衆議院

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第13号 平成31年4月26日(金曜日)

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平成三十一年四月二十六日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 大塚  拓君 理事 神山 佐市君

   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      上杉謙太郎君    小此木八郎君

      小田原 潔君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    岡下 昌平君

      神谷  昇君    小林 茂樹君

      下村 博文君    白須賀貴樹君

      高木  啓君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      根本 幸典君    百武 公親君

      船田  元君    古田 圭一君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      八木 哲也君    川内 博史君

      中川 正春君    初鹿 明博君

      村上 史好君    山川百合子君

      吉良 州司君    牧  義夫君

      稲津  久君    太田 昌孝君

      畑野 君枝君    串田 誠一君

      杉本 和巳君    吉川  元君

      笠  浩史君

    …………………………………

   議員           階   猛君

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   法務副大臣        平口  洋君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   最高裁判所事務総局総務局長            村田 斉志君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小出 邦夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     中谷 真一君

  高木  啓君     百武 公親君

  福井  照君     神谷  昇君

  宮内 秀樹君     岡下 昌平君

  宮川 典子君     三谷 英弘君

  宮路 拓馬君     谷川 とむ君

  村上 史好君     山川百合子君

  中野 洋昌君     太田 昌孝君

  杉本 和巳君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     宮内 秀樹君

  神谷  昇君     福井  照君

  谷川 とむ君     宮路 拓馬君

  中谷 真一君     小田原 潔君

  百武 公親君     高木  啓君

  三谷 英弘君     宮川 典子君

  山川百合子君     村上 史好君

  太田 昌孝君     中野 洋昌君

  串田 誠一君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     青山 周平君

    ―――――――――――――

四月二十六日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(丹羽秀樹君紹介)(第九一二号)

 同(浅野哲君紹介)(第九二八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九二九号)

 同(福井照君紹介)(第九三〇号)

 同(吉田統彦君紹介)(第九四三号)

 同(熊田裕通君紹介)(第九七三号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第一〇〇一号)

 同(生方幸夫君紹介)(第一〇〇二号)

 同(木村弥生君紹介)(第一〇二〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一〇二一号)

 同(中谷一馬君紹介)(第一〇二二号)

 同(西村明宏君紹介)(第一〇二三号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第一〇二四号)

 同(石崎徹君紹介)(第一〇三七号)

 私立幼稚園の充実と発展に関する請願(菊田真紀子君紹介)(第九二七号)

 同(中川正春君紹介)(第九四六号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第九三一号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願(浅野哲君紹介)(第九三二号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第九五六号)

 同(吉良州司君紹介)(第九六七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九六八号)

 特別支援学校の設置基準策定に関する請願(長谷川嘉一君紹介)(第九四四号)

 学校現業職員の業務をトップランナー方式の対象から外すとともに、学校現業職員の法的位置づけを求めることに関する請願(長谷川嘉一君紹介)(第九四五号)

 給付奨学金をもっとふやすことに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

 司法試験法等の一部を改正する等の法律案(階猛君外二名提出、衆法第五号)


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案及び階猛君外二名提出、司法試験法等の一部を改正する等の法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁政策立案総括審議官高田潔君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、大臣官房司法法制部長小出邦夫君、文部科学省高等教育局長伯井美徳君及び高等教育局私学部長白間竜一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長村田斉志君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 立憲民主党の初鹿明博です。

 きょうは平成最後の委員会になりますので、平成最後の質問をさせていただきます。

 きょうの議題は法科大学院の改正法案ですけれども、その法案の質疑の前に、前回の質問で取り残してしまった東京福祉大学の問題について先に少し、何点か質問させていただきます。(発言する者あり)はい、厳しくいきます。

 前回、ちょっと時間がなくて途中で途切れてしまったんですが、実は一番大臣にお伝えしたかったことが伝えられなかったんですね。一番大臣に伝えたかったことというのは何かというと、今、学生の皆さんが非常に困惑をしているということなんですね。

 先日、我が党の部会で関係者の皆さんに来ていただいたときに、今、四月から四年生になった学生二人に来ていただいて、お話を聞きました。非常にこの状況に困惑をしていて、四年生ですから今就職活動を始めているところですが、明らかに就職活動に悪い影響が出ているということなんです。

 本当に我々も心してこの問題は取りかからないといけないと思うんですが、大学のおかしい部分を厳しく指摘をしていくということは非常に重要だし、ここをちゃんと正していかなければならないと思うんですが、それによって大学の評価が下がっていくことによって、誰が一番不利益をこうむるかというと、今通っている学生の皆さんがやはり一番不利益をこうむる。

 しかも、その中でもとりわけ今就職活動をしている四年生は、やはり、テレビのニュースとかでこの大学が問題だ問題だということをやられている中で企業を訪問しても、ああ、あの大学ねということになってしまって、本人の能力とは別のフィルターがかかって見られてしまうということで、本当につらい思いをされているということなので、それを考えても、この大学の立て直しというのを本当に早急にやらないとということを強く感じているところです。

 その上で、学生の皆さんが、特に四年生が今一番何で困っているのかというと、カリキュラムが、最初に入学したとき、受験をするときの募集要項から大幅に変わってしまっているということなんですよ。それも、よい方に変わっているならばいいんですけれども、そうではないという状況に今あるんですね。

 お手元に資料をお配りさせていただいておりますが、二月の六日に、文部科学省に対して学校の法人がいろんな質問に対して回答した文書を見てみると、二ページ目、めくっていただくと、ちょうど大きな段落の切れる一番下のところですね、創業者の方が、創立者の方が授業を見学したりしている、そういう指摘に対していろいろ回答しているんですが、その中で、まず、「この授業見学について学生から本学への苦情は一切ありませんでした。現在も学生から新しい授業方法について本学への苦情は一切ありません。昨年度と今年度の公務員や教員採用試験等の合格実績を見てその授業方法に学生は十分に満足しております。」という答えをしているんですね。

 では、実際に学生は満足しているのかというと、我々がヒアリングをした二人の学生の話からすると、全く逆です。満足しているどころか、非常に、不満どころか、困惑をしているのを通り越して、学生の中には、もう学校にも行きたくない、精神的にも嫌になってしまっているという学生も出ているということなんですよね。

 具体的にどういうカリキュラムになっているのかというと、東京福祉大学は、この間に、公務員試験での合格者の実績をふやすんだということに変わったと。もともとは、社会福祉士だとか保育士だとか、そういう資格を取るということもあったんですが、今は公務員試験での合格実績を上げることに非常に偏っているということなんですね。

 それによって、キャリア開発演習という科目ができて、それが必修科目となっているということなんです。それで、四年生の段階で、七十七こま、週に七時間、合計で百十五時間何分かが必修になるということなんですよ。それによって、ほかの科目がとれなくなって、保育士の資格を取ろうという人がその科目がとれないとか、そういう不都合も出ている、そんな状態になっているということなんですね。

 また、授業の内容がこれまたひどいんですよ。先ほどちょっと触れましたが、授業にしばしば創立者の中島氏が見に来ていると。先生に対して授業中にいろいろ指図をするらしいんですね。その授業の内容がどういうものかというと、公務員試験の過去問をひたすらみんなで読み合わせる、公務員試験の過去問を丸暗記させるという授業をやっているそうなんです。丸暗記ですよ。それで、先生がここの部分はこういうことだよと解説を入れようとすると、創業者が、教員を制止をして、やめろ、解説するなということを言っていたと。

 要は、授業を受けている学生は、それがかなり威圧的なので、それ自体も怖いと思うし、そもそも、過去問を丸暗記して公務員試験に受かるようになるのか、普通に考えたら疑問ですよね、それで、この授業を延々と受け続けるのがいいんだろうか、そんな思いになっていると。四年になって就職活動とかしなければならないわけでありますが、そこでそんな時間をとられるというのは本当に苦痛だ、そういうことなんですね。

 そこで、まず伺いたいのは、そもそも学校法人は大学の教育内容に介入するべきではないと私は考えるんですけれども、こうやって授業の場に教員でない人が出てきて授業の内容を指図するというのは介入以上の何物でもないと思うんですよ。しかも、それが理事長でも役員でもない人というのも、またこれもとんでもないと思うんですが、今は、どうも四月以降は中島氏は授業には来ていないらしいです。ただ、中島氏との関係が強い職員、学校法人の関係者が今でも来ていて、実際に授業中に教えている教員に対してあれこれ言っているということもいまだにあるということをきのう学生から伺いました。そういう状態なんですね。

 こういう、授業をやっているところに介入するということ、これはいいんだろうかと私は非常に疑問に思うんですよ。ただ、大学の自主性を尊重しなければならないということから、文科省としてそこにいい悪いの判断をしづらいのかもしれませんけれども、このまま放置していいと私は思わないんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

柴山国務大臣 いろいろと経緯を御案内かと思うんですけれども、この創業者の中島氏が教員研修の一環として教室内で授業を見学したことは大学から報告を受けていたところではありますけれども、大学みずからがこの中島氏を学校運営に関与させないと文部科学省に報告の上、公表していたにもかかわらず、今御説明をいただいたとおり、中島氏が授業を見学したこと自体そもそも不適切であります。

 また、当該授業を担当するにふさわしい教育上の能力を有する担当教員が指導計画をつくって、そしてそれに基づいて授業を実施することが適切であるということからも、中島氏など教員以外の者が個別の授業の実施に関与し、あるいは口を挟むといったことは不適切であって、許容すべきではないと考えております。

初鹿委員 ありがとうございます。

 ぜひ、もう一回、本当に授業の実態も含めてきちんと調べていただきたいと思うんですよ。だって、過去問を丸暗記するんですよ。丸暗記するような授業で本当に試験に受かるようになるんですか。ちなみに、官僚の皆さんが来ておりますが、伯井高等教育局長は、試験に受かっていると思うんですが、過去問を丸暗記して公務員試験は受かるものなんですか。

伯井政府参考人 暗記も非常に重要ではございますが、それだけでは通らないということで、やはり思考力、判断力、表現力というものが求められると思います。

初鹿委員 模範答弁だと思いますが、普通に考えて誰でもそう思うのを、暗記だけさせて解説をするのを制止している、こういうことをしていると。

 それで、実は学生の方から言われているのは、学生も教員に対して、こんな授業でどうなんですか、こんなことをしないでくださいといって、真摯に受けとめてくれている教員もいて、学校側といろいろ話をしてくれているような教員も中にはいるそうなんですが、そうやって学生の側に信頼をされ学生の立場に立ってくれるような教員は次々とやめさせられたり、また降格をされたりということが起こっているということなんですよね。これは本当にひどいと思います。

 そんな状態であるんですが、皆さんの手元に資料をお配りさせていただきましたが、四月の二十二日付の通知書というものをお配りさせていただきました。こちらは、さすがにもうやむにやまれぬ思いになったんだと思いますが、学生の何人かが有志で弁護士さんに頼んでこういう通知書というものを学校側に出したということです。

 ここにも書いてありますけれども、通し番号の九ページのところを見ていただきたいんですけれども、キャリア開発演習1を受講していない四年次生に対しても、キャリア開発演習2を必修単位として、出席を強制しています、今こういう状況だと。ここに、先ほど言ったように、キャリア開発演習は、講義の内容は、過去問を引きながらそれを音読するというだけのものだ、公務員試験を受けるつもりがない者まで履修を強要している、そういうことなんですね。

 次のところをまた見ていただきたいんですが、昨年のキャリア開発演習は九十分掛ける三十こま、四十五時間で二単位、キャリア開発演習2は九十分七十七こま、週七こま十一週で、百十五・五時間で四単位となっています。しかしながら、本在学契約の内容を記載した履修要項では単位制について、一学期間十五週の毎週九十分の授業で二単位となっている。この記述を見ても、七十七こまもやって、それで四単位で、通常の単位、二単位もらえるのと随分これは差がありますよね。当初の約束と随分違うわけですよ。

 そこで、きょうは消費者庁、また法務省にも来ていただいているんですが、学生と学校との、この入学をするに当たって、これも一種の契約だと思うんですね。学生が消費者に当たると思います。こういうふうに募集要項で示したカリキュラムを入学後に大幅に変更して、しかも、それが契約当事者である、消費者である学生には何ら相談もなく一方的に契約内容が変わって、履修内容が変わって、そして学生が望んでいなくてもそれを履修しないと卒業できないような、そういうことにカリキュラムが変えられてしまっているということが起こっているわけですが、これは民法や消費者契約法に抵触はしないんでしょうか。それぞれ法務省、消費者庁の見解を伺います。

筒井政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点につきましては、大学と学生との間の在学契約がどのような内容のものであるのか、また、大学が募集要項で示していたカリキュラムを入学後に変更した場合に、それが教育内容についての学生の期待や信頼を損なうものであるかどうかなどといった観点から、個別の事案における具体的な事実関係を踏まえて裁判所によって判断されるべきものでございますので、恐縮ではございますが、一概にお答えすることは困難でございます。

高田政府参考人 お答えいたします。

 本件につきまして事案の詳細を承知しておりませんけれども、一般論として申し上げれば、消費者契約法では、勧誘に際して重要事項について事実と異なることを告げたか、消費者の利益を一方的に害する条項が使用されていたか等、法に定める要件を満たしているかどうかにより、契約の取消し又は条項の無効を主張することができるかどうかが判断されます。

 いずれにせよ、消費者契約法は民事ルールであるため、最終的には裁判所において個別具体的な事例の該当性が判断されるものでございます。

初鹿委員 それぞれお答えは、最終的には個別に判断することになるということなんですね。

 ただ、学校という組織はまず文科省が認可をしている、そういう組織であるということですので、まずそこには文科省も一定の責任なりがあるのではないかと思います。

 そして、単なる、物を買ったとかそういう契約と違って、学生側にとってみれば、この契約が気に入らないから破棄をするということがやはりしづらいですよね。破棄をするということは学校をやめるということで、仮にこれで授業料だとかを返してもらっても、本来、大学を出て、大学卒業という学歴をつけることが、そこが望みだったにもかかわらず、それがかなわなくなる、そして時間的なものもこれは取り返しがつかないことになるわけで、簡単に、これは債務不履行だから契約無効で破棄しますよで済む問題じゃないと思うんですよね。

 その上で、大臣に、こういうカリキュラムの変更を、しかも大幅な変更を行うということを何らか制限ができないものなのか、文科省としてはこれはもう許容してしまっているのか、そこをお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 一般論として、大学においてどのような授業科目を開設するかということは各大学の自主的、自律的な判断によるものでありますので、大学の判断によってカリキュラムを変更することは、今もお話にもありましたけれども、法令上必ずしも禁止はされないと解されますけれども、一般的には、募集要項に記載されたカリキュラムが入学後のものと著しい相違がないということが学生の保護のためには望まれると考えます。

 また、実際にカリキュラムの変更を行うに当たっては、学生の利益を増進するとともに、不利益を与えないようなものとなるよう、学内で十分に検討を重ねることが必要だと考えます。

 東京福祉大学について、文科省としては、個別のカリキュラム、今、四月二十二日の通知書に書いてある事柄についても今回初めて拝見をいたしましたけれども、当該大学からは、時間割り編成業務の事務的な誤りによって同一学年の必修科目が重複してしまった学生がいるだとか、重複した科目については代替授業を実施したとかいうことを大学サイドから報告は受けているんですけれども、今の委員お示しになった通知書、あるいは、御案内かと思いますが、四月二十三日に、私ども、法務省と共同で実地調査を行っております。そういう実地調査の結果等も含めて、さらなる検討をしていきたいと考えております。

