衆議院

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第5号 平成31年3月22日(金曜日)

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平成三十一年三月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 神山 佐市君 理事 馳   浩君

   理事 宮川 典子君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      池田 佳隆君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      岡下 昌平君    熊田 裕通君

      小林 茂樹君    小林 鷹之君

      下村 博文君    白須賀貴樹君

      高木  啓君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    川内 博史君

      初鹿 明博君    村上 史好君

      吉良 州司君    牧  義夫君

      稲津  久君    中野 洋昌君

      畑野 君枝君    杉本 和巳君

      吉川  元君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   三上 正裕君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   参考人

   (独立行政法人日本学生支援機構理事長代理)    大木 高仁君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     穴見 陽一君

  船田  元君     小林 鷹之君

  宮内 秀樹君     岡下 昌平君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 佳隆君

  岡下 昌平君     熊田 裕通君

  小林 鷹之君     船田  元君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     宮内 秀樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 大学等における修学の支援に関する法律案(内閣提出第二一号)

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、大学等における修学の支援に関する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として独立行政法人日本学生支援機構理事長代理大木高仁君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官原宏彰君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、外務省国際法局長三上正裕君、文部科学省総合教育政策局長清水明君、初等中等教育局長永山賀久君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、大臣官房審議官八神敦雄君及び子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。村上史好君。

村上(史)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの村上史好でございます。

 きょうは、先般、私が代表質問をさせていただきました大臣答弁を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、東京福祉大学の問題について伺いたいと思います。

 今回の学校教育法の一部改正案でも、その趣旨に、大学等の管理運営の改善を図るためとうたっております。大学の管理運営が問題視されているのが、先週の参議院予算委員会で我が党の石橋議員が指摘をした、東京福祉大学で留学生が毎年数百人規模で所在不明になっている問題でございます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 文科省では、三年前からこの問題を把握していたと聞いております。なぜ対応せず放置してきたのか、その点について伺いたいと思います。

柴山国務大臣 お答えをいたします。

 文部科学省では、各大学等に発出した通知に基づいて、外国人留学生の退学者、除籍者、所在不明者の数の報告を受けるとともに、法務省から各大学の不法残留者数について情報提供を受けております。これらの数が全体として極端に多いかどうかというところには、当然のことながら着目をしているところです。

 東京福祉大学から報告を受けた除籍者、退学者等の数は、平成二十七年度から増加傾向であることは把握をしておりましたが、不法残留者数は、平成二十九年度になって初めて法務省を通じて増加を確認したところであります。同大学から文部科学省への届出は期限どおりに提出されていなかったこともあり、おおむね平成二十九年度の報告が出そろった段階で所在不明者数がゼロであったこと、及び、これまでに寄せられた複数の情報を照らし合わせ矛盾が生じていることから、対応をとり始めたものであります。

 同大学で不法残留者数及び除籍者、退学者などの人数が極端に増加をしているという実態を踏まえ、早急に大学等に対して実地調査を行い、実態を把握してまいりたいと考えております。

村上(史)委員 大学側からの報告では行方不明、所在不明がゼロだという報告だったので把握できなかった、簡単に言えばそういうことだと思いますが。

 ただ、この大学は、留学生の在籍者数が、二〇一八年で、早稲田大学に次いで全国二位という数に上っております。一般入試で在学する学生は四千人余りと聞いておりますけれども、留学生が五千百三十三名となっております。一般学生よりも留学生の方が多い、こういう大学は、他の大学を見ても一つもないというのが実態であります。正規課程に所属する者が九百二十五名で、非正規課程が四千二百八名という数字になっております。

 また、この大学は、二〇一一年度から経常経費補助金の交付五〇%カット、一二年度五〇%カット、一三年度五〇%カット、一四年度は二五%カットとなっております。このカットをする理由、やはり管理運営できていないということだと思います。それと符合する形で、平成二十七年からこの大学では授業料収入等、およそ十二億円もふやしている。

 こういう実態を見るならば、管理監督責任者として文部科学省はもっと徹底した調査をすべきではなかったかと思いますが、その点についていかがでしょうか。

柴山国務大臣 東京福祉大学は、平成十年に大学新設の許可申請がなされました。

 大学設置・学校法人審議会においては、学問的、専門的な観点から審査が行われた結果、申請のあった設置計画が大学設置基準等の法令に適合するとして、設置を可とする審議会の答申がなされ、認可をいたしました。

 その後、東京福祉大学からは、平成二十三年に経営学部及び大学院経営学研究科の新設の許可申請がなされました。

 ただ、審議会の審査の過程を通じて、今御紹介があったように、それに先立つ平成二十年に刑事事件を起こして実刑判決を受けた元理事長を、文部科学省への報告などに反して学校法人の運営に関与させていたことなどの問題点が判明をしたところでありまして、学校法人の管理運営に関する要件を満たすとは認められないことから、先ほどの申請に対し設置を不可とする審議会の答申がなされたことを踏まえて、不認可としたところであります。

 留学生の受入れに際しては、各大学は真に修学を目的とした者を選抜し、責任を持って在籍管理を行うべきであり、通学実績がないにもかかわらず、定員充足のために留学生を受け入れている事実があるとすれば、大変ゆゆしき問題であると考えます。

 先ほど申し上げたとおり、文部科学省としては、法務省と連携して本事案について早急に詳細な実地調査を行い、修学の実態があるかどうかを確認し、必要な改善指導を行ってまいりたいと思います。もし、その結果、留学生の在籍管理に適正を欠くなど管理運営が不適正であることが判明した場合には、私立大学等経常費補助金の減額又は不交付等の措置に加え、法務省と連携しつつ、同大学への留学生の在留資格審査の厳格化を図るなど、さらなる取組の強化に進んでいきたいと考えております。

村上(史)委員 大臣も相当この問題は厳しく追及していこうという意思の表明だと受け取りました。

 本当に、この大学、余りひど過ぎて言葉にあらわすのもどうかなと思うぐらい、いわゆる創設者で元総長は、複数のわいせつ行為で実刑判決二年を受けた。しかし、その後、服役後、大学に事務総長として復帰をして、大学の運営に当たっていた。そういうさまざまな問題を踏まえて、先ほど、新たな学部、学科の設置は不可になったということだと思います。

 また、この大学の理事の中に、安倍政権の現役の副大臣の名が挙がっております。また、現学長の周辺でも、複数の政治家の名前が挙がっております。

 文科省は、このことを把握しておられますか。

柴山国務大臣 東京福祉大学を設置する学校法人茶屋四郎次郎記念学園の理事の中に、おっしゃるとおり、現職の国会議員がいるということは承知をしておりますが、その他の方については承知をしておりません。

村上(史)委員 その他の方は、元自民党の代議士と、元自民党幹事長の経験者の御子息、今現在、代議士をされている方でございます。

 ただ、問題がまだ明確になっていないので、私としても固有名詞はきょうは避けたいと思いますが、この問題がもっと大きなことに、あるいは犯罪に触れる内容になってきた場合は、きっちりとそのことは明確にしていきたいと思いますけれども、現に、現役副大臣が理事に名を連ねるということは問題がないのかどうか、その点について見解を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 学校法人における理事の選任については、当該学校法人の寄附行為に基づき、法人の責任において行うべきものであるというように考えております。

村上(史)委員 最後に、いま一度大臣の決意を伺いたいんですけれども。

 このいわゆる留学生をめぐる行方不明の問題、結局、留学生を隠れみのにして、在留資格を取って不法就労を目的とする留学生が多数いたのではないか、そのことを今後私たちも追及していきたいと思いますし、また、大学側が、そのことを認識をしながら、授業料等を集めるために留学生を集めていたということになれば、大学自体が大きな犯罪を犯したことになります。

 そういう点で、今後、徹底した究明が必要だと思います。改めて、大臣の決意、真相究明に向けての決意をお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 徹底究明等、毅然とした対応をとってまいります。

村上(史)委員 期待をしたいと思います。

 それでは、大学等における修学支援に関する法律案について質問をさせていただきます。

 先般の本会議でも、消費税引上げの最終決定時期について私は質問いたしました。官房長官は、リーマン・ショック級の事態が起こらない限り予定どおり実施をすると答弁をされました。時期を明らかにはされませんでしたけれども、今までの例でいくと、リーマン・ショック級でなくても、日本の経済状況が悪ければ延期をしてきた経緯があります。

 この法案の施行期日は、消費税率の引上げを前提としております。引上げが延期された場合、本法案の施行はいつになるのか、これが大きな問題だと思います。

 また、いつまでも消費税増税の決定を保留し続けることによって、この法律案による支援措置を前提に進学を考えている、現在高校三年生の生徒たちに不安感を与えているのではないか、そのように思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 消費税率の引上げについては、政府としては、反動減などに対する十二分な対策を講じた上で、法律で定められたとおり、ことし十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定です。

 文部科学省としては、これを前提として、来年四月からの高等教育の無償化の実施に向けて、着実に準備を進めていく方針でございます。

村上(史)委員 私の質問とは全く異なる答弁だと思います。この不安感に対してきっちりと政治の側で応えていく、それが必要ではないか、そのことを指摘しておきたいと思います。

 続きまして、消費税率の引上げが延期された場合の本法律案の行方について。

 大臣は、高等教育の無償化は消費税率の引上げを前提として実施すると答弁を繰り返しておられます。消費税税率の引上げがなかった場合、本法律案は実施されないという理解でよろしいんでしょうか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案は、消費税法の改正日、すなわち消費税率の引上げ日として既に法律で定められております平成三十一年十月一日の翌年である二〇二〇年四月一日までの間において、政令で定める日から施行することとしております。

 したがいまして、消費税率の引上げを前提として、来年四月からの高等教育の無償化実施に向けて、着実に準備を進めてまいるという考えでございます。

村上(史)委員 お答えは全然納得はできません。その時期について、またその影響について、全く述べようとはされない。

 ただ、リーマン・ショック級の出来事が起こった場合再々延期になりますが、ということは、国民経済が悪化をし、また家庭の経済状況も悪化をするということが容易に想像ができます。そういうときだからこそ、この法案の支援措置を必要とする人が多くなる。また、進学を諦めざるを得ない方が多くなる。そのような状況下で本法律案が施行されないということは大変不合理に思いますが、その点について、大臣の見解を伺います。

柴山国務大臣 まず第一点目として、今おっしゃったような事柄が生じないように、ことし十月にしっかりと消費税率の引上げができるような環境を整えるために、政府として全力を尽くすということであります。

 そして、後段の、仮にリーマン・ショック級の出来事が起こった場合、逆に支援の必要性は更に高まるのではないかという御指摘なんですけれども、例えば大規模災害あるいは経済危機の状況における学生等の修学支援として、東日本大震災直後における被災学生等に対する修学支援のための措置としての授業料減免あるいは貸与型奨学金の無利子の貸与人員枠を拡充するなどの措置をとり、また、家計が急変したときの対応策として、貸与型奨学金における無利子の緊急採用奨学金が利用できることとするほか、国立、私立大学などにおいて家計急変等を対象とする授業料等減免に要する費用を交付又は補助しているところでありまして、もしそのような事態が発生した場合には、これらの事例等も踏まえ、適切に対応していきたいというように考えております。

村上(史)委員 そういう、経済状況が悪化した場合、緊急的にさまざまな施策を打つ、これは当然だと思うんですけれども、この法案の趣旨からいえばおかしいじゃないかということはきっちり指摘をしておきたいと思いますし、私がなぜ消費税増税の実施、また再延期にこだわるかというのは、本施策が消費税増税の是非に左右される、このことが大きな問題点であり、この法律のたてつけの欠陥だと思います。やはり、修学支援は文部科学行政の政策としてきっちりと位置づけ、財源を文科省予算として位置づけるべきだ、そのことを主張して、次に移りたいと思います。

 少子化の進展への対処にどのように寄与するのかという質問に対して、大臣は、低所得者世帯に対して大学等における修学への経済的負担を軽減することは少子化の進展への対処に資するものと考えていると答弁をされております。しかし、なぜ少子化の進展になるのか、その根拠はお示しではありません。この根拠を教えてください。

柴山国務大臣 高等教育機関への進学率について、全世帯では約八割であるのに対して、住民税非課税世帯では四割程度と推計しており、全世帯の半分程度にとどまっております。

 このような進学率の差異を踏まえると、低所得者世帯では、家庭の経済的理由により進学を断念するケースがあると考えられます。こういった低所得者世帯に対して大学等における修学への経済的負担を軽減することは、経済的理由から進学を断念することなく、希望に応じて質の高い大学等へ進学できるという見通しが立つことにつながることから、子供に満足な教育を受けさせられないのではないかという親御さんの懸念を払拭することにつながり、ひいては少子化の進展への対処に資するものと考えております。

村上(史)委員 大変苦しい御答弁だと思います。

 子供を産み育てる、夢を持って育てていく、しかし、将来大学に入るときに大変なんじゃないかな、そういう判断で、子供を産む、産まない、判断をするということは少ないと思います。やはり、今回の法案は、修学支援、困っている学生たちの経済的な支援をする、これがやはり素直な見方ではないでしょうか。

 続きまして、「真に支援が必要な低所得者世帯の者」について、「真に」とは、あるいは、低所得世帯の者全てを対象としないのはなぜかという質問に対して、大臣のこの間の御答弁は、全くすれ違った内容となっておりました。

 改めて問いたいと思います。真に支援が必要な低所得者の者の、「真に」とはどういうことなのか、なぜ低所得者の者全てを対象としなかったのか、この二点、改めてお答えください。

柴山国務大臣 まず、それに先立ちまして、先ほど御主張になられた、経済支援であって少子化対策ではないのではないかという、御質問というか御意見でしたけれども、例えば、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査、これは二〇一五年度版ですけれども、予定子供数が理想子供数を下回る夫婦に対してその理由を尋ねたところ、三十歳未満では七六・五%、三十歳から三十四歳では八一・一%が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという理由を挙げています。

 また、内閣府の結婚・家族形成に関する意識調査、平成二十六年度では、どのようなことがあればあなたはもっと子供が欲しいと思うと思いますかとの、これは複数回答での質問に対しまして、将来の教育費に対する補助が六八・六%となっております。

 このようなデータから、子育てや教育にかかる費用が少子化の要因の少なくとも一つであるというように考えられ、低所得者世帯に対して大学等における修学への経済的負担を軽減することは、私は少子化の進展への対処に資するものであるというように考えております。

 その上で、御質問の、「真に支援が必要」の「真に」とは何かということでありますけれども、今回の支援措置については、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況を踏まえて、住民税非課税世帯の学生に対して授業料等減免と給付型奨学金をあわせて措置するとともに、住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生についても段階的な支援を講じることとしております。

 こうした支援対象者については、高校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、本人の学習意欲や進学目的を確認することとしております。

 したがいまして、「真に支援が必要な低所得者世帯の者」とは、具体的には、住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯の学生であって、高校の成績だけで判断せず、明確な進路意識や強い学びの意欲を確認して対象とされた学生ということになります。

村上(史)委員 全く納得できません。

 子育てする場合、いわゆる教育費の負担というのが大きな要因として少子化にもブレーキがかかるというのはわかるんですけれども、ですから、だからこそ公的な予算をアップして教育費の家計での負担を軽くしていく、これが本来の目的であります。少子化対策という形ではなくて、本来の形にやはり戻るべきだと思います。

 次に、今大臣からもお述べになりましたけれども、配付資料をごらんいただきたいと思いますが、これは段階的な支援のイメージであります。

 今大臣がおっしゃったように、非課税世帯、これは満額支給をする。しかし、二百七十万円を超えて三百万円、これは三分の二に削減をする。そして、三百八十万になれば三分の一にする。三百八十一万になれば、いわゆる崖です、もらえない方々がここの中に入ってくる。果たしてこの数値に合理的な理由があるのか、甚だ疑問であります。

 合理的な理由と、対象者と非対象者が分かれる不公平感を持つというのはこの表から見ても否めないと思います、この点について御見解を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 先ほど来申し上げているとおり、高等教育の無償化は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることや、大学などに進学せずに働いてみずから生計を立てる者との不公平性などを踏まえ、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯に限って実施をすることとしております。

 ただ、支援を受けない世帯との間に今御指摘のような大きな崖が生じることが極力ないよう配慮する観点から、住民税非課税世帯に加えて、これに準ずる世帯についても複数の段階を設けて支援することとしつつ、学生に対して迅速な支給を行う観点から、支援額の細分化に伴う事務的な手続の複雑化にも同時に配慮をしつつ、また、他の給付制度も参考とする中で、全体で、お示しいただいた三段階の区分としているところであります。

 また、進学前の明確な進路意識と強い学びの意欲や進学後の十分な学習状況をしっかりと見きわめた上で学生に対して支援を行うこととしており、特に、大学などへの進学後は、その学習状況について厳しい要件を課し、これに満たない場合に支援を打ち切る制度としております。

 こうした仕組みによって、支援を受けた学生が大学などでしっかりと学んだ上で、社会で自立し活躍できるようになることで、格差の固定化の解消にも資すると考えております。

村上(史)委員 全く合理的な理由はお述べになりませんでした。

 三百八十万円で崖が来る、三百八十五万の年収の人、その違いはどこにあるんですか。生活の厳しさというのは、年収で五万円あるいは十万円違ったといっても同じように苦しいはずです。ですから、このように選別をするのではなくて、全てを対象とする、必要とする学生に支援をする、そういう法案にすべきだ、そのことを強く主張したいと思います。

 次に、支援打切りについて一点だけ伺いたいと思います。

 例えば、成績不良で支援が打切りになった場合、過去に支援された授業料等減免措置と学資支給金の返済義務は生じるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 ちなみに、崖があるということについての御主張だったんですけれども、当然のことながら、低所得者世帯に対する対策というのは、この学費免除あるいは給付型奨学金以外にもさまざまなメニューがあるということはぜひ御理解をいただきたいというように思います。文部科学省だけでなく、政府全体で取り組ませていただきます。

 その上で、今回の支援措置についてでありますけれども、大学等への進学後は、その学習の状況について一定の要件を課し、これに満たない場合は支援を打ち切るということとしております。その支援打切りの要件のほかに、修得単位数や学業成績が一定以下の場合には警告を行い、これを連続して受けた場合には支援を打ち切ることとしております。

 これらによって支援が打ち切られた場合であっても、そのことをもって直ちにこれまで支援した金額の返還などを求めるわけではありません。ただ、例えば、打ち切られた者が、支援を受けていたにもかかわらず授業への出席の実態がなかった場合など、学業成績が著しく不良であり、返還を求めることにつき相応の理由がある場合には、その年度の始期にさかのぼって返還等を求める方向で検討をしております。

 なお、学業成績のほかに、停学の処分を受けた場合などについても支援を打ち切ることとしておりますが、この場合、懲戒のためになされた退学、無期停学又は三カ月以上の停学の処分を受けた場合には返還を求めることを検討しております。

村上(史)委員 質疑時間が参りました。ほかにたくさん用意はしていたんですけれども、また次の機会をいただいて質問をさせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

亀岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 この法律案、先日の参考人質疑でも、高等教育の無償化に向けて一歩前進なのか半歩前進なのかという議論があったわけですけれども、大臣の提案理由の説明あるいは法律案の解説の資料等は、総合的な少子化対策を推進する一環というふうに書いてあって、高等教育の無償化の一環という言葉はどこにもないわけでございます。

 そこで、まず改めて確認をさせていただきたいのは、野田内閣のときに、国連人権規約に基づく高等教育の漸進的な無償化を目指そうねということを閣議で決定し、留保を外すということを国連に連絡を我が国政府はしているわけでございますが、本法律案は、そもそも高等教育の無償化の一環としての法律案なのかということを大臣にまず確認をさせていただきたいと思います。

柴山国務大臣 今御紹介をいただきました国際人権規約において、無償教育の具体的な方法については特段の定めをしておらず、その範囲や方法を含め、具体的にどのような方法をとるかについては加盟国に委ねられております。

 文部科学省としては、財政や進学率などその時々の状況を総合的に判断をしながら、具体的には、給付型奨学金制度の創設を始め、奨学金制度を充実させるなど、教育費負担の軽減に努めているところであります。

 今回の法案は、少子化対策が目的ではありますが、真に支援が必要な学生に対して確実に授業料等が減免されるよう、大学などを通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するものでありますので、御指摘になられた無償教育の漸進的導入の趣旨にもかなうと認識をしております。

川内委員 そうすると、この法律案の提案理由説明の中に、高等教育の漸進的な無償化の一環として、あるいはその趣旨に沿うものとしてという言葉をきちんと入れておかなければならないというふうに私は思いますが、なぜ提案理由あるいは趣旨説明の中にその言葉をお入れにならなかったのかという理由をお聞かせください。

柴山国務大臣 御主張は理解できますが、提案理由説明は、法律の案文の内容に即してその概要を御説明するものと考えておりまして、今回の提案理由説明では、少子化対策を目的とすることなどについて述べたものの、そういう趣旨説明を踏まえ、漸進的無償化については言及をしなかったところであります。

 御主張のとおり、授業料の減免あるいは給付型奨学金の支給が無償教育の漸進的導入の趣旨にもかなうということは、当然のことながら認識をしております。

川内委員 なぜ私がこんな小じゅうとみたいなことを大臣に言うかというと、総理の施政方針演説の中でも、幼児教育の無償化という言葉はあるんですが、高等教育の無償化という言葉はないんですね。累次の閣議決定文書でも、高等教育の無償化という言葉が、一年ぐらい前までは入っているんですけれども、最近は、高等教育の無償化という言葉が閣議決定文書からはなくなっている。この法律案の概要について合意された文書は関係閣僚合意ということになっているということで、ちょっと心配をしているのですね。

 したがって、文部科学大臣の意思として、高等教育の無償化に向けて、それは十年かかるのか、二十年かかるのか、三十年かかるのか、それは今大臣が御説明になられたように、その時々のさまざまな情勢に応じて施策というものが講じられていくのでしょうが、日本国政府の方針として、誰もが機会均等に高等教育を受けられるようにしていこうね、そういう方針は持っているよということをしっかりと、累次、法律案の提案理由の中でも表現をされていくことが、多くの子供たちに希望を与えることにつながるのではないかというふうに思います。

 そこで、衆議院ではもう提案理由は説明されてしまっているので、またこれを変えろと言うと、変える変えないでいろいろありますから、もしこの法律が通って参議院に回っていったとしたら、参議院での提案理由の説明のときには、高等教育の無償化の一環という言葉をしっかりと入れるべきであるというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

柴山国務大臣 今御指摘になられた一環という表現が、今回の、要するに趣旨説明、提案理由説明ということになじむかどうかということも含め、検討させていただきます。

川内委員 これは大事なことだと思うんですよ、政府の意思を示すという意味において。馳筆頭もそこで、うんうん、そうだそうだとうなずいていただいているので、ぜひ政府・与党の中で御検討いただいて、やはりそういうことをきちんと、一環なのか、その趣旨に沿うものという言葉なのか、その細かい文言は別にして、そういうものを目指す中の一つなんだよと。

 だから、さっき同僚の村上先生からも、何で三百八十万はよくて三百八十五万だとだめになるの、公正さを欠くではないかという御指摘があったわけですけれども、しかし、その次の施策があるんだよということを政府として示す意味においても、そういうことというのは必要なんじゃないか。ぜひ御検討いただいて、また大臣の今後の御発言に注目をしてまいりたいというふうに思います。

