大臣 今、永山局長からお話をさせていただいたとおり、いわゆる超勤四項目という、コアな項目に該当しない業務については時間外勤務を命じることはできません。しかしながら、正規の勤務時間を超えて超勤四項目以外の校務を行っている場合については、時間外勤務命令はないものの、学校教育の実施のために必要な仕事を行っているという整理がされるものと承知をしております。

 ですので、例えば公務災害の認定においては、超勤四項目以外の業務も含めて、やむを得ずその職務を勤務時間外に遂行しなければならなかったときに、個別的な指揮命令がなかったとしても、それが社会通念上必要と認められるものである限り、ちょっと難しいんですが、包括的な職務命令に基づいた勤務時間外の職務遂行と認められることから、公務に当たるという形で労災がおりるという整理がされているかと思います。

川内委員 今の大臣の説明を聞いて、わかった人は一人もいないと思うんですね。私も全然わからないんですよ。多分、大臣も説明していて、大臣は法律の専門家だからよくわかっていらっしゃるのかもしれないんですけれども、結局、余りよくわかんないんですよ、一般の人に。

 教職員の方が、夕方六時、七時にテストの採点をしています、子供たちの日誌に対する回答を書いています、それが、果たして勤務時間なのか、勤務時間じゃないのか。要するに、勤務時間じゃないんですよ。

 超勤四項目という、勤務時間外に仕事をすることを校長先生が命令できる、学校行事とか職員会議とか非常災害、生徒の実習、これらの四項目以外は超勤を命じることはできない、すなわち勤務時間じゃないということ、結局そこをはっきりさせておく必要があるんですよ、要するに、学校の働き方改革を進めていく上で。

 法律上、給特法上、勤務時間ではないんだということでよろしいですね。そこをちょっと初中局長、これは法律のことなので、しっかり答えてください。

永山政府参考人 今現在、中教審でも、勤務時間の問題、いろいろ議論されておられますけれども……(川内委員「説明はいいから、聞いたことに答えてください」と呼ぶ)はい。

 特に、今般、労働安全衛生法の改正によりまして、事業者の勤務時間管理の責務、きちんと把握する責務が明確化されたということですけれども、その際に、いわゆる超勤四項目以外の業務についても時間の把握の対象とすべき、そういった御意見もいただいてございます。

川内委員 いや、時間の把握の対象とすべきと言われていることと、給特法上、勤務時間かと私は聞いているわけですから。給特法上、勤務時間かと。学校の先生方の給料を計算する給特法上、勤務時間かという、この質問に答えてください。

永山政府参考人 給特法と申しますのは、勤務時間の内外を通じまして教員の勤務の実態を見てそれに対して教職調整額四%を出す、そういった仕組みの法律でございます。

川内委員 いや、だから、六時、七時に、勤務時間外に学校の先生方が試験の点数つけを、マル・バツをしていました、コメントを書く作業をしていました、あるいはあしたの授業の準備をしていました、これらは給特法上、勤務時間に当たるのか、勤務の中に入るのかということを聞いているわけですから、そこを、教育を所管する文部科学省がどうしてそんなはぐらかすんですか。それは多くの先生方や多くの保護者や多くの生徒たちに対する裏切りですよ、ちゃんと答えないというのは。私は、勤務時間じゃないと言ったらおかしいじゃないかとか言うつもりはないんですよ。解決するためにどうしますかという議論をしようとしているわけですから。

永山政府参考人 公立学校の教師につきまして、正規の勤務時間を超えて超勤四項目以外の校務を行っているのは、時間外勤務命令はないものの学校教育の実施のために必要な仕事を行っている、そういうふうに整理されるものと承知をいたしております。

川内委員 学校教育に必要なために何かをしている、それは勤務時間ですかと聞いているんですよ。それは勤務時間に入るのかということを聞いているんですよ。何でそんな逃げるの、初中局長。おかしいじゃないですか。

永山政府参考人 少なくとも勤務時間管理の対象にはなるというふうに思ってございます。

川内委員 いや、だから、勤務時間管理の対象であるということと、給特法上の勤務時間ですかということを聞いているんですよ。これは裁判例があるじゃないですか。給特法で勤務時間に当たらないから公務災害の認定はできないと裁判例もあるわけですから。何でそうやって逃げるんですか。文部科学省として、役所として責任を持って給特法と勤務時間の関係についてしっかり答弁してください。

 夕方六時、七時、八時に学校の先生方が職員室で仕事をする、これは勤務時間に当たるんですか。

永山政府参考人 先ほど公務災害のお話がありましたので、先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども、判例でいいますと、公務災害認定においては、超勤四項目以外の業務を含めて、やむを得ずその職務を勤務時間外に遂行しなければならなかったときは、勤務時間外に勤務を命ずる旨の個別的な指揮命令がなかったとしても、それが社会通念上必要と認められるものである限り、包括的な職務命令に基づいた勤務時間外の職務遂行と認められ、指揮命令権者の事実上の拘束力下に置かれた公務に当たるべきだというふうにされてございます。

川内委員 それは一部の判例を言っているだけじゃないですか。大臣、この問題は、しっかり議論しないと、結局、公務災害に認定されていない判例もあるわけですよ。だから、給特法上、学校教育に必要な仕事をしているというのは、自主的活動の時間でしょう、自発的活動でしょう、違うんですか、局長。自発的な活動なんでしょう、教育に必要だから。そこはしっかり答弁してくださいよ。

永山政府参考人 自発的であっても、その勤務の態様によりますけれども、勤務とみなせるものはあると思います。

川内委員 いや、だから、こういう答弁が繰り返されるところに、学校現場の悩みの深さというか、矛盾というものが象徴的にあらわれている。

 例えば、学校の勤務時間外に子供たちのために仕事をしていても、公務災害に認定申請しても認定されない。一生懸命自分でいろいろ材料をそろえて、御遺族が、一生懸命裁判して、何年もかけてやっと認定される、そういう事例も間々あるわけですよね。

 本来なら、勤務時間中に例えば脳出血で倒れました、これは簡単に公務災害になるはずですよ。だけれども、そうならない例がある。なぜなら、給特法上、勤務時間外の教育的な活動は自発的な活動だということにされているからです。そこに最大の問題があるわけです。

 過労死等防止対策推進法が平成二十六年十一月から施行された。実は、総務省の方で、職種別の統計がそのときから始まって、二十五年度分からは、公務災害の脳・心臓疾患及び精神疾患に係る公務災害の認定等の件数ということで、義務教育諸学校の職員、義務教育学校職員以外の教育職員という区分けで、それぞれ、脳・心臓疾患、精神疾患、脳・心臓疾患、精神疾患という形で、受理件数それから認定件数というものがずっと毎年発表されているんですね。これは教育職員が圧倒的ですよ、公務災害、その受理件数も認定件数も。圧倒的なんです。

 二十五年度、二十六年度、二十七年度、二十八年度、それぞれ、受理件数、認定件数、そしてトータル、教えていただけますか。

永山政府参考人 地方公務員災害補償基金がまとめました平成二十八年度過労死等の公務災害補償状況によれば、平成二十八年度の義務教育学校職員における過労死等の公務災害の受理件数及び認定数は、脳・心臓系疾患につきましては、受理件数が十五件、認定件数が五件。それから、精神疾患等について、受理件数が二十一件、認定件数が十件と承知をいたしております。

川内委員 他の職種と比べて断トツに多いんです。断トツに多いんです。それだけやはり学校の先生方が大変な現場でお仕事をしていらっしゃる。

 この給特法と公務災害との関係がしっかり議論をされて、申請しても、いや、給特法で勤務時間じゃないからとはねられることだっていっぱいあるんですからね。それで裁判する。まず、そういうことを中教審で議論されていますか、この給特法と公務災害の関係について。

永山政府参考人 先ほど私が答弁で御紹介しました判例というのは、平成二十三年六月名古屋地裁、二十四年十月名古屋高裁、平成二十七年二月最高裁棄却、これが中教審でも議論をされているものでございます。

川内委員 いや、大臣、本来なら公務災害を申請したらすんなり受理されて補償がされるはずなんですよ。これは判例と言ったでしょう。裁判まで持ち込んでいるということは、申請しても認定されなかったからなんですよ。今局長は、給特法と公務災害の関係について矛盾があるんだということをみずから吐露されているわけですよ。

 大臣、中教審の中でこの給特法と公務災害の関係についてしっかり議論して、学校の先生方が、せめて、ストレスを多く抱えている中で物すごく子供たちのために頑張っている先生方が、いや、自発的な活動だから公務災害の申請はそんなに簡単に受け付けられませんよというような状況については、これは変えていくための方策を考えるために議論してくれということぐらいは、大臣、責任持ってやってくださいよ。

柴山国務大臣 今、川内議員が御指摘になったとおり、形式的に勤務時間外であったとしても、労災においてそれはいかにも不合理だという形で既に、最高裁まで行って、元中学校教諭の原告が労災認定をかち取ったという事例もありまして、それはまさしく今、中教審で議論をさせていただいているところです。

 この議論が、まさしくこれからの給特法をどうするかということと、それとあわせて教員の働き方改革全般についての、要するに、いかにコアな業務以外の先生の仕事を削減していくかということにもつながっていく極めて重要な、まさしく今議論をしているところですので、しっかりと今御指摘のあったことも素材にして検討していきたいと考えております。

川内委員 続いて、ことしの流行語大賞は、首相案件という言葉が流行語大賞の候補になっていて、首相案件といえば加計学園問題ですから、これを忘れないために、忘れないためにというか、私もしつこい性格で、まだずっとやっているものですから、これもちょっと最後にやっておきたいと思うんですけれども、加計学園の獣医学部の設置経費というのが認可申請時に書類に出ておりまして、施設費が百四十八億千五百八十七万二千円、設備費が四十三億七千六百七十九万九千円、設置経費百九十一億九千二百六十七万一千円と、百九十二億という設置経費がかかるよということで認可申請の書類に出ています。

 他方で、標準設置経費というのがもう一方、別に出ていると思うんです。これは、同規模の国立大学の獣医学部を設置するとすればどのくらいかかりますかという経費です。施設費が十七億八千万、設備費が十九億六千三百万。加計学園と同規模の獣医学部を国立大学でつくるとしたら、設置経費は十七億八千万と十九億六千三百万ということで、これは、加計学園は超豪華な獣医学部ですねということになるわけですけれども、他方で、平成二十九年度の決算では、加計学園さんは十億円近い赤字、平成三十年度の予算でも三十五億円の赤字ということに予定はなっていらっしゃるそうです。

 大学設置後のアフターケアとして、学校法人の経営の実態とか施設等の整備の進捗状況を把握し、学校法人の健全な経営の確保に必要な指導助言を行うために、新しくできた大学には文部科学省が調査に行きますよということが決まっているわけですけれども、私、この過大な設備投資について、学校法人の経営の健全性を確保するという意味から、施設費、設備費の中身をしっかりと調査されるべきだというふうに考えているんです。

 そこで、聞かせていただくんですけれども、学校法人の経営の実態及び施設等の整備の進捗状況を把握しとこの調査の実施要領に書いてあるわけですけれども、学校法人の経営の実態という言葉の中に設備投資が適正であったか否かということが含まれるのか含まれないのか、教えていただきたいと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の調査、いわゆるアフターケアと言っておりますけれども、これにおいては、学校法人の認可時の留意事項等にあわせまして、学校法人の経営の実態等についても確認をするということは、御指摘のとおりでございます。

 この調査においては、調査内容として、経営面については、学生納付金ですとか、あるいは寄附金の状況、そういった学校法人の資産あるいは収支状況、こういったものを調査する。そして、完成年度までの収支計画等が計画どおりに進捗しているかということを確認しているところでございます。

 御指摘の建築費の妥当性等に関する内容については、これは大学設置・法人審議会における審議事項にはなっておらず、アフターケアの調査対象とはなっておりませんが、認可時に計画していた、先ほど御紹介のあった設置経費、これを支出した上で、完成年度までの収支計画が妥当かという全体については同審議会において審査をしているところでございまして、このような法人全体の収支状況については把握をし、必要に応じて指導助言を行うということにしているところでございます。

川内委員 今、この施設費、国立大学の標準設置経費の八倍ですよ。設備費は二倍。何をすればこんなにお金がかかるのかということについて、文部科学省は、いや、別に調べません、こうおっしゃったわけですね。

 実は、この施設費、設備費については、加計孝太郎理事長の奥様が取締役を務める設計監理会社に設計監理の委託料が支払われているわけですけれども、現行の私立学校法では、加計理事長本人以外であれば利害関係者とは認められないわけですね。加計理事長本人が取引先であれば利害関係者だということになるわけです。これは、めちゃめちゃなざる法だと私は言わざるを得ないと思います。

 私立学校法について今検討が進んでいるというふうに聞いておりますけれども、この利害関係者の範囲についても当然見直すという議論になっていると私は確信をしますけれども、今、議論の進捗はどうですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の点については、私立学校法の四十条の五の御引用についてだと思います。学校法人と理事との利益が相反する事項について、理事は代表権を有しないということになっているわけでございますが、御指摘のように、私ども、学校法人の制度改善検討小委員会というところで、学校法人のガバナンスの改善強化、これについて議論をいただいてきておるところでございまして、このまとめの案というものができております。

 この中では、私立学校法においても、先ほどの条文について、会社法を参考に、代表権の有無にかかわらず、理事が自己又は第三者のために学校法人と取引をするときは利益相反行為の対象にするべきであるということを御指摘いただいているところでございまして、今後、こういった内容を踏まえまして、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

川内委員 それでは、最後に、大臣、加計理事長さんは、獣医学部をつくるためにうそつきました、事務局長がうそついちゃったんですということを記者会見でお述べになられていますね。

 さらに、きょう、ちょっと質問できなかったんですけれども、内閣府の当時国家戦略特区の担当の次長であった藤原次長さんに便宜供与をして、しかも、加計学園の方から、いやあ、車がありますから乗っていってくださいよと。岡山から今治まで車で三時間ぐらいかかるんですね。さらに、そこから松山空港まで、一日アテンドしているんですね、これは国家公務員倫理法違反だということで認定をされているわけですけれども。

 そのような、国家公務員に対して国家公務員倫理法違反を唆し、偽計を用いて獣医学部の設置に至る。だから、もう何が何でも獣医学部をつくる、その熱意は、それはいいですよ。しかし、それが勇み足だ、おかしいということであれば、この経緯について、文部科学省として、学校法人の管理運営に何か問題があるのではないかということで調査をされるべきと私は思いますよ、この設置経費についても。

 大臣は、もう何にも、いや、別に構いません、いいです、関係ありませんとおっしゃいますか。最後にその答弁をいただきたいと思います。

柴山国務大臣 加計学園の獣医学部の新設については、国家戦略特区を所管する内閣府を中心に、段階的にそのプロセスが進められるとともに、大学設置・学校法人審議会において学問的、専門的な観点から審査が行われ、設置の認可に至ったというように認識をしております。

 いろいろと報道されていることは承知をしておりますけれども、加計学園と自治体の間のことでありまして、政府として、現時点において具体的なコメントをすることは差し控えるべきだと考えております。

川内委員 文部科学省所管の学校法人ですから、関係ないということを私は言えないと思うんですね。

 大臣、いい答弁するんだけれども、最後にもうちょっと踏み込んでよみたいなところもあるので、また引き続き議論をさせてください。

 どうもありがとうございました。

亀岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

亀岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉良州司君。

吉良委員 国民民主党の吉良州司でございます。

 きょうは、四十五分使って、柴山大臣、柴山大臣は総理の信任も厚く、将来の日本を担うリーダーとして御活躍でありますけれども、その柴山大臣がこの文科を見ているという状況の中で、この文部科学省所管領域の中で強いリーダーシップを発揮してもらいたいという意味も込めて、質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 それと、冒頭、いろいろ質問通告はしているんですけれども、午前中からずっといい議論がなされていますので、自分の質問通告に基づいてというよりも、少し午前中の議論を踏まえて話をさせてもらいたいと思っています。質問という形式はとりませんので御安心を。お願いします。

