衆議院

メインへスキップ



第10号 平成31年4月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成三十一年四月十七日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 大塚  拓君 理事 神山 佐市君

   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      上杉謙太郎君    小此木八郎君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小林 茂樹君    下村 博文君

      白須賀貴樹君    杉田 水脈君

      高木  啓君    中曽根康隆君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      百武 公親君    福井  照君

      古田 圭一君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    川内 博史君

      近藤 昭一君    初鹿 明博君

      村上 史好君    吉良 州司君

      牧  義夫君    稲津  久君

      中野 洋昌君    畑野 君枝君

      杉本 和巳君    吉川  元君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       鈴木 俊一君

   内閣官房副長官      西村 康稔君

   文部科学副大臣      浮島 智子君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤原 章夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  源新 英明君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            磯谷 桂介君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            佐伯 浩治君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           寺田 吉道君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     本田 太郎君

  高木  啓君     三谷 英弘君

  根本 幸典君     百武 公親君

  船田  元君     中曽根康隆君

  宮川 典子君     国光あやの君

  八木 哲也君     堀内 詔子君

  中川 正春君     近藤 昭一君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     木村 弥生君

  中曽根康隆君     船田  元君

  百武 公親君     根本 幸典君

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  本田 太郎君     尾身 朝子君

  三谷 英弘君     高木  啓君

  近藤 昭一君     中川 正春君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     宮川 典子君

    ―――――――――――――

四月十六日

 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤原章夫君、内閣審議官高橋一郎君、内閣審議官十時憲司君、内閣審議官源新英明君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、文部科学省総合教育政策局長清水明君、初等中等教育局長永山賀久君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、研究振興局長磯谷桂介君、研究開発局長佐伯浩治君、スポーツ庁次長今里讓君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、大臣官房審議官八神敦雄君、子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君及び国土交通省大臣官房審議官寺田吉道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 立憲民主党の初鹿明博です。

 きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 三テーマほどありますので、答弁、簡潔によろしくお願いします。

 まず最初に、ちょっと事前に資料をお配りをするところだったんですけれども、間に合っていないようなので手元にないと思いますが、先日、三月の二十八日に、大臣宛ての一般社団法人ここから未来という団体の皆さんの要望を藤原事務次官にお届けをさせていただきました。次官に時間をとっていただいて要望をお伝えさせていただいたところですが……(発言する者あり)しゃれではありません。

 大臣、まず、要望には目を通していただけたでしょうか。

柴山国務大臣 はい。事務方から報告を受け、承知をしております。

初鹿委員 目を通していただいているということですので、それを前提に、この要望に沿って何点か質問をさせていただきたいんですけれども、要望のタイトルが「いじめや教師の不適切な言動を背景とした事件・事故の調査と再発防止についての要望」ということであります。いじめについてはいじめ防止法がありますが、教師による不適切な言動、教師によるいじめについての対応が十分なのか、そういう問題意識を持っての要望にまずなっているということであります。

 そこで、まずお伺いします。

 自殺に至るというのはもう最悪のケースですけれども、自殺ではなくても、教師の言動が原因で自殺の未遂だったり不登校になるとか、そういうことが現実に起こっているわけであります。こういうケースについて、これが教師ではなくて生徒のいじめによって起こった場合は、いじめ防止法で重大事態ということで調査委員会が設置をされて調査が行われることになるわけですけれども、教師であるという場合に、この対象にならないということで対策がとられていない、調査委員会が立てられるということがないということなんですよね。

 いじめ防止法の第四条には、「児童等は、いじめを行ってはならない。」、そういうふうに書いてあるんですね。では、この「等」に教員が含まれるのかどうかということなんですが、ここは含まれないというふうに伺っているんですが、そういうことなのかということを一つお伺いしたいのと、含まれないとしても、やはり教員によって不登校とか自殺未遂、自殺なんという、そういう重大な事態が起こっているのに、全く調査委員会等が開かれないというのは、私は、どうなのかな、やはりきちんと調査する必要が教員の場合でもあるんじゃないかと思います。そういう、教員の場合でも、重大事態という認定がされるなら、きちんとこういう調査委員会を設置するようなルールをつくった方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、いじめ防止法の第四条の、いじめ禁止の対象者の範囲には、教師はそもそも想定をされていないということではないかと思います。

 ただ、児童生徒の自殺事案等が教師による不適切な言動を背景として発生する事案が多々見られるということについては、大変憂慮すべきであるというように考えておりまして、文部科学省としては、児童生徒の自殺が発生した場合には、子供の自殺が起きたときの背景調査の指針という指針がございますので、それに従って自殺の背景調査を適切に実施するよう、各教育委員会などに対して指導を行っております。

 また、自殺未遂や不登校の場合には、学校などにおいて、心のケアや必要な支援とあわせて背景の確認が行われ、その結果、教員の不適切な言動が背景にあることが明らかになれば、学校から適切な対応がとられるものと認識をしております。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、必要な背景の確認も含め、当該児童生徒に寄り添った対応を行うよう、生徒指導担当者向け会議などにおいて周知を図ってまいりたいと考えております。

初鹿委員 今、学校で適切な対応がとられるものと考えているという答弁だったんですが、問題になるケースは、学校で適切な対応がとられないことで、やはり遺族や被害者、又は被害者の家族が不満に思うわけでありますので、その点、しっかり対応できるようにしていただきたいと思います。

 その上で、やはり教師の不適切な言動というのが、一体、具体的にどういうものなのかということをきちんと、ガイドラインなどをつくって示していく必要があるのではないかと思います。これが各教育委員会や学校ごとにばらばらであって対応がまちまちだということで、いろいろな問題が出ているんじゃないかと思いますので、明確なガイドラインを作成するということについてはいかがでしょうか。

柴山国務大臣 繰り返しになりますけれども、教職員による体罰や暴言など、不適切な言動や指導が行われることを決して許してはいけないと考えます。

 文部科学省においては、平成二十九年の十月に通知を発出いたしまして、生徒指導に当たって、児童生徒の特性や発達の段階を十分に考慮することなくいたずらに注意や叱責を繰り返すことが、児童生徒のストレスや不安感の高まり、自信や意欲の喪失、自己評価、自尊感情の低下を招き、児童生徒を精神的に追い詰めることにつながりかねないことなどを示しております。

 また、いじめの防止等のための基本的な方針においても、教職員の不適切な認識や言動がいじめの発生を許しいじめの深刻化を招き得ることや、特に体罰については、暴力を容認するものであり、児童生徒の健全な成長と人格の形成を阻害し、いじめの遠因となり得るものであることなどを示しております。

 引き続き、委員の御指摘等も踏まえ、これらの通知等の趣旨を徹底周知するなどして、教職員による不適切な指導が行われないように、各教育委員会等に対して指導助言を行ってまいります。

初鹿委員 しばしば指摘されるところなんですが、本当にここを徹底しないと、例えば、部活動で体罰などをして問題がある教員が転任して、そこが全然引き継がれていなくて、また同じ部活の指導をやって、また同じようなことをして、そういうのが繰り返されて、何校か渡り歩いて、最後に本当にひどい状況になって、お亡くなりになるとかそういうことが起こっているという例も多々見受けられますので、そこはしっかりと対応していただきたいと思います。

 次に、第三者委員会のあり方について伺います。

 いじめが発生をし、これが重大事案だということが判明をして、各教育委員会で第三者委員会の設置をするということがかなり今進んできていると思うんですよ。それはそれで一定の効果があるし評価もするところなんですが、その第三者委員会の人選が、教育委員会とか学校側が選んでいて、被害者の遺族や被害者の支援をしているような方々がなかなか入れていなくて、その結果、十分な調査がされずに、被害者や遺族からすると、きちんと調査がされなかった、そういう印象を持ってしまっているという現状があろうかと思います。

 そこで、やはり第三者委員会のメンバーをどう構成するかということが非常に重要になってくるので、被害者また遺族側が推薦をする委員を半数程度入れるような、そういうルールにしていただきたいという要望が出ておりますが、これについてはいかがでしょうか。

柴山国務大臣 重要な着眼点を示してくださいました。

 いじめの重大事態の調査組織の構成については、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインにおいて「公平性・中立性が確保された組織が客観的な事実認定を行うことができるよう構成すること。」とされております。

 しかし、実態として、今委員が御指摘のような実態があるということもよく耳にするところでありまして、この調査組織の公平性、中立性をどのように確保していくかということについては、今御指摘の点も含め、今年度、文部科学省の有識者会議において、重大事態の調査組織のあり方に係る検討を行うこととしておりますので、ぜひ、その有識者会議における検討結果も踏まえて、しっかりと適切に対応していきたいというように考えております。

 ありがとうございます。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。

 この要望のところで、私がなるほどなと思ったことが次の要望なんですが、被害者が、例えばお子さんがいじめで自殺をされたということになったときに、では、学校側また教育委員会でどういうことをやる義務になっているのかとか、そういうことが、基本的に普通の人というのはいじめ防止法の中身なんか知らないから、わからないわけですよね。それで、やはりお子さんが亡くなったとかいうそういう精神状態だと、ネットで調べればそういうことがすぐに出てくるんだけれども、そういう調べることさえ思いつかないような精神状態になっている。そのために、本来、学校側に求めてやらせることができるようなことも求めることができずに、後手後手になって、こういうものというのはやはり初動が大切だと思うんですが、その初動のおくれにもつながるというような御指摘がありました。

 そこで、まず、いじめとかがあって被害を訴えた場合に、その訴えた方に、あなたにはこういう求めをすることができますよ、学校側や教育委員会はこういうことをやらなければいけないんですよというようなことが記載されている手引書をぜひつくってもらいたいという要望なんですね。これはなるほどなと思いました。

 そして、更に言うと、最近は外国にルーツのあるお子さんたちがふえていますよね。そういう子供たちもいじめのターゲットに比較的なりやすくて、被害に遭うことがある。子供さんたちは結構言語が上達するのが早いから言葉をしゃべれるけれども、親御さんはなかなか日本語がうまくしゃべれない、特に文章だとなかなか理解できない。そういう方に、例えばこういう法律がありますよと言ったところで、なかなかわからない。

 そこで、全部の言語というのは難しいと思いますが、例えば中国語だとかスペイン語だとか韓国語だとか、一定の言語について、きちんと手引書の外国語版も用意しておくことが必要ではないかという指摘を受けました。これについては、次官も、なるほどな、そうですねという、割と肯定的なお答えをいただいていたんですが、ぜひ、こういう手引書、日本人向けもそうですし、外国人向けもそろえてつくっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 例えばいじめについて、各学校は、学校いじめ防止基本方針を策定することとされておりまして、この方針の中には、いじめの発生時における学校の対応ですとか自治体関係部局との連携、被害児童生徒に対する支援のあり方などについて記載することとされております。

 また、学校いじめ防止基本方針、今の方針については、いじめの防止等のための基本的な方針において、各学校のホームページへの掲載等を行うとともに、その内容を入学時や各年度の開始時に児童生徒、保護者等に説明することを求めているところでありまして、これらを通じて、その内容を適切に周知することにより、学校等が果たすべき役割が明確になるものと考えております。

 また、さらに、もう直近、昨年九月に作成をいたしましたいじめ対策に係る事例集というものがありまして、この中には、学校いじめ防止基本方針についてわかりやすいパンフレットを作成するなど、児童生徒、保護者に対して、適切かつ効果的に周知している事例も掲載をさせていただいておりまして、こういった事例もあわせて周知をしっかりとすることによって、各学校などから必要な情報が児童生徒や保護者に説明がなされるよう促していきたいと考えております。

 あと、最後、御指摘をいただいた外国人の件でございますけれども、文部科学省では、いじめ防止対策推進法の趣旨、内容をまとめた保護者向け資料を作成し、文部科学省ホームページに掲載をしているところですけれども、御指摘のような外国籍の児童生徒や保護者が増加をしているということから、今委員も御指摘をいただいたところでございますので、このような方々への対応について、今後検討していきたいと考えております。

初鹿委員 どうもありがとうございます、前向きなお答えをいただきまして。

 ただ、入学したときに説明をされても、いざ起こってみると、パニックになっているので、なかなかそのときのことを思い出せないし、そもそも覚えているかというと、そうでもないと思うので、やはり、いざ事が起こったときに、これを読んでくださいというふうに渡すということが実行されるようにしていただきたいので、ぜひそこもしっかり対応していただきますようお願いいたします。

 では、次のテーマに移ります。次は、私立学校法施行規則の改正についてであります。

 今、パブリックコメントが求められているんですけれども、三月二十四日にこのパブリックコメントの実施ということが発出されておりまして、四月二十二日必着ということで、今、パブリックコメントを公募しております。

 どういう内容かというと、大学の学部・学科単位で事業譲渡をするということについてのルールを定めていく、そういう内容のものであります。学部・学科単位で事業譲渡をすると何か簡単に言っているように感じるんですけれども、これって結構すごいことだと思うんですよね。

 というのは、だって、○○大学××学部に入学をしたら、事業譲渡をされて、△△大学の××学部で卒業することになるということなわけですよ。学生からすると、この大学に行きたい、この大学を卒業したいと思って、例えば私立で有名なところだと、早稲田大学とか慶応大学に入りました、そうしたら、卒業するときに違う大学で卒業することになります。そんなことってあるのかいなというふうに思って、これは丁寧に説明しろとこの検討会でも書いてあるんですけれども、説明されたって納得できない学生はたくさんいるんじゃないかと思うんですよ。

 せめて、入学をする時点で、卒業するときには運営法人がかわってこの学部は違う大学になりますよということの明示がないとだめだというように、一定期間はきちんと事業譲渡ができる期間をとる必要があるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、これはいかがなんでしょうかね。

柴山国務大臣 今の学部単位での事業譲渡も含めて、昨年十一月の中教審の答申を踏まえて、制度化に向けた検討を進めているところでありまして、具体的手続については、今御指摘のとおり、現在、文部科学省において制度改正のためのパブリックコメントを実施しているところであります。

 そして、学部等の設置者変更に関する規定を新設し、より簡素な手続による申請を可能とするという内容、今御紹介いただいた内容になることから、簡易な手続において、おっしゃるとおり、在学生の所属大学がかわるわけなんですね。

 このことについては、今委員が御指摘のとおり、学生に、入学するあるいは募集の段階からあらかじめ周知しておくことが望ましいとも考えられますけれども、他方、予測できない経営上の課題が突如生じるということも考えられることから、学部譲渡の全てのケースについて学生への事前の告知を求めるということは、制度の活用そのものを困難とすることにもつながりかねないというように思っております。

 そのため、今お話があったとおり、学部等の譲渡を行うに当たっては、まず、学生や保護者などに対して丁寧に説明することが必要であると考えており、各学校法人において、学生や保護者などの十分な理解を得た上で手続を進めることが重要と考えております。

 ただ、一部に、いやいや、説明されても納得できないという学生もいることは十分想定をされております。その場合、譲渡先の大学において新たな学部を新設する、そして現在いる学生が卒業した後に既存の学部を廃止する。この廃止プラス新設という、従前より規定されていた手続も、あわせて、オプションとして残しておくことにしております。

 ということで、それぞれのケースに応じて適切な形で対応していただくことが一つの解決策になるのかなというようにも考えておりますけれども、いずれにせよ、在学生に不利益となることがないよう、今後、制度の精緻な運用ができるように検討していきたいと考えております。

初鹿委員 学生への不利益ということで考えると、大学の名前が変わるということも大きな影響だと思いますが、やはり教育の中身が大きく変わるようなことにならないようにしないといけないと思うんですよね。

 特に大学生の場合、この先生がいるからこの大学に行きたいとか、この先生のこのゼミが非常によかったという場合もあると思うんですよ。それが、次の年に、譲渡されたらその先生がいなくなっちゃったということが起こってしまうのは、やはりこれは学生にとっての大きな不利益だと思います。

 また、働いている教員にとっても、運営法人がかわったことによって、これを機会に整理解雇みたいな形になるのも、やはり不適切ではないかと思うんですね。

 人がかわれば教育の中身も変わっていってしまうわけであります。特に、大学の教育で、専門課程に行けば行くほど、その先生によって専門がそれぞれあるからそこのゼミに入っていたのに、突然先生がかわって、次の年から全然違うことになっちゃうなんというのは、やはり学生にとっての大きな不利益でもあるので、そういうことがないように、きちんと、教員が新たな法人に移っても継続される、そこで教育の内容も継続されるということにしないとならないと思いますが、それはいかがですか。

柴山国務大臣 今回の制度改正によって可能とすることを予定している学部等の設置者変更は、まさしく今委員が御指摘のように、教育施設とかあるいは教員を含めた組織そのものは同一性を保持して、その設置主体を変更するというものを我々としては想定をしております。

 このため、教員組織についても、通常想定される退職や採用による異動を除いて同一性が保持される必要があると考えておりまして、このことを前提として設置者変更を可能とする仕組みとすることを考えております。

初鹿委員 ぜひ、そこはきちんと徹底していただきたいと思います。

 ただ、今パブコメをとっているんですが、四月二十二日に締め切って、五月の上旬に施行規則をもう実施する、決定する、そういうスケジュールになっているんですが、十連休とかあるわけで、そうすると、これは公示をしたって、何か見ていたら、あっという間に新しいものが始まっているみたいになるのはスケジュール的にいかがなものかなということを、ちょっと指摘をさせていただきます。これについてはお答えは結構です。

 では、次に、東京福祉大学の問題に移ります。

 先日、東京福祉大学の学生を含む関係者から、現状についてヒアリングをいたしました。そこで非常にびっくりすることがあったんですね。とにかく東京福祉大学は、今回、留学生の問題で非常に問題がある大学だなということが判明したんですが、大臣もよくよくわかっていると思いますが、それだけじゃなくて、ガバナンスが非常にひどいということは、もう大臣も承知をされていると思います。

 その中でも私が一番びっくりしたのは、大学の認証評価機関である日本高等教育評価機構、ここが東京福祉大学の認証評価を行ったわけです。そして、適合だという評価をした。その評価をした評価員が、評価をした翌年に東京福祉大学の教員になっているんですよ。そういう報告を受けたんですよ。皆さん、これがまかり通ったら、認証評価が信頼を失うと思いませんか。

 大臣、今回、この学教法の改正で認証評価を義務づけて、それで適合していない、認定を受けられなかった大学には、大臣が資料の報告を求めるようなことを法律で決めるわけですよ。それぐらいに認証評価は非常に重要なものだし、これは、かなりオーソライズされているというか権威のあるものだということですよね。

 ところが、その評価した評価員が、次の年にその大学に再就職している。こんなことってあるんですか、皆さん。どうも内部の方のお話だと、評価をする前に、ことしの評価は大丈夫だと、その創立者の人は内部で言っていたらしいんですよ、絶対大丈夫だと。何で大丈夫なのかな、どういうことなのかなと思って、年度がかわってみたら、評価員の人が自分の学校の先生になっていたということなんですよ。

 まず、この事実を大臣は知っていたのかということと、これは私は、やはり法律で禁止するとか何かしないとまずいんじゃないかと思うんですよね。現状、では、これは法律で禁止されている行為かといったら、禁止はされていないんですよね。これを禁止しないで、いろいろな大学でこのようなことが繰り返されたら、大学の認証評価なんというのはもう信頼なんかされなくなると思います。

 大臣、これは何らかの対策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 まず、知っていたかというお話ですけれども、認証評価機関は、そもそも、評価の信頼性を高めるために、自主的、自律的な機関でありまして、我々文科省として何らかのコミットをしているという仕組みにはなっておりませんので、今回、委員によるいろいろな御指摘をいただくまで、我々としては把握をしておりませんでした。

 それから、二点目の、信頼性の確保についてですけれども、全くおっしゃるとおりでありまして、認証評価機関と受審大学の関係において、認証評価の信頼性を損なうことがあっては絶対にならないと思いますし、その信頼性が、今御指摘のとおり、今回の我々の制度改正の肝になっているわけですから、自主的、自律的な機関であるとはいえ、社会的に疑念を生じないよう、当該評価機関においてぜひ適切に対応してほしいというように求めたいと思います。

初鹿委員 機関において適切に対応してもらいたいと求めたいということですが、機関がきちんとやろうとしても、個人で引き抜かれていくこともあるわけですから、やはり何らかの法律なりで規制をしないと、評価員が来たときに、来年二倍の給料を払うからよろしくねみたいな、そういうことがまかり通ってしまうんじゃないかと。本当に私、これはしっかりと法律で何らかの制約をつけないと、信頼性もなくなるし、今回学教法の改正で出しているものの、この法律の根拠自体が失われるんじゃないかということを強く指摘をさせていただきます。

