衆議院

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第7号 平成31年4月3日(水曜日)

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平成三十一年四月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 大塚  拓君 理事 神山 佐市君

   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    池田 道孝君

      上杉謙太郎君    小此木八郎君

      尾身 朝子君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大野敬太郎君

      鬼木  誠君    木村 哲也君

      国光あやの君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    下村 博文君

      白須賀貴樹君    高木  啓君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      福井  照君    藤原  崇君

      船田  元君    古川  康君

      古田 圭一君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    宮崎 政久君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      川内 博史君    中川 正春君

      初鹿 明博君    村上 史好君

      岡本 充功君    吉良 州司君

      牧  義夫君    遠山 清彦君

      桝屋 敬悟君    畑野 君枝君

      杉本 和巳君    吉川  元君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            佐藤  淳君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       松尾 泰樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     藤原  崇君

  根本 幸典君     宮崎 政久君

  宮内 秀樹君     大岡 敏孝君

  宮川 典子君     池田 道孝君

  宮路 拓馬君     木村 哲也君

  八木 哲也君     堀内 詔子君

  牧  義夫君     岡本 充功君

  稲津  久君     遠山 清彦君

  中野 洋昌君     桝屋 敬悟君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     牧島かれん君

  大岡 敏孝君     小寺 裕雄君

  木村 哲也君     国光あやの君

  藤原  崇君     古川  康君

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  宮崎 政久君     根本 幸典君

  岡本 充功君     牧  義夫君

  遠山 清彦君     稲津  久君

  桝屋 敬悟君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     宮路 拓馬君

  小寺 裕雄君     鬼木  誠君

  古川  康君     池田 佳隆君

  牧島かれん君     大野敬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     宮川 典子君

  鬼木  誠君     宮内 秀樹君

同日

 理事宮川典子君同日理事辞任につき、その補欠として大塚拓君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月二日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(遠藤利明君紹介)(第四九八号)

 同(大河原雅子君紹介)(第四九九号)

 同(平野博文君紹介)(第五五五号)

 同(小川淳也君紹介)(第六三三号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願(福田昭夫君紹介)(第五五六号)

 同(大河原雅子君紹介)(第六三四号)

 同(牧義夫君紹介)(第六三五号)

 給付奨学金をもっとふやすことに関する請願(宮本徹君紹介)(第六三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 大学等における修学の支援に関する法律案(内閣提出第二一号)

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事宮川典子君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に大塚拓君を指名いたします。

     ――――◇―――――

亀岡委員長 内閣提出、大学等における修学の支援に関する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原宏彰君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、出入国在留管理庁審議官佐藤淳君、文部科学省総合教育政策局長清水明君、初等中等教育局長永山賀久君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、科学技術・学術政策局長松尾泰樹君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、大臣官房審議官八神敦雄君及び子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 外は桜が満開ですけれども、大臣、花見なんかに行っている時間はないですよね。そう思いましたので、きょうは桜のネクタイをしてまいりました。花見をした気分になっていただきたいと思いますが、質問は厳しくさせていただきます。

 それでは質問に入りますが、まず、質問に入る前に、この委員会の審議のあり方について一言申し上げさせていただきます。

 きょう議題になっているのは、大学等における修学支援に関する法律と、あと学校教育法等の一部を改正する法律案という、この二つの法律を一遍に審議しているわけですけれども、これまでずっと審議の状況を見ていて感じているんですけれども、やはり二つは別物の法案なんですよ。それで、これを一緒に審議をするということだと、十分に議論が深まっていかないんじゃないかということを非常に強く感じました。

 特に、今回、修学支援の法案が出ているわけで、やはり我々の関心としては、直接利益を受ける若者たちに対してどうしていこうかということにどうしても気持ちが行ってしまうので、各先生方の質問を聞いていると、どうしてもこちらに偏っていて、学校教育法の一部を改正する法律案の方の質疑が非常に少ないように感じるんですね。ところが、こちらはこちらで、学校のガバナンスの問題であるので、非常に重要なんですよ。

 そしてまた、この法案はこの法案で問題だなと思うのは、国立大学の二つの大学を一法人にするという問題、これはこれで私どもとしては一定の方向性なのかなと思いながら、それとあわせて、国立大学は全然関係ない、私立大学のガバナンスの、私立学校法の改正も一緒になっているわけですね。これは一緒に審議するものではないし、我々としてはそれぞれ異なる判断をする場合もあるので、こういうものを何か一緒くたに出してくるというやり方は少し考え直していただきたいということを、まず冒頭指摘をさせていただきます。

 その上で、最近の委員会を見ていて、やはり大学のガバナンスの問題というのは非常に重要なのに、そこの質疑がまだ十分になされていないというふうに感じているので、まずはこちらの方から質問をさせていただきます。

 その上で、やはり今問題になっている東京福祉大学に端を発している留学生の問題に触れざるを得ないなということで、まずそちらから入らせていただきます。

 今、皆さんのお手元に、留学生の受入れ数の多い大学の上位から、ランキングを出させていただいておりますが、問題となった東京福祉大学は、二番目に多い、五千人を超える留学生がいたということなんですね。我が党の石橋議員が、二十九年度で一体どれぐらいの留学生が退学をしているのかということを調べてもらって、資料を出していただきました。それが後ろについております。

 学校の、教育機関一、二、三というように、大学名は書いておりませんけれども、見ていただくと、やはり上から一、二、三ぐらいがちょっと突出しているんですね。教育機関一、六百八十八人という、これが東京福祉大学です。その下は四百十三人も退学をしている、退学若しくは除籍ということですけれども。次は二百四十八ということであります。

 これを見ていって、トータルでどれぐらいの数になっているかというと、実は四千八百五十人も二十九年度で留学生が退学若しくは除籍をしているんです。留学生の在留資格で入ってきている方々は、学校をやめて通わなくなった時点で、すぐにということではないですけれども、一定期間はありますけれども、在留資格は、留学していないんだから取り消されるなり、別のことをやるなら別の資格に変更するなりしないと、不法残留状態になるんです。

 そこで、おとといですか、部会でいろいろやりとりしていて、非常に私は問題だなと思ったんですけれども、所在不明十一人と書いてあるんですが、では、退学したり除籍をした方の所在がわかっているのかということなんですよ。実は多くがわかっていないんじゃないか、そういうふうに私どもは思いまして、法務省に確認をしたところ、どうも怪しいんですね。

 改めて伺いますけれども、退学をしたり除籍をした留学生の所在、今どこに住んでいるのか、またどういう状況なのかということを、全て把握できているんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 教育機関は、留学生が退学した場合や留学生を除籍した場合には、入管法第十九条の十七に基づきまして、出入国在留管理庁に対しまして当該留学生の受入れ状況に関する事項を届け出るよう努めなければならないとされております。また、日本語教育機関の告示基準におきまして、留学生が退学したときは、地方出入国在留管理局に対しまして、当該留学生について報告することを義務づけているところでございます。

 そのような意味で、出入国在留管理庁におきましては、これらの届出などによりまして、個々の留学生の退学、除籍などの状況について把握に努めているということでございます。

 また、法務省におきましては、これらの情報をもとにしまして、在留資格の取消しなどの対応をとってきておるところでございまして、この取消しに当たりましては、当該留学生の所在把握に努めているところでございます。

 今後とも、除籍、退学となった留学生に対しましては鋭意対応をとってまいる所存でございます。

初鹿委員 ちゃんと答えていないんですけれども、全員ちゃんと把握しているんですか。

 退学したということは連絡が来ます。努力義務になっているから全てじゃないのかもしれませんが、連絡は来ます。でも、その退学をしたという人がこれまで届け出ていた住所にそのまま存在をしているのかどうか。また、本人に会って、今後、このまま帰国をするのか、それとも別の学校に改めて通い直すのか、それとも何らかの仕事についてほかの在留資格に変更するのか、そういうことの確認が全てとれているんですか。

佐藤政府参考人 今の御質問でありますけれども、全て把握できているのかということでございますと、そうではないというのが実態でございます。

 ただ、出入国在留管理庁といたしましては、除籍、退学となった留学生の実態把握を可能な限り行うべきというふうに考えておりまして、委員御指摘のような調査については、教育機関から届出や報告があった情報を精査した上で、可能な限り実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。

初鹿委員 では、現状、どれぐらいの割合で把握できているんですか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 申しわけございません。今、そのような数値を持ってございません。

初鹿委員 では、把握できている数、割合もわからない。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まことに申しわけございません。今、ただいまそのような数値を持ち合わせておりませんので、改めて、どのようなものができるのか検討したいと思います。

初鹿委員 要は、ほとんど把握できていないんですよ。退学なり除籍、特に、私は、除籍されている人はきちんと連絡をとって確認する必要があると思うんですよね。どうも、除籍の理由の多くは、授業料を払っていないという理由だ。授業料を払っていない方は、所在もわからなくなっている可能性が非常に高いんですね。高いと思いますよ。

 この除籍になっている人たちの多くは、私は、所在がわからないから除籍になっているんじゃないかと思うんですよ。それを所在不明としないで除籍にして、所在不明の数は十一人と非常に少なく見せかけているというのは、私はこれは調べ方としては不適切だと思うので、今後は、除籍者の中で所在不明による除籍というものが何人いるのかということもはっきりとわかるように公表する必要があると思います。

 大臣、いかがですか。

柴山国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 これまでですと、行方不明者というのはそれ自体が法務省への報告事項となっていることから、退学者、除籍者と別に、除籍が所在不明であったがゆえの除籍ということは調べていなかったんですけれども、今後は、この間の国会審議の状況等も踏まえて、除籍等がなぜ生じたのかという理由の記載欄も新たに設けるなど、しっかりと改善をしていきたいと考えております。

初鹿委員 ぜひお願いします。

 大学を全部調べていくというのも大変だと思いますので、私はやはり退学者数の多いところを中心に調べていく必要があるんだろうというふうに思います。

 私も自分なりに調べてみたんですよ。まず、留学生の多いところが退学している数も多いのかなということでいろいろ調べていって、この四番目にある日本経済大学というところ、ここをいろいろ調べていったら、非常に興味深いことがわかったんです。

 お手元に、八ページに、届出、設置に係る設置計画履行状況報告書という、日本経済大学経営学部の資料を添付させていただきました。この大学の経営学部は二十六年に設置をされたということで、設置から四年間でしょうか、報告書を出さなければいけないことになっているという、その報告書です。

 設置者の学校法人や役員の名前があって、十ページを見ていただきたいんですけれども。平成二十六年度の入学者数は七百四十五人いるんですが、退学者数を見てください、二百九十五人。入学者に対する退学者の割合が三九・五九%、約四〇%が三年間で退学しているんですね。これは二十九年五月一日現在ですから、二十九年度ゼロ人になっているのは、まだ始まって一カ月だからゼロ人なんですが、卒業するまでの間に更に退学者がふえているとすると、四〇%以上が退学をすることになっているというふうに思います。これは私は非常に問題じゃないかと思うんですよね。

 この大学が、実は、キャンパスが九州と渋谷に分かれているんですよ。十一ページを見ていただくと、経営学部というのは、経営学科千九十一人で、渋谷キャンパスで千八百六十九人というように、圧倒的に渋谷キャンパスの方に多く、二対一の割合で学生がいる。本来福岡にあった大学が渋谷にキャンパスをつくったと。いろいろ調べていったら、これはもともと同じグループが経営している専門学校だったところを、専門学校を閉校してこれをキャンパスに変えたということなんですね。

 もう一枚後ろをめくっていただくと、これは民間の留学の情報を出しているアクセス日本留学というホームページから見つけたんですけれども、この渋谷キャンパスの外国人の留学者数は千六百二十一人と書いてあるんですね。先ほど、千八百六十九人が在学者数ということですから、ほぼ八割方、渋谷は留学生だということなんですよ。

 まず、大臣、伺いますけれども、この日本経済大学の経営学部で退学をしている人がこれだけ出ていますが、その退学している人たちがどのキャンパスに在籍をしていた学生かということは把握できているんでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 大学から文部科学省への留学生に係る定期報告というのは大学全体の状況でございまして、キャンパスごとの状況は把握ができておりません。

初鹿委員 これは、うがった見方をすると、九州は日本人を中心に集めていて、渋谷は、もう留学生向きの学校になっていて、それこそ留学生だけで回しているような学校になっているんじゃないか。

 こういうやり方というのは、私は適切ではないと思うんですね。ですから、しっかりと、どこのキャンパスでどういう状況になっているのかということもきちんと把握する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 私どもといたしましては、大学から報告のある退学者、除籍者の情報に加えまして、法務省から提供される不法残留者の情報も踏まえまして、更に確認が必要であると思われる大学に対しては追加の情報を求めているところでございます。

 委員御指摘の日本経済大学につきましても、退学、除籍、所在不明者等につきまして一定の基準を超えているということで、追加調査を行うということとしたいと思っております。

初鹿委員 この学校法人は物すごく巨大なグループなんですよ、都築学園グループといって。学校法人が七つあって、そのほかにも、財団法人だとか株式会社とか、たくさん持っています。

 過去、いろいろ不祥事を起こしているんですよね。この日本経済大学の前身である第一経済大学というところが、一九九一年は入学定員の十二倍も学生を受け入れて、体育館で授業を受けさせるようなことになったとか、また、二〇〇一年にはこのグループで法人税の申告漏れがあったとか、もともとの総長自体が刑事事件で逮捕されるということもあって、これがかわったりとか、いろいろあります。

 そういう大学なんですけれども、私学法ですと、一法人に親族は一名以上を理事につけてはいけないということがあるんですが、こうやって法人を分けたら家族経営ができちゃうんですよね。これ自体本当に問題じゃないかなと、後でこれは指摘させていただきますが、そういう経営をされているところです。

 そこで、一つ非常に疑問があるところは、資料をもう一枚見ていただいて、十三ページに、これは、平成二十五年に文科省が同じ都築学園グループの都築第一学園を処分した問題なんです。大学の設置の際の寄附行為変更認可申請に不正があったということで、これは処分されているんですよ、二十五年に。

 ところが、先ほど紹介をした日本経済大学の経営学部の設置認可は二十六年にされているんですよ。別法人だからといって、同じグループで、二十五年に処罰されて二十六年に新たな大学の設置が認められるということになっている。これは、私、非常に問題じゃないかなと思うんですね。

 これが仮に同じ法人だとして、処分を受けた法人が新たな学部の新設だとかを申請して、認可がおりるものなんでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘のとおり、一定のペナルティーがあるというふうに認識しております。

初鹿委員 つまり、同じ法人だったらできないけれども、別法人だったらできてしまう。同じグループなんですよね。これは問題だと思いませんか、大臣。いかがでしょうか。

柴山国務大臣 グループ法人の規律をどのようにするかということは、今、実は委員がおっしゃったとおり、大変議論が必要な部分かなというように思っております。問題意識は共有をしております。

 先ほど、法人格を分けて、別法人の理事長に親族を据えるということが禁じられていないんじゃないかという御指摘も、この後もし詳しく御指摘があれば、一定の程度、我々、弊害防止のための取組はできるところなんですけれども、法人格を分けたときの弊害除去が完全には難しいということはもう全くおっしゃるとおりなので、今後、どのようにすればそういった、法人格を分けることによる何かガバナンスの穴みたいなことを縫っていくという作業、防いでいくかということは、重要な検討課題になっていくというふうに思います。

初鹿委員 大臣、非常に重要な答弁をしていただいたと思うんですが。やはり、今国会で提出している改正案でも、学校法人を分けて親族がそれぞれ役職についていくということを防ぐことはできないんですよね。そういう面では非常にまだ不十分だなということを感じますので、ぜひこの点は検討を進めていっていただきたいというふうに思います。

 では、次、もう一枚、十四ページを見ていただきたいんですけれども。

 今回、この東京福祉大学の問題を調べていってまたわかったことなんですけれども、どうも、東京福祉大学の、退学をしたり除籍になっている学生が、正規の学生ではない、非正規だという人が多いということで、これはどういうことなのかなと調べていったら、大学の別科というものがあって、この東京福祉大学でも、別科の学生が多く退学なり除籍になっているということがわかりました。

 別科ですけれども、これは、大学の設置認可等を受けることなく科をつくることができて、一年とか二年とか短い科なんですが、つくることができる。報告する義務もなく、学生の人数も、一応報告は求めているけれども、必ず、義務じゃないということですね。ある意味、大学で自由に設置することができるということになっています。

 一覧表をつけているんですが、見ていくと、養護教諭だとか、あと助産の専攻なんかが多くて、もともと多分こういうところから、四年の課程は要らないけれども社会にとって必要な、そういう人材を育成するために大学が設置をしていったものなんだろうなというように思いました。

 ところが、見ていただくとわかるように、留学生別科というものが非常に最近多くなっている。ただ、調べていったり文科省さんの説明を聞いていくと、多くの大学は、自分の大学で、例えば、大学院とかで研究生として受け入れたい学生が日本語がまだ十分じゃないということで、まず自分のところで受け入れる前段階としての日本語教育を行うための機関としてこの別科を設けているところは多いということもわかりました。人数を見ていくと、入学定員が大体数十人というところなので、そうなんだろうなと思っているんですが。

 そこで、東京福祉大学だけ突出して、千二百人という人数になっているわけですよ。ほかの大学で、多いところでも百人とかそれぐらいで、ちょっと目について多いなという関西外語大というところで四百人ぐらいなんですね。この千二百人というのがほかにはないのかなと思って調べたら、何ともう一つあったんです。もう一つ、日本ウェルネススポーツ大学というところがあって、これはこの一覧の中にないんですよ。どうも報告しないでいいから報告していなかったということなんです。

 文科省が出している資料を見せていただいて、十九ページに東京福祉大学のもの、そして二十ページに日本ウェルネススポーツ大学のものと出させていただいておりますが、それぞれ見ていただくと、四角でくくりましたが、東京福祉大学は千四百三十五人の在籍者がいますということです。次のウェルネススポーツ大学は千百五十九人の在籍者がいますと。

 ちょっと、これはどういうふうに見ればいいのかが私もよくわからなかったんですが、進学先という七のところで卒業者の計人数が書いてあって、これは二百十人ということなんですよ。一年の課程、二年の課程とがあるので、卒業する人が一年間にどれぐらいかわかりませんが、千二百人ぐらいいるのに卒業者は二百人ぐらいだということは、ほかの人はどうなっているのかなという疑問を持つようなところではないかなというふうに思いました。

 そこで、まず伺いますけれども、この別科というものは、私は、最初に言ったように、自分の大学で留学生として受け入れるそういう学生に日本語の教育をして、事前の準備のために教育をするという機関であるべきではないかと思います。そういうことを考えると、この大学本体の入学定員よりも多い入学定員で別科の学生を集めるというのは余り好ましいことじゃないというふうに思うんです。ですので、ぜひ、別科の学生の定員というものに一定の制限を設けることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 別科につきましては、御指摘いただきましたように、法令上、入学定員の規制がされておらず、各大学がみずからの責任において判断し、収容定員等を定めているところでございます。

 今般、この留学生別科に対しまして、文部科学省から各大学等に対し、無秩序な規模の受入れにならないよう努めること、教育にふさわしい環境の確保を図ること等について通知をしたところでございます。

 各大学において、これらの考え方に基づき適切に対応していただく必要があると考えておりますが、今後、さらに、法務省と連携しつつ、留学生別科における留学生の適切な受入れ等の徹底について対応策を検討してまいりたいと考えております。

初鹿委員 日本語学校のいわゆる告示校にはきちんとしたカリキュラムの規定とかがあるのに、別科は何もないというんですよね。つまり、週何時間学んでいるのか、在留資格の関係があるから十時間以上は学んでいるんだろうとは思いますけれども、本当に学んでいるのかどうかも定かじゃないような形になっている。

 特に、千二百人というのは本当に、学校のキャパから、千二百人受け入れられるだけの教室があるのかというのも私は非常に疑問だなと思いますので、ぜひ、東京福祉大学だけじゃなくて、もう一つの大学の方もきちんと調べていただきたいというふうにお願いをさせていただきます。

 このような経営を行っているような学校法人をきちんと牽制をして、理事会が余りにもひどいことをやっている場合は何らかのブレーキをかけるようなことが本来必要なんだと思います。そのために学校法人には理事会と別に評議員会というものが設けられていて、そして、今回の改正で監事の職務などを充実する、そういう改正が行われるということです。

 ただ、この監事の選定の仕方、それが理事長の選任になっているということで、これで本当に第三者性が保てるのかというのは私は非常に疑問に思っているんですよ。これは、本来、理事長の選任ではなくて、評議員会の選任にするべきだったんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、監事は、今回、法改正によって、ガバナンスにおける大変重要な役割を確保してもらうという機能の強化をしております。

 その上で、では、監事の選任をどのようにするかということなんですけれども、平成十六年の私立学校法の改正において、それまでは選任に関する定めがなかったんですけれども、監査される側の者のみで選任することがないようにするために、評議員会の同意を得ることが要件とされまして、最終的な選任は理事長なんですけれども、この評議員会の同意ということが要件になっているということで、誰でも、理事長が自分の息のかかった者を選べるという仕組みにはなっていないわけなんです。

 いずれにいたしましても、今後、監事の牽制機能にどのような手法が更に必要かということは考えていきたいというふうに思います。

 なお、仮に評議員会において選任決議をするというふうに改めても、その案を理事長が提出をするということになれば、同じような実態になることも予想し得るので、今委員がおっしゃったように、しっかりと牽制機能を発揮するにはどうすればいいかということについて、必要とあらば、また引き続き、ぜひ検討させていただきたいというふうに考えております。

初鹿委員 確認ですけれども、仮に理事長が配偶者又は自分の家族などを監事に選任をするということは可能なんでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 これにつきましては、理事においては親族一名を超えて入れてはならないということで、監事についても同様でございます。(初鹿委員「該当するの」と呼ぶ)

 親族を一名以上入れてはいけないということでございます。(初鹿委員「ちょっとどっちなの」と呼ぶ)

 済みません、確認させてください。

柴山国務大臣 済みません。私立学校法において、私立学校の公共性の担保を図る観点から、各役員、この役員というのは理事及び監事が含まれますけれども、その配偶者又は三親等以内の親族が一人を超えて含まれることが禁止をされております。

初鹿委員 そこで確認なんですけれども、各役員という書き方は、理事の中で一人、監事の中で一人で、一人ずつだったらいいのか、この役員全体で一人じゃなきゃいけないのか、そこを確認をしているんです。どちらですか。

白間政府参考人 失礼しました。役員全体でということでございます。

初鹿委員 では、家族はできないということでいいですね。

 先ほど、評議員会で同意を求めるということでした。ここで一定の担保ができるということなんですが、これは、評議員会がきちんと機能していればそうなるんですけれども、この評議員会についても私はちょっと疑問があるのは、理事が全員評議員を兼務することが可能なんですよね。こうなってしまうと、これは、第三者性というか、中立性が担保できなくなるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 評議員会は、卒業生を含む関係者と、直接学校運営に携わる者が議論をするということから、今御指摘になった、学外の視点を含めた多様な観点からの理事会運営に対するチェック、提言を行う諮問機関ということが期待をされているわけです。

 この評議員の資格なんですけれども、学校法人の理事が評議員を兼務できることとは確かになっているんですけれども、ただ、その評議員会の構成については、理事の定数の二倍を超える数の評議員により組織されるということが明定をされております。

 ですので、理事と同じ人数の評議員で、しかも全部理事だったら、それは、確かにおっしゃるとおり問題なんですけれども、人数要件で、理事の定数の二倍を超える数の評議員より組織されるという規定があることから、理事が仮に全部兼務したとしても、それ以外の評議員が少なくともその数以上いるということから、外部性が一定程度担保されるというように考えております。

 いずれにしても、今後、さらなる改善が必要かどうかということについては、またしっかりと議論していきたいというふうに考えております。

初鹿委員 確かに、例えば理事が五人で十人で、半分以上いるから、採決したら過半数しか理事の方は占めていないからということで、一定程度客観性があるんじゃないかとか中立性があるんじゃないかということなんでしょうけれども、評議員の中でも理事長に近い人が理事ではなくて入ったりもするわけだから、そうすると、やはり理事が全員入るようになるとそちらの方にどんどん意向は引っ張られていくんじゃないかと思いますので、やはり理事が全員兼ねられるという規定は私は改める必要があるんじゃないかというふうに指摘をさせていただきます。

 次に、今回、情報公開に関する規定が新設をされることになって、これはこれで私は一歩前進だなと思うんです。ただ、幾つか問題があるので指摘をさせていただきます。

 まず、その前に、学校法人の情報の中で重要なものとして、寄附行為というものがありますよね。寄附行為というと、一般の人は、これが何を意味しているものなのか、よくわからないんじゃないかと思うんですよ。何か、寄附をすることがお金を誰かに上げることだとみんな思っちゃうんですが、これは会社でいうといわゆる定款ですよね。だから、これは寄附行為という単語をやめて定款に変えたらいかがでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 学校法人の歴史的な経緯から、委員御指摘のように、寄附行為という用語を今も使っているということでございますけれども、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、これの適切なあり方については引き続き検討していくべき課題だと思っております。

