衆議院

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第3号 令和2年3月11日(水曜日)

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令和二年三月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 白須賀貴樹君

   理事 田畑 裕明君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    大串 正樹君

      上川 陽子君    神山 佐市君

      櫻田 義孝君    柴山 昌彦君

      高木  啓君    谷川 弥一君

      出畑  実君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      宮路 拓馬君    吉良 州司君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      牧  義夫君    村上 史好君

      山本和嘉子君    吉川  元君

      笠  浩史君    高木 陽介君

      鰐淵 洋子君    畑野 君枝君

      森  夏枝君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       橋本 聖子君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 田口  康君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  諸戸 修二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            生川 浩史君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    瀧本  寛君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

三月十一日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(金子恭之君紹介)(第一四二号)

 同(神谷裕君紹介)(第一四三号)

 同(武部新君紹介)(第一四四号)

 同(山内康一君紹介)(第一四五号)

 同(荒井聰君紹介)(第一六五号)

 同(大野敬太郎君紹介)(第一六六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一六七号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第一六八号)

 同(繁本護君紹介)(第一六九号)

 同(階猛君紹介)(第一七〇号)

 同(高鳥修一君紹介)(第一七一号)

 同(中村喜四郎君紹介)(第一七二号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一七三号)

 同(堀井学君紹介)(第一七四号)

 同(前原誠司君紹介)(第一七五号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第一七六号)

 同(森山浩行君紹介)(第一七七号)

 同(和田義明君紹介)(第一七八号)

 同(青山大人君紹介)(第一九八号)

 同(井上義久君紹介)(第一九九号)

 同(岡本あき子君紹介)(第二〇〇号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第二〇一号)

 同(葉梨康弘君紹介)(第二〇二号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二〇三号)

 同(宗清皇一君紹介)(第二〇四号)

 同(矢上雅義君紹介)(第二〇五号)

 同(阿久津幸彦君紹介)(第二一三号)

 同(大隈和英君紹介)(第二一四号)

 同(高井崇志君紹介)(第二一五号)

 同(長尾秀樹君紹介)(第二一六号)

 同(太田昌孝君紹介)(第二三三号)

 同(金子恵美君紹介)(第二三四号)

 同(関芳弘君紹介)(第二三五号)

 同(山田賢司君紹介)(第二三六号)

 同(山本和嘉子君紹介)(第二三七号)

 同(佐藤公治君紹介)(第二四三号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第二八三号)

 同(大西宏幸君紹介)(第二八四号)

 同(櫻井周君紹介)(第二八五号)

 同(辻元清美君紹介)(第二八六号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(池田佳隆君紹介)(第一四六号)

 同(熊田裕通君紹介)(第一七九号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第二〇六号)

 同(岡本あき子君紹介)(第二〇七号)

 同(神谷裕君紹介)(第二〇八号)

 同(長坂康正君紹介)(第二〇九号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二一〇号)

 同(山岡達丸君紹介)(第二一一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二一七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一九号)

 同(櫻井周君紹介)(第二二〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二一号)

 同(清水忠史君紹介)(第二二二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二二四号)

 同(高井崇志君紹介)(第二二五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二二七号)

 同(藤野保史君紹介)(第二二八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二二九号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二三八号)

 同(佐藤公治君紹介)(第二四五号)

 同(関健一郎君紹介)(第二四六号)

 同(武内則男君紹介)(第二四七号)

 特別支援学校の設置基準策定に関する請願(中川正春君紹介)(第二四四号)

 同(小川淳也君紹介)(第二八七号)

 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(篠原孝君紹介)(第二六九号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(小川淳也君紹介)(第二八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 本日で東日本大震災の発生から九年を迎えます。

 改めて、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、被災地の復興を祈念いたします。

 ここに、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

橘委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

橘委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長田口康君、内閣審議官諸戸修二君、文部科学省大臣官房総括審議官串田俊巳君、総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長丸山洋司君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、研究開発局長生川浩史君、スポーツ庁次長瀧本寛君、文化庁次長今里讓君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君及び大臣官房審議官本多則惠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。村上史好君。

村上(史)委員 おはようございます。立国社・無所属フォーラムの村上史好でございます。

 きょうは、三十分の質問時間をいただきました。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 私からも、東日本大震災の犠牲者の皆様方に、改めて御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、大臣が、委員会の方で、加計学園の入試問題で差別的な扱いがあったのではないかという問題を捉えて調査を指示されました。その結果を昨日は参議院の予算委員会の理事会で御報告されましたけれども、当委員会で御報告をお願いしたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 三月六日の金曜日午後に、岡山理科大の担当者に文部科学省に来ていただきまして、直接確認を行っております。

 大学側からは、獣医学部の入試は適正に実施しており、週刊誌の記事というのは事実と異なるとの見解を表明した上で、入試の実施方法等について説明がございました。

 大学の説明によりますと、具体的には、私費外国人留学生入試が別にある中で、推薦入試は、調査書五十点、二科目の基礎的な試問各五十点、面接五十点の合計二百点で実施しており、日本人と同じ条件で合否判定を実施しているということでございます。

 また、韓国の受験生について、推薦入試では七名受験し、全員が面接ゼロ点であり、合格者はゼロ名であったこと。ただ、面接での点数がゼロ点の受験生は日本人でも複数名存在すること。それから、面接の評価に当たっては、責任のある者が複層的な確認を実施していること。こうした受験生を含めて、一般入試前期や私費外国人留学生入試において、合計四名の韓国の方が合格していること。また、昨年、一昨年の入試の結果として、韓国の留学生を既に十三名受け入れているといったことの説明がございました。

 こうしたことは説明いただいたわけでございますが、文部科学省といたしましては、現時点において、まだ当該大学の入試の適否というのを判断できる段階ではないということで、引き続き大学に説明を求めていきたいというふうに考えております。

村上(史)委員 その際、面接でゼロ点にした理由はお聞きになりましたか。

伯井政府参考人 その点、推薦入試の合否判定方法、面接の具体的な評価項目、判定方法なども含めて更に確認をしていくということでございますが、面接の評価項目としては、志望動機とかコミュニケーション能力とかを面接で評価するということでございました。

村上(史)委員 聞くところによると、留学生の日本語の能力が低くてコミュニケーションの困難な状況があったという理由説明があるようでございますけれども、会話ができない、困難な受験生が筆記試験を本当に受けることができるんだろうか、そういう素朴な疑問があります。筆記試験の点数についても調査をされましたか。

伯井政府参考人 そうしたことも含めて、今調査をしているところでございます。個別具体の個人情報にかかわる部分については、なかなかここでは御答弁申し上げにくいこともございますが、引き続きしっかり調査をしてまいります。

村上(史)委員 今お聞きしていますと、単なるヒアリングを受けた、学校側の説明をそのまま、うのみというまではどうかと思いますけれども、それをそのまま報告として上げているだけで、調査の名に値しないんじゃないですか。どうですか。

伯井政府参考人 まずは第一段、来ていただいて報告を求めたという段階であるのはそのとおりでございます。我々としては、引き続き、この入試の適否というのを、ヒアリングも含め、場合によっては、内容によっては実地調査ということも含めて、しっかりと状況把握をしていきたいと考えております。

村上(史)委員 この入試のあり方、もし不正若しくは意図的な差別的な扱いがあるとすれば、入試そのものにかかわる問題でございますから、当然、私学助成金の交付についても影響が出てくると思います。

 そういう面では、やはりきっちりと、ヒアリングだけではなくて調査をする、個々の成績を確認しながら、なぜこういうふうになったのかというところを文科省として当然調べる必要があると思います。税金が使われる可能性があるということを踏まえるならば当然だと思いますので、引き続きお願いしたいと思いますが、大臣、引き続きの調査についての決意をお願いします。

萩生田国務大臣 ゼロ点という結果を、私も随分、ゼロ点というのが面接であるのかなと思ったら、多分、詳細は局の方でいろいろ調べていますけれども、五段階のさまざまな評価の中で一個でもバツがあるとゼロから始まっちゃうらしいんですね。

 そもそも、推薦入試を外国の学生さんと日本の学生さんが同じレベルで受験することというのがなじむのかという思いが私もありました。

 ただ、一方で、その七人の推薦入試で落ちてしまった者のうち四名は一般入試で入学をしているという事実もありますので、国籍で差別をするようなやりとりはなかったということは説明をしているようなので、この辺、きちんと調べていただいて……(発言する者あり)失礼しました。七名のうち二名だそうです。ごめんなさい。

 そういう事実もあるというふうに報告を受けましたので、引き続き大学側に、きちんと論理的、合理的な説明ができるように求めてまいりたいと思います。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 今の大臣の言を裏返しで言いますと、面接でゼロ点だったけれども筆記試験では合格しているというのは、それ相応の日本語の能力があるということですから、日本語の能力が足らないという理由で面接をゼロ点にする根拠はないと思いますので、そういうことも含めて今後厳しく調査を進めていただきたいな、そのように思っております。

 あわせて、この加計学園の推薦入学での四国の別枠の入学者の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 この大学では、開学の目玉として、地域、四国の四県から最大二十人募集をして受け入れるということで、それが一つの売りであったわけですし、また、国家戦略特区での選定の基準の中の条件にそれも含まれていたはずなんですけれども、実態的には、一八年度は四人、一九年度は一人、二〇年度はゼロ人ということで、ほとんど地域枠というものが満たされていないという状況でございます。

 この状況について、文科省としてはどのように認識をされているのか、お尋ねします。

伯井政府参考人 今御指摘いただきましたように、岡山理科大獣医学部獣医学科の二〇二〇年度入学試験における四国枠の志願者は四名で、選抜の結果、合格者はいなかったということでございます。

 岡山理科大におきましては、四国地域の進学相談会における周知や個別相談の実施等、進学者増加に向けた取組、これは高校訪問あるいは塾への訪問なんかも含めて力を入れて進めているというふうに承知をしております。今回の結果を踏まえ、更に広報活動を強化していくということも聞いております。

 我々といたしましては、最終的には、四国枠に限らず、獣医学科の卒業生が四国の獣医師として定着することが重要と考えておりまして、引き続き注視をしてまいります。岡山理科大学獣医学部は、開学して二年目でございます。同獣医学部において質の高い教育研究活動がしっかりと推進されていくよう期待し、注視していきたいと考えております。

村上(史)委員 今後とも、もともと加計学園は、今治に獣医学部を設立するとき、その経緯からしてさまざまな疑惑があった学園でございます、ですから、もっとすっきりとした形で大学の運営を進めてほしいと思うんですけれども、こういう問題が次から次と起こってくるということは、やはり注視をして、監督省庁としてもきっちりと、監視といいますか指導をしていただかなければならないなというふうに思っております。

 それでは、次に、オリパラ関連についてお尋ねをしたいと思います。

 オリンピックに向けて、あしたですか、ギリシャで採火式が行われ、いよいよオリンピックのムードも上がってくるという状況でございます。そういう中で、御承知のとおり、日本国も新型コロナウイルスで大変な状況にございます。

 あわせて、オリンピックに向けて、そういう聖火だけではなくて、国内においては参加国が事前に合宿をするということが行われているようでございますし、今後もそれを続けていくということになっております。

 ホストタウンで事前の合宿がどのような状況にあるのかを確認していきたいと思うんですが、そもそもこの事前合宿というのはいつからいつまでを想定しているのか、お尋ねをしたいと思います。

諸戸政府参考人 お答えをいたします。

 大会の直前に行う事前合宿につきましては、オリンピック競技では七月ごろに、パラリンピック競技ではことしの八月ごろに実施するところが多いと承知をいたしております。

 このほか、東京大会に備えて日本の環境になれること、あるいは日本で開催される国際大会に備えての事前合宿というようなことを目的に、日本全国のホストタウンで数年前から合宿が実施をされてきていると承知いたしております。

 以上でございます。

村上(史)委員 それと、全国で自治体がいわゆるホストタウンとして受入れをしておりますけれども、何カ所あるのか、また、相手国は幾らあるのか、お尋ねします。

諸戸政府参考人 先月末時点でございますが、ホストタウンの登録は四百十七件でございます。自治体数が四百八十七、相手国・地域数は百六十七となっております。

 以上でございます。

村上(史)委員 大会に参加する国、地域のほぼ八割がホストタウンを利用しているという状況でございます。

 そういう中で、今、事前合宿の中止、見合せなどが相次いでいると聞いております。いわゆる新型コロナウイルスの問題で辞退や中止に追い込まれているという実態があるようでございますが、どのように把握されていますでしょうか。

諸戸政府参考人 この二月、三月にホストタウンの自治体を訪問予定だった国などの合宿が実施されなくなったという事例があることは、複数承知をいたしております。

 一方、大会直前に行う事前合宿に関しては、現時点で計画されているものが中止になったという話は承知をいたしておらないところでございます。

 以上でございます。

村上(史)委員 相当数、中止の国が出てきているんですけれども、今後もふえる可能性があると思うんですよね。

 これがどんどんふえていく中で、我々が心配するのは、オリンピック、パラリンピックに重大な影響を与えるんじゃないか、そういう懸念があるんですけれども、そのことに関しては、大臣、どのように御認識をされていますか。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 事前合宿の受入れが中止されるなど、大変残念な思いをされているホストタウンがあるわけですが、多くのホストタウンは大会直前の事前合宿の計画や準備も行っていると承知しております。

 まずは、予定どおり大会が開催できるようにするということが一番の重要なことでありますけれども、IOCや大会組織委員会、そして東京都の間で緊密に連携をとりながら、その準備を着実に進め、引き続き、事前合宿の受入れ等をホストタウン自治体がしっかりと実施できるようにサポートをしていきたいというふうに考えております。

村上(史)委員 アスリートにとっては、直前までみずからのコンディションを整えるために開催国でトレーニングをしていく、これは当然のことだと思うんです。

 そういうことができるような環境であり続けてほしいなと、日本もぜひこの感染が終息できるように願うばかりなんですけれども、大臣におかれましては、オリパラが無事開催できるように、さまざまな御努力をこの際お願い申し上げまして、大臣への質問を終わらせていただきたいと思います。御退席いただいて結構でございます。

 それでは、萩生田大臣に何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。私の本意ではないんですけれども、週刊誌報道で大臣のお名前が出ておりますので、その点、ちょっと何点か確認をさせていただきたいと思います。

 先週の週刊誌で、プライベートでマカオへ旅行されたということの中で、写真が掲載をされた週刊誌がございました。その中で、ギャラクシー・ジャパンの最高責任者のテッド・チャン氏と総支配人のアベサトル氏が大臣のお出迎えをしているという写真が掲載をされましたが、大臣、これは事実でありましょうか。

萩生田国務大臣 ホテル到着時に複数のホテルの方たちがお出迎えいただいたのは事実です。

村上(史)委員 大臣、このお二人は以前からお知りであったかどうか。おつき合いも、どういうおつき合いをされていたのか。

萩生田国務大臣 済みません、外国の方はちょっと私は存じ上げないんですけれども、今先生がおっしゃったアベさんという方は岡部さんという名前だと思うんですけれども、その方は日本の広告代理店に長くお勤めになっていた時代からの知り合いです。

村上(史)委員 大臣は、これはプライベートな旅行であって、いわゆる金銭的な待遇は一切受け取っていない、全て自費だということで、それはきっちり強調されているんですけれども、本来なら、プライベートであるならば、その旅行日程は先方さんが知り得たのかどうかというのが疑問符としてあるんですよ。プライベートだったら、私だったら、全く家族で行くんだったら家族だけが知り得る日程だと思うんですが、大臣はどういうわけか相手が迎えに来ているというのが、本当にプライベートだったのかという疑念があるんですが、その点、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、御指摘の週刊誌報道につきましては、全くの事実誤認であり、大変迷惑に思っております。先日、新潮社に対して抗議文を送付したところです。

 当該旅行については、夏休みの家族旅行で、あくまでもプライベートな旅行でございました。たまたま宿泊を決めたホテルが、今お話にあった岡部さんが関連会社にお勤めになっていることが後にわかりまして、手配は事務所の方で秘書さんがやってくれたんですけれども、御本人がお泊まりになるのかという確認の連絡が来て、そして、フェリー乗り場まで迎えの車を用意することができるので時間を教えてほしいということで、その無料の送迎サービスの提案のあったときに到着時間と出発時間をお伝えしたので、日程は知っていたものというふうに思っております。