 次に、文科省も東京福祉大学については非常に問題があるということで何度かヒアリングを行って、そして福祉大学からの回答書も二月の六日に得ていると。その回答書では、創立者が学校の経営に関与をしていないということを言って延々と書いているんですが、実際には、文科省としては関与をしているという認定をして、補助金を五〇%削減をするという措置をとったということであります。それはそれできちんと対応されたんだと思いますが、よくよく考えてみると、この創業者の関与がなくならない限り、お金だけ減らされたらその減らされた分をどうにか回収しようという、そういうお金もうけのことばかりしか考えていないような方なわけですから、回収するようなことを考えて、よりひどいことになってしまうんじゃないかというように思うわけですよ。

 ところが、今回の学教法、私学法の改正を見ても、創業者が理事でも評議員でもないようなオーナーが経営に関与をしていることを防ぐような手だてがなかなかとれないんじゃないかと思うんですよね。今でもこの創業者の方は、ことしの四月の入学式にも出ていたそうであります。去年の年度末の三月二十何日かにも学校で講演を行っていたということも聞いております。こうやっていまだに関与しているんですよ、補助金減らされても。それはやはり問題ですよね。この創業者を、では私学法でどうやって排除できるのか、今の法律で排除できるようになっているのか、そこを伺います。

柴山国務大臣 おっしゃるように、そもそも、そういう当該元理事長が排除されないのに私学経常費補助金のカットをしたら、より一層首が回らなくなるという御指摘でありますけれども、ただ、我々といたしましては、この元理事長はそもそも役員の欠格事由に該当しているにもかかわらず法人の経営、教育に関与させてしまったということについては、極めてゆゆしきことだと思っておりまして、そういうことがないように指導しているわけなんですけれども、この補助金の減額措置というのは我々の指導のやはり守らせるためのツールでありますので、その補助金カットという仕組み自体はやはり我々としてはしっかり行使しなければいけないということだと思っているんです。

 ただ、それにもかかわらず、実際にきいていないじゃないかということもおっしゃるとおりでして、だからこそ、今回の私立学校法の改正において、その当該元理事長に対してではなく、その息がかけられた役員の方々が何かおかしなことをした場合に、その当該現役員の責任の明確化、あるいは監事の牽制機能の強化、そういったことを通じて、学校法人全体のガバナンスの強化や適切な法人運営の確保が図られるというように考えております。

 いずれにいたしましても、我々としては、今の御指摘も含めて、当該学校法人に対する調査、そしてしっかりとした指導を徹底していきたいというように考えております。

初鹿委員 もう少しこの東京福祉大学の問題は指摘をしたかったんですが、時間になりましたのでまたの機会にさせていただき、きょうはここで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 大臣そして官房副長官、副長官には本当にお忙しいところに、事務の内閣広報官、政府参考人として御出席いただければ副長官にわざわざお出ましいただくこともなかったわけでございますが、理事会の御決定でございますので、お許しをいただきたいというふうに思います。

 まず、子供の貧困のことについて、きょう、大臣とちょっと議論をさせていただきたいと思うんですが。

 またそろそろ、子供の相対的貧困率、OECDが定義する子供の相対的貧困率の新しい数字が出てくるのだろうというふうに思いますが、現状では平成二十七年の数字で議論をさせていただきたいというふうに思います。

 安倍総理大臣が、ことし一月二十八日の施政方針演説で、悪化を続けていた子供の相対的貧困率も初めて減少に転じ大幅に改善をしましたというふうに御発言をされていらっしゃいます。

 率は改善した、それはもうそれですばらしいことだというふうに思います。ただし、子供というのは、私たち大人もそうですけれども、率であらわされるものではなく、一人一人が生身の人間であって、命ですから、相対的貧困率一三・九%が、二十七年の数字ですね、実数としては、人数としてはどのくらいの人数になるのだろうかということを、私自身、ちょっと試算をしてみました。

 資料を見ていただきますと、十七歳以下の推計人口、平成二十七年は千九百十五万五千人というのが十七歳以下の推計人口です。それに子供の貧困率を掛け合わせると二百六十六万二千五百四十五人という、相対的貧困ラインより下の生活をしている子供が二百六十六万人いると。

 これはさまざまな議論はあると思いますよ、さまざまな議論があると思いますが、OECDの定義ですから。ただし、人数として計算するとこういう人数になるねということについて政府としてオーソライズしていただけるかということを、まず御答弁いただきたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、貧困線を下回る子供の人数というものについては推計はしていないところでございますが、既に、二月の他の委員会になりますけれども、同僚の政府参考人からお答え申し上げているとおり、議員からのお求めの方法で算出いたしますと約二百六十六万人になるというふうに承知しております。

川内委員 この相対的貧困ラインより下で頑張らざるを得ない子供たちが、OECDの定義によればこのくらいの人数、二百六十六万人ぐらいいるよということになるわけですけれども。

 それでは、もう一つ厚生労働省さんに教えていただきたいんですけれども、生活保護世帯の子供の人数というのは、これはもう実数で把握されているわけですけれども、何人になるかということを教えていただきたいと思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年ということで、二〇一五年七月末時点におきまして、十八歳未満の子供の生活保護受給者数は二十五万二千八百八十人となってございます。

川内委員 それで、大臣、私、この問題を考え始めてから、生活保護世帯で頑張っている子供たちと、政府が子供の貧困対策に取り組もうねといって相対的貧困率を出している、この相対的貧困率より下のラインにいる子供たち、これを比べた場合にどうなるんだろうというふうに、ふと疑問に思って厚生労働省さんに聞いてみました。相対的貧困ラインの子供の所得水準と生活保護世帯の子供の所得水準、どちらが上ですか、どちらが下ですかということを聞いてみました。教えてください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、生活保護基準額と相対的貧困率を算出する上でのいわゆる貧困線における可処分所得、これは性格が異なるものだと考えてございます。したがいまして、単純に比較することは適切ではないというのが、まず私どもの立場でございます。

 仮に、一定の条件のもとに、機械的になりますが、三十代の親と子一人の世帯から同じく三十代の親、子三人の世帯における生活保護基準額、これと、相対的貧困率を算出する上でのいわゆる貧困線における可処分所得額を単純に比較をしてみた場合でございますが、母子世帯の場合で申し上げると、いずれのケースも貧困線における可処分所得の方が低い。例えば、三十代の親と子一人の二人世帯で申し上げると、子供の年齢ですとか居住地域によってさまざまではありますが、生活保護基準額は二百六十万から百七十九万、一方、貧困線における可処分所得額、これは一律百七十三万円というふうになります。

 また、一方で、夫婦世帯ですが、これも生活保護基準額は居住地域や世帯構成でさまざまなので、こちらの方は一概にはちょっと言えないところがございます。例えば、三十代の夫婦と子一人の三人世帯の場合、子供の年齢、居住地域によってさまざまですが、生活保護基準額は二百八十八万から百九十三万円であります。一方、貧困線における可処分所得額は一律二百十一万ということになってございます。

川内委員 説明が長かったので、大臣、ちょっとわかりにくかったんですけれども、要するに、相対的貧困線を下回る子供のいる世帯の所得は、ほとんど全て、ほとんど全ての世帯で生活保護世帯の所得を下回るということでよろしいですか。ほとんど全て、生活保護世帯より下が相対的貧困ラインになるということでよろしいですか。

八神政府参考人 先ほど冒頭で申し上げましたとおり、生活保護基準と相対的貧困率を算出する上での貧困線、これを、可処分所得、性格が異なるので単純に比較することは適切ではないというふうに考えてございまして、これで比較してどうということは、先ほど機械的に試算で御説明しましたが、単純な比較は適切ではないというふうに考えてございます。

川内委員 あなたの評価を聞いているんじゃないんです。

 子供の貧困という問題を考えるときに、どちらも、政府が出している生活保護世帯の子供の人数、相対的貧困率というのも出していて、相対的貧困のラインにおける所得水準というのも出ているわけですね。それらを比べたときにどうなりますかというのは、機械的に比べてこうですということを答えるのが事務方の責任であって、それを評価するのは政務の責任ですから。

 私が聞いているのは、相対的貧困線を下回る子供のいる世帯の所得は、ほとんど全ての世帯で生活保護世帯の所得を下回っているということでよろしいかと。比べた場合ですね、機械的に比べた場合。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで機械的にということでございます。先ほど申し上げた、例えば母子世帯の場合、生活保護基準は母子世帯が多いので、母子世帯で比べた場合には、先ほど申し上げたように、いずれのケースも貧困線における可処分所得の方が低いというのは、先ほどの機械的な試算ではそうなります。

川内委員 ちょっと、何て言ったんですか。貧困線における可処分所得の方が低いというのは、どういうこと。相対的貧困ラインの方が下だということですよね。そういうことですよね。

 ちょっと、こちらが聞いたことに、委員の先生方だっているんだから。あなた、私をごまかすために答弁するんじゃないんだ。委員の先生方に、全員で認識を共有しなきゃいけないんですよ。

八神政府参考人 母子世帯の場合は、生活保護基準額よりも、貧困線における可処分所得の方が、計算をした場合に、機械的な計算ですが、低くなります。

川内委員 大臣、生活保護世帯というのは、健康で文化的な最低限度の生活を保障するのが生活保護であるとするならば、健康で文化的な生活をするために、ある一定の所得水準にあるねということになるわけですね。他方で、相対的貧困のラインというのは、それよりも下だ、健康で文化的な生活ができているのかということになるわけですね。

 私、この水準について、この問題を自分で問題意識を持って調べ出すまで、知らなかったんですよ。相対的貧困ラインというのは生活保護より下なんだということを知らなかったんです。

 大臣、知っていましたか。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 委員がいろいろと整理してくださったおかげで、大分状況が明確化してきている。要は、一言で言うと、生活保護が受けられる、本来だったら受けていい人が受けていない事例が結構たくさんある。一言で言うと、そういうことなんじゃないかなというふうに思います。

 一部に、生活保護が悪用されているというような事例も報告をされておりますけれども、これは本当に、どのような制度設計が適切なのかということは、私は文部科学省の大臣ですので、厚労省の人間ではありませんので軽々には申し上げられませんけれども、そのことについては必ずしも正確に認識をしておりませんでしたので、やはり、所管の部門が、どのように適切な対応をするかということをぜひ考えていただければなというふうに考えます。

川内委員 文部科学省に教えていただきたいんですけれども、小学校とか中学校では就学支援という言葉で、援助されている子供たちというのがいますし、幼稚園も高校にも、同じような制度で、就園奨励費とか、あるいは、高校は就学奨学金でしたっけ、そういう名前で低所得の子供たちが支援を受けているわけですが、それぞれの制度の人数と総数というのを教えていただきたいと思います。

永山政府参考人 まず、幼稚園の方。子ども・子育て支援新制度に移行していない私立幼稚園を対象としました幼稚園就園奨励費補助につきましては、入園料、保育料を補助対象とし、世帯の所得や子供の数に応じた支援を実施しておりまして、平成二十九年度に補助対象となった園児のうち、非課税世帯は約六万人となっております。

 それから、義務教育段階の就学援助につきましては、これは経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して市町村が学用品費などの援助を実施しているものですけれども、平成二十八年度において、生活保護受給対象である要保護児童生徒は約十三万人でございます。市町村が要保護者に準ずる程度に困窮していると認めて援助を行う準要保護児童生徒は約百三十万人となっております。

 それから、高校段階の就学支援につきましては、生活保護世帯及び非課税世帯を対象に、授業料以外の教育費負担を軽減するため、高校生等奨学給付金を支給しておりまして、平成二十九年度において、受給者数は約四十四万人となっております。

 それぞれの人数の合計ですけれども、年度が違ったりとかしておりますので、それこそ、単純に合計するということをいたしますと、約百九十三万人という数字でございました。

川内委員 約百九十万人、年度が違うので、約という言葉でくくりますけれども、約百九十万人の子供たちが何らかの支援を学校において受けている。

 したがって、相対的貧困率で、先ほど、機械的に計算すればということで御答弁があったんですが、二百六十六万人という数字も、私は当たらずとも遠からずということだと思うんですよ。

 だから、よく、この相対的貧困率のことを政府の方に聞くと、いやいや、これはOECDの定義で、資産とかは入っていませんからとかいろいろおっしゃるんだけれども、結局これだけ支援を必要とする子供たちの人数がいるということは、やはり、相対的貧困率という数字をせっかく政府として出して、総理も施政方針演説の中で、下がったよ、よかったねというふうな言及をされていらっしゃるわけですから、私は、必要な子供たちに必要な支援が行くように、きちんとしていくための指標としてしっかり使っていただきたいなというふうに思うわけで、厚生労働省やら内閣府の子供の相対的貧困率を担当されるセクションは、相対的貧困率だけを担当していて、相対的貧困とか貧困を担当していないみたいな、全く役所の縦割りの中で理屈を立ててしまっているような気がします。

 だから、今回の幼児教育無償化の法律も、幼児教育無償化に向かうというのは大変すばらしいことなんだけれども、そのお金が必要な人のところに行っているのかということについて考えると、それはさまざまな理屈はあるだろうけれども、例えば、では文部科学省に教えていただきたいんですけれども、幼児教育無償化の予算で平年度ベースで考えたときに、今回の幼児教育無償化法で、平年度ベースでどのぐらい予算を必要とするのか。その予算のうち、生活保護世帯や住民税非課税世帯の子供の、いわゆる子供の貧困対策として使われる予算というのはそのうちどのぐらいなのかということを教えていただきたいと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。内閣府でございます。

 今般の幼児教育、保育の無償化に係ります予算、これは平年度ベースにいたしますと、国と地方を合わせて七千七百六十四億円となります。このうち、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対してかかる公費は、平年度ベースで約百億円となっております。

川内委員 大臣、高等教育の無償化まで入れれば更に七千六百億で、一兆四千億以上の財源が今後子供たちに使われる。

 そういうときに、私は、どんな子供たちも夢や希望を持てるようにしようねというのが安倍総理大臣の御希望であるとするならば、例えば、学校給食の無償化とか、学級費の無償化とか、有利子奨学金の無利子化とか、あるいは、大学の運営費交付金を増額する、私学助成の充実に取り組むというようなところに振り向けていくことが、全体にも裨益するし、苦しい中で頑張っている子供たちにもより多く裨益をするという意味で、本来の予算の使い道なのではないかというふうに私は思います。

 もう法律として内閣が出していらっしゃることですから、それを変更しろというのはもうとても無理な話ですけれども、今後、文科大臣やあるいは副長官がますます偉くなられる中で、きょうの議論を覚えておいていただきたいなというふうに思うんですけれども。まあ、大臣は文科大臣ですから、まだ変えられる余地はあるんですけれども、どうですか。

柴山国務大臣 まず、今回の幼児教育、保育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策と、それから、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性の観点から、やはり確実に実現するべき重要な施策であるというように考えております。

 ただ、委員御指摘のように、その他の学校教育に係るもろもろの費用負担、これについても適切に対応していく必要があるというように考えておりまして、例えば、今回の無償化にあわせて、幼稚園に通う低所得世帯の子供の給食費支援の拡充を、副食費などですけれども、行うこととしております。

 また、義務教育段階では、今年度予算において、就学援助によって、経済的理由から就学困難と認められる学齢児童生徒の修学旅行費の支援の充実を図ることともしております。

 引き続き、各種の教育費負担軽減の施策が相まって、家庭の経済事情にかかわらず誰もが質の高い教育をトータルに受けられることができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

川内委員 それでは、副長官、済みません、大変お忙しい中、お待たせをいたしました。

 これも総理の施政方針演説なんですけれども、「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、」というふうに総理が御発言になられ、これの英語訳がやはりホームページ上にアップされて、配付資料の下の方に載せてございますけれども、「アズ ウイ インクリーズド」で始まる、児童扶養手当の増額それから給付型奨学金の創設、これをアズという接続詞で結んで、進学率が上昇したという英語訳になっております。

 副長官、この英語訳のアズAコンマBという構文で接続詞アズを文頭に用いた複文表現では、時系列でBがAよりも先という用例は文科省の検定教科書の用例からは確認できないということを文部科学省は既に御答弁をされていらっしゃいます。

 前回、四月十日のこの委員会で、政府広報室長は、大修館のジーニアス英和辞典第五版にそういう用例があるんだと言い張ったんですね。私も、このジーニアス英和辞典というものの第五版を取り寄せてみました。

 アズ アイ エンタード ザ ルーム,アプローズ ブローク アウトという用例がそれだと言ったんですけれども、しかし、このジーニアス英和辞典のこの用例の訳を読むと、私が部屋に入っていくと同時に拍手が起こったと。同時に拍手が起こったという和訳が書いてあるんです。完全に部屋に入っていなくてもいいよ、だけれども同時に拍手が起こったという和訳が書いてあって、これはやはり時系列が完全に逆転している英訳になっている。

 そして、副長官、ここが肝なんですけれども、総理の施政方針演説は閣議決定しているので、これは厚労省も認めているんですけれども、わかりにくい表現だった、それは認識していますというふうに厚労省も認めているわけです、閣議決定しているので、施政方針演説を変えるわけにいかないので、せめてこの英語訳は、時系列が逆転しているようなへんてこりんな英語ではなくて、きちんとした英語に、英語訳は閣議決定しているわけではないので、変えた方がいいんじゃないですかということを私はずっと言っているんです。

 ところが、事務方はずっと拒むわけですね、何でそんなことにこだわるんですかと。きちんとした英語にして、日本国政府として恥ずかしくないように海外に発信する、これは当然のことだというふうに私は思います。

 官房副長官は、この部門を統括される副長官であるというふうにお聞きしております。この英語訳について、わかった、じゃ、ちょっと検討して、引き取って考えてみるわということを、きょうは御発言いただけないでしょうか。

西村内閣官房副長官 川内委員にお答えをしたいと思います。

 御指摘のジーニアス英和辞典第五版で、まさに委員が読まれましたアズ アイ エンタード ザ ルーム,アプローズ ブローク アウトという例文については、訳はいろいろな訳ができると思いますけれども、例えば、私が部屋に入っていったとき拍手が起きたということで、まさに御指摘があったように、注釈にも、完全に入っていなくてもよいという説明がなされているわけであります。

 それで、改めて、御指摘をいただいて、過去の質疑も読ませていただきまして、レクのときの様子もお聞かせいただいて、その上で改めて整理をして確認を、私も調べました。

 そうすると、アズの使い方、多くの委員の皆さんも御理解いただけると思いますけれども、研究社の新英和辞典で、例えば、おっしゃるように、何々しているときとか、何々しながらとか、何々につれてとか、さまざまな訳例が示されております。

 このアズの用法を更に英英辞典においても調べましたら、ケンブリッジディクショナリーに、デュアリング ザ タイム ザットと。つまり、その間にということで、先ほどありましたように、必ずしも入っていなくてもいいということで、入るその間に拍手が起きたということであります。

 例えば、ヒー ゲッツ モア アトラクティブ アズ ヒー ゲッツ オールダー、つまり、年を重ねるにつれてより魅力的になってきたと。年を重ねるにつれてという、その一定の時間の幅があるときにアズは用いるわけでありまして、今回、まさに、施政方針演説の中で、閣議決定した文書は「進める中で、」という言い方をしておりまして、ですので、この表現を訳する上で、一定の時間について幅があるときに用いるアズを用いたということであります。

 さらに、御指摘もいただいていますので答弁を続けさせていただきますと、例えば、御指摘の児童扶養手当の増額についても、これは、平成二十七年十二月に予算の閣議決定をいたしております。そして、二十八年三月に予算案成立、五月に関係法案が成立ということで、実際の支給は十一月分、調査の十一月より後の十二月に支給になっているわけですけれども、「進める中で、」というこの政策の、時間の幅があるのを示すときにはアズというのを用いるのが適切であるというふうに考えております。

川内委員 いや、このケンブリッジも、私、そもそものものを入手していますけれども、結局、官房副長官、時系列が逆転している事例というのはこの用例の中にないんですよ。ある一定の幅の中で。結局、この英訳は「インクリーズド」と過去形なんですね、あるいは「エスタブリッシュド」、創設した、ふやしたという過去形なんですよね。ふやそうとしていたとか創設しようとしていたという英語じゃないわけです。創設したとき、ふやしたときという過去形になっているので、だから、時系列で逆転しているんです。そこが、この英語は、もう完全に日本語の表現を誤って伝えているんですね。

 それをわかりにくいと、わかりにくい表現だと厚労省も認めているわけですから、この英語訳は時系列が完全に逆転してしまっているという意味においておかしな表現なので、そこは検討して変えなきゃいけないんですよ。これはもう英語の学者に確認しているんですから。どうですか。

西村内閣官房副長官 いみじくも、川内委員おっしゃいましたけれども、まさに、完全に部屋に入っていなくてもいいわけですね。つまり、幅があるわけです。今、時間の幅があるときにアズを使うということを申し上げましたけれども、まさに、この政策をつくっている、委員の資料にも書いていますけれども、二十七年の段階から、夏の段階からもう議論を始めて、二十七年十二月に予算の閣議決定をしているわけでありまして、そして、実際の支給は後になっていますけれども、この幅と、それから調査のこの幅は重なりがありますので、逆転しているということはありません。この重なりがあるということをぜひ御理解をいただいて、こういうときにアズを使うということであります。

