衆議院

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第9号 令和2年5月22日(金曜日)

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令和二年五月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 白須賀貴樹君

   理事 田畑 裕明君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    大串 正樹君

      上川 陽子君    小寺 裕雄君

      佐藤 明男君    櫻田 義孝君

      柴山 昌彦君    高木  啓君

      谷川 弥一君    出畑  実君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      野中  厚君    古田 圭一君

      宮路 拓馬君    務台 俊介君

      吉良 州司君    菊田真紀子君

      中川 正春君    牧  義夫君

      村上 史好君    山本和嘉子君

      吉川  元君    笠  浩史君

      國重  徹君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    森  夏枝君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        三又 裕生君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小柳 誠二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉田 博史君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     竹村 晃一君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            村田 善則君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    瀧本  寛君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小笠原陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     務台 俊介君

  福井  照君     小寺 裕雄君

  船田  元君     佐藤 明男君

  高木 陽介君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     福井  照君

  佐藤 明男君     野中  厚君

  務台 俊介君     神山 佐市君

  國重  徹君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  野中  厚君     船田  元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府知的財産戦略推進事務局長三又裕生君、警察庁長官官房審議官小柳誠二君、総務省大臣官房審議官吉田博史君、総合通信基盤局電気通信事業部長竹村晃一君、文部科学省総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長丸山洋司君、高等教育局長伯井美徳君、研究振興局長村田善則君、スポーツ庁次長瀧本寛君、文化庁次長今里讓君、経済産業省大臣官房審議官小笠原陽一君及び中小企業庁事業環境部長奈須野太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 おはようございます。日本共産党の畑野君枝です。

 著作権法改正案では、違法にアップロードされた録音、録画のダウンロードを違法化、刑罰化する規定と、それ以外の著作物全般を対象とする規定とに区別されています。

 改正案では、録音、録画のダウンロード違法化、刑事罰化に新たにつけ加えられた内容があると思いますが、それは何でしょうか。どのような趣旨から明文化されたのですか。

今里政府参考人 本法案におきましては、音楽、映像のダウンロードに関しましては、著作権法第三十条第二項に、前項第三号の規定は、特定侵害録音録画であることを重大な過失により知らないで行う場合を含むものと解釈してはならないとの規定を追加しております。これにより、重大な過失、すなわち著しい不注意があったとしても、侵害コンテンツであることを知らずに録音、録画を行った場合は違法とならないということを明確化してございます。

 また、刑事罰に関しましても、第百十九条第四項に同様の規定を追加してございます。

 これは、今回、侵害コンテンツのダウンロード違法化の対象を全ての著作物に拡大するに当たり、従来から対象だった音楽、映像分野についても、国民の正当な情報収集等の萎縮防止に万全を期す観点から、知りながらという文言の解釈を明らかにする規定を新たに設けることとしたものでございます。

畑野委員 明文化されたということを確認いたしました。

 萩生田光一大臣にも伺いたいと思います。

 本法案について、一昨日の参考人質疑では、著作権の保護と利用のバランスを考えたときのぎりぎりの妥結点との発言もございました。権利者側、利用者側双方から見れば決して百点満点ではなく、双方の立場から要望や懸念が残されているのも事実だと思います。

 昨年秋のパブリックコメントには、四千四百三十七件の、個人と五十一件の団体から意見が寄せられ、特に個人からの意見では、文化庁当初案に寄せられた千十三件のうち五百七十八件、五七%が、要件にかかわらず侵害コンテンツのダウンロード違法化自体を行うべきではないという意見でした。

 そこで確認ですけれども、これまで以上に、国民の法案への理解を広げるための啓発や著作権教育が必要だと考えます。録音、録画のダウンロード違法化の際にもこうしたことが附則に盛り込まれましたが、これまでどのような取組をしてきたのか。また、今回の法改正を踏まえ、今後どのような取組を進めていくお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘のとおり、平成二十四年の著作権法改正による音楽、映像の違法ダウンロードの刑事罰化の際にも、附則において、国民に対する啓発等、関係事業者の措置について規定がされました。

 これに基づきまして、文科省としては、改正内容をわかりやすく解説したQアンドAの作成、公表や、スマホなどの利用に関する小中学生向けリーフレットへの掲載、週刊少年漫画雑誌への広告の掲載、政府広報によるテレビやラジオ番組の放送、教職員を対象とした講習会を始めとする各種会議等での周知など、さまざまな普及啓発活動を展開してまいりました。

 また、関係事業者においても、映画館で有名なノーモア映画泥棒のCMを改定して、違法ダウンロードの刑事罰化に関する注意喚起メッセージを追加するとともに、STOP!違法ダウンロード広報委員会を設立し、キャンペーンサイトの作成やユーチューブの動画共有サイトへの広告掲載、啓発用グッズやポスターの作成、配布など、さまざまな措置が講じられてきたものと承知しています。

 本法の附則にも、国民に対する啓発等、関係事業者の措置について規定をされているところ、侵害コンテンツのダウンロード違法化については幅広い国民の行動に影響するものであるため、録音、録画の際の取組を参考にしながら、充実した普及啓発、教育を進めていく必要があると考えております。

 具体的な手法については今後検討していきますが、法整備の内容をわかりやすく整理したガイドラインやQアンドAなどを作成した上で、関係省庁や関係団体とも連携しながら、漫画雑誌等への掲載や、CM、SNSの活用など、若者、子供たちにも届きやすい手段の活用を含め、効果的な対応を行ってまいりたいと考えております。

畑野委員 もう一つ質問です。

 海賊版対策の本筋はアップロード対策の抜本強化にあると思います。法案では、附則第七条でも、検討や、あるいは必要な措置を講ずるものとしております。参考人質疑でも、海外のサーバーを使った海賊版サイトのアップローダーを見つけることの困難さとともに、プロファイリングやオンラインプロファイリング等の対策を講じる必要があるが莫大な費用がかかるとの指摘がありました。

 大臣に伺いますが、政府として、今後、アップロード対策としてどのような取組を行っていくのか。アップロード対策に取り組む関係事業者の取組を財政的にもこれまで以上に支援する必要があると考えますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 本法案に盛り込んだ侵害コンテンツのダウンロード違法化も海賊版対策としても重要なものですが、御指摘のように、言うなら本丸であります違法アップロードへの対策を強化することは極めて重要だと思います。

 違法アップロード対策については、本法案の附則において、より一層充実していくことについて規定しており、政府全体としてさまざまな取組を進めていく必要があると認識しております。

 海賊版サイトの収入源を断つための広告出稿の抑制や、情報検索サービスにおいて海賊版サイトが表示されないようにする検索サイト対策、国際連携、国際執行の強化、民間組織との共同など、インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程表に掲げられた施策を中心に、関係省庁と連携しながら実効的な対策を推進してまいりたいと思いますし、法の実行のために必要な予算も今後しっかり確保していく必要があると認識しております。

畑野委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 おはようございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの山本和嘉子でございます。

 きょうの質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきますけれども、このたび、学びの継続のための学生支援緊急給付金が創設をされました。新型コロナの影響で世帯収入やバイトの収入が激減した学生のために現金給付をする政府支援策ということでございます。対象が約四十三万人、給付額は十万円若しくは二十万円ということでございまして、所要予算は五百三十億円ということでございます。

 ここで一点だけ確認をさせていただきたいんですけれども、留学生の支援ということで、支援への要件が幾つかありまして、成績が優秀な者であること、成績評価係数が二・三以上であること、一カ月の出席率が八割以上というような要件があります。それぞれ要件をつけた理由については、外国籍の留学生の対象を限定しなければ国民の理解が得られないからというふうな報道もございます。

 これはどういうことなのか、まずお聞きしたいと思いますが、これは、生活のためのというよりか、学びのための給付金というふうに聞いております。しかし、まずは留学生の生活もしっかり確保してあげなければならないというふうに思っています。この給付金の創設で、留学生の中で成績上位三割しか支給されないのではというような報道もございますけれども、大臣、これについての御所見をお願いしたいと思います。

萩生田国務大臣 今般創設をしました学びの継続のための学生支援緊急給付金につきましては、外国人留学生の学びの継続も我が国にとって重要な要素になり得るという観点から、その支援の対象といたしております。

 本給付金は学びの継続を支援することを目的とする給付金であり、国費による支援であることも踏まえて、日本人であるか外国人留学生であるかにかかわらず、支援の趣旨に鑑みて、それぞれ一定の要件を設けることとしております。

 留学生の場合、我が国で学ぶ意欲のある外国人留学生を支援するため、その確認として、一定の出席率や成績といったものを要件としているところであり、これらの要件は、外国人留学生向けの奨学金制度である日本学生支援機構の学習奨励費を踏まえたものです。

 原則としてはお示ししている要件を満たすことを求めていますが、これらの要件を考慮した上で、大学等が特に必要と認める者は対象とすることとしており、最終的には、一番身近で学生等を見ている大学等において、その実情に沿って総合的に判断をしていただきたいと思います。