 いずれにせよ、IRを運営する企業から特別な対応を受けたものではございません。

村上(史)委員 いずれにしましても、このカジノというのは、あきもと副大臣の逮捕を見るまでもなく、利権の温床となり得る事業だと思っております。

 そういう事業者からすれば、頼りになる議員、力のある議員にやはり寄ってくるというのは世の常だと思います。それだけに、政治家としてその辺はきちっと襟を正すと同時に、けじめをつけていく、めり張りのついた、おつき合いにしろ、どういう形にしろ、きっちりと距離を置いた形でやっていく、それは政治家として当然のことだと思うんですが、大臣はその点についてどのようにお考えですか。

萩生田国務大臣 先生の御指摘のとおりだと思います。

村上(史)委員 以後こういうことのないように、お願いをしたいと思います。

 それでは、IR関連で、文科省の関係で質問をさせていただきたいと思います。

 平成二十八年にIR法が成立をいたしました。その中で、附帯決議十号で、ギャンブル依存症に関する教育上の取組を整備することと、文科省に求められております。ここでいうギャンブル依存症とは、いわゆるパチンコや公営ギャンブルを指すのではなく、あくまでもカジノを対象にした、そのように理解をすべきだと思っております。

 そういう中で、このギャンブル依存症に関する教育上の取組の主体は、やはり教育委員会であり、学校であると思います。文科省では、本年度末をめどに、生徒向けのリーフレット、パンフレットを作成される予定だと聞いております。また、令和四年には新学習指導要領がスタートをいたしますので、それに合わせて今準備を進めていただいているところでございます。

 そこで、お配りしました資料をごらんいただきたいと思います。二枚お配りをしております。一枚は、平成三十年の十二月に、大阪の高校生並びに支援学校の高校生、三年生に配られたビラでございます。二枚目は、令和元年の十二月に配られたリーフレットでございます。これについていろいろと疑問点があるんですけれども、ちょっと時間の方も押してまいりましたので。

 一枚目につきましてはもう既に配られていないということなんですけれども、私がちょっと問題にしたいのは、一枚目のときに、「ギャンブルとの付き合い方」というものがございまして、その中で、「ギャンブルは、生活に問題が生じないよう金額と時間の限度を決めて、その範囲内で楽しむ娯楽です。」こういうギャンブルの定義をしているわけですね。

 高校生に対しては、ギャンブルはしないよ、しないでね、たばこは吸わないでね、お酒は飲んではいけませんよ、こういうのが当たり前の予防教育だ、啓発だと思うんですが、いかにも、ギャンブルは正しくやれば楽しい娯楽なんだよということを言っているわけです。こういうことが大阪で指摘をされたものですから、このビラは平成三十年度でやめて、二枚目のリーフレットにかえたというのが経緯でございます。

 ところが、私がもう一つ問題にしたいのは、改定版であろうと最初に配られたものであろうと、問合せ先が大阪府、大阪市のIR推進局となっているわけです。

 先ほども申し上げましたけれども、これは文科省が主体的に、教育委員会なり学校が啓発活動、予防教育をするのが当然であるにもかかわらず、これからカジノを誘致しようという局がギャンブルの依存症対策を論じるということが本当に正しいのかという思いが強いわけであります。換言すれば、泥棒が子供たちに泥棒したらあかんよと教えるようなもので、子供からは、おっちゃんに言われんでもわかっているわ、言われる筋合いはないという声が返ってくるような内容だと思っています。

 IR推進局、カジノを誘致する立場の部署がこれを担当するというのはやはり間違っているのではないかなと思いますが、大臣の御見解をお願いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 将来的に子供たちがギャンブル等にのめり込まないように、初等中等教育段階で、欲求やストレスが心身に及ぼす影響や適切な対処が必要であるといったこと、依存症について適切に理解し行動できるようにすることが重要だというふうに考えております。

 その上で、委員の方から御指摘のありました学校においての指導でございますけれども、新しい高等学校の学習指導要領解説におきまして、保健の精神疾患に関する学習の中で、ギャンブル等依存症を含めた依存症について取り扱うこととしております。

 その中で、ギャンブル等への過剰な参加は習慣化すると嗜癖行為になる危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことに触れることとしておるわけであります。具体には、高等学校の学習指導要領の解説におきまして、「アルコール、薬物などの物質への依存症に加えて、ギャンブル等への過剰な参加は習慣化すると嗜癖行動になる危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことに触れるようにする。」ということとしているところでございます。

 それから、先生の方から御指摘のありました大阪市、大阪府が作成をしましたリーフレットでございますけれども、確認をしましたが、今回、作成に当たっては、大阪府教育委員会、それからいわゆる教育の部局ともよく相談の上、調整の上作成をされたというふうに確認をしているところでございます。

村上(史)委員 相談したからいいだろうという類いの話ではないということを私は強調しているわけで、先ほど申し上げたように、推進する立場の人がギャンブル依存症対策でどう答えるんですか。やり方が、遊び方が正しければギャンブルはやっていいんですよという立場でしょう。そういう立場の局がギャンブル依存症対策を行うこと自体がおかしいでしょうということを申し上げているんです。

 大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 文部科学省としては、高校生段階でギャンブル依存のリスクについてしっかり学んでいただくということを奨励して、全国の地方教育行政部局とも共有をさせていただいております。

 それに基づいてつくられたパンフレットで、中身はいいものだと思うんですけれども、私、大阪府や大阪市の機構についてちょっと存じ上げませんので、もしかすると、このIR推進室の中にギャンブル依存対策課みたいなものがあって、そこに専門的な方がいらっしゃるからここに問合せをしてくれというのか、あるいは、今先生がおっしゃったように、もう一緒くたになってお話をされているのか、そこがちょっと判断できないので、一応個人的には確認してみますけれども、教育の中で使っていただくパンフレットだというふうに認識をしております。

 逆に、先生、大阪選出ですから、ぜひ大阪府の方に言っていただいて、もしあれだったら違うところへ問合せをした方が誤解がないんじゃないかと私も思います。

村上(史)委員 私も調べたいとは思いますけれども、調べるまでもないというのが私の立場でございまして、これは根本的にやはり部局をかえるべきだ、そのように主張をしたいと思います。

 それでは、最後にお尋ねをいたします。

 来週の十九日には、専門家会議が、この二週間、学校の休校を含めてどういう成果があったのか、評価を出される予定でございます。

 学校の一斉休校に入る総理大臣の見解というのは、とにかく時間がないからスタートしたんだと。科学的な知見も専門家の意見も聞かないままに突入したというのが実態だと思います。ですから、今後のことについては、十九日の専門家会議の内容を受けて、学校現場でどうすべきかという結論を出していくべきだと思うんですけれども、大臣の見解を最後にお伺いして、終わりたいと思います。

萩生田国務大臣 急な一斉休業の要請で、各現場には大変御迷惑、御負担をおかけしたと思っております。

 一昨日に開催された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、依然として警戒を緩めることはできないとの見解が示されたところであり、当面は、円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要と考えております。

 一方、今後、本専門家会議において、三月十九日を目途に新たな報告が出される予定であり、その内容も踏まえ、学校を再開するに当たっての目安について検討してまいりたいと考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。終わります。

橘委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十二分開議

橘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菊田真紀子君。

菊田委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの菊田真紀子です。

 東日本大震災から九年を迎え、私からも改めて、多くのとうとい命が失われたことを、心から哀悼の意をささげます。今なお避難生活を強いられている皆様、全ての被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 それでは、質問に入ります。

 通告していた質問の順番を変えて、最初に、週刊誌報道のあった加計学園について質問いたします。

 先ほど村上委員がこの件について質問されましたが、文科省は、社会から疑念を抱かれるような問題が生じた場合、必要な調査、指導のほか、速やかに再発防止などの検討等に取り組む立場にあります。もともと岡山理科大学の獣医学部新設の認可をめぐっては、加計孝太郎理事長と安倍総理とのお友達関係によるそんたくが厳しく指摘されてきました。いまだ国民の疑念は晴れておらず、厳しい目が向けられているということを忘れないでください。

 推薦入試を受験した韓国人留学生の面接の得点は全員がゼロ点で、全員が不合格だったが、入試は適正に実施されたとする大学側の言い分は不自然であり、このままうのみにすることはできません。大臣も先ほど疑問を述べられていましたが、なぜ日本人の受験生と外国人の受験生を同じ面接試験で選考するのか。さらには、日本語能力に問題があって不合格になったにもかかわらず、なぜ一般入試では合格できたのかなど、さまざまな疑念は拭えません。

 東京医科大学で女性や浪人生を実質的に減点するなど不正入試が判明したときには、文科省が直接調査に乗り出したことで、ほかにも九校が不適切な入試を行っていたということがわかったのです。大学側にヒアリングをして終わりではなく、場合によっては、受験生から事実関係を確認することもやってはどうでしょうか。文科省が出向いてしっかり実地調査をした方がよいと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 現時点においては、文科省として、まだ当該大学の入試の適否を判断できる段階ではなく、さらなる事実関係の把握に向けて、引き続き大学に説明を求めていきたいと思いますが、必要とあらば、当然、現地にも行く必要を感じております。

菊田委員 国民の目から疑念の目で見られないように、しっかり文科省としてその職責を果たしていただきたいということを申し上げたいと思います。

 それでは、新型コロナウイルスの関係について質問いたします。

 政府の新型コロナウイルス専門家会議は、九日、爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度は持ちこたえているが、警戒を緩めることはできないとする新たな見解を示し、スポーツや文化イベントの自粛の継続を求めるとともに、これまでの対策の効果について、十九日ごろに判断をし、公表することを発表しました。これを受け、安倍総理は、昨日、スポーツや文化イベントの自粛を十日程度継続するよう求めました。

 安倍総理や専門家の見解を受け、当初、三月二日から二週間程度とした一斉休校要請のさらなる延長を自治体に求めるのか、大臣に見解を伺います。

萩生田国務大臣 一昨日開催された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、依然として警戒を緩めることはできないとの見解が示されたところであり、当面は、円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要と考えております。

 なお、今後、本専門家会議において、三月十九日を目途に新たな報告が出される予定であり、その内容も踏まえ、学校を再開するに当たっての目安について検討してまいりたいと思っております。

菊田委員 先週の文科委員会では、大臣は、一斉休校後の対応について、中学生の春休みが始まる前には状況を改めて見きわめる必要があるとし、解除の目安についても、地方任せではなく文科省としても検討する考えを示されました。

 学校現場や保護者が判断するために、いつ休校要請が解除されるのかについては、文科省が早目にその目安を示す必要があると考えますが、その時期は具体的にいつになりますか。また、今の検討状況について教えてください。

萩生田国務大臣 先生御指摘のとおり、どの段階で学校の再開を各自治体、設置者が判断できるかというのは、やはり専門的な知見がない中ではなかなか判断しづらいと思います。

 したがって、国においては幾つかのチェックポイントを掲げて、例えば、自治体の中にあっての感染者の拡大の傾向ですとか数ですとか、こういう一つの目安みたいなものをしっかり示した上で判断いただきたいと思っておりまして、それにつきましては、我々の考えだけではなくて、やはり専門的な知見をお持ちの皆さんのさまざまな声を今集めているところでございます。

 先ほどちょっと申し上げましたように、もう少し落ちついていれば、早目に再開できる自治体もあればいいな、こういう期待値を持っていたんですけれども、きのう、きょうの状況では、引き続き予断を持って対応できない状況が続いておりますので、先ほど申し上げた、厚労省の方でお願いしている専門家会議の皆さんが十九日をめどに一定の報告を出されるということでございますので、我々もそれを政府全体で共有させていただいて、おおむねその時期を目安にさまざまな準備を進めていきたいと思っています。

菊田委員 唐突に発表された全国の小中学校、高校の一斉休校について、大臣は先週の文部科学委員会において、関係省庁での検討の場において、二月二十七日以前から確かに議論が行われていて、議論の状況についても報告を受けていたと答弁されています。

 大臣のおっしゃる検討の場というのは、文科省からは藤原事務次官が出席をされ、新型コロナウイルス感染症対策本部の前に開催をされている関係省庁連絡会議のことでしょうか。

萩生田国務大臣 委員会でたびたびお話ししているので、ちょっとどの会議のことを私指したか、あれなんですけれども、まず一つは、文部科学省の中での、我々の連絡会議の中でも、一斉休校の必要性というのは、一つ、問題点、課題として捉えていたことは事実でございます。現に、二十五日付で、感染者がいなくても、学校の自治体ごとの閉鎖、休校というものもぜひ考えてほしいということを発出したところでございました。

 一方、ここで申し上げた関係省庁が議論した場というのは、新型コロナウイルス感染症対策本部の開催に先立って、総理のもとに関係省庁が参集し、新型コロナウイルス感染症対策に係る現状の報告や議論を行っている、今先生御指摘の連絡会議のことです。

菊田委員 九日の参議院予算委員会で、安倍総理は、連絡会議の議事録を現時点で作成していないことを認めました。しかし、全国一斉の休校が議題に上がっているのであれば、その影響等について文科省が資料を作成し、会議で配付をされていると思いますが、いかがでしょうか。百歩譲って、配付資料はなかったとするのであれば、藤原事務次官御自身の見解を述べる場ではないので、文科省内で検討され、次官が発言する際に参考にしたメモなどの文書はあると思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 学校の一斉臨時休業について、二月二十七日に実施された連絡会議で配付した資料は存在をします。事務次官が発言する際のメモは存在しておりません。

 なお、連絡会議の資料については、政府全体の対応として、現在、内閣官房において、歴史的緊急事態における記録として取りまとめる予定であると聞いております。

菊田委員 教育現場だけではなく、国民の生活や経済に大きく影響を与えた全国の小中学校、高校の一斉休校について、政府がどのような議論、どのような検討をしたのか、国民や国会に対して説明責任があり、国民の知る権利が保障されなければなりません。ましてや、専門家の意見を聞くこともなく、総理が下した政治判断というならば、その過程において関係省庁でどんな議論があったのか、今後の教訓にするためにもしっかり検証されなければならないことであり、議事録は当然ながら、会議の資料等も残すべき基本的な文書だと私は考えます。

 当委員会にこれらの文書を提出していただけるよう、委員長、ぜひ取り計らいをお願いします。

橘委員長 後刻、理事会で協議いたします。

菊田委員 二十七日の総理による一斉休校の要請が表明された後、萩生田大臣は二十八日の記者会見で正式に説明すると記者に述べるにとどめ、文科省からも、自治体や教育現場に対するメッセージは何も発出されませんでした。

 先週の当委員会で、大臣は、翌日の朝九時に全国一斉で設置者に対して通知をしたと答弁されましたが、この通知のタイミングは適切だったとお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 二十七日に開催されました第十五回の対策本部における総理の発言を受けて、臨時休業の適切な実施に向けた留意事項を整理し、翌二十八日の午前九時ごろに、全国の小中高等学校、特別支援学校、高等専修学校の設置者に対し、全国一斉の臨時休業を要請する通知を発出しました。二十八日という一日を準備期間として各自治体に連絡し、週末にかけて各設置者や学校でさまざまな準備をいただき、三月二日からの臨時休業を迎えていただくこととしたところでございます。

 しかしながら、休業の準備をする十分な時間を確保することができず、現場に混乱があることを前提にこのような決断をしたことは、子供たちや学校の先生などには大変申しわけなく思っているところでございます。

 その上で、子供たちの健康、安全を確保することを優先して判断させていただいたことに御理解をいただければと思っております。

菊田委員 総理による突然の一斉休校の要請は丁寧さに欠けていました。総理の言葉足らずな部分を、文科省が二十七日のうちに補完する必要があったと私は考えます。

 つまり、総理から要請があったので、三月二日から春休みの間、臨時休業をお願いしますが、臨時休業の期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断いただくことを妨げるものではありませんと、せめてこの一言だけでも当日のうちに文科大臣から説明があれば、自治体はもっと落ちついて、何が子供にとってベストか検証し、適切な判断を選択することができたのではないかと思います。

