衆議院

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第2号 令和元年10月30日(水曜日)

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令和元年十月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 上川 陽子君

   理事 白須賀貴樹君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    大串 正樹君

      神山 佐市君    国光あやの君

      櫻田 義孝君    柴山 昌彦君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      谷川 弥一君    出畑  実君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      鳩山 二郎君    福井  照君

      福山  守君    船田  元君

      古田 圭一君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    吉良 州司君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      初鹿 明博君    牧  義夫君

      村上 史好君    山本和嘉子君

      吉川  元君    高木 陽介君

      鰐淵 洋子君    畑野 君枝君

      森  夏枝君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       橋本 聖子君

   文部科学副大臣      亀岡 偉民君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   文部科学大臣政務官   佐々木さやか君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    高島 竜祐君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 柳   孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   山崎 雅男君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     福山  守君

  宮路 拓馬君     鳩山 二郎君

  山本和嘉子君     初鹿 明博君

同日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     宗清 皇一君

  福山  守君     神山 佐市君

  初鹿 明博君     山本和嘉子君

同日

 辞任         補欠選任

  宗清 皇一君     国光あやの君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 この際、萩生田文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田文部科学大臣。

萩生田国務大臣 おはようございます。

 委員会の冒頭、発言の機会をいただき、御礼を申し上げます。

 先週十月二十四日の私のテレビ番組における大学入試英語成績提供システムに関する発言について、その発言の真意は、どのような環境下にいる受験生においても自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会を捉えて、二回の試験を全力で頑張ってもらいたいという思いで発言をしたものです。

 しかしながら、結果として、国民の皆様、特に受験生の皆様に対して不安や誤解を与えることになってしまったと考えており、一昨日、発言を撤回しました。

 改めて、この場をおかりして、国民の皆様、特に受験生の皆様におわびを申し上げる次第です。

 私としては、英語試験実施団体に対して需要に応じた実施会場の確保などを求めるとともに、離島に居住する高校生等が離島外で検定試験を受験する際の費用の補助経費を概算要求するなど、今後とも、受験生や高校関係者の不安の解消に向けて、全力で取り組んでまいりたいと思います。

 引き続き、委員長、理事また委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

橘委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官高島竜祐君、文部科学省大臣官房長柳孝君、大臣官房総括審議官串田俊巳君、大臣官房文教施設企画・防災部長山崎雅男君、総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長丸山洋司君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君及び文化庁次長今里讓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 萩生田大臣、就任おめでとうございます。

 大臣の所信的挨拶を踏まえて質問をさせていただきます。

 まず、大臣挨拶にはこうあります。高等学校教育、大学教育及び大学入学者選抜を一体的に改革する高大接続改革に取り組みます。二〇二〇年度からの導入を予定している大学入学共通テスト及び大学入試英語成績提供システムについては、受験生や高校関係者の不安の解消に向けて全力で取り組んでまいります。また、大学入学者選抜の公正な実施に向けた必要な対応を行っていきますという所信挨拶があった上での身の丈発言でありました。

 改めて、何を言おうとしたのか、お伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 先週二十四日のテレビ番組における発言の真意については、先ほども触れましたけれども、どのような環境下にいる受験生においても、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会を捉えて、二回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものです。

 しかしながら、結果として、国民の皆様、特に受験生の皆さんに不安を、あるいは誤解を与えることになってしまったのは、私の不徳のいたすところだと反省をしております。

馳委員 身の丈に合わせてという表現には、わかりやすく言うと二つぐらい意味があるんですね。つまり、自分の実力に合わせて、定められたシステムにおいて受験をしましょうという意味と、もう一つは、いや、そうはいっても、住んでいる場所、家計の状況を踏まえて、それに合わせてということは、格差を固定されたまま、その経済的な負担、特に地理的な不利な条件、それを甘んじて踏まえて取り組みなさいよという表現にも聞こえてしまいます。私は、その点がやはり機微に触れる批判を受けることになったのではないか、こういうふうに拝察をいたします。

 改めて、やはり大臣として公の場で発言される際の、その発言の真意といったものを常にわかりやすく伝えるような努力をお願いしたいと思っています。

 さあ、そこで、文科省に対しては、受験生に対して、どういう場所で、何人の定員で等々、情報をいち早く提供する必要があると思っています。二〇二〇年度ということは、来年四月であります。もうあと半年しかございません。この不安を払拭するための対応が必要と思われますが、文科省の答弁を求めます。

萩生田国務大臣 大学入試の英語成績提供システムに参加する資格検定試験については、日程や会場、検定料等の情報について未定の部分も多く、従前から、各試験団体に対して情報の早期公表を要請してまいりました。

 また、特に、先月以降、受験生が安心してシステムを利用できるように、遅くとも十一月一日までに可能な限り日程及び会場の情報の第一次発表を行うよう改めて各試験団体に直接要請するとともに、とりわけ経済的に困難な受験生の検定料を決定、公表していない試験団体に対しては、速やかに決定、公表するよう書面にて要請したところです。

 今後も、これらの情報を段階的かつ早期に公表するよう引き続き各試験団体に要請するなど、高校生や受験生の不安の解消に向けて取り組んでまいりたいと思います。

馳委員 今回の大学入試英語民間試験導入、成績提供システム、これを円滑に進める上で、実際に想定されると思うんですが、各都道府県の公共施設、とりわけ公立の高校、この場所の提供や、採点者、監督者含めて、やはり教職員の協力を仰ぐことが妥当ではないかと思われます。

 民間試験といえども公益性がありますから、安定的な運営を図る上で、より一層、公立高校や公共施設、また高校の教職員、そして、教職員の協力を求める場合には、これは兼業規定にひっかかりますから、このことも含めて、やはりより一層、文科省としても条件整備に力を入れる必要があると思いますよ。私なりに提案いたしますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 できるだけ受験生の皆さんのお近くで受験ができる環境をつくっていくことは必要だと思っておりまして、既に文科省としては、国立大学の利用ですとか、あるいは各自治体に公共施設の提供のお願いをしております。

 今御提案のあった高校の校舎につきましても、都道府県によっては既にそういう取組をしていただいているところもありますので、よく状況を見ながら、こちらから必要な要請をしていきたいなと思っております。

 また、高校を使う上で、例えば試験監督ですとか、あるいはさまざまなサポートで、そういったことになれている人たちに参加していただくことも必要なんだと思っております。

 文科省から先生方を前提にお願いをするということは今のところ考えていませんけれども、しかし、希望してやっていただける先生方は、兼業ができるような仕組みというものはしっかり確保していきたい、こう思っております。

馳委員 引き続き、緊張感を持って実施に向けての体制を整えていただきたいと要請をいたします。

 次のテーマに入ります。

 大臣の所信挨拶にはこうありました。外国人に対する日本語教育、外国人児童生徒等への教育の充実、大学等における留学生への支援やその在籍管理の徹底等にしっかりと取り組んでまいります。今般文部科学省が初めて行った調査により判明した義務教育段階の外国人の子供たちの不就学等の状況を踏まえ、就学状況の把握や就学促進のための取組を進めてまいります。

 この問題について、やはり学齢期という観点でいえば、自治体において、外国人の児童生徒への就学支援において私は格差があってはならないと考えています。

 なぜならば、ことしの四月から出入国在留管理庁が発足をし、今後、特定二号のいわゆる外国人労働者は家族帯同オーケーとなります。これは想定するに、爆発的に学齢期の児童生徒が全国の自治体においてふえてくるということを想定した準備をしなければならない、こうなってまいりますが、自治体間の格差があってはならないという指摘に対して、どのように今お考えでしょうか。

萩生田国務大臣 今、馳先生から御指摘がありましたように、我が国では、外国人の子供が公立の義務教育諸学校に就学を希望する場合には、国際人権規約等も踏まえ、日本人児童生徒と同様に無償で受け入れており、これまでも、外国人の就学機会の確保に向けた積極的な取組については各教育委員会を通じて通知等で促してきたところです。

 他方、今般、文科省におきまして、義務教育段階の外国人の就学状況に関する調査を国として初めて実施をし、その結果、九月に公表しましたけれども、約二万人の外国人の子供が不就学の状況にある可能性があり、また、自治体ごとに就学機会の確保に向けた取組に違いが見られていることについては、重く受けとめる必要があると考えております。

 今回の調査結果を踏まえ、今後、外国人の子供の就学促進に向けた先進的な取組事例の周知や、自治体における関係部局の連携の促進を行うほか、現在議論が進められている外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議の場も活用しつつ、具体的な施策の検討につなげていく予定でございます。

馳委員 大臣、これはまた私からの提言でありますが、憲法に保障された就学義務、外国人の保護者にはこの就学義務はかかっておりません。であるがゆえに自治体における格差が生じてくるということが指摘されております。

 そこで、この憲法に保障された就学義務に準ずるシステムが必要ではないか。国策として外国人労働者の受入れを、我が国は出入国在留管理庁の設置とともに一歩踏み出したわけでありますから、その家族、子供たち、特に学齢期の児童生徒に対する在籍管理、アプローチ、こういったことはやはり自治体間の格差があってはならないし、国際人権規約に基づいても一定のアプローチが必要ではないか。その教育環境整備の責任はやはりあるという認識で、就学義務に準ずるシステムが必要ではないかと強く提言いたしますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 我が国においては、外国人児童生徒の保護者に対する就学義務は御指摘のとおりございませんけれども、公立の義務教育諸学校に就学を希望する場合には、国際人権規約等も踏まえ、その子を日本人児童生徒と同様に無償に受け入れているところです。

 これに対して、外国人児童生徒の保護者にも同様に就学義務を課すべきといった議論が見られるところですが、これについては、外国人のアイデンティティーや、教育をめぐる国際的な動向も含め、さまざまな観点から慎重な検討が必要と考えます。

 なお、現在、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議において、外国人児童生徒等の教育の充実のための方策について検討しているところであり、このような場も活用しつつ、今先生から御提案のあった外国人の児童生徒の就学機会の適切な確保に向けた具体的な施策の検討を進めてまいりたいと思います。

 住民基本台帳には、就学年齢がわかるわけですから、こういったことも他府省庁とも連携をとりながら、希望するのに就学ができなかったということのないように、各自治体としっかり連携をしていきたいと思っています。

馳委員 ここはもう一歩私の方から踏み込んで申し上げますが、大臣もおっしゃったように、希望する場合には対応するようにしておるという姿勢が、国策として外国人労働者を受け入れ、特定二号は家族帯同オーケー、更新も可能という状況である以上は、アプローチをして、希望を確認し、そして希望があれば受け入れる体制を整えるというシステムをつくるべきではないかという趣旨なんですね。

 ただ、やはり、いきなり来られた外国人労働者、本人はもとより、家族の日本語教育の状況、日本語教育を受けることが可能な状況、本人の日本語能力のレベル評価、このことを踏まえると、希望するかどうかという選択肢は、また、その地域にいわゆる外国人学校があるかどうか含めて、まちまちのはずなんですよ。

 そうする場合、やはり、国際人権規約に基づいて、まずは、公立の小中学校で受け入れることができる用意がありますよという、まずその通知、アプローチ。静岡県の浜松市などは家庭訪問なども行っておられます。私は、そういう丁寧さというものは国策としてしていくべきではないのかなと。だから就学義務に準ずるシステムといったものをやはり構築していくべきではないかという提案をしているわけでありまして、改めてコメントがあればお願いします。

萩生田国務大臣 問題意識は馳先生の御指摘と共有します。だからこそ、有識者会議でぜひ深掘りをしてもらいたいと思います。

 今までは、あちら側からアクセスしないと、こういう仕組みがありますよということがわからなかったわけですから。先ほど申し上げたように、日本に住むことになって、住民基本台帳の申請をして登録をすれば、一定年齢になれば学校に行く年齢だということは明らかなわけですから、その人たちに日本のこういう教育を受けることが可能ですよということを教えてさしあげることは極めて今後大切だと思っていますので、先生の御指摘を踏まえて、有識者検討会議の結果を待ちたいと思います。

馳委員 続きまして、橋本聖子オリパラ担当大臣に質問をいたします。

 御就任おめでとうございます。気合いを入れて頑張ってやってください。

 さて、東京オリンピックのマラソンと競歩につきまして、札幌移転、本日が十月三十日でありますから、恐らく本日、調整委員会が開催されて、この議題が追加されたと承知しております。

 まず、これまでの経緯、また、大臣として、これは、ある意味では大臣はコントローラーのような役割でもあります。組織委員会と実施団体である東京都、また政府全体との、コントローラーとしての役割があると思っておりますが、このマラソン、競歩の、にわかに出てきた競技会場の移転問題について、今後の方針、今現状でお話しできることで結構ですから、まずお話しいただきたいと思います。

橋本国務大臣 先ほど委員の方から、本日の午後から開催される調整委員会のお話がありましたけれども、今月十六日にIOCから公表された提案に対して、きょう十六時から開催されるIOCの調整委員会、三日間にわたって開催をされるわけですけれども、ここで、組織委員会、そして東京都等が議論を重ねて、検討状況を踏まえながら決定されていくものというふうに承知しております。

 政府という立場においては、IOC、そして組織委員会、東京都等が決めたことに対して、しっかりと寄り添う形で東京大会の成功に向けて尽力をしていくという立場にありますので、今回の調整委員会の検討状況というものをしっかりと注視していきたいというふうに思っております。

馳委員 実は、私も組織委員会の理事という立場でありますので、発言はちょっと慎重にさせていただきます。

 つまり、決まったことについては政府としても全力でバックアップをする、この安心感がやはり、今現在不安を抱えている選手諸君、また海外からお見えになる各競技団体関係者に対する安心につながります。

 東京で開催してよかったな、マラソンと競歩についてはこういう経緯で決まったけれども、実際に競技が円滑に行われて、よい大会となったなと。そして、それが一つの、ある意味では今回の急遽の移転の案件というのはオリンピックのレガシーにもなり得る課題でありますから、そこを我が国政府としては全力でバックアップしていく、この姿勢をまず示すことが重要だと思っていますので、改めてその決意を伺います。

橋本国務大臣 東京大会の成功に向けて、東京都、そして組織委員会、競技会場が所在する各自治体がありますけれども、そういったところと連携をして、そして、政府として実施する施策の総合的な調整役だというふうに私は認識しておりますので、アスリートファーストであって、そして、この東京大会というものが、しっかりとオール・ジャパン体制で、レガシーも含めた中で成功に向けて導いていくという立場であるというふうに思いますので、しっかりと安心感を持っていただけるような対応をしていきたいというふうに思っております。

馳委員 とりわけ東京都の小池都知事、また組織委員会の森会長に、しっかりと、何かあったら相談を受けとめる体制が橋本大臣とオリパラ担当室の皆さん方の役割でありますから、どういう状況にも対応できるようにお願いしたいと思います。

 続きまして、ことしの通常国会で成立をさせていただきました日本語教育推進法につきましてお伺いをしたいと思います。

 実は、日本語指導教員の配置については、数年前に義務標準法が改正されて、基礎定数として十八人に一人という割合で配分されることになりましたが、私は、先ほども申し上げたような外国人労働者の受入れ拡大という国策を踏まえれば、これでは十分ではないという認識でおります。なぜならば、いろいろな国のお子さん方が同じクラスにいて、十八人に一人では、残念ながら、指導する教員の手に余るのではないかという不安を私は感じております。

 そこで、この義務標準法に基づく定数配分について、十八人に一人を、例えば十人に一人とするとしたら、現状で何人ぐらい必要で、幾らぐらいお金がかかるのか、まず、この具体的な数字から教えてください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の日本語指導が必要な外国人児童生徒につきましては、平成二十九年の三月に、いわゆる義務標準法が改正をされ、それまで加配定数であった日本語指導のための教員定数を、平成二十九年度から十年間で計画的に基礎定数化を行い、令和八年度には、日本語指導が必要な児童生徒十八人に対して一名の教員が基礎定数として配置をされることとなっております。

 この基礎定数化によりまして、日本語指導に係る定数は、平成二十九年度から令和八年度までの十年間で約一千人増加し、令和八年度に、全体として約二千四百人の教員が必要と現状では見込んでおります。

 仮に、委員お尋ねのように、日本語指導が必要な児童生徒十人に対して一名の教員定数として試算をした場合、十年間で約二千七百人が増加をしまして、令和八年度に約四千百人の教員が必要となり、現状の見込みに比べまして、更に約一千七百人の教員増が必要になるということでございます。

 この基礎定数化による教員定数の充実は、日本語指導だけではなくて、通級指導のための教員定数も含めて一体的に行っておりまして、両者の基礎定数化を十年間かけて段階的に実施をすることによりまして、日本語指導や通級指導が必要な児童生徒数に応じて確実に教員定数が確保され、地方自治体におきまして、専門性を有する教員の安定的、計画的な採用、研修、配置が行いやすくなるというふうに考えております。

 このため、日本語指導のための加配定数の基礎定数化について、対象児童生徒と教員定数の割合を引き上げることは、限られた予算の中で、通級指導等の充実とのバランスの観点から、また必要な人材の育成、確保の観点からも難しいのではないかというふうに考えておりまして、まずはこの基礎定数化を確実に推進をするということが必要で大事なことであるのではないかというふうに考えております。

 また、あわせまして、文科省としましては、地方自治体における日本語指導補助者及び母語支援員の学校への派遣の支援を行うとともに、各地方自治体が実施をします日本語指導補助者等を対象とする研修のアドバイザーの派遣や研修に資するモデルプログラムの開発普及を通じまして、その資質向上を図っているところでございます。

 いずれにいたしましても、日本語指導補助者や母語支援員の活用など、教員以外の支援員等の専門人材等の活用促進も含めまして、日本語指導が必要な児童生徒の指導体制の整備にしっかりと努めてまいりたいというふうに考えております。

馳委員 そこでまた私から提案したいんですが、外国人児童生徒に、十分に母語も習得していない段階で、更に日本語指導をしてコミュニケーションをとってもらうという、この支援を国策としてしていくわけで、私はそこに対する配慮、優しさといったものが必要だと思っておりまして、実は、日本語教育推進法を成立させるまでに十年ぐらいかかっていて、今お見えの中川正春元大臣の御指導をいただきながら、多文化共生社会を支える一丁目一番地として国策としてしっかりやるべきだ、そのときにこう考えたんです。

 日本語教育を推進する体制整備、もちろん評価も含めて、これを国はしっかりやるべきだ。もう一つは、やはり義務教育の学校において、国語、算数、理科、社会と同様に日本語科の科目を教員免許として設置をし、この専門性、そして処遇の改善。日本語指導員といいますけれども、やはり日本語指導の正式な教科として、養成と専門人材の適切な配置、このことをすべきだというのが、実は議員連盟の一つの目標でもあったんですね。教員免許法を改正して、日本語科、これを設置する必要があると私は思います。

 ちなみに、私は国語の教員でありますが、日本語を指導するにおいては、十分な技術は残念ながら持ち合わせておりません。

 私は、日本語科として、日本語を理解、使えるようになるとともに、地域住民の一員として、コミュニティーの一員として、また、自然災害があったときとか、病院に通うときとか、いざというときにその生活を支える基盤として、日本語教育を支援する体制を強化すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今後ますます増加が予想される外国人児童生徒に対応するためには、必要な知識や技能を身につけた人材を確保できるよう、現職の教員の資質、能力の向上や外部人材の活用などを進めることが必要です。

 具体的には、教職員支援機構における外国人児童生徒等に対する日本語指導者養成研修の実施や、日本語指導アドバイザーの全国への派遣により、教育委員会や学校における教員の資質、能力向上の取組を支援しています。

 また、日本語指導等に関する一定の講習を受講した教員等に対し履修証明を授与するなど、学校における日本語指導等の専門性を担保する新たな仕組みの構築や、日本語教師等の外部人材のより一層の活用方策などについて、文部科学省に設置をした外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議において現在検討しているところです。

 先生御指摘の教員免許状は、教科は原則として教育課程上の教科や学校種に対応して設定されているため、御提案のような免許状は今後の検討課題として考えていきたいと思っています。

馳委員 大臣、現状はその答弁で済むかもしれませんが、それでは立ち行かない状況に必ず私はなると思っています。

 改めて、義務教育の段階だけではなく、幼児教育も含めて、日本語を適切に、そしてしっかりとコミュニケーションをとれる、できれば、これは大事なポイントだと思うんですが、外国人労働者の児童生徒が入ってきた場合に、高校進学もできるほどの学力をつけさせてあげる役割を日本語教育を通じてしていくということが、私は本当の意味での我が国の国柄に直結すると思いますので、今後の検討課題としてお願いしたいと思います。

 次に、相次ぐいじめ事案への対応についてお伺いしたいと思います。

 まず、神戸市の教員同士のいじめ事案、これは、確認しておきますが、六年前に成立しました、いじめ防止対策推進法の定義上は当てはまるのか、当てはまらないのか。

 また、今般の加害教員に対しては、私はしっかりと懲戒を、処分をすべきであると思いますが、まず、どのように神戸市教育委員会から報告を受けているのか。

 被害教員は被害届を出すやに聞いておりますけれども、当然、学校教育の現場で起きた話である以上は、私は、加害者は、被害者に対してきちんと謝罪をする、また、教育現場の、職員室の他の教職員に対しても謝罪をする、子供たちに対しても、先生はこんな悪いことをして処分を受けましたと謝罪をする、こういう姿勢が必要ではないかと思っています。ある意味でいえば、今加害教員は、現場から、校長の裁量、教育委員会の判断によって引き離されたという状況にございますが、やはり、この事案によって多大な影響を受けてしまった当該校の教職員、児童生徒、保護者に対する明確な謝罪といったものがあってしかるべきだと教育の観点からも思いますが、いかがですか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、いじめ防止対策推進法はいわゆる教師間のいじめに適用されるかというお尋ねでございますが、いじめ防止対策推進法第二条におきまして、いじめとは、児童等に対して、一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものというふうに定義をされているわけでございまして、いわゆる教員間のいじめにいじめ防止対策推進法は適用されないというふうに承知をいたしております。

 また、今般の神戸市の事案についてでございますけれども、児童に対して、いじめは絶対に許されないという指導をする立場にあるにもかかわらず、複数人で暴力行為等を繰り返していたということは、児童を預かる教師として言語道断であって、これは極めて遺憾であるというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、去る十月十五日に、亀岡副大臣、佐々木大臣政務官に神戸市教育委員会を訪問指導いただきまして、その際に、徹底した事実関係の確認と、関係者に対して懲戒処分を含む厳正な対処を求めたところであります。

 加害教員から、被害教員や児童に対する謝罪コメントが発表されておりますけれども、今回の件がどれほど被害者や児童、それからさらには保護者に苦痛を与えたのか、さらには、我が国の教育行政や教師に対する信頼を損なったのか、十分に認識をして、加害教員及びその任命権者である神戸市教委はその責任を果たしていただきたいというふうに考えております。

馳委員 大臣、一義的には、まさしく教育委員会の一つの責任において対応すべきものと思いますが、これほど社会問題になり、多くの教職員、子供たちが、報道に接することによって、心理的な不信感、こういったものを受けたわけですね。そういった意味で、私は、この加害教員に対する今後の対応の仕方について、亀岡副大臣を早速派遣していただいたことに感謝申し上げるとともに、この始末のつけ方とともに、教育現場は継続しておりますから、その教育現場の正常化に向けての取組は、やはり大臣の立場としてもしっかりと注視し、当然支援すべきは支援していくというコメントがいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 神戸市の事案はあってはならない出来事だと思っています。

 既に、神戸市の教育委員会の方でさまざまな調査をしているというふうに承知をしておりますし、任命権者は政令市である神戸市ということになりますので、処分権は神戸市にあると思いますけれども、これだけ社会を大きくお騒がせをした事案でありますので、その対応については神戸市教育委員会とよく相談をさせていただいて、今、一つ、馳先生からの御提案もございましたので、どういう決着をするのか、この辺はしっかり注視をしてまいりたいと思います。

馳委員 続いて、埼玉県川口市におけるいじめ事案の問題について。

 私もちょっとびっくりしました。いじめ防止対策推進法は欠陥であると。これは今現在訴訟になっていて、川口市の教育委員会が出してきた意見書ですか、国会で、これは議員立法ではありましたが、この委員会で、共産党は反対ではありましたが、その他各党会派賛成のもとで成立をした法律に対して欠陥という指摘を、川口市教育委員会が訴訟に意見書として出しているんですね。

 当時、私もこのいじめ防止対策推進法の座長を超党派で務めさせていただいた立場として、一体何が起こっているのか、地方の反乱か、それとも本当に法律に欠陥があるんだろうか、いろいろな思いで注目をしております。まだ訴訟の段階ではありますが、正直私は、国会で、衆参で採決をされて可決した法律に対して欠陥と表明するような川口市教育委員会の姿勢について、甚だ疑問を感じざるを得ません。

 まず、この問題について、文科省として、埼玉県教育委員会も対応していると思いますが、文科省としてどのように深刻に受けとめて対応しているのか、教えていただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 川口市の事案につきましては、その事案の重大性に鑑みまして、去る十月十一日、川口市教育委員会教育長を当省に呼びまして、今後の対応について必要な指導助言を行いました。

 具体的には、川口市のいじめ事案に係る訴訟において川口市がいじめ防止対策推進法に欠陥がある旨主張したことにつきまして、真意を確認したわけでございますが、川口市教育長からは、法は否定をしていない、また、準備書面の中に欠陥とある文言については、種々問題があるということを示そうとしたもので、法に欠陥があると思っていないということを繰り返し発言をされたわけでございますが、私どもとしては、市が法を否定していると捉えざるを得ず、これは極めて適切でないというふうに伝えた上で、本件行為は教育行政の信頼を損ねるものであって、これは適切に対応すべきこと、その点について強く求めたところでございます。

馳委員 実は、このいじめ防止対策推進法については、種々の論点を踏まえて、改正をしている途中でもあります。

 改めて、今回の欠陥という指摘は、定義のところにかかわってきておりますので、我々も真摯に参考にはさせていただきますが、まず、川口市教育委員会が国会で定められた法律に対して欠陥という文言を使う、正直、この無神経さに、私は文科省もきちんと対応することを求めたいと思っています。

 最後になりますけれども、あいちトリエンナーレ二〇一九、この補助金不交付決定について。

 この決定について、これで最後の質問になりますが、今回の決定は表現の自由を侵害することになるんですか、ならないんですか。文化庁の今回の行政としての決定方針も踏まえてお答えいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 今回の補助金の不交付決定は、補助事業の申請手続において、補助金申請者である愛知県が、会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、文化庁に申告しなかったことによるものであり、展示物の表現内容自体の適否について評価したものではありません。

 文化芸術活動においては表現の自由は極めて重要であり、我が国の憲法第二十一条で保障されており、また、平成二十九年に改正された文化芸術基本法においても表現の自由の重要性について明文化されております。

 文科省としては、文化芸術活動や国際文化交流の推進に当たり、文化芸術基本法の理念を踏まえ、文化芸術活動を行う者の自主性と表現の自由を十分に尊重しつつ、施策を推進してまいりたいと思います。

馳委員 大臣の答弁で方針というのはよくわかりました。同時に、今回の事案は一つの前例になったということだけを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、村井英樹君。

村井委員 自由民主党の村井英樹です。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 きょうは、二十分という限られた時間ではありますけれども、昨年のこの文部科学委員会でも質問をさせていただいたんですけれども、幼児教育の無償化、これは今月の一日から実際に施行されたということもありますので、フォローアップの意味も含めて質問をさせていただきます。

 その上で、もし時間が許せば、学童保育、放課後児童クラブですね、これについても少し触れられたらと思っています。

 まず、幼児教育の無償化についてであります。

 個人的なことで恐縮なんですけれども、前回もちょっと触れたんですけれども、我が家には、四歳の長男と二歳の次男がおりまして、二カ月前には三人目の子供が生まれまして、今度は女の子かなと思っていたら、何とかわいいかわいい男の子が生まれたということでございまして、そんなわけで家の中はいつも大騒ぎなんですけれども、それはさておき、長男については、地元浦和の私立幼稚園に通っております。

 そんな関係で、パパ友というんですか、保護者の皆さんとも話をする機会は多いんですけれども、無償化については、やはり、全体的には期待感を持っていただいているかなという感じがしますし、内容についても、自治体や私立幼稚園協会の皆さんなんかの御努力もあって、それなりに理解が進みつつあるなと感じてはいます。

 ただ、それでも、私が若干怖いのは、引き続き、この無償化について、上限なく無償化になると思われている方が一部いらっしゃるということであります。

 言うまでもないかもしれませんけれども、いわゆる新制度の幼稚園、認可保育所、認定こども園は、保育料は公定の価格なので、全てが無償となるわけでありますけれども、うちの息子の幼稚園もそうでありますけれども、いわゆる私学助成園、ここについては、月額二万五千七百円までが無償となるわけで、それを上回る部分については保護者に御負担をいただくという形となっております。