 本人いらっしゃらないですけれども、午前中、宮川典子委員が、自分の教師経験も生かして、英語教育かくあるべしという持論を展開されました。そういう意味で、私自身も、この宮川典子委員の質問、提案に断固賛成の立場で討論といいますか話を冒頭させてもらいたいと思います。

 というのは、前回の一般質疑のときに宮川さんと同じ視点での質問をしようとしていたんですけれども、時間切れになってしまいましたので、前回は割愛せざるを得なかったということで、少し応援質問をさせてもらいたいと思っています。

 宮川典子委員が提案した中で、大変、こういうふうに言うんだと思ったのは、英語で学ぶ、さまざまな教科において英語で学ぶという考え方なんですね。

 このことは極めて重要でありまして、実は私、商社勤めで、ニューヨーク駐在をやりました。一般的に、商社マンでニューヨーク駐在というと、何か英語をべらべらやりながら格好いい姿を思い浮かべるんですが、私は全然そんなことなくて、多分、当時の商社マンの中で最も英語の下手な、英語で四苦八苦して苦労に苦労に苦労をしていた商社マンとして、英語教育いかにあるべきかと言う資格が十分にあると思っています。

 その中で、英語を教えるとかじゃなくて英語で学ぶということがどれだけ重要かというのは、実際の会話の中で一番重要なキーワードというのは、実は個人名だったり地域名だったり都市名だったりというところにあるんですよね。

 又は、宮川委員言っていましたけれども、日常会話で、一足す一は二だろうとやりますよね。だけれども、普通の英語教育を受けていたら、なかなかそれはやらないんです。イコールがある、イズがあるという言い方をしていましたけれども、本当にいろいろな教科を、例えば週に四こまあるとして、一カ月十六こまあるうちの二こまでも三こまでも、英語でそれぞれの教科を教えるということは極めて意義があるというふうに思っています。

 例えば、自分自身が物すごく苦労した経験としては、当時、中国のトウショウヘイさんが、総書記でもない国家主席でもないんだけれども実は中国の意思決定をしていると言うときに、アメリカ人に幾らトウショウヘイと言っても通じないわけですよね。一生懸命、今言ったように、国家主席でもない総書記でもないんだけれども実質的にナンバーワンの実力者でと言うと、向こうが、それはタオシャオピンだねと言ってくれて、そうそうそう、それだと。そういう経験がたくさんあるんですよね。

 そういう意味で、個人名、今言った都市名、地域名、例えば会社名、それを通じるように教わるということは極めて重要です。

 まだアメリカ駐在する前に、アメリカからアメリカ人のある人が来て話をしていたときに、やはりハンバーグ好きかと言って、マクドナルドによく行くのかみたいな、マクドナルドと言っても、英語が達者な人は知っているけれども、全く通じませんよね。マクダーナルですよね。全く通じない。

 だから、我々はこれだけ長いこと英語教育したり普通の授業をしていながら、日本の社会の中でしか通用しないことを勉強しているんですね。そういう意味で、同じように社会を勉強し、例えば歴史を勉強し、算数を勉強、数学を勉強するときに、そのキーワードをきちっと海外の人とコミュニケーションできる形で教えるということは極めて重要だと思っています。

 会話の中で個人名、今言った個別名がわからないと全く会話についていけないというのが実情です。ほかの抽象名詞とか少々わからなくても、これも宮川委員言っていましたけれども、何とか通じるんですけれども、今言った個人名、個別名が通じないと全く会話にならない。そういう意味で、幅広い教科の中で、英語で教える、英語で学ぶというその論に私は断固賛成の立場で、今、論を展開させてもらっているところであります。

 あともう一つは、先ほどの答弁の中で、小学校の教員が英語も教えるという話がありました。それはそれで一方でいい、身近な先生が教えてくれるのはいいんですけれども、ただやはり、なれていないと通じない英語を教えてしまうことになるんだろうと思います。

 私たちは、サンキューと言われたらどう答えるか、大概、ユー・アー・ウエルカムと習いますよね。私も、今言った英語と悪戦苦闘する駐在員生活を送る中で、サンキューと言ってユー・アー・ウエルカムなんて言われたことはほとんどないですよ。普通、圧倒的な多くはシュアです。

 例えば、窓側があいていてアイルシートに誰か座っていて、エクスキューズ・ミーと言って入ろうとする。ちょっとよけてくれたからサンキューと言うと、シュアですよ。ユー・アー・ウエルカムなんて、あなたは歓迎されていますなんて言わないですよね。

 エレベーターが混んで、後ろの方からエクスキューズ・ミーとかエクスキューズ・アスと言って出ようとして、よけてくれたからサンキューと言うと、シュアかノープロブレムですよ。ノープロブレム、問題ないよ。

 パソコンがうまく操作できなくて、プロの人を呼んで直してもらった。そのときにサンキュー・ジョンと言ったら何と言うかというと、ユー・アー・ウエルカムでもない、エニータイム。いつでも言ってくれよ、おまえのためならいつでもやってやるよ。

 だから、言語とは生活だというふうに思うんですよね。だから……(発言する者あり)ありがとうございます。賛成討論です、いわゆる私の。そうなんです。ですから、私は一方で、小学校教員の質を高め、その向上意欲を増すためにも、一方で大事だと思いますけれども、一方では、今インターネット時代ですから、どこかおもしろいと同時にみんなが食いつくような授業をやる、映像を見せながらやるということも大事だというふうに思っています。

 ちょっと更に脱線しますけれども、やはり商社時代にフィリピンの教育プロジェクトというのをやっていました。フィリピンというのは六千も離島があるんです。その七割が実は電気もないんです。教師も行きたがらないんです、生活インフラがほとんどないですから。でも、そういう子供たちにも教育の機会をきちっと与えようということで、マニラで有名教諭の授業をやって、それを衛星で飛ばして、電気もないですから、まさに太陽光で受けて、スクリーンでそれを映すことで勉強させるというプロジェクトをやろうとしていました。ちょっと政変があったのでポシャりましたけれども、そういうことをやっていました。

 そういう意味では、さっき言った、英語で学ぶ、そして言語は生活であるということを現場でやっていくには、小学校教諭の教えと、それと、今言った、中央なのかどこかでやっているおもしろい食いつくようなスクリーン映像でもっての授業と組み合わせればいいのではないかということを、宮川委員の質問、提案を受けて、私からも提案させてもらいたいと思っています。

 それでは、いよいよ……(発言する者あり)では、通告はしていないですけれども、大臣の所感をお願いします。

柴山国務大臣 海外駐在の御経験も長い吉良先生に大変示唆に富むお話を伺わせていただき、ありがとうございました。

 まさしく、これからの教育について大変大きな課題ということで、まずは、これまでは全く海外に出て通用しない英語を教えてきたということを改めて、真のグローバルな人材を育てるということ、それからあと、今フィリピンの事例にも挙げていただきましたけれども、技術革新が非常に大きく進む中で、これからのいわゆるソサエティー五・〇に対応した教育というものをどうやって打ち出していくかということ、それぞれ非常に重要な課題だと思っております。

 そのために、今、小学校の改革あるいは教員の増加ということも御指摘をいただきましたし、その場合、ただ増加するだけじゃなくて、しっかりと、例えば英語教育に通じた方をどうやって確保していくかという課題ですとか、あるいは、技術においては遠隔教育についてもお触れをいただきましたけれども、それぞれ極めて重要な御指摘だと思っておりますので、これから本論だということなんですけれども、とても重要な導入部だと思って、しっかりとこれから勉強させていただきたいと思います。

吉良委員 前向きな答弁、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 それでは本論に入っていきますけれども、委員の皆さんには、吉良の質問なんというのは書生論じゃないかとか余りにも大ざっぱじゃないかという批判も受けるかもしれませんが、本当に文科行政の重要性に鑑みた質問をさせていただきたいので、よろしくお願いします。

 まず、大臣、公認会計士は会計のプロ、大臣自身は弁護士として法律のプロでありますけれども、政治家というのは何のプロでしょうか。大臣の考える、政治家とは何のプロなのかということについて、お聞きしたいと思います。

柴山国務大臣 ぱっと頭に浮かんだのは選挙のプロという言葉なんですが、ただ、それは政治家の資質ということではなくてデーリーワークのことだと思いますので、ちょっとそうではなくて、政治家というのは、民意をしっかりと吸収して、それに基づき国家マネジメントをするということだと思いますので、やはり民意の吸収そしてそれに対する働きかけ、マネジメントのプロだと。ちょっと長くなってしまいますけれども、そういうことではないかと思います。

吉良委員 大臣おっしゃるように、それこそ英語で言えばハウス・オブ・リプレゼンタティブですから、代表として民意を吸収するということも極めて大事だと思いますけれども、私の持論を言わせていただくと、政治家というのは優先順位をつけるプロだというふうに思っています。今おっしゃった民意もそうですけれども、これが大事だからこれをやってくれ、この人たちは、いや、これの方が大事だからこれをやってくれ、この予算を多くつけてくれ、いろいろな人がいろいろなことを言ってくる。

 それでも、一方では、今大臣がおっしゃったように、民意をきちっと踏まえながら、でも、自分の哲学、自分の信念等を加味しながら、誰が何と言おうと一番はこれ、二番はこれ、苦しい中で優先順位をつける。そして、なぜこれが一番なんだということを、有権者含めて国民にきちっと説明、説得する。そして、それを実現するということになれば、時に妥協し、時に貸し借りをという関係をつくりながら、どんな形をとってでも合意形成して実現していく。これがプロの政治家だというふうに私は思っています。

 いかがでしょうか、大臣。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 そういう意味では、民意の吸収の後、ちょっと私申し上げましたけれども、それについてやはりガバナンスをする、そしてしっかりプレゼンテーションしていくというプロセスが大事だと思っていて、そのガバナンスの過程において、今おっしゃるように、結局、政策というのは、いろいろな声を調整して一つのものに練り上げていく必要があるわけですから、そして、それを実行していくためにいろいろな人を使って実現をしていくということが必要なわけですから、そういう意味では、決断をし、そして大きな方針のもとにそれを実行に移していく。その結果を、さっきちらっと言いましたけれども、選挙でまた民意を問うということだと思いますので、おっしゃるとおりだなというように思います。

吉良委員 その上で、今我が国が直面する最大の課題は何で、それを克服するためというか、最優先すべき政策は何なのか、それについて大臣の見解を、これは文部科学大臣ということにとどまらず、政治家として、今我が国が抱える最も大きな課題は何で、そして最優先すべき政策は何か、大臣にお答えいただきたいと思います。

柴山国務大臣 非常に大きな御質問かと思いますが、確かに、大きな課題と言われれば、最初に頭に出てくるのは少子高齢化社会における日本の活力ということだと思いますし、あと、さっきから言っているように、グローバル化が極めて進んでいると思いますので、その中でグローバル化社会にどう対応していくか、そのあたりがやはり非常に大きな課題だと思います。

 少子高齢化が進んできているから、さっきからいろいろと出ているように、人手不足対策とか生産性革命、ソサエティー五・〇ということも必要になってくるわけですし、グローバル化が要するに必要だからこそ、使える英語をどうするかとか、そういうことも出てくるのかなというように思います。

吉良委員 私自身も、我が国が抱える最大の課題は人口減少であり少子化だというふうに思っています。そして、大臣まさにおっしゃるように、それに伴う将来不安だったり活力の低下というのが懸念される、これが最も大きな問題だというふうに思っています。

 それだからこそ、今我が国として最優先すべきは子供たちへの大胆な投資、子供たちの頭の中、人格形成に対して、そしてまた、子供たちを育てている子育て世代への大胆な投資、これが何よりも大事だと私は思っています。だから最初に、政治家は何のプロかと。今、大臣はまさにその任についておられるわけですね。そういう意味で、本当にリーダーシップを発揮してもらいたいというふうに思っています。

 その上で、ちょっと一回脱線するようですけれども、文科予算を削れということではなく、私は逆の立場でありますけれども、例えば、コストを五%削減するのと五〇%削減するのと、どちらが難しいと思われますか。コストを五%削減するのと五〇%削減する、どちらが難しいか。

柴山国務大臣 大変おもしろい御質問だと思います。一概には言えないんじゃないでしょうか。

 というのは、五%というと、やはりどちらかというと微調整の範疇になってくるのかなというふうに思います。やはりいろいろな調整をして、優先順位づけを結構シビアにしていくというのが五%の予算削減だと思いますけれども、五〇%というと、恐らく解体的な事業の統廃合のようなこともしていかなくちゃいけないでしょうから、政治的決断とか、トップレベルでの大胆な大なたという意味では非常に難しいんだけれども、それを決断する過程というのは、どちらかといえばより短いプロセスでできる場合があるというように考えているので、それは一概には言えないけれども、そういった傾向があるのじゃないかなというふうに思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 微調整という言葉を使われましたけれども、私に言わせると、五%削るというのは、それに携わる人たちの意識は全く変わらずそのまま、そういう中で、また既存のシステム、仕組み、それも変えない中で、一〇〇を九五にするために努力するということです。それというのは、意識も変わっていない、仕組みも変わっていないから、例えば、同じ省庁の課の中でとか同じ会社の課の中で、俺たちはここまで削って頑張っているのに、あそこは、おまえ、ゆるゆるで何だみたいな話になってなかなか進まないんですよ。

 ところが、五〇%削れということになると、今大臣がおっしゃったようにゼロから変えざるを得ない。意識をまるっきり変えて、仕組み、システムもまるっきり変えてやらざるを得ない。けれども、一旦、意識を変えろ、変えよう、そして今言った、組織の仕組みを根底から変えるという決断さえできて、なぜそういう決断をするかということを社員に受け入れてもらえば、案外、五〇%の方が楽にできるということなんだというふうに思っています。

 大臣になかなか複雑な問題をお聞きしますけれども、私は、民主党政権にかかわっておりました。与党、そして政府、入ってやっておりました。そのときに民主党は、子ども手当というものを提唱いたしました。柴山大臣は、この民主党政権時代の子ども手当についてどう評価していたか、また今しているか、お聞かせいただけますか。

柴山国務大臣 実を言いますと、子育てのために大胆な給付政策をとるべきだということは、これは私は一概に反対するものではありませんでした。

 ただ、さっきも教育負担軽減に富裕層をどう扱うべきかという議論も出てきましたけれども、本当にお金持ちの人に、しかも代理受領でなく現金給付で巨額の手当てをするのがいいのかどうかというところについては、私は疑問を挟んでいたところであります。

吉良委員 実は、私も当時、民主党政権にいた中で、いわゆる所得制限についてはあってもいいのではないかというふうにも思っていました。

 ただ、私が何で今、五%と五〇%、そして子ども手当、民主党政権時代の話を持ち出すかというと、あのときの民主党政権というのは、人への投資、チルドレンファーストという言葉を、有権者の数からいったら圧倒的に高齢者の方が多いのに、それでもあえてチルドレンファースト、子供の方が大事なんだということを訴えたんですよ。

 私は、民主党政権成立と同時に外務大臣政務官として入りました。柴山大臣がその直前の政務官だったんですけれども、外務省は、事業官庁でもない、そういう官庁ですけれども、それでも、条約を全部見て、お金のかかる条約を全部見ていって、これは本当に日本の国益に必要なのかというところまで全部精査して、外務省といえどもどこかを削って子ども手当に回そうとしていたんです。