 なぜ文科省は当日の二十七日中にメッセージを発出しなかったのでしょうか。文科省にとっては寝耳に水で、安倍総理による独善的な発表で準備が間に合わなかったのか、それとも、総理大臣の重い発言であれば全国の自治体や教育委員会が一律に同調することを狙ったのでしょうか、どちらでしょうか。

萩生田国務大臣 どちらでもございません。

 私、きのう、参議院の委員会の中でも、振り返って今の時点で反省することがあるとすれば、今先生御指摘のように、二十七日の総理のメッセージを発出した後に、私が何らかの、ぶら下がりでも何でも記者会見をして、地方の教育行政システムについて国民の皆さんにもう少しわかりやすく説明をする必要があったというふうに反省しております。

 他方、二十五日の段階で既に、全国一斉とは申し上げていませんけれども、感染者がいない自治体であっても、この際、子供たちの安全を守るために休校の判断をすることも妨げない旨の発出をしておりましたので、少なくとも教育長を含めた教育関係者の皆さんは、この仕組みについては御理解いただいていたんだと思います。

 よく昼間のワイドショーなどで、韓国は大統領令で、大統領の命令で全部の学校を閉めているけれども、日本は何でこんな要請なんという紛らわしいことをやるんだという、仕組みを知らない方からコメントをされる場面が非常に多いんですけれども、日本の教育は、国が、総理大臣が学校を閉めろといって閉められるような仕組みはございません。あくまで設置者の判断を尊重するわけですから、私はそこは、今反省を申し上げましたけれども、さまざまな大きなことでありましたので、省に戻って留意事項を整理して、それで、改めて、漏れのないように各教育委員会に伝えるために一定の時間を要する、そちらを優先させていただいたところでございます。

 二十八日の記者会見においても、国の意思として感染の拡大を防ぎ、子供の安全を守る観点から行ったものであること、臨時休業の実施に当たり学習に著しいおくれを生じないよう取組を工夫していただきたいこと、民間企業等において保護者が休みをとりやすくなるような環境を整えていただきたいこと、さまざまな課題について政府として責任を持って対応することなどについてメッセージを述べさせていただいたところでございます。

菊田委員 安倍総理も、そして残念ながら文科省も、どたばたの対応になってしまったということは、全く学校現場に寄り添っていない姿勢だったということを改めて指摘をしておきたいと思います。

 安倍総理による突然の全国一斉休校要請による休校が始まって十日ほど過ぎましたが、現在、十八歳以下の感染者は国内で何人いて、全体の何%程度になっているのか、厚労省、お答えください。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 三月十日十八時時点における新型コロナウイルス感染症の年齢階級別陽性者につきまして、チャーター便帰国者事例を含めた国内事例五百六十七名のうち、二十歳未満は十六例、割合は二・八%と承知しております。

菊田委員 割合が二・八%というお話がありました。WHOなどが中国で調査した結果でも、十九歳以下の感染者は全体の二・四%となっており、感染例は少なく、症状も比較的軽い、そういう調査報告とほぼ合致しているのではないかと思います。

 国内の児童生徒の感染者は今のところこういう現状にあるわけですが、今回の全国一斉休校の措置によって抑えることができた成果だと大臣は考えておられるでしょうか。

萩生田国務大臣 これは本当に後になって検証しないと、私はわからないと思います。

 私も、繰り返し申し上げていますけれども、全国一斉の休業の必要があるかということには当初疑問を持ちましたし、また、そのことに対して発生するであろうさまざまな課題について、余りにも短期間の中で解決しづらいという思いがございました。

 他方、先生方も政府で経験したと思いますけれども、過去の新型インフルエンザのときには、まさに学校が媒体になってクラスター化をして、五百万人という感染者を拡大してしまったという、言うならば経験がございました。あのときにはまだ抗ウイルス剤がございましたし、予防接種もできました。それでもあれだけの拡大ができた中で、今回、この未知のウイルスがどういう力を持っているのか。

 確かに、WHOが中国の患者さんをもとにした数字などは私たちも示されておりましたけれども、そもそもどういう力を持っているウイルスなのかいまだにわからない中で、対抗策がない中で、学校では逆に感染は広がらないんだ、子供たちは感染率が低いんだと私が胸を張って申し上げる科学的根拠も持ち合わせていなかったのも正直ありまして、そこは将来検証したときに、ここまでする必要はなかったよねという御批判があれば、それは甘んじて受けたいと思いますけれども。

 あのとき、私、本当に悩んだ末に、やはり、子供たちを何としても守るために、あるいは感染を拡大させないために、そして、感染が広がるとしても、その山をできるだけ先送りするためにも、学校という場所は過去のインフルエンザの経験に基づいてどうしても何らかの措置をしなくてはいけないという決断に至ったところでございまして、そのことは御理解いただきたいと思っています。

菊田委員 大臣の葛藤や苦悩もよく承知をいたしました。

 今後、冷静に、科学的、医学的根拠に基づいて、今回の対応がどうだったのかということをしっかり検証していただきたいというふうに思います。

 厚労省への質問はこれで終わりますので、どうぞ御退席ください。

 次に、特別支援学校について伺います。

 一斉休校要請後の週明け、三月二日月曜日、私は地元の県立特別支援学校を訪問しました。校長先生のお話では、この日から休校としたが、自閉症など障害を持つ子供の中には、日常生活の急な変化に対応することが難しく、混乱してしまう子がいるし、親が家で重度の障害児の世話をするのは容易ではなく、また、仕事を休めない親もいたので、そうした事情のある子供にはいつものとおり学校に来てもらったそうです。

 この日は、全校生徒の五分の一に当たる人数の児童生徒が学校に来ていました。ですから、通常と同じように教職員は出勤をし、スクールバスの送迎を行い、そして給食は出せなくなるのでお弁当を家から持参してほしいと各家庭にお願いしたそうです。教職員が全ての児童生徒の家庭に電話で一軒一軒事情を説明し、在宅にするか、それとも学校に来るか、親の意向を確認するだけでも大変な負担だったと思いますし、恐らく週末返上で対応されたのだと思います。休校宣言以降に、校長会や県の会議などで考えや意見を述べる機会はなかったのです。

 この学校だけではありません。政府には、学校現場の動揺と混乱を重く受けとめてほしいと思います。

 文科省からいただいた、小・中・高等学校等における臨時休業の状況によれば、特別支援学校の約九五%が臨時休業を実施しているとのことですが、実際は、休校措置をとりながらも、この学校のように、毎日学校をあけて障害のある児童生徒を受け入れているところが少なくないのではないかと思われますが、実態について教えてください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 臨時休業を実施している特別支援学校の実態についてということでございますが、令和二年三月四日の朝八時時点でございますが、現在、埼玉県と島根県を除く全国四十五の都道府県で八百六十九校の特別支援学校が臨時休業を実施しており、その割合は約九五%となっております。

 また、現在臨時休業を実施していない二県も含め、臨時休業の際には自宅で過ごすことを基本としつつも、自宅等で一人で過ごすことのできない場合等に、四十六の自治体が特別支援学校において何らかの受入れを行う方針であるということを承知いたしております。

 具体の臨時休業中の特別支援学校の活動でございますが、家庭学習に資するように学習用のプリント教材を配付したり、一日の生活計画や日記を記入する課題などを与える、また、自宅等で過ごす子供の状況を把握するため、教師が電話による聞き取りや家庭訪問による様子の観察を行う、さらに、やむを得ず学校を居場所として提供する場合は、登校時に検温を行い、手洗い、うがいを徹底し、教室では子供同士の間隔を確保した上で定期的に換気を行う、そういった感染リスクにも配慮しつつ、地域や学校の実情に応じた取組が行われていると承知をいたしております。

菊田委員 ですから、八百六十九校、全国である中で、何らかの受入れをしている学校は何校あるんですかと聞いているんです。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、具体の受入れの状況について教育委員会等に確認をいたしておるところでございまして、個別の具体の全体の状況ということについては今数字を持ち合わせておりませんので、これから確認をしていきたいというふうに考えております。

菊田委員 実態を把握していないというのは私は怠慢だと思いますよ。これだけの措置をしておきながら、現状はどうなっているのか。数字を見ると、九五%臨時休業していますということなんだけれども、実際はそうなっていないわけですよね。教職員の皆さんの負担も大きいし、不安はどんどん募るし、いろいろなフォローをしていかなきゃいけないと思います。それは地方自治体に任せるということではなくて、文科省としてしっかり実態を把握して、そして支援をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

丸山政府参考人 特別支援学校の実態、我々も教育委員会等に連絡をして確認をしておりますが、一つには、特別支援学校の場合、福祉との連携ということが一つあって、デイケアでの受入れであるとかいうことも、御家庭のさまざまな事情も踏まえながら、実態として行われているということもございまして、それが、例えば午前、午後ケアに行って、あいた時間を学校で受入れをするとか、さまざまの形、形態があるというふうに思います。

 だから、そういったことについて一律に、教育委員会の方でも、休業になってまだ一週間という時点でございますので、詳細な把握はできていないということでありますけれども、先生の御指摘、ごもっともだと思いますので、これからしっかりとそのあたりについて確認をしていきたいと思っております。

菊田委員 いつ学校が再開になるのか、この一斉休校が解除されるのかというのがまだ見通せないという状況です。もしかしたら長引くかもしれません。そういうこともありますから、しっかりと文科省として責任を持って把握をし、対応していただきたいというふうに思います。

 次に、児童生徒の運動不足解消に向けた取組についてお伺いします。

 スポーツ庁の二〇一九年度全国体力テストによると、小中学生の体力は前年度よりも低下をしました。今回の臨時休校で児童生徒は基本的に自宅で過ごさざるを得ないため、運動不足によるさらなる体力低下や肥満といったことが懸念をされてきます。文科省の学習支援サイトでは、体育の工夫例として、家庭でもできる運動として、体を伸ばしたりほぐしたり、腕立てなどが挙げられていますが、これで運動不足を解消することには無理があります。

 小学生については、学童に通う子供の居場所を確保するため、自治体に対し、体育館や校庭の積極的な活用を推進する通知を文科省は出したそうですが、実際に使用されていますでしょうか。また、小学生の体力低下防止、運動不足を解消するため、文科省はそのほかどのようなことを推奨されていますか。自治体の工夫例がありましたら、あわせてお答えいただきたいと思います。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の臨時休業に伴い子供たちの運動する機会が減少することを踏まえ、文部科学省としては、二月二十八日付で事務連絡を発出し、体育の授業で学習した内容で、先ほど委員からも御紹介ありましたが、家庭でも安全に行うことができる運動をお示ししたところです。加えて、臨時休業期間において、学習に役立つコンテンツとして、文部科学省のホームページにそうしたコンテンツを掲載しておりますが、この中で、家庭で一人又は親子などの少人数でできる運動遊びやダンス動画、音楽に乗せて楽しく体を動かすことができるダンス動画などのスポーツメニューを紹介させていただいているところでございます。

 文部科学省としては、このような情報を広く提供することにより、休業期間中に子供たちの体力、健康維持を図ってまいりたいと考えております。

 また、御質問のございました校庭や体育館の活用状況については、一律には把握をしておりませんが、自治体の工夫例ということでございましたけれども、例えば、小学校の校庭を開放し、児童がアルコール消毒をしっかりとした上で遊具や縄跳びを使って遊んだり、友達と走り回ったりして運動している例、あるいは別の自治体では、感染防止を図る観点から、一度に大人数にならないようにということで、曜日や時間を学年ごとに割り振って小中学校の校庭を開放して、子供たちに運動する機会を設けているという工夫をしている自治体もあると承知をしているところでございます。

 以上です。

菊田委員 そういう工夫をしている自治体もあるんですが、やはりこれだけの自粛ムードが続きますと、積極的に開放しようというふうになかなかならない、むしろ消極的になってしまうという例がありますので、文科省として体育館や校庭の積極的な活用を推進するという通知を出しているわけですから、いま一度確認をしていただき、こうした子供たちの体力低下あるいは肥満といった問題に対してしっかり対策を立てていただきたいというふうに思います。

 さらに、中学生や高校生などは思春期のエネルギーや体力を発散させる場がありません。好きな部活ができない、友達と自由に会えない、図書館やスポーツ施設などの公共施設が閉鎖される、カラオケやショッピングセンター、スポーツ観戦などにも行ってはいけない。特に体力があり余っている男子生徒はずっと自宅で過ごすにも限界があり、ストレスを発散できるような環境をつくるべきだと思います。例えば週に何日かでも部活動を再開する、校庭や体育館を開放するといったことはやれないのでしょうか。

 今、公立の図書館やスポーツ施設等の多くが閉館をしています。これは自治体としては万全を期すために仕方がない対応なのかもしれませんが、一律に閉鎖、閉館ではなく、例えば週に何日かだけでも公立の図書館やスポーツ施設等を学生たちに開放できないでしょうか。文科省として何らか指針を出してほしいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 子供たちの運動不足やストレスを解消するための運動は大切であると考えており、学校や設置者の判断により校庭や体育館、公立のスポーツ施設を開放して子供たちが運動する機会を確保することを一律に否定するものではありません。ただし、一度に大人数が集まって人が密集する運動とならないよう、感染拡大を防止する観点からの配慮は必要であると考えます。

 また、屋内である体育館の開放については、ドアを広くあけ、小まめな換気を心がけたり、子供たちが手を触れる箇所、例えばドアノブや手すりやスイッチなどを消毒液を使用し清掃を行うなど、感染拡大防止のための防護措置を講じた上で、少人数の子供たちへの開放にとどめるなど、より慎重な対応が必要であると考えております。

 学校の校庭や体育館の開放については、一昨日、文部科学省から各自治体に対して通知を発出したところであり、この考え方を参考にしていただきながら、各自治体において子供たちが運動する機会を確保していただきたいと考えております。

 先日、港区の小学校にお伺いをし、学年ごとに曜日を決めて学校の教室や校庭などを開放し、子供たちの学習や運動の機会を提供する取組を視察しました。その当日は学校を居場所にしている子供たちの外遊びも積極的に先生方が立ち会っており、なるべく子供たちが密集しないよう配慮もされておりました。このような事例を展開することにより、各学校が工夫して子供たちが安全に運動することができるよう、文部科学省としても情報提供に努めてまいりたいと思います。

 やや萎縮した一週間だったと思いますので、少し好事例を、写真や絵なども入れながら全国に発信していきたいと思っています。

菊田委員 ありがとうございました。ぜひそういう好事例を全国に発信していただきたい、情報を提供していただきたいというふうに思います。

 中には親との関係がうまくいっていない子供たちもいます。これは中学生や高校生に限らずのことですが、家庭の貧困、ギャンブルや酒に依存をする親、育児放棄やDVなどの虐待、中には給食が食べられなくなった子供に対して飯代ぐらい自分で稼げとどなる親もいるそうです。家に居場所がないと悲痛な叫びを上げたくても上げられない子供たちは一体どうしたらよいのでしょうか。複雑な家庭の事情を抱える子供の健康や安全をどう守るのか、文科省の対策を伺います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 虐待等、複雑な家庭の事情を抱える子供の健康や安全をどう守るのか、非常に大事な視点だと思っております。

 臨時休業により自宅で過ごす時間が長くなることに伴うストレス等の課題については、教育委員会や学校においても必要な対策を講じていくことが重要であると考えております。

 こうした認識のもと、文部科学省においても、都道府県教育委員会等に対して、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協において要保護児童として進行管理台帳に登録をされている児童生徒について、スクールソーシャルワーカーなどを活用するなどして関係機関と緊密に連携をし、必要な支援を行うように依頼を行ったところであります。

 引き続き、自治体との丁寧な情報交換を行いながら、関係省庁とも連携をしつつ、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

菊田委員 次に、新たな入国制限措置についてお聞きをいたします。

 安倍総理は、またもや、専門家会議に諮ることもなく、五日の夜、中国と韓国からの、日本人も含めた入国制限を強化する新たな措置を発表しました。両国からの入国者を二週間隔離し、公共交通機関の利用を禁じ、日本と両国を結ぶ航空便を成田と関西の空港に限定し、船舶の旅客運送を停止するという内容です。

 九日からの執行のため、先週末は慌てて韓国や中国から帰国する人たちが相次いだそうですが、そもそも、感染経路が不明な患者が出ている段階で水際対策をやっても、どれほど実効性があるのか、専門家の意見も分かれているようです。