 支援を必要とする学生等に速やかに支援が行き渡るよう、各大学、学校とも連携して取り組んでまいりたいと思います。

山本(和)委員 学び続けたいと思う留学生、できれば皆さんに行き渡るような、成績の要件の緩和もぜひとも考えていただきたいというふうにも思います。最終的に大学が判断するということでございますけれども、今、世界でコロナ禍ということでもございますので、ぜひとも要件の緩和ということも考えていただければというふうに思います。

 続いて、全国高校野球選手権が中止になったという報道がございます。春に続いて夏も中止ということでございますけれども、全国の高校球児が輝くチャンスが失われたということで大変残念にも思いますし、連日そういう、高校生が落胆する様子なんかも報道されているというふうに思います。

 将来プロ野球を目指す、そういった子たちもいるのではないかなというふうに思いますけれども、夏の大会に向けて、地区予選、そして本大会などは、生徒がぐっと、能力といいますか、伸びる時期であるというふうにも思います。それで本番を迎えて甲子園、その様子を見てスカウトがプロを目指す子をスカウトする、そういうタイミングであるのかなというふうに思います。

 野球を、将来、職業と決めている、なりたい、そういう希望がある生徒にすれば、よきライバルと切磋琢磨する、そういうチャンスの場であったのではないかなという思いでもございますし、暑い夏、その前にもうこれが終わってしまったというのは本当に高校生にとっては悲しい出来事なのではないかなというふうに思います。

 高校野球だけではなくて、高校総体、そしていろいろな文化系の、音楽の合唱コンクールであったりとか吹奏楽のコンクールであったりとか、そういうことも中止にするというような傾向にある中で、そういうときこそ、私たち、政治家としても、そして大人としても、かわりとなるような集大成の場をつくってあげる必要もあると思いますし、しっかり寄り添ってあげないといけないというふうにも思います。大臣として、そのあたり、御所見をお願いしたいと思います。

萩生田国務大臣 夏の甲子園や、また、今先生御披露いただきましたけれども、高校総体、インターハイなど、部活動に熱心に取り組んできた生徒にとって憧れの夢の舞台であった全国大会が春だけでなく夏も中止になったことは、私としても断腸の思いです。

 大会の中止は生徒の健康と安全を第一に考慮した結果であると理解しておりますが、特に三年生にとってはこれまでの練習の成果を発揮する機会すら失ったこととなり、生徒を思いやると、もう本当にかけるべき言葉が見当たらないほど心が痛みます。

 部活動に熱心に取り組んできた生徒の心情に配慮すると、私としては、各地域において、感染状況も見きわめつつ、何らかの形で三年生がこれまでの成果を競い合う集大成の場が設けられることが望ましいと考えております。

 また、例えば、スポーツ推薦での大学進学を希望する生徒にとっては、三年時の大会成績は非常に重要な意味を持っており、このような生徒の進路選択の可能性を広げる観点からも、何らかの大会の開催は有意義であり、このような場で発揮をされた努力の成果が何らかの形であかしとなることを考えていきたいと思っております。

 既に先に中止の決まったインターハイにつきましては、都道府県やブロックごとでそれにかわる記録会のようなものを開催していただけるならば、文部科学省として大臣杯のようなもので顕彰したい、また、それをAO入試や推薦入試などに活用いただくことを大学にお願いをさせていただきました。

 高校野球も、おととい、こういう結果になりましたので、できれば同様のサポートをしてさしあげたいなと思っています。

 高野連は地方の大会は開催する予定で準備をしているやに聞いておりますので、生徒の皆さんの希望を十分酌み取りながら、各地域において検討を進めていただき、文科省として関係団体と連携協力をしてまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 大きな目標を失った生徒たち、今、大臣がおっしゃっていただいたいろいろな可能性、各地方での大会や大臣杯ともおっしゃっていただいた、そういった、目標を失った子たちに対して寄り添った支援をぜひ引き続きお願いしたいというふうに思います。

 そうしましたら、法案に関しての質問を進めさせていただきたいと思います。

 今回の著作権法に関してちょっといろいろ細かく聞いていきたいというふうに思いますけれども、海賊版サイトは常に数百以上存在して、上位十サイトに限っても月間延べ六千五百万人が利用しているというような業界調査もありまして、根絶にはほど遠いとか、本当に野放しそのものというふうにも言われています。

 被害の実態や取締りの全体状況について聞いていきたいと思うんですけれども、例えば、海賊版サイトの数、そして検挙数、被害額などの推移や、そもそも海賊版サイトの著作権侵害はなぜ取締りが難しいのか、警察庁にお伺いをしたいと思います。

小柳政府参考人 お答えいたします。

 令和元年中、警察では、著作権侵害事犯を百四十一事件検挙しておりまして、そのうち、いわゆる海賊版サイトを含みます公衆送信権侵害事犯は八十三件を検挙しております。

 捜査上の課題につきましては、今後の捜査に支障が生じるおそれもございますので、詳細にお答えすることは差し控えさせていただきますが、例えば、権利者が海賊版サイト運営者を探索する際の障害として挙げておられます、いわゆる防弾ホスティングや中継サーバーによる分散化などの問題は、捜査にも影響があるものと認識をしております。

 いずれにいたしましても、警察としては、これまでも関係機関等と連携しながら著作権侵害事犯の取締りに努めてきたところであり、悪質な事犯に対しましては、引き続き厳正に対処してまいりたいと考えております。

山本(和)委員 コンテンツ海外流通促進機構のCODAは、海賊版サイトの削除件数はことしの三月で約七万件というふうにも言っています。こういうことからも、海賊版を取り締まることは本当に容易ではないなというふうにも思います。やはり、違法サイトのダウンロードをこの法律でもってしっかりと規制していくということが本当に大事なんだなというふうに改めて思います。

 続いて、ダウンロードの違法化についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正案の一つである侵害コンテンツのダウンロード違法化、除外規定というのがありまして、軽微なものについて、文化庁の説明資料にもありました、軽微なものの典型例というのがありまして、数十ページで構成される漫画一こまから数こまとサムネイルの画像、軽微なものの典型例以上だけれども、それ以下、軽微なものとは言えない例、漫画の一話の半分程度、高画質の写真、これらは軽微なものとは言えないということなんですけれども、その間というのがちょっとわかりにくいなというふうに思います。これはちょっとグレーゾーンというのかなというふうにも思いますけれども。

 こうした分量基準や画質基準は法案成立後に政令や省令で、例えば全体のページ数の、こま数の何割以下とか、画素数でこの値以下とか、具体的な数値を定める方針はあるのか、そのあたりを教えていただければと思います。

今里政府参考人 軽微なものが違法対象から除外されているということで、今先生御指摘のとおりに、典型例として、こういう場合には軽微なものである、また、こういった場合には軽微なものとは言えないという、それぞれの典型例を示しているところでございます。

 このように、現時点では、軽微なものと認められる典型例、軽微なものとは言えない例、ホワイトリストとブラックリストといいますか、といったものを示しているために、中間領域、グレーゾーンとおっしゃいましたけれども、が存在することは、全く委員の御指摘のとおりでございます。

 この点につきましては、今後、国会での審議等を踏まえて、更に詳細な内容を示すことも含めて取扱いを検討していきたいと考えておりますが、ただし、著作権法におきましては、かねてから、明確性と柔軟性のバランス、これが重要、こういった考えのもとで法整備を進めてきておりまして、今回の、軽微なものという要件につきましても、柔軟な解釈の余地を残すことが望ましいという意見もあるというふうに承知をしてございます。

 そうしたことも踏まえながら、具体的にどこまでの内容を示すべきかについてはよく精査をしたいと考えております。

 なお、本要件の内容につきまして、政令や省令に委任されているわけではございませんので、政令や省令ではなく、法解釈、ガイドラインとして考え方を示していくということを考えてございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今、明確性とか柔軟性とかとおっしゃいましたけれども、グレーゾーンならグレーゾーンのままにならないような線引きを具体的に示していただきたい、そんなふうにも思いました。

 そこで、次の質問に入りますけれども、今回違法化される侵害コンテンツのダウンロード行為は、具体的に、どのような手順で、どのくらい取締りが行われるイメージなのかをお教えいただければと思います。

 また、条文上、海賊版を継続的に又は反復してダウンロードすると刑事罰の対象というふうにされますけれども、どのくらいの期間、何回ぐらいだと継続、反復に当たるのか。法案の中身を見ておりますと、単発的なダウンロードは対象外との記載もございました。一回だけならいいのか、明確な指針があるのか、教えていただければというふうに思います。

今里政府参考人 まず、取締りの関係でございますけれども、侵害コンテンツのダウンロード違法化、今回の法案にございますけれども、主として抑止効果を狙ったものでございますので、現時点において、どの程度取締りが行われるかについて、予断を持って申し上げることはできません。

 ただ、昨年十月に文化庁が行った国民アンケートにおきまして、違法化、刑事罰化がされた場合にはダウンロードをやめるとか減らすというふうに回答した方の割合が九割以上となっているところでございます。ですので、実際の摘発に至らずとも、大きな抑止効果が、この法案によって、改正によって期待できるのではないかというふうに考えてございます。