 あのとき、ほぼ全省庁の政務三役は、多少、官僚たちから、何というかな、批判を内心は受けながらも、私は官僚とうまくやろうと思っていましたけれども、まあそれはそれでおいておいて、それでも全省庁で何とか削って子ども手当の財源を捻出しようとしていました。これは、申しわけないんですけれども、それまでの自民党政権ではなかったことです。

 だから、そういう意味で、五%と五〇%の削減じゃないですけれども、そこまで頭を切りかえて、大臣がそれぞれの省庁の利益代表者ではない、政権全体で何が大事なんだという優先順位を明確にして、その一番のためには、全省庁がその実現のために力を尽くすという体制を築いたんです。政権運営の経験不足からいろいろ稚拙で、民主党政権はだめだった、だめだったと言われますけれども、私は、そういうやり方、考え方については今でも誇りを持っています。

 そういう意味で、今度は五%削減とかじゃなくて、柴山大臣には、今言った将来を担う子供たちのために本当に強いリーダーシップを発揮してもらいたいと思っているんですが、その前提として、今教育の現場が抱えている最大の課題かつ喫緊の課題は何でしょうか。

柴山国務大臣 現場が抱える喫緊の課題というと、先ほども少し吉良議員からもお話が出たように、教師が今抱えている業務が余りにも過大である、それぞれの教師が自分の理想や信念に従った形での教育の展開、そして子供と向き合う時間をしっかりととることができないということが最大の、目先の大きな隘路になっているのかなというように考えます。

吉良委員 大臣が答弁されたとおり、おっしゃるように、現場の教師の負担が余りにも大きくて、より子供たちに多くの時間を割いて、また余裕を持って向き合いたいのにその余裕がないというのが、ある意味では最大の問題だというふうに思っています。

 それと、都市部は私知りませんけれども、少なくとも、私の大分の教師たちの話を聞くと、外国人労働力の受入れ問題じゃないですけれども、教師の世界でも既に人手不足というか教員不足に陥り始めている。特に、小学校、義務教育の教師は女性が非常に多いので、どうしても女性は出産休暇というものがある。そのときに、代用教員といいますか、補充をしようにもそのなり手がいない。あと五年、十年すると、その教師不足というのがもう危機的な状況になっていってしまう。これが、今言った教師の負担が大きいということと、教師不足になりかけているというのが現場の最大の課題だというふうに思っています。

 では、それを克服していくにはどうしなきゃいけないのかというと、当然のことながら、それでも教師をふやしていかなければいけない。なり手がないんであれば、待遇をよくする。給与面もそうかもしれませんし、やりがいという面でももっと大きなインセンティブを与えていかなければいけないかもしれない。そのためには物すごい予算が要るわけです。

 先ほど来言っています、柴山大臣にリーダーシップを発揮してもらいたいというのは、自民党政権がつくる予算を見てみると、ほとんど前年度比差異がない。けれども、先ほど言いました、皆さんから批判を受ける、政権運営経験の少なかったあの民主党でさえ、民主党政権でも、四苦八苦しながら、一番大事なのはこれだというところで財源を捻出しようとしたわけです。そういう意味では、今、大臣が、この文科予算を人の省庁から分捕ってきても、又は国民に対して新たな増税をお願いしてでも、この教育予算をとってくる、増額する、そのことを期待して、将来リーダーになる大臣に期待しているんです。

 与党質問じゃないですけれども、どうですか、大臣、その決意。

柴山国務大臣 何とお答えしたらいいかよくわからないんですけれども、ただ、今御指摘の問題意識については強く共感をしておりまして、私は、今このタイミングで文部科学大臣を拝命したことが非常に大きなやりがいでありチャンスだと思っているのは、私、これまで、ともすると、やはり行政改革ということで、それこそ削減とかそういう話に取り組むことが多かったんですが、今このときに、文部科学行政の将来の日本における非常に重要な局面を考えると、これを、もちろん質を伴った形でありますけれども、しっかりと拡大していくということが極めて重要だと思っておりまして、そういう意味で、私にどれほどのことができるかわかりませんけれども、多くの、野党の皆様も含めた議員の方々の御理解をいただいて、また、官邸のような要するに省庁横断のマネジメントのところにも働きかけて、そこにしっかりと政策の方針転換というか、やはり重要性の考え方の見直しということを働きかけていきたいというふうに思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 五%削減ではなくて五〇%削減の意識改革と、根本から変えるという思いを持って、文科予算については削減ではなくてふやしていくということで、本当にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 その中で、私も、それでもやはり、財政健全性、健全化の問題を考えると、工夫はしていかなければいけないと思っているんです。

 その際に、いわゆる正規教員をふやすということも一方の道です。それはそれでやらなければいけない。一方で、私の問題意識としては、有料ボランティアではないですけれども、その職について、その給料でもって生活を支えていくまではいかない、けれども自分の専門性とそれから経験を提供して幾ばくかの給料をもらうという形の教員、実務家教員ですね、プロの教師をアカデミック教員とするならば、実務家教員というのは、実務家教員の中にはそれをなりわいにする教員あってよし、そして例えば、六十を過ぎて一度は退職して、そして食うに困るわけではないという方の専門性と経験を生かして教育現場で頑張ってもらう、こういう考え方もあると思っていますけれども、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今おっしゃったとおり、いわゆるコアな意味での教員ではなくても、免許状は持っていないけれどもすぐれた知識経験を有する社会人などを教員として迎え入れるということは、学校教育の多様化、新しいニーズへの対応ということに極めて重要だと思っております。

 実は、新しい学習指導要領においても、社会に開かれた教育課程を掲げまして、地域の人的資源等を活用し、社会と共有、連携しながら実現をさせるということが書いてあります。

 そしてまた、先日、ちょっと手前みそですけれども、私から「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて 柴山・学びの革新プラン」というものを発表させていただきましたが、そこにおいても、教育の質を向上させるために、ICTの利活用に加えて、すぐれた外部人材の積極的登用ということも書かせていただいております。

 今後、各地域の課題や運用状況を伺いながら、外部人材のさらなる活用に向けて、また、より弾力的な免許状制度のあり方について検討を進めていきたいと考えております。

吉良委員 その方向性を私も支持します。

 一例なんですけれども、先ほど言いましたが、私、商社に勤めておりました。商社のOBあたりは、地理の先生をやらせたらむちゃくちゃおもしろい授業をやると思います。授業というのは、やはり子供が食いついてこなきゃつまらない、子供がいろいろなことを想像できなければつまらない。

 今の地理の授業だと、例えばアメリカ西海岸の上の方、シアトルあたり、そこは何産業が盛んかというようなことになったときに、味気ない、航空機産業で終わりなんです。

 ところが、仮に私が教師をするとせばどういうふうな授業をするかというと、おまえたち、飛行機に乗ったことあるかと聞いて、あるあるあると。じゃ、飛行機はどういうところがつくっているか知っているやついるかと言ったら、男の子を中心に、オタクで、ボーイングとかエアバスとかボンバルディアと、これはもうかなりのオタクですけれども、そういう子供たちが出てくる。その答えが出てきたら、そうなんだ、ボーイングというのはな、このシアトル、ここに本社があって、私の大分でいえば大分空港の何倍もあるような敷地で飛行機をつくっているんだ、こういう話をしますね。

 おまけに、おまえたち、パソコンやるだろう、櫻田大臣は知りませんけれども、パソコンやるだろう、マイクロソフトって知っているかと言って、知っているという子供たちがいれば、ビル・ゲイツというのはな、このシアトルのちょっと横にベルビューという町があって、そこで実は生まれ育って、ここがマイクロソフトの発祥の地なんだ、こういう話をつなげていくんですね。

 航空機産業と言ったら、平面、二次元の世界で味もそっけもない、つまらない。だけれども、そこにボーイングという具体的な飛行機の像ができて、そして、大分空港の何倍もあるんだというところを夢を膨らませて、おまけにビル・ゲイツはあそこだったんだと。こういうことで、どんどんどんどん子供たちが興味を持っていく。

 そういう意味でも、いろいろな経験を持った実務家教員、社会経験を持った実務家教員というのは有益だと私自身は思っています。大臣、いかがですか。短く。

柴山国務大臣 今おっしゃったように、個別の具体例を挙げることによって、もちろん地理もそうかもしれませんけれども、歴史においてもそうだと思います。さまざまな昔の例えばエピソードとかストーリーをわかっている方がそれを教育することによって、より深く、また単なる暗記にとどまらない、また児童も関心をより持てる教育をしてもらえるという意味では、さまざまなバックグラウンドを持った教員の方に活躍をしていただくというのが極めて有効だと思っています。

吉良委員 子供たちがより強い興味を示してもらうためにはいろいろな手法があるというように思っています。

 文科省の方でやっている総合学習だとか、けさも出ていましたアクティブラーニングなんかもそうなんでしょうけれども、今実際、日本の中で、また海外の、子供がこういうことをやればこんなに興味を持つという事例の調査研究というのはなされているんでしょうか。事例があれば、ごく短くお願いします。

清水政府参考人 文部科学省におきましては、教育政策の企画立案を効果的に行うために、諸外国の教育事情に関する調査を情報収集して、企画立案の参考とすることをしてきております。

 特に第三期の教育振興基本計画で、客観的な根拠、エビデンスに基づく教育政策を推進していくことが求められましたので、この十月の改編で調査企画課、新しい課を設けまして、そちらでは、外国調査官、外国事情の分析調査官といった専門家も置きまして、諸外国の教育制度、動向に関する情報の収集なども図ってきているところでございます。

 ちょっと、具体的な事例ということでぱっといいものが出るわけではありませんけれども、実践的、主体的な教育の取組例というようなことであれば、日本でも今課題とされている主権者教育については、例えばドイツにおいては、そういう、かなり広い範囲の話になりますが、選挙に関心を持って投票行動が行われるようにというような形で、模擬投票、あるいは模擬投票に向けて授業形式で学んだり、プロジェクト学習で学んだりといった取組がかなり広く行われているというような事例でありますとか、読書の活動については、フランスにおいて、全児童に対してすぐれた本を直接配付する、そういうような制度を設けているとか、いろいろ特色ある事例について収集をしているところでございます。

吉良委員 ちょっと時間がなくなってきたので、私がこの場で申し上げたいことは、学習指導要領があり、それを教えながらいろいろな子供たちのニーズに応えていくということで教師が大変なんだと思いますけれども、もっともっと柔軟に、現場を信じて、現場に任せて、子供たちは、極端な話をすると、指導要領を全部網羅しなくても、おもしろいと興味を持ったら自分でそこまで行く可能性もあるというふうに私は思っているんですね。そういう意味で、とことん興味を持たせる仕組み、工夫が必要だというふうに思っています。

 実は、私の三人の娘たちがアメリカの、三人全部合わせると保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、後に大学まで行っていたんですけれども、私はアメリカかぶれするつもりは全くないですけれども、これはおもしろいなという事例が幾つもありました。

 その中の一つで、娘が行っていた小学校の授業です。そこは、三カ月に一回ぐらい、何とかウイーク、何とか週間というのを設けて、二週間ぐらいその一色に染まるんです。例えば、スペースウイーク、宇宙週間となれば、ハイライトは宇宙飛行士が来て宇宙のおもしろさを教えるし、みんなで、宇宙にまつわるTシャツのデザインを子供たちに要求して、誰かのものを採用したり、宇宙、宇宙、宇宙一色なんです。

 その中で、地理週間というのがあって、その地理週間というのは、実は娘の課題は、ニューヨークを出発して世界三つの大陸を旅行してこい、そして毎日日記をつけろと。それはバーチャルですよ、旅行は。移動するときは、飛行機を使った場合は時速五百マイルだ、列車を使った場合は時速百マイルだ、郊外を車で行くときは六十マイル、町中だと四十マイルとなるということを課すんですよね。

 そうすると、子供たちは、娘が選んだ最初の土地はパリでしたけれども、パリまで何キロあるかというのを調べて、何マイルあるか調べて、時速何マイルだから何時間かかるということを調べる。

 今の日本の学校で、テストがあるから時間だ、時速だと勉強しますけれども、どういうふうに生きるか、まだ小学校の中学年なんかだとわからないですよね。だけれども、そういう具体例があると、こうやって、速度が速いともっと早く着くんだとか学ぶんですよね。おまけに、パリに行ったら、凱旋門に行きました、凱旋門とはと一生懸命調べて、毎日日記を書くんです、ベルサイユ宮殿に行ったらベルサイユ宮殿の。二つ目はアフリカ大陸。エジプト・カイロだったですけれども、ピラミッドとはと一生懸命日記を書くんです、調べて。夜中の一時になろうが、おもしろくて寝たくないと。

 おまけに、さっきの宮川さんじゃないですけれども、いろいろな教科が全部詰め込まれているんですよね。

 だから、子供たちというのは、さっきのボーイングの話じゃないですけれども、具体像が頭の中に浮かんでおもしろいと思ったらとことんやっていく。だから、そういう意味で、今私が紹介したような、そういう何とか週間に限らなくていいんですけれども、どうやったら興味を持つかというのを現場にとことん勉強してもらって、研究してもらって、それを思い切って実践しろというように文科行政として持っていってほしいんです。いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今、学習指導要領についてお触れになられましたけれども、新しい学習指導要領では、まさしく、子供たちが学習内容に興味を持ち、教科等を学ぶ意義を理解できるよう、主体的、対話的で深い学びの視点からの授業改善を進めるとともに、各教科などにおいて、みずから課題を設定、解決していくという探求的な学びを重視しているところであります。

 先月、私、福島のふたば未来学園というところに行って、そこでの授業を実際に見てまいりましたけれども、まさしく、主体性ということと、それから実践性、探求性、この二つがやはり子供たちの関心を呼び起こし、積極性、そしてプレゼン能力の飛躍的な向上につながっている、そういった事例を目の当たりにいたしましたので、そういう新しいタイプの指導要領や教育の好事例について勉強するとともに、しっかりと横展開をしていきたいと考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 とにかく現場を信じて、現場自体の裁量をふやすことによって現場も成長していく、結果的には子供の興味、子供の人格形成、学力向上につながるということで、現場を信じてより多くの裁量を任せていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、中川正春君。

中川委員 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。中川正春です。

 先ほどの宮川さんや吉良さんのユー・アー・ウエルカムの話に誘発されまして、私もちょっと昔のことを思い出しておりました。

 ちょっと通告にはないんですけれども、私も実は、高校を、普通の進学校を卒業して、そのままアメリカの大学へ行って、大学生活を向こうで送ったんですが、本当に、英語というのはそうした意味ではなかなか大変だったということ、同時に、案外、読むということ、読解していくということについては、日本の教育やら英語の教育の基礎というのは生きていたんじゃないかなと思いますね。

 ラテンアメリカからも来た人たち、留学生も一緒にやっていたんですが、これはもう、しゃべることは、どんどんどんどんしゃべっていくんだけれども、いざ試験や何かしながら、実際にペーパーで書いてやっていくということになると、やはりこっちに有利性があったような、そんなことも思い返しておりました。

 その上、実は英語の話じゃないんだけれども、向こうは、タームペーパーといって、週に一回あるいは月に一回、必ず論文みたいな、ショート論文を書かされるんですけれども、そのときに、書いても書いても突き返されるんですよ。

 何でだろう、これだけ勉強しているのにということで、私も教授のところへ行って、談判したことがあったんです。

 そうしたら、その先生が言うのには、君は課題について本当にしっかり調べている、どういう論点でそれがあるのかということもしっかりしている、ところが、私が判断したいのは、その基礎の上に、このテーマについてどういうふうに考えながら、結論を出していくかと。君自身の考え方というのがここで結論として出てきて、それに至っていく論理性と合理性というものが評価の対象になるんであって、基礎的な部分、いわゆる知識というものは図書館なり辞書なりで調べてしっかり勉強する、その上にある思考力というものが評価されるので、それは今の君の論文だと評価のしようがないんだということで、突っ返されたということ。