 また、外務省は、韓国全土の感染症危険情報を、不要不急の渡航自粛を求めるレベル2に引き上げました。韓国政府は対抗措置として、日本人への短期滞在ビザ免除と既に発行されているビザの効力を停止すると発表しました。両国間の人的往来は激減をし、政府間の対立を懸念する声が各方面から上がっています。

 政府の海外留学制度を利用して韓国に留学をしている学生への影響について伺います。

 韓国がレベル2に引き上げられたことによって、大学は留学生に対し、留学を中止して帰国するよう求めているようですが、九日の入国制限前までの数日しかない慌ただしさの中で、留学生は全員帰国できたのでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 国費による海外留学のための奨学金の受給者についてでございますが、三月十日時点で四十名が韓国内に残っているという状況でございます。

菊田委員 四十名の方がまだ韓国に残っているということです。突然の入国制限が発表されても、さまざまな事情により帰国を選択しない、選択できない学生もいるかもしれません。ぜひ外務省とも協力をして、こうした留学生の安全確保、健康確保に努めるようにお願いをしたいと思います。

 また、JASSOの留学奨学金制度は、レベル2になった場合、帰国することが前提のため、奨学金の支給は停止されると伺いましたが、現在韓国に残っている日本人留学生にも適用されるんでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘のように、海外留学支援制度におきましては、派遣している学生の身の安全や健康を守るという観点から、奨学金の支給を停止することにより速やかな帰国を促すということで、外務省海外安全情報において危険情報レベルが2以上の国、地域への留学については支援対象外とすることとしております。このことは、奨学金の募集段階から、各大学等を通じて学生にも示しております。

 したがいまして、現在韓国に残っている留学生につきましても、危険情報レベルが2に引き上げられた今月から奨学金の支給は停止されることになっております。

 なお、今後、状況が改善してレベル1以下となった場合には、奨学金を再開するということは可能でございます。

菊田委員 ぜひ、めどがつけば、レベル2が下がればまた再開するという方向で文科省としても後押しをしていただきたいというふうに思います。

 クルーズ船対応の失敗以後、安倍総理は、十分な検討や科学的、医学的根拠もないまま、また国民への合理的な納得できる説明もなく、まるで御自身の名誉挽回のためなのか、政治判断というスタンドプレーを続けているように見えます。

 日を追うごとに、国際社会では日本は大丈夫かといった空気が広がり、国内でも、このままでは東京オリンピックは本当に開催できるのか、日本の言っている情報は本当なのかという声も上がってきています。

 これ以上、政治判断という名の場当たり的な対処はすべきではないと考えますが、大臣の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、新型コロナウイルス感染症対策本部において決定されており、政府一丸となって進めているものです。

 決定に当たって、対策本部のもとに設置された専門家会議の見解を踏まえた対応を行っているところであり、例えば、全国一斉の臨時休業の要請や、全国的なスポーツ、文化イベントの自粛要請に関しても、これから一、二週間が急速な拡大に進むか終息できるかの瀬戸際との見解が専門家会議から二月二十四日に示されたことを踏まえて判断したものです。

 さらに、三月九日の専門家会議において新たな見解が示されたことを踏まえ、昨日の対策本部において、総理から、イベントの自粛等に関して、今後十日程度の継続について発言があったところです。

 文科省としましては、こういった専門家による見解を踏まえつつ、政府全体の方針のもとで、新型コロナウイルス対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

菊田委員 聖マリアンナ医科大学医学部の不正入試についても質問をしたかったんですけれども、時間があと一分ぐらいで、中途半端になりますので、これは次回にやらせていただきたいと思います。

 私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 立国社会派、国民民主党の吉良州司です。

 きょう、三月十一日、黙祷はしましたけれども、私の方からも改めて、東日本大震災で亡くなられた方への御冥福を祈り、今なお避難生活を送られている皆さんに対してお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、コロナウイルスに感染されて亡くなられた方への弔意も表したいと思いますし、感染者へのお見舞いも申し上げたいと思います。

 ただ、コロナ関連については同僚議員にお願いすることとして、私は、先日、三月四日の大臣所信について質問をしたいというふうに思っています。

 まず、三月四日の大臣所信ですが、極めて網羅的ではありますけれども、私は、聞いていて、簡潔明瞭に文科省の時代認識、問題意識、そして取り組むべき方向性がきちっと示されていて、すばらしい内容だったというふうに思っています。

 その中で、人づくりこそ国づくりという大臣の発言がありました。また、我が国の未来を切り開く取組の中核を担うものという発言も、大臣の方からありました。この大臣の人づくりこそ国づくりという本気度を信じて、主に大臣所信の発言に基づいて質問させてもらいたいというふうに思っています。

 最初は、私個人は極めて重要だと思っていますけれども、なかなか文科委員会等では取り上げられないのではないかという課題から質問させてもらいたいというふうに思っています。

 まずは、海外の日本人学校への日本人教師またシニアの派遣についてです。

 大臣所信の中で、今後更に加速していくグローバル社会を見据え、外国語教育や在外教育施設における教育、その後いろいろあるんですけれども、を推進しますというふうに述べられておりました。この在外教育施設という中に日本人学校が含まれているんだろうというふうに認識しています。

 この日本人学校に赴任をして実際に教鞭をとった、又は学校マネジメントに携わった教師の自己評価、そしてまた、帰国後、その教師を見ての他者からの、日本人学校で教鞭をとった教師に対する評価、それがどういうものであるかについてお伺いしたいと思います。

浅田政府参考人 在外教育施設というのは、日本人学校と補習授業校でございます。

 これらの在外教育施設に派遣された経験のある教師の方々から伺っているところでは、例えば、日本から離れることで物事をグローバルな視点で考えることができた、外国での生活を経験したことで異文化への理解が深まった、全国各地から集まっている教員、現地スタッフ、企業からの駐在員など多様な人と交流することで教師としての視野が広がった、保護者からの強い期待に応えるためにほかの教員と切磋琢磨して努力するので授業力が磨かれた、そういった声を聞いております。

 また、各教育委員会からも、在外教育施設での経験を生かして国際理解教育や小学校英語活動などでリーダーシップを発揮しているとか、あるいは、多様な視点から物事を見ることができるようになって視野が広がったといった評価を聞いております。

 私自身も、ある国の日本大使館に出向して、日本人学校、補習授業校も担当しておりましたし、そのときの派遣教員の方々とは今でもおつき合いがございますけれども、本当にいい経験だった、教師として大変勉強になったという声を聞いているところでございます。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

吉良委員 ありがとうございます。

 私自身も、自分の子供たちが日本人学校に通って、極めてすばらしい先生方ばかりだったという印象の中でこの問題を取り上げているんですけれども。

 ただ、一方で、今の実態を文科省の方からお聞きすると、いわゆる現職教員の方々の赴任数が減り、まあ、シニアが悪いわけではないんですけれども、教員OBの数がふえている。これは主に財政的な問題が背景にあるんだと思いますけれども。それらを含めて、日本人学校への教員の派遣というプロジェクトについての意義と、それから課題がどういうものがあるか、お答えいただきたいと思います。

浅田政府参考人 日本人学校等の派遣教師は、日本と異なる教育環境で、全国から選抜されたほかの都道府県等の教師と一緒に学校の中核となって教育活動を行うということになります。そうした経験は国内ではなかなか体験できない貴重な機会でございますし、教師としての力量を高めることにもつながると考えております。

 このように、日本人学校での勤務経験というのは大変大きな意義を有するものですけれども、現在、日本人学校への派遣教師の数は、日本国内の義務標準法と比較すると、標準定数の約七六%の充足率となっております。日本人学校からはぜひもっと増員をという要望がございますけれども、これになかなか応え切れていないという課題もございます。

 それから、先生御指摘あったように、国内の学校もまた教員の確保に努力をしている中で、現職の先生方が、それだけではなかなか埋まらないということもあって、シニアの方々、シニアといっても多くは日本人学校でかつて勤務経験のある方ですけれども、そういった方にも行っていただいているところでございます。

 文科省としては、従来から派遣教員の増員ということにもちろん努めております。令和二年度の予算案でも、派遣教師の数を前年度比二十二人増の千三百二十一人に拡充するという経費を計上させていただいております。

 また、この派遣を教師の資質向上の機会と捉えて、ぜひ、適当と認める候補者を積極的に推薦していただくように各都道府県等にもお願いをしているところでございます。

 ぜひ今後とも、日本人学校等への支援の充実に努めるとともに、志のある優秀な先生方を派遣できるように取り組んでいきたいと思っています。

吉良委員 ありがとうございます。

 先ほど少し触れましたように、私は、五年半、米国の東海岸に駐在していて、三人娘がいて、現地校に大体三年ちょっと、日本人学校に二年通わせたんですけれども、本当にすばらしい先生方で、私自身もその日本人学校に行って先生全員と交流したり、また、先生を個別に自宅にお招きして、いろいろと家族ぐるみでおつき合いするようなことをしておりました。私の長女なんかは今でも、もう三十四になるのかな、鹿児島出身の先生だったんですけれども、そのときの同級生が何年かに一度集まって、みんなで鹿児島の恩師のところに行って交流を深める、こういうぐあいに、非常に尊敬できる先生方だったと思っているんです。

 そういう意味で、私自身は、もともとすばらしい先生方が応募して、いい教育をしてくれたんだと思うんですけれども、同時にやはり、応募する段階で、そして実際日本人学校で教鞭をとる中で、自己研さんをし、能力向上が図られている面もあると思うんですね。

 そういう意味では、私自身は、後ほど教員不足という問題も大きく取り上げたいと思っているんですが、やはり教師という職をより魅力あるものにしていくためにも、そういう海外での研修機会、そして、先ほどメリットとして挙げられていましたけれども、視野が広がる、海外経験することによって日本も見直しができる等々いろいろないい面がありますので、その経験をふやせるようにしていただきたいというふうに思っています。

 ただ、私自身が交流する中で印象的だったことは、日本人学校に赴任する前から、日本人学校に行ったら自分の理想の教育を、理想の授業をやってやるぞというふうにしてやってきているんですね。そして、実際この学校ではそれができたというふうに、非常に満足しておられました。

 ただ、問題なのは、理想の教育をやるぞと思っているということは、日本においてはそれができていないということが一つ、それから、帰国後、帰国後も私たち親としても交流をしているわけですけれども、やはり帰国後になかなかその理想であった教育を日本の学校現場でやることができない、こういう話を聞きます。中には牧師さんに変わられた方もいらっしゃいます。

 ということで、先ほど課題の中で挙げられてはおりませんでしたけれども、私は、もっともっと日本人学校経験者がある意味では学校マネジメントのリーダーシップをとれるような、そういう環境を整えていくというようなことが必要なんだと思っています。

 その意味で、個人としての能力の向上、自己研さんはもちろんなんですけれども、これを学校教育全体に生かしていくためにはどうすればいいのか、その辺について文科省の見解を聞きたいと思います。

浅田政府参考人 おっしゃるとおりで、文科省としても、せっかくの派遣教員としての貴重な経験を帰国後に日本の学校教育のために生かしていただきたいと思っております。

 このため、派遣教師の方々にもぜひグローバルな視点を持った教師として活躍していただきたいというお願いをしておりますし、また、都道府県の教育委員会等に対しては、派遣教師の経験を、例えば国際理解教育や生徒の指導、ほかにもいろいろあると思いますが、そういったことに生かしていただきたい旨を呼びかけるとともに、在外教育施設での勤務体験が教師としての資質向上の機会にもなるということを踏まえて、ぜひ適当な候補者を積極的に推薦していただきたいというふうに要請をしているところでございます。

 また、帰国後でございますけれども、平成三十年度から、文科省として、日本人学校等での教育実践のいい事例とかいい経験とか、そういったものを集めるホームページを立ち上げたり、それらを発表するフォーラムを開催したりするなど、帰国後の派遣教師の方々のネットワークの構築ということも始めております。これにもぜひ今後更に多くの派遣教師経験者の方に参加していただきたいなと思っております。

 日本人学校等での派遣教師の経験が日本国内の学校での教育にも生かされるように我々も努めていきたいと思いますし、各教育委員会も、教員の確保とかさまざまな課題はありますけれども、ぜひ、中長期的な人材育成という観点から、積極的に、将来のその地域の教育を担うような教師の方々にこういう経験をしていただきたいなと思っております。

吉良委員 この問題の最後にしますけれども、今言った、日本人学校を有効活用していくという中で、私が文科省からいただいた資料の中に、教育実習先として日本人学校への受入れを可能とする制度を創設するということがございました。

 先ほども言いましたけれども、やはり教職というものをより魅力あるものにするという意味でも、教育学部、その中の実習先として海外に行ける、そういう経験を積めるということは、教育学部の魅力を高めることになるし、教職の魅力を高めることにもなるというふうに思っています。

 これをぜひ実現していただきたいと思っていますが、この点について大臣からお願いします。

萩生田国務大臣 日本人学校や補習学校については、大臣になる以前からずっと私も応援をしてきましたし、その存在の大きな価値についても私も確信をしているところがございます。先生が海外の日本人学校のとうとさを今説いていただいたことは、大変ありがたく思っております。

 本当は、将来の日本の教育を担う若き次世代リーダーたちが一定期間海外の日本人学校で働いていただく経験があった方が、きっと将来の日本の教育のためにもなるので、願わくばそういう世の中をつくっていきたいと思っているんですけれども。

 先ほど局長から答弁がありましたとおり、もう本当に、各自治体、ぱつんぱつんの人数でやっています。私、まさに令和の時代のスタンダードと大きなことを言っているんですけれども、この機会にやはり日本の教育のあり方というのを変えていかないと、どんどんどんどん世界から置いてきぼりを食ってしまうと思っておりますので、本当は、都道府県が計画的に、海外に二年、三年、この人を、日本人学校で働くことが可能なぐらい、余裕を持った採用ができるような仕組みというのを何とか模索をしてみたいなと思っております。

 加えて、今お話がありましたように、実習校に海外の日本人学校、補習校が対応できるようになりましたので、学生時代に一定期間まずは海外で教師としての歩みをしていただく、こんなことも極めて有効だと思っています。

 これは、表向きそういうことがあるかないかというと、誤解を招くといけないんですけれども、教員の場合は、なかなか採用待ちで、ウエーティングの人たちもいます。今、文科省、各自治体とも連携して、もう教師になろうという意欲があるわけですから、しかし、自治体ではまだお呼びがかからないわけですから、これは、一年待つことになるかもしれない、二年になるかもしれない、二年たったらもう一回取り直しをしなきゃならないということがあるので、この間、ただでさえ、先ほどお話があったように、七〇%台後半でとどまっている日本人学校の応援のためにも、志のある教員のウエーティングの人たち、採用待ちの人たちに海外に行っていただくことも重要だと思っています。

 シニアの皆さんがすごい頑張ってくれているんですけれども、シニアの皆さんより本当は若い人たちが現場に行っていただくことがよろしいんじゃないかな、シニアの皆さんが国内の応援に回っていただいたらより安心感が広がるんじゃないかなと思っていますので、こういったことをしっかり取組をしていきたいと思います。

吉良委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、問題意識も共有し、方向性も共有していただいていると思います。力強く推進をしていただきたいと思います。

 次に、科学イノベーション、その中でも、特に宇宙分野を取り上げたいというふうに思っています。

 これも萩生田大臣の所信の中で、我が国が将来にわたって成長と繁栄を遂げるためのかなめは、科学技術イノベーションですというふうに述べられています。

 私自身も、以前から繰り返し言っていることなんですけれども、人口減少、少子化、そのままいけば国力が衰えかねない。その中にあって、社会の活力を維持し、国力を維持し、そのためには科学技術立国、科学技術で生きていくしかない、それが私自身の持論であります。

 そういう中で、大人になったときに、結果的には文化系と言われる仕事に携わる、そういうことになったとしても、少なくとも子供のころは、科学がおもしろくてしようがない、将来は科学者になりたい、ノーベル賞を受賞したい、エンジニアになりたい、子供たちの七割、八割がそういう方向を、まずは小学校、中学校のころは向いている。そのような学校教育にしなければいけないのではないかということを私自身は思っています。