 ところで、これは進学率を四割から八割にするんだと言っているのか、それはあくまでも努力目標なのか、そして、それはいつまでに達成されるものなのか、工程表などはあるのかということを教えていただきたいと思います。

伯井政府参考人 今回の高等教育の無償化につきましては、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあるということなどを踏まえ、低所得者世帯に限って実施するものでございます。これにより、低所得者世帯の進学を後押しし、低所得者世帯の進学率は、今回対象となる住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の進学率、現状四割でございますけれども、これが全体進学率の八割まで上昇することを目指していくということでございます。

 具体的な期限は設けていないわけでございまして、現時点では進学率向上に向けた工程表というものは作成しておらないわけではございますが、まず、この新制度を着実に実施し、毎年の実施状況というのを踏まえて、進学率を含めた効果検証をしっかり行っていきながら進めてまいりたいと考えております。

川内委員 そうすると、特に何か、例えば来年の四月から始まるとして、来年はこうしようとか再来年はこうしようとか、具体的な目標が、いつまでにというのもないみたいですから、最終的に八割になればいいね、来年はこうしようというのもあるわけではないということみたいですけれども。

 では、大臣の会見では、この法律が全てうまくいったとしたら七千何百億か所要額が必要になるよという御説明がされているわけですけれども、来年、ことしの夏の概算要求、幾ら要求をするおつもりなのか、この法律案について。それはもう具体的に固まっているんでしょうか。大体こんなものだということがあるんでしょうか。

伯井政府参考人 新制度の初年度となる来年度、平成三十二年度分につきましては、まだ現状においては固まっておりません。

 住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の進学者及び在学者の状況、さらには、専門学校も含めた高等教育機関のうち、その機関要件の確認状況などについてどのように見込むのかといったことも含めまして、概算要求に向けて精査してまいります。

川内委員 まだ固まっているわけではないと。

 それでは、七千六百億この法律案のために必要なんだよと言って、参考人の方からも出ていたんですけれども、その七千六百億で八割に達するまでの間、それは九割になるかもしれないし十割になるかもしれないわけですけれども、とにかくこの法律案にのっとって、消費税増税分の財源を確保していきますよというふうに政府的にはおっしゃっていらっしゃるわけです。

 大臣がおっしゃっていらっしゃる七千六百億のうち、来年はこれだけ使うよ、再来年はこれだけだよと差額が出るわけですけれども、参考人の方もおっしゃっていたんですけれども、その差額というのは一体どうなるんですかということを教えていただきたいと思います。

伯井政府参考人 今御指摘いただきましたように、今回の大幅な支援拡充によりまして、支援対象の世帯の進学率が大きく上昇し学生数が増加した場合にも、支援の要件を満たす学生が支援を確実に受けられるように必要な財源をしっかり確保するという観点から、所要額については最大七千六百億円程度と想定しているところでございます。

 これが残余のものが出た場合ということでございますけれども、そもそも今般の消費税率の引上げの増収分は社会保障の安定化と医療、介護、子育てなどのさまざまな充実に充てられるということでございますので、そういったことであるというふうに承知しております。

川内委員 七千六百億というこの法律案が必要とする所要額について関係閣僚合意というものがされているということなんですけれども、この関係閣僚にはちゃんと財務大臣も入っているんですよね。

伯井政府参考人 昨年十二月に関係閣僚合意を行いまして、財務大臣も入っております。

川内委員 この所要額についてきちんと確保をされていくことが無償化の漸進的な実現というものに資するものになっていくというふうに思いますので、しっかりと計画を立てていただいて、なるようになるということではなくて、しっかり子供たちの機会均等に資するような制度にしていただきたいというふうに思います。

 そこで、提案なんですけれども。非課税世帯、そして準ずる世帯の子供たちに対して支援をする、そうすると崖が生じますね。さっき文科大臣は、いや、それ以外にもいろいろな施策を講じているんだ、理解してくれよ、こうおっしゃっていらっしゃった。さらに、この前の参考人質疑では、有利子奨学金のことについて、もうとにかくみんな大変なんだ、ここを何とかしてくださいよという悲痛な訴えもあったわけでございます。

 まず、そこで、事実として前提を確認したいんですけれども、現在の有利子奨学金を無利子奨学金とするためには、日本学生支援機構の利息収入、これを税金で補填するという方法をとらざるを得ないわけでありますけれども、年間、幾らの財源があれば実現できるのか、現在の経済情勢、金利情勢で幾らあれば有利子を無利子にできるのかということについて、教えていただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 有利子奨学金の利息収入という点でいいますと、日本学生支援機構の二〇一七年度決算において、約三百五十億であると機構より聞いております。

 ただ、この利子というのは、将来的に金利が上昇した場合にはこの額も上昇するというものでございます。

川内委員 大臣、今、御回答があったわけですけれども、三百六十億、三百五十億ですね、三百五十億の所要額で有利子奨学金を無利子奨学金にすることができる、現在の金利情勢であればという前提がつくわけですけれども。

 これは、私は何よりもすぐ取り組むべき課題なのではないかという思いを持っておりまして、せっかくこの法律案を政府・与党として世に出されようとしているのであれば、参考人の方々の中からも指摘が出ていたこの問題について、文科大臣として、早急に検討し、政府部内でこれが実現できるものなのかどうか考えてみるよという力強い見解をこの場で御披瀝をいただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。

柴山国務大臣 利息なんですけれども、今、現時点、大変低利であります。こういった極めて低利の利子なんですけれども、それでも利子収入が三百五十億円ということであります。

 もし、国費によって利子を補給するという方式で有利子奨学金の無利子化を行うということになりますと、将来的に金利が上昇した場合には、国の財政支出が予想できない形で増加をするなどの課題がありますことから、慎重な検討が必要になると考えております。(発言する者あり)

川内委員 今、吉良先生からも、金利が上昇したら、それは国そのものがもうめちゃめちゃ大きな問題になるだろうという御指摘をいただいて、私も、なるほどな、そう思うわけですね。

 だから、現下の情勢の中で本当に苦しんでいらっしゃる方たちが多くいるということを踏まえると、慎重に検討するのではなくて、前向きに、積極的に検討するという言葉が必要なのではないかというふうに思います。

 文科大臣、文科大臣のこの場での発言は、必ず実現をしていく発言になりますから。事務方は慎重に検討を要するというふうに答弁書を書いているかもしれませんが、ここで文科大臣が、いや、それは積極的にちょっと検討してみたい、検討した結果どうなるかは、それは検討の結果ですけれどもね。とにかく、有利子奨学金という、非常に、余り質がいいとは思えない、ある意味、奨学金という言葉を使いながら単なる貸付金になっている制度について、政府として検討を加えるというのは非常に大事なことだ、それをどうするかということを検討されるのは大事なことだというふうに思うんです。

 積極的に、前向きにちょっと検討してみたいということを言えば、もうこれは大変なことになりますから。言ってくださいよ。

柴山国務大臣 二つありまして、一つは、当初予定の利息なんですけれども、これは、先ほど申し上げたように、現下の低金利下において、極めて低い利率が設定をされております。

 ただ、もう一つ、返済期後の遅延利息、これは実は今五%。ただ、これを今度の民法の改正によって、要するに市場金利に連動させる形で引き下げるということになっておりますので、そこをどうするかということは、これは、より、委員のお言葉をかりれば、どちらかといえば前向きに検討できる部分なのかなというように、これがぎりぎりの答弁ということで、御理解いただきたいと思います。

川内委員 いや、大臣、大臣なんですから、局長がするような答弁をしちゃだめですよ。文科大臣は行政権限を持つキャビネットメンバーのお一人でいらっしゃいますからね。文科大臣が発言したことというのは実現していくんです。

 だから、有利子奨学金を無利子とできるのかどうかということについて検討するわけですから、検討の結果、例えば今大臣が御発言になられたように、民法の改正に伴う遅延損害金の利息、利率の低減ぐらいしかできなかったよということであれば、それはそれで一つの結論かもしれない。

 しかし、非常に社会的にも問題になっている有利子奨学金というものを、多くの子供たちに希望を与え、そして、今社会に出てその返済に苦しんでいる、生活の足を引っ張られている人々にとっても希望を与えていく無利子奨学金にしていくのかということについて、政府として、では、一定、ちょっと検討してみますわということは、大臣、言ってくださいよ。

 検討することをしてくださいと言っているわけですね。無利子にしろとは言っていないんですよ。検討してくださいと言っているわけですから。

柴山国務大臣 慎重か前向きかはともかく、検討はいたします。

川内委員 ありがとうございます。

 次のテーマに移らせていただきますが、これも総理の施政方針演説、先日、この文科委員会の一般質疑で議論をしました、一人親家庭の大学進学率のところですね。

 総理は、「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、」というふうに御発言になられていらっしゃって、この前の文科委員会で、ちょっと時間はかかりましたけれども、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設、この二つの施策と一人親家庭の大学進学率が上昇したことについて因果関係はないというふうに、その事実を認めていただいたわけでございますけれども、それはいいですよね。そういうことでいいですよね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 前回御答弁申し上げましたように、児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設と、二四%から四二%への一人親家庭の大学進学率の上昇とは、直接の因果関係はないと承知をしております。

川内委員 普通に素直に読むと、児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設があったから何か大学進学率が上昇したんだというふうに、政府の施策を一定説明しているように読めてしまうわけですよね。実績を強調しているように読めてしまう。

 だけれども、それはそういうふうに受け取る君らの間違いなんだ、本当はそうじゃないんだということなんですかね。誤解する方が悪いんだということですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、因果関係については、直接の因果関係はないというふうに考えているわけですが、一方、この施政方針演説の中で、「進める中で、」という箇所については、前後の因果関係を示すものではなく、進学に役立つ施策について政府において取り組んできたことをあらわしているものというふうに御理解いただければありがたいと思います。

 因果関係があると捉えた方が悪いのかどうかということについて、なかなか私の方からお答えするというのは難しいんですけれども、政府としても、今この場で御答弁申し上げているように、引き続き丁寧な説明を心がけてまいりたいと思います。

川内委員 今、藤原さんから、こういうふうに御理解いただけるとありがたいんですと御発言があって、そういうふうに素直に理解してくれる人が多ければいいですけれども、全然そういうふうに読めないですよね。何か、いかにも給付型奨学金と児童扶養手当の増額が一人親家庭の大学進学率の向上につながったのだというふうに私たちには読めてしまう。

 そこで、この施政方針演説というのは英語訳が首相官邸のホームページに出ておりまして、その英語訳には、「アズ ウイ インクリーズド ジ アマウント オブ チャイルドリアリング アローアンス アンド エスタブリッシュド ア スカラーシップ プログラム ザット リクワイアーズ ノー リペイメント」というような形で、アズという言葉で、何々なので、何々を理由として、この児童扶養手当の増額と給付型奨学金の創設というものが一人親家庭の大学進学率を向上させたのだというふうに英語訳は出ています、アズと。

 私は、世界じゅうにこういう間違いが発信されているというのは非常に問題であるというふうに思っておりまして、直接の因果関係がないということが確定しているのですから、最低でもこの英語訳は改めるべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣総理大臣の施政方針演説の英語仮訳につきましては、閣議決定をされました和文に忠実となるように翻訳作業を行っているところでございます。

川内委員 今答弁したんですか。

 私、忠実に英訳したものを読むと世界じゅうの人々が誤解するだろうから、変えた方がいいんじゃないですかということを質問したんですけれども。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 総理大臣の施政方針演説につきましては、和文が正文であるわけでございまして、閣議決定された施政方針演説の文言に忠実となるように翻訳作業を行っているところでございまして、御指摘の箇所の英語仮訳を変更する考えはございません。

川内委員 このアズは、では何を意味するんですか。(発言する者あり)

亀岡委員長 不規則発言は慎んでください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 アズの用例そのもので、いろいろな用例があるわけでございますけれども、研究社の英和大辞典第六版の中におきましては、アズの用法の第一の意義といたしましては、何々のときというのが一番に来てございまして、理由のアズにつきましては、これはアメリカではなかなか、もう今は使われないということで、ビコーズないしシンスを使うというような用例になってございますので、私ども、このアズにつきましては、間違ったものとは思ってございません。

川内委員 何々のとき、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設のとき、一人親家庭の大学進学率が上昇したんでしょう。間違っているじゃないですか。因果関係があるように英訳されているじゃないですか。

原政府参考人 この翻訳につきましては、正しいものと理解してございます。

川内委員 自分たちが正しいと思っているから君らも正しいと思え、世界じゅうの人々に正しいと思いなさいというのは、もう今の日本国政府の傲慢さを如実にあらわす御答弁だったなということで、ある意味、敬意を表する、敬服に値する今答弁だったというふうに思います。これは皮肉ですよ。

 施政方針演説は日本語ですから、この日本語自体が私は間違っていると思いますけれども、閣議決定されているものを今さら変えることはできない、君らの読み方が間違いなんだと、今、政府としては御主張されているわけですね。

 英語は別に閣議決定されているものじゃないから、仮訳だから、せめて仮訳ぐらいはきちんと意味の通るものに、誤解のないものにしておいた方がいいんじゃないですかと、私は親切心で言っているんですよ、仮訳だから。それを、ちゃんと意味の通るものにしておきますよというぐらいは、では検討して、変えた方がいい、接続詞の使い方とか前後の時系列とか、変えられるものは変えた方がいいということであれば、変えたっていいじゃないですか、仮訳なんだから。だから言っているんですから。それを、いや、あくまでも正しいんだと言い張るのは子供じみていますよ。

 どうですか。検討して、変えた方がいいですよ。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 正しい英訳だと理解してございます。

川内委員 正しい訳だと思っているんでしょう。

 だから、あなたは正しい訳だと思っているかもしれないけれども。私も英語の学者さんに聞きましたよ。このアズは、素直に読めば、こういう理由によってというふうに、そういうふうに英訳されていると。だって、それはそうでしょう。施政方針演説の日本語は、そういう理由によって、「進める中で、」という言葉は、その因果関係を示す言葉としては、普通に読めば読むわけですから。それを素直に英訳したら、アズという接続詞がつきましたということなわけで。

 ところが、さっき、原さんの隣の隣にいる藤原さんが説明されたとおり、いや、これは因果関係はないんですよ、そういうふうに、因果関係があるようにとられるのは、それはとらないでください、違うんですよというふうに説明されたじゃないですか。だったら、そういうふうに英語訳を変えられたらいかがかというふうに私は申し上げているわけで、そこは素直に、検討するぐらいは言わないと。

 こんなところで、いや、絶対正しいんだと言い張るのはもう本当に恥ずかしいですよ。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、私ども、変更する考えはございません。

川内委員 では、内閣官房で英訳する係の人たちは、これは因果関係はないということを、何の説明も受けずに、この日本語から読み込んだということですね。

原政府参考人 「中で、」を素直に英訳したものと理解してございます。

川内委員 いや、質問したことに、聞いたことに答えてくださいよ。英訳した人は、因果関係がないということをこの文章から素直に受け取ったということですねということを聞いているんですけれども。

原政府参考人 そのように理解してございます。

川内委員 何で適当なことを言うんですか。

 きのうの説明の段階では、何の説明も受けていない、因果関係があるともないとも聞いていない、ただこの日本語を英語訳しただけだというふうに答えましたよ、係の人は。

 だから、そういうふうにその場しのぎで適当なことを言っているから、政府が今、いろいろな信頼性を失墜することにつながっているんじゃないですか。

 普通に読めば、因果関係があるように読めるじゃないですか。あなたたち、そう読まないの。あなたの、個人で読んでみて、ああ、これは二つの政策のおかげなんだなと、普通に読めば思うじゃないですか。それは、しかし厳密に聞いたら違うとおっしゃるのであれば、そういうふうに英語訳した方がいいんじゃないの、これは世界じゅうの人々に発信されている文書ですからねということを言っているわけですよ。

 こんなところでうそをついちゃだめですよ、そういうふうに読んだと思いますみたいな。何を言っているんですか。だから、検討するぐらい言わないと、仮訳なんだから。適当なことを言っちゃだめですよ。

原政府参考人 現時点におきまして、御指摘の箇所の英語仮訳を変更する考えはございませんので、よろしくお願いいたします。

川内委員 よろしくお願いしますって、よろしくお願いされてもどうにもならない。

 大臣、こういうことをかたくなに国民に押しつけようとする行政の姿勢というのは、私は問題だと思いますよ。普通に読めば、これは誤解を与える表現なんだから、誤解を与えない表現に、仮訳なんだから、変えることを検討するぐらいは、柔軟な姿勢を政府として、行政として見せないと、いろいろなことに対応できなくなっちゃいますよ、こんな硬直的なことでは。

 だから、大臣、閣僚のメンバーとして、施政方針演説にもこれは責任を持っていらっしゃるわけですから、施政方針演説を変えられない、閣議決定文書は変えられないといったら、仮訳は少なくとも誤解のないように、この前、誤解がないような表現にすることが一般的にはよいことであると最後に答弁されましたから、誤解のないような英語訳があるのかどうか、ちょっと検討させたいぐらい言ってください。

柴山国務大臣 当該検討を行う部署において、適切な対応がとられることを期待したいと思います。

川内委員 まことに残念でございます。

 期待しているじゃなくて、適切な対応がとられているかどうか聞いてみたいぐらい言ってくださいよ。聞く、聞くと。

亀岡委員長 時間が来てございますので、質疑者も、ちょっと短く。

柴山国務大臣 後で当該部署の方からお話を聞いてみます。

川内委員 終わります。

亀岡委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 国民民主党の牧義夫でございます。

 一昨日の参考人質疑に引き続いて、きょうは、大臣を中心に、この法案についての質疑をさせていただきたいと思います。

 今回、修学支援とそれから学校教育法等の束ねということで、両法案一緒に審議をしているわけですけれども、まず、先ほど来、高等教育無償化に向けてのお話なのか、あるいは少子化対策なのかという議論もありました。今回、この立法の目的としては、高等教育の修学支援というのは少子化対策であるということでありますから、ごくごく平たく言うと、結婚した夫婦が、これから子供をたくさんつくって家庭を築いていきたいけれども、高等教育にはお金がかかるし、そこはぐっと絞り込んで一人の子供に集中して投資をする方が賢明じゃないかということで、こういった支援策を講ずればそういう障害がなくなって、もっともっと子供をふやして、家庭内で兄弟が助け合って、そういう中で人格を形成していけるような、こんな理想的な社会になるんじゃないかということが一つ。

 もう一つは、今回の学校教育法等の改正については、中教審の答申を受けて、四〇年グランドデザインというのがありましたけれども、十八歳年齢が極端に減っていくという中で、大学がいかにして経営基盤を強化して生き残っていくのか。ごく平たく言うと、この二つの法案というのはそういうお話だというふうに私は理解をいたしているわけでありますけれども。

 よくよく考えると、昔はもっともっと日本の国は貧乏で、その貧乏な時代にはもっとたくさん子供がいたわけですよね。このときの価値観というのは一体どうだったのかということを考えると、なるべく早く社会に出てお父さん、お母さんを助けるんだということも一つあったでしょうし、高等教育を受けるというのは、ある特殊なすぐれた人たち、この国を背負って立つような人たちだけでいいんだというものがあったと思います。

 ただ、今はそうじゃないんだというのであれば、これは逆説的な言い方ですけれども、そういった価値観に立ち戻れば、もっともっと少子化対策になると思うんですね。そういう時代の価値観をもう一回取り戻せば、産めよふやせよという時代にもあるいはなるかもしれない。

 そういう中で、そうじゃなくて、あえて高等教育が必要なんだというその意義、意味について大臣なりの所見を、まず大前提として教えていただければと思います。

柴山国務大臣 大変奥の深い、また卓見を御披露いただきまして、ありがとうございます。

 高等教育、特に大学に対する社会通念は、今委員も御指摘になられたとおり、大分変わってきたのかなというように思います。

 高等教育、特に大学は、学校教育法において、「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」と規定されており、本来であれば、まさしく委員御指摘のとおり、その目的を遂行する役割を担うにふさわしい機関こそが高等教育機関であるべきだというように思っております。

 そして、高等教育は、我が国の社会や経済を支えるのみならず、世界が直面する課題の解決に貢献するという使命もあわせ持っているというように私は考えておりまして、今話題になっている少子高齢化ですとかあるいはグローバル化が今後ますます進展する中で、ソサエティー五・〇に向けた人材育成、またイノベーション創出の基盤となる高等教育の役割がより重要であることから、だからこそ、高等教育機関がそういった、今御指摘になられたような性質であるにふさわしい改革を行っていくということが非常に重要だということで、おっしゃるような形で今回このタイミングで一緒に出させていただいた、そういうことでございます。

牧委員 今の大臣の御答弁はある意味正しいと思うんですけれども、少子化対策としては私は間違っていると思うんですよね。ソサエティー五・〇の到来ですとか、そういうことを見据えて子供をつくる親というのはまずいないと思います。国のために子供を産む親というのは、まあ戦時中だったらどうかわからないですけれども、今はいないと思います。

 私は、高等教育の究極の目的というのは、やはり一人一人の幸福追求権というか、自己実現のためにあるというふうに思うんですけれども、大臣のお話を聞いていると、まずは何か経済社会を支える人材を育成するというように聞こえてならないんですけれども、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 高等教育には、今おっしゃるように、あるいは私が答弁をさせていただいたような、そういう使命なり性質というものが本来備わっているべきだというふうに思います。

 その一方で、確かに、少子化対策かどうかということでいえば、では、全ての子供がそういった大学に進むべきなのかどうかということは、これは議論があるところではあると思いますが、少なくとも、今、大学進学率がトータルとして八割であるということを考えた場合に、また、先ほどもちょっと紹介をさせていただいたとおり、なぜ予定子供数が理想子供数を下回っているんですかと該当夫婦に対して理由を尋ねたところ、非常に多くの割合の方々が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからということを挙げておられる。

 また、内閣府の調査でも、どのようなことがあればあなたはもっと子供が欲しいと思うと思いますかという質問に対して、将来の教育費に対する補助ということが七割近くというふうになっているというデータを踏まえれば、大学改革とあわせて、少なくとも、大学あるいはさまざまな高等専門学校、そういったことに望むのに進めないという障害はやはり取り除いていくことが、私は少子化対策の一つの大きな前進のモメンタムになるのではないかというようには考えております。

牧委員 そこまではよく理解できます。

 それでは、ちょっとお尋ねを申し上げますが、今回のこの立法の効果として、どれぐらいの出生率の向上というのを目指しているんでしょうか。あるいは、そういう見積りというのがあるんでしょうか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 出生率がどれぐらい向上するかというのは現状では非常に分析が難しいわけでございますが、今大臣がお答え申し上げましたが、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によりますと、予定の子供数が理想子供数を下回る夫婦に対してその理由を尋ねたところ、三十歳未満では七六・五%、三十から三十四歳では八一・一%が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからというのを挙げております。

 このようなデータから、子育てや教育にかかる費用が少子化の要因の一つと考えられることから、今回、このような経済的負担軽減措置を講ずるものでございます。

牧委員 今の御説明ですと、確たる根拠というのはなくて、これぐらい教育にお金がかかるという負担感があるから、そこを除去すれば気分的に違ってくるだろうということだと思うんですね。

 ということであれば、これは立法化がなされて、すぐにその効果というのが出るかどうかはともかくとして、よし、それならば子供をつくってやろうという親が出てこなければおかしいわけで、それは本当に一年後、二年後にも結果が出ることですので、そこはしっかり見ていきたいというふうに思います。