 この二万五千七百円という線引きについては、私学助成園というのはみずから保育料を決められるわけですから、青天井で高額な保育料の幼稚園まで無償化にはできないと思いますし、その二万五千七百円という額も、新制度における利用者負担額を基準にしているということで、妥当と言ってよいのかなと私は考えておりますが、そうした認識を前提としつつ、文科省に伺います。

 幼児教育無償化がことしの十月一日施行されましたが、大きな問題なくスタートできているという認識でよろしいのでしょうか。特にこの私学助成園について、無償化の意味をめぐってトラブルが起きていないか、萩生田大臣に伺います。

萩生田国務大臣 まず、村井先生の第三子の御誕生、おめでとうございます。

 今般の幼児教育、保育の無償化は、生涯にわたる人格形成の基礎や、その後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性と、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策の必要性に鑑み、全世代型社会保障への転換への第一歩として、未来を担う子供たちや子育て世代に大胆に投資をするものです。

 本年十月からの無償化の実施に向けては、内閣府や厚生労働省と連携しつつ準備に万全を期してきたところでありますが、施行後についても、自治体や現場の声に耳を傾けながら、課題があればその都度対応するなど、無償化の円滑な実施と定着に向けて引き続き取組を進めているところです。

 家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する質の高い教育を受けることができる社会の実現に向けて、関係府省と連携しつつ、今後とも全力を尽くしてまいりたいと思います。

村井委員 ありがとうございます。

 一言で言うと、まだ制度スタートしてから一カ月ということもありますので、そういう意味ではまだ状況確認の段階かなと思いますけれども、大臣御答弁いただいたとおり、丁寧に状況を確認していただきながら、円滑な執行に努めていただけたらと思っております。特にこの無償化は、毎年八千億円を投じる大変大きなインパクトを持った政策ですので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 その上で、これも前回の質問でも触れたんですけれども、私学助成園の幼児教育の無償化に当たって私が強調したいのは、いわゆる法定代理受領方式の推進です。これは、一言で言うと、保育料を保護者に一旦もらってから後で給付金をお返しするということではなくて、最初から保護者から保育料をいただかない、差額分を払っていただくようにすべきということなんです。

 具体例を挙げて言うと、月額保育料が二万五千円の幼稚園があれば、まず二万五千円を保護者にいただいてから、後ほど一年分か半年分をまとめて給付金という形でお返しする。例えば、これは三十万円とか十五万円という額になるんですけれども、これをお返し、償還払いするのか、そもそも保育料は保護者からいただかないで、二万五千円分の給付金を幼稚園が自治体から代理受領、これをすべきじゃないかと私は考えているわけであります。

 償還払い方式を採用するか法定代理受領方式を採用するかは自治体に判断が任されておりまして、制度スタート前、これまでの就園奨励費は償還払いが多かったこともあって、いわゆる償還払い方式、まとめてどんという方式を採用する自治体が多くなりそうだという話を伺っていました。

 ただ、私としては、保護者の支払いの負担感を軽減するためにも、また、無償化という制度趣旨からいっても、最初から保護者から保育料は取らないか、若しくは差額分を少しいただくべきだと考えていまして、実際、うちの地元のさいたま市では、かなり、関係の皆さん、市役所の担当部署だとか幼稚園協会の皆さんにも御理解をいただいて、法定代理受領方式でスタートすることができました。

 そこで、文科省に伺います。

 無償化に当たって、無償化の趣旨からしても利用者のニーズからしても、この法定代理受領方式、望ましいと考えておりますけれども、どの程度の自治体が法定代理受領方式を採用しているんでしょうか。また、文科省として、その促進に向けてどのような取組を行っているのか伺います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のありました私学助成園の法定代理受領の促進の関係でございますけれども、例えば、政令指定都市二十政令市に確認をいたしてみましたが、本年十月の無償化の施行から法定代理受領により給付を行う市は、二十市のうち十七市というふうになっておりまして、その他二市においても、来年度以降、法定代理受領を導入する方向で今検討しているというふうに確認ができたところでございます。

 御指摘のとおり、償還払いに比べまして、法定代理受領は保護者の一時的な利用料の立てかえが不要となり負担感が軽減をするということ、また、市区町村は個々の利用者の給付事務が不要となり事務負担が軽減をすることなど、利点もあることから、国としましても、これまで自治体向けFAQや各種説明会を通じまして市町村に助言を行ってきたところでございますけれども、市町村や幼稚園の資金繰りに支障を来さないよう、国から都道府県への交付金の概算払いによる支出を行うなど、国としての取組も一層進めていきたいというふうに考えております。

村井委員 ありがとうございます。

 今、実は私も初めて伺ったんですけれども、政令市で二十分の十七、法定代理受領方式を採用していただいているということでありまして、制度導入の前のお話からすると、大分文部科学省の皆さんも関係者の皆さんも頑張っていただいたのかなと思っております。制度は、悪魔は細部に宿るといいますけれども、やはりここの部分をしっかりやっておかないと、無償化と言われているのに、あれ、何か毎年の保育料の支払いは変わっていないぞと思われたり、年度末に突然お金がどんと大きく振り込まれて、これは何だっけといったようなことになりがちだと思いますので、ぜひ引き続いてその法定代理受領方式の促進を進めていただけたらと思っております。

 次に、無償化に当たってのもう一つの大きな課題、保育料の引上げについて伺います。

 今般の無償化に伴って、私立幼稚園の中には、保育料の引上げを行っている、又は検討しているところもあるということを仄聞しております。

 これも昨年の質疑でも指摘させていただきましたけれども、確かに、現状、月額二万五千七百円以下の保育料の幼稚園であれば、二万五千七百円まで引き上げても保護者負担はゼロのままということでありますので、保護者からするとよくわからないということでありますし、二万五千七百円を超えている幼稚園であっても、無償化に合わせて保育料を引き上げれば、全体の保育料は大きく下がるので、保護者の負担感なく保育料を上げられるという現実もあるのかなということは感じています。

 ただ、当然のことですけれども、幼児教育、保育の質の向上に資する保育料の引上げはよいとしても、いわゆる便乗値上げ的なものは許されません。そもそも、そんなことが相次いでは、幼児教育の信頼そのものを脅かすということにもなりかねません。

 そこで、文科省に伺いたいのは、今般の無償化に伴って、こういったような、いわゆる便乗値上げの状況を把握しているのか、また便乗値上げを防ぐためにどのような取組を行っているのかということを伺います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 私立幼稚園の利用料の上昇が続いている中、また、消費税率の引上げに伴うコストの増加ということも予想される中、私立幼稚園の利用料の引上げ自体が一概に不適切なわけではないというふうに考えられると思っております。

 一方、今般の幼児教育、保育の無償化は、保護者の経済的負担の軽減を目的としておりまして、質の向上を伴わない理由のない利用料の引上げが助長されることはあってはならないというふうに考えております。

 このため、政府としては、これまでも、各自治体や事業者に対する周知徹底及び実態把握に努めるとともに、私立幼稚園団体からも、質の向上を伴わない理由のない利用料の引上げが行われることのないよう呼びかけてきたところでございます。

 加えまして、先日、各自治体に対して、質の向上を伴わない理由のない利用料の引上げに該当すると考えられる事例を示すとともに、該当する事例についての適切な指導助言や文部科学省への情報共有をお願いする旨の通知を行ったところでありまして、引き続き適切な対応を徹底してまいりたいというふうに考えております。

村井委員 ただいま局長からお話しいただいたとおり、十月三日付で、質の向上を伴わない、いわゆる便乗値上げ的な引上げの具体例を、自治体の方にも通知を発出いただいたということであります。

 具体的に言うと、保育料を引き上げるためには、幼稚園側は園則を改定して、それを都道府県に届け出るという形になるんだろうと思いますけれども、届出なので強制力はないわけであります。ただ、都道府県において、その届出段階で幼稚園側とコミュニケーションをとるということをしっかりやっていただいて、悪質な事例が発生をしないように文科省としても御指導いただけるようにお願いをしたいと思います。

 次に、無償化からは少し外れるんですけれども、これも結構、地元の幼稚園の先生、経営者の方だとか幼稚園協会の方から聞くんですけれども、幼稚園教諭の処遇改善、これについて伺えればと思います。

 新制度に移行している幼稚園では、幼稚園教諭の処遇改善の措置が累次にわたって実施をされておりまして、平成二十六年度水準と比較をして、もう既に一〇%以上の改善が図られている、さらに、技能、経験を積んだ職員については追加的な改善も行われているということでございまして、これはこれで非常にすばらしいことなんですけれども、同じ幼稚園教諭の働き場所である私学助成園の中には、新制度に移行している幼稚園ばかりではなくて、この私学助成園でも教諭の処遇改善が行われるように助成を拡充してほしいという声があります。

 この点について、文科省としてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。また、文科省としてその点について何か取組を行っていれば教えていただければと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私立幼稚園教諭に優秀な人材を確保する、そのために処遇改善を推進するということは非常に重要なことである、このように考えております。

 新制度に移行していない私立幼稚園における処遇改善についてでございますけれども、まず、平成二十九年度に、私学助成の枠組みにおきまして、国が都道府県に対して支援するメニューというのがございますが、その支援の対象に加えるということとしますとともに、平成三十年度からは、給与の処遇改善に係る所要の地方財政措置、これを講じられたところでございます。

 文部科学省としましても、令和二年度概算要求におきまして、私立幼稚園に対する助成措置を講じている都道府県に対する私学助成として、総額で対前年度二億円増の二百七十三億円を要求しているところでございます。私立幼稚園教諭の処遇改善が図られるように、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

村井委員 ありがとうございます。

 今お話しいただいたとおりでありまして、国としても、国庫補助事業を用意したり、また地財措置が講じられたりということなんです。

 私学助成園については、制度上仕方がないところもあるんですけれども、あくまで都道府県が支援を行えばそれに対して国があわせて支援を行っていくという形になっておりまして、そういう意味では都道府県にイニシアチブがあるんですけれども、しっかり都道府県の側ともコミュニケーションをとりながら、この私学助成園についても、新制度と同じ、幼児教育の担い手という意味では同じだと思いますし、仕組み上、完全にイコールフッティングにはならないかもしれませんけれども、公平性の観点も含めて政策推進に当たっていただければということを申し添えさせていただきます。

 以上、ことし十月から始まりました幼児教育の無償化に関連する論点を幾つか質問させていただきました。結構、こういう制度物というのは、制度がスタートする前はいろいろな議論があるんですけれども、制度が始まると、割と政治の側も注目が薄れるというところがあるんです。やはり制度は細かいところが意外と重要、悪魔は細部に宿るということもありますので、引き続いて私もここをウオッチさせていただければということを申し添えさせていただきます。

 もう時間がありませんので、最後に、もう答弁は要りませんので、学童保育について少し触れて終わりたいと思います。

 学童保育、放課後児童クラブですね、これについて、従前より、小一の壁とかという言葉に象徴されるように、受皿整備が喫緊の課題とされています。もちろん、この五、六年で約三十万人分の受皿整備が進んでいて、相当の対応がなされてきておりますけれども、女性就業率がどんどん上がっているということもあって、共働き家庭の児童数の増加が更に見込まれているということから、学童保育の追加的な整備が不可欠な状況となっております。

 うちの地元もそうなんですけれども、都市部は、受皿整備といっても、なかなかこの学童の場所を探すのが大変なんですね。空き家があったと思って喜んでいたら耐震基準を満たしていないというのが、これがもう学童保育の場所探しのあるあるなんですけれども。

 その点、ここからが文科省に関連をしてくるんですけれども、学童保育の受皿整備で大きな鍵を握るのは学校施設ですね。学校については、放課後も児童が移動せずに安全に過ごせる場所であり、新・放課後子ども総合プランでも、新たに放課後児童クラブ又は放課後子供教室を整備する場合には、学校施設を徹底的に活用することとし、新たに開設する放課後児童クラブの約八〇%を小学校内で実施することを目指す、なお、既に小学校外で放課後児童クラブを実施している場合についても、ニーズに応じ、小学校の余裕教室等を活用することが望ましいとされております。

 すばらしい取組でして、これはぜひ推進していただければと思うんですけれども、結構、この学童保育は各基礎自治体がイニシアチブを持っていまして、基礎自治体レベルに落とすと、福祉部局と教育行政部局が分かれていて、なかなか教育行政部局側は学童保育に学校施設を提供するということに二の足を踏む、なかなか前向きにやっていただけないという声もありますので、ぜひそのあたり、また次回質問させていただければと思います。

 文部科学省の皆さんには、子供の健全な発展という意味では同じ目標だと思いますので、そのあたりもやっていただけるようお願い申し上げて、私からの質問とさせていただきます。

 きょうは本当にありがとうございました。終わります。

橘委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、昨年の十月四日からことしの九月十三日まで、文部科学副大臣として、誰一人置き去りにしない教育、これに全力で努めてまいりました。その間、理事の皆様方、委員の皆様方には大変お世話になりましたことを心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 また、前回、この委員会で質問させていただいたのが昨年の五月の二十三日でしたので、一年五カ月ぶりの質問となりますので、どうか、萩生田大臣、そして政府参考人の皆様方におかれましては、積極な答弁をしていただけますよう心からお願いをさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、大臣の方からも、今回の身の丈発言についてお話がございました。

 今回、国民の皆様、そして学生の皆さんに誤解を招くような、非難を受けるような大臣の発言は極めて遺憾でございます。二度とこのような、皆様に誤解を招くような発言はしない、そして責任ある発言をするよう強く申し添えさせていただきたいと思います。

 また、冒頭、台風十五号、十九号、そして先日金曜日、大雨によりましてお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。

 今回、数十年に一度の台風によりまして、十月二十四日のときは四十二校が休校、五十五校が避難所となり、そして昨日、第三十一報、五時半の一報によりますと二十八校が休校、十七校が避難所、そして、けさ七時、この三十二報を拝見させていただきますと十一校が休校、そして十六が避難所となって、数は減ってきております。

 私は、たびたび地震とか台風など災害があるたびに、とにかく現場に駆けつけ、今何が足りないか、そしてどんな支援が必要かなど肌身で感じて、政府・与党にも伝え、迅速な対応のきっかけにしてまいりました。千葉に大規模な停電をもたらした台風十五号の際も現場に行かせていただきまして、学校の先生方とお話をさせていただき、また、自衛隊の倒木の撤去等々、さまざまな問題の話も聞いてまいりました。

 自衛隊は国土を守り、そして厚労省の災害派遣医療チーム、DMATは病人の方を支えてくださいます。子供たちを守り、そして元気づけるのは文科省の使命です。自治体の要請を待ってとか、現地の状況がおさまってから、報告が来ないからなどといって落ちついてから現場に入ったり、報告を、連絡を待っていては意味がないと私は思います。

 大変な状況の中では、連絡、報告すらできません。現地に飛び込み、そして、被災した学校や子供たちの具体的なニーズ、これをしっかり聞くことが必要であると思っています。

 災害救助法では、学校の、体操服は支援の対象になる、だけれども制服やランドセルは対象にならない。また、奨学金などの緊急支援をしてほしい。また、中学校の職員室が水没して、今回、高校入試を控えた三年生の指導要録、それから教務手帳、進路指導の資料が流されたりして使えないといった話も伺ってきました。

 そこで、受験生にとっては、この指導要録が流された、とても不安であり、重要なことであると思います。今後、職員室が水没したり、災害により進路指導等の資料が使えないという事態を避けるためにも、学校のICT化を加速し、これらのデータをクラウドに保存すべきだと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生御指摘のとおり、クラウドサービスは、コストの削減、また情報システムの迅速な整備、柔軟なリソースの増減、高度な信頼性のほか、このような災害発生時にも情報を消失することなく継続運用が可能となるなど、さまざまな課題の解決が期待されるものです。

 文科省としても、最終的に、児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、ICTを十分活用することのできるハードウエア、ネットワーク等の環境整備を達成するため、端末、通信ネットワーク、クラウドサービスを、一体的に、使いやすく、安全で安価なものとすべく、整備促進を図ってまいりたいと考えております。

 今後とも、関係省庁や産業界とも連携しながら、令和の時代にふさわしい学校となるように、ICT環境の充実を図ってまいります。

浮島委員 セキュリティーのバックアップというのは非常に大切だと思いますので、早急に手を打っていただけるようによろしくお願いしたいと思います。

 また、今回の台風十五号そして十九号について、文科省としてどのような対応をされたのか。特に、発災直後からどんな形で現地に入り、どんな情報を得て、それを文科省の支援にどう生かしたのか、また、学用品の支援、奨学金の緊急支給など、子供たちへの支援は万全だったのか、大臣並びに内閣府の見解を伺わせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 これまで、台風第十五号及び第十九号の対応として、文科省としては、初めに被災地に職員や専門家を派遣するなどして、被害情報の収集や応急対策への支援を行ってまいりました。

 特に台風第十九号では、台風が通過した直後から被災地に職員や専門家を派遣し、情報収集を迅速に行い、長野県及び茨城県の教育委員会に職員をリエゾンとして継続的に派遣するとともに、昨日、佐々木大臣政務官を長野県長野市に派遣するなど、被災地の状況やニーズをきめ細かく把握する体制をとってまいりました。

 こうして得られた被災地の情報をもとに、文部科学省として対応方針を検討し、例えば、今回の台風被害において顕著であった浸水被害を受けた学校等への対応として、断水している学校への給水車の派遣について関係機関に協力を要請するとともに、受変電設備が浸水した場合の対応策を周知しました。また、他の学校施設を間借りして授業を行う場合のバスの借り上げ等への小中学校の通学支援に関する国庫補助について周知を行うなど、被災地の状況やニーズに応じた対応を行っています。学用品が浸水するなどの場合は、要保護児童生徒に対する就学援助において、年度途中の認定や、学用品等の再給付をした場合も国庫補助の対象としており、被災自治体の状況や御意見を踏まえ、しっかり対応してまいります。

 また、高等教育段階では、学生支援機構の貸与の奨学金において、災害により家計が急変した方に緊急採用奨学金等の措置をしているところです。

 引き続き、子供たちが一日でも早く日常を取り戻すことができるよう、被災地の状況を踏まえ、支援に全力を尽くしてまいります。

今井大臣政務官 災害救助法による学用品の給与は、災害により、就学上欠くことのできない学用品を喪失又は毀損した児童生徒に対して、義務教育の遅滞を防止するため、資力の有無にかかわらず、必要最低限の学用品を給与するものであります。

 今般の台風第十九号の災害において、全壊、半壊又は床上浸水により学用品を喪失又は毀損した児童生徒に学用品が速やかに給与されるよう、被災自治体に対して周知を行っているところです。

 内閣府においては、これまでも、熊本地震や平成三十年七月豪雨災害等において、教科書や学用品について児童生徒のニーズに応じて配付してまいりました。今後も、被災自治体等と連携し、適切に対応してまいりたいと思います。

浮島委員 今回の災害で子供たちは大変動揺していると思います。特に受験生たち、先ほど申し添えさせていただきましたけれども、学習指導要録等がなくなってしまった、不利益になるのではないかと本当に不安になっている、心配していると思います。

 これまでも、想像がつかなかったこのような大規模な災害が、毎年起こるようになってきてしまっております。大臣の所信の中にもございましたけれども、関係団体としっかりと連携をし、被災地に寄り添いながら、そしてまた、失われた信頼を回復する途上にあると言われておりました。言われてから動くのではなくて、すぐに動き、被災地の学校や子供たち、保護者の皆さんにとって顔の見える文科省になっていただけますよう、各関係団体、そして内閣府とも連携をとりながら、よろしくお願いいたします。

 次に、ICOMの、文化の質問を入れさせていただきたかったんですけれども、ちょっと質問の順番を変えさせていただきまして、神戸市の須磨の小学校における教員のハラスメントについて質問をさせていただきたいと思います。

 これは、先ほども質問の中にもありましたけれども、教師が、同僚の先輩教師から身体的な暴力、暴言、性的な嫌がらせなど、ハラスメント行為を受けているということが今回判明した。いじめというのは絶対に許されない、自分の存在をかけて指導すべき教師が、しかも複数で犯罪に該当する暴力行為を繰り返していたことは、教師として言語道断と言わざるを得ません。

 これまでさまざまな、いろいろなことも私もありましたけれども、私のところにも教員間でのいじめがあるという声も届いているのが、悲しいけれども現状でございます。

 佐々木政務官にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、政務官は、十月の十五日、神戸市教育委員会を訪問して、教育長から事実関係を聞き取り、文科省として指導をしたと伺っております。このようなあってはならない事件がなぜ起こったのか、現地に赴いた上での現場の声を、率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

佐々木(さ)大臣政務官 先生に御指摘をいただきましたとおり、十月十五日、私は、亀岡副大臣とともに神戸市教育委員会を訪問してまいりました。

 このような事態の中で、まず児童生徒の心のケアなど適正な教育環境の確保、ここに万全を期すとともに、このようなことが二度と起こらないように、徹底した事実関係の確認、そして効果的な再発防止策の検討、懲戒処分を含めた関係者への厳正な対処に全力を挙げるように求めてまいりました。これに対しまして、教育長や教育委員、事務局幹部からは、指導を踏まえてしっかり取り組む、このような回答があったところでございます。

 現在、この原因究明につきましては神戸市が全力を挙げているところではございますけれども、現場に行かせていただきました私の率直な感想として申し上げますと、こういった加害教員の人間的な問題ということは言うに及ばずでございますけれども、職員間の不健全な関係に気づきながら早期に是正することができなかった、この管理職等の認識と対応の甘さというものが、私はここまで事態を悪化させたのではないか、このように感じている次第でございます。

浮島委員 どうかこれからも現場第一主義で、現場の声をしっかりと聞いていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 この問題は、特に、小学校の前校長のマネジメント、神戸市の教育委員会が人事に責任を持たない、いわゆる神戸方式と言われる教育委員会のマネジメントに大きな課題があったことは間違いないと思いますけれども、他方、このような教師間のハラスメントで悩んでいるということは、先ほども私もお話をさせていただきましたけれども、私のところにも声が届いております。

 今回の事件が氷山の一角だとすれば、今後、今回の事件について関係者の厳正な処分、そして教師の養成や免許、採用など、制度の基本にも立ち返って検討する必要があると私は思っております。

 例えば、現在の教員免許法では、禁錮以上に処されたり、あるいは懲戒免職、分限免職を受けたりしなければ免許が失効しないため、全国の学校で直ちに教壇に立たせない措置が講じられません。また、懲戒免職、分限免職により免許が喪失してしまったとしても、三年後に再び都道府県教育委員会に申請すれば許可が授与されることになっています。

 それぞれ、医師や弁護士など、ほかの免許制度との整合性を考えなければならないのはもちろんでございますけれども、同僚の教師に暴力行為等を繰り返す教師が再び教壇に立てるという制度は、正直に言って疑問を感じます。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、現在、中央教育審議会においては、教員の養成、免許、採用、研修、勤務環境、人事計画等のあり方、そして教員免許の更新制度の実質化について審議がなされるとお聞きしております。今回のこの事件を踏まえまして、同僚教師へのハラスメント、また児童生徒に対するわいせつ行為を行った教師が二度と教壇に立つことのないようにするための制度改正も必要ではないかと思いますけれども、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 今先生が御披露いただいたように、分限免職でもない限り、かなりのことで処分をされたとしても、再びどこかでまた教員になれるという今のシステムには問題があるという認識をしております。

 児童生徒を守り育てる立場にある教師が、同僚教師に対して複数で暴力行為などを繰り返すことや児童生徒に対してわいせつ行為などを行うことはあってはならないことです。教師として適正な資質、能力を持つ者のみが教壇に立つような採用、免許や人事管理等のあり方に関し、法制上の考慮すべき論点も含めて、専門家の意見を聞きつつ検討をしてまいりたいと思います。

浮島委員 しっかりと制度改正も含め、議論をしていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、児童生徒の問題行動調査についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 十月の十七日に、平成三十年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果が公表されました。その中でも特に深刻なのは小学生の暴力行為で、平成二十五年度に年間一万件を突破して以来、明らかに急増しており、平成三十年度には前年度よりも八千二百二十一件増、三万六千五百三十六件となってしまいました。

 私たち大人は、これをどう受けとめ、対応するべきか。小学校の先生にお聞きすると、小学生が自分の感情をうまくコントロールできなくなっているとおっしゃっています。また、その背景には、自分の感情を言葉でうまく表現できない、語彙や表現力の問題、そして、自分を受けとめてくれる人、そして自分の居場所に問題があると私は思っております。

 私の劇団の話で恐縮ですけれども、小学校の教師になった女の子がいます。その彼女に話を聞いたところ、周囲の子供たちに暴力を振るう、どうしてもとめられない小学校三年生の児童がいたそうです。毎回毎回、暴力を振るうたびに、だめだよ、だめだよと注意をしても、なかなか言うことを聞いてくれない。そして、ある日、その家庭に訪問したときに、その家庭の状況がわかった。そして、また学校に戻ってきて、その子が暴力を振るったので、その子を呼んで、何も言わずにその子を抱きしめた。そうしたら、その子が大声を張り上げて泣き出した。それで、泣き出して、そのまま彼は何も言わなくなった。そして、数日たつにつれて人に優しくなるようになった。

 そして、勉強もしなかったけれども、先生がその子のそばを通るたびに、よくやっているね、頑張っているね、きれいに書けているねと声をかけるようにした。そうしたら、その彼は、今まで自分が暴力を振るっていたんですけれども、逆に、いじめている子を発見して、その子に、いじめてはいけないよと声をかけるようになったということでございました。

 私は、今回、この調査の報告を受けて数字を見たときに、この数字には、どんな子供たちの苦しい思いや、そしてつらい思いがこの陰にはあるのかと胸が痛くなりました。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思いますけれども、この調査は、暴力行為の数や不登校児童生徒の数といった数字が並んでいますが、その意味や背景をしっかりと分析されているのか。例えば、小学校の暴力行為が二〇一三年度以降急増しているのはなぜか、そして、この状態を改善するにはどのような手だてが必要なのか。そして、この子供たちの調査を行っていく上で、いろいろ難しい家庭の問題等もありますので、調査も難しいと思いますけれども、こういう分析も私は必要であると思うんですけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の平成三十年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、小中高等学校における暴力行為の発生件数は七万二千九百四十件となり、特に小学校では前年比約八千件の増加でございまして、非常に憂慮すべき状況にあるというふうに考えております。

 また、小中学校の不登校児童生徒数は六年連続で増加をしまして、十六万四千五百二十八人となっております。依然として、教育上大きな課題であるというふうに認識をしております。

 調査結果からは、子供たちがさまざまな悩みを抱えたり困難な状況に置かれたりする状況が見受けられ、周囲の大人が、委員の御指摘のとおり、子供たちの心にしっかりと寄り添い、SOSをどのように受けとめ、組織的な対応を行い、さらに、外部の関係機関等につなげて対処していくのか、そういった点が重要であるというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、個々の子供たちの状況に応じた必要な支援や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実、SNS相談体制の構築、支援などによりまして、関係機関との連携による教育相談体制の充実にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

浮島委員 子供たちが、自分には居場所があるんだ、そして守ってくれる人がいるんだということを感じながら学び、そして生活することが私は大切だと思っております。それをしっかりと生かしていかなければいけない。そして、この背景や分析、これをしっかりと行っていただいた上で次の施策に生かしていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 また、今、ソーシャルワーカー、外部というお言葉もありましたけれども、私がいつも進めさせていただいていたセーフティープロモーションスクール、SPS、これがやはり外部の方との交流を深くし、また、いろいろなことも、チーム学校という意味でも広げていけると思うんですけれども、このセーフティープロモーションスクール、これは、子供たちを守るという観点から、ハードだけではなくて、ソフトの面も大きく有効だと思います。

 このセーフティープロモーションスクールは、理念となる七つの指針に基づいて、学校独自の安全、生活安全、災害安全、交通安全の推進を目的としたということでございます。また、このセーフティープロモーションスクールの認証に当たりましては、安全が確保された、完成された安全な学校であることが基準とされるのではなくて、教職員、児童(生徒、学生、幼児を含む)、保護者、さらには子供の安全にかかわる地域の機関や人々が学校安全の重要性を共感し、そして、チーム学校として、組織的かつ継続可能な学校安全の取組が着実に協働している、実践されている、展開されているということが条件になっている学校でございます。

 セーフティープロモーションスクールというと一見すごく難しいように感じますけれども、私も何カ所か視察に行かせていただきました。そこに視察に行かせていただいて実感したのは、視察に行ったのは小学校でしたけれども、学校内で、小学校一年生から六年生までが縦にチームをつくります。そして、学校の中の危ないところを全部そのチームで書き出します。そして、地域、自分の家から学校まで行く通学路、それも危ない箇所を子供の目線で書き出します。そして、書き出したものを、その代表者が学校の中で集まって、それを話し合って、それをマップにして、学校にはもちろん、先生方にはもちろん、教育委員会、そして地域の方々に配付をされます。そして、地域の中でどこが危険でどこが安全でということをみんなで認識をしていこうということで取組をされているところでございます。