初鹿委員 ありがとうございます。

 資料に示しております二月六日の回答書のところに、今大臣が答弁されたような、いろいろ弁解みたいなことが書いてあるんですよね。それと、あと、ここに、カリキュラムを変更するに当たってこういう手続を踏んでいますということが書いてあるんですが、ここに書いてあることをそのまま受けとめていいのかというと、私は若干違うんじゃないかと思うんですよね。

 でも、どうも、やはりカリキュラムの変更に当たって創立者の中島氏の意向が物すごく強く入っているんだということを学校関係者から聞いております。そのあたりの経緯も大臣は承知されているということでよろしいんでしょうか。それとも、これからそこも含めてきちんと調べていくということでよろしいでしょうか。ちょっと確認させてください。

柴山国務大臣 今の後者のとおり、つまり、これからしっかりと、実地調査の結果も踏まえて、慎重に判断していきたいと考えます。

初鹿委員 どうもありがとうございます。

 まだまだこれから、いろいろ、本当にどういう学校運営がされていたのかということの実態を解明していかなければならない状態、状況なんだと思いますが、先般通りました私学法の改正において、では、理事長でも理事でもない創立者という方が、こうやって実際的な運営権を持っていて、理事会や評議員会の過半数を自分のシンパで占め、さらには監事も、それこそ自分の意のかかった理事長に指名させることができるわけだから、自分の身内で固めることができるというのが今の法律ですよね。

 この法律の中で、果たして本当に、ある意味大学を運営するに当たって適切ではないと思うような、そういう経営者の排除ということができるんだろうかということが、いささか私は疑問なんですけれども、今の私学法の枠組みで、こういう今の運営体制というのを改めさせるということは本当にできるんでしょうか。

柴山国務大臣 前回の質疑でも、委員からそういった問題提起をしていただいたところであります。

 文科省は、当該学校法人において、平成二十年以降、この元理事長が東京福祉大学の運営や教育に関与していると思われる事例が断続的に発生したことから、継続的に指導を行うとともに、私立大学等経常費補助金の減額措置をとってきたところでありまして、まず、こうしたペナルティーの仕組みはやはりしっかりと行使していく必要があるというふうに考えます。

 ただ、それにもかかわらず経営が改められないということであれば、今回の私立学校法改正案において、現に役員である者が不正な行為を行った場合の損害賠償責任ですとか、理事から監事への報告義務を今度新たに課することといたしましたので、役員の責任の明確化ですとか監事の牽制機能の強化によって、そういった事態を是正するということが期待されるものと考えております。

初鹿委員 ぜひこれは、きちんとまともな、ちゃんとした大学になるように、厳しく徹底的に経営刷新を求めていただきたいと思うんですね。

 以前にも指摘しましたけれども、補助金の減額をしても、経営者がかわらなければ、むしろ、その減額された分をいかにして取り戻すかという発想になって、よりあくどいことをしかねないわけですから、やはりここは経営陣を刷新させる、それを文科省がかなり強く求めていくということは私は非常に重要なんだと思います。

 そうでないと、仮にこのままひどいことになれば、それはそれで今通っている学生も本当に不利益をこうむりますし、また、例えば認可を取り消すということもやろうと思えば文科省としてできないことはないと思いますが、それをやってしまうと、本当に今通っている学生たちは、では卒業はどうするんだとか、今までの、学歴として残るわけですから、そこがどうなるんだとかいうことも心配になってくるでしょうから、そうならないように、運営がきちんとできる経営陣に刷新するように徹底して文科省として取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 全く御指摘のとおりだと思います。

 これは仮定の話ですけれども、仮に、我々の繰り返しの指導にもかかわらず、自主的な改善が当該学校法人に望めないということであり、その運営が著しく適正を欠くと認められるなどの場合には、私立学校法第六十条に命じる措置命令や役員の解任勧告などの法的措置を講じるという制度はございます。

 いずれにいたしましても、こういったことも踏まえつつ、文部科学省としては、適正な学校運営がなされるよう徹底した指導を行っていきたいと考えます。

初鹿委員 大臣、よろしくお願いします。

 それでは、法科大学院の方に移っていきます。

 この間、皆さんの質疑、やりとりを聞いていて、やはり私は、一番感じるのは順序が逆なんじゃないかということなんですよ。順序が逆というのはどういうことかというと、法科大学院がどうあるべきかを考える上で、やはりその先にある司法試験がどうあるべきかということが固まらないと、法科大学院がどうあるべきかというのが決まってこないんじゃないかというのを、この間の質疑で非常に感じました。

 特に、法科大学院のカリキュラムについても、今回、在学中受験を認めるということなわけですから、では試験の時期がいつになるのか、そして発表がいつになるのか、それで卒業した後というか合格した後の司法修習がいつになるのかということがはっきりしないと、それはカリキュラムのつくりようもないし、そもそも、どんな試験になるのかということがわからないと、この教育の内容というのも決まらないんだと思うんですよね。

 それが後回しになって、まずは法科大学院の、3+2に加えて在学中受験を認めるというところまで決めちゃいましょうということを今やろうとしているので、なかなかそこが議論がかみ合わないし、深まっていかないことにつながっているんじゃないかというふうに思います。

 そう考えると、やはり司法試験がどうなのかということは法務大臣に私はきちんと聞いていきたいですよ。今後、仮にこの法案が先に通ったとしても、どんな方向性なのか、今の司法試験をそのまま維持するのか、それとも、司法試験自体も見直していこうということになると、また教育の中身も変わってくるわけですから、そこをはっきりさせてもらいたいなと思うんですね。そういう意味では、やはり法務委員会との合同審査というのは不可欠じゃないかと思うんですね。

 与党の皆さん、時間がないというようなことをおっしゃっているやにも聞くんですけれども、文科委員会はこれで今国会の提出法案は終わりですよね。十分に時間はあるわけで、たっぷり議論をできる余裕はあるので、ぜひ法務委員会との合同審査を行っていただくようお願いをさせていただきます。

 委員長、お取り計らいをお願いします。

亀岡委員長 意見として伺っておきます。

初鹿委員 意見としてじゃなくて、きちんと理事会で協議をお願いしたいんです。よろしくお願いします。理事会での協議と、あと法務委員会との間でもしっかり協議していただきたいと思います。

亀岡委員長 意見として、委員長として承らせていただきます。

初鹿委員 ぜひ、やはり審議を深めていく上でも必要なんだと思うんですよ。

 それで、これは私が言っているだけではないんですよね。

 例えば、この前参考人で来ていただいた、その中でも一番今回の法律を進めてもらいたいという立場で来ていた山本参考人に、我が党の菊田議員がカリキュラムのことをどうするのかということを聞いたときには、こう答えているんですよね。

 まだ法案が通っておりませんので、なかなか具体的な議論がしづらいところであります。加えて、司法試験が仮に在学受験ということになるとしても、いつごろにその試験がなるのかによってカリキュラムが大きく変わってくる部分がございます。そういう意味で、いまだ我々の法科大学院における検討、さらに中教審における検討もこれから始まるという段階でございまして、なかなかまだ具体的なところまで議論ができていないところであります。この法案ができるだけ早く通って、そしてそれに基づいてその司法試験の時期、内容等ができるだけ早く明らかにされて、それを踏まえて中教審そして各法科大学院においてその具体的なカリキュラム、そして授業のやり方ということを検討していきたいというふうに考えていますと。

 つまり、今の段階じゃ何も決められませんとはっきり言っちゃっているんですよね。試験の内容とか時期がはっきりしないと決められませんと。

 そう考えると、どっちが先なのかといったら、やはり試験がどうあるべきか、時期がいつなのか、そして発表がいつなのか。発表がいつなのかと試験がいつなのかということの間には、どんな採点の仕方になるのかということもかかわってくるわけで、そうなってくると、やはり試験の内容をどうするのかということに入ってくるわけですよね。だから、その辺がまだはっきりしないで3+2や在学中受験というのをここで議論しているというのも、いささか早いのではないかなという印象を持たざるを得ません。

 そういうことで、きょうは法務省の平口副大臣にも来ていただいておりますが、まず、司法試験の試験日や発表日をいつごろだというふうに今想定をしているのかということを先に聞いておきますので、ちょっと今の段階で答えられるところまで答えてください。

平口副大臣 今回の制度改革による新しい司法試験の実施時期は、法曹志望者や法学教育関係者にとって非常に関心が高い事項であることは認識しております。法案成立後に設置する予定の、文部科学省等の関係省庁、教育関係者、法曹実務家等を構成員とする会議体において検討することとしております。

 なお、今回の法改正の立案を担当する立場としては、法科大学院における教育の実施を阻害せず、法科大学院教育と司法試験との有機的連携を図る等の観点から、一つの選択肢として、現状の五月実施を後ろ倒しして、夏ごろの実施とすることを想定しているところでございます。

初鹿委員 夏というのは範囲が広いですけれども、七月、八月というイメージだということでいいのではないかと思うんですが、では、発表時期はいつぐらいを考えておりますか。

平口副大臣 あくまで仮定でございますが、司法試験を七月ごろに実施することといたしました場合には、合格発表の時期は十月ごろとなることが想定されるわけでございます。

初鹿委員 十月ごろだということなんですが、伺いたいんですけれども、では、十月に発表があったとすると、十月以降どういう状況が法科大学院に生まれるかというと、合格した人、不合格の人、まだ受けていない人という三通りの方々が出るんですね。この三者に、それぞれのニーズに沿った教育内容を果たしてつくれるのか。これは、ばらばらで教育するんですか。受かった人は受かった人クラス、不合格の人は不合格クラス、まあ、不合格の人とまだ受験していない人は同じクラスにできるのかもしれませんが、合格した人は合格者クラスみたいなものをつくるんですか。そうはなかなかできないんじゃないかと思うんですよ。こうやって混在をした中でどんなカリキュラムができるのかというのは、私は非常に疑問を持っております。

 そして、これについては、私が言っているだけではなくて、参考人の方もここは結構心配をしているんですよね。この前の参考人の方々の中でも、菊田議員が質問をされております中で、どこだったかな、須網参考人、三澤参考人が、いろいろ、時間短縮を含むということでも答えておりますが、ちょっと探せないので後で見ますけれども。

 簡単に言うと、受かった人と受かっていない人が同じカリキュラムで同じ授業を受けるというのが本当につくれるのかというのは、私、非常に疑問に思うので、大臣はそこはどう考えているのかをお聞かせいただきたいんですが。

柴山国務大臣 重要な御指摘であろうかと思います。

 まず、今おっしゃったように、例えば、在学中の受験を認めた場合に、さまざまなタイプの方が特に試験が終わった後出てくるというのは、おっしゃるとおりだと思います。

 まず、ちょっと幾つか分解しますけれども、司法試験の在学中受験をする人としない人がまじっているという問題につきましては、多くの法科大学院においては、在学中受験に対応するために、今回の制度設計の後は、司法試験で問われる科目、法律基本科目ですとか、あるいは受験科目に課されている選択科目、これを司法試験の前までに、そして、より実務に即したり自身の関心に沿った内容の科目、いわゆる展開・先端科目を司法試験の後に配当するようにカリキュラムの見直しが行われるというように考えておりますけれども、在学中の受験を行わない方についても、司法試験で問われる科目を学修することができる環境を整えるということが必要になってくるだろう。正課外における演習も含めて、そういった学修機会の確保に取り組んでいただくように促していかなければいけないというように考えます。

 それから、今おっしゃった、発表後、合格した方としていない方が混在する、ここに対するケア、これも非常に大切だと思います。

 今、平口副大臣からの、大体夏ごろ、在学中の夏ごろに司法試験を実施して、合格発表が秋ごろになるということを前提とした場合に、この時期は後期の授業時間の間となるわけであります。

 各法科大学院においては、合格したか否かにかかわらず、しっかりと後期の学修を全うした上で課程を修了できるような、さまざまなメンタル面を含めた学修サポートに万全を尽くしていただきたいというように思っております。そして、合格者については、より実務に即して、自身の関心に沿った学修、先ほど申し上げた展開科目、これが履修可能となるわけですし、不合格者については、次年度の司法試験に備えて、実務に即した科目のみならず、司法試験で問われる基本科目についてもそこで受けられるというようにすることで、学生のニーズに合うカリキュラムが提供できるのではないかというように考えております。

 このように、各法科大学院において、学生のニーズを踏まえながら科目を適切に配置して、正課外における演習も含めながら、カリキュラムの充実、検討をぜひしていただきたいというふうに考えます。

初鹿委員 今のお答えはわかるんですけれども、ただ、一体何人が在学中に合格するかはわからないじゃないですか、年度ごとに違うし。

 そうなると、合格者を対象としたカリキュラムを事前に用意をするというのは非常に難しいんだと思うんですよね。受かってみて一人だった場合と、複数、二十人ぐらいいた場合とで随分違うでしょうし、仮にほとんどの人が受からなくて一人だったときに、一人だけ特別なことをやるんですかということになりますよね。

 そうじゃないとなって、ではほかの、来年も試験を受ける人に合わせて同じことをやるようになったとしたら、合格した人は、別にここで学ばなくてもいいよという意識になりませんかね。

 そうなってくると、つまり、私がここで言いたいのは、法科大学院を、3+2の在学中受験をつくる皆さん方の意図は、予備試験に受かってしまう人を、予備試験に行かせずに、法科大学院にまず入ってもらって、そして、受かった後もきちんと勉強をしてもらおうという趣旨だと思うんですが、予備試験で受かるという自信を持っているような人からすると、法科大学院にわざわざお金をかけて行かなくてもいいんじゃないか、受かった後の十月以降の勉強なんか要らない、それよりも、法科大学院にお金をかけるんだったら、だったら、普通に、今までどおり、この前、参考人で来ていただいた伊藤先生の伊藤塾とかに、予備校にお金を払うのと、お金のかかる費用は余り変わらないんでしょうから、そっちの方がいいんじゃないかという判断になってしまうんじゃないかと私は思うんですよね。

 まず最初に、皆さん方は、この在学中受験で合格する人がどのぐらい学生の中で割合としていると判断をしてこの法案を提案をしているのか、その割合がどれぐらいになるのかというのをまず教えてください。

平口副大臣 法科大学院在学中受験資格は、連携法の改正により法科大学院教育の充実が図られることに伴い、法科大学院在学中であっても司法試験受験に相ふさわしい一定レベルの者が養成されることを前提として、法曹志望者のさらなる時間的、経済的負担の軽減を図るために導入することからしますと、相当程度の受験者数が見込まれるものと考えております。

 先ほど述べたとおり、法科大学院在学中受験資格の導入は、連携法の改正により法科大学院教育の充実が図られることに伴い、法科大学院在学中であっても司法試験受験に相ふさわしい一定のレベルの者が養成されることを前提とすることからすれば、合格率がそれほど大きく低迷することにはならないものと見込んでおります。

初鹿委員 ちょっと最後の答弁は違うと思いますよ。合格率が低迷しないものと考えると言っていますけれども、それは、最終的に、卒業した後の合格率は低迷しないことになるんだと思いますけれども、在学中に受験をして受かる人はふえることはないと私は思いますよ。

 私が聞いたのは、在学中受験して合格する人が全体のどれぐらいの割合になるのか、それをどう想定しているのかということを聞いているんですよ。ちょっとそこをきちんと答えていただけますか、これはギャップタームとの問題にもかかわってくるので。

伯井政府参考人 文科省の立場からお答えいたします。

 早期卒業あるいは飛び入学で法科大学院既修者コースに入学して修了後一年目の司法試験合格率というのが、現状は五六・五%となっております。これは、同時点の既修者コース修了者全体の合格率が四三・四%ですので、早期卒業、飛び入学で既修者コースに入学した者は一〇ポイント以上高い水準というふうになっております。