 もう一つは、やはりこれから生まれてくる子供のことよりも、今、現に小学校、中学校に通っているお子さんたちが本当に高等教育を心から目指していくのかどうかという、進学率あるいは進学に対する意欲、こちらの方のことこそが文科省としてまず取り組むべき課題だというふうに私は思うんです。

 進学率、先ほどもお話がありましたけれども、これはどういうふうに見積もっているんでしょうか。この政策の効果というのはやはりすぐにでもあらわれる話だと私は思うんですけれども、どのようにごらんになっていますか。

伯井政府参考人 高等教育の進学率につきましては、全世帯平均で約八割であるのに対しまして、住民税非課税世帯では四割程度と推計しております。経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低いということでございます。

 今回の支援拡充によりまして、支援対象の世帯の進学率が大幅に上昇する可能性は十分にあるというふうに考えておりまして、我々といたしましては、低所得世帯の進学率が全体平均の八割まで上昇するという仮定におきまして財源を確保し、しっかり検証しながら施策を進めていきたいというふうに考えております。

牧委員 ある程度の期待はできると思うんですけれども、今のお話を聞いていると、非常に大ざっぱなんですね。私も、もうちょっと緻密にいろいろなことを考えていただきたい、まあ当然考えていらっしゃるんでしょうけれども。

 例えば四年制大学への進学率を見ると、最も低いところでいうと、鹿児島県ですかね、川内先生のところですね、三一%。高いところでいうと、例えば東京ですと六四%、約二倍の開きがあるわけで、こういう地域間の格差というものをどういうふうに分析されているのか。それから、もちろん親の所得の格差というのもあろうかと思います。

 もう一つは、これは全く今まで議論の対象になっておりませんけれども、親の学歴別の違いというのも、私はどこかで教育評論家のお話で聞いたことがあるんですけれども、親が大卒と高卒でこれはまたかなり違ってくる。

 要は、大卒の子だから優秀だとかそういう意味じゃなくて、もともとそういう世界、自分は大学に何があっても行くんだと最初から思っている人と、最初からこれはもうそういう世界じゃないという人とあろうかと思うんですね。例えば大臣も、大方ここにいらっしゃる方も、程度の差こそあれ、どちらかというと当たり前のように大学に行く、そういう社会で来た人間だと思うんですけれども、一方ではそうじゃない人たちもいる。

 そういう人たちの格差というものについて、その意識の差、これは文科省としては何らかの把握をしているんでしょうか。

柴山国務大臣 確かにそういう側面があると思います。

 先ほど局長の方から、所得についての進学率の違いは説明をさせていただきましたけれども、地域間格差、おっしゃるとおり、学校基本調査によれば、平成二十九年度の都道府県別高校新卒者の四年制大学、短期大学、専門学校への進学率、先ほど大学進学率ということで御紹介をいただきましたけれども、これらを合計しても、都道府県間で最大二〇ポイント以上の差があるなど、地域によって進学率に相当の差が生じております。

 また、今、親の学歴ということについても御紹介をいただきました。これは文部科学省の調査ではなく、民間企業と東京大学の共同研究なんですけれども、子供を四年制大学か大学院まで進学させたいと回答した保護者の割合につきまして、父母の双方が大卒の場合、双方が非大卒と比べて約二倍高くなっているという結果も示されておりますので、そういったことはやはりしっかりと念頭に置いて施策を進めるべきのかなというように考えております。

牧委員 せっかくそこまで認識があるのであれば、双方が非大卒という御両親のところに対する対策というか、進学率を上げるためにはそういう施策がぜひ必要だと思うんですけれども、その辺について前向きに取り組んでいただけるでしょうか。

柴山国務大臣 恐らくこの後も委員から御質問いただけると思うんですけれども、初めは大学ということに対して確固たるビジョンとかあるいはイメージを持てない、それは所得とは関係なく、親御さんをごらんになっていて、そういうお子さんもいらっしゃると思うんですよ。ただ、人生のステージが進んでくる中で、では、もう一度大学に入って学び直したい、そういうふうに思ったときに、そういう方々にもきちんと大学での履修プログラムが受けられるような、そういうシステムをつくるということが私はとても大事なことだというふうに考えております。

牧委員 せっかく大臣にそういう御認識があるわけで、私も次に質問しようと思っていましたが、やはり今回、公金を使って、税金を使って、学ぶ若者たちを支援するわけで、一方では、若くして、未成年でもう社会に出て、働いて納税をする。

 一方では税金を納め、一方では税金から給付を受けるというそのバランスというものをやはり考える必要があって、一旦社会に出たけれどもきちっと学び直す、あるいは夜間に通う、閣僚の中にもオリパラ大臣ですとかそういう立派な方もいらっしゃいますけれども、そういう方たちに対する手当て、経済的な支援、今回のこの法改正のときにはそういう部分が私は欠如していたと思うんですけれども、こういう学び直しについての考え方について、きちっとお聞かせをいただければと思います。

柴山国務大臣 今回の高等教育の無償化については、先ほど申し上げたとおり、支援措置が少子化の観点から実施されるものでありますので、高等学校等卒業後二年以内の一般の大学等進学者を対象としているところでありまして、今御指摘になられたようないわゆる学び直し、リカレントを対象としているものではありません。

 ただ、先ほど来、認識は共通したと思うんですけれども、誰もが何歳になっても学べるということは重要でありまして、貸与型の奨学金制度では社会人も対象とするとともに、無利子奨学金を柔軟に貸与できるよう運用を改善するなど、そういった部分の制度の充実もこれまで図ってきたところであります。

 文部科学省といたしましては、ことし二月に取りまとめた高等教育・研究改革イニシアティブ、僣越ながら柴山イニシアティブと名をつけさせていただきましたけれども、これに基づいて、大学や専修学校での産学連携プログラムの開発促進、あるいは実践的な社会人向け短期プログラムの開発促進、放送大学における実務型オンライン講座の拡充、実務家教員養成システムの構築などに努めておりますが、これらに加えて、厚労省の職業訓練給付制度との一層の連携など、各省庁の施策との連携も図りながら社会人の学びを支援していきたいと考えております。

牧委員 ぜひそこはしっかり取り組んでいただければと思います。

 そしてもう一つ、先ほどの質問の中で、親の所得の本当にちょっとした違いによってその先が崖だというようなお話に対する説明の中で、大臣は、あらゆる国の機関が総合的にこれに取り組むと。厚労省のお話もありましたけれども、文科省としてどこまでできるのかということをやはりはっきりおっしゃっていただきたいと思うんですね。

 特に、やはり今現在、有利子、無利子の奨学金を利用している人たちというのは、年収四百万以上の人たちもかなりいるわけで、実際に、年収四百万から八百万円の中間層でも七割前後が、子供の教育費に負担感があるという、あるアンケートの回答もございます。

 こういう中間層こそこれから支援が必要になってくると思うんですけれども、これはほかの役所がどうのこうのじゃなくて、文科省としてこの中間層にどう取り組んでいくのか、それも見通しをお知らせいただければありがたいと思います。

柴山国務大臣 今回の高等教育の無償化については、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、繰り返しておりますが、真に支援が必要と考えられる低所得世帯に限って実施するものであります。

 一方、この無償化の対象範囲にかかわらず、これまでも、希望者全員に対する貸与の実現など、無利子奨学金の充実を進めてきたところです。

 また、経済的理由から奨学金の返還が困難となった方には、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入したりするなど、きめ細やかな救済措置を講じて、高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところであります。

 中間所得層については、今申し上げたような貸与型奨学金の拡充に加えて給付型によるさらなる支援を行うということにつきましては、今申し上げた貸与型奨学金の拡充により進学機会がかなり開かれているということに加えて、高校卒業後の進路が多様でありますので、進学せずに働く者との公平性に留意する必要もあることから、十分な議論が私は必要だというように考えております。

 そういうことも踏まえて、中間所得層の大学への進学機会の確保の方策等につきましては、例えば貸与型奨学金の貸与状況を丁寧に分析するなど、引き続き注視をしていきたいと考えております。

牧委員 もちろん、税金が使われるわけですから、十分な議論の上にこういうものはこの先があろうかと思うんですけれども、少なくとも、先ほど来お話があるように、奨学金というその性格、本当に有利子というものが奨学金になじむのかどうなのかということも含めて、急いでその議論を進めていただきますようにお願いをしたいと思います。

 次に、国と地方の役割分担についてお聞かせをいただきたいんです。

 今回の授業料減免については、国立大学法人それから私学については国の負担、各都道府県立みたいなところは地方の負担ということになっておりますけれども、これは、地方の場合、公立大学法人、法人化しているところと県が直接経営しているところと二通りあるんですけれども、それも、別にその違いもなく、その地方自治体の負担という理解で多分よろしいんだろうと思うんですけれども。

 この辺がちょっと、法律の、法的安定性と言うとちょっと大げさかもしれないんですけれども、どこに財源を求めるのかということが、特に私学が公立化しているところもあるし、学校教育法の今回の改正もあり、いろいろその辺の学校の経営の主体というのが複雑になってこようかと思います。

 そういう中で、減免措置に対する負担のあり方というのはどういうふうにきちっと整理ができているのか、ちょっと、事務方で結構ですから、教えていただければと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 授業料減免措置は大学等において実施することといたしておりますが、その費用負担につきましては、今御指摘いただきましたように、国立大学、それから私立大学については国が全額を負担する、公立大学については設置者であるところの都道府県又は市町村がこれを負担するということといたしております。

 それで、今御質問いただきました、私立大学が公立大学化した場合の話でございますが、公立大学化した場合、地方公共団体が大学運営について恒久的に財源措置を行うことが必要となるわけでございます。そのため、各地方公共団体においては、大学で養成する人材の需要が見込めるのか、定員充足とか法人経営が見通せるのかということを十分検討し、地元住民や産業界等関係者の理解の上で、各地方公共団体で十分議論した上で公立大学化の是非を検討していただくということを要請はしておりますが、いずれにせよ、設置者である都道府県、市町村に負担していただくということになっております。

牧委員 ちょっともう一度局長にお聞かせいただきたいんですけれども、細かい、重箱の隅をつつくようなお話で恐縮ですが、今、設置者とおっしゃいましたよね。これは私、あえて公立学校の中には法人化したところと県が直営のところとあるというふうに申し上げたのは、設置者が違うんじゃないんですか。法人じゃないですか、設置者は。

 だから、その辺の区別をきちっとしないと、これは私、法的な安定性がないと言ったのはその意味なんですね。国立だって、別に国が直営じゃなくて、今は国立大学法人が設置者なわけですから、設置者が負担するということになると、これは今の話でいうと、厳密に言うとちょっと違ってきますよね。どうなんでしょうか。

伯井政府参考人 失礼いたしました。

 厳密に言いますと、公立大学については法人の設立者が費用負担をするということになりますので、結果的に、公立大学法人の設立者であるその自治体の負担ということになるわけでございます。

牧委員 わかりました。法人の設立者という理解でよろしいんですね、設置者じゃなくて。

 では、次の質問に移りますが、今回、私学は特になんですが、給付型奨学金、機関としての承認が受けられる学校、これについては経営の基盤等がきちっと問われるわけですけれども、経営の基盤が問われるということは、つまりは、恐らくそこがかなりの割合で定員割れを起こしている可能性があるというふうに私は思います。

 実際に、ちょっと調べたところ、三十年度で、大学五百八十二校中二百十校、三六・一%、それから短大三百一校中二百十二校、七〇・四%で定員割れ。収支状況でいうと、大学五百五十一法人中二百十七法人、三九・四%、短大でいうと百五法人中五十二法人、四九・五%、約半数で消費支出が帰属収入以上ということで、赤字がずっと続いているというような状況であります。

 今回、この対象外になる学校というのが、うわさでは十校程度というふうに聞いておりますが、これからどんどんそういうところがふえてくるという理解でよろしいんでしょうか。

伯井政府参考人 経営要件として、経営が不振なところあるいは収容定員の充足率が一定以下のところにつきまして、今回、機関要件で、高等教育無償化の対象とならない大学を要件設定しようとしておりますが、申請手続を行う時点における直近三カ年の決算の状況あるいは直近の収容の定員充足率で判断いたしますので、今後それがふえるかどうか、対象とならない大学等がふえるかどうかというのは、現時点ではちょっとお答えすることは困難でございます。

牧委員 これから先の少子化を見込んで、そして、さっき申し上げたように、現時点での、今の収支が、消費支出が帰属収入を上回っているという学校が大学で約四割、短大で五割という現状を見ると、これはこれから先、見通しが決して明るいとは言えないわけで、とりあえず今十校が対象外になりそうだけれども、この先は全くそれは何とも言えないというお話ですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、現在、私立大学の約四割が定員割れの状況にあるという中にあって、今後十八歳人口が減少をしていくことを踏まえますと、ますます経営困難な状況に陥る私立大学が生じてくるということは避けられない状況かと思っています。

 そのような中、私どもとしましては、これまでも、学校法人運営調査などを実施し、経営悪化状況にあるそういった学校法人に対しまして、財務状況等の調査ですとか、また経営改善に必要な指導助言ということを行ってきたところでございますが、さらに、三十一年度からは、こういった指標を新たに設定して、経営改善に向けた指導を強化していくということにしているところでございます。

牧委員 ちょっとよくわからない説明で、指導を強化して状況が改善するとはとても思えないんですね。それよりも、むしろ、これから受験をして給付型の奨学金を受けたいというお子さんたちに的確に情報を提供することの方が私は大事だと思います。

 とりあえず、まず、うわさされる十校については、いつごろをめどに受験生に周知をするんでしょうか。

伯井政府参考人 今回の法案におきましては、文部科学省等が大学等の要件を確認した際には、遅滞なくその旨を公表するということにしておりますが、どの大学等が支援の対象になるのか、支援の対象になる大学はどれかというのは、高校生の進路選択に大きくかかわるものでありますので、文部科学省としては、この法案をお認めいただいて、成立の後、速やかに要件確認の申請受け付けを開始し、機関要件を満たすものとして確認を受けた支援対象大学等のリストをインターネットにより早急に公表したいと考えております。

牧委員 ついでながらですけれども、もうちょっと大所高所からのお話で、学部系統別に定員の充足率がいろいろ違ってきていると思います。

 これから先の高等教育のあり方として、大きな観点から、学部系統別の定員充足率でいうと、ちょっと私が見た資料によると、極端に歯学部だけが充足率が低いんですけれども。これはよく世間で言われる、歯医者さんというのはコンビニの軒数よりもたくさんあるという中で、そういう需給関係の中で大変経営も厳しいというようなお話もあり、また、六年間行くとかなり学費もかかるということもあって、敬遠されると思うんですね。

 ただし、それは一方で事実としながら、その分、例えば医師不足の解消のために何らかの転換を図っていくですとか、大きな意味でのこういう対策というのは、何らか大臣の頭の中にはおありなんでしょうか。

柴山国務大臣 現在、文部科学省の告示において、医師、歯科医師、獣医師の養成に係る学部などの定員増を抑制しております。これらの分野については、各所管省庁における人材需要の考え方を踏まえた上でこうした抑制方針をとっているものであります。

 これらの抑制分野の学部の定員は、現在ほぼ充足している状況でありまして、今、問題じゃないかというように御指摘になられた歯学部における平成三十年度の充足率については、国公私立大学全員で九四%というようになっております。

 ちなみに、医学部は一〇〇・四%、獣医学部は一〇九・八%ということであります。

 この抑制分野の各学部の定員については、各分野の所管省庁の人材需要に係る検討などを踏まえて見直しを行っておりまして、今後とも、こういったそれぞれの所管省庁と密に連携を図りながら、定員の見直しについて検討してまいりたいというように考えております。

牧委員 ありがとうございます。

 次に、奨学金の債権の回収についてお伺いをしたいと思うんですけれども、去年の臨時国会のときも、私、質問させていただきました。

 分別の利益についての説明のないまま保証人から全額を徴収するというような事態があったというお話で、これはきちっと善処していただきたいというふうに申し上げたんですけれども、その後、この件については、文科省から機構に対し、あるいはその先の債権回収会社に対し、どのような指導があって、今どのように善処されているのか、お答えをいただきたいと思います。

大木参考人 お答え申し上げます。

 分別の利益についてでございますけれども、文部科学省から私どもの方に、丁寧かつわかりやすく関係の方々に説明をするようにという指導をいただきまして、その結果、当機構といたしましては、保証人の権利及び義務について、例えば、貸与申込み段階におきまして、奨学金案内の冊子やパンフレットへ記載をする、あるいは、返還誓約書をいただいておりますので、その時点で十分説明する。それから、貸与を終了いたした段階におきまして、「返還のてびき」という冊子がございます、ここに記載をする、それから返還説明会において説明をする。それ以外にも、私どもにウエブサイトがございますので、そこに掲示しながら周知を図っている、こういう状況でございます。

牧委員 今現在の回収の状況についても少し簡単に教えていただきたいんですけれども、公益財団法人の日本国際教育支援協会の機関保証があって、更に人的保証という形なわけですけれども、どういう段階で回収が成立しているのか、回収会社が取立てに行って回収している率がどれぐらいですとか、機関保証のところが代位弁済して、更にそれが請求して幾ら返ってきたのかとか、そういった内訳についてちょっと教えていただきたいと思います。

大木参考人 返還の状況についてでございます。

 確定をいたしております二十九年度の数字ベースでお答えを申し上げます。四百三十万人の方に返還をいただいておる、こういう状況でございます。

 それを前提といたしまして、債権管理上の一つのメルクマールといたしまして、三カ月以上延滞しているかどうかでもって、私どもアクションを起こしてまいります。通知等をいたしまして、それで三カ月以上のところにかかってくる方が三・七%、人数でいいますと十五・七万人の方が三カ月以上の延滞。逆に申しますれば、それ以外の方は円滑に対応いただいている、こういうことでございます。

 それで、その後でございますけれども、さまざまな働きかけを、私どもの専門の組織、あるいは業者にも依頼をいたしまして、働きかけてまいります。

 少しずつでも返していただける方がほとんどでございますけれども、今度は九カ月をめどにアクションをまた起こしてまいりまして、御指摘のありました連帯保証人、保証人を立てての人的保証でございますけれども、これに関しましては、裁判所に支払い督促の申立てという形の手続に入ったもの、これが八千七百件、パーセンテージにいたしますと、四百三十万人に対して〇・二%という数字でございます。

 それから、御指摘のございました機関保証でございますけれども、これで代位弁済というものにこぎつけましたのが九千九百件ということで、こちらも四百三十万人のうちの〇・二%、こういう数字になってございます。

牧委員 支援機構におかれては、少ない人材で頑張っておられるということはよくわかりました。また、返済する方たちも、もともと学業のためにお金を借りて、真面目に取り組んでいる人が多いわけですから、これは一般の消費者金融と比べたらかなりいい率だということも理解をできます。

 ただ、これはそれぞれが努力をする中でこの数字が成り立っているわけで、私は、大臣にもぜひ御理解をいただきたいと思うのは、かなりこれは、返済するにも、例えばいきなり借金を抱えて社会へ出る、しかも正規雇用じゃなくて非正規雇用という方もたくさんいるわけですよね。そういう中で努力して返済をする中で、果たして本当に結婚して子供をつくって家庭を築けるのか。そういうことを考えると、大変厳しい状況の方たちもたくさんいるわけで、これは、逆に言うと、少子化をより進める話にも私はなりかねないと思うんですね。

 これはやっていることが逆じゃないかということを考えると、やはり一日も早く、まずは無利子、そしてもう一つは、給付型ももう少し中間層にまで広げていくべきだと改めて思うんですけれども、もう一度大臣の決意をお聞かせいただければと思います。

柴山国務大臣 財務当局あるいは日本学生支援機構としっかりと連携して検討していきたいと考えております。

牧委員 通り一遍の御回答で、ありがとうございます。

 時間もございませんので、最後に、学校教育法に関連して、一点だけちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 今回、国立大学を中心に、私学も含めて連携をとっていくという中で、経営基盤の強化、ここはよく理解できます。ただ、大臣の所信にもありますように、「科学技術イノベーションについては、特に諸外国に比べ研究力が相対的に低下傾向にある現状を一刻も早く打破するため、研究人材、研究資金、研究環境の改革を大学改革と一体的に進めます。」とあります。この一体的に進めていく部分というのがよく見えてこないんですね、今回の法律については。

 平成十二年からですか、任期制の研究者、教員というのが。任期制が導入されて、当初国立で五百十六人だったのが、今は二万三千三百二十七人が任期制で採用されているという中で、これは本当に、果たして落ちついてこういった研究に打ち込めるのかということは、私、非常に疑問に思うんですけれども、今回のこの大学の改革の中で、こういった視点がどこかに置いていかれているような気がしてならないんですけれども、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今回の大学改革における大学の教員あるいは研究者の身分の安定性を考えるということは、私はとても重要なことであるというように考えております。

 今回の高等教育・研究改革イニシアティブにおいても、特に今御指摘になられた部分で、優秀な若手研究者へのポストの重点化あるいは若手研究者への重点支援を掲げております。

 文部科学省が十一の研究大学を対象に実施した大学教員の雇用状況に関する調査によりますと、平成十九年度と平成二十五年度を比較して、四十歳未満の若手教員に占める任期つき教員の割合が四三・六%から六五%と大きく増加をしてしまっていることは御指摘のとおりであります。

 このため、文部科学省として、大学教員を含む若手研究者支援の取組として、卓越研究員事業や国立大学における人事給与マネジメント改革の推進により若手教員のポストの確保を図るとともに、科研費若手支援プランの実行を通じて研究者のキャリア形成に応じた支援の強化を図るなど、取組を進めているところであります。

 また、任期つきの雇用形態で自立した研究者として経験を積むことができる仕組み、テニュアトラック制度の導入も推進していきたいというように考えております。

牧委員 あらゆる施策が講じられているという御説明ですが、私、個人的に思うのは、もう少し落ちついた環境で、身分の安定もそうですけれども、生活の安定が大事だと思います。目先の成果にとらわれず、じっくり腰を据えて研究する分野というのもあろうかと思いますので、そこもぜひよく考えていただけますようにお願い申し上げて、時間になりましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 きょうは、大学等修学支援法案について中心的に伺います。

 まず最初に、外務省に伺います。

 国際人権規約は、高等教育の漸進的無償化についてどのように規定しているのでしょうか。また、社会権規約委員会の一般的意見では、無償化の対象となる費用についてどのように説明しているのでしょうか。その点について伺います。

三上政府参考人 お答え申し上げます。

 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆる社会権規約第十三条2の(c)は、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」と規定しております。

 そして、次の御質問に関してですけれども、社会権規約委員会は、無償の初等義務教育を想定した社会権規約第十四条に関する一般的意見十一を発出しております。

 同条に言う無償について、同一般的意見は、政府、地方当局又は学校により課される授業料及び他の直接的な費用は、この権利の享受の阻害要因となり、並びに権利の実現を害する可能性があり、またこうした費用がしばしば効果において非常に後退的であるとしております。また、父母に対する義務的な課徴金、又は比較的高価な学校の制服を着用する義務等の間接的な費用も、同種のものたり得る旨言及しているところであります。