初鹿委員 何か、最後、語尾がもにょもにょもにょというふうになって、何を言いたいか、よくわからなかったんですけれども。

 要は寄附行為という単語を見直すことを考えるということでいいんですよね。いいんですよね。まあ、いいですということで。(発言する者あり)

 では、答弁お願いします。

柴山国務大臣 おっしゃるとおり、例えば社団法人の場合は、その根本となる規則については定款というふうに呼ばれておりますけれども、例えば財団法人のようにその法人の実体をなす部分が財産であるような場合については、一般にその財産の運営に関する規則のことは、財産を拠出するということから、寄附行為という形でその根本規則については呼ばれている部分があります。

 ですので、今回の私学の最初の原始的な規則についても、恐らくそれとの並びで寄附行為という言葉が使われているんだと思いますけれども、非常に大きな根本的な、これまで呼びならわされてきた用語ですので、それについては、今お話があったとおり、今後、ちょっと関係のいろいろな規定もありますので、よく検討をさせていただきたいというふうに思います。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。

 ちょっとこのところで確認していきたいんですけれども、まず、情報公開をするのに、寄附行為や役員名簿の閲覧という記述になっているんですが、これはどういう形で公表をするかということですが、ホームページ上で公表をして、閲覧と書いてあるけれども、一般の人がダウンロードもできるような形での公表を求めるということでいいのか。

 それと、あと、全て見ていくと、寄附行為の内容とか、監査報告書の内容、役員等名簿の内容などと、何々の内容と書いてあるんですが、これは学校法人で要約したり編集したりしたものを指しているのか、それとも原本をそのまま公表するということを指しているのか、どちらなのか。当然、役員の住所などは消した方がいいと思うんですけれども、内容といって編集をされてしまうと、重要なところがわからなくなる可能性もあるので、これはやはり私は原本をきちんと公表する必要があると思いますが、ここを確認させてください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 二点、御質問がございました。

 一つは公表の仕方でございます。これにつきましては文部科学省令で定めるとなっておりますけれども、これは、私ども、インターネット等により公表するということを予定しているところでございますので、それに基づいて、今後、省令等で決めていきたいというふうに考えていますので、インターネット等で公表するということでございます。

 もう一点、内容についての御質問がございました。これについても、今回の改正案で、六十三条の二で文部科学大臣所管法人につきまして財務書類等の公表を義務づけるということでございますが、この前提として、当該財務書類等については、現行でも私学法の四十七条で閲覧対象というふうになっている書類でございます。

 この書類について、閲覧対象として備え置かれている原本と同じ内容のものが公表されるということが私どもとしても必要であるというふうに考えておりますので、この趣旨で徹底してまいりたいと考えております。(初鹿委員「ダウンロードはできるんですか」と呼ぶ)インターネット等で公表されますので、それは個人のパソコン等でダウンロードすることは可能だと思います。

初鹿委員 これはちゃんと規定の中で、ダウンロードできるというふうにしておいてくださいね。中には、公表しているけれどもダウンロードできないような規制をかけることも技術的にできますから、そこはちゃんとダウンロードできるようにしてください。私も今回いろいろ学校法人のを調べていて、プリントアウトできない学校もありましたので、そういうことは技術的に今可能なので、よろしくお願いします。

 では、次に、今回、第二十六条の二で、学校法人から役員等に対する特別な利益供与を禁止する、そういう規定が設けられました。これはこれで私は前進だと思うんですが、昨今、いろいろな学校法人の問題を見ていくと、例えば東洋大学だとか日本大学だとか、理事など役員が別の法人をつくってそこの役員について、あらゆる契約とかいろいろな契約をその法人を通して請け負うというような形式をとっているようなところがあります。たしか東京福祉大学も、過去に役員をやっていた、理事長だった方がNPOをつくって、そこがコンサルを請け負うというような形をとっていた。これは、現状そのときには直接は役員ではなかったとしても、そういうこともあったというわけですね。

 こういうことを考えると、こういう取引も私はきちんと監視をしていく必要があるんじゃないかと思いますが、今回の改正で、今申し上げたように、学校法人が契約の相手方として、その法人の役員が役員になっているような法人と取引をするということまで禁止をすることになるのか、そこまでは求めていないのか、どちらでしょうか。

柴山国務大臣 今お読みをいただいた第二十六条の二において、特別の利益供与を禁止するという規定が設けられるわけなんですけれども、今御指摘になった、では別法人の役員ということまで含まれるのか、そういう御質問だと思うんですけれども、例えば、学校法人の役員が別の法人の役員も務めている場合に、当該法人との取引において当該役員に不当な利得をもたらすことを目的として、通常の価格を著しく超える価格で背任的な取引を行う場合においては、特別の利益供与の禁止の対象となるという可能性はございます。

 ただ、別の法人の役員をただ務めているということであっても、学校法人の関連サービスの充実などを目的として学校法人の出資により設置する会社を始め、その取引自体に有意義なものがあるという事例もあることから、一律には禁止をする文言とはなっておりますが、解釈上、間接的な利益を含むものについてはこの規定の対象になるというように私どもとしては考えております。

初鹿委員 私はこれは非常に重要なところだと思うんですね。日大の場合は日大事業部株式会社という名称だったと思いますが、そこが年間で六十何億円かの利益を上げていたということであります。当然そこからも役員の報酬は出ているわけですから、この役員の報酬が一体幾らなのかというところもきちんとわかるようにしていかないといけないんじゃないかと思うんですよね。

 これは、直接的にその本人にお金が行っていなくても、正当な役員報酬として法人としての定款できちんと定めていたらいいというわけでは私はないと思いますので、そこもきちんと監視できるように整えていっていただきたいなと思いますし、その前提としては、やはり学校法人とその法人との間の取引が一体どれぐらいになっているのかということ。

 例えば、東洋大学のケースだと、清掃業務を委託しているんですが、結局、その法人は自分のところで清掃をやらないで、第三者に委託するわけですよ。つまり、単なる中抜きしているだけで利益を上げる。そういうことは、基本的に余り好ましいことじゃないと私は思いますので、禁じるとか、何らかの手だては必要ではないかというふうに思いますので、その点、しっかりやるようにお願いをいたします。

 何かコメントがあれば。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のあった点でございますけれども、私ども、現在、学校法人の出資により設立した株式会社に関しましては、その出資比率が二分の一以上である場合には、私立学校振興助成法に基づく財務関係書類を届け出るに当たりまして、その出資の状況の記載を、通知で指導という形で求めているところでございます。

 委員御指摘のように、こうした法人の運営が不明朗、また不適切というような指摘を受けることは望ましくございませんので、今後、この改正案を周知徹底していくに当たりまして、御指摘も踏まえまして、その出資会社の情報公開のあり方、これについては指導を検討してまいりたいというふうに考えております。

初鹿委員 私からの提案は、出資の割合だけじゃなくて、役員の報酬規定もきちんと報告させて、役員を兼ねている場合に、こっち側でも幾らもらっているのか、それもわかるようにした方がいいと思いますので、そこはお願いをいたします。

 だんだん時間がなくなってきたので、ちょっと早口で行きますが。

 今回、いろいろ法案を見ていて、一番問題だなと思ったのは、理事長なり理事会が暴走をしている、特に理事長が暴走している場合に、その暴走をとめる手だてがやはり不十分だなと。特に、理事長を解任するような規定というのが法定化されていないんですよね。例えば、評議員会で一定の人数を超える決議があったら解任ができるとか、何らかの理事長の解任の規定を私は法定化する必要があったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 教育基本法及び私立学校法においては、私立学校の自主性を尊重することが規定されておりまして、学校法人においては、一義的に自律的ガバナンスが求められることから、自主的なルールである、先ほどちょっと名前について議論がありました寄附行為、定款のようなものですけれども、これにより対応することが望ましいということから、御指摘のような規定は、法文上置かれておりません。

 ただ、私立学校法において、役員の選任及び解任に関する規定をこの寄附行為に策定することは義務づけられております。ですから、この寄附行為上の解任規定に基づいて役員から理事長を解任すれば、それは自動的に理事長からも解任ができるということであります。

 これに加えて、更に何か問題があった場合に、そういった法律上の、さまざまな報告を求めるなどの指導もできるわけですし、今回、監事などのガバナンスの強化、監事の牽制機能の強化などの改正も行っておりますので、一定程度の牽制ということはできるのではないかというように考えております。

初鹿委員 一定程度の牽制であって、あくまでも一定程度だと思いますので、やはりここは、今回改正に含まれていませんけれども、理事長を解任することを、きちんと法律でルールをつくった方がいいのではないかということを指摘させていただきます。

 もう時間がなくなってきたので、まだまだやることがあったんですが、ちょっと修学支援に関する方についても、一つだけ、我々の考え方を指摘させていただきます。

 今回、一部の与党の方々は、高等教育の無償化だという言い方をする方もいるんですが、無償化ではないですね。一定の学費補助なり援助であっても、無償になるわけではありません。つまり、国際人権規約の社会権規約で定められている高等教育の漸進的な無償化とは、今回のこの法律は全く無関係だというように我々は思います。我々としては、やはり無償化に向かっての道筋をきちんと示す必要があるんだというふうに思うんです。

 ただ、今回の制度だと、新たに設ける減免措置ができることによって、今まで国立大学で行われていた独自の減免措置はこれに吸収されるということで、対象が狭まっていくわけですよ。もう、漸進的な無償化とは全く相反するような、逆向きに行っているとしか思えません。

 昨今、奨学金の問題が非常にクローズアップされるようになっているのはどうしてかといったら、以前に比べて大学の学費が高くなっているんですね。それによって、借りる金額が多くなっているんですよ。

 二十三ページに資料をつけさせていただきました。私はことしで五十になるんですけれども、私の同学年が卒業をする年は平成四年だったので、平成四年の国立大学の学費、あと公立、私立の学費と、その年の大学の初任給の平均を示させていただきました。

 平成四年を一〇〇とすると、見ていってください、平成二十九年は、国立大学の学費でいうと、三十七万五千六百円だったのが五十三万五千八百円と、一四三、つまり一・四倍になっているんですね。一方、大卒の初任給は、平成四年は十八万六千九百円だったのが二十万七千八百円と、一・一倍程度にしかなっていないわけですよ。やはりこの差なんだと思うんですね。

 つまり、世の中デフレでほとんど物価が上がっていなかったのに、大学の学費だけはどんどんどんどんつり上げていった。この結果、大学を卒業して、初任給でなかなか返すのが厳しいという状況がつくられている。つまり、これを解消することが、私は唯一というか一番先にやるべきことだというように思うんですよ。ところが、今回、大学の学費の値下げは一切入っていないわけであります。

 私は、本来だったら学費の値下げということを先にやるべきだったと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

亀岡委員長 柴山文科大臣。時間が来ておりますので、手短に。

柴山国務大臣 各大学において、さまざまな事情に基づいて学費等の決定が行われているかと思いますが、我々といたしましては、それがやはり学生の負担にならないように、まさしく今御紹介をいただいた高等教育の漸進的無償化の趣旨に沿う形で大幅な授業料の減免あるいは給付型奨学金の拡大をしているというように認識をしておりまして、また今後、各大学の状況を把握しながら政策を進めていきたいと考えております。

初鹿委員 大幅に質問を残してしまいましたので、また機会がありましたらやらせていただきます。

 終わります。

亀岡委員長 次に、中川正春君。

中川委員 続いて質問をしていきたいというふうに思います。

 まず最初に、この間、一般質疑のときに取り上げた大学における修学支援の問題について、その続きといいますか、最終的に詰めを残していましたので、まずそれから行きたいと思います。

 今回、授業料の無償化ということに一歩進めたということについては、私は評価をしたいというふうに思うんです。ただ、文科省のこれまでの政策からいけば、前回指摘をしたように、国連の人権規約十三条の二などで示されているように、全ての者に対して教育の機会を与えるということ、一般的に言えば、所得制限を取っ払って、それで、大学としてはもう授業料はないんだ、無償なんだというところまで理想としてしっかり文科省が持っているのかどうかということですね、まず。そこのところを確認していきたいと思います。

柴山国務大臣 まず前提として、無償化の対象範囲にかかわらず、これまでも希望者全員に対する奨学金の貸与の実現など、無利子奨学金の充実は進めてきました。また、経済的理由に対するきめ細やかな救済措置を講じて、高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところであります。

 今御指摘の所得制限を廃止するということにつきましては、例えば低所得者世帯以外は、今申し上げたような貸与型奨学金の拡充によって進学機会が開かれてきているという事実、それから、高校卒業後の進路が多種多様でありますから、進学せずに働く者との公平性をどう考えるのか、こういったことも踏まえて、慎重に議論をする必要があるのかなというように思います。

 ただ、国際人権規約にそのような定めがあるということも当然承知をしておりますが、この無償教育の具体的な方法については特段の定めをしておらず、その範囲や方法を含め、具体的にどのような方法をとるかということについては加盟国に委ねられております。

 文部科学省としては、今後とも、財政、進学率そのほか、その時々の状況を総合的に判断しながら、その都度適切に対応していきたいと考えております。

中川委員 以前にも申し上げたように、授業料の無償化ということと奨学金ということは性格が違うんだというふうに思うんですよ。

 授業料の無償化というのは、例えば幼児教育であれば、今回、三歳児から五歳児までは完全無償化をしていく、授業料を取らないということでやりましたよね。これは、少子化ということだけではなくて、基本的には、教育というのは国の責任で環境を整備していこうと。だから、幼児教育がそこまでコミットして、所得関係なしの無償化ですよ、こう言っている。これは私は正しいと思うんです、そういう意味からいくと。

 だから、大学も、そうした意味からいくと、授業料は無償化して、国の責任のもとで、国の制度として環境を整備するんだということ、これがまずベースにあるということ、この整理が必要だと思うんです。その上で奨学金をどう使うかということを議論しないと、奨学金と授業料無償化が混合して、整理をしないままに総合的にとやると、将来どういう姿があるのかというのが見えなくなるんですよ。そこに今回の問題がある。だから、そこに、別の言い方で言えば、文科省の基本が決まっていないからこんなふうになるんだということを指摘しているんですよ。

 そういう意味からいって、授業料の無償化というのをどういうふうに文科省は位置づけるかということをはっきりさせないといけないと思うんです。それを大臣に問いかけているんです。

柴山国務大臣 おっしゃっていることはよく理解できます。

 確かに、授業料と生活支援というのは概念的には別物であるという委員の御指摘は理解ができるんですけれども、ただ、今回の我々の支援の措置というのは、貧困の連鎖を断ち切って格差の固定化を防ぐということから、例えば勉強をしながらアルバイトをする学生、そして生活費も含めて稼ぐというような実態もあるわけですから、真に支援が必要な低所得者世帯がそういった生活と学業の両立が難しいという実態も踏まえ、こういった方々の授業料の減免を措置するとともに、学生が学業にある程度専念できるよう、給付型奨学金も支給をするということとさせていただいた次第であります。

 大学生活に要する費用の負担のあり方についてはさまざまな意見があるというように考えますけれども、文部科学省としては、国費を有効に活用して、子供たちが家庭の経済事情により進学を諦めることなく、能力や意欲に応じて質の高い教育を受けられるようにするためには、授業料の減免と給付型の奨学金の支給というのは、やはり両方必要なことなのじゃないかなというように考えております。

中川委員 私は、そういうふうに整理してしまったら、非常にいびつな形になるんじゃないかというふうに懸念をします。

 というのは、授業料の無償化というのは、親がかりの資金。これに対して国が環境整備して、親の所得に関係なく、その思いのある学生は来ることができますよという環境を整備していく、その意味での国の責任なんですね。

 それに対して、奨学金というのは、ローンであれ何であれ、これは本人がかりなんですよ、最終的には。そこで教育を受けた本人が、将来、その負担ができるレベルになったときにこれを返していくというのは、親が返すんじゃなくて、本人が返していくんです。しかも、授業料が無償化であるということであるとすれば、その部分というのは生活費なんです、私的生活費。これはある意味、全くの、ローンを基本にして私的生活費をそれで賄って、将来、自分が一人前になったときに返していく、そういうシナリオなんだと思うんですよ。

 だから、それを貸与から給付に変えて、授業料も無償にしてそして生活費も、両方それに合わせて、将来もう返す必要はない、親がかりの部分を両方それで解決する、そういう重なりに今なっているんですよ。

 そこは、中間層を含めて、いや、私も、やはり奨学金は必要なんだという人たち。これは貸与ですから、貸与は本人がかりで将来返していかなきゃいけない。片方はそうじゃない形で、授業料も無償化されて、両方、生活費も見てもらう、そういう構造に今なりつつあるんですよ。

 これを将来、どういうふうに持っていくのか。将来、両方見ていくつもりなんですか。違うでしょう。恐らく、将来の絵の描き方としては、授業料は無償化して国の責任でやっていきますよ、しかし、生活費は自分の力で、自分が一人前になったときに返していくというシナリオを描かなきゃいけないんだと思うんです。そこが今回の話で崩れてきているということですね。

 そのことを以前から指摘をしているんですが、その整理はやる必要はあると思うんですが、どうですか。

柴山国務大臣 大変わかりやすく、かつ理論的であると思います。

 少なくとも、今回、現象面においては、貸与型奨学金を我々としては基本的な位置づけとしながらも、真に必要な低所得者世帯あるいはそれに準ずる世帯の方々に対する給付型の支援というものを厚くするという一方で、授業料の無償化においても、先ほど申し上げたように、進学される方、されない方、いろいろいらっしゃる。その一方で、さっき御紹介いただいた人権規約、高等教育も含めて無償化、やはりそういう文言もあることから、今後の我々の社会のあり方として、授業料についても、一定程度の所得に着目した形での無償化ということにまずは踏み出した。

 だから、現象面としては、先ほど私が答弁をさせていただいたとおり、そこは重なりますけれども、では、将来において、今委員が御指摘のように、その二つを本当に分離して、授業料についてはもう完全無償化の道に進むべきかどうか。これは、先ほど申し上げたように、財政の状況ですとか、あるいは国民一般の公平性に関する理解のあり方、さまざまなことを踏まえて、また引き続き、ぜひ議論をさせてほしいというようには考えております。

中川委員 だから、今回の第一歩というのは、そういう意味で、将来伸ばしていくということから考えるといびつになっている、間違っているというふうに思います。だから、授業料に対して整理をしていないからそんなことになるので、そこのところを指摘をしておきたいということ。

 それから、もう一つあるんですよ。奨学金を自分で返していく、そして、それに最近、所得連動型の奨学金を入れましたけれども、これを組み合わすと、将来のリカレントの教育に対して、一遍社会人になって、それで、所得をそこでなくしてでも、所得を見送ってでも大学へ帰ってこよう、もう一回教育を受け直そうという人たちに対して、この奨学金を所得連動型にすると、きれいにリカレントに対しても生きてくるということがあるんです。しかも、所得関係なしで授業料を無償化して、その部分もここに吸収すれば、きれいに制度として成り立っていくんです。

 そんなことも考えていくと、これは税金を投入していくわけですから、どこでこの税金が生きてくるかということを考えていくと、制度化するには、やはり所得関係なしの授業料無償化、そして奨学金は所得連動型で、将来、自分がかりでこれを返していく体系、しかし、それは所得連動型ということだから、無理のない返し方でそこで生かすことができる。

 こんな制度を最初から始めていけば、給付型の奨学金で税金を丸々使ってそれが返ってこないというよりも、資金そのものもそこで回っていって、かつ、それだけの資金があれば、授業料の無償化へ向いて所得制限を取っ払っていく、あるいは制限レベルを上げていって、中間層に対してもそれが広げられるというふうなシナリオが描けるということ、このことを指摘しておきたいというふうに思います。

 大臣、コメントがあれば。

柴山国務大臣 御所見はよく理解できますけれども、先ほど繰り返したとおり、引き続き、長期的には検討していければなというように思っております。

中川委員 次に、私学の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。

 喫緊の課題について二つほど問題提起をしていきたいと思うんですが、一つは、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、東京医科大学や東京福祉大だけじゃなくて、次から次へと不祥事が続いて、私学のガバナンスというのが問われる事態が続いています。もう一つは、少子化で学生数が減少していることに加えて、東京への一極集中が加速をして、地方の中小大学の経営基盤というのが急激に崩れてきているということ、この二つの課題というのが大きくあるんだろうというふうに思うんです。

 今回の法案改正にこの二つの問題というのはどのように反映をされているのか、まずそこから説明をしていただきたいと思います。

柴山国務大臣 そもそも私学は、独自の建学の精神に基づき、個性豊かな教育・研究活動を展開するとともに、在学者数が全学生の約七割を占めるなど、質、量両面にわたって、我が国の高等教育において重要な役割を果たしております。

 この私立大学が、今おっしゃった、十八歳人口がとりわけ地方において減少する厳しい経営環境の中にあります。そういう中で、社会からの信頼と支援を得て引き続き重要な役割を果たし続けるためには、まさしく先ほど申し上げた、自律的ではあるけれども意欲的で信頼の置けるガバナンスの強化や法人経営の強化が必要になってくるかと思います。

 このため、本法案においては、まず、学校法人や第三者に対する損害賠償責任を始めとする役員の責任の明確化、理事の行為の差止め請求を始めとする監事の牽制機能の強化、文部科学大臣所轄法人に対する認証評価の結果を踏まえた中期的な計画の策定の義務づけなどの改正を通じて、ガバナンスと経営力の強化、これを両方図ることとしております。

 さらに、私学の多様性などを踏まえて、私立大学版ガバナンスコードの策定も推進をさせていただくことによって、個々の法人に応じた自律的な取組が行われるような改革をぜひ進めていきたいと考えております。

中川委員 問題の見方というか観点がやはり少し違うように私は思います。

 特に、いろいろな不祥事、この事態が次から次へと起こっているということに対して、さっき大臣が言われたのは、第二十四条、学校法人の責務なんかの中で教育の質の向上と運営の透明性の確保を規定したり、あるいは認証評価の結果を踏まえて事業に関する中期的な計画を作成することを、これは学校法人として、ということは理事会を中心にした組織で法定化をしている、だからガバナンスがこれで強化されるだろうと言っているんだと思うんです。

 もう一つ、学校法人と学校という関係からいえば、大学の運営自体は、でき得る限りその自治権を尊重して、適切な緊張関係を持って運営されるということが望ましい。これは理事会と学校という関係、これを捉えて言っているんです。自治権というものは、どちらかというと、学校法人の方じゃなくて、学校自体の、教育の中身をやっている学校なんだと思うんですね。

 特に、最近の不祥事から指摘できる問題というのは、大学法人側の理事長や理事が、さっきお話が出ましたけれども、職務を逸脱して、そして大学の公正な運営にさお差して大学の信用失墜をもたらしてきたという、その構造があるんだと思うんです、今。

 さっきの条文というのは、学校法人権限の強化と大学自治への介入の正当化を法定しているようなもので、理事会そのものの体質とそれからその運営が問われているにもかかわらず、その役割を強化するという、透明化はわかります、透明化はわかるけれども、その役割を強化するというのは、これは理事会自体のいわば改革から逸脱しているんじゃないかというふうに思うんですよ。

 そういう意味で、この理事会をどうするかという政策が必要なんじゃないかというふうに私は推察するんですけれども、大臣、どう思われますか。

柴山国務大臣 確かに、今般の私立大学の不祥事、理事会が大学の運営に介入をするという側面もあります。だからこそ、役員の損害賠償責任ですとか、役員の不正行為等に対する監事の差止め請求に係る規定の新設などの改正も行っております。

 これによって、例えば、理事会が学校法人運営を適切に行わなかったり、監事が理事会の不適切な運営に対して対処しなかったというような場合には、理事や監事自身が損害賠償責任のリスクを負うことになります。やはり理事会や理事に対する牽制ということが高まっていきます。

 他方、平成二十六年の学校教育法の改正によって、学長のリーダーシップを強化する教学面でのガバナンス改革も行っておりまして、大学改革を推進する上では、経営陣のリーダーシップによって迅速かつ大胆な取組を実行していくことも必要なんだろうというように思っております。

 ただ、理事会が強化されるとか経営の基盤を確保するということが、学問の内容について何か口を挟むというような仕組みにはなっていないわけであります。理事会を中心とする法人側と学長を中心とする大学側が、法律に基づく相互の役割分担を理解し、協力し合いながら学校運営を行っていくことが期待されるし、それが法の趣旨であるというように考えております。

中川委員 それでは、もう少し具体的に聞いていきたいと思うんです。

 学校法人の運営を透明化するために資料の公開を規定しているわけですが、閲覧から原本写しの交付へと、あるいはまた内容の公表ということになっているんですけれども、これは原本全ての公表とすべきだというふうに思うんですけれども、これがどうかということ。

 それから、監事が理事長によって選任されるということになっていますけれども、これは本来、一般財団法人のように、評議員会で選任されるというものでなくてはならないのではないか。

 理事や理事長の不祥事の話が出ていますが、理事長自身の選択によって、理事長を客観的にあるいは第三者的に見ていく監事が、理事長自体で決められるということでとまっていていいのか。これはやはり評議員会で選任されるべきものでなければならないということだと思うんですけれども、その辺についての問題意識はないのか、大臣、お答えください。