 また、継続的に又は反復しての要件でございますけれども、これも、脱法的な行為を誘発しかねない懸念がございますので、期間や回数についての具体的な基準をお示しすることはなかなか困難でございます。単発的なダウンロード行為を除外して、一定の期間にわたって複数回、繰り返し行う場合に限定するということでございます。

 なお、この継続的に又は反復してという要件は、刑事罰の対象を絞り込むために追加で課している要件でございます。民事上は、その他の要件を満たした場合、単発的なダウンロード行為であっても違法となるということでございます。

 この点を含めまして、国民の皆様に丁寧に周知を行っていきたいと考えてございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 もう一つの法改正の柱であるリーチサイトについてもお聞きをしたいと思います。

 改正案のもう一つの柱として、リーチサイト、リーチアプリ対策で、これを刑事罰化したということでございますけれども、これを、著作権侵害の幇助ではなくて正犯としたのはどのような論理構成によるのかというのを聞きたいなと思います。

 従来、リンク設定行為はURLの送信でございまして、著作物を送信する公衆送信権を侵害するわけではない、個々の権利について限定的な解釈を採用するという著作権法上、権利侵害に当たらないというふうにされて、また、共犯とは、正犯の実行行為を介して結果の発生を促す必要があり、正犯の実行行為はアップロードの時点で終了していて、その後のリンク設定では共犯は成立しない。すなわち、リンク設定行為単独では、正犯にも幇助にもなり得ないとされてきたと思います。改正案の論理構成とでは何がどう違うのか、確認させていただきたいというふうに思います。

今里政府参考人 まず、現状でございます。現行法におきましては、委員御指摘のように、侵害コンテンツへのリンク提供は、公衆送信権を直接侵害する行為ではない。そして、一定の悪質の場合に、公衆送信権侵害の幇助に該当する可能性がある。なり得ないという見解とお話しでございましたけれども、これは裁判例で判断が分かれているところでございまして、私どもの方といたしましては、幇助に該当する可能性があるにとどまっているという状態だということでございます。

 そして、その幇助を行う者に対しては、当然のことながら、民事上の差止め請求が幇助を行う人に対してはできない、つまり削除請求などは幇助の方に対してはできないということですし、刑事上も、アップロードをするという、いわば正犯の立件ができない場合は立件が困難な場合が多い。つまり、対応に限界があるというのが現行法の状況でございます。

 また、みずからは侵害コンテンツへのリンク提供を行わずに、それに用いられるウエブサイトを運営しているだけ、こういう場合には、現行法上、幇助にならない場合もあり得るというところでございます。

 今申し上げましたように、現行法上の解釈、運用では、こうしたリーチサイトの規制について対応に限界があるというのが私どもの認識でございます。

 そこで、今回の法案では、海賊版対策をより実効的なものとするために、悪質なリーチサイトに関して新たな法規制を設けることとした、こういうことでございます。

 そして、なぜそこが、じゃ、法規制を設けているのかという理屈でございますけれども、まず、リーチサイトというのはどういうものかといいますと、リンクの集約、提供を通じて侵害コンテンツの拡散、利用に直結する場である、こういう非常にいわば肝の部分であるということでございますので、そのリーチサイトを運営する行為は、著作権者に極めて深刻な不利益を及ぼす悪質な行為である、こういうふうに評価できることから、独立した犯罪行為と位置づけて刑事罰を科す、こういうことにしているところでございます。

 また、そうしたリーチサイトという場で侵害コンテンツへのリンクを提供する行為、こちらにつきましては、直接の著作権侵害行為と同視すべき不利益を著作権者に与えるもの、こういうふうに評価できることから、著作権侵害とみなすという旨の規定を設けまして、民事上の差止め請求、つまり削除請求や刑事罰の対象としている、こういうことでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃった、悪質なリンクの提供行為は著作権の侵害ということでございましたけれども、この法案でしっかりとリーチサイト対策ができる、していかなくてはならないというふうに思います。

 その後ですけれども、海賊版サイトの運営者は、個人の特定を恐れて、さっきも話が出ておりましたが、防弾ホスティングなど素性を隠すのに適した通信会社を利用することも多く、対抗するには、著作権者以外の法整備や、そのほか技術の導入も必要というふうにも思います。

 例えば、プロバイダー責任制限法の発信者情報の開示請求というのは、氏名、住所、メールアドレス、IPアドレス等を対象としておりますけれども、電話番号が含まれないということでございます。電話番号は、ツイッターやフェイスブックやLINEとかで利用開始の認証や利用者確認に使われて、実在する番号が必要であります。

 プロバイダー責任制限法を改正して、電話番号情報が入手できれば、海賊版サイトの運営者特定に役立つというふうに思いますけれども、そのあたりの御見解を教えていただきたいというふうに思います。

竹村政府参考人 プロバイダー責任法におきましては、インターネットにおける情報発信により被害を受けた者が、発信者を特定して損害賠償請求などの責任追及ができるよう、プロバイダーなどに対して発信者情報の開示を請求できることとしております。現在、総務省令において、発信者情報開示の対象として、住所、氏名、IPアドレスなどを定めております。

 電話番号は、現時点では発信者情報開示の対象にはなっておりませんけれども、委員御指摘のとおり、海賊版コンテンツの発信者の特定に役立つ場合があるというふうに考えております。

 総務省においては、インターネットにおける情報発信によるトラブルが増加していることを踏まえ、発信者情報開示のあり方について検討を行うため、本年四月に有識者会議を立ち上げたところでございます。

 現在、有識者会議において、電話番号を発信者情報開示の対象として省令に追加することを含めて検討しているところでございまして、今後、有識者会議の提言を踏まえて必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ぜひ検討していっていただきたいというふうに思います。

 続いてですが、現在、サイト開設のドメイン取得に際して本人確認は必要とされていないということでございますけれども、その結果、海賊版サイトのドメイン登録情報には、一見して実在しない虚偽の住所が登録されているというふうにも聞いております。

 これを、携帯電話の契約のように、本人確認を要件とするということに変更して、また、電話番号による利用者確認も同様に必要とする制度へと変更すれば、ドメイン登録から海賊版サイトの運営者特定の可能性が広がるのではないかという意見もあります。

 我が国としてドメイン取得についてどのような対応が考えられるのか、教えていただければと思います。

竹村政府参考人 ドメイン名の管理、運用のルールは、政府、民間事業者、アカデミアなど、さまざまなプレーヤーで構成されるICANNと言われる国際団体において議論され、定められております。

 ドメイン名登録に係る手続については、電気通信事業法などの国の手続は及んでおらず、ドメイン名を管理、販売する事業者は、ICANNで定められたルールに基づき、登録に係る所要の手続を約款などにより定めているところでございます。

 例えば、我が国の国別トップレベルドメイン名であるドットジェーピーなどにおいては、ドメイン名登録に当たって、本人確認など、審査を行っております。

 一方、海外事業者が管理するドメイン名については、ドメイン名登録に当たって十分な審査が行われていないものもあり、海賊版サイトの運営者は、このようなドメイン名を用いて情報発信を行う傾向があるという認識をしております。

 このため、総務省としましては、国内の事業者に対しドメイン名登録の手続の適正化を働きかけるとともに、ICANNを始めとした国際的な協議の場において必要に応じて議論をしてまいりたいというふうに考えております。

山本(和)委員 もう一つ総務省さんにお聞きしたいんですけれども、二〇〇八年に成立した、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律というのがございました。

 その中では、携帯電話事業者に対して、保護者が不使用を申し出ない限りフィルタリングの提供義務を課し、プロバイダーに対しても、利用者の求めに対するフィルタリングの提供義務を課すという、ネット上で青少年に有害なものを評価、判別し、選択的に排除することなどが定められております。

 この有害サイトへのアクセス制限と似た発想で、利用者の同意を得た上で海賊版サイト等への接続をとめるフィルタリングの普及、その可能性についてお考えがあるか、お聞きしたいと思います。

竹村政府参考人 携帯電話事業者などが提供する青少年向けのフィルタリングでは、一般に、アダルトサイト、暴力的サイトなどのほか、海賊版サイトを含む不法なサイトも閲覧制限の対象としておりまして、海賊版サイトの対策の観点からも、フィルタリングは有効であるというふうに考えております。

 総務省では、青少年インターネット環境整備法を踏まえ、携帯ショップなどにおけるフィルタリングの説明の徹底や、フィルタリングの解説を含むインターネットの安全な利用に関する啓発活動の推進などを進めておりまして、これらにより、最近の携帯電話の契約時におけるフィルタリングの加入率は増加をしているところでございます。

 さらに、新たに出現する海賊版サイトが速やかにフィルタリングによる閲覧制限の対象になりますよう、出版業界及び通信業界が連携して、海賊版サイトのリストを迅速に共有する枠組みづくりを進めているところでございます。