川内委員 日本国政府が新しい英文法を語られるというのは、これは実に、副長官、恥ずかしいことだと思いますよ。これはやはり専門の、本当に英語の権威に確認をする、英語の権威に確認をするぐらい言わないと、おかしいですよ。

 事務方のミスをかばおうというお気持ちはよくわかりますけれども、英語の権威に確認するぐらいは言ってください。

亀岡委員長 質疑時間が終わっています。短目に。

西村内閣官房副長官 簡潔に申し上げます。

 今申し上げたとおり、総合的に判断をして、私ども、アズということが適切だというふうに考えております。

 ただ、御疑念を示されておりますので、引き続き丁寧な説明はしっかりと心がけていきたいというふうに思います。

川内委員 終わりますけれども、これは、変えるまで、私、ずっとやりますから。

 以上です。

亀岡委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 国民民主党の吉良州司です。

 きょうは、一般質疑の委員会ではあるんですけれども、先日この衆院を通過した低所得者世帯修学支援法について、附帯決議も付されたこともあり、ちょっとこの問題、通過した修学支援法をよりよきものにするために、再度この場でも取り上げさせてもらいたいというふうに思っています。

 なぜ、再度取り上げて、よりよき運用へというふうに言うかといいますと、先日、附帯決議が決議されたわけですけれども、その中で私自身が注目しているのは、第一の「「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」における「無償教育の漸進的な導入」の実現に向け、政府は教育費の負担軽減策に取り組むこと。」、引き続いて、最終ゴールがあるんだ、そこに向けて軽減策に取り組むということが附帯決議で決議されています。

 二点目、「政府は、本支援制度の安定的運用及び更なる高等教育における教育費の負担軽減策を講じることができるよう、安定的な財源の確保に努めること。」、つまり、今回の財源はありますけれども、これにとどまらず、必要な財源を確保するように努めよということが決議されています。

 そして六番目には、「本法附則第三条による施行後四年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の規定その他学生等への経済的支援制度全般の在り方について検討を行い、必要があると認める場合には、早期に対応を図るよう努めること。」ということが決議されています。これは、見直しは四年後となっているけれども、四年を待たずしてこの支援のあり方について検討する、そして必要があると認められる場合には早期に対応せよということを決議しているわけです。

 ということは、先日の修学支援、少なくとも衆院は通ったわけですけれども、我々としては、通った段階から安定財源確保というものについて追求していくこと、そして、今言った、よりよきものになるように四年を待たずして検討するということがこの委員会で決議されたと了解していますので、よりよきものにしたいという思いで、前回と重複する部分はあるんですけれども、質疑をさせていただきたいと思っています。

 前回の質疑で、私の方から柴山大臣に、この法は社会保障政策ですか、教育政策ですかということもお聞きしました。

 この法案の悩ましいところは、財源が、八%から一〇%に税率を上げる消費税を財源とする。ですから、実質は教育政策なんだけれども、消費税を上げた財源を使うからには、社会保障政策という名目がなければ使えない。したがって、住民税非課税世帯を代表とする貧困家庭、それに準ずる家庭、それに加えて人口減少、少子化対策、これにも資するという名目をつけざるを得ないという理解をしています。

 ただ、私自身は、この法は社会政策でもあり、社会保障政策でもあり、そして教育政策でもあると思っています。

 大臣、再度お聞きしますけれども、さきに通過した修学支援法の究極の目的は何でしょうか。あえて究極という言葉を今回も使わせてもらいます。

柴山国務大臣 本法案の目的は、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対して、社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学などにおける就学の支援を行い、その経済的負担を軽減することによって、子供を安心して産み育てることができる環境の整備を図り、もって我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与することであります。

吉良委員 そういう答弁しかできないんだろうということは想像しております。今の答弁は、先ほど言いましたように、財源を消費税にするというところから、そのラインは絶対外せない答弁だというふうに理解しています。

 ただ、前回も言いましたように、また、柴山大臣自身が中川議員の質問に対して答弁されたように、私は、究極の目的は、貧困を固定化させない、貧困の連鎖を断ち切る、貧困層を階級化させない、これが究極の目的だというふうに思っています。

 前回も、この法案が必ずしもその目的に資するとは、私が言う究極の目的に資するとは思えないということを申し上げたんですけれども、大臣、住民税非課税世帯の高等教育機関への進学率は、これは文科省の方からも出されていますけれども、ざっと四割、そして一般家庭については大体八割だ、一般家庭の半分の進学率だということです。そして今回は、詳細は申し上げませんけれども、法案の中身の具体策を講ずることによって、一般家庭並みの進学率まで持っていきたいと。ですから、予算についても、八割まで進学するという前提で組まれていると承知しています。

 大臣、本当に、今回の具体策を講ずることによって四〇%から八〇%に引き上げることができると信じておられますか。

柴山国務大臣 家庭の事情にかかわらず、本人の意欲があれば進学できる社会を実現し、格差の固定化を解消するということは、今委員がまさに御指摘のとおり、今回の措置の大きな目的の一つであります。

 低所得者世帯の進学率が、今の御紹介いただいた全体の進学率八割まで上昇するということが、我々といたしましてはその重要な指標と考えておりまして、今回の支援措置によって学生数が増加をした場合にも、要件を満たす学生が支援を確実に受けるために必要な財源を確保する観点から、最大の見積りをする上での仮定という性格だというふうに捉えていただきたいと思います。

吉良委員 大臣の答弁については理解はします。ただ、私が、なかなかこれは、究極の目的である、貧困層を固定化させない、連鎖を断ち切るということに寄与しないと申し上げる理由は二点あります。

 資料をごらんいただきたいんですけれども、これは前回も出した二枚物、実は中身的には同じものです。

 その第一に、公立中学、公立高校の補助教員を全学年に五人ずつ配置した場合に、しかも、年間一人当たりの費用を二百万円と見込んだ場合に三千八百六十八億円という見積りを私の方で試算させてもらいました。

 私、ここで一学年五人ということを試算の材料として出していまして、前回の質疑のときに、この五人のうち、例えば二人ないし三人は、いわゆる授業についていけない子を下支えする補習授業的なもの、そして二、三人については、もっと上の学校に進学するために勉強したいと思う子のためにということを申し上げました。

 ただ、実は、私はそれよりももっともっと大事なことがあると思っていまして、それはどういうことかといいますと、やはり貧困家庭の場合は、学習する意欲、進学する意欲、そのために勉強しようという意欲をなかなか持ち得ない家庭環境がある、それが一番大きな問題だろうというふうに思っているんです。

 前回、私の方から、ある時点の学力というものはどういう構成要素があるのかということを聞かせてもらって、答弁には納得せず、私の持論を展開させてもらいました。それは、一つには親からの遺伝的なもの、そして努力度、そして家庭環境だと。家庭環境というのは、今申し上げましたように、家庭環境によっては、努力しようにもできない。

 実は、もっと大きいことは、学習してどうなるんだ、進学してどうなるんだ、大学に行ってどうなるんだということが思い描けない人たちが多い、そういう家庭環境。そして、そういう家庭環境の子供たちが仲よくなってしまうという環境がある。

 実は、ある新聞記者のブログを私自身が読んだんですけれども、少しだけ長くなりますけれども、こういうブログがありました。

 そのブログを書いたきっかけは、紳士でエリートで人間的には非常にいい人が、自動車教習所に行ったらしいんですね、自動車教習所に行って、ふだんだったら会うことができない層、人たちと会ってきたよ、ふだんはどこにいるんだろうねということを悪気なく、人柄はいい人ですから、言ったんだそうです。その言葉が非常にショックだったというブログです。

 どう言ったかというと、こういうふうにブログでは書いています。あれ、普通に生きていたら接点のない微妙な人たちと時間と空間を共有する貴重な機会ですよね、僕たち、会ったことがないよね、みんな、ふだんどこにいるのという感じで、そのブログを書いた人に、ねえ、何々さん、そうだよねと同意を求めた。そのブログを書いた人は、私は曖昧なつくり笑いでやり過ごした、なぜなら、自分は、そのどこにいるのという社会階層で育ったんだと。

 大学に進んだ方が将来の選択肢が広がるとかいう絵が描けない。貧乏であることは一つの構成要素ではあるけれども、重要なのは環境なんだと。具体的には、周囲にはロールモデルがなく、コミュニティー内部に人生における広い選択肢を提示するメカニズムがない。選択できないのではない、そんな選択自体が思いも寄らないということなんですね。

 ですから、幾ら、今四〇%の貧困家庭の進学率を高めよう、こういう制度をつくったとしても、そのこと自体に、その情報にも接することもない、それを聞いたとしても、何の意味があるのかわからないという層がいる。層がいるというのは、これは私、断っておくけれども、私は社会の縮図があるような小学校、中学校で育ちましたので、もう本当に生身の貧困層、家庭というのをよく知った環境で自分は育っています。

 注意しなきゃいけないのは、文科省の、事務方全員とは言いませんけれども、多くのエリートと言われる人たちが、話には聞いたことがあるけれども、自分の小学校、中学校、特に有名私立だ国立だに行った人たちは、それ以降、そういう生身の貧困層と実際接したことのない人がたくさんいるんですよ。だから、制度をつくればみんな経済的負担なく行けるんだと思って、そこに飛びつくという言い方はよくないかもしれない、そこを利用する、しようとするだろうと思っているかもしれないけれども、実際はそうじゃない人たちがたくさんいる。

 だからこそ、学力を高めるということも必要だし、ある意味で、そういう学力を高める、進学をする、よりよい高等教育機関に行くことによって人生の可能性が広がるんだ、選択肢が広がるんだ、貧困から抜け出せるんだということを指南するような教師が要る。さっき言った、ついていけない子供たちを補助するとか進学したい人たちに受験的な勉強を教えるという以上に、そういうことを教える教師を公立だからこそ配置する必要があるんじゃないか。(発言する者あり)ですよね。

 そういう意味で、私は、四〇%を八〇%にする目的やよし、だけれども、そのためには、今言った、進学して人生の幅を広げる、選択肢を広げるという導き手が要るということ。

 そして、前回も指摘させてもらいましたように、学力が向上しないまま、行けるところに行く、それだけで本当に貧困から脱却できるんだろうか。今でも、大学を出た人の中でも、俗に言う非正規だったりで、大学は出たけれども低い収入で甘んじている人たちがたくさんいる。だからこそ、奨学金も返せないということで悩んでいる人たちがたくさんいるわけです。

 そういう意味では、本当に貧困の連鎖を断ち切って、貧困から脱却するためには、大学等高等教育機関に行く前に、まずは学力を高めること。そして、繰り返しになりますけれども、進学することによって、もっと勉強することによって人生の幅が広がる、貧困から脱却できるという導きができる人を近くに置く、それを公立学校に配置する、そのことが重要なんじゃないかと思います。

 再度、私のこの問題意識についての大臣の見解をお聞きします。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 本当に、さっき義家先生からも御発言がありましたけれども、大学の無償化以前の段階で、やはり、そういった貧困の連鎖によって学びの重要性というものを体感できない、学ぶ意欲すらない、そういう方に対して、そういった鼓舞したり、あるいは指導したりするようなことが本当に必要なんだなということを学ばせていただきました。

 ですので、例えば修学支援などについても我々検討させていただいておりますけれども、ではソフトとしても、そういった人材をどうやって確保するかということについて、また引き続き検討していきたいと考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 もう一度お手元の資料を見ていただきたいんですけれども、先ほど言いました、一学年五人の補助教員を三学年につける、全公立中学、高校につけるということを言いました。

 この数字は、例えば五人を四人にすると五分の四の財源で済む、二人にすれば五分の二の財源で済む。だけれども、さっき言った、重要なことは、学習意欲を高めるための教員は配置する必要があるという思いを言いました。

 ここに書いてある、今言った補助教員の配置、そして、前回も言いました、学力を高めるという装置を、仕組みをつくるんだから、そこで学力を高めて、地方の活性化にもつながる地方国立大学の授業料の、そして入学金の無償化ということをやるべきだと言いました。そして、それだけだと、では私学に行く人はどうなるんだとなった場合には、今私学も独自で持っている既存の入学金、授業料の減免措置をもっと拡充できるようにこの予算を使っていくということを前回も指摘させてもらいました。

 でも、何が問題なのかといいますと、先ほど言いましたように、財源が消費税である限り、これを今使えないという状況なわけですよね。

 これは大臣に質問をするというよりも、この文科委員の方々全員、特に与党の方にお願いをしたいと思うんですけれども、社会保障にも資する教育費については消費税の使途対象にするということを、ぜひ、議法になるのか、それとも、柴山文科大臣が汗をかいていただいて政府内を説得して閣法として出してもらえるのか。やはりこの文科委員全体で、今言った社会保障に資する教育費について消費税の使途対象にしようということで、反対する人はないと私は信じていますので、ぜひその思いを共有して、その方向に向かっていきたいというふうに思っていますので、また今後相談させていただきたいと思います。

 先ほど来、私自身が学力向上が大事だということを申し上げていますけれども、ちょっとお断りしておきたいことは、私自身は、今の小中高あたりで中心のいわゆる暗記的な学力というものが人生を決するとは決して思ってはいません。そのことは、学力が重要だということを何回も繰り返し指摘する場合にはお断りをしておきたいと思っています。

 私自身の学力観でいうと、学力観というよりも、社会に出たら何が重要かというと、いわゆる学力よりは人間力、人間としての総合力。因数分解すれば、それは人としての信頼感だったり、判断力だったり、決断力だったり、問題解決能力だったり、そういうことの方がはるかに重要だというふうに思っています。

 おもしろい例をちょっと自分の方から出してみたいと思うんですが、私は、今名前が変わってしまった元日商岩井という総合商社に勤めていまして、そこで採用担当をやっておりました。採用については、内定を出すまでは全て面接です。筆記試験、学力試験、一切行いません。全部面接で決めて、役員面接まで行って、内定ということを出します。そして、内定者を集めて筆記試験をやります。

 どういう結果が出ると思いますか。おもしろいのは、いわゆる筆記試験をやると、世に言う偏差値どおりにほとんど並びます、一部有力私学のところはちょっとばらつきがありますけれども。筆記試験のところはずらっと、今言った世に言う偏差値どおりに並ぶ。

 しかし、面接での評価、これは全くばらばらです。私が追跡調査をしているわけではないんですが、私は二十二年間会社にいましたので、自分が採用したときの、当時の学生たちがその後どこでどう活躍しているというのを見るわけですけれども、活躍度合いということについては、筆記の結果よりも面接試験の評価の方がはるかに近いということが言える。

 だから、そういう意味で、私自身は、今言った、人生、特に社会に出てから必要なものは学力よりも人間力だということについては確信を持っているんです。でも、それでもある程度のといいますか、一定の知識を含む学力が必要だと思っています。

 なぜかということについてちょっと大臣と議論させてもらいたいと思っていますが、大臣、これは質問通告をさっき、一時間前に急にやったものなんですけれども、ほかは全部一昨日していますが。今、生活水準の格差、収入の格差というのが我が国で、我が国のみならず先進国で問題になっています。格差というものは、何が原因で生じていると思いますか。

柴山国務大臣 その問いに答える前に、ちょっと先ほどの答弁の補足を少しさせていただきたいと思います。

 低所得者、中間層世帯の生徒に対する、先生が御指摘になった中学校や高等学校の学力向上支援、このために消費税の使い道を閣法なり議員立法でまず変えるという御指摘も御意見としていただいて、それはおっしゃるとおり、超党派で何らかの法改正が必要なのかなというふうに思いますが。

 そういうことを仮にしなかったとしても、我々として、やはり貧困による教育格差の解消のために、例えばそういった大学より前の段階において、教員定数の加配措置ですとか、補習等のための外部人材の配置に対する支援などに取り組んでおりますし、また、地域においては、学習がおくれがちな中学生や高校生などを対象に、退職教員や大学生などの地域住民等の協力により実施する原則無料の学習支援である、これは前回の答弁で申し上げましたけれども、地域未来塾、こういったことも推進をするなど、多様な活動を推進するということとさせていただいております。

 いずれにいたしましても、そういった取組をしっかりとしなければいけないというように考えております。済みません、これがまず補足であります。

 そして、その上で、今御質問にあった、では生活水準における格差というものの根本的な原因は何だろうかということなんですけれども、いろいろ考えられます、就労の状況ですとかさまざまな要因が考えられますけれども、やはり経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低いという状況にあると思いますし、また、最終学歴によって平均賃金が異なるという厳然たる実態もあります。

 そういったことも含めて、我々としては、そういった格差をやはり解消するための、学びたい人にしっかりと学びの機会を与えるということが必要だというふうに考えております。

吉良委員 まず、大臣の前半の補足答弁、ありがとうございます。

 ぜひ力を入れていただきたいと思うんですが、私は、ボランティアに頼むのも依存するのも限界があると思っていまして、しかも全地域、全国的に展開していくためには、やはり大規模な予算措置を含めた支援が必要だというふうに思っていますので、今大臣が答弁いただいたことは高く評価しますけれども、それをもっと大胆、大規模に、全国レベルでやるために予算獲得も必要だということを、私の方からもつけ加えさせていただきたいと思います。

 格差についてなんですけれども、大臣が答弁されたこともそのとおりだと思います。ただ、私に言わせると、特に先進国において格差が広がっているんですね。それは、かつて中間層と言われた人たちがだんだん下に下がってきてしまっている、そして、一億総中流だった人たちのほんの一握りが富裕層になってきているという状況だと思っています。

 それはなぜかというと、先進国における付加価値といいますか、働いた成果というものが、かつては筋力の投入量だった。だから、頭数を投入するとか、より力強い人たちを投入することが生産性の向上につながっていた。それが今は頭脳の投入量に変わってきている。

 ですから、私は野党ですけれども、よく小泉・竹中時代のジャングル的な新自由主義が格差をもたらしたとかいう議論がよく出るんです、私はそれには全くくみしない。今言った、筋肉の投入量から頭脳の投入量に変わった。筋肉の投入量だと、私みたいな痩せと横綱白鵬の違いも、せいぜい二十倍とか、それぐらいの差。私が二十人集まれば白鵬に勝てるかもしれない。けれども、スティーブ・ジョブズだとかそういう天才的な人の頭脳というのは、何億人分の、何千万人分の付加価値をつくり出す、稼ぎ出す。それがグローバル化と機械化、IT化によって、より格差がというか、頭脳の投入量が結果にじかにあらわれるようになった結果だというふうに思っているんですね。

 ですから、かつての日本は、ブルーカラーといっても、何を言っているんだ、額に汗して働けばホワイトカラーに遜色ない生活ができるんだ、現にそういう人たちがたくさんいた。けれども、今言った、頭脳の投入量が生産性を決めるようになってからは、幾ら頑張っても、筋肉の投入だけでということになると、なかなか収入が上がっていかない。そして、今言ったように、それを機械化とグローバル化とIT化が促進してしまっている、こういう状況だと思うんです。

 だからこそ、我々は、多くの子供たちが知的生産に携われるようにしていかない限り、貧困の固定化、貧困の連鎖を断ち切れないんです。だからこそ、私は、学力を向上させるところにもっとお金も能力も使いましょうということにこだわっているんです。(柴山国務大臣「そのとおり」と呼ぶ)大臣もそのとおりと言ってくれていますが、見解を求めます。

柴山国務大臣 全く同じ価値観だと思います。

 野党のことについてコメントする立場にはありませんけれども、まさしく、所得の再分配じゃないんですね。今の経済とか産業を見ると、明らかにもう構造自体が変わってきていて、要するに、まさに教育の格差が富の格差につながっている。

 だからこそ、我々は、社会に生じるあらゆる問題を解決するためにはやはり教育だ、そういう認識を与野党を超えて共有しなければいけないというように考えます。本当に、大臣になってからそういう確信を最近持ってきておりまして、だから、そのために、教育の機会に恵まれない方にいかに教育の機会を確保するかということが、まずやはり我々が共通して取り組まなければいけない課題だというように考えております。

 今、ちょっと先ほど追加の、先ほど通告していただいた、学歴によって平均賃金が大きく変わってくるということも、それもやはり非常に大きな真実であろうというふうに思っておりますので、何とか貧困の連鎖を防ぐために、教育の機会をしっかりと確保していくか、ここをやはり我々は真剣に取り組んでいかないと、省庁においていろいろな対策を立てても、そこの根本がやはりできていないといけないんだろうというように最近は確信をしております。

吉良委員 ありがとうございます。

 大臣も本当に気合いが入って、教育が一番大事だということで。

 そういう意味では、当初から言っていますように、教育が全て決めるんだ、大臣は再分配じゃないと言いますが、私は、再分配と教育の強化、これはもう車の両輪だと思っています。今、社会が変わりつつあるときですから、そのときには俗に言う激変緩和ということも大事なので、再分配と教育強化、この二つの両輪が必要だというふうに思っています。