 それが、英語で勉強していたので、今、どれだけアメリカのいわゆる学問が頭に残っているかというと、ほとんど自信がないんだけれども、そういう体験だけはしっかり、印象深く残っているんです。

 恐らくそのことが彼らの、今、日本で言ういわゆるアクティブラーニングの基本になっているような、そういう気もするんですけれども、日本で、それは、考えてみたら、学校の先生に、このことについて君はどう考えているんだということを、例えば高等学校で聞かれたことがあったかといったら、やはり、考えてみたら、ないんですね。

 今、それがどういうふうに変化してきて、どこへ向いて持っていこうかというときに、そこが一つの基本になっているんじゃないかなということを改めて思うんですけれども、大臣、どうですか、今の状況、日本の今の現場のシステムを見ていて、どのようにそれを評価されていますか。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいたとおり、やはり教育の現場もかなり変わってきているのではないかと思っております。

 単一の答えを覚えるのではなく、それこそ答えのない問題について論理的に結論を導くために、筋道立ててそれを考えていく、あるいはプレゼンテーションを行うといった事柄ですとか、あるいは仲間たちとディスカッションをする、あるいはディベートをするということですとか、また、社会の実相を取り込んでいくですとか、新しい取組を今、学校の現場でもかなり取り入れてやってもらっていると思いますし、先ほどちょっと紹介させていただいたとおり、新しい学習指導要領にもそういったことを取り入れているのだなというように思っております。

中川委員 その前置きを一つ前提に、質問に入っていきたいというふうに思います。

 無償化、幼児教育についてはこれまで議論が出ていましたけれども、私、一度、高等教育についての無償化の議論というのを整理してみたいと思うんですけれども、今、無償化について、文科省としての構想というのはどういう議論になっているか、まず、それからお聞きをしたいと思うんです。

柴山国務大臣 昨年十二月の新しい経済政策パッケージ及びことし六月の骨太の方針におきまして、家庭の経済事情にかかわらず、意欲さえあれば大学等に進学できる社会へと変革するため、真に支援が必要な所得の低い世帯の子供たちに限って、授業料の減免措置と給付型奨学金の大幅な拡充を行うこととされております。

 具体的には、二〇二〇年度から、大学、短期大学、高等専門学校及び専門学校の住民税非課税世帯の学生等について、授業料の減免措置を拡充するとともに、学生生活を送るのに必要な生活費を賄えるように、給付型奨学金を拡充いたします。また、住民税非課税世帯に準ずる世帯の子供たちについても、支援の崖が生じないように、必要な支援を段階的に行います。

 なお、大学等へ進学した後は、しっかりと修学していただくこととしており、その学習状況等について一定の要件を課し、それに満たない場合には支給しないということとしております。

中川委員 これを文科省がまとめたのは、出発点はこの新しい経済政策パッケージなんだということが説明されています。これは、いわゆる官邸主導でこのパッケージが、今、文科省だけじゃなくて、あらゆる省庁へ向いて、外国人の今問題になっている労働者の問題も含めておりてきて、それで文科省が受けてこの議論になったということですね。

 骨格を見ていると、授業料の減免と給付型奨学金、これを膨らませていこうと。さっきの話で、それはなべてやるんじゃなくて、貧しい家庭に育っても大学や専門学校へ進学できるチャンスという形で、いわば福祉型の設計をして、今の構想があるということだと思うんです。

 それに対して、本来、文科省としての議論があったはずなんですね。それは、幼児教育あるいは高等教育を含めて、文科省自体が教育というものに対してもっとしっかり責任を持っていこう、なべて、この教育機会というのを文科省がユニバーサルに制度化していくべきだと。

 これは、義務教育にかかわる部分だけじゃなくて、それを幼児教育に発展させていく、そして大学へ向いても発展をさせていくという、この議論がもう一つあったんだというふうに思うんです。今回、しかし、その部分というのがどこへ行ってしまったんだということ。そこが文科省が情けないところなんだ。

 せっかく経済財政でこの話がおりてきたら、それを本来は文科省の政策の中にしっかり生かしていって伸ばしていくというベースをつくらないと、これは文科省の何たるかということになるんだと思います。

 その点については、大臣、どのようにお考えですか。

柴山国務大臣 プロセス的に言えば、これは、昨年の衆議院の総選挙において、今私が紹介させていただいたような詳細な形ではありませんでしたけれども、いわゆる消費税の税率引上げ部分を、かなりの部分を充当して、幼児教育の無償化などを進めるということで国民の信を問うたわけであります。

 ただ、そこを、やはりいろいろと、しっかりと制度化していくに当たって、御指摘のような、例えば、高等教育はどうするんだですとか、あるいは所得制限をどうするんだといったことが非常に、特に、これまで文部科学行政についていろいろと御知見のある議員の方々も、いろいろと意見を交える中で、大変詳細な検討がなされたというように記憶をしております。

 そういった意味では、ボトムアップではない形ではありましたけれども、そういう中でいろいろと非常に苦労はしましたけれども議論を積み重ねてきた結果、先ほど私が紹介をさせていただいたような形となり、今お話があったとおり、特に高等教育、大学においては、やはり義務教育あるいは幼児教育と若干性質が違うというところから、真に支援の必要な方に限って、先ほど申し上げたような授業料の減免措置、また、必要な生活費を賄えるような給付型奨学金というような仕組みになったというように記憶しております。

中川委員 これはもっと具体的に話をしますと、基本的には国が教育の機会を保障していくという意味での大学の環境を整えるとすれば、授業料の無償化なんですよね、同じ無償化でも。だから、それは、大学へ入ってきたい人たちに対して、無償という形で教育環境を整備するということだと思うんですよ。

 ところが、それにもう一つかぶせて奨学金というのを考えていくと、これ、どうなるかということなんですが、奨学金の場合は、特に大学生でいくと、授業料が仮に無償化された場合には、これは生活費なんですね。これを、今のやり方でいくと、給付型の奨学金という形で組むとすれば、大学に来ている人たちとそうでない人たち、片方は生活費もそれから授業料も両方保障されて、片方は何もないという形の不公平感というか、そういうものが出てくる。

 だとすれば、奨学金の生活費というのは、本来は、本人が最終的に、親がかりじゃなくて本人がかりで最終的にそれを負担していく貸与型を基本にして、かつ、返す能力ができるまではしばらく待とうという、例の所得連動型に設計をしていって区別をする。環境整備をするということと、それから助成をしていく、そのチャンスをつくっていくという、もう一つの奨学金の機能というものとこれは区別をして、一つの理論的な教育体系、それをつくっていくチャンスというのを文科省として設計することができたはずなんですよね。

 それが、所得制限をやって、それで両方、授業料減免とそれから給付型奨学金が、一定の、いわゆる低所得の親を持つ学生に対しては、両方がかぶってきているんです。これは非常に、文科省がこれまで議論をしてきた体系とは、いびつな形をつくってしまっているんではないかというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、奨学金事業については、返還を通じて学生の自立心や自己責任、さらには社会への貢献、還元の意識の涵養などの教育的効果も勘案し、貸与型を基本として、本人の意思で借りられる仕組みというふうなものとなっておりまして、卒業後の所得に連動して返還月額が決定される所得連動返還型奨学金制度を無利子奨学金に導入するなど、制度の充実を図ってきたというこれまでの経緯があったのは事実であります。

 その上で、新たに措置する高等教育の負担軽減方策は、貧困の連鎖を断ち切り、格差の固定化を防ぐため、低所得世帯の真に必要な子供たちに限って授業料減免を措置するとともに、学生が学業に専念できるよう給付型奨学金を支給することとしているものであります。

 大学生活に要する費用の負担のあり方についてはさまざまな意見があるとは考えますけれども、文部科学省としては、今申し上げたように、子供たちが、家庭の経済事情ではなく、能力や意欲に応じて質の高い教育を受けられるよう、こういった新しい考え方、施策に努めていきたいと考えております。

中川委員 大臣、書いたものを読むことに集中しないで、私の話を聞いてください。

 だから、これ、給付型にしなくても、所得連動型で、本人がかりで、本人が大学出て、そして、しっかりした所得のレベルまで行ったら、本人が返していったらいいという形で解決できるんですよ。そういうようなものに統一した形で全体の連携をとっていかないと、ここの部分だけ、奨学金給付型とそれから授業料の減免、両方あわせてここだけ厚くするということについて、ここから先、これをどう発展していくかという議論をしたときにいびつな形になってきますよということを指摘しております。

 それと同時に、もう一つあるんです。これから、もう一つ先で、私立の大学であるとかあるいはトータルな大学再編をどうしていくかという議論をやっていこうと思うんですけれども、その前提となるリカレント、あるいは海外からの学生、留学生、この辺がどのように大学教育の中に組み込まれていくかということは一つの大きな要素なんだと思うんです。

 そのうちのリカレントは、奨学金を給付型でできるかといったらなかなか難しいと思うんですよ。同時に、給付型というのは、前提として、親がかりの、親の負担を小さなものにするということだけれども、所得連動型というのは親がかりじゃなくて本人なんです。将来、本人責任で返していくということなんですね。これを所得連動型で組めばリカレントは可能になるんですよ。それこそ、ローンを組んで、少し勉強して、また戻って、そのときの所得の割合に応じてまたぼちぼち返したらいいんじゃないかという組立てができるんですよ、所得連動型でリカレントが。というようなメリットもあって、ここのところをしっかりと議論していくチャンス、今がチャンスなんだということを申し上げたい。

 だから、どうですか、給付型はやめてちょっとやり直しませんか。

柴山国務大臣 極めて非常に示唆に富む視座だと思います。

 おっしゃるとおり、リカレント教育のインセンティブとして、やはり、常に学び直しができ、所得の向上をしていくことが重要ですねと。要は、自助の力を高めていこうとするそのインセンティブを発揮させるということが重要でありまして、そういう意味からも、私が先ほど紹介をさせていただいた奨学金の意義、返還を通じて学生の自立心や自己責任、さらには社会への貢献、還元の意識の涵養という教育的な効果ということから貸与型があくまでも基本だよというところは、恐らく中川議員と私、意識が一致しているというふうに思います。

 あくまでも給付型というのは例外的というか、限られた限定的なものであるということを強調させていただきたいと思います。

中川委員 だから、その前提として、授業料の無償化というのを普遍化しなきゃいけないということだと思うんですよ。これがドイツ方式ですよね。ドイツあたりで、授業料を無償にして、その上で奨学金の組立てをいろいろな工夫をしながらやって、自立という形に結びつけていく。自立しようと思っても、やはり授業料があればなかなか、学生時代、アルバイトだけでやっていくということ、あるいは奨学金の高額化というか、返せない額まで奨学金がふえてしまう、そういうことになるので、それこそ、高等教育あるいは幼児教育を無償化していくという方向性が確認できたのであれば、そこは授業料に集中してやっていく。これは義務教育の今のシステムでも、そうした意味で授業料が無償化なんですよ。高等学校で私たちがやったのも、その授業料を無償化していくということなんです。だから、国が税で関与していくのはその無償化なんです。授業料の無償化なんです。あと、奨学金は金を回すんですよ。毎年毎年その資金を出していくんじゃなくて、世代間で金を回していけるんですよという考え方の整理をした上でやっていくということが大切だというふうに思います。

 時間が来たようでありますので、最後、コメントがあれば、一遍考え直してみますということであれば、そのように答弁してください。

柴山国務大臣 大変貴重な御意見だとは思いますが、今後また勉強させていただきたいと思います。

中川委員 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 国立大学の運営費交付金、これは、二〇一六年度以降、三つの重点支援の枠組みが設けられて、基幹経費から評価対象経費として毎年約百億円を削減して、評価によって再配分される仕組みが導入されてまいりました。来年度概算要求におきまして、この評価対象経費を四百億円にふやす方向で検討していると聞いております。

 柴山文部科学大臣に伺いますが、その理由は何でしょうか。

柴山国務大臣 文部科学省としては、国立大学の教育研究力の向上の観点から、一定の評価に基づく再配分を行うことは重要だと考えております。

 二〇一六年度からの第三期中期目標期間の開始時点から、各大学の機能強化の方向性に応じた取組を支援するために、毎年度、各大学の評価指標、KPIに応じて運営費交付金を再配分させていただいております。

 二〇一六年度、二〇一七年度、二〇一八年度においてはそれぞれ各大学から捻出された約百億円を対象として再配分を行ってきたんですが、各大学の改革インセンティブのさらなる向上を図る観点から、来年度には、過年度、二〇一六年度から二〇一八年度までの三カ年の評価対象経費分も含めて約四百億円を対象として再配分を行うということを考えているところです。

畑野委員 我が国の教育研究を支え発展させていくためには、大学における教育研究を安定的、継続的に支える基盤的経費である運営費交付金の位置づけというのは大変重要であります。

 三つの重点支援の枠組みは、人件費などに充てられる基幹経費を各大学に拠出させるものです。各大学の規模ごとに〇・八から一・六の係数を掛けて拠出させて、KPI、大臣も言われました評価指標に基づく評価によって、拠出した額を上回ったり減らされたりして各大学に再配分されるということです。

 ある地方の国立大学では、一千万円拠出させられて戻ってきたのは九百五十万円という再配分ですから、五十万円減ってしまう。これは小さな地方の大学にとりましては本当に大きい額になると思うんです。

 きょうお手元にお配りしました資料一枚目の下のところを見ますと、「二〇一八年度予算への反映状況」ということで、評価結果に基づいて再配分するという状況が重点支援一、二、三と、下のところに大学数が書いてありますが、全体で見ますと半分以上の大学は減額で再配分されているというのが「二〇一八年度予算への反映状況」にあります。

 国立大学が法人化された際の二〇〇三年五月十四日の衆議院文部科学委員会で、当時の遠藤純一郎高等教育局長は、次のように答弁されております。「特に予算や組織につきましては、渡し切りの交付金ということで、使途は各大学で決めるということができるものでございます。」という答弁です。

 運営費交付金は、現在のように国が定めた枠組みに沿った機能強化の達成度合いで金額が左右されるものではなく、大学の裁量で使用できる渡し切りの交付金だったのではないでしょうか。柴山大臣の御認識はいかがですか。

柴山国務大臣 おっしゃるとおり、渡し切りの運営費交付金でございますけれども、その意味は、人件費とか物件費とかいう費目を分けることなく措置されるという意味であります。

 今おっしゃられた三つの重点支援の枠組みに係る機能強化経費についても、各大学がみずから定めたKPIに基づいて運営費交付金を再配分しているものの、人件費や物件費という費目を分けることなく措置される、いわゆる渡し切りの運営費交付金の性質であることには変わりはないと考えております。

畑野委員 国立大学協会が、十一月二日の山極寿一会長の声明で、本当にこれでいいのかということをおっしゃっているわけです。「国立大学法人制度の本旨に則った運営費交付金の措置を!」、こういう声明を出されておられます。

 その中で、国は、各大学の裁量で使用できる渡し切りの運営費交付金を基盤的経費として安定的に措置するというふうに言ってきたではないかと。つまり、安定的に、将来を見通せるように措置をする、これが本来のあり方ではないかというふうに述べているんですが、柴山大臣は、この国立大学協会の声明について、どのように応えられるおつもりですか。

柴山国務大臣 国立大学協会の声明については、承知をしております。

 ただ、これも二つに分かれておりまして、要するに、多額の税金によって支えられている国立大学協会としては、厳格な評価とそれに基づく資源配分が重要であることは十分認識しているということも前段でおっしゃっておりまして、その上で、国立大学法人制度及び運営費交付金の本来のあり方に立ち戻って、毎年度ではなく六年間の中期目標期間を基本とした評価と資源配分の安定的な仕組みの確立を求めるという表明なんですね。