 私は、このセーフティープロモーションスクールという制度が、もし全国で、いろいろなところで入っていたらと。大阪で起こった北部地震、寿栄小学校もブロック塀が倒れてしまいました。あのときも私、現場にすぐその日に行かせていただき、子供に話を聞きましたけれども、子供目線で見たら、このブロック塀、曲がっていたんだと言われました。私も子供目線になって低くしゃがんで見ましたら、ちょうど大人の目線のところからブロック塀が足されていたんです。なので、大人からはゆがんでいるようには見えません。でも、子供目線になったら、継ぎ足されたところからゆがんでいる。だから、このセーフティープロモーションスクールという制度が入っていたならば、子供目線で、このブロック塀は危ないよということを書き出していたと思います。

 なので、このセーフティープロモーションスクールということを広げていくことが重要だと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 子供の安全は学校教育の大前提であり、文科省として、学校管理下における死亡事故を可能な限りゼロにするという目標のもと、学校安全に係る取組を推進しているところです。

 先生、副大臣時代に熱心に取り組んでいただいたセーフティープロモーションスクールは、学校安全の取組を組織的、継続的に実践する学校を認証するもので、学校安全を推進していく上で一つの効果的な取組であるというふうに考えております。文部科学省としても、認証に向けた取組を支援しているところです。

 今後とも、学校における子供たちの安全が守られるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

浮島委員 ぜひとも、子供たちの命を守るためにも推進をしていただけるようにお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、先ほど馳委員も指摘をされました、大学入試における英語の資格検定試験の活用についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほども答弁の方にもありましたけれども、高校生や保護者の不安、懸念を払拭するよう一つ一つ手を打つことは大切であることはもちろんでございます。でも、私が思っているのは、そもそも今回の入試改革がなぜ行われるのか、その原点を広く社会で共有することがまず必要であると思っております。

 そこで、社会の構造的変化の中で、他と違うことができること以上に、他とは異なる経験や学びをしていることを通して自分なりの視点や考えを持っていることに意味があるという時代になってきていると思います。そんな時代背景の中でも、今回の入試改革、特に英語試験、検定試験の活用がどのような目的と意義を持っているのか、受験生も保護者にもまだ十分届いているとは言えません。むしろ不安に思っている方が多いと思います。

 そこで、この目的や意義を明確に述べてください。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバル化が進展する社会で活躍できる人材に求められる資質としては、豊かな語学力あるいはコミュニケーション能力、そして主体性、積極性、異文化理解などの精神等を有していることであるというふうに考えております。

 そのため、必要な英語のコミュニケーション能力につきましては、現行の高等学校学習指導要領におきましても、読む、聞く、話す、書くの四技能を総合的に育成する指導を充実することとされておりますが、一方で、我が国の高校三年生の英語力を見ましても、特に、話す、書くに課題があるということが明らかになっておりまして、グローバル化時代を担う人材養成のためには、指導要領に基づく英語四技能の評価が重要であるというふうに考えております。

 このため、既に高等学校における英語教育や一部の大学入試においても活用され、一定の評価が定着しております民間の英語資格検定試験の大学入試における活用を推進することによりまして、大学入試において、高校段階までに育成した四技能の英語力を適切に評価できることとなりまして、また、ひいては、高等学校における英語四技能を総合的かつバランスよく育成する指導改善が、一層促進されることにもつながるというふうに考えております。

 こうした趣旨をしっかり周知していきたいと考えております。

浮島委員 きのうも、公明党の文部科学部会そして生活支援PT合同の会議でヒアリング、現場の声を聞かせていただきました。そこで言われたのが、よりわかりやすい情報発信をしてほしいと。今の高校生はLINE、インスタを使う、高校生に刺さる情報発信をしてもらわないと、文科省のホームページだけでは不十分である、文科省のホームページは文字が多くて読みづらい、わかりにくいという現場の声がありました。

 確かに、高校生はSNS、ウエブ広告等を見たり使ったりすることが今非常に多くなってきておりますので、しっかり高校生に刺さる情報発信をしていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 最後に一点だけ、ICOM京都大会について御質問させていただきたいと思います。

 本年の九月一日から七日まで、第二十五回国際博物館会議京都大会、いわゆるICOMが開催されました。世界じゅうから四千六百人の方々が集まっていただきました。

 私も約十二年前、参議院のときでございましたけれども、このICOM、国際博物館会議というものが日本で一度も行われたことがないということで、ぜひとも行うべきだということを質問させていただき、約十二年かかってしまいましたけれども、招致ができ、そして地元関西の皆様方のお一人お一人のお力でこの大会が開催されましたこと、本当に心から感謝の気持ちでいっぱいでございます。

 ただ、この京都大会、いろいろな方に、参加された方に聞きますと、二十年ICOMの大会にかかわってきた、三十年かかわってきた、五十年かかわってきたという方々が、どの大会よりも日本のこの大会がよかったというお声が、佐々木京都博物館館長、この組織委員会の委員長でございますけれども、のもとに日々届いているというお話を伺いました。

 私も現場に一週間張りついておりましたけれども、会議が終わった後、今まで各国で行われた会議は、その後、夜には、博物館、美術館に自由に入ってくださいということはありましたけれども、それ以上のことは余りなかった。今回、日本では、会議が終わった後に二条城でのイベント、あるいは、能楽堂を開いていただき能のパフォーマンスを皆様に御披露していただいたり、夜の、日本の伝統文化に触れるという催しもさせていただきました。

 そんな観点から、世界の方々は、このようなすばらしい大会は初めて体験させていただいた、また日本に行きたいというさまざまなお声をいただいたところでもございます。

 そこで、京都移転を控えた文化庁にお伺いをさせていただきたいと思います。この大会の成果をどう評価しているのか、また、大会の成功を今後にどう生かしていくのか。これが大きな課題だと思いますけれども、日本の博物館政策は、今、世界が注目をしております。ICOM京都大会を一過性のもので終わらせるのではなくて、日本の博物館政策の充実を図っていく必要があると思いますけれども、これからどう発展させようとしているのか、決意と戦略をお伺いさせていただきたいと思います。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 ICOM京都大会は、先生御指摘のように、百二十の国、地域から過去最多の約四千六百人の博物館関係者の参加によりまして、文化をつなぐミュージアムをテーマとしたさまざまな議題について、議論や研究発表が七日間にわたり開催されたところでございます。大会の決議には、文化的な中心としての博物館の理念の徹底、博物館によるSDGsの目標達成への貢献、アジアにおける博物館振興等、多くの議論がなされまして、時代の変化を踏まえた博物館の使命が打ち出されたところでございます。このように、ICOM京都大会は非常に大きな意義を有するものであったと考える次第でございます。

 この成果の受けとめでございますけれども、文化庁では、ICOM京都大会の成果も踏まえながら、十一月に文化審議会博物館部会において、博物館の役割等について多岐にわたる議論を開始する予定でございます。また、来年二月には、東京や京都におきまして、ICOM京都大会の議論を国内に共有するためのシンポジウムを実施する予定でございます。

 このような機会も踏まえまして、ICOM京都大会の成果をしっかりと我が国の博物館の施策に生かしていきたいと考えているところでございます。

浮島委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 あと、最後に一点だけ大臣にお願いをさせてください。

 私も、副大臣時代に、文科省、さまざまな激震が走っておりました。若手職員、本当に頑張っています。タスクフォースのメンバー百七十三名、私は、会える限り一人一人と会い、いろいろな対話をさせていただきました。どうか、大臣におかれましても、若手職員と対話をしていただけますようお願いをさせていただき、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 共同会派、立国社、本日一番バッターとして質疑の機会をいただきました。ありがとうございます。

 誰もが望めば学ぶチャンスをつかめる、スタートラインに立てる日本にしていくべく、きょうも質問をさせていただきたいと思います。きょうは、文部科学大臣、文部科学副大臣、そしてオリパラ担当大臣とそれぞれ政務三役に御質問申し上げますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 まず冒頭、本日の報道で確認をすべき内容が出てまいりましたので、けさ段階での通告を申し上げて、お答えいただくようにお願いしました。

 大臣にお伺いいたします。

 本日、二〇一九年十月三十日、読売新聞朝刊一面の「英語民間試験延期論 政府内」、こうした内容の記事が出ました。事実でしょうか、フェークニュースでしょうか。事実関係について、大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 お答えします。

 文部科学省としては、御指摘の議論については承知をしておりません。

 いずれにせよ、文科省としては、英語成績提供システムについては、高等学校、大学関係者の合意に基づいた方針によるものであり、受験生はその実施を念頭に既に準備を進めてきていることから、受験生等の不安や懸念を一つ一つ解消し、二〇二〇年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

城井委員 承知をしていないというお答えでした。

 政府内での議論という報道でした。事実確認をいただけますでしょうか。

萩生田国務大臣 文科省としては全くその議論にはくみしていないんですが、政府のどこかでそういう話があるとすれば、確認をきちんとしたいと思います。

城井委員 当委員会に報告をいただきたいと思いますが、委員長、お取り計らい願えるでしょうか。

橘委員長 後刻、理事会で協議いたします。

城井委員 この英語民間試験延期論が政府内でという点は大変大きな報道だというふうに思っています。

 この報道の内容も含めてでありますけれども、大臣、ここまで議論があります国の大学入試共通テスト、英語民間試験の導入も含めてでありますけれども、これは国の共通テストですから、国に責任があるのは当然であります。

 かつて、共通一次試験を実施する際に、それを延期したことがありました。この共通一次試験実施を延期したときには、当時の文部大臣が決断をいたしました。当時の文部大臣が決断したように、英語民間試験導入についても、文部科学大臣が決断をすれば延期をできます。菅官房長官も、昨日の記者会見で、この点について、文部科学大臣が判断すると述べています。

 大臣、この際、英語民間試験の導入実施、この導入を延期を決断していただきたいと思いますが、大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 私自身も、就任時にはこのシステムについてまだ詳しく承知をしていなくて、自分自身も不明な点が多々ございましたので、しっかり勉強してみるということをお約束しました。

 まだ会場などの提示が十一月以降ということになりますから、現段階では、明確に、試験会場や時期について、あるいは、そのまた減額要請などについて明らかになっていない課題があることは事実でありますけれども、他方、この件につきましては、もう既に二〇二一年に向けて準備をして頑張っている学生さんも数多くいらっしゃいます。

 そういう中で、問題を一つ一つ解決しながら、受験生の不安や懸念を解消して、二〇二〇年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組ませていただきたいというのが意思でございます。

城井委員 大臣の気合いは少し理解をしたつもりですが、ただ、ここまでの経緯の理解が、不明が多いということでは御理解いただけている部分が少ないのではないかというふうに大変心配をいたしますし、今ほど触れていただいた会場やあるいは試験の実施日時なども含めて、きょう時点で固まっていない部分が相当多い。こうした問題を抱えたままで進んでいくことになります。こんな、準備も足りない上に、そして大臣の理解も十分でない状況で果たして進められるのかということは極めて疑問であります。

 そうした中で、萩生田大臣から例の身の丈発言があったということであります。

 先ほど、この文部科学委員会の冒頭で、大臣から陳謝とともに発言の撤回の旨がございました。その発言のときに、自分の都合に合わせてという趣旨の御発言もあわせておっしゃいました。

 このいわゆる身の丈発言が、なぜ受験生が怒り、教育政策に自分の人生が助けられたなという多くの方々が、何だあれは、貧しければ我慢しろということか、こうしたことで怒りを覚えたのは何だったか、このことを大臣、ぜひ理解いただきたいというふうに思うんです。

 教育の機会の均等や教育格差の是正が仕事の文部科学大臣から、身の丈に合った勝負をといって、個人の努力ではままならない家庭の経済格差や地域格差による教育の格差の拡大を認め、促す発言をされてしまいますと、こうした中身は、例えば教育を受ける権利を定めた憲法二十六条には明確に違反をしますし、教育の機会均等を定めた、教育基本法第三条違反にもなります。言語道断であります。

 問題は、身の丈発言に示された大臣のずれた姿勢だけではありません。大学入試に導入されそうになっている英語民間試験ですが、経済的格差、地理的格差といった個人の努力が及ばない現状に、自分の都合に合わせて、身の丈での対応を強いる、そして、受験生側からすると従わざるを得ない入試になっている。いわば制度自体が身の丈入試になってしまっていることが大きな問題なんです、大臣。この身の丈入試も、憲法や教育基本法に照らしても沿わない内容であることは明らかであります。

 大臣は記者会見で、都合に合わせて適切な機会を捉え、二回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いだった、こんなふうにおっしゃっています。ただ、先ほど大臣もくしくもおっしゃいましたように、都合に合わせるも何も、受験開始の今五カ月前です。五カ月前になっても、各民間試験をいつ、どこで、何人が受けられるかさえ未定の状況です。国の共通テストなのに、希望する全員が希望する地域で必ず試験を受けられる状況ではありません。

 大臣、現時点で確定できていないですね。お答えください。

萩生田国務大臣 先ほど、私自身の問題意識も申し上げましたけれども、試験団体の皆さんには、十一月一日付までに可能な限りの会場を提示していただきたいということを申し上げている。期限がまだ十一月一日ですから、その報告を待ちたいと思います。

城井委員 そもそも、実施要領は二年前までに示すというのがルールだったんじゃないですか。ここが守られていなくて、十一月一日にはと。実施の五カ月前ですよ。約束が違うんじゃないですか。そうやって文部科学省も実施団体も、実施する場所や内容や日時なども含めて、延ばして延ばして延ばして延ばしてきているのが現状じゃないですか。

 十一月一日にも全部出てこないケースも想定されているんですよね。全て示されるんですか、大臣。お答えください。

萩生田国務大臣 もう既に明らかにしている団体もございますけれども、まだ出てきていないものもあります。それから、減額のルールについてもお示しいただいていないところもありますので、私は、十一月一日という期限を切って今要請をしておりますので、その結果を見てしっかり判断をしていきたいと思います。

城井委員 そもそも、五カ月前になって、こうした形で、実施する内容や場所や日時も含めて示されていないという時点で、準備不足を余りにもさらしてしまっているということを大臣は自覚すべきであります。こんな状況で受験生が前に進めるわけがありません。

 この一年半余り、今申した内容も含めてですが、何度も何度も私どもから、委員会や質問主意書や文部科学省との直接のやりとり、文書での回答をお願いしたこともありました、丁寧に、この二年弱、指摘、確認をしてきているんです。今言っているんじゃないんです。この間、ずっとやってきている。なのに、四技能をはかれる議論を、そうした狙いとは裏腹に、懸念は広がるばかり。そして、実害にまで発展しているのが状況であります。

 問題は大きく五つあります。五つの欠陥です。

 一つは、制度の設計の欠陥。共通テストといいながら、試験はばらばらで共通になっていない。異なる試験を無理やり比較するし、そして、合否判定に使わなくても受けなきゃいけない。

 二つ目には、試験の内容と運営の欠陥です。問題漏えいの心配は吹っ飛んでいますし、替え玉受験の可能性はまだまだ消えていません。不公正の可能性があります。採点の質の担保も十分でありませんし、学習指導要領の内容と照らしたときに、かけ離れているのも明白であります。

 三つ目に、受験生の負担であります。費用負担は明らかにふえますし、試験日程に配慮もありませんし、受験会場の格差も明確であります。

 マイナスの効果という欠陥もあります。スピーキングが身につかない上に、リーディングなどほかの部分の成績が落ちる可能性が高くなっています。

 そして五つ目に、制度導入のプロセスで利害関係者が制度設計にかかわり、現場からの懸念の声が反映されず、先ほど申したように、準備も周知もおくれているというのが事実であります。

 こんなに問題があって前に進めないというのが実際であります。以下、改めて具体的に指摘をしてまいります。

 まず、経済的な不公平が解決されていない問題であります。民間英語試験の利用は、費用負担という面で決して安くありません。大臣、最も高い受験料の試験は、二回受ける前提ですが、合計で幾らでしょうか。また、軽減された場合は幾らになりますか。そして、その費用は、経済的に厳しい生徒も負担可能か。大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 最も高い検定料の試験は、IELTSの五万七百六十円でございます。軽減額は、試験団体において検討中です。

 なお、経済的に困難な受験生がどの程度の検定料等であれば負担可能かどうかは一概に申し上げられませんけれども、文部科学省においては、資格試験団体に対し、検定料の低減及び会場の追加設置を要請しているところです。

城井委員 五万七百六十円。受けるかどうか決めるのに、軽減額もわからない。これで、大臣、選べるわけがないというふうに考えますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 IELTSは、一番高い例をお尋ねでございましたのでお答えしましたけれども、一定の御負担はおかけをするということになると思います、受験生の皆さんに。

城井委員 問題は、一定の負担が幾らになるかというところが問題なんですよ。

 例えば、北海道の稚内からCEFRでいうC1以上を目指す方法を仮に見積もった場合、札幌で一番安いGTECCBTを二回、練習受験を一回、そして実施団体の公式教材を仮に六千円で購入した場合に、英語一科目を受けるだけで、七万三千五百円に加えて宿泊費がかかる、これが最低ラインだと考えられます。一方で、これまでのセンター試験ですと、五科目で一万八千円です。一番安いのでもこれです。

 一番高いところは、先ほどの五万七百六十円から始まる話になります。経済的に厳しい生徒が負担可能な金額ですか、大臣。もう一回お答えください。

萩生田国務大臣 一概に、その金額が可能かどうかということを私が特定することは極めて困難ですけれども、例えば、経済的に困難な方が受験をした後に入学をすれば、給付型の奨学金でこの費用を補填する、こういう仕組みもでき上がっておりますので。

 いずれにしましても、できる限り近くで試験が受けられるように、これから会場の設定をふやしていく、そういう努力をしてまいりたいと思いますし、減額についても、団体の皆さんと引き続き交渉を続けてまいりたいと思っています。

城井委員 給付型奨学金とおっしゃいましたが、後ほど聞きますが、大学生活に使うお金を先食いして使えというのは相当無責任だと思いますね。

 これまでも、この軽減について実施団体に要請しているというせりふはもう聞き飽きましたけれども、国の共通テストです。減額も、ほんの微々たる割合です。これまでも、林元大臣や柴山前大臣にもお願いをしたら、実施団体に要請しているという話でした。その後に何が起こったかです。むしろ、文部科学省が実施団体に受験料の減額を要請した後に、受験料を値上げした団体があるんですよ。大臣、御存じですか。確認していますか。

萩生田国務大臣 それは存じ上げていません。

城井委員 二〇一九年度から英検が上げています。ぜひ確認いただきたいと思います。

 こういう状況です。国から要請しても、実施団体はむしろ値上げをするような状況なんですよ。減額金額も、そうした受験生が判断するに足る料金にはなっていないという現状を理解いただかないと、この仕組みは前に進められません。

 さらに、大臣が要請したというこの受験料の減免措置の申請には、住民税納税通知書や課税・非課税証明などが必要です。これらを役所で発行してもらうと、当然、証明の手数料と交通費や郵送料がかかりますよね。例えば、英検二級の減免額は三百七十円です。逆に損をすることもあります。経済的に苦しい学生からしっかりお金を取る仕組みになるわけですが、全く現状を踏まえていません。大臣、この点いかがですか。

萩生田国務大臣 先生御指摘のとおり、減額といってもわずか五%、三百円台の金額ということでは我々が望んでいるような制度ではないというふうに思っていまして、この点を引き続き交渉してまいりたいと思っています。

城井委員 再度要請をして下げさせるということですか。下げるめどは、どこまでを要請として言うんですか。大臣、もう一回お答えください。

萩生田国務大臣 民間の企業、団体が設定している料金ですし、またそれなりの根拠があることなので、こちらからあらかじめ比率を申し上げるというのはなかなか難しいと思いますけれども、しかし、こういう現状を踏まえてしっかりお話をしていきたいと思いますし、今、会場のお話をしましたけれども、それ以外に国としてどういう支援ができるか、しっかり考えていきたいと思っています。

城井委員 国の共通テストですよ、大臣。実施団体のテストに国がおもねってどうするんですか。国からこうしろと言うのが筋じゃないですか。

 どのように要請するか、もう一回お答えください。

萩生田国務大臣 参加に当たって、協定を結んで参加をされた団体、企業の皆さんでありますから、その協定の中身のルールにのっとって、最大限できることはきちんとしてまいりたいと思います。

城井委員 問題は費用面だけにはとどまりません。各地域で暮らす人たち、都会と田舎という言い方も世間ではされています。この地理的な格差、不公平についても触れざるを得ません。これまでも何度も指摘しましたが、この点がまだ解消されていません。

 例えば、試験会場から遠い地方の生徒で、民間試験のために高額の交通費や宿泊費がかかる場合、どのような対象者に幾らの費用補助でやるのか、どのような生徒に交通費や宿泊費の費用補助が出るかは、いつ誰が判断するのか。大臣、お答えいただけますか。

萩生田国務大臣 令和二年度の概算要求においては、離島に居住する高校生について、本土や近隣離島での受験にかかる交通費や宿泊費を支援するため、地方公共団体の事業に対し、国が二分の一補助を行うための経費を措置することができるように概算要求をしているところです。具体的な配分対象、方法等の詳細については、今後、財政当局との折衝を経て決定する予定です。

 また、僻地に居住する高校生については、居住地域に近い試験会場を設置し、可能な限りアクセスしやすくすることが重要と考えています。

 文科省としては、今後、各試験団体の会場設置に関する取組状況をきめ細かく聴取し、会場設置の充実に向け必要な対応を図ってまいりたいと思います。

城井委員 そうすると、僻地の場合、例えば先ほど例に出した稚内から札幌へというケースの場合は、こうした補助からは外れるという認識でよろしいですか。

萩生田国務大臣 現状では、そういった支援メニューを今のところ用意していません。

城井委員 そうした離島以外だと、特に僻地の場合ですとその不公平は残るということを大臣から今御答弁いただきました。

 さて、大臣は、二回選んで受けてもらえればという発言をされましたが、それがかなわない受験生に思いが至っていません。

 経済的事情により一回しか受けられない人も出てきます。受験料のみならず、交通費や宿泊費も考慮せねばなりません。公平性を期すのであれば、誰でも一回しか受験ができないようにするのか、あるいは、二回の受験機会は家庭の経済状況にかかわらず政府が保障するか、こうした公平性の担保が必須だと考えますが、大臣、いかがしますか。

萩生田国務大臣 英語資格検定試験の受験に係る地域、経済格差の懸念が示されていることから、文科省としては、受験生の居住地に近い試験会場を可能な限り設置するため、試験団体に対して需要に応じた試験会場の設置を求めるとともに、大学や地方公共団体に対し、会場設置の協力を要請する通知を発出したところです。特に国立大学に対しては、会場設置や使用料金の減免、減額、免除など、協力を要請しています。

 経済的に困難な受験生については、これまで試験団体に対し検定料の減額を要請してまいりましたが、昨日、文書で、全ての試験団体に対し、改めて検定料の低減に努めていただくことを求めるとともに、とりわけ経済的に困難な受験生の検定料を決定、公表していない試験団体においては速やかに決定、公表するよう要請したところです。

 また、来年度概算要求において、離島に居住する高校生等が島外で資格検定試験を受験する際に要する交通費等の補助経費を計上するとともに、令和二年度から開始される高等教育の修学支援新制度では、低所得者世帯の子供たちに受験機会を確保するという観点から、所要額の算定に当たって、大学等の受験料を積算した給付型奨学金を設置することとしています。

 さらに、試験日程の設定については各試験団体の判断により行われるものですが、参加要件においては、毎年度四月から十二月までの間に複数回の試験を実施することや、試験に申し込んだ受験者の受験機会の確保に努めることとしております。

 各試験団体においては、このことを踏まえ、需要に応じた試験日程の設定を図るものと承知をしておりますが、御懸念のようなケースが生じることについては課題だと認識をしておりまして、セーフティーネットを構築していく中で対応策を検討してまいりたいと思います。

城井委員 今大臣がお答えになった点は、これまでも要請を続けてきている内容でありますし、この五カ月前になっても既に確定ができていない状況であります。そこで今の、今までと同じ答えをそうして言われても、説得力が全くないというふうに言わざるを得ません。

 更に続けて申し上げたいと思いますが、先ほど大臣は、給付型奨学金を受験料に充ててということをおっしゃいました。ただ、これまでもこの件は文部科学省にも確認を続けてきておりますが、大学での学びや生活のための費用を先食いすることになるわけであります。

 そもそも、そんな目的が給付型奨学金にはあったのか。そして、給付型奨学金制度で、英語民間試験の受験料は、当初、この積算根拠にそもそも含まれていたのか。使うことができるというふうに説明をしていますという答弁ばかりが返ってきて、では、大学生活が支障なく送れるようになるに加えて、受験料の負担もできますよという金額になっているか。

 給付型奨学金の算定根拠を示してくださいということを累次にわたって文部科学省には申し上げておりますが、担当は黙り込むばかり、書類は出てこない。政務三役に相談してお答えくださいというふうに審議官にも申し上げたんです、とても優しく。ところが、それもきょうに至るまで答えが返ってきていないという状況です。

 こんな算定根拠も説明できぬような中身で国民を説得できますか、大臣。もう一度お答えください。

萩生田国務大臣 城井先生が真摯に求めたにもかかわらず、今まで数字を出していなかったとすれば、それは大変恐縮だと思います。

 給付型奨学金の額は、独立行政法人日本学生支援機構の学生生活調査などをもとに学生の支出の水準を総合的に勘案し、学業に専念するために必要な学生生活費を賄えるように設定しているものです。この給付型奨学金は、定額を措置し、使途を限定しないものであり、内訳を示すことにより使途が限定されるような誤解を与えることから、費目ごとの計上額ではなく、実際の支給額のみを示しており、内訳は示さないこととしております。

 このことを前提に、あえて受験料について申し上げれば、受験料として四年間で合計十三万七千円を換算しておりまして、また、英語資格検定試験の検定料は一万五千円で計算をしております。

城井委員 英語民間試験の平均受験料は一万七千円です。その意味では、今おっしゃった数字想定自体も低目だというふうに思いますし、何よりも、算定の根拠たる数字の想定が示されなければ、給付型奨学金の金額自体が、それが実態に見合ったものなのかどうかということを国民にすら説明することができません。

 大臣、算定の根拠の想定の部分、お示しいただけませんか。もう一度答弁をお願いします。

萩生田国務大臣 繰り返しになりますけれども、給付型奨学金の額については、独立行政法人日本学生支援機構の学生生活調査などをもとに学生の支出の水準を総合的に勘案し、学業に専念するために必要な学生生活費を賄えるよう設定しているものであって、給付型奨学金は、定額を措置し、使途を限定しないものでありますので、内訳を示すことにより使途が限定されるような誤解を与えることから、費目ごとの計上額ではなく、実際の支給額のみを示しておりまして、内訳は示さないということになっております。

城井委員 やはり算定根拠を示していただけない。大学生活で本来用いるもののはずなのに、こうして受験の部分に先食いをしても、その部分で手当てが足りるかどうかも説明できないということが明らかになったと思います。

 この問題は本当にたくさんの問題がありますが、もう一点お伺いしたいと思います。学校現場の懸念であります。

 公開会場の手配、特に高校に、自分の学校の生徒を優先すると言って実施団体が営業をかけること、こうしたことが起こっています。ほかの学校の生徒や浪人生、そして高卒認定試験を受けた人たちなどにとっては不公平な状況でありますし、ルール違反だと考えます。この件についても、大丈夫か、不公平が起こるぞということで文部科学省に何度も尋ねてまいりましたが、文部科学省は黙り込みました。放置をするという方向であります。

 大臣は、この不公平を放置するんですか。お願いします。

萩生田国務大臣 大学入試英語成績提供システムに参加する資格検定試験の申込みの受け付け及び受験生の試験会場への割当ての方法は、試験に申し込んだ受験希望者の受験機会の確保に努めることとする参加要件を踏まえ、各試験団体において決定をされるものです。また、会場ごとの実施責任者及び各室の試験監督の責任者が所属学校の教員ではないこと、受験生の所属高等学校の教職員が採点に加わらないなどの参加要件を前提としております。

 先生が早くから御指摘いただいている、いわゆる自校方式のことだと思うんですけれども、これは全く問題意識を共有します。自校方式で、特定の例えば私立の学校が特定の試験団体と協力をして、自分の学校で一括して試験をやるかわりにほかの生徒はそこでは受けられないということになったら、これは一会場というカウントをしないということで、このことをきちんと団体の方にも指示をさせていただいて、いずれにしましても、できるだけ多くの受験生が便利な場所で受験できる環境を整備することが重要であるというふうに考えておりますので、試験団体に対して受験需要に応じた会場の設定をきちんと要請してまいります。少なくとも、この県の中にはこの私立校でやると言われて、その私立校の人しか受けられなかったら、それを会場だと言われても、これは全く説得力がないと思います。

 また、地方公共団体や大学に関して、また、先ほどもちょっと触れましたけれども、高等学校の施設なども含めて、会場確保を団体任せにしないで、文科省としてもセーフティーネットをしっかりつくっていこうということで、御指摘を踏まえて今努力をさせていただいているところです。