畑野委員 授業料など無償にしていくというふうに御答弁いただきました。

 確認ですけれども、柴山文部科学大臣、そういうことで、政府もこれに縛られる、文部科学省も縛られるということでよろしいですよね。

柴山国務大臣 政府としては、そうした理解のもとに施策を進めてまいります。

畑野委員 確認をさせていただきました。

 私は、三月十四日の本会議で、大学授業料が高過ぎる認識がありますかと質問をいたしましたが、柴山大臣はそれには直接お答えになりませんでした。

 そこで、きょうは改めて伺いたいと思います。

 授業料の年額は、国立大学は約八十二万円、私立大学は平均で百万円を超えております。国民生活基礎調査によりますと、一世帯当たりの平均所得金額は、一九九四年の六百六十四万二千円をピークに減り続けておりまして、二〇一五年では五百四十五万四千円と、百十八万八千円も減少しています。

 きょうは皆様のところに資料を配らせていただきました。一九九四年と二〇一五年の比較のグラフです。世帯所得に占める大学の授業料、入学金の割合は、一九九四年では国立大学で一〇・一%、六十七・二万円、先ほど申し上げました。それが、二〇一五年には一五%になっております。資料は二〇一五年までしかわからないので、その当時は八十一・八万円です。私立大学では、一九九四年当時、家計に占める割合は一四・九%でしたが、二〇一五年には二〇・六%になっております。九十九万円から百十二・五万円に上がっているということです。

 世帯所得が二十年間で減少している一方で学費の値上げが続き、学費負担が家計を圧迫していることは明らかだと思います。ましてや、二〇一二年に高等教育の漸進的無償化の留保を撤回した我が日本でありますから、これはやはりこういう重い実態を含めて対応する必要があると思うんです。

 私がまず伺いたいのは、学費の現状が家計に極めて重い負担になっているという御認識を柴山大臣はお持ちでいらっしゃるかどうか、このグラフもごらんになっていただいて、お答えいただきたいと思います。

柴山国務大臣 このグラフも拝見をいたしまして、確かに学費の現状が家計に対して重い負担となっている御家庭もかなりあるんだろうなということは認識をいたします。

 ただ、学費は、大学における充実した教育・研究環境を整えるという観点から、教職員あるいは施設整備といった、学校運営等に要する経費に充てられるものであります。この学費の設定について、近年、国立大学は国において授業料の標準額を据え置いておりますけれども、基本的には、各国公私立大学が、今申し上げたそれぞれの教育・研究環境を勘案しながら適切に定めるべきものであろうというように認識をしております。

畑野委員 大臣が、負担が重くなっているというふうにお認めになったことがすごく大事だと思います。このグラフは平均ですから、平均として全体として重くなっているということの共通の認識を持たせていただきました。

 一昨日の参考人質疑で、東京大学大学総合教育研究センターの小林雅之教授が、給付型奨学金と授業料等減免が一緒に示されたという今法案について、だからこそどの程度の授業料水準がいいのか改めて議論すべきだという旨をお話しされました。また、労働者福祉中央協議会の花井圭子事務局長が、学費の値上がりを放置したままでの支援は車の両輪として違うという旨の発言もされておられます。

 やはり、この学費の問題について、今どうあるべきかということを改めて議論をしていく必要が私はあるというふうに思います。大臣はそれぞれの大学でとおっしゃるけれども、国立大学の場合は、標準額というのを一応決めてやっているわけですね。

 では、大学が学費を下げても適切な教育・研究環境が確保できるような支援、それは運営費交付金、私学助成を含めてやっていく、それは何のためかといったら、この学生の今の現状の上での学費の重い負担、これをどうやって国として軽くしていくのか、そういう政策的な態度が求められるし、その方向、無償化に向かって議論していくときに今来ているというふうに思うんです。

 私のところにもいろいろな若い方たちが来てくださいます。この間お話を伺わせていただいたのは、さまざまな大学に通う学生でつくる、FREE、高等教育無償化プロジェクトの皆さんです。三月十一日、文部科学省内で記者会見をいたしまして、学費・奨学金実態聞き取り集を発表しました。たくさんあるんですけれども、私は、柴山大臣に御紹介したい話を三つだけさせていただきたいと思います。

 年収は父が六百万円、母が二百万から三百万円。奨学金は、月、無利子五万円と有利子十万円をとりあえず借りた。授業料は奨学金の中から払うことになっている。家賃も食費も交通費も奨学金。返済の総額は、有利子が今のままだと総額七百万円くらい。学費はただに、奨学金は給付制に。そっちの方がよくないですか。学費をただにしたら、経済的な壁がなくなるから、勉強しやすい環境になるかなと、国立大学一年生。

 年収は父親が六百五十万円、母親が二百八十万円。大学付近でひとり暮らし。収入は月十三万円くらい。なるべく生活費は自分で稼いでいる。奨学金は二年になって月八万円に減らした。額が大きいので無利子を利用することができず、全て有利子。バイトで月四万から五万円稼いでいる。学費が無料になれば仕送りはふえるはずで、バイトをしなくて済む。最低でも学費が年間五十万円減れば、バイト分が浮き、奨学金の必要額も減る。返済の援助も欲しい。せめて利子部分だけでも返済の援助があれば、心持ちは大きく変わる。私立大学二年生。

 ひとり暮らし。七人家族で収入は合わせて五百万円から六百万円ほどで、自分も大変ではあるが、妹、弟たちの方が自分よりも満足に学べなさそうであることを考えるとつらい。バイト月五万円、奨学金、無利子六万円と有利子八万円。仕送りなし。学費は親が負担。奨学金の返済に何年かかるか計算したが、自分は約三十年間、妹は上限いっぱいまで借りているから五十年かかる。奨学金返済があるからいろいろ諦めるなんてことはおかしい。奨学金は未来への投資のはずなのに、なぜ返さなければいけない。私立大学三年生。

 これ以外にも、たくさんの声が大臣のところにも届けられているというふうに思います。

 先ほどの、花井参考人が紹介をされた労働者福祉中央協議会のアンケートでも、勤労者の皆さんの高等教育の負担に関して優先的に実現してほしいことは、一つだけ挙げたら、一位は大学などの授業料の引下げが四八・〇%で、断然に多いんですね。三つ以内で選択しても、これは七二・四%、断然多いんです。

 ですから、私は、国民の世論、それは各階層含めて、本当に値下げに向けて考える必要があるのではないかと思います。

 最後に紹介したいのは、広島の学生たちが遠くから来てくださいまして、広島市内で調査をした三百七十一人の声。そのうち学生は百八十八人、十八歳以上が百三十九人、十八歳未満が四十九人、高校生もいたということですけれども。安心して学ぶ環境づくりのために実現してほしいことを問う項目で、学費の値下げにチェックをした人は三百七十一人中二百二十人で一番多く、全体の六割が求めているということです。

 これは、だから、本当に若い人たち全体の、学生だけではなく、あらゆる、仕事をしている人も含めてですけれども、そういう声になっているということを御紹介させていただきました。

 そういうことから考えますと、やはり国として学費引下げを真剣に検討するべきときになっているのではないか、そういうことをやるべきではないかというふうに思いますが、柴山大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 さまざまな現場の声を御紹介をいただき、ありがとうございます。

 まさしくそういう声に応えるために、今回、制度導入をさせていただいたわけであります。

 確かに、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対してということではありますけれども、確実に授業料等が減免されるよう、大学等を通じた支援を行うこととしております。

 また、学生生活の費用をカバーするのに十分な給付型奨学金の支給とセットで支援を行うということによって、安心して学業に専念し修学できるようにしているものであります。

 それ以外の方々に対しては、貸与型の奨学金の利活用を順次利用しやすくする、また返済の負担も軽減をさせていただいているところでありまして、現場の声にこれからもしっかりと耳を傾けてまいりたいと思います。

畑野委員 大臣、私、幾つかの例を挙げましたでしょう。今回の対象にならない人たちなんですよ。対象になっていないんですよ、しかも有利子含めて。奨学金ですよ、さっき議論でもありましたように。有利子はなくすべきですよ。そういうこともきちっと、全体、メニューとして掲げてやらないと。言葉だけの無償化だと言われかねないわけです。どうですか。

柴山国務大臣 無償化の対象範囲にもかかわらず、今答弁をさせていただいたとおり、これまでも希望者全員に対する貸与の実現など、無利子奨学金の充実を進めてきたところであります。

 また、経済的理由から奨学金の返還が困難となった方には、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入するなど、きめ細やかな救済措置を講じ、高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところであります。

 中間所得層については、こうした貸与型奨学金の拡充に加えて、では、低所得者同様の給付型によるさらなる支援を行うということについては、今申し上げた貸与型奨学金の拡充により進学機会が開かれているということに加えて、高校卒業後の進路が多様であることから、進学せずに働く者との公平性に留意する必要も生じてまいります。

 こうした点も踏まえ、また高等教育の無償化、大学教育の質の向上とあわせて、中間所得層の大学への進学機会についても、貸与状況を丁寧に分析するなど、引き続き注視、検討をしていきたいと考えております。

畑野委員 ぜひ、最初に紹介した学生たちの声を文部科学省としても大事にして分析して、直接学生たちからも話を聞いてください。全く実態とかけ離れた御答弁だと思います。もちろん、改善していくのは当然です。これまでも、皆さん、一緒にやってきたわけですよ。まだ足りないということです。

 それで、私、大臣が中所得者世帯の話をされましたので、では、伺います。

 文部科学省が、各大学の授業料等減免制度、これがどうなっているかというのを調べましたね。我が党もその資料をいただいております。物すごい、大学の現在の授業料減免制度の資料です。

 これがどうなっていくのかということについて文部科学省に伺いますけれども、その前に、この資料、大事な資料、文科省の皆さんの力作だと思いますから、紹介させていただきたいと思います。

 自宅通学、全額免除の学生、文科省モデルケース、二人世帯(本人、母)で母が会社員の場合の適格者となる給与収入です。

 電気通信大学、収入が七百十四万円以下。宮城教育大学、収入が六百三十四万円以下。上越教育大学、収入が六百二十二万円以下。首都大学東京、収入が五百三十六万円以下。岐阜大学、収入が五百三十五万円以下。山梨県立大学、収入が五百四万円以下、これはちょっと備考がついていますけれども割愛します。和歌山県立医科大学、収入が四百五十万円以下、これも理由がついていますが割愛します。福岡教育大学、収入が四百八十万円以下。福島大学、収入が四百七十万円以下を始め、ここの部分は五大学あります、東京工業大学、私、参考人質問のときにこのことを取り上げました、神戸大学、香川大学、九州工業大学です。

 その次が、収入が四百六十二万円以下、北海道教育大学を始め、旭川医科大学、東北大学、東京学芸大学、愛知教育大学、滋賀大学、京都教育大学、京都工芸繊維大学、大阪教育大学、琉球大学というふうに続いております。その次が、収入が四百五十八万円以下、山梨大学。

 ずっと挙げていくとこれだけでもう時間がなくなるんですが、こういうふうに調べていらっしゃるんですよね。既にこれだけ、各大学で、全額免除ですよ、やっているんですよ。

 しっかりとこれを委員会に出していただくように、委員長、お願いします。

亀岡委員長 理事会で検討いたします。

畑野委員 全議員でこれをよく検討して。

 これだけ、実は文部科学省も支援をしてきている、そして各大学も頑張って、学生に来てほしいということですよ。

 では、この人たちは今後どうなるんですか。

 世帯年収三百八十万円以下の世帯の授業料等減免について。これは全額じゃないですよね。非課税世帯、二百七十万以下は全額。だけれども、三分の二、三分の一と、それ以上は減らされていく。そういう費用は国が負担する、消費税増税分でやると言っている。

 それでは、これまで行われていた各大学の授業料等減免制度のための財源、運営費交付金や私学助成、どうなるんですか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、各大学における授業料減免につきましては、各大学が定める認定基準に基づいて、今紹介いただきましたように、多様な形で行われております。これらの取組につきましては、現在、国立大学については国立大学運営費交付金によりまして、私学、私立大学については私立大学等経常費補助金により、一部を支援しております。

 今回の新制度におきましては、大学間の差異をなくし、真に支援が必要な住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の学生に対して、国公私共通の基準によりまして大幅に規模と額を拡充し、重点的に支援を行うということとしているものでございます。

 その場合、新制度におきましては、住民税非課税世帯、これに準ずる世帯の学生を対象としておりますが、それは単なる年収ではなくて、住民税制度に準拠した所得基準を用いております。

 一方で、ただいま御紹介いただきました現行の各大学等における授業料減免は、各大学等が定める認定基準に基づいて行われておりますが、収入基準とか控除の考え方、世帯の定義等が大学ごとで異なっております。

 したがいまして、我々としては、それをどういうふうに比較するかというのは現在精査中でございますが、現在、各大学において授業料減免を受けている学生が新制度の施行によりどのような影響を受けるのかについて、各大学の状況を、今紹介していただいた資料などに基づいて把握し、精査をしているところでございます。

畑野委員 やはり全体像を把握してからこういう法案を出さないとだめですよ。整合性がとれなくなったらどうするんですか。本当に取ってつけたような、消費税増税の期日に合わせて出したのではないかと言われてしまいますよ。

 伺いますと、これから予算折衝でどうなるかわからないというふうにも聞いていますよ。今までもらえていた人たちが今度の新制度でもらえなくなるなんということがあったら、高等教育の漸進的無償化に逆行する法案だというふうになりますよ。どういうふうにするんですか。

伯井政府参考人 まずは速やかに精査をしたいと思いますが、今御指摘いただきました、現に支援を受けている学生については、その減免事由、家計基準の実態等を見きわめつつ、これは何らかの配慮についてしっかり検討したいと考えております。

畑野委員 何らかの配慮という、そういう曖昧なのではだめですよ。きちっと財務省とも話し合って。大臣、これは大変なことですよ、こんなことが起きたら。きちっとやっていただきたいと思いますが、一言だけ伺います。

柴山国務大臣 今の御指摘を踏まえて、しっかりと折衝してまいります。

畑野委員 次に、機関要件の問題について伺います。

 学問追求と実践的教育のバランスがとれている質の高い教育を実施する大学を確認するものと聞いております。

 実務経験のある教員の授業科目を卒業単位の一割以上という要件をつけることについてです。

 大臣に伺いますが、支援を受けている学生の必修にはしないと聞いているんですね。であるならば、なぜ大学にそういう要件を設ける理由があるのでしょうか。

柴山国務大臣 今回の高等教育の無償化では、学問追求と実践的教育のバランスがとれている質の高い教育を実施する大学などを対象機関とするために、要件の一つとして、今御紹介をいただいた、実務経験のある教員による授業科目が標準単位数の一割以上配置されていることを求めることとしております。

 要件として、履修までは求めず、配置としたのは、具体的にどのような授業科目を必修科目とするかについては各大学の判断によるべきものであることから、各大学において、実務経験のある教員による授業科目を履修できる環境を整備することを求めるためとしたからであります。

畑野委員 であるならば、わざわざ要件にする必要はないと思います。

 もう一つ、産業界等の外部人材の理事への登用という要件についてです。

 現状でも、二人以上の外部理事を登用している大学は、国立大学で四三・九%、私立大学で九三・八%であるというふうに伺っております。

 国立大学法人法、私立学校法は、外部理事の登用について、当該法人の役員又は職員でない者という以上に、どのような者を登用するか具体的に規定していないんです。その理由はなぜでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 理事に学外者を複数含めることで、客観的、複眼的な外部の意見を大学等の運営に反映させ、運営の透明性を確保することが可能となると考えており、今回の支援措置におきましては、理事に外部人材を複数置いていることを求めることとしております。

 閣議決定等における産業界等というのはあくまで例示でございまして、外部理事に求められる経験や知見は大学等ごとに多様であることから、産業界の人材のみに限定することは考えておりません。

 現行制度の国立大学法人、学校法人における外部理事、ただいま紹介いただきましたように、任命又は選任の際、現に当該法人の役員又は職員でない者と定義されておりますが、今回の要件における定義も同様のものとする予定でございます。

 どのような者を外部理事として任命又は選任するかは、この法に基づきまして、法人に委ねられるというものでございます。

畑野委員 最後に確認です。

 個人要件、機関要件とも省令事項なんですね。法改正なしに変更される可能性があるんです。変更の可能性はないと断言できますか。

柴山国務大臣 今御指摘いただいた機関要件及び個人要件の内容については、昨年十二月二十八日の関係閣僚会合において決定された、高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針に基づいて、省令で規定していくこととしております。

 見直しは、一般論として、適時適切に検討されるものですし、法案の附則についても法律の規定に基づく見直し条項というものがありますけれども、現時点においてこの変更の可能性について想定をしているものではありません。

畑野委員 次にまた譲りたいと思います。以上で終わります。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

馳委員長代理 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 建設的な先生方からの御意見、改めてやはり委員会の意義というものを感じております。

 川内先生から御提案があり、今も畑野先生から、外務省の方を呼んでの確認で国際人権規約の話がありましたけれども、馳筆頭もうなずいておられたような気がしますけれども、まず、私、冒頭、高等教育の無償化、これを目指していくという全体の目標の設定というんですか、大臣も前向きの答弁をしてくださったと認識しておりますけれども。

 やはり、日本の政府なり政治というものは、リーダーシップを総理だけが発揮するのではなくて、内閣全体としてリーダーシップを発揮いただいて、そして、例えば外国人材の就労、入管法の改正の問題なんかでも、一体どれだけの数をどれだけ入れようとしているのかという、ちょっと話が飛ぶかもしれませんが、そういう方向づけとか、そういったものがはっきり国民の皆様に示されることが一つの安心であり、方向づけにつながると思いますので、そういった意味では、この高等教育の無償化を本当に目指すんだということを、いい御提案が各議員の先生方からありましたので、私も重ねてお願いをしておきたいと思います。

 それと、冒頭、村上代議士からは東京福祉大学のことがあり、大臣が前向きの建設的な答弁をされたと思っておりますので、ぜひ、徹底解明、毅然とした措置といったものもお願いをしておきたいということを申し上げます。

 さて、私は、ちょっとこの法案と若干絡むということになるかもしれないんですけれども、いじめ問題について、幼児虐待の問題もあって緊急で、今、法案の提出という方向になっていると認識していますけれども、同時に、引き続き起きてしまっているいじめ問題、この問題について大臣から御答弁いただければというふうに思っています。

 先日、私は群馬県の高校一年生と申し上げてしまったんですが、高校二年生だったようでございますが、群馬県の高校二年生が電車の人身事故で亡くなり、私の地元愛知県豊田市の小学校六年生がお二人一緒にマンションから飛びおりてしまうというようなことがあったわけでございます。

 それで、前々回ですか、参考人の前だったかと思いますけれども、名古屋の例を挙げて局長の御答弁をいただき、先駆的だというようなお言葉もあったやに記憶していますけれども。その名古屋市が提携しているロサンゼルス市始めアメリカで実際に学ばれて、そのノウハウを日本の中に伝授している高原さんという方がいらっしゃるようで、二〇〇六年に書物を書かれていて、まだ私も勉強中なので突っ込んだところまでなかなかいけないんですけれども、あえてこのきょうの高等教育というくくりの中で、いじめ問題への専門的な学部だとか学科とか、そういったプログラミングというのが本当に必要なのではないかという思いを持っております。

 そんな中で、今の日本国の中での国立、公立、私立、数の問題も参考人とも質疑しましたけれども、そういった設置がある中で、あるいは認可がある中で、現状はこのいじめ問題に対策を絞れているような専門の学部・学科というのがあるのかどうか、この点を確認させていただければと思います。

柴山国務大臣 いじめなどの生活指導の諸課題に対応する知識、技能を身につけることは、全ての教員にとって私は必要なことであろうというように考えております。

 教職課程においては、生徒指導の理論及び方法、教育相談の理論及び方法が必修となっております。これらの科目の中で、いじめに対する、児童生徒などの発達段階や発達課題に応じた教育相談の進め方などについて学ぶこととなっております。

 これに加えて、各大学の創意工夫により、いじめ問題に関する取組を特に充実させている例もあります。例えば、教員養成課程を有する宮城教育大学、上越教育大学、鳴門教育大学及び福岡教育大学は、いじめ問題に関して、BPプロジェクト、これはいじめ防止支援プロジェクトのことなんですけれども、これを立ち上げて、学校でのいじめ予防教育の開発と普及に関する教育・研究事業等を実施しております。

 また、教員以外にも児童生徒の教育相談を担う人材として、御案内のとおりスクールカウンセラーなどがありまして、例えば愛知教育大学においては、教育支援専門職養成課程において心理コースを設置し、学校のチーム支援を担う心理専門職などを養成しているというように伺っております。

杉本委員 学校によって創意工夫されている、教職課程もそれなりにやっているということなのですけれども、日本をしょってくださるのは、将来をしょってくださるのは子供たちであるという点を鑑みますと、本当に命を守っていく必要があると思っております。

 そんな意味で、ちょっとアメリカが全て先駆的とは言い切れないと思いますけれども、そのロサンゼルスで取り入れているようなプログラムといったものを本当に取り入れていく必要がある。それはなぜかといえば、やはり、常勤のカウンセラーを設置していくぐらい、そのいじめ防止には子供たちにきめ細かく対応する必要があると思っているんです。

 ちょっと更に突っ込んだ質問になるかと思いますが、アメリカのプログラムを導入しているようなケースというのはあるかどうか、御答弁いただければと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 各大学、教育・研究内容について、さまざま海外も含めた事例等を踏まえてカリキュラムを組んでいるかとは思いますけれども、私ども、網羅的に把握しているわけでなくて、アメリカのプログラム、今先生から御紹介いただいたプログラムを取り入れているといったところは承知していないところでございます。

 ただ、いじめ対策という点につきましては、そういった教員の養成のほか、実際の現場でのいじめの報告、相談についてのアプリケーションの開発等、アメリカで開発されたものを、教育委員会、また教育委員会と連携した学校現場で活用しているといったような取組も承知しているところでございます。

杉本委員 局長もお忙しいと思うんですが、国会答弁も忙しいと思うので恐縮ですけれども、ぜひ、海外等含めて情報を収集していただいて、本当に子供たちの命を守るという観点からも、そういったプログラムが大いに取り入れられていくということになるように尽力いただければと思っております。

 いじめ問題については以上と思っておりますが、次に、参考人質疑でもリカレント教育という問題がありました。ちょっとリカレント教育について確認をさせていただきたいんですけれども。

 おととい、参考人質疑では、大学の数はどうなんですか、定員はどうなんですかということを申し上げたところ、いや、大学の数も定員も大体適当な数であるというような参考人の答弁だったと思うんですけれども。中教審というのは本当に全て合っているのかなというのは、実は、東京福祉大学の問題を一つの例にとれば、やはり、全体で見れば定員というのは適正なのかもしれませんけれども、ある意味、必要のないところに定員の枠があって、必要なところに逆にもっと枠をふやしてあげる必要があるとか、そういった、細かく見ていくと、そういう部分では改めていく必要があると思うので。

 ちょっとこれは大上段で恐縮ですけれども、中教審のあり方みたいなところも、やはり教育界の方だけではなくて、もう少し幅広くいろいろな情報がとれるような拡大会議みたいなのもあってもいいのかなというふうに、既にあるのかもしれませんが、私は、そこがちょっと、何となく、偏在しているというか、専門家の、オーソリティーの方々の意見ばかり聞いていても、本当に国の方向が正しい方向に向かっていくのかどうか、そんな思いをしています。