白間政府参考人 まず初めに、情報公開の御質問がございました。

 これにつきましては、財務書類等の公表につきまして、今回、六十三条の二におきまして公表を義務づけることとしているわけでございますけれども、この書類については、現行の四十七条におきまして閲覧対象となっている財務書類等を、閲覧対象として備え置かれている原本と同じ内容のものが公表されるようにということを規定しているという趣旨でございますので、同じ内容のものが公表されるということで、その趣旨を徹底してまいりたいというふうに考えております。

 それから次に、監事を理事長が選ぶことについての御質問でございます。

 これについては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、平成十六年の改正のときに、監査される側のみで選任することのないようにするために評議員会の同意を得るということにして、最終的な選任は理事長において行うということにしているところでございます。

 今回、ガバナンスにおける監事の役割というのは、御指摘のように非常に重要でございまして、今回の改正におきまして、監事による理事の不正行為等の差止め請求、また、理事の監事に対する報告義務の規定を新設するなどして監事の牽制機能の強化を図り、一定程度のガバナンスの強化を図っているというところでございます。

中川委員 答えになっていないんだと思うんですけれども、ここも今のような、いわば中間的なというかはっきりしない形で、意図的にぼやかしたようなそういう組織、構図になっているということ、これは将来に禍根を残すであろうというふうに思います。

 時間がもう来てしまいましたので、最後に、国立大学の問題について。

 一法人複数大学制度が今度できるわけですけれども、これは名古屋と岐阜ということでまず始まって、将来、いわゆる中部圏とかあるいは四国とか九州とか中国とかというような、そういう単位でこういうような国立大学の再編というのをしていくというのがグランドデザインなのか。それとも、今回の話というのは、もう特別にここだけという前提の話なのか。これは文科省として、これも将来のそれこそグランドデザインですけれども、どういうふうに描いておられるのか、まずそこから聞いていきたいと思います。

柴山国務大臣 昨年十一月の中教審、二〇四〇年に向けた高等教育のグランドデザインでは、今後、高等教育機関が、多様な価値観を持つ多様な人材が集まることにより新たな価値が創造される場となることが求められています。そのためにも、各大学は、自大学の発展の方向性の明確化や他大学との連携の推進を図るとともに、ここからが大事なんですが、高等教育機関と地方公共団体、産業界が恒常的に連携を行うための体制の構築などが必要とされております。

 今御指摘になられた一法人複数大学制度は、まさしくこのような方向性を実現するために、特別なものというよりは、各大学が他大学との連携等を進めて地域における高等教育の中核となるための一つの選択肢となるものであるというように考えております。

 先ほどの中教審の答申を踏まえ、今後、文部科学省といたしましては、一法人複数大学制度という今回の取組を始め、今後、国公私立の枠組みを超えた大学等連携推進法人制度、これはまだ仮称ですけれども、あるいは地方公共団体や産業界などとの連携交流体制、地域連携プラットフォーム、これもまた仮称ですけれども、こういった取組などを応援していくということを考えております。

 ぜひ、各国立大学においては、これらの新しい制度的な枠組みを活用しながら、みずからの強み、特色を伸ばすとともに、地域において期待される役割を果たすことができるようにしていただければなというように思っております。

中川委員 地域連携が大きく課題としてあって、それに進めていくということがあるんですけれども、実は、研究ということと、それから人を供給する、特に医学部だとか教育学部の役割、これが大分違うんですね。

 時間が来てしまいましたけれども、一つだけ指摘をするとすれば、共同研究の場合は、その地域というよりも、その大学にいる、特別に一つの分野で専門性を持って世界に冠するというぐらいの人を全国ベースでみんな求めてきて、それで連携が初めてできるんですね。たまたまそこの大学が、例えば私の三重県にあるから、三重県の企業に対して、どうですか、一緒にやりませんかというような話で成り立ってくるような話じゃないと思うんです。

 ここの構図と、それからもう一つは、本来は、医学部の医者であれば、その地域に対して責任を持って、医療計画からコミットして、そして医者を供給するということであるとか、教育現場であれば、新しいICTとか英語教育とかプログラミングとかという、現場で非常に課題としてあるものと連携しながら学生を教育してそこへ供給するとかというような、そういう地域との連携の部分というのがあるんだけれども、大事なここの部分というのが今崩壊しているというか、特に医学部なんかはそこまでなかなかいけずに、医者が足りない。なぜかというと、みんな都会へ向いて出ていってしまうというふうなことで、地方自治体を含めて非常に大きな課題を今背負っているという、そんな現状でもあるんですよ。

 そこのところをしっかり区別しながら大学の戦略を立てないといけないんじゃないかということ、ここをまず指摘させていただいて、時間が来ていますので、次の次の機会に、この問題を取り上げながら話を進めていきたいというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いをいたします。

 最後に聞くつもりだった質問を一番最初にさせていただきたいと思いますが、この法案、さまざまな問題があるというふうに指摘を私どもからはさせていただいているわけですけれども、そもそも、大学教育の漸進的な無償化に向けての本当の第一歩なのかということについて、提案理由、趣旨説明の中でその文言がないですね、今後検討するということですけれども。そして、この制度を政府として発表するに当たって、閣議で決定をするわけではなく、関係閣僚合意で説明をしているという点なども疑念を生じさせているところに私はなるというふうに思うんですね。

 大臣、文部科学省のもくろみどおりにこの制度がうまく回るとすれば、所要七千億を超える財源が必要になりますよ、そうなるように頑張りますよということなんですけれども、私は、大学等、大学、短大、専門学校について審査をして、確認学校、確認大学としてそれぞれ位置づけた上で、子供たちにマイナンバーカードで所得を提出させた上で、ぎりぎりあなたは資格がありますね、では、お金を上げますというような制度にするよりは、現状でも、今、それぞれの大学あるいは大学等で、子供たちにどうやって支援していくのかということはそれぞれ工夫してやっていらっしゃるわけですから、大学の自治とかあるいは学問の自由ということをしっかりと担保する上でも、そしてまた、大学のそれぞれの自主性を尊重する上でも、七千億あるのであれば、使うつもりがあるのであれば、運営費交付金を大幅に増額する、あるいは私学助成を大幅に増額する、そして、それぞれの大学で工夫してやってね、頑張ってね、文部科学省はそれを支援しますよということでおやりになられるのが一番よい方法ではないか。

 そしてまた、私学助成というのは税金ですから、私立学校法についても本委員会で議論されているわけですけれども、民主的なガバナンスを一番きかせられるのは情報の公開ですよね、何よりも。だから、国立大学法人については情報公開法の対象であって、全ての文書は情報公開法の対象文書であるということになっているわけですが、私立学校の場合はそこもいろいろな問題があって、では、僕らがいろいろなことを調べようとしても、文書を見せてください、一体どうなっているのか根拠文書を見せてくださいと言っても出てこない、いや、それは民間ですからということになってしまう。

 だから、私立学校で私学助成が入る学校については、全ての文書を情報公開の対象文書ですよということにすれば、問題があったときに全て文書で後づけ、検証できるし、そして、それを二度とそういうことがないようにしていくことも可能であるということになるというふうに思うんですね。

 だから、私は、制度を余り細かく、頭のいい人たちがつくり上げ過ぎていて、それぞれの現場現場、学校を信じて運営費交付金を増額します、そして私学助成を増額します、問題があったら文書を全部公開してね、検証しますよというふうに、わかりやすい制度、そして、それぞれの大学の自由度、自治というものが担保される制度に仕組むべきではないのかと思うんですね。

 だから、今後、この法律というものがどうなっていくのか、ただし、関係閣僚合意で財務省も七千億出すよということについては一応含んでいるわけですから、本来の、本当の意味のいい制度にしていくためには、私はもっと検討が必要だというふうに思うんですね。

 だから、今の私の提案について、大臣、どう思われるか、ちょっと。

柴山国務大臣 貴重な御指摘をありがとうございます。

 今回の高等教育、あるいはそこで学ぶ学生の支援というのは、家庭の経済的理由によって進学を断念するケースがあると考えられる低所得者世帯に対して、大学等における修学への経済的負担を軽減するということで、これは少子化の進展への対処に資するという整理を我々はしております。

 このため、今回の支援措置は、消費税収をいわゆる社会保障四経費に充てるという現行の消費税法のもとで制度として確立された少子化に対処するための施策ということで、ことし十月の消費税率の引上げによる増収分を活用して実施することができる、そういう整理をしているわけなんですね。もちろん金額も大切なんですけれども、やはり我々としてのそういう整理というものがあるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 委員が御指摘になられた、国立大学法人運営費交付金ですとか私学助成といった基盤的経費に対しては、今申し上げたような事情で、この七千億円超の消費税財源を充てるという仕組みにはなっておりませんが、ただ、いずれも、おっしゃるとおり、継続的、安定的な教育・研究活動を実施するために不可欠なものでありますので、我々文部科学省としては、その確保に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

川内委員 なぜ私が冒頭このようなことを申し上げるかというと、安倍内閣の全体の政治的な方針というものがその場しのぎで運営されているのではないか、その場その場で何となくちょっと受けがよさそうなことをやっていく、本質的なところをちょっと見誤っているのではないかというふうに思うんですね。それがやはり端的にあらわれているのが、ずっと本委員会で私、こだわっていますけれども、施政方針演説なんですよ、安倍総理大臣の。

 三月二十二日の質疑に引き続いて総理の施政方針演説のことを申し上げますけれども、「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、」と安倍総理大臣は述べている。

 きょう傍聴に来ていらっしゃる方も結構いるわけですけれども、今この言葉を聞いて、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で一人親家庭の大学進学率が上昇したと総理大臣が述べているわけです、そうすると、児童扶養手当の増額と給付型奨学金の創設というのが大学進学率の上昇につながったんだねというふうに皆さん思うでしょう。うんうんと、ほら、うなずいている。普通の人はそう思うんですよ。思いますよ、みんな。

 だけれども、これはよく聞いておいてくださいよ、傍聴の皆さん。厚生労働省に確認しますけれども、児童扶養手当の増額は平成二十八年十二月から実施された、給付型奨学金の創設は平成二十九年度四月から実施された。一人親家庭の大学進学率の調査は平成二十八年十一月一日付の進学率であって、給付型奨学金の創設も児童扶養手当の増額も大学進学率の上昇とは関係ないということでよろしいですね。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 児童扶養手当の増額と給付型奨学金の創設は、平成二十三年度から二十八年度にかけての一人親家庭の大学進学率、二四%から四二%への上昇の直接の要因ではないというふうに考えております。

川内委員 いや、考えておりますじゃなくて、直接の要因じゃないので。

 なぜかならば、時系列が逆転しているからです。大学進学率の調査が先にあって、その後に、児童扶養手当の増額と給付型奨学金は設けられている。時系列が逆なんですよ。それにもかかわらず、総理がこのように施政方針演説で述べられているわけですけれども。

 そして、総理の施政方針演説の英語訳では、この部分は、アズ・ウイ・インクリーズドということで、アズという接続詞で接続をされて、大学進学率が上昇したというふうに英語訳をされております。

 私は、このアズは理由のアズだ、児童扶養手当の増額と給付型奨学金の創設によって大学進学率が上昇したのだというふうに英訳をしているんだから、これは間違っている、だから、因果関係はないんだから英語訳を変えた方がいいというふうにずっと申し上げているわけですけれども。

 だけれども、そういうふうに読むのが間違っているんだ、おまえの理解は間違いだ、川内の理解、そして、きょう傍聴に来ている皆さんの理解は間違いだということなんですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の総理の施政方針演説の該当箇所でございますけれども、「進める中で、」というふうに書いてあるところでございますが、児童扶養手当の増額と給付型奨学金の創設が、進学に役に立つ施策として政府において取り組んできたものであるということをあらわしているものというふうに承知をしておりまして、そのように受けとめていただきたいというふうに考えております。

 政府としても、今この場で御説明申し上げていることも含めまして、引き続き丁寧な説明を心がけてまいりたいと思っております。

川内委員 だったら、総理の施政方針演説を、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設への取組を進める中でとか、まだ実現していないけれども取り組んでいるよ、そのことが、上昇した、それも因果関係はないわけですけれども、そういうふうに書くべきだったのであって、二つを限定して、「を進める中で、」というふうに書いているところに、大臣、結局、安倍内閣の、要するに、ごまかそう、何とかごまかしてきれいごとを取り繕おうという姿勢が今の答弁にもあらわれるわけですよ。

 私は先ほど、情報公開こそが民主的ガバナンスの第一歩であるというふうに申し上げたわけですけれども、情報公開というのは、要するに、過去に作成されたものをそのまま正直に出すということですよね。それが後づけ、検証のためにすごく役に立つということであって、今のような御答弁、それは施政方針演説に対する政府の解釈ですから、では、その解釈はいいとしても、このアズという接続詞を使って英語訳をつくっていることに関して、政府広報室長は、いや、間違っていない、何が悪いんだとこの前言い放ったわけであります。

 このアズは、この前、政府広報室長は、時のアズである、何々のときというアズであるというふうに御答弁になられました。英語の辞書のことまで持ち出されたわけですけれども。研究社の英和中辞典、この前、原さんがおっしゃった英和中辞典、私も読みましたよ、英和中辞典。何々のときのアズは、ホエンよりも同時性の意味が強く、ホワイルとほぼ同様に用いられると書いてあります。

 昨日、文科省に、英語教科書の用例で、このアズ、時のアズについて用例で説明を受けたんですけれども、何々のときのアズ、アズA、Aというのは出来事、コンマB、Bという出来事、アズA、Bという構文がある場合、AとBの同時性又は時系列というものは、用例としては、過去、文部科学省が検定をした教科書の中でどのように用いられているかということを教えていただきたいと思います。アズA、Bという構文があるとき。

永山政府参考人 接続詞アズを文頭に用いました複文表現、これは英語においては一般的なものでございまして、多くの教科書において用いられているところでございますが、これらは、一般的には、同時期に起こる出来事や因果関係をあらわす場合に用いられることが多いと認識をいたしております。

 なお、このような表現が多く用いられる高等学校の英語の教科書において、中学校もそうですけれども、必ずしも執筆者の意図する日本語訳が記載されているわけではございませんので、英文のみが記載されている、そういったものが多いわけでございます。

 御指摘のような用例、BがAよりも先という用例ですね、こういった用例の有無につきまして、教科書の記述からは直接的に確認ができないところでございます。

川内委員 今、文部科学省が、学習指導要領に沿って作成された英語の教科書について、そして、文部科学省が検定をし子供たちに教えている教科書において、アズA、Bという構文でBが時系列的に先に起こっている用例はないということを御説明していただきました。AがあってBがあるというのが普通なんですよ。要するに、それが普通じゃないですか。

 私、内閣官房が、いや、世界じゅう探したらあったぞと言うんじゃないかと思って。内閣官房の方でも探してください、用例があるんだったら言ってくださいというふうにきのう申し上げておきましたけれども、ありましたか。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

原政府参考人 お答え申し上げます。

 総理大臣の施政方針演説につきましては、閣議決定をされました和文、これが正文でございますので、これに忠実になるような翻訳作業を行ってございまして、あくまでも、演説の原文であります、「進める中で、」という時の表現を忠実に訳出するべく、正確に翻訳作業を行ったものでございますので、そのようなことでございます。(川内委員「聞いたことに答えて」と呼ぶ)

 お答え申し上げます。

 担当官に確認をしたところ、そのような御要望は受けておらないというふうに受けとめてございます。

川内委員 無礼なことを言われました。

 私はきのう、きちんと通告をしております。それを受けていないなどと、この場で、正式な委員会の場で役人に言い放たれるなど、私にとってこんな屈辱はないです。質問を続行できません。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 再度確認させていただきたいと思います。(発言する者あり)

亀岡委員長 速記をちょっととめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 原内閣審議官。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、答弁レクといいますか、質問レクを先生からいただいた中で、そういう用例はないのかということに関して当方の担当官に御質問をされて、ある英語の文章ぐらいしか思いつきませんと言って御紹介を申し上げたという事実はあるというふうに今確認をいたしましたけれども、明白にそういうふうに、世界じゅうを探してこいとか、そういう御指示はなかったものということでございます。

川内委員 原さん、ちょっと、人のことをばかにするのもいいかげんにしてくださいよ。

 質問レクのときに、用例があるんだったら教えてくださいと私は言っていますよ、ちゃんと。ほかの人もみんないましたよ、役所の若い人が。あなた、私のことをどこまでなめているんですか。

 用例がないならないと言えばいいじゃない、あるわけないんだから、そんな用例が。何でそんなことも言えないんですか。死んだら、あなた、死ぬんですか。そんなことないでしょう。ないと言えばいいんですよ、ここで。後ろの若い子、僕の部屋に来ていたじゃない、きのう。ないならないと教えてあげなよ、原さんに。ないでしょう。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、担当官からは、調べてこいということを言われてはいないということでございます。

 また、あるかないかという点につきましては、調べておりませんので、ここで確たる答弁はできないということでございます。

川内委員 いや、昨日通告したことを、この場で、そんなことは言われていないと言い放たれて、私は質問できないですよ。こんな失礼なことはないですからね。もう質問できないです。

原政府参考人 昨日、先生の方から質問レクをいただきまして、そこに多数の職員がいたと思いますので、先生がもしそういうことであるならば、ちょっとお時間をいただいて、皆さんに、もう一度ちょっと確認をさせていただくということで御猶予を賜れればというふうに思いますけれども。

川内委員 いや、委員長、これはとても重要なことなんですよ。

 だから、私はきょうの一番最後にまた回っていいから、ちょっとそれまでに調べさせてください。委員長、ちゃんと命令して、指示して。アズA、BでBが先に来る用例があるのかということをここで答えさせてくださいよ。

亀岡委員長 しかるべき件については、では、委員長に預からせていただきます。

川内委員 ちょっとここで速記をとめて相談してくださいよ。私の大事な質問時間なんですから。

亀岡委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 では、速記を起こしてください。

 では、ここで、とりあえず質問をかわります。

 川内博史君の質問は、最後に五分間回させていただきます。(川内委員「十分」と呼ぶ)五分です。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 国民民主党の吉良州司です。

 きょうは、修学支援法を中心に、みずから言うのはなんですけれども、本案の根本にかかわることについて質問させてもらうと同時に、一つの考え方として私自身の具体的な提案を行いますので、柴山文科大臣はもちろんのことでありますけれども、馳与党筆頭理事を始め与党の皆さん方にもぜひ一緒に考えていただいて、まあ、拙速なと言うとなんですけれども、早期の採決をするのではなく、もっともっと論点があると思っていますので、文科委員会として、よりいい案を一緒に考えていきたい、このように思って、質問をさせていただきます。

 そのことを念頭に置いた上で、まず、質問に入る前に、お手元にお配りしている資料をごらんいただきたいと思います。

 これは、実は、二〇一〇年執筆、図を作成したのは二〇〇九年、民主党政権への政権交代直後につくった図であります。この図をなぜ提起させてもらうかといいますと、一つは、今回提案されている修学支援法は、私自身、別に、自民党なりどこの政党が、票を目当てにしてつくっている法案だとは思っていません。先ほど来、大臣からの答弁もありますように、貧困を固定化しないという中で、やはり、低所得の家の子供たちも、きちっと希望に応じて進学できるようにという純粋な目的でもって提案をされているというふうに思っています。

 その意味で、この種の修学支援だとか子育て支援の議論になったときによく出てくることが、先日の合同審査会でもありましたように、当時の民主党政権が打ち出した子ども手当が、やれ、ばらまきだのという批判を受けました。けれども、私たちの子ども手当についても、決して、ばらまきとかいうような、又は票目当てに考えたことは、全くありません。

 今、自民党政権が、高齢者が中心になった社会保障から全世代型の社会保障へと打ち出しておりますけれども、我々は、民主党政権の時代にそのことを前面に打ち出していた、そのことをある意味では証明できる図です。

 大臣、じっくり見ていただいておりますけれども、これはもう、見てそのとおりでありますが、もともと終身雇用制が、そして年功序列賃金が多くの企業で採用されていた時代には年齢とともに賃金が上昇し、特に私がいた会社なんかそうですけれども、二十八歳ぐらいになると、それまでは一年間……(発言する者あり)

亀岡委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 すぐに定数を……(吉良委員「いいです。聞いてくれている方もいますから。私がいいと言っているので、続けます」と呼ぶ)はい。どうぞ。

 では、質問を続けてください。

吉良委員 今申し上げましたように、全世代型の社会保障の一環として提起をしていたものでありました。

 終身雇用、年功序列型の賃金が各企業で採用されていた時代には、今言いかけましたけれども、例えば私が二十八歳ぐらいになると、それまでは一万円ずつぐらいしか上がらないのに、どんと二万円とか、三十二、三歳になると、また、どんと上がる。それが、ある意味では、当時の、第一子が生まれる時期、第二子が生まれる時期、それから子供が進学するであろうような時期ということを想定された賃金モデルにもなっていたと思います。

 ところが、その後、いわゆる年功序列賃金が、そして終身雇用も危うい状況になり、また、グローバル化が進む中において、賃金カーブというものが、そこのBで示しておりますように、ぐっと下がってきた。年齢が上がるからといって賃金が上がるわけではないという状況が現出してきました。

 もちろん、今でも、高所得を得られる企業に勤めている人は、かつての賃金カーブを謳歌できています。けれども、低所得層そして中間層についてはぐっと下がって、かつては負担できていた中間層も、子供が高校に進学する、そして今議題になっている大学進学を含めた高等教育機関への進学のときに、経済的に極めて厳しい、教育費の負担感が極めて大きい、こういう状況になっている。

 こういうことを見据えて、子供が小さいころは子ども手当、そして義務教育が終わる高校時代には高校の無償化、そして高等教育機関に向かうときには、高等教育機関進学に対する、この時点では奨学金制度の拡充ということでありましたけれども、一部については入学金、授業料の減免というものも頭に入れておりました。

 私自身は、この図を提示することについては、もう今後、与党だ野党だが、やれ、ばらまきだろうとか票目当てだろうとか、そんなことは一切指摘することなく、この文科委員になっている方々については、やはり子供の教育こそが国をつくる、個々人についても将来を切り開くという中で純粋に考えていると私自身も信じますので、その意味で無用な批判合戦はないようにしていきたい、このように思っています。

 それともう一点は、今回の法案は低所得者の子供を何とか支援しようという法案でありますけれども、今、私自身が申し上げました、そしてこれまでの質疑の中でも出ておりますように、中間層についても教育費の負担感が物すごく強い、そういう意味では、低所得者のみならず、中間層についても何とか支援する手だてはないのか、こういう思いも持ちながら、質問をさせていただきたいと思います。

 柴山大臣、まず、今回の、低所得者世帯修学支援と私は言いますけれども、この法案の究極の目的は何でしょうか。と同時に、本法案は、社会保障政策ですか、それとも教育政策でしょうか。

柴山国務大臣 今回の究極の目的ということなんですけれども、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対して大学等における修学の経済的負担を軽減することが、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与するものと考えているということで、消費税の財源手当てということも含めて、やはり、少子化の進展への対処に寄与する社会保障関係経費として消費税財源を充てるということでございます。

 ただ、高等教育へのアクセスの機会均等とともに、一緒に出させていただいている大学改革や教育、研究の質の向上と一体的に推進することによって、そういった教育へのアクセスの確保ということを我々としては同時に目指しているということも御理解をいただきたいと思います。

吉良委員 後段の部分については、先ほど言いましたように、私自身は修学支援についての質問を中心にさせていただこうと思って、同僚の岡本議員がガバナンスについて質問させてもらうつもりであります。

 大臣が今おっしゃったことは、この法案の目的ということで書かれている、また所信でも述べられたことでありますけれども、そのことを否定するつもりはありませんが、先ほど、たしか中川議員に対する大臣の答弁だったと思います、貧困の連鎖を断ち切り貧困を固定化させない、階級化させない、これが究極の目的じゃないですか。いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今おっしゃったとおり、貧困の連鎖を防ぐということが大変重要であるということは、我々も共有しているというふうに思います。

吉良委員 今同意していただきましたけれども、では、その究極の目的である、貧困の連鎖を断ち切り固定化をさせないというこの目的を、本法案で示されている具体的内容で達成できると思われますか。

柴山国務大臣 先ほどの私の答弁の、貧困の連鎖を断ち切り格差の固定化を防ぐというために、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に授業料減免と給付型奨学金を支給するということとしているわけなんですけれども、やはり、低所得者世帯では、家庭の経済的理由によって進学を断念するケースがある。具体的には、全世帯では高等教育機関への進学率が約八割であるのに対して、住民税非課税世帯では四割程度というふうに推計をして、半分程度の率にとどまっているということでありますので、こういった低所得者世帯に対してその経済的負担を軽減するということによって、経済的理由から進学を断念することなく、希望に応じて質の高い大学等へ進学できる見通しが立つということから、貧困の連鎖ということに一定の歯どめはかかる、しかも、少子化の進展への対処という本法案の目的の達成にも資するというように考えております。