 こうした取組によって、フィルタリングによる海賊版対策が更に効果的に進められることを期待しているところでございます。

山本(和)委員 ぜひ取組を進めていただきたいというふうに思います。

 続いて、サイトブロッキングについてもお聞きしたいと思います。

 海賊版サイトへの接続を遮断するサイトブロッキングや、接続しようとする警告を表示するアクセス警告方式というのは、有効な手段と考えられています。一部出版社や映画、音楽、そういった関係の著作権協会等から導入の法制化に肯定的な意見表明がなされている、また、実際にEU諸国でも、世界四十カ国以上が制度を導入して効果を上げているというふうにも聞いております。

 我が国におけるサイトブロッキングの導入についてどのような認識か、また、現在どう検討されているのかお聞きしたいと思います。

 具体的には、サイトブロッキングは、憲法上では、通信の秘密を侵害するおそれがあるというふうにも言われておりますけれども、刑法第三十七条の緊急避難に該当すれば違法性が阻却されるというふうにも考えられておりますが、そのあたりの見解をお聞きしたいと思います。

三又政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネット上の海賊版に対しましては、関係省庁が連携して一丸となって対応していくため、総合的な対策メニュー及び工程表を作成し、昨年十月、関係閣僚間で確認を行ったところでございます。これに基づきまして、それぞれの担当省庁がさまざまな取組を進めているところでございます。

 先生御質問いただきましたサイトブロッキングに係る法制度整備につきましては、これら他の取組の効果や被害状況等を見ながら検討することとしております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、海賊版サイトの運営は、金銭が目当てということで、サイトに訪問者が来るごとにお金が課金されるということの、広告モデルを採用しているというふうに聞いております。

 そこでお聞きしたいのが、この前の参考人質疑で伺った、広告業界とのブラックリストの共有化にとどまらず、海賊版サイトへの広告掲載の対価の支払い自体を犯罪行為のための資金提供と捉えて違法化できないかということでございます。

 ネット広告では、広告主が膨大なウエブサイトと個別に契約を結ぶのが難しいということから、さまざまなサイトから配信先を選定してまとめるアドネットワーク事業者と契約を結ぶことが多くて、広告主と配信先が自動的にマッチングされて、どういうふうな媒体に広告が掲載されているかわからないという業界のビジネスの仕組みそのものを変えていかなければならないと思いますけれども、そのあたりの見解をお聞きしたいと思います。

小笠原政府参考人 委員御指摘のとおり、海賊版サイトへの広告出稿を抑制することは大変重要な課題だというふうに認識をしております。

 現在、権利者団体、広告関係団体の方々が連携しながら、定期的に、広告出稿すべきでない海賊版サイトリストの共有を行うなど、対策を進められているというふうに承知をしております。

 本年四月、特に被害が大きい海賊版サイトをモニターしたところ、広告関係の団体の加盟者の方々が配信する広告につきましては一件も表示されていないということを確認しており、一定の効果が得られているというふうに考えております。

 御指摘のありました、こうした広告出稿を犯罪行為として法的に規制できないかという点でございますが、広告を出稿している事業者の方々の経済活動の自由ということの制約にもなり得るといったことなどの事情も勘案しつつ、海賊版サイトへの広告出稿の抑制という課題との間で、バランスを見ながら検討していくことが必要だというふうに考えております。

 なお、今、デジタル広告の仕組みについての御指摘をいただきました。

 御案内のとおり、インターネット広告は、広告主にとって、デジタル技術の活用によって、ターゲットに応じて広告をきめ細やかに出稿できるという利点がございます。

 こうした点を生かしつつ、かつ、違法サイトへの広告モデルによる収益の阻止という観点から、インターネット広告配信事業者の業界団体におきまして自主的なガイドラインを策定し、海賊版サイトなど不適切なサイトへの広告掲載の排除に努めること、これをルール化しているというふうに承知をしております。

 いずれにしましても、海賊版サイトへの広告出稿抑制を業界全体に広げるための取組を後押しするため、経済産業省といたしましても、引き続き、業界団体と連携して、非会員企業への働きかけを含め、対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山本(和)委員 海賊版サイトを撲滅するには、広告収入を断つことがまず近道なのかなというふうにも言われています。違法サイトに広告が配信されたら広告主のイメージダウンにもつながっていくというふうにも思いますし、広告を出す企業には掲載されるサイトを把握する努力というのを求められますけれども、そもそもの仕組みをやはり変えていく必要もあるというふうにも思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 引き続きまして、一般的に海賊版サイトの利用者増はよくないと思いつつも、無料で気軽にたくさんの漫画を読みたいというふうな動機で利用しているというふうに思います。だとすれば、かつて海賊版対策が世界じゅうで最大の課題であった音楽業界で大成功をおさめたアイチューンズやスポティファイというような正規版コンテンツの定額配信のプラットフォームの構築が効果的な海賊版対策とはならないかどうかということでございます。

 漫画文化、漫画産業が今や日本の宝であるというふうに言われておりますけれども、そういった中、今著しい成長をしている中国などが万が一プラットフォームづくりで日本を出し抜いて、我が国の漫画産業がその支配下に入るというのはちょっと恐ろしいことだなというふうにも思います。国民経済としても一大損失ではないかなというふうに思います。

 そうならないようにも、知財戦略というのをしっかり展開していただいて、プラットフォームを構築するということを国としてしっかりやっていくべきではないかなというふうに思いますけれども、そのあたりの見解をお聞きしたいと思います。

三又政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のコンテンツ産業は、今、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして深刻な影響を受けております。政府といたしましては、この危機の克服に向けた支援に注力いたしますとともに、オンライン化の進展など、今般生じている経済社会の構造変化や、コンテンツ分野における新たなビジネスモデルの出現などを的確に捉えまして、新たなコンテンツ戦略を構築することが必要と考えております。

 アニメ、漫画、ゲーム、音楽、舞台芸術など、日本のコンテンツには既に世界じゅうで多くのファンを獲得しているものやポテンシャルの高いものがたくさんあると承知しております。そうした日本発のコンテンツについて、多言語化の支援や動画配信の支援などを通じて海外市場への展開を後押ししていくこととしております。

 先生から御指摘のございましたプラットフォームの構築も含めまして、関係省庁や関係の民間事業者の方々ともその方策について十分検討しながら、引き続き日本のコンテンツの支援に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 もう時間が残り少なくなってまいりまして、最後に大臣にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、今回の著作権法改正は、もともと昨年の通常国会で成立を目指していたということでございます。ネット利用が萎縮するとか、知る権利の侵害にもなるというような批判を受けたということも聞いておりまして、その結果、見送られて、仕切り直しの提出だったというふうに聞いております。

 今回は、違法な海賊版と知りながらも、軽微なものはダウンロードしても違法ではないという再整理を行われたということでございますけれども、これは著作権法が、旧来の役割である著作者の正当な利益を保護する保護法のみならず、新たなデジタル時代における公正な利用を確保する文化や産業促進法の役割を担う法規範として大きく展開し始めたと私は積極的に評価するものであるというふうにも思います。

 そのあたりの御認識と、また、加速するインターネット、デジタル時代にふさわしい著作権法に向けて、大臣として今後どのように取り組まれるか、御見解と意気込みをお聞きしたいと思います。

萩生田国務大臣 著作権制度の基本的な考え方は、権利の保護と利用の円滑化のバランスを確保しながら文化の発展に寄与することだと思っております。

 この基本的な考え方のもと、これまでも、権利保護を強化するのみならず、情報の適切な利活用、流通を促進するという観点から、累次にわたり制度整備などを進めてきていますが、昨今、デジタルネットワーク化の進展を受けても、より利用円滑化に関する要請が高まってきているものと認識しております。

 本法案については、権利保護のための措置である侵害コンテンツのダウンロード違法化の中でも、国民の正当な情報収集等を尊重する手当てを講ずるとともに、写り込みに係る権利制限規定の拡充など、利用円滑化のためのさまざまな措置も講じているところでございます。

 先生、質疑の途中でも触れられましたけれども、軽微なものというのは、ぎりぎり詰めていくと確かにグレーゾーンが残ると思うんですけれども、これは、権利者の保護と、それから利用者が萎縮しないというこのバランスの中で、今後、すぐに数値目標を示すのではなくて、さまざまな社会情勢を見ながら、皆さんでこのガイドラインを詰めていくという作業をしながら、できるだけお互いが理解できるルールづくりをしていきたいと思っています。

 また、プラットフォームについても触れていただきました。もうおっしゃるとおりでございまして、特に日本の場合は、ゲームソフトの開発は日本発というものがすごく多いにもかかわらず、実際に運用されますとその課金が海外へ行くというのはちょっといかがなものかと思いますので、この改正を機に、そういった可能性というものもしっかり見きわめていきたいと思っています。

 今後とも、社会状況の急速な変化に対応して著作権制度の改正が必要となる場面も多くあると思いますが、文科省としては、引き続き、新たな技術やビジネスの進展などの状況を十分に踏まえつつ、また、幅広いステークホルダーや専門家、国民の皆様の声を丁寧にお伺いしながら、バランスのとれた望ましい著作権施策のあり方をしっかり検討してまいりたいと思います。