 そんな意味で、リカレント教育の定数とかそういった意味でも、リカレント教育のために、大学の数だとか定数が、しかるべき数で、いいんだということがありましたけれども。

 ちょっとまた一方的にお話ししますけれども、日銀の前総裁の白川さんの「中央銀行」という本がありまして、この中に、デフレという言葉自体難しいんですけれども、その定義づけについても課題があるというようなことをおっしゃっているんです。その中で、通貨供給の量の問題ではなくて、やはりデフレの本質みたいなのは少子化だというようなことを実は白川さんはちょっと書いておられます。そんな中で、いわゆる生産性を上げてGDP全体を何とか保つというのはあるんですけれども、結局のところ、それ以上の勢いで人口が減っていっているので、着目点を一人当たりのGDPと見ると、それなりに実は日本は頑張っているということなんですけれども、更にそれを突っ込んで、生産年齢人口という切り口で見ると、そこのGDPというか、彼は、GNIを使うべきだ、利息収支とかそういうようなものも含めて、海外投資とかを含めて見るべきだと言うんですけれども、生産年齢人口で見る一人当たりのGNIというのは、実は、国際標準で見ても、日本はかなりの線を行っているんですね。

 ということは、本当に働き盛りの人とかを、生産性が上がっているというのは今実情ですけれども、これを更に加速化していくというか、パワーアップしていくという意味からリカレント教育は使われるべきであって、シニアになって、ちょっと老後になって勉強したいから、まあ、高齢者の方々も働いてもらうというのはわかるんですけれども、そこが本当に生産性アップにつながるかどうかというと疑問だと思うので、リカレント教育という切り口も、やはり生産年齢人口の、特に若いゾーンというあたりを考えて我々はポイントを絞っていく必要があります。

 このリカレント教育、ちょっとある女性の話をしますけれども、大学を出て就職をして、日本の、本邦系の金融界で働いて、かなりもうけて、社長表彰も何度ももらったという人がいて、その方は、東日本震災にボランティアで行って、委員長の地元もあると思いますけれども、そこで、やはり、人生というものはお金もうけではなくて、人生というものは人様に貢献するためのものであるということで、まさしく、これは林大臣から、それはリカレント教育のケースじゃないかみたいに言っていただいたことがあるんですけれども、稼いだお金をもとに大学に入り直して、今、看護師の卒業間近という段階になっている人のケースがあります。

 そういった意味で、今、冒頭申し上げた、生産年齢人口の部分のリカレント教育、あるいは、そういった具体的な例みたいなところをちょっと取り上げるというようなことで、このリカレント教育の普及発展、これについての現状の文科省としての認識。情報開示、発信は十分行われているのかどうか。また、今後の展望。そして、漠とリカレント教育といっても、みんな、政治をやっている人間はわかっているかもしれませんが、世間の人は知っているかというと、知らないんじゃないかというふうに私は感じますので、例えば、スマホで見て、ああ、こんな成功したケースが個人のベースではあるんだと。

 本人のプライバシーの了解は必要だと思いますけれども、ミクロのベースで個人の成功例に着眼して、その、サクセスなのか、具体的に進んでいっている事例を紹介する、こういったことがリカレント教育普及発展には必要ではないかと思いますけれども、既に行っていること、これから拡充していこうとするということ、こういった意味で今の文科省の状況を教えていただければと思います。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

伯井政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただきましたように、キャリアアップ、キャリアチェンジで求められる能力、スキルを身につける機会が提供されるという意味で、リカレント教育の抜本的拡充が求められているというふうに認識しております。

 しかしながら、日本の高等教育機関への二十五歳以上の入学者の割合というのはOECD諸国に比べ低いということでございますし、内閣府が実施した調査では、社会人が大学などの教育機関で学びやすくするために必要な取組の一つとして、学び直しに関する情報を得る機会の拡充が挙げられておりまして、御指摘いただきましたように、情報発信に一層取り組んでいく必要があるというふうに認識しております。

 文科省では、これまでも各大学等の取組の成果発信を促進してきましたが、加えて、今年度から、リカレント教育の講座情報や支援制度情報等を一元的に学習者に提供するための総合的なポータルサイトの構築に取り組んでおります。また、御指摘いただきましたように、リカレントプログラムの修了者がどのようにキャリアアップやキャリアチェンジを実現したかという、具体的に事例をイメージできるということは、今後リカレント教育を一層拡大していく上で有効であるというふうに考えておりますので、引き続き、各大学等による広報の促進、あるいはこの情報発信ポータルサイトの整備、そういった観点でも進めていきたいというふうに考えております。

杉本委員 さきの参考人質疑で、大学進学率でスウェーデンのケースを、ちょっと数字を申し上げたら、そこはリカレント教育の関係で進学率が高いんですというようなことを参考人がおっしゃっておられました。今局長おっしゃっていただいたと思いますけれども、ぜひ大学としっかり連携をしていただくのが一つと、そして、もう一点は、やはり文科省自体としての、おっしゃっているところの拡充、これをぜひ、お立場、責任があると思いますので、大いに進めていただければというふうに思っております。

 次に、参考人から出ていたところの問題意識みたいなところの確認をさせていただければと思っておりますが、小林東大教授の御指摘というのはかなりごもっともだなというのが幾つもあって、そのうちの幾つかを質問させていただきたいんですけれども。

 授業料減免とモラルハザードという項目があって、そこに、より精緻な給付額の設定という提起があって、日本の場合は三段階で、フランスは八段階、アメリカ、ドイツは段階なしというような御説明をいただきました。このより精緻な給付額の設定、これに所得の捕捉というのが大事だというようなお話もあって、私はマイナンバーのお話をさせていただき、私ども維新はマイナンバーの普及に力を入れておりまして、あえて、私は、普及すればコンビニ投票ができて、選挙の結果もまた変わってくるのではないかみたいなお話までさせていただきましたけれども。

 このマイナンバーの活用について、文科省として、普及に前向きに取り組みたいというか、マイナンバーに対する普及啓発等についての姿勢を確認させていただければと思います。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、デジタル社会にとって不可欠な基盤となるマイナンバー制度の普及促進については、私ども文部科学省も、政府の一員として、関係省庁と連携して取り組んでいるところであります。

 まさしく、この新制度においては、申込みの際にマイナンバーの提出を求め、所得の確認に活用することとしているところでございます。

杉本委員 なかなかプライバシーとかそういう問題でマイナンバーが進まないとは言いつつも、やはり政府を挙げてあるいは国会を挙げて普及をさせていくことが、逆にきめ細かなことにつながっていくと思いますので、一層お力を入れていただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、同じ小林先生からの御指摘で、情報ギャップの拡大の問題というのがありましたけれども、この問題点について、文科省として、いかに認識して、いかに対応しているのか、また今後どう対応していかれるおつもりかを確認させてください。

伯井政府参考人 対象となる子供たちに必要な情報が届くよう、新制度の趣旨や法案等について、通知、各種会議での説明、文部科学省のホームページへの掲載など、高校や大学等の関係者に周知に努めているところでございます。

 一方で、日本学生支援機構の平成二十八年度奨学金の返還者に関する属性調査では、例えば返還義務を知った時期について、約七割の方が申込手続を行う前に知っていましたが、逆に、約三割の方は意識されていなかったというようなことから、大学等と連携しつつ返還義務の周知徹底というのも図っていくことが重要であり、さまざまな機会を捉えて周知を行っております。

 また、一人親世帯など支援が特に必要な子供たちには、教育関係者だけでなく社会福祉関係者を通じた周知が重要なため、厚労省等と連携した周知を行っております。例えば、全国団体を訪問して制度の趣旨等を説明し、周知協力を依頼したり、全国の主管課長会議で時間をいただいたほか、厚生労働省からも周知の依頼をいただきました。

 新制度に関する情報が支援対象者となり得る子供たちに行き届き、十分にその活用が図られるよう、今後ともしっかりと関係者への広報、周知に取り組んでまいりたいと考えております。

杉本委員 本当に、一人親とか、そういう環境であって、しかも所得がすごく低くて、情報難民と言ったら怒られちゃうかもしれないですが、情報がなかなか本人に届かないようなお子さんに、ぜひ、よし、頑張って勉強して日本のために働こう、あるいは世界のために働こうと思っていただけるようなことにつながるように、情報をぜひともきめ細かく届けていただきたいというお願いをさせていただきます。

 さて、東京福祉大学ではないんですけれども、次の質問に入らせていただきます。学校経営といった点にちょっと焦点を当ててみたいと思うんですけれども。

 存続することが大事で、そっちが第一義になって、中身は何なのかみたいなところとか。小学校は廃校されたりするわけでありまして、この間も地方創生で五島列島の話をさせていただきましたけれども、小学校が廃校されて大学は実際どうなのかみたいなことでの、廃止といったものをタブー視する必要がないのではないか、あるいは統廃合も建設的にしていく必要があるということで、私立学校のところは学部までできるみたいなことを今回の法案で整備していただいていることは大変いいことだと思いますけれども。

 そもそも論をまた恐縮ですけれども、日本の大学の財力。特にこれは、アメリカの大学あるいはヨーロッパの大学が、寄附の文化で、お金をたくさん寄附されてその寄附の運用で学校の先生方の給料が賄われるということとか、あるいは、ある大学を見ると、一番給料を取っている人は誰だろうかというと、有名な何々先生ではなくて、実は、学校の持っている財力の源泉と言える資金を運用していて、非常にいい運用をする人が一番高い給料を取っているのがその大学での最高給を取っている人だというような実態を聞くことがあります。一概になかなか言えませんけれども、アメリカは行き過ぎなのかもしれませんけれども。

 欧米、あるいはOECDというくくりの中で、大学の財力、こういった点を国際比較してみて、日本の大学というのは、国立、私立、公立、いろいろあるわけですけれども、概論的な御説明で結構なんですけれども、文科省さんの御認識は今どういう状況にあるか、教えていただければと思います。

伯井政府参考人 大学の制度、規模等が異なるため、一概に比較することはなかなか難しいわけでございますが、最新で把握している各国の大学の主要な収入別の財源別比率をもとに、例えば国立大学、州立大学で比較いたしますと、日本の国立大学の収入の財源別比率は、公財政が三四%、学生納付金が一二%に対しまして、寄附金収益は二%となっております。

 アメリカ合衆国の州立大学の収入の財源別比率は、公財政が三七%、学生納付金が二一%と、日本に比べて高くなっております。寄附金収益は州立大学全体で見ると三%でございまして、余り日本の国立大学と違いがないように見えますが、一方で、個別の大学でいいますと、ハーバード大学は寄附金収入が九%となっておりますので、そういう高い大学もあるということでございます。

 イギリスの場合は、同じく収入の財源別比率は公財政が三二%、学生納付金が四八%と、非常に高くなっております。寄附金収益は二%でございます。

 このように、日本の国立大学は他国と比較して学生納付金の割合が比較的低くなっております。公財政の割合も、なかなか他国との比較というのは一概には難しいというふうに認識しております。

杉本委員 ハーバードの例は特殊なのかもしれませんが、一方で、やはり寄附の文化というのはなかなか日本に根づきませんけれども、やはり財源というのが、参考人質疑でもありましたけれども、限りがあって、本当にきめ細かく、寄附金の崖みたいなことがないようにしていかなきゃいけないし、できるだけカバーしていってあげなきゃいけないという一方で、やはり国家を運営していく上では財源というものは限りがある、打ち出の小づちではないという認識も私は持っておりますので、そういった意味で、やはり寄附金の文化をもう少し発展させていく。これはちょっと財務省の問題になると思いますけれども、寄附金に対する控除、今もできていますけれども、そこをもうちょっと喧伝していくとか、そういったところで、ちょっと大学の財力をつけていっていただくということも、ひいては学生に対する支援という意味では私は大きいのではないかと思いますので、こういった点の着眼点も皆様に共有していただければと思っております。

 さて、また東京福祉大学の話と絡んじゃうのかなと思いますけれども。私立の大学の経営監査体制、内部監査、外部、第三者の監査、日本大学のケースなんかもありましたけれども、学問の独立性とか大学の自治とか、私立の場合の建学の精神というようなものを尊重していかなければならない一方で、やはり税金がめぐりめぐって私立の学校にも行っているという現状を鑑みると、監査体制、あるいは、これは余り国の関与が行き過ぎてもいけないんですけれども、余りに自治とかそういったものを尊重し過ぎると、ほったらかしに近いようなことになってもいけないと思うんです。

 こういったものの監査の現状、今後のあり方をいかに認識し、文科省としていかに指導監督していかれるおつもりなのかどうかを、改めて確認させてください。

柴山国務大臣 私立大学を設置する学校法人の健全な経営を確保する観点から、経営監査体制を充実することが非常に重要であると考えております。

 その際、御指摘のように、私学の自主性に配慮しつつ、自律的かつ意欲的なガバナンスの強化が図られるようにすることが必要であります。

 現状においては、内部監査として、監事による監査の義務づけや内部監査組織の整備を推進するとともに、外部監査としては、私立学校振興助成法において会計監査人による監査を義務づけているところであります。

 今後、今回の法改正によりまして、監事による理事の不正行為の差止め請求や、監事に対する不正の報告義務、また、理事会及び評議員会の招集権などを規定することで、監事機能、内部監査機能の強化が図られるとともに、外部監査と内部監査、相互の連携協力を推進することで、経営監査体制のさらなる充実を図ることが必要であると考えております。

 その際、私学の自主性や建学の精神に基づく多様性を前提として、制度整備や運用を行っていくことが重要だと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 私は、銀行にいた関係で、金融庁の監査とか日銀の考査とかいうものを随分受けて、厳しいなと思っておる一方で、今お言葉をいただいたんですけれども、それなりに監事による監査というかあると思うんですけれども、税金が投入されているということについては厳しくなければいけないという点は、やはり私は持っていただきたいなと思っていますので、バランスの問題でもありますけれども、この監査について、不適切な学校が散見される今日に至っては、この点についてまた議論をさせていただく必要があると思っています。

 時間となりましたので、残余の質問は次回の機会にさせていただきます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 今回、授業料減免とか支援を柱とした修学支援法案に加えて、大学の管理運営に関して学教法等々、四本の法律の見直しが一括して現在審議に付されております。

 きょうの朝の理事会で、与党の方から次回にも採決をというお話がございましたけれども、到底審議時間が足らないというふうに思います。一昨日の参考人、異例、余り私も経験がないんですけれども、午前と午後で二回にわたって参考人の質疑を行いました。

 これはどういうことかというと、結局、修学支援法とそれから学教法等の改正、余り関連がない、ほとんど関係がない、にもかかわらず、まとめて審議をするという、一旦、もうまとめてやるということになったとすれば、これは今さら変えられないというのであれば、せめて審議時間をしっかりとっていただかないと十分な審議ができないというふうに思いますので、くれぐれも丁寧な委員会運営を委員長にお願いしたいと思います。

亀岡委員長 理事会で検討させていただきます。

吉川(元)委員 それでは、本日は修学支援法を中心に、まず質問をさせていただきたいと思います。

 他の委員も質問されておりましたけれども、今回の第一条の目的、私も少し違和感を感じます。少子化対策というものが前面に出ているような感を受けます。

 一方で、今回の授業料減免に向けた動きの中で、二〇一七年十二月の新しい経済政策パッケージから、今私の手元にあるんですけれども、昨年十二月に閣議決定された制度の具体化に向けた方針、これまで政府はずっとその中で高等教育の無償化、昨年十二月の具体化に向けた関係閣僚会合の中で、高等教育の無償化の制度の具体化に向けた方針の概要と、ここにもまさに高等教育の無償化という言葉がずっとあったわけです。

 ところが、今回、法の一条、目的規定には、高等教育の無償化に類する表現が見当たりません。高等教育の無償化の位置づけ、これが主だったというふうに思うんですけれども、少子化対策に変わってしまったのか、まず大臣の認識を伺います。

柴山国務大臣 今回の法案は少子化の進展への対処に資するものであり、第一条において、「我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与すること」を「目的」として規定しております。

 閣議決定などにおける高等教育の無償化は、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対する授業料等減免制度の創設及び給付型奨学金の拡充を内容としており、国民に政策内容を伝える観点からこうした表現を用いているものであります。

 今回の法案は、支援の内容面を捉えて法律上規定しているものであり、無償化という表現は用いておりません。

吉川(元)委員 つまり、これは高等教育の無償化の一環ではないということなんですか、それともあるということなんですか、どちらなんですか。

柴山国務大臣 先ほど申し上げたとおり、高等教育の無償化にも適した、それに沿ったものであるというように考えております。

吉川(元)委員 主と従が入れかわっていませんか。

 高等教育の無償化ということで、総理も、一昨年の、恐らく解散・総選挙の際にそうした内容のことを言われていたというふうに記憶しますけれども、高等教育の無償化というものが主たる目的で、結果としてそれは少子化の対策にもつながる、これだったらわかります。だけれども、今大臣が言われたのは、少子化対策が主で、それはたまたま高等教育の無償化にもつながるという言い方をされたように受けとめたんですけれども、位置づけが変わっていませんか。

柴山国務大臣 繰り返しになりますが、今回の法案は、少子化対策が目的ではありますけれども、真に支援が必要な学生に対して、確実に授業料等が減免されるよう大学等を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するものでありまして、先ほど来お話がある漸進的導入の趣旨にもかなうと認識しております。

吉川(元)委員 やはり、私は主と従が入れかわっているというふうに思いますね。

 だとするならば、仮に少子化じゃなくなったら、これはもうやめるということになりかねない、そういう理解でいいんですか、大臣。

柴山国務大臣 施策の変更等について、現時点で考えておりません。

吉川(元)委員 こればかりやっているともう時間がありませんが、もともと、高等教育の無償化、国際人権規約の問題も、他の委員も多く指摘しておりますけれども、そうした中で条約の留保を外しているわけですよ。それを誠実に履行する責任が日本政府にはある、教育行政をつかさどる文科省にはあるんだということを、しっかり中心に据えて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 あわせまして、大臣にもう一点お聞きしたいと思うんですけれども。今回の法案、おとといですか、参考人質疑の際にもいろいろと議論がありました。特に、第一条で、真に支援が必要な低所得者の者、こういう限定を置いていることはどうなのかという御意見がありましたし、重ねて、第三条では、特にすぐれた者であって経済的理由により極めて修学が困難なものを支援の対象に絞り込んでいる、こういうふうになっております。真に、特に、極めて。本当に、限定に限定に、更に限定を重ねるような文言が、次々と法案の中に書かれている。ここまで限定していくというのは、何の意味があるのか。

 とりわけ、私は、今回の無償化というのは一歩なのか半歩なのか、これも議論がありました。ただ、これは対象者を更に拡大していく必要があるんだというふうに私は認識をしておりますが、こんな表現をされますと、非常に疑問に感じてしまいます。

 そこで、大臣として、修学支援の対象を今後拡大していく方向なのかどうか、お答えいただきたいと思います。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいたように、真に支援が必要な者というのは、経済的理由により極めて修学に困難がある者、具体的には、住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の学生であって、高校の成績だけで判断せず、明確な進路意識や強い学びの意欲を確認して対象とされた学生を対象とし、授業料等減免と給付型奨学金をあわせて措置することとしております。

 今回の支援措置によって、給付型奨学金については、現行制度では非課税世帯の学生の一部が対象であるところ、平年度、今ですと約六万人規模と言われておりますが、新制度では、住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の学生について、先ほど言ったような、高校の成績だけで判断せず、本人の学習意欲や進学目的を確認して対象とすることから、対象者数が大幅に拡充され、これにより、進学率が向上した場合を想定してでありますけれども、七十五万人規模にもなるというように我々としては考えております。

 国民負担により、給付そのものを手厚く行う本措置と、これまで累次にわたり充実させてきた、より幅広い対象者への無利子奨学金の拡充ですとか返済負担への配慮などをあわせて行っていくことによって、今委員から御指摘のような、家庭の経済状況にかかわらず安心して学べる環境のさらなる整備というものに努めていきたいと考えております。

吉川(元)委員 余り時間がないので、聞いたことに端的に答えてください。

 今回新しい法律ができる、更に今後、この対象を含めて拡大をしていく方向性をお持ちなのかどうなのか、その点をお答えくださいというふうに聞いたんです。

柴山国務大臣 失礼をいたしました。

 この支援の拡大につきましては、貸与型奨学金の拡充により進学機会が開かれていること、また、高校卒業後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることなどを十分に踏まえ、今後、しっかりと議論を継続してまいります。

吉川(元)委員 何か弱いですね。

 今回の法改正で、給付型奨学金を学資支給として修学支援法の中に位置づけられるというふうに思います。

 給付型奨学金制度を創設した際に、附帯決議で、高等教育機関へ進学を希望する者に対し、教育を受ける機会が均等に保障されるよう、給付対象の拡大及び給付額の増額に向けた検討に努めること、このように書いてあるわけです。

 ですから、この附帯決議をしっかり守っていただくのであれば、今後も拡大に向けてしっかり議論を続けていただかなければならないということを指摘をしておきたいというふうに思います。

 関連して、これも他の委員から質問がございましたが、現在、学校独自で授業料の減免が行われております。現在、来年度予算でも、国立大学の運営費交付金で三百六十五億、それから、私立大学では経常費補助で百七十七億が予算計上されております。

 他の委員も指摘したとおりなんです。私も非常に危惧を持つんです。今回の新しい支援法が入ったことで、これまで行われていたこうした大学独自に行っていた授業料減免措置、それに伴う予算措置、これが次々年度以降一体どうなっていくのか。

 この点について危惧を持つわけですけれども、この点、大臣、今どのようにお考えでしょうか。

柴山国務大臣 現在、各大学の独自の授業料減免を受けている学生が新制度の施行によりどのような影響が生じるかについては、国としても、各大学の状況を把握し、精査をしてまいりたいというように考えております。

 現に支援を受けている学生については、減免の事由や家計基準の実態等を見きわめつつ、何らかの配慮について検討したいと考えております。

吉川(元)委員 それは当たり前の話です。当たり前の話なんです。

 だけれども、次々年度以降入学をする、新しく今進学を考えている世帯で、今回の支援の対象にならない人も恐らくいると思います。その方が、先ほど幾つか大学の例を挙げられましたけれども、この大学だったら授業料が減免されるから行こうというふうに志望をしている、考えている方もいらっしゃると思います。

 今の大臣の答弁だと、今受けている人は何らかのものをやるかもわからない、それは検討すると。だけれども、来年四月以降入学する学生については全く考えないということですか。

柴山国務大臣 各大学における授業料減免への公的支援は、新制度のもとで、真に支援が必要な住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の学生に対し重点的に行われることになります。

 一方、留学生や大学院生、成績優秀者を対象としたものなど、現行制度のうち新制度と支援が重ならない部分の支援については、今後、予算要求に向けて適切に検討することとしたいと考えております。

吉川(元)委員 つまり、いわゆる非課税世帯は今回満額ということですし、それ以降、段階的に減っていくわけですけれども、今行われている減免措置、これは、文科省としては、今後予算折衝ということになると思いますけれども、維持できるように頑張っていく、そういう認識で、受けとめでよろしいんでしょうか。

柴山国務大臣 今申し上げたとおり、予算要求に向けて適切に検討するということです。

吉川(元)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。要求が貫徹できるまで財務省の前に座り込むなり何でもして、とにかくとってきてもらわないとだめだと思います。

 次に、もう一点、すごく危惧を持つんですけれども、今回の修学支援の財源、七千六百億円ですけれども、これは消費税を充てるという話であります。

 そうしますと、例えば今後、今、先に修学支援の拡大を考えているのかというようなお話もしましたが、私はこれでは全く不十分ですし、修学支援をもっと拡大していかなきゃいけない、あるいは、授業料の値上がりが仮にあったとして、そうすると減免措置に要する費用というのは当然ふえていくわけですから、そういった場合に、消費税を財源にするとなると、消費税が上がらないと、いわゆる文教予算、とりわけ大学の修学支援は拡充できないというふうになってしまうのか、それとも、それとこれとは別だというふうに認識すればいいのか、この点いかがでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 まず、所要額でございますが、低所得者世帯の進学率が全体進学率に達するという仮定のもとで、支援対象者は七十五万人程度となると想定し、最大七千六百億程度と試算しております。