城井委員 公開会場ですので、公平性や公正性を担保するのは当然だというふうに思います。その点は当然徹底をしていただくべきであります。

 もう一点、それに絡んでお伺いをと思います。

 高校を借りる公開会場の場合、高校教員が試験監督責任者にはならないというふうに文部科学省から説明を私も受けました。ただ、きょうの前半の委員会質疑のやりとりでもございましたが、高校教員が責任者ではないが試験監督をやる場合があるということでありました。

 そもそも、兼業禁止であります。その場合の賃金はどうなるのか。教員の責任が重過ぎる上に、公平性が担保されません。大臣答弁では、希望者にはということでございましたが、学校側からすると、生徒のためを考えると断れないというのが人情だと思います。事実上の強制に当たるのではないでしょうか。

 大臣、この高校教員が試験監督にかかわるというのは疑義があると思いますが、この点いかがお考えですか。

萩生田国務大臣 入試英語成績提供システムの参加資格に関して、高校の例えば英語の教員の先生が、指導上負担が増加するようなことがあってはならないと思いますし、また、試験会場を設置したときに、例えば地元の都道府県の教育委員会や何かとよく相談をしていただいて、先ほど私、希望すればと申し上げました。働き方改革が叫ばれている中で、確かに、先生の心情を考えると、断りづらいということもあるかもしれない。しかし、別段、責任者は民間の方から出してもらうわけですから、運営する上で、学校になれた先生方が立ち会っていただく、その希望者がいるとすれば、そこはぜひお手伝いをしていただくことはよろしいんじゃないかと思います。

 兼業の届出を出していただいて、きちんと手続を踏んでやっていただくので、やりたくない、そんな日に出てきて試験の手伝いをするつもりは全くないという先生方に対して強要するようなことがあってはならないと思いますので、そこは徹底してまいりたいと思います。

城井委員 今大臣からお話がありましたように、この件は教員の働き方改革にもかかわってくる話であります。その点は指摘をしておきたいと思います。

 もう一点、学校を借りる場合のことについてお伺いをと思います。

 よそから、外部から人が入ってくることになります。いわゆる置き勉といって、生徒の私物が教室内に置かれている場合があります。盗難なども心配です。この責任は学校がとるんでしょうか、それとも実施団体がとるんでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、会場になった時点で、そういうことのないように学校でまず管理を徹底していただいて、お借りをする団体の方できちんと対応していただくようにお願いをしていきたいと思います。

城井委員 いかなる理由で学校が責任をとらなきゃいけないんでしょうか。会場の確保は実施団体の責任ではありませんか。もう一度お願いします。

萩生田国務大臣 生徒一人一人の備品などを置いていった場合に、万が一盗難に遭ったりした場合はどうなるかということだと思いますので、それは、こういう事情で会場に提供するということを学校が決めていただいた段階で、生徒の皆さんに一時持ち帰りをお願いするような準備をきちんとしていただきたいなと思っています。

 その上で、それでも何らかのトラブルがあるとすれば、それは借りる側に責任があるというふうに思っております。

城井委員 今の御説明では学校現場の懸念は晴れないというふうに私は受けとめました。

 更に質問を続けたいと思います。

 これまでの問題点の一つとして、仕組みの徹底や周知などが追いついていない上に、おざなりになっているということも改めて申し上げなければなりません。

 例えば、GTECで共通テストに参加する場合、共通IDの発行対象になるのはどの版が対象になるのか。これまで文部科学省からも配付をされている共通ID案内には、この点が記載されていない。記載漏れ、表示漏れが放置されたままであります。指摘しました、私から。でも、放置をされたままであります。

 すぐ対応すべきであります。大臣、お考えをお聞かせください。

萩生田国務大臣 GTECにつきましては、大学入学共通テスト版、検定版、アセスメント版の三種類があると承知しておりますが、大学入試英語成績提供システムに参加するのは大学入学共通テスト版でございます。

 受験生や高校関係者の誤解を招かないよう、今後、文科省の大学入試英語ポータルサイトや大学入試センターのホームページ等において、GTECとしてのシステム参加資格は大学入学共通テスト版に限定されることを明確に記載するなどの必要な周知を図ってまいりたいと思います。

 なお、私も質問の打合せの中で確認しましたけれども、城井先生が早くからこのことを御指摘いただいていたということです。にもかかわらず、きょうの時点でまだこれが改善されていなかったのは、文科省としてまことにだらしないことだというふうにおわびを申し上げたいと思います。直ちに指示をしました。

城井委員 文部科学省からのこの間の説明は、一生懸命頑張っている部分もありますけれども、内容に不誠実なところが相当に多いというのはとても残念な状況です。

 例えば、大学入試英語成績提供システムへの参加試験の実施主体における第三者評価の受審についても、細やかに確認をしてまいりました。文部科学省からは、GTECは受審中だとの説明でございましたけれども、文部科学省からいただいた最新の資料では、GTECは受審を検討中となっています。つまり、まだ受けていないんです。

 自己評価をやっているからという説明でしょう。それではお手盛りになります。第三者評価を受けていないような試験は信用できません。そもそも、参加要件を満たしているとは言いがたいと考えます。大臣、いかがですか。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

萩生田国務大臣 これも同様で、城井先生から早くから御指摘をいただいていたようでございますが、GTECについては、現在、第三者評価を受審中であると聞いております。ポータルサイトが直っていないわけでありまして、直ちに指示をさせていただいたところです。

城井委員 このような状況で、受験生に選べ、判断しろというのは相当に困難だということを改めて申し上げたいと思います。

 もう一つ、受験生に負担をかけている件を質問します。

 英検二〇二〇ワンデーSCBTというテストがあります。英検が、予約金三千円とともに、場所確保に奔走しているという試験であります。この一部が返金されるという仕組みが導入されることになりましたが、予約を解消した場合に返金されても、これは今の仕組みですと問題解決とはなりません。予約の返金時期と実際に受験生が志望校や受験科目を確定する時期とがずれている問題が解決されていないからであります。

 受験生の進路選択に合わせ、幅広に返金期間を設定すべきだと早くから文部科学省には訴えてきました。それは受験が近づいた直前の時期まで含めてだということを申し上げてまいりましたが、結局、一カ月延ばしただけです、大臣。こんなことでいいんでしょうか。御見解をお願いします。

萩生田国務大臣 英検協会に対しては、これまで、英検SCBTの予約申込み期間や返金受け付け期間の延長を要請してきたところですが、十月七日に、予約申込み受け付け終了日を十一月十一日まで延長するとともに、返金申込み受け付け期間を十一月五日から十一日までとする旨を公表したことは承知をしています。

 予約申込みは会場確保の取組の一環であることを考慮しつつ、英検協会に対しては、例えば現高校三年生への対応なども含めて、引き続き要請をしてまいりたいと思います。

城井委員 実施団体などへの要請では、要請内容に従った形で改善が進んでいないというとても残念な状況だということを、大臣、ここまでの質疑でぜひお感じいただきたいと思うんです。

 これまで、さまざまな問題、実害をたくさん指摘してまいりました。きょうは、通告でもたくさんの問題をほかにも指摘しておりましたけれども、お時間の関係で私からはここまでとしたいと思います。後ほど、同僚議員に譲りたいというふうに思います。

 受験生のためにも、こうした問題を放置したまま民間英語試験導入を認めるわけにはいきません。四技能導入なら、まず英語教育改革が先であります。国の共通テストで四技能をはかれるように改善をすべきであります。少なくとも、民間英語試験の公平性、公正性の担保は当然であります。こうした具体的な改善を図っていくためにも、文部科学大臣、少なくとも、今回の試験を延期を決断すべきであります。期間がなければ、今申したような改善はできません。立ちどまるべきであります。

 私どもからも議員立法を提案しています。民間英語試験導入延期法案であります。これを与野党協力して委員長提案でぜひ成立させていきたい、このように思っておりますが、大臣が決断すれば、この大きな見直しを行うことができます。

 大臣、決断をお願いできますか。いま一度お願いします。

萩生田国務大臣 私も、就任以来、この問題を一番重く受けとめて、さまざまな取組をしてきました。

 先ほど、城井先生、採用しない方も受験をしなきゃいけないというふうに御発言されましたけれども、私の問題意識は、第一番目は、就任の九月の時点で、一体、自分が受けようと思っている大学がこの試験を採用するのかしないのか、この状態でもやもやと受験勉強を続けるのは余りにも気の毒なので、九月三十日で切って、そこでまず大学を確定しようという努力をさせていただきました。

 御案内のとおり、既にポータルサイトに公表していますから、今は、自分が希望する大学がこの試験を採用するのか否か、自分が受けたい学部がこの試験の採用をするのか否かは明らかになっていますので、自分が希望する学校がこの試験を採用しないということであれば無理に受けることはないということは、改めて訂正をさせておきたいと思います。

 その上で、確かに、まだ十一月一日までの間に、試験会場の公表など課題があることは私も承知しています。今の段階で、皆さんがどこで何を聞いても完璧に大丈夫ですよという準備体制が整っていないことは、記者会見などでも正直に私は心情を露呈してきました。

 ですから、十一月一日までに、会場のこと、またそれから御指摘のあった減額やあるいはさまざまな課題解決に向けて、受験生の不安や懸念をまず一つ一つ取り除いて、そして、既に使うということで公表した学校は明確になっているわけですから、そこに向かって、円滑な実施に向けて全力で取組をさせていただきたい、こう思っております。

城井委員 これまでの努力、そして今おっしゃった内容では、受験生の不安を取り除くのには時間も手間暇も足りないというふうに考えます。

 ここは延期を決断していただきたいということ、きょうはこのことを改めてお願いして、大臣の決断を待ちたいと思います。あとは同僚議員の質問に譲りたいと思います。

 残りの時間で、二問ほどさせていただきたいと思います。

 一つは、海外の日本人学校及び日本語補習校への支援のあり方について、文部科学副大臣にお伺いしたいと思います。

 先日、衆議院の委員派遣で、日本人学校あるいは補習校を拝見してまいりました。現場からの声です。義務教育段階なのに、高額な授業料を支払わないと我が国の学習指導要領に基づいた教育にアクセスできない。こうした現状を変えるべきだというふうに考えます。離島、僻地同様に、教育へのイコールアクセスを保障すべきだと考えます。

 副大臣、大臣にぜひ提案いただいて、この件を実現いただきたいと思いますが、お答えをお願いします。

亀岡副大臣 質問ありがとうございます。

 城井先生には、視察のとき大変お世話になりまして、ありがとうございました。まさに、各国で日本人学校の状況を聞かせていただきながら問題意識を共通させていただいたこと、しっかりと覚えております。

 さらに、今お話しになったように、憲法二十六条で、海外にいるから同等の権利が得られないというのは大変なことになりますので、これはしっかりと帰ってきて対応しなきゃいかぬということで、考えさせていただきました。

 これは、御存じのとおり、文科省ではできる限り、教師の派遣や、教科書なんかも無料配付しておりますし、外務省もしっかり、現地採用教員や講師の給与、校舎の賃借料及び安全対策には補助金を出していることは確認できましたが、それぞれの国の規模によって大分対応が違っているということがよくわかりました。この格差を解消すべく、できる限り今やっていこうということで、在外教育施設の戦略的な教育機能の強化のための予算取りを、令和二年、しっかりとっていこうということで、今やらせていただいています。

 特に今回は、百八十三億への上乗せをしながら、三十七人の派遣教員をふやそうということで、千二百九十九人から千三百三十六人に拡充するための予算と、さらには、義務教育段階の子供に対して教科書無料配付は続けるということも含め、さらには、今お話がありましたけれども、コンピューター等の整備に関してしっかりと補助をしながら対応する、そして、在外教育施設をグローバル人材育成拠点と位置づけて、新たな学習指導要領を見据えた探求的学習や、日本語指導プログラムを開発することを含めて、その予算取りをしっかりとるということで決めておりますので、これはしっかりと、ともに問題意識を持ちながら共有をさせていただきたいと思いますし、一番大事な憲法二十六条、やはり日本人は同じ、平等に受ける教育の権利を持っておりますので、たとえ海外にいてもしっかりと平等に受けられるように、我々がこれをしっかりと整備していかなければいけないということで、来年度からしっかりとこれに対応するための予算取りを今やっておりますので、これは確実にやらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

城井委員 状況を注視したいと思います。

 最後に、オリパラ大臣、お待たせをいたしました。一問だけ聞かせてください。

 二〇二〇東京オリンピックのマラソン競技の会場変更の報道が出てきております。移転費用を心配しております。幾らかかるか、誰が負担するか、東京都は負担するのか、お答えください。

橋本国務大臣 今まさに、きょうの十六時からなんですけれども、調整委員会が三日間にわたって開催をされます。そこで、IOC、東京都、組織委員会が議論を重ねて、どのような予算の配分をしていくかということが議論されるんだろうというふうに承知をしておりますので、その点について、しっかりと政府として注視をしていきたいというふうに思っております。

 その中で、大枠合意というのが、二十九年、二年前の五月に決定をされております。その中には、東京都以外の開催自治体における競技会場の仮設整備や大会関係者の輸送など大会の運営にかかわる費用については、大会組織委員会、そして東京都、国及び開催自治体の四者で取り決めた大枠合意、これが東京都若しくは組織委員会において負担をするということになっておりますので、この点を踏まえて調整委員会の中で議論を重ねていただいて、その決定に基づいて、政府として寄り添う形で東京大会の成功に向けて尽力をしていくということでやっていきたいと思っております。

城井委員 終わります。ありがとうございました。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

橘委員長 次に、中川正春君。

中川委員 中川正春です。

 立国社の枠組みの中で質問を続けさせていただきたいというふうに思います。

 きょうは大臣所信に対する質疑なんですが、本当であれば積極的な質疑をしていきたいんですけれども、特に、萩生田元官房副長官が文部科学大臣に任命された、そういうことの中で、やはり加計問題から始めていかなきゃならないということです。これは非常に残念でなりません。

 大臣の就任発表があったときには、マスコミも含めて、国民の間には安倍総理の意図についてさまざまな臆測が、あるいは解説話が聞かれました。大臣が官房副長官当時の加計問題を中心にして、文科省との確執といいますか、やりとりがあったんですけれども、これをもう一度整理した上で質問に入っていきたいというふうに思います。これは文科省と官邸ということの関係を整理していく上でも大切なことだというふうに思います。

 まず、基本的には、従来から文科省は、獣医師の数は満たされておって、新設は認めない、この基本方針を守ってきたということでありますが、二〇一五年の六月三十日、国家戦略特区によって新たな検討が始まった。これが、いわゆる石破四条件という形で出されたものであります。

 一つは、この新設に関する検討の中で、現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化をして、二つ目は、ライフサイエンスや感染症などの、先端医療などの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになって、かつ、三番目に、既存の大学・学部では対応困難な場合には、四番目、近年の獣医師需給動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う、こういうことが提起をされました。

 続いて、二〇一六年の十月七日の、文科省には、内閣府や萩生田副長官から次の指示内容のメールが残っているということがその後判明してきたわけです。獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応可能とするため、近年の獣医師需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から、これ、新しく入ったのが、獣医師系養成大学等のない地域において獣医学部の新設を可能とするために関係制度の改正を直ちに行う。

 最初は、ライフサイエンスや感染症など先端的なものをやっていくということが条件ですよということで一つの風穴をあけたんですけれども、それでは足らなくて、今度は、その地域において獣医師系の養成大学のない、そこを限定していこうということ、これが出てまいりました。

 これに対して、萩生田副長官の修正要求が更に重なって、こういう文言なんですね。広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り、これを入れた。それで、獣医学部の新設を可能とすると。

 これは、見ていると、この時点で京都産業大学が同時に手を挙げていて、加計のみの絞り込みをしていかなければならないとすれば、こうした地域条件を入れていくということ、これを更につけ加えた。

 こういう報道がなされ、また、御本人はこれを否定するような形でのコメントがたびたびあったんですけれども、ただ、客観的に、そのメールが残っているということと、そうしたメモが存在するということ、これについては文科省が認め、そして、そのことについて我々は、客観的な認識としては、これは限りなく黒だという思いを持って、国民もそれを捉えたということであったと思うんです。

 もう一回これを整理すると、文科省は、公正に運営してきた大学の新設基準を、内閣府の特区という、運営の仕方によっては利益誘導、利権誘導の道具にもなる、こういう制度を援用して、今治の加計学園の獣医学部に限った認可をおろすこと、これを強いられたような構図になっているということ。文科省の役人としては、恐らく、今回の一連の事案を通じて、役人としての矜持を踏みにじられたという思いがあの当時あったんだというふうに私も理解しています。そんな発言が私のところにも届いてまいりました。

 安倍総理のもとでそれを具体的に推進した、また、総理の意向だということを口にしながら推進した閣僚の一人が萩生田大臣だ、こういうふうにされているわけであります。そのことを踏まえて、こうした背景の中で三つの質問をしていきたいというふうに思っています。

 まず第一に、大臣は、就任に当たり、文科省の役人に、あのときのいわばごり押しの背景を納得のいくように説明しなければならないんだと思うんです、今回、文科省に大臣として来たということであるとすれば。そして、文科省の官僚の一人一人が納得することがなければ、やはり大臣に対する信頼は生まれないということだと思うんです。この構図に対して、これをどう説明するのかということ。まずこれは入り口の問題として大臣がやらなければならないことだというふうに思います。

 まず、それから聞かせていただきます。

萩生田国務大臣 ありがとうございます。

 中川先生、幾つか御指摘をいただいたんですけれども、私、国会でもこの間御説明をしてまいりましたように、この件について主体的にかかわったという事実はないということを皆さんに申し上げてまいりました。

 いや、そんなはずはない、このファクスがあるじゃないかとさっき御披露いただいたファクスは、多分承知で御質問いただいているんだと思いますけれども、内閣府の職員が、萩生田副長官から指示があったようだという伝聞の中で、私が書きかえを指示したんじゃないかということを、国会でもあのとき議論になりましたけれども、あれは当時の山本行革大臣の指示だったことを大臣が国会の中でも答えていまして、私はそもそも発送前にあの文書を見たこともないですから、そういった意味では、ちょっと、先入観で余りにも固定的にお話をされると、私としても立場がないので、その辺だけはお願いしたいと思います。事実については、きちんと努めてまいりたいと思います。

 そこで、がゆえに、私が文部科学省に対して何か圧力をかけたとか、こういう事実があるんだとすれば、就任に当たってそのことについて説明をしなきゃならないという、大臣経験者である中川先生の御提案というのは重く受けとめなきゃならないんですけれども、そもそも私は、文科省が、言うなら構造改革特区に反対をしているという意思すら知らなかったわけです。

 私が正直に申し上げたのは、当時の高等局長が私のところに向こうの都合でお見えになって、その中で幾つか相談された一つにこの問題があって、そして、何が問題かというと、定数、要するに定数の需給が正しいかどうかは自分たち文科省じゃなくて農林省じゃないとわからないので、農林省にもう少し前に出て説明してもらえるように副長官からお願いできませんかというのが私に対しての唯一の依頼事項でありました。

 それに対して、私はその対応をしたまででありまして、私の方から文科省を呼んで、何かこうしろああしろと圧力をかけたりあるいは指示をしたりということは一切ございませんので、改めてその点は明白にさせていただきたいと思います。

中川委員 文科省の中でその対応をしていた前の次官が具体的にさまざまな証言を今しております。それを聞くにつけ、さっきの何も知らなかったというその言いわけというのはいわばむなしく聞こえてくるし、この際、しっかり自分のスタンス、そのときのスタンスというのをもう一回顧みて、客観的な事実が出ていることに対してしっかり説明をすべきだというふうに思います。でないと、恐らく、文科省の中のいろいろなわだかまりというのは解けてこないだろうということ、これをまず警告をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、今度は文科省の改革案、文科省の中の改革をしていかなければならないということで内部で議論をしたということでありますが、今回の加計問題や森友問題の一連の事件について、どのようにそれを受けとめて改革に結びつけようとしているのか。これが直接的に触れられていないとすればなぜなのか。官僚チームとして、そこは反省し、いかに改革をしていくかということ、ここについて、改めて官僚のサイドから答弁をいただきたいと思います。

柳政府参考人 お答えいたします。

 まず、岡山理科大学の獣医学部の新設に関しましては、戦略特区を所管する内閣府を中心にそのプロセスが段階的に進められたところであり、これまで国会等で御説明してきたとおり、国家戦略特区のプロセスの中で、関係法令に基づき、関係省庁の合意のもとで適切に進められてきたものと認識しております。

 我々事務方としましては、萩生田大臣のもとで文部科学行政をしっかり進めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

中川委員 いやもう、文科省としては最初から白旗を上げて、内閣府でそうした違った観点からの話が出てくればもうそれは仕方ないんだというような、そういう答弁でありましたが、それにしては情けない。改めて、これは文科省の政策立案過程、ここにもう一回軸足を置いて、それが正しければその主張を公にして議論をするというような、そういう流れをつくっていくべきだというふうに思います。さっきの答弁は、これは修正すべき答弁だというふうに思いますよ。そのことを指摘しておきたいと思います。

 次に、大臣の任命権者というのは安倍総理でありますが、文科省にとって、こうした、政策を踏みにじられたような形でいろいろ、客観情勢として萩生田さんの形がある。それを知りながら、あえて、文科省に対して、何をメッセージとして安倍総理は伝えたかったのか。

 文科省に対して、改めて、官邸の意思を尊重しろというようなことを伝えようとしているのではないかというような臆測もあるわけでありますが、そこのところについて大臣はどのように理解をし大臣のポストにつかれたか、改めて確認をしておきたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、先生、獣医学部の新設について、私が総理から指示を受けたり、また文科省に働きかけをした事実のないことについては、これまでも国会等で説明してきたとおりでございまして、私としては、別段そこにわだかまりはございません。

 令和という新しい時代を迎え、子供たちが次代を担えるような教育の実現に向けて、文科大臣として職責をしっかりと全うし、皆さんの信頼を得ていくことが重要だと考えています。

 総理の気持ちはと言われても、そこはちょっと私は存じ上げませんけれども、指示書にあったようなことを期待されて任命を受けたと思っておりますので、その一つ一つ、結果を出していきたいと思います。

 今、ちょうど比喩されましたけれども、官邸にひれ伏してみたいなことのないように、文部科学省としてのプライドを持って職員の皆さんもしっかり仕事をしてもらうということは、就任時から私も強く申し上げていることでございますので、しっかり働いて結果を出していきたいと思います。

中川委員 そういう答弁をいただいた上で、もう一回確認をしたいんです、この政策について。

 もう一回、さかのぼってまとめると、獣医学部については、文科省としては新設は必要ないという見解であった。恐らく、需給関係からいって、今でもその基本はあるんだというふうに思うんですね。それに対して、特区で加計学園だけが認められたということであります。

 特区は、本来、特定の地域で規制緩和を試しにやってみて、それがよければ全国展開をしていくということ、これがもともとの前提でありました。それでなければ、ただの利益誘導を合法化するための許しがたい制度になっていくわけであります。

 大臣として就任されて、文科省自体の方針を変えて、これからも、特区の趣旨を踏まえて、ここでよければ、条件に合えば、更に新設が出てきたときに、それを認可していくというふうに続けていくのか、それとも新設を認めないということであるのか。どっちにしても難しい問題なんですよ。

 仮に、もし新設を認めないということであるとすれば、それこそ、加計の特区は加計のみに与えられた特別な措置であって、新聞紙上あるいは一般的に言われる、総理の意向だということで伝えたあなたの意図というのは、これは加計学園のみに与える特別の措置、いわゆる利益誘導であったのではないか、こういうふうにみなされるということであります。

 ここが、大臣、どこでしっかり整理をするかということが問われる部分なんですが、改めてそこの問題意識を問いたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 まず、当時の文部科学省が新設に反対だったという認識は、当時、私はわかりませんでした。私に相談があったのは、先ほども申し上げたような内容だったので、賛成だとか反対だとか、そういったことを意思表示をされてのことではありませんでした。

 国家戦略特区による獣医学部の新設については、農水省において、特区による獣医学部の新設、先端ライフサイエンスの研究の推進など、内閣府が把握している新たな需要があるという前提のもとで、獣医師の需給に影響を与えないという判断があったため、文科省としても国家戦略特区のプロセスを進めることに同意をしたというふうに承知をしております。

 今の中川先生の問題意識は、そうはいっても、じゃ、今後どうするのかということであれば、一つ一つのケース、違うと思いますけれども、時代の変化に合わせて、必要な学部、必要な学科が新たに、例えば特区を使って申請があって、それが国全体の方向として認められるのであれば、そこは許容していくということを基本的には考えてまいりたいと思いますし、また、例えば既存の、御承知だと思いますけれども、医師だとか歯科医師だとか、かなり抑制をかけているものもありますけれども、健康寿命が延びて、当然のことながら、お年寄りで、八〇二〇運動の結果、たくさん自分の歯を持っていらっしゃる方もいらっしゃるわけですから、そういう需要というのも、時代や社会背景とともに変わってくると思いますので、そこは、何が何でも、決めた規制は一歩たりとも破ることはないんだということじゃなくて、柔軟に、国全体の方向を見ながら対応をしっかりしていきたいと思っています。

中川委員 私が、本来大臣から答えていただくとすれば、期待していたのは、こんな問題を、特区でやることじゃないんだ、そこが原点として間違っているんだという、そのコメントが欲しかった。我々がやるよという、ここなんですよ。

 そこに曖昧なさっきの答弁があるということは、やはりあなた自身が、内閣府の中にあってその作業をしてきたという、どこかに後ろめたい気持ちがあるからそんな答弁が出てきたのかなと、そんな推測もしたいようなところでありますので、これからしっかり、この問題もまだまだ解決されていない、本当に掘り返して、基本的なこと、何が起こっていたのかというのを解明しなければならない問題でありますので、更に引き続いて私たちの仲間も究明をしていくということになると思います。

 時間がこれでとってしまったんですけれども、英語試験の問題なんですが、身の丈に応じた形でということで、いろいろ問題になりました。

 この格差、地域の格差ということが今取り上げられましたけれども、もっと深刻な問題がこれに含まれていると思うんです。それは何かというと、このことによって高等学校教育そのものが空洞化をしていく、そういう流れをつくってしまうということであります。

 これまで高等学校現場では、学力テスト、統一テストには民間のテストを使ってきました。そこのデータを使いながら入試の指導をし、そして傾向と対策という形で、だんだんだんだんそれが塾化していくという傾向があって、さらには、子供たちは塾に行かなければいい大学に行けないということで、それこそ所得格差がここで生まれてきて、データにもさまざまに説明をされているところだというふうに思うんです。

 そこの現状認識を踏まえると、今回は、一般的な実力テストじゃなくて、入試のテストそのものを民間に委ねるんです。民間で試験の基準をつくりなさいよ、それに頼っていきますよということになれば、ここからいろいろな教材が出て、さまざまに塾関係あるいは進学の予備校関係がシステムをつくってくるだろうと思うんです。今でも高校の進路指導の先生は、そうした民間塾なり予備校のデータとさまざまな制度を頼りつつあるんです。

 だから、最終的にその試験そのものが民間でやられるということは、民間で基準をつくり、民間で流れをつくっていくということが助長されるわけですから、それを見て子供たちはどう判断するか。やはり高等学校そのものの教育よりも塾に頼っていくということがこの試験を克服するよすがなんだろう、こういう流れになるのは目に見えていますよ。

 しかし、本来議論しなきゃいけないのは、高等学校の中のこうした空洞化をいかに克服していくか、いかに教育の中身を改革していくか、この議論がまずあって、その基本の上で大学の試験制度というのを考えていかなきゃいけないということだと思うんです。

 大学の試験制度のあり方そのものの議論というのを抜いておいて、そして、高等教育の中身がそれこそ大事で、一発の試験よりも、高等学校での授業成績と学びの実績を評価内容とする、そのような方向での高等学校の教育のあり方というのがどこで議論されているのかというと、今見えない。

 安易に、試験そのものを、入試そのものを民間に委ねていこうという流れがあるわけですが、このままでいけば、恐らく、地域格差ということだけではなくて、家庭の所得による所得格差、これが大きく子供たちの将来にかかわってくるだろうということになると思うんです。

 そういう観点で、どこまで文科省の中で議論をされたのか、そこを改めて聞きたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 この高大接続改革につきましては、中教審あるいは二〇一三年の教育再生実行会議の第四次提言などを踏まえ、高大接続システム改革会議で、文科省内で議論をした上で、二〇一七年、平成二十九年に高大接続改革の実施方針ということで決定したものでございます。

 その際、考え方としては、今先生御指摘のように、入試において、高校段階で培ってきた能力を多面的、総合的に評価することが必要であるという観点から、学力の三要素をしっかり入試で評価しようという、個別選抜の改善、あるいは大学入試センター試験の改革、英語の四技能評価などが提言されたものでございます。

中川委員 全く中身が見えてこないんだけれども。

 高等学校の今の現状というのは、大学入試のいわばシステムというのがあって、そこへ向いて高等学校の教育を合わせていこうという現場自体の流れがあるということは否定できないだろうというふうに思うんです。