 今回、改正案で、3+2の制度化や在学中受験資格の創設、あるいは定員管理の導入、法科大学院の教育の充実という、さまざまな方策を講じるということで、多くの若者が法科大学院に入学して在学中に司法試験を受験するということで、これまでの合格率五六・五%の実績を上回るということを我々は期待して、立案したものでございます。

 なお、今後、この3+2の在学中に受験した学生の合格率についても、しっかり数値目標を設定して、継続的に把握、検証を行っていきたいと考えております。

初鹿委員 非常に希望的観測のところが多いんじゃないかと思いますが、私さっき指摘したように、予備試験で受かってしまう人が、わざわざ高い学費を払って、十月以降、特に受けたい授業とは思えないような科目を受けるようになることがわかっている法科大学院に果たして行くのかというのは疑問なので、五六%以上、超えていくということは余り想定しないと思います。

 現状の五六%というのは、優秀な学生が飛び入学して入ってきて、その中での五六%ですから、今度は、3+2がスタンダードになっていったときに、法曹コース三年を終えて入ってくる学生が、そういう今の飛び入で入ってくるような学生と同じぐらい優秀で入ってくるかというと、私は、そうじゃないんじゃないかと思いますので、そこは非常に希望的な観測が強過ぎるんだということを指摘をさせていただきます。

 次に、ちょっと私もうっかりしていたんですが、3+2の法曹コース、三年のコースに行ったら、全員が確実に法科大学院に一〇〇%入れるものだと思っていたら、必ずしもそうではないということなんですよね。

 連携をしている、連携コースになっていれば、三年次が終わったときに、成績がある程度というか、一定程度の成績をクリアしていればそのまま法科大学院に入学できるということなんですが、連携大学院じゃないところに行く場合はやはり受験しなきゃならないということなんですね。これはそのとおりでいいわけですよね。全員が、三年終わってみんな法科大学院に行くわけではないということでいいんですよね。

柴山国務大臣 この法曹コースの定員設定は設置する大学の判断に委ねられているんですけれども、例えばコース選択時に人数をある程度絞り込んで、そのかわり、コース、つまり学部段階を修了した学生であれば、原則として、連携先の法科大学院への進学が保証されるとすることとなる場合、あるいは、コース選択時には緩やかな選抜を行って、進級に当たって人数を段階的に絞るという場合など、さまざまな場合が考えられます。

 いずれにしても、特に後者のような場合なんですけれども、法曹コースの修了によって連携先の法科大学院への進学が必ずしも保証されているとは限らない場合があります。これは、やはり法科大学院のレベル確保の観点からは、私は、いずれにしても必要な措置ではないかなというように思っております。

 だけれども、先ほど消費者契約法についても御説明いただきましたけれども、コース選択を希望する学生に対して丁寧にそのあたりの部分について説明することは不可欠ですし、その旨を、法学部ですとか法科大学院に対してしっかりと指導をしていきたいというように考えます。

初鹿委員 十三ページに、この大体の概念図みたいなのをお示しさせていただいているんですが、非常に複雑になっちゃうんですよね。自分の大学で法科大学院があるところは、その自分の大学との協定を結ぶということ、基本的にこうなるんでしょうけれども、自分の大学院があって、そこと協定を結ぶだけじゃなくて、別の大学院と協定を結ぶこともできる。どことも協定を結ばないというところも出てくるし、大学院がなくて、別の大学の大学院と協定を結ぶというところがあるというように、非常に複雑になってくるわけですね。

 ですので、結構、法科大学院が定数を管理をするのが非常に難しくなるんじゃないかということは少し心配をするところであります。

 それで、一つ私が伺いたいのは、法科大学院のこれまでの試験の実施状況を見ると、例えば去年だと、合格者数が三千五百二十一人いて、実際に入学しているのは千六百二十一人。合格者数よりも二千人ぐらい少ない。つまり、複数合格している人がいて、受かったところに行っていないということだと思います。

 そうなると、法曹コースに行って、連携先があってきちんと行ける人だったらいいけれども、それがなくて受けて、又は、連携先があっても、もっとレベルの高い、司法試験の合格率のいい大学院に行きたいといって受けて、受からない人が相当それなりにいると思うんですよ。

 そうなった場合に、これは三年で卒業しちゃうことになるのか、それとも、法曹コースなんだけれども、一般の学生と同じように、もう一回大学に戻って四年次を送るのか。これはどういうふうなイメージを皆さんたちは持っていらっしゃるんでしょうか。

伯井政府参考人 今御指摘いただきましたように、連携先の法科大学院ではなく、一般的な入学者選抜で法科大学院に受かるとか、さまざまなケースがございます。

 我々といたしましては、法曹連携コースを始め、十分に実力をつけるよう教育をして、希望者がいずれかの法科大学院に進学できるというような教育の充実というのを求めていくというのがまず第一なんですが、仮に希望する法科大学院に合格できなかった者がいた場合、そういう人は、早期卒業を希望せずに四年次に進学するということも可能でございます。

初鹿委員 そうなると、三年で卒業するのと四年で卒業するのと、何か同じ学位が取れてしまうというのに非常に私は違和感を感じるんですけれども、違和感を感じませんか。

伯井政府参考人 早期卒業そのものは、四年のカリキュラムを優秀な生徒が三年で卒業できるという仕組みでございます。仮に希望する大学院に進学がかなわなかったという場合に、そういう選択肢もあるということでございます。

初鹿委員 あと指摘したいのは、3+2できちんと3で2に行かなかった場合は、結局4+2なので、これはギャップタームの短縮にはならないですよね。ならないですよね。

柴山国務大臣 済みません、ちょっと整理をさせていただきますけれども、ギャップタームという言葉遣いの定義なんですが、一般的には法科大学院を修了してから司法修習が開始されるまでの期間を念頭に置いていることから、法曹コースに在籍して早期卒業した学生が法科大学院に合格したか否かにかかわらず、この法科大学院修了後の期間は影響を受けません。

 ただ、法曹コースに在籍しつつも法科大学院に合格せず、四年次に進学したという場合に、おっしゃるとおり、翌年度の法科大学院の入試を受けるということになりますので、その場合は法曹資格の取得までの期間が最短の六年より一年長くなるというのは当然のことながらあり得ます。

初鹿委員 済みません、ギャップタームと言ったのでそういう誤解になってしまって済みません。私が言いたかったのは、今回の改正の目的、法科大学院の教育の充実と時間的、経済的負担の軽減を図るというところの時間的負担の軽減にはならないですよねということを指摘をさせていただいて、そうだということですよね。

 これは、だから、在学中受験もそうなんですが、受かった場合はそれは短縮されるということだけれども、受からなかったら短縮にならない人が一定程度いるということ、ここの誤解を、何かみんながすごく時間が短くなるような印象を持ってしまうんですけれども、そうじゃない人は相当数いるんだと思います。

 それと、ギャップタームのことでいえば、試験の時期が変わっていくわけだから、それに合わせて司法修習の時期も変わるわけですよね。今の秋実施じゃなくするということですが、そうなると、結局、卒業してから受かった人はギャップタームは必ず延びるということになるわけですよね。それでよろしいんですよね。

小出政府参考人 お答えいたします。

 司法修習の開始時期あるいは司法試験の実施時期、これは、司法修習の開始時期は最高裁が決めること、司法試験の実施時期は司法試験委員会が決めることでございますが、仮に司法修習の開始時期が法科大学院課程の修了直後になりますとすると、委員御指摘のとおり、法科大学院修了後に司法試験を受験して合格した者にとりましては、現行制度との比較におきまして、法科大学院課程の修了から司法修習開始までの期間が三カ月から四カ月程度長くなるという結果になることは確かでございます。

 ただ、この点につきましては、今回、法科大学院在学中受験資格を導入して法曹志望者の時間的、経済的負担を最大限軽減することによって、多くの学生が在学中受験をできるようにするという制度設計に伴いまして不可避的に生じるものでございまして、これには制度設計としての合理性があるものと考えているところでございます。

初鹿委員 時間が終わったので指摘だけにさせていただきますが、それはあくまでも在学中受験で受けることができるだけであって、受かるのとは別問題なので、受かる人がそうそう出ないということは指摘をさせていただきます。

亀岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 本日も質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 法科大学院と司法試験の連携の閣法につきまして、文部科学大臣、そして法務副大臣にお伺いしてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、先日からの続きということになりますが、今回の法律案が仮に成立した場合の法学部への影響について確認を進めたいと思います。

 今回の政府案では、法学部生にとっては選択肢がふえるという点ではプラスだというふうに受けとめることができます。しかし、法学部中心の制度となるため、多様性は後退するのではないかという内容の心配をしております。

 更に言えば、法科大学院の司法試験予備校化が進んで、入学すれば受験生との実態となる懸念が強いという指摘があります。法科大学院の、司法試験準備中心に教育を編成し、学生が司法試験科目しか勉強しないという状況を促す心配があります。

 参考人質疑、須網参考人からは、法学部教育への影響の懸念も表明されました。司法試験の実施時期が、先ほどの質疑の答弁のように夏ということでございますと、法曹コースの学生にとって法科大学院の教育期間は一年三カ月から四カ月余りということになります。つまり、司法試験にたどり着く手前までの間の教育の重点は、その時間の多くを法学部教育に譲るということになります。学部にも相当な影響が生ずると懸念をされます。

 多様で専門化した法曹を養成との理念の放棄になるのではないかと考えますが、文部科学大臣、この法学部への影響についてお答えください。

柴山国務大臣 今回の改正案に規定する法学部の法曹養成基礎課程、今おっしゃった法曹コースにおいては、法科大学院既修者コースへの接続を前提として、三年間で、法律の基本科目について、法科大学院の未修一年次の内容を修得できるカリキュラムを編成することが求められるようになります。

 法曹コースは、法科大学院を中核とするプロセス教育を下支えするものとして大学の判断のもとで開設するものでありまして、それができたからといって、法科大学院が引き続きプロセスとしての法曹養成制度の中核機関であることに変わりはありません。

 法曹コースの開設を検討している大学においては、法学部全体のあり方や果たしている役割を考えつつ、未来ある若者を受け入れる責任ある立場を自覚していただいて、法案が成立した際には速やかに対応できるようにしっかりと準備を進めていただく必要があると考えます。

 文部科学省といたしましても、大学に対して、今申し上げた法曹コースの趣旨などについてはしっかりと周知をしていきたいと考えております。

城井委員 大臣、今のお答えですと、私から提示をした心配というのは、早目に司法試験を受けられるようになるけれども、では、その準備をいつやるのか。学部そして法科大学院というふうにつながったときに、どの時期にどれぐらいの期間、司法試験の準備をするのかといったときに、結局、直前の期間、一年前後あたりは司法試験の準備に当てるというのが司法試験に臨む受験生としての当然の心理になるのではないかという部分があるので、その部分以外の時期との関係はどうかと。

 プロセスとしての養成の理念は理解をしてきているつもりなんですけれども、実態として直前一年でやる準備を、では学生はどこでやるのか、ここをどう考えているかというのを聞きたいんです。もう一回お願いします。

柴山国務大臣 今の、例えば、わかりやすい例で申し上げますと、優秀な普通の大学の学部生が、ロースクールではなくて、かつて旧司法試験時代に大学四年生に在学中に司法試験に合格したという事例を考えていただければと思うんですけれども、大学三年の課程、つまり大学四年で受験をする場合には大学三年が直前一年間ということになると思うんですけれども、結局この大学三年次に、おっしゃる受験直前ということで一年間集中的に司法試験にもかかわる科目について勉強するということになることは間違いないと思います。

 ロースクールが結局制度化され、これが要するにいわゆる未修の一年目ということに該当することになるのかなというように思いますので、まさしく法曹コースの三年目、要するに大学三年次に、未修一年目と、先ほど答弁させていただいたとおりパラレルな形で基本的な科目の修得というものができるようにしっかりと学んでいただくというふうに言えばわかりやすいのではないかなというふうに考えます。

城井委員 今大臣の答弁にもありましたように、人によって臨む環境、状況、その手前までにどんな準備ができているかというのは違うというのは確かにそうなんだろうというふうに思いますが、それも踏まえて次の質問をと思います。いわゆる3+2とともに在学中受験を同時にやる、この影響について確認をしてまいりたいと思います。

 政府案で実現を目指す改革の方向性の決まり方について、まずは確認をしたいと思います。

 参考人質疑、三澤参考人によりますと、この政府案については、開かれた議論が全くされていなかったという指摘がありました。3+2に加えての在学中受験の制度は、司法制度改革審議会や中教審法科大学院等特別委員会等の審議会等で全く議論されていないとの指摘がありました。五年一貫の議論しかしていないという指摘でございました。

 さらに、参考人質疑、須網参考人によりますと、在学中受験は突然出てきた、寝耳に水だ、こういう御意見でございました。

 では、大臣、これは一体誰が決めたんでしょうか。これは、あわせて法務副大臣にもお伺いしたいと思います。

平口副大臣 現行の司法試験法では、司法試験を受験することができる者として、法科大学院を修了した者、予備試験に合格した者の二種類が司法試験受験資格として定められているところでございます。

 連携法の改正により法科大学院教育の充実が図られることに伴い、法科大学院在学中であっても司法試験受験に相ふさわしい一定のレベルの者が養成されることを前提として、さらなる時間的、経済的負担の軽減を図るため、法科大学院課程の修了を待たずして早期の司法試験受験を可能とする法科大学院在学中受験資格を新たな司法試験受験資格として認めるものでございます。

 これによりまして、現行では法科大学院修了……(城井委員「誰が決めたか聞いているんですが」と呼ぶ)失礼しました。

 そのような取組に関連して、司法試験制度については、昨年七月の与党文科・法務合同部会において、法曹志望者の経済的、時間的負担のさらなる軽減を図るための方策として、法科大学院改革を前提として、法科大学院在学中受験の実現を含む司法試験制度の見直しを早期に行うべきとの指摘がされたところでございます。

 法務省において、この点について、法科大学院在学中受験を認める必要性、合理性や、それを実現する場合の具体的制度のあり方等の観点から、法科大学院に関する集中改革の取組を進める文部科学省と連携しながら鋭意検討を行い、大学院在学中の受験の導入を含む今般の改正法案を立案したものでございます。

城井委員 法務副大臣、今の答弁、確認をいたしますが、与党の文科、法務の合同部会で出てきて、文科省と相談して法務省が決めた、これでよろしいですか。

平口副大臣 そのとおりでございます。

城井委員 となると、今回のこの在学中受験の決まり方には疑念を持たざるを得ないと思います。

 ここまで、法科大学院、そして司法試験、司法修習と、法曹養成の改革については、現場や専門家の声もしっかり伺いながら相当に詰めた深掘りの議論をしてきているはずであります。

 私が先ほど申し上げました司法制度改革審議会や中教審の法科大学院等特別委員会などの審議会での議論をくぐっていない中身が今回、政府案として提示をされているということになるわけですが、法務副大臣、この認識でよろしいでしょうか。

平口副大臣 文部科学省と連携しながら鋭意検討を行ってきたところでございますが、その過程では日本弁護士連合会や法科大学院協会からも意見、要望を聞きながら、文部科学省と連携して改正法案の具体的な立案作業を進めてきたところでございます。

城井委員 今私が確認したのは、政府における正式の審議会等の諮問機関などでの議論をきちんと経ましたかということを確認したわけです。

 文部科学大臣、中教審もかかわっております。中教審の関係の会議でかからずにここで出てきているというプロセス、疑義があると思いますが、文部科学省でも、そういう審議会などを経ずに今回我々に、この政府案の中に在学中受験というものを提起しているという認識でよろしいんでしょうか。