 まず、消費税率の引上げによる増収分により必要な財源を確保するということを前提に本法案を提出しているところでございまして、まずはこの御審議をいただき、本制度の円滑な実施ということに努めてまいりたいと考えておりますが、その上で、仮に将来における制度の見直しによる拡充が必要となった場合には、その安定財源の確保とあわせて検討するというものでございます。

吉川(元)委員 私が危惧するのは、消費税というのは、もともと社会保障経費、四つの経費に充てる、年金、医療、介護、それにいつの間にか子育ても入って、そして今回、教育も対象になった。国民生活にかかわるほとんどのものが消費税でカバーするなんという話になってきたら、消費税を幾ら上げたって足らなくなりますし、上がらなければ拡充できないというような事態は絶対に避けなければいけない、そのことを指摘させていただきたいと思います。

 次に、今回の法案では、真に支援が必要な云々というのがつきますけれども、かなり手厚く支援が行われることになりました。一方で、大学の授業料は非常に高どまりをし続けております。

 私が大学に入ったのは一九八五年でありまして、当時、国立大学は、年間の学費が二十五万二千円でした。当時は毎年交互に、入学金が上がって、翌年は授業料が上がって、翌年は入学金、恐らく柴山大臣もその渦中にあったというふうに思います、すさまじい勢いで、授業料と入学金が上がっていきました。私より十歳ぐらい上の人は、多分、年間の授業料が三万とか四万とかの時代だったというふうに思います。それだけすさまじい勢いで、国立大学の授業料が値上がりをしてまいりました。

 当時と今、一九八五年と今と物価を比べますと、大体消費者物価は二割弱上がっているんですね。ところが、その間に、国立大学の授業料は二倍に、そして、私立大学でも、同じ時期が大体平均四十七万五千円だったものが八十六万八千円、ここは二倍までは行っていませんけれども、四十万円近く値上がりをしてしまっている。

 そういう意味でいうと、子供を大学に進学させよう、今から四十年前の人は、ある意味でいうと、じゃ、ちょっとアルバイトして学費を稼げば行けるよという時代だったものが、今家計が負担しなければいけない子供の、学生の生活費もそうですし、授業料も物すごく莫大なものになってしまっている。

 参考人質疑にお越しいただいた花井参考人も、中央労福協の調査では、高等教育の負担に関して優先的に実現してほしいということとして、大学などの授業料の引下げを求めた人が約半分、それから三つ以内の選択になると七二・四%が授業料の引下げを求めております。

 もちろん、奨学金を拡充することも必要ですが、あわせて、ここまで高くなってしまった大学の授業料そのものを引き下げる、そのための運営費交付金や私学助成を拡充していく道があったのではないかと思いますが、この点はどのようにお考えでしょうか。

伯井政府参考人 授業料の実態につきましては、ただいま御紹介いただいたところでございます。

 学費の設定につきまして、近年、平成十七年度以降、国立大学は国において授業料の標準額を据え置いているものの、実態は今言ったような状況でございます。しかし、基本的には、これは各国公私立大学がそれぞれの教育・研究環境を勘案しながら適切に定め、国としては、運営費交付金あるいは私学助成をしっかり確保していくということで対応していくものというふうに認識しております。

 今回、文部科学省としては、新たな制度により、真に支援が必要な低所得世帯の学生に対して、授業料減免、十分な給付型奨学金の支給ということで、修学支援の措置を更に講じてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 ぜひしっかり確保をしてください。というのは、運営費交付金というのは、国立大学の法人化に伴って、それ以降、参考人のときにも言いましたけれども、一千四百億、一割以上減っていると。その中で、しっかり確保すると言うんだったら、これをせめてその時代にまで戻すぐらいの予算要求、そしてしっかり折衝をしていただかないと、これは本当に、このまま授業料が高どまりすると、今は低所得者という話ですけれども、実は中間所得世帯でも負担は非常に重くなっております。

 学生支援機構の調査では、授業料を含めた年間の必要なお金、国立大学自宅生で年間百九万、自宅外生で百七十四万、私立大学生の場合には、自宅生で百七十六万、自宅外だと二百四十九万、このお金がかかるということになっております。

 今回の修学支援の対象、上限が世帯年収三百八十万ですけれども、支援対象外の年収五百万の世帯でも、例えば、私学に二人、自宅外から通えば、年収のほぼ全てを出さないと子供を大学にやれない、そういう実態にあるわけです。

 これは、柴山イニシアティブ、私も少し見せていただきました。手厚い支援と厳格な評価、こういうお話がございました。ところが、今、先ほどの機構の調査では、アルバイトに恒常的に従事する学生というのは八五・七%なんです。そうしないと学費も生活費も出ないのが、今の大学生の実態です。

 厳格な評価は結構ですけれども、生きていくために、あるいは学費を捻出するためにアルバイトをしなければいけない、その上で厳格な評価、これでは学生は本当にやっていられないというふうに私自身思いますし、いわゆる今回の対象から外れる中間所得世帯の高等教育の負担、これを軽減していかなきゃいけないと思いますけれども、この点についてはどのような認識をお持ちでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 これまでも、無利子奨学金の充実あるいは返還期限の猶予など、貸与型奨学金の充実に努めてまいったわけでございます。

 中間所得層については、こうした貸与型奨学金の拡充に加えて、さらに、低所得者同様に給付型によるさらなる支援を行うということにつきましては、貸与型奨学金の拡充により進学機会は開かれていること、あるいは、高卒後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることを十分に踏まえ議論をする必要があると考えておりますが、こうした点も踏まえ、高等教育の無償化、大学教育の質の向上とあわせて、中間所得層への大学への進学機会についても、対応状況等を丁寧に分析するなど、引き続き注視してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 貸与型の奨学金と言いますが、これは利子はつかないものもありますが、利子がつくものもたくさんあります。これは結局借金なんですよね。返さなきゃいけないんですよ。今の社会状況の中で返せるかどうかわからない、そういうものを背負わせて社会に出すというこの社会の仕組みが、私は間違っているというふうに思います。

 次に、修学支援法の七条二項の一号と教育基本法との関係について伺いたいというふうに思いますが。

 今回の確認要件として、七条二項一号で対象となる大学の位置づけを示しております。社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成することが求められ、要は、就職後の実践に役立つ人材を供給すべしということなのかというふうに思いますが、他方、教育基本法、あるいは学校教育法での大学の位置づけは、あくまでも学術の中心であって、その知見や成果を広く社会に提供することが大学の役割であります。

 余りに実践教育に偏重しているようにも見える修学支援法での大学の位置づけ、これは、教育基本法や学教法での大学の位置づけと私自身はギャップを感じるんですけれども、この点はいかがお考えでしょうか。

伯井政府参考人 今回の支援措置の要件におきましては、大学についての教育基本法、あるいは学校教育法における目的等の規定も踏まえまして、それを前提とした上で、支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上で社会で自立し活躍できるよう、学問追求と実践的教育のバランスということを重視いたしまして、バランスのとれた質の高い教育を行う大学等を対象にするという趣旨で、機関要件を設定するものでございます。

吉川(元)委員 今、バランスというお話がありましたが、大学側に課される機関要件として、実務経験のある教員、先ほど、一割、これはあくまで、そういうことができるようにする、必修にするかどうかは大学の判断だというお話がございましたが、非常に私自身は違和感を感じます。

 教育基本法第七条二項は、「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。」と。ということは、教育課程の編成のあり方、あるいはどういう教員をそろえるのか、これはまさに、七条二項に書かれておる自主性、自律性、ここにかかわる問題なのではないかというふうに思います。これに対して文科省があらかじめ条件づけを行うというのは、これは七条二項に抵触をするのではないかというふうに思いますが、納得できる説明をお願いします。

伯井政府参考人 機関要件は、大学の人事、教育、研究の内容そのものについて直接的に規制しようとするものではなくて、具体的にどのような人材を理事に登用するか、あるいはどのような教育課程を編成するかなどは大学に委ねられておりますので、教育基本法に定める大学の自主性、自律性等を損ねるものではないというふうに考えております。

 具体的に、実務経験の教員の配置について御指摘がございました。これは、学部ごとに満たすことが必要というふうに要件設定しておりますが、学問分野の特性によってこの要件を満たすことができない学部というのもあるわけでございまして、そういうところは、大学等がその理由等を説明、公表することで要件を満たすというふうにする予定でございます。

 今後とも、大学等の関係者に対しまして、機関要件の趣旨、内容について丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 できない場合は説明を求める、それでオーケーなんだというお話でした。

 では、逆にお聞きしますけれども、うちの大学のこの学部については我が大学の方針として実務経験のある教員は教育課程において必要ないというふうに判断をしたというふうになれば、これはそういう説明があればオーケーということでいいんですね。

伯井政府参考人 あくまで、大学が、その学問分野の特性等によりこの要件を満たすことができないんだということを外部に説明、公表してもらえれば要件を満たすということで考えております。

吉川(元)委員 ちょっとよくわからないのですが、私自身の受けとめは、つまり、大学の教育課程の編成に当たって、我が大学としてはこういう方向で教育をし研究をしていきたい、その際には実務経験がある教員を置く必要性はない、逆に、その分、別の形での教員を配置した方が特性に合うということをきちんと説明すれば、それは問題ない、そういう理解でよろしいですね。

伯井政府参考人 当該学部等の学問分野の特性がそういうものであるという御説明がなされれば、そういうことであるというふうに認識しております。

吉川(元)委員 まあ、学問分野の特性というのはいろいろありますから。わかりました。今の御答弁で、私自身の理解は、先ほど言ったとおりの理解だということにいたします。

 次に、個人要件のことでありますけれども、先ほども少し紹介をいたしましたが、学生に課される個人要件で、特にすぐれた者であって極めて修学に困難があるものが支援の対象、このうち後者、極めて修学に困難があるものというのは、住民税非課税世帯というふうなことで、客観的な基準が設けられております。

 前者の、特にすぐれた者なんですけれども、先ほど紹介をいたしました制度の具体化に向けた方針の中では、成績だけで否定的な判断をせず、レポートの提出や面談などで学習意欲を確認するというふうにあります。

 これは非常に抽象的でよくわからないんですけれども、成績基準なのか、それとも進学の意欲なのか。学びたいという意欲があれば、多少成績の基準は満たしていなかったとしてもいいということなのか。これはどういうふうに解釈すればよろしいんでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘の点でございますが、高等学校在学時の成績だけで否定的な判断をせずというのは、今おっしゃられましたように、学習成績が一定の評定値以下であったとしても、高校などにおきまして、レポートの提出あるいは面談等により本人の学習意欲、進学目的が確認できれば対象にしていこうという趣旨でございます。

吉川(元)委員 だとすれば、法文上に、特にすぐれた者というような、こういうことを言及する必要性は私はないんじゃないかというふうに思ってしまいます。意欲のある者、そういうことだけでいいんじゃないかというふうに思うんですが。

 きょうはもう時間が来てしまいました。次回も質問に立たせていただきますが、冒頭述べたとおり、きょうもまだ半分ぐらいしか質問ができておりません。じっくり時間をかけて、今の大学生そしてこれから大学に通おうとしている人たちの人生のかかった法案でもありますから、しっかりと審議をしていただくことを最後にお願いして、質問を終わります。

亀岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

亀岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠浩史君。

笠委員 未来日本、笠でございます。

 きょうは、柴山大臣と、高等教育の無償化ということで、朝からかなりの議論が続いているわけですが、一昨日、参考人の方々からも貴重な御意見を賜りました。

 それで、私の方からも改めて確認をさせていただきたい。

 きょう、川内さんなんかも言っていたように、提案理由説明等々からは、やはり、我々が、義務教育段階から、さらには中等教育、高等教育あるいは就学前段階と、学びを生涯を通じてしっかりと支えていくんだ、そういった思いを持って進めてきた中で、今回はちょっと、本当に高等教育の無償化の第一歩と言えるんだろうかと、私自身も疑問を持っております。

 改めて申し上げたい。

 私も、二〇一二年九月十一日、当時は民主党政権であったわけですけれども、国際人権規約の留保撤回ということで、漸進的な高等教育の無償化を進めていくと。

 ちょうど、私、何度もこれも国会で質問してきたんですけれども、当時はルワンダとマダガスカルと日本だけが、批准した中でこれを留保していた。そのルワンダも二〇〇八年に撤回して、いよいよ日本が最後になるのかというところで、ぎりぎりではあるけれども、二〇一二年に我々はこれを撤回いたしました。そういう判断をしたんです、決断を。これは極めて重要な政策転換であるというふうに私は認識をしております。

 そこで、私は、大臣にお伺いをしたいのは、このことによって、高等教育の無償化を漸進的に進めるという、日本政府として義務を負ったというふうに考えておりますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 おっしゃったとおり、国際人権規約における高等教育の漸進的無償化に関する留保について、我が国は、民主党政権の二〇一二年に留保を撤回いたしました。

 国際人権規約では、高等教育の漸進的無償化を図ることとされておりますけれども、無償教育の具体的な方法については特段の定めをしておらず、具体的にどのような方法をとるかについては加盟国に委ねられております。

 文部科学省としては、財政や進学率など、その時々の状況を総合的に判断しながら、我が国における無償教育の漸進的導入に努めているところであります。

 具体的には、給付型奨学金制度の創設を始め奨学金制度を充実させるなど、教育費負担の軽減に努めてまいりましたけれども、今回、この大学等における修学の支援に関する法律案を提出することによって、これを更に着実に実施をしていきたい、このように考えております。

笠委員 これを着実にやるというのは当たり前なんだけれども、その先はあるんですか、大臣。その先。ここはあくまで第一歩だと。

 それは、もちろん財源のこともあります。あるいは、一つ一つ、今大臣がおっしゃったように、それは我が国が主体的に、どういう形でこの無償化を実現していくかは考えればいい。国会でも議論していけばいい。しかし、大臣は、やはりここはまだあくまで第一歩であって、この先、高等教育の無償化をもっとしっかりと進めていくという決意があるのかどうかをお答えください。

柴山国務大臣 文部科学省といたしましては、今後とも、財政や進学率など、その時々の状況を総合的に判断しながら対応を進めてまいりたいというように考えております。

 いずれにいたしましても、家庭の経済事情にかかわらず安心して学べる環境の整備ということは極めて重要だと考えておりまして、しっかりとその趣旨を体して頑張っていきたいと思います。

笠委員 いや、大臣、文部科学省として、それは大臣ですから当然そうでしょう。しかし、柴山さんという、まずは国会議員であり、そして今教育行政を預かっている、今おっしゃいましたよね、誰もが、意欲があればしっかりと、経済的な理由等々関係なく、意欲のある子たちはみんな学ぶことができる、しっかりと大学やあるいは専門学校にも進んでいくことができる、やはりそういう社会をきちんと国としてつくっていくんだという御意思があるのかどうか、その思いを私は聞いているんです。

柴山国務大臣 その思いは委員と私は共通していると考えております。

笠委員 ありがとうございます。やはりそういった思いを持って、確かに現実は一気に全て無償化するということはできない、やはりある段階段階を経ていかなければいけないけれども、その共通の思いがなければですね。

 だから、そういった意味では、きょう午前中、川内さんがおっしゃっていたけれども、そういう強い大臣の思いがあるのであれば、やはりこの提案理由の中で高等教育の無償化というものを、一環なのか第一歩なのか、そこはお任せをしますけれども、ぜひともそういった思いをきちっと提案理由の中に、今度参議院においては入れていただけるように私からも要請をしたいと思いますけれども、改めてお願いを申し上げたいと思います。

柴山国務大臣 まず省内でしっかりと検討していきたいと思います。

笠委員 これ以上は申し上げませんけれども、信じております。しっかりと大臣のリーダーシップで、先ほど大臣がおっしゃった思いがどういったものなのかということをぜひわかる形の提案理由説明にしていただきたいと思います。

 それで、次にお伺いをしたいんですけれども、この第一条「目的」の中で、「真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、」ということで、これが対象が非常に限定されているということで、無償化とは非常にほど遠いんじゃないか、あるいは、この一言があるから次の二歩目、三歩目につながっていかないんじゃないか、そういった議論もあるわけですけれども、そのことはちょっとまた後ほどお伺いするとして、私は、その後の、「社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等」、これが、修学を援助していく、あるいは無償化の前提、あるいはこの条件を満たす教育機関が対象になっていくということでよろしいんでしょうか。

柴山国務大臣 この複雑多様化した現代社会の課題解決に向けて新しい価値を生み出していくということが、これからの人材育成に必要であるというように考えております。

 豊かな人間性と創造性を育成するという観点から、今回の支援措置は公費により支援をするということも踏まえて、学生がしっかりと学んだ上で、社会で自立し活躍できるよう、学問追求と実践的教育のバランスのとれた教育が実施されていることが必要だと考えております。

 こうした趣旨を十分に踏まえ、法案第一条において、今回の支援措置がそのような大学等への修学を支援するものであることを明記したところです。

笠委員 大臣、私、ここに書かれていることは必要だと思いますよ。自立することは大事ですよね。やはりみんなが自立をして、働いて、そして、これは障害を持っている持っていないにかかわらず、やはり一人一人が自立をしていくということは当然大事だし、そのための能力を身につけていく学びが必要である、あるいは、そのことによって活躍をしていく。しかし、豊かな人間性も必要だし、その上で創造的な人材を育成すると。そんな人ばかりですかね。

 それは、創造的な人材も必要でしょう。大体、創造的な人材なんというのをネットか何かで引けば、経済界とか大企業ばかりですよ、そういうのは。もちろん、そういった本当にエリートもこれからの日本がやはり成長していくためには必要ですよ。しかし、そういった創造力というものは大きな意味で、何かクリエーティブ的なことはできないけれども、真面目に一生懸命働いて、そして人の気持ちがわかる、あるいは人と一緒に生活をしていくことができる協調性を持っている、そういった、やはり本当に人間として求められる基礎的な能力というものを磨いていくのも私は大学の大きな目的だと思うし。

 ある意味では、この「目的」、だって、この目的にかなってきちっとその条件を満たしているかどうかでこれから、後ほど聞きますけれども、今回このいろいろな基準をこれから文部科学省令で定めていくと思うんだけれども、対象とするかどうかをふるいにかけていくわけでしょう。特に専門学校なんか大変ですよ、やはり目的も違う部分もあるし。

 私は、もしこういったことを本当に掲げるのであれば、例えば教育基本法の第一条に「教育の目的」というものがございます、「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」、そして「教育の目標」ということでそこには創造性というようなこともあります、もっとそういったことをきちっと広く書き込むべきじゃないですか。何かこの一文だけだと、もう本当に単なる産業界の要請に応えて、そのためありきの人材育成としか思えないの、これじゃ。

 私は、大臣、そんなものじゃないと思う。ですから、もちろん、そういうエリートも必要だし、でも、私自身もそうだけれども、みんながみんな豊かな人間性を、そしてこんな、豊かな人間性を備えて創造的な人材だと、自信を持って言えませんよ。でも、やはりそういったことを目指していくことはいいけれども、何かここに私は、上から目線というか、何か本当に子供たちのことを、これからの若者たちのことを考えているのかという、非常に疑問が湧いてくるんです。

 大臣、細かいことじゃなくて、大臣は、率直に、どういった子供たち、どういった人材を育てたいという思いがあるのか。これはちょっと通告していないんですけれども、大臣の思いがあれば、ぜひ答弁をいただければと思います。

柴山国務大臣 おっしゃるとおり、これから、私が先ほど答弁をさせていただいたとおり豊かな人間性と創造性、これらについて言及をさせていただきましたけれども、本当にたくさんの方々が、多様な人材をやはり育てていくべきであろうというように思います。

 ただ、恐らく、学びの強い意欲を持って、その上で未来に向かってそれこそ自立をしていこうという方々を支援をしていくにふさわしい教育機関には、それ相応のやはり質と体制を整えてもらうということが私は必要だと思っておりまして、そこで、手厚い評価と厳格な評価というのは、私は車の両輪であるというように考えている次第でございます。

 今委員から御指摘をいただいたとおり、これが決して国のために都合のいい人材を育成するための何か強化策だみたいなことにとられては困るんですけれども、これから本当に将来の人材が力強く育っていくためにふさわしいやはり高等教育機関改革というのは、さまざまな指摘がなされているとおり、重要だと考えておりますので、大学の自治等に十分配慮した形で進めることをぜひ御理解賜れればというように考えております。

笠委員 大臣、今の前段でいいんですよ、前段で。前段までで。ふさわしいまでのところ、意欲があって。それなんですよ、まさに。ただ、ここに、豊かな人間性等を備えた創造的な人材を育成すると、例えば、等もなければ。だったら、これは本当にどういう人材なんだと。要するにこの目的を満たさなければ対象にならない、この法律を読むとそういうふうになっているわけです。

 ですから、この後ちょっと具体的なことを伺っていきますけれども、私、今大臣が答弁されたその前段の部分、本当はもうそれで十分だと思うんですよ、目的は。ぜひそのことは、ちょっと私の私見として申し上げておきたいというふうに思っております。

 そこで、一つはまず個人要件についてお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、個人要件の部分と、後ほど伺いますけれども、確認大学等々の機関要件、この両方について、この法案が成立をした後、文部科学省令で定めるということになっておりますけれども、もう現在既に検討が行われているのか、どういったタイムスケジュールでこの省令を定めていくのかについてお答えをいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 個人要件や機関要件の詳細につきましては、法律の成立後速やかに政省令において定めることとしておりますが、この各要件の基本的なところは、年末に示しました制度化の方針におきまして既にお示しをしているところでございます。

 また、これまでも、個人要件の概要、機関要件の確認に当たってのポイントなどにつきましては、大学等や都道府県などにお示しして、説明会を開催するなどしてきたところでございます。

 今後、この法案がお認めいただければ、速やかに個人要件や機関要件に係る政省令を制定していくとともに、高等学校が学習意欲等を確認する際の観点であったりあるいは実施方法等を盛り込んだ手引、機関要件確認申請のためのマニュアルなどを作成し、関係者への丁寧な説明、周知を尽くしていきたいと考えております。

笠委員 これは法律が成立をすれば来年の四月からということになるわけですけれども、もう本当に、この四月から高校三年生になるお子さんたちは、自分がこれから大学に進むのか専門学校に進むのか、いや、やはり家庭の事情から働くのか、いろいろなことを、自分自身の進路というものをしっかりとやはりもう考えている、大事な時期を迎えているわけでございます。

 ですから、ちょうど参考人の指摘でもありましたけれども、生徒はもちろんだけれども、高等学校の関係者へのこの周知徹底というものを、もちろん、恐らくは都道府県教育委員会などを通じて文科省は徹底していくということになるのかもしれないけれども、やはりこういった制度が創設をされるということを知らないお子さんの方が圧倒的に多いはずなんですよ。