 それをどのように見ていくかということなんですが、大学の入試の中身そのものが、さっき申し上げたような、一発で、一回のテストで、しかも中身が形式的な、テクニックというか、中身の理解力よりもテクニックを重ねる、勉強することによって試験が容易に通ることができるというような、そういう流れにしてしまっているということ。

 こんなことを前提にしながら、もう一回聞きますけれども、高等学校の教育そのものの改革と大学入試のあり方、これをさっきのそれぞれの審議会でどのように整理をしていこうとしているのか、中身ですね、これが大事だと思う。

伯井政府参考人 お答えします。

 まさに高大接続改革会議の議論の中では、例えば英語だけで申しますと、高等学校学習指導要領は英語四技能をしっかり高等学校で教えるということになっておるわけですけれども、それに対して、大学入試においてはそこが評価されていない。その結果、高校において、事実として、書くとか話すとかの技能が高校生に身についていない、そこをどうすればいいのかということを議論した結果、共通テストのようなセンター試験で実施するということも議論したわけですけれども、それは物理的にもあるいは時間的にも無理であるということで民間検定を活用しようというような議論になったわけでございます。

 そういう意味で、高校教育における学習の成果を大学入試でどう評価して、更に大学教育で伸ばしていくかという観点からの議論が行われたと承知しております。

中川委員 ということで、さっきから聞いていると、私たちにできないから民間に投げたよということなんですよね。

 民間に投げて、その結果、恐らく塾というものが高等学校よりも子供たちにとっては頼りになるなということで、高等学校そのものの教育が空洞化されていく、この流れが見えているんですね。

 それだけに、この検定試験、今、これもごり押しで続けていく、実施をしていくということについては、これは立ちどまる、あるいはこれを見直す、考え直すというところまでいって中身の議論をしないと、全体がゆがんでいきます。大きくこれはゆがんでくるというふうに思うんです。

 その前提に立って、大臣、決断をするんだったらあなたですよ。そのことをあわせて申し上げたいというふうに思います。

 やめますね、これ。どうですか。

萩生田国務大臣 先ほどから御答弁させていただいておりますけれども、文科省としては、英語成績提供システムについて、高等学校、大学関係者の合意に基づいた方針によるものであり、受験生はその実施を念頭に既に準備を進めてきていることから、受験生等の不安や懸念を一つ一つ解消し、二〇二〇年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。

橘委員長 中川君、時間は終了しております。

中川委員 目先のことで将来を誤ってはいけませんよ。

 さらなる議論を求めていきたいというふうに思いますし、大臣、あなたがまずやらなきゃいけないことはここだと思うんです。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。

橘委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 新たに結成されました共同会派、立国社に加わりました社民党の吉川元です。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということでありますが、私も、この大学入試改革、民間の試験の導入を中心に尋ねていきたいというふうに思います。

 尋ねるに当たって、まず、やはり私も、大臣のあの身の丈発言というのは大変大きな問題だというふうに指摘をせざるを得ません。昨日、撤回をし謝罪をされたということでありますが、撤回し謝罪をして済む話では私はないんだろうというふうに思います。

 先ほど、同僚議員からも指摘がありました。憲法においても、そして教育基本法においても、教育を受ける権利、そしてその機会の均等、これが高らかにうたわれております。憲法の二十六条では、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利、そして教育基本法四条には、経済的地位において教育上差別されない、こうしたことが書かれております。大臣のこの身の丈発言というのは、こうした基本的な考え方を私は真っ向から否定をする中身を含むものだというふうに感じましたし、そう言わざるを得ません。

 大臣は、憲法そして教育基本法と大臣の発言との関係についてどのような御認識をお持ちですか。

萩生田国務大臣 まず、テレビ番組における発言の真意については、どのような環境下にいる受験生においても自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会を捉えて、二回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものです。

 教育の機会均等については、日本国憲法第二十六条では、全ての国民はその能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有することを規定しておりますし、また、憲法の規定を踏まえて、御指摘のあった教育基本法の四条において教育機会の均等等を規定しております。

 当然のことながら、これらについては遵守をして、そしてしっかりと文部科学行政を前に進めてまいりたいというふうに思っております。

吉川(元)委員 私も生でその番組を見たわけではありませんが、そこで語られている中身、見ておりますと、今大臣が説明されたような意味合いで言われたのではないのではないか、まさに憲法や教育基本法、これに抵触するようなことを言われたのではないかというふうに言わざるを得ません。

 司会者の方が、いわゆる経済的な、お金や場所、地理的な条件、恵まれている人は何回でも受けられる、こうしたことは不公平なんじゃないかという指摘に対して、大臣は、それを言ったら、あいつ予備校に通っているからずるだよなというのと同じだと思うんですよねというふうに言われて、まさに、その後に身の丈という発言が出てくるわけです。

 この一連の流れから見ると、経済的に格差があって、いわゆる裕福な家庭がより有利になることについて是認している。予備校に通っているのはずるいよなと同じレベルだという話をされているということを考えれば、これはやはり、先ほど大臣が釈明されたり、あるいは撤回の会見の中で言われている、先ほども他の委員も指摘をされておりましたけれども、それとは私はやはり違うのではないかというふうに思わざるを得ませんが、この、あいつ予備校通っていてずるいよなという発言と身の丈というのはどのような関係があるんですか。

萩生田国務大臣 大学受験の環境は平等につくることはできたんですけれども、受験勉強段階でさまざまなツールがあって、それを全てイコールフッティングにするのは難しい、そういう思いが私自身はありました。

 しかし、後段の発言もできたら紹介してほしいんですけれども、これら経済的に困っている学生さんに対しては、できるだけ負担を軽減したり、あるいは試験を受けやすい環境をつくっていくことにも力を注ぎたいということの中で申し上げました。

 先ほどから申し上げているように、身の丈につきましては、私はやはり、例えばCEFRなどで、どの試験を選ぶかによって、あるいは、三級で満点を目指すのか、二級で半分の合格点数を目指すのかによっては、いろいろそのフォーメーションが変わってきますので、そういったことも含めて、ぜひ自分自身できちんと考えて二回の試験を選んでもらいたいな、頑張ってほしいなという、こんな思いでの発言でございますので、御指摘の中身とは違うというふうに承知しています。

吉川(元)委員 通常、これまでのいわゆるセンター試験あるいは国公立、私立も含めた二次試験、その中での受験に向けたさまざまな準備、これが経済的な環境によって差が出ている、これは実態としてあるだろうと思います。その差をできるだけなくしていくのが文部科学省の務めだ。それをあたかも、既成事実はこうなんだから、それと同じことなんだというふうな話は、私は本末転倒だと言わざるを得ないというふうに思います。

 それで、そういう意味でいうと、経済的な格差あるいは裕福な家庭の方が受験対策ができるということと今回の民間の英語試験というのは、全く同じ話ではないんですよ。

 例えばセンター試験というのは、これはひとしく、同じ場所で、年一回、一月の真ん中から後の土日で全国一斉に行われます。そして、過去問を含めて、これは以前ヒアリングを行った際に、たしか過去二十年だったかな、の過去問が千円未満で手に入る。そういう意味でいうと、できる限り経済的な格差が生じないような形で、いわゆるその対策というのはできるわけです。

 ところが、民間試験になると、これは実際に受けないと、過去問を明らかにしていないところもありますから、実際に受けてみないと対策ができない、そういう試験もたくさん存在をしているわけです。

 ですから、今大臣が言われた、試験対策において差が生じるという、今までとも余り変わらないんだという、その認識そのものも問題ですし、そして、今回の民間試験というのは、それ以上に格差がより顕著になり、それが公平性、公正性をゆがめる結果になるんだということを、まず、大臣、御認識をいただきたいというふうに思います。

 もう一点、これは民放のそのテレビ局の話ではなくて、十月一日の記者会見の中で大臣が言われていたことですけれども、システムは当初の予定どおり二〇二〇年度から導入することにしますが、初年度はいわば精度向上期間と述べられています。これは一体どういう意味なんでしょうか。

萩生田国務大臣 先ほども答弁をさせていただいたんですけれども、この状況の中でずるずると時間がたっていくことは受験生の皆さんに対して最も不安を与えると思いましたので、九月で学校の申込みを切りました。したがって、来年以降の受験できる学校、また、採用するかしないかについては明確にすることができました。

 しかしながら、そうはいっても、使わないという学校もあるわけですから、じゃ、なぜ使わないんだろうか。それから、今起こっている高校、大学の関係者の間での例えば不安ですとか、こういったものも、今後に向けて、きちんと多くの皆さんがシステムが利用できるように、より一層安心して受験ができるシステムに、改善に取り組んでいくために、一年間かけて皆さんの声をしっかり聞いて精度を上げていきたいということで申し上げたものであります。

吉川(元)委員 だとすると、それは、そのまま裏返しでいえば、初年度については、精度はまだまだ不十分、今後向上させていく余地があるというふうに認識を大臣はされているということでよろしいんですか。

萩生田国務大臣 現段階で皆さんに御利用いただくシステムについては最良を目指してまいりたいと思いますけれども、しかし、さらなる、さらなる向上を目指して制度をブラッシュアップしていきたい、こういうことでございます。

吉川(元)委員 高校生にとって、大学受験というのは人生の大きな岐路なんですよ。その岐路に当たって、精度がまだまだ向上できる余地を持っている、つまり、精度がまだ不十分であるという段階で、それを入試に活用するということは、これは私は絶対にやってはいけないことだというふうに思います。

 大臣自身が、初年度はいわば精度向上期間と言っているんですよ。つまり、これは実験にするということじゃないんですか。実際にヒアリングをすれば、現役の高校生から、我々は実験台なのか、そういう声が上がっているんですけれども、この点についていかがお考えですか。

萩生田国務大臣 まず、期限を切って学校が明確になったことで、その学校を目指す人たちは条件は同じになりました。ですから、それは、ことしはそれでやっていただく。しかし、ここへたどり着くまでの間にいろいろ、先生方の御指摘にあったように、足らざるところが私もあったと思いますので、今、それは一つ一つ解決をしながら、準備を更に加速していきたいと思いますが、その上で更に精度を向上させるために、ここはいろいろな方の声を聞きながら更にいいものにしていきたいという意味でありまして、現段階での準備不足を認めてこういう形にしたということではないということは御理解いただきたいと思います。

吉川(元)委員 いや、現段階で準備不足なんでしょう。準備不足なんでしょう、大臣。今、準備不足ではないとおっしゃったけれども、先ほどから、十一月一日に向けてまだ確認しなきゃいけないものが残っている。昨日ですか、更に足らざる点を補いながら、予定どおり実施したい。更に足らざる点というのが存在をしているということをお認めになられているじゃないですか。準備不足なんでしょう。

萩生田国務大臣 それは、先ほどから正直に答弁していますように、まだ会場もきちんと明らかになっていないところもありますし、また、減額について、あるいは返金について、もう一度、企業の皆さん、団体の皆さんに要請をさせていただいている段階でございますから、その結果をしっかりと見ていただきたいなと思っています。

吉川(元)委員 いや、それが二年先にスタートする制度であれば、まだ、ちょっと見守りましょうというふうにも言えると思います。四月からスタートするんですよ。あと半年後には、この制度がスタートするんです。それにもかかわらず、いまだにまだわからない点がたくさん残っているということは、これは私は問題だと思います。

 実施団体にいろいろおっしゃっている、いろいろ要望もされているというのも私も聞いております。ただ、なかなか会場や日程、全て明らかになっているわけではありませんし、まさに大臣がお認めになられているその減額のあり方、今の減額の制度というのはたかだか数百円の減額しかされないものが大部分ですから、こんなもので減額と言えるのかというような点も含めて、さらなる要望をされているというお話がございました。

 実施団体の検討状況、これは十分スピード感があるものだというふうに思っていらっしゃいますか。

萩生田国務大臣 これ以上、不安を引き続き与えるわけにはいかないと思っていますので、先ほど城井先生にも御答弁させてもらいましたが、まずは会場の提供、これを見きわめて、そして、その前後で、今申し上げているようなことも含めて答えを出していきたいと思っています。

吉川(元)委員 私、これもちょっと新聞で読んでびっくりしたんですけれども、十月二十一日の日に、全国校長会が、大変、今不安に皆さん感じていらっしゃいますから、シンポジウムを開かれた。そして、その際に、六団体、実施団体の皆さんにぜひ出席をしていただきたい、そして、いろいろな疑問や不安の声について答えていただきたいということで要請をいたしました。多くの実施団体は参加をされたそうですけれども、参加をされていない実施団体もあったというふうに報じられております。

 今の大臣のおっしゃられていること、できるだけ早くその不安を払拭したいということと、この全国校長会、このシンポジウム、再三にわたって参加をしてもらいたいという要請をしたにもかかわらず参加をしていない実施団体、これは大臣がおっしゃられていることと真逆のことをやられていると思いますけれども、この点についてはいかがですか。

萩生田国務大臣 校長会の皆さんが主催する会合ですから、それは、位置づけはともかく、今の段階では重たい会合だと思います。私が民間の企業の責任者だったら、出席して自分の立場を申し上げるべきじゃないかなと思いますが、他方、そこに強制をするわけにもいかない部分もあります。

 今私たちがやっているのは、協定に基づいた、約束事に基づいて先方にお願いをしていることの再確認でございますので、そのシンポジウムに出た、出ないというのとは若干ニュアンスが違うと思います。きっちり答えは期限を切って出してもらわないと混乱が続くと思いますので、そこは頑張ってまいりたいと思います。

吉川(元)委員 強制できない、民間のことだからというお話でしたけれども、これはいわゆる、文科省が責任を持って、高大接続の中での新しい共通テストをつくっていく、その中で、それはお願いベースでしかできないんだということであれば、まさに先ほど言った全国校長会のシンポジウム、不安を解消するために開いているシンポジウムに、実施をしない、しかもそれは強制できないということであれば、そもそも、このやり方自体が根本的に欠陥があるというふうに言わざるを得ないと思います。

 あわせまして、これも先ほど少し出ましたけれども、二年程度前の予告のルールがあるというふうに思います。文科省は毎年、国公立や私立の大学長あるいは都道府県の教育委員会や知事に対して、入学者選抜実施要項を通知しております。その中で、大きな変更がある場合には、二年程度前に予告、公表をする、入学志願者保護の観点から可能な限り早期の周知に努める、こういうふうに記載をされております。

 今回、民間英語の成績利用、これは各大学が何を使うのか、うちは使うのか、この大学が使うのか使わないのか、これが明らかになったのはつい最近の話であります。この民間の英語試験を活用する活用の仕方もいろいろあります。全く利用しないところから、いわゆる出願資格にする、あるいは加点もする、いろいろなパターンがあるわけですけれども、それが出そろうといいますか、一応公表されたのはごくごく最近です。

 だとすれば、これは非常に重大なルール変更、やり方の変更だというふうに思いますけれども、これはどのようにお考えですか。

萩生田国務大臣 入学者選抜に関する基本的事項として、毎年、大学、高等学校関係者との協議を踏まえて策定、通知している大学入学者選抜実施要項においては、高校のカリキュラム編成の準備や履修のための注意喚起として、個別学力検査及び大学入試センター試験において課す科目、教科の変更等が入学志願者の準備に大きな影響を及ぼす場合には、今御指摘のあった二年前に予告、公表するというふうになっております。

 二〇二〇年度に導入する大学入試英語成績提供システムの各大学の利用については、英語の資格検定試験の受験を課すことは、一般的に教科、科目の変更には該当しないこと、二〇一八年度末時点では試験実施団体と大学入試センターとの間で協定書が締結されておらず、大学にとって大学入試英語成績提供システム利用の有無を判断することが困難な状況にあったことから、システムの利用の有無を二〇一八年度中に予告していないことをもって実施要項に違反しているとは言えないものだというふうに考えております。

吉川(元)委員 それは大人の都合じゃないんですか。民間試験を使うか使わないかというのは、受験生にとっては、自分が行こうと思っている大学がどの試験を使うのか、そして、その試験の使い方、そもそも使うのか使わないのか、使い方をどうするのか、これは非常に大きな変更ですよ。

 それは、大臣はどちらの立場に立ってお話をされているのか。実施団体やそういう立場に立って、あるいは大学の立場に立って話をされているのか、それとも高校生の立場に立ってお話をされているのか、それが私は非常に疑問に感じざるを得ません。

 もう時間が余りありませんので、次の質問に移らせていただきます。

 今回の民間試験の導入によって、これも他の委員からも、同僚議員からも指摘がありましたけれども、高校の教員、とりわけ英語の教員に大きな負担がかかるというふうに思います。

 この点について、文科省として、例えば加配でありますとか、あるいはALTの配置増でありますとか、こうした点についてはお考えはありますか。

萩生田国務大臣 大学入試の提供システムの参加に関して、高等学校の学習指導要領との整合性が図られていることを参加要件として確認しており、現行の学習指導要領に沿った授業が行われていれば、各試験に対応できる力を育成することが十分に可能と考えています。

 そのため、システムの導入により高校の英語教員の教育指導上の負担が増加するとは考えておりませんが、大学入試英語ポータルサイトによる、各試験や大学の活用方法等に関する情報提供、高校教員への丁寧な説明の実施により、教員の進路指導上の負担がふえないように努めてまいりたいというふうに思います。

 御指摘のように、せっかくしゃべるという新しい、四技能について、試験をするわけですから、学校の先生方にもまたレベルを上げてもらうために、今御指摘のあったようなさまざまな人的な支援というものも今後検討していきたいと思います。

吉川(元)委員 余りにも現場と乖離をした認識、御発言だったと言わざるを得ないと思います。

 現状でも、高校の、今は三年生の方が、この試験がスタートしていませんから、三年になって具体的に進路を決めていく場合に、AO入試でありますとか推薦入試でありますとか、既に、早い段階から入試が始まれば、それに合わせて教員はその対策を時間外で取り組んでいるのが実態です。この英語の民間試験が入れば、間違いなくその業務量がふえることは火を見るよりも私は明らかだと。形式的に学習指導要領をやっていれば何の問題もなくこのテストができるんだ、それは建前としてはそうかもわかりませんけれども、余りにも実態と乖離しているというふうに言わざるを得ないと思います。

 それと……(発言する者あり)そうです、今指摘があったとおりです。今から聞こうと思っているのは、この試験が一番最初にスタートするのは来年の四月です。つまり、高校三年生の四月からこの民間試験を受けるようになります、一回目の。つまり、その時点で当該の高校生が終えている授業というのは、高校一年生と高校二年生です。学習指導要領というのは、高校一年生と二年生で終わっているんですか。三年生もあるでしょう。その三年間を通じて四技能をちゃんと身につけさせるというのが学習指導要領なんじゃないんですか。

 ところが、この試験というのは、もう既に四月からスタートするということは、二年段階で三年間でやるべきことが終えていなければいけない、そういうふうになると思うんですけれども、この点いかがですか。

萩生田国務大臣 指導要領では、各教科、科目を履修する年次は決めておりません。高校在学中にということになっています。

 入試の出題範囲となる教科、科目の設定は、各大学の判断となります。現在でも、AO入試や推薦入試においては、多くの場合、高校三年生の一学期までの学校の成績や資格検定試験の結果が使用されています。

 また、実態として、例えば多くの大学が出願要件として設定しているCEFRのA2は、コミュニケーション英語1のレベルに当たるもので、三年生の四月の時点では、ほとんどの場合履修が終わっております。

 こうしたことから、高三の四月時点の成績を大学入試に使用することが学習指導要領の趣旨の逸脱であるとは考えておりません。

吉川(元)委員 いやいや、学習指導要領というのは三年間なんでしょう。三年学ぶことによって四技能が身につくというのが、学習指導要領の建前といいますか考え方なんじゃないんですか。それとも、もう二年間だけで十分だ。今、コミュニケーション1ということは、つまり、大体これは一年生でやりますから、高一の段階でもういわゆる四技能が身についているというふうに、文科省はそういう認識を持っているんですか。

萩生田国務大臣 今、一般論を申し上げたんですけれども、ただし、高校の英語の授業が明らかに試験対策になってしまったり小手先の対策にならないように、四技能を伸ばしていくという学習指導要領の趣旨をしっかりと周知して、三年間の中身をどういうふうに運営していくかというのは、高校の方でいろいろ考えていただきたいなと思っています。

吉川(元)委員 ちょっと、余りに私も無責任だと思いますよ。今回のこの入試制度の、私はもう改悪だと言わざるを得ないと思いますけれども、これによって、先ほどこれも、今行われている高等学校の教育がゆがめられるんじゃないかというお話もありましたけれども、まさにそうだというふうに思います。

 しかも、二年で三年分のものを教えなければいけない。三年の卒業時に本来身につけているものを、三年の四月の段階で身につけさせなければいけない。それを、今の高校の教育現場に強制を、私は必ずすることになると思います。幾らいろいろな、コミュニケーション1をやれば、私も聞きました、コミュニケーション1で文法は終わるんです、もう後は教えることはないんですみたいな話も部屋で説明を受けました。だったら、高校二年生、三年生では一体何を勉強するんですか。それぐらい私は、これは制度的に大きな問題があるというふうに思います。

 時間がないので少し飛ばしまして、今、四月に受けるというお話でありました。今回の民間試験、これは実施団体によってやり方がさまざまですが、私が聞いたところでは、受験生が多く集まるであろう試験の一つには、四月以降七月までの間、毎週土日若しくは平日を使って試験を行うというふうなことを聞いております。当然日が変わるわけですから、試験の中身は変わる。しかし、試験の中身は変わったとしても難易度は同じだという保証はどこにあるんでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 参加団体の中には、試験の難易度を同等に保つために大量の問題をストックして、それを同等に保つ試験理論に基づいて統計処理した上で各回の試験を作成しているということで、いわゆる等化というような作業を行うことにより、異なる試験問題でも難易度を一定に保つということをこれまでの試験の実績から行っているというものでございます。

吉川(元)委員 文科省としてそれをチェックはしないんですか。

伯井政府参考人 参加要件においては、試験の実績を踏まえて要件確認をしておりますので、それを見ているということとともに、各試験の実施状況を見ながら対応していくということでございます。

吉川(元)委員 わからないんですけれども、私が聞いた話では、いわゆる難易度が簡単になったりあるいは急に難しくなったりしていないかどうかというのは、文科省としてもウオッチをしていくという話を聞いております。

 そうしますと、非常に大きな疑問が出てまいります。三年生の、先ほど言いました英検の場合でいいますと、四月から七月の間に一回目の試験を受けることができます。三年生の四月に受けた人と三年生の七月に受けた人、これは一般的にいって、試験の結果はどちらがいいと思いますか、大臣。

萩生田国務大臣 それは個々の受験準備といいますか習熟度によっても異なると思いますけれども、時間があった方が勉強する機会はふえると思います。

吉川(元)委員 つまり、これは実施団体があくまで言っているだけの話ですが、難易度は一定である、しかし、四月に受けた学生と七月に受けた学生の間で、恐らく、四カ月間勉強するわけですから、当然その分だけ学力が伸びるというのは、これは一般的に考えれば普通の話だと思います。そうすると、平均点は四月と七月で変わってくるはずです。

 問題は二つあります。

 一つは、平均点が四月、七月で変わった場合に、これが、いわゆる学生が勉強した結果として、四月に受けた子供よりも七月に受けた子供の方が学力が上がっているから平均点が上がったと言えるのか、それとも試験の難易度が変更になったから平均点が変わったと言えるのか、これは証明が不可能な問題です。

 それともう一点は、四月から七月というのは一回目の試験です。つまり、本来であれば一日で、一回でやるべき試験を、会場等の問題があって複数回に分けて行う。そうしますと、同じ問題を全部ずっとやり続ければ、それは当然問題が漏れますから、公平性が担保できないから問題を変えざるを得ませんから、そうしますと、四月に受ける学生と七月に受ける学生との間で著しく公平性が損なわれるという事態になりませんか、大臣。

萩生田国務大臣 そこは、今までも、外部で行ってきた民間テストでありますから、蓄積されたシステムがあるというふうに思っております。

 ぜひ、公平な試験の問題をつくってもらえるようにお願いをしていきたいなと思っています。

吉川(元)委員 今のは一点目の質問に対する回答で、私はそれはどうかは証明できないと思いますが、二つ目の、四月に受ける子と七月に受ける子はどのように公平性が担保されるんですか。

萩生田国務大臣 いずれの試験にしても、試験ごとにやはり平均点というのは変わってくると思いますので、必ずしも四月の試験と七月の試験が難易度が全く一致につくり上げるということは……(吉川(元)委員「いや、違います、違います。そういうことを聞いているんじゃなくて」と呼ぶ)違いますか。

吉川(元)委員 四月に受ける子供たちは、わかりやすく言えば、二年間英語を勉強してきて、試験の対策というか、受験勉強もした子が受けるんです。三年の七月に受ける子というのは、二年プラス四カ月間勉強した子が受けるんです。

 そうすると、四月と七月で、一般的、平均的に考えれば、先ほども大臣が言ったとおり、四月よりも七月の方がいわゆる学力が上がっているというふうに一般的には考えられると答弁されたとすれば、四月に受けた子と七月に受けた子を同水準で学力を、テストですから、点数が出て、何点何点というのが出てくるわけですから、それを同じ土俵で比べるのは不公平じゃないんですかと聞いているんです。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 今回導入しようとしております大学入試英語成績提供システムにつきましては、原則、高校三年次、受験年度の四月から十二月の間の二回までの成績を大学に送付するというふうにしたところでございます。したがいまして、高校生は、その期間の中で、志望大学が求める要件やみずからの英語の学習の習熟度合い等を踏まえまして受験時期を決定する。

 そうなりますと、その受験生の受けたい受験時期や受験場所で受けられるようにするというのが非常に重要でございますので、高校生が計画的に大学入試に向けた準備ができるよう、大学の活用予定、これは先般公表いたしましたけれども、そういう活用予定の内容や各民間実施団体の試験実施日時、会場等の情報をできるだけ速やかに公表していくことが肝要であるというふうに考えております。

橘委員長 吉川君、時間が終わっております。

吉川(元)委員 何も答えていないですよ。

 四月に受けた子と七月に受けた子が同じ土俵で点を競い合うというのが、公正性が担保されるんですかと聞いているんですよ。

 ちょっともう時間が来ましたのでここでやめますけれども、私が受験生だったら、あるいは私が保護者だったら、私が学校の担任だったら、四月ではなくて七月に受けろ、準備をもっと時間をかけてやって一回目の試験を受けろと、間違いなく思うし、言います。

 こういう制度の、公平性が担保できない制度がもともと内蔵されているんですよ、今回のやつは。だとするならば、大臣、職を賭してでもこの試験制度を延期すべきだと思います。

 先ほどからも答弁が何度かあります。同じ答弁をされてももう時間がかかるだけなんですが、これは大臣、本当に、あの発言、身の丈発言をしたその大臣として、あれは自分の意ではなかったんだとするならば、この試験を、来年実施をぜひ延期することを強く求めて、質問を終わります。

橘委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

橘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 文部科学行政の基本施策に関する件、特に高大接続改革について調査のため、来る十一月五日火曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

橘委員長 質疑を続行いたします。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 十月二十四日のテレビ番組における萩生田光一大臣の教育格差の拡大を容認するような身の丈発言に対して、全国から憤りの声が上がっております。地方の貧乏人は身のほどを知れということか、格差を追認するような発言を大臣がしていいのかなど、受験生や教育関係者からの憤りの声です。

 憲法二十六条は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」とうたい、教育基本法第四条は、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」と規定しております。身の丈発言は憲法と教育基本法に反していると厳しく指摘しなければなりません。

 そこで、まず大臣に、この身の丈発言と憲法、教育基本法との関連について御所見を伺います。

萩生田国務大臣 先週二十四日のテレビ番組における発言の真意については、どのような環境下にいる受験生においても自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会を捉えて、二回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものです。

 教育の機会均等については、今先生から御披瀝がありましたように、日本国憲法第二十六条では、全ての国民はその能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有することを規定しています。また、憲法の規定を踏まえ、教育基本法の第四条において教育の機会均等を規定しており、第四条一項の前段では、国や地方公共団体による学校制度の構築や学校の設置、運営などによって、国民の教育を受ける機会の提供に努めなければならないという、より積極的な責務を規定しているところでございます。

 今回、先ほど発言を撤回し謝罪申し上げましたけれども、憲法や教育基本法の理念にのっとって、教育行政をしっかりと前に進めてまいりたいと思います。

畑野委員 この間、二十九日の閣議後の記者会見などで、この発言を謝罪し撤回したとおっしゃっておりますけれども、それで済まされる問題ではないというふうに私は思います。

 先ほどからの議論の中でも、テレビ番組での司会者の質問というのは、英語については民間の試験を年二回まで受けていい、英検やTOEFLの民間の試験を使うと、お金や地理的な条件で恵まれている人が受ける回数はふえるのか、それによる不公平、公正性はどうなのかと問われて、大臣が、自分の身の丈に合わせて、二回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえばというふうに答えた、この問題だったわけです。

 さらに、この二十四日のテレビ番組で大臣は、大学入試への民間英語試験導入について、裕福な家庭の子が回数を受けてウオーミングアップできるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないとおっしゃいました。