 ちょっともう時間がなくなってきたので、そういう意味で、ちょっと次の議題、時間がある限りやらせていただきたいと思っています。

 私が前回そして今回と提案している、学力向上、そして進学を真に支援するための具体策ということで、さっき言った補助教員の配置、そして地方国立大学の授業料、入学金の減免、そして、既存の私立も含めた教育機関の入学金、授業料の減免措置を更に拡充できるように政府としても支援する、こういうことを提案させてもらっているわけなんですけれども、先ほど初鹿議員からも指摘のあった東京福祉大学、この大学のあり方に象徴されるように、私が一番恐れるのは、大学の経営のための道具とされることが一番懸念されます。

 特に、先ほど言いましたように、貧困層を何とかしたいという思い、これは非常にすばらしいことですけれども、さっき言いました、現状の学力をそのまま追認するような形で、行けるところに行って、それを経済的に支援するのであれば、それこそ東京福祉大学のような、経営のための道具にされかねないと思っていまして、それを避けながら、学生の質を高め、そして高等教育機関の質を高める方法があるんです。それは、入学金、授業料の減免クーポンの支給なんです。

 そして、そのクーポンを得るための、全国的な資格試験というか、クーポン取得試験を行う。これは任意です、強制ではないです。自分が授業料、学費の減免を受けたいと思う子供たちが受ければいいので、全員に強制するわけではありません。

 ただ、今文科省が大学の入試改革等で検討している、例えば民間の英語検定を導入しようとしています、私、個人的にはこれはよしとしませんけれども、それを考えますと、今言った入学金、授業料の減免クーポンを得るための全国試験を、受けたい人にどうぞという試験をすることはできるんだろう、実現性が高いんだろうというふうに思っています。

 これをすることによって、本当に入学金と授業料の減免を受けたい子供たちは、少なくともその試験には合格するように勉強しなければいけない。そして、大学の方も、学生を受け入れて、その学生に減免措置をするときにはクーポンと引きかえになりますから、クーポンを持っているということは、今言った一定の学力を示す、合格をしたということになりますので、そのクーポン制度を導入することによって、学生の質を高め、かつ教育機関の質も高めることができるというふうに思っています。

 これは、主に私立大学、また私立の専門学校等に適用できるんだろうと思います。先ほど言いましたように、国立については基本的に減免すべしという提案を私自身はしていますので。私立については、今言ったクーポンの試験を課して、クーポンを取得している人に対して減免措置を大学が行う、そして国はクーポンに対して財政的な支援を行う。こういうふうに考えますけれども、大臣、見解はいかがでしょうか。

柴山国務大臣 大学等における授業料減免については、大学などの設置者が行う減免措置に対して国が大学等に対して補助を行う、いわゆる機関補助としてこれまでも実施してきましたし、今回導入する授業料の無償化などについても、大学等の設置者が行う入学金や授業料の減免費用を国等が支弁する機関補助として実施をするものであります。

 それで、今委員が御指摘になった御提案でありますけれども、おっしゃるとおり、例えば地方の国立大を支援するということであればそれは国立大をどうするかということで、御指摘になっているのは私立大学ということで限定をされたわけなんですけれども。

 仮に私立大に限定したとしても、入学金や授業料に使途を限定したクーポンを支給することについて、例えば日本学生支援機構における奨学生採用候補者の決定に際しても、そのクーポンを支給するためのさまざまな事務手続ですとか支給のための諸経費など多くの解決すべき課題があるということで、非常に困難ではないかというように考えます。

 また、全国統一試験の実施については、現状において、高等教育機関への進学者数が約九十六万人であるのに対して、最大規模である試験である大学入試センター試験でも受験者数が約五十五万人にとどまっていることから、実施主体や問題作成など多くの解決すべき課題があるということで、貴重な御提言であるとはいえ、やはり困難ではないかなというように考えます。

吉良委員 もう時間が来ましたので、このことについてはまた引き続いてやりたいと思っています。

 目的は、これだけのお金を使うんだから、学生の質を高め、教育機関の質を高める、そこにまっしぐらに向かうべきだという思いからの提案であります。

 以上で終わります。

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 櫻田前オリンピック・パラリンピック担当大臣が、復興以上に大事なのは自分の党の議員だという旨の、本当に許されない暴言で辞任に追い込まれました。被災者の生活となりわいの再建は道半ばでありますし、復興をなし遂げるまでに取り組まなければならない極めて重要な課題であります。

 鈴木俊一オリンピック・パラリンピック担当大臣は、所信的挨拶の中で、東京大会の重要な柱の一つは復興オリンピック・パラリンピックだとして、聖火リレーは福島からスタートしますと述べられました。

 二月二十日、東京地裁は、避難指示が出された区域からの避難者と区域外からの自主避難者に、ふるさとを喪失し、生活を破壊されたとして、賠償を命ずる判決を下しました。国の加害責任を認めた集団訴訟判決は全国で出されています。国と東電が、住まいの確保や完全賠償など、全ての被害者の生活となりわいが再建されるまで責任を果たすことを、まず最初に求めておきたいと思います。

 鈴木大臣にお伺いしますが、オリンピック憲章のオリンピズムの根本原則では、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。」と述べております。資料につけさせていただきました。

 また、政府の基本方針の冒頭には「平和の祭典」が掲げられており、そこで、「オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会は世界最大の平和の祭典であり、その開催は、国際的な相互理解や友好関係を増進させる。」とあります。

 そこで伺いますが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催について、オリンピック憲章の言う平和な社会の推進、また、政府の基本方針で言う平和の祭典という立場で臨まれるのか。いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 先生が参考資料でお出しになったものに書いてございますように、オリンピック憲章の根本原則では、その二番目に、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。」、このように示されております。

 また、平成二十七年十一月に閣議決定されましたオリパラ基本方針におきましても、オリパラ大会が世界最大の平和の祭典であることを掲げております。

 所信的挨拶におきましては全て網羅的にお話しすることができなかったために、このことについての言及がなかったわけでございますが、こうしたオリンピック憲章、またオリパラ基本方針にのっとりまして、準備、運営に関する施策を推進しているところでございます。

 東京大会では、海外から多くの方が選手、観客、ボランティアなどとして来日され、さまざまな国際的な交流が生まれることが見込まれます。また、全国各地のホストタウンにおいても、地域住民と参加国・地域の選手との交流が行われます。

 こういう機会を通じて、国際的な相互理解、あるいは友好関係が進みまして、平和の祭典にふさわしい大会になりますよう、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

畑野委員 鈴木大臣は、冬季オリンピック・パラリンピック大会が開催された平昌に行かれたと所信的挨拶で述べられました。私も平昌冬季オリンピック大会に国会から伺ったんです。ぜひ、平和の流れを、東京大会で更に進むように御尽力いただきたいと思います。ありがとうございました。

 次に、社会教育について、柴山昌彦文部科学大臣に伺います。

 公立社会教育機関、図書館、博物館、公民館等の所管について、社会教育の適切な実施の確保に関する一定の担保措置を講じた上で、条例により地方公共団体の長が所管することを可能とする関連法の改正案が地方分権一括法案として国会に出されております。これは私、問題があるというふうに思いまして、きょう質問をいたします。

 この法案に関して、まず、そもそも社会教育とは何か、社会教育施設の所管が教育委員会とされているのはなぜかについて伺いたいと思います。

 一九四八年六月十九日、当時の森戸辰男文部大臣が衆議院文教委員会で教育委員会法案の趣旨説明を行っています。その中で、法案制定に当たっての三つの根本方針を述べております。一つは教育行政の地方分権、二つ目は住民の意思の公正な反映、三つ目が教育委員会の首長からの独立性です。

 教育委員会法は一九五六年に廃止され、地教行法が制定されました。

 そこで伺いますが、現行の地教行法には、教育委員会法制定当時の三つの根本方針は受け継がれているのでしょうか。文部科学大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今御紹介をいただきました昭和二十三年の旧教育委員会法の提案理由説明においては、地方教育行政改革の根本方針として、一、教育行政の地方分権、二、住民の意思の公正な反映、三、教育委員会の首長からの独立性が挙げられており、このことは現行の地教行法のもとにおいても基本的には変わらないと考えております。

畑野委員 柴山大臣から御答弁がありました。

 教育委員会法制定の翌年、一九四九年に社会教育法が制定されました。当時の高瀬荘太郎文部大臣は、趣旨説明の中で、元来、社会教育は国民相互の間において行われる自主的な自己教育でありますとして、既に発足を見ました教育委員会制度に即応して、従来、都道府県及び市町村の教育委員会として、社会教育に関しいかなる権限と任務を持つべきかということについて明確を欠いた点がありますので、この際、できるだけ具体的に国及び地方公共団体の社会教育に関する事務の内容を明確にすることがこの法律の第一の目的であると述べております。

 法制定時の文部省社会教育課長で、「社会教育法解説」一九四九年を著した寺中作雄氏は、その著書の中で「社会教育は本来国民の自己教育であり、相互教育であって、国家が指揮し統制して、国家の力で推進せらるべき性質のものではない。国家の任務は国民の自由な社会教育活動に対する側面からの援助であり、奨励であり、且奉仕であるべき」と述べています。この趣旨は、社会教育法第三条、国及び地方公共団体の任務として条文化されております。

 第九条の三では、社会教育主事は命令、監督をしてはならないなど、社会教育団体の活動の自主性擁護や、あるいは第十二条では、国及び地方公共団体は、社会教育団体に対し、いかなる方法によっても、不当に統制的支配を及ぼし、またその事業に干渉を加えてはならないということで述べられているように、他の条文の規定に及んで、社会教育法の一体性を形づくっております。

 成立当時の教育委員会法の三つの根本原則や社会教育法の趣旨に照らせば、行政委員会の一つとして独立した機関である教育委員会が社会教育施設を所管することは当然のことだと考えますが、柴山大臣の御認識はいかがですか。

柴山国務大臣 地方における社会教育に関する事務は、教育の中立性や継続性、安定性の確保などの観点から教育委員会が所管をしておりまして、社会教育に関する事務全体については、今後とも教育委員会が所管することを基本とすべきと考えます。

 ただ、その一方で、公立社会教育施設の所管については、地方自治体からの要望や中教審の答申も踏まえ、他の行政分野における施策との一体的な推進などのために、地方公共団体がより効果的だと判断する場合には、社会教育の適切な実施に関する一定の担保措置を講じた上で、条例により首長が所管することも可能とすべきと考えております。

畑野委員 今回の改正は、地方分権改革に関する提案募集で、公立社会教育施設の所管に係る決定の弾力化という地方からの要望に応えたものだと伺っております。こうした要望を出したのはどこでしょうか。幾つあったんでしょうか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 地方分権に係る提案募集において、公立社会教育施設の所管を首長とすることについての御提案があったのは合計四団体、四つでございますが、具体的には、平成二十六年度に群馬県と九州地区の知事会から、そして平成二十九年度に北海道から、平成三十年度に三重県名張市から、以上の提案があったものでございます。

畑野委員 おっしゃられた群馬ですが、ここは博物館、図書館、九州地方知事会は図書館、博物館、北海道は博物館、そして最後におっしゃった三重県名張市は公共社会教育施設の所管と、ここで初めて全体的なことを言うんですが、実例としては公民館についてですよね。だから、全体的な社会教育施設に対しての所管を求めているというのは、最後に言われた名張、具体的には一つだというふうに思います。

 地方公共団体の長が社会教育と学校教育との連携に関する事項について規則を定める場合の事前の教育委員会からの意見聴取、社会教育施設の管理運営に関する規則を定める場合の教育委員会との事前協議、公立社会教育機関の事務について必要と認められる場合に教育委員会が意見を述べることができるといった担保措置を講じているというふうな御答弁でしたが、伺いますけれども、首長と教育委員会との意見が対立した場合に、教育委員会の意見が首長の意向を変更させたり抑制したりすることはできるのですか。

柴山国務大臣 今委員が御紹介をいただいたとおり、今回、公立社会教育施設の所管を首長とする場合には、社会教育の適切な実施のために、首長が教育委員会に対する協議とか、あるいは教育委員会が首長に対して意見を述べることができるなど、一定の関与を制度的な担保として設けているところでありますけれども、確かに、この制度に基づいて教育委員会が首長に対して提出する意見に首長に対する法的な拘束力はないんですが、教育委員会の意見を踏まえて、当該自治体内で首長と教育委員会との間で十分なコミュニケーションが行われて適切な管理運営が行われる、それが重要であるというように考えております。

畑野委員 つまり、担保になっていないという御答弁ですよね。これは問題です。

 今回の措置は、社会教育施設を観光、地域振興、町づくりを担う首長部局で一体的に管理できるようにするということです。

 日本図書館協会は、昨年四月の公立図書館の所管の在り方等に関する意見で、公立図書館は、住民一人一人の資料要求に対する個別対応を基本とし、住民の公平な利用の観点から全ての住民に公平に基本的なサービスを保障することを目的とし、住民の生活、職業、生存と精神的自由に深くかかわる教育機関であることから、公立図書館は教育委員会の所管とすべきと述べています。

 昨年八月には、日本社会教育学会を始め、子どもと自然学会会長、日本教育学会会長など七団体が連名で、中教審会長に対して、政治的中立性や継続性、安定性の確保、生涯学習社会の実現、総合的な教育行政の推進の観点から、公立社会教育施設の教育委員会所管を堅持するよう要望しています。

 実効性のない担保措置でこうした懸念に応えられるんですか。社会教育施設の機能が変質されてしまうということではありませんか。

柴山国務大臣 今回の改正案は、公立社会教育施設の所管に係る特例措置を設けるものではありますけれども、地方公共団体の判断によって教育委員会から首長に移管した場合であっても、それぞれの施設が社会教育法等に基づく社会教育施設であることに変わりはありません。

 したがって、特例により首長所管となった公立社会教育施設においても、法律や法律に基づく基準を踏まえ、社会教育施設として適切な管理運営に努めていただくことがあくまでも重要であるというように考えます。

畑野委員 伺いますけれども、今回の措置は、社会教育施設の設置、管理の権限を首長に移管するだけでなく、これまで教育委員会に与えられていた公民館、図書館の職員の任命、公民館運営審議会、図書館協議会の委員の委嘱、任命まで首長ができることになります。

 公民館運営審議会、図書館協議会の委員の委嘱、任命に当たっては、地方公共団体がその基準を定める条例をつくる際の参酌基準を文科省令で定めていますけれども、今回の措置でこの内容は変わるんですか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体が条例で定めるとされております公民館運営審議会、図書館協議会の委員の委嘱、任命等の基準、その基準について、文部科学省令で定める基準を参酌することとされているということでございますが、この文部科学省令で定める基準の内容につきましては、今回の改正案によって全く変わるものではございません。

畑野委員 最後に伺いますが、これまでも、地方自治法の補助執行という形で首長部局の職員に社会教育施設の運営を委ねたり、条例を改廃して社会教育施設を首長に移管するなどして、指定管理者制度の導入を促進している市町村もあります。

 全国の公立図書館のうち、指定管理者制度の導入施設は幾つでしょうか。また、首長への事務移管をしている市町村の公立図書館のうち、指定管理者制度を導入しているところはどのぐらいありますか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 社会教育統計によりますと、平成二十七年十月時点で、全国の公立図書館三千三百八施設中五百十六の施設、率にすると一五・六%が指定管理者制度を導入しているところでございます。

 また、市区町村の長が所管をする、これは正式には図書館ではなくて図書館同種施設という扱いになりますが、こちらは百三十二施設中五十五施設、率にしますと四一・七%が指定管理者制度を導入しているところでございます。

畑野委員 首長に所管を移せば指定管理者制度の導入が飛躍的にふえているということは、実態を見ても明らかです。

 社会教育のあり方を大きくゆがめるような法改悪はやめるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

馳委員長代理 次に、古田圭一君。

古田委員 自由民主党、中国ブロック比例の古田圭一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、十五年間、化学系の会社で研究開発の仕事に従事した後、四十歳のときに高校と自動車学校を設置する学校法人の経営に携わっております。

 二十歳、三十歳のころ、学校の仕事というのは、数学の教員を例にとれば、公式を教えることが主で、ルーチンワークみたいな仕事で、そんなに変化のない職場かなというふうに思っておりましたけれども、大変大きな間違いだったということに、今気づいています。

 研究開発の仕事をしていたころには、研究の進捗状況など、上司からいろいろ言われることはあるんですけれども、基本的に、うまくいかなければ自分の進め方、考えが悪いんだなというふうに納得もいくことが多いんですけれども、いざ学校現場に入ってみますと、少子化の進展、それから複雑な人間関係、学校を取り巻く環境の変化への対応ということで、時代の要請に応えていくことの大変さを非常に感じているところです。

 また、人づくりは国づくりという大変重い責任を教師は負っているということを感じているところです。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 最初の質問は、高校の教育改革についてであります。AI技術、ビッグデータ技術などの発展によりまして、定型的な業務はAI技術で代替可能となるなど、産業が変化して、働き方も変わっていくというふうに言われております。

 狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続くソサエティー五・〇の社会に向けて、子供たちの発達段階に応じて教育の内容も変えていかなくてはならないと思いますけれども、高校における教育ではどのような力を育むべきだとお考えか、お伺いをいたします。

浮島副大臣 高校生の趣味、関心等が今多様化している中で、高等学校が対応すべき教育上の課題は複雑化しているのが現状でございます。

 そんな中、高校生の実態等に関する調査等によりますと、高校生の学校生活等への満足度そして学習への意欲等が中学校段階に比べて低下している実態、これが明らかになっているところでございます。

 こうした課題を踏まえつつ、ソサエティー五・〇に向けて、高等学校では、義務教育を終えた子供たち一人一人がソサエティー五・〇を生き抜くために必要となります、文章や情報を正確に読み解き対話する力、そして科学的に思考を吟味し活用する力、価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心、探求力など、共通的に身につけさせることをやっていかなければならない、また、将来、世界を牽引する研究者や幅広い分野で新しい価値を提供できる人材となるための力、ソサエティー五・〇を地域からしっかり支えていくために地域ならではの価値を創造する力、これを育んでいくことが求められると思っているところでございます。

古田委員 ありがとうございます。

 そういうことに対しまして、文科省としてはどのような政策をとろうとされているのか、お伺いをいたします。

浮島副大臣 高等学校におきましては、このたび、新高等学校学習指導要領を踏まえまして、主体的、対話的、そして深い学びの視点から、授業の改善、そして各教科等の学習の、実社会の課題解決とを結びつける探求的な学びを重視すること、そして、文系、理系の両方をバランスよく学ばせること等を通じまして、ソサエティー五・〇、これをたくましく生き抜ける人材を育成していくことが極めて重要、必要であると考えているところでございます。

古田委員 具体的な取組として、幾つかは予算措置もついていると思いますけれども、それについてちょっとお伺いをいたします。

浮島副大臣 文科省といたしましては、ソサエティー五・〇に向けた高等学校教育改革を推進するために、平成三十一年度の予算におきまして、高大接続による高度かつ多様な科目内容を履修可能とするプログラム、これを提供する仕組みの構築、また、地域課題の解決等の探求的な学びを実現する取組、これを推進する必要な経費を盛り込んだところでもございます。

 また、現在、教育再生実行会議におきまして、新時代に対応した高等学校改革について検討がなされているところでございます。本年一月には中間報告が取りまとめられたところでございますけれども、教育再生実行会議における議論等を踏まえまして、専門的そして実務的な検討を行うため、本日、高等学校教育を含む新しい時代の初等中等教育のあり方について、たった今、まさしく大臣が諮問に向かっているところでございますけれども、中央教育審議会に諮問をするところでございまして、今後の議論を踏まえつつ、高等学校の教育改革、この推進に改めて力を入れていきたいと思います。

古田委員 しっかりとよろしくお願いをいたします。

 次に、定時制、通信制課程についてちょっとお伺いしたいと思うんです。特に定時制ですね、ちょっとお伺いしたいと思うんですけれども。

 高校の定時制、通信制課程は、働きながら学べる機会を保障するために戦後制度化されましたけれども、近年では、勤労青少年よりも、不登校経験者や中途退学経験者の割合がふえているのではないかというふうに思います。

 私の地元の山口県の下関市ですけれども、人口は二十六万人なんですけれども、昨年までは定時制課程を設置する高校が三校ありまして、いずれも夜間部だけで、定員はそれぞれ各校四十人の、合計百二十人でありました。平成三十年度の入学合格者数は、三校合わせても、百二十人の定員に対しまして十九人ということで非常に少なかったんですけれども、今年度、平成三十一年度は、その三校を統合して一つの学校にいたしました。昼の部も設置したということで、そういうことで募集したところ、昼の部は志願倍率が二倍近くありました。夜間部も合格者数が前年度の二倍弱ということで、合計七十四人が合格されたということで、前年度のほぼ四倍の生徒が合格しております。