山本(和)委員 大臣、ありがとうございました。

 特に今、新型コロナウイルスの中、子供たちは家にいる時間がすごく長かったというふうにも思います。映画や漫画を見るチャンスも多かったと思いますけれども、そういった意味でも、未来を担う子供たちが、違法ではない正規のものを正しいルートで当たり前に普通に見られる、そういった世の中をつくっていかなければならないなというふうに思います。

 この著作権法は、そういった意味でも一歩前進というふうにも私は思っておりますので、また、今おっしゃった意気込み、更に発展していただければというふうに思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。大臣、よろしくお願いいたします。

 私からも、まず、学生支援の件について伺わせていただこうというふうに思いますが、留学生に成績の条件をつけるというのは、先ほど大臣の御発言では、日本の学生あるいは外国からの留学生にかかわりなく学生を支援していくんだという御答弁があったわけですけれども、そういう意味では、外国人留学生にのみ成績で条件をつけるというのは差別につながるのではないかというふうに思うところでございます。

 また、いろいろ条件はついているけれども、最終的には大学側の総合的な判断なんだよというふうにも御答弁されたわけでございますけれども、学びの継続のための学生支援緊急給付金事務処理要領というものがございまして、各学校に向けて、こういうふうに事務を処理してくださいねということが書いてあるわけですけれども、この事務処理要領の中には、「学生支援緊急給付金の支給に係る要件に合致しているか審査を行う。」さらに、「大学等に在籍する学生等のうち、以下の条件、要件に合致する者を支給の対象とする。」というふうに書いてございます。

 いろいろあったとしても、大学側で総合的に判断して給付をしてよいのだよということは、この学校向けの事務処理要領のどこに書いてあるのかということをまず伯井さんから説明してもらいたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 この学びの継続給付金につきましては、基本的には、困窮学生について、要件、ガイドライン、目安を示しておりますけれども、それを考慮しながらも、最終的には身近な大学が総合的に判断するというのは大臣からもお答えをさせていただいています。

 そのことにつきましては、今御指摘いただきました事務処理要綱におきましても、以下の条件に合致する者を対象とするとしながらも、その条件の、一で要件を示しながらも、二で、一を考慮した上で、経済的理由により大学等での修学の継続が困難であると大学が必要性を認める者ということを明記しておりまして、そのことは、大学に対するさまざまな周知資料、あるいはQアンドAにおいても、まず大学で総合的に判断するんですよということを周知するように我々努めておりますし、これは今後ともホームページ等でも周知していきたいと考えております。

川内委員 確かに、QアンドAには、最後は大学が総合的に判断しますよということは書いてあります。ただし、事務処理要領には、「上記一を考慮した上で、」と、「考慮した上で、経済的理由により」「大学等が必要性を認める者」ということで、「考慮した上で、」ですから、この一の条件に合致した上で大学が認める者というふうになっているし、そもそも、各大学に枠を割り振って、各大学にそれぞれ人数に限定をかけるような仕組みにもなっているようでございますし。

 大臣、受診の目安もそうでしたけれども、受診の目安で、その受診の目安を出す側は、いや、そんなつもりはなかったんですよと、こう言う。しかし、それを示された側は、これは家にいなきゃいけないんだということで、受診がおくれ、検査がおくれ、それで亡くなった方もいるわけですよね。

 そういうことを考えると、やはり、政府として何らかの基準をお示しになられる、目安をお示しになられたという意味において、これは各大学を縛るものになるわけですね、ある一定。いやいや、そんなつもりはないんですよと後で言って、困窮した学生が何らかの事件や事故に巻き込まれてからでは遅いわけでございまして、少なくとも、この留学生の成績条件というのは、いかにも、奨学金の条件を敷衍したんだよということでありますけれども、奨学金と今回の学生支援給付金は全く性格が違うものでありますから、この成績の条件だけは外すべきであると、これは大臣が御判断されて、ちょっとこれはやはり外そうということを御答弁いただきたいなというふうに私は思うところでございますが、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 今般創設した学びの継続のための学生支援緊急給付金については、外国人留学生の学びの継続も我が国にとって重要な要素となり得る観点から、その支援の対象としています。

 本給付金は、目的を学びの継続としていることから、我が国で学ぶ意欲のある外国人留学生を支援するため、その確認として、一定の出席率や成績といったものを要件としているところであり、これらの要件は、外国人留学生向けの奨学金制度である日本学生支援機構の学習奨励費を踏まえたものです。

 原則としてはお示ししている要件を満たすことを求めていますが、これらの要件を考慮した上で、大学等が特に必要と認める者は対象とすることとしており、最終的には、一番身近で学生等を見ている大学等において、その実情に沿って総合的に判断をしていただきたいというふうに思います。

川内委員 大臣、答弁書を読まれると、すごい何か寂しいですよ。

 基準、ある一定の目安を政府側が示して、それに縛られるというのは、それは目安を示される側は当然のことでありまして、それに対して、いやいや、そんなつもりはないんだよと後で言っても遅いので、せめて成績条件は、日本人学生にはついていないわけですから、外国人だけを差別するような成績条件だけはちょっと考慮してください、考えてくださいよということを申し上げているわけで。

 大臣らしくないじゃないですか、答弁書を読むというのは。それはちょっと、もう一回ちょっと考えてみるよぐらい言ってくださいよ。また後ろから答弁書を出さないでよ。委員長、お願いします。

萩生田国務大臣 そもそも、各学校の評価というのは絶対評価でありますから、相対評価じゃないので、対象となる人数というのは学校ごとにさまざま異なってくると思います。

 限度のない資源があれば、全く、日本人だろうが外国人だろうが、成績だろうが、出席していようが休んでいようが、あらゆる条件をつけずにという思いは気持ちの上ではありますけれども、やはりここは緊急避難的に、学ぶ意欲のある学生さんたちをとにかくしっかり守っていこうということでつくらせていただきましたので、目安です。先生がおっしゃるように、国が目安といったって、そこで入り口からはじかれちゃう人がいるじゃないかという御心配は共有したいと思いますので、そこはしっかり学校関係者にお伝えをして、学校の方で総合的に、相談があって、この子は困っているから助けてやってと、こういうことを学校が決めていただければ、それに対して更に審査を加えるつもりは全くございませんので、私は、その辺は学校にしっかり、我々の制度の思いというものを伝える努力をして、後になって、ああ、そうだったのかということのないように、しっかり対応できるように頑張っていきたいと思います。

川内委員 それじゃ、大臣、外国人留学生に対する成績の条件は重要な目安ではない、それは重要な目安じゃないんだということをここでおっしゃっていただけますか。

萩生田国務大臣 学ぶ意欲のある学生を応援したいので、重要な目安じゃないかと言われれば、重要な目安じゃないと言うと、またこれは誤解を招くことになると思います。

 例えば、八割の出席というのは、留学時の、国内への条件、ビザの発給条件にも目安として示されているので、誤解を恐れず申し上げますと、本当は学ぶ意欲があって日本に来たんだけれども、全然目的が違うところで活動している留学生というのも残念ながらいるのも事実であります。そういう意味で、ちゃんと学校に来ていますよね、それなりに試験も受けて勉強もやっていますよねということをある程度学校でちゃんと見てくださいねという目安でございますので、二・三というのは四段階の真ん中ぐらいですから、中ぐらいまで頑張っている人たちということなので、そこは、その人が、成績はそこに達していないんだけれども、一生懸命頑張っていて、この前までやっていたアルバイトがなくなっちゃって本当に困っているんだということを読み取りできるのは私は大学だと思いますので、そこは大学の方で判断していただければ、我々はそれを認めていきたいと思っています。

川内委員 大臣だって、委員会で、自分は余り真面目な学生じゃなかったと、かつて御答弁されていらっしゃるじゃないですか。だけれども、今、文部科学大臣として文部科学行政を仕切っていらっしゃるわけですよ。だから、人生なんてどこでどうなるかわからないわけですよね。私はそう思うんですよ。私だってそうだし、みんなそうだと思うんですよ。

 こういうことになって、今までちょっと余り学校にも通わなかったけれども、困ったというときに支援を受けて、ああ、ありがたいな、これから頑張ろうという子もいるだろうし、しめしめという子もいるだろうし、それはいろいろだと思います。だけれども、困った人をみんなで助ける、助け合うというのがこういうときの状況なのではないかなというふうに私は思ったので、ちょっとしつこく申し上げさせていただきましたので、大臣の方でまた御考慮をいただければとお願いをしておきたいというふうに思います。

 大学にはくれぐれも、勘違いのないように御通知をいただきたいというふうに思います。

 それから、学校休業関係についてお尋ねをさせていただきます。

 学校の休業に関しては、これから学校は開校していくわけですね、休業が終わって、再開していくわけですけれども、そうすると、さまざまな感染防止対策が必要になりますね。保健室のこととか、あるいは定期的な校舎の消毒とか、あるいは子供と家庭への連絡体制を強化するために電話回線をどうするのかとか、空き室を利用することによる備品の購入とか、課題の郵送とか作成とか、あるいは、こういうときというのは御家庭、保護者の方と密に連絡をとらなければならないでしょうから交通通信費とか、あるいは、ことしの夏は、四月、五月が学校が休業したわけで、恐らく夏休みもないぐらいに多分、学校で子供たちを教えなければならないだろうというふうに思うんですけれども、そうすると、夏場の水道光熱費ですね。