 伺いますけれども、この発言というのは、裕福な家庭の受験生は受験に有利になる制度なんだということをお認めになったということでしょうか。

萩生田国務大臣 試験制度そのものは平等な制度として確立をされていると思いますけれども、受験をする前の準備段階においてはさまざまなツールがあって、そういう意味では、確かに試験は二回選んだものしか参考になりませんけれども、どこの会社の試験も含めて受けることはできるという環境は実際にはあるということを申し上げたまでであります。

 そのことで、これは裕福な人たちの方が有利なんだということを私は容認したんじゃなくて、逆に、自分できちんとその精度を磨いて、ぜひ二回を選んで頑張ってほしいという趣旨で発言をしたので、先生も多分御承知だと思いますけれども、私は、教育格差の拡大を容認している議員ではなくて、どちらかといえば、経済的に困窮されている子供たちの支援を今までもしてきたつもりでおりますので、そういう思いでのエールを送ったつもりだったんですけれども、言葉足らずのところがあったと思います。

畑野委員 いわゆる普通の民間試験の問題じゃないんです。これは政府が、文科省が責任を持って進める民間英語試験導入をめぐっての問題なんです。だから、本当に公平公正な試験制度を国が担保するという点では、片や何回も一年生から準備ができる、これを共通テストに導入することがいいのか、このことが今大問題になっているわけです。つまり、そういうふうに何回も受けることはできるということを大臣はおっしゃった、それは否定されませんでした。

 もう一つ伺いたいのは、その後に、自分の志で一回や二回は故郷から出て試験を受ける、そういう緊張感も大事かなと述べられました。つまり、今回の制度というのは、遠くに行かないといけない、つまり近くに会場がない制度だというふうに大臣は思っていらっしゃるということでよろしいですね。

萩生田国務大臣 その後の発言ももし用意してあるんだとすれば御指摘をいただきたいと思うんですが、私は、そうじゃなくて、いろいろ厳しい環境、それぞれ人によって異なるものがあるけれども、それに負けるなという思いで発した言葉でございます。その後に、まさに近くで、できるだけ近くで試験が受けられるような環境をつくっていきたい、財政的には負担を軽減していきたいということも申し上げておりますので、全体を通じて読んでいただければ御理解いただけるんじゃないかと思います。決してそれでいいと思っていません。

畑野委員 頑張ってねと精神論で言われても困るわけですよね。さっきの議論のように、何万も、十万もかかる。自治体が補助を決めたって、それが幾ら出るかわからない。国が半額といったって、一体どれだけ出るかわからない。もうほとんど持ち出しじゃありませんか。だから、大臣がそう思っていることと、実際の試験制度が始まったらそんな甘いことではいかない、その受験生の苦しみ、思い、そこに心を寄せていない。

 だから、こういう制度でも、何か小手先のことで、やりますというふうにおっしゃるけれども、さっきお認めになったように、まだまだ会場だって決まっていないところがこの十月三十日の段階でたくさんある。もう十一月からID登録が始まるわけですよ。学校で、どうしよう、そういうときに、そんな無責任なことでいいのかというふうに思います。

 私は、だから、大臣はこの二つの問題を否定されませんでした。つまり、最初に身の丈とおっしゃったように、今回の民間英語入試制度というのは、家庭の経済力のあるなしで受験機会が左右される、まさに身の丈に合わせていかざるを得ないという、およそ公平な制度とは言えないというふうに思います。

 私は、ですから、大臣が冒頭謝罪し撤回した、御自身の御発言を、身の丈の発言を撤回されたというのは、この身の丈のようなことに合わせなくちゃいけない制度そのものを撤回するべきだと思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 いずれにしましても、文部科学省としては、英語成績提供システムについて、高等学校、大学関係者の合意に基づいた方針によるものであり、受験生はその実施を念頭に既に準備を進めてきていることから、受験生等の不安や懸念を一つ一つ解消し、二〇二〇年度からの円滑な実施に向け、全力で取り組んでいきたいと考えています。

畑野委員 関係者の合意とおっしゃいますけれども、本当にできているんですか。できていないからこういう事態になっているんじゃないですか。高校生は準備していると言うけれども、これから準備するときに、だからこれじゃ大変だと気がついて、今声を上げてくれているんじゃないですか。それを立ちどまらないということでは本当の謝罪、撤回にならないと、私は重ねて申し上げたいと思います。

 なぜこうなっているかというと、民間試験の導入だからなんです。だって、業者の利益を上げなくちゃいけないわけですから、受験生の都合というのは後回しになっていくことはあるでしょう。国が、センターがやる試験というのは、いろいろな準備をして、この間ずっと積み重ねてきて、ちょっとしたミスがあったら大変な事態になってやってきた。それと違うわけですよ、今回のテストは。そういう構造的な欠陥があるということを申し上げておきたいと思います。

 受験生から、前の年になっても全容がわからないテストを我々が受けるなんて怖過ぎますという声が出ております。また、入試改革ではなく入試改悪ですよね、文科省の都合で高校生、浪人生、全ての公平公正な入試を求める受験生が迷惑をこうむるのは我慢なりません、民間試験の導入はどう考えても間違っています、こういう声です。私は、重ねて延期、中止を求めたいと思います。

 それで、私はあわせて、試験の公正性について幾つか大臣に伺いたいと思います。

 この間、文科省といろいろとやりとりをさせていただいてまいりました。新しい民間英語試験の導入では、スピーキングテストが行われます。各試験団体の参加要件では、「採点の質を確保するための方策を公表していること。」ということしか求められておりません。

 そこで伺いたいんですけれども、まず、採点者の採点基準の質を保証するために、文科省としては検証をどのように行っているのか。もし大臣が御存じであれば伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 各試験実施団体の実施する資格検定試験は、これまでも広く高校生の受験実績や大学入学者選抜に活用された実績があるものであります。一定の評価が定着しているものと考えます。

 各種試験実施団体の採点に係る質の確保については、参加要件として、採点の質を確保するための方策を公表していることを求めており、団体ごとに、採点基準、採点者の応募資格、採点者の選出基準、採点者の質の向上策、採点体制を公表しています。例えば、採点者の応募資格としては、学士以上の学位を有する者や英語教育に関する経験を有すること、選出基準としては、採点者トレーニングを受けた後に採用テストに合格することなどが求められております。

 各種実施団体においては、これらの取組を通じて採点の質を確保しており、文科省としては、引き続き、各試験実施団体に対して適切な対応を求めてまいりたいと思います。

畑野委員 つまり、公表しているものを追認しているということですね。

萩生田国務大臣 突然団体が組織されたのではなくて、今までも民間で試験を行ってきましたので、その公表されているものを信頼して、また確認をしてまいりたいと思っています。

畑野委員 でも、コンピューターシステムを使うとか、そういう新たな制度が入ってきていますから、本当に大丈夫か、これで試験ができるのかというのもあるわけです。そういうのもきちっとチェックをされていないというふうに私は思います。大臣にも調べていただきたいと思いますけれども。

 例えば、試験実施団体の中には、「英語力と採点力を見極める独自の筆記試験および面接等を課し、ベネッセが定める選定評価基準に合格できた者。」というのもあるんです。いろいろな学識経験者というふうに、大臣、いろいろおっしゃいましたけれども、そうでないところもあるんですね。

 こういう応募資格を見たら、アルバイトとか海外の業者とかに委託するということは可能な制度なんでしょうか。

萩生田国務大臣 公表している各基準にのっとって各団体の皆さんが採用するということであれば、採用形態についてはそういうことも否定はできないと思います。

畑野委員 大変なことをお認めいただきました。こういうことが懸念されているわけです。つまり、各テストごとに、採点者の基準、質の保証もばらばら、それは自分で評価しますというのが前提です。その上、じゃ、海外の業者に委託する、あるいはアルバイトと。これで、ばらばらな試験の中で統一的にスピーキングの評価が公正公平にできるのかということが問題になってくる。大臣が認められたとおりだというふうに思います。結局、業者に丸投げなんですよ。大臣は大丈夫だろうと思うけれども、そういう事態が実際起こり得る、実際起きているというふうに思います。

 じゃ、そのスピーキングの採点の基準について伺いたいと思います。

 各団体、採点基準というのは共通したものになっていないと思うんですが、いかがですか。

萩生田国務大臣 そのとおりでございます。

畑野委員 そのとおりでございますというふうにお認めいただきました。

 きょうは資料をつけさせていただきました。これは、スピーキングの採点基準の例を二社つけさせていただきました。

 一枚目はGTECのものです。上の段が「語い・文法」で、零点、一点、二点、三点、四点とございます。一番高い四点のところの評価の基準、読み上げますと、「豊富で幅広い語いや文法を、柔軟に使用することができている。」などと書かれております。

 次の資料は、スピーキング評価基準、これはIELTSのものです。一番左、「流暢さと一貫性」、段階評価九、ここでは、「繰り返しや言い直しをほぼすることなく流暢に話し、言いよどむ際は、言葉や文法を考えるというより、内容が理由の場合のみである。」こういうふうにあるわけであります。

 何を言いたいかというと、非常に抽象的で、採点者の主観的な判断を求めるようなものになっているということです。これとて、それぞれが違うわけですね。

 しかし、この採点者の主観的なといった場合に、先ほど言ったように、採点者の質の問題だってきちっと担保できているかどうかわからない。そういう人たちが主観に基づいて採点していくということですね。それが各社ごとにばらばら、テストごとにばらばらなんです。

 そういう点では、公平な採点が果たしてできるのかというふうに私は思うんですが、大臣はいかがお考えになりますか。

萩生田国務大臣 大学入学共通テストの枠組みで実施される英語の資格検定試験については、試験内容、実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件を満たしていることを大学入試センターが確認した試験を活用し、大学入学者選抜における英語四技能評価の導入を促進することとしております。

 各資格検定試験については、今後センターが毎年度の実施状況を確認することとしており、万が一、参加要件を満たしていない可能性があると認められる場合には、一定の手続を経た上で当該試験の参加を取り消す場合があることとしており、各試験団体も、万全を期して試験の実施及び運営に当たるものと考えております。

畑野委員 今までは、民間がそれぞれの責任でやっていたんです。ですけれども、今度共通テストに使うわけですから、いや、後で見たらいろいろ問題がありました、出ていってくださいといったって、それを受けてしまった人の被害というのは戻らないんですよね。だから、そういうことも、導入するのであればきちんとやるべきでしょうということを、この間、関係者の皆さんは一貫しておっしゃってきたわけです。今の御答弁では、そういうものは担保されないということがわかりました。

 加えてもう一つ伺いたいのは、スピーキングテストでタブレットなどを使う場合があります。そのときに、機械のトラブルがあった、音声が取り出せないなどの問題があった、そういうときにはどのように対処するのか。方針を持っていらっしゃると思いますが、大臣が御存じであれば伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 器具のふぐあいなどによって受験ができなかった場合は全額補償し、また、試験のやり直しができる場合には行う、また、できない場合には、救済措置として、高校の校長先生などの評価を加えることで救済をしていくという方針でいます。

畑野委員 ですから、例えば、先ほど最初の四月の試験という話がありましたけれども、今度は最終回。最終回でもしそういうことが起きたらどうするのかと思ったら、じゃ、最終回もだめかなとか、一体どこを受けようかとか、そういうことで、本当に、ただでさえストレスの多い受験生が、更に加えていろいろと思い悩む、精神的な、あるいは金銭的な負担が更に高まるというふうに思うわけです。

 ですから、こういう、ちょっと私、スピーキングの問題も本当に入り口です、参考人質疑が決まりましたので、専門家の皆さんのお話も伺いたいと思います。大臣ももう既に聞かれているとは思いますけれども、ぜひ、本当に委員会の中でしっかりと議論をしていく、また、文科省でも、大臣が新しくなられたわけですから、これはしっかり見ていただきたい、責任を持ってそれは見直していただきたいというふうに思います。少し見ただけでも、本当に公正性があるとは言えない問題が出てまいります。

 時間が短いので、次に進みます。

 このように、費用の問題あるいは場所の問題、さらにはスピーキングというこのテストの採点問題、公平性あるいは公正性が保証されないこういう制度がではなぜ導入されたのか、私は本当に不思議でならなかったんです。どんな議論が専門家の皆さんの中で行われてきたのか。普通考えられないわけですね。

 それで、いろいろと私も読ませていただきました、政府の出されたいろいろな検討会のもの。そうしましたら、わかったのは、共通テストにおいて民間英語試験を活用することが明記されたのは、二〇一七年七月十三日、文科省の大学入学共通テスト実施方針の中なんですね。

 きょうは、その資料を三枚目につけさせていただきました。このグリーンの表の中でいうと、一番下ですね、高大接続改革の実施方針等の策定、二〇一七年七月十三日なんです。その上に、七つぐらいの、それぞれの議論の場が書かれているわけです。

 しかし、一番下の大学入学共通テスト実施方針の中にある、「共通テストの枠組みにおいて、現に民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格・検定試験を活用する。」というふうに決定することについては、例えば、二〇一三年、上から二段目の教育再生実行会議第四次提言でも、それからその下の中教審、二〇一四年でも、さらにその下の、二〇一六年、高大接続システム改革会議の最終報告でも、民間の資格検定試験を活用するという方針の決定はされていないんですね。

 そうしますと、その間にあったのかなと思うんですけれども、大臣、どこで決定されたか、御存じでしょうか。

萩生田国務大臣 検討・準備グループの中では、大学入学希望者学力評価テストの具体的な実施内容、方法等について検討を行ってまいりまして、会議を公開した場合、構成員の自由な意見交換が制約され、円滑な運営を妨げるおそれがあり、審議を公正円滑に実施する上で支障が生じることが考えられることから、大学入学者選抜等に係る非公開の情報をもとに検討を行う必要があり、第一回会議が開催された平成二十八年五月当初、非公開で行われ、その後、一定の議論がまとまったことにより、平成二十九年五月十六日に、英語の資格検定試験の活用方法も含め、検討の進捗状況を大学入学共通テスト実施方針として公表したことに伴い、その後は公開で開催することとし、二回の会議を経て、平成二十九年七月十三日に大学入学共通テスト実施方針を決定したと承知をしております。

畑野委員 そこを知りたいんです。

 高大接続システム改革会議の委員であられた南風原朝和氏は、その著作「検証 迷走する英語入試 スピーキング導入と民間委託」の中で、二〇一六年三月三十一日の高大接続システム改革会議の最終報告について述べられた後にこうおっしゃっているんです。この報告からは、民間試験の知見を活用しつつ、スピーキングテストについても、電子機器の整備やマークシート式問題とは別日程での実施などの工夫をして、自前で、つまり、民間に丸投げするのではなく、現在のセンター試験と同様の方式で実施する見通しを持っていたことがわかる、また、実施可能性の観点から、スピーキングテスト導入の時期がおくれる可能性が示唆されている点も、システム会議でこの案件が差し迫った議論にならなかったことと整合しているというふうに述べられています。そして、先生は、高大接続システム改革会議では、英語試験についてはほとんど話題になっていないというふうにおっしゃっているんですね。

 だから、専門家の皆さんがそういう中身で進めていたときに、大臣がおっしゃった検討・準備グループで、非公開だけれども決まりましたと言われても、専門家の方たちが一生懸命やってきたことがこれだけ今問題になっているものにどう結びついたのか、検証できないわけなんです。

 そこで、私が大臣に求めたいのは、この非公開という一回目から九回目、出ないんですよ。この間文科省にお願いしたら、出せませんと言うんです。何回もやりとりしているんです。これはぜひ大臣も調べていただいて、公開をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 どういう約束でこの会議が行われていたか、ちょっとつまびらかに私も存じ上げませんので、先生の問題意識を受けとめて持ち帰りたいと思います。

畑野委員 そのときに、その構成員のほかに協力を求めたり意見を求めた関係者がいるのかということも含めて明らかにしていただきたいと思います。いかがですか。

萩生田国務大臣 一度引き取らせてください。

畑野委員 そういう点では、中教審や高大接続システム改革会議と並行して行われていた、英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会というのがあるんですが、二〇一六年三月二十五日の会議で、大学入試センターの委員から、民間試験の高額な受験料をどう抑えるのかという問題も提起されていたんです。にもかかわらず、何の対策もとられないまま制度がスタートしている。

 だから、一体誰がどのような議論でこの制度を決定したのか、そこが本当に今、責任が問われるんですよ。だって、これだけ問題が噴出しているんですから。そして、全国高校校長協会の皆さん始め、シンポジウムの話もありました。要望書もいただきました。本当に、公正性の問題を含めて、懸念を示されている。一度足をとめて、立ちどまって見直ししてほしい、延期してほしいというふうに言っているんですね。先ほど大臣が、現場の高校や大学の皆さんの声を聞いてできたと言うけれども、そうじゃないんですよ。

 ですから、こういう制度は見直して、そして、延期法案を野党で出しておりますけれども、これはぜひ中止を私は求めたいと思います。重ねて申し上げますが、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 前段の高等学校の校長会からの要請は、ちょうど私が就任した十一日の前日、十日の日に出されたというふうに承知しています。

 資格検定試験の認定に当たっては、高等学校学習指導要領との整合性を第一にするなど認定基準を明確にし、受験生や高等学校関係者が納得できるようなものにしていただきたいという中身の問題と、経済格差や地域間格差が生じないように配慮をお願いしたいという、要するに、システム上の知恵を出してくれ、また支援をしてくれということだというふうに承知しています。

 先生のさまざまな問題意識は重く受けとめたいと思いますが、英語成績提供システムについては、高等学校、大学関係者の合意に基づいた方針であるものであり、受験生はその実施を念頭に既に準備を進めてきていることから、受験生等の不安や懸念を一つ一つ解消し、二〇二〇年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

橘委員長 畑野君、時間は終わっております。

畑野委員 はい。

 受験生に身の丈を迫るような制度をやめることができないのならば、大臣は、身の丈のあの発言を本当に謝罪、撤回していない。であるならば、大臣の資格はない。おやめになる、その決断を求めて、私は質問を終わります。

橘委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 今国会から文部科学委員会に所属をさせていただくことになりました。私自身、体育大学の出身でスポーツの指導者だったこともあり、教育という分野には大変思い入れがございます。皆様に御指導、御鞭撻をいただきながら、文部科学委員として精いっぱい活動させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 英語試験については、受験生や保護者からさまざまな声を聞いております。本日の委員会でもさまざま質問が出ておりますが、大臣の御発言で現場に混乱を招くことのないように、今後はより一層御発言に注意をお願いしたいと思っております。

 大臣の所信的挨拶の中で、原発事故の避難者を始めとする被災した児童生徒に対するいじめについては、関係機関とも連携して必要な取組を行ってまいりますというお話がございました。私は、東日本大震災が政治家を目指す大きなきっかけの一つでした。八年半たった今もなお福島県の風評被害はなくなっておらず、苦しんでおられる方々がいらっしゃいます。特に、東日本大震災によるいじめ等については、ぜひ関係機関と連携をして全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 それでは、質問に入ります。

 先日、文部科学省が児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査結果の概要を発表されましたが、いじめの認知も、暴力行為も、小中学校における不登校も、中途退学も、また自殺をしてしまった生徒数も、全てが昨年度を上回っているのですが、この結果をごらんになり、過去三年でも五年でも構いません、文部科学省で取り組まれてきた対策や指導に関して、この調査結果を受けて率直にどのように思われていますでしょうか。お聞かせください。

萩生田国務大臣 文部科学省では、平成二十七年にいじめ防止対策推進法の定義に即しいじめの積極的な認知を促す通知を発出するとともに、平成二十八年度より文部科学省職員を各地の教育委員会に派遣していじめに関する説明会を実施するなど、いじめの積極的な認知を促し、組織的な対応を要請してきたところです。

 平成三十年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果においても、いじめの認知件数が増加しているところであり、学校現場におけるいじめ防止対策推進法の趣旨の理解が浸透し、初期段階からの対応も含め、いじめ問題への対応が進んできているものと捉えております。

 一方、過去五年間の傾向では、暴力行為の発生件数、小中学校における不登校児童生徒数の増加、児童生徒の自殺者の増加などが見られるところであり、大きな課題があるものと認識しています。

 このようなことから、文部科学省においては、教育相談体制の充実を図っており、今年度までに、スクールカウンセラーについては全公立小中学校に、スクールソーシャルワーカーについては全中学校区に配置を進めているところです。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 職員の方々を派遣され、説明会等、対応もしていただいているとのことですが、今実際にいじめを受けている子供たちや自殺をする子供たちがふえているというところで、しっかりと減らしていかないといけないと思っております。

 いろいろな対策を否定するわけではございませんが、先ほども大臣からもお話ありましたけれども、スクールカウンセラーなども、週に一日や二日学校に来られるこのカウンセラーの方に子供たちが心から自分の思いを伝えられるのか、毎日一緒に過ごしている担任の先生に話せないことが話せるのかといった不安の声を保護者の方から聞いております。

 いろいろな人材の配置体制もわかりますが、やはり親身に相談に乗ってくださる担任の先生だったり、昔から、校長か副校長、どちらかが聞き上手の先生がいてくださることで学校が回っている状況があるといったようなお話も聞いております。

 小学校の子供たちでも、大人を見透かす目は鋭く、この先生は真剣に話を聞いてくれるのか、自分たちの味方になってくれる先生なのか、判断することができます。

 知り合いの小学校のお話をお聞きしましたが、外から赴任してきた先生の様子がおかしいことを、わずか九歳の子供たちは一カ月で見破り、日ごろから味方と思える副校長に毎日通い、訴え、結局担任が盗撮をしていたことを調べてくださったと聞きました。最後は、やはり日ごろからの信頼関係や、大臣がおっしゃるように、まさに人づくり、人間力に尽きると思います。

 今も改革や改善指導を懸命にされているかと思いますが、今後、どうすれば子どもたちが楽しく学校に通い、自殺や不登校がなくなると考えられているのか、現場で取り組まれていることも含め、教えてください。

萩生田国務大臣 平成三十年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸課題に関する調査結果からは、子供たちがさまざまな悩みを抱えたり困難な状況に置かれたりする状況が見受けられ、周囲の大人が子供たちの心と寄り添い、SOSをどのように受けとめ、学校全体として組織的対応を行い外部の関係機関等につなげて対処していくかが重要であると考えています。

 このようなことから、文部科学省では、いじめ防止対策推進法の周知や教育相談体制の充実等に努めているところであり、学校現場においては、例えば、いじめアンケートの頻度や内容を充実させることにより児童生徒の心のわずかな変化を捉えることを可能にすることや、スクールカウンセラーを相談体制に加えることで、児童生徒が誰にも相談できなかったいじめの発見につなげ早期の解決に導くこと、いじめ・不登校地域支援チームにスクールソーシャルワーカーを配置し、家庭や関係機関との相談、連携窓口として機能させることなどの取組が行われているところです。

 文科省としては、生徒指導上の諸課題に適切に対処するため、個々の児童生徒の状況に応じた必要な支援や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実などにより、関係機関との連携による教育相談体制の充実を引き続き推進してまいりたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 子供たちからもしっかりアンケートをとったり、相談体制もしっかり強化されていると思います。特に私が、私もまだ数は多くないんですけれども、学校や保護者の方からお話を聞いた中では、やはり保護者の声というのも大事にしていただきたいなと思っております。子供と真剣に向き合う心の熱い先生方もたくさんいらっしゃいます。やはりそういう先生には、保護者も、何とかしてあげよう、協力しようと必然的に思ってしまうものだとお聞きをしました。公立校は、地域と連携がとれている学校は、やはり間口が広い分、情報も早いですし対応も早いと思います。

 公立学校における働き方改革の推進法案で、文部科学省が作成された資料で、今後、外部人材の活用をうたっていますが、さまざまな観点から質問をさせていただきます。

 三位一体、教師、子供、親の信頼確立に向けて頑張っていただきたいと思っております。幼少期の心の成長は、その後の人格形成にも大きくかかわります。あらゆる面での教育再生をお願いしたいと思っております。

 教員免許の更新は、十年とお聞きをしております。この十年という期間は妥当と思われていますでしょうか。

浅田政府参考人 教員免許更新制における免許状の更新期間については、教育職員免許法の第九条で十年とされているところであります。

 この更新期間については、制度導入時に中央教育審議会で御議論いただいたところですが、教員のライフステージや、その時々で必要な資質、能力を刷新するという更新制の目的、あるいは、免許状を取得後、一定期間を経過した後で採用される方もいるという状況などを総合的に考慮して、十年間が適当とされたと承知をしております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 現場の声としては、一部の問題などがある教師のために、その他大勢の教師全体に時間、労力、お金もかかって、無駄なことのように感じてならないというような御意見も伺っております。更新期間に関しても、現場の声もしっかり聞いて、今後検討もしていただきたいと思います。そしてまた、この更新が、教員としての資質の有無をしっかりとチェックできているものかということに関しても、今後もしっかりと検討をしていただきたいと思っております。

 講習後の免許更新の基準について、現在の教員免許の更新制の意義、意味等について教えてください。

浅田政府参考人 国際化が進み、価値観が変化し、科学技術の発展など、世の中が時々刻々と変化している中で、教員が最新の知識、技能を確実に身につけることは、教育の充実を図る上から重要であると考えております。

 教員免許更新制は、全ての教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られるようにすることを目的として導入されたものであり、十年に一度、教師の資質、能力を刷新するための重要な制度であると考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 国際化に対応するためにであったり、最新知識を学んでいただくという意味では、十年に一度という更新も必要だとは思いますけれども。

 この講習の内容についてですが、私も全て詳しく把握をしているわけではございませんが、勉強指導の能力よりも、教師になり十年がたち、心が病んでいるとか、子供たちと接するのに冷静な判断ができないほど厳しい状態になりつつあるなどといった教員の把握、十年間、教師をしてさまざまなことを経験され、志を持って教師になったにもかかわらず心の変化が出てきたことを早期に発見していただくことも必要なのではないかと思います。

 また、免許の更新が、定年退職をされたベテラン教員の方々の再雇用等に当たり大きな壁になっているということもお聞きをしました。

 繰り返しになりますけれども、この講習内容などについても今後検討をしていただきたいと思っております。

 教員免許の更新についてですが、現役で教師を続けている方と現職の教員でない方も同じ講習を受けるのでしょうか。

浅田政府参考人 免許状更新講習につきましては、文部科学省令である免許状更新講習規則の第四条におきまして、必修領域六時間、選択必修領域六時間、選択領域十八時間、合計三十時間の講習を受講、修了することとされております。

 このうちの必修領域六時間につきましては、職種、学校種を問わず全ての受講者が、社会の要請を踏まえて国があらかじめ示した共通の内容について受講していただくということになっています。それ以外の選択必修領域、選択領域につきましては、それぞれの受講者が自身のニーズ、関心に応じて選択して受講していただくことが可能であります。その中に多様なメニューがございまして、中には、例えば、学校をめぐる近年の状況の変化とか、学習指導要領の改訂の動向とか、そういった新しい動向にキャッチアップをしていただくのに適したような内容も用意されているところでございます。

 したがって、例えば、今教師である方、教師を離れておられる方、それぞれのニーズ、関心に応じて選んでいただくということが可能でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。講習を受ける方々のニーズに応じて選択ができるということをお聞きしました。

 この講習を受けた後のこともお聞きをさせていただきますが、講習を受ける大学等の施設は選択ができるとお聞きをしました。講習終了後、試験があるんでしょうか。レポート提出があるのでしょうか。その辺もさまざまだというようなお話もお聞きしているので、詳しく教えてください。

浅田政府参考人 講習内容に対する十分な理解を確認するために、免許状更新講習の修了認定の際には、免許状更新講習規則第六条に基づいて、試験による成績審査に合格した者に対して修了認定を行うということになっています。

 免許状更新講習は、大学などの講習開設者、開設する方から文部科学省に申請をしていただいて、認定をして開設がなされるものですが、この申請のときに御提出いただく申請書には、履修認定は試験により行われる、レポートを提出するだけでは試験として認められないというふうに明記をしております。

 したがって、必ずこの試験をしていただくという仕組みになっているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。必ず試験を受けなければならないということで、ありがとうございます。

 この更新期間はしっかり守られているということですが、繰り返しになりますが、講習内容の検証もしていただきながら、また、この講習後の試験は必ず受けていただけるということで安心をしました。私がちょっとお話を聞いたところでは、レポート提出だけで済む場所もあるというようなことも聞いたんですが、それはちょっと私の聞き間違いだったようなので、そこは安心をしました。

 この試験には、教師としての資質のチェックというのは、なかなかこれは難しいと思います。今、いじめの問題など、さまざまな問題があります。この資質のチェックというものも、今後、繰り返しになりますけれども、検討していただきたいと思います。