 これも大臣所信の中で、旭化成の、ノーベル化学賞受賞者の吉野彰シニアフェローについて大臣は語っておられましたけれども、吉野さんも、小学校四年生のときの女性担任から勧められた「ロウソクの科学」という本を読んで、そして化学に対する興味を持った、こういう話がございました。

 だから、そういう意味で、私自身は、子供たちというのは、言われて押しつけられてやると、嫌な子も、逃げる子も出てきますけれども、興味を持ったら、とことんのめり込んで、その分野に対する能力も、それからいわゆる学力全般についても伸びるものだと私は信じています。

 そういう意味で、科学に目覚めるための具体的な提案をさせてもらいたいと思っています。

 ただ、これは、柴山大臣のときに、この文科委員会のときに、実は私が提案したことでもあります。どういう提案かというと、小学校の五年次か六年次、アンド、オア、中学校の二年次か三年次に、宇宙週間、スペースウイークというものをつくったらどうかということです。

 これも、また私の体験になって恐縮なんですけれども、先ほど言いました、米国時代に子供が通っていた小学校は、宇宙週間だけじゃないんですけれども、地理、地理歴史の地理、地理週間というのがあったり、宇宙週間というのがあったりして、その宇宙週間というときには、子供がお祭り気分になるように、まずは、宇宙週間の間、子供たち全員が着るTシャツのデザインを募集して、子供たちの誰かのデザインが採用されて、みんなその服を着る。宇宙週間の最初は、初日には、実際の宇宙飛行士がNASAから来て、宇宙の楽しさ、おもしろさを話をする。そして、毎日毎日、宇宙についてのおもしろさ、楽しさを子供たちが学ぶ。

 ちょっと詳細は省きますけれども、かといって、一日じゅう全部宇宙のことではないんですけれども、宇宙のことを学ぶことによってほかの学科にも波及するような教え方をしています。そこは、ある種のすばらしい仕組みができ上がっているんですけれども。子供たちは、その宇宙週間の後は、本当に宇宙のことばっかり話をするぐらい、興味を持つんですね。

 それで、私自身は、この宇宙週間をぜひ日本にも導入したらどうかというふうに思っています。ちょっと気になるのは、先ほど萩生田大臣もおっしゃっていましたけれども、それじゃなくても教師不足で学校現場は大変、その中には、これもやり、あれもやり、これもやりという中で、また宇宙週間なんという余計なものが入ってきたら、それじゃなくても大変なのにという現場の悲鳴の声も上がるかもしれませんけれども、私はそれでも、将来の日本のことを考えれば、そういう宇宙週間を設けるべきだというふうに思っています。

 もう一点、問題意識を披露させてもらうと、日本の科学技術のレベルがどうやったら上がるか。私の持論ですけれども、主に四つの分野の頂が高ければ高いほど、裾野が広くなる。その四つというのは、一つは軍事です。そして、一つは原子力です。そして、この宇宙。そして、山中教授じゃないですけれども、生命科学。この四つの頂が高ければ高いほど、裾野が広がると思っています。

 ただ、日本の場合は、軍事についてはある意味ではタブー、そして原子力については、今は非常に警戒心が強い領域になってしまっていますので、そういう意味では、宇宙と生命科学、これが最も重要だろうというふうに思っています。

 そういう意味では、子供たちの興味を、まず宇宙というところで興味を持たせて、そこから科学全般に興味を持ってもらう、こういうふうに考えているんです。

 あと一点、宇宙について言いますならば、イトカワに行って傷だらけになりながらイトカワの物質を持ち帰った「はやぶさ1」、そして先日、リュウグウ、「はやぶさ1」の苦い経験も生かしながら、現時点では非常にうまくいっている「はやぶさ2」、こういう話というのは、子供たちも本当に夢があって興味を持てるプロジェクトだと思っているんですね。

 そういう意味では、この宇宙週間も、義務教育の小学校、アンド、オアになりますけれども、中学校に設けていくということは、先ほど来言っていますけれども、日本の科学技術の裾野を広げる、上げる、将来的には頂を高くする、日本の社会の活力、国力を維持増進していくために一番大事なことだと思いますけれども、この点について、できれば大臣の見解をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生、貴重な御意見、ありがとうございます。

 人口が減少し、天然資源に乏しい我が国にとって、科学技術創造立国の実現は極めて重要であり、その担い手である子供たちの科学技術への理解増進に向けては、宇宙分野等の、子供たちが関心を持ちやすい分野を入り口として活用することは極めて重要だと認識しております。

 文科省では、JAXAと連携して、宇宙分野における子供たちへの理解増進に係る取組を進めており、具体的には、今御披露のありました「はやぶさ2」のタッチダウン等の実験の実況中継や子供向け講演会の実施、小中学生と宇宙飛行士とのライブ交信イベント、高校生がJAXAの事業所において宇宙・航空分野の最前線を体験し、チームで協力して課題に取り組む宿泊型プログラムなどを実施しているほか、今般の新型コロナウイルスに伴う臨時休業期間における学習支援として、宇宙分野も含め、さまざまな科学技術分野のコンテンツを文科省ホームページに公開しています。

 文科省としては、これらの宇宙分野の取組を含む科学技術の理解増進に係る取組を進めることで、科学技術創造立国の実現に向けた、将来の担い手となる子供たちの興味、関心を引き立て、その裾野を拡大してまいりたいと思います。

 私もどっちかというと文系育ちで、理系については非常に知識が乏しくて、私は、恥ずかしい思いをしたのは、初めて国会議員になったときに、空の上四百キロの宇宙で、これだけの金があるんだったら、小学校のトイレを直せと党の部会で発言したことがあるんです。そっちの方が大事だと思ったんです。ところが、文部科学行政、いろいろ学ぶ中で、これはどっちも大事だな、もっと言えば、科学技術のとうとさってすごいなというふうに思いました。

 宇宙開発は、単なる宇宙開発じゃなくて、その副産物が我々の暮らしをどんどん前進させています。家の防火材なんというのもこれはロケットから出ていますし、ゴルフのカーボンシャフトで飛距離が伸びたと思っているのは自分の腕だと思っている選手はいっぱいいますけれども、これは宇宙科学のおかげでシャフトが、ファイバーができたわけでありまして、釣りざおなんかもまさに宇宙科学の副産物だと思います。寝たきりのお年寄りの介護用品なども、無重力の中だからこそさまざまな実験ができて、介護トイレなどの開発が進んでいると承知をしておりまして、そういう意味では、本当に全てのきっかけになると思っています。

 反省と同時に、唯一の自慢がありまして、私は十一年前に文部科学省の大臣政務官として、大臣も諦めた「はやぶさ2」の調査費を麻生総理大臣に直談判をして確保したという自負があるんです。そのときに、科学技術の局の担当の皆さんやJAXAの皆さんが、これは絶対帰ってくると言うんですよ、行方不明の「はやぶさ」が。今はこういうところを外れちゃっているけれども、何年何月に軌道に戻って、何年何月にオーストラリアのこの砂漠に戻ると言うんですよね。何でそんな精巧にわかるものが今行方不明なんだと僕は聞いたんですけれども、いや、本当に帰ってきました。ですから、あのときには誰にも自慢できませんでしたけれども、ひそかに本当に感動した記憶がございます。

 そういう日本が持っている科学技術の力をもっと身近に子供たちに知っていただく上で、宇宙ウイークなどをつくることは私は大賛成です。ただ、先生方への御負担がないように、まさに今、学校のICT化を進めています。そうすれば、皆さんのパソコンにどこかで誰かが授業をしていただいて、総合学習で一斉に全国でこういったことを学んで、現場の先生方を煩わせないで宇宙への魅力を感じていただくこともできるんじゃないかと思いますので、しっかり検討してみたいと思います。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

吉良委員 ありがとうございます。これも力強い発言をいただきました。

 さっき言った、小学校、中学校で全員が経験していくことで、今、あるあるというのがある。いつまでたっても、ああ、そういえば、宇宙ウイークでどうだった、ああだというのが会話の中に上って、宇宙を、繰り返しになりますけれども、一つの契機として、日本人全体が科学に興味を持つ、そういうインフラにできればなというふうに思っています。

 時間が大分なくなってきたんですが、次に、小学校における英語教育についてお聞きします。

 ちょっとこれは私の方から問題意識をお伝えをして、また改めて深掘りはさせてもらいたいと思っているんですが、大臣は所信の中で、小学校における質の高い英語教育のための専科指導等に必要な教職員定数の改善充実、それから、今後更に加速していくグローバル社会を見据え、外国語教育を推進するというふうに述べられています。

 その意味で、小学校における英語教育が中学年から始まるということの意義は大きいと思っているんですが、一方、文科省のレクを受けた際に担当者から聞いた話として、今まで、小学校五年、六年でやっていた英語は大好きだったけれども、中学校に入ってからは嫌いになった、苦手になったという子供が多くて、それが課題なんだという話をお聞きしました。

 これは、私が萩生田大臣にも共通テストの英語民間試験のときに議論を持ちかけたように、あのとき言ったと思うんですけれども、欧米諸国の人たちと流暢に、仕事上のことも、あらゆることを話ができる、打って出る英語の使い手と、それから、ラグビーワールドカップじゃないですけれども、世界じゅうから来た外国人に対して英語でもって何とか会話ができる、流暢ではなくても、これを私は迎え入れる英語というふうに言って、その議論のときに、萩生田大臣も、なるほど、そういう考え方がありますかとうなずいてもらいましたけれども。

 先ほど言った、担当者が心配していることというのは、小学校のときは、ある意味では、英語になれる、親しむ、そのことに目的を置いているので、言い方は適当ではないかもしれませんけれども、遊びの延長で英語に触れている。ところが、中学になった途端に、今度は、みんながみんな、打って出る英語の担い手になるための基礎をこの中学校から学ぶんだぞ、こういうふうに切りかわってしまうから、私は、さっき言った、苦手意識を持つ、嫌いになる人が出てくるというふうに思っています。

 繰り返しますけれども、私は、小学校の英語というものはあくまでも迎え入れる英語の基礎、そして、小学校には誰しもが通いますから、迎え入れる英語をみんなが使える、その場にするのが小学校の英語だというふうに思っています。今度、高学年から中学年に英語が早まることによって、三、四年生はすごく楽しかったけれども、五、六年になったら嫌いになったということがないように、これは中学校まで、私の持論でいけば、今言った迎え入れる英語を徹底的にやらなきゃいけないと思っていますけれども、決して、今言った、高学年になって打って出る英語に切りかわって、英語が嫌いだ、苦手だという子供を生み出さないようにしていただきたいと思っていますけれども、この点について見解を伺います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 小学校における英語教育の御質問かと思いますけれども、これからの社会におきまして、一部の業種、職種だけでなく、国内外におきまして、さまざまな場面で外国語によりますコミュニケーションが必要になると考えられます。このため、小中高等学校を通して、英語で聞く、読む、話す、書く、コミュニケーション能力を育成し、主体的に外国語を学んでいこうとする態度を育てるということが求められていると考えております。

 本年四月から全面実施されます新しい小学校学習指導要領におきましては、コミュニケーションを行う目的、場面、状況等を設定いたしまして、子供たちが自分の考えや気持ちなどを伝え合い、外国語を学ぶことに対する興味、関心を高めるような指導を充実するということを重視しております。

 小学校におきましては、例えば、ALT、留学生に自分たちの町をよく知ってもらうため、実際に英語でそういったことを紹介するといったことなどを通しまして、授業を本物のコミュニケーションの場面にするための取組が進められております。

 このようなことを踏まえまして、子供たちが本物のコミュニケーションを通して英語を学んでいくことができるよう、各学校の取組を支援してまいりますし、先生御指摘のとおり、英語嫌いをつくらないといったような視点で、中学年から高学年への接続、それから小学校から中学校への接続といった面でのフォローというか、そういった視点に力を入れていきたいというふうに考えております。

吉良委員 今答弁があったことは決して間違った方向ではない、正しい方向だと思うんですけれども、文字にして言葉にするとそういうことですけれども、余り、小学校の英語、肩肘張らず、はっきり言ったら遊びの延長でみんなが楽しくやって、嫌いにならない、先ほど最後の方におっしゃられた、そこが重要なので、そこのところをお願いしたいというふうに思います。

 最後になります。これも頭出しになって、詳細についてはこのテーマだけでじっくりやらせてもらいたいと思っていますけれども、いわゆる公立の小中学校における教員不足問題についてであります。

 この教員不足問題の現状と背景、極めて簡潔にお願いできますか。

浅田政府参考人 教員不足の実態に関しましては、平成二十九年度に幾つかの教育委員会にアンケート調査を実施して、教員不足の要因とか対応策などについて把握に努めてまいりました。加えて、令和元年度にも、実態を更に深く把握するために、直接、教育委員会に抽出で聞き取り調査を行ったところです。

 それによりますと、年度当初における小学校の学級担任の不足の事例があります。あるいは、不足に対して、学校内でやむを得ず教頭が担任を務めるといった例もあったということです。それぞれの学校内で何とか人をやりくりして対応している厳しい状況があったということを把握しております。

 教員不足が生じる主な要因としては、これはもういろいろございますが、例えば、産休、育休や病気休暇をとる教員の数がふえていること、定年退職者がふえていること、それから、特に最近は特別支援学校とか通級等が増加していること、また、これらにより不足した教員を一時的に補うための講師の登録名簿の登載者数がそもそも減少していること等が挙げられます。

 さまざまな要因が複雑に関係している問題であると考えております。

吉良委員 最後に答弁があったとおり、これは、単一の理由とか問題というよりも、本当に複雑に絡み合った問題、しかも時間軸も、今やはり答弁でありました、短期、中長期、いろいろな問題が本当に複雑に絡み合って教員不足問題が生じているというふうに思っています。

 ただ、その中でも最も大きな問題というのが恐らく二つあるんだろう。それは、教員の働き方改革の原因にもなった、余りにも教員の負担が大き過ぎるということと、もう一点は予算、財政の問題だというふうに思っています。総額裁量制度によって、極端に言えば、五十歳の正規教員を雇うよりは非正規の若手二人を雇った方が早い、早いというか不足を補えるというような発想で、非正規教員というのがふえている、これも財政的な制約が大きな背景にあるんだろうというふうに思っています。

 そういう意味で、私自身は、いずれこのテーマについて深掘りをさせていただきたいと思っているんですけれども、地方交付税、これを利用できないかというふうに思っています。私も勉強を始めたばかりです。国庫補助はあるんですけれども、二〇〇四年から、それまでの二分の一から三分の一になりました。都道府県、政令市の負担分がふえてしまっている。

 私は、本来なら、この少子化、人口減少の時代に首長に立候補する人は、教育第一を掲げて、そして独自財源でも教員の給与を確保するというような首長が選ばれ、かつそれを実行に移すのが理想型だというふうに思っています。ただ、現実問題としては、国からの国庫補助がなければ、教員数又は給与を抑えるという方向にベクトルが進んでいるというふうに思っています。

 その意味で、先ほど言いました地方交付税の算定方法の中で、普通交付税の補正項目である教育費、そこを修正することによって、実際問題として今まで都道府県の独自財源で教員給与を確保していたところに加算がされるという仕組み、又は、今の場合は普通交付税ですけれども、特別に、国からのそういう交付税措置がなくても独自にやるんだといってやり始めた都道府県、政令市には、特別交付税でもってプラスアルファが配分される、このような形で教員不足を、予算的な制約を取り払っていくべきだというふうに思っています。

 きょうは頭出しだけになるんですけれども、ちょっとこの問題意識について萩生田大臣のコメントをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

萩生田国務大臣 税の使い道については、ちょっと大きな話なのでまたの機会に深く議論したいと思うんですけれども、いずれにしましても、かつての四十人学級のままいまだに定数は変わらない、これだけ教科が多様化してきているのに、小学校では一人の担任がほとんどの教科を教える、これはまさに限界だと私は思っています。より専門性の高い専科の先生方を配置したりして、できるだけ多くの人手で子供たちにしっかりとした教育をしていくことが次の時代のためにも必要だと思っています。

 振り返って、ソーシャルスクールワーカーも、スクールカウンセラーも、あるいは学校の図書館司書も、周辺人材は必要だったと思いますけれども、もっと真正面から教員をふやしていくという努力を我々文部科学省もするべきだった、こんな思いもございますので、ここがまさに勝負どころだと思います。