柴山国務大臣 今おっしゃるとおり、中央教育審議会法科大学院等特別委員会において、法学部三年と法科大学院二年のルート、3+2の制度化や法科大学院教育の改革について議論が行われ、方向性が取りまとめられた段階では在学中受験そのものについては議題に上がっておりません。

 ただ、法科大学院教育改革の検討状況を踏まえて、今法務省から説明があったとおり、法科大学院在学中に受験を認める必要性や合理性、そしてそれを実現する場合の具体的制度のあり方等々のさまざまな観点を、問題提起をもらったということから、私ども文部科学省と法務省が連携をしつつ鋭意検討が行われ、決定がなされたものでありまして、この過程において、今お話があったとおり、法科大学院協会とか日弁連等々関係者の意見を聞きながら検討を行ったところでありまして、法科大学院協会としても、昨年九月に、大学院としての教育が維持されることを条件として御了承をいただいたというふうに認識をしております。

 文部科学省としても、この在学中受験の導入は、法曹資格取得までの時間的、経済的負担の軽減に資すると考えており、かつてですと、大学四年の場合には四年生在学中の受験になりますが、さっき私が申し上げたとおり、3+2になりますと大学五年次の在学中受験ということになるわけですから、バランス的にも今回の改正案は支持できるというふうに考えています。

城井委員 大臣、今申し上げているのは、内容がよいものになったかどうかの手前の話であります。決まり方の問題であります。

 行政府として、関係者に意見を聴取して最終的に決めるというプロセスはあるんでしょう。ですけれども、この法曹養成に関しての仕組みの変更のところでは、政府としての正式な審議会を経て行政府での決定というのがプロセスじゃないんですか。

 3+2のところは議論が通りました、でも在学中受験の部分は通っていないというこのアンバランスな状況で、問題点も含めて課題も掘り下げをきちんとしてということが確信を持って言えるか。この決まり方の正当性は疑義があるというふうに思いますが、この在学中受験の部分について、審議会での審議は不要だというふうにお考えなんでしょうか。

平口副大臣 今般の在学中受験資格の導入については、近年、法曹志望者の激減が喫緊の課題となっており、法曹志望者数の回復に向けて迅速な対応の必要性が高かったことに加え、法務省といたしましては、文部科学省と連携して、法科大学院の集中改革期間の最終年である平成三十年度中に、文部科学省の進める法科大学院改革とあわせ、それを踏まえたパッケージの改革として司法試験制度についても必要な見直しを行うことが必要だと判断したところでございます。

城井委員 法務副大臣、そういたしましたら、急いでいるので審議会の議論は在学中受験についてはパスしましたというふうにおっしゃったというふうに聞こえるわけですが、今の認識でよろしいんでしょうか。

平口副大臣 繰り返しになりますけれども、検討の過程では、文部科学省はもちろん、法科大学院協会や日弁連といった関係機関の意見を聴取し、その意見等を十分に踏まえた上で具体的な立案作業を行ってきたところでございます。

城井委員 聞いていることをきちんと答えていただきたいと思います。

 今確認しておりますのは、3+2の議論は、審議会も含めて、法務省側も文部科学省側も審議会をきちんと経て議論をやってきたという経緯じゃないですか。でも、在学中受験の部分は、幾ら与党の側の提案だからといって、政府で決めるときに、審議会をすっ飛ばして、行政が関係者の一部から話を聞いたから、それでもって変える、こんな軽い決め方でよろしいのかと聞いているわけです。

 審議会をパスして、今回、在学中受験を出して問題ないということで、法務副大臣、お認めになるんですね。

平口副大臣 法務省といたしましては、文部科学省の法科大学院改革に関する検討に最大限協力しつつ、在学中受験資格の導入を含む司法試験制度の見直しの検討を鋭意進めたところでありますが、時間的制約もあり、審議会等での議論を経ることなく立案作業を進めたものでございます。

城井委員 今の御発言は相当に問題だと思いますよ。

 時間的制約といっても、そのスケジュールを組むのは政府の側であります。審議会を経ずに出しても、時間的制約と政府が言えば構わないんだ、審議会など要らないんだ、通らなくていいんだ、副大臣、こういうことでしょうか。

 今回の在学中受験の件は審議会を通らずに出したけれども全く問題がない、このまま進める、こういう御認識なんですね。副大臣、もう一回お願いします。

平口副大臣 審議会等を経ないことにつきましては御指摘のような点もあろうかと思いますけれども、文部科学省など関係機関とも連携して速やかに検討して、会議体に関する具体的事項をしっかりと詰め、円滑な進行に努めてまいりたいと考えております。

城井委員 副大臣、拙速に過ぎるということを申し上げざるを得ません。

 政府が準備したスケジュール、そして、審議会も含めて政府での正式な手続はあるはずです。今回の在学中受験の部分を審議会を経ずに出すということで決めていいというような認識であるのかということ、もう一回確認したいと思います。

 ここでもし、時間的制約ですとかそういう政府の手前勝手なことでプロセスを曲げていい、決め方を曲げていいということならば、この国のルールは一体どうなってしまうのか。審議会の必要性がないということでよろしいんですか、副大臣。

 審議会でもう一回この在学中受験についてきちんとお諮りをして、そして我々に示していただく、立法府に示していただくということをやっていただけますか、副大臣。

平口副大臣 近年の法曹志望者数の回復ということは喫緊の課題でございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。

城井委員 全く理解ができません。審議会を通らずに決めてきたものを立法府に示して。立法府をばかにしているんですか。このことを言わざるを得ませんよ。

 文部科学大臣、文部科学省も同様の問題を抱えています。この在学中受験の部分を含めた議論についてきちんと審議会で詰めていないと私は認識しておりますが、この在学中受験の部分を文部科学省に係る審議会でもきちんと議論をしてから立法府に政府案を提示すべきと考えますが、文部科学大臣、御認識はいかがですか。

柴山国務大臣 先ほど来お話があったとおり、今の法曹希望者の急激な激減というのはその対応が喫緊の課題であることから、法科大学院制度の集中的改革期間を平成三十年度まで、いわばさきの三月までにとにかく集中的に検討するということで審議会が開催されておりました。

 おっしゃるとおり、その中で、3+2についての議論以外に、在学中の受験の有無というのは確かに議題にはなっておりませんでしたけれども、それは、私に言わせれば、それは漏れていた、だからこそ、与党の方々から指摘を受けて、それを改めてこの集中的改革期間にきちんと決着ができるように関係の各方面と調整をして議論をさせていただいたということから、それは、私は、代替的な措置としてやむを得ない運びではなかったのかなというように考えております。

城井委員 在学中受験を認めるということが法曹になろうとする学生や受験生の生き方、人生にどれほど大きな影響を与えるかということを考えますと、時間もかけ、そして関係者を含めて議論を深掘りするというのは当然重要だ。

 この内容自体が全くだめだと言っているわけじゃないんですよ。与党の指摘があって、御意見を頂戴しました、あると思います。政府と与党の議論のやりとりではあると思うんです。ですけれども、そのいただいた御意見を受けとめるということと、実際に政府案へ反映させて、そして立法府へ提示をしていただく、この過程を経るときには、その時間の設定も含めて、政府案ですから政府側に期間の設定の権利、権限はあるはずです。集中期間が、もし最終盤に出てきた御意見で、もうちょっと検討期間が欲しいということならば、そのことを相談するというのがまず筋なんじゃないか。そこを、漏れていました、やむを得なく代替措置というわけにはいかないんじゃないんですか。

 この行政のプロセス、そして立法府に対しての政府案の提示の過程をここまで軽んじてしまうのはおかしい。漏れていたならば、きちんと政府の中で所定の議論、手続を経て立法府へ出していただくべき。これが行政府と立法府の本来の形、あり方じゃないですか、大臣。

柴山国務大臣 議論を整理させていただくと、まず、立法府を軽んじているということは全く、私はないと思います。

 というのは、今申し上げているように、我々は、この間、どういうことが起きたかということについては、真摯に行政府として説明をさせていただいております。このことも含めて、ぜひ、きょう御出席の委員の先生方にその妥当性というものを御判断をいただき、御審議をいただきたいというように考えております。立法府は決して軽視をさせていただいておりません。それがまず一点。

 そして、行政の手続についてのことでありますけれども、我々としては、確かに順序の後先はあるかもしれませんけれども、今後、法務省において、文部科学省のほか、大学関係者や法曹実務家等を構成員とする会議体において必要な検討を行わせていただきたいというように思っております。

 もちろん、中央教育審議会法科大学院等特別委員会においても、その検討状況をしっかりと注視しながら、法科大学院における具体的なカリキュラムなどについて具体の検討を詰めさせていただければというように考えております。

城井委員 大臣、順番が違うということを申し上げております。

 国会の仕事の一つは、行政の監視であります。プロセスがちゃんと進んでいるか、審議会でどんなふうに諮ったのかな、そして与党とのやりとりはどうだっただろうか、その一つ一つを見ていくというのが我々の仕事じゃないですか。それで照らしたときに、ここで問題にしておりますのは、今回の政府案を出していただく前に在学中受験という極めて大きな議題について審議会をくぐらずに出したということ、それでいいんですかということを申し上げているわけであります。そのことをお認めになるんですね。これは問題ないということでよろしいんですか。

 我々からは、審議会で改めて議論した上で、政府案をまとめ直して立法府に提示いただくというのが筋じゃないかと申し上げているんです。審議会での再議論、お願いできますか、大臣。

柴山国務大臣 先ほど申し上げた、今回のプロセスについては率直に御説明をさせていただいたつもりであります。

 プロセスとしては中教審でありますけれども、今回のこの問題については、我々はあくまでも、法曹養成、司法試験制度というものがどうあるべきかというのを、この今の非常に危機的な状況を踏まえて平成三十年度中にとにかくしっかりとした結論を出す、そして法案を提出させていただくということを一義的な目的としておりまして、そして、その中で、具体的な司法試験制度については、これは法務省の所管でありますので、今後法務省で今御指摘の部分についてはしっかりと検討をされるというように私は確信をしております。

城井委員 大臣、プロセスの進み方の理解はここまでのやりとりで大分理解をできてきているというふうに思うんですが、急ぐという部分で、では、所定の手続を飛ばしてしまっていいんですね、そんな物の決め方をするんですね、そういう政府なんですねということになってしまう。

 文部科学省だけではありません。法務省も同様だと。先ほどまだお答えをいただいていません。審議会を飛ばしたままで今回の在学中受験を、司法試験に関して、認めてよい、審議会の議論をくぐらずに政府案として我々に示して決めてよい、こういう認識でよろしいですね、副大臣。

平口副大臣 これまでの必要な議論は行ってきたと認識しております。そして、委員御指摘の点を踏まえて、制度の円滑な実施に向けては、文部科学省など関係機関と十分連携し、しっかり検討してまいりたいと思っております。(城井委員「答弁の整理をお願いします。時計とめてください。速記とめてください」と呼ぶ)

 今後、必要な会議を継続してやってまいりたいと考えております。

城井委員 副大臣、今回の政府案の提示に関して、手続が欠けています、手続に瑕疵があると申し上げているんです。今回議論している政府案に必要な手続がとられていない部分があるということを申し上げているんです。この部分をきちんと正して、我々に改めて政府案を出していただけますねということを申し上げているんです。この一点、お答えください。

平口副大臣 法曹教育について緊急な事態が予想されましたので、このようなこととしたものでございます。

城井委員 緊急だ、急ぐというお話を先ほどからおっしゃっておられますけれども、急ぐにしても確認すべき中身がある、急ぐなりにきちんと準備をして持ってきていただけるものだと思って我々は受けとめて、こうやって今回、特に連合審査も必要だ、質疑の時間も十分にと申し上げながらやっているわけであります。

 ところが、先ほどより法務副大臣は、手続をすっ飛ばしても急ぐから認めてくれ、こう言っているのと同じです。審議会を通らずに今回の政府案を押し切る、そういう認識でよろしいんですか、副大臣。審議会を経て、もう一回、政府案を出し直していただくということ、確約いただけますか。副大臣に言っています。

平口副大臣 緊急性ということで御理解をいただきたいと思います。

城井委員 緊急性という言葉で、行政のプロセスや立法府に対しての信義を曲げてもいい、そういうことですね、副大臣。曲げるということですね。お答えください、副大臣。

平口副大臣 審議会の議論も重要でございますけれども、他方、今回の検討の過程では、文部科学省はもちろん、法科大学院協会や、弁護士、日弁連といった関係機関の意見を聴取し、その意見を十分に踏まえた上で作業を行ってきたところでございます。その点を御理解いただきたいと思います。

城井委員 法務副大臣、そういたしましたら、今回のケースですと、日弁連や法科大学院協会などに話を聞けば、審議会は重要であるが要らないと言っているのと同じですよ。要らないんですね。お答えください、副大臣。

平口副大臣 審議会の議論というのは必要不可欠なものでは必ずしもございませんので、今回はこのような手続をとらせていただいたということでございます。

城井委員 審議会、要らないんですね。議論、要らないんですね、副大臣。そんないいかげんな物の決め方で立法府に対して案を示すんですね。国民に対して示すんですね。

 文部科学大臣、文部科学省で例えるならば、中教審の議論をすっ飛ばして、急ぐときは文部科学省が決めていいと法務省が言っています。文部科学省も同じ見解ですか。

柴山国務大臣 諮問機関として大切な議論をしてくださるということは、私も委員と思いは同じであります。

 ただ、総合的に判断をして、結局、今回の法科大学院の教育改革の検討状況ですとか、あるいは緊急の提言を平成三十年度中に行うという状況、それらを総合的に勘案し、その上で必要なプロセスについてこういう形で代替をさせていただいて、その上で立法府に判断をお示しし、そしてさらに、今後、法務省と文部科学省、そして大学関係者や法曹実務家を構成員とする会議体において必要な検討を行い、また、中央教育審議会法科大学院等特別委員会等においても、そうした検討状況をごらんいただき、法科大学院におけるカリキュラムについて具体的な検討をしていただくということについて、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

城井委員 大臣、私から聞いていますのは、まさかあの文部科学大臣が中教審の議論をくぐらなくても決めていいとおっしゃらないと思うので、その一点を確認しているんです。その点を確認させてください。

柴山国務大臣 本来しっかりと検討すべきなのに頭からそれをすっ飛ばしていいなどとは私は全く考えておりませんので、中教審が大切な諮問機関であり、そして、そのプロセスを経た上で行政府として判断をし、そして立法府にお示しをする、これが通常のプロセスであるということは、ぜひ、私も認識は全く同じですので、そのことは御理解をいただきたいと思います。

 ただ、今回は、今私が申し上げているように、総合的な状況について、我々としてベストを尽くした上で立法府に御判断をいただき、そして、今おっしゃったさらなる審議会で必要な部分というのを、そのお示しをいただいた御判断をもとに再度詰めさせていただくということをぜひお許しをいただきたいというように思います。

城井委員 在学中受験というのは、それほどに軽い中身なんでしょうか。審議会を含めてきちんとくぐるだけの大きな中身じゃないでしょうか。

 3+2の部分も、そういう意味では重みが大きいので、これまでの慎重に慎重にくぐってきた経緯は理解ができると思っているんです。なのに、在学中受験の中身の重さを考えたときに、みずから設定した日程締切りでもって急ぐのでというのでは、では審議会は要らないというのと同じということになってしまうんですよね。