 つまり、我々文科省としても、国立大学の教育研究の継続性ですとか、安定性と評価に基づく改革インセンティブ向上、これらのバランスを考慮することが重要であると考えておりまして、国大協の声明の内容も踏まえつつ、各国立大学が計画的かつ戦略的に改革に挑戦することを進められるような評価と配分のあり方をしっかりと検討しながら、その基盤となる運営費交付金の確保に取り組んでいきたいと考えております。

畑野委員 国立大学協会の声明については大臣もお読みになっているということですけれども、その声明では、法人化以降、毎年のように運営費交付金が減らされ、教員の人件費や教育研究環境などの基盤の維持、確保すら困難な状況に陥っているというふうに言っております。

 再配分の仕組みについて、短期的な評価による不安定な財源措置は、法人化の本来の目的である自律的、戦略的な経営を困難にし、中長期的な視点に立った着実な改革を阻害するとともに、各種事業の中途での計画変更による非効率も生じさせているというふうに指摘しております。

 私たち、当時、国会におりましたので、この法人化には反対を我が党としてはいたしました。そして今、現実に進められているわけですけれども、その中でもいろいろな矛盾が出てきているという指摘だと思います。

 山極会長は、国立大学の法人化は失敗だったというふうにまでおっしゃっています。財源である運営費交付金を削減したのは矛盾している、運営費交付金を減らすかわりに競争的資金をふやした、この選択と集中政策で研究力が低下しているんだ、こういうことまで報道の中で指摘をされているわけです。

 ここでちょっと大臣に伺いたいんですが、この国立大学協会の声明も指摘している、財務省の十月二十四日の財政制度審議会財政制度分科会での、毎年度の教育、研究の質を評価する共通指標に基づいて再配分する割合をまずは一〇%程度にまで高めるというふうにしたことについて、国立大学協会の声明が厳しく批判をしたわけですね。先日、馳議員からもその質問がありました。本当にこれは許しがたいことだと思います。

 国立大学協会の声明では、国立大学の経営基盤を一層不安定で脆弱なものとするとともに、中長期的な戦略に基づく積極的な改革の取組を困難にするだけでなく、財政基盤の弱い大学の存在自体を危うくし、ひいては我が国の高等教育及び科学技術、学術研究の体制全体の衰弱化さらには崩壊をもたらしかねないというふうに指摘しております。

 柴山文部科学大臣として、この財政審に対する国立大学協会の声明の指摘、どのような見解を持っていらっしゃるでしょうか。国立大学協会としては、この財政審の言っていることについては強く反対せざるを得ない、ここまで厳しくおっしゃっておりますが、大臣はいかがですか。

柴山国務大臣 先ほど、評価と安定性のバランスということを申し上げたと思います。文部科学省としては、国立大学の教育研究力の向上の観点から、一定の評価に基づく再配分を行うこと自体は重要だと考えておりますけれども、評価に基づいて配分する額を運営費交付金の一〇%程度にまで拡大すべきかどうかということは、また別途考えなければいけないと考えております。

 仮に、国立大学の第三期中期目標期間、二〇一六年度から二〇二一年度の中途である二〇一九年度から毎年度、運営費交付金を余りに大きく変動させるということになりますと、教育研究の安定性、継続性や、各大学が目指している自主的で計画的な改革の実施というものがどうなるのかということにいろいろと疑問が出てくる可能性があります。そういった観点から、よく議論をしてまいりたいと考えております。

畑野委員 よく議論した結果が大事なんですよね。

 大臣がどういう立場で臨むのか。先ほどおっしゃったような、やはり安定性、継続性、そして、本当に今、研究力、これが大変だと。それはなぜかといったら、肝心の教育あるいは研究に携われなくて、いろいろ外部資金をもらうためにいろいろな事務手続が重なっているという話もあるわけです。だから、研究者にはしっかりと研究に専念してもらうと、そこはやはり文部科学大臣がしっかりと保証しないとだめだと思うんですね。

 大臣、文部科学大臣になられてすごくいいというふうにおっしゃっているので、ぜひそういう立場で、こんな一〇%をやるというのは許せないという立場で臨んでいただきたいんですが、いかがですか。

柴山国務大臣 安定性をしっかりと守って頑張ってほしいという視点で、議論を見守りたいと思います。

畑野委員 議論を見守るんじゃだめなんですよ。議論の中に自分の意見を、文部科学大臣としての意見を言わないとだめですよ、財務省に遠慮する必要ないんですから。きょうは呼んでいませんから。大丈夫だとみんな言っていますから。もう一回。

柴山国務大臣 御懸念は十分受けとめさせていただきたいと思います。

畑野委員 懸念があるわけですから、その懸念をどういうふうに払拭するのか。払拭するために頑張っていただきたいと思うんですが、もう一回御答弁お願いします。

柴山国務大臣 全力で頑張ります。

畑野委員 柴山文部科学大臣から全力で頑張りますという御答弁をいただきましたので、引き続き頑張っていただきたいと思います。

 それで、私は、二〇一六年二月十日の衆議院予算委員会で質問いたしました。国立大学の運営費交付金削減方針の撤回を求める質問です。その際に、交付金削減による学費値上げの危険性を指摘いたしました。そんなことはさせないと文部科学省からも御答弁をいただきました。ところが、ことしに入って、国立大学の学費値上げの動きが生まれているということなんです。

 文部科学省に伺いますが、学費値上げを予定している大学はどこですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 国立大学の授業料につきましては、高等教育の機会の提供という国立大学の役割を踏まえつつ、さまざまな社会経済情勢等を総合的に勘案して、国におきまして標準額、現在においては五十三万五千八百円でございますけれども、それを設定しまして、その一定の範囲内で、具体的には標準額の一二〇%を上限といたしまして、各大学が授業料を設定することができるというふうな仕組みにしているところでございます。

 国立大学の授業料の改定につきましては、標準額を動かすことでなく、国立大学のそれぞれの御判断によりまして、現在、文科省で把握しているところにおきましては、東京工業大学と東京芸術大学の二大学で、両大学とも二〇一九年度から授業料を改定する予定だというふうに伺っているところでございます。

畑野委員 東京工業大学は、来年春の学部生から、また来年九月入学の大学院生から授業料を現在の五十三万五千八百円を六十三万五千四百円に値上げすると報道されております。それから、東京芸術大学では、来年度入学生から、また再来年度は大学院等も授業料を現在の五十三万五千八百円から六十四万二千九百六十円に値上げすると発表しておりますが、これでよろしいでしょうか。

義本政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

畑野委員 十万円、年間で上がる。四年間で四十万円。二年間の大学院に行けば六十万円の負担増になる。本当に困ったという声が寄せられております。

 今の学生の実態はどうか。大臣のところにもいろいろな声が届くと思うんですけれども、先日は私のところに、神奈川の青年たちが学生の声を集めて届けてくれたんですね。

 それによりますと、ある大学二年生は、奨学金を月六万円借りている、学費のため一日六時間週に三回のバイトで学業の時間が妨げられていると。また、別の学生は、奨学金が月に十二万円、卒業時には約一千万円の返済となる、学費と生活費のため一日八時間週五日バイトしている。一日八時間、週五日バイトしているというんですね。一体どこで勉強しているのかと思いますが、その学生は、学業と生活が妨げられていると訴えているということです。また、別の学生は、一日八時間の居酒屋バイトで毎日深夜二時から三時まで働き、きょうも寝ないで学校に来た、教科書代や学費などをバイト代で賄っていて、労働時間が長くて学業との両立がきつい、正直やめたい、こういう声です。それから、今後大学進学を目指している高校三年生からは、進路を選択する上で不安、学費が払えるか、奨学金返済が心配だと。あるいは、別の高校生は、学費が高いので親に負担をかけそうで怖いと。たくさんそういう声が寄せられているんですね。

 大学独自の特徴ある教育を行うためだというふうに言うんだけれども、その負担を学生にしわ寄せすることは、学ぶ意欲のある学生が経済的理由から入学を断念せざるを得ないという事態を生み出しかねないと思うんです。

 東京芸術大学では、学生の方がインターネットで、学費値上げの撤回を求める署名を集め始めていると伺っております。

 私は、国際人権規約にも逆行している、こういうやり方はだめだというふうに言っている学生たち、本当にすごい知見を持っていらっしゃるなというふうに思うんですね。

 文科省として、国立大学が学費値上げで学生に経済的負担を押しつけることのないように、これはやはり運営費交付金を増額すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 文部科学省といたしましては、大学が今後実施する教育改革が着実に実行されるとともに、今お話があったように、世界で活躍する人材が輩出されることをぜひ後押ししていきたいというように思っております。

 その一方で、授業料の改定によって、意欲と能力のある学生の進学機会が失われることのないように、経済的支援の充実にも積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

畑野委員 やはり学費の値下げ、この方向に国は大きく支援をしていく必要があるというふうに思います。

 経済的理由から進学を断念せざるを得ない学生を生み出さないためにも、そもそも高過ぎる学費を下げることと同時に、奨学金制度の拡充が求められております。

 先日、メールをいただきました。現在、日本学生支援機構により行われている給付型奨学金の対象には、卒業後二年以内の浪人生や、高等学校卒業程度認定試験合格者が含まれているにもかかわらず、二〇二〇年度より政府が始める高等教育の無償化や給付型奨学金の拡充では、対象者として浪人生や高卒認定者が含まれず、対象から外されるのではないかという心配なんですが、これについてはどのようにされるつもりですか。

柴山国務大臣 浪人生については、御存じのとおり、入試差別の問題がいろいろと議論になりました。

 ただ一方、現行の給付型奨学金では、御指摘のとおり、高等学校卒業程度認定試験の合格者については合格後二年以内、既卒者については、過去に大学等へ入学したことのある者を除き、高校等の卒業後二年以内であれば対象ということにしております。恐らく、アルバイト等の生活費獲得手段等についてのいろいろな状況を見てということかもしれません。

 新たな高等教育の負担軽減方策の詳細については、まさに現在検討中でありまして、現行の給付型奨学金における、高等学校卒業程度認定試験合格後あるいは高校等の卒業後二年以内との取扱いを踏まえつつ、どのようにしていくのがふさわしいのかということを検討していきたいと考えております。

畑野委員 ぜひ、メールの懸念にも応えていただいて、前向きに進めていただきたいということを申し上げ、最後の質問です。

 エアコンの設置について、この間御答弁いただいてまいりました。リースへの支援の要望が強いんですが、この点と、それから、三分の一国庫補助となっている点で、実勢価格との乖離があるので、これを本当に埋めてほしいということと、そして電気料金についても支援ができるようにということでございますが、実勢価格との点を含めて、きちっと総務省と相談をして、地方の負担についての支援をしていただきたいということですが、いかがでしょうか。

平井政府参考人 お答えいたします。

 まず、一点目のリース方式につきましては、エアコンの導入時の初期費用の低減ですとか、また、設置後の負担の平準化が図られることから、リース方式によりエアコンを設置される自治体があるところでございます。

 一方で、一般的に、リース契約は、民間からの資金調達にかかわる金利相当額や保険料がリースの借料に転嫁される等の仕組みによりまして、割高になってしまうデメリットもあるところでもございます。

 このため、今般の補正予算における新たな特例交付金を活用いただくことで、地方負担については、全額地方債を充当できることから大きな初期投資費用が不要となりまして、また、起債の活用によりまして後年度負担も平準化されるため、結果、リース方式と同等以上の効率的な整備が図られるものと考えてございます。

 また、二点目の国庫補助単価と地方負担の軽減につきましてですけれども、今回の特例交付金の運用においても、必要な機器の性能を勘案して、適正な国庫補助単価を、標準単価を設定してございます。

 また、この特例交付金では、地方負担の軽減を図るため、地方財政措置を充実しまして、全額地方債の充当を可能とし、その返済金の六〇%を国から地方交付税で措置させることとしております。これによりまして、自治体の負担の実質的な軽減を図ることとしてございます。

 また、三点目のエアコンの設置に係る電気代につきましては、補正予算にエアコンの設置に係る本交付金が計上されたことを踏まえまして、現在、総務省において、平成三十一年度の普通交付税により措置することを検討していただいているところでございます。引き続き、総務省と連携協力しつつ、対応してまいりたいと思います。

 文科省としましても、酷暑において子供たちの安全、安心な学習環境を確保するため、早急にエアコン設置が進められるよう、全力で取り組んでまいります。

畑野委員 地方自治体の要望も丁寧にきめ細かく聞いていただいて、希望に応えるようにしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 笠浩史でございます。

 きょうは幾つか質問させていただきたいと思っていますけれども、まず、きょう、ほかの委員からも幼児教育の無償化について議論が行われております。

 私も、私ども民主党政権時代に高等学校の無償化を行い、その後、先ほどもありました、自民党の政権になって所得制限がかけられた、今回、幼児教育あるいは保育の無償化については、所得制限がなく、要は全ての子供を対象にするということなんですけれども、実は、本当に全ての子供が対象になっているのかという点から、ちょっと幾つか確認をまずさせていただきたいというふうに思うんです。

 実は、高等学校の無償化制度のときも、私も政務官として携わりましたけれども、インターナショナルスクールあるいは朝鮮学校等々を対象とするのか否かという議論があったわけでございます。

 まず、ちょっと伺いたいんですけれども、いわゆるインターナショナルスクールあるいは朝鮮学校で、幼児教育に当たる、その段階の教育を行う施設というものがどれくらいあるのか、お答えください。

永山政府参考人 いわゆるインターナショナルスクールには法令上の定義というものがございませんので、個々の状況について必ずしも全て把握しているというものではありませんけれども、各種学校として認可されて、かつ、幼児教育段階相当の教育を行う外国人学校は、本年五月時点で八十八校でございます。このうち、朝鮮学校は四十校となってございます。

笠委員 今あった各種学校、インターナショナルスクールあるいは朝鮮学校は、今回、未就学児教育は対象となるんでしょうか。対象としないのでしょうか。お答えください。

永山政府参考人 政府としましては、経済財政運営と改革の基本方針二〇一八等において、広く国民が利用している三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化する等の方針を閣議決定しているところでございます。

 本閣議決定を踏まえまして、内閣府、文部科学省、厚生労働省の三府省で連携しながら、現在、無償化の具体的な制度設計を検討しているところでございます。

笠委員 答えになっていないですよ。

 文科省としては、対象とすべきと考えるのか。内閣府等々との調整もあるでしょう。しかし、今のこの点については、文科省としてはどういう方針で臨んでいこうとしているのかをお答えください。対象とするかしないかだけです。

永山政府参考人 大変恐縮ですけれども、対象とするかしないか、そういったことにつきまして含めて検討中でございます。

笠委員 いつ結論を出すんですか。答えてください。

永山政府参考人 これは、最終的には法律案ということになりますから、もちろん、その法律案がまとまるまでには当然ながら確定をするというものでございます。

笠委員 では、何をもって、要するに、決まっていない理由というのを教えていただけますか。

 いや、私は、全ての子供というんだったら、きちっと対象にしようという議論がまずあってもいいんですよ。しかしながら、そのときに、実は朝鮮学校を対象にするかどうかのときも、インターナショナルを含めて、そこでどういう学習が行われているのか、大使館を通じて調べたり、あるいはその確認をしっかりした上で、きちんとした形でとれたものについては対象としていこうというような作業を我々はやったんです。

 だから、例えば、一律に全てを対象にできなくても、やはり外国の子供たちだって日本で生活をしているわけだから、一定の条件を満たした場合には対象とするというような考え方で検討が進められているのか、最初からもう対象としない、そういうような形で今検討が行われているのか、ちょっと、現状をもう少しお聞かせいただけますか。