吉良委員 では、ちょっと議論を深めていきたいので、違う聞き方をします。

 低所得者世帯の子供が、私立の医学部に進みたい、そういう希望を持っている、その場合に、この制度ではどう応えられるんでしょうか、その希望に対して。

伯井政府参考人 私立大学等の授業料につきましては、設置者の裁量によりまして、各大学学部・学科等の教育プログラムの特性に応じて異なる授業料が設定されております。

 今回の支援措置では、学部に限らず、授業料については、私立について上限七十万を限度に支援をするということでございますが、学校種ごとに分野区分で上限額を設定するということにつきましては、制度的に複雑になるおそれがあるということ、また、各専攻分野における適正な授業料、標準的な授業料についての、それに一定の国の意思決定をして支援をするということになりますので、そこまでの合意形成がなされていないという課題があることから、そういう上限を設けて支援をするということでございます。

吉良委員 私が私立の医学部というのをあえて出したのは、私立の医学部は入学金も授業料も、正直言って住民税非課税世帯の子供たちにとっては経済的には夢のまた夢。では、完全に、貧しい家庭の子が医者になる道が閉ざされているのか。それはそうではないですよね。例えば、国立の医学部に行く、又は、九年間の地域限定での勤めは課せられますけれども、自治医科大学に行くということになれば、どんな家庭の子でも医者になる道が開かれている。

 私は何が言いたいかといいますと、今回のこの法案について、今局長から答弁があったように、私立大学については七十万円を限度とするという限定がある、私立の医学部についてもそうです。とならば、夢を持ち、こういうところで勉強したいという思いがあっても、それをかなえるにはその子供たちもある程度の学力を求められるということになるんだと思います。ということは、この制度はある程度の学力を求めていると言ってもいいと思います。私は、それを肯定するものです。

 大臣にお聞きします。ある時点の学力というのは何で決まりますか。何を構成要素として、ある時点の学力ができ上がりますか、決まっていますか。

永山政府参考人 学校教育におきましては、基礎的、基本的な知識及び技能、これを確実に習得をさせる、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を育むとともに、主体的に学習に取り組む態度を養い、個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めることとしてございます。

 新しい学習指導要領におきましては、こういった観点から、知識及び技能、それから二つ目に、思考力、判断力、表現力等、それから三つ目に、学びに向かう力、人間性等。これは、資質、能力の三つの柱といたしまして、生徒が確かな学力を身につけることができるように、これらをバランスよく育成することといたしてございます。

吉良委員 余り批判は好きじゃないけれども、今みたいな話を聞いても、誰も頭に残らないですよね。まあ、ここで争うつもりはないです。

 私がわかりやすく言わせていただくと、ある時点の学力というのは、なかなか言いづらいことだけれども、一つには、親から受け継いだ、ある意味で地頭と言われるものがあります。そしてもう一つは、努力度ですよね。どれだけ頑張っているか、努力。そしてもう一つ、今の時代においては家庭環境。それこそこの委員会でも議論されていますように、塾に行ける子、行けない子、そういう意味では、今、低所得の家庭の子は塾に行きたくても行けない。そういう意味で差がついているんじゃないですか。

 だから、そこを余りきれいごとで言わずに、地頭についてはいろいろな考え方がありますから、やはり、努力度そして家庭環境。家庭環境で学力を高められない環境にある子供たちにより高い学力をつけていく、それが一番大事なんじゃないですか。

 私が、冒頭、究極の目的は何かお聞きし、そして大臣が答えた、貧困の連鎖を断ち切り固定化をさせない。そこについてはもう一〇〇%同意します。

 であるならば、今、家庭環境に恵まれないがゆえに勉強したくてもできない環境にある、また、努力しても、しようとしてもできない環境にある、その子供たちの学力を高めていく。そうでないと、その部分が足りなくて本来家庭環境に恵まれない環境を少し補う支援ができる、努力を後押しできる。その環境があればもっと学力を高くできて、もっと自分の人生を切り開ける、そういう学校に進めるんじゃないですか。

 今の状況の中で行けるところに行く、それを経済的に支援する、これで国全体の子供たちの学力の底上げになるとも思わないし。というか、そうしなければ底上げにならないし、何よりも、個人が人生を切り開いて、より高い学力で、より自分の思う高等教育機関に進めて、そしてその後に、ある意味いい就職先を得て、そして、豊かな、また幸せな人生を歩むときに重要な要素である経済的な部分で困らないようにしていく。そのことが、貧困の連鎖を断ち切り、そして固定化させない。

 今のままの学力で、恵まれない中の学力で、そのまま行けるところを経済的支援をする、そうではなくて、今言ったように、学力を高めてあげるための支援をする、この方が大事じゃないですか、大臣。

柴山国務大臣 先ほど、中川委員からも、全ての高等教育の授業料を全部無償化にする、ただし、生活に必要なお金については給付型じゃなくて貸与型の奨学金にしたらどうかという御指摘にも通じるものがあるかと思います。

 ただ、今回は、我々としては、財政上の制限ということもありますし、また、高等教育というのは義務教育ではございませんので、高等教育に進む人とそうじゃない人との公平というものをどう図るか、これはもう社会通念の議論もありますけれども。そういうことももろもろ加味をして、この授業料の減免ということと、それから生活費に対する奨学金という形での支援をあわせて、真に支援が必要な住民税非課税世帯あるいはそれに準じる世帯にもそれに応じて一定の額を支援する。ただ、これは非常に、全体としては多額のお金を使って支援をするという仕組みとさせていただいている次第です。

 ただ、望む大学になるべく進めさせてあげたいという、吉良委員と私、全く思いは同じでありまして。ですので、例えば、入学に当たって、それまではいろいろ、塾に行けなかったから成績が余りよくなかった、そういう子であっても、望む大学に要するに低負担で行けるようにするために、この制度の利用に当たって、高校在学時の成績だけで否定的な判断をしないで、明確な進路意識と強い学びの意欲が、例えばレポートの提出や面談などによって確認できれば、それは幅広く受け入れていく。その後、大学で、その意欲をきちんと発揮して学んでいただくためのチェックというのはさせていただきますけれども。

 よく外国などで言われるように、日本の大学は入るのは厳しいけれども出るのはゆるゆるだ、だから大学でしっかりと学べないというような批判がやはりあってはならないと思いますので、そこはやはりしっかりと、機会はなるべく広く確保する、ここは恐らく問題意識としては共通なのではないかなというように考えております。

吉良委員 残念ながら、最後の部分は共有できない部分があります。

 それは、今言った、入るときには今の現状を追認する、家庭環境上、学力を高められなかったという状況を認めて、どこかに入る。けれども、入って以降、それなりの厳しい条件が課せられている、その支援を受け続けるために。けれども、入学時に支援を受けてどこかに入りました、その後は下位の成績しかとれないので支援を打ち切られました。その子供の人生は狂っていきますよ。

 そうではなくて、やはり、学力を高める、その支援にまずは力を入れるべきだ。そして、それは、低所得者ももちろんだけれども、今、だんだん中間層が下に行きつつある、その中間層も何とか支援できる方法はないかということで、資料の二枚目を見ていただきたいと思います。

 ここに、低所得世帯の生徒の学力向上と進学を真に支援するための具体策ということで書かせてもらっていますが、その最初の枠に、公立中学、公立高校、場合によっては低所得者の生徒の多い私立高校も含めていいと思っていますけれども、ここに、補助教員又は学習支援員と言われる人たちを、具体的には各学年に五人ずつ配置をする。そうすると、三学年ですから、平均でいいますと、一つの中学、一つの高校に十五人の学習支援員又は補助教員が配置されることになります。

 そこの担い手として一番多いだろうと思っておりますのが退職教員ですから、そういう意味では、もう退職教員が今から家族を養い、支えながら教員をやるというわけではないので、一人当たり二百万円を想定しています。今言いましたように、これはさっき言った低所得者が通う私立高校は含んでいませんけれども、仮に全公立中学、全公立高校に今言った十五人を配置して、その金額が三千八百六十八億円です。

 その補助教員の役割については、一学年五人もいますから、二人ないし三人、学校によって差はあると思いますけれども、なかなかついていけない子を支援する、そういう支援員がいてもいいと思うし、さっき言いました裕福な子は塾に通って進学勉強しているのに自分は行けないという子供たちに対しては、また二人ないし三人が進学について指導していく、教えていく、これがあってもいいと思っています。また、場合によっては、有名なというか、それなりにやり手の塾講師を、このために引き抜いてくるなり補助教員になってもらうということもあろうかと思います。そのときは二百万円ではできないかもしれない。そのときは、退職教員の人たちに百万円でお願いをして、その塾から引き抜いた人に三百万、四百万、五百万渡す、そういうこともあろうかと思います。いずれにしても、中間層を含む低所得者の子供たちが経済的負担なくついていけるように、勉強できる、また進学に対して支援を受けられる。

 同じ七千百億使うんだったら、まずはこのことが一番大事なんじゃないですか。いかがでしょうか、大臣。

柴山国務大臣 子供の学力、学習意欲を向上させるということが重要で、大学に進む前、今委員が御指摘のように、その前段階においてしっかりと底上げをするということは、確かに極めて重要だというように思います。

 新しい学習指導要領では、子供の学習意欲の向上を重視するとともに、学習内容を確実に身につけることができるように、学習内容の習熟の程度に応じた学習など、個人個人に応じた指導の充実を図ることとしております。こうしたきめ細かい指導の充実のために、貧困による教育格差の解消のための教員定数の加配ですとか、補習などのための外部人材の配置に対する支援等に取り組んでいるところです。

 そして、地域においては、学習がおくれがちな中学生や高校生などを対象に、今御指摘になられたような、退職教員ですとかあるいは大学生などの地域住民などの協力によって実施する原則無料の学習支援である地域未来塾の推進など、地域全体で子供たちの成長を支える多様な活動を推進しております。

 文部科学省としては、引き続きこうした必要な支援に努めていきたいというように考えております。

吉良委員 今大臣が最後におっしゃった、私のイメージも、地域未来塾のような仕組みを公的に、しかも、七千百億というお金を使えるのであれば、そこを支援していく、そのために使うべきだと思っています。

 私の地元の大分でも、高等学校の校長経験者たちがボランティアで集まって、そしてある種の寺子屋のような塾を実際やっています。全部手弁当です。自分たちが手弁当でやる分には全然異存はないけれども、さすがに、移動を含めて実費で持ち出しでかかるところぐらいは支援してもらえればいいなという声も聞きます。それもやってほしいですけれども、貧困層ももちろんですけれども、中間層も、学習の後押しをするためにも、今言った地域未来塾のようなものを制度化して、ここの子供たちの学力向上に、まずはお金も使うし精力を使うべきだと思っています。

 その上で、今大臣もお答えになったし、先ほど来、中川議員からも指摘のあった、次にやるべきは、国立大学の授業料、入学金の免除といいますか、無償化です。

 時代はどんどん変わっていますけれども、私自身は裕福ではない家の男三人兄弟のど真ん中に生まれましたので、兄が東京の私立に行って、もう目に見えて生活水準が落ちました、食事の内容を含めてですね。それは、裕福じゃないところの地方の給料でもって、東京の生活費と、学費、授業料。私の場合は、弟が控えているので、自分がまた私立になった場合には、もう家が潰れるし、弟は大学に行けないと思ったので、国立に絶対行かなきゃいけないという、ある意味では使命感を感じていました。

 時代は変わっていますけれども、私は、国立大学というのは、それこそ、どんな家庭の子、特に今言った経済的に恵まれない子供たちが教育の機会均等を得られる最後のとりでだと思っているんです。そういう意味で、国立大学の授業料を、また入学金を無償化すべきだと思っています。

 ただし、これはもう全部無償にするという考え方もあり、私自身は、実は、三大都市圏、そして旧帝国大学、ここについては免除しなくていいと。

 一つは、前回の質問時に私が痛烈に批判をさせてもらいました、二十三区の私立の定員を抑える、これはもう愚の骨頂の策です、私に言わせれば。一方を抑えて相対的に上がったって、地方自体が上がらなければ意味がない。そういう意味では、経済的負担をかけないというやり方ではありますけれども、地方の大学の魅力がそれだけ増す。それで、今言った三大都市圏については、まあ、入学金、授業料を課してもいいと。

 あえて旧帝国大学を入れたのは、全部ではないですけれども、帝国大学を卒業した人たちの就職先というのは、比較的給与の高いところに入れる可能性が高い、それならば、奨学金を借りようとも、返済できる可能性も高くなる。そういう意味で、東京への一極集中、大都市圏への集中を抑えながら、多くの子供たちに地方に行ってもらう、その意味で、三大都市圏と帝国大学を除いた国立大学の入学金、授業料を無償化する、この場合にかかる費用は千七百二億円です。

 この考え方について、柴山大臣の見解をお聞きします。

柴山国務大臣 まず、国立大学の授業料あるいは入学料そのものを無償化するということについては、大学教育を受ける人と受けない人との公平性の観点ですとか、あるいは、今財源の試算をしてくださいましたけれども、その確保なども含めて、やはり私は慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

 他方、御指摘の地方大学の活性化、これは極めて重要であるというように理解しております。

 文部科学省としては、まず、地域のニーズに応える人材育成、研究の推進などの各大学の強み、特色を生かした国立大学の機能強化構想への重点支援などに取り組んでいるところであります。

 また、文部科学省としては、この新たな制度によって、真に支援が必要な学生に対して確実に授業料などが減免されるよう、大学などを通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な貸与型及び給付型奨学金を支給することで学生や保護者の経済的負担の軽減に努めていきたいと考えております。

 なお、このほか、内閣官房と総務省、文部科学省が連携をして、地方大学への進学や地元企業への就職などを促進するために、地方公共団体において民間資金も活用した基金を造成し、地域産業の担い手となる学生の奨学金返還を支援するための取組、これは私はすごくいい取組だと思いますが、こういった取組の推進をしているところでありまして、現在、この取組がどんどん広がっているというように理解をしております。

吉良委員 先ほど中川議員から指摘があったように、大学等の入学金、授業料の免除、減免と、奨学金というのは、性質が違うという話がありました。

 私は、あえて地方の国立大学の授業料、入学金を無償化しろと言っている意味は、今大臣の方からも、政府として検討している、また試みようとしているという話がありましたけれども、やはり地方の国立大学は、地域の担い手、地域経済、地域産業の担い手、そういう意味では、もう少し職業に直結した学問、実務に直結したようなところで、職業にも直結するし、同時に地域経済を担っていくという、これを前面に押し出していくべきだというふうに思っています。

 その際に、さっき言った、仮の話ですけれども、住民税非課税世帯の子供がたまたま地方にいる、そのときに、地元の大学、国立大学に行った場合は入学金、授業料は減免だし、自宅から通えるわけです。また、仮に、違う地域の子供たちが違う地方に移っても、東京とか大都市圏に比べたらやはり生活費はぐんと安いですから。そうなると、仮に奨学金を借りて、私は利子なしの貸与とそれから完全給付型と両方あっていいと思っているんですけれども、仮に貸与の場合であっても、十分返済していける額を借りればいいと思っているんですね。

 だから、そういう意味で、やはり国として、大事な地方を元気にする、地方経済をもう一回活性化するということと、今言った低所得者の子供たちが自分の思う大学又はそれを通して職業についていけるという道を開く意味でも、さっき言った、大学に行く人、行かない人の公平感、これは、国全体では十分説明がつくことだと私は思っています。

 そういう意味で、先ほど来言っている、まずは、高等教育機関に行く前の学習支援、これに三千八百六十八億。そして、三大都市圏と旧帝国大学を除く国立大学の授業料、入学金を免除することの千七百二億円。今七千百億円の国の予算があるわけですから、それを差し引くと、まだ一千五百三十億円の、まあ、予算的にはある。では、これをどういうところに使うか。

 もう時間がなくなってきたので、私の方から言って、大臣の感想を含めた見解をお聞きしたいと思います。

 一つは、今言った、経済的に恵まれない家庭に育った人でもやはり東京の大学に行きたいという子供たちはいるわけですよね。そして、現にそういう都市圏の国立大学についても、独自の入学金、授業料の減免措置、制度を持っているわけです。だから、それを得られるだけの学力を身につければ大都市圏の国立大学にも進める。また、私立大学も、学費それから入学金の減免制度を独自に持っています。それを拡充してくれ、それを国としては後押しをする。その際に、特に低所得者に目配りしてくれというものに使う。

 そして、最後になりますけれども、専門学校については、私は、職業に直結する専門学校が多いので、あえて言いますと、現在の社会的ニーズが高い分野、それは政治的ニーズが高い分野でもありますけれども、例えば看護師であったり保育士であったり、そういう社会的ニーズが高いところに進む子供たちについては、入学金、授業料について支援措置を講ずる。

 こういう形で、七千百億もあるのであれば、繰り返しになりますが、第一に、中学、高校段階での学力支援をする、それに三千八百億使う。そして、地方の国立大学の授業料、入学金を免除する、これに千七百億円。そして、国立、私学、独自に持っている、今言った入学金、授業料の減免制度を更に拡充するための後押し、財源とする。そして、専門学校については、社会的ニーズの高い分野に限って減免をする。そのことによって、保育士が足りない、看護師が足りないという状況を解消しようじゃないですか。そして、その場合は就職に困ることもないはずです。

 この三つのパッケージについて、私の提案についての大臣の見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

柴山国務大臣 非常に参考になる御意見ではあろうかと思います。

 ただ、冒頭、委員からも問題提起があったように、これはそれぞれ、教育政策としてはうなずける部分もあるんですけれども、では、消費税の財源七千六百億を使う施策としてどうかというと、ここはやはり、消費税の使途というものは社会保障政策限定の用途の縛りがかかっているということもあることから、貧困の連鎖を防ぐという観点プラス少子化対策という意味合いから、今回、真に必要な方への支援ということで、我々、制度設計をしておりますので、あとは、じゃ、消費税以外の財源をどうするかということについては、また引き続きしっかりと検討していきたいというふうに考えております。

吉良委員 もう時間が来ましたが、大臣、もっと、私、最初の大臣に対する質問で言いましたように、今、人手不足含めて、人口減少、少子化というのが最大の国家的課題であって、それに応える最良の方法はやはり教育の充実なんですよね。それにはもう手段を選ばない。今、こだわり過ぎていますよ。

 消費税は社会保障にしか使えない。だけれども、二〇〇八年から九年にかけて、それまで子育て支援は社会保障の枠外だったじゃないですか。消費税を上げることを前提に、やはり子育て支援、大事だなということで、消費税が使える社会保障の中に組み込んだんじゃないですか。

 だったら、この文科委員会にいる人たちが、じゃ、教育の予算、子供たちの学力を向上するために消費税も使おうじゃないか、社会保障の中、全世代型の社会保障の一環としてこの中に組み入れようじゃないかと、誰も反対する人はいないと思いますよ。

 ぜひ、そういう意味でも、今回、消費税が財源だからこれにしか使えないという発想ではなく、七千百億、七千六百億も使うんですから、本当に国全体、子供たちの学力を底上げする、貧困層も救う、そういう制度にしていきましょうということを文科委員の皆さん全員に投げかけて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速、時間が限られておりますので、質問していきたいと思います。

 大臣、まずちょっと、これは通告していませんけれども、大臣の考え方を聞きたいと思います。

 今、日本にある四年生大学の数は適正な数というお考えか、どうでしょうか。やや多い、やや少ない、どういうような印象を持たれているか、大臣の思ってみえる感想、思いをお聞かせいただけますか。

柴山国務大臣 御通告をいただいておりませんけれども、私の率直な所感として言えば、今の社会、特に人口がかなり偏在している、また少子化が大変進行しているという中にあって、今の大学は、今のままの数ではなく、もっとやはり絞られていくのかなというふうに考えております。

岡本(充)委員 絞られていくのかなじゃなくて、絞られていくべきだというふうにお考えなんでしょうか。絞られていくのかなという、傍観者じゃないですよね、まさに大臣ですから。これはやはり、適正なあり方を考えていくと数は絞られていくということでいいのか、傍観者ではなく、大臣としてお答えいただきたい。

柴山国務大臣 文部科学省が何か強力に、無理やり数を絞るということではなく、社会のニーズに合った形に再編をすることを支援していくという考え方かなと思います。

岡本(充)委員 大学の数が多いのか少ないのか、定員がどうなのかというのは大変重要なポイントだと私は思います。それから、一体どういう人が大学に入学をして、そして勉強していくのかということについても、私は、やはりきちっともう一度整理をする必要があるんじゃないか、こう思っていますよ。

 それについて、大臣はどうですか。

柴山国務大臣 済みません、ちょっと質問の御趣旨がよくわからなかったんですけれども。

 いずれにしても、今後、どういう方が大学に進み、そして大学がどういう存在、そして質を伴ったものであるかということについて、まさしく今回の法律で、我々としては、あるべき姿というのを示させていただいたというふうに理解をしております。

岡本(充)委員 そこで質問なんですけれども、あるべき姿を示したといって、今回、支援の対象になる大学の要件、機関要件ということで文科省が出されています。お配りをしております一枚目でありますけれども。経営に課題のある大学等の取扱いは、手を挙げてきても今回の修学支援の対象にならない、こういうことを示しています。

 ここに書いてあるのは、全て、経営の話、お金の話でありますが。私は、ちょっと疑問なのは、大学自体の経営にはいろいろ不安はあるけれども別にしっかりとした資産なり何らかの収入がある、こういうような構造もあり得るんじゃないかと思うんですね。お金の金額と大学の質というのはリンクをするのかということが大変疑問に思えるわけでありますが、それについてはどういう考え方で、要するに、財政や会計基準と教育の質の間には関係があるというふうに説明をされるのでしょうか。

柴山国務大臣 今回の支援措置については、支援を受けて進学した学生がしっかりとした教育環境のもとで安心して勉学を修め卒業することができるように、学生を受け入れる大学などについては経営が継続的かつ安定的に行われるところを対象とするべきであるというように考えております。

 現に、文部科学省では、これまでも経営悪化傾向にある学校法人に対してその改善に必要な指導助言を行ってまいりましたけれども、昨年七月には、経営指導の充実に関する新たな通知を各大学法人に発出をさせていただきました。本年度からは、新たな財務指標を設定し、法人の自主的な経営改善を一層推進するとともに、経営改善に向けた指導も強化することとしております。

 そうした面も含めて、今回の支援措置では、新たな財務指標も踏まえて、教育の質が確保されておらず、大幅な定員割れとなり経営に問題がある大学などについて、実質的に救済がなされることがないように一定の要件を設けたということでございます。

岡本(充)委員 いや、その説明では、やはりお金、先ほどもお話ししましたお金の面では、大学の帳簿と別に資産がある、こういう個人が、一定程度、理事長なり財務の責任を担っている場合もあるでしょう。そういう場合には、必ずしも大学の財務諸表だけで評価できるのかということを聞いているわけです。

 では、切り口を変えると、この結果、私のところは経営は大丈夫だった、四年に一度お金を入れることになっていて、四年に一度お金を入れますから三年間は確かに厳しいですけれども、四年目にはちゃんとお金が毎年入っているんです、にもかかわらず、だめだ、対象にならない、リストに載らなかったがゆえに大学の経営が行き詰まって、損害賠償請求をされる、こういったおそれはないのかということについて説明を求めたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 資料でお配りいただいていますように、今回、経営要件を支援措置では設けておりまして、文科省としては、先ほど大臣が答弁いたしましたように、今回支援を受けて進学した学生が安心して勉学を修め修学することができるようにという経営要件の設定は必要であるというふうに考えております。

 まず、その経営要件は継続的かつ安定的に教育を受けられるという要件でございますので、日ごろの指導によってそれを満たすよう指導するとともに、この要件の趣旨につきましても各大学にしっかり周知して、理解いただけるように努めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 違うんです。裁判になるおそれはないのかと聞いているので、そこは裁判になるおそれがないという理解でいいんでしょうか。そこを聞いています。

伯井政府参考人 裁判自体は相手方が行うものではございますが、私どもといたしましては、この要件の趣旨をしっかり御理解いただけるよう説明してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 いや、私はやはり、繰り返しになりますけれども、経営の問題と教育の質が、もちろんリンクする場合もあるでしょうけれども、リンクしない場合もあるのではないか、そういう意味で本当にこれが適切な機関要件なのかということについては疑問を持っています。

 では、もう一つ、別の観点で今回の修学支援を聞きたいと思います。

 大臣、今後、財源が確保できればこの修学支援は広げていく、こういうお考えはあるのか。それとも、財源があってもなくても、これ以上広げる、年収要件等を広げる、対象大学を広げる、こういった考えはあるのかないのか、お答えいただきたいと思います。

柴山国務大臣 今回の支援措置につきましては、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯に限って実施するものであります。

 一方、無償化の対象範囲にかかわらず、これまでも、希望者全員に対する貸与の実現など、無利子奨学金の充実も進めてまいりました。さらに、返済が困難となった方々には、返還の期限の猶予ですとか、将来の収入に応じて返還できる制度を導入したりするなど、支援の充実も図ってきております。