 今回のこの在学中受験という法曹を目指す受験生にとって人生を大きく揺るがすような中身を、審議会でもう一回諮って出すべきじゃないんでしょうか。そこを、総合的にといっても、でも、その総合的な中で、在学中受験を選ぶかどうかという人たちにとって、政府での検討は行政で一部行うだけだ、審議会を通っていないというような中身で、責任を持って出せますか。今回の在学中受験、もう一回、審議会を含めてくぐった上で政府案を出し直してくれませんか、大臣。

柴山国務大臣 在学中受験を認めるかどうかというのは学生にとって大変大きい事柄であるというのは、おっしゃるとおりだと思います。

 ただ……(発言する者あり)そう、今ちょっと待ってくださいね、初鹿さん。

 まず、在学中受験を認めるということは、学生にとってのオプションをふやすということです。ですので、そのこと自体が、オプションをふやすということ自体が学生にとって不利益になるわけではない。ただ、今おっしゃったように、それがカリキュラムに影響するというのは、それは事実であります。だからこそ、そのカリキュラムにどういう影響を及ぼし、ではカリキュラムをどうしたらいいかということも含めて、我々は、例えば日弁連とか法科大学院の皆様に御意見をお伺いして御理解をいただき、今こういう形でお示しをしているとともに、今後、今おっしゃったことも含めて、きちんとしたプロセスでもう一度詰めさせていただきたいというように考えています。

城井委員 中教審の関係の部会と、日弁連や法科大学院協会の人のお話を聞くというのは、必ずしも全てが重なるわけではないというのは、大臣、当然御承知の上でおっしゃっているというふうに思います。審議会にかわる代替的な措置として、行政としても、手続プロセスに問題はない、瑕疵はないということを本当に言い切れますか。今回の件、審議会を抜きに決めてしまう、政府案として我々に示して、そして議論をするということで、これでよろしいんですか、本当に。

柴山国務大臣 先ほど法務省からも答弁があったとおり、中教審の法科大学院等特別委員会、大事なプロセスだと思います。大事なプロセスだと思いますけれども、この在学中受験そのものについて議題に上がっていなかったということが、必ずしも必須の、法案提出のための要件と言えるかというと、さまざまな、総合的に……(発言する者あり)

亀岡委員長 不規則発言はお慎みください。

柴山国務大臣 総合的に判断をさせていただき、我々として、喫緊の課題である法科大学院改革集中的検討期間の平成三十年度の中に国会にお示しをするのに必要な手続を経たというように我々としては判断しているということで御理解をいただきたいと思います。

城井委員 大臣、在学中受験の件は、つけ加えで、プラスアルファでつけてくるような、そんな軽い中身じゃないですよ。

 今、大臣御みずからも、カリキュラムに影響というお話をおっしゃいましたけれども、私もこの後伺おうと思っていたのは、この在学中受験は、カリキュラムに、法曹に必要な部分と必要でない部分と出てくるような線を引いてしまう形になりませんか。だって、出口となる司法試験を受ける時期が違うんですから。どの時期に司法試験に間に合うような勉強をするかといったときに、では在学中受験以降のものは要らないんだねということになってしまいかねないという懸念の声がもう既に現場にはあるわけであります。受験生の特性というものはそういうことなんじゃないか。

 つまり、在学中受験を認めるというのは、法曹養成プロセスの前提そのものを変えてしまう、それぐらいの大きなインパクトがあるものだからこそ、その決め方、手続でちゃんと審議会を含めてくぐってきていますよね、関係者は、寝耳に水だと言っていると。だから、こうして申し上げているんです。

 これだけの大きなインパクトがあるというのはお認めになりますね、大臣。

柴山国務大臣 先ほどからの答弁でも、決して、在学中受験を認めるということが簡単な内容、軽い内容ということで言っているわけではない。私もさっき申し上げていますけれども、学生にとってそれを認めるか認めないかは非常に大きな問題である。ただ、その在学中受験というオプションを追加することは、それは学生にとって必ずしも不利になるものではない。ただ、今お示しになったように、それがカリキュラムに影響するというのは、それはおっしゃるとおりです。

 ただ、申し上げたいことは、司法試験に合格した後、さまざまな、いわゆる派生的な、例えば知的財産権法ですとかあるいは国際公法ですとか、司法試験の選択科目以外の、要するに受験科目ではないとても重要な法領域を司法試験受験後に学ぶことが想定され、そして、それを履修して修了したことが要するに司法試験合格の要件になっているわけですから、そういうことも含めて今回、判断をさせていただいたということです。

城井委員 在学中受験そのものの影響と、今おっしゃったように、その後の学びの多様性の部分の議論はまた別な話だと思います。

 今申していたのは、大臣もオプションだというふうにおっしゃっている、つまり、影響する人数が少ないから、選ぶ人の人数が少ないからこれぐらいはという感じで、もしかして受けとめているんじゃないですか。実際に法科大学院に向き合ったときに、今申したカリキュラムの大きな影響があるというところだけでも十分、オプションとして横に置くようなことではなくて、法曹養成の中でも大きな位置を占める制度の変更だというふうに思うからこそ、こうして申し上げているわけであります。

 この制度の前提そのものが変わってしまうという点についてはお認めいただけますね。

柴山国務大臣 先ほど来申し上げているとおり、在学中受験について、これが学生にとって影響が大きいということそのものは、再三答弁をさせていただいております。

 それとあと、法律のたてつけから申し上げますと、司法試験の受験資格を有する者というのは、今回の法改正のうち司法試験法及び裁判所法の一部改正という形になりまして、これはまさに法務省において検討する問題で、在学中受験が仮になされるとしても、これは四年後からというのが今回の法のたてつけであります。

 ですので、その間、先ほど来申し上げているとおり、丁寧なプロセスを経て、ではそれに対応するカリキュラムをどうするかということについては検討をぜひさせていただければというように考えております。

城井委員 時間がなくなりましたので発言でとどめさせていただきますが、審議会をくぐらない内容で、しかも制度の根幹、前提にかかわるような仕組みを持ち込もうとしているということ、そして、審議会は必要でない、くぐらずともいいんだ、理解してくれというふうに押しつける先ほどからの答弁は本当におかしい。立法府に対して出す政府案として、我々はないがしろにされたというふうに受けとめております。

 きょうは、二十二問準備しておりましたが、三問しかできませんでした。しかも、最後、文部科学大臣がくしくもおっしゃいましたように、法務省、法務大臣が所管する部分が相当なところを占めております。法務副大臣からも、ついぞ、審議会をやはりもう一度くぐってから出し直しますという言葉はいただけませんでした。連合審査を含めて、法務委員会とも連携しながら、そうした政府案に欠落している部分をきちんと我々からもただしていくということ、ぜひやらせていただきたいということ、委員長に改めて、連合審査の申入れを理事会で協議をいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 二〇一九年、ことし一月二十八日に中教審大学分科会法科大学院等特別委員会がまとめた「「法曹コース」に関する考え方について」では、法曹コースの教育内容に関して、「法科大学院の法律基本科目に相当する科目が開設されており、協定先の法科大学院既修者コースの学修に円滑に接続するために必要な基礎的な学識及び能力を修得させる科目が必修科目とされていること。」とされました。

 これは確認ですが、法科大学院未修コース一年目の教育内容を大学の法学部で教えるということでしょうか。

伯井政府参考人 今、御指摘いただいたとおりでございます。

畑野委員 この間の中教審法科大学院等特別委員会の中でも、法曹コースを導入した場合の学部教育のあり方や教育内容について、さまざまな懸念が挙げられてまいりました。

 きょうは、お手元に資料をつけさせていただきました。文部科学省から出していただいた、これまでの法科大学院等特別委員会第九期、平成二十九年三月から平成三十一年二月における委員の主な御意見、法曹コース、法学部の教育内容関係というものです。

 この中では、例えば、「多くの大学では、法曹コース独自に、例えば民法の授業をやるというのは、人的にも物理的にも無理で、法曹コース以外のコースと併せて授業をやらざるを得ないという状況があるため、それを前提にしながら、法曹コースの設置の要件なり認定の要件というのも考えていただきたい。」という声が上げられております。

 また、資料の二枚目の最後のところでは、「伝統的にジェネラリストを養成してきた法学部の授業では、法曹志望者に対する十分な指導が難しい一方、法曹志望者に特化した授業を行おうとすると、大半の学生には難解な授業となってしまう。法学部教育との連携については、こうした点を踏まえた検討が必要となる。」という声も紹介されております。

 伺いますけれども、このような懸念が示されてきたもとで、どうやって法学部のカリキュラムと法曹コースのカリキュラムを両立させるおつもりなんですか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 今回、改正案では、法学部の法曹養成基礎課程、法曹コースを設け、学部の早期卒業を前提として、法科大学院既修者コースへ接続する3+2のルートを制度化するということで、先ほど御質問いただきましたように、学部三年間で、法律の基本科目について、学部の三年間、特に三年目あたりに法科大学院の未修の一年次の内容を修得できるカリキュラムを編成することが求められるということで、今御紹介いただきました法科大学院等特別委員会の中教審の議論におきましても、今御指摘のあったような御意見があったわけでございます。

 我々といたしましては、法曹コースの開設を検討するこうした大学の不安、疑問を解消するというのは、新制度に円滑移行のために非常に重要不可欠であるというふうに考えております。このため、さまざまな資料を大学に提供し、質疑応答集なども整理した形で全大学と共有しているところでございますが、また、この法案、お認めいただいた後は、大学向けの説明会を開催し、丁寧な情報提供や説明に努めたいと考えておるところでございます。

 そもそも、法曹コースの開設を検討している大学においては、法学部全体のあり方、あるいは果たしている役割というのを考え、学生を受け入れる責任ある立場ということを認識して、法案が成立した際には速やかに対応できるよう、しっかり準備を進めていただく必要があるというふうに考えておりまして、文部科学省といたしましても、大学に対して、この法曹コースの趣旨について周知し、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

畑野委員 ことしの二月までのまとめた意見の中で、こういう不安の声が出ているんですよ。法案が通ったらそれからやりましょうという話じゃないじゃありませんか。本当に、今の答弁で現場の懸念には応えられないと思います。

 法学部教育は、学生全員が法曹を目指すのではなく、多くは、法学的素養を身につけて、社会の各分野においてリーガルマインドを発揮することが期待されているものです。そこに、法曹養成に特化した法科大学院の教育内容を持ち込むということで、学部の教育のあり方も、また法科大学院未修一年次の教育内容も、ふさわしく教えることが本当にできるのか。

 先ほど紹介したような中教審での議論のように、一般学生向けの民法と法曹コース向けの民法を区別して設けるのは難しいのが大学の現状ではないでしょうか。であるならば、どうするのか。実は、聞いているのは、もう間に合いませんよ、無理ですよという声も聞かれるわけです。

 文部科学省の「法曹コースの制度設計等について(案)」、これは二〇一八年十月五日に示されたものですけれども、そこでは、「法曹コースの形態として、プログラムに登録した学生が指定された科目(法曹コースの学生のみを対象とした科目や学部・学科の全学生を対象とした科目)を履修する「履修プログラム方式」も可能とする。」というふうに言っていたものが、ことしに入って、二〇一九年一月二十八日では、クエスチョン一、「法曹コースの形態について、以前までは「履修プログラム方式」も可能との整理であったが、この考え方は維持されているのか。」に対して、アンサー一、「「履修プログラム方式」により法曹コースを開設することも可能であるが、」とした後に、「同方式については、学生が所属する学部・学科・課程等の履修区分の中で、法曹コースの教育上の目的を達成するために体系的に教育課程が編成され、指定された科目群の体系的な履修が可能となっている必要がある。」。体系的というのは、伺いましたら、大変高度であると。ただばらばらに学べばいいんじゃない、相当高いレベルになるというお話も伺っております。

 そこで伺いたいんですが、柴山大臣が、先日の委員会で、法曹コースを標準とすると御答弁されました。

 既に、早期卒業や飛び入学を活用して、法学部教育と法科大学院の既修者コースを接続させるコースを設けている法科大学院は存在しますけれども、その多くは、受験偏差値や司法試験合格率が高い大学だと思うんです。法曹コースをつくって、一般の学部生向けとは区別された、法科大学院未修一年目に相当する授業をできるのは、こうした大学にならざるを得ないのではないだろうかと思うんです。

 そうしますと、偏差値の高い、限られた大学の法学部に入学し法曹コースに入らないと、法曹になりにくくなり、これまで言われてきた、多様な人材を多数法曹に受け入れるために学部段階での専門分野を問わず社会人等にも広く門戸を開放するとされてきた法科大学院創設の趣旨に反して、法曹の多様性が阻害されるのではありませんか。いかがですか。

柴山国務大臣 決して、今回の改正案は、司法制度改革審議会意見書の考え方を変更するものではないと思っています。

 3+2の制度化は、法曹資格取得までの時間的、経済的負担の軽減が学生にとって大きなニーズとなっていることに対応するために、法科大学院の存在意義を損なわずに、法学部と法科大学院との連携を図るというものであります。ということで、プロセスとしての法科大学院での法曹養成の理念は引き続き保たれております。

 今回の改正案は、プロセスとしての法曹養成の理念を、引き続き重要であるという理解に立ちつつ、現実のニーズを踏まえて、中央教育審議会における議論や、関係団体とも意見交換を重ねた上で、必要な改革を行っているものでありますので、あたかも、予備校化が進むのでないかとか、これまでの理念が否定されるものでないかというような御指摘が当たるものではないというように私たちは考えております。

畑野委員 しかし、この具体的なものも本当に議論が尽くされていないんですね。これはまたしかるときに続きをやりたいと思うんですけれども。

 あわせて、先日の質問で、在学中受験の導入は与党の文科・法務合同部会からの提案だったという答弁がありました。そのことについて伺いたいと思います。これは具体的にどういう提案だったのでしょうか。

小出政府参考人 お答えいたします。

 昨年の七月に行われた与党の法務・文部科学合同部会におきまして、出席した議員から、まず、多様かつ有為な人材確保に向けた制度改革として、地方の法学部や法科大学院にも配慮しつつ、法学部三年、法曹コースですね、在学後に、法科大学院二年コースに進学できる制度、3+2を創設し、その運用を標準化すること、それから、法科大学院の全国的な定員規模の合理化として、法科大学院の定員について二千三百人程度の現状規模の範囲内で当面制度的に管理し、予測可能性の高い養成制度を実現することといった内容とあわせまして、これらの法科大学院改革を踏まえた司法試験のあり方の見直しとして、司法試験について、いわゆるギャップタームの解消、法科大学院在学中受験の実現も含め、必要かつ速やかな見直しを行うことといった改革の方向性が具体的に提案され、また、法科大学院を修了した者の法曹分野に限られない社会での活躍のために必要な環境整備への取組といったことも示されまして、これらの点に関する意見交換が行われたところでございます。

 これらの改革の方向性に大きな異論はなかったものと承知しております。

畑野委員 去年の七月にそのような与党の部会からの提案で議論がされたということでした。

 それでは伺いますが、文部科学省の方からは、こうした件について、法務省、文科省、日弁連、法科大学院協会などと意見交換をしながら検討してきたと説明されましたが、いつどこでどのように議論をされ、それは公開された議事録があるんでしょうか。

伯井政府参考人 まず、法科大学院協会につきましては、関係者の意見を聞きながら検討を行ったというものでございますが、昨年九月に、大学院としての教育が維持されることなどを条件としてこの在学中受験というのを了承いただいているところでございます。

 また、法務省との間におきましては、いつどこでというわけではなく、法科大学院制度と、法務省が所掌する司法試験制度をパッケージとして改革を行うということで、日ごろから協議を重ね、今回の閣議決定に至る立案に至ったものでございます。