 現在、教師以外の職業の方が教師になられた数、さらに、教師をしていて一度離れて戻ってこられる方がどのぐらいいらっしゃるのか、教えてください。

浅田政府参考人 企業等からの転職者、あるいは一度教職を離れた後で再度教職に復帰された方のそれぞれの内訳は把握しておりませんけれども、公立学校の教員採用選考試験で採用された方のうち、民間企業等の勤務経験者の方は、平成二十六年度から三十年度まで過去五年間の平均で見ますと、一年当たり約千五百人、率でいうと全体の四・九%となっているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。四・九%ということで、非常に少ない数かと思います。

 どの職業もそうかと思いますけれども、外からの意見や感覚、経験というのが役に立つことがあるかと思います。また、改革を進めていくときには、外部の意見というのは絶対に必要ですので、そのあたりの取組について、今後も御意見をお聞かせいただきたいと思っております。

 教師以外の方の、企業からの転職に向け、何か取り組んでいることなどがあればお答え願います。

浅田政府参考人 既に教員免許状を保有し、民間企業で勤務されている方などが改めて教職を志していただくことが、多様な経験を持った方を学校に迎え入れるために大変有意義であると考えております。

 このため、各教育委員会において、公立学校教員採用試験における社会人特別選考の実施、あるいは特別免許状の活用などにより、民間企業等の勤務経験者が円滑に学校現場に参画できるような取組が進んでおります。例えば民間企業等勤務経験者の特別選考は、六十八の県市のうち四十二の県市で実施されているところであります。

 また、文部科学省としても、中央教育審議会において、学校以外で勤務してきた経歴や専門的な知識、技能を有する者など多様な背景を持つ人材によって教職員組織を構成できるようにするための免許制度や、教員の養成、採用、研修、勤務環境のあり方について、社会人等による普通免許状の取得の促進、あるいは免許状を持たない社会人の登用のための方策などについて、御審議いただいているところでございます。

 その状況も踏まえて、必要な方策を講じていきたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 さまざまな経験を持つ多様な人材を、ぜひ教員になっていただけるように今後も取り組んでいただきたいと思います。これらの経験は、子供たちの教育にとって大変有効なものになると思っております。

 特に小学校の教員の方から、心の病の事件などが明るみに出る問題が非常に多いと思います。いろいろな事案がある中、マニュアルどおりにいかないことの方が多い職業だとは思いますが、生徒間の問題もそうですが、保護者の方の対応など、とても時間を要する一つとお聞きをしております。

 以前は、教師になりたくてもあき待ちなどのこともよく耳にしました。しかし、現在は、もちろん地域によって差はありますけれども、教員のなり手が減少しています。小学校の教員に関しては、志望者の減少が続いております。企業からの転職の方々の後押しもしっかりとお願いをしたいと思います。

 新卒で社会の右も左もわからない学生さんが四月から教える立場になる。そこは情熱だけでは越えられないこともあるかと思います。企業に入れば、新人研修や配属が決まるまで数カ月が過ぎ、配属がされてからやっと仕事とは何ぞやということになるかと思います。私の知人にも社会人を経験して教員となった方がいますが、いろいろな、社会を経験されてから教員になることは大変よいことだと思っております。

 教員の長時間労働の問題が影響かとよく耳にしますが、それだけではないような気がしてなりません。「教員の夢 上回る不安」という新聞記事を見ました。教員になる夢を抱き、恩師のようになりたいとの思いから教師になられる方も多いと思います。情熱にあふれ、子供と一緒に悩み、楽しみ、時には泣いて、クラスの団結力を育み、情熱を持ち続けることも大変かと思いますが、子供たちは行事ごとにわくわくをしたり、考えたり、協力し合って一つのことをなし遂げていきます。

 文部科学省の方にお話しする話ではないかもしれませんが、先生方も大変ですが、情熱を忘れず子供に接してほしいと願う多くの保護者の声を聞いております。保護者を味方につけると本当に大きな力になることもあります。いろいろな考えの保護者もいらっしゃいますが、大きな力になってくださる保護者もたくさんいらっしゃいます。このことをどこか頭の片隅に置いていていただきたいと思います。もちろん教師との信頼関係が根底にあってからのことですが、子供たちのためになることは保護者は協力してくださいます。

 子供たちの未来に大きな灯をともす先生方に心から敬意を表したいと思います。

 次は、高校三年生にかかわる成人年齢引下げについて伺います。

 以前、消費者特でも質疑をさせていただきましたが、まだ高校生の学生が成人を迎えるに当たり、消費者教育教材として、「社会への扉」という冊子についても質疑をさせていただきました。この冊子の取組から一年以上がたちますが、全国の高等学校にどのぐらい見ていただけたのか、配付をされたのか、教えてください。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御存じのとおり、現在、平成三十一年度が現在でございますけれども、昨年度、平成三十年度から三カ年間を集中強化期間というふうにいたしております。

 その一年目に当たる昨年度、平成三十年度の実績でございますけれども、各県の中で、県内の七割以上の高等学校で授業を実施したという都道府県は、三十年度六県でございました。また、国公立の高等学校等に限って見てみますと、県内の七〇%以上の国公立の高等学校で実施をしたという都道府県は、全国で十三の道県というふうになってございます。

 まだまだ、目標、三カ年で全国の全ての高等学校でというところまでは、今年度、来年度、二年間があるわけでございますけれども、令和二年度までには全ての都道府県の全ての高等学校等において「社会への扉」などを活用した授業が実施されますように、引き続き、若者の消費者教育の推進に向けて取り組んでまいりたいと思います。

 なお、委員の方から今配付部数というようなお話も御質問の中であったかと思いますが、ちょっとつけ加えて申し上げますけれども、昨年度、平成三十年度につきましては約三十万部印刷をして配付をいたしました。本年度につきましても御要望を受けておりまして、今の見込みではおよそ九十万部ほど印刷をして配付をしたいと考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私がお聞きした都内の高校では、どの高校も見ていないという状況でした。まだまだこの冊子の存在すら知らない学校がたくさんあるんだと私自身感じております。この本のタイトルを、社会の扉だったか社会への扉だったかと私も忘れてしまい、消費者庁関係の方にお聞きしましたが、残念ながら御存じありませんでした。これが現状だと思います。

 全ての高校に配付をする必要があるかと思っております。子供たちを事件やトラブルから守るためには、国として率先して行動していただきたいと思います。この冊子は、もう本当に誰が見てもわかりやすく、読みやすくなっておりますので、まだまだ行き届いていないところには早急に配付をお願いしたいと思っております。

 文部科学省として、高校生に、成人年齢の引下げに対応した取組があれば教えてください。家庭科の授業で教育を行うとお聞きしておりますが、詳しくお願いいたします。

萩生田国務大臣 平成三十年六月の民法の改正により、令和四年四月一日から成年年齢が十八歳に引き下げられ、令和二年度以降の高等学校入学生は、第三学年在学中に、十八歳の誕生日で成年となります。

 このため、文部科学省では、平成三十年度以降の高等学校の入学者に対して、新高等学校学習指導要領で、充実した、契約の重要性及び消費者保護の仕組みに関する内容を家庭科の移行措置として学習させることとし、現行学習指導要領のもとでの消費者教育のさらなる充実を図ったところです。

 また、こうした内容の充実に加えて、令和二年度以降の高等学校入学者に対して、成年となる第三学年よりも前に、すなわち一年と二年生のうちに、家庭科の消費生活にかかわる内容を履修させる取扱いとしたところです。

 文部科学省としては、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムに基づき、学習指導要領の趣旨を徹底すること、消費者庁作成の高校生向け消費者教材、今先生が御披露いただいた「社会への扉」の活用促進をすること、実務経験者の外部講師としての活用を推進すること、教員養成、教員研修等における充実を図ることの四項目などの取組を進めており、引き続き、消費者庁を始め関係省庁と連携し、消費者教育のさらなる充実に向けて取り組んでまいりたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 子供たちがトラブルに巻き込まれないように、今後も内容を充実させていただけるということですので、しっかりと子供たちの教育をお願いしたいと思っております。

 家庭科の授業は、高校三年生ですと選択制の授業になりますし、高校二年生までに授業の中で必須に習得をしていただく必要があるかと思います。これから、大学受験も大きく変わっていく中、少しでも早く、そして継続的に子供たちの意識を変える必要があるかと思っております。最終的に子供たちが被害に遭わないように、これも保護者の方々から心配の声を聞いております。もちろん、御家庭での話合いも必要ですが、子供たちは、友達や先生からの影響も大きいと思います。一人で悩み苦しむ前に相談ができる環境づくりをし、大切な命が奪われることのないように、トラブルへの対応も含め、残り二年の間に、学校での指導の定着をお願いしたいと思っております。

 神戸市の教師間のいじめ問題が明るみになりましたが、これは氷山の一角で、教師間のいじめ、学生間のいじめ、表に出ていないものはまだまだたくさんあるようです。生徒から携帯を取り上げ、先生たち複数で中身を見て楽しんだり、生徒にわいせつな行為をしたり、さまざまな問題があることも私の耳にも入ってきております。子供たちのために、教師として資質に欠ける教員の解雇など、制度改正も含め、ぜひ検討していただきたいと思っております。教師は子供の教育という大変重要な任務を担うわけですので、指導する資質の有無はしっかりと見きわめ、判断してほしいと思います。私も、更に現場の声を聞いて、またの機会に質問をさせていただきたいと思っております。

 本日は教育現場の声を中心に質問させていただきましたが、私は体育大学の出身で、特に東京オリンピック・パラリンピックの成功のために力になりたいと思っております。特に障害者スポーツの普及に関しては力を入れたいと思っております。

 少子化対策も喫緊の課題ではございますが、今の少ない子供たちを守る取組、子供たちの教育環境の充実も力を入れてまいりたいと思っております。

 十一月五日には、英語の試験について参考人質疑もございます。この文科委員会で、特に子供たちのためにしっかりと質疑を頑張ってまいりたいと思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 共同会派の立憲民主党、初鹿明博です。

 私、この国会から文部科学委員ではなくなってしまったんですが、きょうは会派の皆様に御配慮いただきまして、質問する機会を与えていただきました。まずは、同僚の皆様、ありがとうございました。また、各党の委員の皆様、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきますが、まず、橋本オリパラ担当大臣にお越しいただいておりますが、報道によりますと、きょう、この後になるんですかね、IOCと東京都と、あと組織委員会との間で、マラソン、競歩の開催地をめぐって調整する委員会が開かれるということで、大臣も御出席をされるということであります。

 この委員会で、組織委員会とIOCが先にこれは協議をしているんですかね、東京都を除いて。これも何か不思議な感じがするんですが、そこで何か三つの条件を出すということで、都の費用の負担はなし、暑さ対策による他競技の移転はなし、パラリンピックのマラソンは東京の開催という何か三つの条件を出すというようなことが報じられているんですね。

 ここで気になるのは、まず、東京都の負担なしということを言っていることなんですね。当初は、東京都が負担をする、それも予備費を使えばいいんだみたいなことを言われて、小池知事が大反発をしたということであります。

 では、東京都の負担がなくなるということになったときに、当然、開催地である札幌からすると、これは札幌オリンピックじゃなくて東京オリンピックなんですよね、あくまでも。あくまでも東京オリンピックだったら、札幌市が負担をする筋合いはないということになるわけで、そう考えていくと、一体どこが出すのかとなって、国に負担をしろということが回ってきかねないんじゃないかという心配をするわけですね。

 オリンピック、パラリンピックを成功させたいという思いは国民みんなが持っているにしても、あくまでもオリンピックというのは都市が開催をするものであって、これまで国も、基本的な予算、運営費等については東京都や組織委員会が持つものだというスタンスをずっととってきたと思います。

 改めてお伺いしますが、札幌で開催をするということになると、新たな負担というのは、かなりの額が必要になってくると思うんですよ。これを国が負担することは一切ないのか、それとも、可能性として国も負担せざるを得ないということになるのか。現時点でどのようにお考えになっているのか、お答えください。

橋本国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員からお話をいただきましたように、本日の十六時から、組織委員会におきましてIOCの調整委員会が開催をされます。

 この三日間において、それぞれの課題と、そしてまた進捗状況といったものが議論をされるということの調整委員会なわけですけれども、その中で、十六日の日にIOCが示された、東京開催であった、東京都で行われるマラソンそして競歩のオリンピック競技について、札幌移転というのが十六日に初めて提案をされたわけですけれども、この問題については、決定では今ないと承知しております。この三日間の中で、調整委員会、そして組織委員会と東京都が議論を重ねて決定をしていくということで、この決定については国が関与するものではないものですから、あくまでも、その決定の経緯、経過を見ながら、どのように決まっていくかということを注視していきたいというふうに思っております。

 その中で、今御指摘をいただいております予算の配分ということと、その調査の中で、大体、移転が決まったときには、全体的な予算がどのぐらいになっていくかということもこれから示されていくということで、今の段階では、どこがどのように払っていくかという分配方法が全く決まっていないということの段階でお話を申し上げればということなんですけれども。

 二年前の二十九年の五月に、大枠合意というのが決定されました。それは、競技会場の仮設整備ですとか、あるいは大会関係者の輸送、そして大会の運営にかかわる費用、そういったものについては、国とそして開催自治体、組織委員会と東京都を入れて四者で取り決めた大枠合意の中には、東京都若しくは組織委員会において負担をするということが既に決まっておりますので、現段階として、移転に伴う費用を国が負担をするということには、この大枠合意の中においては支払うということはないということであります。

初鹿委員 この大枠合意の中でということですから、新たな局面が生じちゃっているわけですから、また何らかの調整が必要になって、国に対して負担を求めてくるということもあり得るのかなとは思うんですけれども、何か非常に不透明ですよね。何でIOCが決めたことに従わなければいけないのか、私は全く理解ができませんし、開催地である東京都が知らないところで話が進んでいるのも全く理解ができないんですね。

 どうも、いろいろな話を聞くと、札幌にはIOCの方から、発表になる前から事前に相談なりがあったやに聞いているんですが、それはそういうことなのかということと、大臣は北海道ですよね。大臣、先に知っていたなんということはないですよね。いつ知りましたか。

橋本国務大臣 私からは、ジョン・コーツ調整委員会の委員長ですとか、そういったIOC側からの連絡というのは一切ありません。今もありません。これから調整委員会の中でお話をされるんだろうというふうに思っておりますけれども、十五日の日に、組織委員会の森喜朗会長から、暑さ対策も含めて、ドーハで行われた国際陸上競技選手権の結果を踏まえて札幌提案が示されていく可能性が出てきたということの連絡は、十五日にはいただいております。

初鹿委員 御存じある方はどれぐらいいるかわかりませんけれども、この東京オリンピック、二〇二〇年のオリンピックの招致活動を始めるころに、城井さんの北九州とあと広島とで、北九州じゃない、長崎ですね、ごめんなさい、長崎と広島で一緒に共同開催をするという構想があったんですよね。そのとき、これは潰れるんですけれども、何で潰れたかというと、IOCが、これは一都市でやるものだから複数の都市はだめなんだといって、この構想は流れたんですよ。そう言っていたIOCが何で、これは明らかに複数都市での開催ですね、それを進めるのかなというのは非常に不可解だなというふうに思います。

 あと、暑さ対策ということで考えれば、これはマラソンと競歩だけの問題じゃないですよね。ほかの競技も暑いですよ、大変ですよ。それで、これはアスリートファーストですから、当然アスリートのことは考えなければいけないけれども、アスリートだけじゃなくて観客やスタッフのことも考えなければいけないですよね、皆さん。それで、ことしの開催期間を見ると、三十四度とか三十五度の日が軒並みあるわけですよ。

 今回、テロ対策ということで、多分、入場するのに手荷物検査に非常に時間がかかります。あと、チケットを買うときに全部名前を登録することになっていますから、入場するのに名前の確認をするわけですよ。六万人のスタジアムで、一人一人の名前を確認して手荷物検査をして入場するとなると、しかも外国人もたくさんいる、言葉が通じません、一体どれぐらいの時間になると想像しますか。相当な時間になりますよね。その間、並んで待つわけですよ。熱中症で倒れる人が出るかもしれませんよね。

 これに対して、皆さん、組織委員会がどんな暑さ対策をしようとしているか、知っていますか。何と、入り口からアサガオを並べるらしいんですよ、アサガオの鉢を並べる。アサガオを並べて体温が下がることはないけれども、視覚的に涼を感じるから、涼しく感じるからと。皆さん、どう思いますか。何の意味があるんだと。特に外国から来た人は、アサガオを知らない人もいると思いますよ、見ても涼しいと感じませんよね。アサガオは朝咲くから、午後の暑い時期になったらしおれちゃっていて、何か余計こちらもしおれてくるんじゃないか、皆さん、そう思いませんか。これにお金をかけて鉢を並べる、こんなばかげたことを言っているわけですよ。

 大臣、アサガオを並べて暑さ対策になると思いますか。

橋本国務大臣 あらゆる対策の中の一つがアサガオで、精神的な部分においてそういった気分になっていただくというのも、一つの、景観も含めた中でのものだというふうに思っておりますけれども。

 その中で、ミスト対策ですとか、あるいは、AIという技術を使ってスムーズに個別な対応を、チケットですね、顔認証も含めて、そういった中で、スムーズに時間をかけないで入場していただくという技術的な部分においての今研究等をなされて準備に入っているというところであります。ただそれだけ一つということではなくて、暑さ対策の予防をするために、水分の補給ですとかうちわの配布ですとか、あらゆる観点から見てしっかりとした対応をしていくということで取り組んでおりますので、全体的に、これからさらなる暑さ対策の要求が調整委員会の中でIOCからも示されていくと思いますので、今後、しっかりとその対応を見守っていきたいというふうに思います。

初鹿委員 いろいろなことをやるというのはわかるけれども、アサガオを並べるのは全く意味がないから、やめた方がいいと思いますよ。

 ミストだとかいろいろ言っていますけれども、今回夏にやったテストイベントでは雪を降らせてみたんですよね。皆さん、暑い中雪を降らせたら、解けるわけですよ。服がびしょびしょですよ。そんな、誰でもわかるようなことをやっているわけですよ。

 何が言いたいかというと、きっと無理なんですよ、暑さ対策。特に、観客、どんな人が来るかわかりません。子供もいるし、お年寄りもいるかもしれないし、体に何らかの病気を持っている方も来るかもしれない。そういう人たちが本当に安全に安心して見られるような気候ではないというふうに思います。

 そう考えると、マラソンと競歩を札幌に移す、それだけで十分かといったらやはり不十分で、ここは国からもぜひIOCに提案をしてもらいたいんですけれども、東京都や組織委員会とも相談をしてもらいたいんですけれども、開催日程を変更する以外に私は方法はないと思いますよ。やはり八月開催は無理なんですよ。パラリンピックを先にやって、パラリンピックが終わった後からオリンピックをやったらどうですか。オリンピックを先にやる必要なんてないんですよ。これはIOCの放映権の問題とかがあるのかもしれませんけれども、金の問題と人の命の問題とどっちが大切なのかということですよ。

 四時から集まるみたいですから、国から、きょうの委員会でそういう提案があった、IOCとしては金と人の命とどっちが大切なんですかと、ぜひ提案していただけないでしょうか。

橋本国務大臣 委員御指摘の趣旨は十分理解をしております。

 長いオリンピック、パラリンピックの歴史の中で、特にロサンゼルスのオリンピックから商業オリンピックということに変わってきたという背景があります。その中で、スポンサーというものが非常に重要な位置を占めるような状況になってきました。

 もちろん、アスリートファーストということが第一でありますけれども、国際オリンピック委員会がこの巨大なオリンピック、パラリンピックを運営するに当たっては、やはりスポンサーというものの意見も聞き入れなければいけないということの中で、七月や八月の開催ということが決まってきたということがあります。

 また、パラリンピックを先にやって、その後のオリンピックでいいのではないかという意見は、今までもたくさん出てきておりました。ただ、施設の改修であったりですとか、いろいろなスロープをつけたりというパラリンピック仕様にするためには、どうしてもオリンピックの後のパラリンピックの方が運営をしやすいという、IOCとIPC、国際パラリンピック委員会との話合いの中でこういう日程協議がされてきたという背景もございます。

 実際には、今までやってきた暑さ対策というものを、一番解決する手段は何があるかというと、当然、開催の日程をずらすということが一番であるということも誰もが承知しているわけですけれども、そういったことも含めて、今回、ドーハの結果を見て、開催場所をマラソンと競歩については変えようというふうに、こういう急な状況というのは、まさに今回の調整委員会の中で、今後そのようなことがあっていいかどうかということも含めて議論をされていくというのは当然だというふうに思っておりますので、そういった御意見を踏まえて調整委員会を見守りたいというふうに思います。

初鹿委員 大臣も、当然、オリンピックの選手であったから、今の状況を苦々しく思っているんじゃないかというふうに今答弁を聞いて感じさせていただきました。

 ぜひ、本当に国としては、今大臣が言ったように、日にちをずらすという方法を模索するように、積極的に働きかけていただきたいなと思います。パラリンピックを先にやることで、いろいろな準備に時間がかかったり手間がかかったりというのはありますけれども、それはみんなで努力すれば乗り越えられることだと思います。しかし、天気はみんなが努力しても変えられないわけでありますから、そこをクリアする方法というのは、私はやはり開催日を変える以外に今はないのではないかというふうに思いますので、ぜひ積極的な働きかけをお願いさせていただきます。

 大臣、ありがとうございました。

 では、次の質問に入ります。次は、あいちトリエンナーレの補助金の不交付決定についての質問をさせていただきます。

 今、皆さんのお手元に、私が今回出した質問主意書と答弁をつけさせていただきました。こちら、読んでいただけるとわかるんですけれども、今回、補助金の不交付を決定して補助金を出さなかったんですけれども、実は、この補助事業としての決定は取り消されていないんですよね。

 皆さん、でも、この補助事業の要綱を見ると、二枚めくっていただいたところに募集要項をつけているんですが、事業概要というところで、事業の目的、その後にすぐ補助金交付の対象となる事業期間ということが書いてあって、つまり、この補助事業というのは、補助金を出すことを決めるものなんですよ。つまり、補助金を出す、出さないと事業の採択、不採択というのは表裏一体なわけであります。

 それを、この質問主意書を見ると、答弁を見ると、四のところで、「推進事業としての採択に係る審査手続においてではなく、補助金の交付申請に係る審査手続において行ったものである。」ということで、補助金の審査に不備があったからということで補助金を交付しないという決定を出している。何かおかしいですよね。どこをどう読んでも、補助事業を取り消さないで、事業採択を取り消さないで補助金を出さないという決定ができるなんということは書いていないんですよね。

 これは、一体どういう根拠に基づいて、補助事業としての採択を取り消さないで補助金の交付をしないということができるのかをちゃんと説明してください。根拠を示して説明してください。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の文化資源活用推進事業でございますけれども、文化庁では、この事業に応募のあった事業につきまして、今お話がありましたように、外部有識者による審査委員会の審査を経て採択し、その後、補助金の交付を受けようとする者から改めて補助金交付申請書の提出を受けて、その申請に係る審査を行った上で補助金の交付について決定することとしているものでございます。

 今回の補助金不交付決定は、採択に係る審査手続においてではなく、補助金の交付申請に係る審査手続において不交付決定を行ったものであり、文化庁としては、補助金交付手続の流れに沿って、関係法令等に基づき適切に対応していると考えております。

初鹿委員 補助金の交付の申請に、こういうことがあったら補助金交付はできませんよということの中にああいう表現の不自由展のようなものがあって、それが脅迫などで開催できなくなったような、そういう事例によって交付できなくなるようなことは一切書いていないですよね。

今里政府参考人 補助金の募集案内におきまして審査の視点を示してございまして、その審査の視点に、確実にこれが実施できることという視点がございます。

初鹿委員 ありがとうございます。

 その募集案内は、補助金の募集案内じゃなくて補助事業のですよね。

今里政府参考人 補助事業の募集案内でございます。

初鹿委員 補助事業の募集案内には書いてあるけれども、補助事業で採択された後に事務的に補助金の申請をするものには、何もそんなことは書いていないんですよ。

 だから、補助事業として採択されたものは、自動的に、手続をきちんと進めれば補助金の交付は受けられるんですよ。そこで、補助事業としての採択を取り消さずに補助金交付ができなくなるなんという根拠は全くないわけですよ。

 今の説明だったら、まずは補助事業としての採択を取り消すということをやらなければ、補助金の交付をしないなんということはできないはずですよ。違いますか。

今里政府参考人 先ほど、関係法令等に基づき適切に対応しておりますと申し上げたところでございますけれども、補助金等の交付の決定の手続について定めた補助金適正化法第六条、それから本件事業の審査の視点、本件事業の補助金の交付の目的等を明示した交付要綱などを踏まえ、総合的に判断して不交付の決定をしたものでございます。

初鹿委員 いや、だから、私が言っているのは、補助事業を採択したことをまず取り消せばよかったんじゃないんですか。これは、ちゃんと審査会があって、そこで採択されたものですよ。そうしたら、もう一回審査会に戻して、審査会で諮って手続を踏む必要があったんじゃないんですか。それをやらないで補助金を出さないということをやるから、審査員の方が憤慨をして、やめると言ってやめられたわけですよね。それは当然だと思いますよ。何で決めた私たちが、補助金の交付をしないという決定に加われないのかと。おかしいと思いますよ。

 じゃ、なぜこれをもう一回審査した審査委員会に差し戻さなかったんですか。そこで議論をしないで、どうしてこういう乱暴な決定の仕方をしたのか。誰が決めたんですか。

今里政府参考人 繰り返しのお答えになりますけれども、外部有識者による審査委員会の審査を経て採択し、その上で改めて補助金交付申請の提出を受けて、その申請に係る審査を行った上で補助金の交付について決定するという仕組みになっているわけでございます。

 今回の補助金不交付決定は、審査会による採択後、補助金申請者である愛知県が、補助事業の申請手続において、会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、文化庁への申告をしなかったことを踏まえて判断したものであります。

初鹿委員 でも、全く理由になっていないと思うんですよね。

 このような、本当に手続をきちんととらないで、誰の判断で行ったのかはっきりしませんけれども、こういう文化行政を恣意的に中身を判断するようなことで補助する、補助しないというようなことを決めるのは非常に問題があると思います。

 そして、これはあいちトリエンナーレだけではなくて、その後また同様のことが起こっているわけですね。ニュースにもなっておりますが、ピエール瀧氏という、麻薬取締法で逮捕され、実刑判決が出た方が出演をしている映画「宮本から君へ」というものに対して助成金が出ることが決まっていたわけですが、その助成金の交付決定が取り消されてしまった。そして、それにあわせて、芸文振が、もともと要綱には書いていなかったんですが、要綱に「公共性の観点から」という文言を後から加えたということなんですね。

 お手元にその不交付の決定をしたときの文書をお配りさせていただいておりますが、一枚めくっていただくと、不交付決定の理由というところに、「本助成対象活動である映画」、これは「宮本から君へ」という映画です、「には、麻薬及び向精神薬取締法違反により有罪が確定した者が出演しており、これに対し、国の事業による助成金を交付することは、公益性の観点から、適当ではないため。」と。

 公益性の観点からというのは、具体的にどういうことですか。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の日本芸術文化振興会における不交付決定に当たっては、当該映画作品に麻薬及び向精神薬取締法違反により有罪が確定した者が出演しており、これに対し、国の事業による助成金を交付することは、薬物乱用が深刻な社会問題の一つとなっている中、国が薬物の使用を容認するようなメッセージを結果的に国民に発信することとなるおそれがあり、公益性の観点から適当でないと判断したと承知しております。

初鹿委員 別にこの作品は、薬物を推進するような作品なわけではないわけですよ。内容的には非常にすばらしい作品だ、そういう評価がされているわけであって、それが、作品ができ上がった後にこういう逮捕されて実刑判決を受けた方が出ているということになった、それをもって取り消すということになったとしたら、じゃ、今後、例えば薬物事犯で逮捕された方が更生をしていこうというときに、改めて映画に出るということがしづらくなるんじゃないかという懸念を持ちますよね。

 御存じのとおり、薬物事犯というのは再犯のリスクが非常に高いものであります。そういう方を例えばキャストで使って、この助成金の申請をして、通る通らない、そういう段階で万が一再犯をしてしまったとしたら、今回みたいに助成金がもらえなくなる。そう思ったら、制作者側はそういう方々をキャストとして使いづらくなると思うんですよね。

 まさに、薬物依存症の方々の更生を妨げることにもつながりかねないような今回の決定だと思います。私は非常に不適切だと思いますけれども、いかがですか。

今里政府参考人 この不交付決定をした時点のことを考えますと、やはり先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、国が薬物の使用を容認するようなメッセージを結果的に国民に発信することとなるおそれがあって適当でないと判断したということが適切かと考えております。

初鹿委員 この時点というおっしゃり方をしましたが、この時点においては要綱は改正されていないから、公益性の観点から助成金の交付内定や交付決定の取消しを行うことはありますというのは書いていなかったわけですよね。

 どんな罪でも、法律でないときには裁かれないんですよね。これはひどいことだな、これは罪として罰した方がいいんじゃないかといって後から法律ができたとしても、前にやっていることは裁かれないわけですよ。それを、後からルールをつくって裁いてしまうというか、そういう決定をするというのは、私は非常に不適切だったというふうに思います。