 ですから、特にその対象になってくるお子さんあるいはその御家族、そういった経済的理由で最初から進学を諦めているかもしれないような生徒がいるかもしれない。そこは今、広報ということをおっしゃったけれども、しっかりとこれは充実をして、やはり力を入れていかなければならないし、やはりなるべく早く、じゃ、どういったことがその基準として、どういう基準を満たさなければいけないのかということを、例えば都道府県単位だとか学校単位でばらつきがあるようなことになっては、これは非常に困るわけです、子供たちが巻き込まれる話だから。その点についてしっかりと配慮をしながら徹底していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 この二〇二〇年四月からの新支援制度というのは、家庭の経済状況から進学を断念せざるを得なかった生徒に対して進学の道を開くという非常に重要なものでございますので、高等学校や大学等の関係者に対してしっかり周知していくことが重要と認識しております。

 現状におきましても、新制度の趣旨とか最新の検討状況などについて、大学等への進学の進路指導を行う高校の先生あるいは現に学生が在籍する大学等に正しく理解していただけるよう、通知、各種会議で説明をしているところでございます。

 また、社会的養護が必要な子供たちには、教育関係者だけじゃなくて社会福祉関係者を通じた周知が重要ということで、厚労省と連携した周知を行っております。

 本法案に関する審議を踏まえながら、新制度に関する情報が支援対象者となり得る子供たちに全て行き届くように、十分にその活用が図られるよう、今後ともしっかり関係者への周知徹底に取り組んでまいりたいと考えております。

笠委員 機関要件の方について伺いたいと思います。

 現行の給付型の奨学金制度にはなく、今回初めてこういった要件について新設をするということになったわけで、当然ながら、それなりの手厚い支援を行うわけですから、やはりその教育機関というものが一定の条件をきちっと満たしておかなければならない、あるいは、それをきちっと満たしているのかどうか、その資格要件的なものをしっかりと検討するということを課すということは私は必要だとは思いますけれども、やはりこれは公平かつそしてわかりやすいものでなければならないというふうに思っております。

 このことが学生の選択肢を狭めることにつながったり、あるいは大学の自治等々に、学問の自由を侵害するようなことになってはいけないわけでございまして、そういう点も考慮しながら、恐らくはしっかり検討をしていくことになろうかと思います。そのことは、私からもお願いをしておきたいと思います。

 そこで、お伺いをしたいんですけれども、やはり幾つか、当然ながら対象外になってくる、この資格要件を満たさないというところが出てくる、既にもうこれまで、去年から検討されているわけだけれども、そういったところがやはり出てくるんでしょうか。

伯井政府参考人 機関要件を満たさない大学等はどの程度かということですけれども、具体的にどの程度の大学等が要件を満たして支援の対象となるのかは現時点ではわかりかねますが、大学等にとっては、現在の取組を適切に充実させるということで満たすことができる内容であるというふうに我々考えておりまして、多くの大学等がこれを満たしていただくことを期待しているところでございます。

 そのためには、先ほど来ありますように、多くの学校が申請に向けて準備を進めているわけですので、今後とも、制度の周知、説明を丁寧に行ってまいりたいというふうに考えております。

笠委員 そこで、先ほどの最初の話に戻るんですけれども、「社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等」と。つまりは、今回、この支援の対象となる大学等はそのことを満たしている、しかし、ここでその対象にならなかったところはこの条件というか目的を満たすには十分ではないということでよろしいんですか。

伯井政府参考人 学問追求と実践的教育のバランスがとれている質の高い教育を実施する高等教育機関を対象機関とするということで要件を設定するわけですが、我々が考えております具体的要件の内容としては、昨年末の制度の具体化に向けた方針で示しているところでございます。

 先ほども答弁いたしましたが、この要件だと、従来の取組を適切に充実させることによって必ずしも満たすことが難しい内容ではないのではないかというふうに考えておりまして、我々としては、できるだけ多くの学校がこれを満たすよう説明会を開催する等、丁寧な周知に努めているところでございます。

笠委員 実は、一昨日の参考人質疑の中でも、これは二〇一七年の十二月に一度、確認要件をパッケージの中で閣議決定していたんですよね。しかしながら、その後、今度は当該のさまざまなやはり大学関係、私学、そういった関係の団体からもそれぞれに反発の声あるいは意見等々が上がって、専門家会議を設置して、その中で検討いただいたと。

 ただ、一昨日、この専門家会議の議長を務めた三島参考人からも、検討に十分に時間をかけたかというとそうでない点もあるんだということを認めておられました。やはり、ある限られた時間の中での検討なので、私は、議長は議長なりに一生懸命やられたと思うけれども、やはりもう少し、本当だったら一年ぐらいかけて、いろいろな観点から、特に資格要件ですから、どういうような条件を満たせばというのは、やはり大学か、あるいは例えば「等」の中、専門学校などによっては全く一律に線引きができない点もあるんじゃないかというふうに思っているんです。

 特に専門学校については、設置形態も多様で、非常に線引きが難しいんじゃないか。例えば、一律に実務経験のある教員の配置を求めたり、専門的かつ実践的な教育を目的とする専門学校を大学と一律に考えるのは最初からやはり無理があるんじゃないか。その点については、今どういった議論がなされているのかをお答えください。

伯井政府参考人 御指摘をいただきましたように、専門学校は、学校の規模であったり運営の状況が多様でございます。機関要件に対する現在の取組状況にも差異があることから、要件を満たすために必要な準備の程度も学校によって異なるというふうに認識しておりますが、先ほども言いましたように、専門学校についても、従来の取組を適切に充実させることによって、必ずしも満たすことが難しい内容ではないというふうに考えております。

 ただ、一点、経営要件の適用に関しましては、専門学校の実態も、専門学校の定員充足率といったことも考えて検討をしているところでございますが、その他の要件については、従来の取組の充実ということで満たすことができるのではないかというふうに考えているところでございます。

 いずれにせよ、文部科学省といたしましては、より多くの専門学校が申請に向けて準備を進めていけるよう、専門学校関係者の会合で説明の機会を設けることや、専門学校関係者への説明会を開催するといった形で情報発信に努めているところでございまして、今後とも、そのような取組に努めてまいります。

笠委員 専門学校の場合は、加えて、公立あるいは独法立以外、一番多いのは、当然ながら、それ以外の形態は都道府県ですよね。一義的には都道府県がしっかりと確認を行うということを課せられるわけですよね。これは都道府県の方も大変ですよ。本当に、よほど詳細なきちんとしたガイドラインを示さないと、都道府県によってまたばらつきというものが出てくる可能性だってあるわけです。

 ですから、その辺をどこまで、きちんとわかりやすい、そしてまた国民から見たときにやはり公平なガイドラインを示すことができるのかということは最低限必要なことなので、大臣、ぜひ、その点についてはしっかりやっていただきたいと思います。

 それと同時に、急ぎ、やはり法案が成立をした後に出さないと、もう皆さん、うちが対象になるんだろうかという、学校関係の方々も大変気に病んでおられます。ですから、そういったことも含めてしっかりとお取組をいただきたいと思いますけれども、大臣いかがですか。

柴山国務大臣 先ほどからの委員の御指摘、全くおっしゃるとおりだと思います。

 特に、関係の方々、もちろん子供たちに行き届くということも当然ですけれども、高等学校もそうですし、また大学あるいは専門学校など、もちろん対象となる当該高等教育機関にもしっかりと周知を行うということは極めて重要であります。

 先ほど局長からお話をさせていただいたとおり、通知や各種会議、また、さまざまな自治体への通知、そして社会的養護が必要な子供たちへの社会福祉関係者を通じた周知、こういったことも厚労省とも連携をさせていただきますし、今おっしゃったような時間軸というものが非常に重要なので、しっかりと、中身の濃い、そして迅速な周知に努めてまいります。

笠委員 最後に一つ確認をさせていただきたいんですけれども、午前中の質疑のときに、例の七千六百億円、来年の四月、それを使い切ることは恐らくなかなか難しいんじゃないかと。そのときに、その差額について、使い道についてのやりとりがありました。

 そのときに伯井局長が、少子化対策にみたいな答弁をされていたというふうに思うんですけれども、ちょっとそこを簡単にもう一回答弁していただけますか。

伯井政府参考人 今回、最大七千六百億円ということで、最大限の見積りをして安定財源を確保しているというものでございますが、仮にこれがそのとおり概算要求できなかった場合の残余の額というのは、これは消費税でございますので、消費税の使い道は、消費税法に定められている社会保障の安定化、医療、介護、福祉、子育てという使い道が法律によって定まっておりますので、そういった形でさまざまな充実に充てられるというふうに認識しております。

笠委員 確認ですけれども、ということは、例えばそれを、返済に苦しんでいる若者支援とか、あるいは奨学金有利子を無利子にしていくとか、猶予期間を延長するとか、そういったことに使うということはできないということですか。

伯井政府参考人 今回認められた財源というのは支援新制度に対する経費でございますので、それ以外のものについては従来の消費税の使い道に限定されるというものでございます。

笠委員 本当に、やはり、まさに消費税を財源にすることによって使い道が、私は広い意味で一緒だと思うんですよ、今、この高等教育の無償化へつなげていく道のやり方の一つ一つ、対象が違うだけですから。だから、そういうようなところまで限定をされるんだったら、財源が今の消費税の延長線上で本当にいいのかという議論も今後していかなければならなくなってまいりますので、それはまた次回、続けて質問させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

亀岡委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 三月の十四日の本会議におきまして質問させていただきましたが、それに引き続きまして質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 午前中から質疑も続いておりまして、重なる点もございますが、しっかりと、答弁の方、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 改めて、大学等における修学の支援に関する法律案の意義についてお伺いをしたいと思っております。

 今回の高等教育の無償化は、本年十月から引上げが予定されております消費税をその財源として活用するものでございまして、そのことからも、国民の皆様に丁寧な説明を重ね、御理解を得ていく必要があると思っております。

 急速な少子化が進展する中、子育て世帯の大きな負担となっています教育費の負担軽減を図ることは、少子化対策において有効な取組であるとともに、教育格差を是正し、貧困の連鎖を断ち切る上でも大変に大きな意義があると考えております。

 そして、経済事情に関係なく、希望すれば必要な教育を受けることができる、それによって子供たちの将来に夢や希望が大きく広がるものであると確信をしております。

 文部科学省におきましては、本法案の意義を国民の皆様に理解をしていただき、納得していただくための取組をしっかりと進めていく必要があると考えております。

 改めまして、本法案の意義と、国民の皆様に理解を得るための取組について、御見解をお伺いいたします。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の高等教育の無償化は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあるということ等を踏まえ、真に支援を必要とする者について経済的負担の軽減を図り、我が国における急速な少子化の進展に対処するものであります。また、低所得世帯の進学率の向上は、所得格差の固定化の解消にも意義があるというふうに考えております。

 新支援制度におきましては、進学前の明確な進路意識と強い学びの意欲や進学後の十分な学習状況をしっかりと見きわめた上で、学生に対して支援を行うとともに、対象となる機関についても、学問追求と実践的教育のバランスがとれている質の高い教育を実施する大学等とするため、一定の要件を求めることとしております。

 こうした仕組みによりまして、支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上で、社会で自立し活躍できるようになることを通じて、公費を投じる本施策の効果が社会に還元されていくということを目指しているものでございます。

 こうした点も含めまして、本制度の意義を国民の皆様に丁寧に御説明していきたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 本会議でも大臣の方にもこの法案の意義についてということで質問させていただきましたが、改めて、ちょっと繰り返しになりますが、国民の皆様にしっかりと御理解いただける、そういったことが重要になると思いますので、もしよろしければ、大臣の方からも、その取組、決意について一言お伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 今お話をさせていただいたとおり、一定の機関要件を満たす高等教育機関での、これからの社会に旅立つ人材の所得格差にかかわらない学びの確保ということを行っていくことが極めて重要であるというように考えております。

 これから、強い決意を持って、本法案の成立に向けて頑張っていきたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、この法案の意義、本当に、これからの子供たちが夢や希望を持って将来を切り開いていくという、大事な法案になってくるかと思いますので、その重要性も含めて、広く皆様に周知をお願いしたいと思います。

 あわせまして、これもこれまでの委員の中からも指摘がございました、この法案自体の関係者への周知ということで、私の方からも、重ねてになりますが、質問させていただきたいと思います。

 これは本会議におきましても、宮川委員の方からも質問がございました。各奨学金の意義や最新の情報をしっかりと、特に、進路指導に携わっている高等学校の先生方にしっかりと周知すべきだ、そういった御指摘もございました。

 また、先日も小林参考人の方からも、情報ギャップの拡大という指摘もございました。小林参考人の資料によりますと、例えば高校奨学給付金の受給資格がありながら申請しない保護者が毎年二万人いると推計されている、給付漏れの問題が明らかになっている、このような資料もございまして、改めて、こういった方々の御意見も踏まえた上で、本法案の意義、また制度について広く関係者の方に、多くの方に知っていただくということが大変に重要であると私自身も思いました。

 これは、当事者である子供たちはもちろんですが、保護者、家族、教員、学校関係者、全ての方々にしっかりと御理解いただけるように、また、子供たちが早い段階から自分の将来について考えていくことを思いますと、いろいろな場面でいろいろな方々に周知していくことが大変に重要ではないかと思っております。

 改めまして、この制度の詳細も含めて、広く周知徹底に取り組んでいただきたいと思いますので、その取組についてお伺いをしたいと思います。

 あわせまして、これも本会議で質問させていただきましたが、今回の高等教育の無償化は、真に支援が必要な方々、特に、例えば児童養護施設の子供たち、こういった方々が確実に利用できるように、社会福祉行政との連携を通じた幅広い周知の必要性も質問させていただきました。

 大臣の方からは、関係府省や都道府県等との連携をとりながらしっかりと取り組んでいくという答弁がございましたが、児童養護施設の子供たちを始め、このような環境にある子供たち一人一人に確実にお伝えをしていく、都道府県の担当者会議、周知、そういった形でやるというお話もこれまでもありましたが、改めて、どのように周知徹底をしていくのか、具体的な取組を文科省の方にお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 御指摘いただきましたように、資格がありながら申請をしないとか、さまざまな情報ギャップというのがないように、対象となる子供たちに必要な情報が届くよう、まずは大学等への進学の進路指導を行う高校の教員、それからその保護者というのもありますし、さらには初等中等教育のさまざまな機関の子供たちに対しても、しっかりとこの制度の周知をすることが大変重要であるというふうに考えております。

 このため、新制度の趣旨や法案などにつきまして、これまでも通知や各種会議での説明、あるいはホームページへの掲載などにより、高校や大学等の関係者への周知に努めているところでございます。

 また、御指摘いただきました、児童養護施設等に入所している社会的養護が必要な子供たちには、教育関係者だけでなくて、社会福祉関係者を通じた周知というのが重要でございます。このため、厚生労働省等と連携した周知を行っております。例えば、全国児童養護施設協議会といった全国団体を我々の方で訪問いたしまして、制度の趣旨等を説明し、周知の協力を依頼したり、社会的養護の関係者が集まる会議で厚生労働省から説明をいただくというようなことを取り組んでおります。

 さらに、日本学生支援機構が奨学金制度の理解促進のため、希望する高校等の保護者、生徒向け説明会にスカラーシップアドバイザーというのを派遣しておりますが、児童養護施設等でもこれを活用していただけるようにしたいというふうに考えております。

 新制度に関する情報が支援対象者となり得る子供たちに行き届き、十分にその活用が図られるよう、今後ともしっかりと関係者への広報、周知に取り組んでまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。今、取組を御報告いただきました。

 また、あわせて、予算にもかかわることでありますが、例えばパンフレットをつくるのか、当事者にしてみれば、自分がそれに当てはまるのかどうか、そういったことに関心を持っている方もいらっしゃると思いますし、パンフレットをつくるなり、わかりやすい周知ということでしっかりと対応していただきたいということで、重ねて要望させていただきたいと思います。

 続きまして、支援対象の個人要件について質問させていただきたいと思います。

 今回の制度におきましては、授業料等の減免や給付型奨学金の支給対象者を、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯をその対象としております。年収約二百七十万円から約三百八十万円がその目安と聞いておりますが、いわゆる多子世帯の家計基準についてはどのような配慮が行われる予定であるのか、御見解をお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 今回の支援措置は、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯、すなわち住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯に対して実施するものでございますが、その支援対象の基準となる所得について、子供の数も踏まえて算定するということで、多子世帯への一定の配慮を行うこととしております。これにより、多子世帯は、子供の数の少ない世帯と比べて高い所得であっても支援対象となるということでございます。

 例えば、両親の一方のみの給与所得を得ている場合、両親、本人、中学生の四人世帯であれば、我々が今示しております目安年収約三百八十万円世帯までのところでございますが、両親、本人、大学生、中学生の五人世帯であれば、その目安年収は約四百六十万程度の世帯までというふうになります。住民税非課税世帯に準ずる世帯として、段階的な支援の対象となるわけでございます。

 新制度により、多子世帯であっても意欲ある者が安心して進学できるよう、こういったことも含めて制度の周知をしっかり図ってまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今答弁の中にもありましたが、多子世帯へのしっかりとした配慮があるということで、その件もあわせて周知の方、重ねてお願い申し上げたいと思います。

 次に、成績要件について質問させていただきたいと思います。

 要件の中に、「特に優れた者」としつつも、大学等への入学を予定している者については、高等学校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、高校等が、レポートの提出や面談等により本人の学習意欲や進学目的等を確認するものと承知をしております。

 このことは、すなわち、無利子奨学金で採用されている評定平均値三・五以上などといった成績要件は課されないという理解でよいのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

伯井政府参考人 ただいま御指摘いただきましたように、今回の措置においては、高校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、明確な進路意識と強い学びの意欲が確認できれば支援の対象とするということとしております。

 これを、具体的には、高校三年生等の進学予定者の場合、まずは、申込み時までの評定平均値が三・五とかいった一定以下であったとしても、学習意欲や進学目的等が高校において認められれば支援の対象とするという予定をしております。

 ただし、この制度は、大学等への進学後は学習状況に一定の要件を課しまして、これを満たさない場合には支援を打ち切るというものでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 在学時だけの成績で否定的な判断をしないということで、その上で、ちょっと具体的にまた伺いたいと思いますけれども、本人の学習意欲や進学目的について誰がどのように確認をするのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 高校三年生等の進学予定者の場合、学習意欲や進学目的等は、やはり在籍する高校等において確認し、日本学生支援機構へ報告をいただくという手続を予定しております。この学習意欲等につきましては、レポート又は面談により確認をいただくということを考えております。

 確認をいただくに当たっては、そういう学校等の判断がばらつくことのないようにするということも重要であると考えておりまして、その確認の観点や実施方法といったことを盛り込んだ手引を文部科学省において作成し、高校等へ示してまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 これもこれまでも質問がございました、やはり学校によって運用が違うことにならないように、また、公平公正がしっかりと確保されるように、対応をお願いしたいと思います。

 手引等を作成するということでしたので、繰り返しになりますが、学校ごとによって運用が違う、くれぐれもこういうことがないように、しっかりとお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、支援対象の機関要件について質問させていただきたいと思います。

 今回の制度は、教育費の負担軽減を図るとともに、社会で自立し活躍できる人材を育成することをその目的としております。支援の対象となる高等教育機関についても、その水準について一定の要件を課するものと承知をしております。その際に、一定程度の実務家教員の配置がその要件となると聞いておりますけれども、この実務家教員の定義についてお伺いをしたいと思います。

 その上で、例えば文学部、こういった学部におきまして、このような実務家教員というものの配置がなかなか難しいのではないかと思っておりますが、そういった場合の対応について、文部科学省の御見解をお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 先ほど来答弁をしておりますが、今回の支援措置では、学問追求と実践的教育のバランスがとれている質の高い教育を実施する大学等を対象機関とするということで、要件の一つとして、今御指摘いただきました、実務経験のある教員による授業科目が標準単位数の一割以上配置されていることを求めることとしております。

 実務経験のある教員による授業科目とは、担当する授業科目に関連した実務経験を有している者が、その実務経験を十分に授業に生かしつつ実践的教育を行っている授業科目を広く指すというものでございまして、その実務経験の内容、期間等に具体的な条件を設けることは考えておりません。

 また、必ずしも実務経験のある教員が直接の担当でなくても、例えば、オムニバス形式で多様な企業等から講師を招いて指導を行う授業であったり、学外でのインターンシップ、実習、研修を中心に位置づけられている授業など、主として実践的教育から構成される授業科目についてもこれに含むというふうに考えております。

 全ての学部等が満たすというのが必要でございますが、文学部の例を挙げていただきましたが、学問分野の特性によってはこの要件を満たすことができない学部等があるということで、そういう場合には、大学等がその理由を説明、公表することで要件を満たすということとしたいというふうに考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 もう一度確認ですが、文学部等、要件が満たされない、厳しい、対応が難しいところについては、大学側がしっかりと説明すれば、それを聞いていただけるということでよろしいでしょうか。

伯井政府参考人 そのとおりでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 やはり、特に学部にもよりますし、大学によってもさまざま状況があるかと思いますので、そのあたりも丁寧に見ていただきたいと思います。

 続きまして、機関要件についてまた質問させていただきたいと思います。

 外部理事の複数任命や財務諸表の公開、また大幅な定員割れ等の経営上の課題がないこと、そういったことが要件になると承知をしております。そのような要件を全て満たして本制度の対象となる高等教育機関が誕生するというか、そういう教育機関になると思うんですけれども、要件が満たされるこういった高等教育機関が、どれぐらいの見込み、どの程度あるのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。

 その上で、これも先ほど質問がありましたが、特に、私立の専門学校等はその目的や規模がまちまちでございますので、大学と同様の要件を設けるのでは大変に難しいのではないかと思っております。柔軟な対応が必要であると思っておりますが、この件について御見解をお伺いいたします。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目の、どの程度の機関が対象になるのかということでございますが、具体的にどの程度の大学等が要件を満たして支援の対象となるのかは現時点ではわかりかねるわけですが、大学等にとっては現在の取組を適切に充実させることで満たすことができる内容というふうに認識しておりまして、多くの大学等がこれを満たしていただくことを期待しているものでございます。

 専門学校につきましては、その規模や運営の状況が多様であるものの、学問追求と実践的教育のバランスがとれている質の高い教育を実施する学校を対象要件とする要件の趣旨を踏まえると、大学等と同様の要件を満たしていただくことが原則というふうに考えております。

 これにつきましても、現在の取組を適切に充実させるということで満たすことができる内容と考えておりますので、よりよく周知をしてまいりたいと思っておりますし、専門学校については、経営要件の適用に際しては、専門学校の実態も踏まえて一定の配慮をした検討をする必要があるというふうに考えているところでございますし、また、専門学校は地方公共団体の所管、知事の所管でございますので、そういった点も踏まえて、具体的な事務のマニュアル等も今後整備していきたいというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、いずれにせよ、多くの学校が申請に向けて準備を進めていただけるよう、今後とも制度の周知、説明に努めてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 教育の質を確保する上で機関要件は大変に必要だと思いますけれども、このことによって子供たちの進む進路が狭まれては意味がないと思いますので、しっかりと実態に合わせた柔軟な対応をお願いしたいということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、馳浩君。

馳委員 本日最後の質問をすることになりました、自由民主党の馳浩です。よろしくお願いいたします。

 では早速、まず、大学修学支援法についてお伺いをいたします。

 大臣はいないんですね。では、局長、大臣になったつもりで答弁をしてください。

 まず、消費税の増税が財源となっております。社会保障政策と考えているんですか、それとも教育政策と考えているんですか、ほかに財源を考えているのですか。見解を問いたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対し、大学等における修学への経済的負担を軽減することは、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与するものというふうに考えております。