 ですので、今回の支援措置の対象を更に拡大するということについては、必要な財源の確保に加えて、今申し上げた低所得者世帯以外、貸与型奨学金の拡充によって進学機会は開かれているということですとか、あるいは、進学せずに働く者との公平性をどう考えるかということについても十分に踏まえ、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

岡本(充)委員 私は、今の対象者の収入の基準がここでいいのかということを聞いたわけでありまして、もちろん、低所得者に力点を置いている、それはわかりますよ。もう少し、例えば金額の上限をふやしていく等の努力をすることはあり得るのかと聞いているわけです。それはどうですか。

柴山国務大臣 大変失礼いたしました。

 今後とも、進学率ですとか、あるいは財政ですとか、その時々の状況に応じてしっかりと検討していきたいと考えております。

岡本(充)委員 それは、若者に対してのメッセージとしてはわかりにくいんですよ。広げることもあり得る、こういう理解でいいんですね。よろしいのか、それは違うのか、そこだけ教えてください。はっきり。

柴山国務大臣 もちろんこれは財政当局とのしっかりとした協議の上ですけれども、可能性としては私はあり得ると考えています。

岡本(充)委員 ぜひ、そういうわかりやすく答えていただかないと、この中だけで通じるわけじゃなくて、やはり皆さんにしっかり通じるようにしていただきたい。

 では、続いて、学校教育法の改正もあるわけでありますが、今回ちょっと、いろいろな法律が合わさる中で、少し気になるのが、私立学校のガバナンスの問題であります。

 資料をおつけしました。めくっていただいて、二ページ目、私立学校法の改正のところですけれども、社会福祉法人などと比べてみると、今回の法改正でかなりのところが手当てをされるというふうに理解していますが、唯一抜けているのが、理事長の選定及び解職を理事会の権限に法律で付与するのか、こういうところであります。

 ここでお伺いしたいのですが、私立の自主性ということを言われますが、しかし、ほとんどの大学は、もう今、理事長の解職それから選定は寄附行為に定めている、こういう答弁もあろうかと思いますが、これはお聞きをしております。

 しかし、さりとて、まだ定めていない学校法人があり、そして、私立の自主性といいますけれども、ちょっと確認をしたいんですけれども、三ページ目、例えばこういう不正経理等があって、私学助成を減額、若しくは不交付になった大学、例えばこの中で二十五年度の、東京福祉大学は、私が聞いたところでは、理事会に理事の選任、解任の規定がなく、そして、この不祥事を受けて理事長が退職された後、家族が再度理事長につかれた、こういう事実だと理解しています。まず、この事実だけちょっと確認させてください、事務方に。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の法人につきましては、理事長の解任規定がなく、その後、不祥事発生後、理事長は辞任をしております。そのことは事実でございます。また、その後、辞任した理事長の親族が役員についていることも事実でございます。

岡本(充)委員 もうちょっとはっきり、大きい声で。

 その後、辞職した理事長の、何と言われましたか。

白間政府参考人 辞任した理事長の母が後任の理事長についたものと承知しております。

岡本(充)委員 ということなんですね。

 これが本当に適切な人事だったのかどうかということについて、理事会で決めることができないわけであります。

 大臣、何で、こういう事例もあるにもかかわらず、まだ、私立の自主性だ、建学の精神だということで、ほかの法人と比較しても、やはり、なぜここだけ抜けているのか気になるんですけれども、御答弁いただけますか。

柴山国務大臣 まず、今委員からも少しお話があったとおり、私立学校の自主性によって、法律には規定はありませんけれども、私立学校法において、役員の選任及び解任に関する規定は寄附行為に策定をすることが義務づけられておりますので、役員から解任すれば、当然、理事のみならず、理事長も解任をするということはできます。

 それと、あと、私立学校法に基づいて、例えば、法令違反等があった場合に、報告徴収、立入検査、措置命令、我々ができることとされており、措置命令に従わない場合に役員の解任勧告を我々ができることとなっておりますし、他の方法により監督の目的を達することができない場合には法人の解散命令を行うこともできます。

 学校法人による自律的な取組による改善が図られない場合は、これらの権限を活用することにより、所轄庁として対応してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 それは社会福祉法人と違うんですか。私は、この表と対比をしてと言っているわけです。それは考え方が社会福祉法人と違いますか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣からの御答弁申し上げました規定については、学校教育法に規定をされている規定でございます。

岡本(充)委員 そんなことは聞いていないんです。社会福祉法人との対比でこの表をつくってお話をしているんです。

 社会福祉法人だって、厚生労働省若しくは都道府県、それぞれ調査することはできると思いますよ。なぜ、学校法人だけ、理事長の選任、解任の規定がないのか、私立学校法にないのかということを聞いているわけです。

 そういう意味では、こういうことができますではなくて、なぜないのかということについて、大臣、お答えいただけますか。先ほどの話で、学問の自由とかじゃないですよ。

柴山国務大臣 じゃないですよと言われたんですけれども、学校法人に関しては、やはり、私立学校の自主性を尊重するということが教育基本法及び今お話をさせていただいた私立学校法においても明文上規定されており、学校法人においては自律的なガバナンスが求められていることから、自主的ルールである寄附行為により一義的には対応することが望ましいというようにしたものですけれども、昨今の不祥事が続出する中にあって、長期的に見て、社会福祉法人のあり方と平仄を合わせるべきかということについては、もう少し、また長期的な検討もしていきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 これはやはり、今回、きちっとガバナンスをきかすと言っているわけですから、なぜここだけ抜けているのか。それこそ、どこかの法人にそんたくしているんじゃないかと。いや、本当にそう疑われても仕方ないですよ。ほかのはそろっているんですから。何でこれだけすぽっと抜けているのかが、理解に苦しむわけです。検討していただけるということですから、ぜひ検討していただきたいと思います。

 今度は、外国人留学生について、少しお伺いをしたいと思います。

 外国人留学生の事件が幾つか出ています。きょうも、私の前にも話題になったと承知はしていますが。そもそも、外国人留学生は一体どれだけ日本で今暮らしているのか、これを、私のつくった資料では五ページ目に載せました。これを見ていただくと、上が法務省が公表をしている、ビザを発給して日本にいるはずの外国人、下が実際に学校に行っている外国人の数、しかも、この下の外国人の数は、ダブルスクールに行っていたらこれより下回る可能性がある、これは間違いないですね、事実関係だけ。ダブルスクールに行っている人もいるから、これより下回りますね、事実関係だけ。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、可能性としてはそういうこともあり得ます。

岡本(充)委員 つまり、これよりも、下の四角の線よりも低いんですよ。この差の人は一体どこにいるんですか。これが私には解せない。当初は、計算している年度が違う、月が違うと言っていました。しかし、どこをとっても数が少ないわけですね。やはりどこかにこの差がある。

 実際にビザの発給をしているけれども学校に行っていない、こういう人はこの日本に存在している、これはどちらの政務でも結構です。現にいる、これは事実でしょうか。

柴山国務大臣 その可能性は否定できないと考えます。

岡本(充)委員 その可能性は否定できないというか、その可能性が否定できるのであれば、否定してください。いますね、どこかに。どうですか、いますよね。

柴山国務大臣 いると思います。

岡本(充)委員 一体、それは何人、どこで何をしているんですか。

 これを、まあ、学校はやめちゃっているかもしれません。それから、もう一つ気になるのは、入学の手続はしたけれども、入国したけれども、実際、学校に入学していないかもしれません。いろいろなケースがあると思うんです。学校だけでは限界があると思う。

 だから、きょうは法務省にも来ていただいているわけでありますけれども、きちっと調べるべきじゃないかと思いますが、私の指摘に対していかがですか。これだけいるんですよ、万の単位で、何万人という単位でわからない人がいるんですよ。これは調べるべきじゃないですか。

門山大臣政務官 法務省におきましては、例年、各教育機関において前年一年間に発生した不法残留者数については把握しておりますけれども、個別の教育機関における不法残留者数は、今の段階では回答を差し控えさせていただいております。

岡本(充)委員 済みません、それは読んでいるところが多分違います。それは個別の話を聞いています。違うんです。この差についてきちっと調べるべきじゃないですかと聞いているんです。個別の学校は、その次の質問です。

門山大臣政務官 委員としては、この法務省と文科省の数が違っているということを非常に問題にされているのは御指摘のとおりだと思うんですけれども、法務省の数字というのは、基準日現在の在留資格、留学による在留者数を計上しているものであるということで、数が違っているということはあると思います。

 ただ、やはり乖離の数が多いというところについては、これはしっかり調べる必要があるというふうには認識しております。

岡本(充)委員 つまり、調べるということでいいですね。これから調べていただけますね、それをはっきりしてください。(発言する者あり)

亀岡委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 門山法務大臣政務官。

門山大臣政務官 そもそも、文科省と法務省で把握している数が、基準点が違うとかいろいろあるけれども、やはり大きな違いがあるという問題があるということは、これは委員御指摘のとおりでございまして、この点につきましては、今後、新しくできました出入国管理庁と文科省で保有している情報について、積極的に共有を図るなどして一層連携を強化し、適切な留学生の在留状況の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 違うんですよ。だって、法務省が持っているデータと文科省が持っているデータを突き合わせられますか。突き合わせられないでしょう。だって、今、それぞれが持っている、学校が持っているデータは、やめたといったって、伝えるのは努力義務ですから。本人が黙っていたらわからないんですよ。だから、積極的に調べなきゃわからないんです。

 法務省が調査権限があるんだから。申しわけないけれども、大学や日本語学校は、来なかったらわからないわけですから。だから、法務省に調べてくださいと言っているんです。

 ちょっととめてくださいよ。

亀岡委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 門山法務大臣政務官。

門山大臣政務官 法務省といたしましては、この届出があったものに関してとか、これら必要な調査を、その都度実地調査をすることとかも含めて、これからもしっかりと実情把握に努めてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 今どこにいるかわからないんでしょう。これまでのやり方じゃわからなかったんですよ。今どこにいるかわかるんですか。答えられないでしょう。きのうもさんざんやったけれども、答えられないんですよ。もう先週からやっているけれども、答えられないんですよ。どこにいるかわからないんだから。これは違う方法で調べるべきだと言っているんです。それをやらなければ、今までと同じ方法だったら、またわからないですよ。

 きちっと新しい方法を考えて調べる。答弁してください。

亀岡委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 門山法務大臣政務官。

門山大臣政務官 委員御指摘のように、確かに今、所在がわからないという者がいるだろうということはわかるわけでございますけれども、それについて、今後、どのように調べるかも含めて、今のところ報告を受けながら必要に応じて調査をしているわけでございますけれども、それについて検討してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 煮え切らないですね。自民党の皆さん、それでいいんですか、本当に、こんな話。重要ですよ。これをこのまま放置しておいたら、私は、大きな問題がまた起こると思いますよ。

 きちっと調べること、そして新しい手法を考えて調べること、これを強く求めて、私の質問を終わります。

亀岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

亀岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 私は、三月十四日の本会議で、国立大学法人化は失敗だったと国大協会長が述べ多くの大学人が政府の大学改革が日本の研究力低下をもたらしていると指摘していることに政府は謙虚に耳を傾けるべきであり、運営費交付金を大幅に削減し重点支援へ傾斜配分した上、外部資金獲得に駆り立ててきたことが大学の自主性を奪い、自由で創造的な研究活動を制約していることを指摘いたしました。それに対して、柴山文部科学大臣は、国立大学の法人化により学長のリーダーシップの強化や柔軟な給与体系の導入など一定の成果があったとの御認識を示されました。

 そこで、きょうは、本当にそういうふうに言えるのかということについて伺いたいと思います。

 柴山大臣は、二月に柴山イニシアティブというものを公表されました。この基本的な考え方について伺いたいと思います。

柴山国務大臣 委員から資料も配付をしていただいておりますけれども、今後、より一層少子高齢化やグローバル化が進展するとともに、我が国の大学生の学習時間の短さも指摘をされる中で、ソサエティー五・〇に向けた人材育成やイノベーション創出基盤となる大学等の改革が急務であると考えております。

 このため、国の責任において、意欲ある若者の高等教育機関への進学機会を確保する一方で、高等教育・研究機関の取組、成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を車の両輪として徹底することにより、教育、研究、ガバナンス改革をばらばらにではなく一体的に進めるための政策パッケージを、今御紹介をいただきました、高等教育・研究改革イニシアティブ、不肖柴山イニシアティブとして取りまとめさせていただいたところであります。

 この改革を実行するために、現在、真に支援が必要な低所得世帯の高等教育機関へのアクセス機会確保につながる、大学等における修学の支援に関する法律案と、進学先である大学の教育の質の保証や教育・研究基盤、ガバナンス改革などを後押しする、学校教育法等の一部を改正する法律案を御審議いただいておりますし、また、加えて、永岡副大臣を座長とした研究力向上加速タスクフォースを設置して、我が国の研究人材、資金、環境の観点から具体的方策の検討を進めているところであります。

 何としてもこの一体改革をなし遂げ、世界を牽引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群を形成するとともに、最前線で活躍する研究者や次代を担う学生の活躍を促進していきたいと考えております。

畑野委員 柴山大臣からも御紹介いただいた柴山イニシアティブ、きょう、資料として一枚目をつけさせていただきました。

 大臣が最後におっしゃいましたように、世界を牽引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群を形成するということは、イニシアティブによってこの二つの類型にまとめてしまうということですか。

柴山国務大臣 今申し上げた、世界を牽引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群、これは、やはり時代の要請としてこういった大学が必要であるということで挙げさせていただいたものなんですが、言うまでもなく、大学は多様性を有しておりますので、これら二つの類型にまとめるというよりも、各大学の強みや特色を生かしながら大学改革を進めていくことが重要であると考えております。

畑野委員 しかし、大学群を二つ並べて、群と言っているんですよね。

 それで、時代の要請というふうにおっしゃいましたが、じゃ、誰が求めているのかということです。

 二〇一八年六月に閣議決定された統合イノベーション戦略は、破壊的とも言える画期的な科学技術イノベーションを生み出す場である大学に活力を与えることが必要だというふうにいいまして、これについて私は意見が違います、その上で、研究大学を中心に経営環境などの壁を打ち破る抜本改革を断行すると述べた上で、戦略的な大学経営のために、研究大学における外部理事の複数登用の推進などを打ち出しているんです。

 この研究大学とは何かというと、運営費交付金の重点支援、傾斜配分をつけて、卓越した教育研究型に当たる東京大学や京都大学など十六大学だということなんですね。

 それから、幼児教育、高等教育の無償化について論議をした二〇一七年十月二十七日の第二回人生百年時代構想会議で、日本経団連会長の榊原定征氏は何とおっしゃっているか。経済界は全ての大学に職業教育的な教育を実施してほしいとは考えておりません、国立大学の機能分化の三類型のうち卓越した研究や教育を行う大学にはやはり世界トップレベルの教育、研究を行うことに専念していただきたい。残る二つの類型、特色ある教育、研究を行う大学、地域経済に貢献する大学については、職業教育を含めて機能に即した教育、研究を行っていただきたいと述べているんですね。

 つまり、柴山イニシアティブの言う世界を牽引するトップ大学群と地域や専門分野をリードする大学群と、日本経団連が言っているのとうり二つだ、それを持ってきたということじゃありませんか。

 私は、誰の声を聞いて大学を本当に支援していくのかというのがちょっと問われていると思うんです。

 ことしの二月に、ノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章東京大学宇宙研究所所長、ノーベル化学賞を受賞された白川英樹筑波大学名誉教授を始め、五十一人の大学関係者が呼びかけ人になりまして、「大学の危機をのりこえ、明日を拓くフォーラム」が結成されました。

 このフォーラムが、「社会へのよびかけ」の中で、次のように述べられています。

 「国立大学の基盤的な経費である運営費交付金は、法人化が行われた二〇〇四年度以降系統的に削減され、二〇一八年度には当初の約八八・二%にまで落ち込んでいます。私立大学に対する助成も、「経常費の二分の一補助の速やかな達成を目指す」とした国会決議(一九七五年)にもかかわらず、一九八〇年度の二九・五%をピークに低下の一途をたどり、今では一〇%を割るに至っています。」と。

 そして、その結果、研究費の大幅削減、人件費の減少による教員の退職不補充、若手研究者のポストも任期つきで不安定だ、こういうことが大学の研究力の低下を招いているということを指摘しています。

 さらに、この間、ガバナンス改革と称して教授会の形骸化や学長のリーダーシップによるトップダウン型の大学運営が強調され、学内における熟議と合意形成がおろそかにされているということも述べられているんです。

 このようにおっしゃっています。

 「目に見える数値化された目標の短期的な達成に慌ただしく追われる大学の姿です。このような企業的な「大学ガバナンス」のあり方は、多様な役割を持ち、成果がすぐには目に見えにくい大学における教育研究の性格、教育・研究の専門家集団としての教員が、一生涯にわたる学びの一過程にある学生や職員とともに作り上げる大学のあり方にふさわしいものではなく、むしろ大学全体を疲弊させるものになっています。」。

 私は、本当に厳しい指摘だと思います。

 そこで伺いますが、柴山イニシアティブは、厳格な評価で、大学評価において学生の伸びの確認を徹底、教育の質を保証できない大学は撤退とまで言っています。そして、質保証システムの確立として、学校教育法を改正し、認証評価を見直して、大学評価基準に適合しているか否かの認定を義務づけるとしているわけです。さらに、不適合とされた大学に、大臣が報告や資料請求まで求めるようにしています。

 大臣は、不適合大学に対して、具体的にどのような報告を求めて、どのような資料の提出を要求し、その結果、何をしようとしているんですか。

柴山国務大臣 認証評価の結果、大学が基準に適合している旨の認定を受けることができなかった場合には、当該大学は、学校教育法や大学設置基準などの法令に違反している可能性もあることから、大学みずからによる早急な改善が求められます。

 そのため、今般の改正においては、大学がこれまで同様に自主的、自律的に改善を行うということを前提としつつ、適合認定を受けられなかった事項に関する状況、当該状況の改善のために講じた措置、今後講じる予定の措置などについて報告を求めることとし、必要に応じて事実関係を確認するための資料提出を求めることを考えています。

 これによって、大学における自主的、自律的な改善のためのサイクルが確立され、教育・研究水準のさらなる向上に寄与するものと考えています。

畑野委員 そもそも、認証評価制度がどのようにできたのかということです。第三者機関である認証評価機関が評価をし、その評価の結果が公表されることで大学が社会的評価を受け、また評価結果を踏まえて大学がみずから改善を図ることを目的にしていると、文科省も言ってきたじゃありませんか、そのよしあしは別として。そもそも、ですから、認証評価機関は評価結果について文科大臣に報告をしなくてはならないとなっているんですよ。何を見ているんですか、何を見てきたんですかという話ですよ。公表されているのを見ればいいじゃありませんか。

 つまり、仕組み自体が文部科学省の関与から切り離されているのが認証評価なんですよ。それは、学問の自由、大学の自治からですよ。憲法どおりにやらなくちゃいけないと、丁寧にやってきたわけじゃありませんか。それを今回、文部科学大臣の関与を認めるような法改正というのは、これは認証評価制度の趣旨に反すると言わなくてはなりません。

 認証評価の基準は各認証評価機関が決定しています。その内容も、学校教育法第百十条第二項や学校教育法施行令百七十条で細目を定めるものにとどまっていると思うんですが、文科省に伺いますが、この内容を変更するんですか。

伯井政府参考人 今般の認証評価制度に関する改正につきましては、大学評価基準に適合しているか否かの認定を行うことを認証評価機関に義務づけるということ、さらに、適合している旨の認定を受けられなかった大学に対して、文部科学大臣が報告又は資料の提出を要求することなど、教育・研究活動の改善等を促す制度的な担保を設けることとしております。これによって、大学の教育・研究水準のさらなる向上を図るということを目的とするものでございますが、大学におけるこれまで同様の自主的、自律的な改善を促すというところは変わっておりません。

 したがいまして、今御指摘の学校教育法百十条第二項の改正は行っていないところでございますし、御指摘いただいたいわゆる細目省令は、主として各認証評価機関が定める大学評価基準の大枠を定めている規定でございますが、その内容については、今般の改正に伴って変更するということは考えておりません。

畑野委員 ピアレビューの根幹にかかわることですから、こんなことを変えるなんていうことは絶対あってはならないということを指摘しておきたいと思います。

 今回、適合認定の結果を、文科省が大学の中期計画の実施状況を評価する法人評価に反映させる仕組みを設けるとしています。なぜこのような改正を行うんですか。

伯井政府参考人 国立大学は、国公私立大学共通の質保証の仕組みとして、七年以内に一度認証評価を受ける、それとともに、国立大学法人として、六年の中期目標期間ごとに、期間内における計画の進捗状況評価を受けるということとなっております。

 現状、国立大学法人評価におきましては、各国立大学法人が定める中期計画等の進捗状況評価を行っておりますが、その計画の中には、例えば認証評価の対象ともなっている教育課程の状況であったり学生の受入れの状況等も含まれております。

 したがって、その両評価というのは評価の趣旨は異なるものの、評価対象が重複するということもございますので、両評価の連携を図るということで、評価を受ける大学の評価負担軽減を図ろうという趣旨がございます。

畑野委員 そこで伺いたいんですが、認証評価で不適合となった大学の評価結果、これは法人評価とどのようにかかわることになるんですか。心配なのは、運営費交付金とかそういうこととのかかわりがどうなのかと、懸念の声が上がっているんです。

伯井政府参考人 今回の改正法案におきましては、国立大学法人評価と認証評価の負担軽減を図るという観点から、改正国立大学法人法三十一条の三第二項におきまして、国立大学法人評価のうち、大学改革支援・学位授与機構に要請を行う評価については、認証評価の結果を踏まえて行うよう要請するということとしております。

 そのため、仮に、国立大学法人が認証評価において不適合の評価を受けた場合は、その結果だけを評価するのではなくて、国立大学法人評価において、認証評価での不適合となった理由や経緯、その後の改善状況を踏まえまして、各国立大学法人の教育、研究面の評価を総合的に行うということになっております。

畑野委員 これはまた聞きますね、ちょっと重大な発言をしているので。

 私、何を心配しているかというと、二〇一八年四月二十四日の経済財政諮問会議で、経団連の榊原会長が、現在の大学評価のあり方には問題がある、悪い評価へのペナルティーがない、運営費交付金を始めとする資金配分に大きく反映する仕組みはない、大学評価の見直しの方向性はことしの骨太の方針に反映していただきたいと言っているんです。

 その前の、二〇一七年八月九日の文科省の制度・教育改革ワーキンググループでは、リクルートカレッジマネジメント編集長の小林浩氏が、認証評価に基づく私学助成のあり方を含めたインセンティブやペナルティーのあり方を検討する時期に来ているというふうに発言しているんです。

 これは重大な発言だと思っていて、つまり、さっきから言っているように、大学の自主的な改善を促す認証評価と、法人評価というのは全く目的が違うんです。法人評価は、運営費交付金の算定に反映されるんです。認証評価を大学へのペナルティーの機能を果たすようなものに変えるということは全く許されないと思うんですけれども、そこは確認です、そんなことはないということですか。

伯井政府参考人 認証評価につきましては、その結果について行政処分又は直接的な資源配分に結びつける仕組みとはなっていない。

 それは、認証評価というのは、文部科学省令に規定している大枠を踏まえた上で各認証評価機関が独自に定める評価基準で行っておりますので、その認証評価の結果を国立大学運営費交付金や私学助成の配分に直接活用することは困難であるということでございます。

 一方、昨年の中教審答申におきましては、その認証評価結果を踏まえ文部科学大臣が法令違反を認めたとき、そういう法令違反の場合には、一定の資源配分への影響、反映ということも検討することが指摘されておりますが、その詳細については、今後設置する予定の、質保証システムに関する部会というのを今度中教審にも設置しますので、そこはそこでしっかりと検討していきたいと考えています。

畑野委員 そういうことがペナルティーの機能を果たすことがないようにしていただきたいということを強く申し上げておきます。

 次に、文科省は、二〇一四年の学校教育法、国立大学法の改正によって、学長権限が強化される、教職員の意見が大学運営に反映されにくいという状況が生み出されております。

 今回の国立大学法人法改正で、理事長と総括理事に、これはいわゆる学長ということになるんですが、役割分担した場合に、教育研究評議会、この構成員に理事長が加わるようになるというんですね。これは資料の二枚目につけさせていただきました。

 何のためにこのような措置をとるんですか。

伯井政府参考人 教育研究評議会につきましては、その設置する大学の教育、研究に関する重要事項を審議する機関として法人に設置することとされておりまして、現行法では、法人の長であり大学の長でもある学長が主宰するものとされております。

 今般の改正によりまして、大学の長としての職務を担う大学総括理事を法人の判断により置くことができるようになりますが、大学総括理事は教学の面を主として担うということから、教育研究評議会については大学総括理事が主宰するということとしております。

 一方で、大学総括理事を置いて経営と教学を分担することとした場合も、経営、教学の円滑かつ一体的な合意形成の上で法人運営が行われるということが必要なため、法人の長についても教育研究評議会の構成員としているものでございます。