 学校パンフレットには、多様なニーズを持つ生徒が自己の夢や目標の実現を目指して主体的に学ぶことができる柔軟な教育システムを持つ高校というふうに書いてあります。

 この学校は総合学科ですので、工業系列や商業系列を学んで地元企業へ就職する生徒も出てくるでしょうけれども、普通系列を選択して、昼の部に加えて夜の部の授業をとると三年で卒業できます。また逆に、夜間部の生徒も昼の部の授業を受けると三年で卒業できるということで、アルバイトもできて、制服もなくて、自分のペースで学習できるということが人気が出た原因ではないかというふうに思っております。

 全日制であれば、多くの学校では九十単位を取得して卒業しますけれども、この学校の学習のパターン例が出ていたんですけれども、七十八単位あるいは八十単位で卒業の例が示されていました。

 現在の学習指導要領では、以前八十単位だったと思うんですが、それが平成十五年から七十四単位になったと思いますけれども、七十四単位取れば高卒の資格が得られるということで、全国的には実際に七十四単位の学校もあります。

 不登校経験者あるいは中途退学経験者あるいは特別な支援を要する生徒などは、そういう生徒のニーズに応えることのできる学校というのは確かに必要だとは思いますけれども、高校卒業資格を取るために安易に定時制や通信制課程を選ぶ生徒がふえるのもどうかなというふうに思っておりますけれども、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

浮島副大臣 高等学校の定時制、通信制課程は、今、委員御指摘のとおり、勤労青年に高等学校教育の機会を幅広く提供するために発足した制度でございますけれども、近年では、今、御指摘もございました不登校や中途退学経験者等の学びの場として機会の提供をするなど、多様な学びのニーズの受皿として役割を担っていると承知をいたしております。

 また、定時制課程では、夜間や昼間に授業を実施する、また、通信制課程では、添削指導また面接指導及び試験の方法により教育ということを行うなど、それぞれの課程の特性を生かした教育が提供されているところでございます。

 また、全日制、定時制、そして通信制、どの課程を選んでも、初等中等教育の総仕上げとして、義務教育の基礎の上に、社会で生きていくための必要な力、これを身につけていることが必要でございます。

 文部科学省といたしましては、定時制、通信制課程の特性、これをしっかりと生かした効果的な学習プログラムのモデルの構築に向けた調査研究、そして、一部広域通信高校での学校運営や教育活動等に問題が生じたことを踏まえまして実施している点検調査等、これを通じまして、引き続き、定時制、通信制高校の質の確保そして向上に向けて努めてまいります。

古田委員 しっかり質の確保に努めていただきまして、社会に貢献するような人材を育てていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 次に、柴山イニシアティブに関連して、お伺いをいたします。

 現状では、日本の研究力は、諸外国に比べて相対的に低下しているというふうに言われております。博士課程の在籍者数は、日本は横ばいで、諸外国は増加傾向にあるということですね。また、学士、修士、博士とストレートに進学する者は、平成十五年に比べて、平成三十年は四八%も減少をしているとのことです。さらに、我が国の博士号取得者数は、諸外国の約二分の一と低い水準で、国際競争力に勝ち抜いていくには心もとない感じがしております。

 科学技術の発展のためにも、博士課程への進学者をふやすことが必要ですけれども、そのためにこれまでどのような対策をとってこられたのか、今後、さらにどのような対策をとろうとされているのでしょうか。

 また、博士号を取得しても就職先の確保が難しいので、修士修了後、企業に就職してしまう学生が多くなっているのではないかと思います。博士課程修了後にある程度生活が保証されることになれば、博士課程に進学しようと考える学生もふえると思われますけれども、就職等の支援はあるのでしょうか。あわせてお伺いをいたします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 博士後期課程への入学者につきましては、平成十五年度で一万八千二百三十二名、これがピークでしたが、平成三十年度には一万四千九百三名、約一八%減少しております。先生御指摘のとおり、将来的な国際競争力等の地盤沈下を招きかねない危機的な状況と、文部科学省としても受けとめているところでございます。

 本年一月の中教審でまとめられた提言におきましては、博士課程のカリキュラムと社会や企業等との期待の間にギャップが生じているということから、進路に対する不安、あるいは博士課程への進学をちゅうちょさせる原因となっているということが指摘されております。

 このため、文部科学省といたしましては、優秀な人材の博士課程への進学を促進するために、博士課程教育リーディングプログラムあるいは卓越大学院プログラムなどの事業を通じまして、社会や企業の求める普遍的なスキル、リテラシーを彼らが身につけられるよう、各大学院における教育の見直しを促進しているところでございます。

 経済的な支援策といたしましては、日本学術振興会の特別研究員事業、日本学生支援機構の奨学金事業における業績優秀者免除などを進めるとともに、志願者が将来的見通しを持って進学の可能性を判断できるよう、これら国の施策による経済的支援対象者の決定時期の早期化、あるいは、大学が経済的支援について大学院入学前から情報提供することの努力義務化を定める省令改正に、今後取り組んでいきたいと思っております。

 就職支援に関しましては、平成二十九年度末時点で博士課程教育リーディングプログラムを修了した者のうち、約四割が企業や官公庁に就職するなど、進路の多様化の成果が出始めております。

 文科省といたしましては、この博士課程修了者の就職先の確保という観点からも、先ほど申し上げましたような、大学院教育の見直しあるいは事業の展開を更に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

古田委員 今言われたような博士課程の学生に対する支援の状況をしっかり学部の学生に伝えていただきまして、学部の学生が博士課程に行きたいというような状況をつくっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 次に、科研費についてお伺いいたします。

 若手研究者を支援しようということで、科研費を若手に手厚く配分されることになると思います。これまでと具体的にどのように変わるのか、配分額の割合など、目標はあるのでしょうか。また、予算が限られている中、採択する場合に、件数を絞って申請額にできるだけ近い額を認めるのか、あるいは、申請額を減額してでも採択する件数をふやすのかも重要な判断ではないかというふうに思います。

 若手研究員にとって、初めて科研費をとれたときには、自信もついて、やる気も出ると思います。また、海外での学会に出かけていろいろな研究員と交流することで、その後の研究に大いにプラスとなると思いますので、若手研究員へ手厚く配分するということには賛成です。

 しかし、そのために、他の研究者に大きなしわ寄せが来ても問題だというふうに思います。私の尊敬する先輩、七十歳を超えて科研費をもらえたということで、大変喜んでおりました。若手研究者の育成も大変重要ですけれども、長年研究を続けていくことによって大きな成果が出ることも多々あります。研究内容を十分に吟味して、慎重な採択をすることを要望いたしますけれども、いかがでしょうか。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただきました科学研究費助成事業でございますが、我が国の科学力を強化するためには、国力の源である学術研究を担う若手研究者の育成、確保が重要であるというふうに考えてございます。

 二〇一八年度の第二次補正予算案におきまして、先ほどの科学研究費助成事業、いわゆる科研費でございますけれども、五十億円。また、二〇一九年度予算におきましても、対二〇一八年度当初予算と比べますと八十六億円増になる二千三百七十二億円を計上しております。

 特に、若手研究者を対象とした種目、若手研究という種目の新規採択を大幅増額させるなどの取組を実施しておりまして、これによりまして、これまで若手研究者が一万人ほど採択をされていたわけでございますが、これが一万二千人以上に増加する、二千人以上増加するというような予算でございます。

 一方で、御指摘いただきましたように、若手研究者だけではなくて、全ての研究者を対象としております例えば基盤研究Cという種目がございます。こうした学術の多様性を支えるかなめとなる種目、基盤研究Cの拡充も盛り込んでいるところでございます。

 文部科学省としましては、引き続き、科研費制度の充実を通じまして、研究者の自由な発想に基づく研究の支援の強化を図ってまいりますし、また、配分額の御指摘もございましたけれども、これにつきましては、例えば小型の種目、先ほどの基盤研究Cですとか、あるいは若手研究といった種目については、より多くの方に採択がいくように、採択率の方をどちらかというと優先して上げるように努力をしております。

 それから、特別推進研究ですとか挑戦的研究のような、額が大きい大枠型の種目ですとか挑戦的な研究種目については、より厳選して採択するということで、私ども充足率と言っておりますが、応募額に対する配分額の率を、そちらの方は高くして、より厳選した配分ということを行っているところでございます。

 こうした助成の目的の達成に向けまして、適切な配分が行われるようにもあわせて努めてまいりたいと思っております。

古田委員 ありがとうございます。しっかり予算の確保をよろしくお願いいたします。

 「はやぶさ2」による小惑星リュウグウへの、ことし二月の着陸、そして四月五日には人工クレーターをつくる実験を成功させました。「はやぶさ2」には三百社近くの日本企業が毎回、開発、製造に参加して、技術を結集したとのことでありました。

 中国は、ことし一月に地球から見えない月の裏側に着陸することに成功しております。また、アメリカは、昨年十一月に火星への着陸に成功しております。

 宇宙開発にかける資金は、アメリカでは、NASAの予算に防衛関連の予算を含めると四兆五千億円、中国も同程度ではないかというふうに言われているそうですけれども、日本は、JAXAと防衛省の宇宙関連予算を含めても三千億円足らずということで、アメリカの一割程度というふうに言われております。

 日本の技術力の高さ、そしてまたチームワークのよさというのはすばらしいものがあります。世界にもっともっと発信することによりまして、日本の宇宙開発のビジネスにつながることになります。また、日本の子供たちにとっても、将来、宇宙開発の仕事をしたいと思う子供がふえて、日本の技術力の発展、また宇宙の謎の解明につながると思いますけれども、どのように情報発信されているのか、お伺いをいたします。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 「はやぶさ2」につきましては、二〇一四年に打ち上げられて以降、小惑星リュウグウへの到達、タッチダウンの成功、人工クレーター形成実験の実施など、さまざまなミッションを実施してきております。その成果は、国内外のメディアにも数多く取り上げられており、我が国から生まれたこのような成果を、国内のみならず、海外に向けても発信していくことは重要と認識しております。

 この一環といたしまして、学術論文や学会での発表に加えまして、本年二月及び四月に開催されました国連宇宙空間平和利用委員会、こちらの小委員会におきまして、我が国の発表の中で、「はやぶさ2」の成果についても言及いたしました。

 また、JAXAにおきましても、本年四月に米国で開催された宇宙関連最大のシンポジウムと言われますスペースシンポジウムにおきまして、JAXA理事長による講演時に、「はやぶさ2」による小惑星へのタッチダウン成功の様子を動画により紹介するなど、積極的な成果発信に取り組んでいるところでございます。

 また、「はやぶさ2」の活躍を通じまして、子供たちの科学技術や宇宙に対する関心を高め、理解増進を図ることも重要でございます。今回の「はやぶさ2」に関しまして、JAXAにおいて、パブリックビューイングによるタッチダウンの実況中継や子供向け講演会の実施などの取組にも注力しております。

 また、わかりやすい映像発信の観点からは、マスコミとのタイアップによりまして、「はやぶさ2」の宇宙探査の様子を、非常に精細な映像で可視化する取組も実施いたしました。

 「はやぶさ2」は、二〇二〇年に地球への帰還が予定されておりますが、文部科学省といたしましては、一連のミッションが今後着実に実施されますよう、JAXAをしっかりと支援するとともに、国内、海外ともに、さまざまな機会を通じて、「はやぶさ2」による成果の発信に取り組んでまいります。

古田委員 ぜひ、他の省庁を巻き込んで、情報発信していただきたいというふうに思います。

 次に、児童生徒のいじめ、暴力について質問いたします。

 いじめの認知件数なんですけれども、小中高の合計の件数では、平成二十三年度は約七万件、平成二十四年度は二倍以上の十九万八千件、その後、余り変化がなくて、平成二十七年度までは二十万件程度で推移していましたけれども、平成二十八年度には三十二万三千件、二十九年度には四十一万四千件と、大きく増加をしております。

 特に、小学校の増加の割合が大きくなっていますけれども、その原因はどのように考えられているのか、お伺いをいたします。

永山政府参考人 まず、平成二十四年度の増加の件ですけれども、当時、大津市の中学生が自殺をした事案を受けまして、平成二十四年八月に、従来の調査とは別途、いじめの緊急調査を行うとともに、その結果を踏まえて、いじめの早期発見や十分な対応等について、学校や教育委員会に対して改めて指導を行ったところでございます。

 こうした中で、先ほど御指摘のあったような大幅な増加があったということでございますが、この増加の要因について、当時、県の教育委員会等に聞き取りを行ってみたところ、例えば学校においてささいなことでもいじめの訴えに積極的に対応したりアンケート等の工夫改善を行ったりした、あるいは教育委員会においてより積極的な対応を学校に指導した、また社会的な意識の高まりにより子供や保護者から学校への相談がふえたなど、平成二十三年度以前と比べて、学校、教育委員会等においていじめを積極的に認知していこうという考え方が浸透したことによるものであったと考えております。

 それから、二十八年度、二十九年度における特に小中学校のいじめの認知件数ですけれども、これも御指摘のように大幅な増加があったわけですけれども、その要因といたしましては、平成二十七年にいじめ防止対策推進法の定義に即しましていじめの積極的な認知を促す通知を発出するとともに、平成二十八年度より文科省の職員を各地の教育委員会等に派遣していじめ問題に関する行政説明を実施するなど、いじめの積極的な認知を促してきたことが影響していると考えております。

 文科省といたしましては、引き続き、さまざまな機会を捉えて、いじめの正確な認知を行うよう必要な指導助言を行ってまいりたいと考えております。

古田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、暴力行為の発生件数ですけれども、小学校については平成十八年度以降増加傾向で、平成二十五、二十六年度は一万一千件程度だったんですけれども、平成二十七年度には一万七千件、平成二十八年度には二万三千件と、大きく増加をしております。

 一方、中学校、高校につきましては減少傾向にあります。生徒数が減っているので絶対数も減っているのかなという感じもしますけれども、件数だけじゃなくて生徒千人当たりの発生数も減少傾向です。

 そのあたりの原因はどのように分析しておられるんでしょうか。

永山政府参考人 まず、小学校における近年の暴力行為の増加の背景の一つには、平成二十五年にいじめ防止対策推進法が施行されまして、けんかやふざけ合い、暴力行為等であっても、背景にある事情の調査を行いまして、児童生徒の感じる被害性に着目をして、いじめとして認知を行うようになった、それに伴いまして、特に小学校低学年における暴力行為の認知と調査への計上がより進んだ面が大きい、一つあると考えております。

 一方で、中学校、高等学校で暴力行為の発生件数が減少傾向にある理由については、数年来充実してまいりましたスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用ですとか、警察や児童相談所との連携などが複合的に効果を発揮しているのではないかと考えております。

 文科省としては、引き続き、暴力行為等の問題行動を起こす生徒に対し学校において毅然とした指導及び適切な対応を行うよう、指導の徹底に努めてまいりたいと考えております。

古田委員 滋賀県大津市で平成十一年度に中学一年生が自殺した問題で、大津市ではいじめ対策に効果的な取組を始めているという報道がありました。

 大津市教育委員会は、市立小中学校から寄せられたいじめ関連の報告を、AIで児童生徒への声のかけ方や家庭訪問のタイミング、早期に解決したケースや長期化した問題点などを分析して、有効な解決策を導き出そうとしているとのことです。

 まずは二〇一三年から一八年度の九千件について分析を始めるとのことですけれども、大津市だけでなく、全国規模で事例を集めて多くのデータを蓄積していけば、より効果的な方法を導き出せるのではないかというふうに思います。

 最終的に解決策を判断するのは人間だとは思いますけれども、AIの活用は解決策をより早く導き出すのに非常に有用な手段だと思いますけれども、文部科学省の考えをお伺いいたします。

永山政府参考人 御指摘のありました大津市の事例ですが、私どもも問合せをいたしておりまして、約九千件のいじめ事案報告書をAIを用いて分析する、それで、その特徴や傾向等の把握、それからAIに専門家の知見を習得させた上で、新たないじめ事案が発生した場合にAIを用いて注意すべき事案を予測する、こういったことを内容とする事業を実施予定と伺っておりますし、その分析結果も、概要をリーフレットにして教職員に配付をする、あるいは研修における活用を予定しているというふうに伺っております。

 私どもといたしましても、いじめの早期発見あるいは早期対処に資する多様な調査研究の取組が実施されることは大変重要であると考えておりまして、大津市を始めとする先進的な取組の成果に今後注目をしてまいりたいと考えております。

古田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 時間がもう参りますので、ちょっと質問を飛ばして、一番最後の質問に行かせていただきます。

 私がことしの二月の予算委員会の第四分科会で質問した高等教育の無償化に関連してですけれども、無償化の対象となるのは、大学、短期大学、高等専門学校それから専門学校の学生で、高等専門学校については四年生、五年生が対象です。

 一方、高校の専攻科の修了生、高等専門学校と同じように大学の三年生に編入できるんですけれども、高専の四年、五年に相当する学年は無償化の対象で、高等学校の専攻科の学生は無償化の対象となっていません。また、特別支援学校の専攻科も対象となっていないということで、無償化の対象にしていただきたいというふうに要望しました。

 そのことに対しまして、柴山大臣からは、専攻科は資格取得に対応した教育を行っている課程があり一定の社会的役割を担っており、実態を丁寧に研究していきたいと答弁されましたけれども、その後の進捗状況についてお伺いをいたします。

永山政府参考人 御指摘の高等学校それから特別支援学校の専攻科ですけれども、確かにその教育内容にはさまざまな実態があるというふうに思っております。

 その後、さまざま私どもは検討を行っているわけですけれども、まず、専攻科の学科あるいは教育内容、さらに修了後の生徒の進路、授業料それから実験実習費等の教育費負担の状況、そういったものについての実態調査、これに着手をしたところでございます。

 御指摘の点に関しましては、その実態を踏まえまして、今後しっかり研究してまいりたいと考えております。

古田委員 どうもありがとうございます。

 時間が参りましたので終了いたします。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。

 きょうは一般質疑ということでございますので、まずは冒頭、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関しまして鈴木大臣にお伺いをしたいというふうに思っております。

 いよいよ大会の開催を来年に控えまして、大変重要な時期に入ってきております。大臣にはぜひこの大会の成功に向けて万全を期していただきたいというふうに思っております。

 冒頭、私の方からお伺いをしたいことは、この東京オリンピック・パラリンピック競技大会の文化プログラム、これについてお伺いをしたいというふうに思っております。

 と申しますのも、私、公明党の方で今、文化局長ということで、文化の関係の政策を責任を持てということで拝命をしております。よく、この東京オリパラ大会、スポーツの祭典だというふうに言われることは大変多うございますけれども、しかし、実際はスポーツと文化の祭典ということでもございまして、オリンピック憲章を見ましても、その哲学というものがうたわれておりますし、また、文化プログラムを実施するということを実際に書いておるわけでございます。

 ただ、こうした取組を進めていくということは、私は、まだまだ国民の皆さんの間でも認知度をしっかり上げていかないといけないなとも感じておりまして、ちょうど昨年に、東京都がこれに関して調査もしたというふうにお伺いをしました。そうすると、東京都の三分の二の方は、文化プログラムをやっていくよ、こういうことを余り御存じない、こういうふうな結果も見たこともございます。東京でそうでございますので、ましてや全国のほかの地域ということであれば更に認知度も低いのではないかなというふうに思っております。

 公明党は、文化プログラムに関しまして毎年提言や要望も行わせていただいておりますし、また、この文化プログラムをしっかり成功させる、日本の文化をしっかり世界に発信をしていくというのも非常に大事でありますし、また、この大会の文化プログラムをしっかりレガシーにして、文化芸術の国づくり、町づくり、こういうものをしっかり進めていかないといけないのではないか、こういうことも昨年提言をさせていただいております。

 冒頭、鈴木大臣の方に、東京オリパラ大会の成功に向けた、特にこの文化プログラムに触れていただきまして、どうやって推進をしていくのか、こういうことについてまずお伺いをしたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 中野先生の御指摘のように、オリンピックはスポーツの祭典とともに文化の祭典でもありまして、特に、東京大会が開かれますと世界の注目が日本に集まるわけでございますので、そのときに、日本の持つ多様な文化、その魅力を発信するという意味におきましても大変大きなチャンスである、そういうふうに思ってございます。

 文化プログラムの推進をどのように取り組むかという御質問でございますが、大会まで四百六十四日となりました。東京都、組織委員会、関係省庁等が、文化プログラムを一体的に推進するため、連絡会議の開催等を通じまして情報を共有して、ともに連携をしながら取り組んでいるところでございます。

 一例を挙げますと、東京都におきましてはTokyo Tokyo FESTIVAL、そして組織委員会におきましては東京二〇二〇NIPPONフェスティバルを行うこととされております。

 加えて、内閣官房オリパラ事務局では、多様性や国際性に配慮して日本文化の魅力を発信する取組をビヨンド二〇二〇プログラムとして認証いたしまして、多様な主体の参加を促しているところでございます。

 また、文化庁を中心に検討が進められております日本博は、文化プログラムの中核的な事業と位置づけられておりまして、美術展、舞台芸術公演、文化芸術祭等を全国で展開することとしております。