 令和という新しい時代に、これからの次の世代の子供たちをどう育てていくか、そのための教員のあり方、教員の理想像、こういったものをしっかり先生方と議論しながら探求をしていきたいと思っています。

橘委員長 吉良君、時間が参っております。

吉良委員 ありがとうございます。またいずれ深掘りしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 立国社の牧義夫でございます。

 もうお昼どきになって、ちょっとおなかもすきましたが、頑張ってあと一時間、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 先ほど菊田委員の方からも、全国一斉臨時休校について、その影響によるさまざまな混乱についてのお話がございましたけれども、私も、ちょっと別の観点から、このことについてまずは議論をしたいというふうに思います。

 二月の二十七日に、総理から唐突に要請がございました。このことについては、前回の委員会で大臣からも、これは一つのメッセージだというようなお話もございましたけれども、この二十七日の要請を受けて、翌二十八日には事務次官通知、これは全国の知事、指定都市、中核の市長やら教育長に向けての通知がございました。これは、地方自治法あるいは地方教育行政法に基づく指導助言だということだと思います。

 そして、次に三月二日、二月二十八と三月二日というのは実はそんなに離れていなくて、まさに間髪を入れずだと思いますけれども、初中局長やら総合教育政策局長、あるいは厚労省の子ども家庭局長などの名前でいろいろ通知が発出されております。これは、子供の居場所確保に向けた取組ですとか、あるいは放課後児童クラブに関する財政措置ですとか、あるいは放課後等デイサービス事業所の対応などが通知をされたわけでございます。

 この一定の手順については、きちっと手続に基づいてこういった手順がとられたわけでありますけれども、そもそもこの手順がとられる大前提となる総理大臣の要請というのは、一体どういう法律、法令に基づくものなのか。そもそも、この二十七日の要請の根拠というものをちょっと改めて私なりに確認させていただきたいと思います。前回は、科学的な根拠はあるかないかとかいう話がありましたけれども、私は、改めて法的な根拠を問いただしたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 総理大臣の休業要請は、法的根拠はございません。あくまで、翌日発出した文部科学省の地方教育行政法に根拠を置いた指導助言、その中で学校の一斉休業について要請をしたところでございます。

牧委員 先ほどの菊田さんの質問のときに、韓国の大統領令なんかと違って、日本の国の法律のたてつけからすればあくまでもこれは要請であって、それぞれの学校設置者の判断だというお話がありました。しかしながら、二十七日に総理からの要請があって、矢継ぎ早にこういった通知が出されて全国一律同じ形がとられたということは、あくまでも、要請だとかあるいは命令だとかということにかかわらず、実態としてはこれは同じじゃないか。そのことを求める要請というのが法的根拠がないということは、私は非常に問題だというふうに思います。これは、混乱が生じたとかという問題とは別に、その後のいろいろな国の責任のあり方もこれによって問われ方が違ってくるというふうに私は思います。

 振り返ると、総理の、今、法的根拠はないとおっしゃいましたから、改めて申し上げれば、これは超法規的な要請だったということでいいと思うんですけれども、こういう超法規的な要請というのを振り返ると、くしくもきょう、三・一一でございますけれども、あの東日本大震災を受けて、福島第一原発の事故を受けて当時の菅総理が浜岡原発をとめてくれという要請をして、これは経産省を通じての要請だったと思いますけれども、これを中部電力が当時受け入れた。これも法的根拠のない超法規的な発令だったというふうに思います。当時、ここにおられる馳浩先生が、質問主意書で法的根拠はあるのかということを問われたというのも私は覚えておりますし、そのときの政府答弁は、法的根拠はないというお話だったと思います。

 ここで私が確認したいのは、その中身が正しかったか間違っていたかということよりも、そういうことを発する総理の責任というものは、これは後世の批判に十分耐え得るだけのものじゃなきゃいけないし、もう一つは、その後起こるさまざまなことに対しての国の責任が問われるんだよということも、私は改めて確認をさせていただかなきゃいけないと思いますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 一国の内閣総理大臣が国民の皆さんの前で発する言葉の重みというものは、法的根拠があるなしにかかわらず、国民の皆さんにしっかりとしたメッセージとして伝わるんだということを改めて感じました。そういう意味では、私は総理の内心までははかれませんけれども、総理大臣である以上、全ての事象について責任を持つ覚悟で取り組まれている、そういう姿勢で頑張っているということは信じたいと思っています。

 翌日発出した文科省の文書が行政文書でありますので、その後の具体的な課題については、我々文科省、なかんずく私、文科大臣が責任を持って対応していかなきゃいけない、そう思っているところでございます。

牧委員 昨日、新型インフル等対策特別措置法の改正案についての閣議決定がございました。私、個人的には、二〇一三年のこの法を適用していれば、別に後づけの、こういった法的根拠があるとかないとか言われる筋合いではなかったのかなというふうにも思いますけれども、いずれにせよ、昨日閣議決定されたこの法案の施行日というのが、最初は何か二月一日まで遡及するみたいなお話もございましたけれども、そうではないということですので、この空白の期間における判断の責任というのは、私はかなり重いものがあろうかというふうに思います。民間に至る全ての分野において政府が果たすべき責任というのは多岐にわたるし、これは漏れがあってはいけないというふうに思います。

 そんな中で、昨日、第二弾の休業補償等、フリーランサーも含めての対策が、第二弾が打ち出されましたけれども、この中で、既に打ち出されている子供の休みに伴う親御さんの、休業を余儀なくされた人たちへの補償等々というお話がありました。

 改めてフリーランスの人たちの補償についても打ち出されたわけですけれども、もう一つ、ちょっと私、ここで確認しておきたいなと思うのが、必ずしもお子さんが学校に通えなくなったことによる影響だけじゃなくて、学校が休校になったことによって、例えば、給食業者。

 およそ五〇%ぐらいの学校で学校給食というのは外部委託をしているというふうに伺っております。給食費を返還せよとかそういったことはきのう打ち出されておりますが、給食業者に対する補償というのは、例えばの話、給食業者というのが、それぞれの地域の教育委員会との契約に基づいての請負事業であれば、唐突にこの三月からもう要らないよと言われた場合にきちっと全額補償されなければならないし、そしてまた、そこで働く人たち、実際に私の地元の事務所にもそういった相談が来ておりますけれども、そこに非正規で働く女性がいきなり、もう仕事に来なくていいよと言われたというんですね。

 そうすると、業者に対する補償があっても、果たしてその方たちに給与が補償されるのかどうなのか。これは、社会あまねくの話で言うと、ここで大臣にお答えいただく話ではないのかもしれないですけれども、学校にまつわる話ですので、学校との、あるいは教育委員会との契約でやってきた業者がこういうことになったときに、どこまできちっと責任をとるのかということを明確に私はここでお示しいただきたいというふうに思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の給食の調理業務の委託につきましては、委託者である各学校の設置者と受託者である委託業者との間での契約によりその詳細が定められているというふうに承知しております。

 今回の臨時休業により調理業務を受託している民間企業の需要が減少した場合は経済上の理由に当たり、それに伴う労働者の休業は厚生労働省所管の雇用調整助成金の対象となるというふうに承知をいたしております。

 これは、本来であれば厚生労働省から答弁する部分でございますが、いわゆる雇用調整助成金は、正規の方と、あと非正規の方でも、一週間に二十時間以上の雇用関係があればこの雇用調整助成金の対象になるということでございまして、非正規の方の中でも、二十時間の雇用関係にない方についてはこの雇用調整助成金の対象にはならないということかと理解をしているところであります。

牧委員 ちょっと私の質問が御理解いただけなかったと思います。

 雇用調整助成金とかそういう厚労省の所管の話じゃなくて、教育委員会と直接契約を結んでいる業者に対する補償をどうするかということを私は聞いているんです。

丸山政府参考人 失礼いたしました。

 昨日認められました第二次の対策の中で、予備費の活用につきましても、給食関係の事案につきまして所要額が計上されているところでございます。その中で、そういった業者との契約関係の中の事業者に対する補填というようなことについても必要な経費を計上しているところでありますが、ただ、詳細の執行の部分については現在調整を続けているという状況でございます。

牧委員 事業者に対する補償についてはわかりましたが、そこに働く方たちの所得の補償についても、私は、最終最後まで文科省が、あるいは教育委員会が責任を持っていただきたいということだけは改めて念押しをさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 次に、オリパラの、危ぶまれていると言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、開催についての質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日々刻々と、このコロナに関するニュースというのは次から次へと出てくるんですけれども、今の率直なところ、橋本大臣は本当に東京で開催できるとお思いでしょうか。

橋本国務大臣 まず、東京大会の主役でありますアスリートの視点から申し上げましても、この四年に一度という時期に合わせて調整もしております、準備もしております。そういった中で、中止や延期をするということはあり得ないことであります。

 そして、大会の開催についても、最終的な判断の権限というのはIOCにあるわけですけれども、政府としては、IOCが適切な判断がしっかりとできるように、的確な情報提供を行っていくことが重要であるというふうに考えております。

 IOCなどが、安全、安心な大会運営を行う観点から、関係者間で情報交換を行うための場として立ち上げたタスクフォースにも政府として参加をさせていただいておりまして、政府の新型コロナ対策の内容等について説明を行ってきております。IOCがしっかりと開催ができるというふうに確信を持っていただけるために、日々の情報提供ということで、政府としてはしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

牧委員 大臣の立場としては、今の時点では中止というのはあり得ない、そうお答えせざるを得ないというお立場はよく理解するつもりでございますけれども、そこにあえて重ねて質問させていただくと、今の時点はあり得ないとおっしゃいますけれども、判断の分かれ目というのは大体いつごろだというふうにお考えでしょうか。

橋本国務大臣 大会開催の権限というのはIOC、判断をするのもIOCであります。

 その中で、三日のIOCの理事会の声明でも、東京オリンピックの成功に全力を尽くすということが表明をされまして、そして、四日のIOCの理事会においても、東京大会の中止や延期についての議論は一切出なかったと承知しておりますし、また、どのような状況になったら中止をするのかということも全く話はされなかったというふうに伺っております。

 大会開催に向けてIOCが適切にしっかりと判断ができるように、政府として情報提供をしながら、あるいは、総合的に対応する推進チームを立ち上げておりますので、しっかりと現場が、現場というのは、各協会であったりですとか競技団体、あるいはIOCに所属をする各国のIF、そういったところがしっかりと情報をキャッチされて、そして、その情報をこちらから的確にプッシュ型でお知らせするということも含めて、総合的な対応推進チームというものを活用しながら全力で当たっていきたい、進めていきたいというふうに思います。

牧委員 よくわかります。IOCが最終的には判断する、そのIOCの正しい判断に向けてしっかりと取組をしていただくということはよく理解できますが、ここへ来て、いろいろなところからいろいろな声が上がります。

 マスコミの報道にも一定の責任もあるのかもしれませんけれども、例えば舛添元厚労大臣が、この四月末がデッドラインだ、潜伏期間が長いコロナウイルスですから、その辺がデッドラインだというような発言もされておりますし、WHOも、これは夏になったら終息する代物じゃないぞというようなことも、WHOからも発せられているところであります。

 そしてまた、きょう、ちょっと私、ネットのニュースで見てびっくりしたんですけれども、二〇二〇組織委員の理事の高橋治之理事から、これはウォールストリート・ジャーナルのインタビューに対する回答なんですけれども、場合によっては一、二年延期せざるを得ないというオプションも示唆をされたという報道がありますね。

 こういうことを受けると、本当に何を信じていいのかわからない。そういった話は違うんだということを言い切れるのかどうなのか、とりわけ組織委員会の理事からこういう発言が出ているということ、そのことも踏まえて、やはりきちっともう一度答えていただきたいと思います。

橋本国務大臣 その発言についてでありますけれども、組織委員会に確認をしたところ、報道については承知をしているが、発言の詳細や内容については承知をしていない、いずれにせよ、大会の延期は検討していない、大会準備は計画どおり進めるということでありました。

 先ほどWHOの話がありましたけれども、IOC、WHOなどが、安心、安全な大会を運営する観点から、関係者間で情報交換を行うための場としてのタスクフォースを立ち上げておりまして、この中で政府としてしっかりと対応していきますので、今後も開催に向けて全力で取り組んでいく、そのことに尽きると思っております。

牧委員 現時点では、きちっと足並みをそろえて頑張ってくださいとしか私の立場では言いようがございませんので、これ以上、この件については言うつもりもありません。

 ただ、今、内閣委員会で議論されている今回の特措法改正案、これが通れば、この緊急事態宣言の発令の要件を見ていると、今の時点でもう緊急事態宣言に値するぐらいの状況じゃないかと思いますし、現に総理は、もう既に二十七日に、この緊急事態宣言に匹敵するような全国に向けてのメッセージを発しているわけです。

 ですから、この特措法が通っても、緊急事態宣言がもし発令されることになれば、私は、ことしのオリンピックは吹っ飛んでしまうぞということを、ここで、別に答弁は必要ございませんが、あえて申し上げておきたいというふうに思います。

 じゃ、橋本大臣、ありがとうございました。もし何かおっしゃることがあれば、いいですか。

橋本国務大臣 繰り返しになりますけれども、IOCや組織委員会、東京都そして関係団体ということで、連携をとりながら、予定どおりの開催に向けてしっかりと準備をしていきます。

 現時点で、緊急事態宣言が出た場合の対応についてのお答えというのは差し控えさせていただきます。

牧委員 橋本大臣、ありがとうございました。

 それでは、ちょっともう一回、文科大臣の所信に基づいての質問に戻らせていただきたいというふうに思います。

 大臣所信の中で、いろいろいいことをたくさん述べられております。高等教育の修学支援ですとか、あるいは大学の経営そのものの健全化に向けての助成、こういったことについての力強い発言がございます。国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成など、基盤的経費を安定的に確保するとともに、経営力強化、連携統合の促進や財政支援のめり張り化を通じて、強靱な大学への転換を促してまいりますという言葉がございました。

 大変力強い言葉だというふうに思いますけれども、一方で、国立大学に向けての運営費交付金というのは、最近ではちょっと横ばいだというお話ですが、ずっと一定期間減少の一途をたどってきた中で、大変、地方の国立大学等々からも運営が厳しいという声も寄せられております。

 そんな中で、国立大学の学費自由化を検討というニュースを拝見して、これはちょっとゆゆしきことかなというふうに私なりに思いました。

 こういう中での自由化というのは、つまりは、学費を下げるという話じゃなくて、これは学費を上げろ、自由に任せるから上げなさいというふうなメッセージに私は捉えざるを得ないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 ただいまの御指摘は、文科省に設置した検討会議で、国立大学法人がより個性的かつ戦略的な運営を行うことができるように、これを可能とするため、多岐にわたる検討を行うこととなっておりまして、その一つに、授業料の自由化の是非も検討事項の一つと挙げられております。

 この会議においては、当然、国立大学の機会均等における役割、あるいは地域の特性等も踏まえて、各大学の判断により授業料の上げ下げも含めて一層柔軟に取り扱うことを可能とするかどうかを検討していただくというものでございます。

 まずは、この会議において、自由化すべきか否かということの是非についても御検討いただくものでございまして、その会議でしっかり議論をし、その結論を踏まえて対応していくというものでございます。

牧委員 是非について議論すれば、運営に窮しているところは必ず授業料を上げるという方向性になるに決まっているわけで、これは修学支援の流れとまさに逆行する話でございます。

 時間が余りないので、大臣にはこのことについてあえてお答えはしていただかなくて結構ですけれども、修学支援の流れとは逆行だということだけはしっかり大臣の腹の中におさめていただきたいとお願いを申し上げさせていただきたいというふうに思いますので、わかったとここでうなずいていただけるだけで結構ですけれども、うなずいていただけませんか。じゃ、一言。

萩生田国務大臣 今局長から御説明させていただいたとおり、あくまで、授業料の値上げの検討会じゃなくて、国立大学のあり方についてしっかり皆さんで考えてもらいたい、足元を見てもらいたい。