永山政府参考人 大変恐縮ですけれども、閣議決定を踏まえて検討中ということでございます。(笠委員「だから、検討の中身」と呼ぶ)まだそこは調整中でございます。

笠委員 改めて、この点はまたただしていくというか、状況をきちっと伺いたいと思いますけれども、実はもう一つあるんですね、幼稚園の類似施設という。

 今回、保育園については認可外の施設も対象になることになったんですけれども、実は幼稚園においても、学校教育法に基づいている、要は文科省から許可をされている施設じゃない認可外の幼稚園的な施設というものがございます。これがどれくらいの数あるのか、お答えいただきたいと思います。

永山政府参考人 御指摘のいわゆる幼稚園類似施設と言われるものにつきましても、これも法令上定めがないものでございまして、極めて多種多様なものが存在するというふうに認識しておりまして、個々の状況について必ずしも把握をしてございません。

笠委員 これは実は、スポーツに特化していたり、あるいは英語教育に特化してというような、割と非常に個性のある、特色あるこういう施設が全国でかなりあるんです。認可を確かに受けていないということでございますけれども、それぞれ、自治体は割と支援をしているところが多いんですよ、こういった施設について。

 これは対象とするんですか、しないんですか。

永山政府参考人 対象施設につきましては、先ほど申し上げましたとおり現在検討中ですけれども、ただ、幼稚園、保育所、認定こども園以外につきましても、認可保育所に入れない待機児童がいるということから、保育の必要性のある子供について、認可外保育施設等を利用している場合でも無償化の対象とする、これが閣議決定でございます。

笠委員 ちょっと確認ですけれども、ということは、先ほどのインターナショナルスクールであるとか朝鮮学校等々の方は別として、幼稚園類似施設については対象となる可能性もある、対象とするということでいいんですか、今。

永山政府参考人 これは待機児童対策の一環としてということですので、あくまで保育の必要性のある子供について認可外保育施設等を利用している場合でも無償化の対象とする、そういうことでございます。(笠委員「幼稚園施設ですよ」と呼ぶ)

 幼稚園施設が認可外保育施設の届出をした場合ということでございます。

笠委員 非常に曖昧なんですよね。これから検討中、検討中と言うけれども、私、全てを対象にとは言いません、しかし、ある程度一定の基準というものがきちんと満たされている場合には、やはり保育所だって、認可外であれきちんとした形で、また、対象としているわけだから、少なくとも自治体が支援の対象としているようなものについては、私、今回の制度の枠の中にしっかりとそれを入れていくべきではないかというふうに思います。

 最後に、この点については大臣に、今私がお伺いをした、認可外であるけれども幼稚園の類似施設、あるいはインターナショナルスクール、さらにはその中には朝鮮学校というものがあるわけですけれども、その点について大臣としてどういうふうな方向性で検討していくのか、あるいは大臣自身はこうすべきだというお考えがありましたら、最後にお答えいただきたいと思います。

柴山国務大臣 政府としては、経済財政運営と改革の基本方針二〇一八などにおいて、広く国民が利用している三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化する等の方針を閣議決定しているところであります。

 今御指摘になられた朝鮮学校やインターナショナルスクール等につきましては、本閣議決定を踏まえて、内閣府、文部科学省、厚生労働省の三府省で連携をし、また、地方自治体にも関係がございますので、さまざまな御意見をお伺いしながら、現在、無償化の具体的な制度設計を検討しておりまして、検討を急ぎたいと考えております。

笠委員 ぜひ、特に幼稚園の類似施設と呼ばれる、ある意味認可外の幼稚園というんですか、これについては、本当に今、ある意味では、障害児であったり障害児の方を預かる施設ってまだまだ少ないんです、あるいは外国籍の子供たち、これからまたふえていくでしょう、そういった中での受皿になっている要素が非常に大きいので、やはりこういったところにもきちんと目配りをしながら、しっかりとした支援ができるようなことが全ての子供ということに私はつながると思いますので、その点は大臣もしっかりと踏まえて対応をしていただきたいというふうに思います。

 次に、先ほどもありましたけれども、また、財務省、財政審の方がいろいろと、毎年ですけれども、予算編成についての見解を出しておりますけれども、言うまでもなく、教員についてはその資質と、そしてある意味では量というか数を充実させていくことが大事だということは、これはもう皆同じ思いでございます。

 そこで、柴山大臣にお伺いをしたいんですけれども、かつて少人数学級というものを私ども推進してまいりました。我々は小学校一年生までは法改正でやれたんだけれども、残念ながら、二年生までやったものの、三年生以降は手をつけることができませんでした。

 ただ、少人数学級ということが最近は余り言われなくなったんですよね。少人数教育にかわり、あるいはまたさまざまなそういうことで、三十五人以下学級をしっかりと中学校まで実現していこうということがこのところどうもちょっと聞こえなくなってきているような気がするんですけれども、柴山大臣のこの少人数学級の推進についての見解を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 国が定める公立小中学校の学級編制の標準は、小学校第一学年、すなわち一年生が三十五人、小学校第二学年から中学校第三学年は四十人となっております。

 この国の標準のもとで、各教育委員会や学校において、国の加配教員等も活用しつつ、それぞれの地域や子供たちの状況を踏まえて、都道府県独自の少人数学級、また、算数などの特定の教科における少人数指導やチームティーチングなどに取り組んでおります。

 その結果、平成二十九年度の実際の指導における一学級当たりの児童生徒数は、小学校では二十七・六人、中学校では三十二・〇人までなっております。

 引き続き、教育の質の向上に努めるとともに、学校における働き方改革もしっかりと進めなければいけませんから、クラスをふやすと働き方改革に資するのかという観点も踏まえながら、指導体制の効果的な強化充実に努めてまいりたいと考えております。

笠委員 加配等々を努力しながら、実際には少人数学級を何とかしていくということで努力をされていることは、私もよく理解をしております。

 ただ、それぞれの自治体の財政力であったり、あるいはさまざまな事情によって、非常に格差というものが生まれてきているわけですから、クラスサイズというものについてもしっかりと国として基準を定めていくということは、大臣、ぜひこれは取り組んでいただきたい。その問題意識はしっかり第一に持っていていただきたい。

 そしてもう一点、都道府県等々も計画的に、教職員の採用あるいは配置等々、安定的に配置をしていくためには、やはりどうしてもこの教職員の定数改善計画というものの策定というものが必要じゃないかというふうに思っております。

 きょう、今はおられないですけれども、たしか下村大臣のときでしたか、平成二十六年の臨時国会での大臣所信のときに、新たな教職員定数改善計画案を策定して、教職員の質と数の一体的な強化を図るというような方針も出されていました。

 ただ、このところ本当に、平成十三年から十七年の五年計画以降策定されていないんですね。我々もチャレンジしようとしたけれども、道半ばでその道を断たれてしまいました。

 そういった計画的な、第八次計画と言うのか何かわかりませんけれども、そういう計画をしっかりと策定されるお考えがあるのかどうか、大臣にお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 教職員定数の改善については、昨年三月に義務標準法を改正して、発達障害児などへの通級指導、また外国人児童生徒に対する日本語指導教育等のための加配定数について、対象となる児童生徒数等に応じて算定される基礎定数の方に入れさせていただきました。この基礎定数化を二〇一七年度から十年間で計画的に進めることによって、二〇二六年度には、例えば通級指導については、対象児童生徒十六・五人に対して一名だった配置が十三人に対して一名に改善されるなどの措置を講じているところでございます。

 都道府県・指定都市の教育委員会にとっては、これまでの加配定数約六万四千人の約三割が基礎定数化されるということで、教職員定数について先の見通しが劇的に立てやすくなり、安定的、計画的な採用、研修、配置が行いやすくなるというように考えております。

 また、本年度においては、小学校の英語教育のための専科教員千人を始めとする合計千五百九十五人の定数改善も行っているところでありまして、これらの取組をしっかりと推進していくことが大事だと考えております。

笠委員 それぞれに、今おっしゃったような、毎年毎年、確かに概算要求の中で、ことしも、今まさにこれから本当に最終的な財務省との交渉になろうかと思いますけれども、本当に、今のいろいろな先生たちが、先ほどもありました、子供一人一人としっかりと向き合う時間が欲しいんだと。やはりそういったことを確保していくためにはどうしても、資質の向上ということは大事だけれども、一定のしっかりとした数というものを充実させていくということが、これがもう計画的に行われていくということを担保しなければ、自治体においてもいろいろな計画を立てられないですよね。ですから、そういったことを念頭に置きながら予算折衝を行っていただきたいというふうに思います。

 もう一点、私も非常に関心を持って推進をしてまいりました、コミュニティースクールの推進について若干お伺いをしたいというふうに思っております。

 今、チーム学校ということでいろいろな、先ほどの、教員の負担をみんなでカバーしながら取り組んでいこうということでございますけれども、このチーム学校を推進するためにも、地域との連携を更に強化していくということで、地域の方にも学校運営にかかわっていただくということで、やはりコミュニティースクールを私はもっと進めていくべきだというふうに思いますけれども、大臣は、このコミュニティースクール、地域立学校というものについて、その意義、あるいは、それを推進するということについてのお考えをまず伺いたいと思います。

柴山国務大臣 子供たちがこれからの時代を生き抜く力を育成し、社会総がかりで質の高い教育の実現を図る上で、保護者ですとか地域住民が学校運営に参画する仕組みであるコミュニティースクール、大変重要だと考えております。

 平成二十九年三月には、その導入を努力義務とするなどの制度改正が行われ、第三期教育振興基本計画では、全ての公立学校でコミュニティースクールの導入を目指して取組を進めることとしております。

 文部科学省としては、今御指摘になったように、引き続き、全ての公立学校がコミュニティースクールとなることを目指して、支援に取り組んでいきたいと考えております。

笠委員 今、大臣おっしゃったように、平成二十九年の三月に、この地教行法の改正で学校運営協議会の設置が努力義務化された。そのことによって、この一年間で設置校が一・五倍になったわけでございます。しかしながら、まだ平成三十二年、つまりは、平成三十一年、三十二年にはコミュニティースクールにしていきますよという見込みを含めても二五・九%、約四分の一ぐらいなんですね。

 これを更にふやしていくために、地方自治体含め、教育委員会含め、やはり国としての支援、何が必要なのか、あるいは、どういったことでこれが、自治体によっては本当に積極的に取り組んでいるところもあるんですけれども、全くやれていないところもあるんですね、そういったところを文科省としてはどのように分析しているのか、あるいは今後、それに対応するためにどういう支援をしていくことを検討されているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

柴山国務大臣 自治体に対して、もちろん丁寧な説明を行うとともに、導入の少なかった地域や学校種も含めて導入が加速されることが重要だと思っております。

 具体的には、まず、学校運営協議会の運営に必要な経費として、平成三十年度から講じられている地方財政措置、非常勤公務員の委員の方への謝金を措置するということですとか、教育委員会が推進体制を構築する際に必要な経費の支援、また、これまで設置が少なかった高等学校や特別支援学校の学校運営協議会の効果的な運営方法等に関して調査研究を行う、また、全国的なフォーラムの開催等を通じた先進的な事例の普及などによってコミュニティースクールの推進を支援しております。

 今後とも、引き続き、繰り返しになりますが、全ての公立学校がコミュニティースクールとなることを目指して、支援に全力を尽くしていきたいと考えております。

笠委員 大臣、例えばですけれども、東京の近いところでいうと、三鷹市なんかは市長さんを挙げて非常にいい取組、私も何度か行かせていただきましたし、古くは京都に始まり、いろいろな形で、東京の二十三区の中でも足立区やいろいろなところでこの活動が始まってきているわけですけれども、特に地方の、都市は非常に学校が近くに、ある意味では、そう遠くないところに小学校、中学校があって、それを学園化するような、中学校に二つの小学校であったりとか、そういったことができるわけですけれども、なかなか、地方に行くと、コミュニティースクールにして例えば小中の連携をしろと言っても難しいところがあるわけです。

 ただ、やはりICTの活用等、あるいは、これから遠隔教育なんかのシステムがどんどん推進をしていくということになるので、そういったことを活用しながら新しい展開というものもできるんじゃないかというふうに私は思いますので、ぜひ、そういう先進的な取組をしているような事例をもっともっといろいろな機会にやはり知っていただく、そして、それぞれの独自の、個性ある、特色のある学園づくりというものをぜひやっていただけるように頑張っていただきたいと思います。

 例えばですけれども、大臣、この五年ぐらいの間に全校コミュニティースクール化しようよというような、ぜひ計画というか目標を掲げていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 ちょっと今手元に具体的な数字を持ち合わせておりませんけれども、先ほど申し上げたように、全ての公立学校がコミュニティースクールとなることを力強く全力で支援させていただきたいと考えております。

笠委員 それで、ちょっともう一点お伺いをしたいんですけれども、先ほど言った教職員の部分で、特にこのコミュニティースクールを推進していく上でも、あるいはチーム学校のためにも、やはり今、教員以外の専門スタッフというものをふやしていく。しかも、そういうスタッフの中には非正規の方とか非常に多いんですね。ですから、そういった点の充実ということもぜひこの予算折衝の中で行っていただきたい。少人数学級的なクラスサイズの話もそうなんですけれども、あるいは、補助教員がどうしても一クラスに一人ぐらい配置できないかとか、現場にはさまざまそういった要望がございます。こういった点についてのお考え、あるいはどのように取り組んでいくのかということをお聞かせいただきたいと思います。

柴山国務大臣 先ほども少し紹介をさせていただきましたけれども、学校運営協議会の委員、特に非常勤の公務員としての位置づけの委員の方に必要な経費として平成三十年度から講じられている地方財政措置、これは、やはり謝金としてしっかりとお金をつけて、そういう方々を拡大していくということが重要だというように思っております。

 また、教育委員会が推進体制を構築する際にいろいろと経費が必要となってくるというように思っておりまして、平成三十年度予算額ですと九千八百万円ということなんですけれども、しっかりとした予算措置を要求していきたいというように思っております。

笠委員 時間が来ましたので、終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうは、私、午前中も少し議論になっておりましたが、教員の働き方改革、これを中心に質問をいたします。

 十月の十五日の日に学校における働き方改革特別部会の中で意見のまとめ及び今後の方向性が示されて、その中で、委員の中で議論が精力的に交わされているというふうに承知をしております。最初に、このいわゆる今後の方向性の内容について何点か尋ねたいと思います。

 そこには、二ポツとして、「勤務時間管理の在り方と時間外勤務の縮減方策について」、このような題がついたところに幾つかのことが書かれております。その中の一つに、働き方改革推進法で法定化された勤務時間の上限、これを強行法規とした場合、教師の専門性を生かした臨機応変な判断や対応が阻害されることになるとしています。これは一体どういう意味なんでしょうか。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

永山政府参考人 教師の勤務時間制度につきましては、現在、御指摘のとおり中教審で議論が行われておりまして、御指摘の十月十五日の学校における働き方改革特別部会の資料、これは、それまでの委員の御発言を事務局でまとめまして審議に供したものでございまして、まだ、中教審としても、文科省としても、特に何らか意思決定がなされたというものではございません。

 その上で、御指摘の点ですけれども、中教審におきまして、勤務時間の上限を法定し、罰則によりこれを遵守させるということについては、現行法制上、国家公務員ですとかあるいは一般の地方公務員と同様に教育公務員には適用されていない、さらに、こうした場合に、勤務時間の解釈に厳密さが求められて、教師による専門性を生かした臨機応変な判断や対応がかえって阻害されることが考えられるために、慎重であるべきといった御意見をいただいているところでございます。

 今後、中教審の審議で更に審議を深めていただきまして、文科省として、中教審の審議を踏まえて、教職の専門職としての教師にふさわしい勤務環境の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 よくわからないんですが、確かに、地方公務員、国家公務員それから教育公務員、今回の働き方改革からは外れておりますが、自治体のも含めまして地方公務員については今議論がされて、人事院勧告の中にもそうしたことが触れられております。