 引き続きまして、関係機関と密接に連携をしながら、文化プログラムを全国各地で展開をする、先生がおっしゃったように、まだ十分にこのいろいろなことが知られていないということもあると思いますので、PRにも力を入れながら、大会への機運醸成につなげてまいりたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 大臣におかれましては、大会の成功に向けたこうしたさまざまな取組をぜひしっかり進めていっていただきたいと、改めてお願いを申し上げる次第でございます。

 この東京オリパラ大会に向けた日本博、先ほど大臣にも中核的な事業ということで挙げていただきました日本博、これを始めとして、さまざまなプログラムや文化行事というものを行っていくわけであります。

 こうしたさまざまな文化行事の中で、開催を間近に控えているものの一つに国際博物館会議、ICOMというものがございまして、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

 これは担当でいくと文化庁の方ということでございますので、柴山大臣の方に、ICOMに関連して、ちょっと幾つかお伺いをしたいというふうに思います。

 このICOMというのは、国際博物館会議ということで、百四十一カ国・地域の博物館の関係者、約三万七千人の会員が参加をしておる、こういった会議体でございまして、三年に一回国際会議を開催いたしまして、世界じゅうからさまざまな博物館の関係者が一堂に会する、こういう会議でございます。そして、二〇一九年、ことしがまさに次のICOMの国際会議でありますけれども、これは日本で開催をされる。日本で開催をするのは今回が初めてだということでございます。京都で大会が開催をされる予定になっております。世界じゅうの博物館の関係者が一堂に会する場ということでございますので、これを成功させることで、日本の文化の持つ魅力というものを大きく世界に発信をすることができるのではないか、このように考えております。

 そして、本会議の成功を導くためには、組織委員会が中心となっているわけでございますけれども、文化庁の地域文化創生本部、今、京都で本部を置いて活動しておるということでございますので、文化庁はもちろん、この京都にいるチームがしっかり地元と連携をする。具体的には、京都府であるとか京都市であるとか、こうした地方自治体にしっかりと支援をいただきながら取組を進めていく、これがやはり大会成功の鍵である、このように考えております。

 そこで、まず大臣に、このICOMの開催に向けまして、地元の自治体の支援の状況あるいは準備の状況、こうした現在の状況についてどのような御認識かということを冒頭お伺いをしたいというふうに思います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 ことし九月のICOM、国際博物館会議京都大会ですけれども、今御紹介をいただいたとおり、世界各国から三千人規模の博物館関係者が一堂に会する世界大会でありまして、我が国の博物館の取組やプレゼンスをアピールするとともに、世界各地の博物館関係者に日本文化を発信する絶好の機会だと考えております。

 本会では、隈研吾氏などの基調講演、アジア美術や防災などをテーマとする全体会合、三十の専門分野ごとの国際委員会の会議などが行われる予定でありまして、現在、大会組織委員会によってプログラムが順次公表され、参加者の登録受け付けも順調に進められております。

 また、今御指摘があったとおり、開催地の京都府や京都市においても、オープニングパーティーのほか、二条城等での歓迎イベント、博物館への訪問ツアーの準備が進められておりまして、実は、私も三月に京都府知事や京都市長とお目にかかりまして、大会への一層の協力を要請し、よく連携して準備を進めていくこととしております。

 文部科学省といたしましては、より多くの博物館関係者への周知に協力するとともに、本大会や関連行事への支援を行うなど、大会の成功に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 ICOMのこの京都大会というのは、やはり日本で初めてということで、ぜひとも成功させなければいけないと思っておりますし、大臣にも大変力強い答弁もいただきましたので、ぜひしっかり文化庁としてもこれを進めていくということで、よろしくお願いをいたします。

 大会そのものを成功させるということも大事なんですけれども、これを契機にどのようなことを後にレガシーとして残すかということも、私は、これも、先ほどの文化プログラムではないですけれども、やはり重要だというふうに思っております。

 今回、公明党におきましても、博物館の関係者の皆様からさまざまヒアリングを行っておりまして、例えば、今、東京国立博物館、こういうところでは改革プランというものをつくっていただいて、つまり、ただ収蔵品を並べるというだけではなくて、文化の持つ魅力がより伝えやすくなるようにする、それも、日本人だけではなくて、インバウンドの外国人の方もいっぱいいらっしゃるということでございますので、やはり解説のあり方であるとか展示の仕方であるとか、さまざまなことを大きく見直す取組もやっていく、こういうことも伺ったわけでございます。

 私も、地元の兵庫県でも、兵庫県立美術館、蓑館長という大変有名な館長がいらっしゃいますけれども、これも御意見を頂戴いたしまして、博物館側としても、すばらしい作品があるから見てくださいというふうに単に待っているだけではもうだめなんだということをおっしゃっておられました。やはり、鑑賞者の方がしっかり来ていただけるように、これでもかこれでもかというぐらい努力して工夫を重ねていかないといけない、こういう趣旨のことをおっしゃっておられました。

 やはり、国内各地の美術館、博物館、さまざまございますけれども、ICOM京都大会、こうした大会に参加をするということを契機といたしまして、それぞれの館の改革をしていくということが大事なのではないかと思います。

 こうした地域の大きな文化資源でございますので、こうしたものがやはり、魅力が伝わる、資源を磨き上げる、魅力を磨き上げる、こういうことでインバウンドやあるいは地方の魅力そのものも上がってくるのではないか、大きくそれに寄与できるのではないか、こういうふうなことも考えております。国としてもしっかりと後押しをしていくべきだというふうに考えますけれども、これも大臣に答弁いただきたいというふうに思います。

柴山国務大臣 実は私、昨年、ベルリンに、北極科学大臣会合という国際会議に出席したんですけれども、そこで、ドイツの博物館が恐竜などの標本の展示をしている脇で、何か、とてつもない、バーなどのイベントが行われていたりと、日本においてはちょっと考えられないような博物館のいろいろな活用方法がとられているのを、非常に大きな衝撃として学ばせていただいたところでもございます。

 ICOM京都大会では、文化をつなぐミュージアムをテーマに、伝統的な文化を生かしながら豊かな未来を創造する文化的な拠点としての博物館の一層の発展に向けた議論が行われるということでありまして、本大会を契機に、全国各地の博物館で、それぞれ各館の魅力を生かして、インバウンド促進などにつながる新たな価値を生み出す活動が能動的に行われるということをぜひ期待したいというように思います。

 文部科学省では、博物館を中核とした文化クラスター形成事業により、観光や町づくりとあわせた博物館活動を支援しておりまして、先ほど鈴木大臣の方から御紹介をいただきました日本博も契機としつつ、魅力的な多言語化あるいは多様なプログラム提供などに取り組む東京国立博物館のトーハク新時代プランの横展開を図るなど、各地の博物館の意欲的な取組を一層進めていきたいと考えております。

中野委員 博物館の関係で私がもう一つお伺いをしたいのが、教育とのかかわりというか、子供たちとのかかわりということであります。

 党の方でも関係者のヒアリングの中で、やはり、日本と海外の美術館、博物館の違い、先ほど大臣、まさにドイツに行かれたときの御経験を話していただきましたけれども、単に作品を展示する場所なのかと。海外の場合は教育の目的のためにこうした場所をそもそもつくっているんだという意識が高いというのは一つ大きな違いではないか、こういうふうなことも聞いたことがございます。例えばの事例でいいますと、アメリカなどでは小中学校の授業の場所として美術館で授業をするというふうなことはよくあるというふうなこともお伺いをしました。

 やはり、子供の感性というものは、授業で先生が教えてということもあるのでしょうけれども、しかし、実際にそうした芸術、一流のものに触れる、そうした経験の中から非常に磨かれていくのではないかというふうに思います。ですので、子供のときに一流の文化芸術に触れる、感動を与えるということは大事だというふうにも思っておりますし、党としても、最低年に一回以上は子供に文化芸術の鑑賞、体験の機会をつくるべきだと、いつも訴えさせていただいております。

 こうした子供が芸術に触れる機会の増加ということを大臣にもぜひ意識をして進めていただきたいと思いますし、また、今回のICOMにおいても、ぜひ子供たちがこうしたことに何らかの形で参加ができるようにしていただけないかとも思っております。具体的なプログラムはまだ検討中だと思いますけれども、こうしたICOMへの子供たちの参画、こういうものにつきまして、どのように検討されるのかということをお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 ICOM京都大会を契機に、子供たちが世界各国の博物館関係者と触れ合い、交流することによって、子供たちが博物館に親しみ、理解を深めるということは大変有意義だというように考えております。

 文部科学省では、京都府や京都市と協力して、大会期間中に博物館子供フォーラムを開催して、日本の子供たちと大会に関係している国内外の博物館関係者との交流ですとか意見交換を行うこととしております。また、大会会場において博物館や教育機関などがブース出展する中で、例えば、和歌山県の子供たちが防災やバリアフリーの観点で地元博物館と共同した取組、こういった取組なども紹介をしていきたいというように考えております。

中野委員 ありがとうございます。前向きな答弁もいただきましたので、ぜひ進めていただければというふうに思います。

 文化財の関係でちょっと最後にもう一問だけ大臣にお伺いをしたいんですけれども、フランスでノートルダム大聖堂が非常に大きな火災になったということがニュースにもなりました。火災の原因というのはよくわからないということではございますけれども、本当に痛ましいというか、大変な火災であったというふうに思っております。

 他方で、日本においても、さまざまな文化財がございますので、同様のことというのはやはり生じ得るのではないか、こういうふうにも思っております。日本の文化財の防火対策というか、こういうものについてもやはり点検をしっかり進めていかないとというふうに思っております。

 ですので、柴山大臣の方に、このノートルダム大聖堂の火災に関連して、どのように受けとめられているのか、そしてまた日本の文化財に関しては、どのような対策、あるいは現状の御認識なのか、今後どういう対策を考えておられるのか、こういうことについてお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 フランスのノートルダム大聖堂での大規模な火災により、世界的に貴重な文化遺産が焼損をしたことは、大変な衝撃を受けております。文化財を所管する文部科学大臣として深く心を痛めておりますし、フランス政府と国民の皆様に対しましては謹んでお見舞いを申し上げます。

 文部科学省といたしましては、フランス政府より何らかの技術的支援などの要請がございましたら、積極的に検討していきたいと考えております。

 その上で、日本の文化財の防火対策でありますけれども、文部科学省では、重要文化財防災・耐震対策重点強化事業によって、災害や故意の毀損から文化財を守るための防災対策を講じております。そのうち、火災については、自動火災報知機などの設備ですとか消火栓などの設置、更新に対する支援を行っております。また、昭和三十年から、毎年一月二十六日ごろですけれども、文化庁、消防庁、都道府県・市区町村教育委員会、消防署、文化財所有者や地域住民等が連携して、防火訓練や意識啓発のための、全国で、文化財防火運動、これは文化財防火デーというのですけれども、展開をしているところであります。

 ただ、今般のノートルダム大聖堂の焼損を踏まえ、文化庁で改めて国宝、重要文化財の防火対策等について緊急に点検を行うことといたしました。その結果も確認しつつ、木材等も多いですから、着実な防火対策の実施や補助事業の活用の促進など、着実な防火対策の徹底を図っていきたいと考えております。

中野委員 今回の大火災も原因はちょっとよくまだ特定はされていないということだとは思うんですけれども、先ほど緊急に点検もしていただくということで大臣からも御答弁いただきましたので、しっかり、そうした点検結果も踏まえて、必要な対策というのをぜひ講じていただきたい。やはり、私もニュースを拝見をしまして大変な衝撃も受けております。同じような、本当に貴重な文化財というものが失われてはならないなという思いも強くしておりますので、また対策の強化をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、リカレント教育に関連をしてちょっと何問かお伺いをしたいというふうに思います。

 学校教育法等の一部を改正する法律の議論の中でも、これから十八歳人口が減少していくという中で大学の果たすべき役割ということで、リカレント教育が大事だ、こういう指摘もございましたし、私も、たしか前の国会の一般質疑でもこれについて触れさせていただいたかというふうに思います。

 しかし、参考人のさまざまな、質疑の方のお話も聞いておりましても、やはりいろいろな課題がある、学ぶ側に対してはかなり負担になるという問題もあるし、企業がどう考えるか、あるいは大学がちゃんとした魅力あるプログラムというものを提供できているか、いろいろな課題がありますね、こういう御指摘もあったところでございます。

 そこで、まず総論として、さまざまな指摘もあるところでございますけれども、リカレント教育の推進に向けた全体の取組の方針というものを、まず文部科学省の方にお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 御指摘のとおり、大学でのリカレント教育によりまして、キャリアアップ、キャリアチェンジで求められる能力、スキルを身につける機会が提供されることは極めて重要でございます。

 文部科学省では、企業等との連携による実践的、専門的なプログラムに対して大臣認定を行うことなどにより、大学におけるリカレント教育の推進に取り組んでいるところでございます。

 また、社会人学生の支援の一環として、本年一月、履修証明制度の対象となる最低時間数を引き下げる制度改正を行いました。さらには、本年度から、社会人の学び直しを含む実践的な教育を支える実務家教員を育成、活用するためのシステム構築の新規事業も開始しております。

 先般公表いたしました高等教育・研究改革イニシアティブにおきましてもリカレント教育は重要課題の一つとして位置づけられておりまして、引き続きリカレント教育の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 総論的には御答弁をいただいたところではありますけれども、リカレント教育、どういう形のプログラムを提供していくのかというのがやはり大きな難しい課題かなと思っておりまして。

 学校教育法の議論の際にも、やはり、例えば一年や二年みたいな長期のプログラムというのは、それを受講する社会人の側にとっても、現実的には大変負担も大きいというふうなお話もございました。

 他方で、そうすると比較的短いようなプログラムというものが考えられるのかなと思うんですけれども、実際に、先ほどちょっと履修証明プログラムの話は少し触れていただきましたけれども、短いプログラムであれば、単にそのプログラムを受けましたねというだけで終わってしまって、それが何に結びついていくのかというところが必ずしもはっきりしない、そうすると余り魅力がないという問題もあるかなというふうに感じております。

 そうすると、やはり、先ほど言っていただいたような短いプログラムでも、履修証明として、しっかりこういうものを受けましたという証明が出る、もっと言えば、これを単位として認定をしていただいて、それでそれを積み上げていくことによって付加価値が得られるというような、そうしたリカレント教育の魅力が高まるような制度改正というものもやはり必要なのではないか、私はこう考えますけれども、文部科学省の答弁を求めたいと思います。

伯井政府参考人 御指摘のとおりでございまして、社会人の多様な学習形態に応じて環境整備をしていくということは重要であるというふうに認識しております。

 先ほど申しました、大学等の在学生以外が一定の学習を行った場合に学校教育法に基づく履修証明書を交付することができる履修証明プログラムにつきましては、本年一月、最低時間数の要件を百二十時間から六十時間に引き下げる制度改正を行いました。

 また、こういったプログラムにおける学習を学位の取得に活用できるようということでございますが、一定の条件のもとで当該プログラム全体に対する単位授与を可能とするための制度改正ということも、現在、具体的な検討を行っているところでございまして、文部科学省といたしましては、これらの制度改正を含めまして、大学におけるリカレント教育の内容の充実、履修のしやすさ、単位授与など、必要な取組を進めて、魅力を高めていきたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 大学の側も、恐らくまだまだ、どういうプログラムでやっていくのかというのが、ちょっと正直、手探りなところがあるかなというふうに思っております。もちろん、社会人に向けた、大学によってはやはりそういうのが非常に得意な大学もあるでしょうし、そうすると、非常に人気のある講座というのも、現在でももちろんあるんですけれども、ただ、具体的にキャリアアップであるとかスキルアップであるとか、そういうものに結びついていくようなそういう講座、プログラムというものをつくっていく上では、それをどういう形で、単位というか、認めてあげるのか。それを受けていった先に、例えば単位授与ということで認められるということであれば、それを積み上げていったら何か学位のようなものを取れるとか、そうしたプログラムの魅力をどうやって高めるかということも非常に大事かなというふうに思っております。

 文部科学省で制度の改正も検討しておるということで先ほど答弁いただきましたので、しっかりと進めていっていただきたいというふうに思います。

 最後に、こうしたリカレント教育の必要な分野ということで、以前も同じテーマで質問もさせていただいたんですけれども。もちろん民間の企業でもリカレント教育というのはやっておるんですけれども、そうではない、パブリックセクターというか、例えば公務員や教職員、こういう分野でも学び直しをするような機会というのは非常に多いのではないかということを、以前質問をさせていただきました。

 例えば教職員の分野で、文部科学省の中で見ますと、さまざま研修というものが多い。そうした、学び直しを常にやっていくような、それが教職員という仕事でもございます。法定の研修や、経験、職能に応じた研修や、免許状の更新の講習と、さまざまな講習もございますし、また、大学でのプログラムを活用して講習をしていくケースも大変ふえてきた、こういうことも伺っております。

 ですので、先ほどの質問と少し関連はするんですけれども、例えば、大学が開設をしているようなこうした講習については大学での単位の授与を認めていって、これを積み上げていくと学位や修士になっていくといったようなインセンティブをここに付与してあげる。あるいは、教職員ですと、ほかの免許状を取得するための単位、こういうものもございますので、こういうものとして例えば認めてあげて、こうした学び直しのインセンティブを上げていく。

 こうした工夫というのは、やはり今後も、より学び直そうというふうなインセンティブを上げるという意味では必要ではないかというふうに思いますけれども、最後に、これについて文部科学省の答弁を求めたいというふうに思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 免許状の更新講習、これは、教員として必要な資質、能力が確実に保持されるように定期的に最新の知識、技能を身につけさせるものとして行われているものでございます。したがって、更新講習を受講したことのみで他の教員免許状を取得するための単位ということにはできないところでございます。

 ただ、一方、現職教員が、より上位の免許状、あるいは他の講習、他教科の免許状を取得するための単位を修得できる講習として免許法認定講習という仕組みがございまして、そして、教育委員会、大学等が開設する講習について、この免許状の更新講習と免許法認定講習という両方を、それぞれ申請を行って認定を受けるということも可能になっているところでございます。

 この両者を兼ねた講習を受講いたしました教員は、少ない負担で体系的、効果的に講習の受講ができますし、より上位の免許状や他講習、他教科の免許状を取得しやすくなるといった効果があるところでございます。

 実際に、平成三十年度で全国の十五の大学でこういった取組が行われておりまして、文部科学省としても、平成二十七年度よりこの二つの講習の相互認定が可能な講習の開発、実施のための調査研究を実施して、こういった取組を促進しております。

 引き続き、大学また教育委員会等と連携しながら、この相互認定の仕組みを活用しながら、現職教員の体系的、効果的な講習、そして、新たな免許状の取得を促していきたいと考えているところでございます。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳でございます。

 皆さん、お疲れかもしれませんが、元気を出して質疑させていただければと思います。

 文科大臣はちょっと外されていますけれども、文科委員会ということで、鈴木大臣に質問する前に、別件で少しポイントを申し上げたいと思うんです。

 きょうの日経新聞に、日銀の日本株保有、最大株主、来年末にも公的年金上回るというような記事が出ておりまして、現時点の三月末時点でも、企業の個名を言って恐縮ですが、日東電工の株主として一五・三%、ファナックの株主として一二・七、オムロンの株主として一二・五、日本ハムの株主として一二・二と、こんなような数字が挙がっていて。

 私、この文科委員会では価値の教育ということで質疑させていただいていますけれども、総理もよく言われていますけれども、基本的価値ないし普遍的価値、価値教育といった観点から、これだけ日本の民間企業の株を日銀が持ってしまうというのは、果たして自由主義、資本主義という言葉の価値を共有できる国なのか、行き過ぎた修正資本主義になっていないかという点は、ちょっと指摘させていただきたいと思います。

 次に、英語の語学力の壁みたいなお話をちょっとさせていただきますが、これは産経新聞に、新聞の記事ばかりで恐縮ですけれども、注目されることがありまして、中高の英語力、到達四割、政府目標五割に届いていないということで、中学三年では四二・六%にとどまり、高校三年では四〇・二%ということです。都道府県別で見て注目されるのは、福井県が中学三年で六一・二、高校三年で五六%の達成率を上げているということは注目できるし、政令市でいくと、さいたま市が七五・五、横浜市が五五・九、大阪五二・八、福岡五〇・九、熊本五一・六というような状況でございます。

 私の地元の愛知県の県全体ないし名古屋市という数字が決してよくないという点はまことに残念でもありますし、子供たちの英語力をしっかりとにかくつけさせていただきたい、そうしないと日本は食べていけなくなってしまうのではないかという心配を私はしていますので、英語教育に力を入れる必要があるということを、二つ目、申し上げさせていただきます。

 三つ目、大臣はいらっしゃいませんが、逆に、働き方改革という意味では、大臣は、教員の働き方改革につながるという期待で、教科担任制を言われています。一方で、英語教育が、小学校の五、六年生は教科として、三、四年生は活動として授業に入っていっているという中で、やはり先生方の負担というのが、負担という言葉と負担感という言葉があるようでございますが、教科としての英語の負担感並びに負担。