 ぜひ、こういう決定の仕方が二度とないようにしていただきたいのと、やはり文化に関しては、そこに恣意的な判断を加えて補助金を出す出さないということがないようにしていただきたいということを念を押させていただきます。

 それでは、英語の民間試験について質問をさせていただきます。

 まず、午前中に城井先生からもお話がありましたが、その際に大臣は、何度も言っていますけれども、受験生の不安や懸念を一つ一つ払拭して確実に実施をしていくという答弁をされていますよね。ところが、日がたつにつれて、不安や懸念が一つ一つふえているんですよね。

 私は、経済的な問題で格差が出ることや地域間の格差が出ること、また公平性に非常に問題があるということなどさまざま問題があるけれども、根本的にこれは間違っていると思っているんですよ。なぜならば、この民間試験を活用する目的が達成できないからです。

 これは何で民間試験を導入するようになったんですか。何でかといったら、英語四技能、読む、書く、聞く、話すの四つの技能を、現在の共通テストだとマークシートだから、話すと書くがはかれない、だから話すと書くもちゃんとはかれるようにしよう。ただ、スピーキングの試験を五十万人が一遍に受ける試験で同時に行うことは不可能ですよね、だから民間試験を使いますよということですけれども、この民間試験でスピーキングと書く、ライティングがはかれるかですよ。AさんとBさんでどっちがスピーキングの能力があるのか、これではかれると思いますか。

 はかれない理由を非常にわかりやすく説明します。

 例えば百点満点の試験だとして、四技能が四分の一ずつあるとします。じゃ、スピーキングとライティングがどっちも、両方満点だけれども、ほかが零点だったとしても五十点。逆に、スピーキングとライティングがどっちも零点で、ほかが満点だったら五十点。二人とも同じ五十点なんですよね。これで基準は、点数としては五十点という判断になるわけですけれども、はかりたいスピーキングは満点の人と零点の人なんですよ。これを同列の五十点で扱っていいんですか。扱っちゃだめですよね。

 つまり、皆さん方が目的としている、話す、書くを、この試験では優劣つけるそういう判断材料には使えないということですが、大臣、これは根本的に目的が達成できていないと思いませんか。

萩生田国務大臣 今、初鹿先生が例えばということで配分をされた、二十五点ずつに分けるという前提なんですけれども、団体との協議の中では、バランスよく配点をするということでお話をしていると思いますので、必ずしも今の例にはならないのではないかと思います。

初鹿委員 それがでたらめだということですよ。だって、共通テストで読むと聞くはもうはかれているわけですよ。読むと聞くはここではかれているけれども、書くと話すがはかれないから、書くと話すをはかるために民間の試験を使おうといって、それで導入されたわけですよね。ところが、四技能を満遍なく見る試験ですよということになったら、話すと書くがきちんと能力がついているのかついていないのか、この試験じゃ全くはかれないじゃないですか。目的が達成できないでしょう。

 これで、じゃ、スピーキングの能力がAさんとBさんとどっちがすぐれているのかを判断できるんですか。大臣、判断できるかできないか、答えてください。

萩生田国務大臣 受験生に提供される項目の中に、四技能別のCEFRの段階別表示ということで、各団体がマル・バツで提示をしております。今、中には、先生御指摘のように、そういう判断をしないという試験も見受けられますけれども、大半は、四技能を段階別に表示するというような採点基準になっています。

初鹿委員 でも、使うときは、トータルの得点ではかるわけですよね。

 だって、このCEFRの対照表と、あと次のページを見ていただくと、大学のどういう活用方法かというのを出していますけれども、出願資格で、例えばCEFRのA2以上、CEFRのA1以上というように、結局、個々、どういう点数だったかじゃなくて、このCEFRの中のどこの段階に入るかで判断されるわけですよ。だから、はかれないんですよ。でたらめだということですよ、この時点で。

 じゃ、仮に、何らかはかれているんだというふうにしたとしたら、A1で出願資格にしているというのは、これでいいんでしょうか。

 大学入試をするに当たって、きちんと高校で学んだことを習得しているということを確認するためにやるわけですよね。そうなると、A1レベルというのはどういうレベルかといったら、ここで対照表をつけましたけれども、裏に、ケンブリッジ大学英語検定のA1とはどういうものかというのを示しました。「具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、」云々と書いてありますが、これだとよくわからないので、次に、英検の級とそれがどういうレベルかというのを示した表をつけさせていただきました。

 三級が中学校卒業程度、準二級が高校中級程度なんですよ。それで、CEFRの方の対照表を見てください。A1、A2で英検のところを見ると、A1レベルは三級と準二級の合格点に満たないところだから、つまり、CEFRのA1レベルというのは中学卒業程度なわけですよ。A2レベルでも、二級が高校卒業程度ですから、高校卒業程度に満たないんですよ。

 大学受験をする学生さんたちは、当然中学卒業レベルはクリアしているわけですよね、クリアしていなかったら二次試験に受からないですから。そう考えると、A1レベルを出願資格にしているということは、当然受かるものに対して五千何がしのお金を払わないと、大学を受けられない。ある意味、事実上受験料を値上げされたようなものですよ。こんなでたらめはないと思いますよ。

 これは、大臣、四技能をはかるため、スピーキングやライティングをはかるためだというんだったら、出願資格でA1レベルなんというのは認めないようにするべきだと思いますけれども、これを大学の自主性に任せて、それでいいと思いますか。

萩生田国務大臣 そこは各大学の判断に委ねたいと思います。

初鹿委員 そうであるならば、共通テストでやる必要はありません。それぞれの二次試験において、出願資格として大学それぞれが決めればいいことです。それを、全ての大学生がみんな同じように受けなければいけない、その必要性は全くないと思います。

 そして、経済的な問題をもう一回聞きますけれども、安倍総理は所信表明で何と言っているかといったら、「子どもたちの誰もが、家庭の経済状況に関わらず、自らの夢に向かって頑張ることができる。そうした社会を創り上げます。」と言っているんですけれども、全く逆に行っているじゃないですか。

 やはり、これは追加の費用がかかる。それが、地域によっては、宿泊とかを伴って、一回受けるのに五万円ぐらいかかる、二回受けるということになったら十万円になるわけですよ。これは、一回でやめておこうかな、そういう家庭が出てくることも容易に想像できますよね。

 私、大臣の身の丈発言のニュースを見て、自分のことを思い出しましたよ。中学校三年生のときに三者面談をやったんですよね。うちは経済的に豊かじゃありませんでした。都立のどこを受けるの、ここを受けますよと。先生が、じゃ、滑りどめの私立はと言いかけたところ、うちの母親はそれを遮って、お金がないので私立は受けさせませんから、落ちるようだったら働かせますと、ばっさり言いましたね。私も、びっくりしましたけれども、ああ、そうなんだと思いました。身の丈に合うというのはそういうことなんですよ。

 今、みんな、身の丈に合うように受けているんですよ、残念ながら。それを、少しでも負担をなくしていこうというのが政府のやるべきことじゃないですか。それを、新たな負担がふえることをなぜやるのか。そして、最初に言ったように、それが意味のあることだったらいいけれども、全く意味がないわけですよ、スピーキングの能力なんてはかれないんですから。こんなばかげたことは絶対にやるべきじゃないと思いますよ。

 大臣、今の話を聞いても、これでもまだやるつもりですか。本当にここは一旦立ちどまって、絶対に導入するのはやめていただきたい。いかがですか。

萩生田国務大臣 さまざまな御指摘を受けとめながら、一つ一つ改善をしていきたいと思います。

 既に、高等学校の受験生は、準備を念頭に、準備をされている方もいることから、受験生等の不安や懸念を一つ一つ解消し、二〇二〇年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

初鹿委員 一つ一つ解消していませんよ。

 先ほどの城井さんの質問でも私は驚きましたけれども、受験料の軽減は全部実施機関任せだ、それで、経済的に困窮をしているような家庭がそんな負担はできないじゃないかと言ったら、給付つき奨学金で見ますよと。それは入ってからの話じゃないですか。じゃ、浪人した人は切り捨てるんですか。大学は落ちて、それで心が痛んでいるのに、更に、あなたたちには受験料の補助はしませんよといって切り捨てるんですか。それでいいと思っているんですか。

萩生田国務大臣 繰り返しになりますけれども、先ほど城井先生の質問に対しても、十一月一日の会場の様子を見て、できることをきちんとやっていきたいというふうに申し上げました。

 きょうの段階でこういったメニューということをお示しすることはできませんけれども、セーフティーネットを幅広く張っていくということを先ほども答弁させていただいたところでございますので、皆さんのさまざまな御意見を真摯に受けとめて対応をしっかり考えていきたいと思います。

初鹿委員 では、確認をしますけれども、受験料の軽減措置は今、実施機関に丸投げ、お任せにしておりますが、国として、全ての子供たちがきちんと対象となるような、そして経済的に困窮している家庭が賄える範囲の金額になるような国の支援策をつくるということを検討するということでよろしいですか。

萩生田国務大臣 きょうのこの質疑の中で制度設計の中身までつまびらかにお話しすることはできませんけれども、問題意識は持っております。経済的に困窮な方たちが、例えば二回目の試験を受けることが困難じゃないかという例示がありました。そういったことも含めて、ぜひ前向きな検討を加えていきたいと思っています。

初鹿委員 全然一つ一つの不安が解消できないですよね。

 もう時間がないみたいなので、あともう一つ、予約金問題で一言言わせていただきます。

 英検が、もう来年の四月以降の予約を始めて、予約金を取っていると。これに対して批判が出たら、予約金の返還をしますよと言い出して、これが十一月の五日から十一日までですか。

 予約金を返してもらいたくなるのが一体どういう状況かというのをわかっているんですか。例えば高三生で浪人した場合に、受けられなくなると困るから予約をしているという方々が、試験に受かって受ける必要がなくなった、そのときに返さないということに、これじゃなるじゃないですか。

 今返してもらいたいなんという人はほとんどいないと思いますよ、予約した人で。本当に、三月が終わって結果が出て、四月になって、又は進路を変更して大学を受けないということになって、それで返してもらいたいというときに返してもらえる制度じゃなかったら、全く意味がありませんよ。

 このことはどう考えているんですか。

萩生田国務大臣 英検協会に対しては、これまで、英検SCBTの予約申込期間や返金受け付け期間の延長を要請してきたところですが、十月七日に、予約申込受け付け終了日を十一月十一日まで延長するとともに、返金申込受け付け期間を十一月五日から十一日までとする旨を公表したことは承知をしております。

 御指摘のように、これで十分かと言われれば、いろいろ不備が私もあると思います。

 予約申込みは、一つは会場確保の取組の一環ということもあります。会場を借りるに当たって費用が発生するとすれば、当然、団体側もキャンセル料を払わなきゃならないという経済行為も発生するんだと思うので、じゃ、そこをどうやって埋めていくかということを知恵を出してまいって、ぜひ、高校三年生が、あらかじめ申し込んで、せっかく合格したのに要らなくなった受験費用が返ってこないというのは、全額返ってこないというのはちょっと私も違和感を感じますので、この辺、更に努力をさせていただきたいと思います。

橘委員長 初鹿君、時間が終わっております。

初鹿委員 はい。

 全額というのを強調していましたけれども、手数料を引くようなことがあってもいけないと思いますよ。

 もう時間がなくなりましたのでこれで終わりますが、やはり延期じゃなくて断念しかないと思いますよ。これはやめるしかないと思います。ぜひ決断をお願いいたします。

橘委員長 次に、川内博史君。

川内委員 萩生田大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 橋本大臣におかれましても、ぜひ質疑を聞いていただいて、子供たちのために今私たち大人が何をすべきかということをみんなで考えていく質疑にしてまいりたいというふうに思います。

 萩生田大臣からは、英語民間検定試験問題について、一生懸命頑張っているんだよ、懸念や不安がないようにしていくからねという御答弁が朝からずっと続いているわけでございます。

 受験というのは、子供たちあるいはその受験生を抱える家庭にとって大きな出来事ですよね。家を挙げてその受験生を応援する、そういうイベントではないかというふうに思います。

 萩生田大臣のきょうの御発言の中で、九月いっぱいでこのシステムに参加する大学学部・学科、出そろっているよ、それは公開しているよという御答弁だったわけですけれども、その大学大学、学部学部、学科学科によって民間英語検定試験の扱いが違うということさえも、受験生は複数の大学を考えるわけじゃないですか、自分が学びたいこと、自分が行きたい大学。ところが、自分が行きたい大学学部・学科が複数あって、その複数の学部・学科がこの民間英語検定に対する扱いが違うと、これは、そのどっちかをとらなきゃいけなくなってしまう。受験対策ってめっちゃ大変なことで、どっちも受けられますということにはなかなかならないわけですよね。どっちかを選ばなきゃいけない。

 そういう意味でも、受験生の選択肢を奪うことにつながってしまっているのではないかということを指摘しなければならないというふうに思いますし、今、初鹿議員の質問に対して萩生田大臣が、今準備している受験生もいるからねという御答弁があったわけですが、もちろん、どんな状況になっても対応できる受験生も、あるいは御家庭もあると思います。ただし、地方やあるいは経済的に恵まれないおうちや、そういう多数の受験生にとっては、このままこのシステムが突っ込んでいくことの混乱よりも、立ちどまって考える方がよい混乱だと思うんです、立ちどまって考える方が。

 このまま突っ込むと悪い混乱になるし、立ちどまって考えるとよい混乱になる。なぜなら、よい混乱とは、せっかく萩生田大臣が身の丈発言で、多くの高校生が、この問題について一人一人みんな考えるようになっているわけですね。これが果たしていいシステムなのか、あるいはそうでないシステムなのかということをみんなが考え始めている。だから高校生がネットで署名なんかも始めているわけですよね、みんなでもう一回考えようよと。

 これは、私、文部科学省を、敬意を表したいと思うんです。主体的で対話的で深い学びをしていこうね、そして生きる力を育んでいこうね、そういう文部科学省の教育に対する理念が、そういう子供たちの主体性を引き出して、自分たちのことだから、受験生にとっては、自分たちのことをもう一度よく立ちどまって考えてくださいよという声を上げ始めているということに関して、我々大人がどう対応するのかということが今問われていると思うんです。

 官房長官が、政府としてどうするんですかと会見で聞かれたら、いや、萩生田大臣が決めるからと。まさしく萩生田大臣もすごい悩んでいらっしゃると思うんです。一生懸命考えていらっしゃると思うんです。それはよく伝わってまいります。

 十一月一日にいろいろなことが出そろうからね、それを待っていてねということなわけでございますけれども、十一月一日に実施団体からさまざまな情報が出そろう、その時点においても、きょうさまざまに出されていたような不安、あるいは懸念、あるいは問題点、そういうものが解消できないということが指摘をされ、更に不安や混乱が拡大をするようであれば、そのときは、私は、この制度についてちょっと立ちどまることを検討するよということは、大臣としてお考えになられたらいかがかというふうに、まず冒頭申し上げさせていただきたいんですけれども、大臣のお考えを聞かせていただけますか。

萩生田国務大臣 繰り返し申し上げていますけれども、基本的には、円滑な実施に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っています。

 ただし、具体的に幾つかこれから改善をしなきゃなりませんということで、先ほどから多くの先生方からの質疑に答えている内容は、十一月以降の会場が出てこないと、私が申し上げていることが進められるか進められないかというのはわからない部分もあります。

 おっしゃるように、これだけ期限が近づいている中で、いまだ会場もわからない、あるいはこちらからお願いしている減額条件についても提示がないというような状態が更に続くとすれば、仮定の質問でありますけれども、更にさまざまに深く考えていかなきゃいけないという思いは、内心ではしっかり持っています。

川内委員 ぜひ、これは本当に大事な、子供たちが、大人がどうこの問題に対応するか、じいっと見ていると思うんですよね。

 よく学校で子供たちの意見として耳にするのは、どうせ大人はと。どうせ大人はという言葉がよく出るというふうに聞くんですけれども、私たち大人たちが子供たちのことを理解し、そして子供たちの未来に対してどうコミットしていくのかということについて、今大臣から、内心ではいろいろ考えているからねという御答弁でありました。

 ぜひ、十一月一日を私どもも注目をして見させていただきたいと思いますし、さらに、その時点において不安や懸念が解消できないとすれば、これは延期に向けて早急な検討を始めるべきであるというふうに思うんですが、前提として、萩生田大臣がこのシステムについて、高校、大学の関係者の合意に基づいてやっているんだよということを累次御発言をされていらっしゃるんですが、これは事務方から事実を教えていただきたいんですけれども、高校、大学の関係者の合意に基づく方針というのは、何という会議の、何という報告書をつくる際に、どういう高校の関係者、どういう大学の関係者が合意したのか。この民間英語検定を入試に活用するということを、その事実を一体どこで決めたのか、誰が決めたのかということをちょっと教えていただけますか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 この英語の資格検定試験の活用につきましては、高等学校関係者、大学関係者や有識者で構成する大学入学希望者学力評価テスト(仮称)検討・準備グループという会議で検討を行いました。検討期間は平成二十八年四月から二十九年五月で、メンバーは、もう少し言及いたしますと、公私立の高校関係者、あるいは県の教育長関係者、国立、私立の大学入試に見識のある大学の関係者らから構成する検討・準備グループにおいて検討を行いました。

 そして、この会議での検討結果をもとに、一カ月間のパブリックコメントをいたしましたが、そのパブリックコメントを経て、文部科学省として、民間の資格検定試験の活用等の方針を定めた大学入学共通テスト実施方針を平成二十九年七月に決定した、こういう経緯でございます。

川内委員 この検討・準備グループの会合では、高校の関係者というのはどういう関係者が出ていらっしゃったんでしょうか。

伯井政府参考人 公立関係者といたしましては、当時、東京都立西高等学校長の宮本校長先生と、あと、私立の校長先生が参加しておられました。

川内委員 その都立高校の校長先生というのは、全国の公立学校協会というのか公立学校校長協会というのか、そういうところに諮って、推薦で出てきていただいて、こういうことを決めるからねということを機関決定した上で合意になっているんでしょうか。その手続について教えていただけますか。

伯井政府参考人 現在、名簿を確認し、当時の宮本久也会長であったということは記憶しておりますけれども、それが全国高等学校校長会の正式推薦としてメンバーで選ばれたのかどうかは、ちょっとつまびらかではございません。

川内委員 だから大臣、今聞いていただいたとおり、高校関係者、大学関係者が寄り合って合意したんだよという、文部科学省がおつくりになられた文章だと思うんですけれども、それを大臣は説明を聞いて、そうかということで御発言されていらっしゃったんだと思うんですが、これは物すごい重要な問題なので。高校の団体の代表がその団体に諮った上で、きちんとこういうシステムになっているのか否かということについては、めちゃめちゃ大事だと思うんです。

 ところが、今の御答弁からしても、それはちょっとあやふやだねと。これは大学も一緒です。だからこそ、もう一度みんなで寄り合って、一部の人が考えたシステムではなくて、みんなで寄り合って、みんなで子供たちの未来を考えていくということが必要なんじゃないかということを、めちゃめちゃくどく感じるかもしれませんが、申し上げておきたいというふうに思います。

 さらに、もう一点、この民間英語検定試験というものがなぜこれだけ多くの問題が指摘をされるのかというと、参加要件というものが決まって、その参加要件に基づいて、実施団体が、ああ、それなら参加しますよということで事業者が参加する、そして大学入試センターと協定書を結んで、やるからねということになるわけですが、その参加要件とか協定書で決められていること以外は、これはもう民間の事業者がやることなので、あとは文部科学省はお願いするしかない。授業料の軽減措置についても、会場の確保についても、あるいは障害がある方々に対する配慮についても、全部お願いするしかない。頼むね、頼むねということをお願いするしかない。

 文部科学省が行政として、いや、受験というのは公平公正でなければならないからこうするんだということが言えない状況だ。だから受験生が不安に思うし、疑問点をたくさん出していらっしゃる状況ではないかというふうに思います。

 そこで伺いたいんですが、これも事務方から事実関係を教えていただきたいんですけれども、実施団体に関連して、参加要件が決められているわけですけれども、この参加要件を議論した会合というのは何という会合なのか、そしてその会合では実施団体から要望を聞いたのか、こういう参加要件をつくってくださいねという実施団体からの要望を聞いたのかということを教えていただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えします。

 参加要件を議論した会議体は、独立行政法人大学入試センター英語四技能実施企画部会という、大学入試センターに置かれていた部会でございます。

 参加要件の検討段階においては、実施団体に対して、専門的な観点から意見を求めたことはございます。ただ、当時はどの実施団体が英語成績提供システムに参加の申込みを行うのか不明でございましたので、あくまで国内で広く実施され、一定の評価が定着している資格検定試験の実施団体に対して意見聴取を行ったというものでございます。

川内委員 参加要件を決めるに当たっては、事業者から、実施団体から意見を聞いた、要望を聞いたと。参加要件を最終的に決める段階で、事業者、実施団体に確認をとっていますよね。

伯井政府参考人 あくまでも、その意見聴取というのは当該企画部会における検討の参考というために実施したというふうに聞いておりまして、そういう意味で、確認というか、全てのシステム参加試験の実施団体がその意見聴取の対象にはなっていなかったものでございますので、必ずしも確認という行為なのか、あくまで実施企画部会で議論したというものでございます。

川内委員 全ての事業者、実施団体に確認をとったかどうかは別にして、最後、参加要件を最終的に決定をするに当たって、実施団体、事業者に確認をとったという事実があるのか否かということについて聞かせていただいております。その事実を答えていただけますか。

伯井政府参考人 これは少し、大学入試センターの方に確認してみないとわからないことでございますので、確認をさせていただきますが。

 ただ、参加試験の実施団体のうち、ヒアリングというか意見聴取の対象になっていないのは、IELTSオーストラリアとブリティッシュカウンシル、ともにIELTSの実施団体ですけれども、対象とならなかったというふうに聞いております。

 一方、TOEICは取り下げたわけですけれども、そのときは一応意見聴取は行ったというものでございますので、恐らくその団体との一定のやりとりをしながら参加要件を固めていったというふうに考えられます。

川内委員 更に事実確認をさせていただくんですけれども、その企画部会、参加要件を決めた企画部会の座長さんは英検の関係者であった、英検の問題を作成している学者の先生であったということでよろしいんですか。

伯井政府参考人 座長は吉田研作上智大学教授でございます。これは公表について本人の同意もとらせていただきましたので答弁させていただきますが、吉田先生で、吉田先生は英検協会が実施するTEAPの設計にかかわる、実施団体の試験の設計などに協力したことがあることは承知しておりますが、同座長は、高度な専門的、技術的な英語の知見を持っておられる、外国語教育に関する学識経験者の立場で参加されたということでございます。

川内委員 実施団体の利害関係者が参加要件を決定する会議体の座長であったということなわけで、別に、それをもって、だからだめなんだとか言う気はないですよ、私も。吉田先生も一生懸命おやりになられたんだろうというふうに思います。

 だけれども、結局、大臣、読む、聞く、書く、話すを、技能を向上させようというのは誰も反対しないです。いいことだね、それは大いにやろうとみんな思います。だけれども、では、民間の英語検定でそれをはかりましょうねということを一体どこで誰が決めたのか、ちょっとよくわからない状況ですけれども、今、この目的が自己目的化してしまっていて、もうとにかくそれをやるんだということになっているわけですよね。

 世の中で、よくよく考えると、こういうことというのは間々あるな、本当の、本質の目的がどこかに置き去りにされて、何かもうとにかく手段だけが自己目的化していくみたいな今の状況なのではないかということを大変私は危惧するわけですね。

 もう一つ、これは決定的なんですけれども、スピーキング、先ほど萩生田大臣も、スピーキングが大事だということで、ただ、それを今回のこの民間英語検定ではかれるのかという議論を初鹿議員との間でされていたわけです。

 では、そのスピーキングの採点ですね、スピーキングの採点をするのはどこの国の人ですか。誰がするんですか。例えば、英語を使う、インドとか、あるいはフィリピンとか、イギリス、アメリカ、いろいろな国の人が採点に参加するんですか。それは、じゃ、文法を見るんでしょうか、それとも流暢にしゃべることが大事なんでしょうか。採点の基準はどうなるんでしょうか。これをちょっと教えていただけますか。

伯井政府参考人 採点者につきましては、成績提供システムの参加要件におきまして、採点の質を確保するための方策を公表していることというふうになっております。

 公表の具体的な内容は、各団体によって、ある意味まちまちでございますが、我々は、ポータルサイトでそれを公表していくことによってより質を高めていこうとしております。

 その場合、各団体で採点者の応募資格、選出基準を定めておりますし、一定のトレーニングをしている場合もあれば、ネーティブスピーカー、要するに外国の方も含めたネーティブスピーカーにスピーキングの採点を採点基準に基づいて任せるというような団体もあるというふうに承知しております。

川内委員 だから、大臣、私は、本当に受験生にとって、自分が解答したことがどんな採点基準で採点をされるのか、今のお話などを聞くと、めちゃめちゃ不安だと思うんですよね。

 さらに、問題が公表されないんですよね。自分が受けた英語民間検定の問題が公表されません。そうすると、もし問題に不備があった、だって、天下に名立たる国立大学でも、問題が間違っていましたとか、採点が間違っていましたとか、よくニュースでお聞きするわけですけれども、じゃ、この民間英語検定で問題にミスがありました、採点にミスがあります、さらにはシステムのふぐあいが生じましたと。もう大混乱になると思うんですよね。では、その責任、一体誰がとるんですかということになるわけですけれども、これは実施団体なのか、文部科学省なのか。いや、自己責任でしょう、その試験をたまたま受けた受験生、君が運が悪かったねということになるのか。

 そういう意味で、実施に踏み切るのか、それとも立ちどまって考えるのかということを最終的に決定をする権限を今持っていらっしゃる萩生田大臣しか決められないことなんですよ。

 我々は、いろいろ意見を言います。指摘もします。高校生からさまざまに意見も聞きます。今ネットで署名が始まっていますけれども、萩生田大臣、高校生の意見を、予算委員会でも申し上げたんですけれども、聞いてみませんか、一回。

 私は、中学校や高校の文化祭とか体育祭に行くのが大好きで、よく地元で文化祭や体育祭を見て子供たちからエネルギーをもらうんですけれども、すごい僕らが気づかないことに対する気づきを与えてくれるし。だって、大臣、マジマンジという言葉とか、御存じかどうかわかりませんけれども、新しい言葉を考えたりとか、すごい才能豊かなので、そういう高校生たちがこの新しい受験制度、システムについてどう見ているのか、どう考えているのかということを聞くことは、文科大臣がこれから教育行政に携わるときに、すごい示唆に富む会談になるというふうに思います。

 ぜひ、高校生の意見を聞いてみていただきたいと思うんですけれども、大臣の思いを聞かせていただけますか。

萩生田国務大臣 この担当になったときから、かなりの数、高校生のお話を直接聞いてきました。友達の息子さん、お嬢さん、まさに受験勉強されている世代の人たちにも聞いて、なるほど賛否両論あるなということも肌で感じてきました。

 がゆえに、行政としてできることを最大限やって、不安の解消をするその努力をしていこうということで、今現在努力中のところでございます。

川内委員 きょうは、あいちトリエンナーレのことも聞かせていただきたかったんですけれども、そろそろ私の質疑の時間が来ますので。

 この臨時国会における文部科学委員会は、議論すべきテーマがたくさんあります。ぜひ、委員長におかれては、積極的に委員会を開会していただけるようにお願いをしておきたいというふうに思いますし、最後、もう一度、萩生田大臣の先ほどの内心の御決意をお聞きしますが、十一月一日を踏まえて、それでもなお不安や問題点、疑問が解消できない場合においては、大臣としてしかるべき対応をとることも内心では考えているよということを御披瀝いただきたい。内心を披瀝すると内心にならなくなるんですけれども、ぜひ教えていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 大事なことは、受験生の皆さんが不安なく試験の準備ができることだと思います。今の段階でも足らざるところがあって、先生方からさまざま指摘をされました。解決できそうな事柄については、きちんと対応できるように全力で努力をしていきたいと思いますけれども、仮に今の状況より混乱が前に進むような事態が新たに確認できるようなことになれば、これは考えなくてはいけないかなという気持ちもあります。

 基本的には、一つ一つ問題の解決をして、私、前回、予算委員会でも川内先生にお話ししましたけれども、九月で一回切ったことで学校が明らかになりましたので、そういう意味では、いずれにしても、公平なチャレンジをする条件は整っているんだと思います。

 ただ、途中の質疑でもありましたけれども、しかし、それは第一希望はそうかもしれないけれども、複数の大学を受ける場合に、この試験を受ければいいやと思っていたけれども、この学校はこの試験しかないということになったら、最大公約数でいうと、こっちの試験を結果として二回受けなきゃならない、こっちはこの金額で済むと思ったけれども、こっちは済まないじゃないかという事態も、私も全く同じことを考えました。

 ですから、そういったことにどう政府としてお応えできるのか、しっかり考えていきたいと思います。

川内委員 終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十三分散会


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