 もうさまざま費用が学校はかかるというふうに思うんですけれども、そこに向けた文部科学省としての学校への支援策、二次補正に向けてどのようなお考えかということをお聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 学校の臨時休業や教育活動の再開に当たっては、感染防止のための取組を最大限に実施し、感染リスクを可能な限り低減させつつ、子供たちの学習機会を保障することが重要だと思っています。

 このため、文科省としましては、感染症対策を支援するため、例えば、保健室において使用するマスク、消毒液、非接触型の体温計などの保健衛生用品を購入する経費を支援しており、補助金を令和二年度補正予算の第一号に計上しております。

 また、学習機会を確保するため、地方公共団体において、宿題を含め家庭学習に必要な教材の作成等に要する経費については、同様に、補正予算に計上された新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用をすることが可能となっております。

 文科省としては、感染症対策や児童生徒の学びの保障をしっかりと行えるよう、学校や保護者への支援策として、学校全体における指導体制の充実のための教員加配、学習指導員、スクールサポートスタッフの追加配置、消毒液や教材、空き教室の活用に伴う備品の購入など、学校現場が柔軟に活用できる形での支援などについて、今、財務省と最後の戦いをしているところでございます。

 また、夏季休業の短縮による授業実施に伴い追加的に生じる経費等への支援については、学校設置者の状況等も踏まえ、どのような対応が必要か、関係省庁と連携し、検討してまいりたいと思います。

川内委員 子供たちに安心して学校に通っていただけるように、十分な予算措置をお願いしておきたいというふうに思います。

 それから、これから、分散登校とか、あるいは、教室を二つに分けて、クラスを二つに分けてというような授業が再開されていくことになると、教員の皆さんというのが、人数が大幅に必要になっていくというふうに思うんですけれども、臨時教員免許の要件緩和なども、これは考えるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘の臨時教員免許ですが、普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り授与するものとして、都道府県教育委員会が授与を行っており、具体的な授与の基準も都道府県の教育委員会が個別に定めているところです。

 文科省としては、五月一日に都道府県教育委員会に対して通知を発出し、教育職員免許状を保有する人材が必要な場合は、臨時免許状の活用なども検討するように促しているところです。

 今後とも、学校の再開状況を踏まえつつ、適切な対応を検討してまいりたいと思います。

 先生御指摘のとおり、今まで経験したことがない学校運営をしていかなきゃならないので、まず、今いらっしゃる先生方に全ての負担をお願いするわけにいきません。そこはそこで、バランスをとりながら踏ん張ってもらわなきゃなりませんけれども、しかし、先ほど申し上げたように、マンパワーは必要なので、加配教員も入れなきゃならない。

 しかし、おかげさまで、OBの教員などにお願いしましたら、あちらこちらで手を挙げていただいて、今登録などもしているんですけれども、例えばその人たちだって、俺、手伝ってやるけど、もう免許切れているぜという人はいるわけですよね。でも、そういう人はぜひ入ってもらおうと思っていますので、条例でさまざま定めているんですが、ここはちょっと柔軟にしていただいて、特別免許のあり方というのは少し幅広に考えていただいて、一人でも多くの心ある人に現場に入っていただいて、子供たちを助けていただくことを優先したい、そう思っております。

川内委員 ぜひ、柔軟な御対応をお願いしたいと思います。

 今大臣が図らずもおっしゃった、俺、免許切れているぜというやつですけれども、教員免許更新制ってあるじゃないですか。普通、免許更新の時期に当たる先生方は、夏休みに大学等に通って、免許更新の講座を受講されるわけですけれども、ことしの夏休みは、恐らくめちゃめちゃ忙しい夏休みに先生方はおなりになられるだろう。

 そうすると、更新の時期に当たっている先生方は、これは、更新しないと、それこそ切れちゃうぜになっちゃうわけで、ここはどうすればいいのということで、ことしに関しては、というか、コロナウイルス対応のこの時期については、きのう、何か参議院の質疑では、ネットで受ければいいんだとか、いろいろおっしゃられたようなんですけれども、私は、そんなものじゃないだろう。ことしについては、教員免許更新制、免許の更新については、ちょっと工夫しないといけない、というか、もう猶予する、来年でいいよとかいうふうにしないと。とにかく、子供たちのこの四月、五月のおくれをどうやって取り戻すのかということに、全て教育関係者は頭を集中させなきゃいかぬと思うんですよ。

 ということで、ちょっと、ことしに関しては、猶予をすべき、子供たち優先でいくべきではないかというふうに思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 この事態が生じた三月の時点では、確かに、免許更新の講習の実施に当たって、感染症対策の徹底を求めるとともに、対面式免許状更新講習について通信式免許状更新講習として実施することですとか、通信式免許状更新講習の履修認定試験について郵送により実施することという特例だといって認めた措置は、現在でも生きてはいるんですね。

 ところが、今先生おっしゃったように、仮に、再開後、それは私は余り望ましいと思いませんけれども、夏休みを一部やめて、授業をやらざるを得ないという判断をする自治体や学校も出てくると思うんです。そのときに、じゃ、子供たちの授業と自分の免許の更新とどっちが大事だと言われれば、免許の更新はしないと資格がなくなっちゃうわけですけれども、事態はこのコロナでありますから、そこは柔軟な対応をしていきたいと思います。

 これもまた全国一律で、やらないでいいですよと出してしまうことが、果たして、積み上げで研修をしている人もいますから、あとちょっとなので終わらせておきたいという人のための受皿もつくっておく必要があると思いますので、基本は子供たち優先で、そのことによって、結果として講習の機会を得られなかった更新時期の先生がいたとしても、それをもって資格を失うようなことがないような配慮はしっかりしていきたいと思います。

川内委員 いやいや、安心いたしました。

 あと、甲子園とか、きょうも話題に出ていますけれども、インターハイとか、子供たちの胸中を思うと察するに余りあるわけですけれども、それ以外にも、それぞれの部活で、いろいろな部活が、文化関係もそうですけれども、さまざまな大会、コンクールというものがあるわけです。

 それぞれの団体が、それぞれ思い悩むわけですけれども、文部科学省として、ことしに関しては、こういうふうな方針でいこうねというような、それこそ目安を、もろもろの大会やもろもろのコンクールについて、関係団体に、それこそ目安を発出されたらいかがかというふうに思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 そこは悩ましいところでございまして、例えば、体育会系のインターハイについては中止が決まりました。秋の国体がどうなるかということがまだございます。

 そういう中で、インターハイに出られたかもしれないという選手にとっては、その三年間の成果を評価する機会がなくなってしまいますので、都道府県やブロックで、もし県やあるいはブロック圏が開催をする場合には、国としてしっかり応援をしたい、そしてその上で、ちゃんと証明となるような文科省としてのあかしを示していきたいということは既に発信をさせていただいております。中には、そんなものは要らないという自治体も漏れ聞いておりますけれども、圧倒的多くの自治体は、よかった、そこまでは何とかやってあげようという気持ちがあるようなので、そこは、申しわけないんですけれども、自治体の判断に任せたいと思います。

 それから、文化祭の中止は、これも思い切ってリモートでやってみようと思っていまして、インターネットで展示会をやったり、インターネットで演劇を配信したりして、また専門家の皆さんにも評価をしてもらいたいと思います。

 幸い、物すごく技術が進歩しましたので、例えば、将棋とか囲碁は遠隔でも勝負ができそうなので、こんなこともやってみたいと思います。唯一今頭を悩めているのは、かるたでございまして、かるただけはどうしてもリモートでできそうもなくて、どうしたらいいのかなと悩んでいますけれども、文化系はこういう形で成果を残してあげたいと思っています。

 余りそれが、期待値が上がったり時期が先に行きますと、またこれは学校の運営が難しくなるということがありますけれども、ここは、大体国としてできることを都道府県に通知をした上で、都道府県の判断を尊重したいと思いますので、その上で、残念だけれどもうちの県はそういうことはやらないよと言われてしまえば、それはそれで県の判断を尊重せざるを得ないと思っています。

 この三年間の、スポーツもそうですし、文化もそうですし、仲間と頑張ってきた思いや自分自身の努力を考えると、何か高校時代にここまでやったというあかしだけは私は残してさしあげたいな、そんな思いで今さまざま思いをめぐらせているところでございます。

川内委員 続いて、著作権のことについてお聞かせをいただきたいと思いますが、大臣の個人的な、個人的なというか、御感想をちょっとお聞かせいただきたいんです。

 デジタル化が進んで、違法にアップロードされているコンテンツをダウンロードすることは違法ですよ、やっちゃいけないですよということで、著作権の権利者を保護していこうね、ただし、軽微なものについてはいいよということで、まだグレーゾーンは残るけれども、なるべく厳密に、著作物を利用しやすいようにしていこうねということでの改正が本件ですけれども。