畑野委員 そうすると、今回の国立大学法人法改正案の第二十一条第二項二号で、教育研究評議会の評議員について、「学長(当該国立大学に係る大学の長としての職務を行う大学総括理事を置く場合にあっては、学長又は当該大学総括理事)が指名する理事」とあるんですね。

 この括弧書きの中の「学長又は当該大学総括理事」の学長というのは誰のことですか。

伯井政府参考人 今御質問のございました条文における学長は、その法人の長としての学長又はその理事長を指すということでございます。

畑野委員 まあややこしいんですけれども。要するに、アンブレラ含めていろいろな形態をつくるので、法文上こういうふうになる、ややこしい法文になっているんです。

 この場合に、教育研究評議会の評議員となる理事を理事長のみが指名することも可能になるんですね。教育研究評議会の議長は、大学総括理事が、つまりその大学の長、学長ということなんですが、務めるんですが、組織内では上位と位置づけられている理事長や、理事長が指名した理事が参加する教育研究評議会では、教育、研究の内容が経営優先にゆがめられるのではないかという懸念の声もあります。

 教育研究評議会は、議長である大学総括理事の意見が尊重されるべきだと考えますが、いかがですか。

柴山国務大臣 今御紹介をいただきました教育研究評議会の審議事項は、設置された大学の教育、研究に関するものでありまして、各大学は教育、研究面について一定の独立性や多様性を持たせるべきであることから、大学総括理事が置かれる場合は、当該大学総括理事を主宰者としております。

 また、法人の長たる理事長が、教育研究評議会において、評議員に対して法人運営に係る説明責任を果たすことですとか評議員と意見や議論を直接交わすということは想定をされているんですけれども、そのことによって法人経営の方向性を共有することによって経営と教学の一体性が十分に確保できるようにするため、構成員として理事長も参画させることとしております。

 このように、教育研究評議会は、大学総括理事による主宰のもと、経営と教学の一体性を確保しながら審議がなされるということに意義があると考えておりまして、教学における上下の関係ということを想定したものではありません。

畑野委員 大学総括理事が尊重されるということでした。

 次に、私立学校法の改正について伺います。

 私立学校制度は、学校を設置する法人と設置された学校の運営が法律上区別されて、経営と教学の適切な緊張関係と協力関係のもとで発展してまいりました。

 しかし、一部の私立大学ではありますが、理事長のワンマン経営や同族経営などで、専断的な学校運営が行われる事態が存在しています。

 こうしたもとで、今回、私立学校法に、第二十四条、法人の責務、「学校法人は、自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その設置する私立学校の教育の質の向上及びその運営の透明性の確保を図るよう努めなければならない。」との規定を新設するとしております。この規定は理事会や理事長の権限を法的に担保することになり、専断的な大学運営が拡大するのではないかという危惧が寄せられております。

 この規定を新設する目的は何ですか。また、「その運営基盤の強化」、「その設置する私立学校の教育の質の向上」、「その運営の透明性の確保」と、「その」が三つもあるんですけれども、これは何を指していますか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私立学校は、独自の建学の精神に基づきまして、個性豊かな教育・研究活動を展開するとともに、例えば、私立学校においては在学者数が全学生の約七割を占めるなど、質、量ともにわたって我が国の学校教育の上で重要な役割を果たしておるものでございます。この私立学校が社会からの信頼と支援を得て重要な役割を果たし続けるためには、自律的な、かつ意欲的なガバナンスの強化、また法人経営の強化が必要と考えております。

 このため、今回新設する二十四条で、今委員御指摘のような責務規定を、私立学校のガバナンス強化方策全体の趣旨、内容を踏まえて、新設をすることとしているところでございます。

 なお、御指摘の「その」についてでございますけれども、これは、第二十四条の冒頭にございます学校法人、これを指しているものでございます。

畑野委員 確認しました。

 そこで伺いたいんですが、二〇一四年の学校教育法、国立大学法人法改正に伴って出された二〇一四年八月二十九日の施行通知なんです。「私立大学における学長、学部長その他の人事」で、「私立大学における学長、学部長その他の人事については、今回の法改正の対象ではなく、」としながら、「ただし、学長の選考については、私立大学においても、建学の精神を踏まえ、求めるべき学長像を具体化し、候補者のビジョンを確認した上で決定することは重要であり、学校法人自らが学長選考方法を再点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくこと。」とあるんですね。

 おかしいんですよ。なぜこのような内容を通知に記載したんですか。

伯井政府参考人 御指摘のございました平成二十六年の法改正に先立ちまして、中央教育審議会大学分科会の審議のまとめの中で、国公私立を通じた大学の学長選考について、求めるべき学長像を明確に示し、候補者のビジョンを確認した上で決定すべきであること、また、現在の学長選考方法がそのために適した方法なのか再点検し見直していくことが必要という御提言をいただいておりました。

 また、法改正後、大学関係者を含む有識者会議を文部科学省内に立ち上げ、法改正の施行通知に盛り込むべき内容を御審議いただいた結果、私立大学について、委員御指摘の記載を盛り込むべき旨を御提言いただいたところであります。

 このような提言を踏まえまして、施行通知において、御指摘の記載を盛り込んだというものでございます。

畑野委員 法案の審議の中で何も言われていないことを勝手に書いちゃだめですよ。おかしいですよ。今度だって、施行するときにどうするんだみたいな話になるじゃありませんか。

 あなたたちが出した通知のせいでどうなっているかということを言います。もう時間がないので途中で終わりますけれども、続きはまた次にします。

 東洋大学では、この施行通知を根拠に、これまで行われてきた教職員による学長選挙を廃止し、評議員会の意見を聞いて理事会が選任する方法に変更されたということです。理事、評議員、教職員が連署で三名の学長候補を推薦したが、学長選考委員会が現職の学長一名だけを理事会に推薦し、理事会がその学長を新たに選任するということです。

 また、名古屋芸術大学では、学長選挙が二〇一五年に廃止され、理事会が一方的に学長を選任しています。翌年には教授会規程が変えられ、教授会を、審議時間一時間で年四回までと開催を限定している。三つの学部を一つに改組することも教授会の合意なく強行し、担当教員の配置も理事会が一方的に決め、単位認定も教授会には行わせないなど、教授会の形骸化が進められていると。

 二〇一四年通知を根拠に私立大学でこのような事態が起こされているということについて、どう考えますか。

白間政府参考人 御指摘の記載につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、私立大学の学長選考においても、建学の精神を踏まえ、求めるべき学長像を具体化し、候補者のビジョンを確認した上で決定することが重要であるとの観点から記載をしたところでございます。

 私立大学における学長等の選考におきまして、学校法人の理事会と大学との関係をどう位置づけるか、これは大学の設置者である各学校法人の判断するところによりますが、一般的には、意思決定機関である理事会が、その権限と責任のもと、教学部門の意向も踏まえながら運営していくことが重要である、このように考えます。

 その上で、学長選考に関しては、学校法人の最終的な意思決定機関は理事会でありますことから、選考の方法も含めて、理事会が任命権者として責任を持って決定すべきものでございます。

 また、教授会に関しましては、平成二十六年の学校教育法の改正によりまして、決定権者である学長等に対して意見を述べる関係にあるということが明確化されたところでございます。

 いずれにしても、理事会を中心とする法人側と学長を中心とする大学側とは、法律に基づく相互の役割分担を理解をし、協力し合いながら学校運営を行っていくことが重要である、このように考えているところでございます。

畑野委員 時間が来ましたので、大臣に質問する機会がないので、また続きはやりますけれども、こういう施行通知は撤回すべきだということを申し上げて、きょうの質問を終わります。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本でございます。よろしくお願いいたします。

 法案質疑の前に、いじめの問題をちょっと取り上げて、改めて大臣の所感を伺えればと思います。

 各国悩んでいるようでございまして、ちょっとアメリカの例を少し申し上げるんですけれども、アメリカは容赦なく出席停止、イギリスでは加害者の親に罰金、フィンランドは、またこれもケースを申し上げますけれども、生徒が解決を主導する、韓国では不良組織を警察が摘発するというようなことをしている。

 ちょっとフィンランドのケースで、統一プログラムがいじめ対策として効果を生んでいるということで、KiVa、いじめについて学ぶ授業、KiVaレッスンというのと、コンピューターゲームの形式のKiVaゲームというのがあるそうで、日本の小学校一年、小学校四年、中学一年に当たる学年向けに三種類あるというのがゲームだと。

 最初のレッスンの方は、九十分の授業を月一回、年十回行うのが基本。仲間意識からくる心理的圧力や尊敬の念などの感情について学び、いじめ防止に各自がどう行動すればいいかを考える。合間に行うゲームの方では、いじめ発生時の対処法、特に傍観者にならない方法を楽しみながら練習する。こういうフィンランドのプログラムがあるようでございます。

 また、さきの質疑で名古屋市の例を取り上げさせていただいて、今年度いっぱいで、中学校百十校に常勤カウンセラーを配備するということに対して、初等中等教育局長さんが画期的という御答弁をいただいたのが前回だったような気がいたしますけれども。

 そこで、名古屋市長からもちょっとお勧めがあったんですけれども、高原晋一さんという方がいて、この方は、アメリカ・ケンタッキー州ルイビルの大学の大学院でカウンセリングを学んで、アメリカの小中高校でスクールカウンセラーの経験を積んだ、PhDを持っていらっしゃって、「アメリカのスクールカウンセリング」という著書を書かれている。

 この本の内容で、ちょっとアメリカの例だけ。これが全ていいとは思えないですけれども。一つの常勤カウンセラーのイメージですけれども、勤務形態は常勤である。そして、日常的に子供の活動とプロアクティブに、積極的にかかわっている。主な仕事は予防的介入である。これはサイコロジストと言われる心理士とは異なる。スクールサイコロジストというのもあるようなんですけれども、そういった職業分野とは異なるのがスクールカウンセラー。見方によってはですけれども、日本のスクールカウンセラーよりも生徒指導、生活指導に近いような存在である。資格があって、エデュケーショナルカウンセラーという資格を持つようでございます。それから、位置づけとしては管理職。組織への介入、積極的に介入するというような立ち位置の常勤カウンセラーをアメリカでは置いているというようなことでございます。

 ちょっといじめ問題で、これは私の錯覚ならよいとは思うんですけれども、率直に私が感じるのは、日本の、我が国の場合は、事後発生的に、この間も、高校二年生であったり小学校の六年生のお二人だったりということを何度か申し上げていますけれども、事後発生的に第三者委員会が設置されて、責任問題がどうだったというようなところに着目されがちというようなことを強く感じます。本来は、大臣も十分御認識とは思うんですけれども、やはり命を守る予防的な方に重点を置くべきであるというふうに考えます。

 今までつらつらちょっと申し上げましたけれども、それをお聞きいただいて、予防的措置について日本としてどうあるべきであるか、あるいは、具体的に文科省として、あるいは厚労省もかかわると思いますけれども、政府を挙げてどういう形で具体的な施策を行っているかという点をちょっと確認させていただければと思います。

柴山国務大臣 今、諸外国の事例についても御紹介をいただきました。

 いじめは、世界各国、どの国でも、どの子供にでも、どの学校でも起こり得ると思います。根本的ないじめ問題の克服のためには、全ての児童生徒を対象とした、いじめのまさしく未然防止の観点が重要だと考えます。

 このため、文部科学省では、今いろいろと事例についても御紹介をいただきましたけれども、私どもとしては、学校の教育活動全体を通じた道徳教育の充実、全国いじめ問題子供サミット、実は先日、文部科学省で開催をして、私も出席をさせていただいたんですが、そういったことなどを通じて、児童生徒がみずからいじめの問題について考え議論をするという主体的な活動の推進、また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実など、児童生徒一人一人にきめ細かく対応できる環境の整備などの取組を行っております。

 加えて、いじめの重大事態の調査結果については、昨年十二月に発出した通知において、調査結果の分析が再発防止に極めて有効であること、調査結果については、個人情報等に配慮しながら可能な限り当該学校を超えて広く共有し、いじめ防止基本方針の改善に積極的に活用することが重要であることなどを示して、再発防止への活用を促しております。

 今後とも、さまざまな方策を使って、未然防止に向けた取組を進めてまいります。

杉本委員 道徳の教育であったりサミットであったり、あるいはカウンセラー、ソーシャルワーカーというお言葉をいただきました。

 というのもありますが、今申し上げたように、諸外国の先進的なことも、網羅的にというか、一部のサミット的な部分で優秀な子が集まってというよりは、本当にそういうサミットに呼ばれないようなところの子供たちでいじめ問題というのは起きると私は認識していますので、道徳教育という点は一つだと思いますけれども、もっとこちらが積極的に関与する形で命を守っていっていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 さて、次に、法案の方の中身に入っていきたいと思うんです。

 ちょっといつも大上段で恐縮なんですけれども、まず、今回の法案で、二つ側面があって、やはり日本全体を、とにかく危機的な、私は特に財政危機を感じているんですけれども、いろいろな問題点があるということで、これは連立方程式に例えれば連立三次とか四次の問題であって、これを同時に我々は解決していかないと、本当に我が国は、メルトダウンという表現は適切でないかもしれませんが、本当に厳しい、困難な状況に陥るというようなことを感じております。

 その解の一つが、一部であっても高等教育の無償化を進めることであり、大学の統廃合なんかも、スクラップ・アンド・ビルド、あるいは選択と集中、そういった意味でも進めていかなければならないと思っています。

 変数は、改めてでもないですけれども、少子化であったり、あるいは高齢化と社会保障の維持であったり、申し上げた財政の危機であったり。そのために経済成長をやはりしていかなきゃいけないということであります。

 この経済成長のためには何が必要かというと、大きなくくりでいって、一つは生産性の向上であって、そしてもう一つは、我々維新が常日ごろから申し上げています徹底的な行革であるということで、大阪でも争点にさせていただいているような、大阪都構想という言い方になっておりますけれども、私は徹底行革だというふうに思っていますので、そういった二点、足元を照らして考える行革と生産性の向上、この生産性の向上にかかわるものが今次法案であるという認識を持っております。

 人口減少の、パイが小さくなる、このスピード感を和らげるという意味では、今同時に審議されております、この間も合同の審査で質疑させていただきましたけれども、幼児教育、保育の無償化であり、もう一方が、生産性を上げていくという意味での、建設的な意味での高等教育の無償化ということで、質疑もちょっとさせていただきましたが、リカレント教育は生産性向上に結びつくものであり、ぜひ結びつけていくようなものにしていかなければならないというふうに私は感じています。

 それで、ちょっと単語で、ハイロードキャピタリズムという言葉があるようで、最近これは出てきている言葉のようなんですけれども、要は、仕事のあり方としても、高品質、高専門性、高スキル、カスタマイズ、マルチタスクワーク、いろいろな仕事を同時にできる、そして一方で、リカレント教育にかかわる生涯学習であったり研修であったり、高い自主性を持った人材、これによって高い所得を得るということが大切だと思っています。

 それで、高知工科大学というのがまとめた論文がありまして、「日本における生涯学習の現状と課題」という論文ですけれども、これによると、二十五歳以上のいわゆる大学、高等教育に通う率というのが、日本の場合は二・〇%にすぎませんけれども、OECD諸国の平均で二一・一%ということなので、この数値を上げていく必要が本当にあると思いますし、高等教育と生産性の相関というのは極めて大きいというふうに私は認識しています。

 大臣、ちょっと話がそれて申しわけないんですけれども、また今後大活躍される可能性のある大臣なのでぜひ聞いておいていただきたいんですけれども、日本を救っていくには、生産性を上げていくという意味で高等教育を進めていくというのが一つの大きなポイントでありますが、一方で、厚労省が担当だみたいに我々は認識してしまうんですけれども、イギリスの例として、最低賃金の引上げを行うということを、日本の場合は都道府県別ですけれども、全国共通で行った。これを一九九九年から行って、いわゆる地方創生にも結びつく。

 これは、急激に、一気に上げてちょっと失敗した国が、ニュージーランドだったり韓国だったり、あるようなんですけれども、イギリスの場合は、ステップ・バイ・ステップで最低賃金を引き上げることによって、経済的な生産性を高めるということに結びついたようでございます。

 最低賃金の引上げは、いわゆる最低賃金で働くクラスを上げることによって、中間層の賃金も上がり、労働分配率が労働者の方に多くなるということなんですけれども、結果的に企業の方も生産性上昇への努力をするということで、卵と鶏の関係みたいな関係で、どっちが先かという議論にはなるんですけれども、生産性を上げるのは、最低賃金を上げるということでこれは労働政策というふうに我々は認識してしまうんですけれども、イギリスの場合は経済政策として実行しているということで、ちょっと話がそれて恐縮ですけれども、最低賃金を上げるということが生産性を上げていくということに結びつきますし、リカレント教育等の高等教育もこれに結びつくということです。

 もう一つだけ国の例を申し上げますと、デンマークモデルというのがあるようで、労働規制が柔軟であって社会保障が充実していることを、フレックス、プラス、セキュリティーで、フレキシキュリティーという言葉があるようでございます。これが、デンマークの場合は労使間のいわゆる交渉で、人材育成のトレーニングもセットで交渉されるということで、ボケーショナルエデュケーション・アンド・トレーニングという、VETという言葉が使われるようですけれども、職業教育及び訓練というのが大きなテーマになって、これがデンマークの高い生産性、高い所得の経済の秘訣と言われているということでございます。

 ちょっと長くなりましたけれども、いずれにしろ、生産性向上にリカレント教育が極めて重要で、しかも、ちょっと諸外国のケースを考えると、やはり実務的なリカレント教育が効果があるのではないかなというふうに私は感じております。

 いつもちょっと一方的にお話しして恐縮ですけれども、そんな意味で、中身を充実するということでの実務教育、あるいは経営者の教育も、日本の中堅、中小・小規模事業者の経営者により機敏に経済の変化に対応していただくためにも、こういったマネジメント教育みたいなものも必要であるということで、高等教育を進めることは大いに結構であると思いますけれども、一方で、高等教育の質という意味で、経済界あるいは企業側との連携というものも、ぜひとも文科省の方々にも、大臣始め皆様に認識をしておいていただきたいと思います。

 それで、基本的な質問で恐縮ですけれども、高等教育の方の法案についての質問として、念のため伺いますけれども、国公立、私立、学部によって、医学部なんかだと大分違うと思いますけれども、入学金という仕組みと授業料という二つにカテゴライズされるお金の取り方がありますけれども、日本のケースというものが、入学金と授業料というものが、欧米やOECD諸国と比較して差異はないのか、あるいはちょっと特徴的なところがあったりするのか、念のため伺っておきたいなと思います。お願いします。

伯井政府参考人 文部科学省で把握している限りでございますが、諸外国のうち、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツでは入学料を徴収していないと承知しております。一方、例えば韓国では、二〇一八年度から国立大学の入学金は廃止、私立大学の入学金は段階的に縮小していく方針が定められたと承知しております。

 韓国の国公立大学医学系の最高額でございますが、二〇一六年の入学料は、日本円換算で約一万七千円、十七万ウォン、授業料は日本円換算で約百一万円、約一千十一万ウォンでございます。

 また、韓国の私立大学医学系の最高額は、二〇一六年の入学料は日本円換算で約九万四千円、約九十四万ウォン。授業料は日本円換算で約百二十四万円、約一千二百四十一万ウォンでございます。

 日本の授業料及び入学金は、国立大学の標準額は、入学金が約二十八万、授業料が約五十四万でございます。

 私立大学は、二〇一七年度平均額で、入学金が約二十五万円、授業料が約九十万円でございます。

杉本委員 いろいろな例を言っていただきましたけれども、入学金がないというようなケースもあるので、やはり高等教育の無償化を一部ですが進めていくという中にあって、やはり有為な人材にしっかり学んでいただくという意味で、イニシャルのコストというものもできるだけ小さくしていく、財政の問題はあるんですけれども、そういった例も諸外国に見られるということなので、そういったところも我々は念頭に、今後政策をまた展開していく必要があるということを申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、学校教育法等の法案についての質問を、ちょっと細かくさせていただければと思います。

 改めての質問で恐縮ですが、ほかの方も質問されているかもしれませんが、監事の選任について、学校法人制度改善検討小委員会(大学設置・学校法人審議会学校法人分科会のもとに設置)、この小委員会による報告書では、少なくとも理事長が選任するではなく、理事会が選任するに改めるべきというような報告がなされているやに聞いております。

 本改正案は、この報告書にあった提案を受け入れなかったというか、理事長が選任するという形にとどまっているという意味では、いま一つ踏み込み不足のような気もいたしますけれども、ここに至った経緯であるとか、なぜ理事会が選任するというところまでの踏み込みができないのか、こういった点についての御答弁をいただければと思います。

柴山国務大臣 御指摘の監事の選任でありますけれども、平成十六年の私立学校法改正において、それまで選任に関する定めがなかったところを、監査される側の者のみで選任することがないようにするために、評議員会の同意を得ることとして、最終的な選任は理事長において行うという規定となっております。

 今回の改正のもととなった学校法人制度改善検討小委員会の報告においては、正確な表現ぶりにさせていただくと、監事の選任に当たっては、業務執行の責任者である理事長の判断のみで選任するのではなく、理事会の審議を踏まえて行うことが適当という御提言となっております。この提言は、監事の選任に当たって、運用上、理事会の審議を踏まえて行うことが適当との内容でありますので、こういった運用が行われるように、しっかりと制度の周知及び指導を行ってまいりたいと思います。

 また、今回の改正においては、監事がしっかりとその職責を果たすように、監事を含む役員の学校法人や第三者に対する損害賠償責任を規定するなど、監事の責任の明確化もあわせて図ることとしております。監事が下手に理事長の言うなりになってしまっているということになりますと、学校法人や第三者に対する損害賠償責任のリスクを負うことになります。

 いずれにいたしましても、監事の牽制機能が確実に機能するよう、制度趣旨の周知や適切な指導を行っていきたいと考えております。

杉本委員 ちょっと現場の方からいただいた声をあえて質問させていただきましたけれども、周知徹底の方を、ぜひ御答弁のことを進めていただいて、よりきちっとした学校経営というんですかをしていただくという方向づけをお願い申し上げておきます。

 次に、同じ学校教育法の改正案についてですが、新設の法案の部位で、官民ファンドのための政府出資金の国庫への返納、附則第二十三条関係についてお伺いしておきたいと思います。

 四つの国立大学法人に出資された一千億円のうち、実際使用ないし使用予定があったのが五百五十二億円ということでございますけれども、この現行の状況を説明いただきたいと思いますし、事業内容の見直しだとかチェック、監査などはどなたが行い、どう評価されておられるのか等について、政府委員の方で結構なんですが、御答弁いただければと思います。

伯井政府参考人 御指摘いただきました官民イノベーションプログラムでございますが、これは国立大学法人における研究成果の実用化を促進し、社会における新たな価値の創造につなげていくために実施しているというものでございまして、平成二十四年度に、四国立大学法人に対して合計一千億を出資しております。

 当該出資金をもとに、四法人全てにおいてベンチャーキャピタルが設置されまして、同ベンチャーキャピタルが管理するファンド総額五百五十億円のうち、大学ベンチャーに対して、平成三十年度上期現在約六十六件、総額約百五十億円の投資が実行されておりまして、平成三十年二月には第一号の上場案件も出ているという状況でございます。

 当該プログラムの進捗につきましては、半期ごとに国立大学法人評価委員会で評価を行うとともに、官民ファンド全体として、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議のもとに置かれた、関係機関や有識者から成る幹事会で管理をしているところでございます。

 文部科学省としては、このプログラムについては、現在のところ、おおむね順調に進捗しているというふうに考えているところでございます。

 なお、政府出資金の残額四百四十七億円につきましては、各大学においてこれを活用して、新たなファンド創設を検討しているところでございまして、当該新ファンドの創設の状況も踏まえながら、今回の規定に基づく返還についても、国立大学法人評価委員会の意見を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

杉本委員 ありがとうございますと答弁したいんですけれども、一千億、ちょっと枠を設け過ぎたんじゃないか。四百四十七返さなきゃいけないというか、使い方をまた検討するとか聞こえたんですけれども。

 官民ファンドというと何かいいように感じますけれども、実際のところ、やはり国民の皆様の血税をもとにという大きなお金の流れがあるわけなので、こういった枠の設定についても、文科省の方々がというよりは政府全体の方針の持ち方というところだと思いますけれども、大風呂敷というふうにならないように、やはり緻密にこういったものも考えていく必要があるのではないかということで、あえて質問をさせていただきました。

 次に、同じ学校教育法関連でございますけれども、今次のところで、私立大学のところのあり方について一部改正ということで、学校の統廃合について伺います。

 学部単位で行えるようにもなったという御説明を担当の方から丁寧に伺った記憶がありますけれども、この学部単位でうまくくっつくというのは、いかなる項目をよく確認して、審査をしてというんですかね、行うのか、ちょっと教えていただければと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の学部の譲渡についてでございますが、これは私立大学の連携・統合の円滑化に向けた方策といたしまして、昨年十一月に取りまとめられました中央教育審議会の答申、ここにおいて、学部単位等での事業譲渡の円滑化ということが示されたということによるものでございます。