 例えば、地方の国立大学などは、東京都市部と同じ学部、同じ学科で、同じ授業料で果たしてやっていけるのかといったら、もっと言えば、インセンティブを発揮するために、地域性を発揮したり、事によっては授業料を下げないとなかなか地元で地域の人たちが通わなくなるんじゃないかということも含めて幅広に検討していただく第一歩なので、ちょっと報道がセンセーショナルで、私も嫌な感じがして、そう受け取る方が大勢いるんじゃないかなと思ったんですけれども、今そのようになりつつありますので、あえて否定しておきますけれども。

 本当に、経営基盤をしっかり国立大学の各法人が考え直していただく大事な時間にしたいと思いますので、あらかじめ、何かをお願いするとか、どういう出口を決めるという予断を持ってやっていることじゃないということだけは御信頼いただきたいと思います。

牧委員 力強い回答、ありがとうございました。

 ちょっとそれに関連して、給付型あるいは貸与型の奨学金もいろいろございますけれども、とりわけ貸与型の奨学金を受けて、卒業と同時に借金を抱えて社会に出る学生の方が非常に多い率でいらっしゃる。その中で、また更に返済金が滞納になっている方も、かなりの率でいらっしゃる。

 そういう中で、これは文科省の所管というよりは地方創生の関係なんでしょうけれども、地方に若者を呼び込めということで、返済金の肩がわりをする、自治体あるいは自治体プラス受入れ企業で半分ずつ持って、若い人の奨学金の返済金を肩がわりして地方に呼び込むという話を見て、これは地方創生の観点からすればいいのかもしれないですけれども、私は、二つの観点でちょっと問題があるんじゃないかというふうに思います。

 一つは、公金による借金の肩がわりというのが本当にあっていいのかどうか。それからもう一つは、どこに就職しようがどんな仕事をしようが、憲法が保障する基本的な人権だと思いますけれども、借金の肩がわりにどこかに年期奉公させられるような、これは地方の人には申しわけないんですけれども、選択肢がなくなるという意味ではあってはいけないことだというふうに思います。

 まず、所管の方は来ていますか。じゃ、簡単に。

田口政府参考人 お答えいたします。

 地方創生を推進するためには、若い世代の地方への流れを促進し、地域の産業を担う人材を確保することが重要とされてございます。

 まち・ひと・しごと総合戦略、これは平成二十六年に閣議決定されましたが、ここにおきましては、地元企業への就職や都市部の大学等からの地方企業への就職を促進するため、奨学金を活用した大学生等の地元定着の取組を推進するとされてございまして、それ以来、全国的に奨学金返還支援の取組が広がってございます。

 これを受けまして、昨年の十二月に閣議決定をいたしました第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましても、取組のさらなる広がり、支援制度の活用を推進するとされているところでございます。

 こうした方針を踏まえまして、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部事務局としましても、地方の企業への就職を促進するための一つの方策として、奨学金の返還支援による地方定着の促進に文科省それから総務省と連携して取り組んでいるところでございます。

 奨学金の返還支援のための具体的な要件などにつきましては、地方公共団体や地元産業界の実情等を踏まえてそれぞれに設定されてございまして、各地方公共団体あるいは地域にとって必要な人材に対して適切な支援が行われているものと考えてございます。また、その要件を満たした上で、奨学金の返還支援を受けるかどうかということにつきましては当該支援を受けようとする本人の意思に基づくものでございまして、御指摘の個人を縛るというようなことに当たるものではないと考えてございます。

牧委員 その仕組みはよくわかっているんです。だから、別に個人を縛るものじゃないという御意見もわかりますけれども、ただ、現実には縛っているんですね、これは。

 大臣、どう思われますか。一言でいいです。

萩生田国務大臣 今説明があったとおり、本人が望まないのに無理やり、地元の企業に就職しろ、そうじゃなきゃ金返せみたいな話は聞きづらいんですけれども、もう進学の段階で、本人も納得して、希望して、地元の企業や例えば市役所や県庁へ戻ってきたい、しかし、経済的にいろいろ困難なんだということで自分が選んだ道だとすれば、それは納得の上だったら私は地方の知恵じゃないかなと思いますので、そこはよろしいんじゃないかと思います。

牧委員 これは切りがないので、この辺にしておこうと思います。私の問題意識としては、ちょっとこれは問題があるなというふうに思っておりますので、そこだけは申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一つ、今の受験産業と入試の関係について、ちょっと私なりの問題意識を申し上げたいと思うんです。

 今の受験産業というのは、教育産業市場、たしか矢野経済研究所か何かの調査でいくと、少子化にもかかわらず、毎年どんどんこの経済規模は大きくなっているんですね。これでいくと、二〇一八年ですけれども、二兆六千七百九十四億円の市場なんです。これは受験産業の市場ですね。

 これだけの大きな市場があって、これが入試問題をつくっている大学には、さっきの運営費交付金の話とも絡みますけれども、何にも還元されないんですね。

 私も、地元で、ある国立大学の先生と一杯やったときに、問題をつくるのは毎年大変なんだよ、研究する時間も惜しんで、しかるべき人間を入学させるための問題作成というのは大変苦労がある、それについての何ら見返りもないという、別にその先生は文句を言っているわけじゃなくて、もうちょっと学校に還元してもらえればありがたいなというお話がありました。

 せんだって、JASRACが訴訟で勝ちましたよね、ヤマハとか音楽教室。これは、一律二・五%、事業者に請求できるということになって、収入が最大約十億円になると。

 これは、大学の要するに入試問題に一つの編集著作権が私はあっていいと思うんですよね。この著作権の許諾料として、仮に二・七兆円に二・五%を掛けると、六百七十五億円、受験産業から徴収できることになって、これをそのまま大学の運営費に充てたら大きいなと私は思うんですね。

 それぐらいのことをしても罰は当たらないと私は思うんですけれども、大臣、どう思われますか。突然の質問であれですけれども、そういうこともちょっと考えていただいた方が私はいいと思います。

萩生田国務大臣 大学の作問をされる先生が、自分が作問者だと牧先生とのお酒の席で言ってしまうのはちょっとどうかな、こう思いますけれども、いずれにしても、さまざまな学校の知見によって、それを教育産業が二次的に使っているという実態はあると思います。

 私、著作権に当たるかどうかというのは、ちょっと専門的なことはわからないんですけれども、やはり、その分野で仕事をしている人たちには、例えば、著作権料で直接学校へ戻すとかそういうことがなかなか難しいとすれば、「トビタテ!」のような留学の問題は民間企業からも寄附を仰いでいますので、心ある企業はそういうところにお金を出してほしいなと、今お話を聞いていてちょっと思った次第でございます。

牧委員 これは著作権に該当するかわからないというお話でしたけれども、私はしっかり該当するお話だと思いますし、過去問題集等々を出版する会社も、多分許諾料は払われているんだというふうに思います。

 ただ、一部、センター試験等々、新聞で問題が報道されるのがありますよね。これは許諾なしに、報道ということで載っけちゃうんですね。だから、これを勝手にもう一回印刷して塾で使ったり、これは多分許諾なしで無償で使っているというふうに思いますので、こういうものからお金をきちっといただくシステムというのは私はつくってしかるべきだと思うし、それを学生さんやらあるいは学校の運営に還元していただけるような仕組みをぜひつくっていただきたいとお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 本当は、大学入試のあり方に関する検討会議について、進捗状況等々をお聞きしたかったんですけれども、時間がないのでちょっと飛ばさせていただいて、またこれは次の機会にお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 ジャパンeポートフォリオについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 これも高大接続改革の一環なんでしょうけれども、二〇二一の入試から、知識・技能、思考力・判断力・表現力に加えて、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ姿勢(主体性評価)の三点を総合的に評価する入試を実施するという文言がございました。

 この主体的評価というのは一体何なのか、端的にお答えをいただきたいと思います。

伯井政府参考人 今、学校教育法上の学力の三要素で、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度というのがございます。これを評価することは高大接続改革推進の上で重要ということで、さまざまな取組を進めているというものでございます。

牧委員 これはちょっと事務方じゃなくて大臣に聞かなきゃいけないと思うんですけれども、主体性評価という言葉そのものが私はよくわからないんです。

 学習者がみずからの学びの記録を蓄積して、みずからがそれを活用するということについては、これは私は否定するものではございません。ある意味有意義だと思いますけれども、これが評価の対象になった瞬間に、私は主体性は損なわれるというふうに思います。ポートフォリオにどんな活動を盛り込んだら受験に有利なのかということをやはり考えてしまう。校外活動やコンテストなどへの参加、ボランティア活動、これは評価のためにするんでしょうか。そうじゃないと私は思います。

 こういうことで入試を行うと、大人におもねる、そんたくの上手な人間をこれから育てていくんだということになってしまいかねないというふうに私は思いますし、前回の質問のときに、私も大臣に失礼なことを申し上げたかもしれないけれども、高校時代のさまざまな武勇伝についてのお話もお聞かせをいただきました。パーティー券を売って停学処分になったとか、他校の生徒とけんかをしたとか、いろいろお話をお聞かせいただいて、そのころから将来大物の政治家になる片りんがうかがえたわけでございますけれども、多分、こういうことをポートフォリオに載せたら、今の大学は拒否するんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 もともと、この主体性は、例えば高等学校から学校に提出される調査書などに学校の先生たちが書き込んでいただくことを読み取ったり、あるいは、かつては大学入試でも面接の時間を設けていた時代がございました、そういうときに、自己主張や自分の高校時代のさまざまな体験、経験を自分で披露する機会に確認ができたものがなくなってしまったので、何らかのプラットフォームをつくってということになったんだと思うんですけれども、今先生がおっしゃったように、高校三年間のボランティアとかそんなのを一々一々書き込んで、それには一々、担任の先生の了解も必要なわけですよ。そうすると、じゃ、そのエビデンスは何だったんだ、どういう会だったんだ、どういう団体だったんだと。自己満足みたいなところも、失礼ですけれどもあるんだと思うんです。

 ですから、私、そういうことをもし大学が入試の参考にしてくれるんだとすれば、一点刻みの点数だけじゃなくて、そういう高校時代の活動というのも大事で、例えば、クラブ活動でレギュラーの人と補欠だった人というのは、やはりおのずとその外的評価は違うんだけれども、補欠なんだけれどもこういうことを頑張ってきて、みんなからこういうふうに評価されていますよというようなことを先生がもし調査書に書いてくれるんだとすれば、それは一つのポイントにきっとなるんだと思うんです。

 そういうものに少し戻していった方がいいんじゃないかなと思っていまして、二月の二十一日に、大学入試における多面的な評価のあり方に関する協力者会議というのを設置して、この主体性の評価のあり方というのをもう一回ちょっと見直してみようと思っています。

牧委員 主体性の評価の見直しというのをぜひしていただきたいと思いますし、私は、そもそもこれは入試にはなじまない話だと言っておかなければいけないというふうに思います。

 今、レギュラーと補欠の話がありましたけれども、これだって第三者が判断できないですよ。なぜ補欠になったか、それは先生との折り合いが悪くて補欠になったケースというのが十分考えられますし、その場合、補欠が、こういうところでいいところはあるんだよなんて評価してもらえるわけがないので。

 そういうことも含めて、私はこれは入試にはなじまないというふうに思いますし、きょうは時間がないので、この件について、個人情報の保護の問題等々、あるいは民間のポートフォリオとの関係、さまざま聞きたいことはまだ残っておりますけれども、きょうのところはここまでにさせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 立憲民主・国民・社保の山本和嘉子でございます。

 きょう最後のバッターということで、皆さん、お昼スルーでお願いしているところでございますけれども、あと最後三十分、おつき合いいただきたいというふうに思います。

 きょうで東日本大震災、丸九年ということでございまして、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、今なお避難されている方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 加えまして、新型コロナウイルスに関しましても、今大変重篤な方もいらっしゃいますし、そして感染された方、お見舞い申し上げます。亡くなられた方にもお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 コロナウイルスに関しまして順次質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、臨時休業における子供たちへの影響についていろいろと聞かせていただきたいと思うんです。

 突然の臨時休業から約一週間が過ぎようとしております。学校に行かない子供たちが休みの間に何を行っているのか、きちんとした生活を送っているのかというのが大変心配であるというふうに学校現場の先生方からもお聞きをしております。

 私も先日、週末に地域を歩いておりましたら、遊んでいる子供たちに遭遇をいたしました。家にお母さんがいるという子供たちだったので学童に行く必要はないということだったんですけれども、この遊んでいる後はどうするんですかというふうにお聞きをしたら、ゲームでもしますというような反応だったんです。

 長期間の休みというのはゲーム依存というのも心配だということも報道されていました。ゲームに加えて、スマホ、そういった依存も心配だなというふうに思います。生活や学習のリズムを崩して、不安やストレス、目の届かないところで抱え込んでいるということも考えられると思います。

 そういった場合に文部科学省としてどのような対応をするか、大臣からお聞かせいただきたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 臨時休業により自宅で過ごす時間が長くなることに伴う生活リズムの乱れやストレス等の課題については、教育委員会や学校においても必要な対応を講じていくことが重要であると考えております。

 このため、文部科学省においては、都道府県教育委員会等に対し、臨時休業に伴い自宅で過ごす児童生徒やその保護者との連絡を密にし、ストレス等の課題に関し、二十四時間子供SOSダイヤル等の相談窓口を適宜周知するとともに、必要に応じて養護教諭やスクールカウンセラー等による支援を行うよう依頼をしたところでございます。

 また、昨日、地方五団体の代表の皆さんとの意見交換の中で、ぜひ担任の先生にはこの間に家庭訪問をしてもらえないだろうか、直接会って顔を見て、近況、健康状態などを確認してくれないか、こんなことや、あるいは、もう既に自治体の取組の中で、学年やクラスを分けて登校日を設けて、一定の時間、学校に皆さん来てもらうようなことをやっている学校も出てきましたので、感染対策をしっかりした上で、こういった好事例を横展開をしっかりして、各自治体にも取組を深めていただきたいと思っています。

 児童生徒の心のケア等に向け、自治体との丁寧な情報交換を行いながら、必要な支援に努めてまいりたいと思います。

山本(和)委員 ありがとうございます。実際に家庭訪問をしている自治体、京都府の中にもあるというふうにも聞いておりますし、臨時休業というのが長引くと、子供のストレスというふうに申し上げましたけれども、早寝早起きとかそういう生活のリズムというのを保っていくことと、勉強のリズムもしっかり持ってもらうことがやはり大事だというふうに思いますので、そこへのサポートもしっかりお願いしたいところでございます。

 そもそも、この臨時休業の位置づけについてお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほど来からさまざまな質問がありますけれども、総理要請による臨時休校である今というものが、法令上どのような位置づけなのか、春休みと変わらないのか、文科省の見解はいかがでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 このたびの臨時休業は、法令上は、学校保健安全法第二十条に基づいて学校の設置者が行う臨時休業でございます。

 今回の臨時休業は、何よりも子供たちの健康、安全を第一に考え、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、その期間中は基本的に登校せず、自宅で過ごすことを要請しているものであります。

 一方で、春休み、すなわち学校教育法施行令の二十九条第一項に基づく学年末休業とは、そういった意味で異なるものですが、ただし、休業日というのは授業を行わない日ということですから、そういう意味で、休業という意味では同じであるというふうに捉えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 休業ということでございますけれども、その中で、学校の児童生徒に対する監督権というのが、見守りの、学校側にある義務というもの、これが臨時休業中も継続しているのか、それをお聞かせください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の臨時休業中であっても、基本的には学校の教職員はその職務に従事をしておりまして、一斉の教科指導、生徒指導というものは行わないものの、必要な児童生徒に対しては、電話による子供たちとのコミュニケーションや家庭訪問、家庭との連絡調整等を行っております。

 そういった意味で、学期中と同様に、見守り等の必要な子供たちに対しては、関係機関等との連携を図りながら、適時適切に指導、支援が行われているというふうに認識をしております。

山本(和)委員 見守りということなんですけれども、臨時休業がいつまで続くのか、不要不急の外出も自粛するようにということでございますし、長期的な学校休業によって児童虐待のリスクというものが高まるのではないかということも専門家の中では言われています。そういうことに対して、どのように危険を回避していくのかということがすごく大事になってくるのかなというふうに思います。