 例えば、著作権法の中には、演奏権とか上映権とか上演権とか、支分権が設けられているわけですけれども、演奏権という場合に、例えば、将来のすごいアーティストになる方たちも、演奏家になる方たちも、最初はすごい下手なわけですよね。というか、楽器をやったことがない。それで、練習する、練習して上手になる、そしてすごい演奏家になるという過程をたどるわけですけれども。

 では、音楽教室などに通って、その生徒さんが、例えばバイオリンならバイオリンを、キーッと、要するに、練習する、技術を習得するための練習も、では演奏なのか。今、著作権法上は演奏権と書いてあるので、限定がついていないので、それも演奏ですと、これは法律上そうなっちゃうんですよね、なっちゃう。

 だから、支分権についても厳密な議論を私はしていいと思うんですけれども、それは、ここで大臣にお聞きしたいのは、楽器の初心者の方たちが、一小節、二小節、何か音程がめちゃめちゃ外れて技術習得のために練習しているのも演奏だというふうに大臣は思いますかというのをちょっと、思うか思わないかというのをお聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生と二人で食事をしているときだったらいろいろな思いをお伝えしたいんですけれども、著作権の審査をしていただいていますので。

 確かに、それを聞いてもまだ何の曲だかわからないというような練習段階で演奏権というものが認められるのかどうなのか、こういう気持ちはなくはないんですけれども、法律上、読んでいくと、やはりそこが入ってくるというのが今の実情でございまして、それは演奏権に当たるんだろう、こう思います。

川内委員 そうなんですよね。だから、私はそこを、僕らは著作権の素人だし法律の素人なので、そして楽器も素人だから、文化審議会の著作権分科会で、何をもって演奏というのか、演奏権の対象になるのかということを御議論いただくのが、子供たちにとっても、これから楽器を習いたい、いろいろなものを習いたいという人たちにとってもよいことになるのではないかなというふうに、ここは私の意見として申し上げておきたいというふうに思います。

 さらに、参考人質疑で弁護士の福井先生から、デジタルアーカイブについて、欧米では、オプトアウトというルールがあって、絶版になったものはとりあえず公開する、権利者からクレームが来た場合に公開を停止するというルールがあるんだ、これは日本でもぜひ検討すべきではないかという御提言があったんですけれども、これについてお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

今里政府参考人 御指摘のように、デジタルアーカイブを促進していって貴重な資料を国民が幅広く見られるようにする、こういったことは非常に重要であると認識しております。

 この点、現行の著作権法におきましても、絶版等により一般に入手困難な資料、これにつきまして、図書館が他の図書館の求めに応じて複製物を提供したり、あるいは国立国会図書館がデジタル化した資料を他の図書館でも閲覧できるようインターネットで送信する、こういったことが可能となっているところでございます。

 一方で、そうした資料について、インターネットを通じて外部から閲覧できるように公開するということはできないということでございます。

 今般、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして図書館が休館していることなどに伴いまして、インターネット等を通じた図書館資料へのアクセスなどについてニーズが高まってきているところでございますので、これを機に制度的な対応についても検討していく必要がある、このように考えております。

 今後、絶版等により入手困難な図書館資料等へのアクセスを容易化するために、図書館関係の権利制限規定をデジタルネットワーク化に対応したものとすることについて、権利者の利益保護にも十分に留意しつつでございますけれども、前向きに検討を進めたい、このように考えております。

川内委員 ぜひ、早急に検討していただいて、結論を見出していただきたいと思います。

 さらに、権利者が見つからない作品、オーファン作品というそうですけれども、これが何か全体の五割ぐらいあると。現状は、文化庁長官が裁定をし、使用が可能になるということだそうですけれども、公開した場合、権利者が出現する可能性がこれはあるわけで、そうすると、事前の供託制度が壁になっている。

 しかし、オーファン作品を公開して、権利者が、いや、それは俺のだけど、勝手にやらないでよと言ってくるのは一%ぐらいしか可能性がないということだそうで、事前の供託制度から事後の請求制度に変えるべきではないかという指摘がありますけれども、これについてはいかがお考えになられますか。

今里政府参考人 今先生から御紹介のございましたように、権利者不明の著作物、いわゆるオーファンワークスでございますが、これを利用するための文化庁長官による裁定制度、これは、権利者の許諾を得ずに利用を認めるといったことの一方で、今御紹介がございましたように、後から権利者があらわれた場合には使用料をお払いいただくということが出てまいりますので、その相当額の支払いを担保するために、補償金を事前に供託する、こういった仕組みになっているところでございます。

 この補償金の事前供託につきましては、将来の支払いを担保するという意味でございますので、裁定制度の利便性を向上させるために、平成三十年の著作権法改正で、補償金の支払いが確実な国ですとか地方公共団体など、こういった方たちが利用する場合には供託が不要としてございまして、これを利用した裁定も行われているところでございます。

 著作物の利用を更に円滑化させるため、これまでも裁定制度の改善に不断に取り組んできておりますが、供託免除対象の拡大につきましても、権利者が事後にあらわれた際の請求に対して補償金の支払いを担保するためにどのような方策があり得るのか、これについて検討してまいりたいと思います。

川内委員 ぜひお願いします。

 次長、支払いが確実な人は免除されると。だけれども、支払いが確実な大金持ちとか大会社は、こういうオーファン作品を発掘して何かしようみたいなマニアックなことを余りしないですよね。埋もれている作品を探し出してみんなに提供しようという人は、大体めちゃめちゃマニアックで、そういう人は残念ながら、なかなかちょっとその支払いが確実でなかったりする。だけれども、そういう埋もれたものを見つけ出す才能というのはすごいわけですね。それがみんなに、うわあ、これはおもしろいじゃんとなったら、それはどんどんどんどんそこでビジネスが展開されて支払いが可能になるわけですから、私は事後で十分その利用料というものは確保できるのではないかというふうに思いますので、ぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。

 更にもう一点、産業財産権の場合は、オフショアでの紛争について、個別の会社とか個別の方、個者に対する行政としての支援助成制度がある。これは特許庁がおやりになっていらっしゃるということだそうですけれども、著作権もオフショアでの紛争が、争訟が、もうこれはグローバルなことですから発生しているわけで、行政としての支援助成制度、紛争に対する支援助成制度を検討すべきというふうに考えますが、文化庁としてのお考えをお聞かせください。

今里政府参考人 委員に御指摘いただきましたように、海外の紛争についての個別の助成制度、これは著作権に関しては現在のところないということでございます。

 しかしながら、企業が海外において個別に侵害対策を実施することには、ノウハウ等の面で困難が伴うことが想定されるわけでございます。こういったことに鑑みまして、文化庁では、我が国の権利者が海賊版対策を行うための権利執行の具体的な手順ですとか必要な情報、こういったものを整理したハンドブック、あるいはノウハウや好事例をまとめた事例集、こういったものを作成して、海外における海賊版対策の取組を情報面で支援してきているところでございまして、今後ともこうした取組を充実させていく予定でございます。

 また、コスト面におきましては、個々の権利者が個別に海賊版対策を行うということは効率が余りよくないということがございますので、経産省からの予算措置も受けまして、コンテンツ海外流通促進機構、CODAでございますが、ここが、侵害コンテンツ自動監視削除システムなどによりまして、一括して侵害コンテンツの削除要請を行った、あるいは、窓口となって海外機関と連携した取組を行う、共同での権利行使による効率化を図っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、関係省庁とも連携しながら、今後とも、中小企業を始めとする我が国の権利者の権利行使に資する実効的な取組を実施してまいりたい、このように考えているところでございます。

川内委員 大臣、文化を大事にすると。文化芸術が今大変なこういう状況の中で危機に陥っているわけですけれども、その支援策について、二次補正に向けて、せんだって大臣の方から、だんだん固まってきたよということで、何かこう、中身はどんな内容ですかみたいな御発言があったんですけれども、どのような支援になるのか、現段階でお話しいただけることをお話しいただければというふうに思います。

萩生田国務大臣 コロナ感染拡大防止に係る自粛等により大きな打撃を受けている文化芸術活動について、個人の活動費や団体の維持、継続等を行うための支援を実現するよう、各団体からさまざまな御要望や御要請をいただいたところでございます。

 文化芸術活動は、公演等の開催のために準備期間が必要であり、すぐには従来同様の公演収入が見込めないことなど、業界固有の課題があると承知しており、文化芸術の灯を消してはならないというのは全く同じ思いでございますので、第二次補正予算の編成に向けて、必要な支援策を現在交渉といいますか、検討し、またさまざま話合いをしているところでございます。