畑野委員 二〇一九年二月四日の法科大学院協会理事長から「法科大学院協会会員校の皆さまへ」という連絡文書が出ています。その中でこのように言っております。「法案の内容に関する資料として、別添のポンチ絵を入手しています。あくまで検討途中の一案として内々に入手したものであり、今後大きく変更される可能性も多分にあるということであったため、」、「混乱を招くことを避ける観点から会員校に対する情報提供時期につき慎重にタイミングを見計らってきたところです。おりしも、法務省・文部科学省において一月末からこの資料を用いて議員への説明を始めるとの最新情報に接したところであり、これを機に会員校への情報提供を行うことと致しました。」。

 九月と言っておりますが、実際、会員校の皆様へというふうに理事長から伝えられたのは、二月四日、ことしではありませんか。

 そこの文書の続きには、「現時点において、司法試験制度に関しては、1司法試験の法科大学院在学中受験資格を導入すること、2法科大学院在学中受験資格については、受験資格を取得しても、実際に受験しなければ受験期間のカウントを開始しないこと、3法科大学院在学中受験資格により司法試験に合格した者については、法科大学院を修了しなければ司法修習生となることができないこと、の三点について、方向性が決まっていることを聞いています。」、こういうふうに言っているんですね。

 大臣に確認です。それで、先ほど議論になっている在学中受験の話というのは、中教審では検討されたのか、されなかったのか、そのことだけお答えください。

柴山国務大臣 中央教育審議会法科大学院等特別委員会においては、司法試験の在学中受験について議論を明示的に行ったということはございません。

畑野委員 大問題ですよね。柴山大臣は、法務相ではないですよね、文部科学大臣ですよね。まさに教育のことをつかさどる。

 しかも、今回、法科大学院だけじゃないんですよ。大学の学部の問題も、四年制を三年制にする法曹コースをつくるんですよ。そして、3+2と言ってきたけれども、その3+1を過ぎたところで、修了前に司法試験を法曹を目指して受験できるようにするということですよね。

 私、この間から議論しているように、プロセス教育と大臣はおっしゃるんだけれども、それに向けて決めてきた、十五年前から進めてきた、いろいろな問題はあるでしょう、あったでしょう、であるならば、もう一回原点に立ち戻って、拙速ではなく、具体的に事実に基づいて。一部の与党の部会で言われて、はい、そうですかと、正確な議事録もないところで。一応法科大学院協会にも言いましたよと。法科大学院協会だって困ったと思いますよ。何だかそういう法曹コースが始まるなら、各大学でも、大学院でも、手を挙げようかどうしようかと、期待も出たり、でも不安もあったり、一体どうなるんだろうかと。そういうのは公のところで議論しなくちゃならないんじゃないですか。

 私は、プロセス教育といいながら、教育の現場において、つかさどる者として、きちっと審議会にもかけない、議題にもしない、これは本当に、先ほど議論があるように、大きな瑕疵だと言わなくてはなりません。ましてや、それを法案に出してくる、こういうことは私は認められないと思うんです。

 結局、大臣は、諮問をしていなかったことを法案に入れる、答申も受けていないことを法案に入れるということなんですよ。

 これは、この委員会で、法務委員会じゃないんです、ここは文部科学委員会なんです、真剣に教育のこと、大学のこと、大学院のこと、そして専門職大学院たる法科大学院のことについて、これからいよいよ議論を、はっきり言って十五年ぶりに初めてやろうというわけですよ。それぐらいの大きな変更じゃありませんか。何だと思っているんですかということになります。

 私は、先ほどから同僚議員が言っているように、この法案は撤回して、もう一回出し直すべきだということを申し上げたいと思います。

 それで、私、最後に……

亀岡委員長 質疑時間が来ております。

畑野委員 もう時間ですか。わかりました。

 では、この続きは、もう一回やりたい。そして、法務大臣と文部科学大臣がやはり一緒になってこのことを真剣に議論する、今回そういう法律案になっているわけですから、そのことを求めて、質問を終わります。

亀岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 いろいろな委員がかなり厳しい質問をしてきたというのも、ある一定の状況を変えたことによって、それをはっきりと失敗だとか、参考人質疑の中では、一番今回の改正に関して積極的に賛成をされていた法科大学院の教授も悪循環とおっしゃられましたし、きょうの質疑においても、文科大臣が、非常に危機的な状況というような話もありました。法務副大臣からは、緊急な状況と。

 ある一定の改正をしたことによってここまでマイナスな評価をされるということは極めて珍しいことなんじゃないかなと思いますので、今回の改正がまた同じ悪循環の一環になるのではないかという危惧というのは、当然誰もが持っておかしくはないんじゃないかなと思います。

 そこで、まず最初にお聞きをしたいのは、従来の旧司法試験から法科大学院への移行というものは正しかったのかどうかという点を、閣法そして議法の提出者からお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

柴山国務大臣 再三申し上げているとおり、私は、旧司法試験制度においてずっと受験をしてきた人間であります。

 旧司法試験制度におけるいわゆる点のみの選抜から法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度への転換は、実務力や実践力も含めて法曹のプロフェッショナルを育成していく上で正しい選択であったと考えております。

 しかし、制度発足時に法科大学院の参入を広く認めてしまったことから、数多くの法科大学院が設置されて過大な定員規模となって、司法試験合格者についても、当初の目標が実現できない中で、法科大学院修了者の合格率が、七、八割どころか二、三割と、全体として低迷する事態となってしまった。また、法曹を目指す多くの学生も時間的、経済的負担が大きいと感じるようになってしまった。また、法曹の将来にわたる私どもの需要の見込みも当初と大分異なってしまった。

 今回の改革案は、こうした状況を踏まえて、法科大学院を中核としたプロセスとしての法曹養成制度の再構築を図るものでありまして、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度に転換したこと自体は正しいと考えておりますけれども、これからしっかりと立て直しに取り組んでいく必要があると私は考えております。

階議員 御質問をありがとうございます。

 大臣からもお話がありましたとおり、プロセスとしての法曹養成制度ということを目指していたわけで、このこと自体は理念としては正しかったと思うんですが、結果的には、プロセス、すなわち線として法曹養成制度がまだ構築されていないということなんだと思います。

 法科大学院に入ったからといって合格率が特に上がるわけでもなく、むしろ、法科大学院に行ってもなかなか合格できないということから法科大学院の受験者数もどんどん減ってきている。そして、質、量ともに豊かな法曹を養成するのがこのプロセスとしての法曹養成制度の目標だったわけですけれども、それも達成されず、質も量も低下してきている、そんな状況だと思います。

 すなわち、PDCAでいえば、Pのところは正しかったと思いますが、実行した結果まずかった。これからCとAをしっかりやらなくてはいけないと思うんですが、今委員が御指摘のとおり、今回の閣法であれば、また悪循環、PDCAサイクルは回らないのではないかという危惧を抱いておりまして、そうであれば、もともとの司法試験の受験制度の方が、いろいろなことを考えますと、現在の制度よりもよりよいのではないかと。我々の提案は、まさにそのような観点から考えたものでございます。

串田委員 お二人の回答の中から、どちらもプロセスというのがありました。

 プロセスということであるならば、法科大学院を卒業して受験するというのが、本来今まであったものでありましたが、今回は、一年たった後、いわゆる法学部であれば、四年生の部分を大学院に置きかえ、そして卒業する前に試験を受験することができるという意味では、プロセスというものをむしろ減退させていく改正になっていくのではないかなというふうに思うんですが、あえて入学金まで、二十七、八万円ですか、法科大学院の受験料、入学金も用意させ、学部は三年に削り、そしてプロセスという二年間を一年に縮めて受験させるということに関しては、本来のプロセスという部分からは、逆に逆行していくのではないかというふうにも思えるんですが、お二人の提案者から、この点についてお聞きをしたいと思います。

柴山国務大臣 そもそも、プロセスによる法曹養成というのは、法科大学院教育を通じて司法試験に確実に合格できるように、さまざまなプログラムを通じて体系的な学修を行う、それから、実務力、実践力を含めて法曹のプロフェッショナルを育成していくためには、司法試験だけではなくて、実務ですとか、あるいは倫理観ですとか、多様な、要するに需要に応じた学修をするということ、こういったことも指しているものであります。

 確かに、今回の3+2を制度化したことによって期間は若干短くはなりますけれども、そういった理念そのものがなくなってしまうというわけではございません。

 いずれにいたしましても、こういった短縮した期間による教育であっても、充実した法科大学院教育と厳格な成績評価、修了認定によって、その実を失わせないように、しっかりと制度設計を試みたいと考えております。

階議員 まさに、プロセスとしての法曹養成制度がもう空洞化しているということなんだと思います。

 本来、プロセスとしての法曹養成制度は、大学を終わった後、いろいろな学部の人が、二年とか三年をかけてしっかり学んで、そこで学べば七、八割が司法試験に合格する、さらに、その後、司法修習も経て、これでプロセスが完結するということだったわけですけれども、その法科大学院、受験生が法科大学院に通えば受かるというようなことではなくなってきたことによって、みんな、予備試験ルートに流れた。

 この予備試験ルートに流れていく人を引き込むために、期間を短縮して、そして、最短では大学四年で卒業したのと同じぐらいのタイミングで受かるようになってしまうということであれば、何のために大学を卒業した後、プロセスということで法科大学院に通うことを求めたのかというのがわからなくなってしまうわけで、今回の政府案は、まさに、プロセスとしての法曹養成制度の自殺行為、空洞化、自己否定だと思っております。

串田委員 そこで、従来の試験が法曹としての豊かな法曹人を選べなかったのか、あるいは養育することができなかったのかというところをお聞きしたいと思うんですが。

 階委員は、もともと銀行にお勤めの中で司法試験を受験されて合格をされたということでありました。当時は、いろいろな学部から合格をして、そして、そういう学部の人は、法学部の人から見るとむしろ大変優秀で、短期に合格をしている人が非常に多かったという印象なんですが、そういう意味では、法学部、法科大学院というルートをつくってしまって、そういう、何か多彩な人をシャットダウンしてしまうんじゃないかというような気もいたしますが、お二人とも、そういう意味での経験の中で、従来の試験では多彩な人を選べなかったのかどうか、周りの環境なども含めまして、体験などをお話しいただければと思います。

柴山国務大臣 おっしゃるとおりで、社会人でありながら、階議員のように大変優秀でかつ苦労しながら司法試験に合格できた方というのは、私の目から見たら大変尊敬に値する存在でありました。

 ただ、これはちょっと申し上げられると思うんですけれども、必ずしも他学部あるいは社会人から、要はそうじゃない、要するに、学部卒業生が受ける試験と条件的にはパラレルではありますけれども、今おっしゃったように、そういった社会人とかから入ってこられる方というのは、いわば、今委員御自身が御指摘のとおり、大変能力の高い方なのかなというように思います。

 また、もう一つ、そういう方でも、通常であれば何度も何度も試験にチャレンジをされる方が一般でありまして、それはなぜかといえば、旧司法試験、つまり点のみの試験で、あと合格率、合格率まで言っちゃうとちょっと別のファクターだというふうに前回委員おっしゃったから、本当はそれをちょっと外さなくちゃいけないのかもしれませんが、点による選抜ですと、どうしてもやはり問題の当たり外れによって、能力があっても合格ができないということがありますので、法科大学院によるプロセスによる選別というのは、厳格な成績評価や修了認定によってある程度真に能力がある者が修了することができ、そしてそれを修了さえすれば、その修了者の七割から八割を受け入れる、合格をさせるというふうにしても、いわば粒がそんなにばらつきはないよと。

 そういう制度設計にすることによって充実した法科大学院教育、厳格な成績評価、修了認定を前提とした法科大学院教育というものがもし実現すれば、より多くの方がきちんとあるべき合格というものができる制度になるのではないかということで制度設計をさせていただいたということであります。

階議員 私は、おっしゃるとおり、銀行に勤めておりまして、銀行が破綻したことによって、司法試験、何とか受かろうと思って何度も受けましたけれども、ようやく受かったという口であります。そもそも、大学も形式的には法学部でしたけれども、実質的には野球部で、グラウンドにしか行っておりませんでした。ですから、普通はこういう人間が弁護士になるというのは珍しいんだと思いますけれども、やはり、法科大学院に通わなくちゃいけないというハードルがあれば、私は受かることはなかったんだろう。

 法科大学院に通えばお金も時間もかかります。また、通ったところで受かるかどうかもわからないというのが現実でした。その上に、受かった後も、収入は以前ほどでもない。すなわち、弁護士が大量供給されたことによって待遇も下がっている。いわば四重苦の状態です。そのような状況だったら、私は、法科大学院を目指すこともなかったし、今はどこで何をしているかわからない、こんなことであります。

串田委員 今、柴山文科大臣がおっしゃられたように、大変優秀な人が多いというのも事実だと思うんですね。そういうような人を未修習ということで法科大学院に三年間また入ってもらうということが本当に必要なんだろうか。今、階委員がおっしゃられたように、いろいろな経験を踏んでやってこられた方があるわけですから、素養とかというのも独自に体験されていらっしゃると思うので、そういう意味で、あえてそういうルートしか残さないということ自体が果たして本当にいいことなんだろうかということが非常に疑問なわけなんですけれども。

 先ほど大臣が非常に危機的な状況とおっしゃられて、その危機的な状況が何であるのかというのはちょっとまだ明らかにされていないんですけれども、受験生の激減というのが一つの危機的な状況なのかなと。現実にプロセス自体はあるわけですから、そうなると、今回の改正で激減したものが回復することになるのかどうか、これは議法と衆法があるわけですけれども、どちらの方がこの危機的な状況を回復することになるのかということの選択肢というのも、当然、大臣としても考えていただいたんだと思うんです。もう法科大学院ありきというわけではなかったと思うんですよ。

 そういう意味での、この危機的な状況をどちらが回復をするのかという点に関しては、お二人とも、どのような理解だったんでしょうか。お聞きしたいと思います。

柴山国務大臣 司法試験受験生が激減することが、まさしく今委員が御指摘のとおり、我々が緊急に解決しなければいけない問題であったというように考えております。

 その原因が、まさしく、先ほど階議員からも御紹介をいただいたように、法科大学院をせっかくつくったのに司法試験合格率が二割から三割と低迷してしまっている、また、法曹資格取得までに時間もかかるし経済的負担もかかる、これが大きな不安や迷いとなってしまったということだと理解をしております。

 ですので、私ども政府の提案としては、そこについてしっかりと、在学中受験も認めるという形も含め、しっかりとした受験生に対するニーズを満たす負担軽減というものを行っておりまして、さらに、予備試験のあり方についても今後これとパラレルに見直しをするということで、私としては十分魅力のある法曹制度というものが構築でき、受験生がしっかりと戻ってきてくれるというように確信をしております。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

階議員 プロセスとしての法曹養成制度を追求していくということは、やはりそれなりの時間とかお金がかかるものです。だけれども、それに見合うだけのリターンがあるからみんな法科大学院に通っている。だけれども、もう今やそういうリターンが期待できないから法科大学院に入る人が減っているので、少し時間とお金をかからないようにしようと。だから、これは本末転倒だと思うんですね。プロセスとしての法曹養成を、理念をどんどん捨ててきている。その背景には、おっしゃるとおり、志願者の減少で、背に腹はかえられなくなってきたということがあるわけです。

 でも、そこでとるべきことは、法科大学院の理念に反するような改革ではなくて、司法試験の受験のハードルを下げること。だからこそ、私どもは、受験資格を撤廃すればいいということを言っております。

 法科大学院については、まだまだ別の形での存在意義があると思っています。受験資格を撤廃しても、リカレント教育であるとか司法修習の一部を担うとか、そのような形で法科大学院の存在意義を発揮していただきたいと思っております。