 学部単位等での事業譲渡ですけれども、これは、設置認可の仕組みに係る基本的な枠組みは維持しながら、学部単位の設置者変更を可能とするなど、申請に必要な書類の精選等を行うということとしているところでございます。

 学部の新設等におきましては、従来から、大学設置・学校法人審議会における審査におきまして、教育・研究内容、また、その教育、研究を行うにふさわしい施設、財務状況等が備えられているか、こういったことを確認しているところでございまして、こういった設置認可の仕組みに係る基本的な枠組みは維持しながら、申請に必要な書類等の精選を行っていくということで、今回、制度改正を、現在パブリックコメント中ということで進めているところでございます。

杉本委員 概要は何となくわかりました。

 ですけれども、ちょっと例としていいかどうかわからないですけれども、よく企業の合併をする際に、そのアレンジをするインベストメントバンカーが、会計士なんかも含めて、デューデリジェンスミーティングなんという言い方をして、非常に細かな形での資産価値の査定というんですかね、そういったものをするような形での企業合併というのが経済界の場合は存在するわけです。

 事は学校のことでございますので、そこまで求めるのかという議論も当然あると思いますけれども、一方で、その学校ののれん代というものとか、あるいは事業価値というのか、そういったものというのは細かく精査をしていただく必要があると思っていますし、今回の法改正のポイントの一つに、大学を設置する学校法人は財務書類等を公表するものということがあって、財務書類等は、それなりにというか、きちっと正確を期したものであるという理解をしておくべきであると思います。

 こういった細かな精査というんですかね、必要書類だけをチェックするというようなレベルではなくて、本当に学部の合併によって存続が可能なのかどうかというのは、経済的な側面からもしっかり見ておく必要があると思いますけれども、そういった点については十二分な手配というのができているのかどうかも、改めて御答弁いただければと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の私立学校、私立大学の連携、統合に関しましてですけれども、これは各学校法人の自主的な判断によるところでございますけれども、実際に事業譲渡等を希望する法人に対して情報提供を行うというような、そういったマッチングの仕組みを構築するということが重要であろうと考えておりまして、これは日本私立学校振興・共済事業団などにおいて、必要な情報の収集、提供、こういった役割を担うことが適当であろうと考えております。

 このマッチングを行うに際しまして、今御指摘のございましたデューデリジェンスにおける専門家チームの組織化ですとか、また、その費用の負担などについての課題の整理が必要になると考えております。

 このことは、先ほども御引用がございました、大学設置・学校法人審議会のもとの小委員会の報告においても示されているところでございまして、私どもとしましては、今後速やかに制度改正を行うとともに、こういった連携、統合を支援する仕組みの構築にも取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 きちっと大学の統廃合がうまく進むように、ぜひ鋭意努力をいただければと思っています。

 最後に一問だけ、ちょっと、天下りがないだろうなということを確認させていただきたいということで。

 今次法改正にかかわる日本学生支援機構さんについてなんですけれども、文部科学省さんのOBは理事長代理理事としていらっしゃるようでございますけれども、いわゆる不適切な天下りというのには当たらないという点を確認しておきたいんですけれども、この点について御答弁いただければと思います。

伯井政府参考人 お尋ねの三法人に確認をいたしましたところ、幹部職員、課長級以上の職員として文部科学省からその三法人に対して直接再就職しているような職員はいないというふうに聞いております。

杉本委員 直接ではなくて、あるいは出向という形とかいろいろあるようですけれども、世間から見て、社会通念的にずれのないようにひとつ運営を、引き続きチェックをお願いできればというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

義家委員長代理 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 前回の質疑では修学支援の方を中心に聞きましたが、本日は学教法改正を中心に質問したいと思います。

 三月二十日の参考人質疑、学教法改正案などを対象にした午後の参考人質疑でしたけれども、期せずして参考人三人の方はいずれも国立大学の方で、移行から十五年が経過しようとしている独法化、この評価をお聞きいたしました。

 筑波大学の永田参考人、それから東京大学の両角参考人ともに、国立大学が独立の法人格を持つのはある意味必然だった、こういうふうに振り返られておられました。

 他方、永田参考人は、法ができたときの附帯決議が守られていない、このような指摘がございました。恐らくその附帯決議というのは、「法人化前の公費投入額を十分に確保し、必要な運営費交付金等を措置するよう努めること。」、この事項を指しているものと私自身は理解しております。

 両角参考人は、運営費交付金が減少されていくというのが一つのわかりやすい典型だとした上で、文科省が重点的にお金を配分する施策に大学が飛びついていく状況になっている、結果、自立性が高まったかというと疑問だ、このようにも述べられております。

 単年度ベースで千四百億円も減っている運営費交付金ですけれども、昨年度から三百億円を評価配分、加えて、財政審の建議に沿う形で、今年度から交付金の約一〇%に当たる一千億円が評価配分されることになっております。

 国大協がこれに反対をし、基盤的経費を安定的に措置するという運営費等交付金の本来の趣旨に立ち返るように求めていることは当然御存じのことだというふうに思いますが、運営費交付金を減らしていくだけでも大きな問題ですけれども、国がつくった評価の基準で大学を評価し、交付する割合をふやす、これは大学の自主性、自律性をゆがめることになるのではないか。評価配分の割合をなぜふやすのか、お答えください。

柴山国務大臣 国立大学に厳格な評価とそれに基づく資源配分が求められている中で、二〇一九年度予算については、法人化のメリットを生かした一層の経営改革を推進するということなどの観点から、国立大学法人運営費交付金のうち七百億円を対象として、客観的な成果指標に基づく新たな資源配分の仕組みを導入することといたしました。

 今回の仕組みの導入に当たっては、評価に基づき変動する幅を、今年度においては各大学の評価対象経費の九〇%から一一〇%、今御指摘のあったプラスマイナス一〇%の間に設定することなどにより、改革インセンティブを向上させるとともに、教育、研究の安定性、継続性のバランスにも配慮させていただいたところであります。

 文部科学省としては、教育、研究や専門分野別の特性などを踏まえた客観、共通指標について、国立大学協会を始めとした関係者とも十分に議論を重ねて、教育、研究の継続性や安定性に配慮しつつ、大学の改革をしっかりと進めていく環境を整えていきたいと考えております。

吉川(元)委員 教育基本法七条では、大学の自主性、自律性は尊重されなければならないというふうになっているわけでありまして、今回のこの評価配分の増額、私はその趣旨に反するだろうと。

 なおかつ、仮に入れるとすれば、例えば独法以前の予算をしっかり確保して、更にそこに上積みをするときに、これについては少し評価を入れさせてください、私はそれもおかしいとは思いますけれども、それならばまだ理解を得られる部分もあるかと思いますけれども、減らしておいて、その上、なお評価によって差をつけるというのは、これは明らかに自主性、自律性を尊重した姿勢ではないということを指摘させていただきます。

 関連してお聞きします。

 今回の学教法改正で、全ての大学に対し、認証評価機関が大学評価基準に適合しているかどうか、認定を受けることを義務づけました。これまで七年に一回の認証評価を受け、各大学がみずから改善を行っていくことを求めてまいりました。

 現在、法科大学院にのみ適格認定が義務づけられております。法科大学院は、当然、修了後に司法試験の受験資格を得る、そういうことでありますから、その趣旨からして厳格な質保証が求められるというのは、私も一定理解をいたします。

 ところが、今回、全ての大学に義務づける理由、何か差し迫った改正しなければならない具体的な立法事実、必要性があるのか。この点、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘のように、大学は自主的、自律的に教育・研究水準の向上を図るべきであるということで、法科大学院以外の認証評価においては、開設後の大学における教育、研究等の状況について、評価結果を踏まえて大学みずから改善を図るということとし、結果の取扱いやこれに基づく措置については、これまで特段の規定は設けていませんでした。

 今般の改正は、大学がこれまで同様に自主的、自律的に改善を行うということを前提としつつ、大学におけるより質の高い教育、研究が社会から要請されていることなどを踏まえ、大学評価基準に適合しているか否かの認定等、教育・研究活動の改善を促す制度的な担保を設けるということといたしまして、我が国の大学における教育・研究活動の質の保証の実効性を一層確保し、さらなる質の向上につなげるということで制度的な担保を図るということをその目的としております。

吉川(元)委員 改正案を読みますと、適合認定に不合格だった場合、文科大臣が当該大学の教育、研究などの状況について報告又は資料の提出を求めるというふうになっております。

 評価基準では、大学の施設環境や財務状況にとどまらず、教育、研究上の基本組織、教員組織や教育課程、これらも対象になっております。教員組織あるいは教育課程、それこそ大学の自主性、自律性の本丸の部分だろうというふうに思いますし、大学の独自性を発揮する、ある意味でいうと各大学の腕の見せどころ、こういう表現がいいかどうかわかりませんが、まさにそういうところだろうというふうに思います。

 そこについて、国の基準で評価をして、不合格だったら文科大臣が報告、資料提供を求めるということは七条二項にやはり私は抵触するのではないかというふうに思いますけれども、その点はいかがですか。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

伯井政府参考人 これはやや繰り返しになりますが、大学における教育・研究活動の質保証については、先生御指摘のとおり、一義的には各大学みずからの責任において行われるべきというふうに考えております。

 他方、認証評価の結果、大学が基準に適合している旨の認定を受けることができなかった場合は、当該大学は、学校教育法や大学設置基準等の法令に違反しているという可能性もあるということで、それも大学みずからによる早急な改善が求められるわけでございますが、今般の改正は、大学における教育・研究活動の質保証について、これまで同様に自主的、自律的に改善を行うということを前提としつつ、国が一定の関与として、大学の実情を把握するために報告又は資料の提出を求めるということを通じて、大学みずからによる教育・研究活動について必要な改善、向上を確実に図るということを求めるものでございまして、大学における自主的、自律的な改善ということを前提とした改善サイクルが確立し、教育・研究水準のさらなる向上に寄与するということを期待しております。

吉川(元)委員 今、法令違反の可能性があるというお話がありましたけれども、具体的にどの法令に違反をする可能性が出てくるというお考えなんですか。

伯井政府参考人 大学評価というのは、御案内のように、大学評価基準の大枠に基づいて各評価機関が評価するものでございますが、教育課程編成、入学者の教育・研究活動の諸状況等、それぞれについて評価する中で、例えば大学設置基準等の法令に違反している場合に、そういった事態、そういった評価がなされる可能性があるというものでございます。

吉川(元)委員 もちろん、例えば施設だとか教授の数、教員の数に対しての学生の数でありますとか、いろいろな点でそういう問題が出てくる大学は一部あるかというふうには思います。ただ、あくまでやはり大学というのは自主性、自律性が最大限尊重されなければならないところだというふうに思いますし、そういう意味でいうと、文科省が定めるような評価基準が果たして大学、高等教育に適合しているのかどうか、それこそ評価すべきものだというふうに私自身は思います。

 過去の歴史を振り返ってみましても、いわゆるブレークスルーをいろいろな面で起こした、そうした研究というのは、いわゆるメーンストリームから外れたところでの研究、そういう意味でいうと、恐らく文科省が設置する評価基準とは適さないような、そういうところから生まれてきているんじゃないか、一律にそうしたもので縛るというのは私はおかしいというふうに思います。

 大臣に一点だけ、これは確認をさせていただきたいんですけれども、今回、報告あるいは資料要求をするということでありますけれども、それでおしまい、例えばこれに基づいて運営費交付金であるだとかこうしたものを減らす、そういうようなことにはつながらないものだという理解でよろしいでしょうか。

柴山国務大臣 先ほど答弁をさせていただいたとおり、認証評価は、評価機関の第三者性や独立性を保ち、基準も含めて自律的、主体的に評価を行えるものとするため、その結果についても、行政処分又は直接的な資源配分に結びつける仕組みとはなっておりません。

 認証評価機関が独自に定める大学評価基準は、文部科学省令に規定している大枠を踏まえた上で定めることとなっておりまして、各大学評価基準において一定の共通性は有しているものの、その内容などについては完全には同一ではない、評価機関ごとに異なる部分もありますから、そういった性質からも、認証評価の結果を国立大学法人運営費交付金ですとか私学助成の配分に直接活用することは困難であるというように考えております。

吉川(元)委員 私は、ない、そういうことはないということを確認させていただいたというふうに理解します。

 次に、私立学校法の改正案について何点かお聞きしたいと思います。

 今回の私立学校法の改正、私立大学を舞台に、それも経営トップの理事長、それから大学トップの学長などが中心になった不祥事が相次いだことを受け、学校法人の公共性や透明性を促進させる目的のものというふうに理解をしております。事実、役員の任務の明確化、あるいは監事機能の強化、情報公開など、一定評価できる点もあろうかというふうに思います。

 ところが、法案の条文でいいますと二十四条、これは新設になりますけれども、これまで学校法人制度改善検討小委員会の議論、あるいは報告書、これは二〇一九年、ことしの一月七日に出されているようですが、そこには全く見られなかった内容が登場しております。この二十四条を新設した目的は何でしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私立学校は、独自の建学の精神に基づきまして、個性豊かな教育・研究活動を展開するとともに、質、量両面にわたって我が国の学校教育において重要な役割を果たしているというものでございます。

 この私立学校が社会からの信頼と支援を得て重要な役割を果たし続けるためには、自律的で意欲的なガバナンスの強化、また、法人経営の強化、これが必要だと考えております。

 そのために、今回、私立学校のガバナンス強化方策全体の趣旨、内容を踏まえまして、自主的にその運営基盤の強化、また、設置する私立学校の教育の質の向上及び運営の透明性の確保を図ることを努めることを二十四条において規定するということにしたところでございます。

吉川(元)委員 私自身は、条文の内容は非常に問題だと感じております。まず、学校法人は自主的にその運営基盤の強化を図る、こういうふうにした点がちょっと問題なんじゃないか。

 何回か指摘をしてきましたけれども、私立学校振興助成法制定時の附帯決議では、私立大学の経常費に対する私学助成の補助割合を速やかに二分の一とするとされておりましたが、一九八〇年度は二九・五%、これがピークでありまして、現在は一〇%前後で推移をしております。

 附帯決議を無視するかのような、私は非常に無責任だというふうに思いますけれども、この姿勢に加えて、さらに、自主的に運営基盤の強化を図ると条文に盛り込むことは、私立大学の経常費補助を減らし続けてきた現状を追認し、更に削減する意図を含んでいるようにも見えます。この自主的な運営基盤の強化を条文に盛り込んだ意図を教えてください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁させていただきましたように、今回、私立学校におきまして、学校法人として社会からの信頼と支援を得て重要な役割を果たし続けるために、みずから意欲的なガバナンス強化、法人経営の強化を図るということが必要でございまして、そのために、学校の管理運営に関する規定を持っております私立学校法において、自主的にその運営基盤の強化を図るということも責務規定として設けたということでございます。

吉川(元)委員 もう一点、新設された二十四条について尋ねます。

 学校法人、恐らくこれは理事会がこれに該当するというふうに思いますけれども、この学校法人、条文では、教育の質の向上を努力義務として求めている、そういう条文になっております。

 教育施設の整備、これはもちろん経営側の責任としてやっていかなければいけないというふうに思いますけれども、教育課程の編成を含む教育の質、最近何か文科省は盛んに教育の質、教育の質という言い方をするようになっているんですけれども、これについては学校法人ではなくて教学に責任を負う大学側の役割のはずです。学校法人に求めるということは、理事会の大学への関与を必要以上に高めるだけでなくて、理事会を大学の上位に置くことになりかねないと懸念をいたしますけれども、この点はいかがですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のこの責務規定でございますけれども、これは私立学校法の目的の範囲内におきまして、今回の改正事項、例えば学校法人の責務を明確化した上で、役員の職務、責任の明確化、また監事の牽制機能の強化、情報公開の充実、こういったことを図るというものでございます。

 また一方で、私立学校法におきましては、「理事会は、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督する。」ということとされておりますし、学校の意思決定機関は理事会である一方で、学長は教育・研究活動全般について責任を負うということも規定をされているところでございます。

 今回の法案は、私立学校法に基づく理事会の権限と学校教育法に基づく学長の権限、これらの関係について変更を加えるものではございませんので、理事会を中心とする法人側と学長を中心とする大学側とが、本法律に基づく相互の役割分担を理解し、協力し合いながら学校運営を行っていくということが引き続き重要である、このように考えているところでございます。

吉川(元)委員 関係を変えるものではないという点については、後ほどもう少し詳しく質問させていただきたいというふうに思います。

 この二十四条の問題と関連するんですけれども、四十五条の二で、私立大学の学校法人に対し、認証評価の結果を踏まえ、事業に関する中期計画の作成を義務づけることになっております。

 認証評価については、その対象に大学の教育課程編成も含まれております。この認証評価の結果に基づく中期計画も教育課程のあり方を当然含むものだろうというふうに思いますが、その策定を学校法人に対して義務づけることも、それが理事会、理事長の教育課程への関与、ひいては権限を強めることにつながる、これもそういうふうになるんじゃないかというふうに思いますけれども、そういう理解でいいんでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私立大学の役割については、先ほど申し上げたとおり、重要な役割を果たしておるわけでございますけれども、こういった文部科学大臣所轄の学校法人について、中期的な視座に立った安定的な経営が行われるよう、今回の法案において、中期的な計画の作成を義務づけることとしております。

 この作成に当たっては、今委員からも御引用がございましたように、客観的、第三者的な視点から実施される認証評価の結果を踏まえるということにしているとともに、評議員会の意見を聞かなければならない、このようにしているところでございます。

 各学校法人においては、学内における教学面の意見も踏まえながら、評議員会の意見を聞いた上で、意思決定機関である理事会において責任を持って中期的な計画を策定するということが重要であろうと考えております。

 なお、先ほども御答弁申し上げましたように、今回の法案は、私立学校法に基づく理事会の権限と学校教育法に基づく学長の権限の関係に変更を加えるものではございません。

吉川(元)委員 これは実は昨年十一月、当委員会でも指摘をして、また、先般行われました参考人質疑でも尋ねた話なんですけれども、二〇一四年の学教法改正、まさにそのときにも、変更を加えるものではないというようなお話が何度もされたというふうに記憶しておりますが、この学教法改正は、学長の権限強化と教授会の諮問機関化、これが大きな改正点でした。ところが、あたかも法改正で私立大学の理事会、理事長の権限が強化をされた、あるいは、以前から理事会が大学の経営、運営以外の全てにおいて、大学より、学長よりも上位に位置しているかのような内容の施行通知が出されております。

 昨年来、私立大学を舞台にした不祥事を見ますと、あるいはその対応の仕方を見ますと、理事長と理事長の意のままに選ばれた学長といったような、経営、教務のトップに非常に大きな問題があるということが浮き彫りになってまいりました。

 二十日の参考人質疑では、参考人から、恐らく両角さんだったと思いますけれども、二〇一四年の学教法改正は、理事長、理事会の権限を強化したものではないが、自分の権限が強化されたと都合よく解釈する理事長が結構多い、そういう誤解が生じて、ここ一、二年いろいろな問題が出てきた、こういうふうに述べられておるわけであります。

 だけれども、これは誤解じゃないんじゃないか、実はその施行通知の中にそういう方向に持っていこうという中身が含まれていたのではないかというふうにも私自身は感じております。

 今回、学校法人の経営に係る理事会に、教育の質の向上、あるいは中期的な計画策定に至るまで権限を与えるということは、理事会、理事長の権限強化を一層後押しし、結果、大学の自治やガバナンスに悪影響を与えるというふうに思いますけれども、文科省はどのように考えているのでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、理事長を含む役員の損害賠償責任ですとか、また、役員の不正行為等に対する監事の差止め請求、こういったものに係る規定の新設などの改正を行うことにしております。

 これによりまして、例えば、理事や監事が理事長の不正等の行為を黙認した場合には、理事や監事自身が損害賠償責任のリスクを負うということになり、理事長の行為に対するチェック機能、また、不正の抑止効果が高まることになるというふうに考えております。

 なお、平成二十六年の通知についての御指摘がございましたけれども、この通知に関しましては、学校教育法等の改正により、学長と教授会の権限関係に関する規定が整備された一方で、学校法人の理事長と設置する大学の学長の権限関係に変更を加えるものではないということを明示したものでございます。

 その上で、今回の改正においても、理事会と学長の権限関係に変更を加えるものではございませんので、誤解が生じることのないように、今回の改正案に関する趣旨の周知、また徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 先ほど、ちょっと他の委員の質疑で、私、聞き捨てならないというか、その施行通知を出す際に、高等局長がおっしゃられたのかな、中教審で議論したもの、これを施行通知の中に盛り込んだ。

 もう一回そのことを、ちょっと聞き漏らしたところもあるので、正確に答弁をお願いします。

亀岡委員長 では、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 伯井高等教育局長。

伯井政府参考人 先ほども答弁いたしましたが、平成二十六年の法改正に先立ちまして、中教審大学分科会の審議のまとめの結果、さらには、法改正後の有識者会議、これは大学のガバナンス改革の推進方策に関する検討会議でございますが、そこでの御審議をいただいた結果も踏まえまして、私立大学について、先ほどの委員御指摘の記載を盛り込んだということを御答弁させていただきました。

吉川(元)委員 この施行規則というのは、二〇一四年の学教法改正に伴って、この法改正というのはこういうものですということを知らせるための施行通知ということでいいんですね。

伯井政府参考人 法施行通知ではございますが、そのような検討も踏まえ、総合的に検討した結果、通知に盛り込んだというものでございます。

吉川(元)委員 法改正後に行われた有識者会議の中で出た意見を法改正の関連として施行通知で出すということは、これは国会をあざむいているんじゃないですか。どうですか、その点。

伯井政府参考人 法案審議の過程におきましても、私立大学の学長選考についての質疑もございました。そういったことも踏まえ、国会における審議や、先ほど言った中教審及び有識者会議における提言等を総合的に勘案し、当該施行通知を作成、発出したという経緯でございます。

吉川(元)委員 では、何のために我々は国会で議論しているんですか。

 審議を終わった後に有識者を集めて、恐らく、そこには文科省の意向も踏まえて、それこそ、そんたくをしながら発言する委員の方もいらっしゃるかもわかりませんが、そこで出てきた意見を法改正に基づく施行通知として出されたら、国会審議は意味をなさなくなるじゃないですか。私は、先ほど他の委員も指摘しておりましたけれども、この施行通知は撤回すべきだというふうに思います。

 あわせて、施行通知を出した上で、更にこれはちょっと確認なんですけれども、こういうことをやったのかどうか。国公私立全ての大学に、内部規則の総点検、見直しを行わせるための説明会を開催して、さらに、大学における内部規制、運用見直しのチェックリストを配付した、これは事実ですか。

伯井政府参考人 今現在、手元に資料がございませんので、また確認し、答弁させていただきます。

吉川(元)委員 ちょっと通告しておりませんでしたので、この場で答えられないかもわかりませんけれども、そういうことをやったという話が出ております。

 恐らくそこで、ガバナンスの見直し、本来、法改正、学教法の改正以外の部分についてチェックリストをつくって、そのチェックをさせて、ああ、これはなっていませんね、ここはこうしなさい、ああしなさい、そういうようなことを文科省がやっていたとすれば、これは本当に脱法行為、違法行為だというふうに思いますよ。

 我々は立法府として法律をつくる、その法律に従って、あるいは国会の議論の中で明らかになったさまざまなやり方について、それに基づいて行政は行政を行うわけでありまして、その中に、自分たちの意向で後から勝手にいろいろなものを盛り込むというのであれば、これは大問題だというふうに思います。

 大臣、これも通告しておりませんけれども、私、この施行通知というのは、今回も恐らくこの法改正の後、出されると思います。こうした二〇一四年の法改正の後に出された施行通知で、法律改正をされたもの以外のものをいわゆる上書きするような施行通知を実際に出したということであれば、今回の法改正について施行通知を仮に出すのであれば、事前に国会に諮るべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがですか。

柴山国務大臣 二十六年の法改正に先立って、中教審の大学分科会の審議まとめにおいては、国公私立を通じた大学の学長選考について、求めるべき学長像を明確に示し、候補者のビジョンを確認した上で決定すべきということ、また、現在の学長選考方法がそのために適した方法なのか、再点検し、見直していくことが必要という提言をいただいたところです。

 そして、これを受けて、法改正後、大学関係者を含む有識者会議を文部科学省内に立ち上げて、法改正の施行通知に盛り込むべき内容を御審議いただいた結果、私立大学について、御指摘のような内容が盛り込まれた、そういう提言をいただいたということであります。

 ただ、この施行通知につきましては、先ほど来答弁をさせていただいているとおり、学長と教授会の権限関係に関する規定が整備された一方で、学校法人の理事長と設置する大学の学長の権限関係に変更を加えるものではないということは明示をされているということでありますので、今回の改正においても同じように、理事会と学長の権限関係に変更を加えるものではありません。

 いずれにしても、誤解が生じることのないように、今回の改正案に関する趣旨の周知徹底は図っていきたいと考えております。

吉川(元)委員 大臣、私が聞いたのは、もう既に二〇一四年の学教法の改正の際に、施行通知で法改正以外のことも書き込んで、きょうは確認できませんでしたけれども、説明会を開いて、チェックリストをつくって、やっているわけですよ。