 私は、いわゆる公務員がそこから適用除外になっているということを聞いているんではないんです。その後段の、専門性、臨機応変な対応、これができなくなるというのは、一体どういう意味なのか。

 強行法規は適さないといいますか、そういうことを言われておりますけれども、今回の働き方改革は、月四十五時間、年間三百六十時間、これが上限であります。ということは、つまり、ここに集まられているこの特別部会の方々は、教員というのは月四十五時間の超過勤務を超えて当たり前だ、あるいは年間三百六十時間の時間を超えて当たり前だというふうに考えて議論をされていらっしゃるんでしょうか。

 一分たりとも超勤はだめだというようなふうにはなっていないんですよ。月四十五時間を原則として、これも原則ですから、場合によっては八十時間、百時間未満というのはありますけれども、一分たりともだめだとは言っていないのに、これすらだめだということなんですか、認識としては。

永山政府参考人 必ずしもそういうことではないというふうに認識をいたしております。

吉川(元)委員 いや、でも、書いているとかえって阻害されるというようなことを書かれていて、一分たりとも超勤はだめだというんだったらまだわかりますけれども、少なくとも、働き方改革の中で言われている上限規制というのは、その中でやれば十分可能だというふうに私は思いますし、これは大変不適切なんじゃないかと。教員の働き方を変えていこうというときに、しかも厳密に労働時間管理をしない方がいいというのであれば、今やっていることと全く真逆のことを議論しているのではないかと思わざるを得ません。

 次に、この方向性、もう一つお聞きしたいことがあります。

 時間外勤務手当は業務の抑制にならないとしております。

 確かに、時間外勤務手当を出したとしても、教員の数がふえなかったり、あるいは業務の抜本的な見直しがなければ一人当たりの業務が減らないというのは、これは理解できます。

 ただ、その中で、服務監督権者である市町村の教育委員会が政令市を除くと給与負担者ではないことを理由に、業務の抑制につながらないというふうに言っております。これも意味がよくわかりません。これは一体どういう意味なんでしょうか。

永山政府参考人 これも自治体の委員の方からの御意見でありますけれども、御案内のとおり、市町村立小中学校の教員に時間外勤務手当を導入したとしても、その支出を負担するのは都道府県教育委員会であるために、服務監督権者である市町村教育委員会にとっては、財政支出の面からの勤務時間抑制にはつながりにくいといったことではないかと認識をいたしております。

吉川(元)委員 だとすれば、政令市は市が負担をいたしますが、県が負担をするのであれば、県の方から市町村の教育委員会に対して、非常に残業時間が長い、そして残業手当が非常に過大になっているという指摘をすれば事足りるんじゃないんですか。そして、それによって市町村の方で今行われている業務の見直しをすればいいだけの話であって、普通、どこでもそうですよ。給与を払う箇所と、それから実際に、例えば営業の課と、これは同じ課じゃなきゃ残業を減らすなんということはできないなんという話にはならないわけで、非常にこれも意味がわからないといいますか、ためにするような議論をされているのではないかと言わざるを得ません。

 非常に心配するのは、非常に今、教員の働き方が注目されているのはいいんですけれども、次々と、これまで表に出てこなかった教員の長時間労働が世間の知るところとなって、そういう中にあって、これも以前指摘させていただきましたけれども、教員のなり手、これが減っていくのではないか、使命感を持った、そうした有為な人材が学校に来なくなってしまうのではないか、そういうふうにも思わざるを得ません。

 もう一つ、これは方向性に直接関係するものではありませんけれども、文科省がことし四月一日現在の、学校の業務改善のための取組状況を調査し、結果を公表しております。タイムカードの導入状況、昨年時点から比較しますと、それぞれ、都道府県、政令市、市区町村ともに割合が高まっております。ただ、まだ半分以下という状況ですから、そういう意味でいいますと、まだまだ道半ばだと言わざるを得ません。

 また、これは新聞でも出ておりましたし、私も実際、話を伺いました、そういう同じような話を。タイムカードが入るんですけれども、出勤時のみタイムカードを押して、退勤時にはタイムカードを押さずに帰っている、こういう実態が、実は新聞にも出ましたし、私もそういう話を直接伺いました。これでは勤務時間の管理が、そもそも、何時から何時まで働いたのかというのを調べるのが勤務時間を管理するということであって、何時から働き始めて、何時に帰ったかわからないじゃ、これはお話にならないわけです。

 そういう意味でいいますと、恐らくこの調査は、教育委員会にタイムカードを設置しましたかという質問をかけているんだろうと思いますけれども、教員の皆さん一人一人、それぞれに、きちんと労働時間管理、出退勤の管理が行われているかどうか、これを把握する必要があると考えますけれども、この点はいかがですか。

永山政府参考人 私どもの調査でございますけれども、ことしの四月一日現在で「ICTの活用やタイムカードなどにより、勤務時間を客観的に把握している。」こういう調査項目に回答した数でございますけれども、都道府県で三八・三%、これは昨年同時期で一二・八%、政令市で四五・〇%、昨年同時期四〇・〇%、市町村で四〇・五%、昨年同時期一〇・五%。いずれも、昨年度と比較いたしまして改善が見られるところでございます。

 勤務時間管理でございますけれども、労働法制上、教育委員会あるいは学校の責務とされているところでございますけれども、特に、ことしの働き方改革推進法による改正後の労働安全衛生法では、勤務時間の把握が事業者の義務として法令上明確化されたということでございまして、私どもとしても、労働安全衛生法の改正につきまして、本年十月に、都道府県教育委員会等に通知をいたしたところでございます。各学校において勤務時間を適正に把握するよう、引き続き各教育委員会へ周知をしてまいりたいと考えております。

 それから、御指摘のあったタイムカードの事例ですけれども、当然、業務改善を進める基礎といたしまして、各学校において教員の勤務時間を適正に管理する、極めて重要でございます。タイムカードを出勤時のみ打刻して、帰宅時には打刻しない、そういった、実態と合わない記録を残すことは明らかに不適切でありますから、今後ともきちんと指導してまいりたいと考えております。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 ぜひ、形だけタイムカードを入れたということにならないように、しっかり勤務時間が管理できるような体制をつくっていただきたいと思いますし、また、調査も、ただ単にタイムカードを入れたかどうかではなくて、何時に出勤をし、何時に退勤をしているのかも含めて、きちんと文科省の方で把握をしていただきたいというふうに思います。

 次に、超勤、いわゆる給特法の超勤四項目に関してお聞きをしたいと思います。

 きょうの午前中の議論を聞いていても、ちょっと何かわからなくなってきたんですけれども、意見の取りまとめと今後の方向性の中では、超勤四項目を廃止することも、新たな項目を追加することも否定的であります。

 それに関連する記述の中で、「「超勤四項目」以外の業務のうち校務として行っているものについては、」途中省きますが、「教師が自らの業務として行っているものであることを明確にすべき。」こういう記述がございます。これは一体どういう意味なんでしょうか。私も非常に理解できないのですが、これは一体どういう意味なのか、教えていただけますか。

永山政府参考人 「自らの」というところに余り深い意味はないのではないかというふうに考えておりますけれども、まず、ここで言われている校務なんですが、これは、学校において行われる学校教育の実施のために必要な仕事、具体的には、教育課程に基づきます学習指導は当然ですけれども、学校の施設設備、教材、教具に関するもの、あるいは、文書作成処理、人事管理事務、会計事務等々の内部事務に関するもの、それから、教育委員会、PTAとの連絡調整の渉外に関するもの等々、基本的にこれらが含まれるものでございます。

 なお、公立学校の教師につきましては、いわゆる給特法の規定により、超勤四項目に該当しない業務については時間外勤務を命じることはできませんけれども、正規の勤務時間を超えて超勤四項目以外の校務を行っているのは、時間外勤務命令はないものの、学校教育の実施のために必要な仕事を行っているというふうに整理をされるものと承知をいたしております。

吉川(元)委員 きょう、聞いていまして、以前はよく聞かれていた自発的なものという言葉が、きょうは答弁の中ではほとんど聞かれていませんけれども、文科省としては、この自発的な、労働でも超勤でも何でもいいですけれども、自発的なという考え方は捨てたということでよろしいですか。

永山政府参考人 そこは、捨てたということではなくて、超勤四項目に書いてございます以外の、例えば部活動とか、そういったものについて、そこは呼び方の問題もあるかもわかりませんけれども、自発的なという表現で称することもあろうかと思っております。

吉川(元)委員 では、ちょっと伺いますけれども、学校教育法の三十七条の第四項は何と書いてありますか。すぐ出ない。じゃ、かわりに読みます、時間がないので。

 学校教育法三十七条第四項、「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」とあります。

 校務、先ほど言いましたけれども、校務のうち云々かんかんですから、校務ですから、当然これは校長がつかさどるべきものであります。そこに自発的なものが入り込む余地があるんですか。

永山政府参考人 あり得ると思います。

吉川(元)委員 あり得るということは、校長がつかさどらない校務を教員が自発的に行うことがあり得るということでいいんですね。

永山政府参考人 そこは、例えば、先ほど部活動の例を挙げましたけれども、そういったものをどういうふうに呼ぶか、自発的なというふうに呼んだ場合に、それは校務ということで整理をされるものと考えてございます。

吉川(元)委員 いや、じゃ、例えば、部活というような話が出ましたけれども、先ほど、きょう午前中、かなり同僚議員が質問しておりましたが、テストの採点、これは純然たる校務ですね。これを時間外に行った場合、これは、校長はつかさどっていないということでいいんですか。

永山政府参考人 校長は、校務をつかさどるとなってございますから、それは含まれるということではないかと思います。

吉川(元)委員 ちょっとよくわからない。

 先ほど、つかさどらないものもあると言うから聞いているんですよ。今はあると答えるんですか。一体どっちなんですか。もう一回整理して、答弁してください。

永山政府参考人 先ほどテストの採点等の例を出されましたけれども、これは純然たる校務でございます。校長は、校務をつかさどるということですから、それは含まれるということではないかと思ってございます。

吉川(元)委員 そうしますと、それが時間外に行われているということは、これはおかしなことじゃないんですか。

永山政府参考人 例えば、教師が夜の七時ごろに行う超勤四項目以外の採点とか、そういったものが、先ほど来御指摘の給特法の仕組みにおける勤務時間に該当するのかどうか問われれば、それは多分、それぞれ個別具体に判断されるべきものではございますけれども、超勤命令が出ている勤務ではないけれども、教師がその判断で校務を行うために勤務をしている時間というふうに整理をされるのではないかと考えております。

吉川(元)委員 そうすると、最初の質問に戻るんですよ。学校教育法三十七条第四項で、校長は校務をつかさどるとなっているんですよ。校務をつかさどっている校長があずかり知らないところで時間外の勤務が自発的にみずから行われているとするならば、おかしいんじゃないですか。

永山政府参考人 教員の勤務の態様はさまざまな類型がありますけれども、まず勤務時間内の勤務というのがございます。これは公務としての勤務、当然でございます。公務、公の任務ですね。

 それから、職務命令に基づく勤務時間外の勤務、これは校外実習等、四項目の関係でございますが、その外に、例えば教材研究ですとか部活動ですとかテストの採点とか授業準備、さまざまあるわけでございますけれども、それらが、職務命令に基づかない勤務時間外の活動というものがあるんだろうと思います。これは呼び方ですけれども、それらを自発的な活動というふうに称した場合に、先ほどちょっと公務災害の話も触れましたけれども、その自発的な活動の中で、社会通念上認められる範囲と、公務として認められない範囲というのがあるんだろうと。

 かなり多層的な勤務形態になっているということではないかと考えております。

吉川(元)委員 もう余り時間がないのであれなんですけれども、これは、率直に言わせていただいて、法の不備だと思います、明らかな。それをとにかく取り繕うためにいろいろ言うと、どこかが矛盾を来すようになる。ですから、やはりこれは抜本的に考え方を変えなきゃいけないんじゃないか。

 先ほど、裁判の事例というのがありました。これは、特別部会の中で妹尾さんという委員の方が示されている判例が幾つかあります。公務災害として認められなかった例としてこういうふうに書かれています。

 これは判決文ですよ。校長は期末テストの日程を作成、掲示しただけで、問題の作成、テストの実施、採点を命じていない、テストの作成、採点、今後の指導計画をまとめる作業は教師の自発的、自主的な意思に基づいて遂行されたものである、こういうふうに判決で出ちゃうんですよ。

 だけれども、今さっきのお話だと、これは校務でしょう、純然たる。それが、いろいろな判例があるから、文科省が言われる判例もありますよ、だけれども、こういう判例も出る余地があるわけですよ。それを変えなきゃいけないんじゃないんですかと言っているんです。じゃ、もう大臣に。

柴山国務大臣 問題の所在は恐らく共有されていると思うんですね。

 だから、要は、営利企業などで言う時間外勤務の実態と学校教育における勤務のあり方というのが必ずしも一致していない中で、だけれども、公務災害についてしっかりとした手当てをしなければいけないということと、あとは、そういったコアじゃない業務をどうやって圧縮していくか、そのためには時間管理はきちんとしていかなければいけない。ここを含めて、今、中教審で議論をしているところですので、そこはしっかりと議論を進めていきたいというように思っております。

吉川(元)委員 ちょっともう時間がなくなってきましたので、変形労働時間について一点だけ、少し確認をさせていただきたいと思います。

 突然といいますか、変形労働時間というようなものが出てまいりました。そもそも、この変形労働時間を入れることで勤務時間が減るという話にはならない。先ほどの、給特法を改正して残業手当を出せば労働時間は減るわけではないというふうに言っている人たちが、変形労働時間を入れるとなぜ労働時間縮減に向かうのかというのは、これは私、理解に苦しむところなんですが、ただ、変形労働時間、これについては、当時、労働省がガイドラインを出しております。その中で、この変形労働時間を入れる際にはどういうものが必要なのかということを書かれております。

 その中の一つに、本変形労働時間制においては、あらかじめ業務の繁閑を見込んで、それに合わせて労働時間を配分するものであるので、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度であると。つまり、恒常的に時間外がある仕事については変形労働時間は入れられませんよと書いてあるんです。

 ところが、学校の現場を見ますと、これは他の委員の資料にもございましたけれども、一年じゅう残業は存在をしているわけです、時間外労働は存在しているわけです。その場合に、この変形労働時間というのはそもそも導入することはできないんじゃないんですか。

永山政府参考人 御指摘の点につきましては、中教審でも指摘がありましたけれども、仮に導入するに当たっては、まず、業務の役割分担とか適正化、それから学校の指導、事務体制の効果的な強化充実等々を図ることによって、年間の勤務時間の縮減を徹底することが必要だというふうな御指摘もあります。

 一年単位の変形労働時間の導入が教師の勤務時間の縮減の重要な方策というふうには認識はいたしてございません。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、まだこれ以外にも、きょうは午前中というか午後も含めて英語のことも議論になりました。これも実は準備をしておりましたけれども、また次回、質問していきたいと思います。

 終わります。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本でございます。

 最後のバッターということで、お疲れかと思いますが、おつき合いいただきたいと思います。

 きょうは、高等教育についてと教育基本法についてお尋ねをしたいと思いますけれども、ちょっと幾つかエピソード的なお話をするので、私の話が長くなれば、お許しいただければと思います。

 自民党は、リベラル・デモクラティック・パーティーと、リベラルという名前がついていますし、アメリカで言われるリベラル派みたいな言い方があって、あと、教育に関してリベラルアーツという表現があって、これはどちらかというとイギリス的な解釈かなと私は勝手に思っているんですけれども、高等教育はリベラルアーツであるというような話が、戦後直後にちょっと逸話があって、それを御紹介する中で、高等教育のあり方みたいなのをちょっと探ってみたいというのが最初の議論でございます。