串田委員 最後に、お二人にまたお聞きしたいんですが。

 議法は、司法研修所の時間を延ばすという形になっています。

 かつては二年だったのが一年になったということで、そこの部分で要するに実務を研究、研修することができたわけです、二年間で研修できたのが一年になる。その分、今度は大学院にそれを回そうということなんですけれども、非常に短期に合格をする人は法学部の学部だけでも合格をしていた人もいて、その後、研修所で二年間実務を研究できたという意味では、実務だとかそういう法曹の、いろいろな文化の視察に行ったりも研修所でありました。

 そういったものがなくなっていって一年になったということで、方向性として、誰でもどの学部でも合格ができる、そのかわり研修所の期間はまた前のような期間を設けるようにしていくということも考えられると思うんですが、そうじゃなくて、研修所の方を短くして法科大学院にするということの意義というものがちょっとわかりづらいと思うので、お二人の方から、どうして研修所の方を縮めて法科大学院にしたのかということをお聞きしたいと思います。

柴山国務大臣 これは、これまでは点による合格者選抜をしていたということから、それとの関係で、必要なグループ演習ですとか、あるいは起案ですとか、あるいは模擬裁判ですとか、そういういわば実務型の教育プロセスというものが、旧司法試験の終わった後にずっと、かつては二年間、そして私が修習をしたときには一・五年というような形で、だんだん短くなってきた気はしましたけれども、そこで遅まきながらプロセス教育をしていたということだと思うんですね。

 だけれども、今回の制度設計においては、やはりそれは、要するに法科大学院という形で、選抜を行うところからプロセスによって、そういうことができる人をなるべく幅広く資格を与えていくということを我々としては目指していることから、要するに、司法修習のプロセスということについては一年間ということで済むように、法科大学院におけるプロセスの教育をより充実させる。トータルとしては、やはりしっかりとしたプロセス教育を行う、そういう考え方です。

階議員 御指摘のとおり、私どもの法案は修習の期間を二カ月延ばす。その背景には、現在の法科大学院の教育が実務教育が必ずしも十分に行われていないと。研修所に入ったときに、要件事実という、法律家の極めて実務的な知識を学ぶわけですけれども、その部分を法科大学院でやろうとしていたはずなのに、実際にはそこはおざなりになってきている。だから、研修所に入ってから改めてそこをやらなくちゃいけないということで、導入教育なども途中から入ったというふうに伺っております。

 そうしたことを鑑みれば、法科大学院が修習の機能の一部を担うのはやはり大変なことだ、そこで、一年二カ月の修習期間、二カ月延ばすことによって、実務家としての必要な能力、あるいは串田先生がおっしゃったように、さまざまな社会的な経験、私どものときは、例えば新幹線の車内清掃であるとか介護施設での実習とか、あるいは障害者福祉施設での作業のお手伝いとか、いろいろなことをさせていただきました。そうしたことを実務家になる前に学ぶということも大変意義があるのではないかと。そのためにも、修習期間は今よりも延ばした方がいいのではないかと考えております。

串田委員 時間になりましたけれども、大臣、最終的にはやはりテストなんですよね。今、実務を研修されているということを試すといいながらも、最後はテストなので、そのテストはやはり傾向と対策になっちゃうんじゃないかなと。それは、やはり、研修所に行って、今、階委員がおっしゃったような、体を動かして実務を研究するのと、テストで、傾向と対策で学んでいったということで調べるというのとは、やはりちょっと違うんじゃないかなというような感想を持ちました。

 時間になりましたので、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 通告している質問に入る前に、先ほど城井委員とのやりとりの中で大臣が答弁されたことで、ちょっと私も首をかしげるような答弁が一つありましたので、まず、その真意をお聞きしたいと思います。

 先ほど、在学中受験に関して、審議会の中で議題になった、ならないというお話がありました。その際に、それでもいいんだ、そして、学生にとってオプションがふえるんだ、だからいいんだというようなことを大臣、たしか答弁されたと思います。一体どういう意味なんでしょう。

柴山国務大臣 司法試験の在学中の受験については、法科大学院教育改革の検討状況を踏まえて、法務省において、法科大学院在学中受験を認める必要性、合理性、そして、それを実現する場合の具体的制度のあり方などのさまざまな観点から、文部科学省と連携して鋭意検討が行われ、決定をされたものであります。

 この過程において、法科大学院協会等の関係者の意見も聞きながら検討させていただいたところであって、法科大学院協会としても、昨年九月に、大学院としての教育が維持されるということを条件として御了承いただいたということであります。

 こういったことを総合的に勘案すれば、文部科学省、私どもといたしましては、中央教育審議会で明示的に議論となってはおりませんでしたけれども、それが法曹資格取得までの時間的、経済的負担の軽減に資する道を要するにつけ加えたということでありまして、今回の改正案の提出はお認めいただきたい、そういう趣旨でございます。

吉川(元)委員 つまり、時間が短縮できるという一つのオプションをつけ加えたからいいんだということでしょうか。

柴山国務大臣 繰り返しになるとおり、在学中受験の導入は法曹資格取得までの時間的、経済的負担の軽減の道をつくったということから今回の改正案の提出が認められるというように、その前の、我々の中教審後のいろいろな、さまざまなプロセスも含めて総合的に御理解をいただきたい、そういうことでございます。

吉川(元)委員 大臣が先ほど御自分の言葉で答えられたんです。多分あれは、僕は見ていましたけれども、紙は読んでいませんでした。大臣の言葉として、学生にとってオプションがふえるという言い方をされたんです。

 それはどういう意味なのか。それは、経済的、時間的に短縮できるからという意味で、学生にとって、こういう言い方はいいかどうかわかりませんけれども、お得になる、だからいいんだという意味で言ったんですか。

柴山国務大臣 先ほど、今おっしゃるとおり、紙を見ずに私は自分の言葉で申し上げたんですけれども、今委員から改めて御質問をいただいた中で、私が申し上げたとおり、学生等にとって、要するに時間的、経済的負担の軽減に資する道を新たにつくるということで、ぜひ御理解をいただきたいというように思います。

吉川(元)委員 そうすると、私、非常に大もとからおかしくなるんじゃないかと。

 司法制度改革の出発点、そしてそれは今なお引き継がれているということで、大臣、何度もおっしゃっていますけれども、点による選抜ではなくてプロセスとしての法曹養成、これがもともとの司法改革の根底にありましたし、今回もそれは引き継がれているというお話ですよね。

 ところが、在学中に、時間の短い、四年で受験資格を得て、いわゆる司法試験を受けて合格、その結果として経済的にも時間的にも短縮できるというのであれば、それは点による選抜じゃないんですか。

 しかも、これは、たとえ四年終わった段階で司法試験に合格したとしても、もう一年間は法科大学院にいなきゃいけないんでしょう。そこを出ないと司法修習に入れないわけでしょう。だとすれば、何の時間短縮になるんですか、何の経済的な負担軽減になるんですか。それとも、司法試験に受かったら、いわゆる授業料を払わなくて済むんですか、大学に行かなくて済むんですか。

柴山国務大臣 今申し上げた、要するに、時間的そして経済的な負担を軽減するということと、それからプロセスによる選抜ということがトレードオフになるのではないかという御指摘でございますけれども、在学中受験資格の導入の後も、法科大学院は、あくまでもプロセスとしての法曹養成制度の中核として、将来の法曹として必要な理論と実務能力を培う場としての役割を担うものであり続けております。

 法科大学院の在学中に受験したとしても、その前の学部の三年間と、それから、法科大学院に入ってから一年プラス受験の年、そして、受験をしてから実際に法科大学院を卒業するまで、これだけのやはりプロセスというものは確保をされているわけでありまして、司法試験の合格に加えて、今申し上げたように、法科大学院の修了を司法修習生の採用要件としているわけであります。

 こうしたことから考えると、法科大学院におけるプロセス教育の充実というものは引き続き図られていると私は考えております。

吉川(元)委員 ちょっと私、通告した質問をしたいのであれですけれども、時間的あるいは経済的なものを負担を軽くするためにやると。だとしたら、合格した瞬間に司法修習に入ればいいじゃないですか。それはそれで引き続きやらなきゃいけないんでしょう、二年間は、二年終わるまでは。だとすれば、それは節約になっていないじゃないですか。

柴山国務大臣 そこがまさしくプロセス教育ということでありまして、法科大学院においては、在学期間である三年間あるいは二年間を通して、法曹として必要な学識、応用能力、実務の、基礎的素養のみならず、要するに、実務上それ以外に必要となってくる科目等についてしっかりと涵養されることが重要でありまして、法科大学院は予備校ではないわけであります。そういったこともきちんとプロセスとして学ぶということが必要だと私どもは考えております。

吉川(元)委員 いや、それだと事実上予備校になりますよ、それは。

 その審議会の中で議論した3+2、これは大変議論をされたというふうに聞いております。これは、つまり、それまで4+3ないし4+2でやってきたものを3+2でやって、プロセスとしてちゃんとできるのかどうか、それを議論されたんだろう。その上で、いろいろ意見はあったとしても、3+2で何とかプロセスを完結、そこの部分での完結はできるだろうというふうな議論があって、入ってきたんだと思います。

 ところが、在学中受験というのはそこで議論されていないということは、プロセスとしての法曹を養成する課程のこの3+2について、根本的に違うものが途中から持ち込まれた。それについて、いわゆる審議会の中で全く議論をせずに、後からつけ加えた。

 そして、しかも、大臣いわく、学生にとってもオプションがふえるからいいんだ。だったら、私はそう思いませんけれども、旧制度に戻してしまえばいいじゃないですか。それこそ時間とお金の節約になりますし、途中でプロセス、プロセスといいながら、最後の段階で結果的には違うものが持ち込まれたというのは、しかも、審議会の中でこれについて、これが果たしてプロセスとしての法曹養成、それを邪魔するものになるのかならないのか、それすら議論もしないまま法案が提出をされたということは、私はやはり大きな問題だということを指摘させていただきます。

 もう時間がないので、通告していた質問を少しさせていただきたいと思います。

 参考人の質疑の際に、伊藤参考人の方から何度も何度も強調されたのは、多様性、開放性、公平性、こういった言葉が何度も強調されました。同じことは司法制度改革審議会の意見書の法科大学の教育理念の中でも強調されています。

 一方、法科大学院入学者の三割以上を法学未修者や社会人とすべきとしてきた基準は昨年三月に撤回をされました。多様性、開放性、公平性の尺度となり得る未修者の法曹養成目標を撤回しなければならなかったというのは、現行制度はやはりどこかに欠陥があるんだろうというふうに思います。

 なぜ三割という目標を撤回しなければならなかったのか、お答えください。

伯井政府参考人 御指摘の、三割以上とする努力義務を課す文科省告示につきましては、法科大学院において受験者の適性を的確かつ客観的に判定するための入学者選抜を厳格に実施し、質の高い多様な者を入学させて法曹として輩出することを促すためなどの理由で、平成三十年三月、多様な知識又は経験を有する者を入学させる努力義務というのは堅持しつつ、数値基準については設定しないというふうにしたものでございます。

 一方、今年度の入学者のうち、未修者、社会人の割合は約三一%と実はなっておりまして、今後とも未修者、社会人の受入れというものに尽力してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 昨年三月、中教審の特別委員会が取りまとめた文書、名称が非常に長いので、基本的な方向性というふうに呼ばせていただきますが、この取りまとめにおいて、三割目標の見直しが提言をされております。その理由は、未修者の大学院入学の減少、さらに、未修者コースを所定の三年間で修了できるのが半数程度という例を挙げ、三割以上という基準を維持することは、入学者の質の保証の観点から適切でない、こういうふうにしております。

 要は、未修者は法科大学院に入学しても既修者に追いつけない、あるいは追いついていけない学生が多い、だから三割も入学させても仕方がない、こういうふうに言っているとしか私には感じません。しかし、スタート時点がそもそも違う未修者が、既修者と比べて知識の量などが劣るのは、ある意味これは当然だろうと。

 ところが、基本的な方向性では、共通到達度確認試験などにより、学生の質保証の仕組みを整備すべきだというふうにしております。これは、未修者であっても、レベルが高く、短期間に既修者に追いつくことが可能と思われる人材だけを入学させればいい、こういうふうに言っているのではないかという気がいたします。

 しかし、必要なこと、これは私は非常に驚いたんですけれども、学生の質の保証、これが教育機関の言うことなのかというふうに思わざるを得ません。スタート時点で既修者からこれはもう当然おくれているわけですけれども、未修者コースの三年で既修者と同等の知識や能力を身につけることができるように、問われるべきなのは法科大学院の教育の質ではないのか、教育の質を保証することが問われているのではないか。

 ところが、この方向性の中では、学生の質ということで、学生の方に問題を転嫁している、そういうふうにしか読めないんですけれども、大臣、これはどういうことでしょうか。

柴山国務大臣 御理解をいただきたいのは、我々は、やはり法学未修者を含む多様な人材を法曹として養成をすることが、法科大学院の重要な基本理念である。今般の法科大学院制度改革においても、未修者教育の改善、充実に取り組んでいるということであります。

 具体的には、この改正案により、法科大学院において涵養すべき学識などを具体的に規定するとともに、教育課程や、成績評価、修了認定の基準、実施状況の公表、こういったことも義務づけることによって、未修者教育も含めて、各法科大学院における教育のしっかりとしたレベルの充実というものを図っていきたいというように思います。

 また、こういった法改正とあわせた改革といたしまして、未修者教育、社会人教育への支援を含むめり張りある予算配分の継続ですとか、あるいは、各法科大学院が共通して客観的に進級判定に活用する共通到達度確認試験の本年度からの本格実施といった取組も推進して、未修者教育の質の保証を進めていきたいというように考えております。

 また、中央教育審議会法科大学院等特別委員会において、未修者教育の改善方策について具体的に更に御議論をいただくとともに、今後、文部科学省としては、その一層の充実を図る観点から、未修者、社会人の入学者割合ですとか、あるいは司法試験合格率ですとか、こういった数値目標を設定させていただいて、継続的に把握、検証を行っていきたいと考えております。

吉川(元)委員 やはり私、非常に違和感を感じるんですね、学生の質の保証という言い方が。もちろん、当然試験があったりして、そこでやっていくわけですけれども、求められるのは、学生の質ではなくて、教育の質なんでしょう。教育の質がなっていないから、こういうことになってきたんじゃないんですか。

 関連して伺いますけれども、他方、法科大学院への入学に際し、未修者に対し、改正連携法の十条は、適切な配慮を行う義務を課しています。この配慮の具体的な中身を聞かせてください。

伯井政府参考人 今回の改正案におきましては、法科大学院入学者の多様性の確保を一層促進するということから、入学者選抜の時期、方法等について、例えば、理系学部等の特定分野からの選抜枠の設定でございましたり、あるいは、知識の量よりも法的な思考力を問うような丁寧な口述試験の実施などの工夫によりまして、法学未修者や社会人に対する配慮義務ということを行ってもらうよう、そうした義務を規定することとしております。

吉川(元)委員 関連して大臣にお聞きします。

 今回、3+2、五年一貫型のプロセスが奨励をされていくというふうになっておりますが、こうなりますと、未修者にとっては、法曹はますます遠い世界になっていくような気がいたします。五年一貫型を奨励しつつ、どのようにして多様性を確保しようと考えていらっしゃいますか。

柴山国務大臣 今御指摘をいただきました、法曹コース修了予定者を対象とする選抜枠の設定を認める一方で、法曹コース以外の学生ですとか、未修者、社会人の枠も確保するということから、当該選抜枠は各法科大学院の入学定員の二分の一を上限とすることとしております。これによって、今お話をさせていただいた法学未修者や法曹コース以外出身の法学部生に対する法科大学院への進学機会をしっかりと確保することとしております。