 結果的に、それが、参考人の話だと誤解と言いますけれども、誘導されて、そうやって例えば学長選挙、これは理事会がやり方を決められるんだとか、先ほど少し幾つか例が出されましたけれども、こうしたことが起こっているんですよ、現実に。

 だとするならば、私は二〇一四年のあの学教法改正の施行通知は撤回すべきだと思いますし、今回、施行通知を出すのであれば、既にやっているんですから、おかしなことを、法律改正以外のことも施行通知で出していて。

 先ほど大臣は法改正前の中教審の議論と言いましたけれども、局長が言ったのは、法改正後の有識者会議、大臣も先ほどおっしゃられましたけれども、法改正後ですよ。だとすれば、我々はその内容についてチェックするいとまもない。そういう機会を与えられないまま、そうしたものが施行通知という名前で出されるのであれば、今度出すときは、事前に国会に出してください。そして、それが本当に法改正にちゃんと適合しているものなのかどうなのか、これは賛否の問題じゃなくて、立法府としての責任をこれではとれないということですから、大臣、ぜひ出してください。(発言する者あり)

亀岡委員長 伯井高等教育局長。速やかに答弁願います。

伯井政府参考人 施行通知は行政府の責任で出すものと認識しておりますが、法律案の趣旨、内容及びその国会審議における内容というのを踏まえて、適切に対応していきたいと考えております。

吉川(元)委員 終わります。

 時間が来ましたので終わりますけれども、行政府の責任といっても、明らかに越権行為をやっているんですから。だとすれば、今回、ぜひ施行通知を発出する前に国会に提出することを求めて、私の質問を終わります。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 未来日本の笠でございます。

 きょう、私は、先般来、きょうも幾つか議論になっておりますけれども、私立学校法の改正ということで、本当に今いろいろな不祥事が続く中でガバナンスが問われているということで、例の東京福祉大学の問題について、まず冒頭、幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 三月二十二日の質疑で村上委員が質問をされた中で、きょうもちょっと法務省の方、本当に私からすると情けない政務三役の答弁でございましたけれども、今、大臣の方でも、法務省と連携をして早急に、留学生の問題、詳細な実地調査を行い、修学の実態があるのかどうかを確認し、必要な改善指導を行うということでしたけれども、これは今どういう状況になっているのかをまずお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、各大学に発出した通知に基づきまして、外国人留学生の退学者、除籍者、所在不明者を毎月報告するよう依頼しているところでございます。また、法務省より各大学等の不法残留者等についての情報提供を受けまして、一定数以上そうした数が発生した大学には、法務省と連携してヒアリングを実施していくなど、現状の把握に努めようとしているところでございます。

 なお、今回の東京福祉大学の事案に関しまして、大学から文部科学省への定期報告において、除籍者の中に所在不明となった留学生が存在していたという経緯も踏まえまして、今般、定期報告の方法を改めまして、より的確に実態把握できるよう様式を見直しまして、その事由も把握するような方法にしたところでございます。

 引き続き、法務省と連携しながら、在籍管理の状況の把握というものに努めてまいりたいと考えております。

笠委員 今、例えば三月の二十九日に、課長名の、外国人留学生の適切な受入れ及び在籍管理の徹底等についての通知等々も出されているわけですけれども、今局長がおっしゃったけれども、結局は自己申告ですよね、大学側の。それでよろしいですか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、各大学その他教育機関からの報告を求めるという形が我々がなすべき手段でございますので、そういう意味では自己申告でございます。

笠委員 今回も、所在不明を除籍ということで報告を当初なされていたということで、文部科学省の方もその把握というものがおくれたということだったわけですけれども、それは、私はほとんどの大学はきちんと正確に実態を報告しているというふうに思いますけれども、申しわけないけれども、やはりこういったとんでもない大学というのは出てくる可能性があるんですよね。そういったところにどういった規制をかけていくのかということをやはり考えないと、多分また同じことを繰り返すんじゃないかと思うんです。

 特に、この東京福祉大学については、過去にも、これはたしか私どもが政権のときでしたけれども、当時の理事長なりの問題もあって、学部の新設を認めなかったということもございました。今おられないけれども、馳大臣のときに大学の運営状況調査で唯一警告を受けているというような、これも、このときには、留学生が日本語を学ぶ科目が大学の教育水準に達していないということで是正意見が出たにもかかわらず、そこをしっかりと改めることがなく警告を受けている。

 今回、東京福祉大学に対して二〇一八年度の私学助成が五〇%減額をされたということですけれども、その事実関係とその理由を教えてください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 東京福祉大学を設置いたします学校法人茶屋四郎次郎記念学園は、平成二十年に実刑判決を受けた元理事長を学校運営へ関与させないと文部科学省に報告の上、公表していたにもかかわらず、実際には学校運営に関与していたことが明らかになったことから、平成三十年度の私立大学等経常費補助金を五〇%減額することとしたところでございます。

笠委員 どういった形で関与していたんですか、この元理事長は。

白間政府参考人 私どもが確認いたしましたところでは、平成二十九年度に行われた教員研修会において講師として参加をしている、また、教員研修の一環として教室内で授業を見学している、また、大学が用意した公用車により送迎を受け入学式及び卒業式を見学していたということが確認されたため、減額措置をとったところでございます。

笠委員 もう一点伺います。これは一部雑誌の中での記事なので、ちょっと確認だけさせてほしいんですけれども、通告しておりますので。

 この元理事長について、系列の専門学校を幾つか持っておられます。その中の学則変更が行われて、役員等は理事長及び理事という学則が、理事長及び創設者に変わったという学校の方の証言があるんですけれども、この確認、ちょっとお聞きした結果を教えてください。

清水政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました報道の記事の系列の専門学校、どの専門学校を指しているのか明確ではないところでございますけれども、その記事に名前が挙がっておりました専門学校の学則の記載を所轄庁に確認いたしましたところ、その学則の中では役員の範囲を定めた記述は確認できなかったところでございます。

笠委員 さすがに学則に創設者と、理事長及び創設者にということは、私も、ひょっとしたらこれは見逃しているだけで、あるのかもしれないですよ、何かどこかに。

 しかしながら、まさに今回の私立学校法の改正ということ、こういったとんでもない学校法人なりが出てきたときに、果たして今回の法改正で、あるいはどういった形で対応するのかというところが、こういったケースはきちっとした形で網をかけていく、あるいは是正をしていくことが今回の法改正でできるんでしょうか。お答えください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法におきましては、自律的で意欲的なガバナンス改善を図るという趣旨から、役員の職務、責任を明確化する、また、監事の牽制機能を充実する、また、情報公開を充実することなどを、改正を通じましてガバナンスの強化を図ることとしております。

 また、監事、外部理事につきましても、学校法人についてのチェック機能、また、外部の視点を取り入れるという視点から、こういったことについても大変重要な役割を果たしていることから、牽制機能の強化、監査体制の充実なども進めてまいりたいと考えております。

 また、先ほどの私学助成につきましては、仮に管理運営に不適正な事実が確認された場合には、減額ないし不交付という厳格、厳正な対応をとっていくということにしているところでございます。

笠委員 今いろいろとおっしゃったけれども、同じようなことを、だって十年以上、もともとは関与させないと言っていたのが関与しているわけでしょう。だから、そこあたりを本当にどうするのかということを考えていかないと、最終的には、そこで学ぶ学生が一番迷惑をこうむるわけですよ。

 それに関連しまして、話が戻りますけれども、外国人の留学生の中でも、先般もあったように、早稲田大学が一番でこの東京福祉大学が二番目ということなんだけれども、平成三十年でいうと、五千百三十三人の外国人の留学生を受け入れている。しかしながら、正規の学生は九百二十五人、あとは、つまりは非正規の四千二百八人ということで、この中に研究生なる者がいたり、さらにはその研究生を中心に所在不明の人たちが、今七百人ぐらいが明らかになってくる。一連の、このところ明らかになってきた事実ですよ。

 お伺いしたいんですけれども、この非正規で受け入れる学生については、何か法的な根拠はあるんでしょうか。法令上の定義があるんでしょうか。

伯井政府参考人 いわゆる非正規の研究生については、法令上の定義はございません。

 大学設置基準におきましては、科目等履修生その他の学生以外の者を相当数受け入れる場合においては、教育に支障のないよう、専任教員並びに校地、校舎の面積を増加すること等が規定されておりますが、研究生を受け入れる場合においては、各大学がこれらの規定に基づいて、自主的に、適切に判断していただくということになっております。

笠委員 つまりは、各大学の判断で自由に受け入れることができるわけですよ、定員の外の話であるし。あるいは、もちろん奨学金の対象になったりとかそういうこともないけれども、どれだけ学生を受け入れるかは各大学で自由に判断できるということでよろしいですか。

伯井政府参考人 先ほど申しました大学設置基準におきまして、科目等履修生その他の学生以外の者を相当数受け入れる場合においては、教育に支障のないよう、専任教員並びに校地及び校舎の面積を増加すること等が規定されておりますので、これらの規定を踏まえて適切に判断していただきたいというものでございます。

笠委員 それでは伺いますけれども、これは文科省の方が、今回の事案に鑑みて、東京福祉大学王子キャンパスですか、そこにも文科省の方は行かれたということだけれども、何か銭湯の二階とかアパートの一室を何室か借りて教室として使用したりしているらしいですけれども。

 では、これは大学設置基準に抵触するんですか。

伯井政府参考人 前回の調査では、春休みということもありまして、学生の教育実態をつぶさに確認できなかったということもございます。

 これは今後更に調査していく必要があるというふうに認識しておりますが、研究生のように非正規の留学生を受け入れる場合におきましても、日本語など必要な能力を持った人をしっかり受け入れているのかということを確認する必要がございますし、そういう意味では、研究生、聴講生がしっかり大学で受講する聴講時間が担保されているのかとか、そういった観点からしっかりと更に調査をしてまいりたいと考えております。

笠委員 時間だけじゃなくて、例えば何人当たりにどれぐらいの面積が必要だとか、いろいろなそういった基準というのはないですよね。あくまで、いや、これは余りにもひどい環境だなとか、これはもうちょっとしっかりしてくださいよと言われても、例えば法令にのっとってそこに対して明確に指導するとかあるいは処分するとか、そういったことはできないですよね。

 私は、大臣、やはりそろそろそういったことを少し考えていかないと、これはどんどんどんどん。一つには、例えば、今非常に大学も経営が厳しいところもあります、こういう特に問題を抱えているようなところは。でも、そういったところがどんどんどんどん自由に外国人の学生を受け入れていくことができる。あるいはそうやって、外国人でも、留学してきた学生の中には、一生懸命頑張ろうという子たちだってたくさんいるわけですよ。だから、そういった子たちが今度は劣悪な環境の中で学ばないといけない。

 私は、これはもうそろそろ、何らかの形で法的な、あるいは政令なのか、法律的な何らかの規制をしっかりと、あるいは基準等々をやはりきちっと定めていくべきだと思いますけれども、その点について、大臣の考えを伺いたいと思います。

柴山国務大臣 真面目に日本において修学をし、そして大学がそれをしっかりと適切に管理することができるのか、あるいは、今いろいろと問題になっているように、日本語教育をするという名目のもとで非正規の研究生を形式上受け入れて満足な管理をしていないというような実態なのか、そういったことが今大きくクローズアップされているわけですから。

 まずは、我々としては、先ほどもお話があったように、受入れに当たって、本当に必要な能力を有しているかどうか、まずここのところのチェックをしっかりとする。日本語などの必要な能力の基準、これを明確化していく。それと、あと、実質的に進学のための準備教育になってはいないかということの確認を行う。そして、今局長が答弁したとおり、実際に研究生、聴講生が大学で受講する聴講時間が担保されているかという確認。それと、ずっと我々が、質問をしていただいているように、しっかりとそういった在籍管理を、きちんと項目を細分化した形でチェックしていくということ。こういう事柄をまずはしっかりと確保していくということが大事であろうかというように思います。

笠委員 大臣、ちょっとしつこいようですけれども、ほとんどの大学はいいんですよ。ただ、こういった野放しを許しておく、あるいは勝手にやりたい放題やらせているという状況に結果としてなっているわけですよね。その結果として、多くの学生が実は所在不明であったというようなことが明らかになってきた。先ほど春休みで余りということで、また行くんでしょう、新学期になったら。ただ、それだって、何をもってきちんとした環境なのかということというのが、基準がやはりないわけですから、印象だけでしょう。

 ですから、私は、やはりそういったところも含めて、きちっとした形で、どういうようなルールを定めていくことがいいのか、あるいは基準というものをつくっていくことがいいのかということは、ちょっとこれは、もちろん文科省だけでできる話ではないかもしれないけれども、法務省とも協力をしながら、多分、今この大学については、法務省と留学生の在留資格審査の厳格化等々を検討していくということですけれども、しっかりそれをやっていただきたいと思います。ただ、それは、あと、この当該の東京福祉大学もそうだけれども、同じようなケースがあるかもしれない、あるいは出てくるかもしれない。

 だから、そういったことでいうと、先ほど、法務省の政務官でしたか、ちょっと、非常に情けない答弁だったけれども、やはり大臣、法務省ともあれして、全国の実態の調査というものもぜひ法務省に強く言って、やってください、どういう状況か。そのことをちょっと、答弁をお願いします。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、法務省と連携をしてしっかりと実態調査をした上で、必要な基準等についてもまた検討していきたいというように思います。

笠委員 よろしくお願いいたします。

 次に、国立大学法人についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 先般、参考人の質疑のときに、名古屋大学と岐阜大学、名古屋大学の学長が来られて、岐阜大学の学長さんも一緒においでになって、この統合の意味、あるいは狙いというものを私も伺いました。

 今、実は、これに次いで二番目に、今度は静岡大学と浜松医科大学の統合というものが、先般、三月の二十九日でしたか、合意をされたということなんですが、こちらの方はちょっと、名古屋大学と岐阜大学とは若干違って、この合意に至るまでの間に、静岡大学の方々の、教職員の関係、あるいは副学長さんも入っていたのかな、何か、やはり反対だというようなことが署名等々で出されたり、意見書が出されたりというような経緯があったようでございます。

 また、教育研究評議会ですか、学長、理事、各学部長、副学長等々が入った、その評議会で決をとったところ、賛成十四、反対十三、静岡大学側ですね、非常に拮抗していたということですけれども。

 やはり、大学法人を統合していくことはいいんだけれども、きちんとした理解を得るような形の丁寧なプロセスを踏んでいかないと、これは今後、今検討しているところもあるわけですよね。ですから、やはりそういったところで、今この件についていろいろな反対論が出ているという中で合意がなされたということについて、今現在、文科省としてどのように認識をされているのか、伺いたいと思います。

伯井政府参考人 御紹介いただきましたように、三月二十九日に、国立大学法人静岡大学と国立大学法人浜松医科大が、国立大学法人静岡国立大学機構(仮称)でございますが、の設立及び大学再編について合意をしたというふうに承知しております。

 今回の合意に当たりまして、両大学からの報告及び報道等から、法人の統合について、従前の大学間連携と比してのメリットが見えず、結論を急ぐべきではない、大学再編によりキャンパスが東西に分離されることで地域における存在感や教育、研究の質に影響が出てしまうというような意見があったというふうに聞いております。一方、法人の統合によりまして、大学間の分野横断的な連携関係が構築しやすくなる、あるいは法人統合により経営力の強化につながるといった意見もございまして、最終的には、これらの意見も踏まえ、両法人として合意に達したものというふうに承知しております。

笠委員 私、この統合自体をだめだとかあるいは否定的に見るつもりはないんです。それはそれぞれやはりメリットがあって、大学間できちっとした話合いをしていけばいいことなので。

 ただ、先般の名古屋大学と岐阜大学のときには、大学としてはそのままなんですよね、キャンパス等々は。しかしながら、法人が一つになる。

 ただ、今回の場合は、だから、一法人になることについては、静岡大学の反対をされている方々も、そこについてはいいんだと、賛成なんですよ。ただ、残念ながら、浜松にある静岡大学の二つの、工学部、情報学部等、今現在、静岡大学の浜松キャンパスが浜松医科大学と一緒になって一つの大学になるから、キャンパス自体は別々なんだけれども、静岡キャンパスは、どうも静岡大学の浜松の部分がぽんと抜けちゃうので、そこあたりのメリットが感じられないということで。

 これも、静岡大学が全部静岡に、そこの一カ所に学部があって、それで静岡大学であって、そして浜松医科大があって、それでそのままの形で法人が一つになるということだったら、多分こういった話は出てこなかったんじゃないかというふうに思うわけです。

 ただ、キャンパスがなくなるとかそういうことじゃないので実態は変わらないんじゃないかというような見方もあるわけですけれども、まさに静岡大学の学長さんは、表面的なイメージのみに基づく反対論というようなことを途中おっしゃっているけれども、これはちょっとまた乱暴な言い方であって、確かに表面的かもしれないけれども、中には、人の採用の問題であったり、働く人たちのいろいろな意味での環境もあったりというようなことで、やはりこういうケースがこれからいろいろと出てくるんじゃないかと思うので、しっかりその辺について、例えば、この法案が当然成立をした後になると思いますけれども、少し、文科省としては、何らかの形でアドバイスをする、あるいはいろいろな形でどういったところに注視をしていくのか。

 特に、今回、合意書とあわせて確認書というのが取り交わされたようでございます。やはり反対論があるからでしょう。この最後の七項目めに、これから連携協議会ができるわけだけれども、「教職員との丁寧なコミュニケーションと合意に基づき進めるものとする。」という一文がこの確認書の中に盛り込まれております。恐らくこれは、どうなんだろう、名古屋あるいは岐阜のときにはこういったものが合意書以外に取り交わされたのかどうか、ちょっと私も存じ上げないんですけれども。

 やはり、その点は文科省として、きちんとした、働く皆さん、教職員の皆さんも含めて合意形成をとっていくということは大前提なので、その点については大臣の方にも、しっかりとそこは注視していただきながら適切な対応をしていただきたいと思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 関係する教職員も含めてさまざまな御意見があったわけでありまして、このため、先月二十九日に両法人においてなされた合意において、今後更に、大学の将来像、振興策について検討する専門委員会を設置して、教職員との丁寧なコミュニケーションと合意に基づき進めることが確認をされておりまして、文部科学省としては、この合意に基づいて、関係する教職員等との丁寧なコミュニケーションなどに基づき、統合に向けた協議が進むよう期待していきたいと考えております。

笠委員 こういったことはある程度学長のリーダーシップで進めなければならないという面がある反面、やはり丁寧にということであれば、一つの考え方として、法人を一つにすることについては全く反対論というのは出ていないわけですから、例えば、まずは静岡大学と浜松医科大が今の形のもとで、きちっと一つの法人のもとで大学が一緒になって、しかしながら、その次のステップとして、今度はそういった機能を移していくというようなやり方もあるんじゃないかなというような気はしますけれども、その点はちょっと私の個人的な思いでございますので伺いませんけれども。

 ひとつ今後、後に続く、まだまだ、北海道の方で、あるいは奈良の方でも、平成三十四年度等々、視野に入れながらの協議が今始まっていますので、やはりこれは一つおかしなことになると、この流れというもの、これから大学もきちんとした形で効率よく運営、経営もしていかなければならないという視点に立てば、こういったケースは非常にふえてくると思いますので、ぜひ、そこあたりは対応をよろしくお願いしたいと思います。

 最後にもう一点伺いたいんですけれども、ちょっと大学の問題とも関連してくるんですけれども、先般の参考人質疑の中で、いわゆる高等教育無償化へ向けての、税金を使うことについて三割程度しか賛成がないんだ、大学等々にそういった税金を使うことについて理解が得られていないというような話がございました。

 この原因というものを大臣はどのように考えられているのか、お聞かせいただきたいと思います。

柴山国務大臣 参考人から今御指摘のあったような御発言があったということは、承知をしております。

 この背景として、参考人からは、高等教育に対する社会の信頼が必ずしも高いとは言いがたいとの御主張があったことも承知をしておりまして、私としても、この高等教育に対する社会の信頼を確保することが不可欠であるというように考えております。

 この点、消費税を財源とした高等教育無償化を実現する以上は、やはり進学先である高等教育機関の教育の質や説明責任、研究力、組織のあり方がこれまで以上に厳格に問われるものと考えておりまして、先般、高等教育・研究改革イニシアティブを公表させていただきましたけれども、これも踏まえて、ぜひ、今回の大学改革を一体的に進められるように御理解をいただければというように考えております。

笠委員 それと同時に、私は、やはり大学がもっともっと信頼をされるということ、そのためにこういったガバナンス等々の問題もやっているわけですけれども、同時に、やはり大学というのは一部の人たちが行く機関じゃないんだ、もうこれから人生百年時代の中で、やはり学び直し、リカレント教育の問題は私も前に議論をさせていただきましたけれども。

 そういった中で、大学というのが、その地域の拠点として、多くの国民の皆さんのいろいろな学ぶ場になっていくんだという方向性というものをもっと強調していく、あるいはその具体的なビジョンをわかりやすく伝えていくということが非常に重要なんじゃないかというふうに思っております。

 そういった中で、実は私なんかもいろいろな方々と話すときに、特に中小企業の方々とか地元の方々で、いろいろな学びをもう一度大学でという方があっても、これはやはり企業の理解だとかそういうのがないと、なかなか、生活のこともあるわけですし、休職して通ってまたもとに戻れるのか、あるいはその間の手当て、待遇がどうなるのか、そういったところというのは企業側の理解というものも必要だと思うんですけれども、そういった点については、やはり大臣なりに、この教育を責任者として預かる大臣の立場で、いろいろな形で働きかけやあるいは協力の依頼、そういったものをしていくべきだというふうに思いますけれども、その点、何か具体的なお考えがあればお聞かせください。

柴山国務大臣 そうですね、今御指摘をいただいたとおり、国民の信頼を確保するためには、やはり国民に幅広く高等教育機関が、リカレント教育も含め必要である、求められているということだと思っております。

 従来行われてきたリカレント教育においては、専門的、実践的なカリキュラム、教員の確保、受講しやすい環境の整備、企業等における学習成果の適正な評価などが課題となっておりました。

 今後、関係省庁と連携して、より多様な学習形態に対応した学び直しができるように、短期間やオンラインを活用した社会人向けプログラムの新規開発、拡充や社会人学習者への支援のさらなる強化等の取組について、引き続き、産業界の協力を求めつつ、取り組んでいきたいと考えております。

笠委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 この際、川内博史君の残余の質疑を許します。川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 残り五分でございます。

 まず、質問通告をしていないと、私、言い放たれたんですけれども、少なくとも昨日、きちんと調べてくださいね、そういう事例があるんですかということは申し上げているわけで、質問通告をしていないなどとおっしゃられたことについて、撤回をし、謝罪をしていただきたいというふうに思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの午前中の質問通告の有無に関する答弁について申し上げます。

 昨日の、川内委員の文部科学委員会での質問に関するレクチャーに出席した職員に、本日、状況を確認いたしました。

 結果的には、川内委員の質問内容、質問通告につきまして、担当官との間で行き違い、誤解があったものと考えてございまして、大変遺憾に思ってございます。

 今後は再発防止に努めたいと思います。申しわけございませんでした。

 したがって、午前中の委員会において、御指摘の質問通告に関し、そのような通告は受けていないと御答弁申し上げたことについては、この場におきまして撤回をさせていただきたいと思います。

 よろしくお願いをいたします。

川内委員 その上で、お調べいただいたことを、現時点でわかっていることをお答えいただきたいんですけれども。

 施政方針演説、「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、」というふうに安倍総理大臣が演説をされている。それを内閣広報室の方で英訳されて、アズという接続詞を使って、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設があり、そして大学進学率が上昇したという英訳をしていらっしゃいます。アズAという出来事、そしてコンマBという出来事。

 文部科学省の教科書を全て調べていただいて、アズAコンマBという構文の場合に、AがあってBがあるということになっている、Bが先に起きる用例はないということを午前中御答弁いただきました。

 厚生労働省からは、一人親家庭の大学進学率の調査は平成二十八年十一月、児童扶養手当の増額は平成二十八年十二月、そして給付型奨学金は平成二十九年ということで、進学率の調査の結果が一番先に来ているということですね。これは時系列が、英語訳の場合、逆転しているんですね。アズA、Bで。

 内閣官房に、内閣広報室に、アズA、Bという構文で、Bの方が先に起きている用例が世界じゅう探してあるのか、そういう用例があればお答えいただきたいということで、現時点でわかっていることを教えていただきたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま川内委員が御指摘をされた形での用例につきましては、現在調査中ではありますけれども、完全に一致するものは見つかってございません。

川内委員 内閣官房が、内閣広報室が英訳している形での用例は現状のところないということであります。

 きょうはそこまでにします。

 今後、また本委員会が続きますから、この英訳をどうされるのかということを議論してまいりたいということで、きょうは委員長の顔を立てて、終わらせていただきます。

亀岡委員長 次回は、来る十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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