 旧制一高の校長で安倍能成さんという方なんですけれども、一九四五年のアメリカ合衆国占領下、九月半ばごろ、軍隊の施設とみなされていた一高に、施設を軍隊の施設にできるというような意味で、ジープに乗った占領軍の将校団が施設の接収にやってきたときに、カント哲学者でリベラリストの、このリベラルはイギリスのリベラルに近いという私は解釈なんですけれども、安倍先生は英語できっぱりと、これは英語じゃないんですけれども、この一高はリベラルアーツのカレッジです、ここはセイクレッドプレース、聖なる場所であり、占領というバルガー、世俗的な目的のために使わせない、こう言い切って、占領軍の将校たちを黙って帰らせたというお話がございます。

 リベラルアーツという言葉は、非常に高等教育では、この逸話で恐縮なんですけれども、大切な概念ではないかと。よく最近、我々が、価値観を共有している国々だとかという表現を国会の質疑でしますけれども、いわゆるバリューと言われる普遍的価値の一つが、このリベラルアーツではないかなというふうに思っております。

 高等教育の関係について、このリベラルの表現を使ってまた別の示唆に富む表現がありまして、宇沢弘文という、文化功労者になられた方ですけれども、経済学者でもありますけれども、この方が、リベラルアーツというのは教育の仕上げの段階の重要な役割を果たす、学問や芸術、知識であれ文学であれ、専門を問わず、先祖が残した貴重な遺産をひたすら学び吸収し、同時にそれらを次の世代へ受け渡すという営為をする場所だ、一人一人の学生の人間的な成長を図るとともに、それを次世代へと継承する役割がある、こういうふうに高等教育の場を述べておられます。

 そしてまた、ちょっと自由に関する話になりますけれども、ほかの学者の言葉も引用しながらこの宇沢先生は、リバティーとは、フリーダムつまり無制限の自由ではない、他の人々の自由を侵さない限りにおいて自由はある、本来リベラリズムとは、人間が人間らしく生き、魂の自立を守り、市民的な権利を十分に享受できるような学問的営為なり、社会的、政治的な運動に携わることを意味するとも述べておられます。

 ということで、申し上げたような形で、アメリカでは民主党と共和党があって、このリベラルという言葉がどちらかというと民主党側に使われぎみであり、例えばプロライフ、プロチョイスという言葉がありますが、妊娠中絶を認めないのがプロライフであって、プロチョイスが妊娠中絶を認めようじゃないかと。こういう違いの中で、認める選択を与える方がリベラルみたいな形でアメリカの概念はあると思いますけれども、今申し上げてきたような教育に関するリベラルという概念は、本当に自由の意義みたいなところを強調して、学問の独立ともかかわるようなテーマとして我々は考えていかなければならないと思います。

 そこで、ちょっと質問をさせていただきますが、高等教育について、おとといの新聞ですか、二十六日にあった中央教育審議会総会で大臣に対する答申が行われましたと聞いておりますけれども、そもそも教育基本法のことともかかわるんですけれども、大学の条文というのは第七条に書いてあるんですけれども、なぜ、大学院という条文が教育基本法には書かれていないのでしょうか。高等教育の重要度に対する御認識は、文科省、文部大臣はいかがお持ちなのかどうかを伺ってみたいと思います。お願いします。

柴山国務大臣 大学院の現在の高等教育における意味合い、重要性はよく承知をしておりますけれども、あくまでも法的な概念として考えた場合に、教育基本法の大学には大学院が含まれているため、独立した条文が規定されていないということであります。

 ただ、学校制度の基本を定めた学校教育法においては、大学院の目的等が規定をされているところでありまして、大学院を含む高等教育全体については、もう申し上げるまでもなく、ソサエティー五・〇の到来や本格的な人口減少など、社会の変化が激しく、予測不可能な時代の中で、人材育成、イノベーション創出の基盤として我が国の社会や経済を支えることのみならず、世界が直面する課題の解決に貢献するという極めて重要な役割を担っていると考えております。

杉本委員 大学院を出るとなかなか就職先がないとかいうのが一つありますし、日本で大学院教育を充実しようとしても、アメリカ的な、MBAだ何だみたいな部分がちょっと強調され、そっちを追っかけてしまう中で、大学院というのが、法科大学院もどうかという問題はあると思いますけれども、なかなかうまく機能するようでしていない。

 一方で、ノーベル賞のお話も先般させていただいたかもしれませんが、基礎科学とか基礎医学とかそういった分野では、本当にマスターのみならずドクターの人をたくさんつくっていかないと、我が国の知財というか、本当に人的資源という意味では、この高等教育というのを極めて重視していただいていると思うんですけれども、更にしていき、また、そこの部分で教えられる人が本当にいるかどうかという部分も我々は自問自答しつつ、特に今後の教員という部分でも、この高等教育というところで我々は考えていかなきゃいけないなと思っています。

 もう一つだけちょっと。学生と話したときに、一つだけヒントというかもらったのは、大学まで無償化とかいう議論を今していただいていてありがたいけれども、やはり大学院の無償化というのも考えていく必要も考えていただきたいというようなことを大学生から投げかけられたことがございます。

 今、政府の方針は、本当にしっかり勉強している子で財政的な問題があるような子に対する支援というのを中心に考えておられて、私もその点は共有しているつもりですけれども、同じような延長線上の中で、大学院で学ぶお子さんというか、もうお子さんでもない年になっておられると思いますけれども、我が国のある意味で知財をしょって立つ方々についても、そういった無償化的な考え方も我々は視座に入れて、議論の上に対話を重ねていきたいなと思っておりますので、共有していただければありがたく存じます。

 次に、大臣にまた引き続き質問して、その後は役所の方々から御答弁いただければと思っておるんですけれども、教育基本法にのっとったところの教育振興基本計画、この基本計画の人生百年時代を見据えた生涯学習というのがございますけれども、この分野で、昨今言われている就職活動の就職の方が終わりの活動という書き方をして、それをされている方々に御無礼なく申し上げたく存じますが、終活といったものは極めて、我々の年代以上あるいは御高齢の方々向けにはしっかり考えて、生涯学習というテーマの中においては取り上げるべきものではないかなというふうに私は感じておりますけれども、現在のこの生涯学習における高齢者向けの終活といったようなものをテーマにしたプログラムがあるのかないのか、あるいはそういった方向感をお持ちなのかどうか、大臣に確認をさせていただければと思います。

柴山国務大臣 就職活動の就活ではなく、いわゆる人生の終末期を迎えるに当たっての終活ですね、終わりの活動については、確立した定義があるわけではありません。ただ、高齢者が今後の人生を見据えてよりよい自分らしい生き方を考えるような活動も、生涯学習という意味では、今御指摘になった基本計画の趣旨に広い意味で含まれるというように考えております。

 実際の取組におきましても、例えば大学ですとか公民館において、リビングウイルをどうするかとかエンディングノートということについて考えたりとか、こうした今後の人生のあり方を考えることの重要性に鑑みて、いわゆる終活に関する講座がさまざまな形で実施されていると承知をしております。

 いずれにいたしましても、人生百年時代を見据えて、生涯を通じてみずからの人生を設計し活躍することができるように、文部科学省として、引き続き、高齢者等に対する多様な学習機会の提供の促進に努めてまいりたいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 守備範囲が、幼児から、本当に、生涯学習という意味では御高齢の方々まで、大変広い範囲での行政のトップでいらっしゃるわけでありますが、今お話しいただいた点はぜひ進めていっていただきたいなというふうに思っております。

 それで、もう一つ、ちょっとだけ、もう御案内のことなんですけれども、ジョン・デューイという、「デモクラシー・アンド・エデュケーション」という本を書かれている方、十九世紀後半から二十世紀のアメリカの哲学者、この方が、「民主主義と教育」の中の教育の三大原則、一、社会的な統合、二、平等、機会均等、三つ目が、一人一人の知的、精神的、道徳的な側面の発達を助ける、こんなことを言っておられる中で、もう一つ大事なことが、ラーニング・バイ・ドゥーイング、学ぶことは行うことである、ラーニング・バイ・ドゥーイングというようなことを言っておられます。

 今も、生涯学習の中での高齢者の方々に向けてのお話をいただきましたけれども、小さなお子さん、フィンランドの教育は実践教育と言われておりますし、御高齢の方々も体を動かしたりとかいったことも、健康寿命増進とか、ちょっと厚生労働行政になるかもしれませんが、そういった意味から、ラーニング・バイ・ドゥーイングという表現をちょっとまた共有、皆様にしていただければ、私としてはうれしいなというふうに考えます。

 それでは、教育基本法について、残された時間で確認させていっていただきたいと思いますが、教育基本法、概要などを拝見して、確認をして、私の勉強不足も恐縮なんですが、含めてお伺いしますけれども、憲法、もう我が国では今議論をしようという状況の中で、教育基本法、やはり前文というのがあって、そして、第一条に「教育の目的」という書き方がなされておりますけれども、この前文の位置づけはいかなることなのか、第一条の目的との関係はいかなるものなのかというのを改めて確認させてください。

清水政府参考人 お答えいたします。

 教育基本法は、我が国の教育の基本理念を明らかにして、未来を切り開く教育の基本を確立して、その振興を図るものでございます。この前文は、このような法の制定の趣旨、目的を宣言したものでございます。

 一方で、第一条「教育の目的」については、これは、何を目指して教育を行い、どのような人材を育てることを根本的な目標とすべきかという、教育の目標を規定するということでございます。両者については、こういった関係になっているところでございます。

杉本委員 難しいんですけれども、今目標というお言葉をいただいたんですけれども、第二条に「教育の目標」と書いてあって、第一条が「教育の目的」という書き方になっていて、正直、この目的と目標というのが、日本語は難しいと改めて感じるんですけれども、英語で言った方が、ゴールとターゲットなのかなというふうに私は思ったりするんですけれども、この定義づけを、いかにこの第一条、第二条を御当局は認識され、我々はどう理解をきちっとしておくべきなのか、確認させてください。

清水政府参考人 まず一点、申しわけございませんでした。先ほど第一条について、教育の目標と言い間違えておりました。第一条は教育の目的ということでございます。

 そして、今、第一条と第二条との関係、位置づけについての御質問でございましたが、第一条「教育の目的」、こちらは、何を目指して教育を行い、どのような人材を育てるかという根本的な目的、教育の目的を規定しているものでございます。

 その上で、第二条「教育の目標」は、第一条に定める教育の目的を実現するために、今日、重要と考えられる具体的な事項を列挙したという関係でございます。

 以上でございます。

杉本委員 わかりました。

 次に、第三条が生涯学習の概念とあります。ちょっと飛びまして、第十二条に社会教育の概念という言葉がございまして、生涯学習という言葉が最近出てきて、昔からどこかの大学の社会教育学科みたいなのがあって、昔は社会教育と言っていたんじゃないかなと。社会教育という言葉がなくなるのではなくて、存在し続けて、一方で生涯学習という概念が生まれたような気がするんですが、ここの概念の共通点、相違点、どういう区分けをされておられるのか。ここの部分を確認させてください。

清水政府参考人 お答えいたします。

 第三条に規定する生涯学習、これは学習ということですので、学ぶ者に着目した概念でございますが、生涯を通じた全ての学習を包含する概念でございます。したがいまして、学校教育そして社会教育、家庭教育における学習も含まれますし、また、教育というような、教える者がいるわけではない自己学習、自分で学習するということも含めた幅広い概念が、生涯学習でございます。

 一方で、第十二条に規定する社会教育。これは教育でございますが、教育のうち、学校そして家庭に行われている教育は除く、広く社会において行われている教育を指して、社会教育と定義しているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 一部重なるけれども、ちょっと概念的には生涯学習の方が広いというような理解をさせていただきます。

 きょうは午前中に川内先生から、重ねて、当委員会以外でも、財務金融とかでも重ねて御質問をされて、敬意を表したいですが、加計学園のお話がきょうもありました。私学でございます。

 私立学校の助成というものを、我々はいかに認識し、的確に行っていく必要があるのかという点なんですけれども、教育基本法八条に私立学校とうたわれております。この八条の私立学校と、よく言われます、憲法改正の議論の中で、九条の前に、ちょっと矛盾点というか、整合がとれていないんじゃないかと言われている学者先生が結構いらっしゃる憲法八十九条の部分の関係、これをいかに認識しておられるか確認し、いかに我々は私学助成を考えるかという示唆を与えていただきたいと思うんですが、確認をさせてください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の教育基本法八条、これは私立学校に関する規定でございますが、私立学校の重要性に鑑みまして、国及び地方公共団体に対して、私学助成に限らず、情報提供やあるいは経営支援なども含めて、その振興方策を講じる責務を課すものでございまして、私学振興全般の根拠となっているところでございます。

 お尋ねの私学助成とそれから憲法八十九条の関係の問題でございますが、憲法八十九条におきましては、公の支配に属しない教育事業に対する公金の支出を禁じるというものでございまして、私立学校につきましては、学校教育法、私立学校法及び私立学校振興助成法により、学校法人の解散命令など各種の私立学校に対する監督規定が設けられていることから、これらの三つの法律の規定を総合的に判断すれば、憲法八十九条に言う公の支配に属しているものでございまして、私立学校に対する助成措置は現行の憲法上でも問題ないという形で整理されておりまして、これは政府の見解として確立したものとなっているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 私学の助成、医学部の入学の問題もありました。問題が重なっているのか、問題はないのか。あるわけですけれども、きちっとしたお金の使われ方がなされるという意味で、当局の厳しい目を引き続き持って、引き続きというか改めて持っていただきたいというふうにお願いをして、きょうのところはとどめます。

 時間がなくなってきてしまったので、次に、第十条に家庭教育というのがあって、第十一条に幼児期の教育とあります。どちらも国、地方公共団体の役割と明記されているんですけれども、その役割の実践状況はいかなるところにあるかを確認させてください。

清水政府参考人 お答えいたします。

 まず家庭教育でございますが、これは家庭において父母その他の保護者がその子供に対して行う教育ということでございますので、父母その他の保護者が第一義的責任を有するということを踏まえまして、国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するための必要な施策を講じるよう努めなければならないとされているところでございます。

 文部科学省といたしましては、各地方公共団体において家庭教育の支援の取組を行っているところでございますが、そういった地方公共団体の取組を更に支援するという立場になります。

 具体的には、家庭教育支援に関する全国的な研究協議会等を開催すること、また、地域の人材を中心とした家庭教育支援チームといった形で、家庭教育に関する学習機会の提供、保護者への相談といったものを行っている地方公共団体に対する補助を行うということ、また、今課題を抱えた保護者もふえてきておりますので、訪問型の家庭教育支援のモデル開発、普及、そういったところに取り組んでいるところでございます。

 一方で、幼児期の教育につきましては、こちらは幼稚園なども含んだ幼児期の教育ということでございますけれども、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでございますので、教育基本法十一条においては、国や地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならないとされております。

 文部科学省としては、幼稚園に関しては、幼稚園の設置基準、幼稚園教育要領等により、教育、保育環境の整備や、教育内容、内容面の質の確保、幼稚園就園奨励費補助による幼児教育の段階的無償化を推進すること、幼稚園の施設整備等に関する補助、また、地方公共団体における幼児教育推進体制の充実等を通じました幼児教育の質の向上、また、幼稚園における預かり保育の推進等による子育て支援の充実、こういった取組を通じまして、幼児教育の振興を図っているところでございます。

杉本委員 時間となりました。

 グローバル人材の目標達成状況、いかに図っているのか。あるいは、基本計画の中に英検三級、準二級とかいう表現があって、英検って古いんじゃないかなといまだに思っておるんですけれども、それは私が正しいのかどうか含めて、また残余の質問はさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

亀岡委員長 次回は、来る三十日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十四分散会


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