川内委員 何か全然教えてもらえないんですけれども、大体予算規模はどのくらい要求をしていらっしゃるんですか。

萩生田国務大臣 文科省、文化庁として要求したい思いというものはあるんですけれども、現在交渉中でございます。

川内委員 なかなか慎重なわけですけれども。

 本当に文化芸術に携わる人々というのはフリーランスの方が多くて、しかも持続化給付金もなかなか受けられないという状況がある、雑所得になっている人が多いからということで。私はこれは本当に危機的な状況だと思うので、大臣にはぜひ、私は本当に、まじで職を賭して頑張っていただきたいというふうに思っているところなんです。

 そこで、持続化給付金についてお聞かせをいただきたいんですけれども、私は持続化給付金という制度はめちゃめちゃいい制度だと思います。更に額を積み増し、多くの人に救済の手を広げていただきたいというふうに思うんですけれども、この持続化給付金というのは、事務委託で、サービスデザイン推進協議会というところが請け負っているというふうに聞いています。

 入札で当然受けているわけですけれども、この入札の詳細、予定価格、落札価格、何社入札か、サービスデザイン推進協議会以外の参加者、そして、この持続化給付金の事務を行うに当たっての最終的な契約金額を教えていただきたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 持続化給付金でございますけれども、事務局の委託費は約七百六十九億円で契約しております。予定価格でございますけれども、これを公表した場合には、他の事業、同種の事業を行った場合に予定価格を類推されるおそれがございますので、経済産業省では全ての契約で一律に非公開としております。御理解を賜りたいと思っております。それから、入札で札を入れた会社は二社ございます。

 以上でございます。

川内委員 私、財務省に確認したんですけれども、予算予定価格は七百億だったそうです。契約金額としては七百六十九億ということでそれを上回っているわけですけれども、消費税が入っていますのでね。落札価格は六百九十五億ということでございます。

 きのう、私はこのサービスデザイン推進協議会の住所、会社に行ってみたんです。誰もいませんでした。閉まっていました。リモートワークという張り紙は張ってありましたけれども。

 サービスデザイン推進協議会は事務のほとんどを再委託していると思われるんですが、再委託先はどこですか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事業で、一般社団法人サービスデザイン推進協議会は、株式会社電通に対して業務を再委託して本事業を実施しているということでございます。

 具体的には、サービスデザイン推進協議会が、全体の統括業務、それと給付金の振り込みの業務を行っております。それから、電通が、コールセンター、それから申請受け付け業務等の管理、それから、広告代理店でございますので、広報活動を実施しているということでございます。

川内委員 このサービスデザイン推進協議会、その事務を電通さんに再委託している。再委託の金額の割合というのは相当高いんだろうというふうに思うんですけれども。

 ほかに、この団体の設立時の定款を見ると、パソナさんとか、あるいはトランスコスモス株式会社と。電通、トランスコスモス、パソナという三社でこの団体を設立しているということでよろしいですか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 今、手元に設立時の資料はないので、ちょっとあれなんですけれども、恐らくその三つではないかと聞いております。

川内委員 大臣、結局、この三社で団体を設立して、予定価格、恐らく七百億ですよ。六百九十五億で受けて、その三社の一社である電通に再委託する。これは完全なトンネルですよね。

 この定款のプロパティーを確認すると、経済産業省の大臣官房の情報システム厚生課作成と書いてあるんですよ、定款のプロパティーを見ると。要するに、経済産業省がこの団体の設立を手伝っているんでしょう。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、経済産業省でございますので、業界団体とか企業コンソーシアムを形成しようとしている民間企業などから、その方法について、技術的な助言とか、あるいは情報提供を求めることは通常ございます。

 本件でそのような経緯があったかどうかはちょっと私ども承知していないんですけれども、一般に、先方から、他の団体の定款の例を下さいとか、あるいはひな形を下さいということはございまして、その一環で提供したものが利用され、あるいは再利用される。これは、一旦役所から出ると転々流通してしまいますので、再利用はとめられませんので、そういう可能性はあるんじゃないかと思っておりまして、このこと自体は特段問題だと思っていません。

 なお、文書のプロパティーでございますけれども、当時のシステムの設定上そうなっているということでございまして、当該文書が情報システム厚生課において作成されたということを示すものではございません。

川内委員 いずれにせよ、大臣、今お聞きいただいて、ちょっと質疑は終わったのでまとめますけれども、結局、いや、持続化給付金、制度はいいですよ。その制度を利用して、大きな、誰でも知っている会社が経済産業省とある意味結託して、事務費七百億というのは、一件振り込むのに手数料が四万か五万取っているということですよ。二百万振り込むのに、あるいは百万振り込むのに四万円ぐらいは手数料を取っているということなんですよ。

 大臣、後で、持続化給付金の、このサービスデザイン協議会の電話番号に電話してくださいよ。話し中で、コールセンターにずっとつながらないから。国民は今、それだけ必死になっているんですよ。

 そういう中で、この事務の委託のあり方というのは私は問題なのではないかということで、これはしっかりと、今さら事務委託の団体を変えることはできませんから、しかし、きちんとやってほしいという思いを申し上げて、質疑を終わらせていただきたいというふうに思います。

橘委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橘委員長 この際、本案に対し、川内博史君外一名から、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。川内博史君。

    ―――――――――――――

 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川内委員 ただいま議題となりました著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムを代表し、その提案理由及びその内容について御説明を申し上げます。

 本法律案においては、近年のデジタル化、ネットワーク化の進展等を背景として、著作物等の創作、流通、利用をめぐる環境の急激な変化が生じており、特に、インターネット上における漫画、アニメ等のコンテンツの違法流通を始めとする著作権侵害による被害が深刻化していることに鑑み、リーチサイト対策や侵害コンテンツのダウンロード違法化等のインターネット上の海賊版対策の強化に係る措置等を講ずることとしております。しかし、著作権法上の課題は、デジタル化の進展等に由来するものだけではありません。

 著作権は、権利の束とも呼ばれるように、利用形態ごとに定められた多くの支分権で成り立っており、その中には上演権・演奏権、上映権などの公衆に直接見せること、又は、聞かせることを目的とした利用に係る権利があります。このうち、例えば演奏権については、音楽教室等での楽器の初心者が行う技術習得のための練習という拙い演奏であっても著作物の利用に当たり、著作者に使用料を支払うことが必要になる場合があるなど、社会通念や妥当性の観点から違和感を覚える場合もあります。

 現行の著作権法が制定されたのは昭和四十五年でちょうど五十年前となります。時代や社会状況の変化を勘案した個別の規定の見直しにとどまらず、現在の社会通念や妥当性の観点から、演奏権を始めとする各支分権の要件等について、著作権の専門家等から構成される文化庁の文化審議会著作権分科会で総括的に検討していただく時期が到来しているのではないかと考えます。

 そこで、我々、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムは、本法の施行後一年を目途として、公衆に直接聞かせることを目的として演奏する権利等と著作物の公正な利用との調整のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする検討規定を追加することを内容とする本法律案に対する修正案を提出することといたしました。

 以上が、修正案提案の理由及びその内容でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をいただけますようお願い申し上げます。

橘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、川内博史君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橘委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橘委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、白須賀貴樹君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。城井崇君。

城井委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 海賊版サイトの形態は多種多様であり、本法の措置では対応ができないストリーミング形式を採用している海賊版サイト等も存在することを踏まえ、本法による規制にとどまらず、今後ともあらゆる手段を通じて海賊版対策の徹底に向けた取組を政府一丸となって行うこと。

 二 侵害コンテンツの違法アップロードについては、アップロードを行う者が海外サーバーを利用する事例や我が国の捜査協力等の要請に対して非協力的な国が存在することも踏まえ、迅速かつ円滑な捜査・摘発に向けて、政府は、海外の捜査機関や通信業者等との更なる連携強化を促進し、実効性のある違法アップロード対策の実現に努めること。

 三 政府は、海賊版対策を講じるための専門的知見、人的資源、資金等が不十分な中小企業等を支援するため、海賊版対策の構築に係る専門的知見の提供や経費の補助等の様々な支援策を講じるよう努めること。

 四 本法による侵害コンテンツのダウンロード違法化に係る措置が、国民の正当な情報収集等の萎縮をもたらさないよう多くの要件が設けられ複雑な制度設計となっていることを踏まえ、本法附則による国民への普及啓発及び未成年者への教育を行うに当たっては、分かりやすいガイドライン等を作成するとともに、インターネット上や学校現場等の様々な場面での普及啓発・教育に万全を期すこと。

 五 政府は、関係者による議論の状況等を踏まえつつ、演奏権等の要件としての公衆に直接見せ又は聞かせる目的の範囲について、必要に応じて社会通念や妥当性の観点から検討するとともに、その結果に基づいて必要な見直しを行うよう努めること。

 六 デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、従来は受信者であった国民が同時に発信者にもなる時代が到来し、著作物の利用・流通形態の多様化が今後さらに進行することが想定されることに鑑み、政府は、権利の保護と著作物の円滑な利用の促進とのバランスに十分留意しつつ、時代に即した著作権法制となるよう、その在り方について不断の検証を行うこと。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

橘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橘委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田文部科学大臣。

萩生田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

橘委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

橘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十三分散会


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