 こういうことも考えて臨時休業というものをされているのか、臨時休業でそういう虐待に対することも対応しなきゃいけないというふうな意識もあるのかということも含めて、大臣からお聞きしたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 臨時休業により自宅で過ごす時間が長くなることに伴うストレス等の課題については、教育委員会や学校においても必要な対策を講じていくことが重要であると考えております。

 こうした認識のもと、文部科学省においては、都道府県教育委員会等に対して、要保護児童対策地域協議会において、要保護児童として進行管理台帳に登録されている児童生徒については、スクールソーシャルワーカー等を活用するなどして関係機関と緊密に連携し、必要な支援を行うよう依頼をしたところです。

 また、これも、きのう、さっき私、五団体と言っちゃったんですけれども、地方六団体の皆さんからもやはり同様な要望が出まして、ネグレクトですとか虐待とか、こういったことが起きないようにしっかり国と地方で連携してほしいというお話だったので、改めて、福祉部局とも連携をとりながら、子供たちの安全、見守りをしっかりやっていきたいと思っているところでございます。

 自治体との丁寧な情報交換を進めながら、関係省庁とも連携しつつ、必要な支援に努めてまいります。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 臨時休業が行われたことによって、こういった被害が出てしまうことがないように、やはり地域や関係団体との連携をしっかりと努めていっていただきたいというふうに思います。

 引き続きまして、学童保育についてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 居場所をしっかり確保するということで、学童保育というのは今回すごく生かされているというふうに思います。

 私の地元、福知山の方では、学童保育は基本的に十四時からというふうになっていまして、午前中は学校を開放するというふうに措置を決めている状態ではありますけれども、そうすることによって、地域のお母さん方からお話を聞きましたら、学校開放と学童の活用ということで、そもそも臨時休業の措置に意味があるのかというふうにもおっしゃっている方がいらっしゃいます。要は、学校で授業を継続するのと同じなのではないかというふうに言っている方もいます。

 学童での過密性や密着性は小学校の教室以上という心配もあります。実際、京都府の伊根町という地域では、小学校が小規模なために、一カ所に集まる学童より学校の方が安全との判断で授業を継続しているということでございます。

 過密、密着問題のある学童では、生徒の受入れのときに体温、体調の把握とか、医療専門家との連携ということが大事だというふうにも思いますし、また、環境改善の予算措置というのが行われているというふうに思います。しっかりマスクとか消毒液とかというものの現物の支給というのも進めていかなくてはならないのかなというふうにも思いますけれども、そのあたりの見解を厚労省の方からお聞きしたいと思います。

本多政府参考人 お答えいたします。

 放課後児童クラブにおける感染症対策につきましては、これまでも、感染防止のための留意事項をまとめ、周知を図ってまいりました。具体的には、手洗いなどの感染拡大防止の措置を講ずること、換気や消毒の方法や頻度、また、来所前に子供本人、家族又は職員が必要に応じて本人の体温を計測して、発熱などが認められる場合には利用を断る取扱いとすることでございます。

 また、先般、文部科学省と連名で、放課後クラブの密集性を回避し感染を防止するために、学校の教室等の活用を促す通知を発出したところでございます。

 さらに、昨日取りまとめられました政府の第二弾の緊急対策におきまして、自治体が放課後児童クラブに配付する子供用のマスクや消毒液を一括購入などするための加算事業を創設いたしまして、国庫負担割合を十分の十として補助することとしており、現場にマスク等が行き届くよう引き続き支援してまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 福知山のお母さん方の話によると、コロナだけではなくて、やはりインフルエンザの感染とかも心配だというお声もありました。だから、衛生面とか、そういう環境の改善というのはしっかりとやっていっていただきたいというふうに思います。

 引き続きまして、大臣は、きのうの会見で、専門家会議で、コロナウイルスは依然として警戒を緩めることはできないとの見解、当面は臨時休業の実施を通じて感染拡大を防ぐことが重要である、直ちに学校再開の目安を示すことはできないというふうにおっしゃっておられました。

 小学校の休校期間というのは、今、まちまちであるというふうに思います。三月二十三日まで休校という学校もあれば、今週十三日の金曜日までというふうに示しているところもあります。これはもう延期せざるを得ないというふうに思っています。総理の要請は春休みまでということでございましたけれども、きのう、文科省の方にお話を聞きましたら、学校の再開は設置者による判断であるというふうにお聞きをしました。

 しかしながら、その難しい判断を学校に過度に押しつけるのではなくて、休校の延長も学校の再開も、なるべく多くの客観的な指標とか、判断とかを決める客観的な観点を明示して、学校側が判断しやすくなるような基準というか、そういうものを明確化すべきではないかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 そのとおりだと思います。

 全国一斉休業を要請したときには、まだ県内で一人も感染者がいない県も数多くありました。知事などによれば、こんな必要があるのかと声高に批判をされた一面もありましたけれども、あれからもう十七県ふえてしまいまして、そういう意味では、今、先ほど御披露いただいたように、専門家会議の中でも、依然として警戒を緩めることはできないという見解が示されております。文科省としては、春休み前までの期間を一斉休業を要請しましたので、このまま春休みとつながってしまったときにどうするかということも考えなくてはなりません。

 したがって、先ほどもちょっとお話ししたんですけれども、三月十九日を目途に専門家会議の方で新たな報告が出される予定でございますので、この時間軸を一つの起点として、再開の目安というものを、どんなことをチェックポイントとしてやったらいいのか。

 それで、決して地方任せじゃなくて、地方によってやはり事情が違うと思います。相変わらず抑え込みができている自治体もあれば、あのときはそんな必要があるのかと言ったのに、ぐっとふえちゃっている自治体もありますから、この辺のきちんとした県ごとあるいは自治体ごとの分析も、寄り添って、しっかり一緒にやりながら、それから、改めて、どういうことが再開にとっては必要なのかというチェックポイントも示しながら、その目安についてお示しができるように、文科省としてはあらかじめ準備を進めていきたいと思っております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 学校の再開に引き続きまして、演劇や演芸とか、スポーツの部分の自粛要請の延長についてお聞きをしたいというふうに思います。

 演劇や演芸の公演自粛で文化が潰れてしまうのではないかというような声も聞きます。スポーツでいいますと、プロ野球、Jリーグも延期が決まったところでございます。

 昨日、政府は対策本部で、大規模イベントの自粛要請について、今後十日間程度は自粛の取組を継続してほしいというような要請をされました。

 しかしながら、これがいつまで続くんだろうかということでございます。この発表で、今週末まで自粛しているイベントとか公演などは、大体十六日ぐらいから再開の予定を立てているというふうに思いますけれども、閉業とかキャンセルを余儀なくされるというふうに思います。

 そういった中で、財政的にも、この状態は三月ぐらいまでが限界であろう、しっかり出口をはっきり示してほしいという、文化業界、いろいろヒアリングをした中で発言をお聞きしているところでございます。

 今度は、文化に対する自粛の要請がいつまで続くのか、その出口の明確な指標を示すべきだというふうに思いますけれども、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

今里政府参考人 政府全体の方針を踏まえまして、二月二十六日に、所管の独立行政法人、それからスポーツ関係団体、文化関係団体に対しまして、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等について、大規模な感染リスクがあることを勘案しまして、今後二週間に予定されているものについて、中止、延期又は規模縮小等の対応について要請を行ったところでございます。

 そして、今ほどもございましたように、三月九日の専門家会議におきまして、一定程度持ちこたえているが、依然として警戒を緩めることはできない、これまでの取組の評価については三月十九日ごろを目途に公表するなどの見解が示されたところで、昨日、総理より、今後おおむね十日間程度はこれまでの取組を継続いただくよう協力をお願いしたい旨のメッセージを出されたことを受けまして、改めて、各種イベントの開催に対する考え方について事務連絡を発出したところでございます。

 今後につきましては、三月十九日ごろに示されるとされている専門家会議の見解などを踏まえ、政府全体の方針のもとで取り組んでまいりたいと考えております。

山本(和)委員 大方のコンサートとかクラシック、そういう演奏会などは本当に、興行が中止や延期というのが余儀なくされているというふうに思います。

 そういった中で、やはり経済的にも苦しい部分がだんだん出てくるというふうに思うんですけれども、悪天候で中止になったり、事故とかそういうところで中止になった場合は、興行中止保険というのが主催者側に適用されますけれども、今回のような感染症においては適用がないということでございます。

 そうではなくて、やはり何らかのこういう経済的な措置を考えるべきだというふうに思いますけれども、そのあたりも御見解をお聞きしたいと思います。

今里政府参考人 まず、興行中止保険の適用の有無についての事実関係でございますけれども、文化、スポーツイベント等の興行中止保険による補償の有無につきましては、個別の契約により異なるために一概にはお答えできないということは、まずございます。

 その上で、イベントの出演予定者以外の者が感染症にかかること又はかかっている疑いがある等の場合に、興行中止保険の対象とはならない場合もあるということは承知しているところでございます。

 さらに、先生の御指摘ございました、政府としての何らかの対応ということでございますけれども、多くのスポーツ、文化イベントも中止、延期等の対応をいただいているところでございますので、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対する雇用調整助成金の活用を可能とする措置、事業者に対する各関係機関における経営相談窓口の設置や、金融公庫等による緊急貸付・保証枠等による資金繰り支援などの財政的支援を政府全体として講じているところでございます。

 加えて、新型コロナウイルスの感染防止等のために今年度中に実施できない事業の来年度への予算の円滑な繰越し等につきまして財政当局に働きかけているところでございまして、関係事業が停滞することがないよう、柔軟に対応してまいりたいと考えてございます。

 自粛等によって冷え込んだ文化芸術やスポーツへの関心と熱意を再び盛り上げるために、文化芸術団体やスポーツ団体などの方々の力をおかりしながら、文化芸術創造活動やスポーツ活動への支援や鑑賞等の場の確保を始め、引き続き振興に取り組んでまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 宝塚歌劇が九日で再開されたという話があったんですけれども、結局またきょう延期をしたということでございまして……(発言する者あり)そうですね、九日の千秋楽だけやったと思うんですけれども、やはりファンの方にとっては大変残念なことだというふうに思います。宝塚は再開するに当たってすごくリスクを負うとは思うんですが、劇場としては感染症対策にしっかり取り組みますという注意をしっかりとホームページなんかに明示をしながら再開に踏み切ったところだったんですけれども、きょう、残念な結果だったんです。

 やはり、宝塚だけに限らず、興行収入を得なきゃいけないところはたくさんあると思いますので、明確に今これは示せないかもしれませんけれども、どういうことをやれば再開できるかというのをもうそろそろ文化庁としても考えていって、国としても考えていかなきゃいけないかなというふうに思います。リスクはまだまだありますけれども、そろそろ考えていっていただかないといけないかなというふうに思います。

 引き続いて、東京オリンピックの件でございます。

 この出口の見えないコロナ感染の中で、オリンピックの開催がどうなるのかというのは、もう皆さん御質問されておりますけれども、きょうの文科委員会でも橋本大臣は、コロナウイルスによる影響で東京オリンピックが開催できるのかの判断の問いに、IOCが結局その可否は決めるというふうにおっしゃっておられます。

 それはもうよくよくわかるんですけれども、それは若干ちょっと待ちの判断だなというふうに思うんです。衛生面とか、感染症対策とか、海外選手をどういうふうに受け入れるかとか、観客を入れるとか入れないとか、そういうのは、たくさん対応はあると思うんですけれども、現在の、程度で、この状況なら、こうすれば安心、安全でできるんじゃないかというような目安というものを日本側としてもしっかり示していかなきゃならないと思うんです。

 さっき御答弁の中で、IOCに情報提供というふうなことをおっしゃっておられましたけれども、こっちからも積極的に、こうします、ああしますというような明示も必要じゃないかなというふうに私は思いますけれども、そのあたりの大臣の御見解をお願いします。

橋本国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。本当にそういったことが一番大事だというふうに思っております。

 東京大会の開催については、IOCが適切な判断ができるように、政府として的確な情報提供を行っていくということが第一として考えながら、IOCや組織委員会、そしてWHOなどの関係者間での情報交換を行う場として開催されているタスクフォースに参加をして、政府の新型コロナ感染対策の内容等について説明を行ってきているということで、これは先ほどもお話をさせていただいたわけなんですけれども。

 また、アスリートの皆さんが、そしてその所属をする競技団体ですとかそれぞれの国のIFというのが存在しているわけなんですけれども、そこがやはり何よりも安心して準備ができるような体制を、日本政府がどのように対策を、対応しているかということが非常に重要なIOCとの決め手になるんだというふうに私は感じております。

 過去に、例えば、二〇一〇年の冬季でしたけれども、バンクーバー大会のときには団長をやっておりましたけれども、このときには新型インフルエンザが大変な状況で、最後の最後でワクチンが選手団に間に合いまして出発をしたという経験をしました。そして、四年前の、四年半前ですけれども、リオデジャネイロのオリンピックではジカ熱の感染症が大変な状況であった経験も、私、日本選手団の団長だったんですけれども、そういったときの経験を踏まえまして、組織委員会や東京都の関係者が政府と一体となって、それぞれの個別な対応をしっかりとすることができるようにということで総合対応推進チームというのをつくらせていただいたんです。

 そこで、今もそれぞれ、どの国に行く、あるいはどの国から日本に来て合宿をしたり、あるいは事前の大会等に準備をするために入ってくるというビザの関係も、こういったことも含めまして、総合対応推進チームで個別の対応を今しっかりとさせていただいております。

 こういった個別の対応をしっかりとするという日々の対応状況を、しっかりとこの窓口からIOCに発信をしていくということが最大のやはり決め手になっていくんだろうというふうに思っておりますので、受け身ではなくて、対応を日々情報を共有しながら、あるいはその対応を、個別対応もIOCに対してプッシュ型で発信をしていくということ、これをしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

山本(和)委員 橋本大臣、ありがとうございます。しっかり対応をプッシュ型でお願いしたいところでございます。

 最後に、済みません、時間が少し短くなりますけれども、昨年、臨時国会で成立した改正給特法の関連について一つだけ質問させていただきたいと思います。

 昨年末、十二月二十五日の文科省の調査で、全国の教育委員会一千七百のうち一三%に当たる二百三十の教育委員会で教員の勤務時間を把握していないということが報道されていました。把握していないという割合は、地元、私の京都では〇%ということで、一〇〇%把握しているということでございますが、東京都の場合は三二%把握していないということでございまして、六十二自治体のうち二十の自治体が把握していないという数字が出ておりました。

 国として教員の勤務時間を把握して、長時間だったらそれを抑えていくということが働き方改革だというふうに思います。そのための昨年秋の審議だったというふうにも思いますけれども、今後、把握していない教育委員会に対してどういう働きかけを国としてやっていくのか、いやもう既にやっていますよというのか、そのあたりをお聞かせいただければというふうに思います。

萩生田国務大臣 昨年十二月に公表した教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査によると、勤務実態の客観的な方法での把握については、前年度に比べ、都道府県は三八・三%から六六%、政令市は四五%から七五%まで伸びた一方、市区町村では四〇・五%から四七・四%への伸びにとどまるなど、学校や自治体ごとのばらつきが見られました。さらに、そもそも在校等時間等を把握していないと回答した教育委員会がなお一三%もある状況です。

 客観的な勤務時間の把握は、働き方改革を進めていく上で必要不可欠なスタートラインであり、さらに、働き方改革推進法による労働安全衛生法等の改正により、タイムカードなどの客観的な方法等による勤務時間の状況の把握が公立学校を含む事業者の義務として法令上明確化されているものです。また、昨年の臨時国会においてお認めいただいた改正給特法も踏まえて、文部科学省が策定した指針においても、在校時間はICTの活用やタイムカード等により客観的に計測することとしております。

 さらに、文科省としては、来年度の教職員の加配の配分やスクールサポートスタッフ等の外部人材の配分の際に、客観的な勤務実態の把握を前提とするとともに、進捗状況等のフォローアップ、各地方公共団体の取組事例等の情報発信を行うこと等を通じて、来年度には全国全ての学校において客観的な方法による勤務時間把握が行えることとなるように、政策総動員で取り組んでまいります。

山本(和)委員 大臣、ありがとうございました。

 この勤務実態の把握が、来年四月からの変形労働時間制につながっていくというふうにも思いますので、ぜひお取組を進めていただきたいというふうに思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十五分散会


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