 それと、これ以外に、適切じゃないかもしれませんが、モンスターペアレンツなんという表現もあったりしますけれども、決して批判的な意味ではなくて、保護者との接し方という点でも学校の先生方は苦労されているという点は当委員会でも共有できるかと思いますので、こういった点も我々は更に話合いを、対話を進めていく必要があるのではないかと思います。

 ちょっと長くなってしまいましたが、オリンピック、パラリンピックについて質問させていただきたいと思います。

 ニュースになっていますが、オリンピック、パラリンピックの日程が発表になった。懸念されるのは暑さ対策、アメリカのテレビ対策への配慮じゃないかみたいな新聞記者の質問も室伏さんにあったりしたかと思いますけれども、私としては、商業主義にならずに、外務省等が推進していますSDGs的な、持続可能性という点でこのオリンピック、パラリンピック、復興のオリンピック、パラリンピックでもありますけれども、そういった観点もぜひ持っていただきたいと思います。

 それで、大臣が十九日に被災三県に、前大臣のこともあり、おわび行脚というかに行かれるということを伺っています。

 私も、三月十一日のできるだけ早いタイミングでと、一週間しないうちに、実は、被災した東北の中で一番最初に行ったのは山田町なんです。そこで大臣のお父様でいらっしゃる鈴木善幸元総理の銅像も拝見してきましたし、本当に津波の悲惨な状況で、郵便局の上に漁船が乗っているとか、介護施設の三階建ての上に高級なポルシェが乗っかっているとかいうのを拝見しましたし、一方で、神社は、必ずと言ってよかったと思いますけれども、山田町でも全部山の上にあって全部守られていたという、昔の方々の知恵といったものを本当に大事にしていかなきゃいけないし、決して、被災したことを我々は生涯忘れてはならないし、政治家は常に心の中にとめて、常にルック東北ということで当たっていかなければならないと改めて私も認識させていただきます。

 そんな意味で、大臣は十九日に行かれるわけですけれども、私のお願いとしては、大臣の職を短く終わるのではなくて、ぜひとも、これは総理が決められることで、大変御無礼な物言いかもしれませんが、もし内閣改造があったとしてもぜひ続投をして、本当に東北のために、オリンピック、パラリンピックをそういった復興五輪・パラリンピックとして成功していただきたいという思いの中で、先般の大臣所信的発言について質問をさせていただければと思います。

 最初に、大臣に御答弁いただく予定のところを先に全部質問させていただいて、その上で、政府参考人からの、時間があれば御答弁を順次いただきたいということで進めたいと思います。

 それで、全体の経済効果ということも考えなきゃいけないので、これは追ってお伺いしますけれども、復興のために、これから行脚される福島県、言葉を言い間違えては絶対いけませんが宮城県、岩手県への、現時点で把握されている経済効果を確認させていただければと思います。

鈴木国務大臣 被災三県、福島、宮城、岩手県への経済効果についての御質問でありますが、御指摘の各県の具体的な経済効果というのは示されていないというのが事実でございます。

 ただ、二〇二〇年東京大会は、これはもう復興オリンピック・パラリンピックというのが基本的な一つのコンセプトであるわけでありまして、今、被災三県におきましては、復興オリンピック・パラリンピックの機運醸成をするということに向けてさまざまな取組が行われ、また、これからもその取組が行われていくということであります。

 例えば、被災三県の食材、木材を積極的に活用するということでありますけれども、殊に木材につきましては、新しくつくります新国立競技場、これはぐるっと軒ひさしを木材でつくるわけでありまして、これは全ての都道府県のものを使うわけでありますが、それに加えて、東側と北側のエントランスのゲートにおきましては、被災三県の木材を軒ひさしに活用するということを決めているところでございます。

 今後、被災地を駆け抜ける聖火リレー、また、復興「ありがとう」ホストタウンというものも進めているわけでありますし、それから、オリンピックが始まりますと、東京二〇二〇ライブサイトなどの開催、そういうものが取組として行われまして、内外の多くの方々が被災地を訪れていただく機会になると思っております。

 こうした食材や木材の活用、被災地で行われる取組を進めることによりまして、具体の数字はないのでありますけれども、経済面においても一定の効果があるもの、そのように考えております。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 具体の数字がないということなんですけれども、東北被災三県を元気づけるには、具体の数字があった方が、何だ、こうやってオリンピック、パラリンピックは我々にこんないい影響を与えてくれるんだという、勇気づけるというか、元気づけるというか。

 そういった意味で、政府の数字じゃなくていいかもしれないので、民間の調査機関が発表するような数字でもいいと思いますので、あるのかもしれないですけれども、もしあればそれをもうちょっと広めるとか、そういうことで福島県や宮城県や岩手県の方々に、本当に、八年たちましたけれども、いよいよオリンピックで、我々はいつも一緒に寄り添わせていただいている、みんな日本の仲間です、当然そうなんですけれども、そういう発信をしていくためにも、具体の数字をちょっと我々は考えていく必要があるのではないかと申し上げさせていただきます。

 次に、これは確認になるかもしれませんが、改めて大臣から発信していただくという意味で、オリンピック、パラリンピックのプログラムで、被災三県で具体的に開催されるものがあれば、ホストタウンという形は当然あると思いますが、そういったものがあれば教えていただければと思います。

鈴木国務大臣 大会の開催に先駆けまして聖火リレーが行われるわけでありますけれども、聖火は、ギリシャで採火された後に、二〇二〇年三月二十日に宮城県にあります航空自衛隊松島基地に到着をいたします。その聖火は、リレーが行われる前に、復興の火といたしまして宮城県、岩手県、福島の各県において展示をされた後に、三月二十六日に、福島県のJヴィレッジを出発地といたしましてリレーがスタートすることになります。

 また、福島県のあづま球場では、大会の最初の競技といたしましてソフトボールが開催されるわけでございます。これは開会式に先立って競技が行われるということで、ほかにも野球の開催が予定されていますし、宮城県の宮城スタジアムではサッカーの開催も予定をされております。

 さらに、組織委員会が主催をいたします東京二〇二〇NIPPONフェスティバルでは、そのプログラムの一つといたしまして東北復興をテーマとした事業が検討されておりまして、東北各地や東京を舞台に文化プログラムを展開し、国内外への東北の現在の姿を発信することとされております。

 加えて、岩手、宮城、福島の各県では、東京都と組織委員会の共催によります東京二〇二〇ライブサイトというものも設置をして開催する予定といたしております。

 政府としても、被災地の自治体が、震災時に支援してくれた国や地域に感謝を込めて、復興しつつある姿を見ていただきながら交流を行う復興「ありがとう」ホストタウンなどの取組をしっかり進め、被災地の復興の後押しと、また発信につなげていきたいと思っております。

杉本委員 ソフトボール、野球、サッカーという御答弁もいただきましたし、重ねて御答弁いただいたこともあるかと思いますが、象徴的に、Jヴィレッジといえば、F一の、福島第一原発の、いわゆる我々が現場を見せていただくところのスタート地点というようなことで、私も拝見させていただいて、二度とこのような原子力事故があってはならないという認識をさせてもいただいていますけれども、その象徴的なところのJヴィレッジから聖火が公式上はスタートするというようなことも、非常に有意義なことであると私は思います。

 飛びまして、大臣の所信のお言葉の中で知見というお言葉があって、既存開催国の視察により得た知見というのは、前に大臣をされていたときのお話だったかに記憶していますけれども、具体的にどのようなところを知見として得ていらっしゃったかということを、改めてちょっと深掘りさせていただければということで、大会ごとに、こんなところがあったんだというようなことで、逆に参考にしたいというようなことがありましたら、教えていただければと思います。

鈴木国務大臣 前回の任期中に、過去大会の開催都市でありましたシドニー、リオデジャネイロ、平昌、ロンドンを訪問いたしました。

 その中で、印象に残っていることだけお話をいたしますと、シドニーでは、アンチドーピングにつきまして、オーストラリアの関係機関でありますオーストラリア・アンチ・ドーピング・オーソリティーを訪ねました。そこでは、その組織に法律によりまして情報収集の権限が与えられているということで、大変大きな権限を持ってアンチドーピングに取り組んでおる。

 そしてもう一つは、大人の選手になって取り締まるということも重要でありますが、子供のうちから、子供の選手にアンチドーピング教育をして、ずるをして勝利をしてもそれは意味がないんだ、そういうような教育をしっかりしているということが印象に残りました。

 また、選手強化のことにつきましても、日本の国立スポーツ科学センターも参考としておりますが、スポーツ医学、スポーツ科学、栄養学を含んだ選手強化への体制の構築について理解を深めることができました。

 リオデジャネイロでは、大会関係者との、大会を通じまして、大会の準備、運営はもとよりでありますが、なかなか、つくったところの競技場をどうやってこれから持っていくのかというレガシー創出に向けた教訓を得ることができたと思っております。

 平昌では、オリンピック、パラリンピックの開会式にそれぞれ出席をいたしましたが、空港、式典会場における外国からの要人の受入れ、あるいは深夜に及ぶ観客や大会関係者の輸送に関する課題などを直接体験することができました。

 ロンドンでは、主にパラリンピックの関係を視察いたしまして、パラリンピック発祥の地でありますストークマンデビル病院や競技会場を訪問いたしまして、地域の障害のある人とない人が一緒になってスポーツに親しむ場面を目の当たりにいたしました。同一都市で初めて二度目の夏季オリンピックを開催する東京大会としても、重要な示唆を得ることができました。

 大会本番を来年に控えて、この夏からはテストイベントが始まるわけでございまして、これからは実行、検証していく段階に入ると思います。こうした知見を生かしまして、大会準備にしっかりと当たって、大会後のレガシー創出に向けても、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと思っております。

杉本委員 最後の質問になってしまいそうなので、政府参考人の高橋審議官、十時審議官、源新審議官、それから国土交通省さん、寺田大臣官房審議官、ちょっと時間がなさそうなので、最後、大臣に質問して終わりますが、お許しいただければと思います。

 いろいろニュースになっていますが、JOCの会長の交代があるようだということでございます。やはり一つのけじめというか距離感というのが大臣と会長職の方とはきちっとなければいけないということで、今、大臣の答弁を聞いていて、大分安心して答弁を聞いていられるなというふうに、僣越ですけれども今感じていたところなんですけれども、JOCの会長との距離感、原則論みたいなものがあればちょっとこの場で確認させていただき、最後の質問とさせていただきます。

鈴木国務大臣 お答えする前に、先ほど、同一都市で初めて二度目の夏季パラリンピックと申し上げるべきところを、オリンピックと申し上げてしまいましたので、訂正をさせていただきたいと思います。

 JOCは、国内のオリンピック競技団体を統括して、日本選手がオリンピック等の国際競技大会で活躍できるよう、我が国の国際競技力の強化を担っております。

 また、二〇二〇年東京大会においては、開催都市である東京都とともに、大会の運営主体となる大会組織委員会を設立し、大会の計画、運営及び実行に責任を持つ重要な役割をJOCは担っております。

 政府といたしましては、東京大会の円滑な準備及び運営の実現に向けて、JOC、東京都、大会組織委員会と一体となって取り組むことが不可欠であると考えております。

 今後とも、密接な連携を図りつつ、アスリートが最高の力を発揮できる新国立競技場の整備や、暑さ対策、輸送、セキュリティー等の関連施策を着実に進めていくというところが基本的なところであると考えております。

杉本委員 被災三県、山田町のために、ぜひ、引き続き頑張っていただきたいとお願いを申し上げまして、以上で終わります。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、鈴木大臣の所信的挨拶、これを中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 いよいよ、あと一年と三カ月で東京オリンピックがスタートいたします。その後にはパラリンピックも開かれる。その時期に当たってオリパラ担当大臣が交代をする、そして、先ほど少しお話がございましたけれども、JOCの会長も退任の意向というお話でありました。

 非常に、私自身は、この時期になって二人のトップの方がかわるというのは危機的な状況だというふうに感じております。この点、大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。

鈴木国務大臣 先生が御指摘のような状況の中でのオリンピック・パラリンピック担当大臣就任でありまして、大変に重い責任を強く感じております。殊に、もうオリンピックまで五百日を切って、そして、この夏からは本番に備えてのテストイベントが始まるというところの交代でございますので、本当に気を引き締めてしっかりやらなければいけないと思っております。

 再登板ということでありますが、約六カ月間空白がございますので、新任のつもりで対応をしっかりやってまいりたい、こういうふうに思っております。

 前大臣の発言についてもお話ございましたが、やはり、前大臣の発言は、被災地の方の心を傷つけるという意味においても、また、二〇二〇年東京大会のコンセプトの一つが復興オリンピックであるということに照らし合わせましても、極めて不適切なものである、そういうふうに思ってございます。

 今まで復興オリンピック・パラリンピックの機運を盛り上げるために関係の皆さんが大変さまざまな取組をしてまいりましたが、それに水を差すような結果になってしまったと思っているところでありまして、私も被災地の出身でございますので、何か被災地の方とオリンピック、パラリンピックの距離が開かないように、この距離を縮めるように努力をしたいと思います。

 また、JOCの会長のお話もございましたが、JOCにつきましては、国内スポーツ団体を統括するとともに、来年に迫った東京大会の成功に向けて重要な役割を担っておりまして、次の会長には、リーダーシップを発揮してしっかりとスポーツ団体をまとめていくことが求められておりますので、体制を整えて準備を進めていただきたい、そのように考えております。

吉川(元)委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 そこで、大臣の御挨拶、最後の方に、経費の関係について、「大会開催経費については、」途中はしょりますが「透明性を確保し、」、「より丁寧な説明に努めてまいります。」、こういうふうなお話が御挨拶の中でありました。

 そこで、大会の経費に関して聞こうと思って、昨日も質問通告をいたしました。聞けば聞くほど、頭が非常に混乱をする話がたくさん出てまいりまして、ちょっとこれは通告していないんですが、言葉の定義の問題ですので、少し、これは大臣でなくても事務方でも結構ですけれども、教えていただければと思います。

 鈴木大臣は所信的挨拶の中で、大会関係費についてはという、大会関係費という言葉を使いました。一方、これは昨年の十一月十四日に当委員会で私が質問した際、当時の櫻田大臣は、国の大会関連費という言葉を使っております。それから、源新参考人におかれては、大会経費、それからオリパラ関係予算、全部で四つぐらい言葉が出てくるんですけれども、これは一体どういうふうな関連性があって、どういうふうに考えればいいのか、まずこの定義をきちんと定めていただきたいというふうに思います。

源新政府参考人 お答えいたします。

 まず初めに、大会経費でございます。これは実際の大会の準備、運営を担う組織委員会の方が公表しているものでございまして、その内容、概要につきましては、IOC等々、協議を経た上で定まっているものでございます。

 続きまして、オリパラ関係予算とお尋ねがございました。これは政府の方で公表、定義を定めているものでございますけれども、東京大会の運営又は同大会の開催機運の醸成、成功に直接資するという要件、それからもう一つは、大会招致を前提に、新たに、又は追加的に講ずる施策であるという、この二つを満たす事業、施策につきまして、政府として取りまとめ、公表しているものでございます。

 それから、今おっしゃった大会関連……(吉川(元)委員「関係」と呼ぶ)ちょっと済みません、大会関係、あるいは関連という……(吉川(元)委員「大会開催かな、大会開催経費。失礼しました」と呼ぶ)大会開催経費は、文脈にもよりますが、基本的に、冒頭申し上げました大会経費と同じというふうに理解しております。

 それから……(吉川(元)委員「大会関連費」と呼ぶ)はい。これは、昨年の秋に会計検査院が、支出ベースで捉えて、平成二十五年から二十九年度支出額ということでまとめているものでございますけれども、先ほど申し上げました大会経費の支出、それからオリパラ関係予算の支出などに加えまして、本来の各府省の行政目的のために実施している事業なども含む幅広い概念、これはオリパラ大会関連との関連性、濃淡はございますけれども何がしかの関連があるということでの施策としてくくられているものでございます。

吉川(元)委員 ちょっとやはりわからないんですよね。

 今、大会関連費というのは、行政目的で何か関係があると。ところが、昨年十一月十四日の質問の際に、会計検査院が八千十一億円使っていると言ったところ、いや、そうではありません、よく調べてみたら千七百二十五億円使っている、これをもって大会関係費というふうに大臣は答弁されているんです。その理解でよろしいんですか。今だと、それ以外の八千億も含めて、全体の八千億が大会関連費ということになるんですか。(発言する者あり)

亀岡委員長 では、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 源新内閣審議官。

源新政府参考人 お答えいたします。

 昨年秋に公表されました会計検査院の報告がまずございます。(吉川(元)委員「だから、大会関係費というのは何かというのを聞いているんです。千七百億円なのか八千億円なのか、どっちなんですか」と呼ぶ)会計検査院が捉えているものは八千十一億円であります。ただ、これはちょっと経緯を御説明する必要がございます。

 その国会報告の中で、会計検査院は、政府に対しまして、大会との関連性に係る区分、それから基準、こうしたものを整理した上で、大会の準備、運営等に特に資すると認められる業務につきましては、業務の内容、経費の規模等の全体像を把握して、対外的に示すことを検討せよ、こうした指摘がなされております。

 その後、我々、オリパラ担当大臣のもとで作業を行いまして、この大会関連の八千十一億円を大きく三つの分類に整理、公表させていただいております。

 今委員御指摘の一千七百二十五億円というものにつきましては、その中でも大会の準備、運営等に特に資する事業としてくくられている分類、これを指すものでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、大会関連費というのは、大会経費プラスオリパラ関係予算という理解でよろしいですか。

亀岡委員長 ちょっと、では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 源新内閣審議官。

源新政府参考人 通告いただいていなかったので、かつ、なかなかちょっと複雑なので、申し上げます。

 八千十一億円という大会関連の施策のうち、一千七百二十五億円が大会の準備、運営等に特に資する事業という分類ということでございます。

吉川(元)委員 十一月のときには、一千七百二十五億円については大会関係費だというふうに答弁をされて、その後、まさに源新政府参考人が、そのうち大会経費が幾ら、そして、それ以外にオリパラ関係予算として集計をしているという答弁をされているんです。

 つまり、この二つを足したものが大会関係費ということで理解してよろしいんですね。そういう答弁になっているんですよ。まさに参考人みずからが十一月のときにそういうふうに答弁されているんだから、そういう理解でいいんですよね。

源新政府参考人 ちょっと登場する言葉が複数あって申しわけありませんが、大会関連の、会計検査院が指摘している八千十一億円というものは先ほど申し上げた数字、概念でありますけれども、これはあくまで支出額ベースの概念でございます。

 それに対しまして、国が取りまとめて公表しておりますオリパラ関係予算というものは、あくまでも予算ベース、かつ国の一般会計の数字ということで、ベースが異なるということで御理解いただければと思います。

吉川(元)委員 十一月のときにこういうふうに参考人は答弁されているんですよ、大会経費のほかに、オリパラ関係予算として集計、公表しております、途中抜いていますけれども。

 ということは、これは普通の日本語で言うと、この二つは別だ、重ならないものだというふうに理解をして、それでいいんですよね。

源新政府参考人 冒頭申し上げました大会経費一兆三千五百億円のうちの国の負担分一千五百億円というものがございます。これらのほかに、オリパラ関係予算としてくくられる国の施策、こういったものがございます。

吉川(元)委員 ところが、ことしの一月二十九日に、内閣官房からオリパラ関係予算についてという文書が出ているんですよ。これはきのうも通告の中で少し言いましたが、そこには、平成二十五年度以降のオリパラ関係予算の合計は約二千百九十七億円、その内訳として、新国立競技場整備等のために、独法JSCに運営費交付金が五百十七億円、これは大会経費ですよね、五百十七億円というのは。

 ところが、今のお話だと、大会経費というのがあって、それ以外にオリパラ関係予算というのがあるんだと今説明をされたんだけれども、この文書を読むと、オリパラ関係予算の中に大会経費が入っているんですよ。一体この二つの関係はどうなっているんですか。

 説明されるたびに、それはオリパラ関係予算です、いや、それは大会経費です、いや、それは大会関係経費ですと、いろいろな言葉が飛び交うんです。言葉が複雑だというのは、我々が複雑にしているんじゃないんですよ。官房がそういうふうに複雑にしているんでしょう。だとすれば、それをきちんと整理してもらわないと。

 数字は、それは予算ベースと決算ベース、さまざまな数字があるのはわかります。ただ、言葉は、何を指しているのか。

 それはちょっと、委員長、この後も聞きますけれども、ぜひ一回、表か何かにして、どういう関係になっているのか、整理して、その資料を委員会に提出するようにお願いしたいと思います。