 また、今回の改正案については、未修者や社会人に対する入学者選抜の配慮について、今答弁をさせていただいたとおり規定をしているほか、法改正とあわせた改革として、未修者教育、社会人教育への支援を含むめり張りある予算配分を継続することとしておりますので、多様性の確保というものはしっかりと推進していきたいと思います。

吉川(元)委員 未修者の進級判定などを行う共通到達度確認試験、今年度から本格実施をされるということでありますが、試行試験が行われている際には、法学未修者から既修者に順次これを拡大していくということがされております。

 昨年三月、特別委員会が取りまとめた基本的な方向性でも、少し言い回しは変わっていますけれども、本格実施された後、既修者コースや法学部の学生も受験できるような開放性のあるものとすることが期待をできる、こういうふうにされております。

 実際どのように運用されるのかを確認するために、文科省から資料を、これは第五回共通到達度確認試験の取扱いについて、昨年七月に出されているものですけれども、これを読ませていただきました。試行試験としては最後となったことし三月の到達度確認試験では、対象が、法科大学院一年次は未修者コースの学生のみ、二年次は未修者と既修者双方というふうになっております。

 そこでお聞きしますけれども、本格実施においても、一年次は未修者、二年次は未修者と既修者の双方が対象となるのかどうか、それからもう一点、本格実施においては全ての法科大学院で実施するようになるのか、この点はいかがでしょうか。

伯井政府参考人 平成三十年七月に開催された中教審の法科大学院等特別委員会におきまして、共通到達度確認試験につきましては、平成三十一年度から法科大学院協会と日弁連法務研究財団が実施主体となって本格実施するということ、それから、未修者教育の質の保証を図る観点を最優先として、全ての法科大学院の一年次学生が原則として受験することとされましたので、第一回の本格実施におきましては、全ての法科大学院一年次の学生のみを対象とするということで決定されました。

吉川(元)委員 ちょっとほかにもたくさん聞きたいことがありますので、それについてはまた次回質問したいと思います。

 以上で終わります。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 未来日本の笠でございます。

 本当に平成最後の文科委員会の質疑ということで、しっかり、また大臣、答弁をお願いしたいと思います。

 順番をかえます。

 先ほど城井委員の方から、いわゆる在学中の受験についての決定における、この法案を作成するに至ったプロセスについて、本当に、これは参考人の質疑においても、関係の皆さんから、この点についてのオープンな議論が全く行われていない、その中身もさることながら、審議をきちっとやっていないじゃないかと、密室批判というものがやはり強く出されたわけですけれども。

 ちょっと確認をさせていただきたいんですが、先ほど、平口副大臣、こういった状況について、いろいろな審議会等々で諮問する、あるいはそこで議論をいただく、そういったことは緊急事態においては必ずしも必要不可欠ということではないんだというような答弁を、私、先ほど伺ったような気がするんですけれども、ちょっと改めてお伺いをしたいと思います。

平口副大臣 緊急事態であることは間違いないわけでございまして、審議会に取ってかわるものとしては、法科大学院協会や日弁連から可能な限り意見を聞いて立案したものでございます。

笠委員 可能な限りとおっしゃいますけれども、先ほど、まず、与党の中の議論でいわゆる在学中の受験の必要性というものが出てきた、それを受けて、文科省ともいろいろと協議をしながら、今おっしゃったような弁護士会であるとか法科大学院協会からも意見を聞いたというような形で、プロセスはそういうことでよろしいわけですよね。

 そのときに、例えば与党側からそういう意見が上がってきたときに、やはりこの問題というのは大変なことだ、根幹にかかわる、まさにこの法曹養成の根幹にかかわるような問題なんだという認識はお持ちでしたか、副大臣。

平口副大臣 それは持っていたと思います。

笠委員 それだけの認識をお持ちだったら、何らかの形で、もっとオープンな形でいろいろな議論をする、あるいはいろいろな意見を聞く、そういった場を設けよう、あるいは審議会を開く、何かそういったことは検討されたんでしょうか。

平口副大臣 繰り返しになりますが、日弁連や法科大学院協会等の意見を聞きました。

笠委員 そうじゃなくて、今聞いたということじゃなくて、そういった、やはりもっと幅広に、きちっとオープンな議論、あるいは、申しわけないけれども、日弁連あるいは法科大学院協会だけじゃないでしょう。

 だって、これだけ今関係の方々がいろいろな、例えば、もう本当に反対の声を上げられているわけですよ。現に今そうじゃないですか。今回のこの改革の方向性全てを否定しているわけじゃないですよ、皆さん。そういった関係の皆さん方も、やはり急いでいろいろな形での改革、見直しをしていかなければならないという問題意識は一緒なんですよ。

 ただし、やはり在学中の受験を認めるということは大きな影響が出てくる、そういう危機感を皆さん持っているわけですよ。なぜそんなものが密室の中で、ある日突然のように決まってくるんだということに皆さん怒っておられるわけじゃないですか。その点について私は伺っているんです。

柴山国務大臣 再三密室ということをおっしゃっておられるわけですけれども、平成三十年十月五日の中央教育審議会法科大学院等特別委員会において、二名の委員から、司法試験の在学中受験に関連する発言はございました。そして、これに対して、委員として参画している法務省の担当課長の方から、在学中受験に関する検討状況、また、在学中受験が法科大学院の教育に影響があるということを踏まえて、関係者の意見を聞きながら検討していきたいということについて発言があったということは伺っています。

笠委員 いや、二名の方からとか、そういうレベルの話を私はしているわけじゃないんですよ。やはりそれは、私が密室だと言っているんじゃなくて、まさに当事者である法科大学院、まさにそこで、いろいろな関係者の方々からそういった批判が出ているんです。

 それは大臣も、やはりこれは本当に根幹にかかわるような重要な問題なんだという意識は、では柴山大臣はお持ちですよね。いかがですか。

柴山国務大臣 答弁をさせていただいたとおり、この在学中受験というのは確かに学生にとって重要な論点であるということは、私も認識は共通でございます。

 ただ、文部科学省といたしましても、在学中受験の導入は、法曹資格の取得までの時間的、経済的負担の軽減に資する道を加えるものであるということであると考えておりまして、総合的に検討させていただいた結果、今回の改正案を国会の方にお出しをしているということで御理解をいただきたいと思います。

笠委員 私は、皆さんこれだけの危惧をされているのは、先般も議論させていただきましたけれども、本来であれば、そのことによって、確かに短い、かなり短縮をされる形で司法試験に臨むことができる、あるいは法曹養成をすることができる。いろいろな声に応えてということはわかるんだけれども、そのときに、本来の、ではどういう人材を育成していくのか、あるいは養成していくのかという中で、司法試験のあり方であるとか、あるいは、ではこのことを導入することによってどういった影響が出てきて、そして、そのカリキュラム、実際の教育内容というものをどのようにしていくんだとか、そういうこともセットで提案をされるんだったらいいですよ。しかし、そういったことは全部、この制度が、この法案が通った後に、これから速やかに検討するということじゃないですか。

 しかし、私は、例えば、本当に、在学中の受験を認めるということは、やはりこれはかなりの影響が出てくるので、後回しにしても本来はよかったと思うんですよ、もし一定の方向性を、ある期限、急いでやるというんだったら。

 やはりそういったところが全く順番が逆になっているし、恐らく、在学中受験ということを導入することによって、今後、大変な混乱を招くと私は思うし、あるいは今回の目指すべき方向性、改革の方向性がひょっとしたら揺らいでしまう、あるいは法科大学院制度を存続させることにひょっとしたらつながらない、そういう危険性もあるということだけは御指摘をさせていただいた上で、ちょっと、ほかの質問もありますので、次に移らせていただきたいと思います。

 そもそも、この法科大学院制度が導入されて、もう十五年たつわけでございます。今回法改正をするに当たって、この十五年間の制度改正後のことをいろいろな形で、さまざま総括、あるいは分析を当然ながらされた上で、今回の法案の提案があるんだというふうに思っております。

 まず、法務省の方にお伺いをしたいと思いますけれども、一つには、法曹の量的拡大と質的充実を図るために司法制度改革というものが行われたわけでございますけれども、この質ということについて、やはり多様な人材をしっかりと受け入れていくんだというようなこともあるわけですが、昔の旧司法試験時代と比べて、新しい制度を導入して以降、そういう点についてのどういった成果があったのか、その点をお答えいただきたいと思います。

平口副大臣 お答えいたします。

 平成十六年に開始した法科大学院を中核とする法曹養成制度の導入以降、第一に、組織内弁護士が、企業内弁護士でもいいんですけれども、この十年間で十倍近く増加するなど、法曹有資格者の活動領域が着実に広がったということ。

 それと、弁護士がいない、あるいは一人しかいない地域である、いわゆるゼロワン地域が全国的にほぼ解消されたということ。

 そして、旧司法試験合格者総数のうち、四年制大学の法学部系統の学部に在籍した者以外の者、それらが一三%でございましたが、平成十八年から平成三十年までの法科大学院修了資格に基づく四年制大学の法学部系統の学部に在籍していた者以外の者の割合が一八%となっておりまして、総数でいえば一三%から一八%というふうに増加しているわけでございまして、このような点が新しい法曹制度を実行した上での成果というふうに言えると思います。

笠委員 先ほど、恐らく、今回の司法試験制度をどうしていくのかということにおいては、中には、やはりもう昔の方に戻した方がいいじゃないか、誰もがきちっと一発で受けていくというようなことで、そういう意見もある中で、それが物すごく多いかどうかは別として、今回、この法科大学院制度というものをきちっと継続していく、これが中核としてこれからも法曹養成をしていくという、まさに考え方に変わりはないわけですよね。

 そのときに、今、地域的なばらつきが解消されたとかいろいろなことをおっしゃったけれども、法務省の方にお伺いしたいんだけれども、この質というのはどういうような形で評価をされる、あるいは、法務省としては、新しい司法制度改革導入以降、これが行われて以降、どういうふうな形でチェックをされてきたのかということをお伺いしたいと思います。

小出政府参考人 お答えいたします。

 多様で質の高い法曹を確保する、非常に重要なことだと思っております。

 この人材の質、あるいは多様性がどのように確保されているかというどのような調査、分析をしているかということでございますけれども、網羅的な調査、分析は行っておりませんけれども、適宜、事例等の紹介等は実施しております。

 例えば、法務省が文部科学省と共同して開催しております法曹養成制度改革連絡協議会におきましては、現行の法曹養成制度のもとで、医師や建築士あるいは専業主婦など多様なバックグラウンドを有する者が、法科大学院教育を受け弁護士となって、さまざまな分野で活躍している具体的事例についての紹介あるいは情報共有を図っているというようなところでございます。

笠委員 いや、そうじゃなくて、では、そういう人がどれぐらいふえたんですか、旧試験のときと比べて。今のような方がどれぐらいふえたのかということを教えてください。

小出政府参考人 お答えいたします。

 現在において、そういった多様なバックグラウンドを有する人材、高い質を持った人材、どの程度ふえたのか、あるいはどの程度の割合で増加しているのか、そういったことを的確にあらわすデータは持っておりませんで、ただ、そういった状況を網羅的、定量的に把握するということは非常に重要だというふうに考えておりますので、今回の御指摘も踏まえまして、そういった多様でかつ質の高い人材が活躍している状況について、できる限り、今以上の情報収集に努めてまいりたいというふうに考えております。

笠委員 何か、結局はやっていないわけですよ。

 常に、制度を新たにつくるときには理念として掲げるけれども、では、その掲げている理念、法曹への多様な人材の受入れというものが、やはりうたっていたわけですよね。では、それがきちんと、この法科大学院制度というものが導入されたことによってその成果がやはり上がっているんだ、しかし、まだまだ十分じゃないけれども、旧司法試験時代に比べてきちんと上がってきている、だから、この制度を基本にしながら、そして、もっともっとその流れを加速させるために今回もいろいろな改善をしていくんだというのだったらわかるんですよ。

 だから、これはしっかり、法務省さんとしては、どういうような形で、要するにこれからの時代にふさわしい人材というものがきちっと養成をされているのかどうかということは、やはりもっときちっとチェックをしていただかなければならないと思います。

 ちょっと文科省の方に伺いたいんですけれども、先ほどもあったように、当然ながら、そのためには、社会人の経験者であったり、あるいは純粋未修者、こういった人たちが法曹を目指す、目指す道をしっかりと広げていくということがまずは第一になってくるわけです。

 先ほど、入学者選抜に関する努力義務の、三割以上という数値目標は平成三十年に撤回をした。ただ、引き続き、努力義務だけは今堅持されているんですね。

 では、逆に、旧司法試験のときと比較して、この未修者あるいは社会人経験者の司法合格者の割合というものはふえているんでしょうか。そのことを教えてください。

伯井政府参考人 私どもの持っているデータでは、法科大学院修了者の司法試験合格者に占める非法学部出身者の割合を法務省において公表している情報をもとに算出いたしますと、最初に未修者コースを修了した者が受験した平成十九年の司法試験の場合、非法学部出身者は約二二%でございました。一番直近の平成三十年は一三%と低下しております。

 一方、社会人出身者に関する入学の状況につきましては、毎年度の修了者数あるいは司法試験の合格状況について状況把握をしておりません。

笠委員 私はこれも、これから法科大学院の入学者、社会人経験や純粋の未修者の割合をふやしていこうということも大事だけれども、その入った人たちが実際にどこまで、その中からどれぐらいの人たちがきちんとした形で司法試験を受ける、あるいは合格をする、そして法曹になる、やはりそこはきちっとした形で調査を、これは難しい話じゃないですよね、全然。ですから、そういったことはきちっとやっていただかなければ、この点における成果というものが把握できないというふうに思います。

 それと、今後もう一つ大事なことが、先ほどの、在学中の試験というものが可能になったことから、これから恐らく予備試験のあり方というものについても検討がされるということになるわけですけれども。

 ちょっと、これは法務省かな、平成三十年で結構なんですけれども、法科大学院ルートで千百八十九人の方が司法試験に合格をされています。予備試験ルートで三百三十六人の方が合格をされております。それぞれ、このうち、未修了、社会人の方々が何人おられるのか、それを教えてください。

小出政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年の司法試験合格者のうち、出願時点で社会人であったと考えられる者の割合でございますが……(笠委員「出願時点じゃない、合格者」と呼ぶ)合格者のうちでございますか。(笠委員「もちろん合格者」と呼ぶ)はい。

 平成三十年の司法試験合格者のうち、出願時点で社会人であったと考えられる者の割合につきまして、法科大学院修了資格に基づく者が五・四%、予備試験合格資格に基づく者が約一四%という数字でございます。

笠委員 今、五・四%ですよね、法科大学院ルートが。そして、予備試験ルートの方は一四%ということでよろしいですね。うなずいていただいた。

 ということは、ある意味では、これからの予備試験のあり方を検討していくときに、まさにこの社会人や未修了の人たち、これをふやしていこうということになったときに、今は予備試験があるからふえている点もあるわけですよね。予備試験の方が圧倒的に、やはり合格する割合が多いわけですよね、そういった方々の。

 ということは、本当にこの予備試験が、やはり多様な人材の確保に向けた、間口を広げる一定の役割は果たしているというようなことも私は言えると思いますので、ちょっと時間が参ったので、次回その続きをさせていただきたいと思いますけれども、また、ぜひそういった点も含めて議論を続けたいと思います。

 どうもありがとうございました。

亀岡委員長 次回は、来る五月八日水曜日午後一時十五分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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