 このため、今回の法案では、第一条で、急速な少子化の進展への対処に寄与することを法律の目的として掲げ、これに係る経費については、社会保障関係費として消費税財源を充てることとしております。この新支援制度の実施については、他の財源を充てるということは考えていないわけでございます。

 一方で、高等教育は、国民の知の基盤でもあり、イノベーションを創出し、国の競争力を高める原動力でもございます。高等教育へのアクセスの機会均等とともに、大学改革、教育、研究の質の向上を一体的に推進する必要があるということでございます。

 このため、高等教育の質の向上に資する学校教育法等の改正案をあわせて提出し、御審議いただくとともに、今回の支援措置の対象となる大学等についても、先ほど来議論がございます、社会で自立し活躍することのできる人材を育成するために必要な質の高い教育を実施するものとして一定の機関要件を設けることとしておりまして、こうした点においては、教育政策としての側面も有しているものというふうに考えております。

馳委員 財源があって政策を遂行するとするならば、文部科学省において必要とされる事業といいますか政策を遂行するには、それにふさわしい財源を確保するのが当たり前じゃないんですか。これは消費税が財源になっているんですよ。厚生労働委員会で議論しているわけじゃないんですよ。

 そもそも、文科省みずからが、高等教育の進展に必要な財源をみずから確保する努力をして、与党、野党問わず、国会に相談するぐらいのことを何でしないんですかと聞いているんですよ。答弁してください。

伯井政府参考人 今回の支援措置は、低所得者であったとしても経済的理由から進学を断念することなく、意欲があれば大学へ進学できる見通しを持つことができるようにという少子化進展への対処に寄与するものであり、少子化対策の一環として、消費税財源を活用して実施するものでございます。

 ただ、その執行に当たっては、文部科学省において執行をするという予定でございますし、その他、先ほど来ございますが、国立大学運営費交付金であるとか私学助成であるとかさまざまな施策につきましては、当然のことながら、文部科学省として真摯に対応していくというものでございます。

馳委員 今後、こうした高等教育に必要な支援策を考えていくに当たって、文科省としてみずから財源を確保して進めていくという考えは持っていないんですか。

伯井政府参考人 この新支援制度は、今申し上げましたように、消費税財源を活用するという仕組みで提案をさせていただいておりますけれども、もとより、奨学金制度の充実を始め文部関係の文教施策の推進に当たっては、当然、文科省予算を充実していくものというふうに認識しております。

馳委員 当然、この政策は、ことしの十月に消費税が一〇%に増税されるということを前提としての政策の判断です。この判断に至るまでの経緯はあったと思います。

 消費税を財源とするほかに考えたことはなかったんですか。

伯井政府参考人 この政策は、一昨年の新経済政策パッケージで政府として提出させていただいたものでございますが、その前段として、消費税増税の財源を一・七兆円、パッケージという形で高等教育の無償化あるいは幼児教育の無償化に使うという選挙公約のもと解散・総選挙を打たれたということでございまして、その後、我々政府としては、それを実行に移すということで取り組んできたものでございます。

馳委員 その答弁をさせようと思ってずっと質問していたんです。

 当時、私は、実は自由民主党の教育再生実行本部の教育財源確保チームの主査をしておりまして、半年間にわたりまして、まずは幼児教育無償化に向けて、そして当時は大学無償化とは言っていなかったんです、大学の負担軽減策として、いわゆる妥当性、公平性のある財源を確保すべきだ、こういう議論で、対象として、消費税の法律を改正して教育目的にも使えるようにしようという正面突破を考えていました。

 そのほかにも、相続税、所得税という税制改正も考えたり、また、教育国債として、投資的価値の高い教育国債を発行して正々堂々とやるべきだ、こういう議論を積み重ねた中で、最終的に、解散のときの総理の判断が消費税を充てるということだったので、幾つかある財源のうちの一つとして挙げましたので、最終的に我々は、じくじたる思いはあったんですが、賛同したんですよ。

 こういう経緯があったということを、文科省は、政治の責任にするのではなくて、みずからが財源を確保して実行し、投資的価値が高いということをもっと宣伝していかないと、こんなことばかりやっていたら政治の言いなりになっちゃうじゃないですか。

 だから、私は、本来、文科省として、財源論についてはより検討を深めるべきではないですかという問題意識で質問しているんですが、改めて、高等教育局長の見解を問いたいと思います。

伯井政府参考人 高等教育の充実及び高等教育機関への修学支援策、さまざまございますが、しっかりと、安定財源の確保も含めて、検討してまいりたいと考えております。

馳委員 ちょっと細かくなりますが、したがって、この新制度で対象となる学生は何人をめどとして、総額幾らかかると想定しているのか、また、その内訳について教えてください。

伯井政府参考人 高等教育機関への進学率は、全世帯平均では約八割であるのに対しまして、住民税非課税世帯では四割程度という推計がございます。全世帯の半分程度ということでございます。

 支援対象となる学生でございますが、低所得世帯の進学率が新入生から順次上昇して全体の進学率に達して、全員が要件を満たす大学等に進学するという仮定を置いた場合でございますけれども、高等教育段階の全学生の約二割の七十五万人程度になるというふうに想定しています。その七十五万人程度の所要額は約七千六百億円というふうに試算をしているところでございます。

 その内訳は、給付型奨学金が最大約三千五百億で、全額これは国費負担でございます。授業料減免は最大約四千二百億で、そのうち約五百億円が地方負担、残りが国費ということでございます。

馳委員 給付型奨学金の三千五百というのは、まさしく意味のある額だと私は思いますし、ここはやはり、より拡充していくという政策目標は大事だと思っています。

 では、この三千五百億の対象となる高校生の成績要件というのはありますか。

伯井政府参考人 支援対象者につきましては、所得要件は先ほど言ったとおりでございますけれども、この支援対象者につきましては、高校在学時の成績だけで否定的な判断はせず、本人の学習意欲や進学目的を確認して採用するというふうに考えております。

馳委員 今、我が国には国公私立合わせて五千校余りの高校がございますので、公益性の高い資金を使うとすれば、全ての高校には少なくとも一人ずつはこの対象者があるということの認識でいいですか。それとも、所得要件もありますから、そうはならないというふうにおっしゃいますか。

伯井政府参考人 そこはまだ今後、判断しかねるところでございますが、いずれにせよ、これまでの給付型奨学金、今年度から本格実施している給付型奨学金は非課税世帯の対象の者の一部を対象にしておりましたけれども、今回は、全ての進学意欲のある者が対象とできるような試算で対応したいと考えています。

 全ての高等学校に該当者がいるかどうかは、ちょっと現段階ではわかりかねます。

馳委員 やはり制度の仕組み上、私は、どの高校も、どの子もと言った方がいいと思いますけれども、当然対象になる。結果として、この高校からは一人もいなくなったとならないように配慮した方が、私はまず一つ目としていいと思います。

 加えて、やはり成績要件はなかなか難しいと思います。といいますのも、評定平均といいましても偏差値によって随分と違いがありますから、よっぽど、全国一律の模擬テストか実力テストをやって上から順番にと考えない限りは、なかなか公平性というのは保てないと思います。

 と同時に、何度も答弁がありますが、大学に進学をして何をするのか、大学で何を学び、社会になって何をするのかという、やはり強烈な目的意識というものを持たせることも高校教育の進路指導においては実は重要な案件で、指導というよりも、本人の潜在意識の中にある、何のために大学に行って、高等教育機関に行って勉強するかという意思表示を確認する作業というのは進路指導において極めて重要ですが、そういった要素も加味されていると考えていいですね。

伯井政府参考人 全くおっしゃるとおりでございまして、今回の支援措置は、強い学習意欲と進学目的を持った子供たち、成績は必ずしも芳しくなくても、そういう子供たちに高等教育機関への進学の道を開こうとするものでございますので、そうした趣旨をしっかり体現できるように、高等学校において、レポート、面談等により学習意欲の確認等を行っていただきたいというふうに考えております。

馳委員 これは国としての政策でありますから、この政策が実行されることに期待している高校生がいるというだけの見方ではなくて、大体、中学生ぐらいになったら、将来、大学に行けるか行けないか、行こうかどうしようか、こういったことを自立の段階で考え始めるものでありますが、やはりこの制度を利用して大学教育へのアクセスをどの子供にも公平に提供できるようにすべき、そういう考え方で政策の詳細も立案していくべきと思いますので、お願いいたします。

 次に、確認大学は、誰がどのような要件で確認をするのか。具体的な要件を事前に詳細に設定し、公表、周知する必要があると思いますが、いつまでに示すのか、教えてください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 まず、機関要件の確認でございますが、国立大学や公立大学については設置者である国やそれから地方公共団体が行う、私立の大学や高等専門学校については所轄庁である国、私立専門学校については所轄庁である都道府県がそれぞれ確認を行うということとしております。

 機関要件の詳細につきましては、法律の成立後、速やかに省令において定めることとしておりますが、実務経験のある教員による授業科目の配置、外部理事の複数配置など、要件の基本的なところは年末の制度化の方針において既に示しているところでございます。

 また、これまでも、機関要件の確認に当たってのポイントであるとか、各大学からの申請書のイメージといったものを大学等や都道府県などにお示ししつつ、説明会を開催するなどして、準備を促してきたところでございます。

 いつまでにということでございますが、文部科学省としては、高校生の進路の選択に資するよう、機関要件を満たして支援の対象となる大学等を夏までには公表したいというふうに考えておりまして、速やかに要件に係る省令を制定するとともに、大学等の確認申請のためのマニュアルを大学等や都道府県に示し、丁寧に説明、周知を尽くしていきたいと考えております。

馳委員 この制度の対象となる大学、つまり、この制度を利用して経営悪化を食いとめようとか、そういうけしからぬ考えを持たれないように、経営困難の大学を救済するための制度と思われないように私はしていくべきだと思っておりますが、そもそも、経営に問題のある大学とはどんな大学ですか。例えて言えば、定員割れの大学。少なくとも、定員割れが三年以上続いたらそれは経営に問題があるでしょうと私は厳しい意見を言わざるを得ませんが、経営に問題のある大学とはどんな大学ですか。

伯井政府参考人 今回の支援措置の実施に当たりましては、先ほど言った要件とともに、経営に課題のある法人の設置する大学等について一定の要件を設けて、場合によっては対象としないということを検討しております。

 具体的には、教育の質が確保されておらず、大幅な定員割れとなり、経営に問題がある大学等について、実質的に救済がなされることがないよう、具体的なところを言いますと、法人の貸借対照表の運用資産マイナス外部負債が直近の決算でマイナス、法人の経常収支差額が直近三カ年の決算で連続マイナス、それから、直近三カ年において各校の収容定員の八割を割っている場合、このいずれにも該当する場合は支援措置の対象としないというふうに考えているところでございます。

 専門学校への適用というのは、大学への指標を参考にしつつ、別途設定するというふうに考えております。

馳委員 今ざくっとおっしゃっていただいた経営に問題がある大学は、現状で幾つぐらいありますか。

伯井政府参考人 この要件、先ほど三つの要件を述べましたが、それぞれ直近三カ年の決算とか直近の状況で判断するため、現時点で何校とお答えするのは困難でございます。

馳委員 数字は、恐らく今おっしゃった要件を当てはめれば機械的には出てくるはずですが。

 つまり、私は早目にこのことを通知すべきだというのは、もう一つの本質的な問題が我々には求められているのではないかという問題意識でありまして、今から、笠さんがいてちょっと失礼でありますが、田中真紀子文科大臣のときの大学設置不認可問題について、改めて検証したいと思っています。

 文科省としては、田中真紀子文科大臣時代の大学設置不認可問題について、改めて、どういう認識を持っておられますか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年の大学設置不認可問題についての御質問と受けとめております。

 大学の設置認可を行うに当たりましては、慎重、公正を期するため、大学設置・学校法人審議会に諮問することとなっております。

 平成二十四年の設置認可に関しては、審議会から設置を可とする答申が出された後、文部科学大臣が答申とは異なる判断を行う方針を一旦は表明したものの、最終的には、審議会の専門的判断を尊重して、答申どおりに認可した事案がございました。

 審議会においては、専門的、学問的観点から審査が行われており、審議会への諮問の趣旨を踏まえれば、認可の判断に当たっては、審議会の結論を尊重していくべきであるというふうに考えております。

馳委員 それは表面上の評価であって、問題はもっと奥深いところにあったはずであります。

 平成二十四年十一月六日、大臣記者会見で、当時の田中真紀子大臣は、大学の乱立に歯どめをかけて、教育の質を向上させたいと明確に述べておられます。その記者会見の中では、一九九三年、文部省は大学新設抑制方針をとっていたが、二〇〇二年、中教審は抑制撤廃を提言し、それ以降、事後チェックにかじを切ったと述べています。いわゆる規制緩和の流れであります。

 文科省としては、このときに田中大臣が表明された事後チェックが十分に機能しておらず、したがって現在のような乱立時代を到来させたという認識はあるのでしょうか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の大学数はほぼ一貫して増加してきておりまして、現在、七百八十二校となっております。これは、十八歳人口が減少する中でも大学の進学率はほぼ右上がりに上昇し、これに伴い大学進学者数が増加しているという状況に鑑みると、大学進学に対する社会のニーズが背景にあるものという認識をしております。

 一方で、大学数が増加する中にあっても、質の確保を徹底していくということは重要であるということから、平成二十四年当時におきましても、設置認可のあり方の見直しを行いまして、審査期間の延長を行ったり、認可基準の告示を改正して、学生確保の見通しがあることや人材需要の動向を踏まえた計画であることを審査の基準とするなど、設置認可審査の充実を図っているところでございます。

 また、質保証のシステムの事後チェックとして設けられた認証評価につきましては、大学が定期的に受けることにより、教育、研究の質の保証、向上が図られるということでございますので、今回の法改正、学校教育法の改正によりまして、大学における自主的、自律的な改善を制度的に担保することができるような改正を行おうとしているものでございます。

馳委員 ここでやはり大事だと思うのは、認証評価をするようになって、おたくの大学は大学として経営上も教育の質としてもふさわしくないよという勧告なりをして、それによって大学が閉鎖になったりした場合というのは何件あるんですか。

伯井政府参考人 いわゆる一般評価の認証評価では、そもそも平成十六年度の認証評価制度の実施以降、恐らく十件に満たない数の不適合でございまして、専門職大学等の評価はそれなりに、法科大学院の例に見られるように、不適合の後、大学の募集をやめたというところもございますけれども、そういう意味では、評価が直接つながっている例というのは余り見当たらないものというふうに認識しております。

馳委員 そうなんです。評価が直接大学の存続につながっている例というのは見当たらないんですよ。

 改めて数字でお伺いしますが、一九九二年、十八歳人口が一番多かったときのいわゆる高等教育機関は幾つあったでしょうか。そして、十八歳人口が減り始める分岐点である二〇一八年の高等教育機関は幾つあったでしょうか。

 私は、この数字一つ挙げてみても、文科省の事後チェック、認証評価が十分に機能していないのではないかという当時の田中真紀子大臣の認識は重く受けとめなければいけないというふうに思っているのですが、いかがですか。

伯井政府参考人 まず、データでございます。

 十八歳人口がピークであった一九九二年に大学が何校あったかということでございますが、一九九二年度におきましては、国立が九十八大学、公立が四十一大学、私立が三百八十四大学でございます。

 人口減少をし始める分岐点である二〇一八年度におきましては、国立は八十六大学、公立が九十三大学、私立が六百三大学となっております。

 認証評価につきましては、それを制度的に更に改善しなければならないという認識は、御指摘のとおりでございます。

馳委員 そうすると、今回、大学改革一括法として出された認証評価の仕組みと、また公表のあり方というのは、今後、公的資金を使って、消費税の財源を使って大学を支援していこうというのは、私は当然だと思いますし、足りないと思っているぐらいであります。

 同時に、認証評価が具体的な項目に従ってなされた後、それが国民に対して公表され、支援をするにふさわしい高等教育機関である、それも国際的に見てふさわしいかどうかということがやはり納税者の評価に値する、そういう制度にしていく必要があると私は考えておりますが、高等教育局長の認識をお伺いします。

伯井政府参考人 大学としての設置基準への適合性など質の保証については、認証評価制度で今後ともしっかり対応していく必要がありますし、また、その改善というのを引き続き行う、今回の法改正でも出しておりますが、更に行っていく必要があるというふうに考えております。

 一方で、今回の支援措置につきましては、さらにそれとは別途といいましょうか、別の要件として機関要件を課しておりますので、それを適切に運用していくことも重要であるというふうに考えております。

馳委員 先ほども申し上げましたが、私は、自由民主党の教育再生実行本部で教育財源確保チームで議論したときに、高等教育については、しっかりとした安定的な財源は確保して、投資的な観点からもより一層支援していくべきだという認識においては、真に支援の必要となるというカテゴリーだけではなくて、中間所得層も含めてやはり十分な支援が必要ではないか、こういうふうに考えておりまして、中間所得層向けと考えれば、制度としては我が国ではまだ採用しておりませんが、オーストラリアのHECS制度の我が国への採用も検討すべきではないかと議論してまいりました。

 そもそも、オーストラリアのHECS制度の理念また概要を高等教育局長からお伝えいただきたいと思います。

伯井政府参考人 オーストラリアのHECS制度について簡潔にちょっと概要を説明させていただきますと、このHECS制度につきましては、高等教育費を本人と社会が共同負担するという考え方のもと、在学中は学生からの授業料の支払いを要せず、その授業料分について、卒業後、支払い能力に応じて所得の一定割合を返還する仕組みというふうに承知しております。

馳委員 わかりやすい言葉で言えば、いわゆる学費後払い制度、あるいは、このHECS制度、一応英語で言いますと、ハイヤー・エデュケーション・コントリビューション・システムと言いまして、コントリビューションという意味は貢献するという意味でありますから、大学時代は国から一定の支援を受けたんだけれども、卒業した後、一定の所得を得るようになったら、貢献をするという意味で、自分が借りた分は、物価指数分は上がるんだけれども、利子等は払わなくてもいいから、国に貢献のために支払いをしていく。わかりやすく言うとそういう制度でありまして、これは納税の仕組みとリンクされておりますので、もし我が国で制度を導入すると考えると、どういったところに課題があるとお考えですか。

伯井政府参考人 自民党の教育再生実行本部におかれましては、J―HECS、卒業後拠出金制度について検討が行われ、昨年五月には、総理に対して中間取りまとめを含む提言の申入れが行われたものと承知しております。

 この制度は、授業料について在学中の支払いを不要とすることにより、家庭の経済状況にかかわらず、本人の意思で進学を決めることができるようにするというものでありまして、リカレント教育推進の観点も盛り込まれているものと認識しております。

 その課題ということでございますが、自民党の提言におきましても、その所要経費について、利用対象者の約五割が制度を利用した場合の当初所要額として年間九千八百億、セーフティーネットによる将来未納付分への補填分として約二百七十億、財政投融資資金等を財源とする場合の償還利息分として、低利の場合では百億円程度、金利上昇の場合は一千億から三千億円程度というふうにされておりまして、補填財源の検討案も盛り込まれておるものではございますが、政府といたしましては、その安定的な財源の確保というのが大きな課題の一つというふうに考えているところでございます。

馳委員 この制度は、引き続き私どもも検討しながら、オーストラリアを始め諸外国で採用されているいわゆる出世払い制度、後払い制度、また、十八歳、成人の年代に入ってきて、自覚を持って高等教育に進んでいただき、また、義務教育ではない高等教育においては一定の自己負担は当然であるというふうな考え方から検討中のものである。ここまでの表明だけをして、次の質問に移ります。

 今回の法改正、私立学校法第三十八条第四項は実はそのままでありまして、「監事は、評議員会の同意を得て、理事長が選任する。」と、そのままであります。

 これでは監査される側の理事長が監査する側を選任することになりますので、監事はこういうやり方ではそんたくの働く余地があるのではないかと危惧をしておりまして、せめて、理事会が評議員会の同意を得て選任するとか、つまり、理事長が選任するのではなくて、理事会が評議員会の同意を得て選任するとか、監事は評議員会にて選任する、こういうふうに明確に、選ばれる側の監事の選ばれ方にも私は一定の改革が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の監事の選任についてでございますけれども、この監事の選任につきましては、以前、平成十六年に私立学校法を改正させていただいたときに、それまで選任に関する規定がなかったわけでございますが、その改正で、監査される側のみで選任することのないように、評議員会の同意を得るということに規定をしているところでございます。

 また、今御指摘のありました、監事の選任に当たって、理事長のみの判断で選任するのではなくて、各法人において理事会において審議を踏まえた選任を行うということについては、今回の改正のもとになりました学校法人制度の分科会の報告においても、理事会の審議を踏まえて選任することが適当ということをいただいておりますので、私どもとしては、これについてはあわせて指導をしてまいりたいと考えております。

 さらに、今回の改正におきましては、監事による理事の不正行為等の差止め請求でありますとか、また、法人に著しい損害を及ぼすおそれがある事実を理事が発見した場合の監事に対する報告義務の規定の新設による監事の牽制機能の強化、また、監事を含む役員が学校法人また第三者に対する損害賠償責任を有するということを規定するといったことによりまして、仮に監事が理事長の行為によって学校法人に著しい損害が発生するおそれがあることを発見してもなおこの行為を黙認した場合には、監事自身が学校法人や第三者に対する損害賠償責任を負うリスクを負うということに今回の改正でなるわけでございまして、こういったことにより、監事の牽制機能の強化を含むガバナンス強化に努めてまいりたいと考えております。

馳委員 わかりやすく懸念を払拭していただいたものと思います。

 さて、もう一つの質問で私は終わりますが、実は今回の法改正で一法人複数大学制の推進がなされますが、これは極めて重要であると思っております。

 しかし、その推進策としてのインセンティブは何か。加えて、今回の法改正ではできませんが、国公私立の枠を超えての連携、統合が可能となるようにすべきと私は考えておりますが、文科省としての見解をお願いします。

伯井政府参考人 国立大学の統合につきましては、これまでも各法人において、それぞれの特徴や地域の事情等に応じて、教育、研究の発展等の観点から自主的に再編統合について検討がなされ、それに応じて文科省としても必要な法改正等の措置を行ってきたというものでございます。

 法案をお認めいただいた場合には、一法人複数大学設置による法人統合も含めた改正法案の内容を丁寧に周知しながら、各法人において機能強化の方向性を踏まえた適切な経営体制について自主的な検討、判断が進むよう促してまいりたいと思います。

 また、二〇一九年度予算案におきましては、大学間連携等による地域イノベーションの創出等に取り組む大学等を支援するため、国立大学経営改革促進事業として対前年度比五億円増の四十五億円を確保しておりまして、一法人複数大学の取組も含めまして、新たな経営改革に取り組もうとする大学を支援する施策というのも用意しているところでございます。

 国公私立の設置形態の枠組みを超えた連携の仕組みに関するお尋ねでございますが、これにつきましては、昨年の中教審の答申におきまして、大学等連携推進法人、仮称でございますが、これを導入することとされております。これによりまして、大学等の機能分担、教育、研究や事務の連携をより進めやすくするなど、各大学の強みを生かした連携が可能となり、文部科学省としては、導入するために必要な検討を引き続き行ってまいりたいと考えております。

馳委員 国内ばかりではなく、国際的な競争力にたえ得る拠点としての大学を我々は目指していくべきだと思っています。その上での競争促進策と同時に、今回のように学生をしっかりと支援していく策と両輪で進めていくことを私たちの目標として、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十分散会


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