亀岡委員長 理事会で検討します。

吉川(元)委員 では、もう一回、今言ったこの文書との関係はどうなっているんですか。

源新政府参考人 大会経費とオリパラ関係予算との違いという点でございますけれども、それぞれ公表している主体が異なる、それから、冒頭申し上げたように、定義が異なるということがあります。

 まず、大会経費につきましては、組織委員会が公表していることでございます。その中で、国の負担分については一千五百億円、他方、国が公表しているオリパラ関係予算につきましては、ことしの一月に公表した数字では、平成二十五年度から三十一年度予算までの合計で二千百九十七億円となっております。

 実は、この大会経費とオリパラ関係予算の中には重複している部分がございます。パラリンピックの経費三百億円と、それから新国立競技場整備のために必要な財源として国からJSCに対して支出しております出資金等、この部分が重複しているということでございます。

吉川(元)委員 だとしたら、昨年十一月の答弁は違っていたということでいいんですね。昨年の答弁を読みましょうか。

 国はこれまで大会経費のほかにサイバーセキュリティー、ドーピングなどの対応に取り組んでまいりましてこれをオリンピック関係予算として集計、公表してきましたと。ほかにと言っているんですよ、別なんじゃないですか。

源新政府参考人 お答えいたしますが、間違いではございません。

 先ほど申し上げましたように、オリパラ関係予算と大会経費とで重複しているパラリンピックの経費とそれからJSCに対する出資金等のほかに、オリパラ関係予算として計上されているものがあるということでございます。

 例えば、メダルをとるための日本選手の強化費ですとか……(吉川(元)委員「もうそれはわかりました、いいです」と呼ぶ)そういったものが含まれているということでございます。

吉川(元)委員 そうすると、オリパラ関係経費とオリンピック関連費というのは、予算かそれとも決算かのあれはあるにしても、それはほぼイコールということでいいんですね。

 ちょっととめてください。

亀岡委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 源新内閣審議官。

源新政府参考人 申し上げます。

 概念は三つございます。

 まず一つは、大会経費の国の負担額一千五百億円。それから、国が公表しているオリパラ関係予算。それから、支出ベースで会計検査院が公表している大会関連の支出額、先生おっしゃっている大会関連費という概念でございます。

吉川(元)委員 ちょっと、もうこれだけで終わって、本当は大臣にもっといろいろなことを聞きたかったんですけれども、言葉の定義からして不透明きわまりないんですよ、大臣、これは。

 それで、今言ったのは、また大会経費、国立競技場、パラリンピックの三百億円、大会経費。そのほかにオリパラ関係予算。一体何が重なっていて、何が違うのか、これはもう皆目わからないんですよ。

 それで、透明性といって、実はこの後、金額については一つ一つ確認していこうと思ったんですけれども、そもそもその言葉の定義がぐちゃぐちゃになっていて、簡単に言えば、普通の人が聞いてもわからない、そんな定義を次々とつくって、その都度、大会経費のほかにオリンピック・パラリンピック予算がありますとか、あるいは、オリンピック・パラリンピック予算は総計はこれだけで、その中には大会経費が入っていますとか、こういうことが繰り返されているんです。

 そこで、もう時間がないので大臣に尋ねますけれども、もうちょっとわかりやすく、説明するというより、まずその言葉の定義と、それに、その経費が幾らなのかということをきちんとまず出していただかないと、これは透明性も国民の理解も得られないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 国民の皆様に対して、オリンピック・パラリンピック予算をきちんと御説明しなければいけないと思っております。

 私どもでいま一度整理をさせていただきまして、それをまたお示しさせていただきたいと思います。

吉川(元)委員 ちょっと、この間ずっと、国立競技場の建設問題からスタートして、どういうふうにお金が使われているのか非常に不透明で、本当に、では国の負担は一千五百億で、これが三者で決まりましたと言ったら、それ以外に会計検査院が八千億、それも含めてですけれども八千億という話が出て、いやいや、一千七百億です、その後二千百億ですといろいろな数字が出てきて、その都度いろいろな言葉が出てきて、いや、それは含まれています、含まれていません。これでは、国会の審議をしようにも、審議ができない。

 我々自身が理解、恐らく答弁されている参考人も、非常に複雑でという、それはやはりおかしいと思いますので、ぜひ、その点、大臣のリーダーシップのもとに、わかりやすい資料を提出していただくことをお願いしたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 一応こういう区分についてはきちっとしているところでありますが、さっき、整理をするというのは、御説明をするに当たって、説明の仕方も含め、また資料のつくり方も含め、きちんとこれから対応してまいりたい、対応させたい、そのように思います。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 最後でございます。未来日本の笠でございます。

 大臣、お疲れのようですけれども、ひとつ張り切って、よろしくお願いいたします。

 きょうは、子供の自殺の問題ということでちょっと幾つかお伺いをしたいんです。

 厚生労働省がまとめた二〇一七年の人口動態統計で、戦後初めて、日本人の十歳から十四歳の死因として自殺が一位になった。百人ということなんですけれども、これは資料の一番最初のページをごらんいただきたいんですけれども、十歳から十四歳、四百三十七人のお子さんが亡くなっています。その中で、一番右、自殺が百人ということで、十五歳から十九歳も、千百六十一人亡くなった方の中で、四百六十人が自殺。

 平成十五年をピークにして、自殺者数というのは当時、もう三万人を超えていてということで、ずっとなかなか三万人を切ることができなかった。これは、それぞれの政権のときにもきちんと対応しながら、今約二万人ぐらいまで減少しているわけです。しかし、十代の自殺というものは減っていないんですね、全く、高どまりしているというか。

 そういったことで、まず大臣に、率直に、十歳から十四歳の死因として自殺が一位になったということ、私は非常に深刻な事態だと受けとめておりますけれども、大臣にお伺いしたいのは、このことと、そして、なぜこの子供たちの、先ほどの十代、あるいは十歳から十四歳、十五歳から十九歳、そういったところの子供たちの自殺が減っていない、どうしてこの児童生徒のは減っていないのかということ、あるいは、やや増加傾向にもあるわけです、その点についての受けとめ方を大臣に伺いたいと思います。

柴山国務大臣 今御指摘をいただいたとおり、厚労省の実施した人口動態統計によると、平成二十九年に死亡した十歳から十四歳の死因の約二三%を自殺が占めており、当該年代の死因の第一位となっております。

 前途ある児童生徒がみずから命を絶つということは、極めて痛ましいと思います。極めて憂慮すべき事態であると考えておりまして、文部科学省としては、児童生徒の自殺対策に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

 それから、原因についてであります。我が国の自殺者の総数が減少傾向にある、総理もいつもそういうことをおっしゃっているかと思いますけれども、児童生徒の自殺者数は減少していない。このことについては、いろいろな分析がありますけれども、明確な理由がわかっておりません。児童生徒の自殺者数を可能な限り減少させていくことは、まさに我々の喫緊の課題であると認識をしております。

 児童生徒がみずから命を絶つ痛ましい事案が起こらないよう、各方面からのさまざまな意見も伺いながら、児童生徒の自殺対策に尽力をしていきたいというように考えております。

笠委員 実は、自殺者数については、もう大臣も御案内のとおり、統計が三つあるんですよね。今、私が一枚目としてお示しをしたのは、人口動態統計、厚労省のものでございます。あと、警察庁の発表の数字がございます。それとあわせて、文部科学省の、次の二枚目の資料をごらんいただきたいんですけれども、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果ということがございます。

 これは、警察庁と厚労省は変わらないんだけれども、必ず、数が物すごい開きがあるんですよね。これは年次と年度の違いであったり、あるいは、文科省の数字というのは教育委員会やそれぞれの都道府県等々から上がってきている数字だということで、また、警察等々の判断が入ってのカウントとはずれているということは昔から言われていることで、私も取り上げたことがあるんですけれども、きょうはその点は議論するつもりはないんですけれども。

 ただ、いずれにしても、今大臣がおっしゃったように、非常に、この原因というものが何なのかということを我々は把握していく努力をしっかりしていかなければ、それに対する有効な対策というものは簡単なことではないけれども、やはり総がかりで取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

 そこで、今、この二枚目の資料でごらんいただきたいんですけれども、ここの文部科学省の自殺の状況においても、ちょうど上の数字、平成二十九年のデータでも、小学生が七名、中学生八十四名、高校生百六十名。恐らく、この倍まではいかないけれども、倍近い数字が警察庁等々では出てくるわけですけれども、中学生なんかを見てもらえばいいんですけれども、やはり増加傾向にあるわけですよね。

 三枚目の資料を見ていただいて、今、文科省としては、この八の三というところがございます、真ん中。ここに、自殺した児童生徒が置かれていた状況ということで、いろいろと、家庭不和に始まり、いじめであったり、さまざま、病気等々書いてあるわけですけれども、これが今文科省として把握している自殺の原因、理由ということでよろしいんでしょうか。

永山政府参考人 御指摘のとおり、私どもの調査は、自殺者数、それから自殺した児童生徒が置かれていた状況ということを調べておりまして、その置かれていた状況、これが私どもが把握をしている自殺の理由ということになるわけでございます。

笠委員 局長も、恐らくこの数字を見たときに、これは複数回答ですよね、複数回答で、文科省が出している通達に沿った形でのフォーマットがあって、それに対する答えが上がってきているんじゃないかと思うんですが、この「不明」という下から二段目のところ、これが、例えば中学校ではもちろん一番多くて五十、高等学校は八十六、そして合計で、小学生を入れて百四十人ということになっています。

 恐らく「不明」というのは複数回答は少ないと思うんですね。ですから、ぴったり合うわけじゃないけれども、二百五十人が総数でございますので、自殺をした児童生徒の数なので、半分以上が原因がわかっていない、不明だというふうに私は捉えていいんじゃないかと思うんですけれども、これは、今後やはりもう少し何かこの対応を考えていかないと、わかりません、わかりません、わかりませんがずっと続いているわけですね。

 だから、幾つもの複合的な要因はあると思いますよ。これが、例えば我々も今、党派を超えて、ここに馳筆頭が、座長がおられますけれども、いじめが原因で一人の子供も絶対に自殺することのないようにというようなことは、私たちもみんなで取り組んでいるけれども、いじめだけじゃないんですよね。いじめの対策ということはしっかりやる、この防止対策は。しかしながら、やはり全体として、本当に今の子供たちが置かれている状況がどうなのか、なぜ、こういうように、子供たちの、児童生徒の、特に児童生徒の点について、私は文科省が中心になって、厚労省あるいは警察庁とも協力しながらいろいろな取組を進めていくべきだというふうに思っているんですけれども。

 もう少し原因の究明に向けた取組をぜひ充実をさせるべきだ、あるいは、何かちょっと検討して、もう少し有識者の方々にも入っていただくような形で、そういう方向を打ち出していただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

永山政府参考人 やはり不明が多いという理由は、捜査機関ではないということがございまして、公立学校でいいますと、学校、教育委員会を通じて上がってくるということで、なかなか、例えば遺書を見るとか、あるいは近親者の方々、遺族の方々の御協力が十分得られないとか、さまざま複合的な要因があろうと思っておりますけれども、しかしながら、おっしゃったとおり、不明が半分以上ということになってございますから、そこは何か工夫ができないかということを少し検討してみたいと思います。

笠委員 ぜひやっていただきたいんです。

 それで、同じように、文科省の調査の中で、今、不登校の児童生徒の推移というものもとっておられます。これも非常に傾向が似ておりまして、高等学校は今、減少傾向にあります。しかしながら、やはり小学校、中学校というのは、御案内のとおり、ふえ続けているんです、いろいろな対策をしているにもかかわらず。そういった傾向と、こういった児童生徒の、自殺をする子供たちの数が、減るというよりも減らない、そしてやや増加傾向にある、そういったことは、いろいろな関連性も私はやはりあろうかというふうに思います。

 一番難しいのは、いろいろな方々の、有識者の方のお話を伺っても、何か予兆がある子は救っていくことができる。だから、いろいろなSOSをどういうふうに見分けるかということで、SNSの活用等々、今いろいろな対策をやっていただいていることは評価するし、それは充実をさせていかなければなりません。しかし、やはり、本当にそういった予兆が全くないにもかかわらず、突然みずから命を絶つというケースが、突発的というか、そういうようなケースも非常に多いというふうに伺っておりますので。

 今、警察のことなんかをおっしゃったけれども、もちろん文科省に警察と同じことをやれなんて言いません。しかし、警察が把握している情報なんかもやはりどこかできちっとした形で集約をして、そのいろいろな関連性等々についての議論は、私は、あらゆる、そういったことを学校教育の現場だけじゃなく、やはり学校が、特に小中学校というのは地域の拠点ですから、これからチーム学校みたいな形でますます地域における学校の役割というのは大きくなるわけですから、そういう意味では、いろいろな方々を巻き込んで子供たちの自殺対策をやっていく。ある意味では、それぞれの拠点になっても私はいいと思っているんです。

 ですから、そういったことをぜひ、大臣、少し、これは本当に省庁の壁を超えてやっていただきたいということでひとつお願いをしたいんですけれども、御決意のほどを伺いたいと思います。

柴山国務大臣 私、実は長く法務委員会におりました。それで、死因究明については、かつて民主党の細川律夫先生などが大変な心血を注いで整備に取り組んでおられましたし、いらっしゃいませんけれども下村先生とか、超党派でいろいろと取り組んでおられて、私もかかわっておりました。

 警察はどうしても、やはり事件性の有無というところに関心がありまして、要は、犯罪と関係するのかどうかというところが関心の的であります。最近、いじめに対するコミットをかなりするように我々も働きかけているところではありますけれども、自殺というと、結局、では本当に事件性があるのかどうかというところがわからなくなってきている。先ほど申し上げたように、原因が不明な自殺というものがどうしても一定割合出てきてしまいます。

 先ほど委員が御指摘になったように、やはり不登校というような形で孤立をしているような児童生徒がふえているということから、なかなかその心の闇にアクセスできないというような状況もありまして、それも不明というものが出てきている原因なのかなというようにも思いますので、関係省庁との連携ということについても、そういったそれぞれの持つ機関の性格も考えると大変難しい部分はありますけれども、今後、関係省庁と協議をして必要な検討をしていきたいというように思っております。

 今私が申し上げた、孤立をして、なかなか心のSOSにアクセスできないという部分につきましては、児童生徒の悩みについて、適切にSOSの声を児童生徒の方からも発することができる取組、そして、それを受けとめることができる相談体制の整備、先ほどSNSについて御紹介をいただきましたけれども、そういったことの取組が重要であるというように考えております。

 昨年一月、厚労省とのまさに連名で各教育委員会に対して通知を発出して、学校におけるSOSの出し方に関する教育を積極的に推進するよう促すとともに、つい最近ですけれども、昨年の八月には、SOSの出し方に関する教育の教材例を示して、取組の一層の推進を求めたところであります。

 平成三十一年度予算においては、いじめや自殺等のさまざまな悩みを抱える児童生徒からの相談を受け付けるSNS等を活用した相談事業を実施するために必要な経費も計上させていただきました、約二億一千万円ですけれども。

 加えて、このほか、教職員等を対象とした自殺予防の研修会の実施ですとか、二十四時間子供SOSダイヤルの周知ですとか、十八歳以下の自殺が急増すると言われる長期休業明け前後の時期における学校の早期発見に向けた取組などの促進など、さまざまな取組を行っているところですけれども、引き続き、自殺予防の取組に全力を尽くしていきたいと考えております。

笠委員 本当に、大人の自殺も、もちろんこれは大人、子供問わず、自殺する人をなくしていくということはやはり我々に課せられている一つの大きな課題だと思うし、本当に社会総出で、みんなで知恵を出し合いながらやっていかないといけませんけれども、全体として減少傾向にあるにもかかわらず子供たちの自殺が高どまりしているということは本当に深刻な問題なので、また改めて議論したいと思いますし、ぜひ大臣にも御尽力をいただきたいと思います。

 それで、きょう、時間が大分なくなってきたんですけれども、ちょっとスポーツ庁から来ていただいていますので。

 先ほども、オリンピック・パラリンピック大会、いよいよ迫ってきたよということで、特に、やはりパラリンピック、これは、本当に同一都市で二回目というのはこの東京が初めてでありますし、パラをいかに成功させるかがこの大会、オリパラ大会の一つの大きな鍵だと思っています。

 ただ、大事なことは、パラリンピックをもちろんみんなで盛り上げていくということも必要なんですが、やはりその後のパラムーブメント、障害者の人たちにどれだけスポーツを、実際にやる、する、そしてまた、見る、あるいは支える、そういった層を、裾野を広げていくかということで、超党派で平成二十三年にスポーツ基本法を制定し、初めて障害者スポーツをきちんと位置づけ、そして翌年にスポーツ基本計画ができ、その中では、障害者スポーツの振興というものも大きな我々の課題として、そして数値目標も掲げているわけです。

 残念ながら、まだ、障害者の成人のスポーツの実施率、週一回以上、これは基本計画制定時は一九・二%だった。二〇二一年、つまりは二〇二〇の後ですよね、これを四〇%にしようという目標を立てているんですけれども、今はまだ二〇・八%。七歳から十九歳の子供たちに限って見ると、三一・五%から目標は五〇%、二人に一人、障害者の方々にもスポーツをやってもらおう。しかし、それも今は二九・六%ということで、障害者の成人でいうと、成人一般の方々で五一・五%ですから、これも本当は上げないといけないんだけれども、やはりその半分以下という状況でございます。

 この現状を、どうやってこれを、具体的な対策をもって、二〇二一年、しっかりと目標を達成させていこうとお考えになっているのか、その点を伺いたいと思います。

今里政府参考人 今委員御指摘のように、第二期スポーツ基本計画に基づきまして、数値目標を掲げまして、障害者が健常者と同様にスポーツに親しめる環境を整えるべく、二〇二〇年東京大会に向けた官民を挙げた機運醸成も活用しながら、多面的に取組を進めているところでございます。

 一定の進展も見られるわけでございまして、例えば、スポーツ行政を一元化した地方公共団体の数ですとか、障害者スポーツ専用・優先施設の数、障害者スポーツ指導者の数、これらにつきましては一定の進展も見られますが、委員御指摘のように、残念ながら、これらの進展がスポーツ実施率の向上にはそれほど響いていないという状況にあると捉えているところでございます。

 今後、これまでの取組を加速させるだけではなく、スポーツに関心を持たない割合が高く、また、約四割の障害者が外出を伴う余暇活動を行っていない点につきましても対策を打っていく必要があると考えております。このため、関係省庁と協力いたしまして、障害者の生活を支える御家族、福祉事業者等も含めて、スポーツの効能や障害者スポーツに関する理解を広げ、より幅広い関係者を巻き込んだ取組を進めていきたいと考えているところでございます。

笠委員 時間が来ましたので、また次回、ちょっと障害者のスポーツの件については議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

亀岡委員長 次に、内閣提出、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。柴山文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柴山国務大臣 このたび政府から提出いたしました法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 法曹の養成のための中核的な教育機関としての法科大学院における教育の充実を図り、高度の専門的な能力及びすぐれた資質を有する法曹となる人材の確保を推進することが必要となっております。

 この法律案は、このような観点から、大学の責務として、法科大学院において、法曹となろうとする者に必要とされる学識等を涵養するための教育を段階的かつ体系的に実施すべきこと等を新たに規定するとともに、法科大学院を設置する大学と当該法科大学院における教育との円滑な接続を図るための課程を置く大学との連携に関する制度の創設、法科大学院の課程における所定の単位の修得及び当該課程の修了の見込みについて当該法科大学院を設置する大学の学長が認定した者に対する司法試験の受験資格の付与等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、大学は、法科大学院において、法曹となろうとする者に共通して必要とされる専門的学識及びその応用能力、法曹となろうとする者に必要とされる専門的な法律の分野に関する専門的学識及びその応用能力、さらに、法的な推論、分析及び構成に基づいて弁論をする能力や、法律に関する実務の基礎的素養等を涵養するための教育を、段階的かつ体系的に実施することとしております。

 第二に、法科大学院を設置する大学は、当該法科大学院における教育との円滑な接続を図るための課程を置こうとする大学と、当該課程における教育の実施等に関する法曹養成連携協定を締結し、文部科学大臣の認定を受けることができることとしております。

 第三に、大学院への飛び入学について、新たに、大学院を置く大学の定める単位の修得状況及びこれに準ずるものとして文部科学大臣が定めるものに基づき、認めることができることとしております。

 第四に、法科大学院在学中の司法試験受験を認めることとし、法科大学院の課程に在学する者であって、所定の単位を修得しており、かつ、司法試験が行われる年の四月一日から一年以内に当該法科大学院の課程を修了する見込みがあると当該法科大学院を設置する大学の学長が認定したものを、司法試験の受験資格を有する者に追加することとしております。

 第五に、法科大学院在学中の司法試験受験資格に基づいて法科大学院在学中に司法試験を受け、これに合格した者については、司法試験の合格に加えて、法科大学院の課程を修了したことを、司法修習生の採用に必要な要件とすることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

亀岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十三日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十三日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.